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第8号 令和4年4月8日(金曜日)

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令和四年四月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      神田 憲次君    木原  稔君

      国定 勇人君    国光あやの君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      島尻安伊子君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    船田  元君

      古川 直季君    松本 剛明君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      荒井  優君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     島尻安伊子君

  船田  元君     五十嵐 清君

  山口  晋君     尾崎 正直君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     船田  元君

  尾崎 正直君     山口  晋君

  島尻安伊子君     国定 勇人君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     木原  稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、財務省主計局次長奥達雄君、文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、初等中等教育局長伯井美徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉川元君。

吉川(元)委員 おはようございます。立憲民主党の吉川元です。

 早速質問に入らさせていただきます。

 今回、教員免許更新制度が廃止をされるということで、感慨深いものがございます。初当選以来ずっと文部科学委員会に所属してまいりまして、この間、この免許更新制、百害あって一利ないということで、廃止を常に求めてまいりました。ちょっと数えただけでも六回ぐらいは、この委員会の場で、この免許更新制の問題点を指摘したり、あるいは廃止すべきだといったような質問や、あるいは討論もさせていただいております。ただ、やはりちょっと遅過ぎたなというのも正直な思いであります。

 そこで、ちょっとまずお聞きしたいんですけれども、中教審が昨年十一月に取りまとめた「「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」の審議まとめ、これについて少しお伺いします。

 この中で、免許更新制は、「「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ない。」このように記入がされております。

 まず、大臣に伺いますが、大臣も、この審議まとめの認識、つまり、阻害要因というふうな認識でいらっしゃるのかどうかをお答えください。

末松国務大臣 おはようございます。吉川先生にお答え申し上げます。

 審議まとめ、これでございまして、五十八ページ物です。

 中央教育審議会によります審議まとめでは、教員免許更新制につきまして、いろいろ意見はありますけれども、一定の成果を認めた上で、例えば、十年に一度の講習は、常に最新の知識、技能を学び続けていくことと整合的でないということが一つ大きく出ております。そして、個別最適な学びが求められる中で、共通に求められる内容を中心とする教員免許更新制とは方向性が異なっている、そして、免許状更新講習の受講は、本質的には個人的なものとならざるを得ず、組織的なものとする上では限界があるなどの課題を挙げておりまして、「「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、阻害要因となると考えざるを得ない。」と結論づけられているところでございます。

 文科省としても、この審議のまとめの内容を踏まえて今回の法案を提出したところでございまして、私の認識もこの審議まとめと同じでございます。

吉川(元)委員 阻害要因というのはかなり厳しい指摘だというふうに思いますし、一定成果はあったというふうにおっしゃいますが、この審議まとめの中に附属して、別紙一ということで、「教員免許更新制の評価と課題」という別紙のものがついております。ページ数でいうと三十八ページ以降になりますが、この中で、五つの点について取り上げております。一つは、制度設計、これは問題点を深刻に捉えることが必要だというようなことが書かれておりますし、教師の負担、管理職等の負担、そして教員の確保への影響、講習開設者の負担、この五点にわたって記述がされ、問題点があるというふうな指摘がされております。

 私も全く同じ思いでありますが、ただ、これは、この二、三年で問題が明らかになったとは、私、言えないと思うんですよね。

 例えば、最初の免許更新制の制度設計、つまりうっかり失効、これは非常に問題だというふうに指摘をされておりますが、この制度設計自体、そもそも最初からこのうっかり失効というのは起こり得る、当然起こり得る事態であったし、あるいは、教師の負担ということでいいますと、これはこの二、三年で起こったわけではありません。もう十年以上前から、教師の非常に長時間にわたる勤務、そしてたくさんの公務災害、発生をして、各地で裁判も争われてきました。ですから、これはここ数年の問題ではない。

 それからさらに、教師の確保への影響ということで、実は、少し見ておりますと、私、二〇一六年の当文科委員会で、この点についても指摘をしております。今から六年前です。実際に、このとき、私、どういうふうに言ったかといったら、先生がいなくて、臨時で誰か探さなきゃいけないと思って声をかけたら、免許が実は今切れちゃっている、だから教壇に立てない、こういうケースを紹介しながら、これが結果的に教師不足に拍車をかけているということも指摘をさせていただきました。

 これは何も、二〇一六年に発生した事象ではありません。その以前から発生をしていたことであります。当然、文科省は、この事態については把握をしていたはずであります。ということは、今回の免許更新制の導入時から元々あった問題。そして、中には、例えばコロナで大変になったというようなことも記述がありますが、これはこの二、三年ですけれども、ほとんどの課題はもう免許更新制を入れるときから存在をしていたというふうに私は思いますが、大臣は、そういう認識はお持ちではありませんか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 中教審の審議のまとめの別紙では、今先生御指摘されたページから、教員免許更新制の課題として、現職教員の免許状失効、うっかり失効のお話はここでもよく質問に出ました。そして、二つ目、教師、管理職等の負担、これは、やはりそれだけ忙しくなったことだと思います。そして、教員確保への影響、講習開設者の負担などが挙げられております。

 これらの課題は、制度導入後の変化により顕在化したところもございますので、そうした中にありまして、教員免許更新制は、教師にとって重要な学びの機会として一定の役割を果たしてきたものというように考えております。

 しかしながら、社会の変化や研修の在り方の変化も踏まえまして、総合的な判断として、本法案では、研修等の記録や指導助言等の義務づけなど、新たな教師の学びの姿の実現に向けた方策の実施により、教員免許の発展的解消とすることにいたしたところでございます。

 ここで何度もお話を申し上げておりますけれども、今、考え方を述べさせていただきました。

吉川(元)委員 今の答弁、無理がありますよ。

 制度設計というのは、最初につくったとき制度設計しているわけですよ。その時点で、うっかり失効というのは当然起こり得る。もしそのことを考えていなかったというのであれば、十分な制度設計についての議論が、政府の中で、文科省の中でされてこなかった。

 そういう意味でいえば、文科省の責任は非常に大きいと私は思いますし、それから、長時間労働に関して言うと、先ほども言いましたけれども、今始まった話じゃないんですよ。もうずっと続いている。先ほども少し紹介しましたけれども、全国各地で、いわゆる過労死、あるいは病気になった、休職をしている、公務災害の認定の訴訟がたくさん行われてきております。これもこの二、三年で起こった話じゃないんです。もう十年以上前から、ずっと続いている話なんです。

 そういうことは真摯に、やはり私は、文科省は、まあなかなか、間違っていましたとは言えないのかも分かりませんけれども、真摯に受け止めなければいけませんし、今後、新たな制度、いろいろなまた制度が入ったり改廃されると思いますけれども、その際に、今回の、私は、これは文科省の大きな失敗だったというふうに思いますから、この失敗をきちんと省の中で総括をして、そしてその上で、次どういうことをやっていこうかということを考えないと、また同じことを繰り返してしまうのではないか、そのことを指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、改正の具体的な内容について伺いたいと思いますけれども、まず、今年七月一日施行ということになっておりますが、旧免許状はそうでありますし、それから二〇〇九年四月一日以降の新免許状、これらについて、現行、今教壇に立たれている旧免許状、新免許状はもちろんでありますし、それから休眠状態にある旧免許状、いずれも特段の手続なしに定めのない免許状になるのかということを改めて確認させてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 本法案において、施行日となる七月一日に現に有効な教員免許状については、新免許状、旧免許状いずれについても、特段の手続なく有効期間のない免許状とし、更新講習の受講を必要とせず、教壇に立つことが可能となります。

吉川(元)委員 旧免許状の休眠状態にあるものもそうですね。

藤原政府参考人 同様でございます。

吉川(元)委員 それで、もう一点確認させていただきたいんですけれども、今回、期限の定めのないものに変わるというものについて、当然、旧免許状と新免許状、これまでは二つの免許が存在をしていました。

 今回、これが両方とも期限の定めのない免許状になるということは、旧免許状も新免許状も、どう言えばうまく伝わるか分かりませんが、区別がない、全く同じ種類の免許状になる、つまり、将来にわたって、例えば、あなたは旧免許状でしたからこうなります、あなたは新免許状でしたからこうなりますというようなことは、この時点で全部チャラになるといいますか、リセットされて、全て同じ、期限のない免許状になるという理解でいいですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 本法案において、施行日となる七月一日に現に有効な教員免許状につきましては、新免許状、旧免許状いずれについても有効期間の定めのない免許状となり、七月一日以降は、法令上全く違いのないものとなります。

吉川(元)委員 それでは次に、失効した免許状について、新免許状、旧免許状でも、ごくごく少ないとは思いますけれども、失効した免許状があると思いますが、これの再授与にはどのような手続が必要ですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 本法律の施行日前に更新を行わなかったことにより教員免許状が失効した者は、法律に基づく有効な制度の下で更新講習を受講しなかったことにより失効しているものであり、自動的に復活するということはございません。

 ただし、申請書のほか、教員免許状の授与に必要な単位等の修得状況の証明書など、各都道府県教育委員会が定める所定の書類をそろえて申請を行うことで、都道府県教育委員会から再授与を受けることが可能であると考えております。

吉川(元)委員 申請書を出すというのはある程度理解いたします。ただ、なぜそこで単位が必要になるのか。元々免許を持っていたということは、これは単位を取得していたということだと思います。それがなぜまた、いわゆる再授与を受ける際に、もう一度単位を出してくれと言わなければいけないのか。

 免許を持っていたということは、つまり単位を取っていたということですからね。なぜそれが必要なのか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、再授与を含む免許授与の申請に必要な書類というのがございます。こちらは都道府県教育委員会が定めることとされており、免許状の取得に必要な単位の修得状況など、審査を行う上で必要な書類を求めているという状況でございます。

 ただ、実際にこの法律案が認められた場合ということでございますけれども、例えば、過去に免許状が授与された事実が確実に証明できる場合、一部の書類を省略するといったような余地もあろうかというふうに考えておりますけれども、都道府県の自治事務である授与事務に、授与実務に関わる内容であるため、今後、法案の成立が認められた暁には、都道府県教育委員会と具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 是非、過去に免許を持っていた、あるいは教壇に立っていたということは、それはその単位を持っているから、単位を取っているから免許を持っていたわけで、その間にその過去の単位が消えてしまうわけではないわけです、学んだことは残っているわけですから。

 そこはきちんと都道府県教育委員会等々と意思疎通をしていただいて、ただでさえそういう負荷がかかるような、最初に言ったとおり、これは文科省の私は大きな失敗だったというふうに思います。そのツケで失効してしまった免許の回復のときに、できる限り負担を軽減する。分かり切ったことをまたあえてやらせるというようなことは是非避けていただきたいというふうに思います。

 それともう一点、単位に関して、ちょっと気になるんですけれども、二〇〇九年以降、新免許状ということでありますが、あるのかないのか分かりませんけれども、当時例えば免許を取得するのに必要であった単位と現在免許を取得するために必要であった単位、全く同じであれば問題ないんですが、この十年以上にわたって、新たにこういう単位が必要ですという話が出てきた場合に、それはどのような扱いになるんでしょうか。

藤原政府参考人 これまで、時代の変化に伴い、教員として求められる資質、能力も絶えず変化してきたところであり、免許状取得に必要な単位の内容につきましても随時見直しを図ってまいりました。

 しかしながら、免許状を取得する者の不利益を防ぐ観点から、そうした様々な見直しの前に免許状に係る所要資格を得た場合は、見直し後についても所要資格を得たものとみなす等の経過措置が講じられてきたところでございます。

 このため、本法律の施行日前に更新を行わなかったことにより教員免許状が失効した者について、当該見直し後の制度に対応した単位を改めて修得する必要はないものと考えております。

吉川(元)委員 この点についても、是非、各教育委員会にしっかりと周知をしていただきたいというふうに思っております。

 では、次に、教特法の関係で何点かお聞きをしたいというふうに思います。

 改正法の二十二条の五の第一項で、研修等に関する記録の作成が新たに任命権者に義務づけられるということになります。

 現行法では、この記録作成、義務化はされていないというふうに承知しておりますが、文科省の研修受講履歴管理状況調査、これは二〇二一年度に行われているようでありますが、その調査を見ますと、例えば幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校の正規教員の受講履歴を管理している都道府県教育委員会は七六・五%、つまり四分の三は既に記録をつけているということであります。

 現状で既に研修受講履歴を管理している都道府県教育委員会、これはどのような目的で管理し、活用しているんでしょうか。

藤原政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、現在、約四分の三の都道府県教育委員会において教員の研修受講履歴を何らかの方法で管理しており、その活用方法といたしましては、学校管理職等による教師一人一人の研修受講状況の確認のほか、教師による研修履歴の振り返りと受講計画の作成、学校管理職等による各教師への研修受講の指導、一人一人の教師の強みを生かした配置などの人材育成などに活用されているものと承知をしております。

吉川(元)委員 これまで任意だった研修等の記録作成が今回の法改正で義務づけられるということになるわけですが、当該条文を読む限り、任命権者、つまり一般的には都道府県教育委員会が作成、管理するというふうに受け止めております。

 他方で、中教審の審議まとめでは、研修等の受講履歴について、制度的に責任を負う任命権者が共同で構築し、管理責任を負うこととした上で、システムの構築や運用に教職員支援機構が参加することが考えられるとして、関係者での間での協議も求めております。

 先般の参考人質疑でも、加治佐参考人からは、履歴システムについては、当初は各都道府県ごとのものになると思うとした上で、最終的には教職員支援機構が中心になって全国的なシステムをつくっていただきたい、こういうふうに述べておられます。

 これら一連の流れを見ますと、研修等の受講履歴の管理は、今すぐかどうかは別にして、将来的には全国統一のシステムが利用されるということになるのかなというふうにも考えられます。

 実際、二〇二一年度の補正予算十億円、それから今年度予算で九千三百万円の予算がついて、研修受講履歴の管理システム構築費、これが計上をされております。研修等の受講履歴の管理システム、全国統一仕様になるのかどうか、もし仮になるとすれば、その目的を教えてください。

