第2号 令和7年3月12日(水曜日)
令和七年三月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中村 裕之君
理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君
理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君
理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君
理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君
五十嵐 清君 遠藤 利明君
小渕 優子君 黄川田仁志君
岸 信千世君 木原 稔君
国定 勇人君 柴山 昌彦君
鈴木 英敬君 鈴木 貴子君
渡海紀三朗君 中西 健治君
西野 太亮君 萩生田光一君
船田 元君 松野 博一君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
簗 和生君 山本 大地君
阿部祐美子君 安藤じゅん子君
五十嵐えり君 小山 千帆君
佐々木ナオミ君 高橋 永君
竹内 千春君 辻 英之君
波多野 翼君 眞野 哲君
吉川 元君 うるま譲司君
前原 誠司君 美延 映夫君
西岡 義高君 浮島 智子君
金城 泰邦君 大石あきこ君
…………………………………
文部科学大臣 あべ 俊子君
財務副大臣 斎藤 洋明君
文部科学副大臣 武部 新君
文部科学副大臣 野中 厚君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(財務省主計局次長) 中山 光輝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伊藤 学司君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 浅野 敦行君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 井上 諭一君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 渡辺その子君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 寺門 成真君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 哲雄君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
―――――――――――――
委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 宮内 秀樹君
小渕 優子君 国定 勇人君
鈴木 貴子君 五十嵐 清君
萩生田光一君 鈴木 英敬君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 西野 太亮君
国定 勇人君 小渕 優子君
鈴木 英敬君 萩生田光一君
宮内 秀樹君 黄川田仁志君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 中西 健治君
西野 太亮君 岸 信千世君
同日
辞任 補欠選任
岸 信千世君 鈴木 貴子君
中西 健治君 遠藤 利明君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○中村委員長 これより会議を開きます。
文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長中山光輝君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官日向信和君、総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長伊藤学司君、高等教育局私学部長浅野敦行君、科学技術・学術政策局長井上諭一君、国際統括官渡辺その子君、スポーツ庁次長寺門成真君、文化庁次長合田哲雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
文部科学委員会では初めての質問になりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速質問に移ります。
まず初めの質問ですが、大臣所信、最初の「はじめに(総論)」のところ、五行で楽しい日本という言葉が二回出てまいりました。石破政権のスローガンですから、全省庁に影響してこの言葉が使われるのは当然といえば当然なんですけれども、教育現場で使われる言葉、実現を目指す目標としては違和感があります。例えば、学校の教室で新一年生に、楽しい日本にするために皆さん一生懸命勉強しましょうと言うのはどうなのかなとちょっと思いまして。
大臣の教育現場に対する思い、何か格言とか、四字熟語とか、スローガンと、あと、その心についてお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○あべ国務大臣 亀井委員にお答えさせていただきます。
楽しい日本。楽しいは、私は子供たちの力を一番引き出すんだと実は信じています。子供たちは、それぞれ自分の興味、また様々な関心がある中で、自分たちの本当に好きなことが引き出せているんだろうかということは、実は私はいろいろな場面で思うところです。
亀井委員も、音楽が好き、スキーが好き、またピアノが好きということでございますが、多分それをしていらっしゃるときはとっても楽しいんだと思います。そうすると次の何かをするときのエネルギーが出てくるということもあるんだというふうに思っています。
まず、楽しい日本、誰もが安心と安全、それがないとやはり楽しい日本はできませんから、それが前提で、自らの夢に挑戦できる、また、多様な価値観、みんなそれぞれ価値観がありますが、一人一人がお互いを尊重し合いながら自己実現を図っていける、そうした活力のある国家だと私は信じています。
教育は人をつくり、また夢をつくり、豊かな未来をつくるものでありまして、その充実を図ることがこの楽しい日本の実現につながるのではないかと信じているところでございます。
私自身は、教育は本当に、先ほど申し上げた、一人一人が持っている可能性を最大限に引き出す、誰一人取り残さない、その子の得意なことをしっかりと伸ばせる、そういう社会の実現を目指して取り組むべきだというふうに思っておりまして、あらゆる人が最適な教育を受けることができるよう、その可能性を最大限に引き出すことができる公教育の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
以上です。
○亀井委員 ありがとうございました。石破政権の文科大臣らしいなと感じました。
次の質問なんですけれども、私が今回文部科学委員会に来た理由というのは二つありまして、一つは、教職員の現場のいわゆる労働環境が非常に過酷で問題があると指摘されていること。もう一つは、私の地元、島根県の丸山知事が、義務教育が崩壊しているので何とかしろ、学習指導要領を改正してほしいと強く要望しているからであります。
それで今回、参考資料、配付資料をお配りしましたのは、初めの二枚は県の要望書から拾ってまいりました。ただ子供の社会生活に必要な基礎的な学力が下がっていると言ってもちょっと伝わりにくいということで、県の要望書に具体的に例がついておりますので、ちょっと時間を使いますけれども読みます。
これは二問とも小学校六年生に対する問題、算数です。最初は、これは令和五年度に実施されたもので、椅子四脚の重さを量ると七キログラムでした、この椅子四十八脚の重さは何キログラムですか。この質問、正答率が全国平均で五五・五%、島根県は四八・七%、二人に一人が答えられない。
今度は、令和六年度実施の学力調査ですね、六年生用。ゆうまさんは折り紙を七十二枚持っています、ゆうまさんが持っている折り紙はこはるさんが持っている折り紙より二十八枚少ないです、こはるさんが持っている折り紙の枚数を求める式を下のアからエまでの中から一つ選んでその記号を書きましょう。この正答率、全国平均が六二・一%、島根県は六〇・〇%、これはかなり深刻な状況じゃないでしょうか。義務教育が崩壊していると我が県の知事が騒ぐこと、理由、私も理解できます。
その原因として指摘されていることが、今まで学習指導要領が改訂されるたびに新たに新たな科目や身につけさせたい力などが盛り込まれて、それに対して学習時間は変わっていないので、ゆとり教育の反動でこれはふとり教育とも言われているらしいんですけれども、余りにも内容を詰め込み過ぎじゃないだろうかと言われております。
今日配付した資料の二枚目には、一例として、英語の単語、語彙の、英語教科書で扱う語数がどのように増えてきたかということが書かれております。これを見ましても、私たちが育った頃はそもそも小学校に英語はなかったわけですけれども、それが小学校で導入され、どんどん全体として学習する語彙が増えている。
先ほどの特に二番目の問題がみんな解けないというのは、これは計算ができないというより、もしかしたら問題の意味が分からないのかなという気もしまして、だとしたら国語力だと思うんですけれども、この現状について、大臣はどのように受け止められますか。また、学習指導要領、内容を縮減する必要があるのではないでしょうか。お伺いいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
いわゆる解答率が低いという問題に関しては、実は私はエデュケーションの方の授業も学生時代に取っておりましたが、やはり、解答率が低いときは教え方の問題なのか質問の問題なのかということをちゃんと精査すべきということは実は聞いているところでございます。
ただ、先ほど委員がおっしゃったように、問題の意味が分からないのではないかという国語力、実はかなり大きな問題でございまして、今、CBT、コンピューターベースドの中では、その子は算数が分からないのか国語が分からないのかということが分かるツールも実はございます。
ですから、国語力をしっかりしていかないと、いわゆる問題の意味が分からなければ答えられないということは実は大変大きな問題でございまして、そこも含めて、指導要領の見直しも含めた形で、総合的に私どもは公教育の対策をしていかなければいけないんだと思っています。
特に、学習指導要領に関しましては、総授業時間数でございますが、まずは現在以上に増やさない、これを前提としながら、また、学習指導要領の解説、教科書、入試の影響、先生方の指導書も踏まえた上で、授業づくりの実態を全体として捉えていかなければいけない。
学校の先生方は真面目ですから、何かこう、教えなきゃいけないと思うと一生懸命教えるんですが、そのときは、子供たちがついていけようがどうだろうが、とにかく自分の教えなきゃいけないことを教えているということもあって、過度な負担とか負担感が生じない在り方の検討をお願いしているところでございまして。
これからの、今後の教育課程の在り方につきましては、御指摘の点も含めまして、子供たちの学習状況、また、これからの社会を生きていく子供たちに求められる資質と能力の在り方は一体何なんだろうかということも含めた総合的な考慮をした上で、また、全体としての教育の質の向上につながるよう、今、中教審での議論を通じて、丁寧な検討を行ってまいりたいと思いますので、亀井委員の御意見などもしっかり聞かせていただきながら、委員は特に英語はお得意のフリーランスの通訳の方でいらっしゃるので、先生が教えると多分もっと楽しい授業になるんじゃないかと思いますが、いずれにしても、しっかりと御意見を聞かせていただきながら検討してまいりますので、よろしくお願いします。
○亀井委員 今以上に増やさないではなくて、やはり今もう過密なので、それが問題になっておりまして、これから学習指導要領の改訂に入るわけですから、まだ決まっていないので、そこに意見を反映していただきたいと県からも強い要望が来ておりまして、ごもっともだと思いますので、是非大臣にも努力していただきたく、お願いをいたします。
国語力がやはり基本だと思うので、母国語あっての英語なので、母国語が先に身についていないと英語も身につかないと思いますので、もう一回その基本に立ち返ることが大事ではないかなと思います。
次に、デジタル教科書について質問をいたします。
このデジタル教科書も私はちょっと疑問に思っていまして、特に小学校で使うことに効果があるのだろうかと。小学校というのは、常用漢字を覚えたり、ただひたすら暗記しなければいけない課程なので、デジタル教科書がどういう使い方をされているのか詳しくは知りませんけれども、ただ見て覚えられるものじゃないですよね、反復が必要。
そこで、スウェーデンの例なんですけれども、IT先進国スウェーデンの初等教育において、デジタル教科書から紙と鉛筆に戻す動きが始まっているそうです。その原因は、長時間デジタル機器を見続けることによる子供の眼精疲労や視力の低下、学力の低下ということだそうです。
今、日本は、GIGAスクール構想を着実に推進と大臣所信にもあるわけですけれども、先駆けて取り組んだスウェーデンの事例が出てきましたので、それも参考にしながら、余り周回遅れの推進にならないようにしていただきたいなと思うんですけれども、大臣の所見を伺います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
特にデジタル教科書といったときに、実は一つじゃなくて、御存じだと思いますが、かなり優れたものから、非常にプリミティブ、非常に簡単なものまであって、どの段階のものをデジタル教科書というかというのは大変難しいところだと私は思っております。
ただ、今、文科省の定義としては、デジタル教科書を一つ定義されているところでございますが、そうした中でGIGAスクール構想を進めていく上での、そのスウェーデンの事例も注視する必要が私はあるんだと思っておりまして。
一方で、我が国の調査をしますと、発表、表現する場面でICTを使いながら課題解決に取り組む学習活動を行っている学校の児童生徒、実はここは、各教科の正解率、正答率が高いということがあって、私も教育の現場に幾つか行かせていただいたんですが、これはすごいという、いわゆるインターアクティブな、本人のいわゆる能力に合わせたものもある中で、いろいろなものがありますので一概に言えないなというのと、また、一人一台端末、デジタル教科書を併用した学習と、紙の教科書のいわゆるワークシートの学習を比較した結果で、実は、記憶のテスト、理解テストも結果は実は同様というものもあって、教科書だけじゃない、いろいろな因子もあるので、なかなかこれは一概に言うことが難しいと思うんですが。
ICTの活用で、実は、不登校、学校は行けないんだけれども、オンラインでだったら受けられるという子もいたりして、そうするとデジタル教科書はかなり使えたりとか、また、病気で療養中の児童生徒、特別な支援を要する子供たちの学びの保障に実はすごく寄与しているんです。
そうした中で、授業での端末使用の効果について確認をしていくとともに、ICT教育、これを推進する諸外国の状況も踏まえながら、GIGAスクール全体の構想を着実に進めてまいりたいと思います。
○亀井委員 デジタルを別に否定しているわけじゃないんですけれども。ただ、例えば、私たちタブレットで育っていない世代がパソコンばかり今使って余り字を書かないと、時々漢字を忘れることがありますよね。ですから、私たちでさえそうなのに、最初から書いて覚えていない子供たちが、じゃ、字を書けるようになるかというと、疑問なわけです。
なので、やはり使い方が大事で、小学校の常用漢字を覚えているようなとき、あるいは、英語を初めて触れて、英単語を覚えなきゃいけないときというのは、やはり伝統的な書いて覚えるというやり方の方が身になるでしょうし、それから、確かに、デジタル機器ばかり子供のときから見過ぎると視力が落ちるというのも間違いないだろうと思いますので、間違った進め方をしないようにお願いをしたいと思います。
そして、次の質問ですけれども、やはりデジタル教科書で、今度、高校生になると、この間、高一の生徒にも言われたんですが、中学まではタブレットが貸与だったのに、高校になったら、一人一台端末で、いきなり買ってくださいと言われたというんですね。今、高校授業料無償化を一生懸命やっている中で、授業料以外にかかるコストというのが増えている、ばかにならないという指摘がありまして、私もなるほどと思ったんですけれども、このような指摘について、つまり、デジタル教育に予算を使うとしたら、補助するとしたら、むしろ高等教育の方じゃないかなと私は感じるんですけれども、大臣の御意見を伺います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
高校においても、一人一台端末を始めとして、ICT環境を整えることが重要だというふうに思っております。
また、国としては、高校の学習用の端末を含む学校のICT環境整備計画を始め、所要の地方財政措置を講じているところでございまして、端末整備の方法は設置者ごとに様々なのでございますが、原則保護者負担としている都道府県におきましても、地方財政措置も踏まえ、低所得者世帯に対しては貸与、実はまた購入の補助とか支援を行っているところでございまして、DXハイスクールの事業を実施している中にあって、高校段階におけるデジタル人材育成の抜本強化も含めた全体の環境整備がまさに重要だと思いますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
○亀井委員 低所得者世帯だけじゃなくて、やはり一般の家庭でも、この間まで学校で貸与だったものが、いきなり、はい、一台買ってくださいと言われると負担なわけでして、そのことを指摘されていますので、是非高等教育の方こそデジタル教育の方に少し力を入れていただきたい、私はそのように思います。
では、次の質問に移ります。
これもコスト、授業料のことなんですけれども、今、大学の授業料、学費の値上げが始まっています。東京大学が値上げを決めました。一方で、多くの学生が何らかの奨学金を利用しています。国立大学の場合、約五人に二人、私立では二人に一人、これは日本学生支援機構、令和二年度の調査ですけれども、それだけの学生が、給付型奨学金、貸与型奨学金など、何らかの奨学金を利用しております。
ですので、学費の値上げに対して学生が反対の活動などもしているわけですけれども、この背景には、一つは少子化であるということ、それから、もっと大きな理由として、大学が法人化されて、そして運営費交付金がだんだん減らされてきていることがあると思います。
ただ、私は、公教育というのは、やはり学費はなるべく抑えるべきだと思っておりまして、教育の機会の平等という意味でも。それで、海外の事例を調べてみました。というのは、私はカナダに留学していたんですね。当時から留学生の学費が少なくともカナダ人の倍であったことは記憶していたので、今どうなっているだろうかと思って、G7の各国の状況を調べました。それが今日の三枚目の資料です。
カナダ、驚きましたね。自国の学生が六千五百十カナダ・ドル、約七十万円。それが留学生だと三万五千四百七十九ドル、三百八十三万円。私、今だったらカナダへ留学できないと思いました。当時は倍ぐらいだったように記憶をしているんですけれども、この五倍以上というのはすごいなと思いまして。ただ、ほかの国も見てください。自国と同じ授業料というのはイタリアと日本ぐらいでして、あとはかなり取っていますよね。アメリカだって、自国学生百五十二万、留学生四百四十一万ですよね。
ですので、私が申し上げたいことは、日本に留学してくる富裕層の留学生から取っても構わないではないだろうかと。授業料を上げても、余裕のある人は日本に留学生としてやってきますし、今また円安ですからね、日本の授業料はかなり安いはずです。
先日、ゴールデンウィークのときに、中国人の人がたくさん日本に観光にやってきて、東大の門の前で記念撮影をして、それは単なる観光なのかと思ったら、そのインタビューによると、東大の入学を考えているというようなことでしたけれども、将来、富裕層の中国人を始め、海外の人がたくさん東大に入学する一方で、日本人はお金がないから東大に入学できないというようなことがないように、やはり私は、授業料、留学生に対して見直ししてもいいのではないかと思いますけれども、大臣の御所見を伺います。
○あべ国務大臣 資料を見させていただきました。
まさに、実は、外国人に対して違う授業料を課しているところが多いのも私は存じ上げておりますし、私が留学中も金額は違っておりました。
そうした中にあって、実は、国立大学の授業料に関しましては、昨年の四月に制度改正を行いまして、外国人留学生の授業料に関し、受入れ環境の整備その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、各国立大学の判断によって自由に授業料を設定できるようにしたところなんです。
この制度を是非各大学に使っていただいて、留学受入れの質向上を図りつつ、大学の国際通用性や、また競争力の向上に取り組んでいただきたいというふうに考えているところであります。
○亀井委員 各国の事例を御紹介しましたので、決して留学生に対して授業料を高く設定するのは差別ではないと思いますので、各国の例を参考に、この事実を大学に周知してあげてください。大学が決められるのであれば、これは一つの解決策というか、やはり案だと思いますので、是非周知をお願いいたします。
それでは、最後の質問に移ります。
これは生成AIについてなんですけれども、生成AIに対して法整備が追いついていない、そういう指摘が上がってきております。
大臣所信には、生成AIの研究開発や次世代AI人材育成を強化とある一方で、コンテンツ産業を我が国の基幹産業とし、次代を担うクリエーターを、経済産業省と連携し、基金を活用して育成するとも書いてあります。
でも、実際には、クリエーター、絵師ですね、アニメーターがネット上に公開した絵柄を生成AIが無断で学習し、AIユーザーがその絵柄を好き勝手に使うことによる著作権侵害について法整備を求める声が上がり、クリエーターの死活問題になっております。
聞くところによりますと、文化庁のパブリックコメントに二万四千九百三十八通の意見が寄せられたと聞いております。
つまり、今、例えば、漫画などを勝手に転載したら著作権違反ですけれども、それを一回、ネット上にある漫画、イラストなどを無断で開発業者が生成AIに学ばせて、それをAI利用者が使って元の絵を、ちょっと例えば持ち物を替えてみたり、ちょっと加工して使うことについて、何の制約もない、罰することができず、このことによってクリエーターが廃業していくということが実際に起きているそうなんですけれども、こうした生成AIの使われ方というか開発の仕方について、例えば無断収集を規制するなど何らかの法整備が必要だと思いますけれども、大臣の御意見を伺います。
○あべ国務大臣 お答えさせていただきます。
文部科学省におきましては、まさにクリエーター等の権利者の懸念の声、これは私どもいただいているところでございまして、委員御指摘のパブコメで寄せられた御意見を踏まえて、実は、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方を取りまとめました。
この考え方について、セミナーを通じまして周知啓発に努めていきながら、文化庁の文化芸術活動に関する法律相談窓口というのがございまして、ここを通じて著作権侵害に関する事例を今集積を行っているところでございまして、まず、この周知啓発、事例の蓄積、AIやこれに関する技術の発展と諸外国の検討状況の進展を踏まえながら、必要に応じた検討を続けていく予定でございますので、これからもまた御指導をお願いします。
○亀井委員 参考人の方も何かありますか。時間内でお願いします。
○合田政府参考人 大変恐縮でございます。お答え申し上げます。
今大臣から答弁を申し上げたとおりでございますが、先ほど亀井先生からお話しいただいた件、AIを使って利用者が生成利用した場合におきましても、これは通常の表現と同じでございまして、そこに類似性と依拠性が認められる場合には著作権侵害になるということは、この考え方でもお示ししております。
また、先ほどお話がございましたように、この考え方におきましては、生成の学習に著作物を利用するもののうち、意図的に、学習データに含まれる著作物の創作的表現の全部又は一部を出力されることを目的とした追加的な学習など、この三十条の四項の要件を満たさず、著作権者の許諾が必要になる、許諾を取っていない場合は著作権侵害になるという考え方も例示をしているところでございます。
我々、こういう考え方をしっかりと共有しながら、著作権の保護に努めてまいりたいと存じております。
○亀井委員 ありがとうございます。
弁護士に問い合わせると、なかなか対応した法律がないというような回答が返ってくるようでして、是非、文化庁の方でも対応と、あと周知徹底をよろしくお願いいたします。
では、時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、五十嵐えり君。
○五十嵐(え)委員 昨年の十月に初当選をさせていただきました五十嵐えりと申します。私も、文部科学委員会で初めて大臣にお伺いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
先日、三月七日の大臣所信で、大臣はこうおっしゃいました。発達障害など、多様な背景、困難を有する当事者の声を聞き、かけがえのない一人一人が安心、安全に学ぶことのできる学びの場を提供しますと。本当にそうだと思います。このことに関して、本日、質問させていただきたいと思います。
所信にもありましたように、発達障害など、多様な背景を持つ学びの子たちが、現状、理事長の専断的、独裁的な行為によって非常に脅かされている現実がございます。このことについてどう対応していくかについて、大臣と議論させていただきたいと思います。
どういうことかと申し上げますと、武蔵野東学園という私立学校法人についてで、武蔵野東学園というのは東京都武蔵野市に本部を置いております学校法人で、二つの幼稚園と小中学校、高等専修学校を持っています。この学校の特徴なんですけれども、健常児と自閉症児が共に学ぶ混合教育ということで非常に有名な学校でございまして、この学校に通いたいということで武蔵野市に移り住んでいる保護者、御家族の方もたくさんいるという大変有名な学校でございます。
創設者でいらっしゃいます北原キヨ先生が、自閉症児であろうが健常児であろうが、友愛の心を育成するために、共に学ぶことで、混合教育ということで成長するという大変すばらしい理念を持った学校でございまして、国内のみならず国外、海外からも教育的価値のある学校として視察に訪れているという、本当に武蔵野市にとっても誇りのある学校でございます。
この学校で大変今問題が起きております。何が起きているかといいますと、実は、昨年の一月二十五日、週刊文春でこのように報じ、タイトルが「有名学園を手中に ハズキルーペ会長 絶叫音声「批判は控えろ」」という記事が出ているんですけれども、そこでこういうふうに始まるんです。彼はまるで企業買収のように学校を乗っ取ろうとしているのです、こう打ち明けるのは武蔵野東学園に子供を通わせる保護者の一人ですということで、こういった見出しで始まっているんですね。
この文春の報道を皮切りに、文春報道がその後続きまして、タイトルを読めばどういうことが起きているか分かってもらえると思うので、ちょっと読み上げます。
一月二十二日の文春報道で、「「ハズキルーペ」会長が創立六十周年「有名学園」で起こした深刻トラブル「本人は「理事長になる」保護者は「学校を乗っ取られる」と訴え…」」。
二四年の一月二十七日の文春、「「君のお陰で俺は恥をかかされた!」「文句あるなら辞めたら」ハズキルーペ会長が女子生徒を怒鳴りつけた「狂乱の会議」一部始終「女子生徒らはすすり泣き……」」。
昨年の、二四年の二月四日の文春記事のタイトルですね。「「文句を言ってくるバカな母親」「安倍さんの個人最大のスポンサーは私」ハズキルーペ会長が保護者説明会でも大放言「拍手を要求、「自身の妻を評議員に入れる」と…」」。
二四年の二月二十八日、「ハズキルーペ会長が「一カ月前倒し」新理事長就任で「武蔵野東学園」が大混乱「校長は「不登校」、先生たちは「魂が抜けちゃった感じ」」 学園の元理事は「企業経営と学校経営は違う」と喝破する」。
二四年の四月十七日の文春、「「ハズキルーペ会長が「新理事長」」武蔵野東学園 「知的障害者向けグループホーム」の廃止「強行」に東京都福祉局が「待った!」 教職員には「学園創立者の名前は使用するな」との通達が…」。
ちょっとたくさん、まだあるんですけれども、時間がもったいないので、ここで文春の記事は終わりますけれども、今日資料でもお配りさせていただいていますけれども、今年に入ってからは、毎日新聞や朝日新聞などでも報道されています。
今年に入ってからの記事、ちょっとタイトルを読ませていただきますと、二五年の二月五日朝日新聞「理事長を告訴 退学処分に」、二五年の二月五日、同じく今日お配りをさせていただいております、「理事長告訴生徒 退学処分を撤回」、二五年の二月二十一日朝日新聞「小学校教室に防犯カメラ」などなど、ちょっと昨年の一月、二月頃から、こういった文春報道及び報道がすごく立て続けに続いている学校でございます。
もう本当に、このたった一年でいろいろなことが起き過ぎて、保護者の方や生徒さんたちも本当にいろいろなところに助けを求めていて、東京都や、それこそ文科省や、いろいろなところに本当に助けを求めているんですけれども、一年たった今も、こうして先日、大学進学が決まっていた専修学校の女子生徒に対して謝罪文を強要していまして、それで、告訴されたことに対して卒業直前に卒業を取り消すということで、もう大学に行けなくなるんじゃないかみたいな感じでこの今年の記事は出ているんですけれども、こういった問題が本当に非常に噴出をしております。
ちょっとたくさん問題がありまして、直近も、保護者に対して損害賠償のお知らせとかいって、要するに、保護者の方や生徒さんたちがSNSでこの学校がこういう現状ですといったことを投稿することに対して、昨年の十二月十八日に保護者にこういう通知を出しているんですね。学園は、理事長、学園関係者に関するXなどSNSでの投稿禁止、投稿したら必ず身元を特定して必ず法的措置を取りますといったような通知を出したりとか、本当に保護者の方たちが困っている現状に対して、学園から、学校のことを外に言ったら法的措置を取りますといったような措置も保護者の方たちに通知をしていて、本当に子供たちも苦しめられていて、保護者の方も本当にたくさんの方が悩まれていて、六十年、すばらしい学校として続いてきたのにこの一年で大きく変わってしまったということで、本当に今、困っている現状があります。
そこで、大臣にお伺いしたいと思います。
大臣は、武蔵野東学園のこういった事態を把握されていますか、そしてどのように、御見解をお伺いしたいと思います。
○あべ国務大臣 御指摘の、いわゆる武蔵野東学園が設置する高等専修学校におきまして生徒が退学処分になり、それが取り消された件に関しまして、新聞や週刊誌で報道がされていることは承知をしているところでございまして、また、文科省の担当課にも保護者と名のる方から相談の電話が、受けているということは聞いているところでございます。
○五十嵐(え)委員 ありがとうございます。
聞いているところと御報告が上がっているということをお伺いしたんですけれども、こういった状況に関して大臣はどう思われるかについての御見解も是非伺いたいと思います。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
今ほど大臣が申しましたように、保護者と名のる方から電話等を受けております。その際には、所轄庁である東京都に対しまして、文科省としてその都度、情報提供をしてきたところでございます。
