第3号 令和7年11月26日(水曜日)
令和七年十一月二十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 斎藤 洋明君
理事 岸 信千世君 理事 永岡 桂子君
理事 深澤 陽一君 理事 荒井 優君
理事 安藤じゅん子君 理事 津村 啓介君
理事 高橋 英明君 理事 西岡 義高君
あべ 俊子君 石田 真敏君
伊藤 忠彦君 遠藤 利明君
大岡 敏孝君 大空 幸星君
大西 洋平君 小渕 優子君
柴山 昌彦君 島尻安伊子君
島田 智明君 武部 新君
土田 慎君 渡海紀三朗君
丹羽 秀樹君 福田かおる君
船田 元君 星野 剛士君
宮内 秀樹君 山本 大地君
青山 大人君 五十嵐えり君
岡田 華子君 菊田真紀子君
坂本祐之輔君 佐々木ナオミ君
下野 幸助君 高橋 永君
竹内 千春君 辻 英之君
牧 義夫君 吉田はるみ君
杉本 和巳君 徳安 淳子君
石井 智恵君 浮島 智子君
大森江里子君 大石あきこ君
阿部 弘樹君
…………………………………
文部科学大臣 松本 洋平君
内閣府副大臣 鈴木 隼人君
財務大臣政務官 三反園 訓君
文部科学大臣政務官 福田かおる君
衆議院委員部長 野口 幸彦君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 木村 直人君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 佐藤 紀明君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 堀野 晶三君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 蝦名 喜之君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 塩見みづ枝君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 合田 哲雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 西條 正明君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 坂本 修一君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 北山 浩士君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 浅野 敦行君
政府参考人
(文化庁次長) 日向 信和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 石和田二郎君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
文部科学委員会専門員 津田樹見宗君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
石田 真敏君 島尻安伊子君
遠藤 利明君 星野 剛士君
武部 新君 伊藤 忠彦君
渡海紀三朗君 大岡 敏孝君
船田 元君 土田 慎君
松野 博一君 大西 洋平君
山本 大地君 大空 幸星君
吉田はるみ君 岡田 華子君
阿部 司君 杉本 和巳君
山崎 正恭君 大森江里子君
同日
辞任 補欠選任
伊藤 忠彦君 武部 新君
大岡 敏孝君 渡海紀三朗君
大空 幸星君 山本 大地君
大西 洋平君 松野 博一君
島尻安伊子君 島田 智明君
土田 慎君 船田 元君
星野 剛士君 遠藤 利明君
岡田 華子君 吉田はるみ君
杉本 和巳君 阿部 司君
大森江里子君 山崎 正恭君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 石田 真敏君
―――――――――――――
十一月二十五日
教職員が教育に専念できる環境の整備等を求めることに関する請願(小熊慎司君紹介)(第一〇六号)
同(神谷裕君紹介)(第一〇七号)
同(川原田英世君紹介)(第一〇八号)
同(吉良州司君紹介)(第一〇九号)
同(篠田奈保子君紹介)(第一一〇号)
同(西岡秀子君紹介)(第一一一号)
同(福森和歌子君紹介)(第一一二号)
同(神津たけし君紹介)(第一一四号)
同(金子恵美君紹介)(第一二三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案起草の件
愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する件
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○斎藤委員長 これより会議を開きます。
文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官廣瀬健司君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官木村直人君、総務省大臣官房審議官佐藤紀明君、文部科学省大臣官房長茂里毅君、大臣官房学習基盤審議官堀野晶三君、大臣官房文教施設企画・防災部長蝦名喜之君、総合教育政策局長塩見みづ枝君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長合田哲雄君、科学技術・学術政策局長西條正明君、研究振興局長淵上孝君、研究開発局長坂本修一君、国際統括官北山浩士君、スポーツ庁次長浅野敦行君、文化庁次長日向信和君、厚生労働省大臣官房審議官榊原毅君、国土交通省道路局次長石和田二郎君及び観光庁観光地域振興部長長崎敏志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○斎藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青山大人君。
