衆議院

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第3号 令和7年3月14日(金曜日)

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令和七年三月十四日(金曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      遠藤 利明君    小渕 優子君

      木原  稔君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    渡海紀三朗君

      萩生田光一君    松野 博一君

      三谷 英弘君    簗  和生君

      山本 大地君    阿部祐美子君

      安藤じゅん子君    五十嵐えり君

      小山 千帆君   佐々木ナオミ君

      高橋  永君    竹内 千春君

      辻  英之君    波多野 翼君

      眞野  哲君    吉川  元君

      うるま譲司君    前原 誠司君

      美延 映夫君    西岡 義高君

      浮島 智子君    金城 泰邦君

      上村 英明君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         浅野 敦行君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  大石あきこ君     上村 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  上村 英明君     大石あきこ君

    ―――――――――――――

三月十三日

 大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

同月十四日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(安藤じゅん子君紹介)(第三一八号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第三一九号)

 同(尾崎正直君紹介)(第三二〇号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二二号)

 同(武村展英君紹介)(第三二三号)

 同(水沼秀幸君紹介)(第三二四号)

 同(柳沢剛君紹介)(第三二五号)

 同(波多野翼君紹介)(第三三三号)

 同(宮川伸君紹介)(第三三四号)

 同(谷田川元君紹介)(第三三五号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第三五〇号)

 同(井坂信彦君紹介)(第三五六号)

 同(梅谷守君紹介)(第三五七号)

 同(河村たかし君紹介)(第三五八号)

 同(北神圭朗君紹介)(第三五九号)

 同(原口一博君紹介)(第三六〇号)

 同(加藤鮎子君紹介)(第三六五号)

 同(櫻井周君紹介)(第三六六号)

 同(西岡秀子君紹介)(第三七四号)

 同(国光あやの君紹介)(第三八四号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四〇五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六三号)

 同(松木けんこう君紹介)(第四六四号)

 教職員が教育に専念できる環境整備等を求めることに関する請願(細野豪志君紹介)(第三二六号)

 高等教育無償化を求めることに関する請願(山崎誠君紹介)(第三二七号)

 同(橋本慧悟君紹介)(第四六五号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(佐藤公治君紹介)(第三三六号)

 同(今井雅人君紹介)(第三六一号)

 同(藤原規眞君紹介)(第三六八号)

 同(牧義夫君紹介)(第三六九号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三八五号)

 同(古川元久君紹介)(第四〇六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四六六号)

 同(有田芳生君紹介)(第四六七号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第四六八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第四六九号)

 同(稲富修二君紹介)(第四七〇号)

 同(岡田華子君紹介)(第四七一号)

 同(金子恵美君紹介)(第四七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七四号)

 同(白石洋一君紹介)(第四七五号)

 同(高松智之君紹介)(第四七六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四七八号)

 同(田村智子君紹介)(第四七九号)

 同(寺田学君紹介)(第四八〇号)

 同(西川将人君紹介)(第四八一号)

 同(野間健君紹介)(第四八二号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第四八三号)

 同(本村伸子君紹介)(第四八四号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第三六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。あべ文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

あべ国務大臣 おはようございます。

 この度、政府から提出いたしました大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 急速な少子化と人材不足に直面する中、高等教育費の負担軽減を図り、質の高い高等教育へのアクセスを確保できるようにし、我が国の未来を担う人材を育成することが重要です。令和五年十二月に閣議決定したこども未来戦略に基づき、高等教育費により理想の子供の数を持てない状況を払拭するため、令和七年度から、多子世帯の学生等について授業料等を無償化することが必要です。

 この法律案は、このことを実現するために、多子世帯の教育費の負担の軽減を図るため、当該世帯の学生等に係る大学等の授業料等の減免制度を創設する等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、法律の目的を見直し、低所得者世帯に加え、多子世帯についても、その負担の軽減を図るため、これらの世帯の学生等に係る授業料等減免を行うこと等としております。

 第二に、授業料等減免の対象者として、多子世帯の学生等を加えることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官竹林悟史君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長伊藤学司君、高等教育局私学部長浅野敦行君、文化庁次長合田哲雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 皆さん、改めまして、おはようございます。

 早速でありますが、今回の、大学における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、目的について、改めて御確認をさせていただきたいと思います。といいますのも、現行法においては目的が、「我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与すること」と目的として明記がされています。一方で、改正後は目的が、「子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与すること」となっております。

 本法律が、少子化対策という言葉が落ちたということによって、少子化対策の一環ではないのか、書きぶりが変わることによってメッセージ性というものが弱まってしまうのではないかと思っております。この点について、是非とも見解を伺わせてください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今回の改正案の目的規定の改正内容についてでございますが、今回の改正案の目的規定では、低所得者世帯に加えて、多子世帯の学生等も授業料等減免の対象とすることから、家庭における教育費の負担の一部を社会全体で負担し、家庭における教育費の負担の軽減を図ることによって、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与することを目的とすることといたしました。

 子育てに希望を持つことができる社会が実現できますれば、少子化傾向にも歯止めがかかり、少子化の進展への対処にも寄与するものでございまして、少子化対策の意図も含め、より広く規定をしたところでございます。

鈴木(貴)委員 というように、答弁、話を聞くと、そういうふうにある種広がりを持たせたのかと。対象もそう、後ほどまた質問させていただきますが、幅を持たせたというところで、ある種深みが増したのかなと思うところでありますが、法律で目的のところに少子化対策と書いてある方がやはりぱっと見、分かりやすいと思っております。今の答弁をいただき、一定の理解を示した上でも、やはり分かりやすさというものは必要ではないのかなと思っております。

 その上で、一方で、今確認をさせていただいたのは、あくまでも少子化対策の一環であるということはまさに確認をさせていただきましたし、これは議事録にも載せさせていただいたと思っております。

 その上で、この本制度自体は、もうスタートしてから五年が経過をしております。一方で、出生数を見ると、九年連続減少。令和六年における、いわゆる最近の速報値といいますか、でいいますと、出生数約七十二万、統計を取って以来過去最低という数字が出てきているところであります。

