衆議院

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第2号 令和5年3月10日(金曜日)

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令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君    勝目  康君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      柴山 昌彦君    鈴木 貴子君

      田野瀬太道君    高鳥 修一君

      谷川 弥一君    辻  清人君

      中曽根康隆君    丹羽 秀樹君

      西野 太亮君    深澤 陽一君

      船田  元君    古川 直季君

      穂坂  泰君    山口  晋君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      吉川  元君    金村 龍那君

      高橋 英明君    早坂  敦君

      平林  晃君    山崎 正恭君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山本  仁君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       金井 正彰君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 岡村 直子君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     川崎ひでと君

  丹羽 秀樹君     塩崎 彰久君

  船田  元君     深澤 陽一君

  古川 直季君     西野 太亮君

  義家 弘介君     高鳥 修一君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     柴山 昌彦君

  塩崎 彰久君     丹羽 秀樹君

  高鳥 修一君     義家 弘介君

  西野 太亮君     古川 直季君

  深澤 陽一君     船田  元君

    ―――――――――――――

三月九日

 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

同月十日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第一七〇号)

 同(古川元久君紹介)(第二八三号)

 同(牧義夫君紹介)(第二八四号)

 同(稲富修二君紹介)(第二八七号)

 同(梅谷守君紹介)(第二八八号)

 同(神田憲次君紹介)(第二八九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九七号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二九八号)

 同(柚木道義君紹介)(第二九九号)

 同(長坂康正君紹介)(第三一四号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(泉健太君紹介)(第一七一号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第一七二号)

 同(岩田和親君紹介)(第一七三号)

 同(大串博志君紹介)(第一七四号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一七五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一七六号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一七七号)

 同(土井亨君紹介)(第一七八号)

 同(中村裕之君紹介)(第一七九号)

 同(前原誠司君紹介)(第一八〇号)

 同(山井和則君紹介)(第一八一号)

 同(稲富修二君紹介)(第二〇〇号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二〇一号)

 同(神谷裕君紹介)(第二〇二号)

 同(北神圭朗君紹介)(第二〇三号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第二〇四号)

 同(中川宏昌君紹介)(第二〇五号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二〇六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二二一号)

 同(武部新君紹介)(第二二二号)

 同(白石洋一君紹介)(第二四七号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第二四八号)

 同(柚木道義君紹介)(第二五六号)

 同(津島淳君紹介)(第二八〇号)

 同(梅谷守君紹介)(第二八五号)

 同(神田潤一君紹介)(第二八六号)

 同(青山大人君紹介)(第二九二号)

 同(石川昭政君紹介)(第二九三号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第二九四号)

 同(福島伸享君紹介)(第二九五号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第三一二号)

 同(西野太亮君紹介)(第三一三号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第一八二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八三号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一八四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一八五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八六号)

 同(寺田学君紹介)(第一八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八八号)

 同(笠浩史君紹介)(第一八九号)

 同(神谷裕君紹介)(第二〇七号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二二四号)

 同(田中健君紹介)(第二二五号)

 同(湯原俊二君紹介)(第二二六号)

 同(白石洋一君紹介)(第二四九号)

 同(山岸一生君紹介)(第二五七号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(下条みつ君紹介)(第二八一号)

 同(篠原孝君紹介)(第二九六号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(下条みつ君紹介)(第二八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、警察庁長官官房審議官友井昌宏君、生活安全局長山本仁君、外務省大臣官房国際文化交流審議官金井正彰君、文部科学省大臣官房長望月禎君、大臣官房文部科学戦略官伊藤学司君、大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局私学部長茂里毅君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長森晃憲君、研究開発局長千原由幸君、国際統括官岡村直子君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長杉浦久弘君、文化庁次長合田哲雄君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、国土交通省大臣官房審議官佐々木俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 どうぞ、それぞれ答弁者の皆様、よろしくお願いいたします。

 実は、伊佐厚労副大臣が参議院出席のために九時十五分頃をめどに御退室ということで、そこを先に全部終わらせるように考えておりますので、ほかの、大臣含め答弁者の方も、それまでちょっとコンパクトかつ若干早口で御答弁をお願いいたします。

 マスク着用ルールの緩和について伺います。

 週明け月曜日、三月十三日以降、政府として、この間、もう四年になるマスクの着用についてルールが緩和、いわゆる脱マスクあるいはノーマスクというふうにかじが切られていくと承知をしておりますが、資料六ページ目、その前の五ページ目には全国知事会の平井鳥取県知事のインタビューも掲載しておりますが、六ページ目を御覧いただくと、病院、介護施設等、外来とかお見舞いとかは推奨、これはそのとおりなんですが、公共交通機関、同じ公共交通でも、電車、バスで対応が割れている。

 この点について、まず、今日、国交副大臣、厚労副大臣にそれぞれちょっと伺いたいんですけれども、学校の登下校についても後ほど文科大臣に伺いますけれども、混雑した公共交通機関、資料の三ページ目につけておりますけれども、通勤ラッシュ時など混雑した電車、バスに乗車するときはマスクを推奨、政府はこの間、三月十三日から個人の判断ではあるけれども、マスク着用を推奨、こういう方針なわけですね。ところが、資料の六ページ目にもつけておりますように、例えばJRさん、満員電車であってもマスク着用を推奨もしないし、アナウンスもしない。他方で、バス業界については逆に、通勤時間帯などについてはマスク着用を推奨すると。

 こういうことであると、例えば、よく、皆さんもそうだと思いますが、私もそうですけれども、満員電車ではマスクを外していて、乗り換えて、満員バスに乗ったら今度はマスクを着けなきゃいけない。これはちょっとさすがに、学生さんも含めて、混乱するんじゃないですか。

 公共交通機関ですから、国交副大臣、政務官ですかね、お願いします。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 新しいマスクの着用の考え方では、通勤ラッシュ時等混雑した電車やバスに乗車するときはマスクの着用を推奨する一方、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう配慮をお願いしているところでございます。

柚木委員 この答弁で本当に、国民の皆さん、あるいは登下校を混雑時にされる学生さん、大丈夫なんですかね。

 ちなみに、文科大臣、いいですか、この混雑時の公共交通機関利用、登下校時、学生さんに対しては、これは個人の判断なんですか、それとも学校が一定の方針を児童生徒に示すんですか。御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お尋ねの登下校時につきましては、二月十日の政府対策本部決定を踏まえれば、四月一日以降、児童生徒にマスクの着用を求めないことが基本となりますが、他方で、同決定におきましては、通勤ラッシュ時等混雑した電車やバスに乗車する場面では、社会一般におきましてマスクの着用を推奨するとされていることから、児童生徒が通勤ラッシュ時等に混雑した電車やバスを利用する場合には、マスクの着用を推奨することも考えられるものと思っております。

柚木委員 そうすると、伊佐副大臣、月曜以降、まさにこの周知をいただく、ちょっとメッセージの発信の仕方を工夫いただかなきゃいけないと思いますね。公共交通機関、国土交通政務官は個人の判断に委ねる、あるいは事業者の判断ということですね、昨日のレクだと。

 しかし、例えば、児童、学生さん、うちの娘も、まさに間もなく卒業式で、私は国会でちょっと出れなさそうなので残念なんですが、その後、中学生になって、公共交通機関を利用することになりそうなんですね。

 例えば、今後、これは私も昨日ある方から、もう早速、電車の中でも若干、トラブル、混乱に遭遇したという話を聞きましたよ。いや、着けなくていいと政府は言っている、例えば満員電車の中で、JRさんの中で。他方で、バスに乗ったら、今度は着けるように言われている。いやいや、個人の判断じゃなかったのか、さっき電車ではノーマスクでオーケーだったよと。これは混乱、トラブルが発生する可能性、あり得ます。花粉症で、まあ私もそうなんですが、大きなくしゃみ、せきの方、やはり周りにもおいでですしね、この季節。

 ちょっと、来週月曜以降、そういう混乱、トラブル等が仮に発生するようなことになれば、やはり、混雑時の電車、バス、特に公共交通機関におけるトラブルなども起こらないような発信を、是非、特に厚労省所管のこの分かりやすいポスターなどを通じて心がけていただきたいと思いますが、副大臣、お願いいたします。

伊佐副大臣 今、JR東日本の件、言及していただきましたが、我々政府、厚労省の理解は、JR東日本については、列車内では呼びかけはしないということでありまして、例えば構内でのポスターを含めて、基本的には混雑時についてはマスクを推奨するというスタンスは、これは列車であろうがバスであろうが変わらないという認識でおります。その上で、基本的には個人の判断ということになります。

 ただ、委員おっしゃるとおり、利用者とのトラブル、現場での混乱が生じることが懸念されておりますので、政府としましては、業種別のガイドラインというものを策定していただく際には、しっかりと業界団体からの相談に丁寧に対応するということと同時に、事業上の理由で利用者にマスクの着用を事業者側から求めることがありますよということを御理解いただけるように、しっかりと様々な媒体を通じて周知していきたいというふうに思っております。

柚木委員 マスクのところは、伊佐副大臣に出ていただかなきゃいけない、ちょっと途中残して、また最後戻りますけれども、伊佐副大臣のところを先に行きたいと思います。

 ちなみに、まさに公共交通機関もそうなんですけれども、混雑したときにという、これはいろいろなところでそう書かれているんですね。例えば、昨日、ワールド・ベースボール・クラシック、日本勝利、よかったです、本当に今日も頑張ってほしいんですけれども、スポーツイベント、あるいは音楽コンサート、あるいはこれから選抜の高校もありますね、甲子園、あるいは大相撲ですか、いろいろなイベントが、混雑しているときは、例えば、それぞれ主催者、事業者の御判断でマスク着用を推奨できる、許容し得る。

 これは、厚労副大臣、混雑の定義というのはどういった形で決めているんでしょうか。

伊佐副大臣 まず、電車とバスは、政府は混雑した中では推奨している、ところが、イベントは推奨していないじゃないかということについては、混雑した電車やバスというのは、例えば高齢者あるいはリスクの高い方々が利用している、こういう方々がある意味選択できない、つまり、公共のバスや電車の移動を選択せざるを得ないという状況に鑑みて、ここはマスクを推奨しているという状況でございます。

 どういう場合が混雑かというのは、これは、例えば電車がどういう場合に混雑かというのは、路線によっても違います、時間帯によっても違います、一概には言うのはなかなか難しいというように思っております。

柚木委員 これ、今日ちょっとそこまで時間ないので、今後、整理いただきたいと思いますね。資料一、二ページ目に、まさに専門家会議の皆さん、二ページ目に赤線を引いていますけれども、周囲の混雑状況とは書いてあるけれども、定義していませんので、やはり、今後、そういうことがないとまさにトラブルになりかねないと思いますので、ちょっとこれをお願いをしておきたいと思います。

 それで、五ページの、全国知事会の会長、平井鳥取県知事も、全国でトラブル必至ということで述べておられます。何がトラブルになり得るかというと、まず飲食店ですね。まさにその同じ平井知事の鳥取の隣の島根県知事さんは、飲食店の感染防止認証にマスク着用、これは絶対入れる、これを入れないんだったら、もう認証の制度なんかやめてしまうと表明されています。

 これはまさに東京都の小池都知事が言われているのと真逆ですね。東京はもう認証のルールにマスク着用を外すと、マスク会食も。ポスターも取る、マスク会食してくださいという。こういう真逆の対応、つまり、都道府県ごとに飲食店の、まさに場合によってはトラブル、それこそお客さんの入り、経営、こういったことに直結するマスクの着用推奨ルールについて、自治体間格差が生まれるわけですよね。

 非常に現場から不公平感が既に聞こえてきておるわけですが、厚労副大臣、こういう不公平感が都道府県ごとに出てくるというのは、これはある意味やむを得ない、こういう理解でいいんでしょうか。

伊佐副大臣 二月の十日の政府対策本部決定を踏まえまして、先ほど委員おっしゃったように、認証基準の案の必須項目からマスクの着用を求める項目を削除するという改定を行いました。これによりまして、ほとんどの都道府県というものは、認証基準からマスクの着用を落としているという状況でございます。

 基本的には県の独自の判断になるということを思っておりますが、例えばこれが直接何か補助金とリンクしているとかというわけではございませんので、ステイホームをしていたあの当時は、補助金は様々なものがリンクしておりましたが、その時代、そのときであっても、都道府県はそれぞれ独自の様々なルールを設けて自由でやっていたわけですので、そういう意味では、県の独自の判断によるものというふうに思っております。

柚木委員 これも、ちょっと現場の運用状況、今日も、卒業式のことも含めて、国は指示するだけでいいかもしれないけれども、トラブル対応は現場だから、現場の状況をよく見て判断してくれと、これは各界から上がっていますので、是非今後の、月曜以降の運用状況を見ていただいて、飲食店についても、あるいはいろいろなイベントの混雑ルールについても、公共交通機関についても御対応いただきたいと思います。

 ちょっと、副大臣のところを先にどんどん行きますと、エホバの証人の、児童虐待防止法に当たる、例えば忌避行為といって、皆さん、忌避行為というのは余り聞きづらいですけれども、要は、エホバの証人の教義と違うことをしたら、もう家族と一生会わせない、現実に起こっています。私たち、直接信者さんから、あるいは元信者さんから話を聞いています。そういったことは虐待に当たり得るのか。あるいは、輸血拒否問題、これも副大臣がいる間にやれるところまでやりますが、まさに児童、十五歳未満の場合の輸血拒否、これも、それぞれ児童虐待防止法上の児童虐待に当たるという理解でよろしいですか、副大臣。

伊佐副大臣 御指摘いただいたような、例えば児童を無視するとか嫌がらせをする、こういう拒否的な態度を継続的に示すことは、それぞれ心理的虐待あるいはネグレクトに当たります。また、医師が必要と判断した輸血等の医療行為を受けさせないということもネグレクトに該当いたします。

柚木委員 ちょっと警察庁、この後、答弁いただきます。

 伊佐副大臣、最後の質問。旧統一教会の問題。

 養子縁組あっせん問題、先般、教会の養子縁組のパンフレットがまさに不適当だ、児童の権利条約、児童福祉法上問題があるということで是正の指導をしたにもかかわらず、またその改定版も問題があるということで、三月六日付でその旨を厚労省から旧統一教会側に郵送し、恐らく翌日七日には届いているそうですけれども、旧統一教会側から返事はあったんでしょうか。仮に返事がないのであれば、旧統一教会側に、まさに違法、脱法的な養子縁組の状況、パンフレットの内容についても再度の改定を強く求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊佐副大臣 旧統一教会が発行していますハンドブックの改定案に対する見解、おっしゃっていただいたとおり、七日に先方に受領されたということを確認をしております。

 個々の文章表現の中身についてこの場で意見する立場にはございませんが、ただ、御指摘いただいたとおり、児童の権利条約あるいは児童福祉法に照らして適切ではない表現がまだあるというふうに考えております。

 ここは、あっせん法も含めまして、適切な運用がなされるように努めてまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 伊佐副大臣、ここまでで結構です。ありがとうございました。

 警察庁にちょっと戻りますけれども、エホバの証人の方ですね。昨日、大分レクでやり取りしたんですけれども、この輸血の拒否問題については、今日も資料にるるつけております。特に医療現場におけるガイドライン、十八ページ目につけているんですが、こういったことも含めて、とにかく人命救助、そのための緊急避難的な輸血、交通事故で、小学校の、信者のお子さん、輸血拒否で亡くなっていますので。これは、それで輸血をした場合に、実は信者さん御本人に輸血をしたときに、最高裁で輸血をした医師側が違法性を問われているんですね。

 これはちょっと、ちゃんと整理していただかないと、だって、人命救助、緊急避難で、例えば道路交通法上、赤信号でも、人を救うために、それは違法になりませんよね、人がひかれないように、ひかれている人を赤信号でも避難させたら。こういう人命救助、緊急避難的な輸血も違法に問われるのであれば、現場のお医者さん、怖くてできないですね、信者さんが輸血拒否カードを持っていた、あるいは、そのお子さん。

 そういう整理も昨日大分やっているんですけれども、まず、警察庁、一般論としてですけれども、エホバの証人でいえば、まさにそういう忌避行為、輸血拒否行為というのは児童虐待防止法上の虐待に当たるわけですが、私たちは直接、あるいは国対ヒアリングで警察庁の方も来られて、直接被害者や弁護士からこの状況を聞いているわけですね、リアルに。被害者や弁護士から被害届、あるいは公的な機関に相談などがなされた場合、警察としては、関係者から話を聞く、聴取する、こういうことはあり得るんでしょうか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 児童虐待事案につきましては、宗教上の理由の有無にかかわらず、事案の危険性、緊急性を踏まえ、児童の安全確保を第一として対応を行うことが重要であると認識をしております。

 虐待被害の相談や届出を受けた場合におきましては、その事案が刑罰法令に触れるものであるときは、厳正に捜査を行い、事件化をしていくこととしております。

柚木委員 今の答弁、被害者、元信者さん、あるいは弁護士、関係者の方もお聞きになられていると思うんですね、視聴されていると思いますので、ある意味では、そういう被害者の方は、今の答弁、重要な答弁ですので、泣き寝入りせずに、被害届を出すなど、あるいは公的機関にしっかり相談するなどして、しっかりとその勇気を持って、まさに今、公表されている方も増えてきていますから、そうすれば警察庁もそういう対応をいただける、聞き取り、聴取、捜査、そういう流れになり得るということですから、これは是非、一般論としてですけれども、そういう形を私たちも、立法府としても後押ししていきたいと思います。

 それで、これに関連して、ちょっと一問、じゃ、文科大臣の方にこの質問もさせておいていただきますが、先ほど、旧統一教会の方、養子縁組あっせんについても、いまだに、まさに養子縁組のあっせん事業者法、これについても非常に違法性が問われるようなやり方を長年、組織的、継続的に、教団は否定していますけれども、事実上行ってきたし、いまだにパンフレットについても問題がある。

 さらには、今日、資料にもおつけしておりますが、集団訴訟、十九ページ目。元信者ら返金請求、五十人、計十六億円。これは本当に氷山の一角ですからね。これについて教会側は交渉拒否を表明しているんです。ここは、まさに被害者救済法が一月五日から施行されて、四月一日からはまさに配慮義務規定違反で罰則規定が施行されるわけですよ。被害者救済法上、明らかに該当するような、まさに不誠実な対応を教会が現段階で行っています。

 養子縁組のあっせん問題、あるいはこの集団訴訟への旧統一教会側の不誠実な対応、これは被害者救済法上で言えばもう違法な対応ですよ、正体隠ししてやってきたんだから。

 そして、四回目の、今、解散命令請求に向けた質問権行使が行われ、週明け、三月十五日に回答期限を迎えるわけですが、これは是非、この集団訴訟への不誠実な対応や養子縁組のあっせん問題も含めて、解散命令請求をする場合には盛り込んでいただきたいと思いますし、その中で、これらを盛り込む上で、場合によっては、時間がかかるということであれば、五回目の質問権行使もあり得るのか、御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 解散命令の要件というのは宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げというものが不可欠でございます。

 そのため、これまで四回にわたりまして報告徴収、質問権を行使いたしまして、旧統一教会から報告を求めてまいりました。

 その詳細につきましては、今後の報告徴収、質問権の効果的な行使やその後の対応に支障を来すおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきますけれども、やはりしっかりと、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料、これは本当に、客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進めた上で、法律にのっとりまして必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

 また、五回目の報告徴収、質問権の行使につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えますけれども、提出されました資料を分析した結果を踏まえまして、更に報告を求めたり質問を行うことはあり得る、そう考えているところでございます。

柚木委員 非常に、今後の方向性をある意味中間報告的に今整理して御答弁いただいたと思いますね。

 なかなか言いづらかったと思いますが、五回目の質問権行使も、これは今視野に入っているということですね。そして、その中で、是非、この旧統一教会の違法、脱法的な、人の人生をめちゃくちゃに狂わせてきた、子供のためじゃなしに、教団存続のための養子縁組あっせん、そしてまた集団訴訟への不誠実な対応も踏まえて、更なる質問権行使、行う場合には、解散請求、命令に向けて行っていただきたいと思います。

 ちょっとごめんなさい、マスク、一問、文科大臣に残していましたので、これも重要なので、資料八ページ目に、うちの地元の、県内の大学の卒業式、これまでとこれからということで、地元のことなので、私もいろいろな問合せも受けているので、あえてつけています。

 これは、来週月曜日以降、政府として、脱マスク、ノーマスクの方向へかじを切っていくと。文科省としては、それを受けて、四月一日以降、新年度に、学校現場、もちろん幼稚園等、大学、高校、中学、小学校と方向性を示されると伺っていますが、この三月十三日までの学校現場における対応、例えば卒業式ですね、四月一日以降でいえば入学式ですね、これは、マスクルール、具体的には何がどう変わるんでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 社会全体のマスク着用の見直しにつきましては、委員おっしゃいますように、三月十三日でございます。

 また、学校につきましては、三月中は学年末に当たることを考えまして、円滑な移行を図る観点から、新年度となります四月一日から適用することとした上で、卒業式につきましては特例的にマスクを外すことを基本としたものでございます。

 このため、三月の十三日から四月の一日までの間におけます学校でのマスクの着用につきましては、今までどおり、従来どおりということで、考え方を継続することとしております。めり張りのあるマスクの着用をお願いしたいと考えております。

 四月の一日以降につきましては、対策本部決定に基づきまして、儀式的行事を含みます学校教育活動の実施に当たりまして着用を求めないことが基本となるということになると思っております。

柚木委員 これは重要な答弁なんですね。

 実は、ちょっと伊佐副大臣にもう一問本当はしたかったんだけれども、昨日のレクで確認をしているのは、五月八日以降、コロナがインフルエンザと同様の五類化になると、マスク着用についての法的根拠、これは微妙に変わるんですよ、微妙に変わる。

 これまでは、コロナ特措法上の基本的対処方針に基づいて、国民の皆さんに分かりやすく言うと、是非こういう場面ではマスク着用をお願いしますと。ところが、五月八日以降は、この法的根拠はなくなって、感染症法上、三条に基づいて、分かりやすく言うと、マスクをしていただいた方がよろしいですと、推奨なんですよ、お願いじゃなくて。トーンが若干弱まりますよね、マスクお願いしますというのと、こういう場面ではマスクを着けた方がいいですよと。法的根拠はあるんだけれども、弱まる、法的効果というか拘束力が。

 そんな中で、四月一日以降、また五月八日以降、今の御答弁だと、これまで、例えば卒業式、三月十三日までは、特例扱いでノーマスクでも大丈夫、しかし、四月一日以降、入学式などではノーマスクで大丈夫、こういう理解でよろしいですか。ちょっと端的にお願いします。

永岡国務大臣 すごく上手に言い表していただけたかなと思っております。

 新型コロナに限りません、インフルエンザなども含めまして、感染症が流行している場合などでは、マスクを着用することは当然考えられます。これもまあ、自由といえば自由なわけでございますが。このような場合には、やはり、コロナだけではなくて、普通の感染症、インフルエンザ等が流行している地域それぞれの状況によりまして、地域状況、また人等の状況、そういうことを考えて、やはりマスクの着脱を柔軟に判断していただく、そういうふうに考えております。

柚木委員 じゃ、これでマスクは最後にします。これが終わったら国交政務官、結構ですので。

 永岡大臣、今の御答弁だと、仮に感染再拡大、いわゆる第九波、地域によって、学校でまさにこの間も学級閉鎖、学校閉鎖、仮にそういう感染再拡大のような状況になってきた場合には、三月十三日以降、脱マスク、ノーマスクに社会は動いていくんだけれども、再びマスク着用推奨、そういう形に学校現場等でもなるということがあり得るという理解でいいんでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 今申し上げましたように、新型コロナに限らず、インフルエンザ等も含めて、感染症が流行している場合などにおきましては、マスクの着用ということは考えられるわけです。このような場合にマスクしちゃいけないとかいいとかということではなくて、やはり、地域の状況に、またその場の状況に応じまして、マスクの着用というものは柔軟に判断をするということが大変重要かと思っております。

柚木委員 ちょっとこの問題、今後、時系列でまた私も追加で質問させてもらいますが、事実上、今の御答弁は、再拡大したときにはマスク着用が、恐らく、教育委員会等を通じて、自治体の判断も含めて、あり得るという御答弁だと受け止めましたので、今後のこの着用ルールの推移を私も見守っていきたいと思います。

 国交政務官はここまでで結構です。ありがとうございました。

 ちょっと、本当はこれを一番やりたかったので、自殺、不登校、教員不足対策、そして教員の働き方改革、さらに、給食無償化等について伺います。

 昨日もレクで、これは本当に深刻だなと思いました。コロナ禍であることも相まってというのもありますが、昨年度の小中高校生の自殺者、自ら命を絶った、五百十二名、分かっているだけでも。過去最悪です。いじめ、不登校も過去最多です。

 これはある意味では、文科大臣から自殺、いじめ、不登校緊急事態宣言を出していただかなきゃいけないような、こういう現実だと思うんですね。具体的に、この間、自殺、いじめ、政府の中で様々な会議体を設けていろいろなことが今進行しているのを承知していますが、これはもう年度内にも緊急的な対策あるいは宣言をまとめて公表いただく、こういうことが必要じゃないですか。大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 委員おっしゃいますように、いじめの認知件数、不登校児童生徒数及びまた児童生徒の自殺者数、過去最高となっていること、これにつきましては大変憂慮すべき状況でありまして、喫緊の課題である、そういう認識でございます。

 いじめ防止対策につきましては、犯罪に相当するいじめは直ちに警察に相談、通報を行うように求めるという通知を出しております。また、警察等との連携の徹底を求めるとともに、やはり、こども家庭庁と連携をいたしまして、いじめ重大事案の運用改善等に取り組むこととしているところでございます。

 また、不登校児童生徒への対応につきましては、不登校特例校の設置促進などの体制整備であるとか、一人一台端末の活用などによりまして、データに基づきます不登校の兆候の早期発見、早期支援もやらせていただきたいと思っております。

 また、全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによります予防的な不登校対策等の推進、これを柱といたしまして、不登校対策については年度内をめどに取りまとめるべく検討を進めているところでございます。

 また、児童生徒の自殺予防につきましては、命の大切さや貴さを実感できる教育や、SOSの出し方に関する教育を含みます自殺予防教育の推進、また、タブレット端末の活用などによります自殺リスク早期把握などの取組を進めているところでございます。

 加えまして、こうした様々な悩みを抱える児童生徒に対する、これは学校ではございますが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実、SNS等を活用いたしました相談体制の整備の推進等にも取り組んでまいるところでございます。

