衆議院

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第7号 令和5年11月24日(金曜日)

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令和五年十一月二十四日(金曜日)

    午後零時五十分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 池田 佳隆君 理事 尾身 朝子君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 森山 浩行君 理事 柚木 道義君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      井出 庸生君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    勝目  康君

      木村 次郎君    岸 信千世君

      小島 敏文君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      吉田 真次君    義家 弘介君

      荒井  優君    梅谷  守君

      菊田真紀子君    白石 洋一君

      牧  義夫君    吉川  元君

      高橋 英明君    早坂  敦君

      藤巻 健太君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    浅野  哲君

      長友 慎治君    宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  須藤 明夫君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      柴田 智樹君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      渡邉  淳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  柴山 昌彦君     木村 次郎君

  鈴木 貴子君     小島 敏文君

  根本 幸典君     柳本  顕君

  船田  元君     泉田 裕彦君

  堀場 幸子君     高橋 英明君

  平林  晃君     山崎 正恭君

  西岡 秀子君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     船田  元君

  木村 次郎君     柴山 昌彦君

  小島 敏文君     鈴木 貴子君

  杉田 水脈君     上杉謙太郎君

  柳本  顕君     吉田 真次君

  高橋 英明君     堀場 幸子君

  山崎 正恭君     平林  晃君

  浅野  哲君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     根本 幸典君

  長友 慎治君     西岡 秀子君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山国務大臣 この度、政府から提出いたしました国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 将来の成長分野として期待される宇宙分野での活動を通じて経済、社会の変革がもたらされつつある中、宇宙での活動については、民間の参画が進み、これまでの官主導から官民共創での取組に移行しているところです。また、多くの国が宇宙の開発及び利用を強力に推進するなど、国際的な競争が激化する中、革新的な変化をもたらす技術進歩が加速しており、我が国の技術の革新と底上げが急務となっています。こうしたことを踏まえ、我が国でも、本年六月に閣議決定された宇宙基本計画等において、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化し、同機構を産学官の結節点として活用することで、宇宙分野の商業化支援、フロンティア開拓、先端・基盤技術開発等の強化に取り組むこととしております。

 このような状況を踏まえ、この法律案は、同機構に、宇宙空間を利用した事業を行う民間事業者等に助成金を交付する業務を追加するとともに、当該業務等に要する費用に充てるための基金を設けるなどの措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の目的に、宇宙空間を利用した事業の実施を目的として民間事業者等が行う先端的な研究開発に対する助成を行うことを追加するとともに、同機構の業務に、このための助成業務を追加することとしております。

 第二に、同機構は、当該助成業務並びに宇宙空間を利用した民間事業にも成果の活用が見込まれる基礎研究及び基盤的研究開発を公募により選定した者に委託して行う業務等について、それらに要する費用に充てるための基金を設けることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官須藤明夫君、行政改革推進本部事務局次長柴田智樹君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官渡邉淳君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 よろしくお願いします。立憲民主党の柚木道義でございます。

 JAXA法、十項目ぐらい通告させていただいておりますが、先ほど理事会でもちょっと御了解いただいて、この後、連合審査の決議も実はある中で、事実上、一般が二回飛ぶものですから、ちょっと先にそれ以外のところを質疑させていただいて法案に入りますので、よろしくお願いいたします。

 まさに予算委員会でも、この文科委員会所管でもあるオリンピックのまさに官房機密費の問題で、非常に我々は理事会、理事懇の中でも、予算委員会同様に、当時の馳元文科大臣、自民党の推進本部長でいらっしゃったということで、一切もう口をつぐんでしまわれているわけですが、これは機密費といっても税金を使ってのことですから、是非この委員会でも招致させていただいて御説明をいただきたいということを理事会、理事懇の中でも申し上げているところです。

 先にそちらから行きますと、資料の十八ページ目以降を御覧いただきたいんですね。いわゆる「はせ日記」、これが二〇一三年四月の一日に、この十八ページを御覧いただくと、十五時二十分に官邸に行って、そして、菅官房長官に五輪招致本部の活動方針を報告し、御理解をいただくと。その中身のメニューとして五ポツの、思い出アルバム作戦ということなんですね。そして、その次のページを御覧いただきますと、安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携をして、しっかりと招致をかち取れるようにお願いしますという、文脈でいえば、当然これは菅官房長官からハッパをかけられたんだと思いますが。

 このやり取りを、これは文科大臣にも通告しているんですが、先に内閣官房の方に。今日、須藤審議官、お越しいただいています。当然、どういうやり取りがあったかということを記録をされていると思いますので、通告しておりますので、明確かつ簡潔に御答弁お願いします。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房におきまして確認したところ、当時の事実関係を確認できる資料は残っておりませんでした。

柚木委員 当時の事実関係を確認できる資料はそろっていない。

 一応、では、文部科学省、文科大臣にも伺いますが、当然、馳本部長は文科省、スポ庁にも報告をしながら進めていて、なおかつ、今回、今、十一月の十八日ですか、私も改めて、要は官房機密費で思い出アルバム作戦、しっかりやったんだ、しかしこれはないしょだぞという発言を拝見しましたが、どういう文脈で見てもこれは事実だなと思って見ておりましたが、当時、どういう報告を文科省、スポ庁にしながら思い出アルバム作戦を進めたのか。

 また、併せて、今般の十一月十八日、機密費で思い出アルバム発言、これ以降のやり取り、これは文科省から何か指摘があって全面撤回というふうに馳氏は言われているわけですから、この二点を簡潔に御答弁をお願いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、二点いただきました。

 二〇一三年の話でございますが、御指摘の点、当時、こうした内容につきまして文部科学省に対して報告があった、そういう事実は確認されてございません。

 もう一点、今回の馳知事の発言でございます。今月十七日の夜に、スポーツ庁の担当者から、石川県の東京大会招致に関する発言の有無などに関して問合せを行ったところでございます。その際、石川県から、今回の知事の発言は事実誤認であり、全面的に撤回するとの連絡がございました。

 なお、スポーツ庁から発言の撤回を促すような指摘を行ったということはございません。

柚木委員 微妙に馳氏の発言というのが今の答弁と食い違っていますね。文科省から指摘があって、事実誤認、全面撤回。しかし、今の答弁だと、そういった指摘をした事実はないというのが答弁。ということは、結局、馳さん御本人の中で事実誤認そして全面撤回ということになっているわけですね。スポ庁としてそういう指摘をした事実がないということですからね。

 文部科学大臣、こういう状況ですよ。これは本当に、機密費といえども税金ですから、オリンピック憲章、倫理規程違反、こういったものに使われていいはずもありませんが、今のそれぞれの、内閣官房、当時の菅官房長官への報告、記録が残っていない。そして、スポ庁の今の次長の御答弁でも、要は、指摘した事実はない、事実誤認。

 こうすると、このことを分かるのは誰なんでしょうかね。文科大臣、お分かりになりますか、事実関係。

盛山国務大臣 先ほどスポーツ庁の方から御答弁申し上げたとおりで、我々の方から石川県側にコンタクトをしておりませんですし、まあコンタクトはしたんですけれども、発言について我々の方から撤回その他の指示をしたということもありませんですし、また石川県側からも、もうこの発言は撤回しておりますのでという表現であります。そしてまた、私どもの方にもそういうようなやり取りについての資料は残っておらないということで、当省としては全く分からないということで御理解賜りたいと思います。

柚木委員 私も過去のいろいろなオリンピックにおけるまさに汚職問題として大きく報道もされたことも調べてみましたらば、御記憶にもおありのように、国内でも、長野五輪で過剰接待、買収疑惑、当時の招致委員会によるIOC委員へのそういったアプローチですね。それから、過去を見ると、二〇〇二年ソルトレークシティーにおいては、招致の際に買収などを受けたIOC委員十人が追放、辞任、このときはもう委員長が激怒しているんですね。さらには、二〇一六年リオデジャネイロ五輪、これも、当時の組織委員会の会長や、日本でいえば竹田さんですね、州知事らが買収に関わった罪で有罪判決を受けている。過去にも様々あって、そして、やはりそういうことはやめようとルール変更も積み重なってきたところであります。

 大臣、伺いますけれども、今後、この間札幌の議論もありましたけれども、将来に、例えば我が国として、五輪招致の在り方として、まさに金まみれでいろいろな人が今回も逮捕、立件。しかも本当に、そういう意味では、スポーツ行政に携わっていたまさに行政側の方々にもいろいろな問題が起こって、そしてそのガバナンスの検証委員会までして、私、報告書を読みましたけれども、東京五輪部分は米印でちっちゃく書いてありましたけれども、こんな招致の在り方をして、国民、納税者、あるいは当該地の理解を得られるんでしょうか。

 こういったやり方、例えば、まさに官房機密費を使って五輪憲章、倫理規程違反のようなことをして、思い出アルバム一冊二十万円の物を百人に贈れば二千万、税金ですから。こういった招致の在り方、やり方、これが仮に事実とすれば改めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

盛山国務大臣 先ほど申し上げましたように、我々、当省としては知り得ないということであります。

 そして、IOCの規約や憲章に抵触したかどうか、これは我々が判断することではないと思いますが、今委員から御指摘がありましたように、我が国で国際競技大会をオリンピックに限らず招致、開催をすること、これは大変大きな意義があることだと思いますが、招致や大会運営においてルールに反する不適切な活動が行われるということは、大会の意義やスポーツの価値を毀損するものであり、あってはならない、そんなふうに考えております。

 スポーツ界が社会の信頼を回復し、そして多くの国民が国際競技大会を通じてスポーツの価値を実感できるよう、しっかりとした取組を我々も含めて進めていくことが肝要かと存じます。

柚木委員 最後の、まさに五輪の価値を国民、納税者、当該地、実感できるようにするためにも、まさに今般のこの機密費によっての思い出アルバム作戦、これは撤回すれば済む話ですか。違法なことをしていても、その発言はなかったことにすれば違法性を問われないんですか。立法府として放置して、国民の理解を得られるんでしょうか。

 大臣も分からない、内閣官房も記録が残っていない、スポ庁も知らない。分かる人がいるじゃないですか、まさに菅官房長官、当時の。報告しているんでしょう。

 そして、この「はせ日記」の内容自体は事実だと、これは唯一、馳さんも認めているんですね。二〇一三年四月一日、十五時二十分、官邸へ。菅官房長官に説明、報告により御理解いただいて、思い出アルバム作戦。しかも、その次のページに書いているように、これは、主語はどう見ても菅官房長官ですよね、安倍総理も強く望んでいることだから。安倍総理も。私もと菅さんが言っているわけでしょう。政府と党が連携して、しっかりと招致をかち取れるようお願いしますと。思い出アルバム作戦を理解して、しっかりやれと言っている。

 これ、委員長、当該者、誰も知らない、分からない、知らぬ、存ぜぬと。是非、菅当時の官房長官に当委員会にお出ましをいただいて、このやり取りをこの場で御説明いただきたいと思うんですよ。そうすれば分かることですから。是非、委員会においてお取り計らいをお願いできませんか。

田野瀬委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて与野党協議を進めていただけたらと思います。

柚木委員 本当に文科大臣、是非この点ちょっと、この点ばかり言うわけにいきませんが、もう一問、ここはちゃんと答えてほしいんですが、一般論としてで結構ですよ。

 情報公開、使途を公開しないことになっている官房機密費。じゃ、その使途公開しない機密費でやったら、今後もこの五輪倫理規程違反のような使い方をしてもよい、これはオリンピックの所管の文科大臣として、そういう使い方を、今後も機密費の使い道として思い出アルバム作戦オーケー、そういう理解なのか、それともそうでもないのか、そこはきっちり御答弁をお願いします。

盛山国務大臣 まず、現馳石川県知事が既に事実誤認として発言を全面的に撤回しているということ、そして、当時、馳議員は議員としての立場であったということでございますので、我々としてそこにこれ以上どうのこうのと言うことはできないと考えます。

