衆議院

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第6号 令和7年4月2日(水曜日)

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令和七年四月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      五十嵐 清君    遠藤 利明君

      小渕 優子君    木原  稔君

      柴山 昌彦君    渡海紀三朗君

      萩生田光一君    福田かおる君

      船田  元君    松野 博一君

      三谷 英弘君    簗  和生君

      山本 大地君    若山 慎司君

      阿部祐美子君   安藤じゅん子君

      五十嵐えり君    小山 千帆君

      佐々木ナオミ君    高橋  永君

      竹内 千春君    辻  英之君

      波多野 翼君    眞野  哲君

      吉川  元君    うるま譲司君

      西田  薫君    美延 映夫君

      西岡 義高君    浮島 智子君

      金城 泰邦君    大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 三宅 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高橋 秀誠君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江澤 正名君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     五十嵐 清君

  前原 誠司君     西田  薫君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     若山 慎司君

  西田  薫君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  若山 慎司君     福田かおる君

同日

 辞任         補欠選任

  福田かおる君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(青山大人君紹介)(第五一八号)

 同(海江田万里君紹介)(第五一九号)

 同(篠田奈保子君紹介)(第五二〇号)

 同(田中健君紹介)(第五二一号)

 同(森田俊和君紹介)(第五二二号)

 同(阿部知子君紹介)(第五三六号)

 同(荒井優君紹介)(第五三七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第五三八号)

 同(岡本あき子君紹介)(第五三九号)

 同(篠原豪君紹介)(第五四〇号)

 同(山岡達丸君紹介)(第五四一号)

 同(笠浩史君紹介)(第五四二号)

 同(神谷裕君紹介)(第五五三号)

 同(川原田英世君紹介)(第五五四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第五五五号)

 同(藤岡たかお君紹介)(第五五六号)

 同(山崎誠君紹介)(第五五七号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第五六六号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第五六七号)

 同(大西健介君紹介)(第六六八号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六六九号)

 同(小山千帆君紹介)(第六七〇号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(田所嘉徳君紹介)(第五六五号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六一八号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第六一九号)

 同(石井智恵君紹介)(第六二〇号)

 同(岡本あき子君紹介)(第六二一号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第六二二号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第六二三号)

 同(小山千帆君紹介)(第六二四号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六二五号)

 同(高松智之君紹介)(第六二六号)

 同(西岡秀子君紹介)(第六二七号)

 同(西川将人君紹介)(第六二八号)

 同(野間健君紹介)(第六二九号)

 同(波多野翼君紹介)(第六三〇号)

 同(福島伸享君紹介)(第六三一号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第六三二号)

 同(青山大人君紹介)(第六七一号)

 同(川原田英世君紹介)(第六七二号)

 同(山田勝彦君紹介)(第六七三号)

四月二日

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六九四号)

 同(屋良朝博君紹介)(第六九五号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第七四一号)

 同(浅野哲君紹介)(第七四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七四三号)

 同(有田芳生君紹介)(第七七九号)

 同(森田俊和君紹介)(第七八〇号)

 同(山岸一生君紹介)(第七八一号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大串博志君紹介)(第七〇五号)

 同(小山千帆君紹介)(第七〇六号)

 同(長坂康正君紹介)(第七〇七号)

 同(西川厚志君紹介)(第七〇八号)

 同(古川元久君紹介)(第七〇九号)

 同(松田功君紹介)(第七一〇号)

 同(若山慎司君紹介)(第七一一号)

 同(浅野哲君紹介)(第七三三号)

 同(大西健介君紹介)(第七三四号)

 同(日野紗里亜君紹介)(第七三五号)

 同(牧義夫君紹介)(第七三六号)

 同(吉川元君紹介)(第七三七号)

 同(藤原規眞君紹介)(第七七七号)

 同(重徳和彦君紹介)(第八一四号)

 同(根本幸典君紹介)(第八一五号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第八三四号)

 同(おおたけりえ君紹介)(第八三五号)

 同(篠原豪君紹介)(第八三六号)

 同(中谷一馬君紹介)(第八三七号)

 同(山崎誠君紹介)(第八三八号)

 同(吉川元君紹介)(第八三九号)

 高等教育無償化を求めることに関する請願(田村貴昭君紹介)(第七三八号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(浅野哲君紹介)(第七三九号)

 同(北神圭朗君紹介)(第七四〇号)

 同(山岸一生君紹介)(第七七八号)

 同(三角創太君紹介)(第八四〇号)

 全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第八三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官阿部竜矢君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、出入国在留管理庁在留管理支援部長福原申子君、外務省大臣官房参事官三宅浩史君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長伊藤学司君、科学技術・学術政策局長井上諭一君、スポーツ庁次長寺門成真君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君、大臣官房審議官高橋秀誠君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官西村秀隆君、商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 自民党の今枝宗一郎です。

 質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入ります。二〇二六年に愛知県で開催される第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会についてお伺いいたします。ちなみに、これがピンバッジでございます。

 まず、二月二十六日の日に衆議院予算委員会で総理や大臣から、政府としても全力を挙げて支援、協力をしていく旨御答弁をいただいたことを感謝をしたいというふうに思っております。

 大会の開催に当たりまして、セキュリティーや安全確保対策など、スポーツ庁のみならず、政府全体で一丸となって取り組んでいただきたいと思っております。また、大会本番である二〇二六年度に向け、大会に対する国の支援について、今後の政策の大きな方向性を示す骨太の方針の本文に明記をし、大会に対して政府が支援するというスタンスを明確に示していくべきと考えます。

 先般の大臣所信においても、今年開催される世界陸上、デフリンピックや来年のミラノ・コルティナ冬季五輪については言及がありましたが、アジア・オリパラ大会については触れていませんが、これはどうなのでしょうか。

 骨太の方針二〇二五では本文に明記をするという位置づけも含め、大会開催に向けた政府の支援について、現状と今後の対応を伺います。よろしくお願いします。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年六月に閣議決定いたしました骨太の方針においては、スポーツの大規模国際大会の開催支援が明記されておりまして、具体例として、脚注に、二〇二六年アジア・アジアパラ競技大会が挙げられてございます。

 これも踏まえまして、スポーツ庁では、当庁を窓口とした、警察庁、総務省、防衛省など、関係省庁による連携体制の構築、大会組織委員会への職員派遣などに鋭意取り組んでいるところでございます。特に、この職員派遣につきましては、この四月より関係省庁より新たに四名を派遣し、合計十名の派遣を行ったところでございます。

 今後とも、大会の成功に向けまして、関係省庁と連携し、必要な支援、協力を行ってまいりたいと存じます。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 今後策定する骨太の方針二〇二五では、くれぐれも脚注ではなく本文に明記をしていただくように強く求めたいと思います。

 次に、財政支援について伺います。

 開催まで残り一年半となっていますが、建設資材や人件費の高騰、歴史的な円安など、大会を招致した際には想定し得なかった事態となっております。大会運営費に国から財政支援ができないという閣議了解も変えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。今回は、地政学的リスクのある各国から数多くの方が参加されてこられます。その分、セキュリティー、安全確保対策は非常に強化をして支援をすべきではないでしょうか。

 特に、アジアパラ競技大会は、多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献をするものですが、東京パラリンピックで四分の一の運営費を支援した実績もあり、こうした点も踏まえると、国として財政支援を行うべきと考えます。

 アジア大会、アジアパラ大会に対する財政支援について、大臣の見解を伺います。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大会運営費に関しましては、適正な入場料の設定、また、この放映権収入等により賄えるものといたしまして、国費による支援は行わないということにされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、スポーツ振興くじ、また宝くじ、この収益金を活用いたしました財政支援、また、スポーツ庁を窓口といたしました関係省庁による連携体制の構築、大会組織委員会への職員派遣などに取り組みまして、両大会の成功に向けまして必要な支援、協力を行ってまいります。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 くれぐれも、財政支援の強化、是非とも御検討をいただきたいと思っております。

 では次に、前回質問させていただいた次世代半導体についてお聞きをいたします。

 私から、愛知県の三河地域などが次世代半導体の研究拠点、マザー工場、量産工場の適地であることをお伝えしておりますけれども、政府からも、私の指摘のとおりとお答えをいただいたところであります。

 経産省においても、どのような場所が適地かというと、水、電力、土地の広さなどはもちろんでありますが、物づくりの基盤があるとか、半導体人材を育成する大学が近隣地域にあるなど考えられますけれども、いかがでございましょうか。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 一般論といたしましては、半導体製造工場の立地に当たりましては、委員御指摘のように、例えば、大規模な工場を立地できるだけの面積を確保できる広大な土地や、クリーンルームを常時稼働させるための大規模な電力供給であるほか、工程ごとにウェハーを洗浄するための良質で多量の水源、そして原材料、製品の輸送、従業員の通勤等のための交通網、さらには、現場で働くオペレーター、エンジニア等の人材確保などが重視をされております。

 その上で、事業者がこれらの要素等を総合的に考慮した上で、事業に適した場所を選定していると理解をしております。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 今申し上げた点も非常に考えていただいて、是非ともお進めいただければありがたいなというふうに思っております。

 先日、三河日華親善協会さんの台湾視察で、私自身は国会中で伺えなかったんですけれども、私の政策秘書が台湾の経済界ですとかTSMCグループの幹部の方との意見交換会に出席をさせていただきました。

 そこでの議論を伝え聞きますと、TSMCは、日本との関係を殊更に重視していることが分かりました。真面目、勤勉さ、また効率的な仕事への姿勢、文化の近さなど、似た素養を共有しているということであります。

 一方、米国TSMCでは、例えば契約とか価格交渉とか、また労使関係など、非常にハードなコミュニケーションがやはりあって大変だという一方で、我が国において、日本では、顧客であるソニーとかデンソーとかトヨタが現地パートナーとして政治的な、また経済的なつながりを持って、これらは無形の大きな資産として認識をされているということが分かりました。

 また、もし今後更に大きな経済規模のメリットを得るのに、TSMCの第三工場などが考えられることもあり得ると思っております。その際、熊本以外も可能性になり得るでしょうか。例えば三河地域は、半導体顧客であるデンソーや、やはりトヨタもございまして、非常に大きな半導体のサイエンスパークの可能性もある地域と思っております。

 そこで、お聞きをいたします。日本への新たな半導体工場の進出を支援する意思というのは、政府としてはお持ちでしょうか。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 半導体は、DX、GX、経済安全保障にとって極めて重要でありまして、日本の産業競争力全体を左右する戦略物資と考えております。他のあらゆる産業の発展や社会的課題解決に貢献し、地域の中小企業も含め、幅広い波及効果をもたらすものと認識しております。

 このため、経済産業省といたしましても、半導体に対しまして、複数年度にわたって大規模かつ計画的に重点投資支援を行うことといたしましたところであります。

 具体的には、AI、半導体分野に対して、七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを策定をいたしました。新たなこのフレームを通じまして、これまで以上に民間部門におけます予見可能性を高めることで、国内への半導体工場の進出を含めて、今後、十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発してまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 非常に積極的な姿勢でいらっしゃるというふうに思っておりますので、是非とも、今後、愛知県三河地域にこういった話があった場合も御支援をいただければありがたいと思っております。

 そして、現在、半導体業界で、最もエネルギー効率に優れた光技術に注目が集まっております。光電融合デバイスの開発も進んでおります。TSMC、IBMも進めていると聞いております。

 しかし、この光電融合デバイスの低消費電力となる技術というのが実は我が国にあるんです。それがNTTが開発した独自技術であるメンブレンです。光電融合デバイスを極力薄く製造するという技術であります。

 このメンブレンを武器に、TSMCとより強固な連携をするなど、新たな光電融合及び半導体工場を国内に誘致をしていくというような発想はどうでしょうか。政府としての考えをお聞かせください。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 光電融合技術は、省エネ化、大容量化、低遅延化を実現し、ネットワーク全体の電力消費量を最大百分の一にする可能性を有する重要な技術であると私たちも期待をしているところであります。

 経済産業省といたしましては、ポスト5G基金事業等を通じまして、NTTを中心とした国際連携による光電融合技術の研究開発等を支援しているところであります。光電融合や次世代半導体等の将来技術につきましては、国内で研究開発のみならず、量産投資が行われることは、経済安全保障の確保、産業競争力強化等の観点から歓迎すべきことと考えております。

 政府といたしましては、先ほども申し上げましたが、AI・半導体製造基盤強化フレームを通じまして、民間の予見可能性を高めることで半導体投資を誘発してまいりたいと考えております。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 是非とも、このメンブレン、これを一つの大きな武器にして、より一層我が国に半導体の工場ですとか、また研究施設も含めて、どんどんと誘致をしていけるような、そんな環境をつくっていきたいというふうに思っております。

 では、続いて、三党合意の給食費無償化についてお聞きをしたいと思います。

 まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえて、令和八年度に実現をする、その上で、中学校への拡大についても、できるだけ速やかに実現するとなっております。

 給食費の無償化は、教育的視点、子育て支援の観点のみならず、食育ですとか地産地消の観点からも非常に重要です。つまり、現在、給食費を上げることがなかなか難しい中で、海外の安い食材を使用しており、地元の農林水産品を食材に使うことが難しくなっています。近隣の農家さんですとか漁師さんの食材を使用した地産地消の給食で食育を推進するということは非常に重要だと考えるんですが、現状はこうであります。

 今回、三党合意の論点にこの点が入っていますけれども、安かろう悪かろうじゃなくて、質の高い給食をどのように実現するのか、地元農林水産物が利用できる予算は確保できるのかといった課題に対して、きちんと整理をしていただいて、予算の確保をせねばなりません。

 現段階で四千八百億円程度の予算が必要と考えられていると思いますが、地元農林水産品が使用された質の高い給食を実現するためには、更に多くの予算も必要と考えられますけれども、しっかり行っていただけますでしょうか。財務副大臣にお聞きします。

斎藤副大臣 今枝委員の御質問にお答えいたします。

 今般の自民党、公明党、維新の会による三党合意では、いわゆる給食無償化につきまして、まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和八年度に実現するとされるとともに、その実現に当たりましては、委員御指摘の地産地消の推進を含む給食の質の向上を始めとする様々な論点について十分な検討を行う、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保するとされております。

 引き続き、三党の枠組みで検討が進められるものと承知をしておりますが、財政当局といたしましても、こうした方針に沿って、所管省庁とともに取り組んでまいります。

今枝委員 どうもありがとうございます。しっかりお願いをいたします。

 最後になりますが、簡潔に行きます。

 高校無償化の予算、また、給食費無償化を合わせて、概算で九千億円の財源が必要になってきますけれども、三党合意では、政府全体で徹底した行財政改革で安定財源を確保するとなっております。

 そこで、財務省にお聞きします。総理答弁のとおり、文部科学省予算だけを削って財源に充てるのではなく、政府全体で見出すということでいいか、そのとおりか、お答えください。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、三党合意では、教育無償化の各施策の実現に当たって、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保するとされております。

 財政当局といたしましても、こうした方針に沿いまして、政府全体で安定財源を確保すべく検討してまいります。

今枝委員 終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 おはようございます。立憲民主党の吉川元です。

 久方ぶりに文科委員会の質疑に立たせていただきます。去年秋は質問に立つ機会がございませんでしたので、大臣とは初めての質疑ということで、是非、実りのある、充実した中身のある質疑をさせていただければというふうに思います。

 いよいよ来週以降、給特法の改正が当委員会にもかかってくるというふうに仄聞をしておりますが、今日は、今回の国会に提出されている給特法の改正案についてではなくて、その前の段階を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、大臣の認識といいますか、現行の給特法についての大臣の認識をお伺いをしたいというふうに思います。

 先般行われました所信を聞いておりますと、給特法を提出するという、給特法という名前は使っておりませんけれども、関連の法案を提出するというお話がございましたが、非常に淡泊な中身でありまして、現行の給特法について大臣自身どのようにお考えなのか、まずそれをお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 給特法に関しましては、公立学校、この教師の職務、また勤務態様の特殊性がございまして、それに基づいた形で、公立学校の教師の給与、またその他の勤務条件についての特別法であると私は認識をしております。

 この教師の職務等の特殊性におきまして、時間外勤務手当でなく、私自身しっかりここを研究させていただいたところでございますが、勤務時間の内外を包括的に評価するものといたしまして、その教職調整額を支給するということとしているところでございます。

 また、令和元年の改正によりまして、教師の健康及び福祉の確保をしっかりと図ることによりまして学校教育の水準の維持向上におきまして資するため、業務量の適切な管理、ここがまさに必要だというふうに思っておりまして、教師の服務、それを監督する教育委員会が講ずるべき措置に関する指針、これを文部科学大臣が定めるというふうに規定しているものというふうに認識をしているところでございます。

吉川(元)委員 ほかの委員会の他の答弁を聞いておりましても、非常に、説明ばかりされても困るんです。時間が限られているので、聞かれたことに端的に答えてください。(発言する者あり)答えていないですよ。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 実は、二〇一九年十二月、前回の給特法改正の際に、これは参議院の文教委員会の方での、当時の萩生田文科大臣の答弁がございます。それについて、どういう答弁をされたかについてお答えください。まず、給特法と労基法の関係についてどのような答弁をされていますか。