柚木委員 ちょっと一問飛ばして、少人数学級実現の現状と見通しについて伺います。

 令和五年度予算では、三十五人学級を小四まで、このペースでいくと来年、再来年で小五、小六まで三十五人学級実現に向けて今動いている。

 他方で、沖縄県、山口県のように、教員不足で、これは国の基準よりも積極的に少人数学級を実現しようとしてきたところで、この取組がちょっと遅れているというか、ちょっと後戻りしているんですね、報道、現場から。

 しかし、これは国の基準より遅れるということがないようにお願いしたいのと、また、こういう沖縄や山口のような状況が他の都道府県に拡大すること、これは是非防いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。端的に。

永岡国務大臣 柚木委員おっしゃいますように、令和三年三月に義務標準法を改正いたしまして、小学校第二学年から第六学年まで、学年進行によりまして、令和七年度まで五年間かけまして、段階的に、かつ計画的に三十五人学級を整備していくこととしております。

 いわゆる教師不足によりまして、山口県、沖縄県において、令和五年度の暫定的な措置といたしまして、これまで独自で実施をしてきた少人数学級の一部を見直す検討をしていると伺っております。

 具体的には、山口県では三十五人学級を三十八人学級に変更、沖縄県の方では、国の標準、四十人でございますが、一部の学年で、それを下回る県の基準に関して、やむを得ない場合に限り、国の標準の範囲内で個別の学級を編制していると聞いております。

 いずれの場合も、国の標準の範囲内の人数で学級を編制する前提と聞いておりまして、国におけます三十五人学級の計画的整備に必ずしも反するものではないと理解をしております。

 また、他県におきまして同様の事案が生じていることは、現時点では承知はしておりません。

柚木委員 分かりました。

 最後に、教職員の給与特別措置法、これは見直しが今行われています。教員も一般労働者と同じような労働管理を行っていただくべき状況にもう今、入っていると思います。つまり、六条はもう削除する、残業代を支払うべきだと思います。三条を見直しする。これは与党の中でも検討が行われています。三案、今報道も出ています。これは、間もなく、教員の残業状況などの調査速報値が公表されます。

 私、一つだけ、一例、昨日も通告しています。国立と公立の学校で先生方の仕事は違うんですか。この給特法の見直しの中で、国立、公立の学校、国立は労基法の全面適用除外から完全適用になったんですよ。何で公立はそうならないんですか。地方公務員はなっている、医療関係者もなっている、何で先生だけ違うんですか。

 これは是非、この調査の速報値公表の後に、中央教育審議会や有識者会議などで、国立学校教員と公立学校教員の格差是正、これも含めてちゃんと議論していただきたいと思います。お願いします。

永岡国務大臣 令和四年度実施の勤務実態調査におきまして教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握しまして、その結果等を踏まえ、教師の処遇を定める給特法等の法制的な枠組みを含めて、しっかりと検討してまいります。

柚木委員 是非しっかりお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、菊田真紀子さん。

菊田委員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子です。

 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 三月七日に、H3ロケット一号機が種子島宇宙センターから発射されましたが、二段目のエンジンが点火しなかったために、発射の十四分後に機体を破壊し、打ち上げは失敗に終わりました。残念ながら、開発費に二千億円をかけたロケットと、三百八十億円をかけた新たな人工衛星は、海の藻くずと化すことになりました。

 二月十七日の打ち上げ中断を受けまして、私たち立憲民主党の文部科学部会で、文部科学省と、元JAXAの職員として活躍をされました水野素子立憲民主党参議院議員からヒアリングを行ったばかりでありまして、実を申しますと、私の地元新潟県、長岡高専から始まったベンチャー企業も技術面で関わっていたということもございまして、今回こそ本当に成功してほしいと願っていたわけでありますが、結果は大変残念でありました。

 八日に、文部科学省として、宇宙関連の専門家らでつくる有識者会議が開かれて、今回の失敗の原因についてJAXAから現状の報告を受けたというふうに伺っていますけれども、どのような報告を受けたのか、また、有識者会議でどのような議論が行われたのか、まず文科省に伺いたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 H3ロケット試験機一号機の打ち上げ失敗に関しまして、三月八日、文部科学省では、宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合を開催いたしまして、専門的見地から、JAXAの原因究明等について調査検討を開始いたしました。

 会合では、JAXAから、第二段エンジンが着火せず、所定の軌道に投入できる見込みがないことから指令破壊信号を送出し、打ち上げに失敗したこと、ロケットは第一段、第二段分離まで計画どおり飛行したこと、第一段、第二段分離を検知した後、第二段エンジンが着火指示を受信したこと、第二段エンジンの着火指示のタイミングで電源系統の異常を確認したこと等が報告されるとともに、外部有識者によりまして、報告内容に対する判断根拠やデータの有無等に関する議論が行われたところでございます。

 文部科学省といたしましては、JAXAとともに、有識者会合の場も通じて、透明性を持って、速やかな原因究明等に最大限努めてまいります。

菊田委員 昨年十月のイプシロン六号機に続きまして、今回のH3ロケット一号機が打ち上げで失敗をしたということで、日本の基幹ロケットの打ち上げ失敗が相次いでいるわけでございます。

 政府の宇宙推進計画によりますと、準天頂衛星や国際宇宙ステーションへの新型無人補給機など、今後もH3ロケットによる打ち上げが多数控えているというふうに伺っております。

 今御答弁もありましたけれども、大臣も所信で、速やかな原因究明に全力で取り組みますというふうに述べられておられましたけれども、私は、むしろ、拙速な調査、そして中途半端な原因究明に終わっては、これからも失敗を繰り返し、かえって宇宙開発利用が遅れてしまうのではないか、このように懸念をしているわけでございます。

 ここは焦らず、丁寧に検証を行って、今後の宇宙開発に取り組んでいくことが必要ではないかというふうに考えますけれども、この失敗を受け止めて、大臣の見解を伺いたいというふうに思います。

永岡国務大臣 本当に、H3ロケットの打ち上げが失敗したことは誠に残念でございます。御支援をしていただいておりました国民の皆様、そして関係者の皆様の本当に多大なる御期待、御支援に沿えず、申し訳なく思っている次第でございます。

 打ち上げ失敗直後から、JAXAやメーカーにおきまして原因究明作業が始まっております。文部科学省といたしましても、直ちに、井出副大臣を本部長といたしました対策本部、これを設置いたしまして、今週八日には、宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合を開催いたしまして、外部有識者によります調査検討を開始をさせていただきました。

 H3ロケットは、我が国の、本当に、衛星を自ら打ち上げる、また、アルテミス計画といった国際協力、これを進める上で極めて重要な、次の世代を担う基幹ロケットでございますので、我が国の技術力を結集いたしまして開発するべきものと考えております。

 やはり、早急な原因究明、これは対策、検討を進めていく上で重要でございます。H3ロケットの成功に向けまして、着実に、そして確実な取組、これを進めてまいる所存でございます。

菊田委員 これで終わりますけれども、現場のプレッシャーは相当大きかったというふうに思いますし、今後もこのプレッシャーがどんどんかかっていくということで、とにかく急がなきゃ、焦らなきゃということになりかねないというふうに私は懸念をしているわけです。

 対策本部を設置をされたということもございますので、やはり、これは国家プロジェクトですから、適宜国会にも御報告をいただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 続きまして、新学期以降の学校の新型コロナ感染症対策について伺います。

 私は、先週末に地元に帰りまして、教職員の方々と様々意見交換をさせていただきました。特に、三年以上も続いているコロナ禍における教育現場での対応に関して、本当に皆さん、大変な御苦労をされたんだなということを改めて感じたわけでございます。

 学校によっては、毎日、教員の先生方が机や備品を消毒をする、そして、毎朝、登校時に御家庭で検温されたその紙を回収して、どの子が発熱しているのかしていないのかチェックをしなければならない、さらに、感染者が出れば、その子供が誰とどのタイミングで接していたのか、いわゆる濃厚接触者を特定して、それをまた報告しなければいけない、こういう様々な負担がかかったわけでございます。

 加えて、子供たちの心理面に大変大きなストレスがかかっているわけですから、そういう子供たちのストレスを和らげるような、本当に寄り添う形での教育を進めていかなきゃいけなかったということで、本当に、学校現場の、関係者の皆さんの御奮闘に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 来週の三月十三日から、マスクの着用については、屋内屋外を問わず、個人の判断に委ねられるということでございます。先ほど、それに先立ちまして、文科省としては、卒業式の、マスクは着用せずに出席することを基本とする、こういう通知を出されまして、その通知にのっとって全国各地で卒業式が行われています。

 しかしながら、教員としても、マスクを外したがらない生徒にどこまでマスクを外すよう促すべきか、大変戸惑いとためらいがあったということでございました。そうしたこともありまして、卒業式でマスクを着けたままの生徒が大半を占める学校も実際にはあったということで、各校ばらばらの対応になっているというふうに感じております。

 卒業式が終わりましたらば、四月に新学期を迎えることとなります。先ほど申し上げましたような、毎日の検温、それから、様々な備品、机などの消毒、そして、教室にはこういうアクリル板のパーティションがありますし、職員室にもパーティションが設置をされている。こういうものが今後どういうふうに変わっていくのか、三月半ばにもなろうとしているのに全く分からない、こういうお声がたくさん届いております。

 そして、給食も、コロナ禍では、文科省としてはそういう指示は出していないということなんですけれども、現場は黙って食べる黙食形式を今も続けているというケースが大変多くあります。そして、対面ではなくて、みんなが前を向いて座って静かに食べているということですけれども、新学期からはこれがどういうふうに変わっていくのか。

 そしてまた、音楽の授業、合唱、それから、新入生が入ってくれば、校歌を練習するなんという場面も出てくるわけですけれども、こういった対応が一つ一つどう変わるのか分からないということで、戸惑いが広がっています。

 新学期以降の学校における感染症対策がどう変わるのか、できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います。

永岡国務大臣 マスクの取扱いだけではなくて、先生方の、今まで、毎朝検温をしていた報告を受けるとか、また、おうちのお母さん、お父さん方も大変だったと思います、毎日子供の体温を測って、体調を見ながら、そして送り出してきたということで、やはり、学校関係の方々というのは、コロナウイルス感染症の対応というのは本当に大変で、そして、それが今なおどんどん続いているということを非常に私も感じております。

 三月の十三日に、社会的には、マスクを外していいですよ、それぞれの個人の自由でございますということになりますが、学校関係では、四月の一日以降の新学期におけるマスクの取扱い、これは基本的には方針に沿いまして行うことになるわけでございますが、それ以外の対応というのは、やはり、しっかりと文部科学省の方も、各学校におきまして、どうだったかという、御質問いただければ対応できるようにしていかなければいけない、そう感じております。

 また、来週にも、四月一日以降の学校のマスクの在り方とコロナウイルス感染症対応、それにつきましては発表させていただきたいと思います。

菊田委員 もうただでさえ現場は大変なわけですよね。だから、分からないことがあったらお聞きくださいなんという、それはちょっと余りにもひどい対応だというふうに思います。

 私は、やはり、こういう学校現場の、一つ一つ具体的にどういうふうに変わるのか、通知をできるだけ早く出していただきたい。発表だけじゃなくて、各都道府県、教育委員会、そして学校現場、もっと言うと先生方にも、その通知がしっかりと届くようにしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 質問に答えるというものを発出するということではなくて、それぞれ、マスク以外のコロナ感染症対策については、やはり四月一日以前に、来週頃にはしっかりと対策というものを発表そして通知をさせていただきたいと思っております。

菊田委員 是非しっかり、これこそ本当に早く通知を出していただきたいというふうに思います。

 そして、マスクのことなんですけれども、結局、着ける子と着けない子との間で分断が生じてしまうのではないかということを私も心配しているわけですけれども、文部科学省の方から、マスクの着用については今後こういうふうになりますよと一方的に先生方が行うだけでなくて、やはり生徒一人一人の受け止め、そして気持ちを、意見交換などの場を通じて互いに尊重し合えるような取組が大事ではないかというふうに思うんですけれども、大臣もそのようにお考えでしょうか。

永岡国務大臣 今も申し上げましたように、四月一日以降は、学校の教育活動の実施に当たっては、着用を求めないことが基本となります。

 やはり、その際、基礎疾患があるなど様々な事情によりまして、感染不安を抱き、また、マスクの着用を希望する児童生徒もいることなどから、マスクを外すことを強いることがないようにすることというのが大事だと思っておりますし、また、生徒児童の間でもマスクの着用の有無による差別、偏見がないようにするなど、こういうことが重要と考えておりますので、教育委員会や学校等に対しまして丁寧に説明を行いまして、適切な指導が行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

菊田委員 それから、五月八日からはまたステージが変わるわけですよね。そうすると、そのことについてもしっかりと文科省として通知を出していく必要があるというふうに考えておりますけれども、これはいつぐらいに通知が出るんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 五月八日以降、制度の仕組みが変わるわけでございますので、そうしたことも含めて、現在検討を進めているところでございます。

 今の時点でいつというのはちょっと申し上げることはできないんですけれども、いずれにいたしましても、なるべく速やかに発出できるようにしていきたいというふうに考えております。

菊田委員 これも繰り返しになりますけれども、やはり、学校現場では、これから具体的にどういうふうに変わるのか、一年間の授業計画も立てなきゃいけないし、予算の制限もあるわけですし、場合によっては人員を増やすのか、あるいは減らしてもいいのかということもございますので、とにかく、できるだけ早く具体的な通知を出していただくことを要請したいと思います。

 マスクに関してなんですけれども、先ほども大臣から御答弁いただきましたけれども、実際、外す子と外さない子がいた場合、中には、保護者の方が、何でマスクを着けさせないんだとか、逆に、外すんだとか、いろいろな御意見があって、結局それは、教育委員会に苦情が行くというよりも、担任の先生に直接、苦情とか、説明を求めるというようなことがあるのではないかということで、教職員の先生方は、こういう問合せや圧力がかかったときに、相手、つまり保護者の方に合理的で納得していただけるような説明が自分は本当にできるんだろうかというふうに、大変多くの教員の方が不安を感じているんですね。

 こういうことを文科省としては理解をされておられるか、そしてまた、どう対応したらいいのか、御指示をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 委員おっしゃいますように、やはり、今回、文部科学省では、マスクの着用の考え方見直しについては、本当に、学校におけます具体的なマスクの取扱いや活動の場面ごとの留意事項等につきまして、教育委員会や学校に対してお示しするわけでございますが、学校が児童生徒や保護者に対して理解を求めていくということが可能となるような、様々な機会を通じて丁寧な情報発信、これを行ってまいりたいと思っております。

菊田委員 大切なことは、やはり、現場の教職員の先生方がすごいプレッシャーとか不安を感じているわけですから、ただ学校に通知をする、それは、管理職はそれは分かるかもしれないけれども、一人一人の先生方が、本当に、トラブルが起きないように、きちんと相手とコミュニケーションを取って、変な分断が生まれないような、そういう説明の仕方を工夫をしていただきたいというふうに思います。

 それから、様々な日々の感染症対策を担ってくださったスクールサポートスタッフですね。毎日のいろいろな消毒ですとか消毒液の補充ですとか、さっき言いました検温のチェックリストなんかもスクールサポートスタッフの方が非常に大きな力を発揮してくれたということを伺っております。

 今度、五類に変わりまして、いろいろな変化が出てくるわけですけれども、このスクールサポートスタッフが引き続きこれまで同様に確保されるのか、減員されてしまっては困るというお声がたくさん届いておりますけれども、このスクールサポートスタッフの配置がどうなっていくのか、伺います。

永岡国務大臣 本当にコロナ禍の中で一生懸命頑張ってくださったスクールサポートスタッフ、この方々の仕事というのは、コロナ対策ばかりではございませんで、日々の学習プリントの準備でございますとか、あとは採点業務の補助とか来客、電話対応など、本当にすごく教師の方々を支えるお仕事をしてくださっております。

 そういう方々が、児童生徒の指導や教材研究等によりまして一層注力ができる体制の整備に大きな役割を果たしていることから、教員業務支援員、これは先生おっしゃいますスクールサポートスタッフのことでございますが、それの配置につきましてかかる予算、これは削減することなく、令和五年度予算案におきましても一万二千九百五十人分の配置を可能とする経費を計上しておりまして、前年度と比較しましても、配置の充実を図るところとしたわけでございます。

 教員業務支援員が教師の負担軽減を図る上で必要不可欠な存在である、そういう認識の下に、引き続きまして配置の充実に取り組んでまいります。

菊田委員 ありがとうございました。

 令和五年度予算も前年度より予算を増額してしっかりと確保をしていただいたということで、私は大変ありがたく思っております。ですから、スクールサポートスタッフが減らされることはありませんよ、心配しなくていいですよ、こういったことも是非現場に届くように、しっかり御対応いただきたいというふうに思います。

 続きまして、学校給食費の無償化について伺いたいと思います。

 家庭の事情で朝御飯を食べずに学校に来る子供が増えています。そしてまた、学校給食が唯一の命綱のような環境にある子供たちが増えております。

 シングルマザーサポート団体全国協議会が昨年十一月にまとめたひとり親家庭の物価高による影響調査の中で、大変深刻な実態が明らかになりました。子供の食事の量や回数を減らしたり、トイレを流す回数を減らしたり。入浴回数を減らしたという御家庭は何と三四%、そしてまた、暖房を入れない家庭は六九%にもなりました。

 その一方で、給食の年間負担額は、小学校で平均四万九千円、中学校で平均約五万六千円です。仮に、小学生の子供と中学生の子供、二人いる御家庭では、年間十万五千円かかるわけです。これは、物価高で苦しむ家計において非常に重い、大きな負担だと思います。

 給食費の無償化は、子供たちの健全な育成や成長はもちろんのこと、保護者の経済的負担の軽減、さらには、給食費の徴収や滞納している家庭への対応に追われている教職員の負担解消につながるというふうに考えます。

 現状、ちょっとこれは数字が変わっているかもしれませんけれども、全体の〇・九%の小中学生が給食費未納であり、その背景には親のネグレクトとか貧困といったケースもあるというふうに私は承知をしております。

 我が党は、公立小中学校の給食無償化、これは最優先で取り組むべきだということを強く訴えてまいりました。物価高が続く今だからこそ、是非政府として実現していただきたいと考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 児童生徒の学校給食費につきましては、経済状況が厳しい保護者に対しましては、生活保護によります教育扶助や、また就学援助を通じまして支援をしているところでございます。

 学校給食の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえまして、設置者である自治体において適切に御判断いただけるものと考えております。

菊田委員 物価の高騰が止まらない中で、給食費の値上げに踏み切る学校の話をよく耳にします。例えば、卵は給食に欠かせない食材ですけれども、鳥インフルエンザの影響によりまして、卵を産む採卵鶏の一割以上が殺処分となって、卵の価格が大変高騰しています。

 全国で、給食費を値上げした、あるいは今後値上げを予定している学校の数、割合というものを文部科学省としては把握されておられるでしょうか。国として何らかの支援を検討しているのか、伺いたいと思います。

永岡国務大臣 申し訳ございません、通告がなかったので……(菊田委員「えっ」と呼ぶ)いやいや、数の方は、ちょっと私、分からないのですが、食材費の高騰ということに関しましては、今般、地方創生臨時交付金を活用いたしまして、保護者負担軽減に向けた取組を促しまして、ほとんどの自治体においてその取組は進んでおります。

 また、物価高騰に対します取組につきましては、今後の政府全体の取組の中で、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

菊田委員 今の質問は通告してあります。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現時点で、四月以降の、自治体で学校給食費を値上げするといったような数につきましては、文科省として調査を行っておらず、承知はしておらないところでございます。

 ただ、今年度につきましては、今御説明を申し上げましたように、地方創生臨時交付金を活用した保護者負担軽減に向けた取組がほとんどの自治体において行われている、こういった状況であるわけでございます。

菊田委員 文科省としては調査もしていないし、把握もしていないし、内閣府の地方創生臨時交付金を活用して、それぞれの自治体で頑張ってやればいいんじゃないですかと。大変冷たい対応だと言わざるを得ません。

 こういう、政府が全然給食費の無償化に取り組まないので、地方自治体が独自に頑張って、給食費を無償化しているケースが増えています。ある調査では、千七百四十一市区町村中二百六十市区町村と、一五%の市区町村が既に無償化を実施しています。また、新聞報道等によれば、コロナ禍の二〇二〇年度に給食費を一部又は全額無償化した市町村は百十五団体に及んだそうでございます。

 その財源ですけれども、独自に確保できない自治体は、国の地方創生臨時交付金を活用しているところも多くあったということでございますが、この地方創生臨時交付金は、令和五年度以降はどうなるんでしょうか。内閣府に伺います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、長引くコロナ禍におきまして、自治体が財政上の不安なく様々な社会的要請に適切に対応できるよう措置してきたところでございまして、各自治体におきましては、コロナ禍における食料品価格等の物価高騰への支援として、学校給食等の保護者負担の軽減も含め、地域の実情に応じたきめ細かな支援が行われていると承知をしております。

 本交付金につきましては、補正予算、また予備費に基づきます臨時の措置でございます。令和五年度につきましては、本年度の繰越しの分を各自治体において執行いただくというふうに考えておりますが、今後の物価対策につきましては、物価動向、また国民生活、事業者への影響等を注視しながら、政府全体で適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

菊田委員 ですから、今後の対応については全くまだ見えない、分からないということでございます。

 私の地元、新潟県三条市も、コロナ禍の物価高に対する対策として、この交付金を活用しました。そして、三学期分の給食費を無償化したんです。しかし、市独自で無償化を今後も継続した場合は一般財源で約四億二千万円が必要なことから、市単独での無償化継続を断念しました。やむを得ず、この四月から元の有料に戻すということであります。ただし、給食費における食材価格の上昇分というものは、これは市で負担をして、給食費の値上げは行わずに据置きにするとしています。

 臨時交付金が打ち切られて財源を失ってしまう自治体は、給食費無償化を泣く泣く取りやめることが今後出てくるのではないかというふうに思います。これは政府として仕方がないというお考えでしょうか。大臣に聞きます。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 本当に、物価高騰に対する取組、これにつきまして、これは給食費のことでございますが、今後の政府全体の取組の中で、関係省庁と連携を取りまして、適切に対応していきたいと考えております。

菊田委員 先ほど申し上げましたように、本当に家計が苦しいんですね。一人親家庭も増えている。せめて文科大臣としては、この学校給食の無償化ぐらいやっていただきたいということを強く求めたいと思います。ゼロ回答で、大変がっかりいたしました。

 コロナ禍で学級閉鎖や休校が度々起こりました。その都度給食が止まってしまうわけですね。そうすると、準備していた食材を処分しなければならなかったということで、非常に大変だったというお話を伺いました。そしてまた、学校を休んで給食を食べられなかった子供には給食費を返金しなければいけない、こういう事務作業もございまして、学校栄養職員の方、また事務職員の方、負担が余りにも大きいというふうに感じるわけですけれども、これは人員増など何らかの対応を考えていく必要があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

永岡国務大臣 御指摘の、コロナ禍における給食費の返還ですとか食材のキャンセル費に係る会計処理等につきまして、例えば令和二年の臨時休業の際は、予備費を活用いたしまして、学校臨時対策補助金を創設いたしまして、栄養教諭らや事務職員を介さずに直接学校設置者の方から保護者や事業者に返還することも可能となるような仕組みとしたところでございます。

 また、学校給食費等の学校徴収金につきましては、未納者への督促等の教員の負担軽減等の観点から、公会計化の推進は進めております。

 また、栄養教諭等の方ですとか、また事務職員の教職員定数につきましては、これまでも配置基準の引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたほか、近年では、児童生徒に対します食に関する指導の充実や事務機能の強化のための共同学校事務室の設置促進等のための加配定数、これを充実しているところでございまして、令和五年度予算案におきましても、こうした加配定数の改善、これを盛り込んでいるところでございます。

 こういう環境整備、しっかり取り組んでまいります。

菊田委員 時間が参りましたので、ちょっとはしょって、まとめて質問したいと思います。

 給食調理の現場についてです。資料の一ページを御覧いただきたいと思いますが、「学校給食に従事する職員の定数確保および身分安定について」、これは昭和三十五年ですから、今から六十年前の文部省の通知になりますけれども、その中で、学校給食調理員数の基準として、児童又は生徒の数が百人以下の場合は従事員の数は一人又は二人、百一人から三百人の場合は従事員の数は二人などと定められています。その後、昭和六十年に更に通知が出されたわけでありますけれども、しかし、実際に百人の児童生徒の給食を一人か二人で担っているところも多いと現場から伺いました。

 近年では、食育の推進、そして、地場の食材をなるべく活用しましょうとか、さらに、食物アレルギーを有する児童生徒への対応、こういうことも求められておりまして、給食の調理はかなり複雑化、高度化しています。とても百人規模の給食調理を一人、二人で行える状況ではないと私は感じているんですけれども、配置基準をこういう現実に合わせて見直すべきではないかということ。

 それから、給食調理現場の施設、かなり老朽化しているところがたくさんございます。給食調理場のほとんどを占める、各学校で給食の調理を行う単独調理場の三一・九%しかドライシステムは導入されておりませんし、また、給食調理場には空調設備が設置されていないところがあります。物すごい暑さの中で調理をしなければいけない、非常に過酷な働き方になっているわけでございます。

 こういう現状に対して、文部科学大臣の見解と、それから、是非これは改善していただきたいということで、前向きな御答弁をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 学校給食調理員の配置基準につきましては、学校給食の調理に最低限必要な配置人数を示しておりまして、地域や、また調理場の状況に応じて弾力的に運用することを求めているところでございます。

 学校給食の実施の方法につきましては、外部委託の活用など、各自治体の実情に応じて本当に様々であることなどから、国といたしましては、最低限必要な配置基準をお示しした上で、各自治体において、学校給食の運営に支障を来さないように、調理員の配置、これを努めていただきたいと思っております。

 また、学校給食施設の衛生管理の充実強化を図るために、ドライシステムに対応した学校給食施設の整備や、また空調の設置に要します経費の一部につきましては、国庫補助を行っているところでございます。

 引き続きまして、補助制度の周知徹底も含めまして、各地方自治体が計画的に学校給食を作っていただけるよう支援をしてまいります。

菊田委員 時間が来ましたので終えたいと思いますが、予定していた質疑ができなくて、準備された担当の方にはおわびを申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。立憲民主党の牧義夫でございます。

 よろしくどうぞお願い申し上げます。

 せんだって、大臣からの所信を拝聴いたしました。また、令和五年度予算についての説明も受けたわけでございます。今国会、子供予算倍増という鳴り物入りで始まった国会でありますから、この文教行政においてもさぞ目新しいものがあるかなと期待をいたしておりましたが、残念ながら、何ら代わり映えのしないものであったということは申し上げなければならないというふうに思います。

