衆議院

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第3号 令和5年11月10日(金曜日)

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令和五年十一月十日(金曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 池田 佳隆君 理事 尾身 朝子君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      五十嵐 清君    井出 庸生君

      上杉謙太郎君    勝目  康君

      岸 信千世君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      荒井  優君    梅谷  守君

      岡本あき子君    白石 洋一君

      牧  義夫君    吉川  元君

      早坂  敦君    藤巻 健太君

      平林  晃君    鰐淵 洋子君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     五十嵐 清君

  菊田真紀子君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     船田  元君

  岡本あき子君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長池田貴城君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長塩見みづ枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本左近君。

山本(左)委員 よろしくお願いいたします。おはようございます。自由民主党の山本左近です。

 本日は、この場に送り出していただきました国民の皆様に、そして質問の機会をいただきました田野瀬委員長を始め理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げ、早速質問に入らせていただきます。(発言する者あり)頑張ります。

 国立大学法人法の一部を改正するこの法案の目的は、研究力の強化に向けた大学の活動を充実させる政策を進める、その一環であるとの認識ですが、まず、我が国の研究力の客観的評価について文部科学省としてどのように認識しているのか、教えてください。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省科学技術・学術政策研究所が今年八月に公表した調査結果においては、注目度の高い論文数の世界ランキングにおける我が国の順位の低下が示されております。

 また、例えば九月に発表されたタイムズ・ハイアー・エデュケーションの大学ランキングでは、我が国の大学の順位は昨年よりも全体的に上がっておりますが、引き続き百位以内の大学数は二校にとどまり、同じアジアの中国や韓国と比べて少ない状況であります。

 研究力につきましては多角的な分析が必要ですが、これらの結果は我が国の研究力が相対的に低下していることを示す指標の一つであると考えられ、引き続きその向上が課題であると認識しております。

山本(左)委員 ありがとうございます。

 今、柿田局長の方からは、ランキングの低下、また研究の向上が必要だという話がありましたが、まさにここを引き上げるために、新しく国際卓越研究大学の制度を創設し、十兆円ファンドをスタートさせて、東北大学が認定候補となっています。

 東北大学が候補となった理由の一つに学長のリーダーシップの評価もあったと認識していますが、どういった点が評価があったんでしょうか。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学の選定に当たりましては、国際卓越研究大学法に基づく基本方針に基づきまして、有識者会議におきまして、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力、実効性が高く意欲的な事業、財務戦略、自律と責任のあるガバナンス体制といった観点から審査を行っております。

 御指摘の東北大学につきまして、有識者会議におきましては、研究者が挑戦できる機会を拡大するため講座制から独立した研究体制へ移行を図るなどの明確な戦略や、学長を始めとする執行部が学内リソースの再配分の必要を強く認識し、改革の理念を組織に浸透させている点などが評価されたと承知しております。

 東北大学につきましては、一定の条件を満たした場合に認定するという留保が付されているところではございまして、今後、大学において体制強化計画の磨き上げ等を行い、その状況について有識者会議で継続的に確認した上で、文部科学大臣が認定、認可を進めていくという予定になっております。

山本(左)委員 ありがとうございます。

 また、もう一点、国際的な競争力を上げるために、国際頭脳循環の取組を加速させる仕組みが必要だと考えますが、文部科学省の取組を教えてください。

柿田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の研究力や国際化を強化するためには、国際的な共同研究等を通じて研究者が世界のネットワークに加わるとともに、優れた人材が国際的に循環していくことが重要であると認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、欧米等の科学技術先進国との間での先端分野を対象とした国際共同研究、また、今般の総合経済対策も踏まえたASEAN諸国との間での科学技術協力の強化、さらに、関係府省とも連携し、アフリカなど途上国との間での人材育成、共同研究などを通じまして、研究者交流、ネットワークの強化、国際頭脳循環を進め、我が国の科学技術力の強化に努めてまいります。

山本(左)委員 今御答弁がありましたとおり、国際的な頭脳循環の強化を図ることによって国内の研究力の向上を図っていく、また、ASEANやアフリカ諸国といった国々との連携も非常に重要だということを答弁いただきました。

