衆議院

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第2号 令和5年11月8日(水曜日)

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令和五年十一月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 池田 佳隆君 理事 尾身 朝子君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      井出 庸生君    上杉謙太郎君

      勝目  康君    岸 信千世君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    島尻安伊子君

      鈴木 貴子君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    西野 太亮君

      根本 幸典君    船田  元君

      古川 直季君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    牧  義夫君

      吉川  元君    中嶋 秀樹君

      早坂  敦君    藤巻 健太君

      堀場 幸子君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   文部科学副大臣      青山 周平君

   文部科学副大臣      今枝宗一郎君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   文部科学大臣政務官    本田 顕子君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         平池 栄一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原  典久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河合  暁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     島尻安伊子君

  中曽根康隆君     本田 太郎君

  三谷 英弘君     西野 太亮君

  堀場 幸子君     中嶋 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  島尻安伊子君     鈴木 貴子君

  西野 太亮君     三谷 英弘君

  本田 太郎君     中曽根康隆君

  中嶋 秀樹君     堀場 幸子君

    ―――――――――――――

十一月七日

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官平池栄一君、内閣府大臣官房審議官原典久君、総務省大臣官房審議官河合暁君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長寺門成真君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君、文化庁次長合田哲雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 自由民主党の山田賢司でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先日の盛山文部科学大臣の所信説明、さらには今般の経済対策における文部科学省所管分野について、関連して質問させていただきたいと思います。

 まず、国策として進めているGIGAスクール構想の一環として、一人一台端末を配付する、この一人一台端末の更新を安定的、継続的に進めていくために、地方自治体に基金を設けて整備をしていく。

 これに関連いたしまして、一人一台端末を利用した授業、これは個別最適な学びと協働的な学びを進める方針ということで進められているかと思います。タブレットを利用することによって様々、紙だと分からないものが、図を作ってみたり、動画をやったりとか、あるいは、インタラクティブ、双方向での授業だと様々な使い方ができるということで、私自身は、これは大変有効だというふうに考えております。

 一方で、世間では、教育現場において、先生の教え方どおりの解き方をしないと正解にしないであるとか、先生が説明している問題から勝手に進んでしまってはいけないと言われる場合なんかもあるというふうに聞いております。

 画一的な教え方によって個々の生徒の意欲や個性が失われないようにしていただきたいと思いますが、個別最適な学びという考え方、これは実際の教育現場では共有されているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、文部科学省では、公教育の必須ツールである一人一台端末を活用し、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す、令和の日本型学校教育の実現に取り組んでいるところでございます。

 これには、子供たち同士が互いのよい点や可能性を生かしながら一緒に学ぶ協働的な学びに加え、多様な子供たちの一人一人の特性や学習の進度等に応じた個別最適な学びが不可欠というふうに考えております。

 こうした学びを学校においてもより実現しやすくするため、文部科学省におきましては、小学校における三十五人学級の計画的整備、高学年教科担任制の推進等の教職員定数の改善、支援スタッフの充実を図るとともに、一人一台端末を活用し、子供たち一人一人の学習進度や興味、関心等に応じた実際の指導事例の紹介等に取り組んできておりまして、さらには、令和六年度の概算要求でございますが、具体的な実践を促進するための、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実のための指導の手引きの開発に必要な経費を計上しているところでございます。

 道半ばということではございますが、現在、先進的な取組や様々な工夫された取組が徐々に広がってきているというものと考えておりまして、今後とも、全国の学校現場で協働的な学びとともに個別最適な学びが充実するよう、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 使い方によっては本当に有効なものですが、使わないと全く意味がないと考えております。

 資料一を御覧いただけますでしょうか。多くの学校現場で一人一台端末の利活用が進んでいる一方で、九つの県では、授業での活用が月一回未満と答えた学校が存在しております。これらの学校ではなぜ活用されていないのか、その原因を個別に調査して把握をしているのか、これは文科省に伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 一人一台端末の活用頻度が低い自治体で取組が進んでいない背景といたしまして、端末活用の意義や指導方法が十分浸透していないこと、また、指導者用端末が十分整備されていないというところもございます。さらには、ネットワーク環境が十分に整っていないなど、様々な課題があると承知しているところでございます。

 こうした格差を是正するため、文部科学省におきましては、各自治体から課題をきめ細かく聞き取りまして、具体的な改善策を提案するなど、伴走支援の取組を抜本的に強化しているところでございます。

 今後は、今月二日に閣議決定されました経済対策の内容を踏まえまして、必要な予算を確保しながら、ネットワークアセスメントの促進、全額国費によるアドバイザー派遣、指導者用端末の整備に関するハイレベルでの首長への直接的な働きかけ等の取組を加速させてまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 是非、せっかく国費で投入して端末を配付するわけでございますから、倉庫に眠ったまま使われることがないということのないように。もちろん、使う意思はあるんだけれども、使いこなすノウハウがないという自治体にはしっかりサポートをしていっていただきたいと思います。

 一方で、ある県では、報道によれば、大量の端末が故障して授業で使えなくなったという例なども報告をされております。これは高校の例だというふうには聞いておりますけれども、小中学校においては、国費でやはり整備していくので、安易に粗悪品をそろえて実際に子供たちが使えなくなって困るということがないようにしていただきたいと思います。

 自治体の裁量というのは当然あってしかるべきだとは考えますが、国費で投入して整備を進める以上、一定の安全性や信頼性など基準を示して質を担保すべきだと考えますが、文科省の見解をお聞かせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、端末の故障が多発している事案については、文部科学省としても承知しておりまして、私もあした、その事情を直接お聞きすることとしております。

 文部科学省といたしましては、GIGAスクール構想の一人一台端末の整備に当たり、各自治体が仕様書を作成する際の参考とする標準仕様書を示してまいりましたが、これはいわゆるパソコンのスペックにとどまるものでございました。今後の端末更新に向けては、今般の事例も十分に検証の上、議員御指摘の信頼性や安全性の観点も含め、丁寧なガイドラインをしっかりと示してまいりたいというふうに考えております。

山田(賢)委員 続きまして、文化芸術に関連して御質問させていただきたいと思います。

 文化芸術というのは、決してぜいたく品とかぜいたくなものということではなくて、人が人として生きていくためになくてはならないものだと考えております。

 実は、日本には、漫画、アニメ、それから音楽、現代アート、さらには伝統芸能を含めて、様々な、世界に誇るべきすばらしいコンテンツがたくさんあります。これをしっかりと支えていくことが必要です。なくならないように保存するというだけではなくて、これは日本の成長分野にもなり得る分野と考えております。

 今般、この点を踏まえて、政府の経済対策におきましては、クリエーター等の育成あるいは文化施設の高付加価値化に関連して、弾力的かつ複数年度にわたって支援ができるよう基金を設けられることとされたと伺っております。世界に誇る日本のコンテンツを生かして、文化芸術を是非日本の成長の原動力としていただきたいと考えますが、文科省の見解をお聞かせください。

盛山国務大臣 日本の漫画、アニメ、音楽、現代アート、伝統芸能等のコンテンツは、海外でも高く評価されまして、我が国への理解や関心を高める役割を果たしており、委員おっしゃるとおり、我が国の成長の原動力であると認識しているところです。

 また、我が国の博物館、美術館や劇場などの文化施設は、様々なコンテンツを所蔵、展示、上演し、ソフトパワーの発信の場として重要な役割を担っております。

 今般の総合経済対策におきましては、与党における御議論も踏まえ、次代を担うクリエーター、アーティストの育成や、作品や資料等のデジタルアーカイブ化を含めた博物館等の文化施設の機能強化について、独立行政法人日本芸術文化振興会を活用して弾力的かつ複数年度にわたって支援することが盛り込まれております。

 文部科学省としましては、基金を活用した複数年度にわたる支援を通じて、クリエーター、アーティストの育成や、その活躍、発信の場でもある文化施設の機能強化を進め、文化と経済の好循環の実現に向けて取り組んでまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 是非進めていっていただきたいと思いますが、基金に関しては大変逆風な中での新たな設置ということになりますので、これは我々しっかり応援をさせていただきますけれども、これが無駄にならないように、そして、無駄にならないだけではなくて、しっかりと意味のあるものにして、日本の文化が成長の原動力となるように、文科省におかれても是非取り組んでいっていただきたいと思います。

 続きまして、いじめ、不登校に関してちょっと御質問させていただきたいと思います。

 順番が前後しますが、資料四を御覧をいただきたいと思います。令和四年度のいじめ、不登校に関する調査によりますれば、不登校が約三十万人になったと報告をされています。三十万人になったということは大変憂慮すべき事態ではありますが、これはむしろ、今まで出ていなかったものが顕在化しているということが、認知の数が上がること、これ自体が直ちに駄目だということではなくて、その背景をしっかりと分析する必要があると考えております。

 この資料四を見ていただくと、不登校の要因として、五一・八%、約半数以上を占めているのが、本人に係る状況の無気力、不安ということで、本当かなという気はするんですけれども、よく言われる、いじめられている子が、いじめられないように、学校に行くと命の危険、けがをさせられる、身体の危険にさらされる、物を取られるといったことのないように避難している場合もあろうかと思います。

 ところが、いじめというのは、この表を見ていただくと、〇・二%、約六百七十四件。余り実感として、合っているのかなという気もするんですが、どうも学校現場では、概していじめというものを認めたがらない傾向があるのではないかというふうに考えております。

 この無気力、不安というのは、あくまで結果であって、原因ではないと考えております。この無気力、不安五一・八%の中には、実は、いじめであったり、あるいは家庭環境、勉強についていけないなど、様々な要因があるはずだと考えております。

 なぜ無気力、不安となっているのか、その原因を分析すべきと考えますが、文科省、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 今御指摘のございましたとおり、文部科学省における令和四年度の問題行動等調査によると、不登校の要因の半数以上が無気力、不安という結果が出ていることを踏まえまして、本年三月に策定したCOCOLOプランにおきまして、児童生徒の不登校となった要因等を把握するということとしております。

 それを踏まえまして、今年度の委託事業といたしまして、児童生徒本人や保護者、教職員等に対してアンケート調査、問題行動調査は教育委員会等を通しての調査でございますが、児童生徒本人や保護者、教職員等に対するアンケート調査を令和四年度の問題行動等調査と関連づけて実施いたしまして、不登校の各要因の実態の分析等を現在行っているところでございます。

 引き続き、児童生徒一人一人の状況に応じた支援を行うことができるよう、状況の把握を含め、必要な対策をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 まず不登校ということをしっかりと受け止めるということは大事ですけれども、それで終わらすことなく、多くなったな、増えたなで終わることなく、しっかり、どういう原因なんだと、その原因を突き詰めて、原因を取り除いていく、そのことによって不登校を解消していくということが重要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、いじめに関連して、これまた順番が逆になりますけれども、資料三を御覧いただけますでしょうか。まず、重大事態の発生件数が九百二十三件となった。これも大変多いというふうに報道されているんですが、私は実はこの数字は少ないと見ております。少なくていいという意味じゃないですよ。重大事態扱いされているのが少ないのではないか。

 この資料三の一番下、黄色で塗っておりますけれども、ひどくぶつかられたり、たたかれたり、蹴られたりするというのが四万四千件。金品をたかられる、六千件。金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりするが三万七千件。嫌なこと、恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする、六万八千件。パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされる、二万四千件。これだけでも、合わせると十七万九千件になっております。

 これらは犯罪に該当するような行為も含まれており、これだけのことをされているのに、学校現場では重大事態として認められていないんです。実際の被害実態に対して、重大事態の認定が低過ぎるのではないか。文科省のお考えをお聞かせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめ防止対策推進法に基づき、本人が心身の苦痛を感じているものは積極的にいじめとして認知するよう求めておりまして、これには、ささいな事案も含めて、法の定義に該当するものは全ていじめの認知件数に含めているところでございます。

 他方、法や国の指針の認識不足により、重大な被害が生じた疑いの段階から重大事態として取り扱っていない事案なども発生しておりまして、今委員が御指摘になったように、重大事態として取り扱うべきものについて適切に取り扱っていない事案があるといった課題もあると考えております。

 こうした認識の下、文部科学省では、法や国の指針について学校現場への周知徹底を行うため、今年度から、各教育委員会等に対する説明会の開催を拡充するとともに、重大事態調査報告書の収集、分析を行いまして、いじめの早期発見や重大事態対応について、法律に沿った適切な対応がなされるよう、全国的な対策の改善強化を図ってまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 文科省さんはやっておられると思うんですよ。ただ、この話って今に始まったことではなくて、令和四年度の調査報告が出て初めて発生した話ではなくて、毎年毎年この報告が出ても、この件数というのは減っていないという事態。さらには、これだけの犯罪行為が行われているのに、学校現場では重大事態として認識をされていないということ、これが問題ではないかというふうに考えております。

 いじめという言葉一言でくくられて、一くくりにされているんですけれども、仲間外れにされたとか仲よくしてもらえないというレベルの話ではなくて、先ほど申し上げたような行為というのは、暴行罪、傷害罪であったり、窃盗罪、恐喝、そんなものであったりする、犯罪行為に該当するようなものだと思っております。

 こういったいじめの態様別の分析で、犯罪行為に該当するようなものが多数を占めている一方で、警察に相談したり通報した件数、これは資料二を見ていただければ、小さい字で恐縮なんですけれども、僅か二千件なんですね、二千十四件。

 刑事訴訟法二百三十九条二項では、公務員には犯罪の告発義務というものがあるはずです。被害児童生徒の生命身体を守ることを最優先として、触法行為を含めて、犯罪に該当するような行為を発見した場合には、速やかに警察に相談、通報して連携をすべきと考えております。

 この点、文科省におかれては、二月に各都道府県や教育委員会等宛てに通知も発出されていると伺っております。通知を出しただけで終わるということではなくて、これをしっかりと実行されるように各自治体に徹底していただきたいと思いますが、文科大臣、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、犯罪行為に相当するいじめに対しては学校と警察が密接に連携して対応することが必要で、当省では、本年二月に、犯罪に相当するいじめ事案については、直ちに警察に相談、通報を行い、適切な援助を求めなければならないこと、個別事案に係る日常的な情報共有や相談を行うことができる連携体制を構築することなど、警察との連携の徹底を求める通知を発出しております。

 文部科学省としては、本通知の徹底を図るため、教育委員会向けの説明会の開催を昨年度より拡充して開催しております。そのほか、毎年度の調査において、いじめた児童生徒の対応として、警察に相談、通報した件数を把握するとともに、来年度の調査でありますが、警察との日常的な情報共有体制の構築状況について新たに把握することを検討しているところです。

 学校現場での取組状況を確認しつつ、確実な警察との連携の実施を図ってまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 町中で人を殴ったりすると犯罪で捕まりますし、町中で人の物を取ったら窃盗罪で捕まるんですけれども、学校だと、何となく、いじめという言葉で、いじめはやめようとふわっとした言葉で、お互い注意してみたいな話で終わってしまうので、犯罪行為は犯罪行為としてしっかりと防止していく、これが被害児童を守ることであり、また、加害児童についても、更なる犯罪に手を染めていかないためにも、早期の段階で教育、矯正していくという意味でも警察と連携していく、このことを徹底していただきたいと思っております。

 公教育の再生ということで、教師の働き方改革、あるいは一人一台端末を活用した学びの質の向上、さらには学校現場の安全、安心の確保、こういったことを含めて、公教育の再生に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 以上申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、岸信千世君。

岸委員 よろしくお願いいたします。本日は、こうした機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の岸信千世です。

 今、山田先生からもいろいろとお話がありましたけれども、岸田政権が掲げるこどもまんなか社会、この実現のためには、子供の様々な学びの場というものをしっかりと整える必要があると思います。また、そうした中で、教育の環境を整えるということも必要なんだと思います。そんな中で、今、全国的な教員不足、これについての取組についてお伺いをいたします。

 文部科学省の調査によれば、令和三年度の始業日の時点において、小中高等学校そして特別支援学校で二千五百五十八人の欠員が生じており、その後、令和四年度及び令和五年度の当初について行った調査でも、依然として厳しい状況があることが明らかとなっています。特に、都市部に比べ地方は、全体的に、少子高齢化、人口減少により、教員そもそもの担い手が不足をしております。人材確保の状況というものもますます厳しくなっております。

 一方で、さきの財政制度等審議会の分科会においては、教員の不足の要因の一つは、近年の大量退職そして大量採用に伴う若手教員の産休や育休取得の増加による影響があり、そして新卒の採用もあるとされています。しかし、新卒の採用試験、これの受験者数は一定数を維持しているという結果も出ています。今後は、定年延長の期間もあり、退職者が減少することで、教員不足は緩やかに改善する見込みという指摘もあります。

 とはいえ、その年その年の違いで、教員の増減により、子供の教育環境にばらつきが出てはいけないと思っております。現状の教員不足、こうしたところにもしっかり対応しなければなりません。これはかなり都市部と地方で地域差があると思いますけれども、現状のこの教員不足の状況、これはどのように認識をして、これからどうやって対策を取っていくのか、中長期的視点も含めて取組をお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、教師不足につきましては、全国的に重要な課題であると認識してございます。

 今お話ございましたように、現在の状況といたしましては、大量退職、大量採用を背景としました産休、育休の取得者の教員の増加、あるいは、想定を上回る特別支援学校あるいは特別支援学級の増加に対応するための臨時講師の需要が拡大する一方で、正規採用者数の増加等によりまして臨時講師の供給が減少しているという構造的な要因によるものと認識してございます。

 このような緊急、臨時的な教師需要にも対応できる、なり手の厚みというものを我々は確保していくことが必要であるというふうに考えてございます。そのためには、学校における働き方改革、処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていくということが大事であるというふうに考えてございます。

 その上で、現下の教師不足に対応するために、まず、現在教職に就いていない免許保持者、特別免許状の活用を含む、新たな外部人材を発掘することが必要であるというふうに考えてございます。

 また、今御指摘ございましたように、新規学卒での受験者数の動向といたしまして、過去五年の推移を見ますと、小学校が横ばい、中高は減少傾向にあるところでございます。本年七月に教育委員会に対しまして今後の教師の採用見通しを調査いたしましたところ、先生御指摘のように、地域によって若干ばらつきはございますけれども、全国的に大量退職のピークを過ぎているということ、あるいは定年延長もあるということでございまして、今後、先ほど申し上げました退職者数と採用者数のバランスというのが徐々に解消されていくものというふうには考えてございます。

 ただ、採用者数の縮小というものがありますけれども、これが、採用倍率が、改善はするものの、地域によってはやはり状況が異なるということもございます。そのため、教師不足が全体的に解消するかどうかということに関しては、予断を持って申し上げることはできないというふうに考えてございます。

 いずれにしましても、文部科学省といたしましては、教師のなり手を十分に確保して、教師を目指す志の高い方に学校現場に入っていただくということが大変重要であるという認識の下で、教職の魅力向上、学校における職場環境の改善等に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

岸委員 ありがとうございます。

 この教員不足というものはなかなかすぐには解決できない問題かと思いますけれども、しっかりと、その機運を醸成したりとか、また教員のなり手ですね、もっと若い世代の人たちへの教育とか、そういった部分を充実させていくことも必要だと思いますし、また、教員以外でも、しっかりと学校の働き方というものをサポートできる人材というものはいらっしゃると思います。

 続いて、学校における働き方改革、そして教員の処遇、そして指導、運営の体制充実等についてお伺いしたいと思っております。

 学校における働き方改革にいたしましては、平成三十一年の中教審の答申等を踏まえて取組が進められていると承知しておりますけれども、文科省の令和四年度教員勤務実態調査によれば、平成二十八年度の調査との比較において、教員の時間外勤務の状況が一定程度改善したという結論が出ている一方で、依然として、長時間の勤務、これの教員が多い実態が明らかとなっています。

 全日本教職員連盟からの要望等々でもいろいろとお話があったんですけれども、令和元年から令和四年度の四年間、教員業務支援員を派遣、配置した小中学校の教員に対して一週間の勤務時間を調べました。そうしたら、配置前は平均大体五十時間、一週間で五十時間。それは、令和四年度には四十五時間と、大体約五時間程度の短縮が見られています。

 確かに、教員業務支援員というものをしっかり配置すると、元々いらっしゃった教員の方々の負担というものが確かに低減されていると思いますけれども、依然としてまだまだ不十分な面もあると思います。これもやはり、都市部と地方によってばらつきが出ている。例えば、そもそものこの支援員の確保自体ままならない、そういった地域もあるということで、こういうふうな人員が配置できるところについては効果が出ていますが、なかなか地域によってもばらつきが出ている。現状、こうした対策だけではまだまだ不十分、また、業務時間を教員だけで削減しようとしてもなかなか難しくなっているという、こういった現場の声もあります。

 これを、この支援員というものも更に活用していく、また、そこにしっかりと予算づけをしていくという方針があるのか。また、これは今ちょうど中教審でも議論がいろいろと行われていると思いますけれども、今後どういった取組をなされるのか。お伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 今委員から御指摘のあったとおり、四月に公表した勤務実態調査によりますと、在校等時間が減少しており、学校における働き方改革の成果が着実に出つつある、しかしながら依然として長時間勤務の教師も多いことから、引き続き取組を加速させていく必要があるということも認識しているところでございます。

 課題につきましては、八月の中央教育審議会の緊急提言でございますが、業務の精選、適正化については、一定程度進捗しているものの、これも委員から御指摘がありましたとおり、地方自治体や学校間の取組状況に差があること、持続可能な勤務環境整備等のための国による予算確保が必要であることなどが指摘されております。

 これらを受け、文部科学省としては、業務の精選、見直しのそれぞれの主体における具体的な対応策の例を速やかに示したほか、教師を取り巻く環境整備のための必要な予算をしっかりと確保できるように努めているところでございまして、引き続き、更なる学校における働き方改革の推進に向けて、文部科学省が先頭に立って必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 これは、教員不足というものも支援員の不足というものも、しっかりそういった人員不足というものを全体的に考えていかなければいけないんだろうなと思います。

 こうした教育現場、かなり人員が不足している、また、なかなか働き方改革が厳しい部分もあるという中で、学校の部活動の地域移行についてもお伺いをしていきたいと思います。

 今、先ほどまで申し上げましたとおり、なかなか、都市部と地方によって地域差がある、教育の格差もあるというところでありますけれども、昨今、教員の負担軽減、少子化などにより、学校の部活動、これは地域移行の取組が進められていると承知をしております。

 昨年十二月には、スポーツ庁及び文化庁により、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン、これが策定されました。令和五年度から令和七年度までの三年間、改革推進期間としてこれを位置づけ、まずは、休日の部活動の地域連携を、地域のクラブ活動へ移行される、こうした話になっています。

 これはまた、地域の事情に応じて可能な限り早期の実現をということになっておりますけれども、今、私の選挙区ではかなり、なかなか人口が減少しておりまして、なかなか厳しい実態もございます。今、令和七年度末に向けて、休日の部活動、これの外部移行が段階的に進められておりますけれども、学校関係者や地域のスポーツ団体等の代表者、この方と協議が今進められています。

 しかし、指導者への謝礼、また部活動費、そして新しい負担、こういったものが、例えば移動ですね、バスで全体的に移動しなければいけない地域ですとか、宿泊そしてスポーツ場の使用料等々、活動に必要な備品というものも、またスポーツごとに、またいろいろなクラブ活動ごとにいろいろなものがあると思います。これは参加者の負担になるという懸念もございます。このほか、指導者の時間の確保、こういったものもなかなか課題となっておりますし、日没後の活動を行う場合は、屋外の運動場、こうした照明設備の使用料というものもございます。

 地方公共団体側にもこうしたところで新しい負担が生じることも考えられますけれども、このような懸念を踏まえて、各地方公共団体、そして学校部活動の地域活動への円滑な移行、こうしたところをしっかりと財政支援をお願いしたいと考えておりますけれども、今、そこら辺はどういうふうな規模感でやられようとしているのか。現場の指導者の方々、またお子さんが不安にならないように、是非御教示いただきたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど指摘がございました、部活動の地域移行についてでございます。

 少子化の中でも、子供たちが、スポーツや文化芸術活動、こういった活動に親しむ機会を確保するため、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境の整備を進めていくことが極めて重要だと認識しております。

 このため、令和五年度から、部活動の地域移行等に向けました実証事業として約十一億円、これを計上し、例えば、運営団体の体制整備や指導者の確保、あるいは参加費の負担軽減の支援など、こういった各自治体の実情に応じた多様な取組を支援しているところでございます。

 また、令和六年度概算要求におきましては、実証事業の箇所数を増やすとともに、新たに、先導的に取り組む地域を重点的に指定いたしまして、広域対応を推進するための経費など約二十七億円、これを計上しているところでございます。

 加えまして、今ほど御指摘ありましたスポーツ用具や照明施設でございますが、これにつきましては、日本スポーツ振興センターの助成事業について支援を申し上げているところでございます。

 今ほど先生からいろいろな御指摘をいただきました。そういったことをしっかりと文科省として踏まえながら、引き続き、必要な支援、何ができるかをしっかり検討してまいりたいと思います。

岸委員 部活の地域移行というものは、なかなか、今までとは条件が違う、いろいろ子供のそういった取組の環境というものも変化しているという中で、大変お子さん方も不安に思う部分があると思います。

 実は、私も高校まで野球部に所属をしておりまして、部活動についてはそういう学校単位でやるものだと、昔の考えがありました。なかなかこれを地域に移行するということが、子供たちの考えとか、そういったところにも少し影響してしまうんじゃないかなと。例えば、学校単位でのスポーツの競技大会に出ていくときに、今までどおりの教え方をしていなければ、今までどおりに例えばスポーツに打ち込めない、そういう気持ちの部分でもケアが必要なのではないかなと思います。

 また、今、実証事業のお話が出ていましたけれども、今、なかなか、進行中の話だと思うんですが、具体的に何か所、全国でそういった実証事業を行う予定になっているのか、あとは、それがまた都市部と地域により箇所として差が出ていないか、こうしたところも伺っていきたいと思います。

 また、学校部活動の受皿となる地域クラブ、これがある地域とない地域、そもそも人口が少なかったりですとか、そういうふうな、教える、指導できる方がいらっしゃらない、そういった地域の方についてはどうしていくのか。また、外部からそうした人材を、コーチ、そういう指導者の方々、面倒が見られる方々を呼んでくる、そうしたところもしっかりとサポートができるのかということも伺ってみたいと思いますし、また、これは、子供たちが希望するスポーツとか希望する部活動というものを継続してやらせてあげるというのが地域移行するに当たっても大切になると思いますので、ここら辺のあたりの政策、何かありましたら教えていただきたいと思います。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 二点いただいたかと思います。

