衆議院

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第5号 令和5年11月15日(水曜日)

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令和五年十一月十五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 池田 佳隆君 理事 尾身 朝子君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    勝目  康君

      金子 容三君    岸 信千世君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    鈴木 英敬君

      鈴木 貴子君    中川 貴元君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      船田  元君    古川 直季君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      山口  晋君    山本 左近君

      義家 弘介君    荒井  優君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      白石 洋一君    堤 かなめ君

      牧  義夫君    吉川  元君

      中嶋 秀樹君    早坂  敦君

      藤巻 健太君    堀場 幸子君

      平林  晃君    鰐淵 洋子君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            坂本 修一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 井上 諭一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     五十嵐 清君

  中村 裕之君     中川 貴元君

  根本 幸典君     金子 容三君

  古川 直季君     西野 太亮君

  山口  晋君     東  国幹君

  牧  義夫君     堤 かなめ君

  堀場 幸子君     中嶋 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     山口  晋君

  五十嵐 清君     鈴木 英敬君

  金子 容三君     泉田 裕彦君

  中川 貴元君     中村 裕之君

  西野 太亮君     古川 直季君

  堤 かなめ君     牧  義夫君

  中嶋 秀樹君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     根本 幸典君

  鈴木 英敬君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣府大臣官房長原宏彰君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官坂本修一君、警察庁長官官房審議官和田薫君、文部科学省大臣官房長井上諭一君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長寺門成真君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長塩見みづ枝君、スポーツ庁次長茂里毅君、文化庁次長合田哲雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。立憲民主党の柚木道義でございます。

 今日から国立大学法人法の、野党としての法案質疑は初めてでございますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭、理事会で御了解いただいたんです、ちょっと一問だけ。これ、超党派で是非成立をさせたいということで、ちょっと文科も所管に入るということで通告しておりますので。資料の一番最後の七ページ目の部分、ホストクラブ被害の対策について一項目だけ通告しておりますので。法案質疑、十問一応通告していますので、これ一問だけ先に終わって入りますので、よろしくお願いいたします。

 これを見ていただきますと、御承知のように、歌舞伎町の事件ですね、もう報道されているとおりでございます。女性の方が、そういう高額な、払えないようなお金を請求をされて、結局、風俗営業あるいは売春防止法にも違反するような、そういったことに追い込まれていくということで、この間、まさにこれは党派を超えて、対策の必要性、特に昨日は政府も、悪質ホストクラブの取締り強化へということで、担当大臣あるいは警察所管の国家公安委員長も取締りの強化の必要性を言及されています。

 実は我が党も、あさってに政府にそうした申入れもお伺いをさせていただく予定もあり、さらに、このホストクラブ被害の防止法を、超党派での成立を是非働きかけさせていただきたいということでございます。

 そこで、文科大臣に伺いますが、これはお許しいただいたんですけれども、今、こういう「社会への扉」というような、これは消費者庁のパンフレットなんですが、この中に様々な、いわゆる若い人たちが、あるいは女性の方がいろいろな被害、女性にかかわらず追い込まれていくというようなことで、こういうことを防止するための教育を、特に今、成年年齢引下げ、十八歳以上になって、高校、大学生、それ以下もそうなんですが、やはりそういった教育を、こういったパンフレット、あるいは、それこそそういう被害者、当事者、あるいは支援団体、あるいは警察当局、そういった皆様も含めてしっかりとした啓発、教育を行うべきではないか。

 とりわけ、私、ポイントだと思ったのは、これは中を拝見したら、やはりホストクラブ被害というワードは出てこなかったんですよ。ですから、やはりこれだけ今、もう全国です、これは歌舞伎町だけじゃないんですね、先生方の全ての御地元でそういう同様の同種の問題が起きて、被害者、当事者の方、あるいは保護者の方のところまで取立てが来るわけですね。いろいろな相談が出ているという状況でございますので、こういった啓発、広報物の中でホストクラブ被害のこともきちっと明記、言及をした上での啓発、教育を是非、文科省、文科大臣としてのお取組をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 文部科学省では、学生等が消費者として適切な意思決定を行い、健全な消費生活を行うことができるよう、消費者教育を推進しているところです。

 具体的には、学習指導要領に基づき、家庭科や公民科を中心に消費者被害の防止や救済に関する指導を行っているほか、今委員からお示しをいただきました消費者庁が作成した消費者教育教材「社会への扉」の活用を促進するとともに、大学等のガイダンスや学生相談等の場を活用した啓発、注意喚起などの取組を進めているところです。

 令和三年度におきましては、消費者教育素材「社会への扉」を活用している高等学校等の割合は九一%、消費者問題について啓発、情報提供を行っている大学等の割合は九五・三%、ガイダンス等において指導、啓発を行っている大学等の割合は五三・一%となっております。

 引き続き、関係省庁そして関係団体と連携しながら、消費者問題に関する指導、啓発の実施率の向上や指導方法の工夫が図られるよう、委員の御指摘も踏まえて、より一層、消費者教育の取組を推進してまいりたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 含まれると思いますが、ホストクラブ被害、この防止についても、きちっとワードを例示をして今のお取組をいただけるという、そこだけ確認、一言だけお願いします。

盛山国務大臣 関係省庁と御相談の上ということで、検討させていただきます。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 それで、あと一問だけ。

 警察にも今日来ていただいておりますが、私、驚きました。この間、まさにぼったくりとかもよく言われますが、料金表示をきちっとしていないそういうお店、これはホストクラブに限りませんが、立入り件数については令和四年度中で全国で一万一千百七十一件ですね。この中で、実際の風営法上の料金表示、これをきちっと、いわゆる指示処分ですね、こういったものを何件ぐらい行っているんでしょうか。

 あるいは、まさに今般、歌舞伎町でこういう事件が起きましたが、警視庁において本年九月にいわゆる一斉の立入り、これは百十店舗に対して行ったということで、これもまさに料金表示等をきちっとできていないという意味での指示処分というものはあったやにお伺いしておりますので、これはまだどの国会、委員会でも答弁されていないということでしたので、件数についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。

 ちなみに、それに加えて、営業許可の取消しがあったのであれば何件、あるいは営業の停止を命じたのであれば、あったのであれば何件、そしてそれらを踏まえて、是非、警察におかれましても悪質ホストクラブに対する立入りを強化すべきだと考えますが、御答弁をお願いいたします。

和田政府参考人 警察では従来からホストクラブに対する立入りを行っているところ、本年九月、警視庁において歌舞伎町の多数のホストクラブに対する立入りを行い、料金表示の義務違反として六件の指示処分を行っております。

 また、令和四年中において、ホストクラブを含む風営適正化法の接待飲食等営業の営業所に対する立入りは約一万一千百件実施しておりますが、法令又は風営適正化法に基づく条例違反により指示処分を行った件数は二千九件、営業許可の取消しは八十件、営業の停止は百七十三件であります。

 今後も、立入り等を通じ、風営適正化法の遵守の徹底や効果的な広報啓発、注意喚起など、様々な対策を引き続き講じてまいりたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 今の答弁、私も初めて伺いました。これはかなりの件数ですよね。まさに一斉の立入り、歌舞伎町における百十店舗中六件、五%ぐらいが料金表示をきちっとしていないと。

 さらに、今全国的にも、今のように、立入り件数のうちの指示処分二千九件、取消しが八十件、営業停止が百七十三件ということであれば、これは全国的な課題でありますので、今御答弁いただきましたように、この取締り、立入りの強化についてもしっかりやるという御答弁ですので、あさって申入れにも参りますので、是非これは党派を超えてのお取組をお願いをして、法案の質疑に入りたいと思います。

 それでは、通告どおりまいりますが、ちょっと通告が多いので、場合によってはまとめて伺うところもありますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、資料にもつけておりますように、一枚目は朝日新聞の社説でありますが、今日になって毎日新聞の社説でも同様の問題点が取り上げられ、また昨日、院内の緊急集会が、今日傍聴にもお越しいただいている大学の先生方、あるいは実は現役の学生さん、さらには実は保護者の方も今日傍聴に来られるということです。

 私もなるほどなと思ったのは、昨日、参考人質疑で、各党の先生方も非常に、本当にこれは党派を超えて問題点の認識、共有されつつあるなと感じましたし、何よりも参考人の、もう本当に学長というお立場の先生方ですら、今般、本来であれば、いわゆる十兆円ファンド、資金調達、こういった部分についてのガバナンス強化、いわば東北大等を想定した形での法改正だと認識をしていたところ、急遽、これが全部に拡大し得る。

 しかも、今日は東京新聞の「こちら特報部」にも見開き特集で報道されていますが、いわゆる運営方針会議、この存在、今日通告していますが、この上位に事実上文科大臣が来て、そして運営方針会議の下側に学長が来るという運用になり得るということで、まさに、今日は学術会議の関係も少し通告しておりますが、そういう大学の自治、研究、教育、そしてこれは当然学生さんたちにも関わる、そして社会に出ていくということであれば、まさに言論の自由も含めた社会全体の問題に関わっていくという中で、こういう問題法案だということをいつ知りましたかと我が党の菊田委員から先生方にそれぞれ聞いたら、先生方の中には先週ですという答弁もあったわけですよね。先週って、余りにもこの問題点が皆さんの中に共有されていない、こういう状況でございます。

 そこで、私はやはり一つ大問題だと思いますのが、この運営方針会議の委員の任命に関わる文部科学大臣の承認の必要性、これ、私はやはり、先般の文科大臣の答弁も、法律上担保されていないという答弁、大問題だと思うんですね。

 改めて伺いたいんですが、もちろん明らかに不適切と認められる場合を除き、これは法違反ということでした、そういった場合を除いて、文科大臣は拒否することができないということではありますが、明らかに不適切と認められる場合というのは法違反以外に本当に含まれないのかどうなのかというのが、昨日の院内緊急集会の中でももちろん大きな論点になっておりますし、私も非常にこれは、この間のまさに学術会議の会員の任命拒否問題、あの六件、政府に批判的な言動をされていたり、デモに出たり、そういうことをもって任命拒否された可能性があるけれども、それは説明すらしていないわけですね。

 そういう意味においては、通告しておりますが、例えば過去に政府の意に沿わない言動などがあった者については恣意的に承認を拒否することのないように、大学の自主性、自律性に十分留意する、そういうことをまずここで答弁を確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 先日も本会議で御答弁申し上げたところでございますが、運営方針委員は、学長と学長選考・監察会議の協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で、学長が任命することとしております。そして、この文部科学大臣の承認は法人の申出に基づいて行うものと規定しております。

 当該規定は、現行の国立大学法人法における学長の任命に関する規定に倣って設けているところであります。この承認に当たりましては、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、拒否することはできないと整理をしており、過去の国会においてもその旨答弁がなされているところです。

 この考え方を踏まえれば、文部科学大臣が恣意的に承認を拒否できるものではなく、文部科学省としては、大学の自主性、自律性を踏まえた法の運用を進めてまいるつもりです。

柚木委員 間接的に御答弁いただいているようで、ちょっと明確にやはりお答えいただきたいんですね。

 今日も実は傍聴に来られておられる大学の先生方や学生さんや保護者の方もおられるんですが、例えば、昨日もまさに院内緊急集会で、本当に大きないわゆる一階の多目的ホールがもう満席で、これだけ急展開で今、寝耳に水と、まさに参考人の先生方も内容を知ったのは先週だというような先生もおられる中で、それだけ多くの方が懸念を、疑念を持って院内緊急集会。これはまさに、こんな法案聞いていないよということで、今のままの法案だったら廃案にすべきだ、こういう院内の緊急集会なんですよ、政府に異論を公に表明をする。

 これは私たちも仄聞しておりますが、例えば国立大学協会の学長さんたちも、本音は、これおかしいんじゃないかと思っていても、政府には言えないと。言ったら運営交付金を削られるんじゃないか、研究費がつかないんじゃないかと。私、様々この間やり取りしてきていますけれども、表じゃ言えないということなんですよ。いや、そうおっしゃっているんですよ、大臣、首をかしげていらっしゃるけれども。

 したがいまして、例えば、一問目の更問いになるんですが、昨日のような、まさに政府の今回のこの第二の学術会議法とも言われる国立大学法人法、これは改悪案だと。私、通告の中にはこの間の法改正についての評価、検証も必要だと思ってしていますけれども、どんどんどんどん、それこそ悪い方向に来ている。その中で、これがまさに学術会議法の今後の法人化の行方も含めて合わせ技で、まさに大学の、さっき大臣がおっしゃったような自主性、自律性をマイナスにどんどんどんどん運用されていく。

 こういう異論、反論、院内緊急集会、こういったところで発言をされたり参加をされた大学の関係者あるいはその当該大学、こういった方々が例えば予算を削られるとか人事で拒否されるとかそういう不利益を被ることはないと具体的に明言いただかないと、ふわっとした答弁では懸念は払拭されないんです、大臣。御答弁をお願いします。

盛山国務大臣 繰り返しになりますが、運営方針委員の承認につきましては、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、拒否することはできないと考えております。

 よって、本改正案への異論あるいは意見表明を行ったことをもって、その方が運営方針委員の任命に係る大臣の承認を拒否されるということや、あるいはそういった方が所属をする国立大学法人の運営費交付金を削減することはございません。

柚木委員 これは今、重要な御答弁なんですね。重要な答弁なんですが、私たちとしては今の答弁だけではまだ懸念が払拭されないんです。

 それはなぜかというと、ここからが重要なんです。まさに今日の朝日の社説にもつけておりますけれども、そういう答弁が国会でこの間積み重ねられてきた。まさに以前も御紹介をした河村建夫文科副大臣時代の答弁も含めて、国会での答弁はあっても、あるいは学術会議の場合も同じように、国会での答弁も同じような趣旨の答弁はあっても実際には任命拒否が起こっているわけですね。

 そこで一つ、これは少しでも歯止めになればということで通告しておりますが、今の御答弁は重要なんですよ、初めてです、そういう答弁は。その答弁も含めて、私たちは、今のままの法案であれば、これは採決はもとより、法案の内容も反対ですけれども、しかし、仮に法律が施行されるときが来たときは今のことをきちっと、施行通知というのがまさに現場に下りてくるわけですよ、今のような形で運用をちゃんとしてくださいよと。今の御答弁、現場に分かるように明記いただきたいんですよ、施行通知に。明記、周知、お願いできますか。

盛山国務大臣 国会での答弁というのはそれだけ重いものであるというふうに思っておりますので、それだけで十二分であるというふうに私どもは考えておりますが、一般的に、今の御質問でございますので、法律の施行通知におきましては、法律の趣旨、内容、あるいは法律の運用に当たって留意すべき事項などを記述することになります。今回、運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認に当たっては、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や明らかに不適切と客観的に認められる場合を除いて、拒否することはできないという考え方も明記の上、周知を図っていくつもりであります。

柚木委員 当然のことなんですね。私たちとしては、これからまさにより現場の懸念を払拭すべく提案、改善を求めていくんですが、今のようなことは当然として、今日、実は学術会議の担当の政府参考人、お越しいただいていますが、官房長ですかね。まさにこの朝日の社説にも書かれておりますが、学術会議の任命拒否問題において、私も当事者の拒否された先生方からも何人も直接お話もして、当時質疑もしましたが、その任命拒否された理由というのが全く説明が果たされていない。したがって、まさにその当事者の方や現場の先生方は、ああ、やはり政府に批判的な言動、それこそ院内集会とか国会前デモとか、そういうところに参加をして持論を述べた、そういうことが原因で任命拒否されたんだなと受け止めているわけですね。

 法律上は、当時も、菅総理ですかね、会員の任命は形式成立的なもので、まさに今の文科大臣と同じように、任命拒否ということが外形上はそういったことに該当しなければないと言いながら、実際には任命拒否が現実に起こっているんですね。なぜこれは任命拒否が起こったんですか。説明責任、当事者やあるいは現場の方に、学術会議側にきちっと説明責任を現状果たされたんでしょうか。

 官房長、今日来られているんですかね、答弁をお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和二年十月の日本学術会議の会員任命の件につきましては、これまでも国会等で説明しているとおりでございますが、日本学術会議法に沿いまして、任命権者である当時の内閣総理大臣が判断を行ったものであるというふうに承知をしてございます。

 また、会員の任命につきましては、一般の公務員と同様、その理由については、人事に関することであることから、お答えを差し控えさせていただきます。

 以上でございます。

柚木委員 今のような御答弁がずっと続いてきたからこそ、今のような文科大臣の答弁があっても懸念を払拭できないんですよ。

 それを証拠に、今日、資料の五ページ目に、まさに文部科学行政の事務方トップである前川喜平さんの記事を載っけております。我が党の菊田委員の本会議での質疑を紹介をしながらですね。これは大事なところなので、ちょっと引用しますけれども。

 文科大臣の承認を得て学長が任命する。まさに運営方針会議の委員ですね、この承認を拒否できるのは、明らかに不適切と客観的に認められる場合と、まさに今の答弁どおり。しかし、文科大臣自身がそれを判断するのだから、事実上自由に拒否できると。これ、まさに当時の運用を事務方トップで行ってきた前川さんですら、そういう解釈ですね、国立大学自治破壊法案とまで呼んでいる。そして、この法案というのは、国際卓越研究大の、まさにそのファンドのガバナンス、こういったもので大学を政権や財界の言いなりにする法律だったのが、今回、更に国策、デュアルユースとか、この間議論が出ました軍事研究とか、そういうところをやる研究者や大学には予算つけますよ、研究どんどんやってくださいよ、そういう形になる、自治を破壊する法案だと。さらに、最後にわざわざ菊田委員の質問に触れております。まさに学問の自由を訴えた当時の南原東大総長、今回の法案が通れば、南原さんのように政権に対峙する総長は永遠に現れないだろうと。

 今日、大学の先生方、東大総長、私も東大総長にもここで意見表明していただいたらと思いましたけれども、いろいろ聞いてみると、やはり政府に異論を言うのは難しいと、公の場で。間接的にそんなふうにも伺いましたよ。永遠に現れないじゃないですか。こういうまさに文科事務次官経験者ですら、こう言っているんです。

 そこで、ちょっと確認しますけれども、委員の任命、不適切な委員以外は拒否しないと答弁、確認を今取りましたが、この承認は、改めて確認しますが、今の答弁にのっとった、あくまで形式的なものということで理解よろしいですか。

盛山国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、まず、国立大学法人の方で御検討され、そして、それを学長の方から我々の方へ承認を求められてこられる。それに対して、先ほど申したように、これは恣意的に私たちが判断をするものではない。どう見ても不適切である、そういうような、客観的な基準に合致しないようなこと以外、拒否をするというんですかね、そういうことは我々としては一切考えておりません。

柚木委員 確認答弁は今いただきましたが、まさに学術会議は、それでも、そういった総理答弁すらあった中で任命拒否問題が起こり、今も説明拒否しているんですよ、人事のことだからと。

 形式上と今答弁していても、全く現場が、なぜ、仮に運営方針会議の委員、つまり、まさに学長より上に位置づけられかねない運営方針会議の委員が任命拒否される、その上位にある文科大臣によってですね、形式とか言いつつも。拒否しても、それは形式的な承認に反していないと。しかし、人事のことだから説明できないと言われた場合に、何にも担保されないんですよ。大臣が私に答弁いただいているように、法律的に何にも担保されていないんですよ。

 だから、やはり答弁は重要ですよ、大臣。我々も、法律と同じような効力を持つと信じたい、あるいはそう信じてこの間質疑もしてきているんですよ。だけれども、その答弁が破られてきたんですよ、学術会議の任命拒否問題。

 したがって、本当に懸念を払拭するということであれば、大臣による運営方針会議の委員承認、この部分を法律から削除するべきじゃないですか。要らないじゃないですか。なぜ要るんですか。これまでの様々な法改正の中で、運用する中での会議、いろいろリバイスしてきたじゃないですか。その検証、うまくいったかどうか、それはやられていない。そんな中でまたここを出してきて、不要じゃないですか、大臣の承認。削除していただくことが一番の疑念、懸念を払拭することにつながるんですよ。大臣、削除いただけませんか、この項目を。

盛山国務大臣 日本学術会議は行政機関であることから、国立大学法人とは性格が異なるものであります。それぞれの組織における内閣総理大臣や文部科学大臣の任命に関する考え方も異なるものとなるということを、まず御理解いただきたいと思います。

 現行の国立大学法人制度においては、学長が法人運営に関する全ての事項を決定する権限を有しており、主務大臣である文部科学大臣が国立大学法人の申出に基づいて学長を任命することとなっております。

 運営方針会議を設置する国立大学法人については、学長の決定権限の一部を運営方針会議に移譲することから、文部科学大臣が学長を任命する現行制度上の趣旨を勘案し、法律上、主務大臣の関与として、文部科学大臣が承認するという手続を規定することとしております。

 文部科学省としては、多様な専門性を有する方々にも運営に参画していただきつつ、様々なステークホルダーとともに真に活動を充実させていくためには、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいただきたいと考える方を人選していただくことが重要と考えており、そういった方を申出していただくことを期待しているということで、現在の法案でお願いしたいと考えております。

柚木委員 大臣の御答弁、まさに学術会議の任命拒否問題、私は根っこは同じだと思いますが、性格が異なるということはあったんですが、性格が異なるとして、現場は更に、だからこそ、実は学術会議の会員の任命拒否以上に、大学のまさに学長の上位に運営方針会議、それを文科大臣が承認権、拒否権があるとすれば、学術会議の会員の任命拒否以上に、委員の任命拒否、より容易になるという懸念を持っているんですよ。(発言する者あり)何でそうなるって、じゃ、当事者に聞いてください、是非。また参考人やりましょうよ。今日もおいでですから、当事者が傍聴席に。何でそうなるんだと。そうなんですよ、何でそうなるんですか、大臣。

 まさに今回の法律のたてり、この運営方針会議の任命権、拒否権、そしてもっと言えば、今日も通告していますが、運営方針会議が、要は文科省が求めているような方向性に意に沿わない場合は、委員の任命や監査とか、いろいろなこの運営方針会議への委員の任命権をもって、要は事実上コントロール、介入できるというふうに法律のたてりを現場が受け止めているから、より容易になるという懸念が出てきているんですよ。是非これ、私ちょっと、到底、今の答弁では懸念は払拭されるどころか深まっているんですね。

 それで、より深まっている実例を挙げますが、運営方針会議が、通告の二問目、どっちの例もあるので、是非大臣、よく御理解いただきたいんですが、この間、例えば旭川医科大の問題はもう本当に学長の解任問題、現場は学長選考会議でいろいろなことがあって、私も承知していますが、とてもじゃないけれども学長にふさわしくないということで、現場からは解任すべきだというのが上がってきたけれども、文科大臣は当時拒否しているんですね。

 ところが、同じ北海道の北大、政府と文科省といろいろ、例えば、それこそデュアルユースのような研究を何か拒否したとかいろいろな話を聞いていますけれども、要は反りが合わない、そういうこともあって、実際にはパワハラで辞任に追い込まれた。文科大臣がそれを認めた。しかし、今、裁判で、大学側が公式文書としてパワハラを認定していないんですよね。

 つまり、通告をしておりますが、今回、学長選考・監察会議の意向も酌まずに、聴取対象者、場合によっては学長ですよ、まさにそういった方々が辞めさせられたり、辞めさせられなかったり。しかも現場の意向を無視してですよ。自主性、自律性どころか、現場の意向を無視してそういうことが現実に起こっているんです、既に。この起こっていることを更に助長する内容になっているから問題だと言っているんですよ。

 運営方針会議の委員の任命承認、拒否権も含めて、こういう辞めさせるべき学長を辞めさせない、辞めさせなくてもいい、辞めさせちゃいけない学長を辞めさせる、こういうことになってきているから問題だと言っているんですよ。

 今回の法律のたてりもそうですよ。運営方針会議は学長選考への意見を述べることができる、そういうたてりになっていますよ、二十一条八の二項。そうしないためにどういう手だてを講じるんですか。

