衆議院

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第18号 令和3年6月9日(水曜日)

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令和三年六月九日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君

   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    佐藤 明男君

      櫻田 義孝君    繁本  護君

      柴山 昌彦君    谷川 弥一君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      根本 幸典君    馳   浩君

      福井  照君    古田 圭一君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      山本ともひろ君    吉良 州司君

      斉木 武志君    下条 みつ君

      中川 正春君    谷田川 元君

      山内 康一君    吉川  元君

      笠  浩史君    古屋 範子君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      青山 雅幸君    藤田 文武君

      白須賀貴樹君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           井上  卓君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   山崎 雅男君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    藤江 陽子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君

   参考人

   (公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長)           布村 幸彦君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     中曽根康隆君

  寺田  学君     斉木 武志君

  藤田 文武君     青山 雅幸君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     佐藤 明男君

  斉木 武志君     寺田  学君

  青山 雅幸君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     船田  元君

    ―――――――――――――

六月三日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(阿部知子君紹介)(第一四二〇号)

同月七日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中谷一馬君紹介)(第一五九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七四七号)

 同(藤丸敏君紹介)(第一七四八号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(志位和夫君紹介)(第一七四九号)

同月八日

 新型コロナウイルス感染症から子供を守り学ぶ権利を保障するため少人数学級を求めることに関する請願(川内博史君紹介)(第一九五七号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一九五八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九五九号)

 同(平野博文君紹介)(第一九六〇号)

 同(田中英之君紹介)(第二〇九三号)

 同(盛山正仁君紹介)(第二〇九四号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(田村貴昭君紹介)(第一九六一号)

 同(平野博文君紹介)(第一九六二号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(田村貴昭君紹介)(第一九六三号)

同月九日

 てんかんのある人とその家族の生活を支える教育に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第二一九六号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第二一九七号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一九八号)

 同(尾身朝子君紹介)(第二四三二号)

 同(寺田学君紹介)(第二四三三号)

 同(中川正春君紹介)(第二四三四号)

 同(中村裕之君紹介)(第二四三五号)

 同(馳浩君紹介)(第二四三六号)

 同(原田憲治君紹介)(第二四三七号)

 同(谷田川元君紹介)(第二四三八号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(阿部知子君紹介)(第二一九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二〇〇号)

 同(大串正樹君紹介)(第二四二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四三〇号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二二〇一号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四三一号)

 子ども一人一人を大切にし、感染症にも強い少人数学級を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二四二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長布村幸彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省統計局統計調査部長井上卓君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官塩見みづ枝君、大臣官房文教施設企画・防災部長山崎雅男君、総合教育政策局長義本博司君、初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長森晃憲君、スポーツ庁次長藤江陽子君及び厚生労働省大臣官房審議官岩井勝弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田佳隆君。

池田(佳)委員 自由民主党の池田佳隆でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げたいと思います。

 去る五月二十八日、参議院本会議において、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が、衆議院本会議と同様、全会一致で可決、成立いたしました。全国民を代表する衆参国会議員、全議員の賛同を得ての成立でありました。

 長年、わいせつ教員対策に共に全力で取り組んでまいりました、そしてまた、法律成立の中心的役割を果たされました公明党の浮島智子先生の並々ならぬ御尽力に心から敬服いたしますとともに、浮島先生と共同座長を務めていただきました我が自民党の馳浩先生始め、与党ワーキングチームの先生方、そして、御理解くださいました野党全会派の先生方、常にお支えいただきました萩生田文部科学大臣始め文科省の皆様方、白川課長を始めとします衆議院法制局の皆様方、左藤委員長始め文部科学委員会関係各位、全ての皆様方に、この法律を発案し、その内容を考案した者として、深く御礼、感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 私は、懲戒免職処分で教員免許が失効、取上げになった者が、三年の欠格期間を経た後に再交付を申請さえすれば、審査も何もなしに教員免許が再交付される、言い換えれば、再交付の申請があれば黙って再交付せねばならないと規定した教育職員免許法の不条理をおよそ六年前から唱え、懲戒免職処分となった教員の七、八割がわいせつ行為による処分だと判明した五年前からは、わいせつ教員根絶に的を絞り、同僚議員のお力もかりながら、免許法改正にずっと取り組んでまいりました。

 本委員会での質疑も、五年前の平成二十八年に始まり、令和になってからも、おととし、昨年と毎年行い、我々立法府と政府、文科省がしっかりとスクラムを組んで、わいせつ教員から子供たちを守り抜く責任を絶対に果たさねばならないと強く強くお訴えを申し上げてまいりました。今回、議員立法としてこの法律が成立したことに深い感慨を抱いているところでございます。

 昨年十二月二十五日、萩生田大臣の記者会見で、文科省として、教育職員免許法改正案を内閣提出法案として通常国会に提出することを断念したと聞かされたときは、正直言って茫然といたしました。昨年の夏以降、その質疑以降、当時の浅田総合教育政策局長からは、わいせつ教員は絶対に排除せねばならない、次期通常国会に教免法改正案を文科省として責任を持って提出すべく、内閣法制局と懸命に奮闘していると何度も何度も聞かされておりましたので、断念との報を聞いて激しく落胆するとともに、子供たちに本当に申し訳ない、そんな気持ちでいっぱいになり、己の力のなさを嘆いたこと、今でも忘れられません。

 しかし、それを乗り越えて、与党ワーキングチームで成案を得ることができ、野党の先生方とともに全会派共同提案という法律案としてまとめ、三月一日の与党ワーキングチーム結成から八十九日という驚異的なスピードで法律が成立しましたことに感慨無量であります。

 ただ、法律ができたということは、わいせつ教員から子供たちを守り抜くためのツールができたということにすぎないわけであります。この法律、ツールが適正に執行されてこそ、わいせつ教員から子供たちを守ることができることになります。

 この法律では、第三条に禁止規定を置き、児童生徒性暴力を違法行為と定めました。児童生徒性暴力を行ったことにより教員免許が失効した者については、これまで、三年経過したら当たり前に教員免許が再交付されていましたが、今後は、本法第二十二条により、再び免許を授与することが適当であると認められなければ、再び免許を与えることができなくなります。

 この仕組みによって、児童生徒性暴力を行った教員は、二度と再び自分自身が性暴力を行わない人間になったんだ、もう私は性暴力を行わない人間になったんだ、そういったことを合理的、客観的に本人が立証できない限り、教員免許の再交付を受けることができず、二度と教壇に立てないことになり、その結果、わいせつ教員から子供たちを守れることになります。

 しかし、子供たちを守り抜く本法の様々な仕組みを実際に機能させるためには、この法律を適正に執行し、ワークさせることが必要不可欠となってまいります。この観点から、幾つか重要なポイントについて御質問いたします。

 まず第一は、データベースについてであります。

 この法律の施行の日以後に児童生徒性暴力を行ったことにより懲戒免職となり教員免許が失効した者については、教員免許の再交付について本法により制限がかかりますが、本法附則第二条第一項により、施行の日以前に教員免許が失効した者については、これまでどおり、三年後には自動的に教員免許が再交付されることになります。

 そこで大事なのが、第十五条で規定するデータベースであります。現在運用されている官報情報検索システムでは、文科省が官報から教員情報を取り出す仕組みのため、免許失効情報が検索システムに掲載されるまで一か月から四か月程度のタイムラグが生じております。しかしながら、本法によるデータベースでは、免許が失効した時点で都道府県教育委員会が迅速に処分情報を直接入力する仕組みになっており、そのようなタイムラグは生じなくなります。

 この法律の施行前に児童生徒性暴力を行ったことにより教員免許が失効した者については、本法施行後であっても、失効後三年が経過すれば、現行の規定に従って自動的に免許が再交付されてしまいますが、このような者を過って教員として採用しないために威力を発揮するのがデータベースであります。

 そのためには、過去に児童生徒性暴力を行ったことにより教員免許が失効した者の氏名や、失効の原因となった事実、理由に関する情報について、都道府県教育委員会が速やかに、過去に遡って調査を行い、これらの事実を漏らさずにデータベースに掲載することが不可欠であります。

 漏れのないデータベース構築を本法施行までに具体的にどんな段取りで進めていくのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 その前に、この問題について中心的に立法について尽力されました池田先生に対して、敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 本法については、御指摘のとおり、国は、特定免許状失効者、すなわち、児童生徒に対するわいせつ行為を行って懲戒免職処分を食らって免許が失効した者に対する正確な情報を把握するために、特定免許状失効者等に関する情報に関するデータベースの整備その他の必要な措置を講じることとされておりまして、さらに、都道府県につきましては、特定免許失効者等になった者の情報をこのデータベースに迅速に記録するということになっているところでございまして、これは池田先生御指摘のとおりでございます。

 こうした法の趣旨を踏まえまして、特定免許状失効者等に係る情報が、過去のものも含めてデータベースに正確に記録されるということは大変重要でございまして、そのために、都道府県教育委員会で必要な調査を行うということも含めまして、都道府県教育委員会に対しまして必要な協力をしっかり求めていくということを考えているところでございます。

 また、データベースの構築につきましては、そのために必要な予算もかかってまいりますので、所要の経費につきましては、来年度の概算要求を行うことも検討していきたいと思っているところでございます。

 本法のデータベースに係る規定の施行期日につきましては、公布の日から起算して二年を超えない範囲で政令で定める日とされているところでございまして、施行に向けまして、着実にデータベースの構築に向けて取り組んでまいりたいと存じます。

池田(佳)委員 続いて、教員採用とデータベースについての質問であります。

 都道府県教育委員会や政令市教育委員会、私立学校を運営する学校法人などが教員を任命したり雇用したりするときには、児童生徒性暴力を行って教員免許が失効した者が過って教員に任命されたり雇用されたりすることがないように、本法第七条第一項に基づいて、このデータベースを必ず活用するよう文科省として徹底指導すべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 本法第七条一項におきましては、教職員等を任命し、又は雇用するときのデータベースの活用が義務づけられておりまして、文科省としましては、この規定の趣旨を基本指針等において明らかにするなど、各教育委員会や学校法人等にしっかりと周知し、このデータベースを使いまして必要な採用あるいは雇用が適切に運用されるように徹底していきたいと存じます。

池田(佳)委員 次に、特に私立学校についてお尋ねをいたします。

 この法律における学校には、当然、私立学校も含まれます。私立学校においても、第十七条から第二十条までの、児童生徒性暴力に対する措置や調査、被害に遭った児童生徒の保護、支援に迅速に当たらなければならないことは言うまでもありません。

 他方、学校法人と私立学校の教員は、労働法制上の雇用関係にあるため、民法六百二十七条第一項の規定により、雇用契約は、退職の申入れの日から二週間を経過することによって終了することになります。逆に言えば、児童生徒性暴力を行った教員が辞めたいと申し出てから二週間以内に懲戒解雇処分を行わなければ、この教員の免許は取り上げられないことになってしまいます。

 文科省は、都道府県知事を通じ、学校法人に対して、児童生徒性暴力があった場合には、迅速に事実確認や調査を行い、雇用契約が終了し、退職されてしまう前に懲戒解雇処分を行うよう強力に指導し、間違っても児童生徒性暴力を行った教員を野放しにしないように徹底指導すべきと考えますが、御見解を願います。

森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、私立学校の教員が退職届を提出いたしますと、民法の規定により、原則として、二週間を経過した時点で自動的に退職の効力が生じると定められておりますけれども、新法第七条第三項におきまして、私立学校の教員の雇用者に関し、懲戒の実施その他の児童生徒性暴力等の再発の防止のために必要な措置を講じる責務が新たに規定されたことを受けまして、文部科学省といたしましては、この法の周知を図り、懲戒の実施など、望ましい運用について徹底してまいりたいと考えております。

 さらに、二週間を経過して雇用契約関係が消滅した教員に対しましても、新法第十八条において、私立学校に関し、児童生徒性暴力等が行われた事実の有無を確認し、犯罪があると認められたときには警察に通報しなければならないと新たに規定されたところでございます。

 そして、教育職員免許法第十一条第三項におきまして、教育職員以外の免許状を有する者が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があり、その情状が重いと認められるときには、免許管理者は、その免許状を取り上げることができ、この規定は、教育職員であった時期の非行について、退職し、教育職員でなくなった後に適用することも可能とされていることなどから、文部科学省といたしましては、私立学校や免許管理者に対して厳正な対応を求めてまいります。

池田(佳)委員 私立学校において文科省の指導が徹底されず、わいせつ教員が野放しにされるようなことがあれば、それは私学部長の責任でもあるということをあえて言明させていただきます。

 さて、与党ワーキングチームで関係団体からヒアリングする中で、訴訟リスクという言葉を何度かお聞きいたしました。児童生徒性暴力を行ったことにより懲戒免職となり教員免許が失効した者に対して、免許授与権者である都道府県教育委員会が本法で付与された裁量権を行使して免許再交付を拒否した場合に、わいせつ教員の側から再交付拒否は不当だと提訴されるリスクがあるという議論であります。

 そこでお尋ねいたします。

 これまでは、児童生徒性暴力を行って免許が失効した者であっても、三年後には自動的に再交付される仕組みでありました。しかしながら、本法の施行後に児童生徒性暴力を行ったわいせつ教員には、三年後に自動的に再交付されるこの仕組みはなくなります。都道府県教育委員会には、わいせつ教員に対して教員免許を再交付しない権限が与えられることになります。しかも、教員免許再交付が適当だと挙証する責任は、免許が失効したわいせつ教員の側にあります。再び免許を再交付することが適当だと万人が納得する挙証を申請者が行ったにもかかわらず都道府県教育委員会が恣意的に再交付しなかったという、およそ想定しづらいケースを除いて、この意味での訴訟リスクは常識的には考えられないと思います。

 それよりも、申請者が十分な挙証を行わなかったにもかかわらず免許を再交付してしまったために、そのわいせつ教員が再び教壇に立ち、またもや児童生徒性暴力を犯してしまった場合には、免許授与権者として、都道府県教育委員会は損害賠償の責任を負うことが十分に考えられ、恐れるべきは、むしろこちらの訴訟リスクではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 本法では、児童生徒性暴力等を理由にして禁錮以上の刑に処せられ、又は懲戒免職、解雇になって免許状を失効した者に対する免許状の再授与に当たりましては、都道府県教育委員会は、免許状再授与審査会の意見を聞いた上で、加害行為の重大性、本人の更生度合い、被害者及びその関係者の心情等に照らして総合的に判断することとなり、その必要な資料につきましては、池田先生御指摘のとおり、申請者側が提出する、必要だというふうに承知しているところでございます。

 免許状の再授与につきましては、まず、このような観点からの判断が適切になされまして、本法が、この条項自身が実効的かつ厳格に運用されることが何よりも重要でございます。

 そうした観点から、審査に関しまして全国で統一的な運用がなされるように、明確で公正な審査基準や適正な手続、さらには再授与審査会の在り方等につきまして関係者とも相談しながら検討をした上で、必要な省令あるいはガイドライン等についてお示ししたいと考えているところでございます。

池田(佳)委員 最後に、萩生田大臣にお尋ねいたします。

 萩生田大臣は、昨年七月二十二日の私の本委員会における質疑において、現在の仕組みでは、「教員が懲戒免職処分を受けても、教育職員免許法の規定によりまして、処分から三年を経過すると再び免許状の授与を受けることが可能となっていますが、これを厳しい仕組みに変えていく必要があると認識をしております。」と御答弁をいただきました。

