衆議院

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第12号 令和4年6月3日(金曜日)

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令和四年六月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    尾身 朝子君

      勝目  康君    神田 憲次君

      木原  稔君    国光あやの君

      小林 茂樹君    塩崎 彰久君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    長谷川淳二君

      船田  元君    古川 直季君

      松本 剛明君    三谷 英弘君

      山口  晋君    荒井  優君

      梅谷  守君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            合田 哲雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       千原 由幸君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 岡村 直子君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     長谷川淳二君

  丹羽 秀樹君     尾崎 正直君

  吉田はるみ君     梅谷  守君

同日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     塩崎 彰久君

  長谷川淳二君     尾身 朝子君

  梅谷  守君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     丹羽 秀樹君

    ―――――――――――――

五月十六日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(宮本岳志君紹介)(第九六四号)

 同(白石洋一君紹介)(第一〇一七号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一二八号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一四九号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇一号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第九七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九七七号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九七九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九八二号)

 同(宮本徹君紹介)(第九八三号)

 同(本村伸子君紹介)(第九八四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第九八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇〇四号)

 同(下条みつ君紹介)(第一〇八五号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(国定勇人君紹介)(第九九二号)

 同(国光あやの君紹介)(第九九三号)

 同(菅直人君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一〇〇一号)

 同(本庄知史君紹介)(第一〇〇二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇〇三号)

 同(木原稔君紹介)(第一〇一五号)

 同(西野太亮君紹介)(第一〇一六号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一〇三七号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一〇四一号)

 同(前原誠司君紹介)(第一〇四二号)

 同(盛山正仁君紹介)(第一〇四三号)

 同(山口晋君紹介)(第一〇四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇五一号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一〇五二号)

 同(星野剛士君紹介)(第一〇六三号)

 同(山崎誠君紹介)(第一〇六四号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一〇七九号)

 同(篠原豪君紹介)(第一〇八〇号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一〇八一号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一〇八二号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一二六号)

 同(笠浩史君紹介)(第一一二七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一四八号)

 同(伊藤渉君紹介)(第一一六六号)

 同(大西健介君紹介)(第一一六七号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第一一六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一六九号)

 同(鈴木憲和君紹介)(第一一七八号)

 同(牧義夫君紹介)(第一一七九号)

 同(三谷英弘君紹介)(第一一八〇号)

 同(八木哲也君紹介)(第一一八一号)

 同(山本左近君紹介)(第一一八二号)

 同(青山周平君紹介)(第一一九二号)

 同(石井拓君紹介)(第一一九三号)

 同(泉健太君紹介)(第一一九四号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一一九五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一九六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一一九七号)

 同(中川貴元君紹介)(第一一九八号)

 同(根本幸典君紹介)(第一一九九号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇〇号)

 同(近藤和也君紹介)(第一二一六号)

 同(古川元久君紹介)(第一二一七号)

 部活動の地域移行の全面的かつ早期の実現に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一〇七八号)

 特別支援学校の実効ある設置基準策定に関する請願(山田勝彦君紹介)(第一〇八三号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一二九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五〇号)

 学校現業職の民間委託を推進するトップランナー方式の撤回、学校現業職員の法的位置づけに関する請願(下条みつ君紹介)(第一〇八四号)

 学費負担の軽減のための私大助成の大幅な増額に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一一七〇号)

同月二十五日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(志位和夫君紹介)(第一二二五号)

 同(遠藤利明君紹介)(第一二三六号)

 同(田中和徳君紹介)(第一二三七号)

 同(長坂康正君紹介)(第一二三八号)

 同(神田憲次君紹介)(第一二五一号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一二五二号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一二七一号)

 同(伴野豊君紹介)(第一三三九号)

 特別支援学校の実効ある設置基準策定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二三九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二四一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二四二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二四三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二四六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一二四七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一二四八号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(佐藤公治君紹介)(第一二五三号)

 学校現業職の民間委託を推進するトップランナー方式の撤回、学校現業職員の法的位置づけに関する請願(篠原孝君紹介)(第一二七二号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(篠原孝君紹介)(第一二七三号)

六月一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一四〇四号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第一四三七号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(佐藤公治君紹介)(第一四八一号)

 同(道下大樹君紹介)(第一四八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 在外教育施設における教育の振興に関する法律案起草の件

 在外教育施設における教育の振興に関する件


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     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官蝦名喜之君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官合田哲雄君、文部科学省大臣官房長矢野和彦君、大臣官房学習基盤審議官茂里毅君、大臣官房審議官出倉功一君、大臣官房審議官淵上孝君、高等教育局長増子宏君、科学技術・学術政策局長千原由幸君、研究振興局長池田貴城君、国際統括官岡村直子君、スポーツ庁次長串田俊巳君、文化庁次長杉浦久弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山口晋君。

山口(晋)委員 皆様、おはようございます。自民党の山口晋です。

 本日、文部科学委員会で初めて質問の機会をいただき、地元の皆様、そして自民党の先生方、理事の皆さんに本当に心から感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に入らさせていただきます。

 今国会において、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律、卓越大学支援法も成立をし、いよいよ、世界と伍する研究大学の育成に向けて、既存の組織やルールを前提とした縦割り構造から、価値創造思考の多様性の醸成を行うプラットフォームとしての大学を目指していくものと承知をしております。

 私自身もシンガポールに留学をした経験からすると、やはり様々な国々からの留学生を受け入れるためには、多様性への配慮、具体的には宗教ごとの文化や習慣の違いへの配慮が必須だと強く感じております。ハード面を提供する大学はもちろんでありますが、日本の学生においても、多様性への理解が強く必要だと思います。

 末松大臣も先日の閣議後記者会見で、大学は、国内外の人が集まり、人を魅了して、人を育成することが重要とおっしゃっていたと承知をしておりますが、まさに私も同じ気持ちでございます。

 我が国における高等教育の国際競争力の向上及びグローバル人材の育成を図るため、世界トップレベルの大学との交流、連携を実現、加速は必要と考えておりますが、スーパーグローバル大学創成支援事業の更なる拡充を含め、これまでの取組をどのように評価し、また、今後どのような施策を考えているか、文部科学省の見解を教えてください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の高等教育の国際通用性と国際競争力の強化を図っていくため、大学の国際化を進め、グローバル人材の育成環境を整備することは極めて重要であると認識しております。

 文部科学省では、二〇一四年度より、先生御指摘のスーパーグローバル大学創成事業において、世界トップレベルの大学との交流、連携を行い、学生のグローバル対応力育成のための体制強化など、徹底した国際化に取り組む三十七の大学を重点支援しているところでございます。

 この事業の取組の成果といたしまして、六年間で、外国語のみで卒業できるコース数、これは一・六倍、大学間協定に基づく受入れ外国人留学生数は約二・三倍に増加したところでございます。また、留学生増加に伴う、食堂でのハラルフードの提供、あるいは礼拝場の設置など、多様な留学生を受け入れる環境整備も進んでいるところでございます。そして、世界大学ランキングにおける留学生の割合等を指標に含む国際性分野のスコアも、我が国の大学で大きく上昇しているとの評価も受けているところでございます。

 文部科学省といたしましては、多様な学生の受入れ環境整備を始めといたしまして、優れた成果の共有及び横展開、さらにはオンライン等を活用した教育交流の強化を通じまして、更なる我が国の大学全体の国際通用性、国際競争力の強化を進めてまいりたいと考えているところでございます。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 是非、学生の心のケアも含めて、やはり日本に来て心配のない環境を更に文部科学省には推し進めていただければと思います。

 シンガポールにおいては、学生の起業はもちろんのこと、大学教授による起業やスタートアップ企業への積極的な経営参加があることに驚いた記憶があります。優秀な人材と起業を後押しするベンチャーキャピタルを結びつける、毎日どこかで気軽に会えるコミュニティーの場があるというスタートアップエコシステムが構築をされておりました。

 日本においては、いわゆる産学官の連携がよく言われておりますが、近年は、科学技術振興機構において、START事業の発展により、大学の、ベンチャーキャピタルの連携を後押ししていると承知をしております。東工大学発ベンチャーで、アンモニア生産の実用化に向けたつばめBHB株式会社は成功例の一つだと思います。

 新しい資本主義を掲げる岸田政権においてスタートアップ支援は重要政策の一つでありますが、企業の成長段階に応じた様々な資金提供主体として、金融機関もその生態系の中で欠かせないパーツと考えております。

 金融機関ならではのナレッジ提供やベンチャーデットなど、様々な役割が期待できる金融機関を含めた、産学官、ベンチャーキャピタルを含む金、改めて申し上げますが、産学官金のスタートアップエコシステムを目指すべきと考えておりますが、文部科学省の御見解をお聞かせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 大学発スタートアップの支援におきましては、大学の研究成果等を社会実装につなげる上で、必要な場面で資金が得られるよう、ベンチャーキャピタルを含む産学官金が連携して取り組むことが御指摘のとおり重要と考えてございます。

 文部科学省では、これまで、先生御指摘の科学技術振興機構の大学発新産業創出プログラム、STARTを通じまして、ベンチャーキャピタルと連携し、大学の研究成果を事業化するための支援ですとか、令和二年七月に策定されましたスタートアップ・エコシステム形成に向けた支援パッケージの下、スタートアップエコシステム拠点都市におきましてコンソーシアムを組むなど、産学官金が一体となった大学発スタートアップ創出の強化に対し、集中的に支援をしているところでございます。

 また、総合科学技術・イノベーション会議の下に設置されましたイノベーション・エコシステム専門調査会におきましても、世界に伍するスタートアップエコシステムの形成に向けて、金融庁を含め、政府一体となり、具体的方策についての検討が行われたところでございます。

 このような議論も踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、大学発スタートアップが持続的に創出されるエコシステムの形成に向けて、一層強力に支援を進めてまいります。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 岸田政権において本当にこのスタートアップ、大変に重要な政策でありますので、省庁間の連携を取りながら、更に推し進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 私の選挙区であります東松山市、野党の理事でもありました坂本先生も長い間市長をされておりましたが、東松山市は、二〇一五年にノーベル物理学賞を受賞した梶田先生の出身地であります。社会実装を見据えた大学発新産業創出とともに、引き続き、基礎研究も非常に大切なものと認識をしております。これまで様々な分野で日本人がノーベル賞を受賞されてきましたが、これまで大学における基礎研究に対する支援をしっかりやってきたことが大きな要因と考えております。

 これまでの本委員会で、基礎研究費の増額について各先生からも御指摘があったと思いますが、諸外国と比べると研究費は伸びておらず、相対的に減少していると言わざるを得ず、大変に危惧をしているところでもございます。

 もちろん、基礎研究のみならず、基礎研究の成果をどう応用するかも重要であると思いますが、今後も日本発のノーベル賞が多数生まれる、そして、子供たちが希望を持って科学者を目指す国であってほしいと考えておりますが、文部科学大臣のお考え、意気込みをお聞かせください。

末松国務大臣 フレッシュな山口先生に御質問いただきまして、昭和五十八年お生まれということで、昭和五十八年に私は地方議会に入りましたので、随分年がいったなと私自身思いました。

 お答え申し上げます。

 基礎研究は、新たな知的、文化的な価値を創造しまして、ひいてはイノベーションの源泉となる重要なものと考えております。

 基礎研究の多様性と厚みを打ち出していくためには、若手研究者等が腰を据えて研究に打ち込める環境や、国際的な研究環境の整備であるとか、そういった取組、また、独創的な研究に対する支援もあります、こうした取組が重要でありまして、令和四年度予算、令和三年度補正予算におきましても、必要な予算を計上いたしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、将来ノーベル賞につながるような基礎研究の成果が継続的に創出されるように、こうした取組を通じまして我が国の基礎研究の一層の推進を図って、子供たちが希望を持って研究者の道を歩めるように努めてまいりたいと思います。

 なお、大学ファンドのときに、九州の方の工学部の先生と、ちょっといろいろと取材をしたんですけれども、基礎研究と応用研究、どちらも大事で、卓球競技で例えますと、卓球をされている先生なんですけれども、基礎研究はボールを使わない筋トレなどのトレーニング、応用研究はボールを使った練習といった感じです、どちらか片方だけの練習でも大成しません、バランスが大事です、一般論で申し訳ありませんが、応用研究をどんどん進めていくと、いろいろな壁、技術的問題点にぶち当たると思いますが、基礎研究のデータがあるとその困難を乗り切りやすい、すぐに問題点と解決策が見つかると思いますという話をいただいておりまして、基礎研究の大事さを尊重していきたいと思います。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 是非、大臣の力強い指導の下で、更にこの日本からノーベル賞の受賞者が増えることを私たちも応援していきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 最後の質問に移らさせていただきます。

 大学におけるグローバル人材育成も大変に重要でありますが、高校時代からグローバル人材を目指し、海外の大学への進学、留学を検討する意欲ある若者も増えていると承知をしております。日本の高校生が世界を目指すのはすばらしいことであり、若い時代の交流が将来の国同士の友好関係に資するものと確信をしております。

 文部科学省は二〇一三年から、意欲と能力ある若者が海外留学に踏み出す機運を醸成することを目的として、官民連携での取組としてトビタテ!留学JAPANを開始し、留学資金の一部支援などの取組を行っていると承知をしておりますが、若者の内向き志向を打破していくためには、更なる拡充が必要であると考えております。

 トビタテ!留学JAPANのこれまでの評価と更なる拡充に向けた文部科学省のお考え、意気込みをお聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省では、意欲と能力ある全ての日本の若者が海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的といたしまして、平成二十五年度から、社会総がかりで日本人の学生生徒の海外留学を後押しする、先生御指摘のトビタテ!留学JAPANを推進してきたところでございます。

 このプログラムの主な事業でございます、民間企業、団体等からの寄附金を財源といたしました官民協働の留学制度でございまして、多くの企業、団体等から御協力をいただきまして、約九千五百人の若者を採用することができました。帰国生は産業界に多数就職したり起業するなど、企業から高い評価を受けているところでございます。

 今後、トビタテ!留学JAPANにつきましては、これまでの事業の成果やノウハウを踏まえつつ、更に発展させた事業を推進すべく、支援企業との検討を進めているところでございます。

 文科省といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した日本人学生生徒の留学を回復させるべく、海外留学の支援や若者の海外留学の機運醸成に引き続き努めてまいりたいと考えているところでございます。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 やはり、子は国の宝でありますので、引き続き、世界に誇れる国日本をつくるためには、この教育が私は一番重要だと思っておりますので、是非、文部科学省、そしてまた他省庁とも連携をしながら進めていただければと思います。

 持ち時間が参りましたので、これで質疑を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

義家委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、いじめ問題をテーマに質問をさせていただきます。

 まず初めに、いじめの重大事態についてお伺いします。

 いじめの重大事態とは、いじめ防止対策推進法の第二十八条で、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めたとき、又はいじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときとされており、学校の設置者又は学校は、重大事態に対処するために調査を行うものと規定されており、令和二年度は、全国の小学校で百九十六件、中学校で二百三十件、高等学校で八十四件、特別支援学校で四件、合計五百十四件となっています。

 ここで今日、確認というか、お伺いしたいのは、実は、いじめ問題に関する調査というのは非常に難しい面があり、例えば、昔は多くの学校がいじめ件数ゼロでありました。しかし、いじめにより命を絶つといった悲しい事件が続く中で、そうじゃないだろう、しっかり教員がいじめに関するアンテナを高く張り、冷やかしやからかい、悪口や脅し文句のレベルからしっかりと認知し、指導し、そして改善させていくということで、文部科学省が毎年行っているいじめ調査の項目を、いじめ発生件数ではなく、いじめ認知件数として、軽いものからしっかり認識させて、それと同時に、項目の中に、指導によって解消したのかどうかという報告を上げさせるということで、見事に文部科学省が学校現場のいじめの認知に関する意識を変えました。

 だから、今は逆に、いじめ認知件数ゼロという学校があった場合には、指導の結果として本当にいじめが一件もないすばらしい学校なのか、それとも、いじめに関するアンテナを本当に教員が張ることができているのか、文科省としてはその辺のところが非常に難しいと思うのですが、しっかりと見極めていかねばならないと思いますが、私は、このことが、いじめの重大事態の件数についても同じことが言えるのではないかと思います。

 いじめにより重大な事態が生じた疑いがあるから調査をしているわけであって、この辺も、それぞれの学校、教育委員会によってかなりの温度差、違いが出てくる問題ではないかと思います。

 重大事態の調査件数が多い学校や教育委員会が悪い学校というふうになってしまうと、今度は、本来の目的とは違う、じゃ、疑わしくても重大事態として調査は行わないで、件数を抑えようというふうになってしまっては本末転倒であると思いますが、このいじめの重大事態に関する末松大臣の認識をお伺いします。

末松国務大臣 山崎先生にお答えを申し上げます。

 いじめの対応に当たりましては、ささいな兆候でありましても、早い段階から的確に関わりを持ちまして、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知した上で、その解消に向けて全力で取り組むことが重要だと思います。よく言われますけれども、抱え込まないということが一番大事である。

 そして、いじめの認知件数がゼロの学校におきましては、真に対応できている場合も考えられますけれども、いじめとして適切に認知できていない事案がないか、組織的に、児童生徒の状況を把握しまして、対応していくことが重要であると考えております。

 したがいまして、認知件数が多いのは、ある面、よくやっているということも言えるかもしれない、しっかり向き合っているということが言えるかもしれないと私は考えています。