 先ほど、教員定数の話も出ました。小学校四年まで三十五人学級ということで、多少の、その分については増員もあろうかと思いますけれども、少子化もあるし、また学校の統廃合なんかでの合理化等々もあると思うんですけれども、結果として教員の数は減るというような形になっております。

 また、その他の予算についても、私学助成についても、あるいは国立の運営費交付金についても、ほぼ横ばいというか、この物価高にどう対処していくのかなというふうに私は大変懸念をいたしております。

 そこで、本当に岸田総理がおっしゃるような異次元の少子化対策というのであれば、私は、教育に係る費用を徹底的に親に負担をかけない、社会で子供をきちっと育てていくんだという体制をまず文教行政からつくっていくことが一番効果的じゃないかなというふうに思っております。幼児教育から高等教育までの完全無償化、さらには給付型の奨学金を拡充すること等々、やることはほぼ決まっていると私は思うんですね。それが一番効果てきめんだというふうに思うんですけれども、その辺についての大臣の認識をまずお聞かせいただきたいと思います。個人的な認識で結構でございます。

永岡国務大臣 牧委員にお答えいたします。

 個人的な気持ちということはなかなか言いにくうございますので、やはり文部科学省といたしましてはと始めさせていただければと思います。

 幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形で、教育費の無償化、そして負担軽減に取り組んできたわけでございますが、今般、さらに、給付型奨学金と授業料等減免につきまして、令和六年度から、負担軽減の必要性の高い多子世帯や、また理工農系の学生らの中間層への対象拡大、これをすることにしております。具体的な設計を今進めております。

 そして、少子化対策ですけれども、これは、やはり、四月一日からスタートいたします、こども政策担当大臣の下で設置されました関係府省会議というのがありまして、三月の末に具体的なたたき台、これを取りまとめる予定となっておりますので、内閣官房を始めとする、文部科学省も含みます関係省庁、しっかり連携を取りまして協力し、そして、教育に係る経済的な負担軽減の取組、もっとよくなるように、しっかりと機会均等等に努めてまいりたいと思っております。

牧委員 確かに、文教行政だけで少子化対策ができるものではないということは当たり前の話でございますけれども、残念なのは、大臣が個人的な意見を申し上げられないとおっしゃいましたけれども、やはり、大臣としての思いというのが強くあって、そこで、きちっと主張をしていただく中で教育に対する国の施策が充実していくわけですから、もっと個人的な思いをしっかり前へ出していただきたい。でないと、財務省に押し切られますよ、こんなことをやっていると。そこだけは強く申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つ、それにちょっと関連するんですけれども、今、与党内で、自民党内で、子供が生まれたら貸与型の奨学金、返済を免除してやるというような案が検討されているやに聞いておりますけれども、その辺のところの認識について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

永岡国務大臣 御指摘の提案につきましては、これは自民党内で議論をしている途中で出た話だというふうに伺っております。これで決まったということではないようでございますが、私の中では、議論中の、その途中での話ということなので、これにつきましてはコメントというのは差し控えさせていただければと思っております。

牧委員 多分そんな御回答だろうと予想はしておりましたけれども、私が言いたいのは、子供ができたら褒美を遣わそうというような発想は、私は絶対にやめてもらいたい、きちっと給付型の奨学金を拡充していくんだという基本姿勢だけ貫いていただければいいんだということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、ちょっと話題が変わりますけれども、せんだって、埼玉県戸田市の市立中学で、高校生が侵入して男性教員にナイフで切りつけ、けがを負わせたという事件がありました。その場で殺人未遂で逮捕ということでございます。この先生は、たしか六十歳だったかな、何度も刺し傷を負って、命に別状はないとはいえ、かなり重傷だったそうです。一日も早い御回復を祈らずにはいられないわけですけれども。

 このとき、その犯人の少年は、誰でもいいから人を殺したかったというような供述をしたそうです。誰でもいいから殺したいと思ったと。そういう動機を持つからには、やはり、人が集まるところ、また弱い人が集まっているところという意味で、学校が格好の標的になるわけですね。アメリカなんかですとよく銃の乱射事件とかがありますけれども、日本ではそこまではいきませんが、やはり学校がターゲットになる。

 これは私もまだ記憶に新しいんですけれども、二〇〇一年、大阪の教育大附属池田小学校に男が侵入をして、刃物で児童八人を刺し殺し、それから児童十三人と教師二人に重軽傷を負わせたという事件がありました。この戸田の先生もそのことが多分頭の隅にあって、子供を守りたい一心で自らがけがを負ったんじゃないかなと推測するわけでございますけれども、この池田小学校の事件から二十年ちょっとが経過をいたしておりますが、こういった人たちのターゲットになりやすい学校の安全について、この間、池田小学校の教訓がどのように生かされているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが学校で安心して活動し、安心して学べるようにするためには、その前提として、学校での安全を十分に確保するということが大切でございます。

 文部科学省におきましては、委員御指摘の平成十三年に大阪教育大学附属池田小学校で発生した児童等の殺傷事件を受けまして、その翌年には学校への不審者侵入時の危機管理マニュアルを作成、公表いたしまして、その後も各学校における危機管理マニュアルの作成を法律上でも位置づけるなど、学校の安全管理体制の整備を進めてまいったところでございます。

 特に、学校における不審者対策につきましては、各学校で整備されている危機管理マニュアルについて、その評価と見直しのガイドラインを示すとともに、不審者侵入時の対応方法等についての教職員向けの講習会の実施への支援、警備のポイントや防犯上の改善点等について、スクールガードリーダーによる各学校への巡回指導等への支援などに取り組んできたところでございます。

 引き続き、子供の安全確保に関し、関係機関や教育委員会等と連携しながら取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

牧委員 今、スクールガードリーダーという言葉が出てまいりましたけれども、これはボランティアですよね。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 スクールガードリーダーにつきましては、教育委員会から委嘱した者で、防犯上の知識を有する者ということで、例えば、警察官のOBですとか教職員のOB等、見守り活動の経験が豊富な方を委嘱するという形でございます。

牧委員 ごめんなさい、私ちょっと質問の仕方を間違えました。スクールガードリーダーはそういった方で、スクールガードという人たちはボランティアなんですよね。ちょっと私が懸念したのは、ボランティア任せでいいのかということなんです。

 もう一つは、ボランティアじゃなくても、例えば学校の用務員という人たちは、アウトソーシングで、どこかの会社に委託をしたり、あるいは、私がちょっと、何年か前、多分この池田小学校の後に聞いた話だと思うんですけれども、シルバー人材センターに委託をして学校の用務員をやってもらっているというようなケースが結構あるという話を聞きました。多分、現状もそうだと思うんですけれども、そういう人たちが本当にこういう凶悪な侵入者に対処できるのか。

 まず、学校というのは、現場は校長がその指揮権があるわけですよね。その校長の指揮の下に、そういうボランティアの人ですとかシルバー人材センターの人が入って、果たしてきちっとした統率が取れるのかどうなのか、そこを大変懸念するんですけれども、いかがでしょうか。

藤江政府参考人 ありがとうございます。

 学校安全に関する責任の所在についての御質問であったかと存じます。

 委員も御指摘のとおり、学校保健安全法上は、学校設置者の責務が規定されておりまして、設置する各学校における安全の確保を図るために、児童生徒等に生ずる危険を防止する策を講じているというふうに承知しております。

 一方、御指摘のように、学校安全の確保のためには、ボランティアを始めとした多くの方々の協力が不可欠ということで、児童生徒の安全確保について地域ぐるみで推進していただいているということでございます。

 先ほど御説明いたしましたように、地域ぐるみの学校安全体制整備事業というものにつきましては、防犯の知識を有するスクールガードリーダーというところが指導助言しながらボランティアについての養成、資質向上も図りながら対応しているということでございまして、あるいは、警察や保護者、PTAとの連携の下で進めているということで、組織的な対応ということで対応していただいているところでございます。

牧委員 組織的な対応はよく分かりますが、刃物を持って、誰でもいいから殺したいと思っている相手にボランティアの人が対処できるかといったら、それはできない話でありますし、それを求めてもいけないと思います。そこのところの基本的なことをもう一度きちっと考え直していただけるように私はお願いを申し上げたい、もちろん予算が伴う話ですけれども、お願いを申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、この戸田市の事件の少年が、二月にさいたま市の小学校の校庭や公園に猫の死骸が放置される事件が五件起きていることについても、自分が殺したという趣旨の供述をしております。大阪の事件のちょっと前に、酒鬼薔薇聖斗の事件もありました。動物虐待とか動物殺傷から何かエスカレートするケースというのがどうもあるやに思われますけれども、こういう動物虐待、殺傷の実態と、そこから更なるエスカレートした犯罪への関連性というのを警察はどのように認識をされているんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、動物の愛護及び管理に関する法律の改正法が施行された令和二年、都道府県警察に通達を発出し、迅速な捜査により被疑者の検挙につなげ、続発防止を図るよう指示しておりまして、令和三年中は、動物虐待事犯を前年比で約七割増となる百七十事件検挙いたしております。

 委員御指摘の、動物虐待が人の命に危害を及ぼす凶悪犯罪へとエスカレートする可能性につきましては、事犯の個別具体的な状況によるものでございまして、一概に申し上げることは困難ではございますが、一般に、この種の動物虐待事犯は地域に大きな不安を生じさせるものと認識いたしております。このため、この種の事犯が発生した場合には、必要な捜査等を進めるとともに、SNS等を活用した情報発信、学校や教育委員会への情報提供、パトロールの強化などを行っているところでございます。

 引き続き、この種の事犯への対応を今後ともしっかり行ってまいります。

牧委員 分かりました。

 もう一つ、これは質問じゃなくて政府に対する要望なんですけれども、この動物虐待より更に遡って、まさにSNS上で動物虐待の残虐シーンを動画で見たことによって、更にそれが、思いがエスカレートしていくというようなことも指摘をされております。こういう動画の投稿というのが野放しになっているとしたら、これは私は大変な問題だと思いますし、そっちにエスカレートしなくても、逆にPTSDにかかる人もいるわけで、こういうものに対する規制というのをやはりちょっと政府を挙げて、今日は質問じゃなくて要望ですけれども、政府を挙げてこの検討をしていただけますようにお願いをしたいというふうに思います。

 引き続いて、今度は話題を神宮外苑の再開発事業の方に移したいというふうに思います。

 この神宮外苑の再開発事業については、この委員会でも取り上げさせていただき、船田先生を中心に、まさに超党派で、これを懸念する議員が集まって、今対策を練っているところであります。

 言うまでもなく、この神宮外苑は、内苑とともに、全国から献木で造営された、本当に、日本国民にとって、東京都民だけじゃなくて日本国民にとってかけがえのないレガシーであることに私は間違いないというふうに思っております。日本で最初に風致地区に指定された地域でもございます。

 まず大臣に、この地区の文化財的な意味についてどのように認識をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 風致地区の指定に関しましては、大正十五年に表参道、裏参道、内外苑連絡道路沿いが風致地区に指定されました。その後、昭和二十六年に神宮外苑地区が追加されたものと承知をしているわけでございます。

 風致地区というのは、都市におけます風致を維持するために定められます都市計画法に規定する地域地区でございまして、文化財保護を目的とした制度ではないために、文化財的意味につきましては論じることはできませんけれども、いずれにいたしましても、神宮外苑につきましては、先生おっしゃいますように、国民からの寄附などによりまして造られたものでございまして、今日まで多くの国民に本当に親しまれてきたもの、そういう認識を持っております。

 今の風致地区の話なんですが、これは都市計画法に基づく地区の指定でございまして、今申し上げましたように、文化財的意味について論じることはできないというわけではございますが、しかしながら、東京都の資料によりますと、大正十五年に指定された地区につきましては、明治神宮崇敬にふさわしい沿線の環境を維持するために指定されたもの、そう考えております。

牧委員 そんな回答ぐらいしか、多分、立場上できないんでしょうけれども、二月三日に、予算委員会で、我が党の阿部知子議員の質問に斉藤国交大臣がお答えしているんですけれども、「風致の維持に有効な手段である地区全体の一定の緑化を図ることを条件に、一部のエリアの高さの基準を運用により緩和したもの、このように承知しております。」と言っているんですね。

 本当にこの条件を満たしているのかなということが我々の疑問なんです。そこを、やはりきちっと、逃げずに真っ正面から受け止めていただきたいと思うんですよね。国交大臣だってこう言っているんですよ。ただ、これはもう東京都が対応しているところですということになってしまっているんですね。

 今回、この地区に三本もの高層ビルが建設されるけれども、この高さ制限とかというのは、一体どういう手順で外されたんでしょうか。国交省。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました風致地区内の高さ制限につきましては、御指摘のとおり、東京都が風致地区条例、この中で具体的に定めております。

 また、あわせて、この条例に基づきまして、先ほどまさに委員御指摘のとおりなんですけれども、風致の維持に有効な手段である地区全体の一定の緑化を図ることなどを条件に、一部のエリアの高さの基準を緩和する運用というのが東京都の内規として定まっております。これに基づいての運用だと承知しています。

牧委員 結局そういう回答しかないんですね。

 そういうことを言うと、もう本当に、こんなこと言いたくないんですけれども、オリンピックより先に再開発ありきだったんじゃないかなという指摘もあることだけは申し上げておきたいというふうに思います。

 これは東京都が決めることだからどうしようもないというようなことでずっと今来ているんですけれども、平成二十四年に、文化庁の調査で、神宮外苑地区について、文化財指定等の可能性のある重要事例という言い方で指定をされております。このことを自治体に周知してきたんでしょうか。大臣。

永岡国務大臣 調査研究報告書を取りまとめました平成二十四年に、文化庁から東京都を含めまして全国の都道府県の文化財担当へ送付するとともに、毎年度文化庁におきまして開催しております地方公共団体向けの担当者会議におきましても、当該報告書を紹介をいたしまして、そして、近代の庭園等の調査が進むように普及啓発に努めてきたところでございます。

牧委員 つまりは全国のそういったところを網羅的に通知をしているというお話なんですけれども、特段この件については、この委員会でも前の末松大臣のときにも私申し上げて、今後注視してまいりますというようなお話で、何をしてくれるかという回答はなかったんですけれども、今後注視していくという回答がありました。

 さっき申し上げたように、この神宮外苑地区についてのお話というのは、そういった意味で、通り一遍、全国の対象区域についてのお知らせじゃなくて、きちっとここで私お願いした話でもありますし、去年の臨時国会でお話しして以降、この件について、東京都とのやり取りというのはどんなものがあったんでしょうか。

永岡国務大臣 先日の二月の三日なんですけれども、衆議院の予算委員会におきまして、阿部委員とのやり取りの中で、私の方から、国会でのやり取り、やはり文化指定される地域ではないか、そういう可能性があるのではないか、そういうやり取りでございましたが、自治体に伝えますと答弁をさせていただいたわけでございます。

 それを受けまして、委員会当日に文化庁より東京都へ一報するとともに、その後、議事内容を文化庁におきまして整理の上、二月の十三日付で事務連絡にて東京都へ伝達するとともに、関係区への周知、これを依頼したところでございます。

牧委員 二月の十三日付で周知というふうに今お聞きをしましたが、だとすると、これはよっぽどなめられていますよね。その後、二月十七日にこの開発事業についての施行認可が東京都から出ているんですよ。これは全く無視されたんじゃないですか。どうでしょうか。

永岡国務大臣 まあ、そういう言い方は大変厳しい言い方でございますとは思いますけれども、やはり、最終的にそれを文化的価値があるものだというふうにお決めになりますのは、各地域、自治体、そういうふうに考えております。

牧委員 何だかよく分からない御回答ですけれども、もう一つつけ加えさせていただくと、この二月十七日の施行認可を受けて、さらに、イコモス・ジャパンからも更に要請が出されております。

 一つは、まず、施行許可に当たっての環境影響評価書、これは虚偽の報告、虚偽の資料が提出されているということが一つ。それからもう一つは、現行の区道が廃止されることによって、移転する秩父宮ラグビー場、国立競技場への歩行者通行において、イベント時に重大な問題が生じる可能性が否めないということであります。新野球場と新ラグビー場、国立競技場をつなぐ歩道橋が、本当に幅員が非常に狭いんですね。八メートルしかない。群衆雪崩の生じる危険性が大きい。昨日みたいな、WBCみたいなのがあると、こういうところで、韓国でも大きな事故がありましたけれども、そういう懸念があるということまで指摘をされておりますけれども、これを何とか止める手だてというのはないんでしょうか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 環境影響評価書についての御質問でございますが、本件につきましては、東京都の環境影響評価審議会における審議を経て、本年一月二十日に環境影響評価書が東京都から告示されたものと承知しております。

 環境アセスメント手続は東京都と関係事業者との間において行われているものでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

 また、歩道橋についての御質問でございますが、委員御指摘の神宮球場と秩父宮ラグビー場の間の歩道橋の幅員につきましては、東京都の神宮外苑地区の都市計画において六メートルから十・五メートルとされており、今後、事業者が検討を進めていくと認識をしているところでございます。

 幅員八メートルということでございますが、それに決定したということは聞いていないというところでございます。

牧委員 何かあったらちゃんと責任を取ってくださいね、そこまで言うなら、群衆雪崩が起きたときに。私はそれをはっきり申し上げておきたいと思いますし、環境影響評価についても、これは、イコモス・ジャパンが指摘をしていることについて、きちっと、反論、反証できるのであれば、しておくべきだと思いますよ。こういうふうに、民主的な手続を逸脱した不適切なものだという指摘までされているわけですから、そこはきちっと、今後もはっきりさせていただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つは、森の保全だけじゃなくて、神宮球場、秩父宮ラグビー場はそれぞれの、野球、ラグビーの聖地なんですね。歴史的建造物です。

 せんだっても、ラグビーの元日本代表平尾剛さんからもお話を聞きました。今度できるラグビー場というのは屋根が閉め切りで、今までのラグビー場だと、その日の風を読んだり、日光の、日の当たり方によって、いろいろ計算しながらプレーをしてきた、そういうものが全くなくなって、もう違う競技になってしまうと言ったら大げさかもしれないですけれども、全く異質のものになってしまうと。観客席も一万席減らされる、芝も人工芝になる。現在の秩父宮を残す署名が広がる中で、また、これをどうするのかという声も広がる中で、これをどうするのかということもお聞かせいただきたいし、神宮球場も、ベーブ・ルースが実際にプレーをした球場というのが世界で四つだけ残っていて、そのうちの二つが日本にあって、甲子園と神宮球場なんです。

 そこまで見ると、やはり、スポーツを所管する大臣として、こういったレガシーまで破壊してしまうということについてどういう認識をしているのか、聞いておかなければならないと思います。

永岡国務大臣 神宮球場は、プロ野球であるとか、また、東京六大学野球などの熱戦が繰り広げられました。また、秩父宮ラグビー場では、長くラグビーの聖地として、数々の名勝負、その舞台となったと承知しております。

 しかし、いずれにいたしましても、施設が老朽化いたしまして、バリアフリー対応などの課題があることから、東京都まちづくり指針等を踏まえて、それぞれの所有者が建て替えの判断をした、そういうことだと思っております。

牧委員 最初から最後までゼロ回答で、大変残念です。老朽化は分かるんですけれども、ローマの遺跡だってもう何千年もたっているわけで、それは残せるんです。

 それと、もう一つ、最後に申し上げておきますけれども、これは国が何もできないかというと、実は、私はそうじゃないと思います。

 JSC、日本スポーツ振興センター保有の秩父宮ラグビー場と神宮球場を入れ替えるわけですから、これが大前提になっているんですね、この再開発の。このJSCの資産をきちっと現状のとおり保存するんだという意思表示さえすれば、私は国としてこの事業を止められると思っておりますので、そのことについて申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 まず最初に、東京オリンピック・パラリンピック大会をめぐる汚職事案について尋ねます。

 既に、贈収賄罪で十五人、そして、いわゆる事業の談合問題で組織委員会運営局元次長ら七人と六つの会社、これが起訴されております。特に後段の談合事案ですけれども、これは、見ておりますと、不心得者がやったというよりも、電通含めたところとそれから組織委員会、これは言葉は悪いですけれども、ぐるになってやったというのがこの談合の事案の問題点だというふうに思います。

 大臣、そのように認識されていますか。

永岡国務大臣 一連の今回の事案につきましては、既に刑事手続中であることから、その過程の中での事実というのが明らかになると考えております。

 スポーツ庁が設置をいたしましたプロジェクトチームの調査分析では、理事会が適正に機能していたかや、利益相反管理の観点から人材配置の適切性が確保されていたかは疑問の余地がある、そういうふうに問題点も指摘されているというところを承知しているところでございます。

吉川(元)委員 今回のテスト大会と本大会、合わせて四百三十七億円という事業で、ある意味ではこれは食い物にされたわけですよ。オリンピックが、組織委員会も絡んで、利益配分の舞台になっていた。

 大臣、前回お聞きした所信の中でレガシー、レガシーと言われますけれども、これは恥ずべきレガシーですよ。レガシーというのはいろいろな意味があります。一つはいわゆる遺産、通常使われるレガシーということと、もう一つは時代遅れとか、そういう意味合いも含まれています。

 この問題というのは、組織委員会、あるいは東京都だけにとどまらず、この四百三十七億円の中には国費も当然含まれているわけです。これを見抜けなかった、あるいは見過ごしていた国の責任というのは、これは私、重大だと思いますよ。所信を見ますと、何か、大会関係者が逮捕される事態が生じてしまったことは極めて遺憾ですと、本当に人ごとなんですよ、これは。自分たちにも責任がある、そういう自覚を持っていただきたいというふうに思います。

 また、東京都は、この談合事案で調査チームをつくって、年末の十二月二十六日に当面の調査状況というのを公表いたしました。後ほど言いますけれども、東京都、これは大変苦労しながらやっているんですよ、清算法人が全く協力しないという中にあって。

 なぜ国は、これだけ大規模な、しかも組織委員会も一緒になってやったこの汚職について真相解明に乗り出さないのか、この点について考えをお聞かせください。

永岡国務大臣 東京大会の一連の事案につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が関係企業と結んだ契約に関連するものであることから、当事者の清算法人であります大会組織委員会が責任を持って対応していただくものと考えているわけです。

 その上で、東京都は、IOCと開催都市契約を締結しておりまして、大会の開催都市としての責任を果たす立場にありまして、相当数の職員を派遣しておりました。また、東京都は、国費も含んだ公費を一括して組織委員会に交付をしております。

 こうしたこともありまして、現在、東京都では、副知事をトップとした調査チームを設けまして、課題や事件の背景、組織の問題等も含めて議論、分析を行うことなど、調査の深掘りをしているということを承知しているわけでございます。このようなことから、東京都におきましてしっかり調査が行われ、スポーツ庁にも適宜御報告いただけるものと考えております。(吉川(元)委員「国がなぜ調査しないかを聞いているんですよ」と呼ぶ)

 スポーツ庁におきましては、弁護士と会計士から構成されます中立的立場の作業チームですとか、この大会組織委員会のガバナンスの実情ですとか課題の把握をして、今後の大会運営のための指針を策定する、そういう予定になっております。

吉川(元)委員 やはり無責任過ぎますよ、今の答弁を聞いていても。

 四百三十七億円といいますけれども、年末、会計検査院の調査の発表によりますと、当初千八百六十九億円とされていた大会開催経費、実際には約二・五倍、四千六百六十八億円かかっている、こういう指摘がされた上で、「イベントの招致及び実施に対する国民の理解に資するよう十分な情報提供を行う態勢を検討すること」、このようにされているわけです。

 聞いていると、組織委員会や東京都がやっているんだという話ですけれども、国も政府も深く関与しているんですよ。もし仮にそうじゃないんだったら、何でオリパラ特措法を作ったんですか。何でオリパラ事務局をつくったんですか。担当大臣もつくったし、以前この委員会で当時の丸川大臣と私も議論したことがありますが、プレーブック、これも大臣は、自分も関わったというふうに言っているんですよ。関わっているんですよ。

 それを、何か全く、それは我々は関係ありません。国費というのは税金なんですよ、国民の。その税金がおかしな形で使われているということについて、なぜ問題関心を持って調査しないのか、私は非常に疑問です。

 次に、今少しお話がありました指針について伺いますけれども、そもそも、指針を作るといっても、今回の汚職、談合事案の検証なくして、どうやって指針を作るんですか。何が起こったのか、どこで問題が発生して、誰がどういう立場で動いたのか、こうしたことを検証せずして、どうやって指針を作るんですか。

 その指針の内容も少し見させていただきましたけれども、その内容が、求められるとか、考えられるとか、望ましいとか、一案であるとか、何かもう、ほとんど、こうすべきとか、こうしなければならないという書き方じゃないんですよ。何の強制力もないような、こういう指針。

 例えば、情報開示の在り方では、「法令に基づいて開示が求められる情報以外についても、様々な関係者の活動に支障をきたさない範囲で、主体的かつ積極的な情報開示が求められる。」との要望にとどまっております。

 なぜもっと強力な情報公開を迫らないのか、その理由をお聞かせください。

永岡国務大臣 スポーツ庁の立場といたしましては、指針案では、組織委員会等、締結する個別の契約の内容などということは守秘義務の関係で開示ができない場合が多いと考えられることを考慮いたしまして、守秘義務を遵守しながら、活動に支障がない、そういう範囲内で情報の公開が求められるという記載になっていると承知をしているところです。

吉川(元)委員 もちろん、民民の関係のところもあって、守秘義務はあると思いますよ。ただ、正常に行われていればそれで結構なんですよ。これだけ逮捕者が出て、起訴までされて、税金まで投入して、それで何も調べない、何も情報公開を求めない、強制力を持ったそうしたことをやらないというのは、こんなことであれば、二度とこうした国際大会というのは日本では開けなくなりますよ。(発言する者あり)そうです。

 今おっしゃったとおり、声もありましたけれども、かつて長野五輪、あそこでも、会計が不明朗であったという問題が指摘されておりました。当時のいろいろな資料、いつの間にか、燃やしたのかどうか分かりませんけれども、なくされております。あのときにうみを全部出し切っていれば、今回のことは恐らくこういう形では起こらなかったというふうに思います。

 今回の五輪についても、結局、何かうやむやのまま終わらせて、そうすると、また次やったときに、同じことがより巧妙な手口で行われるというのは火を見るより明らかじゃないですか。

 例えば、先ほど少し触れましたけれども、オリンピックの、東京都の独自の調査なんですが、入札の経過の情報や特別契約の契約金額など、ほとんどといいますか全く、清算法人からは情報の提供がなされていないんです。建前上はこういう契約になっています、だけれども実態はどうなっているんですか、まさにその実態を明らかにしなきゃいけないのに、清算法人はそれを出さないんです。その理由は、今まさに大臣が言った守秘義務ですよ。そんなことをやっている限り、この問題の解明なんて私はできないというふうに思います。

