衆議院

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第2号 令和3年3月5日(金曜日)

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令和三年三月五日(金曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君

   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    井林 辰憲君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      小寺 裕雄君    櫻田 義孝君

      繁本  護君    柴山 昌彦君

      谷川 弥一君    津島  淳君

      根本 幸典君    馳   浩君

      古田 圭一君    三谷 英弘君

      村井 英樹君   山本ともひろ君

      吉良 州司君    下条 みつ君

      寺田  学君    中川 正春君

      谷田川 元君    山内 康一君

      吉川  元君    笠  浩史君

      古屋 範子君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    藤田 文武君

      白須賀貴樹君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学副大臣      高橋ひなこ君

   文部科学副大臣

   兼内閣府副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月一日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     井上 貴博君

同月四日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     村井 英樹君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     白須賀貴樹君

三月五日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     井林 辰憲君

  福井  照君     小寺 裕雄君

  船田  元君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     中村 裕之君

  小寺 裕雄君     福井  照君

  津島  淳君     船田  元君

同日

 理事白須賀貴樹君二月十七日委員辞任につき、その補欠として神山佐市君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第一号)

 同(武村展英君紹介)(第一七号)

 同(佐藤公治君紹介)(第五六号)

 同(小寺裕雄君紹介)(第五七号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第五九号)

 同(武内則男君紹介)(第六〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九九号)

 同(稲富修二君紹介)(第一〇〇号)

 同(原田義昭君紹介)(第一〇一号)

 同(鬼木誠君紹介)(第一二七号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第一二八号)

 同(岩田和親君紹介)(第一五六号)

 同(竹本直一君紹介)(第一五七号)

 同(山内康一君紹介)(第一五八号)

 教職員定数の改善、学校のICT(情報通信技術)環境の整備等に関する請願(屋良朝博君紹介)(第二号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(務台俊介君紹介)(第三四号)

 同(下条みつ君紹介)(第三六号)

 同(井出庸生君紹介)(第三八号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(福田昭夫君紹介)(第五八号)

 同(柚木道義君紹介)(第一五九号)

 新型コロナウイルス感染症から子供を守り学ぶ権利を保障するために少人数学級を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第六二号)

 コロナ禍の下、子どもたちの安全と安心、学びと発達を保障する少人数学級実現、大学などの学費一律半額を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三号)

 同(笠井亮君紹介)(第六四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六号)

 同(清水忠史君紹介)(第六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第七一号)

 同(藤野保史君紹介)(第七二号)

 同(宮本徹君紹介)(第七三号)

 同(本村伸子君紹介)(第七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に神山佐市君を指名いたします。

     ――――◇―――――

左藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する事項

 生涯学習に関する事項

 学校教育に関する事項

 科学技術及び学術の振興に関する事項

 科学技術の研究開発に関する事項

 文化芸術、スポーツ及び青少年に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

左藤委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 文部科学大臣から所信を聴取いたします。萩生田文部科学大臣。

萩生田国務大臣 お昼の時間に恐縮です。

 第二百四回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。

 まず、先月十三日に福島県沖を震源とする地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、新型コロナウイルス感染症により貴い命を落とされた方々に心から哀悼の意を表します。

 そして、学校現場における感染症対策に尽力いただいている教職員の皆様、入学試験に臨む若者たちのために万全の対策を講じていただいた関係者の皆様、大学病院において感染症患者の治療に携わっておられる医療スタッフの皆様、スポーツ・文化芸術活動における感染症対策に尽力されている関係者の皆様、さらに感染症対策に貢献し得る研究開発に取り組んでおられる研究者の皆様など、全ての関係者の方々に改めて敬意を表したいと思います。私自身、まさに国の礎とも言える文部科学行政を預かる責任者として、これらの分野の歩みを決して止めてはいけない、そうした決意で取り組みます。

 前文部科学副大臣の不適切な行動により、文部科学行政に対する信頼を損ねる事態となりました。国民の皆様におわび申し上げるとともに、今後とも感染症対策を始めとする諸課題にしっかりと取り組み、信頼回復に努めてまいる所存です。

 子供たちの知徳体を一体で育む、いわゆる日本型学校教育は、全ての子供たちに一定水準の教育を保障する平等性や全人教育という面で成果を上げ、諸外国からも高い評価を受けています。

