衆議院

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第10号 令和4年4月22日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年四月二十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      神田 憲次君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    藤丸  敏君

      船田  元君    古川 直季君

      松本 剛明君    三谷 英弘君

      山口  晋君    荒井  優君

      坂本祐之輔君    白石 洋一君

      吉川  元君    吉田はるみ君

      笠  浩史君    早坂  敦君

      掘井 健智君    岬  麻紀君

      山崎 正恭君    鰐淵 洋子君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            合田 哲雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       千原 由幸君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            池田 貴城君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     藤丸  敏君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     木原  稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官吉住啓作君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官合田哲雄君、財務省主計局次長奥達雄君、文部科学省初等中等教育局長伯井美徳君、高等教育局長増子宏君、科学技術・学術政策局長千原由幸君、研究振興局長池田貴城君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 おはようございます。自由民主党の柴山昌彦です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 恐れ入りますが、質問数が多くなりますので、御答弁は是非簡潔にお願いいたします。

 法案審議に先立って伺います。

 私は、超党派の共同養育支援議員連盟の会長を仰せつかっており、子供の養育にそれぞれの親御さんが別居あるいは離婚後も責任を持つ社会の実現を目指しております。以前、串田誠一元衆議院議員が本委員会で、当時の萩生田文部科学大臣や三谷政務官に対して、別居中の、あるいは離婚後同居されていない親御さんが学校行事に参加できないことの問題点を質問されていました。

 確かに、行事や子供の混乱を防ぐという要請は理解できますが、何らかの工夫をしている事例はないのでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申します。

 一般論として、父母の別居後も父母の双方が適切な形で子供の養育に関わることは、子供の利益の観点から重要であると言えるというふうに考えております。

 別居親による学校行事の参加については、様々な状況があると思われます。現在、文部科学省において教員や教育委員会に聞き取りを行っている中では、学校は、父母間の協議あるいは子供の意向、場合によっては家裁の審判等を踏まえまして、個別のケースに応じ、両者の同意の下に行事の参加を認めているケースもあれば、あるいは、同居親の同意が得られない場合など、行事は参加できないということで、学校として、教育委員会のスクールローヤーに相談しながら対応しているような事例があるというふうに承知をしています。様々な工夫をしているというところでございます。

柴山委員 是非、一方当事者だけの意見に偏った運用がされないように、今お話があったように、様々な工夫をお願いしたいと思います。

 また、別居親には子供の成績や健康状態を通知しなかったり、あるいは、居場所を知らせないように転校させたりする事例があるということも伺っています。DV防止法二十三条一項に定める安全配慮を踏まえての措置であろうかと思いますが、逆にそれが子供のために不合理な場合もあるのではないでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 配偶者暴力防止法第二十三条一項は、職務関係者による配慮等として、DV被害者の安全の確保及び秘密の保持に十分配慮しなければならないとしております。

 一般論として申し上げれば、この条項は、配偶者からの暴力に係る被害者について規定したものであり、DV加害者でない場合について、御指摘のような対応をすることは想定しておりません。

 議員御指摘の、DV加害者でないにもかかわらず子の状況が分からなくなった場合については、個別具体の事案によりますが、これにより心身に有害な影響を及ぼしたものと認められる場合には、配偶者からの暴力に該当する可能性もあり得ると考えます。

柴山委員 今おっしゃったように、本当にそういった事例があるのかどうかということをやはり確認するための努力というものが必要だと思います。

 それでは、法案審議に移らせていただきます。

 日本の大学発の引用論文数が低下するなど、競争力の低下が容易ならざる事態にあるというふうに考えています。

 これまで、文部科学省や内閣府などで、研究力強化のために、科学技術・イノベーション基本計画に基づいて、例えば、科研費など予算の増額ですとか、あるいはSIP、PRISM、ムーンショット型研究開発の推進などですとか、そういったことをしてこられたと思うんですが、今回の大学ファンドの活用によってこれらの事業がどのような影響を受けるのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

大野副大臣 ありがとうございます。

 既存の大学の資金支援のお尋ねをいただきました。

 主に三つに分けられると思いますけれども、まずは基盤的経費、これは、運営費交付金でありますとか、あるいは、私立大学におきましては経常経費の補助金とかでございますが、これは、基本的には、まさに字義どおり基盤的な経費ということでございますので、研究環境の整備には必要不可欠ということになりますので、今後とも必要だというふうに認識をしております。

 また、御指摘いただきましたような科研費を含むような競争的資金につきましても、研究者の自由な発想あるいはやる気を引き出すという意味で、多様な研究者の育成をしっかりと引き出していくということで、これも必要だということであります。

 それから三つ目におきましては、お触れいただきましたとおり、SIPとかPRISMとか、まさにCSTIが司令塔の機能を果たしてターゲット領域を定めて、その中で大学の基礎的な研究力をしっかりと社会実装につなげていく。

 この三つの主に柱が立っておりますけれども、お尋ねの大学ファンドにおきましては、まさに目的がちょっと違うところがありまして、世界と伍する研究大学の実現に向けて、諸外国のトップレベルの研究大学との資金力の差を縮める、そしてファンドの運用益によりまして大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うものでありまして、従来の支援策とは全く目的が異なり、大学自身の明確なビジョンに基づく前例のない改革を通じた研究基盤の抜本的強化を行う取組を支援することとしておりまして、その使途については、可能な限り、各大学の自由裁量の下、柔軟かつ適切に決定されることが重要だと考えております。

 このように、政策目的が異なりますから、既存の基盤的経費あるいは競争的資金、あるいはSIP、PRISM等のCSTIの措置、これも同時に行うということが全体的な研究力の向上あるいは人材の育成に非常に重要だと考えてございます。

