衆議院

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第3号 令和4年11月9日(水曜日)

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令和四年十一月九日(水曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君    勝目  康君

      柴山 昌彦君    島尻安伊子君

      鈴木 貴子君    谷川 弥一君

      辻  清人君    中曽根康隆君

      丹羽 秀樹君    船田  元君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      松本 剛明君    三谷 英弘君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    渡辺 孝一君

      荒井  優君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    堤 かなめ君

      牧  義夫君    吉川  元君

      金村 龍那君    高橋 英明君

      早坂  敦君    平林  晃君

      山崎 正恭君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河合  暁君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   参考人

   (全国霊感商法対策弁護士連絡会・弁護士)     阿部 克臣君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     島尻安伊子君

  辻  清人君     渡辺 孝一君

  梅谷  守君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  島尻安伊子君     鈴木 貴子君

  渡辺 孝一君     辻  清人君

  堤 かなめ君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として全国霊感商法対策弁護士連絡会・弁護士阿部克臣さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として消費者庁政策立案総括審議官片岡進君、総務省大臣官房審議官河合暁君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長杉浦久弘君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官野村知司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 柚木道義でございます。今日もよろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、先ほどの理事会において、宗教法人法、そしてまた、今日は質問権行使についても議論させていただきますが、所管の文科委員会の委員長である宮内委員長におかれまして、まさに旧統一教会への会合出席について、今日は事前通告しておりましたが、理事会の中で確認をさせていただきましたので、何を確認をさせていただいたか、委員の皆さんは全く御存じでないので、その点について私の方から申し上げます。

 まず、関係団体への会合出席をしていたという報告でありましたものが、実は本体への出席だった、そしてさらに、それについて修正の報告をした、こういうことについて、これを事実であると委員長はおっしゃられました。さらに、旧統一教会の地区幹部、委員長の御地元の福岡において、その地区幹部がまさに幹部であるということを認識をされていた中で、同席をして写真撮影も行っている、こういうことについてもお認めになられた。更に言えば、自民党さんの中で旧統一教会の関係団体による後援会が数十ある、そういった中で、宮内委員長におかれましてもそういった後援会が存在するのか、こういったことに対しては、これは存在をしないということをおっしゃられたわけです。

 以上申し上げた点について、委員長、事実関係、間違いないのか、イエスかノーでちょっと教えていただけますか。

宮内委員長 間違いございません。

柚木委員 辞任をされた山際大臣、これは本当に、後出し大臣と言われて、次から次へと、指摘をされたら、ああ、記憶が思い返されました、思い出されましたと。結局辞められたわけですよね。コロナ対策本部長に就任をされるということで、これもどうかと思いますが。

 文科委員会の委員長でいらっしゃいますから、この先、後から後から、また実は出てきた、また修正報告をした、記憶が思い出された。後出し委員長なんかになってもらったら困るわけですよ、文科委員会なんですから、宗教法人、所管なんですから。後から後から、次、また会合に出ていましたと出てくることはないとここでお約束いただけますか。

宮内委員長 理事会でお答えしたとおりでございますので、審議に入っていただきたいと思います。

柚木委員 これは本当に、後から後から出てくるようでは、これから史上初の旧統一教会への質問権行使、その先、解散命令請求ということまで含めて、この委員会所管で議論していくわけですから、その所管の委員長なわけですから、その自覚と責任を是非お持ちいただきたい。強く申し上げて、質疑に入ります。

 今日、大事な質疑、今日、阿部参考人もおいでです。

 永岡文科大臣、今回、昨日行われた専門家会議、ようやく私たちがずっと提案をしてきた質問権行使への基準が策定をされました。そして、今後の質問権行使に向けての、さらにはその先に向けての道筋というものも、私は、ある程度、昨日の専門家会議の質問権行使の基準が示された中で、これは読み取れると思っているんですね。

 文科大臣、端的に、今回の質問権行使への基準、示された基準について御説明をいただき、今後の流れについて、この後質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

永岡国務大臣 柚木議員にお答えいたします。

 昨日八日開催されました宗教法人制度の運用等に関する調査研究協力者会議では、宗教法人法に基づきます報告徴収、質問権を行使する際の一般的な基準が取りまとめられました。

 この基準では、報告徴収、質問権を行使する際に、所轄庁が宗教法人法に定めます解散命令の事由に該当するような事態についての疑いを判断するに当たりまして、客観的な資料、根拠に基づいて疑いを判断すること、また、著しく公共の福祉を害するという要件との関連でも、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められる必要があることなどが明確化されたところでございます。

 文部科学省といたしましては、この一般的な基準も踏まえまして報告徴収、質問権の行使について検討し、法に定めるプロセスを適切に踏みつつも、最大限速やかに対応を進めてまいりたいと考えております。

柚木委員 今後、今の御答弁に基づいて具体的な質問内容を宗教法人審議会で決定をし、そして、その了解を得られれば、大臣がかねてよりおっしゃっておられるように、少しでも年内早く質問権行使を実施する、必要な調査、教団の調査に入る、こういう流れだと理解してよろしいですか。

永岡国務大臣 文部科学省といたしましては、昨日の協力者会議におきまして、旧統一教会に対します報告徴収、質問権の行使の可否を判断したいと考えております。

 その上で、旧統一教会について、一般的な基準への該当性が認められれば、宗教法人審議会に対しまして具体的な内容とその理由を諮問いたします。そして、御意見をいただいた上で、報告徴収、質問権を行使することになると考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、法に定めるプロセスを適切に踏みつつも、最大限速やかに手続を進めてまいりたいと考えております。

柚木委員 最大限速やかに手続を進めていく。これは、じゃ、質問権行使をして、必要な要件が確認をされれば速やかに解散命令請求を裁判所に行う、こういう流れだと理解してよろしいですか。

永岡国務大臣 報告徴収、質問権の行使により情報を収集した結果として解散命令を請求するに足る事実関係を把握した場合は、当然のことながら、宗教法人法に基づきまして厳正に対処してまいります。

 なお、旧統一教会への解散命令請求につきましては、個別の事案でございまして、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

柚木委員 まさに、今日は実は、元宗教二世、被害者でもある小川さゆりさんが傍聴を希望されていたんですが、ちょっと急遽、直前になって傍聴がかなわなくなって、しかし、この委員会の質疑の流れを注視しているというふうにおっしゃっています。

 そういった中で、岸田首相も被害者の方とお会いをされて、非常に辛酸な被害を被った方に対して心を痛めて、しっかり対策を講じていくということをおっしゃったわけですが、その最速、最善の方法の一つとして、今日、全国霊感商法対策弁護士連絡会から阿部参考人にもお越しいただいているわけですが、永岡大臣、まさにこの全国弁連との連携を、私は、実体のある形でやっていただくということを求めてまいりましたが、具体的に、今日までどのような連携、意思疎通を図られましたか。

永岡国務大臣 全国弁連の皆様方とは、もう既に、事務方同士ではございますが、意見交換をさせていただいているところでございます。

柚木委員 その意見交換ですけれども、昨日、専門家会議での、質問権行使の基準というものが決められたわけですが、それを踏まえてこの質問権行使を行う場合には、まさに、今日お越しの阿部参考人もですし、消費者庁の検討会委員にもなられている紀藤弁護士さんもそうですが、既に、これまでの旧統一教会に関係する民事裁判、我々、裁判自体はもっとあるということで、阿部参考人、後ほど御説明あると思いますが、実際に、教団本体への不法行為認定あるいは使用者責任認定、そういった判決が二十九件、刑事では十一件ある中で、この教団本体の、まさに解散請求要件でもある組織的、継続的、悪質性についても、これはもう既に認定をされてきていると。

 そういったことから、これは、過去に二件の解散命令請求、オウム真理教と明覚寺、明覚寺の場合は、実は、質問権を行使せず解散命令を請求して、実際、解散命令が発令をされて、事後報告なんですね、宗教審にも。こういったこともあるわけですね。

 今回、時間がかかるほど被害が拡大をして、なおかつ、旧統一教会が証拠隠滅、資産隠匿、これは過去にもそういうことがあったんですよ。私も裁判所から陳述書を取り寄せて読みましたよ。元信者さん、真夜中に呼び出されて、シュレッダーかけて、土の中に埋めて、社宅の。やっているんですよ。今この瞬間もやっている可能性がある。

 そういうことですから、今回、あえて初の質問権行使を行うことで、例えば、この民事の判決、二十九件我々は認識していますが、これに事実認定を補強する物証なりが得られるのか、あるいは、政府の相談窓口に寄せられた二千件を超える被害事例について、新たな不法行為を立証する、こういったものが得られるのか。つまりは、解散命令請求に活用できる見通しを、何らかのものが質問権行使で得られる、こういう見通しを持っているということでよろしいですか。

永岡国務大臣 報告徴収、質問権の行使に向けましては、質問内容を作成する段階で、各方面から情報を集めまして、対象となる法人から必要な情報やデータが得られる効果的な報告徴収、質問権の行使となるように、様々な観点から質問内容を整理、そして精査をしてまいりたいと考えているところでございます。

 報告徴収、質問権の行使によりましてどのような情報が得られるかについては、その権限を行使していない今現在においてはお答えすることは困難でございます。報告徴収、質問権の行使を通じまして行為の組織性、悪質性、継続性等について具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにいたしまして、法律にのっとり必要な措置を講じてまいります。

柚木委員 阿部参考人、今日はありがとうございます。

 この項目に関連して二点通告していますが、ちょっと順番を逆にして、二問目からお聞きをしたいと思うんですね。

 今、永岡大臣は、既に、参考人もそうですし、我々も、解散請求にする、まさに組織性、悪質性、継続性はもう判例によって示されていて、まさに被害が、新法の話もしますけれども、時間がたてばたつほど拡大するわけです。証拠隠滅を図られるチャンスを与えてしまうわけですから、今すぐ、私たちは、もう本当に迅速に解散請求を裁判所にしていただきたいと思っている中での、質問権の行使基準が示されました。

 阿部参考人、この質問権の行使の基準、要件、例えば、解散命令要件である、宗教法人が法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認める行為をした疑いがある、私はもう明らかにあると思いますし、著しく公共の福祉を害するの条件として、法人に属する者による法令違反が相当数繰り返される、繰り返されていますよ。そして、広範な被害が起こっています、重大な影響が生じています、人も亡くなっています、家庭崩壊しています、子供がいじめられています、学校をやめています、こういう条件に既に合致するし、疑いの条件、公的機関が法令違反や法人の法的責任を認めている、認めています。公的機関に法令違反に関する情報が寄せられ、寄せられています。具体的な資料が、根拠があります。

 既に、この質問権行使基準、満たしていると思われます、旧統一教会。いかがでしょうか。

阿部参考人 全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士の阿部克臣と申します。

 本日、お話しする機会を与えていただき、ありがとうございます。

 回答する前に、最初に申し上げたいことがございます。

 私は、全国霊感商法対策弁護士連絡会の事務局を現在しております。当連絡会は、特定の党派、政治的な考えにくみするものではなく、唯一、被害者救済という目的のみで団結している団体でございます。統一教会被害、宗教カルト被害、宗教二世問題も含めて、この問題の解決につきましては、与野党協力していただいて、超党派で取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 御質問がありました質問権の基準に照らして、現在の統一教会がそれに当てはまるかということですけれども、それはもう当てはまることは明らかであるというふうに考えております。

 その理由としましては、統一教会の責任を認めた民事の判決というのは、平成六年以降、先ほど二十九件とおっしゃいましたけれども、判決としては、二十九件よりはるかに多くの判決が出ております。二十九件というのは、あくまで事件の数です。一審から最高裁までも含めて一件とカウントしております。なので、実際にその責任を認めた判決というのは、二十九件よりはるかに多くございます。さらに、刑事の判決も出ております。その団体の、統一教会傘下の信者のやった行為に関し判決も出ておりまして、相当高度な組織性が認められるということで判決も出ております。

 その基準に照らしますと、既に公的な、その責任を認める判断は積み重なっていると思いますので、昨日示されました基準に照らしましても、それに該当することは明らかであるというふうに考えております。

柚木委員 永岡大臣、既にこの質問権行使基準、満たしているのは明らかだと、まさに失われた三十年の中で取り組んでこられた全国弁連の阿部参考人がおっしゃっています。

 ちょっと質問を一個飛ばして、次を伺います。

 今回、まさに今の阿部参考人の、既に質問権行使基準を満たしているんだという認識もあって、その連携、意思疎通も図っておられる中で、次、宗教法人審議会ですね、質問内容を決める。そして、質問内容と同時に質問権の行使をここで決定をいただいて、一度の回で、そしてすぐに質問権行使に入る。つまり、次の宗教審で一発で質問内容を決めて質問権行使を決める、こういう流れ、これをお願いできませんか。いかがですか。

永岡国務大臣 報告徴収、質問権の行使に当たりましては、報告を求め、又は質問する事項及び理由について宗教法人審議会に諮問をいたしまして、その意見を聞く必要がまずあります。

 文部科学省といたしましては、昨日の協力者会議におきまして取りまとめいただきました一般的な基準にのっとりまして、今週中に旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使の可否を判断したいと考えております。

 また、報告徴収、質問権を行使すると判断した場合には、文部科学省におきまして、これまで把握をしております事実関係や現在収集をしている情報を精査した上で、宗教法人審議会に諮問をし、意見を聞き、そして、審議会がお認めいただけるのであれば、直ちに報告徴収、質問権の行使に向けて手続を進めてまいりたいと考えております。

柚木委員 非常に重要な御答弁です。質問権行使を、今週中に可否を判断したい、これは初めてそういった答弁、大臣されました。私も全く同じ認識です。

 実際問題、宗教審を開かなくても、解散請求、明覚寺のときも事後報告ですから、やれるわけです。そして、オーソドックスに言えば、手続にのっとってという今の御趣旨の答弁ですね。今週中に質問権行使の可否を判断をする、その際には、宗教審で質問内容は決めますが、宗教審に諮って了解を得るという手続ももちろんあり得るわけですが、それも、審議会とは別に質問権行使の可否判断、決定、公表、こういうプロセスもあり得るという理解でよろしいですか。

永岡国務大臣 委員おっしゃるとおりでございます。

柚木委員 非常に重要な答弁をされました。今の答弁によって、年内の質問権行使はもとより、場合によっては年内の解散請求、裁判所にする可能性が出ます。

 是非、時間がたてばたつほど被害拡大、証拠隠滅、資産隠匿、こういうおそれがありますから、迅速な質問権行使、今、今週中に可否を判断したいとおっしゃっていただきましたので、お願いをしたいと思います。

 それで、参考人に、今の答弁も含めて是非お伺いしたいんです。

 私どもは、質問権の行使、当然、小川さゆりさんを含めて被害者の方々、解散命令請求、これを求めている中で、車の両輪だと思っているんですよ。この質問権行使から解散命令請求がされることで、被害を未然に防止をすることに大きな一歩を踏み出すことになる。同時に、被害が起こったときの救済、支援としてのまさに悪質献金被害救済法案を四党協議の中で議論してきたわけですね。

 我々は、伺いたいのは、岸田首相が、今の段階で、議員立法についても、与野党協議も尊重する一方で、閣法として政府から新法を出す、こういうことをおっしゃられているわけですが、伺いたいのは二つです。

 まず、新法の内容、この内容がどこまで実効性があるものなのか。そして、岸田首相はこうおっしゃっています、今国会を視野にできるだけ早く法案を国会に提出すべく最大限の努力を行う。今国会に提出すべくであって、成立すべくじゃないんですよ。提出すると成立するでは大違いです。提出しても、被害は一件も防止、回復できません。成立しなければならない。つまり、早く法案を成立させることが必要なんですね。

 参考人に伺いたいのは、この新法、早く成立をしなければ意味がない、内容はどうなのか、この点が一つと、私たち、野党案、四党協議をやってきた悪質献金被害救済法案、非常に幅広にまさに事実認定もしていただいて被害救済につながるものになっていますが、それに対する見解、以上二点、お願いしたいと思います。

阿部参考人 ただいま御質問がありました新法につきましてですけれども、まず、できるだけ早くという点ですけれども、その点につきましては、我々全国弁連でも声明を出しております。今国会で被害者救済の法案を是非成立させていただきたいということで、声明を出しております。