 他方、情報化の加速度的な進展への対応の遅れなど、近年の社会構造の変化や社会の多様化に現在の学校教育システムが必ずしも対応できていないのではないかとの指摘もあります。こうした指摘にしっかりと向き合い、その克服に努力することが重要であり、教育再生実行会議においても、新たな学びの在り方についての具体的な検討を進めています。

 GIGAスクール構想を大幅に前倒しし、本年四月からは全国の児童生徒が一人一台端末環境での学びをスタートします。GIGAスクール元年を迎えるに当たり、民間事業者に対して学校支援に向けた協力を要請しているほか、教育現場に寄り添い、安全、安心な利活用に向けた支援が必要だと考えています。また、約四十年ぶりの改正となる小学校三十五人学級の本年四月からの段階的実施に向けて、令和三年度政府予算案及び関連法案を今国会に提出しているところです。さらには、子供たちの学習、生活の場であり、災害時には避難所となる学校の安全、安心の確保に加え、新しい時代の学びにも対応した施設環境の整備が重要です。

 私は文部科学大臣として、こうした改革を何としても前に進め、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、新学習指導要領の着実な実施と相まって、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現のため、令和の日本型学校教育の構築を目指す幕開けの年とすることを強く決意しているところです。

 新しい学校教育の実現に向けては、教育の質を支える教師の力が何よりも重要です。

 このため、本年一月、私の下に「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部を設置し、当面の取組として、三十五人学級を担う教師の確保や社会人等多様な人材の活用等に関する施策を取りまとめました。まずはこれらの施策をスピード感を持って実施するとともに、今後、教師の人材確保と質向上の両面から、中長期的な実効性のある方策に取り組み、教師の養成、採用、研修等について、基本的な在り方にまで遡って大胆に検討を進めてまいります。

 あわせて、児童生徒等に対してわいせつ行為を行った教師への厳正な対応については、いまだ乗り越えられない法制上の課題があり、今国会に法案を提出できる状況には至りませんでしたが、引き続き、考えられる限りの実効性ある手だてを関係省庁とも連携を行いながら講じてまいります。

 また、児童生徒の自殺者数が増加している現状を踏まえ、児童生徒の自殺予防の効果的な取組の推進、いじめや不登校への対応にも取り組んでまいります。

 学校の働き方改革も重要な課題です。コロナ禍によって過去に例のない対応を余儀なくされている学校現場をしっかり支えながら、この改革をしっかりと前に進めてまいります。学校が大変な職場というイメージを払拭し、教師が再び子供たちの憧れの職業となるよう、私が自ら先頭に立って全力を尽くしてまいります。

 本年一月、第一回目となる大学入学共通テストが実施され、感染症対策も含め、おおむね無事に終了することができました。これら令和三年度入試の実施状況や、英語四技能、思考力、判断力、表現力を適切に評価することの重要性を踏まえた上で、今後の大学入試の在り方について、受験生を始めとする国民の皆様に納得いただける制度を目指して、引き続き検討を進め、本年夏前には成案を得てまいります。

 大学においては、学びを止めないための工夫としてオンライン授業が大きく広がりました。教育環境のデジタル化の取組は必要ですが、大学教育はオンライン授業だけで完結するものではありません。各大学において、感染拡大の防止策を講じた上で、対面による授業の機会を積極的に検討いただくよう、引き続き働きかけていくとともに、オンライン授業と対面授業の双方の利点を生かした大学教育の在り方についても、教育再生実行会議等における検討を進めてまいります。

 我が国の高等教育機関が、人材育成とイノベーション創出の基盤としての使命を果たすことができるよう、改革を進めていく必要があります。先般、大学ファンドの創設に関する法案を御可決いただきましたが、数理、データサイエンス、AIなどの成長分野や分野横断的な教育研究の展開、グローバル化の推進、専門職大学や専修学校における地域のニーズや成長分野等を踏まえた質の高い専門職業人の育成、リカレント教育を含む多様な学生の受入れ、多様で柔軟な教育研究体制の構築、複数の大学の強みや特色を生かした連携協力の推進などについても着実に取組を進めてまいります。

