衆議院

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第4号 令和4年11月29日(火曜日)

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令和四年十一月二十九日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    上杉謙太郎君

      勝目  康君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    田野瀬太道君

      谷川 弥一君    辻  清人君

      土田  慎君    中曽根康隆君

      丹羽 秀樹君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    深澤 陽一君

      船田  元君    古川 直季君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      山井 和則君    吉川  元君

      金村 龍那君    高橋 英明君

      早坂  敦君    平林  晃君

      山崎 正恭君    長友 慎治君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

      本村 伸子君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  松本 剛明君     田野瀬太道君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     本田 太郎君

  鈴木 貴子君     五十嵐 清君

  中曽根康隆君     平沼正二郎君

  丹羽 秀樹君     土田  慎君

  古川 直季君     長谷川淳二君

  三谷 英弘君     松本  尚君

  吉川  元君     山井 和則君

  西岡 秀子君     長友 慎治君

  宮本 岳志君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     鈴木 貴子君

  土田  慎君     丹羽 秀樹君

  長谷川淳二君     古川 直季君

  平沼正二郎君     深澤 陽一君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  松本  尚君     三谷 英弘君

  山井 和則君     吉川  元君

  長友 慎治君     西岡 秀子君

  本村 伸子君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

十一月二十八日

 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

同月十七日

 権利としての無償教育を求めることに関する請願(白石洋一君紹介)(第一三号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡国務大臣 この度、政府から提出いたしました独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 成長分野を牽引する高度人材の育成、輩出を担う大学や高等専門学校の機能強化は喫緊の課題ですが、我が国では、デジタル、グリーン等の成長分野の人材不足や、理工系の学生割合が諸外国に比べて低い状況にあり、大学や高等専門学校における成長分野への学部再編等を早急に促進する必要性が教育未来創造会議第一次提言等において指摘されています。

 この法律案は、このような状況を踏まえ、中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進するため、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構について、大学及び高等専門学校の学部等の設置その他組織の変更に関する助成金を交付する業務を追加するとともに、当該業務に要する費用に充てるための基金を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の目的に、学部等の設置その他組織の変更に関する助成金の交付を行うことにより、中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進し、もって我が国社会の発展に寄与することを追加するとともに、機構の業務に、当該助成金の交付を追加することとしております。

 第二に、文部科学大臣は、助成業務の実施に関する基本指針を定めなければならないこととするとともに、機構は、助成業務の実施に関する方針を定め、文部科学大臣の認可を受けなければならないこととしております。

 第三に、機構は、助成業務等に要する費用に充てるために基金を設けることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

 以上です。

宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官茂呂賢吾君、文部科学省大臣官房長望月禎君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長茂里毅君、研究振興局長森晃憲君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長杉浦久弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 柚木道義でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、理事会でも御了解いただき、もちろん法案質疑をしっかり通告しているわけですが、まさに初の質問権行使、旧統一教会に対して、まさに最中でもありますし、東京五輪の談合問題も非常にゆゆしき、今、捜査の状況もありますので、それぞれ、もちろん法案の質疑、やりますが、通告どおり質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それで、今日一番に、追加通告をしているところから質問させていただきますので、大臣、よろしくお願いします。

 先ほどの予算委員会で、これはまさに森山理事の質問に対して、河野大臣がこのような答弁をされています。旧統一教会への解散命令請求、我々も早期に求めているわけですが、一方で、救済新法の方、与野党協議もまさに佳境でございます。この新法では、対象となるのが法人、そして、任意団体は入るのかと。これは個人は入らないわけですが、任意団体は入るのかという問いに対して、入りますと河野大臣、御答弁いただいているんです。これは重要な答弁です。

 他方で、この任意団体というのもいろいろあるわけですね。今日十三時から全国弁連も会見でおっしゃっているように、いわゆる、要件にもありますけれども、権利能力なき社団、こういったものが例えば今回の新法で入るのかどうなのかもまだ定かではありませんし、例えば、様々な、いわゆる隠れみのとするような団体、それこそ何とか教育を推進する会とかを地域でつくったり、いろいろできるわけですよ。印鑑を売ったり、いろいろな団体があるわけですよ。

 ですから、やはり、この任意団体というものがどこまでが対象となるのかも含めてしっかりと政府の中で協議をいただいた上で、これは、結果的に、せっかく文科省、大臣が、我々も求めているように、旧統一教会に対して解散命令請求を裁判所に行って、解散命令が発令されても、その結果、宗教法人から外れて、まさに救済新法の対象から外れちゃうようでは全く意味がないわけです。むしろ逆効果なわけですから。

 これは是非、解散命令請求権を行使し得るまさに文科大臣のお立場からも、この政府の救済新法、法人以外の団体、それから団体に連なる個人、そういったところに適用可能となるように、是非政府内での御協議をお願いいたします。答弁をお願いします。

永岡国務大臣 先ほどの予算委員会の中で、お尋ねの新法におきましては、河野大臣は、法人格のない団体であっても対象に含む形で検討されているものと承知をしている、そういう御答弁をされたと思っております。

 それに従いまして、私どもも政府の一員としてしっかりと議論をさせていただきたいと思っております。

柚木委員 議論をしてほしいんですが、もう一点だけ。法案質疑に入りたいので、ちょっともう一つ答えてください、是非。

 どういう任意団体が対象となって、対象にならないのか、これについて、そこはよく内容を精査して、さっき申し上げたように、いろいろな隠れみのとなる団体、まさに解散命令が発令されてですよ、適用逃れでそういう任意団体から外れるような団体をつくらないとも限らないわけですから、まさに、どういう任意団体が対象になるのか。そして、まさに今日、一番、被害者対策、寄り添ってこられた全国弁連が会見でもおっしゃっているように、あらゆる団体や団体に連なる人も対象にし得るという法律じゃないと、解散命令を発令したことによって救われなくなりますよ、被害者が。

 これは是非、どういう団体が対象になるのかも精査して、適用逃れということにならないような法律にしてください。そこはちゃんと約束してください。

永岡国務大臣 新法を作成をしております担当の消費者庁としっかりと議論しながら進めてまいりたいと思います。

柚木委員 これは法案審議のときにも一つの肝なので、是非よろしくお願いします。

 法案の通告を六問しているんですけれども、とても収まらないので三問に圧縮して、通告で圧縮しようという話になりましたので、ちょっとまとめて、それぞれ三問お聞きします。

 まず、今回の三千億円基金の適正性について。

 これはまさに、単年度での不断の検証も含めた検証結果を反映する仕組みをちゃんとワークさせることが重要だと思っております。

 その上で、二点伺います。

 これは国会への報告を通じて透明性を確保すべきでございます。これは、当然、十六条の五項に関わる部分でもそういう条文がありますので、そのことについて一つ確認。

 それから二点目は、基金の活用を通じて大学等の学部再編等の結果として、我が国の発展や社会の発展に寄与し得る分野の高度専門人材の育成状況等について調査、検証を行い、その結果に基づいて、ここが大事ですね、必要な措置を講ずる。

 それがなければ、毎年、まさに十六条の五項に、国会報告するわけですけれども、それをフィードバックしてPDCAが回らなければ、三千億円の基金が、ともすれば、後ほどの通告もありますが、積んだままで使われない、もっと緊要性があるところはあるだろう、そういうことになりかねませんので、是非しっかりと必要な措置を講じていただきたい。

 以上二点、答弁をお願いします。

永岡国務大臣 柚木委員の御質問にお答えいたします。

 まず、基金の執行に関しましては、年度ごとの事業の執行状況の透明性を確保するために、当該執行状況に文部科学相の意見を付して国会に報告することとしているところでございます。

 また、文部科学大臣が定めます基本指針におきましては、助成の成果をフォローアップすることを定めることを想定をしているところでございます。

 こうした仕組みを通じまして、事業の適正な執行と透明性の確保を図るとともに、また、適切な検証と改善に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

柚木委員 是非そこはしっかりワークするように、私たちももちろん、しっかりとチェックさせていただくことが大事なんですね、国会が。それぞれがやはりしっかりと、そういう形でPDCAを回していくということをお願いしたいと思います。

 次の質問でございますが、二十五日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の泉委員が指摘をした点について、資料にもおつけをしておりますので、皆さん御覧をいただきたいと思います。

 資料の三ページ目は、「基金乱発 無駄の温床にも」ということで、文科省の基金というのも相当な金額でいろいろ載っておりますし、その次の、まさに基金、ファンドの状況ですね、四ページ目における経済安全保障重要技術育成基金の。これは、百二十五億円しか執行されていないのに、更に二千五百億円積み増しと。つまり、御飯を食べていないのにお代わりしているじゃないか、そういう例えまでされて、文科省分千二百五十億円が全くまだ執行されていない、こういう状況でございます。

 まず一つ目は、まさに、この経済安全保障重要技術育成基金、文科所管分の千二百五十億円分が、執行状況が全く行われていない状況。そして、それにもかかわらず、今回の補正予算で二千五百億円のうちの千二百五十億円積み増している。その根拠について教えていただきたいというのが一つ。

 そしてもう一点は、同じページですね、大学ファンド千八百八十一億円の損失ということでございます。令和四年の四月から九月末まででございます。これも、やはり、もちろん必要性は否定しませんよ、しかし、年金基金もそうですけれども、当然、中長期で見ていくものであるというのは承知していますが、こういった損失を発生をされている部分についての理由と今後の対策について。

 以上二点、御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 柚木議員にお答えいたします。

 Kプロの方からお答えしたいと思いますが、経済安全保障の重要技術育成プログラムに係ります令和三年度の補正予算につきまして、今年九月に決定いたしました第一次の研究開発ビジョンで定めました支援対象技術に充当する見込みでありまして、現在、最初の公募の年内開始を目指しまして、その準備経費を執行しているところでございます。

 今の補正予算案につきましては、骨太の方針で、先端的な重要技術の育成を進めるため、プロジェクトを早急に強化をし、速やかに五千億円規模とするとされたことや、また、国際情勢が大きく変化をし、そして経済安全保障の重要性がこれまでになく高まっていることを踏まえまして、サイバーセキュリティー技術の強化などの喫緊かつ新たな課題に対応する必要があるためでございます。

 大学ファンドにつきましては、長期的な運用を行うものでございまして、保有資産評価の価格の一時的な変動で、支援可否ですとか、また支援額が決まるものではありません。毎年度の損益計算によりまして確定した利益から大学への支援を行うこととしております。

 文部科学省といたしましては、運用主体の科学技術振興機構、JSTですが、のリスク管理を徹底するなど、引き続きまして、大学ファンドが適切に運用される、また、継続的、安定的に大学への支援ができるように取り組んでまいりたいと考えております。

柚木委員 もちろん、一定のスパンで見ていくというのは承知していますが、この次の質問にもつながるわけですが、これだけ巨額の基金を積んで、更に積み増して、去年、一年前にやったものを来月ようやく公募一回目ですからね。本当に緊要性があるのか、あったのかということの不断の検証が十分なされていなかったんじゃないのかと言わざるを得ません。

 したがって、次の質問なんですが、こういった不断の検証を行う中で、二問まとめて通告している後ろの方から行きますよ、あえて。

 我々のこの国の成長、発展を持続するために、まさに未来への先行投資である教育の充実。

 今回、子供、若者予算への転換、維新さんともこれは共同で、組替えで、もっと緊要性の高いところ、例えば、出産費用の無償化、養育費立替え払い制度の導入、児童手当の特例給付の復活、学校給食の無償化、奨学金の返済減免と制度拡充。

