衆議院

メインへスキップ



第12号 令和5年5月10日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年五月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君  英利アルフィヤ君

      勝目  康君    岸 信千世君

      高村 正大君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    田野瀬太道君

      谷川 弥一君    中曽根康隆君

      丹羽 秀樹君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    船田  元君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    中川 正春君

      牧  義夫君    吉川  元君

      金村 龍那君    高橋 英明君

      早坂  敦君    平林  晃君

      山崎 正恭君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           山越 伸子君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           杉浦 正俊君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     英利アルフィヤ君

五月十日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     高村 正大君

  船田  元君     深澤 陽一君

  荒井  優君     中川 正春君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     平沼正二郎君

  深澤 陽一君     船田  元君

  中川 正春君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(内閣提出第二二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官山越伸子君、法務省民事局長金子修君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、外務省大臣官房国際文化交流審議官金井正彰君、大臣官房参事官松尾裕敬君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局長池田貴城君、文化庁次長杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房審議官青山桂子君、大臣官房審議官原口剛君、経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。

 今日は、こうして審議をさせていただく時間をいただいたこと、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 この法案、日本にとって非常に大事な法案になっていきます。同時に、海外から入ってくる人たちにとっては、共通のインフラというか、基本的な日本語能力をつけていくということが多文化共生社会へ向けて日本が進み出していく、その本当の意味での基本になっていく法案だというふうに思っていまして、どうぞひとつ、運用も含めてよろしくお願いをしたいと思います。その気持ちを込めて、今日は質疑をしていきます。

 まず、この法律の目的なんですが、一番入口で、大臣の方からお話をいただけますか。

永岡国務大臣 お答えというか、この法案につきましてお話しさせていただきます。

 日本語教育推進法におきまして、様々な属性の外国人等に応じました日本語教育の提供が求められているところでございます。

 また、近年、在留外国人が増加をいたしまして、日本語教育の目的が多様化をしていることから、令和四年度の文化庁の有識者会議におきまして、いわゆる留学生を対象とした留学、そして、就労を目的に我が国に在留する外国人を対象とした就労、そして、地域で生活者として在留をする外国人を対象とした生活の、三つの分野別に日本語教育機関の教育課程を評価する方向性を提言いただいたところでございます。

 こうしたことから、留学生、就労者、そして生活者など、各機関が受け入れる外国人の状況を踏まえながら、それに応じて、教育課程の内容や教員の体制など適切に確認できますように、今後、日本語教育機関の認定基準等について検討を進めてまいりました。

 以上です。

中川(正)委員 世界の人の交流といいますか、大きなうねりとなって、難民だけではなくて、季節労働というか出稼ぎ労働の流れも含めて、大きく時代の転換点になってきているということだと思います。

 その中で、日本がどういうふうに国を開いていくかということ、これが課題に以前からなっていまして、なかなか、入管法を中心に、どのように仕組みをつくっていくかということについては、世界の潮流からいくと大きく遅れているねということと、戦略性がないねということと、それから、海外から入ってくる人たちとの多文化共生社会へ向けての基本的な法律の整備というのも、これも遅れているねということだったと思うんですね。

 そんな中で、私も、何から手をつけるかということを共通項として探していくというか、模索をしてきたんですけれども、それぞれ各政党の考え方もある中で、言葉を共通項として、まず言葉を入口として考えていくということが大事ではないかということで、先ほどちょっとお話が出ていた日本語の教育推進法というのを議員立法で成立をさせることができたということであります。

 先ほど大臣の方から、それぞれ、類型といいますか、三類型についてのお話もございました。そんな中で、この法律を更に具体的に運用していく中で、私は、ここでひとつ、二つの観点で課題を捉えていきたいというふうに思うんです。

 その一つは、先ほど類型を示されました、留学生のための日本語、それから就労している人たちのための日本語、そして生活者のための日本語、この類型に基づいて運用していくということですが、実は、これは法律の中に書き込んでいなくて、恐らくこれから政省令で仕組みをつくっていくんだと思うんですが。

 その中で一つ確認をまずしていきたいのは、これは、そうした類型に基づいて質の保証を各日本語教育機関にしていく、そういう前提と考えていいんだと思うんですけれども、それは、元々、認可をするのに、例えば留学生のための教育機関としての認可、それから就労者のための教育機関としての認可、そして生活者のための認可、そういう基本的な分類をした上での認可制度を考えていくのか、それとも、認可というのは大体一つで、その中に類型があるよというような体系でいくのか、ここのところを方向性としてひとつはっきりしておかないとまずはいけないところだというふうに思うんですけれども、それの整理をどうしていくおつもりなのか、確認をしていきたいというふうに思います。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、今委員御指摘の後者の方、すなわち全体、まず類型別ということで留学生、就労別、生活者別ということで別々に認可するのではなく、まずは日本語教育機関として認定にふさわしいかどうかをしっかりと見られるような基準を立てるということで考えております。

 と申しますのも、基本的に、この日本語教育機関は、まずは留学生が対象とされるものが多く認定されると考えておりますが、実際、この日本語教育機関は、さらに、いろいろな地域の日本語教室、それからいろいろな関係機関との連携を図ることによりまして、就労者、生活者など、いろいろなところでの連携が求められると考えておりまして、それぞれについてはやはりいろいろな対応をしていかなければいけないということで、この日本語教育機関、いろいろな形で運用されていくものと考えております。

 したがいまして、本法律案では、まずは日本語教育機関としての認定という形をしておりまして、更に加えて留学生、就労者、生活者などのそれぞれの実情に応じた形の、適切に対応できるような、更に認定基準を考えていく、そういうたてつけで考えております。

中川(正)委員 いや、ごめんなさい、もう一つしっかり分からなかったんだけれども、外から見て、恐らく日本語の教育体系というのは違うんだろうと思うんですよ。留学生のための進学に向けた教育課程をつくっていっているところ。あるいは就労、よく英語なんかでもビジネス英語といいますけれども、そういうようなものも含めて、その職場で、企業が、例えば外国人人材を、日本語の訓練をするのに、その仕事に応じた、あるいはビジネスの日本語に特化したような形のカリキュラムを組んでいって、それで質の保証をしていくというふうなこと。生活者ということになると、今は地方自治体が開いている日本語教室みたいなものだと思うんですが、あれも、しかし、もっと進化した形で、質の保証をした形で、その類型の教育システムというのがあるんだろうと思うんです。

 それを一つの認可というふうにしてしまうと、外から見てみたときに、ここの学校はこっちの方は大丈夫なのかな、それはあるのかな、ないのかなというようなことが分かる形で体系化していかないといけないんだろうと思うんです。ここの学校は、いや、進学用はあるけれども、実はビジネスの方はやっていないんだとかいうふうな部分も出てくると思うんですよね。

 そこに対して、ただ一本で認可というだけでは満たされないんじゃないか、そういう危惧をしていまして、私の元々の想定では、それぞれが別で、うちはビジネス認可を持っているよ、うちは生活認可を持っているよ、あるいは、うちは進学の方の認可を持っているよというふうな、外から分かる認可制度を前提にしていたんだけれども、さっき、一つにしちゃうということになると、ちょっとそこが違うんじゃないかなという気がするんですよね。

 もうちょっと整理して説明してください。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これから日本語教育機関につきまして認定を進めていくと、そのようないろいろな形の課題が出てくるものと認識しております。

 これからこの法律ができますれば、日本語教育機関の認定基準等について今後検討していくということでございますけれども、その検討の中で、今御指摘ありましたことについてもよく踏まえまして、あるべき姿を更に追求してまいりたい、このように考えております。

中川(正)委員 だから、これから考えるということだと思うので、これは是非、外から見て分かる、それぞれの教育のシステムというのは違うんだということを前提に認可をしていく方がいいんだろうというふうなことをしっかり留め置いていただいて、これからの設計に生かしていただければありがたいというふうに思います。

 次に、第二には、在留外国人への日本語学習の動機づけについてなんですが、こうして環境整備はできた、質の保証を伴った形で教育機関というのが整備ができた。しかし、そこに外国人が学ぶということ、これがないと、いわゆるお客さんが来ないと、せっかく整備をしたこの日本語教育機関も、これは締めつけるだけで何のためなんだというふうな話になるんだと思うんです。

 そういう意味では、それぞれ外国人が求める教育の達成基準もはっきりさせて、この環境の中で外国人が積極的に日本語学習に挑戦をしてほしいと私も期待をしているわけです。特に、就労と生活の中で言葉が通じるということが、在留外国人にとって日本社会で生きていく大きな、大切な基本的必須能力なんだと思うんですね。

 そういうふうに考えていくと、今、外国人全てにそれが理解されて、日本で自らの能力を発揮するために自発的に日本語を学習しようという気持ちで取り組んでいるかというと、実は現実はそれからほど遠い形になっているんだというふうに思うんです。特に生活者なんかは、あるいは働くということにもそうなんですけれども、それに忙しくて日本語をやっている暇はないんだというふうなこと、私の身近なところでもそういうところが、例えば、団地でいえば四千人、五千人規模の団地があって、その中に日本語教室が一つ、二つぐらいあって、二十人、三十人の教室で、そこで外国人に日本語教育をやっていますよ、そういう現状なんですよね。

 これだとせっかくのこのシステムが生きてこないということでありますので、実際に彼らに日本語習得への気持ちを後押しをしていくようなシステム、今回の法律で質の保証をしながら学習環境を整えても、肝腎の外国人に日本語を習得しようという動機づけがなければ事態は進展しないわけですから、それをどのように後押しをしていくか、動機づけをしていくかということ。文科省としてはこの問題をどういうふうに捉えていますか。ここは大事なところなんだけれども。

杉浦(久)政府参考人 今回の法案では、認定教育機関という形でまずつくっておりますので、そこでどのような日本語が学べるかということをきちんと情報公開するということがまず大切かと考えています。

 と申しますのも、この法案、学びたいという外国の方々が学べる機会をしっかり確保されるようにということから始まっていることでございますので、まずはそこのところをしっかりと応援していくということかと思います。

 加えまして、まだこれから更に、いろいろな、各関係省庁の皆様ともよく相談しながらでございますけれども、地方、それからいろいろな職場等々におきまして、そうした機会があるということをしっかりとPR、周知することで、あるいは日本語教育機関の方から先生を派遣するとか、いろいろな形でもちまして、しっかりとネットワークをつくりながら、そういった学びたいという方々の要望、ニーズに対応していくということが重要かと思っております。

中川(正)委員 申し訳ないけれども、そこで話が止まっているから各省庁が動かないんですよ。

 各省庁それぞれ、入管の、いわゆる受入れシステムをつくっているわけですよね。技能実習制度であるとか、あるいは日系二世、三世というふうな形で、ステータスで入ってきている人たちであるとか、様々あるんですよね。その人たちが希望するから、日本語学校に来てください、こう言っていると、今の現状なんです。来ないんですよ。

 だから、それを、来てもらうという制度を仮につくっていったときに、今の日本語教育機関の状況で、それがちゃんと受け入れられて、質の保証がしていられるかというと、そうじゃないので、それで、質の保証をまずやりましょうと。その前提は何かといったら、やはり外国人は、日本に入ってきたらあまねく日本語を勉強してもらうというふうな制度をつくっていくということが前提なんですよ。これが立法事実としてあって初めて今回の法律が成り立つんだということ、この思いを文科省が持ってもらわないと、横串を刺さないと動かないということなんですね。そのことを指摘をしておきたいと思うんです。

 その上で、今日は応援に入ったわけでありまして、各省庁、来ていただいているというふうに思います。

 そんな中で、今の制度の現状ですね、技能実習、特定技能、高度人材、EPA等々、これでどうなっているのかということと、それから、特に技能実習や特定技能の制度の見直しの中で、日本語学習の制度設計というのはどのように今議論されているのかということ。

 それから、日系人やそれから技能実習なんかの受入れに対して、日本語の教育を外国人に受けさせるということが必要なんですけれども、それに対して、法的な工夫ですよね。

 今、日本語のレベルを前提にして、ビザの更新を五年間、ちゃんと日本語をやっていたら三年じゃなくて五年でいいですよというふうな制度は挿入されているんですけれども、それだけではなくて、基本に、ちょっとこれはドイツ方式になっていくわけですけれども、ドイツで生活しようと思ったら、例えば、最低、基本的には三百八十時間ですか、ドイツ語を勉強しなければなりませんよ、でないとビザの更新をしませんよというような、そういうふうなことも含めたイメージ、これを各省庁がどのように組み立てていくかということによって、今回の法律で言う日本語教育機関の質の保証というのが生きてくるということなんです。ここが一番大事なところなんですよ、各省庁。

 本当は、それを入管が横串を刺して、最低限でも日本語教育というのはここまでのレベルに持っていきましょうという議論をしなきゃいけないんだけれども、これを統括してやっていく議論がこれまでなかった。なかったから、各省庁それぞればらばらにシステムを組んでいる。

 それを前提にして各省庁にお尋ねしていきたいんですけれども、今回の法律を使って、そうした意味での外国人の基本的なインフラ活用、日本語の習得レベル、これをどう持っていこうとしているかということ、これを一つ一つ確認をしていきたいというふうに思います。

 各省庁、そうした意味合いを込めて、今のシステムの皆さんの政策というのを説明してみてください、ここで順番に。

君塚政府参考人 御指摘を踏まえて御答弁申し上げます。

 現在、現状を申し上げますと、御承知のとおり、特定技能、介護職種に係る技能実習、それから留学等の一部の在留資格に係る在留資格の認定証明書の交付申請、それから日系三世などの定住者の在留資格を最長にする場合の要件、あるいは日系四世の入国時、その後の期間更新における要件などにおいて、必要な日本語能力を求めているところでございます。

 それから、技能実習制度におきましては、技能実習生が技能実習の遂行あるいは日常生活に不自由しない水準の日本語能力を身につけていただくことができるよう、受入れ機関での実習の開始前に、日本語を含む講習を監理団体等の費用負担により実施することを義務づけているところでございます。

 その上で、本法案が施行された後は、認定を受けた日本語教育機関であることを在留資格、留学による外国人受入れの要件とすることを検討しているところでございます。

 このように、在留資格の審査などにおきまして日本語能力を求めることは、外国人に対する日本語能力の動機づけにも一定程度つながるものと考えております。

 その上で、昨年六月に決定いたしました外国人との共生社会の実現に向けたロードマップでございます。これは、先ほど先生の方から多文化共生という言葉がございましたけれども、その中における日本語教育の充実につきましては、市町村が都道府県等と連携して行う日本語教育の支援、それから、日本語教育機関の認定制度及び日本語教師の資格制度整備等の様々な施策が盛り込まれておりまして、現在、関係省庁が連携して施策の実施を進めているところでございます。

 それから、技能実習、特定技能の見直しに関する今御指摘がございましたけれども、まさに今、有識者会議の中で議論が進められているところでございまして、就労開始前の日本語能力の担保方策でありますとか、日本語教育に自発的に参画するためのインセンティブ化でありますとか、外国人労働者に対する来日後の日本語教育にかかる費用や必要な支援について、基本的に外国人労働者の負担とせず、受入れ企業等の負担としつつ、国や自治体が日本語教育環境の整備などの支援を適切に行いながら、日本語教育機会を充実させていく方向を検討すべきなどの提言といいますか、というような報告が中に盛り込まれているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今先生からの御指摘をしっかり受け止めまして、今日に至るまでのこの法律の制定経緯を踏まえながら、引き続き、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮しながら、関係省庁との連携を一層強化いたしまして、ロードマップあるいは法令に基づきまして、外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。

原口政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省でございますが、日本語関係事業につきまして主に三つございまして、一つ目が、今御紹介ありました、法務省との共管をしている技能実習制度において、入国後の講習といたしまして日本語科目の実施を義務づけております。そのほか、技能実習三号の受入れができるよう、優良な監理団体及び実習実施者のポイント計算をする際に、技能実習生に対する日本語学習支援等の取組を行っていることを加算項目としております。

 二つ目が、日本語に慣れておりません定住外国人で求職活動をされている方に対しまして、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上やビジネスマナーなどに関する講習を実施する外国人就労・定着支援事業。

 三つ目でございますが、外国人の介護人材が自律的に学習できるよう、日本語学習教材の作成、提供など、介護分野での日本語学習支援事業などを実施しているところでございます。

 今御審議中の日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に係る法律案における認定日本語教育機関や登録日本語教員につきまして、施行後の普及や養成の動向を踏まえながら、厚生労働省が行う日本語関係事業の質の向上に向けまして、これらの活用を検討してまいりたいと考えてございます。

杉浦(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、関係省庁と連携しまして、インドネシア、フィリピン、ベトナムとの二国間経済連携協定に基づきまして、看護師、それから介護福祉士候補者の受入れを実施しております。

 その際、候補者の日本語能力の向上及び国家試験合格率の向上が課題として挙げられておりまして、そういった観点から、こうした候補者が日常生活や病院、介護施設における日本語コミュニケーション能力を習得することを目的としまして、日本語研修を実施しております。

 本法案が成立した場合についてでございますが、こうした課題に対しての取組としまして、関係省庁と緊密に連携しながら、日本語研修において、本法案に基づく認定日本語教育機関等の活用の推進など、より質の高い日本語教育を提供するための方策を検討してまいりたいと考えております。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、日本語そして日本への関心を持たれる外国人の方が日本にお越しになる前の段階においても日本語について勉強できる機会を与えるという観点から、外務省におきましても積極的に取り組んでおります。

 具体的に申し上げますと、国際交流基金を通じまして、日本語専門家の海外派遣、海外の日本語教師への研修、海外の日本語教育機関の活動支援、オンライン教材を含む日本語学習教材の開発、提供などを行っております。

 加えまして、在留資格、特定技能制度の創設に伴いまして、海外において、外国人材受入れ拡大のための日本語事業の一環といたしまして、必要な日本語コミュニケーション能力を判定する日本語試験の実施、外国人向け教材の開発普及などを行っております。

 加えまして、JICAを通じましても、開発途上国からの要請に基づきまして、日本語教育に協力するJICA海外協力隊の派遣などを行っているところでございます。

 現在御審議いただいております本法案を踏まえまして、これら現行の支援に加えまして、日本語教育の質が保証された教育機関、教師の存在というものは、学習する外国人にとっても大変重要なものであると認識しております。

 外務省といたしましては、認定日本語教育機関、そして登録日本語教員の制度につきまして、関係国政府機関に対して積極的に周知、説明をいたしまして、日本語教育を実施している大学、日本語教育機関、日本語教師会等への情報提供なども相まって、日本語教育人材の選考について、登録日本語教員資格を選考要件の一つとすることなどについても検討しているところでございます。

