衆議院

メインへスキップ



第5号 令和4年3月30日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年三月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      神田 憲次君    木原  稔君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    船田  元君

      古川 直季君    松本 剛明君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      荒井  優君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 窪田  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

同月三十日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第六三七号)

 同(田嶋要君紹介)(第六三八号)

 同(中川宏昌君紹介)(第六三九号)

 同(谷田川元君紹介)(第六四〇号)

 同(吉川元君紹介)(第六八五号)

 同(米山隆一君紹介)(第六八六号)

 同(石川香織君紹介)(第七二七号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第七二八号)

 同(櫻井周君紹介)(第七三二号)

 同(福田昭夫君紹介)(第七五一号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(森田俊和君紹介)(第六四一号)

 同(岸本周平君紹介)(第六六七号)

 同(小熊慎司君紹介)(第六八八号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第六八九号)

 同(櫻井周君紹介)(第七三三号)

 教職員の業務の見直し、定数増の早期実現等に関する請願(岸本周平君紹介)(第六八四号)

 学費負担の軽減のための私大助成の大幅な増額に関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第六八七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五二号)

 特別支援学校の実効ある設置基準策定に関する請願(小熊慎司君紹介)(第六九〇号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第六九一号)

 同(櫻井周君紹介)(第七三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長金子修君、財務省大臣官房審議官窪田修君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長下間康行君、総合教育政策局長藤原章夫君、初等中等教育局長伯井美徳君、高等教育局長増子宏君、高等教育局私学部長森晃憲君、科学技術・学術政策局長千原由幸君、スポーツ庁次長串田俊巳君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官宮本直樹君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。国光あやの君。

国光委員 茨城六区選出の衆議院議員の国光でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私、実は当選以来、文部科学委員会に是非所属させていただき、そして大臣に是非御質問をしたいと思っていた御質問があります。今日その日が五年ぶりにやってまいりまして、大変うれしく思っております。

 それは何かと申しますと、私の地元が日本で一番の研究学園都市つくばであることに起因します。大臣の御地元にも、すばらしいポートアイランド、神戸にございますし、また、関西地域、今日も関西の先生方たくさんいらっしゃいますが、京阪奈研究学園都市がございます。そして私の地元のつくば。いずれも国策によってかなりの公費を投入をしてできた町であります。

 日本で一番その大きいのがつくばでありまして、お手元の資料を御覧ください。歴史は長く、戦後の高度成長期の東京の人口増加、人口があふれる、その中で、やはり科学技術をしっかり、クラスターをつくるということと、それから、やはり集団の官庁の移転、その二つの論点が相まって、五十年前から検討が始まり、一九七〇年代から建築が始まって、ちょうど五十周年を迎えているわけであります。

 私も実はつくばからいつも通っておりまして、今日も一時間四十分かけて、つくばからTXで、つくばエクスプレスで参りました。

 中身もなかなかすごいわけでありまして、当時、二ページ目を御覧いただきますと、約二兆六千億、いろいろな諸経費を足しますと三兆円、当時のお金で三兆円もかけてこの筑波研究学園都市をつくってまいりました。研究者は何と二万人。その半分がPhD、博士号を取得しておられます。ノーベル賞受賞者は四名誕生いたしております。研究機関は約三百、そして国等の研究機関、約三十機関ございます。

 文部科学省の所管の、例えば半導体、TSMCはどこに来たかというと、つくばの産総研です。また、宇宙政策、JAXAもつくばにあります。様々なイノベーション、また、ちょうど今、教職員の研修の充実が必要ですが、その研修プログラムを作るのも教職員支援機構、これもつくばにございます。

 つまり、国策の多くを担っているのがこの筑波研究学園都市なんですが、ここからが是非大臣にお伺いしたいところでありますが、これだけの大きな投資と、そして人の移動、クラスターをつくったわけであります、日本で一番です。

 ただ、地元を私よく、研究所、研究者、どぶ板と自分で名づけているんですが、全部の研究機関に行きました。そして、約五千人ぐらいの研究者にも会ってまいりました。皆さん、でも、共通して一つ言うことがあります。それは、五十年たったけれども、つくばってやはりちょっと再起動が必要なんじゃないかと。それは何ですかというと、この資料を見ていただいたときに、各国立研究所、各省庁ごとにぶら下がっているわけですが、普通考えると、委員の先生もうなずいておられますが、何が起こるかというと、やはりちょっと縦割るんですね。

 例えば、半導体でも、気候変動が分かりやすいかもしれませんが、環境省は国立環境研究所にいろいろなことをお願いする。ただ、例えば、産総研、経産省に直轄して、産総研は経産省のお話は聞くが、なかなか、環境省であったり、ほかの大きな内閣府のお話であったり、余り直轄として聞かれない。

 ただ、研究者としては、フィールドは研究がまたがっているので、もう少しエコシステム、今のはやりのワードは、国際的にもオープンイノベーション、エコシステムです。アカデミア、そしてそれから産官、しっかり連携をしてつくっていくというのは非常に重要ですが、もう少し、ここまで投資してつくってきた町ですから、やはり投資を最大限生かすためにも、もったいない。これを再起動するためには、私個人的には、そのハブ機能をしっかりつくる。これは、ボストンやシリコンバレーやオックスブリッジでは、ハブ機能をちゃんとしています。

 そしてもう一つは、やはり研究費。これは、縦割りの研究費を各省庁が上げてもしようがありません。やはり、例えば総合科学技術会議の、例えばいろいろなPRISMやSIPのような大型研究費、省庁縦割るんじゃなくて横断的、あるいは文科省が所管している共創の場、この大型の予算なども各分野横断的にまとめる研究費でありますが、こういうものを活用すべきだと思います。

 この点につきまして、大臣から、是非、大所高所のこのつくばに対する今までの総括と、それから今後の期待について、是非御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

末松国務大臣 おはようございます。

 国光先生にお答え申し上げます。

 五年たたれて、初めての文科省の委員会で質問ということでありますけれども、それにふさわしい答弁であるかどうか分かりませんが、お答えさせていただきたいと存じます。

 筑波研究学園都市には、大学、研究機関が数多く集積をいたしてございます。研究機関の所管が各府省庁に分かれておりまして、国光先生御指摘のとおり、省庁縦割りの状況、一定程度存在をいたしてございます。私も、もちろん参りました。二十九機関のうち、文科省で十機関あるというように認識をいたしております。

 一方、近年、特区指定や起業を目指す方が活動する施設のインフラ整備など、研究学園都市としての機能を高める取組を自治体自らが進めておりまして、つくば地域全体のイノベーションの環境は着実には向上しているというように、そういうように認識をいたしております。大変にぎわいを見せております、昨年行きましても。

 それで、文部科学省といたしましては、つくば地域におけます所管大学あるいは研究機関への支援を行いますとともに、省庁縦割りの克服も含めた研究学園都市としての機能の強化に向けまして、一つには、研究機関や研究者の先生方のネットワーク強化を行う産学官連携の拠点形成であるとか、あるいは地域のハブとなるつくばグローバル・イノベーション推進機構での取組の支援とか、山海嘉之先生も、これは一旦事業が収まっていますけれども、こうした例であるとか、あるいは大学発の新産業創出プログラム等を通じたつくば市や筑波大学等へのスタートアップなど、こういった支援を進めてはきてございます。

 でも、一番大事なのは、やはり先生おっしゃるように、産学、課題を与えて、それぞれネットワークをやはり築いていくということでありまして、縦割りの予算制だけでそれぞれが事業を進めていくだけでは、やはり効果的ではないという認識でございます。まさに先生がおっしゃったような、総合科学技術・イノベーション会議等々のこともあると思います。

 また、今月十日には、つくば市をスーパーシティ型国家戦略特別区域として指定することが決定したところでございます。筑波研究学園都市の更なる発展に向けまして、関係府省やあるいは自治体と連携を密にした上で、引き続き支援を進めてまいりたいと思います。

 私の地元でも、神戸の研究学園都市もございます。同時に、松本剛明先生の近くには、播磨科学公園都市、八GeVSR、大型放射光ですけれども、二十五年たったんですけれども、つくばに行って、やはりつくばをむしろ見習うべき点が多いなというのは、実は認識でございます。よろしく御指導のほど、お願い申し上げます。

国光委員 大臣、ありがとうございます。

 是非、世界に羽ばたくイノベーションを、神戸、そしてまた関西、更につくばから、世界に伍する研究学園都市をつくっていくことも大学と並んで重要なことだと思います。是非よろしくお願いできればと思います。

 続きまして、同じくイノベーションで、同じように、先ほど研究者、どぶ板と申しましたが、たくさんの研究者の方にお会いする中で、やはりこれまた共通する課題がございます。大臣の御地元も同じかもしれません。何が困っていますかと聞きますと、本当は、基礎研究費のお話かなと思ったりして聞くわけですが、そうじゃないんですね。一番初めに出てくるのは何かというと、人材が、若手の人材が急激に減っていますというお話です。例えばそれが宇宙政策であっても、半導体であっても、グリーン、気候変動であっても、コロナ始めライフサイエンスであっても、みんな同じです。

 それはなぜかというと、やはり博士課程、それは文科省さん、すごくしっかり力を入れておられます。博士課程、そしてその後のポスドク、もうこれは九〇年代からの、長年の課題でありますけれども、やはり紆余曲折あって、いろいろなことを取り組まれてこられたのはよく分かります。

 ただ、例えば、やはりアカデミアポストを、企業に随分行かれるPhD取得者も増えてきて、それは喜ばしいことかと思います、ただ、これほどまでに、グローバルにイノベーションが必要なときに、やはりなかなか、いわゆる例えばポスドクの、採用したい方の量と質が非常に減ってしまっている。

 逆に、若い方に聞くと、キャリアパス、博士課程への支援を、様々な生活費の支援など、年間二百万から二百四十万ほど、全体の数の約三割目指して取り組んでおられるのはすばらしいことかと思います。ただ、彼らが言うのは、それはありがたい、ただ、その先、やはりテニュアという常勤職員になる道筋が余りにも見えにくい。

 なので、本当に、なかなかアカデミアポスト、こちらのつくばの研究所のような国立研究機関に就職をするという判断、アプライするという判断は非常に勇気が要るということが非常にあります。

 この点、是非文科省さんにお伺いしたいんですが、博士課程へ進む数が少ないこともそうですし、それから、その後のポスドク、いまだに処遇格差が民間とはあって、なかなかアカポス、アカデミアポストを選んでいただけない状況が今あります。それについての対策を是非改めてお伺いさせてください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のアカデミアにおける優れた研究人材の育成、確保に向けて、まずは、将来のアカデミアを担う優秀な学生が経済的な心配やあるいはキャリアパスの不安、そういったことなどにより博士後期課程への進学を断念することのないよう、その処遇の向上等を図っていくことが不可欠と考えてございまして、ここは、先ほど先生に御指摘いただきましたように、博士支援のことをしっかりまずはやらせていただいておるところです。

 これに加えまして、若手研究者の処遇向上や魅力的な研究環境の確保も重要でございまして、文部科学省といたしまして、各大学や研究機関が若手研究者を有期雇用する際の研究環境やキャリア支援の在り方などを定めたガイドラインの策定でございますとか、あるいは、若手研究者等を中心に最長十年間にわたり研究支援を行う創発的研究支援事業の推進、あるいは、国立大学における若手ポストの確保など人事給与マネジメント改革を考慮した運営費交付金の配分の実施などの取組を進めているところでございます。

 今後とも、優秀な研究人材の育成及び確保に向けてしっかり取り組んでまいります。

国光委員 ありがとうございます。

 イノベーション人材は本当に国益のためにも重要です。是非更なる飛躍をよろしくお願いできればと思います。

 続きまして、話題は変わりまして、自治体間の教育の格差についてお尋ねしたいと思います。

 委員の皆様の御地元も、恐らく、お耳にされたこともあるかもしれませんが、このコロナ禍、第六波、蔓防は終わりましたが、まだちょっと下げ止まっているという状況がございますが、皆様、先生方の御地元の学校の休校、つまり臨時休業、この対応について、何らか、例えば、緩み過ぎている、これも非常に難しくて、緩過ぎても厳し過ぎても難しいところです。

 私自身は、元々内科医ですので、感染症の立場から、いろいろな文科省のガイドラインを策定している先生方ともよくお話を伺います。

 今お手元に資料をお配りをしているんですが、どことは申しませんけれども、これは、先生方、御地元の数字を確認してください。この休業の割合が高い県は、果たして感染状況が激しい県でしょうか。かなりばらつきがあります。

 それは、それぞれにその設置管理者の判断があるわけですが、これ、私も半分医師の立場として、そしてまた一人の子供を持つ母として、ちょうど中学生の子供がおりますが、専門家の意見を伺っても、やはり全体的にちょっとやり過ぎている県、例えば、大して感染もないんですけれども、ちょっと不安だからやはり休校にしておこうという判断が結構この第六波の中ではあって、それが、いきなり直前にそれをアナウンスされるものですから、非常に不安が、混乱が大きかったということは方々から伺っております。

 そこで、今後第七波も懸念される中、ゴールデンウィーク後には多少また感染者は増えるかと思います。同じことに直面します。そういうときに、ガイドラインももう作っておられますが、「その他、設置者で必要と判断した場合」という、裁量の余地が非常に大きいですけれども、是非その際には、感染症の専門家の意見、これは小児科学会でさえも、なるべく休業は慎重にと今言っているんです。その辺りの判断も是非お伺いしたいと思いますので、取組をお願いできればと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、学校における新型コロナ対策に当たりまして、感染防止と、それとともに、子供の健やかな学びの両立というのが何より重要と考えております。

 学校の臨時休業は、御指摘いただきましたように、各学校の設置者が地域の感染状況等を踏まえて判断するものでございますが、文部科学省としては、その設置者における適切な判断に資するよう、専門家の意見を踏まえまして、衛生管理マニュアル等において、地域一斉の臨時休業はやはり慎重に検討する必要があるということを示すとともに、臨時休業の基準等を定めたガイドラインの運用に当たりまして、臨時休業を行う場合でも、まずは感染者が所属する学級を閉鎖するなど、必要な範囲、期間で実施するよう求めてきたところでございます。

 加えて、学校全体を臨時休業する前に、時差登校、分散登校、オンライン学習等を組み合わせたハイブリッド学習など、設置者にそういったことを要請し、多くの自治体では様々な取組をしているというふうに承知しております。

 こうした方針につきまして、今後とも、機会を捉えて各学校設置者に対して周知し、適切な対応を促してまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 感染症分科会でもかなり議論になった課題でございます。是非、適切な、バランスの取れた、子供の学びの尊重を思った休業対策をお願いいたしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 四国比例ブロック選出の新人議員であり、先日、荒井先生が元校長先生だと言われておりましたが、私も中学校の教員として二十四年間勤務してまいりました。四年前まで中学校の教頭をしておりました。本日は、文部科学委員会での初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 公明党は、三月十日に、不登校が急増する現状に対し、子供たちが安心して学ぶことができるよう、不登校プロジェクトチームを立ち上げました。私自身、国会議員になったときには真っ先に質問をしたいと思っていたのが、この不登校問題であります。様々なところで言われており、皆様方も御存じのとおり、今の日本の不登校児童生徒数は増え続けており、八年連続で史上最多を更新しております。

 では、その不登校とは、実際にどのような状態にある児童生徒のことをいうのか、御存じでしょうか。お手元の資料を御覧いただければというふうに思います。

 今言われている不登校児童生徒というのは、文部科学省が一年に一度行っている、問題行動、不登校、生徒指導上の諸問題に関する調査における数値であります。この調査は、そこにありますように、暴力行為やいじめ、長期欠席、不登校、中途退学、自殺等、八項目の調査を行っています。

 その中の、四、小中学校の長期欠席、五、高等学校の長期欠席という項目があり、年度で、一年間、四月から三月までに三十日以上欠席した児童生徒が長期欠席者になります。さらに、その年間三十日以上休んだ長期欠席者の内訳、理由として、一、病気、二、経済的理由、三、不登校、そして、近年の新型コロナウイルスの蔓延に伴い、新たに四、新型コロナウイルスの感染回避が加わり、五、その他を合わせた五項目に分けられています。

 そこで、まず初めに、この国の調査において、三十日以上の欠席者が長期欠席者としている根拠はどこから来ているのか、お伺いいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の長期欠席の定義につきましては、一九九二年三月に取りまとめられた学校不適応対策調査研究協力者会議の報告におきまして、きめ細かな支援を行うためには詳細な実態把握が必要であるため、三十日以上欠席した児童生徒数等の把握が必要であるとされたことから、その一九九二年に実施された一九九一年度、平成三年度調査から、年度間の欠席日数について、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、年度間三十日以上欠席した児童生徒を不登校児童生徒というふうに定義したものでございます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 私がどうしてここでこのことを質問したかといいますと、先ほども言いましたように、私、中学校現場で働いてまいりましたし、県教育委員会に勤務していたときには、実はこの調査の担当をしておりました。