また、高等専修学校における生徒の退学処分の事案につきましては、東京都から経緯等について文科省として報告を受けている状況でございます。
本件につきましては、引き続き、東京都において所轄庁としてまずは適切に対応されるものと承知しております。
文科省といたしましても、必要に応じて必要な指導助言を今後とも行ってまいりたいと思います。
○五十嵐(え)委員 本当にちょっと想像を絶するような事態が起きておりまして、是非大臣からも御見解を伺いたかったんですけれども、いいですか、お伺いさせてもらっても、認識。
○あべ国務大臣 まだ、いわゆる必要があるかどうかも含めて、指導助言を行っていくところでございますが、まず、東京都において、いわゆる所管庁として適切に対応がされるものと承知しているところでございまして、その後、文部科学省としても、必要があれば指導助言を行ってまいりたいという段階でございます。
○五十嵐(え)委員 所轄庁は東京都というのはそのとおりだと思いますけれども、先ほど東京都と情報交換というお話がありましたけれども、もう少し具体的に、多分、東京都は、所轄庁でありながら、私立学校法に基づく、例えば私立学校法は、所轄庁は、必要な限度において、その学校法人に対して、その業務に関し報告をさせ、立入調査できるなどという規定があるんですけれども、こういった措置を東京都が取ったか、及び、私立学校法六十条、措置命令で、その学校法人が、運営が著しく適正を欠くと認めるときは、学校法人に対して、運営の改善その他必要な措置を取るべきことを命ずることができるといった規定があるんですけれども、東京都がこういった措置を取っているかについて教えてください。
○浅野政府参考人 委員御指摘の武蔵野東学園の所轄庁は東京都でございます。東京都において、この学園に対して私立学校法に基づく報告及び検査や措置命令を行うか否かについて判断するということになります。
東京都におきましては、この学園に対して必要な指導助言等を現在行っており、現時点では、私立学校法に基づく報告、検査、措置命令を行う状況ではないと考えているとのことでございます。
○五十嵐(え)委員 私も実は、一年前、都議会議員をしておりまして、理事長になったときからおかしなことが起き始めていたので、東京都に対しては、やはり何らかの措置命令等々、必要な措置を取ってほしいということは実はずっと言っていたんですけれども、結局、一年たって、今の御答弁にありましたように、所轄庁である東京都は私立学校法に基づいてはやっていないと。
この私立学校法の措置命令、私は、やはりこれを発動すべき本当に非常事態じゃないかということで東京都にもいろいろ言っていたんですけれども、平成二十六年に設けられたと思うんですけれども、この措置命令、私学法に改正されて設けられて以降、実際発動した例は何件あるかと、その内容について教えてください。
○浅野政府参考人 過去に私立学校法に基づく措置命令が適用された事例といたしましては、静岡県におきまして、資産の不足により教育活動に支障が生じており自主的な改善が望めない学校法人に対して二度講じられた例や、大阪府において、必要な教員数を満たしておらず、理事長等による資金の私的利用があった学校法人に対して講じられた例があると承知しております。
文部科学省といたしましては、措置命令の趣旨を踏まえ、しっかりと、行政指導の実施を含め、所轄庁の権限と責任に基づき、所轄の学校法人の問題に対して適切に対応しているものと考えております。
なお、措置命令を行う場合については、私学の自主性の尊重という私立学校法の趣旨に留意する必要がありますので、まずは行政指導により改善を求め、自主的な改善が望めない学校法人に対して行うことが想定されていると考えております。
○五十嵐(え)委員 今御答弁にありましたように、改正以降、十年たって二校で三例ということで、果たしてこれが適切かというのは疑問に思います。私立学校法人は全国で約七千ございます。その中で、十年間で二校しか発令していない。ちょっとこれは、本当にその実効性があるのかなというのは非常に疑問に思います。
そもそも、この措置命令を設けた立法事実、堀越学園だと思うんですけれども、この事件については、理事長の専断でいろいろ問題が発生したというようなふうに私は理解していますけれども、そういった立法趣旨で設けられた措置命令という理解でよろしいのでしょうか。
○浅野政府参考人 委員御指摘のいただいた堀越学園などの事例の件でございますが、この措置命令については、学校法人堀越学園への解散命令など、学校法人をめぐる重大な問題が発生した中で、私立学校の自主性を最大限尊重する私立学校法の基本に立ちつつ、私学全体に対する不信感につながるような異例の事態に対して所轄庁が適切に対処することができるよう、平成二十六年に設けられた仕組みでございます。
文部科学省におきましては、措置命令が設けられた趣旨を踏まえ、所轄庁が所轄の学校法人への対応に当たり、その権限と責任に基づき、措置命令を行うか否かについて適切に御判断されていると考えております。
文部科学省としましては、所轄庁において適切に私立学校法の適用がなされるよう、改正私立学校法の内容を始め、私立学校法について引き続き周知徹底してまいりたいと思います。
○五十嵐(え)委員 それは所轄庁はもちろん東京都なんですけれども、法律を所管しているのは、国の法律でございますし、現状、東京都に任せますというだけでは助けられないというような本当に深刻な事態が起きていることは本当に分かっていただきたいと思います。
堀越学園を防ぐ、防ぐというか、堀越学園の事案で、これが立法事実になって法改正になった。この堀越学園の問題も、問題がいろいろ報道されてから十年たって、放置されたまま十年たってようやく改正に至った、そういった議論もございます。また、その堀越学園の創造学園大学教職員組合の方たちも、やはりこの問題が、堀越学園の問題が、初代理事長を中心とする専断的で独裁的な大学、学校法人の運営が行われてきましたと。やはりこの堀越学園が起きた理由というのが、理事長の暴走を防げなかった構造的問題にあるというようなことを指摘されているんですね。
にもかかわらず、それが立法事実となって、今回、措置命令が設けられたところなんですけれども、これは、堀越学園での反省というか、生かされていないんじゃないでしょうかと思いますけれども、見解を伺います。
○浅野政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、まずは、文部科学省としては、各所轄庁がその権限と責任に基づいて、措置命令を行うかどうかというのは適切に御判断されるものと考えております。
その前提として、措置命令に至るまでの間に、指導助言等を通じて各学校法人の改善を求め、それに適切に従って行われれば措置命令等は発動されないと思いますが、先ほど御紹介した事例のように、そういった指導助言等を繰り返しても従わない場合にそういった措置命令等の措置がなされるということでございます。
○五十嵐(え)委員 はっきり言って、それで本当に今通っていらっしゃる幼稚園、小学校、専修学校の子供たちの命が守られますかということは、私はそれを文科省に問いたいと思います。
やはり堀越学園での理事長の専断的、独裁的な行動が、それが立法事実となって措置命令が使われてきたものの、所轄が東京都だからということ。二校三例でしか使われていないということ。私立学校の自主性というのはすごくよく分かるんですけれども、私立学校の重要性は分かるんですけれども、やはり公共性もあるわけでございますし、特に小学校、幼稚園など、小さいお子さんも通っているんですね。なので、やはり通っている子供たち、そしてその保護者の皆さんたちが本当に苦しんでいる中で、所轄庁は東京都だからということで、それを繰り返すというのは、ちょっと余りにも寂しいというふうに思っております。
この武蔵野東学園なんですけれども、今年の四月から私学法が改正をされます。担当の方とかにいろいろ聞くと、昭和二十四年に制定された私立学校法、そして平成十六年の改正、そして平成二十六年の措置命令の創設、そして平成三十年の改正、そして令和五年の今回の改正なんですけれども、今回の改正で私立学校法人の経営のガバナンスを利かせるというところなんですけれども、こういった理事長の専断的な行為、理事の例えばこういう暴走、こういったものを、今回の改正、今年の四月から適用があると思うんですけれども、新しい私立学校法の改正で対応できるんでしょうか。伺います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
来月施行される私立学校法の改正でございますけれども、私立学校が社会の信頼を得て一層発展していくために、社会の要請に応え得る、そういう実効性のあるガバナンス改革を推進するための制度改正でございます。
御指摘の理事長につきましては、今回の改正におきまして、例えば、理事会が理事長を選定、解職すること、また、理事の選任機関が理事長を含む理事を選任、解任すること、また、評議員会の権限の強化など、権限が特定の者に集中することを防ぐ仕組み、また理事長の業務執行の適正化を確保するという仕組みを総合的に構築をしているものでございます。
文部科学省といたしましては、今回の制度改正によって、適切にこの改正が運用されることによりまして、理事長の適切な職務の遂行が期待されるというふうに考えているところでございまして、制度の運用がしっかりされるように、法改正の趣旨等について引き続き周知徹底してまいりたいというふうに思います。
○五十嵐(え)委員 この学園のように、現状、理事会も、監事も、そして評議員も、もう既に理事長の意向を酌んだというか、息のかかった方がなっていらっしゃって、そういった場合に、今年の来月から施行される法律でどのぐらいこういった行為が抑制できるのかというのは非常に疑問に思います。
今回の改正で、私立学校法の五十八条というのがございます。これで監事による理事の行為の差止めというのがあるんですけれども、そこで、五十八条一項で、監事は、理事がその他の法令若しくは寄附行為に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該学校法人に著しい損害が生じるおそれがあるときは、当該理事に対し、当該行為をやめることを請求する訴えを提起することができるといった規定があるんですけれども、具体的に、その他の法令というのは刑法とかも含むのか、そして、著しい損害というのは経済的損害のみを指すのかについて、解釈を教えてください。
○浅野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘いただいた、その他の法令には刑法等も含みます。損害も、その他の、かなり幅広い損害について適用されるということになります。
○五十嵐(え)委員 ありがとうございます。
その他の損害、例えば、社会的な名誉が下がってしまい、現状そうなんですけれども、入学者が著しく減っている、そういった損害も含むんでしょうか。
○浅野政府参考人 委員御指摘いただいた、そのような損害も含むと考えております。
○五十嵐(え)委員 とはいえ、やはり、監事、理事、そういったところがしっかりしていなければ、こういった条文が機能しないというところでございます。
先ほど公共性というお話がありましたけれども、やはり、経常費補助金等、この学校法人にも税金がたくさん入っているんですね。やはり、自主性も大事ですけれども、公共性も大事だと思っております。私立学校の高校の無償化も始まりますけれども、私立学校にもこれから高校を含めてそういった税金がどんどん入っていくことになる一方で、やはり、公共性の確保、そして適正な運営の確保というのは不可欠だと思いますけれども、こういったところをどうやって確保していくのかについて、大臣に伺います。
○浅野政府参考人 委員御指摘いただきました、私立学校等、高等学校等への経常費の助成につきましては、私立学校振興助成法を始めとした関係法令に基づいて、都道府県が所轄の私立学校に対して各都道府県が定める補助金の交付要綱等の定めによる助成をした場合、国は都道府県が要した経費の一部を補助してございます。
そういった形で東京都から武蔵野東学園に対しても経常費の助成が行われているわけでございますが、委員御指摘のように、私どもとしても、学校法人の運営に当たりましては、児童生徒を始め、保護者、教職員、卒業生などの学校法人を取り巻く幅広い関係者との対話により、社会の信頼を得ていくことが必要であると考えております。武蔵野東学園において、理事長の交代後に、学校運営に混乱が生じているといった様々な不安の声が児童生徒や保護者などから上がっていると承知しており、当該法人はこれらの声に対して真摯に対応する必要があると考えております。
このため、繰り返しになって恐縮でございますが、所轄庁である東京都において、まずは必要に応じて指導助言を行っていただくものと考えておりますが、文部科学省としても、状況をしっかりと注視しつつ、東京都に対して必要な助言等を行ってまいりたいと思います。
○五十嵐(え)委員 ありがとうございます。
やはり経常費補助金等も東京都を通じて出しているということで、なかなか、東京都の要綱を見ても、これに反するんじゃないかみたいなところがあるんですけれども、そこについても、国としては、文科省としては特段何か言うことはできないということですよね。
現状、やはりその学校に通っている子供たちの、そういう本当に深刻な問題が生じていて、本当に命の危険にさらされているようなことが、現状、本当に深刻に起きているんです。こういった点を、先ほど御答弁でも、地域の、幅広い関係者の支援も必要だというようなことを私も思うんですけれども、そういったやはり視点が今回の私立学校法の改正についても入っていないんですね。子供を守るという視点と、この学校のように地域の理解を得て設置されてきた、そういう経緯があるにもかかわらず、本当に役員だけの判断で退学処分を出したりとか、そういった行為が現状行われているんですね。今まで行われてきた授業も廃止されたりとか、今までよかったところがどんどん廃止されております。
こういった子供を守るという視点、そういった地域の声、そして保護者の声を入れる視点、そういった法改正も含めて私立学校法を検討していく必要があるのではないかと思いますけれども、大臣、見解を伺います。
○あべ国務大臣 今回施行されますところのガバナンスをどのようにいわゆるチェックをしていくかということはまさに重要なところでございまして、繰り返しになりますが、まずは東京都においての、所管庁としての権限と責任において対応した上で、私どもは、文科省として、本当に必要があれば、東京都に対して指導と助言を行っていくことが必要だというふうに思っております。
○五十嵐(え)委員 終わります。
○中村委員長 次に、高橋永君。
○高橋(永)委員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。立憲民主党、高橋永でございます。
文科委員会では初めての質問、人生では二回目の質問となります。
今日は、大臣所信について質問させていただきます。
大臣所信では、多様な価値観を持つ個人が尊重される社会を目指すビジョンが示されました。この考え方は私も共有するものでございます。また、公教育の再生、デジタル人材の育成、不登校対策、教師の環境改善など、幅広い政策が示されました。これらが全て実行されれば、日本の教育は確かに前進すると思います。しかし、これらの施策がどのように結びつき、未来の教育ビジョンをどう実現するのか、その道筋が見えにくいというふうに私は思いました。
総理大臣を務めた私の祖父三木武夫は、昭和五十年の施政方針演説で、最大の財産は人であり、その能力を引き出すのが教育の責任だというふうに述べ、創造的な人間の育成を強調しました。しかし、五十年たっても、伸び伸びとした創造的な人間の育成が十分に実現されていない教育の現状は変わっていません。
理想を掲げることは重要ですが、それだけでは不十分だと思います。楽しい日本と新たな言葉で希望を示したとしても、構造的な改革が伴わなければ、理想の押しつけに終わり、結果としては教育現場や子供たちの負担が増すだけです。今、そういう状況になっていると思います。
現在の教育行政は、方向性としては間違っていなくとも、実行力の不足や現場との乖離によって、理想論にとどまってしまっていると思います。これは、学習指導要領のカリキュラムオーバーロードとも密接に関わり、不登校対策や教員の働き方改革など、あらゆる教育課題に共通する問題だと思います。
しかし、不登校や自殺者数の増加という深刻な現実を直視すれば、今求められているのは理想の再定義ではなく、教育行政の構造改革ではないでしょうか。子供の能力を引き出すまでが教育の責任です。理想を語るだけではなく、現場で実装できる形に落とし込むことが不可欠だと思います。したがって、通知行政から脱却し、実装可能な教育改革を進めるべきだというふうに思います。
教育の目的は、理想の教育を掲げることではなく、子供たちが自ら考え、判断できる力を身につけ、社会の中で生きる力を育むことだというふうに私は思います。そのための具体策について、質問を通じて議論を深めさせていただきます。
最初の質問は教育予算です。教育への投資は国家の未来を左右する重要な要素であり、日本の教育の優先度を示す指標でもあります。日本の教育予算は本当にこのままでよいのでしょうか。
我が国の教育機関への公的支出はGDP比約三・一%であり、OECD諸国と比較しても低水準です。例えば、ノルウェーでは七・四%です。そして、日本においても、一九七五年には国家予算の一二・四%が教育に充てられていましたが、現在、四・七%にまで減少しています。この数字は日本が未来への投資を軽視していることを示しているのではないでしょうか。また、防衛予算は過去最大規模に拡大し、二〇二二年から二〇二五年で七〇%増の約八・七兆円ですが、文部科学予算は約五兆円で横ばいでございます。
防衛力の強化が重要であることは理解しますが、それ以上に国力の基盤となる教育予算を増やすべきではないでしょうか。大臣の考えを教えてください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
その前に、先生のお地元である徳島県、教育で本当に頑張っていらっしゃいまして、私、昨年、全国で初めての県立の夜間高校にお伺いさせていただきました。誰も取り残さないということで、先生方が本当に一生懸命頑張ってくださっているのを見せていただきまして、励まされました。
そうした中、今、高校無償化も出ている中、徳島県が特に私学が四%ということで、いつもデータに出てくるところでございますが、やはりお地元でしっかり声を出していただくことも大切だと思っていく中で、また、国の予算に関しても今日御質問いただきました。
委員の御指摘のとおり、OECDのデータによると、我が国の公財政教育支出、二〇二一年度で対GDP三・一でございまして、OECD上の平均の四・五と比べると低いということは事実でございます。政府全体の政策の優先度につきまして、文部科学大臣の立場からお答えすることは、全体があるので大変難しいところでございますが、子供は国の宝でございまして、本当に教育は国の礎でございますので、是非、予算はつくようにいつも交渉をさせていただいているところでございます。
私ども、文部科学省が担う教育行政につきましては、人を教えて育み、人の英知、また想像力、最大限に引き出すことによって、国民の人生、幸福で豊かなものとしていきながら、我が国の成長、これの源泉となる極めて重要な行政分野であると認識をしているところでございます。
委員にもお励ましをいただきながら、しっかり頑張りたいと思いますが、必要な予算を着実に確保をしていくために、未来の投資である教育政策の推進に取り組んでいきますので、応援よろしくお願いします。
○高橋(永)委員 大臣、ありがとうございます。徳島のことも見ていただいていて、非常にうれしく思いました。
しかし、やはり教育予算に関しては、その優先度を含めて、しっかりと国民にもそういった選択肢を提示していっていただきたいと思いますし、私もそのために努力していきたいと思っております。
それでは、次の質問に移らせていただきます。学校の教育とは何のためにあるのかという本質的な問いをさせていただければと思います。
繰り返しになりますが、大臣所信では、多様な価値観を持つ個人が尊重される社会を目指すビジョンが示されました。そして、教育基本法第二条の教育の目標として、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養う」と明記されています。そして、五十年前にも、創造的な人間の育成の重要性が国会で強調されました。
しかし、現在の教育では、知識の詰め込みが減らされないまま思考力や主体性が追加で求められ、現場の負担が増しています。その証拠に、学習指導要領や解説書は改訂のたびに内容が追加され、厚くなる一方です。定期試験や受験の評価方法の改革も道半ばであり、主体的、対話的な学びが十分に機能しているとは言えないというふうに思います。
AI時代に求められるのは、単なる知識の暗記ではなく、自ら学び、考え、問いを立てる力、そして創造する力です。しかし、学校現場では、依然として正解のある問題を解く力が重視され、自分の意見を持ち、議論する力を養う機会が不足していると思います。このままでは、社会の中で主体的に生きる力を育むどころか、世界の変化に対応できない、そんな教育になりかねません。理想を掲げるだけではなく、それを実装することが求められています。
私は、知識偏重型の評価基準を抜本的に見直し、子供たちが自ら考え、判断できる力を身につけ、社会の中で主体的に生きる力を育む、そんな環境を整備するための教育の構造改革が必要だと考えます。
大臣、教育は何のためにあり、その実現のために、今、日本の学校教育に最も必要なものは何だとお考えでしょうか、お聞かせください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
委員のキャッチコピーが「どうせ変わらない、を変えていく!」ということでございまして、しっかり変えていく中にありまして、子供たちの実態が本当に多様化しています。そうした中で、子供の学習状況、また、興味、関心、この多様性が適切に把握ができているのか、一人一人の可能性を最大限伸ばす学びを実現していくことがまさに重要だというふうに思っています。
委員がおっしゃったように、AIなども積極的にと言っておりますが、なかなか教師の、先生方の部分が、教える人材が難しいという問題も実はある中にあって、それだけではなく、例えば、新たな時代にふさわしい学びの構造とか、また、子供たちを指導する教師への対応、ここでございますが、また、次世代の学びを支える学習基盤の整備などに一層取り組んでいく必要があるんだと思っておりまして、特に、教師を取り巻く環境整備のGIGAスクール構想の推進、また、このGIGAスクール構想の推進のところで、なかなか、教えていただきたいことを私どもが伝える力もまだまだ足りないんだと私は思っておりますが、また、それも含めて、不登校、いじめ対策、総合的な推進を着実に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
そうした中で、この取組を一層推進していきながら、子供たちの質の高い、きめの細かい教育を実現できるよう、今国会に給特法の改正法案を提出させていただきます。
また、教育課程の在り方につきまして、昨年十二月に中教審への諮問に基づいて検討をしていただいているところでございまして、自ら考えていく子供たちの力を引き出すために何が必要かということを総合的に一緒に考えていきたいというふうに思います。
○高橋(永)委員 ありがとうございます。
多様性の重要性や、そしてそういった学びを改革していく、そういったことが重要だというふうなことを確認しました。
しかし今、まさに教育の現場というのはいろいろなことを改革していかなければならない、そんな状況でございます。その一つの表れが不登校だというふうに私は思っています。
日本の教育の現状における矛盾やひずみは、子供たちの姿を通じて最も鮮明に表れていると思います。その象徴的な現象が不登校の増加だと私は思っています。私は、不登校を解決すべき課題として捉えるのではなく、子供たちが今の日本の教育にどのような違和感を覚え、何を変えるべきなのかを大人たちに問いかけているんだと私は考えます。それはまさに子供たちの声です。不登校の実態を深く深く探ることで、日本の教育が抱える本質的な問題が見えてくるのではないでしょうか。
どうすれば不登校が起こらない環境をつくれるのか、私たちは知恵を絞り、真剣に考え、汗をかかなければなりません。特に明確な理由が見えにくい不登校について、その本質的な背景を理解する必要が非常に重要だというふうに私は思っています。
文部科学省にお伺いします。不登校の原因把握にどの程度取り組んでいるのでしょうか。統計データの収集だけで子供たちの本当の声を拾い切れているのでしょうか。例えば、不登校の子供一人一人の状況を教員、児童生徒、保護者の視点から丁寧にヒアリングし、共通点を分析するような取組はどの程度行われているのでしょうか。もし現状では分析がされていないならば、今後はその計画はありますでしょうか。教えてください。
○望月政府参考人 お答えいたします。
不登校の状況につきましては、前年度の状況を各年度、秋、十月ぐらいに取りまとめて公表しているところでございます。
今委員から御指摘の不登校の要因につきまして、具体的に深掘りをしていないのかという御質問かと思います。
今回、不登校の問題行動調査という調査の、その秋にやっている調査におきましては、従来、不登校の要因としては、無気力、不安という子供たちの声が約半数を占めていたのでございますけれども、それでは実態が十分に把握できないということから、令和五年度の調査から、つまり今年度の公表の調査から調査方法を改めまして、教師がこういうふうに考えている、認識だけではなくて、子供たちからどういうような相談、あるいはどういうような訴えがあったかということの事実に基づいて回答するという形式に改めてございます。その上で、本人、保護者、スクールカウンセラー等への確認も推奨するということにしてございます。
その結果として、不登校児童生徒について把握した事実としましては、学校生活にやる気が出ない、不安、抑うつ、生活リズムの不調、学業不振や宿題の未提出、友人関係をめぐる問題などが回答割合の上位を占めたところでございます。
また、この調査の見直しにつきましては、一部の不登校児童生徒やその保護者などに御協力をいただきまして、不登校の要因分析に関する調査研究という深掘りを少ししまして、不登校の要因についての教師と児童生徒、保護者の認識の差が明らかになったことなどを踏まえまして、この調査方法を改めたという経緯もございます。
こうした調査結果の分析も踏まえながら、不登校児童生徒の支援に当たってまいりたいと考えてございます。
○高橋(永)委員 原因分析の深掘りを含めてもっとやっていただきたいですし、さらに、そういったことをどうやって教育の改革に生かしていくのか、その道筋も示していっていただければと思います。
今の文部科学省の取組を踏まえ、大臣は、不登校の増加をどう捉え、これから、そこから日本の教育の何を見直すべきだと考えるのか、見解を教えてください。
○あべ国務大臣 委員にお答えします。
また、先ほど、全国初の夜間高校と言いましたが、実は、夜間高校は全国初じゃなかったけれども、夜間中学が全国初だったそうで、失礼いたしました。夜間中学、ずっと応援していますので。ありがとうございます。
文部科学省が実施いたしましたこの調査におきましては、不登校の児童生徒について把握した事実の中には、学校生活に対してやる気が出ないとの相談がございました。ただ、やる気の分析はなかなか難しくて、今精査しているところでもございますが、また、学業の不振また頻繁な宿題の未提出が見られたとか、あと、いじめの被害の情報や相談があったなどという、学校が特に関係する事実もございまして、こういった事実も踏まえまして、誰もが安心して学ぶことができる魅力ある学校づくりを進めていくことがまさに重要なのでございます。
このため、文部科学省としては、COCOLOプラン等に基づき、学校の状況を見える化をいたしまして、特に、学校が児童生徒にとって生活しやすい雰囲気になるような改善の取組、また、子供たち一人一人の興味、関心、特性に応じた柔軟な学びの実現、いじめの問題行動に対する毅然とした対応の徹底を進めているところでございます。
実は、先日も、岡山県の奈義町というところに行ったら、学校に行きにくい子たちのために違う入口を用意してあって、横から入っていって、本当に体調がよくなって、よし、行こうかといったときは行ってくれるんだけれども、中にはすごく真面目な子がいて、授業は全部受けたいといって、違う部屋でオンラインでその授業を全部聞いている子もいて、だけれども、お友達に会うのはちょっとまだそういう心の準備ができていないという子なんかが本当に学校に来てくれるようになったんだという、そういうきめの細かい対応が私は必要なのかなと思っております。
また、いじめに対しても、実は、いじめというのは、どこまでいじめかというのが学校によってちょっと違うというのがあって、人によっても違うんですけれども、そこを、学校の風土、すなわちどういう環境なのかという調査をしていくことで、自分たちがどういうことなのかということを実は調査しているものもございまして、モデル事業としてもさせていただいているところでございますが、引き続き、子供たちに寄り添いながら、誰一人取り残されない学びの保障に向けて、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
○高橋(永)委員 是非、何でやる気が出ないのか、難しいということはもちろん承知しているんですけれども、なぜやる気が出ないのかというところをしっかりと深掘りしていただけたら、私としてはいいかなと思っております。今後とも、私、不登校の原因の把握については取り組んでまいりたいと思っております。
そして、今大臣からお話もありましたが、学校の風土の見える化、不登校の状態になった後の対応について、お伺いしたいと思います。
文部科学省でも、根拠に基づく政策立案の推進が求められ、政策の目的と手段を明確にして評価を体系的に行うロジックモデルの導入も進められています。政策の効果を高めるには、問題の本質を深掘りし、政策のプロセスの継続的な改善サイクル、いわゆるPDCAを適切に回すことが不可欠だと思います。不登校対策についても、単なる統計データの収集ではなく、施策の実効性を確保するための精緻な効果測定と改善の仕組みが必要です。
現在の不登校対策は、多くが、通知を出し、後に定量調査を行う流れになっているように見えます。しかし、それだけで本当に有効なPDCAが機能していると言えるのでしょうか。例えば、まさに今お話しいただいた学校風土の見える化を進める理念は、私も大臣と共有、賛同しています。それが不登校の減少にどの程度寄与しているのか、明確な数字が示されていないのではないでしょうか。
加えて、不登校は全国的に増加しているものの、各学校単位で見ると発生件数が少なく、地方の教育委員会や学校単独では十分な対応が難しい状況でもあります。もちろん、教育の地方分権を推進するべき領域もありますが、事不登校については、文部科学省が、通知だけで地方に任せっきりにせず、責任を持って全国的な対応を進めるべき課題ではないでしょうか。
COCOLOプランなどの不登校対策の効果をどのように測定し、それを具体的な政策改善にどう生かしているのか。不登校対策において、施策の実施だけではなく、施策による変化をどのように定義し検証しているのか、ロジックモデルに基づいた検証はなされているのか。不登校の全国的な分布を踏まえ、現在の国と地方の役割分担は適切なのか、国としてどこまで現場に介入すべきだと考えるのか。また、地域差も分析し、政策に生かしているのか。施策の有効性を高めるためには、国が主体的に調査分析を行い、実装支援を強化し、具体的な課題を明確にするプロセスが不可欠です。