盛山国務大臣 是非御理解賜りたいと思うんですけれども、これまで何度も答弁しているとおり、明らかに不適切あるいは違法性が高い、そういうような場合以外、我々としては恣意的な運用をするつもりはないと明言しているわけでありますし、そしてまた、先ほどの委員の御質問に対しても、通知というもので明らかにすると明言しているわけでございますので、そういうような我々の姿勢、方針、これを是非御理解賜りたいと思います。

柚木委員 心配な顔をして傍聴されていますね、今の答弁。それはそうだと思いますよ。

 それは私だって答弁を信じたいけれども、答弁したことと違うことをやってきているんだから、政府は任命拒否で。しかも、そのことを説明しないんだから、人事のことだと言って。同じことをできちゃいますよ、やはり今の答弁では。形式的には拒否できない、しない。だけれども、拒否した場合には、人事のことだから説明できない、しない。

 旭川医科大のこと、おかしくありませんか、大臣、あるいは北大のこと。裁判、これは私も注視していますが、この結果が出てくるわけですね。まさに文科大臣自身が学長を辞めさせる、辞めさせない、恣意的に実際の対応を今後も更にやりかねないという懸念を払拭できません。

 通告している部分、次のことも重要なので、運営方針会議の権限をちょっとまとめて聞きますよ、三つ通告していますけれども。

 これも、権限、中期目標、計画、そして予算、決算などの重要な運営方針事項については運営方針会議の決議により決定するんですが、外部委員が含まれてくるわけですね。しかも、まさか天下りOBとか現役出向とかないと思いますけれども、否定できません。

 さらには、そういった重要な計画、目標、決算、予算、大学の根幹に関わる案件の決議決定を学外委員に委ねることになれば、これまでまさに大臣が答弁されてきた、尊重すると言ってきた大学の自治、自律性、自主性が脅かされるという現場の懸念が昨日の院内集会でも大変沸き起こっているわけですね。こういった現場の懸念はどう歯止めがかかるんですか。

 そして、学長への改善措置要求、二十一条の六項。これも、まさに政府の、文科省の意向が反映できない場合は、運営方針会議を通じて、学長のまさに選任や解任においてすら、そしてまた実際の運営についてもコントロールできる仕組みになっているじゃないですか。

 これらの懸念、どう法律上歯止めがかかっているんですか。お答えください。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども、運営方針委員は、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を学内外を問わず人選していただくことが重要であります。

 その上で、運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認については、大学の自主性、自律性に鑑み、国立大学法人からの申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、拒否することはできないと整理しているところです。

 また、中期目標に関する意見や中期計画の作成等については、経営協議会や教育研究評議会の審議などを経て学長が原案を作成し、その原案について運営方針会議が議論して決定することになります。

 したがいまして、運営方針会議の設置により大学の自治が脅かされるという御指摘は当たりませんし、我々がその結果を誘導するといったようなことは全く考えられるものではありません。

柚木委員 持ち時間が来たのでまとめますが、何か最後の答弁はちょっと、菅総理とか安倍総理もこの点に関しては当たらないという御答弁は多用されてきましたが、根拠が伴っていないんですよ、実態も。

 今の答弁の段階で、むしろ、より懸念、疑念は、さっき傍聴の方の顔を私はうかがいながら質疑していましたが、皆さん、首をかしげておられますよ。ますます懸念が深まっている。

 したがって、この後同僚委員がやってくれますけれども、まさに当時の独法に国立大学を変えていったときの文科大臣、元東大総長の有馬先生も失敗だったと述べているんですね、独法化は。運営交付金がどんどん削られて、そんなはずじゃなかったと。そして、まさに大学の自主性、自律性が損なわれてきた、この検証もなされていないし。

 結局、私は、岸田内閣を見ていれば、昨日も岸田総理給与アップ法を採決されて成立しましたけれども、国民のためになる物価高対策は後回し、自分たちのためになることは前倒し。おまけに、大学や学生さんたちのまさに懸念を助長するような法律を、まさか、よもや今日、野党質疑一日で私は採決することはあり得ないと思っていますが、是非この後の委員の質疑もしっかり踏まえていただきまして、委員長には、我々の質疑、大臣の答弁をよく聞いていただいて、まさに筆頭間で今後の議事については継続協議になっておりますので、そのことを最後に強く求めて、私の質疑を終えます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 盛山大臣、初めまして。僕は一期生ですので、ちょうどこの文部科学委員に三年、仕事をさせていただいております。

 三年の中で、盛山大臣で四人目の文部科学大臣の所信表明を先般伺いました。僕は大臣をやったことがないので教えていただきたいんですが、この大臣所信というのは、大臣がどこまで手を入れられるものなんでしょうか。僕は、実は、この一番前半の書き出しの部分は非常に感銘を受けながら聞いてはいたんですが、実際、大臣がどの辺まで書くものなのか、お教えいただけますでしょうか。

盛山国務大臣 荒井先生に初めて御答弁させていただきます。

 お父上様とは、ちょっと党が違うんですが、テニスですとか、御一緒を何度かさせていただいておりました。よろしくお願いします。

 今御指摘の所信的挨拶につきましては、私の思いを踏まえて、事務方とやり取りをし、作成しております。

 私も国家公務員でございましたので、原案を作って、私が担当したところ、あるいは時期については大臣とやり取りをした覚えがありますけれども、それはちょっと、文科ではない、ほかの役所でございますが、基本的にその辺りは同じではないかなと思います。

 そして、文部科学行政は極めて重要な役割を担っていると考えておりますので、これからも、委員始め多くの方々の御意見を承りながら、できるだけ評価をしていただけるような文部科学行政に取り組んでいきたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 父は父で、息子は息子で頑張っておりますので、よろしくお願いします。

 大臣は、大臣に就任されたときの記者会見で、まさに、文部科学の分野とはそれほど近くなかったものだから、これから勉強しながら一生懸命取り組んでいきたいというふうに新聞記者等に答えられたと思います。是非、一生懸命勉強しながら取り組んでいただきたいと思います。

 三年僕もここに立っておりますが、四人大臣が替わりました。大臣の平均任期というのは一年なんだなというふうに思いますと、本当にあっという間に終わってしまうと思うんですね。文部科学大臣としてのリーダーシップ、そして文部科学省をしっかりと導いていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 この間、大臣になられてから学校の視察というのが幾つかあったかと思いますが、何校ぐらい視察をされたんでしょうか。

盛山国務大臣 私は、就任後、六つの学校に伺わせていただきました。

 例えば、小学校等において、一人一台端末を活用した授業、これは私自身が、御党を含め、学校教育のICT化、ここはずっと取り組んでおりまして、そういった授業、あるいは学びの多様化学校等での不登校対策を視察するとともに、大学に伺いまして、研究施設の視察や学生との意見交換も行ったところであります。

 特に、就任後すぐに伺いました福島県の大熊町立学び舎ゆめの森では、工夫を凝らした最新の学校建築の見学と併せて、新しい校舎で学ぶ子供たちと対話することができました。この校舎を設計された方も立派だと思いました、いろいろな関係者の方とお話をされながら。

 そしてまた、その中で、新しい学び方、これは義務教育学校で、小学校の一年生からいわゆる中学校の三年生まで一緒でしたし、そしてまたゼロ歳児からのこども園も併設されておりましたので、こういうような学び方、あるいは子供の中でのトレーニングというんですかね、そういうこともあるんだなというふうにも感じたところであります。

 文部科学省としても、被災地域における復興、創生の希望である子供たちの教育が充実したものとなるよう、引き続き、福島県あるいは関係者とともに取組を進めていきたいと、そのときには感じさせていただいたところです。

 今後も、様々な現場に伺いまして、多様な声をしっかり伺い、そして、多様な御意見を踏まえつつ、必要な政策あるいは望ましい文部科学行政に取り組んでいきたいと考えております。

荒井委員 大臣、僕は、現職の国会議員の中で唯一学校の校長をしてきた者ですので、僕、昨日、しかも、二十三教育団体の会合があったかと思いますが、大臣の後に立憲民主党を代表して御挨拶をさせていただきましたが、その際にも申し上げましたが、教育というのはまなざしだと思うんですね。もちろん、目の前にいる生徒もそうですが、その奥にいる生徒や保護者等々、また学校で働いている先生たちへまなざしをしっかり向けることが、よりよくすることだというふうに思っております。

 今後もたくさんの学校を視察されると思いますが、学校を視察する際というのは、校長室に行き、そして、用意された教室に行って帰ってくるということが多いと思うんですが、僕は、こういうやり方ではなく、是非、大臣、校長室に行ったときに、ちょっといろいろ見せてほしいと言って、例えば職員室ですとか用務室とかに行って、そのときに、大臣に対応することなく、現場で一生懸命、採点をしていたり、生徒のことに対応していたり、若しくは、学校をきれいにしようとしている用務員の方がいらっしゃったり、大臣が来訪しようと関係なくやっている方々がいらっしゃるわけですが、そういう方々にまさに赴いて声をかけて、どうですかというふうにやることが僕は一番大事だと思うんです。

 そして、文科省には是非お願いしたいんですが、今度の大臣はそういうふうに職員室に突然行くから職員室もきれいにしておくようにとか、そういうことを一切言わずに、まさに大臣のリーダーシップで、学校を隅々まで目くばせをしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、本議案についての質問をさせていただきます。

 今回の法案についてですけれども、そもそも、なぜ、CSTI、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議から言われたことをやっていかなければならないのか、ここに僕は一番疑問を感じていまして、文部科学省として、そもそも、しっかりと自分たちで決めていくということが、発案して決めていくことができずにやっているのかということを是非お答えいただきたいというふうに思っております。文部科学省からお願いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議、いわゆるCSTIは、我が国全体の科学技術を俯瞰し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行っております。これに対して、文部科学省は、基礎研究、学術研究を中心に研究振興を担当しております。

 国際卓越研究大学制度の議論につきましては、CSTIに設置された世界と伍する研究大学専門調査会において議論が進められてきましたが、その運営規則において、運営に当たっては文部科学省の協力を得るものとするとされており、文部科学省も検討に参画しておりました。

 このような経緯から、文部科学省として、CSTIの報告書も踏まえつつ、具体の制度化に向けて必要な法制上の検討を進め、今回の法案提出に至ったものでございます。

荒井委員 そもそも、なぜ、ずっとリーダーシップを大学に求め、また学長にリーダーシップを求めていたものを、今度はCSTIから言われたら、合議体にするということを決め、そして卓越大学だけではなくてほかの大学にも、さらには、ほかの大学といっても全ての大学ではなく、中途半端に、大きなということで、はっきりとした線もない中で決めていくのか。

 合議体によって学校の経営がうまくいくと本当に思っているんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学がステークホルダーの期待に応えつつ大学の活動を充実させていくためには、多様な専門性を有する方々にも大学の運営に参加いただきつつ、法人の大きな運営方針の継続性や安定性を確保することが必要です。そのためには、法人の大きな運営方針についての決定権を持つとともに、決議した方針に基づいて法人運営が行われているかどうかを監督する機関が必要であると考えております。

 このようなガバナンスを実現するため、中期目標への意見、中期計画の作成等の大きな方針の決議、決議した内容に基づいて法人運営が行われているかどうかの監督の機能を持つ、学長も構成員である合議体として運営方針会議を設けることで、大学の活動の継続的な充実につながるものと考えております。

荒井委員 この話を聞いていると、CSTIと文部科学省の関係と何だかよく似ているような感じがしているんですが、つまり、文部科学省だけではいろいろなことが、大きなことが決められないので、中期的な若しくは戦略的な内容に関してはその上部組織であるCSTIで物事を決めて、その実行として文部科学省があればいいというような発想に極めて近しいんじゃないかというふうに思って、僕は本当に残念でならないんですね。文部科学省というこの大きな組織単体で物事を決めて、若しくは、この合議体だけで本当に進むとは僕は到底思えないんですが、それをはね返して、CSTIが何を言おうと、文科省としては文科省の考え方で、長い間大学を運営してきた経験もあるはずなのですからというふうに思っております。

 そもそも、文科省というこの役所そのものが、その意味では、以前も、教育再生実行会議や教育未来創造会議など上部組織によってまるでガバナンスをされていて、その一執行機関のように捉えられていること自体が僕には我慢ならないんですが、実際、文科省の現場でやられている職員の皆さん、どういうふうにお感じなんでしょうか。そして、これを大学の学長や大学の人たちも同じように今感じているんじゃないかと思っていますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、CSTIは、我が国全体の科学技術を俯瞰して、総合的かつ基本的な政策の企画立案、総合調整を行う組織でございます。これに対して、文部科学省や経済産業省など各省は、それぞれの設置目的に、所管分野の研究開発、研究振興を担当しておりますので、時としていろいろ意見が異なることもございますが、政府内で調整をしながら協力して研究振興、研究開発を進めているものでございまして、今回のこの法案あるいは国際卓越研究大学制度の議論も、文部科学省とCSTIと協力しながら、よりよい仕組みをつくるべく議論をしてまいったところでございます。

荒井委員 そうですね、このCSTIの会議には文科大臣も含まれていますので、まさに合議体というような形でやられているんだというふうに思いますが、でも、そうすると、肝腎のその所属機関、今回でいうと大学も、学長が合議体になったからといってうまく運営がいかないのは、今の文部科学省のこの迷走ぶりにも表れているんじゃないかというふうに思っています。

 資料の一を御覧ください。先ほど柚木さんからもお話がありましたが、二〇二〇年の五月二十一日に有馬元文部科学大臣が日経ビジネスのインタビューで答えられているものです。この見出しから、国立大学の法人化は失敗だったというふうに元大臣が吐露されているわけですね。ここに幾つか線を引っ張りましたが、まさにこの中で大臣は、非常に、元々東京大学の総長も務められた方ですので、まさに悩みながら、それでも、国立大学を法人化すること、これは二〇〇四年ですけれども、今から約十九年前、国立大学を法人化することでより自律化が進み、大学にとっていいはずじゃないか、そういうふうに思いながら文部大臣として決めていったということを、その経緯と、ただ、その中で、運営費交付金は減らさない約束だったということも書いているわけです。

 ところが、二ページ目、開いてもらいますと、上から五行目、法人化するだけでなくて、運営費交付金も減らさないことを法律に加えてほしいというふうに大臣は言ったんですが、法律にそんなことは書けませんという答えが返ってきたということ、そして、それを附帯決議には書いたものの、結果的にその内容は無視されてしまったということです。

 それ以降十年にわたって運営費交付金が減らされていることは、文部科学委員の皆さん御承知のことだと思います。その後、下げ止まりましたが、また少しずつ下がってきて、去年の交付金に関しても〇・九%下がっているかと思っております。

 文科省に伺いたいんですが、ここで有馬大臣がおっしゃっている、この運営費交付金を減らさないことを法律に書いてほしい、いや、それは書けませんというやり取りがあったことは事実なんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御質問いただいた件については、承知しておりません。

荒井委員 このインタビューの一番最後のところに書いてありますが、線を引っ張っていません、国立大学法人化によって若手研究者を雇用できなかったことについて、私に責任がありますと元大臣としておっしゃっているわけですね。あと何年生きるか分からないけれども、世界並みのレベルにするまで徹底的にやりたい、二〇二〇年の五月にこういうふうにおっしゃっています。でも、残念ながら、その七か月後に有馬大臣は亡くなられているんですね。まさにこれは遺言のようなインタビューではないかというふうに思うんです。

 二つの論点があります。国立大学の法人化そのものがどうだったのかということと、そして、それとは切り離されていますけれども、運営費交付金がなぜこんなに毎年下がってきたのかということだと思うんですね。実際、二〇〇四年のときには一兆二千四百十五億あった運営費交付金が、今や一兆六百億です。約二千億、この約二十年で下がってきているわけですね。

 是非財務省に伺いたいんですけれども、なぜ、こうやって、この教育のことに対して、これだけ、特に大学というのはまさに国の未来をつくっていく仕事だと思うんですが、これを下げていくという、本当に僕はこれは全く解せないんですが、こういうことを行ってきたのか、是非御説明いただきたいと思います。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 国立大学法人運営交付金は、教育研究環境の整備を行うための重要な経費であると承知しております。

 そういった中、御指摘の平成十六年度に法人化して以降の運営費交付金の減額につきましては、附属病院の黒字化に伴う病院赤字補填金の解消や、退職者の減少に伴う退職手当の減少など、研究活動等に直接影響のないものが大宗を占めておりました。ただ、近年は、国の厳しい財政状況の中でも横ばいで推移しているところであります。

 いずれにしましても、運営交付金の在り方につきましては、引き続き、文部科学省としっかりと議論してまいりたいと思っています。

荒井委員 そうですね、まさに、大学病院がもうかっていくから運営費交付金は減らしてもいい、そういうような発想になってくるわけですが、でも、全ての国立大学が大学病院があるわけでもありませんし、そもそも、大学病院の運営の利益と、それとこの研究の話というのは全く別なはずなわけですよね。

 僕は、でも、これは財務省だけの責任ではないと、当然ですけれども思っています。やはり、文部科学省として、この大切さというものを訴えてこなかった二十年があるんじゃないかというふうに思っています。そういった文科省のやる気のなさ、結果的にですよ、結果的にやる気のなさみたいなものが、こうして大学のマネジメントに手を加えようとすると、まさに信頼関係がなくなっているからこそ、いろいろなところで異論、反論が出てきているのではないでしょうか。

 国立大学の法人化の大きな目的というのは、大学の自律化ということがあったと思うんですが、でも、現状、これはどの国立大学の学長、運営者に聞いても、到底自律化されたとは思えないということを、まさにお話を伺う中では皆さんおっしゃられているわけです。もちろん、予算上の、単年度主義から複数年度に変わった等々は自律化しているのかもしれませんが、でも、現実的には、文科省の縛りが多くてなかなか大変だということをおっしゃられているわけです。

 資料は用意しておりませんが、今日も文科委員にいらっしゃいます柴山先生が、文部科学大臣だった二〇一九年のときに、国立大学への出向を削減する私案というものを記者会見で披露されたというふうに思います。このときには、国立大学で文部科学省から出向した人の不祥事が続いていたということもありますが、柴山文科大臣が記者会見でまさにその話をしたということですが、これはどういった私案だったのか、文部科学省、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の柴山大臣による人事改革案、これは平成三十一年二月十五日に公表されたものでございますが、その中で、国立大学法人との人事交流につきまして、平成三十一年四月に交代となる文科省からの理事出向者は半減を目指す、また、国立大学法人への理事出向については、改正国立大学法人法の施行予定日である令和二年四月以降は、学外理事が法定数確保されていることを前提とする、また、国立大学法人職員、これは具体的には課長級以上の幹部職員でございますが、への出向については、各学長の人事戦略や各国立大学が抱える課題の状況も踏まえ適切に実施しつつ、今後は、プロパー職員の登用にも配慮し、段階的に縮小するなどを進める内容となっておりました。

荒井委員 これは、そのときにそういうふうに柴山文科大臣がおっしゃられて、今現状どういうふうになったのか、その辺は教えてもらってもいいですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 当時のその改革案に基づきまして議論をした結果、文部科学省から当時理事へ出向していた者のうち、平成三十一年四月に理事交代予定であった三十の大学と調整を行いまして、おおむね半減、結果として十六大学につきまして出向ということにしました。要は、おおむね半減という結果となりました。

 その結果、平成三十年四月一日時点で理事出向者が七十六名であったところ、この改革案実施後の平成三十一年四月一日時点では六十二名となったところでございます。

 このほか、国立大学法人への理事出向につきまして、改正国立大学法人法の施行日である令和二年四月以降は、学外理事が法定数確保されていることを前提とした人事を行っているところでございます。

荒井委員 資料の六番を御覧ください。文部科学省に、現状、どういった職員がどこの大学に幹部職員として出向しているのかというのを伺ったところの資料を全ておつけしています。

 本当は柴山大臣にこれを見てどう思うのかを伺いたいぐらいなんですけれども、もちろん個々の文科省の職員は、一人一人の方は、行って一生懸命頑張っているというふうに思います。僕も知っている方、何人かお名前がありますので、その方のよしあしではありません。

 でも、これだけの大学にこれだけの人数を送っているということに、やはり文部科学省は、大学の自律化、つまり国立大学法人の自律化というものを目指しながら、こんなに人を送っている。恐らく、柴山さんが思ったときよりもまた元に戻っているんじゃないかというふうに思っているんですが、この状況というのはやはり僕はおかしいんじゃないかというふうに思います。

 ちなみに、今日は、国大法の改正では、学長のリーダーシップが強過ぎるので合議体にするという議論がなされていますが、僕も私立学校の理事長や校長、そして大学、私立大学の評議員をやった経験から申し上げますと、もっと問題なのは、ここで兼務というふうについている人が結構いるんですけれども、この兼務の状況の方が、その人自身、その職責の方自身の力が非常にこの組織内で高くなり得るんじゃないかというふうに思っております。

 理事と兼務で事務局長という方が非常に多くなっているわけですが、やはり、例えば、理事と副学長と事務局長、特に事務局長というのは非常に事務方にとって枢要なポストですので、ここを、文部科学省から行った人が事務局長も押さえて副学長も押さえて理事も押さえていると、これは本当に大学の自律化というふうに言えるんでしょうか。

 もっと言うと、もちろん、それぞれの大学を運営する人が、なかなかそうやっていないのでということで要請されて、文部科学省としては行っているんだと思いますが、でも、国立大学の法人化というそもそもの理念でいうと、こういう職員をちゃんとプロパーで育てていくということが本当はあったんじゃないかというふうに思いますので、これは是非、大臣、大臣の任期は一年です、本当に短くありますが、もう一度、今、国大法の改正を踏まえて今いろいろな議論がなされている中に、もう一度、大学のリーダーシップの在り方というのを大臣にしっかりと確認いただき、また、有馬大臣は亡くなられてしまいましたけれども、柴山大臣や前任の大臣、いろいろ考えられた方がいっぱいいらっしゃると思いますので、是非いろいろ聞いて確認していただきたいというふうに思います。

 大臣として、ここまでの所感、教えてください。

盛山国務大臣 私は、一時期、私学でございますけれども、大学で客員を務めていたことがございます。もちろんボードには入っておりませんので詳しくは分かりませんが、でも、今、荒井先生がおっしゃったように、事務局長さん、やはり要のポストでございます。私がいて、いろいろお話をしたところでは、理事長、学長、そして事務総長、事務局長、これは所によってちょっと名前が違ったりしますけれども、そういう方が要であるということは私も承知はしているつもりでございます。

 そんな中で、国立大学法人の理事、職員の人事は、各学長が自らの人事戦略、人事のお考えで行っているところであります。理事の役割の分担、副学長や事務局長を置くか否か、誰をどのように登用するかなどは学長の判断に委ねられているところであります。

 そして、お尋ねの、理事、副学長、事務局長を一名で兼務することにつきましても、それは学長の経営方針と人事権に基づいて判断されたものであり、文部科学省としては学長の意向を最大限尊重するということでございます。

 また、柴山大臣による人事の改革案は、文部科学省職員が大学の実務を経験し、国の施策に反映するという意義を認めつつ、各大学の実情等を踏まえた適切な人事を行った上で、各大学の自律性や戦略的な経営を後押しする狙いがあったものと認識しております。

 現在、各国立大学法人においては、様々な改革を実現するために必要な体制づくりをそれぞれの学長がリーダーシップを発揮して進めているところでございます。このような動きを加速化する上では一定の成果があったものと認識しております。

 私としましては、これまでの人事改革の理念を踏まえ、各法人の自律性、戦略的な経営の推進を適切に後押ししてまいりたい。我々としては、まずは大学側の方で御判断をされ、そしてそれに対してお手伝いをするということで対応していくべきではないかと考えております。