あべ国務大臣 読み上げさせていただきます。

 二〇一九年十二月三日の参議院文教科学委員会において、当時の大臣から、給特法について、「校長の時間外勤務命令は超過四項目以外の業務については出せない仕組みになっているため、所定の勤務時間後に採点や生徒への進路指導などを行った時間が勤務時間に該当しないという給特法の仕組みは、労働基準法の考え方とはずれがあると認識されていることも御指摘のとおりだと思います。」「しっかり教師にふさわしい処遇の在り方の検討を重ね、三年後に実施される教師の勤務実態状況調査を踏まえて、給特法などの法制的な枠組みについて根本から見直しをします。その際、現在の給特法が昭和四十六年の制定当初に想定されたとおりには機能していないことや、労働基準法の考え方とのずれがあるとの認識は見直しの基本となる課題であると受け止めており、これらの課題を整理できる見直しをしてまいります」と答弁をしております。そのまま読み上げさせていただきました。

吉川(元)委員 二つ、今聞いたのは給特法と労基法の関係で、次に、今、今回かかる改正についてどのような立場で臨むのかというのも併せて答えていただきましたので。

 これは、前回の改正法の審議の中で当時の萩生田大臣が答えられた答弁の中身であります。また、別のところで、今回の改正においては、いわば応急処置という答弁もされておられます。

 実はこれは、昨年十二月十九日に行われた、これも参議院の文教委員会の中で、これについての認識を問われた際に、大臣は、「その時点での大臣の認識」というような答弁をされておられますけれども、改めて伺いますけれども、先ほど挙げた、二つ挙げていただきましたけれども、労基法との関係と、それから今回の改正に臨むに当たっての基本的な考え方、これは現在も同様の認識なのかについて、大臣に伺います。

あべ国務大臣 この認識に関してでございますが、文部科学省としての考え方をまずは御説明させていただきますと、令和元年の当時におきましては、当時の非常に厳しかった教師の働き方の勤務実態を踏まえまして、給特法の仕組みが学校において勤務時間管理の必要性を希薄化させておりまして、長時間勤務の歯止めになっていないという認識の下で議論が行われていたと私は承知をしております。

 そうした中で、令和元年の改正以来に、学校における働き方改革を進めてきた結果、この給特法の下におきまして、教師の時間外在校等時間を減少させることができた一方にありまして、依然として在校時間の長い教師も多い状況でございます。それは委員も御存じだと思います。

 これを踏まえまして、今回の給特法の改正案におきましては、給特法の仕組みを維持した上で、働き方改革の更なる加速化のための仕組みを構築することとしているところでございます。

 これらは、中央教育審議会におきまして、一年以上にわたりまして、改めて、教師の働き方の在り方、また時間外の勤務手当に関する考え方も含めた上で、給特法の法制的な枠組みについても総合的に御審議いただいた結果を踏まえたものでございまして、当時の答弁と矛盾するものではないと考えております。

吉川(元)委員 いや、私が聞いているのは、労基法と給特法のずれがある、そして、ずれがあるということの認識が次の見直しの基本的な立場だ、こういうふうに答弁されているんです、それは同じなのかと聞いているんです。

あべ国務大臣 何度も申し上げますが、給特法は、給与その他の勤務条件の特例でございまして、この特例を定めている法律でございまして、労働基準法と勤務時間に関する考え方に違いがございます。

 違いがございますという中で、中央教育審議会におきまして、教師の職務の在り方を踏まえながら、先ほども言いましたが、給特法の法制的な枠組みを踏まえて総合的に御審議をいただいて、私どもは、この仕組み、現在においても合理性を有するというふうに結論をいただいているところでございます。

吉川(元)委員 いや、聞いているのは、だから、ずれはないということですか。ずれはないということでいいですか。

あべ国務大臣 この給特法、何度も申し上げますが、労働基準法と勤務時間に関する考え方に違いはございます。

吉川(元)委員 先ほど、大臣の答弁をいただきましたけれども、当時の、次期の改正に向けては、このずれがあるということ、これが出発点なんだという話になっております。

 違いがあるというのは、それはそうですよ。だけれども、違ったら駄目でしょう。労基法があって、労基法の一部適用をしない、その代わりこういうものがある、だから、労基法と書き方は違うけれども、労働基準法で定められた労働者保護の考え方はちゃんと存在していると。ところが、それが、時間の経過なのかそもそもなのか分かりませんけれども、ずれてきていると。そのずれがあるのかないのか、それが今問題になっていて、このずれをどうしていくのかというのが次の改正への出発点なんだという、そういう意味合いだと私は思いますよ。その点は同じ認識なんですかと聞いているんですよ。

あべ国務大臣 繰り返しになりますが、中央教育審議会で一年以上にわたりまして総合的に御審議いただいた結果でございまして、根本的な見直しの結果でございます。

吉川(元)委員 私、冒頭に言いましたよね。今度の改正の話をしているんじゃないと言った。現行の給特法の下で、依然としてずれはあるという認識なのかと聞いているんです。

 今、一年以上にわたって、いよいよ来週以降議論が始まる中で、本当にずれが解消されているかどうなのか、この点については質疑させていただこうと思っていますけれども、現行どうなのかと聞いているんです。大臣の認識です。

あべ国務大臣 給特法と、公立学校の教師の職務と勤務態様の特殊性に基づくその給与その他の条件についての特別法がこの給特法でございまして、労働基準法、委員のおっしゃる、この勤務時間に関する考え方に違いはございます。

吉川(元)委員 それは原理的に、原理的にというか、さっき言ったとおり、労基法の一部適用、三十七条を適用しない、一部適用をしない、代わりに、給特法の中で、残業命令を出さない、残業はないんだという建前でやってきたけれども、実質的には、膨大な長時間労働が発生していて、これがずれだと。これがずれであって、違いではなくて、ずれなんですよ。

 労基法で本来保護されるべき労働者のいろいろな、健康だとか、そういう生活の保護されるべきものが、現状の中でずれが出てきて、これによって問題が発生しているから、次はこのずれを解消していくことが出発点なんだというのが、あのときの答弁だと私は理解しているんです。

 何度聞いても、後ろから紙をもらって、同じようなことの答弁の繰り返しをされて。大臣自身がどう考えているのか、それを私は聞きたいんですよ。

 これ以上やっても時間の無駄ですので、次に移りたいと思います。

 じゃ、勤務実態調査に移らせていただきたいと思います。

 教員の勤務実態調査、二〇二二年に行われました。

 まず、ちょっと確認なんですが、配付資料の中でいいますと四ページですね、これは勤務実態調査の確定値、文科省の資料ですけれども、ここに、二十五項目にわたっていろいろな項目が書かれておりますが、これは、まず、全て校務であるという理解でよいのか。それと併せて、ここに書かれていない項目の中で、在校等時間の対象となるものがあるのかないのか。この点について確認を、政府参考人、お願いします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 資料で、吉川先生から配付いただきました令和四年度の勤務実態調査の確定値でございますけれども、ここに、左側に調査の項目がずらっと並んでございます。これは、三十分単位で、最も中心的な業務を一つだけ選んで教員に回答していただいておるというものでございます。

 この中で、例えば、朝の時間、授業(主担当)、左側から言っていきますが、授業準備、成績処理、学年・学級経営、校内研修、保護者・PTA対応などの業務分類をしてございますが、その業務分類の中の、職専免研修、自己研さん、休憩・休息等は校務でない項目として整理してございまして、在校等時間には含めないことにいたしてございます。

吉川(元)委員 ここに書いてある二十五項目の中に職専免なんという項目はないんですよ。入っているんですか。

望月政府参考人 今挙げていただいている、先生に挙げていただいているこの二十五項目、全部で二十九目、校務項目がございますけれども、そこも踏まえて、ちょっと御答弁をさせていただきました。(吉川(元)委員「いや、だから、ここに書いてあるのは、全部」と呼ぶ)

 ここに書いてあるものとしては、職専免研修、自己研さん、あるいは休憩・休息等は明示がございませんので、ここに書いているものに、明示しているものについては、在校等時間という感じで書いてございます。

吉川(元)委員 あわせて、ここに入っていないもので校務というものはあるんですか。その点についてはいかがですか。さっき質問したけれども、それは答えていない。

望月政府参考人 失礼しました。

 御質問につきましては、ここに入っていない項目で校務でないものがあるかという……(吉川(元)委員「校務であるものはあるのか」と呼ぶ)校務であるもの。ここに入っているものについて、校務でないものはございません。ここに入っているものは全て校務となってございます。

吉川(元)委員 単純な確認なんです、そんな難しい話をしているんじゃなくて。

 ここに書いてあるものが全てであって、これ以外に、実は校務だけれどもここに、調査に入っていないものはありますかと聞いているんです。

望月政府参考人 失礼いたしました。

 それは、ここに入ってございません。

 つまり、ここに書いてあるこの二十五項目については、すべからく校務に入ってございます。

中村委員長 違う、違う。一回ちょっと戻ってください。(吉川(元)委員「ちょっと時間を止めてください」と呼ぶ)はい。ちょっと時間を止めます。止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 時間を。開催します。

 望月初等中等教育局長。

望月政府参考人 私の理解が大変おろそかで、大変申し訳ございませんでした。

 令和四年度、これらの業務分類のうち、職専免研修、自己研さん、休憩・休息等は校務でない項目として整理していまして、在校等時間に含めないこととしてございます。

吉川(元)委員 そんな難しい話を聞いていないんですよ。

 ここ以外に、これ以外に、校務だけれどもここで入っていないものはないですねという確認をしているだけなんですよ。

 ちょっと時間を止めて、もう一回説明、通告をしているんだから、ちゃんと。単純な話なんだから。

中村委員長 止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 開始します。

 望月初等中等教育局長。

望月政府参考人 端的に申し上げますと、ございません。

吉川(元)委員 非常に単純な話なのに。通告しているんですよ、昨日。何でそれがちゃんと、こんな、ないという一言で終わる、確認のための、確認をしているだけの話なんですから、ちゃんと端的に答えてください。

 それで、改革の進捗状況について大臣に聞くつもりでしたけれども、先ほど先走って答弁されました。一定進んだけれども、まだまだ問題があるということなので、それはもう結構です。

 ただ、これ、額面どおり果たして進んでいるのかというのは、私は疑問に思っています。

 例えば、先ほどの資料四ページを見ていただくと、成績処理に関して言いますと、小学校では三十三分が二十五分、それから中学校は三十八分が三十六分にそれぞれ減少しております。これは原因は何なのか。

 次のページ、五ページ、これは財務省の資料ですけれども、ちょうどいいのがあったので、これを使わせていただきました。この中に、左下のところの囲み、四角のところですね、「中教審「学校・教師が担う業務に係る三分類」の実施状況」というのがあります。これはまさに、令和四年度ですから、勤務実態調査をしたときの実施状況です。これを見ますと、成績処理については、この四角囲みの中の一番右の端です。「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」とされておりますが、この年度の実施状況は、十一番目、11ですけれども、僅か小学校で七・八%、中学校で五・一%と、ほとんど対応されていません。にもかかわらず、減少しているというのは、これはどういう理由でしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度教員勤務実態調査では、平成二十八年度調査と比較いたしますと、成績処理に係る業務時間は、平日一日当たり、小学校において八分、中学校において二分減少しているところでございます。

 これは、平成三十年度以降、成績処理を含む教師の業務の補助を担う教員業務支援員の配置に係る支援の拡充に努めてきたところでございますけれども、さらに、校務のICT化を進めてございまして、当該業務にICTを活用した負担軽減に関する取組を実施している割合が、令和四年度におきましても、小学校で九七・一%、中学校で九六・五%となってございまして、こうした支援を活用した教育委員会における取組の進展が、成績処理に係る業務時間の減少の要因になるというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 確かに、聞いたところでは、百問繚乱とかというソフトもあると聞いたことがあります。そういうものが少し入って減ったということかもしれませんけれども。

 ただ、私自身が非常に危惧するのは、いわゆる成績処理ですから、三学期制が変わらず、あるいはテストの回数も変わらなければ、大きな変化はないはずだと。もちろん、そういうICTを使って減少しているといいますが、それは定量的にどの程度のものなのかというのは、恐らく文科省は調べていない、そういうものがあるというのは聞いているから多分そうなんだろうという話だというふうに思います。

 だとすると、これは何が起こっているかというと、推測するに、文科省も推測、先ほど述べられました、多分そういうことなんだろうと。推測するに、これは、学校でやっていた成績処理を持ち帰ってやっていたというふうに考えるのが一番妥当な推測なのではないか。

 この点について、大臣はどのようにお考えですか。

あべ国務大臣 教諭の一日当たりの持ち帰り時間でございますが、実は、平成二十八年の調査の比較におきまして、小学校が、平日は八分増した三十七分で、土日は三十二分減った三十六分になっておりまして、中学校が、平日で十二分増えた三十二分で、土日が二十一分減の四十九分となっておりまして、週当たりに全部なべて換算いたしますと、小学校としては全体に減っているんですが、実は中学校では土日の減少分以上に平日の方が増加をしておりまして、全体として持ち帰り時間が増加しているという実は結果になっています。

 給特法の話もしてもいいですか。(吉川(元)委員「いいです」と呼ぶ)分かりました。

吉川(元)委員 今まさに言われたとおり、休日も含めれば小学校は減っているという話だけれども、平日は増えているということであります。

 休日というのは、元々休日ですから、持ち帰りがあるということ自体そもそもおかしな話でありますが、平日が増えているということは、つまり、今言いましたとおり、成績処理の時間が減っている、在校等時間で減っているということは、裏返すと、持ち帰ってそれを処理をしている可能性が私は高いんだというふうに思います。ちょうど同じ程度の時間、小学校でいうと、持ち帰りの時間が増えているわけですから。

 ところが、この文科省の調査では、先ほど何度も確認しました、これ以外にあるのかないのかといったら、ないという答弁でしたけれども、持ち帰りというのは実質的に行われて、そこで業務が、持ち帰ることで、見た目の時間は減っているように見えてしまう。これは、実態を正確に表したものにはなっていないと私は感じます。

 そういう意味でいうと、この二十五の分類をしている調査項目の中に、持ち帰り、もちろんこれは正確ではないかも分かりませんから参考でもいいですけれども、とにかく、持ち帰りの残業を加えないと、正確な実態把握にならないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

あべ国務大臣 まず、本来、持ち帰り業務は行わないことが原則であるということをこれまでも明確にお示しをさせていただいています。

 その上で申し上げますと、在校等時間につきましては、教師が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握ができる時間としておりまして、教育委員会や校長が把握、管理すべき対象としておりまして、委員がおっしゃるように、自宅での業務を正確に把握することが大変難しいのと、外形的にその時間が把握できるものではないということから、いわゆる在校時間等としてカウントすることは適切ではないというふうに私どもは考えております。

吉川(元)委員 建前はそうですよ、持ち帰りはないなんて。だけれども、実際はあるでしょう。そんなことを言えば、給特法そのものがそうじゃないですか。超勤四項目以外は超勤は存在しないというたてつけでしょう。ところが、実態は違うんだから。だから、給特法を変えなきゃいけない、改正したり、我々は抜本的な改正が必要だ、廃止も含めた改正が必要だというふうにこの間考えてきましたけれども、表向きそれはないことになっているから見なくていいという話にはなりませんし。

 先ほど、在校等時間で正確な把握はできない、確かに、正確な把握は難しいのは事実です。ただ、それを抜きにして教員の業務の縮減ができたかできていないかを語るのは、やはり私は明らかに間違いだと。しっかり持ち帰り残業も含めた議論を、調査をした上で、それも含めて教員の業務がどの程度今はなっているのかというのを考えないと、正確なことが出てこないということを指摘をさせていただきたいと思います。

 半分もまだ質問が行っていないんですけれども、余り時間がないので、少し授業に関係する時間について伺いたいと思います。

 まず、政府参考人に伺いますけれども、先ほど少し紹介のありました四ページのところで、朝の業務、それから授業(主担当)、(補助)、授業準備、学習指導、成績処理、これを全て足し合わせると何時間になり、また、正規の勤務時間から今の時間を除くと残りはどれぐらいになりますか。

望月政府参考人 令和四年度の教員勤務実態調査につきまして、御指摘の朝の業務、授業(主担当)と(補助)、それから授業準備、学習指導の時間の合計は、十月、十一月の通常期の平日一日当たりにつきまして、小学校の教諭は六時間五十二分、中学校の教諭は六時間二分となってございます。

 これを公立小中学校の教師の正規の勤務時間である七時間四十五分から差し引きますと、残の、残りの時間は、小学校の教諭は五十三分、中学校の教諭は一時間四十三分となってございます。

吉川(元)委員 ちょっと数字が私が認識している数字と若干違うんですけれども、(主担当)、(補助)、あっ、ごめんなさい、それにプラスして、授業準備も入っていますか。(望月政府参考人「はい」と呼ぶ)それを足し合わすと、七時間十六分という数字になるんですけれども、小学校で。

望月政府参考人 今お答え申し上げたのは、成績処理を含めると、七時間十六分となります。(吉川(元)委員「で、差し引くと」と呼ぶ)差し引くと……(発言する者あり)