 そこでお尋ねをしたいのは、少子化対策だということでおっしゃられたわけですから、そこにおけるこの本制度の政策効果というのはどのように評価をされていらっしゃるのでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることから、少子化対策の効果としてこの高等教育の修学支援新制度単体の効果を推計することは困難なところがあるというふうに考えてございます。

 一方、この制度導入後に実施した調査では、年収四百万円未満の世帯に対し、大学などの教育費負担が希望する数の子供を持てない要因になっていると思うかどうか尋ねたところ、そう思う、ある程度そう思うと回答した割合はより年収の高い世帯を上回っておらず、教育費の負担により希望する数の子供を持てない要因を軽減する効果というものは一定程度あったものというふうに捉えてございます。

 今後、お願いしています改正を踏まえて更にこの制度の拡充がなされますれば、しっかりと、こども未来戦略に基づきまして、関係省庁とも連携しながら、この実施状況というものを踏まえ、この効果、政策の効果というものについても取り組んでまいりたい、検証してまいりたいというふうに思ってございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 私自身も、小学一年生と年中さんの娘を持つ子育て中の立場であります。だからこそ、少子化対策といっても、一つ何かの政策で、施策でいきなりドラマチックに変わるということはないんだろうなと。それは例えば、子育て世代が抱えている不安というのは、もちろん経済的なところもあれば、若しくは文化的なというか、慣例、慣習で続いてきたところが今のこの令和の時代を生きる子育て世代とのギャップがあったりとか、様々なところが課題としてあると思います。

 ですから、あえて今、その政策効果をどのように評価をしているかと伺わせていただきましたけれども、是非、政府におかれましては、こ家庁、こども家庭庁もできたわけでありますし、総合的な多角的な視点を持って、今の時代を生きる、今の時代を生き抜いていかなくてはいけない子育て世帯、世代に向けた総合的なパッケージとしての支援策というものを引き続き講じていただきたい、このように期待をしております。

 そして、この法律なんですけれども、もちろん国費が使われるわけであります。子育て世帯支援の一方で、大学支援の側面も一部有していると言っても過言ではないと思います。中央教育審議会、中教審は、高等教育全体の規模の適正化ということを答申で出してきたわけであります。ここの整合性についても、是非とも政府の見解をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 この高等教育の修学支援新制度は、大学等の経営が継続的かつ安定的に行われることを確認をするために、一定の教育や経営に関する要件、いわゆる機関要件でございますが、これを満たす大学等を対象機関としているところでございます。

 今般の中央教育審議会の答申におきましても、経営、教学面において一定の質が確保できない高等教育機関については、学生保護の観点及び高等教育全体への信頼確保の観点から、撤退を進める必要があるとされているところでございまして、本制度において、一定の教育や経営に関する要件、機関要件を課していることにより、御指摘の中央教育審議会の答申とも、今回の制度というものは、方向性、軸を一にしているのでないかというふうに考えてございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 機関要件を課している、あわせて、今回の改正案において、その要件の厳格化、適正化というものも図っておられるということだと思います。そこにおいて、ちょっと平たく言うと、のべつ幕なしの大学若しくは高等教育支援というわけではないんだ、質の担保という側面もしっかり図っているんだということの確認はさせていただいたと思うんです。

 一方で、今まさに、現状としては、少子化が進んでいる、地方においてもやはりどんどんどんどん子供たちが都会に出てきてしまう、こういった状況もある中で、その要件によっては、地方衰退の後押しというか、拍車をかけるようなことがあっては困るなと思っております。画一的なその要件、国費を投入するわけでありますから、先ほど申し上げたように、やはり政策には政策効果というものを求められるという、責任を果たすという意味においては、要件が必要でありますし、必要に応じてその厳格化というものも求められると思います。

 ただ、是非とも、政府におかれましては、そういった地方衰退に拍車をかけるようなことにならぬように、この運用の面においても、制度の改正ということが最終目的地ではなくて、その後においてもしっかりと目配り、気配り、心配りを続けていただきたい、このことを申し添えさせていただきたいと思います。

 そして、今回の法律、これは現行法では、対象者のところに、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対する支援と規定をされております。今回は、先ほども大臣の趣旨説明でありましたように、多子世帯の学生などへの授業料減免について所得制限を撤廃をしたということで、対象者規定の法改正が必要となりました。

 ここで、私の質問は、であるならば、令和六年度のときに中間所得層まで対象拡大をした、そのときになぜ改正が行われなかったのかというところを是非御説明ください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、この制度では、令和六年度から、中間所得層の世帯のうち特に負担軽減の必要性が高い多子世帯や私立理工農系の学部等に通う学生等に支援の対象を拡大し、支援の崖の緩和を図ったところでございますが、この拡充は、住民税非課税世帯に準ずる世帯への支援として実施をしたところでございます。現行法に規定する、真に支援が必要な低所得者世帯の学生等に対する支援の範疇にあると考えているところでございます。

 以上でございます。

鈴木(貴)委員 というのも、支援の対象者が広がるということは、これを私は決して否定をしているわけではないんです、令和六年度の改正のときの。ただ、前回、令和六年度のときには、いわゆる中間層とされる三百八十から六百万円、世帯年収の目安、六百万円まで入れたわけですよ。でも、そのときには法律改正をしなかった。つまり、法律上のたてつけは、この六百万円の人たちも真に支援が必要な低所得者世帯の者という中に包含をされているという位置づけでこの制度が運用、拡充をされた。