 実は、パリ五輪大会が来年ですか、行われます。既にフランスでは特別法を制定して、民間企業には会計検査院による検査、組織委員会に対しては腐敗行為防止庁による監督を義務づけて、民間組織であっても行政監視の対象とする極めて厳しい措置を取っております。つまり、できるんですよ、やろうと思えば。

 こうした点については、いわゆる先ほどの指針云々という話が出ましたけれども、議論はされているんでしょうか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 スポーツ庁等のプロジェクトチームにおきましては、過去のロンドン大会や今後のパリ大会、ロサンゼルス大会及びブリスベン大会といった海外の事例についても調査を行っているところでございます。

 御指摘のパリ大会の特別法の事例、これも参考にしながら、今のプロジェクトチームの指針案におきましては、これは今後の大会ということでございますが、オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催に伴い特別措置法が制定されるような場合においては、有識者により構成される外部の委員会又は会議体等を設置し、当該外部委員会等の求めに応じた文書等の提出を組織委員会等に義務づけるということも提案されているところでございます。

 今後、仮に立法措置が必要となる大会におきましては、その措置内容について、今回の点を踏まえて検討するということが必要となるものと考えております。

吉川(元)委員 指針ですけれども、先ほど触れたとおり、強制力を伴わない、望ましいだとか、一案であるなんというのは、もうほとんど何の意味もないような文言が並んでいるわけですが、その中でも、指針の遵守状況の公表、あるいは組織委員会の役員候補者選考委員会の設置、さらに、利益相反を管理する、理事会から独立した機関の設置、これは義務づけられているようであります。

 伺いますけれども、今年も大きな国際大会が日本で行われます。七月には世界水泳、八月からはバスケットのワールドカップ、こうした年内にも行われる大規模な国際スポーツイベント、これらについてはこの指針は適用できるというふうに理解していいのか、この点についてはいかがですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 現在検討しております指針案につきましては、スポーツ界や経済界から幅広い意見を聴取いたしまして、更に内容を充実し、今月中の策定を目指しておりますが、指針案の記載にありますように、今後設置される大会の組織委員会等を対象とする、こういう指針案でございまして、現在既に設置をされております組織委員会等は想定をしていないというところでございます。

 一方で、指針案で示されました各原則につきましては、既に設立された組織委員会等においても重要なものでございますので、対応することが望ましいということから、組織委員会等の準備状況も踏まえつつ、できる限り指針に準拠した形での運営を行うよう努めていただきたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 つまり、もう既にできているものについては今までどおり御自由にやってください、特に強制力もないですしという話ですよね。そういうことをやっているから、いつまでたってもこうした問題が再発をするんだと。是非、大臣、そういう自覚を持ってやっていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと飛ばしまして、教員の働き方について伺いたいというふうに思います。

 昨年末に、質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会、非常に長ったらしい名称なんですけれども、これが文科省に設置されて、何回か議論がされているというふうに承知をしております。

 その中で、最初に給特法について伺うんですが、給特法の第一条では、教育職員の職務と勤務態様の特殊性によって、いわゆる超勤四項目以外の残業代は支払わないというふうになっておりますが、これは確認なんですけれども、職務と勤務態様の特殊性とは具体的に何を指すのか、説明をお願いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 給特法における教師の職務の特殊性とは、子供の人格の完成を目指す教育を職務とする教師が有している、極めて複雑困難、高度な問題を取り扱い、専門的な知識、技能を必要とされ、また、そのために絶えず研究と修養に努めることが求められるなど、個々の教師の判断、責任に委ねられている側面があり、どこまでが職務であるのか切り分け難いという職務の特殊性のことを指すというふうに承知をしております。

 また、教師の勤務態様の特殊性とは、通常の授業の学校内で行われるもののほか、修学旅行等の学校行事や家庭訪問など学校外で行われるものがあることや、夏休みなど長期の学校休業期間があり、その期間においては児童生徒への直接指導よりも研修等を行うことが求められること、こういったことを指すものと承知をしております。

吉川(元)委員 だったら、先ほど少し議論がありましたが、いわゆる国立あるいは私立、そうした学校、それは、今言ったような、複雑で困難で専門的でというのはないという理解でいいんですか。

藤原政府参考人 国立、私立と公立の違いということでございますけれども、経緯的には、先生御承知のように、給特法を制定した当時、国立と公立の学校の教師について、これは、一般の行政職の公務員とは異なる職務等の特殊性を踏まえ、時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して処遇する仕組みということで構築をされたわけでございます。

 その後、国立学校の教師については、国立大学の法人化時に公務員法制から外れ、その労働法制は民間企業と同様となった、こういった経緯があるわけでございます。

 その中で、現段階の公立学校の教師と国、私立の学校の教師との違いということでございますけれども、教師の職務と勤務態様の特殊性という点につきましては共通的な性質があるわけでございますけれども、その中で、特に公立学校につきましては、教師は、通学区域内に居住する多様な子供たちを受け入れて教育の機会を保障するなど、その公的性質が強い職務であることから、地方公務員の公務としてその職務を遂行することとされ、その勤務条件は条例で定めるなどの性格の違いがある、このように承知をしております。

吉川(元)委員 それはもう無理くり理屈をつけているだけですよ。そんなの、今のは理屈にもなっていないですよ。いわゆる大学等の附属小学校、中学校、そこだってやはり地域と関わりがありますよ。私立だってもちろんそうですよ。何でそれが違うのかというのは、それはもう、いわゆる公立の義務教育諸学校等というのを無理くり特殊なものに仕立て上げようとする、ある意味ではへ理屈ですよね、これは。そうとしか思えません。

 次に、ちょっと伺いたいんですけれども、二〇一九年の臨時国会、ここでは給特法の改正案が議論されました。そのとき、萩生田文科大臣は、これは参議院側ですけれども、こういう答弁をしております。校長の時間外勤務命令は超勤四項目以外の業務については出せない仕組みになっているため、途中、はしょりますけれども、給特法の仕組みは、労働基準法の考え方とはずれがある、このように言っております。

 まず伺いたいんですけれども、超勤四項目以外の業務について出せない仕組み、これは具体的に何を指しているんですか。

永岡国務大臣 校長の時間外勤務命令は超勤四項目以外出せないということの四項目でございますが……(吉川(元)委員「そんなことは聞いていない。もう一回質問します。いいですか」と呼ぶ)

宮内委員長 では、吉川元君。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、超勤四項目以外の業務についてはいわゆる超勤命令が出せないのはなぜですかと聞いているんです。超勤四項目が何かなんていう話は聞いていないです。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる超勤四項目は、教師に対して時間外勤務を無定量に命じられることがないよう、あらかじめ予測される業務については正規の勤務時間の割り振りを適正に行い、原則、時間外勤務を命じないこととし、臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときには正規の勤務時間を超えて勤務させる場合の基準として、限定して定められたものでございます。

 それが四項目ということでございますが、具体的には、生徒の実習に関する業務、学校行事に関する業務……(吉川(元)委員「それは分かっています。だから、出せない理由を聞いているんです」と呼ぶ)はい。

 出せない理由というのは、ですから、元々、この給特法を作ったときに、教師の職務というのは時間で必ずしも切り分け難いという観点から、給特法の中で教職調整額という仕組みをつくったわけでございますけれども、その中で、教師に対して時間外勤務を無定量に命じられることがないように、超勤四項目というのを定めて、その内容を限定をしているということでございます。

吉川(元)委員 法的根拠は何ですか。出せない法的根拠。

藤原政府参考人 法的根拠はまさに給特法でございまして、その中で、給特法に基づいて政令を定めているわけでございますけれども、公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令というもので定められているものでございます。

吉川(元)委員 つまり、給特法六条、今少し読まれましたけれども、「教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限る」、つまり、これは四つのものですけれども、超勤四項目ですが、この法律があるから、つまり、実態として、校務として行われている、つまり、ほかの、いわゆる正規の勤務時間と同じことを、何度もここでも議論しました、丸つけをしている、その丸つけをしているのが勤務時間が終わっても当然続くわけです。同じ仕事、同じ質の仕事をしているにもかかわらず、そこから先はいわゆる超勤命令が出せない。この原因というのは、この六条ですね。これでいいですね。確認です。

藤原政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、給特法の規定に基づいて、超過勤務が命じられる場合をこういう形で限定をしているところでございます。

吉川(元)委員 つまり、当時の萩生田大臣は、ずれがあると。労基法というのは、別に、自治体の職員であろうと、教職員であろうと、全てに関わる法律です。その中から、例えば教員の場合は給特法というのがあって、ここはこういうふうにしますよとなっていますけれども、ずれがあっちゃまずいんですよ。そのずれの原因というのは、まさにこの六条、命じることができないということを理由にして超勤命令が出せなくなっている。

 萩生田大臣は、答弁の中で、労働基準法の考え方とずれがあるとの認識は見直しの基本だというふうに述べているわけです。とするならば、この六条というものは、当然、先ほども少しありましたけれども、なくさないと根本的な解決にならない。在校等時間というのをつくって、これは校務である、学校教育法上の校長がつかさどる校務である、そういう答弁もこの委員会でありました、にもかかわらず、これが労働時間にカウントされない。その大本の原因はどこにあるかといったら、この六条だと考えますが、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 公立学校の教師に関しましては、現在の給特法の下では、校務であったとしても、校長からの指示に基づかず、所定の勤務時間外に、いわゆる、済みません、先ほど申し上げましたけれども、超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った行為は、勤務時間ではないが、校務に従事している時間という整理になっているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後、令和四年度実施の勤務実態調査におきまして教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握いたしまして、その結果等を踏まえまして、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含めて検討してまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 今大臣がおっしゃった、指示に基づかず、これはまさにこの六条があるからなんですよ。六条がなければ、指示に基づいているんです。実態としても、黙示的にも、これは指示に基づいているんです。

 例えば、部活動があります。部活動は大体放課後にやります、土日もやります。これって、校務分掌で割り当てるんですよ。教員が、私はこれをやりたい、あれをやりたいといって勝手にやっているわけじゃないんですよ。一番最初に、校務分掌として、じゃ、あなたは若くて元気があるから運動部をやってくださいね、男性だから、女性だからということも含めて、そういう校務分掌が行われているんですよ。そこは指示があるわけですよ。ところが、いざ働き始めて、部活をやり始めたら、これは指示に基づかず自主的、自発的にやっている、この整理の仕方はもう無理なんですよ。

 これを維持する限り、今、与党内でも、自民党の中でも何かいろいろ検討はされているとは聞いております。ただ、当時の萩生田大臣が示した答弁というのは、このやり方というのはもう無理が来ているんだと。これがある限り、労基法とのずれというのは、幾ら調整額を上げたりとかなんなりしたにしても、結局、この構造自体がなくならなければ、相変わらず、校務であるけれども指示に基づかない、自主的、自発的、在校等時間ではあるけれどもいわゆる労働時間ではない、こんなへんてこりんな解釈が続いていくというふうに私自身は思います。

 是非、小手先の改革ではなくて、この構造自体を変えない限り、教員の働き方改革、これは進まないんだ、そういう自覚を持ってこれからの議論をしていただきたいと思いますけれども、大臣の決意を伺います。

永岡国務大臣 この春出てまいります勤務実態調査におきまして教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握をしまして、その結果等を踏まえて、教師の処遇を含めた給特法等の法制的な枠組みを含めて、しっかりと検討させていただきます。

吉川(元)委員 私が言いたいのは、この構造自体にメスを入れない限り、どうしようもないんですよ。もう矛盾を来しているんですよ。

 この委員会で、校長がつかさどる校務ですね、在校等時間はと言ったら、最初、初中局長は、そうでないものもあるといって答弁して、混乱したんですよ。

 何で混乱したかというと、それは結局、今の構造というのはそもそも無理がある構造で、これが温存される限り、働き方改革、本当の意味の働き方改革は進まないということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 ちょっと中途半端な時間なんですが、あと一問だけ伺いたいというふうに思います。

 文教予算についてですけれども、部活動の地域移行について。

 概算では百十八億円を要求していたんですけれども、実際の予算を見ますと、補正も含めて四十七億円という状況です。実際に今年度予算で計上されたのは二十八億円ということで、余りに落差がある。

 概算要求時には、部活動の地域移行に向けた支援、これは八十八・一億円と出ているんですが、これが、予算案の方で見ますと十一億円に、八分の一に減っています。なおかつ、名称まで変わっているんですよね。部活動の地域移行等に向けた実証事業に、いつの間にかすり替わっているんですよ。

 これは以前も指摘しましたけれども、概算要求というのは何のためにやっているんですか。いろいろなものを積み上げて、これが今必要だからということで、文科省として概算要求を出しているわけですよ。それがいつの間にか、財務省との折衝の中で削られ、減らされ、そして、減らされたがゆえに名称まで変えてしまう、こんなことをいつまで繰り返すつもりなんですか、大臣。伺います。

永岡国務大臣 令和五年度の文部科学省の所管の一般会計予算案のうち文教関係予算案は、これは概算要求から減額となっておりますけれども、対前年比におきましては八十三億円の増となっておりまして、総額は四兆百四十六億円を計上しております。また、文教関係施策の振興に必要な予算、これを盛り込むことができました。

 加えまして、令和四年度二次補正予算につきましても、文教関係予算として六千億円、これも措置をしております。

 この予算案を国会にお認めいただいた際には、その後の適切な執行に向けまして、文部科学省としても全力で取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 ほかにもそういう事例が散見されます。

 ただ、義務教育国庫負担金については、概算よりも若干プラスとなっています。

 つくづく感じました。法律を変えることが必要なんだ、義務標準法を変えれば、こうやって、今までは削られていたものが削られなくなる。とすれば、いろいろなものについては法定化をしていくというのは私は重要だということを最後に指摘をして、質問を終わります。

宮内委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 初めに、先日の大臣所信の中にございました不登校について、何問かお伺いいたします。

 実は、一問目は、時間が押して押して、大臣の方が答弁が難しくなりましたので、申し訳ありませんが、一問目に関しましては飛ばさせていただきたいと思います。またの機会にさせていただけたらというふうに思います。

 それでは、永岡大臣の所信の中で、様々な課題を抱えた子供たちを誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出すことが極めて重要とおっしゃられましたが、その点において、一点、すごく気になっていることがありますので、まずお伺いしたいと思います。

 前にも言いましたが、私は元々中学校の教員でして、二十四年間勤務し、特に不登校の子供さんたちの支援には力を入れて取り組んでまいりました。

 最近の不登校の子供さんへの支援について、すごくいいなと思うのが一点ありまして、GIGAスクール構想の中で一人一台タブレットの取組が進みまして、不登校の子供さんたちが自宅にいても学校の授業を受けることができる。どういうことかといいますと、自分のクラスの授業の、教室の後ろにカメラを設置して、それを映して家に配信できて、家で勉強ができるようなことが今進んでおります。これは本当にすばらしい取組だと思います。

 なぜかといいますと、なかなか行きづらくなったときに、我々から見たときに、中長期的に見たら、今、少し休ませてあげた方がいいなと思うところでも、どうしても親御さんは勉強のことが気になって、そういったところへ進めないということがあったんですけれども、こういった取組の中で、少し、強引にではなくて、待ってあげられる、そういったケースが増えてきているというふうに聞いております。

 実は、そうなってきたときに、私がすごく気になっているのが、自宅での学習をどのように評価し、そしてその子の未来につなげていくかということです。

 文部科学省は平成十七年に、「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行うとき、」中は飛ばしますけれども、「その学習活動が学校への復帰に向けての取組であることを前提とし、かつ、不登校児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断する場合に、指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができる。」との通知を出しています。非常に子供たちに寄り添った通知文になっております。

 しかし、今年一月二十四日の共同通信の記事では、不登校児童生徒の成績に関する記事が掲載されており、小学校のときの通知表は五ばかりの優等生が、小学校六年生のときにいじめを受け、学校に行けなくなり、中学校では不登校になりました。そのときに送られてくる、今、実はどうしても、なかなか、テストも受けていないということで、どういった評価がつくかというと、テストを受けていない子供さんには一がついたりとか評価不能の斜線が並ぶんですけれども、一と斜線ばかりが並んだ通知表を見て、私が欲しいと言ったわけではないのに一方的に送られてきて、何の価値もないと感じるようになったとその彼女がつづっております。

 しかし、その記事の中では、彼女が中学二年生、三年生のときの担任がずっと定期的に通ってきてくれた、二年生のときは一度も会わなかったが、三年生のときに通知表を持ってきた担任が、ここに君を評価することが書いてある、制度上必要だから書いたけれども、君の全ての評価ではない、一番悪い数字が並んでいるけれども、これは君の価値じゃないと言ってくれたことを機に、この先生の通知表だったら読んでみてもいいかもしれないと思い、見てみると、評価は相変わらず一ばかり並んでいたが、気にならなかったと彼女は言っています。

 そして、通知表の所見欄に、フリースクールに通えるようになった自分のことを認め、励ましてくれる文章の記載があり、通信制の高校に彼女はその後進学し、海外の短大を出た後、今、編集者になっているんですけれども、今もその担任の先生の通知表を手元に持っているといった記事の内容でした。

 この記事が示唆しているのは、永岡大臣が所信で言われた、様々な課題を抱えた子供たちを誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出すことが極めて重要ということではないでしょうか。

 特に、現在困難を抱えている生徒にどう前向きなエネルギーを与えるような評価を行うことができるのか、ここに教員の力量が問われていると思いますし、そこに教員の仕事の醍醐味もある。もっと突っ込んで言えば、厳しい評価も含めて、子供たちに前向きなエネルギーを与えていくことこそが教育における評価の本質であるとも思います。

 そこで、不登校の生徒の高校進学を支援するため、学校の授業などを自宅等で受けられるようにするとともに、児童生徒の状況を踏まえつつ、その学習成果について、一定の条件の下で成績評価を行うことを努力義務とすることが重要であると思いますが、文部科学省の認識をお伺いいたします。

簗副大臣 お答えいたします。

 不登校の児童生徒の数が増加する中、たとえ不登校になったとしても、本人の状況に応じて、御指摘のあったような、ICTを活用して自宅で学習活動を行うことや、その学習成果が適正に評価されることは重要であると考えております。

 文部科学省では、学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には、当該学習の評価を適切に行う旨を、通知において教育委員会等に周知をしております。

 一方で、自宅等における不登校児童生徒の学習の状況を全て把握することが困難な場合があること、また、体育や音楽等の実技や理科の実験など、学校と自宅等の学習環境が異なり、成績評価する際に留意が必要な学習があること等を踏まえ、現状の把握や自宅等における学習評価の方法の整理等を行うことが必要であると考えております。

 いずれにしましても、不登校児童生徒の社会的な自立の観点からも、学習評価が適切になされることは重要であり、現在検討している不登校対策においても、学習評価の在り方も含め、引き続き必要な検討を進めていきたいというふうに考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 非常につけにくいというのは私自身も実感してきたことでございますが、先ほど言ったように、根底に、その子を励ましていく、前向きにいくという評価の姿勢が最も大事だと思いますので、また全国の学校への周知をお願いいたします。

 次に、不登校の保護者の会の支援についてお伺いいたします。

 先日、我が党のプロジェクトチームで、不登校の児童生徒の保護者の会の皆さんのお話を直接お伺いしました。皆さんが一様に言われていたのが、子供さんが不登校になられて、出口が見えず、本当に不安な中、この保護者の会の存在に救われた、この保護者の会の存在があったから何とかここまで頑張ってくることができたと涙ながらに語られていました。

 この方たちが住んでいる自治体が保護者会を設置し運営してくれており、また、支えてくれる民間の専門家の方がいたためよかったのですが、全国的な状況を見ると、現在は、行政からの支援はなく、意欲ある保護者の方が自主的に設置するものであることから、地域によって保護者の会の設置にかなりばらつきがあります。そういった意味において、不登校の子供さんを持つ多くの保護者の方が孤立している状況にあります。

 そこで、例えば、現在、学校に派遣され、心の専門家でもあるスクールカウンセラーが、不登校の子供さんを持つ保護者の会のコーディネーターの役割を担うことはできないでしょうか。保護者の会にスクールカウンセラーを定期的に派遣することができるように措置することで、保護者の会の設置が飛躍的に進むことが期待できると思いますが、文部科学省の認識をお伺いします。

簗副大臣 お答えいたします。

 不登校児童生徒の保護者がそれぞれの悩みを共有する保護者の会の取組は、不登校児童生徒に関わる保護者の心理的な負担を軽減する等のお声もいただいており、設置の促進が図られることは重要だと考えております。こうした保護者の会等に対して、求めに応じて専門的な助言や支援がなされることは重要であると考えております。

 このため、文部科学省では、学校や教育委員会が実施する保護者向けの学習会等に対する支援を実施しているほか、今年度より、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが学校以外の場でも相談支援することができることを、実施要領において各自治体に対して明確に示したところでございます。

 今後、現場の実態等も把握した上で、年度内を目途に実効性のある不登校対策をまとめたいと考えております。

山崎(正)委員 私も教えていただいたんですけれども、宮城、石川、山梨、鳥取、岡山などではそういった取組が県単位でも開かれているというふうに聞いております。是非、やはり保護者の方を支援していくことが非常に重要になってまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、大臣は所信の中で不登校特例校の設置推進についても言及されましたが、前回の質問でも岐阜市の草潤中学校の話をしましたが、なかなか学校に来ることが難しかった子供さんたちが登校するという実践がなされています。

 ここで、不登校特例校を設置する意味について確認したいと思います。

 今、全ての全国都道府県、政令指定都市に最低一校ということで進めておりますが、仮に全国の都道府県、政令指定都市に一校設置されたとしても、全国二十四万人と言われる不登校児童生徒の皆さんを全て受け入れることは無理です。そうでなくても、不登校特例校において多くの子供たちが学校に来るようになった、そこにはどういった要素があるのか、それを分析、抽出、そして確認するということが大事だと思います。

 こういう取組を行えば子供たちは学校に来るようになるんだなということを、不登校特例校の中で実践した、経験した教員が、人事異動で一般の学校に戻ったときに、そこでこの経験を生かして、一般の中学校で新たな不登校対策の取組を開始し、子供たちを登校へと導いていく、ここに本当の不登校特例校の狙いがあるというふうに思います。

 公明党PTで実践を聞かせていただいた岐阜市の不登校特例校、草潤中学校と、不登校特例校ではありませんが、昨年から新たに不登校生徒を積極的に受け入れていくニューコースをつくり、多くの生徒が登校できるようになった取組を行っている愛媛県の松山学院高校では、例えば、両校には似た特徴がたくさんございます。ど真ん中に置いている理念が、どちらも、今までの固定観念を捨てて、学校が子供から学び、寄り添っていくであったり、登校時間や時間割りの工夫がなされております。そして、子供たちの選択できるものがあったり、意欲的な教員に手を挙げて来ていただく、そういった幾つかの共通事項があります。こういったノウハウを抽出した上で、不登校特例校を普及していくことが大変重要であると思います。

 そういった意味において、不登校特例校においては、教員の人事配置率や、希望する教員を募るなどの人事配置の仕方や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、支援員、児童精神科医等の専門家の配置等の標準を例えば不登校特例校の指導、支援体制パッケージとした上で、全国のどこの不登校特例校でもほかの学校の不登校支援のモデルとなるような取組を行える仕組みをつくることも重要だと思いますが、文部科学省の認識をお伺いします。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

藤原政府参考人 お答えいたします。

 様々な背景のある児童生徒が多く在籍する不登校特例校では、きめ細かな指導、支援体制が必要であり、文部科学省では、生徒指導等のための加配定数の措置や、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの重点配置、学習指導員等の支援スタッフの配置を行っているところでございます。

 地域の実情や生徒の実態に応じた柔軟な指導体制が取られるよう、今お話のありました人員配置の在り方といったことも含めて、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

 また、不登校特例校のノウハウということでございますけれども、画一的な指導ではなく、より子供たち一人一人に寄り添った教育ということで、これは不登校特例校以外の学校でも参考になるところが多いというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、こうした取組の事例をしっかりとほかの学校においても共有されるように、取組を進めてまいりたいと存じます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 次に、深刻な教員不足についてお伺いいたします。

 今、学校現場は厳しい教員不足の状況です。ここ数年は、まさに教育現場が悲鳴を上げている状況であります。

 この問題に詳しい、ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会の山崎洋介さんから、先日、直接お話をお聞きしましたが、二〇二一年始業時に公立学校全体で二千五百五十八人もの教員不足が発生し、全国的に、年度が始まっても産休、育休などの代替教員が見つからないため、子供たちが自習を余儀なくされたり、管理職が担任をしたりする事例が頻発している、欠員分の業務をカバーする教員の過重労働が更なる病気休暇や離職につながる教員不足の負の連鎖が出てきているとの指摘がありました。

 これは、私たち公明党議員に届いている声と同様で、私の地元の高知県においても深刻な状況で、病休、産休、育休の教員が職場で出ても、教育委員会の臨時教員の待機者がいない状況で、代替教員を送ることができないため、校長先生が自ら退職した教員に個別に当たって、臨時教員をやってもらうように頼み込んでいるという状況が常態化しております。

 六十歳代はもちろん、七十歳代の先生、この間はついに、関西方面のある学校では、八十歳代の元教員の方にカムバックしてもらって臨時教員をやってもらうという状況になっているとお伺いしております。

 また、高知県では、近年、小規模、中規模の小学校の教頭先生は、休んだ先生の後を受けて、学級担任を兼務しているのは当たり前の状況になってきています。

 この状況に、教員の精神状況は疲弊してきていますし、何より、補充できない教員の職務を兼ねるため、子供たちと向き合う時間が減少してきています。

 子供の学習権を保障し、教育活動を充実させることを両立させるには、教員が子供とじっくり向き合う時間を確保することが重要であり、そのためには、正規の教員数を増やし、教員一人が担当する授業のこま数を減らしていくことが重要であり、そのことが教員の長時間過密労働を解消することに直結していくとともに、子供の教育の充実につながると思いますが、文部科学省の認識を改めてお伺いいたします。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師が授業改善のための時間や児童生徒に接する時間を確保できる勤務環境を整備することは極めて重要であり、そのためには学校における働き方改革の更なる推進が必要でございます。

 このため、文部科学省では、小学校における三十五人学級の計画的な整備や、持ちこま数の軽減にも資する高学年教科担任制の推進などの教職員定数の改善を図るとともに、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実、校務のデジタル化等の学校DXの推進など、様々な取組を総合的に進めているところでございます。