荒井委員 二〇〇四年に国立大学が法人化されて、国立大学の法人化とは一体何なのかというのをこの間、今日の質疑でもさせていただいております。

 そもそもこの国大法の、国立大学を法人化したことに対しての振り返りだったり、そもそも、今、二十年がたつわけですけれども、一体どうなのかというのを文部科学省が振り返ったことはあるのかどうかと思って、いろいろと検索をしてみました。そうしたら、まるでさらっとホームページに載っていたものが資料の、一個手前に戻っていただきますが、三枚目にある、「「国立大学法人の在り方に係る検証」について」というページがありまして、そこの取りまとめの資料を今日ここにお持ちしているわけですが、この内容に関しては、どのような経緯でやることになったのか、文部科学省、教えてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ)」につきましては、平成二十一年に行われました行政刷新会議の事業仕分におきまして国立大学法人運営費交付金が対象となった際に、国立大学の法人化の成果について検証し、大学のガバナンスの在り方を見直すべきなどの指摘がなされたことを契機として取りまとめられました。

 具体的には、第一期中期目標期間の終了を見据えて、平成二十二年一月から当時の現状分析等を行うとともに、引き続き国立大学法人が社会から求められる役割を的確に果たしていくために解決すべき課題や改善方策について検討を開始したものでございます。

荒井委員 これはちょうど二〇一〇年から始まったと思いますけれども、まさに民主党が政権を取ったときに、ちょうど国立大学が法人化されてから六年後のその時点において、一体この国立大学法人化というものはどうだったのかというのを検証したんだというふうに思います。

 当時、大臣は川端達夫文部科学大臣でしたし、副大臣は鈴木寛副大臣だったと思います。川端さんと鈴寛さんにそれぞれお電話をしまして、このときの経緯というものを教えてもいただきました。皆さん、それぞれにお二人とも思い入れがあり、かつ、やはり大学のその後の状況についても大変心配をされてもいました。

 でも、実はこの内容を見ていただくと、非常に立派な内容で、これ以外にも実は幾つも資料があるんですが、約半年間で、国民の声を聞き、熟議をしながらこの内容をまとめていっているんですね。最終的なレポートはもっと厚いものになっているわけですが、半年でできるものなんだなというふうに思っております。もちろん、期間が長ければもっといいものもできるのかもしれませんけれども。

 大臣、半年でここまでのものができるのであれば、もう一度、国立大学法人化の、これは中間まとめというふうに文科省のホームページには書いてあるんですが、最終まとめみたいなものを、若しくは盛山大臣のところで後期の中間まとめとして、そもそも国立大学法人化というものが一体どうなっているのか、どうだったのかというのをまとめてはいかがと思うんですが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 今お話がありました「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ)」につきましては、第一期中間目標期間の終了を見据えた平成二十二年当時のまとめであり、この最終まとめを取りまとめるということは、今のところ想定してはおりません。

 なお、文部科学省においては、これまでも、平成二十七年の国立大学経営戦略、あるいは令和二年十二月の国立大学法人の戦略的経営実現に向けてなど、必要に応じて国立大学法人をめぐる状況や課題について整理しながら施策を進めているところであり、今日の荒井委員の御意見も踏まえながら、今後も適切に対応していきたいと考えております。

荒井委員 大臣、今日はあと三分ほどになりますけれども、今日、三十五分というお時間で初めてお話しさせていただく中で、特に大臣が、文部科学行政についてはこれからしっかり学んでいきたいということを記者会見でもおっしゃられていました。

 今日、何人かの大臣のお名前も挙げさせていただいてきましたし、文部科学行政が、特に国立大学の在り方に関しては、この二十年間、それぞれ大臣を担った人たちですら、やはり今の大学の在り方について、国立大学の現状について、大変懸念を感じていたり、何とかしていきたいというふうに思いながら、それを遺言のようにおっしゃられた方もいたり、そして、記者会見のときに言って、その年は確かに国立大学の自律化が図られたかもしれないですけれども、また時間がたてば戻ってしまう。

 何度も申し上げます。文部科学省の職員一人一人が悪いわけでは決してないとは思いますが、でも、大臣のリーダーシップが、まさに合議体によるものではない大臣のリーダーシップが大変必要な時期に今来ているんだというふうに思っております。任期は一年と大変短い任期で、一体、大臣は何をこの国立大学に対してやられるのか、もう一度教えていただけますでしょうか。

盛山国務大臣 大学というか、高等教育に対して求められている課題はいろいろあると思います。そして、その中で国立大学に対してどういうふうなことが特に求められているのかということではないかなと思いますので、国立大学として、各高等教育機関の中で国立大学としてより活性化し、優れた教育あるいは特色ある研究に積極的に取り組むことができるような環境整備をしていくこと、それが私の課題ではないかと考えております。

 特に、先ほど来御指摘のありました基盤的経費あるいは競争的研究費の確保、あるいは博士課程をどういうふうに支援をしていくのか。それから、国際卓越研究大学制度もそうですし、それと同時に、地域中核、特色ある研究大学、こういったこと、そういった多くの課題があります。そして、大学その他いろいろな関係者からの御要望も踏まえた戦略的な経営というんでしょうか、自主的な判断その他、こういったことについての対応。こういった課題がいろいろあろうかと思いますので、限られた期間かもしれませんが、できるだけ一生懸命取り組んでいきたい、そんなふうに考えております。

荒井委員 冒頭に申し上げました大臣の所信表明、「社会が激しく変化する中で、変化を力にし、」まさにこれそのものが文部科学省、そしてそのリーダーたる大臣に今求められているときだというふうに思いますので、是非しっかりと頑張っていただきたいというふうに思っております。

 本当は、国大法、もちろん重要ですけれども、でも、国立大学のことを今話し合うのであれば、今そこに通っている学生たちの状況が今大変苦しいことに対して、本当は立法府、行政府ももっとやるべきなんじゃないかというふうに僕自身は思っております。物価が高くなってきた、景気が悪くなってきている中で、大学生も学費や若しくは奨学金、ローンを返すのに一生懸命アルバイトをしている。ただ、その中で、国立大学の場合には、大学で働くという役割がなかなか制限をされていて、大学の中でもっと働きやすくすることで、例えば実質な学費を無料にしてほしい、そんな声だって上がっているわけですね。もっといろいろなことが大学はやれるんじゃないかというふうに思っております。

 最後になりますけれども、今の文部科学省は、教育に対しては主体的、対話的、深い学びというものを推奨しているわけです。今日のこの委員会に関しても、まさに主体的、対話的で深い学びを是非委員長には取り計らっていただきたいと思います。特に対話が非常に重要ですので、突然いろいろなことを断じて決めるようなことがないよう、是非同じ教育者としてよろしくお願いいたします。

 以上になります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立憲民主党の牧義夫でございます。

 今日は、この国大法の法案の審議に入る前に、ちょっと神宮外苑の再開発について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この再開発については、前にも私、ここの委員会で取り上げさせていただきましたが、その後、日本イコモス等からもヘリテージアラートも発出され、また、外苑再開発ノー、緑を守る都議会議員連盟というのも四十人で発足をいたしました。坂本龍一さんが小池都知事宛てに書簡を送ったこと等も有名でございますけれども。また、先日新聞で見たんですけれども、元学術会議の会長が、都民不在の手続批判ということで新聞にも意見を寄せられております。

 まず大臣の認識を伺いたいんですけれども、三井不動産ら事業者と日本イコモスの皆さんが、いまだに直接話し合う機会も、テーブルすら設けられていないという現状があります。大臣として、所管じゃないとおっしゃるかもしれませんが、何らかの意見を述べることぐらいは私はできるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 神宮外苑地区の再開発事業について、様々な御意見があることは承知しております。

 本再開発事業は、東京都が平成三十年に策定した神宮外苑地区の町づくり指針等に基づき、具体的な町づくりを担う東京都及び新宿区、港区が地権者を始めとする関係事業者と協議しながら検討を進めてきたもので、都市再開発法に基づき、令和五年二月に東京都が認可しております。このため、本開発事業については、東京都及び新宿区、港区において、地権者を始めとする関係事業者と協議しながら適切に対応されるものと考えております。

 その上で、お尋ねがありました三井不動産あるいは日本イコモスその他、こういったことにつきましては、先ほど牧先生もおっしゃられていたとおり、私が直接所管をするということではございませんので、まずは関係者の皆さん方で御判断をしていただくべきものであると考えております。

牧委員 大変残念な御回答でありました。

 ヘリテージアラート、イコモスというのはユネスコの諮問機関ですね。そもそも、このヘリテージアラートについてどんな問題意識をお持ちなんでしょうか、大臣。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども、本事業は東京都が今年の二月に認可したものということでございます。そして、関係者の間でお話がされているところでございますので、適切な対応がなされることを私自身期待しているところでございますし、そして、文部科学省として今この場でコメントをする立場ではないと考えております。

牧委員 それでは、ちょっと文化庁の認識を伺いたいと思うんですけれども、明治神宮外苑の文化的な価値について、文化庁はどんな認識をされているんでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁におきましては、自治体が文化財指定等の可能性のある近代の庭園等の存在を認識し、具体的な調査をしていただくことを趣旨として、事例を整理した調査研究報告書を平成二十四年六月に作成しており、その報告書において、神宮外苑の四列のイチョウ並木についても、文化財指定等の可能性のある事例として取り上げているところでございます。

牧委員 今次長がおっしゃったとおり、文化庁としてもこの文化財的な価値というものを認めているんですね。

 ここで、ちょっと私ごとで恐縮なんですけれども、私、二〇〇〇年に初当選する前、約十二年間、鳩山邦夫代議士の秘書をしておりました。十二年間一緒におりましたから、いつもいろいろな局面で、こういうときに鳩山代議士だったらどう判断するんだろうなというようなことをつい考える癖があるんですけれども、思い出すと、鳩山邦夫総務大臣のとき、あの東京駅の中央郵便局、この建物が非常に文化的な価値のあるものであって、これを取り壊して高層ビルを建てるのはまかりならぬという意見を述べました。

 それに先立って、当時の文化庁の次長が、これは重要文化財に匹敵する、それに値する建物だということを国会で答弁したことを基に、当時の総務大臣がこういう発言をして、その後、すったもんだありましたけれども、最低限の体裁を残すことに成功したわけですね。

 これは、当時の総務大臣ののりを越えた話だったかもしれませんけれども、やはり大臣としての発言というのが大きいんだろうなというふうに思います。

 その辺、どうなんでしょうか。ここで大臣が英断を下していただいて、やはりこの開発を見直すということになれば、私も一生懸命皆さんから募金を集めて、大臣の銅像を神宮外苑の森に建ててもいいなと思うぐらいなんですけれども、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 私も、個人的に鳩山邦夫先生と大変親しくさせていただいておりました。そして、当時、総務大臣として、東京中央郵便局の建て直し、ストップをされて、あのようなファサード、前面を残されて、中を近代的に建て直すということをされて、今、KITTEという形で、いい形で残されているということは、私も、すばらしい鳩山当時総務大臣のリーダーシップ、御英断だったなと感じるところであります。

 私自身、その当時の鳩山大臣ほどの力は全くないわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、今のところはまだ、関係者の間でのお話合い、協議、これを見守る段階ではないかなと思います。

 そして、お尋ねの外苑の森について、全てということではないとは思いますけれども、やはり残すべきところ、私自身も外苑に学生の頃から、あの辺り、行く、利用することがつい最近まで含めてずっと長かったものですから、そういう点では、私も個人的に外苑の、少なくともあのイチョウの並木ですとか絵画館が見えるああいうようなところについては個人的な思いがあるのは事実でございますけれども、そういったことを含めて、いい結論がこれから、できるだけ短い、早いタイミングで出されていくことを私自身期待しているところであります。

牧委員 形式的に所管外ということですけれども、御意見を発することは私は自由だと思いますので、是非とも影響力を行使していただければありがたいなというふうに思います。

 そして、こればかりは所管外じゃなくて、一つ確認をしておかなければいけないと思うんですけれども、今回この計画の中に、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えるということが含まれております。ラクビー場については、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCの財産ということですけれども、これは元は国有財産で、そしてまた、独法の通則法でいえば、所管の大臣の認可がなければ財産処分ができないということで、これはまさに大臣のところの所管だと思うんですけれども、これはもう認可されてしまっているんでしょうか。ちょっと確認をしたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 秩父宮ラグビー場につきましては、その運営をJSCに行わせるために国が土地建物を出資し、JSCの資産となったものでございます。

 神宮外苑地区の再開発事業におきましては、このJSCが保有する資産につきまして、都市再開発法に基づく権利変換、これを行うために、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づく財産処分の認可が必要となるわけでございます。

 今お尋ねにありました認可申請でございますが、現時点においてJSCからの認可申請は行われてございません。

牧委員 まだ申請されていないということですね。

茂里政府参考人 現時点においてJSCからの認可申請はございません。

牧委員 申請されていないのに、どうしてあの絵が描かれて、それがもうあたかも既成事実のように進んでいるのか、ちょっと説明が必要だと思います。申請前に何か下話みたいなのがあるのか、口約束なのか、書面で何かあるのか、ちょっとそこの正確なところを教えてください。

茂里政府参考人 これまで、関係者において、東京都が示した指針に基づきまして事業計画をまとめてきたところでございます。

 実際、その計画を進める際に当たりまして、環境アセスであったり、さらには今申し上げました四事業者のうちの一つの事業者でありますJSCの財産、これについてどうするか、そういった話がございます。特に今回は権利変換を行うというものでございますので、JSCはこの権利変換に係るまず関係者間の合意が必要でございまして、その合意に基づいて認可申請を行うというのが手順でございます。

牧委員 つまりはまだ決まっていないわけで、そこは役所としてのリーダーシップを発揮していただければ、今でもまだこの計画そのものを大幅に見直すことができるということは改めて申し上げておかなければいけないというふうに思います。

 そしてまた、秩父宮ラグビー場、これは西の花園と並んでラグビーの聖地だと言われています。神宮球場は神宮球場で、かつてベーブ・ルースがプレーしたというような、そういったゆかりのある球場ですし、それ自体、スポーツと文化のメッカとも言っていいような場所なんですけれども、改めて、この場所の文化的価値を含めて、大臣として、これは是非残したいんだということであれば、おっしゃっていただければというふうに思います。

盛山国務大臣 今文化庁の方からお答えしたとおり、現時点でまだ申請が出ていないということでございますので、今後申請が出たらということについては、仮定の話になりますので、何ともちょっと、今ここで申し上げることはできませんが。

 先ほど私が申し上げましたとおり、私自身、学生以来、神宮かいわいにはよく行っているわけでございますので、絵画館が真っ正面に見える四列のイチョウ並木、これは大変すばらしい、あれがあってこその神宮外苑だなという意識は持っております。ただ、だからといって、草木一本動かしてはいけないですとか、そういうようなことを考えているわけではありませんし、今後、どういうようなお話が進むのか分かりませんが、秩父宮ラグビー場であり、神宮球場であり、そういったことを含めて、関係者間で、みんなが納得する形で、いい形で合意形成をしていただければありがたい、そんなふうに考えています。

牧委員 是非リーダーシップを発揮していただいて、本当にみんなが納得できる着地点を見出していただけますように、改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、国立大学法人法の質疑に移りますけれども、先ほど荒井議員から非常に本質的ないい質問をしていただいたというふうに思います。

 もう一回確認したいんですけれども、そもそも、二〇〇四年の国立大学法人化の目的というのが一体何だったのかなと。そしてまた、これをきっかけに運営費交付金が削減されていったのは事実です。代わりにプロジェクト型の時限つきの競争的資金が増額をされ、また、安定財源が減ったために教職員の非正規雇用が増えた、急増したということも、これは間違いない事実だというふうに思います。つまりは、落ち着いて研究に専念できる環境ではなくなってきたというふうに思います。そしてまた、現場からのそういう指摘もされているわけですけれども。

 さっき、法人化についてのレビューの話がありましたけれども、大臣として、その辺をひっくるめて今どういう認識をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

盛山国務大臣 我が国の高等教育と学術研究の水準の向上や均衡ある発展に大きな役割を持つ国立大学につきましては、自律的な環境の下で一層活性化し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む、より個性豊かな魅力ある国立大学を実現することなどを目的として、平成十六年四月に法人化されたところです。

 国立大学の法人化以降、学内組織再編の柔軟化といった自律的な運営を確保しつつ、規制緩和等を通じて大学の裁量を拡大してきた結果、教育研究活動の活発化や経常収益の拡大等が図られるなど、一定の成果を上げてきたものと考えております。

 我々としましては、法人化当初の理念である、より個性豊かな魅力ある国立大学の実現に向けて、国内外の様々な状況も踏まえ、国立大学法人の機能を強化することが重要と考えており、今後も必要な改革と支援に取り組んでいきたいと思っております。その中で、委員がおっしゃるように、課題、そして他方、これからの国立大学が目指すところ、そういったところをどのようにうまく調和をさせていくのかということではないかと思います。

牧委員 私の認識としては、特に第二次安倍政権の発足後、大学政策の主導権が、さっきもちょっとちらっとお話がありましたけれども、文科省から何か内閣府というかCSTIに移されちゃったんじゃないかなと。今回の法改正、そしてこれに先立つ国際卓越研究大学制度、十兆円ファンドの創設についても、全て、悪い意味での政治主導によって決められたという感が私は否めないというふうに思っております。教育の新自由主義化というんですかね、そんなような印象が拭えないわけです。

 日本型のと言ったら変かな、戦後の大学の在り方としては、教授会などの研究者の会議体がピアレビュー結果に基づいてボトムアップで意思決定してきました。これまで、ここ最近、日本人のノーベル賞受賞者というのが何人も出ていますけれども、そういった方たちというのは、そういった環境の中で育ってきた人たちが今評価をされているわけですね。その当時、何十年も前に研究してきた当時は、一体これがどういうふうに花咲くのか、その結末を予想しないながらも、基礎研究に励んできた結果が出てきたというようなケースもたくさんあります。

 ただ、今のこのようなやり方で、これはもう言われていることですけれども、将来、日本からはノーベル賞受賞者は出ないんじゃないかというふうに言われるような現状だと私は思っていますけれども、それについてどう思われますか。

盛山国務大臣 将来的にノーベル賞の受賞につながる、ノーベル賞を受賞することが最終的な目的ではないと私は考えますが、ノーベル賞として評価していただけるような、そういうような優れた研究成果が出てくる、そういうことをこれからも目指していくというんですかね、続けていくためには、大学における研究環境の充実強化が重要であるというふうに考えます。

 大学に対する支援としては、先ほど来お話が出ております運営費交付金などの基盤的経費と科研費等の競争的研究費をバランスよく確保することが必要だと思います。基礎があり、そしてその上に応用という、両方のバランスが大事ではないかなと思います。

 当省としては、これらを確保することに加えて、十兆円規模の大学ファンドによる国際卓越研究大学制度や、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ研究大学への支援事業の創設などの新たな支援も進めているところであります。こういった施策を総合的に推進することで、我が国の大学の研究力の強化、こういったことに取り組んでいきたいと考えています。

牧委員 そういうお話をいただいたわけですけれども、私の認識としては、十兆円ファンドでさっき私が申し上げたような懸念が解消されるとは思いません。むしろ、基盤的な経費を全ての大学にきちっと供給するということの方が、私はさっきの問題についての解決策だという認識であることは申し述べさせていただきたいというふうに思います。

 そもそも、CSTIにおける結論というか、合議体を必置とする国立大学については、これは何度も質問が出ていますけれども、この十兆円ファンドの対象となる国際卓越研究大学というお話だったのが、なぜかそれ以外の大学にも適用が拡大されることになりました。このことについてはもう何度も質問をされておりますが、これは一体、いつ、どの段階で、どのような意図を持って、どういう手順でこの変更がなされたのか。これは一番大事なところですから、今回の立法事実そのものに関わる話なので、ちょっとその経過を教えていただければというふうに思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議が取りまとめた「世界と伍する研究大学の在り方について」では、国際卓越研究大学の条件として、多様なステークホルダーの期待に応えられるような長期の成長戦略を策定するためには、合議体が経営方針を定めて学長の業務運営を監督することなど、自律と責任あるガバナンス体制が必要であるとされました。

 その後、具体の法律案を文部科学省において検討する過程で、国際卓越研究大学であるか否かにかかわらず、大学の活動の充実に必要な運営機能を強化するという観点から、ステークホルダーとともに産学共同研究やスタートアップ創出に先進的に取り組んでいる事業規模が特に大きい国立大学法人については運営方針会議の設置を義務づけるとともに、その他の国立大学法人については、大学からの申請を踏まえ、文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を設置することができるとしたものでございます。

 この点につきましては、本年九月以降、科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会やCSTIの有識者議員懇談会、あるいは大学関係者に対しては国立大学協会の会議に、改正の方向性をお示ししながら検討を進めてまいったものでございます。

牧委員 卓越大学に指定されたところとそうじゃないところと交付金の金額もかなり変わってきますし、そしてまた、その交付金の内容も違ってくるわけで、そこを一緒くたにすること自体、今回の立法の立法事実に反することだというふうに私は思います。今の御説明では、合理的な説明には私はなっていないというふうに申し上げたいというふうに思います。

 そしてまた、その他の大学も設置することができるというふうになっているわけで、さっきも話が出たかもしれませんけれども、そういった運営方針会議を設置しなければ、その後の運営費交付金等々についても差別が生じるんじゃないか、こういう懸念が払拭できないんですね。ここでそれはないよとおっしゃっていただいても、その懸念は払拭できないと思いますが、ただ、やはりなるべくたくさん議事録に残していただくために、もう一回そこははっきりおっしゃっていただければというふうに思います。差別はないですね、将来にわたっても。

盛山国務大臣 先ほども御答弁申し上げたところでありますが、運営方針会議の設置の有無によって一律に運営費交付金の取扱いに差を設けることは考えておりません。

牧委員 将来的にも差別が生じないということを確約を今していただいたというふうに認識をいたします。

 それから、CSTIの「世界と伍する研究大学の在り方について 最終まとめ」、令和四年の二月のものですが、そこに書かれていることで「いかに法人運営の要となる合議体に有用な人材を確保できるか」「このような人材の国内外からの発掘や育成を喫緊の課題として、」というような文言があるんですけれども、このような人材というのは一体どのような人材なのか。

 今までいろいろ形式的なお話は伺いましたが、ちょっとまだ、いま一つ、そういう人材が余りいないということもこのイノベーション会議でも述べられているわけですし、どんな人なのかなと。分かりやすく、例えば竹中平蔵さんみたいな人だとか、デービッド・アトキンソンさんみたいな人とかと言っていただければ分かりやすいんですけれども、イメージしやすい説明をお願いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針会議は、法人の大きな運営方針の決議や学長の業務執行の監督という役割に鑑み、委員御指摘のような、法人運営や財務経営などの多様な専門性を有する方によって構成される必要があると考えております。

 例えば、海外の大学で意欲的な取組を実践したり、あるいは民間企業の経営で思い切った改革をしたり、こういった実務経験がある方、あるいは法務などの法人のガバナンスの知見、特に実践的な経験を有する方などが想定されるかと思います。

牧委員 余り、ちょっとイメージがしづらい説明でしたけれども、多分、これ以上の説明は無理なのかなというふうに思います。

 先ほどの文科省とCSTIとの関係にちょっともう一回立ち戻るんですけれども、そもそも、国際卓越研究大学、この最終認定権者というのは文科大臣なわけですけれども、首相が議長を務めるCSTIの意見を踏まえて選定というふうになっているんですね。CSTIの議員というのは十四名で、うち六名が閣僚、七名の有識者は首相による任命ということですので、これは、やはり文科省主導じゃなくて、文科大臣の認定ということですけれども、やはり文科省主導じゃなくて、悪い意味での私は政治主導だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、池田委員長代理着席〕

盛山国務大臣 今委員御指摘の総合科学技術・イノベーション会議の議員は、内閣総理大臣が国会の同意を得て任命するものでございます。また、構成員の半数以上は有識者委員であり、科学技術に関する優れた識見を有する者の意見を十分踏まえた議論がなされるものと考えております。

 ということで、今御指摘の御懸念は当たらないんじゃないかと我々は考えているところです。

牧委員 まあ、そういった答弁だと思います。

 最後に、今回の法改正で大学の債券発行の要件が緩和されるというふうに聞いておりますけれども、これまでの実績のあるところ、ちょっと簡単に例示していただけますか。どんな形で債券発行して、どんな利回りなのか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの債券発行の実績につきましては、例えば、先端的研究を実現するための施設の整備、大型の産学連携施設など、大学の強みを生かしたイノベーションを創出するための施設の整備といった目的のため、これまで六法人において計七回発行されており、その総額は一千三百億円、平均利率は一・〇七%程度となっております。