藤原政府参考人 研修受講履歴記録システムにつきましては、国がその構築を行い、任命権者である教育委員会の判断と責任の下で研修履歴を記録、活用していくことを想定をしておりますが、新たな情報システムの構築に当たっては、全ての都道府県教育委員会等に活用されることを目指しております。

 本システムにより、教師の新たな学びの姿を高度化する仕組みとして、教育委員会の事務負担等を軽減しながら、研修等に関する記録を活用した学校管理職等による指導助言等の実効性を高めるための取組をより合理的かつ効果的に進めることができるものと考えております。

 このため、令和三年度補正予算においてこれに関する調査研究費を計上するとともに、令和四年度予算においてはシステム構築費を計上しておりますが、まずは、調査研究において、都道府県教育委員会等とも十分に協議をしながら、備えるべき機能などについて明らかにした上で、速やかに構築に着手をしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今、これからだというお話でもありましたけれども、昨年度の補正予算十億円の経費ですけれども、特定免許状失効者管理システムの構築等という名目になっております。

 これは当委員会でも議論いたしましたが、過去に児童生徒に性暴力を行った者が再び教壇に立つことを防止するため、昨年の通常国会で成立した教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律に従いつくられたデータベース構築のための予算だというふうに認識しております。

 ただ、この際、文科省の説明のポンチ絵を見ておりますと、今の特定免許状失効者等データベースに加えて、教員情報(免許情報)データベースと、それから研修履歴データベース、この三つのデータが並んで書かれておりまして、ポンチ絵を見る限り、これは一元化をするということにも見えます。

 ということは、全国共通の研修記録の管理システムは、それ単体で独立したというものではなくて、他の様々な情報等と連携をされていく、将来的にはそうなっていくという理解でよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、研修履歴を記録する情報システムに関する調査研究費を令和三年度補正予算に計上しているところでございますけれども、いずれにいたしましても、文部科学省が教師個人を特定する形で教師に係る情報を一元的に管理するということは考えておりません。

 当該予算においては、研修受講履歴記録システムと教員免許管理システム等とのデータ連携を図ることとしておりますが、これは、教員免許管理システムが保有する基礎的な情報が研修受講履歴記録システムにも共有されることで重複した入力をなくすことができるなど、効率的な運用が可能になるものと考えております。

 いずれにいたしましても、研修受講記録システムについては、まず、調査研究において備えるべき機能や個人情報の適切な取扱い等も含めその在り方について明らかにした上で、構築に着手をしたいと考えております。

 この調査研究に当たっては、個人情報保護に留意しつつ、教職員支援機構や都道府県教育委員会等とも十分に協議をしながら進めてまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 今答弁の中でも少しありましたが、改めてちょっと確認をさせていただく意味で聞かせていただきますが、ここで集められる情報、データについては、これは個人情報保護法で定義をする個人情報という認識でよろしいのかということと、それから、先ほどは、都道府県、四分の三はつくっているということですけれども、今後残り四分の一がまた新たにこのデータベース、記録をしていくわけですが、これは各都道府県内でそれぞれが独自に管理システムをつくることができるという理解でよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 個人情報の関係のお尋ねでございますけれども、任命権者が管理する研修等に関する記録につきましては、教師個々人の個人情報に該当するものであり、当該個人情報に関する扱いについては、個人情報の保護に関する法律に基づき、適切に対応することが必要であるというふうに考えているところでございます。

 それから、現在まだ記録システムを構築していない都道府県教育委員会等ということでございますが、先ほど答弁申し上げましたように、記録システムについては、国がその構築を行うことを考えているわけでございますが、任命権者である教育委員会の判断と責任の下でこれを活用していくということでございますので、このシステムを活用するかどうかは都道府県の教育委員会が判断するものというふうに考えております。

吉川(元)委員 個人情報保護法は改正をされて、一元化されて、それまでは行政と独法とそれから民間、三つの個人情報保護法があったわけですけれども、この四月の一日からこれは統一をされました。今後、DX、いろいろ言われますけれども、個人情報の扱いというのは大変課題になってくる問題でもありますし、十分にその扱いについては注意をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、研修等の記録について伺います。

 先ほど取り上げた研修受講履歴管理状況調査によりますと、教育委員会が教員個人の研修受講を把握して記録するケースの割合が圧倒的に多く、研修を受けた本人が直接記入、あるいはデータ入力する割合は非常に低くなっております。

 今回の法改正を受けて、研修等の記録、これは本人が直接入力をするのか、あるいは、それともこれまでのように、多くの都道府県で行われているように、教育委員会が研修受講履歴を把握をして記録をするということになるのか、どちらなんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正による研修等の記録の方法等については、教育委員会が教員研修計画において必要な事項を定めることを想定をしております。

 具体的には、情報システムを用いて受講の都度自動的に記録する方法のほか、校長等が所属教員の一定期間内の記録を取りまとめて任命権者に提出する方法や、教師自らが記入、入力をする方法など、地域の実情や研修の態様に応じて、様々な方法で記録することが考えられるところでございます。

 国といたしましては、記録自体が過剰な負担となることがないよう留意しつつ、都道府県等の判断に資するよう、研修等の記録の基本的な考え方等をガイドラインで示してまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 受講履歴を入力することで、余計時間を取られてまた大変になるというようなことが是非ないようにしていただきたいというふうに思いますが、それと同時に、これも先ほどの調査を見ておりますと、少し驚いたんですけれども、都道府県が任命権者の正規教員で、研修を受けた本人が、自分が何の研修を受けたのか閲覧可能かどうかという調査、これを見ますと、可能だというのは三八・九%しかありません。

 当然、今回の法改正の趣旨から考えれば、自分自身が過去にどういう研修を受けたのかということを本人が確認できることは必要なのかなというふうに思いますし、また同時に、受けているはずの研修が記入漏れがあったとかいうことも、これは本人が見ないとなかなか分からないということになるのではないかというふうに思います。

 今回の改正で、研修を受けた本人が受講履歴を自由に閲覧することは一〇〇%可能になると考えていいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 研修受講の記録は、教師の適切な学びを進めるため、個々の教師の置かれている状況や、これまでの研修履歴等を踏まえて、現状把握と目標設定を行う足がかりとなることから、教師個人が当人の研修履歴を閲覧、確認することは前提であるものというふうに考えております。

 ただいま御指摘がありましたように、現在、研修受講履歴を記録している教育委員会において、教員個人が当該履歴を閲覧することのできない教育委員会も一定数あるということは承知しておりますが、今回の法案をお認めいただいた暁には、今後は、それぞれの教師の研修受講の記録は、主体的で個別最適な学びを実現する上でのベースとなるものとして教師本人も閲覧、確認できるよう、各教育委員会を促してまいります。

吉川(元)委員 次に、本人は見ることが今後できるようになるというお話ですけれども、この履歴情報、これはどの程度まで共有されるのか。つまり、誰がこの情報にアクセスをできるのかということについて伺います。

 一つは、もちろん都道府県教育委員会がデータベースを作るわけですから、当然、都道府県教育委員会はその情報を持っている。それから、今お話があった、本人もその情報について今後は見ることができる。

 同時に、今回の法案では、履歴を使って指導助言を行う者、法律上は市町村の教育委員会ですが、実際には校長になるというふうに思いますが、そうしますと、この教員個人の研修の履歴情報を共有できる範囲というものは、任命権者、それから指導助言者、そして教員本人、この三者になるという理解でよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 この研修受講履歴の情報に、どういった方がこれを共有できるのかという御質問でございます。

 ただいま御指摘ありましたように、この法案では、記録を作成する都道府県教育委員会等は、資質の向上に関する指導助言等を行う市町村教育委員会に対し、研修等に関する記録に係る情報を提供するもの、こうしておりますので、都道府県教育委員会等に加えて、指導助言者である市町村教育委員会、これは当然にこれを共有するということになろうかと思っております。

 また、実際の指導助言に即しましては、市町村教育委員会の服務監督下にある校長等管理職が、個々の所属校の教師に対して、対話を行いながら、そうした研修受講の記録を活用しながら指導助言を行うものでございますので、こうした管理職等につきましても研修受講履歴を閲覧することになると考えております。

 また、教師本人がこれを閲覧できるようにするということも必要でございます。

 そのほかの共有先として想定されるものといたしましては、教師が県等を越えて異動した場合に研修等に関する記録が提供されることが考えられるところでございますけれども、いずれにいたしましても、個人情報保護法に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 私も、実は今、総務委員会の方にも所属をしておりまして、まさにこの個人情報、まあ、保護法そのものは所管ではありませんけれども、それに関連する議論もしているところであります。

 個人情報の扱い、これについては、慎重にも慎重を期して行っていただきたいというふうに思いますし、本人同意のないまま、今言ったような三者若しくは異動する先の県の教育委員会以外のところに情報が出ていくというようなことは厳に慎むべきだということも付言させていただきたいと思います。

 もう一点、これに関してですけれども、受講履歴、全国共通のシステムが今後つくられていくということになろうかというふうに思いますが、仮に、全国統一的なシステムで行われた場合に、個人が特定できない加工をすれば、文科省が研修に関する様々なデータを作成することは、これは技術的には可能になります。文科省は、この履歴情報を活用してデータ化する意図、これはあるんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 こちらの研修受講履歴のシステムでございますけれども、まずは、調査研究においてシステムが備えるべき機能や個人情報の適切な取扱い等を含めその在り方について明らかにした上で、速やかにシステム構築を進めてまいりたいと考えております。

 したがって、現時点において具体的な仕様等は決まっておりませんが、本システムは、国がその構築を行い、任命権者である教育委員会の判断と責任の下で研修履歴を記録、活用していくことを想定をしており、国がそうしたデータを教育データとして分析するということは、これはあり得るものと考えますけれども、いずれにいたしましても、文部科学省が教師個人を特定する形でその研修履歴を利用するというようなことは考えていないところでございます。

吉川(元)委員 匿名加工した上でということになると、個人は特定できないという考え方が一方でありますけれども、他方で、情報を突き合わせれば個人が特定をできる、そういう危険性も同時に内包している問題でもあります。是非、先ほどから何度も繰り返しておりますけれども、取扱いに十分注意していただきたいということと、それから、データを作っていくということは、それはそれであるのかも分かりませんが、ちょっと危惧するのは、そのデータによって研修が強制されるのではないか。全国ではこういう研修をたくさんの人が受けているのにあなたは受けていないじゃないか、だから受けなさい、こういうようなことが行われるようなことが危惧をされます。

 ですから、このデータを使って、文科省、これからいろいろなことをやられるのかも分かりませんけれども、こうした強制力が働くような使い方については是非慎重であるべきだと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、こちらの研修履歴につきましては、管理職等が適切に個々の教師に指導助言を行う際に活用するものでございまして、その際には、教師の自主的、主体的な学びを重視して取り組んでいくということに変わりはないものと考えております。

吉川(元)委員 次に、指導助言について伺います。

 先ほども少しお話ありましたけれども、校長と教員の間での対話の中でこの研修の課題についてもいろいろ議論されること、その対話があるということ自体については評価も一定できるというふうに思いますが、一方、個別最適な学びの在り方、これはやはり、主体的、自律的に判断するということになると、研修を受ける教員本人がその判断をすべきことだろうというふうに思います。そういたしますと、この指導助言の内容、どこまで強制力を持つのか、あくまでアドバイスということで受け止めていいのか、教えてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、校長等の管理職と教師が過去の研修等の記録を活用しつつ対話を行い、今後能力を伸ばす必要がある分野などの研修について教師から校長等へ相談することや、校長等から情報提供や指導助言を行うことを想定をしております。この指導助言等については、管理職等と教師の対話の中で教師の主体的な学びを促しながら、資質の向上を図るために行われるものでございます。

 したがって、管理職等からの指導助言等に対して教師が応じない場合に、直ちに法令違反の状態が生じるわけではありません。しかしながら、各教師は、当該指導助言等を踏まえつつ、自らの学びを振り返り、適切な現状把握と目標設定の下、自らの研修ニーズや学校の教育課題に対応した必要な学びを行っていくことが期待されるところでございます。

吉川(元)委員 次に、さきの参考人質疑、瀧本参考人の方から、研修履歴、すなわち、研修の受講回数や受講内容が人事評価と結びつけられることがないようにという指摘がされました。

 二〇一六年の教特法の改正時にも、教員の資質の向上に関する指標の策定は、人事評価と目的も趣旨も異なる、当時の松野文科大臣が答弁をされております。

 そうしますと、今回の改正による指導助言の受け止め方や履歴に記載される研修記録も、これは人事評価とは全く別物という理解でよろしいですか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の法改正によりまして、教育委員会が行う研修等に関する記録は、校長等管理職が行うこととされる資質の向上に関する指導助言等の際に活用されるものでございまして、人事評価制度とはその趣旨と目的が異なります。

 教員の人事評価は、校長等の管理職が、日常の職務活動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえつつ、各教師が発揮した能力や上げた業績を期末面談等で確認した上で評価を実施するものでございます。

 研修等に関する記録自体や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではございませんが、研修を行った結果として、これはよく答弁でも申し上げましたが、各教師が発揮した能力や上げた業績については人事評価の対象となるものとは考えております。

 なお、今回の法改正におきまして、当時の松野大臣が答弁した考え方と変わるものはございません。議事録も拝見しました。平成二十八年十月二十八日、菊田先生と松野国務大臣とのやり取りも拝見しまして、松野大臣からは、「両者は、その目的も趣旨も異なるものであります。」でございます。

吉川(元)委員 是非お願いしたいんですけれども、やはりちょっと気になるのが、審議まとめの中で、指導助言の在り方について、人事評価制度との違いには留意しつつとしながら、人事評価に関わる期首面談の場を活用する、こういうふうに書かれているわけです。

 今大臣が答弁された、研修を受けて、その結果として、より能力が上がって、それが人事評価になるというのは、それは私もそうだというふうに思いますし、そうでなければならないというふうに思いますけれども、こういうものは、えてして、手段が目的に変わってしまうことはしばしば起こり得ることです。

 プロ野球を例に例えると、バッターが素振りをする、素振りをする目的は何かといえば、それは、試合でよい結果を出すために練習を積むわけであって、練習を積んだから評価が上がるということではない。