中村委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 速記を起こしてください。

 望月初等中等教育局長。

望月政府参考人 失礼しました。二十九分となります。

吉川(元)委員 今挙げました朝の業務、それから授業(主担当)、(補助)、授業準備、学習指導、成績処理、これらは、成績処理とかそれから授業準備については、先ほどの三分類の中でいいますと、教師が担うものだけれども負担軽減が可能な業務と。ただ、軽減するについても、補助的な業務のサポートを入れることができるという程度であって、劇的にこれを減らすことはできないし、主に教員が実際にやらなきゃいけない仕事だろうというふうに私は思います。それを引くと、残り三十分弱しか残っていないわけです。

 それ以外にも、やらなきゃいけない業務というのは、まさに資料で出しました四ページのところ、二十五項目あって、例えば学年・学級経営であるとか、あるいはこうしたもろもろのものがそれ以外にもたくさんあるわけです。どう考えても七時間四十五分の定時にははまらないような状況になっております。

 もう一点、それで、なおかつ、今、持ち帰り可能なものとして授業準備それから成績処理、これが少し減っているんですけれども、これを除くと更に、先ほど言った朝の業務、授業(主担当)、(補助)、それから学習指導、これを全部足し合わせると、二〇一六年と比較をするとトータルで二十分増えているんです。

 大臣は働き方改革は一定進んでいるというふうに言いますけれども、ほかの人とは代えられない業務について言うと、ほかの人の、いわゆるスタッフのサポートを受けられないものについては二十分も増えているんですよ。これで果たして働き方改革が進んだと言えるのか、私は、大変疑問です。

 もう時間が来てしまいましたので、来週以降の質疑が予定されている給特法の改正について、引き続き質問をさせていただきたいというふうに思いますが、改めて最後に一言だけ申し上げますけれども、大臣、是非、後ろから渡された紙をただやみくもに読むんじゃなくて、自分の言葉で語っていただけますか。教育において最も大切なのは人だ、教師だとおっしゃるのであれば、自らの考えに基づいて端的に答弁をいただきたいということを最後に要望して、質問を終わります。

中村委員長 次に、安藤じゅん子君。

安藤(じ)委員 おはようございます。立憲民主党の安藤じゅん子です。

 通告に従いまして質問いたします。

 まず、教科書について伺いたいと思います。

 折しも、検定の在り方に大きな影響を与える学習指導要領の改訂に向けた議論が始まる中、主体的学び、多様な意見を踏まえつつ解決策を考える力を育む、その方向性で教育を進化させていくことが望まれています。

 教科書検定の意義はもちろんのこと、必要性については異論を挟む余地はありませんが、生成AI始め、時代の変化のスピードが加速度的に増している現代において、十年改訂の学習指導要領と四年スパンの教科書検定というサイクルが、果たして未来を担う児童生徒の公平で公正な学びをしっかりと保障する教材であることを担保できているのか、こうした観点がより一層欠かせなくなっていると思います。教科書を真に時代の変化に即応したものと作っていけるのか、気になるところです。

 そこで、大臣に伺いたいと思います。検定の進め方について、今後どのようにしていくのか。

あべ国務大臣 まさに時代が大きく大きく、かなりの速さで変わっていく中にあって、子供たちに何を教えていくかということが、本当に今の体制も含めてどうあるべきかということはしっかり議論していかなければいけない部分だと思っております。

 そうした中で、現在の教科書検定におきましては、学習指導要領に基づきまして、民間でいわゆる著作、編集された図書につきまして、教科用の図書検定審議会、専門的で学術的な調査審議を行いまして、その結果に基づいた形で、文科大臣として、教科書として適切か否かということを決定させていただいています。

 検定の周期につきましては、委員がおっしゃったように、学校現場において一貫した指導を行う、余りいろいろ変わっていくと先生方も大変でございますので、その一貫した指導を行うという観点から、全面的な内容の変更に関わるのは四年に一度なのでございますが、その間にも、実は、随時、訂正申請によりまして、時代の変化に合わせた新たなトピックの追加などに関しては、更新が可能というふうになっているところであります。

 文科省といたしましては、今後の社会を見据えた次期の学習指導要領の改訂に向けた議論の内容などを踏まえまして、新たな時代にまさにふさわしい教科書が編集、更には発行されますよう、引き続き適切な検定を行ってまいります。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。御答弁ありがとうございました。

 変化することが生き残ることであり、また、不断の見直しで、的確なタイミングで、児童生徒さんにも真に生きる力が身につく学びを獲得できる教科書の検定、更新が行われていることを確認できました。よろしくお願いします。

 続けまして、デジタル教科書について確認させていただきたいと思います。

 昨年度から、全ての小中学校等を対象に、小学校五年生から中学校三年生に対して提供している英語のデジタル教科書の活用状況について、また、学校現場の環境整備や活用状況を踏まえながら段階的に提供、導入がされている算数、数学やその他の教科について、進捗を教えてください。

 IT先進国として知られているスウェーデンでは、二〇〇六年に開始したタブレットやパソコンを使った授業を、一昨年、二〇二三年八月に紙の教科書を使ったアナログ授業に大きく方向転換しているそうでありますが、IT先進国の脱デジタル化から、今後、我が国の方向性、取組姿勢をどのようにしていくのか、気になるところでございます。

 そこで、伺います。学習者用デジタル教科書等の導入後の成果はどうか。また、今後更に取組を展開していくに向けて、スウェーデンの事例の分析を含め、どのような検討を行っているのか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書につきましては、御指摘のように、令和に入りまして、実証研究の観点を含めて、順次、小中学校の英語を一〇〇%、それから、算数、数学については五〇%を超える形で広く提供して、学びの一つのツールとしていただいているところでございます。

 学習効果についてのお尋ねでございますけれども、一万人以上の児童生徒を対象とした調査によりますと、デジタル教科書をいつも使う児童生徒の方が使っていない児童生徒に比べまして授業の内容がよく分かっている、課題解決に向けて自分で考え自分から取り組んでいる、学級の友達との間で話し合う活動を通じて自分の考えを深めたり広げたりすることができているという回答の割合が高いことが出てございます。

 また、このICT機器の活用に慣れている小学校五年生を対象として記憶テストと理解テストを行った調査結果によりますと、デジタル教科書で学習したクラスと紙の教科書で学習したクラスの結果は、同じ、同等程度ということが出てございます。

 ただ一方、デジタル教科書の活用につきましては、先ほど申し上げましたように、活用を進めておりますけれども、令和六年度におきましては四回に一回程度以上の授業で使用している教師が約六割となっておりまして、この割合は一〇%以上増加をしているんですけれども、慣れがやはり使用頻度に影響しているかなというふうに考えているところでございます。

 もう一つ御指摘ございました、スウェーデンの状況でございます。二〇一〇年頃からデジタル教科書をスウェーデンは進めてございまして、直近でデジタル化の見直しが行われたというふうに承知してございますけれども、そもそも、我が国と違いまして、人口が約一千万人と少ないことでありますとか、あるいは、教科書検定による教科書の質保証がないことなど、状況がちょっと異なることは考慮する必要があると思ってございます。

 また、デジタル教科書の推進以降も、国際学力調査、いわゆるTIMSSでは過去三回とも成績が向上いたしまして、PISAでは二〇一五、二〇一八と向上し、直近の二〇二二年のみスウェーデンは低下している状況がございます。

 この学力の低下の原因というのが、指摘されている学力の低下の原因が、スマートフォンの使い過ぎなど日常生活によるものではなくて、デジタル教科書の使用によるものかどうか、今後の学力調査の動向など、更に注視が必要であるというふうに考えてございます。

 中教審のワーキンググループの中間まとめにおきましては、そうした諸外国の状況も参考にしまして、教科書の形態として紙だけでなくデジタルによるものも認めるなどの方向性が示されているところでございますけれども、文部科学省といたしましては、パブリックコメントなども通じまして、いろいろな御意見をいただいてございます。しっかりと耳を傾けながら、次期の学習指導要領の改訂を見据えて、こうしたワーキンググループにおける十分な御審議をいただきたいというふうに考えているところでございます。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 そうですね、おそらくパブコメの中にも、子供たちの視力の低下に対して、私の方にも、やはり保護者の方や教育関係者の方からも懸念の声が上がっていたりします。公教育への税投入が進む中でございますので、地域間格差の是正にしっかりと取り組み、環境改善を併せてお願いしたいと思います。

 次に、教職員の確保、定着について伺いたいと思います。

 教員採用選考の受験者数の減少、労働環境の問題や若手教員の定着率の低下、産休、育休を取得する教員の増加や臨時教員の登録数の減少などで慢性的に深刻な課題となっている教員不足について質問します。

 教員不足は、学校現場の負担を増大させ、授業や児童生徒への影響を懸念する声が地元松戸市からも多数上がっております。特に精神疾患によって教育現場を離れざるを得ない教員が過去最多を更新し続けていることは、非常にゆゆしき事態であると認識しています。

 そこでまず、文科省として、教員を確保するための確保策、どのような取組を進めているのか、伺います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 教師に優れた人材を確保するために、令和七年度予算におきまして、小学校における教科担任制の拡充、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充等の教職員定数の改善、あるいは教職調整額の引上げといった環境整備のための経費、さらには、教師のメンタルヘルス対策に関する経費、こういったものを計上するとともに、学校における働き方改革の更なる加速化や教師の処遇改善等を実現するため、給特法等の改正案を国会に提出したところでございます。

 また、現下の教師不足の解消に向けまして、産休や育休を取得する教員の代替者につきまして、給与費の国庫負担の対象を臨時講師に限定せず、正規教員である場合にも対象とする制度改正を行い、計画的な人員配置を促進しているところでございます。

 また、文科省としては、引き続き各教育委員会に対しまして、制度改正等も踏まえ、計画的な新規採用に取り組むとともに、現職以外の教員免許保有者向けの研修を実施するなど、教師人材の確保を強化する取組を進めているところでございます。

 さらに、教員養成段階での見直しであったり、外部人材を意識した入職経路の拡幅、こういったものを進めるため、昨年末、中央教育審議会に対しまして諮問を行い、教職課程の在り方や社会人等が教職へ参入しやすくなるような方策、そういったことについて御審議いただいているところでございます。

 今後とも、あらゆる方策を重ねて教師人材の確保に努めてまいりたいと思います。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 過去に行っていたと言われている奨学金肩代わりなんですけれども、千葉県の方で本当に効果がありまして、今、複数の自治体に広がっているというところであります。教員採用選考の受験者数の減少で倍率が低下しているというところもあります。様々な方策をいただいているんですけれども、是非とも、こちらの方も対象に加えていただけるようお願いしたいなと思っています。

 続きまして、精神疾患による長期休暇から復職される先生への支援、復職支援プログラムについて伺いたいと思います。

 文科省では、公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業が令和五年度から令和七年度予定で行われています。当該事業の背景には、精神疾患による病気休職者数が高止まりすることが挙げられています。

 国によれば、二〇二三年度に精神疾患で休職又は一か月以上の病気休暇を取った公立小中高、特別支援学校等の教員は一万三千四十五人で過去最多を更新し、一・四%となり、単純比較にふさわしくないかも分かりませんけれども、民間企業が〇・六%であることから、相当に高い水準であることが見て取れます。

 千葉県の教職員も同様で、休職を取る前に退職してしまう若手教員がいるという状況をお聞きしております。資料一を御覧いただけたらと思いますが、全国的に教員不足の解消に取り組む中、現職の教員が休職、退職してしまうことは大変大きな課題です。教員の仕事は多くのストレスを抱えやすい仕事と言われておりまして、そのため、誰もが精神を病んでしまう可能性があると言っても過言ではありません。

 メンタルヘルス不調の一次予防の役割は未然防止、二次予防の役割は早期発見並びに早期治療、そして三次予防の役割が職場への復帰支援並びに再発防止であります。

 千葉県では、未然防止策として、メンタルヘルスへの理解を深めるため全教職員に啓発資料を配付するとともに、年代別研修会で心の健康について取り扱うほか、悩みを抱える教職員にいち早く気づくため、管理職等を対象とした研修会を実施したり、さらには、教員自身が自身のメンタル不調、心身の変化に気づき、改善につなげられるようストレスチェックの時期を早めるとともに、新たに精神科医が作成したストレスへの対処等に関する動画資料を発信し活用を促すなど、予防的取組の充実に努めておるところであります。

 メンタルヘルスチェックによって高ストレス者とされ面接指導でありますけれども、こういった高ストレス者とされ面接指導を勧められている教員の三・四%しか実際に受診を行っていなかったり、労働安全衛生法では、八十時間以上時間外勤務を行った教員に対して、申出により医師との面談を実施されていることとなっていますけれども、適切な対応が行われているのは僅か八%、二次予防の取組にもまだまだ課題があることが見て取れています。

 こういった一次、二次の予防についても、国から各教育委員会の取組に対し適切な支援をお願いさせていただきますとともに、今回の質問でございます三次予防の取組について伺いたいと思います。

 復帰プログラムを受けた人は、九割を超える方々が職場へ復帰しているとのことです。体調が回復したら多くの教員が学校に戻れるように、全ての休職者が参加できる、参加しようと思える復帰プログラムを作っていくことが欠かせないと思います。この声は、まさに休職された先生方からの声でもあります。休んだ後に復帰しやすい仕組みや環境を整えることが本当に大切です。

 そこで、伺います。各教育委員会で定めている復職支援プログラムについて、現状どういった点が課題と捉えられているのか、また、今後の方策についてはいかがでしょうか。

望月政府参考人 御指摘のとおり、全国の都道府県・指定都市においては、復職支援プログラムが準備をされてございます。ただ、各任命権者の対応方針によりましてその実施率にはかなりばらつきがあるといった課題でありますとか、あるいは、精神疾患による病気休職者で復職支援プログラムの対象者のうち、実際にその実施を、プログラムをした人は三六・二%であるといったような状況でございまして、一層その復職プログラムを実効的なものにしていくことが重要であるというふうに認識しているところでございます。

 御指摘のように、文部科学省でも大変重要な課題であると認識してございますので、令和五年度からメンタルヘルス対策に関する調査研究事業を継続してございまして、これは全国的な課題として、未然防止あるいは早期発見等のための取組のみならず、復職支援の充実方策も含めて、専門家や医療の観点も含めて効果的な取組の研究や事例の創出に取り組んでいるところでございまして、この全国的な展開に向けまして、令和六年度の補正予算また令和七年度の予算においても予算を計上しているところでございます。

 教師を取り巻く環境を全体として改善するために、今回の給特法並びに学校の働き方改革の更なる加速化、あるいは指導、運営体制の充実等の環境整備とともに、教師が心身共に健康な状況で児童生徒に向き合うことができるように、先ほど申し上げましたようないろいろな事業の全国展開を含めまして、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)委員 復職後の職場における周囲からのサポート体制も大変重要です。それぞれの教育委員会で運用面で異なるのかもしれませんけれども、復帰プログラムを行う学校が、休職原因が残る元の学校で行っているという、これが本当に適切なのかな、配属先の学校が適切なのか。そもそも復帰プログラムに参加していただける休職者や復職見込み者を、その母数をしっかりと底上げしていくことが欠かせないと思います。

 あと、メンタル不調は男女比で見ると女性の方が高いという調査結果もあったりします。こういった観点からも着目していただくプログラム、メニューがあってもいいのではないかなと思います。

 施行最終年度となる令和七年度は、参加したくなる復帰プログラム作りという観点も横展開いただき、実効性のあるものにしていただけたらと思います。また、あわせて、都道府県教育委員会と市町村教育委員会の人事連携の在り方も是非国から示していただけたらと思います。

 次に、大学の秋入学について伺いたいと思います。

 令和四年二月十六日に行われました第二百八回衆議院予算委員会第四分科会の議事録によれば、大学の秋入学が学生や研究者の交流を活発化させ、就職率の向上に資する成果を得ている一方、高校や社会との接続期間に空白の時間が生じるというデメリットもあることから、これらのメリットとデメリットを政府として検討していく、令和三年六月の教育再生実行会議の第十二次提言では、一律に秋季に変更するのではなく、入学、卒業時期の多様化、柔軟化を進めることが重要で、今後、検討結果がまとまり次第、各大学に周知するとともに、必要な施策を実施していくとありますが、この進捗が気になるところです。

 そこで、伺います。大学の秋入学の検討状況はどのようになっているのでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度上、秋入学の導入につきましては、各大学の判断で導入が可能となっているところでございますけれども、文部科学省といたしましても、秋入学の推進や多様な学習ニーズに対応する教育を推進する観点から、大学分科会における議論等を経まして、令和四年九月に大学設置基準を改正し、秋季入学したい学生への多様な進路実現が可能となるよう支援をしたところでございまして、こうした取組を各大学等にもしっかり周知をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、多様な学習ニーズに対応できるよう、秋季入学等の入学時期の多様化を促進してまいりたいと考えております。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 秋入学を実施している大学は、事前のヒアリングによると全体の三割程度ということでありましたけれども、特に国からもインセンティブは行っていないということもあります。ただ、ニーズに即して取組を、施策を行っていただけるということであります。

 今、生徒さんも、通信高校に通っていたりとか、海外留学生の受入れであるとか、社会人の学び直しであるとか、大学経営の観点から、まさに大卒一括採用の慣習もだんだんと弱まっているただ中でございますので、選択肢をしっかりと広げていただく取組を積極的に、情報発信を併せて行っていただけたらと思います。