 また、いじめの重大事態につきましても、各学校や自治体における件数の多寡のみで評価するのではなくて、いじめの重大事態の調査に関するガイドライン等に基づきまして、適切に認知、対応した上で、いじめ重大事態調査へ適切に移行していくことが重要と思います。

 いずれにしましても、いじめの対応に当たりましては、いじめ防止対策推進法に基づき適切な対応がなされるように、引き続き周知徹底を図るとともに、教育委員会や学校の取組を支援していきたいと思います。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 次に、いじめ問題は、いじめられた子に問題があるのではなく、いじめた子が悪いというのが、言うまでもなく、根底となる考えであります。いじめ防止対策推進法もそれを根底とした作りになっていますし、いじめられている子を学校が全力で守らなければなりません。

 そのときに、どうしても、いじめた子供に改善が見られずに、いじめられた子供を守るために、出席停止という強い措置を行わなければならないときもあります。しかし、それは、私も実際教育現場にいるときにそれを行ったことがありますが、そういった場合には、学校が子供を切るのか、排除するのか、このことは教員の指導力不足の結果でもあるだろうという厳しいお言葉、指摘をお受けしたことがありました。

 それは一面、本当にそのとおりだと思い、どうすればいじめる側の子供の心を変え、いじめをやめさせることができるのかを教職員で必死に考えました。その中で大切にしてきたのは、いじめた行為は絶対に許されないが、いじめた子供の背景や心を理解し、寄り添いながら、自分も仲間も大切にできるよう支え、導いていかなければならないということでした。

 また、いじめにはストレスが大きく影響していると言われますが、最も重要ないじめ防止の取組の一つは、本来多様である子供たちに対して、みんなと一緒のことができるようにならなければならないといったストレスを取り除き、多様な子供たちが、それぞれの特性や関心に応じ、他者と違うことに意味があるからこそ、他者を信頼し、協働できるという子供たちの心理的安全性を確立することが重要であると思いますが、末松大臣の認識をお伺いいたします。

 あわせて、このことは不登校問題にも通ずることだと思いますが、子供の特性や関心に応じた、時間的にも空間的にも多様な学びを確立するために、必要があれば、学校教育法の見直しも含めた柔軟な教育課程の編成、教育制度への転換も必要だと思いますが、大臣の御認識をお伺いします。

末松国務大臣 現場をよく知っておられます先生の御指摘のとおり、一人一人の児童生徒はそれぞれの違った能力、適性、興味、関心等ありまして、児童生徒への対応に当たりましては、きめ細かい観察や面接などに加えて、学級担任のみならず、学年の教員、教科担任などによりまして、児童生徒を多面的、総合的に理解し、対応に当たることが重要だと思います。

 また、安心して生活できる集団づくりのためには、児童生徒が人として平等な立場で、互いに理解して、信頼し合って、そして、集団の目標に向かって励まし合いながら成長できる集団をつくることが重要だと思います。互いに人格を尊重し合うことが私は大事だと思います。さらに、不登校児童生徒や発達障害の可能性のある子供などが、多様な子供たちの状況を踏まえた学びを実現することも大切でございます。

 このため、子供たちの個々の状況に応じました個別最適な学びと協働的な学び、よく使われる言葉ですが、を一体的に充実すべく、今後、本年一月に中央教育審議会に設置をいたしました特別部会におきまして、先生御指摘の趣旨も踏まえつつ、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

 いずれにしましても、学校が多様な児童生徒の特性や関心に応じた安心と安全な学習環境となりますように、引き続き、文科省としても対応いたしてまいります。

 法整備のことにつきましては、そういった答申に基づいた結果で我々考えていきたいと思いますけれども、お待ちをいただきたいと思います。

 なお、生徒指導提要にはいろいろとすばらしいことが書かれておりましたので、少しこの言葉も引用させていただきました。

山崎(正)委員 次に、公明党は、令和二年六月一日に当時の安倍総理に提出した提言、ウィズコロナからポストコロナを見据えた子供たちの学びの確保支援についての中で、今後のポストコロナ社会における教育について、教育福祉の観点やオンライン教育の展開などを踏まえた教育制度の見直しが必要だと提言いたしました。

 その中の教育福祉という点について、先ほども、いじめた子供に寄り添い、心を理解しと言いましたが、そういった部分や、いじめられた子供の支援ということを考えても、心理や福祉、発達支援の専門家が常勤の職員として、いじめ問題に対してより専門的な観点から子供たちや教員を支える体制を確立することが必要であると考えます。

 そこで、教育福祉を実現するためには教職員の多様化と充実が必要であり、心理や福祉、発達支援の専門家を常勤雇用として採用していくことが重要であると考えます。

 さらに、現在、学校現場はすさまじい教員不足であります。まさに現場は悲鳴を上げています。

 先日も、私の地元のある校長先生から連絡があり、一学年一クラスの小さな小学校で、四月から三人の先生方が病気休暇、二人までは校長先生が自ら臨時教員を探してこられましたが、三人目が見つからなく、まだ年度が始まった五月なのに教職員の士気が上がらず、職員室の雰囲気が疲弊してきているのを一番気にされていました。

 文部科学省の方も、特別免許状の要件を相当緩和してくれて、やってくれているのは分かっているんですが、現場は、先ほども言ったように、戦後直後の混乱期を除くと、今が一番悲惨な教員不足の状況ではないかと思います。

 そういった状況を考えたときに、前回の委員会のときにも質問させてもらいましたが、教員免許法の見直しも視野に、多様な人材の更なる思い切った採用が重要だと考えますが、その認識及び今後の対策について、末松大臣にお伺いいたします。

末松国務大臣 大変な時代であるというふうに私なりに認識をいたしております。

 様々な課題を抱えます児童生徒に対しまして、多様な人材がチーム学校として支援することが重要です。このため、例えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにつきましては、令和四年度予算におきまして配置の充実を図りますとともに、スクールカウンセラー等が常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等の検討に資する調査研究等を行っているところでありまして、引き続きの支援充実に努めていきたいと思います。

 加えて、学校の教員組織は、絶えず変化をしていく社会のニーズに的確に対応していく上で、これまで以上に多様な知識とか経験を持つ人材を構成することが大切であります。

 現在、中央教育審議会におきまして、教師の在り方につきまして包括的な議論が行われております。その中で、教師の採用の在り方の一例として、もう先生よく御存じですけれども、教員採用選考に合格後、教職大学院に進学した方が、大学院二年目を教師として採用され、学校現場で勤務をしながら教職大学院で学ぶ制度を紹介するなど、議論を深めているところです。オンラインの活用です。

 また、専門的な知識経験を有する外部人材を登用するための仕組みとして特別免許状制度がありますが、御存じのとおり二百件程度にとどまっております。このため、文部科学省では、昨年五月に、活用が進むように指針を改正をいたしまして、四月の二十八日、せんだって、私も、教育委員会等に教員の確保のために更なる活用を呼びかけたところでございます。

 いろいろと御指導いただきますようお願いを申し上げます。

山崎(正)委員 最後に、いじめ重大事態が発生したときに、実は、地方公共団体の長が附属機関を設けて、自らの権限と責任で調査を行うことができるとなっています。そして、そのときに、やはり学校とは違う、客観的にしっかり捉えていくために、医療、心理、福祉及び法律の専門的な知識を有する者の協力を得て行っていくようにというふうなことが示されております。要は、調査又は支援、指導するためには、首長部局に医療、心理、福祉及び法律に関する専門的な知見を有する方がいてくれたらいいというふうなことです。

 これは、実は、不登校支援についても、医療、心理、福祉及び法律に対する専門的な知識を有する方が重要でありますが、であるならば、いじめ対策や不登校支援をより充実させていくために、例えば、公明党が本年四月二十八日に行った公明党不登校支援プロジェクトチーム提言の中で、全ての都道府県・政令指定都市に一校以上は設置することを目指す不登校児童生徒の特例校に、首長部局と教育委員会を横断した子供支援局を置くなどの思い切った施策も必要であると考えます。

 また、この子供支援局の機能をより充実させるためには、教育、医療、心理、福祉の専門家などによる学校臨床研究支援センターを国立教育政策研究所内に置き、国内外の専門的な知見の集積を行い、先ほど言った支援部局と連携して、情報の共有や活用ができるような体制を確立していくことが重要であると考えますが、大臣の御認識をお伺いします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 各地方自治体におきましては、いじめ対策や不登校対策などをどのような組織で進めていくべきかは、各自治体の実情に応じて判断されるべきものと考えております。

 他方、先生も御指摘のとおり、いじめ対策や不登校児童生徒への支援に当たりましては、教育委員会や学校だけで対応できるものではなくて、関係機関で連携して取組を進めることが極めて重要でございます。この点では、いじめ防止対策基本方針や、義務教育段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本方針におきましても、教育委員会や学校が関係機関との連携を図るべきだということを示しております。

 文部科学省としましては、教育委員会と首長部局とが連携しました好事例ですね、この体制を、そして、首長部局と教育委員会に分かれていた子供関連施策を教育委員会へ一元化した箕面市の例など、取組事例などを他の自治体と共有するなどして連携を促していきたいとは考えております。

 また、御指摘の国立教育政策研究所では、生徒指導・進路指導研究センターにおきまして、いじめとか不登校などの課題に関する調査研究や参考資料の作成等を行っておりまして、関連分野の専門家の連携も含めまして、国内外の知見の更なる集積や研究成果の共有、活用促進を図っていきたいと思います。

 引き続き、いじめや不登校への対策の充実のため、地方公共団体における好事例等の把握、共有を図りつつ、教育委員会と関係部局の連携を促すとともに、国立教育政策研究所における研究の一層の推進を図っていきたいと思っております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 箕面市の好事例の展開や、国研のセンター機能の強化、是非よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 おはようございます。立憲民主党、笠でございます。

 まず、今日、この質疑の後に、在外教育施設における教育の振興に関する法律案が委員長より提案をされるという予定でございますけれども、この法律では、政府として、文部科学大臣と外務大臣が基本方針を定めることになっておりますけれども、どのような基本方針を作るのかについて大臣にお答えをいただきたいと思います。もちろん、法案が成立した後ですけれども。

末松国務大臣 笠先生にお答え申し上げます。

 今御指摘いただきました在外教育施設における教育の振興に関する法律案では、文部科学大臣及び外務大臣が在外教育施設における教育の振興に関する施策の総合的かつ効果的な推進のための基本方針を定める規定が置かれるものと承知をいたしてございます。

 この基本方針の作成に当たりましては、本法案の定める基本理念及び基本的施策を踏まえまして、在外教育施設の教職員のまず確保、安全対策、国際的交流の促進などの内容を盛り込むことを考えております。この法律の第三条は基本理念が述べられておりますし、第八条は教職員の確保が述べられておりますし、十二条は安全対策等が述べられております。

 私といたしましては、在外教育施設の振興を担う立場から、本法案の御趣旨などを踏まえながら、今後も在外教育施設の教育環境の整備に取り組む、このことを一番に考えていきたいと思います。

笠委員 今、コロナの影響で一時的に、在留邦人の方、ちょっと減っていますけれども、またこれは一気に多分増えていくと思うんですね。やはり、そのときに駐在員の方が安心して子供たちを海外に帯同させる、そのためには、やはり在外教育施設の充実というもの、この環境整備というものが極めて重要だという認識を持っておりますので、是非、大臣におかれましては、外務大臣と連携をして、海外の子供たちが安心して学ぶことができる環境整備に全力を挙げていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。

 それでは、今日はまず、学校現場におけるコロナ対応、対策の検証について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 もう二年以上もの長期にわたって、この新型コロナウイルスの感染対策が続いております。ちょうど一昨年の二月の二十七日には、当時の安倍総理が全国一斉の学校休校要請も行いました。これは三か月ぐらいに及んだわけですけれども、そういったことも含めて、これまで、やはり文科省もかなりいろいろな形で子供たちの学びを止めないための対応等々やってきたと思います。

 しかしながら、そこにはやはり、うまくいったこと、あるいは、後で考えると、振り返ると、この対策の必要はどうだったんだろうかという疑問が湧くものもあります。未知なるウイルスとの戦いですから、後になって初めて分かること、後になって初めてこういったことがもっと必要だった等々あると思います。

 この長期に及ぶ新型コロナウイルスへの対応の子供たちあるいは学校現場に与えた様々な影響のマイナス面や、あるいは、GIGAスクール構想等々が加速したという、ある意味ではコロナに直面したからこの環境を変えることができた、そういったこともあろうかと思いますけれども、そうした点も含めて、大臣が今どのようにプラス面、マイナス面、総括をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

末松国務大臣 笠先生にお答え申し上げます。

 まず、もう二年四か月ぐらいになると思います、長期にわたりまして学校生活に様々な制限が生じまして、子供たちの心や体に大きな負担がかかっている中、様々な我慢をしながら学校生活を送る子供たちのことを思いますと、本当に胸が痛むところもございます。我々大人にとってもかなり憂鬱な社会、この二年四か月であったと思います。

 また、感染対策の徹底と児童生徒の学びの保障の両立に全力を尽くしてくださった学校現場の先生方は、大変な御苦労をされておられます。よく聞きました。深く感謝を申し上げたいという、この点がございます。

 そして、御指摘のGIGAスクールの構想につきましては、一人一台端末を前倒しで整備することでICT教育が推進されたことが、一つのある面で成果であるというか、効果があったと思います。

 一方で、コロナ禍で生活環境の変化が一因となりまして、令和二年度におけます小中高等学校からの報告にあった自殺した児童生徒数は、調査開始以降、過去最高となりました。四百十五人と聞いております。そして、コロナ前と比較しまして、小中学校の男女共に体力が大きく、著しく低下したという、その結果も出ております。

 こうした結果を踏まえて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーさんの配置の充実やSNS等を活用した相談体制の整備の推進であるとか、自殺予防教育の推進、この問題はこの委員会でも議論が随分されました。また、コロナ禍でも運動好きの子供たちを増やしながら体力向上に成果を上げている学校につきましても、好事例も周知をするなど、いろいろなことを努めているところでございました。

 文部科学省としては、コロナの影響が長期にわたる中、子供たちへの影響が長期にわたる可能性も考慮し、感染対策を講じながら、充実した学校活動が行われるように、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

笠委員 今大臣おっしゃったように、確かに、このコロナ禍の中で自殺する子供たちの数、あるいは不登校の数も、これも増えているというような、これはやはりいろいろな背景があると思います。特にまた、そういった中で、子供たちは、あるいは学校の先生もそうですけれども、特に、一斉休業された際には、保護者の方々のいろいろなストレスや負担というものも、他方、やはりこういった面もいろいろな影響が出ているわけですけれども。

 是非、今政府の方でもようやく検証が全体として進められています、これまでのコロナ対応、対策について。少し、この教育の分野あるいは子供たちの学びという観点から、様々、今大臣おっしゃったような問題をしっかりここで一度文科省としてもやはり検証、総括をして、またこういうウイルスとの戦いというのは、形を変えて直面する可能性というのは近い将来ある可能性の方が私は高いと思うので、そういったときに生かしていけるような形で、第三者の方にも加わっていただいて検証をやはり行っていただきたい。そのことを大臣にお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 今先生から検証されるべしというお話をいただきまして、実は、新型コロナ感染症に関する政府のこれまでの対応について意見を求めるために、内閣官房に有識者会議が設置されて、先月より議論を開始していることは先生御承知のとおりだと思います。

 それで、文部科学省では、新型コロナ対策に関しまして、これまで、内閣官房コロナ室と緊密に連携しながら、学校における新型コロナ対策のための衛生管理マニュアルの作成や通知の発出であるとか、大学拠点接種を始めとするワクチン接種の促進など、感染拡大の防止と学びの保障の両立に向けた取組を全力で進めてまいりました。

 ただ、こうした取組というのは、ワクチン一つ取りましても、先生、政府の一つの本部の連携の中でございますので、文部省独自に第三者機関に求めて検証していくということは、まだそこまでは実は考えておりませんけれども、内部におきましては、振り返りがしっかりできるように、蓄積があってこその今の文科省の対応がございます。十分でないかもしれませんけれども、対処しております。そのことを大切にしながら、検証は内部できちっと進めていきたいというふうに、今のところそういうふうに考えているところでございます。

笠委員 私は、何か、重ねて、屋上屋を重ねるような形でやれということではなくて、このコロナを振り返ったときに、やはり学校の一斉休業というのは、これはもう大変大きかった。これは、恐らくは大臣も、もう一斉休業というのはあり得ないと。ただ、あのときの判断は、仕方ないです、それは未知なるウイルスですから。

 だから、それを私がけしからぬとか駄目だとか言うことじゃなくて、しかし、これを、三か月に及んだその学校の一斉休業等々が与えた様々な影響、あるいは、本当に一斉に休業する必要があったのか等々については、やはりいろいろな形で我々もしっかりと総括をしておく必要があるかと思いますので。

 いろいろな、そういったところのこれまでの文科省の対応を含めて、私も、一生懸命やっていただいていると思いますよ。ただ、そういう中で、改めて、これだけの、やはり二年以上にも及んだわけですから、本当に、子供たちの発達、学習、心理に与える影響等々、様々な点からも、是非そういった点を引き続き注視をしていただきながら、またそういう機会を是非つくっていただきたいなということは要請をしておきたいと思います。

