衆議院

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第6号 令和4年12月22日(木曜日)

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令和四年十二月二十二日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      泉田 裕彦君    上杉謙太郎君

      勝目  康君    塩崎 彰久君

      柴山 昌彦君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      谷川 弥一君    辻  清人君

      中曽根康隆君    古川 直季君

      穂坂  泰君    三谷 英弘君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      吉川  元君    金村 龍那君

      高橋 英明君    藤巻 健太君

      平林  晃君    山崎 正恭君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         西條 正明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十二日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     塩崎 彰久君

  丹羽 秀樹君     鈴木 隼人君

  船田  元君     泉田 裕彦君

  早坂  敦君     藤巻 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     船田  元君

  塩崎 彰久君     中曽根康隆君

  鈴木 隼人君     丹羽 秀樹君

  藤巻 健太君     早坂  敦君

    ―――――――――――――

十二月十日

 一、文部科学行政の基本施策に関する件

 二、生涯学習に関する件

 三、学校教育に関する件

 四、科学技術及び学術の振興に関する件

 五、科学技術の研究開発に関する件

 六、文化芸術、スポーツ及び青少年に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官西條正明君、消費者庁審議官植田広信君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局長池田貴城君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長森晃憲君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長杉浦久弘君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官野村知司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。穂坂泰君。

穂坂委員 自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、このような質問の機会をいただきましたこと、委員長、理事の皆様、そして同僚議員に心から感謝を申し上げます。

 早速ですが、本日、奨学金についての御質問をさせていただければと思います。

 かねてより、子供の教育については、その機会については本当に平等であるべきだ、勉強したい、学びたい、そういった子にはやはり機会を平等に与えていくこと、これは社会の責任でもありますし、日本はそうあるべきだというふうに思っております。経済的な理由によって諦める子がいるという話、これをやはり何とかしていかなければいけないという中で、一つのデータでありますが、やはり、大卒と高卒、年収が大きく変わってくる、男性では五千六百三十万円、女性では六千五百万円、生涯年収で変わってくるというデータも今出ているところであります。

 そんな中で、国の方としては、令和二年四月から、給付型奨学金、この制度を取っていただきました。すばらしい制度であるというふうに思っておりますが、いろいろな声を聞きますと、やはり、住民税非課税世帯、そして、四人家族、本人十八歳、父、母で、また中学生の弟、妹がいて、第二区分が三百万円、そして第三区分が三百八十万円という年収基準があるという形になっています。この年収の区分を是非上げていただきたい、そんな声も出ております。また、この給付金の額についても、授業料の減免、給付型奨学金、これを受けたとしても、やはり、バイト、働かなければいけない、そんなような声も聞いているところであります。

 そんな中で、骨太方針、経済財政運営と改革の基本方針二〇二二で、「給付型奨学金と授業料減免を、必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する。」こういうふうに書いていただきました。

 そういった状況を踏まえてなんですが、永岡大臣にお聞きしたいと思うんですが、経済的な理由によって進学に悩んでいる子供たち、こういった子たちをどうお考えか、そしてまた、中間所得層への支援を広げていくとの見解が出ておりますけれども、その方針と、どの程度の拡充を考えているのか、御質問をさせていただきます。

永岡国務大臣 穂坂委員にお答えいたします。

 先生おっしゃいますように、今年六月に骨太方針の二〇二二におきまして、給付型奨学金と授業料等減免を併せて行います高等教育の修学支援の新制度、中間所得層の多子世帯やまた理工農系の学生に対象を拡大する方針が示されました。

 これを受けまして、今年八月から有識者会議におきまして制度設計を検討しております。例えば多子世帯の範囲は扶養する子供が三人以上とするなど、修学支援新制度の見直しについて、十二月の十四日に報告書を取りまとめたところでございます。

 同報告書におきましては、新たな支援区分の具体的な所得基準であるとか支給額につきましては、今後、財源と併せて政府におきまして検討とされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、令和六年度から着実に実行ができるように、早急に政府部内で調整をしてまいりたい、そう考えているところでございます。

穂坂委員 ありがとうございます。

 是非、中間層へどんどん広げていっていただいて、多くの子供たちがそういった経済的な理由によって諦めることがないような、そんな制度をつくっていただきたいというふうに思っています。

 そんな中でも、やはり財源というものも考えていかなければいけないというふうに思っています。

 こちらはデータなんですけれども、教育投資の効果分析に関する調査研究、こういった資料がございまして、これを見たところ、公的教育支出額と、総便益を差し引いた金額、これが三百四十二万円、これぐらい大きな効果が出る。また、公的収益率を見ると、これが七・五%。非常にこの教育投資というものは大きな効果が出るということがこのデータで分かるというふうに思います。

 そして一方で、内閣府の子供の生活状況調査の分析報告書、こういったものがあります。これを見ると、収入水準別の自分が進学したい教育段階、これがあるんですけれども、所得が中央値以上の方というのが、高校まででいいというのが七・七%、そして大学までが、六四・三%行きたい、このようなデータが出ております。一方で、中央値よりも所得水準が低いところなんですけれども、大学に行きたいという子が、先ほどの六四・三からぐっと下がって二八%、そしてまた、高校まででいいと考えているのが、これが七・七%から三二・七%まで上がっていくんです。

 こういったものを見ると、やはり自分の家の生活状況を見て最初から諦めてしまう子がたくさんいるんだろう、そのように思っています。初めから諦めているという子、こういった子も私は掘り出さなければいけないんだろう、そのように思っています。

 ですので、進学を考える段階、小学校、中学校の段階から、やはり、大学に行くにはお金の支援、これは国なり企業なり、いろいろなところがしっかりやってくれるんだ、このようなことを示していくことが非常に重要なのではないか、私はそのように思っております。

 その中で、今回のこの大学等における修学の支援に関する法律、この財源なんですけれども、附則第四条で、これらの財源は、増加する消費税の収入を活用して確保する、このような文言があります。

 この消費税という条項、これはできたときにつけられたものではありますけれども、この公財政教育支出の効果、先ほど言いました一人当たり三百四十二万円、そして総効果額が一兆六千六百七十一億円、これぐらい大きなものとして、やはりここにかけたお金というのは、いっときで流れるものではなく、教育投資として大きなリターンが返ってくるんだというふうに言えます。

 ですので、消費税だけではなく、将来の便益が期待できるための投資であるならば、やはり消費税だけにとらわれなくてもいいな、私はそのように思っております。基金だってあるし、若しくは国債だって考えられるかもしれません。

 文部科学省として、この効果をどう受け止めていくのか、そしてまた、その財源との関係性、どう考えていくのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の調査研究の分析は、大学卒業者一人を輩出するための費用と高等学校卒業者に比べて大学卒業者が公的にもたらす便益について分析したものであると承知しております。教育投資によって大学卒業者を増やすことの効果を示すものであると受け止めております。

 こうしたことや非課税世帯の進学率が低い実態も踏まえ、令和二年度から、先ほどおっしゃったように、真に支援が必要な低所得世帯を対象に、給付型奨学金と授業料等減免を併せて行う高等教育の修学支援新制度を開始したところでございます。

 文部科学省としては、経済的困難により学生等が進学、修学を断念することのないよう、財源と併せた中間層への支援拡大の検討を含め、高等教育の無償化について着実に実施してまいりたいと考えております。

穂坂委員 ありがとうございます。

 消費税のキャップがはめられております。是非、この効果ということを重視していただいて、財源の確保もしっかりと考えていただきたい、そのように思っております。

 やはり教育というものは国がしっかりやっていくんだ、そう思っている国会議員の先生方もたくさんいるというふうに思っております。中間層への拡大も含め、そして、新たな考え方ですけれども、やはりいろいろな選択肢があってもいいというふうに思っています。

 これから大幅な人材不足が出てきます。例えば、医療や介護、そしてデジタル人材、GXの人材も、必要な分野の育成も必要だというふうに思っておりますし、地方の人がどんどんいなくなっていく、こういった現象がある中で、奨学金を使ってその分野に誘導する、そして若しくは、地方自治体の方に、地方への移動を図っていく、こういったことも必要だというふうに思っています。

 であるならば、初めから、大学就学時若しくは資格取得を目指すときから、私はここに働くんだ、そういったことを宣言をすれば奨学金もしっかりと確保ができるんだ、このような制度もつくるべきだろう、そのように思っています。この奨学金制度について、特定の地域への勤務や特定の業種への勤務を特定するのであれば、財源は国費だけではなくて、自治体からの拠出、企業からの拠出、こういった財源をあらゆるところから確保できるのではないか、このように考えており、また、学生の選択肢、これも広がるのではないかと思っております。

 そこで、必要な地域、必要な職種を育成する上で地方自治体からの意見はないか、また、こうした制度を行政でやることについて、勤務地、職種を固定するわけですから、こういったところに法律的な問題はないか、御確認をいただければと思います。お願いします。

西條政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房においては、先生御指摘の医療、介護、デジタルなどの人材も含めまして、若者の地元就職やUIJターンによる地方への定着を促すため、地方公共団体による奨学金返還支援を推進しているところでございます。

 具体的には、返還支援、これを行う地方公共団体に対して特別交付税措置による支援を行う、また、内閣官房のポータルサイトによる広報、周知などを行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携して、施策の一層の充実に取り組んでまいりたいと思います。

 なお、この制度につきましては、あくまで学生さん、また若者の自主的な、これを活用するかどうかというところは自主的なところとなってまいりますので、そういった意味では、こういった制度を活用して、是非、地元への定着、また就職を支援していきたいと考えているところでございます。

穂坂委員 ありがとうございます。

 こういった、地方からの支援があるということは、多分、借りるときにそれをしっかり周知していけば、先が見えたり安心したりするのかなというふうに思いますし、また、企業が肩代わりする、一部支援をする、そういった企業がたくさんあるというふうに聞いております。

 しかしながら、日本学生支援機構のホームページを見て、この企業が支援しますよという欄があるんですけれども、数えると百十二しかないんですね。貸与つきの奨学金を借りている方が四十七万三千人、こういった人数がいる中で、支援する企業、これが百十二となると、やはりまだまだ少ないのかなというふうに思っております。

 是非、奨学金を出しても人を採りたい、こういった分野の人を採りたいという企業が私はたくさんあるのだろうというふうに思っておりますので、是非そういったところの促進も進めていただきたい。やはり、経済的な理由によって諦める、小中学校から、私たちは大学にこういうようなやり方でいけば行けるんだというような希望を是非見させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、済みません、最後の質問に入らせていただきます。

 部活動の地域移行に関しての質問になります。非常に、地元を歩いていると、この部活動の問題、よく取り上げられるので、御質問させていただきます。

 二〇二三年度当初から三年間、これを改革集中期間として、公立中学校の休日の部活動、この指導を段階的に地域に移していく、このようなことがありました。

 今現状、文部科学省の方ではどのような方向性そして取組になっているのか、お聞かせいただければと思います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 少子化の中でも、将来にわたり子供たちがスポーツ、文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保するため、地域の子供は学校を含めた地域で育てるという意識の下、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備を図ることが重要でございます。

 地域クラブ活動は、地域の多様な主体が実施することを想定しておりますが、生徒や保護者の理解を得るとともに、活動方針や生徒に関する情報の共有等を通じまして、学校と連携する必要があるものと考えております。

 今年度第二次補正予算におきまして、地方公共団体の地域スポーツ、文化芸術担当部署や学校担当部署、スポーツ、文化芸術団体、さらには学校等の関係者を集めました協議会を設置するなど、部活動の地域移行の体制構築に係る経費を計上するとともに、来年度に向けまして、地域連携、地域移行に向けました地方公共団体の取組や部活動指導員の配置を支援できるよう、最終的な調整を行っているところでございます。

 また、地域連携、地域移行の進め方などに関しまして、総合的なガイドラインの改定作業も進めておりまして、速やかに公表したいと考えております。

 文部科学省といたしましては、令和五年度からの部活動の地域連携、地域移行の取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

穂坂委員 ありがとうございます。

 私も、保護者として学校に長く関わってまいりました。コミュニティースクール、学校支援協働本部、こういったところにおりました。やはり、地域の課題を解決すると同時に、その地域がまた更に活性化する、そのような視点でも是非取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党、平林晃と申します。

 十月から文科委員会に所属させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 私、大学院修了から昨年三月退職するまで二十六年間、どっぷりと情報工学の分野で大学教員を務めてまいりました。現在も多くの研究者と交流させていただいておりまして、現役時代には存じ上げなかった研究者とも新しく交流させていただいております。

 私が十月十二日に受け取った電子メールも、そういう面識がない若手研究者からのものでありました。送り主は、日本学術振興会、いわゆるJSPSから海外特別研究員としてアメリカのデラウェア大学に派遣をされている大門さんという方でした。

 いわく、現地での急激な物価上昇と円安の進行で、支給される円建ての給与が三〇%程度も目減りして、それがアメリカ政府の貧困ラインに迫る、こんな状況になっているということでありました。こういう短期的な問題の一方で、長期的には支給額が二十年程度変更されていないとか、そういう状況にもあるということでありました。

 これはとても深刻であると思ってすぐに動いたところ、党の科学技術委員会で対応いただけることになり、事務局長をされている新妻参議院議員が、十二月一日の、今月頭の参議院予算委員会で取り上げてくれました。その結果、来年度からの支給額増額の方向性とともに、一時金の支給を近日中に実施する方向で検討していると御答弁をいただきました。

 実は、このやり取りを当事者の皆様が海外からオンタイムで御覧になってくれていました。新年度からの御対応、予測していた部分もあったのですけれども、一時金の支給も検討いただけるとの御答弁に、ワールドカップ以上に盛り上がったというふうに感想をいただいております。

 お声を少し紹介させていただきますと、絶望的な気持ちを持っていたけれども、こういう例もあるということに感銘を受けた、日本の研究者に対する扱いについて希望の持てる内容でとてもうれしい、このような声が、特別研究員だけではなく、海外にいるほかの制度の研究員の後押しにもなっているという声でありまして、今回の御対応が当事者だけではなくて周辺の方にも波動を広げているということであります。

 その上でまず、一時金に関しまして、対応の具体的な内容が、昨日ちょうど当事者の皆様に直接通知されたと伺っております。その内容を確認させていただければと存じます。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 海外特別研究員等に対する一時金の支給につきましては、その実施に向けて、関係機関との最終的な調整などに少し時間を要したところでございますが、御指摘いただきましたとおり、昨日から、当該措置に係る手続を開始したところでございます。

 具体的には、円安や物価高の影響が著しい国への渡航者に対し、状況の確認を行いまして、そして、その各渡航者の渡航日数に応じた一時金を支給するということとしております。

 この度の円安等の影響を大きく受けている対象者の方々に対しまして、可能な限り速やかに一時金を支給できるよう、迅速に手続を進めてまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 派遣日数掛ける二千七百円ということで伺っておりまして、三百六十五日掛ければ九十八万五千円という金額になってまいります。ほぼ、当事者御期待どおりの内容になっているということで、今朝、もうメールが来まして、本当に早速喜びの声が届いておりますので、お伝えをさせていただければというふうに思います。ありがとうございます。

 続いて、来年度以降の御対応の検討状況も御教示いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 海外特別研究員制度の令和五年度概算要求につきましては、渡航者全体の約六割に相当する、特に物価高や円安の影響が著しい大都市圏への渡航者に対しまして、これまでよりも支給額を増額するため、国家公務員等の旅費に関する法律と同様に、支給額の高い、指定都市という単価区分を新たに設ける内容を盛り込んでいるところでございます。目下、政府予算案の最終調整の段階にございますが、必要な予算を確保できるようにしっかりと取り組んでまいります。