 一つは、実証事業の規模感でございます。お答え申し上げます。

 今年度の実証事業につきましては、運動部活動の地域移行につきましては三百三十九か所、部活動につきましては九十三か所で実施しているところでございます。その中で、他の地域でも十分参考となるような多様なモデル、こういったものが創出されつつあるものと認識しております。

 また、六年度概算要求につきましては、新たに、国レベルで課題を整理、検証するとともに、地域クラブ活動の多様なモデルやそれに至るプロセス、こういったものを分析、検証する経費、さらには、平日の移行も視野に入れた、休日と平日の一体的指導に係る、そういった経費も盛り込んでいるところでございます。

 今後、今申し上げました実証事業の評価、分析、あるいは課題の解決策の検討等を行い、その成果を自治体に示すことで、部活動の地域クラブの移行を推進してまいりたいというふうに思ってございます。

 加えまして、今、都市部と地方部の違いという御指摘がございました。まさに御指摘のとおりかと思っています。特に、地方におきましては、地域クラブ活動の運営主体であったり人材の確保については極めて難しいといった声も聞こえてきてございます。

 このため、六年度の概算要求におきましては、指導者の質の保障であったり量の確保とともに、自治体が多様な取組を支援する経費、これを拡充するとともに、あわせて、複数の自治体で共同の取組が可能となるような、そういった好事例などをあぶり出していく形で支援していきたいなというふうに思ってございます。

 また、これは文科省でございますけれども、地域スポーツクラブ活動アドバイザー事務局というものを設けてございます。こういったところに各自治体からのそういった生の声をいただきながら、しっかりとアドバイスさせていただき、連携、移行に向けた支援を行ってまいりたいと思います。

 先生お話しいただきました、今、ちょうど部活動は過渡期を迎えていると思います。働き方改革で始まりましたが、実際は、子供たちのスポーツや文化芸術活動に携わる時間であったりその機会が失われつつあるといった、そういった危惧の声も聞こえておりますので、そういったもろもろの大きな声をしっかりと受けながら、文科省としてもしっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

岸委員 ありがとうございます。

 教員の方も、今の働き方改革、不安に思っていると思いますし、また、お子さん方の部活動というものも、お子さん方の、今、十何年生きてきた中で、本当に一生懸命打ち込まれているという日々の活動だと思います。こうしたところをしっかり不安を解消していただくということも必要だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 一年間の総務委員長の任を終えて、一年八か月ぶりにこの文科委員会で質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、全ての子供たちに学びの扉が開かれている社会、そして一人一人に光を当てた教育、誰一人取り残されない教育の実現に向けた喫緊の課題について質問させていただきたいと思いますので、どうか大臣におきましては積極的な御答弁をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 まず、大学一年生の前期授業料の無償化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 家庭の経済的環境によって子供たちの進学が左右されることがあってはならないと思います。そのため、我々公明党は、高校教育から高等教育にわたり、奨学金や就学支援金の拡充に一貫して取り組んできたところであります。二〇二〇年度からスタートした高等教育に関する給付型奨学金、また授業料減免を行う修学支援新制度につきましては、公明党の強い働きかけにより、多子世帯や理工農系の分野に進学する中間層の学生さんまで拡大されます。

 しかし、ここにとどまっていてはいけないと思います。経済的な理由で学びを諦めることがない社会を構築し、安心感を持って子育てができるよう、二〇三〇年代までに大学等の高等教育の無償化を実現すべきであります。

 先月の二十六日、参議院の本会議において、我が党の山口代表は、まず入学金や教材の購入、転居費用などで特に経済的負担が大きい大学や専門学校等の一年生の前期分の授業料を無償化してはどうかという質問をさせていただきました。岸田総理からは、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めるとの答弁があったところでございます。

 多子世帯への支援、これはもちろん重大、大変大事なことであります。しかし、若い御夫妻は、扶養する子供が三人以上になると高等教育の授業料の支援が受けられるから子供を産み育てようと思うでしょうか。現場でお話をお伺いすると、教育費の負担が大きい、子供が欲しいけれども所得が十分でなくて、子供の希望をかなえる教育の投資ができないとのお声を多く聞いているところであります。

 少子高齢化の中で、盛山大臣の所信にも、公教育の再生は少子化対策と経済成長の観点からも重要ですとありました。まずは多子世帯世代をしっかり支えることを優先しつつ、今後、子供が何人であろうと、お金がかかる大学、専門学校等の一年生の前期は無償になるよう仕組みを構築することが必要だと思います。そのことが、結婚して子供を産み育てて、子供の学びたいという意欲に社会が応えてくれるという安心感にもつながると思います。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、年末に向けて、大学や専門学校等の一年生の前期分の授業料の無償化を検討するに当たっては、まず、多子世帯を対象とするならば所得制限は撤廃すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 また、多子世帯は、現在、扶養する子供が三人以上となっておりますけれども、子供が二人の世帯は授業料の半額を支援するといった仕組みも必要ではないでしょうか。

 以上二点について、大臣の御見解をお伺いいたします。

盛山国務大臣 浮島委員から二点の御提案をいただきました。

 一点目の、多子世帯の学生等を対象とした支援の所得制限につきましては、本年六月のこども未来戦略方針において、授業料等減免を対象に、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大も含め、更なる拡充を検討し、必要な措置を講ずることとしております。年末までに具体化を進めてまいります。

 二点目の、子供が二人の世帯への支援につきましては、実際の子供の数が理想の子供の数を下回る理由として教育費を挙げる割合、これは理想の子供の数が三人以上の場合、特に顕著でございます。少子化対策としての効果を考え、まずは子供が三人以上の世帯を対象としているわけです。

 今回の多子世帯の学生等への支援の考え方につきまして御説明したところでございますが、多子世帯支援に当たっては、所得制限を設けないことなどの委員からの御提案についてしっかり受け止め、対象年収の拡大も含め、検討してまいりたいと考えております。

浮島委員 提案をしっかりと受け止めていただくということで、ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 少子化対策といたしましては、まず第一子を産もうと思っていただくことが大切だと思っております。まずは多子世帯から穴を空け、そして、子供たちを持つことがしっかり計画が立てられるようにするためにも、第一子からも前期授業料の実質無償化を目指すべきであると思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

盛山国務大臣 高等教育費の負担軽減につきまして、当省としましては、まずはこども未来戦略方針の加速化プランに盛り込まれた内容を具体化し、しっかりと実行していくことが重要であると考えております。

 その後のことにつきまして、今の段階でお答えすることはまだちょっと困難でございますけれども、少子化対策の観点から、委員の御指摘を踏まえ、限られた財源の中でどのような子供、家庭を支援していくのが望ましいかという観点から考えていく必要があると考えております。

浮島委員 指摘をしっかりと受け止めていただいたと思わせていただくので、よろしくお願いいたします。また、総理の発言にも次元の異なる少子化対策という言葉がありましたので、是非とも大臣を先頭に頑張っていただきたいとお願いをさせていただきます。

 次に、公教育の再生についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先週の十一月の二日に閣議決定された経済対策においては、教育のDXフロンティア戦略の推進と文化芸術によるソフトパワーの形成、展開、また、教育DXフロンティアの戦略の推進を始めとする公教育の再生が柱立てとして明記がなされたところでもございます。これは、我々が強く申入れして、柱立てに入れるべきだということで入れていただいたところでもありますけれども、文部科学省はこれからも、公教育や文化芸術の重要性をこれまで以上にしっかりと発信をし、経済対策や骨太方針において重要な柱立ての一つとして、公教育や文化などがしっかりと位置づけられるようにしていただきたいと要望させていただきたいと思います。

 また、公教育の再生は喫緊の課題です。まずは不登校児童生徒の対策、学びの多様化、これはしっかりとやっていかなければなりません。

 文部科学省は、過日の令和四年度の児童生徒問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に対する調査、この結果を発表、公表されました。この調査結果によりますと、小中における不登校児童生徒は二十九万九千四十八人、前年度の二十四万四千九百四十人に対して五万四千百八人の増加、そして、率にして二二・一%の増加となり、過去最多となりました。在籍の児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は、昨年度は二・六%、これに対し三・二二%となりました。

 私は、子供たちが安心して生き生きと学べる環境をつくるには、一人一人の子供の特性に応じたきめの細かいケア、そして学校の仕組み自体に変容の双方が必要だと思っています。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、先週の十一月二日閣議決定されましたデフレ完全脱却のための総合経済対策において、不登校児童生徒の学びの継続を支援するため、自分のクラスに入りづらい児童生徒のための校内教育支援センターの設置が盛り込まれたところであります。子供の特性に応じたケアをしていくという観点から、大変重要な取組だと思います。文科省はこの校内教育支援センターの整備は五年をかけて行う計画だとお聞きしているところでございますけれども、それでは遅過ぎます。是非、スピード感を持って、二年、三年のうちに集中的に整備を図るべきだと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

 また、不登校のお子さんの保護者への支援、ここも大切です。私が座長を務めさせていただいております不登校支援PTでも、保護者と意見交換、また、いろいろな学校、子供たちとも話をさせていただいたところでございますけれども、保護者に対する支援というのは極めて重要だと思いますけれども、併せて大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

盛山国務大臣 校内教育支援センターは、自分のクラスにいづらいときや、不登校の兆候のある早期の段階、不登校から学校復帰する段階に、学校内で安心して学習したり相談支援を受けたりすることができるという点で重要であり、その設置を促進しているところでございます。

 先週閣議決定されました総合経済対策においても、COCOLOプラン、これを前倒ししまして、校内教育支援センターの設置を支援することとしております。まずは不登校児童生徒数が多い学校から順次設置するなど、可能な限り速やかに体制整備を図ってまいります。

 また、委員御指摘のとおり、不登校の児童生徒が適切な支援につながっていくためには、その保護者への支援、情報提供が重要と考えております。このため、文部科学省では、これまでも、保護者からの相談にも対応するスクールカウンセラーなどの配置充実や、自治体が行う保護者向け学習会などの開催支援、各自治体が保護者向けに分かりやすい広報資料を作成するためのひな形の周知などに取り組んでまいりましたが、今回の総合経済対策も踏まえ、教育支援センターがアウトリーチ機能も活用して保護者等の支援を行うことができるようにするとともに、各教育委員会において作成した相談支援機関等に関する情報を文部科学省ホームページに一括情報発信するなどの取組を更に進めてまいります。

 引き続き、学校内における学びの場の整備あるいは保護者の支援に取り組んでまいります。

浮島委員 ありがとうございます。

 この保護者の支援というのは寄り添うことが重要だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。あと、校内の教育支援センター、これもしっかりとスピード感を持って進めていただきたいとお願いをさせていただきます。

 同時に、特性も関心も異なる子供たちが、しっかりと基礎学力を身につけつつ、自分の関心や興味を軸にした探求的な学び、これを行うことができるように、学校制度自体、これをより子供たちに寄り添った柔軟な仕組みにしていかなければならないと思います。子供たちが学校を好きになる、自分の居場所だと思うことが、不登校児童生徒に対する最も効果的な対応策だとも思います。

 これまでの学校は、みんなと同じことができること、これを余りに重視し過ぎたと思います。これまではそれでよかったと思いますけれども、子供たちが今そんな学校に息苦しさ、これを感じていると私は思っております。

 公明党は、昨年、当時の永岡桂子文部科学大臣に対しまして、子供たちの学びを充実させるための緊急提言、この申入れをさせていただきました。その中で、夜間中学校や、学びの多様化学校、これも、不登校特例校と言われておりましたけれども、名称を変えてもらいたいという提案をさせていただき、公募をしていただき、学びの多様化学校と変えていただいたところでございますけれども、これらの学校における先進事例を参考にして、全国の小中学校において子供たちが自らの学びを主体的に調整しながら進めることができるよう、例えば、午前中は全ての子供たちを対象としたレクチャー方式の授業を行い、午後は子供たちが自らの興味、関心に基づいて自分の学びを組み立て、学ぶといった仕組みを早急に検討し、実現を図ることという提言をさせていただいたところであります。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、学びの多様化は全ての子供たちにとって必要なことです。周囲の人たちとしっかりと対話したり協力したりするための言葉の習得や、合理的な判断を行うための理数科目などはしっかりと教えつつ、一人一人の子供に、関心を通しての学びができることをすることが極めて重要だと思います。

 そんな学びの実現のために、全ての子供たちと、学校の学びの多様化、これを進めていかなければなりません。長期的な観点からしっかりと検討する体制を省内でつくることが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

 また、学びの探求のセーフティーネットである夜間中学、これは今こそ必要です。

 実は、小中高と不登校だったお子さんがいらっしゃいました。学校に行っていませんでした。いじめられていました。なので、彼は人が大嫌い。そして、勉強はしていないから勉強ができない。だから、どんどんどんどん不登校になり、そして引きこもりになっていく。そんな中で、彼が、夜間中学というポスターを見かけて、そんな中学があるんだということで、夜間中学に通いました。そうしたら、彼が驚いたのは、年齢も違う方々がたくさんいらっしゃって、年上の方もいれば年下の人もいる、人ってこんなに温かいんだということが分かった。そして、勉強も、やればできるんだということが分かった。そこで、彼は猛勉強をして教員となって、いじめ対策を今していただいているところでございます。

 こうして、夜間中学が本当に一人一人の子供たちにとってどれだけ重要かということも認識をしなければならないと思っております。

 先日、この夜間中学ですけれども、実は、超党派の議連でも様々議論がありました。全国の夜間中学の皆様が議連に来ていただきまして、大阪で今、統廃合が進められようとしております、これをどうにかやめてもらいたい、国の方では増やしていこうという方針のある中で、減らすのはやめてもらいたいという、自民党の丹羽秀樹衆議院議員を会長とする夜間中学等義務教育拡充議員連盟というところで話がありました。

 そこで、十月の三十一日ですけれども、議連として決議をさせていただき、統廃合が行われようとしている大阪市の横山市長に、統廃合方針の抜本的な見直し、広報機能の強化を踏まえた積極的なニーズの掘り起こし、また、十一月の六日には盛山大臣の方にも、議連として、設置の促進、広報の更なる強化の提言を手交させていただいたところでもございます。

 令和三年一月には、当時の菅総理の下から、我々公明党の質問に対して、全ての都道府県・政令都市に夜間中学が少なくとも一つ設置されることを目指し、全国の知事会や指定都市市長会の協力を得て取り組んでいきたいとの答弁もなされたところでございますけれども、この設置促進をしっかりと図るべきだと思いますので、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 大きく二つの御指摘かと思います。大変いいお話を伺わせていただきました。ありがとうございました。

 まず、子供たちの学びの多様化を進めるための検討についてお答えをいたします。

 子供たちの実態が多様化する中で、これからの学校での学びは、これまで以上に、子供たち一人一人の学習の様子や興味、関心などを適切に把握し、そのよさ、可能性を最大限伸ばしていくべきものであると考えております。

 こうした教育の実現を目指し、現在、中央教育審議会の下に特別部会を設け、義務教育及び高等学校教育それぞれの検討を行うワーキンググループにおきまして、子供たちの多様な学びの実現方策などについて検討を行っているところです。

 あわせて、省内でも、大臣政務官の下で、特色ある学校の取組なども踏まえた検討タスクフォースを設けるなど、多様な子供たちが自分の強みを生かしながら主体的に学べる環境の実現に向けた検討を行っております。

 こうした学校における学びの多様化、柔軟化については、これまでの検討の成果も踏まえつつ、今後、学習指導要領の改訂が議論される中央教育審議会などの場においても深めていきたいと考えており、適切な体制の下、しっかり検討してまいります。

 二点目、夜間中学の設置の促進についてでございます。

 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過された方、あるいは不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業された方、あるいは我が国又は本国において義務教育を修了していない外国籍の方などに教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たしているものと考えております。

 総務省が昨年五月に公表した令和二年の国勢調査では、未就学者又は最終卒業学校が小学校という方は全国各地に約九十万人いるということが確認され、夜間中学での学びの潜在的なニーズが多く存在するということが明らかになったところであります。

 こうしたことを踏まえまして、当省としては、夜間中学が全都道府県・指定都市に少なくとも一校設置されることを目指し、夜間中学での学びを望む方が一人でも多く夜間中学に通うことができるよう、引き続き各自治体の取組を促してまいりたいと考えております。

浮島委員 是非よろしくお願いいたします。

 この多様な学び、これはしっかりと進めていかなければなりません。十年に一度の学習指導要領の改訂も二年後に迫ってきておりますので、しっかりと省内で、政務官を軸に議論していただくということでございますけれども、是非よろしくお願いいたします。

 最後に、もう時間がなくなってしまいますので、一点だけ御要望させていただきたいと思います。

 教師の奨学金の返還支援について、速やかな検討が必要ということを骨太に明記がなされたところでございます。我々もこれまで大臣にも提言をしてまいりましたけれども、文科省内では、教職大学院を中心に、教師を選択した返還免除に限定しようという話も伺っているところでございますけれども、この件は追加財政需要も発生しないと聞いておりますので、学部卒業後に教職を選んだ教師を含めた形での導入を、大臣の先頭の下、どうか進めていただけますように要望させていただき、質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 これ以降、野党のそれぞれ、自公さん以外の質問ということで、よろしくお願いいたします。

 トップバッターで質問させていただく中で、ちょっと、こういうお話から入りたくないんですけれども、この間、実は、今日の委員会前の理事会も含めまして、文科前政務官の山田太郎氏の辞任の問題、これは本当に、もちろん、こども家庭庁等の主導もされたとかいろいろなことも含めて、もちろん、青少年への教育、まさに性被害、性暴力も問題になっている昨今の中で、これは本当に大問題なんですが、一番私たちとして今日この委員会の冒頭申し上げなければいけないのは、辞められて、それで、記者の皆さんの前ではお話をされていますが、国会、特に文部科学委員会に大変多大なる、ある意味では迷惑をかけた状態で辞められている中で、全くその説明がなされていません。これは、私たちとしては、今日、永岡与党筆頭がおられますが、しかも元文科大臣でいらっしゃいますが、本当にこの状況を憂慮されておられます。

 そんな中で、委員長、この間、先ほどの理事会も今休憩で、昼、再開されるまでの間、この問題が前に進めていただかなければいけない状況にあるわけですよ。

 実は、御存じでない委員の方もおられるかもしれませんから、多少今の状況を共有させていただくと、いわゆる男女の関係の行為に対しての金銭は渡していないと。そのことについて釈明をされて、なおかつ、委員会で、文科省の官房長から、直接山田前政務官とやり取りした内容が実は文書で報告されているんですよ。

 しかし、私たちは、いや、そういった男女の行為かどうかはおいておいて、いわゆるおつき合いの中で金銭の授受そのものがあったんですかと。あれば、パパ活なわけですよ。そのことをシンプルに、これも、理事会やあるいは理事懇談会が難しければ、ほかの場でもいいんですよ、公の場で。先日も、記者の皆さんの前でお話しされているのであるから。そういうことでもいいし、何なら文書でもいいですよ。二、三行で済む話ですよ。シンプルに、この金銭の授受について、当委員会に報告いただける形で説明責任を果たしていただきたい、こういうふうに申し上げているわけですよ。

 そういうことがなければ、本来であれば、この所信質疑も、なかなか、私たちは質問したいことが山ほどありますから、受けられない状態にあった中で、今こういう状況にあるわけですから。

 委員長、今、筆頭間、やっているんですよ、まさに与野党で。私たち質疑したいですよ、この先も。したがいまして、昼の理事会の再開までに、私たちもちろん筆頭間でやりますが、委員長におかれましても、この委員会に、金銭の授受、シンプルでいいんです、もう文書で、二、三行で済むんですから。渡したことがある、あるいは、ない。報告をいただけるように、委員長からも与党側に、場合によっては、政府も迷惑を被っているし、当事者でもあるわけですから、それぞれ働きかけをお願いできませんか。

田野瀬委員長 後刻、理事会で御協議させていただいて、動かせていただけたらと思います。

柚木委員 ということは、これは、後刻、理事会のときにそういう状況になければ、午後三時までですかね、この委員会の今日の質疑は。それまでも含めて、もちろん与党筆頭にも御努力をいただくことが前提ですが、委員長におかれましても、是非、お昼でもちろん調う状態を私たちは期待しますが、この委員会が十五時に終わるまでも含めて、委員長として是非指導力を発揮していただきたいとお願いします。

田野瀬委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 ちょっともう貴重な時間なので、質疑に入ります。

 岸田総理大臣給与アップ法案とちまたで呼ばれている、これは大臣給与アップ法案でもありますが、この法律案、私も本当に耳を疑いました。これは本当に、多分与党の先生もそうじゃないでしょうかね。世の中これだけ、物価高対策、まだ十分でない、これから補正予算の審議、来年の夏に所得税四万円減税とか、いつの話なんだと。多分、与野党問わず、地元に帰れば厳しくそういう御意見、大臣の耳にも入られていると思うんですね。

 ましてや、盛山大臣はそれこそ岸田首相と同じ派閥でもいらっしゃるわけですから、こういう本当に聞く力が発揮されていないような法律案、これはどうなのかなと思うんですが、まず、これはシンプルに伺いますが、今日は法律案の担当省庁から来ていただいていますので、この法律が成立した場合に、岸田総理大臣あるいは盛山文部科学大臣始め大臣、それぞれ年間幾ら給与アップするんでしょうか。お願いします。

平池政府参考人 総理と文科大臣の賃上げの御質問でございます。

 総理や閣僚といいました特別職の国家公務員の給与につきましては、従来、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する等の観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定しているところでございます。

 現在国会に提出している特別職給与法改正法案が成立した場合、制度的に算出いたしますと、年間の引上げ額は、内閣総理大臣は約四十六万円、国務大臣は約三十二万円となるところでございます。

柚木委員 大臣、世の中これだけ、本当にガソリン、電気、ガス、もちろん年金は減って物価は上がって、何とかしてくださいと。敬老会のシーズンで皆さんも回られていて、私、本当にどこに行っても言われますよ。とんでもない、どういう感覚をしているんだと。

 仮にこの法律が成立した場合、我々は実は修正案を今協議していまして、この法律というのは、たてりは一般職の国家公務員と特別職で分かれていますので、一般職の方はさておき、特別職、特に政治家由来といいますか、大臣もそうですね、総理始め。あるいは政治家出身のそういう対象になる特別職の方ですね。そういう方については、我々としては、私たちの試算によれば、我々もですよ、皆さん、これが成立すれば十八万円、ボーナスも含めてアップするんですよ。それを、どういいますか、お返しをするというか、やり方はいろいろあると思うんですね。他党さんでも検討されているかもしれません。党に寄附をして、それこそそこからしかるべき使い方をしていただくとか、いろいろあると思うんですが、少なくとも、今給与アップして、低所得者の方に七万円給付、一回限り。これが通ればずっと上がるわけでしょう。年間、総理四十六万、大臣三十二万。

 大臣は、アップしたらこれを受け取られるんですか。あるいはそれとも、自主的に返納とかそういうこともお考えの中にはおありなんでしょうか。

盛山国務大臣 特別職の職員の給与に関する法律案、先ほど内閣人事局の方から御答弁がありましたとおり、内閣官房の所管となります。本年の人事院勧告を踏まえた一般職の職員の給与に関する法律の改正案に準じた改正であると、今御説明があったところだと理解しております。

 それから、先日の、総理が、これは予算委員会だったでしょうか、そこでも御答弁がありましたとおり、大臣の給与の二割を閣僚懇談会申合せにより返納することとされておりますので、岸田内閣の一員として、この政府全体の方針に従って対応してまいることになりますけれども、我々、大臣の年間の返納額は、今回の法律が成立した場合、五百九十二万円となるということも御理解賜りたいと思います。

柚木委員 今の御答弁だと、今の段階では、自主返納、仮に心の中で思っていたとしても、政府の方針に従うという御答弁なんですが。

 ちなみに、大臣は、今、年間で三十二万円アップして、年収は大体お幾らぐらいでいらっしゃいますか。

盛山国務大臣 今私が承知しているところでは、特別職の、私、国務大臣の欄の月給の改定が通りましたらば、百四十六万六千円が百四十七万円になるというふうに承知しているところであります。

柚木委員 これは、年収ベースでいうと、賞与を含めて三千万円ぐらいになるんじゃないですか。総理は四千万円ぐらいじゃないですか。違いますか。

平池政府参考人 内閣総理大臣と国務大臣の、今提出している特別職給与法案が、提出した後の、年収、年間給与額、これを制度的に算出いたしますと、総理につきましては四千六十一万円、国務大臣につきましては二千九百六十一万円ということになります。

柚木委員 大体、総理大臣が四千万円、盛山文科大臣を含めて大臣が三千万円ですね。これは多いか少ないかは議論があると思うんですよ、世界と比べても。

 ただ、この物価高で、遅れに遅れている物価高対策、これから議論ですよ。そんな中で、もっと言えば、私、この後、旧統一教会の財産保全の問題を通告しているからやりますけれども、まさに文科行政のど真ん中をやりますけれども、返金問題、昨日も記者会見がありましたけれども、中野容子さんを始め、老後の資金を全部むしり取られて、家庭崩壊、家族は自殺、お金は返ってこない。いや、お金じゃないですよ、命は返ってこないけれども。お金まで一円も返ってこないという、そういう人だっているわけですよ。

 そういう所管大臣として、これから返金を求めていかなきゃいけない、解散命令請求が、ちゃんと解散命令が発令されて返金されるまで。文科大臣としては、幾ら何でも、給与アップ分は返金が実現するぐらいまでは自主返納します、そういうお考えはないんですか。いかがですか。

盛山国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、岸田政権の一員として適切に対応してまいります。

柚木委員 内閣の支持率が発足以来最低。聞く力は全く発揮されない。そして、今回、これだけ物価高対策は遅れに遅れている。私たちはずっと提案しているのに、国会の召集自体も遅れに遅れて、本来なら、今頃もう物価高対策はやれているんですよ。

 それを、こんな状態の中で、盛山文科大臣、まさに岸田派の文科大臣として、内閣支持率の下落に、この突然の、降って湧いたような岸田総理給与アップ法案、大臣給与アップ法案、これはマイナスの影響を及ぼしていると思いませんか。いかがですか。

盛山国務大臣 何が内閣支持率が下落している原因であるのか、ちょっと私の方でなかなかコメントしづらい、そういう考えであります。

柚木委員 是非ちょっとよくお考えをいただきまして、まだこの法律は、私たちも当然、このアップをすべきでないという立場で、特別職、政治家由来の方はですね、修正案も出します。