 まさに大臣がおっしゃるとおりなんですけれども、しばしば目的と手段が入れ替わることというのは、これは、この問題にかかわらず、幾らでもあり得る話でありますので、是非その点については十分に文科省の方からも注意喚起をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと、余り時間がないので、少し飛ばします。

 次に、研修についてなんですけれども、審議まとめの中で、最後に、働き方改革を進めていくことが重要という指摘がされております。その際、この研修というのは、職務としての研修は勤務時間内に行われることが前提というふうになっておりますが、この審議まとめにあるように、職務としての研修は原則として勤務時間内に行われる、そういう理解でよろしいですね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 職務としての研修は勤務時間の中で行われることが前提でございます。各教育委員会が主催する研修や各学校において行われている校内研修は勤務時間の中で実施されているところであり、このことは本法案によって変わるものではございません。

吉川(元)委員 ちょっと気になるのは、オンデマンドというのがあるんですよね。オンデマンドがたくさんそういうシリーズで出ておりまして、オンデマンドということは、別に、どこでも、いつでも見ることができる。これが、自宅においてやりなさいという話に簡単になってしまうんじゃないか。その点も十分注意をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、もう一点だけ。

 この研修に係る費用負担の在り方、これについては、どのように文科省は考えていらっしゃいますか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 教育委員会が実施をします研修は、職務として行う研修でありまして、現在も教師個人の費用負担が生じない形で実施されているものと考えております。新たな研修制度においても同様に行われるべきであるというふうに私は考えております。

 他方、教師が受講する研修の中には、引き続き重要な役割を果たしていく、大学等を始めとした様々な主体が提供する有料の研修も含まれるものと考えられますが、自主的に取り組む有料の研修は、これは自らの判断によって、自己負担で受講することもあります。こうした研修については、管理職が強制することにつながらないように周知徹底を図ってまいりたいと思います。

 いずれにしましても、新たな時代に求められる教員研修の充実のために、国と地方公共団体、それぞれの役割分担を大切にしていきたいと思います。

 文部科学省におきましては、オンライン動画コンテンツの充実など教職員研修の高度化や教職員支援機構の機能強化など、経費を令和四年度予算計上したほか、各地方自治体に対しましては、教育センターで行う各研修に要する経費、交通費、宿泊費などを含む旅費など、地方交付税交付金で措置をしているところでございます。

 文科省として、人材育成に努めていきたいと思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

義家委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 ありがとうございます。立憲民主党の荒井でございます。

 先日の三月二十四日の本会議でも質問させていただきましたが、引き続き本件についての質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、ウクライナから避難されてきた方々に対しての対応ということを伺いたいと思っております。

 本会議での質問のときにも、冒頭に同様のお願いをいたしました。特に、ウクライナから避難されてくる子供たちへの対応をしっかりお願いしたいということをお願いいたしましたが、今般、ウクライナから二十名ですか、日本に避難されてくる、そういった方々への、今後も続くと思いますが、是非特に子供たちへの支援をしっかりしていきたいというふうに思っております。

 実は、僕自身も今、ウクライナから日本に戻ってきた、在留資格のある方ではありますが、お母さんと息子さん、息子さんは十七歳なんですけれども、帰ってこられた方々のサポートをしておりますが、やはりウクライナの方ですので、日本語も、お母さんは多少話せるんですけれども、息子さんはほとんど日本語が話せない状況の中で、何とか日本にしばらく根づいて、過ごしていきたいという要望を聞いていて、どういうふうに学校等で引き受けられるのか、いろいろと模索をしていたりもするところです。

 その中で感じているのが、いろいろとボランティアでお手伝いされる方々はいらっしゃるんですが、やはりウクライナ語若しくはロシア語で、コミュニケーションするのが大変難しいなというのを感じておりまして、それは私自身も感じているんですけれども、こういった、皆さん、日本の方々がサポートしたいという気持ちがある中で、それをどういうふうに、特に避難されてきていますので、非常に精神的にも不安定だったり、また、なかなか先の見えない中で、落ち着いていろいろなことを考えていくというのが非常に難しい中、まさにワンストップのセンターみたいなものが要るのではないかというふうに思います。

 僕、個人的にも、東日本大震災のときにも、北海道に東北から三千人以上の方々が避難されてきていて、そういう方々への、避難者の方にいろいろな支援活動をしてきましたが、こういった支援を受ける側と支援をする側の、やはり間に立つような立ち位置が今回特に要るんじゃないかというふうに思っております。

 その意味でも、そういった今回のウクライナの方々、もちろん、だけではないと思うんですが、国として、こういった特に外国から来られる方々のサポート、特に子供たちのサポートをどのように行っているのか、教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 ウクライナ避難民の方々の受入れに当たり、避難してきた子供たちに適切な教育機会が確保されることは重要であると認識をしております。

 我が国では、外国人の保護者がその子供を公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、日本人児童生徒と同様に無償で受け入れております。

 現在、学校で使う日本語の単語をウクライナ語で説明した資料を文部科学省のウェブサイトに掲載をするとともに、外国人児童生徒、保護者に対し、日本の学校生活の決まり等を説明する動画コンテンツのウクライナ語版の作成を進めているところでございます。

 これまでも、文部科学省では、外国人児童生徒の教育の充実の観点から、日本語指導補助者、母語支援員等の外部人材の配置など、外国人児童生徒等へのきめ細かな支援に取り組む自治体を補助事業で支援をしてきております。

 また、こうした児童生徒を受け入れている学校の多くでは、特別の教育課程を編成し、日本語指導を実施しております。

 文部科学省としても、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づく改善にも取り組んでいるところでございます。

 文部科学省としては、関係省庁及び受入れ自治体等と緊密に連携協力しつつ、避難民の子供たちの就学機会の確保や、きめ細かな支援に取り組んでまいりたいと存じます。

荒井委員 ありがとうございます。

 全国各地で、こうしてウクライナの方々をボランティアでサポートしたいという方々、たくさんいらっしゃると思います。文科省としても、そういった方々の、特に子供たちが学校に行ける環境は整いつつあるということだというふうに理解しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 含めて、そういったボランティアの人たちが、もちろん、子供が学校に行くだけじゃないですね、当然、その親御さんたちのいろいろな、精神的なケアであったり、そもそも、知らない土地で避難しながら暮らしていくというためには、様々な、やはりいろいろな情報の提供が必要になるというふうに思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、ウクライナ語やロシア語で、なかなかコミュニケーションが難しいという状況もありますので、やはり、そういったワンストップの何か、支援者と支援をされる側の人をつなげる、間に入るような、ワンストップセンターみたいなものがあるといいというふうに思いますが、その辺り、今どんな手続になっているのか、教えてください。

君塚政府参考人 岸田総理が受入れを表明された三月二日から四月五日まででございますけれども、速報値でございますが、四百二十八名のウクライナからの避難民が我が国に入国しております。

 出入国管理庁では、外国人支援センター、FRESCといいますけれども、このヘルプデスクにおきまして、今般のウクライナ情勢の緊迫化に伴いウクライナから日本に避難してきた方々からの電話相談に多言語で対応しているところでございます。ただ、ウクライナ語で相談を受けた場合の対応につきましては、通訳人の確保を急ぎまして、速やかな実施に向けて詰めを行っているところでございます。

 それ以外に、ウクライナ大使館の方から、機械の、翻訳の装置というものを各希望者に対して配付されているように承知しておりまして、私どもの現場においても、生の通訳以外に、機械翻訳についても現場において役立たれているということでございます。

 いずれにいたしましても、私ども、ウクライナから日本への避難民に対して、住居、就労機会、それから、今御指摘ございました日本語の機械、子女の教育等々につきまして検討されている自治体あるいは企業などから情報を一元的に把握するための窓口、これは、先ほど申し上げたヘルプデスクと同時に私ども窓口を設けておりまして、既に多くの自治体から、あるいは企業、団体から協力の表明をいただいて、今、そのやり取りをさせていただいているところでございます。

 私どもの支援策等々につきまして、いろいろ合わせましてマッチングを進めながら、ウクライナから来られた方々が少しでも安全、安心、あるいは落ち着いて日本での生活を送っていただけるように、私どもとしても、彼らに寄り添いながら支援を行ってまいりたいということでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 ウクライナ大使館が翻訳の機械も提供しているということでしたので、是非そういったものが広く流布されるといいなと思っております。

 皆さんのお手元にも、資料一で、VoiceTraという、これは、NICT、総務省の外郭団体が開発したアプリケーション、携帯電話のアプリになりますが、そちらの資料をお配りしております。

 二ページ目を見ていただきますと、三十一言語の翻訳ができる。これはかなり精巧なものでして、この中にロシア語も入っています。残念ながら、ウクライナ語はコーパスというあれがまだ入っていないみたいですけれども、こういったところにも是非使われるといいんじゃないかというふうに思っています。

 ちなみに、二〇一八年に胆振東部沖地震という、北海道で大きな地震がありまして、そのときに電気が止まって、ブラックアウトが北海道、札幌市内でも起こりました。その際に、実は、僕は当時、高校の校長でしたので、学校はすぐに休校にしましたが、翌日からボランティアの活動に、動ける先生や生徒といたしましたが、そのときには、当時、まだコロナではありませんでしたので、外国人の旅行者がたくさん札幌にいらしていたんですが、そういった外国人の旅行者向けの対応というのがなかなかすぐできていなかったという状態があります。

 ですので、旅行者の人たちがどこに避難したらいいのか、どういうふうにしたらいいのか非常に分からなくて悩まれているというところに、英語のできる先生たちや生徒たちとちょっと行って、何か声かけをしたんですが、そのときに気づいたのが、皆さん、旅行者が英語ができるわけではなかったわけですね、中国の方やインドネシアの方等、フランスの方とか。そうなったときに、実は、こういったアプリを携帯電話にインストールして、少しでも何かお役に立てませんかというやり取りをいたしました。

 実は、それ以来、学校の授業等でも、もちろん英語の文法や英語のコミュニケーションをするのは大切なものの、知らない人たちとこういった携帯電話のアプリを通じて、道行く人に札幌のことを伺ったりお話をするという機会も非常に重要な教育活動なんじゃないかと思って、そういったことも外国語の授業、英語の授業等でやってまいりましたので。

 今日は文科委員会ですので少し教育的なお話もさせていただきますが、是非今後も、こういった外国から避難されてくる方々をサポートするときに、こういうアプリケーションを、国が開発しているものですので、是非活用しながらも進めていただきたいというふうに思っておりますし、是非NICTにはウクライナ語も早く入れていただけるといいのかな、そういうふうに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、本法案についてお尋ねしたいというふうに思います。

 先日の参考人の質疑でも多々ありました、特に佐久間先生がおっしゃられていた、今回のこの法案に関しては、更新制の廃止だけでいいんじゃないか、そもそも研修というものを日本の教育機関では十分にやっているので、研修はそもそも要らないんじゃないかということをおっしゃられていたというふうに認識しております。全くそのとおりだというふうに僕も聞きながら感じておりました。

 そもそも、佐久間先生がまさに象徴的なことをおっしゃられていたと思うんですが、今、日本の教育政策に足りないのは、多くの心ある教員を励ます政策であり、つまり、教員の身分や待遇を改善するための具体的な政策じゃないか、そういうことをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、非常に共感するところが多かったです。

 そういう中で、研修というのが本当に更にプラスアルファで要るのかどうかということを改めて伺いたいというふうに思います。もちろん、再三この委員会でも質問が多くされてきたことではありますが、改めて。

 そして、この研修というものを、もうここまで書かれていますので、どこまで認めていくのかというところの中で、大事なのは現場の経験というものになると思いますが、実は、学校現場ではたくさんの研修が行われています。校内研修とか自主研修。また、加えて、組合の研修というのも行われています。

 例えば、こういった組合の研修みたいなもの、若しくは自主研修みたいなものを一体今回の研修として認めるつもりがあるのかどうかというところをお伺いしたいというふうに思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 変化の激しい時代におけるこれからの教師の学びの姿としては、教師一人一人の置かれた状況に照らして、適切な現状把握と具体的な目標設定を行った上で、個別最適で協働的な学びが行われることが必要であると考えております。

 このため、過去に教師が何を学んできたかという情報を客観的に記録することを義務づけ、これを基に校長等管理職が教師の資質向上に対し指導助言等を行うという役割を明確にするため、教育公務員特例法を改正することが必要であると考えております。

 研修を始め、資質向上のための取組には、校内研修や授業研究などの現場に即した学びや、職専免研修、自主研修も含め、また、勤務時間の内外を問わず、多様な内容、スタイルの学びが想定されます。

 その際、教職員組合の主催する研修会については、組合活動の一環として行われることから、勤務時間中に職務専念義務を免除されて行う職専免研修として扱うことはありませんが、これに限らず、勤務時間外に行われる自主的なもので資質向上に資する取組には、様々な主体が提供する多様なものがあるというふうに考えているところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、組合の研修含め、そのほかの自主的な時間外に行われる研修も認める可能性は十分にある、そういう理解でよろしかったでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 自主研修については、先ほども申し上げましたように、多様な内容、スタイルの学びが想定される中で、自主的な勉強会を始め、勤務時間外の様々な学びも記録の対象から除外されるものではございませんが、いずれにしても、何を記録するかは都道府県教育委員会の責任において判断されるべきものであり、記録自体が過剰な負担となることがないよう留意しつつ、基本的な考え方を示してまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 それぞれの教育委員会が判断するということなんだというふうに理解をしております。是非、それぞれの教育委員会でも、積極的に、前広に現場の経験というものを含めて認めていっていただきたいというふうに理解しております。

 今回、この研修を、どういった研修を受けるかどうかというのは、校長、管理職とそれぞれの先生たちの面談を通じて、対話を通じてということだというふうに書かれております。

 先般も、山崎先生の方からも、この対話のときには、面談を年三回、公立でもやられているというお話でしたし、そのときには教頭先生も入るというお話でしたが、この対話というものを、各校長先生、管理職の先生たちが、やはり、これは何のために行うのかというのを非常に大切に思っていただきたいというふうに思っています。