 また、制度をよりよくするために、今後とも、最新の実情の把握により一層努めまして、これらも踏まえた課題の検討や必要な改善に取り組んでまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 現状を改善されての御対応をいただけるものと存じます。その上で、帯同家族への御配慮などと併せて、引き続き御検討いただければと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。うなずいていただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと話題が変わりまして、論文の出版費用ということについてお尋ねさせていただければと存じます。

 委員の皆様も御存じかもしれませんが、ネイチャーやサイエンスを始めとする学術雑誌に個々の論文が掲載されるためには、査読という審査に合格した上で、掲載料というものを支払う必要があります。私がいた工学系では、国内誌で十万円前後、海外誌ですとその倍以上という感覚ですけれども、分野によってはもっと高額な分野もあるということであります。

 一方、論文を読むためには、個々の研究者や所属する大学等の研究組織が購読料を支払ってきたわけですけれども、その金額が高額過ぎて払えない、こんな組織も出てまいりました。

 こうしたことが契機となって、そもそも、人類の知の財産である論文を読みたい人はお金を払わずに自由に読めるようにすべきだという新たな流れが生まれてきました。これをオープンアクセス化というふうに呼ばれていることであります。

 オープンアクセスになりますと、出版社は、読む人からはお金がもらえなくなりますので、掲載する人からお金を取る、それを値上げするという傾向が出てきたわけです。

 例えばネイチャー誌では、オンラインアクセスでなければ掲載料はもうほんの数万円とかの安い金額なんですけれども、オンラインアクセスの場合には九千五百ユーロ、百四十円換算にしますと百三十三万円と、こういう大きな金額になってまいります。こうしたそもそもの現地通貨での値上がりと昨今の円安が相まって、日本の研究者を苦しめているという状況があります。

 そもそも、日本、この世界的なオープンアクセス化の流れにも乗り遅れぎみとの指摘もいただいております。

 こうした状況について、政府の認識と今後の対応の検討状況をお伺いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 現在、我が国のみならず世界的な傾向として、オープンアクセス論文に係る出版費用の負担が課題となっておりまして、諸外国においても、論文のオープンアクセス化を求める動きがございます。

 こうした動きの中、我が国では、オープンアクセス論文に係る出版費用は、公的な研究機関の支出は可能としているところでございますけれども、また、論文については、共有、公開するプラットフォームの整備、そういった学術情報のシステム等整備をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、国際的な動向も注視しながら、内閣府とも議論を重ねているところでございまして、その状況を踏まえまして、大学等関係者の意見を聞きながら、更に適切に対応してまいりたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 問題をきちんと認識をしておられ、対応も検討していただいているということであります。

 その上で、諸外国では、国レベルあるいは研究資金助成機関レベル、例えば、日本でいえばJSPSとかJSTとかそういった機関になりますけれども、そういったレベルで出版社と交渉している。個別の大学とかではなくて、そういう大きなレベルで交渉するとよりよい条件で交渉ができるということもございますので、是非そういった配慮も御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 では、最後になりますけれども、ここまでちょっと各論を伺ってまいりましたけれども、最後にちょっと一つ、総論についてお聞きできればと存じます。

 九〇年代半ば頃から現在に至るまでの三十年近く、文部省、当時ですね、文部省あるいは現在文部科学省は、大学に関する様々な政策を実行してこられました。その頂点というべきものが法人化であろうと思いますけれども、それに伴うデュアルサポート政策であると存じます。

 法人化、これは財政投入抑制策でありまして、研究力向上策ではないということであります。だからこそ、埋め合わせのためにデュアルサポートという策が取られてきた。これはデュアルですから、二種類のルートを用いて大学をサポートする。第一は、基盤的経費である運営費交付金ですね。第二は、科研費等々の競争的資金であります。

 このデュアルサポートシステムがなかなかうまく機能してこなかったという指摘が専門家から出されております。私もそのように感じているところがあります。実際、現在の状況として、出版論文数、博士課程学生数の横ばい若しくは低下傾向という現実があったり、あるいは、二〇一四年に、大学ランキング百位以内に十校達成、こんな目標も政府は立てられたわけですけれども、これも残念ながら達成できていないというのも現実であります。

 これらの指標のよしあしも議論の余地があると私は考えますが、こうした現状に至った主要因、これは、私は、政策立案側と大学、教育現場の対話の不足にあると考えております。立案側からは、各種政策の意図が大学現場に必ずしも届いてこなかった。また一方で、政策の実行主体である大学からは、意見が政策立案側に必ずしも届いてこなかった。こうした状況を変革するために、今こそ対話が求められていると考えます。

 実は、こうした意見は、私一人が申し上げていることではありません。冒頭申し上げた海外特別研究員の皆さんも、JSPSとの対話の場を求めておられます。また、本年六月に設立総会が開催された日本科学振興協会、略してJAASと呼んでいますけれども、このJAASの皆さんの提言にも、科研費の改革でありますとか若手のキャリアパス、こういった各論の最後に、政策立案者と現場研究者の対話の必要性を訴えておられます。

 科学技術の現状を改善するための対話の必要性について、文部科学大臣の御認識を伺います。

永岡国務大臣 平林委員にお答えいたします。

 大学の教育研究を進展させるため、政策の実現というものに関しましては、やはり、委員おっしゃいますように、学長や教職員を始め、大学関係者への丁寧な説明であったり対話が大変重要であると考えております。

 このため、大学に関します各種政策の立案、実施等に当たりまして、大学関係者を含む審議会等における議論ですとか、大学の参加する各種の協議会、会議での説明等を通じまして、幹部から担当者に至るまで、様々な意見交換の場を持ちまして、大学関係者との意思疎通に努めているところでございます。しかしながら、御指摘のとおり、大学関係者に政策の趣旨や目的が浸透しておらず、期待された政策効果が上げられていないといった面も、はっきり言ってあるわけでございます。

 今後は、より一層、様々な機会を捉えまして、政策立案段階での意思疎通、そして実施段階におけます周知、説明等の充実、これにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

平林委員 大臣、ありがとうございます。

 実は、私が今申し上げようとしたことの一つが、学長とかトップ研究者だけではなくて、あらゆる立場の研究者と御議論をしていただきたいということが一つと、あともう一つは、政策の立案段階からの課題と方向性、こういったことをしっかりと現場と共有していただく、これが本当に大切だというふうに思っておりまして、このことを申し上げようと思ったら、大臣からほぼそのようなことをお伝えいただきましたので、本当にありがとうございます。

 私の質問は以上となりますけれども、私は、日本の大学の現状を強く憂う一人であります。それでもなお希望は全く捨てていない一人であります。日本全国の大学にもっともっと元気になっていただくために、これからも力を尽くしてまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 以上でございます。大変にありがとうございました。

宮内委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 年内最後の質問、よろしくお願いいたします。

 今日は、伊佐副大臣も厚生労働省から、ありがとうございます。

 永岡大臣に、ちょっと通告の前にこれを聞かなきゃいけないのは本当に残念なんですが、私、大変優秀な議員さんだったと思いますけれども、薗浦健太郎議員が辞職されましたよね。同じ麻生派でいらっしゃいます。

 本当にこの間、山際大臣、葉梨大臣、あるいは寺田大臣、政治と金の問題。まさに今回も、四千万円の収支報告、過少報告ですか。多いねと薗浦さんは言われていましたよね、会見で。これで辞職をされた。

 薗浦さんも、政治不信を招いて申し訳ないということですが、同じ麻生派そして自民党の議員として、永岡大臣、こういう本当に政治不信が続いている状況、今回の薗浦議員の辞職、これをどう受け止めておられますか。お答えをお願いします。

永岡国務大臣 柚木委員にお答えいたします。

 薗浦議員がもう辞められたというお話でございますが、それはニュース等で承知をしているところでございます。

 薗浦さんとは何回もお話ししたこともございまして、大変残念なことだとは思っておりますけれども、やはり薗浦さん自身が、自分が議員を辞めなければいけない、そういう判断でお辞めになられたわけでございますので、私といたしましては、そこに対して意見というものは差し控えさせていただければと思っております。

 しっかりと薗浦さんが説明責任を果たすのが相当かと思っております。

 以上でございます。

柚木委員 薗浦議員がしっかりと説明責任を果たされることが重要だという御見解は、そのとおりなんですね。

 ちょっと私も通告どおりいきたいので、もう一問だけ聞きますけれども、この件。

 本当にこの間も、何か、政治と金の問題、不祥事が起こる、そして離党する、そして幕引き、これじゃ、薗浦議員も辞められた理由の国民の政治不信、これは解消されないと思いますよ。

 これは党として、やはりこういう政治資金の過少報告、こういうことがほかにもないのか、これは政調会長ですか、まさに、襟を正さなきゃいけないということだけじゃなくて、党として、自浄作用を、しっかりと調査をして、こういうことはないということでないと、何か不祥事があったら離党して、はい幕引き、これでは薗浦議員が辞められた政治不信の払拭にならないと思いますが、いかがですか、大臣。そう思いませんか。

永岡国務大臣 確かに、自民党、所属は一緒でございました。しかしながら、私の方が、党からの発信ということで、そのことに対しまして公の場で言う立場にはない、そういうふうに考えております。

柚木委員 これは、是非今後、自民党さんの中でしっかりと、そういう過少報告、四千万円ですからね、裏金にして給与に使っていたとかいう報道が出ていますけれども、そういうことはもうないんだということを国民にやはり自ら、周りから言われてじゃなくて、調査をして、そして公表するということがなかったら、政治不信、薗浦さんが辞めただけでは、離党しただけでは払拭できないということを強く申し上げておきたいと思います。

 通告どおり質問に入ります。

 オリンピックのことも、国民のまさに五輪不信を助長しています。

 会計検査院がまとめた東京五輪・パラリンピック大会の総経費、約一兆七千億です。これは、当初、七千億円台からスタートしているんですからね。二・五倍増ぐらいいって、大会組織委員会の発表よりも二千八百億円も増えているじゃないですか。しかも、総経費のうちの国の費用負担四千六百六十八億円、これも公表額の二・五倍増じゃないですか。

 そうでなくても、この東京五輪をめぐる汚職の公判が今日始まるんでしょう。これも、大会組織委員会の発表より金額が増えたことと併せて、この談合汚職事件、五輪に対するイメージがどんどん悪化してきた。だから、札幌市長さんも、調査し直す、しかも、市民、北海道民に加えて全国の皆さんの意向調査を再実施すると会見で述べたばかりじゃないですか。

 大臣、今回、五輪汚職、入札談合事件に加えて、今回の五輪総経費が大会組織委員会の発表よりも二千八百億円も増えて、国民感情は多分、二〇三〇年札幌五輪の招致に向けても更に悪化したと思いますよ。どう受け止められますか。

 さらに、なぜ二千八百億円も大会組織委員会の発表より大会経費が大幅に増加したんですか。

 そして、ボランティアなどに提供するお弁当が大量廃棄された。コロナ禍で、ホームレスの方が家もなくて路上生活で困っているときに、三十万食廃棄ですよ。こういった点の指摘が会計検査院からも出ていますが、どう受けておりますか。

 それぞれ御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 まず、会計検査院の報告で、大会経費が増加した要因につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の経費につきまして、会計検査院は大会の総経費として約一兆七千億円と集計をしております。組織委員会が六月に公表した額に比べまして二千七百五十一億円多く集計ということになっております。

 これは、国が実施をいたしました大会の機運醸成、成功等に直接資する事業である日本代表選手に対します競技力向上事業ですとか、また、セキュリティー関係、これは関連事業ですね、の平成二十五年から令和三年までの九年分の支出でございます。また、日本スポーツ振興センターが実施をいたしました国立代々木競技場の整備、そして地方自治体への支援などについて、大会の総経費に含めて整理をして集計をしたものでございます。

 そして、札幌の招致に係る受け止めでございますが、二〇三〇年の冬季オリンピックの札幌招致につきましては、現在、札幌市とJOCが共同して、IOCとの継続的な対話を行っているところでございます。今月二十日に、国民の皆様から幅広く理解を得るために、大会運営体制の見直しを行うことなどを表明をしたものと承知をしているところでございます。

 札幌市とJOCにおきましては、スポーツ庁におきまして設置をいたしましたプロジェクトチームで取りまとめる指針を参考にいたしまして、必要な検討を行った上で、札幌市民を始め国民の皆様の支持を得られるよう丁寧に説明をしていくことが大事だと考えているところでございます。

 また、弁当の大量廃棄についての問題でございますけれども、会計検査院の報告書で指摘をされておりました大会ボランティア等への弁当を廃棄をした事案でございますが、組織委員会において原因を分析をいたしまして、大会期間中に改善に取り組んだと承知をしているところでございます。

 このような取組や経験が今後の大会運営の参考として活用されることになるものと考えているところでございます。

 以上です。

柚木委員 これは、これまでもそうやって、五輪のたびごとに、今回だって、コンパクト五輪、フードロスをなくすがこれですからね。これは是非、ちょっと追加質問を今日はしておりますので、その中でも聞きますけれども、本当に、大会運営の見直しの中で、次に挙げる点もしっかりやっていただきたいと思いますが、その前に一つ、国立競技場についても伺いたいんですね。

 九百六十五億円を国が整備負担して、これは五輪の後は民営化予定で、もう既に今頃は民営化されている、そういう予定だった国立競技場は、いまだ民営化どころか事業者選定の見通しも立たず、今も維持管理費に国民の税金が使われ続けているんですよ、今この瞬間も。

 会計検査院の指摘も踏まえて、これは民営化に向けて速やかな事業者選定を、具体的にスケジュールも見直してお示しをいただきたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 国立競技場につきましては、平成二十九年に示されました大会後の運営管理に関する基本的な考え方におきまして、二〇二二年の後半以降に民間事業者による供用開始を目指すこととされているところでございます。

 しかしながら、その後、新型コロナの影響によりまして、東京大会の一年延期、それから民間事業者を取り巻きます経済環境が大きく変化をする中で、当初の予定から変更が生じているところということでございます。大変申し訳ないと思っております。

 国立競技場の運営管理につきましては、民間事業者の創意工夫や知見を生かしまして、可能な限り効率的に行っていく必要があると考えておりまして、民間事業化に向けて早急に手続を進めてまいりたいと考えているところでございます。

柚木委員 コロナ禍の五輪であったことはもう当時分かっていたわけですから、これは是非、経済状況の変化に対応したスキーム、スケジュールの見直し、早急に国民にお示しをください。

 その上で、毎回、小さく産んで大きく育てるじゃないけれども、これは国民の税金ですからね、都民の、あるいは今後北海道もですよ。今後は、オリンピックの招致段階から第三者による監査組織をつくってオリンピック大会への国民の信頼度を高める、そういう必要があると思うんです、さっきの大会運営の見直しも含めて。是非そういう、もう招致段階から第三者による監査組織をつくった上で、国民の理解を得つつ招致運動等もやっていただく、こういう形で是非お願いしたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 オリンピック、パラリンピックの招致につきましては、開催都市とそしてJOCの両者が招致主体といたしまして、御指摘のような点も踏まえて、適切に対応していくべきものと考えているわけでございます。

 今月二十日には、札幌市とJOCが、二〇三〇年冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動につきまして、今後の進め方の見直しを公表したところでございます。また、JOCは現在、スポーツ庁とともに、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、また公正化を図るための指針を策定するプロジェクトチームを立ち上げているところです。札幌市はオブザーバーとしてこのプロジェクトチームに参加をしております。

 このため、今後、プロジェクトチームで取りまとめられる指針を参考にしていただきながら、先生おっしゃいますように、適切に御対応いただけるものと考えているところでございます。

柚木委員 是非主体的に、文科省、スポーツ庁として、この第三者による監査体制をつくりつつ、今後、要は、国際オリンピック委員会の招致基準というのは、圧倒的な世論の支持ですよね。東京五輪ですら七割の支持ですからね、直前。今七割の支持、多分ないですよ、到底。そうじゃないと招致もそもそもできませんので、この第三者による監査組織をしっかりつくってやるということをお願い申し上げ、統一教会の関係の質問に入りたいと思います。