 是非、まさに、統一教会問題、財産保全、返金、こういった問題も抱えた担当大臣、物価高対策も遅れている。この後通告もしていますが、教育分野においても、例えば給食の無償化。我々は、もちろん授業料も将来的には無償化に向けて、今は利子分についてはせめて無利子化するとか、いろいろな対策を出していますよ。

 そういうことが実現をまだ全くしない中で、是非、岸田総理に、ちょっとこれは見直しませんかと、是非ちょっとそういう進言をいただけませんか、岸田派の大臣として。いかがですか。

盛山国務大臣 所属の派閥がどうかというような矮小な問題ではないと私は思いますが、そういうお声があるということはお伝えをいたします。

柚木委員 矮小な問題じゃないんですよ、国民生活、税金なんですから。当然ですよ。是非進言してください。

 統一教会問題に入ります。

 昨日、記者会見がありました。田中会長始め、会見の中で、被害補償が必要になった場合の原資として最大百億円を国側に供託をしたい、そのための制度を求めたいという意向を表明されていますね。

 これは、いろいろな、大臣を、昨日の会見も含めてコメントが報道されています。ちなみに、盛山文科大臣は、供託できるかどうか、法的な検討を関係者でしてもらわなければいけないと、七日、昨日の記者会見で述べられていますが、与党内からもいろいろな声が出ているわけですね。我々も当然、百億円、えっ、規模感からしてもとんでもないと思っていますよ。

 しかし、これはちゃんとワンボイスで、政府として、やはり所管の文科大臣が発信していただかないと、間違ったメッセージを教会や国民に伝えてもいけませんので、百億円の供託、そのための制度の整備、これは政府として、供託金の受取あるいは法整備の可能性、検討の余地はあるんですか。

盛山国務大臣 昨日の会見があったということは当然承知をしておりますが、それらの旧統一教会の主張に対し逐一コメントすることは差し控えたいと思います。

 また、供託といいますのも、具体的な方法その他について、そういうことがはっきりしてからでありませんと、なかなか、そのコメントをというんでしょうか、対応をということにはならないんじゃないかと思います。

 以上です。

柚木委員 確かに、私たちとしても、昨日の百億円供託という形での法制度の整備というのは、規模感も、昨日も、全国弁連の方、被害者の方、息子さんが焼身自殺で亡くなられた高知の橋田達夫さんとか、中野容子さんを始め、お話も伺い、弁連の阿部弁護士さんからも、とんでもないと。こういう、今の財産保全逃れというか、解散命令、請求されているけれども、解散命令の発令逃れというか、情状酌量を狙っていてとんでもない、そういう見解なんです。

 ただ、私たちとしては、財産保全法も国会に提出しています、今日の資料におつけしていますように。是非、与党の先生方もPTを立ち上げてやっていただいているということで、二ページ目以降、つけていますので、一日も一刻も早く与野党の協議入りを、ほかの野党さんも出されていますし、求めていきたいところです。

 そんな中で、私、ちょっと一つ、これはあくまでも私の私見というか、昨日も被害者の方や弁護団の方とのやり取りの中でちょっと感じているニュアンスの中での私見でちょっと伺いたいので、大臣もちょっと可能な範囲での御答弁で結構なんですが、百億円という規模感は確かに余りにも、教団資産一千億とか言われたりしている中で、あるいは被害者の被害総計推計千二百億円とも言われている中で、余りにも少な過ぎると思うんですね。

 ただ、それは一千億円はないにしても、五百億円とか、これは財産保全法が成立しなければゼロですからね。百億円はあれは余りにもだけれども、五百億円とか三百億円でも、要は、半分でも返金にちゃんと回せれば、ゼロよりはいいわけです。なぜなら、なぜこんなことを私が言うかというと、ジャパンライフのとき、本当にこれは微々たる返金だったんですよ。六月から返金が始まっていますけれども、本当に、二%ぐらいだったかな、被害総額の。

 ゼロよりはやはりちょっと増やしていく、そういう意味では、規模感が仮に五百億とか、そしてまた、供託ということになると返せますから、そうじゃなくて、返せないという形ですよね。そういうことも含めて、教団側が、仮に検討する余地があるとなれば、規模感がもうちょっと違ったり、供託というのとは違う制度という形であれば、これは政府内でも検討の余地というのは、可能性はありますか。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども、旧統一教会の主張その他につきまして一つ一つコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 我々の立場といたしましては、十月の十三日に旧統一教会の解散命令請求を裁判所に対して行ったところでございます。まずは裁判所における審理等への対応に全力を尽くすということになりますし、また、被害者の救済については、関係省庁とも連携をして、速やかな救済が図られるよう、現行法の下、最大限努力をしてまいります。

 そして、今、柚木議員からもお話がありました、御党だけではなくほかの党からも出ておりますような議員立法その他、こういうような動きにつきましては、国会の動きということで、各政党間の中で御協議が調う、速やかに調うことを期待もしておりますし、そういったことを政府側としては見守らせていただきたいと考えております。

 以上です。

柚木委員 確かに、解散命令請求をしている、しかも今後の訴訟という形も含めて、なかなかコメントしづらいのは分かりますが、これはちょっと是非要望なんですが、今回は、最大百億円供託という表明が昨日、会見で統一教会側からあった。しかし、鈴木エイトさんなんかもおっしゃっていますけれども、年間収入が減っているとはいえども四百億円とか言われていて、その四分の一程度で、総資産が一千億とか言われていましたかね。しかも、今どんどん韓国に、もう外為法ぎりぎりラインで持ち出しているとも言われている中で、教団はそんなことしないと言っておりますけれども、国民の皆さん誰も信じていない中で、それこそもう皆さんお分かりのように、昨日の記者会見が、財産保全、つまり資産の凍結、返金に回すことへの回避、解散命令逃れ、こういう中での、しかも、被害総額推計千二百億からすれば、百億円程度で、痛くもかゆくもないわけですよ、旧統一教会は。

 したがいまして、このような今の状況での提案、規模感が五百億とか一千億とか、供託じゃなしに返しませんとかいうなら別ですよ、今のような、まさに百億円程度の供託で後から取り戻せるような形での申出を受ければ、旧統一教会の思うつぼだと思うんですね。

 したがって、今の御見解ももちろん分かるんですが、安易にこの申出を受けていただかないように、これは私からもお願いしたいと思います。一言コメントがあればお願いします。

盛山国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、一つ一つの旧統一教会のことにつきましてのコメントは差し控えさせていただきますが、柚木議員の御要望については承りました。

柚木委員 今の答弁で私も受け止めていただけたと思っていますので、決して安易にこのような解散命令逃れ、財産保全逃れのような、しかも全く謝罪だとは受け止められない、被害者の方も昨日もおっしゃっていました、むしろ傷口に塩を塗るかのような、これは謝罪ではないんだと。何なんですか。おわびを申し上げますと言っておきながら、謝罪ではないんだと。

 大臣、被害者の心情をおもんぱかったときに、解散命令請求の、悪質性、組織性、継続性、こういったものがまさに整った中での解散命令請求をされている中で、謝罪ではなくて、このような、まさに財産保全逃れ、解散命令逃れ、しかも謝罪じゃない、被害者の傷口に塩を上塗りする、こういう会見については、少なくとも所管大臣として被害者の方に向けて一言コメントをいただけませんか、どう受け止めているか。

盛山国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、そういう一々についてのコメントは差し控えさせていただきます。

 なお、私たち政府としては解散命令請求を出している、そういうことを再度述べさせていただきます。

柚木委員 なかなか大臣も思っていても言えないんだと思いますけれども、ちょっとこの項目はもう最後にしますが、今日は。

 こう言われているんですよね、旧統一教会側は。今後始まる解散命令の裁判が確定する前に旧統一教会の資産を海外へ移転させる心配は全くない、よって、財産保全措置の必要は全くない。

 これは信用できますか。これを政府として信用してしまったら、まさに我々は、まさに資料におつけしていますように、財産保全法案を国会に提出して、一日も早い与野党協議を求めています。しかし、成立しなければ財産保全できないわけですよ。それまでの間、信用しちゃったら、どんどんどんどん資産を海外に持ち逃げされて、返金、解散命令が出て請求した頃には金庫が空っぽ、こういうことになりかねない。

 この財産保全措置は全く必要はないというコメントを政府が信じてしまったら、それまでの財産保全のための取組を、しっかりやると先ほども答弁されていましたけれども、やらないことにもなりかねませんよ。

 こんなコメント、信用できると政府としては受け止めていますか。

盛山国務大臣 同じ答弁を繰り返すことになりますが、一つ一つの旧統一教会側の発言その他に対してのコメントは差し控えさせていただきます。

柚木委員 済みません、ちょっと今日は通告がほかにもありますので次へ行きますけれども、是非、最後に重ねてですが、私たちは、資料にもおつけしていますように、これは、実は、財産保全法というのは、もちろん財産権との問題というのは承知しているんですね。そんな中で、私たちもそこはもちろん分かった中で、例えば、被害者弁連の皆さんとも昨日もやり取りをする中で、いろいろなやり方があると思うんですよ。仮押さえできるのは特定の資産とか特定の期間とか、ある程度限定してとか。

 あるいは、与党のPTの先生方も鋭意御議論されていただいているんでしょうけれども、これは、被害者が現行の法制度の中で財産の保全を求めるといっても、いわゆる担保金の準備というのはもう億円単位ですから不可能だと。これは実際に弁連で対応している方々が被害者の方とやり取りしておっしゃっていますので。昨日もお話を聞きましたけれども、やはり一億円とか二億円単位で準備する必要があるんですよ。これはもう不可能ですよ。そうでなくても、むしり取られているんですから。

 したがって、我々も、我々の法案が全くそのままとは申し上げませんので、是非、保全処分の内容については、一定の何らかの限定的なものにするとか、期間についてもですね。これは昨日も弁連の方々も、そういう具体的な提案がありました。したがって、そういう、まさに現場で本当に寄り添っておられる弁連等のお知恵もおかりしながら、政府、与野党一体となって、この財産保全法の成立、財産保全に向けた取組、これを是非お願いしたい、最後に。ここはちょっと、ちゃんと大臣のお言葉で答弁ください。

盛山国務大臣 先ほども御答弁したところでございますが、国会内での議員立法その他につきましては、政党内の御協議でございますので、我々政府側として口を出せるものではないと思います。

 しかしながら、今いろいろな動きがあるということ、いろいろな方々から、今議員が御指摘されたような声、そういうものが上がっている、そういうものは我々も承っているところでございますので、今後の与党内の協議その他もしっかり見守らせていただきながら、政府としても対応させていただきたいと考えております。

柚木委員 最後のところが、今日の質疑の中でようやく大臣の肉声が少しお聞きできたかなと。永岡前大臣の方がまだ自分のお言葉で御答弁いただけていたんじゃないかとちょっと思いながらお聞きしていたんですが、是非、大臣、ちょっとこの後は、少し国大法のこともやりますので、お願いいたします。

 国大法は、昨日、我が党の菊田議員始め各野党の先生方も登壇されて、非常に重要なやり取りがありました。

 昨日、まさに大学フォーラムさんの、今日、見解をあえて全部つけました、資料の七ページ目以降。先生方も、本当にお詳しい先生もおいでだと思います。この法案の問題点、是非、質疑の間、ちょっとお目通しをいただきながらお聞きいただければありがたいんですが。

 昨日、まさに大学フォーラム、東大とかお茶の水とか、私学の先生もおられましたね、京大の先生もおられたのかな、昨日私もお会いしましたけれども、会見前に。この国大法、国立大学法人法、第二の学術会議法と言われちゃっているんですよ、大臣。第二の学術会議法。何でそんなふうに言われていると思われますか。いかがですか。

盛山国務大臣 直接詳しく伺っておりませんし、なぜそのように誤解をされるのか、私の方では理解しておりません。

柚木委員 そこが問題なんですよ。所管の大臣が御理解いただけていない状況で出てきているんですよ。

 どういうことか。ポンチ絵を四ページ目につけていますが、この法案概要、特に一の運営方針会議なるものが、これは、平たく言えば、この間、十兆円ファンドの問題、今日はちょっとファンドのことはほかの先生に譲りますが、非常に赤字だったり問題もある中で、ガバナンス強化で、東北大がある程度想定をされながら、もちろん旧帝大も含めてこの間議論が進んできて、そのいわゆるファンドというごくごく一部のガバナンス強化という中で、様々な、この間、国大法の改正の議論や有識者会議等の議論も私も承知していますが、そのことのために法律改正というふうに現場も聞いていたのが、突然、全ての、最終的には、将来的には国立大学、国公立大学に網をかけることができると。

 つまり、間接的に、人事についても研究についても、まさに政府が考えていることに沿った形で運用されてしまう。こういう懸念があるので、まさに人事についても、例えば、政府に異論を公の場で、あるいはいろいろなデモに出たりとか、論文を書いたりとか雑誌に答えたりとか、そういう人は、運用上は文科大臣が任命しなければ承認されませんから、はじかれるんじゃないかという懸念を多くの大学関係者が持たれて、昨日も緊急で会見までされて、声明まで出されている。そこの中で、これは第二の学術会議法だ、そういう懸念が急速に広がっているということなんです。

 具体で伺います。

 運営方針委員の任命に関わる文科大臣の承認の必要について、昨日も答弁がありましたけれども、全く不安が払拭されません。承認に当たって、明らかに不適切と認められる場合を除き、文科大臣は任命拒否することができないとのことですが、明らかに不適切と認められる場合、具体的にどういう場合なのか。

 また、拒否することはできないというのは、法律、法文上はどこで担保されているのか。

 以上二点、御答弁を明確にお願いします。

盛山国務大臣 昨日も御答弁したとおりでございますが、明らかに不適切と認められるという場合ということは、過去の犯罪歴などで大学の運営に関わることが社会通念上不適切な場合など、こういった場合は明らかに不適切なというふうに考えているところでございます。

 それから、条文上ということですか。(柚木委員「はい」と呼ぶ)済みません、ちょっとお待ちください。(柚木委員「時計を止めてください、時間がないので」と呼ぶ)

田野瀬委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 盛山大臣。(発言する者あり)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 盛山大臣。

盛山国務大臣 済みません、条文上というところまでちょっとこちらが承知していなかったので、失礼しました。

 二十一条の四のところで……。済みません。

田野瀬委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 盛山大臣。

盛山国務大臣 失礼しました。

 二十一条の四の第三項でございまして、「前項の承認は、特定国立大学法人の申出に基づいて行う」ということでございまして、今委員がおっしゃったとおり、条文上、ここでははっきり明確に規定されていないというのは御指摘のとおりです。

柚木委員 まさにそうなんですよ。

 法文上担保されていなくて、唯一言われているのが、これは、当時の河村建夫文科副大臣が、平成十五年五月二十九日の参議院文部科学委員会での答弁で、学長に誠にふさわしくない著しい非行がある、申出に明白な形式的な違反性がある、そういう違法性があるというような場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合、これを除いて、拒否することはできないという答弁があるんですよ。

 しかし、これは、御承知のように、学術会議のときも、当時菅政権で、まさに任命拒否されて、まさにそういう方々が政府に批判的な言論、デモに出たり論文で書いたり、そういう中で、まさにこれは運用上拒否できる、しかも法文上担保されていない。こういう中で、だからこそ第二の学術会議法だという懸念が急速に現場で広がっているわけですよ。

 法文上にしっかりこれは明記をいただけませんか。大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 昨日の本会議でもそうですし、本日のこの委員会でもそうでございますし、国会の場でこのように明確に答弁しているということで十分ではないかと考えております。

柚木委員 これは今後、まだ筆頭間で、法律の質疑はまだこれから協議ですが、仮に質疑する場合は、ここは本当に肝ですので、これは今後、もう多分時間がないんでしょうけれども、今日も通告していますように、これは政令で対象拡大ができるわけですね、全ての国公立大に事実上網をかけることができる。

 そして、まさにこの法案概要の中でも、今日はもう来たので終わりますけれども、通告しておりましたように、人事についても研究内容についても、まさに、間接的であっても、政府、文科省として、例えばデュアルユースのような形での研究をしてくれるところは運営費交付金あるいは研究開発予算を取りやすい、そういうことが、現場でまことしやかに今懸念が広がっておりますので、そういうことがまかり間違ってもない形でしっかりと、この法案が仮に委員会で審議入りした場合には、これは本当にしっかりとした議論をさせていただく、そのための十分な時間やそういった当事者の声もお聞きをいただくことも申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 まずは、この三十分の時間をいただきましたことに感謝申し上げます。

 ただ、その一方で、山田太郎前政務官の女性問題によって、この日程がなかなか決まりませんでした。報道では、山田前政務官は買春行為はないと否定されていたようですが、では何の責任を取って辞任をされたのか。不倫という個人の問題で責任を取られたのか、それとも違法行為の追及を避けるために辞任をされたのか。教育を所管する文部科学省の政務官だった御本人の説明がなく、事実が未解明であることが国会審議の混乱につながっているんじゃないんでしょうか。

 違法行為があったのであれば、政務官を退いただけでは済みません。政務三役が在職中に違法行為を行ったのであれば、刑事責任はもちろん、省としても対応が必要でないかとも考えられます。

 文部科学委員会として、先ほど柚木委員が申し上げたとおり、山田太郎前政務官の説明を受ける場を設定いただきますよう、委員長、理事会で御協議のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、私の方から、大きく二点について質問させていただきます。

 まず、特別支援教育支援員についてお尋ねをします。

 資料の一を御覧いただきたいと思います。これを御覧いただいてお分かりのとおり、少子化によって年々児童生徒数が減少する中にもかかわらず、特別な支援を必要とする子供の数は急速に増え続けています。義務教育段階では、平成二十四年から令和四年までの十年間で、児童生徒数が一千四十万人から九百五十二万人へ減少する一方、特別支援教育を受ける児童生徒数は三十・二万人から五十九・九万人へとほぼ倍増しました。ほかにも、丸の二番目にもありますが、特に、特別支援学級の在籍者数二・一倍、通級による指導の利用者数二・三倍の増加が顕著です。

 加えて、我が国は、二〇一二年の中教審分科会の取りまとめに基づいて、二〇一三年から就学制度を改正して、インクルーシブ教育へと大きくかじを切ったことは周知のとおりです。特別支援学校の児童生徒数が一・二倍にとどまる中で、特別支援学級や通級による指導を受けている子供は二倍以上になっていることを今申し上げました。

 資料二を御覧ください。私の地元のある自治体では、よりインクルーシブ教育の理念に沿った対応の結果なんでしょう、近年、特別支援学校はもちろん、特別支援学級に通う子供も減少する一方で、この真ん中の段のところを御覧いただきたいんですが、支援学校、支援学級共に減少する一方で、通常の学級、通級による指導を受ける子供の顕著な増加傾向が続いています。

 特別支援教育支援員は、言うまでもありません、特別支援学校以外の義務教育諸学校で特別な支援を必要とする子供の教育を行うために学校生活をサポートするスタッフであり、非常に重要な制度です。

 昨年末、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果が公表されました。これは資料三を御覧いただきたいと思います。これを受けて、通常学級における発達障害の可能性がある子供が八・八%とマスコミ各社が報道したんですけれども、ここから資料を御覧いただきたいんですが、全体数の増加傾向もさることながら、この調査で大事なのは、校内委員会で支援が必要と判断されているのは二八・七%。これは裏を返せば、判断されていないのが七六%。通級による指導を受けているのは僅か一〇・六%。これも裏を返せば、受けていない割合は八六・九%などと、現場が支援が必要と考える子供の大半が支援を受けていないということを表していると思います。支援員がつけられている子供も僅か一三・八%にとどまっていて、通常の学級において必要な支援が極めて不足していることが様々な角度で示されています。

 そこで、まずお尋ねしますが、文部科学省として、現在配置されている支援員の数が足りていない、こういう御認識はあるんでしょうか。お答えください。

盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、特別支援教育支援員は、小中学校等において障害のある児童生徒等の学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行っており、大変重要な役割を担っておられると理解しております。

 その配置につきましては、平成十九年度の地方財政措置開始以降、毎年、自治体の配置実績を踏まえ、その拡充を図っております。

 令和五年度は、対前年度比二千二百人増の六万九千五百人分の地方財政措置が講じられているところです。他方、令和五年度の特別支援教育支援員の配置実績は七万一千百十四人であり、これを比較すると明らかなように、必ずしも十分とは言えない状況にあると認識しております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 必ずしも十分でないという御認識をお持ちである一方で、この間、着実に御努力はされてこられたというふうに受け止めました。

 今年度の支援員の配置は、幼稚園から高校までの総計で六万九千五百人。そして、それに見合う地方財政措置が取られております。

 五年前の平成三十年の配置は六万三千百人であり、六千人ほど増加。ただ、この間、例えば通級による指導を受ける児童生徒の数は、通級、令和三年度までの数字でしかないんですけれども、平成三十年度の十二万三千九十五人から、三年で十八万三千八百八十人まで伸びました。統計上のぶれもあるかもしれませんけれども。ちょっと資料を用意していなくて申し訳ありません。この点でも、数字を見る限り、現場で支援を必要とする子供の増加に支援員の配置がまるで追いついていないと感じざるを得ません。

 先ほども御答弁いただきましたけれども、子供の数のこの伸びと、そして配置数の乖離、これについて文科省としてどのようにお考えなのか、お答えください。

盛山国務大臣 委員が御指摘のとおり、特別支援教育を受ける児童生徒等の数は、令和四年度までの十年間で約二倍に増加しています。特に、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒の数は二・五倍、通級による指導を受ける児童生徒の数は二・五倍に増えています。

 このような障害のある児童生徒等の増加傾向を踏まえれば、特別支援教育支援員の活用及び適切な配置が今後ますます重要になってくると我々も認識しております。

梅谷委員 ますます重要になるという御認識だと思います。だとすれば、更なる御対応をしていただきたいなというふうに強く思うわけでして。

 そこで、私も、うちの、私の選挙区内ですけれども、現場の声を聞いてまいりました。学校現場から上がってきた、いわば支援員の希望人数、要望される人数ですね、これを今全く充足できていないというのが実態、実情なんです。一件一件、子供たちの状況や現場の御苦労、現場の実情、こういったことを教育委員会が学校から聞き取って、切実な思い、これを受け止めながらも、現場に対して申し訳ないと切ない思いを抱えながら、苦渋の判断でこの配置を削っているというお話でした。

 資料四つ目を御覧いただけますか、最後の資料ですけれども。A市の特別支援教育支援員、要望数と配置数。これは、来年度、令和六年度のある自治体の支援員配置計画。各校の個別事情は個人情報にも関わるので掲載しておりませんけれども、各校が希望する事情を一つ一つ積み上げた結果が、この支援員配置希望数八十三名に対し、五十四名に削って要求する計画となっているんですね。

 ただ、今年度の配置実績は四十五名。下の段、令和五年度の真ん中の配置要望数、配置実績が四十五人なんですね、今年度はこの自治体が。ですので、この五十四名も来年度実現できるかは未定なんです。

 そこで、お尋ねしますが、文部科学省はこうした現場のニーズや切実な声を把握をされているんでしょうか。お願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 特別支援教育支援員の現場のニーズの把握についてでございますが、文部科学省におきまして、地方財政措置が開始されました平成十九年度以降、毎年、各自治体における配置実績を把握しつつ、各自治体の要望も踏まえて対応してきたところでございます。

 ただ、特別支援教育支援員は、いわゆる地方交付税措置、一般財源でございまして、その使途はあくまでも交付先である地方公共団体の判断に委ねられておりますけれども、各自治体において必要な配置が適切に行われるよう財政的措置を講じる必要があるというふうに認識しております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、各自治体における要望等を踏まえ、特別支援教育支援員等の配置促進に努めてまいりたいと考えております。

梅谷委員 今、実績だけでなく、要望の声も平成十九年から把握をされた上で対応してきたとおっしゃいましたが、実績だけでなく要望も含めて、だから今回は、例えば八十三名、ずっと各自治体が要望した人数を基に地方財政措置を行ってきた、そういう理解でよろしいんでしょうか。もう一度お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省に対する各自治体等からの予算要望活動等を通じての意見交換や書面により提出していただいた要望等を踏まえ、各自治体からの要望については把握しているところでございます。

 また、都道府県等の特別支援担当者を集めた各種会議等を通じて、地方財政措置の趣旨、内容や人材確保の重要性の周知を図るとともに、各自治体における支援員の配置状況等についてもお聞かせいただくなど、様々な機会を捉えて把握しているところでございます。

梅谷委員 済みません、もう一度確認ですけれども、予算要望されてこられたとおっしゃいましたが、これは、支援員の要望人数に関わる予算額の要望を検討された上でこの人数に落ち着いているということなんでしょうか。それとも、地方交付税で措置されていますから、溶け込んでいますよね、その溶け込んだ地方交付税の要望をもってこの支援員を検討した。どっちなんですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。大変失礼いたしました。

 各自治体からの要望については今申し上げたような中身でございますが、地方財政措置、地方交付税措置は基準財政需要額でございますので、各自治体の実態を踏まえた措置となっているところでございます。

梅谷委員 言うなれば、要望予算で検討したと言いつつも、支援員によりクローズアップしての要望を受け止めたわけではないということですよね、今のお話からすれば。

 すなわち、文科省が把握をされているのは実績ですよね、実績としての配置数であって、現場のニーズを把握し切れていないんじゃないかなと私は受け止めるんですよ。先ほど申し上げたとおり、八十三名要望していて、これに対して五十四名にせざるを得ない。それはなぜかというと、この間ずっとそういう状況が続いてきたから。その状況を、実績、要望として捉えて予算要求に応えてきましたというのは、私はちょっと違和感を覚えざるを得ません。

 すなわち、現場のニーズを本当に把握し切れているのかという疑問さえ私は生じるわけでして、このため、足りていない。先ほど大臣からもおっしゃっていただきました、足りていないんですよ。足りていないというこの真摯な問題意識に、現場のニーズにとことん向き合っていないから、この問題意識につながらない。支援を要する子供の伸びに対して財政措置が伸び切れず、足りず、支援員がついていないお子さんがたくさんいる現状につながっているんだろうと私は指摘をさせていただきたいと思います。