 内容につきましては、私自身は、立憲、維新の案と、あとは与党案、与党の方向性というペーパーです、まだ法案はできていないと思いますので、方向性というペーパーを検討しております。

 それに関する私の意見としましては、立憲、維新の案ですけれども、被害の救済が一番広い案であるというふうに考えております。比べまして、現在出ている与党の新法の案の方向性ですけれども、かなり救済の範囲が狭いということで、私としては危惧しております。

 その理由としましては、悪質献金の規制、いわゆるマインドコントロール的なものも含めて規制するということでペーパーには書いてあったと思いますけれども、その規定がかなり厳しい内容になっています。具体的には、公益法人法の規定を参照した規定と、あとは現在の消費者契約法四条三項六号のいわゆる霊感取消しの規定をベースにした規定というものが書かれておりますけれども、いずれも、実務でどれだけ被害救済に使えるかと言われると、かなり限られてくるのではないかというふうに考えております。

 なので、新法が現在出ている与党案をベースに成立したとしても、それが被害救済の現場でどれだけ使えるかということは、私としてはかなり危惧しております。

 立憲、維新の案につきましては、かなり広い案になりまして、財産権との関係ですとか懸念は示されているわけですけれども、それについては、法文の一定の修正などで私としては対処し得るものではないかということで考えております。

柚木委員 やはり現場でこの間の旧統一教会に関係する訴訟も担ってこられた参考人、弁護士さんだけあって、非常に重要な、示唆に富む御答弁だったと思うんですね。これは、この文科委員会のみならず、まさに与野党を超えて、是非成立に向けてこの新法の方も進めていく必要がある。しかも、早くやらなければ、解散命令請求まで仮に至っても、その被害者の救済、支援、こっちの方がなおざりになるということになりかねませんので、今の答弁を踏まえて、是非大臣にお願いしたいと思っています。

 時間がないので、今日は厚生労働省からもお越しいただいていて、まさに、小川さゆりさん始め被害者の方が、要望書を資料にもつけておりますが、おっしゃっているわけですね。この宗教二世に対する被害者支援について、二点まとめて、これは厚生労働省大臣政務官にお越しいただいておりまして、御答弁をお願いします。

 今回、加藤厚生労働大臣も、年内にもいわゆるQアンドAを、宗教虐待への対応を現場で実効性ある形でいただく、児相などで、このQアンドAを出すと国会答弁されています。具体的に実効性を上げる形でのQアンドAをお願いしたい。

 例えば、おとといも、実際にエホバの証人の元被害者の方が本当に切実におっしゃっていました。教義に基づいてむちで子供の体を打ちつける。しかも、女性の場合、年齢によってはこれはまさに性的虐待にもなるわけです。もちろん、身体虐待、心理虐待、こういったものにもなります。学校行事に参加をさせない、教育虐待。あるいは、献金などに学費、小川さゆりさんも、稼いだバイト代を全部充てられて、学用品を買ってもらえない。いつも同じ服で、子供たちからいじめられる、体が臭い。そういうことで、まさに経済的な虐待でもあり、教育虐待でもある。こういったことを具体的に例示をして、そして児童相談所などで、現場で実効性、即効性ある対策、対応が講じられるようにお願いしたいのが一点。

 そして、資料にもつけておりますように、小川さゆりさんたちは、実際に児童虐待法を改正をして、そしてそのことを、今回の通知だけではなくて、法律にちゃんと明記をする。そして、そのためには、当事者の声を、この間も脱カルト協会や、まさに被害者、当事者の声を聞いていただいているわけですが、是非、法律改正に向けても被害者、当事者、あるいは関係団体の声を聞いていただきたい。

 以上二点、お願いいたします。

本田大臣政務官 柚木委員から二つ質問をいただきました。

 まず、QアンドAの件につきましてでございますけれども、十月三十一日、宗教二世の方々からの相談に対して実効性のあるQアンドAを作成するように加藤大臣から指示があったところでございます。

 おっしゃったように、厚生労働省としましても、虐待につきましては四つの分類をしておりますけれども、身体的、精神的、ネグレクト、心理的、こうしたところは、まさに児童相談のところで、宗教に関するところをなるべく現場の意見を聞いて、しっかりとそれを反映させるように勘案して判断するというふうに考えているところでございます。

 資料としまして、令和四年の十月六日に、「市町村及び児童相談所における虐待相談対応について」として、市町村に子ども家庭局長から通知を出しておりますけれども、そこには、宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をしないようにという通知も出しております。

 法改正につきましては、現在の児童虐待防止法の中で対応できるところもございますので、今、本当に、現場の意見を聞きながら、引き続きしっかりと検討をさせていただきたいと思っております。

柚木委員 非常に前向きかつ丁寧な御答弁、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 下村元文科大臣の在任中に行われた、旧統一教会名称変更に係る文書公開について伺います。

 これは、先ほどの理事会で文部科学省文化庁の説明がありましたが、全く納得できません。公にすることにより当該法人の権利利益を害するおそれ、何があるんですか。私は通告しておりますが、情報公開法第五条五号、まさに公表することで当該団体あるいは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、そんなものはありません。そして、立法趣旨から鑑みても、意思形成過程の情報を全て不開示とするのではなく、個別具体的に、行政機関の適正な意思決定に支障を及ぼすおそれがないものについては公表すべきだという立法趣旨なんですよ。

 是非、旧統一教会の名称変更に関する応接録、変更理由、大臣レク文書不存在と言っていたけれども、本当ですか。もう一遍ちゃんと調べてください。そして、申請受理書、認証メモ、これらを公表していただきたい。お願いします。

永岡国務大臣 柚木委員にお答えいたします。

 先ほどの、報告徴収、質問権を行使すると判断した場合でございますが、これまで把握をしている事実関係や現在収集している情報を精査した上で、宗教法人審議会に諮問をいたしまして、そして意見を聞き、審議会がお認めいただけるのであれば、直ちに報告徴収、質問権の行使に向けて手続を進めていくというのが報告徴収、質問権の行使についてでございます。

 それと、ただいまの御質問でございますが、御指摘の資料につきましては、宗教法人に関する行政文書のうち非公知の事実に関するものでございまして、公にすることにより当該法人の権利利益を害するおそれがあることから、原則といたしまして不開示としております。

 いずれにいたしましても、宗教法人法の趣旨、また情報公開法にのっとって対応してまいります。

柚木委員 時間が来たので今日は終わりますが、本当は一問、文化庁の京都移転について、宗務課は、三十八人に増員して、非常時なんですから、質問権行使、その先、めどがつくまで、ちょっと、堀場先生、京都に移転をしていただくのは私も賛成なんですが、宗務課については延期、ペンディング、そのことをお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。時間が余りないので、早速質問させていただきます。

 まず、せんだっての委員会で自民党の船田先生から質問がございました神宮外苑の再開発について、ちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

 この件については、私も以前、この委員会で質問させていただきました。当時、末松大臣のときでございますけれども、末松大臣からは、今後も注視していくというお話をいただいただけで、言葉を換えれば、ずっと黙って見ているというような回答しかなかったんですけれども、この間の船田先生の質問に対しては、さすがに与党の重鎮からの質問だったものですから、もう少し前向きな回答が合田次長からあったように私は印象を受けております。

 もう一回繰り返しますと、お尋ねの神宮外苑のイチョウ並木につきましては、大正時代末期に造成されたものであり、日本イコモス国内委員会が、先月、十月三日に取りまとめた提言において、当該イチョウ並木の名勝指定について言及されていると承知をいたしております、当該イチョウ並木については、文化庁が設置した名勝等の専門家による検討会において、近代の庭園、公園に関する研究として平成二十四年にまとめた報告書において、今後、保護措置を充実させる必要が高いと認められる重要事例として評価しているところでございます、今後、御地元の港区、新宿区などから名勝としての指定等の相談がございましたら、文化庁としても、専門的な助言を行うなど丁寧に対応してまいりたいと考えているところでございます、こういう答弁でございました。

 非常に、私は前向きな答弁を引き出せたなというふうに思っております。

 このことについて、私、大変期待をして、翌日の新聞なんかに、神宮外苑の再開発、見直しみたいな、そんな見出しが躍るんじゃないかと期待をしたんですけれども、一向にそういった報道はございません。

 このことについて、せっかくここまで踏み込んだお話をいただいたわけですから、これを具体的にどうするのかということ、これはきちっと名勝登録にまで持っていっていただけるのかどうか、改めてちょっとここで確認をさせていただきたいというふうに思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの文化財保護法上の規制の話ということでございますけれども、国の名勝に指定された場合は、文化財保護法に基づきまして、名勝等に関してその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可が必要ということでございます。

 先ほど先生おっしゃられたように、前のこの委員会でもお話があったことはそのとおりでございまして、今、日本イコモスの国内委員会で先日まとめられた提言でも、このイチョウ並木の名勝指定について言及されているというところでございます。

 いずれにしましても、ただ、名勝の指定ということになりますと、これからの手続といたしましては、地元自治体からの意見具申を受けて、文化審議会において審議を行うということとなりますが、その際、その意見具申ということに先立ちまして、当該地元自治体でも、保存と活用、保存と開発が両立できますように、所有者等の関係者間で開発計画や保存範囲等について事前調整いただくという手続となる、このように認識しております。

牧委員 確認したかったのは、要するに、やればできるということだと思います。そのことをきちっと確認させていただき、また、前にも私申し上げましたけれども、約三十年ぐらい前になりますか、文京区の庁舎を建てるときに、小石川後楽園からの景観が悪くなるということで、上級官庁から横やりが入ったという事例もございます。

 文化庁がきちっとやる気になればそれはできるということをきちっと確認させていただき、そして、我々も力を添えさせていただきたいということも改めて申し上げますので、是非この百年の森を守っていただけますようにお願いをいたしたいと思います。

 次に、都立高校の入試の話をさせていただきたいと思います。

 これは、東京都の話だと言われてしまえばそれまでなんですけれども、東京都の都立の高校の入口の話じゃないんですね、実は。これは、中学においてどういう英語教育がしかるべきかということが問われている問題だというふうに私は思いますので、是非文科大臣の見解をお聞かせいただきたいというふうに思うんです。

 もう申し上げるまでもないと思います、多分いろいろな声が入っていると思いますけれども、このスピーキングテスト、業者によって行われるESAT―J、ベネッセコーポレーションですけれども、十一月二十七日に一斉にこれが実施をされます。これを受けられる子と、事情によって受けられない子、不受験の子もおりますけれども、この不受験の人たちの扱いについて、非常に疑義がいまだに残っております。その取扱いについての疑義もありますし、試験そのものの監督、試験監督も、何か時給千五百円で急遽集めるみたいな話もございました。採点についても、録音したものをフィリピンに送って向こうで採点すると。

 一体中身がどうなっているのか、ブラックボックスにほかならないわけでございますけれども、こういったものを文科省として本当に認めていいのかどうか、文科大臣の見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

永岡国務大臣 いろいろ、多岐にわたりまして御質問があったような気がいたしますが、まず、基本的に、大学入学共通テストにおけます民間の英語資格そして検定試験の活用につきましては、試験会場の数などによります地理的な差異や、また検定料に関する経済的負担への対応が不十分であることなど、様々な要因から活用を見送ったものでございます。

 一方、東京都の高校入試におけますスピーキングテストの活用につきまして、実施者でございます東京都教育委員会からは、中学生の自宅の近隣の会場において無償で実施するため、地域差ですとか経済的負担の問題はないものであると聞いております。

 高等学校の入学者選抜におけます実施方法等は、実施者である各都道府県の教育委員会におきまして適切に判断をし、決定するものでございまして、文部科学省といたしましては、東京都の教育委員会において保護者等に適切に説明をしていくものと考えております。

牧委員 今、大学入試の共通テストのお話も出ました。これもこの委員会でさんざん議論してきたわけですね。

 これは、ただ単に地域差だけじゃなくて、ほかに中身的な問題も多分にあるということで、そっちの方がむしろ大事なんですよ。実際に受ける受けられないという、その地域的な格差だとか、そういったものももちろん大事ですけれども、私が問題提起したかったのは、これは、中学の英語教育がどうあるべきかという、中学の学習指導要領というのがあるわけですよね。これは、中教審の答申を踏まえて文科省で策定された方針ですよ、きちっとした。この方針に関係なく、東京都の入口のところに民間の業者が入ってきて、そして学力を測るというのは、これは私、いかがかなと思うんですね。

 私は、ある文部官僚の方から聞いたことがあります。入試問題というのは第二の学習指導要領ですよ、そういう話を聞きました。学習指導要領というこの漠然とした、漠然とと言ったら失礼かもしれない、ある程度抽象的な文言がちりばめられておりますけれども、それを具体的に、どこまで到達しなければならないのかということを具体的に示すのが入試問題なんですよ。ということは、つまりは、高校の入口の問題じゃなくて、中学の教育が問われているんです。

 そのことについて、初中局長いらっしゃいますかね、ちょっと文科省の意地を見せていただきたい。これは統帥権の干犯と言ってもおかしくないですよ。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 グローバル化が急速に進展する中で、国内外の様々な場面で英語によるコミュニケーションが必要となることから、英語で聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、この四技能を総合的に育成することが重要と考えております。

 東京都教育委員会が実施するスピーキングテストは、都立高校の入学者選抜のみならず、その結果を英語指導の改善に活用することも目的としていると承知をしております。

 生徒の話すことの能力を測り、学習指導要領の趣旨を踏まえた授業改善に生かしていく観点からは、こうしたスピーキングテストの活用ということは意義があることだと考えております。

牧委員 スピーキングの意義というのは分かります。分かりますけれども、今現在、このことについて、受験生の皆さん、あるいは父母の皆さん、本当に混乱をしております。特に、不受験者の採点の在り方、ほかの点数と相関関係を勝手に見積もってそこを採点してしまうというようなこともあります。

 こういうのは、何回も回を重ねて、その辺のところをきちっと、科学的な根拠を持って不受験者の点数をつけるという仕組みをつくらない限りは、これでもって合否を決めてしまうというのは余りに乱暴だというふうに思いますし、現場が混乱し、都議会でも、都知事の、与党の議員の人の中にも、これに異議を唱えて除名をされた、まさに体を張って都議会議員も頑張っている、それぐらいの問題なんです。

 せめて、この十一月二十七日の試験をやめろとは言いません、これをやっていただくのは結構ですけれども、これを合否の判断に取りあえずは使わない。しばらくやってみて、何年か、その上で合否の判断に結びつけるというような指導は文科省にはできないものでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 高等学校の入学者選抜における実施方法等は、実施者である各都道府県教育委員会等が適切に判断し、決定するものであり、文部科学省といたしましては、こうした様々な指摘を踏まえた検討や保護者等への説明も含めて、選抜の実施者である東京都教育委員会が適切に判断し、実施すべきものであるというふうに認識をしております。

牧委員 これ以上言ってもしようがないんですけれども、適切じゃないから言っているんですよ、私。適切に判断すると思われるのはいいんですけれども、それが適切じゃないから私はここで問題を提起しているんです。

 是非、省内で検討していただいて、東京都教委に申入れしていただくように、大臣、お願いできますか。

永岡国務大臣 これはしっかりと議論をさせていただきたいと思っております。

牧委員 今、前向きな回答として受け止めさせていただきましたので、きちっと議論した上で御判断をお願いをいたしたいと思います。

 いずれにしても、十一月二十七日、試験は行われるわけですけれども、これを判定に使うかどうかというのは、まだ時間がありますので、しっかり議論をしていただいてお決めをいただきたいというふうに思います。

永岡国務大臣 失礼いたしました。

 議論をするというのは、文部科学省ではなくて、実施者でございます都教委の方で議論をしていただくということでございます。

牧委員 都教委はもう議論したんだと思うんです。都教委と文科省が議論していただければというふうにお願いをしたいというふうに思います。

 もう時間がないので次に進みますけれども、さっき柚木委員がもう質問しましたので、ちょっと、ダブる部分は割愛をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、菊田委員からも、いろいろ、黒塗り等についての理由、それから、これが何とか開示できないかという質問がありましたけれども、今日は総務省にも来ていただいているんですね、さっき情報公開法のお話もありましたけれども、これは当時、総務庁から、情報公開法制定に当たって、信教の自由だけを特別扱いできないと、不開示について断られているという事例があったというふうに私は聞いていますけれども、こういった事実はあるでしょうか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の立案の際、当時の総務庁から文化庁に対し、信教の自由のみを特別扱いできない旨の話をしたか否かについては確認できませんが、同法において、不開示情報として、法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものが規定されております。