 この法律は、この大臣答弁を踏まえ、与野党が共同して驚異的なスピードで成立したものであります。この法律を確実にワークさせ、子供たちがわいせつ教員によって凌辱され、その尊厳を損なわれることが今後絶対ないようにする、そのために文科省一丸となって本気で取り組むことについての萩生田大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 子供を守り育てる立場にある教員が子供にわいせつな行為を行うことは、断じてあってはならないことです。

 文部科学省としても、この問題に対する実効的な対応を検討、実行してきているところでありますが、この度、先ほど池田先生、冒頭、熱い思い、振り返りながらお話しされましたけれども、全ての会派の皆さんの御協力をいただいて、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律を成立をさせていただくことができました。

 文部科学省における、例えば、四十年遡った、採用権者が閲覧ができるシステムですとか、あるいは懲戒免職の理由を、わいせつということを明確にすることなど、こういった実効的な対応とも相まって、更に徹底した対応が可能となっていくものと受け止めています。

 今後、文科省としては、本法の目的である児童生徒等の権利利益を擁護することを第一として、実効的な運用に向け、関係者とも相談しながら、基本指針の策定を始めとして、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する総合的な施策、先ほどお話がありましたように、例えば免許の再授与の審査会、これは全国で、全ての都道府県につくるということが本当に可能なのか。例えば、全国教育長連合会のようなところに、あらかじめ同じ審判を決めておいて、そこに都道府県の代表がそのたびに一名ずつ加わって審査をするとか、そうしますとストライクゾーンはぶれがないということになるんだと思いますので、こういった取組や、それから、データベース、施行まで二年間ありますので、せっかくですからきちんとしたいいものをつくっていきたいなというふうに思っておりまして、こういったこともしっかり考えていきたい。

 私立学校にも触れていただきました。今、残念ですけれども、自校の評判が落ちることを恐れて、早めに自主退職をさせてしまって、なかったことにするかのような取組をしてきた学校があることは否めません。

 しかし、今回、こういう法律ができたことで、仮にそんなことをして一時しのぎでそれを逃げたとしても、後ほどこんなことが分かれば、その学校はもっと評判が悪くなる仕組みにしていかなきゃいけないと思っておりまして、こういったことも含めて、より実効性の上がる施策にしっかりブラッシュアップをしていきたいと思います。

 皆さんの御努力に改めて感謝申し上げたいと思います。

池田(佳)委員 大臣の思い、ありがとうございました。

 冒頭申し上げましたとおり、私がわいせつ教員根絶に的を絞って党内で教免法改正の議論を開始したのは五年前、現在運用されている法担保のない脆弱な官報情報検索システムも、党内議論の中で行った提言や私の強い要請で三年前に文科省にやっとつくっていただいたものでありました。この五年間、子供たちを守りたい一心で本当に悪戦苦闘してまいりましたが、今やっとその重い扉が開きました。感慨無量であります。

 この法律に込められた国民の代表である全国会議員の強い思いを文科省はしっかりと受け止めていただき、この法律の確実かつ的確な執行を強く求めまして質問を終わりたいと思いますが、いま一度、全会派共同提案、衆参全会一致で成立した法律であるという重みを御理解していただき、本気で取り組んでいただきますよう、わいせつ教員からどうかどうか子供たちをお守りください。よろしくお願い申し上げます。

 誠にありがとうございました。

左藤委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 本日は、今池田委員からもございました、去る五月二十八日、参議院本会議で全会一致、可決、成立いたしました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律についてお伺いをさせていただきます。

 私は、これまで本委員会において、わいせつ教員を二度と教壇に立たせないようにするために、教員免許の在り方について過去四回ほど質問をさせていただきました。

 今回可決したのは、議員立法です。

 三月一日、与党わいせつ根絶検討ワーキングチームを立ち上げ、そして、馳委員と私が共同座長、柴山先生、小渕理事にも御参加いただき、この件に長年取り組まれてこられました池田理事には事務局次長として、三月二日以降、二十回を超える議論やヒアリングを重ねて、四月二十七日、ワーキングチームとして、教育職員等による児童生徒性暴力防止等に関する法律案を取りまとめました。

 そして、その法律案を四月二十八日、牧理事そして畑野委員、藤田委員など、野党の先生方に御提示を申し上げました。その際の記者会見では、小渕理事とともに牧理事も御参加いただきまして、牧理事からは、子供を守ることに与党も野党も関係ない、今国会で成立を期すと力強いお言葉をいただきました。また、畑野委員、藤田委員にも大変な御尽力をいただき、全ての会派の共同提案となり、本委員会で五月二十一日、委員長提案とすることを全会一致で決し、二十五日の衆議院本会議、二十七日の参議院文教科学委員会、二十八日の参議院本会議で可決、成立いたしました。

 与党ワーキングチームが三月に立ち上がって僅か三か月、八十九日間で委員長提案によりこの法律が成立することは、これまでの議会の歴史の中でまれなことだと私は思います。

 左藤委員長に本当に心からお礼を申し上げさせていただきたいと思います。また、御多忙の中、大きなエフォートを割いていただいた与党ワーキングチームの先生方、共に立法化を進めてくださった野党の先生方、そして衆議院法制局の大変な御尽力に心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 このワーキングチームが、ここまで集中的に議論をし、この短い期間に本則二十四条そして附則七条にわたる法律案をまとめたのはなぜか。野党の先生方にも、立場を超えて、会期末の状況の中で立法化という大きな流れに加わっていただくことができたのはなぜか。

 それは、私ども公明党を始め多くの国会議員に対して、必ず次の通常国会、つまり今国会ですけれども、内閣として教員免許法改正案を出しますと説明をしていた文部科学省の浅田和伸前総合教育政策局長が、昨年末、この約束を翻したことでございました。昨年の十二月二十五日、断念されたとき、私は本当に怒りで涙が出ました。総合教育政策局長として、御自身が持っている中学校の校長先生等の経験などを生かし、子供たちを守るために、頭がちぎれるぐらいのリーダーシップを取り、命懸けで考え、行動されてきたのか。

 私は、今国会で内閣提出法案として提出しなかったことは、いまだ納得できませんし、分かりません。大きな大きな期待が裏切られた憤りと、子供たちを守るためには一刻の猶予もならない、その思いが、今回のワーキングチームにおける集中的な議論、そして会派を超えた立法化への大きな流れの原動力になったと私は思います。文科省が子供たちを守れないのであれば私たちが必ず守る、その強い思いが立法化へつながりました。

 今大事なのは、今池田委員の方からもありましたけれども、立法府の意思であるこの法律を、文部科学省は確実に、適正に執行し、子供たちを守り抜くことでございます。

 そこで、現在の総合政策局長である義本さんにお伺いいたします。

 義本局長には、この一月に着任後、三月一日から与党ワーキングチームにずっと伴走いただき、感謝をしております。が、残念ながら、これまでの間、何だかんだと理屈を言って、何とか教員免許法改正から逃れたいという気持ちがあるのではないかと思わざるを得ないことが何度もありました。私は、誰が一体責任者なのかと詰め寄ったときもありました。

 まず、義本局長には、責任者として、この立法府の動きを真っ正面から受け止め、子供たちを守るために全力を尽くすよう、強く要望いたします。

 局内をしっかり強く統制すること、そして担当局長として、責任者として、この法律を踏まえ、自分が子供たちを守るという自身の決意を、義本局長の自身の言葉で語ってください。

義本政府参考人 まず、浮島先生から、私、一月一日付で就任させていただきまして、その間、この問題についての経緯、それから、それを踏まえた上での、子供たちをしっかり守っていく、これをゆるがせにすることはできないというふうなことをしっかり御指導いただきまして、今日まで来たところでございます。

 また、ワーキングチームに参加させていただきまして、被害者の方々の直接の声、あるいは関係者の御議論をいただく中においてその思いを強くさせていただきまして、これはしっかり取り組んでいかないといけないという思いで来たわけでございますが、ただ、私どもの事務方のハンドリングの問題ですとかあるいは対応において大変至らない点があったとすれば、これは私の不徳の致すところでございますので、これはしっかり反省しないといけないというふうに思っているところでございます。

 ただ、この法律につきましては、ワーキングチームの御提案を踏まえた上で、与野党を通じまして全会派の、まさしく立法の意思としてお作りいただきまして成立したということをしっかり重く受け止めまして、役所としましては、それをしっかりした形で実効あらしめるということが我々の責務だと思っておりますので、大臣の御指導をしっかりいただきながらこの問題について取り組んでいきたいと思います。

 何よりも、子供たちに対する教員のわいせつ行為というのは、権利を著しく侵害し、また生涯にわたって回復し難い心的な外傷を与えるというふうな大変重いことでございますし、また、教育の基本は児童生徒と教員の信頼関係でございます、その信頼関係を崩してしまうというふうなものでございますし、公教育に対する国民の信頼を揺るがしてしまうというふうなことだと思っているところでございます。

 私は、事務方の責任者として、まさしくこの問題を担当する行政官としてということもありますし、また娘を持ちます父親の一人として、これは本当に自分事として考えないといけないというふうに強く意識しているところでございます。

 先生から厳しい御指摘を踏まえたことをしっかり捉えまして、局内それから省全体を挙げてこの問題についてしっかり取り組んでいくことをお誓いさせていただきますし、また、実効ある運用をするという中において詰めていかないといけない点はこれも多々ございますので、それをしっかり、大臣の御指導をいただきながら全力で取り組んでいくことをお誓いさせていただきまして、答弁とさせていただきます。

 ありがとうございます。

浮島委員 お約束いただきたいのは、決してぶれることのない芯を持ってしっかりと行動していただきたいということです。

 今、話を聞いてもなかなか、言葉に生命力がないなという感じがしたんですけれども、このぶれない芯を持つということがとても重要です。これまでも、ワーキングチーム、インナー等がありましたけれども、必ず毎回毎回ぶれていた。だから、言葉ではない、責任を持ってしっかり行動していただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。

 次に、大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 大臣は、昨年の七月の二十二日ですけれども、本委員会における池田委員の質問に対しまして、各教育委員会は、そういう先生、つまりわいせつ教員を、早く自分の自治体から出ていってもらいたいものですから、あえてそういうことを隠して異動の資料に、ベテランの指導力の高いいい先生だなんて書いたりするわけですよ、だから、もうほとんどばば抜き状態で、次の自治体が知らないでそれを採ってしまって、後でまたそういうことを知るということになりますので、この連鎖を打ち切らなければならないというふうに御答弁をされました。全くそのとおりだと思います。

 わいせつ行為で懲戒処分を受け教員免許が失効した者について、三年後には自動的に教員免許が再交付されるという制度の欠陥は、今回の法律で正しました。しかし、教育委員会のこの事なかれ体質が残っていては、結局は、このばば抜き状態、これが解消されることはありません。

 今回の法律では、まず二十条で、被害に遭った児童生徒やその保護者への保護と支援をしっかり明記しています。また、この規定に基づいて、被害に遭った児童生徒を徹底的に守り支援すること、悪いのは加害者であり、加害教員は必ず懲戒免職や刑事罰を受けなくてはなりません。そのため、第十八条では、児童生徒性暴力の事実があると思われたときは、学校や教員等は設置者や警察への通報、事実確認を行わねばならないという責務、十九条では、学校設置者は専門家の協力を得て調査を行わなければならないという責務をそれぞれ明記いたしました。

 そこで大臣に、この法律の一つの重要な目的は、大臣が七月に答弁された、わいせつ教員のばば抜き状態、これを根絶すること、そのためには、児童生徒性暴力が事実であると思われたにもかかわらず、学校の管理職や教育委員会の担当者がこれを放置したり握り潰したりした場合は、この法律の定める責務に違反したとし、確実に懲戒処分になるし、放置した結果、そのわいせつ教員が再度、児童生徒性暴力をした場合には、当該自治体は国家賠償法に定める賠償の責めを負うこともあり得るという旨を明言いただきたいと思います。また、そのことを教育委員会等に徹底し、周知徹底をすべきと思いますが、御見解をお伺いします。

左藤委員長 萩生田大臣、手短にお願いします。

萩生田国務大臣 まず、この通常国会にこの法律を出すとお約束をしたのに出せなかったのは私の責任でございまして、改めておわびを申し上げたいと思います。

 事情は先生方御承知のとおりのことでございまして、それを受けて、立法府の皆さんの意思でそのバトンをつないでいただいたことは、まさに理想的な国会の運営だったんじゃないかと私は思っておりまして、改めて、御協力いただいた全ての先生方に敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律に基づき、学校に在籍する児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われるときは、学校においては、学校の設置者への報告や所轄の警察署への通報などの措置を講ずるとともに、学校の設置者においては、専門家の協力を得つつ、事案について必要な調査を行わなければなりません。

 また、任命権者である教育委員会においては、事案の調査結果も踏まえ、児童生徒性暴力等をした教育職員等に対する適正かつ厳格な懲戒処分の実施を徹底しなければなりません。

 学校の管理職や教育委員会が有するこれらの責務を果たさず、児童生徒性暴力等の事実があると思われたにもかかわらず放置したり隠蔽したりする場合には、この法律の義務違反や、信用失墜行為として地方公務員法による懲戒処分の対象となり得るとともに、司法判断になりますが、国家賠償法による賠償の対象にもなり得ると考えています。

 文科省としては、学校や教育委員会で放置や隠蔽のようなことが決してあってはならないと考えており、教育委員会や教育職員等に対して、今申し上げたことも含め、この法律の趣旨や各規定の内容について周知を徹底してまいることをお約束したいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 やっとスタートラインに立ちました。全力で子供たちを守るために、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

左藤委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日は、大変貴重な機会、ありがとうございます。

 本日、大きく分けて三つ質問をさせていただきます。

 時間の関係で順番を変えまして、三つ目に予定しておりました高次脳機能障害の児童生徒について先にお伺いしたいと思います。

 余り知られていない疾患でございますけれども、高次脳機能障害、資料8を御覧ください。これは東京都の方で作成された資料ですが、非常に分かりやすくなっております。

 交通事故とかお産のときの事故、あるいはスポーツ時の脳振盪などで、その後、脳の中で、人間が社会生活を送るのに非常に大事な機能が損なわれてしまう。短期的な記憶障害とか、怒りやすくなったりとか、集中力がなくなって、疲れやすくなる。見かけは、身体障害がない場合も多いものですから、急に何か、わがままになったとか、急に怠け者になったとか、非常に誤解を受けやすいものですから、御本人も御家族も大変に苦労されるという、非常に、ある意味厄介な障害でございます。

 それで、私は弁護士で、ずっとこの問題、平成十五年にたしか自賠でこの後遺障害を認められたんですけれども、それ以前から取り組んできまして、その当時はもう本当に理解がなくて、怠け病だの、心因的なものだの、さんざん言われて、裁判でもなかなか取り上げられなかったんですけれども、今は正面から認められるようになったということは、非常に大きな進歩はございます。

 ただし、今、学校現場では、発達障害のお子さんと、発達障害の方は法律があるものですから、一くくりにして取り扱われているものですから。ただ、発達障害というのは大分やはり機序もそれから症状も違うものですから、こういったお子さんを抱えている御家族の方はやはり気苦労が絶えないという状況にございます。