 となると、ちょっと待てよと思うわけですよ。ほかの制度においては、世帯年収六百万円になると、あなたは低所得者世帯ではありませんからといって切られる支援があったりするわけです。でも、この法律においては、年収六百万円でも、あなたは真に支援が必要な低所得者世帯ですということで支援が受けられる人が一定程度いたとなると、日本国として、政府としての低所得者世帯という対象、若しくは定義というんでしょうか、に対する一貫性が非常にぶれているんじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる低所得者世帯としてどこまで対象にするのか、その範囲ということでございますけれども、もちろん個々の制度の目的や負担の大きさ、例えば、高等教育費というのは、かなり、当然授業料が、それ以前の教育段階と比べても必要な額というものが大きくなるところでございます。そういうような負担の大きさなども踏まえて、それぞれの政策の中でしっかり判断をし、設定をされていくべきものだというふうに考えてございます。

鈴木(貴)委員 今の答弁は答えになっていないと正直思うんですね。私の質問は、あくまでも、簡単に言うと、政府としての低所得者世帯の定義は何ぞやという質問なんです。今の答弁を聞いていると、つまるところ、かちっとしたものがない。

 では、それならば、その省庁であるとか、若しくは担当課というか、そこのある種裁量によって低所得者層の対象が決まっていくのか。となると、私も、子どもの貧困議連の事務局長を務めておりまして、児童扶養手当の拡充ですとか所得制限の撤廃とか、様々今勉強させていただいているんですけれども、であるならば、世帯年収六百万円もこの法律においては低所得者と言われていたんだからという枕言葉というか、これをてこに様々な政策の対象引上げを求めていけるのかなと逆に期待をしてしまうんです。期待していいですか、局長。

伊藤政府参考人 あくまでこの制度としましては、真に支援が必要な低所得者世帯の者という形で、単純な所得金額だけではなく、当然、それぞれの世帯の構成人員などにも様々な要因というものは起因してきますので、それに応じ、真に支援が必要かどうかというようなことも個々の制度の中でしっかりと検証していかなければいけないというふうに思ってございます。

 同時に、政府としても、当然、支援については予算を伴って、予算が必要になってくるところでございますので、その必要額というもの、その範囲を含めて、必要額というものは予算としてしっかりお示しをしながら、国会の方で御審議もいただきながら、その予算案も含めて御判断、御審議をいただければというものだというふうに考えているところでございます。

鈴木(貴)委員 私がここで感じている課題点を是非政府としっかり共有して、答弁というよりも、共有させていただきたいのは、やはり政策の一貫性は必要だと思うんですよ。どうしても、何か一人でも多くの方を、まさに真に支援が必要な方にはしっかりとその政策を届けたい、それを使っていただける方に是非ともそれを使って生活をより安定に、より安心して、ゆとりを持っていただきたいと我々は思う一方で、今局長の答弁にあったように、しかしながら財源は限られている。だからこそ、一定のルールを決めないといけないわけです。

 打ち出の小づちがあればそれは際限なくいけますが、ない中で、どうしても苦渋の決断を我々政治家は強いられるわけですよ。ここで切られるから、この方にはごめんなさいと言わないといけないんです。でも、それを言わないといけないんです、私たちは、責任を持って。そのときに必要なのは、政策の一貫性だと思うんです。ここではあなたは低所得者と言われ、でも、ここに行ったら、あなたは違います、年収があるじゃないなんて言われると、これは私たちとしてもやはり、説明するに忍びないというか、心苦しいんですよ。

 是非そういったことをお含みをいただきたいと思いますし、何よりも、支援が必要な人、それを使っていただきたい人のところにしっかりと届くように、最大限の御尽力を引き続き賜りたいと思います。

 質問を続けさせていただきます。

 今回、その対象となる学生、世帯の要件のところの話を伺ったわけでありますが、改正案では、授業料等の負担を求めることが極めて困難な状況にあること、いわゆる低所得者世帯の学生などに加えて、三人以上の子などの生計を維持する者に生計を維持されている子などであること、つまり、多子世帯というところがくっついた。

 例えばなんですけれども、これはケーススタディーで伺わせていただければと思います。

 上の子が就職などで扶養から外れると、もちろん、本人のみならず、その弟さんとか妹さんとかもそこの対象から外れてしまう。兄弟姉妹がその対象である要件を満たすためには、変な話、お兄さん、お姉さんが、就職よりも進学、若しくは、四年制よりも、例えば二年制の学校、専門学校を含む二年制の短大とかに行かれると、弟さんとか妹さんが対象である期間もおのずと減るわけですよね、就職とか学校を離れてしまうと。となると、進路に影響、逆に言うと、可能性を狭めてしまうというようなことは考えられるんじゃないのかなと私は考えたんですけれども、議論の過程の中でそういった懸念もあったのか、若しくは、それに対してどのような考えがあるのか、お示しいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度改正は、三人以上の子供を持つ家庭にとって最も経済的な負担が重い状況にあるのが、例えば第一子が大学等に進学しており、下の子が高校生や中学生であるような、こういうような場合など、三人以上同時に扶養している期間であることから、財源が限られている中で、負担が集中している期間を優先して支援することとしたところでございます。

 例えば、第一子が高校卒業後に大学等に進学せずに就職した場合、家庭においてその子供の教育費や生活費を負担する必要はなくなることから、負担が集中する時期を支援する趣旨に照らし、支援対象とはしてございませんが、今般の支援の拡充によって、第一子がどのような進路を選択したとしても、その家庭の将来的な子供の教育費全体についてあらかじめ見通すことができるようになるために、教育費の負担を理由に三人以上の子供を持つ希望を断念している世帯に対しては一定の後押しになるものと考え、このような制度にしているところでございます。

 なお、進路選択は、経済的な観点を始め、個々の状況に応じ様々な事項が考慮されます。文部科学省としても、学生等が望まない進路を選択するような事態を招くことがないよう、制度の趣旨について丁寧に発信してまいりたいと考えてございます。

 従来は、例えば、兄弟もいるので、本当は四年制に行きたいけれども、逆に、授業料のことを考えて短大を選ぶ、こういうような世帯もかなりいたのではないかというふうに思ってございます。そういった観点では、今回の制度ができますれば、四大に行きたかったけれども短大を選んだという子供が、自分の望ましい四年制大学にチャレンジしたい、こういうような希望をかなえることにも資するかな、こういうようなことを多角的に考えて、この制度にしているところでございます。