 その上で、今回の改正案においては、学長の権限であった中期計画、また予算、決算等といったものが運営方針会議に移行していきます。

 ここまで確認したように、我が国の現状を鑑みれば、今後の大学運営や研究力の強化、向上について、明確な戦略と、そしてリソースをしっかりと確保することが重要です。まさに、これまでどおりでいいわけではなく、変革をもたらす局面に来ている中で学長のリーダーシップは非常に重要です。

 その一方で、組織というものは往々にして、これまでどおりや変わらなくていい、そういった力も働くのが組織というものであります。変革は大変な仕事です。一人ではなく運営方針会議という形で、中長期ビジョンを掲げ変革を成し遂げるために、学長を支える必要なチームとして、学長の応援団としての役割として認識をしていいのでしょうか。文科省、お願いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学が法人化して約二十年が経過し、その間、社会的課題もますます複雑化、多様化しております。そのような社会的課題を解決していく上で、国立大学法人への期待は高まっており、学長にこれまでと変わりなくリーダーシップを発揮していただき、大型の産学共同研究の実施やスタートアップの創出、寄附などの多様な財源の確保や運用、有為な人材の育成、確保などに取り組みながら、大学の活動を拡張していくことが非常に重要だと考えております。

 文部科学省としては、引き続き、学長のリーダーシップを重視しつつ、多様な知見や実務経験を有する方々の参画を得て、法人運営の継続性、安定性を保ち、山本委員今御指摘のあったとおり、運営方針会議が適切に学長のリーダーシップを支えるガバナンスを構築していただきたいと考えております。

山本(左)委員 運営方針会議の設置によってガバナンスが図られ、さらに、大学がこれから求められる産学連携やスタートアップ、人材確保といった点でも学長のリーダーシップを後押しするという答弁をいただきました。

 その中で、大学における研究力の強化、どの部分を、どの部分も非常に重要ですが、基礎研究というのは非常に重要な分野であります。ここは分野を問わず、公益において重要なんです。その中で、基礎研究の重要性はもちろん大事なんですが、一方で不確か性もあります。その研究が社会にどのように役に立つのか、また、どのような変革を生み出すのか、そして、それがいつ成果として表れるのか、ここは分からない点が多いわけです。ですから、中期的な計画も大事ですが、二十年、三十年といった長い時間をかけて社会を変える、また、イノベーションを起こすこともあるわけです。

 例えば、今私が使っているこのスマートフォンは3Dの顔認証という機能がついています。この技術を発明されたのは、一九七七年、当時三十七歳の若手研究者であった東京工業大学、現在名誉教授の電子工学者、伊賀健一先生です。VCSELという垂直共振器型面発光レーザー、これは、いわゆるレーザーを横置きだったものを縦に置いた、これが伊賀先生の研究、発明なんです。

 実際にお会いしてお話を聞かせていただいたときに、そのときの印象に残っていることは、当時のその研究が、発明が、まさか今、世界中で皆さんの手元で使われていることを御本人も想像だにしていなかった。一番強く印象に残った言葉です。

 これは一つの例ですが、まさに、基礎研究における重要性と不確か性を併せ持つものが、この基礎研究。そこを中心になって担うのは大学です。質的、量的に共に充実させていくこと、そして支援していくことが極めて重要と考えますが、文部科学大臣の見解はいかがでしょうか。

盛山国務大臣 ありがとうございます。

 基礎研究は、新たな知的、文化的な価値を創造し、ひいてはイノベーションの源泉となるものであり、その推進に大学は重要な役割を担っております。

 このため、文部科学省としては、基盤的経費の確保に努めるとともに、科研費の充実による多様な分野の研究者の支援、十兆円規模の大学ファンドによる国際卓越研究大学の制度や、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ研究大学への支援事業の創設などを通じ、支援を進めているところです。