 そこで、まず文科省の事務方にお伺いしたいんですけれども、教育現場への理解と取組についてお尋ねしたい。

 家族会が学校現場に説明の機会を持ちたいと声をかけても断られるというような現状をお聞きしております。現場がこういった当事者の声を聞く場を設けるべきと思いますけれども、文科省としてどういった取組をされているのか、簡潔にお願いしたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 高次脳機能障害は、病気や事故など、今御指摘ございました様々な原因で脳に損傷を受けたことによって高次の脳機能に生ずる障害であり、記憶障害、言語障害等、多様な症状が見られる可能性のある障害と認識しております。

 文部科学省におきましては、改訂をさせていただきました特別支援学校学習指導要領解説において、高次脳機能障害を今回新たに記述をして、実態に応じて教材、教具や入力支援機器等の補助用具を工夫し、学習が効果的に行えるようにすることが重要と示させていただいております。

 また、高次脳機能障害を含め、障害のある児童生徒に対する指導については、関係団体を含めた当事者の声を聞くことが重要と考えております。

 このため、文部科学省におきましては、関係団体との意見交換や関係団体が主催する全国大会への出席など、高次脳機能障害を持つ児童生徒の実態や必要な支援等について、当事者の声を聞く機会をこれまで設けてまいりました。

 また、文科省が作成をしております障害のある児童生徒等への教育支援や就学手続に関する参考資料でございます教育支援資料においても、学校関係者を含めた関係者と保護者との間で、子供の就学後の支援の内容等についての情報共有や相談の機会の確保の重要性が述べられているところでございます。

 文科省としては、引き続き、当事者や関係団体からお聞きした実態も踏まえながら、各学校において、学習指導要領や正しい障害理解に基づき、個々の児童生徒の障害の状態等に応じた指導が行われるよう、関係省庁とも連携しながら必要な取組を進めてまいります。

 以上です。

青山(雅)委員 当事者の声を聞くことは何より大事だと思います。よろしくお願いします。

 そして、関連しましてもう一つ。

 交通事故などに遭われて高次脳になられた方というのは、交通事故がひどいと車椅子とかそういう身体的な障害を併せて持っている場合もございます。

 これは現実にあった事例ですけれども、トイレが車椅子に対応していない、だから学区の学校に通えなくて、よそのところに行かなきゃいけない、こういうこともあったようです。それから、もう一つは、保健室の先生、養護教諭の方ですとか担任に高次脳に対する知識がないものですから、大変、適切な指導が行われていないというような声も寄せられております。

 こういったことに関して、文科省として今後どういうふうに取り組んでいくか、お答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 高次脳機能障害は、その原因や症状も多様であり、中には車椅子が必要となるケースもあると、先生おっしゃるとおり、承知しております。

 車椅子を利用される児童生徒も含め、障害のある児童生徒等が支障なく安心して学校生活を送ることができるよう、環境を整備することは重要だというふうに考えております。

 文部科学省では、先生御指摘のトイレの整備につきましては、昨年十二月に、公立小中学校等に係る車椅子使用者用トイレ、エレベーター等のバリアフリー化の整備目標を定め、令和七年度末までの五年間の緊急かつ集中的な整備を推進することとしております。また、学校設置者がそれらの整備を加速化できるよう、公立小中学校等の既存施設におけるバリアフリー化工事について、一定の要件を満たす場合の国庫補助の算定割合を三分の一から二分の一に引き上げたところです。

 また、国立特別支援教育総合研究所においては、都道府県等における特別支援教育の中核となる教職員を対象に高次脳機能障害に関する研修を実施しておりまして、各都道府県における研修を通じた教員の専門性向上を推進してまいります。

 文部科学省としましては、引き続き、こうした取組を通じ、各学校におきまして高次脳機能障害を含めた障害のある子供が安心して学校生活が送れるよう、環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 今の問題について大臣の御見解も是非お伺いしたいんですけれども、ちょっと時間の関係で、最後にまとめてお伺いしたいと思います。

 もう一つの問題、次はマスクの問題です。

 前回、私、五月二十六日に当委員会でお聞きさせていただいて、明確に、体育中は不着用でよいというお話をお聞きしたんですけれども、大変残念なことに、翌二十七日に、資料1におつけしたとおり、体育中の死亡事故が過去に発生したということが報じられました。

 それを受けまして、二十八日の日だったと思いますけれども、萩生田大臣が、記者会見で明確に、もう一度マスク不着用を述べていただきまして、ちょうど同日の衆院厚生労働委員会で、私の方から丹羽副大臣にお伺いして、副大臣の方からも、十分な呼吸ができなくなるリスク、熱中症になるリスクが指摘されていて、体育の授業等においてマスクの着用は必要ないことと明確にお答えいただいております。

 こういった御答弁や記者会見などの積み重ねで、学校現場では改善が図られているようで、私のところにも、感謝の声として、昨日小学校から手紙が出され、はっきりと体育の授業におけるマスク着用は必要ありませんと案内があり、マスクは外せることになった、暑さ指数によっては体育以外でもマスクを外すよう指導しますということで、本当にありがとうございますとのコメントも寄せられております。

 つけ加えますと、部活中にもやはりなかなかマスクを外さないというところもあるようでして、子供の任意に任せると。子供は、任意と言われちゃうと、何となく着けていなきゃいけないと考えてしまって、着けっ放しの子もいる、登下校中も、やはりこれからの季節心配である、外での運動に類するものとしてですね。

 そういった声が寄せられているものですから、改めまして、大臣御自身から、今の、運動中、体育中のマスク不着用というようなこと、それから、社会的距離が問題となるのであれば、マスクを外すことを優先させ、社会的距離を取る工夫をするということについて御見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 これから暑い時期に向かう中、マスクを着用して運動を行う際は、十分な呼吸ができなくなるリスクや熱中症になるリスクがあります。そのため、運動時は体へのリスクを考慮し、マスクの着用は必要ないこと、特に、呼気が激しくなる運動を行う際や、気温、湿度など高い日には、十分な感染症対策を講じた上でマスクを外すことについて、先月二十八日に、改めて学校や学校の設置者に対して通知をさせていただきました。

 他方、用具の準備ですとか片づけなど運動を行っていない際は、感染症対策として可能な限りマスクを着用すること、また、気温等が高くない、軽度な運動を行う際に、児童生徒がマスク着用を希望する場合は、マスクの着用を否定するものではないこともお示しをしました。

 マスクの着用については、呼気が激しくなる運動時には、児童生徒の間隔を十分に確保するなどの感染症対策を講じた上でマスクを外すとともに、マスクを着用している場合には、児童生徒の体調の変化に十分注意するよう、引き続き、教育委員会や学校等に対して周知を徹底してまいりたいと思います。

青山(雅)委員 大変明確な御答弁、ありがとうございました。

 もう一つ、問題として、ちいちゃい子に対するマスクの問題がございます。

 小児科学会は、二歳未満はマスクは不着用ということを明確に言っておりますけれども、幼稚園、保育所に通う児童は、年齢からして、二歳は超えていても、呼吸器などその他身体的機能が未熟でございます。それからまた、正常な発達過程を経るためには、人の顔を見ながらのコミュニケーション能力を磨くということも必要だとの指摘もなされております。

 熱中症の観点、特にこれから、そういった観点もあり、そういう小さい子はできるだけマスクを外す機会を持つべきだというふうに考えており、そういった父兄の声も多いわけですけれども、これについて、幼稚園については文科省、保育所については厚労省から、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 マスクの着用は、基本的な感染症対策として、一般論としては重要でありますが、同時に、子供の発達状況の違いや心身等への影響にも十分に配慮する必要があると考えております。

 文科省では、衛生管理マニュアルにおいて、特に、幼児のマスク着用の場合には、その着用によって息苦しくないかについて十分注意していただくことや、本人の体調が悪い場合や、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理して着用させる必要はないということを明示をしてございます。

 また、幼稚園教諭のマスク着用についても、教育活動の中で、顔の表情や口の動きを見せることが必要な場合には、身体的距離には留意をしていただきつつも、フェースシールドやマウスシールドを活用することも考える旨、同じくこの衛生管理マニュアルで示させていただいているところでございます。

 各幼稚園におかれては、園での感染症対策の状況や気候、あるいは幼児の様子、活動内容などを踏まえ、特に幼児のマスクの着用については、一律に着用を求めることはせず、また、着用する場合であっても十分注意していただきたいと考えております。

 以上です。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所におけるマスクの着用につきましては、子供一人一人の発達の状況を踏まえる必要があることから、一律に着用することは求めておらず、特に二歳未満では、息苦しさや体調不良を訴えることや自分で外すことが困難であることから、窒息や熱中症のリスクが高まるため、着用は推奨されないこと、二歳以上の場合であっても、登園している子供が保護者の希望などからマスクを着用している場合は、マスク着用によって息苦しさを感じていないかどうかについて十分に注意し、持続的なマスクの着用が難しい場合は無理して着用させず、外すようにすること等についてお示ししているところであります。

青山(雅)委員 ありがとうございます。幼児の状況に応じて、是非適切な判断でお願いしたいと思います。

 続きまして、若年世代へのコロナのワクチンの問題です。

 御承知のとおり、このコロナという病気は、年代によって疾患の特徴が全く異なっております。

 資料2―1を御覧いただきたいんですけれども、これは文科省の方が学校に配付しているマニュアルにも記載していただいている厚労省のものですけれども、死亡率、十代は今まで一人も亡くなった方はいません。二十代の方は七名おられるわけですけれども、率としては〇・〇%以下ということになっております。若い世代には危険性はそれほど高くない。インフルエンザなどの死亡者数の方が明らかにこの世代だと上回るわけです。

 もう一つ、重症化も、今、変異株で盛んに言われておりますけれども、資料2―2を御覧いただくとお分かりのとおり、これは六月二日十八時時点での話ですけれども、重症者は十代、二十代、一人もおらないというような状況でございます。要は、疾患としての重篤度は、二十代以下は明らかにほかの年代に比べれば軽いわけですね。

 一方で、コロナのワクチンは、副反応の発生する割合と重さが他のワクチンよりも重いという事実がございます。

 資料3―1を比べていただくと分かるんですけれども、これは厚労省の依頼でもって順天堂大学でお作りになったものですけれども、発熱三十七度五分以上が三八・五%、約四割あるわけですね。倦怠感は七割に見られております。これは、インフルエンザワクチンと比べると、明らかに多い、数段多い数字になっております。資料2―2は、それをグラフ化したものです。

 こういったコロナの特徴、疾患としての特徴とワクチンの特徴を考えると、若い世代へのワクチン接種は、慎重に利益衡量、リスクとベネフィットを測って各々の判断で行われるべきであることは、もう言うまでもないところだと思っております。

 因果関係不明ですけれども、現時点で死亡例が八十五例出ておりまして、資料4は、そのうち、五月十六日時点、五十五例だったときの話ですけれども、これを見ると、六十五歳未満の死亡例は十七例ありまして、出血性脳卒中が四例、自殺が二例。うち一例は、二十五歳の男性の方が、タミフルであったような、それまで異常行動はなかったのに急に錯乱的な行動を来して自殺されたような経過があります。

 それから、資料5は、最近では、ワクチンが利用しておりますSたんぱく質自体に毒性があるのではないか、出血や凝固と関連があるのではないかという医学論文です。

 こういった、この関係を指摘する論文は最近非常に多く出ております。これは鈴木ジャスティンさんというアメリカのジョージタウン大学の医学部の教授がお書きになったものです。

 それから、更に懸念されるのは、ロイターが伝えるところによれば、イスラエル保健省は六月一日、ファイザー製コロナワクチンで若い男性を中心に心筋炎を発症したとの報告があったことを受け、ワクチンとの因果関係がある可能性が高いとする調査結果を公表しております。五百万人のうち二百七十五人が心筋炎を発症し、十六歳から十九歳の男性で特にそうした関連性が見られるとしております。

 アメリカは、今四一%くらい二回接種が終わっているわけですけれども、その段階でも、資料7を御覧いただきたいと思うんですけれども、極めて順調に新規陽性者、死亡者は減っております。

 つまり、集団免疫の達成を目指すと、がんがん若い人にも打ちなさいよということになろうかとは思うんですけれども、そこまでいかなくても、リスクが高い方が打てば、社会的には相応の目的が達せられる。ということは、やはり、個人個人の利益を考えて、若い方にも自己判断で打ってもらうというのが、私としては正当なやり方、元々政府はそういうふうに、自己判断を優先するということを明確に答弁されております。

 そこでお伺いするわけですけれども、これは小中高生を含めて、同調圧力を若い世代が感じることがないよう、かかりつけ医での個別接種を優先すべきだと考えておりまして、大臣は、基本的に小中生に集団接種を考えていないということを七日の参院決算委員会で答弁されておりますが、そのことについて確認をさせていただきたいと思います。あと、高校生はどうなるのかという話ですが。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルスのワクチン接種につきましては、厚生労働省のホームページに掲載されているQアンドAにもあるとおり、接種は強制ではなく、あくまで本人の意思に基づき受けていただくものであること、あるいは、接種を望まない方に接種を強制することはなく、また、受ける方の同意なく接種が行われることもないことなどが示されているところと承知しております。

 文科省においては、接種は強制でないことを前提としつつ、現在、高校生を含めた子供の接種の在り方について、専門家の意見等も伺い、検討しておりますが、関係省庁とも連携しながら、その上で必要な対策を進めてまいります。

 以上です。

青山(雅)委員 最後に、今の点について大臣にお伺いしたいと思います。特に、集団接種を考えるか否かについて。

萩生田国務大臣 今日、先生も資料を示しながら、十代の重篤化率は非常に低い、死者はいまだにいないという御説明をいただきました。

 私は、決して、変異をするウイルスですから軽々しく考えてはいなく、恐れを持って対応しているつもりなんですけれども、しかし一方で、非常に短期間で各国が努力をして作ったワクチンでございます。もちろん、ワクチンですから、一定の副反応というのも前提で今大人の皆さんに接種をいただいているんですけれども、症状が少ない、重篤化をしない子供にあえて打つ必要があるのかということは、やはりこれは、専門家の意見も聞きながら考えなきゃいけないと思っています。

 実は、私、ここへ来て言っているんじゃなくて、二月の予算委員会のときに、小学生、中学生の学校での集団接種は考えていないということを明確に申し上げてまいりました。だからといって、子供たちは接種しちゃいけないということを言うつもりはありません。親の判断、本人の意思で、接種をする場合は個人接種を前提にしていただくことが望ましいんじゃないかと思っていまして、その方針はいまだ変わらないところでございます。

青山(雅)委員 大変正当なお考えだと思います。是非、個々人の自主決定権を尊重して、これからもそういったお考えで臨んでいただければと思います。

 本日は、誠にありがとうございました。

左藤委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 本日も、丸川大臣、布村参考人、よろしくお願いいたします。

 前回の質疑の後、組織委員会の職員の方から懸念の声がありました。このままオリンピックをやったら、日本中に新たな変異株が蔓延するのではないか、政府の入国審査はほとんど機能していないんじゃないかということを危惧する声です。

 ある資料を提供いただきました。こちらなんですけれども、本邦活動計画書、英語ではアクティビティープラン、これが今、全世界に組織委員会から発送されております、メール等で。

