衆議院

メインへスキップ



第9号 令和4年4月15日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      神田 憲次君    木原  稔君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    西野 太亮君

      船田  元君    古川 直季君

      松本 剛明君    三谷 英弘君

      山口  晋君    荒井  優君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    道下 大樹君

      吉川  元君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 安東 義雄君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     西野 太亮君

  荒井  優君     道下 大樹君

  吉田はるみ君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     勝目  康君

  城井  崇君     吉田はるみ君

  道下 大樹君     荒井  優君

    ―――――――――――――

四月十四日

 国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案(内閣提出第三五号)

同月十二日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(秋本真利君紹介)(第七九四号)

 同(山井和則君紹介)(第七九五号)

 同(松木けんこう君紹介)(第八三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第八五六号)

 同(小沢一郎君紹介)(第八九三号)

 同(大石あきこ君紹介)(第八九四号)

 同(階猛君紹介)(第九三一号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(本村伸子君紹介)(第七九六号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第八二六号)

 同(北神圭朗君紹介)(第八三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第八五七号)

 同(荒井優君紹介)(第八九五号)

 特別支援学校の実効ある設置基準策定に関する請願(本村伸子君紹介)(第七九七号)

 同(志位和夫君紹介)(第八五八号)

 学校現業職の民間委託を推進するトップランナー方式の撤回、学校現業職員の法的位置づけに関する請願(岡本あき子君紹介)(第八七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九四三号)

 同(笠井亮君紹介)(第九四四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第九四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九四九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九五〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第九五一号)

 同(本村伸子君紹介)(第九五二号)

 私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(笠浩史君紹介)(第九一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案(内閣提出第三五号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長林伴子君、外務省大臣官房審議官安東義雄君、文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、初等中等教育局長伯井美徳君、高等教育局長増子宏君、スポーツ庁次長串田俊巳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田野瀬太道君。

田野瀬委員 皆様、おはようございます。

 本日のトップバッターを務めさせていただきます、自由民主党の田野瀬でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、感謝、御礼申し上げたいと思います。

 本日は、一般質疑ということで、時間も限られておりますので、私、今まで取り組んでおります政策の一つ、ワンイシューで十五分使わせていただけたらなと思っているところでございます。

 在外教育施設、在外教育の振興について、政府とともに質問させていただけたらなと思いますので、よろしくお願いします。

 今日は、文科省と外務省さんにもお出ましいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 目を海外に転じますと、ウクライナ、ロシアの問題であったりとか、折からのコロナの問題で、経済的に大きな大きな打撃を受けておるわけでございます。サプライチェーンの問題であったりとか、原油の需給、これも大変逼迫することが見込まれております。これをどうにかして乗り越えて、日本の経済、GDPを上げないといけない、これが喫緊の課題であろうかと思っております。

 一方、目を翻して国内に目を転じさせていただきますと、我が国は人口減少を起こしておるということでございます。

 いろいろな切り口はあるんでしょうけれども、人口減少を起こしている我が国で、こういう切り口がありますね。物を作る作り手が減ります、まずは。しかもまた、買手も減るということで、人口減少を起こしている我が国、これは本当に経済の先行きが不透明、不安定化しておるわけでございます。どうにかして富を外需、外から稼いでくるというベクトルはずっと続けていく必要があるんだろう、私はこう考えておるわけでございます。企業が元気に生き生きと海外で活躍していただいて、物資や外需を日本に持って帰ってきていただく、そのための環境をしっかりと整えていくということが大事なことなのであろう、こう思うわけでございます。

 企業が海外に出ていく上で、もうインフラと言ってもいいんですけれども、例えば、その派遣される国と我が国との経済連携協定があるのかないのかとか、若しくは、その派遣される国の治安、医療はどうなっておるのかとか、その中の一つに、どうしても私はやはり、一緒についていく家族の、そして子供の教育の環境というのも派遣される派遣員にとっては大きな大きな問題の一つになるのではないのかな、こう思います。なので、海外に広がります在外教育の振興について、今日は十五分使わせていただきます。

 まずは、質問の一個目でございます。

 現在、世界に散らばっておりますこの在外教育の施設の数であったりとか、そこで学んでおる日本国籍を持つ子弟、学童の数であるとか、その辺りを、まずは事実関係を確認させていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 在外教育施設は、海外に在留する日本人の子供のために、日本国内の学校教育に準じた教育を実施することを主な目的として海外に設置されたものでございます。我が国の国際的活動の進展に伴い、海外に長期間在留する邦人が同伴する主として義務教育段階の児童生徒が在籍をしております。

 令和三年四月現在で、日本人学校九十四校、補習授業校二百二十九校、私立在外教育施設七校の三種類がございます。

 また、在籍児童生徒数につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部には海外に駐在する日本人の一時帰国等もあり、義務教育段階では、令和元年四月の約四万二千人から、令和三年四月現在で約三万四千人に減少しているものの、引き続き、多くの児童生徒が在籍をしているところでございます。

田野瀬委員 ありがとうございました。

 コロナで、海外に行ったり来たりがなかなか難しい環境ではある中、今現在、今御答弁いただきました三万四千人の義務教育段階のお子様が海外の日本人学校で学びを取っておるということです。

 私の調べでいきますと、多いときは十万人弱、八万人とか九万人ぐらいの子供が、親の仕事の都合でですけれども海外に行って、そして学びを取っていただいた上で、さらに、大事なのは、このお子様は、親の仕事の都合で必ずまた日本に戻ってくる確率が高いお子様であるということでございます。

 確認です。冒頭申し上げましたが、企業が、外のベクトルを持って、外需であったりとか資源を海外から日本に持って帰ってくるというベクトルを強める、そのための、企業が海外に進出するためのインフラとしてこの日本人学校の支援というのは必要なんだろうということを申し上げましたけれども、そこにもう今現在、三万数千人行っています。その子供の、ここの教育を、質を高めるというのもすごく大事なことなんです。

 なぜかといいますと、すごく義務教育段階の多感な時期に海外に行っているというかけがえのない経験をそのお子様はしていただいているわけで、将来、日本に帰ってきたときに、日本が喉から手が出るぐらい欲しいグローバル人材の原石なわけですよね。その海外、民族の違いであったりとか、宗教の違いであったりとか、歴史観とか、空気感で感じ取って、我が国にまた戻ってきて、そして高等教育を経た上で、生産性を持つ活動をしていただく、グローバル人材の原石であるんだと私は思っております。

 ちょっと脱線してしまうんですけれども、空気感で、現場で感じることのいかに貴いかということ。私、お笑いが好きで、漫才とか寄席とかよく行くんですが、例えばダウンタウンの漫才を私が見たとします。物すごく面白くて、いやあ、感動したと。私はいついつ幾日、ダウンタウンの漫才を見たんです、松ちゃんがこうやってぼけて、浜ちゃんがこんなタイミングで物すごい突っ込みをして、どっと笑いが起きたんです、この感動を義家委員長に私が幾ら熱く語ったとて、その現場におった五〇%も多分伝わらないんですね。いかに現場にいてるということが大事か、貴いかということ。

 もう一個例を挙げますと、昨今、映画とか音楽は、ネットフリックス等々で、ネットですぐ見れる環境にはなっておるんですけれども、例えばクラシックコンサートを見に行ったときに、もう唾をのみ込むのもこらえて、静寂の中、ぶわっとこう音楽がスタートし、そして、割れんばかりの拍手喝采であったりとか、びりびりっとクライマックスは空気が震えるぐらいの臨場感、これはネットで見てもそれは感じないわけで、やはり、現場におるということがいかに大事なのか。

 空気感でそのものを見てきたという、幼少期に海外におっていただいているという、そういう貴重な体験をしたお子様たちは、今後、我が国のグローバル人材の貴重な貴重な原石であるんだということを私は強く思っておりますので、そこの教育にしっかりと支援をしていくということは、これはやっていくべきことなんだろうと思います。

 ここで、質問の二番目でございます。

 海外で、親の仕事の都合で海外に行くんですけれども、そこで学びを取っていただいているお子様に対して我が国がどんな公的支援をしているのか、これは、済みません、文科省さんと外務省さんにお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

藤原政府参考人 文部科学省といたしましては、海外に在留する日本人の子供に対して、国内に準じた教育を提供できるよう様々な支援を行っております。

 具体的には、在外教育施設における教育の中核を担う教師について、国内の現職教師等千三百二十八人を文部科学大臣が委嘱し、全世界の日本人学校等に派遣をしております。これに加えて、海外に在留する日本人の子供に対する義務教育教科書の無償給与、在外教育施設に対する教材の整備、選ばれる在外教育施設づくりに向けた教育プログラムの開発支援、在外教育施設の運営を支援する在外教育アドバイザー設置などの支援を行っているところでございます。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 海外で生活する児童生徒への教育は、海外在留邦人の最大の関心事項の一つであり、外務省としても、その充実及び強化は、海外に滞在する国民や企業が活躍するための環境整備の一環として不可欠であると認識しております。

 外務省が現在実施している在外教育施設への支援は、まず一、日本人学校、補習授業校などの校舎の借料援助、二、現地採用の教師、講師に対する給与援助、三、日本人学校などの安全対策に対する援助、この三つを柱としております。

 特に安全対策については、コロナ禍にあっても、テロ、暴動、軍事衝突等のリスクが引き続き存在することから、日本人学校、補習授業校の児童生徒の安全対策の徹底のため、在校時やスクールバスでの移動時のガードマン雇い上げ、警備機器等の維持管理費等の設備整備に対する支援を行っております。

 外務省としては、引き続き、文部科学省と協力しつつ、可能な限りの取組を行っていく考えでございます。

田野瀬委員 ありがとうございました。

 文科省と外務省の支援でございました。これはありがたいことなんですけれども、調べさせていただきますと、例えば派遣教員、これは充足率が約七割なんですね。整っていないというか、教員が一〇〇%になっていないんです、平均値ですけれども。北海道に住んでいるお子さんが親の仕事の都合で九州に引っ越したときに、教員充足率が七〇パーなんて、これは国内じゃあり得ないことなんですね。必ず無償化も行われていますし、負担がないんです。

 ただ、それが海外になったときに、教員充足率一つだけ取り上げても七割しか実は充足されていなくて、あとの三割はどうしているかといいますと、企業が負担したりとか親の負担で、これは義務教育段階ではあり得ないことなんじゃないのかなと私は思いまして、もっと、僕は、グローバル人材の原石であるならば、国内以上の支援があってもしかるべきなんじゃないのかな、こう思っております。

 なので、その辺りを鑑みて、最近ですけれども、文科省内で将来の在外教育施設のあるべき姿を取りまとめていただいたと聞いております。それをちょっと教えていただけたらと思います。

藤原政府参考人 文部科学省では、文部科学副大臣の下に検討会を設置をいたしまして、四回の会議、団体、学識経験者、校長など十八団体等からヒアリングを実施し、昨年六月に、在外教育施設未来戦略二〇三〇を取りまとめました。

 この戦略におきましては、二〇三〇年における海外に在留する日本人の子供に対する教育のあるべき姿の実現に向けた方策について、ポストコロナ時代の在外教育施設の果たすべき役割や施策の方向性を明確化しつつ、国家戦略としての海外の子供への教育支援方策に関する検討を行いました。

 そして、この戦略におきましては、在外教育施設における国内と同等の学びの環境整備とともに、在外ならではの教育の推進を車の両輪に、在外教育施設に対するニーズの多様化等を踏まえ、選ばれる在外教育施設づくりを推進することとしております。

 文科省としては、在外教育施設に対するこのような考え方を踏まえて、その多様性に寄り添ったきめ細かな支援や、特色を伸ばすための支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

田野瀬委員 ありがとうございました。

 文科省もやる気を持って、こうあるべきだという、べき論を取りまとめたということなんですけれども、いざ予算の時期に、財務省と予算折衝するんですけれども、一〇〇%に充足していただくというのがなかなか難しい環境にあるんだと。なぜかなと思ったときに、文科省と外務省が在外教育施設に支援を行う、この法的根拠がないんです。悪い言い方をすると、運用で実は今、在外教育施設に対しての支援を行っておるということで、その辺り財務省はよく知っていますから、法律もない中、そんな満足に予算をつけれませんよみたいな感じで、ぺっとこう返されてしまうという現状であります。

 是非、立法府の責任で、法的整備、これは議員立法なのか閣法なのかなんですけれども、しっかりと法的環境を整えていきたい。是非、また文科委員会のメンバーの皆様方にもいろいろと御理解いただけたらなと思っております。

 最後に、質問四を飛ばさせていただいて、もう時間ですので、末松大臣から、今後の在外教育施設、支援に関する意気込みをお伺いして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

末松国務大臣 田野瀬先生には、在外教育施設の充実にいろいろと御意見、御指導いただいておりますことに感謝を申し上げます。

 海外で学ぶ日本人の児童生徒に対しまして、日本国内に準じた教育を保障することは極めて重要でございます。在外教育施設は、その拠点として重要な役割を担っているところであります。

 このような海外で学んだ子供たちは、グローバル社会の最前線で活躍を期待されますし、そこで教鞭を執った先生方にもその経験を国内の教育に還元いただくこと、帰国後も貢献が期待をされております。

 かつて、私、神戸青年会議所の教育政策委員長を三十五年前に務めまして、国際理解教育ということでフォーラムをやりましたけれども、やはり、帰国子女とかこうした教鞭を執られた先生は財産ですという結論に至ったところであります。

 加えて、海外進出を図る企業にとりましては、社員の子供の教育基盤の有無が大きな関心事項でありまして、これを支える在外教育施設は我が国の経済にも重要な貢献を果たしていると認識をいたしております。

 文部科学省といたしましては、このような様々な可能性を持つ在外教育施設につきまして、昨年六月にまとめました在外教育施設未来戦略二〇三〇、これを踏まえまして、国内と同等の学びの環境整備、在外ならではの教育の推進をしっかりと応援をしてまいりたい、そのように考えております。

 よろしくお願い申し上げます。

田野瀬委員 以上で終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子です。

 本日も質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。

 本日は、まず初めに、特別支援教育についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 我々公明党は、これまでも、一人一人に光を当てた教育、誰一人置き去りにしないという教育、また、障害のある児童生徒に対する教育の充実、これに向けて取り組んでまいりました。昨年の通常国会では、本当に最後の最後まで大変でしたけれども、小学校三十五人学級の実現のための義務標準法の改正に全力で取り組ませていただき、約四十年ぶりの学級標準引下げを実現いたしました。また、平成二十九年にも、財務省と膝詰めで話し合い、通級による指導の基礎定数化を図るための教職員定数の改善、これも十六年ぶりの法改正をし、これにより、障害のある子供が普通学級に在籍をしながら特別な指導を受けられる指導体制の充実が図られたところでございます。

 障害のある子供が普通学級に在籍しながら、一人一人の状況に応じたきめ細やかな指導を行うことができるこの通級指導による指導について、そのための教員定数が子供の数に応じて確実に担保されることとなったことは、大変有意義なことだと思います。

 先日、公明党の市議会議員より、大阪府のある市の小学校の特別支援学級に通うお子さんについての事例のお話をいただきました。具体的には、特別支援学級の子供が大半の時間を普通学級で過ごすことが常態化しており、普通学級の児童と合わせると、標準サイズを超えて、一年生は一クラス三十七人、三年生では一クラス四十二人のクラスとなっている、また、算数のみ特別支援学級で指導を受け、一日五時間のうち一時間だけ抜けて、他の時間はみんなと同じ普通学級の授業に参加しているなど、特別支援学級での指導をほとんど受けていない子供がいるという話でした。また、その結果、普通学級のクラスの人数が多くなってしまいまして、担任の先生も一人一人に対する指導がきめ細やかにできない、また、職員からそのような声を上げても教育委員会は取り合ってもらえないというものでございました。

 私は、これまでも、教職員定数の改善を始め、また教員環境の充実に向けて取り組んできたところでございますけれども、これでは、特別支援学級の子供も普通学級の子供も適切な指導が受けられません。こうした実態があることを伺い、率直に驚きを隠せませんでした。

 もちろん、障害のある子供たちと障害のない子供たちが学ぶ場を整備することは大変重要だと思っております。しかしながら、同じぐらい大切なのは、一人一人の子供に適切な学びが提供できているかということだったと私は思います。きめ細やかな指導が子供たちに、個々のニーズに応じた指導ができないような状況は看過できません。

 この事例のように、特別支援学級に在籍をしながら、全般的に知的な遅れがないにもかかわらず、ほとんどの授業を普通学級で受けている場合、その子供が普通学級で適切な学びができているのであれば、形式的に特別支援学級に籍を置いておくのではなくて、普通学級に在籍をして一部の時間のみ通級による指導を受けるなど、保護者にしっかりと説明をした上で学びの場を検討することが必要だと思います。また、その子供が普通学級で適切な学びができていないのだとしたら、しっかりと特別支援学級でその子供の障害に応じた指導を行うことが必要です。