不登校対策の抜本的な改善に向けて、文部科学省としてどのように取り組んでいるのか、文科省の取組を教えてください。
○望月政府参考人 お答えいたします。
今、高橋委員の方から、文部科学省のCOCOLOプランのことを御紹介いただいたところでございます。COCOLOプランは、不登校児童生徒が増えているという状況の中で、学校の重要性、役割というのを再認識をしつつも、誰一人取り残されない学びの保障を社会全体で実現するためのプランとして策定したものでございまして、三つの柱がございます。
一つは、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える。二つ目に、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で実現をする。三つ目に、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にするという柱でございます。
今、不登校対策の効果測定という御質問をいただいたところでございますが、COCOLOプランの一つ目の観点につきましては、例えば、先ほど大臣から岡山のケースを御紹介申し上げましたけれども、COCOLOプランの中でも、学校に一歩、もう一度学びを、クラスには戻れないけれども、学びを継続したいという観点から、校内教育支援センターというのを設置を促進しているところでございます。
これは、令和六年七月現在で、小中学校の約四六%、ここはどんどん増えておりますけれども、一万二千七百十二校までその設置が広がってございまして、この校内教育支援センターの設置によりまして、設置をしているところに我々もいろいろ聞いてございますけれども、不登校の新規発生が抑えられたり、あるいは不登校の状況が改善されるケースなどの効果が出つつあるということでございます。
こうした観点から、今回の予算案の中でも、これを、自治体の伴走支援をしながら、しっかり補助を、ここの支援センターで支援する人、あるいは施設の整備、部屋の整備ということにつきまして、こうした成果を踏まえながら、伴走支援をする形で予算を組んでいるところでございます。
また、二つ目の、例えば、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援するという観点では、一人一台端末、GIGAスクール構想の中で、心の健康観察という、アプリはたくさんありますけれども、いろいろな種類が、これを導入してございまして、現在、小学校で四六・五%、中学校で五五・二%となっており、導入が広がってございます。
その成果としても、不登校の新規発生が、学校でそうした情報を共有することで、前年度の同時期と比較して減少しているという効果も確認をしているというところでございまして、こうしたことも進めている。
それから、三つ目の、学校風土の見える化につきましては、アンケートツール等を活用して学校風土を把握した結果として、生徒の声や実態を踏まえた指導の実施が可能となるなどの効果も把握しているところでございます。
こうした自治体の状況もしっかり確認をしながら、取組を把握し、また好事例等については横展開をしながら、国、地方一体となって不登校対策に当たりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(永)委員 是非、根拠に基づいた政策のPDCAをしっかりと回していただいて、そして、国がしっかりと伴走して実施していっていただければと思います。
それでは、次の質問に移ります。ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。
主権者教育についてお伺いしたいと思います。
近年、主権者教育の重要性が改めて認識される一方で、SNSやインターネットを通じた誤情報の拡散が深刻な問題となっています。
文科省が情報モラル教育について取り組んでいることは承知していますが、去年の選挙を含めた昨今の状況を踏まえれば、主権者教育におけるメディアリテラシーの育成が重要だと私は考えています。つまり、誤情報を見抜くことにとどまらず、情報の正確性や信頼性を判断する力、異なる立場の意見を比較し、多角的に考察する力、メディアの影響を適切に理解し、主体的に意思決定できる力を育むことが主権者教育の中で不可欠となっているのではないでしょうか。
現在、学校教育の中で、メディアリテラシー教育は特定の授業内で断片的に扱われることが多く、主権者教育も科目としては高等学校の公共に限定されています。しかし、デジタル時代においては、より体系的に学ぶ機会が求められているのではないでしょうか。
文部科学省として、主権者教育の中でメディアリテラシーをどのように位置づけ、今後強化していく考えがあるのか。その場合、どのように強化していくのか。また、小中学校段階からの主権者教育の深化の在り方についても、大臣の見解をお聞かせください。お願いします。
○望月政府参考人 社会がデジタル化あるいは情報化の大きく進展する中におきまして、委員御指摘のとおり、情報活用能力という観点につきましては、先ほども出ていましたけれども、読解力や言語力と並んで、児童生徒の基盤的な、学ぶべき、身につけるべき能力の一つかというふうに考えてございます。
その主権者教育の中で、メディアリテラシーをどのような形で育んでいくかという御質問でございます。
この主権者教育につきましては、子供たちが現実社会の諸課題を自分のこととして考えて、多面的、多角的に考察するために、例えばそうした多様なメディア等を活用して情報を収集して、それを自分の中で正否を判断しながら分析して再構成していく、そうした力がやはり必要であると思っています。その中で情報の妥当性を吟味して、そして、公正に判断する力などを育むことが必要であるというふうに認識しているところでございます。
令和四年の主権者教育の指導資料の中におきましても、そういった観点から、情報の真偽を見極めてよりよい判断をするために複数のいろいろな情報を比較して、つまり、複数の新聞とかメディアを比較して考える授業や、あるいはそうした指導、ネットやSNSの影響などを考慮、考察するといったことなどのメディアリテラシーの視点を取り入れた指導事例を改めて盛り込んでいるところでございます。
学習指導要領の次期改訂というものが、中教審で、諮問の後、始まってございますけれども、この社会の変化の中で、メディアリテラシーという観点も含めて、専門的かつ総合的な議論の中で、主権者教育の在り方についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋(永)委員 主権者教育、メディアリテラシーについて、やはり教育の目的の根本とも関わる分野であると思っておりますので、是非、更にこれから充実していっていただければと思っております。
時間もなくなりましたので、最後、締めさせていただきます。
これまで議論してきたとおり、文部科学省は教育の理想を掲げ、多くの施策を打ち出してきました。しかし、それが本当に教育現場で根づき、子供たちの成長や幸福につながっているのか、いま一度問い直す必要があると思います。
この五十年間、教育の目標の大きな方向性は変わっていないように見えます。それは、理想を実現するための構造改革が十分に進められてこなかったからではないでしょうか。理念をこねくり回すだけでは、この先十年も同じ議論を繰り返すことになりかねません。
三木武夫は、教育を政争の外に置くと述べました。政治が果たすべき役割は、教育を対立の道具にすることではなく、いかにして子供たちのための実効性のある改革を進めるかを議論し、実行することです。この文部科学委員会を通じて、日本の教育行政を前進させるために、そして何よりも子供たちのために、私もその一翼を担い、建設的な議論を積み重ね、皆様とともに実効性のある改革を進めてまいりたいと思います。
以上です。
予定をしていた質問、全てお伺いすることができませんでした。申し訳ありません。答弁の御準備をいただいた皆様には感謝を申し上げます。次回の機会に質問させていただきます。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。
私も昨年の秋に初当選をさせていただきました。現在、弁護士でもあるんですが、実はその前は短大で英語の教員をしており、教職の担当もしておりました。文部科学省にも相談、御指導を受けたこともあります。本委員会では初質疑となりますが、どうぞよろしくお願いします。
大臣の所信演説の中で、これからの時代にふさわしい学習指導要領の在り方についてということが述べられていました。今ちょうど高橋委員の方から主権者教育の話題が出ておりましたが、私も、二〇一七年そして一八年、現行の学習指導要領の改訂で小中高に取り入れられた主権者教育について、まずお伺いをしたいと思っています。このテーマは、私は、政治家を目指す前から非常に関心の高いテーマで、重要なことだというふうに思っています。
二〇一五年の公職選挙法の改正で、選挙権年齢が十八歳に引き下げられました。その引下げ前から、ちょっと細かくはあれですが、二十代の投票率が三〇%の下の方というのが続いていて、選挙権年齢が引き下げられた後も、一旦、十八歳の投票率が四六・七%、これも決して高いとは言えないと思うんですけれども、その後、再び十代の投票率は、平成二十九年の衆院選でも、その次の参院選でも三二%。また低い、かなり低迷した状態が続いている、若者の投票率がかなり低いという状況があると言っていいと思います。
二〇一五年十二月の中教審の答申で、新しい学習指導要領に、主権者教育の充実で、公共、そういう新設の科目についても提言をされて、令和三年、二〇二一年、文科省の主権者教育推進会議が、今後の主権者教育の推進に向けてという最終報告を取りまとめた、そういうふうな経緯があると理解しています。
こういう経緯がある中で、選挙権年齢の引下げが行われた二〇一五年、この年の十月二十九日に、一つの通知が文科省から全国の都道府県教育委員会等に発出をされています。この通知、二七文科初第九三三号というもので、高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等による政治的活動等についてというものですが、この通知の中には、「生徒が国民投票の投票権や選挙権を有する者として自らの判断で権利を行使することができるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが重要です。」と書かれてあります。
また、なお、この通知の発出に伴い、昭和四十四年十月三十一日付の文初高第四八三号、高等学校における政治的教養と政治的活動について、この通達を廃止しますというふうに明示がされています。
私は、この二〇一五年に発出された通知が、日本の教育現場での政治との向き合い方を大きく変える、とても重要な意味を持つ通知ではないかというふうに認識しています。
ここで、大臣に伺います。
この二〇一五年の通知で、昭和四十四年の通達を廃止するというふうに各教育委員会、学校に伝えることによって、文科省が教育現場に具体的にはどんなメッセージを伝えようとしているのか、その点について教えてください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
竹内委員とは、何かイリノイ大学の同窓生でございまして、お世話になります。
御指摘の昭和四十四年の通知におきましては、現実の具体的な政治的事象の取扱いにつきまして、例えば教師の個人的な主義主張を避けて公正な態度で指導するよう留意することなどの留意事項を示しているところでございます。また、平成二十七年の通知におきましては、こうした政治的中立性に関わる留意点を引き続き示す一方で、現実の具体的な政治的事象の取扱いについて一層具体的かつ実践的な指導を行うと示したところでございます。
現在、文部科学省におきましては、この平成二十七年の通知に基づく取組を推進しているところでございまして、例えば選挙管理委員会と連携をしながら模擬選挙また模擬議会を行うなど、実践的な教育活動が充実してきているというふうに認識をしているところでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今、大臣がおっしゃられたように、政治的な中立を担保するというのは、これは当然のことだと思うんですが、昭和四十年代、この頃は二十代の国政選挙の投票率は六〇%を超えていたんですよね。それから五十年代、六十年代とどんどんどんどん低下していって、平成に入ってはもう三〇%、世界的に見ても本当に若者の投票率が低い国になってしまっている。
では、何でこんな状況があるんだろうとこの主権者教育を考えたときに、たどり着くのがこの昭和四十四年の文科省からの通知であったんじゃないかと多くの学者も言っています。私もそういうふうにずっと考えてきました。
学校現場に政治の話を持ち込んでいけないという趣旨のこの文科省の現場の先生たちへの通知、これで教員たちが、教師が萎縮して政治の話題を学校現場から遠ざけてきたというような状況が続いた。それを二〇一五年の通知によって、そうではないよ、政治的な中立性はもちろん必要だけれども、具体的な政治的な事象、例えば具体的な政党名を使っても、もちろん先生が私はここの政党が好きだとか、そんなことは当然言えないですよ、だけれども、ここの政党がこういうふうな公約を上げているとか、客観的なことを、複数の政党名を挙げてそういうことを入り込むことは、これは大丈夫ですよということがここで転換されたのではないかというふうに私は思っているんです。
このことは、例えば二〇二四年の二月八日の朝日新聞の記事でも、ある主権者教育に詳しい林准教授という方も、同じようにやはり一九六九年のこの文部省の通知で日本の学校教育は長年生徒を政治から遠ざけてきた、これは大学紛争が高校に波及することを防ぐために、それで高校生の政治活動を禁じた、教員が授業で政治を扱う際にその教員は慎重にしなさいよといった、この通知が先ほどの二〇一五年の通知で廃止されたが、その後も、議員が授業について偏っていると指摘したり、クレームを警戒する教員が模擬授業で架空の政党名を使ったりなど、そういう政治的な中立性への配慮が続いているんじゃないかというふうな発言をされています。
もう一つ、これはちょっと皆さんも御記憶に新しいんじゃないかと思うんですが、二〇二二年の七月に、仙台の高校生が参議院選挙の仕組みを説明するポスターを作って校内に貼り出した。そうしたところ、生徒指導部長の先生から、これは政治活動に当たるからポスターを外すようにと言われた。この学生がその翌日のツイッター、今のXで、若者に選挙に行けと言う前に政治に敏感な学校の空気を変えた方がいいんじゃないかというふうに問題提起をした。その翌日に学校側はポスター掲示のことを認め、いいよと言って、生徒指導部長が私の認識に誤りがあったと生徒に謝罪した。そのまた翌日にその当時の末松信介文科大臣はツイッターで、政治的教養を高める活動はすばらしいというふうな感想を生徒に寄せたというふうに報じられているんですよね。
この二二年というのは、先ほどの一五年の通達から七年の時間がたっているけれども、やはり、先ほどの林准教授の話でもそうですけれども、学校現場にちょっと政治を持ち込むと、あの四十四年の通達に違反して駄目なんじゃないか、もう、だったら控えめにしよう、具体的な政党名を出さずに架空の政党名で模擬授業をしようという、先ほど大臣がおっしゃられた具体的な政治の事象とは離れた、そういう授業がまだ続いているんじゃないかと私は思うんですね。
だとすると、その通達の意味内容をもっと具体的に発信しないといけないんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせください。
○中村委員長 望月初等中等教育局長。(竹内(千)委員「済みません、これについては大臣の見解を聞かせていただきたいんですが」と呼ぶ)
引き続きやります。
○望月政府参考人 大変失礼いたしました。
先生御指摘のとおりで、昭和四十四年の通知では、教師の政治的中立性を留意事項として強調する一方で、模擬選挙等の具体的、実践的な活動については言及がなかった、こうした通知などによって学校現場において具体的な政治的事象を扱おうとする機運が十分でなかったとは言えないというふうに考えるところですけれども、平成二十七年の通知におきまして、先ほど大臣からも申し上げましたが、具体的な事象で、現実的な教育活動として指導するというふうに示してございますので、これまでの小中学校向けの主権者の教育指導資料などでも、そうした具体的事例を挙げて、模擬選挙など、そうした生徒の活動をいわゆる応援してきたというところがございます。
ですから、こうした取組を通じまして、我々としては、主権者教育のまたこうした具体的事象を更に進めていきたいというふうに考えているところです。
○竹内(千)委員 済みません、今の私の質問は、この二〇一五年の通達によってもしっかりとその意図するところが学校現場に伝わっていないんじゃないかということ、これについて大臣の見解を伺ったのであって、時間が余りないので、よろしくお願いします。
○あべ国務大臣 私ども、しっかりと文部科学省としても周知をしていく、努めてまいりたいというふうに思いますし、まさに政治は生活に密着するものでございますし。なお、十八歳前後の若者を対象とした民間団体の調査によると、実は、政治、選挙、社会問題について自分の考えを持っているという割合が実は近年上昇しておりまして、その結果も出ているところでございますが、文科省としてもしっかり周知をしてまいります。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今、その成果がきちんと選挙の投票率にも表れるように一層の努力を一緒にさせていただきたいと思います。
あと、ちょっと時間がないので、実はこの主権者教育、学習指導要領にも初めて入って、私の理解では、高校に対しては、三年に一度、実態調査が行われている、直近では令和四年に行われていると思うんですが、小中学校に関しては、どんな具体的な事例がありますかというようなことで事例集を集めたものを発表しているにとどまっているというふうに思われます。
私は、この主権者教育、高等学校でももちろん重要なんですけれども、政治とは何か、社会とは何かを学問として教えるよりも、本当に小さい幼少期に学び取らせる、政治とは何だろう、社会とは何だろうと学び取らせることがとても重要だと思っておりますので、主権者教育、小学校、中学校に関しても、本当にこのような教育がされているのかという実態調査も、高等学校と少なくとも同じレベルでは行っていただきたいと思います。
済みません、それで、ちょっと時間がないので、次の質問に移らせていただきます。
ちょっとがらっとテーマは変わりますが、独立行政法人国立女性教育会館の宿泊棟、研修棟の撤去に関する問題について、ちょっと伺わせていただきます。
この国立女性教育会館、通称NWECと呼ばれていますが、昭和五十二年、今から四十八年前に国が埼玉県比企郡の嵐山町に国立婦人教育会館として設置、その後、平成十三年に独立行政法人に移行しました。日本唯一の女性教育に関するナショナルセンターとして女性教育の振興を図ってきた、定員約三百五十名の宿泊棟、千五百名が利用できる研修棟があって、全国から女性団体、研究者を含む多くの市民が参加して、交流し合って、豊富な実績を重ねてきた。宿泊、対面ならではの生の意見交換、情報交換が女性をエンパワーし、連帯感を生み、全国各地で活動する女性たちのネットワークを育ててきたと言われています。
世界各国の男女格差を示すジェンダーギャップ指数、今、先進国の中で日本はずっと最下位レベルのポジションにある。そういう常態化した日本においては、特にジェンダー教育、促進こそすべきであって、これを後退させるようなことは私は避けるべきではないかと考えます。
特に、この施設、先ほど申し上げた嵐山町にありますが、都市部から離れた嵐山町という場所に設置されている。これは石破総理が重視する地方創生の意味からも存在の意味は大きいのじゃないかと思っています。仮にこのような施設を撤去するようなことがあれば、少なくとも、時間をかけて利用者の方たちに丁寧に説明を行って、幅広く利用者の声を聞くことが意思決定の過程では必要不可欠ではないかというふうに思っています。
しかし、このNWECについて、去年の七月三十日に政府は、内閣府、文部科学省、そして国立女性教育会館、この三府省・法人名で、老朽化した宿泊棟、研修棟、体育施設などの施設については、令和十二年度までをめどに撤去すべく、新法人設立後速やかに関連工事に着手するという文書を出して、この新法人に該当する、独立行政法人男女共同参画法案、その関連法案が今週の金曜日に閣議決定をされようとしているというふうに聞いています。
これに対して、利用者、本施設をずっと利用してきた方たちは、女性や性的マイノリティー、車椅子ユーザーなどを含む多様な人々が安心して学習、宿泊できる貴重な施設、この日本では、今でも、これからも必要だというような、そんな声だったり、東日本大震災のときには避難所として使われたり、また、女性支援新法への対応を検討する拠点としても利用してきたもので、安全、安心な環境での宿泊研修場所をなくさないでほしいという声、また、NWEC研修棟、宿泊棟の撤去、廃止というのは重大な問題なのに、余り広く周知されておらず、ジェンダー、女性学研究、そして女性団体の間でも初耳というような声が聞かれてきている状況があります。
そこで、大臣にお伺いします。
本施設が今後どう扱われるのか、また、利用者から施設の扱いについてどのように意見を聞いてきたのか、そういう経緯があったのかをお伺いをしたいと思いますが、資料一をちょっと御覧いただきたいと思います。ちょっと細かく書いて、これは、NWECの宿泊棟、研修棟の撤去が公開されるまでの主な事項、知り得た事項をちょっと挙げてみました。
この問題に関しては、例えば、令和六年の二月十六日の衆議院の内閣委員会で塩川委員が質問をされていたり、また、本委員会でも六年三月十三日に坂本委員が質疑をされていたり、また、三月、同じ月に福島みずほ議員が質疑をされていて、この施設の在り方を聞いているときに、内閣府とともに丁寧に検討を進めてまいりますというような質疑があって、令和六年三月七日、男女共同参画推進連携会議のときには、二枚目にお配りした、次のページの資料二というのがそのときの会議で配られた配付資料の一部なんですけれども、主に寄せられる御心配の声についてというところで、例えばQ三、NWECの研修はオンラインだけにする考えでしょうかということに対して、対面研修も重要ですというふうに答えてあったりとか、地元の声を聞きながら丁寧に調整を進めていきますというようなことが記されている。同じようなことが六月十一日の資料にも出てくる。
ところが、先ほど申し上げたように、七月三十日には、この宿泊棟、研修棟はもう撤去するということ、そして、同じ日にこの施設、もうこの四月一日から宿泊は取れないというような状況がホームページ上でも発表がされている。
この経緯だけを見ると、突然にその撤去が決まりましたというのが発表がされているように見えて、どこで意思決定がされて、そして当事者、利用者ですね、一般の利用者に幅広く意見を聞く機会があったのか、ちょっとそこが見えてこないので、その点について、もう時間もないので二点まとめてお伺いさせてください。
この宿泊棟、研修棟は今後どう取り扱われるのか、そしてその意思決定の過程に当事者からの、当事者といいますか、一般に利用されてきた方たちの声を聞く、そういう機会があったのかについてお伺いをさせてください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
必要があれば政府参考人から詳細はお答えさせていただきますが、このNWEC、国立女性教育会館の施設の在り方につきましては、委員御存じのように、令和六年三月及び令和七年二月に男女共同参画推進連携会議が開催いたしました、一般の方々も自由に参加できる、情報及び意見の交換を図る会合で御説明をさせていただきまして、質疑応答を行わせていただきました。
このとき、実は、御意見を全部で九件いただいたのでございますが、そのうち施設廃止に関する御意見と質問は三件ございまして、施設廃止に反対する御意見が一件でございました。
また、施設の廃止に反対する方々のお声も承知しているところでございまして、また、担当者からは、施設の廃止に反対する方からの要望書、署名を受け取らせていただくとともに、実は対面で五回の意見交換も行わせていただいたというふうに聞いているところでございます。まずは令和五年の十二月十八日、令和六年の二月七日、四月十二日、八月七日、十一月二十七日の五回でございます。
この施設の在り方につきまして様々な御意見があるものと承知しておりまして、引き続き、政府の考え方に御理解をいただくべく、丁寧な説明を尽くしてまいりたいというふうに思います。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今、利用者にそういう説明をする機会があったのかということは、この質疑に当たる前にもうお話を伺っていて、今大臣がお答えになった五回に関しての資料も私はいただいています。
ただ、これは施設廃止に反対する方たちとの面会であって、一般の、施設がなくなるかどうかもまだ分かっていない方たちの、もしかしたらアクセスはあったかもしれないけれども、それは周知されていますかという問いにも、明確な回答はもらっていないと思います。しかも、おっしゃられたその四月、令和六年の四月、八月ですけれども、これは六月から七月の間には一度もそういう機会は入ってもいないという状況で。
いずれにしても、私は、このときにやりましたというより、今現実に多くの方たちが、自分たちの声がきちんと聞かれていない、そして、今でも、残してほしいという方たちが存在することは確かなんですね。
私がお願いをしたいのは、くしくも今、高額医療費制度ですかね、あれも衆議院を通過して参議院の方に行きましたけれども、やはり、がん患者の当事者の方たちの声がきちっと聞かれていないということで、もう一度見直そうと、上限額の引上げを見直して、今衆議院の方でもう一度修正案を審議しようというような流れがありますけれども、今、どこか見えないところで、もしかしてそれは一般の方たちもアクセスはあったかもしれないけれども、広く周知されないところで何かが決まっていって、広く、本当にそれで利害を被る方たちの意見を聞く体制になっていないのが今の政府の姿勢のようにも思われます。
今回、もしこの法案が通っても、この施設の撤去に関しては、それがそのまま撤去されることが決まるわけではないというふうに私は理解しております。それは正しいでしょうか。もしそうであれば、これからでも、その当事者の方たち、利用者の方たちから是非意見を聞いていただきたいと思います。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ありましたNWECでございます。NWEC全体が移転するわけではなくて、NWECの本部機能は集約する形で残します。
その上で、今御指摘のありました宿泊棟や研修棟、これの老朽化や安全性、またDX時代における新たな研修の手法、こういった様々な観点からこの見直しが必要になっているという事実がございます。
今お話のありました宿泊棟、研修棟、体育施設、こういった施設につきましては、現在のところ、令和十二年度までを目途に撤去すべく、新法人設立後速やかに関連工事に着手することを目指しておりますが、御指摘のありました、様々な方面への周知については、引き続き努めてまいりたいと思います。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
決定先にありきではなくて、利用されている方たちの意見を聞いて、そして丁寧なコミュニケーションを取りながら意思決定をしていただきたいと思います。
もう一問、今の教員不足についての実態調査の在り方、この数字のからくりがあってというようなお話を実はさせていただきたかったんですが、ちょっと時間がなくなってしまいました。御準備された皆様に大変申し訳ありません。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、辻英之君。
○辻(英)委員 立憲民主党の辻英之です。
文科委員会では初めての質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、主に、首相も大臣も所信で重要視している、地方、そして過疎地、僻地の視点から質問したいと思います。
簡単に自己紹介をします。私、昨年八月まで三十年間、長野県の人口千五百人の僻地山村で過ごしていました。国道も信号もコンビニもない、そんな村です。その自然や暮らしの営みなどを教育材として、青少年の自然体験活動、こういったことを実施するNPOで働いてきました。全く政治経験はありません。
毎年夏に、全国から子供が千人と青年ボランティアが三百人、この小さな山村に集まってきまして、三泊から一週間程度の自然体験とか生活体験、こういったキャンプですね、三十年間実施してきました。その経験と、全国各地で同様の活動を実施する団体への聞き取りを基に質問をしていきたいと思っています。
過疎地は、言うまでもなくですけれども、自然体験とか、生活体験とか、文化体験、社会貢献体験、あらゆる体験活動の宝庫と言えますね。
資料一、皆さん御覧ください。これは二十一世紀出生児縦断調査、平成十三年出生児ですが、こういうデータがあるんですね。これは厚労省が平成十三年から毎年実施していて、こういう調査ですが、平成二十九年から文科省が引き継いでいます。これは同じ人、同一個人を毎年追跡調査して、学校教育から就業に至るまで毎年調査するという、これは非常に興味深い調査です。大変評価しています。
これは資料一にあるとおり、この特別報告、令和五年ですが、小学校六年時の体験活動、自然体験活動などが、自尊感情や我慢強さ、精神的回復、健康などによい影響を及ぼしている可能性があるということを指摘しています。
資料二も見てください。国立青少年教育振興機構、これによる青少年の体験活動等に関する意識調査、これも令和四年度です、でも、自然体験、生活体験等、種類を問わず、体験が豊富なほど、自律性、積極性、協調性が高い、こういうことが指摘されています。平成十八年度からこの調査は続いているんですが、これまでの調査でも、体験が自立的行動習慣に結びついているということが繰り返し示されているとも言えます。
これはまさしく、自然体験とかの体験活動を進めた方がいいというデータなんですね。これは私も三十年間やってきて、肌感覚でそれを感じていますし、全国の実施団体の人たちも、口をそろえてそのように言っています。
そこで、まずは伺います。大臣、自然体験とかの体験活動の必要性、重要性、こういったものについて、大臣の見解、伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
泰阜村の豊かな自然で、本当に子供たちを伸び伸び毎年受け入れてくださって、本当にありがとうございます。子供たちにとっては大変大きな思い出だと思います。
実は私も、学生時代、ワンダーフォーゲルでございまして、チームで、ワンゲルで山に登ると、私は大体暑いとか寒いとかをすぐ言いたがるんですけれども、一切禁止でございまして、忍耐強さはそこで学ばせていただいたかもしれません。
そうした中で、独立行政法人国立青少年教育振興機構が行いました調査でございますが、やはり、委員がおっしゃるように、自然体験を多く行った者ほど、自己肯定感、これはまさに大切でございまして、また自律性などの非認知能力、ここの能力が高くなるという傾向が見られるところでございまして、青少年の健全な育成には自然体験などの体験活動がまさに重要だというふうに考えておりまして、文科省といたしましても、多様な体験活動を通じまして、子供たちの成長を支える環境づくりを進めていくことが重要というふうに考えておりまして、今後とも、体験活動の推進に、しっかりと進めてまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございます。力強い言葉をいただきました。