 実は、今大変気になっていることがあります。日本の小中高等学校の不登校生徒は合わせて二十三万九千百七十八人であり、先ほど申しました長期欠席者は三十六万八千七百二十四人であり、史上最多を更新中であります。さすがにこの現状を文部科学省、各都道府県教育委員会、市町村教育委員会を始め、もちろん学校の現場、教員も課題と思っていない人はおらず、様々な取組が今行われています。

 公明党は今までも、二〇一六年の教育機会確保法の成立を強力に推進してまいりましたとおり、民間のフリースクール等と連携して、不登校の子供たちのために多様な学びの場を整えてまいりました。こういった子供たちが学校以外のところで学ぶといった、そういった分野の進展は今は本当に目覚ましいと思いますが、不登校は増え続けています。

 私はやはり、この不登校問題の本丸は、子供たちが本来安心、安全に通うべき学校がしっかり子供たちを理解し、受け止め、信じ、粘り強く寄り添っていく、学校の支援力の向上こそがその問題の肝であるというふうに思います。

 そこで、現場では、教育委員会が主導しまして、特にこの時期から、年度が始まる前から、教育委員会は不登校の多い学校へ行きまして、何とか減らそうということで、加配教員なんかもたくさんつけていただきながら、頑張って取組を行っております。

 しかし、実際には、今子供たちが不登校になる要因は非常に多岐にわたっており、例えば発達障害の問題や虐待、最近では親の代わりに兄弟や祖父母の介護や家事を行うヤングケアラーの問題など、多様な問題が絡んでおり、そういった要因をしっかり理解し、支援を進めていかないと、なかなか子供たちが学校に来れるようになりません。

 よく見られるのが、今まで兄弟が不登校で、両親がかかり切りで頑張って、やっと登校できるようになったと思ったら、今度はその兄弟が不登校になるというケースがよくあります。これは、本人は無意識であると思いますが、今まで弟やお兄ちゃんが不登校でなかなか自分のことまで気にかけてもらうことが厳しかったが、やっと自分もずっと我慢してきたしんどさが無意識に出てきたとか、そういったような不登校の形も見られます。

 そういうことで、不登校問題は一朝一夕で減少する簡単な問題ではないんですが、教育委員会も必死になって減らそうとしていますが、実は、三十日以上が今の基準ですので、早い子は五月や六月にはその数値を超えてしまいます。

 実は、私が二年前に、年度末の三月、ある小学校を訪問させてもらったときにこういうお話を聞きました。小学校二年生のときからずっと全欠席、一日も三年間学校に来ることができなかった子供が、五年生の一月から登校できるようになって、それから一日も休まず学校に来ていますというふうなことを聞きました。大変うれしそうに報告されていました。

 結局、六年まで元気にその後通ったということなんですけれども、この三年間、この子供さんは学校に来ていなかったけれども、担任の先生や学校の先生方は、家庭訪問をその間ずっと行き、手紙を渡したり、クラスメートに書いてもらったり、また、一番しんどい思いというか、保護者の方もしんどい思いをされていますので、保護者の方と支援会を定期的に開いて、保護者の方もしっかりと激励しながら取り組んでこられました。これは、三年間の学校挙げての地道な取組の成果であります。

 しかし、私は、不登校支援はまさにここが大切であるというふうに思います。このことは、その学校の支援力の向上のあかしであり、今後その学校において不登校児童生徒を生じにくくさせる。私は、不登校支援の肝、本丸に当たる部分だと思うんですが、今の文部科学省の調査のこの三十日以上の欠席で見ると、先ほど取り組んできたその生徒の一人はどこにも反映されないというか、見えてこないというふうな形になるんです。だから、三十日以上欠席なので、今、大体年間が二百日なんですけれども、三十一日欠席から二百日までの間のここの部分の変化というのが非常に見えにくいような状況になっております。

 そういったところで、私も、中学三年生のときに担任をすることが多かったのですが、例えば、不登校の生徒さんが最後の一日、卒業式に出れるかどうかというのは大変重要なものですから、その一日にこだわりました。何とかみんなと一緒に参加、無理なら別室で卒業式をやってあげたい、それで無理なら校長室というふうに、その一日にこだわりました。そのことがやはり、その子供の長い人生を見たときに、卒業式に出れたということが少しでも自信になるのではないかとこだわってまいりました。そうやって最後の最後の最後の一日までこだわっていく、これが、やはり今、不登校の支援の中で学校に求められていることではないでしょうか。

 しつこくなりますが、やはり、五月、六月に今の基準では達成してしまいますけれども、しっかりと最後まで取り組んでいくことが重要だと思います。

 そこで、私は、不登校支援の本丸である学校の支援力の向上をしっかり把握し、適切に評価、また改善させていくためには、現在の文科省の調査の長期欠席の定義である年間三十日以上の欠席ではなく、例えば、前年より一日でも欠席数が減少した生徒数や学校全体の欠席率、そういったところをやっていけば、年度末までしっかり取り組んでいる学校や教育委員会、また逆にそうではないところもしっかりと可視化できる、そういった指標を作ることが重要ではないかと思いますが、文科省の見解をお伺いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、不登校児童生徒の個々の状況は多様で様々でございます。このため、文部科学省といたしましては、実際の支援に当たっては、年間の欠席日数が三十日以上であるか否かにかかわらず、相当の期間学校を欠席する児童生徒に対して児童生徒の状況に応じた支援を実施することが必要であると教育委員会に対して周知し、教育委員会におきましても、欠席期間がより長期にわたる不登校児童生徒への支援について、不登校特例校や教育支援センター等の設置促進、あるいはフリースクール等の民間団体との連携、ICTを活用した支援等、様々な取組、あるいは、今、山崎先生から御指摘いただいたような創意工夫をしているところでございます。

 そこで、年間三十日以上の欠席という調査上の定義を変更することにつきましては、調査の継続性あるいは学校の負担という点にも十分留意する必要がありますが、先生御指摘のとおり、教育委員会や学校の取組の努力あるいはその効果が、改善効果というのが見えるような調査上の工夫をするということについては、これは検討しなければならない重要な課題だと認識しております。

 引き続き、不登校児童生徒の支援充実に努めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 先ほども言いましたように、年間二百日の授業日数で三十日以上だと百七十日は来ているわけなんです。そこが、百七十来ている子供たちが不登校に当たるのかというと、少し、やはり現場感覚でいうと違和感があります。

 逆に、文科省は先ほど調査の継続性を言われましたけれども、九十日以上の子供さんの欠席数も取っていると思うんですけれども、九十日以上だと約三か月になります。これは一学期分来ないということになりますので、そちらの方が非常に説得力があるかなと思いますし、もう一個取らなければならないのは、全部欠席している全欠の子供さんというのはしっかり把握して支援していかないと、やはり、イコールではありませんが、引きこもりになっていく、そういったリスクもあるのかと思います。是非、そういったところにこの調査のスポットというか力点を当てていくような今後の調査の改革をお願いしたいと思います。

 それで、もう一点だけ、済みません、ちょっとテクニカルなことになりますけれども、もう一度資料を見ていただきますと、少し気になっているのが、長期欠席者がいまして、病気、経済的理由、不登校、コロナウイルスの感染、その他に分けているんですけれども、実は、こういうことがございました。

 私がいた高知県も非常に不登校の数は厳しかったんですけれども、同じように非常に厳しい都道府県があったんですけれども、ある年、突然、その都道府県が急によくなったので、どんな取組をしたんだろうと思って聞いてみたら、特に余り変わった取組はしていなくて、何が起きていたかというと、実は、不登校の数が減って、発達障害だからといって病気にスライドしたり、その他にスライドさせていたりということがあります。

 どういうことかというと、不登校の子供さんが、朝、おなかが痛いと言ったら病気に回って、行きたくないと言ったら不登校になるという、結局、不登校がかなりスポットされてマスコミとかいろいろなところで攻撃されるので、不登校の数を減らすために、両サイドに、その他や病気が増えているという、そういったことは意味があるのかなというふうな、この調査の矛盾点を非常に感じるところでございます。

 そういったところも含めて、改めて、先ほど言ったような点も含めまして、しっかりと調査の精度を上げていく、今こそこの調査の抜本的な改革が必要ではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

末松国務大臣 山崎先生の作られた資料、不登校の定義ということ、やはりこの言葉、一くくりではできないなということで、よく理解ができました。

 先生御指摘のとおり、不登校を含む長期欠席児童生徒につきましては、統計上の人数のみから児童生徒の支援に取り組む学校の努力が見えにくい現状にあると考えてございまして、単に人数の増減のみを強調すべきでないというのは私の考えでもございます。

 一方で、学校に行きづらい兆候のある児童生徒が、こういった子供たちを早期から把握をしまして、一人一人に応じた支援を行っていくということがまず重要ではないかと思います。

 引き続き、三十日以上の欠席を対象とする従来の定義により、不登校を含む長期欠席児童生徒数を把握していくことも必要であるという認識であります。先生冒頭おっしゃったように、今日はおなかの調子がよくない、行きたくない、これは不登校の中に、範疇に入っていくということ、この辺りのこともよく理解をいたしてございます。

 文部科学省におきましては、在籍する学校や居住地域にかかわらず、不登校児童生徒が必要な支援が受けられることが重要であると考えます。このため、特に、長期間欠席している児童生徒数や不登校児童生徒の支援状況等、より詳しい実態をしっかり分析するとともに、学校の取組を応援できるように、不登校児童生徒の支援の好事例を周知するなど、必要な施策の充実に取り組んでいきたいと思います。常に見直しながら、考えながら進んでいきたいと思ってございます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 文部科学省は様々な細かなところも調査していただいているのを知っているんですけれども、どうしても人数のところにスポットが当たりますので、そういったところを配慮して考えていただけたらと思います。

 済みません、時間になり、これは要望だけなんですけれども、最後に、公明党がずっと力を入れてきました奨学金支援制度についてであります。

 本当に、所得連動型の返還支援制度、貸与型の奨学金に対する所得連動型の支援制度について、現在は、平成二十九年以降の学生さん、さらに、無利子奨学金の人のみが対象となっておると思いますが、是非、この所得連動型、私など高知の地方におりましたら、二人が奨学金の返還をしている場合には、やはり二人目、三人目の子供を産むときにちゅうちょするんだという声があります。是非、既卒者や、また有利子者も対象にしていただきまして、この所得連動型の奨学金の返還支援の充実をお願いしたいというふうに思います。時間がありませんので、これも要請で終わりたいと思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。大変にありがとうございました。

義家委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 間もなく新年度になります。子供たちにとっては入学、進級のシーズンですが、この時期になると、学生服を買えない子供たちがいるといった問題が報道に上がってきます。

 学生服を買えない子供たち、三月二十八日のFNNプライムオンラインでも、「「学生服を買えない子どもたちがいる」定価の二割で提供…再利用で後輩へバトンタッチ」という記事が配信されています。

 平成二十八年三月九日にも、本委員会で、西日本新聞の「制服買えず入学式欠席」という記事を取り上げて、制服の問題を訴えさせていただきましたけれども、いまだに学生服は保護者の大きな負担になっています。

 FNNの記事にもありますけれども、最近では制服のリユースという動きも広がり始めており、この動きはこれで非常によい取組で、しかし、根本的な解決にはなっておりません。

 本来であれば、学校に着ていくことが決められている制服ですから、家計の心配をすることなく、全ての子供たちが購入できるものでなければならないと私は考えています。

 大臣にお伺いいたしますが、来年からは子供たちが制服を買えるか買えないかという心配をすることがないよう、そしてこのような記事や話題が出てこなくなるよう、文科省にはしっかりと御対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 坂本先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、制服の購入費を含む入学時の学用品費につきましては、市町村が、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の保護者に対する就学援助を行ってございます。先生は市長をされておられましたから御存じと思います。

 このうち生活保護法に規定します要保護者への支援につきましては、国が経費の二分の一を補助しているところでございます。

 平成三十年度の新入学予定者からは、これまでの運用を改めまして、入学後となっておりました国庫補助の対象を入学前の支給に広げてございます。また、各自治体に対して、通知や各種会議等を通じまして、入学前の支給の実施を促しているところでございます。

 数字を見ますと、平成二十九年度、中学校で九・三%でしたけれども、令和三年度、八五・一%まで上がってはまいりました。

 このように、これらの取組を通じまして、今申し上げたように、令和三年度、八割を超える自治体において入学前支給が実施されるなど、取組は着実に増加をいたしておりますけれども、まだまだ僅かに、自治体、できていないところがあろうかと思っております。促してまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 家庭の所得にとらわれずに、子供たちにとっては安心して学校に入学できるような体制を整えていただきたいと願っています。

 次に、コロナ禍における子供たちのオンライン学習についてお伺いいたします。

 先般、埼玉県主催による、コロナ禍における国に対する様々な要望を知事御説明の下にいただきました。

 その中で、GIGAスクール構想により、端末や通信機器の整備支援が国よりなされているものの、通信費についての財政支援は生活保護世帯に限定的であり、通信費の家庭負担の増大が課題となっています。

 大臣にお伺いいたしますが、児童生徒が自宅でオンライン学習をする際の通信費については、財政支援が一部の家庭に限られているために、国の責任において、児童生徒全員を対象として、財政措置を行っていただきたいとするものでありますけれども、お考えをお伺いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 GIGAスクール構想実現のために、全ての児童生徒が学校の内外を問わず端末を活用できる環境整備をするということが重要でございまして、そのような努力をいたしてまいりました。

 一方で、経済的な理由でその環境整備が困難な家庭があることも事実でございまして、国として支援していくことが重要です。

 このため、文部科学省では、経済的な理由で通信環境が整備できていない家庭の児童生徒に対しまして、貸出用のモバイルルーターの整備に係る経費の補助、そして就学支援制度等によるオンライン通信費相当額の支援を行ってきておりまして、特に通信費の相当額の支援については、令和四年度予算において増額を盛り込んでございます。年額は、低所得者世帯対象でありますけれども、一万二千円を一万四千円にアップさせるなどの対応をいたしてございます。

 また、自治体独自の取組としましては、家庭学習を含めた学校におけるオンライン学習を充実させるため、LTE通信、ロング・ターム・エボリューションですか、LTE通信などに契約済みの通信機能を付加した端末を全ての児童生徒に貸与している例もあると承知をいたしてございます。

 国としては、坂本先生御指摘のように、一律の支援は行ってはいないものの、GIGAスクール構想を実現していくに当たりまして、それぞれの事情に応じた真に必要な支援を行うことは重要と考えておりまして、引き続き、地方の声も聞きながら、国として必要な支援の検討、優れた取組事例の紹介などに努めていきたいと思います。

坂本(祐)委員 様々な取組を大臣自ら御掲示をいただきました。

 この件につきましては、埼玉県からのコロナ禍における重要な要望でございますので、おっしゃるとおり、何とぞまた引き続いて検討いただければと存じます。

 次に、ロシア軍によるウクライナ侵攻における学校教育活動の在り方について質問させていただきます。

 ロシア軍のウクライナ侵攻が連日報道されています。日本の子供たちもそれらの報道に接し、多くの子供たちがこの問題について関心を持っています。学校においても、授業の中でこのことを考える時間があったり、子供たちから先生に対して質問があったり、話題に上がることもあると考えます。児童生徒がこの問題を通して、戦争の悲惨さや平和の尊さを考え、政治、社会、歴史、国際社会の中における日本の現状などに関心を持つことは大変に重要なことであると考えます。

 また、選挙年齢の十八歳への引下げを受け、高校生の中には、実際に戦争が起きているという現実の中で、政治の重要性や政治家を選ぶ一票の重みを感じている生徒もいるのではないでしょうか。

 このような中で、学校の先生方が、今現実に起きているこれらのことをどのように子供たちに伝え、教えているのか。小学校、中学校、高校と、子供たちの成長段階によっても伝え方や教え方は違ってくると思います。

 文科省として、学校に対してどのように対応しているのか、お伺いいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今回のウクライナの件につきましては、我が国の多くの子供たちもニュースなどを通じて多くの関心を寄せているものと考えられます。そして、こうした現に起きている事象を通じて子供たちの学校における教育活動を深めていくことは重要なことであり、各学校が児童生徒の発達の段階等を踏まえながら適切に判断し、指導していくべき事柄というふうに考えております。