 それから、官房報償費、俗に言う官房機密費、これにつきましては、私どもの所管外でございますので、コメントする立場にはありません。

柚木委員 いや、もちろんそうなんですよ、所管外だけれども、オリンピックを所管しているわけですから、そういう金まみれ、国民や当該地の、あるいは国際的な信頼も、JOCの竹田さんはフランス当局の取調べまで受けているわけでしょう、現状も。これをそのまま放置するということは、国内だけじゃなくて、国外において我が国の信用、信頼の失墜につながるんじゃないですか。

 文科大臣、五輪所管の大臣として、別に官房機密費、管轄である、管轄でない、関係ないですよ。そういう五輪倫理規程に触れるような招致の仕方、お金の使い方、これは控えるべきだと答弁してください、明確に。

盛山国務大臣 繰り返しになりますが、馳知事は既に事実誤認として発言を撤回しております。

 IOC倫理規程に係る取扱いは、IOCの権限と責任の下に行われます。

 なお、本年三月には、東京大会の事案を受けてスポーツ庁やJOC等で設置したプロジェクトチームにおいて、利益相反の管理やマーケティング事業の在り方など、組織委員会の適切な運営に関する上で遵守すべき指針を策定し、関係者に周知徹底を図っているところでございますが、いずれにせよ、スポーツ界が社会の信頼を回復して、多くの国民の皆様にスポーツの価値を実感できるように関係者で取り組んでいく必要があると考えております。

柚木委員 委員長、これは改めてお願いします。菅官房長官は御存じだと思いますからまさにこの委員会で御説明をいただきたいですが、予算委員会において馳石川県知事においても国会招致をということでしたが、今日、また新たに明らかになりました。文科省から指摘があって発言全面撤回じゃないんですよ。御自分で全面撤回しているんですよ。食い違っていますから。まさにこの答弁を受けて、当委員会でも馳石川県知事にお出ましをいただいて、つまり、菅当時の官房長官そして馳知事にこの委員会での招致を検討をお願いします。

田野瀬委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議をさせていただきます。

柚木委員 次の問題に行きますが、これはもう本当に、税金の使い道に対して非常に国民が、物価高対策、そして自民党さん五派閥パーティー券の収入のまさに不記載問題、この間帰って私も言われましたよ、もう税金を納めるのがばからしくなるよ、どういう感覚で政治家は政治をやっているんだと。

 こういう問題で、私、これはもう短く通告していますから、この自民党五派閥のパーティー券の不記載問題は、盛山大臣は岸田派でもあるわけですから、まさに岸田派の大臣としての見識、認識をきちっとここで述べられた方がいいと思うんですよ。受け止め、裏金づくりという指摘。あるいはノルマ、お幾らあったんですか。あるいはキックバック、受け取られているんですか。そして、受け取られている場合は、政治資金規正法上の収支報告書に記載をされているんですか。通告しておりますので、明確な答弁をお願いします。

盛山国務大臣 自由民主党の各派閥の関係政治団体において、政治資金パーティーに関し、政治資金収支報告書の訂正があったなどの報道については周知をしておりますし、また、本日の午前の予算委員会も含めまして、岸田総理から、具体的な訂正内容等において、各政治団体においてできるだけ速やかに適切な説明を行うよう自民党の幹事長に指示したというふうに答弁があったところでございます。私といたしましても、この指示に基づいて各団体が適切に対応すべきであると思います。

 それから、私は宏池政策研究会に所属しておりますが、その収支の状況について詳細を承知する立場ではございません。

 そして、委員から御発言のありましたキックバックがどういうことを指しているのか、承知できておりませんが、私の事務所においては、会計上、不適切な取扱いは行っていないものと承知しております。

柚木委員 では、具体で一問だけ。

 まさに今、最後のところで、私もちょっと拝見をしてみました、宏池会の今回の不記載となっている収支報告書ですね。そして、これ、直近の、私の持っている手元にあるもの、大臣も多分調べられているでしょうから、令和三年度で、東京プリンスホテル、七月八日、約一億四千九百六十六万円ですね、この収入が計上されています。

 同じそのときの自由民主党兵庫県第一選挙区支部の収支報告書には、これはこうなっているんですね。私もちょっと教えてほしいんですけれども、令和三年十二月二十一日付で二回に分けているんですね、百万円と八万円がそれぞれ、宏池会からまさに大臣の選挙区支部にこれは寄附をされている。

 ところが、私はちょっとここがよく分からないので教えてほしいんですけれども、この令和三年十二月二十一日、寄附が宏池会から大臣の選挙区支部にされている一日後に、五十五万円、これを盛山大臣名で宏池会の方に寄附をしている。なぜこういう時間差が生まれるのかということと、まさに五十五万円、ある意味ノルマなのか、上納されたのか、入金されて、その一日前に、キックバックなのか、二回に分けて、十二月二十一日、都合百八万円、振り込まれています。これをちょっと説明していただけませんか。

盛山国務大臣 通告がございませんでしたので、定かには、ちょっと今詳しくお答えすることはできませんが、私が心当たりがあるところで言うと、最初のものは、いわゆる餅代、氷代と言われる、派閥からの所属議員に対するものかと思われます。

 そして、最後の、五十五万円ですかね、これは我々が派閥を運営するために負担をするその会費というんですかね、経費ということではないかと思われます。

柚木委員 なるほど。まさにノルマなのか、入金というか上納というか、五十五万円入金しているけれども、その倍ぐらいのお金が、餅代、氷代として合計百八万円が、上納の前の日なんですけれども、キックバックされている。

 どこから原資が出るんですかね。どこから原資が出るんですかね。そういうふうな見られ方を国民がまさにされている。疑念が、告発もされているわけですね、裏金づくり。

 まさか餅代、氷代に使われているとは思いたくありませんが、これ、明確に、ちょっと私、今後もこの委員会での質疑の中で確認させていただきますので、今の点についても是非精査をいただいて、次回以降の機会があるときに御答弁と、それから、委員会において、必要な、私またお求めしたことはきちっと委員会に報告いただくように、委員長、お願いします。

田野瀬委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

柚木委員 ちょっと時間がないので、法案をやった後に、残りの財産保全のところだけ時間があったらやりますので、よろしくお願いします。

 通告の法案の方に入ります。

 今回の法案も非常に、ちょうど先日も基金の在り方について見直す会議が開かれたところでありますが、非常に問題がある。私どもも、宇宙開発の様々な有効性、必要性、これについては賛同するところではありますが、だからといって、この物価高で、財政難の中で、本当に今のような、無駄を温存するような構造の中での基金の支出というのは容認できないわけでございます。

 これは通告しておりますが、今般、まず、JAXAから民間事業者、大学等に対する助成金の交付については、宇宙技術戦略等を踏まえて行うものとされておりますが、これも年度内に策定ということですね。宇宙技術戦略として想定される、我が国がどのようなものを目指していくのか。

 特に、今日、資料にちょっと具体のいろいろな解説資料をつけておりますので、お時間がある中で、皆さん、二ページ目は基金の見直し、三ページ目以降は四兆円以上の今回の補正の基金、そして、文科省、これを見ても六千億円ぐらいあるんじゃないですか、今回の、今の二十二基金ですかね。そして、「JAXA研究 計画時からずさん」ということで、様々な不祥事も起こっていますね。そういった部分も含めて、それ以降の中で、まさに一兆円の今後十年間の宇宙戦略基金、「日本のスペースX育成へ」という中で、これも様々な論点、ずっと資料をつけておりますので御覧をいただきながらですね。

 この基金による支援分野として想定される、資料でいくと十二ページ目あたりがその記述になるんですが、衛星、あるいは探査、あるいは輸送、まあロケットですね、こういった技術分野において、それぞれどのような具体的な成果目標、そして期限、こういったものを想定しているのか。

 現在行われている宇宙分野の支援制度、SBIRにおける目標設定など、具体例をちょっとお示しいただきながら、国民の皆さんにも分かりやすく、そしてまさに御納得をいただけるような御説明、御答弁をお願いいたします。

盛山国務大臣 宇宙技術戦略は、宇宙基本計画に基づき、我が国の勝ち筋を見据えながら、我が国が開発を進めるべき技術を見極めるため、内閣府を中心に関係府省が連携して策定を進めているものです。

 宇宙戦略基金は、この宇宙技術戦略を踏まえつつ、対象とするテーマを設定することとしております。その上で、本基金では、宇宙における関連市場の拡大、地球規模課題、社会課題の解決への貢献、知の探求活動の深化及び基盤技術力の強化を目標として事業を実施するものであり、この目標に照らしつつ、事業全体の成果指標を設定する予定です。

 また、事業全体に係る指標に加えて、個別のテーマに応じた目標等も検討する予定ですが、その際には、既存事業の事例も参考としてまいります。例えば、令和四年度補正予算で実施している中小企業イノベーション創出推進事業、SBIRのフェーズ3では、宇宙分野のテーマを複数支援しており、文部科学省では、令和九年度までの支援を通じて、民間ロケット開発のテーマにおいて、令和十年度以降、国内の全ての衛星が基幹ロケット及び国内民間ロケットを用いて打ち上げを検討することが可能となるとともに、海外需要を取り込み、二〇三〇年代早期の国内宇宙産業市場八兆円への拡大に貢献すること、また、スペースデブリ低減のテーマにおいては、関連する世界市場において、支援対象企業が本事業における投資額の八倍以上の累計売上高を獲得することや、当該企業がこの世界市場規模において一〇%以上のシェアを獲得することを目標としています。

 事業の運営に当たっては、一般の方にも分かりやすい目標や成果の発信に取り組んでまいります。

柚木委員 自民党の先生方の中にも、十年間で一兆円の基金にいろいろ関わっておられる先生もおられるので、そういう先生方には今の説明、なるほどということかもしれませんが。

 私、ちょっと次の項目に行きますが、まさに今般の総合経済対策において、民間企業、大学等、複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発、技術実証、商業化支援のために、宇宙戦略基金として最大十年間で一兆円、この規模の支援を行うとされていますが、その理由、そして今般の補正に含める緊要性、これは本当に納得できるものがあるのかどうなのか。

 今日、資料の九ページ目に、十年間で一兆円となると、ちょっと参考になるかと思ってつけたんですが、九ページ目ですね。防衛費倍増の五兆円があったら何ができるかということで、我々、これは本当に与野党を超えて今まさに取り組んでいる、例えば小中学校の給食無償化四千三百八十六億円、あるいは大学授業料の無償化も一兆八千億円、児童手当の高校までの延長と所得制限撤廃で一兆円という、この辺りが関連してくるところですが、まさにそういったものに匹敵するような予算規模、基金。

 国民の皆さんや、うちもまさに中学生と小学生の子供がいて、これからどんどんお金がかかっていくようになる中で、授業料、もうちょっと負担は何とかならないのという声をたくさんの親御さんからも伺いますよ。まさに納税者や国民の皆さんから見て、今般の四兆円規模の基金、あるいは十年間一兆円規模の宇宙関連の基金、こういったものの本当に必要性、有効性、緊要性。

 そして、まさに通告もしておりますが、九ページ目のこういった、まさに給食費は四千三百億円で小中完全無償化できますよ。大学授業料も、まさに一兆円あれば、半分でもまず無償化できるじゃないですか。こういったこととの比較考量、優先度、どうやってつけていくのか。

 これは、経済財政諮問会議任せにせずに、文科大臣としてリーダーシップを発揮していただく必要もあるんじゃないですか。この優先度のつけ方も含めて、国民が納得のできる御答弁をお願いいたします。

盛山国務大臣 まず、御指摘の総額一兆円規模の支援につきましては、これまで内閣府を中心に、関係府省において、宇宙関係市場の拡大等を目指し、我が国の民間企業や大学等が主体となって進めるべき研究開発についての検討を積み重ねてきた結果として、今般の経済対策に記載されたものと承知しております。

 将来の成長分野として期待される宇宙分野において、例えば、米国のNASAは年間数千億円といった規模を、欧州のESAは年間一千億円の規模を、民間企業や大学等が行う技術開発への支援として資金供給していると承知しております。