 続きまして、いじめ対策について伺いたいと思います。

 二〇一一年十月に発生した大津いじめ自殺事件を契機に、議員立法で二〇一三年にいじめ防止対策推進法が制定、施行され、間もなく十二年目を迎えます。この十二年間の間にも、法改正や基本的方針、ガイドラインの改定が行われ、いじめ防止の対策は進められてきたと思われます。

 しかし、いじめの定義が広範になり、さらにはリアル以外にもネット上でのいじめの対応など、担任、学校、教育委員会による対策だけではいじめの発見、解消に困難さを抱えているということも関係者等から聞き及んでおるところであります。

 昨今、重大事態の発生が増加している背景には、啓発、予防の一次予防、早期対応の二次予防、介入支援の三次予防であるRTIモデルの失敗が背景にあるのではないか、子供の失敗を待つスタイルであるRTIモデルから行動支援としてのPBISへ、いじめ対策の在り方や、そもそも、いじめの周辺に存在している傍観者の持つ情報や、傍観者に適正な行動をどう促していくのかがいじめ対応の鍵であるという、「いじめの科学」等の著作で知られる和久田先生の御指摘はとても示唆に富んでいるのではないかと思っています。介入支援はチームで行うとしても、学級担任がその責任において児童生徒、保護者等とともにいじめ防止対策に取り組むことが欠かせないと考えます。

 では、質問します。

 二〇一三年施行から十三年目を迎えるいじめ防止対策推進法、基本的方針やガイドラインが真に学校現場で生かされているのか気になるところです。どのようにしていじめ防止対策推進法、基本的方針、ガイドラインについて学校現場に周知を図っているんでしょうか。

望月政府参考人 まず、いじめ防止対策推進法が施行されていじめの定義が変わった、はっきりしたということで、そのときに全国の都道府県教育委員会の生徒指導担当者等を対象とした研修会を繰り返し実施いたしまして、また、文部科学省職員を直接教育委員会主催の研修会に派遣をいたしまして、繰り返し周知を行ってきたところでございますが。

 一方、いじめの重大事態が増えてきているということ、深刻な被害を与える事態が発生する状況でございまして、学校及び教育委員会等においても、この重大事態というものに対する対応というものについて、より知見がやはり必要だという考えでございます。

 このため、文部科学省としましては、令和六年八月にいじめの重大事態の調査に関するガイドラインを改定いたしまして、文部科学省の担当課が全国の教育委員会、学校のやはり生徒指導担当者に対して直接説明会、これを複数回開催し、周知に努めてきているところでございます。

 今後とも、ガイドラインの改定の内容を含めて、各種会議、研修の機会を通じまして、改定内容を説明して、徹底して周知に取り組んでまいります。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 様々な取組をいただいているところであります。いじめ認知件数が、それでもなおゼロ校というのが存在しています。七十三万件、いじめ認知件数が増えている中でも、私の県でもそうなんですけれども、多数のいじめゼロ学校が存在しています。

 国は、二〇一六年三月、いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組についてという通知を発出していますが、十年近く経過し、更に認知件数が右肩上がりを続ける中、改めて確認させていただきたいと思います。

 いじめ認知件数が最多更新を記録してもなお現に存在するいじめゼロ学校への国の見解と対応について伺います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 学校現場におきまして、いじめに対する認知が進んだ、あるいは、いじめ防止対策におけるいじめの定義に対する理解が進んだことによりまして、いじめの認知件数が委員御指摘のように増加したと捉えてございます。

 他方で、令和五年度中におきまして、いじめを認知していない学校が五千校以上存在をしてございまして、このため、昨年も各教育委員会等に対しまして、このような学校について、本当にいじめの認知漏れがないかどうかということを確認していただきたいという趣旨の通知を出してございます。

 いじめの積極的な認知を行うとともに、学校全体で早期発見、早期対応に向けた取組を行っていただくよう、引き続き指導助言を実施したいと考えてございます。

安藤(じ)委員 どうもありがとうございます。

 学校調査等、民間調査では、若干子供たちの主訴というんでしょうか、不登校になる原因であるとか、いじめのところが捉えにくかったりする可能性もあると思うので、調査方法も、こども家庭庁さんであるとかデジタル庁さんであるとかと連携していただいて、真の理由、しっかりと分析ができるような理由、しっかりと結びつけていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったんですけれども……

中村委員長 まとめてください。

安藤(じ)委員 はい、まとめます。

 重大事態は、いじめ認知件数と違って、増えてしまっては困る事態であります。子供たちの命に関わるものでございますので、是非とも国におかれては、こちらの方の対策を引き続き強力に進めていただけたらと思います。

 どうも済みません。ありがとうございました。

中村委員長 次に、眞野哲君。

眞野委員 立憲民主党、眞野哲でございます。

 前回の私の質疑で、大臣、立憲の公式ツイッター、Xが百三十一万回覧されて、大きな反響を呼びました。そして、ジャーナリストの柳原三佳さんという方が私の記事を書いてくださって、そのヤフーニュースが全国総合版で第一位、そして、ベストトゥエンティーの中で私のそのニュースが五つ入っておりましたということらしいです。

 それでは、質疑に入る前に、実は朝、私のところにニュースが入りまして、これは兵庫県の公立中学校での教員の残業のことで、勤務表を少なく書き換えた、そういうニュースが入りました。内容は、残業時間が過労死ラインの八十時間を超える、そういった勤務表を提出する際に、管理職から、このまま出されてしまうと産業医に面談になると言われて、そこの土日の勤務を、削除して、出さなかったという経緯があるそうです。当然、学校側に取材をしても、否定しているということだと思います。

 本来であれば労働基準監督署の出番だと思うんですけれども、地方公務員の場合は人事委員会に措置要求ができるので、なかなか動かない。教員の場合は、先ほどの話で、給特法により超勤手当、いわゆる残業手当が支給されないということで、この給特法が半世紀にわたりそのままにされてきたことの弊害ではないかという声があります。そういったことで、地元にしっかりと事実確認、調査をしていただきたいと思っております。

 もう質疑に入りますが、前回、時間がなくてお話しできなかったんですが、東海国立大学機構の大学院構想についてお話しいただきたいです。大学や大学院を新たに設置する一定の基準とか、また、東濃地区への大学院の設置の地元及び文科省の状況についてお聞かせいただきたいです、進捗状況を。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的な、まず大学院設置についての条件でございますけれども、例えば公私立大学が新たに大学院を設置するためには文部科学大臣の認可が必要でございますが、この認可に当たっては、教育課程や教員組織、施設設備等の設置計画が大学院設置基準等の法令に適合していることや学生確保を図ることができる見通しがあること等が条件になってございます。これらの条件に適合しているかどうかについては、大学設置・学校法人審議会において審査をし、その結果を踏まえて文部科学大臣が設置を認可をすることになってございます。

 国立大学につきましては、大学院設置基準等の法令に適合していること等を大学設置・学校法人審議会において確認した上で設置をするという仕組みになってございます。

 なお、今御指摘をいただきました東海国立大学機構の関係でございます。二月の七日に岐阜県東濃地域に所在する五つの自治体から東海国立大学機構に対し、地域社会の発展と課題解決に向けた連携推進を目的とする協議会の設立が提案されたというふうに承知をしてございます。具体的に連携して取り組む内容については、現時点では特段決まってございませんが、今後、東濃地域の自治体と東海国立大学機構で検討される予定と伺ってございまして、まずは両者で認識を共有しながら議論が重ねられていく、この中で御指摘の点などについても幅広く御議論が重ねられていくというふうに認識をしてございます。

眞野委員 そうしますと、二月七日のお話は今聞きました。実際、その進捗状況というか、具体的にいろんな形で動いているということは、実態としては今現在まだないのでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが承知をしている限りでは、これからいろいろそうした協議を、議論をしていくというふうな段階だというふうに聞いてございます。

眞野委員 ありがとうございます。是非、そういった動きがあれば、私にも教えてください。一緒に力を合わせて頑張りたいと思っております。

 それでは、地元の恵那市で中学校の五校が統合される、実際、工事も進んでいるということらしいです。そこで、行政が住民への説明、しっかりと合意形成がなされているかということが地元でかなり言われておりまして、小中学校の統合についてどういった形でなされているのかということをお聞かせいただきたいんですが、現状はどうでしょうか。どういった要件でこういったことがなされているか教えてください。

望月政府参考人 学校は、児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合う、協力し合うことを通じて、資質、能力を伸ばしていく場所という観点からは、一定の規模を確保することが望ましいと考えているところでございます。このために、各地域ではそれぞれ話合いが行われていまして、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えて、学校をよりよく実現するために統廃合についても検討をしているということかと思っています。

 一方で、学校は各地域のコミュニティーの核としての性格も有するということで、防災、保育、地域の交流の場などの様々な機能も併せ持ってございます。町づくり、地域づくりの在り方とも密接不可分である性格を持っています。

 こうした教育的観点や、あるいは地域のそれぞれの地理的な状況等、様々な地域ごとの事情を勘案しまして、学校設置者である市町村等において、学校の適正な規模あるいは配置については御判断をいただいているものというふうに考えているところでございます。

眞野委員 御説明ありがとうございました。

 しかし、実際、地元のお話を聞くと、スクールバスが十ルートあるんですね。となると、バスが最低十六台、運転手も十六人は必ず、行き帰りがありますので確保しなければならない。今、運転手の人材不足と言われておりますが、こういったことはどうでしょうかと言ったら、恐らく、個々の自治体で検討してくれというふうなお話になってしまうのが残念だと思います。

 そういった説明の内容、例えばポスティングとかされただけで、十分な説明にはなっていないんじゃないかという、いわゆる合意形成がなされていないという声が聞かれます。例えば、過疎債といいまして、過疎地域とされた市町村が特別に発行される地方債、これが、山岡町ですと、中学校を統合すると過疎債が地方債で使えるんですけれども、岩村町だと過疎債が使えないという、そういった達しがあって場所が決められたのかなということらしいんですが、例えば、そこの山道を走るときに、道路ですね、結構がたがたした道とか、地方ですので途中で携帯電話がつながらなかったりとか、そういう場所らしいです。建設する学校、業者の選定においては、何か政治的な力が動いたのではないかななんという、そんなうわさまで出てしまうので、実際、住民とのしっかりとした話がされているのであれば、そこまで出ないんじゃないかなと考えております。

 片道一時間の通学、最長、遠い人ですね、そうすると往復二時間ですよね。非常にこれは重い負担であると考えておりますし、例えば、乗り遅れちゃったりとか、中学生が途中でトイレといったときにどのような対応をするのかなということを懸念しております。小中学校、義務教育は対面授業が原則であるということは承知しておりますが、今、タブレット、インターネットの時代ですので、例えば遠隔授業的なものをそろそろ取り入れてもいいのかなと考えております。

 例えばコロナ禍で通学ができないとか、いろいろな要因で通学できないということもありますし、いわゆる教員不足ということを考えたときに、毎日ではないですよ、例えば週に何回とか、一時間、二時間だけ、遠隔的な授業、よく学習塾でカリスマ教師なる、すばらしく教える先生がぽんと教えるような授業があればいいかなということとか、通学がとても大変なので、地域のコミュニティーセンターとか、そういったところを核にして授業をするとか、そういった工夫とかはないでしょうか。教えてください。

望月政府参考人 先ほど、各地域でいろいろな観点から検討して、学校の適正規模、適正配置について、それぞれ教育条件の改善の観点から、学校教育の目的や目標をよりよく実現を行うために検討していくべきだということを申し上げました。

 御指摘の授業や様々な教育活動におけるオンラインやICTの活用につきましては、児童生徒の興味、関心を喚起する、あるいは学習活動の幅を広げるという観点からは効果があるものではないかというふうに考えてございますが、他方、義務教育段階の授業には、単に知識を伝達するということではなく、児童生徒とあるいは教師との関わり合いや、あるいは日常のコミュニケーション、あるいは児童生徒の状況を教師がしっかり見取っていくといった、学校現場ならではの直接的な触れ合い、関わりの中で、対話や協働、学び合い、教え合いというものを通じて学習が高度化し、それが社会性を育てていくということにもなる場であるというふうに考えているところであり、対面を基本とすることが重要であるというふうに考えているところでございます。

 一方、義務教育段階の適正規模、適正配置の検討に当たりましては、御指摘の児童生徒の通学条件、非常に通学に遠い子も出てくるということも大きな要素となり得るというものでございまして、その辺も含めまして、児童生徒の教育条件が改善されるかどうかという観点、保護者やあるいは地域住民の御理解もいただいて、総合的に考慮していただきまして、各市町村等で検討いただきたいというふうに考えているところでございます。

あべ国務大臣 本当に委員がおっしゃるように、学校の統廃合は大変難しくて、答弁をさせていただいたように、通学時間とかは一応その目安などもあるのでございますが、やはり、オンラインとかICTをどれだけ使ってやっていくかということと、実は、私の岡山県の地元だったところも、小学校全体で十数人というところがございまして、そうすると、もう一学年一人というところもあって、それが、子供たちにとって通学時間はいいけれども、だけれども、じゃ、適正規模って何なのかということを考えたときに、特に、小さな学校に行っている子供たちが突然大きな学校に行ったときに、やはり非常に適応が難しいという話も一部の親御さんからは聞いているところでございまして、子供にとって何が適正か、地域にとって何が適正か、総合的な勘案がまさに必要で。

 私は、ある意味ハイブリッドみたいなのも実はありかなと思っていて、それは個人的にでございますが。本当に、一時間以上の通学をしなきゃいけないということと、地域にとって学校ってまさに重要な部分がございまして、学校がなくなるということは地域の方にとても大きな影響があるので、そこは総合的に各地域でお決めいただくということを文科省としてどう考えていくかということは、省内としては考えていく可能性はゼロではないというふうに思っています。

眞野委員 大臣、ありがとうございます。まさに今大臣がおっしゃったハイブリッド、私も全く同感で、ハイブリッドという意見に大賛成です。

 今回統合されるところは、例えば、そこの地域に消防署がないとか、スーパーがないとか、そういったところに五校がまとめられてしまう。昨今の過疎地域はどんどん過疎が進んでしまいますし、人口減少もまだまだ大きな問題が残っています。であれば、例えば台風とか大雪とか、いろいろな状況を考えると、遠隔授業的なものをそろそろ考えてもいい時期に来ているのかなと思っていまして、是非またお考えをいただきたいと思います。教師不足もありますので。

 それと、次に、学校における交通教育について質問したいと思います。

 私も、小学校、中学校のときは、年に一回か二回ぐらい、グラウンドで交通教育がありました。右見て左見てとかですね。いわゆる被害者にならないような教育がメインだったと思います。しかし、今日は自転車の事故も大変多くて、例えば、小学生の低学年が、走った自転車が御高齢者にちょっと当たってしまって倒れてしまった、そしてその方が亡くなってしまったというケースもかなりありますし、自転車の事故が大変多いこの状態の中で、学校教育における、いわゆる加害者にならない、被害者にもならない、加害者にもならないような、そういう教育をしていただきたいと考えております。

 先ほど、そういった感想を書いた、送らせていただいた文書があると思うんですけれども、これは、御主人が交通事故で亡くなった奥様が中学校で御自身の体験をお話しした感想文です。是非、一読していただきたいところなんですが。

 このアンケートによりますと、加害者にならない視点がこれまで教育の中でなかったと。格好いいから免許を取りたいとか、そういう声もありました。特に、四番の生徒さんですと、加害者にならないようにもしないといけない、自分の命を預けているということを忘れないでくださいということです。十二番の生徒さんは、高校生になったらバイクの免許を取りたいと思っていました、それは格好いいからだという単純な理由であるということなんですが、そして、自分の手で簡単に命を奪ってしまうということです。

 そういった中で、学校教育の交通安全教育ということで、私はもっと進めていただきたい。小学生から自転車は乗るので、もし事故があったときにどうするか、加害者になってしまうとどういったことが起きるかということですね。

 例えば、諸外国ですと、実際、リアルにそういう映像を見せて、車の中から血だらけの人が出てくるとかですね。そして、よく、ガソリンスタンドでガソリンを入れると、もうそういう写真を出すんですよ、ぼんと。外国でたばこを買うと、肺がんの写真とかあって、買うときにちゅうちょしちゃって、あ、もうたばこ、やめようかなというふうな、それと同じような交通教育というのが諸外国には既にあります。

 日本はなかなかそこまでいかないと思いますが、加害者になったらどうなるかと。先ほど申し上げた、小さな七歳ぐらいの小学生の子が、おばあちゃんをちょっと当たって倒しちゃった、亡くなっちゃった。何千万と、五千万、一億という値段を聞いたときに、その御両親、親御さんはどう思うでしょうか。例えば逃げちゃうとか、もう本当に、自己破産するとか、何かいろいろなことになっちゃうかもしれませんが。

 今、我が国では自転車の事故が多い、でも、自転車の事故の保険があるんですけれども、なかなか普及していない現状があるんですね。まさかのときに保険というのがあると思うんですけれども、例えば自転車を購入するときに強制的に何か仕組みをつくるとか、何か工夫をしないと。