 まさに、この物価高、今日もある団体の調査が出ていますね。本当に、この物価高において、食事も満足に子供たちにさせてあげられない。もちろん、進学のための様々な勉強、あるいは学習塾、そういうところに行かせる余裕は当然ない。そして、そのことによって、高度人材の前に、そういうところに、頑張れる、頑張りたいと思っている人自体が底抜けしつつあるわけですよ。

 だから、そういったところへの、しっかりとした、次世代を担う子供たちがひとしく教育を受けられる機会を得られるように、さらには、この物価高において、教育費の負担軽減を優先的に図っていく、そういった教育予算の一層の拡充に努めるべき。

 不登校も過去最悪、増加幅二五%、二十五万人。増加幅も過去最悪です。それに対する対策。一人親、困窮家庭、なぜ働けないのか。子供が不登校、ちっちゃかったら、いろいろな事件、事故も起こり得るかもしれないし、家にいなきゃいけない。あるいは、発達障害があるからという方が不登校の三割から六割、小中のデータも出ている。そして、メンタルヘルスの問題ですよ、この物価高で、コロナ禍で。

 こういうところに手当てをしてほしいんです。こんなに基金を積んで使わないんだったら、塩漬けになっているんだったら。そのことを一点。

 そしてもう一点は、本来、文科省ですからね、大学等の学部再編等に助成するこの三千億円という巨額基金を創設したがために、これまで措置されてきた、例えば、国立大学法人運営交付金など、もう全部は言いません、基盤的経費、あるいは競争的研究費などの大学等への資金の十分な確保に、これは決して悪影響を及ぼすことがあっては困るんです。

 私も、短い期間ですけれども財務政務官をやっていたことがあるから、当時、予算折衝させてもらっていました、財務の立場で。こんな基金、当時だったら積めていませんよ、本当。本当に虎の巻の中に書いてあります、全部、問題点はこう言えと。

 だから、この根幹である運営費交付金等の経費、研究費、これに、シーリング、予算の編成の中で悪影響を及ぼすことがあってはこれは絶対に困りますので、引き続き、大学等の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を十分に講ずることの約束。

 以上二点について御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 今、柚木先生おっしゃいましたように、学費の負担というのは相当厳しゅうございます、各家庭において。

 私も先般、この委員会で、自分の子供が、学費、最終的に払い終えたときに万歳したという話もお話ししたことがあろうかと思いますし、また、私の夫が奨学金を借りておりまして、その返済、結婚してからも続いておりまして、結構厳しかったというのを覚えておりまして、やはり、そのことは皆様方と共有しているのかなというふうには感じております。

 やはり、教育費の負担軽減及び教育予算の拡充についてでございますが、教育費に関しましては、これまで、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形で教育費の負担軽減に取り組んでまいりました。

 今般、さらに、大学生等に対します給付型奨学金と、また授業料の減免につきまして、多子世帯やそれから理工農系の学生等の中間層への対象の拡大に関しまして、令和六年度の導入に向けまして制度設計を検討しているところでございます。

 そして、やはり御心配いただきました大学への基盤的経費でございますが、競争的研究費などの十分な確保が必要だというお話でございました。

 運営費交付金や私学助成といいました基盤的経費は、教育研究の実施ですとか、また環境整備にやはり必要不可欠でございます。競争的研究費は、研究者の多様な研究活動を幅広く支える重要な資金でございます。文部科学省といたしましても、大学等の教育研究活動が継続的、安定的に実施できますように、基盤的経費や競争的研究費の確保にも全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 家庭の経済事情にかかわらず、誰もが希望します質の高い教育を受ける機会が得られるように、引き続きまして教育の充実に向けて取り組んでまいります。

柚木委員 ちょっと二問目は言及が少なかったんですけれども、しっかりお願いしますね、大臣。本当にお願いします。

 東京五輪の談合、今の捜査状況、解明についてお尋ねします。

 これは四問通告していますが、本当にゆゆしき事態ですよ。これから札幌の冬季五輪誘致、こんなことで国民や道民の理解は得られないと思いますよ。公金を、税金を拠出するわけですからね。

 一問目は、そういった中で、今回、もちろん、テスト大会の談合容疑で、今、捜査で、直近で広告のトップスリーが家宅捜索を受けるという異例の展開になっているわけですね。おまけに、この大会運営局の元次長さんですか、これはみなし公務員ですからね。業者だけじゃなくて、その局次長、ナンバーツーじゃないですか。こういう人が主導して、電通の出向の人と調整をして、受注一覧、予定表ですか、それどおりにほぼ受注され、そして大半が一者応札じゃないですか。こんなの、国民から見たら、どう見ても出来レース。

 そういう中で、まず一点目の質問ですが、これは、二十六件の入札のうち半数以上が一者応札。テスト大会の受注どおりに本大会の受注につながっているとすれば、これは結局、本番大会とテスト大会セットの談合ということで今まさに捜査が進んでいると思っています。

 ちなみに、東京都は、特捜部の捜査よりも先んじて、自ら都として調査委員会を設置して調査をする、こういう状況にもあるわけですから、これは、文科省、当然国の税金も拠出しているわけですから、是非、納税者、国民の皆様に納得していただけるように調査をする。つまり、現在清算段階にある大会組織委員会、この下に、例えば東京五輪談合疑惑調査委員会のような調査機関を設置をして、そしてきちんと調査をして、東京都は年内に中間取りまとめを公表するそうですよ。国としてしっかりと調査、公表をお願いしたいと思いますが、答弁をお願いします。

永岡国務大臣 ここのところで報道されております不正行為の疑いにつきまして、現在、東京地方検察庁と公正取引委員会、これが調査を行っているものと承知をしております。また、東京都からは、大会組織委員会が発注したテストイベント計画立案業務に関する入札におきまして談合があったという報道を受けまして、契約手続などの適正性など、都としても必要な調査を行うということになっております。なお、組織委員会の清算法人にもまた、確認の協力を求めると伺っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後の東京地方検察庁とそれから公正取引委員会の調査や東京都の調査をまずは注視をしてまいりたいと思っております。

 そして、東京都の調査をまずは推移を見なければいけないということが必要であるんですけれども、仮に本件が組織委員会のガバナンス体制に起因をしている、そういう問題が考えられるということであれば、私たちが、プロジェクトチームと言っているんですけれども、スポーツ庁とJOCが中心となって立ち上げましたプロジェクトチームで議論をしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。

柚木委員 新しい答弁、そこはしっかりと文科省としても調査、協議していくという答弁だと思いますので。

 その中で、私がお願いしたいのは、二点目なんですが、これは結果的に、価格競争が行われなかったことで、税金も拠出している大会経費が大きく膨らんだ可能性があるわけですよ。元々七千億円台だったのが、開催費用は一兆四千二百三十八億円、一・八倍に膨らんでいますよ。元々、このテスト大会は、五億三千万円、落札総額、しかし、本大会で百五十億とか二百億とか、三十倍、四十倍にも膨れ上がっているわけですから。ですから、是非、今おっしゃっていただいた、まさに調査機関の中で、価格競争が行われなかったことで税金も含む大会経費が大きく膨らんだ可能性を調査していただきたいんです。

 その調査の中で、今回談合が行われている契約の関係の、契約金額とか、随契に至っている、随契なわけですから、本当に透明性が欠けているわけです、一者応札で。そういうことも含めてしっかり調査をして、大会経費がどうやって膨らんでしまったのかについても、是非、調査、協議をよろしくお願いします。答弁をお願いします。

永岡国務大臣 現在行われております東京地方検察庁と公正取引委員会の調査の中で、不正行為によりまして大会経費が増したかどうかについても明らかになっていくものと考えております。今後の調査の状況を注視しながら、適切な対応を図っていきたいと考えております。

 仮に、国費分で過大に支出をされている場合には返還を命じるなど、法令等に従いまして厳正に対応してまいりたいと考えているところです。

柚木委員 余り受け身的じゃなしに、積極的にお願いします。

 それで、こういう状況を受けて、大臣、冒頭申し上げましたように、札幌冬季五輪、これは国民や道民の理解を得られないと思いますよ。いかがですか。

 ですから、まさに電通五輪とか電通一強とか言われる背景で、大会関係者は、もうそういうことで大会を回すことは、透明性、コンパクト五輪は無理だ、そういう見解もあるわけですから、これはどうやって今後国民の理解、納得を得ていくのか。このままで、札幌での冬季五輪の、コロナ禍、物価高、ダブルパンチの中で、理解が得られないと思います。どういう対策を講じていくのか、御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 確かに、本当に今のような不正が続くというのは、国民にとってもやはり相当マイナスが大きいかなというふうには感じます。まずは、二〇三〇年の冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致につきましては、現在、国内候補地となっております札幌市と日本オリンピック委員会とが共同いたしまして、IOCと継続的な対話を行っている段階にございます。

 他方で、先日、スポーツ庁、そして日本オリンピック委員会が中心となって、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定するプロジェクトチームを立ち上げて、検討を始めたところでございます。

 札幌市と日本オリンピック委員会においても、今後取りまとめられる指針を参考にしていただきながら、機運の醸成に丁寧に努めまして、国民、道民、そして札幌市民の皆様方の支持を得ていくことが大事であるというふうに考えているところでございます。

柚木委員 最後にしますけれども、先ほど申し上げましたように、発注側の五輪組織委員会側も談合に、大会運営局のナンバーツーの方が関与していたとすれば、これは本当に悪質性が格段に高まりますよ、業者だけの談合じゃないわけですから。みなし公務員です。五輪担当の文部科学大臣として、今のこのみなし公務員であった大会組織委員会大会運営局の次長がこういう形の容疑で取調べを受けていることについて、どのように責任を感じていて、今後どう対応されていくのか、最後に御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の本番前に実施されたテスト大会関連の入札におきまして、仮に不正が本当にあったとすれば、誠に遺憾であると思っております。オリンピック・パラリンピック競技大会を始め、やはりスポーツの価値を大きくおとしめるものであると考えております。

 文部科学省といたしましては、今後の東京地方検察庁と公正取引委員会の調査、そして東京都の調査をしっかりと注意をしながら、適切な対応を図っていきたいと考えております。

柚木委員 終わりますが、是非、子供たちや国民、そしてまたアスリートの皆さん、そういった皆さんの夢や希望を損ないかねない今の状況をしっかりと究明をして、再発防止に向けての取組をお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 まず、質問を始める前に、本日、私、総務委員会にも所属をいたしております関係で、質疑の順番につきまして御配慮いただきましたことを感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。

 早速、法案につきまして質問させていただきます。

 若干順番を変えまして、まず、先ほど柚木委員からもございました基金の在り方について質問させていただきます。

 政府は、二〇〇六年に、基金の在り方について、五年に一度、事業を見直し、使用する見込みの低い基金は早急に国費返還するなど、厳格な運用を求めました。また、二〇一四年に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針によると、基金の新規立ち上げや積み増しについては、財政規律の観点から、抑制するということを求めています。ただ、コロナ禍を経て、再び基金の活用というものに大変かじを切っている状況となっております。

 基金につきましては、御承知のとおり、長期的なスパンで安定的な財源を確保できるというメリットがある反面、やはり監視が届かず、財政規律が緩む構造的な問題がございます。複数年度にわたって執行される基金が、今回もそうですけれども、補正予算で計上されるということについても、緊要性というものに該当するのかという疑問もございます。

