衆議院

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第14号 令和5年5月24日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年五月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君  英利アルフィヤ君

      勝目  康君    岸 信千世君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      柴山 昌彦君    鈴木 貴子君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      中曽根康隆君    丹羽 秀樹君

      船田  元君    古川 直季君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      吉川  元君    金村 龍那君

      高橋 英明君    早坂  敦君

      平林  晃君    山崎 正恭君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   政府参考人

   (公安調査庁調査第二部長)            平石 積明君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     熊田 裕通君

  穂坂  泰君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     田野瀬太道君

  本田 太郎君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     穂坂  泰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公安調査庁調査第二部長平石積明君、文部科学省科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長森晃憲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平林晃君。

平林委員 おはようございます。公明党の平林晃と申します。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 冒頭、総論についてお伺いいたします。

 共用促進法、平成六年に制定された法律であると認識をしております。本法律が制定された目的及び趣旨を文部科学大臣にお伺いをいたします。

永岡国務大臣 平林委員にお答え申し上げます。

 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律、これは、特定放射光施設、SPring8の共用を促進することによりまして、研究開発基盤の強化、国際交流の進展を図り、もって科学技術の振興に寄与することを目的といたしまして、国による共用に関する基本方針の策定、そして理化学研究所等による施設の整備、共用等の実施等の措置を定めることを趣旨といたしまして、平成六年に制定をされました法律でございます。

平林委員 ありがとうございます。

 制定当時、法律の名称も、特定放射光施設のということで異なっていたそうでございますが、その後は、特定高速電子計算機施設あるいは特定中性子線施設等も追加をされ、現在の名称にもなっている。その目的は、共用促進、これらの施設の共用を促進し、もって研究開発基盤を強化し、科学技術の振興に寄与していくということで理解をさせていただきました。

 そこで、今回の審議対象となっておりますナノテラスですが、大変お恥ずかしいことでございますが、放射光というものを、私、余り存じ上げませんでしたので、二月に現地、東北大学に足を運ばせていただきました。QSTの星野理事、PhoSICの高田理事長などに丁寧に御説明をいただき、施設そのものも拝見しましたが、なかなか理解が及びませんでした。

 理解を深めるために、法案審議が近づいてきました今月八日には、ゴールデンウィーク明けです、SPring8にも行ってまいりました。そこでは、理研の矢橋グループリーダーやJASRIの雨宮理事長に主として御対応いただきました。そして、様々御説明いただき、私も様々稚拙な質問をぶつけさせていただく中で、ようやく少しだけ分かるところも出てきたかなという感じで、いよいよ五月十七日、委員会が視察へ行かれて、私も是非行って、より理解を深めたかったんですけれども、別の委員会が入ってしまって断念せざるを得なかったという事情がございました。

 それはさておきまして、今回のナノテラス、軟エックス線向けの放射光施設であります。

 この軟エックス線という言葉自体にもすぐつまずくんですけれども、加速された電子が持つエネルギーが比較的小さい場合をいうとのことであり、高い場合を硬エックス線というわけですね。ナノテラスは三ギガエレクトロンボルトであり軟エックス線、一方、SPring8は八ギガエレクトロンボルトであり硬エックス線、こういうふうに軟と硬で使い分けているということでございます。

 この軟エックス線、弱い方ですね、の放射光施設はこれまでにも日本には存在してきたということであります。ただし、輝度が低かった。

 ここでまた、輝度とは何ぞやということでつまずくわけですけれども、文科省作成の資料には、明るさとありました。

 明るさというのは、輝度と照度がある。要するに、懐中電灯で何かを照らしたときに、懐中電灯そのものが明るいのか、あるいは照らされたものが明るくなっているか、この違いがあるということですね。輝度というのは懐中電灯そのもののお話であって、ナノテラスは、この懐中電灯のお話で、極めて明るい光を出すことができる、こういう装置であるというふうに理解をしました。

 そして、輝度が高くなれば、これまで区別ができない、一緒に見えてしまっていたものや現象を別に分けて、分離して見ることができる、これは解像度というわけですけれども、解像度の高い解析、観測をできるようになるということであるというふうに伺いました。

 今回のナノテラスは、SPring8で磨いた様々な技術を駆使することによって、フォトン、光の粒ですね、を放出する元々の電子の広がりをできる限り抑える、ここで様々な技術が駆使されているようですけれども、放出されるフォトンを空間的にも、また時間的にもぎゅっとまとめて放射することにより、輝度を向上させた。これによって、百倍の性能差はあったものを一気に乗り越えて、世界最先端性能を実現すると伺いました。本当にすばらしいと思います。まさに日本の研究開発基盤が強化をされ、科学技術の振興に寄与するものと高く評価をしております。

 その上で、ナノテラスについてお伺いをいたします。

 設置可能なビームラインは二十八本あると伺いました。現状では、国設置の三本と、パートナー設置の七本が設置されると伺っております。残り十八本の整備の方針について、政府の見解を伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 ナノテラスには追加で十八本のビームラインを設置可能でございますが、ビームラインの増設につきましては、施設の利用状況や利用者のニーズ、社会課題の解決に必要となる重点技術分野や放射光利用技術の進展などを踏まえて、適切に対応していく必要があります。

 したがいまして、ビームラインの増設を計画的に進めていくために、量子科学技術研究開発機構と地域パートナーの双方における増設計画の検討及び調整結果を踏まえて、文部科学省としても、審議会への意見聴取等を行い、計画的かつ適切に整備をしていきたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 これは、そのままナノテラスの利用の促進ということにつながってくることだと思いますので、是非、適切な議論、適切な計画でよろしくお願いをいたします。

 続きまして、先端大型研究施設の要件についてお伺いいたします。

 共用促進法第二条第一項におきましては、先端大型研究施設の三種類の要件が述べられています。すなわち、大規模、比類のない性質、そして広範な分野における多様な研究に活用される、この三要件であります。

 この中で、第二の要件である比類のない性能、これは時代によって変化していくと考えられます。それまでは世界のトップの性能を誇っていても、技術レベルが向上し、もはやそう呼べなくなる。こうしたことは、壮絶な競争を常とする科学技術の世界では当然のことであります。こうした時代の発展に取り残されることなく、当該施設が比類のない施設を維持するためには、施設の恒常的な改善、イノベーションと投資が必要になります。

 このための措置は検討されているのか、政府の見解を伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 SPring8につきましては、一九九七年の共用開始から約二十五年が経過した現在におきましても、世界有数の硬エックス線分野の放射光施設としての地位を維持をしているという状況でございます。他方で、施設の老朽化が課題となっているほか、既に世界では硬エックス線分野の放射光施設のアップグレードや新規建設が急速に進んでいるという状況でございます。

 このため、文部科学省といたしましては、SPring8についても、技術革新の進展等に対応した施設の高度化が必要であると認識しておりまして、学術界及び産業界のニーズも踏まえつつ、必要な検討を進めてまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 SPring8を視察をさせていただいたときも、矢橋グループディレクター、雨宮理事長も本当にこの点を心配しておられました。あとは、消費電力も今のままだと大変だということも言っておられました。是非御検討を続けていただければと思います。

 続いて、設備の改善とともに重要なことは、人材の育成であります。設備を更新できるのも、それを行う人材に懸かっております。本法律がカバーする分野における人材育成のための取組がなされているのか、政府の見解を伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 放射光科学分野や中性子利用分野、計算科学分野において、若手研究者の育成や次世代への技術継承は重要な課題であると認識しております。

 こうした状況も踏まえまして、SPring8、SACLA、J―PARC、「富岳」といった各特定先端大型研究施設におきましては、学生を対象とした講義、実習や、大学院生、若手研究者を対象とした利用制度の整備といった取組を実施しているところでございます。

 文部科学省としましては、このような取組や特定先端大型研究施設の整備、運用を通じて、それぞれの分野に若い新たな人材を引きつけ、育成をしてまいりたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 SPring8の登録施設利用促進機関、JASRIも今おっしゃられたようなプログラムを提供するなど、人材育成に取り組んでいるということでお伺いをいたしました。

 一方で、ナノテラス分野における研究者は決して多くないということも伺いましたので、これを機に、是非人材育成にもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えておりますので、是非ともよろしくお願いをいたします。

 実は、私、スパコンの「富岳」の視察にも伺ってまいりました。松岡センター長にお話を伺ってきたのですが、この分野はまだまだ日本が世界と戦える分野であると言っておられたのが印象的でした。そういう分野がそうあり続けるためにも、人材を育成しなければいけないと思います。優秀な後継の先生方にもお会いしてまいりましたが、より裾野が広がっていく必要があると考えております。

 この共用促進法でカバーする分野、本当に日本の重要な分野だと思いますので、是非とも、人材育成、積極的に取り組んでいただければと思いますので、是非ともよろしくお願いをいたします。

 関連いたしまして、今申し上げました登録施設利用促進機関についてお伺いいたします。

 当該機関の役割の一つ、これは、施設の利用者の選定であります。施設、利用時間、当然、有限となりますので、選抜することは当然致し方のないことであります。ただし、選に漏れた申請内容、これにも価値がないということでは必ずしもないと考えております。

 そうした選に漏れた申請内容に対してサポートする仕組み、こういったものが必要と考えますけれども、こういった部分に関しまして、政府の見解を伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 イノベーションの創出に当たりましては、研究者の多様な視点からの研究開発がその源泉となると考えておりまして、幅広い研究へのきめ細やかなサポートが重要であると考えております。

 施設の利用を申請されたものの、結果的に選定されずに施設利用がかなわなかった研究課題に対しましては、既存の特定先端大型研究施設におきましては、例えば、申請内容の改善点に関する審査員の助言を申請者へフィードバックする等の支援を行っているところでございます。

 ナノテラスにおきましても、このような既存施設の取組を参考にしつつ、関係者において施設利用を通じたイノベーションの創出に資するような取組が進められるよう、対応を促してまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 技術者若しくは研究者というのは、常に選抜を受けておりまして、選に漏れるということがもう本当に度々あるんですけれども、そういった場合に今のような御指導をいただけると、その研究者、力もつけていけると思いますので、是非ともそういった対応をよろしくお願いできればと思います。

 スパコンの「富岳」を視察をさせていただいたときに、なぜ富岳というのかということを松岡センター長に教えていただきました。それは、スパコンの性能の高さも重要ですけれども、スパコンが広がりを持って使われる、たくさんのアプリケーション分野で使われる、そのことが大事であり、裾野を広げていく、この姿が富士山を思い起こさせると。この「富岳」というのは公募で来た名称なんですけれども、センター長のイメージと一致して感動したというふうに言っておられました。

 私も、この科学技術の分野で、レベルの高い、また人材の広がりもある、そういった、まさに人材の富岳を築いていきたい、そういう思いを持って、これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。柚木道義でございます。

 今日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭、理事会でも御了解いただいておりまして、次の、閣法後の一般質疑がちょっと一週飛んじゃいますので、もちろん、法案質疑、五問通告していますので、これをメインでやりますが、その前に、幾つか喫緊の課題についてお伺いをさせてもらいます。

 まずちょっと、学校安全のことについて、文科大臣、今まさに運動会シーズンで、全国的に、地域によってあれはあると思いますが、うちも、昨日、中学校の娘が運動会で、息子は、小学校は今週末ということで。

 実は、今日の東京新聞の一面に、杉並区立の小学校で、運動会のときにいろいろなくいを打ちますよね、ひもをやったりするときに、それが残っていて、児童が十数針を縫う大けがを負われたということがありました。この一面にその保護者の方のコメントが出ています。それについてちょっと、御存じじゃない方もおられるかもしれませんから、少し触れた上で、二問まとめて伺います。

 これは、命に至らなくて本当によかった、失明とか、場所によっては本当に大変なことになりかねない、こういうけがが起こったわけですが、お母さんは、傷口が大きく開いて尋常ではない出血があって、麻酔していたんだけれども、子供がもう痛がって暴れて、今後、傷を目立たなくする治療を続けると。