牧委員 今後、日本も金利が上がってくるんじゃないかという懸念もある中で、そこはきちっと、学校の財政基盤そのものがおかしくなっては困りますので、ただ緩和するだけじゃなくて、その辺のところをきちっとしていただきますように最後にお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 よろしくお願いします。

池田委員長代理 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。

 盛山大臣、よろしくお願いします。

 国大法の改正案ですけれども、私は、この改正案の中で、学問の自由に対する危険性があるというふうに思うんですね。

 学問の自由というのは、具体的に言えば、現場の、特に研究者が試行錯誤することができる自由だと思うんですよ。試行錯誤することができる。それはやはり、もう三百六十度全てのことをやれる、そういう自由度と、そして資金的なものというのはついてこないといけない。それは理系も文系も同じだと思います。実験を多用する理系だけじゃない、文系の人もやはり、スパイクがあるといいますか、非常に個性的な人もそこでやっていける。

 それを保障するのは学問の自由で、学問の自由というのは、要するに、権力から距離を置いて、その活動が保障される。権力から距離を置いて、権力からの介入を極力落として、そして大学の自治というのに守られながら学問の自由を確保する。このことによって、中期的、長期的には創造的な学業というのが生まれてくると思うんですね。その意味では、企業とか会社の研究開発部門とは違うんだ、大学というのは企業の研究開発とは違うんだというふうに分けて考えないといけないと思うんです。

 その意味からして、この運営方針会議、どうして出てきたのか。さっきの局長の話、ステークホルダーの意向も踏まえてという話、非常に概念的なんですよね。考えて、そういうふうに思ったと、コンセプトで言っているんですけれども。

 ここで問いたいのは、大臣、これがないと駄目だという立法事実、事案、これがなかったから駄目なんです、あるいは、これがあればうまくいくんですという立法事実、事案というのはあるんでしょうか。

盛山国務大臣 今回の法案におけるガバナンス強化の契機となりました、国際卓越研究大学に求められるガバナンスの議論につきましては、大学ファンドからの支援を受け自律的な大学へ成長する大学、こういったところは経営に係る意思決定機能や執行に関する監督機能の強化のための合議体を設置することが必要というふうに指摘をされたことからであります。

 それで、現行の国立大学法人制度においては、学長が法人運営の全ての事項を決定する権限を有していることから、今回の法改正によって、法人運営に決定機能を持つ合議体を設置することが今回可能になるわけです。

 また、この具体の法律案を検討する過程で、国際卓越研究大学であるか否かにかかわらず、今般、政令で指定することを想定している事業規模が特に大きい国立大学法人については、ステークホルダーとともに産学共同研究やスタートアップ創出に先進的に取り組んでいることも踏まえまして、法人の大きな運営方針の継続性、安定性を確保することが必要であることから、運営方針会議の設置を義務づけるというふうにしたことでございます。

    〔池田委員長代理退席、委員長着席〕

白石委員 大臣の答弁は、立法事実というのはCSTIから指摘されたから、こういうふうに受け止めました。そういうことでよろしいんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、CSTIの検討を受けて、文部科学省も一緒に参画した議論を経て、今回の国立大学法人法の具体的な制度設計を行う中で、このような仕組みになったものでございます。

白石委員 文科省としては、CSTIから指摘を受けたと。自分たちも参加していて、じゃ、どうしてこれが必要なんですかと詰めなかったんですか。そういう、ステークホルダーが云々は分かりますよ、コンセプトとしては。でも、これがないと駄目だという事案とか、あるいはせいぜい海外の例だとか、そういったものはなかったんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人には既存の経営協議会などもございますけれども、これは学長の意思決定を行う際の補助機関でございまして、今回、国際卓越研究大学の制度設計をする際に、合議体の設置で、なおかつ、その合議体が決定権を有するということで設計しておりますので、その条件を満たすためには、現行の国立大学法人法ではそのような合議体を置くことはできません。経営協議会は補助機関でございますので決定はできませんので、今回改正するものでございます。

白石委員 この委員というのは非常に優れた人で構成するということですから、何らかのいいことは言うでしょう、知見を踏まえたいいことを言う。でも、それがないと駄目だという、そういう事案がないのに概念だけで持ってきているということは、これは指摘させていただきたいと思います。

 それで、それを持ち込むにしても、私は一番の問題は、それが、任命は文科大臣の承認が必要だということなんですね。学長についてはやむを得ないところもある。確かに、国立大学なんだから、承認に関わることはあるということはやむを得ない、必要最小限であれば。しかし、運営委員、学長以外の運営会議を構成している委員についてまで承認が必要というところは納得できないんです。

 これの必要性についてはもう何度も答弁を聞きました、これまでの学長の権限を運営会議でシェアするから必要なんだと。ただ、やはり大学の自治、そして学問の自由を鑑みて、学長以外の運営委員については承認は必要ないというふうにすることもできると思うんですよ。

 大臣、ここの点、どうでしょうか。

盛山国務大臣 繰り返しの御答弁になりますけれども、今、白石先生がおっしゃったとおり、学長の決定権限の一部を運営方針会議に移譲いたします。そういった関係で、我々が、学長からの申請に基づいて文部科学大臣が承認するという手続、これを入れたということでございますので、私どもとしましては、そういうふうな形に、今回の法案のような形にしていくことが最適であると考えておりますし、それによりまして大学が萎縮をするだとか、自主的に運営することができなくなる、そういうふうには我々は考えておりません。

白石委員 この運営委員、会議の中で、その中で一番のリーダーというのは学長です。やはり運営方針を、計画だとか方針だとかの原案を提出するのは学長だというふうに規定されていますし、それがそこで採択されたら、決定されたら、それを執行するのも学長です。ですから、学長の承認にとどめておいて、それ以外の運営委員については、移譲したといっても、それは学長ほどではないですよ。だから、学問の自由、大学の自治に鑑みて、それを承認は控えるというふうにしてもいいと思うんですよ。

 それは、ここまで来たからもう後戻りできないことはないと思うんです。そもそも、これは出てきたのが先月だったんでしょう。昨日の参考人質疑で菊田委員が聞いたら、中には先週の方もおられましたし、非常に敏感にこういう問題を見ていらっしゃる隠岐さや香委員でさえ、先月の上旬でしたよ。議論が未熟なまま、さっきの理論で持ってきた。でも、やはり大学の自治のことを考えてみたら、それは抑制的に、法理論とかロジカルにはそうかもしれない、でも抑制するということで、承認は控えるということもあると思うんです。それは、中教審でもっともっと議論して、そして原案をたたき直して、それで持ってくるということもあると思うんです。

 大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 運営方針会議の制度化につきましては、総合科学技術・イノベーション会議の最終まとめの後、文部科学省において法改正に向けた検討を行い、本年九月以降、科学技術審議会研究力強化委員会や総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員懇談会、国立大学協会の会議において、改正の方向性をお示ししながら検討を進めてきたということは、先ほど来申し述べているところであります。

 そして、中央教育審議会でという言葉もございましたけれども、我々としましては適切な議論を進めてきたというふうに考えておりますので、是非御理解を賜りたいと思います。

白石委員 CSTIから言われたからもうそのままやるしかないというような答弁ですよ。そこでやはり文科省として、大学の自治は大事なんだから、審議会の審議で委員さんの話も聞いた上で、全てじゃなくて、ここの部分については譲れないから承認は外すよというふうにしたっていいじゃないですか。それができないがごとくに、言われたのでやりました、そういう答弁ですよ。何か文科省として、学問の自由を守る立場として、何かないんですか。

盛山国務大臣 憲法上、「学問の自由は、これを保障する。」となっておりますし、我々は、学問の自由に対して何ら制約を与えるものではないと考え、この法案をまとめたということであります。

白石委員 海外では、訴訟で、憲法の保障されている学問の自由が守られていないということに対して、いろいろな歴史の積み重ねで、こういう承認なんということはない形にしている、あるにしても、非常に形式的だったり、あるいは現場の声が相当入ってくるという形にしているというのが、昨日の参考人質疑、特に隠岐さや香委員のお話でした。

 ちょっと次に進みますけれども、じゃ、今のこの法案で想定されている、学長及び運営方針委員の任命前の承認の手続についてお伺いします。

 文科大臣は、承認の申出があって、いつまでに承認をしないといけないということになっていますか。もうこれは形式的なんですから、一週間等でいいと思うんですけれども、この辺り、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針委員の任命について国立大学法人から申出があった場合は、速やかに承認を行うべきものと考えております。承認に要する期間が短くなるよう、制度の運用に当たっては、申出に際して提出いただく書類を明確化して示すなど、円滑な運用を進めてまいりたいと考えております。

白石委員 その速やかにというのはどれぐらいなんでしょう。それの参考になるのはこれまでの学長の承認だと思うんですけれども、学長の承認というのは大体どれぐらいで出しているんですか。

池田政府参考人 突然の御質問ですので、学長の承認がどのぐらいかかっているかは今定かではありませんけれども、基本的に、大学から申出があったときに、必要な手続をこなしまして、そう期間が長くならないうちに処理をして判断をすることになると思います。

白石委員 これもやはり、萎縮するという意味では、数か月じゃ駄目です。やはり、せいぜい数週間じゃないと、局長、いけないと思うんですよ。

 数週間を目指すというふうに答弁をお願いします。

池田政府参考人 学長の任命に関しては、この申出期間、事務手続上、任命のおおむね二か月前までに提出していただくことになっております。学長は任期が決まっておりますので、突発的な事由がない限りは、大体次の学長がいつから就任されるかというのを見通せますので、余裕を持って、おおむね二か月前までに提出をしていただいております。

白石委員 二か月も長いと思うんですけれども、形式的であれば。名前を、ネットか、新聞記事の検索をしたらすぐその人のことが分かるので、もう明らかに、形式的に、違法行為をしている人かどうかというのは分かると思うんですよ。それを敷衍すれば、この運営委員の承認というのは速やかにというのはどうなんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学長選考に要する期間と同等か、それより短くなるよう運用してまいりたいと思っております。

白石委員 当然短くなるはずです。学長は確かに重い。でも、運営委員というのは、権限を移譲されるにしろ、学長よりは権限というのは小さいわけですから、人数たるやまた多くなってくるということを考えたら、学長の審査期間よりも短くないとおかしいと思うんですね、その均衡上、バランス上。でも、それが規定されていないというのがまたちょっと裁量行政で気味が悪いところで、それがまた萎縮につながるということは指摘したいと思います。

 それで、申請が来たら、文科大臣としてはどういう段取りを経て審査するんでしょうか。文科大臣一人で考えるのか、それとも、文科省の中の機関で、ネット検索なんかするのか、諮問機関があるのか、その辺り、聞かせてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 申出が出てきた場合は、文科省内で適切に判断をした上で、大臣まで決裁を取って判断することになると思います。

白石委員 その基準というのはどんなものでしょうか。答弁ありますけれども、もう一度、記録もしないといけないので、任命の基準、あるいは拒否する場合というのはどんなときでしょうか。大臣、いかがでしょう。

池田政府参考人 申出が出てきた場合は、大臣からも御答弁申し上げておりますように、申出に仮に明白な形式的な違反性や違法性がある場合や明らかに不適切と客観的に認められる場合には承認は行わない可能性がありますが、まず、その手続が適正になされているか等々も確認をする必要があると思います。そうしたことも踏まえて判断をすることになりますので一定の期間は必要だと思いますが、その具体的な考え方などは、もしこの法案をお認めいただけましたら、施行の際に大学等に周知してまいりたいと思っております。

白石委員 施行通知ということですよね。

 それで、さっきおっしゃった、明白、形式、違反性、違法性、明らかに不適切、客観的に認められる、これは具体的にはどういう人をイメージすればいいんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 形式的な手続に関しては、例えば学長選考・監察会議との協議を経ていない等々が考えられますけれども、具体的にどの方がということについては、例えば、役員にある欠格事由などに、これは大学からの申出ですので、余り想定はされていませんが、仮に役員の欠格事由などに相当するものがあれば、そこは確認をする必要があると思っております。

白石委員 役員の欠格事由というのは、例えばどんなことですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 積極的要件としては、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力とありますけれども、消極的な要件として、犯罪歴等に関するものがございますので、そういったものでございます。それから、健康上の事情で職務に堪えないといったこともあるかと思っております。

白石委員 そこは本当に透明性、客観性がないといけないと思うんですね。人格高潔とかといっても、じゃ、高潔じゃないというふうに言われたら、そういうことにもなりかねないことも危惧されますし、それから、犯罪歴、犯罪のレベルにもよりますよね。あるいは、いつなのかということもありますよね。ここはちゃんと規定されるんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の御審議でも委員のような御指摘もいただいておりますので、そういうことも踏まえ、仮にこの法律をお認めいただければ、施行の際にできるだけ明確に示すよう工夫してまいりたいと思っております。

白石委員 それともう一つ、健康上の問題ですけれども、例えば、車椅子で行き来しないといけない、でも、そういう方はたくさん任に堪える方もおられるので、その健康上のところもちょっと怪しいと思いますよ。それを理由をつけられて拒否するということなんかをまた危惧したりしないように、健康のところもよっぽどじゃないと拒否の理由にならないと思うんですけれども、そこもいかがですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、身体障害等は健康上の理由には入らないと理解しております。そうではなくて、例えば、我々公務員や会社員などが精神疾患などで職場に出てこられないとかそういったことが、大学から申請、申出がある場合にそういう方が候補として挙がってくることは余り考えられないと思いますけれども、そういったことが可能性としてはあると思いますので、その辺も含めて、できるだけ明確に、大学が判断できるよう周知してまいる必要があると思っております。

白石委員 今、現行の、運営方針会議の委員の話ですけれども、ちょっとそれを、これまでの学長の承認で、承認を拒否したとか、あるいは結果的に承認されなかったとか、その事例と、あれば、その内容を教えてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学長で任命をしなかったということはございません。

白石委員 承認ですかね。任命、今、学長というのは任命権があるんですかね、ちょっと。

井上政府参考人 お答えいたします。

 人事に関することなので私からお答えさせていただきますが、学長の任命を、基本的には、申出があったら、それに応じて任命をするという手続でございますが、それを拒否した事例、任命を行わなかった事例は過去ございません。

白石委員 ないということですけれども、もし、拒否するということになった場合、その理由については開示されるようになっているんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 文部科学大臣が学長を任命しないという事態が生じた場合には、文部科学省が当該法人に対してその理由を丁寧に説明する必要があると考えております。また、同様に、任命しない理由を社会から問われることとなった際にも、丁寧に説明を行うことが必要であると考えております。

白石委員 それは、今、多分、学長の任命とおっしゃっていた、今のは学長のことですけれども、運営委員の承認についてもどうでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針委員につきましても、学長と同様に考えたいと考えております。

白石委員 それは、今の答弁だけじゃなくて、施行通知にもちゃんと記載されるんでしょうか、詳細な理由を開示すること。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 施行の際に、大学が混乱することのないよう周知をしてまいりたいと思います。

白石委員 それで、次に進むと、それで納得できなかった場合は、候補なり、それを例えば、ちょっと、今の学長と、そして運営委員の話があるんですけれども、主に運営委員の話で、それで、その候補が納得できなかったり、あるいはそれを提出した学長が納得できなかった、運営方針会議として納得できなかった場合、どういう紛争解決手段があるんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから答弁いたしているように、基本的には、承認は、かなり抑制的に、承認を拒否するということは余り想定されないと考えておりますが、万が一そういった申出を承認しないという事態が生じた場合には、文部科学省がまずは当該法人に対してその理由を丁寧に説明をする必要があると考えております。

 仮に法人の方がその理由に納得しない場合につきましては、再度、法人から申出に係る考え方や背景を伺うとともに、文部科学省の考え方を説明して、お互い納得できるような調整手続に努めてまいりたいと考えております。

白石委員 そこには第三者というのは入らないんですか。例えば裁判所であるとか、そういったことの客観的な裁きというのはないんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは文部科学省と当該法人とで納得に至るよう調整手続に努めることになりますが、それでもなお合意が得られない場合には、当該法人の判断により司法の判断を仰ぐということも考えられると思います。

白石委員 司法の判断でやるということですね。

 それと同じロジックであれば、今の学術会議の委員の任命拒否の問題も同様に考えてもいいんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学術会議は内閣府の所管でございますので、私から答えるべきことではないと思いますけれども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、日本学術会議は、これは国の機関でございまして、総理が任命する会員は国家公務員でございますので、国立大学法人とは性格が異なるものではないかと思料いたします。

白石委員 じゃ、元に戻しまして、運営委員の解決期間に、紛争手続がある場合は、原則、私は、認めるんだから、委員として活動しながら紛争が決着するのを待つでいいと思うんですけれども、そのことはちょっと申し上げさせていただきます。

 まとめますと、私は、やはりこの法案はもう一回考え直して、中教審でちゃんと議論して、特に承認というのは、CSTIの言いなりで、全員に必要とするべきなのか、それともそうじゃないのか、そもそもこの運営方針会議を大きな大学に義務化するという、義務化まで必要なのか、任意の採択でいいじゃないか、この辺りも含めて議論し直して、そしてもう一回出し直していただくことをお願い申し上げまして、私の質問とします。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 国立大学法人の在り方という部分について、今回、法改正ということでありますから、基本的な認識をまず大臣にお聞きをしたいのですが、大学の自治、終わるんじゃないかというような危機感を持った声が随分寄せられています。大学の自主性それから自律性、これに向けて大学法人化をしてきたということであろうということで、この考え方については維持をし、また、しっかり発展をさせていくというお考えでよろしいですか。

盛山国務大臣 先ほども御答弁申し上げたところでございますが、国立大学の法人化は、我が国の高等教育と学術研究の水準の向上、均衡ある発展に大きな役割を持つ国立大学について、自律的な環境の下で一層活性化し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む、より個性豊かな魅力ある国立大学を実現することを目的としておりまして、その方向性に全く変わりはありません。

森山(浩)委員 自治を侵すものではないという考えですね。

盛山国務大臣 そのとおりです。

森山(浩)委員 それでは、ちょっと、運営方針会議について随分議論の中で、十分出てきていないところがございますので、この確認から始めたいと思います。

 運営方針会議の権限全般に関わる部分ですけれども、CSTI、文部科学省の検討会議において、合議体である運営会議、マイクロマネジメントを行わない、書いている以上のことはやらないというような方針が出されていますけれども、この記述は生きている、法の施行についてはそのことを周知をするということでよろしいでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針会議は、これまで答弁いたしてきておりますとおり、法人運営の大きな方針についてでございますので、中期目標や中期計画あるいは予算、決算などの権限を持つとともに、管理運営に関する監督機能を併せ持つものでございまして、マイクロマネジメントをするものではございません。

森山(浩)委員 とはいいながら、その権限をもって日々の業務に口を出すとか、あるいはマイクロマネジメントに関わることを言うようなことがないようにということをしっかり周知していただきたい。大丈夫ということですね。

 では、さらに、選考に当たっての部分で、「学長選考・監察会議との協議を経て、」という書き起こしに条文がなっています。文脈からは、学長が候補を示しという意味かと思われますけれども、運営方針会議が責任を持って法人を運営する方針を決めていく制度を整えるということであっても、一定程度、教職員の意見を反映させるというようなことも必要かと思います。この現場の意見を反映させるということに関して、認識はされていますでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上の規定は、あくまで今委員御指摘のとおりでございまして、各学長、法人で運営方針委員を選ぶ際に、これに加えた考えでどのようなプロセスを取るかは、法律の範囲内で各法人の判断することになると思います。

森山(浩)委員 現場の意見は聞くのが望ましいということではありませんか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学内をまとめて大学改革や教育研究の充実をしていく上で、現場の意見を聞くことは確かに必要であると思います。

森山(浩)委員 必要であるということでございますけれども。

 運営会議の委員についてですけれども、これも属性に多様性が必要であると。そこには、もちろんジェンダーバランス、あるいは経歴や大学との関わりにおいての多様性というようなことも必要で、様々な立場からの御意見が要るかなと思います。これについてはよろしいのかということと、ここにおいても、現場の状況を反映させるためには学内の代表者も入れなきゃいけないんじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のジェンダーバランスも含め、多様な専門性を有する方々に運営方針会議に参画していただく必要があると思っております。

 学内の方々というのは、この運営方針委員にということでございますか。(森山(浩)委員「はい、委員に」と呼ぶ)特にそこは学外とか学内と分けて考えておりませんので、学内外を問わず、広く多様な専門性を持つ方が参画いただくことが望ましいと考えております。

森山(浩)委員 中身の方針を決めるとか、あるいは学生の状況を見るとかいうことを考えると、やはり中の状況をよく知っている人も入っていないと、ずれる意見になる可能性もあるかと思いますので、そこは、多様なという中には、現場の状況をよく知っている人が入った方がいいんじゃないのと言った方がいいと思いますけれども、いかがですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 法文上はあくまでもそういった条件を課しておりませんので、ここは、先ほどから大学の自治に対する御懸念もいろいろ示されておりますが、基本的には、各大学で自由に適切に御判断をいただければと思っております。

森山(浩)委員 学長の選考それから解任については、学長選考・監察会議の権限でこれまでもあったと思いますけれども、これからもそうなのか。運営方針会議の意見というのは、これは決定意見なのか、参考意見なのかというのを明確にいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回、学長選考に関する学長選考・監察会議の役割は変わっておりませんので、運営方針会議ができたとしても、運営方針会議の意見を聞きながら、学長選考・監察会議が学長選考を適切にしていただくということになると思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 この権限というのを明確にするということがまず大事になってくるかと思いますけれども、承認の件ですよね、承認が形式的なものと文科省が言い、そして大臣は、どう見ても不適切なもの以外は承認するんだとおっしゃった。大臣、これは意味は一緒と考えてよろしいですか。

盛山国務大臣 はい、そのとおりであります。

森山(浩)委員 ということになりますと、学術会議での書きぶり、これは任命であって、今回の件については承認である、これは違うんだという御説明をされています。そうなると、学術会議法に書いてある書きぶり、あるいは政令に書いてある書きぶりと、今回の法律において運営会議を任命するときの承認に対する書きぶりは変わってくるかと思いますけれども、どのようにされますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術会議につきましては、先ほども申し上げましたように、これは国家公務員としての身分を有する会員を総理が任命するという形でございます。

 一方で、運営方針委員は、これは国立大学法人の職員を学長が任命する際に文部科学大臣が承認をするという手続でございますので、性質がかなり違うものと考えております。

 したがって、私どもとしては、まずは、文部科学大臣が学長を任命するのと今回承認をするのは異なりますけれども、学長任命のプロセスも参考にしながら、事柄をよく整理しながら、具体的なプロセスを考えていきたいと思っております。

森山(浩)委員 だから、先ほどおっしゃっていた中での不適切事由について、学術会議と同じではまずいですよね。学術会議よりももっと不適切の範囲は狭いであろうと思われますので、その書きぶりについてはきちんと工夫していただくということでよろしいですね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学術会議とは性格が違いますので、そういった点も考慮しながら工夫してまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 というのも、これは元々、卓越大学ということでスタートをしている制度だと思います。卓越大学になるために国立大学のガバナンスを変えるんだということですが、並行して審査をされる私立大学の理事会等はもう全くこういうのとは関係ない状態で運営をされておりますので、卓越大学になるから国の言うことを聞けというようなメッセージになっては、これはおかしなことになってしまうかと思います。

 なので、形式的ということには十分配慮して、私立大学も同じような権限を持っているということと同じように、国立大学の中でも、まず選ぶか選ばないかで差別をしない、あるいは、やったとしても、承認において指示が入らないということを明確にしていただくということでよろしいですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の趣旨を誤解しているかもしれませんけれども、今回、国際卓越研究大学に国立大学が採択されるためには合議体の設置が必要であり、今回の改正となっております。