 自転車でひいて、当たって殺してしまったというケース、これは数は少ないんですよ、少ないんですけれども、十件、二十件ではなかなか行政、法律は動かないので、でも、そういった声で、もしその一人があなたのお子さんだったらどうですかと考えたときに、行ってきますといって公園でぶつかって、お母さん、死んじゃったよと。その後で来たのが、五千万、一億と来るわけですよ。これはやはり、教育の大切さを考えたいところの一つだと思います。自転車の加害者となる事故が大変多いので、しっかりとやっていきたいです。自転車購入時に保険の加入を義務化するということを警察庁、国土交通省に検討をお願いしたいと思っております。

 そして、今日は警察庁にも来ていただいているので、お聞きしたいです。

 学校における交通教育は、文部科学省とそして学校を所管する都道府県、市町村と警察庁が連携していただいていると思います。そこで、警察庁について、交通安全教育の現状についてどのように認識をしているか、お尋ねしたいです。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 交通安全教育におきましては、交通社会の一員としての責任を自覚し、交通事故の被害者にも加害者にもならない意識を育てることが重要であるというふうに認識しております。

 政府の交通安全基本計画におきましても、小学生、中学生、高校生といった、心身の発達段階やライフステージに応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を、学校において関係機関、団体等と連携協力を図りながら実施することとされております。

 警察におきましては、学校に職員を派遣して、警察官による講話、シミュレーターや自転車を活用した交通安全指導といった参加、体験、実践型の教育手法を積極的に取り入れた交通安全教育を学校と連携しながら実施しているところでございます。

 交通安全教育は、家庭及び関係機関、団体等が相互に連携しながら実施することが重要であるというふうに認識しておりまして、若い世代が交通事故の被害者にも加害者にもならないよう、警察としましても効果的な交通安全教育の実施に努めてまいりたいというふうに考えております。

眞野委員 その中で、例えば特定小型原付という、いわゆるキックボードが最近非常に事故が多くて問題になっている。乗っている方は割と飲酒運転で乗っている方が多いそうですね。シェアリングの事業者が、約九割が所有している。借りるときに約款とかをホームページで見るんですけれども、多分ほとんど見ないと思うんですよ。

 そういったところにおいては、例えば乗ったときに速度が二十キロというふうに制限されているそうですけれども、簡単に改造できるような仕組みであってはならないですし、国土交通省とも連携して対応していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる電動キックボードについての御質問でございました。

 構造上の最高速度が時速二十キロメートル以下であるなど一定の要件を満たすものにつきましては、特定小型原動機付自転車として、十六歳以上の者は運転免許を要さずに運転できる改正道路交通法が令和五年七月から施行されたところでございます。

 この新たな特定小型原動機付自転車の交通ルールについて周知するためには、販売や貸し渡しの際に関係事業者が交通安全教育を実施することが重要であるというふうに認識しておりまして、道路交通法においても、事業者が交通安全教育を行うよう努めなければならないこととされております。

 また、警察庁におきましても、販売事業者やシェアリング事業者から成る官民協議会を開催し、同協議会において利用時の交通ルールの周知や教育機関等の関係行政機関との連携について定めたガイドラインが策定され、このガイドラインに基づく取組が行われております。

 また、特定小型原動機付自転車を運転することが可能な年齢に達する高校生につきましても、教育委員会等と連携し交通安全教育を実施しておりまして、高校において関係事業者が参加した安全講習会を開催するなどの事例もございます。

 警察庁としましては、引き続き、関係事業者による交通安全教育が充実されるよう働きかけを行うとともに、高校生を含む一般の方々に対する広報啓発活動を行ってまいりたいと考えております。加えて、特定小型原動機付自転車の飲酒運転、信号無視、歩道走行といった悪質、危険な違反の取締りを強化してまいりたいというふうに考えております。

眞野委員 そうですね、十六歳以上の子であれば、免許がなくても時速二十キロで乗れてしまうというところにいろいろな問題があるかなと考えております。

 そして、最後になりますが、リカレント教育、TEEPの今後についてお聞きしたいと思います。

 まず、大臣、TEEPというのは御存じでしょうか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 御指摘のTEEPでございますが、通称TEEPは、PBLと多職種連携を活用した進化型実務家教員養成プログラム構築事業のことを通称TEEPというふうに言っているというふうに承知をしておりまして、名古屋市立大学の取組と承知をしているところでございます。

眞野委員 おっしゃるとおりです。

 私も名古屋市立大学でTEEPを修了した一人であります。進化型実務家教員養成プログラムを修了してまいりました。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、リカレント教育、いわゆる学び直し、そういったことももっともっとやっていただきたいと考えておりまして、私は、スキルアップ、キャリア形成についても役立つ、とても重要性のあることだと認識しております。

 このリカレント教育は、キャリア形成に役立つという観点で、文部科学省と厚生労働省が連携をして進めていくという側面もあるんですけれども、どのように進めていくのかということと、あと、進化型実務家教員を修了した人たちに、どういった活用の仕方、今いわゆる教員不足ということも言われておりますが、私たち実務家教員でシラバスを作ったり大学で教えたりしているわけですね。そういう中で、マッチング、私たちが、修了した人たちが自ら探して教員になるというのが現状なんですけれども、もっとマッチング、要望があれば教師として働きたいという方も大変多いので、そこをちょっと検討していただきたいと思います。

 何か御意見があったら教えてください。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、リカレント教育について、文科省と厚労省の協力関係でございます。

 社会人の学び直しに向けましては、社会人が受講しやすい、そういった工夫を講じることが重要だと考えております。

 実践的、専門的なプログラムを、文科省としては職業実践力育成プログラムとして文部科学大臣が認定する、そういった仕組みを整えてございます。令和六年十二月時点で四百六十二課程を対象としているところでございます。そのうち一定の基準を満たし、厚労省の指定を受けた講座につきましては、教育訓練給付の支給対象となっており、個人の費用負担の軽減が図られているところでございます。

 引き続き、厚労省始め関係省庁とも連携しながら、リカレント教育、これをしっかり進めてまいりたいと思います。

 また、TEEP修了者の話がございました。

 現在、文科省では、外部人材の活用を含めまして、教員の質の向上を図っているところでございます。TEEP修了者を含め、教科に関する高い専門性や実務経験を有する多様な人材に、特免を活用し、教師として学校教育に携わっていただくということは、文科省としても大変有意義だと考えてございます。実際に、特免の取得者の中には、情報システムに関する企業での実務経験、こういったことを生かしながら、高校「情報」の特免を取得して学校で勤務している先生もいらっしゃいます。

 文科省といたしましては、現在行われております中教審における外部人材の活用の議論、こういったことも参考にしながら、優れた外部人材の活用を引き続きしっかりと進めてまいりたいと思います。

眞野委員 是非、私たちTEEPを修了した人たちを教員として活用していただきたいと思っております。

 本当は、今日は特別免許状についてお聞きしたかったんですが、時間がないので、これで終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、西田薫君。

西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。

 あべ大臣とは予算委員会で質疑をさせていただきました。本日、二回目となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問させていただきます。

 まずは、就学支援金についてお伺いをさせていただきます。

 今回、自民党、公明党、そして我々維新、この三党合意によりまして、高校授業料無償化が実現できました。改めて、感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 これからその具体的な話といいますのはこの三党で協議を深めていくということになろうかと思うんですが、高校無償化、高校の授業料無償化が決まったとき、結構多くの皆さんから、これは外国人の生徒さんたちにも無償化をするのかというような御意見、随分御批判が多く受けておりました。

 ただ、これは、今回の高校授業料無償化によって外国人の方が対象になる云々よりも、以前から、こういう外国人の生徒さんたちに対する教育費の補助というのはもうなされているかと思うんですね。これがまさしく就学支援金だというふうに思っております。

 そこで、この就学支援金、一体どういった時期、どういった背景、そしてどういった運用をされているか、まずは御答弁ください。

望月政府参考人 就学支援金制度は、高校教育の効果が広く社会に還元されるものであることから、高等学校等に係る教育費につきまして社会全体で負担するという考えの下で、国際人権規約にも、中等教育における無償教育の漸進的な導入が規定されたことなどから、平成二十二年度に創設されたものでございます。

 現行、高等学校等就学支援金の受給資格につきましては、高等学校等就学支援金の支給に関する法律第三条におきまして、「高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者」と規定してございまして、このほかに特段の国籍の要件は定めてございません。

 このため、外国籍の者であっても受給資格を満たす場合には支給の対象となるところでございます。

西田(薫)委員 そうですね。これは日本在住ということが要件となっておりまして、国籍の要件はないということなんですよね。それが、今後、この三党の話合いにおいて……(発言する者あり)ちょっとうるさいです。

中村委員長 御静粛に。

西田(薫)委員 委員長、指摘をしてください。私、あの人のように原稿を読みながら質問をしていないんですよ。こういった形で言われると、大分質問というのがしづらくなりますので、しっかり注意してください。

中村委員長 はい。

西田(薫)委員 要は、従来の就学支援金制度の、それに上乗せする形で今回高校授業料無償化というふうになれば、当然それも適用されるということなんでしょうね。外国人もということが含まれると思うんですが、それは今後この三党の協議においての話合いということになろうかと思うんですが、今、外国人に対して、例えば生活保護の問題であったり、運転免許の書換えであったりとか、また高額療養費の問題であったり、そしてまた、外国人が土地を買う、いろいろな問題において、外国人に対して、そこまでしていいのかというような世論というのも非常に大きくなっているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そこで、そもそも、今回の高校授業料無償化、この議論に、深く始める前に一度私は、就学支援金制度、この在り方を一度再検討すべきじゃないかなというふうに思っておりますが、大臣の御所見をお伺いします。

あべ国務大臣 先ほど局長から答弁をさせていただきましたように、高等学校等就学支援金の受給資格につきましては、高等学校等就学支援金の支給に関する法律第三条におきまして、「高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者」と規定しておりまして、このほかに国籍の要件は定めておりません。

 外国籍の者、海外からの留学生等については受給資格を満たす場合には支給の対象になりますが、委員がおっしゃるように、今般の自民党、公明党、維新の会の三党合意におきましては、収入要件の撤廃を前提といたしましたこの支援対象者の範囲の考え方などを含め、様々な論点について十分な検討を行うこととされておりまして、引き続き、三党の枠組みの中でこの合意内容の実現に取り組まれるものと承知をしておりまして、文科省としては、その状況を踏まえつつ、必要な対応を検討してまいりたいと思います。

西田(薫)委員 いや、私は、この機会に就学支援金の在り方をもう一度検討されたらどうですかという質問だったんですね、今まではこういった形で成りました、この制度が創設されたという御答弁が最初にありましたので。ではなくて、これを機会に見直しを含めて検討されたらどうですかということだったんですが、もう答弁は結構です。

 これについては、一番最後にもう一度申し上げたいことがありますので、次の質問に移りたいと思います。

 次、ちょっと順番を変えまして、SPRING事業について先にお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、正式名が次世代研究者挑戦的研究プログラムということで、大学の博士後期課程の生徒さん、研究者の皆さんに対して、年間二百九十万、三年間、渡し切りの予算があると。その事業について、まずは御説明いただきたいと思います。

井上政府参考人 委員お尋ねの次世代研究者挑戦的研究プログラム、SPRINGでございますけれども、我が国の科学技術イノベーションの将来を担う博士後期課程学生への経済的支援と産業界を含めて幅広く活躍するためのキャリアパス支援、これを一体的に行う大学を対象とする事業でございます。

 令和六年度には八十大学を支援しておりまして、これら大学全体で、学生一人当たり、委員おっしゃいましたように研究奨励費や研究費など二百九十万円を、トータルで一万五百六十四人に対して支給している事業でございます。

西田(薫)委員 これは、元々はどういった趣旨でこの事業を創設されたのか、御答弁願いたいと思います。

井上政府参考人 この趣旨でございますが、先ほども申し述べましたけれども、我が国の科学技術イノベーションの将来を担う博士後期課程学生への経済的支援とキャリアパス支援が主な趣旨でございます。

 これによりまして、優秀な学生が博士課程在学中の三年間、持続的、安定的に支援を受けることが可能となりまして、新たなイノベーションを生み出す博士人材の研究生産性の向上及び我が国の研究力強化に貢献する、そういったことを狙いとしてございます。

西田(薫)委員 経済的な支援ということですよね。要は、大学を四年、卒業しました、その後、修士課程二年、更に博士の後期課程三年というこの期間というのは、なかなかやはり経済的な負担もかかる、家族にもかかるということから、進学というか研究の道を諦める、断念する、そして就職するということから、非常に少なくなっていると。博士課程まで行くというのが少なくなっているからということで、経済的支援をしようというのが元々の趣旨ということでいいですよね。

 それを思うと、例えば、先ほど言われていたとおり、我が国の科学イノベーションの将来を担う優秀な学生のためというような御答弁が中であったと思うんですけれども、この我が国の優秀な学生というのが、我が国の学生であれば、これは日本国籍なわけですよね。我が国の将来を担う優秀な学生という解釈をすれば、我が国にとって将来的に優秀な学生、我が国のためになる学生というのであれば、外国の方も含めてもいいかと思うんですけれども。

 これは新聞でも載っておりました。対象がこれは約一万人ですか、そのうちの六千人が日本人である、日本国籍であると。残り四千人が、これは外国籍の留学生の方に支給されている。さらに、その内訳を言いますと、そのうちの三千人が中国の留学生であるということなんですよね。

 先ほども言いましたとおり、我が国の学生ということであれば、これはしっかりと日本国籍を有する学生というのが対象なのかと思うんですが、我が国の発展のためになる学生ということであれば、こういった制度を利用して卒業された生徒さんたちは、その後、やはり、日本の企業に就職するとか、我が国の発展に寄与するというのが大きな意義があるんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そして、経済的な支援という中で、例えば日本の学生は、先ほど言いましたとおり、修士課程が終わった後、更に三年というのがなかなか大変だからと断念をする学生も非常に多いんじゃないかなと思うんですよ。一方、外国の留学生が日本に来て日本の大学を受けて、そしてまた修士課程、そして博士課程に行くというと、結構、経済的に余裕のある留学生の方が多いんじゃないかなと思うんですよね。

 そう考えた場合に、これは一体誰のための制度になっているのかなと。やはり、我々の税金でこの事業というのは担われているわけでありまして、しっかりと日本の学生さんをもっと支援する制度にすべきだというふうに思っているんですが、大臣の御所見をお伺いします。

あべ国務大臣 海外の優秀な人材を我が国に受け入れるということは、実は我が国の科学技術イノベーションの活性化の観点からは私どもは重要だというふうに考えていますが、また、SPRINGにおいても多様な国、地域からの留学生の受入れを進めているところでございますが、文科省としては、やはり、優秀な日本人、博士後期課程学生に対する支援充実を基本としながら、多様な国、地域の優秀な留学生の受入れの重要性も踏まえながら、今後のいわゆるSPRINGの在り方につきましては、今年の夏頃までにしっかり中間取りまとめを行うべく、今、審議会で検討を進めているところでございます。

西田(薫)委員 いろいろな国の学生を受け入れるというのは大事なことだと思うんですが、一万人の対象の学生の中の六割しか日本人がいないというのも違うんじゃないかな、そして、日本国内で生活をしながら、経済的理由で進学をできないという人たちをもっと救うべきじゃないかなという思いがありますので、八月にもう一度検討されるということですから、そこをしっかりと考えていただければなというふうに思っております。

 これは先般の参議院の外交防衛委員会ですかね、この質問が出たということも聞いております。その委員さんがおっしゃっていましたが、例えば、外国の大学で、自国の生徒の、外国人の留学生においては、カナダでは五倍の授業料ですか、アメリカで三倍の授業料になっている。世界ではそういうふうな状況だと思うんですよね。ところが、日本は逆に留学生に対して手厚くしているというのは、そこは少し違うんじゃないかなということを御指摘だけしておきますので、またよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。次が、これまた順番を少し変えさせていただいて、修学旅行についてお伺いをさせていただきます。

 昨年十二月、あべ大臣、外務大臣とともに日中ハイレベル人的・文化交流対話ということで訪中されたとニュースでも載っております。そこで、修学旅行を相互受入れをする、それを推進していくというようなことを、これは新聞記事で見たんですけれども、これも私、ちょっと違うんじゃないかなと思うんですね。

 今、中国というのは、この前も日本人の児童が殺害されたという事件もありました。そしてまた、尖閣諸島周辺においてはもう連続に、もう今、何日になっているんですかね、百三十日、四十日ぐらいになっているんでしょうか、中国海警局の船舶が来ているという状況の中で、今この時期に修学旅行を相互に受入れを推進していくというのは果たしてどうなのかなというふうに思うんですね。

 ここは、もう一度、今なぜこの時期なのかということと、安全確保もしっかりしていかないといけないと思いますし、こういった考えというのは、私、見直すべきじゃないかなというふうに思っているんですが、大臣の御所見をお伺いします。

あべ国務大臣 委員御指摘のように、昨年開催されました日中ハイレベル人的・文化交流対話におきまして、修学旅行の相互受入れ促進が盛り込まれております。

 これは、日本の個々の学校に対して中国への修学旅行の実施を求めているということではなくて、中国への修学旅行を希望する学校に対しまして、政府として、安全確保の面で可能な支援を行うという趣旨であるというふうに私は承知をしておりまして、修学旅行の訪問先の選定は各学校の判断に委ねられておりまして、文科省としての特定の国の修学旅行を促す立場ではございません。が、希望する学校が修学旅行で海外へ渡航する際には、安全確保は大前提でございまして、そのように考えた上で、私ども、各学校の安全が確保できるように、外務省と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに思います。