 学習指導要領におきましては、例えば中学校の社会科で、国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気づかせるようにすること、あるいは高等学校におきましては、地理歴史科や公民科で、国際社会における日本の果たすべき役割について考察させることなどとしておりまして、実際の学校現場では、こうした機会を捉えて、ウクライナの件にも触れながら適切に指導が必要に応じて行われているものというふうに考えております。

坂本(祐)委員 連日の報道を通じて、見るに堪えない非道な情報も多く報道されています。子供たちの中には心に傷を負ってしまう子もいるかもしれません。こういった子供たちのケアに対して、文科省はどのような支援をされているのか、伺います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような報道に起因いたしまして不安を抱える児童生徒を含め、様々な不安や悩みを抱える児童生徒に対しまして、心理の専門家であるスクールカウンセラー等と教師が連携協力し、児童生徒の心のケアを充実させることは重要であります。

 文部科学省におきましては、令和四年度予算におきまして、スクールカウンセラー等の配置の充実を図るとともに、電話、SNS等を活用した相談体制の整備を行うこととしており、そうした教育相談体制の強化に努めることとしております。

 引き続き、必要な支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 日本を取り巻く国際環境も大きく変化しています。これからの日本を担う子供たちも、我が国の平和をいかに維持していくか、世界の平和のためにどうやって貢献をしていったらいいんだろうかと、真剣に考えなければならない時代になってまいりました。文科省としても、丁寧に、そしてしっかりと子供たちのケア、そして学校の先生方のフォローをしていただければと存じます。

 次に、中学校運動部活動の地域移行について質問いたします。

 まず初めに、大臣にお伺いいたしますが、部活動の地域移行という大改革に当たり、これまでの学校教育における部活動の評価とこれからの部活動に期待することをお伺いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 学校部活動は、これまで、子供たちがスポーツに親しむ機会を確保しまして、学習意欲の向上であるとか、あるいは責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するとともに、競技力向上にも一定の寄与をしてきたということ、有意義であったということ、そのように考えてございます。

 しかしながら、先生も御心配のとおり、少子化の進展によりまして、学校単位での活動が極めて困難になってきたということ。二つ目、指導に携わる教師が必ずしも競技経験を有していないということが負担感につながっているということ。私の友人も、陸上の担当ですけれども、陸上経験なんか全くないということで顧問だけやっているという苦しい実態を聞きました。そしてまた、休日の勤務の大半を部活動の指導が占めている状況が指摘されているということ。こういったことなどから、子供たちのスポーツの機会の確保と適切な指導体制の構築や教師の負担軽減を両立させることが喫緊の課題であるというふうに認識しています。

 このため、文部科学省では、平成三十年度に部活動のガイドラインを策定しまして、学校と地域が協働、融合した形での地域におけるスポーツ環境の整備を進めることにいたしました。

 その後、令和二年九月に取りまとめました「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」では、まず、令和五年度から、休日の部活動について、地域主体のスポーツ、文化活動に段階的に移行する方針を示したところでございます。

 今後は、学校部活動の地域移行を見据えて、外部指導者の活用を一層進めるとともに、地域のスポーツ団体や民間事業者、保護者等の理解と協力を得ることで、地域との連携を深めていくことを期待をいたしております。

 文科省としても、こうした流れを強力に推し進めていきたいと思います。

坂本(祐)委員 大臣が御答弁をいただきました令和五年度から段階的にということでありますけれども、中学校における休日の部活動の段階的な地域移行が始まりますけれども、学校側、受入れ側の地域のスポーツクラブ等の開始に向けた環境整備、準備状況はどのようになっていますか。お答えください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 運動部活動の地域移行を進めるに当たりましては、地域の実情に応じまして様々な課題への対応が必要となってまいります。

 このため、令和三年度から、全国各地域におきまして、指導者や受皿の確保、費用負担等の様々な課題に対応するための実践研究を実施しております。来年度におきましても引き続き実施する予定としております。

 今年度の実践研究におきましては、全ての都道府県と十二の政令指定都市に委託をいたしまして、全国で約百の市町村、それから約二百三十の中学校におきまして取り組んでいただいております。

 文科省といたしましては、現在、本実践研究の成果を事例集として取りまとめているところでございまして、今後、こうした成果を全国に普及することで、地域移行の全国展開を図ってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 様々な課題に対して、今調べているということでありますけれども、部活動の地域移行を控えて、地元の関係者の方々からは実は懸念の声も上がっています。

 この部活動の地域移行については、令和二年九月一日に事務連絡で唐突に示されたと伺っています。これだけの改革を、事前の調査などもなく、一方的な事務連絡だけで進めようとしたのは、少し乱暴な進め方だったのではないでしょうか。

 この部活動の地域移行を進めるに当たり、スポーツ庁は、学校、教員、生徒、保護者、地域等、関係者の意向をしっかりと聞き、理解を得ながら進めてきたのでしょうか。お答えください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校におきます運動部活動の地域移行をめぐりましては、学校における部活動を維持すべきではないか、あるいは教師の負担感から、地域移行をすべきではないかなどなど、様々な立場からいろいろな御意見や御要望があるものと認識しております。

 そのため、文科省といたしましては、昨年十月、有識者やスポーツ関係者、学校関係者、地方自治体など、部活動を取り巻く多くの関係者から成る検討会議を設置しております。この中で、運動部活動改革に関する様々な課題について幅広く御議論をいただいているところであります。

 本年五月に検討会議において提言を取りまとめる予定としておりますが、この過程におきましても、関係者の意見を丁寧に酌み取るといった対応をしてまいりたいと考えております。

 また、地域の実情に応じた様々な課題に対応するため、先ほど申し上げたとおり、今年度から各地で実践研究を実施しております。その中で、地域への理解促進にも取り組んでいただいているものと考えております。

 文科省としては、こうした取組を通じまして、令和五年度以降の休日部活動の段階的な地域移行を着実に進めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 多くの関係者から丁寧にお伺いをされているということでございますけれども、私も二十数年間、地元では体育協会、今はスポーツ協会ですが、レクリエーション協会の会長も務めております。広くは日本スポーツ少年団本部長等も長年務めさせていただきました。スキーの関係では、全日本スキー連盟の副会長も長年、また、埼玉県の体育協会の会長も長年務めさせていただきましたけれども、こういったスポーツ団体に関係する活動もさせていただきましたけれども、地元を始め県レベルでも、このような形に対しては、各団体の代表者がそういった意向に応じているんでしょうけれども、大きく、末端まではまだこの話が浸透していないというところだと思います。

 かつて、私も、総合型地域スポーツクラブがこの受皿になるのではないかということを聞かされていたときがありますけれども、部活動の受皿の一つとして、今言った総合型地域スポーツクラブがあります。一部には、しっかり活動されて、十分に受皿となり得るクラブもありますけれども、現状、実態を見たとき、多くのクラブは部活動の受皿になり得る状況にはないと考えます。

 一部の事例だけを見て、実態を見ないで進められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 学校におけます運動部活動の地域移行に関しましては、その受皿の確保を始めとして、地域の理解と協力を得ることが非常に重要であると考えております。

 その際、地域によって様々な事情があることから、運動部活動の地域移行の受皿につきましては、総合型地域スポーツクラブを始めスポーツ少年団、プロスポーツチーム、民間事業者、大学など、多様な実施主体を想定しながら進めていく必要があると考えております。

 今年度から実施しております実践研究におきましても、総合型地域スポーツクラブを始めといたしまして、地域のスポーツクラブが受皿となっている事例、それらに加えまして、このほかにも体育協会あるいはスポーツ協会、それから民間事業者、競技団体、保護者会等が運営団体となっている事例もございまして、様々なモデルがこれまで創出されていると考えております。

 文科省としては、現在、研究の成果を事例集として取りまとめているというようなこともございまして、こうしたことなども参考にしながら、地域移行が進むよう取り組んでまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 スポーツ庁が行った平成二十九年度運動部活動等に関する実態調査報告書によりますと、非常に興味深いアンケート結果があります。報告書の百二十三ページにある保護者を対象としたアンケートでございます。

 まず、あなたは、部活動の顧問を担当する教員が部活動で行っている種目の活動経験がなく、実技指導が十分に行えない場合、どのように対処するべきだと思いますかという質問があります。この質問に対し、中学校の保護者では、教員とは別に実技指導が行える指導者を配置するが七〇・四%、顧問教員が実技指導をできなくても、学校の部活動は継続するが二〇・一%、これに対し、学校の部活動は行わず、実技指導者がいる地域の活動場所を勧めるが四・三%となっています。

 また、次の質問では、あなたは、持続可能な部活動に向けた在り方について、どのように考えますかという質問があります。この質問に対し、中学校の保護者では、多少お金がかかっても実技指導者を配置するが三三%、できる範囲で今までどおり学校、教員が担うが四〇・八%、将来的に学校から地域の活動へ移行させるが七・三%となっています。

 以上の結果から、中学校の保護者の中では部活動の地域移行を望む声は少ないということが分かります。高等学校の保護者についてもほぼ同様の結果となっています。

 この結果をスポーツ庁はどのように考えますか。また、これまでの運動部活動の地域移行に関する検討会議の中で、このことについて議論されたでしょうか。お伺いいたします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度に文科省が実施いたしました運動部活動等に関する実態調査におきまして、保護者を対象としたアンケートを行っておりますけれども、その中で、運動部活動が抱える課題を解決する方法として、地域移行に期待する声は必ずしも大きいものではなかったということは認識しております。

 一方で、同時に行いました教師を対象としたアンケートにおきましては、地域移行を望んでいる方が多いということも明らかになっているわけでございます。

 文科省としては、こうしたアンケート結果等も参考にしながら、平成三十年には部活動のガイドラインを策定いたしまして、様々な改善方策に取り組んでまいりました。

 一方でまた、学校の運動部活動につきましては、少子化の進展などもありまして、様々な課題が指摘されているところであります。このため、これまでも申し上げてまいりましたが、昨年十月、日本PTA全国協議会や全日本中学校校長会等の学校関係者も含めまして、検討会議を立ち上げました。それぞれのお立場から御意見を頂戴しながら、議論を進めているところでございます。

 御指摘のアンケートにつきましては、この検討会議の討議資料の一部として示していることもございます。

 この検討会議につきましては、先ほど来申し上げていますように、本年五月を目途に提言を取りまとめてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 保護者の意向につきましては先ほどの調査報告書で分かるわけですけれども、保護者以外の生徒や学校、教員、地域などについては、意向を知るためのある程度規模の大きい調査が必要だと思いますが、こういった調査は行われているでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度に文科省が実施いたしました運動部活動等に関します実態調査におきましては、保護者のほか、教師についても地域移行に対する意向を調査しておりますが、生徒や地域住民等に対しての調査は行っていないところでございます。

坂本(祐)委員 調査が行われていないということでございますので、学校や教員、地域、そして最も意見を尊重するべき子供たちの意見はどうなのか、大いに気になるところでもあります。

 地元の関係者の話では、受皿となる地域もほとんど受入れ体制が整っていないという声も聞きます。先生方の中には、戸惑いのある先生方もいらっしゃるという声もあります。

 この部活動の地域移行は、多くの関係者が本当に望んでいるものなのでしょうか。部活動の大改革です。学校、教員、保護者、地域など皆さんの協力がないと、真に子供たちの教育や成長のためになる部活動の地域移行はできないのではないでしょうか。一度しっかりと調査を行ってみるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校におきます運動部活動の段階的な地域移行を進めるに当たりましては、御指摘のとおり、学校関係者や保護者、地域のスポーツ団体などの意見、意向を丁寧に把握しながら、連携協力して取り組むことが重要であります。また、指導者の確保など様々な課題への対応が必要となってまいります。

 そのため、今年度から、全国各地域におきまして、先ほど来申し上げておりますように、指導者、それから運営団体、理解促進等の課題に関します実践研究を全都道府県、政令指定都市等において実施しております。

 また、昨年十二月には、有識者によります検討会議を設置しておりまして、こうした中で様々な意見を幅広く把握しながら、スポーツ環境の整備方策、指導者の確保方策などの議論を行っているところであります。

 議員御指摘の関係者の意向調査を実施することも一つの手法として考えられるとは思いますけれども、文科省といたしましては、全国各地域で実施しております実践研究における実情、それから、この検討会議での議論や意見聴取などから、様々な立場の関係者の御意見やお考えを丁寧に、また幅広く把握してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 学校の先生方のためにも、働き方改革は早急にしっかりと進めるべきと考えます。しかし、その進め方が大切だと思いますので、様々な方々に幅広くとおっしゃっておられるので、是非、その方向で更なる調査等を進めていただければと願っています。

 さて、続いての質問ですが、現行の中学校の学習指導要領は平成二十九年に改訂され、令和三年度から全面実施となっています。この学習指導要領に、部活動については、引き続き学校教育の一環と位置づけられています。一方で、令和二年九月一日の「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」の事務連絡では、令和五年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとしています。

 この学習指導要領と事務連絡につきまして、矛盾する内容になっていないでしょうか。御見解をお伺いいたします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 部活動につきましては、御指摘のとおり、学習指導要領の総則に定められました学校教育の一環として実施される活動でございますが、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものでございまして、その設置、運営は法令上の義務ではないという状況でございます。また、仮に設置される場合でありましても、必ずしも教員が指導等をしなければならないものではなく、部活動指導員や外部指導者が担うことも可能な状況になっております。

 また、学校で実施されます運動部活動は、これまでも申し上げておりますが、少子化の急速な進展、学校の働き方改革などの変化などにも直面しているところであって、子供たちにとって望ましいスポーツ機会の確保とともに、適切な指導体制の構築、教師の負担軽減などの早急に取り組むべき課題があると考えております。

 このため、文科省では、平成三十年に部活動のガイドラインを策定し、また、令和二年九月に取りまとめました「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」におきまして、まずは令和五年度からの休日の部活動につきまして地域移行を進めるという方針を示しております。

 この中で示されました通知におきまして、具体的な内容は、改革の方向性として、休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境の構築や、地域においてスポーツ活動を実施できる環境整備等を示した上で具体的な実現方策とスケジュールを取りまとめたものでございますので、教育内容的なものを示している学習指導要領との矛盾は生じていないものと考えております。

坂本(祐)委員 昨年十二月二日にスポーツ庁で開催された第二回の運動部活動の地域移行に関する検討会議で、有識者として東北大学大学院教育学研究科教授の青木栄一先生が出席されています。青木教授の御説明資料を拝見いたしますと、主に教員の長時間労働の問題点について御説明されていらっしゃいますが、資料の二十ページに、部活動について、民業圧迫か、失われたマーケットという説明資料があります。民業圧迫の観点から議論し得る、土日どちらか一日部活を年間五十週やるなら全国で五百億円のマーケット、生徒、保護者、地域住民はフリーライド状態という説明があります。

 学校教育の一環として学校で行われているこの部活動についてこのように論じられているのは、私の個人的な感想としては違和感がありますけれども、一人の学者の意見ということですので、このこと自体は問題ではありません。

 スポーツ庁は、この検討会議に青木教授を有識者として招かれていますので、この件については大臣から、この内容についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 令和三年の十二月の二日に開催しました第二回検討会議におきまして、教員の労働時間研究の第一人者でございます東北大学の青木栄一教授をお招きしまして、平成二十八年度に文部科学省が実施した教員勤務実態調査における研究構成員として携わられたお立場から、教員の勤務実態について御説明をいただいたところでございます。

 その際、青木先生から、教員が長時間の無償労働を行っていることが民業に圧迫になっている可能性を考えなければいけないとの発言がございました。なお、御指摘の五百億円のマーケットという部分に関しまして、あくまで試算として教員の平均時給から計算したものであり、五百億円のマーケットが今無償で展開されているようにも見えますと発言されたものと聞いてございます。

 これらの発言でございますが、青木教授御自身のお考えや試算に基づいた見解を示されたものでございまして、貴重な御意見、御指摘の一つとしてその後の検討会議の議論に資するものであったとは思います。

 いずれにしましても、文科省としましては、こうした有識者の方々の意見も踏まえながら、地域移行を着実に進めて、子供たちにとって望ましいスポーツの環境の構築に取り組みたいと思ってございます。

坂本(祐)委員 大臣から御答弁をいただきましたけれども、学校の部活動に経済とかマーケットとかいう、そういったお話が出てくることに対して少し私は違和感を感じております。子供たちのためにこそある学校教育、そして、その部活動も子供たちのためにこそあるべきではないかと私は考えているからであります。