鈴木(貴)委員 ということで、この制度改正によって様々変化が生まれるとなったときに、これをいかに使ってもらうかというと、やはり周知徹底が、広報ですよね、非常に重要だと思っております。それは何も、学生本人、当事者になり得る者だけではなくて、学校側、それぞれ様々なところ、関係各位にしっかりとした周知徹底が必要だと思いますが、どのような周知の方法を考えているのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度につきましては、必要な方にこの支援を届け、御活用いただくために、また、今回の制度改正により支援対象数が大幅に増加することも踏まえますと、これまで以上に積極的な情報発信、関係者への分かりやすい説明が重要だというふうに考えてございます。

 文部科学省では、これまでも、学生等や進学を控えた高校生等に向け、SNSや動画の配信、また、テレビ放映、インターネット広告等で制度の内容を分かりやすく発信をしてきました。

 特に、新高校三年生全員に対し、リーフレットを配付するとともに、家庭の経済状況により早い段階で大学等への進学等を断念してしまう可能性もある中学三年生に対しても周知資料を配付するなど、積極的に案内してきたところでございます。

 ただいま御指摘いただきましたように、学生本人のみならず、特に生徒の進路指導に大きな影響を与えます高校や中学校の先生方に対する情報の発信、また、そうしたことを通じた保護者への情報発信も含め、引き続き積極的かつ丁寧な周知に取り組んでまいりたいというふうに思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 高校生にはもちろん周知はしていると思っておりましたが、中学生にまで広げていただいているというところで、幅広い情報の発信の必要性というものは既に御理解をいただいているのだと思って、評価させていただきます。

 その上で、文科省さんが作っていらっしゃる広報資料とかで、修学支援で検索を、若しくはJASSOで検索をと書いてあるんですけれども、何か、学校に行けるかな、行きたいなというときに、なかなか修学支援とかJASSOというワードを打ち込む子というのはいないと思うんですよ。何か、お金ない、でも学校行きたいみたいな、最近の若い人たちは、そういう語り言葉というんですかで検索ワードを打ち込んで飛んでいく、飛んでいくというか検索をかけるわけですから、そういった、どういうワードでいったらその支援の紹介をしているページに飛ぶかみたいなことをちょっともう一歩是非とも検討いただいて、情報があまねく全ての必要な人にしっかりと届くような、そんな努力というものは引き続き続けていただきたいと思います。

 そして、今後の展望であります。というのも、授業料はやはり値上がり傾向でありまして、今後も授業料が値上がり傾向は変わるものではないのかなと。中教審の委員の先生の御意見の中には、国公立の学費、百五十万円程度でもいいんじゃないのかというような御発言も出ているのが昨今であります。

 そういった中において、上限額の増減など、この部分についてはどのような展望をお持ちでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。

あべ国務大臣 鈴木委員にお答えさせていただきます。

 高等教育の修学支援新制度における授業料の減免額の取扱いにつきましては、例えば、国立大学は、授業料の標準額約五十四万円を上限として減免いたしまして、私立大学におきましては、授業料設定の裁量性がございますので、その実態も様々である状況に鑑みまして、国立大学の標準額と私立大学の平均授業料の中間の額として、七十万円を上限として減免しているところでございます。

 この減免額につきましては、私立大学の授業料平均額が変化するたびにその都度見直すものとはしていませんが、大学の授業料の水準、また家庭の経済的負担の実情、状況の変化もしっかりと踏まえた上で、今後、文部科学省としても検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 大臣、是非、引き続き前向きにといいますか、現状に合った、せっかく制度をつくったわけですから、実態に見合った制度運用の方も引き続き注視をいただきたいと思います。

 そこで、負担感というところのつながりなんですけれども、入学金の二重払いの問題であります。

 私も日頃から孤独・孤立対策なども、それこそ、当時の大学生だった、今となってはもう代議士になられましたけれども、大空君ら学生と意見交換をした中で孤独・孤立対策を進めてきたり、日々、若い人たちとも意見交換、若しくは、リバースメンターみたいな形で学生の皆さんから御指導をいただいている立場なんですけれども、その中の一人に五十嵐君という男の子がおりまして、彼がまさに入学金の二重払い問題、これを訴えて、自民党の方でも活動をしていただいております。

 というのが、入学金納付期限というのは大学によって異なります。複数の大学を受験した場合、つまり、本命があって、第一志望があって、第二志望若しくは第三とかもあるという場合、いわゆる滑り止めの納付期限がやってきてしまう、その後に本命の大学に晴れて合格した場合には、そのいわゆる滑り止め、第二、第三志望の学校に払った入学金というのはもう返ってこない。

 実際に、アンケート結果を見ると、アンケートに答えた学生の九割が二重払いは問題だと思っている。学生の声で、受験料で三十万既に使っている中で、更に入学をしないかもしれない大学に二十五万、三十五万払うというのは親に相談できなかった、兄弟の学費に影響が、若しくは兄弟の進路に影響が出るのかもしれないと思って、若しくは家族の仕事量が増えないかと思って不安を覚えたというような、アンケートで声が寄せられております。

 この二重払いの問題、どのように受け止められて、そしてまた、どのように対処していくお考えなのか、是非とも伺わせていただきたいと思います。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 大学の入学料につきましては、各大学の設置者の判断により徴収されているものでございます。また、最高裁判決におきましては、大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金については、納付後に入学辞退をしても、大学は返還義務を負わないとされておると承知しております。

 文部科学省といたしましては、一方で、学生の負担の軽減を図るということは重要でございますので、各大学に対して、入学料を始めとした学生納付金については、徴収の必要性を明示しつつ、必要な額に厳に抑制することや分割納入等の措置を積極的に講ずることについて要請しているところでございます。