 海外においても、このような認定日本語教育機関、そして登録日本語教員の制度について周知、紹介に努めるとともに、この制度を積極的に活用してまいる所存でございます。

山越政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、地方公共団体が多文化共生の推進に係ります指針、計画を策定する際に参考としていただいております、地域における多文化共生推進プランにおきまして日本語教育の推進施策について明示するなど、地域の実情に応じました日本語教育の推進を促しているところでございます。

 また、市町村が行います日本語教育等の取組等に対して支援を行います文化庁の外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業を始めとする、自治体が行います様々な日本語の教育の講座等に対して、必要な地方財政措置も講じているところでございます。

 今後、本法案の成立を受けまして、関係省庁とも連携しながら、今回新たに設けられる制度等に関する情報を地方公共団体の多文化共生担当部署に対しまして丁寧に情報提供し、広く周知を図るなど、地域における日本語教育の推進に努めてまいります。

中川(正)委員 ありがとうございました。

 格好よく答えているけれども、実態は、満遍に日本語教育の動機づけができているかというと、全くそうでないという現実がある。それは皆さんしっかりつかんでおられると思うので、更に横串を刺して、それを今回の質の保証された機関で受け止めて、それで日本語教育のレベルも上げていくという努力をしていただきたいと思います。

 そのために、日本語教育推進法の中に、第四章で日本語教育推進会議というのを設置をして、各省庁集まって、皆さんが議論をする機会があるんです。これはしなきゃいけないということになっている。この会議のテーマはまさにそこなんですよね。そこで、どうぞ文科省の方がリードをしていただいて、入管の方がそれに制度設計しながらしっかりサポートして、横串を刺して、できる限り、日本語、もう義務化をしていくというかな、そこまでの意識を持って頑張っていただきたいということ、このことを申し上げたいと思います。

 それからさらに、もう時間がなくなったので、お願いをしたいことだけにとどめますけれども、実は、それをしていく前提で、義務化すればするほど、コストを誰が負担するんだという話になってくるんです。

 これがまたばらばらで、整理がされていないというところがありまして、それぞれの形態、就労の形態とか生活とか留学とかあって、それぞれの形態と、それぞれの入管のシステムの中で整理をした上で、法律で義務化に近づけていくという作業が必要なんだと思うので、ここのところを、予算づけ、国や地方自治体の予算づけも含めて体系化をしてもらいたいということであります。そこができて初めてこの法律が生きてくるんだということ、このことを今日は指摘をさせていただくと同時に、この法律でもって、次の、新しい日本の外国人の受入れの時代というのをつくっていくという、そんな気概を持って頑張っていきましょうというエールを送らせていただいて、今日の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 早速質問させていただきたいと思います。

 私も、本委員会で、日本語学校に関連して、過去何回か質問させていただきました。日本語学校教員の処遇の問題、また、コロナ禍で大変厳しい環境に置かれている日本語学校経営などについての内容だったというふうに思っております。

 そうした中で、一月に取りまとめられた、日本語教育の質の維持向上について、こういう報告文書が出されておりまして、読ませていただきました。気になったのは、コロナ禍において日本語学習者の数は一時的に減少した、この一言で片づけられているという点であります。

 コロナ禍で外国人の入国が制限された二年間の日本語学校の実態こそ、現在の日本語学校が抱える問題点、これが如実に表れたのではないか。これをきちんとつぶさに検証をして、課題がどこにあるのかということを明らかにしていくことが私は大きな課題だというふうに思います。

 昨年三月、法務省の告示機関の関係六団体が議連の会議に資料提出をされました。かなり衝撃的な内容でして、二〇二〇年は新規入学者がコロナ前から半減、二一年はほぼゼロ、そういう状況で、今後三か月間に経営が破綻しかねない日本語学校が二五%、四校に一校がそういう危機にある、さらに、六か月のスパンで見ると破綻の可能性があるのが四割だというような話がありました。

 その後、段階的に水際対策は解除、緩和されてきまして、結果的にはそういうふうにはならなかったというふうに承知しております。それでも、入国制限の二年間、日本語学校が大変厳しい状況にあったのは事実だろうというふうに思います。

 そこでお尋ねいたしますが、入国制限のあった二〇年から二一年にかけて、日本語教育の機関や施設の数はどう推移したのか、また、あわせまして、コロナ前と比べて、二一年、二二年の二年間で日本語学校の教員の数はどのように推移をしたのか、教えてください。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の調査によりますれば、日本語教育実施機関、施設等の数は、コロナ禍前の令和元年度では二千五百四十二校、直近の令和三年度では二千五百四十一校となっております。

 また、日本語教師等の数は、コロナ禍前の令和元年度では四万六千四百十一人、直近の令和三年度では三万九千二百四十一人と減少しているところでございます。

吉川(元)委員 冒頭申し上げましたとおり、今回のコロナでどういうことが起こったのかというのをなぜ見なきゃいけないか、今の数字に非常によく表れていると思います。いわゆる学校、機関については、コロナ禍で一校だけ減ったと。残った学校も大変厳しいのは事実なんです。ただ、結果的には機関としては残ったわけです。ところが、今答弁にあったとおり、教員の数、四万六千四百十一人が三万九千二百四十一人。約七千人、率にすると一五%減少をしている。

 また後ほど質問いたしますけれども、結局、非常勤が非常に多いということ、それから、給与の体系が、こま数に合わせて、何時間授業をしたかによって給与が決まる。つまり、生徒がいなければ授業もないわけですから、結果的に言うと、もう食べていけないような、そういう実態にあった。そういう中で、とりわけ若い世代が日本語教師に見切りをつけて、業界から退出が進んだ、こういう実態なんだというふうに今の数字に表れておりますし、実際そういうお話を伺っております。

 結局、コロナ、大変な状況、みんな大変な状況だったんですけれども、そのしわ寄せが、最も弱い人たち、非正規の教員にしわ寄せが行ったというのが、これが今回の実態なんだろう。この点をしっかりと、文科省、認識をしていただいて、こうしたことは、この後どういうふうになるか、またいろいろなことが起こると思いますけれども、弱い人たちがきちんと守られるような制度を是非つくっていただきたいというふうに思います。

 関連してお聞きしたいと思って、実は、昨年三月から入国制限が徐々に緩和されてきたわけですけれども、昨年三月末の時点で、待機留学生の数は十五万人を超えていたと。法務省告示機関の関係六団体の当時の資料では、待機留学生が四月に入学できなければ、入学の取消しや学費の返納、奨学金の打切りなどの措置が予想されるという強い懸念が示されております。

 実際どうなったのかというお話を昨日レクの際に尋ねたんですけれども、文化庁、文科省、それから法務省、厚労省、いずれも実態を把握をしていないということでございました。

 やはり、なかなか調べるのは、難しいのは難しいと思います、なぜ留学を取りやめたのかの理由まではなかなか、特に海外からということですから難しいと思いますけれども、こうした点も是非できる限り調査は調べていただいて、そして、今回のコロナがどういう影響を与えたのかということについても是非内部で検討いただきたいというふうに思います。

 そこで、昨年の質問の際にも取り上げましたが、コロナ禍にあっても、他の国を見ますと、長期の滞在を予定している留学生に対しては、先進国、その多くが留学生の入国制限を行いませんでした。イギリス、ドイツ、韓国では、コロナ禍にあって、むしろ留学生の数が増大している事例もございました。

 片や日本では、入国制限により日本語学校の経営は危機に瀕し、そのしわ寄せは、今言ったとおり、教員に及ぶ。さらに、日本に入国できずに、失望して留学を断念、あるいは留学先を他国に変えてしまった事例、これは、聞いたところ、分からないというお話だったんですが、実際、新聞なんかでも数多くこうした事例が取り上げられております。

 昨年の質問の機会に、入国制限と留学生の受入れの関係、今後どのように整理していくのかと尋ねたところ、当時の末松大臣からは、文科省独自で判断できることではないとして、答弁は差し控える、そういう答弁がございました。

 今回、二類から五類に引き下げられ、入国も正常化されております。こういう時期だからこそ、コロナというのは、今回でこういうことは終わりなんだというわけじゃなくて、いずれまた同じようなことが起こっていく、そうしたときに、今回の教訓をしっかり次の機会に生かしていかなければいけないということで、その場合、入国制限、特に長期の留学生、これは、私は個人的には日本人と同じ扱いにすべきだと。長期、つまり一年とか二年とかそういうスパンで留学される方について、日本人と同じように扱って、もちろん検疫はきちんとしなきゃいけないですけれども、同じような扱いにすべきだというふうに私自身は思っておりますが、これをどうしていくのかということについて、私は検討すべき時期だというふうに思っております。

 そもそも、これは検討したのか。昨日のレクだと、どうも余り検討している雰囲気ではなかったんですが、仮に検討していないとすれば、今後きちんと検討していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 感染症発生時の水際対策につきましては、その感染症の性質であるとか、また国内外の感染状況、そして主要国の水際対策の状況などを踏まえまして、政府全体で適切に判断されるべきものであることから、外国人留学生の入国条件につきまして、あらかじめ検討を行うということは難しいのかなというふうに認識をしているところでございます。

 一方、外国人留学生の受入れは、外交や教育研究分野などの様々な観点で大変重要なものであるというふうに考えております。

 文部科学省では、コロナ禍において、感染状況に応じて、関係省庁との連携の下、例えば、留学生の速やかな入国を実施するための留学生の円滑入国スキームなどの対応を行ってきたところでございます。また、今後、新たな感染症が発生した場合には、その状況を踏まえつつ、関係省庁との連携の下で、その時点で取り得る最善の対応を行いまして、外国人留学生の円滑な入国に全力を尽くしてまいりたい、そう考えているところでございます。

吉川(元)委員 ちょっと余り納得のいく答弁ではございませんでした。

 いろいろなケースに分けてあらかじめ検討しておくということは、私はできると思いますよ。もちろん、全てのケースに当てはまらない特殊なケースが出てくれば、それはどうしようもないことですけれども。

 今回、例えば、実際、諸外国の例を見れば、先ほどお話ししたとおり、イギリス、ドイツ、韓国では、入国制限を行わず、そして、コロナ禍でかえって留学生が増えている。日本だけがほぼ鎖国に近いような状態で。

 ただし、日本人については、例えば一週間なり十日間なり、場合によってはもうちょっと長くしたとしても、取りあえずホテルに入っていただいて、それでもって、また、公共交通機関は使わないとか、いろいろなことを使いながら、帰国は認めているわけです。短期の滞在はなかなかそういうわけにはいかないと思いますけれども、先ほど言った長期の留学については、なぜ日本人と同じ扱いにできないのか。もちろん、ケースによってはできない場合もあるかも分かりませんが、ただ、それぞれをあらかじめいろいろ検討しておくこと自体は、私はやってもおかしくないと思います。

 その検討すらしないで、また次の感染が来たときにゼロからスタートしたら、また今回と同じようなことになる。文科省は四十万人の留学生を受け入れるという話をされているんでしょう。感染が起こったら国境が閉ざされるかも分からない、全然入れなくなるかもしれないというような国に、安心して留学を希望されるというふうにお思いですか。是非、ちょっともう一回きちんと、ケースに分けて結構です、他の省庁、関係省庁と含めて政府の中で検討してください。

永岡国務大臣 吉川委員のお話、本当にごもっともという気持ちで今いっぱいでございます。

 しっかりと関係省庁と、これからあるであろう感染症対策のためにも、入国の、留学生の長期留学の学生さんに対しての対応、これはしっかりと各関係省庁と連携をしながら議論を進めていきたい、そう考えております。

吉川(元)委員 よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、日本語の、先ほど少しお話ししましたけれども、教員について話を聞きたいというふうに思います。

 文化庁の資料を見ますと、二一年度の日本語教師養成機関の課程修了者のうち、日本語教師関連の職に就いた人は僅か一五%。さらに、一月に取りまとめられた報告書を見ますと、大学の養成課程を経て教師になった人は一割に満たないということが記述されております。

 これは、我々、日頃からこの文科委員会で、小学校、中学校の教員採用試験、倍率が非常に低下してきて、教職課程を経て教員を選ばなかった人が増えてきている、大きな課題だというふうに議論してまいりましたけれども、非常に似た傾向が見受けられますし、割合からいうと、いわゆる小学校、中学校の教員の採用の比にならないぐらい、いわゆる日本語教師の養成を受けているにもかかわらずそれを選択をしない、これは何でなのかなと。その点について、どういうふうに文化庁としては認識をされておりますか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、文化庁の調査によれば、例えば大学の通学制学部の養成課程を経て実際に日本語教師になる者は一割以下となるなど、日本語教師として就職する割合は低いものとなっています。

 この日本語教師の確保が困難であることにつきましては、文化庁の有識者会議において、専門性を有する教師が不足する中で、職業としての日本語教師の社会的認知の低さ、そして、日本語教師の処遇を含めたキャリア形成が明確でないことなどの状況があると御指摘いただいているところでございます。

吉川(元)委員 やはり私は処遇だというふうに思うんですね。この間、私もこの委員会で質問してまいりましたけれども、非常に処遇がよろしくないという状況で、例えば、法務省告示機関の日本語学校で働く教員、これは二一年度ですけれども、について見ると、常勤が三四・三%。一〇〇から三四・三を引けば残り六五・四%、これは非常勤になるわけです。

 これから非常に大きな役割を担っていく日本語教育の担い手が非正規の非常勤の方々によって支えられている現状、これはどういうふうに評価するのかということと併せて、私自身は、今の非正規が三分の二を占めている状況をやはり改善をして、つまり、日本語教師として職に就けば将来安定して生活も営める、しっかりと処遇がされる、こういう環境をつくるためにも、正規の常勤に移行できるようにしていかなければいけないというふうに考えております。

 今の現状、非正規が多い現状と、それから、今後どういうふうにこれを変えていくことがよいのか。文科省、大臣のお考えを伺います。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、御指摘のとおり、文化庁の調査では、法務省告示機関におけます日本語教師等のうち、およそ六五%、これが非常勤ということになっております。

 これは、各日本語学校におきまして、学生や教員の状況、そして経営判断、また雇用情勢など、様々な事情が働いた結果で現在の状況となったものと考えております。

 このため、今後、日本語を学びたい外国人の数が安定的に増加するなど、将来の見通しが明らかになれば、期間の定めのない常勤職員、いわゆる正規職員を雇用できる環境というものが整ってくることも予想されると考えております。

 いずれにいたしましても、常勤、非常勤に関わりなく、日本語教員がその専門性を高めていただくことがまずは重要と考えておりまして、教員の登録制度の整備ですとか研修の充実によりましてその専門性を高め、処遇改善につながっていくよう、そういうことに努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 専門性を高めるというのは、それはもちろんそうだと思います。ただ、今やられている方も十分専門性は、私もお話ししましたけれども、非常に高い方です。それが処遇とリンクしていないんですよ、今。幾ら専門性を高めていっても非常勤のまま、非正規のままというのが今の現状なんです。

 私は、健全な今後の日本語教育の発展を考えたときに、ここの部分をやはり変えていかないといけない。もちろん、経営判断というのはあるでしょうし、文科省が直接そういうことを指示できるような立場にないということも理解しておりますけれども、やはり、これからの政策、いろいろな日本語教育についての政策を行っていく際に、まず教員の処遇の改善をどうしていくのかということを真っ先に考えた上で、いろいろな制度設計をしていただきたいというふうに思います。

 あわせて、関連でお聞きしますけれども、文化庁のデータ集を見てみますと、告示校の非常勤の方は、六割近くが授業こま数を基本単位とした給与体系、月給制は僅か四・五%にすぎません。

 これはまさに今回のコロナ禍で明らかになったんですけれども、授業がなければ給料が下がる、しかも、その給料の下がり方が劇的に下がっていく。当然、食べていけないわけですよね。そうしますと、ほかの仕事をやったり、あるいは、結局、見切りをつけて辞めていく、こういうことが頻発をして、先ほど冒頭に質問いたしました、教員の数が大幅に減ったということにつながってきたんだというふうに思います。

 授業こま数を単位とした給与体系、これは実は、授業の準備や、あるいは生徒との接触する時間、これは含まれていないんですよね、給与の中に。つまり、授業をやったこま数を基にして、それだけを見て給与が支払われる。こういうことではやはり私は処遇の改善につながっていかないというふうに思いますけれども、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の調査によれば、法務省告示校では、非常勤教員の給与体系として、授業こま数によるものが多い傾向にございます。

 ちなみに、一般論ではございますけれども、例えば大学の非常勤講師でも授業こま数を基に給与計算されますことから、非常勤教員という形を取るのであれば、その給与は普通、授業こま数を基に計算されるものと考えられます。

 ただし、法務省告示校の非常勤の場合は単価が低いため給与が低くなっているということでございますので、やはり、日本語教師としての社会的地位を高めるということで、その専門性が適切に評価された処遇が受けられるようにしていくことが重要と考えられます。

 このため、本法案を契機に、日本語教師の必要性、専門性の社会的認知を高め、さらにその処遇につなげてまいりたい、このように考えております。

吉川(元)委員 言葉を返すようで申し訳ないんですが、大学も確かにこま数で非常勤の講師はやられている、だからこれでいいんだという話ではないと思うんですよね。

 大学の非常勤の講師についても、本来、こま数で、単価を物すごく高く取っていればいいですよ、だけれども、こま数に応じて給料が支払われるというやり方が非常に不安定な雇用を生み出しますし、大学の方ね。そこでやっているから、こっちもこれでいいんだという話は、私はそれはそういうふうにはならないというふうに思いますし、しかも、今答弁にあったとおり、単価も非常に安いということであれば、これはやはり問題意識を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 実際、法務省告示校の教員の年収、四百万円未満が七割になっている。これは、私も本委員会でも度々、ほかの委員も含め、取り上げられてきたというふうに思います。

 二〇二〇年三月の本委員会で、告示校で労基署から是正勧告を受けた事例を取り上げました。いまだに、教員の採用に当たって労働条件通知書を交付しないといったような事例があるというお話も聞いております。

 そこで、厚労省に伺いますけれども、労働条件通知書、これは交付する義務があるという理解でよろしいでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法第十五条では、使用者は、労働契約の締結に際しまして、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないこととされておりまして、就業の場所や始業、終業時刻といった事項については、御指摘の労働条件通知書といった書面の交付等の方法により明示しなければならないこととされております。