首相も大臣も所信で、楽しい日本、こう言っていますよね。これは、でも、楽しさの質が問題だと思っています。楽して手に入れることが楽しさだ、こう勘違いしてはいけない。楽と楽しい、同じ字ですね。でも、日本は、楽して楽しむことを目指す暮らしをしてきてしまったなと思います。何でも近道、効率的に、何でもAI。
思いどおりにならないこととか不便さなどを知恵を出し合って前向きな気持ちで乗り越えて、そこで手に入れる喜びとか楽しさこそ、本質的な楽しさだと思います。そんな思いどおりにならないことを前向きに捉える力こそ、こういった自然体験活動が育んでくれるんじゃないかな、そんなふうに思います。どんな状況に陥っても、その力で未来を切り開いていけると信じています。私は、能登半島を含む北陸の議員ですので、視察に行ったり、ボランティア活動もしていますが、こういった力は被災地でも発揮される力だ、そんなふうに思っています。
改めて、これは全国でもっと進めた方がいいのではないかと思います。私は、全ての子供たちに自然体験をと考えています。そう考えると、社会教育はもちろん、学校教育にももっと導入してはどうかと思っています。文部科学省の見解を伺います。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
二つの側面の御指摘がございました。一つ目は、学校における体験活動でございます。これにつきましては、学習指導要領におきまして、豊かな心や創造性の涵養に向け、重要なものと位置づけられております。教育活動の一環として、各学校の実情に応じ計画、実施されており、文科省としても、学校等が行う宿泊体験活動の取組に支援を行っているところでございます。
また、文科省が所管する独立行政法人国立青少年教育振興機構におきましては、地域の民間団体が実施する自然体験等の活動に対しまして助成を行ういわゆる子どもゆめ基金事業、これを行っているところでございます。こういった事業を通じまして体験活動を支援しているところでございまして、令和六年度は約四千件弱の活動を支援してきたところでございます。
引き続き、体験活動の裾野というものを広げながら、子供たちが活動に参加しやすい、そういった環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
学習指導要領にも記載があることは承知しております。ちょうど今、十年に一度の改訂と聞いておりますし、それによる議論が始まっていると思います。是非とも体験活動の強化をすべきだというふうに指摘したいと思います。
また、ゆめ基金も、私も活用したことがあります。大変ありがたい制度だなと思っておりますが、なかなか柔軟性がない、硬直化した制度だとも聞いております。使い勝手をよくしていただいて、民間、地域にも広げていただけますよう、心から強くお願いを申し上げます。
ただ、学校現場に聞き取りをしますと、やはり、教員の負担をこれ以上増やすな、こういう指摘がたくさん来ます。教職員の働き方改革にも逆行するなと思っております。
そこで、国公立の青少年教育施設とか民間団体ももっと活用してはどうか、そんなふうに考えています。とりわけ国公立の青少年施設ですが、青少年自然の家とか、国立の施設が二十八か所、全国に点在しております。基本的に、非常に豊かな地域に立地しています。私も、長野県にいた三十年間、よく利用させていただきました。まさに、本質的な楽しさ、そして前向きに生き抜く力というのを実感できる施設だと思っています。
ところが、資料三を見てください。横のグラフですね。資料三にあるように、国立施設の運営交付金は、これは国からの交付金ですが、これが減額されている。なかなか現場は大変だと聞きました。
そこで、まずは伺います。国立青少年教育施設の活用状況、運営交付金の状況などを端的に伺います。
○茂里政府参考人 申し上げます。
独立行政法人国立青少年教育振興機構につきましては、法人の主要な財源であります運営費交付金の金額、これが毎年減少しているのは事実でございます。限られた財源の中で、自己収入の拡大を図りながら業務運営を行っているところでございます。
そのような中で、今ほど御指摘がありました、全国二十八か所に設置する施設では、新型コロナウイルス感染症などの影響を受けまして利用者数が大幅激減しております。現時点において令和元年度以前の水準まで回復に届いていない、そういう状況でございます。
さらに、各施設につきましては、その五〇%以上の建物が建築後四十年以上、老化している、いわゆる老朽化の問題が喫緊の課題となっている、これが現状でございます。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
私の地元、福井県小浜市なんですが、国立若狭湾少年自然の家があります。海岸沿いで絶景の地です。小浜に来られている大臣にも是非一度行っていただきたいと思っています。
先日、現地に行って詳しく課題を聞き取ってきました。豊かな自然環境の地に立地するこの施設、充実した体験活動が実施されています。しかし、今おっしゃられたとおり、課題がやはり多いんですね。
今度は資料三の二ですね、この円グラフがたくさんあるやつですが。老朽化が著しいですね、もう何十年前に建てられたという。現場を見ましたが、トイレ、シャワー室などインフラ設備が非常に古い。また、海の施設のため塩害がありまして、屋根や外壁、柵なども腐食が進んでいて、子供の体験活動のときに安全に懸念がありますね。
運営交付金が減らされている、これに加えまして、支出抑制の指示通達も来ているということでした。これは、公用車とかマイクロバスの車検を控えているとか、謝金や旅費交通費削減のために、地域との連携のための会議、あるいは地域向けのイベントも減らさざるを得ないとか。私が伺ったときに、職員室、職員室というか職員施設ですね、エアコンを止めて灯油ストーブをたいていました。
これは、子供を含めた利用者にも職員にもやはり我慢を強いていると言わざるを得ない状況ですし、地域からも孤立してしまう状況ですね。安全管理に関わる人材育成などの費用も捻出できないと聞きました。さらに、利用者が減る冬季、現在、経費削減のために利用停止、つまりは閉館に近い対応を取っているというふうに聞きました。というか、そうなっています。
人づくりが重要と言っておきながら、職員の人材育成や利用者、つまりは子供たちの利用制限をしてしまうのは大変問題じゃないかなというふうに思っています。これは、全国二十八か所の各施設にも当てはまる状況です。各施設の経営努力や自助努力が必要なことには異論はありません。しかし、現状を見る限り、到底そんなことに期待できる状況ではないのかなと思っています。
そこで、伺います。まず、国立青少年教育施設の運営交付金をもう少し増額すべきではないか。せめて維持。さらに、施設の老朽化対策など再整備に係る予算を緊急的に措置すべきではないか。大臣の見解を伺います。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
現在の財政状況への対応といたしましては、全国二十六施設におきまして、閑散期における利用者の予約調整を行い、受入れの日を集中させるとともに、一時休館を実施することなどにより、ランニングコストの低減に努めているところでございます。
また、令和六年四月より、地方施設の施設使用料金の改定を実施したほか、令和七年四月からは、国立オリンピック記念青少年総合センターの料金改定も予定しており、持続可能な施設運営に向け、基盤的収入である料金体系の見直しを行っているところでございます。
こういったことのほか、民間活力を導入するという意味においても、ネーミングライツ事業などの外部資金の獲得や利用者の増加に向けた取組なども併せて実施しており、収入面においての増、そして支出面における減、こういったものを組み合わせながら、なかなか厳しい状況ではございますが、継続的な維持運営のために努めているところでございます。
○辻(英)委員 私は基本的には応援をしておりますので、是非とも進めていただければと思います。
子供や若者に自然体験、生活体験、社会貢献体験などの機会を増やす、これは私の一丁目一番地の問題意識であります。また、貧困層とか医療ケア児、引きこもりとか被虐待児童、そして被災地の子供たち、こういった子供たちにこそ本来は体験活動が必要だと痛感をしています。体験活動の機会を待っている子供や若者はもっといます。是非、国立施設はもちろんですが、同じ課題を抱える公立の施設も含めて、民間との連携も必要だと感じております。今後もこの分野については引き続き質問をしていきたいと思います。
次に、越境留学等について質問していきます。
石破首相が、総理大臣が二月二十六日の予算委員会で、自民党の丹羽議員の質問に答弁しました。隠岐島前高校の取組について、廃校寸前から全国募集をしてV字回復、教育の質とともに、離島に大きな波及効果を及ぼすという地域創生の観点から高く評価していました。
まず、文部科学大臣にも伺いたいと思います。隠岐の島前高校のこの取組や地域波及効果も含めて、どのように評価されているか伺います。
○あべ国務大臣 実は、隠岐、私は大好きでございまして、亀井亜紀子先生の選挙区でございますが、何度もお伺いしております。特に、僻地医療で頑張っている医師がいまして、数十年来の友人でございまして、また、移住者も大変多く、隠岐島前高校におきましては、地域に密着した魅力的で持続可能な学校づくりを進めているところでございまして、委員も御存じのように、島前高校がなくなるといったときに、皆さんが死に物狂いで、この高校をいかに島に守るかということを話し合ったという経緯を、私、様々な本も読ませていただきまして、大変勉強になりました。
そうした中で、この学校づくり、様々な関係者の連携による授業づくり、また、地域の課題を題材にした探求活動などに取り組んでいると承知しております。また、海士町への島留学をきっかけとして、隠岐島前高校の入学者も増加しているだけじゃなくて、わざわざ引っ越して島枠で入ろうとする方もいるというふうに聞いておりまして、これら高校の魅力化の取組が地方創生に貢献している、まさにこれこそ地方創生というふうに思っております。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
地域と協働した質の高い学び、これは地方創生の観点からも高く評価されている、私もそう思っております。
私が住んでいた長野県の山村ですけれども、千五百人の人口でしたから高校なんかないんですが、隣町に地域高校がありました。まさに存続の危機を迎えています。島前高校と同じように、留学制度導入も検討をしている。
小規模高校の存続、これは地元福井県はもちろん、全国の地方、とりわけ過疎地域に共通の課題ですが、他方で、地方、過疎僻地には、同じく小規模の小中学校もあります。私も小さな山村で三人の子育てをしましたが、まだ終わっていませんけれども、次男は、一学年一クラス、たった四人でした。このような状況は過疎地では当たり前の状況で、統廃合の問題が必ず立ちはだかってきます。
しかし、地域はただ立ちすくんでいるだけじゃないんですね。先ほどのは高校生対象の留学ですね、島前高校。それに先立つこと三十年も前から、小中学生の越境留学とも言える山村留学、これが実施されています。資料四の一を御覧ください。これは文科省の資料ですが、山村留学とは、自然豊かな農山漁村にある程度の期間移り住み、地元小中学校に通いながら様々な体験を積む活動、これがずっと行われています。
そこで、まず伺います。小中学生対象の山村留学など、越境留学に関する実施状況を伺います。
○望月政府参考人 お答えいたします。
令和四年に実施をいたしました就学校の指定・区域外就学の活用状況調査によりますと、平成三十一年度から令和三年度の三年間に、山村留学あるいは漁村留学として他の市町村から児童生徒を小学校等に受け入れた市町村教育委員会は六十七、約大体四%の割合ですけれども、中学校でも受け入れた市町村教育委員会は五十一、約三%という状況でございます。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
資料四の二、これは信濃毎日新聞、四の三、四の四を見ていただければと思うんですが、まずこの四の二ですけれども、黄色アンダーラインを引っ張ってあります。一年間の山村留学という前提で、ちょっと以下の質問を続けていきます。
資料三と四にあるとおり、これは民間の調査ですが、二〇二三年度は、全国で五十八自治体、百二十三校で実施されています。資料四の方に書いてありますね。資料三の方には、全部で六百三十人が参加と記してあります。この数字は少ないんじゃないかなと思うんですが、しかし、高校生対象の留学制度よりも三十年も前にその仕組みを始めて今に続けていることは、高く評価できるんじゃないかなと思っているんですね。
資料五を見てください。またこれは島根県の事例で恐縮ですが、島根県大田市の事例、これは大変成果が出ています。参加した子供が定着、あるいは、一度都会に帰った後、また数年後にUターンというんですかね。このような効果がほかにも出ているんじゃないかな、そんなふうに思っております。
そこで、伺います。小中学生対象の山村留学など越境留学の教育的効果、地域波及効果、把握している限りで結構です。お伺いします。
○望月政府参考人 先ほど申し上げました文部科学省の調査でも、山村留学等を導入してよかったこと、要すれば、どういう効果があったかということについて聞いてございまして、実施をした多くの教育委員会から、地域の児童生徒が多様な意見に触れることができるなど教育活動が活性化したことや、あるいは、小規模校としての課題解消につながったなどの声をいただいているところでございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
学校を中心に調査している結果なので、恐らく学校からの視点の成果、効果をお示しいただけたなと思います。
私が住んでいた長野県の山村でも、また同様の成果が出て、持続可能な地域づくり、これに寄与しております。先ほどの資料四の二、信濃毎日新聞の下の方のアンダーラインについては、私たちの方の成果だというふうに、私が取り組んでいた団体のことを指しております。これはまさに、教育による地方創生、先ほど大臣がおっしゃいましたが、じゃないか、そんなふうに思っています。
そこで、高校生対象の越境留学にも、島前高校にも高い評価をしている文部科学大臣に伺います。
高校生とは違うんですけれども、小中学生対象の山村留学、こういったものの教育的意義や地域創生効果について、文部科学大臣の評価を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
先ほど政府参考人からも答弁させていただきましたが、文科省で令和四年に実施した調査でも、本当に山村留学を導入してよかったというふうに、多くの教育委員会から、また、一つは、地域の児童生徒が多様な意見に触れることができる、教育活動が活性化したということが挙げられたり、地域の活性化、移住促進、また、関係人口を増やすことにつながったということが言われています。
実は、関係人口というのは、特に、私どもも過疎の問題をやっているときにいつも課題にしているんですが、関係人口って何だと実は文句を言う方もいらしたんですが、関係人口が多いほど移住が増えるというデータを出しているところもございまして、やはり、関係人口というのがいかに地域にとって重要なことであるかということも私ども調査をしているところでございますが、そうしたことで、山村留学の取組、子供たちに豊かな教育機会を提供するとともに、地方創生にもしっかりと貢献しているものと私自身も認識しているところでございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。高い評価をいただいたと思います。
山村留学などの越境留学が、小中学校につきましても、地域の持続可能性に大きな成果を出している、これは間違いないんじゃないかなと思うんですね。
ところが、この実施の経費、予算、これは、財政難に苦しむ地方自治体が何とかして捻出している状況ですね。資料六を御覧ください。これは、全ての自治体を網羅したわけじゃありませんが、ちょっと代表的な事例を抜粋しました。五百万から四千万ぐらいまで、小さな市も町もあるので、なかなか大変な支出です。我が村もそうでした。
人づくりこそ国づくり、誰一人取り残されない教育、僻地など困難を抱える子供たちに学ぶ場を支援、そして、教育による地方創生、大臣の所信にも当てはまるこの取組に対して国がもっと支援すべきじゃないか、こんなふうに考えているところです。是非とも前向きな答弁をお願いしたいと思います。
伺います。小中学生の越境留学について国がもう少し支援すべきと考えますが、文部科学大臣の見解を伺います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
まさに山村留学、子供たちが、自然豊かなこの農山漁村地域に滞在し、ある程度の期間移り住んで、地域の小中学校に通いながら、学校内外で様々な体験活動を行う取組と承知しております。
私が九州の島々をお訪ねしたときにも、子供たちが走っていて、あっ、あの子はここに住んでいる子なのと言ったら、実は山村留学をしていて、都会で学校に行きにくくなったんだけれども、ここでお預かりしているということを、一生懸命取りまとめてやっているところでございました。全部の授業は出れないけれども、一部は出れるという子供たちも中にはいまして、子供たちにとってこういう環境も大切なんだなということを、その場では学ばせていただきました。
そうした中で、文部科学省としては、山村留学に対する直接の支援は実は行っていないところでございますが、山村における体験活動も含め、学校における宿泊体験活動などの取組に対しては事業費の支援を行っているところでございまして、そこに、委員が先ほどよく使ったとおっしゃっていた、独立行政法人の国立青少年教育振興機構が行っている子どもゆめ基金の事業におきましても、民間団体が行う体験活動に対しての助成も行っておりまして、山村における取組も対象となっていますので、こうした取組を通じまして、引き続き、山村における活動を含めた体験活動の推進、しっかりと、委員に御指導いただきながら、取り組んでいきたいというふうに思います。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
吹けば飛ぶような過疎地において、全国からの支援も借りつつも、教育の灯を消さずに、むしろ強くともそうとする取組がやはり続いているんですね。
山村留学などのこういったものを、学校教育とか教育委員会、この視点から捉えるだけじゃなくて、地域と協働した新たな学びのスタイルとか、地方創生に資する教育という視点で捉えていくことも必要ではないかなと思います。是非とも国には前向きな支援を今後お願いをしたいと思います。
最後の質問に移ります。もう時間もないので、ちょっと一問飛ばしますが、大学受験の壁についてです。
私、長野県の小さな山村にいまして、高校生たちとも、当然私の子供の周りにもいましたし、隣町の高校の評議員もやってきまして、たくさん声を聞きました。また、実は、青森の地方大学で教員も最後に三年間やっておりましたので、貧しい高校生たちにもよくお会いをしてきました。そして、今、福井県の過疎地でも声を聞いています。
経済的な理由で大学進学を諦める、こういう高校生に大変出会ってきました。お金のことで学びを断念することだけはさせてはいけない、こんな思いで政治家を目指しております。だから、大学の無償化などを進める、その方向性は否定をしませんし、大変評価しています。
しかし、実際は、それ以前の問題もあるんですね。資料八を見てください。貧困家庭の子供向けに学習支援などを行っているNPO法人キッズドアさんが貧困家庭を対象に実施したアンケート調査、これによれば、保護者のほとんど、これは左上の青い円グラフですが、九八%が家庭の経済状況が子供の大学受験や進路選択に影響すると回答しているんですね。細々まだありますが、このデータは決して地方や過疎地のデータではなく、全国調査です。これが地方、過疎地になれば数字がどうなるかは容易に推察できると思います。
大学授業料無償化については、これから本格的に議論されます。しかし、その前に、受験料の捻出に困る家庭、高校生への支援も考えられないかと強く思っています。
大学共通テストは、二教科以下で一万二千円、三教科以上だと一万八千円。その後、私立大学を受けるとなると、一校につき三、四万円、地方から都市部への受験なら交通費、宿泊費などもかかります。入学金や教材、パソコンなども入学前に費用がかかります。とても支払える額じゃなくて、先ほどのデータでもあるように、受験そのものを諦める高校生もいると聞いています。
そこで、伺います。大学共通テストの無償化等は考えられないか。できないなら、困窮家庭向けに受験のための公的支援を充実させることはできないか。大臣に伺います。
○あべ国務大臣 経済的な事情によって学びを諦めないために、文部科学省としてもしっかり支援をしていかなければいけないと思っています。
大学等の受験費用におきましては、日本政策金融公庫の教育一般貸付けというのがございまして、合格前でも支援が受けられるよう令和三年から制度改正を図られたところでございまして、加えまして、日本学生支援機構におきましては、寄附金が原資でございますが、児童養護施設等に在籍する高校三年生を対象にいたしまして、大学の受験に要する費用の支援を実施しているところでございます。
また、こども家庭庁におきましても、児童扶養手当の受給家庭また世帯や、また住民税の非課税世帯の子供が大学等を受験する際の受験料を支援する事業を実施しているものと承知しております。
文科省としても、こうした事業の実施状況を踏まえながら、望ましい進学支援の在り方について引き続きしっかりと検討してまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
受験料の問題等々は、また大学無償化のところの議論で少し深めていきたいと思っています。
以上、今回は地方、過疎地、僻地の教育環境や自然環境の視点、つまり、なかなか光が当たらない人々や分野から質問をしました。山村留学や自然体験活動については、今後も委員会でしつこく質問をしていきたいと思います。また、大学無償化については案審議の場で改めて質問をさせていただきます。
今後も光の当たりにくい人々の声を国政に届けること、そして国にはこの声にきちんと応えていただきたい、このことを申し上げまして質問を終わります。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。
大臣、本日もよろしくお願いいたします。
大臣所信ということですけれども、先日、トランプ大統領の施政方針演説がありましたけれども、もちろん、大臣はお聞きになっていると思いますけれども、是非感想をお聞かせください。
○あべ国務大臣 トランプさんのですか。(高橋(英)委員「そうです、施政方針演説」と呼ぶ)いろいろ意見もありますけれども、あっ、そういうことなんだと思いました。
○高橋(英)委員 おかしいな、これ、言ったはずなんだけれどもな。
まあ、トランプ大統領はいろいろな批判等々もあるかもしれませんけれども、私は非常に実は共感の持てるところがございまして、特にやはり期待をしていたのは戦争をとにかく早く終わらせていただくこと、これに最初は尽きるのかなというふうに思っていましたけれども、大分、何となく明るい兆しが見えてきたような気がしていますので、やはりトランプさんになってよかったなと私は個人的には思っているんですが。
施政方針演説の中で興味深いのがあったのでちょっと読まさせていただきますけれども、私の政権は、学校で有害なイデオロギーから子供たちを守るための取組も行っている、就任直後に私は大統領令に署名し、公立学校がトランスジェンダーのイデオロギーを子供たちに教え込むことを禁止した、そして、ちょっと飛ばしますけれども、我々は学校や軍隊から意識高い系を排除しつつあり、それは既に社会から消えつつあるというような、こういった演説をしたんですけれども。
これ、ちょっと気になったんですけれども、我が国において、小学校でいいんですけれども、こういった教育というのはどういうふうになっているのか、ちょっとお聞かせください。
○あべ国務大臣 御指摘の報道は承知をしておりますが、外国政府の内政方針でございますので、文科大臣としてはコメントを控えさせていただきますが、ただ、性的マイノリティーの方々の件に関して言えば、個々人が持つ多様な背景がございますので、全ての人がお互いを尊重しながら、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を私は進めていきたいというふうに思っております。
○高橋(英)委員 多様性を尊重するのはこれはもちろんなんですけれども、私が聞いたのは、現状、小学校に限定でいいんですけれども、こういった教育は、では、行われているのかどうかというのをお聞かせください。
○あべ国務大臣 改めて、学習指導要領におきましては、性の多様性に関連する記載はございませんが、児童生徒の発達を支える指導の充実といたしまして、個々の児童生徒の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える問題に個別に対応した指導を行うということを明記しているところでございまして、児童生徒の実態に応じて、一人一人に性の多様性に関する指導を行うことができるようにしているところでございます。
その上で、一般論として、性に関することを学校教育の中で扱う場合には、児童生徒の発達の段階を踏まえること、また、教育の内容について、学校全体で共通理解を図るとともに、保護者の理解を得ること、また、事前に、集団指導として行う内容と個別指導の内容を区別しておくなどの計画性を持って実施することが求められておりまして、適切な対応が必要でございます。
いずれにしても、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を進めることが重要であるというふうに考えております。
文科省におきましては、学校教育における人権教育の推進、性的マイノリティーの児童生徒のきめ細かな対応に資する啓発資料の周知等に引き続き取り組んでまいります。
○高橋(英)委員 では、ちょっと確認ですけれども、学校ではこういった教育はやっていないというのでよろしいのか。それと、もしそういった子がいたら個々にきちんと対応しているという理解でよろしいのかというのをちょっとお聞かせください。
○望月政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、学習指導要領には性の多様性ということに関する記述はございませんので、全ての学校で、例えば算数とか国語というような教科で教えるべき内容と同じような形で教えるということにはなってございません。
一方、個々の児童の多様な実態を踏まえて、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うこと、あるいは児童の発達を支援することということは、これは小学校の低学年、中学年、高学年ともございますので、そうした個々の、個別の児童生徒の状況に応じまして、また発達段階も踏まえまして、学校でそれぞれの状況に応じた適切な指導が行われるというふうに考えてございます。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
小学生ですから、まだ幼少期みたいなものですから、やはり幼少期でいわゆる包括的性教育みたいなのは私は非常に危険だというふうに思いますので、これは慎重に今後もやっていただきたいというように思います。
これは今までの方々からもいろいろ出ていましたけれども、これからの時代にふさわしい学習指導要領、所信に載っていますけれども、どういったものなのか、ちょっとお聞かせください。
○望月政府参考人 社会、時代が大きく変化する中におきまして、子供たちが、基礎的な知識や技能ということを基盤としながら、自分の力で将来生きていくことができるような、そうした考える力、あるいは思考して、判断して、そして他者と協働しながら生きていく、そうした力を育んでいくことができる、そうしたことは、これまでも、生きる力の育成から、主体的、対話的で深い学びと現行の指導要領でもやってございます。これを次の学習指導要領におきましても、しっかり学校の主体性や自主性を生かしながら伸ばしていくことが非常に大事だというふうに考えてございます。
また、新しい社会の変化に対応するという観点では、こうしたデジタル社会の変化に対応するという観点もございます。先ほどから出てございます情報基盤能力の育成や、あるいは人とコミュニケーションを交わすためのそうした読解力とか、あるいは言語力という観点についても、引き続きこれは重視をしていく観点かと思っています。
いずれにしても、主体的な学びということを、それぞれの児童生徒の状況を踏まえてきめ細かな教育が各学校で行われることを前提として、新しい学習指導要領については検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
とにかく、何というのかな、がちがちにし過ぎないように。何となく、年々年々この国は生きづらくなっているような気がしてしようがないので、本当に。これは子供たちも恐らくそうなんじゃないかなというふうに実は思っています。
先ほども、子供の自殺の人数が増えているという話が出ましたけれども、これはちょっと尋常じゃないですよね。全体の自殺者数というのは、もう年々年々ずっと下がっているんですよ。ピークから一万人ぐらい下がっているのかな。にもかかわらず、子供の自殺者は逆にすごい伸びをしている。これは、スマホだとかネットだとかの影響もあるんだろうというふうに思いますけれども、絶対それだけではないというように思うので、やはりこの学習指導要領にも、これはある意味少子化対策でもあるかというように思いますので、やはり、子供が自殺をするなんというのは、もうこれはとんでもないことなので、そういった面も含めて学習指導要領というのは考えていっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○あべ国務大臣 今回の、委員がおっしゃるように、特に、令和六年の小中高生の自殺者数が暫定値で五百二十七人と過去最多となっています。本当にこれは極めて重大に私ども受け止めておりまして、大変痛ましく感じているところでございまして。
自殺の原因の動機につきましては、学校問題、家庭問題、健康問題など様々な実は事情が考えられるところでございますが、文部科学省といたしましては、自殺予防教育の普及とか、また、一人一台端末を活用した心の健康観察、どういう心の状況なのかという健康観察を実施していく、また、スクールカウンセラーを配置してしっかりと一人一人の声を聞いていきながら、SNSなども通じた相談体制の強化などを取り組んで進めてきたところでございまして。
この対策、専門家でも一人で抱えることができないぐらい重い問題でございますが、困難な問題を、極めて、いわゆるきめ細かな継続的支援をしっかりとやりながら、組織的な対応が必要だというふうに思っておりまして、今年の一月には、実は、こども家庭庁と文科省と厚生労働省の関係省庁で会議を実施いたしまして、今後の対策で対応を共有するところでございまして。
文科省としても、自殺の危機への組織的対応を強化するために、学校内での自殺予防を組織的に行う校内連携型危機対応チームというのをつくっておりまして、また、学校外の専門家も加えましたネットワーク型緊急支援チームの設置もいたしまして学校内の危機管理体制の強化をしながら、福祉部局などと教育機関の連携強化をしながら、自殺予防の対策、取組をしっかりと全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(英)委員 よろしくお願いいたします。くれぐれも、小学校の学習指導要領に先ほど言ったジェンダー教育等々は載せないでいただきたいというふうに思います。