 文部科学省は、昨年の六月に、子供の障害等に応じた適切な就学先の決定についても盛り込んだ、障害のある子供の教育支援の手引というのを約八年ぶりに改訂をしたところでありました。この手引におきましては、障害のある子供への教育支援の在り方、また障害に応じた教育的対応のほか、特別支援学級と通級による指導といった学びの場の選択に資する情報が示されているところです。

 せっかく改訂したのであれば、その内容をきちんと周知徹底をし、子供の障害の程度に合った適切な指導の場が提供されるべきだと私は思います。

 また、文部科学省においては、より一層の特別支援教育の充実に向けて、指導体制の充実等の取組、これをしっかりと進めていただきたいと思います。

 また、このような現場の実態を踏まえまして、改めて、子供の障害の程度や子供のニーズなど、多様な観点を踏まえた適切な指導の場が提供されるよう周知徹底すべきと考えますが、そのことに対する大臣のお考えと、特別支援教育の更なる充実に向けた御決意をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 浮島先生御指摘のとおり、障害のある子供の就学先は、本人や保護者の意見を尊重しながら、障害の状態等の事情を勘案した上で、子供たちにとって最適な学習環境を提供できるように決定することが何より重要であると考えております。

 その際に、就学先を特別支援学級とするのであれば、当該学級でその子供の障害に応じた適切な指導が十分提供される必要がございます。そのために、御指摘のように、特別支援学級に在籍しながら、大半の授業を通常学級で受けることが常態化しているのであれば、これは通級による指導とするなど、学びの場の変更を検討することも必要だ、そのように考えております。

 文部科学省では、昨年六月に、今先生お話ありましたように、障害のある子供の教育支援の手引を約八年ぶりに改訂をしまして、このような対応を含め、学びの場の選択に資する情報を示したところでございます。今後、自治体の実態を把握しながら、改めて適切な対応を周知徹底してまいりたいと思います。

 今後も、障害のある子供に対しまして適切な場で適切な指導が提供されるように、先生の御指摘も踏まえつつ、引き続き丁寧な指導と助言を行ってまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 今大臣の方からも、子供たちにとって最適な指導というお言葉もいただきました。どうか、この指導体制の充実、しっかりと図られておりますので、これをしっかりと周知していただくようお願いをさせていただきたいと思います。

 また、次に、奨学金について質問させていただきます。

 三月の三十日に開催されました政府の未来創造会議、この論点整理案におきましても示されていますとおり、日本学生支援機構の貸与型奨学金の返還者のうち約三分の二が年収の四百万円以下であり、結婚後も家計をやりくりしながら夫婦共に返還している事例もあると聞いております。

 現に、私たち公明党、私のところにもたくさんお声をいただいていたのが、子供が欲しいんだけれども、夫婦共々で返還をしているので、なかなか、子供は一人、二人、増やすことができない、どうか既卒者に対しても所得連動を入れてもらえないかというお声はもう何年も前からいただいております。

 我々公明党といたしましてもずっとお訴えをさせていただいてきたところでございますけれども、これまで、この所得連動返還方式、これの既卒者また有利子奨学金への適用、また、減額返還制度、この年収の要件の緩和、これを我々は訴えてきたところでもございます。先日の三月三十日の委員会でも、我々公明党の山崎議員からも、最後、この件について要望させていただいたところでございます。

 また、この所得連動返還方式から現場のお声をいただいているのは、所得連動に入れたけれども、もしそれをまた定額方式に戻したければ戻せるようにしてもらいたい、また、余裕ができたとき、余裕があるのであれば、一括返還、これをできるようにしてもらいたい、このような柔軟な対応、また、仮に有利子奨学金に所得連動を導入した場合、この利子の負担など、返還に際し、国としてしっかりと対応を検討するべきだと我々は思っております。

 この奨学金返還の負担軽減に向けた大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 日本学生支援機構の奨学金事業につきましては、厳しい経済状況などで奨学金の返還が困難な方への支援策として、これまでも、先生御承知だと思うんですけれども、返還猶予であるとか毎月の返還額の減額、さらには、無利子奨学金への所得連動返還方式の導入などを行ってきたところでございます。

 一方で、結婚であるとか子育てなどのライフイベントによりまして奨学金の返還が一時的に困難になるなど、従来の制度だけでは十分な支援が困難なケースがあることなども事実でございます。このことを踏まえまして、三月三十日に、教育未来創造会議の論点整理案におきまして、奨学金返還の在り方の見直しを行うとしたところでございます。

 文部科学省といたしましては、先生からも今いただいた御提案も踏まえまして、無利子、有利子の方、現在返還中の方も含めて利用ができ、また、結婚や子育てなど個人のライフイベントに配慮した負担軽減策につきまして、しっかりと検討いたしてまいりたいと思っております。現在進行形でありますけれども。

浮島委員 今大臣からもありました猶予とか減額、無利子、今までも対応を様々取ってきているところでございますけれども、やはり一人一人に合った、しっかりとした対応をしていかなければならないと思います。また、今議論中であるとおっしゃっておりましたけれども、しっかりとその議論を深めて、そして実現をしていただきたいと申し上げさせていただきたいと思います。

 また、今の質問させていただいたのは返し方でありまして、これも大切なんですけれども、充実させること、これも重要であります。中間所得層に対して、また多子世帯、理工農系、ここにもしっかりとした支援の在り方、必要な改善を行うことが重要であると思います。

 また、私が党内で教育改革推進本部の本部長をさせていただいております。今、様々議論をさせていただいているところでございますけれども、また、しっかりと公明党としても提言をまとめて、大臣の方にも提出をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、次に、GIGAスクール構想による一人一台の端末の整備、これがおおむね完了してきております。学校現場での利活用が今進められているところでございますけれども、小学校の約九割が何らかの形でインターネットを利用しているという内閣府の調査が出ているのもあります。

 この教育改革推進本部、党内のものでありますけれども、今様々ヒアリングをさせていただいている中で、有識者の方から言われたのは、今、フェイクニュースなどがある中で、SNSを使う恐ろしさの教育というのをきちんと小さいときからするべきであるというお声をいただきました。情報化に伴いまして、SNSによるトラブル等で被害者にも加害者にもなり得るという様々な問題について、小学校段階からしっかりと指導する必要があると考えますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、スマートフォンの所持率、小学生、十歳以上六三・三%、中学生九一・一%、高校生九九・三%という時代でございます。スマートフォンを持つ小学生が増えるなど、子供たちもICTを日常的に活用することが当たり前の社会となりつつございます。

 こうした中で、子供たちがトラブルに巻き込まれたり、ネットいじめの被害者あるいは加害者になったりすることのないように、ICTを適切に使いこなす力を育てることが大変重要であります。

 このため、学習指導要領では、情報モラルを含む情報活用能力を育成することとしておりまして、小学校段階から、情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味につきまして考えさせる学習活動などを通じて、情報モラルを確実に身につけさせることといたしております。また、中学校の技術におきましては、マナーの遵守、人権侵害の防止、そして情報に関する技術を適正に活用する能力と態度を身につける。高等学校の必履修科目であります情報1におきましては、マナーの意義や基本的内容、情報を扱う上での個人の責任があることなどについて理解することとなっております。

 あわせて、文科省では、教員の指導力を高めるために、ICT活用に関する指導者の研修の充実、動画教材を含む教員向けの指導資料の提供、情報モラルセミナーの実施などを行うとともに、学校のみならず、家庭とか、子供たちの情報モラルを学べるEラーニングコンテンツを新たに作成したところでございます。

 なお、先生の御指摘も踏まえ、今後、各教育委員会等へ改めて取組の周知徹底を図るとともに、一層の情報モラルに関する教育の充実には努めていきたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 子供たちは、そこまで深刻に考えてやっていない子供もたくさんいると思いますので、子供たちを守るために、情報をしっかりと徹底していただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 本日は不登校支援についても御質問させていただきたかったんですけれども、時間となりましたので、また次に回させていただきたいと思います。

 どうか、子供たちを守るため、大臣が全力で、先頭に立って、様々な政策を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

義家委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 久しぶりに文部科学委員会での質疑の機会をいただきます。委員長、理事、委員各位の御配慮に感謝を申し上げたいと思っています。

 今日は、末松文部科学大臣、そして小寺内閣府大臣政務官、防災担当ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、まず、災害時における行政と宗教施設の連携強化について、宗教法人を担当する文部科学大臣、そして、防災を担当する内閣府の小寺政務官にそれぞれ伺いたいと思います。委員の皆様にも、お手元に資料をお配りしていると思います。御覧をいただければと思います。

 全日本仏教会と大和証券の共同調査によりますと、宗教施設に期待をされる社会貢献として、伝統文化、芸術の保存、そして地域のお祭りに加えて、避難所機能を求める声が大きいとの結果でございました。私は少し意外に受け止めました。

 阪神・淡路大震災や東日本大震災をきっかけとして、実際に、避難所機能の強化につながる取組として、災害時の支援物資の備蓄や、医療的支援が必要な避難者への対応を準備している施設が既に存在をしています。しかし、公的避難所ではないので、支援物資が届かない、支援人員に来てもらえないケースもあるというふうに聞きました。自治体との協定がないこと、特定宗教に関わることへの懸念などが理由とのことでした。

 しかし、自治体現場でのニーズは高まっています。既に、東京都と東京都宗教連盟での協定、市区町村と宗教施設で協定を結ぶケースもあります。

 特定宗教に限った取組ではないことも明らかになっています。全日本仏教会のみならず、教派神道連合会や新日本宗教団体連合会といった、公益法人でもある日本宗教連盟に加盟している各宗派においても、同様の取組を行っています。

 特定宗派にとらわれず、災害時における行政と宗教施設の連携強化を求める声が大きくなっています。今後の地震や風水害を想定し、避難所機能を備えた民間施設としての宗教施設で防災・減災に限定した取組支援を行えるよう、行政で一定の協力を後押しすべきではないか。

 実際のところ、憲法二十条や八十九条にある政教分離を踏まえますと、宗教施設への直接的な公的資金の投入は難しいと考えます。一方、社会貢献を行う民間施設、これがたまたま宗教施設だった場合、この民間施設が提供する一時避難所等の支援物資提供やあるいは医師等の派遣などでありましたら、国や自治体が防災対策の一環として取り組むことは可能だし、やるべきだと考えます。

 文部科学大臣、そして内閣府政務官、それぞれに御見解をお伺いします。

末松国務大臣 大事な点、御指摘をいただいたと存じます。

 地方公共団体の中には、宗教団体と災害協定を締結するなどして、宗教施設を指定避難所として活用しているところもあると承知をいたしております。宗教団体が地方公共団体と連携しましてこうした社会貢献活動を行うことは、大変意義のあることと考えております。

 お尋ねの宗教団体への支援につきましては、憲法第二十条は、国が宗教団体に対して特権を付与することを禁止しておりまして、一般に、国が宗教団体に対して、宗教団体であることを理由として財政支援を行うことはできないものと承知はいたしております。日本国憲法第二十条一項ですね。一方、一定の条件を満たす団体一般への利益の付与であって、その中に宗教団体が含まれる場合には、同条の禁止する宗教団体への特権の付与に当たらないと解されると理解をいたしております。

 このため、宗教団体につきましては、防災施策の一環として指定避難所となっているなど、一定の条件を満たす施設への支援を行う中に宗教施設を含まれる形であれば、国が支援を行うことは可能であると考えております。

 文部科学省としては、関係省庁と連携しながら、防災分野における宗教団体と地方自治体との連携促進に向けて協力いたしてまいりたいと思います。

 阪神・淡路大震災のときに神戸におりましたんですけれども、お寺は割と保育園をやられる方が多くて、もうお寺にはいっぱい人が集まっていた、避難されていたことを記憶をいたしているところでございます。

 今後ともよろしく御指導いただきますようお願い申し上げます。

小寺大臣政務官 城井先生にお答え申し上げます。

 災害発生時における避難所の確保と生活環境の改善は、被災者を支援する上で極めて重要であるというふうに認識をしております。

 内閣府では、避難所運営ガイドラインにおきまして、避難所の指定につきましてはお寺、神社等施設の利用を検討するとしておりまして、実際にお寺や神社等の宗教施設が指定避難所として指定をされております。

 直近の数字で申し上げますと、令和三年度時点で、全国で指定避難所に指定をされている箇所は八万一千九百七十八か所、そのうち三十七の道府県におきまして、お寺、神社、教会等が五百二十八か所、現在指定をされているところでございます。

 指定避難場所の運営につきましては、ガイドライン等において、指定避難所として指定した施設には、あらかじめ応急的に必要と考えられる食料、飲料水の備蓄に努めること、医師、看護師の巡回、派遣体制を確保すること等について自治体の取組を促進しているところでございます。さらに、災害が発生し、災害救助法が適用された自治体に対しては、避難所における食料、飲料等の費用について国庫負担の対象としております。

 引き続き、関係省庁及び自治体とも連携しながら、避難所の確保と生活環境の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

 城井先生が御質問の中で言われました、指定避難所でないから、あるいは宗教施設だからという御懸念の御質問の言葉があったと思います。大臣からも御答弁ございましたように、災害の状況、ケース・バイ・ケースで、指定避難所にどうしてもという場合があって、結果的に、そうしたところでお集まりいただいているときに、情報が錯綜すること等によって、いわゆる支援の遅れがあったりということはあろうかと思います。

 こうしたことは、さきにも申し上げましたけれども、自治体等としっかり連携をさせていただきながら支援をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

城井委員 極めて前向きな答弁をいただけたと思っています。ありがとうございます。

 実際に、宗教施設は、ふだんから人が集まる場所ということで、バリアフリーなどを含めて、かなり目配りが利いているケースがとても多くあると思っています。実際に、自治体がなかなか目を配りにくい福祉避難所としての役割も果たせるというふうに、現場からの聞き取りがございます。

 今後も、避難所機能を担う宗教施設への支援物資の提供ですとか医師等の派遣など、先ほど政務官からもございましたが、あらかじめの相談、連携、重要かと思います。前提といたしまして、災害時の協力を国としても更に進めていただきますようにお願いしたいと思います。

 政務官、こちらまでで大丈夫でございます。ありがとうございました。

 続きまして、子どもの声をきく会で聞いた子供たちの意見について、文部科学大臣に伺います。

 国会において、こども家庭庁設置法案、あるいは立憲民主党提出の子ども総合基本法案など、子供の法律についての議論がこれから本格化します。ポイントの一つは、子供の意見表明権の確保並びに意見の尊重です。

 私たち立憲民主党としても、これらを実践していこうと思いまして、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの皆さんとの共催で、子どもの声をきく会を開催しました。これは、我々だけではなくて、他党でも開催されたというふうに聞いています。

 この会におきましては、四グループに分かれて一時間ほどの意見交換をしましたところ、子供たちから二十八の意見を頂戴しました。この中から、文部科学省に関わるものを幾つかお伝えしたいと思います。これらの子供の声に対する文部科学大臣のお考えをお答えいただきたいと思います。

 まず、けんかのときに先生が一方的に怒ることがある、両方の意見をきちんと聞くような仕組みがあってほしい、こういう御意見であります。

 大臣、どうお答えになりますか。

末松国務大臣 今の子供さんの声につきましてですけれども、大人の世界でも、子供の世界と私は一面同じだと思っております。

 子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩でありまして、当然、私としても非常に大事なことと思います。

 学校においてけんかが起きた場合には、その際には、当事者である子供の言い分も聞きながら、事実関係をまずしっかりと整理する、そして確認した上で対応することが重要であるというように考えます。

 そのため、文部科学省では、教育委員会の生徒指導担当者向けの研修会等の様々な機会を捉えまして、適切な生徒指導がなされるように、こうした子供のけんかであっても、どういうように対処するかということについては周知徹底するように努めているところでございます。

 端的に申し上げれば、そういうことです。

城井委員 続きまして、二つ目の子供からの声です。

 飛び級ができる仕組み、あるいは、逆に戻れる逆飛び級の仕組みはできないか。日本の教育は平均に合わせているため、もっとやりたい子が能力を伸ばすための仕組みや、もっとゆっくり勉強したい子に合わせる仕組みになっていない。例えば、そのためにITを活用してはどうかという意見があるが、コロナ禍でオンライン授業が増えた結果、子供たちは人と接する場面が減少してしまった。これからは、ITと人と接する場面とを組み合わせながら効率化を進め、一人一人に合ったスピードで教育を受けられるようにすればいいのではないか。

 この声には、大臣、どうお答えになりますか。

末松国務大臣 義務教育におきましては、基本的に、子供たちが年齢ごとに進級、卒業するということ、年齢主義が取られております。

 飛び級につきましては、教育が知育に偏ってバランスを欠いたり、受験競争が過熱化するなどして保護者に無用の焦りを招くのではないかという問題点も指摘をされておりまして、国民的な理解を得られる状況にはないということでございます。実現には全く至っていないわけであります。