 先ほど、透明性のところは大臣から御答弁がございましたので、緊要性に当たるかどうかということが大変疑問な、補正予算でこういう基金が計上されるということについて、永岡文部大臣の御見解をお伺いをいたします。

永岡国務大臣 令和四年度の第二次の補正予算案におきましては、やはり、経済対策に掲げられました喫緊の政策課題へ対応するために、大学や高等専門学校、また研究者等に対しまして複数年度にわたる安定的な、効率的な支援をできるだけ早期に開始をする必要があることから、文部科学省においても基金による支援を盛り込んだところでございます。これが喫緊ということでございます。

西岡委員 緊急性があったというような御答弁だったというふうに思いますけれども。

 改めまして、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、しっかり、使途の透明性、このことを確保していただく執行というのを是非お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、次の質問に移ります。

 国公立大学に比べまして、私立大学、特に地方におきましては、例えば、今回の法改正に伴って学部の再編成を望んだとしても、まず、優秀な教員を集めるということ自体が大変難しいという事態に直面することが予想されます。また、大変急速な人口減少に伴いまして、十八歳人口につきましても急激に減少することが予測をされております。地方における学生の確保というものも大変厳しいことが予測をされます。また同時に、類似の学部が併存するという事態も想定されます。

 様々な課題があるというふうに思いますけれども、永岡文部大臣の御見解をお伺いいたします。

永岡国務大臣 西岡委員おっしゃるとおり、やはり優秀な先生の確保というのは大変大事だと思っております。やはり、高度専門人材の育成のためには、優秀な教員が大変重要でございます。

 今年の九月、大学の設置基準の改正によりまして、基幹教員制度を導入いたしまして、民間企業から実務家の教員の登用等によります人材確保を図りやすくしたところでございます。

 さらに、経済団体、大学団体、そして全国知事会が構成員でございますデジタル人材育成推進協議会などを活用いたしまして、産学官の連携を通じまして、実務家教員の確保を進めてまいります。

 また、学部編成に当たりましては、設置の審査におきまして、学生確保の取組について確認をすることとしておりまして、またさらに、今後、本基金の支援に当たりましては、各大学の検討状況、これは可能な範囲で公表し、そして各大学で適切な経営判断を行うことができるような仕組みを検討することとしているところでございます。

西岡委員 大変難しい課題だというふうに思いますけれども、しっかり文部科学省としても御支援をいただきながら、希望する学校につきましてはそういう方向で進んでいけるということについても是非御協力をいただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回のデジタル、また脱炭素分野における高度専門人材の育成というのは、我が国にとって大変重要な課題であるというのは認識をいたしておりますけれども、今回のような、例えば理系の大学、学部を増やしたからといって、理系の人材ということの不足が解消するわけではないということは御存じのとおりだというふうに思います。大変、総合的な政策と申しますか、一体となった総合的な政策というのが必要だと思います。

 まず、小中高校における授業内容ですとか、高校における文理、理系の分離の解消、文理融合の促進、また女子学生の理工系での活躍、また若手研究者の処遇改善や、産業界も巻き込んだ卒業後の活躍の場の確保、卒業後の、とにかくキャリア形成の環境というものを整備をするということが大変重要だというふうに思っております。

 総合的な政策、このことについて永岡文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 本当に難しい課題がいっぱいのことではございますが、一つ一つしっかりと、文部科学省の方でも対策は練っております。

 大学の理系分野への進学率、これを向上させていくためには、初等中等教育段階を含めました取組、本当に必要であると認識をしているところでございます。

 このため、学習指導要領におきまして、観察、実験などを行うことを重視をし、そのため、物的環境の整備ですとか、あとは観察実験アシスタントの配置に係る支援を実施することなどをしております。そして、小学校の高学年では、理科や算数などで優先的に教科担任制を推進することとしております。

 そして、高等学校段階からの文理横断教育の支援でございますとか、また、大分、本当に皆さん頑張ってくださっております、高等学校で、スーパーサイエンスハイスクールの支援事業や、また、女子の中高生の理系分野への興味、関心を高めるため、適切な理系進路の選択が可能となるような支援を実施すること、そして、博士後期課程学生を含みます若手研究者への経済的支援の強化ですとか、これはキャリア構築支援ということになっておりますが、様々な取組を実施しているところでございます。

 引き続きまして、理系人材の育成につながるよう、総合的な政策、これをしっかりと進めてまいる所存でございます。

西岡委員 今大臣からもございましたけれども、やはり総合的な、全体像をしっかりと捉えた中での取組というのが必要だと思います。

 特に、卒業後の理系人材の活躍の場というものが大変十分でない。また、若手研究者の方々の待遇改善、お給料も含めて、大変厳しい状況がございますので、理系学部含めて、学ぶ学生さんが希望を持ってその道を選択できる、そういう体制づくりを、是非引き続きお取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、日本の研究の基礎を担ってきた国立大学におきましても、法人化されて以来、運営費交付金が減額されてきたことによりまして、私自身は、研究基盤の弱体化が起こってきた面があったというふうに考えております。

 また、先般、基金の運用益を活用した一部の卓越大学への集中的な投資によって、より短期的に稼ぐことのできる成長分野への研究が重点化される方向性が明確となっています。

 今回の理系学部への転換を推進する施策の必要性は共有をいたしますけれども、進めていくに当たって、大学にとって必要な基礎的な研究や、社会にとって重要な研究領域である、いわゆる文系的な学部が減少、淘汰される可能性が危惧されないのかどうか、また、今、文理横断的な知識のある、問題を解決する力のある人材が求められている中で、どのようにそういう人材を育てていく方針であるのか、永岡文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 本法案は、基金の趣旨を踏まえた大学の主体的な改革を後押しするものでございまして、特定の分野の学部等の廃止ですとか縮小を前提とするものではございません。

 文部科学省といたしましては、大学の教育研究が継続的に、安定的に実施できるように、基盤的な経費の確保にもしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

西岡委員 やはりしっかり、大切な学問、地道な学問を含めて、基礎的な学問を含めて、その学問も大変大切な分野だというふうに思います。大臣も十分御承知のことと思いますけれども、是非その部分も大切にしながら進めていっていただきたいと思います。

 また、先ほど柚木委員からもございました卓越大学ファンドの運用におきまして、含み損とはいえ、かなりの高額の損失が出ているということが明らかになりました。

 大学ファンドの抱えるリスク、今後の運用の見通しについて、例えば、支援開始時期が二〇二四年となっておりますけれども、この開始が遅れる可能性があるのかどうか、また、運用に失敗した場合に国民が負担を負う可能性というものがあるのかどうか、このことについて、永岡大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 大学ファンドの運用の今後の見通しについては、確たることは申し上げられませんけれども、毎年度、損益計算により確定をした利益のみを大学への支援の財源に充てることとしております。

 ですから、保有資産評価額の一時的な変動によりまして、支援の可否ですとか、支援額や、令和六年度以降と申し上げている支援開始時期が決まるものではございませんので、御承知おきいただければと思っております。

西岡委員 リスクに対する対応を含めて、国民への説明責任をしっかり果たしていただきますように要望させていただきます。

 最後の質問となります。

 今回創設される基金がどのような用途に使用することが可能であるのかについて、初期投資についてはもちろんですけれども、例えば、教職員の方を雇用する資金として使えるのかどうか、また、学部再編後の様々なランニングコストに使用することができるのかどうか、また、一校当たりの上限が設けられているのかどうか、このことについて、文部科学省より御説明をお願いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回の基金では、学部再編等による特定成長分野への転換支援と、高度情報専門人材確保に向けた大学、大学院や高専への支援をするということにしておりますが、一つ目の学部再編等に関しましては、学部再編等の際の設備整備に係る経費が中心となりますけれども、新たな学部等の開設までの検討体制の構築に係る人件費なども支援することを想定しております。また、二つ目の大学院等への支援につきましては、そのために必要となる教員人件費や施設設備整備に係る経費を中心に支援することを想定しております。

 この両方の支援を合わせて、約三百校程度の大学、高専について、計画の内容に応じて数億から二十億程度の支援を最長十年にわたって行うことを想定しております。

西岡委員 御答弁ありがとうございます。

 時間となりました。私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本法案は、教育未来創造会議の第一次提言を踏まえて、日本では理工系を専攻する学生がOECD平均以下で、理工系学生数が増えていないことなどを理由に、今回の補正予算で三千二億円の基金を積み、理工系学部の再編や高度情報専門人材の確保を支援するというものであります。

 教育未来創造会議の第一次提言では、定員が少なく、受け止める大学の枠組みが整っていない状況であり、また、デジタル、グリーン等の成長分野を牽引する高度専門人材を育成するために理工系学部の再編等を行うと述べられております。

 デジタル、グリーンの成長分野を牽引する高度専門人材というのはどのようなものか、高等局長、お答えいただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律案に基づく事業により育成する高度専門人材につきましては、デジタル、グリーンなどの分野において、我が国の成長や発展に寄与し得る人材を想定しております。

 このような人材を育成するため、この事業では、学部が授与する学位の分野に着目して、理学、工学、農学分野に係る学位を授与する学部への転換等を支援することとしております。

宮本(岳)委員 そうした人材を誰が求めているのか。提言の中には、産業界からの人材需要とあります。高度専門人材というけれども、結局は産業界が求める人材の育成を大学に強いるということになるのではないか。大体、数理、データサイエンス、AIといった能力は、文理を問わず習得することが求められております。なぜそこから単純に理工農系学部再編などということが出てくるのか。

 ワーキンググループの議論を見ても、理工農系を専攻する学生を何%にすると言っていること自体が文理の枠を取っ払っていくということと矛盾しているとか、理工系の大学、学部を出ているとデジタル人材なのですかというのがびっくりしてしまいまして、例えば英米文学科を出た人は英語の翻訳者として通用しますか。ほぼ無理ではないですか。理工系の学部に行くとあたかもプログラミングができてみたいな書き方はすごく前時代的に感じるのですが、サンプルコードを書き換えるぐらいだったら、もはやその辺の気の利いた小学生でもできますね。デジタル人材の育成ではそういうことをやりましょうということではなかったのですか。理工系の大学に進む人を増やしましょうというのは、先ほど四十年遅れと言われていましたが、四十年遅れの考え方なのかなと思って失笑を買うのではないですか。

 そういう声までワーキンググループで出ているんですね。

 提言では、理工系学部の定員が少なく、理系志向の学生を受け止める大学の受け入れる枠組みが整っていないため、学部再編の取組を推進するというんですけれども、これはつまり、理工農系の学部への再編や定員を増やす大学等を支援するという意味なんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、まずは学位に注目して、理学、工学、農学分野に係る学位を授与する学部への転換を支援することが基本でございますけれども、当然、総合知などが重要になっている中で、いろいろな分野との融合を前提にしつつこれらの分野の学位を出すということも支援をしていきたいと思います。

 また、結果的には入学定員の増などに結びつく場合もあると思いますけれども、当然ながら、この支援を通じて教育の質を充実するということも、教育の質の重視ということも支援をしていくことになると思っております。

宮本(岳)委員 イノベーションには文理融合が必要だ、デジタルリテラシーは文理問わず必要と言う一方で、理工系学部再編、こう言うわけですね。

 さらに、第一次提言には、大学全体としての定員規模の抑制を図る仕組みを導入する、そういうことも書かれております。大学全体として定員を抑制する中で理工系学部の定員を増やすということは、つまり文系を潰すということにならざるを得ません。

