衆議院

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第15号 令和5年6月2日(金曜日)

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令和五年六月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮内 秀樹君

   理事 池田 佳隆君 理事 橘 慶一郎君

   理事 中村 裕之君 理事 根本 幸典君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 堀場 幸子君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君  英利アルフィヤ君

      勝目  康君    小森 卓郎君

      柴山 昌彦君    鈴木 貴子君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      中曽根康隆君    丹羽 秀樹君

      船田  元君    古川 直季君

      穂坂  泰君    山口  晋君

      山本 左近君    吉田 真次君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      吉川  元君    金村 龍那君

      高橋 英明君    早坂  敦君

      平林  晃君    山崎 正恭君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室副室長)      原  典久君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  青木  元君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   小森 卓郎君

  岸 信千世君     吉田 真次君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     英利アルフィヤ君

  吉田 真次君     岸 信千世君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(浅野哲君紹介)(第一二四六号)

 同(盛山正仁君紹介)(第一二六〇号)

 同(江崎鐵磨君紹介)(第一三六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三六五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三六六号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(浅野哲君紹介)(第一二四七号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三六七号)

 教職員が教育に専念できる環境整備に関する請願(馬場雄基君紹介)(第一三六八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮内委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 学校教育に関する実情調査のため、去る五月三十一日、江戸川区立松江第一中学校の視察を行いました。

 参加した委員は、私を始め、理事、委員十七名でした。

 この際、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 松江第一中学校では、令和四年度から東京都の不登校児童・生徒支援調査研究事業の指定を受け、デジタル機器を活用した教育支援や、加配教員を中心とした不登校対策のための体制の構築に努められているとのことから、視察先といたしました。

 現地では、最初に、生徒一人一人に応じた指導支援を行うためのエンカレッジルームやカウンセラールーム等を視察し、施設を有効に活用するための様々な工夫や、実際にエンカレッジルームを利用している生徒が、デジタル機器を使用しながら在籍教室の友達とともに学んでいる姿を目にすることができました。

 また、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーと意見交換を行い、新型コロナウイルス感染症が子供たちに与えた影響の大きさや、学校における心理、福祉に関する専門人材の果たす役割の重要性を再確認することができました。

 次に、東京都教育委員会から、東京都のいじめ総合対策に基づくいじめ防止対策の取組や、DVD教材を活用した学校における自殺予防教育等の取組についての説明を聴取いたしました。

 また、江戸川区教育委員会からは、全ての公立学校に個別の支援を行うためのエンカレッジルームを設置する等の不登校対策の取組について、また、松江第一中学校からは、デジタル機器を活用した不登校支援等の取組についての説明を聴取いたしました。

 その後、松江第一中学校における不登校、いじめに関する小学校や高等学校、警察との連携状況や、東京都や江戸川区におけるフリースクール等の民間団体との連携状況、不登校対応の教員の加配や予算の状況などについて意見交換を行いました。

 以上が視察の概要でございます。

 最後に、今回の視察に当たりまして、御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

宮内委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房長原宏彰君、大臣官房審議官畠山貴晃君、大臣官房審議官上村昇君、大臣官房総合政策推進室副室長原典久君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房長望月禎君、大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長藤江陽子君、初等中等教育局長藤原章夫君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長茂里毅君、研究振興局長森晃憲君、研究開発局長千原由幸君、文化庁次長杉浦久弘君、気象庁地震火山部長青木元君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田佳隆君。

池田委員 おはようございます。自由民主党の池田佳隆でございます。

 本日は、文科委員会、二年ぶりに質問の機会をいただきました。誠にありがとうございます。

 さて、二年前の令和三年五月二十八日、全国民を代表する衆参両院全ての国会議員の賛同を得まして、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が可決、成立いたしました。

 質問に入ります前に、本日は、新法成立の振り返りから始めさせていただきたいと思います。

 懲戒免職処分となって教員免許が失効、取上げになった者が、三年の欠格期間を経た後に再交付の申請をすれば、審査も何もなしに教員免許が再び交付される、言い換えれば、再交付申請があれば都道府県教育委員会は黙って教員免許を再交付せねばならないと規定された教員免許法の不合理をおよそ七年前から唱え、その懲戒免職処分となった教員の七割から八割が、何と、児童生徒に対するわいせつ行為、性暴力による懲戒処分であったという事実に心底驚愕をいたしました。そして、そのときから、教員による性暴力根絶に的を絞った教員免許法の改正に、執念深く、長年取り組ませていただいたわけでございます。

 本委員会の質疑におきましても、七年前の平成二十八年に始まり、令和になってからも、毎年この問題を取り上げさせていただきました。

 およそ三年前の令和二年七月二十二日、本委員会における私の質問に対しまして、当時の萩生田文部科学大臣は、子供たちに対してわいせつ行為を行った教員が二度と教壇に立てないようにするための教員免許法改正案を来年の通常国会において内閣提出法案として出したい旨、御答弁されました。

 しかしながら、その年の十二月二十五日、教員免許法の改正案提出は断念すると文科省は発表したのであります。子供たちに絶対に渡してはならないクリスマスプレゼントだと憤った私は、共に文科委員会理事だった公明党の浮島智子衆議院議員と協働し、政府、文科省が法案を出さないのであれば、議員立法によって法律を作り上げようと固く誓い合ったのでありました。

 この立法の難しさは、憲法に定める職業選択の自由と、子供たちの生存権そのものとも言える人としての尊厳とのバランスをいかに図るのか、さらには、刑法に定められている、一定の期間を経過すれば前科がなかったことになるという刑の消滅との整合性をいかに図るのかにありました。

 そこで、児童生徒に対してわいせつ行為、性暴力を行い懲戒免職となった元教員への教員免許の再交付に当たっては、当該元教員が生涯にわたって二度と児童生徒に性暴力を行わないかどうかの審査をした上で、絶対に行わないということが証明されない場合には、免許授与権者である都道府県教育委員会に対して、教員免許の再交付を拒絶することができる、いわゆる裁量的拒絶権を付与する規定といたしました。そして、その審査の際には、生涯にわたって自分自身が絶対に性暴力を行わないことの挙証責任を、児童生徒に性暴力を行った元教員の側に負わせることといたしました。

 また、刑の消滅という法の壁を乗り越えるために、懲戒免職という消滅させる必要のない行政処分の履歴を活用したデータベースの作成を規定することといたしました。そして、教員を採用する際には、児童生徒への性暴力による懲戒免職の履歴がリアルタイムで反映されるデータベースの閲覧を義務化して、わいせつ教員が再び教員に採用されることを防ぐ手だてとしたわけであります。万が一にもそのような者を採用し、再び児童生徒性暴力が行われた場合には、採用した者にも賠償責任が発生することとなります。

 この新法によって、教員免許再交付と教員採用のときにとてつもなく高いハードルを作り、事実上、二度とわいせつ教員を教壇に立たせないようにしたわけであります。

 立法事実と向き合ってから、紆余曲折、実に五年の歳月を要しましたが、不肖私の発案を生かしていただいたこの法律が、私自身が鬼籍に入った後でも、将来にわたって子供たちの尊厳を守る仕組みとして機能することは、この議員立法の提出者として欣快に堪えない次第であります。改めて、この新法作成に関わっていただきました全ての皆様方に心からの感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、大臣にお伺いをいたします。

 この法律が施行されたことによって、教育委員会、学校管理職や教員の方々の児童生徒へのわいせつ行為、性暴力防止に対する意識はどのように変わったと受け止められておりますでしょうか。大臣のお考えを御回答いただきたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 池田議員に大変御尽力いただきました教育職員性暴力等防止法が衆参全会一致で成立したことは、児童生徒等への性暴力等を絶対に許さないという立法府の強い意思を示すことになったものと認識をしております。

 一方で、極めて遺憾ながら、本法の施行後も、児童生徒性暴力等に対しまして、本法の趣旨を十分に踏まえられていないと見受けられる対応というのもいまだあるものと承知をしております。

 児童生徒等の尊厳と権利を踏みにじる性暴力等は、いかなる理由であれ、断じて許されるものではありません。性被害はたとえ一人でも多過ぎるわけです。

 文部科学省といたしましては、児童生徒性暴力等を行った教育職員等は原則として懲戒免職処分とすることの徹底を図るなど、教育職員等によります性暴力等を根絶するという断固たる決意の下に全力の力を注いでまいりたい、そう考えております。

池田委員 大臣、力強い御答弁、ありがとうございました。

 ただ、新法施行後の現在も、わいせつ教員に対して厳格な処分を規定していない教育委員会が散見されるのも事実であります。大臣の断固たる決意で、わいせつ教員には懲戒免職処分を徹底させていただきたい。切にお願いを申し上げたいと思います。

 さて、この新法が成立したことによって、保育士の幼児に対する性暴力の防止策についても、児童福祉法の改正によって同様の仕組みが確立して、この四月から施行されることとなりました。ただ、その起点となったこの法律が確実に運用されねば、子供たちを性暴力から守るという立法府の意思が画餅に終わってしまうのは言うまでもないことであります。

 先日も、生徒に対する性暴力で懲戒免職となった元教員が、被害生徒は精神的損害を受けずに卒業している、性行為に計画性はなかった、だから退職金不支給となる懲戒免職は不当に重い処分だなどと主張しているとの報道に接しました。教育者として失格と言わざるを得ないこのような教員が現実に今も生徒の前に存在している、そんな恐ろしい事実を我々は直視せねばなりません。

 新法を駆使して子供たちを教員による性暴力から守り抜いてくださいますよう、改めて関係各位に強く強くお願いを申し上げたいと思います。

 さて、このように、保育所、幼稚園、小中高等学校、特別支援学校においては、子供たちを性暴力から守る仕組みがやっとでき上がりました。

 しかしながら、本年四月六日の読売新聞に衝撃的な記事が掲載されました。早稲田大学と同大学で学生に性暴力を行った教授に対して東京地裁が賠償を命じたとの報道であります。

 高校までは法制度によって教員による性暴力から守られる子供たちが、大学に入学した途端に教授等の性暴力にさらされる、こんなことは決してあってはならず、絶対に許されてはならないことであります。

 大学には、学問の自由の確保のために、大学の自治が認められております。しかし、その大学の自治は、高等教育機関として、学生の尊厳を重視した責任ある判断ができてこそ認められるものでなければなりません。当たり前のことであります。

 高校までは教員が児童生徒性暴力を行えば懲戒免職が原則となった現在の日本にあって、大学によっては、学生への性暴力を行った教授への懲戒処分が何と出勤停止七日という判断をした教授会がありました。国民感覚とは随分かけ離れた処分だと思います。当時、文科副大臣として担当者に強く求め、大学における性暴力防止のための通知を発出させることといたしました。

 また一方、とある国立大学のハラスメント防止ガイドラインには、セクシュアルハラスメントの例として、執拗に又は強制的に性的行為に誘ったり交際を求めたりすること、強引に接触及び性的な行為を行うこと、常軌を逸したストーカー行為などを行うことと例示されておりました。このようなガイドラインは、大変意義のある、重要なことだと思います。が、しかしながら、この例示された内容は全て、刑法に触れる犯罪行為そのものであります。

 私は、昨年初め、文科副大臣として、小中高等学校等におけるいじめと称される行為で、教員が担う生活指導の範疇を超える、確実に犯罪行為に該当するものは、学校で抱え込むことなく、警察に直ちに通報すべき旨の通知を発出するよう強く主張いたしました。そしてまた、教育委員会や学校、教員に責任の全てを押しつけるのではなく、どのような行為が警察と直ちに連携すべき事例なのかを文科省が具体例を詳細に明示することによって、学校がちゅうちょすることなく犯罪いじめについては直ちに警察へ相談、通報できるよう指示をさせていただきました。

 本年二月七日に発出された藤原章夫初等中等教育局長名の公文通知には、直ちに警察に相談、通報せねばならない具体的な犯罪いじめの事例と犯罪類型が十九項目にわたり詳細に明示されました。警察と連携した学校を評価するとまで記された、いじめに対する学校現場での対応を大転換させる、前例のない公文通知だったと思います。

 文科省におかれましては、今後の学校と警察との連携実態についてしっかりと注視していただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 さて、学校における犯罪行為に対する警察との連携についてるる述べさせていただきましたが、小中高校と同様に、学校教育法第一条に定められる学校である大学も同じではないでしょうか。特に、教授による学生への性暴力といった犯罪が行われている場合には警察へ相談、通報することは、法で定められた責任ある教育機関として当然のことであると考えます。

 そこで、文部科学大臣にお伺いをいたします。

 大学において、教授等による学生への性暴力の根絶は一刻の猶予も許されない喫緊の課題であると考えます。これらの犯罪行為に該当する性暴力が生じた場合には警察に適切な相談や通報が行われているのかどうかも含め、全ての大学に対して、まずは性暴力に対する実態調査を速やかに行っていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 大学における性暴力等の事案に関しましては、文部科学省といたしましても大変憂慮しておりまして、注視をしているところでございます。

 教育機関である大学において性暴力などが生じることは、あってはなりません。文部科学省といたしましては、大学等の構成員は学生に対する性暴力等を決して行ってはならないことや、各大学で取り組む事項につきまして、昨年十一月に全ての大学に通知をしているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、全大学を対象に実態調査を実施する予定でございますが、まずは、本通知の取組状況を速やかに把握するために、国立大学法人を対象に調査を開始いたしまして、本調査におきまして、警察等の学外の関係機関との連携についても確認しているところでございます。

 本調査の結果も踏まえまして、犯罪行為に該当するような性暴力が生じた場合の警察への相談や通報など、各大学における適切な対応をしっかりと促してまいりたい、そう考えているところです。

池田委員 大臣、ありがとうございました。是非、まずは早急な実態把握をお願いしたいと思います。

 大学において教授等による学生への性暴力を根絶させるためには、性暴力を行った教授等は懲戒解雇など厳格な処分にすべきことを、文科省として明確に意思表示するべきだと考えます。もし、教授会がそれに反対するのであれば、どの大学のどの学部の教授会が、大学の自治や学問の自由の美名の下に学生の尊厳を踏みにじっているのか、また、学生に対する性暴力根絶に後ろ向きなのかを、文科省は今後、国民に公表を検討すべきかと思います。

 そこで、最後に、永岡文部科学大臣にお願いがございます。

 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律を踏まえた上で、大学における教授等による学生に対する性暴力は絶対に許さない、万一、そのような行為があった場合には、犯罪行為として警察に相談、通報するとともに、当該教授等に対しては懲戒解雇など厳格な処分を行うべきであるとの意思表示を、永岡大臣から明確に発信をしていただけないでしょうか。

 学生の皆さんが安心して大学で学び続けられるよう、是非とも、文部科学大臣としての矜持を持って、力強い、前向きな意思表示をよろしくお願いをいたします。

永岡国務大臣 性暴力等は、個人の権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復し難い、心身に対する重大な影響を与えるものでありまして、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針におきましても、魂の殺人とまで書き込まれております。教育者として指導する立場にある教員が学生に対して性暴力等を行うことは、断じて許されないことであります。

 文部科学省といたしましては、昨年十一月に全ての大学に対しまして発出した通知におきましても、このような基本姿勢を明確に、性暴力等を行った大学等の教職員に対しては、懲戒解雇も含めた懲戒処分などの厳正な措置を行うように示してきたところでございます。

 本調査の結果も踏まえまして、犯罪行為に該当するような性暴力が生じた場合の警察への相談や通報など、各大学における適切な対応、これをしっかりと促してまいります。

池田委員 大臣の力強い御回答、ありがとうございました。意思表示いただきました。

 魂の殺人を教育者には断じて行わせない、行った者は、大学教授であろうと解雇相当の厳正な処分を行うべきと考える。文部科学大臣の力強い意思表示、ありがとうございました。大臣、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、初当選以来、十年以上にわたり、教員による性暴力が根絶する、安全な、そして安心できる教育環境づくりに全身全霊を傾注してまいりました。教員による性暴力防止法を議員立法で作ることができたこと、そして、そのことにより、教育機関における性暴力根絶に向けて時代が大きく動いてきたことを大変ありがたく思っているところでございます。

 教育関係者はもちろんのこと、私たち大人には国の宝である子供たちの教育環境を守る責任があるということを、改めて本委員会全委員の皆様方と共有させていただき、本日の私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 一昨日、五月三十一日に文部科学省より、公立学校教員採用選考試験の早期化、複数回実施等について方向性の掲示が行われましたが、これは、近年の教員採用試験の受験者が減少し、令和四年度の採用倍率は、小学校は過去最低の二・五倍、中学校は四・七倍となっている、そんな状況を打開しようと、文科省は昨年十月に採用試験の在り方に関する協議会を立ち上げ、その間での協議を経て一昨日の発表となっておりますが、今回、その中で大きな方向性として、採用試験の実施時期を全国的に早めて、令和六年度に関しては六月十六日を全国の教員採用一次試験の日程の目安にしてほしいというふうな打ち出しが行われました。