 ただし、先生御承知のとおり、大学は行っていますね。大学は、飛び級で、高校二年生から、千葉大学、飛び入学です、済みません、飛び入学。それは大学が認めないかぬわけですけれども、そういう場合はあります。

 一方で、これからの令和の日本型学校教育の実現には、リアルとデジタル、これを最適に組み合わせながら、先生今お話ありましたように、個別最適な学びとか協働的な学びを一体的に充実しまして、子供たちを誰一人取り残さず、個々の可能性を最大限に引き出していくことが重要であると思います。

 このため、現行の学習指導要領でも、子供たちの一人一人の個に応じた指導の充実を図っていくことができるように、補充的な学習や発展的な学習などを取り入れる工夫をいたしているところでございます。

 タブレットが、端末機ができまして、学校へ行きましたら、習熟度に応じて、その子供向けのドリル、宿題を出せるということになっておりますから、かなり一人一人に応じたそういった学習ができることは事実かなということを、私はそういうふうに感じました。

城井委員 学びの速い子、遅い子がいるところにどう寄り添ってくれるかというのを子供たちが見ているという意見だったかなというふうに思いまして、今の御質問をさせてもらいました。

 三つ目の御意見です。スクラッチという新しいソフトを学校で使っており、いろいろな人や新しい人に出会うので怖い思いをすることもあり、制限が欲しい。これは、いわゆるソフトの利用者同士での通信機能の悪用を心配しての声かと存じます。

 大臣、どうお答えになりますか。

末松国務大臣 城井先生御指摘のスクラッチに関わるトラブルにつきまして、詳細は私、把握はいたしておりません。

 ただ、子供たちがSNSによるトラブルで、先ほども御質問あったように、被害者、加害者にもなったりすることがないように、ICTを適切に使いこなす力を育てることが大事だというのが考え方であります。

 そのため、学習指導要領におきましては、情報や情報技術の特性について、その理解に基づく情報モラルを身につけさせ、将来の新たな機器、サービス、あるいは危険の出現にも適切に対応できるようにということとされておりまして、引き続き情報モラルを含む情報活用能力の育成に努めていきたいというのが考え方でございます。

城井委員 最後に、四つ目の声です。一言でございます。ランドセルが重い。これは、なかなかいろいろな問題をはらんでいると思いますが、大臣、どうお答えになりますか。

末松国務大臣 どのような教科書あるいは教材を家庭に持ち帰って、何を学校に置いておくのかということは、これは、どのような宿題や予習を、復習を課すべきかという観点に加えて、子供たちの体の健やかな発達を考慮する必要があると思っております。

 文部科学省では、平成三十年九月に発出をしました事務連絡におきまして、家庭学習で使用する予定のない教材等を机の中などに置いて帰ることを認めるなど、児童生徒の携行品の重さや量についての配慮を求めているところでありまして、引き続き、各学校において、本事務連絡を踏まえて、子供たちの地域や学校の実態を考慮しつつ、適切に対応いただきたいと考えております。

 遠く離れた自宅から登下校する生徒にとっては大変な重たさ。校門の前に家があったら、それはそんなに重くないと思うので、地域事情はあると思いますけれども、重たくなってきているのかもしれません。

城井委員 ありがとうございました。

 この一つ一つの声は、現在の文部科学省や教育委員会や学校の取組を見ていての子供たちからの声だというのが重要だというふうに思っています。こうした子供たちの声を踏まえながら、今後も、子供の意見表明権の確保、そして意見の尊重に向けて、文部科学省としても格段の取組を是非お願いしたいと思います。

 次に参ります。教員不足と教員の働き方改革について、大臣に伺います。

 令和四年一月に、教師不足に関する実態調査の結果が公表をされました。子供を守る教員の数が足りません。この調査でも、教員不足が全国の公立学校で約二千五百人分もあるということが明らかになりました。現場での穴埋め努力にも限界があります。

 そこで、今国会での議論で触れられていない部分を大臣に伺います。

 この調査は昨年度当初のものです。年度当初の実態として教師不足があるとしていますが、新規採用の勤務開始時期でもあり、人員は豊富なはずです。新規採用は適切であったのか、年度後半は状況が悪化しているのではないか。この現状を過小評価してはいけないというふうに思います。二学期、三学期の実態はどうか、この実態は改善されたか。

 まず昨年度、そして今年度の四月、この把握状況、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 臨時的任用教員の確保ができませんで、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足につきまして、昨年度、令和三年度、初の全国調査を実施をいたしました。その結果、令和三年度始業日に、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の合計で二千五百五十八人、先生もこの数字を今御指摘されましたが、不足率〇・三一%の教師不足を生じている実態が明らかになったところでございます。この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られまして、懸念すべき危機的な状況であるという認識を持ってございます。

 今年度の状況につきましては、全国的な悉皆調査は行っていないものの、幾つかの教育委員会にヒアリングをしたところ、昨年同様に依然として厳しい状況であるという話を伺いました。広島県では、聞き取り調査を行って、今年度の教師不足状況は昨年に比べ、ここはちょっと改善していると。悪化しているのは熊本市であるとか、同程度である宮城県、いろいろな意見がありますけれども、不足をいたしてございます。

 また、昨年度の年度の後半の教師不足の状況につきまして、具体的な数についての調査は行ってはいませんが、今回の調査の際など、個別に教育委員会より聞き取り調査を行ったところでは、自治体により事情は異なるものの、年度後半の方が深刻化する傾向にあるという声が出ております。これは、秋以降、産休、病休等の代替者の確保に苦慮しているという声、これは北海道ですけれども、いろいろな声がございます。

 本調査は本年一月に中央教育審議会で報告したばかりでございまして、今後同様の調査を行うかどうかについては未定でありますけれども、お尋ねの年度後半の状況を含めまして、今後の実態把握の在り方については、新型コロナの拡大やそれに伴う教育現場の負担も考慮しつつ、教育委員会の、関係者の声も聞きながら、適切に判断をいたしてまいりたいと思います。

 先生の御質問からちょっと幅を持たせた答弁になりましたけれども、非常に厳しい状況は認識をいたしております。

城井委員 実際に厳しい状況だというふうに思いますし、その厳しさが増しているのではないかという手応えであります。特に、今年度の方が教員不足は厳しいんじゃないか。例えば東京都内でも、昨年度はなかったけれども、今年度、さらに、担任が配置できないケースがあちこちであってというのが現場での聞き取りでございました。

 令和四年度予算の教員配置は、実質的に前年度マイナスです。先ほど、大臣も少し、どこに理由があるのかということに触れられましたが、例えば、講師に依存した学校運営が常態化した上で、教員職場の厳しい実態が知られたことで、教員を目指す人自体が減っていること。また、産休、育休する教員の一時離職する数を、甘過ぎた予測だった、読み違えたのではないか。また、特別支援学級の対象児童生徒の増加に伴う教員、特に男性教員が足りないといったこと。また、病休者を減少させられない、採用辞退を食い止められない、再任用も希望されないような過酷な職場環境が続いている。原因を挙げれば切りがないというふうに思います。

 教員免許状の保有者で埋めたり、また、退職者の講師化も、大臣、限界が来ているというふうに現場からは聞いています。ですので、例えば、社会人特別免許状の条件付、期間限定での緩和などを免許の授与者であります都道府県に働きかけていくといった、ある意味切り札の部分までやらざるを得ないんじゃないか。今、政令市が教員の配置については責任を持つようになりましたが、でも、社会人の特別免許状の授与権については移っていませんから、これを政令市に欲しいという声も現場からはございます。こうした現場の意見は傾聴に値するというふうに考えます。

 今後、具体的にどのようにこの教員不足の解消を図るか。大臣、具体策を示していただけますか。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、教師不足の要因としては、近年の大量退職、大量採用を背景といたしまして、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手不足の、減少であるとか、先ほど申し上げましたように、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられております。

 このような状況を踏まえまして、学校における働き方改革とか、教師の魅力向上、計画的な教員採用の促進等の取組を総合的に進めるとともに、現在中教審で行われております教師の養成、採用、研修に関する包括的な議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けた追加の施策を講じてまいりたいと思います。

 それと、先ほど先生お話がありましたけれども、特別免許状ですけれども、二百人ぐらいしか出ておりませんのでね。やはり社会的には、きちっとそういった、例えば活躍された方あるいは博士の方とか、いろいろな方がおられますので、そういう人望の厚い方につきましては、私は、どんどん教壇に立つように、積極的に特別免許状を授与していくべきであるという認識を持ってございます。いろいろな手だては講じる必要があると思います。

城井委員 今の社会人特別免許状について、大臣、前向きな御答弁があったかと思うんですが、ここを少し、優遇策までは言わないんですが、それを取りやすい、薦めやすい、授与しやすい環境づくりが必要なのではないかというふうに考えます。

 特に、今、小学校での教員が足りませんが、仮に、社会人を小学校の先生に送り出そうと思ったときに、今は、教科の専門性があるかどうかというところがまずハードルになっているものですから、なかなか社会人から行きづらいんです。ですので、例えば、小学生への指導能力という基準を追加するということをお考えいただくといいのではないかというふうに思います。

 そのほかにも、例えば、教員免許失効者を任期つきで採用するとか、離職者の本務教員への原則無条件での復職を認めるとか、こうしたあらゆる手段を講じるべきではないか。

 大臣、社会人の特別免許状を更に取りやすい環境をつくるならば、今申したようなことも含めて、具体的な誘導策というか、手だてが必要だと思うんです。こうした辺りを検討いただけないかということを明言いただけますか。

末松国務大臣 城井先生にお答え申し上げます。

 今、教育職員免許状の取扱いにつきまして、文科省でも、先ほど触れましたけれども、特別免許状の一層の活用を図るために、特別免許状の授与指針を改定しまして、審査基準や手続の緩和を行うとともに、都道府県教育委員会に対しまして、積極的な授与が行われるよう、指導助言は重ねていたしております。

 また、普通免許状を有する者を、これは先生の御質問から外れるかもしれませんけれども、採用できない場合は、臨時免許状を活用することも可能でありまして、例えば、中学校免許状を有する者には小学校の臨時免許状を授与することなども考えられるところでございます。

 こうした方法も含めまして、任命権者である都道府県教育委員会において、あらゆる手段を講じて教師の確保に取り組んでいただきたいと考えておりまして、引き続き、あらゆる機会を通じて積極的に働きかけてまいりたい、そのように思っております。

 やはり教育委員会なり、学校現場の方々でもそうなんですけれども、よく社会を見ながら、こういう方だったらというようなことは常々やはり頭に置くべきだというのは、私、そういうように考えております。いろいろなところでいろいろな活躍をされている方々が、教壇に立って、どう子供たちを育ててもらえるかということについて、大きな期待を持って社会を見る目が大切かなと思います。そのための審査基準についての緩和ということは進めるべきであると思います。

城井委員 今、審査基準の緩和ということにも言及いただきましたが、今準備ができている文部科学省からの指針だと、今ほど申したようなところ、私が三つほど提案しましたが、後ほど確認をいただければと思いますが、まだそうした手だてまでは届いていないという認識ですので、是非そうした、今提案した部分も含めて御検討いただいて、現場に、教員の質と数の両立を念頭に置いての教員の確保ができるような手だてを増やしていただくようにお願いしたいと思います。

 さて、もう一点、次に参ります。

 そもそも、なぜ教員が選ばれる仕事になっていないかといえば、その厳しい労働環境があるから、特に教員の長時間勤務実態が改善されていないからだ、この問題があるからだというふうに考えています。

 教員の働き方改革関連法の改正後も、教職員の過労死ライン超えの働き方は改善されていません。残業は慢性化しています。学校での勤務時間内で業務が終わらないので、自宅での持ち帰り仕事も相変わらず続いています。教育現場からの報告によりますと、具体的な業務削減が進まない一方で、時間外在校等時間の上限、月四十五時間に収めることだけが目的化し、ひどいケースでは管理職や教育委員会による虚偽の報告、勤務記録の改ざんが行われている実態もあるとの現場報告や報道があるような、こんな状況です。

 そこで、大臣に伺います。

 管理職による勤務時間把握は正確にできているでしょうか。管理職等による虚偽報告や改ざんについて、文部科学大臣、どのように認識をされていますか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 勤務実態の正確な把握は、働き方改革を進めていく上で必要不可欠なスタートラインでございます。管理職等による勤務時間の記録の改ざんや、それに関わる懲戒処分等が生じているということは、もう大変遺憾なことでございます。

 文部科学省といたしましては、改正給特法に基づきまして令和二年一月に策定をしました教職員の勤務時間管理に関する指針におきまして、ICTの活用やタイムカード等による客観的な勤務実態の把握を求め、虚偽の記録を残すことがあってはならないことを示しているところではございます。

 また、この指針のQアンドAにおきまして、万が一校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、これは信用失墜行為として懲戒処分等の対象となり得ることも明示しまして、各教育委員会に対して周知をいたしてまいりました。

 文部科学省といたしましては、改めて各教育委員会の人事管理担当者に対してこの趣旨を周知することに加え、様々な機会を捉えまして、適正な勤務実態の把握が行われるように徹底いたしてまいりたいと思います。まず、やはりそこがスタートラインだと思ってございます。

城井委員 以上の、私からも申し上げたような厳しい現場状況を鑑みて、教員を選ばれる仕事にしていくためには、大臣、今年度予定の勤務実態調査を待たずして、長時間労働の更なる是正や、あるいは教職調整額による、私の言葉で申しますと残業代定額働かせ放題のこの現状を改善する給特法の抜本改正に一日も早く取り組むべきだと考えます。

 この給特法の抜本改正については、前任の萩生田文部科学大臣も国会答弁済みであります。この間の国会議論で、末松大臣から、同趣旨の質問に対して、少し従来の姿勢よりも後ずさりしているんじゃないか、後退しているんじゃないかということを懸念しております。

 長時間労働の更なる是正と、給特法の抜本改正の迅速化、大臣、これはやるということを大臣から明言いただけますか。

末松国務大臣 城井先生、全然、私自身は後退している気がございませんで、今先生に御質問いただきまして、いろいろと、逆に、意欲を燃やしていきたいと。ただ、やはり勤務実態調査というのが一つはございますので、御理解いただきたいと思うんです。

 学校における働き方改革は、何か一つやれば解決するというわけではなくて、国、学校、教育委員会が連携しつつ、それぞれの立場において、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備すること、本務に集中できることが一番重要でございます。

 文科省としては、各学校における働き方改革の推進に向けまして、令和元年の給特法によります教師の勤務時間の上限等を定める指針の策定、そして、小学校における三十五人学級の計画的な整備や高学年における教科担任制の推進等の教職員定数の改善、また、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実など、様々な施策を総合的に講じているところでございます。

 特に、給特法の法制的な枠組みを含めた検討に関しましては、令和元年の法改正時の国会審議におきまして、萩生田前文科大臣よりも答弁するとともに、衆参両院におきまして、これは御質問いただいた先生方にも御説明申し上げましたけれども、衆参両院におきましても、三年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、関係法令の規定について検討を加え、所要の措置を講ずる旨の附帯決議がなされたところでございます。

 このため、本年度実施予定の勤務実態調査におきましては、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握をしまして、その結果を踏まえて、検討は必ず進めてまいりたいと思います。

 余り長い答弁になってはいけませんので、一応、こういうふうにさせていただきたいと思います。

城井委員 教員の処遇改善は、教員の確保、選ばれる仕事にしていくための核心部分だと思いますので、是非格段の取組をお願いしたいと思います。

 あと五分弱となりましたので、最後に、十兆円大学ファンドと地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージについて、大学ファンドの法案審議に先駆けて大臣に伺いたいと思います。通告は二問飛ばしたいと思います。

 まず、この十兆円大学ファンドの取組は、結局、従来と同じ、選択と集中に終わるのではないかということを強く懸念しています。大学ファンドの指定対象はほんの数校であり、全国のほとんどの大学は支援対象にはならない、そして、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの支援対象も、結局、数も支援金額も限定的になるということを懸念しています。

 そこで、伺います。

 各大学での基礎研究の支援の拡充や、若手研究者の継続的な研究の場の増加に今回の取組でどのぐらいつながるか。近年の研究力の低下は、選択と集中による一部大学への予算の重点化だという声もあります。日本の研究力の底上げには、地方や中堅の大学の研究者にも広く配分をするべきではないか。科学研究費や日本学術振興会特別研究員といった、日本学術振興会による研究助成事業に今回の十兆円ファンドの運用益を充てるのがベストだと考えます。

 大臣の見解をお願いします。

末松国務大臣 城井先生にお答え申し上げます。

 大学ファンドによる支援は、世界と伍する研究大学となるポテンシャルを有する大学に対しまして、諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるために集中的な支援を行うものでございます。