 各学校法人においては、文部科学省からの要請や社会からの様々な声を踏まえ、入学料の在り方について主体的に検討を進めていただきたいと考えており、文部科学省としては、引き続き、入学料を始めとした学生納付金に関する柔軟な配慮を改めてしっかりと促してまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 実際に、私立大学における入学料の設定に係る通知というもの、たどっていくと平成十四年から出していただいている、毎年六月頃でしょうか。例えば今年、令和七年度大学入学者選抜実施要項、令和六年六月五日付で出していただいたこの通知の中でも、今、私学部長が答弁の中であったように、その額の抑制に努め、納付が困難な学生に対して、独自の減免又は分割納入、納付時期の猶予などの措置を積極的に講じるように努めるとともにという文章が入っているんです。

 ただ、これは、皆さん、平成十四年から送っているんですよ。毎年毎年送っているんですよ。毎年毎年もらった、また来たのかと思って、ちゃんと読んでいるかというのは分かりませんよね。

 今、この二重払いの問題を役所としても課題だと感じているというのであれば、今度の六月は間に合いますから、是非この部分を、昨今学生も中心になって動いて、九割近くがこれを問題だと感じているのであれば、ここを特出しで周知徹底していただきたいと思うんですが、浅野部長、いかがでしょうか。

浅野政府参考人 委員の御指摘をしっかり受け止めて、私立大学に対してどのような周知の方法が効果的なのかということについて今後検討してまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 是非とも前向きに、具体的なお取組を期待をしております。

 教育費の負担といいますと高等教育の負担の議論が今日のように出てくるわけでありますが、私も娘を二人抱えていて、まだ上の子は小学校一年生ですけれども、それでも負担に感じることがあるんです。何かというと学用品なんですよ。算数セットとか、絵の具セットとか、彫刻刀セットとか、書道セットとか、裁縫セットとか、皆さんも、経験したというか、買ってきた、買わされてきた実績というか歴史をお持ちだと、経験があると思うんですけれども、私、ここにいろいろな課題点があると思っていまして。

 まず経済的な負担もそうでありますが、こうやって四月になったら新しいものをそろえないといけない。例えば、文房具セットなんかには、はさみとかのりとかが入っているんですね。はさみとかのりとかは既にあるんですよ。でも、それを持っていっていいですかというと、そうじゃなくて、文房具セットを新たに買ってください。これはすごくもったいないと思いますし、そうやって幼年期から新品至上主義みたいな、そういう文化って、刷り込み教育にもつながりかねないんじゃないかというふうにも思うところであります。

 大臣、学用品の学校備品化、是非ともこれを進めていく、これがまさに、先ほど、今回の法律の目的、子育てに希望を持つことができる社会の実現に寄与すると思うんですが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 鈴木委員にお答えします。

 国におきましては、実は教科で使用する教材のうち、学校に備えるべき品目、数量の目安を教材整備指針として示しております。それらを自治体が整備できるよう、所要の地方財政措置も実は講じております。

 その上で、各学校に、どのような教材を使用するか、その費用負担の在り方も含めまして学校及びその設置者が適切に判断することになりますが、自治体の工夫によりまして、例えば習志野市では彫刻刀や裁縫セット、また、取手市では算数セットと彫刻刀を学校の共用の備品として整備した事例があると承知しているところでございまして、委員御提案の件につきましては、保護者の負担が過度にならないようにしつつ適切に教材を整備するための一つの好事例と考えておりまして、文科省としては、当該事例の発信、紹介を含めまして、あらゆる機会を通じて各教育委員会の取組をしっかりと促してまいりますので、それでいいでしょうか。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。決して後ろ向きな答弁じゃなかったと安堵しております。

 実際に、これは文科省調べなんですけれども、子供の学習費に関する調査、小学校における学校教育費、これは公立ですよ、八万一千七百五十三円で、図書・学用品・実習材料費という支出が最も多いんですよ。

 さっき言ったような彫刻刀とか絵の具セットとか、はさみ、のり、クレヨンみたいなものも、変な話、書道バッグも小学校を卒業するときに使わないかもとか、彫刻刀も何とかという場合には、その卒業生が自分で学校に置いていきますという判断をして、どんどんどんどん備品化していくというか積み上げていくみたいなスタートもあるのではないのかなと思っております。

 小学校教材整備指針というのは実際にあるんです、発出もしていただいているんです。ただ、発出しただけで終わっているんです。実際に指針が、現場で本当に備品化されているか否かというのは、文科省は確認を取っておられないはずなんです。

 是非、これは事務方で結構です。大臣、もし可能であれば、整備指針がどれぐらいちゃんと進んでいるかということも踏まえて、ありとあらゆる局面を使って備品化を進めていくというメッセージを一言お願いします。

あべ国務大臣 委員の御指摘の点につきましては、しっかりと受け止めさせていただきます。

鈴木(貴)委員 受け止めていただいて、実行につなげるまで、私も声を上げてまいりたいと思っておりますし、全国の子育て世代の代表として私は今要望もさせていただきたいと思います。まさにそれが、子供に安心を、子供に笑顔をというのであれば、まずは子供が一番心を寄せている、そして身近な親に安心と笑顔がないと子供に本当の安心は届かないと思います。子供にゆとりをというのであれば、親にゆとりがなくては本当のゆとりは届かないと思うんです。子供が笑えば大人が笑う。でも、大人が笑えば子供が笑うだと私は信じておりますので、是非とも引き続き御尽力をよろしくお願いをいたします。

 時間が限られてまいりましたが、もう一つ、私がライフワークとして取り組んでいること、三月は自殺対策強化月間でもあります。また、三月の、つい二日前ですね、女子中学生二人が亡くなるという大変に痛ましい、そしてまたショッキングなニュースが報道を駆け巡っております。

 おかげさまで、小倉将信大臣時代に、岸田政権のときに初めて政府として、こどもの自殺対策緊急強化プランというものが打ち出されました。そのときに、学校等における児童生徒等の自殺又は自殺の疑いのある事案についての基本調査、詳細調査の実施、国における調査状況の把握、公表というものが盛り込まれたところであります。しかしながら、実態ではこれがなかなか情報の集約が進まれておりません。その背景の一つには、こういった基本調査、詳細調査というものの調査票のフォーマットがないんです、統一された規格がないんです。それぞれの自治体ごとに異なっているからこそ、集めましょうといったところで、統一的に統計が出せないという問題があると思います。