 これらの施策をこれからも総合的に推進し、引き続き、我が国の大学の研究力強化を図ってまいりたいと考えています。

山本(左)委員 大臣、ありがとうございます。

 まさにこの基礎研究の重要性を御理解いただき、そして国際卓越研究大学、また並びに地域中核、特色ある研究大学総合支援パッケージの策定などにおいて、文部科学省として基礎研究を支援していただくということをお答えいただきました。

 これが最後の質問になります。

 私は、元F1ドライバーとして、非常に激しい研究開発により、しのぎを削る、最先端の科学技術によって造られた自動車でレースをしてまいりました。また一方で、この十年間は医療や福祉に携わって、その経験を基に、今回の東京工業大学、東工大と医科歯科大学の統合のニュースを見たときには、とても驚いたと同時に、これほどイノベーティブなことがこの日本で行われ、そしてわくわくする未来が切り開かれていくということの、その興奮が止まらなかったことを覚えています。

 世界は人口増加している局面にありますが、同時に、新興国においては高齢化が進む、まさにグローバルエイジングの時代に入っています。超高齢社会の日本が、世界への役割として、この両大学の統合の効果で、これまで以上に医工連携が進み、また新たな発見や研究が加速され、イノベーションを起こすに違いないと期待をしています。

 例えば、一つ例を挙げますけれども、これまでの東工大と医科歯科大学の研究の一つで超高感度加速度センサーというものがあります。このセンサーは、加速度センサーの市販のものよりも更に微小な動きを捉えることができ、そのミクロな筋振動の、我々の動きを計測することができます。この計測することができることによって、何が分かるのか。例えば、パーキンソンの患者さんの手の震え、この震えが、見た目によっては震えている震えていないが分かるんですが、しかし、人の目よりも更に小さなその振動をセンサーによって捕獲することによって、パーキンソン病の方の早期発見や、また歩行パターン、歩くパターンを計測することによって、またAIをかけ分析し、疾患の早期発見や治療効果の可視化について取り組む研究成果が発表されております。

 今、一つこの例を挙げただけであったとしても、医工連携の重要性と、さらに、これからの未来の日本の、そして世界の人たちの豊かさと幸せにつながっていくことは間違いありません。

 その上で、今回の統合について、文部科学省として、意義そして期待を教えていただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 東京医科歯科大学と東京工業大学の統合は、国際的に卓越した教育研究拠点として社会とともに活力ある未来を切り開くことを目指すために、両大学で合意されました。具体的には、医学、歯学、理学、工学はもとより、情報学やリベラルアーツ、人文社会科学を加えた総合知による融合科学の展開が掲げられております。

 委員、今例示された超高感度加速度センサーにつきましても、十分な成果を上げつつございまして、盛山大臣にも先月御視察をいただいたところでございます。

 文部科学省としては、両大学がこれまで培ってきた強みを十分発揮し、国際的な競争環境の中で、世界最高水準の教育研究活動の展開や、社会の成長とイノベーション創出に貢献いただくことを大いに期待しております。引き続き、東京科学大学の設置に向けて、両大学をしっかり支えてまいります。

山本(左)委員 時間が来ましたので、これにて終了させていただきますが、更なる支援、期待をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 おはようございます。公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、国立大学法人法の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。

 今日は、盛山大臣、初めての質問になりますが、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 国立大学につきましては、法人化から約二十年が経過しようとしております。それぞれの大学が自律的な運営を確保しつつ活動してきている中で、教育研究活動が活性化し、また、収入の多様化が進んできていると認識をしております。

 私は、文部科学大臣政務官時代に九州大学や和歌山大学を訪問し、また、さきの通常国会では、文部科学委員会としまして東北大学を訪問してまいりました。それぞれの大学での特色ある教育や取組がありまして、ここで学びたいと意欲を持って集い、学び、また将来を語る学生の皆さんの姿がとてもすばらしく、大変に強く印象に残っているところでございます。

 他方で、中央教育審議会への諮問でも触れられておりますが、少子化を始め、我が国の高等教育は歴史の転換期に立っており、中長期的な観点から、目指すべき高等教育の姿やそれを実現するための方策などについての議論が開始されていると承知をしております。