 これは、九万人の、選手、大会関係者、マスコミ関係者がこれから日本に来日をいたします。来日をする四週間前までには必ずこのアクティビティープランを、必要事項を記入して組織委員会に送り、そして、宛名は内閣官房オリパラ事務局になっておりますので、内閣官房が、特段の事情がある場合には十四日間隔離の原則を曲げて、三日でいいとかゼロ日隔離で入っていいとか、隔離期間の短縮を判断する理由も書くことになっている、非常に重要な資料でございます。これがないと日本には入れません。

 これに関してお聞きをいたします。

 隔離は、政府側はこれまで、出入国管理部長なども、公益性や緊急性を踏まえて個別に特段の事情による入国を認めるというような返答を繰り返しております。要は、ここに書かれた理由に正当な理由がない限り十四日隔離が原則ですよということを政府はおっしゃっているんですが、英語で御説明しますと、ハウ トゥー メイク ユア アクティビティー プランという、活動計画書の記入方法というマニュアルも一緒に書いてあり、当然併記をされておりまして、そこに、到着後すぐに活動を始めたかったら、ゼロ日隔離を希望される方はこういうふうに理由を書いてくださいという、書き方まで例が載っかっているんですね。

 日本語訳も組織委員会は作られておりますので、日本語訳でお読みいたします。

 隔離のパターンで、三つ選べるようになっています。十四日間隔離、三日間隔離、三番目は、入国直後からの活動、ゼロ日隔離です。

 隔離のパターンでゼロ日隔離を選択した場合は、なぜ三日間の隔離を行えないのか、明確に理由を記入する必要があります。例として下記を参照してください。例一、到着後すぐに競技運営に携わる予定となっている。入国後すぐに活動を進める必要があり、不在の場合、運営に重大な支障を来す。例二、アスリート若しくはチーム役員で、アスリートのコンディションの維持若しくはそのサポートのために、入国後すぐに活動を始める必要がある。

 これはプリコーションです、留意点というのが英語版ですと十行書いてあるんですけれども、八行は、どうやったらゼロ日隔離で入れるか、その例文の説明に割かれているんです。

 さすがにこれは、これで判断すると言っているわけですよ、内閣官房オリパラ事務局は。原則十四日だけれども、酌むべき理由があるとしてゼロ日で入っていい、今、八五%はゼロ日か三日ですけれどもね。こうやって、ゼロ日で入っていいからという理由をここまで書く。要するに、テスト用紙に模範解答も一緒に載せて配っているんですけれども、さすがにこれはまずいんじゃないですか、布村さん。

布村参考人 お答えいたします。

 本邦活動計画書につきましては、先生もおっしゃっていただきましたけれども、海外から入国する大会関係者につきまして、入国後の行動管理あるいは健康管理を適切に厳格に行うために事前に来日者から提出をいただくもので、それを踏まえて組織委員会で書類審査をし、政府の方に提出をさせていただき、それで入国が許可されるということになります。

 こういった事例も、オリンピック大会等のスポーツ大会では初めてのことでありますので、この活動計画書の作成においてなかなか難しい点があろうかと思いますので、作成方法、留意点等を丁寧に記載させていただいており、時間も限られておりますので、正確に、スムーズに書いていただくための参考にしております。

斉木委員 留意点というのが三つ書いてあるわけですよ。英文でいえば、これは十行書いてあります。日本語で読みますけれども、旅行先は役割上必須の場所に限定してください、これは政府も言っていますね。訪問先の列には訪問し得る場所全てを含めてください、訪問する場所全部を書いてくださいね、これは当たり前ですね。その後、英文で十行中八行はずうっと、この三番のゼロ日隔離を選択したらこういうふうに書いてねというふうな答えが延々と書いてある。

 これはちょっと、国民には、十四日隔離、三日隔離が原則です、ゼロ日隔離というのは特殊事情と選手だけですと言う割には、こうやって書いたら、三番のゼロ日隔離を選んだらこう書いてくださいと模範解答を書いちゃったら、それこそ、コピー・アンド・ペーストして、これはメールで大体送られております、これを四週間前までにそちらのICONという登録システムに登録をするか、若しくは組織委員会事務局にメールで返送するか、二択になっております。

 ですので、メールでもらったもの、ああ、こういうふうに書けばいいというふうに丁寧に書いてあるから、コピー・アンド・ペーストしてこの枠に埋めてしまうというようなことも考えられるんですが、これはコピペをして、理由として、九万人入ってくるということは想定しなかったんですか。なぜこういう文を書いたんですか。

布村参考人 こちらの活動計画書につきましては、先ほども申し上げましたけれども、選手の方々あるいは大会関係者にとりましても、こういう対応は初めて経験されることになろうかと思います。記載漏れがあると行動ができないということにもなりかねませんので、できるだけ詳細に留意点を書かせていただきました。

 また、ゼロ日から活動するという意味合いでは、アスリートにとってのコンディション調整に非常に大きな負担をかけることにもなりかねませんので、そこを詳細に書いていただきたいということでありますし、技術者等テクノロジーを担当する方々にとっては、厳しい日程の中で来日していただいている方もいらっしゃるという背景から、丁寧に書かせていただいております。

斉木委員 ではお聞きしますが、こういった、ex1. The person will be in operation for a competition just before the departure. It is essential for the person to start his/her activities right after entering Japan since his/her absence of the activity affects an operation severely. この例文一、要するに、すぐに運営に関わるから入れさせてくださいという例文、これに類するものがコピー・アンド・ペーストして組織委員会に全く提出されていないということでよろしいですか。コピー・アンド・ペーストしたやつ、こういう例文が実際に使われているものが多数あるんじゃないですか。

 一文もないのか、一枚もないのか、あるのか、お答えください。

布村参考人 留意点の一つの例として、今先生読んでいただいたところが記載されております。これに沿って、それぞれのアスリートにとっての競技会場名ですとか競技場所、あるいは練習会場、それから、技術者にとっては働かれる場所等を前提として、この例を踏まえて記載いただいているものと思います。

斉木委員 たくさんあるということをお認めになったわけですけれども。それはそうですよ。こう書けば、要するに、十四日間隔離が原則ですけれども、三番目のゼロ日隔離を選択したら、なぜ三日間の隔離を行えないのかも明確に記入する必要があります、例として下記を参照してくださいとしっかり誘導されているので、丁寧に。それはもう、模範解答があったら、テスト用紙に模範解答をそのまま書き写す生徒がほとんどだと私は思うんですね。

 隔離は誰でも嫌ですよ。すぐに活動したい。十四日間もホテルで缶詰なんて嫌だから、すぐに、隔離はゼロ日でというふうに皆さん申請してきて、やはりそうやって、同じような書き方をして、今、組織委員会、そして内閣官房に行ってしまっているというのが実態です。

 そうなると、政府側にお聞きしなきゃいけないと思います。

 政府側はこれまで、公益性や緊急性を踏まえて個別に特段の事情がある場合に入国を認めるということを、例えば出入国管理庁の部長さんとか、繰り返し国会で答弁されておるんですね。

 コピペで、到着後すぐに競技運営に携わる予定となっている、例一、アスリート若しくはチーム役員で、コンディション維持のサポートのため入国後すぐに活動を始める必要がある、例二、こういったものが今大量に内閣官房にも送られていると思うんです、宛先ですから。

 この例文のようなものが送られてきた場合に、これでよしとして入国を認めるおつもりでしょうか。それとも、いやいや、個別判断だからはじくものもあるよということでしょうか。

丸川国務大臣 さすがに、これをそのままコピペするような、この例示のような具体性のないものは全く認めておりません。もしこのまま来たら、当然はじきます。

 というのは、私たち、実際にこれを書いていただくときに、併せて、業務内容、どういうところでどのくらいの時間なさいますかということをかなり細かく確認をします。それから、なぜ早く活動を始めなければいけないのかという事情についても細かくお聞きをした上で、これをお認めするということになりましたら、このお認めしたということをもって初めてアクレディがアクティベートされる、OCHAアプリが、実際には入国したときにアクレディと連動してアクティベートされるという仕組みになっておりますので、実際にはこういうものが、コピペされたものが出回っているという実態はありません。

斉木委員 答弁がそごですね。布村さんは、そういった例文に基づいて記入されているものが多々あるとおっしゃっていて、来ていないというのは、これは虚偽答弁だなと国民の皆さんもすぐ分かったと思います。

 丸川大臣の御説明、一聴するともっともに聞こえるんですが、スケジュール上不可能なんですよ。ゼロ日隔離を十四日隔離に、却下して戻した場合には、選手たちが入ってこられなくなっちゃうんですね。

 例えば、本邦活動計画書の事務の整理といって、スケジュールもこれは書かれております。六月七日までに提出した分は七月五日から七月七日までに、四週間前までには提出を求めているので、例えば七月七日まで、七夕までに入ってくる方はもう出しているんですよ、この計画書。

 その中で、じゃ、仮に丸川さんが駄目ですと却下した場合には、承認に一週間かかるというふうに書いてありますので、恐らく、これは六月七日ですから、一週間後、来週以降、本人に通知が行く。日本政府から断られた。そうすると、十四日間隔離だと、六月二十日までには日本に到着していなきゃいけないんですね。時差もありますから、六月十八日には現地を立っていますよ。六月十四日以降通知が届くわけですから、僅か四日間しかないんですね、向こうの国にいる時間というのは。

 そこで、今、毎週一便、二便しか飛んでいない国もいっぱいあります。チケットを取り直す必要も出てきますし、早期入国しなきゃいけない、ホテルも押さえなきゃいけない。

 じゃ、例えばチケット代やホテル代は誰が持つんですか、その場合には。丸川大臣。

丸川国務大臣 布村さんが実際に実物をどう御覧になっているのかよく分かりませんけれども、少なくとも私どもは、実態として、今ここに例文で出されているような内容の熟度といいますか、実態を伴わないものについてははじいております。ですので、こういう計画書で入国される、コピー・アンド・ペーストで出した本邦計画活動書で入国される方はいない。

 実際、そうやって、組織委員会で見た後、うちではじいていますので、はじかれた方は、申し訳ないんですけれども、入国の日をずらしていただく、こういうことになります。

 当然それは、認められなかったんですから、私たちが水際措置としてやったことでございますし、その国に入りたければその国のルールに従っていただくのは当然のことだと思います。

斉木委員 そうすると、開会式に欠席するIOC役員なども大量に出ることが想像されるので、今の政府にそれができるのかなと思います。

 実態として、丸川大臣、はじいているとおっしゃるけれども、はじいていないんですね。

 数字で見てみましょう。四月、五月の、オリパラ、飛び込みであるとか、札幌ハーフマラソンであるとか、東京の陸上のプレ大会、二千三人の方が四月、五月で入国されました。そのうち、ゼロ日隔離で入国している人が、二千三人中千百五人、五五%はゼロ日隔離で入ってきています。三日隔離で入った方が三〇%。十四日間隔離で、原則を守っている人は一五%しかいない。要するに、大半はというか半分以上はゼロ日隔離で、ストレートに日本に入って活動をしている。これでは、日本で新たな変異株がはやるんじゃないか、こういう疑念が出てきてしまうと思います。

 実際に、今回の四月、五月の間に入国した方で、ゼロ日隔離で入国した方、スリランカから来た女性、これはパラのアスリートの介助者の方ですけれども、四日目にコロナ陽性と判明しております。スリランカといえば、インドと接していて、イギリスも旧宗主国ですから関係が深い。当然、変異株の流行も十分考慮しなければいけない地域なんですね。ここは原則どおり十四日間待機していれば待機中に分かったのに、ゼロ日隔離でもう動き始めているから、町中に出てからですよ、捕捉できたのは。

 これでは、イギリス株も、インド株も、そのハイブリッド型の変異株もどんどん入ってきてしまうんじゃないかという疑念が湧いてくると思います。

 オリンピック関係者もちょっと優遇され過ぎですね。

 セバスチャン・コーさん、先日、五月の札幌プレ大会、マラソンへ行きましたけれども、小池都知事ともその後会談しております。世界陸連会長でIOC委員というVIPですけれども、この方、五月一日にポーランドで世界リレーがあって、五月三日に羽田に入っております。五月四日、翌日には札幌に入ってハーフマラソンをチェックしているということで、これはゼロ日隔離でセバスチャン・コーさんも入ってしまっている。要するに、大会関係者と名前がつけば、十四日は原則、若しくは最低でも三日と言っている割には、ゼロ日で入れているじゃないですか。

 じゃ、布村さんにお聞きしますよ。こういう、実態として五五%ゼロ日隔離で、これで日本の新たなコロナの流行を防ぐことはできますか。作成者としてどう思いますか。

布村参考人 この四月、五月、合わせて二千三名の方々、アスリートあるいは大会関係者が入国をいただいています。

 千七百七名に対して待機緩和を行ったという状況で、そのうちテストイベントあるいは国際競技大会に出場する選手や指導者等千百五名については、選手のコンディション調整等のため十四日間の待機が困難であることから、行動範囲を宿泊施設と競技会場等に限定をし、受入れ責任者による厳格な行動管理や定期的な検査、専用車両での移動等を条件に、入国当初からの練習を認めているという実態でございます。

 これらは入国の厳しい中での特別の待機緩和という実態でございますので、選手の方あるいは関係者の方々には、繰り返し注意喚起を促し、計画書に沿った活動をお願いしているところでございます。

斉木委員 何か全部性善説に立っていて、マスコミの方とか大会関係者の方が、例えば指定したホテルを出て銀座に食べに行っちゃうんじゃないかとか、そういう懸念が出ていますけれども、そういったことはないようにお願いしていますというのでは、これはコントロールにならないんですね。

 先日も、橋本会長も、GPS機能つきのスマホでマスコミの方を管理しますよとおっしゃっていますけれども、じゃ、これは小学生でも分かりますけれども、スマホを部屋に置いて銀座に飲みに出てしまったらどう捕捉するんですか。部屋を開けて本当に人がいるかどうか誰がチェックするんですか。

 布村さん、どういうお考えで組織委員会としてこういうことを発表されたんでしょうか。組織委員会に聞いています。橋本会長が昨日御発言されたので。

布村参考人 お答えいたします。

 各国の選手団であれば、選手団のコロナ対策責任者をしっかり置きまして、行動管理あるいは健康管理の周知徹底を繰り返して行っていただきながら、その補佐役の人も含めて、厳格な行動管理を、しっかりと監視をいただく。また、組織委員会の関係者もホテルですとか関係部署には詰めておりますので、それらの者もしっかりと行動管理をさせていただいております。

 そういった中で、厳格な行動管理が徹底するように努めているところでございます。

斉木委員 個人のスマホの在りかをCLOが、責任者が管理できないと思うんですよね。

 だから、全くもって意味のないことを橋本会長もおっしゃっているし、そもそも、やはり入国段階の一番重要な書類で、こう書いてくれればいいです、ゼロ日隔離だったらこう書いてくださいと、御丁寧に二つも正解文を載せている。それがそのまま、ちょっと変わったような形、若しくはそのまま組織委員会に来ていますよとお認めになりましたけれども、かなりあるんじゃ、割合はどれくらいですか。かなり、私は、こういう答えを書いたことで、同じようにもじってきているとしか考えられない。