 こうした中、我が国が激化する宇宙開発競争に伍していくために、我が国の中核的宇宙開発機関であるJAXAの資金供給機能を抜本的に強化し、産学官の総力を結集する必要があります。

 また、宇宙分野とそのほかの、教育その他の分野においての優先順位というお問合せでございますけれども、学校給食費については、食材費高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、重点支援地方交付金の活用を教育委員会等に対して促してきたところであり、ほとんどの自治体において学校給食費の値上げが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところです。

 また、令和五年度の補正予算案におきましても、重点支援地方交付金が積み増しされ、推奨事業メニュー分として〇・五兆円が追加計上されております。

 引き続き、政府全体の取組の中で、保護者負担軽減の観点から、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいります。

 また、大学授業料の無償化につきましては、低所得世帯を対象に、授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施しており、令和六年度から、更に多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしております。

 これに加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等減免につきましては、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大も含め、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。

柚木委員 多分最後の項目になると思いますが、まさに二十二日にデジタル行財政改革会議において、様々な有識者からこの基金の問題点、予算執行状況に応じて過剰な基金は国庫に返納、あるいはそういった検証結果を財務省の予算査定にも反映させるようなルール化、ちゃんとその期限を設けて成果目標を作って予算措置をしていく、その確認、検証作業、基準の設置、こういった議論がなされたと思うんですね。これから年度内じゃないんですよ、そういったものが本来はできた上で進めていくべき事業だと私は思うんですね。

 今回の基金ルールの見直しも踏まえて、今後どういった対応を文科省は二十二の基金に対して取っていくのか、明確な御答弁をお願いします。

盛山国務大臣 今委員から御指摘がありましたとおり、先日、二十二日水曜日のデジタル行財政改革会議におきまして、河野大臣より秋の行政事業レビューの結果について報告があり、岸田総理より、今後、基金全体の点検、見直しを実施するよう御指示をいただいたところです。

 当省としては、これまでも行政事業レビューの枠組みの下、執行状況を継続的に把握し、基金シートにより公表するなど、適正化に取り組んできたところです。今回のデジタル行財政改革会議での総理の御指示を踏まえ、政府全体での取組に真摯に対応し、より一層基金の適切な運用に取り組んでまいります。

柚木委員 ぎりぎり最後、一問入るのであれば、じゃ、お願いします。財産保全、一言だけ。

 今度、連合審査でもやりますが、我々は法案を維新さんと一緒に提出をしております。これを憲法違反だという指摘に対して、先日も衆議院の内閣法制局の局長が明確にこれは合憲だという答弁をされて、委員会室で拍手が起こっていましたね。

 私は、これ、憲法違反という議論が出るのであれば、こういう議論はどうなんでしょうか。信者の家庭で自殺者が出たり、正体隠しでまさにだまして、信仰の自由を侵して、そして家庭は破産、家族が自殺、そういうことをやらせていることこそがまさに私は違法であり憲法違反だと思いますし、だからこそ今回、解散命令請求をされたんじゃないんですか。

 まさに信者の家庭で自殺者が出たり、正体隠しなどで信者を獲得する手法、これは違法、憲法違反だと文科大臣としてお考えになられますか。一言、答弁をお願いします。

田野瀬委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、御協力よろしくお願いします。盛山大臣。

盛山国務大臣 旧統一教会は多くの方々に多額の損害を被らせ、親族を含む多くの方々に生活の平穏を害する行為を行い、本人や御家族の方々に与えた精神的な損害も相当甚大であると認識しております。

 そうであるからこそ、所轄庁として、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められるものと判断し、また、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたものと判断し、解散命令請求を行ったものであります。

 そして、これもこれまで御答弁しているところでございますが、現在、国会内で、各政党間で御協議が行われていることは我々も承知しております。できるだけ建設的な御協議が調うことを私たちも期待しているところであります。

柚木委員 是非、与野党で成案を得る、財産保全を必ず含む成案を得ることを強く期待をして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 今日は、予算関連法案ということで、JAXA法の改正について質疑をさせていただきます。

 先般、文科省の方から今回の補正予算について伺いました。国全体としては十三・一兆円ある中で、文科省としては一兆二千九百十二億円の補正予算というお話です。そのうちの一つが今日お話をするJAXA法になるわけですが、ただ、今回の補正予算の十三・一兆円は、財源の七割が借金、国債になります。そして、その十三・一兆円のうちの三割が、今日と同じく基金、文科省だけではなく他省庁も基金の扱いをしているという形になります。

 補正予算というのはそもそもどういう性格のものなのかということを考えていくと、いろいろ読めば、緊要性、つまり緊急でかつ重要なものを取り扱っていくのだというのが補正予算なんだというふうに書いてあるわけですが、これは、大臣にも、文部科学委員会の皆さん、特に与党の皆さんにお伺いしたいんですが、本当に今緊急かつ重要なのは、給食費が上がっていること、これに対して対応することこそ今一番重要かつ緊急なんじゃないかというふうに思っています。

 資料を添付いたしましたが、新聞記事にも、この新聞記事だけではありません、この数か月、たくさんの様々なニュースに、物の値段が上がり、特に食べ物の値段が上がっていて大変だと。そして、給食の値段が上がり、この記事にも様々、もやしの頻度が増えていたり、卵不足で卵スープがワカメスープになっていたりとかそういったことが、本当に読むだけでも心苦しい記事がたくさん散見されるわけですね。給食の事業者が潰れるニュースもありました。

 今最も緊急かつ重要というのは、まさに、先ほど、今、大臣の答弁の中に、それは予算措置していますからというふうにお話ありますけれども、でも、本当は、文科省として、若しくは文部科学委員会として、文科部門として一番働きかけるべきなのは、まさに給食費を、こういうときだからこそ無償化に向けて、やっている自治体もあるわけですが、やれていない自治体もたくさんある。

 きっとこの後お答えがあるんだと思いますが、こども未来戦略方針では、まさにそれを、じゃ、それに基づいて調査しますよという話ですが、でも、その調査というのは一年先に結果が出てくるみたいな、いや、今こそやらなきゃいけないんじゃないかというふうに僕自身は思っているんですね。

 大臣も着任されたばかりかとは思います。この補正予算にどこまで大臣の思いや意思が込められたのかは僕は存じ上げませんが、ただ、今年の三月の二十九日に、維新の会と立憲では、まさに学校給食無償化法案というものを提出しています。そのときにも、菊田先生からは、まさに物価高の対応という意味でも、少しでも早くやるべきだということを記者会見で代表してお話しいただいています。ただ、その際、筆頭理事の柚木さんからは、与党間の、筆頭理事間で与党と、申入れをしたけれども、時期尚早だという話で、この法案についても諮られることがなかったというふうに記者会見でお話がありました。これは三月の二十九日のことです。

 まだ春先はここまで給食の話というのはそんなに大きくなかった、時期尚早だったかもしれませんけれども、夏になり、秋になり、そしてこれから冬を迎えていく、そしてこの補正予算の議論をしていく中で、文科省としては、この給食費の無償化のことについて真剣に、国、財務省や、総理や、そういった人たちに対して向き合ったことがあるんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 少し繰り返しの御答弁になりますけれども、学校給食費については、食材費高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、重点支援地方交付金の活用を教育委員会等に対して促してきております。ほとんどの自治体においては学校給食費の値上げが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいると理解しております。

 また、先ほど申し上げましたが、現在審議中の令和五年度補正予算案におきましても、重点支援地方交付金が積み増しされ、推奨事業メニュー分として〇・五兆円が追加計上されているところでございます。

 引き続き、政府全体の取組の中で、保護者負担軽減の観点を持って、関係省庁と連携を図って適切な対応を取っていきたいと考えております。

 また、今、荒井委員からも遅過ぎるというふうには御指摘を受けましたけれども、学校給食費の無償化の検討に当たりましては、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況もあります。また、その内容が自治体によってばらつきがあるものですから、児童生徒間の公平性や学校給食費の負担の在り方といった観点から、学校給食の実態を把握した上で丁寧に課題を整理する必要があるということで、現在、その調査検討を進めているところであります。

 いずれにせよ、今年六月に閣議決定しましたこども未来戦略方針では、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、一年以内にその結果を公表することとしております。その結果も踏まえた上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含め、課題の整理を行ってまいるつもりです。

荒井委員 大臣、もう少しだけ給食の話を。

 コロナで学校に子供たちが行けなくなったときの一つの分かったことは、私たち大人が分かったことは、実は、学校に子供が行けなくなると、やはり給食というものによって支えられていた子供たちがいかにいたのかということが顕在化したということがあったかと思います。そして今、物価が上がって、特に食べ物の値段が上がって、おうちで満足に食べられない子供たちが増える可能性が、増えている状況があるわけですね。こういうときこそ、学校に来て、学校の給食が逆に一品多くなって、学校でしっかり食べたらいいよというメッセージをまさに国が発することの方が今一番必要なんじゃないかというふうに思います。

 前回こうして質問させていただいたときにも、大臣の平均の任期は一年なんだなというふうに僕は感じております。決して長くないその任期の中で、是非この給食費の、やはりこれを無償化していくというものを、是非、盛山大臣のときに大きな道筋を。調査をという話よりも、今まさに緊急かつ重要なことだというふうに思いますので、是非これは前向きに検討していただいてはどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 私自身、以前から、この給食費につきましては市町村でばらつきがある、これは給食費だけではなくて、医療費ですとかそういうことにつきましても、競争が行われたりしたりしていることに対してはいかがなものかと。やはりこれは全国一律で同じようなサービスを、別に子供たちだけではないと思うんですけれども、国民、市民が受けるべきであるという考えは、私も前から問題意識として持っているところでございます。

 いずれにせよ、先生の御指摘、私も十分に理解しているつもりでありますし、そしてまた、どうしても国というのは、政府全体で、全国一律でどういうふうにしていくのか、こういうことを考えなければならない役所でございますので、大きなずうたいでございますので、判断を行うまでにある程度の時間がかかります。しかし、一旦判断を行いましたら、大きな船と一緒で、そちらの方へ大きくかじを切って動かしていくことができると思っておりますので、先生の御指摘を踏まえて、今後とも対応を進めていきたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 立憲民主党の、僕の先輩の逢坂誠二衆議院議員が、先日の予算委員会が終わった後に岸田総理のところに行って、総理、給食費の無償化を今こそやった方がいいんじゃないですか、まさに教育、教育、教育ですよということを総理に直接、予算委員会の後にお話しされたということを先日教えていただきました。

 岸田総理も今非常に苦しい状況にある。僕が言う必要はないんですが、でも、まさにこういうときこそ、文科大臣から、給食費、先ほどありましたけれども、四千億円で一年間やれるものを、これは、総理、やりましょうよということを、総理にももう耳に入っている話ですし、野党からそういうふうに話があるわけですから、大臣からそういうふうに話をしたら、まさに総理も聞く耳を持っていただけるんじゃないかと思いますけれども、総理にそういうふうにお話しいただくことはできませんか。

盛山国務大臣 そのように努めてまいります。

 また、うちは、孫ですけれども、子供は全部成人になっております、三人が三人とも小学生でございますので、給食の重要性というんですかね、特に、コロナの間でちょっと学校がお休みで、給食も含めてなかったりした時期もありましたので、子供たちが学校に行き、そして給食が再開されて、大変やはり子供たちの活動がまた変わったんだなということは、私自身としても実感しているところでございます。

荒井委員 給食費の無償化というのは、文部科学省ができてからずっと省としても言い続けているものだというふうに、僕もこの委員会で教えていただきました。是非、大臣を筆頭に国に働きかけていただきたいというふうに思います。

 一つだけ、本で読んだ文章を紹介させてください。磯田道史さんという歴史学者が、テレビに、NHKとかによく出てきます。最近の新著の「家康の誤算」という本の中に書いてありましたが、フランス革命でもそうですが、民衆は、物価、とりわけ食べ物の値段が上がると政権を脅かします、幕末の世直し、田沼意次、松平定信の打ち壊し、こういったことが起きていくんだと。飯をまともに食べられるようにするのが公儀の務めだ、それができなければ、起き上がって世を直す、こういうのが民衆の意識なんだということですね。これは歴史を学べばそういうふうに書いてあるわけですね。