 そこで、地方財政措置についてお尋ねします。

 支援員のための国のお金、今まで申し上げたとおり、交付金の一部として、何にでも使える一般財源に溶け込んでいます。このため、地方財政が厳しい中、地方自治体によっては、使途制限のないこのお金は自治体の他の経費に回される懸念も常につきまとっています。私ももちろん、地方分権による、現場にお金の使い方を任せて、地方の裁量で創意工夫をいただく考えというのは基本的に賛成です。しかし、全てのお金がそうでなくて、削っていけない種類の予算もあるんじゃないか、私はこう思っています。特別なニーズを抱えたお子さんの支援のための予算は、インクルーシブ教育、これを推進するというふうにもかじを切っているわけですし、進める上でも、また、一人一人のお子さんの人生を考えても、削れないし、削ってはいけないものの一つだと私は考えています。

 そこで、お尋ねしますが、国はなぜ支援員の予算を地方財政措置としているのか、明確な理由をお願いをします。

矢野政府参考人 お答えします。

 この地方財政措置が開始されましたのは、平成十九年度でございます。当時、既に約九千校の小中学校におきまして約一万三千六百人の特別支援教育支援員が活用されている、こういう実態がございましたので、各自治体において広く一般的に配置がなされているというふうに考えられ、また、その配置実態として、当該児童生徒の障害の種類や程度、学校、地域の実情に応じた弾力的な配置がなされておりまして、こういうことから、各自治体の自主性を尊重しつつ、安定的な財源の確保という観点などを踏まえまして、地方財政措置が講じられているというものと承知しております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 いろいろな諸事情を考慮して、簡単に私なりに言えば、平成十九年からもう既に体制がある程度整っていたから、そのままで来ましたというふうに受け止めました。

 ただ、確かに、その当時から支援員を配置する努力を行っていた自治体があったのは事実ですが、地域によってかなりばらつきがあります。独自財源による配置が少ない、財政事情の厳しい自治体こそ、地方財政措置では国の想定どおりの配置が厳しくなると考えられるのではないでしょうか。地域のばらつきを考えれば、足りないという事態を避けるためにも、一般財源は私はなじまないと考えます。

 そこで、要望というか質問なんですけれども、支援員の確保のために国から地方へ渡す予算、お金は、一般財源から切り出して補助金として渡すべきではないでしょうか。お答えください。

盛山国務大臣 お答えする前に一つ訂正をさせてください。

 私、先ほど、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数が十年間で二・一倍と申すべきところを、二・五倍と申し上げたようでございますので、訂正をさせてください。

 今の問合せでございますけれども、初等中等局長が申し上げたような経緯がございます。そういった経緯がございまして、国庫補助とするよりも弾力的な運用が可能である地方財政措置が適しているということで、今の制度ができているわけでございます。

 そういった経緯も考えますと、なかなか、一旦地方財政措置としているものを国庫補助といったような財政支援にするということは、なかなか困難なところがあると思います。

 ただ、先生のお考えはお考えで、我々もしっかり受け止めさせていただきますが、各自治体の自主性を尊重しつつ、安定的な財源の確保、そして、何のためにそのような地方財政措置がなされているのかということを地方公共団体にも御説明をし、御理解を賜りながら、地方財政措置の充実を図っていくということが重要ではないかなと考えております。

梅谷委員 改めて申し上げますが、自治体によっては財源が厳しくて、独自の予算で配置数を積み増すことは難しいというのは先ほども申し上げました。現実にも、日本全体で見て、国がつけた予算以上の配置はほとんど行われないというのが実態です。

 このような状況の中で、文科省は、国の予算が足りない分のしわ寄せはどこに行っているとお考えなのか。是非伺いたいところですが、ちょっと時間の関係で質問はしませんけれども。

 NHKの報道で、学校から支援員が足りないので保護者の付添いを求められた、こういったケースがあると伺いました。このお子さんの人生を考えれば、国全体の予算がニーズに足りていない、届いていない中、地方が自主的に削ったで済む話ではないということを是非指摘をさせていただきたいと思います。

 さっきの調査、この三枚目の資料なんですけれども、ここでは、校内委員会が支援が必要と判断した場合ですら、支援が必要と判断した場合ですら、支援員の支援が受けられていないケースが六三%にも達しているんです。文部科学省も有識者の検討会も、障害者への理解促進、指導力の向上など、様々な現場の御努力を求めています。それはそれで大事なことですけれども、現場が必要と判断することすら提供し切れていない、致命的に、決定的に提供し切れていない現状と向き合うことこそ国としてまず取り組むべき重要課題だ、私はこう考えて確信しています。

 是非、本当に必要とされている数を、先ほどの実績だけじゃなくて、もっと現場と、いろいろと声を受け止めていただいて、そして調査、チェックをいただいて、現場のニーズにしっかりと目を向けていただくことをお願いするとともに、先ほど、なかなか、平成十九年から続いている体制ですから補助金化はそう簡単ではない、簡単ではないというふうにおっしゃっていましたが、このことは、受け止めていただくだけでなく、御検討を是非していただきますよう大臣に求めたいんですけれども、御答弁いただいてもよろしいですか、もう一度。

盛山国務大臣 様々な御意見が各方面からあるということは、十分まず承知をしております。

 地方分権との関係その他もございまして、なかなか、交付金と補助というものの扱いが難しいところがまずございます。その上で、それぞれの地方自治体の方で、何が大事で、何がもっと必要であり、何を我慢すべきだというようなところ、あるいは何が本当に削ってはいけないものであるのか、そういったところをやはりまず地方自治体にも御検討を賜りたい。やはりそういうようなところから要望が出てくるわけです。

 先ほど先生の資料にもありましたように、ニーズはこれだけあっても、実際に要求をしているのはこれだけだというところでもギャップがあるわけです。そういったところを含めて、我々ももっとニーズの把握ということに努めなければならないわけでございますけれども、基本的な、自治体の方におかれてもそういうところを是非お考えいただいて、そしてそれを、我々であり、そして総務省であり、政府側の方ともよく御相談をしていきながら、現在のいろいろな、様々な方々からの御要望、ニーズに合った、教育も含めての行政サービスをどう提供していくことができるのか、そういうことではないかと思います。

 いずれにせよ、交付税から、国庫の補助金というようなことがやはり望ましいのではないかというお声は重く受け止めさせていただきたいと思います。

梅谷委員 大臣、ありがとうございます。

 そのニーズの裏には、くどいようですけれども、本当に私も、A市の話によれば、本当に厳しい財政事情の中やりくりをされて、そして苦渋の中で練り出したニーズだということを、その裏側にある汗にも御理解をいただいて、是非重く受け止めて御検討をいただければと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 不登校特例校について、いわゆる学びの多様化学校についてお尋ねをしたいと思います。

 文部科学省は、先月、小中学校における不登校の数が二十九万九千四十八人、これは先ほども質問で出たかと思いますが、過去最多を更新したとの調査結果が公表されました。この調査では、不登校の原因として、先生と合わない、体調不良、勉強についていけない、いじめや嫌がらせ、これは令和四年度の調査結果ですけれども、などの様々な回答を挙げております。

 文部科学省は、今年、COCOLOプランの発表に当たって通知した不登校対策で、真っ先に不登校特例校の設置を挙げました。また、この八月には、この名称を学びの多様化学校へと変更されました。不登校特例校に力を入れていることは受け止めております。いずれも、私の今隣にいる前大臣の下での施策ではありますが、盛山大臣も就任してすぐに談話を出されていらっしゃいます。

 そこで、お伺いしますが、この名称変更など、特例校に力を入れる理由を、なぜ名称変更したのかとか、その思いについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

盛山国務大臣 今委員から御指摘があったとおり、私の前任、永岡文科大臣のときに行ったことでありますが、不登校特例校の名称をより子供たちの目線に立ったふさわしいものとするため、実際に不登校特例校に通う児童生徒や教職員の方々の御意見を募って、学びの多様化学校というふうに変更したところであります。

 提案者の方に伺いますと、この名称には、一人一人の子供が自分のペースややり方を大事にされ、多様な学びが保障される学校の在り方を表現したい、こういう思いを込めて提案をされたというふうに伺っているところであります。

 私も、この名称が、一人一人に応じた多様な支援を行い、誰一人取り残されない学びの保障を実現するというCOCOLOプランの考え方を体現する、いい名称であると考えております。

梅谷委員 言うまでもありませんが、令和九年度までに全都道府県に一つずつの配置を目標とされておられますし、また、三百校を目標にも視野に入れられているというふうにも伺っております。また、現時点での予算においては、一か所当たり五百万程度をお考えだということも伺っております。

 そのように、学びの多様化学校の設置に対しては、各地方自治体もそういうことを受けて動きを始めております。私の地元でも、二つの自治体から、設置に向けての検討を始めたところです。私、新潟県なんですけれども、新潟県にはまだ一つもないので、具体化したら是非検討、向き合っていただきたいなと思います。

 ただ、この検討中の現状を伺わせていただいたところ、自治体の方と意見交換したところ、例えば、イニシャルコストとしての施設整備、改修費用はもとより、人材の確保が大きな課題として認識をされました。施設の改修と人材確保、これが大きな課題として認識をされました。

 また、ほかにも、人材や人の配置の資金はもちろんのこと、私のところは非常に地方でして、六割以上が中山間地の選挙区でして、そこの地元の実情を考えますと、地域公共交通機関、これが急速に今減っているんです。まさに削り取られるようにどんどん減っている中で、広域からお子さんを通学させるためのスクールバスの運行なども課題として上がっているんです。

 そこで、最後にお尋ねをします、もう終わりみたいですから。

 文科省は、こうした懸念の声、改修に対する費用なり、人材の確保、そして足の確保、こういった懸念の声に対してどう向き合って支援しようと考えていらっしゃるのか、お答えをください。

盛山国務大臣 委員が御指摘されたとおりでございまして、将来的には、希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め、学びの多様化学校を全国で三百校設置をするということを目指しているところです。

 そして、この設置の際には、これまででもそうでありますが、新しく校舎等を建てる新増築について、支援をまずは行っております。

 これに加えまして、令和六年度、現在やっております概算要求におきましては、地方公共団体が新しく校舎等を建てる代わりに、廃校や余裕教室等の既存施設を活用して学びの多様化学校を整備する場合の支援を要求しているところです。

 また、教職員の配置につきましても、学びの多様化学校においては、生徒指導等のための教職員の加配定数の優先的な措置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの重点配置に加えて、学習指導員等の支援スタッフも活用が可能となっております。

 加えて、六年度の概算要求では、学びの多様化学校の設置後の運営支援についても必要な経費を要求しているほか、学びの多様化学校が交通が余り便利でない僻地等にある場合には、スクールバスの購入補助の対象としているところでもあります。

 これらあらゆる手段を活用して、学びの多様化学校の設置、運営の促進を図っていきたいと思っています。

梅谷委員 ありがとうございました。質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 大臣、就任おめでとうございます。これからまた、大臣としっかり文部科学行政について議論を深めていければというふうに思っております。

 ただ、質問に入る前に、私からも一言。山田前政務官の問題、これはやはり看過できない問題だというふうに思っております。しっかりと理事会の場で御協議をいただきたいということを私からも要望させていただきたいと思います。

 今日は、実は大臣に教員の働き方改革をお聞きしようと思っていたんですけれども、その前にちょっと、大分の地元で起こっている問題について少し尋ねたいというふうに思っております。

 資料をもう配付されたかというふうに思いますが、実は今、大分、大分市に、大分分屯地、自衛隊の分屯地がございまして、そこは主に火薬庫を貯蔵する機能を持った分屯地でありますけれども、実はここに、昨年十二月の閣議決定によって、スタンドオフミサイル等を貯蔵するという話になっております。

 地図を出させていただいております。見ていただくと、左側がいわゆる写真で、右側がいろいろな施設の名前を入れたものですけれども、ちょうどこの陸上自衛隊と書いてあるところが大分分屯地であります。周辺を見ていただくと、赤い線を下に入れているところがありますが、これはいずれも、小学校、中学校、高校、そして大学、これが点在をしているというか、密集をしている状況です。

 周辺には、もう一枚めくっていただくと、裏側に表をつけておりますが、敷地から直線距離二・五キロ以内にこれだけの学校が存在をしておりまして、なおかつ、児童生徒、学生数、総数で一万人近く、教職員を含めれば一万人を優に超えるような方々がこの地域にいらっしゃいます。

 そのど真ん中と言っていいと思うんですけれども、ここに、スタンドオフミサイル等を貯蔵する施設を、新たに火薬庫を造るということでありますけれども、教育の所管でもあります大臣、私はこれは非常に疑問に感じざるを得ないんですが、まず大臣の考えをお聞きしたいというふうに思います。

盛山国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、学校におきまして子供たちが安心して生き生きと活動するためには、子供たちの安全の確保、これが不可欠の前提と考えます。

 御指摘の陸上自衛隊の大分分屯地における火薬庫の整備に当たりましては、防衛省から関係自治体に対して必要な情報提供が行われているものと承知しております。

 また、スタンドオフミサイルの保管場所については、現在防衛省で検討中であり、現時点では決まっていないと理解しております。

 当省としましては、引き続き、関係省庁や地方自治体等と連携を取りながら、子供たちが安心できる学習環境の確保に努めてまいるつもりです。

吉川(元)委員 御覧になると分かるように、小学校だけじゃなくて、この地域は住宅街も一円に広がっておりまして、二万世帯、四万人の方が暮らしているというふうにも言われております。そういうこともあって、小学校、中学校、あるいは高校、大学、大学はさすがにそれが理由ではありませんけれども、小中学校がこれだけ密集している。大分県内でもここまで小学校、中学校、あるいは高校が集中している地域というのはほかにはない地域だというふうに私自身も考えております。

 是非、今大臣御答弁されましたけれども、子供たちが安心して通学し、そして学べるような、そういう環境をつくっていくためにも、私自身は、ここへの新たなミサイルの備蓄というのはやはりやめるべきではないかというふうに考えているところであります。

 そこで、ちょっと防衛省にお聞きしたいというふうに思います。

 まず、防衛省にお聞きしたいんですけれども、今回の火薬庫新設は、昨年十二月に行われました、いわゆる安保三文書に基づいて造られたものと理解してよいでしょうか。

松本大臣政務官 吉川委員の質問にお答えいたしたいと思います。

 昨年の防衛力整備計画に基づいて造られているという理解でよろしいかという御質問ですけれども、国家防衛戦略及び防衛力整備計画においては、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図るため、その必要があるということから、弾薬の生産能力の向上及び製造量に見合う火薬庫の確保を進め、必要十分な弾薬を早急に保有することとなっております。

 これを踏まえまして、大分分屯地においても火薬庫二棟の新設を予定しているところでございます。

吉川(元)委員 資料の三枚目、四枚目は、防衛力整備計画、それから、それに関連した分屯地の新しい火薬庫の増設についての浜田防衛大臣の記者会見を載っけさせていただいておりますけれども、その次のページ、これは九州防衛局が今年五月に作成した資料ですが、「令和五年度予算による工事のスケジュールについて」ということで、それぞれ、火薬庫A、火薬庫B、そして構内道路ということでのスケジュールが出されております。

 今、防衛大臣政務官が御答弁されたとおり、これは去年の十二月に、新しく二つ造るんだと。実際、今年の二月十七日の浜田防衛大臣の記者会見を見ましても、大分分屯地、それから、これは青森ですね、大湊総監部、新設四棟、こういうふうに書かれているわけです。

 私もこの資料を見させていただいて、ちょっとおやっと思ったのが、このスケジュールについてという文書の中の下側、一番下の赤い線を引いたところです。火薬庫Aの調査、設計は令和四年度に実施というふうに書かれています。

 これは去年の十二月に閣議決定して、それに基づいて新しく二つの火薬庫を造るという御答弁でしたけれども、なぜその設計が令和四年度に終わっているんですか。御説明をお願いします。

松本大臣政務官 本件につきましては、平成三十年の十二月に閣議決定をしております中期防衛力整備計画におきまして、補給基盤の強化については、即応性を確保するため、所要の弾薬や補用部品等を運用上最適な場所に保管し、必要な施設整備を進めるというふうにされております。火薬庫の整備につきましては、これまでもこれに基づきまして鋭意進めてきたところでございます。

 その上で、昨年十二月の防衛力整備計画においても、必要となる火薬庫を整備することとされており、既に調査、設計に着手していたものを含めて火薬庫の整備を引き続き進めることで、必要な火薬庫を確保していく必要があるということでございます。

 御指摘の大分分屯地の火薬庫のうち一棟についても、三十年の前中期防衛力整備計画を踏まえて令和四年度に調査、設計に着手したものでありますが、引き続き整備を進めることで、今般の防衛力整備計画に示されました火薬庫の確保が図れるものと考えているところでございます。

吉川(元)委員 前の中期防に基づいてこの火薬庫を造られた、造る計画があった、ところが、去年の防衛力整備計画で、新たに二つの火薬庫を大分分屯地に造る、そういう説明でありました。どうあっても合点がいかないんですよ。

 去年の十二月に、新しく造る、二つ造りますよといって決めて、分屯地に二つ造ることになったんでしょう。何でその設計が、これは九州防衛局の資料を見ると、どうやら去年の七月ぐらいに入札が終わっているようでありますけれども、なぜそれがそんなに前倒しでできるのか。

 あるいは、前期の中期防でこの火薬庫Aについては造ると決めていたのであれば、元々その目的はあったはずですよね。今回、それを流用するということですか。元々、前期の中期防で、こういう弾薬、火薬を貯蔵しようというふうにして造っていたものを、今度はそれを流用して今般の新しい火薬庫にする、そういう理解でいいんですか。

松本大臣政務官 流用という言葉が正しいかどうか分かりませんけれども、前期の中期防衛計画においては、繰り返しになりますけれども、所要の弾薬や補用部品等を運用上最適な場所に保管して必要な設備整備を進めるというふうにありますので、それに基づきまして令和四年度の調査、設計が行われたというふうに承知をしております。

 したがって、それを受けまして、今般の防衛力整備計画についても、既に調査、設計に着手していたものを含めて火薬庫の整備を引き続き詰めるということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

吉川(元)委員 理解しろと言われても、理解できないから聞いているのでありまして。

 それで、前期の、前の期の中期防に基づいて火薬庫を造ると。当然、そこに収めるべき火薬、弾薬も含めて想定されていたんだと思いますよ。

 今回、昨年十二月、何が大きく変わったかといったら、やはり、スタンドオフミサイルを今後開発をし、取得をしていく、それを収める場所としてこの火薬庫が新たに造られるということであります。だとするならば、設計は今のままでいいんですか。

 次のページ、これは防衛省の令和五年度予算の概要というものの中のスタンドオフ防衛能力というところに、いわゆるスタンドオフミサイルの種類が書かれております。恐らく、想定、今赤いラインを引いているのは、これが恐らく陸上発射型になるであろう、いわゆる地対艦ミサイルになるであろうというふうに考えられる種類ですが、その中でも、一二式地対艦誘導弾能力向上型、一番上ですね、イメージと出ていますが、これがここに運び込まれる可能性がある。

 当然、種類が違えば、あるいは大きさも違いますし、形状も全く、これまでの一二式とは形状は異なる。ここに一二式の古いタイプのやつが出ていないんですが、あえて言うなら一番下のトマホークに形状的には似ている形をしておりますが、上は全く形状が違いますし、当然、一二式とその能力向上型とは、いわゆる射程距離が数倍違います。そこに収められる火薬の量も違ってきますし。

 だとするならば、元々スタンドオフミサイルを貯蔵するために、去年の七月段階ではそんなことは決めていないわけですから、設計したいわゆる火薬庫がそのまま使えるというのはおかしいんじゃないんですか。それとも、あらかじめ去年の七月にスタンドオフミサイルを貯蔵するために設計をしていたということですか。

松本大臣政務官 お答え申し上げます。

 スタンドオフミサイルの配備の件の質問がございましたけれども、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類につきましては、その詳細を示すことにより自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、ここで具体的にお示しすることはかなわないというふうに思っております。

 その上で申し上げますと、個別具体的な火薬庫について、スタンドオフミサイルを保管するか否か、これは決定しておらず、御指摘には当たらないというふうに思っております。

吉川(元)委員 決定していないけれども、いわゆる備蓄する可能性はあるわけでしょう。それも全部否定されるんですか。大分分屯地にはスタンドオフミサイルは備蓄しないというふうに明言されるんですか。

松本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、大分分屯地において当該ミサイルを配備する、否については、ここではお答えは控えさせていただきます。

吉川(元)委員 なぜ私がこれにこだわるかというと、やはり、もう既にマスコミ発表しているわけですよ。記者会見でも、去年の十二月の安保三文書、防衛力整備計画に基づいて新たに二つの、大分分屯地においては火薬庫を造るということはもうアナウンスしているんですよ。

 じゃ、去年の十二月に何を決めたかといったら、スタンドオフミサイル等を保有する、開発して保有していくということを決めているわけですよ。だとすれば、幾ら防衛省が、どこに置いているかは言いません、ここに何を置いているかは言いませんと言ったって、諸外国から見れば、ここにスタンドオフミサイルが保有されている可能性が非常に高いと考えるのが当たり前なんじゃないですか。

 なおかつ、先ほどから何度も言っていますけれども、去年の十二月に造ると決めたものが、なぜ去年の七月に設計が終わっているのか。これはやはり私はおかしいというふうに指摘をさせていただきます。

 今回の新たな火薬庫の新設について、住民説明会は行いましたか。

松本大臣政務官 お答え申し上げます。

 大分分屯地の火薬庫整備に係る住民説明会につきましては、大分市より、大分分屯地周辺住民への工事の影響に鑑みて、周辺住民を対象としまして本件工事に係る説明を実施してほしいと要請があったことも踏まえまして、十一月二日に開催をしているところでございます。

吉川(元)委員 先ほどの資料の次のページ、ちょっとページ数を打っていなくて申し訳ありませんが、新聞記事が二つ出ております。その下側、このことを指しているんだろうと思いますが、十一月二日の日に弾薬庫計画について住民説明会を開いたと。

 ちょっと遅過ぎやしませんか、これは。去年の十二月に決めて、二月にはもう既に大臣が記者会見をしている。これについて、何で十一月、しかも工事がいよいよ始まる直前になって住民説明会を行うというのは余りに遅いですし、実際、線を引かせていただいておりますけれども、説明が直前までなかったのはなぜかという住民の声があるわけです。なおかつ、まさに今私に答弁したとおり、何を置くのかというようなことも一切お知らせすることはできないと。

 これで住民の不安が解消されるとお思いですか。いかがですか。

松本大臣政務官 お答え申し上げます。

 令和五年度予算における大分分屯地における火薬庫の整備計画につきましては、本年二月に大分市等の関係自治体に御説明を申し上げたところでございます。

 その上で、今般実施した住民説明会におきましては、繰り返しになりますが、大分市より、同分屯地周辺住民の皆さんへの工事の影響に鑑みて、周辺住民の皆さんを対象として本件工事に係る説明を実施してほしいという要請に基づきまして、開催をしたということでございます。

吉川(元)委員 答えになっていないです。何でこんなに遅かったのかというのを私は聞いているんですよ。

 今年の二月にそうやって発表したら、すぐに住民の皆さん、不安に感じますよ。何でそれを説明しないのか。十一月になって、いよいよ工事の直前になって、何か、説明をしましたということを言うためにわざわざ開いているとしか思えませんし、その場で住民の不安に何も答えていないんですよ、この記事を見ていただくと分かるように。

 ちょっと余り時間がないんですが、もう少し聞きたいというふうに思います。

 それで、実は、我が党で九月二十日の日に大分分屯地の視察をいたしまして、そのときのやり取り、一番最後のページ、ちょっと字が小さくて申し訳ないんですが、これを記したものが最後のページにあります。

 その中の項目の八のところに、攻撃に対しては火薬庫があることによって防衛ができ抑止力につながると考えると。これは何を聞いたかというと、攻撃を受けたときにどうなるんですか、危険はないんですかと聞いたら、こういう回答があったわけです。意味不明です、これは。

 それからあと、その九のところ、シェルターの整備については、より過酷な攻撃を想定した施設については、必要な機能や課題の検討を進めていると。つまり、ここにシェルターを造ると。

 過酷な攻撃は一体何を指しているのか、この点、いかがですか。

松本大臣政務官 ただいまの質問については、通告にございませんでしたので、なかなかお答え申し上げるのは難しゅうございますけれども、シェルターについては、基本的には、いろいろな有事の際の自衛隊施設の抗堪性を高めるために必要なものというふうに承知をしております。

吉川(元)委員 もう一点、過酷な攻撃というのは何を指しますか。(松本大臣政務官「ごめんなさい、もう一回」と呼ぶ)過酷な攻撃とは何を指すか。(発言する者あり)

田野瀬委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 松本大臣政務官。

松本大臣政務官 済みませんでした。

 過酷な攻撃の内容についてのお尋ねでありますけれども、詳細を示すことで我々の防衛能力そのものが明らかになるおそれがありますので、どういった内容の攻撃があるかということについては、攻撃の種類によって我々の抗堪性等々を明らかに逆にすることになると思いますので、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

吉川(元)委員 相手がどういう攻撃をしてくるのか、それを言うとなぜ我々の防衛能力を相手に教えることになるんですか。

松本大臣政務官 我々がどういった内容の攻撃を想定しているかということによって、我々がどういうふうにそれを守るかということは相手の目に見えてしまいますので、想定することすら、お気持ちは分かりますけれども、それを明らかにするということは、むしろ我が方にとっては適切ではないというふうに思います。

吉川(元)委員 普通、過酷な攻撃といった場合は、いわゆる通常の弾頭ではないものを想定するのが普通だというふうに思います。つまり、核を含む攻撃の対象となり得るというふうに考えているんじゃないんですか。

 じゃ、あえて聞きますけれども、この分屯地というのは、もし有事が発生した際には攻撃の対象となり得るとお考えですか。

田野瀬委員長 よろしいですか。(吉川(元)委員「止めてください」と呼ぶ)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 松本政務官。

松本大臣政務官 済みませんでした。

 各種弾薬の取得に連動しました必要な火薬庫の整備を含む防衛体制の強化は、力による一方的な現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、攻撃に対する抑止力、対処力を高めることによって我が国の攻撃の可能性を低下させるものであって、国民の安心、安全につながるというふうに考えております。

 したがって、今の質問については、これが答えになろうかと思います。

吉川(元)委員 皆さん、今の質問の答えになっていたと思いますか、与党の皆さんを含めて。何の答えにもなっていないですよ。攻撃の対象になるんでしょう。

 実際、先ほどの住民説明会の新聞の切り抜きの上側、これは今回の分屯地とは関係ありませんけれども、この十一月十日から二十日にかけて大分空港にF2が着陸訓練を行うという記事です。その中に何と書いてあるか。防衛省によると、上に赤の字で書いていますけれども、戦闘機の着陸訓練は、航空自衛隊基地が使用できなくなったと想定してこの訓練を行うと。