 これは質問を細かく出させていただきましたが、時間もありませんのでまとめさせていただきますが、この集約を進めていく上でも、統一フォーマットを作るべきではないでしょうか。

 あわせて、そのフォーマットの中身についても、現行、今、自由記述式になっています。ですから、それぞれ、自由記述なものですから、どうやって集めて、どうやって一つのワンボイスとして示していくのか、大きな課題があると思っています。是非ともこれは、自由記述式だけではなくて、選択式プラス、それを補う形で、補足情報として、自由記述式ということに変えていくということが重要だと思います。

 あわせて、この対策の推進においては、自殺に至るまでに何があったのか、この過程というものもしっかりと把握されることが必要だと思います。時系列的に情報が記入されるような、そんなインセンティブがこのフォーマット自体にも図られることが必要だと思いますが、この三点、今申し上げたこの提案、是非とも実行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 今、鈴木委員から御紹介いただきました、痛ましい自殺という事案が起きた場合の調査の件でございます。

 子供の自殺が起きたときには、まず初めに基本調査を行いまして、それから詳細な調査に移っていくというものでございます。

 そして、その基本調査の段階で一つのフォーマットがないと、具体的な事案についても分析が進まないんじゃ、できないんじゃないかという御指摘でございますけれども、現在、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を文科省で設置をいたしまして、具体的な検討をしてございます。現在、基本調査における様式等は確かに定めてございませんけれども、委員御指摘のように、その様式のイメージで、自由記述とともに選択式をして、その双方を備えた様式を、一つの様式を、フォーマットを作るという形で、今検討を進めているところでございます。

 また、その調査の中において、自殺に至る過程あるいは経緯がもう少し明らかになるような、そうした制度設計をすべきじゃないかということでございますけれども、これは、なかなか限界はあろうかと思いますが、基本調査、詳細調査のその詳細調査の方におきまして、事実関係を確認するに当たりましての調査項目の中に、現在、これはいじめの重大事態の調査のガイドラインでも、調査を通じて事実関係を時系列的にまとめるということもありますので、そうしたことを参考にして、今回のこちらの自殺の背景調査の方でもそういったことを検討してまいりたいと考えてございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 速報値でいえば、五百二十七人の可能性の塊たる子供たちが自ら命を絶ったわけであります。少子化というのが国家の緊急事態であるというならば、その中で生まれてきてくれた命が自ら命を絶つというこの現状も私は国家の緊急事態であると思っておりますので、引き続き、何とぞ子供の自殺対策、お力添え賜りますようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 本日は、ただいま議題となりました大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 家庭の経済的環境によりまして子供たちの進学が左右されることがあってはならない、そのため、我々は、高校教育から高等教育にわたり、奨学金や就学支援金の拡充に一貫して取り組んできたところであります。

 そして、二〇二〇年度からスタートした高等教育に関する給付型奨学金と授業料減免を行う修学支援新制度につきましては、二〇二二年に取りまとめた子育て応援トータルプランにおきまして、高等教育の無償化の中間層までの拡大を提唱いたしました。このトータルプランを踏まえた公明党の強い働きかけによりまして、二〇二四年度から、多子世帯や理工農系の分野に進学する年収六百万円以下の中間層の学生さんにも拡大されたところでもあります。

 また、二〇二三年十月の二十六日の参議院の本会議におきまして我が党の山口代表は、まず入学金や教材の購入、転居費用などで特に経済的な負担が大きい大学や専門学校等の一年生の前期分の授業料の無償化をしてはどうかという質問をさせていただきました。当時の岸田総理からは、多子世帯の学生等に対する授業料減免について、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めるとの答弁をいただいたところでもありました。

 このような我々公明党の提案により、二〇二三年の十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきまして、二〇二五年度から多子世帯の学生等については授業料等を無償とする措置を講ずると明記がされたところでもありました。そのため、本法案がこの国会に提出されたことは非常に重要な第一歩であると思っております。速やかにこれを成立し、新年度がスタートしましたら直ちに学生さんが支援されるようにすることが立法府の責任だと思っております。

 また、多子世帯の支援はもちろん大変重要であります。しかし、これにとどまってはいけません。経済的な理由で学びを諦めることがない社会を構築し、安心感を持って子育てができるよう、二〇三〇年代までに大学等の高等教育の無償化、これを実現すべきだと考えております。まずは多子世帯の世代をしっかりと支えることを優先しつつ、将来的には、子供が何人であろうと、例えば、まずお金がかかる大学、専門学校等の一年生の前期を無償にすることが必要だと思っております。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今後、今回の無償化の措置の範囲を更に拡大することを検討すべきだと思いますけれども、その決意をお伺いをさせていただきたいと思います。

 その際、例えば、多子世帯は、現在、扶養する子供が三人以上となっておりますけれども、子供が二人の世帯は授業料の半額を支援するといった仕組みも必要ではないかと思います。また、扶養する子供が三人以上という条件だと、三人兄弟で、長子、一番上の子供が扶養から外れてしまうと支援の対象から外れてしまいますので、扶養の対象であろうとなかろうと、世帯の多子世帯の判断は兄弟の数で決めるべきだと思いますけれども、これらの点につきまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 経済的理由で学ぶことを諦めないということは、まさに大切なことでございます。そうした中、今回の制度改正におきましては、高等教育費の負担を理由として理想の子供の数を持てない状況を払拭することを目指すものでございまして、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況であることから、この財源が限られている中、負担が集中している期間のいわゆる世帯を優先して支援することとさせていただきました。

 子供が二人以下の世帯の支援、扶養しているかにかかわらず支援すべきとの声も承知しているところでございまして、委員の御指摘もしっかり踏まえさせていただきながら、まずは制度を着実に実施に移しまして、その効果を見定めつつ、更なる負担軽減と支援の拡充についても、論点を整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいります。