 今、なかなか総理の支持率が上がらない、与党の支持率が上がらない、何をやっても上がっていかないというのは、これはまさに物価、とりわけ食べ物の値段が上がっていることに対してのやはり民衆の気持ちなんじゃないか。それを磯田さんの本から読み取れるわけですが、だからこそ、給食費に四千億かけていくことが今本当に必要なんじゃないか、そんなふうに思っていますので、どうぞ、大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、JAXA法の話について聞かせていただきます。

 先ほど柚木さんからもお話がありましたけれども、先日、まさに河野大臣のところで基金についての見直しというものが行われました。

 そもそも、もう一度、冒頭から申し上げていますが、補正予算で、基金という、十年という長いスパンのものが本当に緊要性があるのか、緊急かつ重要なものなのか、補正予算でということにも思いがあります。そしてまた、かつ、大臣が見直しを含めて言わなければいけないような今の日本の基金の現状というものに大きな課題があるんじゃないかと思います。

 内閣官房の行政レビューを行った側に、まず、そもそも今の基金の問題とは何だったのか、それをお答えいただきたいと思います。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 基金につきましては、その執行管理について透明性の確保や検証などを行うことが重要であるということでございます。

 こうしたことから、行政事業レビューの枠組みの下、各府省が基金シートの作成、公表などを通じまして執行状況を継続的に把握し、厳格な点検に取り組むとともに、こうした各府省の取組につきまして行政改革推進会議において検証を行う、こうしたことなどによりまして、その効果的かつ効率的な執行の徹底や執行管理の一層の適正化に取り組んでいるところでございます。

 今お話ありましたけれども、先日開催されましたいわゆる秋のレビューにおきましても、基金について御議論が行われたところでございます。事業の終了予定時期を具体的に設定し、その終期までに達成すべき成果目標を明確にした上で、EBPMに基づいて効果検証を行うという透明性を確保したサイクルを回していくことが極めて重要であるといったことなど、種々の指摘がなされたところでございまして、こうした点に留意しつつ、基金の適正管理に努めていく必要があると考えております。

荒井委員 僕は民間企業で勤めていた経験が長かったですので、民間企業では、まさにこうやって大きな投資をするときには、当然ながら、そこに至るまでの多くのプロセスを通じて、どういう状況をクリアしていくからこそ、これだけの出資が必要なんだ、これだけのお金が、投資が必要なんだということを、まさに取締役会等々でさんざん議論した上で承認を受けるわけですね。

 今のお話では、逆に、基金というものは、十年、長いスパンだけれども、それを通った後に、基金シートというシートに基づいてその後のレビューを行っていきながら、よしあしを判断するというふうに聞こえているわけですが、逆に、基金が組成される前にまさにそのプロセスをしっかり審査するというところが抜けているんじゃないかと思うんですが、この辺は行革委員会の方ではどういうふうに判断されているのか、教えてもらえますか。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 基金シートそのものにつきましては、実際に基金を積んで造成した後に作成するというような仕組みになってはおるんですけれども、もちろん、当然、その以前に、基金シートを作るその前の段階では、いわゆる予算要求、基金に対する予算の要求があって、予算査定部局と議論が行われるということでありまして、その過程で、当然、その基金の必要性ですとか、あるいは、どういう目的で設置するのか、あるいは、どのぐらいの規模で、どういう形でやっていくのかというようなことがしっかり議論がされることが必要であるというふうに考えております。

荒井委員 今の、予算査定時の内容に基づき基金シートが作られていく、そういうことですよね。

 そうなってくると、まさに緊要性、この補正予算でやる緊要性というものを伺いたいわけですが、今回のこのJAXA法に関しては、文科省だけでなく、経産省や総務省、合わせて三千億という話になっているわけです。それを取りまとめているのが内閣府になっているというふうに思いますが、本当にこの宇宙戦略基金というものをこの今のタイミングでやらなければいけないものなのかどうか、教えていただけますか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 近年、諸外国における宇宙開発に係る動きというものは非常に激化しておりまして、また、世界の宇宙産業の規模も大幅に拡大しておる状況でございます。今年度に入ってからも、例えば、アメリカのスペースX社による小型の衛星コンステレーションの基数は五千基を超えております。また、中国は、小型高性能光学衛星、またメタンエンジンロケットの打ち上げに成功する。また、インドでは、月探査機の月面着陸に我が国に先んじて成功しているというような状況にございます。

 このように世界的に宇宙活動が活発化しているという背景は、やはり、各国政府が宇宙開発を国の事業といたしまして強力に推進しています。また、宇宙関連予算が増加しているということが背景、事実としてございます。

 こうした中で、我が国が宇宙分野への国内投資を早急に拡大し加速しない場合には、将来にわたりまして宇宙インフラを海外に依存するということになりかねませんし、また、宇宙活動の自立性が危ぶまれるというようなこともあり、また、国富の流出につながるというおそれもございます。

 こういった諸外国による宇宙開発の競争が激化しているという中におきまして、我が国が宇宙空間を通じた経済、社会的便益を獲得し続けるというそのためには、我が国の民間企業、大学などが有する技術的優位性や市場動向の分析に基づきまして、勝ち筋というものや宇宙活動の自立性の確保の観点から必要な技術を見極めていくということが重要と考えております。我が国として推進すべき技術とその方向を示す宇宙技術戦略というものの策定をこのために進めているという状況でございます。

 この宇宙技術戦略を踏まえまして、企業や大学などが複数年度にわたって先端技術開発、技術実証、商業化に取り組むということを支援する枠組みが必要でありますので、それを可及的速やかに設けまして、宇宙開発に係る我が国の国際競争力の確保、また国際市場の獲得に向けて国を挙げて取り組む必要があるというふうに考えてございまして、宇宙基金の創設に係る予算を補正予算に計上させていただいているということでございます。

荒井委員 大臣にもお伺いしたいんですが、こうやって、もちろん、宇宙基金、大切さは分かります。緊急性があるかどうかは僕は疑問ですけれども。ただ、これは十年で基金を組成して、一体何をもって成功というふうに見出すのか。

 これは、いただいている資料の中にも、三つのゴールがあるんだというふうに。もちろん、宇宙関連市場を四兆円から八兆円にするというのは、これは数字で定量的に分かりやすい。二〇三〇年代早期には倍にする、四兆円から八兆円にするというふうには書いてありますが、その二番目、三番目、二番目には、宇宙を利用した地球規模、社会課題解決への貢献、三番目は、宇宙における知の探求活動の深化、基盤技術力の強化みたいな、こういった言葉というのは、一体これは何をもって、十年間で、若しくは最初の例えば三年間で、達成したとまさに基金シートに書き込むことができるのかという数値的な目標がはっきりしないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 先ほど、内閣官房その他から丁寧な説明があったところでございますけれども、我々としましても、ある程度の時期で、その都度その都度、進捗状況を見ながらやっていくということじゃないかと思います。

 特に、それぞれの個別のテーマ、先ほど三つほど大きいのが出ましたけれども、それに応じた目標その他を細かく決め、そして、そのレビューについては、外部有識者会議のフォローアップですとか、関係府省における毎年度の基金シートを通じて公表していくこととしております。

 加えて、一般の方にも分かりやすい目標や成果の発信にもこれからしっかり努めていきたいと考えております。

荒井委員 先ほど申し上げた民間企業では、まさにこういった予算を作るときにも、様々なKPI、キー・パフォーマンス・インディケーターみたいなものをしっかりと提示して、それがちゃんと守られているのかという形で、時にはその新規事業がなくなることもあるでしょうし、見直しをするということが繰り返されているわけですね。

 このKPIみたいなものをちゃんと設けているのか、つまり、この最初の数年で一体どこまで何をするのかということが、これはほかの役所の、経産省や総務省のものを見ても、そういったものがはっきり明示されないまま、何となく、例えば先ほどあった宇宙コンステレーションをやりますよとか、そういったことしか明記されていないように思うんですが、そこの細かな内容が分からないまま、十兆円、それを、何度も申し上げますが、この補正予算、重要で緊急なんだということを言えるのかどうか、もう一度教えていただきたいんですが、お願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣が御答弁申し上げたとおりではございますが、本基金について、令和六年度概算要求時点で、当初予算という形で、四府省で百億円の概算要求をさせていただきました。そのときに、そういう要求をするものですから、その事業の行政事業レビューシートというものを実はもう既に作成をさせていただいています。

 この行政事業レビューシートにおいては、各年度の支出件数等を共通的なアウトプットとした上で、各目標に応じてアウトカム指標も設定をしております。

 例えば、関連市場の拡大に係るアウトカム指標といたしましては、我が国の宇宙産業の市場規模、これは先ほどお示しいただいた資料にあるとおりでございますけれども、例えば地球規模課題あるいは社会課題の解決への貢献に係るアウトカム指標としては、本事業の成果を活用した公共機関、国際的枠組みへのサービス等の提供回数ですとか、こういったことを定めさせていただいておりますので、こういったことを念頭にしっかりと対応してまいりたいと存じます。

荒井委員 緊要性に関しても、つまり緊急度合いということに関しても伺いたいんですが、一体この基金が、例えばこの法案が通って基金が創生されたときに、一体いつからこの基金に基づいた出資なり補助金なりというものが始まることを今念頭に置かれているんでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の基金補助金によるJAXAへの基金造成は、改正機構法施行後、令和五年度中を予定をさせていただいております。

 また、関係府省において今般の基金事業に関する統一的な基本方針等を定めまして、これに基づき、造成された基金を活用してJAXAが執行していく予定となっております。民間企業や大学等への公募や支援は可能な限り早期に開始する予定としております。

 また、基金の執行に係る詳細につきましては、引き続き、内閣府を始め関係府省で検討を加速してまいります。

荒井委員 JAXAがまさにこの基金を運用しながらやっていくわけですが、当然、今のJAXAも自分たちでロケットを飛ばすのにぱんぱんな中、新しい人たちを雇って新しいチームでつくっていくんだと思いますが、まさにその新しいチームをつくっていくのは、これはいつからなんですか。来年の四月からということでよろしいんですか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の基金事業の運営に当たりましては、JAXAの体制を、宇宙という特殊な領域における研究マネジメント機能と、また、競争的研究費制度としての公募事業を運営するための機能の双方を有する組織とする必要があるというふうに考えております。

 研究マネジメント機能につきましては、JAXAはこれまでも、研究開発の中で専門的知見等を蓄積をするとともに、共同研究や技術的援助を通じまして民間企業や大学等と関係を構築してまいりましたことから、これらのJAXA職員の知見を活用しながら体制を構築していくことを予定しております。

 また、公募事業を運営するための機能につきましては、JAXAでの関連する取組の経験を活用しながら、人員体制を整備することとなりますために、他法人の事例を参考にするとともに、専門的な知見を有する外部人材の登用を含め、体制を構築することとしております。

 このように、JAXAの有する知見を活用しながら、必要となる知見を持つ外部人材の登用を進め、人的資源の拡充を含めながら、内閣府を始めとする関係府省と連携し、しっかりと対応し、効果的、効率的な運用につなげてまいりたいと思います。

 また、その人員体制の構築につきましては、今も既にJAXAあるいは文科省、内閣府等々と検討を進めておりまして、可及的速やかに体制を整えたいというふうに存じております。

荒井委員 今、もう十一月の末ですので、来年の四月から新しい事業を始めるにしては、本当に人の手当てというものは余りにも遅過ぎるというところまで来ていると思うんです。今から仮に外部の人材を募集しても、そんなに数か月で集まるものではありませんし、これは数か月で選定していいほどのたやすい採用でもないと思うんですね。しっかり時間をかけて、いい人を採っていきながら、しかも巨額のお金を運営していくわけですからというふうに思うわけです。