 次に、幾つか時間の都合で質問を飛ばしていただいて申し訳ありませんが、中体連のことについて御質問させていただきます。日本中学校体育連盟、中体連が行っている全国中学校体育大会について質問します。

 本年三月九日水曜日の読売新聞に、「全中に民間クラブ容認 二三年度から 中体連、要件緩和へ」という記事が出ました。この記事によりますと、日本中学校体育連盟が二〇二三年度から全国中学校体育大会への参加資格を変更し、民間スポーツクラブ所属の個人や団体でも大会に出場できるよう要件緩和の方針を決めたことが八日、関係者の取材で分かった。都道府県や市町村の予選にも広がると見られ、スポーツ庁が少子化などに対応するため推進している運動部活動の改革にも一役買いそうだということでございました。

 この記事が出る前に、スポーツ庁は中体連に対し、学校から地域移行したクラブ等に参加する生徒の大会参加資格を緩和するよう求めており、中体連もその指示のとおり検討を進めているとのことでしたが、二月には、スポーツ庁が令和五年度全国中学校体育大会の開催地であります四国ブロックの各県教育委員会に行って、令和五年度からの全国中学校体育大会の参加資格の緩和等が進まない場合には、四国大会について、国として後援や国庫補助金の支給をしない可能性があると伝えていたとのことを聞いております。

 この参加資格の緩和について進まない場合、後援や国庫補助金の支給をしないということを話されたのは事実でしょうか。スポーツ庁からお答えください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 中体連が令和五年度の全国大会から参加資格を緩和いたしまして、地域のスポーツ団体等も参加を認める方針を決めたということは承知しております。

 少子化の進展や学校の働き方改革の必要性によりまして、運動部活動は、今の形で維持していくということは極めて厳しい状況に至っております。子供たちが地域でスポーツに親しむ機会を確保していくためにも、地域のスポーツ団体等に所属する生徒の大会参加の機会を確保、充実していくことが求められていると考えております。

 このため、文科省といたしましては、これまで、部活動ガイドライン等におきまして、中体連等に対して大会参加資格の緩和などの大会の見直しを要請してきた状況にございます。継続的に実務担当者によります意見交換や協議を続けていたということもございます。

 また、今般の検討会議におきましては、地域のスポーツ団体等も参加できる大会開催を推進するという観点から、大会開催に係る支援の在り方の見直しについても検討会議の場で実際議論されているところでございます。

 御指摘の点につきましては、実務担当者によります意見交換の一環として、令和五年度に向けた大会の準備状況や、開催地自治体に対する国の補助金が実際支出できなくなった場合にどういった大会への影響があるかなどにつきまして、四国の各担当の方々にヒアリングを実施したものと考えております。

坂本(祐)委員 スポーツ庁が、わざわざ決定権のない四国の開催四県に伺って、こういったヒアリングを行う。まさに、後援と国庫補助金の件につきましては、中体連側とスポーツ庁の認識には隔たりがあるのではないかと感じます。スポーツ庁には、中体連側と誤解が生じることのないように、誠意を持って対応していただきたいと思います。

 中体連の大会に、学校単位のチームだけでなく、地域のスポーツクラブや民間のスポーツクラブが参加した場合、様々な課題も新たに発生することが想定されます。大会の出場チームの公平性はどう担保するのでしょうか。極端な例えかもしれませんが、部活動の地域移行が進んでいった結果、全国大会の出場チームが、スポーツエリートばかり集めた民間のスポーツクラブチームだけになってしまうことも起こり得ることではないでしょうか。

 運営側の問題もあります。現在は、地区の大会は学校の先生方が支えてくださっているとのことでございますけれども、参加チームが増えれば試合も増え、負担も増えます。働き方改革のための地域移行にもかかわらず、労働時間が長くなってしまうということもあります。

 また、全国中学校体育大会には、これまでの歴史や意義といったものがあると思います。学校単位で出場してきた子供たちやその保護者の納得は得られるのでしょうか。大会参加資格の緩和につきましては、クリアしなければならない課題がたくさんあります。

 大臣にお伺いいたしますけれども、もっと時間をかけて、再度関係者間で検討していただいた方がよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 中体連が主催をいたしますこの全国大会ですけれども、多くの中学生にとっては目標となってきた大会でございまして、その意義が大きなものであったと思います。

 しかしながら、少子化の進展や、教師の長時間労働の是正など、働き方改革が必要とされていることから、運動部活動はこれまでの形で維持していくことが厳しい状況でございまして、子供たちが地域でのスポーツに親しむ機会を確保していく観点から、地域のスポーツ団体等に所属する生徒も中体連主催の大会に出場できるようにすることというのは、一つは意義があると思います。

 一方で、地域のスポーツ団体等を出場可能とすることに伴いまして、参加者の増加による大会日程の調整であるとか、会場確保を始めとした大会運営面で負担増加など、先生おっしゃるように解決すべき問題がたくさんございます。

 こうした課題につきましては、まずは大会の主催者である中体連において対応策を検討していくことになると考えますが、文科省としましても、課題解決に向けて、中体連と、しっかり支援をしていきたい、問題点は共有をしていきたい、そのように考えてございます。

坂本(祐)委員 学習指導要領には、部活動について、「スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、」とあります。

 教員の働き方改革は重要ですし、そのための部活動の地域移行は我が党が進めている政策でもあります。しかし、今のままでは、部活動の地域移行を進めて本当に子供たちのためになるのか、また、これまでの部活動が担ってきた役割を地域が担っていくことができるのか。スポーツ庁は、一度立ち止まって、改めて関係者の意向を確認するべきではないでしょうか。

 現在、関係者やスポーツ庁の御努力によって、外部指導員の活用が進み、部活動の活動時間の削減も進んでいます。この取組を更に一層進めつつ、学校、地域ごとにも更なる改善の方策を検討し、地域移行については、もう少し長期的な視点で、関係者の意向を聞いて、そして受皿の体制を整えて進めていくべきだと考えますが、最後に大臣、一言お願いいたします。

義家委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

末松国務大臣 今、先生御指摘いただきました。

 文部科学省では、こうした課題に対応するため、具体的な改善方策などを議論するために、昨年十月に、学識経験者やスポーツ関係者、学校関係者、先進的な取組を進めている自治体などと、部活動を取り巻く多くの関係者をメンバーとした検討会議を立ち上げました。月一回、五回ペースでございます。

 文科省としましては、本年五月を目途にしまして取りまとめていただく予定で、提言を求めて、提出を求めてございますので、まずは、令和五年度以降の休日部活動の段階的な地域移行につきましては、各地域の状況を踏まえながら着実に進めていって、やはり子供たちにとって望ましいスポーツの環境の構築を考えていきたいと思います。

坂本(祐)委員 ありがとうございました。終わります。

義家委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。お願いします。

 まず、シングルマザーが自分の養育している子供を大学に行かせるための養育費についてお伺いします。

 私のところに来た相談ですが、二十二歳、二十歳の大学生を持つシングルマザーです。コロナの中でバイトができません、離婚した夫に養育費の延長を求めたところ却下されたというところで相談が来ているんですね。

 それで、まず質問です。主に法務省の方になると思うんですけれども、離婚し、子女の養育について民法等による法的な養育の義務を負うのか、それとも、養育というのは契約上のもののみなのか、お伺いします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 現行民法では、父母が離婚するときは子の養育費についてその負担者、額、支払い期間の終期等について協議して定めるけれども、協議が調わないときは家庭裁判所が調停、審判により定めることとされています。

 この意味は、親が子に対して養育費を支払う法的義務を負っているが、その義務は父母間の協議や調停、審判を通じてその内容が具体化されるものというふうに理解されているところでございます。

白石委員 法的義務は負うけれども、手続が必要ということですね。

 その前提の上で、その養育する子供が高校を卒業して高等教育、主に大学に進学しますと、ここが一番重いんですね、親としての負担は。それは、下宿だったらその生活費に加えて授業料、あるいは入学金が加わるということなんですけれども、大学に進学した場合、その教育費と生活費、仕送り費は、養育費の負担というのはどういうふうになりますでしょうか。

金子政府参考人 大学の進学というのは、成年年齢の引下げに伴って、大学進学する頃には成人に達しているということになりますが、子が成年年齢に達したことによって当然に親の子に対する扶養義務がなくなるわけではございません。子が十八歳の成年に達した後であっても、経済的に自立することができない場合は、子を監護していない親は、引き続き養育費の支払い義務を負うこととなるというふうに考えられます。

 このため、具体的事案にもよりますが、一般的には、子が成年に達した後でも、その子が大学に進学するなどして経済的に自立していない場合には、引き続き養育費が支払われるべきものと考えられるところでございます。

白石委員 養育費が支払われるべきものと考えられますと。これは、根拠としては、法務省さんの見解というか、そういうふうにこの場でおっしゃったんですけれども、裁判上の判例、定着した判例なんでしょうかね。

金子政府参考人 一般的に、親の扶養義務は子が経済的に自立するまでというのは定着した考え方です。ただ、両親の事情によって、もう大学進学した後は要らないと、お子さんの養育費を請求しないということを明示的に合意でもすれば、それはそちらの合意の方が優先することになりますけれども、一般的には、先ほど述べたような考え方が定着しているものと考えております。

白石委員 大学生になるのは大体十八歳で、一応成年にはなる、来月四月から。でも、養育の必要性がある。であるならば、今の養育費には大学に進学するまでの養育は考えていなくても、これは先ほどおっしゃった、まず相談、協議を求めて、協議が調わなければ、裁判上の請求をすれば認められる、こういうことでよろしいんでしょうか。確認です。

金子政府参考人 これも事情によりますけれども、実際、大学に進学されて、なお経済的に自立していないというような状況であれば、一方が払わないと言っても、裁判所に申し立てられれば認められるというのが一般的な考え方かと思います。

白石委員 分かりました。

 このことを意外と知られていないんじゃないかなというふうに思うんですね。こうやって私のところに相談に来た人は、そこまで含まれていないということなんですけれども。

 そこで、政務官、お伺いします。

 離婚のときに、こういった養育費というのはどこまでカバーされるのか。将来のことですから、全て予測はできないんだけれども、大学に行ったときまでも取決めはしてくださいね、そこまでちゃんと請求できるし、認められるんですよという情報提供はしっかりとしておくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

金子政府参考人 具体的な取組につきまして、事務方から御説明します。

 御指摘の養育費の問題につきましては、特に成年年齢の引下げ等の関係もございましたので、これまでも国会等において、周知、広報の重要性について指摘を受けてまいりました。

 このようなことを受けまして、法務省では、成年年齢の引下げに関する周知、広報の一環としまして、経済的に自立するまでは養育費を支払う義務を負うということが分かるような、解説するウェブページを公開したり、あるいは、自治体窓口等において離婚届の用紙とともに配付していただいている養育費及び面会交流に関するパンフレットや、養育費に関する周知用の動画におきましても、同様の趣旨の解説をしたりしております。また、離婚届の標準様式を改定しまして、未成年の子についてだけではなく、経済的に自立していない子についても養育費の取組の有無を尋ねるような、記載内容を改めるなど、周知、広報に取り組んできたところでございます。

 委員御指摘のように、今後も、効果的な周知、広報の在り方については検討し、推進してまいりたいと考えております。

白石委員 これは政務三役とお願いしていたんですけれども。

 確かに、よく小さい字を見ると、「経済的に自立していない子(未成年の子に限られません)」というところを、当てはまったら丸してくださいと離婚届にあったり、あるいはパンフレットの六番目のところにそういったことが書かれたりしているんですけれども、もっとここは強調して、かなり、離婚のときに決めるべきことで金額的に大きな問題に後々なるものですから、大学生になったときの養育費、仕送り費、そして教育費、ここをもっと強調すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

金子政府参考人 これまでも周知、広報には努めてまいりましたが、委員御指摘のとおり、なお御存じでない方が多いというような御指摘がございますので、その点も踏まえて、今後とも、ちょっとその辺の工夫を考えていきたいと思います。

義家委員長 質問は政務に対してですけれども、加田法務大臣政務官、何かありますでしょうか。

加田大臣政務官 白石委員からの御指摘のとおり、いろいろ、この問題につきまして、よく分からない、そしてまた分かりにくい、そしてまた情報自体、本当に必要となっている方に届いているのか。そして、その方たちがどのようにして不安というものを、確かに心細いところもありますし、離婚、そしてまずこれからの養育、経済的な問題もそうですし、精神的な問題にもかなりダメージがあると思います。

 そうした意味について、しっかりと不安を払拭できるように、そしてまた形式というものを分かりやすく、そしてまたそれについていろいろ、QRコードとか、そういう周知、広報は努めているんですけれども、それに届くような形でしっかりと広報啓発、そういうものにも努めていきたいと思っております。

 そしてまた、いろいろな様式の部分につきまして、書類というのはなかなか、書く方、出す方というのは大変な負担がかかると思います。いろいろな声をしっかりと聞いていきまして、またニーズに応えていけるようにしていきたいと思っております。

白石委員 是非周知、お願いします。

 法的な義務があるといっても、子供が大学入学してから訴えるわけにはいかないんです、そんなことをしている場合じゃないということで。ですから、離婚のときにちゃんとしておくということを重ねてお願いしたいと思います。

 次の質問は、厚労分野になるんですけれども、児童扶養手当、これが、子供を育てる、学校に行かせるためにも必要なんですけれども、そこには所得制限があります。所得制限で、ぎりぎりのところで手当をもらえないとシングルの方が訴えています、別の方ですけれども。ほかの、例えば共稼ぎであっても、低所得者の人はいろいろな支援金をもらえるけれども、自分はもらえないということはおかしいんじゃないかということです。

 それで、所得制限、どれぐらいのレベルなのかというふうなところを見ましたところ、例えば、二人の子供がいる場合、一部も支給が認められない収入の金額が四百十二万円ですね。子供が二人いて、シングルのお母さんがいる。四百十二万円というのは大体どれぐらいかというと、会社勤めで、賞与が春夏、二か月、二か月あった場合、額面で一か月二十五万円なんですね。月給二十五万円のシングルマザーで二人の子供を育てていて、それで児童扶養手当をもらえないということになっているわけです。

 そこで、質問です。この所得制限のマトリックス、金額の合理性というのは、定期的に物差しでもってチェックされているんでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当制度におきましては、一人親世帯の生活状況や支援の必要度に応じて給付の重点化を図る観点から、所得に応じた支給制限を設けているところでございます。

 この所得制限限度額でございますが、制度の目的が離婚等による稼得能力の低下を補うものでございますので、生別母子世帯における母の所得水準などから、経済的な支援が必要な一人親世帯の範囲を定めております。

 この所得制限限度額につきましては、これまでも、一人親世帯の所得状況に関する調査結果などを踏まえまして、平成三十年に全部支給の所得制限限度額の引上げを行ったところでございまして、今後とも、必要に応じて見直しの検討を行ってまいりたいと考えております。

白石委員 過去、直近では平成三十年に見直しを行ったと。

 でも、私の質問は、定期的に見直していますか、例えば三年なり五年なり、あるいは、定期的じゃないにしても、例えば消費者物価指数だとかあるいは一人親世帯の平均的な所得水準の統計であるとか、そういった物差しでもって客観的に、トリガーを備えて、それでもって見直しされているんでしょうか。いかがでしょう。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当制度の所得制限限度額につきましては、先ほど申し上げた一人親世帯の所得状況などの調査結果を見ておりますが、いわゆる財政再計算のような、例えばですけれども、定期的な見直しの仕組みというのを制度化されてはございませんで、各種データを厚生労働省においていろいろ見ながら、必要に応じて検討を行っているというものでございます。

白石委員 提案します。是非、これは定期的に見直してください。社会状況は変わりますから。社会状況が変わって、例えば物価であるとか、ほかの一人親世帯だけじゃなくて、比較すべきは、どうしても見てしまうのは共稼ぎであっても、シングルマザーが不当に所得制限で足切りされていないかというところなんですけれども、ここは厚労省としても、定期的に見直しするというような仕組みづくりを検討してくれませんでしょうか。いかがでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 所得制限限度額の見直しにつきましては、先ほど申し上げましたような、繰り返して恐縮ですけれども、一人親の所得状況などを随時見ておりますが、御指摘のように、定期的に見直すということを制度化するかどうかはともかく、必要な状況変化に対応するといったことはしっかりやってまいりたいと考えております。

白石委員 随時ということなんですけれども、常にそこは見ておいていただいて、引き続き、システム化、物差しをつくるなりトリガーをつくるなり、あるいは期間で見るなりしていただきたいと思います。