柴山委員 要は、既存の仕組みが影響を受けるものではないということで、安心をいたしました。

 大野副大臣におかれましては、御退室をいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 今、副大臣からお話があったとおり、ハーバードやエールやオックスフォード、ケンブリッジなど諸外国の大学はそれぞれが兆円単位の基金を持っておりまして、僅か百億程度の日本の一流大学とは桁が違うわけであります。

 そもそも、国立大学を法人化して経営力の強化を目指したはずなんですけれども、そのために運営費交付金が若干削られてきたという背景があるかと思いますが、その効果があったんでしょうか。

 今回の法案で、大学ファンドによって支援をすることで、対象となる個別大学の財務基盤は確かに今お話があったとおり厚くなるとは思いますけれども、では、将来、このファンドによる支援を卒業できるという見込み、要件が必要ではないでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 国立大学の法人化以降、大学の裁量を確保し、経営力向上に資する規制緩和を拡大してまいりました。この結果、教育研究活動の活発化や外部資金等の増収といった成果につながっているものと評価しております。また、学長のリーダーシップ強化などによるガバナンスの充実や、大学の特性を反映した柔軟で弾力的な給与体系の導入、展開なども進んでおります。

 一方、我が国の国立大学の財政基盤は今なお脆弱であり、財源の一層の多様化、拡大が必要であることや、学外を含めた経営を担う人材の確保や経営意識の更なる向上が求められること、若手研究者の安定的なポスト確保等の取組が十分ではないことなどが課題として挙げられます。

 特に財政基盤に関しては、欧米のトップレベルの大学では、今おっしゃったように、数兆円規模の独自基金の運用益を活用し、研究基盤や若手研究者の投資を充実しており、我が国の大学の研究力が相対的に低下する一因となっていると考えております。

 このような資金力の差を各大学の力のみで直ちに解決することが困難であることから、今般、国の資金を活用して大学ファンドを創設し、その運用益により大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うものとしたものでございます。

 同時に、国際卓越研究大学は、大学独自基金を造成するなど自律的な財政基盤を確立し、将来的には、今おっしゃったように、大学ファンドの支援からは卒業し、持続的に事業規模の拡大を図る大学へと成長していくことが望ましいと考えております。そのため、大学からは、支援を受けるに当たって、このような将来的な卒業も見据えた計画を提出していただき、審査することを想定しております。

柴山委員 元々の金額というか、基金の額が日本と諸外国で違う、だから諸外国はその運用益が多いというお話だったかと思うんですけれども、じゃ、実際にお金をいっぱい出せばそれを諸外国並みにきちんと増やしていけるのかどうかというところがまさに問題だと考えております。

 法案の四条三項六号では、この国際卓越研究大学については、研究に関する業務の執行と管理運営に関する業務の執行との役割分担が適切に行われていることなどが求められておりまして、経営を学外者中心の合議体で行うということが想定をされています。

 実は、この教学分離という考え方は、私の大臣時代の大学改革についても、大学の自治から問題だという声が一部にありましたけれども、これについてはどのような説明がなされるのでしょうか。また、改革を推進するために、私、学長のリーダーシップが必要だと思っています。ただ、その一方で、暴走や不祥事はチェックするというのがガバナンスだと思っておりますが、その工夫もどのようにされているかということについても説明してください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 合議体によるガバナンスは、世界と伍する研究大学の実現に向けて、大学が内外の動向を踏まえつつ自律的に成長していく戦略を策定、実行できるよう設置を求めております。

 今回の制度改正について検討した有識者会議においても、合議体は、事業・財務戦略の策定など、大学経営に関する重要事項の決定を行い、教学事項等に関するマイクロマネジメントは行うべきではなく、個々の研究内容や講義のシラバスの内容などの教学事項については介入すべきではないとされております。

 合議体の構成員の人選等につきましても、世界と伍する研究大学の使命を踏まえつつ、あくまでも各大学法人において御検討いただくものと考えており、大学の自治を侵害するものではございません。

 また、世界と伍する研究大学の実現に向けては、大学の長のリーダーシップの発揮が一層重要であり、合議体には多様な知見を持って大学の長をサポートする役割が期待されますが、一方で、財源の多様化に対応した利益相反の管理など組織的なコンプライアンスの確保、強化も重要でございます。このため、合議体の構成員の選考については、執行に関する監督機能を強化するというミッションを体現する形で行われるべきだと考えております。

柴山委員 ありがとうございます。

 今御指摘になられたとおり、利益相反を防いだり、あるいは暴走のチェックをしたりということは当然必要ですし、また、経営をどのようにするかということについては、しっかりとトップと学外者が平仄を合わせて協議をできる、ただ、それぞれの講義の内容については、きちんとそれぞれの先生方が大学の校風などに即して自ら考えていただくという形で整理をしていただきたいというふうに思います。

 具体的に、国際卓越研究大学として選定される基準ですね、今後、文部科学省令で定めるということになろうかと思いますが、国際的にも優れた研究成果を生み出すというような大学を客観的に判断できる内容というふうに果たしてこの省令がなるのかどうかが問題です。

 実は、既に、指定国立大学法人、これは国立大学の中でも傑出した立場を持つ大学法人、これが十あるわけですね。今回の卓越研究大学には私立大学も含まれるということになりますけれども、ただ、合計では僅か数校というふうに想定されておりまして、かなり厳しい絞り込みが予定されているというふうに考えますが、この基準づくりについてどのように説明をしていただけるでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、国際卓越研究大学の認定基準として、主に三つの観点から規定しております。