 そうしていくと、やはり余りにも時間が短い中で準備をし過ぎていくことによって、現場に無理がかかって、つまずいたり、若しくは何か報告と違うことをせざるを得ないみたいな負荷がかかることを一番心配しています。その意味においても、本来これは、筋としては、まさに補正予算で緊要だというふうに言ってやることよりも、しっかり地に足を着けてやるような話だったんじゃないかというふうに思います。

 そして、大臣、もう一度、この緊要さというのであれば、やはり、だから、宇宙のこと、もちろん重要なのはよく分かっているんです、でも、今、緊要なのは、急ぐべきなのは、やはり給食の話に予算をしっかりつけていくことだというふうに僕は思えてならないんですけれども、大臣、今の、まさにJAXAに多くの負荷をかけながら進めていくこの話と、もう一度、給食の話、大臣のお考えを教えていただけますでしょうか。

田野瀬委員長 既に持ち時間が経過しておりますので質疑終局なんですけれども、簡潔に御答弁をお願いします。

盛山国務大臣 はい。

 委員の御指摘、御心配、理解できます。しかしながら、あとはスピードと、どういうふうにして信頼を得るような成果を出していくのか、ここだと思います。

 心配をしていただく理由はあるからではあるんですけれども、かっちりしたものをつくってからということになると、何も新しいものが進みません。やはり、これまでにも、いろいろな査定という過程を通して十分に事前に議論はしております。そして、その上で、ある程度できるというふうに、我々の中であり、そして、要求官庁の我々から財務省あるいはほかの関係省庁と協議をした上でこういうふうな形になっているということを是非御理解賜りたいと思います。

 また、給食費その他との関係は、政府全体の中でこういう予算案を出しているということで御理解いただきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。是非、総理大臣にも御進言いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 今回、宇宙政策そして宇宙産業、改めて法案質疑するに当たって勉強する機会をいただきました。

 我が党は、未確認飛行物体やUFOの質問をよくする議員も抱えておりまして、そういう意味では専門性の高い人にお任せするのもいいんじゃないかと思ったんですが、やはりせっかくの機会なので、私自身学んでまいりましたので、少しおつき合いいただきたいと思います。

 まず、今回、宇宙戦略基金ということで、十年間、総額で約一兆円規模ということで予算が入っていると思います。これは、やはり何度見ても、本当に基金である必要があるのかなと。むしろ、いろいろこの改正に合わせて学んでいくと、宇宙政策や宇宙産業というのは、非常に未来ある、しかも、日本の技術力が生かせるニッチな部分もしっかりあるという意味では、もっと堂々と予算をつけて勝負していったらいいんじゃないかなと思います。

 かつて、文部科学省に科学技術振興調整費という予算があって、これも年々年々削られて、最後、民主党政権下の事業仕分で廃止になった。今、河野大臣も基金の見直しに言及されていると。

 率直に言って、今回、基金である必要は私はなかったんじゃないかと今でも思っていますし、また、あえて基金でこういった予算をつけるのであれば、その意図というのはどういうところにあるのか、まずお伺いさせてください。

盛山国務大臣 先ほど来御答弁申し上げているところでございますけれども、宇宙分野の研究開発については、その特徴として、様々な技術課題や事業化リスクに直面しやすいこと、打ち上げ等の宇宙実証の時期の見直しが発生しやすいこと、こういったことが挙げられ、進捗予測が困難であり、不確実性が伴うものと考えられます。

 こうした中で、民間企業等が革新的な研究開発や事業化に主体的に取り組むためには、国から民間企業等に対し、宇宙技術戦略の策定等を通して必要な技術の予見性を高めつつ、あらかじめ複数年度にわたる財源を確保し、研究開発の進捗に応じて、年度にとらわれずに弾力的に研究費の執行を可能とすることが必要であります。

 このため、宇宙分野の産学官の結節点でございますJAXAに、民間企業や大学等への戦略的かつ弾力的な資金供給を可能とする基金、つまり、単年度の予算ではない基金を設置し、対応することとしたものでございます。

金村委員 当然、予算が単年度で作られておりますので、複数年度にまたがるから基金というのは一方で理屈は伴っていると思うんですけれども、だったら、複数年度で予算を作れるように変えればいいというのが、どちらかというと、今のお話を聞くと我々は率直に思う次第です。

 その上で、十年間で予算規模総額一兆円、これは果たして大きいのか小さいのか、やはり議論が必要だと思うんですね。

 アメリカのNASAは三兆円。ヨーロッパのESAは一兆円。中国も同等。アメリカに至っては、例えば米軍とか国防総省にある予算を加えると七兆、八兆とも言われている中で、日本は十年間で一兆円。JAXAに至っては、今年度の予算は一千五百億円と非常に規模が小さいですね。

 確かに、宇宙、そして衛星とかロケットとかいうと、非常に何か未来に期待をしたくなるんですけれども、実際、蓋を開けてみれば、予算規模は私はちょっと小さいんじゃないかなと思うんですね。

 一方で、日本単体ではなくて、じゃ、どういう世界の各国と連携を深めて、共同開発だったり、技術を補い合ったり、そういった選択肢も加えていかなければこの予算規模だと難しいと思うんですが、まず、この予算規模の妥当性と、そして、日本がどういう国と連携して宇宙政策の中で一つの頂になっていくのか、教えてください。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 世界では、積極的な宇宙活動を通じた経済、社会の大きな変革が起こっております。また、競争も激化しているということでございまして、先生御指摘のとおり、例えばアメリカでは、新型の大型のロケットSLSによって、アルテミス計画で使用する宇宙船オライオンの打ち上げと月の周回、そして地球への帰還に成功ということをしております。また、中国では、小型高性能光学衛星、メタンエンジンロケットの打ち上げに成功。そして、インドは、月探査機の月面着陸に我が国に先んじて成功したという状況でございます。

 諸外国におきましては、こうした国による宇宙開発に加えまして、民間企業への技術開発支援、サービス調達を図るなど、民間投資の呼び水となる政府投資を積極的に行っているというふうに認識しております。

 こうした情勢を踏まえまして、今般の経済対策では、宇宙は市場の拡大が期待される開拓すべきフロンティアという分野として位置づけられております。そして、宇宙戦略基金は、JAXAにおける従来のプロジェクトに加えまして、民間企業、大学などの主体的な技術開発や商業化を強力に支援をするというものでございます。

 この基金につきましては、経済対策には、当面の事業開始に必要な経費を措置しつつ、速やかに総枠一兆円規模を目指すとされておりますけれども、今般の補正予算においては、今後十年で技術開発に取り組むことが想定されるテーマのうち、早急に着手すべきテーマについて、当面の事業開始に必要な経費を計上したというところでございます。

 我が国といたしましても、産学官の人材や技術力を結集いたしまして、研究開発をめぐる熾烈な国際競争に後れを取ることがないように、研究開発の進捗、また新たな技術テーマの設定、JAXAにおける体制整備といったものを進めて、そういった状況を踏まえながら、速やかに総額一兆円規模の支援を目指していきたい、我が国の宇宙産業、宇宙活動の拡大に向けた有効な事業になるように、関係省庁、また同志国、同盟国などと連携をしながら、しっかりと準備をしていきたいというふうに考えてございます。

千原政府参考人 先生から御指摘いただきました後半の国際協力のところについて、お答えをさせていただきます。

 宇宙分野の取組は、先生御指摘のとおり、単独の国では実現が難しい大型プロジェクトが多うございまして、その実施に当たっては、それぞれの国が強みを有する技術を生かして、国際協力の下で取組を進めていくことが効率的だというふうに考えてございます。

 例えば、我が国ですと、持続的な月面探査の実現と将来の火星有人着陸を目指すアルテミス計画ですとか国際宇宙ステーション計画に参加するなどして、米国や欧州を始めとする関係各国と連携して宇宙活動を進めております。また、インドとの協力につきましても、我が国がローバーの開発、インドが着陸機の開発を担当し、アルテミス計画に向けて、月極域における水の存在量等を調査する月極域探査計画を進めておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、宇宙空間の利用や探査に向けて、米国や欧州ほか、インドなどと国際連携を進めてまいります。

金村委員 ますますインドとの関係というのは非常に重要だということが理解をできました。私は、個人的にインドの方と割と交流が、人的交流ですね、させていただいておりますので、そういう意味では、しっかりインドと協力関係を強めていただきたいと思います。

 また、せっかくやるのであれば、税金で予算を充てるわけですから、無駄遣いをするような予算立てはよくないとは思いつつも、私も経営者の立場でもありましたので、やはり、しっかりと資金が潤沢にあるから技術開発、例えば研究者の側が過度なプレッシャーに陥らずにしっかりと結果を求めていくことができると思いますので、予算については引き続き求めてまいりたいと思います。

 そして、今、安全保障の観点からも、宇宙政策、宇宙の技術開発、非常に重要視されています。本年六月に日本も宇宙安全保障構想を策定しています。その中で、三つの柱として、宇宙からの安全保障、それから宇宙における安全保障、そして宇宙産業の支援、育成とあります。私、まず、この宇宙産業の支援、育成について少しお伺いしたいと思います。

 この中で「政府の先端技術の研究開発成果の安全保障用途への活用」、これが文言として入っています。これは、アメリカでいうところの国防総省の中にあるDARPA、ここが、様々な宇宙開発、開発したものを買いあさるわけですね、その技術を。買いあさって、実際に安全保障に使用できる技術へと高めていく、若しくは、民間にリリースをして、民間企業がイノベーションを実現していく。

 先ほどの予算のところでも言ったんですけれども、結局、技術者の側や民間企業の側は、国の成長のために技術者や企業として成長を果たしていく側面と、一方で、しっかりと安心、安全な中で研究をして成果を出していく、そしてリターンを得ていく、これは当然のことだと思うんですね。

 そういう意味では、このDARPAのような位置づけに行く行くはJAXAがなっていかなければならないと思いますし、一方で、これをしっかりと買い取るということを国が明言していくことも宇宙産業の成長に必要だと私は考えていますが、今の見解を教えていただきたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 今の委員御指摘の点は、まさに技術の買取りというのは、技術開発後の更なる支援という意味での御指摘かというふうに理解いたしましたけれども、御指摘の本年六月に決定された宇宙安全保障構想におきましては、民間の宇宙技術の安全保障への活用というものが国内宇宙産業の発展を促して、それが我が国の防衛力の強化につながるという、そのような好循環を実現していくということを期待したものでございます。

 近年、欧米では、企業による宇宙ビジネスが進展しておりまして、最先端のテクノロジーがいわゆる官のみならず民からも創出されるということになっておりまして、宇宙開発の構造は官主導から官民連携へと構造を変えつつあるというふうに認識しております。

 このような中で、欧州、アメリカの宇宙開発機関は、宇宙技術の商業化のために、技術開発支援に加えまして、政府によるアンカーテナンシー、まさに政府による開発後の支援というものを提供しておりまして、戦略的に宇宙産業を育成しているものというふうに認識をしてございます。

 我が国におきましても、諸外国による宇宙技術や商業化の加速を受けまして、合成開口レーダーであったり、スペースデブリの除去、衛星の長寿命化といった、世界に誇れるような先端技術というものを持った様々な宇宙スタートアップなどが新たに取り組んでいるというふうに認識をしております。このため、宇宙システムは、安全保障、それ以外にも経済、情報、外交などのあらゆる非常に広い分野において国力の基盤となってございます。

 こういった様々な分野におきまして、出口となる需要をつくり出していくこと、また、政府によるアンカーテナンシーを確保しているということは非常に重要であると考えてございますので、今回の基金における技術開発支援というものと並行いたしまして、こういったアンカーテナンシーなどの取組についても併せて検討していきたい、このように考えてございます。

金村委員 民間企業にとって、研究開発するときに、〇―一のところが特徴的にうまくできる企業もあれば、最後の製品化が得意な企業もあるように、実は途中が日本は支援が薄いんですね。

 これは、前に他の委員会ですけれども、薬機法の改正のときに、いわゆる薬の開発、そこも同じような状況なんですね。研究開発しているし、種はあるんだけれども、その種を商品にまでさせるところが日本は弱いから、結局のところ、その裾野が広がっていかないし、研究力が強化されないという構造的な課題を克服するためには、国が買い取るというのは非常に分かりやすいですから、是非、機会を捉えて強化していただきたいと思います。