 引き続き、教職員定数の改善や、教師の業務の負担軽減に資する様々な手だてを尽くして、学校における働き方改革を推進してまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 深刻な教員不足問題について、もう一問お伺いいたします。

 今、何とかこの教員不足問題を解決していこうと、例えば特別免許状を授与しての多様な人材の確保等、様々な取組を行われていると思いますが、それでも、先ほど申しましたように厳しい教員不足の状況です。

 そこで、この問題対策に一つ提案がございます。

 それは、既に教員免許を持っている大学院生と教員採用試験に合格した大学四年生に限って、四年生の後期に臨時教員として採用していこうという提案です。大学四年生の後期といえば、理系は厳しいと思いますが、文系や教育系の大学は、ほとんど履修している授業もなく、卒業論文を残すのみという学生さんも多いというふうに伺っております。

 この提案には三つの効果があると思っています。

 一つは、そんなに全国的にもそこに対象する学生は少ないとは思うんですけれども、教員不足の解消につながっていくというのが一つ目でございます。

 二つ目には、実は、今、皆さんも御承知のとおり、教員志願者数も減少し、小学校においては競争率が二倍を切ろうかという状況なものですから、新卒、新規採用者の方が多くて、我々のときだったら、新規採用者については、一年目は例えば副担任から始めていこう、教員生活をスタートしていこうという配慮ができたものの、今はそんな余裕がなく、一年目からいきなり担任を持ってもらって、その中で、なかなか子供さんや保護者とうまくいかなかった場合に辞めてしまう、早い人は新規採用になった九月に辞職してしまったという話を私もつい先日お聞きしました。

 そこで、採用試験に合格した大学四年生を、大学生のうちに、非常勤講師という立場で、大学の指導教員についていただいて、少しでも重圧の少ない環境で教員生活のスタートを切ってもらうということも重要であると思います。

 先日、ある大学の先生とお話ししたときにも、せっかく大学四年で教職課程を取って、一生懸命頑張り、採用試験も合格して、僅か数か月で辞めてしまうのは残念でならないとおっしゃっておられました。

 そういった、近年課題となってきています若年教員の早期離職の問題についても効果があると考えますし、最後、三点目には、非常勤講師として働くことで、お給料が出ます。大学生の経済的な支援にもなります。このことで、経済的に厳しい家庭の子供さんが、奨学金と併用して、教職を目指してくれることも出てくるかもしれません。

 ちなみに、三点が絡む問題ですが、早期離職で、早めに経験を積ませるなら、実習を増やせばいいじゃないかという御意見があるかもしれませんが、これは、実習となりますと、受け入れる現場の教員の先生方の負担が多くなりますので、先ほど言ったように、休んでいる教員の代替教員が来ずに、その休んだ教員の職務を補充して業務過多になっている今の教育現場には、やはり、実習を増やすというのはしてはいけないと、このタイミングでは思います。やはり、現場が求めているのは、教員として同じ立場で働いてくれる方を求めているのであって、臨時教員として行くのがいいと思います。大学四年生も、大学院生も、実習とは違う、臨時教員というお給料をいただく立場で行き、その緊張感、責任の中で、一方で大学教員が指導、サポート役でいてくれる状況で教員生活をスタートさせる、この微妙なバランスが重要だと思います。

 そこで、教員不足が深刻であることを踏まえ、既に教員免許を持っている大学院生や教員試験に合格した大学四年生を四年次後期に講師等として採用することで、切迫している教育現場を救い、子供たちの学びを保障していくとともに、近年課題となっている若年教員の早期離職についても効果的であると考えますが、文科省の認識をお伺いいたします。

簗副大臣 お答えいたします。

 全国的な教師不足の実態につきましては、憂慮すべき状況として危機感を持って受け止めております。

 その上で、今御提案いただいた点についてですけれども、既に教員免許を持っている大学院生等が臨時講師として単独で授業を行うことは可能でございます。

 一方で、まだ教員免許を有していない大学四年生の場合には、臨時免許状の授与が必要です。この臨時免許状は、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教職員検定を経て授与ができるとされている点には留意が必要でございます。

 教師を志す学生が、教員免許を取得するための学びと両立して、学習指導員など様々な形で学校現場を経験することは、学生と受け入れる学校の双方にとって有益であり、文部科学省としては、こうした教職志望を維持向上させる取組を一層推進してまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 もう一点、この教員不足の中で、実は、現場の教員の先生方、また大学の先生方、学生さんから提案があったことなんですけれども、実は、私が教員になったときなんかは、当時、日本育英会の方で奨学金を借りておりましたが、第一種の方を借りた教員に関しては、十五年間教員を続ければ、そういった返還が免除されるというシステムがございました。

 これはやはり、非常に当時、効果が大きくて、是非、今こういった厳しい状況では、あれを復活させてほしい、又はあれに近いような制度をやっていただきたいという声がたくさん上がってきておりますけれども、そういった、奨学金の返還を免除するといった取組が有効だと思うものですけれども、そういった点につきましての認識をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 教師不足が指摘される中、教職志望者を増やすための施策に取り組むことは大変重要な課題と考えてございますが、御指摘の教育・研究職の返還免除制度につきましては、特定の職種のみ優遇することの公平性の観点などから廃止をされた経緯がございますので、再度実施することにつきましては慎重に検討することが必要と考えております。

 文科省としては、先般、中教審において取りまとめられました令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方に関する答申の内容を踏まえながら、教師の人材確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 当時、やはり教員だけがそういった免除を受けるのはどうなのかという御指摘があったというんですけれども、永岡大臣の所信の中でも、教育は国家、社会の礎であり、発展の原動力というお言葉があったんですけれども、今、本当に教員を目指す人が少なくなって、我々のときは何十倍という倍率で、講師の話なんかも、臨時教員の条件、断ったらもう二度とないよという状況が、今は二倍を切る、先ほど言ったような状況でございます。

 この国の未来をつくっていく教員志望者がいないというところにおいては、いま一度、再考の価値があるのではないかと思いますので、また御検討をよろしくお願いいたします。

 最後に、こういった不登校の問題や教員不足、これらを解消していくためには、やはり、平成二十七年三月十三日に公明党が衆議院予算委員会において提唱した、チーム学校、教員だけではなくて、地域社会、様々な方々が協力して子供たちを育てていく、多くの大人が教育に関わり、対話的な学びや人間性のある学びを深め、社会が子供の教育のために最善を尽くす、教育のための社会の推進力としてのチーム学校の更なる推進が重要だと思いますが、そのことにつきましての文科省の認識をお伺いいたします。

簗副大臣 お答えいたします。

 複雑化、多様化する教育課題に対応する上で、心理や福祉等に関する専門家や教師の業務を支援するスタッフ、地域住民等の連携、分担を進め、チームとしての学校を実現することは重要であると認識しております。

 このため、文部科学省としては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教員業務支援員等の支援スタッフの配置支援充実を図るとともに、コミュニティースクールの導入促進や地域学校協働活動との一体的推進などに取り組んできたところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、これらの取組の充実等を通じ、多様な人材が参画する学校運営の実現に取り組んでまいる所存でございます。

山崎(正)委員 本日は、様々な御丁寧な答弁、ありがとうございました。本当に、国も県も市も、また現場も一体になって、子供たちのために、また、私たちもそのために頑張ってまいりたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、上杉謙太郎君。

上杉委員 自民党の上杉謙太郎でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、委員長、理事の先生方、また委員の先生方に感謝申し上げたいというふうに思います。

 大臣の所信から幾つか御質問したいというふうに思います。

 大臣の所信の中で、冒頭、コロナに関して御発言がございました。子供たちが生き生きと生活を送れるよう、着実に歩みを進めていきますとおっしゃってくださっております。

 ちょうど今、卒業式のシーズンであります。先ほど、冒頭、菊田先生からも御質問ありましたが、卒業式におけるマスクの取扱いについて、まだちょっと、報道されていますけれども、なかなか分かりづらかったりもするところがあります。いま一度、基本方針等について御説明いただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 卒業式については、他の学校教育活動と比べて感染リスクが低いこと、また、今年卒業を迎える子供たちは学校生活の大半をコロナ禍で過ごしてきたこと等を踏まえ、その教育的意義も考慮し、二月十日の政府対策本部決定において、換気の確保等の感染症対策を講じた上で、児童生徒、教職員はマスクを着用せず出席することを基本とすることといたしまして、教育委員会や学校等に対して、二月十日に考え方をお示しをしたところでございます。

 その中で、来賓や保護者等はマスクを着用することとし、座席間に触れ合わない程度の距離を確保いただく等の一定の感染対策を講じた上で、参加人数の制限は不要であるということについてもお示しをしたところでございます。

 また、基礎疾患等の様々な事情により、感染不安を抱き、マスクの着用を希望したり、また、健康上の理由によりマスクを着用できない児童生徒もいることなどから、学校や教職員がマスクの着脱を強いることがないよう、併せてお示しをしたところでございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 高校生はもう卒業式が終わったところがたくさんあって、例えば私の地元ですと、来週月曜日が中学校の卒業式、二十三日が小学校の卒業式であります。

 卒業式もそうでありますし、今までコロナ、三年間で、特に今年の中学校三年生は中学校時代全部コロナで過ごしたということであります。卒業式ぐらいしっかりとマスクを外して、ステージの上で堂々とこう卒業証書がいただける、そういう卒業式を期待をしております。

 そして、卒業式のみならず、来年四月以降でありますけれども、今までだと、例えば運動会、文化祭、いろいろなもので、いろいろな学校現場、皆様、御苦労されていました。先生もそうでありますし、生徒が一番ストレスがあったと思いますけれども。これで五月八日の、五類に移行することによって、学校の行事もそろそろマスクのない通常の活動ができるのかなと期待をしているところであります。

 二月十日の、卒業式におけるマスクの取扱いの基本的な考え方、この通知はいいんですけれども、今ちょうど、学校現場というのは来年の行事がもうそろそろ決まっているところですよね。六月に運動会をやります。秋に文化祭とか、いろいろやります。じゃ、去年と同じように今年も時短でやる、運動会はお弁当を食べると駄目だから、午前中の、十二時過ぎまでで運動会を終わらせよう、あと騎馬戦みたいに密になるものはやめようですとか、今ちょうど、まさに議論しているところなのであります。

 もうそろそろ早く、文科省さんも、まずはこの三月中に四月以降の指針を示してあげることも必要ですし、そうはいっても、五月八日の厚労省、コロナの方の、五類の方のやつが決まってから正式なものになるのかもしれませんけれども、二段階でもいいですから、しっかり通知を出して学校現場に混乱がないようにしていただきたい、こういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 マスクの取扱いについては、二月十日の政府対策本部決定において、学校教育活動の実施に当たって着用を求めないことを基本とし、四月一日から適用することとされたところでございます。

 円滑な移行を図る観点から、具体的なマスクの取扱いや活動の場面ごとの留意事項等について、改めて教育委員会や学校等に対して周知することを検討しており、各学校の新年度からの対応に間に合うようにお示しをしたいと考えております。

 また、マスク着用以外の感染症対策については、五類感染症に移行する五月八日に向けて見直しを行う必要があると考えております。五類感染症移行後の社会一般における感染症対策の在り方の検討を踏まえつつ、子供たちが安全、安心な環境の中で充実した学校生活を送ることができるよう、速やかに検討してまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 というのも、私も自分の息子の学校でPTAの役員をやっております。まさに先日、来年の運動会をどうするかというので、今のところ、うちの地元の小学校は、大体去年と同じようにやらざるを得ないのかなという議論でした、先生を始め、我々親も、分からないので。例えば先ほど申し上げた時短で、十二時半ぐらいに、お弁当なしで運動会をやろうかということもそうであります。去年だと、親は、保護者二名までだったんですよね。パパとママが来たらじいちゃん、ばあちゃんは来れないという形なんですね。でも、これだと、外でもありますし、そろそろもう通常の運動会をやってもいいと思います。

 四月から年度が替わるので、三月中の通知、あと五月八日のそれを見て、また修正版なのか、新たな詳細版なのか分かりませんが、二段階で構いませんから、是非ともお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、同じ学校現場の中で、医療的ケア児についての支援に関してであります。

 医療的ケア児というのは、例えば胃瘻ですとか酸素チューブをつけている子供たちということであります。

 一年半前に、晴れて医療的ケア児支援法案というのが成立をいたしました。その前から学校現場に対して文科省さんも補助をしてくださっておりましたけれども、この法案ができたことによって一番いいことは、例えば酸素チューブをつけていても胃瘻をやっていても、通常の小学校、中学校に通ってみんなと一緒に勉強したいという子が勉強できるようになるということなんですね。そのために看護師を配置したりですとか、そういうことが必要で、そこをケアする、こういう法案なんですけれども、しっかり、今回、大臣の所信の中でも、医療的ケア児に対して言及をしてくださっておりました。

 実際に学校現場においてどのように取組されているのか、御説明をお願いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の成立、施行を受け、文部科学省においては、法の趣旨の徹底を図るとともに、医療的ケアが必要な児童生徒等に対する支援の充実に取り組んできたところでございます。

 具体的には、本年度、登下校時の送迎車両への同乗も含め、医療的ケア看護職員の配置に係る経費を大幅に増額して確保するとともに、令和五年度政府予算案においても同様に拡充して計上するなど、必要な財源の確保に努めているところでございます。

 各自治体等からの申請につきましても、法の施行により大幅に増加をしているところでございまして、現在、文部科学省においては、法施行後の具体的な状況を把握するための調査を行っているところでございます。

 引き続き、各自治体の取組を把握しつつ、法の趣旨を踏まえ、医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

上杉委員 よろしくお願いいたします。

 まだ周知が完全でなくてといいますか、やはり、お願いをしても、受入れが難しいというふうに答えてしまう施設もありますから、そういったところにしっかり周知をしていただくということもそうでありますし、特別支援学校も含めて、しっかりとこれからも支援をしていただきたいと思います。

 続きまして、今、三月ですけれども、今度は四月から晴れて入園式、入学式になります。毎年、やはり新一年生、それは小学生も中学生も高校生もそうでありますけれども、交通事故が増えるんですよね。今まで親御さん、例えば小学校一年生であれば、急に学校に行き始めて、通学で、徒歩で行くわけであります。スクールバスのところもありますけれども。

 これは必ずやらないといけないと思うんですけれども、子供たちの交通死亡事故はゼロにしないといけないというふうに思うんですね。特に、通学のときに亡くなるのはあってはならないわけであります。たまにそういうかわいそうな事故というのが起きるわけでありますが、これはゼロにしないといけないということで、交通安全、本当に大事なんだというふうに思っております。

 文科省さんも、緊急安全点検、よくやっていらっしゃいます。去年、おととしもありましたし、平成二十四年もありました。ただ、何か事故が起きてから、報道を見て、じゃ、対策しよう、じゃ、緊急安全点検だといって、各学校に危ないところはありますかとやっていちゃ駄目だと思うんですね。まずはこの前の緊急安全点検の内容を消化する必要はありますけれども、常日頃、危険な横断歩道とか、いろいろな要望は上がってくるわけであります。信号をつけてくれ、横断歩道がないところを渡って通学している、そういう通学路設定しているところだってあるわけでありますから、そういうものを一つ一つしっかりと対策をして、それで交通死亡事故をゼロにしていかなければならない、こういうふうに考えております。

 また、文科省さんだけでなくて、実際にやるのは自治体もそうでありますし、国道だったら国交省ですよね。信号をつけるんだったら警察庁でありますから、地元の公安委員会。そういうところがしっかり連携してやっていくべきだというふうに思いますけれども、御見解を教えてください。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年六月に千葉県八街市で発生した痛ましい交通事故を受けて実施されました通学路の合同点検の結果、文部科学省、国土交通省、警察庁合わせて、全国で約七・六万か所の対策必要箇所が抽出されたところでございまして、政府といたしましては、この抽出箇所について、令和五年度末までに必要な対策をおおむね完了させるということで進めているところでございます。

 令和四年三月末の時点における対策の進捗状況としては、教育委員会、学校による対策箇所のうち約八九%、道路管理者による対策箇所のうち約四二%、警察による対策箇所のうち約六七%が対策済みというふうになっております。

 文部科学省といたしましては、各地域において、それぞれの推進体制の下、次の安全点検を待つことなく、通学路の安全確保について不断に見直しをしていくよう、国土交通省、警察庁と連携して、引き続き各地方自治体の取組を促してまいりたいというふうに考えております。

上杉委員 よろしくお願いします。強く要請をしておきます。

 子供見守り隊のおじいちゃん、おばあちゃんとかが交差点に立つことでも一か所解消になるわけでありますし、でも、それもない交差点ってたくさんあるんですよね。私は、選挙じゃないですけれども、選挙ですけれども、朝、交差点に立って演説していますから。いろいろな交差点でやっているんですけれども、みんな、いるところと、いないところ、随分ありますよ。いると気まずいというのもありますので、いないところでやっているというのもありますけれども。でも、交通量の多いところでつじ立ちするわけでありますから、子供も横断歩道を渡るんですね。そのとき、こう左折してきたりですとか危ないんです。なので、私は、つじ立ちしながら、マイクを途中で黄色い旗に替えて、子供が通学するとき、そのときはそれをやっているんですね、ちゃんと。(発言する者あり)ありがとうございます。

 なので、危険な箇所は全然たくさんありますから。なので、自治体だけでなく、あと学校にも、学校とか自治体も一つずつ上げればいいのかなと思っているかもしれません、全て上げてくださいと言って、上げて、対策を立てていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 同じく、関連して、子供の安全という意味では、今、災害が多発する、そういう時代になってしまいました。例えば、令和元年の台風十九号では、私ども福島県とか、大変な被害に遭いました。それと、今度、子供の安全という意味で、今、避難所がどこに指定されているかというと、学校というのが多いですよね、小学校も中学校も。そうすると、仮に、じゃ、河川が氾濫をしました、そのときに、子供たちは学校に避難しようというときに、通学路を通って避難しますよね。だけれども、その通学路が河川敷の上だったら避難できないじゃないですか。

 イメージでいいますと、例えば、もうあれですけれども、昔の「三年B組金八先生」というテレビドラマは、最初のオープニングって河川敷を歩いていますよね、金八先生も生徒さんも。あそこがもし氾濫していたら、避難できないわけであります。ということは、通学路とは違う避難経路というのを設定しておかないといけないわけであります。

 これは台風のときの別の委員会とかでも御指摘させていただいたんですけれども、そういうところをしっかり対応していく必要があるというふうに思いますが、お考えをお聞かせください。

藤江政府参考人 委員御指摘いただきましたように、災害時に子供たちが避難所となる学校へ避難する際、ふだん使用している通学路が安全な避難経路とはならない場合もあります。このためには、各家庭において災害時の避難経路を事前に確認しておくことが大変重要となることから、自宅から避難所となる学校までの避難行動をあらかじめ決めることができるマイ・タイムラインというものの活用によって、親子で話し合う機会をつくっている学校もあるというふうに承知しております。

 文部科学省におきましては、こうしたマイ・タイムラインの取組事例を学校安全ポータルサイトに掲載して紹介するなど、様々な機会を通じて情報発信をしているところでございます。

 今後も、マイ・タイムラインを始めとした実効性のある防災教育の好事例を共有し、各家庭からでも災害時に避難所となる学校まで安全に避難できるよう、引き続き、各自治体及び学校の取組を支援してまいりたいというふうに考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 今の取組も大事ですので、是非していただきつつ、ただ、災害における避難ということであれば、地元の消防団の人は、どこが浸水して、どこが浸水しないか分かりますから。文科省さんで、地域連携の、学校を中心としてそういう取組もやっているわけですから、そういう箱も利用して、しっかりと、災害が起きたときに、自然災害が起きたときに安全に避難できるというのをちゃんとシミュレーションをした方がいいと思いますので、是非促すようによろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、災害ということに関連をしまして、避難しなければならない状況というのは、困ったことに、今、自然災害だけでなくなってしまったということであります。日本を取り巻く安全保障環境がこれだけ極めて不安定な現在にあって、万が一ミサイルが飛んでくる、着弾をしてしまう、そういう可能性もなきにしもあらずというところであります。じゃ、そういったときに子供たちをしっかり守れるのですか、万が一、それで着弾するおそれがあったときにどうやって避難するんですかということは、そろそろ議論をしていかなければならない、既にしていますけれども、となっている状況であります。

 国民保護の視点ということが大事なわけでありますけれども、学校現場において今どういうふうに検討されているのか、教えていただけますか。

藤江政府参考人 委員御指摘のとおり、各学校で弾道ミサイルに関する避難訓練や防災教育を充実することは、子供たちの命をしっかり守るためにも重要な取組でございます。

 文部科学省といたしましては、学校の危機管理マニュアルの作成の手引というものを作成、配布しておりますけれども、その中で、基本的な避難行動の流れですとか、登下校中の避難行動の留意点など、様々な場面に応じた対応を具体的に掲載しているところでございます。

 そして、昨年のJアラートの発信を受けまして、先ほども申し上げました学校安全ポータルサイトに、弾道ミサイル発射への対応に関する情報を集約して掲載するとともに、事務連絡を発出して、各教育委員会や各学校向けに改めて周知を図ったところでございます。

 また、一部の学校においては弾道ミサイルを想定した住民避難訓練に参加したという事例も承知しておりまして、このような実効性のある対応を学校が行うためには、危機管理部局等の関係機関との連携が大変重要であるというふうに考えております。

 文部科学省では、各学校において、地域の実情を踏まえた危機管理対応が関係機関との連携の下で行われるよう、これまでの取組の事例を収集、周知するとともに、引き続き、内閣官房等の関係機関と連携して、学校安全の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 先ほどの台風ですとか自然災害のときを含めて、是非よろしくお願いしたいと思います。

 学校では避難訓練をするわけでありますから、ただ、その避難訓練において、子供たちに対して、ミサイルのための避難訓練と言うべきかどうか、そういうのはまた一つ、慎重に議論しなければならないことであるというふうにも思いますし、ただ、万が一があったときに、教育委員会と各学校の現場で何をしていいか分からないというふうになっては困るわけであります。机の下に潜るんでしょうけれども、しっかりシミュレーションしないといけない。それはミサイルもそうですし、災害が起きたとき、津波も台風も地震もそうであります。そういったことをしっかりと日頃からやっていく、先生方が、どういうふうにやるかというのを理解して、頭の中に入れておくことが大事であるというふうに思いますから、しっかりよろしくお願いしたいというふうに思います。

 学校については以上でありまして、続いて、別の質問に移りたいというふうに思います。

 災害にも関係いたしますが、明日で三・一一を迎えます。東日本大震災から十二年というところであります。

 十年を超えたところから、創造的復興ということで、福島県も多々復興を、しかも政府、関係の皆様から御支援をいただいて、復興してきたところであります。

 そういった中で、今回の大臣の所信の中でも、福島国際研究教育機構について言及をしてくださっております。しっかり支援してくださるというふうにおっしゃっていただいております。

 この福島国際研究教育機構が、福島県の創造的復興と今言っているんですけれども、その創造的復興の中身の、具体策の一つであるというふうに考えております。地元もみんな期待している機構であります。どのように文科省さんとして御支援をいただけるのか、御説明、教えていただければと思います。

森政府参考人 本年四月に設立されます福島国際研究教育機構は、我が国全体の科学技術力を強化するとともに、福島を始め、東北の創造的復興の中核拠点となるものと認識をしております。

 文部科学省といたしましては、関係機関との連携の下、放射線科学、創薬医療分野において、オール・ジャパンの研究推進体制を構築をいたしまして、放射線科学に関する基礎基盤研究や、RI、放射性同位元素の先端的な医療利用や創薬技術開発を推進するとともに、環境動態分野におきまして、放射性物質の環境動態の解明や取組の発信などを実施する予定でございます。

 今後、所管するこれらの分野の研究開発等が同機構においてしっかりと実施されますよう、復興庁と緊密に連携して取り組んでまいります。

上杉委員 ありがとうございます。

 復興庁任せにしては駄目だというふうに思うんですね、レクのときにも申し上げましたけれども。研究、教育を所管する省庁はどこですか。文部科学省ですよね。文科省さん側から見てみたら、別の省庁で研究してくれるわけでありますから、この箱をもっともっと積極的に利用したらいいと思うんですね。

 是非、そういった視点で、もっとアサインしていただいて、縦割りで、ここは経産省さん、ここは農水省さん、いろいろあるとは思いますけれども、様々な研究をするに当たって、文科省さんにしっかりと関与していただきたいというふうに思っております。

 というのも、この国際研究拠点で、エネルギー分野ですとかロボット分野とか、先端の取組もするわけであります。先端研究というのは、文科省さん、管轄でありますよね。しかも、東日本大震災、福島第一原発事故があって、ある意味、原子力発電所、原子力という技術は昭和の最先端技術だったわけであります。その昭和の最先端技術が、平成の時代に事故を起こしてしまった。今、令和の時代になって新たな時代を迎えて、そこにこの研究機構をつくってくださるわけであります。そこの研究テーマの一つがエネルギーなわけであります。

 そうしたら、どうすべきかといったら、令和の時代に、新たに、福島の創造的復興のみならず、日本、そしてある意味で人類に貢献するような新しい次世代のエネルギーを開発するぐらいの、そのぐらいの意気込みでやるべきであるというふうに思うんです。それこそが本当の福島の創造的復興だというふうに思うんです。原子力に代わる、水素かもしれないし、もっと違う何か新しいエネルギーかもしれません、それをこの福島の研究機構で開発できて、それを世界に出せば、人類自体が変わるわけであります。

 是非、そのぐらいの気合、やりがいを持ってやっていただきたいというふうに思っております。私も、福島県選出の議員として、地元の議員としてしっかりと御協力をしていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続いて、原発の補償についてであります。

 先日、原発の補償に対しての中間指針というのが、第五次追補という形で改定をされました。これは、地元から多々いろいろな強い要望があったというところでもあります。

 まず、一旦、この第五次追補について、文科省の見解を教えていただけますでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 東電福島原発事故の損害賠償につきまして、令和四年三月に集団訴訟の高裁判決が確定したことを受け、原子力損害賠償紛争審査会は、専門委員による各高裁判決の詳細な調査分析を踏まえ、令和四年十二月に中間指針第五次追補を策定をしたところでございます。

 この第五次追補におきましては、過酷避難状況における精神的損害でありますとか、生活基盤の喪失、変容による精神的損害など、これまでの指針には示されていなかった損害についての指針を示したものとなってございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 この第五次追補に当たって、去年から、私ども福島県の県南地域というのが対象から外れていましたので、何とかそれを対象に盛り込んでいただきたいという地元の首長さん始め強い要望がありましたので、それをやらせていただいてきました。