吉川(元)委員 通知書が交付されていないということは、労基法違反なわけですよね。ただ、いまだにそういうものが散見されるという話を聞いております。これ以外にも、雇用契約書を交わさないだとか、就業規則が整備されていない、あるいは、翌日の授業準備の業務が超過勤務の対象にされていない、こういった事例が散見されております。

 ところが、法務省の日本語教育機関の告示基準、ここでは、教育課程については条件が細かく設定されておりますけれども、教員の働き方については、唯一、一週間の授業担当時間数を二十五単位以内とするとしかないわけです。

 今回、認定日本語学校の設置者に対して、公表、定期報告の義務が課され、文科大臣が段階的な是正措置を講ずることができる、こうした規定が盛り込まれております。

 この公表、報告事項は、内容については省令で定めるということになっておりますけれども、日本語教育の質保証のための認定日本語学校制度ですから、この際、設置者には、教員の処遇のことについても、今実態がどうなっているのか、そうしたことについて報告を求めていいのではないかというふうに私自身は思っております。

 それぐらいのことをしていかないと、やはりメッセージが私は伝わっていかないのではないか、また、必要であれば、厚労省と連携して、日本語学校教員の労働環境について調査、現状把握に努めていただきたいと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 今般の法案では、認定日本語教育機関の教育活動を定期的に国が把握する観点から、各機関における日本語教育の実施状況、これについて毎年報告を求めることとしているわけでございます。

 そのため、例えば、入学者数、あと修了者数、そして日本語教育課程の活動内容等について報告を求めることを想定をしているところでございます。

 なお、あわせまして、本法案では、関係行政機関の長との協力について規定をしております。

 今後、労働法制上の問題がある事案を把握した場合には、関係する厚生労働省と情報共有するなどの連携を図りまして、必要な対応をしっかり取っていただくことになる、そう考えているところでございます。

吉川(元)委員 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 教育の質を担保していくために必要なことというのは、やはり、そこの教師の皆さんの処遇の改善、これは不可欠。処遇が低いままで質だけ上げろなんというのは、こんなのできるわけがないわけでありまして、是非その点を念頭に置いて、今後対応をお願いしたいというふうに思います。

 また、次は、現職教員の扱いについてですけれども、五年間の経過措置が設けられたというお話を聞いております。詳細については、今後、有識者会議等で、審議会になるのかな、議論されるというふうにも聞いております。

 この会議の場に、日本語学校の経営者だけではなくて、当事者である現場の教員、できれば常勤と非常勤、両者を含めるのが私はベストだというふうに考えますが、こうした、最低でもこれら現場の声が反映されるような仕組みにすべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、具体的な経過措置につきましては法案成立後に審議会の検討を経て決定してまいりますが、その際、パブリックコメントなどにおきまして、正規、非常勤を問わず、現職教員の方の御意見を聴取できるよう努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これから検討し、またパブコメ等ということですけれども、私は、審議会のメンバーの中に直接入っていただくのが一番いいと思います。というのは、やはり見方が、立場立場でそれぞれいろいろな見方があるというふうには思いますけれども、当事者でありますから、その人たちが審議会の中に入って、やはりきちんと今後の仕組みづくりについて参画をしていくというのは私は必要だというふうに思っております。

 パブコメでも既に指摘されておりますけれども、現職教員の年齢層、比較的高いのが実情だというふうに理解しております。ここに新たに講習やあるいは試験を義務づけるのであれば、先ほど言ったとおり、処遇がいいのであれば、しっかり講習を受けて、あるいは試験を受けてと思うけれども、今言ったとおり、処遇が大変よくない状況の中では、じゃ、この際、新たにまたそういうことをしなきゃいけないのであればもう辞めよう、そういう声は実際に起きているというような話も私も聞いております。

 私自身は、現職教員による登録日本語教員の資格、告示校の教員であればそのまま資格が取得できるように、あるいは講習を受けた段階で資格取得になるよう、できる限り取得要件を緩和すべきだというふうに考えておりますし、あわせまして、そうならないにしても、例えば、講習やあるいは試験もあるということであるのであれば、その負担をできる限り小さくしていく。今言ったとおり、今でも非常に賃金が安いという状況、そして労働も過重であって、そうしたことが現職の教員の肩にずっしりとのしかかっております。そうした、費用を軽減をしていく、あるいは、実習や研修については、例えば労働時間内に実習を行うなどの負担軽減が必要だと思いますけれども、こうした点について、文科省、どのようにお考えでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の現状につきましては、我々の方も課題だというふうにまず認識しております。

 令和四年度の有識者会議報告書では、現職日本語教師を対象とした経過措置を検討することとしております。具体的には、日本語教育能力に関する民間試験のうち一定の要件を満たすものにつきましては、近年の状況変化を踏まえ、新たに習得が必要と考えられる知識につきまして、講習を修了することで試験に代替するものとして検討することが提案されておりまして、金銭的、時間的な負担が少ない在り方についても検討しているところでございます。

 また、登録日本語教員になる際の手数料につきましては、今後、政令において実費を勘案した額を定めることとしており、この面からも、金銭的な負担にも配慮してまいります。

 こうした措置を通じまして、現職教員の皆様が登録日本語教員に円滑に移行できるよう努めてまいります。

吉川(元)委員 そうしたことも含めて、先ほど言った審議会なり有識者会議に是非現場の声を反映をさせていただきたいというふうに思っております。そうすれば、今働いている方々がよりスムーズに新しい資格を取得をして、いわゆるシームレスに教育が続けられる。その環境を、せっかく新しいものをつくっていくのであれば、今あるものを生かしながらつくっていくということが大変重要な課題だと思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 もう時間がほぼ参りましたので、最後に一点だけ、私からの要望ということでお話しさせていただきたいというふうに思います。

 現在、法務省告示校で日本語教員になるための要件の一つに、日本語教育能力検定試験というものが存在をしております。この資格を持っていても、登録日本語教員になるためには、五年間の経過措置の中で講習と講習修了認定試験を受ける必要があります。さらに、これとは別に文科省が二段階の筆記試験を実施するとなると、この日本語教育能力検定試験の資格を持つ意味が極めて曖昧になってしまう可能性があります。

 伺いますと、これは結構難しいらしいんですよね。受験者のうち合格するのは三分の一と。当然、この間の十分な知見も持っておられますし、問題を作成する能力も十分あるということを踏まえますと、これを今後どうしていくのかということについて、これは生かせるような形で是非検討をいただきたいというふうに思っております。

 是非、冒頭申し上げましたとおり、今回のコロナで明らかになったのは、結局、いろいろなしわ寄せが弱い人たちに行く、しかもそれは現場の人たちに行っているという、この実態を改善していくためにも、今回の法改正というのは私は必要だというふうには思っております。

 結局、質の担保というのは、何度も繰り返しますけれども、人の投資によって質の担保というのはできるんだということを是非肝に据えていただいて、これからの、文科省として、日本語学校が更に発展していけるように努力をお願いして、私の質問を終わります。

宮内委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。

 大臣、よろしくお願いします。

 私は四国の愛媛の議員でありまして、地方です。地方の中でも、県庁所在地ではないところの地元を選挙区としている議員です。そこの実情を踏まえた質問とお願いをしたいと思います。

 そこはやはり高齢化が進んでいますから、ですから介護の担い手が不足しております。加えて、地方の工業地帯でもあります。物づくりをしている。そこでもやはり物づくりの担い手が不足しているわけですね。そんな中で、外国人のお力というのが非常に貴重になってきているということであります。

 外国人に来てもらって、そこで働いてもらう。どうしても日本語でのコミュニケーションというのが必要になってくるということです。今回のこの法案というのは、日本語能力を高めるという方向では非常にいいものなんですけれども、そこの現場のお話を聞いて、さらに、これをもっと生きたものにするということが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 特に今、地方の現状に加えて、円安ということもあります。円安ということは、これは外国からのインバウンド、観光についてはいいですけれども、そこで、日本に入ってきて、働いて、貯金をして、それを稼ぎとするという意味では、これは不利な条件になっているんですね。ですから、アジアを中心とした外国人の働き手に日本に来てもらってくるには、今、不利な状況、競い負けをしつつある。

 どうしてもやはり日本に行ったら日本語を勉強しないといけない、一方、英語圏だったらもっと楽だ、汎用性もあるということで、オーストラリアだったりカナダだったりというところには魅力で負けてしまったり、あるいは、国を挙げてそういったところからの労働力という形でお招きをしている国、例えば韓国にも負けつつある。ですから、この日本語の、外国人にとってはハンディをどう緩和していくかということが必要なんですね。

 それを担っているのが日本語教育機関、日本語学校ですけれども、そこのお話を聞くと、教員のなり手不足、東京だったらいざ知らず、やはり地方の、地方の中でも県庁所在地ではないところで教員をやってくれる人が少ないと。

 学級というのは、大体二十人が限度みたいです。特に、初歩的なところ、N5であったり、そういったところから始める人というのは、日本語というのはどういうものかという、学び方から教えていく。それはどうしても対面じゃないといけない。ですから、限界があるわけですね。二十人に対して一人の教員ということで、本当は定数はもっと多いんだけれども、教員のボトルネックからして、生徒を受入れする数に制限がかかっているということなんです。

 そこで質問なんですけれども、特に地方で教える日本語教員を確保する政府の具体的な取組を教えてください。

永岡国務大臣 申し訳ありません。今ちょっと、数を教えてと言われたような気がしたので。取組でございますね。(白石委員「はい」と呼ぶ)

 お答え申し上げます。

 我が国の在留外国人の人数というのは、今よりももっともっと増加をすることが見込めているところでございます。日本語教師の質的、量的な確保というのは、そういうこともありまして大変喫緊の課題である、そう思っております。

 白石委員御指摘のように、地方におきましては、日本語教師不足、これが課題となっている状況にございまして、国内の日本語教師数に地域差があるということもありますし、また、大学などの養成課程を修了しても実際に日本語教師となる者が少ないということなど、やはり雇用のミスマッチが生じているという認識でございます。

 そのために、日本語教師養成を行います学校などを拠点といたしまして、地域にあります日本語教育機関、そして地方公共団体ですとか、また経済団体などがネットワークを構築をいたしまして、その中で、地域の課題ですとかニーズを共有をして、そして、日本語教師の養成を担う者の育成ですとか、養成課程修了者などへの就職支援などの取組を行うことが重要である、そう考えております。

 こうした取組を通じまして、日本語の登録教員の質的、量的な確保につなげていきたい、そういうふうに考えているところでございます。

白石委員 これまでも質問して、それは全部読んでいます。結構まだ抽象的だと思います。

 もっと具体的に、私のところでも、一つ、学校法人、日本語学校があります。そこでは、本当に奇跡的な出会いに頼って教員を確保しているんです。

 そういったところで、ネットワークを地方自治体と云々ということなんですけれども、具体的にどういうことなんでしょうか。

永岡国務大臣 文化庁におきましては、日本語教師養成の充実ですとか、また日本語教師の確保に向けまして、令和五年度予算事業において、全国六地域におきまして、地域の実情を踏まえた養成や研修の担い手を育成するプログラム開発、また研修などを実施をする、大学などを拠点といたしましたネットワークを構築することとしているところでございます。

 このような地域単位の取組を通じまして日本語教師養成課程のより一層の充実というものを図りまして、専門性の高い日本語教師を全国で確保するとともに、効果的なオンライン活用の在り方などについても検討を進めているというところでございます。

白石委員 もっと具体的にしていきたいんですけれども、今大臣がおっしゃったやつは、研修事業で、日本語教師の学び直し、アップデート事業のことを指しているような気がするんですけれども、これは予算二千万円ですね。二千万円でオンデマンド研修をしますよということなんですけれども、予算の規模もそうですし、オンデマンドでやりたい人を募ります、これじゃ弱いんじゃないでしょうか。このことを指しているということであれば、これは弱いです。

 何かもっと展開できるようなものはありませんでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、やはり地方の方では日本語教師の確保は大変課題となっております。

 一方で、今の委員御紹介いただきました日本語教師の学び直し・復帰促進アップデート研修事業六千万円、令和五年度からでございますけれども、これは新規の予算でございまして、誠に申し訳ありませんが、文化庁の方でも今、急ぎこういった事業を起こしまして、しっかりと対応しなきゃならないというふうに認識しているところでございます。

 いずれにしましても、各地方の、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、全国六地域においていろいろな研修のプログラムを開発していくわけでございますけれども、地方の今の実情にしっかり対応できるように、更に充実させていきたいというふうに考えております。

白石委員 私が思うに、これまでは法務省の所管だった、それが文科省の所管になって、そうすると、先ほど来出ている、大学の日本語学科の教授とも接点がより深くなったと思うんですね。

 例えば、地方で医師不足になったら、大学の医学部に行って、医局に行ってお願いして、卒業生を是非うちの地域へというふうにお願いに行く。それは、病院の院長とかが日参してお願いしたり、あるいは地方自治体もお願いに行く。こういった取組が日本語教師にも必要なんじゃないかな、それが法務省から文科省に移管した一つの意義でもあるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今御指摘のような、いろいろな他省庁の事例とかをよく研究いたしまして、我々もしっかりと、どのような形で日本語教師を確保するかというのを考えていかなければならないと思います。

 先ほども少し申し上げた事業は、更に大きなくくりといたしましては、日本語教師の養成及び現職日本語教師の研修事業という形で、全体では三億円ほどの形となっておりまして、その中では拠点の整備といったこともやってございます。またこのメニューもいろいろ拡充させながら、今委員御指摘のような点につきましても、うまくこの予算とかで、さらに予算などでしっかりと対応できるように考えてまいりたいと思います。

白石委員 日本語教育施設は、もう公共的な存在になってきていると思います。地方で困っている働き手を、より円滑に働いていただく。

 これはトラブルの防止にもなります。外国人のトラブルというのは、大体がコミュニケーション不足に起因するものがほとんどだというふうにも聞きます。ですから、日本語でコミュニケーションをちゃんと取っていれば、トラブル、そういったことも防げるということもありますので、日本語教員を地方に配属してもらうにはどうすればいいかということを、今回のこの法案で、よりその機関あるいは登録教員という意味でハードルを上げるわけですから、でも、一方、やはり公的な存在という意義も高まったわけですから、それの配属についても、より関与してください。中に入り込んでお願いに行く、日参するということにまた文科省も手をかしていただきたいなというふうに思います。

 それで、特に、日本語教員の養成校というのは首都圏にあるわけですけれども、そういった教員が地方で働くというのは、やはり待遇面というのがあると思います。

 先ほどもお話がありましたけれども、年収四百万円以下の方が七割ですということで、それを賄うのは、外国から来た留学生の入学金と授業料だけで賄うというのは難しいです。それは経営側としては、もっと上げたいであるとか、正社員にしたいというのもある、そうじゃないと教員が確保できないんだと。でも、やはり、働き手としていわゆる貧しいと言っていい経済環境のところから日本に来ていただく方々に多額の入学金、授業料をお願いするのは難しいです。

 そういう意味から、日本語学校、日本語教育機関に対して運営交付金のようなものをつくるときが来ているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案は、多様な設置主体により様々な事業内容を展開をしております日本語教育機関のうち、日本語教育の質を確保する観点から、一定の要件を満たすものを国が認定をすることで、在留外国人の日本語教育の環境整備というものに寄与するという仕組みでございます。

 公の支配の下で学校教育法による設置認可等を行うものではないということはお分かりのことと思っております。このため、日本語教育機関への経常経費の措置を行うことにつきましてはやはり慎重な検討が必要、そう考えております。

 こうしたことから、文部科学省といたしましては、経常経費の支援という形ではなくて、やはり公益性の高い政策的な取組への支援という形で、例えば、関係省庁との連携によります当該機関に関する多言語での情報発信であるとか、また、登録日本語教員に対します留学、就労、生活者の日本語教育に必要な研修の支援であるとか、いろいろございますけれども、こういう事業を通じまして、認定日本語教育機関が、留学生だけではなくて、就労者、生活者や、また企業、地方公共団体等に活用されるような支援というものをしていきたいと考えております。

白石委員 これまでも、設置主体が多様であるからということを枕言葉につけるんですけれども、それは余り私は理由にならないんじゃないかなというふうに思っています。なぜなら、ほかの、例えば中小企業庁の補助制度というのは、もう株式会社に対する補助がほとんどですよ。やはり補助した以上はトレースするということで、それをカバーしている。

 だから、文科省も、学校法人がほとんどだと思いますよ、私の地域では学校法人です。でも、株式会社もあるでしょう。あるにしても、まずは学校法人から始めるでもいいですし、株式会社も対象としつつ、その資金のトレースをちゃんと見ていくという形で、さっき次長がおっしゃった六千万とか、二千万とかそういうレベルではなくて、公的な役割を担っている日本語教育機関に対する運営交付金的なものを考えていかないと、もう日本は人口減少で、更にそれよりも速いスピードで働き手、担い手不足が進んでいるわけです、特に地方で。だから、そんなことを言っていたら本当に間に合わないという危機感があります。

 ですから、教員が来ない。教員も結局はやはり待遇だ。ステータスとかといっても、やはり待遇が大事だ。待遇をするにしても、裕福なところからの留学生だけじゃない。むしろ、稼ぎに来ている人というのはお金がない方々。そういう方々を支える、そういう日本語学校については運営交付金的なものを是非検討していただきたいんですけれども、大臣、もう一度、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 日本語教育機関の設置主体というのはもう多様でございます。例えば、法務省の告示校の半数以上は株式会社によりまして設置をされております。このように、日本語教育機関の設置主体の組織や目的等は様々であるということでございます。

 認定機関への経常経費の一律の措置を行うということ、それをするかしないかということは、やはり相当慎重な議論、検討が必要、そういうふうに考えているところでございます。

白石委員 ちょっと形式論に終始しているんですけれども、それよりも大事なことがある、だからそれを乗り越えていただきたいということなんですね。ほかの省庁では株式会社に対しても補助している中で、何で文科省の助成措置については株式会社に対してそのような拒否反応が出てくるのか、これはちょっと私、理解できないんですよ。

 何か経緯を知っている人がいたら、お願いします、政府参考人で。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の株式会社への補助金という形につきましては、基本的には、政策的な目的があり、その政策に基づいて補助をするという格好でございます。

 運営費交付金の場合はそうではなくて、経営そのものについて直接お金を入れるということでございますので、その経営につきましては、その担う方々、どんな形の主体が動くのか、それからどういう形で事業が展開されるのかについては、法的にきちっと整理されて、しかも公の支配に入っているという形でないと、基本的には、そういう民間の活動に国の公費が入ることについては難しいという実情はございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、早いところ何とか支援したいという気持ちは、我々も、文化庁ももちろん考えておりまして、それで、今、取りあえず、先ほど申し上げているのは、公益性の高い政策的な取組の支援という形でございますけれども、まずはやれることからやっていき、そのこれからの運営を見ながら、更に次の発展へと考えていきたいというふうに考えております。