 このことに関しては、実は私も大学の先生から、民間企業を始め国家公務員や地方公務員の採用試験の日程が早まる中で、教員採用試験だけは七月に一次試験、八月に二次試験、九月か十月に合格発表というパターンでは遅過ぎる、やはり学生は早く決めたいという気持ちが働くので、せっかく大学に入学して三年間教職課程を取って頑張ってきたのに民間企業に行ってしまうというお声がありましたので、本当によい方向性の掲示だと思っています。

 しかも、そこで考えられる課題、例えば、教員採用試験が早まることに対する試験問題作成の負担の軽減、教育実習の時期との兼ね合い、臨時教員への配慮等の対策も、時間の関係でここで一つ一つ申しませんが、しっかりと現実的な内容で対応が示されており、よい掲示だなと高く評価しております。

 ただ、この問題の肝というか狙いでいうと、先ほども言いましたように、民間企業を始め国家公務員や地方公務員の採用試験の日程との兼ね合いですので、それでいうと、正直、私の感覚でいうと、まだまだ遅いのではないかなという思いもあります。

 そこで、教員採用試験の第一次選考の実施日程については、来年度は一旦、六月十六日を一つの目安、標準日としていますが、企業や他の公務員試験の情勢を見ると、日程の更なる前倒しをする必要があるのではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 教員採用選考試験の実施時期につきましては、民間企業や他の公務員においては就職活動等の時期が早まる中で、少なくとも二十年以上大きな変化が見られておらず、教員採用試験の倍率が低下傾向にある中で、実施時期の早期化につきまして大変課題意識を持って、昨年十月以降、教育委員会、大学等の関係者との協議を行ってまいりました。

 五月三十一日に行いました方向性の提示においては、これまでの議論の中で挙げられました、問題の作成の負担ですとか教育実習との調整等の課題点を踏まえつつ、第一次選考の実施日については、まずは、来年度は六月の十六日を一つの目安、標準日といたしまして、地域の実情を踏まえながらできるだけ前倒しを検討いただきたいとお示しをいたしました。

 一方で、実施時期の早期化は、これで十分だと考えているわけではございません。更なる前倒しも含めまして、来年度の各教育委員会の対応状況も見ながら引き続きまして検討していきたい、そう考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 実は、私の地元の高知県では、六年前、二〇一七年から教員採用試験の日程を前倒しして、全国で一番早く実施していました。今回示された六月の第二週に行われており、今年も六月十七日に行われる予定ですので、来年早める教育委員会は最初は負担感があるかもしれませんが、高知県など実際にやっている教育委員会がありますので、できるのはできるのではないかというふうに思います。

 今回、採用試験の早期化と並んで提案されている複数回実施も考えた場合に、やはり教育委員会の負担を考え、今回言及のあった一次試験問題の共同実施、これは非常に重要であるなというふうに思います。今の教員不足は国家的な課題ですので、全国で一緒にやれることは一緒にやって、負担を軽減してやっていくというのは非常に重要なことであると思いますので、こちらの方も何とぞ推進をお願いいたします。

 次に、ここは今回の質問で一番訴えたかったことですが、今回の方向性の掲示の中で、令和五年度末から始まる定年の引上げ、二年に一度、一歳ずつ、六十五歳まで段階的に引き上げられていくんですけれども、これへの計画的な対応が重要として、定年が引き上げられる年度においては退職者数が減少することになりますが、年度によって新規採用数を大きく増減することなく、安定的に新規採用数を確保することが重要で、退職者枠とは別に、これまで臨時講師等の非正規教員に活用している枠を正規教員に置き換える等、正規教員の採用枠を拡大する取組、非正規教員の割合抑制を進めるべきと示されています。

 これに関しては、今回の採用試験の在り方だけでなく、現在の日本の教育の最重要課題とも言える深刻な教員不足問題の肝にもなってくる問題であるというふうに思います。

 教員不足の問題については様々な議論がなされていますが、その中で私が本質だと思うのは、年度初め、四月一日現在の教員配置、この段階で正規教員の人数が圧倒的に足りない状況が起きて、実はこの段階で各都道府県に登録されている臨時教員の先生が配置し切ってしまっていまして、四月以降に起きてくる育休、産休、病休に入ってもらう臨時教員がいない、臨時教員がもう既に四月で枯渇してしまっているという状況が起きています。

 結局、その分は、前回のときにも言いましたけれども、校長先生が退職者に何十人、何百人も電話して本当にやっていただいたり、若しくは教頭が担任に入る、ひどい場合には、小さい学校では、突然の休みの場合は校長先生も入って対応していると伺っていますが、要は、その職場の先生方が、本来の自分の職務以上に、欠員となった教員配置分の仕事を担ってくれています。そのときにも、その代わりが正規教員にしか担えないものが多く、正規教員の負担が急増しパンクしてしまうという負のスパイラルも起きています。

 二〇〇一年の義務標準法の改正や二〇〇四年の義務教育国庫負担制度を導入する改革によって、教職員給与費の総額範囲内であれば教員の数、給与、待遇を地方自治体が定められるようになりました。しかし、その後、教員を正規雇用するための基礎定数はほとんど増加されず、増やされたのは単年度しか予算が保障されない加配教員定数が中心であったなど、様々な要因によりまして、令和四年の現状を見ると、教員定数に占める正規教員の割合は、全国平均で九二%、一番少ない沖縄県では八一・二%になっています。ただし、これは、先ほど言った加配教員定数は含まれていませんので、基礎定数に対する割合ですので、教育現場の実態でいうと、これ以上に非正規教員の割合が高いのが実情です。

 そこで、こういった状況の中、今回の方向性の掲示の中で、定年が引き上げられる年度において退職者数が減少しても、新規採用数を大きく増減させず、安定的に新規採用数を確保する、正規教員の採用枠を拡大する取組、非正規教員の割合抑制を図る取組というのは、現在の教員不足の現状を考えても非常に重要なことでありますが、この取組への決意と方向性についてお伺いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の定年引上げの影響につきましては、地域ごとに教師の年齢構成は様々であるものの、定年を引き上げる年度におきましては退職者数が減少することから、新規の教員採用につきまして計画的な対応が必要になる、そう考えております。

 このため、五月三十一日の方向性の提示においては、各年度の新規採用数を平準化することに加えまして、各教育委員会の実情に応じて、退職者分の枠とは別に、これまで臨時講師等の非正規教員に活用している枠を減らして正規教員に置き換えることなどによりまして、正規教員の採用枠を拡大をし、非正規教員の割合を抑制していくことを要請をしたわけでございます。

 このことは、現在の教師不足が、産休、育休取得者の急増ですとか、特別支援学級の見込み以上の増加などによる臨時講師等の需要増加に対する供給不足が主な要因であることを考えれば、中長期的に質の高い指導体制を構築していくことにもつながるという重要な取組と考えております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、各教育委員会におきまして、中長期的な採用計画の中で、目標とする正規教員の割合などを設定をしていただいて、その目標に向かって積極的に正規教員の採用を進めていただきたい、そう考えております。

山崎(正)委員 すばらしい取組の掲示だと思いますので、力強い推進をお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

宮内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 質問に入る前に、今朝、理事会で、学校給食無償化法案、この国会では審議はないというようなお話があったというふうに伺っております。大変残念であります。

 首長さんのお話を伺いますと、先進的な自治体、市では無償化を既に始めているところもあります。ただ、これはやはり財政がどれぐらい余裕があるかということとも関係をしていて、やりたくてもやれない、そういう自治体も現に存在をしております。

 そういうことを踏まえて考えれば、自治体任せにするのではなくて、国が無償化法という法律を作って、そして、日本中の全ての小中、そうした子供たちの給食を無償にしていくということを進めていくことは今本当に必要だというふうに思っております。次の国会での審議、そして成立に向けて、与野党の議員立法、実務者協議を進めるとも聞いておりますので、是非取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 前回に続いて、教員の働き方について質問いたします。

 最初に、新年度、新学期を迎えての教員不足の問題です。

 昨年一月、二一年、ですから二年前の教員不足が二千五百五十八人、教員が不足している学校数が小学校で四・九、中学校で七%、これが文科省の調査で明らかになりました。

 私の地元大分でも、やはり、この四月、担任がいないクラスというのがかなりの数出ておりますが、文科省の調査から二年が経過しております。その後どういうふうになっているのかを教えていただけますか。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 教師不足の状況についての御質問でございますけれども、今年度の状況につきましては、昨年度と比較してどのような傾向になっているか、また、教師不足への対応として各自治体が取り組んでいる施策とその具体的な効果も含めて、文部科学省から各教育委員会に対しアンケートを実施し、現在それを集計しているところでございます。

 一方で、令和四年度当初、昨年度でございますけれども、その当初における教師不足の状況につきまして都道府県にヒアリングしたところ、御指摘の令和三年度に比べ、悪化したと答えた自治体が四十、同程度と答えた自治体が二十二、改善したと答えた自治体が六という状況でございました。

吉川(元)委員 今年の四月の事態については今調査をされているということですが、昨年の傾向を含めて、また、NPOの団体やあるいは新聞等の調査でも、更に今年は悪化をしているのではないか、そういうことも出ております。二年前に比べても教員不足がより顕著になって、深刻化していると。

 この二年間、文科省は働き方改革ということでいろいろな取組をやってきたはずなんですが、それでもなおこうした実態になっているということについては、これは真摯に受け止めていかなければいけないというふうに思っております。

 教員不足、これは、聞くと、やはり、教頭など、先ほども少しお話がありましたけれども、管理職を始め本来学級担任ではない教員を充てる、あるいは臨免の発行で対応する等々が言われております。ただでさえ忙しい学校、ここに、教員に更に負担を上乗せするようなことにもなっている。

 新聞報道ですが、読みますと、教員不足によって、簡単に言えば、授業をする先生がいないということで、やむを得ず自習にする、四月の頭から自習の時間がある、設けざるを得ないという話でありますとか、あるいは、自分の受け持つ学級と担任不在の学級、この二つ、三十五人学級でいえば全部で七十人ですよね。これを一人の先生が体育の授業を見ると。これは事故が起こりかねない、そういう実態もあると思います。子供たちへの、学びにおいて、この教員不足、深刻な影響が出ていると言わざるを得ません。

 教員不足、これは、なり手不足解消に向け、長期的な視野で対応せざるを得ない課題が存在するほか、教員の計画的な配置など教育委員会が責任を負うべき課題と、文科省が国として責任を持つべき課題が存在をしており、すぐに解消ということはなかなか難しいのかも分かりませんが、教育の機会均等を担保するためにも、即効性を持つ対策も必要かというふうに思います。

 今、全国でかなり深刻な教員不足が発生しておりますけれども、もし今検討されているものが、この対策として、即効性のある対策として検討しているものがあれば、教えていただければと思います。

藤江政府参考人 委員御指摘のように、教師不足の状況ということにつきましては、非常に危機感を持っているところでございます。

 令和三年度の実態調査を公表した後も、都道府県・指定都市教育委員会の教育長会議を開きまして、現在教職に就いていない免許保持者の発掘ですとか正規教員比率の向上などについて要請を行ってきてまいりましたところでございますし、文科省といたしましても、全国各地の教師募集情報を一覧できるサイトの開設ですとか、現在教職に就いていない免許保持者に対する教職への入職支援、あるいは教師への仕事の関心を高めるための各教育委員会の取組への支援など、様々な取組を行っているところでございます。

 また、令和五年度からは、年度の初期頃に産育休を取得することが見込まれる教師の代替者を、任命権者である教育委員会が年度当初から任用する取組の支援を行っているところでございまして、教職の魅力を向上するために、学校における働き方改革も含めまして、文部科学省、教育委員会、学校現場が一体となって多角的な取組を進めていくことが不可欠と認識しておりまして、更なる教師のなり手確保の取組を検討してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 次に、超勤の実態について、前回は文科省が調査をいたしました教員勤務実態調査で質問をいたしましたが、今日はちょっと別の角度から少し質問をさせていただければと思います。

 今配付をさせていただいた資料一ページの図一を見ていただければと思います。これは産業別所定外労働時間を出したものです。教員については教員勤務実態調査、その横の都道府県、政令市、市区町村職員といった、教員を除く地方公務員については二〇二一年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査、そして残りは毎勤統計、これを、一か月当たりの超過勤務、そこから抽出して超過勤務を表したものです。

 黒い棒グラフ、これが小学校、中学校の超過勤務時間で、これは見ていただくと一目瞭然だと思いますけれども、図抜けて多いという状況であります。

 全産業の平均が、左側から六番目に書いてありますが、十三・九時間です。人手不足が言われて、長時間労働がしばしば社会問題になる運輸、郵便、いわゆる物流関係ですけれども、これが二十六時間。確かに全産業平均のここは二倍になっています。それと比べて、小学校は四十一時間、中学校は五十八時間。中学校に至っては、長いと社会問題化されている運輸関係よりも更に二倍、つまり平均的な産業の四倍ぐらいの超過勤務が行われている、しかもこれは超勤手当が出ない、そういう状況になっております。

 こんな状態だったら、後ほどまた少しお話しさせていただきますが、どんなに意欲を持つ学生でも、やはり教職はやめておこう、こうならざるを得ないんじゃないか。

 前回の質問でも、大臣、文科省のやった勤務実態調査、これについて、一定の進捗が見られると。確かに前回に比べれば少しはましになっていますけれども、それはもちろん、教員の過去と今とを比べれば少しましになっているかも分かりませんが、全産業で見ると、突出して悪いんですよ。

 この点について、大臣、どのように感じておられるのか。大臣の気持ちを是非お話しいただければと思うんです。

永岡国務大臣 吉川議員にお答え申し上げます。

 それぞれの調査におきまして、調査方法ですとか推計方法、定義等に違いがありますので、一概には比較ができないというふうに思いますけれども、やはり、令和四年度実施の教員の勤務実態調査の速報値によりますと、先生今おっしゃっていただきましたが、前回の調査と比べて在校等時間が減少しており、成果が出つつあるというものではありますが、依然として長時間勤務の教師も本当に多くて、引き続きまして取組を加速させていく必要がある、そうしっかりと認識をしております。

 私といたしましては、文部科学行政の最重要課題の一つである働き方改革、処遇の改善、また学校の指導、運営体制の充実と併せまして、これはしっかりと、不退転の決意でしっかり臨んでまいりたい、そう思っております。

吉川(元)委員 もちろん、調査が違いますから、定義等々も若干違っているとは思います。だから、本当の意味で精緻な調査かというと、そこの部分についてはまだ改善の余地はあるかというふうに思いますが、見ていただきたいのはこの状況なんですよね。

 これは学生さんも知っているわけですよ、もう。教職を目指そうと思って大学、教育学部等を受けて、そして今教職課程に入っている人たちも。この実態、前回に比べて一日当たり三十分ぐらい短くなりましたとか、それはそれで、悪いとは言わないですよ。だけれども、圧倒的に状況はほかの産業に比べて悪いんだということについて、是非、不退転の決意でという言葉もございましたので、取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続いて、配付資料の下、一ページの図二です。教職員の精神疾患による病気休職者数の推移を出しております。二〇二一年度は、前年から七百人増えて、過去最高の五千八百九十七人に達しております。

 さらに、精神疾患も含めた病気休職者に、一か月以上の病気休暇取得者数の推移をまとめたものが配付資料の二ページ目の図三です。ここでも、二一年度、数字は急激に増えて二万人近くに達して、在職者数に対する割合も初めて二%を超えた。つまり、学校の先生が百人いると、そのうち二人は病休若しくは休職をされている、病気の。

 これについて、非常に増えてきているわけですけれども、この増加傾向、こういうトレンドなのかということ、そして、どういう認識を持って、何が原因だとお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、病気休職者及び一か月以上の病気休暇取得者の割合は増加しておりまして、その多くが精神疾患によるものとなっているところでございます。

 精神疾患は、発症まで時間がかかることがあり、また、その要因は個々のケースにより多様であるため、具体的な要因については一概には申し上げにくいところがございますけれども、例えば、業務の質の困難化、教諭間の業務量や内容のばらつき、保護者等からの過度な要望や苦情、不当な要求、こういったことなどが挙げられるというふうに考えるところでございます。

 教師が疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損なうことがあってはならないと考えており、新たに、令和五年度予算において、各教育委員会が専門家等と協力しながら、病気休職の原因分析やメンタルヘルス対策等に関するモデル事業を実施し、効果的な取組の研究や事例の創出を行うこととしております。

 引き続き、学校における働き方改革や教職員のメンタルヘルス対策に取り組んでまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 やはり、ちょっとこれは異常な数字だというふうに思います。

 先ほど、四月の段階でクラスの担任が決まっていない、これが増加傾向にあると。二年前でいうと二千五百五十八人が不足をして、今回、恐らくこれをまた大きく上回る不足数だというふうに思いますけれども、病気休職やあるいは病休、これが抑えられれば、本来、この調査のような教員不足は私は発生をしていないんだろうというふうに思います。

 是非この点について問題意識を持っていただきたいということと、あわせて、実はほかの調査で、教育関係の公益財団法人中央教育研究所、これが二〇二一年に教育に関するアンケートを実施をしております。