 その上で、今後、やはりJAXAの役割の強化、ここが非常に大切になってくるんじゃないかなと思います。

 私、二〇二一年に初当選しておりますので、私自身が当選する前になるんですけれども、二〇二一年に科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律、これが、法案が成立しています。これはJAXA自身が、いわゆる出資や、そして資金供給、人的、技術的援助が認められた。これはまさにDARPAのように、まさに日本が、国が、JAXAが研究開発の間をしっかりとつくっていく、橋渡しも含めてやっていくということにつながるんじゃないかと期待をしております。

 その上で、現在の出資状況や、そして支援内容について、明らかにできるところでいいので教えてください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正によりまして、JAXAは令和三年四月から新たに出資機能を持つこととなってございます。

 これまで、この制度を用いまして、令和四年十二月には株式会社天地人、令和五年四月には株式会社スペースウォーカーの、合計二件の民間企業への直接出資及び技術的アドバイスを行ってまいりました。

 この出資制度はJAXAの自己収入の範囲内で行われるものでございまして、JAXAからの出資額は必ずしも大きくないものの、各企業に対する更なる投資を呼び込むことを目的とするものでございます。

 今後とも、成果活用事業者等に対する出資、人的及び技術的支援を通じまして、研究開発成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図ってまいります。

金村委員 これ、いい取組なんですよ。自己収入とか自己資金というのをなくせば、もっと存在感も出ますし、安心して研究者が研究に没頭できると思いますので、何か我々も新たな知恵がないか、少し工夫を出したいと思います。

 その上で、今年の七月に行われた宇宙ビジネスカンファレンスにおいて、JAXAの山川理事長が、法律や体制の整備が必要であるものの、今後は科学技術振興機構やNEDOのような、資金を産業界に供給する機能を政府と一緒につくり上げていく必要があると思っていますと。

 つまり、やはり、今の法律のたてつけで、JAXAがJAXAだけで供給をしようとしても、それが産業界の発展につながるかどうか怪しい。そういう意味では、ほかのいろいろな団体と連携をして予算規模を大きくしていきたいという意思の表れじゃないかなと感じているんですが、実際、この実現に向けて、今、文科省は何か取り組んだりされているんでしょうか。

盛山国務大臣 今般の基金事業の運営に当たっては、宇宙という特殊な領域における研究マネジメント機能と、競争的研究費制度としての公募事業を運営するための機能の双方を有する必要があると考えます。

 このうち、公募事業を運営するための機能については、既にJSTやNEDOなどが民間企業や大学等に対する資金供給を行ってきており、その取組を十分参考にしつつ、専門的な知見を有する外部人材を登用するなど、今般の基金事業の運営に生かしてまいります。

 当省としては、JAXAの体制強化、重要でございますので、しっかり対応し、効果的、効率的な運用につなげていくつもりです。

金村委員 やはりこのたてつけですね、ようやくこの仕組み化ができて、さあこれから、宇宙政策、宇宙産業、しっかりと日本も投資をして、世界の中でリーダーシップを発揮していくという土台はようやくできつつあるんだと思うんですね。その土台の中にいる理事長自らが、予算規模を大きくしたいという主張がこのカンファレンスでの発言につながっていると思いますので、是非、政府としても検討いただきたいと思います。

 そして、JAXAの中で、私は、JAXAや宇宙政策の専門家や専門性が高いとはこれまで自認しておりませんでしたので、改めて学んでいくと、ちょっと何かJAXAって敷居が高いのかなと。何か、むしろJAXAの側がそういうブランディングをしているんじゃないかと思うほど、限られた人たちの集いと言うと失礼ですけれども、集団なんじゃないかなと思う反面、ホームページを見てみると、雇用されている職員のうち七一%は技術者なんですね。

 今、JAXAが、どういう人材が有為だと認識して採用を強めているのか。雇用されている方の、いわゆる能力と言っては失礼ですけれども、どういう人材が評価されているのか、教えてください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、JAXAは、人材育成の方針といたしまして、より一層の技術力、専門能力の強化、また提案力の強化、そして実行力の強化、これを三つの柱として掲げて、人的資源の確保に取り組んでおると承知しております。

 具体的には、重点的に採用すべき技術ポストを特定して、積極的な通年採用を行うことですとか、あるいは専門性の高い宇宙関連技術に関する社内研修ですとか、国内外の先端的な研究所等への長期派遣制度等を通じまして、技術系職員を含む人的資源の確保や職員の質の向上に取り組んでいると承知しております。

 また、今般の新たな基金事業は、JAXAが専門性や知見を生かしつつ、民間企業や大学等の主体的な研究開発を推進するものでございますので、JAXAが産学官の一層の結節点となることを通じて、民間企業や大学等との交流や連携を深め、より開かれた組織として活躍することを期待しております。

金村委員 聞くところによると、何か、院卒の方が多いとか、そういうお話は聞いています。

 先般、国大法の改正で博士課程を強化しろなんと言っていた私が言うと大変申し訳ないんですが、例えば、国立高等専門学校、いわゆる高専ですね、この高専の人たちを積極的に採用するというのはどうですか。

盛山国務大臣 今、金村議員から御指摘がありましたように、実践的、創造的な技術者を養成、輩出している高等専門学校、高専は国内外から高く評価されております。近年では、社会的要請が高い分野、イノベーション創出により社会課題の解決に貢献する人材育成においても、高専への期待が高まっていると理解しております。そして、宇宙もその分野の一つでございます。

 現在、JAXAでは、新規職員の採用において、高い技術力を持つ高専卒業生を、毎年、数名程度でございますが、採用しております。また、超小型衛星等の打ち上げと実証機会の提供を行う革新的衛星技術実証プログラムにおいて、高専生が開発した衛星の打ち上げを支援するなどの取組も実施しているところです。

 引き続き、当省としては、JAXAと高専の連携を促進してまいります。

金村委員 やはり今、日本は人手不足、そして技術者不足の中で、自らが中学三年生に一回戻ってみたときに、高専を選択する、これは決意が要ると思うんですよね。その決断をまさに社会での活躍に変えていく、それはやはり大人の役割だと思いますので、是非、高専イコール宇宙と言えるぐらい連携を深めていただきたいなと思います。

 その上で、続きまして、今回の宇宙戦略基金が創設されて宇宙開発、技術開発が促進される中で、これから全体の絵をどれだけ世界や世の中に、そして国民に発信していくのか、そのためには俯瞰図や可視化が必要だと考えています。つまり、日本あるいは民間企業が宇宙をどうやって利用していくのか、どういった技術が必要なのか、そして、個別のものであればどういう技術を成長させていかなければいけないのか。JAXAがやるのか、民間企業がやるのか、それとも、一部、実証実験なんかは国がしっかりと支援をしていく、こういったものを分かりやすくしていくことが、このいい戦略が練り上がったからこそ、分かりやすい、可視化していくことが必要だと思いますが、どのような見解でしょうか。

盛山国務大臣 先ほどの高専でございますけれども、経済界からも大変高く期待されているところでございますので、我々、支援をしっかりしてまいります。

 今のお尋ねでございますけれども、JAXAや民間企業等を含め、我が国全体として、推進すべき技術及びその方向性を示す宇宙技術戦略を踏まえつつ、実施をしていきたいと考えております。

 具体的には、宇宙技術戦略で位置づけられた技術の中から、JAXA以外の民間企業、大学等が主体となり本事業によって推進を図ることが適当と考えられるテーマを決定し、公募を行うこととしております。これらの取組を通じて、JAXAと民間企業等との役割分担が可視化できるようになるのではないかと考えております。

 当省としては、本事業により、非宇宙分野を含む多様な民間企業等の宇宙分野への参画を促進するとともに、その取組をしっかりと発信していきたいと考えております。

金村委員 高専の応援については大臣と非常に仲よくやっていけそうですので、これからも質問してまいりたいと思います。

 本来、商業化支援まで質問をしたかったんですが、少し時間が来てしまいました。しっかり、本当に土台はできつつある中で、あとは予算の在り方、そして、そのつなぐ役割でいるJAXAをどれだけ強化していけるかというのが今後の課題だと思いますので、是非一丸となって頑張っていただきたいと思います。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は、JAXA法改正案ということで、これから、限られた時間ではありますが、よろしくお願いいたします。

 るるこれまでも質疑されてきまして、大分論点、多様な論点が出てまいりました。私からも、冒頭まず、今回の法改正によって、非常に、宇宙戦略に関する基金が創設されるという中で、それをどのように使っていくのか、そしてその先にどのような勝ち筋が我々には見えていくのかというところ、しっかりと、政府でこれまで検討してきた中身についてまずは確認していきたいと思っております。

 具体的な研究開発、基金を使って支援する対象、テーマというのは、これから策定される宇宙技術戦略というものを踏まえて決めていくということなんですけれども、この宇宙技術戦略というもの、海外でもやはりそうした戦略は、既に策定をしている国が幾つかございます。

 政府の資料にも載っていますが、例えばヨーロッパ、ESAでは、このESAという組織を中心に欧州三十か国の国、機関による調整プロセスを通じて、産学官の関係者で情報共有、議論をしながら、四十七の宇宙技術ロードマップを策定しているということ。そして、このESAというのが、内部専門家がいるらしく、調整チームが中立的な立場でプロセス全体を調整をするような仕組みまでつくられているそうでございます。

 また、アメリカについても、アメリカ宇宙軍による技術ロードマップが既に策定されておりまして、かなり具体的な議論が進められているということであります。

 翻って、我が国のこの宇宙技術戦略も、諸外国のそれに相当するような明確なビジョン、そして緻密な戦略というものが盛り込まれることを期待したいんですけれども、今、現時点での方針を伺っていきますと、この宇宙技術戦略というのは基本政策部会で議論がされる予定だということなんですが、この基本政策部会の構成員の方々の顔ぶれを見ますと、まあ本当に、大学教授あるいは防衛省のOBの方、あるいは、一部、産業界のコンサルティング会社といったものが見えているんですけれども、あとは宇宙飛行士の方などですね。

 ただ、かなり学識経験者の顔ぶれが多数を占めている状況の中で、先ほど金村委員も最後にちょっと触れられておりましたけれども、最後は研究開発だけじゃなくてビジネス化、事業化していかなきゃいけない、ここまで見据えたときに、戦略策定段階で産業界、経済界のメンバーがちょっと少ないんじゃないかというふうに感じるところがあります。

 ですので、この検討メンバーについて現状で十分だと言えるのかどうか、政府に説明を求めたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 宇宙技術戦略の策定に当たりましては、安全保障、民生分野において横断的に、技術、産業、人材基盤に係る課題について検討しながら、我が国の勝ち筋を見据えて、我が国が開発を進めるべき技術を見極めていくということが重要だと認識をしております。

 現在、委員御指摘のとおり、基本政策部会、そのほか、当然ながら、その上位組織であります宇宙政策委員会、また、その下にございます衛星開発・実証、宇宙輸送、宇宙科学・探査というような各分野の小委員会におきましても、宇宙技術戦略で扱う技術的な技術、その方向性について議論を進めているところでございます。

 当該委員会では、産業界、アカデミアなどの様々な有識者で一応構成されておりまして、それぞれの分野の特性を踏まえた審議ができると考えているところでございます。もしも、不足な点もあるという御指摘もございましたけれども、委員会での議論に加えまして、業界団体でございますとか学術界などのヒアリングも実施しております。このように、多様な御意見を伺いながら、策定に向けた作業を進めているところでございます。