白石委員 今の例えば年間三億では全然間に合わないと思います。教員の待遇改善につながらないと思います。

 ですから、株式会社にそれほどこだわるのであれば学校法人から始めるとか、まずはやれるところからやるというのであれば、それから始めたらいかがでしょうかね。でないと、今少子化対策をやっていますけれども、これは劇的な効果を上げたとしても三十年後ですよ。じゃ、今はやはり外国人に頼らないと成り立っていかない。それも、そんなことを言っていたら、本当にいろいろなところで破綻が出てきますよ。まずは地方から破綻していきます。それを防ぐためにも、是非お願いします。

 次の質問ですけれども、技能実習生ですけれども、技能実習生が来られる前に、日本語の勉強と、基礎的な日本語学習の方法だけでも勉強してほしい、そして、日本で生活するということの日本語、ごみ出しとかですね、そんなことも身につけておくことが望ましいというふうに思うんですけれども、これから技能実習生ももっと人数、増えてくると思います。そんな中で、この取組について政府はどのようにされているでしょうか。

高見大臣政務官 技能実習制度におきましては、適正な技能実習の実施及び技能実習生の保護の観点から、技能実習計画の認定基準として、監理団体が日本語その他の科目について、その他の科目というのは、委員がおっしゃいましたような、ごみ出しであるとか、そういう日本で暮らしていく上の基本的なルールを含みます、技能実習生が入国後に、実習実施者における技能実習の開始前に一定期間講習を実施することを求めております。

 委員御指摘の入国前の話でありますけれども、当該講習について、入国前に一月以上の期間かつ百六十時間以上の課程の講習を実施している場合には、入国後に実施することとなる講習の実施時間を短縮することが認められております。

 この点、技能実習制度につきましては、現在開催されている技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議におきまして、外国人の日本語能力の向上に向けた取組を論点の一つとして御議論いただいております。

 同会議の中間報告書案では、その検討の方向性として、外国人労働者が来日する際に日常生活及び職業生活に必要な最低限の日本語能力を有することは重要でありますことから、入国時の試験や入国後講習などにおける日本語能力に関する要件化も含めて就労開始前の日本語能力の担保方策について検討すべきであるなどと示されております。

 法務省といたしましては、有識者会議でのこうした議論を見据えつつ、関係省庁と連携しながら、技能実習生の日本語学習の在り方について政府全体でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

白石委員 今の制度というのは、日本が、働きたい希望の国、第一希望、憧れの国ということを前提にしていると思うんですけれども、なかなか今、そうじゃなくなってきていると思います。そんな中で日本に来ていただく、その前に日本語を勉強していただくということを考えれば、もっと踏み込んだ支援が必要なんじゃないかなと。

 監理団体が自発的に入国前に日本語教育とかをしていたらメリットがありますよというのが基本的な今の仕組みなんですけれども、それをもっと踏み込んで、そういった日本語教育をしているところに対する支援とかいうことを考えていただきたいなと。

 例えば、今あるEPAの仕組みは、そこの送り出し国に日本人教員を大体いつも四十八人とか五十人程度派遣している、それでもって事前に日本語を勉強してもらって受け入れているという仕組みがあると聞いています。それに近いものが技能実習一号についても必要なんじゃないかなと。これをやっていかないと、英語圏に取られる、あるいは国を挙げてお願いしに来ている国に競い負けてしまう、比較的優秀なところはそちらの方に行ってしまうというふうになってしまうんじゃないかと思うんですけれども、政策論ですけれども、これは、政務官、いかがでしょうか。

高見大臣政務官 私も地方の、生まれ育った人間でありまして、委員の問題意識というのは深く共有するところであります。

 そして、選ばれる国でなければならないという問題意識も完全に共有をさせていただいております。そのためにも、今、まさにそういう問題意識で、有識者会議において、技能実習制度そして特定技能、一体として、どのようにして選ばれる国になるために制度設計が必要であるかということを議論していただいております。

 その中で、まさに今委員から御提案のありました、入国前ももっと、要件化も含めてという御指摘だと思います。そうした御意見もまさに有識者会議の中でもいただいておりますので、しっかりとその議論の推移も、まだ継続中の議論でありますので、踏まえながら検討してまいりたい、政府全体でしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

白石委員 監理団体に負荷をかけるという方向性もあるんですけれども、そこに対してサポートをする。そのサポートの仕方としては、EPAの日本語教師派遣の在り方というのは一つの非常に参考になるんじゃないかなと。その日本語教師というのが登録教師であったらいいと思うんですけれども、こういったことも含めて検討していただきたい。

 そして、技能実習生の入国後ですけれども、今政務官おっしゃっていた、日本語とかその他生活の知識とかについての研修というのは義務化していますよというふうな答弁で、これまでも答弁がありましたけれども、よく見ると、日本語の講習時間というのは任意であって、さらに、日本語教育としか書かれていないんですね。それをもっとちゃんとしてあげる。講習時間についても、任意じゃなくて、何か目印になる基準を設定し、そして日本語教育というのも、認定教育機関で講習を受けさせる、登録教員による日本語研修を受けさせる、このようにしていく。

 そうすると、やはりハードルが高くなって、監理団体は、ひいては受入れ中小企業に対する費用負担というのがかさんできますから、そこに対する国の支援というのが必要だと思うんですけれども、政務官、いかがでしょうか。

高見大臣政務官 先ほども申し上げましたが、技能実習制度では入国後の講習を義務づけて求めている、監理団体に対して講習の実施を求めているということは先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、今、委員からの御指摘は、そのうち、日本語の学習の期間が任意となっているという御指摘でありましたけれども、そのことにつきましても、今有識者会議で御議論いただいている点も踏まえて検討してまいりたいというふうに思っています。

 入国後の日本語教育のインセンティブを与えるために今やっている取組でありますけれども、外国人技能実習機構におきまして、実習現場で使用される日本語を学習するための教材あるいはアプリを開発をして、無料で利用が可能としておりますほか、技能実習生に対する日本語教育の実施にインセンティブを与えるために、技能実習三号の受入れができるいわゆる優良な監理団体及び実習実施者のポイント計算におきまして、受け入れた技能実習生に対する日本語の学習支援等の取組を行っていることを加算項目とする仕組みとすることで、実習実施者による日本語教育への取組を促進しているところであります。

 その上で、先ほど申し上げましたが、今、技能実習制度につきまして有識者会議を開催していただいておりまして、その中で、その検討の方向性といたしまして幾つか示されております。

 外国人労働者の来日後においても、引き続き日本で働き生活していく中では、日本語能力の向上は重要であり、適切な技能形成や長期的な就労を可能とする上でも必要でありますことから、受入れ企業等と外国人労働者が日本語教育に自発的に参画するためのインセンティブ化を含め、日本語能力が段階的に向上する仕組みを設ける方向で検討すべきであるという御指摘、また、外国人労働者に対する来日後の日本語教育にかかる費用や必要な支援につきましては、基本的に外国人労働者の負担とはせずに受入れ企業等の負担としつつも、国や自治体が日本語教育環境の整備などの支援を適切に行いながら、日本語教育の機会を充実させる方向で検討すべきであるなどという御指摘をいただいております。

 法務省としましては、こうした御議論を見据えながら、関係省庁と連携しながら、技能実習生の日本語学習の在り方について、政府全体でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

白石委員 技能実習というのがもう技能実習じゃなくなってきている。帰国して、また母国に帰るということもありますけれども、ずっと日本にいらして働くということを考えたら、もっと要件は高くあってしかるべきだと思います。それは仕事をするだけじゃなくて、先ほど申し上げたトラブル、意思疎通というのはトラブルを防ぐためにも大事です。インセンティブで、技能実習三号の、百五十分の四ポイントですと。これも緩いですし、これをもっと上げるべきだと思います。

 加えて、日本語というのは日本でしか基本的に使えないわけですから、その支援をするということは、必ず日本に戻ってくる、日本のためになる。これが英語だったら、英語を教えてもその人はどこかへ行ってしまうかもしれない。でも、日本語を教えるということは、必ずや日本のためになってくれるということもありますから、そのハードルを上げると同時に、そこに対する支援を是非忘れないようにしていただきたいと思います。

 それで、私の地方でも起きていることですけれども、外国人の御夫婦の子供が日本で生まれ育って、そして、親の母国に帰って仕事をしたり生活することはもうないです、言葉もしゃべれません、アイデンティティーはより日本の方に感じる、愛着を感じる、だから日本の国籍を欲しますと。特に結婚前に、実際、社会的な見る目もあるんでしょう、結婚前に日本の国籍にしたいと思って、それで帰化の申請をしたら、非常に煩瑣な手続と時間がかかってしまう、それで諦めてしまうというケースも多いと聞きます。

 これから、技能実習とか特定技能とか、日本の都合で、日本の求めに応じて来てくださって、その実際来た方とか、御夫婦については、母国の国籍ということはやむを得ないかもしれませんけれども、そこで、その御夫婦から生まれた子供については、日本の国籍というのを取得する、今、日本というのは血統主義ですけれども、出生地による国籍取得の道を考えてあげる。あるいは、少なくとも日本で生まれ育ったことを十分に重視した形で国籍取得の道を開くことを検討するときが来ているんじゃないかなと思うんですけれども、政務官、いかがでしょうか。

宮内委員長 高見法務大臣政務官、答弁は簡潔にお願いいたします。

高見大臣政務官 はい。

 我が国の国籍法は、出生による国籍の取得に関して、原則として父母両系血統主義を採用して、補充的に生地主義を採用しております。

 外国人を父母として日本国内で生まれた子供については、生地主義による国籍取得の要件を満たさないため、帰化手続を経て日本国籍を取得する必要があります。

 我が国においてこの生地主義の拡大を認めるかどうかにつきましては、その要否も含め、国民的な議論を踏まえた上での慎重な検討が必要であると考えております。

 もっとも、現行の国籍法におきましては、日本で生まれた外国人の子供につきましては帰化の要件の一部が緩和されているところでありまして、引き続き、帰化に当たっての審査の際には適切に対応してまいりたいと考えています。

白石委員 規定はあっても、非常に煩瑣みたいです。ですから、検討の方をお願いします。

 終わります。

宮内委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会の高橋英明でございます。

 今日もよろしくお願いいたします。

 実は今日、五月十日、私の誕生日なんですけれども。(発言する者あり)ありがとうございます。しかも還暦なんですけれどもね。六十年前の今日は、どうやら母の日だったらしいですね。両親はよっぽど優しい子に育つと期待をしていたらしいんですが、こんなになってしまいましたが。

 やはり、だんだん年を取ってくると、言葉がだんだん出なくなってくるときがあるんですけれども、先輩、お分かりになるかと思いますが。そんな私が、今日は日本語の学校の質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、今回の法案ですけれども、やはり大きく分けて、教員の国家資格と、そしてまた学校の国の指定という、この二つだと思うんですけれども、今回、この法案を作るに当たって、やはり何か不都合が出てきたんだろうというふうに思うんですね。若しくは不都合が出てくるんじゃないかという懸念があるから、この法案を作るに至ったのではないかなというふうに思うんですが、そういった経緯を是非お聞かせください。

永岡国務大臣 高橋議員、お誕生日おめでとうございます。

 それでは、お答え申し上げます。

 我が国の在留外国人数が今後も増加することが見込まれる中で、我が国におきまして生活する外国人が、必要な日本語を理解をし、そして使う能力を身につける環境の整備というものが必要になっております。

 我が国におきまして、日本語教育を行う教育機関は多種多様、本当にいろいろございます。これらの機関におきまして、日本語教育の質の維持向上のための共通の指標、そして評価の仕組みが存在しないということがあります。そして、日本語学習ニーズの多様化に対応できる専門性を有する日本語教師の質的、量的確保が不十分といった課題が指摘されていたところでございます。

 こうした背景を踏まえまして、令和元年に成立をいたしました日本語教育の推進に関する法律に規定をされました検討事項のうち、本法案におきましては、具体的に、質の担保されました日本語教育機関を認定する制度、そしてもう一つ、認定日本語教育機関で日本語を指導することのできる登録日本語教員の資格の制度、これを設けまして、日本語教育の適正かつ確実な実施を図ることとしております。

 新たな制度の周知及び促進によりまして、日本語教育の質の維持向上を推進するとともに、日本語教師の社会的認知というものを高めまして処遇改善や志願者の増加へつながりますように努めていきたい、そう考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 法案の目的に書いてありましたけれども。要は、正直にというか、ぶっちゃけ、やはり芳しくない学校等々もあるんだというふうに思うんですけれども、その辺の色分けを明確にするということも、これは当然あるんですよね。

永岡国務大臣 地域地域によって大分違うということは承知しておりますが、委員おっしゃいますような、そういう不適格なというような、評判のよくないという教育機関があるということも事実でございます。

高橋(英)委員 では、この法案を作ればそういった問題も解決できるということでよろしいでしょうか。

永岡国務大臣 我が国の在留外国人の数というものがやはり今後も増えるということは先ほども申し上げましたし、日本語の教師の量的確保は本当に本当にもっともっと重要になるというふうに考えているわけでございます。

 日本語教師の量的確保のためにも、まずは登録日本語教員の新たな資格制度を設けることによりまして日本語教師の必要性ですとか専門性の社会的認知を高めるということは、志願者の増加に努めていくということにつながると思っております。

 これと併せまして、日本語教育機関や企業、そして地方自治体におきまして登録日本語教員の活用が図られるよう、新たな制度の周知を図るほか、国で構築を予定をしておりますサイトにおきまして、認定日本語教育機関の活動状況等について多言語で発信をすることを予定をしておりまして、その中で登録日本語教員の活躍状況について発信をしてまいりたいと思っております。

 こうした措置を通じまして、登録日本語教員、これを魅力のあるものといたしまして、量的確保に努めてまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 次に行きますね。

 この認定学校なんですけれども、どういった生徒を対象に考えているのか。あと、年齢はどのように考えているのか。あともう一点、これは約八百二十校ぐらいを当初認定できるんじゃないかというのを聞きましたけれども、現状で結構なんですけれども、そういった現状の学校の授業料というのは、おおよそで結構ですので、教えてください。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、対象年齢の関係でございます。各認定日本語教育機関が開設する教育課程において対象となる生徒につきましては、留学生や就労者、生活者などの幅広い方々が想定されてございます。日本語を学ぶことを希望する外国人に対しまして、その希望や状況等に応じて日本語教育を受ける機会が最大限に確保されることが必要でございまして、現時点におきましては、生徒の対象年齢を設けることは考えておりません。

 それから、二つ目の方の御質問の授業料の関係でございますが、日本語教育機関全体の授業料については把握しておりませんけれども、日本学生支援機構の調査によりますと、日本語教育機関に在籍する私費外国人留学生が支出する授業料の平均月額は五万六千円となってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 そうすると、やはりある程度収入もある方が入るんだろうというふうに思いますけれども。

 年齢は関係ないという話でしたけれども、これは、子供というのはどういった扱いになるんでしょうかね。これは、全く子供というのは対象には入れていないということでいいんでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 今の想定されている認定日本語教育機関で、認定されるであろうところでは、ほとんどが留学生ですとかあるいは生活、就労関係者の方々ということで、どちらかというと成人の方が多いかと考えられます。

 ただ、子供ということで申し上げますと、学校の方でいろいろとそれを教育で受ける、あるいは地域のいろいろな日本語教室で受け入れるといったような事例もあろうかと思いますので、それにつきましては、教育関係については教育機関の方で、それから日本語教室の方では地域の方でということですけれども、いずれにしても、それぞれと、また認定日本語教育機関で働く登録日本語教員がしっかり連携してネットワークを張りまして、支援に入ったりするということは十分考えられると思います。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 この学校が子供を想定していないというのは大体分かるんですけれども、今後も子供のケアというのは現況の状態でいくんだろうと思いますが、今、国家資格の教員がネットワークを組んで云々という話がありましたけれども、是非、これは入管法のときにも言ったんですけれども、先ほど、どなたかが質問して、答弁の中で、なかなか教師の行き場がないような話が出ておりましたけれども、我が町は何ぼでもありますので、教員不足に悩んでいるぐらいですから、是非ともそういった部分で、やはりちょっと地域にしっかり目を向けていただいて、どんどんどんどん、こういった資格を持った教師を派遣をしていただきたいというふうに思っております。何か、川口とこの辺から聞こえましたけれども。

 次に行きます。

 この認定なんですけれども、これは更新制でやるんでしょうか。あと、株式会社ということですから、決算書の提示だとか、そのほか、定期報告の具体的な中身というのを教えてください。

杉浦(久)政府参考人 失礼いたします。お答え申し上げます。

 更新制ということについてのまず御質問でございますが、本法案では更新制という形は取られておりません。認定をまず行いまして、その後、都度都度報告を頂戴いたしますけれども、毎年度定期報告を頂戴しますが、その中で問題があれば指導あるいは段階的な改善措置という形を取るという仕組みとなってございます。

 それから、定期報告の中身についてでございますけれども、令和四年度の文化庁有識者会議報告では、定期報告の内容につきましては、日本語教育課程の実施内容や卒業時の生徒の日本語能力を含めた学習成果に関する事項等を求めることが提言されておりまして、これらを踏まえた上で、今後、審議会などにおいて、定期報告の内容について検討してまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 じゃ、一度認定すれば、ほぼほぼ永久的になるのかなというふうに思いますけれども。これは、ただ、定期報告が、中身が全然ずっと同じだったら、多分ずっとその内容で通っていくのかなという気が今の答弁でしたんですけれども、こんなことはないとは思いますけれども、やはりなかなか国が私学と違って関与できないというのは分かりますけれども、それでも一応、国の冠を与えるわけですから、ある程度はやはり首を突っ込んでいくべきだというふうに思います。

 また、株式会社ということですから、役員の変更だとか、やはり決算書というのは、これは経営の根幹に携わるところなので、是非見ていただきたいと思うんですけれども、この辺、いかがでしょうか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本法案におきましては、先ほど申し上げたとおり、定期報告をちゃんと求めまして、指導、改善という形を取ります。今まではそういう仕組みが全くございませんでしたので、この法案によりまして、しっかりと、文部科学省の、文部科学大臣の責任と権能が明確になるということで、その点につきましては、日本語学習環境の整備という点では大きく前へ出るものというふうに考えてございます。