 自分自身、教師が、自分が忙しいというふうに回答した先生のうち、学力が低下していると感じている先生の割合は七二・八%。一方、そんなに忙しくないよというふうに回答した先生のうち、学力が低下していると感じている割合は六〇・六%。また、同様に、落ち着きのない子供が増えているかという質問に対して、忙しいと答えた先生については八六・三%がそうだと。そんなに忙しくないよと答えた先生は五七・六%と、如実に出ているわけですよね。

 結局、忙しいということで、とにかく膨大な業務の中で、本来の教員の仕事である、子供たちと向き合う、あるいは子供たちの様子、変化、気づきを教員自身がしっかりと認識をできない環境に実は今あるのではないか。この点について大臣に是非伺いたいんですけれども、やはり、教員が大変忙しいということは、当然、教員自身の健康あるいは生活に大きく影響を与えますが、同時に、子供たちにも否定的な影響を与えているというふうにこの調査から言えるのではないかと思いますけれども、この点はどうお考えでしょうか。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、学校教育というのは、やはり教職員と児童生徒との人格的な触れ合いを通じて行われるものでありまして、例えば、教師が病気休職等によりまして途中で担任等が替わる場合や、長時間勤務によって余裕がない場合などにおきまして、児童生徒に対する教育へ少なからず影響がある、そう考えております。

 文部科学省といたしましては、教職員が心身の健康を損なうことなく、教師が教師でなければできないことに専念できる環境を整えることにより、教師が児童生徒に向き合う時間を確保することが重要だと考えております。このため、学校におけます働き方改革の一層の推進や、またメンタルヘルス対策の充実などの取組も引き続きまして進めてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 メンタルヘルス対策、進めていただくのは結構ですし、そこに予算もつけているというお話も伺いました。

 そこで伺いたいんですが、二〇二一年五月一日を基準日として文科省が実施した、公立学校における労働安全衛生管理体制等に関する調査、これを見ますと、法律で義務づけられている衛生管理者の選任率、小中で八〇%程度。同じく、職員五十人以上の学校で選任が義務づけられている産業医、小学校、中学校で八〇%台。さらに、安全衛生管理規定を整備している市町村教育委員会、これは五割を切って四九・二%になっています。

 法律で義務づけられている産業医等について、本来であれば一〇〇%じゃないと法律違反になるわけですけれども、これはどのように文科省は認識しているのか。また、すぐにでも対策は講じなきゃいけないと思いますが、どのように考えていらっしゃいますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校における労働安全衛生管理体制は、労働安全衛生法に基づき、教職員の人数に応じて、衛生管理者や衛生推進者、産業医の選任と、衛生委員会や面接指導体制の整備、ストレスチェックの実施が義務づけられているところでございます。

 文部科学省においては、学校における労働安全衛生管理体制等の整備状況を把握するための調査を実施をしておりまして、令和三年度の整備状況は、法令上求められる体制については、大部分の自治体において整備はされているものの、整備がなされていない自治体があることも事実であり、各教育委員会において早急に整備をしていただく必要があると考えているところでございます。

 労働安全衛生管理体制の整備は、教職員が意欲と使命感を持って教育活動に専念できる適切な労働環境の確保に資するものであると考えており、これまで、労働安全衛生管理体制の整備の普及啓発に係るリーフレットや各種通知を通じた法令の趣旨の徹底、関係会議における各教育委員会への指導、啓発等により、法令違反の是正に向けて取り組んできたところでございます。

 また、先月行いました教育委員会向けの説明会におきましても、令和三年の調査の結果を踏まえ、体制が未整備の自治体名を個別に取り上げながら、法令違反とならないよう早急な整備を求めたところでございます。

 今後、未整備の自治体については、各自治体の整備率等の状況も踏まえながら、順次、各都道府県に対し個別に取組の実施を求めていくなど、労働安全衛生管理体制の整備が全国的に速やかに進むよう、しっかりと指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これは、置くのが望ましいじゃないんですよ。義務づけられているんです、法律で。それが一〇〇%じゃなきゃおかしい。これが九〇%だったり八〇%だったり、大多数が置かれているというのは分かります。だけれども、少しでも置かれていないところがあれば、これは法律違反なんだということをしっかり伝えていただきたい。望ましいとか置いてくださいとかじゃなくて、置かなければならないわけですから、是非その点、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続いて、今日お配りした資料の二ページの下の図四です。見ていただければと思いますが、先ほど少し紹介しました病気休職者及び一か月以上の病気休暇取得者のうち、二十代、三十代の占める割合を出しているものです。

 これも、毎年、年々、この二十代、三十代、つまり若い世代が病気休職あるいは病休取得、急激に増えている。これは病気休職者及び病気休暇取得者ですけれども、精神疾患だけに限って言いますと、既に二十代、三十代は五〇%を超えております。平成二十八年の調査では三八・一%ということで、急激に若い世代の精神疾患、病休者、これが増えているというのが現状です。

 これは何が原因だとお考えですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近年では、病気休職者及び一か月以上の病気休暇取得者のうち、二十代、三十代の割合が増加をしているところでございます。

 精神疾患の要因は、個々のケースにより多様であるため一概には言えないところがございますが、例えば、大量退職、大量採用により、現場においては、若手が増えている一方で、従来であれば助言や支援をしていた中堅、シニア層が減っており、このような中で、若手が現場の困難な課題に対処することなどにより精神疾患になるといったようなケースもあるのではないかというふうに考えているところでございます。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省では、今年度、モデル事業の実施なども想定をしているわけでございますけれども、学校における働き方改革や教職員のメンタルヘルス対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 やはりこれは深刻だと思います、大臣。若い人ほど精神疾患になって学校を休む、あるいは休職する。その先には退職含めてあるとすれば、これは未来がある職業だと言えるのか。そういうことも含めて、是非深刻に受け止めていただきたいと思います。

 最後、今日配付した資料の最終ページ、三ページ目ですけれども、これは、教育文化総合研究所が調査をした、一般財団ですが、教職を志し教育実習まで受けながら教職の道を進むことを断念した学生へのインタビュー調査です。

 一つ一つ読み上げませんが、下線を引いたところを見ていただくと、教育実習に行って、本当に教師の仕事というのは、やりがいがあるし、すばらしいというふうに感じるんですが、同時に労働実態を知るわけですよね。そして、その中で、本当にやりがいがあるんだけれども、とてもこれを一生続けられるとは思えない、あるいは、自分ではとても務まらないということで教職を諦めるという、これが、今この現状に、今日、抜粋はしておりますが、書かれているところです。

 大臣、このままでは教員のなり手は本当にいなくなってしまいますが、こうした学生の声、教職の魅力を高めるといって、教職は魅力があるんですよ、既に。魅力があるんですよ。だから、教師のバトンとかいろいろやられて、その状況というのは文科省も理解していると思いますが、この声、学生の声、どういうふうに感じ、受け止めますか。

永岡国務大臣 先生御指摘の資料につきましては、文部科学省といたしましては詳細を把握しているわけではございませんけれども、文部科学省が委託事業として実施をした調査におきましても、教職課程を履修しながらも免許取得に至らない学生について、その理由を尋ねた際に、教育実習等に行って自分には向かないと思ったからのほか、学校関係者や報道、SNSで得た情報で職場環境や勤務実態への不安を持ったからなどの回答があるということは承知をしております。

 学校におけます働き方改革につきましては、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善や支援スタッフの充実、学校DXの推進など、総合的に進めてきたところでありまして、引き続き取組を加速させていきたい、そういうふうに考えております。

 また、学校教育の成否というのは、やはり教師に懸かっております。教職の魅力を向上させて優れた人材を確保していくことが重要だと思っておりますので、私といたしましては、教育の質の向上に向けて、やはり、教員の方々の働き方改革、そして処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実、これを一体的に進めてまいりたい、そう考えているところでございます。

吉川(元)委員 今、前回も聞きましたら、中教審に諮問しているところで云々というお話がございました。やはり大臣の意思というのはすごく大切だと思うんですよ。ありきたりの答弁ではなくて、大臣自身こうしたいんだ、こういうふうにしていきたいんだということを、是非これからも発信をしていただきたいというふうに思います。

 我々としては、給特法、ここに根源的な問題があるというふうに考えておりまして、今日、お昼に、給特法の廃止も含む働き方改革について、我が党として法案を提出する予定です。文科省は文科省でしっかり考えていただきたいんですが、我々国会は、立法府として、この今の現状、今日御紹介したこの現状をどうしていくのかということを真剣に議論しなきゃいけない。

 そのためにも、是非、この議員立法を提出いたしますので、当委員会で議論していただいて、また、その成立に向けて御助力いただければということを最後にお願いして、また、理事会でも御協議いただくことをお願いして、私の質問を終わります。

宮内委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 質問を早速させていただきますが、今日は、日本学術会議の在り方等について、中心に質問させていただきます。

 日本学術会議といえば、内閣府、内閣委員会の所管なわけでございますけれども、ただ、この学術会議の発出する提言等々、文科行政に関わる部分も多分にございますので、そういった意味で、この委員会で質問をさせていただきます。

 まず、記憶に新しいのは、二〇二〇年の任命拒否の問題がございました。

 そもそも、この日本学術会議、科学者による公選制から学術団体を基盤とする推薦制に法改正を一九八三年にされました。このときに、首相による任命は形式的行為というふうに国会で答弁をされております。つまりは、一応首相が任命するんだけれども、事実上これはもう形式的なものであって、自動的に、学術団体から提出された名簿に基づいてこれを任命するということが国会で答弁をされたわけでございますけれども、その後、安倍政権のとき、二〇一八年に、推薦のとおり任命すべき義務があるとまでは言えないという文書を内閣府が作成をしました。これは一定の、その先に来た任命拒否の布石だったと今振り返れば思えるわけでございますけれども、案の定、二〇二〇年、提出された百五名の推薦人名簿から九十九名を任命、つまりは六名を任命拒否をしたということであります。

 二〇二二年に、これを受けて、内閣府は、日本学術会議の在り方についての具体化検討案というのを学術会議の総会で説明をしました。この二年間の間にいろいろ議論があったことを踏まえての検討案だと思うんですけれども、この検討案について、日本学術会議が直ちに、これの再考を求めるという声明を出しております。この検討案というのは、ちょっとまた説明が後ほどあろうかと思いますけれども。

 翌二三年の四月十八日、今年の四月十八日に、日本学術会議法改正案、これが出される手前まで行きましたけれども、この提出を思いとどまるように、日本学術会議が勧告をしております。そして、勧告と同時に、国民に対して問題提起する声明も発出をしております。

 この勧告というのは非常に、日本学術会議の行為としては大変重いものであって、たしかこれは十三年ぶりだというふうに聞いております。提言やら報告よりも、最も強い意思表示。会員の選考過程を第三者がチェックするということについては、会議の独立性が損なわれると。梶田会長は、日本の学術の終わりの始まりにならないように考えを伝えたいというふうにおっしゃっております。

 このとき、幸い、法案提出は見送られたわけですけれども、今後どうされるのか、まず内閣府にお聞かせをいただきたいというふうに思います。

原(典)政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が社会や国内外の重要課題に対応していくためには、政府と学術会議が十分にコミュニケーションを取りながら取組を進めていくことが大切であると考えております。

 このため、政府としては、今国会での法案提出を見送り、学術会議の在り方について丁寧に議論し、早期に結論を得ることとしたところであります。

 今後の進め方や議論の仕方につきましては、現在検討中でありますけれども、内閣府としては、学術会議の見直しは喫緊の課題であると考えており、丁寧に議論し、早期に結論を得たいと考えております。

牧委員 なぜ喫緊の課題なのか、その説明がないんですね。その説明がないから学術会議と政府との間のコミュニケーションが取れていないというふうに思うんですけれども、今の説明では、今後きちっと話し合いながら先を見ていくというふうにはとても思えないし、また、一部報道によると、学術会議そのものを民間に移行するというようなお話もありましたけれども、それは事実でしょうか。

原(典)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、今後の進め方や議論の仕方につきましては、現在検討中でございます。内閣府としては、学術会議の見直しが喫緊の課題であると考えており、丁寧に議論し、早期に結論を得たいと考えております。

牧委員 繰り返しだったらもう必要ないです。なぜ喫緊の課題なのか、その課題がお聞かせいただければ納得できるわけですけれども、お聞かせいただけなかったことは大変残念に思います。

 もう一つ質問させていただきますが、そもそも、この六名の方々、いろいろ、安保法制ですとか、辺野古沖の埋立て、特定秘密保護法だとか、共謀罪だとか、こういった政府の方針に特に異論を唱えてきた方々だというふうに私は認識をいたしておりますけれども、改めて、いかなる理由でこの六名が任命拒否されたのか、お聞かせをいただきたいと思います。

原(宏)政府参考人 お答えいたします。

 令和二年十月の日本学術会議の会員任命、六名が任命されなかった件でございますけれども、これにつきましては、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が判断を行ったものであるというふうに承知をしております。

 また、会員の任命は、一般の公務員と同様、その理由については、人事に関することであることからお答えを差し控えるということでございます。

牧委員 予想していたとおり、大変残念な御答弁でありました。

 いろいろ、政府が、今後の会員選考方法の見直しに着手するに当たって、プロセスの透明化として、選考諮問委の新設などを盛り込んだ改正案というのを準備されたわけですけれども、プロセスの明確化と言っているのであれば、このときの任命拒否についてのプロセスというのもやはり透明化すべきだというふうに私は思いますし、もう一つ言わせていただくと、これは多分、政府にとっては都合のよくない提言をされる方たちだったということが本質的な理由だと思います。今の御答弁は形式的なお話でしたけれども、本質的にはそういうことだというふうに思うんです。

 この任命拒否のプロセスというのをきちっと明確にしないと、私は、開示しないことはかえってこの人たちの不名誉になるというふうに思うんですね、何か人格上の問題があったんじゃないかとか。任命拒否したからには、その理由というものはしっかり開示することが私は必要だということは改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 組織の在り方等については内閣府の所管事項なわけですけれども、文科省から見た、文科省にとっての日本学術会議の位置づけというものはどのように認識をされているでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 日本学術会議は、内閣府に置かれる特別の機関であり、また、我が国の科学者の内外に対する代表機関であり、科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ることを職務といたしまして、これに関して、諮問に対する答申及び勧告のほか、意思表出を行っている、そう承知をしております。

牧委員 諮問に対する答申ですとか、これは文科省としても、きちっと重く受け止めるべきものだという認識は当然のこととしてあろうかと思うんですけれども。そこで、いろいろ、例えば最近の例でいうと、大学入試の英語、共通テストの英語を民間導入とかありましたけれども、そのことについて、あるいは高校の地理歴史、あるいは教育機会の確保、外国籍の子や貧困層の子の教育機会の確保や、少人数学級の実現を訴えるなどのいろいろ提言がございました。

 特に大学入試の英語についてなんですけれども、今日は資料を配付して御覧いただければよかったんですけれども、急に昨日質問が決まったものですから、ちょっと時間がなかったので、ここでちょっと読ませていただきます、ゆっくり。しっかり聞いてください。

 大学入試の英語については、民間試験について、民間試験の導入の根拠となった、四技能をバランスよくという教育目標の問題点を整理、文法体系が十分習得されていない段階で四技能に切り分けた活動の教育を行っても、言語能力を育てることは難しいと批判した。そして、通常は、受容の力、読んだり聞いたりして理解する力ですね、を超える産出の力、書いたり話したりする力を持つことはないと指摘、重要なのは、四技能で均等な成績を取ることではなく、受容の力が発信の力を牽引していけるようなバランスだと位置づけた。

 その上で、提言は、書く、話す力について、入試という高い公平性が求められる試験で、採点者の主観の入りやすい試験を大規模に行うことは不可能とし、共通テストではなく、各大学の判断で二次試験で課すのが望ましいとした。民間試験の活用は各大学の判断に委ねることで、問題点を踏まえた上で、大学の入試方針や教育理念に基づき、カリキュラムとの接続を考えて適切な試験を選ぶことができると位置づけた。そういうことなんですね。

 さらに、分科会は文科省の有識者会議にも提案、共通テストの英語試験について、従来の大学入試センター試験の成果や問題点を評価した上で、継続実施を検討することも盛り込んだということが提言、報告として報道されているんです。

 ここから読み取ると、ちょっと申し訳ない、口頭で読んだだけなのであれなんですけれども、二〇二一年度の試験から導入されようとしていた文科省の方針、英語民間試験導入というのは、まさにこの提言に真っ向から反する話だったんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 大学入学者選抜におきましては、読む、書く、聞く、話すの各技能を総合的に評価をしていくことが重要だと考えております。

 一方で、現状では、大学入学共通テストとともに、各大学の個別試験におきましても、読む、聞くに関する能力を中心とした評価に比重が置かれている傾向があるものと承知をしております。

 大学入学者選抜におきましては、各大学がそれぞれの入学者受入れの方針に基づきまして実施するものでありまして、文部科学省におきましても、読む、聞くだけではなくて、書く、話すも含めたバランスの取れた英語力の評価が進むように、好事例の公表等を通じまして各大学を後押ししてまいりたい、そう考えております。

牧委員 後でもちょっと述べますけれども、受容の力を超える発信の力はあり得ないというところをやはりきちっと踏まえていただいて、読解力が落ちているという話、後でもさせていただきますけれども、その点について留意をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 念のためですけれども、英語民間試験導入というのは、いっとき、二〇二五年再開もという話もありましたけれども、これも断念したという理解でよろしいんでしょうか。