 この規定の解釈としては、権利とは、信教の自由、集会、結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を指し、害するおそれがあるかどうかの判断に当たっては、信教の自由、学問の自由等の憲法上の権利の保護の必要性等を十分考慮して適切に判断する必要があるとしているところでございます。

牧委員 今の御答弁は、不開示の理由についての御答弁だったというふうに思いますけれども、じゃ、逆に質問させていただきたいと思うのは、さっき情報公開法の第五条のお話を柚木委員からしましたけれども、第七条には、公益上の理由で不開示情報を裁量的に開示できるという条項があります。これは、公益上の理由に私は十分該当すると思うんですよね。名称変更によって、かつて霊感商法などで問題があったわけです。それを、名称を変更することによって、あたかも全く別の新しい団体かのような振る舞いをすることによって、著しく公益が損なわれているんです。

 そういう意味で、情報公開法第七条に照らして考えれば、公益上の理由でこれは開示すべきだというふうに思うんですけれども、総務省としてどうでしょうか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 総務省として、個別の案件についてコメントする立場にはございませんが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく行政文書の開示請求については、請求を受けた各行政機関において、同法の規定に基づき、開示又は不開示の判断が適切に行われるべきものと考えております。

牧委員 ちょっと、もう一回同じ繰り返しになるのでもうしませんけれども、ただ、これは、公益上の理由で私は開示すべき情報だというふうに思いますし、そのことを強くこれからも求めてまいりたいというふうに思います。

 そして、質問権行使について、ちょっと前後しましたけれども、さっき柚木委員からも質問がございました。質問権の行使を決定するに値するだけの要件は整っているという大臣の御答弁もありましたけれども、これはやはり、まだまだ一般国民の方には非常に分かりづらいと思うんですね。もうここまで反社会性が露呈している団体について、やっと質問権の行使が認められるだけなのかと。本来であれば、もうこれだけ裁判の事例があるわけですね、民事、刑事。裁判所における公判記録もあります。

 今更何を聞くんですか。今更何を質問するんですか。ちょっと私、イメージができないんです。どうでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、基準を定めまして、解散命令事由に該当する、要件に該当する疑いがあるという基準を定めて、これを統一教会に当てはめて、今週中をめどに判断すると先ほど大臣からも御答弁を申し上げたところでございますが、今後、この報告徴収、質問権の行使を通じまして行為の組織性、悪質性、継続性等について具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにした上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいる必要があると考えてございます。

 その中では、先ほどお話がございましたように、全国弁連の先生方にも様々な御協力を賜りながら、客観的な事実を明らかにするということにしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

牧委員 最後に、確認だけしておきたいと思います。継続性とか悪質性だとか、そういうのはもうみんな分かり切った話で、質問権行使が解散命令請求をするに当たっての必須の条件なのかどうなのか、そこだけお伺いさせていただきたいと思います。

 私が言いたいのは、質問権を行使する前に、しなくても、もう十分、解散命令請求ができる要件は整っているというふうに、多分、大方の国民は思っていると思います。なぜそれをしないのかと。なぜ質問権、しかも質問の内容まで、これから宗教審で詰めてどうのこうのと。それはもう時間稼ぎにしか見えないですよ。どうでしょう。

永岡国務大臣 宗教法人法上、報告徴収、質問権の行使は、解散命令請求の要件とはなされてはおりませんが、解散命令の請求等の権限を所轄庁が適正に行使するため、所轄庁において、その判断の基礎となる客観的な資料を把握できるようにすることを目的としております。

 文部科学省といたしましては、宗教法人法に照らしまして解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは報告徴収、質問権の行使を通じまして行為の組織性、悪質性、継続性等について具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実を明らかにした上で、法律にのっとりまして必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

牧委員 最後に申し上げます。

 客観性について、その証拠等についても、これは今までの、裁判所に公判記録はいっぱいあるわけですよ。何もここで、回りくどくいろいろなことをもう一回蒸し返す必要も全くないわけで、そこが国民の目には非常に分かりづらいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 解散命令請求といったって、請求するだけですからね。判断は司法が判断するわけですから、何もこの入口のところでもたもたする必要は全くないということだけは申し上げさせていただいて、私の質問を終わります。

宮内委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の衆議院議員の荒井優でございます。

 大臣、僕は、どうしても文科委員になりたくて国会議員になりました。学校の校長をしていましたが、五年間やっていましたが、実は今日、ちょうどその高校が民放のテレビで朝、ニュースに取り上げられて、ティックトックで非常に学校が盛り上がっている、そんな報道もありました。

 学校って、すぐ変わるんですね。すぐよくなる。まさに学校を、三万校、日本には学校がありますが、もっと学校や教育をよりよくできる、そういう思いで国会議員になって、一年たちました。一年たって、四分の三は前の末松文科大臣でした。そして、四分の一、三か月、永岡大臣です。

 思えば、八月に、まだ夏の暑いときに大臣が替わると。これからようやく末松大臣といろいろ議論ができるんじゃないかと思っていたときに大臣が替わるという報道があって、そして永岡大臣が就任されるというお話をニュースで拝見しました。

 でも、僕はすごく楽しみにしていたんです。フィンランドが今、教育大国と言われていますけれども、フィンランドだって、一九九〇年代までは日本と変わらない、教育の後進国とも言えなくなかったんです。どうして変わったのか。二つ大きな理由があると言われていますが、一つは、外国が変わった。つまり、ソ連が崩壊したことによって外部環境が変わったことによって、やはり教育を変えなきゃいけない、そういう気持ちが芽生えたと言われています。

 もう一つが、女性の社会進出が進んだことによって、大臣もいろんな記者会見等でお話もされていますが、まさに女性が社会に出ることによって、やはり教育を見直すきっかけになってきた。つまり、決して高学歴だけがいい教育ではなくて、一人一人の子供たちがしっかりと成長することが、やはりそれによって社会で有用な人材がたくさん生まれているということを女性が社会に出て気づいてきた、それが一つ、フィンランドが大きく教育を変えるきっかけになった、そんなふうにも言われています。

 その中で、まさに永岡大臣も、何度かこの文科委員会でも、子育てをしながら、母親の目線で文科大臣を務めていくとお話をされてきましたが、この三か月、でも、本当に一年において三か月は僕は長いと思うんですね。ずっとこの機会をお待ちしていましたが、三か月もたちました。八月、夏の暑いときに大臣になられて、もう十一月です。これは、もしも学校に例えれば、夏休みの間に担任の先生が替わって、今度は女性の担任の先生だよと言われて、でも、十一月まで一向に担任の先生が姿を現さない、まるでそんなクラスみたいな気がするんです。

 大臣、三か月、文科行政をよくできてきているという実感がおありなんですか。教えてください。

永岡国務大臣 荒井委員にお答えいたします。

 私も、八月の十日、文部科学大臣に御指名をいただきまして就任をさせていただきました。それから、やはり文部科学行政というのは大変幅が広うございます。当然、校長先生をやっていらっしゃったということでございますが、教育に関して、科学技術に関して、そして文化芸術に関して、またスポーツに関してと、幅が広うございます。そういう中で、一つ一つ、基本的なところからいろいろと事務方の方から話を伺い、そして、今喫緊の課題である統一教会のことも、いろいろと話を伺いました。

 そんな中で、やはり自分が皆様方とこの委員会で少しでも早くいろいろと質疑がしたいという思いはございましたが、国会の会期というものがございます。これにつきましては、私が一人で、やりたいから委員会を開いてとか言えるようなものではございませんので、ここまでお待ちいただいたということは大変申し訳なかったなというふうに思っておりますが、これからどうぞよろしくお願いしますということでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさに、一年、特に学校における一年は、本当にあっという間なんですよね。どうも国会や大人の世界はそのペースがゆっくりし過ぎて、しかも、大臣の着任後に、不登校の児童が最多の二十四万人になったという、そんなニュースもあります。やはり、もっともっと早くに我々はいろいろなものを決断し、そのために議論していく必要があるというふうに思いますので、今日も時間は少ないですので、密度の濃い議論をさせていただければと思います。

 まさにスポーツのお話をされていましたが、東京二〇二〇のオリンピック・パラリンピックの不祥事のことについてお尋ねしたい。

 所信でもオリンピックのことは触れられておりましたが、ただ、不祥事という文脈では語られなかったというふうに聞いておりました。文部科学省の責任者である大臣として、これは総理に報告はされたんでしょうか。そして、総理からこのことに、本件について何か指示があったんでしょうか。岸田総理もまたオリパラのことについてほとんど語っていないように思うんですが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 まず、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の元理事などが逮捕、起訴されたという件でございますね、先生がおっしゃいますのは。組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものであることから、現在は清算法人であります組織委員会が責任を持って対応すべきものと考えているわけでございます。

 また、東京大会は、組織委員会、そして東京都、あとはJOCがIOCとの開催都市契約を締結いたしまして運営されるものでございます。国は支援する立場でしたが、政府といたしまして対応する必要がある場合には、これは、オリンピック、パラリンピックを含めた国際的な規模で行われるスポーツ事業を所管する文部科学省が対応するものと考えているところでございます。

 総理に報告したかというところではございますが、政府として対応する必要がある場合には、オリンピック、パラリンピックを含めた国際的な規模で行われるスポーツ事業を所管する文部科学省が対応するということでございますので、まだ私から総理には報告はしておりません。

荒井委員 資料をお渡ししていますが、まさに文部科学省に、キッズページという子供向けの文部科学省のホームページがございます。そうですよね、学校とかで、文部科学省のサイトを調べながら、文部科学省というのはどういう仕事をしているのか、そんな授業もきっとあるでしょう。その中で、「文部科学省のしごと」の中にということで、「スポーツ」という、一枚目には、「見てみよう スポーツ」というところでありまして、そして、「フェアにスポーツが行われるために何をしているの?」、もう一つ、「日本で開催される国際競技大会について」ということで、次のページ、二ページ目、三ページ目に、それぞれ、文部科学省が子供向けに、どんな仕事を我々がしているのかというのを書いているわけです。

 まさに今大臣がおっしゃられたことを、もっと子供向けに分かりやすく、そしてはっきりと書かれていると思います。特に、二ページ目、「フェアにスポーツが行われるために何をしているの?」という問いに対して、答えとして、右側に大きく書きましたが、「選手が練習しやすい環境を作ったり、大会の開催などを行ったりする団体が、それらを正しく進められるよう、スポーツ団体が守るべききまりを示し、それを守ってもらうようにしています。」こういうふうに書かれているわけですよね。そうなんです、文部科学省がしっかり責任を持ってやっていきますというふうに、やはりこれは、子供たちだって、見た人たちはそう思えるわけですよね。

 僕は、前回の質疑に関してもそうでしたが、どうも、このオリパラのことに関しては、まるで、学校が、部活動の不祥事が起きたときに、いやいや、部活というのは、これはボランティアの仕事だから、学校直接ではないんですよと言っているように、別な公益法人がやっていることなので、それに対しては、その公益法人若しくはスポーツ界がちゃんとやるべきことで、文部科学省としてはそこまでの責任はまだありませんというふうに言っているように聞こえるんです。

 でも、本当は、やはりこれは大きなことですので、国を挙げてやってきたこのスポーツ大会を、次の三ページ目にありますけれども、まさに、国際競技大会の招致、開催を文科省は応援していきます、そういうふうに書かれているような、それだけ大きな取組をしてきたからこそ、まるで、学校が部活動を切り離して、部活だけの責任に押しとどめるのではなくて、これは、ちゃんと学校全体で、まさに総理にもしっかり上げながら、一体どうしてこんなことが起きているのか。もちろん、今捜査中なのも存じております。でも、捜査とは別に、なぜこんなことが起きるのか、これは、オリンピックのことは調べれば調べるほど、毎回似たようなことが起きているように思いますが、これをやはりちゃんと文科省としてしっかりと言っていく必要があるんじゃないか。

 なぜ、総理にそれを報告し指示を仰がないのか、大変疑問に思うんですが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 荒井議員の御疑問にお答えさせていただきます。

 委員も大変関係の深い二〇三〇年の冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の招致に当たりまして、JOC及び札幌市は、今年の九月、大会運営の透明性そして公正性の確保について宣言文を取りまとめました。さらに、先月、スポーツ関係団体とスポーツ庁によります円卓会議におきまして、今後の大規模な競技大会の円滑な開催に向け一致団結して取り組んでいく旨の決議を取りまとめたところでございます。

 先月の二十七日の北海道札幌招致のオリンピック・パラリンピックプロモーション委員会では、委員も、実はプロモーション委員会の委員でいらっしゃるということでございます。その委員会でJOCの山下会長が、十一月中旬をめどに、スポーツ団体、弁護士、公認会計士等の専門家や、札幌市を始め、今後予定されている国際競技関係者等にも協力をいただきながら、大会組織委員会のガバナンス体制の在り方、また情報公開の在り方について検討を始めたいと考えていますと言及されました。

 文部科学省といたしましても、この検討をスピード感を持って進められるように、JOC等のスポーツ関係団体と適切な連携協力をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。

荒井委員 資料の四番目を御覧いただきたいんですけれども、これは、二〇一〇年に公益法人の大相撲協会が不祥事を起こしたときに、当時の川端文部科学大臣が対応した、そして、当時の芦立スポーツ課長がやり取りした、そういったことが記事には載っています。このときには、まさに、その公益法人である団体に対して、非常に文部科学大臣も厳しい姿勢を示し、そして、スポーツ課長、まさに芦立さんは、今一緒に二〇三〇の札幌オリンピック招致のプロモーション委員をやっていただいていらっしゃいますが、そうやって文科省の担当の課長だって出張っていって、ちゃんとやらないと公益化をまさに取り消すことだってなくはないんだみたいなことを、この記事とはまた別でお話をされているわけですね。

 やはり、それだけ文部科学省は、このスポーツ、まさに子供たちに対して、フェアな環境をつくるように頑張っていますというふうにおっしゃられるような文部科学省が、もっと、特に、大相撲ではなく、オリンピック、パラリンピックのあれだけの不祥事のことに対して、しっかりとイニシアチブを取ってやられるべきじゃないでしょうか。僕、そういうことを申し上げたくて、三か月お待ちしていました。

 五ページ目ですね、御覧いただくと、まさにおっしゃっていただいたプロモーション委員会のリストが載っております。僕も野党で唯一このプロモーション委員会に参加させていただきながら、オリンピックの招致は、札幌にとっては、僕はとても大切だと思っている。だからこそ、まさに二〇二〇年東京のことに関してはしっかりとけじめをつけないと、これは本当に、札幌で一生懸命、札幌も御承知のように、今日も北海道の関係の議員の皆さんもいらっしゃいますけれども、決して簡単ではないんです。反対されている声だってたくさんあるんです。その中で、賛成している人たちが一生懸命招致の機運を盛り上げようとやっている中、この東京の問題が、一体何があったのかというのが解決されないと、札幌では一向に招致が進まないんじゃないかというふうに思って、苦しみながらやっています。

 まさに、だからこそ、国際競技を招致をするのを応援している文科省がしっかりイニシアチブを取り、東京都やスポーツ団体に対して、ちゃんとやるべきだということを言うべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 荒井委員にお答えいたします。

 今、先生の資料の方、ちょっと拝見させていただきまして、賭博問題がありました。これについては、このとき、文部科学大臣が厳しく批判というふうになっておりますが、そのときは、これ、公益財団法人だったと思いますけれども、そのときは文部科学省が所管をしておりましたが、今現在は他省庁に行っておりますので、なかなか、以前と違うということは御認識をしていただければと思っております。

 そして、先ほどとやはり同じ御答弁になってしまうんですけれども、文部科学省といたしましては、この円卓会議等で話し合われました検討をスピード感を持って進められるように、JOC等のスポーツ関係団体と適切な連携協力を進めていきたいと考えているところでございます。