 ところが、その直後に学校は校庭を使用中止とせずに、保護者への説明も、事故に遭った両親からの要求があって行われたり、あるいは、その他の学校の、まさに安全点検についての保護者からの要望についても、これは東京新聞の今日の一面ですけれども、報道がなされた後に区の教育委員会がその調査結果を、しかも保護者に連絡をするんじゃなくてウェブ上で公表していると。

 文部科学省におかれましては、学校の安全管理のために参考資料を公表はされているんですが、実際の安全点検の項目は学校ごとに委ねられている、こういう状況だと伺っておりまして、是非二つ、これは本当に、事が起こってからでは遅いので、もう運動会が終わって、まさにそういう状況が各地で生まれるわけですから、二つ伺います。

 一つは、校内の点検を、学校の先生方は、それこそ給特法の議論もあって、本当に忙しくて大変な状況ですから、第三者による定期的な安全点検を是非御検討いただきたいというのが一つ。

 それからもう一つは、ちなみに、杉並区の教育委員会によりますと、昨日現在で、区立の小中学校などから、くぎなどの、そういう安全点検、確認が必要なものが計四千二百六十三点見つかっていると。これは、是非、全国的に緊急の安全点検、そのことを各現場に周知いただく。

 こういった二点、御対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、これまでも、各学校における安全点検に資するよう、校庭におけるくぎなどの危険物の有無の確認なども内容に盛り込みました指導の資料を作成、周知してきたところでございますが、御指摘の事案を受けまして、改めて、全国の学校に対しまして注意喚起をして、そして確実な安全点検の実施を求めております。

 現場への負担も配慮いたしまして、点検結果に係る調査は実施する予定はございませんけれども、委員御指摘のとおり、春の運動会シーズンということも踏まえまして、各学校におきましてしっかりと対応をいただきたい、そう考えております。

 また、外部専門家の活用も含めた安全点検の在り方につきましては、既に有識者会議の場で検討することとしているところでございます。

柚木委員 是非、学校現場の負担を考えて、第三者による安全点検、これは学校に周知をいただくだけではなくて、やはり安全点検自体を行っていただくということで、今、御対応いただけるという趣旨の御答弁だと思いますので、これは本当に、運動会がまさに終わったら次の日からそういう状態になって、いつ同じ状況が起こってもおかしくありませんから、早急な対応を、今、いただけるということですが、お願いをいたします。

 それから、ジャニー喜多川氏の性加害問題についても、学校現場において、今後、これは今、超党派でまさに、児童虐待防止法改正案、我が党も菊田先生を中心に、それでまさに与野党本当に挙げて緊急の法改正を検討しているさなかで、政府としても、官房長官も必要な対応をしたいということもおっしゃっていますので、ここで二、三点伺います。

 まず、ちょっと一問飛ばしまして、時間がないので。今後、仮に、私たちが提案をしている、あるいは今後提案をしていくのは、児童虐待防止法上は親がそういう性加害などを行った場合の様々な対応が規定されていますが、親以外の第三者ですね、経済的又は社会関係上の地位に基づく影響力を有する第三者が行う性加害行為、そういったことについて認知をした方は警察に通報義務を課す、こういう内容でございます。今後、こういう通報義務が課された場合、例えば学校現場ではどのような形でこれを周知されていくことになるのか、御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 現時点では、国会提出がされておりません議員立法につきましてのお尋ねということは、その内容を承知しておりませんので、お答えできないということは御理解いただければと思っております。

 しかし、なお、一般論といたしまして、児童虐待防止法が改正された場合に、その改正の内容を踏まえて、必要に応じて、通知等で教育委員会等を通じて学校現場に周知を行っているところでございますので。

 また、児童生徒の性被害の事案につきましては、警察に通報に当たりましては、性被害の事実確認に関する聞き取りを行う必要がございますが、それに当たりましては、繰り返し同じ質問を聞かれることによりましてトラウマ体験を深めないように、児童生徒が信頼できる複数の教職員が対応すること、そして、児童生徒への聞き取りも専門的な技術を要することから、早急に専門家に相談することなどが必要である、そう考えているところです。

柚木委員 特に学校現場においては、関係者というか、当事者となり得る生徒児童さん、それから教職員さん、場合によっては保護者の方とか、そういう想定がされると思うんですが、外の、外部ですよね、例えば今回のようなジャニーさんの場合、分かりやすく言うと、ジャニーズジュニアの方が学校に通われていて、そのことを先生なり友達なりに、こういうことに実は、被害に遭っているんだというふうに言ったときに、学校内の当該者のことであればすぐ調べられると思いますが、外のことだと、いきなり警察に通報義務を、認知したからと課せられても、ちょっとやはりハードルというか、ためらいがあると思うんです。

 第三者が性加害行為を行ったことを認知した場合に警察に通報義務が課されるんですが、実際、例えば学校現場などで運用される際の課題というかハードルというのは、どういうことが想定されますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命(いのち)の安全教育の教材及び指導の手引を作成をいたしまして、全国の学校での取組を推進しているところでございます。

 発達段階に応じまして教材を作成しておりまして、教材では性暴力の例も紹介しているところです。例えば、高校生向けの教材では、加害者との関係といたしまして、職場であるとかアルバイト先の関係者、また客、これについても示しているところでございます。

 また、本教材は、各学校や地域の状況等に応じまして、内容の加除、これは加えたり省いたりということですが、の変更を行った上での使用も可能となっておりまして、各学校の判断によりまして個別の具体例を扱うことも考えられます。

 引き続きまして、生命(いのち)の安全教育を全国の学校で進めてまいりたい、そう思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 是非お願いしたいですし、いろいろな教材を、私も一つ手元に今持って質問していますが、例えば、性暴力の被害に遭ったら、嫌だと声を出す、その場から逃げる、距離を取る、相手からの連絡に返信しない、信頼できる大人に相談するなど書かれていますね。

 ただ、今回、仮に児童虐待防止法が改正されて、第三者からの性加害、それを認知したときに警察への通報義務が課される場合に、学校の例えば教職員の方が、もちろん、教育委員会から教職員へのいろいろな周知もあれば、学校現場で子供たちへの周知とか、いろいろな場面があると思いますが、なぜ警察に通報しなきゃいけなくなったんですかと聞かれたときに、やはりこのジャニー喜多川氏による性加害の事案、これはこれだけ報道されていますから、子供たちも含めて、保護者さんも含めて、みんな知っていると思うんですね。こういったことを具体的に説明をした上で警察への通報義務を周知するというのは、現場の学校の先生がそういうことを行うということは可能なんでしょうか。

永岡国務大臣 各学校や地域の状況に応じまして、いろいろ提言をしております、承知しております具体的な例、これをしっかりと取り扱うということで、その学校で判断をしていただくということが重要かと思っております。

柚木委員 これは大変重要な答弁なんですね。

 現状としては、ジャニーズ事務所として、ジャニー喜多川氏の性加害行為、もちろん、なかったとは言えないということを現社長はおっしゃっていますが、いろいろなもちろん課題もあって、事実調査をジャニーズ事務所自体が行うということに関しては明言されておられません。

 ただ、やはり、今大臣御答弁されたように、学校現場でそのことを教えていくときに、やはりこのジャニー喜多川氏による性加害問題、何が起こって、なぜ防ぎ得なかったのかということを明らかにしてもらうことが、教育現場で性被害、性加害防止の教育を進めていく上で最も重要なことだと思うんですが、大臣のお考えを、御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 先生がおっしゃいますことは、学校で何か明らかにしなければいけないとか、文部科学省で何か明らかにしなければいけないとかということとは少し違うと思っておりますので、ただいまの質問にはお答えしかねるということで御了解いただければと思っております。

柚木委員 ただ、その前段の御答弁で、どういうことが起こって、今回、第三者による性加害行為でも、認知した場合は警察への通報義務が課されるというのは、具体的な事例も含めて学校現場できちっと周知されることが大切であるという御答弁をされましたので、そういう意味では、私は、やはり、今回のジャニー喜多川氏の性加害問題についても明らかになった上で、学校現場でまさに大臣が御答弁されたことが周知されるのが、今うなずいていただきましたので、大事なことだというふうに認識されているというふうに伺いました。

 この項目、最後にしますが、大臣、ジャニーズ事務所というのは、もちろん知らない人はいないわけで、私たちが子供の頃から、我々はSMAP世代ですけれども、大臣もよくジャニーズというのは御存じだと思うんです。これだけ、やはり青少年に夢や希望を与える仕事、影響力のある、そのまさにトップの方がそういう性加害事案があった可能性が高いという中で、これは再発防止のために、教育現場をつかさどる永岡大臣として、こういう性加害問題の再発防止として何が一番重要だと、これはごめんなさい、お考えがあれば御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命(いのち)の安全教育の教材及び指導の手引を作成をいたしまして、全国の学校での取組を推進しているところでございます。

 この教材におきまして、自分又は友達が性暴力の被害に遭ったらば、被害を受けた本人は悪くないということ、また、信頼できる大人に相談をすることを示しているところでございます。また、指導の手引におきましては、教職員が児童生徒から被害の相談を受けた場合の聞き取り方法ですとか、必要に応じて警察や児童相談所などの専門機関と連携して対応することなどを示しております。

 引き続きまして、児童生徒が性暴力の被害に遭った場合、学校現場において適切に対応ができるように取組を進めてまいりたい、そう考えております。

柚木委員 是非よろしくお願いいたします。

 次に、LGBTの理解増進法案に関して、学校教育に関わる部分について……

宮内委員長 柚木委員に申し上げますけれども、今日は、ナノテラス法案、法案審議の委員会でございますので、是非、法案についての御質問を進めていただけたらと思います。

柚木委員 分かっています、それに行きたいので、ちょっと早く質問しますので。さっき理事会で御了解いただいていますので。済みません。

 それで、LGBTの理解増進法に関しては、学校現場、学校の設置者の努力というのが、元々は超党派合意案で第七条に書かれておりました。今回自公さんが出された修正案の中には、これが、第七条に明記されることから、別のところの事業者義務の中に入り込むという形になっておりますが、これはちょっと、なぜそうなったのかという背景を、通告でもやり取りをしていますので。

 例えば、一般論として、トランスジェンダーの方が、女子トイレとか女性のお風呂とか女性の更衣室とかそういうところを、性を都合よく使い分けて入ってきて、そういう犯罪につながるようなこと、これはもちろんあってはいけないと私も思いますから、そういうようなケースが増えるということで、今回様々な超党派での合意案の修正がなされたと承知しておりますが、こういうのは、一般論として、今回の理解増進法案超党派合意案が成立したからといって、犯罪につながるケースというのは増えるんでしょうか。大臣、いかがですか。

永岡国務大臣 御指摘のような犯罪が増えるかどうかということにつきましては、文部科学省の所管ではないために、お答えすることは困難である、そう思っております。

柚木委員 二点まとめて伺います。

 じゃ、学校現場のことですが、今まさに懸念されているような論点は、私、今日、資料の九ページ目以降で、特に最後の十三ページ目ですか、LGBTの教育について、これは愛媛県の公立中学校ですが、中学生が話し合う、思いやりトイレということで、非常にいい取組だと思いますが、こういう犯罪が増えるようなケースを想定したLGBTの理解増進教育は行われているんでしょうか。そしてまた、犯罪が増える、こういった懸念は学校現場から上がってきているんでしょうか。

 以上、二点まとめて御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしまして、学校現場で行われている指導をすべからく把握をしている立場ではございませんが、御指摘のような事案につきましては承知をしているわけではございません。

 また、文部科学省に、現在国会に提出されているいわゆるLGBT理解増進法案につきまして、学校現場から特段の意見というものは届いていないということはお知らせいたします。

柚木委員 もうこの項目は最後にしたいと思いますが、だとすると、まさに十三ページ目の資料というのはあくまでも一つの例で、全国でこういうLGBT、多様な性、それに対して、差別を受けることがない、尊重する、こういう理解増進教育が行われている中で、むしろ今回、そういう、ちょっとどう言ったらいいのか、えせトランスジェンダーのような方が女子の更衣室やトイレや女湯とかいろいろなところに入ってくるとか、偽ってですね、あるいは変なカメラを設置するとか、そういうようなことが論点になると、実際に現場でこういう教育が行われている中で、LGBTの方々へのむしろ偏見、差別を助長するおそれがあると私は心配をします。LGBT理解増進どころか差別増進になりかねない、こういう危惧を抱くわけであります。