 他方で、我が国全体の研究力の強化には、トップレベルの研究大学への支援のみならず、その基盤となる優秀な人材の育成、あるいは地域の大学の強化が極めて大切です。このため、大学ファンドの運用益からは、全国の優秀な博士課程の学生への支援を実施することといたしております。

 加えて、大学ファンドによる支援以外にも、世界トップレベル研究拠点プログラムや共創の場形成支援プログラムなど、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講ずることといたしております。意欲のある大学が、地域の経済社会の発展や国内外における課題の解決、また、特色ある研究の国際展開を図っていくことができるように、大学と対話しながらきめ細かな支援を行っていきたいと思います。

 これらの支援を通じまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とも互いに切磋琢磨できる関係を構築することで、多様な研究大学群を形成していくことができると思います。

 御指摘をいただきました科研費であるとか特別研究員といった、研究者の研究活動を幅広く支える支援策はもちろん重要でございまして、大学ファンド等の新たな支援策と御指摘のような従来の支援策とを効果的に組み合わせることで、日本全体の研究力を向上させることを目指してまいりたいと思います。

 博士課程の方への支援、具体的には個々に対する支援もファンドの資金を活用するということも念頭には置いておりますのですけれども、これから審議が始まってまいりますのですけれども、よろしくまた御指導くださいませ。

城井委員 最後に、一点伺います。

 今回、大学ファンドの運用益で支援を受けようといたしますと、年三%の事業成長が必要だということになっております。ただ、三%の成長というのは、二十数年後に収入が倍増するということを意味します。

 文部科学省に聞きましたら、寄附や産学連携などでの事業収入を想定しているようですが、大学の仕事は研究と教育です。寄附文化が根づいていない中では達成が厳しいと危惧します。お金目当てで特定企業や団体と結びついたり、目先の利益が見込まれるような研究が優先される可能性が高いんじゃないか。

 具体的な達成の道筋を、大臣、どう考えていますか。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材の育成と多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠でございます。

 今般の大学ファンドがモデルとする諸外国のトップレベルの研究大学では、数兆円規模のファンドの運用益を活用して事業規模を広げる中で、研究基盤や若手研究者への投資を充実をしています。事業規模を広げることで中長期的な視点での資源配分も可能となりまして、そうした大学では、新たな学問領域の創出も含めまして、多様な学術研究、基礎研究が展開されているものと承知をいたしております。

 このため、大学ファンドからの支援を受ける大学には、自ら掲げる目指すべき大学像の実現に向けて、研究の土壌を豊かにするとともに、自らが持つ知的財産を磨き上げて、価値化しまして、これにより得られた資源を研究基盤に再投資することで事業規模の拡大を図るという好循環を生み出していただきたいというように考えております。

 この際、大学の財務基盤の強化を図っていただくことが重要であります。具体的には、組織単位での大規模な産学連携の推進、また、大学発ベンチャーの創出促進、卒業生を含む関係者からの寄附、大学独自の基金の拡充などを通じて、自己財源の獲得を進めていただくことも期待をいたしております。

 このような自己財源の獲得実績に応じて大学ファンドからの支援を実施していく予定としておりまして、自己財源と大学ファンドからの支援を活用して、大学には事業規模の拡大を実現していただきたいという、かなり長期的な思いを持ってございます。

城井委員 大学ファンドの問題点については、今後、同僚議員からもしっかりただしていただけるものと思います。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 質問の機会をいただきまして、心から関係各位に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 時間も限られておりますので、早速、まず少人数学級について大臣に伺いたいと思います。

 私も、これまで、例えば北欧、ノルウェーに伺いまして、教育現場、そしていじめ対策などを視察させていただきました。また、アメリカでは、三週間ほど、ワシントン、ニューヨーク、それからサンフランシスコを伺いまして、少人数学級や障害児教育などをちょっと視察、勉強させていただきました。

 どこの学校も、一クラス当たり二十人程度なんですね。先生方が非常に、先生も一人じゃないです、二人、そしてサポートで三人とかついている。本当にそうした学校がヨーロッパやアメリカでは当たり前になっているわけであります。その方が、子供たちに向き合い、そして寄り添い、一人一人に先生方が授業を展開したり、また、子供たちからの相談や悩み事に答えることができるということでありました。

 なので、私も、これまで、北海道議会議員のときから、また今の衆議院議員としても、この少人数学級というものを推進すべく、様々御意見を申し上げてきました。また、私が考えるのは、大体二十人程度の少人数学級が妥当ではないのかというふうに思っております。

 そうした中で、昨年度から、小学校における段階的な三十五人学級というものが小二から始まりましたけれども、そのときに、私、昨年、二〇二一年の二月二十六日の予算委員会分科会におきまして、当時の萩生田文部科学大臣に、この三十五人という少人数学級、私はもっと、三十人、そして二十人と推進すべきではないかというふうに質問させていただいたんですけれども、そのときに萩生田文科大臣は、私は元々、小学校、中学校、三十人を目指していた、今回三十五人にとどまってしまったことは非常に残念だというような答弁をされました。

 私は、文部科学省として、今、末松大臣でいらっしゃいます、こうした、前大臣のみならず、文部科学省全体が少人数学級を推進していきたいんだというふうに思っていらっしゃると思うんです。

 そうした意味で、文部科学大臣、末松大臣のこの少人数学級に向けた意欲を是非示していただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

末松国務大臣 先生は二十人学級程度が理想というお話を今伺いました。

 個別最適な学び、協働的な学びを実現していく上で、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とするため、昨年三月に義務標準法を改正しまして、公立小学校の学級編制、四十人から三十五人に引き下げました。

 今後につきましては、小学校における三十五人学級の教育効果を実証的に分析、検証するなどの取組を行った上で、中学校を含め、学校の望ましい教育環境、指導体制の在り方の検討を進めていきたい、そういうふうに考えてございます。

 取りあえず、最初に、私の決意としては、まずそこまで申し上げたいと思います。

道下委員 もうちょっとというか、もっと私は、末松大臣の個人的見解も含めて答弁をいただきたかった。残念ながら、それでは官僚の方が書いた答弁原稿ではないかというふうに思います。

 今、三十五人学級による教育効果についてしっかりと検証するというお話がありました。四十人から三十五人に五人、これは大きな前進でありますけれども、五人減った程度の教育効果というのはどれだけ測れるのか。私は、もっと少人数学級にしないと効果は表れない。その五人、少人数学級になった分、これだけ教育効果がありますと示せなかったら、財務当局を説得できませんよ。私はそう考えているんです。

 なので、もっと、文部科学大臣として末松大臣に、更なる推進をして、そして子供たちの教育、また学力含めて、また学び、育ちというものを推進していくんだという力強い御答弁をいただきたいんです。是非お願いします。

末松国務大臣 四十人より三十五人、三十五人より三十人、少ない方が、先生は生徒をきちっとした目で、距離感もきちっと保って見てあげられることが可能だと私は思います。

 先生は二十人とおっしゃいました。適正な学級の人数は何人かということについては、これはいろいろな意見がありますから、考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、私が昨年の十月二十八日に申し上げたのは、中学校三十五人の見解を問われましたときに、一人一人に応じたきめ細かな指導については、小学校のみならず、中学校においてもその必要性は変わらないと思っております、改正法の附則にある検討規定を踏まえて、学級編制基準の引下げを計画的に進める中で、学力の育成やその他の教育活動に与える影響について実証的な研究を行った上で、その結果を踏まえて、中学校で三十五人学級、また更なる少人数学級を含めて、学校の望ましい指導体制の在り方を考えていきたいと説明をしました。

 その上で、私が申し上げたのは、いつの時代か、三十人はきちっと目指すべきではないかということは申し上げておりますので、何ら考え方も枯れたわけでも何でもないんです。まずは中学校をこれから三十五人を目指すということでありますし、まだ三十五人学級がスタートしたばかりでありますから、時間がちょっとかかります。

 そういう中で、やはり適正な人数は、今先生がおっしゃった人数、ありますけれども、私は私なりの考える中で今申し上げたことが適切な人数と考えておりますので、理想を持って、目標を持って進んでいきたいという、そのような思いでございます。

 ある新聞に私が申し上げたのは、「二十四の瞳」は十二人の生徒でやっていました、大石先生が。やはり、だからドラマにも当たったと思うんですけれども。まあ、そのことは横に置いておきましても、大きな目標を持って進んではいっております。

道下委員 是非、今の御答弁、積極的に取り組んでいただきたい。

 まず、私は、先に検証してじゃなくて、ゴールを決めて、だから、三十人の学級というふうにおっしゃいました。三十人の少人数学級に向けてどうやって、どういうスケジュールで進めていくのかということを是非先に示していただきたい、そのように思っているんです。それも、長期間かけるんじゃなくて、これは短期間にしないと、これから更なる少子化、そして労働人口不足というものが出てくるわけであって、そして、誰一人取り残さない教育をするためには、早急な少人数学級がこの日本には必要だというふうに思っていますので、是非更なる少人数学級の加速化を進めていただきたい。是非よろしくお願いいたします。

 次に、勤務実態調査について伺いたいと思います。

 先ほどの城井議員と重なる点は割愛させていただきますが、文部科学省が今年度予定している勤務実態調査につきまして、前回の調査対象は小学校、中学校のみでしたけれども、文部科学省の毎年の教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査では、高校の長時間勤務の実態も、時間外在校等時間で四十五時間超えが四〇%となっており、見過ごすことはできないと思います。

 私は、高校、幼稚園、こうしたところも調査する必要があるのではないかというふうに思いますが、見解を伺うとともに、今回の、今年度の勤務実態調査の期間や対象、調査後の確定値公表までのスケジュールについて伺いたいと思います。

伯井政府参考人 勤務実態調査についてのお尋ねでございます。

 まず、調査の期間は、本年の八月、十月、十一月を予定しております。

 そして、調査対象、御指摘いただきましたように、前回は公立の小学校、中学校でございましたが、今回は高等学校も加えまして、計二千七百校程度を対象に調査を予定しております。公立幼稚園につきましては、他の学校種に比べて時間外勤務が比較的短い傾向にございまして、引き続き、毎年度実施している学校の働き方改革のための取組状況調査において実態把握していきたいというふうに考えております。

 スケジュールにつきましては、前回の勤務実態調査のスケジュールを踏まえますと、令和五年の春頃に、来年の春頃に速報値を公表した後、回答データの精査やきめ細かな分析を行いまして、令和五年度末頃までに確定値を公表することを想定しております。

 今後とも、有識者の協力を得ながら、しっかりとした勤務実態調査の準備を進めてまいりたいと考えております。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

道下委員 今年度行う調査において高校も新たに対象にするということで、これは前進かなというふうに思います。

 次に、調査の内容についてなんですが、これは先ほど城井議員が質問されましたので割愛いたしますけれども、一つ伺いたいんですけれども、実は今、新年度になりまして、ある自治体の高校におきまして、年度スケジュール、また目標シートというものが教員の先生方に配られて、今回このような、いろいろと目標を記すということでありますけれども、勤務時間について、残業時間、四十五時間、年三百六十時間以内に収めますというようなことを書かせられるということだとか、それはある程度の目標、自分の勤務時間を管理する、目標を立てるということはいいと思うんですけれども、ただ、それが、私は、それをオーバーしたときに、勤務が、下がるだとかそうしたこと、この勤務時間に関して、長時間勤務になったから、オーバーしたからこれは評価を下げますというような勤務評価につながってはいけないというふうに思うんです。もしつながることになったら、実態をしっかりと把握、調査できなくなります。

 私は、こうした年間シート、目標シートに書いたことがもしそれで実現できなかった場合、勤務評価につながってしまってはいけないと思いますが、参考人はどうお考えでしょうか。

伯井政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

 在校等時間の上限時間を、これは目指すことは当然なんですけれども、その範囲内とすることのみを目的化して、実際より短い虚偽の時間を記録に残すとか残させるというのは当然あってはならないというのは、もう当然のことでございます。

 授業など教育課程内の学校教育活動であって真に必要な活動であるものはおろそかにしないということは当然なんですけれども、そういう上限時間だけ守るというような、目的と手段を履き違えたようなことはあってはならないと考えております。

道下委員 是非、その点、各教育委員会等に周知をしていただければというふうに思います。

 続きまして、働き方改革について伺いたいと思います。

 文部科学省は、改正給特法の成果により、長時間勤務の実態はおおむね改善傾向にあるとしておりますけれども、私が聞くところの学校現場からは、そんな状況が改善しているという実感はないという声が多く上がってきております。その証拠といいますか、精神疾患や離職者の状況も高止まりを続けている、これは文部科学省もデータで御存じだと思います。

 そうした中において、その一方で、中央教育審議会では、資質向上として、教員免許更新制度の廃止後、更なる研修制度を上乗せするような議論が続いております。これでは、せっかく働き方改革、また長時間勤務を解消、改善していくということと、私は、逆行するのではないかというふうに思います。

 学校現場の長時間勤務が解消されていない実態についてどのように文科省として捉えているのか、伺いたいと思います。

伯井政府参考人 平成二十八年度の教員勤務実態調査等を踏まえ推計すると、時間外勤務については、小学校で月約五十九時間、中学校で月約八十一時間程度ということでございまして、御指摘のとおり、教師の厳しい勤務実態があるというふうに認識しております。

 一方で、時間外勤務、平成三十年度以降、一定程度改善傾向にあるということではございますけれども、今言ったように、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き様々な取組を加速させていく必要があるというのが基本認識でございます。

道下委員 そうした実態、文部科学省が把握されているよりまだまだ厳しいというふうに思っておりますので、そうした点、データとして上がってくるところじゃない、その見えないところもしっかりと把握に努められるように取り組んでいただきたいというふうに思いますが、今回のこの勤務実態調査を、先ほどスケジュールもありましたけれども、私は、その結果を待たずとも、学校現場の実態が持続可能ではないということは文科省も十分把握されていると思います。

 文部科学省の責務として、私は、更なる大胆な教員の業務削減、こうしたものに早急に取り組む必要があるというふうに考えます、結果が出てから何か着手するんじゃなく。この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

末松国務大臣 先生御指摘の学校における働き方改革を進めるためには、学校や教師が担う業務の役割分担、適正化を実施をしまして、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が担っている現状を変えるとともに、教師の業務について負担軽減を図ることが必要でございます。

 このため、文部科学省としましては、持ち授業時数の軽減に資する小学校の高学年の教科担任制の推進であるとか、小学校三十五人学級の計画的整備のための教職員定数の改善であるとか、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実、あるいは、学校向けの調査の精選で、これは削減していこうということとか、部活動改革とか、教師用の端末の整備とか、いろいろなことを対応はいたしてきております。コミュニティースクールの導入も、まさにそうでございます。

 また、オンライン、オンデマンド型の研修コンテンツの活用なども含めまして、より合理的かつ効果的な質的向上が図られるように、研修の環境整備に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、国、学校、教育委員会が連携して、文部科学行政の最重要課題であります働き方改革を、これはもう、先生、不退転の決意で進めていきたいと思います。

 役所から、中から、こういうところを改善して本務に集中してほしいとか、いろいろあるんですけれども、私は私なりに、いろいろな現場の方々とも、いろいろな話をする機会が多うございます。友人も多うございます。

 以前、笠先生にも答弁したりとか、牧先生にも御答弁したんですけれども、それはやはり、修学旅行の見積りだって、先生がやらなきゃならないかどうかといったら、相当時間がかかる業務でございますので、こういったこともあるでしょうし、文具の発注につきましても、やはり、五時以降でないとできないとおっしゃっている先生方も多いんですよね。安全点検も先生がやらなきゃ駄目だという。いろいろな業務がやはり重なっておりますから、ゆっくりできるのは、恐らく、会議をやるのは、夕方、相当遅くなってからじゃないかなと思います。

 そういう実態も、よく、これは与野党を問わず、把握をしていきながらということを考えておりまして、政府もその辺りのことはしっかり受け止めていきたいと思ってございます。

道下委員 大臣、ありがとうございます。

 そのような大臣のそのお考えが具体的に着手されるように、それが大きな、働き方改革を含めて、先生方が働きやすい環境づくりだとか、さらには、先生を目指す人たちが増えてくるというふうに思いますが、今言った具体的なものではなくて、私は、精神論的な、やりがいがあるだとか、子供たちに教育を教えるってすばらしいとか、何か誇りに思うだとか、そういったことだけでは、なかなか教職員の魅力向上にはつながらないのではないか。やはり、具体的には処遇改善、今のこの給特法、私は、縮小、廃止すべきだと思っております。

 文科省として、大臣として、どのようなことを目指しているのか、また、現在どのような政策を進めているのか、持続可能な学校現場とするために、どのようなことが課題であると考え、どう改善しようとしているのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