荒井委員 時間がないので次の質問に移りますが、ただ、このオリンピック、パラリンピックの二〇二〇年、東京であったことに関しては、早くやることが僕は一番大切だと思うんですね。初動が遅かったというふうに思います。これはプロモーション委員会でも山下会長にも厳しく言わせていただきました。唯一野党の国会議員で参加していますように、なかなかそういう場で発言する人というのはやはりいないんですよね。でも、それが札幌の招致の健全性だというふうに思ってもいますし、だからこそ、文科省がイニシアチブを取ってしっかりと進めていただきたい。是非お願いしたいと思います。

 続いて、統一教会に関わる、宗教法人の公益性のことについてお尋ねしたいと思います。

 当然、統一教会で苦しまれている方々に関しては、今、それぞれの、前も先輩の先生方がいろいろ質問されていますが、僕自身、学校法人の理事長もやっていますし、以前は公益財団法人の専務理事もやりました。つまり、公益法人というものに関しては実体験があるというふうに思って見ている中、今回、この統一教会のことに関しまして、同じ公益法人という枠の中にある宗教法人が、いかに税制上優遇されているのにかかわらず情報の開示がされなさ過ぎているのかということに関して、非常に疑問感があります。何でなんだろうと。

 もちろん、憲法の問題であったり、戦前のみたいな話も、戦前に宗教の弾圧が行われたからということは多々資料では拝見しましたけれども、でも、今の現状のこの宗教法人に対する、情報の開示の仕方、税制の優遇の仕方、これが続いていけば、第二、第三の統一教会、つまり、外国の宗教を信奉している人たちが日本で宗教活動をし、そして、日本の宗教法人は非常に所管庁の管理監督が緩いので、いろいろとそこで、寄附を集めて、外国にお金を送って、そしてまた、いろいろな形で政界や財界とかに対して手を回していくということもできることが、今回は統一教会のことが議論になっていますけれども、日本でまた第二、第三と起きかねないんじゃないか。

 ちなみに、アメリカでは、一九七五年、もう随分、僕が生まれる頃ぐらいですけれども、フレーザー委員会みたいな言い方で、まさに韓国がそういうことをやっているんじゃないかと。アメリカでは立法府で相当な議論をして、かなり精査、詰めたというふうにも聞いております。

 日本ではどうなんでしょう。今、統一教会の、個別のことを話していますけれども、第二、第三の統一教会みたいなことがこのままだと起きるんじゃないかというふうに不安がありますが、大臣の見解を教えてください。

永岡国務大臣 第二、第三の社会的に問題のある宗教法人が出るかというお話につきましては、ここで答えるということはやはり差し控えさせていただければと思います。

荒井委員 資料を同じくお渡ししています。六ページ目の、公益法人、まさに先ほども、余り時間がないのであれですけれども、所管庁がそれぞれ違いますので、所管庁によって公益法人の課税の在り方というのは随分変わっているわけですね。

 六ページは、これは国税庁が出している、取りまとめている、公益法人に対する課税の在り方です。右から二つ目、宗教法人、独立行政法人、日本赤十字社等がいろいろと免税の対応を受けていますが、微妙に公益法人のものとは違いますということが書いてあります。

 ただ、重要なのは、法人税率が一九%と書いてあるところですね。普通の会社は二三・二%なんです、法人税というのは。ところが、宗教法人は、ほかの独立行政法人や日赤と併せて一九%になっているわけですね。

 この少ない税制の中で、次のページを御覧ください、七ページ目、情報の公開の在り方。実は、これは内閣府のホームページから引っ張ってきて、ここには、それぞれの公益法人の、どのように公開をしているか。実は、この中には宗教法人は含まれてはいないので、何とも説明はこの資料からではできないんですが、ただ、学校法人や社会福祉法人、そのほかの公益法人というのは、非常に情報の開示も、当然そうですよね、税金が免税されているわけですから、ちゃんと情報を開示する。これは当たり前だと思うんですけれども、でも、日本では宗教法人はそれをしなくていいことになっているんですね。

 でも、十八万もあり、そして、こうやって第二、第三の、また起きかねないようなところに対して、なぜこんなに緩い状況のまま認めてきているのか。ほかの公益法人はちゃんと運営しているし、多くの宗教法人はきっちり運営しているのに、まるで疑われるようなことが、ほかの宗教がバッシングを浴びる必要もないと思っています。

 情報開示の在り方、大臣、どう思いますでしょうか。

永岡国務大臣 大変丁寧な資料をいただきまして、ありがとうございます。

 宗教法人法は、憲法に定める信教の自由や政教分離の原則に従いまして、所轄庁の権限行使に関して、抑制的であることを求めております。そのため、宗教法人の管理運営につきましては、その透明性を高め、それにより宗教法人の自治能力の向上を図る観点からも、情報の公開は重要であると考えております。

 このため、平成七年、宗教法人法の改正によりまして、宗教法人の信者その他の利害関係人に備付け書類の閲覧請求権が認められたところでございます。その際、宗教法人の特性上、あらゆる者に閲覧を認めることは適当ではないため、誰を信者その他の利害関係人と認めるかなどは各宗教法人が決めることとされました。今後とも、この閲覧制度が適切に運用されるよう、趣旨の徹底に努めてまいりたいと思います。

 なお、例えば、新たに財務諸表の作成と公開、会計監査などの情報公開を義務づけることにつきましては、これは憲法の規定する信教の自由の意義を十分に踏まえて論議することが必要でありまして、仮に宗教法人法を改正することとした場合には、全国の宗教法人に大きな影響がある、与える可能性があるということも考慮する必要があると思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 もうこれで、今日は時間がないので終わりますけれども、僕、文部科学大臣の最大の仕事は教育予算を増やすことだと思うんですね。これは是非、教育予算の倍増、総理もおっしゃっていることですし、早く実現していただきたいと思っております。

 以上、終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 まず、今、荒井議員からもありました東京五輪の問題でありますけれども、先日、文科省として取り組むんだというところまでは、大臣、お答えになっていますけれども、どんな体制で取り組むのか、誰が担当するのかということは決まりましたか。

井出副大臣 御通告は私であったと思いますので、お答え申し上げます。

 東京オリンピック・パラリンピックに関する元理事等の事件につきましては、再三申し上げてきておりますが、まずは、現在清算法人となっている組織委員会の方できちっと対応していただくと。文科省としては、捜査を、今捜査中の案件でございますので、きちっと見守っていくということが、捜査をしっかり見守ることが大事だと。その上で、政府として対応が必要であれば、文科省、特にスポーツ庁の方で対応していくこととしております。

森山(浩)委員 スポーツ庁で対応すると。今、資料が全部持っていかれていますから、すぐにどうこうできることはないかもしれないが、一つは札幌のオリンピックへの影響、また現在、この間も言いましたけれども、関西万博においては、みなし公務員ではないからということで、同じような枠組みでやっていること自体が不問に付されるかもしれないというようなことも含めて、これは政府全体に情報共有の必要な案件だと思いますので、これは文科省、そしてスポーツ庁からきちんと政府全体に共有をしていただいて、何が問題であるのかということ含めて対応していただきたいと思います。

 先日、国連障害者権利委員会より、インクルーシブ教育について、日本、遅れているよという勧告を受けております。これについては、私は大阪ですけれども、我々が子供のときには十分一緒にやっていたという部分に関して、全国的にはそこまでいっていないからといって、むしろ特別支援教育のスタートにおいて後退をしたというような、現場の声からは非常に聞いたところでもありますが、そこから先におきましても、どうだろう、それぞれについて、きちんとできていないのではないかということ、問題意識を持っていましたけれども、ついに権利委員会からの勧告を受けるという事態になっています。

 これはこれから進めていくと大臣おっしゃっていますけれども、例えば支援学校、高等教育、中等教育に当たる部分ですね。卒業後に進学をする、あるいは就職をするという段階にあっても、送り迎えはバスである、あるいはアルバイトは禁止である、携帯は持っていてはいけない。こんな状態で、すぐに、じゃ、春から就職してくださいと、できるのかと。行き先がなくて、結局B型支援にしか行けないのだというようなことで、選択肢を奪っているというような現状があると思いますが、これについてはどうお考えですか。

簗副大臣 通告をいただいた内容とは少し違うので、ちょっと直接的なお答えができるか分かりませんけれども、各特別支援学校において、様々な就労支援の取組は、国の様々な支援と併せてしていただいているという認識をしております。

 まず、文部科学省としては、特別支援学校の高等部に、職業教育を行う専門学科や、また、資格取得に向けた専門的な指導を行う専攻科を設けることができるようにするとともに、令和五年度の概算要求においては、企業等と連携したICTの知識や技能の習得の推進や、就労支援コーディネーターに係る経費を要求をしております。

 今後とも、障害のある生徒に対する教育を充実するとともに、就労が一層促進されるように努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 これは、いわゆるスキル以前の問題というのも非常に大きいと思っています。生活ができる、あるいはコミュニケーションができるというための支援という部分が非常に大きいと思いますので、今後議論をしていきたいと思います。

 さて、旧統一教会の問題です。

 先日の私の質疑の際に、大臣が手を挙げているのに、文化庁の方から上にかぶせるような形で答弁をされ、そしてその途中で、長過ぎる答弁によって時間が終わるというようなことが起こりました。

 これにつきましては、委員長の采配についても、先ほど理事会でも申し上げたところでありますが、委員長が旧統一教会との関係が深いからそんな運営しているんじゃないかなんというようなことも私も言われたりしまして、非常にこういうことがあってはいかぬというふうに思いますので、公平な運営をお願いをしたいということ。

 そして、旧統一教会の名称変更時の経緯についてということで、先ほど理事会でいただいた資料によると、まあゼロ回答ですね。黒塗りになって、ここの部分は出せないというようなことというのは間々あるということでありますが、物自体がそもそも、真っ黒でも出てこないという状況については、これはいかがなものかと思いますが、文科大臣、もうちょっと何とかなりませんか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 御指摘につきましては、宗教法人に関する行政文書のうち非公知の事実に関するものにつきましては、公にすることによりまして当該法人の権利利益を害するおそれがあることなどから、原則といたしまして不開示としております。

 いずれにいたしましても、宗教法人法の趣旨や情報公開法にのっとりまして対応させていただきたいと考えております。

森山(浩)委員 ですので、中身の文字の部分が黒塗りになるということはあり得ると思っていますけれども、それ自体が出てこないということになると、やはりこれは情報公開法との、趣旨が変わってくるかなと思いますので、これは引き続き求めていきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

 岸田総理が、統一教会、社会的に問題があるとされる団体との関係を絶つというふうにおっしゃっています。これは自民党としてですけれども。これは、自民党員でもあります永岡文科大臣としては、これについては賛成ということでよろしいですか。

永岡国務大臣 まあ、なかなか言いにくいことではございます。なぜならば、今は政府に入っておりますが、一自民党員としてお答えさせていただきますれば、やはり自民党員としてのガバナンスコード、これはもう遵守をしてまいりたいと思っております。

 以上です。

森山(浩)委員 ということは、社会的に問題があるとされるから、これは関係を絶つという理由でいいんですね。

永岡国務大臣 自民党の考えということはそのようであろうと思っております。

森山(浩)委員 社会的に問題があるとされるので関係を絶つ。保身にしか聞こえないですね。なぜ関係を絶つのかという部分についての考え方というところについてですけれども、非常にこれについてはしっかり考えていただいて、またお聞きをしたいと思いますが。

 この宗教法人、解散あるいは解散命令請求ということで進んでいる部分ではありますけれども、これ、問題とされるからつき合いはしないけれども、じゃ、行政としては何ができるのかというようなところとの部分であると思いますが。

 解散をしても宗教団体としては残るから、これは意味がないんだという意見が一方である。あるいは、解散をするということ自体をやるということが信教の自由に触れるんじゃないかという意見が片方である。この辺につきまして、弁護団、阿部弁護士の方から見解をお願いをしたいと思います。

阿部参考人 お答えします。

 解散命令をすることが統一教会にとってどういう意味があるかということですけれども、組織を弱体化させ、被害を少なくするという意味で非常に大きいというふうに考えております。

 現在、宗教法人を国が与えているということで、いわば国がお墨つきを与えているような形になっています。なので、それが布教活動に利用されたり、あるいは脱会させようとした家族に対して信者がそういう説明をしたりして、そういう形になっているわけですけれども、それが、解散命令という裁判所の判断が出されれば、それはいわば国が、反社会的な団体である、そう判断したということになりますので、そういう意味は非常に大きいというふうに考えております。

 あと、政治家の方につきましても、やはりそういう解散命令が出された反社会的な団体というのは、その関連団体を含めましても、恐らくおつき合いいただくようなことは今後なくなるだろうというふうに考えております。

 あとは、もちろん、宗教法人法の宗教法人に伴うことによる税制上の優遇とかそういうものを失うわけですし、組織としては間違いなく弱体化するであろうというふうに考えております。

 ただ一方で、宗教団体としては存続するということになりますので、恐らくは、統一教会は、宗教団体となった後も、信者に献金を募るなどして資金を集めて韓国に送るということは継続していくだろうというふうに考えております。なので、解散命令が下されたからそれで終わりということではなく、宗教団体となった統一教会を注意深く監視していくということが一方で必要だというふうに考えております。

 あとはもう一つ、特に信者の方の信教の自由への影響ということですけれども、この点につきましては、オウムの、最高裁の平成八年の判決が判示しております。宗教法人法の八十一条の解散命令というのは、あくまで宗教法人格を失わせるだけである、宗教団体の世俗的な側面だけに容喙するものであるということで、信者の方の信教の自由へ及ぼす影響があるとしても、それは間接的なもので事実上のものにとどまるというふうに判断しておりますので、直接信者の方の信教の自由に効果を及ぼすものではありません。

 ただ、間接的に事実上の影響を及ぼすことはあり得るとは思いますので、解散命令の後、一つ大事なこととしては、事実上、間接的に影響を受け得る信者の方のケアというものも一方では必要だというふうに考えております。

森山(浩)委員 ということですが、大臣、この解散の意義については同意見ということでよろしいですか。

永岡国務大臣 解散の意義ということでございますが、ちょっと意味がよく分からないので、もう一回丁寧にちょっと言っていただければありがたいと。

森山(浩)委員 ちょっと残念ですね。解散の意義も分からずに解散要求をしようとしているということになりますね。

 解散をすることによって、法人格がなくなって献金が受けづらくなったり、あっ、いいですか。どうぞ。

永岡国務大臣 解散命令によりまして宗教法人が解散をしても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させることが妨げられるわけではありません。解散命令は、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果は一切伴わないものであります。解散命令が確定したときはその清算手続が行われまして、その結果、信者らが行っていた宗教上の行為を継続するのに何らの支障を生ずることがあり得る、そういうふうには思っております。(発言する者あり)

 一切伴わないということです。信教の自由でございますので、解散命令がその宗教法人に出たとしても、それは信者の方には、気持ちは変わらず、信教の自由は守られているということだと思っております。

森山(浩)委員 済みません、もう一回言いますね。

 解散をしても団体として残るので、そんなことをやっても意味ないんじゃないかという意見に対しては、今、弁護団の方からは、弱体化するし、そういうことが行われることが、被害者を増やすことを止めることができる。あるいは、逆に、信教の自由を侵すんじゃないかということについては、直接は侵さない、ただ、その後、団体として活動をするということについては、反社会的な行動をしないように注視をしつつも、自由にやるという部分についてはこれは変わらないということで、後半の部分については一定お答えになったと思いますけれども、どうですか。

永岡国務大臣 解散をしてしまいました宗教法人団体は、やはり解散前と違いまして、それぞれの教会ですとか、宗教法人の境内、そういうものはやはり維持存続というのは大変厳しいものがあろうかと思います。

 しかしながら、その信者というものは、気持ちが変わらなければそのまま信心を続けていらっしゃるでしょうし、また、解散命令が出て解散しなければならなくなったという時点で、その時点で、今まで信心をしていたけれども、やはり思っていたことは間違いだったのかしらと思いまして、そこの信者から離れるということになろうかと思っておりますが、その気持ちというのは、やはり解散命令が出ても、気持ちはそうそう、人からの意見ではなくて、やはり自分の信教の自由というものは守られているというふうには考えております。

森山(浩)委員 ということなんですよ。

 被害者の方を救うというようなところ、あるいは団体としての活動はどうかというような部分において、解散請求をしますよ、あるいは質問権行使をしますよとこれだけ報じられている中で、もし、質問行使できない、あるいは解散請求できないということになると、今やっていることはよかったんだということに利用されるという危機感はありますか。