 それで、今日、恐らくこの国会で私も最後の質問になろうかと思いますので、私自身、いじめの問題について少しお伺いをしたいと思います。

 今参議院で、いわゆるこども家庭庁、この設置へ向けた議論が行われ、これは法律が恐らく近く成立をすると思うんですけれども、そうすると、来年四月からこども家庭庁が発足をして、そして文科省とも協力をしながらこのいじめ問題に当たっていくということですけれども、まず確認ですけれども、いじめ問題の、こども家庭庁が発足をしても、責任者は文部科学大臣ということでいいのか。そして、いじめ防止対策推進法の第十一条のいじめ防止等のための基本方針は文部科学大臣が責任を持って定めるということで変わらないということでよろしいでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 いじめは主に学校で生じるものでありますから、いじめへの対応、解消に当たりましては、引き続き文部科学省が責任を持って教育委員会や学校に指導助言を行いまして、この事案の解決につないでいくことが重要という認識でございます。

 ただし、SNSによりまして、いじめなどを発見しにくい場合や、いじめの背景に家庭が要因となっている場合、教育委員会や学校のみで根本的な解決を図ることが難しいときがございます。社会の事情が変わってくるということがありまして、どういうスタイルでの、形式のこういったいじめの形があるのかということは、気がつかないときが出てくるかもしれません。そういうときには、幅広い角度からのいろいろな意見も求めなきゃならぬと思っておるものでございます。

 こうしたことで、学校における組織的な対応はもとより、学校とか教育委員会が、福祉部局であります児童相談所などの外部の関係機関とより連携をしまして、それぞれのノウハウを発揮していくことが必要と思います。

 今後、こども家庭庁の創設を契機としまして、いじめ対策における外部の関係機関との連携を強化する観点では、文部科学省からは教育委員会、学校に、司令塔機能を持ちますこども家庭庁からは首長部局にそれぞれ働きかけを行いまして、現場レベルの連携の強化を図るとともに、いじめ未然防止に向けました取組の更なる強化や、学校のいじめ対応の改善、教育相談体制の整備等の施策にしっかり取り組んでいきたいと思います。

 何度も申し上げますけれども、いじめは主に学校で生じることから、責任を持って対処してまいりたいと思います。

笠委員 大臣、今の前段だけでいいんですよ。大臣がいじめ問題の最高責任者だ、一義的にはしっかりと責任者だということでよろしいですよね。(末松国務大臣「それはそうです」と呼ぶ)はい。

 それで、今日は内閣府の方にも伺いたいんですけれども、学校内で起きた、ただ、重大事態の対応については、こども家庭庁もこれは関与をしていくという中で、こども家庭庁の担当大臣は、この重大事態への対応で文部科学大臣に勧告できる権限があるわけですけれども、具体的にどういう状況になったときにこども家庭庁の担当大臣が文科大臣に勧告をすることが想定されているのかをお答えいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、いじめ防止等の対策につきましては、いじめ防止対策推進法等に基づきまして、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組が進められている一方で、こども家庭庁におきましても、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、子供のいじめ防止等の対策を担うこととしてございます。

 その上で、御質問の重大事態に関する勧告権についてでございます。

 こども家庭庁を担当する内閣府の特命担当大臣は、政府部内の統一を図るため、必要と認めるときには、関係行政機関の長に対して勧告をする権限を持ちます。

 これはあくまでも仮定の話ではございますけれども、例えば、いじめの重大事態への対応に関しまして、いじめ防止対策推進法第三十三条に基づき、文部科学大臣が都道府県、市町村に対し、事務の適正な処理を図るための必要な指導、助言、援助を適切に行っていないと考えられるような場合には、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣が文部科学大臣に対して、必要な対応を行うよう勧告をするといったようなことが考えられるのではないかというふうに認識をしてございます。

笠委員 大臣、重大事態が発生したときに、まず文科大臣が知らんぷりしたり、そういう全く指導助言を行わないということは、私は考えられないと思っているんですけれども、何か、非常にちょっと、どこに本当の権限があるのか、あるいは責任があるのかというところが曖昧になると、やはり現場は非常に混乱すると思うんですよね。

 そういう意味でも、やはり、そういったことは間違いなくないんだというようなことを、きちっと文科大臣として、責任ある、今のこの勧告を受けるとか、あるいはそういうふうな可能性があるというようなことに対しての思いというか、その辺についてちょっとお答えをいただければと思います。

末松国務大臣 先生、先ほども申し上げましたように、いじめは主に学校で起きます。教育現場を預かるのは文部科学省でございます。文部科学大臣がきちっとした対応ができるように、まずそのことを念頭に置いた進め方を行ってまいりたいと思ってございます。

笠委員 また次に、大臣、NPO法人のプロテクトチルドレンの森田さんという代表を御存じでしょうか。また、この森田さんが、今年の一月から二月にかけて、全国約三万人の小中高生を対象に、いじめ問題に関するアンケート調査、あるいは、昨年、教育委員会、教職員アンケート調査というものを行っておられますけれども、一部報道でも取り上げられていますけれども、この調査結果などについて御覧になったことがあるか、お答えください。

末松国務大臣 森田さんのことは、お名前も知っておりますし、テレビで拝見をしたことがございます。ただ、お話をしたことは実はございません。NPO法人プロテクトチルドレンの代表の方と伺っております。

 そして、職員の中で、多少、いろいろな意見交換をされる職員もおりますので、お話は聞いたことがございますのですけれども、今先生が御指摘がありました、教員に対するアンケート調査であるとか、児童生徒に対するアンケート調査、これは資料として頂戴して、見たことがございます。

 例えば、重要なポイントでは、子供はいじめの加害者にもなるし被害者にもなり得るという結果等の数字もここに持ってございますので、大変分かりやすい、的確な資料を頂戴できたというふうに感謝をしております。

笠委員 実は私も、かなり以前に、馳元文科大臣からちょっと紹介を受けて、今知事になられましたけれども、時折意見交換もさせていただいているんですけれども、なかなかこういう調査というのはないんですよね。

 そして、この森田さん御自身が、やはり、息子さんがいじめられ、自傷行為に及ぶほどに、埼玉の方でそういった実際に被害に遭われた、いじめられたお子さんの保護者の立場だということもあって、二〇二〇年に市民団体、そして去年NPO法人を立ち上げて、一か月に二百件以上、いろいろな相談を受けて、全国を飛び回っておられます。やはり、そういう経験と、あとは、いろいろな子供の立場、子供たちがどう思っているのか、当事者の、そういったところに非常に、そういう観点から様々な事案に関わっておられるということで。

 これは、お一人でよくこれだけのアンケートをやられたと思うんですけれども、後で幾つか伺いますけれども、やはり、当事者の子供たちの声とか、あるいは、現場で、教員の方々も大変ですよね、対応されるの。あるいは教育委員会の現場の方もそうだと思う。常にこれはいろいろな角度からの、それぞれの立場から、考え方もぶつかることも多いし。ただ、やはり大事なことは、子供がどう思っているかということだと思うんですけれども、私は、文科省としても、少しそういった調査もやられる必要があるんじゃないか。

 そういうような踏み込んだ調査を文科省としていずれやろうというような思いがあるかどうかということを、大臣にお答えをいただきたいと思います。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、いじめ対策におきまして、学校現場の声を聞くことは施策を検討する上で大変重要なプロセスでございまして、文部科学省におきましても、これまでも、学校現場の声を聞くために教育委員会等に調査も行ってまいりました。

 例えば、令和三年のいじめ防止対策協議会におきましては、教育委員会に対しましてアンケート調査を行い、いじめの重大事態調査の運用とか体制に関しまして、学校現場が抱える課題を調査し、施策の検討に生かしているところでございます。

 それと、先生御承知のとおり、国立教育政策研究所では、児童生徒を対象にしまして、いじめの被害や加害経験率等に関する追跡調査を行っておりまして、文部科学省では、この調査の結果を教育委員会の生徒指導担当者向けの研修会等で周知をいたしております。

 二〇一八年の中学校三年生が、小学校四年時から六年間の間、十二回の調査で、一回でも被害経験があると回答した方が九〇%、二〇一八年度の中学三年生が、小学校四年生時からの六年間での十二回の調査で、一回でも加害経験があると答えた子供が九〇%といった、そういった結果も実はございます。

 文科省としては、引き続き、教職員や児童生徒を直接対象とした調査の検討も含めまして、学校の現場の声を聞きながら、いじめ対策の充実に努めていきたいと思っております。

 いずれにしましても、先生の今のお話はよく受け止めたいと思うんですけれども、恐らくは、国立政策研究所もあるけれどもという前提のお話かなと思うんですけれども。

笠委員 今の、いわゆるそういう調査、もっと生の、子供たちの、例えば、御紹介しますけれども、今回、やはり、小中高三万人も調査をするってことは大変なことですよ、一人で。

 ただ、その中で、例えば、九割の子供たちが、いわゆる、これは我々の責任でもあるわけだけれども、いじめ防止対策推進法というのを知らない。保護者の方も恐らく知らない方が多いと思うんですね。でも、これはやはり、文科省の例えばガイドラインでは、学校いじめ防止基本方針を、毎年度、保護者や児童生徒に説明をすることにはなっているんですけれども、恐らく、なかなかそういったことが実施されていないのではないか。あるいは、このアンケートの中で、自分たちの法律、子供たちの法律なのに教えてもらっていないとか、もっとみんなが分かるように説明をしてほしいとか、そういったことも回答としてかなり出てきているんですね。

 ですから、やはり、そういう、教育委員会に対してとか、それにとどまらず、どうやったら実際に保護者や子供たちが、こういったときにはこういう法律があるんだよとか、あるいは、こういった形で相談すればいいんだよとか、そういったことをもう少し分かりやすく周知をしていく必要があるし、あるいは、こういった学校いじめ防止基本方針なんかを定めるときにも、これは現場ですけれども、やはり、子供たちの意見や、あるいは保護者の方々にも関わってもらうような取組というのが、そういったところから、いじめが起こってからだけではなくて、日頃からそういうような形で一緒になって関わって取り組んでもらうことが非常に私は重要かなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 考えは笠先生と同じでございます。

 このいじめ防止対策推進法を知っているかということについては、小中高全体で八・九%であったという結果を聞きました。

 ただ、先生、いじめ防止対策推進法、このいじめ防止等のための対策に関して、基本理念や、国や地方自治体等の責務などについて規定されておりますけれども、一番大事なことは、やはり、子供たちに、法律も知っておく必要があるんですけれども、要は、いじめは決して許されないということを知っておかないかぬという、その中身、心を教えないかぬ。弱い者をいじめるな、そういう精神が一番大事だと思いますので、両方とも大事である、法律のことと中身のことを心から分かる、弱い者をいじめちゃいかぬという、そのことだと思います。

 学校いじめ防止基本方針は、保護者や地域住民に対しまして、必ず入学時や各年度の開始時に説明することを国の基本方針で示しております。このことは、保護者や地域など一体となっていじめの対応を進めていく上で大変重要なことだという認識をいたしております。

 いずれにしましても、この法律を全体で、子供から大人まで社会全体で共有するということの大切さは、先生と全く同じ考えでございますので、進めていきたいと思います。

笠委員 そして、この調査の中で、実際に子供たちが、自分がいじめに遭ったときに、もし遭った場合に、加害者に、いじめを行った子に対してどうしてほしいのかというような問いがあるわけですね。それについて、反省して謝ってほしいというのが約七割なんですね、六八・三%。そして、先生、親が注意してほしいというのが二二・六%、教室に入らないようにしてほしいというのは僅か四・九%ということで、子供の多くは、何か罰則とかを求めているというよりも、やはり、きちんと謝ってほしい、反省をしてほしい、そういうようなことを多くの子供たちが求めているという結果も、私も、そういう結果は余り見たことないので、なるほどな、こう思いました。

 ただ、我々も、ともすると、大人の論理というか、そういったところでいろいろと考えていくと、すぐ、何か、じゃ、加害者を排除しろとか、そういうようなことになりかねないんだけれども、ただそれは、先ほどもありました、出席停止ということを校長の判断でやることができるわけですから。

 今、ちょっと一部、これはさっとあれなんですけれども、自民党さんのいじめ対策の作業チームで、校長の権限で、さらに、学校の敷地に入らないことを命じる懲戒処分なども必要じゃないかというようなことが提言としてなされているという報道に接したわけでございますけれども、大臣は、このことについてはどのように考えられますか。

末松国務大臣 実は、自民党の、今先生が御指摘された学校の現場のいじめ撲滅プロジェクトチームにおいて提言案ができ上がったかどうか、私は承知はしておりませんけれども、一応のたたき台ができたということの話は飛んできております、こちらの方には、情報として入ってきておるんですけれども、最終、まだ文科省で手交されたわけでありませんので、これにつきましてはちょっとコメントは今私自身はできない、そういう状況でございます。

 いずれにしましても、いじめ対策につきましては、いじめによって子供たちが深く傷つき、自ら命を絶つようなことは決してあってはならぬことでありますから、こうした事案の根絶を目指す必要から、きちっとした基本認識を持って対応することが重要であるという認識を持っております。

 加害者でありながら被害者にもなり得るでしょうし、だからといって、加害者にもやはりいろいろなことが、原因があるはずなので、そこのところは細かな分析なり配慮が必要なのかなと思っておりますけれども、今のところ、まだ自民党からは正式な文書では私は受け取っていません。まだ見ておりません。

笠委員 今私が伺ったのは、これはちょっと、私も報道であれなんですけれども、だから大臣にあれする必要はないのかも、確認、今の段階でしても難しいのかもしれませんけれども、校長先生が、学校に例えば子供に来るなというようなことを本当に、これは出席の停止の措置があるのと、あと、もっと大変な状況というか、危害を加えるようなそういう重大な事態を迎えたときには、これは警察も介入しなければならないわけで、やはり、何か子供たちを更に排除していくようなところからのスタートというのは、私自身はちょっといかがなものなのかなというのを個人的には思います。

 ただ、今後、そういったことはまた国会のこの場でも議論させていただきたいと思いますけれども、やはり、こうした子供の立場に立ってどうしていくのかということで、先ほどのこども家庭庁が今度できるわけですけれども、非常に教職員の方々も、保護者との話合いが難航をしたとき、解決できているケースもたくさんあると思うんですよね、ただ、やはり立場が異なって関係がこじれたときに、多くの方々が、中立の第三者機関が介入して解決に協力をしてほしいという、この調査でも九六%の人たちがそういうふうに回答されているわけですけれども、やはり、一度関係がこじれてしまうと、なかなか当事者間での解決というのは難しい状況になってくると思います。

 ですから、こども家庭庁の方で、そういった中立の立場で介入ができる、あるいはいろいろな支援ができる、そういう相談窓口にもなるような第三者機関というものの設置を、本当は、子供コミッショナーみたいな組織があって、その下で展開をしていく方がベストなのかもしれませんけれども、今回は子供コミッショナーというものは盛り込まれておりませんけれども、そういった機関を、むしろやはりいろいろな方々に、NPO等々にも協力をしていただきながら、こども家庭庁の方で展開をしていくというような方針はあるのかどうか、伺いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年の十二月に閣議決定をいたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきましては、こども家庭庁が子供の権利利益の擁護等を担う観点からいじめの防止を担い、地方自治体における相談の体制などの体制整備を推進するということとされたところでございます。

 いじめが発生している現場においてその解消が図られるためには、言うまでもなく、学校や教育委員会がいじめ防止対策推進法に基づく役割をしっかり果たすということは大変大事なことではございますけれども、それは当然のこととして、首長部局や警察、あるいは法務局や児童相談所といった関係機関でありますとかNPOなどの団体が連携をし、それぞれの強みを生かした関わりをこうした問題に対して行うということは、これまた重要なことであるというふうに考えております。

 こども家庭庁におきましては、こうしたネットワークの構築を含めまして、地域における体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

笠委員 第三者の、中立の立場で対応していく人材あるいはその機関等々を恐らく学校や教育委員会の方も必要としており、文科省の方でも、スクールローヤーに対する、これを設置を、配置をしていくための取組などをされていることも私も承知をしているんですけれども、やはりなかなか、スクールローヤーを常設で配置するというのは、費用の面でも、様々な形でまだハードルが高いところもあろうかと思いますし、そういったことを自治体によってはうまく活用して、もう既にそういった取組がなされているところもあるわけですけれども。

 むしろ、学校、教育委員会と保護者の間で、中立的な立場で対応していくということのためには、今、こども家庭庁の方から答弁がありましたけれども、やはり、例えば首長の下に第三者機関的なものを設置をして、そこに例えばそういったスクールローヤーを含めてそういう組織をつくっていって、相談のまた窓口にもしていくというような方が私は何となく現実的なのかなというふうに思っているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、各自治体における様々な先進的な取組というものがあろうというふうに承知してございます。中には、首長部局に、いじめ問題に対する監察といいますか、調査と対処を行うような部局を設けているような自治体もあるというふうに聞いてございまして、現在、内閣官房におきまして、各自治体における取組状況について調査を行っておりますので、今後、そうした調査から得られたものについてしっかりと整理をし、各自治体に対して、好事例の展開などを通じたしっかりとした検討を促してまいりたいというふうに考えております。