○青山委員 おはようございます。青山大人でございます。
まずは大臣にお伺いします。
大臣、就任されて約一か月でございますけれども、文部科学大臣、文部科学省が二〇〇一年に発足してから、大臣は皆、一年で替わっているんですよね。複数年やった方はたったの二名しかおりません。私は、この委員会でも指摘しました。本来であれば、教育行政、国の根幹に関わることでもございますし、やはりしっかりトップが継続していくべきだ、私はそう思っております。もちろん、人事権は大臣にはございませんのですけれども。
ただ、そういった中で、じゃ、一年間、限られた期間の中でどのような成果を残していくのか。先ほども、大臣の所信を聞きましたけれども、もちろん様々な分野があります。ただ、あれもこれもではなくて、やはり、どう優先順位をつけていくか、物事を緊急度の高い低いや、重要度の高い低いに分けて。
まずは大臣にお伺いしたいのが、大臣の中で、特に文部科学行政の中で、教育に関する中で、どういったものが緊急かつ重要であり、まずしっかりやっていくのか。と同時に、二つ目が、今現在緊急ではないかもしれないがやはり重要なこと、まさに、ここにいかに時間と様々なものを投資していくかが大事だと思うんですけれども、大臣の中で、物事の優先順位、考え方、まずはお伺いいたします。
○松本(洋)国務大臣 ありがとうございます。
そもそもの私自身の認識といたしまして、今の日本の国というのは大きな変化のときにあると思っています。一つは、やはり人口減少社会がこれから急速に進んでいくという中で、教育行政をどう考えていくのかということも大変重要な課題だとも思っておりますし、また、AIなどの新たな技術というものが進展をしていく中で、これに社会をどう対応させていくのか、それを支えていく人材をどう育てていくのかということも極めて重要なことだと思っております。
そんな中で、たまたま一昨日、私、BSのあるテレビ番組に出演をして、一言文字を書いてくださいと言われて、私は、礎という言葉を書かせていただきました。文部科学行政というのは、あらゆる意味で全ての政策の礎になる人づくりを中心とした、そうした政策を進めていくのが私はこの文部科学省という役所の一つの仕事だと思っております。是非、先生方にも、皆さんからいろいろな御意見をいただきながら、しっかりとそうした行政を進めていきたいと思っております。
直近の重要政策の一つには、いわゆる高校無償化などへの対応があると考えておりまして、来年四月から、いわゆる高校無償化の実現に向けて取り組むわけでありますけれども、同時に、公教育の再生、質を高めていく、こうした改革を進めてもいかなければいけない。また、奨学給付金を始めとしたこうした政策によって、いわゆる家庭環境だったりとか、どこの地域に生まれたんだとか、私自身が、その中でも最も大切にしていきたいと思って、常日頃役所の皆さんにも申し上げているのは、やはり子供たちが、自分たちが幾ら頑張っても届かないような、そうした置かれた環境によって子供たちの教育の質が、格差が生まれるようなことはできる限り避けていくような、そうした政策を是非進めていきたいというお話もさせていただいております。子供たちがしっかりと教育を受け、そして可能性を伸ばし、それぞれが自己実現をしていくことができるような、そうした取組というものをやっていきたいと思っております。
私の下にタスクフォースを設置をいたしまして、今、文部科学省を挙げて議論を進めているところでありますけれども、こうした取組というものを、私自身の思いとして持ちながら、是非、役所の皆さん、また委員の皆さんにも御理解を賜りつつ、一生懸命議論をして、一つでもいい成果を残すことができるように頑張ってやっていきたいと思いますし、自分自身がどういう立場になろうとも、その思いはしっかりと貫いて頑張っていきたいと思います。
○青山委員 ちょっといろいろ議論している中なんですけれども、今大臣がおっしゃった緊急かつ重要な課題の一つに、高校の無償化というお話がございました。
これはもちろん、我々立憲民主党としましても、教育費の負担軽減、高校無償化は以前から主張していましたし、大歓迎なんですけれども、私立学校に対する就学支援金の加算額が、これまでの年額十一万八千八百円から、年額四十五万七千円に大幅に引き上げられますという中で、これはちょっと視点を変えて、学校を運営する側の視点でちょっと議論を一点させてもらいます。
支援金が四十五万七千円ということは、例えば、仮に一学年五百人の高校があった場合、全校生徒で千五百人の学校であれば、年間六億九千万円、およそ七億円ぐらいになるわけじゃないですか。毎月、それを十二で割っても、大体六千万円。相当な額が動く規模となるんですけれども、これまでは、現行制度上は、学校側へは、授業料相当額を都道府県を通じた後払い方式で受け取っているのが現状でございます。
ある県を例に申し上げますと、四月、五月、六月分は、八月に三か月分、一度に学校側に入金される。七月から十二月分の六か月分は、十二月にまとめて学校側に支払われる。一月と二月分は二月末に支給、そして、最後の三月分は翌五月に支給されるという、年四回の後払い方式でございます。これまでは、所得制限等があったので、家計の所得を把握するなど、いろいろな条件があったんですね。こういう変則的になってしまったというふうなのも分かります。
しかし、来年度からは、その所得制限が撤廃されるわけでございますし、家計の所得情報を待つ必要もございません。にもかかわらず、仮に学校側への支給方法が従来どおりであれば、これは結構、学校としては、巨額の授業料を立て替えざるを得ません。
私も、会社を経営している人間として、最初の三か月とか、資金繰りは結構大変だと思うんですよね。特に経営基盤の弱い学校などでは、資金繰りが厳しくなって、つなぎ融資を繰り返す、そんなことも考えられます。これが結果的に、質の低下とか、学校運営そのものに影響を与えてしまっては、どうだろうか。