永岡国務大臣 大学入学共通テストにおけます、民間事業者等の実施する英語資格検定試験の活用につきましては、地理的、経済的事情への対応ですとか、また、障害のある受験生への配慮というものが不十分といった課題の克服が困難とされまして、令和元年十一月に導入を見送ったわけでございます。

 この導入見送りを受けまして、文部科学大臣の下に設置をいたしました大学入試のあり方に関する検討会議で検討を行いまして、総合的な英語力評価につきましては各大学の個別選抜で推進することが重要、そういう提言が取りまとめられたわけでございます。

 この提言を受けまして、令和三年七月の三十日に、関係いたします局長通知というものを正式に廃止をしたところでありまして、現在でもその方針に変わりはございません。

牧委員 その問題については、この委員会でもさんざん議論してきた話ですので、今のお話、きちっと理解させていただきましたので、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 そうはいいながら、前もここで私は取り上げたことがあるんですけれども、都立高校の今年度の入試から、英語スピーキングテストが導入されました。後になって、いろいろ問題点も指摘をされているわけでございます。

 例えば、採点の中身が不透明だとか、あるいは、一私企業が独占している、この企業が行っているGTECというテストを導入している学校や学習塾に通う中学生に有利なんじゃないか、公平性を欠くんじゃないかということ、また、国が今言った共通テストへの導入を断念したものをなぜ都が拾うんだなどなど、いろいろな声が出ていますけれども、これは、まず、試験的と言っちゃ変ですけれども、一回やってみて、それをどのように今文科省としては評価をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

永岡国務大臣 東京都の教育委員会が実施をしましたスピーキングテストでは、その結果を英語指導の改善に活用することも目的としている、そういうことも承知をしております。生徒の話すことの能力を測りまして、学習指導要領の趣旨を踏まえた授業改善に生かす観点からは、こうしたスピーキングテストを活用するということは意義あることだというふうには思っております。

 その上で、都立高校入試への活用に当たり、スピーキングテストに関しまして様々な指摘がされていたことは承知をしておりますけれども、そうした指摘に対します説明や必要な対応につきましては、やはり、選抜の実施者でございます東京都の教育委員会において適切に実施していただくべきもの、そう認識をしております。

牧委員 もちろん東京都教育委員会で適切にやってもらえればいいことなんですけれども、今、大臣の答弁の中に、学習指導要領にもあると。私、ちょっと、そこを少し逸脱した部分もあるんじゃないかなというふうな懸念も持っておりましたけれども、そこはきちっと文科省としてこれからも注視していただきたいと思います。

 また、東京都がやったことですから、これがこれから後、地方にまた波及していくんじゃないかということも私は大変懸念をしております。特に、地方へ行けば行くほど、教育の機会が、本当に均等が確保、担保されているかどうかというのはまだまだ疑問が残るところですし、その辺についても文科省としてきちっと注視していただきたいなというふうに希望を申し上げさせていただきたいと思います。

 それから、ちょっとこれは雑談的な話で、大臣の思いをお聞かせいただければいいんですけれども、こういった英語の試験のやり方を見ていると、私たちが、大臣とそう大して世代は違わないんですけれども、昭和の時代に受けた英語教育と今とはかなり様変わりしている感がございますけれども、一体いつからこうなったんだろうなと思います。

 これは、ここまで様変わりしたということは、かつての英語教育が間違っていたんじゃないか、日本の学校はかなりの時間数かけて英語を教えるけれども、英語を使える人間が育っていないんじゃないかというような反省があって、日本の英語教育は間違っているという反省の上に今の英語教育があるのか、そうじゃないのか、大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

永岡国務大臣 学生の頃を思い出しますと、大分懐かしい英語の授業が浮かんでまいります。確かに、教科書をしっかり読ませて指導してもらいましたし、また、英語の先生が教科書を読むということではなくて、やはり、昔ですからレコードですね、レコードをかけて発音を聞くというようなことがあったなと、今ちょっと思い出した次第でございます。

 私は、大臣になりまして、実は、学校で英語を勉強している小学生、小学校、伺わせていただいたんですけれども、そのときに大分昔と違うなと思いましたのは、やはり、子供たちが英語を使って楽しく遊んでいるんですね。遊ぶというよりは、楽しく遊びながら学んでいるというんですかね、それを先生とやり取りをし合うという授業、大変私は驚きを感じました。本当にすばらしく、随分英語の学習というものが進んだなというふうには思った次第でございます。

 最近では、やはり、以前と比べましてグローバル化が急速に進展をする中で、一部の業種や職種だけではなくて、国内外の様々な場面で英語によるコミュニケーションが必要になっております。そのため、資質ですとか能力を育成することがやはりこれは大変喫緊の課題になっている、そう考えております。

 議員の御指摘の点につきまして、これまでの授業では、ともすると、文法、語彙、語彙力ですね、単語の数ですね、の知識を身につけることや、また文章の読解に重点を置かれたコミュニケーション能力の育成を意識した取組、特に、話すこと、それから書くことなどの言語活動が適切に行われてきていないといった課題が見受けられてきたところでございます。

 このため、学習指導要領では、読むことはもちろん、話すこと、そして書くこと、聞くこと……(牧委員「手短にお願いします」と呼ぶ)ごめんなさい、手短に、はい。四技能をバランスよく育成する、そういうことが大事というふうに考えております。

牧委員 まあ、分かるんですけれども。

 先日、我々立憲民主党の会派で、日本語の教育機関の認定等に関する法律案の前に、日本語学校の視察に行ってまいりました。大変しっかりした教育をしている学校だったわけですけれども、改めてそこで感じたことは、様々な目的で日本語を学ぶ人たちが来ているんですね。特にその学校は、かなり高度な学問のバックグラウンドを持っていて、更に日本の大学院なんかで学ぶためにそこへ通っている人もいましたし、でも、大半は、やはり日本で就労するために日本語を習得するという人たちが大半でありました。

 ここでちょっと、これは価値観の問題なんでしょうけれども、私は、語学というのは、単なる、グローバル化の中で、一つのツールとして覚えるものだけじゃなくて、やはりリベラルアーツの基礎になるものだというふうに思っておりますので、ちょっと、今の日本の英語教育だとか、国語なんかも論理国語だとか何か訳の分からない科目ができておりますけれども、何かちょっと無味乾燥な、CEFRというグローバルスタンダードの基準の物差しの上に全部並べて今どれぐらいの能力があるのかというような、そういう物差しで測るだけのものになってしまったということを私は大変寂しく思っているということもつけ加えさせていただきたい。これについては御答弁は必要ございませんけれども、寂しく思っているということであります。

 PISAの学力調査で、日本の子供たちの読解力が低下しているという報告もあります。こういった原因というのも、やはりちょっと今の教育の在り方、私は、見直す必要があるんじゃないかなという指摘もさせていただきたいというふうに思います。時間がないので、これは質問じゃなくて、次に進みたいと思います。

 再度、学術会議そのものの話に戻りますけれども、この会議は、設立翌年の一九五〇年、戦争を目的とする科学研究には絶対従わないと声明を出しております。ベトナム戦争中の一九六七年、軍事目的のための科学研究を行わないと声明を出しております。そして、二〇一七年、防衛装備庁の研究制度に懸念を示す声明を発表いたしております。

 この二〇一七年の声明というのは、遡ること二年前の二〇一五年、防衛装備庁が装備開発の公募、審査を行う安全保障技術研究推進制度を開始した、このことについての懸念なわけでございますけれども、現在、この制度に参画している大学はどこに幾つあるんでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御質問ございました安全保障技術研究推進制度でございますが、防衛分野での将来の研究開発に資することを期待し、先進的な基礎研究を公募、委託するものでございまして、革新的、萌芽的な技術の発掘、育成を通して、我が国の技術基盤の強化を図っております。また、防衛装備品そのものの研究開発を委託するものではなく、研究成果の公表を制限することもしていないという制度でございます。

 お尋ねございました、本制度への大学からの応募状況につきましては、令和四年度までで六十二大学、延べ百五十六件となります。

牧委員 もう時間がないのでまとめますけれども、今、基礎的な研究だというお話で、直接、兵器開発ではないというお話がありました。

 であれば、これは文部省の予算でやればいい話で、結局は、研究費に窮する中で、背に腹は代えられずにこういうものに応募するところというのが出てくるわけで、文科省として頑張ってしっかりと研究開発費を取っていただければいいということを申し上げさせていただきたいし、民事、軍事のデュアルユースというのは、これは結果として生じる話ですから、それはそれでいいと思うんですけれども、そこら辺のところはしっかり踏まえていただければというふうに思います。

 なぜこういうことを言うかというと、防衛装備移転三原則の運用指針の規制緩和を求めて、殺傷能力を持つ武器輸出まで認めよという声が政府・自民党内で高まっていると聞いております。

 禁輸政策を転換して、さらにこのなし崩しの大転換、本当に、日本学術会議同様、私も大変懸念をしているということを申し添えさせていただいて、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 よろしくお願いします。

 立憲民主党の荒井でございます。

 今日がひょっとするとこの国会における最後の質問の機会に僕はなるかもしれませんし、それは、つまるところ、二年間弱、衆議員をしてきていますけれども、ひょっとしたらこれが国会議員として最後の文科委員会での質問になるかもしれません。

 僕は、この文科委員会で最初に質問したときも、そして永岡大臣が最初にいらっしゃったときも同じことを申し上げたつもりですが、僕は、文部科学委員になりたくて国会議員をやっております。

 まさに日本の教育を変えていくことがこれから日本にとって一番大事だというふうに思っていて、その思いだけで政治家をやっていますので、今日は、そんな意味で、ひょっとしたらこれが終わるのかもしれないという思いも込めて、遺言のようなものだとも思って、今日は、大臣だけではなくて、委員長を含めた文科委員の先輩、同僚の皆さんにも是非耳を傾けていただければ大変ありがたいというふうに思いまして、参上いたしました。

 まず最初には、ちょっとこれは思いではあるんですけれども、やはり、教育とは何かというのは、これは、誰もが教育を受けてきましたので、誰もが分かっているようで、でも非常に難しいことだというふうに思うんですね。教育とは一体何なのか。

 でも、先日、まさにこれが教育だなと思う機会を文科委員の皆さんと御一緒させていただいたので、まずその思いから少し披露したいと思いますが、大臣はいらっしゃらなかったんですけれども、五月三十一日に文科委員会で、僕は理事でもないですが、一緒に同行させていただきまして、江戸川区立の松江第一中学校に行ってまいりました。

 実は、あそこに行ったときに、ぞろぞろぞろっとスーツを着た大人が入ったときに、入口にたくさんの先生がお出迎えされていたんですが、二人だけ、中学生も一緒にちょこんと出迎えてくれていたんですね。

 授業中に行きましたから、本来だったら、授業の外に、出迎えるということはできないんですけれども、いわゆる特殊学級、エンカレッジルームにいた子たちが、そうやって、今日は偉い人が来るみたいだから挨拶していますみたいな。最初、僕が、生徒会長なのと聞いたら、違いますという話だったんですね。中学校三年生の男の子がいましたけれども、この先どうするのと聞いたら、まだ決めていないし、高校には行こうかな、どうしようかな、そんなお話をちょっとされていました。

 その後、宮内委員長がその子の前にたまたまいたときに、この人が今日来る中で一番偉い人だから、思っていることをちゃんと言ってみなよと僕が話したら、税金はこれから上がるんですかとか、物価が上がっていて大変苦しい思いを僕らはするんじゃないかと思うんですけれども、本当にそうなんですかというのを、非常に理路整然と、しっかりと質問されていたんですね。僕も正直びっくりしましたし、でも、実は、あれは周りの先生たちが一番驚いていたと思うんです。

 でも、何よりも一番すてきだなと思ったのは、宮内委員長がそこで本当にちゃんと足を止めて、本当にまるで国会の答弁かのように、しっかりと、こうだよ、そんな簡単には上げられないし、みんなの生活が大事なんだよということを、本当に、一人の子供ではなくて、ちゃんと人として向き合ったというのがすばらしかったと思います。

 やはり教育というのは、これは英語ではエデュケーションというのは、引き出すという言葉があるように、やはり、我々、大人が行ったわけですけれども、でも、その中で宮内委員長がああやってちゃんと向き合ったことによって、彼の持っている能力を引き出したというふうに僕はすごく感じています。

 でも、ちょっとだけ、もう一つだけ自慢させていただきますと、僕も校長出身ですので、僕は、それで、視察が終わった後に、実はあの学校にもう一回お電話をいたしました。校長先生にお電話をしまして、今日は本当にすばらしい視察をありがとうございました、是非、今度機会があったら、あのエンカレッジルームの生徒たち、何人かいらっしゃいましたけれども、今度は国会に見学に来られたらいいですよというお話をさせていただきました。僕が責任を持って宮内委員長にちゃんと案内してもらうように今度はさせてもらいますから、そうしたらいいですよというふうに申し上げました。

 先生方も御存じのように、たくさんの国会視察に来る学校があります、子供たちがいますけれども、でも、単に、学校の一つの視察として国会を見学して、ぐるっと回って帰っていく。もちろん、やらないよりやった方がいいんです。でも、こうして我々が見に行った学校の生徒たち、そして特に話をした生徒が、今度は私たちが待ち構えていて、あのときこうだったよねという話を、今度、宮内委員長から国会を案内しながらお話をしたら、本当に彼の人生というのは大きく変わると思うんですね。単にあそこで彼が待ち構えていたのは偶然じゃなくなってくるわけです。

 これこそが僕は教育だと思うんですね。それを引き出す力。つまり、やはり、僕、あのとき思ったのは、文部科学委員会というのはそういう力が本当にあるんだなと思いましたし、先生たちも含めて、本当にエンカレッジされたと思いますし、エンパワーメントされたと思うんですね。

 是非、文部科学委員会、文部科学省というやはり役所そのものが、そういう学校現場の子としっかりと向き合って、そして、一人一人、全員は無理なんです、でも、ああいう象徴するようないい子たちが必ずいますので、その子たちの力を引き出していただきたいというふうに改めて思っています。これこそがやはり日本に今一番必要な教育なんだと思いますし、私たち政治家も行政官も、そういう力は本来備わっている。決して数字ではないですし、学校という単位ではないということを是非御理解いただきたいというふうに思って、質問を始めさせていただきたいと思います。

 ちなみに、委員長、もしも今度来たらちゃんと案内いただいてもよろしいでしょうかって、こういう質問を委員長にここの場でさせていただいてもよろしいんでしょうか。

宮内委員長 もちろん、大歓迎です。

荒井委員 ありがとうございます。後で僕の方から中学校の方にもう一回お電話しておきます。多分、間違いなく来ると思いますので。

 御質問ですね。という中で、学校の改革がやはり遅過ぎるんじゃないかと思います。先生たちの働き方に関しての調査もいたしました。大分時間が、出てくるのもかかりましたし、今、これから中教審で議論するというお話もございます。確かに、三万校、日本には学校がありますから、その調査を収集して分析して、確かに時間はかかるんだと思いますけれども、でも、子供たちは、この前、松江中で会った子たちは、来年にはもういないわけですね。あの学校にはいなくなるわけです。本当は一年とか半年でもっともっといろいろなことをやらなければいけないし、実は、学校はやってはいるんです。でも、かえって文部科学省がその学校の取組をこうして遅くさせてしまっていることもあるんじゃないかというふうに思っております。

 資料の一をお渡ししております。今日は、本当に、自分の言いたいことを全部言って、もう言い残したことはないという状態にしておきたいと思いましたので、僕が新陽高校の校長のときに職員会議で先生方に配った資料をお渡ししております。

 例えば、これは札幌の一つの私立高校での話かもしれませんが、でも、二〇一八年、ちょうど働き方改革が国会で決まったときに、本当にそこから一年でまさにいろいろな改革をしながら、私立学校ですが、三六協定も、そもそも、ごめんなさい、結んでいませんでした。こういう学校は世の中に当時から半分ぐらい、私立の学校はある状況なんですね。

 そういう状況の中で、半年間で、ちゃんとした三六協定を結んで、変形労働制をして、それを先生たちにしっかり理解してもらう。これは、ちょっと見たら、職員説明会というのを合計六回開いていますけれども、一年間に。こういうことをやはり事細かく丁寧にやることは必要だし、学校というのはできるんだと思うんですね。僕はやりました。先生たちもそれにちゃんとついてきてくれましたし。ただ、それはスピードを持ってしっかり丁寧にやっていくという意思が必要なんだと思います。

 でも、一方、資料二、資料三を御覧いただきたいんですが、これは、僕の高校で、去年一年間、去年の四月にどんな文書が学校に送られてきたかというものをまとめてあるものです。これはグーグルのスプレッドシートで僕らは管理していますので、ばあっとありますが、資料三を見てもらうと分かりますが、一か月で百八十五の、途中抜粋していますが、百八十五の文書が北海道の総務部教育・法人局学事課から送られてくるんです。でも、これは全部、文科省から発出された文書が学事課を通じて来るわけですね。一日四通来ている計算になります。ちなみに、一年間では千九百通来ているわけですね。