では、次に、高校無償化について聞きたいと思いますけれども。
先ほどからいろいろ出ていますけれども、今回のは教育の無償化というよりも、これは授業料の無償化だというように思っています。先ほども受験料とか入学金だとかパソコンの話だとかいろいろありましたけれども、教育には授業料以外にもたくさんお金がかかりますので、真の教育の無償化を我々は今後も目指していきたいというように思っています。
そこで、高校の無償化ですけれども、これはいろいろなことを言われるんですけれども、これはやはり日本国民だけに限定をすべきだというように思うんですが、いかがですか。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
現在、高等学校等就学支援金の受給資格につきましては、高等学校等就学支援の支給に関する法律第三条におきまして、まずは、高等学校等に在籍する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者と規定しておりまして、このほかに国籍の要件は定めておりません。このため、外国籍の者、海外からの留学生等についても、受給資格を満たす場合には支給の対象になります。
他方、先般の三党合意におきましては、収入要件の撤廃を前提といたしました支援対象者の範囲の考え方など様々な論点について十分な検討を行うこととされておりまして、引き続き三党の枠組みの中で合意内容実現に取り組まれるものと承知をしているところでございまして、文部科学省としては、その状況を踏まえながら必要な対応をしっかりと検討してまいります。
○高橋(英)委員 大臣、もうちょっと短めにお願いしたいなというふうに思いますけれども。
今、就学支援金のお話がありましたけれども、今の就学支援金は、平成二十二年、十五年前なのかな。十五年前に、今の状況になるとは全く想定外だと思うんですよね。例えばうちの、御承知のとおり川口市ですよ、小学校の半分が外国人になるとか、こんなのは想定外ですから、こんな法律は変えちゃえばいいんですよ、変えちゃえば。それも含めて、やはり見直すべきだというように思いますので、是非この点はお願いしたいと思います。
先ほど亀井委員からも大学の留学生の授業料なんかもありましたけれども、日本というのはやはり教育環境はすばらしく整っている国だと私は思っていますので、どんどんどんどん荒らされてくると思いますよ、これは恐らく。そういう懸念をしている学者はたくさんいますので、この辺はしっかりと線引きをするべきだというように思いますので、是非、日本国民に限定するぐらいの思いで法改正を含めてやっていただきたいなというように思います。
もう時間がないので次に行きますけれども、ちょっと順番が変わりますけれども、文化庁の京都移転について聞かせていただきたいんですけれども。
我々はやはり、東京一極集中、これは正していくべきだというふうに思いますので省庁の移転は大賛成なんですけれども、メリット、デメリットをお聞かせください。
○あべ国務大臣 文化庁におきましては、東京一極集中の是正だけではなくて、文化芸術の振興による地方創生を推進すべく、一昨年の三月に京都に移転をさせていただきました。
移転後、関西広域連合また関西経済連合会との連携によりまして、音楽とアートを融合させたプロジェクト、さらには文化財を活用しました文化観光の推進、また食文化の魅力発信などの取組を進めているところでございまして、また、昨年度実施されました政府関係機関の地方移転に関する総括的評価におきましても、特に地方創生に関しましては、地域企業との連携、地域を超える波及効果の創出等の観点で一定の評価がされているところでございます。
一方で、国会議員の皆様への御説明への対応、またほかの省庁との調整におきまして迅速な対応が取りにくいということも実はございますが、オンライン会議の活用などによりまして、工夫しながら対応させていただいております。
今後とも、京都移転の成果を全国で感じていただけるよう、地方創生に資する文化行政を展開してまいりたいというふうに思います。
○高橋(英)委員 もう万博が近いので、万博を交えてちょっとお聞きしたいなと思いますけれども、所信で科学技術立国を実現するとありますけれども、まさに万博というのは科学技術立国の発信の場にふさわしいというふうに思っているんですけれども、この万博に関して、文科省としては、この科学技術立国、どのように推し進めて、発信していくのか、お聞かせください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
大阪・関西万博におきましては、未来社会の実験場といたしまして、先端技術、世界の英知を集め、新たなアイデアを創造、発信する場とすることがコンセプトになっております。
このため、科学技術の成果を積極的に発信すべき政府全体で取組を進めておりまして、文科省としても、南極地域観察隊が発見した火星の隕石の展示、実は極地研にございまして、先般私も視察してまいりました。また、小型月の着陸実証機のSLIMの展示、JAXA常設展、また視覚障害向けの自律型誘導ロボット、AIスーツケース、これは科学未来館の館長が発明したいわゆる人を連れていってくれるスーツケースなんですけれども、などの準備を進めておりまして。
大学、企業、自治体が協働する、この研究の成果を用いた体験型展示、わたしとみらい、つながるサイエンス展におきまして、万博本番での展示に先駆けて二月に実はプレイベントを行いました、東京で。一千人を超える方々に来場いただきまして、本番に向けて一定の成果が得られたと思っておりまして、科学技術イノベーション、社会課題解決や経済成長、そして国民に夢と希望を与える源泉でございまして、こうした機会を通じて成果の発信にしっかり努めてまいりますので、委員もよろしくお願いします。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
是非、学校等々、子供たちにも広報の方を積極的にお願いをしたいと思います。
もう時間ですので、最後に、やはりこの国というのはちょっと教育にお金をかけなさ過ぎだな、先ほど来から出ていますけれども、まさにそのとおりで、人材、人への投資というのは、これはもっともっと我が国はしていかなければいけないというように思っています。
今回の委員会のメンバーを見ると自民党さんはすばらしいメンバーの方々がたくさんおりますので、歴代大臣とか、いっぱいおりますので、次の予算には思い切り期待をしたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
以上、終わります。
○中村委員長 次に、うるま譲司君。
○うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。
三党合意を踏まえて、高校の無償化や給食をしっかり進めていただきたいと思います。
今日は大臣に質問はございませんので、もしよろしければ退席していただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
ちょっと今日は細かいところをしっかりとお話しさせていただきたいと思います。
まず、私立高校無償化による質の向上についてというところ、大きなところでお聞きしたいんですけれども、私立高校の無償化の効果として、大阪、私、地元大阪なんですけれども、先行して二〇一〇年から無償化を始めております。そういった、大阪の報告書であったり、ほか先行自治体の報告書、そして文科省の資料などを見ますと、共通して私立高校無償化の効果として挙げられているものが、中退率の低下、途中で学校をやめてしまう子供が減っていくというところ、これはどの報告書にも共通して書かれておるんですけれども、文科省は、この私立高校を無償化することで中退率が減っていくというところについてどのように認識しているのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答えいたします。
高等学校等就学支援金は、経済的負担の軽減を図ることにより教育機会の均等に寄与することを目的として実施をされているところでございます。
その上で申し上げますと、うるま委員御指摘のように、高等学校等就学支援金の制度導入時から現在にかけまして経済的理由による中途退学者数が減少しているところでございまして、平成二十九年に都道府県に行ったアンケートによりましても、経済的原因による中退者が減少しているという実感があるところでございます。
○うるま委員 では、ちょっともう一度お伺いしますが、文科省としては、高校の無償化を進めれば中退率は減るということで、もう確定している、これはもう結論づけているということでよろしいんでしょうか。
○望月政府参考人 この制度に関しましては、先ほど申し上げましたけれども、経済的負担の軽減を図ることによって教育機会の均等に寄与することを目的としているという観点から実施をしてございます。
これまでの実証では、これまでのこの制度の成果としては、中途退学者数が減少したということがございます。ただ、一方で、この制度のみをもって中退者数が減少したかどうかということまでは確証を得られないというふうに考えてございます。都道府県の方のアンケートによりましても、中途退学者の減少については効果があるというアンケートはいただいているところでございます。
○うるま委員 では、文科省としては、報告はいっぱいもらっているけれども因果関係はまだ分かっていないといったような感じでのお答えだったと思いますが、それでよろしいですか。
○望月政府参考人 お答えいたします。
これまでの制度の一つの成果としては、中途退学者数が減ったということがあるというふうに認識してございます。
○うるま委員 分かりました。制度の評価として、では、認めているということで認識しましたので、そのようにさせていただきます。
それで、中退をする人が減っていくということに関しては、これは物すごく効果があることで、生徒さんの中退したときに比べて期待生涯賃金の増加をもたらすもので、すごく政策効果が大きくて、市場利子率よりもはるかに高い収益率をもたらすという研究も発表されているところなんですけれども、この中退率抑制、中退を抑制することによる政策的効果について文科省はどのように認識しているのか、お伺いいたします。
○望月政府参考人 この制度の副次的な成果として、いろいろな研究があるということがあるかもしれません。
一方で、文部科学省として、この中途退学者数が減少したということの事象が、直ちにそれが経済的な波及効果とか経済効果があったかという、そういう実証は持ち合わせていないところでございます。
○うるま委員 これから高校の無償化を進めていく上で、たくさん財源も獲得しなければならない。その上で、高校の無償化がどれぐらい政策的効果があるのかということは文科省としてもしっかり説明していくことが必要だと思うんですけれども、その意味で、この中退者が抑制されるということを文科省はもうちょっとしっかりと認識して、その政策的効果についてもしっかりと把握していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 現行の就学支援金制度の評価、一概には言えないところはあるわけでございますけれども、先ほどの中退者数の観点で申し上げますと、平成十九年の二千六百人から、最新の調査の令和五年度には計五百六十七人と大幅に減少しているというふうに認識してございます。
これは、経済的理由による中途退学者数というものを毎年取っているわけでございますけれども、この制度の創設から順次、低所得者等を中心とした支援を拡充してきたということと並行している、その数字は並行しているというふうに考えてございます。
高等学校等就学支援金による支援の中退率がほかにどのような効果、影響を及ぼしているかということについては、当方の方で確認できる根拠はないということでございますけれども、中途退学者について、一定のその成果ということについては確認がされているというふうに考えてございます。
○うるま委員 ここについての質問にちょっとお答えしていないのかなと思うんですけれども、政策的効果ですね。これからこの財源だとかを行政改革だとかで捻出していくということであれば、この政策が他の行政改革をやるぐらい政策的効果があるんだということを、経済効果も含めて、しっかりと文科省で把握しておくことが重要だと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 この制度のみをもっていろいろな政策の波及効果というのを検討するのは、なかなか難しいかと思います。
一方で、今回の三党合意に基づく新たな支援という観点において、いろいろな観点からやはり検討をしていかなきゃいけないというふうには考えているところでございます。
○うるま委員 では、是非、この中退者の抑制というところの政策的効果について、しっかりと文科省の方でも調べていただいて、調査していただいて、財源を取っていけるようによろしくお願いしたいと思います。
なお、先ほど、中退抑制の原因としては、経済的なものがあるということでおっしゃっていただきましたけれども、経済的な要因だけじゃなくて、中退者が減ったことのもう一つの原因としましては、生徒さんが行きたいところに行けるようになったという、就学の満足度が上がったことも一つ原因としてあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。これは実際、大阪府の報告書でもそのように書かれておるんですけれども、文科省の見解をお伺いしたいと思います。
○望月政府参考人 一部の自治体が実施をしていますそうしたアンケートの中では、やはり学校の選択の幅が広がったというお声は聞いておりますし、実際、今回の中退率が下がってきたということには、学校の選択が一定、低所得者を中心に広がったということがあるかなと思ってございます。
ただ、一方で、高等学校等就学支援金の支援による学校選択の幅が広がり、それが満足度につながって、それが学校生活の、あるいは、満足度とその中退率との関係ということについて、その因果関係について確認できる根拠は持ち合わせていないというふうに思ってございます。
○うるま委員 ここについても、やはり満足度というのは重要な指標でありますし、楽しい日本をつくる上でも、しっかりとこれも文科省として把握しておくべきかと思いますけれども、今後把握していくように努めていかれたりはしないのでしょうか。お伺いいたします。
○望月政府参考人 今後の就学支援金制度の在り方については、我々としても、できる範囲の、できる時間の中で、いろいろな観点からやはり検討していくということが必要だと思っております。
その際に、委員御指摘のような資料というのをぴったし取れるかどうかというのは、それは分かりませんし、それが因果関係として相応するものになるかどうかということもよく十分に考えて検討をする必要があるかと思っておりますが、いずれにしても、多角的な観点からの検討は必要かと思っているところでございます。
○うるま委員 是非、満足度の調査が、中退率の抑制につながるかというところに関しても、調査の方、よろしくお願いいたします。
これはこれまでも様々な、予算委員会だとかでも聞いてきたお話なんですけれども、大阪で、私学を無償化することで、公私間の切磋琢磨が起こって、それが教育内容を向上させていっていると。学校側が生徒さんに選ばれるようにしっかり努力をしていく、これによって教育内容が向上しているんじゃないかというところに関してこれまで何度も質問させていただいて、まだその効果は認められないけれども、今後もしっかりと調べていくといったようなことを文科省の方から回答としていただいているんですけれども、今も、その効果は認められるか認められないかということに関してはまだ分からないような状態なんでしょうか。お伺いいたします。
○望月政府参考人 私学全体の就学支援金を拡充していく中で、公私間を切磋琢磨することが必要じゃないかというような御質問かと存じますけれども、御承知のように、私立高等学校につきましては、建学の精神に基づきまして、もちろん学習指導要領に基づく教育課程を行いながらも、個性豊かな活動が展開されてございまして、その自主性が尊重されるのに対しまして、公立高校につきましては、中山間地域も含めまして、地域の基幹的な学びの場としてなくてはならないような場所に設置されているものとか、あるいは、各地域のニーズや生徒の学習ニーズに対応した教育を提供してございまして、域内の高校教育の普及と機会均等を図る上で重要な役割を果たしている。そうしたやはり公私間の違いがあり、やはり、公立と私立を全く同じ土俵で競争をということは、なかなかそれは難しいんじゃないかと思っています。
一方で、やはり、公立についても私立についても、それぞれの生徒のよい面、あるいは、将来の職業とかあるいは社会に出るということを見据えた、そうした自立した国家、社会の一員として有為な人材を育てていくということにつきましては、これはもう教育基本法等の規定も含めて、やはりどの学校においても努力をしていただかなきゃいけないというふうに考えてございます。
そういった観点では、この就学支援金制度の拡充ということとももちろん関係はいたしますが、ただ、一方で、公立、私立を同じ土俵で単に比べる、あるいは、この就学支援金を拡充したことで公私間の全く競争を促すという観点だけに焦点を当てるということは、なかなか難しいんじゃないかというふうに考えているところでございます。
○うるま委員 ちょっとそこは分からない、難しいというところをお伺いしましたけれども。
では、一般論としてこれをお伺いしますけれども、政府が教育供給者側である学校に直接予算を配分して教育内容を決めていくよりも、消費者側である家庭や生徒に資金を渡して学校が選ばれる仕組みを導入する方が、学校間の競争を促し、教育の質の向上につながると考えますが、一般論として、文科省の見解をお伺いしたいと思います。
○望月政府参考人 今、うるま委員の御指摘は、就学支援金の支給の方法として、本人に直接支給するのか、あるいは学校が代理受領するのかということかと推察いたしますけれども、就学支援金制度につきましては、これは法律で受給権は生徒にあるということを前提としまして、いろいろな議論がこの制度を創設した当初もあったところでございますけれども、個人に支給した就学支援金が授業料以外に利用されることを防止し、地方公共団体等の事務負担を軽減するという観点から代理受領をしているということは御理解いただきたいというふうに考えてございます。
その上で、生徒本人への直接支給ということか、それとも学校が代理受領をするかということに関しまして、支給に係る事務コストなど、課題もいろいろ指摘されているところでございまして、そうした多様な観点を、我々としては、引き続きの、三党の合意文書に基づく、その三党の枠組み中で十分な検討が行われるものというふうに承知をしてございまして、その状況を踏まえて、我々としても必要な対応を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○うるま委員 では、分かりましたということで、また三党合意の中でしっかり制度設計していただきたいと思います。
続きまして、二番手の、私立高校無償化に関わる、授業料その他、生徒数、学科等、私学経営における行政の関与についてお伺いしたいと思います。
私学が授業料を引き上げる際、今、私学を無償化すると、授業料、私立高校だとかがばんと上げるんじゃないかということが懸念されておりますけれども、実際、大阪で私立の無償化が始まって、高校の授業料の上限のキャップ制などもあったんですけれども、それを定めたときに、授業料のキャップ制より下の学校、高等学校がすぐ授業料を上げるかというと、そうではなくて、ゆっくりゆっくり、十年ぐらいかけてゆっくりは上がってきておりますけれども、急に、例えば五十万を六十万、七十万にするということはなかったんですね。授業料を引き上げる際に、そういうふうに簡単に私学が上げられない仕組みがあるのかと思っております。
これは、上げるためには、各都道府県の私学課と調整しなければならないと思うんですけれども、私立高校が授業料を引き上げる際、又は生徒数を増やす際、都道府県の役所との調整はどのように行われるのか、容易に変更は可能なのか、また、法的な制約などあるのかというところをお伺いしたいと思います。
○望月政府参考人 お答えいたします。
学校教育法施行規則四条一項に基づきまして、私立高等学校の学則におきまして、授業料、入学料その他の費用徴収に関する事項、そして、収容定員に関する事項、学科に関する事項などを定めることになってございます。
このうち、収容定員に係る学則変更や、学科の設置及び廃止につきましては、学校教育法の四条一項に基づきまして、都道府県知事の認可を受ける必要がございますが、授業料、入学料その他の費用徴収に関する学則変更につきましては、学校教育法施行令第二十七条の二第一項に基づきまして、都道府県知事に届け出るということとされているところでございます。
その観点から、法的な制約があるかという御質問でございますけれども、今申し上げました法令の規定にのっとって、適切に私学としては認可あるいは届出をしていただくということになろうかと思います。
○うるま委員 では、その許認可の権限をもって、都道府県の私学課は、私学が簡単に生徒数を増やしたり、授業料を上げたり、入学金を上げたりすることを防ぐことができるという認識でよろしいんでしょうか。
○望月政府参考人 私学の経営の自主性と、あるいは教育面の自主性という観点も含めまして、必要な知事部局の指導助言は行うことがあろうかと思ってございます。
一方で、私学のそうした自主性の観点から、まあ、それが法令に違反するような状況とかであれば、もちろんそれは認可をすることができないというふうに、当たり前ですけれども、思いますが、そうではないような、通常の場合の認可や届出のときに、都道府県の知事部局が、私立学校に対して、厳しく、授業料の変更等に関して、何か特別な権限を有しているものではないというふうに考えているところでございます。
○うるま委員 特別な権限はないとはいえ、その許認可の力をもって、しっかりと都道府県は調整している。だから、簡単に私学も授業料を上げたりだとか、入学金を上げたりとかということをすることはできないという認識でよろしいでしょうか。
○望月政府参考人 今委員の御指摘のところは、例えば収容定員につきましては、それぞれの自治体における公私の状況とか生徒数の減少の状況等を踏まえて、公私間の協議等に基づきまして、その上で、それを踏まえた知事部局の一定の指導助言をすることがあろうかと思います。
一方で、授業料等について、特別何か都道府県の知事部局の方が、この授業料の額にするのは不適切であるとか、そういったいわゆる歯止め的なものをかけるということは、私は現在のところは承知をしていないところでございます。
○うるま委員 大阪では、実態として、しっかりとそういうふうに私学課と私立高校側が調整をしながら急激な授業料の上昇というのは抑制されているというところをまず御報告としてさせていただきたいと思いますので、またその点も加味して制度設計の方をしていただければと思います。
授業料、それでもやはりちょっとずつ上がっていく中で、授業料のキャップ制というものを大阪でははめております。この授業料以上はもう補助しないよということです。その授業料を超える学校については、その超えた分は学校負担という結構めちゃくちゃな感じなんですけれども、そういった制度をさせていただくことで授業料の上昇を防いでいるところでありますけれども、このキャップ制について文科省はどのように認識しているか、最後、お伺いさせていただきます。
○望月政府参考人 地方自治体による独自の支援というものにつきましては、その自治体における住民の方々とも、説明をしまして、理解を得て、その地域の実情に応じて、判断によりまして、支援を実施されているものというふうに考えてございます。
一方で、国の高等学校等就学支援金制度は、高校生等の授業料を教育の機会均等のための基盤として支援しているというものでございまして、いわゆるそうした大阪府が取ったキャップ制というものの導入を含めて、都道府県ごとにその制度の差が生じないような仕組みにするということが制度の基本であろうというふうに考えてございます。ですから、そうしたキャップ制の是非ということについて、私の方で地方自治体がやっていることについて申し上げることはなかなかできませんけれども、地域のそれぞれの実情を踏まえた、国の就学支援金の上乗せの部分のところで実施をされているものという認識でございます。
○うるま委員 授業料の、長期的にせよ、上昇の抑制を、抑えるためにも、地域の実情に応じたキャップ制の導入というもの、そういったものの御紹介を、各都道府県に是非、就学支援制度を拡充した後には言っていただきたいと思います。
私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中村委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時三十分開議
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。簗和生君。
○簗委員 自由民主党の簗和生でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
今国会で、給特法の改正、教職調整額の引上げを含めた処遇の改善、意欲と能力のある教師が最大限にそれを発揮していただく、そういう環境を整備する、優れた人材を確保する、こういう法案をこれから審議をすることになりますけれども、本格的な議論はそちらに譲るとしまして、今日は、その前段として、国として教師の確保というものをどのように考えているか、この本質的な議論を少し深めてみたいというふうに思います。
今日は、財務省から斎藤副大臣にもお越しいただきまして、ありがとうございます。また、武部副大臣もありがとうございます。
昨年の十一月に、財務省は財政審に、教師の給与について、教職調整額の引上げは時間外在校等時間の縮減を確認した上で行う、また、所定外の勤務時間に見合う手当への移行を検討するという案を示しました。ただ、教師の職責、職務の特殊性、現場の実情等を理解をしていれば、このような案は私は取り得ないというふうに考えております。
二点、この点について指摘をしていきたいと思います。まずは法律の側面でございます。
教育基本法第九条、教員という項目ですけれども、一項から読みますが、「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」そして、第二項ですけれども、「前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。」ということで、そもそも、この教師というものについては、身分を尊重して、そして適正な待遇、これがしっかりと確保されなければいけないということが法律にまず明示をされている。
ですから、教職調整額の引上げ自体が、時間外在校等時間を減らすことが条件だ、そんな話ではないんです。そもそもの職責や職務の特殊性に見合った処遇をしっかりとしていく、国家としてやっていく、これがこの法律に明記をされていることでございます。
そして、もう一つの法律に行きますけれども、人材確保法です。
こちらは、基本理念としては、教師に優れた人材を確保するため、教師の給与を一般の公務員よりも優遇するというものでありまして、現状では、この教師の給与の優遇分は約〇・三五%まで低下をしてきているという実情があります。
第一条を読みますけれども、「特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もつて学校教育の水準の維持向上に資する」ということでありまして、優れた人材を確保することが学校教育の水準を高めることにつながっている、こういうことが書いてあります。それに向けて特別の措置を講じると。
そして、具体的には、第三条のその優遇措置として、「給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」ということでありまして、先ほど来申していますけれども、教育の重要性に鑑みて、優れた人材を確保しなければいけない、その上でしっかりと処遇の適正化、当然の処遇をしていく、こういうことがもう法の趣旨にあるわけであります。
そういう観点からして、在校等時間の縮減を確認した上で引上げを行う、こんなことは、そもそも法にのっとっていない、越権行為だと私ははっきりと申し上げたいというふうに思うんです。
それから、二点目ですね。所定外の勤務時間に見合う手当への移行を検討するということでありますけれども、こちらも給特法でそもそも、しっかりと考え方が定められております。
勤務時間の内外を切り分け難いという教職の、教師の職務の必要性、特殊性等を踏まえ、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当は支給しない、教職調整額を本給として支給するということであります。これを第一条でしっかりと趣旨として定めているわけであります。
こうした点からしても、いわゆる所定外の勤務時間に見合う手当。こういう内外切り分けができないという特殊性をもうここでしっかりと法律に明記をして、そして、これは法律ですから、これまで国会の中で、我々の国家の意思として定めてきたことなんです。これを無視するようなそんな案が出されたということ、私は非常に憤りを覚えている。そして、これは現場で頑張っている教師に対してもマイナスのメッセージなんですよ。我々は、しっかりと教師を、社会全体として、その崇高な使命と職責に見合った敬意を払って、そして処遇をしっかりとしていく、これこそが我々のやることなんです。
そうした観点から改めて財務省に伺いますけれども、こうした今回のこの財政審に示した案について、これは我が党においてもしっかりと議論を積み重ねてきて、提言や決議をしてきた経緯もあるんですよ。そういったことも私は無視されたんじゃないかと思う。国家における教育の重要性について財務省はどう考えていて、そしてその認識は教育予算にどのように表れているか、これを参考人に伺いたいと思います。
○中山政府参考人 国家における教育の重要性等について、財務省の認識、そして予算への反映について御質問いただきました。
昨年十一月の財政制度等審議会建議におきまして、審議を踏まえまして、以下のとおり提言されたところでございます。我が国の持続的発展のための鍵は人的資本である、この人的資本の高度化をもたらす文教分野の重要性は言うまでもない、他方で、予算を増やしさえすればこれらの分野の質の向上がもたらされるということではなく、予算配分の効果的なめり張りづけやEBPMの観点からの分析が欠かせないとされたところでございます。
こうした建議も踏まえまして、財務省として、教職調整額の引上げを含む教師の処遇改善と働き方改革等を一体的に進めるべく、文部科学省と協議を重ね、令和七年度予算を編成したところでございます。
○簗委員 私は、今の答弁には非常に不満を覚えています。費用対効果的な発想が出てきているんですよ。
ただ、歴史を振り返ってみてください。明治時代、我が国は士官学校と師範学校というのをつくりましたね。そして、その二つの学校は、これは、学費を取らない、そして最低限の生活を保障する、まあ、給与みたいなものを払う、こうした形で人材を確保したんです。国防と教育というのは国の礎だ、そういう観点から、人材こそがこの二つの分野で大事だということで、処遇をしっかりとして、人材を確保してきたという経緯があるんです。そして、先ほど私が紹介した幾つかの法律につながっているわけですね。
そもそも、教師は、その職責の重要性に鑑みて、崇高な使命に鑑みて、そしてその特殊性、職務の特殊性に鑑みて、しっかりと、一般の公務員とは優遇して処遇をする、こういうふうに定めているわけです。