 国立大学は、社会変革を先導し、社会や地域から支えられる存在になることが求められています。そうした期待に応えられるよう、令和四年度から始まる第四期中期目標期間に向けて、ガバナンスの見直しや経営の裁量拡大を図るための制度改革を行うため、今国会に法案を提出しているところです。

 新型コロナウイルス感染症拡大という状況において、大学病院は我が国の地域医療の最後のとりでとして大変重要な役割を果たしています。引き続き、現状に即した医療による貢献を果たすとともに、今回の経験を踏まえ、感染症分野の高度な知識を身につけた人材養成の強化も図ってまいります。

 高等専門学校は、産業界や諸外国から高い評価を受け、これまで我が国の産業界を支える大きな役割を果たしてきました。今後とも、機能の高度化、海外展開と国際化の一体的推進、地域の人材ニーズを踏まえた取組の促進など、その振興に努めてまいります。

 また、これらの政策を実現するためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など、基盤的経費を安定的に確保した上で、経営力の強化、大学間連携や統合の促進、財政支援のめり張り化などを通じ、強靱な大学への転換を促してまいります。

 家庭の経済事情にかかわらず、誰もが質の高い教育を受けられるようにすることは大変重要です。幼児期から高等教育段階まで、切れ目ない形での教育の無償化、負担軽減を着実に実施するとともに、コロナ禍においても学びの機会が奪われることがないよう、必要な支援措置を講じ、その十分な周知に努めてまいります。

 また、コロナ禍の影響により意欲や能力のある若者の就職機会が奪われることがないよう、経済界における新卒扱いの柔軟化などに向け、関係省庁で連携して取り組んでまいります。

 障害者が一生を通じて自らの可能性を追求できるよう、支援に係る環境の整備が必要です。医療的ケアを含め、特別な支援を必要とする子供が増加している状況を踏まえつつ、福祉部局等と連携した切れ目ない支援体制の構築や特別支援教育の充実を図るとともに、障害者の生涯にわたる多様な学習活動の充実に取り組んでまいります。

 子供たちの成長を社会が一体となって支えていけるよう、地域と学校の連携推進、家庭教育の支援などにしっかりと取り組んでまいります。さらに、在外教育施設の機能強化、外国人児童生徒等の就学促進や教育、外国人に対する日本語教育の充実等を進めてまいります。

 これらの取組を着実に実現するため、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実に努めてまいります。

 我が国の将来にわたる成長と繁栄、そしてSDGsの達成のための要となるのは、科学技術イノベーションです。新たに策定される科学技術・イノベーション基本計画を着実に実行してまいります。また、リーマン・ショック後に研究開発投資が停滞した反省を踏まえつつ、公的投資も含めた科学技術イノベーション活動への力強い支援を行ってまいります。

 研究力の抜本的な強化を図るためには、人材、資金、環境に関する施策を総動員する必要があります。特に、研究力向上の鍵である若手研究者への支援の強化が重要です。政府目標である約一万五千人の博士後期課程学生への経済的支援を早期に達成するとともに、優秀な若手研究者へのポストの重点化などに取り組んでまいります。また、大学ファンドについて、詳細な制度設計等を進め、その運用益を活用して世界トップレベルを目指す研究大学の研究基盤の強化に向けた長期的、安定的な支援につなげてまいります。

 研究活動におけるニューノーマルを実現するため、研究のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。さらに、研究成果の切れ目ない支援の充実や新興・融合領域への取組強化などの研究資金改革、研究設備等の共用促進や研究支援体制の強化などの研究環境改革を、大学改革と一体的に進めてまいります。

 持続的なイノベーションの創出には、その源となる学術研究、基礎研究が極めて重要です。科研費や戦略的創造研究推進事業の充実を図るとともに、多様な研究者が挑戦的な研究に腰を据えて取り組めるよう、創発的研究支援事業等を通じた支援を強化してまいります。また、産学官によるアントレプレナーシップ教育の充実や大学発ベンチャーの創出に向けた環境整備、産学官共創によるオープンイノベーションや地域におけるイノベーション創出等を推進するとともに、科学技術の戦略的な国際展開を図ってまいります。

 さらに、大学等における技術流出防止の強化と研究成果の創出、育成のバランスを図ることが重要です。現場の研究者が萎縮することのないよう留意しつつ、関係府省と連携して、技術管理を含め、安全、安心の実現に向けて取り組んでまいります。