 これを一体学校はどう処理しているかというと、全部、教頭先生が内容を見て、これは校長に、これは教頭で、これは美化委員会に、これは英語科にというふうにより分けるのが大切な仕事になっているわけです。

 以前もこれは国会でも議論になったと思いますが、実際、一か月で送られてくる資料の束もたくさん、多いですし、普通の、今までの学校ですと、これを全部印刷して、その上に判こをつける紙を貼って、最初に英語科の先生に渡し、英語科から英語科主任に、また判こが押され、最後に教頭先生に戻ってくるというプロセスをずっとやっているわけですね。

 僕のときに、これをグーグルのスプレッドシートで全部PDF化してデジタル化しました。こうすると、例えばコロナ禍で学校がないときも、先生たちが学校に行かずとも、自分に必要な文書がどう送られてくるのか分かるわけです。

 一方、普通の学校は、この文科省から送られてくる文書を印刷して、その文書を回覧するために学校に来なければいけないみたいなおかしな話もあったわけです。

 もっと言うと、そもそもこういうやり方、送られてくる内容も、本当に必要なもの、もちろん本当に必要なものもありますが、そうでもなさそうなものもやはりあるんじゃないかという気がして仕方がなかったですし、でも、こうやって送られる文書の処理そのものをもっと簡便にする方法も十分あるんじゃないかと思います。

 例えば、どうでしょう、文部科学省がこういうグーグルのスプレッドシートみたいなもので全三万校の学校に展開したら、何も学校の、中学校の先生がそれぞれ、この文書は誰にどれにというふうにやる必要がなくなってくるんじゃないでしょうか。

 デジタル化というのは、本当は、学校それぞれに任せるんじゃなくて、文部科学省、県教委、そしてそれぞれの学校、この全体のデジタル化というものが必要なんじゃないかと思っていますが、いかがでしょうか。

 そもそも、そういうふうに考えると、やはり文部科学省がもっと職員を学校現場に配置をして、学校に今何が起きているのか、何を必要としているのかというのをしっかり現場で分かる必要性があるんじゃないかというふうに思っております。

 そこでお尋ねいたしますが、今現状、文部科学省から一体何人の職員が学校現場で、派遣されていて働いているのか、教えていただけますでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 荒井先生御指摘のとおり、学校現場の現状を知った上で教育行政の立案に携わるということは大変大事だというふうに考えてございます。

 平成十九年から、長期派遣ということで、一年間通しての学校現場派遣を毎年一名から三名程度続けてございまして、現在、中学校に一名を派遣しているところでございます。

 また、教育委員会において、二、三週間程度の研修の機会を設けてございまして、昨年度は、教育委員会の御指導の下で、四十一名の職員が学校における実務等、参画、経験をしてございます。

 さらに、令和元年から、新しい取組として、新規採用者については、全ての職員が学校現場を訪問して、学校の実情について理解を深める機会を取り入れているところでございます。

荒井委員 是非是非、特に若い職員の皆さんには、学校現場で、せめて一年間、やはり学校というのはワンクール経験しないと学校のことが分かりませんので、ワンクール一年間、特に文部科学行政に携わりたいという思いを持ってこの役所に入ってきた人たちには、是非一年間、学校現場、いてほしいと思います。教育委員会ではないと思うんですね。やはり学校なんだと思います。

 そして、僕は、可能であれば校長補佐みたいな仕事をして、校長も忙しいんですよね、実は。その中で、校長の右腕としていろいろ学校全体を見て回るという仕事をすると本当にいい仕事ができていくんじゃないかと思いますので、是非御検討いただきたいというふうに思っております。

 大臣、何か所見がありましたら。

永岡国務大臣 荒井委員の実際の校長先生としてのお仕事、また、それでの感想というものを本当に忌憚なく聞かせていただいたのは大変重要なことだと思っております。

 実際において教職員の方々の実態というものを見るには、やはり学校の中に入らなければ分からないというのは大変私も同感いたします。しっかりとそういうところは文部科学省といたしましても対応を検討させていただきたい、そう思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 あと幾つかちょっと飛ばしながら伺いますが、今大きく、あ、ごめんなさい、資料をつけました。資料の四ページ目ですね。

 学校とか教育の話をするとどうしても、この上の方、つまり、生徒のこととか教育の内容とか進路結果とか出席数みたいな、いじめの数とか、そういう話がどうしても学校の中でも、内外で多く語られがちなんですけれども、でも、すごく大切なことは、一番下、学校の財務とそして校舎の問題だと思っているんですね。これは私立学校用に向けて書いてはありますけれども、でも、公立の学校もまさにそうだと思います。

 全ての公共のインフラというのは、大体コンクリートでできているものの耐用年数というのはほぼ決まっていますので、やはり四、五十年たつと、コンクリートの建物が劣化してくるわけですね。いろいろ学校を見ていただくと分かると思いますが、古い校舎を丁寧に使っている学校がたくさんありますが、もうそろそろ、今、日本全国で、この校舎をどう建て替えにするかという、耐震補強は全部終わりました、ほぼほぼ終わりましたけれども、この古い校舎をどう建て替えるかということが大きな課題になってくるわけです。

 そこに少子化というものが立ち向かってくると、恐らく、松江第一中学校のような都会の学校は新しい校舎を造れるわけですが、今日いらっしゃる文科委員の先生たちのお地元にもあると思いますが、本当に過疎の地域での小学校や中学校というのは、もう合併もできないし、でも、これは校舎一校を建て替えるのに二十億か三十億はかかるわけですね。それを、来年入ってくる、若しくは今年生まれた子が六年後に入る人数を計算したときに、小学校を建て替えるだけのお金がそもそも地方の議会で承認が受けられるのかどうか、大きな課題になっていると思います。

 でも、だからこそ僕は考えるんですが、やはりこれからはもう、六・三・三制に向き合っただけの学校、つまり、小学校には小学校の校舎、中学校には中学校の校舎ではなくて、その一つの地、学校に、小学校も中学校も、何なら一クラスで高校も、さらには、高齢者の方たちが使うような施設、社会教育施設、図書館や公民館、また、例えば、カフェとか食堂とか、宿泊施設だって学童だってシェアオフィスだって、そういうのがあっていいというものが、これから地域における未来の学校の形になるんじゃないかというふうに思っています。

 既に幾つかの地域ではそれに近いものをやっているというお話も承るときがありますけれども、でも、やはりこれからの教育のビジョンみたいなものを文部科学省が率先して示していく時期がもう来ているんじゃないかと思います。二〇二七年頃には学習指導要領の改訂、四年後ですから、この四年後の改訂に向けて、これはもちろん中身の話が中心になりますけれども、でも、五十年ぶりに来る、ハードそのものをどうするのかという大変大きなときが来ているんだと思います。

 そして、この一回造ったハードはなかなか替えられないわけですね。やはりそこから四十年、五十年使っていくわけですから、まさに未来の教育をこれからどうするのかというのをこの数年で我々は決めなければいけないというその覚悟があると思っているんですが、そういった未来の学校の形について、まさにそういうビジョンづくりみたいなものが必要じゃないかと思いますが、永岡大臣はいかがお考えでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 やはり学校というのは、その自治体のそれぞれの地域のコミュニティーの核となる役割を担っていると思っております。

 文部科学省といたしましては、学校と社会教育施設や、また児童福祉施設などとの複合化について推進を今しているところでございます。各学校の施設を複合化するかどうかは、学校設置者でございます地方自治体において判断されるべきものでございますが、文部科学省といたしましては、複合化する際の留意事項の提示でございますとか、また財政支援などによりまして、地方自治体、地方公共団体の取組を支援をしているところでございます。

 引き続きまして、子供たちだけではなくて、全ての世代がしっかりと生涯を通じた学びの場となりますような学校施設整備に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさにそういうビジョンを、是非、今、喫緊でつくる必要があるんじゃないかと思っておりますし、複合化というお話をいただきました。本当に、例えば、子供たちが放課後にわざわざ学校を離れてどこかの学童にまで通っていく、お母さんたちはその時間のことを非常に、大丈夫かしらと不安だったりするわけですよね。学童だって同じ施設内にあれば、そして、それを、例えば地域の高齢者の方が一緒に何か遊んであげるとか、一緒に勉強してあげるとか、これはお互いにとっての居場所にもなるんだと思います。そういう発想が今必要だと思いますし、僕は、是非文部科学省がイニシアチブを取って、厚労省や経産省やいろいろな、総務省などを巻き込みながらつくっていただきたいというふうに思っておりますので、是非、遺言として、お願いいたします。

 もう一つ、時間もなくなってきましたので、二つ、端的に、永岡大臣が、僕は、女性の文科大臣が生まれたことはすばらしかったというふうに思っているんですね。校長をしていたときに女子高生のお母さんから、PTAの方々から本当に悩み相談でいただいたのは、お母さんたちは、自分の娘が、うちの学校の生徒が、帰ってきたときに、お母さん、生理が来なくなったんだけれどもどうしようというふうに言われることを本当に恐れているわけですよね。

 やはり性教育の問題というのは、もちろん、いや、学校でもやっているんですよというふうには申し上げますけれども、でも、それは本当に本質的な性教育なのか。これは本当に難しい話なんですけれども、でも、自分の体を大切にすることや、相手を大切にすること、若しくは、嫌なことはちゃんと嫌だと言うこと。こういうことというのを、もちろん、学校ではやっていないわけじゃないんです。もちろん学習指導要領にのっとってやっていますけれども、やはり性教育というものに関して学校はもっともっと真摯に向き合っていく必要があるんだと思います。大変悲しいことも起きかねませんし、起きている実態もあります。

 こういうことをしっかり向き合っていくには、やはり女性の、しかも、永岡大臣も女の子をお育てだと思いますし、やはりそういう苦しみが分かるんじゃないかと思いますので、是非、性教育のこと、しっかり向き合っていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 性感染症ですとか、また予期せぬ妊娠など、子供たちと性と健康に関する問題に対応していくことは非常に重要な課題である、そう考えております。子供たちが性に関して正しく理解をして、そして適切な行動が取れるようにすることが大切である、そう思っております。

 このため、学校におきましては、学習指導要領に基づきまして、今現在はそうでございますね、児童生徒の発達段階に応じて、体育科、保健体育科を始め、学校教育活動全体を通じて性に関する指導を行うこととしております。身体的側面のみならず、様々な観点から学習が行われているわけでございます。その際、集団指導に加えまして、個々の児童生徒の状況等に応じて個別指導も行われるように取り組んでいるところです。

 文部科学省といたしましては、関係省庁と連携をいたしまして、各学校の指導に当たって、教育委員会と保健部局との連携協力によりまして、産婦人科の先生ですとか、あとは助産師さんですね、看護師さんのその上でございますが、の活用が促進されるよう図っているところでございます。

 こうした取組を通じて、各学校において学習指導要領に基づく性に関する指導が着実に実施されますように努めてまいっているところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 性の問題をやはり学校はタブー視し過ぎてきたというふうに思っております。やはりもっと前向きに、そしてオープンに、しっかり学校で議論していっていいことだというふうに思いますので、非常に、少子化の問題ともすごく密接に関連していると思いますし、どうぞ、文部科学省を挙げて、まさに性教育や性の問題、性のことについて話し合うカルチャーというものを、なかなか家庭ではしにくいことがあります。でも、だからこそ学校というものが存在して、学校でいろいろな人たちとしっかり話し合っていくということが大事だと思いますので、そういうこと、是非御検討いただきたい。

 これは本当に、女性がしやすいという言い方が正しいか分かりませんけれども、でも、多くのお母さんたちが、本当にこのことに対しては学校にやはりすごく期待を寄せているところだと思いますので、大臣への期待も多いと思う領域ですから、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、もう一つ、あと今大きな課題だなと思っていますのが、奨学金の現状ですね。

 僕の学校も、実は、元々は、大学の進学率が三割、専門学校が三割、就職が三割という、いわゆる進路多様校と言われる学校だったんですが、僕が校長になって、進路指導、進路に対しての話を一生懸命していったら、大学進学率が約六割弱まで一気に上がったわけですね。それは、結局、どういうことをしたかというと、お金のかからない大学というものを御紹介したわけです。

 例えば、御存じでしょうか、公立の短期大学というのが日本には幾つもあります。例えば山梨県の大月短大とか、岡山の新見短大とかあるんですけれども、三重の三重短大とか。こういうところは、短大といっても、実は大学三年生への編入を一生懸命勧めるんですね。ですから、二年間、勉強を一生懸命して、そして三年生になると国立大学に行く子たちが結構多いんです。そして、学費がいろいろな形で補助されていて、非常に安く設定されているわけですね。そうやって、みんな大学には実は行ってみたいんだなということが大変よく分かってくるわけです。

 でも、もちろん、一部の、お金を借りる必要があったりもする子たちがいます。そうやって奨学金を、もちろん僕もこういうのがあるよと言って御紹介して、たくさんの生徒がやはり借りて、そして今返しています。でも、こうやって今奨学金を返している子たちが、労福協の調査によれば、やはり三割の人たちがこの奨学金を返すのが苦しくて結婚や出産、子育てに至らないという声を、それはもう自戒を込めて、こういう状況になっている今のこの国の制度って何なんだろうというふうに思うんですね。

 世の中にはいろいろな、奨学金を少しでも減らす仕組みがあるわけです。今の政府でも、出世払い型、J―HECSみたいな形、出世払い型の返済制度も進めています。大学院だけだったり一部ですけれども、僕は、本当に、もっともっと一気に広げていく、こういうことこそ、文部科学省、文部科学大臣の、やはり予算を取って、大きなお仕事の一つだと思いますし、でも、予算をつけるのが簡単じゃないというのは、一年生の野党の議員からでもだんだん分かってきました。

 でも、それであれば、もう一つ、会社の代理返済制度というのがあるわけですね。奨学金を抱えている子が入ってきたら、その分は人件費分として会社が払うよと。その会社は税控除の対象になっているはずなんです。この仕組みに関しては、別に予算的な制限があるはずではないというふうに伺っております。

 でも、全国で見ると、まだ六百社ぐらいしかこの制度を使って人を採用しているところがないというふうに伺っています。いやいや、もっともっと多くの会社が、みんな人材難で苦しんでいるわけですから、こういう制度も使っていますよ、だから、大学生の皆さん、奨学金を返済中の社会人の皆さん、うちの会社に来てくれたら会社が肩代わりするから、一緒に我が社で働きましょうよという制度があること、それを多くの会社の経営者の人にも理解してほしいですし、そういうところを是非使ってくれたらおたくの会社に転職、入社できますよと就職希望者が言えるような、それをもっともっと広げてほしいと思っていますが、是非そういうイニシアチブを取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 私自体も、奨学金はお借りしたことはないんですが、夫が借りておりまして、それの返済に随分と、お財布を持っていた奥さんは大変苦労したという実態がございます。

 先生が言っていらっしゃること、やはり、奨学金の返還が困難な方に対しては、返還期限の猶予や、また毎月の返還額を減額する制度によりまして、きめ細かな対応を行ってまいりました。

 さらに、もう委員おっしゃっていますけれども、毎月の返還額を減額する制度につきましては、令和六年度から、利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、月々の返還額を最大限で元の四分の一まで減額できるように見直すこととしているわけでございます。

 また、お話がありました企業等によります奨学金の代理返還につきましては、企業等が直接日本学生支援機構に送金することで、所得税等の取扱いについて企業等と社員等の両方にメリットがあるという取扱いになっておりまして、本制度の利用の拡大に向けて、引き続きましてこれはしっかり取り組んでいく、そして広報の方もやらせていただきたいと考えております。

 ちなみにですが、令和三年の四月から実施しておりますが、今現在、七百社が実施している、そして千七百人の方が利用している、そういうふうに伺っております。

荒井委員 どうもありがとうございました。

 どうぞよろしくお願いいたします。

宮内委員長 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 今日は、一般質疑、いじめとか不登校とか自殺とかいったことをやろうかなというふうに思っているところです。

 それを受けまして、この間、先ほど委員長の方から御報告があったとおり、私ども、この文部科学委員会で、江戸川区立松江第一中学校の方に視察に行かせていただきました。荒井先生もおっしゃっていましたけれども、非常にすばらしく、こういった取組というのが本当に広がっていく必要性というものがあるなというふうに感じたところです。

 もちろんすばらしいんですが、課題もあったというふうにも感じています。

 やはり、先生が空きこまを使ってそこのところに入っているというお話について、これは大きく私たちは考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。つまり、二十四こま、一週間で、週休二日ですから週に五なので、五時間ずつ入っているのが月、火、木、金、五こまずつ入って、水曜日が四こま、これで二十四というふうな入り方をされていると思うんですが、それ以上に、空いているところで入って二十九こまフルで使っていますというような先生方の状況が本当に正しいのかどうかということも含めて、本日質疑をさせていただきたいなというふうに思っております。

 文部科学省さんが教員について募集を前倒しにされる、先ほど公明党さんもされていましたけれども、私は、今の学校を見ていて、このフェーズなのかなというのを思っているんですね。