 理工農系学部の再編等に支援するというんですけれども、学部の改組転換はそう簡単ではありません。新学部を再編しても、在校生は旧学部にいるわけです。この旧学部の学生の学びの権利を保障するためには、卒業するまで旧カリキュラムを維持することになり、当然、それを担当する教員の確保も必要であります。こうした教員のうち、新学部に移行しない教員を定年まで雇用することにもなります。その上で、新学部に必要な教員の採用もある。

 文科省は検討、準備段階から完成年度までの支援を想定しているようでありますけれども、学部が完成すれば終わりではありません。大学関係者からは、新学部がスタートしてからが大変だという声を聞いております。

 新学部の完成年度以降については、どのようにしてその大学を支えていくおつもりですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業におきましては、各大学の迅速な対応を後押しできるように、最長十年間の継続的、機動的な支援を実施することを想定しております。

 基金による支援につきましては、今委員おっしゃったように、完成年度までということを想定しておりますけれども、各大学におきましては、その間、新たな学部を軌道に乗せていただき、基金による支援終了後は、基盤的経費等を活用し、各大学で対応していただくことを考えております。

宮本(岳)委員 今年十月に大学設置基準が改正されました。デジタル、グリーン等の成長分野への学部再編をしようとする大学について、学部の新設、再編についてはこの新しい大学設置基準が適用されることになりますね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学設置基準の改正につきましては、段階的に移行期間を設けておりますので、それに応じて、再来年度、令和七年度から改正と段階的に、規定によって、大学の選択により適用がなされると承知しております。

宮本(岳)委員 大胆な規制見直しを求めたこの第一次提言を受けて、必要な教員数、校地、校舎面積の基準を引き下げました。こんな規制緩和をすれば、教育研究の質が低下するのは明瞭だと私は思います。

 政府が求める理系転換をする大学に対しては規制を緩和する一方で、第一次提言では、教育の質や学生確保の見通しが十分ではない大学や学部等の定員増に関する設置認可審査の厳格化、少子化を見据えた大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備、定員未充足大学に対する私学助成減額率の引上げ、不交付の厳格化、計画的な規模の縮小や撤退等も含めた経営指導の徹底、修学支援新制度の対象を定員充足率が収容定員の八割以上の大学とするなどの機関要件の厳格化などを求めております。

 そういう記述があることは事実ですね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいたとおりの記述がございます。

宮本(岳)委員 こうしたペナルティーの強化は、経営に苦しんでいる中小や地方の私立大学を追い詰めるものであって、地方の中小私立大学潰しになりかねないと思います。

 一方では、デジタル、グリーンなどの成長分野へ転換する大学については、成長分野の学部等の設置を促進するための規制の大幅な緩和を行い、もう一方では、ペナルティー強化を行い、文系潰しや中小私大潰しといった厳しい対応をする。これは、大学の淘汰政策であり、あからさまな選択と集中と言わざるを得ません。

 ところで、本法案は、機構の目的に「中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進し、もって我が国社会の発展に寄与すること」を加えるというものであります。

 つまり、今回は、特定成長分野として、グリーン、デジタルといった分野強化のための理工系学部再編の支援が掲げられておりますが、この法律の要旨と趣旨としては理工系学部再編に限られているわけではない、これは事実ですね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 助成対象となる分野につきましては、議員御指摘のとおり、法律案におきましては、「中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野」と規定しております。

 具体的には、文部科学大臣が、専門的な視点から、審議会の意見を聞きつつ、大学、高専等における修学の状況や、社会経済情勢の変化や、技術開発の動向などを踏まえ、基本指針において定めることとしており、特定の分野に限定した規定には法律上はなっておりません。

宮本(岳)委員 今回は理系転換と言っておりますけれども、基本指針に定めれば、様々な形で、学部再編、選択と集中のために今後ともこのスキームが使われるということになります。

 資料一を見ていただきたい。財務省財政制度審議会財政制度分科会歳出改革部会に提出された資料の「論点(まとめ)」というものであります。国立大学法人運営費交付金や私学助成についても、これまでもめり張り強化の取組を進めてきたが、依然十分な効果が見られないことから、引き続き、めり張り強化や執行改善を求めていく必要とあります。

 つまり、財政審と財務省は、めり張りの名による選択と集中を迫るばかりで、国立大学運営費交付金も私学助成も、基盤的経費を増やすつもりなどさらさらないのであります。

 資料二を見ていただきたい。一九七五年の私立学校振興助成法の参議院附帯決議であります。私立学校の経常的経費二分の一補助の速やかな実現を求めています。

 ところが、資料三を見ると、一九八〇年の二九・五%をピークにずっと下がり続け、ついには、二〇一五年、九・九%と、一割を割り込みました。

 ところが、この二〇一五年、平成二十七年以降、このグラフが作られなくなりました。どういうわけかと聞いたら、経常的経費の仕分に不正確なものが含まれていたというような説明でした。しかし、私たちが見たいのは、国会決議との関係です。私学助成と経常的経費の割合は、国会決議が言う二分の一に向かって増えているのか減っているのかという、その経年の推移であります。

 そこで、文科省に正確な資料を作り直してもらったのが資料四であります。さきの資料で九・九%だった平成二十七年度の補助割合は、一二・六%と、少し数字は増えています。しかし、そのときの経常費補助金が三千百六十六億円。

 では、直近の令和三年度、二〇二一年度の経常費補助金は幾らで、経常的経費に占めるその割合は何%になっておりますか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度の実績につきましては、一一・六%となってございます。

宮本(岳)委員 額は二千九百十五億円ですね。初めて三千億を割り込んだんです。下のグラフを見ていただいても、二〇一五年度以降も、補助割合は一貫して減り続けております。つまり、二分の一補助の速やかな実現を求めた全会一致の国会決議には全く逆行しているわけですね。

 ゆめゆめ国会決議を軽んじるつもりはないと思うんですけれども、私学助成、経常費補助金の増額を目指す大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

永岡国務大臣 宮本委員のお気持ち、よく分かります。本当に、二分の一の補助割合と言ったのが、だんだん下に行っているじゃないかというお話でございました。

 私立の大学というのは、国立等に比べまして、本当にたくさんの学生さんがいらっしゃいます。日本でいえば、七割を超える学生さんが私立の大学に在籍をしておりまして、また、建学の精神に基づいて、それぞれ各校、本当に個性、特色のある教育を実施をしておりまして、我が国の学校教育におきまして重要な役割を果たしていると考えているところでございます。

 私学に対します助成は、こうした私立学校が果たす役割の重要性に鑑みまして、私立学校の教育条件の維持向上、そして学生さんたちの修学上の経済的負担の軽減、私学の経営の健全性の向上を図ることを目的としておりまして、私立学校の振興に大きな役割を果たしているところでございます。

 文部科学省といたしましても、基盤的経費である私学助成を確保するとともに、今回の基金の活用ですとか、高等教育の修学支援の見直しなども含めまして、私立学校への総合的な支援を行いまして、教育の質向上とアクセス機会の充実に取り組んでまいる所存でございます。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、三千億のお金を使うのであれば、三千億を切ったこの私学助成に本当に使えば、つけ加えれば、倍加することができるわけですよ。それこそ大道だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

宮内委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 立憲民主党の菊田真紀子でございます。

 法案の審議に入る前に、大臣にただしておかなければなりません。

 寺田前総務大臣、山際前経済再生担当大臣、そして葉梨前法務大臣、この僅か一か月足らずで三人の閣僚が辞任するという、まさに前代未聞、異常事態であります。

 臨時国会は十二月十日に会期末を迎えるということであり、いよいよ終盤戦、そして佳境を迎えているわけですが、令和四年度第二次補正予算を始め、急ピッチで与野党協議が進められている旧統一教会などの被害者救済法案、そして、必ず今国会中に実現をしないといけない調査研究広報滞在費、旧文書通信交通滞在費の使途公開など、やらなければならない課題は山積しています。にもかかわらず、問題を指摘された大臣が潔く辞めないから、そしてまた、岸田総理の解任の決断も遅れに遅れるために、貴重な審議時間が費やされてしまい、審議日程が大きくずれ込んでしまっています。

 永岡大臣御自身に何らかの問題が指摘されている状況ではないということは承知していますけれども、閣僚の一人として、一か月足らずで三閣僚が辞任するというこの異常事態と、そのことによって国会審議等に大きな影響を与えている状況について、どのように受け止めておられるのか、大臣に伺いたいと思います。

永岡国務大臣 閣僚の辞任ということにつきましては、各大臣の御判断である、そういう認識でありますので、私からはコメントというのは差し控えさせていただければと思います。

菊田委員 大臣、自分の思いを語ったらいいんですよ。こういう事態はあってはならない、私も非常に残念だと思っている、もっと非常に重要な政治課題があるんじゃないかというふうにはっきりおっしゃった方がいいと思いますよ。そういうことを私は永岡大臣に期待をしたいと思います。と同時に、一閣僚として永岡大臣も残り終盤戦、気持ちを引き締めて職責を果たしていただきたいと御期待を申し上げたいと思います。

 オリンピック、パラリンピックの談合についてでございますけれども、先ほど柚木議員も取り上げておられましたし、私自身も、十月二十五日のこの委員会で、元組織委員会理事が絡んだ贈収賄等の不祥事について質問させていただきました。

 現在、東京地検特捜部と公正取引委員会が今回の談合事案について強制捜査を行い、そして六社が家宅捜査を受けている、こういう状況であります。大変深刻なのは、大会組織委員会の職員が関与していた、こういう疑いがあることであります。国を挙げて開催したスポーツの祭典がまさに不正の温床になってしまったこと、このことを大臣にもしっかりと深刻に受け止めていただきたいと思います。

 柚木議員への答弁では、私は、大臣は一歩踏み込んだ答弁をされたというふうに思って、評価をしたいと思います。すなわち、プロジェクトチームを必要であれば設置するなどの対応を考えていきたい、こういうお話でございました。是非とも、捜査を単に待つということではなくて、スポーツ庁としてできる限りの調査を行い、そして、札幌の冬季オリンピックに影響が出ないように必要な対応を取るべきだというふうに思いますので、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 菊田委員にお答えいたします。

 やはり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のテスト大会関連の入札におきまして、仮に不正があったとすれば、本当に、誠に遺憾であると考えております。オリンピック・パラリンピック競技大会を始め、やはりスポーツの価値を本当に大きくおとしめるというふうに考えております。

 また、元理事が逮捕、起訴された事案を受けまして、実は先日、スポーツ庁、日本オリンピック委員会が中心となって、今後の大規模な国際大会の運営の透明性、公正化を図るための指針を策定をするプロジェクトチームを設置をいたしました。今後我が国で開催される大規模な競技大会において参考となる適切な運営体制の構築に向けまして、指針案を作成することとしているところでございます。

 さらに、文部科学省といたしましては、今回の入札における不正行為に関します今後の東京地方検察庁と公正取引委員会の調査や、また東京都の調査を注視しながら、適切な対応を図っていきたいと考えているところでございます。