 そして、二つ目の方の御質問の、定期報告の中身の関係でございまして、決算書などということでございますが、一般的には、こういう認定されました機関の財務状況について定期報告を確認するということはあろうかというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、御指摘の収支状況ですとか決算書などにつきましても、その具体的内容については今後省令等で定めることとなりますので、その際によく検討してまいりたい、このように考えております。

高橋(英)委員 是非これはやっていただきたいというふうに思います。

 あと、やはり、とにかく、なあなあにならないようにお願いいたしますね。その辺が非常に危ういところだなというふうに思いますので、是非お願いをいたします。

 そして、学校の認定の基準、認定するときの基準、ございますよね。その項目みたいなのはオープンにはしないんでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 認定日本語教育機関の認定基準につきましては、日本語教育課程を担当する教員及び職員の体制、そして施設及び設備でございます、それと、あと日本語教育課程の編成及び実施の方法、それから学習上及び生活上の支援のための体制などの項目につきまして、文部科学省令において定めることとしているところでございます。

 この認定基準の策定に当たりましては、本法案成立後でございますが、その具体的な内容につきまして、審議会等において、関係者からの意見なども広く伺いながら、有識者によりまして丁寧に検討してまいるという予定になっております。

高橋(英)委員 それをオープンにはしないんですか。

永岡国務大臣 これはしっかりとオープンにします。公表する予定でございます。

高橋(英)委員 是非、オープンにするのが当たり前だと思うんですけれども、どんな基準をもって認定をされているのかというのは、これが分からないというのも、やはり、生徒にとっても、その他もろもろ、納得できるものではないというふうに思いますので、是非お願いをいたします。

 あと、生徒にとってのメリットをお聞かせ願えますか。

永岡国務大臣 今回の制度につきましては、一定の質が担保されました機関を文部科学大臣が認定をいたしまして、当該機関の情報について公表するということになっているわけでございます。これによりまして、日本語教育を受けることを希望する外国人を始め、また、外国人の従業員に対して日本語教育を受けさせようとする企業などが日本語教育機関を選択するに当たりまして、正確に、かつ必要な情報を得られるということになります。また、各教育機関から提供されます日本語教育の水準を正確に認識することが可能となります。

 一定の質が担保され、かつ、学習者の状況に合った適切な教育機関を選択することが可能となるわけでございまして、文部科学省といたしましては、関係省庁とも連携をして、認定機関の情報というものが幅広く周知をされるようにしっかりと努めてまいるつもりでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 ということは、生徒が学校の報告等々を見て、こんなはずではなかったということはなくなるわけですね。

永岡国務大臣 これから日本語を習いたいと思う生徒さんが、外国人の方が情報をしっかりと見れば、それはきちんとした学校であるか否かということは、書いてある、公表してあります情報によってしっかり確認ができるということになります。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非、各学校の募集要項もそうですけれども、PR事項もそうですけれども、常に目を凝らして見ておいていただきたいというふうに思います。

 では、次に、教師の方に参りたいと思いますけれども、先ほど来からも質問にありましたけれども、これは教師不足にはならないんでしょうかね。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 日本語教師の量的確保のためにも、まずは登録日本語教員の新たな資格制度を設けることによりまして、日本語教師の必要性ですとか専門性の社会的な認知を高め、また、志願者の増加に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 これと併せまして、日本語教育機関や企業、地方自治体におきまして登録日本語教員の活用が図られるように、新たな制度の周知、これも図ってまいりたいと考えております。

 国で構築を予定しておりますサイト、先ほどもお答えしましたけれども、認定日本語教育機関の活動状況等について多言語で発信することを予定しておりまして、その中で、登録日本語教員の活用状況について発信してまいりたいと考えております。

 こうした措置を通じまして、登録日本語教員、これを魅力あるものとして、量的な確保、これをしっかりと確保できるように努めてまいりたいと思っております。

高橋(英)委員 これは今後もどんどんどんどん、日本語の学習者数ですか、増えていくというふうに思うんですけれども、これはやはり、どの程度が適正の人数なのかなというのは考えていらっしゃいますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文化庁の調査によりますと、国内の日本語学習者数というものは、令和三年度では、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、約十二万人でございました。最も多かった令和元年度では約二十八万人となっております。

 また、在留外国人に対します法務省の調査によりますと、日本語を学べる場所、サービスの情報が少ない、そして、近くに日本語教室、語学学校がないといった課題が指摘をされていることから、潜在的なニーズが存在することが予想をされております。

 こうしたことから、新型コロナウイルス感染症の影響が収束した後には、令和元年度よりも更に日本語学習者が増加するものと予想をしているわけでございます。

 また、日本語教師の必要数というものは、日本語学習の潜在的ニーズに影響されることから、登録日本語教員の適正人数について、実はお示しすることは困難であるということでございます。

 いずれにいたしましても、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける以前の令和元年度においても、法務省告示校ですとか大学の別科などで勤務をする日本語教師は約一万八千人というふうになっておりまして、今後、日本語学習者の増加に伴いまして、日本語教師の人数についても更に増加をするというふうに考えております。

高橋(英)委員 まあ、そうなるんでしょうけれども。でも、無限大というわけにはいかないと思うので、やはり計画的に考えていかないとどうしようもないというふうに思いますので、今日は答えられないということだと思いますけれども、是非ちょっと計画的に今後考えていただきたいと思います。じゃないと、教師が全然足りないのも困るし、余っちゃっても困るんですけれども、現状だと余るということは考えづらいのかもしれませんけれども、是非それはお願いをしたいなというふうに思います。

 そしてまた、日本語の国家資格の教師の方々の活躍の場ですね、就職先だとかそういったところ、具体的にちょっと教えていただけますか。

永岡国務大臣 登録日本語教員の活躍の場といたしましては、認定日本語教育機関での勤務というものは当然でございますが、そのほか、例えば、地方公共団体が設置をいたします日本語教室で指導というのもあるでしょう。そして、外国人を受け入れる企業での指導ということもあろうかと思います。また、学校における児童生徒への指導というものも考えられます。

 文部科学省といたしましては、日本語教師の必要性ですとか専門性の社会的認知を高めまして、さらに、その処遇改善につなげていくことが重要であると考えております。このため、日本語教育機関や企業、地方公共団体等におきまして登録日本語教員の活用が図られますように、新たな制度の周知、これをしっかりと図ってまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 何か今の答弁を聞いていたら、とても行き場がないような感じは全くしないんですけれども、でも、実際問題、なかなか数も増えてこない。

 これは、大体、例えば平均給与なんていうのは分かるんでしょうか。

永岡国務大臣 文化庁の調査によれば、例えば、法務省の告示校で働く常勤の日本語教師の場合、年収約四百万円未満が七割というふうになっているところです。

高橋(英)委員 それは分かっているんですけれども。

 ほかに、例えば企業から受入れとかは、そこまでは把握はしていないんでしょうかね。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 企業からの受入れというところでは、ちょっと統計で取れているわけではございませんで、把握はできておりませんが、一般的に、企業の方で日本語教育のできる先生をお求めになられた場合には、先ほどの四百万円というレベルではなくて、もう少し高いレベルの額が言われているというのは私ども聞いているところでございます。

高橋(英)委員 やはり、ほとんど、専業にしている人は少ないんだろうと思うんですけれども。

 私の地元でもこの間ちょっと話を聞きましたら、日本語教室になっちゃうんですけれども、ほとんどはボランティアなんですけれども、一人だけかな、学校の教員さんで、週二こまかな、中学校だか高校だかはちょっと忘れちゃいましたけれども、それをやっているという話は伺いましたけれども。

 だから、ほとんどこれは専業では成り立たないような、多分、状況なんだと先ほど来から言われていますけれども、この辺は今後はどういった改善をしていこうと思っていらっしゃいますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、登録日本語教員の新たな国家資格を設けるということによりまして、日本語教師の必要性ですとか専門性の社会的認知の向上というものが期待できるというふうに考えておりますので、処遇の改善にもつながるというふうには思っております。

 また、そのほか、登録日本語教員が活躍できますように、日本語指導に必要な専門性を高めるための研修ですとか、教員自身のキャリアが証明できるようなサイトの構築などにも取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、こういう取組を通じまして、専門性が高い登録日本語教員が社会において適切な評価が受けられますように、その環境整備に努めてまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 言わんとすることは分かるんですけれどもね。なかなか難しいんだろうと思うんですけれども、現状そうなっていないので、もうちょっと、さっきも言いましたけれども、なかなか国が首を突っ込むのは難しいのかもしれませんけれども、やはり冠を与えるわけですから、やはりある程度はこういった給与面に関してもどんどんどんどん物を申した方がいいと思いますし、やはり社会的認知だけじゃ、給料が安いんじゃ、これは根づくわけがございませんので。

 あとは、さっきも言いましたけれども、私の地元なんかは本当に外国人の子供たちが非常に多い場所ですから、小学校も中学校もそうなんでしょうけれども、そういったところにどんどんどんどん、特別扱いしろとは言いませんけれども、でも、外国人が多いのは特別ですからね、本当に。そういったところに対しては給料面である程度保障するとか、そんなお考えはございませんか。

永岡国務大臣 先生の御指摘をしっかりと受け止めまして、これからの、法律が上がりましてから、省令についていろいろ考えていきたいと考えております。

高橋(英)委員 入管法の質疑のときにも言ったんですけれども、やはりこれは子供が結構なポイントで、言葉がしゃべれないとこれはどうしようもないので、ルールが何だかんだ言っても、言葉が通じないから、大体、運転のルールも言葉が通じないから分からないと。まあ、言い訳なんだろうなと思っていますけれどもね、私。何か言うと、私、日本語分かりませんで全部終わっているようなところですけれども。ただ、子供は違いますから、子供はやはり覚えるのも早いですし、子供が言うとやはり親は結構聞きますからね、子供の話というのは。

 そういった部分でも、是非これは、今回、入管法の改正案も出ていますけれども、子供の教育に関して是非力を入れていただきたいというふうに思うので、その点、大臣、ちょっと気構えをお聞かせいただきたいんですが。

永岡国務大臣 外国人の方々、お子さんを連れて日本にいらしたという方にとりましては、全然日本語の分からない子供に対して相当やはり心配があるだろうなと思います。

 日本語指導が必要な外国人の児童生徒でございますが、約十年間で一・八倍に増加をしているというのが現状でございまして、教育支援の充実というのが求められております。

 文部科学省では、日本語指導が必要な児童生徒に対しまして取り出し指導を行いまして、特別の教育の課程の制度化を行いまして、日本語指導のための教員定数の基礎定数化ですとか、外国人児童生徒等に対する日本語指導に取り組む自治体に対します支援ということも行っております。

 本法律案が上がりました後には、登録日本語教員のうち、特に児童生徒向け研修というものを受講した者を、小中高等学校におけます特別の教育課程ですとか、また夜間中学校などにおきまして積極的に活用する具体的な仕組みなどを検討していく予定でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非、積極的にお願いをしたいと思いますし、また、一度、うちの地元の現場を見ていただきたいなというふうに思います。やはりなかなか現場には皆さん来ないんだろうと思いますし、私、学校で聞くと、学校では、うまくやっていますと必ず言うんですよね。でも、保護者に聞くと、うまくいっていませんと言うんですよ。そういう状況ですので、是非来ていただきたいなというふうに思います。

 あと、この教員の国家資格、取るに当たって、メリットをお聞かせください。

永岡国務大臣 本法案におきましては、登録日本語教員の新たな国家資格を設けておりまして、これによりまして、日本語教師の必要性ですとか、また専門性の社会的認知の向上というものが期待できまして、そして処遇の改善にもつながる、そういうふうに考えているところでございます。

 このほか、登録日本語教員が活躍できますように、日本語指導に必要な専門性を高めるための研修、先ほども申し上げましたけれども、教員自身のキャリアが証明できるようなサイトの構築などにも取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 これは当然オープンにするんだと思うんですけれども、教員の方々。オープンにするんですよね、これは。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 教員のリストの関係につきましては、基本的には、それぞれの、掲載希望の先生方の御了解をいただくといった形で進むものと考えています。個人の情報でもありますので、その配慮は必要かなと考えております。

高橋(英)委員 じゃ、了解を得た方々はオープンにしていくということですね。それを見て、企業さんは、この方と面接をするとか、そういった段取りになるんですかね、受け入れる企業なんかは。

杉浦(久)政府参考人 お見込みのとおりでございます。

高橋(英)委員 済みません、ちょっと一個抜かしちゃった。

 学校の方にちょっと戻りますけれども、日本語学校、認定の日本語学校がない、この空白地域というのは、どのように対応するお考えでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 在留外国人が増加をしている傾向にある中では、地域の日本語教育、これは大切でございますが、日本語教室が設置をされていない、いわゆる空白地域というものがございます。地域におけます人材の不足ですとか、日本語教室運営のノウハウというものが不足しているということが課題であるというふうには認識をしているところでございます。

 このため、国といたしましては、地域日本語教育コーディネーターの配置ですとか、空白地域の市町村への日本語教室の開設支援であるとか、また、ICT教材を活用いたしました教育支援などを行います都道府県・指定都市への支援というものを通じまして、空白地域の解消に取り組んでいるところでございます。

 また、日本語教室がない空白地域に暮らす外国人が独学でもオンラインで日本語を習得できるよう、日本語学習のコンテンツの作成ですとか、その対応言語の拡大に取り組んでおります。

 また、引き続きまして、地域の実情やニーズに応じて、必要な支援というものを行ってまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 オンライン学習も考えているということですけれども、いろいろお金がかかってくるんだというふうに思いますが、こういったものの補助というのは考えていらっしゃいますか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教育空白地域解消を目指した、地域日本語教育の総合的な体制づくり事業等というのがございまして、これで、七億八千万でございますけれども、令和五年度の予算額で措置しておりまして、この中でオンラインの関係も対応してまいりたいと考えております。

 それから、済みません、ちょっと恐縮でございますけれども、先ほど私から、白石委員の御質疑の際にお答え申し上げた予算額の関係でございますけれども、日本語教師の研修事業全体の予算額三億円、日本語教師の学び直し・復帰促進アップデート研修事業六千万円と申し上げましたけれども、これは概算要求の時点のもので、ちょっと古うございまして、大変申し訳ございませんでした。それぞれ二億五千万、二千万円でしたので、おわび申し上げて、訂正させていただければと思います。

高橋(英)委員 株式会社でも、これはもちろん対象になるんですよね。

杉浦(久)政府参考人 失礼いたします。お答え申し上げます。

 この事業につきましては、基本的には地方公共団体対象の事業でつくっておりますので、まずは交付先は地方公共団体でございますけれども、そのお仕事をつくる際には、いろいろな会社のお力とかもかりるということが出てくるかと思います。

高橋(英)委員 でも、ほとんどの日本語学校が株式会社の経営になるんだろうと思うんですけれども、その株式会社は対象にならない、地方公共団体がやっているところ以外は対象にならないというのは何かおかしいような気がしますが。

杉浦(久)政府参考人 申し訳ございません、失礼いたしました。

 先ほど申し上げたように、地方公共団体が対象となるわけですけれども、おっしゃっておられます株式会社立の日本語教育機関の方もその地方公共団体のプロジェクトの中に参画いたしまして一緒にやりますので、その結果、直接お金が入るわけではありませんけれども、実質的にはその恩恵が渡るという形を考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、株式会社も対象になるということで、分かりました。

 もう時間もないので最後にいたしますけれども、この法案、我々も賛成をするんだろうと思っていますけれども、是非、冒頭言いましたけれども、余り芳しくない学校とのやはりきちんとした色分けというのは必要だというふうに思います。そしてまた、せっかく国家資格になるわけですから、しっかりとした、将来を見据えた先生たちの処遇改善、これらをしっかりとやっていただきたい、これをお願い申し上げまして、本日、誕生日の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日また質疑をさせていただきますことに感謝をしながら質問させていただきたいと思います。若干重なる質問もあろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭でございますけれども、生成型AI、チャットGPTの活用についてお尋ねをさせていただきます。

 今、急速にその活用が世界で進展をいたしておりまして、先月には、その生みの親であるオープンAI社のCEO、アルトマン氏が来日をして、岸田総理とも会談をされました。その中で、アルトマン氏は、AI技術の長所と、そして欠点をどう軽減していくかについて話し合ったというふうに述べられました。

 また、デジタル大臣や経産大臣からも積極的に活用していく方針が発言をされており、官房長官からは、情報漏えいのリスクの懸念がクリアされれば国家公務員の働き方改革のために活用したいという御発言もございました。

 十二日には大臣も教育大臣会合を控えておられますけれども、先月二十九日から三十日までG7デジタル・技術大臣会合が行われまして、責任あるAIとAIガバナンスの推進がテーマの一つとして議論されました。その声明の中では、民主主義の価値を損ない、表現の自由を抑圧し、人権を脅かすようなAIの誤用、濫用に反対するということが声明に明記をされ、早急に議論の場を持つということが合意されたということでございます。

 そういう中で、文部科学省として、その活用についてどういう方針で臨まれているかということについて、永岡大臣に御所見をお伺いをいたします。

    〔委員長退席、根本(幸)委員長代理着席〕

永岡国務大臣 御指摘のチャットGPTなどの生成AIの利活用をめぐりましては、学校教育における懸念への対応ですとか、また活用可能性の検討を始めとしまして、文部科学省の所掌領域におきましても、検討を要する事項は多岐にわたると考えております。

 先月から政府のAI戦略チームの会合が開催をされまして、生成AIを利活用する場合の留意点等につきまして、政府部内で情報の交換を始めたところでございます。

 文部科学省におきましても、生成AIをめぐります諸課題ですとか、その利活用の方策などについて、やはり速やかに検討してまいりたい、そう考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、AI戦略チームをスタートされているというお話がございましたけれども、このAIにつきましては、技術革新による計り知れないメリットと同時に、計り知れないデメリットがあるということをある専門家の方がおっしゃっておりましたけれども、まさにその両面をしっかりと認識をして活用することが重要だと思います。

 今、大臣からも、教育現場における様々、多岐にわたる課題があるという御発言がございましたけれども、プライバシーや人権、また安全保障や雇用、そして、まさに教育におけるリスク、懸念が指摘をされているところでございます。

 今日、新聞の資料としてお配りをしておりますけれども、これは大学についての活用について専門家が御発言をされている記事でございますけれども、教育現場における様々な影響というものにどう向き合っていくかということをしっかりと議論をする、そしてその方針を明確にするということが大変重要だと思います。