 心理的な安全性、僕は、学校における一番大切なことは、この心理的安全性だと思っています。もちろん生徒の心理的安全性が担保される場が学校であるべきであると同時に、やはり先生たちの心理的安全性こそ今最も求められているというふうに思っています。

 働き方の改革、もちろん大切です。給与が低い、給特法の話も後で質問しますが、給特法の問題もそうですが、でも、一番の問題は、まさに職員室の心理的安全性、働いている人たちがしっかりと自信を持っていろいろなことにチャレンジしていける環境こそが今学校に最も求められているというふうに思いますので、そういうものを引き出す対話であっていただきたいというふうに思います。

 私自身は、学校とか教育における指導という言葉が、非常にずっと違和感がありまして、以前、文科省の委員をさせていただいたときも、その話をしたところ、そうすると、文科省から発出する文書が、指導という言葉をなくしたら、ほとんど黒塗りになっちゃうんじゃないか、そんなことをとある別の先生からも言われましたが、でも、本当にその指導というものが学校に、先ほどの吉川先生も、手段が目的化しやすいということをおっしゃっていましたが、まさにこの指導をし続けていくと、手段が目的化されていって、何のためにその行動をしているのかということを分からなくなってしまうということが今の学校現場に多々あるんじゃないかというふうに思います。

 その意味でも、今回の研修に基づく最初の校長先生と現場の先生たちの対話が、指導する場ではなく、まず、やはり心理的安全性を高めるような、そういう対話が行われるように、是非これはお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、教育そのものについて末松大臣にお伺いしたいというふうに思っております。

 前回、本会議で質問をさせていただきましたが、そのときに、最後の方に、教育の格差が日本で生じているんですということをお伝えさせていただきました。

 その際、実は、この資料、お配りしている三ページ目の新聞記事に基づいて、教育格差が日本で起きているという事例について御紹介をしようと思いました。

 実は、先日の本会議での質問の文書の内容に関しまして、直前まで文科省ともやり取りをする中で、具体的な数値は、この中では、先般の質問では入れないことにいたしましたが、ただ、この新聞記事があることは事実です。二〇一八年の一月十四日に、西日本新聞の記事として掲載をされています。

 この中で、学力格差の芽が小学校四年生からというふうに書いてありますが、実際、学校現場の先生たちはやはりこういったものを肌感として物すごく感じているというふうに思っています。

 ちなみに、この新聞記事の中でも、一段目のちょうど真ん中辺りに、「調査では全体の約三割が中三時点で小四の学力平均を満たしておらず、」というふうにも書いてありますが、まさに、実は、僕が校長をしていた学校も、こういう全体の、標準偏差という概念がありますけれども、標準偏差の中の下位三〇%というのはおおよそ偏差値四五以下という形になりますので、その偏差値四五以下の学校、私の学校もそうでしたけれども、こういう学校を見ていると、確かに小学校の学力があるかないかというのは非常に危うい、でも一生懸命頑張ろうとしている生徒たちが非常に多いんだということを実感しています。

 学力がついていないのはその子供たちだけのせいとも言い切れなくて、これは日本の教育にまつわる大きな問題を、やはりここをずっと見過ごしてきたものじゃないかというふうに僕は非常に感じながら、校長として学校を運営してきました。

 こういった、例えば、私の高校に半年間、当時、「ビリギャル」の映画のモデルになった小林さやかさんもインターンで来られていましたが、まさにその映画「ビリギャル」の彼女自身も、高校二年生のときに、びりでギャルだというところから、でも、ある塾の先生に出会って勉強を一生懸命頑張って慶応大学に受かる、そういう映画ですが、あの映画の中でも、最初にその塾の先生がさやかちゃんに渡した、じゃ、このプリントをやってごらんよと言って渡したプリントは、小学校四年生用のプリントなわけですね。その小四のプリントを彼女は半分ぐらい解けて、ああ、できるじゃんかということで、じゃ、次、五年生のをやってごらんというふうに言って、そこからだんだんやる気が出てきたわけです。

 つまり、教育関係者はみんな分かっているわけですね。小学校四年生辺りからみんなつまずいていった子たちが、やはりだんだん勉強が伴ってこなくなっていく。実際そうですよね。勉強というのはどんどん上に載せていきますので、小学校四年生、五年生でつまずいてくると、主に分数でつまずいていくというふうな感じがして、分数の割り算等々でだんだん分からなくなってくるというふうな気がしていますけれども。

 こういった、勉強ができない、自信がない子たちがどんどんそのまま中学校を卒業し、義務教育を卒業し、そして九九%の子たちが今高校に来ていますので、そういった高校に、小学校、中学校の学力がはっきり身についているかどうか非常にあやふやな状況で高校一年生、高校二年生の数学の授業をしなければいけないというのが今の高校現場の実態でもある、そういう状況があります。

 この実態を、やはり格差がどんどん生まれているし、そこには、この新聞記事にも、それが経済性とやはりひもづいているんじゃないか、こういう実態が今、日本の教育にもあり、この現状をどういうふうに直していくのか、向き合っていくのかというのが文科行政にとって一番大事なことなんじゃないかと思っています。

 僕自身もそうでしたが、今日この場にいらっしゃる、そして霞が関や永田町にいらっしゃる多くの人が、やはり偏差値の高い大学を卒業していて、まさにその上位何%という大学を卒業している中で教育の行政や教育の現場というものに向き合っているんだと思いますが、でも、現実の学校教育の現場では、まさにこういうふうに、勉強ができないからやる気ができてこないという子たちにどうやって向き合っていくのかというのを、先生たちはそこに物すごく苦労しながら、そして、何とかその子たちを、まさに教育というのは正しいものなんだというふうに信じながら向き合っているんですね。

 この格差、この現状、先生たちは頑張っているけれどもどうしても変えられないこの格差というものに対して、末松文科大臣としてはどういうふうにこれに向き合っていくのかということを、是非お考えを伺いたいと思います。

末松国務大臣 荒井先生から大変難しい質問をいただいたと思います。一概に、こうが正しい答えだというのはなかなか、今、座っていて聞いておりましたけれども、出てこないなというのが本当のところの気持ちでございます。

 ただ、先生、この新聞のとおり、小学校四年生からつまずき始める、分数なんかが出てきてということでありましたから、今日、今先生、経験を踏まえた貴重な御指摘をいただいたと存じます。

 私は思うんですけれども、やはり、生まれ育った家庭の事情とか地域の状況にかかわらず、誰もが質の高い教育を受けられるようにするということは極めて重要でありますし、本来、学習指導要領は、全国の津々浦々、ここまでというところはみんな知識なりを習得できるようにしましょう、教育がきちっと受けられるようにしましょうということであると思ってございます。

 まず、子供たちの学力の点で申し上げますと、先般、新聞記事に出ておりましたけれども、中三の三割が小四程度の学力ではないかというふうな話がありましたけれども、査読を経た後の論文にはないものと承知しておりますけれども、実態として、子供たちの間での学力の定着状況に違いが生じているというように認識をしております。この辺りは、もう先生は本当に肌感覚で強過ぎるぐらいこの感覚をお持ちだと思います。

 このため、文部科学省としましても、学習指導の充実とか教育環境の整備に取り組むことで、全ての子供たちに必要な学力を身につけさせるようには取り組んではまいりましたけれども、まだまだであります。

 全国どこでも子供たちが充実した教育を受けられるようにしていくということは大事でありますから、一つには、先生、GIGAスクール構想というのは、やはり、一人一台端末というのは、私、福島のなみえ創成小中学校に行きましたけれども、小学校六年生でも、一人なんですけれども、生徒は二十八人ぐらいでしたね、一人、受けれるんですよ。その代わり、他校とオンラインで連携してやるから五、六人の授業ができるということでありますから、これも一つの、地理的な要因にとらわれない学びを可能にしてきているなと思います。

 ICT教育を、遠隔授業の実施によりまして、地方の高等学校の特色化、魅力化を推進できるのではないかなという、それはいろいろ先生方から御意見もいただかなきゃならないと思います。

 それと、地域における協力向上に向けたコミュニティースクールというのは、一万校ぐらい今できておるんですけれども、三鷹市のコミュニティースクールの代表世話人をされておられる女性の方々と意見交換しましたけれども、やはり、地域で大いに支えられる可能性のある施策だと、私はそのように信じております。

 子供は、よく使う言葉ですけれども、やはり国の宝であって、地域の宝でございます。子供が地域からいなくなれば、その地域は衰退していく可能性が高うございます。全国的に地域の教育環境をしっかり整えていく中で、各地域にある教育資源を存分に生かしつつ、その地域ならではの教育が行われることが大切であるというふうに思います。

 簡単な言葉でありませんけれども、子供たちを誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出す教育というものを、これはもう与野党を問わず、みんなでその目標を掲げて進んでいきたいというふうに認識しています。

 先生が本会議で最後に農家のお嬢さんのお話をなさったことは、よく記憶をいたしております。大切にしたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 もちろん、簡単な問題ではないと思っています。特に人の、特に子供たちという、柔らかい人たちだと思っています。でも、非常に感度が強くて、ストレートに物をみんな感じています。特に、勉強が苦手な子たちほど、本当に大人や、それは先生であったり、親であったり、地域であったり、若しくは政治家であったりという人たちが言っていることを、本当にやる気があるのかどうかというのは、そういう子供たちほど真剣に見ているというふうに感じていますので。

 僕は、そういう子供たちがちゃんと自分たちの未来を信じられるようにするのが、やはり、文科省であったり、教育をつかさどっている委員会ではないかというふうに思っていて、そういう思いでこれからもしっかり仕事をしていきたいというふうに思っていますし、どうぞ文部科学省の皆さんも、頑張っていないとは全く言うつもりもないんです、でも、是非、そういったところをリードしていきながら、少しでも日本の教育を、今本当に、佐久間先生も前回おっしゃられていましたけれども、昭和四十年以降、ほとんど学校の先生たちの給与やそういったところに対して投資をしてこなかった、投資という言い方はされていませんでしたけれども、そこをしっかり施策を打ってこなかったのが、先進国の中でも日本は本当に数少ない国だったというふうに言われているわけですね。

 やはり、国の政策としても、教育に対してまなざしが薄過ぎたんじゃないかというのを非常に感じていますし、こういった学力の格差というものが生じてしまっている大きな原因を、やはりここを、今からでも遅くはないというふうに思いますので、是非、総力を挙げて直していきたいというふうに思っています。

 ちなみに、先ほど浪江の創成小のお話がありましたけれども、二〇一二年に、浪江町の皆さんが二本松市に避難されているときに、僕もその避難した浪江小学校に伺いました。

 そのときに、もう廃校になった学校の教室を使って、浪江町の人たちがそこに通われていましたけれども、当時、小学校一年生のクラスは一人の子しかいなかったんですね。しかも、一人の子が一人の先生に教わるという風景を、授業を後ろから拝見して、大変ショックを受けながら、そうしたら、その当時の校長先生が、荒井君、それはショックじゃないんだよ、この一人の子がこの浪江の小学校に通ってくれていることが、これが我々の希望なんだというふうに言われたことを、僕はやはり忘れられないんですよね。

 やはり教育というのは、そういう意味では、大人にとっては希望なんだというふうに思っていまして、それを是非、しかも、その希望自体を今、しっかりやることが大切なんだ。未来のためにではなく、今の子供たちのために一生懸命やることが大切だと思っています。そして、それを日本全国で先生たちがやっているということを是非御理解いただきたいというふうに思っております。

 という話の中から、給特法の話について改めてお伺いしたいというふうに思っております。

 本会議の議場でも、末松大臣から、また、鈴木大臣から、給特法について御答弁いただいております。もちろん、簡単ではないということは、僕みたいな一年生の、まだ国会議員になって六か月の、しかも野党の議員でも分かっているつもりですが、でも、これ、どうやったら本当にこの給特法というものを、だって、よく考えてみたら、なぜ学校の先生だけが、法律で決まっているとはいえども、ほかの公務員に比べて、残業代が出ない、そういう状況の中で仕事をしなければいけないのかというのが、これ、やはり何かおかしいんじゃないかというふうに思えてならないんですね。

 どうやると、この給特法、特に財源措置というものが出てくることができるのかということを、これはもう本当に、今日は教えていただきたいという立場で伺いたいと思うんですが、今回の、もちろん、残業代を出すようになれば、財源措置が必要なので、そのお金を用意することも必要になるんだと思いますが、これ、どうやったらこの予算措置というものができ得るのかどうか、是非、財務省と、あと末松大臣に伺いたいと思います。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校の教員の勤務や給与の在り方につきましては、まずは、現在の勤務実態を追認することなく、教員の働き方改革を進めることが重要と考えてございます。

 令和四年度予算におきましても、教員の事務負担を軽減するための外部人材活用などに係る予算を計上いたしまして、教員が授業等に注力できる環境を整備することといたしております。

 文部科学省において、引き続き働き方改革の徹底に向けた取組が進められるとともに、勤務実態調査も実施される予定と承知しておりまして、財務省といたしましても、引き続きこれらの動きと連携を図ってまいります。

荒井委員 それは、財務大臣もそういうような御答弁だったというふうに認識していますが、勤務実態調査をして、働き方改革が進めば、給特法そのものに関して財源の措置をして、給特法を直していくということが行えるというふうな理解をしてよろしいものなんでしょうか。

奥政府参考人 お答えいたします。

 財務省といたしましては、教員が授業等に注力できるようにするため、まずは、教員の働き方改革をしっかりと進めていただくこと、これが何より重要と考えております。そして、それを後押しをするために、必要な各種施策について予算措置を講じているところでございます。

 また、先ほども申し上げましたように、令和四年度におきましては、文部科学省が教員の勤務実態調査を実施予定と承知しておりまして、その結果についてしっかりと分析をする必要があると考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 本当に、僕は、この給特法というのは、学校現場で、僕は私立高校の校長でしたので、給特法、直接は、全く関係はないんですが、なぜ公立の先生たちがこういう状況下で働いているのかというのは、大変理解に苦しむところが多かったというふうに思っています。