こうした議論ではなくて、費用対効果とか成果とかそういう話を前面に出してきたことは、私はこれは、今の国家として本当に教育というものをどれだけ実際重視をしているのか、それが疑われるような、まさに予算を握っている財務省として、私はこの考えは改めていただかなければいけない、そのように思っております。
斎藤副大臣にお聞きをしたいと思います。
斎藤副大臣は、非常に、かねがね私とお話しする中でも、教育に対して大変理解があって、その中でも、教師、しっかりと優れた人材を確保する上で処遇の適正化が大事だ、こういうことを私にもお話しいただいているので、御理解をいただいている副大臣として私は今日来ていただいたのでございます。
それで、お伺いしたいですけれども、高度専門職である教師にふさわしい処遇の改善を確実に行い、崇高な使命を有する教師に志ある優れた人材を確保し、質の高い公教育を実現していく上での財政的対応に係る財務省の決意、これからの意気込みについてお伺いしたいと思います。
○斎藤副大臣 簗和生委員の御質問にお答えいたします。
令和七年度予算におきましては、教師の処遇改善として、教職調整額の引上げ、学級担任への手当の加算、産休、育休代替教職員の安定的な確保のための国庫負担金算定の見直し等を行うこととしております。御案内のとおりです。
教師の処遇改善は、学校の働き方改革と一体的に、かつ財源確保と併せて進めていくことが重要であり、財政当局としても、こうした課題について継続的に検討を行っていくことが必要と考えており、所管である文部科学省と連携して取り組んでまいります。
○簗委員 ありがとうございます。是非力強く推進をいただければというように思います。
今、優れた人材を確保する上で、まず、しっかりとした、処遇を適正化していく、もう一つ、その優れた人材に意欲と能力を最大限に発揮してもらう、それが二つ目に重要なことである、そのために、我々は、環境整備として学校の指導、運営体制を充実強化していく。例えば、外部支援スタッフを配置を充実させる、もっと言えば、もう元々、一番の核として、教師の、教職員の配置の拡充、定数改善、これをそもそもの予算をしっかりつけてやっていくんだ、こういうことを我々は訴えて進めてきたところでございます。
そこで、伺いますけれども、昨年十二月の財務大臣と文部科学大臣の合意では、「令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行う」と明記をされましたが、改めて、定数改善によって全国で中学校三十五人学級を実現すると、この場で確約をしていただきたいというように思います。
また、教師が、教師でなければできない職務に集中し、その意欲と能力を最大限に発揮できる環境を整備する上で、教職員の配置充実、定数改善、支援スタッフの配置充実等の指導、運営体制の強化も不可欠でありますけれども、これらに関する財政的対応に係る財務省の決意をお聞かせいただければと思います。お願いします。
○斎藤副大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、昨年末の文部科学大臣と財務大臣の合意におきまして、財源確保と併せて、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うとともに、働き方改革に資する外部人材の拡充など実効的な人員拡充策を講じるとされたところです。
また、指導、運営体制の御指摘もいただきました。
学校における指導、運営体制につきましても、学校の働き方改革と一体的に、かつ財源確保と併せて進めていくことが重要であります。所管である文部科学省と連携して取り組んでまいります。
○簗委員 ありがとうございます。力強いお言葉をいただきましたので、財務省として予算的対応を是非よろしくお願いしたいと思います。
武部副大臣にこれからちょっとお伺いをしてまいりたいと思います。
先ほど来いろいろと、今、教師の処遇改善の必要性についてお話をしてきたところでありますけれども、私は、本来的に、国家として認識をしっかりと共有して議論を深めなければいけない問題なんだというように思います。
今回の教員不足への対応ですけれども、決して対症療法的な対応になってはいけないと思います。あくまでも、我が国の長期的発展を支える人材を育成する主体としての教員、その教員に求める資質、能力というものを改めて明確にして、恒久的に質の高い教員の人材供給を担保していくという、いわゆる国策、制度、仕組みとしての教員確保の在り方について抜本的な議論を引き続きやる必要があるというように思っています。
それから、労働環境。条件の議論から入る、いわば人を集めるための、そうした迎合的な姿勢ではなくて、教職が有する本質的価値や、教員の果たすべき役割、使命を理解し、人づくり、人材育成の重要性や崇高さと、それに伴う職責の重みや大変さの中に使命感や達成感を覚え自己実現することのできる人材を確保していく、こういう認識が私は必要なんだと思います。
一連の取組の目的は、教職志望者の量の確保ではなくて、我が国の教育の質の維持向上にあります。その一手段として教職志望者の量の確保がある、そのように思っております。そうしたことを踏まえて、これからの取組について武部副大臣から意気込みをお聞かせいただければというように思います。
○武部副大臣 教育は人なりと言われるとおり、学校教育の成否というのは教師に懸かっていると思います。その上で、教職の魅力を向上させて、教師に優れた人材を確保するということは大変重要なことだと思っております。
学校における働き方改革を始めとする教師を取り巻く環境の整備は、学校教育において重要な役割を果たす教師に優れた人材を確保するとともに、今簗委員がおっしゃっていただいたとおり、教師でなくてはできないことに専念していただく、意欲と能力の最大限に発揮できる環境を整えること、それが全ての子供たちのためによりよい教育を実現すること、これを目的としております。
こうした観点から、文部科学省としては、令和七年度予算案において、小学校における教科担任制の拡充、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充等の教職員定数の改善、それから教職調整額の引上げ等のための経費を計上するとともに、学校における働き方改革の更なる加速化や教師の処遇改善等を実現するため、給特法等の改正案を国会に提出しております。
引き続き、学校や地域、地方自治体と協力、連携しながら取組を進めてまいります。
○簗委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
働き方改革について少しちょっと意見を述べたいというふうに思います。
今、文科省としてこれを推進していますけれども、私は、この手段と目的を混同することがあってはならないというふうに思っています。私も副大臣在任時にヒアリングも行いましたし、現場も視察して直接に様々な意見を伺ってまいりました。
その中で、少し印象的なお話として今日はちょっとお伝えしたいのが、在校等時間の減少という数値に着目した話がある一方で、職員室内の人間関係の希薄化が進むことを懸念する、こういう意見がありました。いわゆる、いろいろと先輩から指導を受けたりとかそういうことの重要性を指摘した点だというふうに思います。すぐにもうこの時間が来たから帰りなさいということをやってしまうと、そういった人間関係が形成できなくなってという、育成が進まないという観点だと思います。それから、様々な取組が進む中で、働き方改革イコール早く帰ることと狭く理解されているケースもある、大切なのは教師が生き生きと働ける環境整備であり、この趣旨をいま一度徹底する必要があるのではないかということであります。
教師が、教師としてでしかできないこと、子供たちとしっかり向き合う時間をつくる、このための働き方改革であると思いますので、決してメッセージを誤ってはいけないということをお伝えをしたいというふうに思います。これは質問ではありません。
次に、具体的な取組について、ちょっと時間がもう押してきましたので、私は三つあると思っておりまして、まず一つが、魅力をしっかりと正確に伝えるということだと思うんです。
どうしても報道が先行していまして、いわゆるブラックという言葉で、ネガティブな、そういった印象ばかりが教師になる前の人たちに非常に多く耳に入ってくるような状況があります。ですから、教職のやりがいとか、大変な中でも自己実現できるんだ、こういう魅力を伝える、こういう取組をより強化してやっていかなければいけないのだというふうに思います。
それから二つ目が、養成、採用、研修という段階における取組ですけれども、やはり、今改革をいろいろ進めていただいていますけれども、子供の成長を実感できる、より長いスパンでの教育実習等を導入して、養成段階から教職の醍醐味、やりがいを体験できるような工夫も今必要だというふうに思っています。より年次の若い段階から学校の現場で実習をするということであります。
それからもう一つ、育成というところなんです。先ほど働き方改革のところでお伝えした点と関連するんですけれども、やはり、私は、教師も現場での経験を重ねて、子供や保護者、同僚、先輩との人間関係の中で成長して真の指導者になっていくんだと思うんです。ですから、採用後のキャリアを通じて教員を育てていくという視点に立った教職員集団の形成ですとか、学校と教育委員会等における手厚いフォロー体制、あるいは先輩からの後進指導マインドというものが私は重要になってくると思っております。
ちょっと三つとも一体的に今述べてしまったんですが、ここについて、文科省から、今の取組、これから、今後の取組の方向性等について、まとめてちょっとお話をいただければと思います。
○茂里政府参考人 三点お尋ねがございました。まとめてお答えしたいと思います。
まず、魅力を伝えるという点でございます。
現在、各教育委員会において様々な取組がなされております。どういった取組かと申しますと、教職の価値ややりがい、魅力を若年層も含め社会全体に伝えていくという、そういう取組でございます。そういった取組を踏まえまして、文部科学省といたしましても、全国的な視点から、全国の情報を一覧できるポータルサイトにおいて必要な動画コンテンツをまとめて発信するほか、各地の教育委員会と大学が協働した、高校生等に教職の魅力を伝える、そういったプログラム、こういった事業を支援しているところでございます。
二つ目、養成、採用、研修の一体的取組でございますが、現在、質の高い人材を育成するために、教職を目指す学生に教職の魅力ややりがいを実感していただくということが重要だと考えております。
文科省としても、地域教員枠事業というものを行っておりまして、まず、教員養成する大学と教育委員会がしっかりと連携し、それを更に高校生段階にその魅力を伝えていくという、そういった取組を行っておりますので、そういったものをしっかりと支援してまいりたいと思います。
最後、育成の視点でございます。
採用後についても、その育成の視点は欠かせないものと考えてございます。研修履歴を活用した対話に基づく研修の受講奨励を制度化して、育成を推進しております。その際、ミドルリーダーやメンター、こういった者の協力を得た校内研修など日常的な学び合いというものも重要であり、こういった点も含め、ガイドラインを策定、周知しているところでございます。
今ほど御指摘いただきました、魅力を伝える、採用、研修、養成の一体的取組、そして育成、この三つの視点、しっかり踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。
○簗委員 我が国の国力の源泉は、歴史的に見ても人であり、それをつくる高い教育力にあるというふうに思います。本年は、近代的学校制度、いわゆる学制が明治五年に公布されて百五十三年目の年でありますけれども、この学制以前に江戸時代から藩校、私塾、寺子屋といったものが全国各地に存在して、高い識字率を誇っていたわけですね。幕末に日本に来た外国人が皆驚いた、そういう話があります。世界最高位の教育水準を誇り、それが明治以降の日本の近代化の原動力となったというふうに言われています。
この教育に重きを置く国柄をしっかりと今後も引き継いでいくこと、このために、我々は、教職というものに優れた人材を確保して、そして最大限にその意欲と能力を発揮していただく環境をつくる、この取組を進めていかなければいけないというふうに思っております。そうした観点から、これからも文科委員会の中でもしっかり議論を進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げまして、私からの質問といたします。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、柴山昌彦君。
○柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。
まず最初に、地域の人材育成について伺います。
地方の私立大学が、過疎化や少子化のあおりを受けて経営難に陥り、公立化する事例が増えています。先月出された中央教育審議会における大学など高等教育の在り方についての答申において、こうした現象に伴い、いかなる効果、特に副作用ですね、発生するというような記述があるでしょうか。あるいは、そうした議論がなされたんでしょうか。
○武部副大臣 中教審の中でも、私立大学の公立大学化については、安易な設置は避ける必要があるというふうに答申が出ております。
私立大学の公立化は、地域に大学が存立が続けられる効果がある一方で、十八歳人口が今後大幅に減少することを踏まえますと、将来的な学生確保が懸念されます。そのことから、地方公共団体の判断ではありますけれども、安易な設置は避ける必要があると考えております。したがって、真に地域に貢献するものとなるよう、地域の人材需要や定員充足の見込み、それに見合った学部・学科等の編成、財政負担と将来の運営の見通し等も十分に吟味するなど慎重に検討した上で、地方公共団体において公立大学としての設置の是非を判断していただく必要があると思います。
○柴山委員 確かに、公立化すると財政的な問題というのは喉元を一旦過ぎるということになるかと思いますが、今副大臣おっしゃったように、真に地域に貢献できるようなプログラムなのか、あるいは規模が本当に適正なのかということの検証が十分行われているかどうかということが必要だと思っています。
それと、もう一つ大事な視点があります。当該公立化された大学の近辺に住む学生が当該大学に占める割合に、公立化がいかなる影響をもたらしますか。
○武部副大臣 私立大学から公立化した大学は十二大学ございます。地域内の入学率について公立化の前後で比較しますと、上がった大学は三大学、下がった大学は八大学、横ばいは一大学となっております。平均すると、地域内の入学率は二六%から二〇%に低下していると認識しています。
○柴山委員 公立大学になると学費が下がりますから、だから、地元の生徒さんじゃなくても通えるようになるわけですよ。とすれば、やはり地域人材ということからすると、そういった副作用も出てくるんじゃないかなというふうに私は考えています。
そして、今回の私立高校の無償化です。今回、地方の私立高校の無償化に伴って、高校では、今お話しした大学とは逆に、公立高校が減るんじゃないかという懸念が示されています。つまり、大学で地域の人材が減る中で、もちろん大学が存続すれば教育施設自体はあるんですけれども、今おっしゃったように、大学で地域の人材の受入れが減る中で、地域の私立高校は、今後、定員割れが見込まれる公立高校がこれまで担ってきた役割をきちんと果たすことができるんでしょうか。特に人材の具体的な種別についてちょっと言及をしつつ、副大臣の御見解をいただきたいと思います。
○武部副大臣 公立高校は、高校教育の普及及び機会均等等を図るとともに、地域のそれぞれの人材を育成するという重要な役割を担っていると認識しております。
委員御指摘のとおり、私立高校への授業料支援拡充により、私立高校への進学を希望する生徒が増加し、公立高校への進学者数が減少する可能性があるなど、公立高校への一定の影響があるものと考えられます。特に、専門高校については、約八〇%が公立、二〇%が私立となっております。公立の専門高校が減少した場合に、地域の産業ごとの発展を支える人材の育成に影響を及ぼす可能性があると考えられます。
この点、今回の三党合意の中では、農業高校、水産高校、工業高校、商業高校等の専門高校を含む公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保、多様な人材育成の実現、公立と私立の関係など様々な論点について、引き続き、三党の枠組みで合意内容の実現に取り組まれるものと承知しており、文部科学省としては、その状況も踏まえつつ、必要な取組をしっかりと進めてまいります。
○柴山委員 今詳細に御答弁いただいたんですけれども、特に私が心配しているのは工業高校なんです。これからは、恐らく都会も、あるいは地方でも、本当に専門的な工業人材の育成ということについてすごくニーズが増えてくるはずなんですよ。ですから、今副大臣がおっしゃった、もちろん我々もきちんとヒアリングをしますけれども、きちんと現場の声、どういう産業ニーズがこれから出てくるのかということも踏まえた上で、制度設計を共にしていただきたいということを要望させていただきます。
次に、民法改正への対応についてお伺いいたします。
資料一、配られていますでしょうか、御覧いただけたらと思います。
私は超党派の共同養育支援議員連盟の会長を務めておりまして、前回、一昨年、令和五年四月にこの文部科学委員会の場で質問させていただいたんですけれども、離婚後、子と別居する親が、子供に学校で会えない、そういう問題を質問させていただきました。
その一昨年以降の、例えば、運動会などの学校行事への別居親の参加ですとか、あるいは成績や健康状態の通知などについての調査の進展はございますでしょうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
離婚後の別居親への学校の対応事例の調査につきましては、令和五年に本委員会におきまして柴山委員から御指摘をいただきましたことも踏まえまして、文部科学省において、教育委員会の担当者、教員等、計三十四自治体を対象として聞き取りを行ったところでございます。その結果につきましては、お示しを委員からしていただいている中にも、資料の二ページ目ともあると思いますけれども、学校が、別居親の要望、子供の希望等を勘案し、離婚後の両親が接触しない形で授業参観に参加することを認めた事例などが確認をできたところでございます。また、この資料には入っていないかと思われますけれども、本人と同居親の同意を得ていることを確認をした上で、子供の成績について、離婚後の別居親へ提供した事例等も確認をできたところでございます。
○柴山委員 同居親の確認を得た上でというのがこれまでのキーワードだったと思うんですけれども、民法改正によって、離婚後共同親権が昨年の通常国会で制度化されたわけです。これは、来年までには遅くとも施行されることになっていますけれども、この民法改正によって、今説明されたことにどのような変化が生じるんでしょうか。
○望月政府参考人 昨年の民法改正によりまして共同親権制度等が導入されたところでございまして、現在、法務省を始めとした関係府省庁が連携をしまして、法制定に関する解説資料の検討等を進めているところでございます。
共同親権になった場合における別居親への学校の対応に関する具体的な取扱いにつきましては、直ちに現時点では具体的に申し上げることが難しいこともございますけれども、文部科学省としましては、制度改正による影響や離婚後の別居親への対応の具体例を含む民法改正に関連した各学校現場の対応に資する事項等につきまして、改正法の施行後に、学校現場にしっかり周知に努めてまいりたいと思ってございます。
今回の法改正によりまして規定される仕組みの中で、各学校現場でより適切な対応がなされるよう留意してまいりたいと考えてございます。
○柴山委員 改正法には、監護及び教育に関する日常の行為の考え方ですとか、あるいは急迫の事情があるときの考え方などに基づく共同親権者の権利というものも定められているわけですから、そういうこともしっかりと対応していただきたいというふうに思います。
また、これに伴って、高等学校等就学支援金、これは、親御さんの収入に基づいて、厳しい世帯の家庭の方々に支援をするという仕組みですけれども、共同親権を導入することによって、親権者二名分の収入に基づいて判定されることから、支援金の認定が難しくなってしまうんじゃないかというような御指摘をいただいています。
これについて検討しておりますか。
○望月政府参考人 お答えいたします。
現行の高等学校等就学支援金制度は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行う仕組みでございます。民法改正後に共同親権となった場合においては、親権者が二名となるということから、基本的には親権者二名分の収入に基づき判定を行うことになると考えてございます。
他方で、一方の親権者が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合、この場合には、現行制度と同様に、その親権者を除く親権者一名の収入に基づいて判定を行うことになるものと考えているところでございます。
この点、共同親権導入後の高等学校等就学支援金の受給資格の認定に当たりましては、共同親権か否かにかかわらず、支援を必要としている高校生等に支援を届けることができるように、就学に要する経費の負担を求めることが困難であり、収入を合算して判定しないことができる場合について配慮すべき事項等について、これはまた法務省とも連携して検討をしているところでございます。
他方、三党合意に基づきまして、令和八年度から、収入要件を撤廃して、私立加算額を引き上げるといった、そうした新しい制度を実現する場合におきましては、この場合には、離婚後の共同親権か否かにかかわらず、収入を考慮しないことになるものと認識してございます。
三党の合意内容を踏まえて、具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○柴山委員 是非、子供にとって不利益が生じない形で制度設計をしていただきたいというふうに思います。
三党協議については、私も実務者に入っておりますので、この問題についても、しっかりと目配りをしていきたいというふうに思います。
続きまして、日本の勝ち筋であるクリエーターやアーティストの養成について伺います。
令和六年度補正予算で、クリエーター支援基金に新たな事業、例えば専門学校等のプログラム開発支援などが加わったわけですけれども、芸術家等人材育成にもこれから重点が置かれることになります。ただ、より若い世代から、やはり文化芸術というものをしっかりと重く見て、育成をしていく必要があると考えています。
質問ですが、大学での芸術に秀でた者の選抜、あるいは育成についての工夫、初等中等教育での取組等について、文化庁でどのような検討がされているか、あるいは高等教育局、初中局でどのような検討がされているか、伺います。
○野中副大臣 人材育成でありますが、柴山先生おっしゃるとおり、まず、子供の、若いときから本物に触れて、また、意欲があって才能ある若者に対して表現する機会を提供していく、そのように裾野を広げていくことが重要であるというふうに思っております。
取組についてでありますが、子供たちが本物に触れる機会を確保する学校巡回公演、また、自ら選んで鑑賞体験する機会を提供する子供チケット事業などを実施しております。
また、指導する側、教員の指導力を高めることも重要でありまして、芸術系大学の協力を得て、初等中等教育段階の教員を対象とした研修を行う芸術系教科等担当教員等全国研修会を、全国芸術系大学コンソーシアムと連携して実施をしております。
芸術に秀でた若者の入学者選抜でありますが、現在、芸術系学科を置く大学の約八割が総合型選抜を行っております。その中で、例えば芸術分野のコンクールにおける受賞歴も評価する、この取組を行っている大学もございます。
そしてまた、育成の工夫でありますけれども、大学、専門学校等において、補正予算のクリエーター支援基金において、大学等を中核とした、新たに産学官連携による、音楽、アニメ、漫画、映画といった様々な分野のカリキュラムモデルの開発支援のための事業を創設し、グローバルに活躍する人材育成から海外発信までの支援策の抜本強化を行い、大学等の積極的な取組を支援しております。
以上が私どもの取組でございます。
○柴山委員 初等中等教育段階では、今、文化部がありますね。部活の地域移行というと、大体、皆さん、スポーツのことが頭に浮かぶんですけれども、私は、文化部の地域における取組、コミュニティースクールなり、あるいは外部委託なり、こういう活用によって、好事例を是非紹介をしていただきたいと思いますし、地域では公民館なんかも活用することができると思うんですけれども、是非紹介をしていただきたいと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、文化部の地域展開、これは大変重要だというふうに存じておりまして、実証研究を進めているところでございます。
これまでの実証研究におきましては、例えば、地域の大学と連携協定を締結し、音楽学科の学生等によるICTを活用した質の高い演奏指導、それから、地域の吹奏楽団との楽器の共有、それから、廃校となった学校の楽器を集め、活動場所に保管するといったような取組、それから、御指摘のございました公民館等の施設について自治体が施設利用料を減免する取組、及び、これまでの部活動になかった華道、茶道、能楽、人形芝居、民謡等、様々な文化芸術活動に親しむ機会を提供する取組といったものなどの好事例が生まれてございまして、こういった事例を事例集として取りまとめるとともに、文化庁のホームページにおいて公開をさせていただき、私どもも積極的に後押しをさせていただきたいと存じております。
○柴山委員 時間がなくなりましたので、最後、もう一つ伺いたいと思います。
実は、私は、「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録推進議員連盟の幹事長をこの度拝命することになりまして、温泉は、単なる入浴施設ではなく伝統文化であり、また、地域の歴史を担っている非常に重要なものであります。
資料二を御覧いただきたいと思うんですけれども、こちらはユネスコ無形文化遺産登録についてのフロー、流れ図となっておりますけれども、これに沿って今後の我が国が取り組む手続と、それから、温泉文化が登録に向けてどのような準備状況にあるかということについて御説明をいただけたらと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
ユネスコ無形文化遺産につきましては、登録がない国等の審査を優先するルールが設けられてございまして、登録数の多い我が国は、二年に一回の審査となってございます。このため、新規提案に係る提案書を、二年に一回、三月末までに提出をいたしまして、その後、約二年八か月の審査等を経て、登録の可否が決定されるところでございます。
ユネスコの審査におきましては、登録要件を満たすと評価されることが必要でございまして、現在、我が国から登録を目指して活動している分野というのは複数ございますけれども、貴重な我が国の登録機会を逃すことがないよう、熟度の最も高いものを提案していく必要がございます。
御指摘の温泉文化につきましては、現在、群馬県を始めとする四十四道府県知事が参加する「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会におきまして、ユネスコ登録に向けた調査研究等を引き続き行っている段階であるというふうに承知をいたしてございます。
文化庁といたしましては、引き続き、関係団体からの求めに応じまして、専門的な観点から必要となる助言等を申し上げたいと存じている次第でございます。
○柴山委員 しっかり応援していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○中村委員長 次に、浮島智子君。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず初めに、私の方から、大阪・関西万博に関しまして、太陽の塔についてお聞きをさせていただきたいと思います。
岡本太郎氏による太陽の塔は、一九七〇年に大阪で開かれた日本万国博覧会のシンボルというべき存在でありまして、半世紀以上の時を超えて、今も多くの人たちに愛されております。
この太陽の塔は、令和二年に国の登録有形文化財に指定がなされました。大阪府では、翌三年度から、この文化財価値を明らかにする調査を行い、昨年の十一月に公表された報告書につきましては、太陽の塔を、複雑な形状を実現した建設の技術、また、岡本太郎氏の芸術作品、大阪の高度成長の都市史という三つの観点から、多様な価値を具体的に提示をしているところであります。
公明党大阪府議団は、これまで、大阪・関西万博を迎えるに当たって、国の重要文化財として指定されるように国に働きかけをしてきました、繰り返し申入れをさせていただいてまいりました。また、先月の二月三日には、私も一緒に行かせていただき、京都の文化庁にて、大阪府議団とともに、要望をさせていただいたところでもあります。
また、次の日の二月四日の衆議院の予算委員会におきまして、我が党の山崎正恭衆議院議員の方から、総理に対して、太陽の塔を重要文化財に指定すべきではないかという質問をさせていただきました。総理からも、太陽の塔は、私も実物を何度も見ましたが、あれができたときには、これは一体何だろうかという、また、芸術は爆発だと言ったのは岡本太郎さんではないかと思いますが、非常に斬新であったという覚えがあります、また、今、公明党さんがこれを重要文化財に建造物として指定するようにという運動を起こしていることは承知をいたしているところでございます、関西万博も、大阪万博同様、皆様の力をおかりさせていただいて、政府としても成功をさせたいと思っております、その一助となれば大変幸いでございますが、文化庁において、文科省において適切に判断をするものと承知をいたしておりますという答弁をいただいたところでもありました。
そこで、文化庁にお聞きいたしますけれども、重要文化財指定に関する要件はどうなっていて、太陽の塔にはどのような文化財的な価値があると考えているか、また、今後、どのようなスケジュールで専門的検討の上結論を出すのか、教えていただきたいと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの重要文化財の指定に関する要件でございますが、国宝及び重要文化財指定基準、これは文部科学省の告示でございますけれども、これにおきまして評価基準を定めてございます。
建造物につきましては、建築物、それから土木構造物等であって、技術的に優秀なものや歴史的に価値が高いものなどの五つの要件のいずれかに該当し、かつ、各時代又は類型の典型となるものといたしてございます。
太陽の塔の文化財的価値につきましては、令和二年に国の登録有形文化財として登録した際には、岡本太郎の斬新な造形を様々な設計技術を駆使して実現したと評価しているところでございます。
太陽の塔の重要文化財の指定に向けましては、大阪府が、先ほど御指摘ございましたように、昨年十一月に総合的な調査報告を取りまとめたことから、現在、文化庁において専門的な見地からその内容を精査しているところでございます。
今後、重要文化財としての価値が明確になり、大阪府から文部科学大臣に対して重要文化財指定の意見具申があれば、文化庁として文化審議会への諮問を検討してまいる所存でございます。
なお、重要文化財の建造物の指定に関する文化審議会の諮問、答申は春と秋の年二回行ってございまして、例年、春であれば、四月下旬に諮問、答申は五月下旬にいただくというのが一般的なスケジュールでございます。