 また、教育現場と一口で言っても、それぞれ、小学校、中学校、高校、そして大学では、その懸念点も大きく異なると思いますので、それぞれの教育課程における活用に向けたルール作りというものが極めて重要だと考えております。そのルール作りについて文科省としてスタートをされたと承知しておりますけれども、文部科学大臣から御説明をお願いしたいと思います。

永岡国務大臣 生成AIの学習活動への影響に関しましては、やはり批判的思考力ですとか創造性への影響について懸念の声があるという一方で、学習指導要領では、実は、学習の基盤となる資質、能力といたしまして情報活用能力というものを位置づけておりまして、新たな技術であります生成AIを使いこなす視点であるとか、また、自分の考えを形成するのに生かす視点というのも重要というふうに考えております。

 御質問の、ガイドラインなど作成をするかということでございますが、それに向けましては、有識者からのヒアリングを開始したところでございまして、情報活用能力との関係の整理というものがあります、まず。そして、年齢制限や著作権、そして個人情報の扱いというものもございます。それから、活用が考えられる場面と、禁止すべきと考えられる場面というものもございます。それから、生成AI自体を学ぶ授業を含めた授業デザインの具体的アイデアなどについて意見を伺っているところでございます。

 今後は、生成AIに関します政府全体の検討状況ですとか、中央教育審議会での議論というのも踏まえまして、できるだけ早急にガイドラインというものを取りまとめたいと考えているところでございます。

    〔根本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

西岡委員 今大臣から述べられました様々な検討課題、大変多くあるというふうに思いますけれども、この技術が普及していくスピードというのは大変速いものでございますので、そのガイドラインをしっかり、様々な問題を議論した上でございますけれども、早急に検討して出していただくことが教育現場にとって必要だということを申し上げたいというふうに思います。この問題は、今日議論をいたします法律案、日本語教育についても将来的に関連してくることではないかというふうに思っております。

 それでは、法律案についての質問に移らせていただきます。

 国内の日本語学習者は、令和元年度時点で二十八万人となり、過去最高となりました。ただ、新型コロナウイルスによりまして減少したものの、今後、ポストコロナ社会へ向けまして一層増加するということが予想をされております。日本語教育機関数も増加傾向である一方、日本語教員は増加しておらず、先ほどからの議論であっておりますように、教員不足というものが指摘をされております。

 令和元年度の推進法の成立から、我が国における日本語教育については、超党派日本語推進議員連盟の先生方の大変御尽力があったというふうに認識をいたしておりますけれども、我が国の日本語教育の現状に対する大臣の認識と、本法案に至る背景、経緯について、また文部科学省本省への所管の変更も含めて、まず文部科学大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 我が国の在留外国人数が今後も増加することが見込まれる中で、我が国におきまして生活をする外国人が、必要な日本語を理解をして、そして使う能力を身につけられる環境の整備というものが必要になってまいります。

 こうした背景を踏まえまして、令和元年に成立をいたしました日本語教育の推進に関する法律に規定をされました検討事項のうち、本法案におきましては、具体的に、まずは質の担保された日本語教育機関を認定する制度、そしてもう一つ、認定日本語教育機関で日本語を指導することができる日本語教員の資格制度というものを設けまして、日本語教育の適正かつ確実な実施を図ることとしているところでございます。

 また、このような制度によりまして、これを効果的に実施をするためには、やはり、教育機関に対します指導などや教員の養成、研修などに関して一定の知見を有します文部科学省におきまして事務を行うことが必要であると考えておりまして、文化庁から本省に移行するというふうに考えております。そのため、今般の法律に基づきます日本語教育に関する事務というものをしっかりと体制強化を図ってまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 次の質問ですけれども、一問、後に回させていただきまして、次の質問からさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染拡大が三年余り続いたことによりまして、二年間の入国制限によって留学生等が激減をして、先ほどからの質疑でもあっておりましたように、多くの日本語教師が職を離れざるを得ない状況となりました。離職した人員については先ほど御答弁の中でございましたけれども、なかなか、一度離職した教師が復職をするということは大変難しい状況だというふうに聞いております。ただ、一方で、新たに教師を目指す人材も不足をしていることから、教師の確保が極めて難しいというのが現状だと認識をいたしております。

 本法案の趣旨である日本語教師の質的な確保はもとより大変重要だと思いますけれども、質的な担保と同時に、量的な確保、人員確保については、本法案によって今後どのように対応していくのか、また、この人材を確保するという面で本法案がどのように機能していくのかということについてお伺いをしたいと思います。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、新型コロナウイルス感染症の影響により離職された日本語教師の数につきましては把握はしてはおりませんけれども、文化庁が実施する調査によりますと、日本語教師の数は、令和元年度の約四万六千人から、令和三年度には約三万九千人へと減少しております。

 在留外国人数が今後も増加することが見込まれる中、御指摘のとおり、日本語教師の質的それから量的確保はますます重要でございます。この質的、量的確保のためにも、日本語教師の必要性や専門性の社会的認知が求められますことから、本法案におきましては、登録日本語教員の新たな国家資格を設けることとしております。

 また、これと併せまして、日本語教育機関や企業、地方自治体において登録日本語教員の活用が図られますよう、新たな制度の周知を図るほか、国で構築を予定しておりますサイトにおいて、認定日本語教育機関の活動状況などについて多言語で発信することを予定してございまして、その中で登録日本語教員の活躍状況について発信してまいりたいと考えております。

 こうした措置を通じまして、登録日本語教師を魅力あるものとしまして、質的確保、それからやはり量的確保へつなげていきたい、このように考えるところでございます。

西岡委員 今回、資格を新設するということでございますけれども、現状の法務省告示教員の要件を満たす方や、また現在日本語教員として働いている方など、これまでの経験、実績に対する措置や、制度の移行に当たっては十分な経過期間が必要でありまして、五年間の経過措置が取られることとなっております。

 一定の要件を満たす現職日本語教師につきましては円滑な登録日本語教員への移行が図られる必要があるというふうに考えますけれども、その基準や要件については明確にしていくことが必要だと考えます。このことについてどのように考えておられるのか。また、日本語教員試験を受験することとなればかなりの負担となりまして、一層教員の離職が進むということも危惧をされ、十分な人材確保がまた難しくなるおそれもあるというふうに思いますけれども、この経過措置の内容についてお尋ねをさせていただきます。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する者は登録日本語教員でなければならないこととしておりますが、円滑に制度の導入が図られますよう経過措置を設けることとしており、必要な基準につきましては法案成立後に審議会等で検討することとしております。

 また、経過措置で、登録日本語教員への移行が過度の負担とならないよう、そして経験ある教師が離職してしまわないよう、移行の期間を五年として十分な期間を取りますとともに、それまでの教員試験と実践研修について一定の要件を満たす場合は円滑に登録を受けられるよう経過措置を定めることとしてございます。

 その具体的な要件などにつきましては法案成立後に審議会等で検討することとなりますが、令和四年度の文化庁有識者会議における報告によりますと、登録日本語教員養成機関に求められる教育内容等と同等の教育課程を履修した者につきましては試験の一部を免除すること、あるいは、一定の質が担保された機関に一定期間以上勤務している者につきましては実践研修を免除することなどが提言されてございまして、こうした内容も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 基準、要件については、これから法案が成立した後、審議会で議論をするということでございますけれども、しっかり現場の声も聞いていただきまして、この基準、要件につきましては、早期に明確にするとともに、円滑な、大変経験のある日本語教員の方がまた引き続いて活躍していただける環境を整えていただくということをお願いを申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。

 一方で、国内の日本語教員人材のうち、その内訳としては、ボランティアが五二・四%、非常勤が三三・五%、常勤が一四・一%という今現状がございます。教員、教師の半数がボランティア、非常勤の方々が担っているという状況がございますし、年齢につきましても、五十代以上が五割を占めておりまして、二十代の方は五%しかいらっしゃらない、そういう状況がございます。

 今ボランティアに依存している日本語教育の現状をどのように認識しておられるのか、また、本法律案によりまして日本語教育機関の認定や登録日本語教員が創設される一方で、今後どのように、ボランティアという活躍していただいている日本語教員の方を日本語教育の中で位置づけていくのかどうか、研修等も含めた処遇改善をどのように進め、日本語教育の持続可能な体制をつくり上げていかれる方針であるのかということについてお伺いをしたいと思います。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 意欲のある方がボランティアとして地域の日本語教育を支えていただくことは重要でございまして、これからも必要なことと考えております。

 法施行後は、認定日本語教育機関におきまして登録日本語教員が日本語教育を担当することとなりますが、他方、地域の日本語教室におきましては、引き続き、ボランティアの方々が活躍されることが期待されています。

 しかしながら、地方におきましては高齢化や次世代の担い手不足などが進んでおりまして、これらがボランティアを中心とした地域の日本語教育における課題となっていることも認識してございます。

 このため、ボランティア向けの研修などにより日本語教育に関する知識や技能を高めていただくことを通じまして、地域の日本語教育を支えるボランティアの育成や確保に努め、登録日本語教員とボランティアとの連携も含めまして、日本語教育の体制充実を図ってまいりたいと考えております。

西岡委員 今御説明のありましたように、ボランティアの皆さんの存在というのは地域において大変重要でございますので、今回この法案が成立をした後、このボランティアの皆さんの、しっかり、位置づけ、役目、重要性をやはり明確に日本語教育の中でしていくということが大変重要だと考えておりますので、その辺りもしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 次に、そもそも専門性を持った日本語教師が不足しているという指摘や、専門性のある日本語教師も含めて、待遇面の問題や、先ほどから議論もあっておりますように、キャリア形成が将来にわたって見通せない、そういう現状がございます。

 本法律案によって日本語教師が登録日本語教員という国家資格を与えられることによって、待遇改善が図られなければいけないというふうに考えますけれども、その方針につきましてお尋ねをさせていただきます。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において登録日本語教員の新たな国家資格を設けることにより、日本語教師の必要性や専門性の社会的認知の向上が期待でき、処遇の改善にもつながると考えております。

 そのほか、登録日本語教員の方が活躍できますよう、社会のニーズが高い就労者等の日本語指導に必要な専門性を高めるための研修や、研修履歴を記録し、教員自身のキャリアが証明できるようなサイトの構築などを行います。

 こうした取組を通じまして、専門性が高い登録日本語教員が社会において適切な評価、待遇が受けられますよう、環境整備に努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 待遇改善の中に給与面の改善というのも大変な重要な部分だというふうに思いますので、このことにもしっかり文部科学省としてお取組をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、今日ちょっとお配りをしているもう一つの新聞記事にございますように、先般、二〇七〇年における将来の我が国の将来推計人口というものが発表をされました。人口の三割減少という深刻な状況というのは前回の調査と余り数字的には変わっていないんですけれども、その中で、実績値として年十六万人の外国人が増加するということを見通した中で、二〇七〇年の将来推計人口というものが発表をされております。

 二〇七〇年には総人口の一割が外国人になるという見通しがこの発表の中であるんですけれども、今、我が国において、希望する外国人がどこに住んでいても生活に必要な日本語を身につけることができる日本語教育の体制というものは不可欠だと思います。また、国内における外国人材の活躍の面からも大変重要でございます。

 特に、外国籍の児童の日本語教育の環境整備というものが大変急務であると認識をいたしておりまして、就学機会が得られていないという現状もある中で、実態の把握ですとか、多言語での就学案内など、自治体間で対応に大変な格差が生じております。

 自治体や学校、地域社会、日本語教師、またその学校がしっかりと連携をして取り組むことが大変重要だと考えますけれども、今後の方針についてお伺いをいたします。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語指導が必要な外国人児童生徒数といいますのは、平成二十四年より約十年間で一・八倍に増加しているという状況でございまして、この外国人児童生徒への教育支援の充実というものが求められているところでございます。

 文部科学省といたしましては、日本語指導が必要な児童生徒に対して取り出し指導などを行う特別の教育課程の制度化、日本語指導に必要な教職員定数の着実な改善、外国人児童生徒等に対する日本語指導に取り組む自治体に対する支援などを行ってきたところでございます。

 また、不就学の子供に対しましては、各自治体が学齢簿を編製する際に外国人の子供の就学状況も一体的に管理、把握するよう求める通知を令和二年度に発出いたしましたほか、不就学の可能性のある子供について、これまでも、予算事業を活用しつつ、自治体における就学状況の調査の実施ですとか、あるいは多言語による就学ガイダンス、学校での指導体制の整備などの支援に努めてきているところでございます。

 引き続き、こうした日本語指導が必要な外国人児童生徒等に対する支援に取り組むとともに、この法案成立後には、登録日本語教員のうち、特に児童生徒向けの研修を受講した者等を、小中高等学校における特別の教育課程などの補助者ですとか、あるいは学校と地域をつなぐコーディネーターなどとして活用する仕組みなどを検討していく予定としております。

西岡委員 いろいろ取組を今していただいているところだと思いますけれども、自治体も含めて、学校でも大変格差が生じているということがございますので、やはりしっかり、多言語での就学案内を含めたきめ細やかな対応というものが必要だと思います。引き続きのお取組をお願いを申し上げたいと思います。

 今の御答弁ともちょっと一部重なるんですけれども、外国籍の児童が大変増加をしていることを踏まえまして、学校現場における日本語教育の重要性も大変増しております。

 令和五年一月の有識者会議報告の中にも、地方自治体と大学等の日本語教員養成機関や日本語教育機関との連携によって、必要な研修を受講した登録日本語教員が児童生徒の支援に直接関わることができる仕組みを検討することという内容が盛り込まれております。

 今、一部、特別の教育課程ですとかコーディネーターという御説明がございましたけれども、この教育現場における活躍について、文部科学省の御方針というものを詳しくお尋ねをさせていただきたいと思います。

藤江政府参考人 先ほど御説明いたしましたとおり、日本語指導が必要な外国人児童生徒数が増加しているという状況の中で、学校現場における日本語教育の充実が求められているところでございまして、文部科学省としては先ほど申し上げましたような様々な取組を行ってきているところでございますが、委員御指摘のこの有識者会議の報告の内容も踏まえまして、この法案成立後には、登録日本語教員のうち、特に児童生徒向け研修を受講した者等を、小中学校における特別の教育課程あるいは夜間中学などにおいて補助者として積極的に活用する具体的な仕組み等を検討していきたいというふうに考えております。

西岡委員 本法律案におきまして登録日本語教員という資格が与えられるわけでございますので、しっかりこの方々を中心として、教員不足も今大変深刻な状況がありますので、登録日本語教員の方々の活躍というものを教育現場でこれからまた、今取り組んでいただいていること以上の活躍というものを求められているというふうに思いますので、しっかりと取組を進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、外国籍の児童生徒の生活面の指導等におきまして、もう一つの課題としては、やはり通訳ですとか翻訳配置などの母国語の支援というものが大変不十分であるということが挙げられております。このことについて、どのように支援をされている、また今後されていく方針であるかということをお伺いをさせていただきます。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 外国籍の児童生徒の生活面での指導ということでございますけれども、その指導等におきましては、通訳、翻訳を配置するなどの母語支援を行うことが非常に重要であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、母語支援員等の外部人材の配置ですとか、多言語翻訳システム等のICTを活用した日本語指導の実施など、外国人児童生徒等に対するきめ細かな指導、支援体制の構築に取り組む自治体への支援などを行ってきているところでございます。

 引き続き、外国人児童生徒等のきめ細かな支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 引き続き、この母国語の支援ということについても体制を整えていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。

 先般議員立法が成立をいたしましたけれども、在外施設に通う日本人児童生徒に対しましても、研修を受けた登録日本語教師が積極的に活用される仕組みを検討することですとか、現地採用教員の人材育成に当たっては国際交流基金による海外日本語教師研修等の活用も、このこともこの一月の有識者会議の報告書の中に盛り込まれております。

 今後の方針についてお尋ねをさせていただきます。

藤江政府参考人 日本人学校や補習授業校といった在外教育施設におきましては、永住者ですとか、あるいは国際結婚家庭の増加によりまして子供たちの家庭環境が多様化する中での、やはり日本語教育支援の必要性が高まっているというふうに認識しているところでございます。

 このため、在外教育施設では、例えば国際結婚家庭の子供を対象とした、地元をテーマにして日本語を使う授業ですとか、特別な日本語指導案による補講をするなど、特色を生かした取組を行っているところでございます。

 本法案の成立後には、外務省とも連携しながら、各在外教育施設において必要に応じて登録日本語教員を活用する仕組みですとか、あるいは、現地採用教員の人材育成に当たって国際交流基金による海外日本語教師研修等を活用することなどを検討し、引き続き日本語教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 在外施設に通う日本人児童生徒に対しても、しっかり、今回の法律案が成立した場合には、登録日本語教師の一つの大変活躍できる、大変重要な場所だというふうに思いますので、このことについても積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、この登録日本語教員の日本語教育機関以外での活躍、大変様々な分野で期待されるところでございますので、しっかり、様々な可能性に対して取組をお願いをしたいと思います。

 続きまして、永岡文部大臣に質問させていただきます。

 日本語を通じまして、日本のエンタメ等を含めたすばらしい日本の文化ですとか伝統の発信や、日本への理解を深めるという意味でも、海外における日本語の振興というものが極めて重要でございます。

 本法律案につきましては国内を対象としているわけでございますけれども、今後、このような大切な日本語の発信、また理解についてどのような方針で取り組んでいかれるかということを大臣にお伺いをさせていただきます。

永岡国務大臣 海外におけます日本語教育の機会の拡充につきましては、日本語教育の推進に関する法律に基づきまして、外務省を中心といたしまして、関係省庁が連携をした取組が推進されております。

 具体的な取組といたしましては、国際交流基金を通じまして、日本語専門家などの海外派遣ですとか、海外の日本語教師への研修ですとか、また、オンラインの教材を含みます日本語学習教材の開発、提供などの取組というものが行われておりまして、例えばオンラインの日本語学習教材につきましては、日本のアニメや文化に誘発されまして、日本語学習のニーズというのも対応したものであると承知をしております。

 海外におけます日本語教育の振興につきましては、我が国への理解と関心の増進等に寄与することから非常に重要でございまして、日本語専門家等の海外派遣などの取組におきまして、本法案により制度化された登録日本語教員の活躍の場というのも多く存在するものと期待をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、海外の日本語教育の振興に関する取組について、外務省を始めといたします関係省庁と更に緊密に連携を図ってまいります。