 何で使用できなくなったかと考えると、攻撃されるからでしょう。攻撃されて、航空自衛隊の基地が使えなくなる。だから、そのために、そうなった場合には民間空港である大分空港を使って着陸の訓練、離陸の訓練等を行うと。これは防衛省はやっているんでしょう。分屯地だって、それは可能性はあるでしょう。

松本大臣政務官 お答え申し上げます。

 当分屯地が攻撃の対象になるかどうかということについては、我が方としては、どこが攻撃の対象になってどこがならないということは、答えとしては差し控えさせたいと思います。

 同時に、大分空港の自衛隊機の……(吉川(元)委員「それはもういいです」と呼ぶ)よろしいんですか。(吉川(元)委員「いいです」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。

吉川(元)委員 何ですかね、攻撃の対象になって、そして、先ほど、一番最初のページを見ていただくと分かるように、この周りには子供たちがたくさんいるんですよ。住民がたくさんいるんですよ。自分たちはシェルターを造るとかなんとかとおっしゃいますけれども、この人たちは逃げる場所はないんですよ。

 今までの火薬庫、ございましたけれども、これはあくまで、私が聞いたところでは、日出生台の演習のときに弾薬をあらかじめここに備蓄をして、そして日出生台の演習のときにそれを運んで使うというような役割を持っているということを聞いたことがございます。だけれども、今回は全く質が変わってくるんです。しかも、その周りにはこれだけの住宅と学校があるんですよ。そこに造るというのは、私はやはり許されないあれだと思います。

 そして、もう一点だけお聞きしたいと思います。

 先ほど、県や市から要望があって、住民説明会をアリバイ的にこの間やったみたいですけれども、大分大学に対して行いましたか。

松本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、今般開催いたしました大分分屯地の工事に係る住民説明会は、お尋ねのあった大分大学のみならず、幅広く地域の方々を対象として実施したものであります。

 大分大学に対して改めて個別に説明会を実施する予定はございませんけれども、いずれにしましても、自衛隊施設の整備に関しては、関連の工事が周辺住民の皆様の環境、生活環境に与える影響を考慮しながら、様々な形で情報提供させていただく考えであり、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 全く丁寧な説明はしていないんですよ。情報提供もされていないじゃないですか。何を置くのかも言わないし、攻撃されるのかどうかも言わない。それで果たして皆さん理解されると思いますか。

 大臣、大分大学、これは国立大学法人として、当然、市や県とはまた違う組織であります。やはり私は、ここに、四千人を超える、五千人近い、教職員を含めればいらっしゃると思いますけれども、その人たちの安全を守るためにも説明をする必要があるというふうに私自身は考えますけれども、大臣のお考えを伺います。

盛山国務大臣 担当課から大分大学に確認しましたところ、新たな火薬庫の設置について、現時点においては九州防衛局から大分大学に説明には来られていないというふうに聞いております。

 今般の火薬庫の設置に当たって、防衛省において住民説明会の実施などの対応をされていると認識しておりますけれども、担当の課に対しまして、防衛省に、その説明について、大分大学も地域にあるわけですから、お願いしたいというふうに伝えてくれというふうに指示したところであります。

吉川(元)委員 是非、大分大学に対してもきちんと説明をしていただくようお願いをしたいというふうに思います。

 もう時間がないので、最後に一点だけ大臣に、これは教員の働き方改革について少し、角度が変わりますが、お話を聞きたいというふうに思います。

 大臣の教員の長時間労働に対する認識をお尋ねしたいと思います。

 といいますのは、なぜこれを聞くかといいますと、実は、この九月の十五日に大臣が会見をされまして、その際、運転手、建設業、医療の三分野を取り上げて、そういったところよりはましかもしれませんというようなことを会見でおっしゃられたというふうに、ホームページ等を見ますと出ております。

 私自身は、今日、資料をつけておりませんけれども、今言った運転手やいわゆる運輸あるいは建設よりもはるかに、平均で、月当たりのいわゆる超過勤務と言われるものは長い、労働時間は長いという認識でおりますけれども、大臣、この会見での認識というのは私は少し改められた方がいいのではないかというふうに思いますので、大臣の見解を尋ねます。

盛山国務大臣 九月十三日に就任した直後の九月十五日の会見でございましたので、そこら辺もちょっと御理解賜りたいと思うんですが、働き方改革法ができましたのは平成三十年でありまして、そのときに、三つの分野、つまり、自動車運送と建設とそして医療、この分野だけが五年間の適用猶予になりました。そういう点で違いがあるということを申し上げたかっただけでございまして、私も、その後、いろいろレクも受けまして、令和四年度の勤務実態調査によりますと長時間勤務の教師も大変多いということで、学校における働き方改革について取組を加速化させていく必要がある、そういうふうに考えておりますし、当省においての最重要課題の一つが働き方改革であると認識しておりますので、処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実と併せ、不退転の決意で推進していくつもりであります。

吉川(元)委員 是非、就任当初ということもあったということでございますが、非常に厳しい状況に今教員は置かれております。長時間労働で、過労で倒れたり、あるいは、若い人が先生になって、三日で、もうこれじゃ働けないということで辞めていくような事例もたくさん生まれております。非常に深刻な事態だというふうに思っておりますし、これはいずれ、今、中教審特別部会で議論していただいておりますけれども、この委員会でもしっかりと私自身も取り上げていきたいというふうに思っております。

 それで、一点だけ申し上げれば、長時間労働ですが、教員の場合は、これはいわゆる超過勤務扱いになっていない、これが一番問題の根源にあるということを是非大臣、心に留めておいていただいて、これからの議論、是非前向きな議論をさせていただければというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 今日は文部科学行政の基本施策に関するということで、所信表明に対するお話ということで、まずは政務三役の皆様から一言いただきたいと思っています。

 と申しますのは、旧統一教会に関しまして、解散命令請求というところまではこぎ着けた、それはここから審理が始まっていく、あるいは裁判所での更なる追加資料が要るとか、いろいろな形で対応していかなければならない皆さんだと思います。

 これに関して、忖度をしているようなことがあってはならぬということも含めまして、過去、現在そして未来に向けての旧統一教会との関係について、それぞれお述べください。

盛山国務大臣 お尋ねにつきましては、これまでもいろいろな場で申し上げているとおりでございますが、既に自民党による調査で御報告申し上げているとおりであります。報告しました会合につきましては、旧統一教会関連団体によるものだとは認識せず参加しておりましたが、後日、関連団体のイベントであることが判明し、そのことは党の調査にも回答しております。

 今後とも当該団体との関係を持たないこと、引き続き徹底してまいります。

青山副大臣 お答えいたします。

 私も既に自民党の調査で御報告申し上げているとおりでございますが、具体的には、旧統一教会関連団体の会合に出席をし挨拶をしたこと、また関連団体の会合へ会費を支出したこと、関連団体からパーティー券の購入があったことについて、自民党調査に回答をいたしております。

 当該団体についての認識を欠いたものと言わざるを得ず、軽率な行動をしてしまったことに大変申し訳なく思っております。

 いずれにいたしましても、現在及び今後において、当該団体及び関連団体との関係を絶つことを徹底してまいります。

今枝副大臣 お尋ねについて、既に自民党による調査で御報告を申し上げているとおりです。具体的には、支援者等に連れられて同行した先が旧統一教会の関係施設だったことがありました。また、旧統一教会に明らかに関係する団体の行事に対して祝電を送ったことはないものの、地元で開催される行事に多数の祝電を送る中で、旧統一教会の関連団体と気がつかずに祝電を送っているケースがあることについて否定はできないと回答しております。

 いずれにせよ、現在及び今後について、当該団体及び関連団体との関係を絶つことを徹底いたします。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 お尋ねにつきましては、既に自民党による調査で旧統一教会及び関連団体と関係を持ったことはない旨御報告を申し上げているとおりでございます。

 その上で、過去、私の後援会の筆頭最高顧問であられた方が旧統一教会関連団体の議長であった旨の指摘をいただいております。その方は、旧統一教会の関連団体とは知らずに議長に就任されていたと説明されており、私自身も、関係団体の議長であったことは知らずに後援会の筆頭最高顧問に就任いただいておりました。その方は既に後援会の筆頭最高顧問の職から離れておられますけれども、いずれにせよ、今後も当該団体との関係を持たないことを引き続き徹底してまいります。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 旧統一教会及び関連団体との関係を持ったことはございません。

 今後も、当該団体との関係を持たないことを引き続き徹底をしてまいります。

森山(浩)委員 先ほどからもお話がありましたけれども、昨日、旧統一教会の方から百億を供託するというような話が発表をされています。これから、硬軟取り交ぜて、五人の皆さん、政務三役の皆さんのところには様々な接触等も含めてあるかと思います。ここについては強い気持ちでもって対応いただきますようにお願いをいたしまして、次に移っていきたいと思います。

 三役、大臣以外の方は結構です。ありがとうございます。

 さて、今日は大臣の所信表明に関する質問ということでございますので、まず、岸田政権、子供、子育て、それから教育なんかも含めての予算倍増ということ、これは当時の自民党総裁選で立候補された皆さんがおっしゃったものでありますけれども、二年がたちました。その間におきまして、これは、こども未来戦略方針ということで、加速化プランの中で、いわゆるこども家庭庁の予算を倍にするんだというようなことで発表を既にされているわけなんですけれども、大臣、文科省というところの予算というものに関しても同様の対応が必要じゃないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

盛山国務大臣 教育は、子供たちの未来をつくる上で重要な役割を担うものであります。少子化対策と経済成長の実現の観点からも、教育予算の確保は極めて重要だ、委員の御指摘のとおりだと思います。

 当省としましては、これまで、幼児教育、保育の無償化、高等学校等就学支援金による授業料の支援、高等教育の修学支援新制度などの経済的負担の軽減方策等を着実に進めてまいりました。

 その上で、高等教育の無償化については、低所得世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施してきましたが、さらに、令和六年度から、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしております。加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大も含め更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。

 あわせて、優れた教師の確保に向けた働き方改革、処遇改善、学校の指導、運営体制の充実等の一体的推進、GIGAスクール構想の更なる推進、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校、いじめ対策の強化、留学等の国際交流や教育の国際化を通じたグローバル人材の育成、成長分野を牽引する大学、高専の機能強化、こういったことを始めとして教育環境の整備にも取り組むこととしており、これらに必要な教育予算を着実に確保してまいる所存です。

森山(浩)委員 様々な分野を頑張るんだという話なんですが、着実にというよりは、倍増を目指して頑張ると言っていただきたいなというふうに思うところでもございます。

 人づくりは国づくりなんですよね。我が国は地下資源の多い国ではない、そういう中で、人づくりをきちっとやっていく、教育大国を目指していくというようなところで先人が築いてきていただいた財産があります。小中学校、初等教育については、いまだにやはり世界の最高レベルにあるというような状況でもありますので、ここは、人づくりは国づくりだということで、他省庁を巻き込んで。文部科学省だから予算が欲しいというところでとどまるのではなく。

 私、去年、文部科学委員会に所属をさせていただいてから文部科学省の皆さんとおつき合いをさせていただいている中では、もっともっと大きな声で、これは国のためなんだから金をよこせというようなことをもっと大きな声で言っていいんじゃないかというふうに思っています。他省庁とのおつき合いの中でいいますと、もっともっといろいろなことを言っているんじゃないのかなという印象もありますので、これは、省の皆さん、役所の皆さんも、そして政務も一丸となって頑張っていただきたいと思います。

 その中で、大臣の地元であります兵庫県明石市が、前市長のときに五つの無料化というのをやっています。子供の医療費、第二子以降の保育料、ゼロ歳児の見守り訪問のときにおむつを持っていくおむつの定期便、あるいは中学校給食費、それから公共施設の入場料というようなことで、こういった無料化をどんどんやっていますよというようなことを言ったことにより、九年連続で人口が増えるというところまでこぎ着けたという事例があります。

 お近くで見ておられたので、実感含めておありだと思いますが、教育は町づくりであり、国づくりであり、あるいは経済活性化でありというようなことにもつながっていくのだといういい事例ではないかと思うのですけれども、この明石の五つの無料化についての大臣のお考え、お知らせください。

盛山国務大臣 委員御指摘の明石市において取り組まれている五つの無料化につきましては、子育て世帯の経済的負担を軽減し、全ての子供たちを地域全体で支えるという自治体独自の取組の一つであると理解しております。

 当省としましては、少子化対策の観点からも、子育て世帯の教育に係る経済的な負担を軽減することは重要であるとの認識の下、幼児教育、保育の無償化、高等学校等就学支援金による授業料支援、高等教育の修学支援新制度など、学校段階全体を通じた教育費の負担軽減に取り組んできたところであります。

 森山委員のように声が大きいわけでもありませんし、腕力が強いわけではありませんが、教育費の負担軽減に向けて必要な取組を進めてまいるつもりです。

森山(浩)委員 どうもありがとうございます。同じ名前のモリヤマでございまして、しっかり教育予算の確保のために共に頑張ってまいりたいというふうに思います。

 さて、所信表明の中で、幾つかの立国という言葉が出てきています。スポーツ立国。私、スポーツや芸術文化というようなものというのは、実際、人生の実体に関わるものだと思っています。数字を追いかけて仕事をしてというような部分も確かに重要なところなんですけれども、その結果、私の人生の中で何が残ったかというようなときに、スポーツや芸術文化というようなものというのがまさに中心に核としてある。あるいは、歴史の教科書の中に残っているのにも、そういうスポーツや文化芸術といったような皆さんが多数登場しているというようなことも含めまして、まずは、スポーツ立国というのはどのように思われて、また、どう実現をしていこうと考えられておられるのか、大臣の御所見をお伺いします。

盛山国務大臣 スポーツは、心身の健康はもとより、人々に誇りと喜び、夢と感動、そして勇気を与えるとともに、社会活性化等に寄与するなどの様々な価値を有しております。

 例えば、オリンピック、パラリンピックもそうですし、今年であれば、大リーグで御活躍をされている大谷翔平選手もそうでありますし、いろいろな方が活躍をされていることで、みんなが、ここまで日本も頑張れるんだ、強いんだ、あるいは、障害を持っている人がこれだけやっているんだから私たちももっと頑張ろう、こんなふうにいろいろお感じになったところじゃないかと思います。

 こうした価値の一層の向上に向けまして、スポーツを通じた共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進、そしてスポーツによる地域の創生、町づくり、スポーツ等を通じた国際交流等の取組を着実に進めることが重要であると考えています。

 そしてまた、スポーツというか運動を通して、我々、私もそうですし、多くの方々の健康づくり、こういったものにも資するわけですので、高いレベルのスポーツだけではなく、そういったものを見る楽しみも含めてでございますが、我々自身も、自らの健康づくりにも大変役に立つんだということで運動、スポーツに親しんでいただければいいと思っております。

 こういう取組を通して、全ての人がする、見る、支える、いろいろな立場から積極的にスポーツに関わることで、前向きで活力のある社会の実現、こういったものにつながっていくことを期待しているところです。

森山(浩)委員 文化芸術立国についてはいかがですか。

盛山国務大臣 文化芸術は、国民の心を豊かにするとともに、社会経済的にも様々な価値を生み出す源泉であり、大変重要な分野であると考えています。

 私も、大臣になりましてから、文化庁の京都庁舎、ここに行きました。そして、京都移転を契機とした新たな文化行政の展開に向けた取組状況、これを把握しました。

 そして、東福寺で進められている保存修理、防災対策の現場視察を通じて、文化財を次世代に継承していくための取組の重要性を感じたところであります。

 また、東京国立博物館、国立科学博物館あるいは金沢の国立工芸館を訪問しまして、来館者の回復状況、収蔵品の保管の御苦労などを伺うことで、文化拠点としての博物館を始めとする文化施設の役割を改めて確認をしたところであります。

 このように、現場を直接訪れて感じ取った思いも踏まえまして、先日政府で取りまとめた総合経済対策では、地域の貴重な文化財を守る修理、防災対策や、クリエーターやアーティストの育成、その活躍、発信の場でもある博物館等の文化施設の機能強化への弾力的かつ複数年度にわたる支援などの施策を盛り込んだところであります。

 今後は、本年三月に閣議決定した第二期文化芸術推進基本計画に基づきまして、ポストコロナの創造的な文化芸術活動や文化資源の保存、活用を始めとする重点取組等の推進を通じて、心豊かで活力ある社会を形成するため、文化芸術と経済の好循環を加速し、文化芸術立国の実現を目指してまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 大臣御自身が国土交通を始めとして他分野での造詣も非常に深いという中で、町づくりであるとか社会づくりであるとか、こういったものを巻き込んで、スポーツ、芸術文化、こういったものを推進をしていく、このキーマンになられる方ではないかなと思っています。是非、ほかの分野の省庁を巻き込んでのスポーツ、芸術文化、単なる文部科学省の中で書いた計画だけではなくて、しっかり広げていくぞという御決意をいただけますか。

盛山国務大臣 済みません、他の分野のことまで御指摘されるとは思いませんでしたが、例えば、観光も一つですよね。やはり観光の素材としての文化ということになりますし、そして、それをどうやってうまく見せて、これは国内の観光客もそうですし、インバウンド、こういったことも含めて、例えば、よく説明しているのは、二条城の大広間を見て、ここで何が起こったかをそれを見るだけで理解するのは難しいと思うんですが、最近はICT、インターネットやスマホも発達しているものですから、そこへ、QRコードに当てれば、場合によったらば説明を、その人の言語だけではなくて画像も出てくるような形にしていくだとか、そういうようなことも大事だと思います。

 それから、バリアフリーなんかにつきましても、以前から携わっていたところでありますが、オリパラに向けまして相当程度進みましたが、そういうことも含めて、文化、スポーツ、そして町づくり、観光ですとか、そして食の部分もそうですし、いろいろ広がりがあると思います。

 そして、スポーツでいうと、日本の選手が活躍することで、柔道だけではなく、いろいろな分野で海外の方も日本への注目を高めていただける。

 そういったことで、広くスポーツも文化も日本のこれからの発展を支える大変大きな分野である、そんなふうに思っておりますので、少しでも森山委員の御期待に応えるべく頑張らせていただきます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。楽しみにしております。

 さて、副校長、教頭マネジメント支援員の配置というのが新規で要求をされておりますけれども、これについて御説明ください。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 副校長、教頭は、学校におけるマネジメントについて重要な役割を果たしている一方で、教員勤務実態調査の速報値では、副校長、教頭の厳しい勤務実態が改めて明らかになっております。

 このため、副校長、教頭の学校マネジメント等に係る業務を専門的に支援するための人材に必要な経費を令和六年度概算要求に盛り込んだところでございます。

森山(浩)委員 これは、待遇はどんなものですか。

矢野政府参考人 待遇でございますが、一時間当たり千六百円の報酬等を想定しているところでございます。

森山(浩)委員 ちょっと、今の仕事を辞めてこれをやってというわけにはいきませんよね。これは永岡大臣のときにもお伝えさせていただいたんですけれども。

 東京で働いています、二時間通勤しています、でも、本当は自分の田舎に帰って母校でこういう仕事ができたらいいなと思っている人も、余りにも低い待遇では帰ってこれない。地方創生などで農林漁業などの人が帰るというようなことはあるんだけれども、ホワイトカラーのまま帰るというのはなかなか難しいという中におきまして、是非これもまた、大臣、御相談をいただきたいんですけれども、Uターン、Iターン、こういった人たちを引きつけるための副校長あるいは教頭マネジメントというような役割の人たちのきちんとした待遇、東京で働くほどの値段は出せなくても、地方だと生活費も安いですから、夫婦で帰ろうかというようなこともあるようにしていただけたらな、そんな工夫をする。あるいは、この支援員、別の枠をつくっていただいても結構です。是非、御検討いただきたいと思います。

 さらに、中等教育段階での国際交流というような言葉も出てきています。これは、政府目標等はどうなっていますでしょうか。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、高等教育のみならず、高校段階における国際交流につきましても、生徒が語学力あるいはコミュニケーション力あるいは異文化理解を進めるという観点では、将来にわたって日本と他国の懸け橋となるという観点から意義が大きいものというふうに考えてございまして、政府は、今後十年間で、高校生の留学者数の派遣を十二万人、受入れを二万人と、それぞれ三倍に増やすということを目指してございます。

 このため、来年度に向けましては、短期留学を、四千人の国費による支援のための予算を要求しているほか、民間の協力も得まして、トビタテ!留学JAPANにおきましても、今年度から始まりました新・日本代表プログラムで、今後五年間で高校生四千人を支援する予定でございます。

 また、受入れに関しましても、今年度は三十三か国から外国人の高校生を受け入れる見込みとなってございます。

 今後とも、高校段階における国際交流を推進してまいりたいと考えてございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 数値目標はあるんだけれども、何か国に送るとか、何か国から受け入れるというような部分についてはないんだというふうにお聞きをしています。

 これも文部科学をちょっと超えるんですが、外交上も、あるいは経済的な交渉をするに当たっても、同級生がその国にいるかどうかなんというのは非常に重要な部分だと思います。二百か国しかありません。何とかできるだけ多くの国々、紛争中に送るわけにはいかないでしょうから、状況を見ながらですけれども、行き来両方に、こういう若いうちから交流ができるように。今の日本、どうしても一部の国に偏った人脈になっている部分が多いと思います。是非、これは検討して拡大を、何か国というような目標値も入れていただければなと思います。

 災害時の避難所としての学校施設の機能強化についても語っておられます。冷暖房の補助率を上げるんだとなっていますが、現在の状況をお伝えください。

笠原政府参考人 先生の方から公立小中学校の冷暖房の設置状況のお尋ねがございました。

 避難所となります公立小中学校施設における冷暖房の確保の状況といたしましては、主な避難施設となる体育館ですとか教室等への設置に加えまして、災害時に機器を確保できるという場合も含めまして、令和四年十二月一日現在で、冷房機器については六七・一%、暖房機器については八〇・二%ということになってございます。

森山(浩)委員 私、地元が大阪、堺なんですけれども、ないんですよ。三分の一ぐらいまだできていないという状況でありますので。

 体育館、ここに集まるということは多いです。あるいは、避難訓練、小中学校、やっていますけれども、逃げるというところまではやります。でも、小学校高学年あるいは中学生が避難所に集まってきたときに、力仕事、段ボールベッドを組み立てるであるとか、あるいはマンホールトイレを組み立てるであるとか、いろいろなことができる、戦力になるというのが実態だと思います。

 避難訓練の中身などもちょっと工夫をしていただいて、主体となって動けるような訓練というのもやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、実践的な防災教育、大変大事だと思っております。

 文部科学省におきましては、防災を含む安全教育に関するモデル的な取組を支援してございますけれども、その中では、学校と地域の連携をしまして、まさに委員がおっしゃるように、小中学生が段ボールベッドあるいは簡易トイレなどの組立ての体験、あるいは救護体験などを行うなど、避難所における様々な活動を想定をした学習が行われているところでございます。

 このような好事例をポータルサイトなどにおいて周知をいたしまして、地域の方々あるいは関係機関との連携、協働による実践的な防災教育の推進に取り組んでまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 私は党で災害局長をやっていまして、福島のいわきの大雨の被災地に行きましたら、体育館に泥が上がっちゃって、これ、水でざっと流して使いなさいよというようなところで当時泊まっておりました。

 体育館の床板というのは水にぬれてしまうと反るということで、バスケットボールをやっていても、ラグビーボールのように横に飛んでいってしまうなんというような危険性も含めて、水は上げないようにという指導をふだんしているかと思うんですけれども、こういった復旧の場合の窓口というか、当然、こういうふうにやったら国から支援できるんですよというようなことをしっかり周知をしていただくことが大事だと思いますけれども、大臣、大丈夫ですか。

笠原政府参考人 災害復旧制度の周知について御質問がございました。

 被災した学校施設の復旧につきましては、災害復旧制度を活用しまして、速やかで円滑な事業実施を図れるよう、最大限の支援に努めているところでございます。

 具体的には、被災時に迅速かつ円滑に災害復旧事業を実施していただくことを目的としまして、被災した自治体向けに災害復旧制度の説明会を実施するなど、まさにプッシュ型で災害復旧制度の周知活動を行っているところでございます。

 今後とも、自治体と連携しながら、学校施設の早期復旧に向けた、被災地に寄り添った支援を最大限努めてまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ここらあたりも大臣の得意分野だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 不登校です。これもこの間ずっと申し上げていますが、不登校になってしまう子が悪いのではないのだ、あるいは、義務教育の義務というのは、子供が学校に通う義務ではなくて、大人が学校に通える環境を整備をする義務なのだというような部分、これは何度言っても、口を酸っぱくして言っても、どうしても、おまえ、義務教育なんだから学校へ行けよというような親御さんの言葉に傷つく子供たちというのが後を絶ちません。

 ここは、不登校であるということについては、それは一定の数、当然存在するんだ、それをいかに選択肢をつくっていくかが大事なのだと私は思っていますけれども、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 不登校については、なかなか深刻な問題でございます。

 我々、小中高の不登校児童生徒数が過去最多となったこと、こういうことを踏まえまして、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにするため、本年三月にCOCOLOプランを取りまとめております。

 そして、十月には総理から、現下の不登校やいじめ重大事態の状況を踏まえた緊急対策を取りまとめ、経済対策にも盛り込むよう指示があり、不登校・いじめ緊急対策パッケージを策定するとともに、先日閣議決定された総合経済対策においても、COCOLOプランを前倒しした取組を盛り込んだところであります。

 これらの取組を私も先頭に立って進めていくことにつきまして、大臣メッセージを公表し、子供たちと教育委員会、学校に向けて発出しております。

 今後も、子供たちを、誰一人取り残されず、安心して学ぶことができる環境を早急に整えるため、必要な対策を進めてまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。子供たちに誤ったメッセージが行かないようにと。

 夜間中学の設置促進についてもおっしゃっていましたけれども、大阪市でこれを減らすというようなことが実際行われていくとすると、反対のメッセージになってしまいます。これは超党派で我々も、議員側も取り組んでいきたいと思いますので、是非お願いをしたいということ。また、GIGAスクールの端末について、これを増やしていくんだというお話がありますから、是非これも頑張っていただきたいということを申し添えまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 今回、盛山大臣に初めて質問をさせていただきます。大臣所信、聞かせていただきまして、いろいろ思うことはたくさんあるんですけれども、まず一番最初には、多分たくさんやられていると思います、解散の命令請求をされていると思うんですが、財産保全についてまずはやらせていただきたいと思っております。