 これは、文科大臣、そういうことのないように、是非、文科省としては、学校現場で、これは事実上、超党派合意案に沿った形のLGBTの理解増進教育が推進されているわけですから、その理解増進教育が後退することのないように、むしろ差別、偏見を助長することがないように、差別増進法案ということにならないように、しっかりとした教育現場における御対応をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 やはり、議員立法についてのお尋ねというのは、私からコメントすることは差し控えさせていただければと思っておりますが、一般論といたしましては、性的マイノリティーの方々を始め、個々が持ちます多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重して、そして誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指した取組を進めること、これは極めて重要であると考えておりまして、文部科学省といたしましても、必要な取組、これは引き続き推進してまいります。

柚木委員 ありがとうございます。

 共用促進法に入って、質疑に入ります。

 資料の五ページ目以降を御覧ください。これは、理研の雇い止め九十七名、それから「研究者を「使い捨てでは」 雇用十年 直前に雇い止め」、それと文科省の二月の通知等についての報道でございます。これは昨日の記事です。

 これは、こういうナノテラスのようなすばらしい、私たちも視察させていただいて本当に感銘を受けました、すばらしい世界最先端の研究施設がこれから更に本格稼働していく中で、研究環境の整備、雇い止めの防止、こういったことをやっていただかないと、今日通告をしています人材育成、若手研究者や女性研究者の育成とか、あるいは初等中等教育における科学技術への教育、まさにそういうナノテラスを利活用していただくための中長期的な戦略、三千億円の基金をつくっても生かされませんよ。

 ですから、是非お願いしたいのは、これは報道の資料を、八ページ目ですね、つけておりますが、二月に文科省が通知を出していますね。これは、まさに、無期転換ルールの適用を意図的に避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇い止めや雇用期間中の解雇等を行うことは、労働契約法の趣旨に照らし望ましいことではないことに留意をいただき、労働者から無期転換申込みがあった場合の対応の準備を含め、改めて、適切な運用を促していただくようにお願いいたしますと。

 そして、今日通告もしておりますが、まさに、令和四年度末において雇い止めされた研究者数というのは何人いるのかなどの調査も含めて、この二月に出された通知、これは、令和五年四月以降の各機関の対応状況について調査を行う予定ということを二月の通知には書かれておりますので、しっかりと、研究者が安定した身分の中で研究に従事をしていただけるように、そういう認識を持っていただいた上で、国としてしっかりとした対応、取組をお願いしたい。

 今後の雇い止めの研究者の調査などの対応も含めて、まとめて御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 やはり、研究者等の雇用管理につきましては、各機関におきまして、法令に基づき適切に対応する必要があります。文部科学省としては、実態把握のための調査を行うとともに、各機関の適切な対応を求める通知を発出するなど、個別の機関の状況も確認しつつ、累次にわたりまして働きかけを行ってきたところでございます。

 各機関における研究者等の雇用状況に関しましては、フォローアップのための調査を開始したところでございます。各機関における特例対象者についての令和五年四月前後の雇用状況や、また、特例対象者の雇用に関する取組状況などについて確認をしておりまして、今後、調査結果を集計いたしまして、取りまとめてまいりたいと考えております。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 八ページ目に、研究論文の日本の、重要な論文だということで参考にされているもの、どんどん右肩下がりですからね。せっかくナノテラスのようなすばらしい世界最先端の施設を造っても、研究者がいなければ成果が上がりません。是非よろしくお願いします。

 そして、冒頭触れましたように、人材育成についても、これは是非、若手研究者、女性、リケジョと言われるやつですね、それから、大学生や大学院生がナノテラスを活用した研究に参加する等、どういう計画を今回想定されているのか。あるいは、ナノテラスを活用した若手、女性研究者への支援や取組、ナノテラスの整備が若手研究者、女性研究者にもたらすメリット、どういったものを想定されているのか、まとめて御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 ナノテラスの利活用の在り方に関する有識者会議の報告でも、女性、また若手研究者の積極的な参画の必要性が指摘されているところでございます。

 当該有識者会議の報告書も踏まえまして、専門人材の流動化の促進や柔軟な働き方の実現、そして若手研究者のための利用メニューの提供など、女性、若手研究者を始めとする多様な人材の活躍促進に向けまして、今後、これらの方策を具体化して実行してまいりたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 ちょっと一問飛ばしまして、時間があれば戻りますが、ナノテラスのまさに今の利活用の点について、これは非常に、今日の資料の中に、二ページ目以降、具体的な、皆さんの本当に生活に関わる、医療分野、環境分野、あるいは食材、食料分野など、様々な製品化にも応用されていく。

 そして、三ページ目は、後ほど伺いますけれども、それぞれ官民で、今回、ビームライン、最後に、まだ質問しますが、それぞれ割り当てることによって様々な研究が進んでいく中で、このナノテラスの活用について、非常に多くの成果が期待をされています。

 政府も、新しい資本主義として、スタートアップ育成五か年計画を策定するなど、スタートアップ企業による新たなイノベーションを推進されております。

 官民パートナーシップによるナノテラス整備、パートナーが整備するビームラインは出資金を拠出した企業が優先的に利用して、国が整備するビームラインは公募で選ばれる、こういうスキームです。成果を公表しない場合は利用料金が必要と。

 資金に乏しいスタートアップ、ベンチャー、中小企業、これだと、出資金を拠出できずに利用しづらい、成果を公表できない利用というのは料金が高くて利用を控える、こういうことも想定をされますので、これは、資金が乏しくても、本当に技術力、開発力を有するベンチャー企業、中小企業、スタートアップ支援、こういったことが必要だと思いますので、この辺りの実際のニーズ、そして、ニーズが少ないのであれば利用の促進に向けた取組、さらには、そういった地域の中小企業、ベンチャー企業等がナノテラスを利用しやすい支援策等について、まとめて御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 ナノテラスは、学術利用に加えまして、産業利用も多くのニーズがあると承知しているところでございます。

 令和三年度に実施をいたしましたアンケートによれば、年間利用可能日数の約六倍の利用希望が寄せられているというところでございまして、引き続きまして、利用者の皆様方に分かりやすい広報活動、これを進めていきたいと思っております。

 また、次の質問でございますけれども、現在、令和六年度のナノテラスの運用開始に向けまして、量研機構において主に学術利用を想定したビームラインを三本、そして地域パートナー側におきまして主に産業利用を想定したビームラインを七本、それぞれ分担しまして、整備を進めているところでございます。

 ナノテラスのビームラインの将来計画につきましては、利用者のニーズ、そして社会課題の解決に必要となります重点技術分野、放射光利用技術の進展などを踏まえて検討すべきと考えているところでございます。

 引き続きまして、量研機構と地域パートナーの双方における増設計画の検討及び調整結果を踏まえまして、文部科学省といたしましても、審議会の意見聴取等を行い、計画的かつ適切にビームラインの整備などを行ってまいりたいと考えております。

柚木委員 この次の質問も多分まとめて今御答弁いただいたので、ちょっと更問いで一点だけ、じゃ、聞きます。

 まさにこの資料の四ページ目に、ビームライン二十八本のうち今十本が、国側三本、パートナー側、地域の企業ですね、七本、その前のページを見ていただくと、こういう、官と地域でそれぞれ割り当てられている。残りの十八本が重要で、これをどういう使い方をするかによって、今後の成果が見えてくる、利活用の在り方も見えてきます。

 今御答弁いただきました将来的なビームライン整備計画の策定方針、そして割合ですね、配分の。現状の十本は、三、七で国と民間と。

 更問いで、一問だけ確認をすると、パートナー側に偏り過ぎた場合、共用の競争率が高くなって、逆に国側の一般利用や研究利用がしにくくなっては、これは、バランス、今後のニーズ、そして本当に技術力の開発、製品化に密接につながる部分でありますので、しっかりそういった部分についての配慮をお願いしたいんですが、更問い的に、御答弁があればお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 ナノテラスのビームラインの将来計画につきましては、利用者のニーズや、また社会課題の解決に必要となります重点技術分野、放射光利用の技術の進展などを踏まえて検討すべきと考えております。

 地域パートナーにおけます増設計画の検討状況を踏まえまして、文部科学省といたしましても、審議会の意見聴取等を行いまして、初期に整備されました十本のビームラインが更に生きますように、計画的かつ適切にビームラインの整備等を実施したいと考えております。

 以上です。

柚木委員 まとめて答えていただいたので、最後、ちょっとだけ時間ができたので。

 大臣、旧統一教会への質問権、六回目、今日行使するんですかね。報道が出ていますよ。六回目、これはもう、会期末に解散・総選挙という見方もある中で、解散・総選挙になったら我々、大臣も含めて議員の身分を失います。解散・総選挙が質問権行使から解散命令請求に影響を与えざるを得ませんよね。仮に解散・総選挙になった場合は、大臣も替わる可能性はありますね。場合によってはそういうことも想定した、それまでに解散命令請求が行われなかった場合は、引継ぎ等の対応も場合によっては想定しなきゃいけないタイミングじゃないですか。

 解散・総選挙が解散命令請求に与える影響、仮に必要な引継ぎ等も想定されているのか、最後に御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 衆議院の解散につきましては総理大臣の専権事項でございまして、仮定に基づく御質問ということには、やはりお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、これまで申し上げてまいりましたとおり、旧統一教会につきましては、報告徴収、質問権の行使等を通じまして、法人の活動に関する十分な実態把握と具体的な証拠の積み重ね、これを着実に進めまして、法律にのっとりまして必要な措置、これを講じていくという考えは変わらないというところでございます。

柚木委員 解散・総選挙までに解散命令請求をいただくことを強くお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 この法案に関して質疑をさせていただくに当たり、私もナノテラスの現場に視察に行かせていただきました。

 当日、十七日に私はどうしても農水委員会での質問もあったものですから、かぶっちゃって行けなかったものでして、十九日、午前中に文科委員会を終えて、その後すぐ仙台に向かって、そこから地下鉄に乗り換えて、青葉山という駅で降りて、九分ぐらいかかるんですね、仙台駅から。九分といいながら、仙台駅から地下鉄の駅まで行くのにかなり遠いんですけれども、歩くんですが。青葉山駅で降りて、そして、雨が降っていたので、そこからはタクシーを拾ってナノテラスまで行きました。

 本当に広々とした中に、新しく見えるたくさんの建物が建っていて、緑も豊かでして、そして、時折行き交う学生さんたち、本当に生き生きとしているというか、私から見て本当に聡明な学生さんたちが楽しげに、時には本を読みながら歩いている人もいましたけれども、そういった方々を見ながら、施設に伺わせていただきました。自分も大学にもしタイムスリップできるんだったらここに通いたいななんて思えるような、そんな本当にすばらしいところだな、まさに日本の科学技術の未来がここから生まれるんだというように感じさせていただけるところでもございました。

 そして、視察中には、一人だけの私に対して本当に懇切丁寧に、私は文系ですから門外漢なんですけれども、それこそ分かりやすく御丁寧に御説明をいただくとともに、また過分な引き回しもいただいて、本当に関係者の方々には、この場をおかりして心から感謝を申し上げさせていただきたく存じます。

 まさに、今日の質疑においては、この質疑が日本の科学技術の未来を切り開いて、そしてなお東北の復興と発展、ここにつながるように私もとことん汗をかかせていただく、そんな気概を持って臨ませていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 ナノテラスを議論させていただく前に、同じく放射光施設として二十五年前に設置をされた、共用されたSPring8がございます。そして、ナノテラスをいかに効率的に、また効果的に運用、共用するかということは、SPring8、二十五年間、どういう成果があり、何よりそこでどういう課題があったのか、ここをつまびらかにすることによって、そしてそれを分析することによって、ナノテラス、更にいい形になっていくのではないかというふうに私は考えております。