 一点目は、国際的に卓越した研究及び経済社会にインパクトを与える研究成果活用の実績及び体制、二点目は、先ほど申し上げたような研究や研究成果活用を持続的に発展させるための財政基盤、三点目は、国内外の研究動向等を踏まえて、効果的な資源の確保、配分を行う運営体制や研究及び管理運営業務の組織的な業務執行体制の三点でございます。

 認定基準の具体的な中身については現在検討中であり、例えば、研究の実績などについては国際的に優れた論文の数、知的財産収入、教員、職員の比率、産学連携体制などを指標として、文部科学省令で規定することを想定しております。

 なお、審査に当たりましては、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力について専門的知見を有する総合科学技術・イノベーション会議、そして文部科学省の科学技術学術会議の意見を聞くこととしております。

 また、指定国立大学法人制度との関係でございますけれども、この制度は、世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人を指定するものでございまして、出資対象範囲の拡大や余裕金の運用の認定に関する特例等の規制緩和を認めております。そのため、高い研究水準を有する大学を対象とするという点で、国際卓越研究大学制度と一定程度共通する部分もございます。

 一方で、今回の国際卓越研究大学制度は、国公私立大学共通の枠組みであること、対象大学に中長期的な事業成長や自律と責任あるガバナンス体制の構築が求められていること、また、世界トップレベルの研究大学と伍するための研究環境や体制を構築する計画について大学ファンドによる支援を予定していることなど、指定国立大学法人制度とは対象大学に求める条件や支援方法において異なる制度となっております。

柴山委員 要するに、今の説明ですと、国際卓越研究大学というのは、やはり、成長ということも求められているということ、それとあと、論文数も含めて、世界的にトップレベルである、これは指定国立大学法人も、優れた研究開発ができるということで重なる部分もあるということなんですけれども、恐らく、より優れた成果を求められるということで、この卓越研究大学というのは一歩更に上の段階を目指すということだと思いますので、そこはしっかりとした審査をお願いいたします。

 ちなみに、この法案からは離れるんですけれども、私が大臣時代に指定国立大学法人として認めることにさせていただいた一橋大学が、その後、思うような成果を上げていないという情報を得ています。今後、この一橋大学については、指定国立大学法人との関係ではどのようにされるのでしょうか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の一橋大学につきましては、構想調書に掲げた取組の十分な進捗が確認できませんでした。また、申請時に満たしていた指定国立大学法人の申請要件をその後満たさなくなったということでございますので、現在、原因分析と対応策の説明、これも十分でなかったという状況でございます。

 この指摘に対しまして、文科省が設置しております指定国立大学部会におきまして、一橋大学において学内で徹底的な議論を行っていただくとともに、国立大学法人評価委員会においても、今年度中に改めてヒアリングを行いまして、指定国立大学法人としての継続の可否を判断するということになっておりますが、文科省としましても、認定したということもございますので、しっかりとフォローアップしてまいりたいと考えております。

柴山委員 私の大臣時代には、例えば東工大との連携をしっかりやります、それから統計データという今非常に政治の場面でも問題となっているこの分野について力を入れます、文理融合をやります、そういう様々なことをおっしゃっていただいた上でゴーサインを出させていただいたわけですから、それが進んでいないというのはゆゆしき事態だと考えます。しっかりとチェックをしていただきたいと思います。

 法案の質疑に戻ります。

 選定された国際卓越研究大学にのみ、しかも法人単位で年間数百億円の援助を行うということになりますけれども、それではほかの大学、特に地方で優れた研究をしている大学ですとか、あるいは法人レベルではなくて、学部、研究者レベルで世界レベルの傑出した研究をしている主体が置いていかれないかということが懸念をされています。

 お配りした資料を御覧ください。この資料の一と、それから次のページの資料二、これで、それ以外の方々についての配慮が示されていますけれども、それぞれの金額とかスケジュールが示されていません。どのように支援をしていくんでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国全体の研究力を強化するためには、先生御指摘のとおり、大学ファンドによるトップレベルの研究大学への支援のみならず、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学を強化することが重要と認識をしております。

 意欲のある多様な大学がそれぞれの強みや特色を十分に発揮して、最新のデジタル技術も利活用しながら、地域の経済社会の発展や国内外における課題の解決等を図っていくことができますよう、本年二月、政府といたしまして、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを策定いたしまして、令和四年度予算として四百六十二億円を計上させていただいております。

 今後は、各大学と対話をいたしながら、大学に寄り添ったきめ細やかな支援を行っていくとともに、これらの支援の取組状況や科学技術・学術審議会の下に新たに設置いたしました大学研究力強化委員会における議論も踏まえながら、総合振興パッケージの改定と必要な支援等を順次進めてまいります。

 また、全国の優秀な博士課程への支援も実施することとしておりまして、既に、大学ファンドによる支援に先駆ける形で、博士課程学生に対する経済的支援の抜本的拡充にも取り組んでいるところでございます。

 これらによりまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学と互いに切磋琢磨できる関係を構築してまいりたいと思っております。

柴山委員 配慮しているということは分かったんですけれども、ただ、今回、十兆円大学ファンドですよね。それで年率三%の成長ということになりますと三千億円。それで仮に六校指定されるとすると、一校当たり五百億円、年間にお金を出すということに鑑みれば、今、千原さんから御答弁いただいた、この一の図でいいますと、地方振興パッケージで四百数十億というのは、これはトータルの額ですから、ちょっとやはり、もっと増やさなくちゃいけないんじゃないのという気がしておりますので、そこはしっかりと配慮していただきたいというふうに思います。