 立憲民主党さんの方は、財産保全について、消費者特さんかな、の方に特措法で出されているというふうには聞いておりますけれども、我が党は、宗教法人法を改正するのが一番いいのではないかということで、宗教法人法の改正案を出させていただいております。

 そもそも、前回の通常国会中、六月だったと思いますが、そのときに、宗教法人法改正案の中に財産保全の部分は入っておりました。けれども、審議もしていただけなかったというか、審議すらしなかったので、今回、財産保全に関しては非常に緊急性が高いということで、再度提出をさせていただくという形を取らせていただきました。これが経緯です。

 そもそも、私たちは、財産保全について必要不可欠だと思っておりますし、国会議員としてこれについて取り組むことは責務だと思っております。

 まず、その前提となります解散命令についてお尋ねをしたいと思います。

 旧統一教会の解散命令事由に該当するものと判断されたということが大臣所信の中でも発言されていたと思いますが、その根拠、そしてそれがどういったものだったか、お願いいたします。

盛山国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、旧統一教会は、遅くとも昭和五十五年頃から長期間にわたって継続的に、そして、その信者が多数の方々に対して相手方の自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で献金や物品の購入をさせて、多額の損害を被らせ、親族を含む多くの方々の生活の平穏を害する行為を行っております。

 このことにより、不法行為として損害賠償を認容する民事判決の賠償額や和解、示談の解決金等は、対象者約千五百五十名、総額約二百四億円に上っており、家族を含めた経済状態を悪化させ、将来の生活に悪影響を及ぼしたり家族関係が悪化するなど、本人や親族に与えた精神的な損害も相当甚大であること、こういったことから、民法上の不法行為に該当し、宗教法人法第八十一条第一項第一号に定める解散命令事由に該当するものと認めました。

 また、旧統一教会が、財産的利得を目的として、献金の獲得や物品販売に当たり、多くの方々を不安や困惑に陥れ、その家族を含む多くの方々に財産的、精神的犠牲を余儀なくさせて、その生活の平穏を害したことは、宗教法人の目的を著しく逸脱するものであり、宗教法人法第八十一条第一項第二号前段に定める解散命令事由に該当すると認めたからでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 当然のことながら、この解散命令事由というところに該当するというふうになったからには、ここはやはり信教の自由というところは、それを超えても、それを行為として、非常に長期間、長い期間、そして継続して行われて、被害が大きかった、様々な観点から考えられていて、これは結局は、信教の自由を超えたところで民法上の不法行為が認められたというふうな認識でよろしいかと思います。

 ところで、十月三十日、うちの一谷議員が予算委員会の中で質疑をさせていただきました。

 その中で、我が党が出させていただきました、先ほど説明しました宗教法人法改正案の財産保全についての質問をさせていただいたときに、宗教法人の位置づけその他から考えましても、維新案の法整備を行うことは大変慎重な検討が必要というふうにお答えをされているんですが、その理由をお願いいたします。

盛山国務大臣 先日の一谷議員に対する予算委員会での答弁についてでございますけれども、一般論として、宗教法人法と会社法とでは、その趣旨、目的、解散命令請求の仕組み等が異なり、宗教法人の財産保全を包括的に求めることができる制度と宗教法人法を改正することは、憲法の定める財産権や宗教活動に対する制限との関係で慎重な検討が必要と考えるということで申し上げたものであります。

 なお、過去の経緯では、宗教法人に対する解散命令を裁判所が行う制度となった昭和二十年の宗教法人令、これから、昭和二十六年の宗教法人法の制定を通じまして、財産保全の制度は設けられておりません。また、平成七年の宗教法人法の改正においても財産保全の制度の導入は見送られているということを申し添えます。

堀場委員 過去の宗教法人法であったり、法令での改正の中に財産保全がないよね、これは、おっしゃることはよく分かるんです。

 そして、我々が、会社法があるのでそれを一応応用して宗教法人法の改正案というのを作ったのは、作ったんですけれども、そこは財産保全の部分だけで、解散命令の請求というところとセットでやっているということを御認識をしていただきたいなと思っているところです。

 民事保全法の活用や、今、外為法による対応、法テラスの拡充、法テラスは御存じのとおり、裁判を起こすためにはお金がかかりますので、そういったことを含めた、これらの方法で財産保全というものは極めて限定的になるのではないかということを、私もそうですが、多くの人たちが、そして弁護士団の方々、皆さんが懸念をしているんですけれども、それに対して、大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 被害者の救済に関して、私どもがこれまで御説明をしておりました民事保全制度では時間がかかることなど、懸念を示される方がいらっしゃることは承知しております。

 例えば、一般的に、民事保全法上の保全命令を申し立てるためには、債権を有すること、あるいは保全の必要性を疎明することが必要とされていますが、民事保全は、口頭弁論を必要とせず、証明ではなくて疎明で足りるとされ、迅速な手続で行われることとされているなど、現行制度下でも一定の仕組みが整備されているものと承知をしております。

 いずれにしても、文部科学省としても、関係省庁と連携し、必要な情報把握に努めるなど、現行法の下で、被害者の救済に係る取組には最大限努力してまいります。

堀場委員 その現行法では限界がありますよねということを我々は主張させていただいているんですね、多分よくよく御存じだと思うんですけれども。

 そして、私たちはなぜ、宗教法人法の改正案という、特措法ではなく、宗教法人法改正案という形を今取らせていただいているかということも、一つ目は、解散命令請求と、これ自体は憲法二十条の信教の自由を侵害しないということであるならば、解散請求権とセットで財産保全をするということもまた信教の自由を侵害していないと我々は考えているんですね。

 つまり、審議会もありますし、様々なところで議論されて、解散請求権を出すまでにはやはり、その前に質問権を行使されて、たくさん、今回も七度されていますけれども、そういった形でしっかりと、信教の自由というものを侵害しないかという前提に立って、文化庁さんが、宗務課の皆さんがやられている。

 だから、宗教法人法の改正案では、解散命令請求を出された、だから、一緒にセットで財産保全ができるというものにしたらどうかというふうに考えているんですけれども、私は、そこで財産保全をすることは信教の自由を侵害しないと考えるんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 我々が今やっていることでございますが、解散命令請求の対象となった法人も、いまだ法人格を有する宗教法人であります。もちろん、我々としましては、大変慎重に手続を取り、そして宗教法人審議会で十分御議論をした上でございますので、我々としてはそれなりのところまで来ているというふうには考えてはおりますが、現在、我々としましては、法人解散命令を請求しているところでございます。それで、司法の場での判断をお待ちしているということでございますので、行政庁の方でどこまで判断できるのかということかなと思うんです。

 つまり、言い換えますと、財産保全を包括的に求めることができる制度とする、法人解散命令を請求している法人に対してですね、ということに対しては、繰り返しになりますけれども、憲法の定める財産権、宗教活動に対する制限との関係で、なお慎重な検討が必要ではないかと私たちは考えているということであります。

堀場委員 ということは、財産権の方に懸念があるということで、解散命令請求と財産保全、これがセットであるならば、信教の自由というのは、恐らくかなり慎重にやってきているので、私は、審議会の皆さんのことと、宗務課の皆さんがしっかりとやられて、解散命令請求を出すという段階で信教の自由はクリアされていると考えているので、同様に、ここにセットで財産保全をつけることに関しては大丈夫なのではないかと思っているんですが。

 財産権の侵害というふうになっているんですが、宗教法人の解散で、財産の保全が財産権の侵害に当たるかどうかというところなんですけれども、我々は、最初に言っていました、ここの部分で会社法を準用しているので、会社法としても財産保全は財産権の侵害に当たらないというふうになっている部分があるので、ここも同じように財産権の侵害に当たらないじゃないかというふうに思っているんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 一般論でございますが、宗教法人法と会社法では、その趣旨、目的、そういった仕組みが異なっております。

 会社法というのは、やはり、経済的な自由、これに対していろいろなルールづけをするというものでありますし、宗教法人法は、経済の部分もないわけではないんですが、精神的自由とされる信教の自由というものについて主眼に置いて定めた法令であるということでございますので、会社法の仕組みをそのまま宗教法人法に入れていく、あるいは準用していくということには、やはり、憲法上で定める財産権、宗教活動との関係で、なお慎重な検討が必要ではないかと我々は感じております。

堀場委員 ちょっと、はてなと思っているのが、経済的なものがある、宗教は精神的なもの、それは分かります。皆さんの心の安寧とか、やはり、平和を願うとか、そういう様々な思いがあって。

 私自身が、この旧統一教会の課題が発生してからずっと私も、宗教に関するタスクフォースを、入っておりましたし、ずっと担当させていただいていて思っているのは、これは何とか早くしなければ、ほかの宗教法人さんに強い影響が出てしまう。今も寄附が非常に減っているという現状がある。若しくは、宗教を信仰するということに対して、何か、さめた目と言うとちょっと表現があれですけれども、差別的な思いを持たれる方が増えてくる。そういったことに非常に強い懸念を持っているんですね。

 私たち日本人というのは、宗教というものが非常に身近な国だと思っています。神社も仏閣も、何なら少し歩けばお地蔵様があったりとか、日常生活の中に非常に宗教という概念若しくは神様という概念があると思うんですよね。私は、こういったものが存在していることが非常に重要だと思っています。これを守らないといけないと思っているんですけれども、そのためには、悪質な行為が行われている宗教団体に対してそれなりの対応をしなければならないよねというふうに思っているんですね。つまり、差別化を、線を引いてほしい。

 これは多くの宗教家の皆様からもお声を頂戴しているんです。一緒にしないでほしいんです、我々は、これだけ皆さんの、こういうことをやっていますという形のお声をたくさん頂戴するんですけれども、そのすばらしい活動が減退してしまうんじゃないかという強い懸念を持っているので、私たちは、宗教法人法というところで、しっかりと行為に対して規制を加えるべきではないか、考え方を改めていただく必要があるんじゃないかということを言っていますね。

 先ほど大臣がおっしゃっていました。会社法は経済的な活動に関して使うから、そこは、財産権、大丈夫なんだけれども、宗教法人は、精神的とか、そういう心とか、そういったものを念頭に置かれている、つまり、信教の自由のところ、内心の自由とか、そういったところとの兼ね合いでつくられている法人だから、財産権の侵害には非常に、もう少し気を遣わなければならない、慎重な議論が必要だとおっしゃるんですけれども、でも、そこで経済的に困って、経済的に、寄附行為の中で非常に、マインドコントロールだったり様々なことがあって、甚大な被害がある。先ほどおっしゃっていました、千五百五十名で二百四億円に上る被害があったと考えていらっしゃるわけだから、ここを財産権の侵害に当たらないと考えている我々の法律案についてもやはり少し前向きに考えていただきたいな。

 というよりか、私たちは、財産保全、非常に緊急性が高いので、特措法という形になるならば、それでも前に進むのではいいのかなと私自身は思っているんですが。

 これをやらない、できないとか、やはり行政上できないとかというのであれば、今まで、宗教法人法を管轄されている文化庁若しくは宗務課の皆さんに対して、多分、統一教会の被害を受けている方々は助けてほしいと声を上げていたと思うんですね。その声をずっとこの長期間、被害が甚大になるまで一定程度放置をしてきた責任というものがあると私は思っています。だから、ここでしっかりと、被害に遭われた方々が安心して財産を保全をするという行為に政府が動いてほしいと思っています。

 我々日本維新の会の案である宗教法人法の改正案、これは今るる説明させていただきました。二つがネックになっていると言われている。信教の自由、これは、解散権の請求、これとセットになるのでクリアできるんじゃないか。財産権に関しては、会社法で経済的なものを言っているところと同じように、経済的に困難さがあるための財産保全はイコールで、財産権を侵害していないんじゃないか。だって、ぼんぼん出さないですからね、そんなしょっちゅうしょっちゅう出すわけじゃないので。そういった根拠があれば、財産権を侵害していないんじゃないか。この二点から考えて、宗教法人法の改正案を出させていただいています。

 大臣の答弁は、こっちのときは信教の自由は大丈夫なんだけれども、こっちのときは財産権の、会社法は大丈夫だけれども、宗教法人法は駄目。何か、解散請求は大丈夫だけれども財産保全は慎重に議論ってなっちゃうと、根拠が見えないというか、ただ前に進まないんじゃないかなというふうに懸念をしています。

 維新案である宗教法人法の改正というのができないと思われている理由を教えてください。

盛山国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、まず、維新さんが出しておられる案は議員立法でございますので、我々政府側が議員立法の中身についてコメントをできる立場ではないんですね。各政党の間で御議論をしていただいて早くおまとめいただければ、それはそれで、それを前提にして我々はそれへの対応をさせていただくというところでございます。

 それから、我々の立場は、今現にある宗教法人法にのっとりまして、私たちは東京地方裁判所に解散命令請求というのを行っている当事者でございます。その当事者が裁判所の判断を待っている中で、宗教法人法を改正をするような動きを私たち政府がするというのは、これはちょっと余りふさわしくない、そんなふうに思います。

 それから、これは若干余計かもしれませんが、被害を受けられている方、今実際に民事の手続を取っておられる方、そういう方はそういう方で、今でも枠組みとして、保全の手続を取るということは可能でございます。

 そういった点で、私たちは、そういうことに対してのお手伝いはできるだけさせていただきますということを申し上げているということでございまして、懸念というのは、先ほど来私申し上げましたけれども、これは議員立法に対して我々が本来余りコメントするべきことではないということで、若干言い過ぎたかもしれませんということを申し述べさせていただきます。

 以上です。

堀場委員 ありがとうございます。

 是非、お手伝いではなくて、しっかりと前に進めるために、できる方策を全部取っていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、まだまだ続くので、次に行かせていただきたいと思います。高校の無償化についてですね。

 大臣は、誰もが学ぶことができる機会の保障や、誰一人取り残すことなく、子供たちの学びの機会を確保することは文部科学省の使命ですと明言してくださっていますね。にもかかわらず、高校無償化、完全高校無償化というところに取り組まない理由を教えてください。端的で結構です。

盛山国務大臣 誰もが学ぶことができる機会の保障、誰一人取り残さない、それは今委員がおっしゃったとおり、我々考えているところでございますが、国における高校生等の修学支援につきましては、平成二十六年度に、所得制限を設けることで捻出した財源を活用して、私立高校等へ通う生徒への就学支援金の加算拡充、授業料以外の教育費の支援である高校生等奨学給付金の創設などの見直しを行っており、低所得者世帯等への支援を拡充することで、より教育の機会均等に資する制度にしております。

 そして、教育費の負担軽減の在り方については、限られた財源を使ってどのような家庭をどう支援していくかという観点から考えていく必要があると考えておりますので、目標としては別に変わらないわけでございますけれども、現時点でどこまでできるのかということで、ちょっと委員の御指摘と距離があるのかなと考えております。

堀場委員 中学校三年生が、所得制限があることによって選べない学校がある。所得制限じゃなくても、例えば家族の、兄弟の量が非常に多い、そういった子供が、親の所得とにらめっこしながら進路を決めている。この所得制限がある状態というのは、誰一人取り残されることなく子供たちが学びの機会を確保されている、まあ確保はされているんですよね、きっと、席があるから。でも、子供たちが行きたいと思う学校に行かせてあげられないというこの大人の責任について、私たち日本維新の会は非常に強く考えているところでございます。確保、それもそうですね。

 それで、高等学校の、私たちは無償化をすることによって学校の質が上がるというふうに考えているんですけれども、それにはやはり、今、授業料とか様々な指標で子供たちが学校を選んでいる中、少子化が進んでいき、学校という選択肢が増えていく、そうしたら学校側が切磋琢磨をしてくださいよねというところで、質の向上というものを非常に重要視をしています。無償化を手段に質を向上していこうと非常に前向きに取り組んでいるところですけれども、高校の質の向上とは何か。また、その必要性をどのように認識されているのか。

 そして、もう次も一緒に。高校の無償化が教育の質の向上に寄与しないと考えていらっしゃるなら、その根拠をお願いいたします。

盛山国務大臣 まず、義務教育というのは小学校、中学校ということで、高等学校は義務教育ではないということで、そこでやはりちょっと一つ位置づけ、違いがあるということはまず御理解を賜りたいと思います。

 その上で、授業料ということにつきましては、特に、今言った義務教育というところとも関係があるんですが、小学校、中学校まではほとんどの方が公立の小学校に行かれていると思います。逆に言うと、それだけ、小学校、中学校、公立の学校が多い、キャパがというか、受皿が大きいということになります。

 ただ、高等学校になりますと、公立の高等学校というのはある程度限界がございまして、私学の高等学校、私立の高等学校へ通われている方が多いというのが現実でございます。そこで、多分、議員の御指摘は、そういう私立の高校、こういったところを含めて、もっと機会均等に、誰でもが行きやすくするようにすべきではないかということかなと思います。

 そんな中で、我々としても、できるだけ教育の機会均等ということで、その目標に向かっては進みたいと思っているんですが財源の限りがありますということを先ほどちょっともごもごと言っていたところでありますが。

 高校について、無償化というか、誰でも行けるようにできるような条件整備をすることで高等学校の質がどう変わっていくんだろうかといったようなところに対しまして、ちょっとこれはなかなか、今我々の手元では、そういう差をなくすことによる、高等学校の教育の質の格差、これをなくせるということにそのままつながるかどうかということにつきましては、我々は判断できるようなそういう材料を持っていないということでございます。

堀場委員 高校は義務教育じゃないとおっしゃるんですけれども、今、じゃ、中卒で就職をしている人がいるのか、それはどれぐらいいるのか、そして高校進学率を考える。義務教育じゃないけれども、ほぼ九九%近くが高校に進学している現状の中で、なかなか、高校というものの質を向上させていく、これは文部科学省さんにとっても大きな課題だと私自身は認識していますし、恐らく文部科学省さんも非常に強い関心を持って質の向上に取り組まれていると思っています。

 なので、やはりここの所得制限があることで、私立に、公立の数が少ないので、例えば大都市、特に東京、大阪、京都、その他もろもろ、私立の学校を選択せざるを得ない子供たちもいるということ、つまり、公立校が生徒数と見合っていないということですよね。だから、そこの部分があるので、やはり私立の無償化にも取り組まなければならないと思っているところでございます。

 少しお時間がないので、最後の問題、一つだけ行かせていただきたいと思います。

 貧困や虐待等の困難を抱える児童生徒への教育的ニーズに応える学びの場というのは何を指しているのか、そして、教育的ニーズとは何だと御理解されているのか、お願いします。

盛山国務大臣 いろいろな教育的ニーズに対応するため、当省におきましては、貧困家庭の児童生徒の学校の学びについては、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形での教育の無償化や教育費負担の軽減、貧困等による教育格差の解消のための教員定数の加配措置、スクールソーシャルワーカーの配置充実等の学校をプラットフォームとした子供の貧困対策、そして、社会教育施設等での学びについては、小中高への学習支援の充実や高校中退者等に対する学習相談、学習支援の促進等の地域の教育資源を活用した子供の貧困対策、こういったことに取り組んでいるところでございまして、できるだけ多くの方々が希望する教育を受けられるように、そういうような環境を整えていきたいと考えています。

堀場委員 貧困と虐待は全然違うものだと思っているんです。もちろん、起因していることはあると思うんですね。お父さん、お母さんの、若しくは保護者の方の収入が少ないせいで子供たちが虐待に遭っている、こういうパターンはあるとは思うんですけれども、所得に関係なく虐待を受けている子供たちもたくさんいると思います。

 一つにされて、ただ、言いたいこと、私はすごくよく分かるのは、学校をプラットフォームにして発見機能を高めていく、SSWさんとかそうだと思います。発見機能を高めていって、貧困家庭だなと子供の方からの情報として分かった場合には、SSWさんを通じて、保護者負担軽減とか、所得で学校無償化、さっきの所得制限ですが、行われてねみたいな云々かんぬんあります。

 そして、虐待を受けている子供に対しては心のケアが必要ですよね。様々な、もっと言うと、逃げなきゃいけないかもしれない、保護が必要かもしれない。様々なネットワーク、要対協とかを使って守っていかなきゃいけないよねと。

 これは全然違うんですけれども、どこの場所、応える学びの場というものをつくったとしても、人がいなければ何の役にも立たないんだということを強く言いたいんですね。例えば、校内支援センター、私、この議論は前の国会でさせていただきましたけれども、各校につくるんです、それはすばらしいと思うんです。そこに不登校の子が行けば、私はいいと思う。だけれども、場所はつくるけれども人は配置されないとなったら、何のために、そこにただ子供がいればいいの。違いますよね。

 やはり、大人の目と手が全然足りていないのが教育現場で、そして、それを何か紙上で試算したら足りているんですよといって、いや、もうこんなに教員要らないでしょうみたいな感じで財務省さんに言われても、実際の現場で見たときに、子供たちに必要な手と目は全然足りていないんだということを大臣もよく御存じだと思いますし、文部科学省さんも御理解されていると思うんですけれども、私は、この学びの場をつくるというのであるならば、学びの場に配置する人も一緒につけていただきたいと思っているんです。

 大臣、最後にその思いを是非聞かせていただければと思います。

盛山国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。委員がおっしゃっていることに、我々も異論はありません。まずは場、場所、これが必要で、今度は、場ができたら、そこで誰が何をするのかという、いわゆるハードに加えてソフトが必要である、こういうことだと思います。

 質の高い教育の実現、複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善は大変重要であります。

 このため、来年度、令和六年度概算要求においても、小学校の三十五人学級の計画的な整備、小学校高学年教科担任制の推進、そして不登校や貧困など、様々な課題に対応するために必要な定数改善を計上して要求しているところでございます。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、こういう教職員定数の改善に全力で取り組むつもりです。

堀場委員 ありがとうございます。

 学校現場の件に関しては最大の応援団でありたいと思っておりますので、是非前向きに取り組んでいただければと思います。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。

 この二年間、財務金融委員会におりましたけれども、今国会から文部科学委員会の方に所属させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 私ごとではございますけれども、先月、四十歳の誕生日を迎えました。(発言する者あり)ありがとうございます。

 四十歳以下の国会議員は、実は全体の三%とか四%しかおりません。これは民間で考えてみると、七百人超いる会社で、二十代が一人もいない、三十代は三、四%、こんな会社は多分ほとんどないわけで、今の国会の年齢構成は決して望ましいものではないのかなというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、若い世代の視点や感覚を生かしていき、本委員会の議論が深まることの一助となればと考えております。

 それでは、質問の方に入らせていただきます。

 まずは、大臣所信表明の中の宇宙開発に関する部分についてお尋ねいたします。

 宇宙開発に関して、現状や今後の方向性についてどのように考えられておりますでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、世界的に宇宙活動が活発化し、宇宙を通じた経済、社会の変革がもたらされつつあるというふうに認識しております。このような中、我が国の宇宙活動の自律性を維持強化し、世界をリードしていくことが必要であると認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、本年六月に閣議決定されました宇宙基本計画等を踏まえまして、H3ロケットの開発、高度化等を含む宇宙活動を支える総合的基盤の強化、衛星等の開発を含みます宇宙安全保障の確保、国土強靱化、地球規模課題への対応とイノベーションの実現、また、アルテミス計画を含む宇宙科学、探査における新たな知と産業の創造等に取り組んでおるところでございます。

 今後とも、我が国の宇宙開発利用の強化及び拡大に向けて、関係機関とともに尽力してまいります。

藤巻委員 衛星なんですけれども、天気予報だったり通信・放送、それからカーナビだったり地図アプリなどに利用され、私たちの生活に深く関わっております。また、開発、高性能化を進めることで、将来的には自動運転やスマート農業などへの活用も期待されるところでございます。安全保障上も大きな意味を持っていると考えております。

 その衛星を打ち上げる基幹ロケットの開発も非常に重要であるというふうに私も認識を持っているんですが、一方で、文科省の言うところの宇宙科学、探査における新たな知と産業の創造、この部分は国益につながり得るのか、私自身はちょっと疑問を持っております。

 その中でも、先ほど言っていた、半分以上の予算を占めるアルテミス計画なんですけれども、このアルテミス計画についての概要をお答えください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 アルテミス計画でございますが、米国が主導する、火星探査を視野に入れつつ、持続的な月面探査の実現を目指す計画でございまして、我が国としては、我が国の強みを生かした分野で戦略的に参画することとしてございます。

 現在、我が国では、アルテミス計画への協力として、月周回有人拠点、ゲートウェーに提供する機器の開発、あるいは月面探査活動に必要な有人与圧ローバーの研究開発などを進めておるところでございます。

 また、文部科学省のアルテミス計画関係予算につきましては、令和元年十月のアルテミス計画への参画から令和五年度までの間に約一千五百七十億円を措置するとともに、令和六年度概算要求において約四百億円を計上しております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、必要な予算の確保に努め、アルテミス計画の推進に取り組んでまいりたいと思います。

藤巻委員 おっしゃられるように、アルテミス計画、これは月面での持続的な探査の実現を目指して、最終的には火星有人着陸を目標と掲げております。

 そもそもなんですけれども、火星、行きたいんでしょうか。毎年四百億円もの税金、これはもっと増えていくのかもしれないんですけれども、この多額の税金を使って仮に火星に行けたとして、行って何をするんでしょうか。それに見合う何かが火星にはあるんでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。

盛山国務大臣 未知の分野を切り開いていく、探索をしていくということではないかと思いますが、具体的にこのアルテミス計画への参画が我が国にとって、外交や安全保障、国際競争力、国際的プレゼンスの向上、非宇宙分野も含む広範な産業の拡大、そして委員が御指摘のような火星など、更なる深宇宙探査に向けた技術実証、こういった観点から意義を有していると考えております。

 また、その推進に当たりましては、我が国の強みを生かした分野で戦略的に協力を進めていくことが重要と考えております。このため、月の周回有人拠点でありますゲートウェーへの我が国の強みを有する技術や機器の供給、そして、月面探査を支える有人与圧ローバーの開発などの取組を推進しているところであります。

藤巻委員 そうですね、おっしゃられるように、科学者の方であったり、研究者の方の飽くなき探求心、それだったり、未知への挑戦というのが現在の豊かな社会をつくり上げているということは、もちろん十分に認識しております。火星を目指して挑戦を続けている研究者の方々には心からの尊敬と敬意を表するところではありますけれども、しかし、一年間で四百億、これは莫大な税金であります。