西田(薫)委員 これは、参議院外交防衛委員会で、自民党の議員さんですよ、強烈な違和感、嫌悪感を覚えておりますとまで委員会で発言されているんですよね。これは全く私も同じ思いです。

 その質疑応答の中で、これは大臣の答弁です、これは外務大臣の答弁ですから、あべ大臣とは関係ないんですけれども、外務大臣が、行き先の観光地や高速鉄道の駅において現地当局による厳重な警備が行われていたと承知しておりますと委員会の答弁で言われているんですよね。

 修学旅行先に厳重な警備が、厳重な警備をしなければいけない場所に修学旅行に行くというのは、本当に問題だと思うんですよね。そもそも、こういった答弁をさらっとしているところが私は全く理解ができないんですよね。

 生徒をというか、子供たちを利用してというか、子供たちを使って、何か中国に対してこびへつらっているような思いを私はするんですよ。

 外務省なり外務大臣というのは、外交のことを最優先に考えます。しかし、文部科学省というと、やはり子供たちのことを一番考えていただきたいんですよね。厳重な警戒、警備をやってくれたという、この大臣の答弁にあるとおり、こんな場所に子供たちを行かせるというのは、私はやはり違うと思うんですよね。

 そこはやはり大臣、あべ大臣が外務大臣に対して、これはもう一回やはり見直すべきだ、慎重に考えるべきだということを大臣から外務大臣に言っていただきたいんですが、どうですか。

あべ国務大臣 やはり、どの場所に修学旅行に行くかというのは各学校が決めることでございまして、私どもといたしましては、やはりしっかりと安全確保をしていくということが役割だというふうに考えているところでございます。

西田(薫)委員 いや、安全確保というか、子供たちをまずしっかり守るという認識、意識を持っていただきたいんですよ。子供たちを守る、これが文科省の仕事、責任、役割だと思っておりまして、外務省はまた違うと思います、外務大臣も違うと思います、外交優先で考える。しかし、文科省は、子供たちを守っていく。何かあった場合、責任を取るという覚悟をお持ちなんでしょうかね。そこまでの思いでそれを言うんだったらいいですけれども、私は、この時期に絶対に修学旅行、この相互受入れ、推進していくというのは絶対やめていただきたいなということを改めて申し上げておきます。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。次は、拉致問題についてお伺いをさせていただきます。

 まずは、大臣、大臣の拉致問題への思い、認識、御答弁いただきたいと思います。

あべ国務大臣 拉致問題に関しましては、本当に様々な方から、また本当にいろいろな場面で教えを賜っている中にあって、この北朝鮮の当局による拉致問題、我が国にとっては、主権及び国民の命と安全に関わる重大な問題であって、決して風化させることなく解決に向けて取り組んでいくというふうに、重大課題だというふうに私自身も認識をさせていただいております。

 今日は女性用の拉致バッジを着けさせていただいています。

西田(薫)委員 歴代の総理そして歴代の内閣も、やはり拉致問題というのは政府の最重要課題であるということを常にずっと御答弁をされております。そして、私は予算委員会にも所属しておりまして、予算委員会におきましても、拉致問題に関する質問というのはよく出ておりました。

 そういった中で、石破総理も、決して風化はさせてはならないという御答弁、毎回のように御答弁をされております。そして、今の大臣の御答弁を聞きましても、風化させてはならないという御答弁がありました。

 では、風化をさせないためにはどういったことをやっていこうというふうに思われているか、御答弁願います。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 風化をさせない取組でございます。内閣官房を中心に、政府全体で全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 具体的には、拉致問題を考える国民の集いの開催であったり、北朝鮮人権侵害問題啓発週間における政府主催行事の開催、あるいは拉致問題啓発舞台劇公演「めぐみへの誓い」の開催、こういったもろもろの取組を通じまして、風化をしないよう、また、この問題の重要性をしっかりとアピールしているところでございます。

 文科省といたしましても、内閣官房を始めとした関係省庁としっかりと連携をしながら、若い世代への一層の理解促進に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

西田(薫)委員 大臣、これから私が質問させていただくことは、是非、大臣の政治家としての思いで御答弁いただきたいと思うんですけれども。

 私は昨年十月まで大阪府議会議員をしておりました。大阪府内に約千名の地方議員の方がいらっしゃるんです。そのうちの約三百三十名の仲間、同志で、大阪拉致議連、これは地方議員でつくる拉致議連というのをつくらせていただいておりました。私は会長をさせていただいていました。これは全国最大規模です。そしてまた、全国唯一の超党派で構成する議員連盟なんですね。

 私は会長でありましたが、幹事長は自民党の大阪市会議員の方でした。そして、私が衆議院選挙に出るということから、次の後任の方が、現在は自民党の大阪市会議員の方なんですが、田中ひろきさんという議員さんに会長をしていただいておりまして、幹事長は逆に維新の府会議員、山本真吾議員なんです。副会長には公明党の議員の方もいらっしゃいます。共産党の議員の方もいらっしゃいます。超党派でやっている議員連盟なんですね。

 そこでよく議論をするのは、こういったことができる、いや、こういったことができる、いや、それよりもこういったことができると、そういった議論というのをよくさせていただいているんですよ。そういった中で、いや、そうじゃない、要は、できることを全部やっていきましょうという思いで集まっている仲間なんですよね。

 それぞれが、各議員が、各議会において意見書を提出するとか、決議を採択するとか、それぞれの、四十三市町村、大阪府内にありますので、そこで議会での活動をしているというのが大阪の拉致議連の活動なんですね。

 そして、大阪においては、毎年、アニメ「めぐみ」を全校全生徒に対して視聴してもらっているんです。これは恐らく全国においては大阪だけかと思います。元々これは、福岡県の行橋市におきまして、小坪慎也さんという市会議員の方が自治体にそれを呼びかけて、全校全生徒に対してアニメ「めぐみ」を視聴してもらっている。それを参考にしながら、是非大阪でもアニメ「めぐみ」を全校全生徒に視聴してほしいという、私も提案させていただきました。そして現在、大阪府の大阪府立学校におきましては、毎年それを視聴してもらっているんですね。

 例えば、三年生、二年生、一年生に視聴してもらう。一年生が今度、三年後、卒業したときには、新しい一年生が入ってくるときには、二年生、三年生はアニメ「めぐみ」を見ておりませんので、その機会にもう一度全校全生徒に視聴してもらうということなんですね。

 そういったことから、大阪においては非常に、拉致問題というのは風化されずに、これは大事な問題であるということを多くの生徒の皆さんも認識をしていただいているんですよ。これは、私は大阪だけの取組では駄目だと思うんです。大阪府議会議員のときには、それを何度も部局とも話をしたんです。全国に広げていきたいという話をしたんです。

 そして今回、私は国会議員に当選させていただきました。本来、私、一番やりたい思いというのが、アニメ「めぐみ」の視聴、全国の学校に毎年視聴をしてもらいたいというふうに思っておりまして、これは、大阪府議会議員であれば、なかなか、全国、ほかの都道府県教育委員会にまで発言力もないですし、国会議員にさせていただいたという中で、これを是非、大臣、全国の都道府県教育委員会に対して、アニメ「めぐみ」の視聴、実施をしていただきたいというふうに思っているんですが、大臣の御所見をお伺いします。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるアニメ「めぐみ」でございますが、二十五分間のドキュメンタリーのアニメで、実は政府の方の拉致問題対策本部のホームページ、英語、中国語、韓国語、ロシア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、無料でダウンロードできるようになっております。

 その活用状況を今網羅的に把握はしておりませんが、政府が提供しているこの動画コンテンツを活用させていただいて拉致問題に関する授業を行われているものと承知しておりまして、文科省といたしましても、引き続き、内閣官房の拉致問題対策本部事務局と連携させていただきながら、若い世代にしっかりと一層理解をしてもらうように取り組んでまいりたい。何といっても、この拉致問題、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題でございますから、しっかりと取り組んでまいります。

西田(薫)委員 いや、違うんですよ、大臣。そうやって教材はあっても、実際活用されていないんですよ。大阪は、実際活用してもらっているんですよ。

 大臣の一言でいいんです。全国都道府県教育委員会に対して大阪の取組をやってもらうように通知をします、その一言でいいんですよ。政治家としての判断、もう官僚答弁は結構です。その思いはないですか。もう一回、御答弁願います。

あべ国務大臣 しっかりと御意見を拝聴させていただいた中で、私どもとしてできることはしてまいります。

西田(薫)委員 余りこの議論をしてしまうと、こういった会話を聞いている拉致被害者の御家族の方が悲しむので余り僕は追及したくないんですけれども、一言なんですよね。大阪でやっていることを全国でもしっかりやるように私言います、その一言でどれだけの皆さんが救われるか、また、拉致被害者の御家族の皆さんも希望の光を見出せるか。その一言なんですよ。無理ですか。

あべ国務大臣 私ども、しっかりと取り組んでまいります。

西田(薫)委員 是非、全国都道府県教育委員会に対して大阪のような取組をやっていただくように大臣からも、お願いをしたいというふうに思っております。

 もうあと残り二分ぐらいしかないんでしょうかね。

 一番最初に申し上げました就学支援金の話、私、外国の生徒を排除しようとかいう気持ちがないんですよね。それよりも、以前、衆議院の予算委員会のときにも話をさせていただきましたが、いまだに偏向教育、思想教育が大阪の教育には行われている、自虐史観の下に反日教育が行われている。これは、小学校、中学校、高校においてもそうだと思うんですよね。これが、外国人の皆さんも、外国人の生徒さんたちも対象となる、授業料補助という対象になる中で、反日教育を教える、反日思想を植え付けるというのは、ここはやはり言語道断だと思うんですよ。

 逆に、そういったら、外国の生徒さんたちに対しても、日本はすばらしい国である、日本はいい国なんだという教育をやってもらうことによって、その外国人の生徒さんたちは、やがて本国へ帰ったときに、日本というのはすばらしい国だったというふうに広めてくれることが私は日本にとってもいいと思うんですよ。ところが、公教育においても、いまだにですよ、反日的な思想教育、偏向教育がなされている。ここを、まずしっかりと教育の正常化をしていかないといけない。これが、一番大きな問題じゃないかなというふうに思っております。

 つい先月も、先々週も、私、地元の公立の小中学校の卒業式、行ってきました。やはり歌えないですよ、国歌君が代すらまだ歌えないです。大臣がどれだけ全国のこういった実態を御存じかどうか分かりませんけれども、国歌の指導もしない、そしてまた卒業式においても歌えないという学校があるということですから。もういよいよ時間がないので、その話はまたでいいです。

 大臣、教育の正常化、これが一番大事な話だと思いますので、是非、教育の正常化、陣頭指揮を執ってしっかりやっていきますという御答弁をいただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 しっかりと取り組んでまいります。

西田(薫)委員 時間が来ましたので、これで終了させていただきます。

中村委員長 次に、日野紗里亜君。

日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日も、対決より解決、提案ベースの質疑を、まずは、部活動の地域移行について、あべ大臣にさせていただきたいと思います。

 現在、国では、公立中学校の部活動の地域移行を推進しています。これは本当に、学校の先生方の負担軽減という意味では大変重要だと思っています。私もその必要性を強く感じております。

 しかしながら、その一方で、地域に受け手がいないために廃止となってしまうケース、部活動がなくなってしまうケースが全国からも実際に出始めています。

 部活動は、ただの課外活動ではございません。時に、学校には行けなかったけれども、部活には参加することができる、クラスにはなかなか居場所を見つけることができなかったけれども、部活に行けば、気が合う友達がいて、大好きな顧問の先生がいる。そういった実情をどうか軽視しないでいただきたいのです。

 部活動には、教育的な側面だけではなく、福祉的な意義も私は含んでいると思います。そして、それと同時に、スポーツ庁が掲げるスポーツの成長産業化、そして、文化庁が掲げる文化芸術による地域活性化などの方針とも接続し、スポーツと文化の両面から地域移行を支える視点がこれからますます重要になってくるのではないでしょうか。

 そうした中で、我が愛知県尾張旭市では、部活動を子供たちの大切なコミュニティーとしても守っていこうという市長と教育長の強い思いの下、民間企業との連携による新しい形に挑戦しています。具体的に申し上げますと、東邦ガス株式会社と連携し、企業が人材や運営面を支えるという形で地域部活動の実証事業がスタートしています。

 このような企業連携型の尾張旭モデル、これが全国的に広がれば、地域に担い手がいないから部活動をやめるしかないといった発想ではなく、新しい形で、産官学連携の下、一緒に子供たちの居場所を守っていくという希望ある展望が見えてくるのではないでしょうか。そのためにも、企業の積極的な参画を促す国の制度的な後押しが不可欠だと私は思っております。

 そこで、私からは、三点、国として取り組むべき支援の在り方について御提案させていただきたいと思いますが、その前に、繰り返しになりますが、部活動の地域移行、これはまだまだ課題が山積しています。しかしながら、教員の働き方改革を実現するためには推し進めていかなければなりません。

 そこで大切なのが、自治体任せにするのであると、子供たちの大切な居場所が失われ、発達や成長の機会、そして、未来のスポーツ、文化芸術人材の育成にも大きな影響を及ぼしかねないということです。だからこそ、今問われているのが、国がどれだけの熱量を持ってこの課題に取り組むかということです。大臣、意気込みを是非お聞かせください。

あべ国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、部活、本当に大切でございまして、おっしゃるように、福祉の意味も持つんだと思っています。

 また、スポーツには、やはり地域づくり、コミュニティーをつくっていくというまさにすばらしいいわゆる取組だというふうに思っておりまして、先生のお地元の尾張旭、本当にいい取組だなというふうに思っております。

 私ども、やはり、将来にわたって生徒が継続的にスポーツまた文化芸術活動に親しむ機会を確保するために、部活動改革を進めることが重要だというふうに文科省も考えておりまして、令和の四年の十二月に策定をいたしましたガイドラインで地域移行の取組方針を示させていただきながら、地方公共団体における地域クラブ活動の移行の取組を今現在支援をしているところでございまして、この取組を進められるように、令和七年度予算においても、実証事業を拡充して実施する予算を計上しているところでございます。

 ただ、国が一生懸命応援するのにも、地域地域でやはり企業が参画している、先生のお地元のようにすばらしい事例など様々なものがございますので、国といたしましても、どういう応援の仕方ができるか、また、令和八年度以降に関しては、部活動改革の在り方について現在有識者会議で議論を行っているところでございまして、部活動改革の全国的な実施を推進してまいりたいというふうに思っております。

日野委員 大臣、ありがとうございます。

 国としてどういうことができるかということで、ちょっと提案させていただきたいと思います。

 初めに、教育型CSR推進の御提案です。

 CSRとは、企業の社会的責任と訳されるものであり、企業が倫理的観点から自らの事業活動を通じて自主的に社会に貢献する責任のことですが、現在、企業のCSR、ほとんどが福祉とか環境面が強い傾向にあると思います。是非これに関しまして、学校教育への支援、地域部活動への協力といったこともCSRの一環であること、これを明確に国が示すことでモデル事例などを発信していくことがすごく重要だと思いますが、大臣の御意見、お聞かせください。

あべ国務大臣 本当に部活動の地域移行に関しましては、委員のお地元のように、民間の方々の協力を得ながら、子供たちのスポーツ、文化芸術環境を整備していくことが本当に重要だというふうに思っておりまして、今文科省が実施している実証事業におきましては、民間企業が地域クラブ活動の運営の主体となっている、まあ、委員のお地元のような形で。また、指導者を派遣をしている事例とか、さらには、地方公共団体に財政的な支援を行っている事例など、いわゆる多様な形で民間企業の協力が行われているところでございまして、民間企業の協力に関しては、国として一律の対応を求めるところではなく、自発的に協力いただくことが重要だというふうに思っておりまして、引き続き、各地域で、民間企業の協力を得ながら、部活動の地域移行の取組、しっかりと推進してまいりたいというふうに思います。

日野委員 今大臣に御答弁いただきましたので、続いての質問が、やはり、私、もっと文科省を中心に関係省庁と連携して、教育委員会と企業をつなぐ教育支援マッチングプラットフォームの創設、これもちょっと御提案させていただこうと思ったんですけれども、多分似たような御答弁になるかと思いますので、ちょっとこちらを割愛させていただきまして、例えば、大手企業に対して、アスリート雇用ですとか、あとは文化芸術人材雇用を努力義務とする法定雇用率のような制度、これを採用していただきまして、導入していただきまして、地域部活への派遣を促す、こんな仕組み、いかがでしょうか。

 これは、スポーツ庁が掲げるアスリートのキャリア支援や、文化庁が掲げる文化芸術人材の雇用促進、育成といった国の政策の方向性とも合致しているだけではなく、この制度は、教員、企業、人材、地域、それぞれにとってもメリットばかりだと私は思っています。

