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第6号 令和5年11月17日(金曜日)

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令和五年十一月十七日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 池田 佳隆君 理事 尾身 朝子君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      井出 庸生君    上杉謙太郎君

      勝目  康君    岸 信千世君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    鈴木 貴子君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      根本 幸典君    古川 直季君

      堀内 詔子君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      荒井  優君    梅谷  守君

      菊田真紀子君    白石 洋一君

      牧  義夫君    吉川  元君

      高橋 英明君    藤巻 健太君

      堀場 幸子君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     堀内 詔子君

  早坂  敦君     高橋 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     船田  元君

  高橋 英明君     早坂  敦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十五日に終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党・無所属の梅谷守です。

 会派を代表し、国立大学法人法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。

 冒頭、先週の法案趣旨説明において議事の強行が行われたことに強く遺憾の意を表します。教育を扱う文部科学委員会において、合意を得ない議事の進行は、子供たちに、いざとなれば反対派は切り捨てればよいという考え方を示すことになりかねないと申し上げます。

 本法案には、現場から、大学の在り方が根本から崩されかねないと強く懸念が示されています。運用によっては政府の統治が強まり、大学の自治や学問の自由が脅かされかねない、民主主義国家として重大な問題をはらんでいる、それがこの法案です。

 にもかかわらず、参考人質疑では、参考人の方四人そろって、法案の内容を知ったのは最近との答弁がありました。大学の関係者に対してすら周知をされておらず、現場の声を全く聞いていないと言わざるを得ません。

 また、最も重大な問題をはらむ運営方針会議の設置に関しては、大学ファンドからの支援を受ける国際卓越研究大学に限定した議論であったはずが、突然、特定国立大学法人全般に広げられました。大学ガバナンスに係る課題にもかかわらず、中教審での議論はなく、大学関係者にとっても私たちにとっても寝耳に水の不意打ちであって、立法事実も検討の経緯も明らかになっておりません。

 運営方針委員に文部科学大臣の承認を必要とすることは、日本学術会議会員の任命拒否問題と同様、学問の自由に対する政権による不当な介入の懸念がつきまといます。文部科学大臣による承認という手続は、内閣総理大臣の任命という学術会議以上に介入を容易にしかねません。質疑では、学術会議任命拒否の理由について、人事のことでお答えできないという答弁が繰り返されました。このような理由が明らかでない介入が大学に対し行われることを、強く懸念せざるを得ません。

 審議時間も問題です。これだけ重大な課題のある法案は、しっかりと時間をかけて、丁寧かつ慎重な審議を積み重ねるべきです。ところが、平成二十六年の改正審議では十一時間十五分の質問時間が確保されたのに対し、今回の野党時間はたったの五時間だけ。重要な懸念はいまだ解消されておらず、審議時間は全く不十分だと言わざるを得ません。

 本法案は、内容が生煮えであるだけでなく、ガバナンス改革の名をかりて大学の自治を壊し、研究、教育を萎縮せしめかねない危険をもはらんでいます。審議を尽くさず本法案をこのまま成立させることは、我が国における学問の自由の歴史に、学術会議の任命拒否問題と並ぶ汚点を残すものです。多くの国民もそう思うのではないでしょうか。

 委員長、質疑終局を撤回し、質疑を再開されることを強く望むとともに、大学の自治を脅かし、民主主義の土台をきしませる本法案に強く反対し、私の討論といたします。(拍手)

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表し、国立大学法人法一部改正案への反対の討論を行います。

 私は、最後まで質疑終局に反対をいたしました。このような形で採決されることに強く抗議をいたします。

 本法案は、国立大学法人のうち、政府が政令で指定する大規模な法人に新たな運営方針会議の設置を義務づけるものです。

 運営方針会議は、大学の中期目標、中期計画及び予算、決算など大学運営の主要方針を決定し、学長の選考基準などに意見を述べることができる権限を持ち、会議の決定どおりに運営が行われていない場合、学長に改善措置を要求する権限まで与えられています。まさに大学の最高意思決定機関にほかなりません。

 法案では、運営方針委員を、文部科学大臣の承認を経て学長が任命すると定めています。こうしたことは、大学の人事に国家権力が介入する根拠を与えるものであるとともに、大学の教職員の意思とは無関係に、大学運営の主要方針を決定する大きな権限を運営方針会議に与えるものであり、大学の自治の根幹を脅かすものとして、到底認めることはできません。

 そもそも、大学の自治は、戦前の国家権力による学問の自由への侵害への反省から、憲法二十三条に学問の自由が明記されたものであり、学問の自由を保障するためには、大学の構成員が大学運営に参加する民主的仕組みとして大学の自治が不可欠です。この間、歴代自民党政府の下で大学の自治への介入が繰り返されてきましたが、大学運営から教職員を徹底的に排除し、国家権力の介入を容認する今回の運営方針会議の設置は、制度的に大学の自治を掘り崩し、学問の自由を大きく侵害するものであり、断じて容認できません。