○浮島委員 ありがとうございます。公明党もしっかり後押しをしていきたいと思っております。
そこで、あべ大臣にお伺いをさせていただきますけれども、今の文化庁の説明を踏まえまして、この太陽の塔の重要文化財指定に向けた大臣の決意をお伺いをさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
実は私、岡本太郎さんのファンでございまして、港区にある記念館でございますか、何度かお訪ねしているところでございます。
太陽の塔につきましては、御党より重要文化財指定の御要望をいただいていることは承知をしているところでございまして、先般、予算委員会で石破総理から、大阪・関西万博の成功の一助になれば幸いであるという御発言もあったと承知しているところでございます。
太陽の塔の重要文化財の指定に関しましては、現在、文化庁において、大阪府が作成した調査報告の内容を精査をさせていただいているところでございまして、今後、重要文化財としての価値が明確になりまして文化審議会への諮問を行うことになった際には、審議会での審議に向けてしっかり準備を進めてまいります。
○浮島委員 ありがとうございます。しっかりと準備をした上で、是非よろしくお願い申し上げます。
次に、高校の無償化についてお伺いをさせていただきたいと思います。
我が党は、家庭の経済的環境により子供たちの進学が左右されることがあってはならない、そのために我々は、高校教育から高等教育にわたり、奨学金や就学支援金の拡充に一貫して取り組んできたところであります。
先月、二月二十一日、衆議院の予算委員会の集中審議において、私の方から、授業料以外の教育費の負担の重さを訴える声が多く寄せられている中、誰一人学びを諦めることなく進路を選択できる未来を開く必要性を踏まえ、教材費や学用品などに充てられる低所得者向けの高校生等奨学給付金、これについて、低所得層のみならず中間所得層への大幅拡充を強く求めたところでありました。
また、公明党が着実に進めてきた高校教育の無償化に関しまして、より一層の支援の拡充、高校教育の質の向上、これを両輪として進めるべきということを指摘をさせていただき、石破総理の方からは、公明党の意見をよく聞きながら詳細を考え、中間層支援に関しても、認識を共有するところという答弁をいただきました。
また、この高校生等奨学給付金の拡充につきましては、地方の財政負担が三分の二ということであります。地方自治体の財政力で支援に格差が生じるということはあってはなりません。全額国費負担にすべきと強く申し上げたところでもあります。
また、二〇二六年度以降、高校無償化の財源については、自公両党と日本維新の会の合意文書では、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保し、骨太二〇二五にその具体的な姿を記載することとなっているところであります。しかし、その安定財源について、間違ってもほかの教育予算を削って確保することがあってはならないということも強く申し上げさせていただきました。総理からは、次の時代に先送りすることなく、政府全体で見出すとともに、ほかの教育予算を削る考えはないということも明らかにしていただいたところでもございます。
また、自民、公明両党と、あと日本維新の会の三党協議、これにつきまして、教育改革をつくり上げる政策責任者による協議体の設置も求めさせていただきました。総理からは、一時限りのものに終わらせないで、これからも先に続けてしっかりとしていきたいという答弁をしていただいたところであります。
そこで、大臣にお伺いをさせていただきますけれども、今後の検討について、授業料だけではなくて、教材費や学用品などに充てられる低所得者層向けの高校生等奨学給付金について、低所得者層のみならず、中間所得層への大幅拡充を図るためには、授業料以外の教育負担が重いという保護者の声をしっかりと聞き、具体的な検討を重ねることが不可欠だと思っております。
高校生等奨学給付金をこの中間所得層へと大幅に拡充することについてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 経済的理由で学びを諦めてはいけない。そうした中で、自民党、公明党、日本維新の会の三党合意におきましては、令和八年度から、低中所得者層へ高校生等奨学給付金の拡充を行うこととされているものと承知をしているところでございまして、また、昨年九月に開催いたしました中央教育審議会のワーキンググループにおける民間団体のヒアリングの中におきましては、授業料以外の教育費負担が重いとの保護者の声を受けておりまして、先月公表された審議まとめの中におきまして、高校生等奨学給付金の支援対象となる世帯の拡充、また支援金額の拡充が重要である旨を示されたところでございまして、文部科学省といたしまして、合意内容等を踏まえまして、安定財源の確保と併せて、御党の御意見をよく拝聴しながら、今後、具体的に検討を進めてまいりたいと思います。
○浮島委員 是非とも具体的な検討の方をよろしくお願いいたします。
次に、ちょっと順番を変えまして、先に子供チケットについてお伺いをさせていただきたいと思います。
子供たちに文化芸術の鑑賞をしてもらう、それを体験していただく、本物の芸術に触れることは、豊かな人間性を育むだけではなくて、将来的な文化芸術の担い手、受け手、これは観客ですけれども、そこの育成にもつながると思っております。
我々公明党は、これまでも、子供の舞台鑑賞の機会を確保する、これは義務教育段階で、最低、年に一回はするべきだということをずっと訴えてまいりました。まだまだそこには至っておりませんけれども、しっかりとここを広げていかなければいけないと思っております。
そして、コロナ禍で巡回公演だった公演が全てなくなり、一九年度に一万二千三百四十六校だった鑑賞機会は、二〇年度に四千百二十二校というふうに減少してしまいました。私のところにもたくさんの子供たちから、体験がしたいという声をいただきました。
そこで、様々議論をさせていただき、二〇二〇年十一月の文科委員会でも質問をさせていただきまして、十八歳以下の子供たちが劇場、音楽堂、能楽堂などで行われる実演芸術を無料で鑑賞できる仕組みを構築すべきであるということを質問させていただきました。
この提案に対して、劇場・音楽堂等における子供鑑賞体験支援事業というのが創設をされまして、二〇二〇年度の第三次補正予算に十億円計上し、スタートがなされました。
今、様々、子供たちが、一番高いチケットが三万円ですけれども、三万円以下、劇場、音楽堂、そして団体、指定されたところに限っては、全て、何回見ても無料ということにさせていただいているところです。
また、現場からお声をいただいて、付添いに行くおじいちゃん、おばあちゃんからも、中高生は自分たちで行けるけれども、小学生は誰か付添いが行かなければいけない、なので、付添いもどうにかしてもらいたいというお話をいただき、今、付添いの方は半額にさせていただいているところでもあります。
そこで、私がこの事業に対して、本当につくってよかったな、お礼を申し上げさせていただきたいのは、不登校の子供。不登校の子供は、学校に行っていません。でも、学校で今、文化芸術体験事業もやっています、学校巡回事業をやっています。でも、学校に行くとなると友達に会わなければならない。触れたいけれども、触れられない。でも、この事業は、指定された劇場、劇団であれば、昼間の町ででも、夜でも、自分が好きなものを好きなときに見に行くことができます。
そして、御家庭でおじいちゃんが子供に、こういうものがあるから行かないかというチラシを見せた。でも、なかなか、外に行きたくないから行かないと言っていた。でも、何かきっと興味があるものがあって、行きたいということで、それを鑑賞しに出かけた。それが一回目。それが多分、その子の心に何かが響いたのだと思いますけれども、そこから何回か行くようになって、だんだん、外に出るということは、人と接触する、人と話すことになる、その体験がどんどんどんどん功を奏して、学校に行けるようになったというお話も報告を受けたところでもございます。
なので、この子供チケットというのは、ただただ鑑賞機会、本物の文化芸術に触れるということも重要です、それもありますけれども、そうやって不登校の子供たちも外に出るきっかけにもなるということでございます。
そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、子供チケットの仕組みにより、二三年度は七万六百九十六人という子供たちが三百三十一公演の本物の文化芸術に触れ、二四年度では八百五十公演ということを予定しているということもありました。また、子供チケットの仕組みを充実させて、子供たちが本物の文化芸術に触れる機会、これを確保することに対して、大臣の決意と、今後、大臣がどうしていきたいかということをお伺いをさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 子供たちが本物の文化芸術に触れるのは本当に大切なことでございまして、御指摘の事業に関しては、我が国の文化芸術の担い手、また、将来の鑑賞者となる子供たちに本格的な舞台芸術に触れる機会を提供する大変重要な事業だと認識しておりまして、私としても、しっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
他方、御指摘のとおり、残念ながら、この事業の知名度がちょっとまだ十分でなくて、より一層の発信力の強化に向けた準備を今進めているところでございまして、具体的には、SNSを積極的に活用して幅広い層への情報発信を行うとともに、御指摘を踏まえ、全国各地の公演を簡単にスマートフォンでも検索できるホームページを年度明けのできる限り早い時期に開設することを計画しているところでございまして、多くの子供が本格的な舞台芸術に触れることができるよう、積極的な広報にしっかりと取り組んでまいります。
○浮島委員 ありがとうございます。
今大臣から御答弁ありましたように、まだまだ知名度が足りていない。私のところに残念ながらたくさんの声が寄せられているのが、ホームページを見ても分かりにくい、全然分からない、そこで途中で諦めてしまうというクレームが数多く寄せられております。
そこで、ちょっと通告はしていないんですけれども、参考人の方に、このホームページの全面刷新など、どのようにお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、この子供チケットにつきましては、今大臣からも御答弁申し上げたように、大変重要な事業でありながら、私どもの発信力が不十分であるということを心からおわびを申し上げたいと思っております。
今のホームページでございますが、検索画面がなく公演の選択が困難である、モバイル版対応になっていない、更新頻度が月一回程度ということでございまして、私ども、これは重要な欠陥だというふうに思っております。
先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今、これにつきまして刷新を行っております。これは、様々なキーワード、日付等による検索機能を備えると同時に、実施団体のウェブサイトと連携すること、それから、モバイル版のウェブサイトを作成すること、ウェブサイトは随時変更作業を行うことということで、先ほど大臣から答弁を申し上げましたように、年度明け、できるだけ早い段階で発信をさせていただきたいと存じております。
○浮島委員 是非ともよろしくお願いいたします。
また、大学等修学支援法の議論がこれから始まると思います。先ほども様々、午前中も議論がありましたけれども、子供たちが格差によって自分が行きたい学校も受験もできないということはあってはならないと私は思っております。
私も、二〇〇四年、参議院議員として初当選させていただいて以来、様々な養護施設の子供たちと関わってきました。養護施設の子供たちと関わってきますと、みんな言うことが一緒なんです。何を言うかというと、僕たち私たちは夢を持ってはいけない、夢を持っちゃいけない星の下に生まれてきたと言うんです。なぜかというと、十八歳になると施設を出なければなりません。本当は大学を受験したい、学校に行きたい、こういう将来仕事に就きたい、でも、受験するお金すらない、だから、受験することができないから夢を持てないんだという声をたくさんの子供たちから聞いてきました。
そこで、私は、いろいろなところでいろいろな議論をさせていただきましたけれども、なかなか国の方でここのサポートができなかったというのが現状です。そこで、日本学生支援機構と相談をさせていただき、日本学生支援機構に二〇二三年の三月にプレスリリースをしていただいたんですけれども、養護施設に住んでいる子供たち等で受験をしたい子供たちにどうにかお金を工面をできないかということで、国の方でできないのであれば寄附金を募ろうということになりました。
私の方からお話をさせていただいたのは、企業の方に寄附金を募ると、もし代替わりをしたときに、もうこれ以上できないからとなってしまったら、またそこで夢が潰れてしまう。なので、個人の方でずっと支援をしてくださる方を探そうということになりました。でも、そんな方は多分いないというふうに言われたんですけれども、そういう方がいらっしゃいました。
そして、前回から、令和五年度から、これは渡し切りです。渡し切りで二十万円。条件は一つ。一校でも受験をしてくれたら二十万円前払いでお支払いをするということで、あとは、宿泊なり食費なり交通費なり、自分の好きなように使っていいよ、残ったものは返さないでいいよというふうにさせていただいたところでもございます。
そして、令和五年度から開始されて、前回は七百三十四人受けてくれました。そして今年度、先ほど締切りが終わったところでございますけれども、今年度は現時点で七百八十六人ということで、受験をしていただくことになりました。
それを受けて、こども家庭庁の方が、浮島先生が訴えてきた子供のことを国の方でもやりますということで、今年から始めていただきます。私が一緒につくらせていただいたのは、寄附金で二十万円渡し切り。こども家庭庁がつくったのは、十五万八千円が上限、こちらは受験以外には使えません、後払いです。これを、私は、併用できるようにするべきだということを訴えさせていただき、これも併用させていただくことができるようになりました。
なので、こうして子供たちが、一人一人、光がなかなか当たらない子供たちのところへしっかりと光を当てサポートしていくことは我々の責務だと思っておりますけれども、通告はないんですけれども、大臣に、こういう光の当たらない子供たちへのサポートについての決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○あべ国務大臣 経済的な理由によって子供たちが夢を諦めてはいけないということは、本当に、まさにおっしゃるとおりでございまして、委員がおっしゃっておりました大学の受験費用につきまして、日本政策金融公庫の教育の一般貸付け、合格前でも支援が受けられるよう令和三年からできているところでございますが、しかしながら、加えて、日本学生支援機構における児童養護施設に在籍する高校生三年を対象とした大学の受験に要する費用の支援も実施を委員がおっしゃったようにしているところでございますが、このほか、こども家庭庁でも、いわゆる児童扶養手当の受給世帯、また住民税の非課税世帯の子供が大学を受験する際の受験料は支援する事業を実施しているところでございますが、こうした中において、文科省としても、こういう事業の実施状況も踏まえながら、望ましい進学支援の在り方について引き続き検討してまいります。
○浮島委員 終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、日野紗里亜君。
○日野委員 国民民主党一期生の日野紗里亜でございます。
本日は、大臣所信につきまして、私からは不登校についてお伺いさせていただきたいと思います。
私、今回、本委員会、初めての質疑でございます。現在、小学四年生の娘と小学二年生の三つ子の息子たち四人を育てている母親ですので、母親の目線も合わせて質問させていただきたいと思います。
近年、不登校の児童生徒数は増加の一途をたどっています。これは日本が直面する本当に重大な課題だと思っております。
文部科学省の調査で、二〇二三年度の不登校の児童生徒数は三十四万六千四百八十二人となりました。十一年間連続で増加し、過去最多でございます。中でも、小学生は十三万三百七十人、中学生は二十一万六千百十二人。その中でも九十日以上連続して欠席している児童は全体の五五%に上り、長期化の傾向が見られます。
今や不登校は珍しいことではなくなりました。しかし、我が子が不登校になったことを喜ぶ親はいません。多くの親が悩みを抱えています。うちの子、不登校でと軽く話す、その先、一歩踏み込んだ深い話になると、多くの親が涙を流します。この現状について大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 本当に不登校の児童生徒数の増加率に関しては、私も大変心を痛めております。
岡山県でも、また様々なところでも不登校の方々の親御さんは涙を流しながら、自分がいけなかったんじゃないか、自分が一生懸命頑張ってきて仕事をしてきた、そのためになったんじゃないか、これがいけなかったんじゃないかみたいなことを一生懸命おっしゃりながら泣いていらっしゃるのを何度も何度も拝見をいたしました。
そうした中で、実は、増加率に関しては、昨年度と比較して、若干、不登校児童数はいわゆる減少しているところでございますが、依然として高い水準で推移していることを考えたときに、極めて厳しい状況が継続していると認識しておりまして、文部科学省としても、ありとあらゆる手段を、どういうことをしたらいいのかということをしっかり検討していきながらやっていかないと、誰も取り残してはいけないという教育のためには、まさに重要な課題に取り組んでいかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○日野委員 本来であれば、この次に不登校の原因とその調査につきまして質疑をする御予定でしたが、午前中で高橋議員の方から同じような質疑がありましたので、ちょっとこちらは省略いたしまして。
ただ、その中で、不登校の理由につきまして、やる気が出ないですとか、あとは学業についていけないといったアンケート結果がございました。アンケート結果から分かるように、不登校の理由が多様化しています。
明確ないじめがあるから学校へ登校できないという時代でもなくなりました。もちろん、いじめは子供の心に大きな傷を与え、そして傷を残す、あってはならない行為でございます。しかし、いじめでなくても、友達との関係がちょっとうまくいかなくなってしまった、学業にちょっとついていけなくなってしまったというケース、発達の個性が強く、現状の学校教育、そして学校教育にうまくなじむことができないというケース、家庭環境によるケース、そして慢性的な体調不良によるケースなど、本当に様々な要因が大小重なり不登校につながっています。
それにもかかわらず、不登校の子供たちは一人一人異なる背景を持っているのにもかかわらず、なぜ文部科学省では、不登校・いじめ緊急対策パッケージとして、不登校といじめを一くくりにしてしまっているのでしょうか。不登校対策イコールいじめ対策と捉え、課題への生きた対応ができず、現状が変わらないのではないかと思ってしまいます。
ここについて、不登校といじめを一くくりにする理由も併せて大臣の御意見をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○あべ国務大臣 小学校、中学校、高等学校の不登校児童生徒数、いじめの重大事態の件数は過去最多となっておりまして、不登校といじめ双方とも極めて憂慮すべき状況が継続しているという認識はしているところでございます。
不登校やいじめ対策に当たりましては、共通して、児童生徒の悩みなどについて早期に発見、またさらには早期に対応することがまさに重要でございまして、文部科学省といたしましても、双方の対策に資する観点から、スクールカウンセラー等、また、相談体制の強化、一人一台端末を活用した心の健康観察の実施の取組を進めてきたところでございます。
他方で、不登校対策は、COCOLOプランに基づきまして、誰もが安心して学べる学校づくりに取り組んでいくとともに、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指し、多様な学びの場の整備を進めているところでございます。
また、いじめ対策に関しては、いじめは決して許されるものではないという考えに立った未然防止の取組や、いじめの重大事態化を防ぐための取組を進めておりまして、文部科学省としては、引き続き、共通する取組である相談体制の充実を進めていきながら、関係省庁と連携しながら不登校、いじめ対策を強力に進めてまいります。
○日野委員 今大臣からいろいろなキーワードが出ました。そのキーワードについてもこれからの質疑でちょっとさせていただきたいと思いますが、まずは、校内フリースクールとも呼ばれている校内教育支援センターについてお伺いさせていただきたいと思います。
本日配付させていただきました資料を御参照ください。
設置率につきまして、令和六年七月時点で全国平均四六・一%となっていますが、設置状況は地域によってかなりのばらつきがございます。例えば、さいたま市と川崎市では設置率が一〇〇%だった一方で、徳島県では九・六%、宮崎県は一〇・九%。
この自治体格差が起こる理由と、その格差の是正に向けて、未設置の自治体に対する支援や財政措置の強化をどのように進めていくか、お聞かせください。
○あべ国務大臣 校内の教育支援センターは、不登校から学校復帰する段階にある児童生徒、また、不登校の兆候が見られる児童生徒が学校内で安心して学習したり相談支援を受けることができる点で大変有効だというふうに考えておりまして、ただ一方で、委員が御指摘のとおり、自治体によって設置率に違いがございます。
こういった状況や自治体のニーズも踏まえた上で、令和七年度予算案に関しましては、校内教育支援センターの設置促進また機能強化を図るために、新たに校内教育支援センター支援員の配置に関わる経費を計上しているところでございまして、これらを通じまして、引き続き各地における校内教育支援センターの設置をしっかりと促してまいります。
○日野委員 ありがとうございます。
今、設置と人の配置というお答えをいただきましたが、ただ箱を用意して人を置くだけでは、文科省が目標とする、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すことは困難だと考えております。一人一人の児童生徒の状況やニーズに応じた個別の支援が不可欠ですが、こちらに対して、国としての支援内容、具体的な内容ですね、ありましたらお聞かせください。
○望月政府参考人 校内教育支援センターの具体的な地方自治体の普及についてのお尋ねでございます。
大臣から御答弁をさせていただきましたけれども、現在、各自治体で、不登校になった児童生徒に対して、学校に対して、一歩学校に来て、そして、いろいろな形で活動をまた始めよう、あるいは相談をちょっと受けたいということで校内支援センターが広まりつつあるところでございます。
そこで、自治体によってもいろいろな希望があるわけでございますけれども、昨年度の補正予算では、取り急ぎ緊急措置として、自治体の方で校内でそうした場所を設置するための補正予算を計上したところでございますけれども、自治体の方からは、やはりそこで相談をする相談員みたいなものも併せて支援を要望する声が非常に多うございました。
そうした観点から、来年度の予算案におきましては、自治体がいろいろな形で、施設の部屋の整備をするだけではなくて、支援員を配置する中で、それは退職教員であったり、あるいは地域の非常に教育に造詣の深い方だったりという方々が、学校に、そういう支援センターに入っていただいて、それで子供たちと密接に関わりながら、そして、校内でも教員そしてスクールソーシャルワーカーの方とも連携を取りながら、学校復帰を目指したり、あるいは活動の一歩を踏み出すという形の支援を継続しているところでございます。
実際に、県の方からは、校内教育支援センターを設置したことによりまして、不登校の子供の変化が見られるということ、あるいは未然に防止することができたという声も上がっているところでございまして、こちらとしましては、来年度、いきなり全校というわけには、実際の計画もありますけれども、できる限り自治体の希望に沿う形で、今現在、五〇%弱ぐらいのものでございますけれども、それをまた増やしていきたいというふうに考えているところでございます。
○日野委員 箱と人を置くのに精いっぱいで、なかなか充実した内容が伴わないといったような自治体からの声を聞いていますので、この充実をお願いする次第でございます。
続きまして、民間のフリースクールについてもお伺いさせていただきたいと思います。
二〇一八年に施行された教育機会確保法においても、不登校児童への支援として、学校とフリースクールの連携の重要性が明記されています。しかしながら、現在、不登校児のうち民間のフリースクールを利用している割合は全体の五%以下というふうにとどまっています。
この背景、これは幾つか考えられますが、まず、現在の日本では実質賃金が伸び悩んでいます。手取りが増えない状況が続いています。子育てにもかかる費用、これも増大する中で、特に近年では低学年から不登校となる子供も増えています。小さい我が子を家に置いて、また、ある程度成長している我が子でありましても、精神状態が不安定で自傷行為の可能性がある我が子を家に置いて親は働きに出ることが難しくなり、不登校の子供を持つ保護者の約四人に一人が離職や休職に追い込まれているといった現状があります。不登校離職により収入が途絶え、さらに昼食代や光熱費がかさむことで家計は一層厳しくなり、フリースクールに通わせる経済的な余裕がない、こういった家庭が多いのが実情でございます。
また、フリースクールの運営側にとっても課題は少なくありません。経済的に困窮する家庭に対して高額な授業料を課すことは難しく、一方で国からの公的支援はないため、フリースクールの運営の多くは寄附やボランティアの支援に頼らざるを得ず、安定した運営が困難な状況にございます。
現在のところ、ごく一部の自治体が独自に運営費の補助や授業料の補助をされているところはありますが、国として、全ての不登校児が適切な学びの機会を確保できるよう、利用や運営について補助金などで支援していくといった方針はありますでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 不登校の児童生徒の支援につきましては、まずは、いわゆる公の機関である教育委員会が主体となりまして、学校の内外の学習の場を整備することがまさに重要でございます。
このため、学校教育の体制、取組の強化による魅力ある学校づくり、また、校内教育支援センターの設置促進、教育委員会が設置する教育支援センターの機能強化を進めているところでございまして、その上で、子供の状況によっては、フリースクール等の民間団体と連携しながら相談支援体制強化等を図っていくことが必要と考えておりまして。
また、学校や教育委員会がフリースクールなどの民間施設との連携を図る際に参考となるガイドラインの周知、また、フリースクールなどの学校外の機関において行った学習についての、一定の要件の下で学校の判断で不登校児童生徒の成績評価に考慮できる旨を実は法令上明確化するとともに、その内容や趣旨につきましても周知等の取組を行っているところでございます。
引き続き、子供たち一人一人の状況に応じた多様な学びの場の充実に向けて必要な取組を推進してまいりますが、必要があれば政府参考人から更に説明をさせたいと思います。
○日野委員 お時間もありますので、フリースクールのことに関しましては、今大臣もおっしゃってくださいましたとおり、なかなかこれは出席として認められるかどうか、これはもう学校長の判断によるといった、現状そういうものであると思います。通学しても出席扱いにならない可能性があることで、保護者が利用をためらう要因の一つにもなっています。
校内教育支援センター、これも、先ほどの設置率にもありますように、全ての自治体に整っているわけではありません。不登校児童の学びを保障し、多様な教育機会を確保するためには、民間フリースクールに対する経済的支援の拡充や制度の明確化を進めるよう、重ねてお願い申し上げます。
続きまして、文科省の不登校対策、先ほど大臣もおっしゃっていましたCOCOLOプランには、チーム学校という概念で、心の小さなSOSを見逃さず、早期発見、早期支援を行うという不登校対策がありますが、これも、先ほど高橋議員の質疑の中で具体的な取組について、校内教育支援センターの設置、あとは端末による心の観察、あとはアンケートによって学校風土を調査するなんといったお答えをいただきましたが、このほかに、早期発見、早期支援のために行っているものがありましたらお答えください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁をさせていただいた、不登校児童生徒に対する、いろいろな心の悩みというものを早く、早期に発見して早期に対応できるように、心の健康観察などを導入している等ございますけれども、いろいろな相談体制の機会あるいはチャネルというのを我々としては用意してございまして、保護者等も含めて、教育支援センターが学校外の場でいろいろな形で相談するような体制というものについて、こども家庭庁とも連携して支援を行っている、それが、学校とも連携をしながらその相談をつなげていくということでありますとか。
あるいは、不登校になった方々が、校内教育支援センターのほかに、学びの多様化学校といった、別の学校に通いたいという、この学びの多様化学校についても、設置が三十五校、全国における、来年度はもっと更にそれが増加する見込みであるといったことでありますとか。
あるいは、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援するといった観点から、これは学校の運営全体に関わりますけれども、子供たちのいろいろな状況を学校全体で把握するために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ケース会議なんかも開きながら、子供たちに寄り添った情報の共有などをしているといったことなども挙げられるというふうに考えてございます。
○日野委員 昨年十一月、大臣は、不登校の子供たちに向けて、文部科学省のホームページからメッセージを発信してくださったかと思います。ありがとうございます。
しかし、最後の一文に、「みなさんも困ったときは周りの大人に相談してくださいね。」、こういうふうに締めくくられていました。ここに、大変恐縮ではございますが、私としての意見を述べさせてください。
大臣、子供にとって、困ったら相談する、これは物すごく難しいことなんです。子供自身が自分の悩みを言語化する、これって本当に容易ではありません。それどころか、自分がどうしてうまくいかないか、何に困っているかさえ分からない、こういったことがたくさんあります。大人ですら、自分が抱えている課題を整理して対処するというのは、簡単なことではありません。
人に助けてもらう力、すなわち受援力、これが学ばずして備わっていないのは、日本人の奥ゆかしさを持った国民性というだけではなくて、自己分析自体がとても難しい、こういったことがございます。
自分でも何でかよく分からないけれども、学校に行けなくなってしまったという子供たちは本当に多いんです。そして、一度不登校になると、再び学校に通うきっかけもつかむことが簡単ではなく、行きたいけれども、どうしても行くことができなくなってしまう、そんな子供たちもいます。
子供たちが学校に通い続けるためには、問題が顕在化してからの対応ではなく、日常的に寄り添い、サポートをする体制が必要です。文部科学大臣には、現場の実情を踏まえ、実効性ある施策を講じていただきたいと考えます。