西岡委員 今、大臣からも大変重要性について御発言がございましたので、しっかり、今後一層、この法律が成立をいたしましたら、この教員の活用も含めて進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、これも先ほどからの議論であっておりますけれども、日本語教育は大変地域間格差が大きいというのが現状でございます。日本語教室の空白地域の現状と、人材育成も含めた、その解消へ向けた支援の方針、また、既存の日本語教室間の連携やネットワークを強化していくことも大変必要だというふうに考えますけれども、取組についての方針をお伺いをいたします。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における日本語教育は、地方公共団体や国際交流協会が主体となって、生活者などを対象に日本語教室を開設するなど、各地域の実情に応じて取り組まれています。しかし、今なお、日本語教室が設置されていない、いわゆる空白地域があり、地域における人材不足や日本語教室運営のノウハウの不足等が課題と認識しております。

 このため、文化庁では、日本語教育機関、NPO等の日本語教育関係団体や経済関係団体等の連携やネットワークを図る総合調整会議の設置、地域日本語教育コーディネーターの配置や研修、日本語学習支援者等のボランティアへの研修、空白地域の市町村への日本語教室開設支援などを行う都道府県・指定都市への支援に取り組んでいるところでございます。

 また、本法案が成立した際には、地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業におきまして、認定日本語教育機関と地方公共団体等との連携を支援することとしております。

 これらの取組を通じまして、引き続き、地域における日本語教育の環境整備に取り組んでまいります。

西岡委員 加えまして、先ほど質問の中でも申し上げました日本語教室間の連携ですとかネットワークも大変重要だというふうに思いますので、この面についてもしっかりと進めていただきたいということをお願い申し上げます。

 次の質問でございますけれども、日本語教育のICT教材とオンラインの活用というものは、日本語教育空白地域の対応のみならず、外国人からの様々な相談ですとか医療面での支援など、日本に暮らしていらっしゃる外国人の方の総合的なセーフティーネットワークの構築にもつながるというふうに考えますけれども、このことについての御見解をお伺いをしたいと思います。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教室の空白地域の解消も含め、日本に暮らす外国人が日本語を習得できる環境づくりは重要でございます。このため、文化庁におきましては、独学でもオンラインで日本語学習が可能となるよう、「つながるひろがるにほんごでのくらし」という名称の日本語学習コンテンツ、いわゆる「つなひろ」を作成いたしまして、ホームページで公開するとともに、その対応言語の拡大に取り組んでいるところでございます。この「つなひろ」は、日本で暮らす外国人にとってセーフティーネットとしての重要な役割を果たしているものと考えております。

 また、このコンテンツは、文化庁のホームページのほかに、出入国在留管理庁が作成する、外国人向けに医療や教育、福祉といった場面で必要となる情報をまとめたガイドブックやホームページなどにおきましても紹介されており、その活用を促しているところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携して、外国人に対する情報提供などに取り組んでまいります。

西岡委員 そういうホームページがあるということをしっかりと広報、告知していくということが大変重要だと思いますので、引き続きお取組をお願い申し上げます。

 次、順番を入れ替えさせていただきまして、永岡大臣に質問させていただきます。

 大学における専門人材としての日本語教師の育成については、大学学部での教員養成課程を経て日本語教師になる割合は一割以下というのが現状でございます。

 職業としての認知が十分にされていないなど、日本語教師の社会的な役割については、国として社会の認識を変えていくということが必要ではないかと思います。また、先ほども申し上げました、キャリア形成を明確にしていくということも必要であると考えます。このことについて、文部科学大臣の御見解をお伺いをいたします。

永岡国務大臣 日本語教師の必要性ですとか、また専門性の社会的認知を高めて、さらに、その処遇改善ですとか、人員確保につなげていくためにも、本法案によりまして登録日本語教員の国家資格を創設をいたしまして、その質の担保を図ることが重要だと考えております。

 登録日本語教員の資格を設けることによりまして、日本語教員の必要性や重要性の認知であるとか、また、日本語教員の専門性の確立と、その社会的認知というのもあります。そして、教育現場におけます日本語教員の役割と業務の明確化が図られまして、登録教員のキャリア形成に資するものと考えております。

 また、これと同時に、文部科学省では、資格取得後の登録教員を対象にいたしまして、様々な場面で活躍ができるように、分野別の初任者向けの研修等の提供ですとか、また、本人の希望に応じまして、国が構築いたしますサイト上で登録教員の研修歴などを掲載することなどを進めまして、登録日本語教員の更なるキャリア形成というものを支援していきたいと考えております。

西岡委員 今大臣から御発言がございましたけれども、待遇改善、特にやはり、資格を得るということの中で給与面での改善というのも大変重要だと思いますので、このことにも取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問でございますけれども、文部大臣には、認定日本語教育機関設置者の氏名や住所を複数言語で公表することが義務づけられ、本法律案が成立した場合には大臣にそのことが義務づけられ、また、日本語教育機関の設置者には、学習環境に関する基本的な情報を公開することを義務づけているわけでございますけれども、複数言語による公表は努力義務とされております。この内容こそが学習者にとっては極めて重要な情報であり、複数言語による公表が義務づけられなかったその理由、また、義務づけられるべきだと思いますけれども、見解をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、国が認定日本語教育機関に関する情報を多言語で公表することとしています。その公表する情報の具体的内容につきましては今後省令において定めることとなりますが、日本語学習を希望する者に必要な情報が届くよう、当該機関における教職員組織や日本語教育課程の概要などを公表することを想定しております。

 また、これと併せまして、認定日本語教育機関については、多様な設置主体が設置者となることが見込まれることから、当該機関における学習の環境に関する基本的な情報を日本語で公表するよう義務づけるとともに、多言語での公表を努力義務としております。

 いずれにせよ、文部科学省といたしましては、関係省庁とも連携し、国内外への情報発信により、日本語学習を希望する者に必要な情報が届けられますよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

西岡委員 多言語での公表が必要であることを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、法案について聞きます。

 我が党は、日本語教育の充実にもちろん賛成です。昨年の参議院選挙での選挙政策でも、「夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。」と公約をいたしました。

 しかし、この問題は、ただただ一般的な日本語教育の問題ではなく、名古屋入管収容中にその貴い命を奪われたウィシュマ・サンダマリさん事件に示されたように、現行の入管法制の非人道的、反人権的な問題点との関係で、厳正にその評価を行わなければならないと考えます。

 なぜならば、故ウィシュマ・サンダマリさんも、今から五年前の二〇一七年六月に、まさに留学生としてスリランカから来日されたからであります。

 妹さんたちによると、ウィシュマさんは、亡くなったお父さんに代わって一家を支えられるようになりたいと考えていたというわけでありまして、お母さんは、家を担保に借金をして留学費を工面した。通っていた日本語学校に入学時に提出した書類には、スリランカで語学学校を開きたいという彼女の夢が記されておりました。

 しかし、ウィシュマさんは、同居するスリランカ人の男性からのDVによって次第に日本語学校を欠席しがちになり、ついには除籍処分となりました。

 二〇二〇年八月、同居人からの暴力に耐えかねて交番に駆け込んだら、そこで在留資格を失っていることが発覚し、名古屋出入国在留管理局に収容されました。

 名古屋入管の非人道的、反人権的な扱いによって、その後、ウィシュマさんがたどった痛ましい経緯は御承知のとおりであります。

 まず聞きますけれども、本法案が規定する日本語教育機関の大半を占める日本語学校の中には、多くの留学生を受け入れ、その留学生を人手不足解消のための安い労働力として利用するなど、外国人ビジネスとなっている悪質な実態があります。留学生の多くは、渡日前に学費を前払いし、渡航費やあっせん業者、ブローカーへの手数料など、留学開始時に百万円以上の借金があり、学費や生活費、借金返済、母国への仕送りのための収入を得るためにアルバイトに追われ、留学とはほど遠い状況に置かれております。

 そもそも、文部科学大臣は、外国人留学生をめぐるそのような実態、生々しい実態を認識しておられますか、大臣。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 日本語教育機関での留学生の受入れは、留学生各自がそれぞれ目的とする進学ですとか就職等に向けて必要な日本語能力を習得させることを目的として行われる必要があると考えております。

 しかしながら、現行の日本語教育機関の中には、制限を超えて不法に留学生を就労させるなど、課題のある事例もあるものと承知をしております。事案によっては、教育上の観点からも、学習に大いに支障を来し、認め難いものというものが生じかねないものと考えているところです。

宮本(岳)委員 日本語学校は、その多くは、法務省出入国管理庁が出入国管理及び難民認定法に基づく告示により定めた、いわゆる法務省告示機関であり、告示校は、在留資格、留学による外国人受入れが認められております。在留資格、留学により資格外活動として認められる就労は、週二十八時間以内となっております。

 聞きますけれども、法務省告示を受けている日本語学校は、二〇二三年五月八日時点で何機関あり、設置形態で株式会社と有限会社を加えてそのうち何%になるか、出入国管理庁、お答えいただけますか。

君塚政府参考人 今御指摘ございました、法務省が告示をもって定める日本語教育機関の数は現在八百三十二機関ございまして、そのうち五百二十五の機関、割合にして約六三%が株式会社又は有限会社により運営されてございます。

宮本(岳)委員 約三分の二が、営利を目的とする株式会社と有限会社が経営しているわけですね。

 二〇一九年十一月六日、北海道旭川市の旭川日本語学校の経営者ら五人が、ベトナム人留学生二人を違法就労させたとして、入管難民法違反、不法就労助長容疑で逮捕されました。経営者自らが社長を務める産業廃棄物処理場などで、留学生たちを週二十八時間以内の法定上限を超えて働かせていたということです。この旭川日本語学校は、二〇一七年にできた新設校なんですね。

 二〇一七年に大問題になった栃木県の日本語学校、東日本国際アカデミー事件では、ベトナム人留学生四人を不法就労させたとして入管難民法違反、不法就労助長の罪に問われた同校理事長と法人として起訴された人材派遣会社東毛テクノサービスに対して、前橋地裁太田支部は有罪判決を下しております。

 この事件の概要を承知しているか、ひとつ紹介していただけますか。

君塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今の学校につきましては、報道等々において、もちろん私ども承知をしてございまして、ベトナム人留学生を数名不法就労させたということでございまして、入管難民法違反、不法就労助長ということでございまして、この学校の理事長あるいは人材派遣会社の経営者などにつきまして有罪判決が出されたということは私ども把握しているところでございます。

宮本(岳)委員 理事長は、自身の経営する人材派遣会社を介して留学生を就労先に送り、基準を大幅に上回る就労時間で稼いだ収入から、授業料のほか、不当に高額な寮費などを徴収していたことが分かっております。同容疑者は、当初から借金返済のために就労させており、関係者によると、学校職員には、派遣の収入がなければおまえらの給料も払えない、一人でも多く働かさなければなどと公言をしていたと。判決は、これに対して、こうかつで悪質な犯行と断じております。

 問題は、こういう高い学費や寮費、渡航費、あっせん手数料などによる借金返済のために上限を超えて働かざるを得ない留学生が、事件が明るみに出たら、その留学生自身が不法就労ということで責任を負わされるというこの現状なんですね。

 留学生を搾取する悪質な日本語学校を排除、規制すること、同時に、事実上、そのような現状を認識していながら放置してきた行政の責任など、構造的な問題には全くメスが入らずに今日まで来たんですよ。これを留学生のみの責任に負わせてきたことは大きな誤りだったと私は思いますが、出入国管理庁、そう思いませんか。

君塚政府参考人 まず、留学生の資格外活動許可につきましては、今御指摘もありましたけれども、本来であれば、留学生本来の学業というものを阻害しない範囲で就労活動を認めているところでございますけれども、許可条件の違反が疑われる者が少なからず存在しているわけでございます。

 したがいまして、私ども出入国在留管理庁におきましては、留学生が真に学習する目的を有しているかを見極めるために、入国、在留審査におきまして、勉学の意思、能力それから経費支弁能力などにつきまして慎重に審査を行うとともに、在籍管理の問題がございます日本語教育機関に対しましては実地調査、厳格な指導等を行っているところでございます。

 こうした調査等を通じまして、日本語教育機関として不適切な行為が確認されるなど、留学生の受入れを行わせることが適当ではないと判断された日本語教育機関につきましては、私ども、日本語教育機関の告示基準というのがございますけれども、この基準の中で、生徒に対し、人権侵害行為を行い、又は法令違反行為を唆し若しくは助けているという場合などにつきましては、この日本語教育機関を定める告示からの抹消を含めまして、厳正な措置を取っているところでございます。

宮本(岳)委員 大臣、冒頭申し上げたように、この問題は、ただただ日本語教育機関の日本語教育を今後文科省が引き受けて大いに進めていこう、質の保証をしていこうという、それだけの話じゃないんですよ。

 今、現状は、そういいながら、留学生といいながら、実は働かせるために送り込まれていたり、御本人ももちろん働くために来ておられる方も中にいらっしゃる、そういうものが今大変劣悪なというか、ひどい状況になって事件になるわけですけれども、それを本当に正さなければ、本当にひどい状況がある、それを今回どうするかということが問われるテーマだということなんですね。

 大臣、冒頭も聞きましたけれども、そういう自覚、お持ちですね。

永岡国務大臣 宮本議員おっしゃるとおりでございまして、実は、私、茨城県の選挙区におります。そんな中で、地域におけます日本語教育機関というものは、公のものはございませんで、私立のもの、つまり、学校法人であるとか、また株式会社立というものがございます。

 中には、私の地域だけではなくて、ちょっとほかの選挙区の方の話を伺いますと、やはり相当学校が働かせ放題しているという話も伺いまして、そのことに関して大変憂慮をしていたという事実がございますので、委員のおっしゃることは理解をしているというところでございます。

宮本(岳)委員 ですから、本法案の基になった、日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議の報告書の「日本語教育に関する課題」というところでも、「留学生対象の日本語教育機関等の一部にみられる課題」というふうに挙げまして、特に、入管法に基づく在留管理上の観点から留学生を受け入れる機関を告示する制度においてはどのような問題点が指摘されているか、これは文部科学省にお答えいただけますか、文化庁ですか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の法務省告示校制度についての問題ということでございますけれども、今、先ほどここで御議論がありました在留資格上の観点、課題のほかに、教育上の課題の話も令和四年度の文化庁有識者会議において出ておりまして、教育的な観点からの質の確認、担保が十分でなく、教育環境が十分に整っていない機関が見られるとの指摘がなされております。

 具体的には、新設後、設置者の変更などの際に、法務省より情報共有を受ける中で、例えば、校長が学校の目標や教育課程の内容を十分理解していない、把握していない、教員の数や必要な経験が不足している、あるいは受入れを予定している留学生の日本語レベルに教育課程内容が適合していないなどなど、教育上の観点から不適切な事例が見られているところでございます。これは、現在、定期報告等の仕組みがないこともありまして、時間が経過するうちに水準が低下している事例であろうかと考えられます。

 こうしたことから、本法案におきましては、在留管理上の観点から、法務大臣の協力を得つつ、文部科学大臣が認定日本語教育機関から定期報告を受ける旨の規定を定めているところでございまして、こうしたものを通じまして、課題のある機関があった場合には指導し改善を図るということで、教育の質が確保されるよう取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 まさにあなた方がやった有識者会議でも、教育的な観点からの質の確保、担保が十分でなく、教育環境が十分に整っていない機関が見られると、現状を認めているわけですね。大臣からも、先ほど、憂慮という言葉も口にされました。

 日本語教育機関を法制上位置づけて認定する場合に、現状の、留学生をこういった形で搾取するような悪質な日本語学校を排除し規制するなど、構造的な問題の解決が求められると思うんですね。

 そこで、文部科学省に事実問題、聞くんですけれども、本法案は、日本語教育機関の設置形態について、何らかの制限を設けるつもりですか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、認定日本語教育機関の設置者に対し、必要な経済的基礎を有すること、必要な知識又は経験を有すること、社会的信望を有することの要件を規定しております。

 また、認定日本語教育機関の認定に当たりましては、日本語教育課程を担当する教員及び職員の体制、施設及び設備、日本語教育課程の編成及び実施の方法、学習上及び生活上の支援のための体制などの事項について、文部科学省令において認定基準を定めることとしております。

 これらの基準を満たすものであれば、設置者は株式会社であっても学校法人であっても認定の対象となるということでございますけれども、いずれにせよ、その後の定期報告などによりまして課題が判明した場合には、設置主体を問わず、しっかり指導し、改善を図る仕組みとなってございます。

宮本(岳)委員 設置形態を問わないんですね。

 それで、いろいろおっしゃいましたけれども、じゃ、現行ではそういうことをやっていなかったのかということなんですよ。

 現行の法務省告示校制度においても、学校の開設時は、教育課程、教員資格、生徒指導等の教育上の観点から文科省もちゃんと確認するなど、法務省と文科省は連携してやってきました。これまでだって別に、文科省の知らぬところで法務省が勝手にやっていたわけじゃないんですよ。そうですよね。

 今度は文科省がどうを取って、法務省と協議するというんですけれども、今までこれだけひどい状況がある中で、今度、設置形態を問わずにチェックするといったって、ここにどんな担保があるのかということを言わざるを得ないというふうに思います。本案においても、結局、法務省と文科省が連携していくという点は変わらないわけですね。

 つまり、株式会社や有限会社の設置校を始め、現状の法務省告示校がほぼそのまま認定を受けることに、まあ、よっぽどひどいものが出てくれば、今だってひどいものは、さっき言ったように、事件になっているんですから、今だって見過ごしていないんですから、そういうものはそれは淘汰されるでしょうけれども、しかし、ほぼ全部が認定を受けることになるんですよ。

 これでは、現状の日本語学校が抱える構造的な課題はそのままに、現状を追認するのみならず、法律に基づく認定を与えることで、違法、無法な留学生搾取を助長しかねない、私たちはこれを一番危惧するわけですね。

 日本語学校を法制上位置づけ、留学生を搾取するような悪質な日本語学校を排除し規制するなど、構造的な問題の解決を図ろうというのであれば、まずは、世界でも異常に低い難民認定率や全件収容主義など非人道的な難民入管行政を改めないどころか、外国人の人権侵害を一層深刻化する出入国管理法の改悪案を撤回をして、留学生の人権と個人の尊厳を守ることを第一に保障する入管行政に切り替えること、そして、憲法や子どもの権利条約や国際人権規約等の立場に立ち切ることが重要だと思います。

 そうしようと思えば、大臣、やはり、少なくとも学校教育法上に位置づいた学校として運営されることを目指すのは、文部科学大臣としては当然のことではないですか、大臣。私たちはもちろんそのことには一切反対しません、学校をつくってやっていこうということはね。それが当たり前の姿じゃないですか。

永岡国務大臣 現状の日本語教育機関というのは、各機関の設立の経緯によりまして、やはり多様な設置主体によりましてこれはつくられております。当然、学校法人立もあれば株式会社立もあるということでございます。