 今日は、宗教二世の小川さゆりさん、この間参議院で意見表明もされた、リアルで今視聴されておりますし、何度もこの委員会でもお越しいただいた全国霊感商法被害対策弁護士連絡会の弁護士さんたちもこの委員会を注視しています。

 なぜならば、まさに新法は成立したけれども、来年一月五日から施行されるけれども、あくまで第一歩で、まだまだ課題もある。そして、もう今や新法は走り出す、せめて、違法な献金で家庭崩壊、家族の自殺、子供はいじめ、学校をやめる、人生むちゃくちゃ、養子に出す、こういう団体を、解散命令を出してほしいと。今、直近で私たちが先日も旧統一教会対策本部で小川さゆりさんや弁連の方の話を伺うと、解散命令を早く出してください、今この瞬間も被害が拡大している、養子に出されている、そういう声なんですよ。

 そこで伺いますけれども、この解散命令の請求に向けて、今まさに質問権行使をやっていますよね。これを旧統一教会は違法だと言って抗議しているんでしょう。養子縁組の質問、十九日に再回答が来て、回答拒否だらけじゃないですか。どこが誠実なんですか。

 この質問権行使が違法だという旧統一教会の主張については、これは文科省としてどう受け止めていらっしゃいますか。

永岡国務大臣 ただいまの御質問でございますが、旧統一教会とのやり取りにつきましては、その有無も含めまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、やはり今回の旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使は、協力者会議におきまして行使の一般的な基準を定めるなどした上で、法令にのっとって、その内容について、有識者から構成されます宗教法人審議会への諮問、了承を得るなどして適正に行っているということでございます。

柚木委員 当然だと思います。

 二問まとめて聞きます。時間がありません。

 今まさに質問権行使から、解散命令の請求を裁判所にする、そういう中で、まさに旧統一教会から様々な、場合によっては回答拒否も含めて、不誠実な、もっと言うと妨害行為が起こり得ると言わざるを得ない中で、これは私も伺うと、この質問権行使を担っている文化庁宗務課というのが文科省のフロアマップから消された、これは事実ですか。

 そして、それくらいの警戒態勢の中で、まさに、来月、解散命令請求も視野に入れた詰めの作業を進めているのではないかと私も認識しておりますが、これは是非、我々は本来、年内とずっと申し上げてきましたが、これは年をまたぐということであれば、確実に解散命令請求をできるだけの証拠を集めて、そろえて、裁判所が解散命令を発令する、こうでなければ、被害者の方々も年を越せませんよ。再質問の回答期限は年明けの一月六日だと聞いておりますので、まあ、せめて一月の中旬、通常国会召集までにはさすがに解散命令の請求を裁判所に行うと、ここで決意を、是非大臣、お示しください。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 今般の旧統一教会に関する対応のために、文化庁の宗務課の体制を強化させていただきました。執務室を新たに整備したものでございますので、庁舎内の案内図におきまして宗務課の位置というものは明示をしないこととしたのは事実でございます。これは、報告徴収、質問権の行使という初めての対応を行うに当たりまして静ひつな環境を確保することが必要との判断からの措置でございます。

 解散命令の請求につきましては、その適否につきまして適正に判断するためにも、引き続き、報告徴収、質問権の行使や、関係者からの情報収集、分析を進めまして、法人の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実を明らかにいたしまして、法律にのっとって必要な対応を行ってまいります。

 そして、十二月の十四日に、旧統一教会に対します二回目の報告徴収、質問権を行使をいたしました。旧統一教会に対しまして、裁判等の関係事項と、いわゆるコンプライアンス宣言の関係事項につきまして、来年一月の六日を提出期限といたしまして報告を求める旨の通知を発出したところでございます。

 今後のスケジュールにつきましては、予断を持って申し上げることは差し控えたいと考えております。

 報告徴収、質問権の効果的な行使を通じまして、法にのっとりまして必要な措置をしっかりと講じていきたいと考えているところでございます。

柚木委員 何としても養子縁組まで行きたいので、ちょっとスピードアップします。

 被害者の救済のために解散命令請求に並行して行うべき対策について、文科大臣と消費者庁に伺います。

 被害者救済には、解散請求に向けた準備と併せて、速やかに財産隠し対策が必要不可欠です。会社法や一般社団法人法には解散請求に伴う保全処分の規定がありますが、宗教法人法には規定がありません。そのため、統一教会は解散請求が行われた後に、容易に、例えば韓国や海外に資産を移すとか、もう既にやっているかもしれません。

 したがって、速やかに宗教法人法を、例えば改正する、保全処分の規定を設ける。このままでは、例えば教団が韓国とか海外に資産を隠したときに、実際問題、返金とかになっても、もうありません。解散命令が出たときに請求しようと思っても、もう財産分配、ジャパンライフの分も二%しか返ってきていませんからね。そういうことにもなりかねませんので、どういう対応をするのか、是非お答えをいただきたい。

 それから、消費者庁には加えて、契約当事者が韓国の団体の場合は、来年五日施行の新法、これは使えないのではないかと思います。この点についてもお答えいただきたいと思います。

 順次、文科大臣と消費者庁、御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 財産の保全につきましては、一般的には、債権者が民事保全手続によりまして行われるものと承知をしております。まずは、個々の被害者の債権を確定させていくことが重要と考えております。

 その上で、宗教法人法の解散命令の請求は所轄庁、利害関係人等ができることとされておりまして、利害関係人には宗教法人に対して債権を有していない信者を含むということは考えられております。

 こうした宗教法人の解散の制度の特性を踏まえますと、解散命令の請求が行われ、それが確定していない段階で財産の保全を求めることができる制度とすることは、宗教活動に対します過度の制限をかけることとなりかねません。また、現行の宗教法人法の前身であります宗教法人令に対しましてもこれは導入されていなかったということでございます。

 したがいまして、旧統一教会の問題への対応といたしまして、宗教法人法に解散命令請求時の財産保全の制度を導入することは考えてはおりません。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしまして、被害者救済につきまして、全国弁連等の、被害者の状況を把握をしている団体等を含めまして、関係機関等としっかり連携をして対応してまいります。

柚木委員 ちょっと、消費者庁が答える前に、伊佐大臣に質問をして、答えてください。伊佐大臣に質問しておきますので。

 消費者庁には、この度成立した旧統一教会被害救済新法が来月五日施行後に、小川さゆりさんら宗教二世や弁護団からも要望が出ている、例えば未成年救済のための特別補助制度、あるいは配慮義務規定の実効性向上、あるいは書面送付制度、あるいは解散命令後の被害救済返金逃れ目的で財産を韓国などに送金させないための財産保全の仕組みの構築などの議論を、私に河野大臣が答えていただいた検討会です、救済新法の見直しに向けたこの検討会の中でしっかり、例えば一月末ぐらいの時点では、運用状況を踏まえて検討いただきたい。

 そしてもう一つは、解散後も宗教法人から宗教団体として残るわけですから、責任、債務がしっかり引き継がれるような仕組みを、これはオウム真理教のときにはオウム被害者救済法が制定されました。何らかの立法措置を講ずることも含めて、検討会での検討をお願いします。

 そして、伊佐副大臣、養子縁組について、旧統一教会への解散命令請求の法令等違反に加わる可能性があるんですね。是非、宗務課が裁判所に解散命令請求を行った場合には、裁判所が今回の養子縁組についても解散命令発令の判断基準に加味できるスピード感を持って、厚労省として、文科省とも十分に意思疎通を図りながら、刑事告発も含めて対応を進めるべきだと考えます。

 以上、御答弁をお願いします。消費者庁から。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の新法、一月五日から施行されますけれども、まずは、被害者がこの制度を利用しやすい環境を早急に整備することに注力し、新たな制度をしっかりと運用していくことが重要であると考えております。

 御指摘の、法施行後の更なる実効性向上のための見直しにつきましては、法律の執行の状況や経済社会情勢の変化などを勘案し、検討してまいりたいと考えております。

 また、御指摘いただきました、当事者が韓国の団体の場合でございますけれども、勧誘行為を国内で行った場合には新法の対象となると考えておりますけれども、その資産が韓国など海外に移転されているような場合には、その回収等には困難が生じることも考えられるというふうに考えておるところでございます。

 また、宗教法人につきましては、宗教法人法に従いまして適切に行われるものと承知しております。

 以上でございます。

伊佐副大臣 旧統一教会におけます養子縁組につきましては、厚労省から既に二回、質問書を発出させていただいて、二回、回答をいただいております。前回と今回の二回分の回答書の内容、また、それ以外にも様々情報が寄せられておりますので、こういうようなものも併せて精査を行いまして、今後取るべき対応の検討を今進めているところでございます。

 いずれにしても、厚労省は養子縁組あっせん法を所管する立場で、この法の適正な運用というのをしっかり図る必要があるというふうに思っておりますので、関係省庁とも連携しながら、速やかに対応してまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 終わるんですが、森山理事が自分の部分で配慮いただけるということで、最後に一つだけ文科大臣に聞かせてください。

 さっき、消費者庁の答弁が非常に不十分なんですよ。通告しているのに、あんなに。宗教法人から宗教団体になっても、オウムのときも、やはり必要な監視体制を取ったんですよ、財産保全も含めて。

 文科大臣、文科省の設置法の中には、十八条の「任務」の中に、「宗教に関する行政事務を適切に行うことを任務とする。」と明記されています。よって、宗教法人が解散されて一般の宗教団体になった場合でも、文化庁が宗教に関する行政事務を適切に行うことを任務とすることに変わりありません。

 したがって、消費者庁に、しっかり、検討会、これは河野大臣が明言されましたから、もう一月中には立ち上げていただいて、しっかりと団体としての、監視と言うと言い方が過ぎるかもしれませんが、今日はできませんでしたけれども、北朝鮮に四千五百億円、核、ミサイル、兵器に送金、援助されている、こういう通告をしていましたけれども、ちょっと外務省の方、ごめんなさい、できないんですよ。しっかりと監視というか注視をいただく、このことを是非、文科大臣、文科省としてもしっかりと団体としての監視も続けていただく、そして債務、責任体制がしっかり継続するように、最後、御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 文部科学省の設置法におきましては、文化庁の任務でございます「宗教に関する行政事務を適切に行うこと」とは、文部科学省の組織令に定めるところの文化庁の宗務課の所掌事務に明らかになっておりまして、具体的には、宗教法人法に基づく事務を執行することなどでございます。このため、宗教団体に関する事務を処理することになってはおりません。

 一方、今後、消費者庁などと、関係省庁におきまして被害者救済の観点などからどのような対応が検討されるかは承知はしておりませんけれども、文部科学省としても可能な範囲で協力をすることは当然のことであると考えているところです。

柚木委員 終わります。

 宗教法人から宗教団体になっても、違法献金とか人権侵害、まだ繰り返されるおそれはありますから、是非、その答弁に実効性を持って、消費者庁とも連携して取組をお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 私も、柚木委員に引き続いて、まず統一教会の問題からお伺いしたいというふうに思います。

 質問権に対して、九日、教団側から回答の書類が届いたと承知しております。その精査を待たずに、十四日の日に再質問。再質問の中身、少し先ほど御紹介ありましたけれども、これは、いわゆる返ってきた答弁を見て作ったというよりも、あらかじめ想定され得る質問の範囲の中に入っているというふうに思います。

 我々は、国会で、この場で質問するわけですが、当然、更に問う、通常、更問いといいますけれども、それは答弁に対して聞く場合がほとんどであります。今回、なぜ再質問という形で、あらかじめ分かっているような問題を時間を置いて聞くのか、だとするならば、なぜ最初に併せて聞かなかったのか、私、非常にこれは疑問に感じるところであります。

 今回、先ほど柚木委員からも紹介ありましたけれども、教団側は、質問権の行使は違法だというふうに意見書を提出しているというふうに承知をしております。

 こういう態度なんですよ、統一教会というのは。被害者の方、二世の方、家族の方に対する対応を見ていても、誠実さのかけらもない対応がずっと続いているわけです。そうなると、質問あるいは再質問に対する回答も、私は、誠実に回答するとはなかなか想定しづらい。そうなった場合に、もう既に大臣も重大被害基準に該当するとした二十二の民事判決がありますし、それから電話相談にも寄せられたたくさんの被害相談があったと思います。また、弁連の方から把握してきた様々な情報等についても承知していると思います。

 そういう意味でいいますと、やはり、解散命令の請求、これは、答弁のいかんにかかわらず、しっかり検討していくということでよろしいでしょうか。

永岡国務大臣 宗教法人法に照らしまして解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは、報告徴収、質問権の行使を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実を明らかにいたしまして、法律にのっとりまして必要な措置を講ずるべきものというふうに考えているところです。

 そのため、現在、報告徴収、質問権を行使するとともに、全国弁連等からの情報も得まして、民事裁判の事例の把握、そして分析なども進めているところであります。

 報告徴収、質問権の行使は、情報収集の結果として、あるいはその途中であっても、解散命令を請求するに足る事実関係を把握をした場合には、速やかに裁判所に対しまして解散命令、これを請求してまいりたいと考えているところです。

吉川(元)委員 今、途中であっても解散請求をするということでありますので、私は、もう十分証拠はそろっていると思いますよ。裁判で判決が出ているんですよ。これ以上の証拠が一体どこにあるのか、逆に伺いたいと思いますけれども。とにかく、被害者救済、そして新たな被害を生まないためにも、早急な解散命令の請求を行っていただきたいというふうに申し述べておきます。

 次に、この質問権の行使に至った宗教法人審議会の議論の経過、あるいは質問の内容、再質問についてもそうですが、全く我々はその詳細については知らない状況であります。

 報道などでは、解散命令請求の判決が確定後に要旨を公開するというお話でございましたけれども、これだけ大きな被害を、また悲惨な被害を生み出してきたこの旧統一教会の問題、やはり、多くの国民の皆さんにしっかり知っていただくということも含めて考えれば、要旨ということではなくて、どんなやり取りがあったのか、あるいはどんな回答があったのか、それも含めて、きちんとその議論、内容をオープンにすべきだというふうに考えますが、そうしたお考えはございませんでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 報告徴収、質問権の行使に際しましての旧統一教会に対する質問の内容ですとか、それに対する旧統一教会からの回答については、それを明らかにすることで、やはり報告徴収、質問権の適正な行使やその後の対応に支障を来す懸念があることから、公表しないこととしているわけでございます。

 また、御指摘の、一定の区切りがついた段階での公表につきましては、今まさに、解散命令請求の是非を判断するために報告徴収、質問権を行使している段階でございますので、現時点で予断を持ってお答えするということは差し控えたいと思っております。

吉川(元)委員 さきの臨時国会の中で被害者救済法案が成立をいたしました。内容に不十分な点もたくさんございます。何より我々が目指したのは、被害者の救済と、それから再発の防止です。

 今回のこの問題についての審議会の中でのやり取り、あるいは教団側とのやり取りというのは、もちろん時期の問題はあると思います、まさにやっている最中にはできないというのも一定理解はできますけれども、ただ、どこかの段階できちんとそれを公表する、こうしたことが二度と起こらないようにするためにも、その情報公開というのは、私は大切なことだというふうに思います。抑止効果を含めて、私は、公開した方がよりプラスになるということだけ指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、教員のなり手不足の問題について伺いたいというふうに思います。

 昨年の教員採用試験、倍率は過去最低だったというふうに聞いております。今年は恐らくそれを下回るんじゃないかというふうにも思いますけれども、その中で、大臣は、教員採用試験の早期化あるいは複線化の具体化をするために協議会を立ち上げる考えを示しておられます。

 十月三日の会見でも、大事なのは、やはり日本全体で教師を目指してもらう方々の数を増やして、そして質を高めていくこと、こういうふうに述べていらっしゃいますが、この考え方自体は私も賛成です。ただ、その解決方法が試験の早期化とか複線化にあるのかどうかと言われると、私自身は、果たしてそうかなというふうにも思っております。