 また、この要件について、持続的な財務基盤の成長ということで、想定される年成長率が三%ということですけれども、なぜその要件が必要なのでしょうか。人文系の学部や短期的には成果が必ずしも出ない基礎研究を軽視することとならないかと心配する声がありますが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 柴山先生にお答え申し上げます。

 諸外国のトップレベルの研究大学、確立された研究分野を牽引することに加え、新たな学問領域を生み出しまして、教育プログラムの革新を図るとともに、研究成果の社会実装や新産業の創出支援など、こういったことを担うなど、幅広い役割を果たしておりまして、大学機能を大幅に拡張しているところでございます。

 それに伴いまして、そうしたトップレベルの研究大学では、教育、研究、社会貢献にわたる大学全体の支出規模が拡大しておりまして、今先生お話ありましたように、年間三%以上の事業成長を実現しているものと承知をいたしてございます。

 国際卓越研究大学につきましても、このような諸外国のトップレベルの研究大学と同様、機能を拡張していただく必要があると考えておりまして、年間三%以上の事業規模の拡大を求めることといたしてございます。

 この大学の機能拡張に当たりましては、国際卓越研究大学の使命が、一つは最先端の知の基盤となること、そして二つ目、これからの社会変革を担うということであることを踏まえれば、自然科学のみならず、先生御指摘の人文・社会科学を含めた多様な知の創造と、文理の枠を超えた新たな学問領域の創出などに向けて、多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠と考えてございます。

 国際卓越研究大学には、自ら掲げる目指すべき大学像の理想の実現に向けまして、事業規模の拡大とそのための自己財源の獲得を進めていただきまして、新たに得られた財源の、資源の研究基盤への再投資によりまして事業規模の拡大を図るという好循環を生み出していただきたいと考えてございます。

柴山委員 文理融合、それから人文学部、それに配慮するということもありますけれども、さっき申し上げたように、基礎研究もしっかりと重視をしてほしいと思います。

 また、この三%の成長ということで、授業料が値上がりするんじゃないかと懸念をする声もあります。

 外部資金の多様化の道筋についての具体的な方策、あるいは大学法人の計画に求めること、短くお答えください。

池田政府参考人 お答え申し上げます前に、ちょっと一点訂正でございます。

 先ほど科学技術学術会議と申し上げましたが、正しくは科学技術・学術審議会でございます。おわびして訂正いたします。

 それから、先ほどの御質問に関しましては、今回、外部資金の多様化に向けて、大学には、組織単位での大規模な産学連携や大学発ベンチャー、それから関係者からの寄附や独自基金の拡充など、多様な財源の方策を求めております。

 また、授業料に関しましては、教育研究内容の充実と関係なく、単に事業規模を拡大させるための授業料の値上げといったものは、学生の経済的な負担を増加させるようなことになりますので、これは想定しておりません。

柴山委員 チェックをお願いします。

 そろそろ時間が迫ってきました。

 次に、大学ファンドの運用益を確保するために、JST、科学技術振興機構が管理を担って、その運用は外部の機関にこのファンドの委託をすることとなると聞いています。GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人と違って、中長期的に財務基盤を厚くするというよりは、これは毎年の安定運用と利回りを求める、そういうポートフォリオを組むことが必要になると思いますが、具体的なガバナンスの在り方などはいつ決まるのでしょうか。また、官製ファンドは失敗がつきものだという指摘もありますが、どういう人材を求めていくんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学ファンドの安定的な運用のために、長期安定的に世界経済全体の成長を取り込めますよう、市場の一時的な変動に過度にとらわれず、投資規律を遵守しつつ、グローバルな長期分散投資を行うこととしております。

 このため、科学技術振興機構、JSTに、運用業務担当理事として新たに喜田理事が着任しており、また、昨年十月には、JSTに置かれた運用・監視委員会の委員に元日銀副総裁の中曽委員長を始め専門家五名を文科大臣が任命し、大学ファンドの運用を昨年度末から開始しております。

 JSTにおいては、投資部門、リスク管理部門により業務運営上の牽制関係を確立するとともに、監査部門がこれを監査する、いわゆる三線防衛を機能させるなど、体制整備を図っているところでございます。

柴山委員 しっかりと運営してください。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 今回の法改正は大学に注目していますけれども、科学技術立国のためには、初等中等教育段階から、文理融合、チャレンジスピリットの涵養、あるいはギフテッドと呼ばれる理数系に特に秀でた者の飛び級の推進などといった抜本的な教育改革が不可欠だと考えます。そうした取組について大臣から道筋を伺って、質問を終わります。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、科学技術立国の実現のためには、今回の法案で御審議いただいているような高等教育段階の取組のみならず、初等中等教育段階から、子供たちがチャレンジ精神を持って自ら課題を発見し解決していく学び、主体的に取り組めるようにすることが重要であると思います。

 このため、例えば、新しい学習指導要領では、文系、理系にとらわれることなく、教科等横断的な学びや探究的な学びを充実しているところでありまして、また、児童生徒がチャレンジ精神や他者と協働しながら新しい価値を創造する力を育成できるよう、小中学校等から起業家教育の充実も図っているところでございます。

 さらに、多様な子供たち一人一人を誰一人取り残さず、個々の可能性を最大限引き出すために、リアルとデジタルを最適に組み合わせながら、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、令和の日本型学校教育を実現する方策について検討していくこととしております。

 委員から幾つか具体的な提案もいただきましたが、全体として申し上げましたら、我が国が科学技術立国として高い競争力を持ち、更に発展していくためには、まさに初等中等教育から一歩一歩確実に、これからの時代に必要な力を子供たちに育んでいくことが大変重要だと思います。先生御指摘の趣旨も踏まえまして、初等中等教育段階から大学等の高等教育段階まで見据えて、不断の改革を取り組んでまいりたいと思います。