 今回はその対象の中に入らないということにはなってしまったんですけれども、引き続き、やはり福島県の復興を考えると、福島県で一つなわけです。県南、会津、そういう地域を外す。小さい地域地域ではないんですね。福島ということで風評が起きているというところでありますから、是非とも県南を対象に入れていけるように、これからも努力をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、今回追加にはならなかったわけでありますけれども、しっかり東電の方で、自主的な賠償という形で県南の皆さんに賠償をしてくださるということになったところであります。これは、自民党の復興加速化本部の方でも強い要望を出したところでありました。

 実際どのようになっているか、経産省さんにもお越しいただきましたので、御説明いただけますでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 中間指針第五次追補を踏まえました賠償における福島県県南地域に関する対応につきましては、委員御指摘のとおり、与党の東日本大震災復興加速化本部から、福島県県南地域及び宮城県丸森町につきまして、これまでの東京電力の賠償実績を踏まえました措置を講ずることなどを求める申入れを経済産業大臣及び東京電力にいただいたところでございます。

 経済産業省からも、与党の申入れを踏まえまして、適切な対応を取るよう、東京電力に対しまして指導を行ったところでございます。

 これらを踏まえまして、東京電力は本年一月末に、中間指針第五次追補を踏まえた賠償基準の概要を公表したところでございます。その中では、原発事故時点で福島県県南地域及び宮城県丸森町に居住していた子供及び妊婦以外の方に対しまして、追加で賠償を行うことが示されてございます。

 現在、東京電力におきまして、詳細な賠償基準や請求手続につきまして、三月中の公表を目指した検討が進められているものと承知してございます。

 引き続き、東京電力に対しまして、中間指針の趣旨を踏まえ、迅速かつ適切な賠償を行うよう指導してまいる所存でございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 しっかり東電が補償してくださるように、引き続き、経産省さんの方で後押しをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の方の質問になりますけれども、日本語教育の推進についてであります。これから法案が提出されるものでありますので、簡単にちょっと御質問したいというふうに思います。

 日本語教育の推進については、宮内委員長からも、また中村部会長からも御指導いただきまして、いい形での提言がなされたというところであります。

 そういった中から、我が国が外国の方々から選ばれる国となるということが大事でありまして、そのために、今回、外国の方に日本語を教えるに当たって様々な整備をしていくということであります。特に二つの柱があって、日本語教育機関そのものを認定するということ、もう一つはそこで働く先生、教員の資格制度ということ、この二つからできております。

 これからの細かいところは法案のときの委員会に議論を委ねるといたしまして、現在どのように検討がされているか、今後の見通し等、御説明いただけますでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一定の質が担保された日本語教育機関の認定と日本語教師の資格創設を柱といたします法案を今国会に提出いたしたところでございます。また同時に、円滑な外国人の受入れや共生社会の実現のためにも、こうした制度の整備と併せまして、各省庁との連携も重要となってきますことから、関係省庁から成る日本語教育推進会議を開催し、各省庁との連携施策の方向性を取りまとめてきたところでございます。

 具体的には、今後、認定された日本語教育機関に関する情報を在外公館等を通じ多言語で広く海外に発信すること、資格を持った日本語教師を外国人の児童生徒等の日本語指導に活用することなどに取り組むこととしており、外務省等の関係省庁とも互いに協力して進めてまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 まだ質問がありましたが、時間が来てしまいましたので、これで終了したいと思います。

 ありがとうございました。

宮内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、質問が前後しちゃいますけれども、どうぞ御容赦をお願いいたします。また、最後までちょっと質問、終わるかどうか微妙ですけれども、終わらない場合には、御容赦のほど、お願いをしたいと思います。

 では、早速質問させていただきます。

 まず、教科書検定についてですけれども、東京書籍の「新高等地図」ですか、約千二百か所の訂正があったということなんですが、この教科書、大臣、御覧になりましたか。

永岡国務大臣 地図でございますので、ちょっと拝見させてはいただきました。

高橋(英)委員 私も見たんですけれども、訂正前と訂正後、両方こうやって見たんですけれども、まあよく千二百か所も見つけたなと感心しましたね。両方見比べてもなかなか私は分からなかったんですけれども、本当にちょっとびっくりいたしました。

 そこで、まず、文科省、どのような検定方法を取っているのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書検定の基本的な流れについてでございます。

 まず、学習指導要領や教科用図書検定基準に基づき、民間が図書を著作、編集をいたします。検定の申請が行われ、その図書について、教科用図書検定調査審議会において専門的、学術的な観点から調査審議が行われます。そして、審議会においては、図書の内容が教科書として適切か否かを基準に照らして判定をし、その結果を文部科学大臣に答申をいたします。文部科学大臣は、この答申に基づいて検定の決定を行います。検定審査を合格したものは教科書として使用することが認められる、こういった流れになっておるところでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 ということは、文科省としては、そんなに細かい、今回のような細かいことにはタッチはしていないということでよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 この度の東京書籍が行った訂正申請についてでございますけれども、その大部分は、索引と本文における用語の位置との対応について、検定を経て本文の内容が確定した後に発行者の責任において行うべき校正、また、検定申請後に生じた情勢変化を踏まえて情報の更新を図る、検定後に必要な訂正、さらに、内容が誤りでなくとも、より適切な表現に改める訂正など、検定で指摘される欠陥とは異なり、検定後に発行者による対応が求められるものでございます。

 一方で、訂正申請のあった約千二百件の訂正には約二十件程度の本文での誤記等が含まれておりまして、検定の限られた審査期間の中で一部の誤記等が指摘し切れなかったことは遺憾に思っているところでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 やはり、これは基本的にはあってはならないことなんだと思いますので、何か今後の対策のようなことはお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 この東京書籍の地図の問題については、発行者が供給前に行うべき校正作業を十分にできていなかったことが原因であり、今後このような事態が生じないように、校正作業に万全を期す体制を確立するよう強く指導したところでございます。

 今後とも、教科書への一層の信頼確保に向け、適切な検定審査に努めてまいりたいと存じております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 そうしたら、検定の合格の基準と不合格の基準を教えてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 審議会における合否の判定基準については、教科用図書検定審査要項において定められているところでございます。

 具体的には、申請図書に教科書として不適切な箇所がないと判断された場合には合格と判定されます。

 一方、検定意見相当箇所の数が百ページ当たり百か所以上ある場合、あるいは、学習指導要領に示す目標等に照らして教科用図書としての基本的な構成に重大な欠陥が見られる場合、あるいは、一単元や一章全体にわたる極めて重大な欠陥が見られ、適切な修正を施すことが困難と判断される場合には不合格と判定されるところでございます。

 いずれにも該当せず、必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当である場合には、合否の判定を留保して、修正を要する箇所として検定意見を通知し、修正を求めます。その後、申請者が修正の検討を行い、提出された修正内容について再度審議会における審議を行い、適切に修正が行われたと認められた場合、合格と判定をされます。

 一方で、教科書として不適切な記述箇所がなお存在すると判断される場合には、不合格と判定をされるところでございます。

高橋(英)委員 ごめんなさい、ちょっと通告にはないんですけれども、関連なので分かるかと思いますけれども、これ、検査する方々というのは、もうほとんど変わらない、ある一定の方々なんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書検定におきましては、教科書調査官が調査を行い、その上で、教科用図書検定審議会において専門的な審議を行う、こういった仕組みになっているところでございます。

高橋(英)委員 分かりました。

 最終的には自治体等々で採択をするんだと思うんですけれども、以前も話をしたかと思うんですけれども、やはり教育委員会で教育長がこれにすると言うと、そのまますんなり決まってしまうというのがほとんどで、何となく出来レースじゃないのかなというふうにいつも思っているんですけれども、この辺の、採択に当たっての公平性とか透明性というのはどのようにしているのか、お聞かせください。

永岡国務大臣 教科書の採択は、綿密な調査研究を経た上で、採択権者でございます教育委員会等の権限と責任により適切に行われるべきものでございます。

 文部科学省におきましても、教科書の調査研究につきまして、必要な専門性を有した者が公平公正に調査研究を行うとともに、教育長及び委員が教科書見本を閲覧をして、そしてその内容について吟味することができるような、そういう環境も整えながら、採択権者としての責務を適切に果たせるように、教育委員会に今通知をしているところでございます。

 教育委員会によりまして教科書採択が適切に行われますように、引き続き、より徹底して指導をしてまいります。

高橋(英)委員 通知徹底、しっかりとお願いしたいと思いますし、またこのようなことが起きないように、是非御注意をしていただきたいと思います。

 次に、部活動の地域移行についてお尋ねをいたしますけれども、まず確認なんですけれども、平日に行われる活動が部活動、そして土日、休日に行われる活動は、これは部活動ではないということでよろしいんですよね。

永岡国務大臣 土日の部活動を地域へ移行した際に実施される地域クラブ活動というものは、従来の学校教育の一環としての部活動とは異なりまして、社会教育の一環として捉えることができ、また、スポーツ基本法や文化芸術基本法のスポーツ、文化芸術、これは文化部も入りますけれども、として位置づけられるものでございます。

 文部科学省といたしましては、将来にわたりまして子供たちがスポーツまた文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保するべく、休日の部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境の一体的整備を進めてまいります。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、この事業の統括する組織、そして自治体においてのどの部署が推進をしていくのか、お聞かせください。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 部活動につきましては、学校教育の一環ということで、教育委員会が所管をして、担当してございますけれども、今回、地域活動ということになりますと、スポーツ関係の部局が担当して進めるということになります。

 一方で、今回、部活動の移行ということでございまして、今回の地域連携、地域移行に当たりましては、各自治体におきまして、このスポーツ関係部局、これは教育委員会にある場合、首長部局にある場合、それぞれあろうかと思いますが、そちらと学校の担当部局が連携をしながら進めていくべきものというふうに考えているところでございます。

高橋(英)委員 分かりました。じゃ、平日と土日、休日で担当が替わるという解釈でいいのかと思いますけれども、なかなか難しいのかなという気がして、今のところしようがないんですけれども。

 これは、外部に委託したときの経費というのはどうなるんでしょうか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 この地域活動における経費の負担ということでございますが、これは各地域におきまして取組が様々でございまして、その内容によりまして変わってくるというところでございます。これは、それぞれの自治体の方で御負担いただく場合、また、一部につきまして保護者の方に御負担を求める場合というのがあることも承知しているところでございます。

高橋(英)委員 何か最後の方がよく聞こえなかったですけれども、これは、保護者の負担というのはどうなりますか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 部活動の地域移行を進める上で、生徒や保護者の理解を得つつ、活動の維持運営に必要な範囲で可能な限り低廉な会費を設定するということがどうしても必要になってくると思いますが、そういった中で、経済的な事情から生徒がスポーツ、文化芸術活動への参加を諦めることのないようにする必要があろうかと考えているところでございます。

 令和五年度の当初予算案におきましては、運営団体の整備、あるいは指導者の確保、参加費用負担への支援等についての実証事業を実施することとしておりまして、そういった中で困窮世帯への支援も可能となっているところでございまして、そういった中で、地域の実情に応じました取組を支援するとともに、その成果の普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。

高橋(英)委員 いずれにしても、多少なりとも保護者の負担が増えてくるのかなと思いますけれども、この辺は何かちょっとフォローかカバーをしていかなければいけないんだと思いますが。

 あと、これは、中体連とのすり合わせというのはどうなっていますか。

角田政府参考人 この地域移行を進めるに当たりましては、やはり大会にどう参加するのかというのが非常に重要になってまいります。御指摘のとおり、大会の参加資格につきましては、日本中学校体育連盟、中体連とお話をしてございまして、既に中体連におきまして全国中学校体育大会開催基準を改正いたしまして、令和五年度から、来年度からでございますが、地域のスポーツ団体等の参加を認めるということとしてございまして、また、スポーツ庁長官の方からもその着実な実施をも要請をしているところでございます。

 あわせまして、都道府県規模の大会におきましても同様の見直しが行われるよう必要な協力や支援を要請しておりまして、現在、都道府県の中学校体育連盟におきまして必要な検討が行われているものでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、非常にこれは、結構難しい課題なんだと思いますけれども、やる気のある、土日も俺はやるんだという先生も多分いるんだというふうに思いますので、今モデルケースでやっておられると思いますけれども、しっかりとこれは見守っていきたいというふうに思います。

 では、次に行きます。

 次に、私立学校、これは大学ですね、私、大学の数というのは今めちゃくちゃ多く感じているんですね。多いだけ、うちの余り出来の芳しくない息子も大学に行けたからよかったんですけれども。

 まず、お手元に資料があるかと思うんですけれども、授業料、例えば平成元年、五十七万五百八十四円なんですね、私立ですけれども。令和三年が九十三万九百四十三円。給料なんですけれども、一九九〇年の平均給与が三十二万九千四百四十三円、二〇二二年度が三十二万五千八百十七円と平均が出ているんですけれども、これは減っちゃっているんですけれども、こういう状況で、物価もそんなに上がっていないにもかかわらず、何で大学の授業料だけこんなに上がっているんでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 私立大学の授業料などの学納金は、それぞれの建学の精神に基づきまして、私立が大変多うございますので、私立の方を言わせていただきますが、充実した教育研究環境を備える観点から、一般に各大学の判断において設定されるというのが決まっております。

 御指摘の私立大学の授業料につきましては、その増加傾向が物価の増加傾向に比して大きいことは事実でございます。増加が続いている背景といたしましては、これは教育研究の高度化や多様化に伴う学校運営に要する経費の高騰等があると考えられます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、基盤経費でございます私学助成について、必要な予算を確保するとともに、めり張りある配分等に取り組むなど、私立大学が社会のニーズに対応した教育研究を展開していくことを後押ししていきたいと考えております。

 また、高等教育の修学支援新制度を始めとする学生への支援につきましても、引き続き取り組んでまいります。

高橋(英)委員 何だか昔は余り充実していなかったような答弁ですけれども、私の頃は四十年前ですから、全然充実していなかったんですかね。まあ、いいや。

 これ、正直、クラウンとかだったら分かるんですよ。三十年前のクラウンと今のクラウンでは全然違いますからね、だから金額も違うのは分かるんですけれども、本当に、授業料はちょっと異常だなという気がしてならないんですね。

 だから、給料も上がっていないで授業料ばかりこんなに上がっちゃうと、これはもう奨学金をもらって行かざるを得ないと思いますので、国として、青天井に上がっていったら、我々は教育の無償化、これをやろうと思っていますからね、大学まで。でも、青天井でどんどん上がっていったら、これは大変なことになっちゃうので、何か、授業料を抑える対策みたいなのは、どうですか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 授業料を決めるのは私立大学が独自に決めることになっておりますので、それを国が一律に抑えろと言うのはなかなか難しいとは思いますが、できるだけコストを下げて教育研究の質を上げるというのは、これは大事なことだと思ってございます。

 それと同時に、修学支援、これを充実するというのが、やはり教育機会を確保するという意味で非常に重要だと思っておりますので、コストを削減する、そして質をキープする、そして修学支援の充実を図る、これをセットで進めてまいりたいと思います。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 先ほど、最初に言いましたけれども、大学の数がやはり多いんだと思うんですよ。だから、ある程度縛りをかけて、やはり精査をして、残った大学にもっともっと補助金等々を手厚くしていった方が絶対にいいというふうに私は思っているんですけれども、そういった支援を充実すべきだと私は思っているんですけれども、大臣はいかがでしょうか。

永岡国務大臣 私立大学の主な入学者でございます日本の十八歳人口、これは本当に減少傾向にある中、社会人の学び直しや海外の高等教育の需要の増加など、時代の変化と社会のニーズに対応して、教育研究の質を高め、自ら改革に取り組む私立の大学に重点的に支援を行うことは重要だと思っております。

 このため、例えば、令和四年度の補正予算におきまして、デジタル、グリーン等の成長分野を牽引する大学、高専の学部転換等に向けた基金を創設いたしまして、早期の公募開始に向けて取り組んでいるところでございます。

 また、私学助成におきましても、我が国の課題を踏まえまして、特色や強みの伸びに向けた改革を頑張るんだ、そういう、全学的、組織的に取り組む大学などに対します重点的な支援というのも行うなど、総合的な取組を進めているところでございます。

 なお、頑張っている大学だけというわけではなくて、定員が未充足などによりまして、財務悪化に伴いまして経営改善の見込めない大学に対しましては、経営判断を促す指導等の充実を図ることは、やはり通っている学生等の保護をする観点から大変重要と思っております。

 このため、計画的な規模の縮小や撤廃等も含めた経営指導の徹底、そして、定員の充足率による私立の、私学助成のめり張りある配分等にも取り組んでいるところでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 私の頃で、大学の進学率は十数%だったんですけれども、今、六割弱も行っているというふうに聞いています。だから、少子化なんだけれども、大学に通っている人数はほとんど変わっていないというのが現実だと思いますけれども。

 でも、この授業料と給与の推移を見ると、午前中、どなたかも言っていましたけれども、やはり少子化になっちゃいますよね。一人、大学を出すのにもえらい大変だと思いますので、やはりもっともっと教育には予算をつぎ込むべきだというふうに思います。

 私も二人子供がいますけれども、おかげさまで二人とももう就職していますから、いやいや、楽ですよね。びっくりするぐらい楽ですよ、教育費がなくなるというのは。だから、我々日本維新の会は教育の無償化と声高に言っているんですけれども。

 是非とも教育に関する予算、もっとしっかり充実していただきたいということをお願いを申し上げまして、次に移ります。もう時間がないので。

 学校運営協議会、この制度についてちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、現在の設置状況と、メリット、デメリット等々をお聞かせください。

永岡国務大臣 学校運営協議会制度は、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画する仕組みでございます。

 学校運営協議会制度を導入することによりまして、特色ある学校づくりが進む、また、学校に対する保護者や地域の理解が深まる、また、いじめや不登校など生徒指導上の課題が解決するなど、学校と地域の相互理解、連携、協働が進むことで子供たちや学校、地域の関係者にそれぞれがメリットがある、そう言われている一方で、導入上の課題といたしまして、類似した制度との関係を整理する必要がある、また、教職員の負担が大きくなるといった指摘があるということも承知をしております。

 教職員の負担につきましては、取組を通じまして学校運営の改善が進みまして、負担が軽減したとの声もあるわけでございますが、一方で、確かに、学校運営協議会を設置した直後は、会議の対応等で一時的に負担が増加する場合もあると認識しております。

 その場合でも、長い目で見れば、学校と地域の連携、協働が進みまして、保護者や地域住民等から支援を得られるなど、むしろ教職員の負担軽減に資すると考えているところでございます。

 やはり、子供たちの成長、これを社会全体で支えていくためには、引き続きまして、この学校運営協議会制度に対する正確な理解促進を図るとともに、地域学校協働活動との一体的な取組、これを進めてまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 これは、都市部と地方によって、今、五〇%以下ですか、設置、聞いたら五〇%以下という話ですけれども、まあ、都市部と地方で違うのかなというふうに思いますけれども、くれぐれも地域負担と先生の負担にならないように、しっかりとお願いしたいと思います。

 もう時間になってしまいましたけれども、今日は特に、教育の予算を増やしていただけるよう心からお願い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 本日は、大臣所信の質問をさせていただきたいと思います。

 今回の大臣所信、一番最初に、やはり、人という文字が出てきて、私は本当に、大臣と志を同じにするなと思いながら聞かせていただきました。やはり、人を育てるのは人ですし、この日本を支えていく人を育てるのもまた人なんだということの強い御決意の表れかなと思って聞かせていただいておりました。

 その大臣所信の中から、四項目、本日はお聞かせいただきたいなと思っています。

 やはり、一番気になりましたところは、大臣所信の中にあります、給特法に関する言及があったということですね。法制的な枠組みを含めた教師の処遇等の在り方を検討していくというふうにお話しくださっておりましたけれども、この具体的な内容を教えていただきたいと思います。

永岡国務大臣 学校教育の成否というのは、やはり何といっても教師に懸かっていると思っております。教師不足も指摘される中で、教職の魅力を向上させて優れた人材を確保していく必要がある、これは喫緊の課題でございます。

 文部科学省におきましては、令和元年の給特法の改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を制定するとともに、教職員定数の改善であるとか支援スタッフの充実など、学校におけます働き方改革を総合的かつ集中的に、これを推進をいたしました。

 今後、令和四年度に実施されました勤務実態調査、もうそろそろ、春でございますので、出てくると思いますが、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況、これをきめ細かく把握をいたしまして、その結果等を踏まえて、教師の処遇を定めました給特法等の法制的な枠組みを含めた検討をすることとしております。

 勤務実態調査の結果を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革であるとか処遇の改善であるとか、また学校の指導、運営体制の充実、一体的にスピード感を持って進めていきたいと思っております。

堀場委員 ちょっと余り、具体的なことは全く見えなかったんですけれども、平成二十八年の勤務実態調査でも、やはり、過労死のラインを超えている人がかなりたくさんいる、小学校で三〇%、中学校で六〇%、これは当時、かなり衝撃的な数字だったというふうに思っていますけれども、じゃ、これから、働き方改革で変わって、今度の新しい調査の結果ではこれがすごく改善しているんだという結論が出るとは余り思えないんですね。やはり、お休みされる先生、非常に多いですし、今、この時期だと、四月からの学級担任が見つからないという事態が発生しているというのはもう報道等でも明らかですし、現場の方からは多くそのようなお声を頂戴しているところだと思います。

 なので、やはり、教員を目指すことをやめてしまう人もいます、教員免許を持っていてもやらない人もいます。そういった様々な、魅力がないところという次元ではなく、もう何か、教員という仕事をやっていると過労死になるほど働かなきゃいけないんだよというふうになってしまっているんじゃないかなと私自身は思っています。

 なぜそうなってしまうのかというと、やはり業務が明確化されていないんですよね。先生は生徒指導に資することも全てやるとなると、御家庭のことからいろいろなことまで、全部やらなきゃいけない。朝起きられないと言えば電話をして起こす、そういった業務を全て学級担任がやっているということを見ると、やはり、業務の明確化、そして残業手当を出すとか、あとは超勤四項目、これに関してもしっかりと見直しが必要なのではないかなというふうに思っていますし、これは、抜本的な改革、本当に、新しい給特法になるぐらいの改革がなければもう改善しないというふうに申し上げさせていただきまして、今日は余り、項目が多い割に時間がないですので、次に行かせていただきたいと思います。

 学校において、宗教による虐待というのは具体的にどのような体制で対応するのかということについて御質問させていただきたいと思います。

 厚労省さんと一緒になってQアンドAをたくさん作られたというふうにお聞きしています。でも、この間のときも言いましたけれども、そのQアンドAを学校の先生たちは全部読むんですか、いやいや、管理職の皆さんが分かっていればいいんですよ、いやいや、でも、先生たちも困りますよね。

 どういうところまでが学校に義務があって、そしてどういうところまで学校が対応して、そして虐待があったというふうに認定した場合にはどのような体制を取るというような、具体的な体制づくりについてお願いいたします。

永岡国務大臣 児童虐待は、いかなる理由があっても許されないものでございます。

 宗教に関することのみを理由として消極的な対応をすることがないようにすること、これは重要だと思っておりますし、また、教職員等が児童虐待と思われる事案を発見した場合には児童相談所等へ早期に通告することなどについては周知を行っております。家で行われる虐待というのは、やはり学校の先生は大変見つけやすいのではないか、そう思っておりますので、今のところを答弁させていただきました。

 また、児童虐待の対応につきましては、教職員だけではなくて、養護教諭ですとか、あとはスクールソーシャルワーカーなどを含みますチーム学校、これは学校の先生だけではなくて学校全体として対応することが重要でありまして、教育相談体制の充実に向けた支援も行っているところでございます。

 また、令和四年十二月、厚生労働省におきまして、宗教の信仰等に関係する児童虐待に該当する事例や対応における留意点を記載した、先生おっしゃいましたQアンドA、これもやはり通知はさせていただいたところではございますが、引き続きまして、関係省庁と連携しながら、必要な支援、これをしっかりと進めてまいります。

堀場委員 今までやったことがないことをやるというのは結構難しいと思うんですよね。ここは保護者の方が御信仰がありますからこうなんですよねみたいに今までやってきたことが、それを、いや、虐待ということで児相に通告してくださいね、警察に通報してくださいねという、これは結構、現場的にはハードルが高いのではないかなというふうに思っていて、目に見える身体的な虐待の場合はそれでも発見しやすいのかなとは思うんですけれども、精神的なものというのは非常に深刻で大きいし、かつ、本人がそのヘルプを出すことが非常に難しいものなので、そういったことも一つ一つ丁寧にやっていこうとする体制を取ろうと思うと、今の学校の体制では足りないというふうに思っています。

 様々、文部科学省さんがSCさん、SSWさんを増やそうとしてくださっていることは重々分かっているんですけれども、それでも、あえて大きな声で言うと、足りないというところなんですね。一週間に一回、若しくは、学校規模においては二回、SCの先生がいてくれるとしたところであったとしても、日々の生徒の観察、児童生徒の行動観察等々をするにはやはり時間がなさ過ぎますし、人がなさ過ぎ。

 人が人を育てるのであるならば、やはり学校現場、初等中等教育の現場にもっともっと大人の目と手が必要だということを改めて強くお話しさせていただきまして、次の、誰もが学ぶことができる機会の保障という項目に行きたいなと思います。

 今日はちょっと、なかなか、ちゃっちゃと行かないと最後まで行けないかなと思っているので、頑張りたいと思います。

 日本語の指導員、これが非常に不足している場所があるかと思います。海外からたくさん人が来てくださっている、住んでいる場所もそうですし、お父様、お母様が日本語が話せないというパターンもあるでしょう。様々なパターンがありまして、日本語ができていないというのは、非常に、そこにいる子供たちにとっても不安が大きいことなんだろうなというふうに思います。

 この指導が十分に行われていない地域もある。それは、日本語の指導員が少ないからという理由で行われていない地域というのがあるんですけれども、それに対する方策はどんなものがありますかというふうな質問なんですが、やはりICT、一人一台タブレット、これは国籍関係なく配られているはずなので、やはりそこでICT、今、AIの言語ツールというのは、たまに英語とかも無料のもありますし、様々な学習のそういうアプリケーションというのは開発されているんですけれども、そういったものを活用してプログラム化していくというようなことを考えているかどうか、お尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 日本語指導が必要な外国人児童生徒の数というのは、十年間で約一・八倍に増加しております。これは、十年前が二・七万人だったのが四・七万人になっている、大変多くなっております。教育支援の充実がしっかりと求められているわけでございますが、日本語指導に必要な教職員定数の着実な改善と支援者の配置、これを進めております。

 さらに、今先生おっしゃいましたように、各自治体でICTを活用した遠隔教育、これは三重県で実施をしているようでございますが、そこの学習動画等によります日本語指導等も行われておりまして、こうした取組について、しっかり支援、また周知も行ってまいりたいと考えております。