 先日、大学の方で教員の皆さんを育てていらっしゃる、生活指導であったりそういったことを教えていらっしゃる先生とお話をさせていただいたんですけれども、大学の一年生とかは教職を希望する方は非常に多いけれども、年を経るごとに脱落していくというか、やめていく人が多いと。

 つまり、教員免許を取って、教員になろうかな、いっぱい、みんな、免許の課程は終わっているけれども、選択肢としてどうしようかなというフェーズであるならば前倒しはいいかもしれないんですけれども、今、本当にそのフェーズにあるのか、そもそも教員を目指さない人が多いというのが実態で、これに大きな問題と課題意識を持つべきではないかなというふうに私自身は感じています。もっと危機感があるという意味ですね。

 ですので、ちょっと、今日は非常に強い危機感と大臣の決意を聞くことができればなと思っております。

 いじめ防止対策推進法の第二十八条の一項に、いじめの重大事態への対応というところで規定されているんですけれども、一項の第二号に規定する「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。」これが、いじめが原因で不登校になっているという状態だと思っております。

 いじめが原因で不登校になった児童生徒への対応はどのようにしているのか、教えてください。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 不登校の要因や背景といたしましては、本人、家庭、学校に関わる様々な要因が複雑に関わっている場合が多い状態ではあります。文部科学省の調査におきましても、いじめが原因で不登校となっている場合があると、しっかりと把握をしております。

 いじめが原因の不登校の問題に対しては、いじめられている児童生徒の心のケア、いじめの加害者への指導、いじめの解消に組織的に取り組み、安心して学校に通える体制を整えることが重要でございます。

 いじめが原因で不登校となった児童生徒も含めまして、不登校児童生徒に対する支援といたしまして、三月に取りまとめました、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策を推進いたしまして、個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援というものを行ってまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 COCOLOプランも見させていただきまして、本当に綿密に作られていることはよく分かるんですけれども。

 では、不登校支援、これから充実させていく、そして、いじめが原因であるということは、心のケアが必要ですよねと。ということは、カウンセラーさんは適正なのか、御家庭にある様々な不安、この後やりますけれども、そういったものに対応するだけの人員が果たして今いるのかどうか。

 不登校支援を充実させるとおっしゃってくださっているんですが、これに対して適正な人員配置になっていると思っていらっしゃるのかどうか、大臣の御見解をお願いします。

永岡国務大臣 小中高等学校で不登校の児童生徒が約三十万人、本当に過去最多となっております。こういうことを踏まえましてCOCOLOプランというものを取りまとめたわけでございますが、具体的には、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えること、そして、心の小さなSOSを見逃さずに、チーム学校で支援をすること、そして、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることを盛り込んでおりまして、運用改善等で速やかに取り組んでいただきたいということについては既に通知を発出しておりまして、各学校の設置者等に取組の要請をしたところでございます。

 また、学校内の支援スタッフの配置につきましては、委員おっしゃいますように、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの重点配置や学習指導員等の支援スタッフの配置の支援を行っております。あわせまして、教員につきましても、生徒指導等のための加配定数を措置しているところでございます。

 引き続きまして、各教育委員会等に対して、学校内の支援スタッフの配置等についてしっかりと支援をしてまいりたい、そう考えております。

堀場委員 ということは、今の大臣は、人員配置は足りていないという認識を持たれているということでよろしいですか。

永岡国務大臣 まだまだ必要かと、そういうふうには感じております。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、学校現場に足りないという認識をしっかりと大臣が持ってくださっているということを、今しっかりと明言していただいたんだろうなというふうに思っています。

 その次に、いじめの定義と認知と対応について質問をさせていただきたいと思います。

 実は、いじめの定義というのは変化をしてきていると思っています。主には平成十八年と平成二十五年というところで変化があると思っているんですけれども、そこの変化の部分と、その理解を促進する、これについて、政府参考人の方、お願いしてもいいですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いじめ防止対策推進法の制定前は、文部科学省の調査におきまして、平成十七年度までの間でございますけれども、自分より弱い者に対して一方的に、身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの、このように定義をしていたところでございます。

 その後、平成十八年度に定義を見直しまして、いじめられた児童生徒の立場に立って、より適切にいじめの実態を把握するため、当該児童生徒が、一定の人間関係がある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているものというふうに定義をし直したところでございます。

 その後、平成二十五年にいじめ防止対策推進法が施行されたわけでございますけれども、その際に、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為、括弧で、インターネットを通じて行われるものを含む、であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの、このような定義になったところでございます。

 文部科学省としては、これまでも、全国の都道府県教育委員会の生徒指導担当者等を対象とする研修会などでいじめの定義について周知をしてきたほか、保護者や地域向けにも、いじめの定義に関する資料を作成するなど、様々な機会を捉えて、法律に基づくいじめの定義の周知を図っているところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 いじめの定義が変わってきているんですけれども、こういったことに対する社会全体の理解の促進が進んでいるのかなというのは、一つ疑問に思っているんですね。先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、私たちの時代と今の教育は違うんだということ、それはもちろん、私の親の代からも違うんだということを私たちはもっと理解をして、変わっていっているんだということをもっと理解をしていただかないといけないかなというふうに思っています。

 同じように、認知をする認知件数というものが、今はこれが非常に上っていて、過去最高の人数がいるという現状の中で、でも、認知件数が上がっているというのは、いじめが増えているという概念なのか、それとも、先生たちが、いじめの定義が変わって、より軽微なものでも早期に発見する機能が高まっていると、プラスに取るのかマイナスに取るのかということなんですけれども。

 いじめの認知件数が増えている。この校長先生が来たら、この先生が来たら、クラスでのいじめが増えたと認識する人たちもたくさんいらっしゃるんですね。でも、それはその先生が、若しくは学校全体が、いじめの取組を強化して、より軽微なものもしっかりと早期で対応できるようになったというポジティブな判断をするべきだと思うんですけれども、こういったことについてはどのようにお考えか、お願いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いじめへの対応に当たりましては、ただいま先生が御指摘されましたように、やはり、いじめを早期に認知をして、そして早期な対応をしっかり取っていく、これが一番重要なことだと思っておりまして、いじめの定義の、先ほど変遷の話もお話し申し上げたわけでございますけれども、そういう対応をしていく中で、いじめが件数として増えたから、したがって、その学校は悪い学校なんだ、こういう評価があってはならないというふうに考えておりまして、むしろ早期に発見、早期対応、そしてしっかりといじめの解消に取り組んでいる学校、そうしたところが評価されるような、そうした取組を進めていきたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 なので、先生たちは少し苦しんでいらっしゃるところに、それもあるのかなと。先生が来たらいじめが増えたね、いやいや違うよねと。しっかりと発見できるようになったんですよというふうに理解をしていただきたいなということも含めて、申し上げさせていただきたいと思います。

 その次に、いじめと犯罪行為の境界線、そして警察相談、通報といったものの課題についてお尋ねしたいと思います。

 今、スクールサポーター制度を増やしていきましょうということを言っているかと思うんですけれども、いじめというものが、やはり学校の中だけで解決するという意識が非常に強いがために、犯罪行為に当たるものであったとしても、警察通報を戸惑うというか、しない学校現場というのが多いと見受けられていると思っています。

 ですので、やはり、いじめと犯罪行為というものの境界線、若しくは警察相談そして通報ということに対して、大臣の御所見をお願いしたいと思います。

永岡国務大臣 いじめの対応に当たりましては、法律に基づきまして、学校が組織的に対応することが重要でございますが、いじめの中には、犯罪行為として取り扱われるべきいじめなど、学校のみでは対応し切れない場合もあると考えております。

 文部科学省では、本年二月に、犯罪に相当するいじめ事案については、直ちに警察に相談、通報を行いまして、適切な援助を求めなければならないことなど、警察との連携の徹底を求める通知を発出したところでございます。

 この通知では、警察に相談、通報すべきいじめの具体的な例を示すとともに、学校のみでは取扱いの判断が困難な事案も想定されますことから、スクールサポーター制度の積極的な受入れの推進、そして学校、警察連絡員の指定の徹底、そして学校警察連絡協議会等の活用など、警察との日常的な情報共有や相談、通報ができるような、そういう体制の構築についても求めているところでございます。

 いじめの対応に当たりまして、警察等の関係機関と適切に連携をして取り組めるように、引き続きまして今回の通知の周知に努めてまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 令和三年の問行調査を見ていると、警察に相談したり通知した件数というもの、相談状況ですね、これを見ていると、〇・二%と非常に少ないと思っているんです。ということは、ほとんどは、学校内で解決しようと。それが子供たちの未来のためだと思っているのかもしれないですけれども、ここは非常に重要だなと思っています。

 いじめの問題に対して日常的に警察署や児童相談所、ほかの、地域の関係機関と連携協力を図っていく、これが三六・六%ということなんですけれども、やはり、ここがしっかりと根づかない限り、学校現場で全て解決しなければならないという意識が変わらないと思うんですね。

 先ほど大臣も少しお答えの中でありましたが、学校内の組織として対応するということが非常に重要なんだというお話があるかと思うんですけれども、発見機能の強化ということについての御質問をさせていただきます。

 いじめを早期に発見して、重大なものに発展させないための方法というものについて、政府参考人の方からお願いしていいですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いじめを重大化させないためには、いじめの疑いがある段階から早期に対応し、個人で判断せず、学校いじめ対策組織に報告、相談するなど、積極的にいじめを認知し、組織的に対応していくことが重要であると考えております。

 文部科学省では、こうした早期発見、早期対応のため、令和五年度予算において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実、二十四時間子供SOSダイヤルやSNSを活用した相談体制の整備推進などを盛り込み、教育相談体制の強化に取り組んでいるところでございます。

 また、一人一台端末を活用し、悩みや不安を抱える児童生徒がSOSを発信したり、教員等とチャットで気軽に相談できるようにするなどの取組事例も積極的に全国に周知をしているところでございます。

 引き続き、各学校においていじめの積極的認知や組織的な対応が図られるよう、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 先日行きました松江第一中学校の方でも、チャット機能を使って先生と生徒がお話しする、校長先生と直接お話をする、カウンセラーさんと直接お話をするというお話がありました。

 デジタル機器というのは非常に相談しやすい環境をつくっていくことにはなっているかとは思うんですけれども、SOSを見逃さないということも大事なんですが、SOSを出せない子供に気がつくとか、あとは、加害意識がない子がこれは加害なんだということに気づかなければならないということであったり、課題というのは、実は、SOSを出してくれるまで待つわけではなくて、こちらからやはりもっと積極的に行かなければいけないと思っているんですね。

 なので、発見機能を強化しますと。では、発見したいじめをどうするのかというと、やはり行動観察を使ってアセスメントを取っていく、エビデンスをつくっていくというものは非常に重要な行動になってくると思います。それを使って、こういうときはああだったよね、これは駄目だったんだよねと対応したり指導していくというのが早期発見して対応する方法だと思うんですけれども、じゃ、この行動観察、アセスメント、これはどのようにしてつくるのかと考えたときに、先生が見ないといけないのかどうかということなんですね。

 学級担任が、小学校は、それは先生が直接見ていて分かることもあるかもしれないですけれども、今、例えば発達障害の傾向を持っている子供たちが非常に増えていて、飛び出し事案がありますよねと。ちょっと廊下を見ている間に何かがあった。先生たちはそこを見逃してしまった。これは本当に先生たちは自責の念を持たれることも多いかと思うんですね。

 つまり、何が言いたいかというと、こういういじめ対策の組織で対応しますよと。そして、この会議体がめちゃくちゃいっぱいあるわけですよ。学年でやります、その後は学校全体でそれを共有します、スクールカウンセラーが来ます、警察の人が来ます、SSWが来ますと。こうやって何個も同じ会議があって、非常に先生たちの負担が大きい。このいじめ対応をどう考えるのかというのは、先生たちの負担軽減、そして心の負担の軽減にも非常に寄与すると思っています。

 もう一つ重要なのは、いじめと家庭環境の因果関係だと思っています。いじめというのが全て学校内だけで起きているわけではないというのは皆さんも御承知のことだと思いますけれども、いじめと家庭環境の因果関係について、大臣の御所見をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年十二月に改訂いたしました生徒指導提要におきましては、いじめを発生させ得る原因として、心理的ストレス、それから集団内の異質な者への嫌悪感情、また妬みや嫉妬感情などが挙げられております。

 一方で、いじめの原因、動機は事案によって様々でありますし、また複合的でございます。一概に申し上げることは困難ではございますが、家庭環境によりまして心理的ストレスを受けている場合などもあり得る、そう考えます。

堀場委員 ありがとうございます。

 因果関係が複雑というのは、私、一応、不登校に関する質疑はこの国会だけで、今、多分三回目だと思うんですね。

 一回目は、不登校の話をずっとやってきたんですけれども、その中で、やはり勉強ができないことに、根底にネガティブなものを持っているから、小さな事案であったり、まあ大きくてもいいんですけれども、事案が発生したときに不登校に発展するパターン。つまり、根っこの部分の原因の一つが学力じゃないかという話をさせていただいた。

 そしてその次は、学校には来られるんだけれども、教室に入れない。それは一斉指導という形がどうなんだろうという話をしました。そして、フリースクールについてというふうに二回やってきて、今これは三回目なんですけれども、やはり原因というのはすごく多岐にわたっていますし、家庭的な原因というものも非常に大きいというのは、原因が家庭にあるという意味ではなくて、家庭環境によって様々なことがある。そして、それを保護者側から、例えば加害意識がない子供に対して、これは加害に該当するんだよというような話を、じゃ、家庭内でしているのかどうかということも含めると、やはり保護者の理解促進というのは非常に重要なんですね。

 先ほど言いましたけれども、いじめの定義が変わってきている。これについても保護者の皆さんの理解を促進していかなければならないと思っています。今、いじめが多岐にわたって、例えばネット環境を使ったもの、SNSを使ったものは家で何時でもできますし、そういったことを含めると、御家庭での子供に対する指導というのは必要だとは思っています。でも、今、家庭に対する指導と言うだけでもう大炎上してしまうような世の中になっています。

 それは、家庭の責任がないという意味ではないと私は思っているんですね。だけれども、それができない御家庭が非常に増えている。それは、私も一人親ですから、それが非常に大変だということも分かります。そして、今、貧困が非常に進行している、非常に厳しい状況にある。どんなに働いてもお金がない、こういった現状もあるかもしれない。職が不安定だ。根底が大人もネガティブなんですね。この根底のネガティブな保護者が、じゃ、家庭でどうするのか。家庭でもうできないよという悲鳴を上げているのが現状だと思います。

 こういった保護者の人の理解促進というのは誰の仕事なのか。これは学校の仕事なのか。これについて、政府参考人さんかな、お願いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いじめ防止対策推進法においては、保護者の責務として、「保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。」こういう規定があるところでございます。

 また、いじめの防止等のための基本的な方針においては、国、地方公共団体、学校のそれぞれにおいて、保護者に対して、いじめの定義を含め、いじめ防止に関する普及啓発等を行うことが示されているところでございます。

 文部科学省としては、今年二月に都道府県教育委員会等に対して通知を発出し、学校において、学校いじめ防止基本方針を入学時や各年度の開始時に保護者等に説明すること、入学説明会や保護者会等の機会を通じて、いじめの定義や保護者の責務等について普及啓発を図ること等を周知しており、各学校においては、この通知の趣旨等を踏まえながら、学校いじめ対策組織を中心に、いじめ防止に関する保護者の理解促進に取り組んでいるものと承知をしております。

堀場委員 今の答弁だと、保護者の理解促進の仕事というのは学校現場の仕事という認識でいいのか分からないんですけれども、学校現場は今、子供たちを教えることもとても大変ですよね。そして、保護者の理解促進までもが学校で行われる、学校がやることなんだ、入学式とか、あとは道徳地域公開講座とか書いてありますけれども、そういった様々な場面で学校が行うべきことなのか。例えば、保護者会を使ってやってください、保護者会でやるかもしれない。でも、保護者会に全員来ますか。来ないですよね。お休みを取ってまで保護者が来ない。

 こういった現状の中で、保護者に対する理解促進というのが学校の仕事であるというのは、学校に非常に大きな責務と、そして仕事を与えているというふうに私自身は認識をします。誰が責任を持ってやるのか、これはもう少し考えていただきたい。学校でこれをやるべきなのかどうかも含めて、大人の教育までもが学校がやるべきことなのかということを是非大きな課題として認識していただきたいなと思っています。

 私の個人の考えは、昔はPTAという組織がありました。今は非常にこれも揺らいでいると思います。でも、PTAというのは、学校を支える組織というよりかは、保護者が今の自分たちの子供の教育について理解をする、成人教育の機関というか、そういう言い方をすると思いますが、そういう役割があったと思うんですね。でも、何か、一時的に学校の足りない人員をサポートするような立場になったり、金銭的なものも含めて支えているところもあるかもしれないし、学校行事を無償で手伝ってくれる人員としての組織というような見方になってきてしまったので、PTAって何だろうという疑問が今生まれているんだと思うんですね。やはり、もう少しそういった一つ一つの、どこに、誰がやるのかということを明確にしていく必要性があると思います。