 なお、先生今話がありました、初等中等教育段階における飛び級につきましては、知育に偏ったり、いろいろな議論をしております、先生も大臣時代あったと思うんですけれども、受験競争が過熱化しまして、保護者に無用の焦りを招くなどの問題点も指摘されているところに加えまして、国民的な理解がまだ得られていない状況であると考えておりまして、これまで中央教育審議会で議論されてきましたが、実現には至っておりません。慎重に考えたいと思います。

柴山委員 終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子です。

 本日も質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。

 本日は、内閣提出、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案について御質問をさせていただきます。

 財政投融資資金と政府の出資金で十兆円の大学ファンドを創設して、国際卓越研究大学を支援をして、世界に伍する研究大学へと成長させるという政策は、日本においても、そして世界においても、かなり異例の思い切ったものだと私は思います。だからこそ、この政策が今求められている背景や構造をしっかりと理解することが大事だと思います。

 昨年の四月の二十一日の本委員会における国立大学法人法改正法案の審議において、私は、二〇〇四年の国立大学法人化から今までを法人化の第一章とすれば、これからは、攻めの大学経営のための法人化第二章だと申し上げさせていただきました。今回の法案もそのための重要な政策だと思いますけれども、そのためには、第一章においてどこまで進んで、そしてこれからの課題が何であるかの総括が必要だと思います。

 二〇〇四年の国立大学法人化は、運営費交付金といった基盤的経費と研究費など競争的資金とのデュアルサポートシステム、大学の教育研究を支えるとしておりました。このデュアルサポートシステムについて、二〇一四年五月二十六日、科学技術・学術審議会、学術研究の推進方策に関する総合的な審議、この中間まとめについては、どのように総括し、政府と大学のそれぞれについてどのような提言がなされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のデュアルサポートシステムにつきましては、科学技術・学術審議会の学術分科会におきまして、平成二十六年五月に中間まとめ、さらに、翌二十七年一月に最終報告としてまとめられた「学術研究の総合的な推進方策について」において、その課題が整理されております。

 具体的には、基盤的経費と競争的資金の適切な配分において、基盤的経費が削減される一方、競争的資金は短期的な資金が縦割りで配分され、連携が不十分なため、安定的な教育研究活動や全学的視点に立った大学の構想力が阻害されているなどの批判があるとされ、その根底には、政府においては学術政策、大学政策、科学技術政策各々の改善充実、役割分担の明確化や連携による全体最適化の取組が不十分であったこと、大学においては戦略やビジョンに基づく強みの明確化や学内外の資源の柔軟な再配分、共有が不十分であったこと、これらに伴い、学術界の意識が短期的で内向きになり、分野や国境等を越えた新たな知の挑戦や若手研究者育成等のための戦略的対策が不十分であったことなどが指摘されております。

 こうしたことを踏まえ、大学に対しては、リサーチアドミニストレーター等の積極的登用や、個々の研究者の独創的な個性と大学戦略を両立させる強靱なガバナンス確立などを通じて明確なビジョンや戦略を立てた上で基盤的経費を配分し、その意義の最大化を推進すること、国に対しては、大学の取組の実践と相まって、基盤的経費の確保、充実を行うとともに、科研費の改革や若手人材の育成、間接経費の確保、充実を行うこと等が提言されたところでございます。

浮島委員 今、池田局長から御答弁をいただいたとおり、この中間報告では、このデュアルサポートシステムについて、基盤的経費から競争的資金への予算配分のシフトが行き過ぎている上に、後者は資金ごとに縦割りで配分がされているため、安定的な教育研究活動や全学的視点に立った大学の構想力が阻害されているとされております。これは政府に対する厳しい指摘だと私は思っております。

 だからこそ、この中間報告、この指摘以降、政府・与党一体となりまして、二〇一五年度以降、国立大学運営費交付金を同額程度の確保をするとともに、科研費の充実や創発的研究支援の事業の創設などを図ってきているところでございます。また、博士課程学生に対する次元の異なる支援をスタートしたところでもあります。さらに、第六次科学技術・イノベーション基本計画におきましては、若手研究者が安定して息の長い研究に従事できる環境の整備が盛り込まれて、今推進をしているところでもあります。

 このデュアルサポートシステムの再構築、これは我が国の未来社会にとって極めて大事なことです。これからも着実に進めていかなければなりません。

 他方、トップテンパーセントの論文数などの国際比較において、我が国は、その実数が過去に比べて著しく低下しているわけではありませんけれども、アメリカや中国などの論文数が急伸しているために、残念ながら相対的に立ち位置が後退しています。その背景の一つが、世界の研究大学における財政力などの規模の拡大があると思います。

 昨年の一月の二十六日の本委員会における科学技術振興機構法、JST法の改正案の質疑でも申し上げさせていただきましたけれども、アメリカの大学は毎年どんどん成長しています。

 例えば、スタンフォード大学。現在、大学基金の総額は日本円で三兆円。その運用益のうち千五百億円程度を大学の教育研究に投じていて、その結果、スタンフォード大学の総収入は七千四百億円規模になっています。

 また、このスタンフォード大学に比べて、東京大学の基金は二百分の一、年間の財政規模は三分の一の規模です。

 スタンフォード大学は、東京大学の三倍の規模の資金力を生かして、大学院博士学生や若手研究者を集め、切磋琢磨する環境をつくって、そして、稼げない、日の当たらない分野だけれども、大学の公共的な使命から不可欠な分野への支援なども行っています。