 そこで、まずお尋ねをしますが、成果以上に課題ですね、SPring8での二十五年間の課題認識をどのように受け止めていらっしゃるのか、お答えください。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 SPring8、二十五年間稼働してまいりました。これまで、世界有数の放射光施設として運用をしてまいりましたけれども、やはり技術の進展は物すごいスピードで進んでおります。そういったことで、技術の進展、それから利用者のニーズの高まり、そういったものに対して、逐次、老朽化への対応なども踏まえながら、適切に、タイムリーに、技術の高度化、施設の高度化、それから、その利用を支える人材の育成を常に図っていくというようなことが課題であると思っておりますし、それから、とりわけ、学術界はもとより、産業界を含めた利用、これをしっかりと進め、イノベーションにつなげていくということで利用の促進に常に努めていくというようなことが主な課題として認識をしております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 老朽化対策、そして人材育成、産業界含めた利用促進などが課題であると。

 この中に経済効果というのが、私、含まれてもいいのかなと思っております。あと、産業利用の促進、ここもまさに、より具体的に狙いを定めて、でき得るならばより具体的な数値目標を設定した上で進めていくべきかな、必要があるのかなと私は思っています。

 例えば、ナノテラスの経済効果については、新聞、マスメディアなどでは、周知のとおり、十年間で約一兆九千億円との試算が出されています。これは東北経済連合会の試算。この数字にはいろいろな波及効果が計算されておりますので、別の試算、これは二〇一二年、東北大学が試算されたものでは三千二百億円ということにもなります。

 いずれにしても、整備にかける費用をはるかに超える高い数字なのが経済効果でして、海外の放射光施設においても、同じく高い経済効果が報告をされています。

 そこでお尋ねしますが、SPring8の経済効果というのはどれほどのものなんでしょうか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 SPring8の経済効果につきましては、二〇〇七年に調査をしたことがございます。その調査報告書におきましては、運用開始の一九九七年から二〇〇六年の十年間におけるSPring8利用による経済波及効果、これを総計いたしますと千六百五十五億から二千二百八十二億円と試算をされていると承知しております。

梅谷委員 それ以降は経済効果は測っていないんですか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 それ以降の調査についてはやっておりません。

梅谷委員 共用開始から十年間で一回こっきりの経済効果の試算だと。

 SPring8の利用件数を見ても、この十年ではまだまだまだまだ、初めから十年だから、まだまだ伸びているんですよね、伸びている段階。途中でしかないんです。そういう意味では、実績を把握しないで政策の検証ができるのかというのが、私は今疑問に思っております。

 また、もう一点、先ほど申し上げた産業利用の促進についてなんですが、この産業利用の状況についてはどうなんでしょう。

 科学技術・学術審議会の量子ビーム利用推進小委員会によると、令和三年二月にこう取りまとめています。学界のみならず、産業界の利用の促進を図る。研究開発で諸外国と互角に競争していく。すなわち、産業利用の促進を強く期待している、大きく期待していることがうかがえます。

 SPring8の実績として、SPring8ですよ、産業利用の状況、どうなっているんでしょうか。お伺いします。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 SPring8におきましては、研究成果を公開する場合は原則無償、研究成果を公開しない場合は有償ということでございまして、主に学術機関は成果の公開型という形、民間企業、今御指摘の産業利用は成果非公開型を選択するという傾向にございます。

 その中で、民間企業のニーズにマッチするために、これまで、公募回数の拡大でありますとか、対象となるビームラインの増加等を行ってまいりました結果、有償利用、すなわち産業界による利用も全体としては増加傾向にございまして、直近の二〇二二年には約三割弱を、その水準にございます。

 文部科学省といたしましても、引き続き、産業利用が増加するように努めてまいります。

梅谷委員 今おっしゃった数字は有償利用の数字だと思います。それで、本当の意味での、民間が自分の企業のために研究開発をするのであれば、やはり非公開の有償利用ということですね、増加傾向である中で、これが三割。

 私、一〇%で推移しているというふうに伺っているので、それで間違いないですか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしましたように、直近の二〇二二年におきましては約三割という状況でございます。(梅谷委員「何%。一〇%推移と聞いているんですが」と呼ぶ)二七%を超えているという水準でございます。

梅谷委員 それは、公開するものと非公開のものがあると思うんですけれども、両方足したやつの数字ですか、それとも非公開だけなんですか、二七%。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしましたのは有償利用課題の割合でございまして、すなわち、成果の非公開の……(梅谷委員「非公開」と呼ぶ)非公開の利用で……(梅谷委員「非公開で二七%」と呼ぶ)非公開で一八%を超えているということでございます。

梅谷委員 事前のやり取りだと、一〇%程度の推移だというふうに伺っていたものですから。

 じゃ、ここでもう一点お尋ねしますが、産業利用の目標値というのは、具体的な数値目標とかは何かなさっているんでしょうか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 現在、目標値というものは定めておりませんが、様々、学術界による利用でありますとか、多様なユーザーによる利用ということがございますので、全体の施設としての効果が最大化されるようにどのような目標値を定めることが適切かといったようなことについては、今後の検討課題であるというように考えております。

梅谷委員 そうですね。具体的な数値を決め過ぎることによって、過度な数値目標などに執着して、本来あるべき創造性とか研究の自由というのが、自由度とかが失われてはならないと思うし、また、何よりニーズ、ニーズによってできるだけ柔軟対応したいというところもあるんでしょうが。

 ただ、私は、SPring8というのは、一千百億円のお金が、当時、国費が投じられて、一〇〇パー国ですね、このときは。そして、そこから毎年、九十から百億円ほどの運営費がかかっている巨額の、巨大な国家プロジェクトです。そういうものに対して、国民に対してのやはりしっかりした説明責任というのは、もちろん、当然生まれると思います。

 なんだけれども、じゃ、国民に説明するときに、我々はこういう目標に向けてこれだけやっているんですというふうに言うときに、いや、数値目標はほにゃららら、今こうやって頑張って少しずつ右肩上がりです、これはどうですという、この説明ではなくて、やはり具体的な目標設定というのは、私は、大事なことなのかな、必要なことなんだなと思っていますので、今ほど御答弁いただいたように、今後検討してまいりたいというお答えでしたので、是非そのことは強くお願いを申し上げ、指摘をさせていただいて、次に、ナノテラスに移りたいと思います。

 その前に、今後SPring8は、ナノテラスもできますけれども、SPring8は今後どのように、方向性、在り方になっていくんでしょうか。お答えください。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 SPring8につきましては、一九九七年の共用開始から約二十五年が経過をした現在でも、世界有数の硬エックス線の領域の放射光施設としての地位、これを維持しております。他方で、施設の老朽化が課題となっているほか、既に各国では、硬エックス線領域の放射光施設の高度化や新規の建設が急速に進んでおります。

 このため、文部科学省といたしましては、SPring8につきましても、技術革新の進展等に対応した施設の高度化が必要であると認識しておりまして、アカデミア及び産業界のニーズも踏まえつつ、必要な検討を進めてまいる所存でございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 SPring8の話はここまでにしますけれども、高度化をこれからまた更に図っていただけるということで期待をしたいですし、また、ここで出た、特に、私は、目標をどこに設定するかというのは非常に重要なことだと思っておりますので、その点をナノテラスにおいてもしっかりと設定を、よく吟味の上でしていただいて、そこに向けて一丸となって取り組んでいただくことをお願いを、期待をしたいと思います。

 先ほど質疑にあった中小企業の利用促進なんですが、ちょっと質問がかぶったので飛ばしますけれども、過去の国会議事録を見ると、中小企業の利用促進の議論が何度か出てきているんですね。これもまたちょっとナノテラスじゃなかったんですが、平成十八年の、同じくSPring8の共用利用法の改正の際なんですが、「中小企業に、小さいけれども可能性はある、そういうところにやはり重点的にチャンス、こういった研究の機会を、特に配慮して配置をしていくというか目配りをしていく必要がある」という質問に対して、大臣が、「委員の御指摘のような中小企業への支援もしっかりとやってまいりたい」と答弁しています。

 ほかにも、平成二十一年の改正の際には、SPring8は「地元の企業にとっては雲の上の存在、」「中小企業がどういうふうに使いやすくなるんだろうか」と問われ、「特に中小企業の利用に対して、できるだけ適切な情報提供や相談などの利用促進業務の実施が図られるように努力をしてまいりたい」というふうに答えています。先ほどの御答弁と同じようなことをおっしゃっていますけれども。

 ここで、先日、報道によると、民間の調査によれば、建設段階から地元と協力し、広く会員を集めるなどの取組も進めているものの、東北の企業のうちナノテラスの利用意向があるのは一二・三%にとどまるという数値がある、その理由として最も多いのが、活用方法が分からないと。

 出資して会員となったメンバーの間では中小・ベンチャー企業の利用にも手厚いサポートが整備されると聞きますが、そうしたメンバーになっていない多くの中小・ベンチャー企業に対しても同じように手厚いサポートを用意する必要があるのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 ナノテラスの利用につきましては、量子科学技術研究開発機構が本改正後の法律に基づき実施する共用と、地域パートナーの利用制度による利用の二通りがございます。

 地域パートナー側が運用する利用制度におきましては、加入金を支払うことが必要となりますが、既に、スタートアップ、中小企業向けに、加入金を分割し、通常より低い金額で利用できる制度も準備されていると承知をしております。

 また、量研機構の実施する共用におきましては、令和八年度以降、利用者ニーズ等も踏まえて、スタートアップ、中小企業向けの各種支援を検討し、実施していくこととしております。

 文部科学省としましては、今後も、スタートアップや中小企業の利用支援策の具体化について、量研機構や地域パートナーとも連携をしながら、検討を促してまいります。

梅谷委員 ありがとうございます。

 是非、中小・ベンチャー企業がこぞって利用してみたい、使ってみたいと思える仕組みや工夫を引き続きお願いをさせていただきたいと思います。

 それと、研究者の人材育成なんですが、人材育成のためには、研究設備、機器といったハード面での施設もとても重要だと思います。特に昨今のデジタル化における現代では、研究環境のDX化が急務であります。

 ナノテラスの研究環境のDX化について、方針をお答えください。

永岡国務大臣 近年、大量かつ高品質な研究データをAIなどで解読することで、研究活動の圧倒的な効率化ですとか、また高度な研究成果の創出が進み始めております。このような研究活動のデジタルトランスフォーメーションを日本全体で推進することが重要だと考えております。

 ナノテラスの利用環境のDXにつきましては、令和七年三月の本格共用開始に向けまして、ビームラインにおける計測の自動化、またデータセンターの整備、そして東北大学のスパコンですね、スーパーコンピューターとの接続など、量子科学技術研究開発機構及び地域パートナーにおけます検討、これを促してまいりたい、そう考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。是非お願いします。

 ここで一つ、現場の声を御紹介させていただきます。

 SPring8では、企業などが設置する専用ビームラインがあります。これは共同出資で設置することがあります。しかし、共同出資しているそのうちの一部の会社が手を引くと、残る会社に重い負担がかかって、望まない撤退も検討せざるを得ない状況があるというんですね。

 対策として、単純な負担の肩代わりなどは難しいかもしれませんが、専用ビームラインというのは元々利用率が低いことが指摘をされています。ナノテラスでは専用ラインの空き枠の共用枠への転用が検討されていると伺っていますけれども、SPring8でも同じように、共用枠へ転用し、ビームライン設置者のコストを肩代わりすることなどを考えられないか、これによって利用率の向上も図ることができるのではないかと私は考えています。

 そこでお尋ねしますが、ナノテラスとSPring8では専用ビームラインの運用が異なりますが、貴重な産業利用のメンバーを安定的に支えるためにも、是非こういったことを御検討いただきたいが、いかがでしょうか。これは方向性だから、大臣に。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の法改正によりまして、専用ビームライン設置者が、利用していない空き時間を共用枠に設定をし、当該設置者以外の研究者等の共用に供することによりまして専用ビームラインの有効な活用というのが可能になる、そう考えております。