菊田委員 令和四年度の二次補正予算について質問をいたします。

 資料の一ページ目を御覧ください。これは、財務省がまとめた資料です。

 令和四年度二次補正予算における基金造成費補助金等によって措置される基金の一覧ですが、何と合計が八兆九千億円にもなります。左に振ってある数字の四番から十二番までが文部科学省の事業です。丸印が今回の補正で新規に行われる事業。七割と八番は基金名称が同じですが、設置主体が異なるということで、設置主体で見ると六つの基金が新たにつくられることになります。

 今日議論しておりますこの法案も、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構、通称NIADに基金を設けることを改正内容としているわけです。

 基金をNIADにつくって、補正予算に計上されている、成長分野を牽引する大学や高専の機能強化に向けた基金による継続的支援事業、三千二億円を執行することになります。

 法案が改正され、補正予算が成立することになれば、今年度、令和四年度中にどの段階まで執行する予定なのか、文科省に伺います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 成長分野の人材育成は喫緊の課題であり、この法律案が成立しましたら、速やかに助成業務の実施に係る基本指針の策定等を進め、できるだけ早期に公募を開始することを予定しております。

菊田委員 ちゃんとはっきりと正確に言ってほしいんですけれども、令和四年度中は基金を造成するところまでですよね。そして公募を行って、実際に事業費を使うのは令和五年度以降ではないんですか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 基本指針を定めた後、各大学に具体的に公募要領をお示しして、各大学で計画を出していただく、それを踏まえてNIADに体制を整備して、NIADの方で審査をする、こういうことになりますので、できるだけ早く準備は進めたいとは思いますが、実際には、令和五年度になるかと思います。

菊田委員 そうなんです。そこはごまかさないでいただきたい。

 ということは、令和四年度中に経済効果は表れるんでしょうか。内閣府に確認します。

茂呂政府参考人 お答えいたします。

 経済効果としまして、GDPへの影響ということで申し上げますと、基金等から実際に支出が行われた段階でGDPに計上される、そういうことになると思います。

菊田委員 事前にお聞きした話では、GDP四・六%の押し上げ効果があるかもしれないということなんですけれども、令和五年度以降も含めた補正予算全体での経済効果ではなくて、令和四年度中は実際に執行されない事業に、なぜ令和四年度以内の経済効果が出てくるのか、教えてください。

茂呂政府参考人 委員御指摘の経済効果、GDP四・六%でございますけれども、これは単年度ではございませんで、今後複数年度にわたって、経済効果全体としてどのぐらいのGDPの押し上げ効果があるかということでお示ししているものであります。ですから、令和四年度ということではございません。

菊田委員 ですから、今回の経済対策というのは、物価高に苦しんでいる、今苦しんでいる家計や企業を喫緊に助けるために策定されたものだというふうに考えていたんですが、この事業の経済効果は来年度以降に表れるということです。これで喫緊の経済対策と果たして言えるんでしょうか。予算計上の在り方として不適切ではないかということを私は指摘したいと思います。

 さらに、事業の規模について、適正なのか、質問します。

 この事業は、令和五年度予算の概算要求においても、同じ事業内容で要求されていたと伺っています。令和四年度二次補正では三千二億円計上していますが、概算要求の段階では幾ら要求していたのか、お答えください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度当初予算におきましては、百億円の要求をしておりました。

菊田委員 概算要求の段階では百億円の要求だった事業が、今回の補正予算では三千億円と約三十倍に膨れ上がっています。では、この三千億円の積算根拠を伺います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回の補正予算案では、三百校程度の大学、高専に対し、数億から二十億円程度の支援を最長十年間にわたって支援可能な規模の予算を計上したところでございます。

菊田委員 一校当たり約数億から十億円程度で、三百校を対象にするということですけれども、これが真に大学や高専の機能強化につながればいいんですけれども、補正予算全体の事業費を単に膨らませるだけで、水増しのようになっているのではないか。そうだとすれば、果たして効果的に執行できるのかという疑念を持たざるを得ません。

 この事業以外に、新しく基金を造成することとしている五つの基金についても、令和四年度中は基金の造成までであり、実際に事業が執行されるのは令和五年度以降になってからだということは、文部科学省から伺っています。

 また、これらの事業は全て概算要求でも要求していて、概算要求時、合計すると約三百七十億円だったものが、今回の補正では約六千七百億円、二十倍近くにまで膨らんでしまっています。

 先ほど柚木議員もおっしゃっておられましたが、一度基金に積まれてしまっては、国会のチェックが働きにくくなり、非効率な運用を許してしまうというおそれがございます。

 資料の二ページ目を御覧ください。これは日経新聞の記事でありますけれども、同様のことが指摘されているわけでございます。

 国民の皆様の大切な血税をお預かりしているのでありますから、やはり、今年度中に執行可能な額を予算計上して、毎年度の予算審議で国会のチェックを受けるのが本来あるべき姿ではないかと私は考えますが、大臣の見解を伺います。

永岡国務大臣 令和四年度の第二次補正予算案におきましては、経済対策に掲げられた政策課題への対応をするために、大学や高等専門学校、また研究者等に対しまして複数年度にわたる安定的また効率的な支援を迅速に開始する必要があり、各年度の所要額をあらかじめ見込み難いことから、基金による支援が適切と考えているところでございます。

 今回の補正予算案に文部科学省が盛り込みました事業は、新しい資本主義の実現に向けた柱でございます人への投資、科学技術イノベーションへの投資等に向けて重要な施策でございまして、基金も活用して、我が国の未来を切り開いていくことができるよう取り組んでまいります。

菊田委員 執行スケジュールを少しでも前倒しをして、関係者に予見可能性を与えたいという文科省の狙いも分かります。また、それぞれの事業の方向性もここで否定するものではありませんが、やはり、予算計上の在り方として、今回の補正予算のやり方は賛成しかねるということを申し上げたいと思います。

 次に、法案の内容について伺います。

 日本では、大学で理工系を専攻する学生の割合がOECD平均より低い上に、OECD諸国の多くが理工系学部の学生数を増やしている中、日本ではほとんど変わっていない、こういう現状がございます。

 資料三ページの真ん中やや下を御覧ください。事業内容の一として、学部の再編等による特定成長分野への転換等支援を行うとされています。しかし、今回の事業で大学や高専側の理工系学部の受皿を増やしたとしても、理工系を専攻する学生数が果たして実際に文科省の期待どおりに増えていくのかという点に懸念を感じます。

 学部再編の転換等支援の対象は私立、公立の大学とされています。資料三ページの真ん中やや上を御覧いただきますと、理系学部の学位取得者割合が出ておりますが、私立大学は二九%となっています。文科省としても、特に私立大学の割合を増やしたい、こういう狙いがあると思うんですけれども、しかし、資料の四ページを御覧をいただきますと、学費の格差ですね、特に私立大学は、文系学部の学費約八十万円に比べて、理科系学部は百十万円と三十万円も高くなっているわけでございます。

 さらに、資料五ページの左を御覧いただきたいと思うんですけれども、中学校三年生では理系を志向する学生、文系を志向する学生がほぼ変わらないものの、中三で分からないとした学生が、高校生になると文系を志向しています。明確に理系を志向しない学生は、何となく文系を選択しているケースが多いのではないか、このように考えられます。

 こういう状況では、大学側が理工系学部の受皿を幾ら整備したとしても、実際に学生はなかなか入ってこないのではないかというふうに考えるんですけれども、今回の事業で本当に理工系を専攻する学生が増えるのか、大臣の考えを伺います。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 我が国の理系分野の学生数を拡大をしていくには、教育未来創造会議の第一次提言にも記載がありますように、学部再編等の促進のほかにも、理系を専攻する女子学生の増加、そして初等中等教育段階におけます理数教育の充実と、そして大学設置に係る規制緩和など、本事業のみならず、ほかの施策を含めました総合的な取組が不可欠であると考えているところでございます。

 他方、大学の構造そのものの変化、これがこれからの大学進学を志す学生や周囲の意識の変化を促すことにもつながるものと考えております。

 さらに、本基金での支援に当たりましては、地域の高校との連携等によります入学希望者の確保ですとか、高等学校段階におけます取組をまた適切に評価するための入試科目の見直し、きめ細かなニーズ調査等を通じました教育課程の構築など、各大学におけます高大接続の観点も盛り込んだ審査が行われるような仕組みを整えているところでございます。

 また、先生大変御懸念の高校の授業料の話でございますが、私立は大変高いということが言われております。そんな中では、そこの対応はしっかりとさせていただきたいということで考えているところです。

菊田委員 そして、もう一点、学生が文系あるいは理系を選択するタイミングというのも考えるべきではないかというふうに思います。

 資料の五ページ、中ほど右側を御覧いただきたいと思うんですけれども、学生さんたちが理系か文系かコース分けが行われる中で、高校一年の十月から十二月にコース選択が行われるケースが大半となっているようであります。将来の職業選択を高校に入ったばかりの一年生の十月から十二月に行わなくてはならない、こういうことでありますから、これは余りにも早いのではないかというふうに思うわけでございます。

 その後、文理分断されて、文系から理系、若しくはその逆の移行がままならないことが、理系学生を増やそうとするに当たって一つのネックになっているのではないかというふうに考えるんですが、永岡大臣の考えを伺います。

永岡国務大臣 やはり、高等学校の一年生ですぐに文理に分かれる、文系、理系に分かれるということがあります。今、大変、菊田議員は御心配でございます。私も心配をしております。

 そんな中で、高等学校の学習指導要領におきましては、生徒が科学技術への興味、関心を持ち、科学的に探究する学習活動を充実しているわけでございますが、加えまして、先進的な理数系の教育を行う学校に対しまして、スーパーサイエンスハイスクール支援事業を通じて支援を行っているところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、実態といたしましては、高校生の七割が在籍する普通科においては、多くの生徒がいわゆる文系、理系に分かれまして、二年次以降の、特定の教科について十分に学習しない傾向があるとの指摘がございます。

 このため、高等学校におきましては、文系、理系の類型にとらわれない学際的な学びに重点的に取り組む学科などの新学科の設置を可能とする制度改革ですとか財政支援を行うとともに、国内外の大学ですとかまた企業等との連携、文理横断型のリベラルアーツ教育等を推進する拠点校の整備などに取り組んでいるところでございます。

 今後、こうした取組を含めまして、高等学校段階におけます文理横断教育につきまして、大学の学部等の改革を進めていくことを併せて総合的に推進していきたいと考えております。

菊田委員 是非、私の問題意識を今後文科省の中でしっかり議論をして、具体的にどうするのか、議論を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、理工系の学生を増やすことを考えるに当たって避けて通れないと思われるのは、理工系に進む女子学生が少ないという問題でございます。

 資料の六ページを御覧ください。

 リテラシーとは知識や理解力のことを指していると思われますが、高校一年時にレベル四以上の科学的リテラシーを持つ女子は三七%、非常に多いです。レベル四以上の数学的リテラシーを持つ女子は三九%と、これも、比較的高い理数リテラシーを持つ女子が約四割もいるわけでございます。しかし、文理別のコースを選択する高校の段階になりますと、一六%の女子しか理系を選択しません。大学で学士を取得する女子学生は五%、修士に至っては、女子学生は僅か一%しかいません。

 つまり、本来理数系に高い能力を持っている女子学生が自身の能力を十分に生かせられるようになれば、もっと現状は変わってくるというふうに私は考えるわけでございます。

 こういう中で、大学独自で、例えば、奈良女子大が女子大で初めて工学部を開設したり、芝浦工大や名古屋大などで理工系分野に女子枠を設ける、こういう制度の取組が始まっております。