 学校教育の現場の今一つ大きな課題だと思っていますので、これを是非、給特法をなくしていくということを一つ、文科省やこの文科委員会の大きなムーブメントにしてほしいというふうに思っているんですが、末松大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 荒井先生にお答えを申し上げます。

 文部科学省としては、学校における働き方改革の推進に向けまして、令和元年の給特法によります、教師の勤務時間の上限を定める指針の策定を行いました。今はもう月四十五時間、年間三百六十時間ですね。それと、小学校における三十五人学級の整備であるとか、教科担任制による教職員定数の改善であるとか、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実など、これはもう先生御承知のとおりでございます。

 今後、こうした働き方改革の様々な取組と成果を踏まえつつ、今年度に勤務実態調査を実施をして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果等を踏まえて、給特法の法制的な枠組みを含めて検討していきたい、そのように考えておりますが、今、奥次長も話がありましたように、奥次長も働き方改革をまずやってほしいということであります。

 それと、先生も御承知のとおり、令和元年に、確かに衆参の文教科学委員会で附帯決議、特に参議院で、十二項目めに、三年後を目途に教職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関係法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずるということでありますから、もちろん、できればそれは前倒ししてとおっしゃる方もおられるんですけれども、まずきちっきちっと実態調査をしながら進めてはいきたいと思うので、お尋ねの財源措置を含む今後の対応につきましては、調査結果等を踏まえて検討するものでありまして、実は、どのような措置を講ずるかというのは現段階ではまだ決まってございません。

 それをお答えするのは、実は、私は大臣ではありましても総理ではございませんので、やはり根本は総理の考え方が大きな基本になってまいりますので、そのことは申し上げておきたいと思うんですけれども、何とか働き方改革は大きな一つのめどをつけていきたいなという、その思いは強く願っておるところでございます。

 以上でございます。

荒井委員 末松大臣、ありがとうございます。

 是非、岸田総理にお伝えいただきたいというふうに思っております。本当に、総理大臣なんだろうなというふうには思っています。日本の教育をよくするということがまさに今、将来につながっていくということを、是非、岸田総理にお伝えいただきたいというふうに思っております。

 働き方改革が、そういう意味では、給特法を直すに際しての大きな鍵になっていくんだというふうに理解をしております。

 資料の四ページ、これは実は文科省のサイトから引っ張ってきたものですが、私が校長をやっていたときの職員室の改革について、文部科学省の方でその取組を取材していただいたものがホームページにありますので、その一ページ目だけ掲載しております。

 それが全ていいとは申し上げませんが、いろいろな工夫を各学校もしている中で、やはり、先ほど申し上げたように、職員室の心理的安全性を高めることが働き方改革においては一番大切だというふうに感じていますので、是非そこのところ、上からこういうふうにしなさいとかやりなさいというふうにやると、特に学校は、先生たちも柔らかい子供たちを扱っていますので、先生たちも、そういった上からの、まさに指導的な対応には非常に敏感なところもありますので、僕は、働き方改革は上から押しつけていくようだと必ずうまくいかないというふうに思っております。

 それよりもボトムアップで、まさに先生たちの心理的安全性が担保されている中でいろいろなチャレンジをしていくということを是非促していっていただきたいと思いまして、資料の五ページ目以降、これは私が校長をしていたときの職員会議の資料ですが、ある私立高校の働き方改革のプロセスを大臣並びに文部科学省や委員の皆さん方に少しだけ共有できればと思い、持ってきました。

 細々とは申し上げません。ただ、特に七ページ目含めて、実は約半年で、これは二〇一八年の話ですので、約半年で、三六協定や変形労働制などを入れる形で働き方改革を実装するという形をやりました。社労士の先生やいろいろな先生方の、外部の人たちのサポートも受けましたが、どういった企業でも半年間でこれぐらいのことを実装するのは非常に難しいというふうに言われてきましたけれども、でも、やろうと思ったらできるんですね。十分できたと思います。

 そして、この七ページ目の一番下のところに書いてある意識改革から風土づくりということも、十分にこの半年間で実装できたというふうに思っています。

 働き方改革というのは、時間を短くしろとか、そういうふうに言うだけでは結局進まないものだと思っていまして、先生たちが自発的に、つまり、教育とは何なのか、学校の先生の役割とは何なのか、もっと言うと労働時間とは何なのか、どこまでが労働であり、どこが労働ではないのかということを、これは先生たち一人一人が定義づけていく行為なわけですね。そうすると、本当に、じゃ、これは労働時間なのかどうかというのを一人一人が考え、そして校長や管理職と対話しながらまさにそれを、じゃ、これは労働時間だね、これは労働時間じゃないよねということを決めていくプロセスが、今まで学校ではなされてきていなかったことをせざるを得なくなるわけですね。でも、できないことではないというふうに思っています。

 私立高校だからできたとか、民間出身だからできた、いろいろな言われ方はしますけれども、でも、大切なことは、これは学校種がどうであってもやれるんだということを、そしてやれる文化さえ醸成していけば、ボトムアップでやっていけば、学校の先生たちとは新しい教え方、新しい教師としての在り方というのをしっかりと実装できるんだということの解があるということは僕はとても重要だと思いますので、今日ここで皆様方にお渡しをいたしました。

 八ページ目、いろいろな施策をいたしました。こういったことだって、ノー残業デーを入れたり、いろいろなことをやりながらできてきたというふうに思います。

 あともう一つ、先日の参考人質疑のときにも、加治佐先生が、兵庫教育大の学長先生ですので、実はあのときに、さらりと附属の小学校の話を少しだけおっしゃられていました。附属小で、国立の学校は給特法、関係がございませんので、そういう意味では労働基準法に対応するという形で、最近もニュースで、国立の附属の小中学校がこの労基法に関して、残業代をしっかり払うようにというふうに労基署から勧告を受けたというような話が前提になったようなお話があったかには思いましたが、まさに大切なのは、このお金の話になっていくというふうに思います。

 九ページ目、御覧いただきたいと思いますが、私の高校でも、もちろん、私立の学校の経営というのは大変厳しくて、その中で人件費を上乗せするというのは大変難しいんですけれども、それでも、このとき、これは国が決めたことだからしっかり対応しようというふうに思いまして、当時、二千万円ぐらいの残業代が出ることを見越して予算を立てて運営していきました。結果的には一千七百万ほどの残業代を出す形になりましたが。

 ただ、その内訳の中身というのを、十ページ目になりますが、高校でありますので小中とは多少違うかもしれません。ただ、勤務時間外や休日勤務の七五%は部活動によって占められているのがうちの高校の実態でした。その中で、もちろん残業代をお支払いするという形になっています。

 改めて、まさに学校教育の中に、部活動とは何なのかみたいな、まさに何のために部活動があるのか、そして何のためにその授業があるのかみたいなことをもう一回問い直していくプロセスがこの働き方改革そのものなんだというふうに大変理解しております。

 ですので、この先、来年以降、調査は確かにそんなに難しくはなく行えると思いますが、ここから働き方改革を実装していく中で、本当に、現場の先生たちが、まさに学校というものは何なのかを問い直していく、これは非常に重要であり、難しくあり、でも、必ずできる作業をやっていく必要があるというふうに思っています。

 でも、その先には、何度も申し上げますが、やはり、給特法みたいな法律というもので今縛ってしまっているからこそ学校の現場が苦しんでいるんだということを是非大臣には御理解いただいて、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思って、今日は幾つか学校の話をさせていただきました。

 大臣、最後、感想等お伺いできればと思います。

末松国務大臣 先生おっしゃるように、働き方改革、上から押しつけてこうだああだという話ではなくて、それぞれの現場を見ながら、どうあるべきかという、自然発生的に今施策というものは考えていくべきものもございます。いろいろな問題から構成されておりますから、同時並行的にいろいろな施策を今打っておりますので、その効果も見なきゃならないということも思います。

 先生おっしゃったように、給特法だけが解決できれば働き方改革ができるかといったらそうでもないという御認識のお話もありました。あらゆることを全部頭の中に置きまして、総合的な判断をしながら今年度調査を行いますので、現場の先生方にはゆとりがないと生徒にゆとりのある教育はしづらいと思っておりますので、そのことをよく念頭に置いて教育施策を進めてまいりたいと思っております。

 答弁になったかどうか分かりませんけれども、答弁要旨なしで今お話し申し上げたところです。

荒井委員 ありがとうございます。

 二年前だったと思いますけれども、「#教師のバトン」というのを文科省でやられました。実は、僕もあれの協力者に入っていて、何回かつぶやいたこともありますけれども、もちろん、世間でいろいろな声があったのも承知しております。でも、あれ自体は、やはり文科省が学校の先生たちの声を直接聞くというのは僕は大変いい機会になっていると思いますので、どうか新しい体制になっても取組をやめずに、真摯に先生方の声を聞くということをし続けながら働き方改革を実現していっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 以上になります。

義家委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十分開議

義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の、兵庫十区の掘井健智でございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 ここ数年、あるいは十数年かもしれませんけれども、教育改革は、どちらかといいますと政治主導で矢継ぎ早に進んでまいりました。大胆な教育改革を考えたときに、政治主導でスピード感を持って提案する必要もあると思います。しかし、慌てて、粗略で、不完全なものになってはいけません。今後、いい研修システムをつくっていくためには、これまでの結果の検証や、また政策決定過程の検証も行うことが大事であると思っております。

 質問します。免許更新制の廃止と新たな教員研修制度整備との関連性について質問をします。

 現行の免許更新制度では、更新するためには講習を修了することが条件となって、免許更新制と講習がひもづいております。この度の改正案でも、免許更新制廃止と研修制度の整備がセットになっております。このことで、今後行われる研修整備につきまして、不安や様々な臆測を呼んでおります。例えば、現場の負担になるような研修になるのではないか、また、ペナルティーはあるのか、研修受講が評価の対象になるのかなどです。

 免許更新の廃止と教員研修制度整備との関係性について、これは発展的解消という意味の理解にもつながると思うんです、改めて大臣にお尋ねしたいと思います。

末松国務大臣 掘井先生にお答えを申し上げます。

 教員免許の更新制も、今回の新たな研修制度の整備も、いずれも教師に必要な資質、能力の保持そして向上を目的とするものではございます。近年、ここでも随分議論をいたしてまいりましたが、社会の変化が速まるとともに、オンライン研修の拡大であるとか、研修の体系化の進展など、教師の研修を取り巻く環境が大きく変化をしてきたことから、これからの新たな教師の学びの姿として、主体的な学び、個別最適な学び、そして協働的な学びが必要であると考えてございます。

 このため、本法案では、過去に先生方が何を学んでこられたかということを客観的に記録することを義務づけまして、これを基に校長先生等の管理職が教師と対話をしながら資質向上に関する指導助言等を行う新たな仕組みを導入することによりまして、個別最適な学びなどをより効果的に進められる環境が整うことから、更新制を発展的に解消することといたしております。

 加えて、教員の免許更新制は、教師の学びの機会の拡大であるとか、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、また良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果は上げてきたと考えております。

 このため、今後、例えば、教職員支援機構を活用しまして、こうした大学の良質なコンテンツを全国の教師が受講できるように、教員免許更新制の成果を新たな教師の学びの姿を構築する上で十分に継承していきたい、そういう思いからでございます。

 よろしく御指導をお願いを申し上げます。

掘井委員 次の質問です。指導が不適切な教員の対応状況について質問をいたします。

 そもそも、この免許更新制の目的が右往左往したように、教育の質を磨くという要素の背景には不適切な職員を正すという観点があったことから、免許更新制と同時に、人事管理が法の整備で厳格化されております。ここでの評価も確認したいと思うんです。

 これまでの質疑に既にありましたけれども、現行の免許更新制の下で、何人の方が指導不適切教員として認定されたのか、指導改善研修が行われてきたのか、また、何人の方が免職となったのか、これまでの実績を含めてお伺いするのと、指導改善研修を受講して実際に改善された事例はあったのでしょうか。そして、この結果をどう評価されておるのか、お伺いします。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 指導が不適切な教員につきましては、各教育委員会において、教育公務員特例法の規定に従い、専門家等や本人から意見聴取を行った上で、指導が不適切な教員の認定、指導改善研修等を行う人事管理の仕組みが運用されているのは御指摘のとおりでございまして、この仕組みの運用を始めた平成十二年以降、指導が不適切な教員として認定された教員の数は延べ四千七百人となっております。その間、八百八十六人の方が依願退職、分限免職という形で退職をされておりますが、当然、復職された方もいらっしゃいます。年度間でいいますと、平成十六年度の五百六十六人をピークに減少しておりまして、令和二年度は五十九人が認定となっております。

 この認定者数が減少している理由につきましては、指導が不適切な教員に対する人事管理システムの定着と研修の充実によって一定の成果が上がってきたのではないか。集中的な認定とか指導改善研修の実施によって改善又は退職等がなされているということではありますが、一定の成果は上がっているんじゃないか。あるいは、指導が不適切な教員としての認定までは至らない状態にある指導に課題のある教員に対して、早期に研修等の指導力向上を図る取組が広がってきているということが一定の成果として認められるんじゃないかと考えております。

 文科省としては、人事管理システムの仕組みを運用するなど、各教育委員会に対して適切な対応を求めてまいりたいと考えております。

掘井委員 相対的な数は全体からすると少ないんでしょうけれども、やはりどんどん減っていくということですから、一定の評価があったのかな、そんなふうに思います。

 続いての質問です。

 現行の研修実施状況について質問をいたします。

 現在、教育公務員特例法に基づきまして、教員の研修計画又は教員の育成指標が既に定められておりまして、研修の努力義務が課されております。学校では既に、体系的なこういった研修があります。私の地元、大臣の地元でもありますけれども、兵庫県では、初任者研修、二年次研修、三年次研修、また中堅教諭対象の研修もあって、校長、教頭の研修も行われております。この法定研修は全国で一体どれくらいやられておるのか、お伺いしたいと思います。