 運営方針会議の設置について、国際卓越研究大学法の審議の際、その他の国立大学法人には適用しないと答弁したにもかかわらず、認定を受けていない大学にも運営方針会議を設置させることとされており、その理由や検討過程が全く明らかではありません。

 しかも、政令で指定されていない大学であっても、大学が希望すれば任意で設置することを認めています。これらは、国際卓越研究大学を足がかりに、運営方針会議設置を拡大しようとするものです。

 本改悪案は、研究費を外部から獲得できず、高コスト、非効率とされる学問分野を切り捨て、稼ぐためにはデュアルユースの名で軍事研究さえいとわない大学づくり、政府、財界が求める大学づくりを、学内の教職員の意向も無視して進めていく体制を構築しようとするものにほかなりません。

 大学から学問の自由と大学の自治を奪い、トップダウンで学問分野の再編、淘汰を進めるやり方では研究力の低下は防ぎようもないことを指摘し、討論を終わります。

田野瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国立大学法人法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山田賢司君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。白石洋一君。

白石委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 特定国立大学法人の指定については、恣意的な運用を防ぐため、理事の員数以外に、指標となる客観的・具体的基準を設定した上で、公正性・透明性を確保するため、その指定に至る過程を公開すること。

 二 新設される運営方針会議について、学長選考・監察会議や経営協議会などの既存の組織との役割の違いを明確にし、現場に混乱を生じさせることなく、国立大学の競争力強化に資するガバナンス体制となるよう、制度の周知徹底を図ること。

 三 運営方針会議の審議事項が、大学における教育・研究の内容や方法などのマイクロマネジメントにわたることがないように運用すること。また、教育・研究分野の改廃など組織の再編に関わる審議に当たっては、現場の教職員や学生等の意見を十分に反映させるよう努めること。

 四 運営方針会議が国立大学法人の運営に関する重要事項を決定する権限を有する組織であることを踏まえ、運営方針委員の選任において、ジェンダーバランスを始めとする委員の構成の多様性に留意し、その選定過程の透明性・公正性が担保される選任の在り方について検討を行うこと。また、政府職員の新たな天下り先とならないよう留意すること。

 五 運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認に当たっては、これまでと同様大学の自治を尊重するための制度的担保の重要性に鑑み、当該国立大学法人からの申出に基づいた者について承認することとし、例えば、過去に政府の意に沿わない言動があった者等について、言論活動や思想信条を理由に恣意的に承認を拒否することのないよう、大学の自主性・自律性に十分に留意すること。万一、承認を拒否する場合には、その理由について丁寧に説明を行うよう努めること。

 六 運営方針委員及び学長が忠実義務や損害賠償責任を負っていることの趣旨を周知すること。

 七 長期借入金等の対象拡大及び土地等の貸付けの規制緩和については、大学の規模、立地、信用力の違いによって、国立大学法人間での資金面における格差が必要以上に広がることがないよう十分に留意すること。また、土地の貸付けについては、不適切な利用による土地の占有が長期化しないこと、大学における輸出管理体制を整備していることを文部科学大臣の認可の際に確認すること。

 八 国立大学法人に特定、準特定、その他の大学等、新たな区分が創設されることによって、国立大学法人間の分断を生じさせないこと。

 九 国立大学法人全体の自主性・自律性の更なる向上及び競争力強化を図る観点から、国立大学法人の運営に必要な財源の確保については、本法で措置されることとなる資金調達方法の拡大等のための規制緩和にとどまることなく、更なる収益力の強化に積極的に取り組むこと。また、大学等の教育機関への寄附を促進するため、寄附文化の醸成を図るとともに、税制の見直し等の環境整備を行うこと。

 十 高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、大学ファンドによる国際卓越研究大学に対する助成のみならず、基礎研究をおろそかにすることのないよう、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費が確実に措置されるとともに、競争的研究費を含む大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。

 十一 国際卓越研究大学の目的である世界最高水準の研究大学の実現を図るため、明確な数値目標を設定するなど、我が国の大学における国際競争力強化及びイノベーション創出に向けたビジョンの明確化、可視化を図ること。

 十二 我が国の研究力の強化を図る観点から、研究人材の育成を図る取組を促進すること。特に、研究人材の門戸を広げるため、高等学校段階において文系・理系の選択が迫られる現状を改善し、文理融合に向けた総合的な教育課程の編成の支援に努めること。

 十三 地方創生の観点から大学の地域間格差を考慮することを前提に、世界的・地域的な課題解決や最先端研究、イノベーションが起こる多様な大学を支援し、高等教育全体の規模の適正化を図ること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。盛山文部科学大臣。

盛山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十六分散会


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