 理系を専攻する女子学生が非常に少ないというこの現状をどう認識して、私が申し上げましたように、各大学の独自の取組を文科省としてはどう評価しているのか、さらに、政府としてこうした取組を積極的に後押ししていく考えはあるのか、大臣に伺います。

永岡国務大臣 今年四月の奈良女子大学におけます女子大初の工学部の設置、また、東京工業大学など、大学の工学部等における女性を対象とした選抜区分の創設といった取組が今進んでいるところでございます。

 産業界では、男女を問わず理工系分野の人材が強く求められておりまして、これまで男性が数多く占めてきたこれらの分野において、今後多くの女性が活躍していくことが期待をされているところです。このような背景も踏まえまして、文部科学省といたしましても、各大学の取組が進むことを期待をしております。

 大学入学選抜実施要項に、理工系の女子などを対象にいたしました入学者の多様性を確保する選抜の実施につきまして、今年度新たに盛り込んだほか、女子学生の確保等に積極的に取り組む大学等に対します基盤的経費の配分ですとか、また、今般の基金を通じました学部転換等の支援などにも取り組むこととしております。

菊田委員 時間が来たので終わりますけれども、巨額の基金がつくられて、そして、それが国会のチェックが行き届かないということになれば、私たち国会議員にも責任があることになります。適宜しっかりと報告をして、透明性を高めることを求めたいと思います。

 終わります。

宮内委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 文科委員会での質問は初めてとなります。どうぞよろしくお願いします。

 持ち時間も限られていますので、早速質問に移らせていただきますが、法案審議に先立ちまして、佐渡金山遺跡について、幾つか確認すべく質問させていただきます。

 まず一つは、世界遺産条約を履行するための作業指針、これにおいては、九月末に提出した暫定版推薦書に不備がないか、十一月十五日までにユネスコ事務局が回答することになっています。今回、どのようなコメントが事務局からあったのか、また、それを受けて政府はどのような対応をされているのか、お聞かせください。

永岡国務大臣 梅谷議員にお答えいたします。

 ユネスコからのコメントにつきましては、今後の審査に影響を及ぼすおそれがあるため、詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ユネスコからは、地図の縮尺の拡大ですとか、あと、説明文の位置の変更提案など、推薦書の完成度をより高めるための、形式面に関するコメントがございました。

 この度のユネスコからのコメントに対しましては、新潟県や佐渡市、それから関係省庁と連携をいたしまして、必要な修正を検討するなど、来年二月一日までの推薦書の正式版の提出に向けまして対応をしてまいります。

梅谷委員 ありがとうございます。

 お答えできない部分があるということは承知をしておりますが、その中でお答えいただきまして、ありがとうございます。

 今のお答えとちょっとかぶるかもしれませんが、今年二月に提出した推薦書では不備が指摘されました。推薦書の不備で審査が止まるのは、国内では初めての事例です。

 この事態から、文科省文化庁は、どのような教訓を得て、今後どのように生かすおつもりなのか、お聞かせください。

永岡国務大臣 佐渡島の金山推薦書につきましては、ユネスコからの指摘を受けまして改めて提出をいたしますが、これまでの経緯を踏まえますと、やはり内外の関係者との連携、これをより強化をして、着実に準備を進めることが重要である、そういう認識をしているところでございます。

 このため、この度の推薦書の暫定版の提出に当たりましては、まずは、末松前大臣に引き続きまして、私も、もう既に現地を訪問いたしまして、新潟県知事、佐渡市長としっかりと連携を確認をしまして推薦書の準備を進めたほか、また、暫定版の提出の機会を最大限生かしまして、推薦書の記載方法などにつきまして、必要に応じてユネスコに確認を行うなどの対応を行ってきているところでございます。

 今後も、新潟県、そして佐渡市や関係省庁と連携をいたしまして準備を進めてまいりますが、来年二月一日までの推薦書の正式版の提出に向けまして、万全を期してまいりたいと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 そして、登録の可否を判断する世界遺産委員会は、今、現時点でロシアが議長国のため、開かれていない状況です。

 今後の予定が見通せず、予断を許さない状況ですけれども、この点、日本政府として最新の対応状況をお聞かせください。

武井副大臣 お答えをいたします。

 十一月の二十三日、これは日本時間でございますけれども、ユネスコの事務局より、ユネスコ代表部ロシア常駐代表が、その任期、ですから、ユネスコの代表部の任期を終了すると同時に世界遺産委員会の議長の職務も辞任をする、辞任をしたという旨の同議長発の世界遺産委員国への書簡の共有があったところでございます。

 我が国といたしましては、従来より、ロシアの議長の下で世界遺産委員会を開催することは容認できないという立場でございましたので、その趣旨でほかの世界遺産の委員国とも連携して対応してきたところでございますが、引き続き、このような状況にもなりましたが、これを踏まえまして、世界遺産委員会の正常化に取り組んでまいる所存でございます。

梅谷委員 ありがとうございました。

 それでは、本題の法案質疑に移らせていただきます。

 質疑の機会をいただいたものですから、私、見たこともないところを質問するのもあれかなと思って、機構を見てまいりました。小平と、そして竹橋オフィスに行って、本当に丁寧な御対応をいただきまして、いろいろお話を聞かせていただきました。

 現場からは、これから文科省の示す基本指針、これに従って考えていきたいといったお話でして、具体的なことはこれからになるということでございました。

 そこでお尋ねしたいんですが、本法案が掲げる、理系の人材を大幅に上げていく、増やしていく、そして、そのために大学に対する予算を拡充をしていく、支援していく、これは私は大賛成なんですね。そして、あわせてまた、法案審議の段階で、政令とか省令とか規則とか、そういう細則がまだ示されていないということが通例であるということも私、存じ上げています、理解はしています。ただ、単年度の事業ならばともかく、複数年にわたり、そして、多額の予算がどんとつけられる、こうなったときにも、基金の実際の運用というのはこの基本指針次第になってくるんですね。

 これから、この内容は策定した後だというふうになってくると、審議の段階で基本指針の具体的内容が明らかでなければ、国会は基金の使い方を事実上白紙で文科省に委任するに等しいのではないかと私は考えていますし、また、法案成立後に、文科省のさじ加減でいかようにも運用し得る状態になってしまうのではないかと私は強く懸念をしています。

 今後、基金を積み、中長期に事業を実施するような法案については、事前に基本指針案も準備をしていただく、そして、それを我々に示した上で国会審議に臨むことを強く求めますが、いかがでしょうか。

 外務副大臣は、済みません、ありがとうございました。

永岡国務大臣 今の梅谷委員の御指摘、ちゃんと、しっかりと受け止めさせていただいております。

 しかしながら、今回の法案でございますが、基本方針の具体的な内容といたしましては、現時点では、助成対象となります分野としては、デジタル化の加速度的な進展ですとか脱炭素の世界的な潮流を踏まえ、デジタル、グリーン等とすることですとか、あとは、助成対象の選定方法に関する基本的な事項といたしましては、高度専門人材の育成という政策目的を実現する観点から、有識者会議による審査を経ること、そして、助成金の交付方法に関します基本的な事項としては、複数年度にわたる助成を行うことや助成の効果をフォローアップすることを定めることを考えているわけでございます。

 基本指針の策定に当たりましては、国会審議での御指摘も踏まえまして、しっかりと検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

梅谷委員 国会審議を通じてということですけれども、でも、この間、いろいろと指摘があったように、本当にこれが補正になじむのか、そして、これを基金として扱うことはどうなのか、いわば、このことは財政法二十九条に違反するのではないかという疑いも示されたり、また、財政規律をゆがめかねない、そういう指摘もあるわけでして、だから、こういう基本指針を、私は、今後は、こういう形でやられるのであれば、しっかりと案をこの場で提示をしていただいて、そこでの国会審議を通じて堂々とやっていただくことが筋道なのかなと思います。

 ゆめゆめ国民から、我々の税金が、私たちの税金がつかみ金のごとく扱われているんじゃないかという疑念が生じない対応を是非強く期待をします。

 次に、このペーパーを見ると、この基金による学部再編等による特定成長分野への転換等支援、ここの支援対象には国立大学は含まれていないんですね。

 そこで、資料を御覧いただきたいんですが、これは世界大学ランキングにおける日本の大学の順位です。これを見ると、世界の中で、国立大学がどんどんどんどん少なくなってきて、ランキング入りしているのが、国公立が。そして、国立大学は、二〇二〇年の順位でいうと、筑波と広島大学だけなんです。二校のみ。

 文科省が取りまとめた国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議というものの報告でも、「国立大学を巡る状況についても、近年、欧米のトップ大学はもとよりアジアの主要大学と比べても、研究力低下や頭脳流出などが懸念されている。」と言及されています。

 日本経済や地域社会が必要とする高度人材の育成、供給という観点でも、地方を含めた国立大学は期待される役割を果たし切れていないというのが我が国の現状だと私は受け止めております。

 そこでお尋ねします。

 国立大学は私立大学とは今回、一線を画すのではなくて、国立大学も同じ土俵で審査を受け、そして助成金を受けられるようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 先生おっしゃること、当然かと思っております。

 理系を専攻します学生割合は、国立大学全体では五割を超えている一方で、私立、公立大学では割合が低い状態にあることから、学部再編等によります特定成長分野への転換等支援においては、私立、公立大学を対象とすることを一応考えてはおります。

 一方で、国立大学につきましては、第四期中期目標期間の初年度であります令和四年度の運営費交付金におきまして、意欲的な教育研究組織の改革を重点的に支援をすることとしているわけでございます。

 加えまして、現在御審議いただいております令和四年度の二次補正予算案では、地方国立大学を含め、研究力向上に向けて意欲的に取り組む地域の中核、特色のある研究大学を支援をするための予算を計上したところでございます。

 こうした施策を総合的に進めることによりまして、地方国立大学に対しても、しっかりと支援ができるように努めてまいります。

梅谷委員 ありがとうございます。

 私の問題意識なんですけれども、十兆円ファンドも始まるじゃないですか。そして、これはあくまでもトップ数校にすぎないわけなんですね。そして、そこから外れる地方の国立大学というのが今回、基金による支援を受けられないとなると、ややもすれば、都市と地方の格差、そして大学の規模間の格差というものがますます拡大しかねないのではないか。そして、地方国立大学は改革から取り残されるとまでは言いたくないけれども、考えたくないですが、そして、ゆえに地方の地盤沈下に直結しかねないのではないかと強く危惧をしているんです。

 特に、地方における国立大学というものの存在は非常に中核的存在でして、大きいということもありますから、だから、国立大学も私立と同じ土俵で審査を受け、そして助成金を受けられるようにすべきだし、仮にそれが認められないとしたら、改革に取り組む意欲のある地方国立大学に対しては、この基金と同様の運営費交付金を積み増す、財源をきちんと用意するなど、地域間格差、規模間格差に配慮した対応を用意するべきと考えますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 委員、今お話し申し上げましたように、国立大学につきましては、第四期の中期目標期間の初年度でございます令和四年度の運営費交付金におきまして、意欲的な教育研究組織の改革を重点的に支援をすることとしておりますし、また、加えまして、現在審議をしていただいております令和四年度の第二次補正予算案では、地方大学を含めまして、研究力向上に向けて意欲的に取り組む地域の中核、特色のある研究大学を支援をするための予算を計上しておりますので、しっかりと支援ができるように努めてまいります。