 本法案が国際卓越研究大学を認定する手続を定めて、JSTが十兆円の大学ファンドを長期分散投資により運用し、この運用の状況にもよりますけれども、二〇二四年度頃に支援を開始し、二〇二八年度頃から、目標とする年三千億円程度の支援を行うこととしているのは、このような世界の研究大学の研究環境をめぐる切磋琢磨があるからにほかならないと思います。

 本法案は、支援対象となる大学を国際卓越研究大学として認定する仕組みなどを定めるもので、認定された大学においては、専門性の高い人材を生かしながら、市場や企業、個人との対話を重ねて、大学が持っている知的な価値をしっかりと生かして、産学協創、大学発ベンチャー創出、卒業生や関係者からの寄附などを通じまして、新しい資金の流れを生むことを求めていることであります。

 JSTは、これら大学の取組の成果に応じて大学ファンドから支援を行い、大学においては、毎年度、事業規模を一定規模、三%程度でありますけれども、成長させつつ、大学固有の基金を拡大される一方で、この新しい資金の流れを生かして、長期的視野に立って、知の創出につながる再投資を行うということが求められています。

 だからこそ、本法案の国際卓越研究大学を認定する審査、これは極めて重要だと私は思います。これまでのような、過去の実績をベースとした審査では不十分です。

 そこで、国際卓越研究大学の審査についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この審査に当たっては、大学が自ら知的な価値を生かして社会の構造的変化を先導し、新しい資金の流れを創出する一方で、その資金を生かして、必ずしも直ちに社会的価値に結びつかないが重要な研究や優れた若手研究者の支援を行うという、大学として意思や体制、大学とのしっかりとした対話、議論を通じて見極めているという新しい方法が求められていると思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、世界トップレベルの研究大学となるポテンシャルを有する大学を国際卓越研究大学として認定するとともに、具体的な目標と大学の成長戦略などを記載した計画を提出していただき、文部科学大臣が認可をする仕組みとしております。

 この支援対象大学の選定に当たりましては、申請大学が、国際的に卓越した研究活動や経済社会にインパクトを与える研究成果の活用に関し高いポテンシャルを有していること、そして、研究力の抜本的強化に向けた強い意思に基づき明確なビジョンを持っていることの二点を満たしているかどうかを確認する必要があると考えております。

 同時に、世界と伍する研究大学の実現に向けては、政府の役割も重要であり、対象大学が自律的かつ創造的に自らの実践をデザインし、大学が機能拡張の取組を実行していけるよう、大学から規制緩和の提案を受けるなど、国と大学との間で双方向型の環境を整備し、大学の事業・財務戦略の策定、実行を支援していく必要があると考えております。

 大学の認定、計画の認可に当たりましては、科学技術・学術審議会及び総合科学技術・イノベーション会議の意見を聴取することとしておりまして、国際卓越研究大学が先ほど述べたような役割を果たしていただけるよう、国内外の多様な専門的知見を有する有識者に御協力をいただきながら、大学との対話や議論を通じて、成長戦略をしっかりと見極めていく審査体制を整備していきたいと考えております。

浮島委員 この点は極めて重要でありますので、改めて大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 大学が新しい資金の流れを生み出すのは、必ずしも直ちに社会的価値に結びつかない基礎研究や優秀な若手研究者への支援に投資してこそ、世界に伍する研究大学だと私は思います。

 大学ファンドは、いわば稼げる研究のみを後押しするものではなくて、むしろ基礎研究をしっかりと支えるものであることを大臣に確認をしたいと思います。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材育成や多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠でございます。先ほど柴山委員からも指摘されました。

 諸外国のトップレベルの研究大学では、数兆円規模のファンドの運用益を活用しまして事業規模を広げる中で、研究基盤や若手研究者への投資を充実をしております。事業規模を広げることで中長期的な視点での資源配分も可能となりまして、そうした大学では、新たな学問領域の創出を含めまして、多様な学術研究、そして先生御指摘の基礎研究が展開されているものと承知をいたしてございます。

 今般の大学ファンドは、そうした外国のトップレベルの研究大学の仕組みをモデルとしまして、ファンドの運用益により大学の研究基盤や若手研究者への長期的、安定的な支援を行うことで、世界と伍する研究大学の実現を図るということでございます。

 ファンドからの支援で事業規模が拡大することによりまして、大学が持つ、深く真理を探究して新たな知見を創造するという役割と、研究成果を広く社会に提供するという役割の双方への投資を後押しすることが可能となると考えております。

浮島委員 今、大臣の方から長期的、安定的というお言葉もいただきましたけれども、しっかりと対応していただくようにお願いをいたします。

 また、他方、大学ファンド支援対象となる大学以外でも、世界水準の得意分野を持っている大学は多数あります。また、基礎研究と産業界をつなぐ力を持つ大学や、地域社会の課題解決に重要な役割を果たす大学もあります。

 例えば、長崎大学の熱帯医学研究所、また、信州大学の繊維学部、秋田大学の旧鉱山学部、現在の国際資源学部などが浮かんできますけれども、また、弘前大学は青森県としっかりと連携をして、健康の医療ビッグデータ、これを活用して、短命県の返上のための、健康医療データの把握と研究、そして実践というサイクルを回していらっしゃいます。

 大学ファンドと同様に、我が国を支える多様なタイプの大学を国がしっかりと支え、大学の多様性を確保して、そして特定分野や地域の核となって大きな役割を果たすことが重要だと思います。

 これらの大学が、大学ファンドの創設によって置いてきぼりとならないように、政府としてしっかりと支援するべきだと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