 スーパーコンピューター「富岳」の整備を加速し、今月、共用を開始します。これを研究者のみならず産業界に広く開放し、子供たちにも体験機会を提供するなど、国民共有の財産として誰もが活用しやすい環境を整えてまいります。また、SINET等の基盤整備や次世代放射光施設の整備などを進めてまいります。

 さらに、AI、ビッグデータ等の情報科学技術、我が国が強みを持つ再生医療等のライフサイエンス、量子技術、マテリアル、ナノテクノロジー等の研究開発を進めてまいります。二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に向けて、革新的な環境・エネルギーに関する研究開発、ITER計画等の核融合研究を推進するとともに、地震、津波、火山、豪雨等の防災・減災に関する研究開発などを進めてまいります。

 今後の宇宙開発利用の充実に向けて、アルテミス計画の推進やH3ロケットの開発、新しい日本人宇宙飛行士の募集などに着実に取り組みます。さらに、北極域研究船の建造を含む海洋・極域に関する研究開発、「もんじゅ」の安全、着実かつ計画的廃止措置の実施も含めた原子力に関する取組など、国主導で取り組むべき基幹技術を推進します。

 スポーツや文化芸術の関係者は、コロナ禍において甚大な影響を受けつつも、活動の継続に向けて懸命に努力されています。スポーツ、文化芸術を通じた希望の灯が我々の前に光り輝き続けるよう、活動の再開、継続、発展に向けた支援の強化に努めてまいります。

 スポーツには、体を動かし楽しむだけでなく、見る人々を夢中にさせ感動させる力があります。

 まずは夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を安全、安心に開催するため、文部科学省としても全力で取り組んでまいります。

 国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と希望を与えるものです。東京大会はもとより、その先も見据えて、トップアスリートが強化活動に専念できるよう、感染症対策の徹底とともに、競技力強化に係る支援に加え、東京大会のレガシーの継承、発展、更なるスポーツの振興に取り組んでまいります。

 また、スポーツ活動が公正かつ適切に実施されるよう、スポーツ団体に対し、ガバナンスコードの遵守を促すことを通じ、スポーツインテグリティーの確保やスポーツを通じた女性の活躍促進に努めてまいります。

 そして、第三期スポーツ基本計画の策定に向けた検討を進め、全ての人々がスポーツを、する、見る、支える機会を確保することを通じ、スポーツ立国の実現を目指します。

 文化芸術は、国民の心を豊かにするだけでなく、経済活動においても新たな需要や高い付加価値を生み出す源泉となるものです。文化芸術推進基本計画等に基づき、関係府省との連携を深め、文化芸術立国の実現に努めてまいる所存です。

 コロナ禍における文化芸術活動の再開、継続、発展のための支援はもとより、無形文化財等の保護制度を整備するための法案を今国会に提出しているほか、デジタル化に対応した著作権制度の見直しのための法案を提出いたします。さらには、子供たちが本物の文化芸術公演を鑑賞できる機会の充実に取り組んでまいります。また、文化財の修理、整備、防火・耐震対策等も着実に進めてまいります。

 そして、我が国の文化芸術を世界へ発信するとともに、その基盤を整備するため、日本博の強力な推進、日本遺産等の文化観光拠点・地域の整備や、文化施設の機能強化等に取り組み、伝統文化から現代芸術、ポップカルチャーまで、幅広い文化芸術による国づくりを推進してまいります。

 また、文化庁においては、令和四年度中の京都における本格的な業務開始を目指し、着実に準備を進めてまいります。

 間もなく東日本大震災から十年を迎えます。復興の総仕上げに向けて、今後も引き続き、就学支援や心のケア、学校再開への支援を始め、復興を支える人材育成、学校施設や文化財の復旧など、被災者に寄り添った復興に取り組みます。また、廃炉に関する研究開発や人材育成、原子力損害賠償にも着実に取り組んでまいります。

 限られた時間の中で全ての課題をお示しすることはかないませんが、これまで本委員会でお約束してきた取組については、私自身が先頭に立って、確実に実施してまいる所存です。国民のために働く菅内閣の一員として、国家百年の計に立って、人づくりを始めとした文部科学行政における諸課題の解決に向け、国民に寄り添いながら、果敢に取組を進めてまいります。