 家庭環境の改善であったりとか、様々な問題を抱えている子供を通して見える御家庭の様子、大人の様子というものがあります。これをやっていくのはSSWさんだというのは、前回の視察でもお話を伺いました。

 このSSWさんの仕事というのは本当に大変だと思っているんですが、これについての、活用の必要性について、大臣の御所見をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 家庭環境を含む様々な課題を抱える児童生徒については、教職員と、それから福祉の専門家でありますスクールソーシャルワーカー、それから地域の福祉部局、これとの連携協力というものが、やはりチームで支援を行うことが重要だと思っております。

 こうした中で、教育委員会からは、例えば、家庭環境を起因としたいじめ事案にスクールソーシャルワーカーが関わることにより、保護者への面談等を重ねたり、児童生徒と保護者との橋渡し役を担うなど、家庭環境の改善に向けた支援につながっている事例が報告をされております。

 こうした状況を踏まえまして、令和五年度予算におきまして、スクールソーシャルワーカーの配置についても、不登校対策のための重点配置校数をしっかりと充実するとともに、新たな、オンラインを活用した広域的な支援体制というものを整備するための予算、これはしっかりと計上させていただいておるところでございます。

 引き続きまして、必要な支援の充実に努めてまいりたいと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、大人に対してSSWがいるという認識であって、大人に対する支援という意味ではSSWさんの仕事は非常に大きいと思っていますので、そういったこともしっかりと見ていっていただきたいなと思っています。

 教員の働き方と定数ということをやりたいので、ちょっと時間がないので短めに、端的にお願いしたいんですが、まず、いじめ、不登校の対応というのは学校全体で、チームでやるというふうにおっしゃっていました。でも、学校の先生は、先ほど言いました、定数が、持ちこま数がいっぱいです。エンカレッジスクールが二十九だったら全部やっています。それをやっているということは、就業時間内に絶対にできないですよね。その後に延長してやります、こういったのが大きな大きな課題になっているかと思いますが、ここまで来たいじめと不登校の対応は誰がするのが正解だと大臣はお考えか、お答えください。

永岡国務大臣 いじめの対応に当たりましては、いじめ防止対策推進法において、学校は、複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者で構成されます学校いじめ対策組織を設置することとされておりまして、組織的に被害児童生徒への支援や加害児童生徒への指導等の対応を行います。また、犯罪行為として取り扱われるべきいじめなど、学校だけでは対応し切れない場合には、警察等の関係機関とも連携をしまして対応を行います。

 また、不登校の対応につきましても、教師やスクールカウンセラー等が専門性を発揮をして連携をし、チーム学校によります早期支援を行います。加えて、不登校児童生徒への支援の見地を有するフリースクール等民間施設へ教育支援センターが業務委託をして、支援に必要な体制の構築やノウハウの共有等を行うことを推進しております。

 文部科学省といたしましては、本年四月に発足いたしましたこども家庭庁と連携しつつ、引き続きまして、法律等に基づいて、組織的にいじめや不登校の対応が徹底されますように指導助言してまいります。

堀場委員 そうですよね。それだけ先生たちがやらないといけないんですよね。やはり、先生が発見する、先生がやらなきゃいけない、ケース会議も、組織的ということは、会議をやるということですよね。それをやらなきゃいけない、それを責務としている。

 先ほどのお答えでは、学校が保護者の理解促進もやらなきゃいけない、そういう状況にある中で、そもそも、教員の配置定数は適正だと。これはちょっと時間がないので端的にお願いしたいんですが、そもそも、教員の配置定数というものは適正だとお考えかどうか。ちょっと質問を飛ばしているんですけれども、お願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 教職員の定数につきましては、これまでも計画的に改善を図ってきたところでございますが、質の高い教育の実現ですとか、複雑化、困難化いたします教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善は重要と考えております。

 このため、令和五年度の予算においても、義務標準法の改正に伴う、小学校におけます三十五人学級の計画的な整備ですとか、発達障害など障害のある児童生徒への通級によります指導、外国人児童生徒に対します日本語指導の教育等の充実に必要な基礎定数の改善を盛り込んでおります。また、小学校高学年、この教科担任制の推進ですとか、生徒指導など、様々な教育課題に対応するための加配定数の改善も計上しているところでございます。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るために、教職員定数の改善に全力で取り組んでいきたい、そう考えております。

堀場委員 ということは、足りていないという認識ということでよろしいですか。加配というのは、単年度の加配ですから、やはり変わっちゃいますよね。そもそも、冒頭言いました、先生を目指す人がいないんですよと。これに対する非常に強い危機感を持っていらっしゃいますかというのがテーマです。こんなに人が大変で、いじめもやらなきゃいけない、保護者もあなたの責任ですよ、何をやりなさいと言っておきながら、この定数は加配ですよ、足りないかもねという状態では、もう学校は成り立たないですし、終わってしまっていますよねということを何度も言っています。

 令和の時代に求められる教育現場の理想像、これは、新学習指導要領にもあります。これは、私はいいと思っています。だから、これを実現するためには、文部科学省として、必要と想定している教員の配置の数、専門職の配置の数量というのはどう思っているのか、端的にお願いしてもいいですか。

永岡国務大臣 全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現します令和の日本型学校教育におきましては、教師や専門職を含みます支援スタッフが担う役割は極めて大きいものと考えております。

 その際、教師や支援スタッフに関する理想的な姿といえば、例えば、多様な人材の教育界内外からの確保等によりまして、質の高い教職員集団が実現されること、そして、教師と様々な専門スタッフ等がチームとなりまして、組織的、協働的に取り組むことなどが考えられます。

 なお、先日、私の方から、中教審の方に対しまして、質の高い教師の確保のための環境整備について諮問したところでございまして、教職員配置や支援スタッフの配置を含みます学校指導、運営体制の充実の在り方については、今後、総合的に検討していただくこととしているわけでございます。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実に全力で取り組んでまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 いじめをなくしたい、不登校の子供を減らしたいという思いがもし仮に本当にあるのであれば、大至急、先生の数を増やしていただきたい。これをお願いして、本日の質疑を終わります。

 ありがとうございます。

宮内委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問を始めさせていただきます。

 本日は、防災、減災のための研究、技術開発の推進、特に火山分野の文部科学省の研究、技術開発へのお取組について質問させていただきます。

 明日六月三日は、平成三年に地元長崎県雲仙・普賢岳におきまして大火砕流が発生をして、多くの貴い命が失われた日でございます。四十一名の方が亡くなられ、行方不明三名、負傷者十二名、建物被害等二千五百十一軒など、未曽有の大災害となりました。改めて、犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 大火砕流は六月三日に発生をいたしましたけれども、前年の平成二年に、十一月十七日、約百九十八年ぶりに雲仙・普賢岳が噴火をいたしまして、一九九五年二月まで噴火活動が続き、三十八回の土石流と七回の大火砕流が発生をし、噴火活動は終息したものの、現在も溶岩ドームの崩落の危険が指摘をされております。

 一昨年、発生から三十年の節目を迎えましたけれども、これまで、復興に携わって様々な苦難を乗り越えてきた地元の皆様の並々ならぬ御努力があったというふうに思います。

 ただ、災害の記憶が年月とともに風化していく中で、次世代にしっかりと災害の記憶を継承していくということが極めて重要でございます。

 今日は、一冊、本を御紹介をさせていただきたいと思います。この本は、雲仙・普賢岳の噴火災害の陣頭指揮に当たられました、一九九〇年の噴火が起きた当時の観測所の所長でありました太田一也所長が書かれたものでございますけれども、太田一也所長は、一九六七年、当時、九州大学島原火山温泉研究所に赴任をされて以来、地域に根差し、長年、観測データを蓄積し、研究を続けておられました。

 噴火当時は、九州大学島原地震火山研究所の所長として、五年半に及ぶ噴火との戦いの中で、最前線で専門家として奔走されました。噴火の四か月前には、噴火するという可能性を予測されておりましたけれども、当時、避難情報の発出に拘束力がなかったために、人の出入りを完全に制限するには至りませんでした。

 今、災害の記憶が薄れ、体験者が減少する中で、火山現象の克明な記録と、公式記録には書かれていない、最前線で太田先生が直面されたことや課題、問題について克明に記録をして、百年、二百年後に再び起こるかもしれない雲仙・普賢岳の噴火やほかの火山の防災対策に是非役立ててほしいという思いでこの本を執筆をされております。

 一方で、地震や大雨、津波につきましては、様々な情報発出を含めた技術革新が進んでいる一方で、地震と密接に関係する災害である火山分野の災害対策については、まだ体制が十分に整っておらず、周回遅れの状況との指摘もなされております。

 我が国は世界有数の火山国でありまして、百十一の活火山が分布している状況で、そのうち五十火山が常時観測対象の火山となっております。近年、富士山に新たな火口が発見をされたり、桜島ではマグマが蓄積をされ、大規模噴火の可能性も指摘されるなど、全国各地で活動火山の活動が活発化していることを踏まえまして、昨日、災害対策特別委員会におきまして、活動火山の特別措置法の一部を改正する法律案が委員長提案によって全会一致で可決をされております。

 まず最初に、文部科学省における火山災害対策に関する研究、技術開発の現状のお取組についてお伺いをさせていただきます。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 火山災害の軽減に貢献するため、火山災害対策に関する研究や技術開発を推進することは重要と考えております。

 このため、文部科学省では、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトを実施いたしまして、観測、予測、対策の一体的な火山研究の推進に取り組んでいるところでございます。

 例えば、観測につきましては、リモートセンシングを活用した火山観測技術の開発ですとか、予測につきましては、数値シミュレーションによる噴火ハザード予測手法の開発、また、対策につきましては、ドローン等によるリアルタイム災害把握技術の開発等を実施しておりまして、これらの観測データ等を一元的に共有するシステムの開発にも取り組んでございます。

 文部科学省といたしましては、今後も、減災、防災に資する火山研究、技術開発をしっかり推進してまいります。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

西岡委員 関連いたしまして、先ほども申し上げましたように、火山噴火災害が起こる可能性が指摘されている活火山が複数ありまして、より一層火山に関する調査研究体制の拡充強化が必要であるというふうに思いますけれども、今の状況を含めた文部科学省の認識、見解についてお伺いをいたします。

 また、観測監視につきましても一層の拡充、充実、強化が必要であると思いますけれども、気象庁の取組も併せてお伺いをさせていただきます。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国は世界有数の火山国であり、多くの火山を観測、調査研究をするためには、オール・ジャパンで取り組むことが大切と考えてございます。

 このため、文部科学省では、先ほど述べさせていただきました次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトによりまして、平時から、気象庁や防災科学技術研究所、大学等の観測データを一元的に収集、共有すること等によりまして、観測、予測、対策の一体的な火山研究の推進に取り組んでおります。

 また、火山噴火などの緊急時には、人員や機器を集中させ、観測体制を強化する必要がございますので、火山機動観測実証研究事業において、防災科学技術研究所を中核とした機動的な観測体制の実証研究を進めております。

 文科省といたしましては、引き続き、大学や研究機関における、平時から緊急時まで一貫した火山観測、調査研究の充実に努めてまいります。

青木政府参考人 気象庁では、全国五十の常時観測火山に、地震計、傾斜計、空振計、GNSS観測装置、監視カメラ等の観測機器を整備するとともに、関係機関からのデータ提供も受け、火山活動の状況を二十四時間体制で監視しております。

 また、気象庁では、これまでも、観測機器の増設や、火山に関する博士号を取得した人材を含む火山関係職員の増員のほか、我が国を代表する火山の専門家五人を気象庁参与に任命し、職員への指導助言をいただくなど、体制強化を図ってきたところです。

 気象庁といたしましては、引き続き、防災情報の発表に必要な観測機器や体制を維持するとともに、火山活動をしっかりと監視して、適時的確な防災情報の提供に努めてまいります。

西岡委員 様々今お取組をしていただいているわけでございますけれども、今回の法改正にも盛り込まれたことでございますけれども、現状、我が国においては、火山防災対策についての主体的な、一元的な機関が存在をしていないために、大学や気象庁、各省庁、火山防災協議会、各関連機関に分散している縦割りの体制を一元化をして、司令塔機能を強化する必要がございます。

 法改正の中身には、文部科学省に、火山に関する観測、測量、調査研究を一元的に推進するための火山調査研究推進本部の設置が盛り込まれておりますけれども、この一元的な機関を設立をするということにつきまして、永岡文部大臣の御見解をお伺いをいたします。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

永岡国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 近年、災害が激甚化、頻発化する中で、国民の皆様方の生命や財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは政府の大きな使命と認識をしておりまして、特に火山は、科学的な理解に基づき、噴火を事前に予測することなどが重要だと思っております。

 このため、現在、大学や防災科学技術研究所、気象庁などの関係機関等におきまして、それぞれの目的に応じて火山に関する観測や調査研究が実施をされております。

 今後、火山噴火の現象を科学的に理解をし、そして適切な防災につなげていく観点から、国といたしまして、火山の観測や調査研究の推進に関する司令塔機能を強化することにはしっかりと意義があると考えております。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、我が国の火山研究を推進する立場から、引き続きまして、関係省庁と協力しつつ、政府一体となって取り組んでまいりたいと思っております。

西岡委員 海外の火山大国におきましても、平時の観測と、また緊急時の監視まで含めた、一元的にそれを管理する組織が存在をいたしております。やはり一元的にしっかりと管理をする機関が必要であるというふうに私自身思います。

 今回の法改正、審議中でございますけれども、もしこれが可決をいたしましたら、文部科学省の中に推進本部が設けられまして、本部長が文部科学大臣ということになります。是非、この一元化、法案が成立いたしました暁にはしっかりとお取り組みをいただくことを私自身御期待を申し上げたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 この問題、火山対策、防災、減災の対策について一番大切な一つの論点としては、やはり専門人材の育成、確保、これが大きな課題であると考えております。

 先ほど御紹介いたしました太田一也先生のように、長年その地域に根差した、そして、長年、データをしっかりと蓄積をした中で、今後の噴火に対する予測や自治体への助言を含めて様々な大切な役割を果たしていただく、山のホームドクターとも言える専門的な研究者の存在が必要でございます。

 先ほど御紹介がありましたけれども、次世代火山研究・人材育成総合プログラムについて文部科学省としてお取り組みをいただいておりますけれども、この科学研究者の育成、人材確保、このことについてどのように取り組んでこられたのか、これまでの火山研究の専門人材の推移について教えていただきたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 国の地震火山観測研究計画を実施しております政府機関、国立研究開発法人、大学等において、観測点の維持管理に携わりながら火山研究を実施しております研究者数につきましては、直近五年間では、平成二十八年度は百四人、平成二十九年度は百六人、平成三十年度は百五人、令和元年度は百九人、令和二年度は百十三人となっております。

 文部科学省におきましては、先ほど先生からも御指摘いただきました次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトにおいて、大学や自治体等と連携をしながら、火山学関係の講義やフィールド実習、あるいはインターンシップを行うなど、幅広い知識と技能を有する火山研究者の育成に取り組んでおるところでございます。

 文科省といたしましては、今後も、火山研究者の育成に関する取組の充実に努めてまいります。

西岡委員 今、推移をお聞きしましたけれども、なかなか、専門人材を急に増やしていくというのは大変難しいのが現状であるというふうに思いますけれども、特に、専門的な研究者の育成、若い研究者を育成をしていくということが大変重要だと思っておりますので、火山研究の人材育成のお取組、是非強力に進めていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。

 そのことに関連をいたしますけれども、文部科学省のプロジェクトを修了した方の就職先を見てみますと、令和四年度につきましては、六十九名の方が修了されまして、そのうち、大学に就職をされた方が九名、気象庁が十名、防災科学技術研究所一名、国土地理院二名、文部科学省二名、国の機関三名、地方自治体五名、教員二名、民間が三十五名となっております。

 なかなか、この数字を見ますと、大学において研究を継続する学生の方が少ないというふうに思いますけれども、もっと継続的に科学研究の専門家が育っていくためには、活躍の場を確保する必要がありますし、キャリア形成の支援体制が必要だというふうに思いますけれども、このことについての御見解をお伺いいたします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトにおいて、幅広い知識と技能を有する火山研究者の育成に取り組んでおるところでございますけれども、このプロジェクトにおきましては、関係省庁や地方自治体等の職員と学生が交流するセミナーやインターンシップを通じてキャリア形成を促進をするとともに、地方自治体や民間企業の関係者等が参加するフォーラムを行うなど、火山防災等を担う関係機関と連携した取組も行っているところでございます。

 これらの取組を通じて、本プロジェクトの修了生の多くが、先ほど先生御指摘のように、大学や国の機関、あるいは地方自治体、関係する民間企業等において火山や防災等の関連分野の職に就いていると承知しております。

 文部科学省といたしましては、今後も、関係機関と連携し、火山専門家の人材育成あるいは確保に努めてまいります。

西岡委員 これまでも議論になっておりますけれども、やはり、大学におけます研究者の待遇改善や安定的な研究に従事できる環境整備、これも大変重要だと思いますので、このことも引き続きお取り組みをいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 次に、やはり火山研究開発に係る安定的な財源措置が必要だというふうに考えますけれども、火山研究関連予算の推移についてお伺いをしたいというふうに思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 国の地震火山観測研究計画を実施している政府機関、国立研究開発法人、大学等におけます火山研究関連予算につきましては、直近五年間では、平成二十八年度は約六十三億円、平成二十九年度は約七十億円、平成三十年度は約六十三億円、令和元年度は約八十億円、令和二年度は約五十五億円となっております。