まさに大臣が今、喫緊の重要な課題と言った高校無償化の中で、私は、この仕組みづくりを今のうちからしっかりしてほしいなというふうに思います。
恐らく、答弁側としては、いや、学校としては、一旦親御さんから授業料を先に受け取ることも選べますよという答弁が来るかもしれませんが、来年度から高校授業料無償化というふうにうたってある以上、無償化を掲げながら、最初は保護者から授業料を立て替えてくださいというのは、ちょっとなかなか学校側としても言いにくいと思います。また、低所得の家庭におきましては、立替え払いそのものも難しいケースも私はあると思います。
そういった中で、今のうちから、制度の理念と実務を一致させるためにも、学校側へのその支給方法の見直しが必要なんではないかと私は思っております。例えば、所得制限が撤廃される以上は、学校側へ毎月支給も私は可能だと思いますし、そうすれば、学校側としても、年度内の転入とか転出は月単位で把握できますし、事務処理も簡略化されます。それが考えられます。
そこで、従来のような年四回の後払い方式を維持する合理性はなく、私は、就学支援金を毎月学校運営側に支給できるような、事務処理の要領を今のうちから抜本的に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今、青山委員の方から御紹介ございましたけれども、授業料の支援である就学支援金の支給につきましては、国から都道府県への支給の観点につきましては、交付申請を踏まえた所要額を、毎年度の四月、七月、十月、一月の四半期ごとに支給してございます。都道府県から学校への支払い時期につきまして、都道府県において学校の実情に応じて取り扱っていただくというふうになってございます。
保護者の負担軽減から、各都道府県に対しては、あらかじめ就学支援金相当額を差し引いた上で授業料を徴収するのが基本であることも通知をしているところでございます。
一方で、学校の財務状況によりましては、就学支援金が都道府県から支給される前に、授業料全額分を徴収しなくては学校運営が困難になる学校がある場合には、当該学校への優先的な支給、あるいは概算払いを実施して、当該学校に対する就学支援金の支給時期を早めるなど、学校が授業料と相殺した上での徴収が可能となるように配慮いただきたいことについて依頼をしているところでございます。
今御指摘ございましたように、令和八年度から、これは法律をお認めいただいた後、現行制度から支援が大幅に拡充されるとなったときには、この就学支援金制度の事務処理要領も改定を考えてございまして、就学支援金制度を確実に実現させるとともに、より学校運営が困難となることがないように制度設計に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○青山委員 大臣、大臣も銀行にお勤めだったですし、そういった経営する側のお気持ちも分かると思いますし、これはもう単純に、支払うタイミングをどうするかという話ですので、私は仕組みづくりは幾らでも対応できると思うんですよ。
今、参考人の方から御答弁がありましたけれども、従来はそういう仕組みでやっていたと思うんですよ。ただ、これは、私は、今度は新しい制度に向けて、概算払いでも結構ですし、適時学校側に支給できるような仕組みづくりを今のうちから準備してほしいなというふうに思います。これは別に答弁は結構です。あっ、では、是非。
○松本(洋)国務大臣 いわゆるキャッシュフローをしっかりと確保していかないと、経営上、資金が確保できなくて、仮に黒字であったとしても、当然学校経営が行き詰まるというお話をされているという理解をしております。
そういう意味で、これまでも、それに対応した柔軟な制度というものをつくってやってきているつもりではありますが、おっしゃるとおりで、今回、いわゆる私立学校、高校教育の無償化の中で、国からお金がというか、自治体からいつの時期にどれだけお金が入ってくるのかということに頼る割合が非常に大きくなるという状況の中で、今局長からも答弁をさせていただきましたけれども、事務処理要領の改定も含めて、制度設計を今取り組んでいるところでありますので、そうした要領の改定も含めまして、設計をしてまいりたいと存じます。
○青山委員 今のうちに事前対応をお願いいたします。
そこで、これも大臣、喫緊の課題だと思うんですけれども、大臣もこの一年間、御党の実務者として、給食の無償化のいろいろな仕組みづくりに携わったというふうに聞いております。我々も学校給食無償化というのは法案も出していますし、今回は、まずは小学校からということですけれども、実施するに当たって、やはりこれも同じく、今度は自治体側からも、いわゆるその費用をどうするんだという中で、いろいろな懸念もございます。
そういう中で、自治体も予算編成の、まさに今、過程の中で、私も大臣の就任以来の記者会見、全て動画も拝見させていただきました。今現在、三党の実務者、いろいろなことをやっていますというふうにはおっしゃっていますけれども、ここは大臣、早いうちにしっかり、小学校給食無償化は義務教育に係る負担軽減として全額国費で実施しますよという考えを、私は早めに明示すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 いわゆる給食の無償化の実施に当たっては、本年二月の三党合意において、国と地方の関係も含めた様々な論点について十分な検討を行うとともに、安定財源を確保することとされているところであります。
三党の実務者による検討チームでは、今月七日、私が大臣に就任をした後でありますけれども、議論が本格的に開始をされまして、その後、有識者や自治体首長からのヒアリングが行われているというふうに承知をしております。
文部科学省としては、この政党間での御議論等の結果を踏まえて対応してまいりたいと存じます。