 ですので、ああ、もう終了いたしましたね、まずやはり、入国審査がここまでざるだったから、日本が、政府が大丈夫だと言っても、イギリス株もインド株もどんどん入ってきています。やはりこうやって、そもそもテストする気がないテスト用紙を九万人に対して送りつけて、模範解答まで併記する、これでは、そもそも水際対策をやる気がないんじゃないのかとしか私は、国民は受け取れないということを組織委員会、丸川大臣には申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 笠でございます。

 今日は丸川大臣に、恐らく今国会では最後の機会かと私思うので、オリンピック、パラリンピックの準備状況をお伺いします。

 ちょうど前回は、オリンピックの開会式までちょうど三か月のところで私も大臣とも議論させていただき、私、そのときにも、大臣なりあるいは橋本組織委員会の会長なりが、もうこれぐらいのタイミングになってきたら、決まってから発表するということだけじゃなくて、今どういうことを検討しているのか、最悪のことも含めて、様々、正直にきちんと丁寧に発信をするということがやはり国民の理解を得るためには最も重要だ、そのことをお願いをいたしました。

 ただ、残念ながら、やはり今、まだそういうふうには私は感じられない。

 まだ支持率等々も、本来は、招致をした二〇一三年の九月のときには、その後、八割以上の国民の皆さんが期待をしている、歓迎をしているというものが、今本当に逆転しているんですよね。オリンピックを否定しているんじゃないんです、パラリンピックを否定しているんじゃないんです、心配しているんですよ、本当にこの夏やっていいのかと。

 そういった状況の中で、まだやはり世論調査などでも、どんどんどんどん理解が深まるどころか、全くその溝が埋まっていないなという気がしますけれども、その最大の原因というものをどのようにお感じになっているか、そのことをお伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 招致のときから本当に御指導いただいております笠先生にとりましても、今の状況というのは本当に残念な状況だというお受け止めをされているのではないかなと思いますし、様々な御意見があるということは、この感染の世界中での状況を踏まえて、いろんな御不安をお持ちの方がいらっしゃるからだというふうに受け止めております。

 また、私どもも、一定の水際措置を、先般の第二版のプレーブックで示させていただきました。定期的な検査、アスリートは毎日検査です、厳格な行動管理、また、日本の国民とは行動の動線を全く隔離するというようなことをやってきたわけでございます。

 選手周り、また競技周りについてはかなり説明を尽くしてきたつもりでありますけれども、尾身会長やあるいはほかの専門家からも様々な分析で御指摘をいただいておりますように、大会開催に伴う人流についての対策というところを今不安視されているのではないかという受け止めをしております。

 ここについては、観客が起こす人流というものと、もう一つは、これは尾身会長が一番懸念されているんだと私は実際受け止めているんですが、大会開催に伴って社会が盛り上がる、例えば、これでスポーツバーに行ってみんなで感染するとか、何人かで集まって飲み会のような形になるとか、こういうことがたくさん全国で起きることの方が、より感染のリスクを高めるのではないかという懸念につながっているというのが専門家の指摘でありますので、私ども、まだ、これに対処しなければならないという課題意識と、そして対処していくんだという取組はしているわけですが、具体的な対策をパッケージとして示せていないという状況にございます。

 これは私どもにとってもまだまだ課題だと思っているところでありまして、これから、特に、今申し上げました、社会が盛り上がることによって感染拡大するのではないかというリスクは全国にまたがる話でありますので、西村大臣始めほかの大臣ともよく連携をしながら、政府として一体として、このことに、国民にお示しできる対策を示してまいりたいと考えております。

笠委員 人流をどう抑えるかということは一番大事なんですけれども、そういうことも含めて、やはり判断が非常に遅いんです。最終的な決定というのは、それはやはり、この感染状況によっては急ブレーキを踏まなきゃいけないことだってあるかもしれない。あるいは、もっといい形になる可能性だってあるかもしれない。

 そういう中で、じゃ、まず、国内の観客数の上限、当初四月、それが五月に延びて、そして六月と。これはいつ決めますか、いつ国民にしっかりと発表いたしますか。

丸川国務大臣 私どもの思いとして、少なくとも、まず緊急事態宣言中にこの議論をするのはちょっと難しいと思っております。少なくとも、まず感染拡大が一定程度収まって、ある水準になったところで議論すべきものと思っておりますので、そうした思いで、六月中ということは決まっておりますので、そうしたところで判断をしてまいりたいと思います。

笠委員 それはおかしいですよ。じゃ、もし六月二十日の期限が延長されたら、またこれも延ばすんですか。そういうことですか。

丸川国務大臣 大変恐縮ですが、六月中ということは決めておりますので、そこまでには決めさせていただきたいと思っておりますが、組織委員会と東京都と国とで、これはまだいつということを具体的に決めているわけではありませんので、ここはまだ議論しなければいけない点でございます。

笠委員 緊急事態が、まだ宣言下にあるかどうかということと、オリンピックの、まさに七月二十三日から、競技は二十一日から始まることと、それはもう、やはり今、全体の状況で、解除して、解除して、それからの議論ということになれば、どんどんこれは判断が遅れますよ。

 実際に、今の、この六月二十日の日に緊急事態を仮に解除したとしても、それからまだ一か月あるわけですよね。あるいはパラリンピックまでと考えると、二か月半ぐらい、終了するまであるわけですよ。その間に感染状況というものは大きく変わっていくかもしれない。例えば、オリンピックを迎えたときには収まっていたけれども、その後に十五日間あるわけです、パラが始まるまでの間。その間に感染が拡大するということだってあり得る。それはいろんなことが、これは誰も分からないですよ。

 ですから、こういう場合にはこうするんだという基準をしっかりと決めておいて、仮に、じゃ、観客を一部制限をして入れるということを決めていたとしても、もし緊急事態宣言が出されるような状況になれば、しっかりと、例えば国の基準に従うんだというようなことをやはり明確に私は説明すべきだと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 この開催に伴って、御自身の夏の行動といいますか、これはTDMも含めてになりますけれども、いろいろな行動を検討される方がいらっしゃる。また、大会周りでも、様々な準備をなさる方、あるいはパッケージツアーのキャンセルというようなこともあろうかと思います。

 いろんなことを踏まえて、一定の期間前にきちんとお示しするという意味を込めて六月中であることは間違いないわけですが、他方、六月中に決めてから先、どういう状況の変化があるかということはもちろん誰も分からないというのは、全く同じ思いであります。

 私の中の思いとしては、そこから先どうするのかということについて一定の見通しが立つようなことをお示しすることは重要だと受け止めておりますけれども、まだステークホルダー間でこのことについては議論が必要でございますので、先生の御指摘はしっかり受け止めさせていただきたいと思います。

笠委員 布村さんにお伺いします。

 今、大会のスケジュールが、オリンピック、パラリンピック共に決まっております。それで、これは政府としても組織委員会としても、そのときのイベント等々の、スポーツイベントの規制に合わせた形で、オリンピックだけが特別じゃないよ、これは社会の一つだという形で対応するということですけれども。

 例えば、観客数について言うと、今、五〇%かあるいは五千人かということで、少ない方にということになっているんですけれども、もう一つ大事なことは、実は、二十一時までの時短というのがあるんですよ。ですから、今、よく出されますね、プロ野球、Jリーグ、全て二十一時までに終えるようにする。あるいは、無観客の場合は時短はないんです。観客を入れなければいいんです、二十二時でも二十三時でも、一応は。

 ただ、ちょっと私が調べただけなので正しいかどうか分からないですけれども、例えば、オリンピックもパラリンピックも、開会式、閉会式は二十時から二十三時ですよ、両方。そして、オリンピックは、全ての試合が二十一時までに終了するというのは、三十三競技中十五競技だけ。二十三時半までかかるような競技もあります、表彰式まで含めて。あるいはパラリンピックも、二十二競技中十一競技だけが、これは二十一時〇五分に終了予定のボッチャとか水泳も含めてなんだけれども、半分ですよ、二十一時までに終了できるのは。要するに、ちょっと繰り上げて。

 そういうふうに考えると、今度どういう決定がされるか分からないけれども、もし大会中にそういう規制がかかったときには、これは時間を変更して、繰り上げてやるということは可能なんですか、例えば観客を入れた場合。お答えください。

布村参考人 お答えいたします。

 観客の制限につきましては、国内で行われておりますスポーツや文化イベントの制限を踏まえて、オリンピック、パラリンピックについても対応すべきものという認識でおり、今後、国、東京都等の調整の上で固まっていくというふうに理解しております。

 競技スケジュールにつきましては、暑さ対策等、夜実施していくという観点ですとか、競技ごとのルールがありまして、ジェンダーバランスも、男女の競技のバランスを取りながら競技スケジュールを行う、あるいは、国際競技団体、OBSというメディア、テレビの方の担当のステークホルダーと数年にわたって調整をしてきたものでございます。

 そういった意味で、会場使用の制約の観点、あるいはもろもろの競技の重なりの調整を経たものでございますので、現時点では、競技スケジュールに関しては、終了時刻の繰下げというような対応はなかなか難しいものと認識しております。

笠委員 じゃ、確認ですけれども、無観客の判断をしたときにはいいんですけれども、今度、仮に観客を一部入れますよという判断をされたときに、実際に、オリンピック、パラリンピック中にそういう時短要請がかかるような事態になったときにはそれは難しいですね、今の話、私もよく理解します。

 であるならば、そのときには急遽ブレーキを踏んで、観客を無観客にして開催をするということが、このルールに従うことになるわけですよね。それでよろしいですか。

布村参考人 実際に観客の制限のルールを固めていく際に、そういう競技時間等の調整も経て、どのように観客の方々をお迎えするのかといったところも併せ検討し、方向を見出していくということになると思います。

笠委員 改めて大臣にお願いしたいんです。

 ですから、今度決めたときには、まだ先、どういうふうになるか分からないということを前提に、しっかりと、こうなったときにはこうするんですよ、こういう対応をしますということもしっかり事前に決めて、やはり国民の皆さんに、あるいは世界にきちっと発信ができるような、何か、先送り先送りというのはやめていただきたい。そのことだけは、もうここまで迫っているわけですから、組織委員会とも東京都とも十分協議をし、やっていただきたいと思います。

 そして、もう一点。

 海外からの大会関係者、これは、大臣、記者会見等々で、やはりかなり絞り込んでいくんだ、今そのことを組織委員会の方に強く要請をしているというようなことを記者会見や答弁でおっしゃっているんですけれども、だから、布村さんにお聞きした方がいいかな。

 いわゆる七・八万人、選手以外、これをどれぐらい削減ができる見通しになっているのか、最終的にはいつそのことを発表されるのか、その見通しについてお答えいただきたいと思います。

布村参考人 現時点では、アスリートを除いた大会関係者が、オリンピックで五万九千、パラで一万九千という数字になっておりますけれども、更なる削減に努めていくという状況でございまして、これまでの数字の中で、パートナー等の御家族の同伴は減らしていこうといった面の数字などがこれから更に削減の対象になっていきますが、最終的に、競技会場に入るなどの本人確認、競技会場へのアクセス権限を証明するためのアクレディテーションカードの申請が最終段階となります六月中には一旦取りまとめができるという状況でございます。

笠委員 できる限り、やはり海外からの関係者の中でもまだまだ削減、選手、関係者以外のところの、本当に必要な人以外のところ、特に、何かオリンピックにあれして、日本旅行に、日本の食事でも楽しみに行こうみたいな人たちもいたかもしれないので、しっかりとそういったところは、やはり国民の皆さんに今いろんな我慢を強いているということを忘れずに、その感情を逆なでするようなことはくれぐれもないようにお願いをしたいというふうに思います。

 それで、もう一点、菅総理主催の、閉会式当日に予定されていたレセプションが中止になったということ、これは私は賢明な判断だと思います。これについては、丸川大臣が、四日ですか、先週金曜日の会見で、飲食を伴うような形で、人が集まるということは基本的にやらない、感染防止の観点から行わないと。当然なんですけれども。

 私、確認したいんですけれども、例えば開会式の日なんかは、大臣だったり、あるいは組織委員会だったりが何か主催して、IOCの人とかいろんな人たちを招いて、こういうことはないですよね、間違っても。

丸川国務大臣 毎度オリンピックのときに、世界からスポーツ大臣が各国NOCの枠でおいでになるんですね。例えばリオのときでも、やはり、リオを御紹介するような集まりというか、イベントだったり、あるいは、そういうところで多少、晩さん会的な、晩さん会とまではいかないんですけれども、ちょっとつまみながらみたいなのがあったわけですが、こういうことを一切やめて、とにかく一度バスに乗っていただいて、全部クリーンな状態をチェックした上で競技会場に入っていただきますので、本当に車を止めに来ていただいて、乗り込むだけという作業をすることにしております。

笠委員 海外から、スポーツ大臣とか、もちろん、総理になれば、元首クラス、いろんな方が来られるでしょう。個別いろんな会談をしたり、あるいは、いい機会ですからいろんな意見交換をするというのは、私はいいと思っているんです。

 大臣が力強く今はっきりおっしゃったので安心したんですけれども、ただ、それが、いわゆる歓迎レセプションみたいな飲食を伴うようなものをやると、何やっているんだと。こういうときだからね。

 これは確認ですけれども、組織委員会も同じでいいですね、認識は。布村さん。

布村参考人 先生御指摘のとおり、飲食を伴うイベントというものは実施しない方向で検討しております。

笠委員 それと、もう一点なんですけれども。

 安全、安心ということと、感染防止ということの観点から、選手村等々での飲食の在り方とかというのは、この前、もう具体的に示されているんですけれども、布村さん、大会の会場内での、今もいろんなスポーツイベントを自粛をしていますけれども、例えばアルコールの販売であるとか飲食の販売、提供であるとか、そういった点については、もう方針は大体決まっているんでしょうか。

布村参考人 競技会場内での飲食あるいはアルコールの販売については、通例の大会ですと販売されているという状況下ではございますけれども、それぞれの会場での感染を踏まえた各自治体の方針に沿って、飲食の提供あるいは販売ということのルールを固めていく必要があるところでございます。

 現在、アルコールの提供についてのことも含めて、最終的にどのような形を取るのか、検討を重ねているという状況でございます。

笠委員 これも本当に遅いですよ。

 もうその点は、私はあえて社名を挙げないけれども、日本の、やはりビールの時期だから、たくさんビールが飛ぶように売れるということを期待していたスポンサーもいるでしょう。しかしながら、そういったことは、もう当たり前のことは早く打ち出して、いかに安全、安心な大会を、選手たちが、アスリートが最高のパフォーマンスをすることに集中すればいいわけでね。

 ですから、本来は、観客のことだって、無観客ということで決めておけば、もうそういう飲食のことを心配する、もちろん、ソフトドリンク等々の飲物、暑さ対策もあるから、あるいは軽食にするとかということも決めていくんだけれども、やはり、肝腎の観客をどうするということが、まだ六月中に、今月いっぱいかかるというようなことなので、本当にそういった点を踏まえて、早め早めに常識的なことはどんどん決めて、そして打ち出していってください。

 海外のことも大事だし、どうやって水際対策をやるかも大事だけれども、もう日本中から多くの、もし観客を入れてということになると来る可能性があるわけですから、先ほど大臣おっしゃったように、人流の抑制と同時に、とにかく感染の拡大防止ということを徹底的に行っていくということ、やはりそのことを組織委員会も含めて一番最優先で考えているなということが国民から見ても分かるようなことで、どんどんどんどんそういうことは決めて打ち出していっていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日は時間がありませんので、早速質問に入ります。