浮島委員 十分な検討を行っていただき、論点を出していただき、進めていただくということで、是非やっていただきたいと思います。でも、やはり、負担が大変だという声もたくさんありますので、どうか、兄弟の数でしっかりやっていくということもしっかり念頭に置いてやっていただきたいと思います。

 また、いつも、御答弁の中であります、限られた財源だとおっしゃるんですけれども、財源は限られていると思います。でも、しっかりと財務省と戦うのも必要だと思いますので、そこをしっかりと、大臣を先頭に財務省と戦っていただきたいと思います。

 先ほども述べさせていただきましたけれども、二〇二三年十月の二十六日の参議院の本会議で我が党の山口代表が、まず大学の一年生の前期授業料の所得制限なしの無償化を図るべきということで質問をさせていただき、総理からも答弁をいただいたところでもございますけれども、これについて、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 御指摘の当時の山口代表と岸田総理のやり取りを含めまして、これまでも、御党が教育費負担の軽減に一貫して取り組んでこられたものと承知をしているところでございます。

 先ほどの答弁と同様の趣旨でございますが、まずはこの国会に提出している法案の成立に向けて全力を尽くしまして、その上で、制度を着実に実施に移しまして、その効果を見定め、委員御指摘の、負担が重い時期の支援の在り方を含め、更なる負担軽減と支援の拡充の論点も整理した上で十分な検討を行いつつ、取り組んでまいります。

浮島委員 是非とも大臣のお力を発揮していただくようによろしくお願い申し上げます。

 次に、マイスターへの道を志す若者についての支援をお伺いさせていただきたいと思います。

 九九%、みんなが学校に行くという中で、マイスターに進む子供たちもたくさんいます。今回の無償化の対象は、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校となっているところであります。

 これらの学校で学ぶ若者を支援することは大変大事ですけれども、他方で、中学校や高校を卒業した後に宮大工など物づくりのマイスターへの道、また、伝統文化を守るために修行されたり、私も京都博物館に何度も伺わせていただきましたけれども、装こう師連盟の皆様に、いろいろな大仏やいろいろな絵を修復する、その作業も見学をさせていただきました、視察をさせていただきました。その中で、将来日本の伝統文化を守っていこうという人たちが、みんな修行をされているんです。専門学校とかに行くのではなくて、そこで修行をする。私には絶対できないなと思ったんですけれども、一本の線を引くのに一年間、これだけを一生懸命、朝九時から五時までやっている。ぶれずに線を引く、この修行をしっかりして絶対にぶれない線を引けるようにならなければ、修復をすることができないと言われておりました。

 こういう、日本の伝統文化、そういうものをしっかりと守っていきたいといって修行される方々、この方々がいるということは決して忘れてはいけないことだと思います。

 公明党は、昨年の七月に、私が本部長を当時務めていた教育改革推進本部として、当時の岸田総理に対して、質の高い公教育の、全ての人に学びの機会を確保する社会へ、人と未来をつくる文部科学予算の拡充ということで提言をさせていただきました。岸田総理の方からは、できるだけ具体化できるよう努力したいと応じていただいたところであります。大学など高等教育では、授業料などの減免と給付型奨学金を組み合わせて負担軽減を図る修学支援新制度の拡充、そして貸与型奨学金の返還の支援、これを求めるとともに、大学などに進学せずに専門職に就く若者への支援、これも総理に強調をさせていただいたところでもありました。

 これからは、事務職、また文系、ホワイトカラーの需要は急速に減少していくと思っております。取りあえず普通科、数学が苦手だから文系、女子は文系といったバイアスの下、普通科から偏差値の高い文系の大学に行けば安心といった時代は、過去のものになると思います。

 今回の高校無償化についても、公立専門高校の徹底的なてこ入れをしまして、間違っても無償化が文系、ホワイトカラーの養成コース、これを強化するようなことのないよう、公明党としてもしっかりと政策を示していきたいと思っております。

 そして、このことは、中学校や高校を卒業した後にマイスターへの道、ここを志す若者にこそ支援が必要だと思っております。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、物づくりや文化芸術の高みを目指して大学や専門学校以外のマイスターの道へ行く若者に対する支援も極めて重要だと思っております。大学や高校がこれからマイスターを目指すためのコースを正規の教育課程に位置づけることも重要な方策だと思います。同時に、大学などに進学せずにマイスター、専門職に就く若者に対しての支援も本腰を入れるべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

あべ国務大臣 まさに、本当に、マイスターの道を行く若者たちに支援するということは大切なことだと思っておりまして、物づくり分野や、また文化芸術分野を支える人材育成、関連産業の国際競争力の強化、我が国の持続的な経済成長のためにも大変重要だというふうに考えておりまして、この教育の無償化の仕組みが拡充される中にありまして、大学や高校に進学せずに職人などとして修行や就労される方々の支援については、伝統技術の継承、また教育負担の在り方、大変広域で、広範で、重要な観点を含んだ委員の御指摘だというふうに思います。

 現在、文化芸術分野につきましては、アーティストなどのいわゆる育成プログラムの構築と、無形文化財また文化財の保存に必要な技術の伝承への支援を通じまして、文化芸術の道を志す若者が自分の強みを生かしながら育むことができるように取り組んでいるところでございます。

 物づくり分野におきましては、工業高校を始めとする専門高校におきまして、産業界と連携をした職業人材育成の推進に今まさに取り組んでおりまして、この御指摘のことにつきまして、どのような支援があり得るのか、他省との施策の研究、連携を含めて、今検討している最中でございます。

 また、こうした取組に加えまして、大学や専門学校等におきましては、成長分野への学部の転換などの改革の支援、また、高専においては専門的、実践的な技術者の養成と、専門学校で地域に不可欠な職業人材の養成、さらには、職業実践力を高めるプログラムの大臣認定のリカレント教育などの取組もまさに行っているところでございまして、文科省といたしましては、今後とも、関係省庁とも連携しながら、物づくり分野、また文化芸術分野での若者の人材育成の推進にしっかりと努めてまいります。