 また、教育現場では、この免許更新制の廃止は歓迎しておるところでありますけれども、新たに法定研修が増えるのではないかなと戦々恐々としております。新たな研修の整備は、こういった既にある研修をうまく活用していただいて適正化することが非常に効果的だと思うんですが、この辺、どのようにお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在、各都道府県教育委員会等においては、法定研修である初任者研修や中堅教諭等資質向上研修のほか、教育センターで行う教職経験や職能に応じた研修など、様々な研修が実施されているところでございます。

 また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正により、全ての都道府県教育委員会において教員育成指標が策定され、初任時の基礎形成期や学校の中核となる中堅期など教師のキャリアステージごとに、学習指導や生徒指導、学校運営などの各分野において身につけるべき資質が明らかとなりました。これに基づき研修計画が策定されることで、各教育委員会における教師の資質、能力の向上に向けた研修が組織的、体系的に充実をしてきたと考えております。

 なお、今回の法改正は、新たな法定研修を付加するものではありませんが、令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿の実現に資するものと考えております。

掘井委員 ごめんなさい、ちょっと聞き漏らしたかも分かりませんけれども、これは全国でどれぐらいやられているのかというのを御答弁されましたか。ちょっと、ごめんなさい。

藤原政府参考人 全国の研修の状況ということでございますが、先ほど申し上げましたように、それぞれの教職のキャリアステージに応じて様々な研修が体系的に実施をされるようになってきているというふうに承知をしておるところでございます。

掘井委員 いや、この普及率ですよね。全国でもう既に全部が取り組んでおるという状況なのかどうかという確認をしたかったんです。いいですか。

 これは努力義務なので、必ずしもせよとは言えへん中で、実際、どれだけやっているのかということですね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 研修の実施の状況は各地域によって様々なところがございますけれども、法定研修である初任者研修や中堅教諭等資質向上研修、これは必ず全員の方にやっていただくということになっているわけでございます。

 例えば、初任研に関して申し上げますと、初任者一人にかける一週間当たりの校内研修の指導時間ということで、小学校では七・三時間という結果が、これは令和二年度の調査でございますが、出ているところでございます。また、中堅教諭等資質向上研修の実施状況ということでございますけれども、こちらは、研修の実施日数ということで申し上げますと、小学校では二十・四日、中学校ではこれも同じく二十・四日といったような日数の研修が行われているという結果がございます。

掘井委員 今回、記録の作成と指導助言者の役割が義務的なことになるので、それはこれから把握されるのかなと思います。

 次の質問です。

 研修では、時間に縛られることなく、自由度が高いこと、また、個々の教員が必要と思う情報を得られることが非常に大事であると思っております。こういったことを解決していくために、全国の優れた学習コンテンツを、例えば、教科指導、生徒指導、学級指導、学級経営などのテーマに必要な情報をいつでも学べるために、学習するコンテンツを集約して整備しておくことが非常に効果的だと思うんです。

 例えば、独立行政法人教職員支援機構なんかにアクセスしますと、全国のスーパーティーチャーの授業をVTRで学べる、そんな仕組みでありますとか、MOOC的なものをつくっていくなど、こういった学習コンテンツの集約とプラットフォーム、これをどのように考えておられるか、お願いします。

藤原政府参考人 中央教育審議会の審議まとめにおいては、新たな教師の学びの実現を支えるための取組として、学習コンテンツの情報をワンストップ的に収集、整理、提供するプラットフォームなどの構築が示されております。このプラットフォームについては、教職員支援機構が開発するコンテンツはもとより、大学や民間事業者等が開発するコンテンツも含めて収集、整理、提供することを想定しており、幅広いコンテンツの中から教師自らが必要な学びを行うことができるよう、研修環境整備を進めてまいりたいと考えております。

 文部科学省においては、令和三年度補正予算においてこれに関する調査研究費を計上するとともに、令和四年度予算においてはその構築費を計上しているところでございます。

 まずは、調査研究において備えるべき機能等を明らかにした上で、速やかに構築に着手をしてまいりたいと考えております。

掘井委員 次の質問です。

 改正案では、指導及び助言を行うものとすると、この指導助言者について定めております。実際には校長がこれに当たることが想定されているようでありますけれども、その際には、校長のような指導助言者が指導力を発揮すべきだと思っております。指導助言の期待する役割についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 本法案では、校長等の管理職と教師が過去の研修等の記録を活用しつつ対話を行い、今後能力を伸ばす必要がある分野などの研修について教師から校長等へ相談することや、校長等から情報提供や指導助言を行うことを想定をしております。

 具体的には、校長等の管理職が、期首面談や期末面談の機会を通じて、教師から自身のキャリアプランを踏まえて受講したい研修の内容について相談を受けます。また、教員育成指標や教員研修計画を踏まえつつ、教師自身の過去の研修等の記録を活用して、今後能力を伸長させる必要がある分野などの研修の受講について情報提供や指導助言を行うこととなります。

 こうした教師の資質の向上に関する指導助言等については、改正法第二十二条の六の規定により、その実施が義務づけられるものでございます。

掘井委員 確認ですけれども、記録の作成と並んで、この指導助言、これは義務であるということには間違いないでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 記録を作成するということ、こちらはそうした義務があるわけでございますけれども、指導助言の際には、その記録された履歴を活用しながら指導助言を行うということとしているところでございます。

掘井委員 この質疑の中で、強制力がないようにお願いするという意見も当然あったと思うんですけれども、強制力と、やはりリーダーシップというのは別だと思うんですね。コミュニケーションを図りながら校長が先輩としてアドバイスする、そんな役割を期待したいと思っております。

 次の質問です。

 臨時的任用教員の研修の実施についてです。

 二月十七日の予算委員会の分科会の質問の中で、私は、臨採の依存を高めて教員不足を補うことが構造化していることを指摘しました。

 教員不足の戦力として期待されているこの臨採の先生方、体系的な研修を受けておりません。これまでの質疑においても、臨採の教員に対しては研修の参加を弾力的に認めていくという御答弁もありました。法的研修も含めて研修を受けるように進めていくのか、その際、法整備が必要なのかを含めてどのように対応していくのか、お答えをお願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現職研修の更なる充実に向け、臨時的任用教員についても、いわゆる正規教員に準ずる形で研修の充実が図られることが重要であると考えております。

 今回の改正では、教育委員会に義務づける研修等の記録の作成と資質の向上に関する指導助言等の対象として臨時的任用教員は含まれておりませんが、臨時的任用教員もその職責を遂行するために絶えず研究と修養に努めなければならないことに変わりはないことから、各教育委員会の判断において、正規教員と同様にこれらの対象とすることも考えられます。

 その際、臨時的任用教員が基本的に一年以内の任期を定めて任用されるものであることを踏まえ、研修等に関する記録に関し、正規教員と異なる取扱いとすることも含め、実情に応じて弾力的に運用されるよう、基本的な考え方等をガイドラインで示すことを考えております。

 また、臨時的任用教員が組織的な学びの場である校内研修等に参加するだけではなく、教育センターで実施される様々な研修への参加を認めるなど、研修機会に配慮するよう各教育委員会に働きかけてまいりたいと存じます。

掘井委員 研修のガイドラインについて質問します。

 研修の整備につきましては、更新制度が廃止される条件として捉えられているので、学校現場では、県教も市教も今から非常に不安を感じております。

 研修のガイドラインが作成されます。ガイドラインの中身については既に質疑にもありましたけれども、このガイドラインの位置づけ、また、期待するところについてお伺いします。また、この作成は夏から取りかかると伺いました。作成できる目途はいつ頃なのか、お伺いしたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の法改正に伴いまして、文部科学大臣が定める資質向上に関する指針の改正、これは文部科学大臣が大綱を示すものでありまして、それに基づくガイドラインを新たに策定することを予定をいたしてございます。

 この指針におきましては、学習指導、そして生徒指導等に加えまして、特別な配慮、支援が必要な子供への対応、ICT、データ利用、活用等、資質、能力のこれらを柱としまして明記をすること、そして、教育委員会が社会の変化に対応した研修を設定すること、校長が研修記録を活用した対話に基づく指導助言等を行う際の基本的な考え方などを定めることとしております。

 また、ガイドラインにおきましては、研修等に関する記録の内容や範囲、校長による指導助言等の方法や時期、また、教師が期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合として想定されるケース、こういったことを定めることと考えております。

 今後、国会におきましての御議論や、関係者や関係団体の御意見を踏まえつつ、中教審で専門的な検討を得た上で、先ほど先生からお話がありましたけれども、やはり、今年の、本年夏に具体的な内容を示せるように検討してまいりたいと思います。具体的な月は、ちょっとまだここで申し上げることが可能ではございません。

掘井委員 時間が来ましたので、最後になりますけれども、教育公務員特例法二十二条一項には、「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。」、こう書かれております。つまり、研修は、先生方の義務とあると同時に、権利でもあるんです。

 この度の改正で、教員が存分に向上できて、それが子供の目線の研修制度になることを願いまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 委員長、ありがとうございます。日本維新の会の三木圭恵でございます。

 本日、質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。

 教育公務員特例法及び教職員免許法の一部を改正する法律案の中で、いろいろな方が、いろいろな委員が、いろいろな御意見があって、いろいろな質問をされてきたわけですけれども、まず、そもそも論をお伺いしたいと思います。

 平成二十一年度にこの免許更新制度を導入されましたけれども、そもそもこの免許更新制度を導入された理由、意義についてお伺いいたします。

末松国務大臣 三木先生にお答え申し上げます。

 教員免許更新制、これは、平成十九年の六月の改正教育職員免許法の成立を受けまして、その時々で教師として必要な資質、能力が保持されるように、定期的に最新の知識、技能を身につけることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立って社会の尊敬と信頼を得ることを目的として、平成二十一年四月から導入をされました。

 こうした目的を実現するために、教員免許状に十年間の有効期間を設けた上で、大学などが開設する三十時間の免許状更新講習を受講、修了することで有効期間を更新できるようにという、そういった仕組みが設けられたところでございます。

 ただ、十五年前でございますから、スマホもなくて、その当時はガラ携といったような時代でありましたし、今日、GIGAスクールなんということは、想定も十五年前はできなかったとは思っております。随分環境は変わったと思います。

三木委員 ありがとうございます。

 また後ほど、質問に絡めて、末松大臣の方にお伺いしたいと思います。

 それから、この免許更新制度が導入されたことによって、大学などでの研修が質的にも優れたものが多く生み出されたとの報告を聞いております。ふだん受講できないような研修を大学で一から学び直す、向学心の高い先生方の研修に対するモチベーションになったことは間違いないと思います。

 この免許更新制度が発展的に解消されることによって、こういった高度な質を担保しながら量的にも満足いくコンテンツを維持していくためにどういった方策が講じられていくのか、お伺いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 教員の免許更新制は、教師の学びの拡大、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、もうこの表現は随分お話し申し上げたんですけれども、そして良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきたと認識はしてございます。

 より具体的に申し上げましたら、校長会関係者からは、この教員免許更新制によりまして、教師が自らの指導に新たな視点を加える機会となっているという話もありました。最新の知識、技能の修得に一定の効果が出ているといった好意的な意見も示されたことがございます。

 また、大学と教育委員会が教師の資質、能力の向上という共通の目標に向けて協議を重ねまして、連携協力して学びの機会を提供する好事例が生まれてもきました。

 さらに、全体として見ました場合には、グループワークの事例発表を取り入れた双方向、少人数型の質の高い講習も含めまして、年間で約一万件以上の更新講習が開設されまして、多様な学びの機会を提供したと思っております。

 これらの成果を踏まえまして、当面、教職員支援機構においては、大学等が更新講習を継承して開設する質の高い学習コンテンツに関する情報提供をする一元的な情報提供サイトの構築も予定をいたしてはおります。

 さらに、文部科学省では、学習コンテンツをワンストップ的に収集、整理、提供するプラットフォームの構築を進めてまいりたいと思います。このプラットフォームでは、教職員支援機構や教育委員会が開発するコンテンツはもとより、大学や民間事業者等が開発するコンテンツも含めて収集、整理、提供という形で、流れで進めていきたいと思います。

 少し長くなりましたけれども。

三木委員 ありがとうございます。

 やはり、せっかく免許更新制度を引いて、大学と教育委員会の一体的な連携を取り計らいながら、学校の先生にも質のよいコンテンツを提供してきた。末松大臣が先ほどおっしゃったみたいに、十五年前は、スマホで見たりとか、そういった環境もなかったことですし、コロナ禍においてそういったオンデマンドが発展してきたという経緯とかもございますので、せっかく大学でよいコンテンツを継承して、学校の先生方に学びの場というものを提供されるということですから、その部分は残していっていただきたいと思っております。

 今の御答弁の中で、一元的に集約して、プラットフォームとして残していくという御答弁がございましたので、是非その部分は残していっていただき、でも、そうはいっても、教員免許更新制度がなくなることによって、大学の方もコンテンツを上げる数が少なくなってくるかもしれませんので、そういったところをまた文部科学省の方から大学の方に申入れをしていただければなというふうに感じております。

 それで、免許更新制度の方は発展的解消する、いいところもありましたよということを今大臣の方からおっしゃっていただいたんですけれども、この発展的解消という言葉は、今委員会でも数名の委員各位から御質問、御指摘があったように、私もやはり違和感を感じております。

 御答弁にもあったように、大学が作成するコンテンツなど、非常にすばらしいものが作成されて、教員の方がオンデマンドによって受講が可能になる、教員の満足度も高かったとの御答弁でしたが、それ以外では、やはり評判が悪かった部分もあったと思うんですね。講習時間の負担感であるとか、休みを返上して受講しなければならないとか、研修費を実費として負担しなければいけなかった、受けたい研修があるけれども、早い者順で、受けたい講習を目の前で、パソコンで、受ける時間が来たら待って登録しなければいけないとか、そういったことがやはり多かったと思うんですね。そういったところはやはり謙虚に受け止めていただきたいと思うのですけれども、末松大臣の御見解はいかがでしょうか。

末松国務大臣 今先生、一定の成果を上げたと申し上げた理由はもう各先生方に申し上げたとおりなんですけれども、この前、笠先生にお話をしたときに、末松さん、いいところの調査結果だけで、大事なところを取っていないということをおっしゃられたんですけれども。