 私立大学や公立大学につきましては、元々仕組みが違っておりますので、現行の法律上、合議体を設置することが可能でございますので、私立と公立は、現行法制上、独自に定款変更などによってこういった合議体を設置して、卓越大学に申請していただくことになります。

森山(浩)委員 ますます承認を入れなきゃいけない意味というのが分からないということになるかと思います。

 公立大学の話が出ました。

 国立大学の大規模についてはこうやるんだけれども、公立大学でも大規模のところがあります。公立大学、大規模のところについても、これは同じように運営会議をしてもいいよというようには言うんでしょうけれども、するべきだ、した方がいいよという話になるのか、そうではなくて、全く自由ですよという話で周知をされるのか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 公立大学につきましては、先ほども申し上げたように、国立大学法人とはかなり制度上のたてつけが違っておりますので、もし国立大学の運営方針会議のような仕組みを設けたいという場合は、業務執行に関する事項を定める定款で設置できます。これは大学の定款を変更することによってできますので、仮に、大規模な公立大学がこのような国立の運営方針会議と同様な会議を設けたいという場合には、独自の判断でできることになります。

 なお、その場合に、文部科学省にいろいろ御相談があれば、当該公立大学法人や設置者である自治体の意向も踏まえながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 学長と運営方針会議の責任分担というところですが、決定権は運営方針会議にあるという中で、中期目標を立てます。中期目標、この責任を取るのは学長ということですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針会議を置く国立大学法人におきましては、中期目標への意見、中期計画の作成等の大きな運営方針の決定は、これは学長も含む運営方針会議が行うことになります。具体的な業務執行は学長が行うという役割分担でございます。

 また、運営方針会議は、当該会議で決定された事項の内容に基づいて法人運営が行われていないともし認めるときは、学長に対して、法人運営を改善するために必要な措置を講ずることを求めることができるものでございます。

森山(浩)委員 運営方針会議が改善を求める、リーダーは学長である、どうやって求めるんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学長は執行に責任を有するわけでございますが、学長も含め、法人全体のことをいろいろ中長期的に考える運営方針会議で、業務執行についても監査的な機能を有するものでございます。

 仮に利益相反のようなことがある場合は、恐らく、学内の運営の方針によって、学長を除いたりする、学長選考に関することは学長が除かれるという条文上の規定はありますけれども、業務運営に関しても同様な考えで臨まれるものと考えております。

森山(浩)委員 それは、学長選考・監察会議と権限が重なってくるのではないですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学長の任命に関しては、先ほども申し上げたように、学長選考・監察会議の権限によって行いますけれども、運営方針会議はこの学長選考・監察会議に対して意見を述べることができるということでございますので、大きな学長選考・監察会議が果たす役割は基本的には変わりません。

森山(浩)委員 学長選考・監察会議は、学長が任期途中に何かあったときのチェックをするという役割はありませんでしたか。

田野瀬委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁簡潔に願います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 学長選考・監察会議もそういう機能はございますけれども、運営方針会議は先ほど申し上げたように大きな運営の方針を学長と一体的に決めていくということで、学長選考・監察会議との役割分担は適切になされることになると思います。

森山(浩)委員 ちょっと、質問してもよく分かりません。運営会議の在り方、また監察会議との役割分担、そして二十一条の四、つまり、何が不適切な事由になるのかというような部分、承認をどうしても大臣がしなきゃいけない理由も分かりません。まだまだ議論が必要だと。明らかにしなければ、なかなか、この法律、実行していくのは難しいと感じました。

 以上で終わります。

田野瀬委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 今臨時国会、委員会での質問は初めてとなりますので、一期生らしく、初々しく、しっかりと質疑してまいりたいと思います。(発言する者あり)頑張ります。ありがとうございます。

 運営方針会議について質問をさせていただきたいと思いますが、今回の認定候補となった東北大学の組織図を拝見しました。ガバナンスの進化とあって、組織図だけ見れば、本当に期待ができるなと思います。一方で、既に、学長に対する諮問機関、経営協議会や教育研究評議会がございますね。どうしても、組織図だけ見ると、屋上屋になるんじゃないかなとやはり一抹の不安を感じています。

 私も会社を経営してまいりましたので、例えば学長の立場で、学長自らが、こういう組織図にしたいんだ、こういう人材が必要なんだという、リーダーから発信する組織図であれば、どちらかというと納得はいくんですが、こういう組織図をつくってくれたら認定候補となりますよというものなので、どうしてもなかなか屋上屋の印象が拭えないのが率直な感想です。

 そういう中で、じゃ、組織図とは違う視点で、この違いを明確にしていくのであれば、やはり諮問機関の委員とそれから運営方針会議の委員のまさにリスクがどのように違うのか。当然、運営方針会議の方が大きな視点でビジョンを描いていくわけですね。そういう意味では、運営方針会議の委員の方が職責も、表現にもよりますけれども、職責が重く、そして、その分だけリスクがあって当然だと思うんですね。

 そういう意味では、運営方針会議の、組織図ではなく、委員のリスクの違いはどのぐらいあるのか、教えていただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 リスクといいますか、権限が、これまで御答弁申し上げたように、運営方針委員と経営協議会などの委員と大きく異なるものでございます。

 既存の経営協議会や教育研究評議会、これはそれぞれ、経営面と教育面における重要事項を学内で審議する機関ではありますけれども、あくまでも、学長が意思決定をする上で幅広く意見を伺うという補助的な機関でございます。一方で、運営方針会議は大きな運営方針について意思決定や業務執行の監督を行う機関でございますので、先ほど申し上げたように、経営協議会等とは権限と役割が異なる組織として位置づけてございます。

金村委員 つまり、今、権限と役割が違うというのは分かったんですけれども、例えば、当該大学において、方針を示したけれどもうまく機能しないとか、何かお金の使い方に不透明なところがあるとか、そういった問題が起きやすい環境に運営方針会議の委員はあると思うんですね。

 そういう意味では、例えば訴訟の対象になるとか、そういったリスクが存在しているのか、教えていただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるような観点から、運営方針委員につきましては、責任を持って国立大学法人の運営に参画をいただくよう、役員と同様の忠実義務や損害賠償責任を課すこととしております。

金村委員 そこが明確にならないと、やはり、権限と役割だけじゃなくて、重責を担う側はしっかりとその分だけ有事の際に責任を負うというところを明確にしていくことが、屋上屋でないんだよということにつながると思うんですね。これは結局、同じことを言っても、どうやって伝えるかによって受け手の印象というのは変わりますので、そういった部分もしっかりと伝えていくことが、屋上屋でないんだよということを伝えることにつながると思いますので、意識をいただきたいと思います。

 その上で、今回の運営会議の委員、いわゆる文科大臣の承認が必要と。実際に諮問機関や理事との兼職は禁止していないと思います。

 そもそも、世界に伍する大学というのがコンセプトで、実際に訴訟リスクもあるわけですね。そういう意味では、かなり高度な人材なんだと思うんですね。大学側がこういう人材が適当だといって推薦をしてくるとはいえ、このたてつけをつくった文科省側にも、当然、どういう人材をイメージしているのか。それがまた、実際に今の日本国内で運営方針会議の委員を担える、今は東北大学が認定候補ですけれども、これから一つ、二つ、三つと増えていく中で、じゃ、実際に運営方針会議の委員になれる人材がどのぐらい日本にいて、実際に既に、運営方針会議とは違うけれどもそれに近い業務を担っているような人材がこの日本にいるのか。その辺りを教えていただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に運営方針会議の委員として想定されますのは、これは例えばですけれども、国際的にリーダーシップを発揮している企業やベンチャーキャピタルあるいは非営利法人などで代表的な役割を果たしている方で、実務経験も豊富な方などをと考えておりますが、個別の大学名は申し上げませんが、大学によって、そうした方々がOB、OG、あるいは産学連携などで関わりを持った方々を、今は有識者というか御意見を聞くような立場としてもう関係を構築しているところも少なからずございますので、そうした高度な専門性を持つ人材は我が国にも一定数はいると考えております。

金村委員 やはり、育てて運営方針会議の委員になるよりは、既にこれまでの経歴や経験を生かして、すぽっとはまるような人材が複数いれば、その中で競争も働いて、よりいい大学の未来につながると思いますので、文科省側もしっかり発信していただきたいと思います。

 その上で、今、運営方針会議の委員に求められる適性というか能力をお伝えいただいた中で、文科省のOBのように、いわゆる行政職の専門家が決して専門性があるようには感じていないんですけれども、強いてというかあえて言わせていただければ、やはり天下りにつながらないようにしていかなければならない。また、直接余りに関与し過ぎるのも大学の自律の観点からもふさわしくないと考えていますが、天下りはないと、大臣、断言できますでしょうか。

盛山国務大臣 今、金村先生の御指摘は、運営方針委員だけではなく、もう少し広い意味での大学への文科省OBのということかなとは思いますけれども、運営委員については、先ほど来申し上げているとおりで、学長からの承認、そしてそれに対して大臣が承認するかどうかは恣意的な人事権の行使はしないような形でというところは申し上げました。それから、職員を含めての話は、先ほどお話もありましたけれども、柴山大臣のときに方針を立ててというようなことでも取り組んでいるところでございます。

 ただ、他方、大学側からの御要請に応じて文科省の人間を、現役かOBかは分かりませんですけれども、御要請があれば送っているということもこれは事実だろうと思いますし、また、役人だから全て駄目だということでは必ずしもなくて、やはり、個々人によると思いますけれども、在外の経験、あるいは特に国際機関の経験ですとか、そういうような経験を含めまして、活用していただけるところは活用していただければいいんじゃないかな、そんなふうに考えています。

金村委員 ありがとうございます。

 私はかねがね、文科省に現場を専門とした特別職をつくり、その特別職の皆さんが現場でしっかり能力を発揮していくような、そういう専門職があれば、例えば、こういったときに、教育に情熱を燃やしてきて、大学の未来をつくりたいといって、転職がなかなか難しい、誤解を招きかねないような状況であれば、文科省自身が、そういう現場の職がまさに専門知識と専門性を持って経営を、成長していくような職員を新たに採用する方がよっぽど誤解を招きにくいと思いますので、雇用を増やすというのはなかなか言えないと思いますけれども、お考えをいただきたいなと思います。

 今回認定候補となった東北大学のいわゆるKPIを拝見いたしました。論文数や大学発のスタートアップ、それから企業からの研究資金の受入れ、かなり野心的な数値目標が立てられていると感じました。

 その上で、私、個人的には、博士号の価値を高める、博士課程の学生をしっかりとサポートしていく、こういったKPIも示されていましたので、ここに是非東北大学は御尽力いただきたいなと思う反面、文科省として、いわゆる国際卓越研究大学に認定された大学に対する目標値、数値というものは余り見受けられないなと感じています。やはり具体的な数値があった方が、文科省側が立てにくいというのは理解できますが、文科省側にとっても、数値目標を立てた方が、この国際卓越研究大学というものが国としてどういう目標を持ってやっているのかということが広く国民に周知されると思うんですね。知る人ぞ知るというのは、なかなか知る機会がないわけですね。

 そういう意味では、文科省として、数値目標を立てるという御意思や、具体的に何か認定候補となる際に重要視している数値目標、そういったものがありましたら御披露ください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 国際卓越研究大学法に基づく文部科学大臣が定める基本方針におきましては、国際卓越研究大学の目標といたしまして、世界トップクラスの研究者が集まり、相互に触発し活躍すること、次世代の一流の研究者集団を育成し、若手研究者が存分に研究できる環境を提供すること、これらを通じ、新しい研究領域を創出し続け、世界最高水準の研究大学となることなどを掲げております。

 文部科学省としましては、これらの目標を踏まえまして、国際卓越研究大学としての申請時点におきまして最低限満たすべき基準といたしまして、トップ一〇%論文数の累計でありますとか、民間企業等からの研究資金等の受入額などを定めております。

 なお、基本方針におきましては、目標達成に向けた手段、道筋は多様でございますことから、各大学が体制強化計画におきましてそれぞれのビジョンに基づいたKPIを策定するということを求めております。

 文部科学省としましては、今後、東北大学の提案につきまして、KPIを含めまして、有識者会議の審査を通じて確認をしてまいります。

金村委員 論文数は、やはり世界にしっかりと日本の研究力を示すためには必要だと思いますし、今おっしゃっていただいたとおり、確かに、文科省が数値目標を設定してそのゾーンばかりの国際卓越研究大学が増えても意味がないわけですね。やはり、日本として研究対象というかフィールドは広い方が世界に価値を示せますので、そこは文科省側と申し込まれる大学側のある種のバランスやあうんが必要だと思いますので、引き続き努力をいただきたいと思います。

 一方で、今、東北大学一校だけが認定候補となっていますので、国内における大学間の競争というのはこれからだと認識しています。

 今回、東北大学以外にも十校程度が国際卓越大学に申込みをされたと理解していますが、今回認定されなかった大学に対して今後どういうアプローチをしていくのか。また、今後、認定するタイミングとか、年に一回とか、何かそれとも時期を見てやるのか、ちょっと私は理解しておりませんが、こういった漏れてしまった大学に対するアプローチというのはどのようにお考えか、お聞かせください。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議におきましては、初回公募で認定候補に選ばれなかった、御指摘ありました九大学につきましても、審査結果を踏まえまして、各大学の提案に対する見解等をお示ししてございます。加えまして、文部科学省としまして、この有識者会議の見解の内容等につきまして、各大学に個別に詳細を説明をいたしております。

 また、次回の公募についてでございますけれども、大学ファンドの運用状況等を勘案し、また初回の国際卓越研究大学の認定後、令和六年度中に行いたいと考えているところでございます。

金村委員 やはり適度な競争がなければ、ある種、お山の大将になりかねませんので、是非活発に取り組んでいただきたいと思います。

 そして、国際競争力の強化について、やはり人材、それから知の結集、それから予算。人材育成についていえば理系人材の育成や獲得、それから予算でいえば今回の十兆円ファンドということになってくると思います。

 この知の結集の部分ですけれども、やはり最も大切なのは、私は、実は、研究の環境をしっかりと充実したものにしていかなければならないと。やはり、研究職に就きたいと思った人たちが、いわゆる向学心とか向上心だけでできるものではありませんので、よい環境設定というのは必要だと思いますが、今回のこの改正案もそうですし、国際卓越研究大学におけるいわゆる研究環境における取組、どういったものをお考えか、お聞かせください。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 我が国の研究力を強化し、国際競争力を高めていくためには、御指摘のように、大学における研究環境を持続的に向上させ、イノベーションの源泉となる知の創出というものにつなげていく必要があると考えております。

 このために、国際卓越研究大学制度におきまして、先ほども申し上げましたような、世界トップクラスの研究者が集まり、相互に触発し活躍すること、また、次世代の一流の研究者集団を育成し、若手研究者が存分に研究できる環境を提供すること、また、あわせまして、実効性の高い事業、財務戦略を策定し、自律と責任あるガバナンス体制を構築すること、こういったことを通じまして、魅力的な研究環境を実現し、世界最高水準の研究大学を目指すということとしております。

 さらに、大学の研究環境の強化につきましては、この国際卓越研究大学のみならず、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ研究大学への支援というものも両輪で進めていくことによりまして、多様で厚みのある研究大学の形成に努めてまいりたいと考えております。

金村委員 是非、この研究環境、整えていただきたいと思います。

 その上で、理系人材の育成や確保について少しお伺いしたいと思います。

 実は、私は、理系人材の育成や確保は、博士号の魅力、それから、博士号を取ると、稼ぐ力といいますか、高所得が約束されるとか、やはり、せっかく学ぼうと思っても、それが生かされない、社会に出ても所得につながらないということでは、なかなか魅力をお伝えしていくことが難しいと思うんですね。

 そういう意味では、理系人材を育成や確保していくためには、博士課程に入ってしっかりと研究をして、社会に出れば希望の企業に就職できる、そして所得もしっかりとつながっていく、そのためには、今の現状、そうなっていませんので、そういう意味では、文科省として、この国際卓越研究大学を通して、博士課程や博士号、こういったところを産業界に働きかけるとか、それから、社会に出た後、働きながら博士号を取得する、リスキリングのような環境だと思いますが、そういったことに対する見解はいかがでしょうか。

盛山国務大臣 委員がおっしゃるとおりだと思います。

 個人的な話で恐縮ですが、私、博士を取って、役所の先輩に報告に行きました。言われたことは、盛山君、博士取って何かええことあるんか、おまえ、次、落選するときのことを考えて、司法試験の勉強をするとか、ほかのことをやった方がええんとちゃうか、こういうふうに言われた覚えがございます。

 なかなか、おっしゃるとおり、まあ収入だけが目標ではないと思うんですけれども、やはり、博士課程に進むというのはそれなりにお金と期間もかかります。そこを、やはり、経済的なことも含めてハードルがあるのは事実でありますから、多くの方に博士を目指していただく、あるいは、そういう、差別なく、目指したいという方が博士課程に進んでいただけるような環境を整えること、これが大事だと思いますし、そしてまた、博士を取ったらば、経済的なことだけがメリットではないと思いますけれども、キャリアパスというか、こういうふうになるんだという目標があれば、やはりもっと多くの方が進んでいくんじゃないかと私自身、考えております。

 それで、国際卓越研究大学法に基づく基本方針においては、国際卓越研究大学では、先進性の高い分野横断的なカリキュラムデザインに基づき優秀な博士人材を育成するとともに、起業家や産業界で幅広く活躍する研究人材の育成に取り組むことともしておりますので、これらを通じまして、博士課程における教育研究の質の向上を図りたいと思っています。

 さらに、国際卓越研究大学は我が国の研究大学全体を牽引する役割も担っております。これらの博士課程における先進的な取組を国内の大学の好事例として展開していきたいとも思います。

 あわせて、当省では、博士課程学生への経済的支援と、企業でのインターンシップなどキャリアパス整備の充実、そして大学院におけるリカレントプログラムの開発、実施に向けた支援なども実施をしております。

 これらの取組を通じまして、私自身、経済団体とも協議を今後持ちまして、優れた人材の育成及び社会の多様な場での活躍促進に向けた取組を強化していくつもりでございます。

金村委員 大臣の御経験がまさに未来につながるように、我々も応援してまいりたいと思います。

 その上で、今回の補正予算に、文理横断型のDXハイスクール、そういったものにいわゆる予算がついたとお聞きしています。そういう意味では、いわゆる高大連携、ここをしっかりとつなぐことが実際に理系人材の育成、獲得につながっていくと考えておりますが、今回の、高校生に対して、理系人材の育成や獲得の、DXハイスクールのようなものがどのぐらい好影響を及ぼすかと考えているのか、ちょっとお聞かせください。

盛山国務大臣 先ほどの博士もそうですが、理系だけということではなく、文理両方ともだろうとは思いますが、今御指摘の理系につきまして、世界的に見ても日本の理系が若干見劣りがすると言われておりますので、大学等におけるデジタル分野などの成長分野への学部再編等を支援する取組を行っておりますが、その政策効果を最大限発揮するためには、高等学校の段階においても対応する取組を進めていくことが重要であると考えています。

 そのため、今般の補正予算案におきまして、DXハイスクールとして、情報あるいは数学、こういった教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的な探求的な学びを強化する学校等に対して支援を行うための経費を計上しております。

 当省としては、こうした取組を含めまして、高等学校段階における文理横断教育を総合的に推進していくつもりでございます。

金村委員 これはすごくいい取組だと思うんですね。そういう意味では、短期的ではなくて恒久的に取り組んでいただきたいなと思います。

 それから、義務教育についてですが、義務教育は、文理偏ることなく、そういう意味では基礎的な学力を身につけるものだと理解しておりますが、とはいえ、理系人材の育成や確保で考えていくと、小学生にも数学的リテラシーがどのぐらいあるのかなとか、今の日本の義務教育課程で数学的リテラシーが世界的に見ても担保されているのか、この辺り、やはり皆さん気になるところだと思いますので、何か指標みたいなものがあればお知らせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 小中学校段階における理数教育の現状を示す一つの指標といたしましては、学習の到達度に関して言えば、例えばOECDの生徒の学習到達度調査、いわゆるPISAでございますが、PISAにおきましては、十五歳時点での我が国の子供たちの数学的リテラシー、科学的リテラシーは共に長年にわたって世界トップレベルの到達度になっているところでございます。

 また、諸外国と比べると、児童生徒の算数、数学、理科に対する学習意欲が低い状況にあることなどが課題になっているところでございます。例えば、国際数学・理科教育動向調査、TIMSSにおきましては、算数、数学、理科の勉強は楽しいと答えた児童生徒の割合は、小学校理科については国際平均を上回ってございますけれども、一方で、小学校の算数、中学校数学及び理科については国際平均を下回っているところでございます。

 そういう状況でございます。

金村委員 いわゆるOECDの中でトップレベルなのであれば、やはり高大連携を強化していくことが更なる理系人材の育成や確保につながると思いますので、是非お願いをしたいと思います。

 午前中最後の質問になりますので、一つお願いいたします。

 今回、東北大学が認定候補となったわけですが、その審査の過程で大学側といろいろなやり取りをしてきたと思うんですね。その生の声がなかなか、別にホームページとかにアップされているわけではありませんので、明らかとなっていません。そういう意味では、審査の過程で大学側と文科省側がやり取りした中身が、実はこれから大学が成長していくために最も必要な種。それから、規制緩和などがあったと思うんですが、どのような声があったのか、明らかにしていただけますか。

田野瀬委員長 塩見局長、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁をよろしくお願いします。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学の公募に当たりましては、申請大学から規制緩和に係る提案というものを併せて受け付けております。提案内容につきましては、本年六月に開催しました科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会におきまして、その状況を整理して公表させていただいております。

金村委員 承知いたしました。

 それでは、これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田野瀬委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。午前中に引き続き、よろしくお願いいたします。

 済みません、午前中最後に、多様な財源確保に向けた規制緩和について少しお伺いをさせていただきました。引き続いて、この財源確保なんですけれども、十兆円ファンドだけで、それを頼りにしていくことは、大学側にとっても、そしてそれを後押しする日本全体にとっても危ういと感じています。

 この点において、大学自体がやはり財源確保に向けてあらゆる選択肢を取れる体制を構築する必要があると認識をしておりますが、登壇のときもお話をさせていただきましたが、寄附税制、ここをしっかりと改革していく必要があるかなと認識をしております。

 我々は、大学に対する寄附税制をふるさと納税並みの控除割合にしていくことが一番いいんじゃないかと考えておりますが、実際に文科省として交渉している、要望を出しているというのはお聞きしましたが、実感として、これはいけるんじゃないかとか、なかなかちょっと道のりは長いなとか、この辺の大臣の所感をお伺いできればと思います。

盛山国務大臣 大学が自律的な経営を確立していくためには、寄附金などの外部資金を充実させて大学の財源の多様化を進めることも重要と認識しております。

 当省では、これまで、国立大学法人等への個人寄附に係る税制控除の対象事業の拡大、学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の見直しなどの税制改正に取り組んでまいりました。

 寄附税制における控除割合の引上げは今後の課題の一つとして認識しております。既に、一部の地方公共団体では、ふるさと納税制度を活用して各大学に寄附する仕組みを導入しております。当省では、この制度を活用した学校法人への寄附の取組事例集を周知するなどの取組を実施しています。

 当省としては、令和六年度税制改正要望において大学への寄附拡大に向けた要望を行っているところであり、今後とも、寄附金を始めとする各大学の外部資金獲得に向けて必要な取組を進めてまいります。

 ということに加えて、やはり、日本全体での、特にアメリカなんかと比べまして、寄附ということに対しての土壌がまだ相当程度差があるのではないかな、そんなふうに感じております。

金村委員 我々政治家は、寄附税制を変えていくこととともに、自分が寄附を受けやすい環境をつくっていくことは、なかなか、逆に言うと相反するところもありますので、仕組みをしっかりとつくって、心ある人が寄附をできる、そして、しっかりと心も満足できる、そういう仕組みを是非実現をしていただきたいと思います。