末松国務大臣 先生も百も御承知のとおり、学校における働き方改革というのは、何か一つやれば解決するものでは全くございませんで、同時並行的にたくさんの手だてを講じてはございます。数が少ないじゃないかと言われましても、今の現状においてやれることはやっていっておる。そういう点では、あらゆるお考えをお持ちの先生も、この教育の現場のことについての方向性というのは同じベクトルを向いている、私はそういうふうに考えております。

 したがいまして、教職員定数の改善について、先ほど申し上げたように、三十五人学級の計画的整備であるとか、高学年の教科担任制の推進であるとか、教員業務支援員のスタッフの充実であるとか、部活改革であるとか、これはやはり、重ねて申し上げますけれども、こういったことが現場の中心であります。

 ただ、勤務実態調査については、先生方にお答え申し上げたように、今年度に調査を実施をして、その結果を踏まえながら、きちっと検討を加えてまいりますので、このことは度々御答弁申し上げているとおりでございます。実態は厳しいことは、よく承知をいたしております。

道下委員 勤務実態調査の結果をしっかりと踏まえて着手することと、私は、もう一つ、今もう分かっていることがあるわけでありますから、大臣がおっしゃるように、様々なところから意見を伺った上で、着手できる具体的な政策は実行していくということで、是非お願いしたいというふうに思います。

 次に、学校現場の欠員についてですが、先ほど城井議員が質問されたので、これはちょっと割愛させていただきまして、次の、障害児教育について伺いたいと思います。

 教員養成について伺います。

 文部科学省の特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議が、本年三月三十一日に報告書を公表されました。その中身についてちょっと伺いたいと思いますが、私は、この報告書を読んでいて、文部科学省が進めるインクルーシブ教育システムと、世界における、子どもの権利条約だとか、また、私が考えるインクルーシブ教育とは、この文部科学省の特別支援教育というのは違うというふうに思います。でも、だんだん近づいてきたかなというふうにこの報告書を読んで思っております。

 そうした中で、例えば、大学教員養成課程において、特別支援教育に関するカリキュラムで単位がやっと一つ、数年前に増えたんですね。私は、もっとこれを拡充していく必要があるんじゃないか。どの先生方も、先生になろうとするときに、大学の養成課程において、障害のある子についての教育について様々知識を得る、そして現場で実習をするとか、そういう場を増やすべきだというふうに考えるんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

末松国務大臣 小中学校の教職課程につきまして、教職員免許施行規則を改正しまして、令和元年度より、教師になろうとする全ての学生が、特別支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解に関する科目を一単位以上修得することとしておりますが、これに加えまして、大学の独自設定科目等によりまして、これらに関する学びの充実に取り組んでいる例があるところでございます。

 お尋ねの件ですけれども、先生が今疑問に思っておられるところですけれども、先月の三月三十一日ですね、この報告書では、特別の教育的なニーズのある幼児、児童又は生徒を指導することを前提に、全教師に共通に求められる特別支援教育の基本的な知識、技能を習得する必要があるとの提言がなされたところでございまして、文部科学省としては、この提言を踏まえて、各大学の教職課程においても特別支援教育に関する科目の更なる充実を促すとともに、大学の教職課程の内外を通じ、特別支援教育に関する先進的な科目設定やカリキュラム開発を推進している、促進しているところでございます。これが、私、考え方でございます。

道下委員 やっと進んだかなというふうに思うんですけれども、私は全ての先生方に、もっと文科省の言う特別支援教育、私はインクルーシブ教育と思いますけれども、本当にそうしたところをまず学んでいただきたいというふうに思っております。もっと時間も多く。

 そして、今回の報告書では、さらに、大体、若い先生方、十年の間に複数年度、特別支援学級だとかの担任を持ってもらう、そこで授業を持ってもらうということを提言しております。

 私は、これも必要かと思いますけれども、私自身、障害のあるなしにかかわらず、全ての子供が同じ学級に在籍して一緒に学ぶインクルーシブ教育の学校現場の環境の方が、教員の経験につながると考えるんです。普通学校から特別支援学校に行くとか、こういう人事交流も必要かと思いますが、学校の中で、クラスの中で、障害のある子とない子が一緒になっていろいろ学び合ったり、支え合ったり、時にはけんかしたりとか、そうした子供たちから教員や私たちが学ぶ場面がたくさんあるんです。

 だから、その現場を大事にしていただいて、そして、わざわざ特別支援学校に行くとか、逆に、特別支援学校の教員免許状を持っている方が通常の学級に異動するだとか、これは一歩かもしれませんが、最終的には、私は、一つの学籍の中での学級で先生方が教える、そういうインクルーシブ教育を目指すべきだというふうに思いますが、大臣としてどのようにお考えでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生の御指摘というのは、非常に両方の大切さを指摘されておられます。インクルーシブ教育、インクルーシブの教育的なシステムというんでしょうか。

 障害のある子供の学びの在り方につきましては、何より子供への教育的側面から考慮されるべきであると考えております。

 このため、文部科学省としては、単に、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り同じ場所で、今先生お話あったように、同じ場所で教育を受けられるような条件整備を行うだけではなくて、もう一つ、一人一人の教育的なニーズに最も的確に応える学びの場も提供することが必要であるという考えもあります。

 また、障害のある子供の就学先につきましても、こうした基本的な考え方に基づきまして、本人や保護者の意見を可能な限り尊重しながら、市町村教育委員会が総合的な観点から決定する仕組みとなっております。

 なお、全ての学級に発達障害等の障害のある子供さんが在籍していると言われておりまして、六・五%と聞いておりますが、教師が通常学級において御指摘のようなインクルーシブな環境で経験を積むことも可能であると思います。

 三月三十一日の特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する検討会議報告におきまして、全ての教師が特別支援教育を経験することの重要性や、養成、研修、採用の各段階において講ずるべき方向性につきまして、関係者に通知を行ったところでございます。

 引き続き、教師の専門性向上を図りつつ、障害のある子供への教育の充実に努めてまいりたいと思っております。

道下委員 この特別支援教育というか、私は、インクルーシブ教育については、時間が何ぼあっても足りないので、また今度にさせていただいて、もう残り時間が足りなくなったので、ちょっと次に移らせていただきますが、障害のある受験生の公立高校定員内不合格問題について伺います。

 二〇二〇年二月十八日、衆議院の予算委員会において、萩生田文科大臣が、議員からの質問に対して、障害のある受験生が公立高校で定員内不合格になっているということについて、様々説明された後に、答弁された後に、この件については都道府県の皆さんとよく話合いをしてみたいというふうに答弁されました。私は、これは一歩前進かなというふうに思っています。

 文部科学省として、その後の、この答弁後の取組、つまり、障害のある受験生が定員内にもかかわらず不合格になっている実態調査を行ったのかどうか、この点について大臣から伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省としましては、障害のみを理由に入学を認めないということはあってはならないという考え方でございます。また、高等学校への入学後も、一人一人の障害などの状態に応じた適切な指導が提供されることが重要であるという認識であります。

 お尋ねの萩生田前大臣の答弁の後の対応につきましては、令和三年秋に全国高等学校入学者選抜改善協議会を開催しまして、各都道府県教育委員会と様々な意見交換を行う中で、入学試験の実施に際し、不当な差別的取扱いや合理的配慮の具体的な事例を示しております。

 また、入学後に関しましても、高校においてもですが、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成の上、適切な指導及び必要な支援を行うことの重要性を周知するとともに、医療的ケアを必要とする生徒への支援体制を充実させる観点から、各自治体の声を伺い、令和四年度予算において財政支援の拡充も図りました。

 高等学校への進学率が約九九%に達している今日でございます。高校には様々な背景を持つ生徒が在籍していることから、生徒の様々な能力、適性、興味、関心に応じた学びを実現することが必要でございます。引き続き、各都道府県とも密に連携しながら、必要な対策を進めてまいりたいと思います。

道下委員 質問の時間、終わりました。

 最後、一言だけ。今の御答弁、是非、実態調査を行っていただきたいというふうに思います。

 定員内不合格、それは障害を理由に不合格にしていません、総合的判断としています。でも、何の説明にもなっていません。私は、その子供が学ぶ意欲があるのに高校の合格ができない、それは、受験生に問題があるのではなくて、受け入れる環境が整備されていない高校側にあるというふうに思います。この点、是非改善に取り組んでいただくように各教育委員会や高校等に発信をしていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、三十五分間の質問時間をいただいております。本日は、いじめ対策・不登校支援等総合推進事業における主にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの問題点について質問し、その後、時間がございましたら部活動改革についても質問をいたします。

 それではまず、いじめ対策、不登校支援等について伺います。

 文科省においては、令和三年十月におきまして、令和二年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査が行われました。

 不登校児童生徒数は、病気ですとかコロナ禍において不登校を余儀なくされている方々、そういった方を除きますと、年間三十日以上登校していない生徒、その生徒数が二〇二〇年度、小学生で六万三千三百五十人、これは前年度比一八・七%となっています。また、中学生は十三万二千七百七十七人と、こちらも三・八%のいずれも増加傾向でございます。八年連続で増えております。また、半数以上は九十日以上の不登校、欠席をしているということで、一年のうち九十日以上といいますと、三か月になるわけですね。非常に長い間お休みしてしまっているという状態です。

 また、この中で自殺も増えております。二〇二〇年度は、小中高生の自殺者、四百十五人でございます。二〇一九年度から急増しておりまして、一九七四年の調査開始以降、最多を記録してしまっております。これは、少子化と言われている中で、貴重な児童生徒の命が、自ら絶っていく、こんな悲しい現実はありません。

 そして、私が三月三十日に質問をさせていただいておりますが、ネットのいじめ件数も増加をしております。

 文科省は、令和三年十月におきまして、同じ調査の中で、パソコンやスマートフォンなどを通じた誹謗中傷といったネットいじめ認知件数は一万八千八百七十件、こちらも過去最多を更新しています。この五年間で倍増したということで、悪化の一途をたどっているなという印象がこのことからも御理解いただけると思います。

 そこで、文科省の取組を調べてみました。さきに申し上げましたいじめ対策・不登校支援等総合推進事業におきましては、スクールカウンセラーについて、全公立の小中学校、週一回四時間配置をするための予算、令和四年度予算は計上されております。そして、スクールソーシャルワーカーについては、全中学校区に週一回三時間の配置をするための必要な予算、令和四年度予算に計上をされております。学校規模等に応じて、配置時間ですとか、拡充、また充実という重点配置に関する予算も令和四年度予算は拡充されております。

 いろいろと試みをしていただけているなということも分かりますし、また、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究も行われております。

 このスクールカウンセラーの配置、全国の自治体で広がっている一方、このように、不登校の児童生徒の数は過去最多を記録していくばかりでございます。この辺りを含めまして、社会の背景には、無理に学校に行きたくなければ学校に行かなくてもいいよという風潮も徐々に出ているようですが、やはり学校に元気に通うというのは基本中の基本だと思っております。

 そこで、質問に入らせていただきます。

 平成七年度からこのスクールカウンセラー配置が開始されました。それから考えてみますと、もう四半世紀、二十五年以上が経過する中で、令和二年、三万件のスクールカウンセラーは配置されているんですね。数をそろえていっても一向に問題は解決していない、これはどういうことなのかなと考えてみました。もちろん、子供に関する問題の多様化、複雑化というものも挙げられますけれども、なぜ成果が思うように出ないのか。何が足りないと分析されていらっしゃいますでしょうか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 先生から、二〇二〇年度、小中高校生、四百十五人の命が失われたというお話を今改めて伺いました。不登校の生徒の数も、今深刻でございます。

 ただ、様々な課題を抱える児童生徒に対しまして、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家でございますスクールソーシャルワーカーによる教育相談体制の整備を図ることは大変重要でありまして、その配置充実を図ってはまいりました。先生は、なかなか効果が出ていないじゃないかという御指摘なんですけれども。

 ただ、こうした中で、教育委員会や学校現場からは、例えばいじめ事案につきまして、スクールカウンセラーが関わり、児童生徒への対応についての助言を得ることで、早期対応や解決につながったという声も多うございます。スクールソーシャルワーカーの配置を充実したことによりまして、学校だけでは対応が難しいケースで、ソーシャルワーカーは外とのつなぎでございますので、先生御承知のとおり、児童相談所などの関係機関と連携して支援できた件数も増加したなど、配置による、一面、ある一定の成果が報告もされております。

 一方、例えば児童生徒への対応や教師への助言等のための時間が十分確保できないといった意見もあるのも承知をいたしておりまして、引き続き、課題を踏まえつつ、効果的な配置と相談体制の充実には努めてまいりたいというふうに思います。

 速やかに解決できる簡単な問題でございませんで、地道な努力を重ねたいと思います。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 何が足りないのかという具体的な御回答をいただければと思ったのですが、地道にこれからも続けていくというところにとどまっているのかな、致し方ないのかなという気もいたします。

 文科省は、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充を図る、これからも地道に図っていくと今御答弁もいただきましたけれども、週一回を、これから滞在時間を増やしていくという考え方が一つ。もう一つが、回数を増やしていく、週一回だったものを二回にする、三回にするというように回数を増やしていく、若しくは常勤化をどんどん目指して、できるところから始めていく。これはどのような方針でお進めになるんでしょうか、そこを少し教えてください。お願いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 現状、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の状況は、御指摘いただきましたように、カウンセラーは全公立小中学校に配置、ただ、週一回四時間、スクールソーシャルワーカーは全中学校区に配置、ただ、週一回三時間ということで、まずは、重点配置等、今年度予算においても、いじめ、不登校のための重点配置であったり、虐待、貧困のための重点配置であったり、重点配置をやっていくということも引き続き重要でございますし、配置の方法、それから回数を増やしていくとともに、ICTの活用場面、全てICTでいいというわけではないですけれども、そうした工夫もしなければなりませんし、あるいは、御指摘いただいたように、常勤化の調査研究委託ということもやっておりますので、そういう配置形態についてもいろいろな角度から検討しております。

 一方で、今言ったように、効果検証というのもしっかりやりながら、一定程度、施策目標というのも、ベンチマークも示しながらやっていく、こういうことも重要であるというふうに認識しております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、効果検証という言葉がございましたけれども、この効果検証、各自治体全てで行われているのでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘の効果検証でございますが、多くの自治体で行われているようになっているものの、一部で行われていない自治体もあります。令和三年度の財務省の予算執行調査によりますと、スクールカウンセラーは九%が未実施、スクールソーシャルワーカーは二〇%の自治体がその効果検証を行っていないというような実態でございます。

 効果検証を行っている自治体におきましては、例えば、児童生徒等へのカウンセリングや教員への助言等のための時間が十分に確保できていないという、その体制、回数の問題であるとか、あるいは、スクールカウンセラー等の力量、チーム学校の一員であるという認識に個人差がございまして、カウンセラー等と学校間での連携が不十分であるといった課題が指摘されているものと承知しております。

岬委員 ありがとうございます。

 全てできちんと調査が出切っていないという、今お話がございました。

 財務省では、毎年、各省の事業から数十件を選んで、有効性や、また効率性を調べる予算執行調査を実施しております。令和三年度は、このスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー活用事業が対象となりました。

 昨年の九月に公表しました調査結果、私の方でも調べてみましたけれども、効果検証を行っていない自治体も一定数存在している。文科省に対して、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置について、自治体に定量的な、また指標例を示して、効果検証の実効性を持たせること、また、配置が効果的で効率的になるように仕組みを検討すべきと指摘が入っております。

 このスクールカウンセラーの重点配置という言葉も出てまいりましたが、定量的な指標等を設定の上申請、そして効果検証を実施している自治体の割合ですけれども、スクールカウンセラーは三六%、そしてスクールソーシャルワーカーは二六%にとどまり、これはかなり低いんではないでしょうか。必ずしもエビデンスに基づいた効果的な、効率的な重点配置がなされているとはちょっと思えません。この重点配置の申請についても、自治体が配置目的に係る定量的な指標を設定、きちんとしていただいて、効果検証を行うことによりまして、エビデンスに基づいた効果的で効率的な重点配置につながる仕組みにすべき、このような指摘も入っているわけです。

 そこで、このエビデンスの必要性、効果的な、効率的な重点配置に係る仕組みについて御質問いたします。

 財務省の予算執行調査が指摘しておりますエビデンスに基づいた仕組みが必要と考えるが、効果検証を行っていない自治体へどのようにこれから対応していかれるんでしょうか。また、この重点配置につながる仕組みについて、具体的にどのような仕組みが検討されているのか、いま一度、明確にお答えをお願いいたします。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、昨年十一月の財政制度等審議会におきまして、このスクールカウンセラー等の効果検証について、相談一件当たりのコストを比較すると、相談内容ごとに業務量、負担は異なるため一概には比較できないが、都道府県ごとにばらつきがあり、必要性、効果に応じた配分調整の余地がある、各自治体が定量的な指標を設定し、効果検証を行うべきといった指摘がされたところでございます。