 この取組を通じまして、引き続きまして、産業の利活用が促進されますようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、残り時間、最後、研究の自由と経済安全保障についてお尋ねをしたいと思います。

 私、この法案の質疑に立たせていただくと決まってから、まず頭に浮かんだのがこの経済安全保障でして、技術や人材の海外流出への懸念、問題、これがまず浮かびました。

 昨今の経済安全保障の機運が高まる中、我が国のかけがえのない産業資源がどんどん諸外国に流出している実態が浮かび上がってきました。それを受けてか、また、ウクライナの紛争もあったんでしょう、G7でも、経済的強靱性及び経済安全保障に関するG7首脳声明というものが出されました。

 特に、私は、こういったことから経済安全保障という概念がまた更に顕在化してきたことによって、フェーズが変わってきたのではないかなと受け止めています。

 SPring8の二十五年前のときと今は、私は、大分変わってきているのではないかなというふうに考えていまして、当時は、SPring8のときには、まさにオープンに研究機関は受け止め、国際頭脳循環といいましょうか、それを促していこうということだったと思います。今ももちろんそれが前提でしょうけれども。でも、今は、人や技術をある思惑を持って移転しようとする国家があることは、少なくとも私たちにとっても共有理解になりつつあるのかなと思っています。

 そこで、今日、公安調査庁さんからいらしていただいていますが、お尋ねをします。

 国家の方針として明確に海外で技術獲得に向けた活動を行い、軍事と民生の両面、いわゆるデュアルユースで技術を共用する国家が、我が国の科学技術に対し狙いを定め行っている活動というのはどのような実態があるのか、お答えをいただけますか。

平石政府参考人 お答え申し上げます。

 個別事案に関する言及は差し控えさせていただきますが、例えば、投資、買収、不正調達、留学生や研究者の送り込み、人材リクルート、サイバー攻撃などの手法を通じて、我が国が保有します技術、データ、製品等の獲得を図る動きが指摘されております。

梅谷委員 今日、資料をお配りさせていただきました。まさに今お答えいただいたのは、この資料に書いてあるんですけれども、「技術流出を招く「魔の手」が忍び寄る 公安調査庁が想定する流出経路」というこの図があります。ここには、人材リクルート、留学生、研究者の送り込み、今ほどおっしゃっていた投資、買収、共同研究、共同事業、不正調達、諜報活動、サイバー攻撃。そして、そこから浮かび上がる三つのリスクが人材であり協力関係であり拠点だということが指摘をされています。

 ここでもう一点お尋ねしますが、こういったものを踏まえて、我が国におけるSPring8とかナノテラスなどのいわゆる特定先端大型研究施設というのは、この流出経路になり得るんでしょうか、なり得る可能性があるんでしょうか。

平石政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、個別事案に関する言及は差し控えさせていただきます。あくまで一般論として申し上げましたように、そういった投資、買収等々の手法を通じて、我が国が保有する技術、データ、製品等の獲得を図る動きが指摘されております。

 以上です。

梅谷委員 ありがとうございます。

 私は、これを伺うと、その可能性は決して否定はできないというふうに個人的に受け止めておるんです。

 それで、まず大前提としては、アカデミックな研究開発というのは、もう何度も言いますけれども、やはり、いわゆる国際頭脳循環が重んじられて、もうとにかくオープンにオープンに、門戸を閉ざさず。今日でも、そういった意味で、人の移動とか技術もオープンであることはもう大原則。アメリカですら、信念を持って、学問の自由や人権を重んじて、今なお、特定の国を排除することはないと、今なおです、言っています。文科省ももちろん、事前のレクなども含めて、同様のスタンスに違いありません。当然です。

 他方で、アメリカでは、研究成果を持ち出される、データが流出する、そういう事例の発覚が増えていて、そして、アメリカはそれらの事案に対しては極めて厳しく対処しております。

 先ほど、私は中小企業の利用促進というのを求めました。これは、公安調査庁さんもこのコメント、記事のコメントなんですが、今読み上げますと、日本の中小企業の経営者は自分たちの技術を過小評価する傾向がある、流出に対する危機意識が相対的に低い、特に中小企業は狙われやすいとの指摘があると。特に中小企業は狙われやすいというのは、公安調査庁さんはおっしゃってはいないんですけれども、これは記事を書いた方の指摘ですね。

 そこでお尋ねをしますが、我が国もそういう事態があり得るということもやはり同時に念頭に置くべきではないかと私は考えています。利用者に、もちろん事前に平和利用目的かとか目的をチェックをして、そういった方の顔での識別のやつで出入りできるなどのフィルター、チェックをかけることはもちろん大事ですし、それは当然ですけれども、今後、やはり、公安調査庁さんを始め、警察、また経済産業省、その他関係機関と連携しながら、いかに研究成果の流出を防ぐか、何かあった場合、何かなる前も含めて、ナノテラスを始めとする重要施設において想定と対策を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 文部科学省といたしましては、国際的に開かれた研究環境を大前提としつつ、昨今の国際情勢等に鑑みまして、科学技術分野においてもまた経済安全保障の観点が重要、そういう認識でございます。

 ナノテラスにおけます外国の研究者等や、また企業によります利用につきましては、研究課題の科学的な妥当性に加えまして、平和利用目的や、また社会通念に照らした妥当性などを個別に確認するといった対応を検討しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後も引き続きまして、量子科学技術研究開発機構や、また地域パートナー、そして登録施設利用促進機関と密接に連携をいたしまして、経済安全保障の観点もしっかりと踏まえながら、国内外に開かれたナノテラスの利用促進というものを進めてまいりたいと思っております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 最後の質問なんですが、恐らく答弁がかぶっちゃうのかもしれないですけれども、私の大きな問題意識は、やはり、何度も言いますけれども、とにかくオープンなのが学問の自由、研究の自由なんだけれども、ここに来て、経済安全保障を始め、リスクも高まってきている。いわば国際頭脳循環と技術流出防止の両立、バランスをどう取っていくのかというのが非常に私は問題意識にありまして、その意味で、今の御答弁を伺わせていただくに当たり、文科省としてもそういうことはしっかりと頭に置きながらオープンにやられるということがよく分かりました。

 じゃ、今もう、質問を終わりますの紙を配っているから、何かその両立、バランスについてお答えできる部分があれば、お答えいただけますか。

永岡国務大臣 やはり、先ほどもお答えいたしましたように、国際的に開かれた研究環境を大前提としつつ、昨今の国際情勢等に鑑みまして、科学技術分野においてもまた経済安全保障の観点が大変重要、そういう認識で対応してまいりたい、そう考えております。

梅谷委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

宮内委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦です。

 本日は、会派を代表して質問させていただきます。

 早速質問に入らせていただきます。

 本委員会の視察とは別に、私と、委員の高橋代議士、うちの会派であります、二人で、今年二月にナノテラスの視察をしてまいりました。すごい施設だなというのが感想です。稼働後は立入りができない場所にも入れさせていただきました。そして、丁寧な御説明もしていただきましたが、その原理や仕組みについて理解するのはなかなか難しいのが正直なところです。巨大な顕微鏡みたいなものだと言われているようですが、世界でもトップクラスの性能を有する施設ということで、大変期待をしております。

 そこで、軟エックス線領域、また放射光研究において、現在の日本のレベルは世界と比べてどのぐらい差があるんでしょうか。そして、どのぐらい研究開発の分野で後れを取っているのか。ナノテラス稼働後はどう変わっていくのでしょうか。伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 これまで、放射光施設につきましては、世界で日本、アメリカ、ヨーロッパ、これが三つの大きな、主要な極として、軟エックス線それから硬エックス線の分野における先端的な放射光施設が整備され、運用をされております。

 そういう中で、日本としては、SPring8でありますけれども、硬エックス線について世界有数の放射光施設を運用し、また、今回、ナノテラス、軟エックス線の分野において世界最先端のものを整備するという状況でございまして、引き続き、世界の中での主要な放射光施設を持つ科学技術先進国の一つであるというように考えております。

 一方で、軟エックス線分野につきましては、今回ナノテラスを整備させていただきますけれども、他国に比べて少し整備のタイミングが遅れた、数年間遅れたという現状もございますが、今回、世界最先端のものを整備し、また、世界の最先端を走っていくという状況にあるというように認識をしております。

早坂委員 ありがとうございます。

 最先端ということで期待をしておりますが、ちょっと、広報ですね、宣伝活動について伺いたいと思うんです。

 私たちが視察をした日は、ちょうど雪が降っている寒い日でした。皆様が視察に訪れたときは、マイクロバスなどで、用意された車で向かわれたと思うんですが、私たちは仙台市内からタクシーで向かいました。タクシーの運転手さんにナノテラスまでお願いしますと言ったところ、何ですかと、ナノテラス自体を御存じありませんでした。あれだけ立派な施設ですから皆さんも御存じかなと思っていましたが、タクシーの運転手さんも知らないということで、ちょっとびっくりしました。ナビに住所を入力していただいて近くまで行ったんですけれども、まだ建設中という施設なので、ナビも何もない、道も山の中を示すだけで、到着するのに一苦労しました。

 町をよく知るタクシーの運転手さんも知らないということは、地元の仙台の一般の人も認知度は更に低いんだろうと思われますが、広報宣伝活動の重要性を感じずにはいられませんでした。多くの国民の皆様に知っていただくことにより、興味を持つ、利用したいという企業も出てくると思います。

 広報宣伝活動について伺います。

 この資料を見ていただきたいんですが、皆様の事務所にもこのポスターが配布されていると思いますが、ナノテラスのポスターです。春、夏、秋、冬の四つのバージョンがあるそうですが、うちの事務所にも夏、秋、冬しかありませんので、夏バージョン、一番きれいだなという思いですが、どれも構成が同じなんですよ。

 事務所に来たお客さんがポスターを見て、何ですかこの施設は、どこにあるんですかと聞かれることが多くて、よく見ると、どこの場所にあるのかという記載もされていないんです。

 ポスターですから、何かの告知、宣伝が目的ですので、いつからいつまでの期間や、いつから、どう、時期が明記されていてもいいのではないかなと思います。今回のナノテラスでいえば、いつから稼働かということが記載されてもよいかなと思います。

 やっと、冬バージョンになって、一番下に、「二〇二四年春運用開始@東北大学青葉山新キャンパス内」と記載が出てきました。真ん中にQRコードがありますから、何だろうこれと思った人はQRコードを読み取ってサイトに誘導するという意図があるかもしれませんが、QRコードを使えない方も、御年配の方もいるかもしれません。まあ、うちの事務所に来た人で、QRコードを読んでくれた人は残念ながら一人もいませんでした。科学技術の難しい話をどう表現して、宣伝するのが難しい話だと思いますが、最低限、場所や稼働時期は明記してもよいかなと思います。

 このポスター、伝えたいコンセプトは何でしょうか。また、国民の皆さんや企業の方々に知っていただくために、文科省だけではなく全ての府省庁で、オール・ジャパンで広報活動、宣伝に注力すべきだと思いますが、ほかの府省庁との連携はどうなっているんでしょうか。広報宣伝の取組について伺います。

 さらに、今、理系離れとよく言われていますが、小中高生に興味を持ってもらうためにどんな取組を行われているでしょうか。どんな施設かを知ってもらう取組として、開放日を設けて、見学会が開かれているようですが、遠いところにお住まいの方はなかなか見学に訪れるのは難しいと思います。地方に住む小中高生に、オンラインでの見学会や実験の様子を流してみるお考え、予定はあるんでしょうか。併せて伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ナノテラスについて、しっかりと広報を進めていくということは大変重要であり、我々として更に努力を重ねる必要があると感じております。

 特に児童生徒を対象とした広報は、将来の我が国の科学技術を担う人材を育成する観点からも大変意義があると思っております。

 これまでも、宮城県内の高校生等を対象とした講演会や、地元の中高生やそれから住民の皆様を対象とした一般公開などを開催してきましたし、それから、先ほど御紹介いただきましたポスターにもございますが、ナノテラスのブランド価値を高めていくといったような観点から、仙台という立地、ナノテラスの円形の外観を生かしたポスターなどのコンテンツの作成、それから、先般、G7仙台科学技術大臣会合の機会を捉えた国際的な情報発信、多様な切り口から取組を進めてきております。