 引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

左藤委員長 次に、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣から所信を聴取いたします。丸川国務大臣。

丸川国務大臣 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を担当する国務大臣として、私の所信を申し上げます。

 まず、先月十三日に福島県沖を震源とする地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、新型コロナウイルス感染症により貴い命を落とされた方々に心から哀悼の意を表します。

 国民の皆様には、緊急事態宣言により、制約の多い生活の下、御協力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げます。また、それぞれの現場で日々尽力されている医療従事者の皆様や保健所の皆様、介護関係者の皆様など、全ての関係者の方々に心から敬意と感謝の意を表します。

 開催まで五か月を切った東京大会については、感染対策を万全なものとし、国民の理解あっての大会成功であるとの考えの下、安全、安心な大会を実現するために、担当大臣として、東京都や組織委員会、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会等と緊密に連携しつつ、全力で取り組んでまいります。

 この困難な中にあっても、国内外では、感染対策をしっかり講じた上で様々なスポーツ大会が開催されており、活躍するアスリートの姿に励まされたという声や地域の活性化を通じて、スポーツの持つ力を改めて実感しています。大会に向けて、厳格な自己管理の下、懸命に努力を重ねるアスリートの不安を払拭し、万全のコンディションで大会に臨める環境づくりを進めてまいります。また、東京大会の開催は、単なるスポーツの大会という枠を超えて、人類の連帯と団結を表すシンボルとして、コロナ禍において世界中の人々が新たな光を見出すきっかけになると考えております。

 東京大会における新型コロナウイルス感染症対策については、国内外の感染状況やスポーツ大会の開催状況等を踏まえつつ、安全、安心な大会の実現を図るため、国、東京都、組織委員会による会議を開催し、昨年十二月に中間整理を取りまとめたところでございますが、引き続き、変異株の世界的な感染拡大を踏まえ、出入国に係る措置、会場等の感染対策、地域医療に支障が生じない形での医療体制の確保等について、大会に向けた実効的な対策を進めてまいります。

 また、各競技団体に対し、随時、検討状況を共有するなど、国内外の競技団体等との緊密なコミュニケーションを図ってまいります。

 復興オリンピック・パラリンピックの実現は、引き続き大会の重要な柱の一つです。今月二十五日、全国を巡る聖火リレーが福島Jヴィレッジからスタートします。また、最初の競技として、ソフトボールが、開会式に先駆けて、福島あづま球場で行われます。

 今年は東日本大震災から十年の節目であり、復興ありがとうホストタウンや被災地産の食材の活用等、復興の後押しとなるような被災地と連携した取組を推進し、震災から復興しつつある姿を世界に向けて発信するとともに、次世代につながる取組を進めてまいります。

 夏季パラリンピック競技大会が同一都市で二度開催されるのは、東京が史上初めてとなります。パラリンピックの成功が大会成功の鍵であるとの認識の下、パラアスリートがその力を最大限に発揮できるよう、介助者を含め適切な感染対策を講じるとともに、更なる機運醸成に取り組んでまいります。加えて、共生社会の実現を大会のレガシーとすべく、共生社会ホストタウンを推進するとともに、ユニバーサルデザインの町づくりと心のバリアフリーの取組を強化してまいります。

 多様性と調和は、東京大会の基本コンセプトの一つです。東京大会は、大会史上、最もジェンダーバランスのよい大会となります。大会を機に、男女共同参画を一層推進し、大会後の社会の在り方にもレガシーを残せるよう取り組んでまいります。

 大会参加国・地域と自治体がスポーツ、文化などの交流を行うホストタウンについては、大会の延期後、三十の自治体が新たに加わり、相手国・地域も十六増加し、全国のホストタウン自治体は五百十七、相手国・地域は百八十三まで拡大しています。現在、直接の交流は困難ですが、オンライン交流のほか、手紙や応援動画を送る取組が広がっています。大会を契機として、こうした世界との交流が全国各地で新たなきずなとなり、世代を超えて引き継がれていくよう、国は、感染対策として、選手等受入れマニュアル作成の手引きを策定するとともに、財政的な支援も行うなど、自治体に向けて最大限の支援を行ってまいります。