 まず、この間、尾身会長、国会で様々答弁をされており、大きな反響を生んでおります。今の状況でやるのは普通ではない、やるなら強い覚悟が必要、あるいは、感染のリスクや医療逼迫への影響について評価するのはプロフェッショナルとしての責任、昨日、一昨日もそうしたことが発言されたというふうにも聞いております。

 ところが、これに対して田村厚労大臣は、当初、自主的な研究の成果の発表だということで、非常に問題視される発言がありました。これについては、昨日、少し軌道修正がされたというふうに聞いておりますが。

 一方で、丸川大臣も、これは先ほども少し出たんですけれども、私は意味がよく分からないんですが、全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言っても通じづらいというのが私の実感と。

 これは一体どういう意味なんでしょうか。ちょっと教えていただけますか。

丸川国務大臣 大会開催に関して、大会招致のときから取り組んできたスポーツ関係者、それから、政治家の中にも当然、推進議連というのがあって、その前は招致議連だったわけですが、そういうグループがあって、その中では、いかにして大会が開催できるだろうかと。特にこのコロナ禍において開催するにおいては、まず、開催するために具体的にどんな対策が立てられるだろうかという方向で議論を重ねてきていただいたし、そうした御示唆もいただいてきた。

 他方、感染症の専門家の皆様というのは、いかに感染を広げないかということで、どこの国でもそういう議論があるわけですが、感染を拡大させない一番の方法はロックダウンであり、シャットダウンであり、社会活動を完全に止めてしまうことであるというような議論もあるわけです。もちろん、止めていた期間にどのぐらい低減されるかによってはもう一回リバウンドするので、いろいろな知恵が必要だという議論も一方であるわけですが。

 そうした中で、これまでの、オリンピック、パラリンピックに限らずでありますけれども、社会を動かしていくためにどのような方策で臨んでいくのかという考え方について、一方は、とにかく感染をまず抑えることを一〇〇%求める側と、もう一つは、社会を動かしながらいかにうまくつき合っていくか、ゼロコロナというのはないんだという考えも一方に、もう一つあったりするわけですが。

 こういう様々な、同じ社会活動、あるいは何か出来事を感染を抑えながらやるというときに、どういう姿勢で臨むかという、立ち位置が違うところから見ていると、なかなか相手に伝わる言葉で、この状況、やっていこうという状況を説明するのはとても難しいことだということを申し上げた次第でございます。

吉川(元)委員 よく分からないですね。

 今、最後に言われたことは、つまり、丸川大臣を含め、組織委員会も含めて、大会をやるという前提で取り組んできたその人たちが発する言葉は通じないという意味なんですか。それとも、尾身会長がおっしゃった言葉が丸川大臣始めオリンピック関係者には通じないということなんですか。

丸川国務大臣 私が別の地平からという言葉を発信したときには、何のために大会を開催する考えなのかという質問をされたわけです。その中で、私たちはスポーツの持つ力ということを信じて今までやってきたということを申し上げました。

 まさに、この大会を、今まで積み上げられた様々な感染対策、特にJリーグ、プロ野球、本当によく実践の場で積み重ねてきていただいたわけですが、こうした知見をしっかりこのオリンピック、パラリンピックという場で生かしながら、どれだけ感染対策をしっかりやって積み上げた中で、この大きなスポーツの持つ力ということを国民の皆様と共有できるかという思いでやってきた。その向きから発信する言葉と、そうではない、感染抑制を一〇〇%するんだという、そういう向きからの言葉と、お互いが理解をするのは大変難しい、言葉が通じにくいということを申し上げたわけでございます。

吉川(元)委員 端的に答えてください。

 要は、尾身会長がおっしゃっている様々な懸念、危惧は、丸川大臣等々には通じない、それは地平が違うからだという話をされているんでしょう。いいです、もう答弁は。

 だけれども、率直に言わせていただきます。丸川大臣あるいは菅総理が発している言葉、恐らくそれはオリンピックを前提にした様々な発言をされているんだろうと思います、開くためにどうするかと話しているんだろうと思います。一方で、尾身会長は、感染の拡大を防ぐ、その一点で考えて、いろんなことを発言されているんだろうと思います。どちらが国民に通じていると思いますか。明らかに尾身会長の言葉の方が通じているんですよ。

 だとすれば、総理や大臣が発している言葉というのは、国民と違う地平に皆さんはいらっしゃる、そういうことを証明されるような発言だということを指摘させていただきます。

 次に、大会なんですけれども、そうしますと、さすがに田村大臣も少し言い方を換えましたが、感染リスクの評価、そして、それに基づいて、大会の可否を含めて、感染リスクの評価、これは一体誰がなされるんですか。

丸川国務大臣 私は、尾身会長のおっしゃっていることは委員会でいつも聞いておりますし、しかも、尾身会長がどういう御懸念を持っているかということは個別にもお話を伺っておりますので、少なくとも尾身会長がおっしゃっていることは私にもよく伝わっておりますし、私の説明が下手なのは申し訳ないことだなと思うわけであります。懸命に努めさせていただきます。もし私の言葉で不十分でしたら、政府に具体的な説明ができる人間はたくさんおりますので、リクエストしていただければと思うわけでありますが。

 自主的なとか言っていた田村大臣のあれは、私は、要は、政府の意図を酌んだような研究だと駄目だよということをおっしゃったんだと理解しておりまして、私はそれぞれ……(吉川(元)委員「委員長、質問に答えさせてください」と呼ぶ)

左藤委員長 ちょっと済みません、大臣、質問に端的にお答え願います。

丸川国務大臣 専門家が評価をします。

吉川(元)委員 その専門家とは誰ですか。

丸川国務大臣 政府の分科会のメンバー、それから感染研の危機管理センターからも専門家が入って、組織委員会において、まず、東京二〇二〇大会における新型コロナウイルス対策のための専門家ラウンドテーブルから助言を得ておりまして、ここと、それから私どもと、それからコロナ対策室とという連携をしながら評価をしてまいります。

吉川(元)委員 今私が聞いたのは、誰が最終的に評価をするのかということを聞かせていただきました。ラウンドテーブルがあるだとかいう話も聞いております。それからまた、組織委員会、東京都、それから各省庁との間で調整会議というものを設けられています。

 この調整会議が判断をされるということなんですか。

丸川国務大臣 この調整会議というのは、感染症対策で各府省にまたがる政策というのがありまして、これを調整するために存在しておりますので、ここで評価を行うということは今のところ検討しておりません。

吉川(元)委員 聞いておりますと、総理もそうですけれども、専門家の御意見を聞いた上で云々云々という話をするわけです。

 一方で、この間の尾身会長の発言についての総理あるいは田村大臣、そして丸川大臣の発言を聞いておりますと、一部は修正されたとはいえ、オリンピックを開く開かない、こういう危険性がある、リスクがあるという話の専門家の声には耳をかさない、そういうふうにしか私には見えませんし、本当にきちんと、要は、最後、誰がそのリスクの評価をして、そして、こういう状況だからできる、あるいはこういう状況だからできない、これはいまだに誰がやるのか分からないんですよ。総理に聞いたら、開催の主催者はIOCですと言ってみたり、そういう意味でいうと、何か分からない間にずるずるずるずる大会に行く。

 そして、一方で、当初、四月の頃には観客を入れられないなという雰囲気だったのが、今は完全に観客を入れる方向で話が進み始めていて、じゃ、誰がそれをそのように判断できる、できたのか、したのか、あるいはその根拠は何なのか、これらについても正直言って全く見えていないというのが今の現状です。

 ちょっと時間がないので、次に進みますけれども。

 これは新聞で少し報じられていたんですが、オリンピック、パラリンピック、海外からのいわゆる選手や関係者は大体九万何千人、九万人ぐらいだというふうに聞いておりますが、国内でのいわゆる大会関係者、その数というのは今大体何人になっているんでしょうか。

布村参考人 先ほどのコロナ対策につきましては、政府、東京都、また専門家のアドバイスをいただきながら、組織委員会として責任を持って今対策を講じているという状況でございます。

 また、日本の大会関係者の人数でございますけれども、オリンピックについては全体で約十九万人、内訳は、職員が八千人、ボランティアが五万四千人、コントラクター十二万人等となります。パラリンピックは全体で約十一万人、職員が六千名、ボランティア二万六千名、コントラクター七万人などとなっています。

吉川(元)委員 そうしますと、合わせますと三十万を優に超えるような方々が参加されるということでありますが。

 オリンピック、パラリンピック、このところで、選手等々には検査は毎日やると言ってみたり、あるいは、選手、コーチ以外の大会関係者でも、選手と一メートル以内で十五分以上接する可能性のある人も検査対象とする、これは大臣が会見で述べられておりますけれども、そういう人たちをどうやって把握されるんですか。

布村参考人 検査体制については、選手の方々は原則毎日ということを、先生もおっしゃっていただきました。大会関係者、先ほど申し上げました十九万人については、選手と一定の接触が強い可能性がある者については原則毎日実施する、また、その他の関係者は、選手との接触の程度に応じて四日ごとあるいは七日ごとという日程で検査を定期的に行っていくという予定です。

 実際、その数ですけれども、アクレディテーションの確定が、先ほど申し上げましたけれども、六月いっぱいには大会に参加される数も確定していく、その中で、検査回数、実施数も固まっていくという状況でございます。

吉川(元)委員 率直に言って、これは非常に把握するのは難しいんじゃないかというふうに思います。一メートル以内に十五分ですけれども、一体誰がそういう対象になるのか。もちろん、この人は確実にそうなるだろうという人はいると思いますけれども、場合によってはこの人もそうなるというようなことも、いろんなパターンが出てくると思います。それを一々全部チェックをして、そしてその人たちについては毎日検査をする。一体、一日当たり何万件の検査が必要になるのか、私は非常に疑問に感じていますし、また、そうした能力が果たして今あるのかということも疑問です。

 次に、ワクチン接種ですが、ボランティアへのワクチン接種についても、大臣の方から、検討していくというお話でございましたので、それについて一点。

 新聞を見ておりますと、ファイザーから日本の選手団、まあ、二万人分ですかね、これを拡充をするということですけれども、つまり、これは、新たにファイザーからそうしたワクチンが届くというふうな約束ができているということですか。

丸川国務大臣 組織委員会さんの方で、その枠をもうちょっと欲しいという話をIOCとされているんだという認識ですが、我々は、今、普通に入ってきているものの中で、職域接種がこれから進んでまいります。ボランティアさんの中には職域接種の中で、例えば東京都が行っていただくような場面だったり、あるいは組織委員会が行っていただくような場面だったり、様々、それなりの、大規模な、職域接種が行われている範疇の中で、ボランティアさんがそこに、例えば都市ボランティアもいらっしゃいますので、こうしたものも含めて、対応していけるところはどこなのかということを今まさに整理しているところです。

吉川(元)委員 オリンピック、予定どおり開かれるとすれば、あと六週間ちょっとです。ファイザーの場合は、一回目を打って、二回目を打つのに大体三週間空けて、そこから実際に抗体がきちんとできるためには一週間から十日かかる。そうすると、来週にはこのワクチン接種がスタートしていないと、大会の開会には間に合わない。あるいは、大会の開会は二十三日ですけれども、それ以前から一部競技はスタートします。

 そうすると、今週中にはスタートしていないと間に合わないところも出てくるんですけれども、めどは立っているんですか。

布村参考人 IOC、ファイザー社との協力によりまして二万人という数字のワクチンをいただいておりますので、六月一日から日本選手団のアスリートについてはワクチン接種が開始されており、また、アスリートとの距離感の近い大会関係者から順次ワクチン接種ができるよう、今、鋭意、急ぎ準備を進めているところでございます。(吉川(元)委員「ボランティアの話です」と呼ぶ)ボランティアの方々についても、その中で、本当に、競技ボランティアとして、会場、フィールド、FOPにいらっしゃるボランティアについても、ワクチン接種の対象として検討を重ねているところでございます。

吉川(元)委員 ちょっとよく分からないんですけれども、ボランティアの方は、八万人予定していて、一万人辞退されたと。そのうちどれぐらいの数を打たれるか分かりませんけれども、ファイザー社との間で約束ができている二万人で足りるということなんですか。

布村参考人 そういう形でワクチン接種を、海外からいらっしゃる選手団の方々は、八割ぐらいワクチン接種済みで選手村に入られる、そういった意味合いでは、選手村でお迎えする日本人関係スタッフについても極力ワクチン接種が受けられた方がいいという前提で、その特別の枠を増やすことができないか、IOCと相談はさせていただいておりますが、まだ具体的な数字には至っておりません。

吉川(元)委員 ボランティアの方は約七万人ですよね。また、ボランティア以外の方でも選手と接する場合はどうするのかというのもありますけれども、少なくとも、大臣は、ボランティアについては、これは報道ベースで私は見ていますから実際どうだったのか分かりませんけれども、ファイザーから日本の選手団や関係者向けに提供されている二万人分の枠の拡充ということが出ているんです。

 つまり、二万人より余計にもらわないと間に合わないのかどうなのか、二万人の中でできるんですかと聞いているんです。

布村参考人 ですから、ボランティアにつきましても、競技ボランティアとしてアスリートと直接接する方々も大勢いらっしゃいますので、そういうボランティアについても、選手との距離感に応じて、できるだけ近い方から順次早めにワクチン接種をしていただこうと。最終的にどのような接種状況になるのかは、全体の枠、ワクチンを確保できた枠にもよるかと思います。

吉川(元)委員 じゃ、つまり、これは記事を見ますと、七万人全員の接種で検討している、政府、大会組織委員会はと、こう報じられているんですけれども、七万人全員に打つわけじゃない、ある分だけしか打たないということでいいんですね。

布村参考人 先生おっしゃられたとおり、大会開催まで期間が短いので、二回接種のためには急がなければいけないところでございますので、今、関係のところと急ぎ調整を進めさせていただいております。

吉川(元)委員 つまり、単純な質問をしているんですよ。

 二万人分は、ファイザーから、特別扱いといいますか、特別に日本に送られてきたと。その部分だけで打つのか。ただ、ボランティアは七万人いるわけです。それ以外に、選手、コーチ含めてもっといらっしゃる。当然、二万人分じゃ足らないわけです。

 政府や組織委員会は七万人全員に打ちますという方向で調整に入った、これはファイザーから来るワクチンを拡充させると。これはどこから来るんですか。七万プラスアルファで、引く二万ということは、五万以上、五万人分、つまり十万回以上のワクチンが今から必要になるわけです。これはどうやって確保するんですかと聞いているんです。

布村参考人 IOCとファイザー社との枠でいただいたところは、現在は二万回分。そこをどこまで増やすことができるかというのは今調整過程でございますので、関係者と調整をさせていただいております。

 実際、その枠によって、ボランティアの方々が全員打てるのか、アスリートとの距離感によって近い方から一定の割合を接種いただくかは、これから急ぎ詰めていかなければいけない課題だと思います。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、つまり、七万人分のボランティア全員に打つ方向で検討しているなんというのは、いわゆるそれを保障するための、それを実行するためのワクチンは全くまだ確保のめどが立っていない、今からやるんだという答弁だということで私は理解をいたしました。