 特に、関係省庁とという部分につきましても、仙台市の経済局でありますとか、それから経済産業省の経産局とか、そういったところも連携をして、例えば、ユーチューブなどのオンラインの媒体も使った宣伝でありますとか、あるいは複数の地元のローカルテレビでも特集を組んでいただくとか、新聞で企画をしていただいてナノテラスを取り上げていただくといったようなこともやっております。

 引き続き、関係機関とも連携をして、オンラインを活用した児童生徒に向けた授業なんかも含めて、多様な取組を推進してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

早坂委員 このぶれないポスターはすごくすばらしいと思います。

 ただ、私、宮城県仙台市出身で、五十年間仙台市に住んでおりまして、まさに青葉区なんですね。東北大学のキャンパスというのは本当に広いと思います。視察に行った方も大変思いますし、私がポスターを見たとき、何だろうこれ、どこというのが最初の印象だったので今回質疑をさせていただきましたが、遠方の子供たちは、なかなか、仙台市に来るにも、本当に交通費もかかりますので、オンライン授業とか、しっかりオンラインの発信を是非とも今後とも積極的に進めていってもらいたいと思います。

 次に、利用促進と情報公開について伺いたいと思います。

 これだけ立派な世界最高レベルの施設ですから、より多くの研究者、企業に使ってもらいたいと思うんですが、利用しやすいようにどうなっているんでしょうか。

 あと、研究者は別として、企業の利用に関して税制面の利用促進策はあるんでしょうか。研究開発税制は既にあるということですが、減税措置や控除額の拡充ですとか、ベンチャー企業向けのトライアルユースを考えている中小企業向けの支援策などは用意されているんでしょうか。そういった告知はどのような形で行っているんでしょうか。

 また、ナノテラスでの研究成果は広く国民に知ってもらう必要があると思いますが、成果の公開について、研究者や企業別にどのように行われているんでしょうか。併せて伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 まず、税制についてのお尋ねがございました。

 ナノテラスを利用する場合でありましても、企業が研究開発を行う際に法人税額から試験研究費の額の一部を控除できる研究開発税制を活用することは可能であります。その上で、特にベンチャー企業を含む中小企業につきましては、通常の制度よりも控除率が高い制度として、中小企業技術基盤強化税制というものが用意されておりますので、こういった制度の活用も促してまいりたいと思っております。

 また、成果の公開、公表、宣伝ということでございますけれども、利用に当たりましては、成果を専有、非公開での利用という部分もございますけれども、成果公開での利用につきましては、積極的にこれからも、SPring8の事例なども踏まえまして、ナノテラスにおきましても分かりやすく成果を発信していくということが大事であると思っております。そして、広く国民の皆様にとっても分かりやすい施設の広報活動、これを進めてまいりたいというように思っております。特に、期待される成果などにつきましては、動画の作成など、利用者にとっても施設利用の利点が分かりやすい広報活動を進めてまいりたいと考えております。

早坂委員 本当に、ベンチャー企業や中小企業に向けての支援策、もっと拡充していただきたいと思いますのと、あとまた、やはり成果をしっかりと、研究成果をもっともっと発信していただきたいという思いです。

 次に、研究、実験に対する審査、チェック体制について伺いたいと思います。

 研究者や企業が施設を利用する際に、その研究、実験内容が適切に審査されると思いますが、その研究や実験が適切かどうかを誰が判断するのでしょうか。公平に判断できる体制は整っているんでしょうか。例えば、外国籍企業も利用可能ということですが、将来、軍事転用のおそれがある、平和利用目的外の研究など、きちんと判断できる体制が整っているんでしょうか。

 また、企業が審査を受けるに当たり、おおよそどのぐらいの期間を要するのでしょうか。対外的に公開されるのでしょうか。企業も、審査待ちの時間も考慮して申請準備を行うと思いますので、利便性向上の観点からも、審査に要する時間があらかじめ分かっていると助かると思いますが、併せて伺います。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

柿田政府参考人 お答えいたします。

 ナノテラスを含む特定先端大型研究施設におきましては、文部科学大臣の登録を受けた登録施設利用促進機関において利用課題の公募を行い、学識経験者から構成される選定委員会の意見を聞いた上でその選定を行うということとしております。

 また、ナノテラスにおける、外国の研究者等や企業による利用や、いわゆるデュアルユース技術の研究等のための利用については、既存の特定先端大型研究施設と同様に、登録施設利用促進機関による利用課題の審査において、利用課題の科学的妥当性に加え、国際情勢等に鑑みつつ、平和利用目的や社会通念に照らした妥当性等を個別に確認するといった対応を検討しております。

 また、審査の期間などにつきましても、これまでのSPring8、あるいは他の特定先端大型研究施設においての事例がございますけれども、できるだけ、公募の段階で、審査のプロセス、それから採択のタイミング、そういったものも含めて、しっかりと研究者、利用者の方々に利用促進につながるような形で周知をしていくということを努めてまいりたいと思います。

早坂委員 研究をするに当たりまして、やはり期間が申請から短い方が助かると思います。それが半年とか一年かかったら本当に意味がないので、是非とも進めていってもらいたいという思いでございます。

 そして、次に、設置者変更の経緯について伺いたいと思います。

 SPring8、SACLAは理研、理化学研究所が設置者として運営に携わっておりますが、今回のナノテラスは量研、量子科学技術研究開発機構が設置者として業務を行うこととされております。普通に考えますと、SPring8やSACLAの実績がある理研が妥当なのではないかと思いますが、何か特別な選定理由があるのでしょうか。理研から量研に変更された経緯を伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 ナノテラスの設置者につきましては、科学技術・学術審議会量子ビーム利用推進小委員会において、法人の目的、業務の範囲との関係や、放射光施設の整備、運用、大型プロジェクトの管理、産学連携の場の形成及び提供等の観点から審議、検討が行われまして、量子科学技術の水準の向上等が法人の目的であること、前身組織である旧日本原子力研究所が理化学研究所とともにSPring8の計画、整備、運用を担った経験があること、国際熱核融合実験炉、ITERや重粒子線がん治療装置、HIMACなどの大型プロジェクトの整備、運用の実績を有することなどから、量子科学技術研究開発機構が適切であると報告をされたところでございます。

 また、量研機構は放射光以外の多様な量子ビームを用いた研究開発にも強みを有しておりまして、放射光との相補的、相乗的利用という観点も踏まえ、ナノテラスにつきましては量研機構を設置者としたという経緯でございます。

早坂委員 しっかりとした特別な選定理由があるということで、安心しました。

 次に、老朽化対策、施設整備計画の費用について伺います。

 私、学校でも、老朽化施設の老朽化対策についても話しましたが、安全性は後から質問させてもらいますが、そこで、参考までに、SPring8の老朽化対策の費用はどうなっているんでしょうか。共用、運用開始以来二十五年を経たSPring8は老朽化対策が急務だと言われていますが、今回のナノテラスはどういった対策、費用を想定をしているんでしょうか。老朽化対策に特化した取組として、それだけ抽出をすることはできないということですが、施設の整備費はどのぐらいの費用を想定しているんでしょうか。支援内容があれば教えてください。

 また、運用当初は十本のビームラインを最大二十八本まで増やすことができるということですが、どのぐらいの期間、費用が必要になるんでしょうか。SPring8は最大六十二本のビームラインが設置可能ということですが、二十五年がたち、五十七本のビームラインの設置にとどまっております。需要がないということなのか。また、ビームライン一本設置するのにどのぐらい期間、費用がかかるんでしょうか。併せて伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 特定先端大型研究施設において、老朽化した機器等が原因となるトラブルや長期運転停止等を防ぐために、適切な老朽化対策や高度化を実施することが重要であります。

 SPring8につきましては、昨年度の補正予算におきましても必要な老朽化、高度化対策等を措置したところでございまして、その他の施設につきましても、その都度、必要なタイミングで予算を確保してまいりましたし、これからも、ナノテラスも含めて、その都度、必要な経費の確保に努めてまいりたいと考えております。

 それから、ビームラインの増設につきましては、SPring8、現在五十七本ということで、技術的にといいましょうか、SPring8で設置可能なビームラインのほぼアッパーのところまで整備は進んでいるという状況でございます。それぞれ、ビームライン一本当たりの整備費用というのは、様々、産業界が整備するものもございますし、ちょっと一概に具体的な数字というのはなかなか、ちょっと今手元にはないわけでございますけれども、いずれにしても、今後、ナノテラスにつきましては、ビームラインを増やしていくということが必要であると考えておりますので、必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

早坂委員 施設整備と老朽化対策、全て一緒の費用ということと、ビームラインの価格は今言えないということだったので、でも、期待をしております。

 もう一点、今度、安全対策について一点だけちょっと伺いたいんですけれども、これだけ立派な研究施設ですから、安全管理についても万全な体制が整っているんだと思いますが、過去に、SPring8やその他の国内外の放射光施設での事故などはどれぐらいあったんでしょうか。それは共有されている体制になっているんでしょうか。伺います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 まず、国内の放射光施設におきましては、これまでに放射線漏えいに関する事故は発生しておりませんし、また、海外での同様の事例についても承知をしておりません。

 ナノテラスにおきましては、非常に明るい放射光などの放射線が放出されますため、十分な遮蔽対策を行うなど、万全の安全管理対策を行うこととしております。具体的には、放射光が出ている際の実験室への入室禁止、実験室内への入室を検知した場合の放射光遮断、誤操作や機器異常が発生した場合の加速器の緊急停止、施設内外に設置された放射線監視モニターの線量異常検出時の加速器の緊急停止などの機能を備えた安全管理対策を講じることとしております。

 さらに、複数の機関が管理運営に関わることから、施設として一元的な管理運営体制を確立するなど、SPring8等の既存施設の安全管理に係る教訓を取り入れ、安全対策について万全を期すこととしております。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に、大きな事故もなく、しっかりと取り組んでいただいているということで、今後も安全対策をしっかりお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので質問を前後させていただきますが、東北全体の復興につながるための方策について伺いたいと思います。

 先ほど、私、宮城、仙台市出身でありまして、東日本大震災から十二年がたちました。私の地元仙台にこのような世界最高レベルの施設ができるということで、本当にうれしく思います。震災を経験した一人として、震災からの復興の一助になっているのではないかと期待もしております。これが仙台市だけではなく東北全体の復興につながるようにしていけたらと思っております。

 先ほども申し上げましたが、サイエンスパーク構想もその一つですし、福島にF―REIも整備されました。こういった研究機構との連携は考えているんでしょうか。ナノテラス利活用の推進とともに、産業振興やイノベーション創出、研究者育成など、様々な利点があると思います。

 また、今月、文化庁が京都に移転しました。一部の部署は東京に残りますが、中央省庁の本庁の機能が地方に移転するというのは本当に初めての試みであり、単に東京一極集中の是正にとどまらず、新たな文化行政を推進する上でも大きな契機になるのではないかと期待をしております。

 そこで、科学技術庁も仙台に、これは今の話じゃないですよ、今後仙台に移転してみたらどうかという提案もしたいと思います。今回のG7では科学技術大臣会合も仙台で開催されました。世界のトップクラスの研究施設であるナノテラスも完成します。福島にはF―REIも整備されました。日本の科学技術の拠点として、仙台に新たに科学技術の行政の推進役である科学技術庁を移転するのは大きな意味があると思います。大きな契機になるのではないかと期待します。そんな考えはあるんでしょうか。あと、東北全体の復興につながるための方策を併せて大臣に伺います。

永岡国務大臣 早坂先生には、ナノテラスの広報のことも本当に存分に考えていただきまして、大変ありがたいなと思っております。

 まずは、ナノテラスの人材育成等の話をさせていただきます。

 ナノテラスは、地域パートナーシップの一員であります東北大学内に立地しておりますことから、東北大学との共同研究ですとか、また、学術指導等を通じました人材育成や、東北大学の有する研究施設との連携を通じまして、研究環境の整備などの取組を進めることとしております。