永岡国務大臣 今、報告徴収、質問権を行使をしようとしている段階でございます。

 その中で、やはりその内容について等、今後具体的に検討することになると思うんですけれども、今ここで、それが行使できなかったり、それからあとは、その先のことをここで言うということはやはりちょっと差し控えさせていただければと思っております。

森山(浩)委員 一方で、解散請求するということは、裁判所に対して検察官役をやるというか、こうこうこういうことがあったのでやらなきゃいけないよということを役所が言わなきゃいけないというところのプレッシャーで動きが鈍いんじゃないのかというような意見もあります。

 解散請求するに当たり、文科省あるいは文化庁から協力の要請があった場合、弁護団としてお受けになりますか。

阿部参考人 全国弁連としましては、当然、最大限の協力をしていくということになります。

 あと、一つ申し上げておきたいのが、我々全国弁連には、三十五年の情報、資料の蓄積というものがございます。そういうものはもう惜しみなく提供していくというつもりでおりますけれども、一方で、既に国にもたくさんの資料があるということは申し上げておきたいんですね。

 既にたくさんある資料というのは、例えば、検察庁には刑事記録というものがある。裁判所には民事記録、家事事件の記録というものがある。国民生活センターにはたくさんの消費者被害の相談がある。法務省には今回の合同相談窓口の約二千件の相談とか、あと、国賠で国を訴えた訴訟の記録は当然法務省も持っている。あるいは薬事法とか特商法違反とか、過去に統一教会の傘下の会社は指導を受けたりしていますけれども、そういうものはその監督官庁にも情報があるはずだということで、その記録の保存年限の問題はあるかもしれませんけれども、かなりの資料は既に国にあると思っております。

 なので、我々全国弁連の資料と、かつ、国の資料も合わせて、そういうものを全てきちんと合わせれば、それは十分その要件は立証できるというふうに考えておりますので、全国弁連としては、協力は惜しまずやっていこうというふうに考えております。

森山(浩)委員 全面的に協力いただけるということであります。

 被害者の皆さんからお話はお聞きになりましたか。

永岡国務大臣 もう既に全国弁連の皆様方とは、事務方の方で連携をいたしまして、資料の提供等に御協力いただいているというところでございますが、被害者の方とは私はお会いしておりません。

森山(浩)委員 私たちも、二十年、三十年というような間、相談もできない、ほったらかされている、話も聞いてくれないという皆さんの御意見、この間、三か月、四か月、お聞きをしています。やはり直接お話を聞くと、何てひどいことだという思いもいたします。

 総理もお会いになったということでありますので、大臣も是非、直接のお話というものもお聞きになって、あるべき姿というところにつなげていただきたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 文部科学省といたしましては、報告徴収、質問権の行使によりまして効果的に事実関係を把握することが重要と考えております。そのために、具体的にどのような情報をどのような形で集めることが望ましいかにつきまして適切に判断をすることが求められている、そういうふうに認識をしております。

 こうした観点から、やはり、報告徴収、質問権を行使する立場にある文部科学大臣といたしまして、現時点におきまして、旧統一教会からの被害を訴えておられる方々と直接面会をするかどうかについては、お答えすることは差し控えさせていただければと思います。

森山(浩)委員 総理もお会いになっていますから、これはやはり、何のために政治家が大臣をやっているのかという問題かと思います。文部科学省としての立場は分かりますけれども、そこはやはり、人としてどう感じるかというようなところも非常に大事な部分だと思いますので、お願いをしておきたいと思います。

 さて、宗教二世の問題なんですが、社会調査支援機構チキラボさん、九月の九日から十九日にかけまして、インターネットアンケートで、宗教二世当事者千百三十一人への実態調査、これはインターネットで公開をされておりますが、十一月の一日に記者会見されています。

 我々、その後、主宰者の荻上チキさんのお話もお聞かせをいただきましたけれども、この調査、お読みになりましたか。

永岡国務大臣 残念ながら、読んでおりません。

森山(浩)委員 十一日間という非常に短い中でインターネットのフォームに入力をするという形、よっぽどこれは思いがないと答えないというようなものだと思いますが、脱会をされている人、脱会をしていない人というのが混在をしているというアンケートでもありました。創価学会が四百二十八人、エホバの証人が百六十八人、旧統一教会四十七人というような形で、たくさんの方がお答えになっておられます。

 旧統一教会についてはやはり高額の寄附、献金の問題というのが非常に大きい、エホバの証人に関しては体罰、暴力といったものが非常に多かったり、創価学会につきましては政治活動というのが多かったり、いろいろな形でこれはやられていますけれども。

 宗教二世、生まれたときからそこの宗教にということで、自らの意思ではない部分でその環境をつくられてしまうということに関して、特に、そこから先、教育の現場などでも、いじめに遭うなどということにもつながっていくわけですけれども、宗教二世についてはどういう認識をしておられますか。

 じゃ、宗教二世についての問題、課題というのがないということですので、先ほどのチキラボさんのお話をお聞きをしている中でも、何かというと、国で調査したことないじゃないかという話なんです。

 国による大規模な調査、きちんとした調査をしていただいて、たまたまこのインターネットにも書き込むほどモチベーションの高い皆さんの意見だけではなくて、調査をした上で対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のような調査につきましては、国でやれというお話でございますが、やはり、子供の、信教などの、やはり内心に関わる非常にセンシティブな事柄になります。そのために、国として調査をすることにはなじまないのではないかと思っておりまして、子供たちへの調査は考えておりません。

森山(浩)委員 社会的に問題がある団体、あるいは体罰、暴行を含めた部分、こういったものが散見をされるという状況でありますので、ここはしっかり検討していただきたいと思います。

 さて、被害者救済法案についてです。

 先ほどちょっとお話しをいただいておりますけれども、救済の範囲が狭いんじゃないかというような御意見をいただきました。弁護団から、いかがでしょうか。

阿部参考人 先ほども申し上げましたが、新しくできる法律が、被害者の救済の範囲が狭くなるのではないかということで、危惧しております。

 現在の統一教会の、献金被害が中心ですけれども、それを救済の現場で捕捉するためには、ある程度広がりというか、そういう法案でないと現場では使えない可能性があるというふうに思っております。

 なので、被害者救済法案を作るに当たっては、もちろん、財産権とか自己決定権とか、それ以外の人権との調整、配慮も当然必要になるとは思いますけれども、まずは、現場で使えない法律では全く意味がない、被害者救済に使えないということになりますので、できれば我々現場でやっている者の意見も聞いていただいて、その上で、実際に現場で使える法律を作ってほしいというふうに思っております。

森山(浩)委員 使えるものを是非ということで、これは直接の担当ではないという形になるのかもしれませんが、文科大臣としては、宗教団体を管轄をする、担当をするということから、現場のことをしっかりと踏まえた上で提案をしていただきたいと思います。

 さて、宗教教育です。

 今回のような問題が起こるのは、宗教というものに対しての全く無菌状態で、初めて聞く話が統一教会の教義であった、ああ、これが本当のことなんだと思って、ほかと比較することなくはまってしまう、これも大きな原因だと思いますし、そういった意味では、小中高それぞれの段階に応じて、宗教とは、あるいは、どういったものがあるのか、こういったことも含めて宗教教育をするべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 宗教教育に関しましては、日本国憲法の信教の自由に関する規定も踏まえまして、教育基本法におきまして、宗教に関する寛容の態度であるとか、また、宗教に関する一般的な教養などは教育上尊重されなければならないと規定をしているところでございます。

 これを受けまして、文部科学省では、例えば、主要の宗教ですね、歴史や特色、それから世界における宗教の分布などにつきましては、子供たちが知識や理解を深めることができるように、学習指導要領に必要な規定を盛り込んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、宗教教育など、子供たちが将来にわたって必要となる内容につきまして、学校でしっかりと指導が行われるように努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 これだけの被害が出ているということですので、これまでの教育では十分ではなかったということだと思います。宗教教育について、更なる検討、そして推進をお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

宮内委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村龍那です。

 今国会から文部科学委員会に所属をさせていただきました。私も三人の子供を育てる父親として、そして今、障害児支援の事業所を経営してきた経験等を踏まえて、しっかりと議論、提案をしてまいりたいと思います。

 まず初めに、私も子育てをしながら、一番上が小学校二年生なんですけれども、この子供たちにどうやって成長してほしいのか、子供たちにどういう国を残していきたいのか、そんなふうに考えると、やはり子供には、生きる力、そして稼ぐ力をしっかりとつけて、社会に飛び立って、日本社会に貢献してほしい、そのように願うわけなんですが、そう考えたときに、これから子供たちに必要な教育、確かに公教育の中で学力を高めていくことも必要です。加えて、私は、やはり子供たち自身が考えて、そして行動を実践していく、いわゆる主権者教育にしっかりと力を入れていくべきだと考えています。

 例えば、私が事業を行っていたときに、従業員に自らルールを作ってくださいと言っても、なかなか自分のルールを作ることができないんですね。それは、やはり学校教育の中で自らルールを作るという経験がなかったわけですね。校則というと少しハードルが上がりますので、学校単位、例えば学年単位、さらには学級単位で、そのコミュニティーの中で子供たちが考えて、そしてそのルールを作り、そしてそれを一年間実践して振り返る、こういった繰り返しが、私は、子供たちが考えて実践することにつながっていくと考えています。

 その中で、今、実際に学校現場でこういった取組がされているのか、そしてまた、その取組を通してどういう成長をつくっていきたいのか、その辺りについて御見解をお示しください。

    〔委員長退席、根本(幸)委員長代理着席〕

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、社会参画に必要な資質、能力を育む上で、学校生活における様々な集団活動の中で子供たちが自主的、実践的に取り組むことは大切なことであるというふうに考えております。

 特に学校の中の学級につきましては、子供たちにとって最も身近な社会であり、学習指導要領では、この学級活動において、学級や学校における生活をよりよくするための課題を見出し、解決するために話し合い、合意形成を図り、実践する活動などを行うこととしております。

 このような学級活動の具体的な実践を挙げさせていただきます。

 例えば、小学校では、児童の提案により、学級の歌を作ろうを議題として、歌作りを通してこれからどのような学級を築いていきたいかを考える事例、また、中学校では、学校生活の主体者としての自覚を持とうを議題として、よりよい学校生活をつくるための課題を見出し、改善策を考え、解決するために必要な自分たちの役割を考えて実践する事例などが行われているところです。

 こうした活動を通して、学級や学校の生活を自分たちの力で充実、また向上することができたという実感を持つことができるようにする、このことが大切であり、各学校段階に応じた取組を積み重ねていくことで、自らが参画して社会をよりよいものにしようとする意識が高まっていくものと考えております。

 文部科学省では、こうした活動に関する、主権者教育に関する指導資料のほか、小学校の学級活動に関する映像資料を作成、公開しているところであります。引き続き、学級活動等の指導の充実を図ってまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 学校の教師も、これまでは教える、ティーチの部分から、子供たちにコーチングしていくようなスキルを学ぶとこの主権者教育につながると思いますので、是非実践をしていただきたいと思います。

 加えて、そういった意味では、外部人材の登用が、やはり学校運営にも、そしていわゆる特別免許状や特別非常勤制度などを通して外部の人材が教育の現場に入ってくること、これはもちろん、やはり生きる力、稼ぐ力をしっかりと養っていくためには必要だと考えています。

 その上で、よくよく報道等を見てみると、大臣のお膝元である茨城県が非常に面白い取組をされていることを知るきっかけがありました。この春から、いわゆる元インド国籍の方が県立高校の公募に応募して副校長に就任し、翌年から三年間、校長を務めると。こういった事例を大臣のお膝元の茨城県だけじゃなくて、僕は全国に展開していくべきだと思うんですね。それは、多様な子供たちが増えてきている中で、学校運営そのものもそうですし、教育の現場にもしっかりと生かしていく必要があると考えています。

 そういう意味では、この大臣のお膝元である茨城県で実施しているようなことを全国に展開していく、そういうお考えはおありになりますか。

    〔根本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

永岡国務大臣 金村委員にお答えいたします。

 茨城県の県立の高校につきまして、知事が旗を振りまして、外部からの、学校の先生をずっとやってきた方ではなくて民間の方の公募をいたしまして、まずは副校長に、そして、一年たったらば校長先生にしてその運営を任せるということが始まっております。まだまだそれについての結果、結論、よかった、悪かったというようなことは、まだ去年からの話でございますので、出てはおりませんが、大変珍しい、そして随分と前向きなやり方をして高等学校の教育の仕方を変えていこうというその認識というのは、私も感じているところでございます。

 学校を取り巻きますあらゆる教育課題に対応していくためには、教師一人一人の専門性を高めるとともに、多様な専門性や背景を持つ人材も学校で活躍いただき、組織としての力を高めていくことは大変重要だと思っております。

 こうした多様な経験を持つ民間企業等での勤務経験者に教師として活躍をしてもらうために、現在、各自治体では、教員採用選考試験におきまして特別な選考などを実施するとともに、教員免許を有しない者につきまして、特別免許状の授与や特別非常勤講師制度を活用いたしまして教壇に立っていただいているものと承知をしております。

 現在、中教審におきまして、教師の養成、採用、研修等について審議されておりますが、特別免許状に関します運用の見直しですとか、多様な人材を採用するための特別選考の拡充などの指摘もされているところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、文部科学省といたしましても、民間企業等の経験者の学校現場におけます積極的な活用に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 子供は教育によって、また携わる人によって本当に大きな変化をします。私も障害児の支援をしてきて、障害児であっても、発達に偏りがあっても、関わる人によって大きな変化、成長を伴っていきますので、是非いろいろな、多様な人材を学校現場に輩出していただきたいと思います。

 そして、ここから宗教二世の問題について少し取り上げていきたいと思います。

 実は、私は、二〇〇二年から十年間、国会議員の秘書をしてきました。当時二十三歳、現場に配属されて先輩秘書から一番初めに言われたのが、宗教とプロ野球の話はするなというのを徹底して言われました。私も当時若かったですので、その依頼を無視をして、宗教とプロ野球の話をして大変大きなお叱りをいただいたのを今でも記憶しています。

 ただ、これ、実態は、二十年間たっておりますけれども、宗教の話題をタブー視してしまっている、社会そのものが。それそのものが、変な、空気を読むとかそういう表現につながるのかもしれませんが、そういうことを積み重ねた結果、こういった大きな社会問題につながってしまうというのが実態だと考えています。

 先ほど森山委員もおっしゃっていたとおり、こういうときだからこそ、改めて宗教教育を、小中高、子供たちの発達過程に合わせて宗教教育を徹底することが未来につながると私は感じておりますが、教育基本法の第十五条にも定めがあります。先ほど、宗教教育の内容は森山委員のときに御説明いただきましたので、是非、宗教教育をどのように生かしていきたいのか、そういった心持ちを答弁いただければと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 宗教教育に関しましては、今委員からお話がありましたように、日本国憲法の信教の自由に関する規定も踏まえ、教育基本法におきます規定に基づいて、宗教に関する寛容の態度や宗教に関する一般的な教養等、こうしたことを教育上尊重していく、こういうことになっているわけでございます。

 そうした中で、先ほど御答弁もございましたように、主要宗教の歴史や特色、世界における宗教の分布など、こうしたことについて指導しているわけでございますが、さらに、具体的には、中学校の社会科では、生活と宗教の関わりなどを取り上げるようにするということ、また、国際社会における我が国の役割に関連させて宗教の多様性について取り上げること、また、高等学校の公民科では、経済のグローバル化と相互依存関係の深まりについては宗教の多様性についても触れるということ、さらに、人生における宗教の持つ意義について理解をすること、こうした内容について学校で指導しているところでございまして、今後、更にこうしたところをしっかりと指導してまいりたいと考えております。

金村委員 どの宗教を信仰しているのかという問題よりは、やはり宗教の特徴だったり教義だったり、そういったものを学び合うことによって、お互いの関係を、理解を深めたり、実際に宗教に対する知識を深めていくことにつながると思います。