 こうした指摘につきましては、確かに、学校規模や学校間の距離によっては効率的な配置に限界があること等の地域事情は踏まえなきゃならないというふうに考えます一方で、ここでも御指摘し、また先生も御指摘いただいていますように、効果検証のための指標の設定といった課題があるということは事実でございまして、例えば、不登校対策を行ったことの相談件数の状況とそれがどう改善したかという、その改善の取組の好転例、そうしたことをしっかり設定しながら、文科省としても、これのエビデンスに基づくその取組の推進、施策の推進ということをしっかり対応していくことは必要というふうに考えておりますし、各自治体にもそうしたことを求めていくことが必要というふうに考えております。

 先ほども答弁いたしましたように、教育委員会からは、カウンセラーによるカウンセリングや教員の助言のための時間が十分に確保できないという御指摘もございますので、こうしたエビデンスに基づく効果検証ということもしっかり対応しながら、必要な支援に努めていきたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 検証ですとか調査はされていると思うんですが、そこで把握した課題ですとか問題を、解決に取り組まなければ一向に解決はしていかないということで、これが数に表れてしまっているのではないでしょうか。

 次に、今、常勤化というお話をしました。私の地元でございます名古屋市では、市内全ての公立中学校に常勤のスクールカウンセラーを配置するということで進めてまいりました。現在、それが実現したわけなんですけれども、とはいっても、不登校の生徒は増え続けているというのが実情でございます。二〇二〇年度には三万七千二百十一件の相談があったという実績もあるわけですが、一番がまず不登校、次に精神不安、三つ目に家庭の問題が相談として寄せられていました。

 さて、文科省では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究ももちろん行われていますけれども、常勤化というものをどのように捉えていらっしゃるでしょう。そして、このような事例も実際ございますけれども、政策にはどのように反映をして、この常勤化に対する是非はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました名古屋市における取組は、文部科学省が平成三十年度から二か年で実施した常勤化に関する調査研究事業において行われております。

 名古屋市が実施した取組におきましては、例えば、常勤化ですので、朝、子供が登校する場面に立ち会って挨拶するなどをすることで子供との距離を近づけることや、生徒指導上の問題について様々な予防的側面が、効果があるとか、あるいは、常勤として毎日学校にいることで、当然ですが、気軽に相談しやすい状況をつくることができるといった結果が得られているところでございます。

 令和四年度予算におきましても、こうした調査研究も踏まえつつ、常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方、あるいはチーム学校という中での役割とか、検討に資する調査研究を行っているところでございます。

 引き続き、そういう意味での専門的、具体的な調査研究、検討を行いまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 数を増やすだけではなかなか問題の核には触れていけないのではないかという、次に疑問が出てまいります。

 財務省の昨年九月に公表されましたこの調査結果におきましては、問題の複雑化や多様化、これによりまして、スクールカウンセラーの資質の向上、これがとても重要であるということです。この資質の向上が課題だと回答している自治体は、何と一〇〇%でございました。これはやはり、数も必要だけれども、数だけではなく、その資質をしっかりと向上させて、中身のあるカウンセラーが必要であるということが物語られています。

 この課題への取組としましては、研修の実施であるとか、スーパーバイザーの有効利用というふうに回答している方が非常に多いです。そのうち、効果的であったというふうに回答している割合も高水準を推移しておりますので、やはり、質の中、中身を充実していくということが、早急に対応が必要なのではないかと考えます。

 また、資格を取るだけでは全く意味がございませんので、養成していく、資格を取っていただく、その中で適正な人をどのように判断していくか、ここも大変重要なのではないかと思っております。

 次に、このような取組が行われておりますけれども、昨年十一月、同じく地元の愛知県弥富市におきまして、中学校において、三年生の男子生徒が同学年の男子生徒を刃物で刺して殺害してしまうという大変痛ましい事件が発生しました。

 事件後に、大臣、記者会見も行っていただいております。そのときに、末松大臣は、スクールカウンセラーの追加派遣、そして子供たちの心理状態、精神状態のケアに当たりたい、そのようにお話をされております。追加派遣に要する経費の支援も表明されていらっしゃいます。

 この事件を受けまして、愛知県教育委員会は、二〇二二年度から、緊急時に学校にアドバイスをするスーパーバイザーを七人、増員をしております。これは質の向上に実際つながっていったのでしょうか。私は、そうかなと、ちょっと首をかしげてしまうわけですが。

 そこで、質問です。

 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの質の向上について、文科省はこれまで、連絡協議会の開催など、質の向上の取組の支援も行っていただいております。これで十分に質の向上、図れましたでしょうか。また、適正な人材をどのように見極めていくのか、どのように判断していくのでしょうか。質の向上また確保について、そして、スーパーバイザーの活用などをどのようにするのか、見解をお聞かせください。

末松国務大臣 先生から、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの質の向上の御指摘をいただきました。

 様々な課題を抱えます児童生徒の支援に当たりましては、心理の専門家でありますスクールカウンセラーや福祉の専門家でありますスクールソーシャルワーカーの果たす役割、大変重要でありまして、その相談活動の質の向上は、これも極めて重要なテーマでございます。

 このため、文部科学省におきましては、自治体におけるスクールカウンセラー等を対象とした研修の促進であるとか、あるいは、スクールカウンセラー等の効果検証の促進を図ることといたしております。

 ただ、先生おっしゃったように、簡単にはなかなか前へ進んでいない状況を先生から今御指摘をいただきました。それに加えましても、効果的で迅速な支援の実現に向けまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、そしてスーパーバイザーの活用に係るガイドラインの作成とその周知、そして、スクールカウンセラー等の活用事例集の作成、周知等に取り組んでいるところでございます。

 令和四年度予算におきまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充したところでございまして、引き続き、教育相談体制の充実と質の確保に努めてまいりたいと思います。

 職員ともいろいろな話をするんですけれども、例えば、子供たちが相談に来てもらいやすいように、子供たちのプライバシーを守ってやるような工夫もやはり必要だし、子供が入りやすい色遣いなどもやはり必要であるということで、きめ細かな配慮もたくさんやらなきゃならない点を昨日ちょっと話し合ったわけでございます。

 いろいろと御指導、お願い申し上げます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに今大臣が言われていました相談しやすい環境という部分で、実際、モデル事例を私発見しましたので、本日、御紹介をさせていただきたいと思います。タブレット端末を活用した相談体制の構築について取り組んでいるという部分です。

 国は、学校にスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、相談しやすい環境を整えていこうと取り組んでいるわけですけれども、必ずしもその成果が思うように見えていない。これは、あくまで相談を待つという体制でございますよね。それではなかなか、相談の垣根が高過ぎて、子供たちにとっては、相談する場所がない、相談できるところはないというふうにまだ認知されてしまっているのではないかと思います。

 相談を待っているだけですと、深刻に思い詰めて命を絶ってしまう理由、これは事例を調べてみても、理由が分からない、不明であるということなんです。全体の事例の中で、理由は不明で自殺をさせてしまった、これは半分以上を占めています。つまり、子供は一向に相談ができていなかった、子供は孤立で追い詰められてしまったという結果の表れではないかと思います。

 そこで、本日御紹介したいモデル事例ですけれども、神奈川県鎌倉市でございます。取組、私が今日三枚、皆様方にお渡しをしております。こちらです。子どもSOS相談フォームというものがありまして、これの大きな特徴は、タブレットを使っているということです。

 コロナ禍におきまして、タブレットが子供たちに急速に普及しております。そこで、電話をかけるというダイヤル式のSOSはありますけれども、実際、皆さん、何か困ったときに、じゃ、電話して相談しようという気持ちになれるでしょうか。特に子供たちは、電話からは随分離れてしまっているわけですね。であるならば、手軽に、身近にある、いつも手元にあるタブレットを使って、そして、思ったときに、思った瞬間にアクションが起こせる、これは随分と間口が広がるのではないかなと思うわけです。

 この一枚目には、子どもSOS相談フォームということで、鎌倉市の公立小中学校に通う全ての児童生徒が利用が可能です。

 そして、二枚目を御覧ください。

 タブレット端末の画面上に現れてくる画面です。アイコンをタップしますと、相談フォームがぱっと出てまいります。いじめや家庭に関する悩みなど、相談内容、今の気持ちをぱっと選べるような簡単な形式、直感的に選択ができる形式になっています。

 そして、三枚目を御覧ください。

 担当の教師なのか、スクールカウンセラーなのか、それとも市の相談員なのか、相談したい人は誰ですかというように、子供たちが自ら選択をしている、自分たちが選んでいるんだというように子供たちには印象を持ってもらえるという形を作っております。

 これは、今年度から本格的に運用することになりまして、簡単に操作ができる仕組みを整えることで、悩みを持ち込まずに、ちょっと相談してみようかなと、このハードルが低くなった事例ではないかと思います。

 実際に、私、鎌倉市の教育長と昨日話をしました。岩岡教育長と面談したお話です。導入に至った経緯を聞きますと、子供たちが相談をしたいという思い、そのタイミングというのは、ほんの一瞬だそうです。まあいいや、自分が黙っていればいいや。若しくは、子供たちというのは、大人以上に適応力があるということです。これが特徴ですので、自分さえ我慢していれば、自分さえ言わなければこれで済んでいくんだ、そういう思いが子供たちを追い詰めている。ですから、この一瞬を大事にしたいという背景があったそうです。

 そして、システムの構築の難しさ、また工夫した点でいきますと、では子供たちに悩みの内容を書いてくださいと言いますと、書いているうちに子供たちは途中でやめてしまったり、書いたことで満足をしてしまって、もう送信をしなかったりという事例があるそうです。なので、選ぶ、選択をして、そこをタップするだけで次に進んでいけるというステップにしたということでございました。

 そして、システム導入を受けた反応、これは気になりますね。そうしますと、PTAですとか、また地域の住民の皆様、見守り隊の皆様からは、いい取組だ、期待しているという高評価が寄せられているということです。

 もちろん、まだ始まったばかりではございますけれども、大変これは、横展開をして全国に広げていくと、今まで見えなかったいじめ以外の家庭の問題、ネグレクトや、また虐待、そしてヤングケアラーの問題、そういったことの声が、子供たちの心の声が聞こえてくるのではないでしょうか。

 また、心配な個人情報の問題ですけれども、学年と氏名は書いてもらいますが、フォーム上に残さないように対応ができるということです。

 そして、ほかの自治体でもこれは難しくてできないんじゃないでしょうかという質問をしたんですが、実はとても簡単だということで、グーグルのワークスペースを使用しているということです。また、経費も無料でできるんですね。コストもかからない。そして、簡単なフォーマットで作ることができますので、自治体どこでも、やる気にさえなっていただければできるのではないかという見解を示していただきました。

 このオンラインでの相談というのは、まず相談ができるんだと子供たちに思ってもらう、その一歩を踏み出してもらうためのツールでございます。もちろん、最終的には、希望する子供たちには対面で相談をしっかりとできる体制が一番大切であり、そこにつなげていくための選択肢であるということです。

 さて、この中から、スクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーの拡充、予算や質の問題などいろいろ挙がっております。これはとても時間がかかります。大臣も御答弁いただいたように、地道にこれからも継続していく、これはもちろん継続をしていただきますけれども、このような、岩岡教育長の話にもあったように、こういった新たなものもどんどん展開をしながら並行して進めていくと、失われなくていい命が失われず、解決できる問題が解決していける、そういった子供の未来、また環境がつくれるのではないでしょうか。

 そして、週に一回、週に数日、数時間しかいないカウンセラーに、なかなか、相談をするというのは垣根が高過ぎます。やはり、子供たちにとっては、見慣れない人が時々来ている、その人に、自分の思い、なかなか打ち明けられるというのは難しいし、そもそも認識がされていないというお話もございました。

 是非、全国的に取り組んでいただいて、相談のハードルを下げまして、最初の一歩を踏み出しやすくしてもらえると子供たちにとっては有効ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。

 一人一台端末を含むこのICT、児童生徒の悩みや不安を把握したり、児童生徒がSOSを発するための有効なツールになると考えておりまして、文部科学省としても、優れた活用事例を各都道府県教育委員会に周知をしてきたところでございます。

 一方で、今後は、ICT活用上の成果や課題、円滑な導入のための体制整備等の検証を行っていくことも大変重要でございます。そのため、これまで実施をしてきましたSNS等を活用した相談事業に加え、令和四年度におきましては、今先生から資料をいただきました、一人一台端末等を活用して認められた効果や課題及び留意すべき点についての検証を目的とした調査研究事業を実施するために必要な経費を計上いたしているところでございます。

 引き続き、文部科学省としては、様々な悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見、早期対応のため、一人一台端末を含めたICTの活用を先生御指摘のように推進してまいりたいと思います。

 大変、この鎌倉のSOS相談フォーム、勉強になりましたんですけれども、私の方も、吹田市教育委員会が出してございます。どうしましたかと、私のことか、誰のことか、ボタンを押すようになっていて、クリックする、見た、聞いた、参加したと、内容も進んでいくということなんですけれども、これだったら相談しやすい一つのツールになるなということを大いに感じたところでございます。

 よろしくまたお願いを申し上げます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 そうですね、もちろん、私が本日皆様方にお配りしたのはたまたま鎌倉市でございましたけれども、このような展開をしているところは全国ほかのところにも多くあると思います。是非、私たちの発想には今までなかった、対面、電話、それ以外にもあるんだよと、そして、チャットのように、子供たちが言葉を発するわけでなくても心の声を気軽に出していける、そんなツールをうまく活用していただいて、子供たちの心のケアであったり、明るく元気に学校に通えるような、そういった入口をどんどん整備をしていただければと考えております。

 さて、時間が大変中途半端になってしまったのですが、もう一つ。

 今、新学期を迎えまして、子供たちは、部活動、これは学校に行くことのとても楽しみの一つ、重要な一つになっていると思います。しかし、教員の方からすると大変負担があるということで、教員の働き方改革の大きなテーマとなっているのがこの部活動改革でございます。先日、三月三十日には、私の同僚の早坂議員もこの部活動改革について質問をさせていただいております。

 さて、最近は、地域にこれを移行していこうという取組がされております。先日、これも私の地元名古屋市ではございますけれども、名古屋市においても民間に委託をしていこうという動きが見られておりますが、部活動の取組、学校から地域へと移行していこうというこの動きについて、どのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。文科省の見解を教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 部活動の地域移行についてでございます。

 まず、令和二年九月に文科省が取りまとめました学校の働き方改革を踏まえた部活動改革におきまして、改革の第一歩といたしまして、まずは、令和五年度からの休日の部活動につきまして、地域単位のスポーツ活動に段階的に移行するという方針を示したところでございます。

 こうした方針もございますので、文科省におきましては、令和三年度から実践研究を実施しておりまして、様々なモデルが創出されるような地域での実践研究というものを進めているところでございます。

 また、こうした実践研究の事例を全国に広めるとともに、昨年十月には有識者会議を設置しておりますので、こうした会議におきまして、今後の地域移行の方向性などを議論し、五月には最終的な提言を頂戴したいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 是非進めていただきたいと思いますけれども、現在、拠点校になっているのが、一万校のうち二百三十校ぐらいしか拠点校の申出がないようですから、まだまだ、五年から始めるということですが、準備が整っていないのではないかなという不安がございます。

 この件に関しましては、また次回、いろいろな方向性から質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、以上でお時間いっぱいとなりました。ありがとうございました。

義家委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、人口減少下における学校の在り方について御質問をさせていただきます。

 現在、大変、人口減少が深刻な状況が続いておりまして、特に、このコロナ禍を経て妊娠を控える方も大変多くなっているという状況も含め、先ほども議論がございましたけれども、二〇二一年の出生率は過去最少の八十四万人となりまして、二〇年と比べると二万九千八十六人も減少しているという、大変、少子化が一層進展している状況がございます。

 そのような中で、地方においても、児童生徒が減少していることによって小中学校の統廃合が進んでおります。高校についても同様の状況があるというふうに思っておりますけれども、その地域に学校がなくなるということは、その地域の未来が失われるということにもつながるというふうに、大変危機的な状況であると認識をいたしております。

 一方で、コロナ禍で東京一極集中の様々な弊害も明確となったという中で、地方への移住や、企業の地方への本社移転、また、サテライトオフィスの移転の流れ、二拠点居住など、新しいライフスタイルも生まれてきておりまして、子育て世帯が地方移住や移転を考える場合には、まず、働く場、雇用、そして住まいとともに教育を選択するということが大変重要な判断基準となっているという意味では、この教育というものは、地方創生という視点からも大変重要なものとなっております。

 地方に移住するハードルが以前より低くなっておりまして、学校は、特にそのような判断基準とともに、地域のコミュニティーの核でもあります、災害時の避難所としても大変重要な役割を担っているということもありまして、その地域に学校があるかないかということは大変重要なことにつながっていくと考えております。