 国立大学は、世界最高水準の教育研究の主導や全国的な高等教育の機会均等の確保など、重要な役割を担っています。そのため、国立大学法人の管理運営等の改善や教育研究体制の充実を目的としています今回の改正法案は大きな意味があると思っております。

 その認識の下、本日は質問させていただきますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 本法案は、国立大学のガバナンスの改善や規制緩和、法人の統合などの内容が盛り込まれた重要な法案でありまして、政府としては早期の成立を目指していると思いますが、改めまして、この臨時国会に提出する理由をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今国会に提出する理由は二点ございます。一点目は、東京医科歯科大学と東京工業大学の統合の時期を勘案したこと、二点目は、国際卓越研究大学に対して予定している支援時期を勘案したことでございます。

 一点目につきましては、両大学において、令和六年十月一日の統合を目指しております。近年の国立大学法人の統合においては、法人統合前に必要な準備行為に要する期間として十か月程度を確保しているところでございまして、今回も、両大学が円滑に統合を進めるためにも、同程度の期間が必要であると考えたものです。

 二点目につきましては、大学ファンドから国際卓越研究大学への支援開始は令和六年度を予定しておりまして、この支援の条件の一つとして合議体の設置が必要となるため、委員の人選など運営方針会議の設置準備に大学が速やかに取りかかることができる環境を整備する必要があるためでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 来年の秋の統合の合意は法人間で進められているものでございますので、その合意に基づく意思を尊重するのは大事なことだと思っております。来年十月の統合に向けましてこの法案を進めていくことが必要であるということを改めて理解をさせていただきました。

 今回の東京医科歯科大学と東京工業大学の法人の統合ということで、関係者の注目、また期待度も非常に高まっているかと思います。先ほども左近委員の方からも御指摘があったとおり、大変に期待が大きいところだと思いますが、改めまして、どのような目的で東京医科歯科大学と東京工業大学の統合をするのか、お伺いをしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 東京医科歯科大学と東京工業大学は、これまでの伝統と先進性を生かしながら、国際的に卓越した教育研究拠点として社会とともに活力ある未来を切り開くことを目指すため、統合の合意に至りました。統合により創設される東京科学大学は、大学改革を牽引しつつ、国際的な競争環境の中で、世界最高水準の教育研究活動を展開し、社会の成長とイノベーション創出に貢献することが期待されております。

 文部科学省としても、東京科学大学の設置に向けて、両大学をしっかりと支えてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 期待が高いということで、山本左近委員もそのようにおっしゃっていたということでちょっと紹介させていただきましたが、改めて、私も期待が大きいと思いました。

 その上で、これは我が党の平林委員が東工大学の副学長らと懇談をされまして、そのときに伺った話なんですが、東工大学では、職員、学生の皆さんに対しまして、学長自らが今回の統合について説明会を重ねられたと。また、医科歯科大学とも合同で説明会をしまして、合わせますと五十回ぐらい、丁寧にこういった説明会をされていると伺っております。

 大学側もしっかりとこのような形で丁寧に準備をしていただいておりますので、しっかりとこの法案を審議をさせていただいて成立をさせることも重要でございますし、また、今回の統合が、社会で果たす大学の役割の期待だけではなくて、学生のための統合になる、すばらしい統合になることも期待をしておきたいということで一言申し上げておきたいと思っております。

 次に、本法案の大きな柱の一点となっておりますガバナンス改革について伺いたいと思います。

 その中核を成す運営方針会議を設置いたしまして、法人における決定を学長に集中させるのではなく合議体で決定していくということかと思いますけれども、改めまして、運営方針会議の設置の目的についてお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学が、多様で、かつ数多くのステークホルダーの期待に応えつつ大学の活動を充実させていくためには、多様な専門性を有する方々にも大学の運営に参画いただきつつ、法人の大きな運営方針の継続性や安定性を確保することが必要です。そのためには、法人の大きな運営方針についての決定権を持つとともに、決議した方針に基づいて法人運営が行われているかどうかを監督する機関が必要であると考えております。