 我々日本維新の会は、教育と福祉の一体化をこども家庭庁の議論のときに掲げてきました。これはつまり、子供たちが困難を抱えている状況が今明るみになっている、そんな中で、教育の現場から福祉的なアプローチもしっかりできる現場をつくっていこうという理念に基づいて訴えをしてまいりました。今回の宗教二世の問題も私は同様だと考えています。とりわけ、偏りのある宗教であれば、例えば児童虐待の問題につながっているのかもしれない。

 そういったところを考えたときに、学校の現場で宗教二世の問題を含めた、例えばいじめ、さらには、学校の中で宗教二世の問題を中心としていじめが起きたときの対策、こういったところを、現状を阿部参考人にお伺いできればと思います。

阿部参考人 お答えします。

 現状としては、宗教問題を背景とするいじめ、虐待などへの対策というのは取られていないというふうに思うんですね。いわば現場任せということで、それはなぜかというと、やはり宗教二世の問題が社会的問題として認知されていなかったということが大きいと思います。今回の件でようやく認知され始めた、されてきたということだと思います。

 なので、これまでは現場の先生とか学校の関係者の、そういう個別の対応によってきたということです。なので、例えば学校の先生によっては親身に話を聞いてくれたとか、そういう話も聞くんですけれども、一方で、子供のいじめられている背景に宗教やカルトがあるということに恐らく気づかれない場合も多いと思います。

 子供というのは、自分で被害を受けているということを理解できない場合が多い、又は、それを申し出ることができない場合が多い。そういうものは周りの大人が気づいてあげなければならないわけですけれども、それを学校側で、教師とか学校の関係者が気づくことができないケースが多いとこれまでは聞いております。なので、いじめの背景として宗教やカルトのような問題があるということをきちんと認識した上で、そういう対策を取るということが必要であるというふうに考えております。

金村委員 教師だけが、そして既存の学校の人員配置だけでこういった問題をリカバーしていくことは、現状、やはり難しいと考えています。本日の荒井委員の質問にもありました教育予算倍増、やはりしっかりと予算をつけて、人員配置を増やしていく。我々は、そこに、福祉的アプローチを必要とする子供たちにより素早くできるようなスクールソーシャルワーカーの増員などを訴えさせていただいています。

 加えて、こういった人員配置だったりハードの側面もあるんですけれども、宗教二世の方が、例えば、自らの環境が少し特異な環境なんじゃないかと気づいていくことも実は必要なんじゃないかなと私は考えています。とりわけ、日常生活や学校生活の中では気づかなくても、例えば食育だったり、例えば性教育だったり、そういった社会教育の側面で、あれ、私が育っている環境は少しほかの家庭と違うんじゃないかと気づくようなきっかけにつながっていくと思うんですね。

 例えば思春期とか反抗期の世代であれば、なかなかそれを打ち明けるということは難しいんですけれども、例えば小学校三年生とか中学年ぐらいだと、私の家はこうなんだよと思わずぽろっと言えると思うんですね。それを素早く認知してアプローチしていく、こういったソフトの面もしっかり与えていくことが、宗教二世自身の皆さんに対するサポートだと私は考えています。

 そういった意味では、実際に社会教育の中で、例えば、非常に定義は難しいですが、いわゆる一般的な普通とされるものをどうやって教育の中に組み込んでいるのか、そういった取組を教えていただけませんか。

伊藤大臣政務官 ただいま例として委員の方から挙げていただきました、例えば性に関する指導につきましては、学校では、学習指導要領に基づき、子供たち自身が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう、発達段階に応じて、身体の発育、発達のみならず、異性への関心の芽生えや高まり、異性の尊重、性情報への適切な対処など、様々な観点から指導を行うこととしております。

 また、食育につきましては、各学校において、学校教育活動全体を通じて、子供たちに対し、栄養バランスの取れた食事など、食に関する正しい理解や適切な判断力、望ましい食習慣を身につけさせるようにするということなどの取組を行っております。

 文部科学省としましては、性や食に関する着実な指導により、児童生徒が正しい知識を身につけ、適切な行動が取れるように努めるとともに、学校において、子供たちの状況を把握しつつ、相談体制を整えられるよう支援をしてまいります。

金村委員 やはりカルトと呼ばれる団体だったり偏りのある宗教の特徴というのは、食、それから性、さらには医療だったり健康、こういった部分に特徴が表れやすいと私は考えていますので、なおのこと、学校教育の現場、社会教育の提供という形で、宗教二世の皆さんが御自身の特異な環境で育っていることに気づくきっかけをしっかりと提供していっていただきたいなと思います。

 そして、時間もそろそろ来ましたので、最後の質問にさせていただきます。

 実は、私の妻は新潟県の長岡市出身でして、小さい頃から、あの海岸線に行くと怖い人たちがいるかもよなんて伝聞されてきた地域で育ちました。つまり、北朝鮮の拉致問題です。

 今年は、北朝鮮、過去最高と言っていいんじゃないかと思うほどミサイルの発射が続いています。昨日も審議入りしたものもありました。

 そういう意味では、拉致対策本部が作成したアニメ「めぐみ」、これは拉致被害者であるめぐみさんを題材にしたアニメーションだと理解をしておりますが、これを学校教育の現場で、風化させない、啓蒙活動にしっかりと私は汎用をしていくべきだと考えています。

 聞くところによると、こういった題材がありますよという通知は学校や教育委員会に出ているみたいなんですけれども、なかなか、それを積極的に向こうが取り入れるというのは難しいんじゃないかなと思うんですね。

 だから、やはり文科省として、このアニメーションの「めぐみ」を題材として、拉致問題を風化させない、そのために教育現場でしっかりと汎用をしていくという意思をお伝えいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 学校現場での拉致問題に関する取組についてでございますが、これまで、委員おっしゃいますように、アニメ「めぐみ」等の映像作品の活用や、拉致問題対策本部事務局が行います作文コンクールへの協力、そして、教育委員会や学校におけます研修を促すほか、拉致問題も含みます人権教育研究推進事業の実施などを進めております。

 特に、今年度は、拉致問題対策本部事務局が新たに開始をいたしました、漫画「母が拉致された時僕はまだ一歳だった」の電子書籍の学校への無償貸出し、そして作文コンクールへの活用につきまして、学校現場へ周知をしているところでございます。

 また、学校には、アニメ「めぐみ」を視聴した場合、拉致問題対策本部事務局にアンケート調査を提出するよう協力依頼をしているところです。回収数につきましては、視聴した全ての学校が回答してくれるものではないのですが、あくまでも参考の数字でございますが、平成二十八年度、三百十五校でございましたが、令和三年度には二千九百二十八校と大幅に増加をしたと承知をしております。

 拉致問題の若い世代への一層の理解促進を図るために、引き続きまして、拉致問題対策本部事務局と密接に協力をいたしまして、必要な取組を進めてまいります。

金村委員 時間になりました。終了いたしますが、すばらしい取組だと思いますので、引き続き頑張っていただきたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

宮内委員長 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 本日、一般質疑のお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 余りお時間がないので、早速始めさせていただきたいと思います。

 九月の九日に、先ほど森山委員もおっしゃっていましたけれども、国連の障害者権利委員会の日本の状況の審査に関する最終見解、総括所見が出たところでございますけれども、そこで、日本の学校教育について、ちょっと疑問があるんじゃないかというようなお話が出たかと思います。

 本日は、特別支援教育について少しさせていただきたいなと思っております。

 まず、インクルーシブ教育システムとは何か、お願いいたします。大臣、お願いします。

永岡国務大臣 堀場幸子議員にお答えいたします。

 インクルーシブ教育システムとは、障害者権利条約に規定された教育についての障害者の権利を、差別なく、かつ、機会の均等を基礎といたしまして実現するために行われる、障害者を包容する教育制度であります。潜在能力などにつきましての意識を十分に発達させることや、多様性の尊重などの強化などが目的であると認識をしているところです。

 文部科学省といたしましては、このインクルーシブ教育システムの実現に向けまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備と、あと、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでいるところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、障害を持っている子供にとっても、たくさんの人がいるところで過ごすという経験は非常に重要です。そして一方で、障害を持っているかどうかは分からないですけれども、見たところ、なさそうだという子供たちにとっても、様々な人たちと触れ合いながら育っていくという環境が非常に重要だというふうに考えております。

 それもあるんですが、文部科学省が四月に発出した特別支援学級の在り方のところの通知があったかと思いますけれども、特に小学校における特別支援学級の在り方について質問したいと思います。

 障害の種別によってつくられているとは思っているんですけれども、学年がたくさん、いろいろな学年の方が混在したり、軽度と中度というような分け方であったり、様々な課題が私はこの特別支援学級にあるのではないかというふうに考えております。実は、もう少し頑張れば通級でいけるんじゃないかという子供もたくさん通っているように見受けるんですけれども、特別支援学級の在り方について、大臣、よろしくお願いいたします。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 障害のある子供の教育は、その子供の障害の程度、そして特性などに応じて取り組まれるべきものでございます。学びの場の選択や個に応じた指導が適切に行われることが大変重要になってまいります。

 文部科学省といたしましては、就学先の決定に当たりまして、保護者、それから教育学、医学、心理学等の専門的知識を有します者の意見を聞くことや、また、個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成いたしまして、個に応じた指導をしっかりと行うことが重要である旨、通知等で示しております。

 引き続きまして、障害のある子供に対して適切な場で適切な指導が提供されますよう、周知徹底に努めてまいる所存でございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 特別支援学級の在り方とはちょっと違うのかなと思います。なぜならば、通常級にいても個指計を作っている子供たちというのはたくさんおりますので。

 子供たちにとって選択肢ということで特別支援学級が存在していると思うんですけれども、通級による指導、通級で対応可能な子供たちというのも非常に多いのではないかというふうに考えています。なかなか、同じ学校の中で別な教室、ちょっと離れたところにある特別支援学級に通っているというこの環境は、やはり子供たちにとっても、少し何か、あっちは特異なところがあるんじゃないかというような疑念を抱かせる可能性があるということが、それが多分現場の中での特別支援学級に対する見方になってきてしまっているのではないかなと思っています。

 一方で、個に合わせた、そして特別支援学級でしかできない自立活動についても理解はしているつもりです。なので、そこで必要なので、特別支援学級、そして四月に発出した通知においても、恐らく、私の理解では、通級で、通常級でいける人は通常級に行きましょうね、そして、特別支援学級を選んだ人はしっかりとそこで自立活動もやりましょうねという通知だったというふうに理解しているところでございます。

 仮に通級で対応が可能だったとして、通級の今の普及状況について教えてください。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、通級による指導は、通常の学級に在籍しつつ、一部の時間、障害に応じた特別な指導を受ける指導形態でありまして、対象の児童生徒数というのが、令和二年度の時点で約十六万五千人でありましたが、直近十年間で二・五倍となっております。

 文部科学省といたしましては、小中学校におけます通級による指導担当教員の基礎定数化の着実な実施を図るとともに、現在開催をしております有識者会議におきまして、通級による指導の更なる充実に向けた議論を行っております。年度末までに報告をまとめる予定になっております。

 引き続きまして、通級によります指導の充実によって、インクルーシブ教育システムの実現に向けて取り組んでまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 特別支援学級よりも通級指導の方が、私はインクルーシブ教育システムには合ったやり方なのではないかなというふうに思っています。

 ただ、そのときに、他校に行くのはちょっと大変なので、他校型というよりかは自校で、拠点校のような大きな施設をつくるというよりかは、やはり巡回型の指導がいいのではないかというふうに私個人は思っているところなんですけれども、巡回で専門の先生が回ってくる、そして自立活動をする、けれども、通常の学級の中には、身体的な介助をする人であったり、知能であったり精神的な介助をする人材、教員じゃなくてもいいと思います、介助の方がいるという考え方があれば、十分に通常級プラス通級で多くが賄えるのではないかというふうに考えております。

 ここまでいろいろな議論をさせていただいた上で、国連における勧告についての大臣の御所見をお願いいたします。

永岡国務大臣 今、堀場委員がおっしゃいましたように、巡回で先生が回ってくるという話、実は私も、特別支援学級、通級ですね、に行っておりますお子さんを視察をしてまいりました。大変いい取組であるとすごく思いまして、子供が、自分がいつも通っているところではなくて、通っているところから別の学校に行くというよりは、やはり、校内で安心して、また、気持ち穏やかに指導いただけるというので、大変いいなというふうに私も思った次第でございます。

 九月九日、障害者権利委員会の総括所見が公表され、障害のある子供の教育については、分離、これは特別教育を終わらせることを目的として、障害のある子供がインクルーシブ教育を受ける権利を認識すること、また、質の高いインクルーシブ教育に関する国の行動計画を採択することなどが勧告をされました。

 文部科学省では、これまでも、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごせるよう、通級による指導の担当教員の基礎定数化、そして、通常級に在籍する障害のある子供のサポート等を行う特別支援教育支援員に対する財政支援や法令上の位置づけなどに取り組んでまいりました。

 特別支援学校や特別支援学級に在籍をいたします子供が増えている中で、現在、多様な学びの場におきまして行われている特別支援教育を中止することは考えておりませんが、引き続きまして、勧告の趣旨を踏まえ、インクルーシブ教育システムの実現に向けた取組を進めてまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 私自身は、この日本型の特別支援教育というものは、決して間違った方向に向かっていないと思っています。

 ただ、分けているということが差別的かどうかというのは、本当は、自分の選択で、自分にとって本当に必要なものを選択することができる、多様な選択があるということが、一つ、私たちは子供にとっていいことではないかなというふうに思っています。

 五番目の質問に行こうと思ったんですが、ちょっとお時間の関係で飛ばさせていただいて、今度是非、この日本型の特別支援教育の理解促進ということも、もっと積極的に発信していただければなというふうに思っています。

 このコロナ禍で、学校が休校になりました。私は、子供たちは非常に、心が穏やかに過ごせていない子供たちがたくさんいると思っています。このときに、私たちは、学校の現場で本当に対面の授業というのが重要であるということ、そして、日本型の集団的な指導というものの大切さということにも本当に気づきました。

 ある校長先生だった人は言っていました、人間を育てるのは人であると。だから、ICTがどれだけ発達しても、様々なことがあっても、やはり学校に手当てするべきものは人だということをお話をさせていただきまして、次の質問に参りたいと思います。

 宗教二世の皆さんについて、阿部参考人にお尋ねさせていただきたいと思っております。

 私は、この宗教二世という言葉自体は、本当にちょっと誤解を招くんじゃないかなというふうに考えているところでございますので、今回、旧統一教会であったり、今表に出てきている様々な課題を抱えている、虐待を受けている、それは精神的、身体的にもそうですけれども、経済的にも様々な形で虐待を受けている子供たちという形での使い方として宗教二世という言葉を使わせていただきたいと思います。

 なぜならば、例えば、うちの父親は非常に墓参りが好きでしたので、しょっちゅうお墓の掃除をしてまいりました。そういうところから、私自身も子供を連れてお墓参りに行くのはよくあることです。こういった環境や経験を通して自然に信仰が生まれるということは本当に多々あることで、世界中で行われていることだと思います。日曜日には必ず礼拝に行く、そういった宗教もあるでしょうし、時間になったら祈りをささげる宗教もあります。様々な宗教がある中で、私たちは何を問題視するべきかというと、やはり、客観的に虐待だと認識できるものに対してどのように対応するかということだと思っています。

 阿部参考人にお尋ねいたします。

 今問題となっている宗教二世の皆さんが、学校で様々なことに気づくことができると思われますか。例えば、自分は、今まで育ってきた環境が実はちょっとほかと違うんじゃないかなというようなきっかけに、学校でなると思われますか。それは、今受けているものがなかなか言いづらいとか、支援要求ができるかできないかということもあるんですけれども、私は、救いの手が一番最初に、手を握ることができるのは学校じゃないかなというふうに思っておりますので、宗教二世の皆さんの苦しかったことを気づいてあげられる環境の一つは学校だと私は思っています。

 この気づきについて、もし何か教えていただけることがあればお願いしたいんですが、ちょっと質問が抽象的ですか。

阿部参考人 今の質問にお答えしますけれども、おっしゃるとおり、学校で初めて気づくというケースが非常に多いと思います。やはり、宗教二世という言葉を使わせていただきますけれども、典型的には、御家庭で両親が熱心な信者である、家庭内ではその宗教の話ばかりである、幼い頃からその教団の絵本とかそういうものを読まされて、テレビは見てはいけないとか、保育園は行かせてもらえないとか、そういう子供たちにとっては学校が初めて社会に触れる場面である、そういう方が非常に多いと思います。