大臣、子供が困るその前に、全ての子供たちに対して、いわばプッシュ型の支援を、学校現場だけでなく地域や家庭とも連携し、不登校を予防する方針を考えていただきたいと思っています。大臣、不登校予防のためのプッシュ型支援、これを大臣の御決断でより推進していただくことは可能でしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 委員がおっしゃるように、本当に、困ったら相談と言われても、子供にとって言語化するのが大変難しい、おっしゃるとおりでございます。
実は、日本人は助けてと言うのが余り得意じゃないというのがあって、私がいつも御相談している、ホームレスの支援をしている方も、助けてということをちゃんと言える社会にならないといけないということを何度もおっしゃっておりました。
そういう中で、私ども、やはりどういう形でプッシュ型をしていくか。実は、プッシュ型をしていったときに、そのプッシュ型をしたときのいろいろな方法がございますけれども、様々、私ども、ツールが今新しく、SNSも含めた、またチャットボットも含めた様々なものがあるのでございますが、委員御指摘の点については、しっかりと受け止めさせていただきたいというふうに思います。
○日野委員 それでは、スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーについてもお聞きしたいと思います。
現在、常勤配置されている学校は全体の何%でしょうか。お答えください。
○望月政府参考人 文部科学省が実施する補助金を活用しました常勤職の任用状況としましては、令和五年度実績におきまして、スクールカウンセラーが一・二%、スクールソーシャルワーカーが三・三%が常勤配置となっているところでございます。
○日野委員 これはすごく少ない数だと思います。なかなかこの配置ではプッシュ型の支援は難しいと思います。非常勤の方の中でも、週三回とかではなく、月に一、二回、短時間という学校も多くあります。現状の支援体制では十分な対応ができていないのは明らかでございます。特に、スクールソーシャルワーカーの配置は一部の学校に限られ、地域によっては複数校を兼務しているケースがほとんどでございます。カウンセラーも、週に一回程度の勤務では、学校全体の状況を把握することすら難しいのではないでしょうか。
こうした現状で、支援が必要な子供に適切なタイミングで手を差し伸べることができません。各クラスの授業や休み時間に巡回し、子供たちの様子を観察しながら、適宜コミュニケーションを取り、専門的な観点から、先ほど申し上げましたプッシュ型の支援、こちら、これを行う余裕はほとんどないのが実情でございます。
財政豊かで不登校支援に注力している自治体が独自の予算で人的措置を行わない限り、現状の最低限の人員では、何かあったら何でも聞くよという受け身の姿勢の支援しかできず、不登校の現状は変わりません。
そこで、お伺いをさせていただきます。
最終的に、スクールカウンセラーについては全ての学校に、スクールソーシャルワーカーは全ての中学校区に常勤配置することを目標とされていますが、その時期と、実現のための具体的なロードマップは国として策定されていますでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 必要がございましたら後ほど政府参考人から補足をさせていただきますが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの任用につきましては各自治体の権限と責任の下で適切に判断されるものではございますが、学校現場においては、様々な悩みを抱える児童生徒等に対して適切な対応が実施されるような体制づくりに取り組んでいく必要がまさにあるというふうに思っています。
現在、文部科学省におきましては、スクールカウンセラー等の常勤の職として求められる職種や担うべきこの職務の在り方に対して検討に資する調査研究をまさに今やっているところでございまして、文部科学省といたしまして、令和七年度予算案に関しましても、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置時間の充実を図っているところでございまして、引き続き各学校における教育相談体制の充実に努めてまいります。
○日野委員 不登校対策は、全ての子供がひとしく教育を受ける権利を保障する国家の責務であると私は思っています。自治体ごとの対応格差をなくし、全国一律の支援体制を確立する必要がございます。自治体任せではなく、国としての明確な方針、それに伴う財政的対応を是非お示しくださるようお願いします。
また、段階的な配置拡充、これを進める現状の過程において不登校の兆しを早期に発見し、未然に防ぐためにより積極的な介入が可能となるよう、併せてお願いをします。
さらに、不登校の早期発見、早期介入を実現するために、私から少し提案をさせていただきたいと思います。学校教育の中に、児童精神や児童福祉、これに精通した専門職チームを設置するという視点、これを是非持っていただきたいと思っています。
専門職が、子供一人一人のつまずくポイントや、どのような指導や支援をどのようなタイミングで行うか、適切なところを判断し、直接的な支援を行うだけでなく、その情報を担任の先生を始めとする教師陣の方々と共有することで、先生方の子供への理解が深まり、接し方の工夫にもつながります。結果として、教職員の方々のスキルアップにもなり、子供たちがよりよい環境の中で可能性を伸ばすことができます。また、学校の先生だけではなく、専門職の方々にも学校と家庭の橋渡しを担っていただくことは非常に有効だと考えています。
現在、学校からの連絡、我が家も多々あるんですけれども、誰々とけんかしてしまった、こういった問題発生時の報告に偏りがちですが、専門職の方が関与することで、子供の特性を生かし、伸ばす的な、具体的な助言やコミュニケーションのアドバイスですね。例えば、この子は意思疎通、意思表示のやり方で、コミュニケーションにはこんな特徴があって、それがちょっとこういうトラブルにつながりやすいから家庭でもこういう声がけをしてみてくださいとか、こういったアドバイスを受けることによって保護者にとっても大きな安心感とサポートにつながるというふうに思っています。
現在、こども家庭庁では、巡回支援専門員整備事業において、発達障害などに関する知識を有する専門員が、保育所や放課後児童クラブ等の施設スタッフや親に対し、障害の早期発見、早期対応のための助言や指導を行うといったことが実施されていますが、こちら、学校教育の現場における当事業の巡回状況は、大臣、把握されていますでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 委員にお答えします。
実は把握をしていないところでございますが、実は学童保育における巡回支援専門員整備事業でございますが、実は岡山が始めたものでございまして、子供たちの遊び方を見ながら、子供たちがどういう状況にあって、例えば障害を持っているかどうかなどを早期に気がつけるという、本当にいい仕組みでございます。
そうした中で、私ども、不登校の要因、背景が実は多様化、複雑化している中で、未然防止を図るという観点からも、福祉部局に、関係機関と連携しながら子供たちの支援に当たることは本当にまさに委員がおっしゃるように重要だと思っておりまして、文科省としては、先ほど委員がおっしゃってくださったスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置充実で学校をサポートしておりますが、その上で、実は岐阜県の飛騨市で、作業療法士がまさに月に二回、全ての小学校と中学校を訪問しながら、学校で起こる様々な困難に対して子供たちが自分の力で乗り越えられる力を育んでいくような支援を行っているというふうに承知をしているところでございまして、私ども文部科学省としても、不登校の未然防止を図る観点からも、引き続き教育と福祉の連携に向けた各地における様々な取組をしっかりと把握をしてまいりたいというふうに考えています。
○日野委員 教育と福祉の連携強化、すごく関心高く大臣に思っていただいて、感謝しております。
そもそも、なぜ学校現場における福祉の導入が必要か、申し上げさせていただきたいと思います。
そもそも、児童精神や児童福祉は、障害児のためにあるものではなく、全ての児童に適用できるものでございます。現行の制度では、発達障害の診断がなければ医療や福祉の支援を十分に受けることができません。その結果、グレーゾーンと呼ばれる子供たち、この子供たちが適切な支援が受けられず、成長の過程で困難を抱えるケースが後を絶ちません。
私は、福祉の現場で、発達特性を持ちながらも幼少期や学童期に適切な支援を受けることができず、成人後にうつ病を発症した多くの方々を見てまいりました。もし学齢期に適切なサポートを受けていれば、こうした二次障害を防ぎ、生きづらさを抱えずに社会生活、社会活躍できた可能性は十分にございます。
しかし、現行の制度では、診断基準に当てはまらないという理由だけで多くの子供たちが支援の対象外とされてしまっています。こうした状況を改善するためには、診断の有無にかかわらず、子供一人一人に応じた柔軟な支援を提供できる体制を整える必要があります。
診断の有無に依存しない包括的なサポートを行うことができる場所、これこそまさに学校教育の中ではないでしょうか。ギフテッドは、これは本当に極端な例えではあるとは思いますが、今の日本の画一的な教育が発達特性のある子供の無限の可能性を否定し、不登校や生きづらさを抱えるケースも少なくありません。環境や適切なサポートによってその後の人生が大きく変わる可能性があります。
支援の枠組みを障害の有無によって線引きするのではなく、全ての子供を対象にした仕組みへと転換し、子供たちが安心して成長し、それぞれの可能性を最大限に発揮できる環境を整えていくことが今後の学校教育の重大な課題であり、そして、不登校対策にも必ずつながると思います。
もちろん一足飛びに全ての学校に専門職チームを設置する、これは難しいかもしれませんが、まずは専門職チームの巡回支援、これを国として推進することから始めるべきではないでしょうか。
大臣は、所信の中で、専門人材の活用も含め、教師の負担軽減と多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成に向けた取組を加速しますとおっしゃっていました。その言葉を受けての提案です。
専門職チームの学校内巡回を政府として積極的に推進していただくことはできますでしょうか。お答えください。
○望月政府参考人 チーム学校において、専門職の方が学校に入ってくる必要性について御質問いただいたところでございます。
現在、外部専門家がチーム学校の一員として学校に入っている場合、例えば特別支援の場合、医師、理学療法士、あるいは先ほど出ていました作業療法士、あるいは言語聴覚士、手話通訳士など、そうした専門家を配置、派遣をして、それを学校の中で、教師と連携しながら子供たちの対応に当たっているケース、これは来年度も拡充をしていきたいというふうに考えてございまして、福祉との連携であるスクールソーシャルワーカーとか、あるいはスクールカウンセラーも平成二十九年に学校教育法の施行規則に位置づけをしましたけれども、こうした専門家との連携というのは、学校や教師にとっても、これはチーム学校として、子供たちをきめ細かく、いろいろな観点から支援するという観点から有意義な取組であるというふうに考えているところでございます。
○日野委員 ありがとうございます。
特別支援教育の全教職員への研修強化についてもちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
現在、特別支援学校や特別支援学級に勤務される先生など、障害児支援に携わる先生は特別支援教育の専門性を高める研修を受けていらっしゃるかと思います。しかし、近年の学校現場では、通常学級においても発達障害やそのほかの特性を持つ子供たちが学んでおり、教職員全体が特別支援教育に関する知識や対応力をより身につけることが求められていると思います。
全ての教職員が特別支援教育をしっかりと学ぶことで、子供たちの多様な特性やニーズに対応した指導が可能になり、誰一人取り残されることのない教育環境の実現につながると考えます。
そこで、お伺いします。
現在、教員養成課程や現職教員研修において、特別支援教育の研修がどの程度義務づけられていますでしょうか。また、通常学級の教員も含めた全ての教職員が特別支援教育を学ぶ仕組みを強化する必要があると考えますが、大臣の御見解をお答えください。
○あべ国務大臣 必要がございましたらまた後ほど政府参考人からも補足をいたしますが、障害のある児童生徒が二次的な障害として不登校に陥らないためにも、全ての教師が特別支援教育に関する理解を深め、専門性を向上させることは大変重要だというふうに考えております。
これまでも、都道府県教育委員会に対しましては、教員の育成指標に特別支援教育に関する指標を設定をして特別支援教育に関する研修を充実させることなど、体系的、計画的な研修の実施を求めてまいりました。
私自身も、先般お会いした方が、実は三十を過ぎてから自分が障害があるんだということに気がついて、何で仕事が続かないのか自分でも分からなかったけれども、実は発達障害があったんだということを気がついて、早く分かったらもっと違うことができたということもおっしゃっておりました。
また、文部科学省におきましては、昨年度より、学校全体で特別支援教育に取り組んでいくための教師の職責また経験に応じた体系的、計画的な研修プログラムのモデルの構築にも取り組んでいるところでございまして、さらに、国立特別支援教育総合研究所におきまして、各都道府県の指導的役割を果たす教員に対する専門研修や、また、インターネットの講義配信も実施をしているところでございまして、引き続き、特別支援教育を担う教師の専門性向上に向けて取組の充実を図ってまいります。
○日野委員 まだ質問を残しておりますが、時間となりましたので、最後に、大臣所信の最後に、誰一人取り残されることなく、自分らしさを十分に育み、幸せを実感できる社会へ、必要とされる政策を皆様と一緒に実行すると大臣はおっしゃってくださいました。本日は、その実現のために様々な提案をさせていただきました。是非、積極的に導入くださるようお願い申し上げ、日野紗里亜からの質疑は以上とさせていただきます。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
先週三月八日に報道がありまして、沖縄県立高校の一般入試があって、中学三年生が受ける公立高校の入試ですね。それで、三月四日、五日、嘉手納基地と普天間飛行場周辺で百デシベル前後の米軍機騒音が発生したという報道です。嘉手納町によると、ロータリープラザ局で百一デシベルを測定しているんだ、普天間の周辺でも同様のデシベルが測定されて、入試の日にこのようなことが行われたということで、沖縄では問題視しています。先日、れいわの山川仁も、文科省としてもこれは抗議しろということをお伝えしていますので、抗議してくださいということは申し上げますが。
これが起きたのが三月の今年の入試ですね。今、二〇二四年度というか今年度の最後の方でこのようなことが起きて非常に残念なんですけれども、これは今に始まったことではなくて、もう年がら年中沖縄で続いていることで。
それで、うちのれいわ新選組の山本太郎が、参議院の方で、二〇二四年度の最初、四月九日に、米軍機騒音に関して委員会で質疑を、質問を行っています。そのときに、あべさんは、今文科大臣ですけれども、そのとき副大臣としてそれについてお答えになっていますので、それについてお伺いしますね。
お配りしているのが、その山本委員の指摘を受けての、在日米軍の飛行場がある自治体に所在する公立学校についての騒音レベル検査結果なんだという、皆様に、お手元、配付資料にしているものがこちらで、これについて伺いたいんですけれども、この調査結果自体が私は非常に問題があると思っていて、そういう観点からお伺いします。
まず、この百デシベルというのが余り皆様にも分からない人も多いと思いますので、百デシベルというのは電車のガード下のような、一番電車が通っているような状態、百十デシベルといったら目の前で車のクラクションを鳴らされているような状態で、百二十デシベルといったら更にそれを、エネルギーレベルでいうと十デシベル上がると音圧エネルギーが十倍になりますので、非常に、耳が潰れるような、とんでもないレベルの騒音というのが沖縄県では感知されている、屋外の局とかで。
じゃ、学校の中ではどうなんだ、教育環境はどうなっているんですかって、それぞれ様々、日本国内で適用されている学校の様々な衛生の基準があるんだということで、それが守られていないのではないか。
沖縄が、例えば沖縄県教育委員会だったりが幾ら言っても問題が解決しない場合は、これは文科大臣、出てきますよねというのが山本太郎委員の質問の趣旨でした。
それに対して、時の文科副大臣のあべさんがきっちりとこのように言っているんですね。米軍機騒音の指摘を受けて、「大変厳しい状況である場合もあるのだというふうに思っておりますが、しっかりと調査をさせていただきたいというふうに思います。」というふうにお答えになっていて、その後、出てきたのがこのアンケート調査結果なんですけれども。
お尋ねしますね。通告では問い五になります。
この調査結果によって、文科省は、在日米軍の飛行場がある自治体に所在する公立学校について、米軍機による騒音状況を把握、確認できましたか。
○あべ国務大臣 副大臣のときの質問ということで、ありがとうございます。あのときは通告がなかったときだったんですが、今回は大石委員から通告をしていただきました。
環境衛生検査における騒音レベルの検査におきましては、学校において授業が行われている時間帯、各階で騒音の影響が大きい教室を一つ以上選んで、それで、児童生徒がいない状態で、教室の窓側と廊下側で、窓を閉じたときと開けたとき……(大石委員「早めに言ってもらっていいですか。ちょっと、巻きで言ってもらっていいですか。時間がかかりそうなので」と呼ぶ)巻きます。五分間の等価騒音レベルを測定するものでございます。
ちょっと巻きますが、等価騒音レベルは一般環境また職場環境における騒音の大きさを表す代表値として広く用いられておりまして、環境省が定める騒音に関わる環境基準においても採用されておりまして、検査方法として適当であると考えておりまして、この五分間の間に測定された騒音については全ての騒音が含まれているものと考えております。
○大石委員 このアンケート調査で出てきた結果の中に米軍機騒音は含まれていたんですか。
○日向政府参考人 お答えいたします。
先ほども大臣からお答えさせていただきましたが、この五分間の間に測定された騒音については全ての騒音が含まれているものと考えております。
○大石委員 それは測定方法のことをおっしゃっていて。測定方法はそのとおりなんですよ。ある程度一般的な環境の状況を測るために、Leqという、等価騒音レベルという測定方法がありますから。それは測定方法のことをおっしゃっていて。
山本委員が四月九日に、米軍機騒音の問題があるんだということで、どうなんだというのに対して、厳しい状況はあると思うが、まずは調査すると言って、山本委員が半年以上にわたり、この調査結果が出てきたのは一月ですけれども、九月ぐらいに質問主意書も出したりしながら、まだかまだか言うて出てきたのがこれなんですけれども、当然、文脈的に、米軍機騒音のことを問題にして、調査をします、しっかりと検討させていただきますと言って出てきたこれに米軍機騒音は含まれているんですか。ちょっと、まずは、一機でも含まれているのか、それを把握しているのか、お答えください。
○日向政府参考人 済みません、繰り返しのお答えになってしまって恐縮でございますが、この五分間の間に測定された騒音については全ての騒音が含まれているものと考えております。
○大石委員 全ての騒音が含まれる概念だから、米軍機が通ったときは、それはLeqの中に入れるというのが文科省の考えだということを多分おっしゃっていると思うんですね。これはこれで、私は、この測定方法についても、本当にそれでいいんですかは言いたいですよ。
大臣が先ほど読み上げた、皆さんにも配付資料で配っているところのただし書で、特殊な騒音源がある場合は日本産業規格Z8731に規定する測定方法と書いてあるじゃないですか。これだったら、例えば、工場の室外機だったりとか、プレス機でがっちゃんがっちゃんと、極端なピークが一定出るものだったら、こういう測り方じゃなくて、百個採用して上から五番目を取ろうねとか、そういういろいろな決め方があるので、どちらかというと受音側、耳の、聞く側の方がその音を捉えるにふさわしい指標を使いましょうねということを言っていて、そういった特殊な音源以外はLeqを使うというマニュアルですので、航空機がそれに含まれていいのかどうかというのは議論があるんだと思うんですけれども、一旦、文科省は、それは含まれてもいいと今日言ったのは、じゃ、含まれるんですね、その測定方法としては。それは確認したかったことなのでいいんですけれども。
今回のこのアンケート結果で、六十校の小中高等学校等に質問をしていて、測定結果、基準をどれぐらい超えていたんやというのもざっくりとアンケート調査で返してきているものじゃないですか。ページ打ちで三ページになっているところですけれども、窓を閉めているとき、これは窓閉めで基準は五十デシベルで、その六十校の中で超えていたのは一校で六十三デシベルだ。窓を開けているときは、最大値で六十八・五デシベルだ。窓開け基準は五十五デシベルですけれども。
基準値を超えている状況というところで、備考が書いてありますね。備考で四つ、雨の音とか、例が書いてありますけれども、米軍機騒音はないんですよ。何度聞いても、米軍機騒音は一機でも含まれていたのかに対して、イエスもノーも出してこないと思いますので、私の経験上はこれは含まれていないと思います。経験上だけじゃなくて、文科省がちゃんと外形的に調べれば、これは含まれていないんじゃないかと気づけると思うんですよね。
といいますのは、先ほどロータリープラザ局で百デシベルを超えるというふうに言いましたが、このロータリープラザ局というところで、ホームページでも、毎月の航空機騒音の測定結果を出していらっしゃるんですよ、嘉手納町のホームページで。そこの月報を見ても、昼の時間帯、時間帯別に騒音発生回数を調べていらっしゃるんですけれども、朝七時から夜七時までの十二時間、そこで毎月毎月何機ひどい騒音が飛んだかというのをやっていらっしゃるんですよ、測っていらっしゃるんですね。大体ですけれども、毎月、多い月に、一日平均その時間帯は五十回ぐらい、かなりピークの高い百デシベルとか、そういう騒音の航空機が飛んでいると公表されているんですよね。
これを一日に落とし込むと、その時間帯で一時間に大体四回とか五回飛ぶんですよ。五分間の測定だったら、それは逃す瞬間もあるかもしれないけれども、元々、米軍機騒音を問題にして調べますと言っているんだから、平均で一時間に五回くらい飛ぶんだなということは外形的にも分かりますよね。だったら、米軍機騒音が一回でも入ったような測定でないと山本委員の質問に返したことにならないじゃないですか。
それについてはどう思われますか、大臣。大臣が副大臣のときにやると言ったんですから、大臣が答えてください。航空機騒音が入っていなかったら問題ですよねということを言っているんです。
○あべ国務大臣 繰り返しになりますけれども……(大石委員「繰り返しならもう要らないです」と呼ぶ)繰り返しになりますが……(大石委員「航空機騒音が入っているのか聞いているんですよ」と呼ぶ)
○中村委員長 委員長を通してください。(大石委員「委員長、問題があると思いませんか、これ。時計を止めてください」と呼ぶ)
○あべ国務大臣 今回の調査結果におきまして測定された騒音に関しましては、私ども、全ての騒音が含まれているものと認識をしているところでございまして、新たに調査することは考えておりません。
いずれにいたしましても、各学校から改善のための要望が各学校の設置者にある場合においては、各学校の設置者が関係部局と相談をして適切に対応いただく必要があるんだと考えています。
○大石委員 四月の九日に、日本に住んでいるどの環境の子でも、文科大臣として、国として、騒音環境をちゃんと守っていかなあかんよなみたいな話の中でこれが出てきて、調査結果を返して、米軍機騒音が一機でも含まれているかどうかも言わずに、調べもせずに、この調べでいいというのはあり得ない、なめているんですよ。
これは、三ページのところ、教室の窓を開けているところで六十八・五デシベルでしょう。それが、全校、六十校調べて窓開け状態で六十八デシベルというのは、基本的にはないですね。
Leqというのは、五分間の測定です。例えばですよ、これは低めに見積もって、五分間のうちで、先ほどのように百デシベルとか前後するようなやつで、最低でもこういうことがあるだろうという、ピークが九十デシベルぐらいの米軍機が二十秒通っただけでも、自分で計算しました、エネルギーで、七十八デシベルになるんですよ、その五分間Leqで。ずっと五分旋回し続けたやつが通ったら百デシベルですよ。でも、その五分間のうちたった二十秒、一回通り過ぎただけとしましょう。それでも、計算すると七十八デシベルになるんですよ。
これは、窓開け基準は五十五デシベルですから、超えているじゃないですか、基準をはるかに。基準以前にすごい数字なんですよねということが外形的に分かるのに、それもやらずに、調べました、終わりますというのは、それは被害を隠匿しているのと同じですからね。
なので、この調査で終わりというのはまずあり得なくて、今日、米軍機一機でも入っていたんですかと。あり得るとしたらですよ、この窓閉め状態、窓を閉めて六十三デシベルというのが、もしかしたら、その六十校のうちの五分間でやったものの一機。今のだったらこれは六十三デシベルということはあるかなと思いましたが、これが米軍機騒音かどうかすら調べていないんですから、もう話にならないんです。だから、調査というのはやられていないのと同じで、かつ、あなたが答弁したのと約束違反ですからね。
あべ俊子副大臣がこのように言っていますよ。事前通告がなかったというふうにおっしゃっていて、だから、「調査バイアスも含めた形で、どういう状況でどういう調査がされたのかという信頼性、妥当性も含めた形で、本当にどのように対応をしていくべきかということをしっかり対策を立てていくように検討させていただきたいと思います。」と言っていて、やっていないじゃないですか。米軍機騒音の対策、どうすんねんという質問に対して、米軍機騒音の対策をしっかり立てていく、検討と。それを答えてもらいますよ。どんな検討をするんですか、これから、この調査もこんな状態で。
○あべ国務大臣 学校保健安全法というのがございまして、学校の設置者が、学校環境衛生基準に照らしまして、それで、その設置する学校の適切な環境の維持に努めなければならないものとされているところでございます。このため、環境の改善が必要と見られる場合においては、学校の設置者において適切に対応するものと考えております。
その上で、自治体から具体的な相談があった場合には、その内容に応じ、関係省庁と連携して適切な対応を図るように努めてまいります。
○大石委員 ほかの方も言ってくださっていますよ、調べていないんじゃ対応できないだろうと。全国民が思いますよ、こんなこと。
さっき何か、ほかの人の質疑で、日本は助けてほしいと言いにくい国民性やとか言っていて、ちゃうやろと。助けてくれと言っているじゃないですか。沖縄の教育委員会だって、三月八日の報道で、高校入試のときは米側に自粛するように防衛局に要請したけれども、ほごにされた形だって、県の教育庁が言っていますよ。さんざん言ってきて、助けてくれと言っているのに、助けていないどころか踏みつけているのはあなたでしょう。そこをはっきりさせておきましょう。
あと四分、三分半しかないので、問い十のところに行きますね。ブラック校則というか、校則の見直しのことについてなんですけれども。
文科省は、令和五年三月三十一日にCOCOLOプランを策定して、その中で、学校をみんなが安心して学べる場所にしますの項目の〇四、児童生徒が主体的に参加した校則等の見直しの推進を促すというふうに書いてあるんですけれども、それ以降、どんなことをやったんですかと事前に質問通告して、答弁ラインももらったんですけれども、余り意味のない答弁だったので、あべさんにちょっと聞きたいんですけれども。
れいわに寄せられている高校生の相談で、野球部で丸刈りにしないといけないと。推薦とかで入ったときに、野球部でそこは丸刈りにしないといけないと言われているんだけれども、本当に丸刈りにしないといけないのかなという悩み相談が、れいわの奥田ふみよさんという、活動している人なんです、そこに寄せられているんですけれども、その方には、もう一万件のDMが寄せられていて、すごいやはり子供たちは悩んでいるんです、いろんなことに、校則とかに。
丸刈りって、あべさんや私とかの時代の子供の頃にはある程度普通だったみたいな、そういうのはもう時代錯誤だと思うんですが、さすがに今、高校球児やからとか、学校で丸刈りを強制するっておかしくないですか。変えようと思いますか。
○あべ国務大臣 校則に関してでございますが、最終的には校長により適切に判断される事柄でございますが、その内容によっては児童生徒の学校生活に大きな影響を及ぼす場合もあることから、その在り方については、児童生徒、また保護者の、学校関係者から意見を聴取した上で定めていくことが望ましいというふうに考えています。
○大石委員 今日、本日、立憲の五十嵐さんも、校則見直しの、そういう経緯があって退学処分にされた女子生徒のことを質問されていましたよね。かなり食い下がって、これは何とかせなあかんのちゃうかというのにもすげない返事をされていましたけれども。やはり、不当な校則というのを子供たちが見直していこうって、あるいは悩んでいるという中で、これは助けてほしいって言っているやないですか、子供たちが。助けてほしいって言いにくい国民性だからじゃなくて、声を上げたり、こんな退学処分までなって、そういう人たちに手を差し伸べるというか、普通の文科大臣としての仕事をしないといけないですよ。
今日、維新の方が何かクルド人には高校の教育無償化は対象外にして、国籍、日本国籍だけにしろとか、そういうのに対して自民、公明、維新の合意もあるからいろいろ、何かそういう答えをしていましたが、とんでもないことで、そんなの、もう憲法違反だし、教育基本法違反だし、子どもの権利条約違反なので、そもそも、そういう話をここで質問したりして、それに呼応して自公維の合意でいろいろ決めていくとか、そういう話をしたら駄目なんですね。
教育基本法って、知っていますか。教育基本法の本旨というのは、権力者が子供の教育に介入しちゃいけないよね、文科省というのは、だから教育環境とか教育条件の整備をしなくちゃいけないんですよ。そこで何かイデオロギーで何々人がとか、全ての子供たちに教育の権利を保障しないといけないときにそういうのを言ってきたことに、そういう対応をしちゃいけないんです。
時間が来ましたので、何か言いたいことがあるような顔してはりますので、このことについてどう思いますか。学校は非民主的だと言っていて、この背景には、教員が非正規雇用になったりとか、これは公立も私学もですけれども、非常に大きな問題があると考えています。
○あべ国務大臣 委員御指摘の点に関しましては、しっかりと受け止めさせていただきます。
○大石委員 こういう国だからいつまでも動かないという、ただ、答弁してくださったのは感謝します。
学校の教員が少ない、学校に対して国がお金を入れていないということは、また引き続き扱っていきます。
終わります。
○中村委員長 次回は、来る十四日金曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十八分散会