 続いて、いわゆる高等教育における適正化、数ですね。

 今、大学数の適正化というのは避けて通れない議論だと考えています。もちろん、少子化というところを捉えてもこの議論はできるのかもしれませんが、本質は、やはり質の高い高等教育をつくっていくためには、大学そのものが強みを生かしていける環境をつくっていかなきゃいけない。そういう意味で、大学数の適正化というのは一定程度しっかりと進めていかなければならない議論だと考えています。

 今、実際、文科省において、高等教育、大学における数の適正化、この辺り、どのようなお考えか、お聞きさせてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 急速な少子化の進行により、大学進学者数は、現在、昨年度六十四万人程度いますけれども、二〇四〇年代には五十万人前後になるものと推計しておりまして、仮に現在の大学の定員規模が維持された場合には、我が国全体の大学の定員充足率は八割程度になるものと承知しております。

 こうした推計を踏まえますと、少子化は、各大学における教育研究上あるいは経営上の努力や工夫だけでは乗り越えることが困難な課題であり、高等教育全体の適正な規模に関する議論は、これ以上先延ばしにすることのできない喫緊の課題であると考えております。

 文部科学省といたしましても、本年九月に中央教育審議会に対して、高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育のアクセス確保の在り方などについて諮問したところであり、その議論を踏まえつつ、地方の大学が果たす多面的な役割も考慮しながら、大学改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

金村委員 おっしゃるとおり、地方とその他でしっかりと切り分けなければならないと考えています。やはり、地方においては、教育格差、地域間格差をしっかりと是正していくために国の支援が必要な、公私共にあると思います。一方で、例えば、都市部において、少し大学数が多いんじゃないか、余りにも選択肢があり過ぎることによって大学の強みを生かせていない環境があるんじゃないかというのは当然あると思います。

 仮に、文科省側でこの大学数の適正化、例えば統廃合というところをターゲットにしたときに、どこがハードルとなっていくと認識がおありですか。

寺門政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のハードルにつきましては、私立大学におきまして統合ですとか撤退等の経営判断を行うに当たりましては、現在の経営状況、将来の見通し、また学生保護、さらには、統合の場合には理念の継承も含めた相手方の選定、調整など、様々な要素を総合的に勘案した上で重大な決断をしなければならない難しさが課題になっていると認識をしてございます。

金村委員 今お聞きしただけでも、相当ハードルがあるんじゃないかなとやはり思うんですね。これは、大学間同士の協議、なかなかそれだけで実を結ぶようなお話ではないかなと思います。

 先ほど申し上げたとおり、いわゆる過疎地域も含めた地方において、創生の観点や、それから、私が聞く範囲でいうと、職業選択の自由も含めて高等教育がしっかりと地域に根差していることが必要だと思います。一方で、都市部においては全く違う環境や選択があるのは当然だと思います。

 その中で、大学間にお任せをして、漫然と学校法人が経営をしていける、そういう状況で課題を先送りし続ける、まさに今の日本の象徴のような産業だと思うんですね。ただ効果的、効率的にやればいいものではないですけれども、やはりこの大学数の適正化を未来に向けてしっかりとつくっていく必要があると思うんですが、これそのものは、やはり、政治が決断をし、そして一定期間においてそれを後押ししていく体制があれば、大学も決断できると思うんですね。

 そういう意味では、平成の大合併と言われた自治体の合併は、特例債を通して、それに自治体が安心感を持って合併が繰り返されたと私は理解しています。そういう意味では、この高等教育における大学数の適正化も含め考えたときに、こういった様々な選択肢を持って令和の大合併を私はやった方がいいんじゃないかなと思っておりますが、大臣の見解を述べてください。

盛山国務大臣 委員御指摘のとおり、高等教育全体の適正な規模に関する議論は、これ以上先延ばしにすることのできない喫緊の課題であると認識しております。

 ですからこそ、今年の九月に中央教育審議会に対して、高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育のアクセス確保の在り方などについて諮問しております。その中では、高等教育機関間の連携の強化に関する方策や再編統合等を促進する方策、こうした方策等を踏まえた今後の高等教育機関や学生への支援方策の在り方などについても具体的な検討をお願いしているところであります。

 これらの議論を踏まえ、文部科学省としても、これらの改革を支える方策や支援についてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 そして、当省だけではできないこととして、委員が御指摘のとおり、人口の減少、これはもう待ったなしでやってまいります。そして、地域における差が大変大きいわけでございますので、その地域をどうやって人口減少の中で支えていくのか。学校だけでできる話ではないわけでございます。もちろん、地域の今後の将来という点で学校も一つ大変大きな役割を果たすわけでありますが、経済の在り方を含めてどういうふうに支えていくか、そして、その大きなフレームワークの中で、大学を、高等教育機関をどうしていくのか、こういうことを考えていくのではないかと考えております。

金村委員 是非、意思を持った適正化、そして挑戦をしていただきたいと思います。

 私、以前この委員会で、実は、発達に偏りのある子供たちの就学相談について質問をさせていただきました。私、この就学相談にかなり重きを置いておりまして、それは、発達に偏りのある子にとって最も優先されるべきは環境なんですね。教育環境がその児童にとって最も適しているのか、それが普通級なのか、支援学級なのか、それとも支援学校なのか、様々な選択肢がある中で、この就学相談が児童にとって環境に配慮した選択肢につながっているかどうかが最も大切なんですね。

 そういう意味では、例えば親の意向が余りにも尊重されてしまうと、親の都合のいい環境に子供が追いやられてしまう可能性があるんですが、今実際、就学相談においてどのような基準で進学先を選択しているのか、教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある子供の学びの場については、本人の自立と社会参加を見据え、教育的ニーズに的確に応える指導を提供できるよう考慮されるべきものであると考えております。

 障害のある子供の就学先については、本人及び保護者の意向も尊重しながら、医学、教育学、心理学等の専門家の意見も聴取した上で、市町村教育委員会が総合的な観点から決定するという仕組みになっているところでございます。

 文部科学省といたしましては、令和三年六月に、就学先決定のプロセスを教育委員会等に改めて周知したところでございまして、引き続き、障害のある子供に対し、一人一人の教育的ニーズに応じた指導が提供されるよう、周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

金村委員 親は、自分の子供を、発達段階をきちんと規定するのは難しいんですね。もちろん親の欲目もあります。一方で、その子にとって最もいい環境というのを第三者目線できちんと判断していく必要が就学相談では強く求められると思いますので、私は別に、親の意向を尊重するのはいいんですけれども、親の意向を優先するようなことがないように、就学相談の現場に徹底をしていただきたいと思います。

 一方で、学校教育の現場として、子供たちの発達段階をどうやって測っていくかというと、私はこれまで、障害児支援の事業所も十年近く経営もしてきました。それから、私の一番末の子も障害児です。その上で改めて思うのは、発達に偏りがあったり障害を持った子供というのは、やはり軸は言語理解なんですね。言語がきちんと理解できているのか。それを、言葉は出なくても理解をしていれば、行動に移ることができたりします。

 そういう意味では、じゃ、言語理解ってどうやって測るのかというと、やはり根っこはIQなんですね。まさに、進学や進級、就学相談、それから、学校内における、こういったいわゆる発達に偏りがあったり障害を抱えた子供たちが、IQをどのぐらい判断軸に入れているのか、軸に入れているのかを教えていただけますか。

矢野政府参考人 今委員が御指摘になりましたことですけれども、知的障害者ということだと思います。

 この知的障害の対象となる障害の状態の判断は、知的発達に遅滞があるかどうか、他人との意思疎通の困難さ、あるいは日常生活を営むのに援助を必要とするかどうかを基準としているところでございます。このため、今委員から御指摘のありました知能指数、IQについては、知的発達の遅滞を判断するための参考になり得るものというふうに考えております。

 いずれにせよ、行動観察などほかの要素も考慮し、特別な支援が必要な障害の状態かどうかを判断している、そういうものでございます。

 引き続き、各自治体における就学先決定が適切に行われるよう、周知徹底に努めてまいります。

金村委員 実は、知的障害も当然なんですけれども、発達障害だったり、中には学習障害も、そして、普通級の中におけるいわゆるグレーゾーンと呼ばれる子供たち、こういった子供たちも、言っていることは分かっているけれども、ちゃんと理解できていない。だから、こういったところが勉強の習熟度とかいろいろなところに表れてきますので、是非、学校教育における生徒が理解する能力を、IQを使ってしっかりとやっていただきたいなと思っています。

 るる委員会で質疑させていただきました。今日はどうもありがとうございます。

田野瀬委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦でございます。

 本日も質問の機会をいただき、感謝を申し上げます。

 私も初当選させていただいて三年目の文科委員会でございまして、今、金村龍那委員がしっかりとした質問をさせていただいたので、私からはちょっと角度を変えながら質問させていただきたいので、大臣、よろしくお願い申し上げます。

 早速ですが、私、宮城、仙台出身でございまして、五十二年間、育って、ずっと地元から出たことがないんですが、東北大学の正式認定に必要な留保条件について、ちょっと早速質問に入らせていただきます。

 世界トップレベルの研究力を目指す国際卓越研究大学の初選考で、東北大学だけが認定候補に選ばれました。現在の研究力で上位にある東京大学や京都大学ではなく、東北大学が選ばれたことに多くの人が驚かれていると思いますが、また、先ほども言いましたけれども、私の地元である宮城県仙台市の東北大学が選ばれたのは、大変うれしく思います。同時に、これを機に、東北に様々な研究拠点が集まり、研究はもちろん、東北の活性化につながることを期待いたします。

 しかし、東北大学は認定候補に選ばれただけで、正式認定ではありません。正式認定には幾つかの留保条件がついているということですが、具体的にどのような留保条件がついているんでしょうか。今後のプロセスや日程感と併せて、御説明をお願いいたします。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学の選定に当たりましては、国際卓越研究大学法に基づく基本方針に基づきまして、有識者会議におきまして審査を行っております。

 東北大学につきまして、有識者会議では、研究者が挑戦できる機会を拡大するため講座制から独立した研究体制への移行を図るなどの明確な戦略が評価されたと承知しております。

 一方で、有識者会議におきましては、認定、認可に向けまして、例えば、全学の研究力向上の道筋、あるいは財務戦略の高度化といった事項につきまして、重点成果指標や工程等の一層の精査や明確化が必要であることなど、幾つかの留保をつけております。

 今後、東北大学におきまして体制強化計画の磨き上げ等を行うとともに、必要なガバナンス体制の整備を行い、それらの状況につきまして有識者会議で継続的に確認をした上で、文部科学大臣が認定、認可を行うという予定になっております。

早坂委員 ありがとうございます。

 是非、早く正式認定されることを願っております。

 そこで、正式認定した後の有識者会議の支援についてちょっと伺うんですが、審査する文部科学省の有識者会議は、審査に当たり、書類審査や面接のほか、一部の大学の現地視察などを行うなど、審査に大きく関与しておりますが、正式認定後は有識者会議としてどこまで支援を後押しすることになるんでしょうか。

 今は東北大学一校ですが、今後認定校が増えていく中で、しっかりとした支援体制、チェック体制は整っているんでしょうか。また、支援や助言と言うと聞こえがいいですが、いわば介入ではないかと危惧する識者もいらっしゃいます。こういった懸念にどう考えているのでしょうか。支援の程度について併せて伺います。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議におきましては、国際卓越研究大学の認定及び体制強化計画の認可までの間、先ほどお話ししましたように、大学における体制強化計画等の磨き上げにつきまして継続的に確認し、伴走支援をいたします。

 また、あわせまして、認定、認可の後につきましては、短期的な成果主義に流されず、長期的に大学の取組や活動を後押しするという観点から、中長期的な視点で体制強化計画の実施状況の評価やモニタリングを行うことなどを予定しております。

早坂委員 ありがとうございます。

 有識者会議が研究現場を縛ることなく、大学の自主性を尊重した適切な助言をしっかりとお願いしたいと思います。

 次、またファンド運用についてちょっとお伺いするんですが、東北大学が正式認定となれば、大学ファンドの運用益により大学の研究基盤へ長期的、安定的な支援を受けられると同時に、大学独自基金を造成するなど自律的な財政基盤を確立し、将来的には大学ファンドの支援を卒業し、持続的に事業規模の拡大を図る大学へ成長していくというイメージだと思いますが、ファンドが確実に運用益を出せるかという疑問が生じます。実際に昨年度の運用益は赤字でした。

 東北大学であれば材料系や半導体系に強みを持っていますが、そういったところを更に強化するには、十年単位の年月に一定の資金が安定して入ってくることが必要であります。百億円が二十億円になり、たまに増えて二百億円になるなど変動したら、新たな挑戦も難しくなってくると思います。毎年平準化して資金を確保する仕組みはあるのでしょうか。

 また、一夜にして世界が変わるということは、これまで私たちが経験してまいりました。ロシアのウクライナ侵略や、今ガザで起きている戦闘、新型コロナウイルスの流行など、一夜にして戦争が起き、ウイルスが世界中に広がっていく。世界はある種の分断が起きており、世界情勢は不安定化し、不確実性が増す中で、万が一、想定どおり運用ができないという状況も今後も出てくるかもしれません。その場合、予算の確保はどのように考えているんでしょうか。併せて質問をします。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 大学ファンドの運用に当たりましては、国内外の経済全体の成長を運用益に結びつけていくということが大事でございますので、グローバルな長期分散投資を行うことで長期安定的に運用益を確保することを目指しております。

 また、運用の実施主体でございます科学技術振興機構、JSTにおきまして、投資部門とリスク管理部門による業務運営上の牽制関係の構築を図りますとか、あるいは金融や資産運用の専門家から成る運用・監視委員会の設置等の体制整備も行っております。

 加えまして、毎年度の助成財源の一部は将来の大学に対する助成に向けたバッファーとして確保をするということとしておりまして、仮に単年度で運用益が出ていないというような場合におきましても継続的かつ安定的な助成の実施ができるような、そうした仕組みを取っております。

早坂委員 ありがとうございます。

 やはり、四年前に新型コロナウイルスが起きて、そして今、ウクライナの侵略だったりガザの本当に戦闘がありますので、一夜にして何が変わるか分からない。そして、本当に我々も経験したことのない危機が起こりますので、しっかりとファンド運用に取り組んでいってもらいたいという思いでございます。

 先ほども言いましたけれども、私、宮城県仙台市出身でございまして、実は、ナノテラス、大変、前回の質問でもさせていただきました。

 ナノテラスについて伺いたいと思うんですが、東北大学は、青葉山新キャンパスの土地を活用し、次世代放射光施設を建設するなど、産学連携でイノベーションを生み出すサイエンスパーク構想を掲げておりました。これが、今回の国際卓越研究大学の認定に大きく寄与した一つではないかと思います。

 このサイエンスパーク構想の大きな目玉の一つが、次世代放射光施設ナノテラスです。本委員会でも視察に行きましたので、御覧になられた先生方は多いと思います。私も別に個人で視察に行きましたが、ナノの世界を見ることができる、世界でもトップクラスの性能を有する施設ということが大変面白い研究施設でした。

 ナノテラス法案の際にも質問させていただきましたが、放射光施設の設置状況、稼働状況、本格稼働時期について伺います。

 また、企業、研究機関などからの応募状況や広報宣伝活動について、取組を併せて伺いたいと思います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 東北大学のキャンパスに建設中の放射光施設ナノテラスにつきましては、令和六年度の運用を予定をしておりまして、本年六月には計画よりも一か月半早く所定の性能での試験運転に成功するなど、順調に整備を進めているところでございます。

 また、広報活動につきましては、一般市民の方々に向けたものと、それから施設の利用者の方々、ナノテラスの利用者の方々に向けたもの、それぞれ工夫をしながら取り組んでおります。

 このうち、一般市民向けの広報といたしましては、例えば、東北大学のオープンキャンパスなどのイベントと連携した、中高生や市民の皆様を対象とした講演会、施設の見学会などの開催でありますとか、学校単位での施設見学の受入れ、テレビ番組での特集を始め各種メディアを通じた全国に向けた広報、こういった多様な取組を進めているところでございます。

 また、ナノテラスの利用者向けの広報といたしましては、仙台市や経済産業省東北経済産業局の協力を得まして、本年六月から全国八か所でナノテラス利用説明会を開催いたしまして、期待される成果事例を紹介するなど、放射光利用のメリットを分かりやすく説明をし、幅広い利用者による利用の促進に努めております。

 引き続き、利用者の拡大、さらには、将来の我が国の科学技術を担う人材の育成にも資するよう、効果的な広報活動に努めるとともに、必要な予算の確保など、運用開始に向けて万全を期してまいります。

早坂委員 済みません、分かりやすい説明を是非していただきたいんですが、ちょっと質問したいんですけれども、オープンキャンパスをやったとき、何名ぐらい来場したのか、ちょっと聞かせてください。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 オープンキャンパスにつきましては、本年七月に実施をいたしまして、第二回ナノテラスオープンデーということで、東北大学のオープンキャンパスと連携をして実施をいたしました。この際の参加者は約九百名ということでございまして、中でも十代とか二十代の若い人にたくさん御参加をいただきました。

早坂委員 広報の件で、前回もポスターの件で話させていただいたんですけれども、四季が終わったら新しいポスターが届かないので、新しくなったのかなと思ってこの間レクのときに見せていただいたら、要は、青葉山から見える仙台市内の町並みがすごい見えていて、ちょっと進歩しているというか、こんな偉そうに言っては悪いんですけれども、すばらしい出来になっていて、大きいQRコードも小さくなっていたな、ちょっと横に置いてあったなと思うんですけれども、今後どういう、ちょっともう一個だけ質問させてもらっていいですか。どういう戦略で、ポスターとか、そういう広報とか、要は、電車とかに広報していくのか、ちょっとだけ聞かせてもらいたい。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 前回の法案審議の際にも御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 この五月の法案審議以降に、先ほどお答え申し上げましたように、様々な媒体、テレビでありますとか、講演会でありますとか、新聞とか、あるいはローカルの新聞も含めて、あるいはローカルの放送局も含めて、取り上げていただくという取組を積極的にやりまして、先ほどのような内容を特に五月以降の取組として紹介をさせていただきました。

 引き続き、様々な媒体、それからインターネット上にユーチューブなども使いながら分かりやすく広報していくという方針で、更に知恵を絞りながら進めてまいりたいと思います。

 それから、ポスターにつきましても言及いただきまして、ありがとうございます。最新版のポスターといたしましては、今月二十日ですけれども、ナノテラスとそれからSPring8、こちらは関西にあります放射光施設でございますけれども、そのジョイントのシンポジウムをやることにしておりまして、そこでも、先ほど先生御言及いただきましたような、ナノテラスとそれから仙台市を望むような美しい写真なども入れながら、新しいポスターを使ってこのシンポジウムを宣伝し、それを通じて、こういった放射光施設についての一般への広報に努めているところでございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 私は本当に宮城、仙台が大好きで、もうそこから出たことないぐらい大好きなんです。仙台っ子なんですね。それで、やはりナノテラスはすばらしい施設です。そして、青葉山から見える季節、本当に景色がすごいきれいでありますし、夜景もあそこからだときれいだと思います。

 ただ、一つだけ心配なのは、道路ができていたかなと。先日、視察、去年行ったときは、もう何も、どこにあるか分からなかったぐらいのあれだったんですが、また私、いつか視察に行かせていただきたいなと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 最後になりますが、今後の日本における世界トップレベルの研究力を実現するために何が必要か、何を目指すかを伺いたいと思います。

 国際卓越研究大学制度は、世界トップレベルの研究力を実現するための一つの手段だと思います。そのほか、国内の大学教育における研究力向上には様々な課題が山積しております。そもそも、大学部門における研究開発費が足りていないですとか、女性の研究者の育成ですとか、研究領域の偏りや研究者の雇用環境の設備など、様々な問題があり、しっかりとフォローしていかなくてはならない問題だと思います。また、大学改革は研究力向上には必要ですが、研究力強化の手段であるはずの大学改革が目的化してしまっては本末転倒です。

 日本として、大学教育における研究力強化のために何が必要か、何を目指すのか、大臣に伺いたいと思います。

盛山国務大臣 我が国の研究力は、近年、相対的に低下していることは御指摘のとおりであります。この状況に歯止めをかけるために、特に研究の主要な担い手であります大学の研究力の強化が喫緊の課題であると認識しています。

 このため、当省では、基盤的経費の確保に努めるとともに、大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援と、地域中核、特色ある研究大学への支援を通じた我が国全体の研究力を牽引する研究大学の振興、そして科研費の充実による多様な分野の研究者の支援、そして博士後期課程学生を含む若手研究者の育成などについて取り組んでおります。

 当省としては、これらの施策を総合的に推進し、引き続き、我が国の大学の研究力強化を図っていきたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 今回、私の質疑は東北大学を主にさせていただきまして、また、やはりファンドの関係だったり、いろいろこれからまだまだ問題が出てくるかもしれませんが、是非とも、しっかりとこの運用のミスのないようにしていただきたいということと、やはりこれから未来を担う子供たちがしっかりと、いろいろな研究施設や、もっともっと勉強できるようにさせていただきたいと思います。

 私も、別にそんな、全然、大きな大学とか、東北大学がありますが、大学も出ていないような高卒の人間でございますが、しっかり地に足を着けてこの臨時国会に挑んでいきますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 本日はありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 昨日、参考人質疑でもお伺いをさせていただいたことでもありますし、先ほどから荒井委員からも本格的な議論があったところでございますけれども、今回の国立大学法人法改正案の質問に先立ちまして、改正案の議論の前提として、昨日、四名の参考人の先生方にもお聞きをしたところでございますけれども、国立大学法人化からちょうど二十年目となる今年、法人化の方向性を決定いたしました、元東大総長、元理化学研究所理事長であった有馬元文部大臣が、近年、国立大学法人法は失敗だったということを述べられ、当時、運営交付金は減らさない約束であったということ、それなのに、一方で、毎年一%ずつ減額されていったとも述べられております。

 私自身は、法人化後の運営交付金の減少が我が国の研究開発力の低下の要因になっているのではないかというふうに以前から私自身は考えておりまして、運営交付金の確保そして一層の拡充が大変重要だというふうに考えております。

 昨日、四名の参考人にお聞きをした中で、千葉参考人は法人化については前向きなお考えを持っておられる参考人でございましたけれども、千葉参考人が陳述をされた内容が私は大変現場の状況を表しているのではないかというふうに感じたものですから、その部分をちょっと読み上げさせていただきます。

 法人化について、その一方で、確かに二十年前までは、大学の基盤的な研究の在り方、あるいは研究室の雰囲気とか教員の毎日の過ごし方とか、そういうものが明らかに今とは変わってきているのではないか、場合によっては、非常に今多忙を極めて、自由な発想を、何か新しいことを考える、発想を持って考える時間が減っているのではないか、このことを危惧しておりますということを、昨日、千葉参考人が述べられております。

 今の我が国の大学の研究開発力の長期的な低迷の原因について、その原因を盛山大臣はどのように捉えておられるのか。また、この国立大学法人化についての盛山大臣の御見解、そして今後の在り方についての御見解を併せてお伺いをさせていただきます。

盛山国務大臣 有馬元文部大臣というんでしょうか、元東大総長ということでの御発言ということかなと思いますけれども。

 近年の我が国の相対的な研究力低下の原因としては、諸外国が研究開発投資を増加させていることに加え、博士後期課程学生のキャリアパスが不透明なこと、研究者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組むことができる環境が不足していること、国際頭脳循環の流れに出遅れていることなどが考えられると思います。

 当省としては、基盤的経費に加え、多様で独創的な研究に継続的、発展的に取り組むため、科研費等の競争的研究費を確保するとともに、十兆円規模の大学ファンドによる支援を行う国際卓越研究大学制度を創設するなど、大学の研究力の強化に向けた支援を進めております。

 また、国立大学の法人化については、自律的な運営を確保しつつ、規制緩和等を通じて大学の裁量を拡大した結果、教育研究活動の活発化や経常収支の拡大等が図られてきたものとも認識しております。

 当省としては、法人化当初の理念である、より個性豊かな魅力ある国立大学の実現に向けて、国内外の様々な状況も踏まえ、国立大学法人の機能を強化することが重要と考えております。