○青山委員 大臣としては、これは全額国費でやるというふうにお考えでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、本年二月の三党合意におきましては、国と地方の関係も含めた様々な論点について十分な検討を行うとともに、安定財源を確保することとされております。現時点においては、これ以上でもこれ以下でもないということだと思います。
○青山委員 大臣の、この一年間取り組んでこられた思いを是非聞きたかったんですけれども、多分もう一回聞いても同じ回答ですよね。
改めて、我々としては、これはしっかり国費で賄うべきということで要望をさせていただきます。
あと、喫緊の課題で、私、これも是非大臣にしっかり取り組んでほしいなと思うのが、もう今この瞬間の教育現場の学校の先生の不足です。もちろん通常国会で、給特法の改正におきまして、我々も様々な修正案の中で、少人数学級、同時に教職員を増やすといったことで様々な法改正も行われてきましたけれども、今この瞬間も本当に現場では先生がいなくて、これまでは市町村とか都道府県でお互い補ったりとか、それぞれの人的なネットワークで賄ったりしてきましたけれども、なかなかそういったことも今本当に困難な状況にあるというような現場のお話を、最近聞く機会が増えました。
そういう中で、ちょっと私から提案させていただきたいのが、いわゆる六十歳で定年された先生、そういった方を、その経験や知見を生かしてもらって、もう一回現場に復帰を促すような、そんな政策が緊急的にできないのかなというふうに思うわけでございます。
例えば茨城県の例を見ても、六十歳で定年延長しないで現場を去る教職員の方が、年間で三百人規模にも及ぶというような事実もございます。この三百人の先生方、これは本当に貴重な、教育現場にとっては大変な宝、人材だと私は思いますし、まだまだ現場で力を発揮できる方だと思っております。とはいえ、なかなか年齢的に担任を持ったりとか、責任と激務は同じままで、給与は現役の頃の七割といった構造もあり、続けたいと思っても続けられない方もいるのではないでしょうか。定年延長したことによって全ての担任や激務といったような構造を改めて、シニアの人材が負担の少ない形で活用できる仕組みをつくれないか。
今、現場では、育休とか産休とか途中いろいろな事情でやむなく休まざるを得ない方とか、特別支援学級など、突発的、短期的な人手不足に対し、例えば定年退職者を月単位とか週単位で配置できるような制度を整備することを検討していただけないかという提案でございます。これらは、教育現場の疲弊を軽減し、子供たちの学びを守るために重要であると考えますが、大臣の見識を伺います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
近年の大量退職に伴いまして、退職後にその経験を生かしながら、教師だった方々に引き続き学校現場で御活躍いただくことは有意義であると考えてございます。
また、教員の年齢構成を見てみますと、全体の三〇%以上が五十歳以上という状況にありまして、この状況はしばらく続くものではないかと考えてございます。
そうした経験を学校現場で生かしていただくというほかに、やはり教師不足への対応という観点からも、複数の教育委員会におきまして、退職教員の再任用あるいは臨時的任用等の働きかけを行ってございます。文部科学省でもこうした教育委員会に対してそうした取組を促しているところでございます。
八年度の概算要求におきましては、今、青山委員御指摘があったような、定年退職された方の中に、体力面での不安があるけれども一時的な時間の余裕があるということで学校現場に入っていただく、そうした短期間での欠員に対する代替者としての入職など、柔軟な任用の在り方を実証する事業を計上しているところでございます。
再任用職員はこの十年間で約三・五倍にはなってございますけれども、引き続き、こうした取組を含めまして、教師不足解消あるいは教師人材の確保に努めてまいります。
○青山委員 ちょっと時間が来てしまったので、鈴木副大臣もお越しでありますので、鈴木副大臣にも質問させていただきます。
先日、大臣所信におきましても、文化観光の推進や地域文化の振興というお話もございましたけれども、本日、その具体的な財源確保の在り方について提案させていただきます。
近年、訪日外国人観光客の数は大幅に増加しておる。その一方で、マナーの問題とか、貴重な文化財が荒らされるといった深刻な問題も生じております。
そういう中で、他国の事例を見ますと、外国人観光客から例えば手数料みたいな感じで徴収して、文化保全や観光インフラに充てる制度が既に導入されている国もございます。タイとかブータンなどなどです。日本でも同様に、訪日外国人観光客向けに観光手数料のような仕組みを導入し、その収入を文化観光の推進、地域文化の継承、文化財保全などに充てるべきではないかというふうに私は考えます。
なぜここで、税ではなく手数料という言葉をあえて用いたかという理由は、やはり税としてしまいますと、日本人と外国人を区別できないといった国際法上の制約が生じるからでございます。
現在、御党の方では、観光旅客税、いわゆる出国税、ここを引き上げるといった議論がされているというふうにも聞いていますけれども、それでは、そうしてしまいますと、結局日本人に対しても増税になってしまうと私は思うんです。
そこで、私は、あえて、訪日外国人観光客が利用するサービスに対する手数料という名目も含めて、文化財保全等の財源を確保するという考え方の方が適切ではないかというふうに私は考えます。
日本の貴重な資源を守り、観光地の持続可能性を高めるためにも、訪日外国人観光客から観光手数料の形で徴収することはいかがでしょうか。そこは、あくまでも税の引上げではなく、あえて手数料などという形を取るべきと考えますが、いかがでしょうか。
○鈴木副大臣 お答えいたします。