 私も、結局、満足であると答えた方、やや満足であると答えた方五八%、不満、やや不満は一六%ということで、ここでも、講習自体の評価はあるんですけれども、結局、帰って役に立ったかどうかということを問われた場合のアンケート結果というのは、役に立っていない三八%というところにやはり何らかの大きな原因があると。時間的、経済的負担のこともありましょうし。だから、今の時代に、自分には合わなかったと思っていられる先生方もおられるかもしれません。

 同時に、先生おっしゃったように、やはり夏休みに集中的に取られますので、人気のある講師のプログラムのところに、講習に集中してしまって取れないといったことがあって、なかなかやはり、そういうところが思うようにいかなかった点もあるのではないか、そういうことを感じておりますけれども、総じて、満足できるものであったという五八%の数字は、私は信頼をしたいというふうに思ってございます。ただし、笠先生がおっしゃった、役立っていない三八%というのは、帰ってみたらこうだったという数字も、やはり、少なからず反省という点、改善しなきゃいかぬ点があるかなと思いました。

三木委員 末松大臣、ありがとうございます。お答えにくいところをお答えいただいたというふうに考えております。ありがとうございます。

 次の質問に入らせていただきます。

 研修の記録や集積、新たな学びの形ということが示されておりますけれども、新たな学びの形が新たな負担になるのではないかという御懸念がいろいろな委員からも御指摘されているところでございます。

 現在、都道府県の教育委員会において、システムが整っている自治体もあれば、ない自治体もあると思います。四分の三はシステムがあるというふうにお伺いしているんですけれども、なかなか、システムを一から構築するとかなりの負担になるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今、新たな負担ということでございましたけれども、私どもとして、そうしたこの新しい法律案に基づく研修の仕組みが現場にとって過剰な負担とならないように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、システムの方でございますけれども、こちらは、今御指摘ありましたように、そうしたものを既に導入している都道府県の教育委員会もあるわけでございますが、そうした情報システムがないというところも多数あるわけでございます。

 こうしたことから、文部科学省においては、令和三年度補正予算においてこうしたシステムに関する調査研究費を計上するとともに、令和四年度予算においてその構築費を計上しているところでございます。

 国がこうしたシステムの構築を行い、任命権者である教育委員会の判断と責任の下で研修履歴を記録していく、こうした形で進めていきたいと考えているところでございます。

三木委員 四分の一の自治体に関しては、まだ、教育委員会に関してはそういったシステムがないということですので、文部科学省の方からも適切な指導や助言などを行いつつ、予算もつけてあげて、是非ともスムーズにそういったシステムを構築していただくようにお願いを申し上げます。

 それと、参考人質疑の際もお伺いしたんですけれども、委員会でもちょっとお伺いしたいと思います。この研修の履歴というものは、どこまで誰が閲覧することが可能なのか。個人情報の観点から厳格に保管されるべきと考えますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 研修に関する履歴に関しましても、これは教師個々人の個人情報に該当するものであるということで、こうした個人情報に関する扱いについては、個人情報の保護に関する法律に基づき、適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

 そして、この情報の共有の範囲ということでございますけれども、記録を作成するのは任命権者である都道府県教育委員会等でございます。ただ、指導助言を行いますのは市町村教育委員会といったことになるわけでございますけれども、その指導助言者に研修等に関する記録に係る情報を提供するということは、これは法律でこの度定めた内容でございます。したがいまして、この記録を活用して校長等の管理職が指導助言を行う際に、この研修受講履歴を閲覧するということは当然にあるということになるわけでございます。

 また、教師本人がこの研修の履歴を閲覧できるのかということでございますけれども、現状、各都道府県の教育委員会の実態としては、閲覧できない形になっているというふうなところも少なくないということでございますけれども、当然、今後、教師の学びの履歴をしっかり本人が確認しながらあるべき姿を考えていくという観点からすれば、本人がこれを閲覧できるということを前提にしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

三木委員 是非、教員のプライバシーも守りながら、質の向上に役立てるようなシステムにしていっていただきたいなと思っております。

 次の質問に移らせていただきます、ちょっと時間がなくなってまいりましたので。

 教員の人事評価についてお伺いをいたします。

 指導が不適切である教諭に対して、何年も何年も同じ評価が、例えば指導が必要だというふうに評価がつくというようなこともあると聞いているんですけれども、そういった場合、研修では補い切れないケースもあるかのように思うのですが、そういった場合はどういった指導がされているんでしょうか。

伯井政府参考人 人事評価につきましては、地方公務員法等、法令に基づき、教育委員会において定め、実施しております。

 一般的には、校長などの管理職が、期末面談等の機会に、各教師が発揮した能力や業績を確認し、日頃の職務行動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえ、学習指導、生徒指導の能力などについて評価が実施される。

 御指摘の指導に課題のある教師に対しましては、その人事面談の機会などを活用して、管理職等と教育委員会が連携しつつ、その教師が抱える課題に対応した研修の受講を促すなど、指導力の維持向上のための助言を行うということが重要であると考えています。

 そうした様々な対応を重ねた上でもなお十分な指導の改善が見込まれない教員については、各教育委員会において、先ほど来も出ておりましたけれども、教育公務員特例法の規定に従いまして、専門家や本人からの意見聴取というプロセスを経た上で、指導が不適切な教員の認定、指導改善研修等を行う仕組みがある、こういう形でございます。

三木委員 ありがとうございます。

 私がやはり一番違和感を感じるのはここでございまして、指導が不適切である教諭等に研修等で指導していくという御答弁が何回も何回も出てきたと思うんですけれども、指導が不適切であることの認定について、具体例の中に三つ掲げて書いてあるんですけれども、教育公務員特例法の一部改正関係に三つ書いてあります。

 一つ目、二つ目は、専門的な技術が不足していることとか、学習指導を適切に行うことができない場合というふうなことが書いてあるんですけれども、三つ目、これが私がすごく気になっているところで、「児童等の心を理解する能力や意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行うことができない場合(児童等の意見を全く聞かず、対話もしないなど、児童等とのコミュニケーションをとろうとしない等)」というふうに書いてあるんですね。

 これは、例えば、学校の校長先生であるとか教頭先生がその教師を指導する場合に、何か研修を受けなさいというようなことを言っても、こういったことって直っていかないんじゃないかと思うんですが、御見解いかがでしょうか。

伯井政府参考人 ただいま御指摘いただいたように、子供とコミュニケーションが取れないというのは非常に極端なケースではございます。そうした指導の課題のある教員に対しては、先ほど来言っている、認定を行って指導改善研修を行う仕組みがございまして、まずは指導改善ということを考えながらも、法令に基づく適正な措置ということも併せて考えているというものでございます。

三木委員 私は、この法改正の中で二つの違和感を感じてまいりました。まず、教員の免許更新制度で、十年間で免許更新制度を行っていくということに対する違和感ですね、こういうことが本当に必要であったのかどうかということの違和感と、そういう指導が不適切であると認定をされた学校の先生が、指導して研修を受けさせることによって、その先生が本当に学校の子供たちと向き合えるようになっていくのかというのは、私は非常に違和感がございまして、だからこそ、この研修が必要だというスキームにどうも納得できないところがございます。

 これは、研修を受けるということでは解決しない。現場の中で経験を積んで、研修ではなく、校長先生や教頭先生がそういった学校の先生と対話をしながら、親身になって、そういう指導が本当の意味で必要なんじゃないかなというふうに私は考えております。人間性や経験は数値化できませんので、そういった人間力というものが学校の先生には問われているのだと思っております。それはやはり、指導して、研修を受けさせて、そういった学校の先生は研修を受けさせるから直っていくんだよということでは私はないと思うんですね。

 元々これがスタンダードな学校現場の在り方だったと思うんです。学校の校長先生や教頭先生がそういった指導が不適切な教諭に対して、こういったふうにした方がいいんだよとか、子供とはこういうふうに対話した方がいいんだよ、子供はこういうことを求めているんだよということを学校の先生が御理解されて、校長先生や教頭先生、同僚の先生や先輩の先生などと対話をしながらそういった力を高めていく、そういったことが一番必要なことであって、研修制度があるからこういった不適切な指導を行っている学校の先生が学校現場に戻っていけるとは私は思わないので、こういったところの人間力を高めるための学校現場の在り方というものを考えていく中では、済みません、時間がなくなりましたのであれなんですけれども、そういったためには、やはり学校の働き方改革であるとか、そういったことも視点の中に入れながら進めていかないといけないと考えております。

 最後に、末松文科大臣の、そういった学校の先生の人間力に対するお考え、そういったものがもしございましたらお聞かせください。

末松国務大臣 私は、どういうものを子供たちが目指すべきかと問われましたら、やはり、自分で問題点を見つけて、自分でその問題を解決する力をつけていくということが大事かなと。

 それと、よく言うんですけれども、心豊かな人づくりというのは亡くなった貝原知事が使っていられましたけれども、心に引き出しの多い人間がやはり強いぞという話をしてきたんですけれども、一番大事なのは、先ほど先生おっしゃったように、これから随分、GIGAスクール云々でもかなり機械が置き換わっていく部分があるんですけれども、先生、その場所で何が大事かといったら、自分の体験からくるもの、自分の人格を授けてあげるということをしてやらないとその子には伝わっていかないと思うんですね。

 ですから、そういう意味では、私もまだまだ至らぬ者ですけれども、やはり人間力なり問題解決能力を持った先生をつけていく。これは確かに研修だけの、座学だけでは無理ですね、先生。そのことはそのように思います。やはり校外でいろいろなことを学ばなきゃならない、そういうことは強く考えます。

三木委員 質疑時間が終了しておりますので、末松文科大臣のお答えに安心して、質疑を終了させていただきたいと思います。是非、システムや義務や研修、そういったことに縛られずに学校の先生の質を上げていっていただくように、よろしくお願いを申し上げます。

 以上です。ありがとうございました。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 教育公務員特例法及び教職員免許法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 冒頭に一問、午前中の吉川委員の質疑を聞いていて、私も一問、問いたいと思います。

 現行免許更新制に基づいて既に免許が失効していて、今回の法改正を受けて新たに再授与を受けることは可能ということでありますけれども、免許状の取得に必要な単位の修得状況など、審査を行う上で必要な書類を求めるとされておりました。

 単位を修得した大学が合併したり廃止されたりして既になくなっている場合には、これはどのようにすればよいのでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、大学を設置する学校法人が解散したような場合であって他の法人と合併する場合などは、解散する学校法人の残余財産とともに、学籍簿等の管理を承継する他の学校法人等に学力に関する証明書の発行事務も引き継がれるものと考えております。

 極めて例外的なケースとして、承継する学校法人等が現れなかった場合、円滑な学生等の転学等を進めるために必要な支援を行う観点から、文部科学省が学籍簿等を引き継いでいることがあり、この場合、文部科学省において学力に関する証明書を発行しているケースもございます。

 このようなことから、学力に関する証明書については引き続き発行が可能な状態になっているものと認識をしております。

宮本(岳)委員 文部科学省に引き継いでいると。ですから、文部科学省に相談していただけば大丈夫だということだと思います。

 ただ、そのためにも、先ほど吉川さんがおっしゃいましたけれども、一々、元々免許を持っておられたことはもう分かっているわけですから、教育委員会で、失効した先生が元々持っておられたことが確認できるんだったら再授与できるようにしていただく方がよっぽど手続的には簡単だと、改めて私の方からも申し上げておきたいと思います。

 さて、大きな議論であります、大臣。

 今日は全く逆に聞いてみたいと思うんですが、教育公務員特例法の改正をせずに、教職員免許法の改正のみ、すなわち免許更新制の廃止のみにした場合、何か不都合なことは生じますか。

末松国務大臣 不都合が生じるかという宮本先生の御質問でございますが、変化の激しい時代におきまして、これからの教師の学びの姿として、教師一人一人の置かれた状況に照らして適切な現状把握と具体的な目標設定を行っていく上で、個別最適で協働的な学びが行われることが必要であるとは考えてございます。

 このため、過去に教師が何を学んできたかを客観的に記録することを義務づけるとともに、これを基に教師の資質向上に対しまして指導助言等を行うという管理職の役割を明確にするため、教育公務員特例法を改正することが必要であると考えております。

 今回の法案で義務づける研修の記録は、一人一人の教師が自身の学びを振り返りつつ、現状の把握と適切な目標設定を行うため必要不可欠なもの、いわば学びの足跡でありまして、主体的で個別最適な学びを実現する上でのベースとなるものでございます。

 加えて、私自身も教師とも話合いをやりまして、かなり、幹部、行政の、教育長なり教師とも話をしたんですけれども、やはり、先生、自分が学んできた履歴というのはやはり知りたいと。これは、今ここに使いました学びの足跡という言葉をその先生もおっしゃっておられたわけです。加えて、この前、先生、質問が終わるときにちょっと申し上げたんですけれども、やはり自分を研修を通じて高めたい、自分を高めたいという御希望と同時に、授業はうまくやりたいということもおっしゃっていましたので、そういう意味では、私は、今回、免許の更新制の廃止と同時に、研修やってくる、この研修制度については期待を持ってもいいんじゃないか、私はそういうふうに思ってこの法律を提案申し上げているところでございます。

宮本(岳)委員 いや、もちろん、高めたいという、自主的で一人一人が自発的な研修、私たち、大事だと思っています。

 でも、それならまた逆に聞くことになるんですが、今回の法案、施行期日を見ますと、教員免許の更新制の廃止は今年の七月一日ですよ。その他の研修制度など、教特法については来年の四月の一日施行となっていますね。

 七月から四月までの間には九か月という期間があるわけですけれども、もしも免許更新制を廃止して何もしなければ何か不都合や混乱が生じるというのであれば、この九か月間というのは一体なぜ放置できるのかということになりますね。この九か月間、別に混乱など生じない、こういうことでいいですね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、施行日を二つに分けているところでございます。

 まず、新たな研修の仕組みは、教育委員会に研修記録の作成や指導助言等の法的義務を課すものでございますけれども、各教育委員会における準備期間を考慮し、令和五年四月一日施行といたしております。