 引き続き、必要な改革そして支援に取り組んでまいります。

西岡委員 今、盛山大臣から、我が国の大学が抱える研究開発力の低迷に関する御見解をいただきました。

 この解決のためには、研究者の待遇改善や、研究者が正規雇用で、安定した環境で研究に専念できる環境の整備改善、そして博士課程の充実や人材育成、こういう課題があるというふうに思っております。

 これは共通の認識であるというふうに思っておりますけれども、今般、国際卓越研究大学構想と連動する形で本改正案が提出され、この改正によって国立大学のガバナンス改革ですとか規制改革等が図られるわけですけれども、本改正によって、我が国の大学が抱える研究開発力低迷の原因の解決にこの改正が資するものであるのかどうか、このことについて文部科学省としてどのように考えておられるかということを、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人法の改正により今回制度化される運営方針会議は、法人の大きな運営方針事項を決議する合議制の機関であり、大学ファンドから支援を受けて自律的な大学へと成長する大学に必要となる、経営に係る意思決定機能や執行に関する監督機能の強化のための合議体の設置が制度上可能となります。

 国際卓越研究大学に選定された大学に対しては、大学ファンドの運用益により、大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うこととしております。

 大学ファンドからの助成の使途については、各大学の自律性とその責任の下、柔軟かつ適切に決定されることが重要と考えておりますが、例えば、国際的に卓越した研究環境の整備充実、若手研究者の育成、活躍の推進、国際的に卓越した能力を有する研究者の確保、研究成果の活用に必要な専門職人材の育成、確保、研究成果の活用のための環境の整備充実などに活用されることを想定しており、これらの経費を従来の基盤的経費や競争的研究費に追加的に助成することとしております。

 文部科学省としては、これらの取組を通じて研究環境の整備改善が進むものと認識しております。

西岡委員 今、文部科学省の方から、この改革が研究開発力強化に資するという御説明があったわけでございますけれども、そもそも、我が国の国際卓越研究大学、十兆円ファンドの構想は、長いそれぞれの歴史の中で育まれましたハーバード大学ですとかオックスフォード大学のモデルが取り入れられたものだというふうに認識をいたしております。

 欧米には寄附文化が根づいておりまして、我が国とは文化的な背景も大学の歴史もそもそも大きく異なる中で、オックスフォード大学におきましてはアカデミックフリーダムが宣言され、ハーバード大学においては実際に研究開発を行う大学コミュニティーの自治的な運営に資金を委ねるなど、大学の公共性を最も重視した運用がなされているとお聞きをいたしております。

 この、国の持つ歴史的な背景の違いを踏まえて、我が国としてどのように取り組んでいく方針であるか、今後国立大学法人がどのようになっていくのかという展開が十分今の状況で見えない中で、その考え方、方針について文部科学省にお尋ねをいたします。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 近年、御指摘ありましたように、諸外国のトップレベルの研究大学におきましては、寄附金等を原資とした数兆円規模の独自基金の運用益等を活用し、多様な財源を元に研究基盤や若手研究者への投資を充実させているものと承知しております。このような海外の大学との資金力の差を各大学の取組のみで直ちに解消するということは困難であることから、国の資金を活用して大学ファンドを創設し、大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うこととしたものであります。

 文部科学省といたしましては、国際卓越研究大学に対しまして、将来的には欧米のように大学独自の財務基盤に基づく自律的な活動が行えるよう、大学独自の基金の造成や運用のための体制整備を求めていくこととしております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今御説明をいただきましたけれども、やはり、大学の自治ですとか学問の自由、これがしっかり守られること、そして、やはり大学の公共性というものが大変重要だというふうに思っております。このことは、今後我が国が国際卓越研究大学の構想を進めていく上で大変重要な視点であるというふうに思います。

 本来、国際卓越研究大学の十兆円ファンドをめぐり、その支援対象である大学に運営方針会議の設置が義務づけられるという当初の趣旨であったものが、本改正によって、理事が七人以上の要件を満たす特定国立大学法人と位置づけられた大学にも合議体の設置が義務づけられ、構成委員の過半数を学外者とし、運営方針の決定や業務執行の監督、国立大学法人の長の選考など、大変大きな権限が付与されることとなります。

 急な立法であったことは先ほどからの質疑でもあっておりますし、昨日の参考人質疑の中でも明らかになりました。中教審にも諮られず、十分な議論がないままに提出された本法案の立法趣旨、そして、特定国立大学法人という新たな区分を新設して運営方針会議の設置を義務づける必要性について、またその立法趣旨について、全般含めて盛山大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

盛山国務大臣 先ほど来御答弁申し上げているところでございますけれども、運営方針会議の設置は、ステークホルダーの期待に応えつつ大学を発展させるため、多様な専門性を有する方々にも運営に参画していただきつつ、法人の大きな運営方針の継続性、安定性を確保することを目的としております。

 ステークホルダーとともに産学共同研究やスタートアップ創出に先進的に取り組んでいる事業規模が特に大きい大学につきましては、数多くの多様なステークホルダーを有し、多様かつ多額の資金を取り扱うなど、ステークホルダーとともに大学の活動を充実させていくことが極めて重要であることから、これらの大学について運営方針会議の設置を義務づけることとしたことであります。

西岡委員 関連いたしまして、特定国立大学法人として運営方針会議の設置を義務づける大学は、政令で指定をして、五大学を想定しているというふうにお聞きをいたしております。この基準というのは、先ほど理事が七人以上ということを申し上げましたけれども、どのような基準で指定をされるのか。義務化する以上、指定に当たっての基準について透明性をしっかり確保しなければいけないというふうに考えますけれども、その基準、要件について、文部科学省にお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定国立大学法人については、法律にも規定しておりますとおり、理事の員数が七名以上である国立大学法人のうち、法人の収入及び支出の額、法人が設置する国立大学の収容定員の総数及び教職員の数を基準として、事業の規模が特に大きいものを指定することとしております。

 具体的には、先ほど申し上げた三つの基準で比べた際、他の法人と比べても五法人の規模が大きく顕著であったことから、事業規模が特に大きい法人として、政令では、国立大学法人東北大学、東京大学、東海国立大学機構、京都大学、大阪大学の五法人を指定することを念頭に置いております。

西岡委員 一方で、本改正によっては、特定国立大学法人以外の国立大学法人についても、希望する場合は準特定国立大学という新しい枠組みをつくりまして、合議体の設置を可能としています。

 本来、国際卓越研究大学に指定される要件であったものが、特定の大学を指定した上で、そしてそれに加えて、希望するほかの大学も可能とした、そういう立法にした理由、そして、そのことについては、事業規模が大きいとは言えない大学についても合議体の設置を可能とする立法趣旨について、文部科学省にお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 運営方針会議が必置でない国立大学法人においては、大学のミッションや発展の方向性を踏まえつつ、法人運営の安定性、継続性を確保するという観点から、運営体制の強化を図る必要があるとその法人において判断される場合もあると考えられることから、そういった大学についても運営方針会議を活用することができるよう、当該法人の申出により、文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を設置することを可能にしたものでございます。

西岡委員 続きまして、これも先ほどからの質疑であっておりまして、盛山大臣、お答えになっているところでございますけれども、再度質問させていただきます。

 昨日の参考人質疑の中でも、山崎参考人の方からこのことの御指摘があったわけでございますけれども、準特定国立大学という新しい枠組みができることによって、合議体の設置を希望した大学と希望しなかった大学、こういう新しい区分ができます。そのほかにまた特定国立大学法人という枠組みがあり、卓越大学という指定をされた大学がある。こういう、国立大学の中にいろいろな区分ができることによって様々な対応に違いが出るのではないかという危惧が今示されているところがあるというふうに思いますけれども、このことについて盛山大臣に、先ほどからの御見解でも、そういう区分はないということで、交付金についてもそういうことはないということも言明をされておりましたけれども、再度お尋ねをさせていただきます。

盛山国務大臣 運営方針会議が必置となっている特定国立大学法人以外の法人は、自身のミッションや発展の方向性に応じて運営方針会議設置の要否を大学が自主的に御判断いただくことが適切であることから、準特定国立大学法人となることを希望した法人か、そうでない法人かによって、一律に運営費交付金等の取扱いに差を設けるということは考えておりません。

西岡委員 今、大臣の方から、差を加えるということは考えていないということについて明言があったというふうに理解をさせていただきます。

 続きまして、運営方針会議の構成委員についてお尋ねをいたします。

 私が八番目に想定している問題につきましては、構成員の多様性をどのように確保するのか等、その選考の視点についての質問、先ほどからもあっておりますので、次の九問目の質問からさせていただきたいと思います。

 構成員については、多様なステークホルダーの意見を経営に持ち込むということがうたわれているわけでございますけれども、既に役員会に多様な外部人材を登用している大学もあります。また、一方で、学内の意見の反映というものも大変重要だと思っております。また、様々な資金源の意向を反映する、利害関係のある構成員が委員として入ったときに、その委員の意向が強く反映されるリスクも生じるおそれもあるというふうに考えておりますけれども、このことについて、文部科学大臣の御見解というものをお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 運営方針会議の設置は、ステークホルダーの期待に応えつつ大学を発展させるため、多様な専門性を有する方々にも運営に参画していただきつつ、法人の大きな運営方針の継続性、安定性を確保することを目的としているところです。

 運営方針会議については、運営方針委員三人以上と学長で構成することとしており、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を学内外から人選をしていただくことが重要だと存じます。

 また、御指摘のようなリスクに対しては、運営方針会議の趣旨を踏まえ、個々の委員の意見について、合議体として議論を尽くしていただき、適切な結論を導いていただくことが重要であると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きましても盛山大臣に質問させていただきます。

 これも先ほどから何問も質問があっておりますけれども、大変大事な点でございますので、再度質問させていただきたいと思います。

 この法案の問題点としまして、昨日、隠岐参考人の所見によっても示されたわけでございますけれども、ガバナンス上の学長のトップダウンと、構成員の任命を文部科学大臣の承認を必要としているという、この二つが相まっているところに大変問題があるという御指摘がございました。政治的な介入ですとか、大学の自治、学問の自由に影響を及ぼす懸念があるのではないかという声が学校現場から指摘をされております。

 文部科学大臣の承認が必要な理由と、大臣が承認を拒否するという場合があるのかどうか、もしあるとすれば、どのような場合であるのか。文部科学大臣の承認が必要であるということが委員の人選に影響を及ぼすのではないかという危惧も指摘されております。このことについて再度、盛山大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 現在の国立大学法人制度におきましては、学長が法人運営に、全ての事項を決定する権限を有しております。主務大臣であります文部科学大臣が国立大学法人の申出に基づいて学長を任命するという制度でございます。

 運営方針会議を設置する国立大学法人につきましては、今回、学長の決定権限の一部を運営方針会議に移譲するため、文部科学大臣が学長を任命する現行制度上の趣旨を勘案いたしまして、法律上、主務大臣の関与として、大学からの申請に基づいて文部科学大臣が承認するという手続を規定することとしております。

 この承認につきましては、文部科学大臣の学長任命の規定に倣いまして、承認は特定国立大学法人の申出に基づいて行うものとすると規定しているところであり、承認しない場合としては、任命の考え方と同様に、申出に明白な形式的違反性、違法性がある場合、あるいは明らかに不適切と客観的に認められる場合に限られるものと考えております。

 当省としては、多様な専門性を有する方々にも運営に参画していただきつつ、様々なステークホルダーとともに真に活動を充実させていくためには、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいただきたいと考える方を御人選いただくことが重要であると考えております。

西岡委員 今の大臣の御説明を受けまして、大学の自治、学問の自由に影響を及ぼすことはないということの理解でよろしいかどうか、再度お伺いしてよろしいでしょうか。

盛山国務大臣 はい、そのとおりでございます。御懸念には当たらないと我々は考えております。

西岡委員 ありがとうございます。度々明言をしていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、続きまして、国立大学が長期の借入れや大学債の発行で確保した資金の使途は、これまでは土地の取得、設備投資といったハード面に限定されておりましたけれども、先端的な教育研究の用に供する知的基盤の開発又は整備に使用することが可能ということで今回法改正が行われるわけでございますけれども、これは具体的にどのような使途を想定されているのか、文部科学省に御説明をお願いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正により新たに対象として追加するものとして、開発や整備のために多額な初期費用が見込まれる、研究に用いる実験材料やデータベース、ソフトウェアなどを想定しております。

西岡委員 この規制改革の中で、我が党の部会においても議論になったところでございますけれども、本改正によって、規制改革の一環として、国立大学法人に対する長期借入れ、債券発行要件を緩和することとともに、土地の貸付計画に基づく個別の貸付けについては、これまで認可制であったものが届出制に変更されることとなります。

 一方で、安易な国立大学法人の土地の貸付けによって、大学の土地にマンションが建設をされたり、様々な事例が既に起こっているというふうにお伺いをいたしております。また、外国資本等による長期にわたる土地の占有ですとか権利が生じるなど、安全保障上のリスクも考慮しなくてはならないのではないかと考えますが、現状、その歯止めとなるものはあるのかどうか、ないとすれば、どのように歯止めをかけて対応していかれる方針であるか、文部科学省の御見解をお伺いをいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきましては、認可を受けた貸付計画に基づいて土地等の貸付けを行う場合には、届出によって行うことができるようにすることとしております。

 この貸付計画の認可に当たりましては、これまで個別の貸付けごとに必要であった認可と同様に、国立大学法人等の業務に現に使用されておらず、かつ、当面使用予定がない土地等について、国立大学法人等の業務の遂行に支障のないことなどが確認された場合に許可することとなります。

 現行の文部科学大臣の認可基準におきましては、契約の更新制度がない定期借地契約等を原則として土地の貸付け等を行うことや、将来的な使用予定を説明することなどを国立大学法人に求めており、土地の貸付期間が過度に長くなったり、貸し付けた土地が返還されなくなったりすることがないような仕組みとしております。

 今回導入する貸付計画の認可におきましても同様の趣旨を担保するとともに、大学における輸出管理体制の整備の確認も行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 それでは、今の説明によりますと、私が先ほど申し上げた懸念は歯止めがしっかりかかっているという理解でよろしいでしょうか。

池田政府参考人 歯止めはかかっていると考えております。

西岡委員 続きまして、大学ファンドの創設を主導してきた総合科学技術・イノベーション会議の評議員、上山氏によりますと、国際卓越研究大学の十兆円ファンドによって大学間の人の移動を促すという趣旨が述べられております。

 大学間の研究者の移動、交流促進は、その必要性は理解をいたしているところでございますけれども、過度な選択と集中によって、裾野に当たる、特に地方の国立大学に研究者や研究を担う人材が集まらなくなる事態が想定されるのではないかということを危惧をしております。

 国からの支援が、裾野を含めて、地方の国立大学も含めてしっかりと支援が行き届いていくことが理想的なことだというふうに思いますので、このような研究者の移動が成った場合に一層大学間の格差が広がるのではないかという可能性を危惧いたしますけれども、盛山大臣の御見解をお伺いをいたします。

盛山国務大臣 我が国全体の研究力の底上げには、国際卓越研究大学により世界最高水準の研究大学の実現に向けた取組、これを進めるだけではなく、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学を強化することも大変重要であると認識しております。

 このため、当省におきましては、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージも踏まえまして、大学の強みを生かした取組を強力に支援すべく、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業等の取組を行っております。

 引き続き、基盤的経費の確保に加えて、国際卓越研究大学及び地域中核、特色ある研究大学がハブとなり、大学を超えた連携を拡大、促進することによって、全国の研究大学が発展できるよう支援してまいります。

西岡委員 今、大臣の方のお答えの中で、地域中核、特色ある研究大学総合パッケージのお話をしていただいたわけでございますけれども、国際卓越研究大学には、十兆円ファンドの運用益三千億円が数校の大学に配分されるという、多額の費用が配分をされる一方で、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージは全て総額で四百四十二億円が計上されているにすぎず、地方創生のハブとなる地方国立大学の役割が極めて重要であることや、やはり裾野を広く研究開発を支援をしていくということの底上げという意味でも、もっとその支援を拡充強化していくことが重要であると考えますけれども、盛山大臣の御見解を引き続きお伺いをいたします。

盛山国務大臣 地方大学の振興を図ることは、その地域における教育研究のみならず、地方創生を担う人材の育成や地域産業の活性化の観点からも重要であり、そのためには、各大学において、強みと特色を生かした教育研究の充実や、地域との連携に取り組むことが必要であると考えます。

 こうした観点から、当省においては、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージも踏まえ、地域を牽引する人材育成を実施する地域活性化人材育成事業など、地域の発展に貢献する地方大学を支援しているところです。

 さらに、本年九月に中央教育審議会に対して、高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育のアクセス確保の在り方等について諮問したところであり、その議論を踏まえつつ、地方の大学が果たす多面的な役割等も考慮して、大学改革にしっかり取り組んでまいります。

 そして、西岡委員の方から御指摘のありました、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージにつきましては、本年度、令和五年度は四百四十二億円でございますが、現在要求中の令和六年度概算要求では五百五億円を要求して、手厚くしているところであります。

西岡委員 ありがとうございます。

 六年度の予算は手厚くしていくことで計上していただいているというふうな御説明がございました。しっかり、この地域中核、特色ある研究大学総合パッケージの充実も引き続きお取組をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、大学ファンドの運用益について、大学側には三%程度の事業成長が求められる中で、二〇二二年度の運用実績が六百四億円の赤字であるという発表がされました。この制度は、当初、大学ファンドからの支援を受けて、最終的には大学が自律した基金として支援から卒業することを想定される制度であるというふうに認識をいたしておりますけれども、大学側が抱え込むリスクについて、文部科学省にお伺いをいたします。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学には、大学ファンドによる助成期間中に十分な規模の大学独自基金を造成するために、大学ファンドの仕組みなども参考としながら、各大学における独自基金の運用体制の整備等を進めていただくことを求めております。

 こうした取組に資するよう、科学技術振興機構法に基づく助成資金運用の基本指針におきまして、JSTが大学ファンドの助成資金運用を適切に行うことで大学の基金の運用の指針となるような運用モデルを示すことでありますとか、あるいは、各大学における基金の運用に資する長期的な人材育成を行うことなどを示しているところでございます。

 これらの取組を通じまして、各大学において将来的に独自基金運用を適切に行うための体制が整備されることを期待しております。

西岡委員 関連いたしまして、ちょっと通告はしておらないんですけれども、今後、安定的な運用益が得られない場合の助成についてはどのようにお考えになっておられるのか、もしお答えいただけるのであればお願いをしたいというふうに思います。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 大学ファンドの運用に当たりましては、国内外の経済全体の成長を運用益に結びつけていくために、グローバルな長期分散投資を行うことで長期安定的に運用益を確保するということとしております。

 また、運用の実施主体でありますJSTにおきまして、投資部門とリスク管理部門の業務運営上の牽制関係の構築、あるいは、金融や資産運用の専門家から成る運用・監視委員会の設置等の体制整備も行っております。

 加えまして、毎年度の助成財源の一部は将来の大学に対する助成に向けたバッファーとして確保するということとしておりまして、仮に単年度で運用益が出ていない場合にも継続的かつ安定的な助成が実施できるよう、そうした仕組みとしております。

西岡委員 御説明ありがとうございます。

 続きまして、ファンドについてお伺いをしたいわけでございますけれども、さきの秋の行政事業レビューで全ての基金の点検、見直しというものが表明をされましたが、公的資金を元本とするファンドにつきましては国民に対して透明性のある情報開示が当然求められるわけでございますけれども、文部科学省としてファンドの在り方についてどのように考え、どのように運用していく方針であるかということについて、文部科学省にお伺いをさせていただきます。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 ファンドに関する情報開示についてでございますけれども、科学技術振興機構、JSTにおきましては、国立研究開発法人科学技術振興機構に関する省令に基づきまして、毎事業年度、財務諸表の提出後遅滞なく、資金の運用の状況に関する事項を記載した業務概況書を作成し、公表するということとしております。

 現在は運用の立ち上げ期でございますため年次でのみ公表しておりますが、透明性のある情報開示を行うということは大変重要と考えており、今後の運用の進展の状況も踏まえながら、より積極的な情報公開につきましても、JSTとともに検討をしてまいります。

西岡委員 続きまして、これまでの国立大学の在り方を、ある意味、今回の法改正が大きく転換する法律であるというふうにも言えます。今後、大学を知的産業体として発展させる方向性ではないかという指摘も一方ではあります。

 国際卓越研究大学構想における本改正案に基づきまして、今後、卓越研究大学のようなトップ大学を始めとする我が国の国立大学の将来像、大学像についてどのようなお考えを持っておられるのか、盛山大臣に御見解をお伺いをいたします。

盛山国務大臣 国際卓越研究大学法に基づく基本方針においては、国際卓越研究大学に対し、知的資産の形成、社会的な価値創造やイノベーション創出の中核拠点となること、世界トップクラスの研究者が集まり、相互に触発し活躍すること、次世代の一流の研究者集団を育成し、若手研究者が存分に研究できる環境を提供すること、実効性の高い事業、財務戦略を策定し、自律と責任のあるガバナンス体制を構築すること、こういったことを通じまして、新しい研究領域を創出し続け、世界最高水準の研究大学となることを求めています。

 当省としては、このような大学が我が国全体の研究力の向上を牽引していくことを期待しているところです。

西岡委員 ありがとうございます。

 最後の質問になるかと思いますけれども、利益追求、稼げる大学を追求した先には、さきの文部科学委員会の所信質疑でもお尋ねをさせていただいたんですけれども、基礎研究ですとか人文社会科学など、いわゆる利益追求ができない学問分野の衰退というものが危惧されております。このリスクについて文部科学省としてどのような見解をお持ちか、また、今後の支援の在り方についてお尋ねをさせていただきます。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 基礎研究は、新たな知的、文化的な価値を創造し、イノベーションの源泉となるものであり、また、人文学、社会科学は、意味や価値を追求する学問であり、その成果は社会課題の解決にも資するものであります。このため、大学においてこれらの学問を振興することは非常に重要と考えております。諸外国のトップレベルの研究大学におきましても、数兆円規模のファンドの運用益を活用することなどを通じまして、基礎研究や多様な学術研究を充実していると承知しております。

 文部科学省としましては、引き続き、基盤的経費の確保に努めるとともに、科研費の充実による多様な分野の研究者の支援、国際卓越研究大学制度や地域中核、特色ある研究大学への支援を通じた我が国全体の研究力を牽引する研究大学の振興、こうした施策を総合的に推進しまして、基礎研究や人文社会科学を含む我が国の大学の研究力強化を図ってまいります。

西岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 この際、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。盛山文部科学大臣。

盛山国務大臣 先ほど、金村龍那先生の国立大学法人に対する職員の派遣に関する御質問の答弁におきまして、私の方から、現役かOBか分かりませんけれどもと、ちょっといいかげんな言い方をしてしまいました。国立大学法人に対して大学の要請に応じて派遣しているのは現役の職員のみでございますので、おわびの上、訂正させていただきます。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 昨日の参考人質疑でも、私は、「註解日本国憲法」も紹介しながら、日本国憲法は一般的な思想の自由と区別して学問の自由というものをわざわざ書き込んでいる、旧憲法にはそういうものはなかったということを紹介いたしました。四人の参考人の皆さんどなたも、大学の自治、学問の自由、憲法二十三条、重要だ、こういう御答弁でございました。

 まず大臣に、学問の自由、大学の自治についてのどのような認識をお持ちか、お答えいただきたい。

盛山国務大臣 宮本先生の鋭い追及に御満足できる答弁になるかどうか、自信がありませんですけれども、憲法第二十三条の学問の自由は、第二次世界大戦前に、第二次世界大戦が終了するまでということですかね、国家権力によって侵害された歴史を踏まえ、広く全ての国民に保障するものとして規定されたと承知しております。特に、大学における学問研究及びその成果の発表、授業、教授、こういったものが自由に行われることを保障したものであると認識しております。