堀場委員 遠隔教育というのは、向こう側にも先生がいて、Zoomとかそういうのでつながってお話をしてやっていくというものだと思うんですけれども、いや、そんなことをしなくても、普通に、言語なので、AIでおしゃべりして、休み時間にそれをやるだけで随分、反復練習にもなりますし、声に出して、それを聞き取って会話をしてくれる、そういうAIツールというのはたくさん生まれているんですね。後ほど法案とかでもあると思いますけれども、様々な日本語を教えるという中にこのAIに関する言語習得ツールというのが全然出てこないというのが、私は、ちょっと、今の時代にマッチしているのかなと。

 人が人を教えるんですけれども、言語に関しては、週に一回、例えばそういう先生に、遠隔でもいいし、実際にでもいいから、会ってお話ししたとしても、日々、毎日、例えばAIで会話を試みるとか、何か書く宿題をやってみるとか、そういったことってできると思うんですけれども、そういったアイデアというのは特に今、今後やられる予定はありますか。

永岡国務大臣 現時点におきましては、文部科学省自らAIプログラムを開発する予定というのはございませんが、各自治体におけるICTを活用した動画教材などを周知して、活用を進めまして、AI技術の進展についての情報収集を行うなど、研究にはしっかりと努めてまいりたいと思っております。

堀場委員 子供って、御存じだと思うんですけれども、結構すぐ成長するんですね。何か一年見ない間に随分大きくなったり、この間ちょっとたまたま、二年ぶりに会った中学生が、背も大きくなって、男の子なので、すごく大きくなって、私はびっくりして大きな声を上げてしまったんですけれども、それぐらい子供って、一年、二年ですごく変わるんですよね。

 文部科学省さんとか教育委員会さんとかと話していると、いや、検討しますとか、考えますとかというふうに言ってくださるんですけれども、その間に子供ってどんどんどんどん成長すると思うんです。なので、こういう技術があるならば、どんどん投入して、試してみて、民間のものでも、予算だけ持ってあげて、どんどんやってみればいいのではないかなと。そして、実証実験じゃないですけれども、やりながらデータを収集していくという方法でも、言語を習得するということは生死に関わるわけではないので、そういった挑戦を積極的にやっていただきたいなというふうに思っています。

 次に、アスリートの国際競争力向上のお話をしたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックの件で逮捕者が出たということは非常に、本当に残念ですし、やり方全てが再度検証が必要なんじゃないかなというふうに思うぐらい、非常に残念でした。感動した分、残念だったなというふうに思っています。

 アスリートの皆さんをつくっていこうという、私たちが、皆さんが思っている、そして夢がある、そういったものだとは思っています。けれども、これは部活動との兼ね合いというところを一つ、先ほどうちの高橋議員も聞いていましたけれども、やはり、部活動の在り方というのは、今までは学習指導要領の中で様々な学びに対する意義を持ってやってきたんですけれども、それを維持しながら地域移行するということなんだとは思うんですけれども、やはり、国際的な競争力を持っていくようなアスリート、強い、国際大会で勝っていけるようなアスリートを育てていく、こういったものに関してと部活動というものが余り、今までは、例えば競技によっては非常にリンクしていたと思います。

 強い中学校から高校に推薦で行って野球をやって、甲子園に出て、プロ野球に行って、そしてというような夢を持っている子供たちというのは非常にたくさんいたわけですから、今身近なエリアで活動している部活動が夢につながっていると思って、毎日素振りを頑張っていた野球少年なんかいたと思います。

 だけれども、今後、部活動の在り方というのと、アスリートの国際競争力向上を目指すということのバランスについてどのようにお考えか、教えてください。

永岡国務大臣 やはり、先生おっしゃいますように、部活といえば、相当強い学校の野球部であったり、それとも、ただもう本当に野球が好きで、それをエンジョイしている部活であったりとか、いろいろあろうかと思っております。

 スポーツを継続的に行う上で、勝利を目指すことは、また、記録に挑戦することというのは自然なものだと思っております。一方で、大会等で勝つことのみを重視した過度な練習ですとか、そういうことを強いることなどがないようにすることというのも重要です。そして、健全な心と体を培って、豊かな人間性を育むためのバランスの取れた指導を行うこと、これも重要でございます。

 このような考え方を、平成二十五年に策定いたしました運動部活動での指導のガイドラインで示してきたところでございます。また、地域スポーツクラブ活動につきましても、令和四年の十二月に策定いたしましたガイドラインにおきまして、生徒の志向や体力などの状況に適したスポーツ機会の確保を求めているところではございます。

 学校や地域スポーツクラブにおきましては、これらのガイドラインを踏まえまして、適切な指導をしていただくことが重要と考えております。競技力の向上ですとか、レクリエーション的な活動も含めた、生徒の多様なニーズに応じた活動を行うことができるように、引き続きまして、子供のスポーツ環境の整備に取り組んでまいります。

堀場委員 学校の場合は、学校でやっているときというのは、例えば、余り運動が得意じゃないんだよねという子が、何か友達に誘われて一緒に入ってみたというような部活動の在り方としてやっていても、先生方が目をしっかりと配っていただいて、頑張れ頑張れと言いながらやっている、そういったところというのはたくさん目にしてきたわけですけれども、地域クラブに移行したときに、やはりクラブでは、勝利を目指している地域クラブというのは非常に多いですし、その評判が次の人を呼ぶというふうなこともありますので、非常に厳しいクラブも多いと見受けております。

 地域移行したときに、やはり、働いている人がそこで教えるというのはなかなか難しいですから、世代として、ちょっと上の、今は現役を引退したよというような方が地域の中で子供たちに自分がやっていたスポーツについて教えてみようかなというふうになったときに、非常に厳しいというか、昭和的というか、そういった指導になりがちな部分というものも、見てきて、そういう部分もあるんだなというふうには感じているところなんですね。

 なので、地域移行が、先生の、先ほどやった給特法以外のところでも、非常に重要な、働き方の一つのポイントになっていると思うんですけれども、この地域移行が成功しなければ先生方の働き方改革のところもうまくいかないですけれども、子供から見たときに、学校でやっている安心感ということと、地域クラブに行くというところ、先生方が学校の先生じゃないという不安感というのは、恐らくあるんだろうな、最初のうちはあるんじゃないかなというふうに思っていますので、先生たちが、別の形で、そこで副業として地域移行をしていく、支えていくというような仕組みづくりも、そしてそれを奨励するような形も取られていくんだろうと思うんですけれども、非常に重要なんだろうなというふうに思っています。

 なので、あくまでも、部活動というところを維持していただいて、余り運動は得意じゃないなという人も積極的に楽しめるような形を維持するということも意識してやっていただきたいなということをお願いさせていただきたいなと思っています。

 ちょっと最後に、やはりどうしても東日本大震災のことを今日は聞きたかったんですね。あしたです。それで、私たちにとっては本当に、あの日を忘れることはできないと、そのときに生きていた人たちは思うと思います。

 今、管理職で、そのとき学校にいたという先生方が、やはり十年、十五年とたっていくと、減っていってしまうんですね。やはり、東日本大震災を教員として経験したことのない人がこれからどんどん増えていくというところで、私たちは、やはり、忘れないようにしなきゃいけないことをしっかりと知見として蓄えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 私自身は京都ですので、私自身が高校生だったときの阪神・淡路についても、非常に大きな記憶として残っています。あのときは、やはり長田は火事でした。高速も倒れたし、いろいろな建物が壊れるというような地震の被害はありましたけれども、やはり大きな意味では火事だったと思います。やはり、地震が揺れたら火を消すというようなことがすごく言われて、その後、東日本大震災のときは津波だったと思います。

 こういった様々な教訓を生かしていかなきゃいけないなということを日々思っているんですけれども、このときに生きていた子供たちが本当に今どういう状況なのかなというのは常に気にはしているところなんですが、心のケアということを非常に国はやってきたと思います。これはすばらしいと私は思っているんですけれども、具体的にどのような取組が継続して、東日本大震災で被災したところでは、心のケアというところでは具体的にはどういうものが継続していくのか。

 そしてまた、ここで得た知見というものを全国に活用するべきだと私は思っています。特に、子供たちが津波であったり地震で怖い思いをして、そして近しい人が亡くなっていった。そういったところで、レジリエント、もう一度頑張ろうとした過程を、どのような過程でつらい思いから立ち直ることができたのか、そういった過程を研究して、それを知見として全国にやることで、ほかの理由でしんどい思いをしている子供たちが、よし、もう一回立ち上がろうという力になるんじゃないかなと思っているので、是非、今、具体的にどのような取組が継続して、そしてこれが全国にどのように広げていくことができるのかといったところの御所見をお願いしたいと思います。

永岡国務大臣 委員おっしゃいますように、あした、東日本大震災が起きてから十二年を迎えますが、現在でも、地震を突然思い出したり、また、気持ちが落ち着かなくなるということがある児童生徒もいらっしゃるようでございます。また、きめ細かな心のケア、これは継続的に取り組むことが重要だと、先生もおっしゃいますように、私もそう認識をしております。

 このため、東日本大震災からの復興の基本方針や、また被災自治体の要望を踏まえまして、令和五年度予算案にも、これは震災対応として、スクールカウンセラー等の配置に必要な経費につきましてしっかりと計上しているところです。

 また、文部科学省におきましては、被災自治体を含みます各自治体におけますスクールカウンセラー等を効果的に活用をした事例というものをまとめまして、活用事例集を毎年度作成をいたしまして、周知をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、こうした取組を通じて、しっかりと、被災に遭った子供たちの心のケアに取り組んでまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 SCさんの、学校の先生たちもそうだと思うんですけれども、ここでスクールカウンセラーさんが非常に有効だったというお話を聞いています。相談する相手はいるんですかとか、しんどくなったときにしんどいと言う相手はいますかというような問いかけをして、そうしたら子供たち、やはり、そこで答えることができる人もいれば、何も答えることができない子もたくさんいるんだ、そういったお話も聞いているところです。

 ここでやられていた全員面談、全員に取りあえず会うということだったと思うんですけれども、全員面談を東京都の一部の学校なんか、中学校で、特に中学校一年生かな、でやっているところ、非常に多いと思います。全員面談というのは、SCさんと顔を合わせて、初めてじゃないよね、何かあったらこの人に相談するんだよという顔合わせの意味もあるとは思うんですけれども、このすごい短時間の間にSCさんの行動観察でいろいろなことが分かってくるというような、大きな取組でもあります。

 私たち日本維新の会は、何度も、先生の仕事の、教育的な仕事と福祉的な仕事、業務に分けましょうということを主張させていただいています。

 これは何でそれをしつこく言うのかというと、やはり大学生で、私も大学生だったときに、何で教員を目指そうと思って教職課程を選んだかというと、子供たちに教科を教えたかったんですよね。子供たちに勉強を教えて、あっ、楽しいなと思ってほしいなと思ったからやりたかったんですけれども、そうすると、教科指導をやりたいんですよね。指導法の研究とか、そういうことをやりたくて、夢を持って教員になろうと思ったけれども、いざなってみたら、やはり福祉的な業務が余りにも多過ぎるんじゃないかと思うんですよね。

 だから、ここをしっかりと、業務を明確に分けて、教員というのは、一義的な一番の仕事は教科指導と、そして学級運営なんだと。この二つをまず教師の仕事として、そして、それに付随する様々な事案に関しては、生徒指導とか生活指導とか、あとは進路指導とか、あと学校行事、こういったものは確かに、生徒たちの楽しさであったり思い出づくりというか、そういったものになりますから、やっていくのはいいんですけれども、それは、それこそ大臣のおっしゃるチーム学校で、福祉的な業務、もっともっと学校内でアウトソーシングできるような体制をつくっていけるように、私たちも質疑を頑張ってやっていきたいと思いますので、是非前向きに御検討いただきたいなと思います。

 本日はありがとうございました。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 私からも、改めまして、明日、東日本大震災から十二年目を迎えます、亡くなられた多くの皆様に心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈りをしたいと思います。また、今なお避難生活を続けておられる方もおられます。お見舞いを申し上げ、私たちもしっかり、この震災の記憶を風化させることなく次世代に伝えていくこと、また、学校教育現場においても、防災教育、大変重要でございますので、今後もしっかり、そういう記憶を風化させることなく次世代に伝えていかなければならないということを申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということでございます。まず、所信の中でも述べられておりましたG7関係閣僚会議、国際会合につきまして質問させていただきます。

 五月にG7富山・金沢教育大臣会合が開催をされます。今、関連イベントとして、三月には中高生によるサミットが開催をされますし、四月には世界の食を楽しむG7給食サミットというものも企画をされているというふうにお聞きをいたしております。

 永岡文部大臣におかれましては、この重要な会議が日本で開催されるに当たって、主催国の文部科学大臣として、どのようなテーマでこのG7関係閣僚会合、議論をし、また、どのような成果を目指して臨まれるのか、大臣の決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。

永岡国務大臣 今年五月の十二日から十五日にかけまして、富山県の富山市及び石川県金沢市でG7の教育大臣会合を開催する予定となっております。

 会合では、コロナ禍が社会にもたらした変化や影響、これに教育がどのように対応し、また、今後の社会で求められる人材を育てていくのかを全体のテーマとして議論したいと考えております。

 現在、事務レベルで各国と協議を行うほか、私自身も、各国の大臣とオンラインでお話をし、会談をして、調整を進めているところでございます。

 会合の成果といたしまして、コロナの影響を踏まえた今後の教育の在り方についての各国の意見を取りまとめまして、本当に世界をリードする責任を有しますG7として、教育の重要性を確認をし、そして今後の教育の在り方について世界に発信をしていきたいと思っております。

 特に、日本は、アジアの国ではただ一か国でございます。そこのところも、欧米の、G7のほかの国の方にも、やはりアジアの日本ということもしっかりと知っていただきながら、共同していい発信ができればと思っております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 まさにコロナ禍は教育現場にも大きな影響を与えたというふうに思いますので、今後の教育を考える上で大変有意義な会合になるというふうに思いますので、大臣の会議での御活躍を心からお祈りをして、御期待を申し上げたいと思います。

 次に、今大臣からもお話がありました、新型コロナウイルス感染拡大によって子供たちに大きな影響が及んだということについて質問させていただきたいと思います。

 三年にわたって新型コロナウイルス感染症が拡大をいたしまして、教育現場においても、密を避けるということで、人と人とのコミュニケーションが十分取れない状況が続いたり、また、マスクの着用を含めて大きく学校生活が変化をいたしまして、子供たちも、それぞれの年齢ですとか発達段階で受ける影響は異なるものの、様々な深刻な影響を受け続けてきたというふうに思います。

 特に、乳幼児期にある子供さんについては、脳の発達に与える影響ですとか心に与える影響も含めて、これは学童期における子供さんたちもそうだと思いますけれども、体や心に大きな影響を与えたというふうに思いますし、言語の取得ですとか、認知機能、また非認知機能の獲得、社会性の発達などの面で大きく影を落としたということは否定できないということは、発達科学者などの多くの専門家からも指摘をされているところでございます。

 今こういう状況にある、影響を子供たちが大きく受けているということについて、文部科学大臣として、どういう御認識の下で分析、また検証しておられるのかということについてお聞きをした後で、また、特に児童生徒につきましては、一斉休校ですとか、オンライン授業や、学校での行事、また部活動が中止や延期をされたことによって大きな影響があったというふうに思います。それらにつきまして、私は、長期的に子供たちに寄り添い、見守り、そして検証して対策を講じていくということが必要ではないかと思っておりますけれども、文部科学大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒等においては、三年以上にわたる感染症流行の影響で、様々な制約の下で学校生活を送ることを余儀なくされているものと認識をしております。様々な調査結果を注視しながら、コロナ禍が児童生徒等に与えた影響を把握していくことが重要であると考えております。

 コロナ禍の影響のみが原因であるとは断定できませんが、コロナ禍による生活環境の変化が一因となったと考えられるものとして、例えば、令和三年度における小中高等学校の不登校児童生徒数は約三十万人と大幅に増加したこと、それから、令和四年度における小中学生の体力について男女共に低下したことなど、こういったものが影響を受けたものとして調査結果として出されているものというふうに思っております。

永岡国務大臣 先ほど西岡議員からも意見があったとおり、本当にこの三年間、三年以上ですね、長期にわたりまして学校生活に様々な制限が生じまして、子供たちの心や体に大きな負担がかかっているものと考えておりまして、様々な我慢をしながら学校生活を送る子供たちのことを思うと、大変心が痛みます。

 また、感染症対策の徹底と児童生徒の学びの保障の両立に全力を尽くしてくださっていらっしゃいました学校現場の皆様に、本当に深く深く感謝をしたいと思っております。

 また、コロナ禍の影響を一因といたします不登校児童生徒数の増加ですとか児童生徒の体力の低下につきましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実ですとか、SNS等を活用いたしました相談体制の整備の推進や、あとは、幼児期から運動習慣形成プロジェクトを始めまして、地域の学校及び家庭におけます運動機会の確保などの対策を講じているところでございます。

 文部科学省といたしましては、コロナの影響が長期にわたる中で、子供たちへの影響も長期にわたる可能性も考慮いたしまして、今後の調査結果なども注意しながら、丁寧に対策、検討してまいります。

西岡委員 是非、寄り添い、見守り、そして、これからも長期的な視野におきまして子供たちを見守っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、文部科学省として幼児教育の長期追跡調査というものに取り組まれるということにつきましてお聞きをしたいというふうに思います。

 先生方も御存じだと思いますけれども、一九六〇年代に、米国ミシガン州で、経済的に恵まれていない三歳から四歳の子供たち百二十三名を対象に、二年間、就学前教育を受けたグループと受けなかったグループを比較して、その後の人生、四十年の長期にわたって調査をしたペリー幼児教育計画というものがございます。

 また、この調査結果を踏まえて、ノーベル経済学賞を受賞されましたジェームズ・ヘックマン教授が分析、考察を加えられまして、この調査によって、経済的な理由で教育機会に恵まれなかった子供たちが就学前教育を受けることによって非認知機能が育まれ、大人になって大変成功した、また健康に恵まれるということがこの調査結果ではっきり分かったという中で、大人になってからの経済状況ですとか生活の質の向上に就学前教育が大変有効であるという調査結果が出されました。

 今回、こういう長期的な追跡調査を開始するということをお聞きをいたしましたけれども、先ほど述べました調査との関連も踏まえまして、どのような経緯で長期追跡調査に着手されるのかということ、その目的やその必要性についてお聞きをしたいというふうに思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年二月二十七日付で取りまとめられました中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議まとめにおきまして、幼児教育の分野についてデータやエビデンスに基づく政策形成が必要と提言をされているところでございます。

 また、諸外国では、先ほどお話がありましたペリー就学前計画の研究において、質の高い幼児教育を実施したグループと未実施のグループを継続的に観察をし、幼児教育の効果を示した研究成果があるわけでございますけれども、各国の教育制度や文化等が異なることから、日本においても、質の高い幼児教育とは何かを明らかにし、今後の幼児教育の政策形成に資するよう、長期的な追跡調査を実施する必要があると考えているところでございます。

 このため、令和五年度予算案におきまして、幼児教育の質保障に係る調査研究費を計上し、幼児期の環境や体験、学びがその後の認知能力や非認知能力等に与える影響に関する長期的な追跡調査を行うこととしているところでございます。

西岡委員 具体的な調査の進め方ですとか、時期や調査対象、調査の主体、また方法、調査項目、そういう具体的なところはこれからということでございましょうか。少し御説明をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 この追跡調査では、まずは五歳児を対象に小学校四年生までの五年間の追跡調査を行い、幼児期の環境や体験、学びがその後の認知能力や非認知能力等に与える影響を分析することとしているところでございます。

 また、この調査の主体ということでございますけれども、国公私立大学を対象に委託して実施することとし、現在、公募を行っているところであり、外部有識者から成る審査会を経て、採択団体を決定してまいりたいと考えております。

西岡委員 大変長期的な調査になるというふうに思いますけれども、この調査結果につきましては、先のことになりますけれども、取りまとめをされ、公表され、これからの文部科学行政に活用していかれるというふうに思いますけれども、その辺りのことで御説明いただけることがあれば、お願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 こちらの調査結果、もちろん、やった後にどういった結果が出るかということによるわけでございますけれども、やはり、幼児期の教育が大変重要だということが言われている中で、どういった教育、学びをしていくことが最も子供たちの能力を伸ばしていくのか、そうした視点をしっかり持って、その後の教育要領の作成や、様々な、教師の研修を含め、教育施策に生かしてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 大変貴重な調査になるというふうに思います。

 先ほど私が永岡大臣に申し上げました、コロナ禍の子供たちへの影響ということについても、ちょっと趣旨は違うかもしれませんけれども、いずれかの形で、長期的な見守り、支援に結びつくような調査というものも必要ではないかということについても申し上げさせていただきたいと思います。

 続きまして、子供、子育て政策についてお尋ねをさせていただきます。

 これは御承知のように、昨年の出生率が、七十七万人となりまして、八十万人を切ったという大変深刻な数字だというふうに理解をいたしておりますし、当初、国立社会保障・人口問題研究所が予測をしていた、この八十万人を切るというのが二〇三〇年を予測されておりましたので、八年も早くこの数字が出たということについても、大変深刻な状況であるというふうに思います。

 また、厚労省の調査によりまして、出産をする女性の九割が二十五歳から三十九歳の女性ということでございますけれども、この女性の人口が二十五年後には今の人口よりも二五%も少なくなるというデータもございまして、我が国の少子化が極めて危機的な状況にあるということを表す数字ではないかと思っております。

 岸田内閣におかれては、子供、子育て政策は待ったなしの、先送りの許されない課題として、三月をめどに小倉大臣がたたき台を示されまして、六月に骨太の方針で将来的な子供予算倍増に向けた大筋を示されるということでお聞きをいたしておりますけれども、教育行政をつかさどる永岡文科大臣として、今のこの状況を含めて、どのような御認識でいらっしゃるかということについてお聞きをさせていただきます。

永岡国務大臣 委員おっしゃいますように、先日、二月の二十八日の厚生労働省の発表によりますと、昨年の出生数、初めて八十万人を下回る、過去最少となる、やはり危機的な状態であるというふうに認識はしております。

 少子化の様々な要因の一つといたしまして、子育てや教育に係る費用負担の重さ、これが指摘をされております。

 文部科学省といたしましては、これまで、幼児期から高等教育まで切れ目ない形で教育費の負担軽減を図ってきております。また、高等教育の修学支援新制度につきましても、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしておりまして、教育予算を引き続き着実に確保することで、教育施策の充実を進めてまいりたいと考えております。

 少子化対策につきましては、こども政策担当大臣の下に設置されました関係府省会議におきまして、三月末をめどに具体的なたたき台を取りまとめた上で、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示することとなっておりますので、内閣官房を始めとする関係省庁、しっかりと連携して、協力してまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 国民民主党としましては、岸田総理にも要請をさせていただいておりますけれども、児童手当、児童扶養手当については拡充をした上で所得制限を撤廃すべきということで法律も提出をさせていただいておりますし、特に障害児福祉の所得制限撤廃、これは障害児については先行して是非取り組んでいただきたいという課題でございます。

 その中で、財源というものが、どうしてもやはりしっかりセットで打ち出していかなければいけないわけでございますけれども、国民民主党は、教育や人づくりに対する支出については、従来から、教育国債を創設すべきだということを含め、法律も提出をさせていただいているわけでございますけれども、先般、自民党の総務会長からも、教育国債ということが、記者会見でお言葉があったというふうに聞いておりますけれども、この教育国債に対する永岡大臣の御見解というもの、是非お聞かせいただければと思います。

永岡国務大臣 やはり、教育費の負担軽減というのは大変大きな少子化対策になるだろうなというのは私も感じているところでございます。

 教育国債の発行につきましては、安定財源の確保や、また財政の信認確保の観点から、やはりこれは、今私が軽々に申し上げるのは時期尚早と思いますし、また、慎重に検討する必要がある、そう考えております。

西岡委員 国民民主党としては、この教育国債が必要だということで、引き続き要請をしてまいりたいというふうに思っております。

 続きまして、GIGAスクール構想につきましてお尋ねをさせていただきます。

 大臣所信の中で、端末更新の時期も見据えつつというお言葉を述べられておりましたけれども、以前も私、委員会で質問をさせていただいたんですけれども、通信機器の保守、更新に係る財政措置につきましての明確な方針が、前回質問をさせていただいたときにも示されませんでした。

 セキュリティー確保に必要なソフトウェアも含めまして、持続的なICT機器の活用や更新が図られることは、学校現場にとって極めて重要なことであると考えております。財政措置につきましての方針について、永岡大臣に御見解をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 GIGAスクール構想で整備をされましたICT機器などの運用ですとか、また、今後の端末の更新に係ります費用の在り方につきましては、本当に重要な課題と認識しております。この検討を進めていただくためにも、まずは、整備されました一人一台端末を積極的に活用いただくことが重要だと思っております。

 GIGAスクール構想は国が主導して進めてきたものでございまして、その持続的な推進に向けまして、地方自治体と連携しながら、端末の利活用状況を踏まえつつ、また、関係省庁との協議の上に、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

 御指摘のありましたネットワーク関係費やセキュリティーに関するソフトウェア費などにつきましては、令和四年度までを計画期間といたします教育のICT化に向けた環境整備五か年計画に基づきまして地方財政措置を講じておりますが、先般、これを令和六年度までに延長したところでございます。また、あわせまして、令和七年度からの新たなICT環境整備計画の策定に向けて検討していくこととしております。

 こうしたことも含めまして、GIGAスクール構想の推進に向けて、引き続きまして、必要な支援について積極的に検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 通信機器の保守、更新に係る財政措置については、是非早急に方針について明確化をしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、高校生の一人一台端末についてお伺いをさせていただきます。

 令和六年度までに全都道府県、全学年宛てに整備完了するという計画ということでお聞きをいたしておりますけれども、その計画の進捗状況、また見通しについてお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省としては、義務教育段階において一人一台端末環境で学んだ児童生徒が、高校に進学した後も同様の条件で学べる環境を整えることは重要であると考えております。

 高校の端末整備につきましては、保護者負担を原則として個人端末の活用で対応する自治体や、様々な財源を確保して設置者負担で整備を進める自治体など、多様な実態があるところでございます。こうした中、全ての都道府県において令和六年度までに全学年の一人一台環境整備が完了となるよう、整備が進められているという状況でございます。

 文部科学省では、各自治体の整備状況等について、調査等を通じて状況把握に努めており、今後の見通しについても現在調査を実施をしているところでございます。全国の高等学校において一人一台端末環境が速やかに実現されるよう、今後とも、実態把握に努めながら、設置者の取組を促してまいりたいと考えております。