末松国務大臣 地方で頑張っている大学も多うございます。

 我が国の全体の研究力を強化するためには、大学ファンドによりますトップレベルの研究大学への支援のみならず、地域の中核大学や特定分野に強みを持ちます大学を強化することが大変重要であるという認識です。

 このため、意欲のある多様な大学がそれぞれの強みと特色を十分に発揮しまして、地域の経済社会の発展や、国内外における課題の解決、また特色ある研究の国際展開を図っていくことができるように、本年二月に、政府として、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを策定したところでございます。

 今後、各大学と対話しながらきめ細かな支援を行っていくとともに、これからの支援の取組状況と、科学技術・学術審議会の下に新たに設置をいたしました大学研究力強化委員会における議論も踏まえながら、総合振興パッケージの改定と必要な支援を順次進めてまいりたいと思います。

 これによりまして、地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学が、トップレベルの研究大学として互いに切磋琢磨できると思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 今、大臣の方からお話があった総合振興パッケージ、これには、大学の強みや特色を伸ばす取組の充実、地元の自治体や企業など様々な主体と大学をつなぐ仕組みの強化、そして、地域社会における大学の活躍を加速するための仕掛け、規制改革、特区や大学の特例措置、活躍促進というのが盛り込まれております。

 我が国の多様な大学をそれぞれの機能に応じてしっかりと支援していく仕組みが必要であり、この総合振興パッケージの施策の充実に伴って、これをしっかりとバージョンアップをして発信することを強く求めたいと思います。

 次に、財務省にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の大学ファンドは、異例ではあるけれども、これだけの措置を講じなければ我が国の研究大学は世界から取り残されるという強い危機感の共有があり、つくり上げたものでございます。したがって、このファンドによる支援があるからと、国立大学の運営費交付金や科研費など、大学を支援するための予算が削減されては元も子もありません。

 財務省主計局の奥次長には、今回の大学ファンドによる支援があるからといって、大学に対する支援の予算を削減することはないという明確な答弁を求めます。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学運営費交付金や科研費を含む各種事業の予算額は、その時々の社会経済情勢や財政事情を踏まえつつ、個々の事業や予算の必要性等を勘案して、予算編成過程で検討、決定されるものでございます。

 したがいまして、例えば、大学ファンドによる支援が開始される見込みとされております令和六年度におけるお尋ねの各種予算の額につきまして、現時点で何らか一定の見通しを申し上げることは困難ではございますけれども、財務省といたしましては、今後とも、今般の大学ファンド設置に至る経緯や学術研究の重要性等も勘案しつつ、予算編成に臨んでまいりたいと考えております。

浮島委員 奥次長の苦しい御答弁だと思いますけれども、心の奥の別の声というのは、しっかりと日本の大学を支えたいという意図があると私は思いますけれども、日本の未来に責任を負う財務省として、引き続きしっかりとした支援をしていただきたいと思いますけれども、支援をしていただけるかいただけないかだけ、奥次長の方にもう一回御答弁をお願いいたします。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 大学ファンドによる毎年度の支援額、これは、JST、科学技術振興機構によるファンドの運用状況、また、各大学の外部資金獲得額などの状況などを踏まえまして、最終的にはJSTにおいて決定されることとなっております。

 他方、国の予算であります国立大学運営費交付金や科研費等は、国立大学法人や研究開発機関の資金ニーズや運営状況、また、各種学術研究の必要性、重要性、それらを踏まえまして、毎年度の予算編成過程で検討、決定するものでございます。

 このように、大学ファンドによる支援額と、国立大学運営費交付金や科研費等の予算額は、その時々における各予算や各事業に係る資金ニーズ等を勘案の上、毎年度の額がそれぞれ決定されるものと考えております。

浮島委員 苦しい答弁だと思いますけれども、是非とも、日本の未来、大学を救うために、今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、この法案の最後に、内閣府にお伺いをさせていただきたいと思います。

 本法案においては、文部科学大臣が基本方針の策定、国際卓越研究大学の認定、計画の認可などを行う際には、総合科学技術イノベーション、CSTIの意見を聞くこととなっております。

 このCSTIの意見聴取については、本法案第二条に定める、研究者の自主性の尊重などの大学における教育研究の特性への配慮を行いつつ、大学が自らの知的な価値を生かして新しい社会構造や産業構造を先導することを政府全体としてしっかりと後押しする観点から関与すべきだと考えますけれども、答弁を求めます。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの意見聴取でございますが、御案内のとおり、CSTIは、科学技術の振興に関する重要事項等について調査審議する機関でございまして、国際卓越研究大学に対する大学ファンドによる支援が科学技術イノベーション政策における重要政策であることに鑑み、文部科学大臣が同会議の意見を聞くこととしているものでございます。

 CSTIによる意見はこのような立場からなされるものでございまして、また、国際卓越研究大学の研究力の強化に当たりましては、大学自らが自律的かつ創造的に自らの研究活動等をデザインの上展開していくことが重要であることから、ただいま御指摘がございました本法案第二条を踏まえ、研究者の自主性の尊重など大学における教育研究の特性に十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。

浮島委員 今回のこの法案や大学ファンドの創設というのは、今、私どもの世代が、今生まれたばかりの赤ちゃんやこれから生まれてくる世代に対して、知的創造性にあふれて、世界中から優秀な若者が集う、生き生きとしたすばらしい研究大学を手渡すための仕込みだと私は思っております。私たちも、引き続き、責任をしっかりと持ってこの政策を前進させていきたいと決意を述べさせていただき、閣法に対する質問は終わらせていただきたいと思います。