 中教審の特別部会に配付された資料に目を通しておりますと、この中に、国立の教員養成大学・学部の就職状況というペーパーがありました。見ておりますと、年々、いわゆる教育学部等々ですよね、教員として就職する学生の割合が低下を続けております。

 加えて、顕著なのは、教員、保育士以外への就職、これが増えている。二〇一六年は二千三百四十一人、全体の二四・六%でしたけれども、二〇二〇年には三千百三十五人、率で三〇・九%、こうなっております。教職課程を学びながら、例えば民間企業など教員以外の道を選択する学生が年々増えているということですけれども、この点について、何が原因だというふうにお考えでしょうか。

永岡国務大臣 吉川委員御指摘のとおり、国立の教員養成大学・学部の教員養成課程卒業者のうち、教員、保育士以外に就職をした者の数につきましては、令和二年まで増加傾向にありましたわけですが、その後、令和三年及び令和四年におきまして減少に転じているわけでございます。

 令和二年までの間、教員そして保育士以外への就職者が増加した理由につきましては、一概に断定することは困難ではございますけれども、民間企業の採用状況など、様々な要因が考えられております。

 文部科学省といたしましては、先般、中教審におきまして取りまとめられました令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方に関する答申の内容も踏まえながら、各大学の教員就職率向上に向けました取組、これを促進してまいる考えでございます。

吉川(元)委員 今の話は、教職課程の学生が教員という道を選ばないという話でしたけれども、せっかく選んでいただいた人たちも、実は若年退職、これが増加傾向にあります。

 もう時間がありませんので、この点については指摘だけさせていただきますが、こうした背景には、この間、この文部科学委員会でもさんざん議論してきた教職員の、特に教員の働き方の問題、これが根底に横たわっているというふうに考えます。早期化、複線化、もちろん、全くプラスにならないかといえば、少しはプラスになるかも分かりませんけれども、ただ、それは本筋の話ではないというふうに考えます。

 本当に大臣は、その早期化、複線化で今言ったような課題、これは対応できるというふうにお考えでしょうか。

永岡国務大臣 教員の採用選考試験の早期化を含めました在り方につきましては、文部科学省と教育委員会等の関係団体から成ります協議会を立ち上げまして、検討を進めているところであります。

 一方で、教師を目指す方々を増やすためには、これはやはり、採用選考の改善だけではなくて、学校における働き方改革も含めた教職の魅力の向上というものが不可欠であると考えております。

 先日、十九日に、中教審におきまして、教師の養成、採用、そして研修等につきまして包括的な答申が出されたところでございまして、その中でも、やはり教職の魅力を向上させるべく、大学一、二年生の早い段階から学校現場で実践を行う取組の充実ですとか、教員研修の高度化、そして、働き方改革の一層の推進などによる環境整備の重要性ということが指摘をされたわけでございます。

 文部科学省といたしまして、中教審の答申も踏まえながら、高度専門職業人としての教師の地位を高め、そして、教師が教師として誇りを持って働くことのできる環境整備にしっかりと取り組んでまいります。

吉川(元)委員 私は、根源的には、やはり今の職場、学校の多忙な状況、この改善なしには、あらゆる問題は解決していかないというふうに思います。

 連合総研がもう調査をしております、文部科学省に先立って。見ますと、ほとんど、労働時間、短縮されていないのが実態です。相変わらず、過労死の水準で多くの教員が働いている。これを抜本的に変えていくということがない限り、先ほど言ったとおり、早期化や複線化、様々な施策があったとしても、解決につながらないというふうに思います。

 以前、教職を目指す四年生の学生の方にお話を伺う機会がありました。その方いわく、大学一年生のときにはみんな教員になりたいと思っている、ところが、だんだんだんだんと、学校の実態、現場の状況が分かってくると、教員になりたいという人が減っていく、一年のときにはクラスのほぼ全員がなりたいと言っていたのが、四年になると僅か数人に減っていると。その原因というのは、やはり今言ったとおり、早くしたりとか複線化したりということではなくて、今の学校の状況を抜本的に改めていくことが不可欠だということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 もう時間がありませんので、次、これも先ほど柚木委員が質問しておりました東京オリパラの問題について伺いたいというふうに思います。

 今回の贈収賄、それから談合、もう底なしといいますか、どこまでいくのかというような状況が今発生をしております。その中でも、まず私は贈収賄の方をお聞きしたいんですけれども、その中でも、大会のスポンサー選定についてです。

 八四年のロサンゼルス五輪以来、一業種一社の原則、これがずっと続いてきたわけですけれども、今回、業種ごとに一社を選ぶというものから、これは元々IOCが提案をしたというふうに報道されておりますが、東京大会では、一業種一社の原則を崩して、しかも、単純入札ではなく、相対でのスポンサー決定というふうにしたというふうになっております。これが、結果的に言うと腐敗の温床に明らかになっている。総括文を読みますと、非常に高くこれを評価しているんですよね。だけれども、実態は、これをやったがゆえに、結果的に腐敗の温床になっているというふうに私は思います。

 この入札の仕方やスポンサー料の決定がIOCの原則から変更された経過について、推進本部あるいは文科省、スポーツ庁は承知をしていたのでしょうか。

永岡国務大臣 スポンサー契約に当たりましては、東京オリパラの組織委員会におきまして責任を持って行っていたものと承知をしております。

 このため、委員御指摘の点につきましては、東京オリパラの競技大会の推進本部事務局及び文部科学省としては承知はしていないというところでございます。

吉川(元)委員 関連して伺いますが、結果的に今回、電通が選ばれたマーケティング専任代理店、この代理店の選考の説明会、報道では二〇一三年十二月にあったとありますけれども、スポンサー選定は、単純入札であることに加え、報酬手数料は三%というのが東京都やJOCの提案だったというふうに聞いております。

 ところが、恐らくこれは選任された電通側からの求めだというふうに思うんですけれども、スポンサー料の手数料は、契約額に応じて三%から最高一二%にまで上昇する成功報酬型に変わりました。電通への手数料が上がれば上がるほどスポンサー料金の総額は上がったとしても、大会経費が膨らんでいくことも、これも明白であります。

 この成功報酬型の手数料契約、推進本部あるいは文科省、スポーツ庁は知っていたのでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 スポンサー契約に当たりましては、東京オリパラの組織委員会におきまして責任を持って行っていたものと承知をしております。

 このため、委員御指摘の点につきましては、東京オリンピック・パラリンピックの推進本部事務局及び文部科学省としては承知はしておりません。

吉川(元)委員 何にも知らないんですね、本当に。

 アスリートファーストで、大会経費をできる限り抑制するということは大きな目的だったというふうに思います。そうであるならば、組織委員会が行う契約や手数料の在り方について、政府、文科省、スポーツ庁、それから推進本部もしっかりとこれを把握するのが当たり前なんじゃないんですか。

 実際に捜査が入るまでずさんな大会運営や契約が横行していた。我々は知りませんでしたと、それで言い逃れができるというふうにお考えなんでしょうか。非常に無責任と私は言わざるを得ないというふうに思います。

 今日は時間の関係で触れられませんけれども、問題になっているテスト大会の計画立案業務の受注方法も、最低価格落札方式ではなくて、価格点に技術点を加味した総合落札方式が取られております。その結果、組織委員会の運営局次長と電通からの出向者で作成した一覧表どおりの九社一事業体が落札をして、そして大会本番の業務も随契です。業務の入札契約方法が不透明な金の流れをつくり出してきたのが一連の事件の大きな要因だというふうに思います。

 お聞きしますけれども、オリパラ特措法では、八条の一項、ここには、大会推進本部が所掌事務の遂行上必要と認める場合、大会組織委員会の代表者、会長に対し、資料提出、意見表明、説明その他の協力を求めることができるとしております。なぜこの条文を使ってやらなかったんですか。

永岡国務大臣 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法第八条は、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部は、所掌事務を遂行するために、開催都市である東京都、運営主体である組織委員会に対し、資料提出、報告等の必要な協力を求めることができることを規定したものでございます。

 この規定に基づきまして、当時、組織委員会などの各種会議に向けた事前の説明、新型コロナウイルス感染症対策に関する資料の提出等が行われたと承知をしているところです。

吉川(元)委員 いや、だから、いろいろなやり方を勝手に変えているんですよ。それを変えたときに、なぜ変えたんですか、理由は何ですか、そんな単純な質問もできないんですか。責任は組織委員会にあると言って、国は関係ないような顔をするのは、私はおかしいというふうに思います。

 もう時間がないので、質問はもうしませんけれども、大臣、ドガの踊り子という絵を見たことはありますか。有名な絵ですから、御存じだと思います。舞台の上で白い衣装を着た若い踊り子が踊っている、その後ろの方には、恐らく舞台袖だと思いますけれども、緞帳の陰に隠れて、真っ黒い服を着て、顔も描かれていない男性が立っているんです。これは、その踊り子のパトロンだと言われています。

 つまり、今回のオリンピックというのは、アスリートというのは本当に頑張ったと思います、一年延期の中でも。だけれども、その裏でうごめいている黒い影、これを徹底的に明らかにしない限り、日本で二度と大きなスポーツ大会は開けませんよ。そのためにも、是非、透明性、これを確保できるようにしっかり取り組んでいただきたいことをお願いして、質問を終わります。

宮内委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。

 大臣、よろしくお願いします。

 夜間中学についてお伺いします。この夜間中学がもっと数が増えて、そして不登校問題に生かしてほしいという観点から質問します。

 まず、この夜間中学、入学要件とか卒業要件は当然ありますけれども、これをもっと不登校児向けにして、不登校の子供が入りやすく、受け入れられやすくし、そしてそこで学んで、不登校児ですから、その日の気分によって行ったり行かなかったりする、そういった子でもちゃんと卒業することができる形に変えていく、時代に合わせて変えていくということをやっていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 白石委員にお答えする前に、先ほど、柚木委員の最後の質問に対しまして、私は、宗教団体に関する事務を処理することにはなっていない旨をお答えいたしましたが、正しくは、宗教団体に関するあらゆる事務を処理することにはなっていないでございましたので、おわびをして訂正をさせていただきたいと思います。

 済みません、白石委員にお答えいたします。

 文部科学省では、平成二十七年に、不登校等の様々な事情から学校に通えないまま中学校を卒業した方について、積極的に夜間中学への入学を認めることが望ましいとの考え方を示しているところです。また、令和元年には、不登校の学齢生徒本人の希望を尊重した上で、在籍校に籍を残したまま夜間中学での受入れも可能であるとの考えを示しております。これまでも、各種行政説明の機会を捉えまして周知を図ってきたところでございます。

 引き続きまして、多様な教育機会を確保する観点から、夜間中学における不登校生徒の受入れについて、自治体の取組を促してまいりたいと考えます。

白石委員 大臣の答弁、二つありました。

 一つは、平成二十七年で、いわゆる形式卒業の方も受け入れるようにするということですけれども、私が不登校児というふうに言っているのは、そういう方ではなくて、現役の、今まさに、中学だったら、十三、十四、十五歳の子供たちも入れるようにするということなんですよ。まず、それについてどうぞ。

永岡国務大臣 今お答えいたしましたけれども、令和元年には、不登校の学齢生徒本人の希望を尊重した上で、在籍校に籍を残したまま夜間中学での受入れも可能であるとの考えを示しておりまして、これまでも、各種行政説明の機会を捉えまして周知を図っております。

白石委員 在籍校に籍を残したままということですよね。これがまた一つの条件、入学要件、夜間中学で学ぶことの条件になっているわけですね。

 在籍校がなくても夜間中学で、現役の子供が一つの選択肢として、ここだったら行けるという学校として、夜間中学を在籍校として選ぶことができるようにする、これはいかがですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 仕組みにつきましては先ほど大臣がお答えしましたとおりでございまして、これは、不登校の子供たちの多様な学びを保障していくという観点から、先ほど申し上げたような改正を行って、そうした不登校の学齢期の子供たちでも夜中で学ぶ機会が、可能であるようにというふうな運用をしているわけでございますけれども、一方で、夜間中学というのは御承知のように非常に多様な方がいて、そして、外国籍の方やあるいは年齢の超過された方とか、非常に多様な方の学習機会を保障していくという観点で、カリキュラムがかなりいわゆる通常の学校とは違うわけでございます。

 そうした中で、もちろんその子供の状況によるわけでございますけれども、一応学籍を元のところに残して、そこで学ぶ機会、同年代の子供たちと学ぶ機会というものも一応残しておきながら、その上で夜中でも学べるように、こういった考え方で今そういう運用をしているということでございます。

白石委員 入学要件のところ、そういう答弁ですけれども、ここも考えてほしいんですけれども、もう一つ、卒業のところも、卒業の要件も、中学だったら規定は三年間で卒業と。卒業するための履修時間というのが年間七百七十時間、これも緩和をするということは、いかがなものでしょうか。

永岡国務大臣 夜間中学では、学齢経過者、つまり卒業している者に対しまして、その年齢とか、あとは経験又は勤労の状況等の実情に応じた特別の教育課程を編成することで、年間の総授業時数の縮減ということも可能となっているところでございます。

白石委員 縮減をして七百七十時間、これがまた一つのネックになっているということを現場の声として聞きます。

 次の質問ですけれども、どうして夜間中学がなかなかできないのか。ニーズはたくさんあるはずだ、たくさんの方が通うはずだ。なぜなら、最終学歴が小学校のみの方は日本に八十万人もいて、小学校も出ていない方が九万人ということです。

 なのになぜできないのか。それは、市町村が行うニーズ調査に問題がある。これがかなり緩い、ちゃんと調べていない。でも、実際に首長がやる気を出したら、例えば香川県の三豊市は、人口六万人の都市で成り立っている。生徒さん十一人、今通っていらっしゃる。六万人の都市で十一人ですから、本当はもっともっとできるはずなのに、今、全国で四十校でしかないということなんですね。

 このニーズ調査をもっと、国としてやり方を指導していくべきじゃないかなと思うんです。例えば、先ほど申し上げた小学校のみの八十万人とか、いわゆるゼロ学歴九万人、これは市町村別に国勢調査で出るわけですね。その数字が大体あれば、あとはニーズ調査も加味してやっていく。

 加えて、現代的な課題である不登校児も受け入れるんですよと。これももっと条件を緩和していかないといけないとは思いますけれども、もっと不登校児を受け入れるということを強調してニーズ調査をしていただきたい。国として指導していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、令和二年の国勢調査では、未就学者は約九万四千人、また、最終卒業学校が小学校の方が約八十万四千人存在するということが明らかになりました。

 これを受けまして、各都道府県、指定都市教育委員会に対しまして、改めて、夜間中学の設置、充実に向けた取組を促すため、事務連絡の発出をさせていただきました。

 自治体で実施をいたしますニーズ調査は、令和二年の国勢調査で明らかになった潜在的な入学対象者に対して夜間中学の存在を周知をし、そして、入学希望者を把握していく上で必要な手続であると考えております。

 文部科学省といたしましては、不登校の学齢生徒の多様な教育機会の確保の場としての夜間中学校という観点も含めまして、引き続きまして周知に努めつつ、各自治体において、予算事業等も活用いたしまして、多様なニーズを把握しながら、設置に向けた検討を進めさせていただきたいと考えているところです。

白石委員 大臣、文科省もそうですけれども、夜間中学の捉え方が一つ前の時代のイメージでニーズ調査をされているんだと思います。つまり、戦後間もなく、貧しくて学校に行けなかった人たち、八十万人、あるいはもっと言えば八十九万人。でも、やはり自分の尊厳のために学校は出たい、義務教育は終えたいという方、絶対におられるはずです。大方はもういいよという方には違いないんでしょうけれども、絶対にいるはずです。