 安全は我が国が世界に誇る価値であり、大会の成功に不可欠なものです。一方、国際テロなどのセキュリティー情勢は予断を許さない状況にあり、特にサイバー空間における脅威が深刻化しております。また、自然災害にも十分な備えが必要です。危機管理に万全を期し、サイバーも含むセキュリティーの万全と、安全、安心を確保するためのあらゆる対策を進めてまいります。

 大会時の輸送については、競技会場の多くが通勤や物流が集中している地域にあることから、円滑な大会輸送と経済活動、市民生活の共存を図ることが不可欠です。国民や企業などの皆様の理解と協力を得ながら、引き続き総合的な対策を推進していくこととしており、特に働きかけによる交通量削減に取り組んでまいります。また、感染防止の観点から、地域住民の皆様が安心できるよう、対策を講じてまいります。

 暑さ対策については、感染対策との両立に加え、テストイベントにおける試行の結果に基づく対策の強化、配慮が必要な方々に対するきめ細やかな対策、多言語での情報発信といった点を含め、ハード、ソフト両面で対策に取り組んでまいります。また、札幌で実施されるオリンピックのマラソン及び競歩の成功に向けて、政府としてもしっかりと支援をしてまいります。

 たばこのないオリンピック、パラリンピックの実現に向けて、受動喫煙対策の徹底に取り組んでまいります。

 東京大会は、文化の祭典でもあります。文化プログラムの中核的事業である日本博について、関係大臣等と連携し、大会延期後の開催となる本年においても着実に推進するとともに、次世代に誇れるレガシー創出に資する文化プログラムを認証するビヨンド二〇二〇プログラムや、健康面等で自己ベストを目指す取組を認証するビヨンド二〇二〇マイベストプログラムを通じて、大会の機運醸成を図ってまいります。

 これらの取組に加え、大会本番において、日本食の提供や国産食材の活用、多様な食文化への対応等の推進、木材利用の推進、さらには再生可能エネルギーにより製造された水素の活用を始めとした、持続可能性に配慮した大会運営などについて、関係大臣等と連携して取り組み、日本の技術や魅力を発信することは、世界が直面する様々な課題の解決に寄与することになると考えております。

 また、東京大会をドーピングのないクリーンでフェアプレーの大会とするために、文部科学大臣等と連携をしてまいります。

 大会開催経費については、透明性を確保し、国民の皆様の理解を得るため、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。

 一九六四年の東京大会から半世紀。再び日本に託された東京大会を、世界の期待に応えて、安全で安心な大会として成功させることは、新たな日本のレガシーとして、日本への信頼を高めることにもつながると考えます。成熟した国家として、また、幾度となく大きな災害に見舞われながらも立ち直ってきた日本だからこそ、世界中に希望と勇気をお届けする大会を実現できるよう、全力で取り組んでまいりますので、左藤委員長、理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いを申し上げます。

左藤委員長 次に、令和三年度文部科学省関係予算の概要及び令和三年度東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局関係予算の概要について、順次説明を聴取いたします。丹羽文部科学副大臣兼内閣府副大臣。

丹羽副大臣 この度、文部科学副大臣兼内閣府副大臣を拝命いたしました丹羽秀樹でございます。

 副大臣として、大臣をよく補佐し、日本の将来を担う人を育てる教育の再生、国家戦略としてのスポーツの振興及び東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた取組に全力を尽くしてまいります。

 今後とも、委員長を始め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、令和三年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、これまでも文部科学省として、三度にわたる補正予算などにより、新たな日常における幼、小、中、高、大学等を始め、スポーツ・文化芸術活動の支援、研究開発の推進など、国民が安全、安心に過ごせるよう、感染症対策等の充実を進めてまいりました。

 令和三年度予算においても、引き続き、教育再生や科学技術イノベーション、スポーツ及び文化芸術の振興がコロナ禍においても決して歩みを止めることがないよう、必要な施策を盛り込んでおります。一般会計五兆二千九百八十億円、エネルギー対策特別会計一千八十八億円などになっております。