笠委員 いずれにしても、こども家庭庁もできて、文科省と一緒に、連携をしながらこのいじめの問題をしっかりと対応していくということですけれども、やはり、組織がばらばらになったこのマイナスの点が出ないような形で、しっかりと文部科学大臣が一義的な責任を果たしながら、しかし、そういった現場の、本当に、教育委員会、学校、そして保護者の皆さん方の間に立って、中立的な立場からいろいろな介入あるいは対応ができるような体制というものをつくる一つの好機としていただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、宮内委員長代理着席〕

宮内委員長代理 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 早速質問に入らせていただきます。

 コロナということで、この二年間、外国からの入国者の数、大幅に減少しております。その中でも、二〇二〇年の四月から今年三月まで、日本への留学の道、これは事実上閉ざされていたと言えるのではないでしょうか。

 三月から段階的に入国制限が緩和され、なおかつ、留学生円滑入国スキームによって、一般入国枠に留学生枠が上乗せできる措置も取られてきました。また、今月の一日からは、入国の上限が二万人にまで緩和をされております。ようやく、在留資格を持つ待機留学生の受入れも本格化しているわけですけれども、三月末の時点で、待機留学生の数は約十五万二千人と聞いております。

 官房長官からは、入国制限の緩和から約一か月が経過した四月十二日の会見で、十五万人の待機留学生のうち三万人は入国したというふうにおっしゃっておられましたが、現時点でこの待機留学生はどの程度いらっしゃるのか。また、末松大臣も会見などで、五月末までには待機留学生は相当程度入国できるのではないかとおっしゃっておられましたが、現状、今どうなっているのか、また、今後の見通しをお聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月に、文部科学省から、四月から夏頃までの大学等における外国人留学生の入国希望者について調査を行いました。実数で約九万人が入国を希望しているということを確認しているところでございます。

 これまでの留学生の入国状況につきましては、速報値でございますが、出入国在留管理庁より、四月一日から六月一日までに約八万人が入国したと聞いておりまして、入国希望者数に対して相当数これまでに入国し、おおむね順調に進んでいるものと考えております。

 また、直近では、六月一日以降、一日当たりの入国者総数の上限が二万人に引き上げられましたので、入国が更に進みやすい状況になっておりまして、オンライン等で学習を進めていた待機者の入国も今後順調に進められるものと考えております。

 文科省といたしましては、引き続き、留学生の円滑かつ着実な入国を進めるために全力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 これは入管庁の方に調べていただいて教えていただいたんですけれども、この二年間の留学目的の新規入国者の数ですが、コロナ以前は大体毎年十二万人程度の新規入国者があったものが、二〇二〇年は四万九千七百四十八人、二〇二一年は一万一千六百五十一人ということで、大変大幅な減少になっております。

 報道ベースでしか分からないんですけれども、ここまで減ってきた、ここまで留学生に対して厳しい入国制限を設けているのは日本だけだというふうにも報じられております。ワクチン接種済みならば、隔離措置なしで留学生を受け入れている国が大半だという話も耳にいたします。

 そこで、分かればということなんですが、例えば、イギリスやドイツ、韓国など、このコロナ禍の二年間、留学生の受入れ状況、どうなっているのか、教えていただけますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のイギリス、ドイツ、韓国の新型コロナウイルス感染症の拡大以降の入国制限につきましては、把握した限りでは、まず、イギリスや韓国におきましては、コロナ禍においても留学生の入国制限はかけられていないというふうに聞いております。ドイツにつきましては、各国でのワクチン接種の進捗前は、各国の感染状況に応じまして留学生を含む外国人の入国の制限がかけられておりましたが、各国でのワクチン接種の進捗後は、ワクチン接種証明書を有している場合などに入国が可能と聞いているところでございます。

吉川(元)委員 そういう形で各国、入国をしているわけですけれども、これは日経新聞の記事なんですが、例えばイギリスなんかでは、二〇三〇年までに留学生を六十万人にする国際教育戦略、これを一九年に発表したんですけれども、二年後の二一年、まさにコロナ禍において達成をしている、それからドイツでは、二一年には新規入国は七万二千人で、顕著な増加が見られる、また韓国も、二〇二〇年に九万人近い新規入国留学生を受け入れている、そういう状況だというふうに報じられております。留学生の受入れの制限がないという話も、国によって違いますけれども、そういう国もあるということでありますが、見ておりますと、むしろコロナ禍で増やしているというところも、各国、あるようであります。

 関連して伺いますけれども、他国は、コロナ禍にあっても、今言ったように受入れをほぼ正常化させておりますし、日本の場合、これからということでありますけれども、水際対策が有効ではないとは言うつもりはございませんし、特に初期の段階では一定の入国制限というのは合理性があったというふうに思います。ただ、その後、大体どういう状況なのか把握できた後、実際日本人が、海外にいた方が日本に帰ってくるものと同じスキームで留学生を受け入れることは実は可能だったんじゃないかというふうに思います。日本人の場合、待機していただくだとかということで帰ってきていただくような状況だったというふうに思いますけれども、留学生の場合も、短期滞在ではないわけですから、そういう形での受入れというのは可能だったのではないか。

 そこで、伺いたいんですけれども、今後、コロナ、この先どういうふうになるか分かりませんが、仮に感染者数が増えていった場合、また厳しい入国措置というものが取られるようになるのかどうか。これは文科省単体で答えられる問題ではありませんけれども、文科省としては、コロナ禍における留学生の受入れ、どのように考えていらっしゃるのかを尋ねます。

末松国務大臣 吉川先生にお答え申し上げます。

 外国人の留学生の受入れというのは、外交上、教育上、研究分野の関係でも、様々な観点で大変重要であるという認識です。

 一方で、水際対策につきましては、政府全体で、国内外のニーズや新型コロナウイルスの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら適切に判断されていくものであることから、今先生、文科省だけでというお話があったように、私から入国制限の是非についてのお答えは差し控えておきたいとは思います。

 文科省としましては、国内外の新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえつつ、留学生の入国を円滑かつ着実に進めるため、必要に応じて関係省庁に働きかけを行うなど、全力を尽くしてまいります。

 今年の二月、三月頃というのは、慎重の上にも慎重を期して留学生を是非受け入れてやってほしいというようなことはいろいろな箇所で話もしたことは事実でありますけれども、ようやくというところでございます。

吉川(元)委員 先ほど言ったとおり、水際対策ということで、様々なやり方があると思うんですね。日本人が帰国をする場合と同じような形で、例えば、旅行とか短期滞在を目的にしている場合は、一週間留め置かれると、それはもう全然、観光にしろビジネスにしろできないんですけれども、留学する場合というのは、普通、長期にわたって、当然一年、二年、三年と留学をしてくるわけですから、その前段で一週間、例えば水際対策として日本人と同じようにできると私自身は感じておりますし、是非、先ほど、留学生の受入れというのはとても重要なことだというふうに大臣おっしゃられましたので、また政府の中でしっかり、仮にそうなった場合には留学生を受け入れられるようにしていただきたいというふうに思います。

 残念ながらこの二年間、大変海外からの留学生は減っておりまして、これは今後の日本の留学生受入れにとっても決してよい影響は与えないのではないか。実際、日本に行きたいと考えている人も、もう入国できないということで、日本への留学を諦めたというようなことも報じられておりますし、日本に行けないから別の国に行くというふうにされた方もいらっしゃるというふうに聞いております。

 他方、国内の方を見ますと、留学生全てとは言いませんけれども、多くの方が、まず日本に入国して、その後、日本語学校に通って日本語の力をもっとつけて、それで大学等にあるいは専門学校等に行く、そういうやり方、方法ということが多く見られます。

 日本語の教育に関わる関係団体六団体が調べたところでは、二〇一九年は三万八千八百四人が新規入学したということで、日本語学校に入られたと。ところが、二〇二〇年は約半分になりまして、一万九千七百九十八人。二一年、昨年ですけれども、僅か九百三十七人になっていると。調査した学校の数、三百二十校ぐらい調査したそうですけれども、回答が得られたそうですけれども、三百二十校で九百三十七人ですから、平均しますと一校当たり三人に満たない人しか新規入学がなかったということになります。

 これはやはりどう考えても経営が成り立たないというふうに思いますし、実際、この六団体の調査によりますと、三月の時点で、全体の七%に当たる二十四校が事業継続不能、一八%に当たる五十七校は、留学生の受入れが順調に進まない場合、三か月以内に事業継続ができなくなる、そして三八%に当たる百二十二校が半年から一年以内に事業が継続できなくなる可能性があるというふうに答えております。

 六月一日以降、上限も二万人ということになり、スキームをつくられておりますから、今後増えてはいくというふうに思いますけれども、経営が非常に厳しい状況には変わりはないというふうに思います。

 今ほど申し上げましたとおり、最初に門をたたくのが日本語学校という方はたくさんいらっしゃいますが、そもそもたたく門がなくなってしまう、そういう状況にもなっているのではないか。こうしたことに対して何らかの経営の支援が私は必要なんじゃないかと思いますが、文科省としてはどのようにお考えでしょうか。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私も、日本語学校、神戸の東の方にある住吉の国際学校ですけれども、行ってまいりましたけれども、大変な厳しい経営状況に置かれておられました。恐らく、この中の多くの先生方もよく視察も行かれていると思います。

 長期にわたりまして、この入国制限の中、非常に厳しい経営状況であることを認識しております。これを踏まえまして、経営への直接支援としましては、コロナで影響を受けた事業の継続、回復を支援をします事業復活支援金などの各種支援策を、関係省庁と連携して、日本語教育機関に周知しているところでございます。

 また、直接の経営支援ではないんですけれども、入国前の外国人留学生のオンラインによる日本語学習を支援するオンライン日本語教育実証事業、令和三年度補正予算で計上をいたしております。四十一億円です。本事業への参加を希望する日本語教育機関に対しまして公募を行っているところでございます。ただ、私も確認をしましたら、もう既にそれは自分のところで環境整備済みです、そういう話もありましたから、なかなか、効率よくいっているかどうか、今確認をしているところです。

 いずれにしましても、日本語教育機関は我が国の留学生政策を支える重要な存在でありますので、文科省として、関係者の声も伺いながら、留学生の円滑な入国に全力で取り組んでまいりつつ、こうした様々な支援策を効果的に活用しまして、日本語教育機関の支援を進めてまいりたいと思ってございます。

 よろしくお願い申し上げます。

    〔宮内委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 経営の支援、ほかのいろいろなスキームを使いながらということでございますので、是非しっかり周知をお願いをしたいというふうに思います。

 それと併せまして、これは以前もこの場で聞かせていただいたことがあるんですけれども、日本語学校の教師、教員の方々の処遇が大変低いという問題は、これはコロナ以前から存在をしておりました。

 コロナの中で、実際、生徒の数が、生徒が入ってこないということになりますので、そうしますと、非常勤の、つまり非正規の教員なんかは、もう仕事がないから自宅待機という状況に置かれて、結果的には、それじゃ生活できませんからアルバイトをしたり、あるいはもう日本語の教師は諦めたというような方もいらっしゃいますし、また、コロナ以前からの問題であった、処遇が大変低いということでいいますと、正規であったとしても、いわゆる拘束時間を含めて考えますと、平均の時給は、例えば東京であれば東京の最賃とほぼ、余り変わらない水準だと。

 日本語の教師、我々は通常こうやって日本語をしゃべっていますけれども、しゃべることと教えることは全く別のものだというふうに思います。

 これも以前この場で紹介いたしましたが、例えば非常に簡単な言葉、象は鼻が長いという言葉があります。これは子供でも使う言葉です。この場合の、係り助詞の「は」と、それから格助詞の「が」、これは何が違うのか。恐らく、私自身は説明しろと言われても説明ができない。だけれども、この言葉自身はそんなに高度なといいますか、子供が普通に使う、動物園に行って使う言葉なわけです。

 こうしたものを、多分、初学者の方、初めて習う方なんかは、疑問に感じている方はいらっしゃると思います。これに的確に教授できる、そういう能力というのはある意味でのスペシャリストであり、プロフェッショナルである。

 そうした人たちの処遇が大変低いということは、やはり私は大きな課題だというふうに思いますが、大臣、この点についてはいかがお考えですか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 法務省の定める基準に合致しました日本語教育機関、いわゆる法務省告示校の数は、令和二年十一月時点で七百九十六機関となっております。

 これらの機関で勤務する日本語教師の数は、これは文化庁の調査によりますと、回答があった六百三十七機関で一万一千四百六十三人となっておりまして、その内訳として、常勤教師数が三千九百三人、非常勤教師数が七千五百六十人ということですから、非常勤講師の先生が六五%ということでありますから、実態として大変厳しいものを感じてございます。

 今後、在留外国人の増加が見込まれる中で、日本語教育のニーズはますます高まるところでありますから、日本語教師が将来のキャリアパスを描いて活躍できるように養成、研修の充実を図ることが重要であると考えておりまして、文科省としましても、人材養成に関する事業を通じて支援に取り組んでいるところでございます。特に、日本語教育の人材養成、現職研修カリキュラムの開発、活用事業では、令和四年度で二億百万円の予算も計上いたしてございます。

 また、先ほどお答え申し上げました、オンラインによる日本語学習を支援するオンライン日本語教育実証事業におきましては、日本語教師の人件費や教材開発費等も対象経費となっているため、コロナ禍におきましても前向きな取組を続ける日本語の教員に対しましては、先生の気持ちは直接的だと思うんですけれども、間接的な支援効果もあるものとは認識をいたしております。

 引き続き支援に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 それともう一点、関連なんですが、今国会、結局提出されなかったんですけれども、日本語教育施設の認定制度、あるいは日本語教員の資格創設のための法案、これが元々準備をされていたというお話も少し伺っておりましたが、残念ながら今国会には提出されずということであります。内容そのものをしっかり見られているわけではありませんが、日本語学校の質の担保、あるいは教員の地位向上に貢献するものだというふうに期待をしております。

 ただ、残念ながら提出されていないということですが、今後、この法案提出に向けた現状を教えていただけますか。

末松国務大臣 吉川先生にお答え申し上げます。

 日本語に通じない外国人に対しまして質の高い日本語教育機会の提供を行うため、日本語教師の新たな資格制度等に関する法案について検討いたしております。

 日本語教師の資格制度を創設することは、日本語教師の質を確保するとともに、日本語教師の資質、能力を証明しまして、社会的な地位の向上を図ることが一番の目的であります。

 これまで、法務省など関係省庁との具体的な連携の在り方について調整を行っておりまして、引き続き、これは速やかな提出に向けて検討を今進めているところでございます。

吉川(元)委員 是非、大変期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、教科書について少しお伺いしたいと思います。

 一つ、質問を飛ばしまして、時間がもう余りありませんので、できれば答弁を端的にお願いしたいと思います。

 教科書の値段なんですが、私自身、大変安いということで、以前もここで指摘をさせていただきました。最近の教科書というのは、サイズも大きくなって、また、カラーページも増えております、ページ数も増えているという中ですが、実はそれに見合った価格の改定が行われていないという状況です。

 この問題、昨年、一年前の当委員会、当時は萩生田大臣でしたけれども、余りにも安過ぎるのではないかというふうに指摘したところ、この金額じゃやっていけないんだという教科書会社は、結果として参入はできないということになるだろう、市場原理に合わせて、そんなに心配はないんじゃないか、こういう答弁がありました。

 ちょっと乱暴な答弁だなというふうに正直思いましたし、一般論としてですけれども、教科書というのはいろいろな種類がある方が選択の幅も広がりますし、多様な教育も保障される。逆に、教科書会社がどんどん減ってしまいますと、実際、今、この低価格ではやっていられないということで、教科書会社、どんどん減っています。そうなりますと、最後、一社になったら、これは事実上の国定教科書じゃないかというふうにも思います。

 この安過ぎる教科書の価格、大臣、どのような認識を持っておられますか。

末松国務大臣 義務教育で使用します教科書の価格につきましては、教科書無償措置法にのっとりまして、児童生徒に無償供与を行うため、国費で負担をいたしているものであること、それと、教科書発行者が教科書を安定的に供給できるように適正な価格を維持する必要があることなどを勘案しまして、前年度の定価をベースに、毎年度、物価指数の変動を勘案しまして、文科大臣が定価の最高額を告示はいたしております。

 また、今も御指摘あったように、ページ数が増えたら当然コストが上がるわけですから、増加して当たり前だということなんですけれども、私としましても、先生と同じように、最後に一冊だけ残ってしまうような話というのは、これは教科書で選択の幅がないわけですから、それを使えということになってしまいますので、ちょっと問題があると思いますし、それなりの質を担保していく上では、当然、文科省の方も教科書会社の財務諸表を取っておりますので、適正な利潤をやはり当たらないといい教科書もできないものであるという認識は私にもございます。

吉川(元)委員 ページ数は増えているけれども、それに合わせて値段が上がらない。今、物価高で、ステルス値上げというのがあるそうです。同じ定価なんだけれども、内容量を減らして、価格は上がっていないように見えるけれども実は内容量が減っているという。だけれども、教科書については、これはステルス値下げになっている。

 しっかりこれは認識していただいて、改善をお願いしたいというふうに思いますが、今、少しお話ありましたけれども、原価計算をしっかり実は文科省はやっていないんじゃないか。

 教科書について、原価計算を最後に行ったのはいつですか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 毎年の教科書の定価の改定につきましては、教科書発行者の直近四年間の決算額、これを基に算定することとしております。(吉川(元)委員「いつやったかを聞いているんですよ」と呼ぶ)