 そのような中で、文科省として、令和三年度学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実に関する実態調査を行っておられます。公立小中学校の統廃合の現状について、文科省より御説明をお願いいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 少子化の進行を背景に、学校統廃合について検討する自治体も増えてきているところでございます。

 第二次ベビーブーム期、昭和四十六年から四十九年に生まれた子供は一学年約二百九万人であったのに対し、令和三年の小学校一年生の児童数は約百万人でございます。

 文部科学省では、学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に係る調査を行っており、平成三十一年度、令和二年度、令和三年度の三か年を対象とした令和三年度のこの調査では、小中学校等の統合事例件数は四百三十七件あったということでございます。

西岡委員 全国各地域においても、大変、学校の統廃合が進んでいるという現状があると思います。

 そのような中で、二〇二一年度から段階的に、公立小学校、二年生からでございますけれども、三十五人学級が導入をされ、二五年には全学年が三十五人学級となります。このことも先ほど議論がございましたけれども、中学校についても三十五人学級の実現の議論が進んでおります。

 そのような中で、子供たちへのきめ細やかな教育の実践の必要性、また、このコロナ禍で、大変、密を避けるという意味でも、学校にそのような環境を整備をしていくということも必要となったこと、また、教育現場にICTが活用され、また、GIGAスクール構想による一人一台端末の実現という、そのような今の状況も含めて、少人数学級のメリットというものが再認識をされております。

 文科省においても、特に高校の機能の強化、魅力化にも取り組んでおられ、また、内閣府においても、地方創生の核として教育を位置づけられております。

 私は、人口が減るから学校を減らしたりなくしたりという発想ではなくて、学校機能を維持して、その地域にしかない独自の教育プログラムを盛り込んで魅力化し、強化をしていくことによってその地域が発展をしていく、そのような姿こそが今求められていると思っております。

 ただ、学校現場で児童生徒が大変減少しているという中では様々な難しい問題もあるということも承知をいたしておりますけれども、やはり、学校があるからこそ、そこで子育てをして、住み続けていこうという思いが生まれてくる。特にこの人口減少の状況においては、この時代の学校の在り方、また、学校を存続していくということについては、我が国が学校をどのような理念で位置づけていくかということも私は大変重要なことだというふうに考えております。

 このような現状を踏まえまして、特に児童生徒の減少率が他の地域に先駆けて大変厳しい状況の中山間地や離島など、特に人口急減少地域における学校機能の重要性、また学校の在り方について、末松文科大臣の御見解をお伺いいたします。

末松国務大臣 西岡先生にお答え申し上げます。

 学校は、児童生徒が、集団の中で多様な考えに触れまして、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて、思考力、判断力、表現力、問題解決能力などを育みまして、社会性や規範意識を身につけさせる大変大切な場所でございます。また、卒業生にとっては大変思い出の場所でもございます。

 このため、学校規模の適正化の検討は、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据え、学校教育をよりよく実現するために行うべきものと考えております。

 その一方で、学校は、教育の場であるだけではなくて、各地域のコミュニティーの核としての性格を有することが多く、防災、保育、地域の交流の場など、様々な機能を併せ持っております。

 また、学校教育は、地域の未来の担い手であります子供たちを育む営みの場でもありますから、町づくり、地域づくりの在り方と密接不可分でございます。特に、山間僻地、離島といった地理的な要因や、学校が地域コミュニティーの存続に決定的な役割を果たしている等の地域事情によりまして、やはり、学校統合を進めることが困難な地域、小規模校を存続させることが必要であると考える地域は存在するところでございます。

 文部科学省としましては、こうした市町村の判断は尊重されるべきものと考えておりますが、その場合にあっても、学校が小規模であることのメリットを最大化するとともに、デメリットは最小化する工夫、そういったことを講じていくことが必要であると考えています。

 引き続き、こうした考え方を示すとともに、優れた取組の普及などに努めてまいりたいと思います。

 メリットとしては、少人数であることがゆえに、生かした教育活動ができると思いますし、デメリットを最小化するんだったら、やはり、小中一貫による一定の学校規模の確保ということも大事かなと思います。

 先生がおっしゃいました離島につきましては、兵庫県でも、三木先生も御存じの沼島なんか、沼島という小さな島が紀伊水道にあるんですけれども、人口が四百人で、小学生十二名、中学生六人です。そういうところでもやはりちゃんとしたコミュニティーがありますので、必要なものでございます。

 よく御指導いただきますことをお願い申し上げます。

西岡委員 ありがとうございます。

 大臣からも御地元の離島のお話をしていただきましたけれども、特に、離島地域は今、様々な学校からの受入れをして、山村、漁村での貴重な経験を全国の子供たちにしていただいているという意味でも、大変大きな役割を果たしてきておりますので、なかなか、やはり人口だけで、生徒数だけで判断できない地域というものは、もう本当に、存続をしていくということは、大変重要な、我が国にとっての、私は教育の使命ではないかというふうに思っております。

 このことに関連をいたしまして、小中学校、特に小学校の複式学級編制標準についてお尋ねをしたいと思います。

 私の長崎県も大変離島地域が多い県でございまして、その約半数が複式学級という現状がございまして、現行の複式学級の編制基準は、他の学年の児童と合わせて十六名までは、これをもって一学級と編制をする、ただし、一年生を含む場合は八人とするとされております。中学校については、他の学年の生徒と合わせて八人までのときは、これをもって一学級と編制をするとされております。

 複式学級が増えていくことによって、やはり、教員や事務の職員の皆さんが減員となって、結果としては、将来、統廃合が進んでいくということにつながるのではないかと、地元では大変懸念を持ち、心配をされている現状がございます。これまでも、へき地教育研究連盟の皆様を始めとして、関係者から基準改善についての要望が続けられております。現実には、財政的にもなかなか厳しい状況であるとお聞きをいたしておりますけれども、平成五年に十八人から十六名に見直されて以来、改善が図られない状況が続いております。

 これまでの経緯と現状、また、この切実な現場、地元からの要請について、文部科学省としての御見解をお尋ねいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 公立小中学校の複式学級の学級編制の標準につきましては、現在、二学年で複式学級を編制することとされており、御指摘いただきましたように、原則として、小学校の場合は十六人、中学校の場合は八人となっております。いわゆる義務標準法の制定当時は、これは昭和三十三年でしたけれども、三学年以上でも複式学級を編制することや、二学年の複式学級の標準は三十五人とすることとしておりましたが、順次、計画的に改善を図り、現在の標準となっているものでございます。

 小規模校における教育の充実を図るため、複式学級を解消するために活用することが可能である小規模校支援のための加配定数を措置しているところでございます。文科省としては、こうしたものも活用しながら、引き続き、小規模校における教育の充実に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 文部科学省としてもお取組をしていただいているというふうに思いますけれども、この切実な要望については、この基準改善については是非御検討いただくように、この場で大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 残り、大変時間が迫っておりますので、最後の質問になると思います。

 コロナ禍における児童生徒への影響について御質問をいたします。

 大変長期化するコロナ禍が、子供たちの脳ですとか、心ですとか、体に及ぼす影響というものは大変深刻なものがあると認識をいたしております。

 私も、以前、京都大学大学院の教育学研究科の明和教授のお話をお伺いいたしましたけれども、生物としての人の脳の発達、特に環境の影響を強く受けながら成長していく子供たちへの影響は計り知れず、コロナ禍で制限をされている密な接触ですとか他人との身体的な接触は、人の脳と心の成長に欠かすことのできないものであるということをお伺いをいたしました。また、マスク着用の日常によって、子供たちが他者の表情を経験をするという機会が急速に減少しているということが大変深刻でございまして、なるべく表情豊かなコミュニケーションや対話コミュニケーションを増やしていく必要性というものが教授から述べられました。

 最後の質問になりますけれども、末松文科大臣、子供たちへ与える影響について大臣がどのような御見解をお持ちかということをお伺いをして、私の質問といたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 その前に、先ほど離島のことを申し上げました。地元の沼島のこと、紀伊水道にございます小さな島ですけれども、人口四百三人で、小学生が十五人、中学生二十人でございました。訂正をいたします。おわび申し上げます。

 さて、二年以上の長期にわたる新型コロナの影響によりまして、子供たちのかけがえのない学校生活に様々な制限が生じまして、心や体に大きな負担をかけていると思います。このことにつきまして、とても胸が痛むと同時に、我々、様々な我慢をしながら感染対策に取り組んでくれている子供たちに心から感謝を申し上げたいと思います。

 コロナ禍における子供たちの心身の状況につきましては、多くの子供たちがストレスを抱えているという指摘や、体力、運動能力の低下を示す調査結果が出てございます。また、長時間マスクをしていることについて、暑さや息苦しさを心配する声も承知をいたしております。

 文部科学省としましては、こうした状況に対しまして、衛生管理マニュアルをお示しし、感染対策と子供たちの健やかな学びを両立するための取組を広める、スクールカウンセラーによる支援など、悩みや不安を抱える子供たちへの心のケアの充実に努めるといった取組を行っているところでございます。今後とも、必要な取組を進めながら、子供たちが元気で、笑顔で学校生活を送ることができるように全力を尽くしてまいりたいと思います。

 なお、資料をいただいたものがありまして、国立成育医療研究センター、厚労省がまとめておりますけれども、この実態調査としましては、二〇二一年新型コロナウイルスの感染症流行による親子の生活、健康への影響に関する実態調査ですけれども、小学校五年から六年生の子供たちの九から一三%、中学生では一三から二二%、中度以上の抑うつ症状が見られたということでありますから、御指摘の点も踏まえて対応いたしてまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございました。

 是非また、引き続きの質問を改めてさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、かつて、九年前、二〇一三年十一月二十七日の衆議院文部科学委員会で、夜間中学の問題を取り上げ、この場にもおられる下村博文当時の文部科学大臣と議論をいたしました。

 実は、このときの質問に先立って、当時の小渕優子文部科学委員長や義家弘介現委員長、当時の萩生田光一自民党筆頭理事、野党筆頭で今も当委員会にいらっしゃる笠浩史委員、公明党の浮島智子理事や、今日もこの場におられる吉川元委員や山本ともひろ理事、そして馳浩さんなども一緒に、委員会として、足立区の足立第四中学校の夜間中学の視察にも出かけました。

 あのとき、私の質問に対して下村文科大臣が、「それぞれの県内の生徒をこの夜間中学に対応できるようなことを市町村じゃなくて都道府県が考えれば、十分可能性はあるのではないか」と答弁されて、夜間中学の問題が動き始めたわけであります。

 末松文部科学大臣も、昨年十一月の九日、東京都の江戸川区立小松川第二中学校を視察され、教育の原点であると感じましたと述べられたと聞きました。

 夜間中学校に関する大臣の認識はどのようなものか、まずお聞かせいただきたい。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 夜間中学、我が国又は本国において義務教育を修了できなかった方、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方などに対して、教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たしているものと考えております。

 先生おっしゃいましたように、昨年十一月に、小松川の第二中学校夜間学級、お伺いをさせていただきました。若手の先生からは、生徒の学びたい意欲が強く、一人一人に応じた教材研究に励んでいると。不登校だった生徒からは、ここで勉強したいと自分で決めて、笑顔で通った、ここに入ってよかった、学校は楽しい場所だと知ったという声を直接お聞きをしました。私も、教育の原点と思っておりますのですけれども。

 特に、中学校のときにいじめに遭って、学校に行かなくなって不登校になった、そして、高等学校に行ったんですけれども、ついていけないのでまた行かなくなった、そのときに、自分の意思でもって、お母さんと相談して、夜間中学でもう一度きちっと学び直しをしようという卒業生の方がおられたんですけれども、懇談会のときに出てこられたんですけれども、また、文部大臣室にお見えになったんですけれども、やはり人生を大きく変えたなというところで、立派に成長されておられる姿を拝見しました。

 また、八十二歳のお年寄りの方が、やはり義務教育を修了されていなかったので、一生懸命掛け算を計算して、せめて計算だけでもできる人間でありたいということで、一生懸命取り組んでおられる様子を見まして、外国人の方もおられましたけれども、感心なり感動いたしたところでございます。

宮本(岳)委員 政府として、全ての都道府県や指定都市に少なくとも一つは夜間中学が設置されるよう促進する、こうされております。

 現時点での夜間中学の設置、検討状況はどうなっているか、初等中等教育局長、お答えください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 令和四年四月時点で、十五都道府県三十四市区、計四十校の夜間中学校が全国に設置されております。

 特に、この四月には、新たに、北海道札幌市の星友館中学校、神奈川県相模原市の大野南中学校分校、香川県三豊市の高瀬中学校、福岡県福岡市の福岡きぼう中学校の四校が開校しているという状況でございます。

宮本(岳)委員 増えてきていることはよいことだと思います。しかし、全ての都道府県、指定都市に少なくとも一つという状況にはまだ距離があると言わなければなりません。

 文科省としてどのような支援を行っておりますか。

伯井政府参考人 文部科学省といたしましては、この令和四年度予算におきましても、夜間中学校における教育活動充実のための委託事業のほか、夜間中学の更なる設置促進を図るという観点から、新設準備、運営に係る補助事業を計上しております。

 また、平成二十九年の義務教育費国庫負担法改正によりまして、都道府県が設置する夜間中学校の教職員給与費についても国庫負担の対象としております。

 全都道府県、指定都市に少なくとも一校設置されるという目標を掲げておりますので、設置に向けた自治体の取組を更に促してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 夜間中学の設置が進まない要因として、夜間中学を必要とする人がいることが見えにくく、行政がニーズを把握できていないとか、設置のために何をしたらいいのか自治体が分かっておられないという指摘があります。

 そこで、ニーズ調査の支援などを予算で行っているというわけでありますけれども、設置に向けて動き出すことが重要だと考えます。ニーズ調査を行っている都道府県、指定都市はどれぐらいございますか。

伯井政府参考人 令和元年度に行いました夜間中学校等に関する実態調査では、全都道府県、指定都市教育委員会に対して、夜間中学の新設に向けた検討、準備の状況として、御指摘ありましたように、ニーズ調査の実施ということについてもお尋ねをいたしました。

 その結果、四十七都道府県のうち二十八自治体、二十政令指定都市のうち三自治体から、ニーズ調査を実施しているという回答があったというのが現状でございます。

宮本(岳)委員 二〇二〇年十月に実施された国勢調査において、学歴に関して、小中学校を分離して回答することといたしましたが、その結果が今年五月には公表されると聞きました。こうした実態が明らかになれば、夜間中学の必要性は増すことになると思います。

 全ての都道府県、指定都市に少なくとも一つの夜間中学というならば、まずはそのニーズを全ての都道府県、指定都市で把握することが必要だと思います。しっかり、自治体に、ニーズを把握するように、情報提供を含めて行っていくことを求めたいと思います。

 さて、先ほども答弁があったように、夜間中学は、この四月開校も含めて、十五都道府県三十四市区に四十校となっておりますけれども、現在、何校、何%で給食が実施されておりますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 夜間中学は、先ほど言ったように四十校ございます。現状において給食を実施しているということで、この四月十四日時点でどうかということをちょっと昨日調べさせていただきまして、そのうち回答があったのが実は四十校中三十六校でございますが、その三十六校のうち、給食を実施している夜間中学校は十三校でございます。

宮本(岳)委員 かつては、大阪市内の三つの夜間中学を始め、私が最初に夜間中学をお訪ねした岸和田市立岸城中学校など、ほとんどで補食給食がございました。今ではそれは廃止をされてしまっております。しかし、手厚い自校調理の完全給食を実施している夜間中学もあるんです。

 資料一を見ていただきたい。当委員会が九年前に視察をした足立区立第四中学校の四月の給食献立表であります。四月十五日、今日の献立、主食はかきたまうどん、おかずにはニギスの石垣揚げ、いそあえ、デザートに草だんごまでついております。

 資料二は、同じく東京の大田区立糀谷中学校夜間学級の献立表。今日は、カレーライスとツナサラダ、果物、こうなっております。

 昨日調べていただいた夜間中学の給食一食当たりの平均費用でありますけれども、これは幾らぐらいになっておりますか。

伯井政府参考人 給食を実施している先ほどの十三校ですけれども、その中で完全給食を実施しているところは、一食当たりの平均が三百十九円、補食給食の場合は一食当たり平均百十五円、ミルク給食五十三円、パンとミルクの提供をしているところは平均百三十六円という結果でございました。

宮本(岳)委員 私は、先ほどの足立区の四中及び大田区の糀谷中学校の給食費を、我が党区議会議員団を通じて問い合わせました。答えは、足立四中三百四十八円、糀谷中学三百四十円でございました。

 一方で、二〇〇八年度をもって補食給食をやめてしまった大阪市についても問い合わせましたが、当時の費用は、パンとミルクで八十八円、果物が三十円、ジャムやバターが十四円、当時で一食百三十二円という回答を得ました。