 そこで、東北大学のサイエンスパーク構想とナノテラスの連携というのは、やはり、ナノテラスの価値の最大化をもたらすのにも資するというふうに考えておりまして、引き続きまして、両者の連携、これも促進をしてまいりたいと考えております。

 また、ナノテラスにおきましては、地域産業の育成ですとか、またイノベーションの創出に向けまして、東北六県及び新潟県の地域企業や大学等の連携を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましても、引き続きまして、本年四月に設立をされました福島国際研究教育機構とナノテラスとの連携も含めまして、東北全体におけます更なる連携、これをしっかりと進めまして、東北の復興にも貢献してまいりたいと考えております。

 そして、先生御提案いただきました中央官庁の機能の移転に関しましては、これは文部科学委員会、文部科学省が独自に決めるということではございませんで、やはり政府全体として考えていくものということでございます。

 以上です。

早坂委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ましたので、最後に一点だけ。

 最後に、本当に一点だけ質問させていただきますが、日本の科学技術分野において、将来像、未来像をどう描いているのか、伺いたいと思います。

 今、日本では、理系離れが進んでいますし、女性の研究者が少ないということです。研究資金が足りないですとか、科学技術研究を取り巻く環境は厳しいものがあると思います。産学官の関係者の皆様も試行錯誤しながらいろいろ努力されていると思いますが、やはり一番は、子供たちに興味を持ってもらう教育というのが大切ではないかと思います。このナノテラス稼働を契機に、多くの子供たちに、すごい、面白いという興味を持ってもらいたいと思います。

 最後に、大臣、日本の科学技術分野における未来をどう描いていくのかを伺います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 政府の第六期科学技術・イノベーション基本計画におきましては、我が国が目指します社会として、国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会や、一人一人の多様な幸せが実現できる社会というものが掲げられております。

 その実現に向けましては科学技術イノベーションが不可欠でありまして、文部科学省といたしましては、研究基盤として必要な研究人材、資金、環境の改革を進めまして、我が国の研究力を向上させる好循環を強化することが重要、そういう認識でおります。

 そのために、博士課程学生を含みます若手研究者等の処遇の向上、活躍の促進、そして我が国全体の研究力を牽引する研究大学の振興、そして国際頭脳循環を通じました国際協調、協力の推進、そして、AI、量子、脳科学、宇宙、核融合等を始めといたします重要先端技術の研究開発の促進や国立研究開発法人の機能強化などにつきまして取組を進めまして、引き続きまして、科学技術立国の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、質問をこれで終わりにします。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も、ナノテラス、東北大学、視察に伺わせていただきました。まさに、世界に我が国が誇る我が国の科学技術力や産業競争力を牽引するすばらしい施設であり、今後大きな期待を寄せるところでございます。

 また、五月十二日から十四日までの間、仙台において行われた科学技術大臣会合が施設の中で行われたということもお聞きをして、大変これは異例なことであったというふうに聞いておりますけれども、世界に向けて我が国が誇る施設を発信できたことについても大きな意義があったというふうに考えます。

 また、来年運用が開始された暁には放射線管理区域となって立ち入ることができないエリアについても今回視察をさせていただいたことも、大変有意義であったと思っております。

 そのことを踏まえまして、質問に入らせていただきます。

 先ほどからの議論、質問の中でもあっておりますように、既に、既存の特定先端大型研究施設、SPring8、J―PARC、スーパーコンピューター施設「富岳」がございますけれども、先ほどからの議論にありますように、SPring8については、共用開始から二十五年が経過をする中で、老朽化や高度化の課題があるということをお聞きをいたしております。

 それを考えていく中で、それぞれの施設が今どのような稼働状況にあるのか、利用状況にあるのかということをしっかりと検証していくことが重要だと思っております。

 また、それに加えまして、そこから生まれた研究成果、この研究成果がどのようなものがあるのか、その代表的なものについてもお伺いしたいわけでございますけれども、このことをお伺いする問題意識としては、我が国が今直面をしている科学技術関係についての予算をもっと増やしていかなければ、我が国の国際競争力が今著しく低下をして、この我が国の科学技術競争力を強化していくということが我が国の喫緊の課題でございます。その中で、我が国として、多額の国費を投入して施設を造るわけでございますので、この施設でどのような研究成果が生まれているかということをもっと国民の皆様にしっかりと周知、広報して、理解をしていただくということが私は大変重要だと考えております。

 その中で、稼働状況、利用状況、そして代表的な研究成果、また、今申し述べました国民への理解につきまして、御見解をお伺いしたいと思います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 特定先端大型研究施設であるSPring8、SACLAは、平成十年に共用を開始し、これまでに累計二十一万三千人以上に、またJ―PARCは、平成二十四年に共用を開始し、これまでに累計九千人以上に、「富岳」は、令和三年に共用を開始し、平成二十四年から令和元年まで共用していた前身の「京」も合わせて、これまでに累計一万七千人以上にそれぞれ利用されているという状況でございます。

 代表的な成果をまとめて申し上げますが、低燃費タイヤ等の各種製品開発でありますとか、科学捜査への利用、あるいは高効率モーター等の開発といったような産業技術の革新を支えるような成果、また、ゲリラ豪雨の予測への貢献といったような成果がございます。

 こうした成果を広く国民の皆様に周知し理解をいただくことで、更なる施設の建設や高度化にも資するものでありまして、引き続き、そしてこれまで以上に、この広報に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今、利用状況、人数についてお話をいただいたわけでございますけれども、SPring8については稼働率が低下をしているというお話も聞いておりますけれども、この稼働率については御説明いただくということはできませんでしょうか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 SPring8につきまして、稼働の率、運転時間等のデータでございますけれども、全体、運転時間として六千時間ほど年間での運転時間がございますけれども、それに対して、大体五千時間を超えるぐらいの稼働の状況であると承知しております。

西岡委員 今、様々、研究成果について御紹介いただいたわけでございますけれども、国民としては、豪雨の予測、ゲリラ豪雨の予測ですとか、特に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、この感染拡大についての飛沫の予想を含めて、この施設が様々な効果を、研究成果を出しているということの一端は分かったんですけれども、もっと、この施設でどういう成果が出ているかということを広く国民の皆様に周知をさせるということが私は大変重要だと思っておりますので、そのことについて是非お願いをしておきたいというふうに思います。

 続きまして、ナノテラス、放射光領域において、これまで、我が国の技術力がどのような国際的な位置づけにあったのかどうか。それを踏まえて、今般ナノテラスの建設が行われているわけでございますけれども、その建設の背景、また、今後期待される研究成果について、また、あわせて、既存の施設との連携をしっかり密に取っていく、そして一緒に研究成果を上げていくという連携も大変重要だと考えておりますけれども、この方針について文部科学大臣にお伺いをいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、ナノテラスの建設の背景、そして期待される成果についてでございますが、放射光に関しまして、我が国はこれまで、SPring8で開発をした技術や知見が世界各国の放射光施設に採用されるなど、世界を牽引してきたと認識をしております。

 他方、軟エックス線領域の高輝度放射光施設につきましては、二〇一〇年代に欧米などで運用が開始をされたことから、我が国におきましても、来年度からナノテラスの運用、これを開始するというところになりました。

 ナノテラスでは、物質の表面におけます元素や分子の様々な働きを分析することができます特性を生かして、創薬や、また新たな高活性触媒、磁石など、多様な分野での成果の創出が期待をされております。

 ナノテラスを産学の多様な研究者等が利用しまして、優れた研究成果が創出されることによりまして、イノベーションの創出や、また我が国の産業の発展に資するということができると考えております。

 そして、既存の三施設との連携でございますが、三施設の連携につきましては、複数の施設を利用する研究課題によりまして、画期的な成果が創出されております。今後、ナノテラスを含めた四施設で更なる連携と成果の創出というものが図られることを期待しているというところでございます。

西岡委員 これまでも、三施設が連携したことによる画期的な商品開発等も行われておりますので、またナノテラスを加えた中で、しっかりこの施設が連携をして成果を上げていただくことを期待を申し上げたいと思います。

 続きまして、ナノテラスの視察の御説明の中で、施設において国産の機器を使用しているという御説明があったというふうに記憶をいたしておりますけれども、このナノテラスの施設の機器や設備における、国産、我が国の製品であるという割合等について、分かれば教えていただきたいと思います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 今の問合せに対するお答えの前に、ちょっと先ほど私が冒頭でお答えした部分について、少し訂正をさせていただきます。

 SPring8、SACLAのこれまでの稼働といいましょうか、利用の状況について、平成十年に共用を開始し、これまで累計二十一万三千人と申し上げましたけれども、平成九年に共用開始ということでございます。訂正させていただきます。

 それから、今の御質問でございますが、ナノテラスの機器及び設備の調達におきましては、一般競争入札等により、国内外問わず公平に契約先を選定しておりますが、令和五年三月末までに契約が完了している機器及び設備における国産品の割合は契約金額でほぼ一〇〇%となっておりまして、国内企業の技術の集結によって整備が進められていると承知しております。

西岡委員 ナノテラス、ほぼ一〇〇%国産による技術力の結集という意味でも、大変我が国にとっても、これから本当に期待をされる、我が国にとっての産業も含めた技術力向上に是非貢献をしていただくことを、改めて御期待を申し上げたいと思います。

 それでは、ナノテラスの運用につきましてお伺いをさせていただきます。

 ビームライン十本のうち、三本を国が運用して、広く公開をして、研究成果も公表することとなっております。施設に対する認知を高める広報も、先ほども議論であっておりましたけれども、認知を高める広報が大変重要であると考えております。

 無料といっても若干の実費が発生すると聞いておりますけれども、その運用方法について、また、小中高校生を含めた次世代を担う子供たちにも活用してもらうことが大変重要であると考えますけれども、このことに対する方針についてお伺いをいたします。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 まず、ナノテラスの料金体系といいましょうか、運用の方針でございますけれども、共用の利用料金につきましては、他の特定先端大型研究施設と同様に、研究成果を公開する場合は消耗品等の実費負担を除いて無償、それから、研究成果を公開しない場合につきましては消耗品費に加えて利用料金を負担するということが基本的な利用の体系でございます。

 また、広報に関しましては、ナノテラスについて広く国民の皆様にとって分かりやすい広報活動をしていくことが重要であると考えておりまして、期待される研究成果に係る動画の作成でありますとか、ナノテラスの立地や外観を生かしたポスターの作成など、多様な取組を進めてまいります。

 また、特に児童生徒を対象とした広報は、将来の我が国の科学技術を担う人材を育成する観点からも意義のあるものと承知しておりまして、これまでも、地元の中高生や住民の皆様を対象とした一般公開等を開催してきたところでございますが、引き続き、このような取組を推進してまいります。

西岡委員 児童生徒の皆さんも活用できるような方策についても是非考えていただければというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、ナノテラスを始めとして、特定大型施設の運用、設備には多額の費用が必要でございます。ただ、現下の電気代の高騰など、今までからは想定できないような状況が生まれているのも事実でございます。その運用について大変大きな影響が経費的に発生するというふうに考えますけれども、これについてどのように支援していく方針であるかということについてお伺いをさせていただきます。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 ナノテラスの運用に要する経費は令和六年度から計上されることになりますので、次の予算要求に向けて、電気代高騰の影響も考慮して、必要な経費を確保できるように検討をしてまいります。

 また、ナノテラスでは、SPring8と同様に、施設の利用料金を運営費の一部に充てることとしておりまして、利用料金の設定についても、電気代高騰の状況等も踏まえて柔軟に対応を行っていく必要があると考えております。

西岡委員 しっかりと反映をしていただくこと、また、最後に、先ほどから議論があっております、すばらしい施設ができましたので、やはり研究者への支援、これが大変重要だと思いますので、そのことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 いわゆるナノテラス法案について質問いたします。

 本法案は、大学や企業の研究のために、先日視察にも伺ったナノテラス、次世代放射光施設の共用を促進するものであり、学術研究の発展に資するものだと考え、参議院でも賛成をいたしました。