 次の質問は、厚生年金の離婚分割です。

 厚生年金、二階部分ですけれども、離婚するときに、合意によって、奥さんだった側、シングルマザーだったり、特に妻の方に焦点を当てたいと思うんですけれども、がもらうことができる、分割することができる。特に三号分割ですね。サラリーマンの奥さんで離婚に至った、その際に、自分の年金というのは、そのままにしておけば基礎年金、一階部分だけですけれども、二階部分についても、半分半分でもらうとか、そういうことができるわけです。

 でも、私のところに来た相談は、それを知らなかった、そして時効二年が過ぎてしまった、自分の生活、これから老後が不安だと。年金をもらい始めていても子供を育てている、特に大学生だったら、親が六十歳で、子供がまだ大学院に行っているとかあると思うんですけれども、教育費という意味ですね。

 そこで、質問です。離婚分割の年間の件数というのはどれぐらいあるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省年金局でまとめております厚生年金保険・国民年金事業の概況によれば、共済組合等を除く厚生年金保険における三号分割を含めた離婚等に伴う保険料納付記録の分割の件数は、令和二年度で二万九千七百八十一件となっております。

白石委員 年間二万九千件ぐらいと。離婚の件数というのは年間二十万件ぐらいですから、一割強ですね。

 つまり、分割の条件に該当しながらも、八、九割はそれをしないでいる。もちろん、女性が共稼ぎだった、それで自分の二階部分を持っている、十分持っているとか、あり得るかもしれませんけれども、あるいは、自営業で二人とも国民年金だった、これもあり得るかもしれませんけれども、でも、かなりの、この二十万件の中で、分割の条件に当てはまりながら分割していないというのが実態ということが確認できたと思います。

 そこで、質問です。離婚時に、厚生年金、二階部分の分割ができるんですよということを当事者にどのように伝えていますでしょうか。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 離婚時の分割をどのように周知しているかということでございますが、従前から年金事務所の窓口や日本年金機構のホームページにおいて周知しておりますほか、令和二年の二月からは、法務省の協力を得て、離婚届の受付先である市区町村の戸籍担当窓口において、制度周知のためのリーフレットの配付をしております。

 以上です。

白石委員 ホームページとリーフレットということなんですが、リーフレット、こういったものを渡しているということじゃないかなと思うんですけれども、ここで提案です。

 年金分割の申請書というのはこういう二枚物なんですね、表裏で。これを、離婚届のその申請書、これは一枚物ですけれども、それと一緒にお渡しするということで相当認識が高まり、私もコロナの申請のときによく分かったんですけれども、これをダウンロードして印刷するというところからできないんですよ、手間なんですよ。それを役所の窓口の離婚届受付のところでお渡しするということを、これは厚労省とかあるいは法務省とか、省庁横断的にやられたらいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

深澤大臣政務官 離婚分割制度については、請求漏れを防止する観点から、制度の周知というのは重要だと認識しております。

 先ほど答弁させていただいたことに加えまして、ただいま委員から御指摘のとおり、御指摘の分割請求用紙を市区町村の窓口で離婚届とともに直接配付するということは、請求漏れの防止や請求の利便性向上に資すると考えられることから、市区町村に過度な負担とならないよう留意しながら、法務省と協力して検討を進めてまいりたいと思っております。

 以上です。

白石委員 法務省と相談しながら検討を進めていただきたい。前向きの答弁と受け止めさせていただきます。

 これがその書類の中に、このパンフレットだけじゃなくて、差し込まれているだけで相当違うと思うんです。そうすると、行く行く、主に心配するのは女性ですけれども、子供の養育だけではない、自分の生活、老後の生活までもかなり違ったものになり得るというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。

 それで、その議論をもう一歩進めて、この年金の離婚分割制度というのは義務化することはできないかなと思うんです。

 分かりやすくして、男性が働いていて、そこで年金保険料を納めていた、三号被保険者というのはそれにくっついていた、だから三号被保険者、奥さんは二階部分ないですよ、こういう時代じゃないと思うんです。協力して家庭を維持して子育てもしているわけですから、二階部分は半分半分が原則で、半分半分じゃない方を例外的な扱いとして、協議によって違う扱いをするというふうに、特約することができるというふうに、原則と例外を逆にすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 離婚時の年金分割につきましては、三号分割につきましては、離婚した元三号被保険者からの請求により、婚姻期間に係る厚生年金保険料の納付記録を分割できるという制度でございます。

 この分割請求につきましては、年金受給権が相続や譲渡の対象にならない一身専属権であって、差押えが禁じられている等、非常に権利性が強いものである、その一身専属権の例外として、当事者の一方の年金を減少させることになる制度であるということ、また、離婚の当事者それぞれに多種多様な事情があって、離婚時において年金以外の財産分与の状況などの諸事情も併せて考慮することが適当である場合があることということから、当事者の請求なく自動的に分割されるような制度であるというのは適当でないと考えております。

白石委員 一足飛びにそこまで行かないということであれば、先ほど深澤政務官がおっしゃられた、周知をもっと積極的にプッシュ型でやっていくということでお願いします。

 次の質問です。

 シングルマザーからちょっと離れまして、じゃ、祖父母が孫を大学まで上げる、こういう場合もあると思うんですね。そういう方からの御相談なんですけれども、祖父母だから年金受給しているということです。その祖父母が児童扶養手当を申請したら、公的年金をもらっているのでもらえませんでしたということなんです。

 児童扶養手当というのは、公的年金をもらっていたら児童扶養手当はもらえないんでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当と公的年金の関係でございますが、基本的には、稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有しており、稼得能力の低下の要因が複数重なったとしても、必ずしもその低下の程度が比例的に加重されるものではないことから、同一の人物に対する重複した所得保障を避ける観点から、受給する年金額が児童扶養手当額を下回る場合以外には併給することは認められていないものでございます。

 なお、今申し上げましたが、平成二十六年の制度改正以前は、年金を受給している場合には児童扶養手当は支給されなかったものでございますが、二十六年の制度改正によりまして、年金額が児童扶養手当額を下回る場合には、その差額の児童扶養手当分は支給するというふうな制度改正がなされているものでございます。

白石委員 公的年金をもらっていても、児童扶養手当、どちらか金額の大きい方に合わせてもらえるということなんですけれども、でも、やはり、祖父母は、普通でいったら、年金だけで自分たちの生活をするということに加えて、孫の世話をし、大学まで場合によっては上げないといけない。もう非常に厳しいわけですね。高校まででも本当に厳しいと思います。

 そこで、政務官、提案なんですけれども、この併給調整というのを見直していただけたらなと。併給調整というのであれば、どちらか金額の大きい方じゃなくて、一方をベースとして、それに足し上げる、足し算として、まあ二分の一かもしれませんけれども、足し上げるというふうな併給調整にするか、それとも、もう公的年金はもらってください、その上で児童扶養手当は受給しても可能ですというふうに併給調整をなくすという方法もあると思うんです。

 その二つ、どちらか検討していただけませんでしょうか。

深澤大臣政務官 児童扶養手当と公的年金につきましては、先ほど御答弁のとおり、いずれも稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有していること等を踏まえまして、受給者の年金額が児童扶養手当額を下回る場合以外で併給を認めることとするのは難しいと考えております。

 いずれにしても、厚労省としては、真に経済的な支援を必要とする一人親世帯や養育者の方に児童扶養手当の支給が適切になされるよう、引き続きしっかりと取り組むとともに、就労支援や生活支援も含めた一人親等への総合的な支援を引き続き推進してまいりたいと思っております。

 以上です。

白石委員 引き続き、検討課題として、ここの併給調整を撤廃、あるいは足し算としての併給調整を考えていただきたいと思います。

 そして、今の制度を前提にしたら、借入れになるわけですね。お孫さんが大学に行く場合は、学資ローンというのを利用するわけです。学資ローンというのは日本公庫さんがやっている国の制度ですけれども、そこで申込みをする。祖父母が申込者として、保護者ですから申込みをした場合、返済は、通常ならば十五年以内というものが、七十歳以上の方は五年以内と言われたというふうに私のところに訴えてきています。

 審査があるのは仕方がないですけれども、そういう画一的な、一律のルールでもって、祖父母がお孫さんの学資ローンを借りるときには返済期間について特に短期でやるということは、これは問題だと思うんですけれども、今、どういう運営状況になっていますでしょうか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 学生を育てる祖父母などの高齢者の方が融資申込者の場合に、その融資対応について一律の取決めがあるのではないかというお尋ねでございますが、日本公庫の方にも確認させていただきましたが、融資申込者が祖父母である場合など高齢者の場合であっても、貸付期間の設定など、融資審査における一律の対応を定めたマニュアル等は存在しないというふうに承知しております。

 日本公庫では、融資審査においては、画一的な審査基準によることなく、その返済可能性を可能な限り追求した上で融資判断を行っているものと承知しております。

白石委員 画一的な、そういう審査基準はないということなんですけれども、できるだけ寄り添って、国の機関ですから。特に、祖父母が子供の学資ローンを借りるという、本当に気の毒なケースですよね。できるだけ寄り添って。

 やはり、日本学生支援機構の方は寄り添っている対応になっていると思います。それは、書類さえ整って、低所得であって、留年とかしない、ちゃんと勉強していたら、返済期間二十年でお貸出ししますよと。本当はもっと、給付型にしてほしいんですけれども、少なくともお貸出しはしますよという対応になっている。

 学資ローンにしても、できるだけこの日本学生支援機構の奨学金に近い形の寄り添った対応をしていただきたいんですけれども、確認させてください。

窪田政府参考人 財務省といたしましては、日本公庫が、民間金融機関を補完しつつ、教育ローンを通じて家庭の経済的負担の軽減と教育の機会均等に貢献することが重要であると考えておりますので、日本公庫に対しては、機械的、硬直的な融資判断を行うことがないよう、融資申込者の立場に立って柔軟な対応に引き続き努めるように促してまいりたいと思います。

白石委員 そのようによろしくお願いします。

 もう最後になりますけれども、ここは文部科学委員会ですから。文部科学委員会ですけれども、やはり、大学生を、優秀な学生を大学に行ってもらうということ、これは、学生さん、日本国民にとっても推進すべきですし、大学としても、幅広く、裾野を広く、優秀な学生を、大学で学んで、できれば学究の世界でも中から選ぶ人が出てくる、これはもう文部科学省としても進めるべきだと思うんですけれども、今の現状、例えば、シングルマザーとか、あるいは何らかの事情で親がいなくて、祖父母が孫を育てて大学まで行かせる、いろいろな障害があるわけですね。

 この点について、文科省、文科大臣として、感想があればお聞かせください。これを最後の質問とします。

末松国務大臣 白石先生にお答え申し上げます。

 ずっと話を聞いておりまして、経済的に困難な学生さんが学びを諦めることがないようにというのは、これは文科省の強い願いでございます。

 そのために、文科省は、先生御承知のとおり、令和二年度より高等教育の修学支援の新制度を開始いたしておりまして、今お話がありました、一人親世帯を含め真に支援の必要な低所得者世帯の学生に対しまして、給付型の奨学金と授業料減免による支援、この二つを実施をいたしております。このほかにも無利子奨学金、有利子奨学金も用意しておりまして、返済の際も、所得に連動した返還や返還額の減額により、私は、割合きめ細かな支援を行っていると思っております、これによりまして、大学の進学率も確かに、平成三十年度四〇%だったのが、令和二年で五一%まで上がってございます。

 こうした中で、低所得者世帯の大学進学率が上昇してきておりますが、制度の分かりやすい周知は引き続き課題であると考えます。一人親世帯などの支援が、必要な学生やその保護者に必要な情報が早い段階で届くように、教育関係者だけでなく社会福祉の関係者にも周知されるように、これは厚労省とも連動して充実させる必要があると思っています。

 給付型の奨学金ですけれども、五十一万人分を用意いたしました、予算計上しました。二〇二〇年度で二十七万人、二〇二一年度で三十二万人以上お使いをいただいておるわけなんですけれども、もっともっと、高校時代、さらには遡って中学ぐらいからこの存在を考えながら計画を組んでいただきたいなというのは文科省の思いでございます。

 いずれにしましても、先生の御意見をよく頭に置いて、施策に反映していきたいとは思っております。

白石委員 大臣、ありがとうございます。

 制度の充実とそれの周知と、両輪として、これからもよろしくお願いします。

 終わります。

義家委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦です。

 今回、二回目の質問ですが、よろしくお願い申し上げます。

 初めに、これから部活動改革における有識者会議が行われるということですが、学校外、特に小学生の学校外クラブ活動について、中学生になったら、その学校に今まで続けてきたクラブと同じ部活がないというケースがございます。そういったときに、今まで続けてきた学校外のクラブを部活動と同様に扱っていただけるよう、有識者会議でも御議論をお願いしたいと思います。

 少子化や教員の負担増で、学校を取り巻く環境はこれまでと大きく変わっています。学校外のクラブを継続できるよう、各自治体、そして教育委員会の判断で行えるよう、御配慮をお願いします。子供たちの夢を大事にできるよう、施策をお願いしたいと思います。

 質問いたします。学校体育の充実について伺います。

 学校体育と運動部活動の違いは何でしょうか。新学習指導要領ではどのように区別していますか。お願いします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校体育と運動部活動の御質問でございます。

 保健体育につきましては、これは、学校教育法の施行規則に規定されます学校の正規の教育課程を編成する各教科の一つという位置づけになっております。そのため、全ての中学校におきまして、学習指導要領で定めます内容にのっとりまして、教員免許を有する教員によりまして全ての生徒に対して教えられる必要があるというものでございます。

 一方、部活動につきましては、教科の位置づけではございませんで、学習指導要領にございます総則に規定されております学校教育の一環として実施される活動となっております。

 その設置、それから運営につきましては、法令上の義務ではございませんで、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものでありまして、学校の判断により実施しない場合もあり得るというふうに考えられます。また、設置される場合でありましても、必ずしも教員が指導などを行わなければならないというものではございませんで、部活動指導員や外部指導者が担うということも可能なものとなっております。

早坂委員 ありがとうございます。

 文部科学省は、平成二十年三月に中学校学習指導要領を改正しました。新学習指導要領では、中学校保健体育において、武道、ダンスを含めた全ての領域が必修となりましたが、当時、先生がダンスをどうやって教えるのかなど大きな問題がありました。約十年が経過して、武道、ダンスの履修状況や、そして、指導できる教員、指導者の確保、そのための予算はどうなっているか、大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 早坂先生にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十年の三月の中学校学習指導要領改訂におきまして、保健体育における武道とダンスの取扱いを改めまして、武道とダンスのいずれかを選択することとしていたものを、武道とダンスのどちらも必修とすることに変更いたしました。

 こうした武道とダンスの必修化に伴いまして、文部科学省では、指導の参考となるリーフレットや手引書、そして映像資料を作成しまして、保健体育教員の指導力の向上に努めてきているところでございます。さらに、教育委員会が実施する教員研修や、教員の指導をサポートする外部指導者の活用を支援する事業を、必修化以降、継続して実施をしているところでございます。

 文科省としましては、今後とも、武道とダンスを含めた保健体育の授業の充実に努めてまいりたいと思います。令和四年度予算では、こうした事業に対しまして一・九六億円を計上いたしているところでございました。

早坂委員 ありがとうございます。

 武道は、柔道、剣道、なぎなたなど、ダンスは、創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムダンスということです。私もちょっとDVDをユーチューブで見せていただきましたが、約十年が経過し、当然検証もされていると思います。文科省さんの御説明では、負担が大きいので各学校にはアンケートを行っていないということです。

 引き続き継続されているのはそれなりに結果が出ているからだと思いますが、どのような方法で検証しているのか、それはどのような成果、評価が得られたんでしょうか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 平成二十年度の学習指導要領改訂で武道とダンスを含む全ての運動種目を必修化した趣旨は、保健体育の授業では生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する基礎を培うことを重視をしていることを踏まえまして、中学一、二年生を多くの領域の学習を経験する時期と位置づけたことによるものでございます。こうした改訂の趣旨は、様々な機会を捉えて、教育委員会や学校現場に周知を図ってまいりました。

 こうした中、スポーツ庁が過去に実施をしました生徒へのアンケート調査では、武道、ダンス共に、約六割の生徒が楽しかった、そして約三割以上の生徒がもう一度授業でやりたいとの回答を得てございます。もう一度やりたいと、三割、ちょっと下がっているんですけれども、三割がやりたいと答えています。

 文部科学省としては、引き続き、教育委員会が行う研修会や外部指導者の活用など必要な取組に対して支援を行うことによりまして、武道とダンスの指導の充実に努めてまいりたいと考えます。