青山委員、前向きな御提案、ありがとうございます。
委員御指摘のとおり、十一月四日に開催した外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議において、高市総理から国土交通大臣に対し、日本人出国者に配慮した国際観光旅客税の拡充及びオーバーツーリズム対策の強化を検討するよう指示されたところであります。
現在、総理からの指示に基づき、国土交通省において、来年一月をめどに基本的な考え方や取組の方向性をお示しできるよう、検討を進めていただいているところであります。
今、私がお答えできるのは以上であります。
○青山委員 是非、今のこの円安、為替の状況で、観光旅客税を引き上げる、私はそれはちょっと今、違うのかなと思うんです。例えば私の母校でも、今年から高校生が初めて台湾に修学旅行で海外に行った事例なんかも増えてきています。そういう中で、本当に出国税を、観光旅客税を、額を上げるのが果たして今妥当なのか。もしそういった副大臣のような趣旨に沿うのであれば、例えば税じゃない別の形で財源を確保するなど、私はそちらの方に注力してほしいなということを強く提案をさせていただきます。
もう質問はないのでこれで終わりにしますけれども、本来であれば、大臣、先日の記者会見で、ある民間の調査で一日の読書時間ゼロの子供が五〇%を超えるということで、大臣もびっくりしたというような感想を述べられていますけれども、私は学校図書館や新聞図書の整備をこれからも強く推進したいと思っていますので、次回のときにこの質問はさせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○斎藤委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 今年は戦後八十年でございます。敗戦後八十年でもございます。この八十年間、日本は、戦後の驚異的な経済復興、日本の奇跡と言われた経済復興、その経済力と、そして、戦後間もなくノーベル賞を受賞された湯川秀樹博士から連なる本年に至るまでアメリカ、イギリス等と並ぶ多くのノーベル賞学者を輩出してきた基礎科学技術力、この二つが、日本が世界から大きな尊敬を集めてきた私は二つの国力の源泉であったというふうに考えております。
そうした中で、昨今、輸出産業に過度に依存した行き過ぎた円安政策によって、日本の通貨価値がこの十五年間で半減をして、日本は経済大国としての地位を大きく脅かされている現状にあります。こうした中、私たち国会議員は、国力のもう一つの源泉である科学技術にしっかりと光を当てて前向きな議論をしていかなければいけない、そういう認識を持っておりますが、その観点から質問させてください。
配付した資料の一枚目、私の先週木曜日に提出させていただいた質問通告の最初のバージョンでございます。
冒頭に書いておりますように、科学技術・イノベーション特別委員会というものがございました。公明党の遠藤乙彦議運理事の提案で、二〇一一年、当時民主党政権期ですが、科学技術・イノベーション特別委員会が設置をされました。しかし、三年ほど前に、日本維新の会さんのいわゆる身を切る改革の議論の中で、特別委員会の数が多いのではないか、減らすことができるのではないかという議論の中で、科学技術特別委員会がターゲットになり、廃止をされました。今回、連立の組替えも起きていますけれども、科学技術政策の軽視の流れが加速することを強く危惧しております。
一枚おめくりください。これまでの特別委員会の系譜をチャートにしたものでございます。
二〇〇一年の省庁再編によって、文教委員会と科学技術委員会が文部科学委員会になりました。その後、右下に四角であるように、十一年間、科学技術・イノベーション推進特別委員会がございましたけれども、三年前に廃止されたのは先ほど述べたとおりです。
私の偏った見方であってはいけませんので、まず委員部長に質問させていただきます。科学技術特別委員会の設置及び廃止の経緯について、簡単に御説明ください。
○野口参事 お答えいたします。
第九十二回国会、昭和五十五年から、常任委員会として科学技術委員会が置かれ、第百五十一回国会、平成十三年の中央省庁再編に伴う委員会再編により、科学技術に関する事項は、文部科学省を所管する文部科学委員会及び内閣府の科学技術政策担当を所管する内閣委員会において扱うこととなりました。
特別委員会は国会ごとに院議により設置され、各国会の召集に当たり、議院運営委員会及び理事会において協議されています。
科学技術・イノベーション推進特別委員会につきましては、第百七十七回国会、平成二十三年に、科学技術、イノベーション推進の総合的な対策を樹立するために設置されました。
設置の経緯について参考となるものとして、平成二十三年五月十九日の同特別委員会議録によれば、公明党の遠藤乙彦理事より、科学技術・イノベーションの重要性と、同特別委員会の設置を提案した旨の発言がなされております。
その後、第二百十回国会、令和四年まで設置され、第二百十一回国会の召集に当たり、議院運営委員会理事会における協議の結果、同特別委員会は設置しないこととなりました。
以上です。
○津村委員 廃止の際の議論で、こうした科学技術に関する議論は元のとおり内閣委員会と文部科学委員会で扱えばよいというふうに仕切られたと仄聞しています。
それでは、文部科学調査室に伺います。
科学技術・イノベーション推進特別委員会が廃止される前年、令和四年の一年間に同特別委員会の一般質疑において科学技術担当大臣が答弁を行った質疑項目数と、直近一年間、内閣委員会の一般質疑において科学技術担当大臣が答弁を行った質疑項目数の変化について伺います。
○津田専門員 お答えいたします。
科学技術・イノベーション推進特別委員会が設置されていましたのは、令和四年まででございます。この令和四年に開かれました第二百八回国会常会から第二百十回国会臨時会までの一年間に、同特別委員会において、いわゆる一般質疑が行われたのは二回でございます。