 この間の物価指数等を勘案しまして、毎年、概算要求時におきまして、教科書の定価を推計し、算定しております。

吉川(元)委員 原価計算ですよ。直近四年間の云々かんかんとか、物価を勘案して計算していると言いますが、それは原価計算ではありませんから。実際に、紙が幾らで、インクが幾らで、編集費が幾らかかって、人件費が幾らかかって、そうしたものを含めた原価計算はいつやったのかと聞いているんです。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 教科書の原価につきましては、毎年度、全ての教科書発行会社から損益計算書の……(吉川(元)委員「違う、同じ答弁しないで」と呼ぶ)はい。

 いろいろ、最近、御指摘のありましたものにつきましては、生活科、これが創設された際に、新設教科であるということから、先生御指摘のような原価計算を行っているという事実がございます。

吉川(元)委員 じゃ、伺いますが、新しく小学校等々の教科になっている道徳や、あるいは小学校の英語、それから、それ以外の教科書はいつやりましたか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 英語等、御指摘ありましたが、英語につきましては、中学校で既に取組が行われておりましたので、その中学校を参考に原価計算をさせていただいてございます。

吉川(元)委員 原価計算じゃないでしょう、それは。中学校の英語の教科書を参考にして価格をつくっているだけで、原価計算ではないんです、それは。

 それ以外の教科書はいつですか、元々ある教科書については。通告していますよ。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 生活科については、先ほどお答えしたとおりでございます。

 その都度、いろいろと、例えば学習指導の見直しとか、新しい教科が入るとか、様々な事情がありますので、その都度、前に参考とする例がない場合には、先ほど御指摘があった……(吉川(元)委員「いや、だから、最初の、参考にするのをいつやったか聞いているんですよ」と呼ぶ)

 最近の部分につきましては、先ほど申し上げました生活科についてでございます。それ以外は前年度、四年度の、四年間のその状況を勘案して算定してございます。

吉川(元)委員 いや、私が聞いているのは、生活科でやったような原価計算を、例えばほかの、小学校、中学校等々の国語あるいは数学、算数、そうしたものをいつやったのかと聞いているんですよ。答えてください。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 現在手元に資料は持ち合わせておりませんが、教科書制度ができたとき、そのときに委員御指摘のような原価計算をさせていただいております。

吉川(元)委員 その制度ができたのは一九六三年です。その前後、恐らく一九六〇年頃だというふうに言われています。そこからまともな原価計算をやっていないんです。去年に比べて、大体、いわゆるガスや電気が幾ら上がったかというのを見て、それでそろばんをはじいているわけです。

 もう時間がないので私の方から紹介いたしますけれども、例えば生活科、一九八九年、原価計算を行ったものについての値段は九百十四円です。一方、一九六〇年当時に原価計算が行われた国語、算数は、それぞれ、四百九円、三百九十五円。それから、先ほど、新しい教科となった英語というのが、小学校の英語の教科書ですけれども、これについては、びっくりするんですが、三百四十九円。つまり、原価計算をしないから、非常に、不当に安い値段で購入をしている。

 大臣、これでいいんですか、こういうやり方で。先ほど大臣は、一社になるのは余りよくないというお話でしたけれども、大もうけをする必要はないんですよ、だけれども、赤字が出ちゃうような値段の設定というのは、それはおかしいと思いますが、大臣、どうですか。

末松国務大臣 今、先生のお話も念頭に置きまして、適正価格とは何かということ、先生、今、原価のことをおっしゃいまして、今、引かれましたので、適正な利潤が生まれなければ、これはやはり、教科書を作成して、その教科書会社が成り立たぬわけでありますから、そこのところはしっかり受け止めていきたいと思ってございます。

吉川(元)委員 教科書というのは当然重要なものでありますし、しかも、その値段が、例えば先ほど言いました小学校の英語なんかは三百四十九円、スタンド式のかけそば一杯程度の値段しかしない。これはやはり、これじゃ続けられないですよ。みんな、教科書を作っている人たちは、非常に、我々は日本の教育を支えているという強い使命感を持って、それで作っているわけですけれども、だけれども、こんな値段で買い取られたら、もうそれは続けられなくなってくる。私は、しっかり原価計算すべきだというふうに思いますよ。

 もう余り時間がないのであれですが、もう一点だけ。

 先ほど、経営資料を集めている、提出してもらっているという話がございましたけれども、その経営資料というのは、何をその経営資料の中で見ていらっしゃいますか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 教科書定価の検討におきましては、教科書発行者から提出された損益計算書、これに記載のございます売上高、そして、売上原価のうち教科書に係る部分を参考とさせていただいているところでございます。

吉川(元)委員 それは、つまり、教科書の発行に係る原価と、教科書の発行に係って得られた、いわゆる収益あるいは損失というのを参考にしているということでいいんですか。

 じゃ、次に、デジタルについてお伺いしたいんですが、余りもう時間がないので、少しはしょって聞かせていただきます。

 デジタル教科書なんですけれども、これ、ちょっと一つ飛ばしまして、動作環境、様々だというふうに思います。OSもいろいろありますし、それからブラウザーもいろいろあります。さらに、そのOSやブラウザーもバージョンが幾つもあります。組み合わせると何十通りにもなるんですが、この動作環境の保証というのは今どういうふうになっているのか、お答えください。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 現在、実証事業で配付しているデジタル教科書につきましては、クラウドから閲覧する仕組みになってございまして、OSの違いによる大きな影響は受けないものと当方としては認識してございます。

 なお、ブラウザーにつきましては、実証事業を実施する際に、発行者の対応状況を調査いたしております。この事業に参加する全ての発行者が一般的に利用される三つのブラウザー全てに対応できることを確認しているところでございます。

 文科省としては、デジタル教科書を利用する際のOSやブラウザーについて、とりわけ指定してございませんが、各発行者の考えに合わせて柔軟に対応できるようにしていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 もう一点、デジタル教科書についてなんですが、紙の教科書の場合は、きちんと保管すれば、幾つになってもその教科書を見ることができます。実際、私の実家には、私が中学校時代に使っていた地図がいまだに残っております。

 当然、そういう何十年も後という話じゃなくても、例えば、中学校の一年生のときに習った教科を、中学校三年生や二年生になって、あるいは高校になって、もう一回ちょっと、あれ、何て書いてあったかなと振り返る。紙の教科書だったら、ちゃんと保存していれば可能なんですが、今お話あったクラウド上で見るということになると、これはなかなか、残っていなければもう見られないわけですから、それはいつまで、その当時習った教科書が残っているものなのか。

 また、教科書、これは、そこにいろいろな書き込みをしたりアンダーラインを引いたりできる機能がついているというふうにありましたけれども、そういう書き込みやアンダーラインを引いたもののデータも含めて、クラウドで何年程度保存する予定なのか。これについて教えてください。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 今年度、文科省の実証事業において各学校に提供しているデジタル教科書につきましては、実証期間が一年という期間でございますため、教科書発行会社において一年間の保存をお願いしております。

 他方、市販されているデジタル教科書の中では、例えば、四年間使用できるものがあったりしておりまして、その場合は、各発行会社が判断して、四年の保存としているところと聞いております。

 御指摘のありましたデータの保存の期間につきましては、現在、中央教育審議会で議論を進めているところでありまして、今回実施しております実証事業、また関係者の御意見を丁寧に聞きながら、今後検討を進めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 やはり、デジタル教科書のよい面もありますけれども、紙の教科書であれば半永久的に自分の手元に置いておけるものが、クラウド上からもう削除された、今の話だと、実証実験だから一年、その後は四年とかという話だと、ちょっと私は短いんじゃないかというふうに思いますし、学び直しができるような、そういう環境をつくっていただきたいと思います。

 とにかく、もうこれで最後にします、大臣、教科書の価格については、今後の日本の教育を支える大きな重要なインフラですから、持続可能な価格になるように、しっかり原価計算を行っていただく、再度行っていただくことを強く求めて、質問を終わります。

義家委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会、早坂敦です。

 本日も、質問の機会をありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 不登校と起立性調節障害、ODと言われている、この関係性について質問したいと思います。

 起立性調節障害とは、なかなか聞き慣れない病名ですが、自律神経の異常で循環器系の調整がうまくいかなくなる疾患です。心身的要素以外に、精神的、環境的要素も関わって起きることも考えられます。

 日本ではまだ認知度が低いです。軽症例を含めると、小学生が約五%、中学生が約一〇%という調査結果もあります。小学校高学年から中学校、高校の思春期に発症しやすいとされているODですが、この約半数に不登校が併存していると考えられます。

 文科省が二〇二一年十月に発表した問題行動調査によると、小中学校における不登校の児童生徒数は十九万六千百二十七人と、過去最多です。学年が上がるほど、不登校の児童生徒の数が増えていることが分かります。この約半数近くがODの疑いがあるかもしれません。

 国として、不登校におけるODの関係の調査を把握しているのか、どれくらいと推計していますか。伺います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の起立性調節障害につきましては、今先生お話ございましたように、思春期に発症しやすい自律神経機能不全の一つでございまして、立ちくらみや倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、朝起きるのがつらくなることも多い疾病であるというふうに承知をしております。

 私どもの令和二年度の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきましては、不登校とは別に、病気を理由とする長期欠席をしている児童生徒数も調査をしてございますけれども、病気を理由として長期欠席をしている児童生徒数が四万四千四百二十七人となっております。

 この病気による長期欠席につきましては、その疾病内容の詳細までは把握をしてございませんけれども、当該児童生徒が医療機関において起立性調節障害と診断されている場合には、病気による長期欠席に計上されているものと考えております。

 また、長期欠席のうち不登校の要因につきましては、本人や保護者の意見を踏まえて、スクールカウンセラーなど専門家を交えたアセスメントを行った上で記入することというふうに示しておりまして、より的確な把握に努めるよう要請をしてきているところでございます。

 各学校で、不登校児童生徒あるいは長期欠席の児童生徒の状況についてきめ細かに把握をして、必要な支援が行われるように引き続き努めてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 なかなか、本当にこのOD、知られていなくて、やはり保護者の皆さんと話すと、えっ、うちの子、そうだったとか、怠けていると思って、本当は全然違って、病気なんだと。本当に、お母さんたちも周りの人たちも、これは怠けているんじゃないかと思われるんですけれども、このODについて、しっかり、もっと国の方でもやはり調査して、調べていってほしいという思いです。二〇一五年に公表されて、まだまだ日が浅いのかもしれないです、日本では。なので、しっかりお願いいたしたいと思います。

 次に、ODの特徴として、朝起きれない、そして倦怠感、頭痛などの症状が見られ、不登校や引きこもりを起こしてしまいます。先ほど言ったとおり、一見怠けているように見えます、見えることもある。でも、違うんですね。これまでODの認知が進んでいない中、不登校になるのは怠けているからだという誤解も本当にこれまであったと思います。

 岡山県では、教育と医療が連携し、教職員に対してODの子供たちへの配慮を促すという先進事例がありますが、全国の教育委員会での取組はどうなっていますか。伺います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました起立性調節障害の児童生徒への対応につきましては、教職員の理解が不可欠だということで、今御紹介のございました岡山県教育委員会でガイドラインを作っておりますほか、静岡県袋井市ですとか大分県教育委員会などでも研修動画やリーフレットなどを作成、周知している事例があるというふうに承知をしております。

 また、文部科学省の方でも、本年三月に発行いたしました教職員向けの指導資料として、教職員のための子供の健康相談及び保健指導の手引というものを作成して周知をしておりますけれども、その中の一つの事例といたしまして、遅刻が目立つようになった要因の一つが起立性調節障害であった生徒についての事例なども紹介をしながら、この子供については、委員御指摘のように一見怠惰というふうに思われていたところが、しっかりチェックをすることで、小児科受診をした上で、起立性調節障害であったということで、その後の支援につながっていったというような事例も紹介をしてございます。

 こうした資料を参考にしながら、各学校で取組が進められるようにしていきたいというふうに思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 そのガイドラインというのが、この、岡山県で出しているんですけれども、すごい分かりやすくて、だけれども、九時以降はスマホやゲームをしないとか、あと、水を一日一・五リッターから二リッター飲む、なかなか、そういう症状も詳しくQアンドAで書いてあるので、是非とも、国の方から推進して、こういうガイドラインを各自治体そして教育委員会に作っていただきたいという思いです。

 やはり、子供たちとか保護者さんが分からない、学校の先生たちが分からないから、毎日うちの子供が遅刻しますと言うのもつらくなって、また、子供たちが学校に行きにくくなる、いじめの対象になったり不登校になる、本当に悪循環なので、是非とも早急に対応していただきたいという思いです。

 次に、今後、文科省として、もう一度お伺いしますが、各学校、教育委員会に対してどのような指導を、取組を行っていくでしょうか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 早坂先生にお答え申し上げます。

 御指摘の起立性調節障害につきましては、各学校におきまして教職員が理解を深め、その疑いのある児童生徒に対しまして健康相談や保健指導などによりましてしっかりと対応することができるよう、指導参考資料を作成し、周知を図っております。指導参考資料は、教職員のための子供の健康相談及び保健指導の手引の中でございます。

 直近では、今週、五月三十一日に開催いたしました都道府県及び指定都市教育委員会の保健担当指導主事を集めました連絡協議会におきましても、起立性調節障害の生徒への対応事例が記載されていることも示しながら、この指導参考資料について周知をしたところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、各教育委員会を通じて、各学校に対し、必要な情報提供を行ってまいりたいと思います。

 先生の今の御質疑を聞きながら思ったことは、教師がそういう病気のことをよく知って、遅刻をしたり、いろいろなケースがありますけれども、その子は病気なんだということを理解するということが一番大事であると思いますので、それを念頭に置いた周知の仕方をしたいと思っております。

早坂委員 大臣、ありがとうございます。

 今後、文科省さんには、不登校の要因を更に調査して分析していただきたい。そして、ODとの関係や、現場での対処方法、しっかり対策を講じていただきたいと思います。

 次に、いじめ加害者の対応について伺いますが、いじめ加害者について、国としてどのような対応を、そして指導を行っているでしょうか。大臣、お願いします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 いじめの問題が発生する背景には、もう先生も御承知のとおり、様々な要因がございます。学校におきましては、個々の事案に応じて、関係する児童生徒に対応していく必要がございます。

 御指摘の加害児童生徒につきましては、いじめを行う背景として、心理的ストレス、あるいは集団内の異質な者への嫌悪感情などが考えられまして、こうした加害児童生徒に対して十分な実態把握を行った上で、必要に応じまして的確な指導と対応をしていくことが大切でございます。

 加えて、いじめの防止等の基本的な方針におきましても、加害児童生徒への指導に当たりましては、自らの行為の悪質性を理解させ、健全な人格の発達に配慮するように示しております。

 これらを踏まえた上で、学校では、複数の教職員が連携する、そして、必要に応じて専門家の協力も得ながら、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置がなされていると考えております。

 引き続き、文科省としましては、加害者への指導等を含め、学校現場におけるいじめ防止等のための取組を推進をいたしていきたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に、加害者の方が何度も何度もいじめをする、保護者の方にも理解してもらって、やはり、子供たちがいじめを一回やっちゃって何回もやるというケースもありますので、是非ともやはり強化してほしいという思いでございます。

 次に、出席停止処分について。

 文科省の通知では、その目的を、懲戒行為ではなく、学校の秩序を維持し、ほかの児童生徒の教育を受ける権利を保障するためとしていますが、具体的にどのような事案を想定しているでしょうか。いじめ加害者に対しては適用されるんでしょうか。伺います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育法第三十五条におきましては、市町村の教育委員会は、他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為、あるいは、授業その他の教育活動の実施を妨げる行為などを繰り返し行う児童生徒の保護者に対し、出席停止を命ずることができるということとされてございます。

 この制度は、今先生からお話ございましたように、本人に対する懲戒の観点ということではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するという観点から設けられているものでございます。

 これは、いじめを繰り返して、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障する必要があるという場合には、いじめを理由として出席停止を行うということもあり得るものでございます。

早坂委員 不思議なことに、いじめられた方が学校に来なくて、いじめた方が学校にいる、そういう例がほとんどじゃないですか。いじめられた子は違うところで勉強させていただく、そういうのも本当におかしな今仕組みじゃないのかなと私はすごい思うんですけれども。

 この出席停止件数の減少の要因は何でしょうか。そして、これまで、いじめの加害者に対する出席停止処分はどのぐらいあったんでしょうか。また、いじめ加害者を出席停止にするのに、難しさは何でしょうか。伺います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、令和二年度に講じられた出席停止の件数は四件でございます。そのうち、いじめを理由としたものは一件というふうになってございます。

 出席停止措置の実例が少ない理由といたしましては、認知されたいじめのうち約八割が解消されており、早期に対応が講じられているということ、また、児童生徒の教育を受ける権利に関わる措置であり、加えて、児童生徒の家庭との連携に困難な面もあるということから、その運用について市町村教育委員会が慎重であったことなどが考えられるところでございます。

 ただし、学校が指導を継続してもなお改善が見られず、正常な教育環境を回復するために必要があると認める場合には、教育委員会は、いじめや暴力行為などの問題行動を繰り返す児童生徒に対し出席停止措置を取ることをためらわずに検討すべきであり、この点については、平成十九年二月に通知を発出して、教育委員会に対して指導しているところでございます。