 そういう方が、学校で、自分の家がどこかほかとは違う、そういう特異性に気づくことができるかというのは、その学校で行われている教育とかにもよると思いますので、それはどの段階で気づくかというのはあると思います。なので、ちょっと一概には言えませんけれども、気づかない場合もあると思うんですね。気づかないでいじめを受けたり、そういうケースもあると思います。なので、やはり大事なのが、周りの大人が気づいてあげるということが大事だと思います。

 学校現場での、先ほど対策が必要だということを申し上げましたけれども、対策というのは、例えば、通達とか、人的に拡充したり、予算をつけたり、そういうことだけではなくて、やはり学校現場の方が宗教問題、カルト問題をまず理解していただくということが大事だと思うんですね。

 今まで国としては宗教二世の問題に取り組んでこなかったわけです。なので、それをいきなり取り組んでくださいというふうに言われても、そのスキルも経験もないわけですから、なので、学校関係者の方ですとか、あとは児童相談所の方ですとか、あとは医療関係者とか、そういう、子供の、二世問題の被害に気づき得る立場にある方については、宗教、カルト問題の特色というものを理解していただきたいというふうに思っておりまして、その方法としましては、例えば、今までこの二世問題に取り組んできた、例えば牧師の方とかカウンセラーの方とか、あるいは弁護士でもいいですけれども、そういう専門家の研修を受けるとか、あとは被害者の話を聞くとか、そういう対策も一方で必要かなというふうに考えております。

 あと、先ほど宗教二世という用語の点についておっしゃいましたけれども、なかなか言葉の使い方として難しいところがございます。元々、カルト二世ということで言葉としては使われているところもあったんですけれども、ただ、その言葉自体がやはりその二世の方、三世の方を傷つける言葉だとは思うんですね。なので、宗教二世という言葉を今は使われているというふうになっておりますけれども、なかなか言葉の使い方も難しいところがあると思います。

堀場委員 ありがとうございます。本当にたくさんの気づきがありました。

 私自身は、御提案といたしましては、全国霊感商法対策弁護士連合会の皆様に是非スクールローヤーになっていただきたいと思っております。というのは、スクールローヤーというのは、基本的には保護者と直接対峙するわけではなくて、学校の先生たちの相談を受けるところだと認識しているんですけれども、信者である保護者の方と直接対峙をする、対峙というか、子供が虐待に遭っていることが分かったときに、直接やり取りをするのは学校の現場の教員であったり、養護の先生であったり、これは本当にハードルが高いと思います。

 前回の質疑でも、通知を出しただけで学校がパニックですよと私は言いました。なぜならば、やったことがないからなんです。研修を受けることも重要ですけれども、やはり多忙な先生たちにとって、すぐに気軽に相談できるスクールローヤーを配置を増やしてほしいというのはこの前の国会のときにやらせていただいていたんですけれども、スクールローヤーの方々がそういったすごくプロフェッショナルな、相談できる方であるならば、私たちは、学校の現場に一つ大きな安心を与えることができるのではないかなというふうに思っておりますので、是非検討していただきたいなと思っています。

 ちょっとお時間があと一分しかないので、一つだけ。

 いじめや虐待、そして、今、今回の宗教二世の皆さん等々、様々、気づくということが学校には役割としてあるということは何度も、先ほど金村委員も申し上げてまいりました。我が党は、常にこの気づくということに力を入れて、気づきの強化であったり、教員の皆さんの気づきのスキルを上げるとか、そういったことを念頭に置いて党としてやらせていただいているところなんです。

 大臣にお尋ねいたします。

 今回、いじめの認知の件数が非常に多くなりました。それについてと重要案件に対する対応について、最後、お答えいただければと思います。

宮内委員長 永岡文部科学大臣、お時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。

永岡国務大臣 今先生御質問のいじめの認知件数は増加傾向にありまして、本当に、令和三年度におきましては過去最多となっております。

 いじめの認知件数が増加した原因につきましては、コロナ禍から通常の学校生活に戻りつつある中で、日常の授業におけますグループ活動ですとか、学校行事、部活動など、様々な活動への制限が緩和され、また、児童生徒同士の関わりが増加したことなどが考えられます。一方で、学校現場等におきまして、いじめ防止対策推進法の定義に即したいじめの積極的な認知が進められてきていることも要因の一つではないかと考えられております。

 文部科学省といたしましては、いじめの早期発見と早期対応が極めて重要と考えておりまして、引き続きまして、学校現場におけるいじめの積極的な認知を促してまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 現在、解散命令請求に向けまして、その前提となる報告徴収、質問権行使の準備が進められております。先ほど、今週にもという大臣の御答弁がございました。

 岸田総理は、旧統一教会について、反社会的な行為をしている団体であるとの認識をお示しになり、閣僚に対しても、疑念を持たれないように、過去の説明責任をしっかり果たし、今後関係を絶つことを示唆しておられます。また、党としても、それぞれの国会議員がこれまでの関係性について説明責任を果たし、当該団体との関係を絶つことを所属議員に徹底するとされております。

 そこまで総理が言及をされている組織が、一方で、今日お配りをいたしておりますけれども、宗教法人法にのっとりまして、その資料のとおり税制上の優遇措置を受け続けているという現実がございます。当然、信教の自由は極めて重要であるという前提の下ですけれども、これまで多くの信者の方が苦しみ、多くの訴訟を抱え、反社会的な組織であるとの指摘がありながら、信教の自由の保障ということの中で、なかなかそこに踏み込むことができない現実も実際にあったというふうに思います。

 法令に違反して著しく公共の福祉を害する疑いがあるときに、所轄庁に認められている報告徴収、質問権の行使がこれまで適切に行われてこなかった運用面の問題もあったというふうに思います。

 ただ、今回増員をされましたけれども、八名で、宗教法人法の法人、十八万の法人を管轄するという状況を考えますと、なかなか質問権の行使というものが現実的に運用されるという前提の下に成り立っていないということもあるのではないかというふうに思いますけれども、法にのっとり、まさに真実に基づいた解散命令請求がなされるべきということは当然だと思いますけれども、今のこの現状について、永岡大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。

永岡国務大臣 宗教法人に対します税制等についてのいろいろな御意見がございましたが、文部科学省といたしましては、そちらの方ではなくて、今御質問の、一般的な基準にのっとりまして、協力者会議において取りまとめいただきました基準にのっとりまして、今週中に旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使の可否を判断したいと考えております。

 また、文部科学省といたしまして、報告徴収、質問権を行使すると判断した場合には、法の定めるプロセスを適切に踏みつつも、年内、できる限り早いうちに権限を行使できるよう、手続を進めてまいりたいと考えているところです。

西岡委員 まさに大臣がおっしゃったように、私も、やはり解散命令請求がしっかり事実に基づいてなされるべきだという趣旨で今質問をさせていただきましたので、是非このことをよろしくお願いをしたいというふうに思います。早急にこのお取組を、現実のものとして取り組んでいただきたいということをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、質問作成等、解散命令請求に向けましては、専門家の皆様の意見や、本日参考人としてお越しいただいております、旧統一教会に関連する多くの裁判、被害者救済に関わってこられました全国霊感商法対策弁護士連合会の先生方の知見が大変不可欠であると考えます。

 これまでの質疑の中でも答弁がございました。大臣からは、今事務方で意見交換をしているというお答えがございましたけれども、阿部参考人からも、全面的に協力するというお話がございました。

 この連携をしっかり強化していくことが必要だというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。

永岡国務大臣 昨日八日に行われました協力者会議におきましては、宗教法人法に基づきます報告徴収、質問権を行使する際の一般的な基準について議論がなされまして、取りまとめが行われたところでございます。

 この基準では、所轄庁が報告徴収、質問権を行使するに当たりまして必要となります、宗教法人法に定めます解散命令事由に該当するような事態についての疑いを判断するに当たっての考え方が明確化されております。

 委員からは、一般的な基準を作成し、これにのっとり宗教法人を評価した上で判断を行うことは所轄庁の権限濫用を防止する観点から有益であり、また、一般的な基準につきましては、宗教界等によく説明していくことが重要といった御意見があったと承知をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後、この一般的な基準にのっとりまして、今週中に旧統一教会に対する報告徴収、質問権の可否を判断し、法に定めるプロセスを適切に踏みつつも、最大限速やかに対応することが必要と認識をしておりまして、年内のできる限り早いうちに権限を行使できるよう、手続を進めてまいります。

 なお、全国弁連に対しましては、文化庁の宗務課の担当者が既に事務的にお会いをしておりまして、本当に必要な情報収集を進めておりますが、申し訳ありません、その詳細につきましては、ここでお話は差し控えさせていただきたいと思っております。

西岡委員 しっかり、国の資料と連合会の皆様がお持ちの資料を合わせて、是非しっかりお取組を早急にお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、新しい新法につきましてお尋ねをいたしたいと思います。

 昨日、岸田総理は、旧統一教会問題の被害者救済に向けた新法につきまして、今国会を視野に、できる限り早く法律を国会に提出すべく、最大限の努力を行うと述べられました。

 閣法で立法をし、今行われております四党協議の内容も踏まえるということでございますけれども、国民民主党として、被害者救済へ向けまして、寄附の募集に関する禁止行為を定めた公益法人法第十七条各号と同様な規定に加えまして、心理的支配利用に伴う暴利行為による寄附等の募集を禁じる規定を創設すること、また、家族の救済については、同様に、心理的支配の利用を用いた寄附等の募集に当たって家族に不利益を与えないよう配慮義務を新法に規定をすること、また、違反をした場合は、家族も当事者として民法第七百九条の不法行為責任により損害賠償請求を提起できる民法の特例を創設するという私たち国民民主党の案を取りまとめをいたしました。

 被害者救済のために、まさに先ほど阿部参考人が言及をされましたように、超党派で取り組むべき課題でございますし、より被害を防止し、救済を容易なものとしていくために、是非我が党の提案の内容についても取り入れていただきたく、政府、また各党にも是非御検討いただきたいと思いますけれども、永岡大臣の御見解をお尋ねいたします。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 昨日、総理が、悪質な献金等の被害者救済のための法案の提出について表明されたということは承知をしているところでございます。

 文部科学大臣といたしましては、関係省庁におけます今後の検討を注視しつつ、旧統一教会の問題については、宗教法人法に基づきまして厳正に対処してまいる所存です。

西岡委員 続きまして、今日お越しをいただいております阿部参考人に二問質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、御多忙の中に貴重な機会をありがとうございます。感謝申し上げます。

 阿部参考人は、これまで旧統一教会に関する多くの裁判、また被害者救済に関わってこられました。その長年のお取組を踏まえまして、旧統一教会の反社会性について、個人の宗教の自由を侵害しているという見地も含めて、阿部参考人の知見に基づいた御見解をお伺いをいたしたいというふうに思います。

阿部参考人 全国弁連は三十五年間取り組んでおりますので、私が弁護士になる前からの取組も含めて申し上げますけれども、旧統一教会の反社会性というのはもう明らかであるというふうに思います。

 その明らかである理由としましては、教団の中核的な部分について、裁判所で違法、無効というのは繰り返し宣言されているという団体ということです。

 その中核的部分と申しますのは、まず一つ、伝道、布教過程、二つ目は、献金や物品販売に向けた購入、販売活動、あるいは、三つ目は、信仰の中核的部分である合同結婚式、それらについて裁判所で違法、無効という判断が重ねられている希有な団体であるということです。

 先ほども申し上げましたけれども、事件としましては、民事では三十件。これは事件数ですので、判決数としてはもちろんそれよりはるかに多くあるということです。あとは、婚姻の無効を認めた家事事件も五十件以上あります。あとは刑事事件ですね。新世事件という事件を含めまして、それはかなりあります。

 個人の信教の自由の侵害ということですけれども、侵害している国民の利益としましては、正体を隠した勧誘というものに基づく、勧誘された方の信教の自由の侵害というのは、一番大きな要素としてあります。あとは、もちろん、個人の財産の侵害というものがあります。あとは、自己決定権の侵害、あるいは婚姻の自由の侵害というものがあります。

 こういう様々な権利の侵害が、繰り返し裁判所で違法、無効が宣言された、そういう団体になりますので、反社会性は明らかであるというふうに考えております。

西岡委員 今、阿部参考人がおっしゃったように、やはり、正体を隠した勧誘を含めて、信者となっておられる方のある意味信教の自由を侵害しているという面については、なかなか外部からは分からない部分ではございますけれども、そういう意味でも反社会性の今大変深刻な団体であるということを、今、阿部参考人のお話で改めて再認識をさせていただきました。

 続きまして、もう一問お尋ねをいたします。

 これまでも議論があっておりますけれども、この質問権が行使された場合に、これまでの経緯も含めて、なかなか予断を持った言及は難しいかもしれませんけれども、解散命令請求が認められるという見通しについて参考人にお尋ねをいたしたいと思います。

阿部参考人 先ほども申し上げましたけれども、我々全国弁連の下に蓄積されている情報、資料と、あとは国にある資料、そういうものを合わせれば、解散命令が認められる見通しは十分にあるというふうに考えております。

西岡委員 それでは、私が用意した質問も先ほど質疑の中で出てまいりましたので、参考人に対する最後の質問といたしまして、政府に是非これだけは今この場で参考人として伝えたいということが、御意見があればお願いをいたします。

阿部参考人 今の御質問は、解散請求に関してということですか。

西岡委員 そうです。今回の件に関してということです。

阿部参考人 分かりました。

 私が申し上げたいのは、できるだけ速やかに手続をやっていただきたいということなんですね。

 我々全国弁連は、元々、統一教会というのはもう解散請求の要件を満たしている団体であるということで、質問権を行使する必要はないということで、端的な解散請求を求めております。

 ただ、現在、質問権の行使の手続を踏んでいるということなわけですけれども、統一教会側から解散請求につながるような質問権行使に対する回答は期待できないということです。なぜかというと、統一教会がいわば一番恐れているのが二つあると思うんですけれども、刑事事件化と、あとは宗教法人の解散である。その宗教法人の解散につながるような情報を統一教会が誠実に回答してくるというふうにはとても思えないわけです。

 現状でも解散請求の要件は満たしている。そのために、その資料は整理する必要はありますけれども。なので、質問権行使の手続はもう淡々と、できるだけ速やかに進めていただいて、かつ、その間に解散請求に向けた準備も進めていただいて、統一教会側から回答は期待できませんので、できるだけ速やかに解散請求をしていただきたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 参考人から大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 それでは、統一教会の問題につきましては以上といたしまして、続きまして、教員のなり手不足の問題につきまして質問をさせていただきます。

 文部科学省による調査結果から、深刻な教員不足の実態が明らかになりました。また一方、別の調査によっては、教員のなり手不足も大変深刻な状況であるということが明らかになりました。二一年度の公立小学校の教員試験の倍率が二・六倍と、過去最低となっております。私の地元長崎県においては一・四倍と、大変、全国で低い数字となっており、深刻な状況であると受け止めております。

 教員採用試験の倍率の低下など、教員のなり手不足が深刻な中で、永岡大臣は、公立小中高校の教員採用試験の早期化また複線化を検討し、協議会を立ち上げられ、先般、初会合が開催されました。文部科学省としての方針、また、御存じのとおり、試験時期の前倒しだけでは改善されない教員の働き方改革の問題、本業に集中できる環境整備も含めた教員の魅力を向上させていくことも同時に進めることが極めて重要です。

 今後の方針について、永岡大臣の御見解をお伺いいたします。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 教員採用選考試験の早期化を含めました在り方については、文部科学省と教育委員会等の関係団体から成ります協議会を立ち上げまして、先月十九日に第一回の協議会を開催をいたしまして、議論を進めているところでございます。

 一方で、教師を目指します方々を増やすためには、委員御指摘のとおり、採用選考の改善だけではなくて、学校における働き方改革も含めた教師の魅力を向上させていくことがやはり不可欠であると考えております。