早坂委員 ありがとうございます。

 三割とは言わず、五割、もう七割、八割といった、そこまで。子供たちは本当に楽しいという話も聞いております。ありがとうございます。だからこそ、子供たちのよりよい学習の環境構築をしっかりと、検証と修正、実践をお願いしたいと思います。

 この武道、ダンス必修化に当たり、保護者への周知はどのようにされたんでしょうか。また、どのような反応があったんでしょうか。

 先ほども言いましたけれども、私の周りの保護者の方に聞いてみると、結構知らない人が多いんですよね。そして、あと、せっかく子供たちが楽しいと言っている科目ですので、少しもったいない感じがします。

 また、武道における道着や道具は個人で購入しているのか、それとも学校で購入して子供たちに貸し出しているんでしょうか。今、このコロナ禍でどういうふうに、そして、防具とか、そういう洗濯とか、本当に、剣道だったら小手とかありますけれども、どのようにしているんでしょうか。お願いいたします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 二つあったかと思います。

 まず、保護者の周知ということでございますが、武道とダンスの指導に限りませんで、学校の教育活動に関する様々な事柄につきましては、通常、各学校やその設置者であります教育委員会が保護者に対して情報提供を行っているという状況がございます。

 その方法といたしましては、学校が作成した書類を保護者に届けるといったこと、また、保護者説明会や懇談会等で具体的に説明をするといった様々な対応が丁寧になされていると承知しております。

 特に武道につきましては、中学校から新たに学習する内容であるということもございまして、入学前の学校説明会などにおきましても、指導する武道の種目や用具の扱いなどについて、あらかじめ説明をしているものと認識しております。

 それから次に、用具の面でございますけれども、中学校の保健体育の授業で使用いたします武道の用具につきましては、学校教材整備に係ります地方財政措置といったものを講じているところでございまして、基本的には、学校が購入し保管しているものを生徒が使用しているものと認識しております。

 例えば、剣道の防具につきましても、基本的には、学校が用意いたしましたものを生徒が使用するということでございますが、使用後には、風通しのよい場所で陰干しをしたり、除菌スプレーを使用したりということで、学校において清潔を保つよう適切に管理しているものと承知しております。

早坂委員 分かりました。

 では、剣道とかそして柔道、道がつくように、力や技、技術の習得を通して、心の修練、礼節を重んじる、大変、そういう態度を養う、内面は、本当に人間を磨く、形成していくということで重点が置かれていると思いますが、ちょっと提案なんですけれども、ここで、これは本当に大切なことですが、しかし、一九七一年、もう五十年以上の歴史があります競技で、スポーツチャンバラという競技があるんですが、そういう方が子供たちがもっと喜ぶんじゃないでしょうか。いかがですかね。

串田政府参考人 お答えいたします。

 まず、武道の面について御説明申し上げたいと思います。

 武道の授業につきまして、中学校でございますが、柔道、剣道、相撲の中から一つの種目を選択することとしております。

 また、学校や地域の実態に応じまして、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道などにつきましても履修させることができるということになっております。

 一方で、こういったこともありまして、御指摘のスポーツチャンバラにつきましては、武道としての扱いで実施することはできないこととなっております。

 その上でございますが、スポーツチャンバラにつきましては、学校が特に必要とした場合におきまして、武道種目ではないという位置づけにはなりますが、学習指導要領の内容に加えて実施するということは可能かというふうに考えております。

早坂委員 是非、新しく入れていただきたい。子供たちが楽しく授業ができる、そしてコミュニケーションができる、それでいじめもなくなるとか、やはりそういうものを大切にしていただきたいと思います。

 そして、最後になりますが、コロナ禍で教育現場は大変な状況であると思います。生徒さん、そして保護者の皆さん、不安や、先生たちの苦労も大変あると思いますけれども、今後の体育の授業でのコロナ禍対策、そして今後の課題などを最後に教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 コロナ禍におきます学校教育活動につきましては、文部科学省におきまして、衛生管理マニュアルを作成いたしまして、各教科の感染リスクの高い活動を例示し、地域の感染状況に応じましてリスクの高い活動を控えるといったことなどを求めているところでございます。

 この中で、保健体育の授業につきましては、生徒が密集、接触をするといったような運動につきまして、感染のリスクが高い学習活動として、地域の感染状況に応じて実施を検討していただくといったことにしてございますが、各学校において工夫を凝らしながら指導がなされているというふうに考えております。

 また、スポーツ庁におきましては、コロナ禍におきます保健体育指導の参考としていただけるように、感染症対策を講じた保健体育の指導に関する映像資料といったものを作成しておりまして、互いの距離を保つ工夫につきましてお示ししているといったこともございます。

 スポーツ庁といたしましては、コロナ禍におきましても保健体育の授業が充実したものとなるよう、引き続き、現場の参考となるような情報の発信に努めてまいりたいと考えます。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に、今、コロナ禍で子供たちの体力も落ちていますが、この体育の授業、大変大切にしていただきたいという思いでございます。

 これで質問を終わります。ありがとうございます。

義家委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、通学路における交通安全について、そして、インターネットやSNSによる誹謗中傷に関する情報モラル教育、ネットいじめ対策について質問をいたします。

 まず、通学路における交通安全についてです。

 年度末になりまして、新学期が始まるタイミングでございます。新入生や新生活を迎えるに当たり、質問とさせていただきます。

 先週、私の地元でございます愛知県名古屋市において、下校中の痛ましい事故が起きてしまいました。東海テレビの報道によりますと、先週三月二十四日に、名古屋市内の小学校修了式の帰りに、横断歩道を歩いていて渡っていた小学校三年生、四年生の女児二名が乗用車にはねられ、一人は死亡してしまうという事故が発生しています。保護者の方、関係者の皆様の御心痛はいかばかりかと拝察をします。

 そして、子供を持つ親にとって、子供が元気に学校へ通い、そして元気に帰ってくる、これを何とか無事にと日々願っていることは間違いございません。

 さて、この通学路における交通安全については、これまでも幾度か見直しを図られてきました。

 昨年六月にも千葉県の事故は記憶に新しいところでございますが、文部科学省は、国交省や警察庁と連携して、昨年七月に通学路の合同点検を要請しました。令和三年十二月末時点で通学路合同点検結果を取りまとめ、令和四年三月四日に、通学路における合同点検結果を発表していらっしゃいます。

 そこで、通学路における交通安全対策については、これまでも様々な対策が取られてきました。今回の点検結果においては、全国で対策が必要となる箇所、何と約七万六千件に及んでいます。

 合同点検については、平成二十四年四月に、京都府亀岡市での登下校中、児童列に自動車が突入しまして、三人が死亡するという事故が発生しました。それを受けまして、平成二十四年にも今回のような合同点検が行われております。その合同点検の結果、危険性があると判断された箇所、七万四千四百八十三件であります。そして、二〇一九年の年度末、九八%は歩道やガードレールの設置など対策が取られました。平成二十四年の合同点検によって危険性があると認められた箇所ほとんどが、このように何らかの対策が施されています。にもかかわらず、今回、新たに七万六千件もの箇所が、対策が必要であると認められました。

 さて、今回は、また新たに合同点検で観点が加えられています。見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所も、大型車進入の多い箇所など、これも含まれる。さらに、過去には事故にはならず、ヒヤリ・ハットの事例があった箇所、また、保護者や見守りの活動をしていらっしゃる皆様、地域の住民の方から市町村へ改善要請があった箇所、このように、新たな箇所が設けられました。

 このような観点も踏まえた結果、この数字なのかもしれませんが、この数字に関する見解、そしてこれまでの対策や実効性、そして、合同点検における危険箇所の選定に対して漏れがないか、これで十分であったのか、振り返りを含めて、文科省の見解をお聞きします。お願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 通学路の安全の関係の御質問でございます。

 平成二十四年に行われました緊急合同点検では、通学路における事故等の危険性が考えられる場所を集中的に点検するため、例えば、道路が狭い場所、見通しが悪い場所等について、危険、要注意箇所として把握をいたしたところでございます。

 その後、この度の八街の事件があったわけでございますけれども、今回の合同点検では、車の速度が上がりやすい見通しのよい道路や抜け道、ヒヤリ・ハット事例があった箇所など、従前とは異なる視点からも点検を行い、今御指摘もございましたように、全国で七万六千四百四か所が報告をされた、こういう状況でございます。

 平成二十四年の亀岡市の事件、事故を受けまして、文科省としても、関係省庁と連携をして対策を取ってきたわけでございますけれども、そうした中で、様々な推進体制、継続的に取組ができるような推進体制を構築しながら対策を講じてきたところでございます。

 また、学校においては警察等と連携した交通安全教育を実施しているわけでございますけれども、そうしたものに加えまして、例えば、交通安全等に関する注意事項をクイズ形式で学べるような小学校一年生向けのリーフレットの作成、配布、あるいは学校における教職員向けの講習会の実施といったような、様々な対策を講じてきたところでございます。

 そうした中でも、この度の事件、今御指摘のありました名古屋の事件、事故などが起きているわけでございますけれども、文部科学省といたしましては、危険箇所に漏れが生じないようにということで、今回、特に、これも御指摘ありましたように、様々な視点からの点検を行う際に、保護者や見守り活動者、地域住民等から市町村へ改善要請があった箇所というものも加えてほしいということ、また、その際には、子供の視点も含めて危険箇所のリストアップを行っていただきたい、こういうことでお願いをしたところでございます。

 各自治体においては、これまでも、学校、教育委員会、道路管理者、警察等を構成員とする通学路の安全対策のための推進体制が構築をされてきているところでございますけれども、交通事情や子供の状況が変化していくということも踏まえながら、今回の点検にとどまらず、今後も継続的な取組を組織的に行っていく中で、子供たちの通学路の安全の万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 さて、この通学路における合同点検状況の報告様式には、対策済み、そして本年度中に実施する、そして来年度以降に実施するという、三つございます。内訳があるわけなんですね。この対策案に従って計画的に対策を実施するとございますが、しっかりと実施されることはもちろん重要でございます。さらに、対策状況のフォローアップをしていくと聞いております。具体的に是非とも進めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、一つ質問を今まとめまして、三つ目の質問に参ります。大臣にお願いいたします。

 通学路における合同点検における対策、きちんと実施をされ、また、子供たちが交通事故に遭わないよう、そして安心して通学ができるようにしていくことはもちろん大事でございます。

 これは昨年十二月二十四日、第三回交通安全対策に関する関係閣僚会議においても、令和五年度末までに完了に向けて取組を行っていくと。これは文科省、国交省、警察庁の連携をして取り組んでいくということでございます。

 悲惨な事故が決して起きないように、強い決意の下、私たちは子供を守っていかなくてはいけません。

 大臣、ほかの省庁との関係もあるかと思いますが、是非とも文科省でしっかりと引っ張っていき、リードしていただきたいと思いますが、その辺り、大臣、いかがでございましょうか。お願いいたします。

末松国務大臣 岬先生にお答えを申し上げます。

 先生から御指摘ありました危険箇所七万六千か所、大変な数字だなというのが認識でございます。

 かつて、地方議員時代は、信号機の設置というのが一番多い陳情の一つでございました。横断歩道を設置もそうでございました。

 子供たちが学校で安心して活動して、学べるようにするためには、その前提として、通学路を含む学校での安全を十分確保すること、不可欠でございます。通学路における事故によりまして子供の貴い命が失われることがあってはならないということで、このことはもう文科省、重く受け止めております。

 先般、令和四年度からの五か年計画でございます第三次学校安全の推進に関する計画を策定したところでございまして、その中では、地域の多様な主体と密接に連携、協働しまして、子供の視点を加えた安全対策を推進することといたしております。

 いずれにしましても、通学路の安全確保につきましては、学校はもとより、今先生御指摘あったPTAや道路管理者や警察等の関係機関、自治体、地域の関係団体との連携を図ることが重要です。

 文科省では、第三次学校安全計画を踏まえまして、関係省庁と連携しながら、通学路の安全対策に万全を期してまいりたいと思います。

 なお、時々、全国道路標識・標示協会というのがございまして、ここは、もう薄れてきた、傷んだ道路標識、あるいは白線が全部薄れてきますので、きちっと白線をもう一度引き直すべきじゃないかといった、そういったことを行う協会なんですけれども、そういった声も大事にしなきゃならないとは思っております。

岬委員 大臣、御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 私も、朝の駅頭などをしておりますと、北名古屋市というところは、大変駅は少ないのですが、道も狭く、踏切もあり、グリーンベルトを引いてもらおうといろいろな声が上がっております。是非とも、これからも安全対策、よろしくお願い申し上げます。

 さて、とはいっても、子供たちの交通事故、ゼロにはなかなかすることができません。さらに、通学路における交通安全に関する質問の最初の方に私、申し上げました、平成二十四年に発生した京都府の亀岡市の事故、これについて触れましたが、先週、この事故の遺族である中江さんと直接、私、お話、面談をさせていただきました。まさにこのときも合同点検が行われましたが、被害者となった方、当事者が、また、その関係者、遺族の皆様が、更にインターネットによりまして誹謗中傷を受け、更なる被害を受けているという事案が発生しております。

 中江さんは、事故の後、インターネットによりまして誹謗中傷を受けられた御本人でございまして、大変心を痛めているとお話をされました。年数がたっても、子供を亡くしたつらい気持ちは癒えることはありません。さらに、心ない言葉にどれほど傷ついたであろうかと、私、お心をお察しするばかりでございます。

 その中傷の書き込み、加害者の一人は、何と高校一年生でございました。男子生徒、二〇一三年には書類送検をされています。このように、若い学生生徒たちがいつの間にか加害者になってしまっている。その加害者になった子たちのこれからの芽も摘んでしまいかねないインターネット誹謗中傷でございます。

 二〇一九年四月に起きた、東京池袋の高齢者ドライバーが運転する車が暴走しまして、奥様とお嬢様を亡くされて、遺族に対しても、先日、SNSで誹謗中傷が書き込まれました。その当事者は愛知県に住む二十代の男性、こちらも書類送検の方針と報道が、今月、三月の二十日にあったばかりでございます。

 そういうことを踏まえまして、私ども日本維新の会も、インターネット誹謗中傷に対する対策、検討するチームを結成しまして、私も参加をしております。

 どのように防いでいくか、また減らしていくか、加害者にも被害者にもならないようにしていく、この対策は非常に早急にしなくてはなりません。

 そして、インターネットのSNS上誹謗中傷については、総務省また法務省なども、厳罰化も含めて動きが出始めています。私たち、文科省としては、スマートフォンやSNSの急激な普及によりまして、利用者の低年齢化、小学生の低学年であっても非常にスムーズに使いこなしてインターネットの世界を楽しみ、また情報収集をしながら、時に危険な目にもさらされてしまいます。

 そこで、質問でございます。

 文科省の取組を私も調べさせていただきましたところ、新学習指導要領での位置づけであったりとか、令和元年十二月には教育の情報化に関する手引、さらに、令和四年三月三日には、文部科学省通知ということで、情報モラル教育の一層の充実を図っていくと記されております。

 さて、ここで、ネットいじめ、十分に対策をしながらもなかなか減らないというこの現実、そして、認知件数だけでも一万八千八百七十件と、過去最多を更新しております。

 そこで、これらは実効性があったのか。対策はまず十分に効果があったが、増加していくために対策がなかなか至っていないという見方もあれば、もう一方で、対策不十分で、まだまだポイントがずれていたのではないか、これはどちらなんでしょう。なぜ減らないと思われますか、教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを含む情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力として位置づけ、教科横断的に育成するというふうに今取り組んでおります。

 加えて、昨年度に引き続き今年度予算におきましても、SNS等によるいじめを含む様々な悩みを抱える児童生徒からの相談を受け付けるSNS等を活用した相談事業を実施するための必要な経費を計上するなど、取組を進めているところであります。

 一方、令和二年度の携帯電話等を使ったいじめの認知件数は、御指摘いただきましたように一万八千八百七十件ということで、前年度から九百四十六件増加しております。

 いわゆるネットいじめへの対応は重要な課題というふうに、依然認識をしております。文部科学省といたしましては、スマートフォンなどの普及、低年齢化に伴いまして、今後、ネットいじめの更なる増加が予想されるということも踏まえまして、引き続き、こうしたネットいじめに対応するため、様々な対策を講じてまいらないといけないというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。そのとおりだと思います。

 では、私たち、このように大人が議論をしているインターネット誹謗中傷に関する対策でございますが、私が思うには、私たちは大人になり、また成長をある程度した段階でこのような便利なものが出てきたので、私たちはその便利さを追っていく側なんですが、子供たちはどうでしょうか。もう生まれたときにすぐそばに便利な端末があり、子供たちは、今までの私たちの感覚の絵本のような形でiPadやまたスマートフォンなどをいじって、そして自然とこれらに触れているのではないかと思います。