 さらに、いじめ防止対策推進法第二十六条におきましても、出席停止を命ずるなどの必要な措置を講じるものと規定されておりまして、出席停止制度の適切な運用が行われるよう教育委員会に対して指導しているところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、市町村教育委員会に対して、適切な出席停止措置の運用について指導するとともに、その運用に当たりましては、状況に応じ、例えば、都道府県教育委員会による職員の派遣などの人的支援ですとか、地域における関係機関の協力を得たサポートチームによる対応など、学校に対する支援もなされるように併せて求めてまいりたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に、適切に、まだ全然取り組んでいっていないような、いじめの問題がいろいろと悪質になっている、スマホだったり、そういう、昔とは変わってきていますが、やはり、なくならない問題ですので、そして、加害者に対してもしっかりとやはり指導していくようにお願いを申し上げます。

 そして、最後に、私から質問ですが、いじめ加害者を厳罰に処すべきということではありませんが、加害者も被害者もケアは必要です、しかし、先ほども言いましたが、いじめ加害者が学校に残り、いじめ被害者が学校を去っていくという例がほとんどです。当事者はもとより、出席停止処分を望む保護者は半数を超えているという調査結果もあります。

 いじめ加害者の教育を受ける権利と、いじめの被害者の教育を受ける権利の整合性は、どのように考えているんでしょうか。何が必要だと思いますか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 いじめの対応に当たりましては、まず、いじめ被害児童生徒を徹底して守り抜くという認識の下で、当該児童生徒の見守りや心のケア等の支援を行いまして、落ち着いて教育を受けられる環境を確保することが大切でございます。

 やはり、その子供、被害生徒は、守ってくださいということで大人に救いを求めたわけでありますから、その思いで声を上げたわけですから、そのことを一番大事にしなきゃいけないと思います。

 その上で、いじめの加害児童生徒に対しましては、自らの行為の悪質性を理解させて、健全な人格の発達に配慮した上で、再発防止に努めるとともに、必要な場合には、教育的配慮の下、これは学校教育法に基づいた懲戒や出席停止など、毅然とした対応を取ることも大切でございます。

 いじめ加害者の教育を受ける権利を保障するため、別室での指導や、出席停止期間中であっても、例えば、学級担任が計画的かつ臨機に家庭への訪問を行い、反省とか、日記とか、読書とか、その他の課題学習をさせる等、適切な学習支援を行うことが必要です。

 いずれにしましても、文科省としましては、いじめ被害者への支援及びいじめ加害者に対する適切な指導が徹底されるように、引き続き学校現場でのいじめ対策に取り組んでいきたい、そのように考えております。

早坂委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、このいじめの問題は、ゼロにはなかなかならないんです。だからこそ、学校の先生も大変です。そして、本当に、訪問するのも、してもらいたいですけれどもね、小まめに、丁寧に。だけれども、なかなか、学校の先生だけで無理だったら、やはりカウンセラーだったり、外部の方に頼んでも、そういう専門家にお願いしても、一つ一つ丁寧にやってもらいたいと私は思うので、是非ともよろしくお願いします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 皆様、お疲れさまでございます。

 本日も質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 本日は、私の選挙区でございます愛知県清須市の教育委員会とミーティングをいたしまして、お声をいただいてまいりましたので、その点について質問をさせていただきます。

 二点、ございます。まず一つ目は、タブレット端末の更新費用について、そして、学校のプールの維持管理についてでございます。

 まず初めに、タブレット端末の更新費用について伺います。

 さて、文部科学省では、ソサエティー五・〇の時代を生きる子供たちにふさわしい、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと創造性を育む学びの実現のために、児童生徒に一人一台端末と学校における高速通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想の実現に向けまして、令和元年度補正予算及び令和二年度補正予算で、合計四千八百十九億円を計上しています。学校教育の情報化を図っているところだと認識しております。

 このGIGAスクール構想により、令和三年度末時点で、見込みとして、全一千八百十二の自治体のうち、九八・五%に相当する一千七百八十五の自治体において、一人一台の、児童生徒へICT端末を持つようにということが実現できました。

 コロナ禍において、後押しにもなったと思いますし、学校に行けない状況下で、家庭学習にも役立てられていると思っておりました。また、その普及や整備には、現場の皆様の尽力とともに、多大なる費用も投じられていると認識しております。

 さて、ここでですが、端末を整備された後も毎年のように費用の負担が生じ、また、端末の保守管理、通信費用など、ランニングコスト及び端末更新への多額な費用がかかることが自治体で大変大きな課題、そして懸念になっているということでございます。

 約五年後に迫るこの端末の更新費用についてですが、現在検討中ということでございますが、その後、どのようになっているのでしょうか。是非、まずはここから伺いたいと思います。お願いします。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 文科省では、GIGAスクール構想の実現に向けまして、累次の予算により、一人一台端末及び校内通信ネットワークの環境整備を進めてきたところでございます。昨年度から活用が始まっているわけでございますが、まずは、今般整備されましたICT端末等を積極的に活用いただくことが重要であると考えています。

 その上で、御指摘のありました機器更新等に係る費用負担の在り方、これにつきましては、文科省としても大変重要な課題だと認識しております。

 今回整備した一人一台端末等の利用状況、そして効果、また地方自治体の方々の意見、こういったものを総合的に勘案し、しっかりと丁寧に聞き、さらには関係省庁と協議し、検討してまいりたいというふうに思ってございます。

岬委員 大変曖昧な答弁でございましたので、私の聞いている意図とはちょっと違うかなとは思いますけれども、GIGAスクール構想によりまして整備されましたICT端末において、今後の機器の更新等に係る費用負担の在り方、これは重要な課題だという認識は今お聞きすることができました。ただ、検討を進めているだけでは、現場は結構困ってしまうということなんですね。

 今般整備されましたICT端末等を積極的に活用していくことが重要であるとも、お答えがございました。

 というのは、文部科学省において、令和三年三月十二日、GIGAスクール構想の下で整備された一人一台の端末の積極的な利活用についてという項目を通知されています。

 さらには、令和四年三月三日に通知は更新されています。GIGAスクール構想の下で整備された学校における一人一台端末等のICT環境の活用に関する方針ということで、通知が出されています。

 この中を確認いたしますと、ICT環境の整備、また端末運用の準備、持ち帰った端末等を活用した自宅等での学習、また校務の情報化の推進、学習指導等の支援、デジタル教科書の活用、保護者や地域等の理解の促進などがございまして、詳しく内容は盛り込まれております。

 ただ、この現状、文科省として、こうした通知を出した上で、具体的に地域がどのような取組を実際にしているか、できているか、さらに、この活用状況の把握をしていく必要があるのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 一人一台端末の整備はおおむね、今お話ありましたが、小中学校で整備が完了し、GIGAスクール構想は、環境整備のフェーズから利活用のフェーズに移ったと認識してございます。

 文科省では、臨時休業期間中の学習指導等に関する具体的な取組状況を把握するため、本年二月でございますが、調査を実施いたしました。

 その調査によりますと、同時双方向型のウェブ会議システムの活用、これにつきましては、令和三年九月時点で三割だったところを、本年二月の調査では、約七割の学校で行われたという結果を得ました。GIGAスクール構想により、一定の成果が出てきているものと考えてございます。

 また、学校では様々な新しい取組がなされておりますが、それと同時に、様々な悩みや課題もあると承知してございます。

 文科省といたしましては、省内の特命チームにおきまして、優れた事例、そういったものを集めて、そして発信し、また、個別の教育委員会の悩みに、相談できる、そういったアドバイスの体制、これも整備しているところでございます。

 さらには、本年三月でございますが、保護者との間に事前に確認しておくこと、これは極めて重要ですので、こういったものについてのガイドライン、これを作りまして、周知を図ったところでございます。

 今御指摘ありました、まさに走りながら考えるところもあります。しっかりと現場の状況、そういったものをつぶさに分析し、それについての解決策を示しながら進めてまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 活用は現場でどんどん進んでいるという状況が把握できました。

 そうしますと、これから先を見据えてどのように進めていかなくてはならないかということで、やはり費用の質問にもう一度戻していきたいと思います。

 朝日新聞ではアンケートを昨年六月に実施しております。そこでは、配備された端末が約五年後に更新時期を迎えるため、その費用負担について国の方針を早く示してほしい、これは幾つかの自治体が声を上げております。

 さらに、令和二年一月三十日の指定都市市長会においては、GIGAスクール構想を持続可能なものにするためには、国の責任において、端末整備完了後における機器の保守管理及び端末更新時の費用についても国庫補助の対象とし、継続的かつ十分な財政支援を行うこととされております。

 さらには、令和四年五月十九日の全国都道府県教育委員会連合会において、端末や校内LAN等の機器の維持、増強は不可欠であるが、地方公共団体の財政力のみの対応は困難である、機器整備の更新や一人一台端末を見据えたネットワーク増強の費用について、国は耐用年数やランニングコスト等を踏まえた継続的かつ十分な財政措置を講じること、特に多額な経費がかかる義務教育段階における児童生徒用の端末更新期には、国による十分な財政支援が必要であること、端末の更新をできるだけ早い時期から計画的に準備ができるよう、国において、更新経費に対する財政措置の考え方を早期に示すこととございます。

 また、私の選挙区であります愛知県清須市において先月直接お話を伺ってきたところ、タブレット端末の導入に当たって約三億円がかかっている、更新費用について国の見通しを知りたいと、強い声が届いておりました。

 今自治体の求めていることは、国の方向性、そして早期の方針を示してほしい、また、それがないと準備を進めていきづらいということではないかと思います。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福准教授によりますと、将来、国がどこまで予算措置をするのか、その方針がなければ自治体は動きようがないという指摘も入れております。

 ここで質問です。

 文科省は、こうした意見や指摘、どのように答えるおつもりでしょうか。具体的な内容について今後検討としても、せめて、いつ頃までには方針を出すよとか、そういった目安が発表できないのかなと思っているところですが、ここは大臣に是非お声をいただきたいと思います。お願いいたします。

末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。

 GIGAスクール構想における一人一台端末環境につきましては、累次の補正予算や地方財政措置を通じた措置によりまして、全国の自治体における整備がおおむね完了いたしまして、環境整備のフェーズから利活用推進のフェーズに移行をしている段階でございます。

 御指摘の、今後の機器更新に係る費用の在り方につきましては本当に重要な課題でございまして、この検討を進めていくためにも、まず、今般整備された一人一台端末を積極的に活用いただくことが重要であると考えているんですが、GIGAスクール構想は、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す、令和の日本型学校教育の基盤となるものです。その持続的な推進に向け、今回整備した一人一台端末の将来の在り方について、数年後の更新時期を見据えて、関係省庁と、まず、これはもう、検討というよりも、積極的に検討いたしてまいりたいと思ってございます。

 私の部屋にも来られますのは、各議会の意見書が一番多いのは実はこれが一つでございます、この更新はどうなるんだろうかと。市庁舎に行きましても、市長さんは、やはり、うちのところは七億ぐらいかかってくるという話もよく聞きますので、いずれやってくる大事な問題でありますので、できるだけ早くめどが出せるようにしたいと思います。

 以上でございます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。早急に是非ともよろしくお願いいたします。

 令和の教育ということで今お言葉ございましたように、私たちの時代は、ノートやまた鉛筆、シャープといったものが当たり前の教育のアイテムだったわけですが、これからは、まさにこのPC端末であるとかタブレット端末というものが子供たちにとって当たり前の教材である、また必須アイテムであるというふうに認識をしております。是非とも、将来を見通した予算を組んでいくことをお願いをして、次の質問に移らせていただきます。

 さて、公立学校のプールの維持管理についてでございます。

 プールの維持管理というと、いろいろ今問題になっております校舎の建て替えであるとか耐震問題もございますけれども、今回はプールに焦点を当てていきたいと思います。

 まさにこれから夏のシーズンの体育の授業というとプールが浮かぶわけですが、小中学校の児童生徒が急増しました一九七〇年から八〇年代前半、大変多く整備をされました、まさに私の育ってきた時代でございますけれども。文科省によりますと、築四十年を超えると全面改修が必要となり、各地で学校の老朽化問題が上がっています。また、国の調査によりますと、小中学校のプールの数、二〇一五年度に二万一千五百三十六、約二十年前の四分の三に減っております。学校の減少を上回るペースで減少しているという事態でございます。

 ここで課題です。

 老朽化によりまして、今後の維持管理費、改修費用の増大が予想されるということです。

 次に、水泳の授業というのは期間限定でございます。小中学校、それぞれ違いはあるかと思いますが、地域性もあると思いますが、年間で大体十時間程度となっております。しかしながら、天候や水温によりまして実施ができない場合などもございます。多額な維持管理費、例えば水循環装置であるとか排水溝の設備といったものに要するにもかかわらず、この維持管理費の費用をかけるだけのプール施設の利用日数が少ないというのも現実でございます。

 さらに、使うのであれば、安全確保の対策、さらに、私たちの子供の頃とは違う気温の上昇があり、大変暑い中での屋外の授業になるわけです。熱中症の対策の、リスクなどの課題がございます。

 そういった中で、水泳の授業を廃止した自治体も実際ございます。施設の老朽化が進みまして、年間の使用日数が少ないにもかかわらず多くの費用を要するので無理だったということでございます。

 ここで質問です。

 こうした水泳の授業を廃止した自治体はまだ多くはございませんが、今後増えてくると予想がされます。地域によるばらつきも想定されます。水泳の授業、水に慣れることから始まりまして、また、水に浮く、泳ぐといった、もちろん基本的な技能を身につけることだけではなく、水難事故の防止、自分の命を守るという観点からも必要な授業であると考えます。

 まず、学校教育におけるプールで行われる水泳授業の意義、必要性について、いま一度教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校のプールを使用した水泳の授業についてでございます。

 学習指導要領におきましては、小中高等学校を通じまして、体育、保健体育の中で、発達段階に応じた学習内容を位置づけております。

 具体的に申し上げますと、水泳については、クロールや平泳ぎなどの泳法を身につけ、続けて長く泳いだり、速く泳いだり、競い合ったりする楽しさや喜びを味わうことのできる運動であること、それらの運動を通して、全身の持久力や身体の調整力等を養うことが期待されているといったことなどが示されております。あわせまして、安全確保の面からは、水に浮くことや泳ぐことで水の危険から自己や他者の身を守ることができるようになることが大切だといったような内容も盛り込まれております。

岬委員 ありがとうございます。

 いま一度確認をしまして、やはり、水泳の授業が必要である、意義があるということが確認ができました。

 そこで質問です。

 このようなプール設置に置かれている学校の現状というものが分かってまいりました。地域格差なく、安全そして平等にプールの授業を実施していくには、では、どうしたらいいのでしょうか。大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。

 今先生から年間十時間の水泳の授業ということでお伺いしましたが、子供たちが、小学校、中学校、高等学校のこの水泳の授業で、水に慣れて水に親しむとともに、自らの身を守る方法を身につけることは大変重要なことでございます。

 水泳の授業が行われるこのプールを維持管理していくに当たりましては、全国では、例えば、自前の学校プールの設置に代えて公営プールや民間プールを活用する、あるいは、複数の学校で共同利用をすることなどによりまして、負担軽減に取り組んでいる事例が見られます。文部科学省では、これまでも、学校プールの維持管理の負担軽減に資するよう、このような好事例を広く紹介をしてきたところでございます。

 また、本年三月に策定しました第三期のスポーツ基本計画におきましても、施設の集約、複合化、既存の施設の有効活用等を推進することといたしております。

 文科省としては、今後ともに、地域の実情に応じて、現場での知恵と工夫による取組が全国に広がっていくように、事例の紹介に積極的に取り組んでいきたいと思います。

 ちなみに、愛知県の常滑市では、十三の小学校の自前のプールを計画的に廃止して、既存の公営プールを活用している、あるいは、佐賀県の伊万里市では、二小学校の自前のプールを廃止して、それぞれの既存の民間プールを活用することにしたとか、茨城県の下妻市では、市内十二小中学校の自前のプールを計画的に廃止をして、老朽化度合い、稼働率、距離等を勘案の上決定して、五つの基幹学校の学校プールに集約、共同利用する方向にしたということで、三つのスタイルがあるような感じも受けております。

 以上でございます。

岬委員 ありがとうございます。

 私も調べまして、愛知県常滑市だけでなく蒲郡市、ほかの県でも、多くいろいろな試みをされております。

 例えば、私の選挙区清須市ですと、市内に、公営であったりまた市営の、そして私立の、民間ですね、のスポーツクラブなどが余りないということで、公立小中学校のプールについて、夏しか使わないけれども維持管理が大変である、費用がかかる、そういった負担になっていますと。

 では、どうしたらいいのかということなんですね。移動するには、やはり安全確保だったり、バスだったり、徒歩だったりと移動しなくてはいけない。時間が限られておりますので、その中で更衣をしてプールの授業をやるという、かなりな負担が出てきます。そうなると、計画的なものが必要ではないかと思われます。

 そこで、最後の質問です。

 私も、四月十三日に、部活動の地域移行についても質問を投げかけておりますけれども、やはり、授業の中でも地域や民間を含めた協力が必要であるなということを最近常に感じております。昨日のニュースでも、部活の地域移行に当たり、やはりプール問題、水泳部の苦労というものを取り上げていました。