当室において更問いなどの同一項目とみなせるものはそれをまとめて一つの項目と数える形で数えますと、この二回の一般質疑における質疑項目数は百二十一項目でございまして、そのうち科学技術担当大臣が答弁をなさった質疑項目数は五十九項目でございました。
一方、昨年の第二百十六回国会臨時会から今年の第二百十七回国会常会までの直近一年間に、内閣委員会において、いわゆる一般質疑が行われたのは十回でございます。
この十回の一般質疑におきましては、内閣委員会が所管する広範な事項について質疑が行われており、その質疑項目の総数は多数にわたっておりますところ、科学技術に関するものと考えられる質疑項目数は三十四項目ございまして、そのうち科学技術担当大臣が答弁なさった質疑項目数は十九項目でございます。
○津村委員 今皆さんお聞きになったとおり、内閣委員会での質問数は科学技術特別委員会があった当時に比べて三分の一以下になってございます。
重ねて伺います。
直近一年間のこの文部科学委員会の一般質疑における科学技術関連の質疑項目数及び全質疑項目に占める割合を伺います。
○津田専門員 お答えいたします。
昨年の第二百十六回国会臨時会から今年の第二百十七回国会常会までの直近一年間におけます文部科学委員会の開会回数は二十一回、このうち、いわゆる一般質疑は五回でございました。
この五回の一般質疑における質疑項目数につきまして、先ほどと同様に、当室におきまして更問いなどの同一項目とみなせるものはそれをまとめて一つの項目と数える形で数えましたところ、質疑項目数は全部で三百七十五項目でございます。このうち、科学技術に関するものと考えられる質疑項目は二十五項目でございまして、割合にいたしますと約六・七%となっております。
○津村委員 文部科学委員の皆さんにお訴えしたいと思います。
今お話がありましたように、日本のこの国会において、科学技術政策に関する議論というものは、この三年間で激減をしています。当然ながら、基礎科学について法案が出ることはまれですので、法案質疑が少ないことは当然のことだと思います。しかし、一般質疑の場において科学技術政策にこれほど光が当たっていないということについて、私たち国会議員はまず事実として認識しておくべきだと思います。
その中で御紹介をさせていただきますと、この二週間ほどの理事会の中で二つの提案をさせていただいております。
今、永岡筆頭に丁寧にお預かりいただいている状況でございますが、一つは、この文部科学委員会に要求ベースで科学技術政策担当大臣をお呼びできるようにすること。そしてもう一つは、この文部科学委員会で科学技術をテーマにした一般質疑をセットすること。
昨年の質疑では、今年前半ですかね、今、十年に一度の大きなテーマになっている学習指導要領を一つのテーマにした一般質疑が行われたやに伺っております。
科学技術の分野におきましては、今、五年に一度の科学技術基本計画の策定期、これから来年の三月にかけてがその山場となってまいります。このタイミングを逃さず、私たち文部科学委員会が科学技術基本政策について一般質疑という形でフォーカスしていくことを提案させていただいていることを、皆さんにも共有いたします。
続きまして、科学技術政策を担う人材のリクルートについて、文科省の方に伺いたいと思います。
中央省庁再編前から現在まで、文部科学省における1種、総合職員の文理別の採用数の推移をいただきました。皆さんにお配りした数字の三、配付資料の三番目でございます。
文部科学省と科学技術庁は、それぞれ、文部省時代は、文系は文部省が多く、また理系は自然なことですが科学技術庁が多かった。これが、統合されてから、比較的バランスよく文系、理系の人材を確保している姿がうかがい知ることができます。
それでは、内閣府の方に伺いたいと思いますけれども、内閣府に引き継がれた科学技術庁の中で、内閣府に引き継がれていった科学技術基本計画を扱う部署、科学技術・イノベーション推進事務局における幹部職員の出身省庁を伺いたいと思います。
ちなみに、皆さん、四ページ目を見ていただきますと、これは幹部ではなく、科学技術・イノベーション推進事務局の職員の現在の構成を事前にいただきましたので、それを皆さんに共有させていただいております。
文部科学省が非常に多くなっておりますし、また民間からの採用もかなり大勢いるわけですけれども、内閣府は僅か二人という形になっています。私は、内閣府もしっかりと調整官庁として理系人材、科学技術セクションを回せる人材をもっと採るべきだという問題意識を持っておりますが、現在の幹部職員の出身省庁についてお答えください。
○木村政府参考人 科学技術・イノベーション推進事務局の幹部職員についてのお尋ねでございます。
当事務局の長であります事務局長は経済産業省の出身、そして、この事務局長の職務を助ける統括官、二名でございまして、それぞれ、文部科学省、そして経済産業省出身でございます。さらに、審議官は併任者を除いて三名でございますが、それぞれ、文部科学省、経済産業省、そして民間出身でございます。
以上です。
○津村委員 更に伺います。
科学技術・イノベーション推進事務局がある内閣府における直近五年間のキャリア職員採用において、理系の試験区分の方は何人採用されているのか。大変少ないと仄聞しておりますけれども、その理由を伺いたいと思います。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
内閣府において直近五年間で採用した総合職職員のうち理系の試験区分で合格した者は、令和三年度から令和六年度まではゼロ名、今年度、令和七年度は二名でございました。
内閣府では、科学技術政策のみならず、経済財政政策や男女共同参画、沖縄政策などの業務を担っておるところ、内閣府採用の総合職職員はこれらの部局に幅広く配属されているところでございます。