 もう今日はこれで終わりますけれども、まだまだ聞きたいことはいっぱいあるんですけれども、本当にこのままやれるのか。見ていると、既定方針どおりとにかく進むんだとしか見えないんですよね。

 そういう点も含めて、これから国会、我々は会期の延長を求めていきたいというふうには思いますけれども、しっかりチェックしていきたいということを申し上げて、質問を終わります。

左藤委員長 次に、山内康一君。

山内委員 立憲民主党の山内康一です。

 今回は、前回質問の積み残しの質問から入らせていただきます。

 GIGAスクール構想に関する地方自治体の財政負担及びデジタル機器等の更新費や維持費についてお尋ねしたいと思います。

 GIGAスクール構想に関しては、国の予算額は、過去の令和元年、二年度の補正を合わすと四千八百十九億円になります。国の予算だけではなくて、地方自治体の側でもいろんな予算の手当てが必要ですけれども、大体総額で地方自治体はどれぐらいの予算を用意しているのか、文部省の方で把握されている数字を教えていただければと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、全ての子供たちに対するICT環境整備のためにGIGAスクール構想を打ち出しまして、これまでの地方財政措置に加えまして、三度の補正予算で、御指摘をいただきました合計四千八百十九億円を計上し、昨年度内での整備完了を目指して一人一台端末環境等の整備を進めてまいりました。

 その中で、地方自治体の負担を大幅に軽減するため、既に地方財政措置が講じられてきました三人に一台分の端末整備以外に必要となる三人に二台分の端末整備につきまして、一台当たり四・五万円を上限とする補助金を交付するとともに、高速大容量の校内通信ネットワーク環境整備に要する経費の二分の一を補助してきたところでございます。

 ですので、総額としましては明らかにできませんけれども、こういった形で地方自治体の負担軽減を図ってきたところでございます。

山内委員 事前の質問取りのレクのときに丁寧に説明したんですけれども、地方自治体が幾ら負担しているのかを聞きたいのであって、文科省の負担を聞いているわけではありません。それについて数字があったら教えてください。

塩見政府参考人 失礼いたしました。

 全体の数字としましては、申し訳ありませんが、我々の方で集計したものはございませんけれども、例えば一自治体の事例といたしまして、その市内の小中学校の児童生徒のGIGAスクール構想を推進するために必要な事業費としまして、例えば一億五千六百万円程度を事業費全体で必要というふうに推計したものにつきまして、それに対して約一億円程度の国からの補助が行くということで、市の支出としては約五千万程度になるという試算はあります。

 また、その市の支出につきましても、一部は起債を行うことができるというふうなことになっておりまして、ある市についてのモデルケースでありますけれども、市の全体としての負担につきまして約二千八百万程度というふうに試算したものはございます。

山内委員 文部省にいただいた資料によって、ある架空のS市の事例というのを見ると、大体、国二対地方自治体一ぐらいの負担の割合だというふうに出てくるんですが、そうすると、大体二千何百かぐらい全国の自治体が負担しているという感じで、概算、よろしいんでしょうか、そういう理解で。

塩見政府参考人 失礼します。

 申し訳ありません、ちょっと手元で今数字の方を持ち合わせておりませんので、正確なところをお答えするのは難しいんですけれども、先ほどの推定の値で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、約一億五千六百万程度の事業費に対しまして、地方の負担につきましては二千八百万程度というふうな試算もございまして、その中にはもちろん起債によって賄う部分等もございますけれども、済みません、具体の数字につきまして、今ここで正確な数字をお答えできることはちょっとないところでございます。

山内委員 具体的な数字がないのは仕方ないと思うんですけれども、大体どれぐらいかかるかぐらいは全体像を把握されているのかなと思いますし、今後、一旦デジタル関係の投資をするとずっと更新費用がかかると思いますし、それから、何年後かに、恐らく、デジタルのタブレットとかは三年か四年したら買い換えなきゃいけないわけですよね。

 そういった意味では、今後相当自治体の負担が増えると思うんですよね。それをどのように文部省が考えていらっしゃるのか。特に、更新費用ですね。恐らく、子供がタブレットを使うので結構壊れやすいと思いますし、うちの小学生の子供も宿題のために重たいのを持ち歩いているんですけれども、行き帰り持ち歩いて一年間使うと相当傷むと思うんですよ。大人以上に傷みが早いと思いますので、そういった更新費用を今後どうしていくのか、政府としてのお考えを聞きたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、今後の端末の更新等の際の財源ですとかトータルコストなども含めた費用負担の在り方につきましては、今後大変重要な課題というふうに認識しております。

 今後、関係省庁また地方自治体等と協議しながら、検討させていただきたいと考えております。

山内委員 是非、今後はトータルコストを考えるとか、維持費も含めてきちんと計画を立てないと、特に財政力の弱い自治体は大変だと思いますし、政令市の市長会などもいろんな提言を出されています。維持費が大変だということはもう既に分かっていますので、そういったことも含めて、計画の段階からちゃんと概算ぐらいはされた方がいいんじゃないかなと思います。

 では、もう時間がないので、次の質問に行きたいと思います。

 学校教育におけるICTを使い過ぎないリテラシーということについてお尋ねしたいと思います。

 吉川徹さんという精神科医の方が本を書かれていまして、その中で、ICTを使い過ぎないリテラシーが大事だということをおっしゃっています。

 どうしても、インターネットなども含めてですけれども、ICTに接すると、使い過ぎてしまうことが多いということが言われています。

 例えば、平成三十年の内閣府の、青少年のインターネット利用環境実態調査という政府の調査によると、中学生では三時間以上ネットを利用している人が三七%、高校生では三時間以上ネットを利用している子が六一・八%、タブレットとスマホを含めてだと思います。三時間以上使っている高校生は六割です。プラス学校でタブレットを使うと、ひょっとすると、一日に五時間も六時間も七時間も、ネットとか、タブレットをずうっとにらめっこしている子がすごく多いんじゃないかと思います。

 そういった意味で、文部省として、例えば授業と宿題合わせて子供たちが一体どれぐらいタブレットを見ている時間があるのか、どういう推計をされているのか、教えていただければと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが授業や宿題で実際にどの程度タブレット等を使っているかにつきましての数字につきましては、現時点では把握できておりませんけれども、GIGAスクール構想で整備されました端末を授業や家庭学習で適切に利活用するというためには、今御指摘いただきましたような、使い過ぎにならないというふうなことも含めまして、しっかりルールを明確化し、保護者等との間でも事前に確認し、共通理解を図っていくということが必要だと考えております。

 文科省としましては、端末の利活用に関して、こうした留意点、また保護者等との間でも共有すべき点につきまして、ポイントをお示ししまして周知を図っているところでありまして、その中で、例えば三十分に一回は二十秒以上画面から目を離して遠くを見る、目を休めるといったような配慮事項についても周知しているところでございます。

 端末を活用していく上では、こうした健康面にも留意したリテラシーをしっかり身につけるということは大事な課題だと思っておりますので、引き続き、こういった点につきましても指導を進めてまいりたいと考えております。

山内委員 例えば、小学生の段階では授業と宿題を合わせて一日に何時間以上にならないようにしましょうとか、そういうガイドラインとかを文科省はやはり整備された方がいいんじゃないかと思いますし、そのためには実態把握でちゃんと調査をしなくてはいけないと思います。せっかく文科省は傘下に研究所もありますし、そういう調査研究、実態把握が必要だと思うんですが、現状と、あるいは計画があれば教えていただければと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度四月から、GIGAスクール元年ということで、全国で端末の利活用が本格的にスタートいたしましたので、このことも踏まえまして、もちろん学校現場の過度の負担にならないように留意するということは重要だと思いますけれども、実際、学校現場で端末がどのように利活用されているのかというふうな実態についても把握をし、また必要な対応を講じるべく、検討していきたいと考えております。

山内委員 例えば、読売新聞の昨年の十二月四日の記事で、「デジタル教科書を問う」という記事があったんですけれども、二〇一九年にデジタル教科書を使う小中学生二百七十一人に調査したところ、小学生の三二%、中高生の四二%が目の疲れを訴えた、それから、小学生の二〇%、中学生の九%が体調が悪くなったと答えているそうです。小学生の二〇%が体調が悪くなったという答えは相当なものだと思うんですよね。

 こういう調査結果を見て、文科省、何か対応、対策、相当急いでやる必要があると思うんですけれども、それについて御見解を聞きたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書を使用する際の児童生徒の健康面への影響という面につきましては、大変重要な点でありまして、文科省で設けておりますデジタル教科書に関する有識者会議におきましても、専門家の意見も聞きながら議論が行われました。その結果としまして、目と端末の画面の距離を離すことですとか、継続して見る時間などに留意が必要ということが指摘されたところでございます。

 このため、文科省ではこうした必要な留意事項を示しましたガイドラインを作成しまして、本年三月に教育委員会等に周知をさせていただいたところでございます。

 また、デジタル教科書につきましては、実際に多くの学校で使っていただいて実証研究ということをしております。こうした実証研究を通じまして、今後また健康に関連する新たな知見なども得られれば随時ガイドラインの見直しを行っていくということも含めまして、引き続き、児童生徒の健康に十分留意しながら、どのような活用が適切かということについて検討していきたいと考えております。

山内委員 デジタル教科書に関してまたお聞きしますが、基本的に、紙の教科書は当然無償ですけれども、デジタル教科書は有償になってしまう。今年度予算でも、デジタル教科書の予算は、一部国の予算でついていますけれども、全面的に無償というわけではありません。

 そうすると、どうしても自治体間の格差、有償の部分の負担ができない自治体も出てくると思いますし、それから、そういった余計な支出が増えるわけですから、デジタル教科書というのは相当コスト的にも問題があると思うんですけれども。

 それについて、例えば自治体間の格差をなくすために、文部省として何か、今年度予算何十億とは別に考えていることがあれば教えていただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたように、今年度、文部科学省で、全国の小中学校等にデジタル教科書を広く提供いたしまして、学校現場における普及促進を図るという事業を実施しております。全国の約一万二千二百校の小中学校等においてこの事業を実施していただいておりまして、自治体数としましては千三百七十七自治体に参加をいただいているところであります。

 この事業におきましては、予算の制約上、必要な学校数の調整等は行っておりますけれども、希望いただいた学校のある自治体につきましては基本的に参加いただいて、デジタル教科書を使ってみていただけるようにということで我々も留意したところでございます。

 今後、デジタル教科書につきまして、今回実施しております実証研究の成果を広く普及するということも含めまして、自治体間の格差が生じることのないように丁寧に取り組んでいきたいと考えております。

山内委員 実証研究、これからやられる部分も大事ですけれども、紙の教科書とデジタルの教科書の違いについては世界各国で既に実証研究が行われていまして、紙の教科書の方が学力向上の役に立つ、そういう研究結果もたくさん出ています。そういった意味では、余り前のめりに、デジタルだったら何でも古いものよりいいとは限らないわけですから、慎重な対応と、きちんとした、導入ありきではない実証研究をやっていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、次の質問に行きたいと思います。

 それでは、教室における電磁波による健康被害の懸念についてお尋ねをしたいと思います。

 GIGAスクール構想が進むと教室のICT化が進んでいく、当然教室にWiFiを設置するということになってくるかと思うんですけれども、WiFiを設置することによって電磁波の健康被害があるんじゃないか、そういう心配をされている親御さんたちもたくさんいらっしゃいます。頭痛や目まい、吐き気、集中力や記憶力の低下などを訴える、電磁波過敏症と言われる症状を訴える人が一部いらっしゃいます。

 そういう子供たちに対する健康被害に関して、政府がどういう、文部科学省がどういう対応をしているのか、お尋ねをしてみたいと思います。いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 ICT機器を利用する場合も含めまして、電波が人体に影響を及ぼさないよう、国により基準を定めて、法令等により規制をしておりまして、この基準に基づくものについては人体への悪影響は生じないものと考えております。

 ただ、一方で、いわゆる電磁波過敏症について、電波に起因して体調不良を訴える方々もいることは承知をしております。健康上の問題として本人あるいは保護者から学校に相談がある場合には、児童生徒一人一人の状況や置かれている学校環境等が異なることから、基本的には各学校において個別に配慮、対応いただきたいと考えております。

 いわゆる電磁波過敏症につきましては、現時点において医学的な疾病概念が確立しているものではございませんので、対応としてなかなか難しいところはありますが、子供たちの、あるいは保護者の声に十分耳を傾けながら、対応についてそれぞれの現場で進めていっていただきたいと思っております。

 以上です。

山内委員 基準を満たしていればいいというようなしゃくし定規な規定ではなくて、あるいは、実際、電磁波過敏症、医学的に分かっていないこともあるかもしれませんし、人類が電磁波とつき合い始めてそんなに長くないので、もしかしたらこれから医学的にも認められる可能性もあるわけですから、特に、懸念を感じている、心配に思っている人たちに対する丁寧な説明を是非お願いをしていきたいと思います。

 時間がほとんどなくなってまいりましたので、最後に、小学校の学校給食の無償化ということについてお尋ねしたいと思います。せっかく大臣に来ていただいたのに先ほどから一問も質問していないので、申し訳ないので、大臣に是非お願いしたいんですけれども。

 私は、学校給食というのは是非これから無償化していくべきだと思っています。もちろん義務教育ですから、今は教科書は無償になりました。だけれども、昔、教科書は無償じゃありませんでした。それが、国民的な運動によって、いろんな政党の皆さんの働きかけによって小学校が無償化された。それから何十年かたちますが、次は是非、学校給食の無償化を全国的に進めていくべきじゃないかと思っています。

 既に、二〇一七年度の調査では、全国七十六の自治体が学校給食の無償化を実現しています。この割合を是非高めていっていただきたいと思います。

 文部科学省としても学校給食法などで食育の推進をしているわけですし、給食はとても意義のあることだと思います。子育て世帯の負担軽減といった意味でも、給食の無償化はダイレクトに子育て世帯へのサポートになると思うんですね。それから、地産地消を進めていく、そういった場合に、学校給食の無償化を進めていくことがその後押しになる、そういったこともあると思います。

 あるいは、給食費の未納問題ということがありました。一部の自治体では、学校の先生が給食費の未納を徴収したりしなきゃいけない、そういう問題もありました。それから、給食費を払えない子供が学校の教室でどういうばつの悪い思いをするかということを考えると、是非、給食費の無償化を進めるべきだと思っているんですね。

 そういったことについて、文部科学省として給食の無償化を後押しする、推進するために何か施策のようなものがあれば教えていただきたいと思います。

 これは参考人の方で結構ですので、よろしくお願いします。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体等において検討いただくことがふさわしい事柄だと考えております。

 なお、保護者が負担する学校給食費については、家庭の経済状況が厳しい児童生徒に対しては、生活保護による教育扶助であったり、あるいは就学援助により支援が実施をされているところでございます。

 以上です。

山内委員 時間が来ましたので、最後、要望だけしたいと思いますが、学校給食の無償化を既にやっている自治体がありますので、そういった学校給食の無償化が、どういうインパクトがあったのか、どういうよい影響、もしかしたら悪い影響があるかもしれませんが、そういったものがあったのか、是非、二〇一七年以降調査は行われていませんので、そういった実態調査を政府としてもやっていただきたいと思います。