浮島委員 ありがとうございます。

 今もお願いさせていただいたように、九九%進学するという中で、あとの一%はどうなるんだというところでございますけれども、このマイスターの道へ進む子供たち、日本の伝統文化を守り、食文化を守る子供たちでもありますので、しっかりとそこにも支援をしていただけるようによろしくお願い申し上げます。

 また、次に、高等教育の無償化、充実というのは、高等教育の質の向上とセットでなければ意味がないと思っております。

 先月の中教審では、急速な少子化を踏まえた大学等高等教育の機関の在り方について答申がまとめられました。何といっても重要なのは、大学がデジタル化や少子高齢化などによる社会の構造的な変化に真っ正面から向き合うことであると思います。皆と同じことができる文系のホワイトカラーだけではなくて、他者とは異なるエッジを持った科学者、技術者、起業家、NPO関係者などが、サイエンスやデータ、情報を自分の武器に、価値を生み出し、社会をリードする時代になっていると私は思っているところであります。

 そこで、大臣は看護学校でアメリカ大学の学位をお持ちでありますけれども、しかし、日本の大学は学生の半分が人文社会科学系の学部で学んでいて、その多くがサイエンスの専門性とは遠い学びになっているのが残念ながら事実であります。

 大臣のようにサイエンスの専門職になるために、難しいトレーニングをベースとした体系的な学びが日本の大学において当たり前のように行われるようになるためには、大学がサイエンス分野やローカル経済を支える人材を含めた専門職養成に思い切って軸足を移すことで、文部科学省としてしっかりと後押しをしていただきたいと思いますけれども、大臣の決意をお聞かせください。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 私が看護師を目指したのはセカンドキャリアでございまして、実は、途上国に行くのに看護の資格を取りたいと思ったのがきっかけでございましたが、そういう中で、アメリカでは大変厳しい授業でございまして、臓器を全て二百以上暗記するとか、大変厳しい授業を受けさせていただいた中でございます。

 また、そうした中で、我が国の持続的な成長のために、大学におきまして、成長分野を担う理工系人材また地域を支える専門人材を育成することが重要であるということは、委員の御指摘のように私どもも認識をさせていただいているところでございまして、文部科学省といたしましては、大学・高専機能の強化支援事業におきまして、いわゆる成長分野への学部転換等を支援する中で、地域の自治体また産業界と連携した理工系の人材育成を促しているほか、また、例えば半導体分野におきましては、産学官が連携しました地域単位のコンソーシアムを通じました高度専門人材の育成を推進しているところでございまして、また、本年の二月、中教審答申におきましては、地域に必要な人材育成に向けた産官学等の関係者の連携強化の必要性が指摘されているところでございまして、今後こうした取組も併せて推進することで、大学における専門人材の育成をしっかり進めてまいります。

浮島委員 是非よろしくお願いいたします。

 もちろん、人文学や社会科学が不要だと言っているわけではありません。フェイクなどが拡散している今、SNSにおける言論の質を高めるとともに、デモクラシーの在り方自体も真剣に考え直さなければならないと思っております。そのためには、人文学や社会科学はますます大事になってきますし、その際、人文学や社会科学がサイエンス、最先端と真正面から向き合っていかなければならないということは、言うまでもないと思っております。

 また、デジタル化を軸にした世界的な構造的変化に加えまして、少子化による人口減少、ローカル社会を支える社会やインフラ、食、福祉に関するエッセンシャルワーカー、ここの絶対的な不足も今直面をしているところでもあります。

 先月の中教審の答申におきましては、デジタル化を活用したエッセンシャルワーカーの職務の高度化と処遇の抜本的改善にとって不可欠な、地域構想推進プラットフォームというのが提案がなされたところでもあります。地域の創造、将来像、そして人材育成のための在り方、これをしっかり議論していくということはとても重要だと思っております。

 この地域構想推進プラットフォームでありますけれども、重要なのが、これが機能をするかどうかというところが重要なポイントであると思います。この地域未来をデザインし、そのために必要な人材を初等中等教育から高等教育で育み、その専門性をしっかりと評価をして、その評価に基づいて処遇を改善することによって、地域の社会インフラや、食、観光、福祉を支える人材の確保をするためにも、文科省を挙げてこの地域構想推進プラットフォーム、これをしっかりとコミットし、支えることが必要であると私は思っております。

 また、地域が大学の質を見極めるために、大学の質に関する情報公開の仕組み、これも確立が不可欠だと思っておりますけれども、大臣の御決意、御見解をお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 委員の御指摘のとおり、本年二月の中教審答申におきまして、地域に必要な人材の育成に向けまして、地域の大学、また地方公共団体、産業界などの関係者が地域の将来像や人材育成の在り方を議論し実現していく地域構想推進プラットフォームの構築が提案されたところでございまして、本プラットフォームの構築を進めるに当たりましては、御指摘のように、地域を牽引する人材育成、また産学連携等につきまして、地域の関係者がしっかりと対話できる情報を共有していくことが非常に重要でございまして、文科省としても、地域の大学に関連する情報を提供するなど、各地域のプラットフォームにおける議論が充実したものになるよう、積極的に取り組んでまいります。

 こうしたことも踏まえまして、文科省では、国として司令塔機能を果たせるよう、四月に地域大学振興室を設置いたしまして、省内の体制をしっかりと整備することとしておりまして、大学や地方公共団体等の地域関係者と連携をしながら、地域における質の高い教育機会の確保に取り組んでまいります。

浮島委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 国づくりは人づくりです。いつも、大臣にもいろいろ提案をさせていただいておりますけれども、限られた財源の中でということは重々承知をいたしております。でも、その限られた財源を破るのも大臣の力だと思いますので、どうか、大臣を先頭に、子供たちの教育を全力で支えていただけますようお願いをさせていただき、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十三分散会


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