内閣府におきましては、総合職は将来の幹部候補として採用を行っておりまして、多岐にわたる重要政策分野において企画立案、総合調整を担っていく人材を確保するため、試験区分の限定を設けることなく、人物本位で幅広く採用を実施しているところでございます。
○津村委員 今割合の話をされませんでしたけれども、私が事前にいただいた数字では、令和三年度以降の採用が、十九人、十七人、十六人、十九人、二十人と、全体で、五年間で九十人前後の採用をしているうちの僅か今年の二名だけということで、言ってみれば二%という状況です。
内閣府の役割を別の機会に問わせていただきたいと思いますが、内閣府には宇宙の事務局もありますし、また沖縄のセクション、消費者庁、その他多岐にわたるセクションの中で理系人材がこれほど少ないというのは、私は非常に偏っているのではないかというふうに思います。
また、経産省からトップが出たり、文科省とたすきがけであることを否定するわけではありませんが、内閣府という全体のバランスを見なければいけない役所が経産省と文科省の出張所みたいになってしまっては、私は、他の省庁や民間の方々から見て、科学技術政策のバランスというものに疑義を持たせる可能性があるのではないかと思います。
是非、内閣府、採用が難しい官庁だと思いますけれども、理系人材の育成にも取り組んでいただきたいということを注文させていただきます。中途採用もあってしかるべきだと思っています。
それから、文科大臣に伺わせていただきます。
こうした問題意識で文科省の文系人材、理系人材の採用、人事についても関心を持ってございますが、今後の科学技術政策を担う人材の確保、育成についての大臣の見解をこの際伺わせてください。
○松本(洋)国務大臣 文部科学省におきましては、企画立案や総合調整を担う総合職職員について、幅広い分野の文部科学行政を担う人材を確保するために、文理の試験区分を踏まえ、必要な人数を採用しております。その上で、文理を問わず一体的な人事を行うため、採用区分や年齢を問わず、資質、能力、適性に応じた適材適所の配置を行っているところであります。
また、文部科学省の人事の方針といたしまして、若手職員の段階から、各分野の業務や法令、予算、企画などの各種業務をバランスよく経験させるとともに、実践的経験を積めるような人事配置、加えて研修などを通じまして、科学技術を含めた各分野の政策を担う人材を確保、育成をしているところであります。
さらに、内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局、宇宙開発戦略推進事務局、在外公館科学技術アタッシェなどの他府省や、大学や国立研究開発法人等への出向によりまして、幅広い科学技術政策分野の業務経験を積ませることとしているところであります。
科学技術の分野は大変重要だと思いますし、また、それを所管をいたします文部科学省といたしまして、こうした文系、理系、バランスよく採用をしていくとともに、それぞれの皆さんがしっかりとその後のキャリアを通じてその能力を発揮をすることができるように、今後とも人材の確保、育成に努めてまいりたいと存じます。
○津村委員 それでは、今日のもう一つの本題に入らせていただきます。
皆さん、五ページと六ページの数字を是非御覧いただきたいと思います。とりわけ重要なのは六ページの数字でございます。これは、霞が関の官僚の皆さんが上限を超えた労働時間になっている方が何人いるかという、人事院が出している数字でございます。
五ページを見ると、文科省、スポーツ庁、文化庁、それぞれ二〇%から三〇%、決して低くはありません。二〇%以上の方が制限を超えた残業をしているということは大変ゆゆしきことですけれども、他省庁と比べて中位にあるというふうに御説明をいただきました。
一枚おめくりをいただきますと、その中で、どうしてあなたは行き過ぎた残業をしてしまっているのですかというアンケートに対するお答えです。国会対応業務のせいだと答えた方の高い割合で順に並べていただきました。一位が復興庁、二番目がこども家庭庁、消費者庁といったところですが、常任委員会を持っている役所という意味では、経済産業省の四五%に次いで、文部科学省の四〇%台というものが目を引かれることであります。
昨今、質問通告の在り方、そして各委員会の回し方について議論がかまびすしいわけでありますけれども、経産委員会に次いで、この文部科学委員会は、いわば、より高い注目を浴びざるを得ない委員会だということだと思います。
それでは、文部科学省に伺います。
上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員のうち、その要因として国会対応業務を挙げた職員の人数、つまりは定員掛けるこの二つの数字になると思いますが、何人の方が国会対応業務を理由に、許されない、行き過ぎた時間外残業を行っているというふうに認識されていますか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度に上限を超えて超過勤務を行った職員のうち、その要因として今御指摘がありました国会対応業務を挙げた者につきましては、文部科学省本省におきまして百四十五名、スポーツ庁におきましては十名、文化庁におきましては三十三名となってございます。
○津村委員 茂里さん、これは答えられないかもしれませんが、あえて伺うんですけれども、その数字というのは、他省庁と比べて多いと思われていますか、少ないと思われていますか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
他省庁と比べての比較はなかなか困難でございますが、実際百人を超える職員が超過勤務を行っているという実態につきましては、非常に多い数字だと自覚しております。
○津村委員 私もそう思います。また、割合として、実際にこのアンケートは他省庁と比べて多い。今、茂里さんがおっしゃったのは、絶対数としてそもそも百人以上の方がこの状況でいいのかということを御指摘になったと思いますが、割合としても多いと思います。