 あと、まだ時間が残っておりますので、前回の積み残しの一問、させていただきたいと思います。

 不登校支援についてでございます。

 文科省の調査によれば、全国の小中学校における不登校の児童生徒数は十九万六千人、五年前から五割以上も増加をしています。さらに、長期欠席の児童生徒数は、新型コロナウイルス感染症の回避、病気などの理由も含めますと二十八万八千人という調査が出ております。

 公明党では、私が座長を務める不登校支援プロジェクトチームを三月十日に立ち上げ、ヒアリングと視察を五回ほど行ってまいりました。

 先日、不登校を経験した方からも直接お話を伺わせていただいたところでもございます。その方は、かつて中学のときに不登校になって、不登校になってからは現状を理解することを拒否して、何も考えないようにしていた、その中で、ただ死というものだけを考えていたと。不登校の経験は、子供の人生に深刻な影響を与えるものです。その方は、不登校の子供に多くの選択肢があるといい、その選択肢を子供に示すことが必要だとおっしゃっておりました。

 その不登校の場合の学習機会の選択肢として、不登校特例校がございます。この特例校の一つである岐阜市立の草潤中学校、ここもヒアリングをさせていただきましたけれども、平成二十八年十二月に成立をした教育機会確保法の成立を受けて、昨年の四月に開校されました。

 四月十二日のPTでお話を伺いましたけれども、ここは、「ありのままの君を受け入れる新たな形」というのをコンセプトにし、例えば、学び方も柔軟に設計され、場所も先生も授業も自分で決められ、ほかの学年の授業も受けられるということになっております。その日の朝に学習内容が廊下に掲示されて、それを見て、学びたい授業に参加できるようになっている。

 草潤中学校では、これらの取組の結果、開校一か月で七割弱の生徒さんが毎日登校を考えるようになったということでした。校長先生は、安心できる場所があるとのメッセージが発信できたことはとても大きいとおっしゃっておりました。

 この不登校特例校は、学習機会の選択肢として意義があります。教育機会確保法第十条において、不登校特例校の整備充実に努めることとされております。今の現状は二十一校となっておりますけれども、不登校特例校の設置拡大について、大臣に御認識をお伺いをさせていただきたい。

 その際に、不登校特例校においては、一人一人の課題に応じた丁寧な指導が求められております。また、不登校特例校には公立、私立の両方の学校があることから、教員の加配も含め、公立及び私立の不登校特例校における必要な指導体制の確保、これにも努めなければなりません。そして、さらに、子供たちの特性や関心に応じた学びの時間、空間的多様化の実現のために、大人の目線のサプライサイドではなくて、子供目線のデマンドサイドに立って、子供たちの学習機会の保障をできる教育制度の在り方についてもこの際見直すことを検討すべきだと思いますけれども、大臣の御認識をお伺いさせていただきたいと思います。

末松国務大臣 具体的なお話から御指摘をいただきました。

 御指摘の不登校特例校につきましては、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保を図る観点から設置をしておりまして、現在、好事例の周知や設置に関する手引を様々な機会を通じまして周知しつつ、一つでも多くの自治体で設置されるように、積極的に取り組んでいるところでございます。

 先生お話しのように、公立十二校、私立九校でございます。実態に配慮した特別の教育課程を編成することができるとなってございます。

 不登校特例校におけるきめ細かな指導体制の整備につきましては、市町村立のみならず、県立の不登校特例校を設置する場合は、教職員給与に関しまして、経費を国庫負担の対象としてございます。公立においては、不登校対応のための加配定数の活用が可能でございまして、令和四年度予算でもこうした加配定数の改善を行っております。七千五百九十六人が令和四年度でございます。私立におきましても、私立高等学校等経常費助成費補助金によりまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用等に対して補助を行っているところでございます。

 引き続き、不登校児童生徒の社会的自立を目指しまして、こうした様々な支援措置を積極的に周知しまして、不登校特例校の設置促進及び指導体制の充実を図ってまいりたい、そのように思ってございます。

 それと、不登校児童生徒や発達障害の可能性のある子供たち、特定分野に特異な才能のある子供たちですけれども、多様な子供たちの状況を踏まえた学びを実現することは重要でございまして、先般、二月二十五日に公表しました教育進化のための改革ビジョンや本委員会における所信におきましても、これまで以上に力を入れて取り組む方針を表明したところでございます。

 その際、御指摘のように、最大の当事者であります子供たちの声に真摯に耳を傾けながら、教育の在り方を考えまして、学校教育の活動など、子供たちを取り巻く環境改善、充実を図っていくこと、大切であります。

 今後、本年一月に中央教育審議会で設置しました特別部会におきましても、子供たちの個々の状況に応じた個別最適な学び、協働的な学びを一体的に充実すべき、先生の御指摘も踏まえながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

 長くなりましたが。

浮島委員 ありがとうございます。

 不登校特例校には、単独校の形のみだけではなくして、指導体制を確保した上で分校、分室型というのもしっかりと制度としているところもありますので、ここもしっかりと進めていってもらいたい。

 あと、香川県の三豊市、四月十四日に開校しましたけれども、ここは夜間中学と併設されている、全国で第一号でございますので、しっかりと夜間中学との併設も選択肢として検討いただけるようにお願いをしたいと思います。

 また、民間、あしたの寺子屋というのがあります。北海道を中心に活動されておりますけれども、民間がしっかりと子供たちの居場所をつくるということでされている事業でありますけれども、民間ともしっかりと連携していくことが重要と思いますので、一人一人に光を当てた、誰一人置き去りにしない教育のために、大臣として先頭に立っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

義家委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三分散会


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