 そうしますと、対面では言えないはずのことが、どうもこの端末に向かってだと、自分のあらわとなっている感情の思いがそのままストレートに出過ぎてしまうのではないか。そうすると、乗りや悪ふざけも助長されまして増幅されやすい、そして集団性が出てくるのではないかと思われます。

 そうなってくると、これは一種の風土改革が必要なのではないかと思うわけですね。例えば、私たち、今マスクをするのが当たり前ですが、当初はいろいろな反発があったり抵抗があったと思います。また、喫煙の場所もそうですね。たばこを吸ってはいけないと思っても、吸う場所がないであるとか、どんどん吸う人が減っていきました。また、吸う方のマナーの向上にもなっています。そのほかにも、飲酒ドライバーの問題などもそうではないでしょうか。

 やはり風土をつくることによって軽減していくことができると思います。是非とも、そのようなことも自ら考え、想像できるような風土をつくっていきたいと考えるわけですが、最後に、時間がなくなりましたので、大臣にお答えいただきたいと思います。

 これからこの風土改革をするに当たり、文科省としての取組の決意、さらには、子供たちが、インターネット誹謗中傷だけではなく、これからの教育の分野として、自らが考え、自らが想像して、判断して、そして自らが解決できるという、いわゆるそういった人間力を鍛えていく教育が必要になってくるのではないかと思われます。

 大臣、そういうことも踏まえて、また、御自身がインターネットなどを使って、加害者になるということは考えづらいですけれども、被害者になりかねないというような観点も踏まえて、御経験もあれば教えていただけますでしょうか。

末松国務大臣 今日の時代状況を踏まえた先生の御指摘をいただきました。

 いわゆるネットいじめを含めたインターネットにおける誹謗中傷というのは、超増加傾向にございます。もう学校だけで解決なんというのはできませんで、やはり保護者、社会全体の理解や協力を得ること、大変必要でございます。

 このため、文科省としては、まず、ネットの利用に関する家庭ルールづくり等を推進するための保護者向けのシンポジウムを行ったり、学校やPTA等に無償で講師を派遣したりとか、インターネットの適切な利用方法についての啓発講座を実施するe―ネットキャラバンなどの取組を行っております。

 ツールはいいんですが、ツールの使い方が悪いわけですから、そこを直さなきゃいけないと思うんです。それはもう、先生も我々もみんな一緒だと思います。

 そして、今日、社会全体でICTの活用が当然の時代となりましたのですが、学校でも一人一台端末が整備されるなど、子供たちを取り囲む環境は大きく変わってございます。

 その中で、先生御心配の、子供たちが何が重要か主体的に物を考えて、見出した情報を活用して、他者とどう協働しながら問題を解決したり、自分の考えを形成したりするかという情報活用能力の重要性が高まっております。したがいまして、学習指導要領におきましては、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力として位置づけまして、教科横断的に育成することといたしております。

 ICT活用に当たりまして、課題に直面した際に、一律に端末やサービスの機能を制限するんじゃなくて、端末を積極的に活用する中で問題を解決するということが重要であるというように思います。隠したって、やはり隠し切れないと思うんですよね。だからといって、これが本当かどうかという、この見極めというのは、やはり子供たちに求められてくると思うんです。あのゼレンスキー大統領のフェイク動画でも、見間違えますよね。これってやはりどうなのかというのは、やはりそれぞれが、目で、今の情勢を考えて判断しなきゃいけないという難しい時代でございます。

 自ら考え、解決できるような指導を、工夫をいたしてまいりたいと思いますので、これは幅広い御指導をいただきたいと思います。

岬委員 大臣、誠にありがとうございます。私も本当にそのとおりだと思っております。

 是非、教育の一つの分野ではありますけれども、インターネットの使い方、また情報収集の仕方、そういった真贋を鍛えていく教育にも力を注いでいただきたいと思います。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

義家委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 文部科学省の調査によりますと、園児や児童生徒で新型コロナウイルス感染症に感染した方が、全国で一月は九万八千四百二十五人に達しました。二月の調査においては、二十万五千二百九十一名の児童生徒、園児の皆さんが感染されたという過去最高のデータが出ております。一月一日から二月二十八日の間に休業した学校や園は七一・六%に達し、平均の期間は二・五日というデータがございます。

 いまだオミクロン株の感染拡大が、減少している地域が多いものの、高止まりをしておりまして、小学校等の臨時休業に伴いまして、保護者の方が子供たちの世話をするために必要が生じた場合には仕事を休まざるを得ないという状況も、これからしばらくの間続いていくというふうに思っております。

 今、政府の支援策として、小学校休業等対応助成金制度というものがございまして、その制度につきましては、いまだなかなか活用が十分にされていないという状況がございます。

 この制度は、小学校の臨時休業等に伴って、子供の世話をするために仕事を休まざるを得ない保護者に対して有給の休暇を取得させた事業主に対して、休暇中に支払った賃金相当額を支給するという、事業者に対して支払われる制度でございます。

 また一方、事業者がその支払いに応じてくれない場合には、保護者の方が個人で申請をするということもできるような仕組みとなっておりまして、これは、要件を満たせば、休業支援金・給付金の仕組みを使って直接申請できる仕組みとなっております。特にこのことが周知をされていない状況もございますし、先般、この個人申請が大変使いづらいという指摘があった中で、二月に手続の改善も図られております。

 また、この三月末までであった制度が六月まで延長されるということも含めて、今も既に様々な通知を含めてお取り組みいただいているとは思いますけれども、是非、一層の周知に文科省として取り組んでいただきたいと思いますけれども、文科省としての現在の取組、今後の取組について御説明をいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 小学校休業等対応助成金・支援金につきましては、文部科学省、厚生労働省及び内閣府から各学校設置者に対しまして、三府省連名で、これまでも累次にわたって保護者の皆様へ周知いただくようお願いをしてきたところでございます。令和二年度に二回、令和三年度は昨年九月と本年一月と二月に周知し、計五回にわたって周知をしてきたところであります。

 また、御指摘いただきましたように、本助成金・支援金の対象となる休暇の取得期間につきましては、令和四年六月三十日まで延長されることを受けまして、今御指摘いただいた個人申請の手続なども含めまして、新年度に改めて周知することを予定しております。

 文科省といたしましては、引き続き、厚生労働省等と連携しながら、しっかり周知に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 是非また、新年度になりますので、引き続き周知徹底していただくようにお願いをしたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 小学校高学年における教科担任制についてお尋ねをいたします。

 新年度から本格的に導入されます教科担任制においては、英語、理科、算数、体育を優先教科としております。この教科担任制を進めていく中で、教育の質の向上、そして教員の先生方の働き改革を見据えて、文科省として、令和四年度に九百五十人の増員、今後四年間で三千八百人を増員するということが計画をされております。

 今後四年間でその人員確保が見込める状況となっているのかどうか、また予算の確保も含めて、今後の見通しについて文科省にお尋ねをいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今回の教科担任制の推進につきましては、小学校専科指導の加配定数の措置を活用して実施することとしており、財政当局との予算折衝に当たっては、今御指摘いただきましたように、四年間かけて段階的に取組を進めることを含め、必要数の議論を重ねたところであります。

 予算は毎年度折衝の上、決定するものではございますが、財政当局とは、今後の取組も見据えた一定の共通認識の下、議論をこれまで行ってきたことを踏まえまして、文部科学省といたしましては、四年間の改善総数三千八百人と見積もっているところであり、来年度以降も、今回の議論を土台としていくものというふうに考えております。

 教科担任制を円滑に導入するためには、教科の特性を踏まえつつ、専門性を有する人材や多様な知識、経験を有する人材を確保することが重要でございますので、中学校教員の活用、特別免許状の更なる活用などの取組も併せて推進していきたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 新年度から様々なお取組をされるということをお聞きをしておりますけれども、是非また推進をしていっていただきたいと思います。

 関連いたしまして、限られた人員の中で導入や運用をしていくということは、専科教員の配置や、また、これまでの学級担任制と比べて、子供たちに目が行き届きにくくなるのではないかという課題も指摘をされております。また、子供たち自身がどのように捉えるかということも大変重要な視点だというふうに思いますけれども、既に導入が図られている自治体も多く、その実際の事例から得られた課題というものにはどのようなものがあるのでしょうか。また、それを踏まえて、今後どのように運用をされていく方針なのか。このことを文科省にお伺いをいたします。

伯井政府参考人 小学校高学年における教科担任制の推進につきましては、専門性の高い教科指導を行い、教育の質の向上を図るとともに、教員の持ちこま数軽減など、学校における働き方改革を進めるということ、また、小中学校の円滑な接続や、複数の教師による多面的な児童理解にも資するというふうに考えております。

 一方で、御指摘いただきましたように、現状、小学校においては、多くが学級担任が原則として全ての教科を教えるということで、教科横断的なマネジメントが効果的に行われてきた等の利点もございます。専科指導の取組を進めるに当たっては、こうした点にも留意する必要があるというふうに考えております。

 小学校における専科指導につきましては、自治体間での取組状況が、御指摘いただいたように、様々でございますので、文部科学省としては、こうした点も踏まえ、各地域や学校の実情に応じた取組が可能となるよう、四年間かけて、先ほど申し上げました三千八百人、段階的に取組を推進したいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 地域でお取組を既にされている地域もございますので、その自治体の様々な実例から得られる課題を含め、また、その地域の実情に合った形でしっかり今後も取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それでは次に、私立学校法人におけるガバナンス改革についてお尋ねをいたします。

 二〇一九年より学校法人のガバナンス改革の方針が示され、二〇二一年には、年内にガバナンス改革の結論を経て法制化をする旨が示されております。

 まず、このガバナンス改革を議論する大前提として、我が国における私立学校の存在の意義や役割について、末松文科大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 西岡先生にお答え申し上げます。

 私立学校は、教育基本法上、きちっと調べましたら、八条に、公の性質を有する学校でありまして、国公立学校とともに我が国の教育制度の一翼を担ってございます。その上で、私立学校では、それぞれの建学の精神に基づきまして、個性豊かな活動が展開されております。我が国の学校教育の発展、普及や、多様化するニーズに応じた特色ある教育研究の推進に重要な役割を果たしております。

 また、私立学校に在学する学生生徒の割合、大学、短大で約七割、高等学校で約三割、幼稚園では約九割を占めておりまして、私立学校は、質、量、両面から我が国の学校教育を支えております。

 こうした私立学校の果たす役割の重要性に鑑みまして、文部科学省では、私立学校の振興を重要な政策課題として位置づけまして、学校法人制度の改善や、教育研究条件の維持向上であるとか、修学上の経済的な負担の軽減に努めているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣からも示されたように、大変、私立学校の重要性というのは、これは皆様が共通の認識でおられるというふうに思いますけれども、今般、様々な私立大学におきまして、理事長、また理事に様々な不祥事が起きたということも含めて、この私立学校におけるガバナンス改革というものが議論をされてきたというふうに思います。

 その中で、昨年十二月に、私立学校等を運営する学校法人のガバナンス改革を議論するガバナンス改革会議から報告書が取りまとめられましたけれども、有識者会議から取りまとめられましたけれども、様々な、この取りまとめの案につきましては、現場から多くの懸念の声が出されたことを受けて、改めて、文科省の会議におきまして、再度、文科省の特別委員会におきまして、ガバナンス改革の方向性が議論をされる中で、先般、二十二日の日にその方向性が大筋了承されるということで、報告書が出されました。

 今国会で私立学校法改正案の提出を目指すという方針であるとお伺いをいたしておりますけれども、この特別委員会で議論された報告書の改革の内容について、文科省より御説明をいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 学校法人のガバナンス改革につきましては、議員御指摘のように、その在り方については、令和元年、令和三年などの閣議決定に基づきまして検討がなされてきたところでございますけれども、昨年、学校法人ガバナンス改革会議、こちらは有識者の、外の会議でございますが、等において審議されまして、そこにおいて、理事に対する監督、牽制機能を重視し、評議員会を最高監督、議決機関に改めるなどの提言を得た一方で、教育研究への影響などについて、関係者から強い懸念が寄せられました。

 このため、昨年末に、私立学校ガバナンス改革に関する対応方針を公表いたしまして、これまでの議論の蓄積の上に立ちつつ、関係者の丁寧な合意形成を図るために、文科省の審議会の下に学校法人制度改革特別委員会を設置し、大学教授、弁護士、公認会計士等のガバナンスの専門家に加えまして私立学校関係者の代表者にも参画をいただきまして、これまで六回にわたる審議を経て、先ほど委員が御指摘のあった三月二十二日に最終回を行いましたけれども、それを踏まえて報告書を昨日公表したところでございます。

 そこでは、主に、執行と監視、監督の役割の明確化、分離を基本的な考え方としつつ、理事、理事会、監事及び評議員会等の各権限を明確に整理し、建設的な協働と牽制を確立することで、実効性のあるガバナンスの構造を構築するということとしてございます。

 そのための具体的な方策といたしまして、例えば、大臣所轄学校法人において、解散や合併等の基礎的変更事項については、理事会の決定とともに評議員会の決議を要することとする、それから、理事の選解任を行う機関を各法人の寄附行為で明確化するとともに、理事会による理事の解任請求を認めること、また、評議員会の構成等の適切化などが示されたところでございます。

 そのほかにも、監事の地位の独立化と職務の公正性の確保の観点から、監事は評議員会が選任するとともに、役員の近親者の監事就任を禁止することや、他の法人と同様に、役員等による特別背任等の刑事罰を新設することも提言をされたものでございます。

 この提言を踏まえまして、私どもとしては、現在、法制化のための準備を進めているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 その提言を受けてこれから法整備をされるということでございますけれども、今回のこのガバナンス改革を通じて、この私立学校法人における理事会、評議会の在り方というのが大変大きな争点となったと思います。

 今回の改正によって、私立学校法人について、最終的な責任を負うのは誰になるのか、また、その最終的な最高権限を持つというのはどなたになるのかということについて、末松大臣の御見解というのをもしお伺いできればと思います。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 平成十六年に、私立学校法の改正におきまして、それまで明文の規定がなかった理事会を法定化しまして、理事会を学校法人の業務の決定を行う機関とすることや、理事会が学校法人の運営に最終的な責任を負うことを明確化したところでございます。

 今般の特別委員会の報告書では、理事会と評議員会の建設的な協働の実現、これを目指しまして、両者の意思決定権限の分配を見直すことが提言されております。これは評議員会が理事長や理事会のチェック機能をしっかり果たすべきとの考えに基づくものでございまして、従来の理事会の権限、責任を前提としつつ、これに対する評議員会による牽制機能を強化することを意図とするものでございます。そういう意味で、建設的な牽制があるというふうに理解いただきたいと存じます。

西岡委員 今のお話ですと、最終決定機関は理事会であるということは、これまでと変わらないという理解でよろしいでしょうか。

末松国務大臣 おっしゃるとおりです。

西岡委員 今回、評議員会の機能を強化するということがございますので、この評議員の選定というのが極めて重要になると思います。その責任や権限に堪え得る選任というものが今後求められてくると思いますので、このガバナンス改革は、大臣所管法人にとっては、その影響が大変大きな改革となり、広範囲に影響があることでございますので、一定的な経過措置の配慮も必要だということも現場からお声があるということを大臣にお伝えをさせていただきたいと思います。

 このことは、改めて、詳しくまた質問の機会をいただければというふうに思いますので、以上にさせていただきます。

 それでは、残りもう僅かでございますけれども、少人数学級、少人数指導の推進についてお尋ねをいたします。

 三十五人学級が実現するに当たっては、教職員の不足の課題というものもございますけれども、一方で、それに併せた教室の整備を進める必要がございます。その場合に、昨年改正されましたバリアフリー法ですとか、今回の感染症対策のための学校整備も同時に進めるということが私は必要ではないかと思っております。

 学校は、子供たちの安心、安全な学び、育ちの場であると同時に、防災拠点でもありますし、地域コミュニティーの拠点でもあります。全ての人が利用しやすい環境をつくっていくということが求められております。

 この様々な改修等については、総合的にこのことに取り組む必要があるというふうに思いますけれども、どのように今後推進されていく方針かということを文科省にお尋ねをして、私の、時間となっておりますので、これで、お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。

下間政府参考人 お答えを申し上げます。

 小学校の三十五人学級実施と併せまして、学びの基盤となる学校施設の整備につきましても、新しい時代にふさわしい姿を目指していく必要がございます。その際、一人一台端末を活用した新しい学びに対応した教育環境の向上や、いわゆるバリアフリー法改正、新型コロナウイルス感染症への対応等を含めまして、様々なニーズに対応しつつ、老朽化対策や耐震対策など、安全、安心な環境の確保を図ることが重要であると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、学校設置者である地方公共団体における教育環境の向上と老朽化対策を一体的に推進する学校施設の整備、その取組に対する財政支援を行っているところでございます。