 以上申し上げて、済みません、大臣にお越しいただきましたが、質問できなくて失礼いたしました。

 どうもありがとうございました。

左藤委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず、東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。

 六月二日の当委員会で、二〇一九年八月時点で、東京二〇二〇ライブサイト、十九自治体、三十会場、コミュニティーライブサイト、百四十五自治体、二百二十七会場との御答弁をいただきました。コミュニティーライブサイトの一覧を出していただきたいと思います。

 また、六月一日から予定のパブリックビューイングの応募は現在何件でしょうか。

布村参考人 自治体が主催いたしますコミュニティーライブサイトにつきましては、大会の延期前、百四十五自治体から二百二十七会場につきお申し込みをいただき、各自治体で実施準備をしておりました。大会が延期になったことから、現段階では、コロナ対策のガイドラインに沿ってコロナ対策を検討していただいているという状況で、現時点ではまだ数字が固まっていないところでございます。

 また、パブリックビューイングにつきましては、ガイドラインは公表しておりますけれども、競技放映スケジュールが確定前であり、六月中の申請という形で今準備を進めているところでございます。

畑野委員 東京二〇二〇ライブサイトの方は名簿を出していただきました。よく分かりました。コミュニティーライブサイトも、かつてどういう計画があったのかというのも重ねて出していただくように要望をしておきます。

 ライブサイト中止の動きが広がっております。埼玉県でも、ライブサイトを中止してパブリックビューイングだけにしたんだけれども、それも中止するという発表がありました。井の頭公園でのライブサイト中止を求める声も上がっておりますし、神奈川県でも中止を求める声が上がっていると伺っております。

 次に、国内の関係者約三十万人が、通訳、警備、運転、清掃などに携わると伺いました。

 この内訳はそれぞれ何人でしょうか。また、ワクチン接種をできるのは何人と見込んでおられますか。

布村参考人 国内の大会関係者の数でございますけれども、オリンピックは、全体で約十九万人、職員が八千人、ボランティアの方が五万四千人、コントラクター約十二万人というような内訳でございます。パラリンピックにつきましては、全体で約十一万人、職員が六千名、ボランティア約二万六千名、コントラクター約七万人という状況でございます。

 ワクチン接種につきましては、ちょうどアスリートの方々が、六月一日からワクチン接種が始まったところでございます。IOCとファイザー社との、特別の御配慮によりまして、二万のワクチン接種が可能になっておりますので、アスリートに近い大会関係者から急ぎワクチン接種を進めていきたいという状況でございます。

畑野委員 ですけれども、丸川珠代大臣が、昨日、ボランティアの皆さんも全員ワクチンが接種できるように進めていくというふうにおっしゃったんですが、布村さん、具体的にどうなんですか。

布村参考人 先ほど申し上げましたように、アスリートの方がまずワクチン接種がスタートし、アスリートに近い競技ボランティアなどについては、優先的に枠の中で早めに始めるように今準備を進めているところでございます。

 ワクチン接種については、いただいている特別の枠以外にも、活用できる、大規模接種会場ですとか職域接種もございますので、そういったところとも、活用できるかどうかも含めて、今後検討していくことになろうかと思います。

畑野委員 丸川大臣に伺いますが、そうすると、昨日おっしゃったこととちょっと違うんですけれども、それはもう見込みというか思いだけで、裏づけがないということでよろしいですね。

丸川国務大臣 昨日の質問というのは、是非やってくださいという意見だったので、誰かが反対しているわけじゃなくて、その方向で進んでいるという話をしておりました。

 他方、布村さんがさっきからおっしゃっているのは、とにかく、まず海外から来る選手の周りを先に打ちたいという話をさっきからずっとおっしゃっていまして、もうそれはそのとおりであります。

 この大会ボランティアの方たちというのは、色合いが幾つかありまして、全くフリーで応募されている方もいれば、多少関係のあるところからおいでになっている方もいらっしゃる。それなりの、例えば、語学の技能がなきゃいけないとか運転の技術がなきゃいけないとか、いろいろありますので、そういう方々は、元の職域の接種ということも考えるわけであります。あと、都の職員の方も当然おいでいただいている分があると思いますので、例えば都市ボラはその自治体で打っていただくことができないだろうかとか、職域で打たれる方は職域で打っていただけないだろうかというようなことの調整の中で、どこでどのくらいの人がいつ打てるのかという実務的な課題を今検討していただいているという状況にあります。

畑野委員 あともう四十四日ですよね。今どきそういうことをやっているんですかという声が上がっているわけです。しかも、希望的観測だけで言われても、何の根拠もないわけです。

 伺いますけれども、バブル方式を選手に対して取るというふうに言っております。選手に行うとしている唾液による抗原検査あるいはPCR検査について、どのように進めるんですか。

布村参考人 海外から日本に入国後の検査につきましては、唾液によるPCR検査又は抗原定量検査を外部に委託して実施をしていくということを基本としています。

 また、選手に関しましては、最初の検査は唾液抗原検査を実施、その検査結果が不明確あるいは陽性の場合には、同じ唾液の検体を活用して唾液PCR検査を実施するという予定でございます。

 また、二回目の検査の結果が不明又は陽性の場合には、選手村内に設置される発熱外来において鼻咽頭PCR検査による再検査を実施するという予定でございます。

畑野委員 これについても、大丈夫ですかという声が上がっていますよね。そもそも、唾液というのは非常に難しいです。

 というのは、専門家からは、十分間は、口をすすいだり飲食をしたり、そういったものをしないでください、そうじゃないとウイルスがなくなってしまうと。あるいは、厚生労働省含めて、十分あるいは三十分、その間に何もしないようにと。そういう監視体制をどういうふうにつくるんですか。

布村参考人 選手村においては、発熱外来とともに検査センターを設置しております。また、選手村外の専門エリアについても同じような、まあ、同じ規模にはなりませんけれども監視下に置いて、それぞれの監視下において御自身で唾液検体を採取いただくということです。検体はその場で回収する。そういう、医療関係者の存在の中で検査を実施していただくという体制でございます。

畑野委員 いや、私は前に、レクのときに、不正が起こるんじゃないですかと言ったら、じっと見ていると言うんですよね。でも、その見る前の十分間あるいは三十分間、口に物を入れていないかどうか、そういうのをきちっとやらなかったら、いや、それは隠す、ごまかすということもあるんじゃないですか。そういうのも今のところではちゃんと検討していないということが分かりました。

 それから、医療の問題です。

 この間、大会に必要な医療従事者を一万人から七割に削って七千人ということで聞いてまいりました。医師、看護師、理学療法士、検査技師等ということで伺っているんですけれども、今確保できているのはそれぞれ何人ですか。

 それから、もう一つ、指定病院の話をこの間聞いてきました。都内十か所に置く、内諾は九病院ということですが、現在、コロナ患者を受け入れている病院あるいは受け入れる能力がある病院は幾つでしょうか。東京以外の二十の指定病院についても同様に伺います。

布村参考人 お答えいたします。

 大会における医療体制については、地域医療への影響を極力なくすという対応で取り組んでいるところでございます。

 まず、医療体制でございますけれども、組織委員会において当初の計画から見直しを行った結果、当初計画の三割程度の削減は可能になってございます。それを前提に、医師はおおむね九割程度、看護師はおおむね八割程度の確保の見通しが立っているという状況でございます。

 それから、指定病院についてでございます。

 指定病院においては、アスリート等への外傷などを中心とする治療に当たること、あるいは熱中症対策の、お客さんということになろうかと思いますが、大会指定病院を確保することとし、現在、都内九か所の病院からおおむね内諾をいただき、また、都外二十か所の病院とも、これは調整を進めているという段階でございます。

 大会時のコロナ対応については、各自治体が行っておられる入院調整の仕組みの中で御対応していただくことを基本として、現在、それぞれの自治体の意向も踏まえつつ丁寧に調整を行い、コロナ対応をしている病院に限定せず、また、アスリート専用の病床の確保を求めたりということはない形で調整を進めさせていただいております。

畑野委員 布村さん、そうすると、指定病院だけじゃなくてその他の病院にも、コロナに選手などが感染したら、そこに行くということなんですか。指定病院だけじゃなくて。そういうことですか。

布村参考人 大会指定病院として指定させていただく外傷者あるいは熱中症者を受け入れていただく病院を自治体と調整をさせていただいているということでございます。(畑野委員「そこでコロナも診ると」と呼ぶ)いえ、地元のコロナ対策を中心に行っていただいている病院とできるだけ役割分担できるような形での地元自治体の調整をさせていただいているということです。

畑野委員 そうすると、今調整している指定病院なんですけれども、コロナ感染者を、患者を今受け入れている病院なんですかというのを聞いているのと、これから受け入れる能力がある病院なんですかと言っているのは、なぜかというと、その指定病院に、けがとか熱中症だけでなく、コロナの感染された方が来るでしょう、そういう方もその指定病院で受け入れるんですかということをシンプルに聞いているんだけれども、そういうことですよね。

 感染者が増えたら違うところにも受け入れてもらおうということなんですか。どういう意味ですか。

布村参考人 地元自治体で医療体制に責任を持っておられる部署との調整により、コロナ対応の病院に限定せずに、またアスリート専用の病床の確保も求める形ではない形で、極力地元の、地域医療のコロナ体制に影響を与えない形での指定病院を確保していくという方向で、自治体との調整を進めているところでございます。

畑野委員 県の頭越しに組織委員会からやるのはやめていただきたいという声も聞いています。これは引き続き聞いていきたいと思います。

 丸川大臣に伺います。

 先ほども議論になりましたけれども、尾身茂政府分科会会長の、今の状況でやるというのは普通はない、このパンデミックでということに対して、全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいとおっしゃられました。

 通じづらいというのは、誰に対して通じづらいというふうに思われたのか。私は、大臣がそれを言ってはおしまいだと思うんです。だって、政府の、大臣なんですから。尾身さんが言ったことをちゃんと関係者にしっかりと徹底するのが丸川大臣の仕事じゃないかと思うんですね。

 だから、私は、こういう発言というのはあってはならない、撤回をして、しっかりと尾身さんからも話を聞く、正式に聞く、そういう態度をオリパラ担当大臣として示すべきであると思うんですが、いかがですか。

丸川国務大臣 個別には既によく会話させていただいているので、別の地平から言われているから聞こえないとか聞かないとかいうことでは全くなくて、こちらの説明の言葉が至らなくて通じない部分もあるのかなと思いますし、尾身先生のおっしゃっていることは本当にみんなよく理解をした上でどうしようかという議論をしているんだという理解をしております。

畑野委員 全く理解が進まない御発言だったので、まだまだ、先ほど議論がありましたが、きちっと正確にお述べになった方がいいと思います。

 こういう状況の中で本当にやるんですか、やはり私は中止をして、開催ありきでない検討をするべきだというふうに申し上げておきます。

 時間がありませんので、夜間中学について質問をいたします。

 二〇二〇年十月に実施された国勢調査で、義務教育未修了者を調査するため、小学、中学を分離して回答できるように改善されました。これは多くの夜間中学関係者の皆さんが求めてきた結果です。この調査結果はいつ公表されるのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の学歴に関する調査結果につきましては、国勢調査の確報集計のうち、就業状態等基本集計において集計する項目でございまして、令和四年五月に公表する予定となってございます。

畑野委員 そうしますと、もう大きな動きがこれから始まるということですので、今から準備する必要があると思います。

 そこで伺います。

 現在の公立夜間中学及び今後設置されることが計画されている公立夜間中学の数、教育機会確保法第十五条に基づく協議会及びそれに類する会議体の数、学習者の意見を反映させたりニーズを把握するための民間団体が構成員に加わっている数、そして、併せて自主夜間中学への支援についても伺います。

 自主夜間中学は、公教育として実施されるべき活動を代替的に担っているものです。施設利用料の免除措置など、財政的支援を含めた適切な支援措置を行うべきではないでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 本年六月現在で、公立夜間中学は十二都府県に三十六校設置されております。また、来年二〇二二年には、札幌市、相模原市、香川県三豊市の三校、再来年二〇二三年には、静岡県、千葉市に二校が開校予定となっております。

 また、正式な計画として設立が確定しているものではありませんが、このほかに五校ほど計画に向けて検討が進められているものを把握しているところでございます。

 また、教育機会確保法の十五条に基づく協議会についての御質問ですが、法の規定そのものに基づく協議会は、法律に規定する要件が少し厳しいところもございまして、現時点ではいずれの都道府県にも設置をされておりませんが、二〇二〇年六月時点での聞き取り調査によりますれば、御質問のあった協議会に類する会議体としては二十一の道府県において設置をされておりまして、この中の六つの会議体で民間団体が構成員になっていると把握をしております。

 以上です。

義本政府参考人 委員後半の御質問で、自主夜間中学校についての御質問がございました。

 ボランティア等により自主的に行われておりますいわゆる自主夜間中学校につきましては、義務教育を卒業していない方などに対する重要な学びの場となっておりまして、文科省としましては、各地方公共団体において、地域の実情に応じて適切に措置が検討されるよう促しているところでございます。

 令和元年度に夜間中学校等に関する実態調査を行いまして、自主夜間中学校等への支援としまして、運営に係る補助金を交付したり、委託事業を実施したりしている都道府県が一二・八%、政令指定都市で四〇%、実施場所を提供しているというふうなところが都道府県で二・一%、政令指定都市で四五%であると承知しているところでございます。

 文科省としましては、これまでも教育委員会や社会教育関係者の会議におきましてこうした支援について積極的に紹介しておりまして、引き続き、各地方自治体の取組を促してまいりたいと存じます。

畑野委員 萩生田光一大臣に一言だけ、夜間中学、自主夜間中学への支援、どのようにお進めになるお考えですか。

萩生田国務大臣 夜間中学は、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、我が国又は本国において義務教育を修了できなかった方などに対して、教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たしているものと考えています。

 夜間中学の設置主体は自治体であり、地域の実情に応じた取組が重要であることから、引き続き、設置を支援する予算を確保するとともに、全国知事会や指定都市市長会と連携しながら、各都道府県、指定都市に少なくとも一校設置されるよう、設置に向けた自治体の取組をしっかりと促してまいりたいと思っています。

畑野委員 自主夜間中学へも御支援をお願いします。

 最後に確認です。

 五月二十六日の当委員会で、二〇一四年の教科書検定基準について質問をいたしました。

 そこで、確認だけさせてください。

 この基準の導入を議論した二〇一三年十一月二十二日の教科用図書検定調査審議会で、文科省は、「政府の統一的な見解とは異なる見解を排除するという趣旨ではございませんので、政府の見解と異なる見解を記す場合には、政府の見解はこうであるということにも触れていただくことによって、バランスのとれた理解を児童生徒にしていただくということになるのではないかという趣旨でございます。」と述べております。

 この見解は今も変わらないということで、確認です。

左藤委員長 瀧本局長、お時間ですので、端的にお願いします。

瀧本政府参考人 御指摘の文科省による説明は、平成二十五年度の第一回教科用図書検定調査審議会総会において、教科書検定制度の改善についての審議要請の際に述べたものでございます。

 その際に説明したように、この検定基準は、政府の統一的見解とは異なる見解を一律に排除するという趣旨のものではなく、例えば、政府の見解に触れた上で、それとは異なる見解を記すことまで否定しているものではありません。

 以上です。

畑野委員 引き続き議論したいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十四分散会


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