梅谷委員 時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、是非配慮をお願いしたいですし、この後、実は二問、教育学部も、教える側として、中等教育に対してもきちんと人材に関わっているわけですから、この点も助成の対象に含むべきでありという質問、そして、女性の更なる、数値目標でしっかりと基本指針の中でも目標を設けるべきではないか、この二問を用意しておりましたが、時間が来ましたので、これにて終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 法案質疑を始めさせていただきたいと思います。今まで、私、最後ですけれども、ずっと同じ質問が続いていたかと思います。あえて同じ質問をさせていただきます。

 文部科学大臣にお尋ねいたします。補正予算とは何か、お答えください。

永岡国務大臣 堀場委員にお答えいたします。

 補正予算の要件につきましては、財政法第二十九条に定められておりまして、予算作成後に生じた事由に基づきまして特に緊要となった経費の支出を行うために必要な予算の追加を行う場合などに補正予算を作成をいたしまして、国会に提出することができるということになっております。

堀場委員 ありがとうございます。

 基金というものは、数年にわたり執行されるものであり、緊要性がなく、需要の喚起につながりません。このようなものを補正予算で行うことの妥当性についてお答えください。

永岡国務大臣 文部科学省といたしましては、今年五月の教育未来創造会議の提言に対応すべく、令和五年度の概算要求に百億円を計上いたしましたが、その後、全国知事会、また経済団体からも、早急な実現を求める要望をいただいたことなどを踏まえまして、今回の補正予算での対応となりました。その際、意欲のある大学そして高専が数年後も支援の枠組みが存在していることを前提に改革に踏み切れるよう、安定的に、また効率的に複数年度にわたる支援を行う仕組みを構築するための基金、これを創設することになったわけでございます。

 この事業では十年間の公募を想定をしておりまして、概算要求では単年度の必要な額を計上していたところでございますが、補正予算案におきましては、後年度にかけて積み重なっていきます支援件数や必要な額を踏まえた複数年度の財源として、三千二億円を計上したところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 この法案が本予算で提示されていれば、多分、ここにいる皆さん、誰もこんなにしつこく反対することはなかったんだと思うんですね。

 もし本当に緊要性という意味でいうならば、今、宗教二世の皆さん、例えば虐待に遭っているという方々、こういった方々に対する支援、例えば、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールローヤーといった皆さんを投入する、あえてここで増やすというような予算があるとか、そういった様々なことができたと思うんですね。

 基金の創設や積み増しというので、文科の補正予算の中で、足し算をさせていただきますと、九千四百十二億ですね。大体六五%ぐらい文科の中であるのかなと、足すとそうなるんですが、いや、これは一体何だろうと。

 緊要性のある事案というのは、今たくさん起こっているわけですね。学校の中でもそうです。例えば、子供たちは、マスクが怖いと言っている、外すのが怖いと言っている、マスクをしているのも怖いと言っている。こういった子供たちの心のケアの問題はどうするのか。

 このコロナ禍で、子供たちは非常に厳しい環境にありました。例えば学校がお休みになったり、例えば行事ができなくなったり、様々なことを抱えました。やはり集団でいることって大事だよね、だったら、工夫するのにお金が必要だよね、そういった考え方に至ってもよかったのではないかと思っています。

 しかし、今この補正予算を見させていただくと、GIGAスクール構想、こんなのはずっと前から言っています。耐震補強、うちの早坂議員もやっていましたけれども、前から分かっています。そういったものがこの補正予算に入っていて、何で、今、現場で必要な、子供たちにとって必要な補正予算が入らなかったのかなというところが本当に悔しいなというふうに思っているところです。

 現場を見たら、まだまだお金が必要な、人手が必要なところがいっぱいありますので、そういったところにも是非心を配っていただきまして、補正の予算、つまり緊要性が高い予算を作っていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 皆さんたくさんやられたので、ちょっとこの辺にさせていただこうかなと思います。

 一方で、この法案ですが、成長分野を牽引する大学、高専の機能強化に向けた基金による継続的な支援を理由で改正案が出ているということですね。これ自体は非常に重要だと認識しております。

 夏に、実は、文科ではなかったんですが、内閣委員会の方で視察に行かせていただきまして、森山さんも御一緒だったんですけれども、長崎の方に行かせていただきました。半導体を作ってやったり、シリコンウェハー、そういったものをやっている現場を見させていただいた際にも、やはり、そういう工場を国内回帰で、メイド・イン・ジャパンをやっていくためにはこういう工場で働く人たちが必要ですというお話は頂戴していました。なので、大学もそうですけれども、主に高専での理系の人材の育成というものは非常に重要になってくる、人材育成から企業の支援、立地、インフラ整備、そこを全部一体となってやることで経済安全保障上の課題を解決していきたいというような力強いお話を頂戴しました。

 こういった観点からも、高専そして大学の理系人材の育成が今後の日本にとって非常に重要だと考えているところでございます。だからこそ、この法案自体に対して私たち日本維新の会は是非賛成していきたいなと思っていたので、なおさら、なぜ本予算じゃなかったのかというところでございます。

 この法案というものは、十月二十八日に閣議決定された物価高騰の克服、経済再生の実現のための総合経済対策第二章、経済の再生に向けた具体的施策の中で、人への投資の抜本強化と成長分野への労働移動、構造的賃上げに向けた一体改革の中で示されたと認識しております。しかし、この労働移動を進めていくにもかかわらず、現状として、解雇規制、そして失業保険等々の課題があるかと思っております。

 厚生労働省にお尋ねいたします。

 そもそも労働移動を促進していると思いますが、現状はどうなっているか、お答えください。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 円滑な労働移動を推進することは、構造的賃上げにつながる好循環を生み出すための鍵となるものであり、希望する労働者が主体的に安心して労働移動できるよう支援していくことが重要と考えております。そのため、先般策定された経済対策などに基づき、労働者の学び直しの支援策の充実や、賃上げを伴う労働移動の円滑化などに取り組んでいくことにしております。

 具体的に申しますと、労働者の学び直しの支援策として、労働者が主体的に教育訓練を修了した場合の費用の一部を支給する教育訓練給付の対象講座の拡充などを行うとともに、賃金上昇を伴う円滑な労働移動のための支援策として、より高い賃金で新しい人を雇い入れる企業の取組支援や、職業情報提供サイト、日本O―NETの整備を始めとした労働市場の見える化などに取り組んでおります。

堀場委員 ありがとうございます。

 労働移動、そして労働の流動化というものを促進するということだと思うのですけれども、解雇規制や失業保険、自己都合で退職したときに制限があるかと思いますけれども、こういったものを変えることなく、労働の流動性を高めることができるのかどうか。

 私たち日本維新の会は労働の流動性を言わせていただいておりますけれども、やはり、解雇するルールがしっかりと決まらないということは、会社の中でいじめが起こったりするわけですよね。何か窓際族とか、端っこに行って、あなた、新聞を読んでいればいいですよみたいな、そういったことになって、それで嫌な気持ちになって、心が病んで、やっと辞めていく、こういったものをつくり出しているのが今の解雇規制だと思っているんです。

 この解雇規制や失業保険の、自己都合で退職した場合の制限、こういったものと、今回の労働の移動の考え方が矛盾していると思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 解雇ルールの在り方について、多くの労働者が賃金によって生計を立てていることなどを踏まえ、企業の雇用慣行や人事労務管理の在り方とともに併せ、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であると考えております。

 また、雇用保険制度では、自己都合による離職者について、繰り返し基本手当を受給することを防止し、適正な支給を確保する観点から、二か月の給付制限期間を設けているところであり、この給付制限期間の見直しなどについては、慎重な検討が必要であると考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 それではなかなか移動ができませんよねというお話をしているところでございます。やはり、労働の流動性の問題は、何度も何度も質疑もほかのところでもさせていただいているところでございますので、是非前向きに考えていただいて、やはり、働きやすい環境をより目指していくことが自由にできる、そういった環境整備について取り組んでいただきたいなと思います。

 畦元政務官、ありがとうございました。

 次に、理工系の学部の学生数を増やす方法について、文部科学大臣にお尋ねいたします。

 どうやって増やしていけばいいのか。私自身は、理工系の人材を増やすには、小学校、中学校の指導が重要だと考えております。

 先ほど、中学校から高校に、なかなか、分からないと言っている人が行けないよねというお話がありました。私自身は、中学校の三年生の段階で理工系を選択しないということは、結構の確率で数学が苦手な場合、理科が苦手な場合が多いと思います。正負の数が分からないとなかなか一次関数が分かりません。一次関数ができないと連立方程式ができなくて、連立方程式ができないと二次方程式ができない。そうしたら、高校に行って三角関数ができないですよね。

 こういったことを考えると、数学というのはつながっている、なので、次の選択をするのが非常に難しいんじゃないかというようなことが先ほどのことであるんですが、私自身は、もうちょっと小学校、中学校が重要だと考えているんですけれども、文部科学大臣の御見解をお願いいたします。

永岡国務大臣 堀場議員御指摘のとおり、理工系の学部の学生数を増やすためには、やはり、何といっても、初等中等教育段階から理数教育を充実していくことも重要である、そう考えております。

 このため、見通しを持って観察それから実験などを行うことを通じまして、科学的に探究をする学習活動を充実することや、理科、数学、算数を学ぶことの意義ですとか有用性を実感し、興味、関心を高める観点から、日常生活や社会との関係を重視をするといった考え方に立ちまして、今回の学習指導要領の改訂を行ったところでございます。

 また、こうした教育活動を支えるために、実験器具などの物的な環境の整備ですとか、あと、観察実験のアシスタントの配置に係ります支援などを行っております。

 さらに、スーパーサイエンスハイスクール、これは全国で二百十七校ございますけれども、支援事業も行いまして、先進的な理数系の教育の支援なども行うなど、文部科学省といたしましては、様々な支援策を通じまして、科学技術への興味、関心が高まるように、初等中等教育段階における理数教育を充実させているところでございます。

堀場委員 小学校の低学年というのは、生活科というものに今はなっています。やはり、生活の中でどんなものがあるのかな、そういうふうに興味、関心を持って、子供たちは本当に楽しそうにやっているところでございます。

 そして、三年生とか四年生になってくると、例えば、私自身は社会科の教員免許があるんですけれども、そうすると、三年生は身近なところ、探検隊みたいな感じですね。三年生がそれだと、四年生はもう少し大きい基礎自治体。そして、五年生になったら日本全国の地理を学ぶ。そして、六年生になったら世界の中での日本、若しくは歴史、そして国の在り方、公民ですね、こういったことを六年生で学ぶというように、自分の身近からだんだん広がっていくということで、非常に興味、関心というのを持たせていく、そしてまた、それを振り返ってまたやっていくという横断的な勉強というのはできるんですけれども、理科という科目に関しては本当に難しいんじゃないかなというのは、私自身は感じているところです。

 四領域、これはちょっと私、衝撃を受けました。四領域を、文部科学省さんに何ですかと聞かれましたけれども、物理、生物、化学、地学、この四つの領域に関して、横につなげることは非常に難しいですし、縦の学びを、三年生でこれをやって、四年生でこれをやってというのは、ちょっとずつしかやらないんですね。ということは、つなげるのが非常に難しくなってきます。

 というのは、今大臣おっしゃいました、アシスタントの方を入れる、物的なものを入れる、これももちろん大事なんですけれども、三年生あたりから、本当に理科というものに関してもうちょっとしっかり考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えています。