 加えて、今、本当に親御さんが困っているのは不登校の問題。これは今、全国で二十四万人いると言われている。本当に困っている。それに夜間中学は生かすことができる。そういったところに行って、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に勉強する、いろいろな会話をする。そのおじいちゃん、おばあちゃんたちは非常に学習意欲が高い。夜じゃないと外に出たくない子供もたくさんいるということで、この夜間中学がもっと生かせるんじゃないかということなんですね。

 そういうことを考えたら、ニーズ調査はもっとそちらの方に重きを置いて、そうすれば、もっと夜間中学の希望が増えて、そして、市町村も、これだったらやろうと首長が思ってくれるというふうに思うんですね。

 ちょっと時間がないので次に行きますけれども、そういうことを考えれば、もっと手を挙げる市町村というのは増えてくると思うんです。それに対して、国の予算というのは、今、夜間中学については年間〇・八億円、八千万円ですね。非常に少ないと思います。不登校問題という観点からすれば、これは文科省で、あらあらですけれども、七十億ぐらいはあるということなんですね。厚労省の部分も含めたらもっと、あるいは内閣府のことを含めたらもっとあるんじゃないかなと思うんですよ。

 不登校問題の対策として夜間中学を捉えたら、もっと資金的に充実させるべき、サポートを厚くするべき、予算を増加させるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 夜間中学の教職員の定数は、ほかの中学校と同様に、学級数等に応じまして基礎定数が算定されているほか、学校の実情等も踏まえまして、児童生徒の支援加配などの加配定数を活用することが可能でございます。さらに、夜間中学もスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の対象となりますので、これらを通じた不登校生徒に対する支援も可能でございます。

 加えまして、御指摘の事業を活用しまして夜間中学を設置する際、不登校の経験者も対象に含めましたニーズ調査の実施ですとか広報活動など、設置準備に係ります経費を措置することも可能となっております。

 こうした支援策などを通じまして、現在、十五の都道府県に四十校の夜間中学が設置をされております。さらに、令和五年度には四校、そして令和六年度には六校の夜間中学が設置をされる予定と聞いております。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、全ての都道府県、指定都市に夜間中学が少なくとも一つ設置されるように、設置の促進、充実に向けた取組を進めていきたいと考えております。

白石委員 それをするに、その資金が足らないんじゃないかと。もっと予算を増やして、さらに、国の支援というのは三分の一でしかありません。これだと市町村はためらいます。二分の一とか三分の二とか、上げて、そして予算を積んで、もっとやってくださいというメッセージが私は必要だというふうに思います。

 それで、次の質問ですけれども、ユネスコの無形文化遺産登録というのがあります。そこに二〇一六年に山・鉾・屋台行事が三十三件登録されて、愛媛県の東予地域、非常に、だんじり、太鼓台、盛んです。しかし、そこに登録されていない。これについて、国としての支援をお願いしたいんですけれども、大臣、一言いかがですか。

永岡国務大臣 委員御指摘の山・鉾・屋台行事は、最近、平成二十八年にユネスコの無形文化遺産に登録されたところでございます。

 ユネスコの無形文化遺産の登録基準は、提案対象の保護措置が図られていることが求められておりまして、山・鉾・屋台行事の拡張登録に当たりましては、既に登録されている行事と同様に、国の重要無形民俗文化財に指定されていることが必要となるわけでございます。

 指定に当たりましては、現在自治体が実施をしている調査の結果を踏まえて判断することになります。同調査は、文化庁の補助事業を活用しているほか、これまでも文化財の調査官によります現地での助言などを行ってきているところでございますので、引き続きまして、調査に対する支援、そして専門的、技術的助言を行ってまいります。

白石委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 私は、まずはブラック校則、いわゆるブラック校則についての問題でありますけれども、校則というのが、髪の長さであるとか靴下の色とか、いろいろなことを私たちも子供の頃言われて、何と理不尽なルールを押しつけられるのかということで、つらい思いをしたというのがありますが、平成三十一年二月の岐阜県などでは制服着用時の下着の色等を制限が十六校あったというようなことも含めて、こういうものの見直しをされているというふうに聞いています。

 下着の色なんてどうやってチェックするのか分かりませんけれども、非常に人権の侵害にも当たるというような部分かなと思いますが、このブラック校則の見直しについて指針が出ているかと思いますけれども、今の状況を教えてください。

永岡国務大臣 校則につきましては、学校が教育目的を達成するために、校長が必要かつ合理的範囲内で定めるものでございますが、やはり、校則の制定や見直しの過程におきまして児童生徒が参画することは大変望ましいことと考えております。

 今月六日に公表いたしました生徒指導提要の改訂版では、校則の見直しにつきまして児童生徒が参画をすることは、校則の意義を理解をし、自ら校則を守ろうとする意義の醸成につながること、また、学校のルールを無批判に受け入れるのではなくて、自身がその根拠や影響を考えて、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものであるなどの記載が盛り込まれているところでございます。

 今後、改訂をいたしました生徒指導提要がしっかりと現場に周知をされまして、活用いただくことが重要と考えております。様々な機会を通じまして、学校現場への浸透を図ってまいる所存です。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ブラック校則、理不尽なルールに対して、それに従うというようなことを子供時代にたたき込まれてしまいますと、社会に出てからも、自分の権利を守る、あるいは社会をよくしようというようなところに関して有効感が持てないというようなことがあるかと思います。変えるという力が自分にもあるのだということを知ってもらうためにも、いろいろな有権者教育というのがありますけれども、その中でも、ルールを変えるという経験というのは非常に重要だと思いますので、望ましいということにとどまらず、こういう校則についてはインターネット上に必ず掲載をすること、また、変え方についても掲載をすること、そして、生徒や児童が自ら提案をできるようにすることといったことを徹底をしていただきたいと思います。これについてはまた年明けにも議論をしていきたいと思います。

 続きまして、先ほど吉川議員の方から教員不足の話がありましたけれども、これは御提案なんですけれども、教員不足ということで、教員、なかなか集めるのが難しいという状況にあります。先生方は何が忙しいのといったときに、校務が忙しいということで、事務的なことをやる人というのが増えれば先生の負担というのが減って、これは教員の増というのと同じような効果が得られる部分もあるかと思います。

 文科省でたくさんの予算を確保するというのは難しいというところもあるかと思いますので、Uターン、Jターン、Iターン、こういったことを今推進をしていますし、地方創生というような部署があるかと思います。田舎で事務仕事があったら、東京で二時間通うよりもええなと思って帰る人というのもあるかというようなこともありますので、全国各地で、それぞれの地域で学校というのはありますから、学校事務員を増員するというようなことを内閣の中でちょっと提案をしていただいて、文科省のみならず、いろいろな予算を使いながらこういうことをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 いい御提案をいただきまして、ありがとうございます。しっかりと検討させていただきます。

森山(浩)委員 続きまして、東京オリパラの問題ということなんですけれども、本日、五つのルートで十五人が起訴されております汚職事件、五つのルートのうちの、青木前会長、二千八百万円の賄賂について、起訴内容を認めるという報道がされております。現在裁判中かと思います。

 起訴前ですけれども、この青木さんという方、みなし公務員に当たることを知らなかった、知っていたらやらなかったというような趣旨のことも言われていたかと思います。みなし公務員じゃなかったらやっていいのかというところ、非常に大きな問題だと思っていまして、ISOの14001なんというのは、物づくりのところでいうと、末端まで、先の先まで全部がルールを守っていて初めてISOの認証が得られる。物づくりの世界などでは当然の話なんですが、事イベントということになると、オリンピック委員会がちゃんとやっているから、そこから下が何をやっていても知らないよというようなことで許されるということがあってはならぬのだと思います。

 信頼回復という意味でも、また、今後の国際イベント、私、地元、大阪ですので、関西万博なんか、これ、部署は違いますけれども、政府全体でいろいろなことをやっていく中で、また、札幌オリンピックの招致の問題もあります、そのときに、今後の国際イベントについては末端の末端までこういう贈収賄みたいなことはあってはいかぬのだということは当然盛り込んでいかなきゃいけないと思いますけれども、こういうのはお考えですか。

永岡国務大臣 文部科学省では、元理事が逮捕、起訴された事案を受けまして、先日、スポーツ庁それから日本オリンピック委員会、JOCですけれども、を中心といたしましたプロジェクトチームを設置をいたしました。プロジェクトチームの中に中立的な立場である弁護士や会計士の専門家による作業チームを設置をいたしまして、大会組織委員会の元職員へのヒアリングや海外の事例等を通じまして、ガバナンス体制や情報公開の在り方について検討することとしております。

 ただいま委員から様々な御指摘をいただきましたけれども、作業チームのメンバーであります弁護士や会計士の方々が、スポーツガバナンスなどのそれぞれの専門的な知見を生かした検討を通じまして、今後の大規模な国際大会の運営透明化そして公正化に資する指針を取りまとめていただけると考えているところでございます。

森山(浩)委員 年が明けて一月ですか、二月ですか、取りまとめがされるということですけれども、これは、裁判も進んでいきます、いろいろなことが明らかになってくると思います、取りまとめて発表した後であっても、さらに、細かいこと、書き込まなきゃいけないこと、あるいは本質的にこれは考えなきゃいけないというようなこと、国民の皆さん、あるいは世界に対しても発信できるように、その後も変えていくんだというようなことでよろしいですか。

永岡国務大臣 仮に、今後の公判の中で大会の組織委員会のガバナンス体制に起因する新たな重要な事実が判明した場合には、適宜、作業チームにおきまして、指針の内容ですとか、修正、追加をお願いするなどの柔軟な対応をさせていただきたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 統一教会の解散命令の問題です。

 先ほど柚木委員の質問に対して、宗務課の所掌については宗教団体は入らないというようなことを、訂正の答弁をされました。あらゆるものは入らないのだというふうにおっしゃったということだと訂正をされておりましたよね。

 あらゆるものというものの中に、被害者救済のための責任、あるいは債務、こういったものの引継ぎに対してチェックをするということは入らないのか入るのかというのをお答えいただければと思います。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁などとの、関係省庁において被害者救済の観点などからどのような対応が検討されるかはこちらの方は分かりませんけれども、文部科学省といたしましては、可能な限り一生懸命協力をすること、これは当然である、そういうふうに考えております。

森山(浩)委員 協力をするのは当然だと思うんですが、今ちょっとお聞きをしたのは、所掌の事務の中に、宗教法人が解散をされて宗教団体になりました、その後のチェック、何か問題があるから宗教団体に格下げになる、あるいは解散をするというようなことが起こるわけですけれども、そのときに、消滅をする団体は、これはいいですよね。消滅をしたことを確認したら、それは一つでしょう。まだ債務が残っているという状況である、統一教会はそうなる可能性が高いわけですけれども、そのときに、状況を追っていく、調べていく、そして何とか財産を保全するというようなことについて、主体として行う、所掌の中に入るのか、それとも協力をするということなのか、お答えください。

永岡国務大臣 これは、宗教法人の規則、規則の変更、合併及び任意解散の認証並びに宗教に関する情報資料の収集及び宗教団体との連絡に関することが仕事でございますので、入っておりません。(森山(浩)委員「入っておりません」と呼ぶ)入っていないというよりは、この範囲で仕事はさせていただいております。

森山(浩)委員 ということは、今回、統一教会が宗教法人であるうちは所掌の範囲なので文化庁宗務課でチェックをするけれども、一旦解散をされてしまった場合には、これは所掌から外れると。所掌はどこになるんですか。

永岡国務大臣 普通の団体になった場合でございますが、宗教法人の規則、規則の変更、合併及び任意解散の認証並びに宗教に関する情報資料の収集及び宗教団体との連絡に関することが所掌になりますので、その範囲内で仕事はさせていただきます。

森山(浩)委員 文科省でないということでしょう。

 消費者庁が手を挙げておられましたね。違う、文化庁。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話をいただきました、宗教法人が仮に解散命令を受けて宗教団体になった後、その後の被害者救済のためにその財産等についてどのように保全をしていくかということでございますが、これについては、まず、被害者救済という観点からは、先ほど来答弁申し上げておりますように、消費者庁が担当することになろうかと思っております。

 ただし、先ほど来お話がございましたように、私ども、宗教に関する行政事務を担当いたしてございます。宗教の持っている社会的な意義、これは、規範意識を育むですとか社会の統合をするですとか、そういったことが毀損されるような動きというものは、やはり私どもとしては無関心ではいられないということでございますので、先ほど来大臣が申し上げておりますように、私どもの所掌事務の範囲で、消費者庁や、場合によっては法務省と連携をしながら、しっかりと、被害者救済の観点からも、どのような対応が可能か、所掌範囲の中で取り組ませていただき、協力をさせていただきたいと考えてございます。

森山(浩)委員 私どもがやりますというまでは言えないけれども、所掌事務ではあるのかなというような御答弁だったと思いますが、オウムのときのような特別立法を作らなきゃいけないということにならないように、皆さんの中でちゃんと解決できるように頑張っていただきたいと思いますが、もし駄目だということであれば、やはりこれは国会で特別法を作らなきゃいけないのかなという印象を受けました。

 宗教法人の解散でということで、団体になったときには、これは何が変わりますか。

永岡国務大臣 これは一般論としてはでございますが、宗教法人法の第八十一条に基づきまして裁判所によりまして解散が命じられまして、法人格が失われた場合に、規則の作成や所轄庁の認証などを求める宗教法人法が適用されないこととなります。一方、法律上の権利義務の主体としての基盤を失うこととなるわけでございます。

 また、税制上の優遇措置も適用されなくなります。例えば、収益事業から生じた所得以外の所得については法人税、そして、不動産を購入、所有する場合の不動産の取得税、固定資産税でございますが、発生いたします。利子や配当等を受けた場合の所得税などについて、課税の対象となるわけでございます。

森山(浩)委員 時間が終了してしまいました。

 民法の不法行為の部分に関して質問権を行使し解散請求をするということについて、大臣、何か、これは違法であると向こうが言ってきたのに対して、違法ではないというふうにお答えになっておりますので、しっかりとこれはやり切るということでなければ、逆に、国のお墨つきを受けて、これまでやってきたことというのは違法というまでは言えないんだ、宗教法人を解散するまではないのだということをお墨つきを与えてしまうことにもなってしまいますので、ここは心して取り組んでいただきたいと思います。

 十八万ある宗教法人、八〇%以上のところが一千万円以下の収支であります。収支を出していない団体もあるということで、これについてはきちんとやはり宗務課として、これまで宗教法人に対しての向き合いという部分では余りにも弱かったかなという感じもしますので、その辺のところもきっちり今後議論していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

宮内委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 今日、質問通告を事前にさせていただいて、質問権と宗教法人の認可のところなんですけれども、ちょっと順番を逆にさせていただきまして、先に、旧統一教会の問題に端を発して、今、質問権の行使をされている最中だと思うんですけれども、これは、仮に、質問権を行使しているさなかに、その該当する宗教法人が、いわゆる大きな問題とかが改めて明るみになったときに、解散命令請求に切り替えることというのは事実上できるんですか。教えていただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人の解散命令は、宗教法人法八十一条一項各号に定める事由がある場合に、裁判所が所轄庁等の請求又は職権により命ずるものでございます。

 その上で、御指摘の報告徴収、質問権は、所轄庁が同法に定める解散命令の請求等の権限を適正に行使するために、その判断の基礎となる客観的な資料が把握できることを目的としてございます。

 したがいまして、報告徴収、質問の手続の途中でございましても、解散命令を請求するに足る事実関係が明らかになった場合は、所轄庁等は速やかに裁判所に対して解散命令請求をすることになろうかと存じております。

金村委員 個人的には、今回の旧統一教会の中で今明るみになっている一つである、いわゆる養子縁組などはそういった問題に該当すると思いますので、是非、この質問権と解散命令請求しか武器がないとしっかりと向き合っていけないと思いますので、そういう意味では、その切り替えるタイミングとかそういったものもしっかり議論いただきたいなということ。