 今後の技術開発の進め方、優先順位をしっかりと検討いたしまして、年度内に宇宙技術戦略を策定してまいりたいというふうに考えてございます。

浅野委員 ヒアリング、参考人で呼んで話を聞き取ったりはしているということなんですけれども、やはり、問題は、決定権を持っていないんですね、その方たちは。参考、聞かれたことに答えるということで、自ら考えることを主張したりだとか、意思決定に関与するという立場がないところが問題だと思っていて、そこについては今後の、これは年内には基本的考え方を整理して、年度内には戦略を策定するということですから、相当急ピッチで今議論が進められていると思いますけれども、なので、この段階でメンバー構成を入れ替えるというのが余り現実的ではないことも承知をしているんですが、是非、運用の中で、こうした経済界、産業界の、あるいはしっかりと現場の技術を熟知している人物の主張を聞き取って、それを意思決定に反映させるようなプロセスというものをしっかり基本政策部会の中で取り入れていただきたいと思うんですけれども、それをしっかりこの場でちょっと確認したいと思うんですが、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 今、産業界、あと学術界などからヒアリングを行っているところでございますけれども、その内容につきましては、ちゃんとその部会や小委員会などの、宇宙政策委員会での議論に十分に伝えた上で今後の検討を進めてまいりたい、十分に反映させていきたいというふうに考えております。

浅野委員 最後の方、ちょっと声がちっちゃくてよく聞き取れなかったんですけれども、とにかく、ちゃんと聞いていきますということですね。うなずいていただきましたので、次の質問に行きたいと思いますが。

 先ほど、答弁の中でも、ちゃんと勝ち筋を見通して戦略を作っていくということなんですが、今、政府ではどんな勝ち筋を思い描いているのか。現状の日本の得意とする分野、まだまだ他国にリードされている分野、あろうかと思いますけれども、どのような勝ち筋が今政府の皆様には見えているのか、その現状認識について伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 勝ち筋という御質問でございましたけれども、世界においては、安全保障、気象予報、情報通信、防災、減災などにおける宇宙利用の拡大、また、アルテミス計画の進展、小型衛星コンステレーションの構築など、官民による宇宙開発が加速しております。まさに宇宙活動を通じた経済、社会の大きな変革が起こっているというふうに認識をしてございます。こうした宇宙活動における熾烈な国際競争の中で我が国の勝ち筋を明確にしていくことは、委員御指摘のとおり、非常に重要でございます。

 現在、内閣府を中心に関係省庁と連携いたしまして、我が国が推進すべき技術とその方向性を示す宇宙技術戦略の策定に向けた検討を進めているというところでございまして、我が国では、例えば、「はやぶさ2」におけるサンプルリターン技術、H2Aを始めとした基幹ロケットの打ち上げの実績を積み上げてきたということもありますし、そのほかにも、スタートアップを始めとした民間事業者における衛星コンステレーション、また、月面輸送、小型ロケット、デブリ除去などの新たな取組が始まってございます。

 こういった日本の強みというものをベースにいたしまして、いかに勝ち筋をつくっていけるかということにつきまして、宇宙政策委員会などによる専門的な意見、また、先ほども申し上げましたけれども、業界団体、学術界などのヒアリングを踏まえまして、しっかりと見極めてまいりたい、その上で技術戦略の策定を進めてまいりたい、こう考えております。

浅野委員 それはそうなんだろうなと思いながら聞いていたんですけれども、ちょっと私が気になったところを申し上げますと、政府の資料にも掲載されているんですが、今後の市場の予測ですね。これを見ると、今、コンステレーション衛星だとかH3ロケット、いわゆる打ち上げ分野、そして人工衛星の分野というところを例示されましたけれども、今後の宇宙市場全体を見たときに、予測がされているのは、人工衛星も打ち上げ技術に関しても全体の本当に一割にも満たないような市場規模しかないんですね。

 これからどんな分野が成長していくかというと、まずは衛星通信機能を用いたコンシューマーサービスですとか、あるいは地上設備、宇宙のインフラを支えるための地上の設備だったり、あるいは宇宙空間での活動を支えるような設備、そしてさらに、通信技術を使った、先ほどコンシューマーサービスと申し上げましたけれども、それによって派生する様々な二次的なサービス産業、こういったところが成長分野としてもう明確に可視化されていますので、そういったところでちゃんと日本が、いいプロダクトを出してそれを売って稼ぐのもいいかもしれませんけれども、ちゃんとプラットフォームを取りに行かなきゃいけない。

 事前のレクの中でも申し上げたんですが、例えば補給機ビジネスですね。宇宙空間で活動する中では必ず、燃料、食料、様々な物資の補給が必要で、単なる打ち上げだけではなくて、衛星軌道上にある様々な拠点に対して補給作業というのをどこよりも円滑にスムーズに最短でできる、安全にできる、こういったような部分で日本というのはまだまだ勝ち筋があるというふうに聞いていますし、また、デブリ対策ですね。デブリを今は大気圏に押し出して大気中で燃やすというビジネスが目指されているわけですが、例えばこれを回収して再利用できるようなところまで技術を持っていければ、これはかなり、ニッチではありますが、非常に資源の少ない時代になる中で、日本がプラットフォームを取れる可能性は十分にあるんじゃないか。

 こういった観点で是非具体的な戦略を策定していただきたいと思いますので、ちょっとよろしくお願いします。

 ちょっと残り時間が短くなってまいりましたので、文科大臣にこの後伺いたいと思います。

 今申し上げたようなやはり具体的な戦略を立てて、その戦略に基づいてこの三千億という基金を使っていくというからには、JAXAの運用能力が非常に問われることになりますが、今私が少し申し上げました、人工衛星とかロケットだとか宇宙探査以外の分野でも、これからの市場では巨大なフロンティアが待っているという中で、JAXAの人たちがそういった分野まで対象に含めて助成事業を行うことは、現状、相当ハードルが高いと思うんですね。目利き力も必要だし、今のJAXAの業務範囲の外側に対しても目利き力を持っていかなきゃいけないという中で、どのように体制を強化していくのか、その考えをお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 今般の基金事業の運営に当たっては、JAXAの体制を、宇宙という特殊な領域における研究マネジメント機構と、競争的研究費制度としての公募事業を運営するための機能の双方を有する組織とする必要があります。

 研究マネジメント機構については、JAXAは、これまでの研究開発の中で専門的知見等を蓄積するとともに、共同研究や技術的援助を通じ民間企業や大学等との関係を構築してきたことから、これらのJAXA職員の知見を活用しながら体制を構築していくことを予定しております。

 公募事業を運営するための機能につきましては、JAXAでの関連する取組の経験を活用しつつ、人員体制を整備することとなるため、他法人の事例を参考にするとともに、専門的な知見を有する外部人材の登用を含め、体制を構築することを予定しております。

 文部科学省として、JAXAの体制強化は重要であると考えており、JAXAの有する知見を活用しつつ、必要となる知見を持つ外部人材の登用を進め、人的資源の拡充を含め、内閣府を始めとする関係府省と連携し、しっかりと対応し、効果的、効率的な運用につなげてまいる所存です。

浅野委員 外部人材も活用しながらということですので、それは是非進めていただきたいというふうに思いますが、もう少し具体的な懸念を申し上げますと、先ほどもありましたように、JAXAの所属している方々の属性を見ますと、七割が技術者なんですね。確かに、大学や他の研究機関との連携を日常的にしていて、幅広い技術、知識を持っているかもしれないんですが、じゃ、それが、研究開発を支援する側の目から見て、いわゆるプロジェクトマネジメントのスキルを持っているかどうかだとか、財務的な視点から実現可能性というのを判断できるかどうかとか、まあ全て一人でやるわけではないんでしょうけれども。

 仏作って魂入れずではなく、これからJAXAには是非とも日本にとって宇宙のフロンティアを更に広げるような活躍をしていただきたいと私も思うんですが、そのためにはやはり、今組織図が手元にありますけれども、この組織体制の抜本的な見直しというものも是非今後検討の範囲に含めて、とにかくこの基金を使ってどれだけ十年後までに成果を出せるかというのが非常に大事な期間になろうかと思いますので、そのくらいのつもりで、JAXAの体質改善、組織改善を含めて大臣には検討していただきたいと思いますが、最後にそれを伺って終わりたいと思います。

盛山国務大臣 おっしゃるとおりでございますので、浅野委員のような御懸念にならないように、しっかりと、抜本的な体制整備も含めて検討を進めてまいります。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 資料一を見ていただきたい。JAXAのウェブサイトにある、宇宙開発事業団沿革というページであります。

 JAXAは、二〇〇三年十月に、この宇宙開発事業団と宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の三機関が統合して、独立行政法人宇宙航空研究開発機構、JAXAとして発足をいたしました。

 ページ冒頭、下線部。「宇宙開発事業団は、宇宙開発事業団法に基づき、わが国の宇宙開発の中枢的実施機関として平和の目的に限り宇宙開発を進め、宇宙の開発および利用の促進に寄与することを目指し、一九六九年十月一日に設立されました。」とあります。宇宙開発事業団法は、一九六九年六月、第六十一回国会で可決、成立いたしました。

 宇宙開発については、資料二につけてありますけれども、そもそも、一九六九年五月九日、衆議院本会議で、わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議が上げられております。この決議は、打ち上げロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉を図り、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、進んで国際協力に資するためにこれを行うものとするというものであります。

 これはまず原点ですから、大臣、間違いないですね。

盛山国務大臣 旧宇宙開発事業団法第一条、「宇宙開発事業団は、平和の目的に限り、」と規定されております。また、同、昭和四十四年の国会で決議された平和利用決議におきましても、そのような、平和の目的に限り行うものというふうにされているということであります。

宮本(岳)委員 なぜこのような決議が上げられることになったのか。実は、この宇宙開発事業団法案第一条の目的規定には、当初、平和の目的に限りという文言は入っていなかったんですね。ところが、審議の過程で軍事転用への懸念と不安が出され、宇宙開発審議会答申ではその目的を平和の目的に限りと明記されていたにもかかわらず、それが入っていないではないかということで、平和の目的に限りという文言を入れた修正案が出されまして、修正可決されたという経緯がございます。

 うなずいておられますけれども、大臣、間違いないですね。

盛山国務大臣 はい、そのように承知しております。

宮本(岳)委員 そして、この修正案の提案趣旨説明では、我が国における宇宙開発は、憲法の趣旨にのっとり、非核、非軍事を趣旨として平和の目的に限ることを明確にする必要があることから、平和の目的に限りという文言が加えられたことが述べられております。

 ノーベル賞の原点である爆薬や、毒ガス、核兵器の例を引くまでもなく、科学研究は、その成果が一たび戦争に使われれば、膨大な人の命が奪われます。ましてや、侵略戦争の反省の上に立った日本国憲法を掲げる我が国であれば、当然の立場だと思います。

 日本の科学者の内外に対する代表機関である日本学術会議は、科学者コミュニティーの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生ずることへの懸念があったことから、一九五〇年に、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない旨の声明を、一九六七年には、軍事目的のための科学研究を行わない声明を出しております。

 ところが、二〇〇八年、宇宙基本法というものを制定いたしました。これは第三条で、宇宙の開発利用は我が国の安全保障に資するよう行われなければならないなどと定めたわけであります。

 そこで、確認しますけれども、資料三は、宇宙基本法案審議の際の衆議院内閣委員会の議事録であります。立法者は、一九六九年の我が衆議院本会議での決議について、「本法案により、平和利用決議を否定したり、これを無効にするようなものではないと考えております。」と明確に答弁しておりますけれども、政府として、今日でもこの答弁を尊重する立場に変わりはないか、大臣に御確認いただきたい。

盛山国務大臣 二〇〇八年五月の衆議院内閣委員会における宇宙基本法案の審議において、御指摘のとおり、国会決議に関しましては、法案提出者より、「憲法の平和主義の理念にのっとりまして、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、決議の文言及びその趣旨に反するものではなく、本法案により、平和利用決議を否定したり、これを無効にするようなものではない」と答弁されたということを承知しております。

宮本(岳)委員 これは今日でも尊重されるんですね、大臣。

盛山国務大臣 そのように考えております。

宮本(岳)委員 この二〇〇八年宇宙基本法の制定を受けて、二〇一二年、政府の宇宙開発戦略本部の専門委員会は、JAXAが防衛分野の研究も手がけられるよう法改正すべきだとの提言をまとめ、二〇一二年の通常国会ではついにJAXA法が改悪され、平和目的に限るとする規定が削除されました。