西岡委員 実態調査、今調査をしていらっしゃるというところだというふうにお聞きをいたしましたけれども、先ほど申されました、やはり義務教育のところでしっかり一人一台端末で学んだということの学びを止めることなく、しっかり整備をしていただくということは大変重要だと思っておりますので、引き続き御努力いただくようにお願いをしたいと思います。

 また、今後の財源措置につきましては、どのような形で今この整備を進められているのか、今後も進められていくのかという財源措置のところをちょっとお聞きをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 財源措置ということでございますが、高校も含めた端末整備に係る経費については、従前から地方財政措置が講じられてきたところでございますけれども、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金につきましても高校の端末整備に活用が可能であるということを通知をし、自治体における活用が進んできたところでございます。

 また、先ほど申し上げました教育のICT化に向けた環境整備五か年計画に基づく地方財政措置については、高校の端末整備も含めて、令和六年度までこれを延長したところでございます。

 令和七年度からの新たなICT環境整備計画の策定に向けて、しっかりと検討を進めてまいりたいと存じます。

西岡委員 財源も含めまして、令和四年度は地方創生臨時交付金を活用して整備が進められたというふうに聞いておりますので、今後もしっかり、この財政措置のところも見通して取り組むことができる体制でお願いをしたいと思います。

 それでは、私立学校の整備状況についてお尋ねをさせていただきます。

 公立学校に比べまして、やはり整備は十分と言えない状況でございまして、学校現場の実態を踏まえた上で、実質一人一台端末化の実現へ向けて支援を強化していただいて、また、私立学校につきましても、端末の保守、更新のところの負担の在り方というものがどういうふうになっていくのかということの大変不安もあるというふうに聞いておりますので、その辺りも含めて、また永岡文科大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 私立学校におきましても、ICT端末の整備を推進することは大変重要でございます。

 御承知のとおり、私立学校というのは、それぞれ建学の精神に基づきまして多様な教育が行われておりまして、その教育内容ですとか、また教育方法などを踏まえて、各学校の判断によりまして、ICT教育を含め、具体的な教育環境が整備されております。

 このような中で、文部科学省では、私立学校のICT端末の整備を推進するために、各年度の当初予算や補正予算などで必要な予算を措置してきたところでございます。令和五年度の予算案におきましても、十四億円を計上しております。これに加えまして、私学助成におきまして、ICT機器の保守管理委託等を含めまして、ICT端末の効果的な活用の取組、これは、ICT支援員の配置ですとか、セキュリティー対策、校務支援システムの導入等に対してでございますが、支援を行っております。

 引き続きまして、各都道府県と連携しつつ、一人一台端末の着実な整備を進めてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 しっかり、私立学校につきましても財政措置も講じていただいているということでございますけれども、やはり、公立に比べまして整備が十分と言えない面もあるというふうに思いますし、保護者の負担というものもかなり大きいものがございますので、私立学校も含めた整備の充実強化に是非努めていただきたいというふうに思います。

 もう時間がほぼありませんので、私からも、是非、教員の働き方改革、処遇改善につきましては、給特法の改正も含めて、これまでも議論があっておりますけれども、しっかり取り組んでいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まずは、統一協会問題であります。

 二月二十八日の宗教法人審議会で四回目の質問内容が了承され、三月一日に質問を教団側に送付いたしました。回答期限は三月十五日とされております。報道では、解散命令請求の可否判断は四月以降とされております。

 昨年十一月二十二日に第一回目の質問権の行使を行ってから、既に三回のやり取りがあり、三か月以上が経過しております。四月ということになれば五か月ですね。

 今回、更に四回目の質問を行ったのはなぜなのか、これは文部科学大臣にお答えいただきたい。

永岡国務大臣 旧統一教会に対します四回目の報告徴収、質問権の行使につきましては、一つ、組織運営関係事項、二つ、教会管理運営関係事項、三つ、信徒会関係事項、四つ、予算、決算、財産関係事項、五つ目、献金関係事項の五つの項目につきまして報告を求めております。

 今回報告を求めている内容は、これまでに旧統一教会から提出されました資料等の精査を踏まえまして、更に具体的な分析を進めていく観点から整理をしたものとなっております。

宮本(岳)委員 しかし、こうしている間にも、被害に苦しんでいる方々は多数おられます。新たな被害者も生まれかねないわけですね。既に、元信者の方々約五十人が、弁護団とともに、十六億円の献金返還を求めて集団交渉を始めました。

 これは合田次長に確認しますが、報告徴収や質問権の行使について、教団側から回答を待たなくとも解散命令を請求することを、宗教法人法のたてつけとしては妨げておりませんね。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 報告徴収、質問の手続の途中でございましても、解散命令を請求するに足る事実関係が明らかになった場合には、所轄庁は速やかに裁判所に対して解散命令請求ができるという仕組みになってございます。

宮本(岳)委員 五月七日には韓国で合同結婚式が予定されていると報じられております。それまでに何もしなければ、更に被害が拡大する可能性がある。

 私は、今すぐ解散命令請求に踏み出すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 解散命令の要件というのはしっかりと宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係ります十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げ、これが不可欠と考えております。

 そのために、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応、これを着実に進めまして、その上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 報告徴収、質問権を行使するということは、その先には解散命令があるということは、この間確認されております。

 組織性、悪質性、継続性については、既にこれまでの裁判例で証明されていることだと思うんですね。

 解散命令の発出を確実なものにするために、先ほど、五回目もあり得るという話がありましたが、更に質問権の行使が必要であったとしても、被害者を救い、これ以上被害者を生まない、広げないためには、一番の道は解散命令を早く請求することだと私は思います。

 一方、これまで行使してきた報告徴収、質問権でありますけれども、どのような質問がなされたのか。その質問内容について議論された宗教法人審議会の議事録は公開されるんですか、合田次長。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使につきましては、宗教法人審議会において審議するに当たり、審議の内容を明らかにすることは報告徴収、質問権を効果的に行使する観点から望ましくないため、宗教法人審議会の議事についての申合せにおきましては、必要と認めるときは、宗教法人審議会の御判断により、必要な期間、議事要旨を公開しないことができるとなってございます。

 そのため、旧統一教会に関する審議の議事要旨につきましては、解散命令請求が行われた場合は裁判所の判断が確定するまでの期間、あるいは、一連のプロセスにおいて旧統一教会から文部科学省等に対して訴えが提起された場合はその裁判が最終的に確定するまでの期間などに該当する場合には、その間議事要旨を公開しないということが全会一致で決定されたところでございます。

 したがいまして、議事要旨については、今申し上げました審議会の申合せ及び取決めに基づいて取扱いがなされる必要があると考えてございます。

宮本(岳)委員 裁判で決着がつくまで出さないという話なんですね。

 一昨日、私が要求していたこの平成七年の、宗教法人審議会の審議の概要についてという文書がやっと開示されました。

 この文書は、一九九五年の国会、オウム事件を受けての宗教法人法改正案を審議した衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に対して、当時の文化庁が示した資料なんですね。当時も、国権の最高機関たる国会が宗教法人法改正案を審議するに当たって、その改正案について審議した宗教法人審議会の内容を何一つ分からないままではその役割を果たせないとの議論の上に、要求して、当時も提出させたものであります。

 今から二十八年前の国会でさえ、文化庁は、議事録の公表はできなくとも、これ、二十五ページあるんです、二十五ページに及ぶ宗教法人審議会の審議経過についてというこの文書を開示しているわけですね。

 ところが、今回は、質問項目も、その回答の概要も、何一つ公開しておりません。

 今回の統一協会問題については、その被害の深刻さや二世問題など、当時同様、国民の関心も高いです。加えて、国民の知る権利の内容も当時に比べて大きく前進をしてまいりました。

 今回も、国会の審議を実りあるものにするためには、議事録や必要な資料を適切な形で開示して、国民的な議論に資するように取り計らうのは当然ではないか、こう思います。

 そこで、少なくとも、議事録の公開の在り方を宗教法人審議会で議論していただきたい、少なくともそのことを検討していただきたい。大臣、いかがですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、宗教法人審議会におきまして、旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使について御審議いただいているところであり、その議事要旨については、権限の効果的な行使や、解散命令を請求した場合の裁判への影響などの観点から、審議会において慎重に考慮した結果、必要な期間、公開しないこと等をお決めいただいたものでございます。文化庁としては、この取扱いをしっかりと尊重し、踏まえてまいりたいと考えております。

 なお、過日、平成七年の宗教法人審議会の審議の概要として、同年の衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に提出したと思慮される資料を、既に国会に提出した公知のものとしてお示ししたところでございますが、当該資料は個別具体の権限の行使に関することではなく、宗教法人法という制度に関する議論を行った際の議事概要であることから、今般の宗教法人審議会の議事要旨と同様に扱うことはできないものと認識をいたしてございます。

宮本(岳)委員 とにかく、きちっと議論していただいて、当然、国民の知る権利に資するようにしていただきたいと思います。

 次に、学生寮の問題を取り上げたいんですね。

 大臣は一昨日、所信で、少子化問題や格差解消のためにも、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要と述べられ、幼児期から高等教育まで切れ目ない形で、教育の無償化や負担軽減を着実に実施すると述べられました。

 そこで、資料一を見ていただきたいんです。今年三月末をもって金沢大学の学生寮である泉学寮、白梅寮が廃寮されようとしていることを報じる朝日の記事であります。

 寮生からの訴えを受けて、私は、今年一月十九日、金沢大学泉学寮へ伺って寮生の皆さんから話をお聞きし、翌日は馳浩石川県知事、御存じのとおり元文部科学大臣、とお会いをし、その後大学関係者とも面会し、学生の皆さんの声を直接届けてまいりました。

 この泉学寮の最大の魅力は、寄宿料、寮費が一月七百円。光熱費等の必要経費を合わせても一万五千円程度であります。寮は町中にあるのでアルバイトもしやすいということでした。しかし、廃寮になると、現在は町中にはなく、キャンパスのある山の上の学生留学生宿舎へ移らなければならない。寮費も、北溟宿舎二万六千八百円、先魁宿舎でも二万二千円以上、光熱費を含めると優に三万円を超えてしまいます。

 学生たちからは、勉強したいが、学生留学生宿舎へ移るとバイトを増やさざるを得ない、バイトをするために大学へ来たのではない、勉強に専念したいとか、双子の兄弟で二人同時に大学入学、一人は東京の私学に進学したため七百円の泉学寮に入寮することにしたなどと、切実な声が出されました。寮生は一人親家庭、浪人経験者が多いという声も聞きました。

 大臣が、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要とおっしゃるのであれば、この学生たちの声に耳を傾けるのは当然だと思いますが、大臣、それはお認めいただけますね。

永岡国務大臣 金沢大学では、学生寮の泉学寮及び白梅寮というのでしょうか、につきまして、大学側では、コンクリートの劣化等の老朽化が進行しておりまして、建物の安全性を維持することが困難であることから、令和四年度末に廃寮することを決定しているという旨、これは私も承知をしております。

 金沢大学におきましては、これまで、寮生への説明会の開催ですとか、寮長との懇談会を開催するなど、学生に対しまして説明を実施してきたと聞いております。

 引き続きまして、学生たちの意見を聞きながら丁寧な対応を大学には行っていただきたい、そう考えております。

宮本(岳)委員 金沢大学当局は、学生には入寮の際に退去の確約書を取っているとおっしゃるわけです。それは現三回生以下の寮生だけのことであって、四回生を含む四回生以上の学生からは確約書などは取っていないことが確認されております。昨日、文科省も私の目の前で金沢大学に問い合わせて、四回生以上は取っていないと確認しておりますが、これは間違いないですね。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 金沢大学泉学寮及び白梅寮の廃止を決定をいたしました平成三十一年二月時点では、既に平成三十一年度学生募集要項で学生寮の案内を行っていたことから、平成三十一年度入学者、現在の四年次生でございますが、については、標準修業年限である四年間の在寮を保証した上で、廃寮日を令和四年度末に設定をしたと聞いてございます。

 また、平成三十一年度、四月以降入学の寮生については、廃寮日について入寮許可書への記載により通知をしており、平成三十年度以前入学の寮生にも、廃寮決定通知から一定期間を確保した四年後に廃寮日を決定することで配慮を行っている旨を聞いているところでございます。

宮本(岳)委員 確認書、確約書を取ったか、取っていないか、それのみ答えてください、再度。

伊藤政府参考人 いわゆる確認書という形では、現三年次以下の学生については、入寮時に令和五年三月三十一日までに退去する旨の確約書を提出をいただいてございますが、それ以前の入寮者には、この形での確約書の提出はいただいてはございませんけれども、先ほど申しましたように、廃寮日について入寮許可書への記載により通知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 つけ加えなくていいんですよ。取っていないんです。三回生以下の学生と四回生以上では明確に違うんですね。だから、全て取っているという議論はそもそも成り立たないんです。

 そもそも、日本政府は、二〇一二年九月十一日、長らく留保してきた国際人権規約、A規約十三条二項(c)、高等教育の漸進的な無償化条項の留保を撤回する旨を国連事務総長に通告いたしました。今では、無償教育の漸進的な導入、つまり段階的な学費無償化は、日本政府の国際的な責務となっております。

 泉学寮廃寮の話を聞いた私の地元の金沢大学卒業の医師からは、自分も金沢大学の寮出身だが、寮があったから進学できた、安い寮をなくさないでほしいという訴えが寄せられました。寄宿料七百円という安い寮があったから、安心して進学できたという話なんですね。

 大学の学生寮には、集団生活による教育的効果、コミュニケーション能力の育成、外国人留学生との混住による異文化交流など様々な意義があることは十分分かっています。しかし、同時に、学生の経済負担の軽減、福利厚生も学生寮の重要な意義の一つであると考えますけれども、これは文科省もよろしいですね。

伊藤政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、学生寮には、学生の集団生活を通じたコミュニケーション能力の向上や、日本人学生と外国人留学生との共同生活を通じた異文化理解、外国語能力の向上など様々な教育的な意義に加え、低廉な寄宿料によります学生の経済的負担軽減の意義も有しているというふうに認識をしてございます。

宮本(岳)委員 経済的に困窮する学生の福利厚生施設としての寮を存続してほしいというのが、学生や寮生から寄せられている、またOBから寄せられている熱い願いなんです。

 私は、泉学寮で学生たちの話を聞いた翌日、馳浩石川県知事と面会をいたしました。こうした学生の思いや実情を伝えるとともに、県営住宅に学生が一定の条件の下で入居できるよう検討しているということを確認をいたしました。しかし、検討は進んでいるんだけれども、年度内、つまり寮生の退寮期日予定日である三月三十一日までには間に合わないとの見通しでありました。そこで、その後、金沢大学事務方に話を聞くと、既に県営住宅の活用についての県との協議を始めていると一月二十日時点でおっしゃったわけであります。

 確認しますが、このように、国立大学と都道府県当局、自治体が連携協力して学生の学びを支えることは大いに喜ばしい、よいことだと思いますが、これもいいですね。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてでございますが、大学が、自治体と連携し、学生に対して住環境支援を行うことは、学生の修学機会を確保するなどの観点から望ましいものであると、文部科学省としても考えております。

宮本(岳)委員 当然ですね。

 さらに、私に対応してくださった金沢大学の職員のお一人は、本省の児童生徒課生徒指導室におられた方でございました。この度、初等中等教育の生徒指導提要の改訂作業に当たって、子どもの権利条約、子供の意見表明権についてしっかり書き込んでいただいた方でもありました。

 私からは、今年一月十八日に開催された国大協の総会では、各国立大学の学長から、物価高騰を反映する仕組みを考えてほしい、大学の努力を超えているなど、次々と悲鳴のような声が上がったことを大学に紹介しておきました。

 これも確認します。確かに、国大協の総会で、各学長からそういう声が上がりましたね。

伊藤政府参考人 一月十八日に開催されました国立大学協会の会議におきまして、光熱水費の高騰などにより大学の経営が圧迫されている状況にあるという趣旨の、複数の発言があったというふうに承っております。

宮本(岳)委員 物価高で国立大学の経営が大変ならば、学生の生活はもっと大変になっているという想像力を持ってほしいと私は訴えたんです。大学側は、廃寮は既に四年前、二〇一九年に決まっていることだと、大臣冒頭におっしゃったような、ちゃんと前々から決まっているとおっしゃる。しかし、自分たちだって今悲鳴を上げざるを得ないような、従来の延長線上でない物価高騰、新型コロナの影響、これが起こっているわけですよ。だから、運営費交付金を、従来の延長上じゃ駄目だ、何とかしてくれとおっしゃっている。

 これは、本当に、そのことを考えれば、大臣がおっしゃるように、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要と言うのであれば、この問題に、もうちょっと、ちゃんと学生たちの立場に立って対応する必要があると思うんですが、大臣、思いを共にしていただけますか。

永岡国務大臣 金沢大学では、これまで、寮生への説明会の開催や、また寮長との懇談会を開催するなど、学生に対して累次にわたり説明をしてきたと聞いております。

 また、私は存じ上げておりませんでしたけれども、馳知事とも議員はお話合いがあったというふうに伺いまして、大変驚きましたとともに、随分と積極的なのだなというふうには感じさせていただきました。

 引き続きまして、やはり、学生たちの意見を聞きながら、しっかりと丁寧に対応していっていただきたい、そう考えておりますので、そちらの方も金沢大学の方にはお話はさせていただきたいと思っております。

宮本(岳)委員 個々の事情があるなどといって放置すれば、経済的事情によって学びが続けられなくなる状況が生まれると思うんですね。

 この泉学寮は、四月以降の用途が決まっているわけではありません。直ちに取り壊す、そして土地を処分するというような話でもありませんでした。慌てて放り出す必要があるわけではないんですね。

 私は、初等中等教育における生徒指導提要でも、子供の意見表明権とか、規則制定への子供の参画などを掲げる時代なのだから、学生、寮生の声をしっかり聞くことは当然だ、よく話し合ってもらいたいというふうに申し上げました。

 最後に残った理由は、大地震に耐えられない、危険だという、大臣が冒頭おっしゃったことなんですけれども、耐震強度の不安ですね。

 あしたは、各委員がおっしゃったとおり、東日本大震災から十二年。耐震化は大切であります。

 しかし、資料二を見ていただきたい。これは文科省からいただいた資料でありますが、大学が二〇〇四年に行った耐震診断で、泉学寮のIs値が〇・二三と耐震性が不足していたため、二〇〇九年に補強設計を行い、二〇一〇年に耐震改修工事を完了し、Is値は〇・七一を確保したとなっております。

 国土交通省の基準で、一般の建物はIs値〇・六以上、こうなっているんですけれども、これでも、大規模な地震に対して倒壊や崩壊の危険性が低い建物とされておりますが、しかし、学校施設は更に、〇・七以上としております。この理由について、文科省、お答えいただけますか。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 学校施設について〇・七以上の基準を適用している理由でございますけれども、一般的に、御案内のように、学校施設は、児童生徒、学生の教育、研究や生活の場であるとともに、被災時には地域の避難所としての役割も担っております。

 こうした学校施設の特性を考慮し、一般建築物であればIs値〇・六以上を耐震改修の目標とするところでございますけれども、学校施設につきましては〇・七以上を求めているというところでございます。

宮本(岳)委員 より安全を考慮して〇・七以上になっているんですね。〇・七一ですから、クリアしているんです。古いということでいうならば、泉学寮よりも、私のおります衆議院議員青山宿舎は三年古いので、ぼろいだけで危ないのなら衆議院議員の方が危ないんですね。大地震には耐え得るということであります。

 学生も、永久に存続せよと言っていないんですよ。学生たちも、せめて退去の確約書を書いていない四回生が卒業するまでとか、新たな住居が決まっていない寮生が住居を見つけるまで、県営住宅にスムーズに移行できるまで寮の存続を求めているんですよ。ところが、大学の対応は冷たいんです。

 資料三を見ていただきたい。私が大学を訪ねた日の僅か十一日後の一月三十一日に教育担当の副学長名で出された「泉学寮・白梅寮の廃寮」という文書であります。令和五年三月三十一日の十七時をもって廃寮とするから、在寮生は同日同時刻までに退寮を完了せよと書いてあります。最下段には、期限までに退去しない場合には、金沢大学学生懲戒規程に基づき、何らかの不利益処分がなされる可能性がありますとまで書いてあります。

 他方で、寮存続を求める声が広がり、寮生だけではなく、卒寮生、大学教員、学生、超党派の県議、市議らの支援を受けているとのことで、昨年四月に始めた署名は四千百三十二筆に達し、今年二月二十七日には大学に提出をしたそうであります。

 文部科学省は、初等中等教育については子供の意見表明権、こういうふうにうたっておりますけれども、高等教育局は学生の声に耳を傾ける必要はない、こう考えておるんですか。

伊藤政府参考人 御指摘の寮につきましてでございますが、先ほど施設部長から御答弁申し上げたとおり、耐震性の観点は一定の耐震性が確保されていると考えられますが、金沢大学においては、コンクリートの劣化や経年による電力、給排水設備の老朽化が進行している状況であることから、今後、大地震等により建物の安全性を維持することが困難と考え、計画的にこの整備を進めているところでございます。

 その整備に当たりましては、廃止の決定等の経過の中でも、平成三十一年の段階で寮生説明会を実施するなど、寮生に対する説明を丁寧にさせていただくとともに、退去学生への支援策といたしまして、設備等がより充実し、角間キャンパスへの通学費用が不要である学生留学生宿舎、先魁や北溟への優先的入居を支援したり、また、学生留学生宿舎へ入居する学生に対しては、特定の日時に引っ越し業者を大学が手配し、一括で学生寄宿舎への物品搬送を費用を大学が負担して行うなど、丁寧な対応をしているというふうに承知をしております。

宮本(岳)委員 そんなことはとっくの昔に論じた後でしょう。

 それで、やはり大学、学生とも話し合う必要があると、大臣もおっしゃっているとおりですけれども、やはり、経済的に困窮している学生や家庭的な事情のある学生など、学びの保障のためには、話を聞いて、誠意を持って話し合うべきだと思うんです。学生たちは、特に学長さんに会ってもらいたい、そういう願いを持っているんです。それは大学の判断でしょうけれども。

 是非、それは命令したりできないことは重々分かっているんですけれども、寮生と学長とよく話し合ってみてほしいという助言といいますかアドバイスを、大臣、ひとつやっていただけませんか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 引き続きまして、やはり、学生たちの意見を聞きながら、金沢大学もきちんと話合いに応じていただきたいと思いますし、また、丁寧な対応、これを行っていただきたいと考えておりますので、大学の方には、少々、これはちょっと問合せをさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 最後の問いなんですが、実は、これは大学だけの問題じゃないんですよ。

 こういう問題の背後にあるのが、やはり運営費交付金が、さっき、国大協の総会で意見が出たと。それは、お金がふんだんにあれば、こんな問題は、それはお金を糸目をつけずに使えば解決できることですが、そうでないところに一つの大きな問題があると思うんですよね。

 それで、運営費交付金がどういう推移をしているかという資料を最後に、資料五につけました。これは、はっきりしているのは、平成十六年、二〇〇四年度には一兆二千四百十五億円あった運営費交付金は、減らされ続けてきて、今参議院で審議中の二〇二三年度予算案では一兆七百八十四億円、千六百億円以上もこの間に減らされてしまったわけです。昨年と比べても二億円減っているんです。

 大臣は所信で、国立大学法人等の運営費交付金や施設整備補助金など基盤的経費を安定的に確保してまいりますとおっしゃったわけですけれども、これでは国立大学法人のやはり大学運営そのものが到底成り立たない。そして、そのしわ寄せが学生たちや寮生に行きかねない。

 この点で、運営費交付金をもっともっと増やす必要について、大臣、当然そういうお考えをお持ちだと思うんですけれども、御答弁をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 国立大学法人の運営費交付金というものは、平成二十七年度以降、毎年度、同額程度を確保しているところでございまして、法人化以降の各大学の経営努力に伴う外部資金の増加等に伴いまして、全体の経常収益というのは、実は年々増加しております。

 また、光熱費を始めといたします物価高騰への対応というのは、基本的には各大学の自助努力におきまして対応していくものでございますが、国立大学は、光熱費価格が本当に高騰する中で、これは理工系なんですけれども、常時稼働をします施設というのを多く有していることなどを踏まえまして、全ての国立大学に、令和四年度の第二次補正予算等におきまして、緊急的に激変緩和としての支援を行ったところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、国立大学が安定的そして継続的に教育研究活動、これを実施できるように、必要な支援、努めてまいります。

宮本(岳)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、大臣は、基本的には各大学の自助努力とおっしゃるわけですけれども、その自助努力でいかないほどの事態が起こっているというのが国大協で出された学長さんたちの声でありますから、しっかりこれに応えていただくように申し上げて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

宮内委員長 次に、内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 私立学校法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡国務大臣 この度、政府から提出いたしました私立学校法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 私立学校に在学する学生生徒等の割合は、大学、短大で約七割、高等学校で約三割、幼稚園で約九割を占めており、それぞれの建学の精神に基づいて、個性豊かな教育活動が展開されております。質及び量の両面から我が国の公教育を支える私立学校が、社会の一層の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるためには、社会の要請に応えつつ、学校法人自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革に取り組んでいくことが必要です。

 この法律案は、このような観点から、執行と監視、監督の役割を明確化し、分離することを基本的な考え方として、理事、理事会、監事及び評議員、評議員会の権限分配を改めて整理し、私立学校の特性等に配慮した上で、各機関の建設的な協働と相互牽制を確立し、学校法人の管理運営の制度の改善を図るものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、役員等の資格、選解任の手続等や、各機関の職務及び運営等の管理運営制度の見直しを図ることとしております。具体的には、理事の選任は理事選任機関が行うこととし、選任に当たって、理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聞かなければならないこととするほか、監事の選解任は評議員会の決議によって行うこととし、役員と親族関係にあるなど、特別な利害関係を有する者の就任を禁止することとしております。加えて、評議員と理事との兼職を禁止することとし、理事や理事会により選任される評議員や、役員等と特別な利害関係を有する評議員及び教職員である評議員の評議員総数に占める割合に一定の上限を設けることとしております。

 第二に、学校法人における意思決定の在り方について見直しを図ることとし、大学等を設置する大臣所轄学校法人等においては、任意解散や合併といった学校法人の基礎的変更に係る事項等について、理事会の決定に加え、評議員会の決議を要することとしております。

 第三に、会計、情報公開、訴訟等に関する規定を整備するほか、役員等による特別背任、贈収賄、目的外の投機取引等についての罰則を整備することとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十八分散会


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