 それから、改めて、私、今回驚いたのが、宗教法人の認証についてなんですね。もっと厳格に、厳正に審査をして、そして認証されているとばかり思っていたんですが、どうやらそうでもないということが明らかになってきています。

 そういった意味では、まず、宗教法人の認証について、今、在り方はどうなっているのか、教えていただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 認証でございますけれども、前提として、宗教法人法は、御案内のとおり、戦前に幅広い権限が主務大臣に与えられたことから信教の自由の侵害に結びついたとの反省に立って、昭和二十六年に制定されたものでございます。

 そのため、現在の宗教法人法は、憲法に定める信教の自由や政教分離の原則を基本として、宗教団体に法人格を与え、自由で自主的な活動をするための基礎を確保することを目的として、そのための手続を定めることを目的としてございます。

 御指摘の、宗教法人の設立の認証につきましては、同法十四条一項に定める所定の要件を備えていることを審査することとされてございます。あえて、認可ではなくて認証という仕組みになってございます。

 この枠組みの中でこうした宗教法人法の制定経緯や目的を踏まえると、宗教法人の設立の認証につきましては、新たな要件を加える等の関与を強化することにつきましては、憲法に規定する信教の自由の意義などを踏まえ、慎重であるべきというふうに考えてございます。

金村委員 やはり、認可でなく認証ということは、それだけ、そこまで厳格にされていないということだと思っておりますので、そういう意味では、今の質問権それから解散命令、さらには寄附の上限とか、そういったものだけでは、しっかりと宗教法人を、本来の趣旨にのっとった宗教活動以外に範囲が広がっていってしまいますので、情報公開や、行政をどのようにかませるのかとか、あとは、皆さんいろいろ質問されていましたが、宗務課の所掌みたいなものも、しっかり改革というか、少しずつ変えていくことで、本来、国民からすれば、宗務課が全部やればいいんじゃないかと普通は思うと思うんですね。なので、そういうところもしっかりと、我々は通常国会に向けて議論を展開してまいりたいと思います。

 そして、これから、障害児の教育について質問をさせていただきます。

 今、発達障害の子供が増えている、加えて、障害種別も多岐にわたってきています。そういう意味では、私が学生時代、いわゆる知的障害児を対象とした特別支援学校、さらには、軽度の知的障害の子を対象とした支援級とか、そういったものが学校教育の現場にはあったんですが、これだけ障害種別が多岐にわたってくると、これまでのように、特別支援学校、さらには支援級、そして今であれば通級、この三つの組合せで、障害種別にしっかりと、障害児教育を、期待に応えていかなければいけないと思っているんですが、私は、通級が最もこれから必要とされると認識しています。

 やはり、軽度の発達障害の子供たちだと、普通級に在籍をして、そして必要な支援を受けるときだけ通級の学校に通ったり、教室を変えたり、そういったことによって不得手のところをトレーニングしていくというのが必要だと思いますので、この通級の在り方について今後どのようにお考えなのか、教えていただけますか。

永岡国務大臣 先日公表いたしました調査結果によりますと、通常の学級に在籍をいたしまして、学習面又は行動面で著しい困難を示すとされました児童生徒の割合というのが、小学校、中学校におきまして八・八%でございました。十年前の六・五%より増加をしているわけでございます。

 こうした中で、通常の学級に在籍をする障害のある子供が別室などで自立活動の指導を受ける、通級ですね、先生が今おっしゃってくださいました通級による指導の重要性というのが大変高まっているという認識をしております。

 通級によります指導担当の教員の基礎定数化ですとか、これは着実に進めることが大事でありますし、また、現在開催中の有識者会議におきまして、他校に通わなくても自分の学校で通級による指導が受けられるような指導の充実を図るといった方策につきまして検討しているわけでございます。

 今年度中に報告を取りまとめる予定でございますので、引き続きまして、障害のある子供たちの学びの充実に努めてまいりたいと考えております。

金村委員 障害種別によって、いわゆる通う通級を変えるだけで学びの質というのは上がるんですね。つまり、障害傾向の全く違う子同士が同じ学びやにいると、結局は個別支援をしていかなければならない状況になりますので、是非とも、種別によって、きちんと通級の質を高めていく。僕は段階があると思っていまして、まずは通級をそれこそ全校にしっかり配置をしていく、それで、配置をした後に、今度は質の展開として、異年齢も含めて障害傾向で、通級の中の教育の質を高めていく。こういったことも是非検討をいただきたいと思います。

 続いて、就学相談についてお伺いさせていただきます。

 私も今、五歳の障害児を育てる親です。障害受容というのがよく言われますが、親の障害受容ですね、子供が障害児であることをしっかりと受容する。これは実は、よく障害受容というのは大切だと言われるんですけれども、中身が二つあるんですね。一度目は、まず、子供が障害児であることを受け入れる。次が、実は非常に困難なんですけれども、自分の子供の障害の、分かりやすく言うと、障害の傾向だったり、できる、できないの程度だったり、いわゆるそういったところを受け入れるという二段階、障害児を子育てする親は受容が必要なんですね。

 そう考えたときに、二度目の受容がうまくいかないと、子供が本来必要な、例えば支援級なのか、それとも特別支援学校なのか、それとも通級なのか、子供にとって適切な配置とは何なのかというところを、親が二度目の受容ができていないと、そこで、小学校一年生の入口で明らかにミスマッチが起きるんですね。これは支援の質にかかわらず、適正な環境が提供されなければ、やはり質のいい教育を提供しても学びにつながらないんですね、障害児にとって。ということは、この就学相談というのが非常に重要な役割を担っているんですね。

 その中で、私も障害児支援事業をやっていた立場として、親はなかなか二度目の受容をできなくて、どちらかというと、いい学校と思える方に進学先を選択してしまうとか、もう一方で、いわゆる、できるだけ子供の支援に関わらないようにしたいから特別支援学校を選択してしまったりだとか、ミスジャッジが非常に起きているんですね。

 それはつまり、裏返すと、親の意向を酌み過ぎているんじゃないか。子供の実際の自立度だったり障害傾向だったりをしっかりとアセスメントして、その下に就学相談の結果が提示されていれば、そのミスマッチが起きずに小学校一年生から障害児もいい質を提供されているんじゃないかという危惧があります。

 この就学相談の実態について今どのようにお考えか、お知らせください。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 文部科学省としましては、インクルーシブ教育システムの実現に向けて、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備と併せて、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場を整備していくことを両輪として取組を進めてまいりました。

 障害がある子供の就学先は、本人及び保護者の意向を最大限に尊重しつつ、医学、教育学、心理学等の専門家の意見を聴取した上で、市町村の教育委員会が決定するものというふうに認識をしております。

 文部科学省としましては、令和三年六月に就学先決定のプロセスを教育委員会等に改めて通知をさせていただいており、引き続き、障害のある子供に対し、一人一人の教育的ニーズに応じた指導が提供されるよう、周知徹底の取組を進めてまいります。

金村委員 親はやはり、一番できるところを見て子供の進学先を決めるんですね。なので、就学相談、大変だと思うんですけれども、複数回やることによって平均値をしっかり取っていく、それだけで親も十分受容のきっかけにつながると思いますので、決して親の意向が誤りであるということではなくて、親が見ている子供と、学ぶときに必要な子供の環境というものは決して、相違があることもあるということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、障害児を子育てしている親が最も気にかけていること、それはやはり自立なんですね。障害児がやがて障害者となっていく。つまり、子供がどれだけ、社会に出て、大人になって、納税者として働いていけるのか。いわゆる就労支援について、もっと学校教育の中で取り組むべきじゃないかと僕は考えています。

 例えば、今の障害児にとっての学校教育、それから一方で、例えば放課後の支援である放課後等デイサービス、そういったものも通しても、就労に特化した教育やサービスはほとんど見られないんですね。それは、ニーズがないからではなくて、非常に難しいんだと思うんですね、それを提供することが。だからこそ学校教育に、就労支援に特化した特別支援学校だとか支援級だとか、そういったものを設置していくことで、親の不安を和らげていくことはもちろんのこと、その子自身が十八歳になって、働きに出ることがしっかり選択肢に入ってくる。これをしっかり高校三年間でやれば、随分変化が生まれると思うんですね。

 この就労支援に対して、学校教育、特別支援学校が中心になると思いますが、どのようなお考えか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 障害のある子供が就労や社会参加のために必要な教育を受けることができる環境を整備することは、極めて重要というふうに考えております。

 このため、文部科学省としては、特別支援学校高等部に、職業教育を行う専門学科や、資格取得に向けた専門的な指導を行う専攻科を設けることができるようにいたしまして、知的障害の特別支援学校の教育課程に職業という教科を設け、将来の自立と社会参加を見据えた指導が実施されるようにと、このような取組も行っているところでございます。

 また、企業等のニーズも踏まえた就労支援を図るため、令和五年度の概算要求におきましては、企業等と連携したICTの知識、技能の習得を推進するための調査研究に係る経費を要求をしているところでございます。

 今後、御指摘も踏まえまして、そうした障害児の社会的な自立、社会参加、そうしたものが進むような教育の充実に努めてまいりたいと存じます。

金村委員 ありがとうございます。

 やはり、障害児が社会に出て働いていくためのニーズをしっかり捉えるには、企業側の意向をしっかり酌まなければならないと思いますので、私は、ともすると、企業側が特例校などを、まさに学校自体を持って、障害児を就労支援して、その企業で雇用していくような、そういったものを文部科学省として支援していくというのは一つの選択肢かなと思っておりますので、検討いただきたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官日原知己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 前回の質問でも、我が地元の件で、外国人居住者の件、質問をさせていただきましたけれども、その際、全ての外国人の子供たち、学校としては受け入れるという答弁を頂戴いたしました。本当にすばらしいなというふうに思いましたけれども、その中にはやはり仮放免の子供たちも多くいるというふうに思います、住民票を持たない。

 そういった子供たちに対して、健康保険、これはどうなっているのか、まずは確認のためにお聞かせください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 国民健康保険は日本国内に住所を有する者に適用することとしておりまして、外国人につきましても、適正な在留資格を有し住所を有している場合には、原則として適用対象としてございます。

 仮放免中の児童の方につきましては、適正な在留資格を所持しておらず、住民票もないため、国民健康保険制度の適用対象とすることは困難であるものでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 もっともな話なのかな、現況ではと思いますけれども。でも、これは親の都合で、子供には全く責任がないことですし、基本的に仮放免の方々は就労してはいけないんですよね。だから、イコール収入がない、基本的には。ということは、健康保険がなければ十割負担ということですよね、何か病気だ、けがだと。就学支援等々、いろいろな制度はあろうかと思いますけれども、それも一〇〇%ではございませんし、市町村によってまちまちだというふうに聞いています。

 やはりこれは学校現場というところの話でございますので、文科省としては健康保険は関係ないわという話にはならないというふうに思いますので、文科省として、この辺、何らかの対応策をお考えなのかどうか、お聞かせください。

永岡国務大臣 我が国では、住民登録のない仮放免の学齢期の子供であっても、居住の実態があって、その保護者が希望する場合には、当該市町村の義務教育段階の公立学校に無償で入学することができます。

 また、教科書の無償給与や就学援助によりまして、日本人と同一の教育を受ける機会を保障しております。

 就学援助におきましては、感染性のある疾病又は学習に支障を生ずるおそれのある疾病について治療を受けられるよう、それに要する費用についても援助を行っているところでございます。

 引き続きまして、外国人の子供たちの就学機会の確保に努めてまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 医療の就学援助、これは、あるのは重々分かっているんですけれども、先ほども言いましたけれども、市町村によってもこれはまちまちだというふうに聞いていますので、是非とも、これは国として、統一してきちんとやっていただきたいというふうに思います。

 これは、基本的に仮放免の方々は退去が基本だと思いますけれども、国外の。しかしながら、今の法でいくと、これはなかなか退去しませんよね。いつまででもいられるような状況ですから。そして、先ほど言ったように子供たちには何の責任もないので、是非ともこれは対応策を考えていただきたいと思います。

 そしてまた、養護施設なんかを見てみますと、養護施設の子供たちは、そこの施設を居住場所として住民票を取って健康保険等々に入っていると思うんですけれども、仮放免ということは、支援者がいるわけですから、その支援者の居住先を住民登録として住民票にできないものなんですかね。この辺をちょっとお聞かせください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳制度の対象となる外国人は、住民基本台帳法第三十条の四十五に規定されておりまして、我が国に適法に在留している者であることが必要でございます。

 したがいまして、議員御指摘の、外国人が在留資格を有していないなど不法滞在者である場合は、支援者による保護等がある場合であっても住民票は作成されないこととなります。

高橋(英)委員 それは、現行法がそうなんでしょうけれども、先ほど来から言っているとおり、子供に責任はないので、これから法改正等々もしていかなければいけない問題だというふうに思いますので、こういった点に関しても今後は十分に検討しながら法改正をしていただきたいなというふうに思います。

 次に移りますけれども、特に小学校ですね、日本語教室に関してなんですけれども、前回も質問をさせていただいて、答弁を頂戴していますけれども、もう一度、ちょっと現状についてお聞かせください。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 前回もお答え申し上げましたけれども、日本語教育が必要な児童生徒につきましては、日本語教室等の名称の下で外国人の子供を受け入れている学校の多くにおいては、特別の教育課程を編成して日本語教育を実施しているところでございます。

 そのため、文部科学省では、平成二十九年に義務標準法を改正いたしまして、日本語指導に必要な教職員定数の着実な改善に取り組んでいるところでございます。

 また、日本語指導補助者、母語支援員等の外部人材の配置など、外国人児童生徒等へのきめ細かな支援に取り組む自治体を補助事業などで支援しているところでございまして、引き続き、外国人の子供たちに対する日本語指導を含めた適切な教育機会の確保や支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたけれども、現場を見てみますと、決してきめ細かくはないのかなという気が実はしています。

 やはり、現場現場で、御苦労をなさっている学校がいっぱいありまして、やはり、その学校学校でいろいろな特色がありますよね。例えば、外国人でも、もう圧倒的に中国の子供たちばかりとかだと、やはり比較的対応はやりやすいのかなと思いますし、また、片や、中国の方もいれば、フィリピン、ベトナム、トルコ、いろいろな子供たちがいる学校もあるんですね。聞いてみますと、やはり、その子供たちの母国語を話せる先生が日本語教室をやっていないんですね。だから、非常にこれは困難がある、しんどいんだろうなというふうに思うんです。

 もう既に長く滞在している子供たち、高校生とか、その上のお子さんもいると思いますけれども、そういった方々に協力を仰いで、こういった教室、できないのかどうか、お聞かせください。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきました、例えば、日本の居住歴が長い仮放免の高校生などを日本語教室等における指導の補助等で活用するということにつきましては、まずは高校生の本分である学習することを最優先に考えつつも、本人の希望により、ボランティアとして補助に当たることは考えられると思っております。

 また、先ほども申し上げましたように、母語支援員ですとか、あるいはICTを活用した在り方というのも取り組まれているというふうに承知しております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 仮放免の子供たちとは関係ないので。でも、今、前向きな答弁かなというふうに思いますけれども。積極的に活用をでき得る限りしていただけた方がスムーズにいくと思いますので。学校の現場では相当苦労しているなという感じはいたしますので。

 全国的にはまだまだなのかもしれませんけれども、今後子供も、今度、出生数、八十万を切るようですけれども、やはりこの少子化はもう歴然とした事実でございますので、人口が減っていけば、労働力はやはり必要不可欠だから、外国人の受入れというのもやはり致し方ないと考えている方々が、多分、もう既に多数いるんだろうなというふうに思います。