 これが何年続いていくのか、もっと増えていくのか、見通しがつけない中で、やはり月面での探索をやったり、新たな産業をつくったりという、そんな夢みたいな物語が本当に実現するんでしょうか。失敗の可能性の高い大ばくちにはなっていないでしょうか。毎年四百億円かけて、それに見合うだけのリターンはあるのでしょうか。私はちょっと、どうしても疑問を持たざるを得ないところがございます。改めてもう一度、大臣、お考えをお聞かせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 アルテミス計画でございますが、各国の技術力を試す場としての意義もあるというふうに考えてございまして、宇宙産業はもとより、これまで宇宙との関わりが薄かった非宇宙産業の参画も得て、研究開発を促進し、最先端の技術の獲得、あるいは実用化につなげていくことも重要と考えております。

 例えば、JAXAがトヨタ自動車等と連携して研究開発を進めております有人与圧ローバーにつきましては、自己位置決定ですとか、あるいは障害物検知、回避経路生成等の月面走行技術の開発を進めてございまして、これらの技術は地上の安全走行技術の向上にも貢献し得るものというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、アルテミス計画への参画を通じまして、それらの成果が、深宇宙探査に必要な技術の獲得はもとより、非宇宙分野も含めた我が国の技術力の向上にも資するよう取り組んでまいりたいと考えております。

藤巻委員 未知への挑戦を通じて新たな技術の探求というところだと思うんですけれども、私は、同じ未知への挑戦をするならば、宇宙ではなく、深海にすべきなのではないかと考えております。

 日本は海洋国家です。もし仮に我が国の排他的経済水域内でメタンハイドレートやレアメタルなどの海洋資源を安定供給することが実現できれば、これはとてつもない国益を生み出すことができます。我が国の資源大国への道が明確に切り開けます。火星に行くための四百億をJAMSTEC、海洋研究開発機構に回して、火星ではなく、深海の調査、探索に回すべきではないでしょうか。

 JAMSTECの予算規模、それから海洋資源開発に関する成果をお聞かせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度のJAMSTECの運営費交付金は三百六億円となってございます。海洋鉱物資源に関する研究開発につきましては、JAMSTECにおいて、深海において希少な金属がつくられる仕組みを調べる研究ですとか、そのような鉱物を効率的に探査する技術開発などに取り組んでおります。また、これらの研究開発を通じまして、我が国の排他的経済水域において海洋鉱物資源が存在する海域を特定するなどの研究成果が得られております。

 文部科学省として、引き続き、JAMSTECへの支援等を通じまして、海洋科学技術の推進に取り組んでまいります。

藤巻委員 JAMSTECの予算規模、今おっしゃったように、JAMSTEC全体で三百六億円。一方で、アルテミス計画は四百億円。アルテミス計画の予算をJAMSTECに回せば、JAMSTECの予算は二倍以上ということです。

 先ほどの話ですと、将来の海洋資源の安定供給に向けて確かな方向性を得ているというふうに見受けられます。火星に行って新たな産業を創出するという夢みたいな雲をつかむような話よりも、海洋資源の安定供給の方がはるかに実現性が高いことではないでしょうか。これははるかに大きな国益につながり得ると考えられます。

 火星に行くための毎年の四百億円、これを深海の調査、探索に相応に回すべきではないでしょうか。目指すべきは火星よりも深海じゃないでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。

盛山国務大臣 地球表面の約七〇%を占めているのは、陸地ではなく、海洋でございます。また、我が国は四方を海に囲まれておりますので、陸地、いわゆる領土は小さくても、EEZ、海域を含めますと日本は世界で六番目だと。そういう広大な海に囲まれている、また、そういうところにEEZで我々が権利を持っているということでございます。

 そういう点で、海洋に関する研究開発は、産業競争力の強化あるいは社会的課題への対応に資するものであり、我が国の存立基盤を確固たるものとする国家戦略上重要なテーマであると私も考えております。

 このため、文部科学省においては、第四期の海洋基本計画等に基づいて、海洋鉱物資源の形成過程の解明、それに基づいて将来の資源探査に有望な海域を予測する研究開発、研究船などの海洋観測による気候変動や異常気象等の予測研究などに取り組んでおります。

 文部科学省としては、今後とも、海洋鉱物資源に関する研究も含め、社会貢献に資する海洋科学技術の研究開発を推進してまいります。

 また、先ほど局長が御答弁申し上げましたとおり、宇宙につきましても、今の時点では分かっていないことも含めて、火星に行くだけではなく、現在の我々の生活にすぐに跳ね返ってくるような技術開発も含め、大きな成果があり得るというふうに私たちは期待をしているところでございます。

藤巻委員 未知への挑戦、これは人類の進歩そのもので、決してその歩みを止めてはいけないと考えております。ですが、一方で、税金を使うというのであれば、当然に一定の成果が求められます。国益につながるもの、人々の生活を豊かにするものでなければなりません。基礎研究の重要性は論をまちませんが、どの分野にどれだけの予算をつけるのか、固定観念にとらわれることなく、不断の見直しをしていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、どうやって優秀で志の高い人材を教員として学校現場で確保していけるかについての議論をさせていただければと思います。

 大臣の所信に、子供たちの教育の質の向上に向けて、教師の養成、採用、研修の一体的改革を着実に進めるとあります。私は、この中でも採用の部分が特に大事だと考えております。優秀で、多くの知識と経験を持ち、教育に対して高い理想と志を持っている方に一人でも多く教師になってもらうことこそが、教育の質の向上に直結すると考えております。

 具体的に言うと、例えば、企業に勤めたり、自分で仕事をしていたり、民間の仕事を一定経験して、そこで得た多くの知識や経験を子供たちに伝えるために教師になるという道がもっと大きくあるべきだと思っております。

 教員資格認定試験や特別免許状など、大学での教職課程を得ていなくても教員になれる道はありますが、その定員や規模、まだまだ小さいのではないでしょうか。現状をお聞かせください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、教師以外の職に就いております、いわゆる外部人材が教師として入職するに当たりまして、新たに教員免許を取得する方法としましては、主に教員資格認定試験による普通免許状を取得する方法、そして特別免許状を授与するという方法がございます。

 教員資格認定試験につきましては、大学等で教職課程を取らなかった者にも教職への道を開くことを目的とした試験でございまして、現在は幼稚園、小学校等の教員資格で実施をしてございますけれども、令和四年度の受験者数は八百二十七名でございまして、合格者数は百四十六名となってございます。

 一方、特別免許状につきましては、教員免許を持たないけれども、教科に関する優れた知識経験等を有する社会人等を教師として迎え入れるための免許でございまして、これまでに延べ二千二百七十六件授与されてございまして、令和三年度の授与件数は三百三十四件でございます。

 また、このほかにも、例えば、情報の教科の中で民間企業のSEの方にプログラミング教育を実施してもらう、あるいは外国語の教科の中で英会話、外国語会話などを実施してもらうなど、外部人材が教科の領域の一部を教える場合には、都道府県教育委員会に届出を行うことによりまして、教員免許を取得しなくても、特別非常勤講師として指導することも可能でございまして、これに関しては毎年度約二万件の届出があるところでございます。

藤巻委員 今、学校の先生というのは、小中高を卒業して、大学で教職を取って、そのまま先生になるというのが主流だと思います。小中高大と卒業して、また先生として学校に戻る。つまり、学校の外の世界のことというのはそこまで知らないという方も多いかと思います。もちろん、学校のプロとして、専門家として、そういった方々の存在というのは欠かせないとは思うんですけれども、やはり私は、いわゆる外部人材、そういった方々の、民間の仕事を経験して、その知識や経験、これらを教育の場に還元するという教師がもっと多くいるべきだと考えております。

 子供たちのほとんどは学校を卒業したら学校の外に飛び出すわけですが、学校の外の世界をよく知っている教師が少なければ、子供たちに学校の外のことを伝えられません。英語や数学、そういった勉強そのものももちろん大事なんですけれども、世の中はどう成り立っているのか、社会に出たらどういうことが起きて、どのようなものが求められ、どう行動したらいいのか、こういったことを伝えていくことも非常に大切な教育だと考えております。

 学校の外の世界で一定知識と経験を積んだ人が教師になって学校に戻り、子供たちにその多くを伝える、そういう循環がもっともっと多く必要なのかなというふうに私は考えているんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

盛山国務大臣 これからの新しい時代に必要な能力を子供たちに習得してもらうために、一人一台端末の学習環境も活用しつつ、最新の技術動向に関する教育や分野横断の探求的な学びを展開していく上で、民間企業経験者を含めまして、多様な専門性や背景を有する人材を教師として学校の現場に迎え入れることは大変重要と考えております。

 教師以外の職に就いている方が学校現場に参画するためには、先ほど御説明しました特別免許状の授与のほか、教員資格認定試験による普通免許状の取得、教員免許を既に保有している方へのリカレント教育や、兼業、副業として参画する特別非常勤講師など、多様な方法が確保されております。

 文部科学省としては、多様な外部人材に教師として活躍をしていただけるよう、こうした制度の活用促進により取り組んでまいります。

藤巻委員 是非よろしくお願いいたします。

 それから、人材の確保という観点から考えると、やはり待遇面を無視することはできません。教育はお金ではないですし、お金のために教師になるわけではないというのはもちろんそうなんですけれども、一方で、待遇のいいところに優秀な人材が集まるという事実を否定することはできません。

 教師は、子供たちの教育に携われる、未来を紡ぐ本当にすばらしい仕事で、かつ待遇もいい、こういう認識が社会で持たれれば、教師になりたい人は大幅に増えます。その増えた人材の中から、熱意も志も知識も経験もあるすばらしい人材を選抜して教師になってもらえば、確実に教育の質は向上すると考えられます。

 教員の待遇を大幅に改善すべきかなというふうに私は考えているんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

盛山国務大臣 私自身、自分が小学校、中学校、高校、大学もそうですが、学んでまいりまして、教育の成否というのは、教師、先生の人材というんですか、先生によるんだというふうに私も感じたところでございます。

 先生御指摘のとおり、教師に優れた人材を確保し、教育の質を向上させることは大変大事で、喫緊の課題であると思っております。そのため、骨太方針二〇二三におきましても、教職の特殊性、人材確保法の趣旨等を踏まえ、教職調整額の水準や新たな手当の創設を含めた各種手当の見直しなど、職務の負荷に応じためり張りある給与体系の改善を行うなど、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されているところであります。

 現在、中央教育審議会におきまして、処遇改善を含め、教師を取り巻く環境整備について検討が進められているところです。

 当省としましては、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

藤巻委員 本当に、おっしゃるように、教育こそが国の将来だと考えております。志のある優秀な教員の確保にしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

 大変緊張しましたが、これで私の文科委員会での初めての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 まず、盛山大臣、文部科学大臣御就任おめでとうございます。今日は大臣の所信への質疑ということで質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、大臣は所信の中で、学校における働き方改革の更なる加速化、処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援について、最重要課題として一体的に進めますと述べられております。

 文部科学行政も大変多くの深刻な問題が山積している中で、この度、大臣に御就任をされました。様々重要課題がございますけれども、特に盛山大臣がこれを注力をして取り組みたいという課題がございましたら、そのことについて御見解をお伺いをすることと含めて、大臣をこれから務められるに当たって、一番大切に、基本にされてお考えになっていることがあれば是非教えていただきたいというふうに思います。

盛山国務大臣 先ほど森山浩行議員から、スポーツ行政について、文化行政についてどうやって力を入れるんだというふうに大分厳しい御指摘をいただきまして、そんな中で、文部科学省は、科学技術も、スポーツ、文化も含めて、教育もやっているもので、四本柱でございますので、どれだけが大事であるとなかなか言いづらいところがあるわけでございますが、教育というのは大変大事な分野であると思います。

 今、前の藤巻議員からもいろいろ御質問もありましたけれども、教育というのは、学校教育の充実発展に欠かせない存在でありますし、長時間勤務の改善、教師不足は待ったなしの喫緊の課題であると考えます。骨太方針二〇二三や中央教育審議会の緊急提言等を踏まえまして、学校における働き方改革、処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援について、文部科学行政の最重要課題として一体的に進めていきたいと考えております。

 そして、何をどう考えているのかというもう一つの御指摘でございますが、私は昭和二十八年の生まれでちょっと古臭いのかもしれませんが、昔、植木等さんが、金のないやつは俺んとこへ来い、俺もないけど何とかなるよ、見ろよ、あの青い空、明日は何とかなるよと、こういうふうに希望をみんなに持たせるような、そういうふうなことをおっしゃっておられました。

 明日は今日よりよくなる、誰もがそう思えるような社会をつくっていくことが大事だと思いますし、そしてまた、教育という観点では、やはり好奇心ですね。多くの方々に、何でだろうとか、これはどうしてこうなるんだろうと思ってもらえること、それが学びにつながると思います。無理やりにカリキュラムをこなすという点でつまらないということではなくて、自ら何かこれは何でだろうと思うようなことが、御自身の、それは別に小学校でなくても大学でも全部そうなんでしょうけれども、自分で関心を持って学んでいく、そういうふうになるような環境を整えることが大事なことではないかな、そんなふうに感じております。

西岡委員 ありがとうございます。大変、大臣の思いは伝わりました。

 しっかりまた、大臣のこれまでの豊富な様々な政治経験を含めて、文部科学大臣として未来を担う子供たちのために是非御活躍をいただけますように心からお祈りをして、次の質問に入らせていただきます。

 次は、学校給食費についてお伺いをさせていただきます。

 コロナ禍三年余り、特に、ロシアによるウクライナへの侵攻を発端といたしまして様々な物価が高騰している中で、食料品価格や光熱水費、物価高騰が大変深刻な状況でございます。

 学校現場にも大変大きな影響があっておりまして、学校給食についても深刻な影響が与えられた中で、これまで、地方創生臨時交付金等を活用した自治体独自による学校給食費の保護者負担の軽減ですとか、実質無償化に取り組まれてきたところです。

 物価高騰が引き続き長期化する中で、今後、この給食費につきましてどのような方針で文部科学省として取り組んでいかれるのかということについて、お伺いをさせていただきます。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 学校給食費につきましては、物価高騰の影響を受ける保護者の負担の軽減を図るため、今委員から御指摘のございました重点支援地方交付金の活用を教育委員会等に促してきたところでございます。この結果、ほとんどの自治体において学校給食費の値上げが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところでございます。

 今般の経済対策におきましても、重点支援地方交付金の積み増し、推奨事業メニューとして〇・五兆円の方針が出されたことを踏まえ、引き続き、政府全体の取組の中で、保護者負担の軽減の観点から、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

西岡委員 今、お取組について御説明があったところでございますけれども、そもそも学校給食は、明治二十二年、山形県の小学校で貧困家庭を対象に行われたのが最初であると言われております。

 子供たちの健やかな成長を図る上で、栄養面、そして食育、心身共に健康な体づくりのために、給食の持つ役割の重要性というのはどんどん増してきているというふうに思っております。現在、家庭の事情によっては、学校給食だけが子供の栄養を補給する機会であるという大変深刻な問題を抱えた子供たちも急増いたしております。

 政府は、こども未来戦略方針の中で、小中学校での給食の実施状況や地方自治体が独自に取り組む無償化の状況について、全国規模の実態調査を行い、一年以内に結果を公表し、課題整理を行うということを発表をされております。

 そもそも給食の無償化の現状については文科省として既に把握をされているというふうに認識をいたしておりますけれども、公教育の中で給食の持つ役割の重要性から、早急な対応が必要だと考えております。

 国民民主党も、給食の無償化とともに、無農薬の食材を使用するなどの有機化の取組や、地産地消、そしてふるさとの郷土料理の継承の視点、これも大変重要であると考えております。

 国として給食費の無償化に早急に取り組むべきであると考えますけれども、盛山文部科学大臣の御見解をお伺いいたします。

盛山国務大臣 学校給食費の無償化の検討に当たりましては、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況もございます。そのため、児童生徒間の公平性あるいは学校給食費の負担の在り方といった観点から、学校給食の実態を把握した上で丁寧に課題を整理する必要があると考えております。

 本年六月に閣議決定したこども未来戦略方針では、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、一年以内にその結果を公表することとしております。その結果も踏まえた上で、小中学校の給食実施状況の違い、あるいは法制面等も含め、課題の整理を行ってまいります。

 また、委員が御指摘の有機農産物、学校給食の食材として活用することは、環境への負荷低減等の観点から有効である一方、例えば、域内で必要な有機農産物の数量の確保、あるいはコスト等の課題、こういったこともあろうかと思います。

 地域での調理ですとか、そういうお料理も含めましてでございますけれども、学校の現場、生産の現場、あるいは調理をされる現場、そういう間のコーディネーターの派遣などに対する支援ですとか、農林水産省等関係省庁と連携した事例の発信などに取り組んで、有機農産物の活用促進そのほかを図っていきたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 引き続き、給食の無償化、有機化につきましては、我が党としてもしっかり提案を続けていきたいというふうに思っております。

 続きまして、研究開発環境の整備について質問をさせていただきます。

 先ほど質問させていただきました物価高騰、様々な物価が高騰しているということの流れの中で、電気代を始めとしたエネルギー価格の高騰、また研究資材の高騰も起こっておりまして、この研究資材の高騰も相まって、研究開発の現場にも大きな影響が長期的に及んでおります。継続的な研究開発活動の実施が円滑に進むための支援が引き続き必要だと考えます。

 現在の取組状況と、物価高騰の長期化を見据えての今後の方針について、文部科学省にお尋ねをいたします。

柿田政府参考人 お答えをいたします。

 文部科学省といたしましては、電気代等のエネルギー価格や研究資材が高騰する中にありましても、大学や研究機関等の研究現場において安定的、継続的な研究活動が確保されることが重要であると考えております。

 このため、令和六年度概算要求におきまして、各研究機関や大型研究施設における研究開発の継続のための電気代の高騰等を踏まえた増額要求や、省エネ対策に必要な経費を計上しているところでございます。

 また、先般閣議決定されました総合経済対策も踏まえまして、研究現場の状況でありますとか研究施設の特性等を鑑みつつ、研究活動の継続に必要な予算の確保など、研究環境の整備に努めてまいります。

西岡委員 概算要求にも盛り込んでいただいておりますし、総合経済対策の中でもということでございましたけれども、研究開発の現場の声をしっかり聞いていただいた上で、引き続き、研究開発が継続的に安定して行われる環境づくりのために御尽力いただきたいと思います。

 関連いたしまして、世界に伍する最先端の研究開発の推進や、短期的に収益につながる成長分野の研究に携わる人材育成支援強化、これは我が国にとっても大変重要な課題であると認識しております。

 ただ、一方で、我が国の科学技術力強化のためには、研究を担っている研究者の処遇を改善し、正規雇用の安定した環境の中で研究に専念してもらうということが大変重要であり、このことが喫緊の課題であると考えております。

 そのためには、研究の基盤となる全国の国立大学の国立大学運営交付金を確実に確保、そして拡充することが求められております。所信の中でも、地域中核大学の抜本的な強化に取り組む旨の記載はありますが、選択と集中によって、収益につながる成長分野の研究が重点化される方向が余りに強まってしまうと、大学にとって基礎となる学問分野ですとか社会にとって必要不可欠な研究領域が衰退又は消滅することが危惧をされます。

 このことを、改めて、盛山大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 国立大学法人運営費交付金は、我が国の高等教育及び学術研究の水準向上や均衡ある発展を担う国立大学が人材の確保や教育研究環境の整備を行うために不可欠な基盤的経費であり、平成二十七年度以降、前年度と同額程度の予算額を確保しているところです。

 研究力強化のためには、研究者が多様で独創的な研究に腰を据えて取り組める環境を整備することが重要であることから、文部科学省においては、人事給与マネジメント改革の推進、博士後期課程学生への経済的支援やキャリアパスの整備の充実などの取組を進めております。また、各大学においては、運営費交付金のみならず、民間資金を活用して、任期の定めのないポストを確保する取組なども行われています。

 こういった取組を進めていくためには基盤的経費と競争的研究費をバランスよく確保する必要があることから、引き続き、これらの確保に全力で取り組みます。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほどの議論でもあったところでございますけれども、教育、科学技術予算をやはり倍増していく、これは岸田総理もおっしゃっていることでございますし、国民民主党としても、人づくりこそ国づくりということの中で、教育、科学技術予算の倍増というのが今必要だということを私たちも引き続きずっと訴えを続けているわけでございますけれども、我が国の国際競争力が著しく低下している、これは盛山大臣もよく御承知のことであるというふうに思います。

 IMDが発表した世界競争力ランキングによりますと、過去最低の三十五位となっております。一九八九年から一九九二年には我が国が一位であったことを考えますと、今、大変深刻な状況であると認識をいたしております。

 この大きな一つの要因として、他国が飛躍的に教育、科学技術予算を増やしている間に、我が国は微増にとどまってきたということが挙げられるというふうに思っております。

 先般も、日本政府の研究機関である科学技術・学術政策研究所の報告書、科学技術指標二〇二三によりますと、やはり、論文数は五位であるものの、最も引用された論文に占める日本の割合は十三位にとどまりますし、この二十年間、各国の大学研究費の支出は、米国、ドイツは八〇%増、フランスは四〇%増、韓国は四倍、中国は十倍となっている中で、日本は一〇%増という状況で、かなり格差が生じております。

 また、文科省の調査によりますと、日本の研究者は、研究に専念できる時間数も減っております。二〇〇二年の四七%から、二〇一八年には三三%に低下をし、この二十年間で博士課程の学生も二一%減少している。これが我が国の今の科学技術を取り巻く環境の状況であると考えております。

 やはり、人への投資、科学技術イノベーションの投資を強化をして、教育、科学技術予算を今倍増していかなければいけないと考えますけれども、現状に対する盛山大臣の認識と、予算倍増へ向けた決意というものを是非お聞かせをいただきたいと思います。

盛山国務大臣 議員から厳しい御指摘をいただいたところでありますが、OECDのデータによれば、二〇二〇年度において、我が国の公財政教育支出の対GDP比は、OECD諸国の平均四・七%と比べて三・二%と、見劣りのする状況にあることは事実であります。

 また、科学技術予算に関しまして、二〇〇〇年との比較を各国の通貨で見てみますと、アメリカでは二〇二二年に約二倍、中国では二〇二一年に約十九倍に増加するなど、諸外国では大変高い伸びを示しております。この間、日本も、二〇〇〇年の四・二兆円が二〇二二年には九・四兆円となっております。

 GDP比で見れば、アメリカと同程度、見劣りのしない、そういうような伸びになっておりますが、中国と比べると、中国が十九倍ですから、歴然と差があるのは事実であります。

 文部科学省としては、今後も、人への投資、そして科学技術イノベーションへの投資を強化するため、教育、科学技術予算の着実な確保に頑張って努めてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 倍増ということを私もあえて申し上げたところでございますけれども、我が党も、数年前から、教育、科学技術予算を倍増するとはいっても、じゃ、予算はどうするんだという議論がございます。今の我が国の財政状況を含めて、大変厳しい状況があるというのも事実でございます。

 国民民主党としては、数年前より、今、科学技術予算、教育予算を倍増していかなければ、これから我が国の未来が見出せなくなるという、今の危機的な状況を踏まえまして、未来への投機的な経費と捉えて教育国債を発行することを公約として掲げ、法案も提出をし、提案を続けさせていただいております。

 先ほど申し上げましたように、今やらなければ未来が見出せないという危機感の下で、これは、つなぎの国債ということではなくて、しっかり理念を持った国債、未来へ向けた投資であるという、その投資の分は将来しっかりとまた我が国としての回収ができるという中での、理念を持った教育国債を提案をさせていただいております。

 歴代文科大臣にも教育国債のことをずっとお尋ねをさせていただいてまいりましたけれども、盛山大臣の教育国債に対する御見解というものをお聞かせいただきたいというふうに思っております。

盛山国務大臣 子供は国の宝です。そして、国の礎でございます。人への投資は、新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環の流れを加速していくための鍵でもあり、極めて重要であると私も考えております。

 と申し上げた上ででございますが、御指摘の教育国債につきましては、安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、検討せざるを得ないというふうに考えております。

 様々な手法を駆使しながら、必要な予算を引き続き着実に確保し、未来への投資である教育、科学技術政策の推進に取り組みたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 また引き続き、是非、教育国債のことは大臣とも議論をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、GIGAスクール構想における一台一人端末についてお尋ねをさせていただきます。

 これまでも委員会で質問させていただいてまいったところでございますけれども、GIGA構想で配置されました一人一台端末、通信機器の保守、更新の財政措置につきましては、骨太の方針の中で、国策として推進し、端末は公教育の必須ツールとして更新を着実に進めると明記されたところでございます。

 導入が早かった自治体につきましては来年度からもう更新の時期を迎えるという中で、国が財政措置を行うという方針が示され、来年度の予算の概算要求にも盛り込まれたというふうに承知をいたしておりますけれども、今後の方針について、盛山大臣の方から御説明をいただければというふうに思います。

盛山国務大臣 議員におかれましては、超党派の学校教育ICT化の議連で重要なお立場をお務めいただきまして、私、こんな場で言うせりふかどうか分かりませんが、感謝しております。

 それで、もう私が申すまでもなく御案内のことかと思いますが、今、GIGAスクール構想、国策として推進しておりますが、令和の日本型学校教育の基盤となるものでありますし、今年六月に閣議決定された骨太の方針において、一人一台端末は公教育の必須ツールとして着実に更新していくことが明記されているところであります。

 そして、今月の二日、先週閣議決定されました総合経済対策では、十分な予備機を含む一人一台端末の計画的な更新を行うこと、その際、効率的な執行等を図る観点から、各都道府県に基金を設置し、五年間、同等の条件で支援を継続すること、地方公共団体への徹底的な伴走支援を継続することなどが盛り込まれております。

 今後の補正予算の編成におきまして、この閣議決定の内容を十分に踏まえ、GIGAスクール構想の更なる推進に必要な財源をしっかり確保していきたいと考えております。

西岡委員 大臣の方から明確に御答弁いただきまして、自治体の関係者の皆様も、この一台端末、これからもしっかり利用していくという中で、この更新の問題は大変心配をされておりました問題でしたので、今大臣の方から御説明いただきまして、本当にありがとうございます。