 学校法人制度につきましては、各法人の建学の精神に基づきまして、私立学校の自主性ですとか公共性を担保する制度でございます。その一方で、例えば、株式会社立の日本語学校というのは、多様な教育ニーズに柔軟に対応できるとの指摘もございます。こうした設置主体別の特性があることから、全ての機関を学校法人にするのではなくて、やはり多様な実態を踏まえたものとしているわけでございます。

 しかしながら、いずれにいたしましても、本法案では、設置主体を問わず、認定日本語教育機関に求められる義務は同等に課しておりまして、問題があれば、法に基づきましてしっかりと指導していきたい、そう考えております。

宮本(岳)委員 おっしゃるとおりで、経緯があって、だから多様になっているということですよね。

 本来、学校をつくるのなら、学校教育法上の学校をつくるというのが当たり前なのに、そうでないのは、様々な経緯があると。その様々な経緯という中に、今申し上げたような悪質な事例が出てくるようなことがあって、そこから自動的に結論が導かれるわけではないですけれども、そうやって留学生としてやってこられたウィシュマさんが様々な事情から命を落とすというところまで悲劇が起こったということがあるわけですから、私たちは、ここを本当に塞ぐということをやらないと、ただただ多様だからいいんだという話にならないということを申し上げたいわけですね。

 さあ、それで、日本語教育を担う日本語教師の方々のことについても聞きたいと思います。

 日本語教室は、教える人の多くがボランティアによって担われている。支援者の高齢化や次世代の担い手不足により、継続的な開催、維持が困難といった課題も指摘をされております。

 まず、事実を聞きましょう。文化庁。

 日本語教育を担う日本語教室について、日本語教師数は二〇二一年度で何人おられるか。そして、勤務形態別に、常勤、非常勤、ボランティア、それぞれどういう比率になっておりますか。

杉浦(久)政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁調査によりますと、令和三年十一月一日現在で、日本語教員の数は三万九千二百四十一人でございます。

 雇用形態別の割合は、常勤が一六%、非常勤が三六%、ボランティアが四八%でございます。

 年齢別の割合は、多い順に申し上げますと、六十代が二二・八%、五十代が一九・七%、四十代が一六・〇%、七十代が一二・〇%となってございます。

宮本(岳)委員 特に年齢は聞いていないんですけれども。

 今おっしゃったとおり、四万人おられて、そして、その内訳は、常勤が一五・七%となっておりまして、非常勤が四割弱、ボランティアが半分弱、これが現状なんですね。

 こうなってくると、ボランティアですから、収入は本当に限られているわけですよ。そうなりますと、当然、高齢者やいわゆる専業主婦という方々が多くを占めることになる。その結果、先ほどおっしゃったようなことになるんですが。

 ちょっと、改めて、五十代以上の方が何割を占めるか、それから二十代の方、三十代の方がそれぞれ何%か、答えていただけますか。五十代以上、総計で何割か。そして、二十代、三十代、それぞれ。

杉浦(久)政府参考人 失礼いたしました。

 五十代以上でございますけれども、五四・五%でございます。申し訳ございません。約五割を占めているということでございます。申し訳ございません。失礼しました。

 申し訳ございません、二十代が五・五%、三十代が八・七%でございます。

 申し訳ございませんでした。

宮本(岳)委員 今答弁あったとおりですね。そして、文化庁の調査によると、法務省告示校の常勤日本語教師でも年収は四百万円未満が大部分を占めて、非常勤の場合は年収百五十万円未満が多くを占めている。要するに、日本語教師で食べていけないんですよ。食べていけないので、二十代、三十代の若い世代では、やりたくてもやれないんです。

 この間、私は、何人もの日本語教育に携わる専門家の方々からお話を聞いてきましたけれども、それは、登録日本語教員というものをつくること自身に嫌だとか反対だという人はいませんでしたけれども、しかし、一番の問題はここなんだと。話を伺った専門家の方々は、ここが最大のネックになっているんだ、こういうことなんですね。

 大臣、登録日本語教員と名前をつけてもらっただけでは御飯は食べられないんです。専門性を重視し、国家資格化するのであれば、日本語教育の専門職にふさわしく、小中高の教員免許と同様に、大学での養成を原則とする方向に転換するとともに、せめて小中高の教員並みの処遇を保障すべきだと私は思いますが、そう思われませんか。

永岡国務大臣 本法案におきましては、登録日本語教員の新たな国家資格を設けております。これによりまして、日本語教師の必要性ですとか専門性の社会的認知の向上が期待をできまして、処遇の改善にもつながると考えているところでございます。

 そのほか、登録日本語教員が活躍できますように、日本語指導に必要な専門性を高めるための研修ですとか、教員自身のキャリアが証明できるようなサイトの構築などに取り組んでまいります。

 文部科学省といたしましては、こうした取組を通じまして、専門性が高い登録日本語教員が社会において適切な評価が受けられますような、そういう環境整備に努めてまいる所存でございます。

宮本(岳)委員 専門性が高いということは、処遇も安定していなきゃ駄目なんですよね。専門性だけ高くして、処遇についてはあずかり知らないというのでは、いや、やりがいがあるんですよ、やりがいがある仕事なので、現状はまさにやりがい搾取みたいな、やりがいがあるから、まあ低賃金でもやっているみたいな、そういうことにあぐらをかいていたのでは駄目だということは申し上げておきたいというふうに思います。

 先ほど、質問の冒頭で、我が党が昨年の参議院選挙で、「夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。」と公約したことを紹介いたしました。残された時間ですけれども、夜間中学についてお聞きしたいと思います。

 言うまでもなく、夜間中学については、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法によって法的に位置づけられております。

 夜間中学に光が当たることになったきっかけは、二〇一三年十一月二十七日の当委員会の質疑と、それに先立って行われた当委員会、衆議院文部科学委員会による足立区第四中学校の夜間学級の視察でありました。

 このときの質疑で私の問いに答えて、当時の下村博文文部科学大臣が、初めて文部科学省として、改めて総務省に、国勢調査項目に義務教育未修了者の把握についても入れてほしいということについては要望していきたいと答弁をされました。さらには、全都道府県に一か所の夜間中学を検討したいという画期的な答弁が出て、これをきっかけに大きく動き始めた。

 二〇一三年の議論でも取り上げましたけれども、この夜間中学の法的根拠というのがこのとき議論されております。私は、国際人権A規約、社会権規約十三条二項の(d)を引いて議論をいたしました。当時の加藤重治文部科学省国際統括官は、社会権規約十三条二項(d)には、「基礎教育は、初等教育を受けなかつた者又はその全課程を修了しなかつた者のため、できる限り奨励され又は強化される」と規定されていることを答弁した上で、「我が国はこの国際人権A規約を昭和五十四年に批准してございますので、日本政府はこの十三条二項(d)に拘束されているものでございます。」こう明確に答弁をされました。こういうやり取りを受けて、二〇一六年、議員立法で教育機会確保法が制定されたわけですね。

 これも事実確認ですから、初等中等教育局長に聞きますが、その第一条「目的」には何と書かれてありますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の教育機会確保法第一条、ここに目的が定めてあるわけでございますけれども、「この法律は、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とする。」と規定されていると承知をしております。

宮本(岳)委員 「教育基本法及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、」と、これは第一条に書かれているわけですね。そうなりますと、教育機会の確保に関する施策というものは、当然、国際人権A規約第十三条も踏まえて実施している、こう考えますが、そういう認識でよろしいですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 我が国も国際人権A規約を批准をしており、当該条約の趣旨も踏まえ、夜間中学において、我が国又は本国において義務教育を修了していない外国籍の方などに対する日本語指導も含め、教育機会の確保に関する施策を実施をしているところでございます。

宮本(岳)委員 まさに、この教育機会確保法の国際条約の中には、こういう形で国際人権A規約第十三条も踏まえているという御答弁だったと思います。

 そこで、私に対する答弁を受けて、確かに、文部科学省は、総務省に対して、国勢調査項目に義務教育未修了者の把握についても入れてほしいという要望を行い、それが受け入れられて、二〇二〇年の国勢調査で初めて、未就学者と区別して、最終卒業学校が小学校という方の数をつかんだわけですね。

 その結果、未就学者、最終卒業学校が小学校の者、それぞれ何人になっているか、これも初中局から答えていただけますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 総務省が昨年五月に公表した令和二年の国勢調査では、令和二年十月一日時点で十五歳以上の方の中で、いずれの学校にも在学しておらず、小学校にも中学校にも在学したことのない者又は小学校を中退した者、これが九万四千四百五十五人でございます。また、小学校のみ卒業した者又は中学校を中退した者、こちらが八十万四千二百九十三人となっているところでございます。

宮本(岳)委員 九万四千四百五十五人と八十万四千二百九十三人ですから、合わせて九十万人ですけれども、そのうち、最終卒業学校が小学校の方が八十万人と、圧倒的に中学校未卒者が多いわけですね。ですから、これにより、夜間中学の設置ニーズが統計上も明らかになったということだと思うんです。

 それも受けて、二〇二一年の一月の衆議院予算委員会で、当時の菅首相が、今後五年間で全ての都道府県・指定都市に夜間中学校が少なくとも一つ設置される、これを目指して取り組みたいと答弁をいたしました。

 今はそれから二年たっていますけれども、どこまで進んだのか、到達点を御答弁いただけますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在、四十七都道府県、二十政令指定都市のうち、既に夜間中学がある地域、これが十一都道府県、十二指定都市でございます。また、令和六年度設置予定を含めますと、十七都道府県、十三政令指定都市、また、令和七年度設置予定までを含めると、二十一都道府県、十五指定都市となる予定でございます。

宮本(岳)委員 全て加えても、都道府県では四十七都道府県中二十一都道府県ですよね。政令指定都市では二十政令市中十五都市。政令市は七五%ということでありますけれども、都道府県ではまだまだ半分に届かないという状況であります。

 私は、今日の質問の準備に当たって、大阪市立天満中学校の夜間学級にお伺いをして、お話を聞くとともに、授業風景も見せていただいてまいりました。やはり、外国人の生徒が増えて、日本語指導のみのクラスを到達度別に三クラスつくるなど、日本語指導に随分現場は苦労されておりました。

 もちろんICT化がされていますから、私が以前見に行った夜間中学では、先生が頭を指して、あ、あとか言って、頭の「あ」とか言って、「あ」という字を書いてとかとやっていましたけれども、今は、ディスプレーというかテレビみたいな画面にいろいろな、動画も含めて、動画や図形を出してやっていましたけれども、御苦労をいただいていることはよく分かりました。

 そして、そこには、日本語指導の研修を受けた有資格者の教員の方が配置されていると。このクラスはそういう、ちゃんと日本語指導の研修を受けています、こういうふうに御説明をいただきました。

 夜間中学が海外から来られた方とその子女の教育の役割をも担うとすれば、やはり一般の中学校以上に、日本語指導に当たる教員配置や加配が必要だと思います。文科省、当然そういう措置は行われているんですか。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 夜間中学に在籍する生徒のうち約七割は外国人生徒となっておりまして、また、令和四年度までに設置されていた夜間中学四十校のうち三十九校には日本語指導が必要な生徒が在籍していることなどから、夜間中学における日本語指導の充実が求められているところでございます。

 文部科学省といたしましては、夜間中学を含めまして、日本語指導充実のため、日本語指導が必要な生徒に対して取り出し指導を行う特別の教育課程の制度化、日本語指導に必要な教職員定数の着実な改善、日本語指導担当教員等に対する研修の実施ですとか、日本語指導補助者などの外部人材の配置など、外国人生徒等に対するきめ細かい日本語指導に取り組む自治体に対する支援などを行ってきたところでございます。

 引き続き、日本語指導が必要な外国人生徒等の教育的ニーズに応じたきめ細かな支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 今、大いに夜間中学がそういう役割を果たす必要があると思います。

 それで、最後に大臣にお伺いするわけでありますけれども、かつて菅首相が明言したこの目標、五年間に全ての都道府県・指定都市に夜間中学校が少なくとも一つ設置されることを目指して全力で頑張る、この目標については、当然大臣もこれを掲げて、全力で頑張っていただけますか。その御決意をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 夜間中学というのは、先生も御指摘いただいておりますけれども、義務教育を修了できなかった方、また、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、また、我が国又は本国において義務教育を修了していない外国籍の方など、教育を受ける機会を保障する役割というものを果たしているものと考えております。

 私もやはり、昨年九月なんですけれども、大臣になりまして、常総市立の水海道中学校の夜間学級へ行ってまいりました。在籍されていた生徒さんというのは総勢三十六名ということでございますが、そのうち二十六名の方が外国籍の方でございました。生徒さんの皆さん、本当に学ぶ力が強い。本当に意欲があるんですね。その高さと、それからあと、対応してくださる先生方の熱意というものが本当に、視察をしておりましても、非常に心打たれるということを感じました。やはり、夜間中学が義務教育を実質的に保障する重要な役割を果たしているということを改めて感じたわけでございます。

 文部科学省といたしましても、引き続きまして、全都道府県、そして指定都市に少なくとも一校設置されますように、設置に向けた自治体の取組、これをしっかりと促してまいりたい、そう考えております。

宮本(岳)委員 教育機会確保法附則の三には、「この法律の施行後三年以内にこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づき、教育機会の確保等の在り方の見直しを含め、必要な措置を講ずるものとする。」と定められております。

 二〇二六年までに全都道府県と全政令市に夜間中学を設置することはもちろん、子どもの権利条約や国際人権規約の精神に立って、文字どおり、全ての人に基礎教育を保障する立場に立って不断の見直しを行うことを強く求めて、私の質問を終わります。

宮内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、日本語学校を適正化するといいますが、現行の日本語学校を法務省告示から文科省認定へと、その認定する官庁を移し替えても、問題の根本解決にはならないからです。

 現行の日本語学校の最大の問題は、その大半が、受け入れた多くの留学生を安い労働力として利用することと一体に運営されていることです。留学生の多くは、留学開始前から渡航費やあっせん手数料など百万円以上の借金返済を抱え、学費や生活費、母国への仕送りのためにアルバイトに追われるなど、留学とはほど遠い実態にあります。

 しかも、法務省告示八百三十二機関のうち、営利目的の株式会社などが六割以上を占め、中には、学校の理事長自身が人材派遣会社を経営し、留学生からパスポートを没収し、週二十八時間以上働かせ、不当に高い家賃を徴収するなど、外国人ビジネス、留学生搾取と言える悪質な事例まであります。

 こうした実態にメスを入れ、悪質な日本語学校を排除、規制するなど、留学生を搾取する構造そのものを変えることが求められています。

 ところが、本法案は、法務省告示から文部科学大臣による認定へと学校を認定する主体を変更するだけで、留学生搾取の仕組みや構造は何ら変わっていません。法案は、現行の法務省告示校をそのまま日本語教育機関と認定することを想定していますが、これでは、現状の日本語学校を追認するにとどまらず、法律に基づく文科大臣の認定を与えることで違法、無法な留学生搾取を助長しかねず、容認できません。

 留学生は留学生として受け入れるべきです。留学という名目で、労働させるために外国人を受け入れ、留学生を搾取する構造を改めること、留学生募集、留学生の就労など、留学生受入れ政策を抜本的に見直すことを求めます。

 また、日本語教育を担う日本語教師の問題についても一言申し上げたい。

 日本語教師の年収は、常勤でもその多くが四百万円未満、非常勤では百五十万円未満にとどまり、生業として成り立たない現状があります。本法案の登録日本語教員の国家資格化だけでは、やりがい搾取とも言える処遇の改善にはなりません。文化や生活面も含め、日本語教育の専門職として地位向上を図るべきだと申し上げ、討論といたします。

宮内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村裕之君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。

 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 我が国が選ばれる国となるためにも日本語教育を更に推進することが必要であり、教育機関、事業者、地方公共団体等とともに、日本語教育に必要な環境を整備し、誰一人取り残されない多文化共生社会の実現に向けて、認定日本語教育機関や登録日本語教員による日本語教育が、地方も含めて幅広く行われるよう、財政措置を含めた支援策を検討し、必要な措置を講ずること。

 二 認定日本語教育機関や登録日本語教員が、留学分野だけでなく就労及び生活・子育て分野でも広く活用されるよう、文部科学省及び法務省その他の関係省庁の連携の下、具体的な仕組みを検討し、その構築に努めること。また、認定日本語教育機関の認定基準の策定に当たっては、法務省告示校、大学留学生別科をはじめとする日本語教育機関のうち、一定の要件を満たすものが適切に認定されるものとすること。

 三 日本語教育を必要とする就学前段階からの子供が、ライフステージに合わせて幼稚園、保育所、認定こども園や小・中・高等学校、夜間中学等も含めた多様な場において適切な支援を受けられるよう、関係者及び関係機関の連携を密にするとともに、個々のニーズ、レベル、発達状況に応じた切れ目のない日本語学習機会の提供のための支援に必要な施策を講ずること。

 四 日本語教育における専門人材の確保が困難な状況にある中、留学生、児童生徒、生活者、就労者、難民・避難民、海外等の分野別の研修の充実をはじめとする日本語教師のキャリア形成支援、処遇や労働環境の改善等による人材確保策について具体的に検討すること。また、地域における日本語教育において、ボランティアや地域日本語教育コーディネーター等の担い手の確保が本法施行後も引き続き重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、地方公共団体と適切に連携すること。

 五 現在の法務省告示校の教員要件を満たす者や現職の日本語教師に対する登録日本語教員への移行措置については、関係者の意見を十分に踏まえた上で早期に明確化するとともに、その周知に万全を期すこと。

 六 本法により創設される認定日本語教育機関及び登録日本語教員の制度について広く周知するとともに、日本語教育機関や日本語教師の専門性、社会的意義及び役割についての認知を高めること。

 七 外国人が基本的なコミュニケーション能力を得る上で、日本語の習得に取り組むことが有用であるという認識を、在留管理等の観点も含めて外国人の受入れ政策に関係する全ての省庁が共有すること。また、地方の出入国在留管理も含めた法務省と文部科学省の一体的な制度の運用に必要な体制を強化し、外務省、厚生労働省、総務省、経済産業省等の関係行政機関が連携して、本法に規定される事務の実施に万全を期すため、政府全体として必要な体制を整備すること。その上で、技能実習制度及び特定技能制度の見直しを含めた出入国在留管理政策の中においても、日本語学習に取り組むことを動機付けるとともに、日本語教育の費用負担における事業者等の責務の在り方を含めて適切な方策を検討し、運用に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願いをいたします。

宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

宮内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮内委員長 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.