 そう考えると、やはり、二つ同時並行でやっていかなきゃ駄目だと思うんですよ。

 一つは、まずは入口ですよね。きちんと法整備をして、入口を、きちんとハードルを設けていかなければいけない。そして、そのときやはり必要なのは、日本に対して社会経済発展にきちんと寄与できるかどうかというのを判断基準の材料にするべきだと思いますし、正しく共存していかなければいけないので、正しく共存するというのは、やはり、まずはきちんと日本のルールを守って、お互いの伝統文化を互いに尊重し合うことだというふうに思います。

 だから、最初の入口の部分、これが一つで、もう一つは、もう既に、既存で我が国に来ている方々とどうやって共存していくか、これがやはり非常に大切だというふうに思います。

 大臣、実は、私の地元、私の住まいの近所に川があるんですけれども、酔っ払って川に自転車を放り投げたりする外国人がいるんですよ。しかも、普通の乗用車、爆音を鳴らして、市街地ですよ、八十キロぐらいで走っていく、そういった不届き者もいるんです。あと、夜な夜な公園で家族間同士で大乱闘しますからね。これは本当の話ですから、是非ちょっと想像してみてください。もうぞっとしますよ。ただ、これは全員じゃないですよ、もちろん、ごく一部で、大半の方々は真面目な方々なんですけれども、やはり目に余るじゃないですか。

 やはり、そういったことを考えると、学校の現場というのは、教育現場というのは、非常にキーポイントだと思うんですよ。しっかりと子供のうちから日本語を学び、そして日本のルールをきちんと学ばせる、これは非常に大切になってくると思いますので、是非、今後の、日本語教室も含めた御対応について、ちょっと、大臣、御意見をお聞かせ願いたいなと思います。

永岡国務大臣 高橋委員にお答えいたします。

 特に通告があったわけではございませんけれども、やはり、このところでも、コロナ、もう大分、ウィズコロナということで、外国の方もたくさん日本にいらっしゃる、また、日本に住まわれる方もいらっしゃる、そんな中で、やはり、その外国の方たちに日本語教育が必要だということはしっかり了解をし、また、それを進めなければいけない、そういうふうに考えております。

 先生の言うことを心に留めまして、これからの外国人に対しての日本語教育、しっかりやらせていただきたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非これをお願いします。さっき言ったのは本当の話ですから。想像してください。恐ろしいですよ、本当に。

 では、最後にちょっと、教科書の採択に関してなんですけれども、大阪府で教科書選定に関わった賄賂事件があったかと思いますけれども、これはもう氷山の一角じゃないかなというふうに思うんです。私も市会議員のときに、教科書選定というのが何回か問題に上がっていましたけれども、どこから見てもこれは出来レースじゃないのかなというところが非常にしているんです。

 今後、こういった賄賂事件がありましたけれども、文科省としてどのように対応していくのか、お聞かせください。

永岡国務大臣 教科書は全ての児童生徒が必ず使用するものでございまして、その採択には高い公正性と透明性が求められることから、平成二十八年に業界で自主ルールを策定をいたしまして、文部科学省からも、採択におけます公正確保の徹底等につきまして、毎年度、発行者や自治体に通知をしているところでございます。

 このような中で、採択の公正性に疑念を生じさせる事案が発覚したことは極めて遺憾でございます。現在、当該発行者等に対しまして調査を指示しております。詳細な調査結果を踏まえまして厳正に対応することとなりますけれども、二度とこのような不適切な事案が発生しないように、指導を徹底してまいります。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 ちょっと、最後、歴史教科書についてなんですけれども、やはり、歴史観というのはいろいろありますよね。韓国から見た日本、中国から見た日本、各々違ってくるんだろうというふうに思いますけれども、でも、日本から見た日本の歴史というのは、やはり統一性がないとどうしようもないと思いますし、また新たな発見があればまた改訂していかなければいけないんだろうけれども、是非、この歴史の教科書に関しては、全国一律、統一して、国定教科書ではないですけれども、そういった考え方を今後持っていただきたいなというふうに思います。

 時間が来ましたので、以上とさせていただきます。

 今年も終わりでございますので、皆様、よいお年をお過ごしください。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、閉会中審査ということで、今年最後の質問となりますけれども、質問させていただく機会をいただいたことに感謝をし、早速質問に入らせていただきます。

 まず、統一教会に関する質問をさせていただきます。

 一問目については、解散命令請求の時期のことについてのお尋ねでございまして、先ほどから質疑があっておりますので、二番目から質問をさせていただきたいと思います。

 現在、旧統一教会の教団側からは、質問権行使自体が刑事罰に基づいていないとのことから不当であるとの意見書が出されております。しかし、岸田総理が、十月十九日、予算委員会におきまして、宗教法人法の解散命令請求要件に民法の不法行為も入るということを初めて答弁されて以来、国会質疑の中で再三確認をされてまいりました。

 先般、十二月十日に、新法、悪質寄附規制法案が成立をいたしましたけれども、様々な議論が積み残されたままであるものの、大きな一歩だと考えております。新法第三条、配慮義務に違反する行為として寄附を集めることは民法七百九条の不法行為に当たること、また、新法三条二号、家族への配慮義務違反も宗教法人法第八十一条一項一号の法令違反に当たること、また、正体隠し、身分を偽っての伝道活動も新法三条三号の配慮義務違反となり、宗教法人法第八十一条一項二号の「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」に当たることが、さきの消費者問題に関する特別委員会の質疑で確認をされております。

 加えて、その行為が組織的、継続的、悪質なやり方で行われた場合は宗教法人法八十一条第一項に基づく解散命令の対象となるということについて、改めて、文部科学大臣、永岡大臣の見解を確認をさせていただきます。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 お尋ねの、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律、いわゆる新法三条の配慮義務につきましては、法人等に対しまして、寄附の勧誘を行うに当たっての法律上の義務を定めたものと承知をしております。このため、新法の三条の配慮義務に違反する行為は、宗教法人法の八十一条一項一号の「法令に違反して、」に該当し得ると考えられます。

 宗教法人の解散命令は裁判所が行うものでございますけれども、個別の宗教法人について解散命令請求を検討するに当たっては、所轄庁等におきまして把握をした事実関係を踏まえ、宗教法人法に基づき、行為の組織性、悪質性、継続性等をその個別事案に応じて判断をしていくこととなり、その上で、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められた場合には解散命令の要件に該当すると考えられます。

西岡委員 ありがとうございます。

 これまでも、全国弁連の弁護士の先生方を含めて、既に解散命令請求のための根拠は十分にそろっているという御発言もあっておりますし、これまでの国会質疑の中で、民法の不法行為についても要件として該当するということも明確となっておりますので、その時期については予断を持って今御発言はできないということでございましたけれども、このことが長期化することの弊害、やはり団体を利することにもつながるということも含めて、迅速な御対応を改めて永岡大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 旧統一教会に関する対応につきましては、今回成立をした新法と宗教法人法が両方、両輪で連携をして運用されていくものでございますけれども、そもそも、今回の新法につきまして、また新法や消費者契約法改正、国民生活センター法の一部を改正する法律案の出発点は、旧統一教会問題でございました。特定の宗教法人の規制というのが大変法的に難しいということの中で、結果として、寄附を受ける団体一般に対する法律の枠組みとなったことによって、旧統一教会などの特有の問題に対する規制の部分で、やはりどうしても不十分なものにならざるを得ないという法律のたてつけの問題があったというふうに考えております。

 当然、今後、慎重な、十分な議論が必要であるということを前提として、いわゆるカルト規制であるとか宗教法人法の改正も含めて、この旧統一教会の問題、遡ればオウム真理教の問題などに正面から向き合った議論をスタートする時期に来ているのではないかというふうに考えますけれども、永岡大臣の御見解をお伺いをいたします。

永岡国務大臣 旧統一教会の問題に関しましては、法人や信者等の行為に関する不法行為責任を認めた判決が多数あります。それによりまして、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがある状況であると認められていることから、宗教法人法に基づきます報告徴収、質問権の行使等によりましてその事実把握、また実態の解明を進めているところでありまして、現行法に基づき必要な対応をすべきと考えたところでございます。

 また、このほかにも、政府といたしましては、相談体制の強化等によります被害者の救済、今後同様の被害を生じさせないための法制度の整備を並行して進めてまいりました。

 御指摘のカルト対策や宗教法人法の改正を含めまして、旧統一教会等の問題に向き合った議論については、これらの対応に万全を期すべく取り組みまして、その上で議論されるべき課題だと考えております。

西岡委員 今、大臣からもございました。これからも様々な法改正も含めて取り組んだ上での議論ということでございましたけれども、今回の問題の出発点、この問題についても真摯にこれからも議論を続けていかなければいけないと思っておりますし、宗教法人法については、信教の自由を守るという側面での議論が中心となりますけれども、その保障は極めて重要であることは言うまでもありませんけれども、正体隠しですとか身分を偽った宗教勧誘そのものが著しく信仰の自由を侵害しているということも事実でございますので、今後、是非議論を前に進めていっていただけることをお願いを差し上げたいというふうに思います。

 続きまして、さきの消費者問題特別委員会におきまして、宗教二世の小川さんが意見陳述をされ、切実な思いを述べられました。

 宗教二世については、全国の学校に、積極的に支援を図るよう、十一月に文部科学省として通知を出しておられます。その通知内容は多岐にわたっておりまして、早期発見、支援体制の整備ですとか、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などの教育相談体制の整備や、相談を受ける教員の側の必要な知識の取得、適切な情報共有、研修の在り方、また児童相談所との連携など、多岐にわたる内容が含まれておりますけれども、今、文部科学省としてこのことにどのように取り組んでおられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれる方針か、永岡大臣にお伺いをいたします。

永岡国務大臣 宗教二世の子供などの対応も含めまして、旧統一教会問題の被害救済を図ることは大変重要と考えております。

 文部科学省では、御指摘の通知におきまして、相談内容が宗教に関係することのみを理由として消極的な対応を行わないことや、学校内の関係者がスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーとともに教育相談に取り組むこと、また、児童相談所等の関係機関と緊密に連携をいたしまして必要な支援を行うことなどを周知をしております。

 現在、各学校等におきましても、様々な相談に対応していると考えております。また、宗教二世の子供も含めまして、児童生徒へのきめ細かな心理的そして福祉的支援を図るために、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置の充実を図っております。さらに、高等学校や大学等の進学に係る経済的支援に関しまして丁寧に対応することなどについて、大学それから都道府県などに対して周知をしたところでございまして、引き続きまして、学生等に寄り添った柔軟な対応に努めてまいりたいと思っております。

 また、加えまして、今後、厚生労働省におきまして、宗教二世の方々からの相談に係るQアンドAを作成する予定でございまして、これらを活用しながら、宗教二世の子供に寄り添った質の高い対応ができるように努めてまいります。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

西岡委員 大臣、ありがとうございます。大変重要な御答弁だというふうに思います。

 この対応については、しっかり文部科学省が、支援といいますか、その地域それぞれの体制には大変格差もあるというふうに思いますので、その学校現場の状況に応じて、しっかり文部科学省として御支援をいただきたいというふうに思いますし、この問題は孤独・孤立対策、その一環としてのお取組も大変重要だというふうに思っておりますので、引き続きのお取組をお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、今回の新法の内容につきましては、与党と国民民主党の実務者協議の中で、我が党は当初から、心理的支配利用に伴う暴利行為による寄附を禁じる規定と、家族による損害賠償を可能にする民法の特例というものを提案をいたしてまいりました。

 今日お配りしております二枚目の用紙でございますけれども、これは、その実務者協議の中でも提案をさせていただいた内容でございますが、先般参議院に、十二月九日に法案として提出をさせていただいた法律の概要でございます。

 今回の法律の成立を受けまして、足らざるところや今後の課題について、我が党が元々用意をしておりました法案でございますが、悪質献金に関する我が党の法案でございまして、この法案によって、刑法として犯罪行為が規定され、財物的被害ですとか犯罪被害者の救済をしやすくなる効果が見込まれると思っております。

 大臣、直接の所管でないことは十分承知をいたしておりますけれども、今後、様々な法律上の考えられる必要な改正を進めていく必要があるというふうに思いまして、是非、私どもが提出しておりますこの法律案につきまして検討していただきたいということを大臣にも要望をさせていただきたいと思いますが、大臣の方から御見解をもしいただけるのであれば、お願いを申し上げます。

永岡国務大臣 提出法案につきましては、国会で御議論いただきたいと思っております。文部科学大臣の立場でのコメントということは差し控えさせていただければと思っております。

 文部科学省といたしましては、旧統一教会の問題については、宗教法人法に基づきまして、報告徴収、質問権の行使等を通じまして、事実の把握、実態の解明にスピード感を持って取り組んでまいります。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

西岡委員 それでは、教育人材の確保につきまして、先ほどからも委員の方で御議論があっております教員のなり手不足につきまして質問をさせていただきます。

 御承知のように、教育現場では教員を始めとして職員が不足する深刻な状況が続いておりまして、私の地元長崎県においては、教員採用試験の倍率が一・二倍という大変深刻な状況となっております。

 その中で、今日もお配りをいたしておりますけれども、文部科学省としても、様々な側面から、この教員のなり手不足解消のお取組について、その取組の工程表を示されているわけでございますけれども、今、大変、その人員配置が、国が定めている人員配置自体が現実にできていないという実態がございまして、その大きな要因がなり手不足の問題ということに起因をいたしておりまして、不足しているところをほかの方が兼務をして、負担となって体調を崩すという負の連鎖が現場では起こっております。

 その中で、先般十九日に中央教育審議会から、教員採用試験の志願者を増やすための採用試験の前倒しというものの提案が答申をされました。これは、教育人材確保のために採用試験を一か月から三か月早めるものでございますけれども、例えば、今の現状におきましても、採用試験の日時が異なるために、ほかの都道府県の採用試験を併願をして、例えば両方合格した場合はやはり初任給の高い都市部を選択するという事態も私の地元で今実際に起こっております。

 ですので、今回の前倒しの導入という中で、例えば、その導入を一部の自治体だけが導入することによって、また、そういう今起こっている問題についても、是非この影響についても念頭に入れた御対応をお願いをしたいというふうに思いますけれども、文部科学省の御見解をお伺いをしたいと思います。

藤江政府参考人 委員御指摘の採用試験の早期化につきましては、本年九月に開催いたしました都道府県・指定都市教育委員会教育長会議におきまして、永岡大臣より、文部科学省と教育委員会等の関係団体から成る協議会の立ち上げについてお話をさせていただいて、十月からこれまで四回の協議会を開催し、ヒアリング等も行いながら検討を進めているところでございます。

 早期化の実施に当たっては多くの検討課題もあるところでございますけれども、委員御指摘いただいたとおり、一部の自治体だけが採用試験を早期化しても、ほかの自治体との併願者が増え、結果的に辞退者が増えてしまうという指摘もあるところでございます。このため、採用試験の早期化に当たりましては、現在の採用選考試験と同様に、例えば、地域ブロックごとに日取りをそろえることなどを検討する必要があるというふうに考えております。

 今後、各教育委員会や大学等の関係者からお伺いした意見について慎重に検討させていただきながら、委員お示しいただいた工程表にもございますように、早ければ令和六年度に行われる採用試験から実行できるよう、来年五月頃を目指して、一定の方向性を示すべく議論を進めてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 今御答弁がありましたように、ブロック単位でのことを考えていただいているということでございますけれども、特に地方における人材の確保、大変厳しい状況でございますので、現場の実態に沿った中での今回の制度の導入を進めていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、少数職種の加配の確保について質問をさせていただきます。

 通常、一校、事務職員一人、保健室養護教員一人、給食担当につきましては、センターに所属する給食担当の職員の方が一人で複数校をかけ持ちしているという実態がございます。一人しかいない職員の方が休んだ場合の対応には大変苦慮をされている現場の声がございますけれども、例えば、給食担当につきましては、生徒個別のアレルギー対策ですとか、今般のコロナによる休校や学級閉鎖に伴いまして、献立の変更や仕入れの停止などの対応が複数校同時に起きた場合、現場で、労働外時間も含めて大変な状況が生まれております。