 ただ、ナノテラスの整備費に関しては、宮城県は当初三十億円を負担する予定でしたけれども、十億円の負担が追加され、四十億円となった。同じく仙台市でも、当初の計画より負担額が増えているという心配の声が聞こえております。

 まず大臣に、この地方の声にどう応えるのか、文科大臣としての見解をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 ナノテラスに対しまして、宮城県、仙台市から積極的な御支援をいただいていると承知しておりまして、大変心強く思っております。

 ナノテラスは、官民地域パートナーシップにおけます役割分担の下で整備、運用がなされておりまして、地域パートナー側の資金につきましては、宮城県や仙台市からの補助金のほか、企業からの加入金、寄附金などによりまして確保が進められていると承知をしております。

 自治体等の過大な負担を避けまして、何より、ナノテラスの成果を社会に還元するためにも、加入企業でありますとか寄附金の増加を図ることが重要でございます。

 このため、文部科学省によります、ナノテラスの利用制度につきまして、全国説明会、そして、一般財団法人光科学イノベーションセンターによる広報活動、それから、東北大学によります、青葉山新キャンパスに整備をされましたサイエンスパークにおける新事業の展開などによりまして、収入源の多様化が進むことを期待しております。

 これらの取組によりまして、ナノテラスが安定的に運営されるとともに、自治体等への過大な負担とならないように、引き続きまして、地域パートナーとしっかり相談しながら進めてまいります。

宮本(岳)委員 是非そういう方向でお願いいたします。

 一昨日の参議院決算委員会では、我が党の田村智子議員が理研の大量雇い止め問題について質問いたしました。

 どんな立派な施設ができても、そこで働く者、研究する方々の雇用といいますか立場が守られなければなりません。

 理研ネットの抗議声明で紹介された三十代のユニットリーダーの雇い止め、これが議論になりました。

 改めて紹介いたしますけれども、この人は、文部科学大臣若手科学者賞や東大総長賞など数々の受賞歴があり、昨年もネイチャー誌に論文が採択されたという、非常に優秀な研究者の方であります。このユニットリーダーは、日本学術振興会、JSPSの卓越研究員にも採択をされておりましたが、卓越研究員としての研究は僅か四年半にとどまり、常勤、定年制の職に就くどころか、無期雇用転換権を与えないために雇い止めになりました。

 資料一を見ていただきたい。

 大臣は、一昨日の参議院決算委員会で、理研ネットの声明に取り上げられておりますユニットリーダーにつきましては、卓越研究員事業に採用されました研究所の卓越研究員としての理化学研究所における有期雇用の任期が四年半であったにもかかわらず、理化学研究所は当該研究者の卓越研究員としての任期は原則七年といたしまして日本学術振興会に対して報告していたと聞いているところでございます、理化学研究所によれば、労働契約としては労使間の合意に基づきまして適切に運用されているものの、日本学術振興会への報告内容が一部適切でなかったと聞いているところです、文部科学省といたしましては、今後、理化学研究所におきましてこのようなことがないよう改善を図ってもらいたいと考えておりますと答弁をされました。

 大臣に聞きますけれども、一部適切でなかったというのは、何が適切でなかったと考えておられますか。

永岡国務大臣 昨日私が申し上げましたのは、雇用期間が七年というところを四年半と言ったというところでございます。

宮本(岳)委員 雇用期間が七年というところを四年半としていたことが問題だと。つまり、四年半で雇い止めが問題だとおっしゃったわけですか。

永岡国務大臣 これは申告内容が間違っていたというところでございます。

宮本(岳)委員 だから、それを私は問題にしたいわけですね。申告内容が七年になっていたのがまずかったと。これは私は到底納得できません。そもそも、七年というのは、これは理研側の文書に書かれていることでありまして、それが間違っていたでは済まないんですね。

 資料二を見ていただきたい。これは文部科学省から提出を受けた資料であります。この方が卓越研究員事業に応募する際に理研が文科省に提出した、平成三十年度卓越研究員事業研究機関申請書であります。これは文部科学省から出ているものですね。

 赤線部を見てください。ここには、「卓越研究員が、所内の大型施設、共用機器等、理研の充実した研究環境の下で、存分に自立的な研究が実施できるよう、雇用期間を原則七年間とした安定性のある雇用環境を用意する。」こうありますね。この申請書を見て、文科省は事業に適合していると判断したはずであります。

 理研が毎年JSPSに対して提出している事業結果報告書の補助事業の達成状況についての項目、「卓越研究員一名についても、任期を七年(ポストによっては、評価により十年まで)」と書かれていることを私は確認しております。

 これは局長でいいですが、間違いないですね。

森政府参考人 お答えいたします。

 この事業の説明書においては、任期を七年、ポストにより、評価により十年までというのは、卓越研究員の仕組みとして、そういうことで報告をしてございます。

宮本(岳)委員 ちょっとはっきり言っていただけますか、もう一回。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 理化学研究所からの事業結果の説明書におきまして、任期を七年とするということが記載されているということは承知をしております。

宮本(岳)委員 そのとおりなんですね。

 この事業結果報告書についてユニットリーダーに確認をすると、実は、結果報告書というのは御本人も書く欄があるんです。理研から御自身に報告書のひな形が送られてきた、そして、その中に自らの研究成果を書き込むということでありますが、「任期を七年(ポストによっては、評価により十年まで)」、この記述のある欄は御本人には空白で出されていた、隠されていたということなんですね。

 つまり、理研は、卓越研究員事業に申請する当初から、このユニットリーダーが雇い止めされる今年度、つまりこの三月三十一日までの事業結果報告に至るまで、一貫して雇用期間七年と書き続けておきながら、これは文科省やJSPSには出しておきながら、一方で、このユニットリーダーに対してはその事実を隠していたということなんですね。これは、一部適切ではなかったなどと言って到底済まされる問題ではありません。

 では、なぜ、わざわざ理研は七年と偽って申請したのか。

 確認しますけれども、科学技術・学術政策局長ですかね、この卓越研究員という制度は、どのような目的、目標を持って実施されておりますか。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 卓越研究員事業は、優れた若手が、産学官の研究機関において、安定かつ自立した研究環境を得て自主的、自立的な研究に専念できるよう、研究者及び研究機関に対する支援を行うものであります。

宮本(岳)委員 優れた若手研究者が安定かつ自立した研究環境を得て自主的、自立的な研究に専念できるよう支援する制度。

 資料三の一を見ていただきたい。この卓越研究員制度の公募要項、今日持ってきましたが、これだけあるんですが、この公募要項の五ページの説明であります。

 「テニュアトラック制又はこれと同趣旨の公正で透明性が高く、安定性の高い人事システムでの雇用」、あるいは「任期の定めの無い雇用」、こういうことであり、つまり無期転換ということですね。一つ目の、テニュアトラック制と同趣旨の公正で透明性が高く、安定性の高い人事システム、これはちょっとややこしいですから、これについての説明が次のページ、資料三の二であります。

 赤線部を見ていただきたい。「一定期間の確実な雇用の確保と将来の見通しがつくことが必要」とあり、「任期や再任回数に制限があることがやむを得ない場合であっても、機関において雇用の確保と将来の見通しを示す研究環境が最大限確保(例:五〜十年程度の雇用の確保等)されれば、要件に合致するものと認める場合があります。」五から十年、これが確保されていれば認める場合がある、こう書かれていますね。

 雇用の確保と将来の見通しを示す例として五から十年としている、正直に四年半と書いたのでは事業の趣旨に反する可能性がある。だから、理研は一貫して七年あるいは十年などという偽りをしてきたんじゃないですか。

 大臣、理研は、雇用期間が四年半しかないにもかかわらず、文科省には、七年、場合によれば十年というような虚偽の報告をして、この研究者があたかも安定かつ自立した研究環境を得て自主的、自立的な研究に専念できるかのように偽って、装って、研究者及び研究機関に対する支援を引き出したということになりますね。

 大臣、これはほっておいていいんですか、なぜ怒らないんですか。

永岡国務大臣 理化学研究所からは、ポストの提示の際に、卓越研究員が存分に自立的な研究が実施できますように、研究の立ち上げや転出のための活動期間を含めまして原則七年とした安定性のある雇用環境を用意する趣旨の説明がなされておりまして、文部科学省といたしましては、事業の趣旨に合うものとして適切であると判断をして、支援を行ってきたものでございます。

 今般、提示ポストの説明と異なる形で、理化学研究所におきまして当該研究者の雇用が終了したことにつきましては、大変遺憾であると思っております。

宮本(岳)委員 遺憾で済まないんですよ。

 この七年という申請に基づいて、卓越研究員を決定し補助金が出ている。補助金は、研究者本人にも出ておりますけれども、研究環境整備費は研究機関である理研に出ております。

 これは局長に確認しますが、理研に対して、研究環境整備費として、この方が卓越研究員として採用された平成三十年度から令和四年度までの五年間に、総額幾ら出ておりますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 御質問の研究者に関しまして、理化学研究所が平成三十年度から令和四年度の五年間に卓越研究員事業の研究環境整備費として受け取った金額は、合計一千万円になります。

宮本(岳)委員 任期七年という甚だ事実に反する申請に基づいて、総額一千万円の国費が理研に出されております。これは書き間違いで済まされる問題ではありません。遺憾で済む問題でもありません。

 これは、大臣、どうするつもりですか。

永岡国務大臣 理化学研究所におきましては、卓越研究員として採用された研究者が、提示されたポストについて示されました原則七年の任期と異なる四年半で雇用が終了したことにつきまして、早急に調査を開始をして、そして状況を明らかにすると伺っております。

 文部科学省といたしましては、その結果を踏まえた上で、卓越研究員事業についての対応策、これをしっかりと検討してまいります。

宮本(岳)委員 文科省は、無期転換権を得る前の雇い止めを方針としている理研の新人事制度を、好事例だといって全国の国立大学に紹介することまでやってきました。その理研がこんな不正を行っているわけですから、これを放置することはできません。調査をし、そしてその問題を正すことは当然です。

 誰がこの不正を行ったのか、そのことも含めて徹底的な調査と全容解明を求めて、私の質問を終わります。

宮内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村裕之君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行です。

 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読をして説明に代えさせていただきます。

    特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 次世代放射光施設NanoTerasuの整備は、官民地域パートナーシップという新たな方式により、国、地域及び産業界が連携して行っていることから、施設の運用に当たっては、各主体の役割と責任の所在を明確にするとともに、安全管理や情報セキュリティなどについて一元的な対応ができるよう適切な体制を構築すること。

 二 スタートアップやベンチャー企業等によるイノベーションの創出が我が国の持続的な経済成長や発展に欠かせない重要な要素の一つであることに鑑み、意欲のある起業家等に対して次世代放射光施設NanoTerasuの利活用を広く働きかけるとともに、その研究成果が最大限に活かされるよう十分な支援策を講ずること。

 三 科学技術立国の実現を目指す我が国にとって、先端的な研究施設を整備し、若手研究者を含む産官学の研究者による積極的な利活用を促進することで、学術・産業界における国際競争力を強化していくことが重要であることに鑑み、既存の特定先端大型研究施設の老朽化対策を着実に実施するとともに、技術革新の進展等に対応した施設の高度化を推進するため、十分な財政措置を講ずること。

 四 特定先端大型研究施設間の連携を図り、登録施設利用促進機関における研究実施相談を充実するため、研究実施相談を担う人材の育成・確保に向けて国として必要な施策を実施すること。

 五 科学技術に対する国民の理解を深めるため、特定先端大型研究施設を活用して得られた研究成果について分かりやすい情報提供等を行うこと。その際、特に、児童生徒の科学技術に対する興味や関心を高めるための取組の実施に努めること。

 六 特定先端大型研究施設を活用して得られる研究成果を最大化するためには、研究者が長期的な視点に立って自由な発想で研究活動に従事できることが重要であることに鑑み、大学において任期を付さない安定的な身分の研究者を増やすことができるよう、人件費の基礎となる国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金等の基盤的経費を確実に措置すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

宮内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮内委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

宮内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮内委員長 次回は、来る六月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十四分散会


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