 このようなガバナンスを実現するため、中期目標への意見、中期計画の作成等の大きな運営方針の決議、決議した内容に基づいて法人運営が行われているかどうかの監督、学長選考・監察会議に対する学長の選考に関する意見や解任事由に該当する場合の報告の機能を持つ合議体として、今回、運営方針会議を設けることとしております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 運営方針会議の設置の目的について今御答弁をいただきましたが、それを達成していくためには、制度の仕組みも大事でございますが、当然、実際の運用が重要になってまいります。運営方針会議の委員は、学長とともに重要事項を決定していくことになりますので、重要な役割を担うものと認識をしております。

 そこで、運営方針会議の委員はどのような方がなることを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 運営方針会議は、法人の大きな運営方針の決議や学長の業務執行の監督という役割に鑑み、法人運営や財務運営などの多様な専門性を有する方により構成される必要性があると考えております。例えば、海外大学や民間企業の経営の実務経験がある方、法務など法人のガバナンスに知見や経験を有する方などが想定されております。

 文部科学省といたしましては、多様な専門性を有する方々にも運営に参画をいただきつつ、様々なステークホルダーとともに真に活動を充実させていくためには、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を人選いただくことが重要と考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 運営方針会議の委員について、今、具体的にお示しをしていただきました。ありがとうございました。

 今改めて伺いまして、そのような人材を、委員を選出することが少し難しいような気もいたしまして、今後、こういった課題も出てくるかと思いますので、文科省におかれましてはそういったことも是非留意していただきたいと思っておりますので、要望として申し上げておきたいと思います。

 また、この運営方針会議の委員の任命につきましては、文部科学大臣の承認の上で、学長が任命することとされておりますが、文部科学大臣の承認につきましては、一部不安の声もございます。既に今日までの国会の中でも議論になっておりますが、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 運営方針会議の委員の任命について、文部科学大臣の承認が拒否されるようなケースはどのような場合なのか、具体的にどのような形で関わることを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 運営方針委員は、学長と学長選考・監察会議の協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で、学長が任命することとしております。また、文部科学大臣の承認は法人の申出に基づいて行うものと規定しているところです。

 当該規定は、現行の国立大学法人法における学長の任命に関する規定に倣って設けているところであり、この承認に当たっては、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、拒否することはできないと整理しており、過去の国会においてもその旨答弁されているところです。

 文部科学省としては、大学の自主性、自律性を踏まえた法の運用をしっかりと進めてまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、この点におきましてやはり懸念の声が上がっておりますので、是非とも引き続き丁寧な御説明に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問になりますが、今回の法案には、長期借入れや債券発行についての対象拡大や、土地の貸付けの手続緩和などの規制緩和も盛り込まれておりまして、大学の自由度を高めていくことに賛成でございます。他方で、物価高騰などの状況もある中で、大学を国費でしっかり支援していくことも重要であると考えております。

 最後に、今回の補正予算での対応、我が党といたしましても様々具体的に提案をさせていただいておりますが、補正予算での対応や次年度の運営費交付金の確保に向けた御決意を大臣にお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 国立大学法人運営費交付金は、我が国の高等教育及び学術研究の水準向上や均衡ある発展を担う国立大学が人材の確保や教育研究環境の整備を行うために不可欠な基盤的経費です。

 令和六年度概算要求においては、社会変革や地域の課題解決を主導する意欲的な教育研究組織改革等を重点的に支援するため、一兆一千八十九億円を計上しています。

 また、先日閣議決定されたデフレ完全脱却のための総合経済対策において、科学技術の振興及びイノベーションを促進すべく、各国立大学の教育研究環境整備を支援することとされております。

 国立大学が教育、研究、社会貢献を牽引する役割を果たすべく、引き続き、補正予算や令和六年度予算における運営費交付金等の基盤的経費の確保に全力で取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今回の法案もそうですけれども、こういった制度と、また予算、これをしっかりと、よりよい方向に、運営に向かっていく上で、この二つはなくてはならないものだと思っております。制度を整えながら、しっかりと予算も確保し、よりよい教育の実現ということで、文科省としても頑張っていただきたいと思いますし、私もしっかりと共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十四日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時六分散会


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