 是非、加配をという切実な声がございます。最後に、予算措置も含めた文部科学省の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 養護教諭や栄養教諭、事務職員等の教職員定数につきましては、これまでも配置基準の引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたわけでございますけれども、近年では、児童生徒の心身の健康への対応、また、児童生徒に対する食に関する指導の充実、また、事務機能の強化のための共同学校事務室の設置促進といったことのための加配定数の充実を図ってきているところでございます。

 また、来年度の予算要求におきましては、複雑化、多様化する個別の現代的健康課題を抱える児童生徒に対応するため、退職した養護教諭等を活用し、よりきめ細かな支援体制の強化が行えるようにと、このような事業にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、環境整備にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

西岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、統一協会問題について、臨時国会の宿題から始めたいと思います。

 私は、十一月九日の当委員会で、資料一につけた一九九五年十一月七日の衆議院宗教法人に関する特別委員会の議事録から当時の文化庁が理事会に提出した事実が確認できる、宗教法人審議会の審議の概要についてと題されていたと思われる資料の提出を求めました。文化庁の合田次長は、「鋭意探してございます。見つかりましたら、これは衆議院の宗教法人に関する特別委員会の理事会に御提出したものでございますので、御提出を申し上げます。」と答弁をいたしました。

 見つかりましたか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの資料につきましては、さきの国会における御指摘を踏まえ、継続的に文化庁において探索をしてございまして、平成七年当時の宗教法人法改正の担当者にも聴取するなど確認作業を行っておりますが、誠に申し訳ありませんが、現在なお、資料の特定には至ってございません。

宮本(岳)委員 文化庁が当時、国権の最高機関たる国会に提出し、こうして議事録の中にも明確に残っている文書です。もちろん、文化庁内の決裁など、しかるべき手続を踏んで提出されたはずであります。そうした文書が、当時の特別委員会の委員部を引き継ぐ衆議院文書課にもないと言い、国会に対して提出した当事者である文化庁も、探しているが見つからないなどということがあってはなりません。

 委員長、委員会として、衆議院文書課並びに文化庁に提出を求めていただきたい。

宮内委員長 理事会で協議させていただきます。

宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。

 二〇一五年の統一協会の名称変更について、下村博文氏が文科大臣時代に関与したのではないかという週刊誌の質問状に対する回答であります。これは、今年七月十三日に下村氏のホームページに掲載され、今も掲載されております。

 これは実に奇妙な文章でありまして、あなたは関わったのかと問われたら、当事者ですから自分を主語にして答えるはずなんですね。ところが、この文章は、「文化庁に確認をしたところ、」から始まっております。この文章によると、文化庁に確認し、「通常、名称変更については、書類が揃い、内容の確認が出来れば、事務的に承認を出す仕組みであり、大臣に伺いを立てることはしていない。今回の事例も最終決裁は、当時の文化部長であり、これは通常通りの手続きをしていた」と文化庁が回答したとなっております。その上で、「貴誌のご質問は全く事実に反することを確認」したと、まるで文化庁がこの週刊誌の報道が全く事実に反すると確認したかのようにさえ読める文章になっております。

 そこで確認いたしますけれども、文化庁はこの赤線を引いた文章どおり下村博文事務所に回答したのか、そして、文化庁が週刊誌の報道内容が事実に反するということを下村博文事務所に対して確認してやったのか、お答えいただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月十一日、下村議員事務所から当時の文化庁次長に架電があり、宗教法人の規則変更の認証に関する法的な枠組みや手続、平成二十七年の旧統一教会の名称変更に関する事実関係について問合せを受けたため、御指摘の書面に記載されているような旨の回答をしたことを確認してございます。

 なお、この下村議員事務所からの問合せは電話で行われたと承知をしておりますので、今先生からお話がありました、具体的な紙面や雑誌からの誌面を確認した上でのお答えではないということを当時の文化庁次長にも確認をいたしてございます。

宮本(岳)委員 実際には紙面を見て答えたものではないという答弁でありました。

 この文章は、前段と後段で不自然な継ぎはぎになっております。後段の、名称変更は、文化庁決裁規程によって、手続上文化部長が決裁権者であることは事実であります。しかし、問題は、この最終決裁に至るまでの過程に、政治家、まさに当時の下村氏などが関わったのではないかということが問われているわけですね。

 前段では、通常の名称変更であれば伺いを立てないということでありますけれども、申請の受理前と、そして認証の決定前、それぞれ大臣に説明、報告したのは、これは通常の手続ではなかったということでいいですね。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人の規則の変更につきましては、今御指摘ございましたように、文化庁の専決によることとされてございますが、旧統一教会の名称変更については、社会的に注目度の高い法人に係る事案であったことを踏まえて、当時の下村文部科学大臣に、申請書を受理すること、あるいは認証を行うことを報告したものでございます。

 専決の枠組みに変更はございません。

宮本(岳)委員 これは当然、通常の手続とは違う手続をしているわけですよ。二〇一四年までは、この件は受理もしない、認証もしないという、これが前例となっておりました。それを覆して、二〇一五年には受理もしたし認証もしたんですから、通常の場合とは異なる対応であることは言うまでもありません。

 では、なぜそのような通常の場合とは異なる対応が行われたのか、そして、文化庁が通常はやらないはずの大臣への報告をなぜわざわざ二度にわたって下村大臣に対して行ったのかが問われているわけですね。だからこそ、この報告に使った大臣説明資料が重要な意味を持つわけであります。

 大臣は、十月二十六日の私への答弁で、申請を受理することの報告を行った際の資料が確認され、また、認証を決定することの報告を行った際の資料については、それ自体は確認できなかったけれども、それに担当者がメモ書きを追加したと思われる、極めて近い資料が存在することを認められました。そこまで認めておきながら、法人の非公知の事実を含むから開示しない、つまり、統一協会にとって知られてはまずい情報を含んでいるから提出できない、さらには、行政の内部の意思形成過程に関する文書であることから提出しない、こういう答弁をされました。

 しかし、行政の内部の意思形成過程に下村氏がどう関わったのか、関わっていないのかを知るために文書提出を求めている国会に対して、行政の内部の意思形成過程に関する文書だから提出しないなどというのは、もはや国政調査権に対する妨害だと言わなければなりませんが、大臣、そうではありませんか。

永岡国務大臣 宗教法人法の趣旨や情報公開法も踏まえまして、御指摘の資料の情報公開に当たりましては、宗教法人から所轄庁に提出をされております書類のうち、当該法人の非公知の事実に関する情報を含むものや、行政内部の意思形成過程に関する資料につきまして、不開示としております。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 同じ答弁を繰り返されましたけれども、それがおかしいのではないかと私は申し上げたんですよ。

 そもそも、行政内部での意思形成過程が問題になっているんだから、行政内部の意思形成過程が分かる資料を提出してくれと。これは押し問答をしても仕方がありません、私の方でこれは開示請求をさせていただきましたので、ちゃんと誠実な対応をお願いしたいと思います。

 統一協会の養子縁組をめぐって厚労省が行っている調査で、統一協会の信者による養子縁組の実態を尋ねた二度目の質問書について、教団側が半分以上の質問に対し回答拒否と答えるとともに、厚労省に二枚組の抗議文を送付したとメディアが報じております。

 厚労省は、回答の内容や抗議文の内容については答えられないとのことでありましたけれども、回答とともに抗議文を受け取ったことはお認めになると思うんですが、事実ですね。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の文書でございますけれども、まず、一つ目の御指摘の、旧統一教会からのいわゆる抗議文書というふうに報道等もされておりますが、こちらの方につきましては、十二月十六日の金曜日に担当部署の方に到達をしたところでございます。

 また、御指摘の再質問書に対する回答書につきましては、十二月十九日の月曜日に受け取ったところでございます。

宮本(岳)委員 中身は開示できないけれども、一応抗議文を受け取ったということは今確認をされました。

 じゃ、大臣、文科省は、この間、統一協会から抗議文が届いているということについて、それはお認めになるんですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権の行使を今やらせていただいているところでございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、旧統一教会との具体的なやり取りにつきましては、今後の報告徴収、質問権の適正な行使に支障が生じるために差し控えますが、私どもの行っている報告徴収、質問権は全く適法であるという立場にいささかの揺るぎもございません。

宮本(岳)委員 それは行政がやっていることですから、適法であると思ってやっているんでしょうけれども。なぜそんなことさえ認められないのか。実に奇異だと思いますね。

 統一協会は、養子縁組あっせん法違反の疑いで事実確認のために行われている厚労省の調査に対して、抗議文まで送ってきております。あっせん法には、許可を受けずに養子縁組のあっせんを行った場合は、一年以下の懲役、百万円以下の罰金という刑事罰もあるわけですね。これは、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為にほかならないわけです、それが事実とすれば。

 大臣、もはやこれは、宗教法人法八十一条の第一項一号により直ちに解散命令を請求すべき事態だと思いますが、そうじゃないですか。

永岡国務大臣 宗教法人法に照らしまして解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは、報告徴収、質問権の行使を通じまして、宗教法人の業務等に関して、具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにいたしまして、法律にのっとり必要な措置を講ずるべきものと考えております。

 そのために、現在、報告徴収、質問権を行使するとともに、全国弁連等の協力を得まして収集した資料等によりまして、民事裁判の事例の把握、分析なども進めているところでございます。これら、迅速にしっかりと進めてまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 くれぐれも迅速に進めてほしいんですね。そして、適切にちゃんと対応していただきたいと思います。

 次に、五輪の汚職、談合疑惑について聞きたい。

 大臣は、十一月二十九日、当委員会において、スポーツ庁と日本オリンピック委員会が中心となってプロジェクトチームを立ち上げたと答弁されました。プロジェクトチーム立ち上げの目的は何ですか。これは角田次長。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 組織委員会の元理事の逮捕、起訴事案につきまして、スポーツ界全体に及ぼす重大性に鑑みまして、まずは、本年九月に日本オリンピック委員会と札幌市におきまして札幌オリパラ招致のための宣言文を公表し、また、十月には、スポーツ庁、JOCを含むスポーツ団体五者が本件に関する決議を取りまとめたところでございます。

 この決議を踏まえまして、スポーツ庁、JOCが中心になりまして、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定する、これを目的といたしまして、十一月、大規模な国際又は国内大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方検討プロジェクトチームを立ち上げたところでございます。

宮本(岳)委員 資料三を見ていただきたい。

 十月十七日にスポーツ政策の推進に関する円卓会議が決議した「今後の大規模な国際又は国内競技大会の円滑な開催に向けて」という文書であります。下線部、「仮に不正が行われていたとすれば、オリンピック・パラリンピック競技大会のみならず、スポーツの価値を大きく貶めるものであり、決して許されるものではありません。」そして、「我々は自分事として捉え、危機感を持って重く受け止める必要があります。」

 この円卓会議にはスポーツ庁の長官も出席をしております。これは、大臣、同じ認識ということでいいですね。

永岡国務大臣 はい、委員と同じ認識でございます。

宮本(岳)委員 そうであれば、今後の対応を検討するためにも、そもそも事件の検証が不可欠であります。

 ところが、スポーツ庁は、十一月十六日の衆議院内閣委員会で、我が党の塩川鉄也議員が、国自身が責任を持って検証せよと迫ったのに対して、高橋容疑者の事件は組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものだから、組織委員会が責任を持って対応すべきもので、政府は今後の刑事手続を注視していきたいなどと繰り返すばかりでした。

 角田次長、これでは、多くの国民に失望感を与える大問題を引き起こしておいて、スポーツ庁は注視、ただただ手をこまねいて見詰めているだけでよいのかということが問われますが、そうじゃないですか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案につきましては、現在、刑事手続中の事案であり、また、公正取引委員会による調査が行われているところでございます。その経緯等につきましては、今後の手続や調査の中で明らかになっていくものと承知しております。その過程を注視をしていくべきものと考えているところでございます。

 また、今回の事案に関する責任の所在につきましては、当事者である清算法人の組織委員会が責任を持って対応すべきものと考えているところでございます。

 他方、今回の事案が組織委員会のガバナンス体制等とどのような関連があったかにつきましては、刑事手続や守秘義務に抵触しない範囲内においてという制約はあるものの、組織委員会の元職員からのヒアリング等を通じまして、今後の国際大会の運営透明化、公正化に向けて、スポーツ庁と日本オリンピック委員会が中心になって設置いたしましたプロジェクトチームにおいて議論を行うこととしており、今後の再発防止策も策定してまいりたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 ガバナンスに問題があったなんて当たり前、もうはっきりしたことなんですよ。

 この間の国会での答弁で、星野審議官でしょうか、この東京オリンピック二〇二〇の公式報告書というものから引用して、ガバナンスやあるいはコンプライアンスについて述べられました。

 今日は、資料四にその写しもつけております。ここにはガバナンス改革も書いています。みなし公務員規定を始めとするコンプライアンス体制の推進も大いにやってきたと書いていますよ。じゃ、一体なぜこんな事態が起こっているんですか。

角田政府参考人 御答弁申し上げます。

 繰り返しでございますが、この元理事が逮捕、起訴された案件につきましては、現在、刑事手続中でございますし、また、公正取引委員会による調査が行われておりますので、その中で経緯等につきまして明らかになっていくものと考えているところでございます。現在、刑事手続の途上にあることから、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 時間が来ましたのでまとめに入りますけれども、実は、このテスト大会の業務をめぐる談合事件では、五輪組織委員会側が談合調整していたという疑いが深まっております。組織委員会で発注業務を担ったのは大会運営局でありますけれども、この運営局は、できる前、大会準備運営第一局ということでありました。

 資料五は、スポーツ庁から提出を受けた、組織委員会へ派遣された職員数一覧でありますけれども、談合調整に関わったとされる局にスポーツ庁や文部科学省から出向しております。これらの職員は関わっていないかどうかを調査しましたか。関わっていないとすれば、なぜ事前に止められなかったんですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 東京オリンピック組織委員会に対します政府からの派遣の職員は、資料にございますように、十七省庁から百四十八名でございました。出向先につきましては、総務局、企画財務局、あるいは国際局、警備局、スポーツ局、さらには大会運営局など、多岐にわたっているところでございます。

 先ほどの御質問、職員に対する聞き取りということでございますけれども、現在、公正取引委員会におきまして調査をされている途上でございますので、私どもとしてそういった聞き取りは行っていないというところでございます。

宮本(岳)委員 もう最後にしますけれども、森友問題だって私はやってきましたけれども、司法手続が進んでいる、同時並行でちゃんと役所の調査はやったんですよね。

 大臣、昨日、会計検査院のこの報告が出ました。この中でも新たな指摘がされております。この中身に立ち入って今日はもうできませんけれども。会計検査院の指摘を始め、重く受け止める、このことを是非大臣の口から聞かせていただいて、今日はこの質問を終わりたいと思います。

永岡国務大臣 五輪汚職問題及びテスト大会等の選定におけます談合疑惑につきまして、仮に不正があったとすれば誠に遺憾であると考えておりまして、オリンピック・パラリンピック競技大会を始めとするスポーツの価値を大きくおとしめると考えております。

 元理事が逮捕、起訴された事案を受けまして、先日、スポーツ庁、日本オリンピック委員会が中心となって、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定するプロジェクトチームを設置をいたしました。今後我が国で開催されます大規模な競技大会において参考となる適切な運営体制の構築に向けまして指針案を示す、作成することとしておりまして、しっかりと対応させていただきたいと思っております。

 さらに、文部科学省といたしましては、今回の入札におけます不正行為に関する今後の東京地方検察庁と公正取引委員会の調査や東京都の調査も注視をしながら、適切な対応を図ってまいります。

宮本(岳)委員 しっかりやってください。

 終わります。

宮内委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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