 先生方にとっては業務負担の軽減につながり、企業にとっては社会貢献とブランド価値の向上、指導に当たる方々にとっては競技引退後や活動の場を求める文化芸術人材に新たなキャリアパスが保障され、そして、地域にはスポーツや芸術文化の活性化という形で還元されてきます。

 また、従来、例えば、バスケットボールの経験がない、携わったことがない先生がバスケットボール部の顧問になったり、もっと極端な例でいいますと、運動部の経験がない先生が運動部の顧問になる、そんな事例も少なくありませんでした。それに比べ、実績ある専門人材による指導が受けられることで、子供たちにとってもより質の高い学びと成長の機会が提供できることに間違いありません。

 大臣、是非、部活動の担い手確保のために、大企業におけるアスリート雇用でしたりとか、文化芸術人材雇用の努力義務の創設、こんなのはいかがでしょうか、お答えください。

あべ国務大臣 本当に部活動の地域移行に関しては、指導者をどうやって確保していくかというのが多分一番大きな課題となるところでございまして、やはりおっしゃるように、民間企業に所属するアスリート、また文化芸術人材で、幅広い方々に地域のクラブ活動の指導者として参画いただくことが重要だというふうに思っているところでございます。

 例えば、委員がおっしゃるように、地元企業に所属するアスリート人材、その方々が地域のクラブ活動に指導者となっている事例もございます、出てきておりまして、文科省としては、実証実験の事例を更に普及していきながら、指導者の確保が円滑に進められるよう進めてまいりたいと思いますが、法定雇用率に関しては、厚生労働省の所管になりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。済みません。

日野委員 是非よろしくお願いします。

 部活動は、子供たちにとっての大切な居場所であり、地域と学校、そして企業が力を合わせて支えていくことで、未来の教育、福祉、スポーツ、文化をつくっていく、希望のプラットフォームです。尾張旭モデルのような先進的な取組が今後更に発展し、全国的にも広がっていくためにも、国が方向性を示し、背中を押すことが極めて重要だと思っております。

 是非、大臣におかれましては、明確なビジョンとともに、現場の挑戦を後押しする制度的支援を強く打ち出していただき、子供たちの未来を守る道筋を力強く示していただきたいと心からお願い申し上げます。

 続きまして、プール施設における監視体制と安全管理に関する制度整備の必要性について質問いたします。

 プール、これは子供たちにとって夏の楽しみであり、心と体を育む大切な場所です。だからこそ、そこで起きる溺水事故のニュースに触れるたびに胸が締めつけられる思いになります。事故の背景としまして共通して指摘されるのが、監視員の人数不足、資格の存在、そして訓練や経験の不足といった体制上の不備です。

 現在、文科省が示すプールの安全標準指針では、プール全体をくまなく監視できるよう、施設の規模に見合った十分な数の監視員を配置することが必要であるとされており、また、監視員につきましても、救急方法及び応急手当てに関する講習会等の受講が望ましいとされているのみで、具体的な配置基準や研修受講の義務といった法的要件は一切定められていないため、実効性に乏しい状況でございます。

 その結果、現場では一人の監視員が広範囲をカバーせざるを得ないなど、最低限の安全が確保されていないケースが各地で散見されています。実際には、大学生などのアルバイトが数時間の簡易研修のみで監視業務に当たっていることも常態化し、心肺蘇生法やAEDの使用といった基本的な救命技能すら習得しないまま任務についている、そんなような実態がございます。

 さらに、近年、猛暑や異常気象の影響により炎天下での長時間の監視業務は集中力、判断力の低下を招き、事故の発見の遅れや対応の遅滞につながるリスクが高まっています。それにもかかわらず、監視員の交代や休憩に関するルールの制度化も現時点では進んでおりません。

 こうした実態を踏まえ、大臣にお伺いします。

 一点目、プール施設の安全確保の観点から、利用者数や施設規模に応じた監視員の最低配置人数を法令で義務づける制度整備を政府として検討すべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。お願いします。

あべ国務大臣 プールの施設を利用するに当たっては、やはり安全であるということはまさに重要だというふうに思っておりまして、プール施設の安全管理、監視員の人材を適切に配置することはまさに不可欠でございますが、この適正な配置人員、実は、同じ条件の同じ施設であっても、遊泳者の年齢と、例えばその人数、利用する人数の違いによって異なっておりまして、施設管理者が状況に応じて適切に設定することが重要だというふうに言われております。

 文科省としては、安全なプール環境、この整備のためには、都道府県の関係機関に向けて、毎年、水泳等の事故防止に関する通知を出させていただいておりまして、監視員の配置について配慮すべき点をいわゆる指導助言をしているところでございますが、また、日本スポーツ施設協会が水泳の指導者、プール管理者の資質の向上のために、委員がおっしゃったような救急法、さらには安全管理と事故防止のための公認水泳指導管理士として認定するなどの取組を進めておるところでございまして、文科省としても、関係団体と連携をしながらその普及と啓発に取り組んでまいりたいと思います。

日野委員 普及と啓発、大変重要だと思いますが、やはり、監視業務に従事する者に対して、心肺蘇生法、AEDの使用などを含む一定の研修を法的に義務づけるとともに、猛暑などの環境下においても安全に業務ができるよう休憩、交代のルールや健康管理体制についても制度化すべきと感じますが、これについて、もう一度大臣にお答えいただいてもよろしいでしょうか。

あべ国務大臣 プールの安全確保に関しましては、一義的には各施設管理者が条例などに基づきまして責任を持って管理運営するものとしておりますが、文部科学省といたしましても、国土交通省などと連携をしながらプールの安全標準指針というものを定めておりまして、その中で監視員に関しては、公的な機関また公益法人の実施する救助方法及び応急手当てに関する講習を受講しながら、それに関する資格を取得した者とすることが望ましいこと、さらには、監視員の集中力、やはり暑いときはいろいろ大変でございますし、持続させるために休憩時間を確保することについても考慮することが望ましいということを私どもとしては示しているところでございまして、この指針を文科省としても踏まえながら、特に心肺蘇生、AEDの使用とか、などを含む講習会を行う日本スポーツ施設協会と連携させていただきながら、自治体の施設管理者を対象に、講習会また公認資格制度のより一層の周知にしっかりと努めてまいりたいと思います。

日野委員 ありがとうございます。

 やはり、法律で制度化される、制度化されない、ここはすごく大きなことだと私は思っております。

 それで、やはり、コロナ禍で学校水泳の機会が二年近くにわたり失われた、こういった地域、そういった影響もありまして、子供たちの泳力が低下している、そういった現場の声も強く上がっています。だからこそ、今、監視体制の整備は喫緊の課題でもあると思っております。

 個人的にも、我が家、スイミングスクールでも我が子が溺れたといった経験がありましたので、強くその必要性を感じております。監視体制の不備によって失われた命は、制度が整っていれば守れた可能性が大いにあります。ガイドラインではなく、実効性ある制度的裏づけと国としての責任ある対応を強く求めさせていただきたいと思います。

 続きまして、関連して大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 例えば、図書館には司書が、そして博物館には学芸員が配置されております。こうした施設にその機能を専門的に支える人材、これが制度として位置づけられていますのは、公共施設としてその質を担保する意味で、ある意味必要だと考えています。

 一方で、スポーツ施設はどうでしょうか。利用者の安全確保や健康への配慮、発達段階に応じた運動指導、さらには熱中症などの気象条件への対応など、現場では非常に専門的な判断が求められているのにもかかわらず、現行制度上、専門職の配置義務は設けられておりません。

 今後、先ほども申し上げました、学校の部活動の地域移行、これが進むにつれ、子供たちが学校外のスポーツ施設を利用する機会は確実に増えていくと思っています。また、健康寿命の延伸を目指し、高齢者の方々がスポーツ施設を日常的に活用する、そんな機会も拡大していっているのではないでしょうか。

 こうした現状を踏まえれば、スポーツ施設においても、一定の専門的知識と判断力を有する職員、例えばスポーツ安全指導員、こんなような専門人材を制度として明確に位置づけ、配置を促す必要があると思っておりますが、これについて大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 まさに、スポーツ振興の観点から、スポーツ指導者の質の確保、向上は重要だというふうに私どもも考えておりまして、このため、日本スポーツ協会におきましては、公認スポーツ指導者資格制度を設けておりまして、この部活動また地域クラブ活動の指導、健康増進に資する運動、スポーツの指導者に必要な知識と技術を身につけた指導者の認定を行っておりまして、令和六年時点で、実は、二十九万人のいわゆる公認指導者が全国各地で活動しているところでございます。

 こうした認定指導者を各スポーツ施設に配置するかどうか、また、地域のスポーツ振興の観点から、それぞれの地域において判断するものではというふうに考えておりますけれども、文科省といたしましても、この公認スポーツ指導者資格制度の取組に対して補助を実は行っておりまして、この補助を使っていただきながら、こうした取組を通じて、スポーツ指導者の育成と質の確保また向上に、しっかり努めてまいりたいというふうに思います。

日野委員 ありがとうございます。

 なかなか、やはり、認知がされていないような現状があるかと思います。是非、大学の体育学部とかとの連携とかも併せまして、そういった有資格者の周知、そして研修の積極的な受講で、そういった人材が各地のスポーツ施設で活躍できるような制度設計をよろしくお願いいたします。

 ちょっと時間がまだ余っているんですけれども、質問を全て終わらせていただきましたので、最後に、私自身、高校、大学と空手道部に所属していまして、インターハイも出場した経験がございます。本当に勝利を目指して毎日練習に打ち込んでいたわけなんですけれども、やはり、その経験を通じて、スポーツというのは本当に勝利だけではないですね。勝ち負けだけではなく、全力を尽くすこと、仲間と支え合うこと、そういったことを多く学んでまいりました。それは今でも私を支える大きな糧となっています。

 スポーツは人を育て、人をつなぎ、そして人に感動と幸せを与える、そんな大きな力を持っていると思います。その力というのは、やはり、全て、スポーツに携わる人たちが安心して安全にスポーツに打ち込める、そんな環境があってこそ発揮されるものだと思っています。

 冒頭に今枝先生の質疑にもありましたが、来年、私の地元愛知県では、アジア・アジアパラ競技大会が開催されます。これは、日本がどんなスポーツ社会を目指していくのか、そういった姿勢が国内外から問われる、そんな機会でもあると思っています。私自身、スポーツの発展に引き続き尽力してまいりたいと思います。

 ちょっと時間は早いんですけれども、以上をもちまして、私、日野紗里亜からの質疑とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 一昨日の三十一日、大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律案、これが参議院で可決されました。法律が成立し、本年度から多子世帯の学生等については授業料、入学金の減免が行われることとなりました。このことは、今後の無償化の実現に向けた大きな一歩であると私は思っております。

 そこで、多子世帯の無償化は、扶養している子供の数が三人以上である世帯について授業料等の減免を行うものでありますけれども、その対象の判定は、地方税法上の扶養親族であるかによって行うものとされております。

 今回の税制改正において、十九歳から二十二歳までの学生については、収入が百五十万円までであれば、特定親族特別控除として、その保護者が特定扶養控除と同額の控除が受けられることになります。一方で、この控除を受ける方は、地方税法上扶養ではない扱いになるために、多子世帯にカウントされず、授業料等の無償化の対象にならないという課題があることが認識されております。

 このことにつきましては、我が党の参議院の杉久武議員が気づきまして、参議院の法案質疑におきましても、三月二十四日には高橋次郎議員から、三月二十四日には杉議員からも指摘をさせていただきましたけれども、改めて、大学生などがアルバイトをするに当たりまして、百五十万円までできますとする今回の税制改正の趣旨を踏まえまして、特定親族特別控除の対象となる学生についても扶養する子供に含めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 今回の税制改正でございますが、本制度に反映されるのは令和八年度以降となりますが、仮に現行の仕組みをそのまま適用した場合には、地方税法の扶養、親権の要件である年収百二十三万円以下であることについてのいわゆる本制度の扶養ということになりまして、本制度を利用する学生に混乱が生じないように周知をしっかり行ってまいりたいと考えていますが、委員から御指摘をいただいた点は本当に大切なことだと私どもも考えておりまして、新しい制度実施後の利用状況やほかの制度の整合性もしっかり踏まえていきながら、今後総合的に検討してまいりたいと思います。

浮島委員 これは本当に重要なことであると私も思っております。これは法改正は必要ありません。省令で定める事項となっておりますので、どうかしっかりと大臣を先頭にやっていただきたい、周知徹底をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、部活動の地域展開についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、二〇二三年の五月の二十五日に、公明党の部活動の地域移行に関するプロジェクトチームの座長といたしまして、当時の松野官房長官に対しまして、政府が進める部活動の地域移行について丁寧に進めるようにと求める提言をさせていただきました。

 公明党は、部活動の意義は子供たちがスポーツや文化芸術活動を体験する重要な学びの場であるということであり、活動の責任の主体が曖昧にならないよう、学校教育との関係を明確にすることが大事だと思って提案をさせていただきました。

 また、地域クラブ活動について、パラアスリートを含む多様な指導者の確保、また、学校と地域などの関係者間の連絡調整を行うコーディネーターの配置、また、学校施設の積極的な活用が不可欠である、また、地域クラブ活動への会費、これはこれまでと同じ保護者の負担はやむを得ないものと思ったとしても、困窮世帯に対する支援をしっかりと講ずる、また、不登校や障害のある生徒の活動の参加に配慮をすることは重要であるということも提案をさせていただいたところであります。

 急激な少子化の中で、学校部活動の運営が困難になる学校、また地方公共団体が増えている中で、生徒のスポーツ、文化芸術活動に親しむ重要な機会を確保し、体験格差がなくなるように図るためには、部活動の地域移行を含む部活動改革は重要な取組であります。

 文科省では、令和五年度から七年度、これを改革推進期間として、部活動の地域クラブ活動への移行に向けた実証事業に取り組んでこられました。これまで、地域移行の成果や課題の検証も行っているものと承知をいたしております。

 その中でも、地域クラブへの参加の費用、これにつきましては、地域のスポーツ団体や文化芸術団体が継続的、安定的に活動する機会を提供、これを与えていくため、受益者負担という考えは必要である一方で、家庭の経済格差が体験格差につながらないようにする配慮をすること、これは極めて重要であります。

 そのため、国としては、現状のスポーツ、そして文化芸術活動における受益者負担の状況を踏まえた対応、また困窮世帯に対する支援の在り方、これを講じるべきだと考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、生徒が学校部活動に参加する際に、現在どのくらいの金額を負担しているのか、また、経済的に困窮している世帯の生徒が学校部活動から移行した地域クラブ活動に参加するに当たり、国としてどのような支援を行っているのか、教えてください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省が実施した令和五年度の子供の学習費調査によりますと、公立の中学校に関して、部活動やそれ以外の芸術鑑賞会等のために御家庭が支出した教科外活動費は、年額二万七千三百円程度、月額に換算いたしますと二千三百円程度になってございます。

 また、経済的に困窮しておられる世帯の生徒が学校部活動から移行した地域クラブ活動に参加する際の支援といたしましては、令和五年度より実施しております実証事業において、地方公共団体が困窮世帯の生徒の参加費を無料としたり減額するなどの経費について、スポーツ庁として支援を行っているところでございます。

浮島委員 今御答弁いただきました二万七千三百円、まあ月額にすると二千三百円ということでございますけれども、今現在負担をしている、この金額を絶対それ以上にならないということをしっかりと保っていただきたいと思いますので、お願いをさせていただきたいと思います。

 また、現在、文科省では、改革推進期間以降となります令和八年度以降、部活動改革の在り方について、有識者会議、これを行って、設置をして進めているということを承知しております。

 今後の改革を進めるに当たっては、まず忘れてはならないのは、子供たちのためということを最優先に考え、生徒が様々な活動に参加できるように、先ほども、今ありましたけれども、受益者の負担、二万七千三百円、月二千三百円程度ということでありますけれども、この金額を超えないということ、それと、経済的に困窮している世帯の生徒に対する支援、今後も継続していくということを前提として進めていく必要が、極めて重要であると思っております。

 また、地域における環境整備として、指導者の質の保証、そしてこの確保に向けた人材バンク、これは我々がずっと要望してきましたけれども、この人材バンクの設置、また地域全体での連携の体制の構築に向けたコーディネーターの設置、配置、そして地方公共団体の取組についても継続的に支援が必要であると考えております。

 そこで、現在進めている部活動改革について、今後も文科省がはしごを外すことのないように、よく現場から言われるのは、はしごを外されると言われておりますけれども、決してはしごを外すことがないように、地方公共団体の取組に対し十分な財政支援をしていくべきと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いします。

あべ国務大臣 やはり部活動、子供たちのためということは、委員がおっしゃるように決して外してはならないところでございまして、将来にわたって生徒が継続的にスポーツ、文化芸術活動に親しむ機会をいわゆる確保、充実するため、この部活動改革を進めることがまさに重要でございまして、文科省としては、いわゆる、年々地域クラブ活動の移動に取り組む地方公共団体が増えている中にありまして、より多くの地域、地方公共団体が、このコーディネーターの配置、また委員がおっしゃった指導者の確保に向けた人材バンクの設置、運用、これはまさに重要で、これを取り組めるように、令和七年度予算についても、実証事業を拡充して実施するための予算を確保しておりまして、文科省としては、有識者会議における令和八年度以降の部活動改革の在り方についての議論も踏まえまして、地方公共団体の取組が更に進みますよう、今後、部活動改革の全国な実施にしっかり取り組んでまいります。