 また、大学の自治は、この学問の自由を保障するために、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行として保障されるものと考えております。

宮本(岳)委員 それはなかなかいい答弁だったと思います。

 だからこそ、文科省は、二〇〇四年の大学法人化の際に、大学が裁量を持って意思決定をし、自主性、自律性を高めるものだと説明をいたしました。

 つまり、独立行政法人通則法に基づく一般の独法化は、効率性の向上を目的の一つにしておりましたけれども、国立大学法人化は、効率化のための法人化ではなく、自主性、自律性を高める法人化である。大臣、これは今でも考えは変わっていないんですか。

    〔委員長退席、山田(賢)委員長代理着席〕

盛山国務大臣 国立大学の法人化は、平成十一年の閣議決定で、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討することとされました。これを受けて、独立行政法人制度を活用しながらも、教育研究の特性を踏まえ、大学の自律的な運営を確保することにより個性豊かな国立大学を創造するという大学改革の観点に沿って検討を行い、国会において御審議いただいた上で、現在の国立大学法人法が平成十五年に成立をいたしております。

 このような国立大学法人法の趣旨は、現在においても変更は全くありません。

宮本(岳)委員 そのような目的を持って、そして、今も変わっていない目的を持って法人化したと言いながら、一方で、大臣は研究力の低下ということもおっしゃいます。

 では、大臣にお伺いしますけれども、大学法人化をやって、自主、自律でうまく進めてきたと言いながら、なぜ日本の大学の研究力の低下が起こっているのか、この原因についてはどうお考えですか。

盛山国務大臣 国立大学の法人化によりまして、予算の執行、組織の整備等について、基本的には国立大学法人の判断により行うことが可能となっております。その後も何回かの法改正により、自律的な運営を確保しつつ、規制緩和を通じて大学の裁量を確保した結果、教育研究活動の活発化あるいは経常収支の拡大等が図られてきており、この点において、国立大学の法人化以降、大学の自主性、自律性は高まってきたと認識しております。

 そしてまた、その研究力についても言及がございました。諸外国との比較において相対的に低下している原因としては、例えば、国際頭脳循環の流れに出遅れていること、あるいは博士後期課程学生のキャリアパスが不透明なこと、研究者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組める環境が不足していることなどが考えられるわけでございますけれども、先生御指摘のように、国立大学の法人化によって大学の自主性、自律性は高まっているとは考えておりますが、他方、それによって大学の研究力が下がったというふうには我々は考えていないということを御理解いただきたいと思います。

宮本(岳)委員 文科省は自主性、自律性を高める法人化だったと言いますけれども、私が本会議で指摘したように、国立大学法人化以降の二十年に実際に行われたことは、学長権限強化の名の下に法人執行部の裁量を拡大し、現場の教職員と執行部を分断、つまりボトムアップの仕組みを壊して、さらに、資金面では運営費交付金が減らされ、若手研究者を雇えなくなり、非正規化が進み、また競争資金確保に奔走するなど、研究者は疲弊し、腰を据えて研究できなくなってしまったことが研究力の低下の要因だと私は思います。

 私も、生前、今日議論にもなった元東大総長で文部大臣も務められた故有馬朗人先生に、国立大学法人化は失敗だった、我々はだまされた、こういうふうに語られて、話をお聞きしたことを覚えております。

 それにもかかわらず、それを反省することもなく今やっているのは、特定の数大学を対象に、大学ファンドで得た運用益で数百億円程度の支援をするという、まさに国際卓越研究大学制度というものなんですね。

 何のための法改正なのか、運営方針会議を一定規模以上の大学に必置とする趣旨は一体何なのか、お答えいただけますか。

    〔山田(賢)委員長代理退席、委員長着席〕

盛山国務大臣 宮本先生も私も超党派の議連で、有馬先生とは、有馬先生が会長ということもあり、親しくさせていただいておりましたので、生前の有馬先生がおっしゃっておられたことが、今回の法案を御覧になってどういうふうにおっしゃられたか、ちょっとよく分からないところはあるんじゃないかなと。よく御説明をしたら、なるほどと言っていただける可能性もあったんじゃないかなと私は考えておりますが。

 それはさておきまして、今回の法案におけますガバナンス強化の議論の契機となった、国際卓越研究大学に求められるガバナンスの議論におきましては、大学ファンドからの支援を受け自律的な大学へ成長する大学は、経営に係る意思決定機能や執行に関する監督機能の強化のために合議体を設置することが必要とされたところでございます。

 その後の具体の法案検討の過程で、国際卓越研究大学であるか否かにかかわらず、今般の政令で指定することを想定している事業規模が特に大きい国立大学法人については、ステークホルダーとともに産学共同研究やスタートアップ創出に先進的に取り組んでいることも踏まえまして、運営方針会議の設置を義務づけ、そして、その他の国立大学法人についても、大学からの申請を踏まえて、文部科学大臣の承認の下に運営方針会議を設置することというふうにしたものであります。

宮本(岳)委員 その法案の検討過程が問題なんですよね。

 国際卓越研究大学は多額のお金が入ってくるわけですから、多様なステークホルダーがいることから、合議体をつくることが国際卓越研究大学の応募要件であって、そのためには国立大学法人法改正の必要があるということは私も承知をしておりました。

 ところが、十月三十一日に閣議決定された法案を見て、驚きました。合議体の設置について、国際卓越研究大学だけでなく、一部大学に必置となっております。大学関係者からは、青天のへきれきだ、だまし討ちだという声が上がっております。

 大臣は、法案について、国際卓越研究大学に求められるガバナンスの議論が契機だと言いますけれども、国際卓越研究大学法の質疑の中では、国際卓越研究大学以外の大学には同様のガバナンスは求めないと言っていたんですね。これが、いつ、どこで、どう変わったのか、変更されたのか、責任を持って御答弁いただけますか。事務方でもいいですよ、局長でも。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議が令和四年二月一日に取りまとめた「世界と伍する研究大学の在り方について」を踏まえ、文部科学省におきまして、国立大学法人法における合議体の位置づけについて、具体的な検討を開始いたしました。

 文部科学省が法制上の検討を進める上で、本年七月から八月にかけて、国立大学協会や国際卓越研究大学に申請中であった国立大学法人の学長とも意見交換を実施して、国際卓越研究大学であるか否かにかかわらず、大学の活動の充実に必要な運営機能を強化するという観点から、事業規模が特に大きい五つの国立大学法人については運営方針会議を必置とするとともに、その他の国立大学法人については文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を設置することも可能であるという方向性を整理したところでございます。

 その後、科学技術・学術審議会の大学研究力強化委員会や総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員懇談会、そして国立大学協会の会議などにおいて、改正案の内容をお示ししながら法律案をまとめたところでございます。

宮本(岳)委員 七月から八月にかけて政府内で検討した、また個別に意見を聞いたと言うんですけれども、教職員含めて、国立大学関係者にちゃんと説明したり、協議をしたりする場を持って、本当に納得を得ながら進めてきたのか。どうなんですか。国立大学関係者に説明する場というのは、どれだけ持ったんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、国際卓越研究大学に申請中であった国立大学の学長を始め、基本的には学長にお話をしたということでございますので、執行部や学内で一定程度共有されたかと思いますし、それから、国立大学協会に対しても御説明を申し上げてきたということでございます。

宮本(岳)委員 国立大学協会の総会は十七日にあると伺っております。全部に説明したわけでもなく、北海道地区への説明についてはいまだにやられていないと私は聞いておりますけれども、事実ですね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 各地区の会議で随時御説明しておりますが、北海道地区についてはまだでございます。

宮本(岳)委員 これだけの大きな変更をやろうというときに、説明もしていないというのは信じ難い話ですよね。ましてや、国会審議を与党の側は急がれている。本当になっていないと思いますよ。ちゃんとやはり関係者にも説明し、合意を得ながら、納得を得ながら進めるものであって、なかなか納得しにくい中身でありますけれども、説明が全くされていないということですね。

 必置とされているのは一部の大学でありますけれども、今回の東工大と東京医科歯科大のように、合併して一定規模に達すれば必置となる可能性はございます。大臣が承認すれば、どの大学も設置することができる規定でもあります。一部大学だけの問題ではないですね。全ての大学に関わる問題になり得るわけです。それを一部にしか説明していないというのは、余りにもおかしいです。

 しかも、説明するだけではなく、本来、方針を転換するのであれば、検討過程に大学関係者、学長さんなどを加えるべきだと思いますね。

 確認しますけれども、国際卓越研究大学には、国立大学だけでなく、私立大学や公立大学も応募することができますね、局長。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 国際卓越研究大学につきましては、国公私、いずれの大学についても応募いただくことが可能でございます。

宮本(岳)委員 つまり、国立大学法人だけの問題にとどまらないんです。高等教育全体の問題ですね。大学関係者を入れた議論をしないどころか、一部の学長だけに説明するやり方では全く話になりません。

 さて、そこで、運営方針会議の委員の任命に際して文科大臣の承認が必要とされている点について、大臣は、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、承認を拒否することはできないと答弁しているから十分だ、そうおっしゃるんですけれども、そんな答弁では担保になりません。

 日本学術会議の任命拒否の問題では、先ほども少し議論がありました。一九八三年に当時の中曽根さんが、首相が答弁をしております。これは一九八三年五月十二日の参議院だと思いますね。これは、学会やあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えておりますと。ちゃんとこれは議事録に残っておるんですけれども。故中曽根、当時これは首相だと思いますね、総理大臣が語ったことでも今実行されていないので、みんな、盛山大臣が語っても実行されるのか、こう思うのは当たり前なんですね。

 よっぽどのことがなければと繰り返されるんですけれども、私は、今議論になっている東大とか京大とか東北大とか、こういう大学がよっぽどおかしなことをするというふうには思えないですね。あっさり、形式的と言うのであれば大学自治に委ねて、大臣の承認を定めた二十一条の四、これはきっぱり取り下げる。不要ではないですか、大臣。

盛山国務大臣 中曽根総理の発言でも実行されていないわけだから、盛山の発言ではましてや信用できない、こういう厳しい御指摘でございますけれども、我々としましては、大学の自主性、自律性に十分に配慮をした上で、学長の任命の際と同様の、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や明らかに不適切と客観的に認められる場合に限って承認されないと整理をしております。

 今後とも、当省としては、大学の自主性、自律性を踏まえた、法の適切な運用を進めてまいるつもりであります。

宮本(岳)委員 誤解しないでくださいよ。中曽根さんの約束が守られて学術会議の委員が任命されればいいんですよ。何も、それが守られていないからあなたを信用しないと言ったんじゃないんです。どっちも守っていただきたいという話なんですが、ここに入れる必要はないのではないかということを申し上げたわけですね。

 では、そうして選任された運営方針会議の議決によるとされる中期目標ですけれども、中期目標は現在どのように設定されているか、高等教育局長、お答えいただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 中期目標は文部科学大臣が示して、学内で学長が学内の意見を聞きつつ、これを基に中期計画を作成したりという手続でございます。

宮本(岳)委員 中期目標については、大学の意見を聞き、配慮するとはいうものの、文科省が定める。この中期目標に従い、中期計画を大学が作る、こうした形になっているんですね。

 この中期目標、中期計画の策定に決定権を持つということは、まさにここの全てを、全ての重要事項を決められるということでありますし、その決定権を持つ運営方針会議の委員について文部科学大臣の承認が必要となれば、結局は政府が大学を意のままに操れることになりかねないというふうに思うんですね。

 一体、そこまでして政府は何を大学にさせたいのか。例えば、選択と集中とか、稼げる大学、もう既にこれはそういう方向でやってきていますよ。そんなことはとっくに現場に押しつけられているわけですね。ですから、一体、今までのやり方でできないような、これほどの仕組みまでつくってやらねばならぬことは何があるのかと私は思ったんですけれどもね。

 結局、今のままの大学のガバナンスではまだ国立大学に簡単には押しつけられないこと、それは軍事研究ではないのか。あっ、笑われましたね。軍事研究ではないのか、私はそう疑わざるを得ないんです。デュアルユースというようなまやかしの言葉で押しつけようと何度も試みてきましたが、日本学術会議の決議などで何度も頓挫をしてまいりました。

 政府は、二〇二二年十二月十六日に閣議決定された国家安全保障戦略に基づいて、先端科学技術の防衛利用に向け、国家安全保障局、NSSや関係省庁が連携する新たな会議体を設置する方針を打ち出しました。

 内閣官房に確認をいたします。

 この会議体とは、内閣官房に置かれた、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議のことですね。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生がおっしゃったものがこれに当たるという答えの仕方が適切なのか、ちょっと私、よく十分に理解できておりませんけれども、御指摘のように、昨年末に閣議決定されました国家安全保障戦略に基づきまして、研究開発の分野につきましては、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させることによりまして、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発を推進できるような政府横断的な仕組みを創設しております。

 本年の八月に関係の閣僚会議を開きまして、この政府全体の検討の仕組みがスタートしているということでございます。

宮本(岳)委員 この閣僚会議を設置する根拠は、資料二につけておきましたが、昨年十二月十六日に閣議決定された安保三文書の一つ、国家安全保障戦略の中に記載されております。防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと省庁が有する技術シーズを合致させるとともに、当該事業を実施していくための政府横断的な仕組みを創設するとあります。そして、二十四ページには、広くアカデミアを含む最先端の研究者の参画促進等に取り組むとも書かれております。

 文科大臣に聞きますけれども、文部科学省も、この国家安全保障戦略に沿って、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議、第一回は八月二十五日ですけれども、これに参加をし、広くアカデミアを含む総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発の推進に連携して取り組んでいるということは事実でありますね、大臣。

盛山国務大臣 今年の八月二十五日に開催された関係閣僚会議において、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発を推進するための政府横断的な仕組みが創設されまして、その会議に参画をしているものと承知をしております。

 当省としては、このような仕組みを通じて、政府全体の取組に貢献をしていくつもりであります。

宮本(岳)委員 八月二十五日の会議は、当委員会自民党筆頭理事の永岡前大臣が出ておられたと議事録に出ておりますけれどもね。

 先ほどの国家安全保障戦略の記述を受けて、防衛省が今年六月二十八日に策定したのが、資料三、防衛技術指針二〇二三というものですね。つまり、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズ、どのようなものがあるか、ここに一覧が載っております。我が国を守り抜く上で重要な技術分野として、十二項目のニーズが並んでおります。

 そして、資料四には、その八月二十五日に開催された総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議の第一回会議の議事要旨をおつけいたしました。ここには、先ほどの永岡文部科学大臣とともに、CSTIを所管する高市科学技術イノベーション担当大臣も出ておられて、マッチング事業の取組はもちろん、Kプログラムやその他の科学技術イノベーション政策も総動員して、我が国の技術力を結集し、安全保障を含めた国力の強化に貢献していくと発言をされております。

 内閣官房、これは事実ですね。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お読みになられましたのは、先生御言及の八月二十五日の関係閣僚会議の公表されております議事要旨のうち、高市国務大臣からの御発言の部分というふうに承知しております。

宮本(岳)委員 それを聞いているんじゃないですか。

 この関係閣僚会議で、防衛力の抜本的強化を補完し、それと不可分一体のものとして位置づけられている研究開発とは、つまりは、これまで一般的にデュアルユースと呼ばれてきたものにほかなりませんね。もう一度、内閣官房。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家安全保障戦略に書かれている記述を正確に読み上げさせていただきます。我が国の官民の高い技術力を幅広く積極的に安全保障に活用するために、安全保障に活用可能な官民の技術力を向上させ、研究開発等に関する資金及び情報を政府横断的に活用するための体制の強化を図るということでございます。

 そのために先ほど申し上げましたマッチングをしていくということが書かれておりますので、デュアルユースという言葉自体はここには書かれておりませんけれども、先生の御趣旨でよろしいかというふうに思います。

宮本(岳)委員 それでいいんですよ。デュアルユースと言われるものなんですよね。

 それで、この八月二十五日の第一回関係閣僚会議で高市科学技術イノベーション担当大臣が発言したマッチング事業とはどういうものか。この会議に配られた資料を資料五につけておきました。赤い線を引いたところには、マッチング事業において、「関係省庁と防衛省とでコミュニケーションを行い、防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いものを効率的に発掘・育成することを目指す。」とあります。

 これは、もちろん、アカデミアを含めて、文部科学省もこの防衛研究に結びつく可能性が高いものを効率的に発掘、育成することを目指すということに、文科大臣、なるんですね。

盛山国務大臣 これまで防衛省から、本年六月に公表した防衛技術指針二〇二三などを活用して、防衛省のニーズに関する説明を事務的に受けております。

 文科省では、これまでに研究所が実施してきた研究等の成果である技術シーズの共有を行うなどして、ニーズとシーズのすり合わせのための意見交換を実施してきておるところでございますが、具体的なマッチングについては今後の調整となると承知しております。

宮本(岳)委員 いやいや、だから、つまり、アカデミアも含めてマッチングの調整をこれから行うんですね、大臣。

盛山国務大臣 今後、どのような形があるのか、内容、具体的なところは今後ということになります。

宮本(岳)委員 いやいや、だから私は危機感を持っているわけですよ。

 日本学術会議が同じように議論に上りますけれども、学術会議も、まさにデュアルユースという形で軍事研究、デュアルではあっても軍事研究をやるということに対して批判的な態度を取った。これに対して、今、政府はああいう任命拒否ということをやっているわけですけれども。

 まさにアカデミアですよ、国立大学も。そういう形で、まさに上から、いざとなったら手を突っ込もうということを私たちは危惧せざるを得ないわけですよ。そうでなければ、言ったように、選択と集中とか、稼げる大学なんというものは今まででも、言葉は別として、そういうことを言ってですね。それは別に、稼がない方がいいというわけでもなく、選択と集中に頭から反対するという、現場もなかなかそこまでいかないので、疲弊しているわけですよ。今、本当に、今までそれでもできなかったことで、新たにさせなきゃならないのはこれなんだということを私は危惧せざるを得ないということを申し上げているわけですね。

 高市大臣は発言で、Kプログラムというものにも言及しております。これは内閣府の安全・安心に関するシンクタンク設立準備検討会などで使われている用語なので、内閣府に来ていただいておりますが、このKプログラムというのは正式にはどういう名称のプログラムですか。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 Kプログラムとは、経済安全保障重要技術育成プログラムの略称であります。このプログラムは、経済安全保障の確保、強化の観点から、AIや量子、宇宙、海洋等の技術分野に関し、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して、先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございます。

宮本(岳)委員 そのとおり、このKプログラムというのは、経済安全保障の重要技術を育成するプログラムのことです。

 資料六に、昨年十一月二十九日の第一回安全・安心に関するシンクタンク設立準備検討会にJST、科学技術振興機構の橋本和仁理事長が提出したKプログラム全体指揮命令系統図というものをつけておきました。

 マッチング事業にしろ、Kプログラムにしろ、デュアルユースという名前で国立研究機関や大学を軍事研究に引き込む準備を進めるものだと言わなければなりません。これは結局、文部科学省も、防衛省と連携、共同して、防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いもの、つまり、軍事研究にも転用できる技術を効率的に発掘、育成するということですよね。つまり、これは大学に軍事研究をさせようという取組ではありませんか、文科大臣。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 経済安全保障重要技術育成プログラムは、経済安全保障の観点から、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術を育成するために整備されたものでございます。

 この事業は、その成果を民生利用のみならず公的利用につなげていくこととしておりますけれども、ほかの事業と同様に、事業の委託先は広く公募で提案を募り、科学的見地から審査、選定する、研究成果については公開を基本とする、また、関係省庁が参画する協議会も、研究開発の伴走支援をする枠組みというものでありまして、研究開発のマネジメントを行うものではございません。

 いずれにいたしましても、研究の方針でありますとか成果の取扱いを含め、大学や研究者本人が自主的、自律的に判断をするものでございまして、本事業が大学に軍事研究を強いるものではないと考えております。

宮本(岳)委員 それは説明になっていないんですよね。

 じゃ、内閣官房に聞きましょうか。あなた方のやっているこのマッチング事業、あるいはこれは内閣府かもしれないけれども、Kプログラム、これは国立大学が原理的に排除されているんですか、それとも、国立大学も参加できる可能性はあるんですか。どちらですか。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 私が担当しております先ほどの研究開発のマッチングについてお答えを申し上げたいと思います。

 この仕組みにおけます研究開発事業というのは、民生用途の研究として、防衛省以外の関係省庁が自らの予算を実施するプロセスの中で行うというものでございます。その実施に際しまして、特定の研究機関をあらかじめ排除するということにはなっておりませんけれども、他方で、特定の機関あるいは各機関に対して、強制的に実施させる、強制的に参加させる、そういうことは全くないということでございます。

宮本(岳)委員 強制的に参加させないのは、大学だけじゃなくて全部そうですよ。どこの世界に強制的に研究させるような、日本の国で、今あるものですか。合意で納得でやっていくのは当たり前なんですよ。

 ただ、そういうデュアルユースということで、その研究は民生研究だと。しかし同時に、軍事研究にもつながる。このマッチング事業というのは、あなたの説明どおりですよ、民間の研究としてやってもらうけれども、あらかじめちゃんとマッチングして、成功した暁には軍事転用できるものですよねというマッチングをしておこうというのを、今あなた方が集まって関係閣僚会議でやっているんじゃないですか。だから、これはまさに軍事研究に道を開くものだと言わざるを得ないんですよね。

 私は、やはりこういう邪道ではなくて、運営費交付金を思い切って広げるというのが大事だと思うんですよね。

 昨日も参考人の先生方、様々な御意見でしたよ、もちろん。今回のこの法案に賛成、反対、それはいろいろ学長さんですから立場もおありでしょう。しかし、私が聞いた、つまり、運営費交付金が抜本的にどんと広がってゆとりがあるぐらいの運営費交付金、基盤的経費があれば、何か選択と集中とか、あれかこれかとしなくていいですよねと言えば、それはもうそれに願ったりかなったりだ、そうしてもらったらそれにこしたことはないというのが皆さんの思いですよね。

 同時に、最後に私は、このデュアルユースという名前で軍事研究を提起されたらどうですか、こういうことも、少し厳しい質問ですねと野党の同僚議員からも言われましたけれども、これは一応学長様たちに聞きました。やはりその方々がおっしゃったのは、難しい問題だと言いながらも、例えば、頭から軍事目的と言われたらこれはしないでしょうと。あるいは、一番問題となるのは、知らない間に使われていたというのは問題だと思いますねと。あるいは、要するに、それをどう扱うかという倫理観とか見識に関わっているということですので、それはまさに大学がしっかりとそこを考えていく重要な問題だと。そう簡単な話じゃないという受け止めなんですよ。

 そして、野党がお招きをした隠岐参考人は、やはりこういう仕組みができると、デュアルユースというものが入ってくる可能性があると。それからさらに、構成員が余り納得しない状態で学長がデュアルユースに踏み込もうというときに、学内でブレーキが働かなくなる危険がある、こういうふうにもおっしゃったわけですね。非常に私は大事な論点だというふうに思います。

 議論すればするほど、これはやはり問題点が多い。更に参考人の御意見も踏まえて審議を続けなければならないと私は思います。

 委員長、是非とも徹底審議を求めたいと思いますが、ひとつお諮りをいただきたい。

田野瀬委員長 与野党間での協議をしっかりとしていただけたらと思っております。

宮本(岳)委員 もう一度、資料の一の朝日の社説に戻ってください。「運用によっては、政府の統治が強まり、大学の自治や学問の自由を損ないかねない。大学のあり方に大きく関わり、重大な疑念が拭えない。」と指摘するとともに、「拙速に成立させては、禍根を残す。」「そもそもなぜ今必要なのか。根幹から議論を尽くすべきだ。」と結んでおります。

 本法案は、これまで以上に国立大学を羽交い締めにし、大学自治の息の根を止めるものであり、断じて賛成することはできません。

 国立大学法人法第一条は、まさに有馬先生がおっしゃったとおり、「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図る」ことを目的と定めております。それに逆行するこの二十年の大学政策を改めること、そして、大学自治の息の根を止めるようなこの法案は直ちに撤回することを強く要求して、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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