 第一に、教育政策推進のための基盤の整備として、小学校三十五人学級の計画的な整備やGIGAスクールにおける学びの充実など、新しい時代の学びの環境の整備及び学校における働き方改革を推進するとともに、児童生徒等や教職員が安全、安心に過ごせるよう、感染症対策を充実いたします。

 また、国立大学の教育、研究や経営の改革を一層進めるとともに、改革に取り組む私立大学への支援などの私学の振興や、国立高等専門学校の高度化、国際化を推進します。

 さらに、計画的、効率的な施設の長寿命化を中心とした、新たな日常を支える学校施設等の整備を推進します。

 第二に、夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成として、地域と学校の連携、協働や子供の体験活動、学校安全体制整備を推進します。

 また、高等学校教育改革、道徳教育、いじめ・不登校、虐待対応や、感染症対策を含めた大学入学共通テストの円滑な実施等を推進します。

 第三に、社会の持続的な発展を牽引するための多様な力の育成として、新しい時代の学びの環境整備に向けた在外教育施設の機能強化、ソサエティー五・〇の実現及びウィズコロナ、ポストコロナに向けた大学、専修学校等の人材育成を強化します。

 また、生涯学び活躍できる環境の整備として、リカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実のほか、障害者の生涯学習活動、特別支援教育を充実します。

 第四に、誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティーネットの構築として、高校生等への修学支援や高等教育の修学支援の確実な実施など、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティーネットを構築いたします。

 また、外国人材の受入れ拡大に対応し、共生社会の実現を図るため、日本語教育、外国人児童生徒等への教育を充実します。

 第五に、スポーツ立国の実現を目指し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた対応として、競技力向上やドーピング防止活動等に取り組むとともに、新たな日常におけるスポーツの施策の総合的な推進とスポーツレガシーの継承のため、子供の健やかな心身の育成、スポーツ参画人口の拡大、地域運動部活動の推進、スポーツ産業の成長促進、障害者スポーツ等を推進します。

 第六に、文化芸術立国の実現を目指し、新たな日常の文化芸術活動、人材育成を支援するとともに、子供たちが多様な文化芸術に触れる環境等を充実します。

 また、文化財の次世代への確実な継承のため、修理や防災対策、修理技術者等の育成、邦楽の普及拡大の推進、日本遺産等の地域の文化資源の磨き上げや文化観光の推進等による地域活性化を推進します。

 第七に、我が国の抜本的な研究力向上と優秀な人材の育成のため、世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドの創設、科研費、戦略的創造研究推進事業、創発的研究支援事業等の基礎研究の充実に加え、博士課程学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、研究費や生活費相当額を支給するなど、博士課程学生の処遇向上を始めとした若手研究者支援等を推進してまいります。

 また、ソサエティー五・〇を実現し未来を切り開くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化のため、新たな価値を生み出していくアントレプレナーシップ人材の育成、大学発ベンチャー創出、産学連携を推進するとともに、研究環境のデジタルトランスフォーメーションを推進します。

 さらに、新型コロナウイルス感染症対策にも活用されているスーパーコンピューター「富岳」や次世代放射光施設を始めとした世界最高水準の大型研究施設の整備、共用を図ります。

 第八に、国家戦略に基づくAIや量子技術、マテリアルの各分野、将来の感染症対策に貢献する創薬研究支援の健康・医療分野の研究開発等を推進してまいります。

 また、大規模自然災害対策等の国民の安全、安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発を実施するため、アルテミス計画への参加を含む国際宇宙探査やH3ロケットの打ち上げなどの宇宙・航空分野、北極域研究船の建造を含む海洋・極域分野、地震・津波観測研究等の防災・減災分野、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に必要な環境エネルギー分野、原子力分野については、基礎・基盤研究とそれを支える人材育成、「もんじゅ」、「ふげん」の安全かつ着実な廃止措置に係る取組などを推進してまいります。

 以上、令和三年度文部科学省関係予算の概要につきまして、御説明申し上げました。

 なお、これらの具体的な内容につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、御説明を省略させていただきます。

 さらに、令和三年度における内閣官房東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会の予算について御説明させていただきます。

 令和三年度予算案においては、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針の実施を推進するために必要となる総合調整等を行うため、約三億円を一般会計に計上いたしております。

 以上で、予算案の説明を終わらせていただきます。

左藤委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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