 そこで、維持管理をするコストがかかるといった施設を使わなくてはいけないプール授業、行うことができないので、学校の外でそれを行おうという動きがあるわけですが、そうすると、では、残されたプール、これは放置してしまうんでしょうか。それとも、事例によれば、消防用水としての備えにするですとか、釣堀として地域に開放するであるとか、芝生の広場にする、テニスコートにするなど、いろいろ自治体で工夫をされていますけれども、そういった見解はどのようにお考えになっていますか。

 地域移行をするは分かりました。では、残された施設、これをどうしていくか、最後、お願いいたします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 部活動の地域移行に関しましては、まず、地域移行の検討会議が進んでおりまして、最終的な取りまとめが行われまして、来週早々にも、座長から長官に提言が手交されるというふうな段取りになってございます。

 部活の地域移行の中では実践研究も行っておりまして、この中で、水泳部に関しましては、水泳協会やスポーツクラブとの連携、指導経験者の活用、公共プールの活用などといったことを活用しながらうまく移行を進めている例もある一方で、なかなか団体が見つからないとか、指導者が見つからないといったような事例も聞いております。

 スポーツ庁といたしましては、こうした様々な現場におきまして生じてきます課題や要望などについては、きめ細やかにすくい上げて、できる限り対応していきたいというふうに考えております。

 また、廃止された学校のプールの活用につきましては、実際には、地域住民のニーズに即して有効に利活用されるということが望ましいと考えておりますので、御指摘にありましたような地域のスポーツ施設などへの活用も考えられると思います。

 地域などの要望などもよく聞きながら、スポーツ庁として、地域に存在する多様なスポーツの場の有効活用といった面で進めてまいりたいというふうに思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 是非とも、合理的に、そして、子供たちが不利益を被らないように、地域格差のないように進めていただきたいと思います。さらに、使わなくなった施設を有効活用ができるような、そういった好事例も是非ともお示しいただければと思います。

 質問のお時間をいただきまして、ありがとうございました。

義家委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 本日は、生命(いのち)の安全教育についてお伺いをいたします。

 昨年公表されました内閣府の男女間における暴力に関する調査によりますと、女性の約六人に一人、男性の十二人に一人が交際相手からの暴力を経験しているという深刻なデータが出ております。性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップセンターの相談件数も、二〇年、二一年共に増加をして、二一年上半期で二万九千四百二十五件に達しております。コロナ禍で特に若年女性への性暴力や性虐待、DV等の増加に拍車がかかり、早急な対策が求められている状況です。

 二〇二〇年六月に性犯罪、性暴力対策強化の方針が決定をされたことに基づいて、子供たちが将来も含め、性被害の被害者また加害者、傍観者にならないための生命(いのち)の安全教育の取組がスタートいたしました。

 文科省の現状の取組について、御説明をお願いいたします。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為でありまして、その根絶のために教育や啓発を強化していくことが必要でございます。

 このため、文部科学省では、性犯罪・性暴力対策の強化の方針に基づきまして、昨年、内閣府と共同で、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命(いのち)の安全教育、これの教材及び指導の手引等を作成いたしまして、全国の教育委員会等に周知をしているところでございます。

 加えて、昨年度より、学校における生命(いのち)の安全教育推進事業を実施しておりまして、全国十三か所の教育委員会等に委託をし、計四十九校で本教材を用いたモデル事業を展開し、指導モデルを収集をしてございます。

 今年度は、この昨年度のモデル事業の成果を事例集として取りまとめるとともに、引き続き、生命(いのち)の安全教育推進事業を実施し、更なる指導事例の収集を行うこととしてございます。

 今後とも、地域の実情に応じて段階的に教育現場に取り入れられるよう、事業の成果や課題を踏まえながら、生命(いのち)の安全教育の更なる普及、展開を図ってまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 令和三年度、四年度でモデル事業を展開した中で、そこで得られた知見を事例集という形でお示しをされるということでございましたけれども、具体的な授業の実施については、教育現場で、これは先生方が担当されるのか、又は専門家の外部の方が担当されるのか。先生が担当されるのであれば、養護教員を始めとしてどういう先生が担当されるのか、また、どのような時間割りで実施することを想定されておられるのか。

 また、この教育に当たっては、先生方への研修や専門的な知識を持った担い手の育成や確保が大変必要だというふうに思いますけれども、学校の規模によっても先生方の状況によっても大きな状況の違いがある中で、様々な課題がございます。

 文科省としてどのような方針で取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えしましたとおり、この生命(いのち)の安全教育の推進のために、その教材及び指導の手引等を作成し、公表しているところでございます。

 先生御指摘のこの具体的な授業等の実施につきましては、指導の手引等において、各学校の判断により、体育科、保健体育科や特別活動など教育課程内外の様々な活動を通じて取組を実施することを示しているところでございます。

 また、指導者につきましては、学級担任や特定の教科担任、養護教諭のほか、外部人材と連携した指導など、各学校の判断による様々な形態が考えられるところでございまして、文部科学省といたしましても、指導の手引の作成や生命(いのち)の安全教育推進事業等を通じて、教員に対する研修や外部人材の連携等を含めたモデル事例の構築、普及を図っているところでございます。

 今後とも、地域の実情や課題に応じた様々な工夫を促すことによりまして、全国の学校においてこの生命(いのち)の安全教育が実施されるよう取り組んでまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 これまでも、全国の自治体を始めとして、行政機関やNPO法人又は個人におきまして、長年にわたり先駆的な取組を、地道な取組をされてきた同様の教育、今回、生命(いのち)の安全教育ということで文科省の方で教材を作られましたけれども、同様の内容の教育が全国で行われております。

 文科省においても、主な教材の内容の中で、中学校、高校の中で、デートDVということについてこれを盛り込んでおられますけれども、私の地元長崎県におきましては、このデートDVの防止について、二〇〇四年から、長崎県DV予防教育実施事業ということで、専門人材を擁するNPO法人へ委託をする形で、中学校、高校生、大学生等を対象にした防止教育を出前授業として行っております。また、加えて、自治体主催ですとか、民間団体からの寄附や支援を基に、また学校独自の取組も含めて、今実施をされております。行政と民間が一体となった大変地道なお取組で、様々、御関係の皆様が本当に地道なお取組をこれまで続けてこられました。

 今皆様にお配りをしておりますのは、これはデートDV予防教育実施状況ということで、ほかにもこういう形ではない教育が全国では行われているというふうに思いますけれども、この表を見ていただいても、各県で大変、実施において格差があるということが分かるというふうに思います。

 いわゆるデートDVと言われるのは、若い世代が交際をしている相手からの暴力という視点で、DVはどのような行為をいうのか、また、交際の中で当たり前だと思っていたことが実はDVに当たることを認識してもらうこと、また、そのことを通じて、性別を問わず、お互いを尊重し合う対等な人間関係をつくることの重要さを伝えること、また、暴力はいかなることがあっても駄目だということ、また、暴力は我慢をするべきことではなく、嫌なことははっきりノーと伝えること、また、暴力を受けた場合には安心して相談できる窓口があるということを予防教育を通じて伝えております。

 昨年も、コロナ禍の影響もありますけれども、昨年度は、約百校にNPO法人の皆様が出向いていただいて、一万四千人の生徒様にこの予防教育を行っていただいております。

 こういう、今、大変、地域で格差もあるというふうに思いますけれども、まずは、このような授業がどのように全国で行われているかという実態調査、把握をすることが大変必要だと思いますが、この実施状況について文科省として把握をされておられるのか、また、今既に行われている教育と生命(いのち)の安全教育をどのような形で、今後、全国に普及、展開をされていく方針であるかということについてお伺いをいたしたいと思います。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、先ほども申しましたモデル事業の実施や好事例の横展開などを通じて、全国の学校で子供たちにこういう教育が行われるよう取組を進めておるところでございますが、委員御指摘のように、生命(いのち)の安全教育を始めとするこのような取組が更に全国の学校で行われるようにするためには、先生のお話にもありましたように、長崎県のNPO法人との連携した取組、こういう事例なども始めといたしまして、全国でどのような取組がなされているか、実態を把握いたしまして、取組の更なる充実に生かしていく、これが重要だというふうに考えてございます。

 今後、どのような方法で実態を把握していくべきかということなども含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

西岡委員 最後の質問を大臣にさせていただきたいと思っております。

 今、様々、NPO法人を始めとして、全国で行われている知見、経験を今後の教育内容にしっかり生かしていくこと、また、全国どこに住んでいても同じ教育を子供たちが受けることができることが大変重要だと思います。そのためには、国としての財政の支援も大変重要であると思います。末松大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。

末松国務大臣 西岡先生には、御提言もいただきながら御質問いただきまして、ありがとうございます。

 性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為でありまして、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすことから、子供たちを性暴力の当事者にしないための取組を強化していく必要がございます。

 このため、文科省では、子供たちを性暴力、性犯罪の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命(いのち)の安全教育を推進をいたしてございます。

 具体的には、昨年作成をいたしました生命(いのち)の安全教育の教材を用いた授業を全国展開するためのモデル事業の実施や、また好事例などの横展開、そして、生命(いのち)の安全教育の教材を用いた授業をより効果的に実施をするための動画教材の作成なども行っております。予算措置も実施をしているところでございます。

 引き続き、全国での生命(いのち)の安全教育が着実に行われるよう、関係機関とも連携を進めてまいりたいと思います。

 先生からは、デートDVの性暴力の例につきましても、詳しくちょっと資料を拝見しまして、参考になりました。ありがとうございます。

西岡委員 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本日の一般質疑終了後に委員長起草案として採決が予定されている在外教育施設における教育振興法案について、今朝の理事会でも確認しましたけれども、対政府への確認質疑はこの一般質問の中で行うこととなっております。

 冒頭、文部科学大臣に確認をしたいと思います。

 在外教育施設での在留邦人の子に対する教育について、文部科学省はホームページで、我が国の主権の及ばない外国において、日本の子供が、日本国民にふさわしい教育を受けやすくするために、文部科学省と外務省では、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、海外子女教育の振興のために様々な施策を講じていますと述べています。

 在外教育施設における教育は、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿ったものであることは間違いありませんね、大臣。

末松国務大臣 宮本先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のホームページの記載のとおり、在外教育は、我が国の主権の及ばない外国におきまして、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って行われています。

宮本(岳)委員 一方、日本人学校の入学金はおおむね十万円、授業料は年間六十から七十万円、さらに、施設利用料や寄附金など、保護者負担が大きいわけです。また、教員については、七七%近くは国内からの派遣教師ということでありますけれども、残りは現地採用の先生であり、この現地採用の教員の待遇が極めて劣悪だという話を聞いております。

 今回、法的根拠ができれば、保護者負担の現状や教員の待遇など、実態を調査して、負担軽減策についても検討すべきだと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

末松国務大臣 先生御指摘の、在外教育施設の授業料や現地採用教員の待遇につきましては、様々な実態がございます。入学金、授業料につきましてもそうでありますが。

 今後、文部科学省といたしましては、在外教育の振興に向けて、必要な実態把握や対応について検討いたしてまいります。

宮本(岳)委員 では、次に、私が前回の、いわゆる大学ファンド法案の質疑で取り上げたチーム甘利の問題であります。

 私は、二〇一四年五月二十三日の当委員会で、学長権限を強化する学校教育法改正案の審議の冒頭に、大学の自治を最大限に尊重するのは当然だと考えるが、よいなと質問し、当時の下村博文文部科学大臣も、おっしゃるとおりと答弁をいただきました。これは末松文部科学大臣も同じだと思います。

 我が党は反対いたしましたが、前回の委員会では国際卓越研究大学法案が可決し、五月十八日には参議院本会議でも可決、成立をいたしました。

 改めて大臣に確認いたしますが、大学ファンドがつくられ、運用されることになっても、当然、学問の自由や大学の自治は守られるということでよろしいですね。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 国際卓越研究大学の制度が開始をされましても、学問の自由、大学の自治は引き続き十分尊重されるべきものと考えております。

宮本(岳)委員 ところが、もし、大学改革の方向性や大学ファンドの制度設計など、本来は各大学が自主的、自律的に決めるべきものを、与党の政治家が自分の個人的人脈を使い、チームまでつくって進めているとすれば重大な問題だと。絶対に放置するわけにはいきません。

 前回の委員会で、委員長の御指示で文科省から理事会に報告されることになり、理事会に先立って、文科省が私のところへ説明に参りました。そのときに文科省が持ってきた資料が資料一であります。大学を支援するファンドに関する制度の主な検討経緯と表題がついております。冒頭に、平成三十年、二〇一八年五月の自由民主党知的財産戦略調査会提言というものが挙げられております。これが端緒であるという説明でありました。

 自ら資料に書き込んできたんですから聞くんですけれども、このときの自民党知的財産戦略調査会の会長は、研究振興局長、誰でしたか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 提言が作成された平成三十年五月時点の会長は、甘利明衆議院議員であったと承知しております。

宮本(岳)委員 やはり出発点は甘利明さんですね。

 次に、文科省は、資料一、検討経緯の二つ目に書いてある内閣府総合科学技術・イノベーション会議第二回基本計画専門調査会で大学ファンドをプレゼンしたのはCSTI委員の安宅和人慶応義塾大学環境情報学部教授、ヤフーCSOだと言い、示した資料が資料二であります。

 資料二の左側の下線部を見ると、なるほど確かに、国家基金が十兆円程度あると、ほとんどの国立の研究大学は救い出すことができる、是非本気で考えるべきだと、二〇一九年十月に開かれたCSTIの基本計画専門調査会で安宅氏は熱弁を振るったことが書かれてあります。

 しかし、読み進めていくと、右側の下線部、しかし、二一年度当初予算の編成前、党重鎮の甘利明元経済再生担当相らがファンドを後押しして潮目が変わった、菅義偉首相、当時が、渋る財務省側の提示を、甘利さんが言っていることと全然違うと突き返したこともあったというなどと書かれております。まさに甘利氏が動いて潮目が変わったと書いてあります。

 文科大臣、これこそ、まさにチーム甘利が後押しして進めてきた何よりの証左ではありませんか、大臣。

末松国務大臣 今般の大学ファンドの創設は、政府内において、与党での議論も踏まえて検討し、制度設計を行ってきたものでございます。これは、私なりにそういう判断をいたしてございます。

宮本(岳)委員 資料三、私が前回の質疑で配付した、チーム甘利についての文部科学教育通信の記事でありますけれども、次の資料四を見ていただきたい。甘利氏と山際大臣の共著である、この「INNOVATION ECOSYSTEM ニッポンは甦る!」という本の十六、十七ページであります。

 CSTIには民間から有識者を多数招いているが、この民間の有識者の中で、その後、事務局長的立場として唯一の常任議員になっていただいたのが、元政策研究大学院大学教授であり、同学の副学長であった上山隆大先生だ、同氏を強く推薦いただいたのが既CSTIメンバーの橋本和仁東大教授であった、橋本教授にはその後も随分と助けていただいたとか、上山先生には、政策研究大学院大学の学長職も目前に控えている中、私と一緒に日本を変える仕事をしませんかと呼びかけて快く応じてもらったという、ほぼ同じ話が繰り返されております。

 この上山隆大氏は、二〇二一年三月二十四日、CSTI第一回世界と伍する研究大学専門調査会の会長として、大学ファンドについて、資料五の下線部、第二の運営費交付金となって、いろんな大学にばらまかれるようなものではなくて、世界に伍する大学を選定し、そこに対しての組織への支援ということを考えていると発言し、さらに、資料六を見てください。二〇二二年、今年の五月二十日の毎日新聞の記事でありますけれども、広く資金をばらまけば世界と戦えるようになるわけではない、ばらまきは税金由来のお金の使い方として理解を得られないなどと述べております。

 高等教育局長に聞きますけれども、運営費交付金というものは、国民の理解が得られないような税金のばらまきなんですか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人運営費交付金のうち、各大学の基盤的な教育研究に活用できる基幹運営費交付金につきましては、学生数や教員数の規模に基づき算定されていた国立大学の法人化前の国費投入額を基に算定される基幹経費と、主に各大学からの提案に基づいた意欲的な組織改革や教育研究設備整備などを支援するミッション実現加速化経費に分けて配分しておるところでございます。

 国立大学が継続的、安定的に教育研究活動を実施するために必要な支援と、自らのミッションに基づき自律的、戦略的な経営を推し進めていくために必要な支援を同時に行うということで、国立大学全体として教育研究の成果を最大化できるよう配分を行っているところでございますので、その配分の目的、効果を考えずに配るといった、いわゆるばらまきと言われるような予算であるとは考えておりません。

宮本(岳)委員 考えていないと。それでいいんですよ。運営費交付金は、各国立大学法人がそれぞれの中期目標、中期計画に基づき、安定的、持続的に教育研究活動を行っていくために必要な基盤的経費であると、文部科学省のホームページにもそう書いてありますから、それでいいんです。

 資料七は、昨年十一月四日にオンラインで開催された内閣府の大学支援フォーラムPEAKSの二〇二一年度全体会合議事概要であります。

 大学ファンドによる大学支援について、下線部、一律に配分するような運営費交付金のような運用は絶対に行うべきではないと、まるでおぞましいものを見るような口ぶりで書いてありますけれども、この会合でPEAKSの活動と政策形成について説明したのが上山隆大氏であり、甘利明、渡海紀三朗の両衆議院議員も参加をしております。

 今日は、この大学支援フォーラムPEAKSを担当する内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局にも来ていただいております。