浮島委員 今、大臣からもありましたけれども、継続的に、ここは重要でありますので、部活ができなくならないように、しっかりと大臣先頭にやっていただきたいと思います。また、人材バンク、これも重要でありますので、しっかりと人材バンクをつくり、マッチングを図っていただきたいと思います。

 次に、障害のある児童生徒の体育授業の参加について状況をお伺いしたいと思います。

 この件に関しましても、私もずっと質問させていただいてまいりましたけれども、障害の有無にかかわらず共にスポーツや運動に親しむ環境の充実を図ることは極めて重要であり、スポーツを通じた共生社会の実現、これを図る上で極めて大切です。

 国の第三期スポーツ基本計画においては、「障害があることを理由として、参加を希望するにもかかわらず体育の授業を見学する児童生徒をゼロとすることを目指す」とされております。

 私のところにも、参加を希望していたんだけれども、どうしても体育は見学しなければならないという声がたくさん届いていたところでもありました。また、この計画に基づいて、しっかりとそれを把握していく、学校が今どういう状況になっているかということをしっかり把握することが必要であると考えております。

 そこで、障害のある児童生徒の体育授業への参加の状況について、実態がどうなっているのか、また、その上で、障害の有無にかかわらず共に学ぶ体育授業、この充実に向けてどのように取り組んでいくのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

寺門政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある児童生徒の体育授業の参加の状況につきましては、昨年、学校を対象とする初めての調査を実施させていただきまして、現在、最終取りまとめの作業を行っているところでございますけれども、速報値といたしましては、障害のある児童生徒の八割以上が、種目、ルールなどの工夫によりまして、ほぼ毎回授業に参加できてございます。

 参加できていない理由としては、御本人の意思で見学している割合が最も多くなってございますけれども、いずれにいたしましても、御指摘のとおり、障害の有無にかかわらず共に学ぶ体育授業の充実について、実践実例を各種研修会の場で周知するなど取組を広く普及してまいりますし、また、パラアスリートを体育の授業に派遣する取組、これもしっかりと前に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

浮島委員 ありがとうございます。

 是非とも、希望する子供たち、障害を持っている子供たちもしっかりと体育に参加できるように、今後ともよろしくお願いいたします。

 また、いよいよデフリンピックが十一月から始まりますけれども、そちらの応援もお願いしたいと思います。

 次に、学部を卒業して教師になった方々への奨学金の返還についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この件は、二〇二三年の十一月八日と昨年の三月十三日に本委員会において、学部卒業後に教師になった方の奨学金の返還について質問も私はさせていただきました。

 そこで、それを受けて、教師の奨学金の返還免除について速やかな検討を行うということで、骨太の二〇二三にも明記され、そして、公明党はこれまで歴代大臣にもずっと申入れをさせていただきましたけれども、我々の提案を受けていただきまして、現在、この返還免除は教職大学院を修了した教師に限定されるということで、そこまでは穴を空けることができました。しかし、日本学生支援機構の奨学金を借りて学部を卒業した方々について、奨学金の返還を免除するという制度を、教師の職務の重要性から、その高い使命を踏まえまして、学部までに広げるべきと我々は要望しておりますけれども、それについて見解をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 優れた教師人材を確保するためには、文科省といたしましても、今年度新たに教師になった者から、教職大学院等を修了し、翌年から正規の教師として採用される者を対象に奨学金の返還支援を行うことをしておりまして、また、まずはこの制度を着実に実施することが重要だと考えておりまして、今委員の御指摘の学部段階も含めた奨学金返還支援の更なる充実につきましては、この大学院段階の取組で得られた成果を生かしていきながら、過去の返還免除制度の廃止経緯、また、各教育委員会での教師人材の確保の状況と高等教育段階の修学支援の動向なども踏まえながら、しっかり検討してまいりたいと思います。

浮島委員 是非とも、院生だけではなくて、学部まで広げてください。

 と申しますのも、これが、前はこの制度がありました。知らない間になくなってしまった。私も分からなかったので、何が原因でなくなったかとお伺いしたところ、教師の数が増えた、また、何で教師だけ、教員だけという批判の声が多くなった、そこで消滅してしまったということでありますけれども、今、様々調べましたら、教師のところだけではありません。今、厚労関係もあります。なので、しっかりとここのところを広げていただきたい。

 また、これは本当に教師の有為な人材の確保をするために優れた方策だと思っております。院生だけではかなりしょぼいので、しっかりと学部まで広げていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。

 もう時間が来てしまいますので、本来であれば、映画について、ロケについて質問をさせていただきたかったんですけれども、この件に関しましてはしっかりと質問させていただきたいと思いますので、また次回に譲らせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 四月十三日、万博の開幕日なんですけれども、この万博については、これまでも私もほかの委員会で様々な問題点を指摘してきました。例えば、メタンガス爆発が起きたんですけれども、去年の三月ですね。これは元々の土地にメタンガスその他の、メタンガスだけではない有毒なガスが埋まっている性状ですので、その危険性が指摘されていて、メタンガス爆発が起きて、しかも、これを万博協会が隠匿をしていた、十分な情報を出さなかったという問題があります。そういった安全性の問題ですね。

 それから、個人情報保護法に違反しているという問題があります。これも先日指摘させていただきましたが、包括的に生体情報とか極めて個人のセンシティブ情報に係る情報を、万博IDを取得してチケットを買うという過程で幅広く取得し、かつ、等とかなどという文言で、幅広く第三者にその情報を提供するという枠組みで個人情報保護方針が決められていた。これを先日修正したようですが、根本修正になっていませんで、幅広に、などで、誰も排除しないような第三者への情報提供をさせていくという問題もありました。

 それから、イスラエルに日本から参加の要請をしています、万博に。そして、問題として、イスラエルの方の参加動機として、このように語られたんですね。殺人テロ組織と正義を懸けて戦っている今、日本での重要なイベントにイスラエルが参加することは非常に重要だと万博に参加する動機を語り、自らのジェノサイドを正当化するという、このような大きな問題を万博において指摘してきました。

 本日は、この大阪万博に子供たちに学校単位で遠足として強制することがあってはならない、この問題点を明らかにして、文科大臣の対応を求めます。

 通告していた問い十を今からそのまま聞くんですけれども、その前段として、あべ大臣にお伺いしたいんです、端的に。

 これまでの大阪府における経緯で、大阪の万博に、小学校、中学校、高校の学校単位での遠足に強制性があるんじゃないかと感じられますか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 修学旅行の行き先、内容については、各学校において決定をいただくものと考えています。

大石委員 そうなんですよ。だけれども、強制性があったんじゃないかと感じられるかとお聞きしたんですけれども。

 問い十をそのまま今から行きますね。

 三月二十八日、大阪府豊中市の保護者を中心とした団体が記者会見を行っているんです。これは学校単位での万博への遠足を強制しないでほしいといって、二万七千筆以上の署名を集めて、豊中市と教育委員会に提出しているんです。

 文部科学省や大阪府は、学校単位での大阪万博への遠足は強制ではない、学校で判断することと、今もおっしゃいましたけれども、言うんですけれども、現場からは、強制性があるんだ、踏み絵のようなんだと声が上がっていて、事実上強制されている実態があるんですね。

 万博は国の事業でもあることから、保護者の不安に応えるために、国は、学校単位で行かなくてもよいよという告知だったり、通知だったり、メッセージを検討するべきだと考えるんですが、あべ大臣、いかがですか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 文科省においては、これまでも関係省庁の依頼を受けまして、修学旅行における大阪・関西万博の活用については、各都道府県の教育委員会に通知を行ってきたところでございまして、会場内の安全対策も情報提供に文科省として協力してきましたが、その上で、修学旅行の行き先、内容については、各学校で決定していただくものなので、御指摘のように行かなくていいという通知を出すことは予定をしておりませんが、文科省としては、必要な情報の提供に各省庁と連携しながら対応してまいりたいと思います。

大石委員 修学旅行とおっしゃっているんですけれども、大阪においては公金で小中高の生徒全員、百万人相当に公金で無料の招待チケットをもう購入済みなんですよ。修学旅行じゃなくて、全校生徒対象にプレゼントするということになって、去年から始まって、あべ大臣、今驚いた顔をされているんですけれども、そういうことが進んできたんですよ。それがあるから、それが強制性になっているから、今大阪で問題になっているよということを言っているんです。

 記者会見とかも、保護者、例えば一団体がやっただけでしたら話は別なんですけれども、いろんなところ、学校現場だったり、その記者会見に象徴されるように、強制性があるんだと先生も感じているんだということを、大臣に知らないなら知ってもらって、しかるべきメッセージが必要だと考えています。

 その記者会見の中で、署名の発起人の一人がこのように語っています。本来、教育と行政は分けられるべきなのに、先生たちは行かないといけないと思ってしまっているんだ、校外学習は各学校の裁量で決めることであって、市としては強制していないんだということをもう一度分かりやすい形で正式に発表してほしいと言っているんです。

 豊中市議会で、三月六日ですけれども、豊中市長も、質疑の中で万博の遠足に強制性があるという質問に対して、市長が次の答弁をしているんですね。そもそもなんですけれども、学校現場がそれぞれ裁量を持っている学校行事に関して、私が介入することがいいのかどうか、そういったことをしていません。このようにも言っています。私は市長として、教育現場で学校行事に関して、どこへ行け、どこへ行くの指図するのはできません、そのように言っているんですよ。

 このように、わざわざ豊中市長が介入しないという発言をして、あべ大臣も学校の判断、修学旅行とおっしゃっていたけれども、遠足もそうだと思いますよ。学校の判断だとあべ大臣もしているんですけれども、それはなぜなのか。教育基本法の精神などから御説明いただけたらと思います。

望月政府参考人 各学校の教育課程の編成権は各学校にございまして、修学旅行あるいは校外学習につきましては、その教育課程の一環として実施するものでありますから、各学校において決めるものでございます。

大石委員 あべ大臣に是非お答えいただきたかったんですよね。

 本日も、修学旅行であの国に行くなとか、一方で万博には行けとか、そういうことがあってはならないわけで、この精神はどこに由来するのかということを文科大臣が語るということを、私は重要だと思っています。

 教育基本法十六条の不当な支配に服さないというところにあると考えるんですけれども、文科大臣はそう思われますか。

あべ国務大臣 先ほどの局長の答弁のとおりでございます。

大石委員 教育基本法では、元々第十条だったのが今十六条ですけれども、その精神が引き継がれる形で、教育は不当な介入に服することなくということがうたわれています。

 これは制定過程にどのような趣旨、制定趣旨だったのかといいますと、これは文科省のホームページに掲載されています。昭和二十二年の政府委員の答弁によりますと、従来官僚とか一部の政党とか、その他の不当な外部的な干渉によって教育の内容が随分ゆがめられたことは申し上げるまでもないことであります。そこでそういうふうなことのみだけでなく、一般に不当な支配に教育が服してはならない、教育権の独立と申しますか、教権の独立ということについて、その精神を表したのであります。

 なので、この十六条の主語は、「教育は、」なんですね。教育が不当な支配に服することなくということで、一部の政治的な思惑によって、あそこに遠足に行っちゃいけないんだ、遠足に行くんだと、学校現場に介入してはならないという根拠になるわけですけれども、あべ大臣もそれには同意されますか。

あべ国務大臣 委員の御意見は拝聴させていただきました。

 文科省としては、各省庁の依頼を受けて活用について通知を行ってきたところでございまして、改めて、修学旅行等の行き先や内容については、各学校において決定いただくものと考えているところでございます。

大石委員 特に大阪において、教育と行政の一体化を教育基本条例で進めてきた大阪府政、実態として、学校の教育内容に事実上介入し、遠足の動員を求めてきた事実があります。だから、教育への介入ではないよ、強制はしないんだということであれば、これは学校の判断でを繰り返すのではなくて、学校単位で行かなくてよいよ、強制ではない、同じ論理的意味ならば、学校単位で行かないでよいよというメッセージを文科省が出さないといけないと考えています。

 それで、何でこんなことを言っているのか。大阪府内でかなり強制性があったということを今から説明しますね。吉村大阪府知事また教育委員会が、教育的な意義を強調し、遠足の動員を求めてきたのは明らかなんです。

 去年の六月などよく報道されていましたけれども、学校単位で、大阪府教委が、学校、学年単位で来場していただくこととしておりますとしていて、どういうことかというと、教育庁システムというのがあって、学校単位でアンケート入力を全校にさせているんですけれども、万博に参加するかどうかですね。選択肢が、万博に参加を希望すると、検討中・未定、これしかない。参加しませんという選択肢がないアンケートなんですよ。これは笑いも出るぐらいあり得ない。去年の六月に、回答した学校の七五%が参加希望だったんですよ。その残りは不参加ではないんですね。それが報道でも問題にされまして、不参加の選択肢がないやないかと。

 大阪府の教育庁は、さらに、参加しないではなく、検討中・未定という項目を選択した学校には個別に聴取をして、検討結果はどうなんやという、聴取までするというのがかなり強制的であったんですよ。

 一方で、吉村知事は、この七五%が参加希望、参加希望しないがないアンケートで七五%が参加希望ということが、これは教育的な意義が高いということの結果だと言っていて、大本営発表やないかということなんですよね。

 一方で、それと同時期に、吉村知事が子供の無料招待第二弾をぶち上げて、机上の勉強では体験できないとか、社会問題を解決する万博でもあり、日本と違う国の価値観がどういうものであるかに触れるのは大切なことだ、教育的な意義もあると思っているとかなりごり押ししていたので、学校現場がこのように混乱していて。

 記者会見でどのような教員の皆さんの発言があったか、概要を読み上げますね。

 万博の遠足が出た当初、踏み絵のようだった。自治体として行かなければ府からにらまれる、学校として行かなければ市教委からにらまれる。教員の間で行きたい、行きたくないの意思表示は分断となってしまった。万博遠足はこの状況を引き起こした。教員は気を遣い疲弊し、考えることを先延ばしにした。教員のためらいは知られていないのではないか。そして、前売り券が売れていない状況を見ると、遠足事業は子供のためと言うが、本当に純粋な気持ちなのかと思ってしまう。当初はなかった下見に行ってから決めるという学校が出てきて、やっとここまで来ることができたかと思ったと。

 今、ようやく、何となく保留にしておいてやはりやめますという学校が相次いでいるんですけれども、そういった強制性の裏返しとしてそういうリアクションがあるよということなので、これは強制ではないというのは分かりましたが、遠足に学校単位で行かなくてもいいんやでと、これは論理的に同じ意味なので、あべ大臣、是非言っていただきたいんですけれども。お願いします。

あべ国務大臣 大阪の取組は詳細は把握しておりませんが、あくまでもその行き先や内容は各学校で決定するものでございまして、その通知を出すことは、御指摘のような通知を出すことは予定しておりません。

大石委員 最後に、外務省の方にも今日来ていただいたので、イスラエルのことをお聞きしたいんですけれども。

 政府は万博にイスラエル国を招聘し、イスラエル国は万博でイスラエル・パビリオンを公開することから、学校単位での万博への遠足の際、子供たちはイスラエル・パビリオンを見学する可能性があって、三月十八日にイスラエルは停戦を破棄して空爆で四百人を殺害しており、食料と電気を止めている渦中です。そして、パレスチナの死者は五万人を超えて、このジェノサイドに対して国際刑事裁判所がネタニヤフ首相に逮捕状を出したという、そういう渦中の中でイスラエルを招致するということに問題があるんですが。

 この三月十八日、空爆を始めたその日に日本がイスラエルと協議を開催していて、その協議が第四回日本・イスラエル外務・防衛当局間協議なんですけれども、開催の目的は何ですか。

三宅政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十八日、イスラエルにおいて、委員御指摘の第四回イスラエル外務・防衛当局間協議が開催され、中東情勢やインド太平洋情勢等、幅広い事項について意見交換を行いました。

 日・イスラエル外務・防衛当局間協議は、二〇一八年五月の日・イスラエル首脳会談において立ち上げに合意し、その後、定期的に開催してきているものであります。

 今次協議においては、我が方から、ガザ情勢について、イスラエル軍によるガザ地区の広範囲における軍事作戦の実施により民間人を含む多くの死傷者が発生していることに対する我が国の強い懸念を表明した上で、本年一月に成立した人質解放と停戦に関する当事者間の合意の誠実かつ着実な履行の重要性及び人道状況の改善の必要性を強く働きかけました。また、ガザ地区の復興支援に係る見通しについても意見交換を行ったところであります。

大石委員 そうおっしゃるんですけれども、イスラエル大使館のホームページでは、日本との協議結果の中で、国際法を厳格に遵守しているんだとか、それから、ハマスが悪いと、自分らのジェノサイドを正当化することをこの協議会の報告としてウェブサイトで発表しちゃっているんですよね。そのような形で万博招致とかこの協議会を開くということ自体がイスラエルのジェノサイドを正当化し、加担していることにつながっているということは指摘いたします。

 万博は問題だらけである、子供たちを遠足に強制してはならない、改めて申し上げます。

 終わります。

中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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