 その一方で、教員免許更新制の廃止につきましては令和四年七月一日施行といたしました。これは、仮に研修関係の規定と合わせて令和五年四月一日施行とすると、法案成立後も相当数の教員は翌年三月までに更新講習を受けなければならなくなるということになるためでございます。国会の御意思として示されたにもかかわらず、こうした状況を生み出してしまうということは適当ではないという考えの下、施行日を七月一日としたところでございます。

宮本(岳)委員 いや、答えになっていないんですよ。

 混乱は生じるんですか。局長。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 免許更新制をこの度発展的に解消して新しい研修制度に移行していくという内容でございますけれども、その趣旨とするところは、教師の個別最適な学び、協働的な学びを進めていくということが大事なところでございまして、それを担保する手段として、研修履歴の記録、それから指導助言という制度を義務づけるということを考えているわけでございまして、そうしたものをやっていくことで、トータルで教師の資質向上が図られていくという観点で、そういう提案をさせていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 答弁になっていないですよ。

 混乱するわけないじゃないですか。七月一日に更新制がなくなったって、九か月間、別に事が起こるわけではないんです。ならば、教特法の改正など全く必要ない。

 我が党は、後ほど、法案第一条を削除する修正案の提案を予定しております。

 私は、一昨日も、全ての混乱の大本はボタンのかけ違えにあると指摘をいたしました。教員免許更新制は失敗であったと認め、一旦ボタンを全部外さないから、混乱に混乱を重ねる結果になるんです。

 そして、教特法改正案の中身として、どうしてもただしておかなければならない問題は、一昨日委員会でも議論になった、職務命令に基づく研修の強制の問題であります。

 牧委員の質問の、資質向上に関する指導助言というのが、特定の研修だとか指導方法などの押しつけ、パワハラにつながることのないような対策が講じられているかという問いに、藤原総合教育政策局長は、管理職等から一方的に指導するのではなく、対話の中で行われていくことが基本なので、パワハラにつながるものではないと答弁されました。対話だからパワハラにつながらないという説明は理解に苦しむんですね。

 そもそも、パワハラというものは、上司と部下の対話、言葉のやり取りの中でこそ起こり得るんじゃないですか、藤原さん。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先般の質疑の中で、職務命令により研修を受講させることが考えられる場合ということで申し上げたものが三つあったわけでございますけれども、そのうちの一つで……(宮本(岳)委員「パワハラ」と呼ぶ)はい。ICT活用指導などについて、再三受講を促してもなお、相当の期間にわたり合理的理由なく研修を受講しない場合ということを申し上げたところでございます。

 研修は、教師の自主的、主体的な学びを進めていくという観点で行っていくことが基本であろうというふうに考えておりまして、対話をしていく中でも、そうした、パワハラにならないような形で取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 質問を聞いているんですか、本当に。パワハラにならないようにするというのは当然のことですけれども、対話だからパワハラがないという答弁はおかしいでしょうということを申し上げたんです。

 時間がありませんから、確認しておかなければならないことがたくさんあります。

 次に、これも前回、牧委員が、中教審の審議まとめに「特定の教師が任命権者や服務監督権者・学校管理職等の期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合」という言葉が出てくるが、それはどういう場合かと問うたのに対して、総合教育政策局長は、到底認められない場合をガイドラインで示したいと述べるとともに、一、例えば、合理的な理由なく法定研修や教育委員会が定めた教員研修計画に基づく全教員を対象にした研修等に参加しない場合、第二、特段の支障がないにもかかわらず必要な校内研修に参加しない場合、第三、例えばICT活用指導力など特定分野の資質の向上に強い必要性が認められるにもかかわらず、管理職等が受講を促してもなお、相当期間にわたり合理的な理由なく研修を受講しない場合という三つをお示しになりました。

 一つ目の法定研修や全教員を対象にした研修、二つ目の必要な校内研修は職務としての研修、こういうことでありますが、三つ目の、特定分野の資質の向上に強い必然性が認められる研修は、これは性格が異なると思うんですね。

 これは、職務命令を行う範囲を広げる、こういうことですか、局長。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 ICTの研修といったものは、今でも各教育委員会や学校現場で、日常の授業観察などを通じて得られた情報などを踏まえて、教育委員会や校長等の判断の下、個々の教師に対し職務としての研修が行われているものと承知をしております。

 このICT活用指導力を例示をいたしましたのは、今後改正する指針において、中教審での教師に求められる資質、能力の再定義の議論を踏まえ、学習指導や生徒指導等に加え、特別な配慮、支援が必要な子供への対応、ICT、データ利活用等を資質、能力の柱として明記することを検討していることから、これからの教師に共通的に求められる資質、能力を代表するものとしてお示しをしたものでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、第一や第二は、それはあなた方の言い分でいえば、それはそういうものでしょう。でも、三つ目は違うんじゃないですか。

 大臣は、審議まとめが発表された昨年十一月十六日の会見で、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合ですね、認められない場合には、やむを得ない場合には、職務命令を通じて研修を受講させる必要が出てくることもあるかもしれない、こうおっしゃいました。

 大臣、これは、対話と奨励というような言葉とは裏腹に、最終的には職務命令で強制的に教員に研修を押しつけようということになるんじゃないですか、大臣。

末松国務大臣 先生、そういう気持ちは全くございません。

 やはり、対話ですから、きちっと管理職が教員と向き合ってキャッチボールを続けなきゃいけない、私はそういう表現をしております。

 それで、このICTの活用指導力につきましても、今、ICT支援員であるとか、GIGAスクール運営支援センターにしても、やはり、その使い方が分からないという先生がおられるから、あるいは生徒もおられるから助けを求めるということですから、当然ICTを先生方は知ってもらわないけない、その研修の場に来てくれないといったら、これはこれでやはり問題だ、私はそのように考えております。

 もう大分時間もたっておりますので、先生がおっしゃる趣旨につきましては、余りにも性善的過ぎるということでありましたら、私、御意見として受け止めておきたいと思います。性善的に過ぎるんじゃないかということでしたら、それは御意見としてしっかり受け止めておきたいと思います。

宮本(岳)委員 いや、性善的に過ぎると、性善的だとおっしゃるのであれば、大臣のおっしゃることがですね、強制しない、やはり対話と奨励でやるというのであれば、最後の最後まで対話を行い、納得してもらうのが筋だと私は思うんですよ。大臣も、多く存在するとは考えないというのであれば、先ほどおっしゃったガイドラインから、三つ目の項目は除外すべきではないですか。

末松国務大臣 やむを得ない、もう最後の最後まで行っても言うことを聞いてくれない、これはもう良識を持っている先生と思えない状態の場合は、職務命令を出さないとこれは成り立たないと思うんですね、私、社会も。そのことを申し上げたいわけです。

宮本(岳)委員 対話と奨励とおっしゃるけれども、結局、最後は職務命令、懲戒処分で強制するということになるんです。これでは、教職員の主体性など全く守られる保証はありません。これら全ての矛盾の原因はあなた方に反省がないことに尽きると言わなければなりません。

 そのような法案には到底賛成することはできないと申し上げて、私の質問を終わります。

義家委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

義家委員長 この際、本案に対し、牧義夫君から、立憲民主党・無所属提案による修正案が、また、宮本岳志君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

    ―――――――――――――

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員 ただいま議題となりました教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、立憲民主党・無所属を代表し、その趣旨を御説明いたします。

 本法律案においては、教員免許更新制の廃止のみならず、新たな研修制度に関する規定の整備を内容とする教育公務員特例法の改正も行うこととしております。

 教員免許更新制は、第一次安倍内閣の教育再生会議の第一次報告においては、不適格教員への対応を目的とするものでしたが、その後の中央教育審議会の答申では、質の高い優れた教員を確保するために教員免許更新制の導入が必要であるとされました。平成十九年の教員免許更新制の導入時における国会審議では、長い時間がかけられました。本法律案において、発展的解消として教員免許更新制の廃止にとどめず、新たな研修制度を内容とする教育公務員特例法の改正と併せて行うことは拙速ではないでしょうか。

 そもそも、我が党は教員免許更新制には反対であり、今回の廃止の措置には賛成です。しかし、現時点では、教員免許更新制を廃止することのみで十分です。教員の研修については、現行の各法律においても定めがあり、様々な研修が行われております。それだけで既に教員は多忙を極める中、懸命に子供たちと向き合っています。今回、新たな研修制度へ移行する必要はないと考えます。

 現在、中央教育審議会では、教員の養成、採用、研修について一体的に検討が行われています。教員の資質の保持と向上については、その結論を得て、これからのあるべき教師の姿などの全体像を把握した上で、効果的な実施の在り方を検討すべきです。

 こうしたことから、我々、立憲民主党・無所属は、本法律案に対する修正案を提出しました。

 その内容は、研修記録の作成及び資質の向上に関する指導助言等に関する規定を整備する教育公務員特例法の一部改正に係る条文を削除し、その上で、教育職員の資質の保持と向上のための施策の効果的な実施の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる検討条項を追加するものであります。

 以上が、修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願いいたします。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

    ―――――――――――――

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本(岳)委員 ただいま議題となりました教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 教員免許更新制は、二〇〇七年に導入したものでありますが、我が党は、当時から一貫して、免許更新制に反対してきました。今回、政府も免許更新制の破綻を認めざるを得ず、法改正を行うものと理解しております。

 しかしながら、政府原案は、単に免許更新制を廃止するだけではなく、教育職員の研修の強化につながる施策も併せて導入するものであります。この部分には到底賛成できません。自主的、自律的な研修を行うことができる環境の整備、教職員の定数改善、労働環境の改善、教員の処遇の改善など、実施すべき施策は山積しているのであります。

 そこで、免許更新制の導入が誤りだったことを明確にし、二〇〇七年以前の状態に単に戻すという趣旨を明確にするため、次のような修正案を提出することといたしました。

 すなわち、政府原案のうち、教育公務員特例法の改正部分を削除し、これに伴い、法律の題名を教育職員免許法の一部を改正する法律とするものです。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

義家委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

義家委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、我が党提出の修正案に賛成、内閣提出の教育公務員特例法等改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、新たな教師の学びの姿を実現するため、教員の研修履歴の記録管理と履歴を活用した指導助言を行うこととし、教員免許更新制を廃止するものです。

 教員免許更新制はもはや制度的に破綻しており、何の条件もなく直ちに廃止するのが当然です。それにもかかわらず、発展的解消などと強弁し、教員個々人の研修記録の作成と指導助言の強化を持ち込んでいます。

 管理職による指導助言は、国が策定する資質向上指針、その指針を参酌して都道府県教育委員会などが策定する教員の資質向上指標及び教員研修計画、新設される教員の研修記録に基づき進められ、期首面談や期末面談など人事評価の面談において行うことまで想定されています。研修についての対話と奨励を人事評価の場で行えば、教育委員会、管理職の意に沿う研修を受けなければならないという圧迫感、義務感、忖度につながり、事実上の強制になりかねません。

 また、中教審審議まとめにおいて、職務命令に基づく研修の受講、場合によっては懲戒処分を講じることも求めていることに言及しており、これは自主的、自律的な研修と矛盾するもので、重大です。

 そもそも指針、指標及び研修計画は、二〇一六年の法改正によって導入されたもので、我が党は、自主的であるべき教員の研修を、文部科学大臣の指針の下に置き、管理、統制するものとして反対しました。本法案は、十年に一度の更新講習と引換えに、研修制度を通じて管理、統制を強めるものであり、原則的な問題を含んでいることから、断じて賛成できません。

 なお、立憲民主党・無所属提案の修正案については、見解を異にしており、残念ながら賛成することはできません。

 行うべきは、制度的に破綻している教員免許更新制を廃止し、自主的、自律的な研修を行うことができる教職員数の定数改善や処遇の改善など、労働環境を整備することであると申し上げて、討論を終わります。

義家委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

義家委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、宮本岳志君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、牧義夫君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山本ともひろ君外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。荒井優君。

荒井委員 ありがとうございます。

 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 校長及び教員に対して行う「資質の向上に関する指導助言等」については、教員の意欲・主体性と調和したものとすることが前提であることから、指導助言者は、十分に当該教員等の意向をくみ取って実施すること。

 二 オンデマンド型の研修を含めた職務としての研修は、正規の勤務時間内に実施され、教員自身の費用負担がないことが前提であることについて、文部科学省は周知・徹底すること。

 三 本法による新たな研修制度が円滑に機能するよう、新制度への移行に向けた支援の充実を図るとともに、その周知に万全を期すこと。また、教育委員会等は、教員の資質の向上につながり、子どもの実態に即して教員が必要とする研修を実施すること。

 四 文部科学省及び各教育委員会は、本法の施行によって、教員の多忙化をもたらすことがないよう十分留意するとともに、教員が研修に参加しやすくなるよう時間を確保するため、学校の働き方改革の推進に向けて実効性ある施策を講ずること。また、任命権者による教員の研修等に関する記録の作成に当たって、当該教員から研修の報告等を求める場合には、負担増とならないように留意すること。

 五 任命権者による教員の研修等に関する記録の作成については、各学校で実施する校内研修・授業研究及び教育公務員特例法第二十二条第二項に規定する本属長の承認を受けて勤務場所を離れて行う研修も「任命権者が必要と認めるもの」として、その記載対象とするものとすること。

 六 地方公務員法の規定により、現在行われている人事評価は、職務を遂行することに当たり発揮した能力及び挙げた業績を基に実施されており、本法による研修等に関する記録の作成及び資質の向上に関する指導助言等は、この人事評価制度と趣旨・目的が異なることを周知すること。

 七 「教師不足」を解消するためにも、改正前の教育職員免許法の規定により教員免許状を失効している者が免許状授与権者に申し出て再度免許状が授与されることについて、広報等で十分に周知を図るとともに、都道府県教育委員会に対して事務手続の簡素化を図るよう周知すること。また、休眠状態の教員免許状を有する者の取扱いについて、周知・徹底すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。末松文部科学大臣。

末松国務大臣 失礼いたします。

 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

義家委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

義家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十一分散会


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