 法案審議に当たった我が党の吉井英勝議員は、「JAXAの目的規定から「平和の目的に限り、」をなくすと、結局、軍事の価値観で機密が持ち込まれ、学術研究がゆがめられてしまう」と指摘をし、徹底的に反対をいたしました。当時も政府は、そんなことはないという答弁を繰り返しましたが、あれから既に十二年が経過し、私は、吉井議員の指摘どおり、JAXAは軍事研究に取り込まれる結果になってしまっていると思います。

 国立大学法人法案の審議でも指摘しましたけれども、昨年十二月十六日に国家安全保障戦略が閣議決定され、これに基づき、二〇二三年、今年六月十三日、宇宙基本計画が策定されました。宇宙基本計画は資料四につけましたけれども、下線部、「宇宙システムのデュアルユース性を踏まえ、これらの取組を全省庁的に推進する」とし、官民による協力強化が明記されております。

 これはつまり、こうした民間技術を軍事にも転用しようということではありませんか、内閣府。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 ロシアによるウクライナの侵略によりまして、宇宙を経由した通信また宇宙からの画像の情報というものが安全保障の確保に極めて重要であるということが改めて明らかになったというところでございます。

 一方、近年、海外におきましては、民間企業による宇宙ビジネスというものが進展いたしまして、最先端のテクノロジーが官のみならず民からも創出されるようになったということでございまして、宇宙開発の構造は、官主導から官民連携へということで、構造が変わりつつあるところでございます。我が国におきましても、合成開口レーダー、スペースデブリの除去といった、世界に誇れる先端技術を持つ様々なスタートアップが育ってきているというふうに承知しております。

 このような状況を踏まえつつ、宇宙技術のデュアルユース性というものに鑑みれば、我が国として安全保障分野においても先進的な民間宇宙技術を活用するということは可能でございますので、安全保障に資する宇宙システムの早期装備化等の取組の推進を宇宙基本計画に位置づけたというものと認識してございます。

宮本(岳)委員 何かもう一つかみ合わぬ答弁ですけれども、「民間の宇宙技術の防衛への活用」という文言がこの中に書かれていることは事実なんですね。

 宇宙基本計画と同じ日に内閣府宇宙開発戦略本部が策定した宇宙安全保障構想では、民間部門が創出する新たな技術を安全保障分野に迅速に取り込む、政府の宇宙安全保障上のニーズを民間部門に明確に示すことにより、民間投資が促進されるとまで述べております。

 これは、前回の国立大学法人法の質疑でも私が指摘をした、今年八月二十五日の総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議での高市大臣、永岡前文部科学大臣の発言に行き着くわけですね。

 資料五を見ていただきたい。前回は高市大臣の発言を紹介しましたが、今日は永岡前文部科学大臣の発言をつけておきました。

 この会議で永岡大臣は、国研において総合的な防衛体制の強化に向けた研究を継続的かつ効果的に進めていくためには、政府として適切な環境を整えていくことが重要と考えると。それぞれの国研では科学的な意義や様々な政策課題に対応した研究を行ってきており、これもまた科学技術イノベーションの創出を通じた我が国の発展のために不可欠と述べられました。

 十七日の当委員会で、盛山大臣は、この関係閣僚会議について、私に対して、当省としては、このような仕組みを通じて、政府全体の取組に貢献していくつもりですと答弁されました。つまり、国研においては総合的な防衛体制強化に向けた研究を継続的、効果的に進めるということですね、大臣。JAXAは紛れもなくここに言う国研の一つだと思いますが、間違いないですね、大臣。

盛山国務大臣 JAXAにおきましては、宇宙基本法の理念にのっとり、宇宙基本計画に基づいて宇宙安全保障の取組を進めているところであり、それを踏まえて、JAXAと防衛省では、両機関間で結ばれている協定等に基づき、研究協力等を行っております。

 文部科学省としては、JAXAの研究成果が様々な形で社会還元されることは重要であると考えており、JAXAと関係機関や民間企業等との連携協力を促すとともに、宇宙開発の中核機関としての役割の拡充強化に向けた取組を進めていく所存です。

宮本(岳)委員 様々な形で活用していただくといっても、軍事で活用されることは許されないわけですよ。非核、非軍事の趣旨が、まさに最初掲げられたものがなきものにされて、場合によったら軍事にもというところまで来たわけですね。

 資料六を見てください。日本経団連は、宇宙基本計画に先立つ今年三月十四日、宇宙基本計画に向けた提言を策定し、その中で、安全保障分野におけるJAXAの機能を強化すべきなどと政府に求めるばかりか、JAXAの体制、機能の強化については、政府が資金を拠出することでJAXAに基金等の仕組みを整備し、企業の研究開発を直接支援する仕組みの構築が必要とまで述べております。

 文科大臣、今回のこの法改正は、この経団連の指図を受けてのものでございますか。

盛山国務大臣 そういうような提言が出たのでしょうけれども、その指図を受けてということではありません。

 もう一言述べさせていただきますと、この基金の事業は、宇宙関連市場の拡大等を目標に、民間事業等につながる技術の研究開発を支援するものですが、宇宙技術のデュアルユース性に鑑みれば、成果となる技術が共通基盤的に安全保障にも貢献し得るテーマの設定もあり得ると考えております。

 具体的な支援のテーマについては、今後、内閣府の下で策定する宇宙技術戦略を踏まえ、検討していくこととなりますが、宇宙技術戦略の策定に向けては、世界の技術開発トレンド等を踏まえ、安全保障、民生分野、横断的に、我が国が開発を進めるべき技術を見極める予定でございます。

 ということでございまして、安全保障にも貢献し得るテーマはあり得ると考えておりますが、安全保障それ自体を目的としているというものではございません。

宮本(岳)委員 幾ら盛山大臣が否定されましても、経団連の指摘を踏まえて進めてきたと、これは高市大臣はあけすけに語っております。

 資料七を見ていただきたい。七月二十七日付の経団連タイムスであります。

 この紙上で、高市大臣は、経団連の宇宙基本計画に向けた提言も踏まえ、政府は六月十三日、宇宙開発戦略本部において宇宙安全保障構想を決定するとともに、三年ぶりに宇宙基本計画を改定し、閣議決定した、高市大臣ははっきりそう答えているんですね。

 これは事実ですね、内閣府。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 この資料にございますとおり、経団連の宇宙基本計画に向けた提言も踏まえまして宇宙基本計画を改定したということでございまして、そのままということではございません。その内容を十分にしんしゃくした上で改定したというものでございます。

宮本(岳)委員 いや、受け止めて、そしてそういう方向を取ったわけですよ。

 経団連の防衛産業支援を求める声と国家安全保障政策は軌を一にしております。そして、今や、その道に、国立研究機関はもちろん、アカデミア、国立大学まで動員するための関係閣僚会議まで動き始め、盛山大臣は国会で、政府全体の取組に貢献していくつもりと答弁しております。

 しかし、政府、防衛省がニーズを示し、デュアルユースの名で国研や大学に軍事研究をさせるようなやり方は、逆に学問研究の発展を阻害するものであるということを厳しく指摘をして、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党・無所属の柚木道義です。

 会派を代表し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論いたします。

 国際的に宇宙分野への投資が加速し、宇宙開発競争が激化する中、日本の技術力の革新と底上げが急務であり、宇宙開発能力を維持強化するための先端的研究開発の推進や、民間企業や大学等が複数年度にわたる予見可能性を持って研究開発に取り組むための仕組みづくり自体は必要であると考えます。

 立憲民主党としても、航空宇宙分野に関しては、国家プロジェクトとして推進することで次世代の産業インフラを世界に先駆けて実装し、民間のイノベーションを促進することが必要不可欠であり、ベンチャー企業を始めとした民間事業者の宇宙ビジネスへの参入を促進すべきという点では、政府と認識を一にしています。

 しかし、とりわけ、本日も議論になりました、緊要性が要件である補正予算において、中長期的視座の下で今すぐ使うわけではない複数年度分の基金を新たに創設するというのは、財政法二十九条の趣旨と整合性が取れません。デフレ完全脱却のための総合経済対策と名づけられた経済対策ですが、補正予算全体では、基金への積み増し、造成に約四兆三千億円が充てられており、政府の基本姿勢としても問題があるのではないかと考えます。加えて、この新たな基金の運用面についても現時点で明確な説明がなく、管理費については詳細が不明なものであり、体制や使い道もはっきりいたしません。

 さらに、H3ロケットの打ち上げ失敗も起きており、JAXAの能力や業務量の観点からも、更に新しい業務をJAXAに担わせることが適当かについても、むしろ本来業務を逼迫させてしまうのではないかなどの懸念がございます。

 以上のことから、本法案には反対といたしまして、私の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法一部改正案への反対の討論を行います。

 本法案は、JAXAの業務として、宇宙科学技術に関する先端的な研究開発の成果を活用し、宇宙空間を利用した事業を行おうとする民間事業者、当該民間事業者と共同研究開発を行う大学や研究機関が実施する先端的な研究開発に対して、必要な資金を充てるための助成金の交付に関する業務を追加するとともに、最終的には一兆円規模の基金を設けようとするものです。

 そもそも、宇宙開発について、一九六九年五月九日の衆議院本会議で、わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議が上げられ、この中で、平和の目的に限ることとされていました。ところが、二〇〇八年に制定した宇宙基本法で、我が国の安全保障に資するよう行わなければならないとされ、二〇一二年にはJAXA法が改悪され、機構の目的から平和の目的に限りという文言が削除され、衆議院決議の解釈がゆがめられました。

 こうした下で、国家安全保障戦略及びそれに基づく宇宙基本計画の中で、民間の宇宙技術を防衛のために活用し、宇宙産業を発展、促進することが目指されるとともに、宇宙安全保障構想では、「政府が安全保障上重要な技術開発を行う企業を支援する協力形態を拡大し、民間イノベーションも含めた民間主導の開発を促していく。」と述べています。

 つまり、本法案における基金による民間支援は、民間の宇宙技術の防衛への活用という政府の宇宙安全保障政策と軌を一にするものであり、その支援をJAXAに担わせようとするもので、到底賛成できません。

 政府、防衛省がニーズを示し、デュアルユースの名で軍事研究をさせるやり方は、憲法の平和主義とは相入れない上に、学問、研究の発展を阻害するものです。衆議院本会議決議の原点に立ち返り、非軍事の下で、研究者が自由に研究できる環境の整備、支援こそが重要であることを指摘し、討論を終わります。

田野瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山田賢司君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行です。

 私は、提出会派である自由民主党・無所属の会、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、そして立憲民主党・無所属を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 国際的な宇宙開発競争環境が厳しくなる中、我が国における宇宙分野の研究開発能力・技術力の強化を図るため、当該研究開発に対する更なる支援策を講ずるとともに、研究開発の基礎となる優れた人材の育成・確保のために必要な施策を講ずること。

 二 今般新たに創設される基金については、多額の国費を中心とした複数年度にわたる支援であることを踏まえ、その助成対象となる民間事業者等の選定に当たっては、公正かつ厳正な審査体制を整備するとともに、審査に当たる組織、審査基準等を公表するなど、透明性の確保に努めること。

 三 補正予算において基金の造成・積み増しを行う際には、緊要性の要件を満たした上で、目標や終了時期、管理費など基金運営の詳細を明示することとし、残高が過剰となった場合には余剰分について国庫に返納すること。

 四 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構においては、創設される基金が国民負担によって造成されていることを踏まえ、基金におけるランニングコストの削減に努め、当該基金の適切な管理及び有効活用による成果の最大化を図ること。

 五 機構に基金による助成業務を新たに追加するに当たっては、これまでの業務に支障をきたすことなく新たな業務が円滑に運用されるよう、その人員・予算等について十分な支援策を講ずること。

以上であります。

 何とぞ御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。盛山文部科学大臣。

盛山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 法務委員会において審査中の柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案について、法務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、法務委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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