 小学校の教員は、教育学部において、理科の四領域全てを専門的に学んでいるわけではないと思います。そして、中学校の教員も、例えば物理を大学で専攻していた、だけれども中学校に来たら生物も教える、化学も教える、そういった形になってきます。そうすると、理科の先生にとっては、得意な分野と得意じゃない分野がどうしても発生してしまうというのが中学校での課題です。小学校は、理科について専門的ではないという課題です。高学年に関しては、今、専科になりつつありますけれども、私は、小学校の三年生あたりから、先生のために、理科専科というものが必要なんじゃないかなというふうに考えています。

 なかなか、文部科学省さんの課題として、定数の見直しというのができないんですが、定数と配置の見直しが必要だと思っていますけれども、御見解をお願いします。

永岡国務大臣 堀場委員に大変重要なことを教えていただき、また、認識が一致するなという思いでいっぱいでございます。

 先生おっしゃいますように、理数教育の充実を図るためには、早期からの専門的な教科指導の実施が重要でありますし、また、こうした観点から、小学校高学年におきます教科担任制の取組を推進をしているところでございます。令和四年度から四年程度かけまして段階的に取組を推進をしておりますが、その間の教員定数の改善総数、これは三千八百人程度と見込んでいるわけでございます。

 こうした定数の活用に当たりましては、中学校の免許状の保有者など、専門性を有します教師を中心に配置をすることとしております。また、教職課程におきましても、小中学校の教員免許状を同時に取得しやすい環境の整備を更に進めていきたいと考えているところでございます。

 引き続きまして、理数教育の充実を含めまして、教育の質の向上、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るために、教職員定数の改善に取り組んでまいる所存でございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 理科の実験って結構大変で、担任の先生が準備にかかり切っちゃうと、例えばビーカー一つ洗ったり、いろいろあるわけですよね。そういったものもなかなか準備が大変なので、理科支援員さんというのは比較的多くの学校が導入しているのかなというふうに思います。特に小学校においては多く見られる支援員さんかなというふうに思っております。

 ただ、やはり、専門的な先生に面白く、楽しく、体験的に学ぶ、これが非常に重要だと思います。主体的で対話的で深い学び、これはやはり、新学習指導要領でやってきた大事な大事なメッセージなんだと思っています。

 そして、これが理科教育、アンケートにもありましたけれども、自分で実験結果を想像して、自分で計画を立ててやった場合は理科の成績がよくなる、興味を持つことができる、好きだと答える人が高い。当たり前なんですよね。だって、自分でやったことが実際に目の前で証明されて、あっ、違ったんだということもそう、あっ、こうだったんだということもそう。つまり、そういった、何かすごい、ああ、そうかというような経験をどれだけ積むかというのが、実はこの日本の全体を支える大きな一つの力になるというふうに思っています。なので、一つ一つはとてもちっちゃなことかもしれませんが、子供たちの自分で発見した喜びというものを是非是非重要視した施策を続けていただきたいなと思っております。

 四番目の質問に行きたいと思います。文系科目の重要性というものをお話しさせていただきたいと思います。

 私自身は文系の人間でございますので、先ほども社会科と言っていましたけれども、地歴、公民の分野でございます。ですので文系を取得していたんですけれども、大学院に行ったときに、先生が、今の時代は駄目だ、総合的に勉強しろということで、環境について語るなら科学もやりなさいというような非常に厳しい先生でしたので、そういったところにいました。

 ですので、今の時代に理工系の学びだけでは実はうまくいかないことがあるのではないかな。例えば、論文を書く能力もそうですし、それをプレゼンテーションする能力もそうだと思います。

 文系科目についてはどのようになっているか。一般教養を超えて横断的な研究ができるような環境が必要だと思いますが、文部科学大臣の御見解をお願いいたします。

永岡国務大臣 先生も、教員、大学院にいらっしゃるときは、大分、先生の御指導によって勉強なさったんだなというのは、今ちょっと感じさせていただきました。

 大学設置基準の第十九条では、教育課程の編成に当たりまして、幅広い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならないと規定されておりまして、各大学では、人文・社会科学を含めた幅広い内容の教育が行われております。

 また、予測不可能な時代におきまして、文理の壁を超えた普遍的知識、そして能力を備えた人材の育成が求められておりまして、人文・社会科学の厚みのある知の集積を図るとともに、自然科学の知との融合によりまして総合知の創出、活用を図っていくことが極めて重要と考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、文理横断などの学修の幅を広げる教育プログラムの構築や、地域、大学間での連携によりますSTEAM教育を基盤といたしました教育プログラムの構築に取り組む大学を支援をしているところでございます。

 引き続きまして、大学における人文・社会科学を含めました幅広い分野の教育の振興ですとか、総合知の創出、活用に向けた文理横断教育の推進に取り組んでまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 今、小学校、中学校、高校と来て、そして大学の話をさせていただいておりますけれども、こうやって少しずつ、理系という人材ではなくて、理系のことができる人材、つまり、文系が好きでも理系の理解が深まっている人材がこれからの日本を引っ張っていく、そういった人になるのかなというふうに思います。デジタル的な知識もそうですけれども、それ以外にも様々な、物理的なもの、化学的なもの、そういったものに対する知識というのは非常に重要だと思っております。

 そもそも、新学習指導要領というものが示されたというのは、大学の入試改革に発端しているというふうに認識しています。一方で、大学での学びこそが主体的で対話的で深い学びであるべきだと思っております。そういった研究が、自分からやりたいと思う研究ができる環境整備というのが最も必要なことだと思います。

 この大学での取組について教えてください。

永岡国務大臣 今、委員がお話ししていただいている間、思い切り、こっくりこっくりうなずかせていただきましたけれども、本当に、すごく感激しておりまして、今、そうだそうだと思いながら聞いておりまして、寝ていたんじゃないですよ、うんうんとうなずいていたということです。

 高等教育段階におきましては、何を教えたかではなく、学生が何を学び、そして身につけることができたのかという学修者本位の教育へと転換を図るために、令和二年一月に教学マネジメント指針を策定をいたしまして、周知をしているところでございます。

 同指針におきましては、教育課程の再編に当たり、密度の濃い主体的な学修を可能とするための授業科目の精選でございますとか統合や、履修可能な授業科目数の上限の設定、また、少人数の能動的学修の指導等によります、考える、話す、行動するなどの多様な学びをもたらす工夫などに取り組むことが求められているわけでございます。

 引き続きまして、同指針を踏まえた大学教育の質的転換を促してまいります。

堀場委員 ありがとうございます。ちょっとびっくりしてしまいました。目が細いのかと思ってしまったんですけれども。

 私ども日本維新の会としても、経済安全保障の際にはこういった人材が必要だということは、非常に強く考えさせていただいております。昨日の予算委員会でうちの馬場代表が、メイド・イン・ジャパンを、国内回帰をやっていきたいというふうに言っていたところでございます。そういったところから考えると、私たちが今どういう人材を求めているのかというものを明確に示す必要があると思っています。

 新学習指導要領というのは、やはりこれからの日本のグランドデザインをしっかりと提示しているという点において私はすばらしいなと思っておりますので、是非、これからも、理系の人材をしっかりと育てていける、そういった仕組みをつくっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

宮内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改定する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、デジタル、グリーン等の成長分野などに今後人材不足が生じるとの見込みから、主に私立大学を対象に、理工系学部への学部再編等による転換を財政的に支援するものです。

 理工系学部の拡大は、教育未来創造会議の第一次提言に示されたものです。第一次提言では、成長分野への大学等再編促進として、再編に向けた初期投資や開設年度からの継続的な支援をすることとしています。その一方、設置認可の審査の厳格化など、大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備、定員割れ大学に対するペナルティーの強化などの、私学助成に関する全体の構造的見直し、修学支援新制度の対象外となる大学の拡大など、計画的な規模縮小、撤退等も含む経営指導の徹底、修学支援新制度の機関要件の厳格化も求めています。

 すなわち、経営が困難とされる地方や中小の私学の早期撤退の促進を進めようとするものにほかなりません。これは、多くの私立大学が担っている文系学部の再編縮小を進める文系潰し、私大潰しであり、断じて認められません。

 一方で、大学設置に係る規制の大胆な緩和として大学設置基準が本年十月に改定され、必要な教員数、校地、校舎の面積などの基準を引き下げる規制緩和が実施されました。これでは教育研究機関としての条件整備が不十分な学部が増える可能性があり、学部の粗製乱造になりかねません。その上で、助成を受けるためには、従来行われている学部の設置審査に加え、政府が定める基本方針に従う必要があります。経済成長が見込めると政府が認める学問分野に適合しているかどうかを審査することは、学術の中心である大学を国家、産業界に従属させるものです。

 地域のニーズに応じて多様な教育研究を展開している大学を守り、教育研究の質を保障するためには、選択と集中政策の失敗を反省し、運営費交付金や経常費補助金といった基盤的経費の抜本的増額こそ問題解決の大道であるということを申し上げ、討論を終わります。

宮内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村裕之君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。

 自由民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、立憲民主党・無所属を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 令和四年度第二次補正予算関連である本法の緊要性を踏まえ、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構における基金の創設を速やかに進め、高度専門人材の育成を担う大学等が予見可能性をもって成長分野への学部再編等に取り組むための環境整備に早急に着手すること。

 二 今般新たに創設される基金については、多額の国費を中心とした複数年度にわたる支援であることを踏まえ、基金の適正な執行や助成業務の実施状況等について、国会への報告を通じ高い透明性を確保すること。また、基金の活用を通じた大学等の学部再編等の結果として、我が国の成長や社会の発展に寄与しうる分野の高度専門人材の育成状況等について調査・検証を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 三 文部科学大臣が定める基本指針において、助成金の交付対象となる教育研究の分野や選定方法等を定めるに当たっては、適切な大学等に助成されるよう有識者の意見を十分に踏まえた上で公平性・公正性が確保された基準とすること。その際、定員未充足が継続するなど経営に過度に課題のある大学等に措置されることのないよう、適正な選定方法の在り方に留意すること。

 四 今般新たに創設される基金は成長分野をけん引する高度専門人材の育成を目的とするものであることを踏まえ、基金において支援する大学等の学部再編等に加え、質の高い教員の確保や教員一人当たりの学生数の改善などを通じ、学生が主体的な学修を実現するための適正な教育環境を整備するとともに、企業や地域におけるリカレント教育の促進など、高度専門人材の育成に向けた各種施策の総合的な推進を図ること。

 五 量子コンピュータや人工知能など先端分野における国際競争の激化に伴い、科学技術の研究・開発やデータサイエンス分野等に係る人材が求められる現状を踏まえ、高等教育段階の理系人材を量的・質的に確保し研究力の強化を図る観点から、初等中等教育段階における自然科学に対する興味と志向の醸成に努めること。

 六 大学等の学部再編等に助成する基金の創設のみならず、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助金及び独立行政法人国立高等専門学校機構運営費交付金に係る基盤的経費や競争的研究費などの大学・高等専門学校への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学等の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。

 七 我が国が成長・発展を持続するためには、未来への先行投資である教育の充実が何よりも重要であることに鑑み、次世代を担う子供たちが等しく教育を受ける機会を得られるよう引き続き教育費の負担軽減を図るとともに、必要な教育予算の確保に一層努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

宮内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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