 大臣、夜間中学は午後五時半から授業が始まって、午後九時までの授業時間を考えれば、やはりパンとミルクぐらいは食べさせてあげたいというのが人情だと思うんですね。僅か一食百三十六円とか、これぐらいは国がお金を出してでも生徒さんたちに食べてもらいたいと私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

末松国務大臣 私が訪問しました小松川第二中学校夜間学級ですけれども、給食は出ておりました。

 義務教育諸学校における給食の実施は、もう先生御承知のとおり、学校給食法の規定によりまして、努力義務とされております。第四条に書いております。

 その上で、夜間あるいは昼間を問わず、給食等を実施をするかどうかは、給食費への支援を行うかどうかにつきましては、地域や生徒の実情を踏まえて、設置者である各自治体において適切に判断されるべきものであると考えてございます。

 文部科学省におきましては、様々な機会を通しまして、夜間中学を含めた学校給食の意義等は周知をすることにしておりますので、関係者の理解を求めてまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 まあ、教育の原点だとおっしゃるのであれば、それぐらいはやっていただきたいと思います。

 次に、本年四月より成年年齢が引き下げられることとなりました。これに伴う対応について、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題についても対応を求める声が数多く寄せられております。

 今年三月三十一日、政府は「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージを決定をいたしました。同時に、四月は若年層の性暴力被害予防月間ということで、資料三におつけをいたしました、こういうチラシも配っているとのことです。この同じデザインのポスターもございまして、私の部屋にも張り出させていただきました。

 改めて、配付資料三の赤の下線部を見ていただきたい。成年年齢の引下げに関わって、「十八歳、十九歳の方は、未成年であることを理由とした契約の取り消しができなくなります。」と書いてあります。もちろん、これを周知して注意喚起するのは当然であり、大事なことでありますけれども、ただ、それだけだと、詐欺的手法で既に契約をさせられてしまった被害者は、このポスターを見て、逆に、そうか、取り消せないんだと泣き寝入りをしてしまうのではないかという不安も残ります。

 そこで、今日は内閣府に来ていただいております。もちろん、下には「一人で悩まず相談してください。」とあり、たとえ成人であっても望まない性的な行為は性暴力である旨も書かれております。これは、十八歳になったら契約を慎重にするよう呼びかけるとともに、たとえ契約してしまった場合でもためらわずに相談してほしいという趣旨のものだと私は思いますが、間違いないですね。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 アダルトビデオへの出演に関する被害の問題は、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、あってはならないことと認識しております。

 御指摘の件でございますが、まさに「一人で悩まず相談してください。」ということで、このリーフレットの一番下にありますように、内閣府では、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、こちらは全都道府県五十二か所に設置されております。「はやくワンストップ」、シャープ八八九一という短縮番号も設けまして、ここで相談をするようにということで、こうしたポスター、リーフレット、チラシなどを、大学、また文科省を通じて、教育委員会を通じて高校等にも周知を依頼をしたというところでございます。

 このワンストップ支援センターは、緊急避妊薬の処方や証拠の採取などの医療的な支援のほかに、弁護士を紹介するなどの法的な支援も行っておりまして、地域における被害者支援の中核的な役割を担っております。

 先ほど委員御指摘のとおり、私ども行政府として、できることは全てやるという観点から、三月に緊急対策パッケージを、関係省庁の局長を招集して決定をしたところでございまして、その中の柱の一つとして、被害者保護に係る各種法制度の運用強化というのを掲げまして、各種法制度を周知をいたしまして、対応を強化するために、このワンストップ支援センターに対しても、弁護士相談や弁護士紹介の法的支援を更に積極的に進めるよう周知をし、指示をしたところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 今、高校生世代をAV搾取から守ろうと、超党派で新たな立法化を検討する動きも始まっております。私たちもしっかりと必要な法整備に取り組んでいきたいと思っております。

 同じく、成人年齢が引き下げられるのを受けて、大手銀行の三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行は、カードローンについて、二十歳以上が利用可能とする現在の条件を維持することにしたと報じられております。

 カードローンは、無担保で数百万円を借りることができ、返済能力を上回る貸付けにつながりかねないという懸念があるためで、みずほ銀行は、過大な債務を負うことがないよう十分な配慮が必要で、今回のタイミングでの十八歳への引下げは見送ったとしております。

 一方、カードローンは多くの消費者金融業者も手がけておりまして、成人年齢の引下げに合わせて、金融庁と日本貸金業協会が、業者に対して、二十歳未満に貸付けを行う場合には、金額にかかわらず、収入の状況を示す書類を確認するよう求めているとも報じられました。

 私は、三月二日、本委員会の質疑の中で、奨学金の一括請求の問題を取り上げ、日本学生支援機構法施行令第五条第五項には、支払い能力があるにもかかわらず割賦金の返済を著しく怠ったと認められるときはとあるが、日本学生支援機構が丁寧な説明のないまま法的措置を取るという極めて不誠実な対応を明らかにし、改善を求めました。末松文科大臣も、分かりやすい通知文書となるよう努めたいと述べられました。

 現在の検討状況、進捗はどうなっているか、高等教育局長にお答えいただきたい。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の先生からの御指摘を踏まえまして、丁寧な説明を図るとの観点から、奨学金の貸与を受ける学生及び返還者に、必読、重要として示しております「奨学生のしおり」というものがございます。そういう資料や、延滞者への通知文書に、御指摘いただいた日本学生支援機構法施行令第五条第五項に関する一括請求を含め、分かりやすく記載するよう、現在作業を進めているところでございます。

 文科省といたしましては、奨学金に関して、利用者目線で、丁寧で分かりやすい説明に努めるとともに、特に、厳しい経済状況などで奨学金の返済が困難な方には、一括請求に至る前に、返済期限猶予や減額返還制度を利用していただけるよう周知を図るなど、丁寧な対応に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 あの質問後にも、月々三万二千円の支払いをしてきたにもかかわらず、支払い能力があるにもかかわらずという説明なく、いきなり五十八万円の一括請求をされた、こういう相談なども寄せられております。早急な対応が求められると思うんです。

 丁寧で分かりやすい説明となるよう改善すると言う一方で、文部科学省の説明は、督促を受けても、返還期限の猶予等の手続などの連絡がなく、延滞を続けている者を、これまでどおり、支払い能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠った者とみなすという説明の繰り返しでありました。

 これはつまり、宮本に指摘されたから、言葉だけは施行令五条五項どおり正確に書き込むが、扱いも解釈も変えるつもりはさらさらない、今までどおり、一括返還を求め、裁判に訴えるということですか、高等局長。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 学生支援機構の返還金の回収につきましては、先生御案内のとおり、まず、延滞三か月までについては、本人に対し督促をし、その過程で、返還者への通知のたびに、返済制度がありますよという案内もしておりますし、さらに、延滞三か月以上の場合、その際には、個人信用情報機関に登録をさせていただくということになります。また、延滞九か月以上、そういう場合になって初めて法的措置ということになりますが、返済者への通知のたびに救済制度の案内をするというきめ細かい対応はしているということは事実でございます。

宮本(岳)委員 先ほど、成人年齢の十八歳への引下げに関して、金融庁と日本貸金業協会が、業者に対して、二十歳未満に貸付けを行う場合には、金額にかかわらず、収入の状況を示す書類を確認するよう求めているという報道を紹介いたしました。

 聞きますけれども、日本学生支援機構は、学生への奨学金の貸与に当たって、本人の収入の状況を示す書類を確認しておりますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 本人というよりも、親の所得の、収入の確認をしているということでございます。

宮本(岳)委員 それは、本人は、大半は無収入の学生ですから、本人の収入の確認などしようがないんですね。担保も取っていないんです。将来の収入の保証もなく、担保も取らずに数百万円の貸付けを行うのは、この事業が貸金業ではなく奨学のための制度、奨学金だからこそなんです。しかし、そうであるならば、貸すのではなく給付するのが奨学金の当たり前の姿だと、私は下村大臣当時から繰り返し求めてまいりました。

 配付資料四を見ていただきたい。

 国立国会図書館の調査室が私に提出した資料であります。特に、赤線を引いたフランスを見ていただきたい。憲法により、公教育は無償とされている。しかし、年間登録料を名目として年額百七十ユーロ、約二万二千円の支払いが必要とあります。一方で、奨学金は年額で十三万四千円から七十三万八千円が給付される。これは返済の必要のない給付型奨学金です。

 先日、私は、地元の大阪経済大学の学生たちと対話をいたしました。大阪経済大学は、大阪の私立大学の中でも、授業料だけなら年間七十五万円と、最も安い大学の一つです。それでも、フランスの年間学費二万二千円、奨学金は返済の必要なく七十三万円、二万二千円払っても七十万円以上余り、月六万円程度のお金を国からもらいながら大学に通っているんだよと話すと、それは本当の話ですかと驚き、同じ地球上に存在する話だとは思えない、夢のような話ですという反応がありました。

 大臣、こういう学生の反応を聞いて、今日の日本の高等教育の非常識な高学費を恥ずかしいとお感じになりませんか。

末松国務大臣 先生、よく言われますヨーロッパの大学と日本の今までの大学、運営してきた在り方というのは異なることがございます。

 一般的に、高等教育を受ける場合は誰が払うべきかといったら、やはり親と答える方もかなり多いと。今ちょっと手持ち資料はございませんので、そう答える方も多くて、社会の実態はヨーロッパとはちょっと異なる面があろうかと思うんです。

 それで、日本学生支援機構の奨学金事業は、貸与した学生からの返金が次世代の学生への奨学金の原資となるため、支払い能力がある方からはしっかりと返還をいただくことが重要であるというふうに考えてはおります。

 一方で、所得が低いなど経済的な返還が困難な方につきましては、返還期限猶予制度などの利用を可能としております。

 延滞後一切連絡がない方については支払い能力がないと判断することになれば、年収が高い方も返還を免れるなどのモラルハザードを引き起こしかねませんので、日本学生支援機構では、返還者からの情報提供がなければ返還者の経済状況を把握できませんので、返還に困難を抱えている方については早期に相談をいただくように考えているところでございます。

 先生おっしゃるようにお寒いかどうかということにつきましては、ちょっとこれは一概には申し上げられにくいんですけれども、精いっぱい、修学支援制度、この貸与型、対応はしてきておりますので、私は大きな支えにはなっていると思ってございます。

宮本(岳)委員 返還金を原資にして貸すから借りたものは返してもらわないかぬという話は、もう前々から何百回と聞いてきたんです。ただ、それは給付型奨学金がなかったですから、なるほど、世の中の奨学金はみんな返さないかぬかった時代の話でありまして、今は給付型の奨学金をやっているわけですね。つまり、奨学金は必ずみんなが返すかというと、返さなくていいという話が存在しているわけですから、私は事情が変わってきていると思います。

 昨日知ったんですが、私の秘書さんも、学生時代に一年間フランスに留学をしておられたと。もちろん学費は無償の上、留学生にも年間三十万円程度の返済の必要のない給付奨学金がもらえたと御本人が語っておられましたから、間違いないことだと思うんですね。

 それを、日本の大学や専門学校の学費は世界でも非常識に高い上、奨学金も圧倒的多数は貸与型の借金、それも多数はいまだに利子付借金なんですよ。おまけに、返済が滞ったら、本人の収入や支払い能力を調べることさえせず、督促を受けても延滞を続けているというだけで消費者金融以上の厳しい取立てを行う。これは一体どういう了見なのかと言わなければなりません。消費者金融はちゃんと本人の収入状況を確認せいと言っているんですけれども、確認していないんですからね、というような状況になっている。これは一体どういう了見なのかと言わなければなりません。高等局長、お答えいただけますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 日本でも、先生御案内のとおり、令和二年度から修学支援新制度ということで、低所得世帯については手厚く支援するということになっています。

 先生、フランスを引き合いに出しましたが、フランスの無償制度については、収入が高い人も低い人も同じように無償ということで、逆進性だという批判があるというふうな話も実は出ていると聞いています、それがいいかどうかは別といたしまして。また、フランスの場合は国立大学がほとんどでございまして、税制も付加価値税が二〇%ということで、日本となかなか単純には比較できないのではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、学生の修学支援については引き続き検討が必要だというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 逆進性だなんという話、どこにあるんですか。

 先ほどの少人数学級と同じで、大学の学費が高過ぎて、経済的困難で学べないという学生が出ることは大変問題だと、党派を超えてそんな議論をやってきましたよ。そんな、不公平だとか逆進性だと、少なくとも、この文部科学委員会の議論の中で聞いたことはありません。本当にひどい話だと。

 財務省が言うなら分かるけれども、高等教育局長たるものが何たる答弁をするんですか。いや、もういいですよ、もう答弁してしまったんだから。

 資料を見ていただきたい。

 日本学生支援機構は分かっているんです、滞納している方々がどんな状況になって、資料五ですね、最後。済みません、五を見ていただきたい。分かっているんです。この表を見ていただいたら、これは学生支援機構が自ら取り組んだ調査結果でありますけれども、この太い線から上が年収三百万円以下という方々であります。

 それで、滞納している理由を本人の低所得と回答した方の年収を見ると、三百万円未満が八二・三%、滞納者全体で見ても七割は年収三百万円に満たないということをちゃんと支援機構は分かっている、自らのアンケート結果で。年収三百万円未満というのは、自ら支払い能力がないということを認め、返済猶予が認められる水準なんですね。

 ですから、先ほど、モラルハザードが生じると大臣も答弁されました。なるほど、九百万円を超えていても滞納している人がいますから、この方々にとっては、これ、見逃したらモラルハザードになるでしょう。しかし、そんな方は〇・三%とか〇・何%じゃありませんか。一%にも満たない高額な方々を逃がしてはならないと、七割の人は三百万円を下回っていて、実際は返済能力がないにもかかわらず、とにかく大きな網をかけて全部一括返済を求めている。こんなむごいやり方はないと思うんですね。

 私は、文言の修正で済む問題ではない、根本的に正すべきだと思いますが、最後に文科大臣の御答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

末松国務大臣 先生、最初お認めになったとおり、年収が九百万円の方が十三人おられて、そのうちお二人は低所得だと言い張っておられるということは非常に矛盾した話ですけれども。ただ、年収三百万円未満だったらモラルハザードはないではないかと言われるんですけれども、ただ、やはり、お借りになって、返済をされた方も、始めた方もおられます。

 私、前も申し上げたんですけれども、震災で、阪神のときでしたけれども、災害援護資金貸付金でも、二千円でも、一生懸命少額返済をされ続けておられる方というのは、やはり公平に対応しておりますので、その点については是非理解をいただきたいんですけれども、制度そのものについてはよりよい制度に改めていく、その必要性は重要だと考えてございます。

 ちょっとなかなか、先生のお気持ちはよく分かりますが、答えられるのは、難しいですね、先生。

宮本(岳)委員 今は給付型奨学金が始まっていますからね。全員が返さねばならぬということではなくなってきていますので、しっかりと、みんなが安心して学業を続けられるようにお願いをいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

義家委員長 次に、内閣提出、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。末松文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

末松国務大臣 この度、政府から提出をいたしました国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 世界のトップレベルの研究大学は、最先端の研究の推進のみならず、イノベーションの創出や社会課題の解決などを牽引してきておりますが、我が国の研究大学は、一定の分野の研究において成果を上げてきたものの、近年、その地位が相対的に低下してきている状況にあります。その背景には、欧米を中心としたトップレベルの研究大学が、自律的な経営により生み出した豊富な資金力を生かし、人材の集積や高度な研究基盤の構築などを進めていることがあります。このため、我が国においても、大学ファンドの運用益を活用し、世界と伍する研究大学となることが相当程度見込まれる大学に対して、総合的な支援を行うことが急務となっております。

 この法律案は、このような観点から、我が国の大学の国際競争力の強化及びイノベーションの創出の促進を図るため、国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学について、国際卓越研究大学の認定、当該国際卓越研究大学による事業の実施に関する計画の認可、当該事業に関する国立研究開発法人科学技術振興機構による助成等について定めるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、文部科学大臣は、国際卓越研究大学の認定、国際卓越研究大学による事業の実施に関する計画の認可、国立研究開発法人科学技術振興機構による助成等に関する基本方針を定めることとしております。

 第二に、大学の設置者は、当該大学が国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれるものであることの文部科学大臣の認定を受けることができることとしております。

 第三に、当該認定を受けた国際卓越研究大学の設置者は、当該国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化の目標、目標を達成するための事業等を記載した計画を作成し、文部科学大臣の認可を受けることができることとしております。

 第四に、国立研究開発法人科学技術振興機構が、当該認可を受けた計画に記載された事業に関する助成を行うこととし、国立研究開発法人科学技術振興機構は、当該助成の実施に関する方針を定め、文部科学大臣の認可を受けなければならないこととしております。

 このほか、計画の認可を受けた国際卓越研究大学の設置者からの定期報告、認定及び認可の取消しに関する規定を設けるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.