西岡委員 一方で、国立大学が独立法人化をしたために、研究成果がなかなかすぐに発出することができない火山分野のやはり研究費が減少しているという指摘もございます。この火山分野の研究につきましては、住民の生命また様々な財産に係る問題でございますので、しっかり必要な予算を措置していただくことが必要であるというふうに思います。

 続きまして、早期の情報提供によって早期に避難に結びつけるためにも、予知、予測技術の精度の向上の取組が大変重要だと思いますけれども、このお取組についてお伺いをいたします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 火山災害の軽減に貢献するために、火山噴火の予測技術の向上に向けた研究開発を推進することは重要と認識しております。

 このため、文部科学省では、先ほど来申し上げております総合プロジェクトにおきまして、素粒子を用いた火山透視技術など、新たな火山観測の技術を開発し、噴火予測の高度化を目指すとともに、数値シミュレーションによる噴火ハザード予測など、火山噴火の予測技術の精度向上に資する開発を取り組んでおります。

 また、防災科学技術研究所におきましては、先端的な火山観測の技術とシミュレーションの連携による即時予測技術や、火山活動の評価等に関する研究開発を実施しております。

 文部科学省といたしましては、今後も、火山噴火の予測技術の向上に向けた研究開発を推進してまいります。

西岡委員 時間となりましたので質問できませんでしたけれども、避難確保計画の策定が進んでいないという現状もございます。このことにもしっかりと国として支援をしていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮内委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、長年の懸案である請願の扱いについて聞きます。

 資料一を見ていただきたい。今年三月二十二日の当委員会における私立学校法改正案の私の質疑の議事録であります。

 毎年膨大な数の私学助成増額を求める請願が国会に寄せられ、この請願の紹介議員にはほぼ全ての会派の議員が名前を連ねながら、会期末には委員会審議もないまま採択されずに終わってきたことを取り上げ、これほど憲法十六条に定められた国民の請願権を愚弄する話はないと指摘をいたしました。

 質疑でも、経常経費二分の一目標という附帯決議がありながら、一九八〇年の二九・五%をピークに、私立大学等における経常費補助の補助割合は下がり続けてきたことを示しましたけれども、この度、文部科学省から、二〇一五年度までの作成資料と同じ整理で私学振興・共済事業団が作成した資料というものが提出されました。

 資料二がそれであります。二〇一五年度に初めて一〇%を割り込み、九・九%となりましたけれども、その後も減り続けております。

 文部科学省、提出資料によると、赤い字で示した条件付ではありますけれども、二〇二一年度の補助割合は何%になっておりますか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねございました経常的経費に占めます私立大学等経常費補助金の割合につきましては、この経常的経費の範囲、これは様々考えられたところでございますが、平成二十七年度までに作成した資料と全く同じ方法で計算した場合、すなわち、法人経営の視点から、例えば役員報酬なども含んだ形で計算したものでございますが、令和三年度の割合は八・九%となってございます。

宮本(岳)委員 この六年間で更に一%も下がったわけですね。

 私立大学はもちろん、高校以下、全ての私学助成の拡充は党派を超えた喫緊の課題だと思います。私学助成拡充の請願署名に取り組んできた団体からは、一九七一年以来、その団体の集計では、私学助成拡充を求める署名は何と五億八千万筆に達している、こういうふうにお伺いをいたしました。

 今日は調査室に御答弁いただくことを了承いただいておりますが、調査室に聞きますけれども、第百七十国会以降で累計何筆の請願が提出されたか、私学助成に関わって。御答弁いただけますか。

中村専門員 お答えいたします。

 百七十回国会からということでございますと、受理いたしました請願の中から、私学助成の充実というものを求めるものであるということが一見して明らかなもの、それだけを取り上げて集計いたしましたところ、平成二十年、二〇〇八年の百七十回の臨時国会以降、昨年の二百十回臨時国会まで、おおむね十四年間ということでございますが、該当する請願が九十六種千七百九十七件でございまして、請願署名者の合計は三千九百三万六千三百五十五名となっております。

宮本(岳)委員 およそ四千万筆なんですね。恐らく最大数集まった請願署名の一つではないかと思います。

 では、この請願は過去に採択されたことはないのか。

 資料三を見ていただきたい。豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願、これが二〇〇八年の第百七十臨時国会で採択をされております。

 調査室に重ねて聞きますが、百七十国会のこの請願以降で同趣旨の請願が当委員会で採択されたことはないと思いますが、間違いないですね。

中村専門員 お答え申し上げます。

 百七十回国会以降、採択された請願はございません。

宮本(岳)委員 十四年間、四千万筆もの請願が、ほとんど全会派の議員が紹介議員となって提出されながら、採択されずに来たわけです。今国会こそ、この私学助成拡充のみんなの願いの請願が採択できるように、是非真剣な検討を各会派にお願いをしたいと思います。

 さて、本年三月、BBCがジャニーズ事務所創業者による性加害問題を報じ、国内でも大きく取り上げられました。ジャニーズ事務所の現社長が謝罪、回答する事態となり、事務所は相談窓口や再発防止特別チームをつくると言います。

 しかし、これは創業者個人の問題で済ませられる問題ではありません。世界的にはミー・トゥー運動などが起こり、日本国内でも映画監督による性加害を俳優たちが告発するなど、文化芸術の分野における性加害、暴力の問題は深刻であります。

 先ほど大臣も性暴力は魂の殺人と答弁されておられましたが、文化芸術分野、エンタメ業界だけは特別というわけではなく、ハラスメント、暴力は決して許されない、あってはならない。まず、この認識は、大臣、よろしいですね。

永岡国務大臣 やはり、どういう業界にありましても、性暴力、性被害を、被害者を生むということはあり得ないことだと思っております。

宮本(岳)委員 資料四は、去る五月十七日の衆議院法務委員会、我が党の本村伸子議員の会議録であります。

 本村議員が、文化芸術分野における性暴力を根絶するために、検討会などを開いて対策を強化するべきではないかと問うたところ、和田内閣府副大臣は、「事、文化芸術分野に関しましては、文化芸術分野を担当する文化庁におきまして、制作や実演の現場において、性的な言動等を含むハラスメントに関する問題も生じていることを踏まえ、昨年公表した文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインにおいて、安全衛生に関する事項を示すなどしていると承知をしております。」と答弁をいたしました。

 文化芸術分野における性暴力を根絶するために、文化庁はどのような取組をしておりますか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の法務委員会におきます内閣府副大臣の御答弁では、御提出の資料にありますとおり、内閣府のほか、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省から成る関係府省会議におきまして、性犯罪・性暴力対策の更なる強化方針が取りまとめられたこと、また、分野を問わず、社会全体で認識を共有する必要があり、必要に応じて関係者間で強化を図っていくこと、そして、その上で、文化芸術行政に関しましては、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインにおいて、安全衛生に関する事項を示すなどしていると承知していることから、そうした取組を踏まえ、よく連携して取り組んでまいる旨、御答弁されたものと承知しております。

 このように、文化芸術分野における制作や実演の現場におきましては、性的な言動等を含むハラスメント、あるいは、そのほかにも、契約の書面化が進んでいないとか、深夜、早朝の過重業務があるなど、様々な問題があることを踏まえまして、文化庁では、有識者による検討を経まして、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン、これを公表しまして、現場の安全衛生に関する責任体制確立のため、芸術家等の安全衛生管理を行う者を置くことが望ましいと示したところでございます。

 その上で、研修会等を通じ、ガイドラインの普及啓発を行うなど、業界内での取組を呼びかけているほか、契約に関する相談窓口において弁護士による相談対応を行うこととしておりまして、その内容に応じましては、関係法令に基づく適切な対応がなされますよう、適切な機関につなぐということなどに取り組んでいるところでございます。

 このように、文化庁といたしましては、今後とも、こうした研修会や相談窓口などを通じましてまず解決を図りますとともに、必要があれば現場の事業や問題点を関係当局へもしっかりつなぐことによりまして、芸術家活動の環境改善に取り組んでまいりたい、このように考えております。

宮本(岳)委員 今の答弁にありましたように、文化庁は、二〇二一年九月、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議を設置をし、二〇二二年七月二十七日には、ここにあります、この文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン(検討のまとめ)を公表いたしました。

 業務発注者に比べ、芸術家等は極めて弱い立場にありますから、文化芸術分野は、契約内容を書面で取り交わす、これは大事ですけれども、それさえされていない現状があったわけであります。

 明確化のための契約の書面化を進め、契約書のひな形を解説などの方策でお示しをするという、これがこのガイドラインの目的だと思うんですが、間違いないですね。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、そのガイドラインを基に、しっかりやってまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 文化庁は、このガイドラインの取りまとめに先立って、パブリックコメントを募集いたしました。パブコメでは、所属事務所とタレント、実演家の関係についても意見が出されております。

 特に実演家は、多くの場合、いわゆる芸能事務所に所属していることから、事務所と実演家との間の契約関係の適正化も求められる、マネジメント契約について今後検討すべきとの意見が出され、文化庁の考え方として、御意見を踏まえ、いわゆるマネジメント契約について、本ガイドラインでは言及していませんが、契約の書面化の推進や取引の適正化の促進など参考にできるところは考慮していただきたいと追記しました、文化庁としては、パブリックコメントの御意見を踏まえ、今後も必要な検討を随時行ってまいりますと書かれてあります。

 では、どのような検討を進めておられるのか、お答えいただけますか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきましたガイドライン、今そういう形で公表されて、今、実施という段階でございます。

 そこのところにも書かれておりますように、いろいろな問題、これからも出てくると思いますので、それは必要に応じまして、しっかりと、また、どのような形で取り上げていくかというようなことは考えなければいけない、そのように思っております。

宮本(岳)委員 必要が生じているから、今ここで取り上げているんですけれどもね。

 文化庁は、ガイドラインの作成に先立って、文化芸術活動における契約関係についてのアンケートを実施をいたしました。

 依頼者、発注者との関係で、危険を感じることやハラスメントを受けることがあったの項目は、全体で三一%、俳優で五二%あり、契約書に記載、契約時に提示されることが望ましい項目としてハラスメントと回答したのは、全体で四三%、俳優で六八%でありました。

 この「表現の現場」ハラスメント白書二〇二一は、二〇二〇年十二月から二一年一月の僅か二か月の間の調査でありますけれども、千四百四十九名の回答があり、このうち、何らかのハラスメントを受けた経験があると回答したのは、何と千百九十五名で八二・五%。セクハラ経験が約八割、パワハラ経験は実に九割に上っております。

 セクハラ被害の特徴を見ますと、体を触られた、望まない性行為を強要されたなど、性犯罪にも当たる可能性のある性被害を受けた人もおります。そして、性的な内容を含む作品を断りなく、無理やり見せられた、制作上の演出やアートであることを理由とした性被害に遭った、こういう表現の場に特有の被害についても、この調査は結果の中で触れております。

 文化庁に聞きますけれども、文化芸術分野においてもハラスメント、暴力は許されず、性暴力を根絶する、当然ですけれども、そのためのガイドラインを作ったというのであれば、そうした実態について調査をして、つかむ必要があるのではありませんか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のような性被害や性暴力といったような問題、ハラスメントの問題、それはあってはならない、まず、これは文化庁もそのように考えているところでございます。

 ただ、今回、こういうような性被害、性暴力のような問題は、御案内のとおり、関係者の人権や人生、あるいは関係団体の方の運営、社会的信用にかなり大きな影響を与える問題でございまして、いろいろな法的な訴えなどにつながるおそれもあります。

 こうしたことから、やはりそこはしっかりと慎重に対応していく必要がございまして、文化庁が今取り組んでおります相談窓口を通じまして、まず事案をしっかり調べながら、弁護士など専門家のアドバイスもいただきながら、いろいろ解決していくと同時に、その中で重大な事案があれば、それを、調査というよりはむしろ捜査に近いようなこともありますので、そういった内容に応じまして、適切な機関、当局へつなぐといったような動き方となるものではないかと考えておりまして、いずれにしても、関係法令に照らした適切な判断、対処につなげていくという手法まで考えていくということが適切と考えております。

 したがいまして、調査という御質問でございますけれども、我々は、そこまで、かなり難しい問題ということを意識しながらの対応と考えますと、今申し上げた、丁寧な、一つ一つのまず事案の御相談にあずかりながら、しっかりと対応していくという手法を考えているところでございます。

宮本(岳)委員 私は一つの思いがあるんですね。二十三年前に週刊文春がこれを報じたわけですよね。そのとき、阪上善秀議員が国会でジャニーズ問題を取り上げた。私はその議事録もここに持っておりますけれども。結局、たらい回しなんですよ。順々に聞いていくんですけれども、自分のところがそのものずばりではないということで、今答弁もありましたけれども、要するに責任転嫁が繰り返されてきた。その結果、ジャニーズ問題のような極めて深刻な問題が解決されないまま、子供や若者たちの心と体を傷つけてきたわけですね。

 今日はもうそういう言い逃れは許されないと思いましたから、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター事業を行っている内閣府からも、また、子供の性被害防止プランを担当しているこども家庭庁にも来ていただいております。

 それぞれに簡潔に聞きますけれども、今回のジャニーズ問題のような文化芸術分野や芸能界の性犯罪や性被害の防止について、あなた方の役所が責任を持つということになるんですか。それぞれ。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、どのような分野でありましても、性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与える行為であり、あってはならないものです。一方で、被害に遭っても、誰にも相談できず、適切な支援を受けられない状況もあるものと認識しております。

 内閣府としましては、本年三月に取りまとめました性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針に基づきまして、関係省庁と連携して、子供、若年層を始めとする多様な被害者を念頭に、ワンストップ支援センターを始めとする被害申告や相談をしやすい環境の整備、社会全体への啓発など、性犯罪、性暴力対策の強化や子供の性被害の防止に取り組んでまいります。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 性犯罪、性暴力は、子供の心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではございません。

 本年四月に発足したこども家庭庁に、委員御指摘のとおり、昨年取りまとめられた子供の性被害防止プラン二〇二二が移管をされたところでございまして、これらに基づいて、関係省庁と連携をし、子供や保護者が相談しやすい環境の整備や、同意のない性的な行為は性暴力、被害者は悪くないという社会全体への啓発によりまして、被害者が声を上げやすくする施策を推進するところでございます。

 各省庁で設置をしております既存の相談窓口等の更なる活用、周知等によりまして、被害に遭っても声を上げにくいという当事者の心情にもしっかりと寄り添うことができるように努めてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 とにかく、いずれにしても許されないことだと、それはみんな言うんですよ。言うんだけれども、じゃ、本当に責任を持って進める体制が整っているかというと、各省連携と。それは、連携が必要なことは言うまでもないんですが。

 これがその子供の性被害防止プランというものですが、ここには、児童の性的搾取等に係る対策に関する関係府省庁連絡会議が定期的に開かれるということも出てくるんですよ。しかし、この芸能界の問題、今問題になっていることについて、やはり、連携と言うならば、連携して取り組む体制が要ると思うんですね。文化庁は、文化芸術分野を担当し、実演家を守るという立場から、主体的に取り組む必要があると思います。

 大臣に聞くんですけれども、ジャニーズ問題を発端とする文化芸術分野の取組を省庁横断的に対応していくために、文部科学大臣自ら、関係閣僚会議のような取組を問題提起すべきではありませんか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 議員御指摘の、今回のジャニーズ事務所の問題に限らず、文化芸術分野におきまして、性的な言動等を含みますハラスメントというだけではなくて、契約の書面化ですとか、これも進んでおりませんし、また深夜、早朝の過重業務など、様々な問題が生じていることは承知をしております。

 文化芸術分野で生じた問題の解決に向けましては、文部科学省は、関連法令等を所管します省庁へつなぎまして、それぞれが連携しながら適切な対応をしていくというものが重要と考えております。しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 法的な対応ができないというのは、これは、ある面、公になり、また、それぞれの方の証拠というものがないので、なかなか難しいのかなとは思っておりますが、反対に、ハラスメントはいけないよという広報ですとか、そういうことも含めまして、対応というものはしっかりと考えてまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、一昨日、国会内でのヒアリングに参加された元ジャニーズの二本樹顕理さんは、十三歳だった当時、在籍当時、ジャニー喜多川氏から十回以上の性被害を受けたと証言をされました。

 現在、性交同意年齢を十三歳から十六歳に引き上げる刑法改正が国会にかかっておりますけれども、十三歳といえば、現状でも完全にアウトなんですよ。仕事がもらえなくなることを恐れて拒絶できず、誰に相談してよいかも分からなかったと語っておられます。

 先ほど大臣も、性暴力は魂の殺人とおっしゃいました。ジャニーズ問題にとどまらず、文化芸術分野でのハラスメントや暴力について、早急につかみ、関係閣僚会議等で速やかに対策を打ち出すことを強く求めて、私の質問を終わります。

宮内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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