 現在、中教審におきまして、教師の養成、採用、研修等について包括的に審議をされておりまして、教師の魅力を向上させるべく、働き方改革の一層の推進や教員研修の高度化などによる環境整備の重要性が指摘をされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、中教審の議論も踏まえながら、高度専門職業人としての教師の地位を高め、また、教師が誇りを持って働くことのできる環境整備にしっかりと取り組んでまいります。

西岡委員 そのことに関連をいたしまして、今、夏に行われている試験を一か月から二か月前倒しする案と三か月程度前倒しする案が考えられているということもちょっとお聞きをいたしておりますし、一年に数回行うということも検討されているとお聞きをいたしておりますけれども、その辺りのことで見解、今お話しできることがあればお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

永岡国務大臣 教員採用試験の実施の早期化により、教育委員会は作問開始の時期を早める必要がありますし、一般公務員試験の日程と重なる場合もあります。場所や人手の確保などが難しくなる可能性があるわけですね。

 大学は、学校体験活動の実施ですとか教育実習の見直しなど含めたカリキュラムや授業日程の見直しなどを行う必要がある、こういうことがやはり検討課題として挙げられるわけでございます。

 また、一部の自治体だけが採用試験を早期化いたしましても、ほかの自治体との併願者が増えれば、結果的に辞退者が増えまして、これは同じであるという指摘もございます。

 早期化の実施に当たりましては、例えば、地域ブロックごとに日取りをそろえるといった検討をする必要がありましょうし、今後、このような課題を踏まえつつ、早ければ二〇二四年度に行われます採用試験から実行できるよう、来年五月頃をめどといたしまして、一定の方向性を示すべく議論を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今朝の理事会で、宮内委員長は、二〇一八年九月十四日、駐福岡総領事館の晩さん会で統一協会日本第五地区長、これは九州地区の責任者である朴鍾泌氏と記念撮影を行ったこと、委員長はこの朴鍾泌氏が統一協会関係者であることを認識していたと語られました。

 ところが、その半年後の二〇一九年四月、同じ統一協会日本第五地区が開催したファミリーパワーフェスティバルで、統一協会本体の大きなロゴの入った演壇に立ち、挨拶をされました。半年前に統一協会であると認識していたその日本第五地区のイベントで挨拶をしておきながら、関連団体の会合と認識していたと言うけれども、私が、一体どの団体だと認識していたのかと尋ねたら、絶句してお答えになりませんでした。

 委員長、追って理事会の場で責任を持ってお答えいただきたい。

宮内委員長 理事会の場でお答えをしたとおりでございます。

 予定の御質問を行っていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 既に朝から議論になっておりますけれども、前回の質疑で理事会に提出を求めていたいわゆる下村ペーパー、二〇一五年、統一協会が名称変更の申請をした際、申請を受理する前と、名称変更を認証する前に、当時の下村文部科学大臣に説明した際のレク資料が提出されておりません。

 資料一を見ていただきたい。前回の質疑の会議録であります。

 大臣は、開示できない理由として、法人の非公知の事実に関する情報を含むこと、かつ、行政内部の意思形成過程に関する文書であることを挙げられました。名称変更に下村大臣や政権の意向が影響を与えたのではないか。今まさにその意思形成過程こそが問われているわけであります。

 先ほど牧委員からもあったように、情報公開法第七条には、不開示情報であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができるという裁量的開示が定められております。

 大臣、裁量的開示を行うべきではありませんか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 行政機関の保有いたします情報の公開に関する法律では、行政機関の長は、不開示情報が記録されている行政文書であっても、特に必要があると認めるときは、請求した者に対しまして、所定の手続を踏んだ上で当該文書を開示することができるとする規定がございます。

宮本(岳)委員 開示していただきたいんですね。

 そこで、資料二を見ていただきたい。昨日付の毎日です。

 傍線一、初当選した昨年四月の富山市長選で統一協会の支援を受けたことが明らかになった藤井裕久富山市長は、「世界平和統一家庭連合が旧統一教会のことだとは知らず、不勉強だった」などと釈明しておりますけれども、それは、この名称変更は大いに人をだます効果があったと身をもって証言したようなものであります。

 この名称変更が行政内部でどのような経緯をたどったのか、本当に政治の力は一切関係ないと言えるのかどうか、これは非常に大事なことでありまして、それを明らかにするためには、一つは、行政内部の意思形成過程に関する文書であるとたった今大臣がお答えになった下村ペーパーを開示していただくか、前回私が求めたように、下村博文氏御本人に当委員会で答えていただくか、あるいは、そのペーパーを使って下村氏に説明した当時の文化庁次長有松育子氏に参考人として当委員会でお答えいただくか、その三つのうち、どれかしかありません。

 委員長、理事会で御協議いただきたい。

宮内委員長 理事会で協議をさせていただきます。

宮本(岳)委員 昨日、宗教法人制度の運用等に関する調査研究協力者会議、いわゆる協力者会議の第二回目が開かれました。そこには、平成七年、一九九五年法改正時の国会議事録の抜粋や、宗教法人審議会の報告など、一九九五年の宗教法人法改正時の議論にも遡った議論がされております。

 それならば、国会論戦だけでなく、法案について意見を聞いたという宗教法人審議会の議事録、百二十七回から百三十一回を公開すべきではないかと聞いたら、議事録は公開を前提としていないから公開しないとのことでありました。

 そこで、改めて確認したい。

 昨日集まっていただいたような協力者会議の委員の方々、あるいは今後開かれるであろう宗教法人審議会の委員の方々が、審議のために先ほどの法改正時の宗教法人審議会の議事録を確認したいとおっしゃった場合には、委員の先生方にはさすがに見ていただくんですね。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律では、不開示情報に当たる情報として、国の機関の内部における審議、検討、協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものとしてございます。

 先生さっき御案内のとおり、公開することを申し合わせていない審議会の議事内容につきまして、この不開示事由に該当すると考えることから、仮に委員の先生方から情報公開の請求がございましても、不開示の取扱いになるものと考えてございます。

宮本(岳)委員 耳を疑う答弁ですね。聞き間違いかと思いました。

 我々国会議員は、過去の議事録を確認するのは当然であります。現在の宗教法人審議会の委員には過去の議事録を見せないと。本当なんですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の宗教法人審議会の委員の先生方は、この審議会の議事内容が公開するということが前提ではないということで御審議を賜っていたところでございます。

 したがいまして、先ほど来申し上げましたように、情報公開法の不開示事由に該当するというふうに考えられることから、仮に情報公開請求があったとしても、不開示の取扱いとさせていただくことになろうかと存じます。

宮本(岳)委員 開示するということは申し合わされていなかった。ならば、非開示にするということを申し合わせたんですか。

合田政府参考人 御案内のとおり、第百二十七回から百三十一回までの宗教法人審議会につきましては、この次の会議から開示をするということで決定をして取り扱ってございますが、それまでは開示をするという決定はいたしていないということでございます。

宮本(岳)委員 開示をすると決めていなくても、非開示にするとも決めていないんですよ。当然これは開示すべきだと思うんですね。

 議事録は公開を前提としていないと言うけれども、資料三を見ていただきたい。一九九五年十一月七日、宗教法人法改正案を審議した衆議院宗教法人に関する特別委員会の会議録であります。

 傍線部を見ますと、一九九五年十一月二日の理事会に、第百二十七回から第百三十一回の宗教法人審議会及び特別委員会の審議概要を提出したと答弁をしております。国会の議事録にはっきり明記されているのですから、ないなどということは許されません。

 私は、この審議概要の提出を求めましたが、文化庁次長、見つかりましたか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、平成七年の衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に対しまして、第百二十七回から第百三十一回までの宗教法人審議会及びその下に設置されました特別委員会の審議の概要資料を政府から提出したことを示す議事録があるのは御指摘のとおりでございます。

 当該資料におきましては、私ども事務方において鋭意探してございますが、少なくとも現時点では確認されていないことから、現在、お示しすることは困難でございます。資料の探索を継続したいと考えてございます。

宮本(岳)委員 公文書の管理、どうなっているんですか。

 大臣、見つかり次第提出していただけますね。

永岡国務大臣 御指摘の、宗教法人の制度につきましての審議を行っていた頃を含めまして、それ以前の回の公開を前提とした会議になっておらず、委員においてもその合意がなされていないことから、会議の議事録等を公開することは困難であると考えております。(宮本(岳)委員「いや、違うよ。全然聞いていないじゃないか。ちょっと委員長、止めてください。趣旨が通っていない。ちょっと止めてください。今のはおかしいんだ。時間がないんです」と呼ぶ)

宮内委員長 永岡文部科学大臣、再度御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 同じお答えでございます。(宮本(岳)委員「何で。駄目だよ、止めなきゃ駄目ですよ。時計を止めてください。駄目ですよ」と呼ぶ)

宮内委員長 じゃ、時計を止めてください。

    〔速記中止〕

宮内委員長 速記を起こしてください。

 永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 鋭意探してまいります。(発言する者あり)見つかった場合には、公開等、理事会で御判断いただければと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 鋭意探してございます。見つかりましたら、これは衆議院の宗教法人に関する特別委員会の理事会に御提出したものでございますので、御提出を申し上げます。

宮本(岳)委員 当然です。

 それで、昨日、第二回会議が開かれました。宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使についての基準案が示されました。法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたことについて疑いがある場合、報告徴収、質問権の行使ができるといいます。疑いとは、風評等によらず、客観的な資料、根拠に基づいて判断することが相当として三つの場合を挙げて、客観的な資料か根拠が認められなければならないとしております。

 そこで、阿部参考人にお聞きいたします。

 疑いといっても、そこまで厳密に客観的な資料や根拠が必要であるならば、七十八条の二に定めた報告徴収、質問権を行使するまでもなく、いきなり宗教法人法第八十一条の解散命令請求を行うべきだと私は考えますが、阿部参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

阿部参考人 先ほど申し上げましたように、全国弁連では、質問権を行使せず、解散請求を端的にしてほしいということで、従前から求めております。その理由としましては、悪質性、継続性、組織性というものも、それは実態としては統一教会は満たしている、そういう判断になります。

 ただ、政府が現在、質問権を行使するということで手続を進めている以上は、それを速やかにやっていただきたいということです。

 その理由としましては、若干補充をしますと、まず、時間がかかればかかるほど被害が拡大するということです。被害救済が遅れるということです。

 二点目としましては、統一教会側に証拠隠滅のチャンスを与えるということです。

 過去に統一教会は、証拠隠滅というものを現に行っております。二〇〇九年の新世事件という刑事事件があったんですけれども、そのときは、渋谷の教会に捜索が入りまして、その当時、教団本部から信者に指示があって、関連する書類を、不利な書類をシュレッダーにかけたり、土に埋めたり、あとは、一晩中かけてそういう廃棄作業を行ったり、そういう作業を本部が指示して信者に行わせたということも元信者の方の供述で分かっておりますので、今回の質問権行使に関しましても、時間をかければそういうチャンスを与えるということになります。

 もう一点としましては、財産隠匿のチャンスも与えるということです。

 なので、重ねてにはなりますけれども、できるだけ速やかに解散請求を行っていただきたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 まさにそのとおりだというふうに思います。

 確認しますが、これは報告徴収、質問権が終わってからでないとできないというんじゃなくて、途中でも八十一条一項に基づく解散命令の請求を行うことは可能ですね。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 報告徴収、質問の手続の途中であっても、解散命令請求に足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対して解散命令を請求することは可能であり、検討してまいります。

宮本(岳)委員 次に、資料四を見ていただきたい。統一協会のダミー団体、世界平和統一家庭連合の友好団体が昨年の衆議院選で自民党候補者に署名を求めたという推薦確認書の画像であります。赤い傍線の三項目めには、「「LGBT」問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う」という項目があります。

 今日は井出副大臣に来ていただいておりますけれども、あなたに示された推薦確認書にもこの項目はありましたね。

井出副大臣 まず、過去に私が関連団体と接点がございましたことは、何度も申し上げておりますが、反省をし、被害に向き合ってまいりたいと思います。

 その上で、御質問のことなんですが、推薦確認書を私に示されたときに、いや、それはちょっとと言って、すぐにお断りをしてしまったので、中身、詳細を見ておりません。ですので、具体的にこれがあったかと言われても、ちょっと今お答えできる状況ではございません。

宮本(岳)委員 もう一度、資料二の、昨日の毎日に戻っていただきたい。

 赤い傍線二、先ほどの藤井富山市長は、「教団には男性は男性、女性は女性の役割を果たすという教義があり、同性パートナーシップ制度や性教育に関する政策に影響を及ぼしたい狙いがあったのかもしれない。」と語っておられます。

 続けて、傍線三、「国政では、教団側が二一年衆院選で複数の自民党候補者に政策への賛同を求める「推薦確認書」を提示し、「同性婚に関する制度化に慎重であるべきだ」などの内容が含まれていたことが発覚。」としております。

 では、彼らはなぜこのような強烈な危機感を持って政界工作に出たのか。

 資料五を見ていただきたい。それは、昨年三月十七日に札幌地裁において、同性婚を認めないのは、合理的根拠を欠く差別的取扱いに当たり、憲法十四条一項に違反すると認めるのが相当であるという判決が出されたからです。ここに、私、その判決も持ってきております。これは画期的な判決だと思います。

 文部科学省は、二〇一五年四月三十日、初中局児童生徒課長通知、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」や、この教職員向けのリーフでも、「悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる「性的マイノリティ」とされる児童生徒全般に共通するものであることを明らかにしたところです。」と書いてあります。

 そこで、大臣に確認いたしますが、文部科学省は、性同一性障害、つまり、トランスとその他の性的マイノリティーの間に差別はなく、LGBT全てに対してきめ細かな対応が必要だという立場だと思うんですが、間違いないですね。

永岡国務大臣 宮本委員にお答えいたします。

 文部科学省といたしましては、児童生徒の悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒全般に共通するものと考えております。

 これまでも、性的マイノリティーとされる児童生徒への相談体制の充実等につきまして、教職員の理解を促すためのリーフレットの作成、周知するなど、必要な支援等が学校でなされるよう努めてまいりました。

 加えまして、生徒指導の基本書でございます生徒指導提要の改訂案におきましては、性的マイノリティーとされる児童生徒への学校の対応につきまして、日頃から児童生徒が相談しやすい環境を整えるとともに……(宮本(岳)委員「分かりました」と呼ぶ)分かりましたか。ありがとうございます。

宮本(岳)委員 いやいや、差別していないことを確認したかっただけなんです。していないですよね。

 ところが、資料六を見ていただきたい。統一協会と一体の国際勝共連合の機関紙である思想新聞、昨年四月一日号です。

 三月十七日に判決が出ると、直ちに、「司法の暴走」などと言い、挙げ句の果てには「文化共産主義」などという悪罵を投げつけております。

 しかし、これが共産主義なら、文部科学省も文化共産主義、超党派LGBT議連も、馳浩石川県知事や自民党の稲田朋美衆議院議員も共産主義者ということになってしまいます。

 文部科学大臣、文部科学省は文化共産主義なんですか。

永岡国務大臣 そういうことはございません。

宮本(岳)委員 荒唐無稽な議論ですね。しかし、昨年、実際にこの荒唐無稽な議論が政治を大きく後退させたから問題なんです。

 最後に、資料七を見てください。昨年六月一日の中日新聞です。

 私は、超党派議員でつくるLGBT議連のメンバーだからよく存じ上げております。昨年、せっかく与野党実務者で合意したLGBT理解増進法案が、自民党の党内手続の段階になって頓挫をいたしました。

 もう読み上げませんが、傍線部を見ていただけば、馳浩衆議院議員や、あるいは稲田朋美特命委員長が、まさに、自民党内の手続、三役預かりになって、そのまま止まってしまったということになっております。

 そして、このような動きの後、昨年の総選挙に向けて自民党などの各議員に示されたのが例の推薦確認書なんですよ。

 大臣、これは、海外に本拠を置く統一協会、勝共連合が、自民党議員と政策協定を取り交わし、選挙での支援と引換えに、超党派議連で自民党も含めて合意したLGBT理解増進法さえ葬り去ったとすれば、実に重大な問題だと思いますが、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わります。

宮内委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

永岡国務大臣 あと少しでLGBTの理解増進法、合意成るかと思いましたが、それが果たせなかったというのは、今に思いましてもちょっと残念な気はしております。

宮本(岳)委員 終わります。

宮内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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