 これからもしっかりこの一人一台端末が有効に活用されるということが大変重要だと思っておりますし、来年度は導入の早かった大体五%程度の自治体が更新を迎えるということでございますけれども、これから更新を迎える自治体についてもスムーズに更新が行われるように、是非引き続きのお力添えをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、関連して質問でございますけれども、デジタル教科書やデジタル教材が導入されることによりまして通信費の増大が今後見込まれる中で、それに対応して、校内外の通信ネットワークの増強というのが必要となります。それに係る費用への措置につきまして、文部科学省の見解、方針についてお伺いをしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございましたとおり、デジタル教科書の導入も含め端末の利活用が進むにつれて、ネットワーク回線への負荷が高まり、通信速度が遅くなるといった課題がもう既に生じております。

 ネットワークの遅延の原因につきましては、機器の入替えや調整で済むものから、相当程度規模の工事が必要になるもの、回線契約の見直しで改善できるものなど、様々ございます。ということで、まずは適切なアセスメント、診断が重要でございます。このため、文部科学省では、令和六年度概算要求におきまして、ネットワークアセスメントの実施促進のための費用を要求しており、スピード感を持って、改善が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。

 また、通信費につきましてでございますが、学校のICT環境整備に必要な経費として、令和六年度までの計画に基づき地方財政措置を講じているところでございまして、現在、令和七年度以降の計画についての議論をもう既に始めておりまして、その中で、学校現場の実情を踏まえた支援についても検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 しっかりお取組を引き続きお願いをしたいと思います。

 続きまして、これも関連してでございますけれども、一人一台端末の配置はほぼ完了する中で、今日議論の中でもあったというふうに思いますけれども、その利活用の状況ですとかICT支援員の配置の状況に地域間の格差や学校間の格差が生じているという問題がございます。

 文部科学省として、どのように認識をされ、この格差是正に向けてどのような取組を行っておられるのか、このことについてお伺いをさせていただきます。

矢野政府参考人 御指摘のとおり、活用状況等に格差が生じていると承知しておりますけれども、このような背景といたしましては、例えば、研修やサポート体制が十分整っていない、あるいは、端末活用の意義、指導方法が十分浸透していない、さらには、ネットワーク環境が十分に整っていないなど、様々な課題があると承知しております。

 こういった格差を是正するため、文部科学省におきまして、全ての自治体に対しまして、端末利活用の日常化に向けた計画の策定を求め、課題を抱える自治体、学校への伴走支援の取組を抜本的に強化しているところでございます。

 今後は、今月二日に閣議決定された経済対策の内容を踏まえまして、必要な予算も確保しながら、GIGAスクール運営支援センターの機能強化や、ネットワークアセスメントの促進、効果的な実践例の創出と横展開、国費によるアドバイザー派遣、ICT支援員の配置の更なる充実など、取組を加速させてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西岡委員 もう時間が迫っております。最後の質問になりますけれども、教員の働き方改革や長時間の是正、これは待ったなしの重要課題でございます。

 骨太方針二〇二三年には、教員勤務実態の結果を踏まえて、改革の加速、給特法の二〇二四年度の国会提出ということが明記されております。

 今後、文部科学大臣として盛山大臣がこのことにどのような方針で臨まれるのかということをお聞きをして、私の質問を終わらせていただきます。

盛山国務大臣 学校教育における働き方改革、国、教育委員会、学校がその権限と責任に基づいて主体的に取り組むことが重要です。

 八月には、中央教育審議会において、学校における働き方改革等について、各主体ができることを直ちに行うという考え方の下、緊急提言が取りまとめられております。

 この緊急提言あるいは骨太二〇二三などを踏まえまして、当省では、来年度の概算要求において、小学校高学年の教科担任制の強化を当初の予定から一年前倒しで実施すること、教員業務支援員の全小中学校への配置、副校長、教頭の学校マネジメントを支援する人材の配置などに必要な経費を計上しております。

 また、給特法の在り方については、今後具体的に検討していくべき課題と認識しており、現在、中央教育審議会において総合的に議論が進められております。

 当省としては、教育の質の向上に向け、更なる学校における働き方改革、処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的にスピード感を持って努めてまいります。

西岡委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日から所信に対する質疑ということで、店開きということになるんでしょうけれども、当然、筆頭間協議、理事会での協議が今も続けられております。私は、基本的に、委員会の運営、これは合意に基づいて円満に進めるべきというふうに考えておりますけれども、蛇足ではありますけれども、委員長、よろしいでしょうか。まず、その点、御確認いただけますか。

田野瀬委員長 もちろんそのとおりでございます。

宮本(岳)委員 是非よろしくお願いいたします。

 一昨日、超党派、夜間中学等義務教育拡充議員連盟として大臣にお会いをして、資料一につけた「夜間中学の更なる設置促進・充実に向けた提言」をお渡しをいたしました。その場には当委員会の田野瀬委員長もいらっしゃいました。提言には、下線部にあるように、来年度、夜間中学の統廃合を進めようとしている大阪市の姿勢が議連の総意に反するものであり、断じて容認することはできないと厳しく指摘をしております。

 大臣にもお伝えしたとおり、大阪市長宛ての同趣旨の提言は、決議を上げた十月三十一日当日、超党派議連のメンバーで横山大阪市長に面会し、直接御本人に手渡しをいたしました。

 大臣は午前中も浮島理事に答弁されましたけれども、夜間中学を全ての都道府県・政令市に少なくとも一校、こうおっしゃるのは、一校さえ残せば、あとはどんどん減らしてもよろしいとおっしゃっているわけではないと思うんですが、よろしいですね。

盛山国務大臣 一昨日の六日、宮本議員を始め、浮島議員も含め、夜間中学等義務教育拡充議員連盟の方々から、今議員から御指摘のある申入れというんですかね、決議、これをベースに様々な御提言をいただきました。

 その場でもお答えをしたところでございます。我々は、夜間中学が全都道府県・指定都市に少なくとも一校設置されることを目指すと申し上げましたが、その心は、夜間中学での学びを望む方が一人でも多く夜間中学に通うことができるようにいろいろな対策を進めていきたい、こういう趣旨で申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 是非その思いを受け止めていただいて、よろしくお願いをしたいと思います。

 では、次に、統一協会問題です。

 大臣は所信で、「旧統一教会に関しては、昨年十一月以来七回にわたる報告徴収、質問権の行使や、その他の情報の収集、分析を行った結果、旧統一教会の活動に係る実態が十分明らかになり、解散命令事由に該当するものと判断されるに至ったため、宗教法人審議会の意見も伺った上で、去る十月十三日、解散命令の請求を行いました。今後、裁判所における審理等への対応に万全を期すとともに、関係省庁とも連携し、被害者の救済に係る取組に最大限努力してまいります。」と述べられました。

 遅きに失したとの声もあるんですけれども、解散命令の請求を行ったことは率直に評価申し上げたいと思います。

 旧統一協会の活動に係る実態が十分明らかになり、解散命令事由に該当するものと判断されるに至ったということは、統一協会の不法行為、不当行為に、従来から解散命令請求の基準とされてきた組織性、悪質性、継続性の三つがいずれも確認されたということでよろしいですね、大臣。

盛山国務大臣 基本的にそのとおりでございます。

 当省では、先ほど議員がおっしゃったとおり、報告徴収、質問権の行使に加えて、被害者やその親族等の方々から情報収集を行い、分析した結果として、信者による献金、勧誘等が全国的に画一的な方法で行われていることなどから、これらの行為は、宗教法人である旧統一教会の業務、活動として行われているものと認められる、組織性があるということ。そして、旧統一教会に対する損害賠償を認容する民事判決として三十二件の判決があり、その他の、被害回復を求めた約千五百五十人の方々の和解や示談の事実関係が把握され、それらの解決金等の総額は約二百四億円に及ぶなど、財産上の影響はもとより、その親族の生活の平穏を害するなど、多数の方々に様々な悪影響を及ぼしたという悪質性。そして、これらの行為は遅くとも昭和五十五年頃から継続的に行われている、継続性があるというふうなことを我々は判断し、解散命令請求が相当と判断したということでございます。

宮本(岳)委員 まさに、組織性、悪質性、継続性の三つ全てが確認されたということですね。

 そこで、継続性について聞きたいと思うんです。

 継続性といいますけれども、今回、解散命令請求の根拠として文化庁が認めた民事判決三十二件のうち、統一協会がコンプライアンス宣言なるものを発出した二〇〇九年三月二十五日以前に判決が出ていたものは何件で、それ以降、統一協会が家庭連合に名称変更が認められた二〇一五年八月二十六日までに出た判決は何件で、そして、名称変更以降には何件の判決が出ているか、次長からお答えいただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の解散命令請求に当たり、文化庁において把握した事実のうち、御指摘のとおり、旧統一教会の損害賠償責任を認めた判決は三十二件ございます。

 そのうち、平成二十一年三月二十五日のコンプライアンス宣言以前に確定した認容判決の件数は二十一件、同コンプライアンス宣言以降から平成二十七年八月二十六日の旧統一教会の名称変更までの間に確定した認容判決の件数は六件、旧統一教会の名称変更以降に確定した認容判決の件数は五件となってございます。

宮本(岳)委員 文化庁が遅くとも昭和五十五年と述べている一九八〇年から、統一協会がコンプライアンス宣言なるものを出した二〇〇九年までの二十九年間で二十一件、二〇〇九年にコンプライアンス宣言、すなわち法令遵守を約束してから以降も、現在までの十四年間で十一件にも上るわけですね。つまりは、コンプライアンス宣言以降も問題が継続してきたということであります。継続性ということであります。

 ところが、その統一協会について、文化庁は、二〇一五年に世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合に名称変更を認証したわけです。二〇一五年当時、既に霊感商法で多くの被害者を出し、損害賠償請求を認める判決も出ておりました。世界基督教統一神霊協会として係争中の裁判もあり、社会的にもその名前で認知され、その名前で活動してきた実態があるのに、手前勝手に名称を変えさせるわけにはいかないのは当然であります。

 前川喜平元文部科学事務次官は、一九九七年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一協会が名称変更を求めてきた、実体が変わらないのに名称を変えることはできないと言って断ったと発信をしております。

 改めて聞きますけれども、解散命令請求の根拠として文化庁が悪質性や継続性を認めた民事判決三十二件のうち、既に大半の二十七件もの判決が出ていたにもかかわらず、なぜ二〇一五年八月には名称変更を認めたんですか。次長、お答えいただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人の規則の変更の認証につきましては、宗教法人法第二十八条において、当該規則の変更をしようとする事項が法令の規定に適合していること、手続が同法第二十六条の規定に従ってなされていることという要件を備えているかどうかについて審査し、備えていれば申請受理から三月以内に認証しなければならない羈束行為でございます。

 そのため、宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁において受理される必要があり、所轄庁は、申請を受理した場合、申請要件を備えていると認めたときは申請する旨の決定を行う必要がございます。

 旧統一教会の名称変更につきましては、宗教法人法の規定に従って手続を行い、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものでございます。

宮本(岳)委員 法律のたてつけはいいんです、知っているんですね。

 今回、まさに解散命令を請求した、悪質性、組織性、継続性と認めた団体について、今おっしゃったことをやったわけですね。

 私は、統一協会について三つの課題があると考えてまいりました。一つ目は、統一協会に裁判所から解散命令請求を出させること。二つ目は、被害者の救済。三つ目は、政治家との関係を明らかにし、断ち切ることであります。

 一つ目は、時間がかかったものの、ようやく解散命令の請求までこぎ着け、二つ目の被害者救済についても、今国会でも議論が進められているところであります。しかし、肝腎の三つ目については全く解明されておりません。

 一九九八年の国会では、我が党の木島日出夫衆議院議員が質問し、当時の文化庁前川喜平宗務課長が今後とも関心を持って見守ってまいりたいと答弁し、統一協会は既に問題のある団体として注視していたはずなのに、どうして二〇一五年の名称変更の申請がすんなり受理され、名称変更が認証されたのか、そこには政治家の関わりがあったのではないか、これを明らかにしなければなりません。

 改めて聞きますけれども、名称変更申請時の文化庁と統一協会との面談記録の提出を求めたいと思いますが、出せますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的な前提といたしまして、先生御案内のとおり、二〇一五年、平成二十七年以降、旧統一教会からの名称変更に関する相談が複数回ございましたけれども、当時の文化庁においては、名称変更が社会に与える影響を検討し、慎重な対応が必要であるとの認識から、申請の取下げを強く慫慂しており、結果として名称変更の申請がなされなかったと承知いたしております。

 一方、平成二十七年の名称変更の申請につきましては、これまでと異なり、文化庁からの申請の取下げの行政指導には従わない明確な意思表示がございました。

 旧統一教会の名称変更につきましては、宗教法人法の規定に従って手続を行い、例えば行政手続法第三十三条などの法的な検討を踏まえて審査を行った結果、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものでございます。

 その上で、ただいまの御質問につきましては、御指摘の面談記録につきましては、宗教法人に関する非公知の事実に関するものは、公にすることによって権利を侵害するおそれがあり、情報公開法第五条第二号イ等に該当することから、不開示としてございます。

宮本(岳)委員 取下げを強く慫慂したにもかかわらず、このときに関しては明確な意思表示があったと、法的措置も辞さないという。それを知るためにはこのときの面談記録が要るから聞いているんですよね。今あなた方は、問題のある宗教法人として解散命令の請求までやったわけですから、これは出していただかなくてはならないと思うんですね。

 では、もう一つ聞きましょう。

 このときの大臣は下村大臣でありましたけれども、名称変更の申請を受理したとき、認証の決定の決裁をしたとき、二度にわたって説明をしたということになっておりますが、このときの大臣への説明文書というものが存在すると永岡前文部科学大臣は私に答弁をしております。これを開示していただけますか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法では、信者その他の利害関係人に宗教法人の事務所備付け書類の閲覧を認めておりますが、誰を信者その他の利害関係人と認めるかは各宗教法人が決めるということになってございます。このため、宗教法人から所轄庁に提出された書類を公表することについては、外部に知られていない事実を公にすることになり、こうした事実は情報公開法では不開示となります。

 御指摘の報告資料は、宗教法人から所轄庁に提出された書類の内容が含まれております上に、報告資料は行政内部の意思形成に関する文書にも該当します。したがいまして、情報公開法に基づき、不開示といたしてございます。

宮本(岳)委員 全く納得できないんですね。

 この際、改めて、公文書管理法及び情報公開法の立法趣旨を確認しておきたいと思います。

 公文書管理法を所管する内閣府に聞きますけれども、公文書管理法第一条は法律の目的をどのように規定しておりますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 公文書管理法第一条において、行政文書等の適正な管理を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする旨規定されております。

宮本(岳)委員 続けて、情報公開法を所管する総務省に聞きますけれども、情報公開法は第一条で法の目的をどのように定めておりますか。

河合政府参考人 お答えいたします。

 情報公開法第一条におきまして規定されておりますとおり、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的といたしております。

宮本(岳)委員 どちらの法律も、第一条、今読まれたその直前に「国民主権の理念にのっとり、」という文言が掲げられるとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにするために、公文書をきちんと管理し、情報公開によって国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としているわけであります。

 公にすることにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性等が不当に損なわれるおそれがあるなどといって公開しなくてよいのなら、これら情報公開法制は有名無実となります。

 そもそも、内部の検討に関するものであっても、公開されてきた公文書は幾つもあります。しかも、何もかも全て公開せよと言っているのではないんですね。被害が続いており、実体が変わっていない中で、なぜ名称変更が行われたのか。これこそ、中立性が不当に損なわれた事態ではないか。それを明らかにするために必要な文書だと申し上げているわけですね。

 委員長、私は、この二〇一五年の名称変更に関わって、名称変更申請時の文化庁と統一協会との面談記録、下村大臣に対して名称変更の申請受理及び名称決定した説明をした際の説明資料について、当委員会への提出を改めて求めたいと思いますが、お取り計らいをお願い申し上げます。

田野瀬委員長 ただいまの件につきましては、理事会での協議をさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 都倉俊一文化庁長官と統一協会との関係について、私は、一九八四年十一月十日に、統一協会の政治組織である国際勝共連合が開いた集会に都倉氏が参加し、挨拶した事実を明らかにいたしました。また、一九八四年九月から十二月にかけて計十三回にわたって、国際勝共連合の機関紙である思想新聞にコラムを寄稿していることも明らかにいたしました。

 都倉氏と統一協会との関係は、これだけにとどまるものではありません。

 資料二を見ていただきたい。この映画のDVDのパッケージをつけておきました。一九八七年、都倉氏は、「暗号名(コードネーム) 黒猫(ブラックキャット)を追え!」という映画で音楽を担当いたしました。赤線傍線部に、音楽、都倉俊一の名前がはっきり出ております。

 この映画のDVDの出版元は、スパイ防止法制定促進国民会議であります。これは、一九七九年二月に国際勝共連合や自民党の議員などにより設立された団体であります。

 都倉長官は、当初、四十年前のことで記憶が定かではないという弁明を繰り返しておられましたが、今ではそれも通らなくなりました。なるほど、この映画が作られたのは一九八七年。四十年近く前ではありますけれども、このような特異な映画は当然のことながら一般の映画館ではほとんど上映されず、今ではこういうDVDの形で販売しているわけであります。

 この映画をDVD化したのが二〇〇八年。そのとき、都倉俊一氏は、週刊新潮二〇〇八年六月二十六日号の「マイ・フレーズ」という連載で、再びこの映画について書いておりました。

 この本は、その連載をまとめて二〇〇八年十一月三十日に発行された「あの時、マイソング ユアソング」という本でありますけれども、同じ文書を、「幻の映画音楽 「暗号名 黒猫を追え!」」を資料三の一におつけをいたしました。

 資料三の二を見ていただくと、二〇〇八年の文書であることが分かります。二〇〇八年といえば、今から十五年前のことです。四十年前のことで長官自身の記憶が定かでないとおっしゃいますが、十五年前には、その四十年前のことを克明に覚えておられたことが分かります。

 四十年前のことで長官自身、記憶がないと言うのはもう通らないと思うんですが、これは、もうそういうお答えは撤回されていると理解していいんですね。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁長官に確認をいたしましたところ、映画の制作については、文化庁長官に就任するはるか以前の四十年前のことでございまして、具体的にどのようなやり取りをしたのか、その詳細なやり取りについての記録も残っていないため、お答えを差し控えさせていただきたいということでございました。

宮本(岳)委員 そうおっしゃるんですが、資料三の一を見ていただきたいんです。この映画制作には当時国会において議論されていた通称スパイ防止法案を推進していた議員団、支援団体の後押しがあり、八五年に一度廃案になったこの法案を復活させようという政治的背景があったようであるとあります。そして、その支持組織からも、この映画の制作に援助があったらしい、そういう意味では制作費は潤沢で、ふだんは隅っこに追いやられている音楽制作予算もいつもよりも多く、私も驚いたほどであると述べて、音楽制作の対価を受け取ったことがうかがえます。

 十分覚えているじゃありませんか。そして、この支援団体というのは、国際勝共連合、つまり統一協会のことではありませんか。

合田政府参考人 文化庁長官に確認いたしましたところ、御指摘の映画の音楽を担当したのは、団体からではなく、プロデューサーや監督との御縁で請け負ったものとのことでございました。

 いずれにいたしましても、文化庁長官は、約四十年前の映画音楽の担当以外、国際勝共連合とは関係を持っておらず、そもそも統一教会とは当初から関係はないということでございました。

宮本(岳)委員 同じことの繰り返しが続くんですけれども、このDVDを作ったスパイ防止法制定促進国民会議という団体は、事実上、国際勝共連合と一体の組織であります。私は、このDVDを堂々とスパイ防止法制定促進国民会議に申し込んで、私の衆議院議員会館の住所に送っていただきました。二千円で買いましたけれどもね。

 そのときに向こうが送ってきたスパイ防止法制定促進国民会議の住所というものは、実は国際勝共連合と全く同一住所でありまして、いやいや、同じフロアでも別室なんじゃないかと、ちょっと調べていただきましたが、ワンフロアのビルの一室でありますから、別に区切るということはできない。全く同じ住所であります。すなわち、国際勝共連合が看板だけ替えているのが、このスパイ防止法制定促進国民会議というものであります。

 そして、この国際勝共連合こそ、統一協会と表裏一体。自民党の調査で、先ほど政務三役がずらずらと関係を持ちましたかと言われて、関連団体とこういうことがありましたというときに報告しなければならないのは、統一協会だけではなく、国際勝共連合は自民党の調査でも関連団体に入っているはずです。関係を持てば、再び関係は一切持ちませんという対象団体ですよね。

 この支援団体が勝共連合、統一協会であるならば、今まさに問題になっている霊感商法など、被害者から巻き上げた潤沢な資金でこの映画が作られ、その音楽を担当して対価を受け取ったことになりかねないわけです。

 本来は被害者に返還すべき、今、百億円がどうとかという議論をやっていますけれども、その分をまさにこのときに音楽の対価として受け取っていたとすれば、重大な問題であり、古い話とか個人的な話では済みませんね。

 大臣、統一協会と表裏一体の国際勝共連合、さらに、それと一体のスパイ防止法制定促進国民会議と深い関係を持って、映画制作では音楽を担当して、いつもより多い音楽制作予算を受け取ったとおっしゃる都倉俊一文化庁長官は、個人的な活動などでは済まないと私は思いますが、説明させるべきではありませんか。

合田政府参考人 改めて申し上げますが、文化庁長官に確認いたしましたところ、先ほど来申し上げているように、映画の制作については四十年前のことでございまして、先ほど金銭のことがございましたけれども、作曲家としての都倉俊一氏との間の金銭のやり取りを含め、詳細なやり取りについての記録も残っていないため、お答えは差し控えさせていただきたいということでございました。

盛山国務大臣 今、文化庁の方から答弁したとおりでございますが、その上で、都倉長官につきましては、我が国を代表する作曲家として、文化芸術に関する優れた知識経験や日本音楽著作権協会等における高い組織マネジメント能力、豊富な国際経験等を有していることを踏まえ、文化庁長官に就任していただいております。

 就任後、文化財の保存、活用の促進に向けた取組や博物館法の改正、文化芸術施設等における官民連携の推進などの諸課題に取り組んで成果を上げていただいておりますので、引き続き、文化庁長官としてリーダーシップを発揮し、我が国の文化行政の総合的な推進に尽力されることを期待しております。

宮本(岳)委員 いや、私も、都倉さんについて今大臣がおっしゃったようなことを、その功績、作曲家としてのこれまでの功績を否定するつもりは毛頭ないんです。

 ただ、このことに関しては、それとこれとは話が別であって、古いことなので忘れたとか、よく分からない、今となっては分からないでは済まない問題がここにあるんじゃないですかと。もしもこれが、統一協会や勝共連合の資金が潤沢に入っていたということであれば、そのお仕事をしたということが今日の立場との間で矛盾することになる。ですから、自らお調べになって、分からないではなくて、ちゃんと御説明いただく必要があるということを申し上げているわけですよね。

 文化庁で文化行政を所管する長官が、日本がスパイ天国で、日本国内で外国の工作員たちが様々な工作活動を行っている、つまり、文化活動を通じて不当な影響力を行使しているというような認識で文化庁長官が務まるかといえば、私は、務まらないと思います。

 これは、長官自身はどう受け止めておられるんですか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁長官に確認いたしましたところ、今、宮本委員より、スパイ活動に含まれる文化活動を通じて不当な影響力を行使するという文化工作についてのお尋ねにつきましては、文化庁長官として、そのような行為の存在や具体的な内容を把握できる立場にはないため、現在、そのような活動が行われているかどうかについては承知をしていないということでございました。

 その上で、一般論で申し上げると、文化芸術基本法の前文にございますとおり、文化芸術は、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものであると認識しており、文化庁長官としても、このような基本的な考え方に基づき、文化芸術に関する施策を推進してまいりたいとのことでございました。

宮本(岳)委員 資料を見ていただいたら分かるように、私が言っているんじゃないです、これ自身が「「スパイ天国」と言われる日本社会」と言っているから、私、指摘しているんですよ。

 文化庁長官が文化芸術基本法の前文の立場を守ることは当然のことであります。文化活動を通じて不当な影響力を行使する活動の存在や具体的な内容等を把握できる立場になく、承知していないと言うのであれば、スパイの暗躍やスパイ防止法の必要性を力説する根拠もないはずであります。

 都倉長官が言う文化芸術基本法の前文の立場と、日本はスパイ天国で外国の工作員たちが文化活動を通じて不当な影響力を行使しているというような、国際勝共連合の特異な立場とが決して両立することはないということを申し上げて、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十七分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 国立大学法人法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山国務大臣 この度、政府から提出いたしました国立大学法人法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国立大学法人は、それぞれの強みや特色を生かして、教育、研究、そして、その成果を生かした社会貢献に積極的に取り組んでいます。最近では、国際卓越研究大学制度の創設や地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの策定など、様々なステークホルダーとともに、研究力の強化に向けて大学の活動を充実させる政策を進めているところです。そのような中で、大学の大きな運営方針の継続性、安定性を確保することや、多様な専門性を有する方々にも運営に参画いただくこと、また、大学の自律的な財務運営を支えるためにも、規制を緩和することが必要です。

 この法律案は、このような観点から、国立大学法人等の管理運営の改善並びに教育研究体制の整備及び充実等を図るため、事業の規模が特に大きい国立大学法人についての運営方針会議の設置及び中期計画の決定方法等の特例の創設、国立大学法人等が長期借入金等を充てることができる費用の範囲の拡大、認可を受けた貸付計画に係る土地等の貸付けに関する届出制の導入等の措置を講ずるとともに、国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学を統合するなどの措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、事業の規模が特に大きいものとして政令で指定する国立大学法人には、中期目標についての意見、中期計画の作成、予算及び決算の作成等に関する事項の決議、中期計画等に基づく法人運営の監督、学長選考・監察会議に対する学長選考に関する意見の陳述についての権限を有する運営方針会議を置くこととしております。また、その他の国立大学法人も、長期かつ多額の民間資金を調達する必要があることなどの特別な事情により、体制強化を図る必要があるときは、文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を置くことができることとしております。

 第二に、国立大学法人等が長期借入金や債券発行できる費用の範囲について、現行制度上可能である土地の取得、施設の設置、整備、設備の設置に加え、先端的な教育研究の用に供する知的基盤の開発、整備についても可能とすることとしております。

 第三に、国立大学法人等の所有する土地等の第三者への貸付けについて、あらかじめ文部科学大臣の認可を受けた貸付計画に基づいて土地等の貸付けを行う場合には、現行制度上、個別の貸付けごとに必要となる文部科学大臣の認可を要せず、届出によって行うことができることとしております。

 第四に、国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学を統合し、国立大学法人東京科学大学とすることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十二分散会


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