 これは一体誰の発言ですか。運営費交付金のことを、こういう、一律に配分するような運営費交付金のような運用は絶対に行うべきではないと発言したのは誰なのか。また、内閣府はそのように考えているんですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘いただいたPEAKSでございますけれども、平成三十年六月十五日の閣議決定、統合イノベーション戦略に基づきまして設置されたものでございまして、各大学における経営課題やその解決策などの意見交換、情報共有の場を設け、好事例の水平展開、大学の経営層の育成を実施するということが明記されたものでございます。

 その上で、御指摘をいただいた昨年のPEAKSの会合でございますけれども、このときのPEAKSでございますが、この全体会合におきましては、世界銀行のビクター・ムラス氏ですとか、あるいはスタートアップ企業のSTATION Aiの佐橋代表など、様々な方が様々な御発言をなさいました。二十人を超える方々のかなり活発な御議論がございましたので、一つ一つの発言について発言者を特定するのは困難でございますし、内閣府としては、大学支援フォーラムPEAKS、これは大学人等による団体、フォーラムでございますけれども、自由闊達な御議論の確保の観点からも、個々の発言者を特定することは考えていないというところでございます。

宮本(岳)委員 では、この大学支援フォーラムPEAKSというものがいかなるものなのか、議論をいたしましょう。

 資料八は、PEAKSについて説明を求めたら内閣府が持ってきた、PEAKSの設置経緯と目的というペーパーです。内閣府が持ってきたものです。

 内閣府、このPEAKS設置の経緯は、第三十八回総合科学技術・イノベーション会議における上山隆大議員の発言から始まっていますが、間違いないですね。

合田政府参考人 先ほど申し上げましたように、統合イノベーション戦略という閣議決定に基づいて、政府全体の意思決定の下設置されたものでございますが、様々なきっかけの一つとして上山議員の御発言があったというふうに承知をいたしてございます。

宮本(岳)委員 閣議決定より前に上山議員の発言があり、それを内閣府のペーパーは冒頭に掲げております。

 資料九を見ていただきたい。二〇一九年五月十七日に行われたPEAKS第一回全体会合の議事概要であります。実に奇異なことに、冒頭の議題一、開催趣旨説明、挨拶は甘利明衆議院議員が行い、科学技術担当の平井卓也内閣府特命大臣の挨拶はその後になっております。しかも、ここでも甘利氏は、相も変わらず、下線部、橋本先生に御相談した際に、イノベーションとアカデミアの両方に通じる人材が必要だという認識から、上山先生に来ていただこうとアドバイスをいただいた、上山先生に要請した結果、大いなる決意を持って参画をいただきました、五神総長にも総長になられる前から御参画いただいているなどと、チーム甘利のメンバーを次々挙げております。

 内閣府に聞きますけれども、この甘利明衆議院議員と渡海紀三朗衆議院議員は、毎回、冒頭で、大臣と前後して、主催者のごとく挨拶しておりますが、この二人はどのような立場でこのPEAKSに出席しているんですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学支援フォーラムPEAKSでございますけれども、先ほど申し上げましたように、大学関係者、国立研究開発法人関係者、産業界、関係府省などが構成してございますが、同時に、その規約上、座長が必要と認めるときは、構成員外の関係者の出席を求め、全体会合の討論、検討に参加させることができるというふうに、このPEAKSの規約上、なってございます。

 そのため、私ども内閣府の担当職員が科学技術イノベーション政策について立法府の先生方と常日頃対話する中で、PEAKSの全体会合への御参加の希望のあった立法府の先生方について、上山座長の御判断で参加いただいているものというふうに承知をいたしてございます。

宮本(岳)委員 上山座長の御判断、まさにチーム甘利だからだと私は思いますけれども、大体、おかしいですよ。

 資料十を見ていただきたい。当の甘利明氏のツイッターであります。昨年の十一月四日、今日は大学支援フォーラムPEAKSの全体会合が開かれます、創設者の一人として毎年来賓挨拶をしますが云々と書いてあります。

 内閣府の大野副大臣に聞きますけれども、創設者の一人としてと本人が言っているわけですよ。まさに、このPEAKSこそチーム甘利ではありませんか、大野さん。

大野副大臣 お答え申し上げます。

 PEAKSというのは、あくまで、大学のガバナンスであるとか運営の在り方について、大学側と、それから、例えば産業界の、実際に会社を経営される方等と、この交流の場をつくり上げるために、交流の場を提供するという事業でございますので、誰が創設するというよりは、場を提供するということが基本的に重要なポイントになってくるんだと思います。

 その上で、あえて申し上げればですけれども、甘利先生がツイッターにお書きになったことについて、その意図、私は把握をしておりませんのでお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、思いを語られたんだと思います。

宮本(岳)委員 いやいや、広く意見交換する場だ、メディアにも開いている、何ら隠すものはないとおっしゃるわけですけれども、しかし、議事録というものは公開されていないわけですね。

 このPEAKS全体会合を見ますと、令和二年十月八日の令和二年度議事概要はほぼ議事録並みに公開されております。後で皆さんに御紹介申し上げます。しかし、昨年十一月四日、まさに大学ファンド法案取りまとめの前段の議事概要は、全く不十分な状況なんですね。

 内閣府、合田さんに聞きますけれども、この昨年十一月の全体会合は公開できない事情でもあるんですか。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 PEAKSの全体会合につきましては、PEAKSの判断によって、産学官が大学の経営課題や解決策などについて意見交換、情報交換を行う開かれた場という観点から、広くメディアに公開した形で対話や意見交換をしてございます。その上で、議事の内容、審議経過などを記録した議事の記録をホームページ上に公表してございます。

 その議事の中身でございますけれども、今申し上げたように、PEAKSは国の機関ではございませんで、任意団体であることから、議事の内容、議事の経過などを記録した議事の記録の公開の判断につきましては、PEAKSにおいて判断されるべきところでございます。

 また、その運営については、規約八条の、フォーラムの運営を助け、及び庶務を処理するための事務局を、委託する事業者に置くということでございまして、毎年度、内閣府が事務局を委託する事業者が対応することとなってございます。令和元年から令和二年は有限責任監査法人トーマツが、令和三年度は学校法人先端教育機構が事務局をそれぞれ担っており、その受託した事務局の判断により、議事の記録の公開の形式に差があるというふうに承知をいたしてございます。

宮本(岳)委員 先端教育機構、そこには議事録、ありますね。答えてください。

合田政府参考人 お尋ねは、先端教育機構には議事録があるのかというお尋ねでございますか。

 これにつきましては、私ども、先端教育機構、受託者に対しまして、仕様書の中で、全体会合の実施の内容、議事録を含むとしてございます。

 これは、調査研究が確実に行われていることを確認し、また、どのような内容の議論であったかを承知するためのものでございまして、私ども、この仕様書で言うこの議事録というのは、一般的な意味、すなわち議事の内容、審議経過、議決事項などを記録したものでございまして、逐語による作成を求めるというものではございません。

 内閣府から具体的に、逐語で記録すべきだとか、何字以上であるべきであるといったような指示はしてございませんで、どのような形式でその意味での議事録を作成するかは、この議事の内容、審議経過等が分かる範囲で、事業者の判断に委ねられているということでございます。

 このように、内閣府としては、事業者に対して逐語による作成を求めているものではなく、既に事業者との契約は完了していることから、私ども、逐語による議事録の作成を事業者に求めるということはいたしかねるということでございます。

宮本(岳)委員 合田審議官、昔と政治状況も変わりました、確かに。子供たちのためには様々な努力も必要でしょうけれども、悪魔と契約するようなことだけはやってはならないんです。

 私は、この問題は大変重大な問題であって、改めて明らかにする必要がある。これはメディアにもオープンにしているというんですから、今からでも議事録を明らかにしなければ、どういう議論か確認するための議事録だというんですから、出してもらわなきゃ困ります。

 これはまさに政務三役に、この場ではっきり、これは明らかにすると、議事録を、お答えいただきたい。

大野副大臣 先ほどお答え申し上げましたように、その趣旨、目的というのは、政策を決定をするということでは全然なくて、大学側の皆さんの意識というもの、あるいはその考え方というのを幅広く、この交流を通じて醸成をしていくことが重要なんじゃないかということでございますので、あくまで、先ほど合田審議官からお答えをさせていただきましたとおり、全くこれは国の機関というものでもございませんので。

 その上で、メディアにも公開されておりますし、関係者の皆さんも当然この内容は把握をされていると思っておりますが、あえて、お尋ねいただきましたので改めて申し上げますと、その議事の公開の在り方については、このPEAKSの参加者で協議をいただいて、どのようにするかというのを決定をされるというふうに伺っておりますので、御理解を賜ればと思います。

宮本(岳)委員 国の機関でもないところで国の政策を決めているから言っているんじゃないですか。だから出せと言うんですよ。出せないというのは通らないですよ、これは。

 それで、私は、じゃ、改めて議事録の公開を求めておきたいと思います。三年とも、仕様書には議事録という文書が、委託先に募集するときの仕様書には書かれてあります。

 では、ほぼ議事録並みに公開されている、令和二年度、PEAKS、二〇二〇年十月八日の全体会合を取り上げたい。

 この会合では、井上信治内閣府特命担当大臣や甘利氏、渡海氏等の挨拶の後、上山隆大座長がPEAKSの活動と政策形成について詳しく報告をしております。上山氏は、PEAKSにビジョン策定委員会を置き、二〇二〇年の二月二十七日には、大学支援フォーラムPEAKSビジョンというものを策定したと述べております。

 そのくだりが資料十二であります。見ていただきたい。下線部、世界で最もイノベーションに適した国を目指して、大学という資源を使い尽くす、完全に隅々まで使い潰して、日本に貢献するべきだと。字になっているでしょう。字になっていますよ。高等教育局長も、科学技術・学術政策局長も、このPEAKSの幹事会メンバーで出席しているんですよ。

 大学という資源を使い尽くす、完全に隅々まで使い潰して、日本に貢献するべきだ。このようなひどい発言を高等教育局長は黙って聞いていたんですか、局長。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月四日に開催されたこのPEAKSの令和三年度の全体会合に、私もメンバーでございますので、出席いたしました。

 この会合では、確かに、世界と伍するスタートアップエコシステムの拠点の形成とか、大学を取り巻く現状、改革の方向性などの議論が行われたというふうに記憶しております。確かに、その場では、産業界、大学からの出席者によって議論が行われまして、大学ファンドによる支援の在り方とか、大学の方向性とか、若手研究者の支援などの御意見があったと記憶しております。

 ただ、大学を使い尽くすということについての記憶はございませんが、大学は当然、社会貢献という観点がありますので、一定程度、当然、使われるという観点はあると思い……(宮本(岳)委員「いいですよ、もう」と呼ぶ)

 以上です。

宮本(岳)委員 よくもそんな答弁しますね。

 あなたはおととし出ていないから、それはそうですよ。あなたは去年でしょう。伯井さんなんですよ、このとき出た局長は。伯井さんに来て答弁してもらいたいけれども、あなた方は、つかさつかさで責任持って答弁するというんでしょう。だから、あなたなんですよ。

 このときの会合でこんなことを言われて、一体文科省はどうそれを聞き流してきたのか。

 大臣、これは大臣に答弁していただかなきゃならない。大学を日本の国のために使い潰すというようなことをこのPEAKSで議論している。どう思われますか、大臣。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 ここの文脈で、世界で最もイノベーションに適した国を目指して、大学という資源を使い尽くす、完全に隅々まで使い潰して、日本に貢献すべきだと。ここだけ下線なので、どういう、前後の文章をちょっと読んでみないと分かりませんけれども、その意図を一度私なりに調べてみたいと思いますけれども。

 この会議、私も、PEAKSというのは、先生、今初めて御指摘ありましたので、名称だけ知っておりましただけなので、よく、ここで御意見として受け止めたいと思います。

宮本(岳)委員 こんなことを言わせておいたのでは、日本の大学、高等教育を所管する文部科学省の責任を果たせないと思います。

 最後の資料十三を見ていただきたい。二〇二〇年度全体会合議事概要の四ページ、甘利氏の後にステージに立った渡海氏の発言です。基金をつくると決めたのだから、政府が責任を持ってつくれなどと述べた後、それをどう使うかということについては、やはり発案者として我々も、いろいろと物を言っていかなければならないと言っております。大学ファンドの使い方について、我々も発案者として物を言うと言っているんですよ。

 大臣、結局、私が前回指摘したとおり、甘利氏や渡海氏など、いわゆるチーム甘利が、文部科学省を押しのけて、十兆円大学ファンドを牛耳ろうということじゃありませんか。そんなことで大学政策が決められていいんですか、大臣。

末松国務大臣 全く好ましくないと思います。

 大学には、高度な学術研究を行うとともに、幅広い分野で活躍することができる人材を育成するための高等教育を行うこと、また、それら教育研究の成果を生かした社会貢献を行うことが求められております。このような役割を持つ大学に関わる政策は、政治家のみならず特定の者に左右されるべきではなく、大学関係者はもとより、広く国民や産業界、公的機関の声も踏まえながら検討されるべきものであるというように考えております。これは私の考えであります。

 大学ファンド法案はせんだって可決をいただきましたけれども、少し遠くから聞こえてくるのは、まあ、生みの親という方が多過ぎるなという感じは。だから、どなたがどうというわけではないんですが、皆さんそれぞれの立場で。でも、甘利さんとお話はしたことがありませんので、私自身。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 いやいや、だからこそ、議事録を明らかにしてもらわなければ、重大な疑惑があるということを申し上げているわけです。

 私がこれにこだわるのは、ただただ不正追及ということじゃないんですよ。大学ファンドをつくって大学を応援するというけれども、その中身は、今私がるる資料を示したとおりのことがある。そうしたら、その被害者は、やはり日本の学術研究なんですよ、高等教育機関なんですよ。そして、学生、院生、研究者こそ最大の被害者になる。だからこそ、たださなきゃならないということを申し上げて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

義家委員長 次に、在外教育施設における教育の振興に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間において御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容について御説明いたします。

 日本人学校を始めとする在外教育施設は、現在約三百三十校設置されており、そこで学ぶ児童生徒の数は、三万四千人余りとなっています。このように、在外教育施設は、在留邦人の子の教育を受ける機会の確保を図る上で、大変重要な役割を果たしておりますが、その教育の振興について法的な位置づけはなく、在外教育施設に対する支援は、文部科学省及び外務省による予算措置で行われているのが現状です。

 また、世界的なコロナ禍において在外教育施設で学ぶ児童生徒の数が急減するなど、在外教育施設における教育を取り巻く環境は大きく変化しております。

 本案は、このような状況を踏まえ、在外教育施設における教育の振興に関する施策を総合的かつ効果的に推進することにより、グローバル人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与するものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、基本理念として、在留邦人の子の教育を受ける機会の確保に万全を期することなど、三つの項目を規定しております。

 第二に、国の責務等、基本方針の策定について規定しております。

 第三に、基本的施策として、在外教育施設の教職員の確保、教職員に対する研修の充実など、七つの項目を規定しています。

 第四に、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 なお、海外から帰国した児童及び生徒であって日本語に通じないものに対する支援の一層の充実等の検討条項を設けております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 在外教育施設における教育の振興に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

義家委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 この際、山本ともひろ君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の六派共同提案による在外教育施設における教育の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。牧義夫君。

牧委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    在外教育施設における教育の振興に関する件(案)

  我が国の国際的諸活動の進展に伴い、多くの日本人が海外で勤務しており、家族を帯同する者も少なくない。このような海外で暮らす日本人の子供たちの教育を受ける機会の確保を図る上で、日本人学校、補習授業校等の在外教育施設は重要な役割を果たしており、令和三年四月時点で、三万四千人を超える義務教育段階の児童生徒が学んでいる。

  在外教育施設の在り方は時代とともに大きく変容し、昨今では、在籍する児童生徒の多様化、また高等部や幼稚部設置のニーズの高まりなど、その教育を取り巻く環境の変化に対応する必要がある。

  このような状況を踏まえ、本委員会において、在外教育施設における教育の振興に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他在外教育施設における教育の振興に関する施策の基本となる事項等を定める「在外教育施設における教育の振興に関する法律案」を起草する運びとなった。

  政府は、同法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 在外教育施設が自主的な活動として日本語の普及を行うに当たっては、世界各地に日本にルーツを持つ子供たちが在住している現状を踏まえ、日本語指導体制の整備、敬語等を含めた日本語教育内容の充実が図られるよう十分な支援を行うこと。また、在留邦人の子以外の者であってその教育を受けることを希望するものの受入れを行うに当たっては、教育環境が各国で異なっている等の事情も勘案した上で、当該在外教育施設に適切な支援を行うこと。

 二 在外教育施設は国際的な交流拠点や日本文化の紹介の拠点としての機能も有することが法律上明確化されたことを契機として、在外教育施設の自主性を尊重しつつ、その機能強化を図るための支援を充実するとともに、在外教育施設には、海外において日本文化への関心喚起にも資する可能性があることを広く周知すること。

 三 在留邦人の子供たちの学ぶ権利を保障する観点から、在外教育施設における教育に関しては、教員の確保、現地採用の教員の待遇、特別な支援を必要とする子供たちへの対応等の課題があることに鑑み、在外教育施設の実態を踏まえ、必要な支援を行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

義家委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。末松文部科学大臣。

末松国務大臣 失礼いたします。

 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処いたしてまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

義家委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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