 引き続き、三十五人学級実施に伴う教室確保の対応やバリアフリー化や衛生環境の改善など、新しい時代の学びを支える安全、安心な教育環境の整備が計画的に進みますよう必要な予算総額の確保に努めまして、地方公共団体の取組をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西岡委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 日本共産党は、昨年四月、梅村さえこ元衆議院議員を責任者とする校則問題プロジェクトを発足させ、全国的に校則アンケートに取り組んでまいりました。中高生、保護者、教職員、市民、約三千人から寄せられたアンケート結果は、ホームページに掲載するとともに、現在進行中の文部科学省の生徒指導提要改訂に関する協力者会議にも参考資料としてお届けをいたしました。

 今日は、そのアンケートの結果の概要を資料として配付しております。

 資料一を見ていただきたい。中高生の八二%、保護者の八五%、教職員の九一%が校則で疑問に思うものがあると答えております。やはり一番多いのはツーブロックなど特定の髪型の禁止で、七割の中高生が校則の検査を受け、不快を訴えております。校則の影響については、半分近くが監視されているようで窮屈と答え、校則を守る理由について、半分は説明なしで、さらに、説明されても七割は納得できておりません。その説明はどんなものですかという自由記述欄を見ていただきたい。伝統だから、ルールは学校にも社会にも存在するから、我慢してとか、ツーブロックはその髪型を見た人が怖いと思うので禁止ですとかいう説明が並んでおります。

 初等中等教育局長に聞きますけれども、こういう状況をつかんでおられるか、そして、このような理由では、生徒たちはもちろん、親や地域も納得しないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 校則につきましては、校則の意義とか運用に関する内容、あるいは、やはり社会的に合理的な説明がつくよう不断の見直しが重要であるということであります。そうしたことから、今様々な見直しが各自治体で進められているということも承知しておりますし、今御指摘いただいたような意見があるというのも一定程度承知しております。

 そういう意味で、現在、生徒指導要録の改訂に関する会議ではそうした方向での議論も進めているところでございます。

宮本(岳)委員 一枚めくって資料二を見ていただきたい。八五・九%の生徒は校則を変えられたらいいのにと思っているが、変える手続が不明、変えようとしても変わらないことが多い。中には、校則を変えたいと言ったら先生にどなられたとか、はぐらかされて答えてくれなかったというのもございました。

 資料二の右側は、今度は教員や大人の声でありますけれども、先生の校則指導は、どちらかというと仕方なくというのが半数を占め、積極的にやっている、こうおっしゃる先生は一割そこそこという結果でございました。そして、大人の九割が校則に生徒の意見を反映させるべきと答えております。

 こういう現状について、これは文部科学大臣にひとつ御感想をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生、これは個別のアンケートでございまして、具体的な見解を述べることは差し控えたいと思うんですけれども、校則に関する一つの御意見としては大変参考にさせていただきたい、そのように思ってございます。

宮本(岳)委員 これは、今検討が進められている生徒指導提要の改訂に関する協力者会議の方々にも、もちろん参考資料としてですよ、参考としてお届けをしたということも重ねて申し上げておきたいと思います。

 既に、今申し上げた生徒指導に関する学校教職員向けの基本書でありますけれども、生徒指導提要の改訂作業が始まっておりまして、昨日の午後、生徒指導提要の改訂に関する協力者会議の第七回会合が開かれまして、そこで公表されたのがこの生徒指導提要改訂試案というもの、昨日の午後開かれたもの、そこで公表されたものでございます。

 内容に入る前に、これはちょっと作業の実務的な今後の流れだけ初等中等教育局長に確認しておきたいんですけれども、これは今後どのような作業が行われ、いつ頃文部科学省ホームページに公開される、こういう予定になっておりますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 生徒指導提要、先ほどちょっと生徒指導要録と答えてしまったかもしれませんけれども、生徒指導提要の改訂に関する協力者会議は、昨年七月以降、七回にわたる会議を経て、生徒指導の概念や取組の方向性等を再整理し、改訂作業を進めてまいりました。そして、今御指摘いただいた昨日のその協力者会議では、生徒指導提要の改訂試案が示されました。公表しております。

 次年度以降も引き続き会議を継続させ、各章の執筆者と記載内容の調整なども行いながら更に精査を進め、最終的には今年の夏頃に公開、公表したいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 今年の夏頃には決定され、ホームページで公開されるということであります。

 約十年ぶりの抜本的な改訂とのことで、先ほどの我が党のアンケートにも示されたような、校則をめぐる理不尽と言われる現状がどのように正されるのかに注目が集まっております。

 資料三を御覧いただきたい。早速、この生徒指導提要改訂試案の二十七、二十八ページにある「生徒指導の取り組み上の留意点」の冒頭に掲げられた児童の権利に関する条約と四つの原則の説明について、ここに御紹介を申し上げました。

 初等中等教育局長に確認しますけれども、「生徒指導の取り組み上の留意点」の冒頭に児童の権利に関する条約を掲げた趣旨はどのようなものでございますか。

伯井政府参考人 児童の権利条約はまさに児童の権利について述べた重要な条約でございますので、そうした趣旨の周知ということも政府として求められているということから、そうしたことについての文言も記載しているというふうに承知しております。

宮本(岳)委員 この資料を見ていただいたら、「児童の権利の理解」ということで、児童の権利に関する条約を引いた後、四つの原則ということで原則を四つ挙げております。

 順々に見ていただいたら分かるとおりですけれども、一つは、差別の禁止、条約第二条、二つは、児童の最善の利益、第三条、三つは、生命、生存、発達に対する権利、第六条、そして四番目に、意見表明権、第十二条。これは我が国も批准している条約ですから、全部受け入れておりますので、当然、それに基づいて進める必要があるんですね。

 それで、この資料の三の右側、二十八ページの「ICTの活用」というところの直前には、安心、安全な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと言えますと述べられております。子どもの権利条約の四つの原則は、生徒指導のあらゆる場面で尊重されなければなりません。

 そこで次に、もう資料につけていませんが、この生徒指導提要の七十五ページからの「校則の運用・見直し」の内容について聞かせていただきます。

 改訂試案の七十六ページには、「(2)校則の運用」として「校則に基づく指導を行うにあたっては、校則を守らせることにばかりこだわることなく、何のために設けた決まりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要です。」とあり、校則の内容をふだんから学校内外の者が参照できるように学校のホームページに公開しておくことや、制定した理由や背景を示すことも求めております。

 改めて聞くんですが、学校内外、こうなっておりますので、これは学校外にもその規則、校則を公開する、こういうことでございますね、初等中等教育局。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、校則に基づく指導を行うに当たっては、児童生徒が自分事として校則の意味を理解して、自主的に校則を守るように指導していくということが重要であります。そのため、校則の内容につきましては、ふだんから学校内外の者が参照できるよう、例えば学校のホームページに公開しておくことや、それぞれの決まりの意義を理解し、児童生徒が主体的に校則を遵守するようになるために、制定した背景についても示しておくということも適切であるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 この公開の議論については、実は参議院で、私じゃないですけれども、萩生田大臣と我が党の吉良よし子がやった校則問題の質問というのがありまして、要するに、校則があらかじめ公表されていないと、入ってみて初めて分かって、それで子供たちがそういう校則があることが分からなかったと。それはもちろん大したことなければいいんですけれども、たちまち学校へ行けなくなったというような事例もないわけじゃなくて、あらかじめ示すことが大事だと萩生田大臣の答弁がそのとき出ているんですけれども、あらかじめ周知しておいて、そういう校則があるということが分かって選べるようにすべきなんだというのがそのとき出ていまして、これはちょっと通告していないですけれども、大臣もそういうお考えは引き継いでいただけますね。

末松国務大臣 萩生田前大臣からそういう御答弁があったと思いますけれども、それは、入る前にそういった校則があることは理解されるべきだと思うんですけれども、校則自体は、先生、絶えず見直しをされていますし、そういう意味では、生徒の意見も踏まえながら、向き合いながら、やはり校則というのは、保護者の意見も聞き、いろいろな形で変わってまいりますので、確定したものではないと思います。

宮本(岳)委員 そのときも不断に見直すという議論をやっていますし、私も今日、不断に見直していただきたいということを申し上げたいわけでありますし、今度の指導提要も、できるだけ時代だとか、子供の声や保護者の声や先生方の声も集めて、よりよいものに見直していこうということをこれからやろうということなんだろうと思います。

 それで、改訂試案のこの七十六ページの「校則の見直し」というところを見ると、先ほどの我が党のアンケートでも、校則を変えたいが手続が分からないと。変えたいと言うたらどなられたというのがありましたけれども、どうすれば変えれるかというのがよう分からぬので、変えたいと言うだけで変わらないわけであります。

 この改訂試案の七十六ページの「校則の見直し」では、見直しに当たって、児童生徒や保護者等の学校関係者からの意見を聴取した上で定めていくことが望ましいと述べるとともに、生徒会や保護者会などで話合いの機会を設けること、そして、校則を見直す必要がある場合にどのような手続を踏むべきか、その過程についても示しておくことが望ましい、あらかじめ、こういうふうにして、変えるときにはこうやって変えましょうということも示しておくことが望ましいと書いております。

 つまりこれは、児童生徒の意見を聞き、話合いの場を重視するとともに、どのようにすれば校則が変えられるかを事前に明らかにしておこうというものですね。間違いないですね、初等中等教育局。

伯井政府参考人 まさに今御指摘いただきましたように、改訂試案におきましては、校則の見直しに当たってはということで、今先生がお述べになられたようなことを規定しておりまして、やはり、必要な手続、見直しのプロセスについて、しっかり明示しておくことが望ましいというふうに示しております。

 今後、引き続き、生徒指導提要の改訂に向けて、そういった点も踏まえて精査していきたいと考えております。

宮本(岳)委員 まさに、子どもの権利条約の四つの原則に立ち、子供の意見表明権を保障するということだと思います。

 ところが、もう一度、先ほどの資料の三の左側、二十七ページのちょっと下に赤と青で書いている、この部分に戻っていただきたいんですけれども、赤い字で注釈がありまして、「「児童の権利に関する条約」について(通知)」という、平成六年、一九九四年五月二十日付の文部事務次官通知が示されております。

 私、その通知、ここに持ってきましたけれども、この一九九四年の事務次官通知によると、子どもの権利条約十二条一の子供の意見表明権については、表明された児童の意思がその年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、必ず反映されるということまでをも求めているものではない、そう書かれているんですね。先ほどからの話とは、ちょっと、大分トーンが違うわけであります。

 これはちょっと正確にしておく必要がありますので、初中局長、どちらが本当ですか。

伯井政府参考人 御指摘の平成六年の児童の権利条約に関する事務次官通知では、ただいま御紹介いただきましたように、意見を表明する権利について、表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、必ず反映されるということまでをも求めているものではないというふうに示されているところでございます。

 一方で、校則の制定というのは、最終的には校長が適切に判断する事柄でありますが、児童生徒の学校生活に大きな影響を及ぼすことがあることから、児童生徒の意見を聴取した上で定めていくことが望ましいということであります。

 その場合、最終的には校長が適切に判断するということですので、個々の意見全てが反映されるわけではございませんが、表明された児童生徒の意見は、その年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきものというふうに考えております。

宮本(岳)委員 決して、平成六年の、一九九四年の通知を撤回するというようなことではないですけれども、やはり、新たにこういう提要が定められた場合には、そういう運用にしていただきたいと思うんですね。

 次に、改訂試案の七十七ページなんですけれども、「児童生徒の関与」として、校則を見直す際に児童生徒自身が主体的に関与することは、学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものとなりますと書いてあることは、私は非常に大事な提起だと思います。

 そこで、大臣に聞くんですけれども、人格の形成を目指す教育の目的の観点から見ても、子供の主体性が非常に大事だと思うんです、この校則問題について。これについての大臣の認識をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省では、昨年六月に教育委員会等に対しまして事務連絡を発出しまして、地域の状況や社会の常識などを踏まえまして校則の内容を不断に見直すことが必要であるということ、校則を自分事として捉えて、自主的に守るように学校が指導を行っていくことが重要であるというところをお示しをしたところであります。

 御指摘のように、校則の策定や見直しの過程で児童生徒自身が関与することについては、文部科学省としても、校則の意義を理解して自ら校則を守ろうという意識の醸成につながり、児童生徒自身が校則の根拠を考えることを通じて、身近な課題を自ら解決するなどの教育的意義を有するものと考えています。これらの点について、改訂中の生徒指導提要の試案に示されているところでございます。

 生徒指導提要は、生徒指導の基本書ともいうべき存在であり、今先生おっしゃったように平成二十二年にできていますが、学校と教育委員会等が必要とする知見や情報を盛り込んだ内容となるように、御指摘の校則の在り方も含めて、引き続き内容の精査を進めていきたいと思います。

宮本(岳)委員 時間が来ましたけれども、これは、今ちょっとメディアの報道を見ても、非常に高く提要について評価する声も出ている一方で、現場でどう浸透させるかが大きな課題だという御指摘もございます。

 その点では、先ほど申し上げたように、子どもの権利条約というものもまだまだ知られていないわけですよ。アンケートで見ましても、意見表明権、知っているというのは一割そこそこということでありますから、しっかり子どもの権利条約を知ってもらう、現場でしっかりつかんでもらうということが大事だと思うので、最後に、済みません、子どもの権利条約や四つの原則、ここに掲げられた場合、それをしっかりと現場に広げていく御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

末松国務大臣 宮本先生にお答え申し上げます。

 御指摘の子どもの権利条約や四つの原則を含めまして、生徒指導提要に記載された内容をしっかりと現場に浸透させていくことは大切であるという認識です。このため、現在改訂中の生徒指導提要がより現場で理解されて活用していただけるようなものになるように、次年度以降も引き続き重ねて精査をしていきたいと思います。

 また、生徒指導提要の改訂後には、各教育委員会の生徒指導担当者向けの研修会等々の様々な機会を通じ、その趣旨を周知徹底しまして、提要にのっとった学校の適切な対応を促してまいりたいというふうに思います。

 先生からまた御意見いただきたいと思います。

宮本(岳)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

義家委員長 次に、内閣提出、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。末松文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

末松国務大臣 この度、政府から提出いたしました教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 グローバル化や情報化の進展により、社会の在り方そのものが急速に変化する状況が生じつつあり、教育をめぐる状況の変化も速度を増しております。このような中で、教師自身も高度な専門職として新たな知識、技能の修得に継続的に取り組んでいく必要が高まっています。また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正により、文部科学大臣が定める指針を参酌した上で、教育委員会が教師の資質の向上に関する指標を定め、当該指標に基づく教員研修計画を定めることとされており、各地域の課題やニーズに応じた体系的な研修の実施が図られるようになるとともに、教師についてもオンライン化された学びが新型コロナウイルス感染症に対する対応を契機に急速に広まっています。

 このような社会的変化、学びの環境の変化を受け、教師の学びの在り方もまた変化することが必要であり、令和の日本型学校教育を実現する新たな教師の学びの姿として、主体的な学び、個別最適な学び、協働的な学びなどが求められているところです。

 この法律案は、校長及び教員の資質の向上のための施策をより合理的かつ効果的に実施するため、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定を整備し、普通免許状及び特別免許状の更新制を発展的に解消する等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者は、校長及び教員ごとに研修等に関する記録を作成しなければならないこととするとともに、指導助言者は、校長及び教員に対し資質の向上に関する指導助言等を行うものとしております。また、指導助言等を行う場合、校長及び教員の資質の向上に関する指標及び教員研修計画を踏まえるとともに、当該記録に係る情報を活用するものとしております。

 第二に、普通免許状及び特別免許状を有効期間の定めのないものとし、更新制に関する規定を教育職員免許法から削除することとしております。あわせて、本法律案の施行の際に現に効力を有し、本法律案による改正前の規定により有効期間が定められた普通免許状及び特別免許状には、本法律案の施行日以後は有効期間の定めがないものとする等の経過措置を講じることとしております。

 第三に、普通免許状を有する者が他の学校種の普通免許状の授与を受けようとする場合に必要な最低在職年数について、当該年数に含めることができる勤務経験の対象を拡大するとともに、主として社会人を対象とする教職特別課程について、その修業年限を一年以上に弾力化することとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

 以上です。

義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

義家委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る四月一日金曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四月一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.