私は、他省庁の定員は文科省さんは必ずしも把握されていないということで、他省庁との比較というのはこのタイミングで難しいと伺っていますけれども、人事院の方にも御協力いただいて、他省庁の実態も解明していきたいというふうに思います。
委員部に伺います。
衆議院の質問通告のタイミングについてで、しっかりと把握されているのかどうかという問題でございます。
私は、この質問通告のせいにされている霞が関の残業時間が多い問題について、これは与野党、もっと言えば、委員会の理事会の運営に大きな理由があると思います。
次の質問まで、例えば今回も、皆さん、先週水曜日に大臣の所信を聞いて、金曜日に質疑をするというタイムスケジュールが組まれました。私は強く抵抗しましたので、野党の質疑は本日、翌週水曜日になっておりますが、そこで私がいいですよと言えば、水曜日の大臣所信をお昼までに聞いて、どうやって翌々日の朝、質問ができるのでしょうか。
そのためには、まず国会議員本人が、その質疑を聞いた後、直ちに、ほかの仕事の最優先にこのことばかりに没頭し、資料を要求したりしなければいけない。それには、要求される役所の方々や秘書の方、衆議院の事務局の方々にも多大な負担がかかると思います。五時までに本来仕事を終えるとすれば、当然、稼働可能な時間というのはほとんどないわけで、二日前に会議を設定するということは、私は、極めてナンセンス、先ほど茂里さんがおっしゃったような百名以上の方々を苦しめている慣行だと思います。
ですので、今後とも、事前に内容が分かっている法案の質疑についてまでそういう、新しいルールをここで作りましょうなんということを申し上げているわけじゃありませんけれども、私たちの差配で時間を十分取ることができる質疑については早め早めに、私も協力しますので、スケジュールを決めて、できるだけタイトにならないようにということを心がけたいということを、自戒も込めて、委員長と与党筆頭に申し上げたいと思います。
委員長、いかがですか。
○斎藤委員長 津村啓介君の問題意識は承りました。具体的な委員会運営の在り方については、理事会で協議の上、決定してまいりたいと思います。
○津村委員 委員部にお尋ねします。
以前、私も、令和三年に、こういう問題が起きてきているので、今後きちんと質問通告の時間を委員部として把握しておくべきではないか、そのことは私たちに対する緊張感も生みますし、逆に、きちっと通告しているんだからそこは役所の中でもきちんと働き方改革をしてください、両面の意味を持つわけですけれども、現時点で、各委員会、文科省、厚労省、当時私は厚労委員会で質問したんですけれども、委員会の質問通告の時間、そしてそれが政府に共有されているという時間についてはしっかりと管理されているんでしょうか。
○野口参事 お答えいたします。
委員部は委員会運営を補佐する役割を担っており、質疑者からの質問通告は必ずしも全て委員部を経由しているものではありませんが、委員部で把握したものについては、その内容とともに時刻も控えた上で、政府側に質問内容を速やかにお伝えしております。こうした過程で政府側ともその時刻は共有されていると認識しております。
以上です。
○津村委員 大臣、今の委員部への御質問は、今からの大臣への質問と深く関わるものでございます。
国会業務の効率化を行って超過勤務時間を削減するために、委員部と政府控室が質問通告についてやり取りした時刻をしっかりと記録をしていくこと、質疑者から質問通告があった時刻について記録を取ることを徹底し、その後のフローを含めて国会関係業務を改善すべきと考えますが、大臣の所見を伺います。
○松本(洋)国務大臣 国会の運営の方法につきましては、国会で是非御議論を賜りたいと存じます。
その前提の上ででありますけれども、霞が関全体の働き方改革を進めることは、政策の質を高める観点からも重要であります。御指摘の国会業務の効率化につきまして、文部科学省としてできることを進めてまいります。
質問通告があった時刻についてでありますけれども、内閣人事局におきまして本年二月から三月を対象期間として実施した調査においては、政府全体の平均は前日の午前十一時半となっていると承知をしております。また、質問通告の時刻等については、随時、衆議院事務局からも情報共有を受けているところであります。
こうしたことでありますけれども、文部科学省として、省内におきましても、デジタル技術の活用などによった国会業務の効率化等を進めているところであります。引き続き、こうした取組についても国会の御協力を賜りながら積極的に取り組んでまいりたいと存じますし、今、霞が関全体として、役所に入って仕事をしたいという人の数がどんどん減ってきているということも大きく指摘をされているところであります。文部科学省としてできる業務の効率化に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
○津村委員 大臣に御提案したいんですけれども、私たちが委員長、理事、大臣であるこの恐らく一年の間に、先ほどの百人を超える国会対応業務を理由とした時間超過の方々の数を半減させるという目標を私たちで共有した上で、委員会の運営に努めていくべきということを提案したいのですが、大臣、いかがですか。私たちが協力するのが前提です。
○松本(洋)国務大臣 あくまでも国会並びに委員会の運営につきましては国会で御議論をいただくということかと思いますので、そこに対して私の方から何か申し上げるということは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、文部科学省の職員の働き方を見直しをして、見直しといいますか、そこの不断の改善の努力はして、できる限りこうした超過勤務がなく仕事ができるような環境整備、様々な工夫をしながら取り組んでまいりたいと思います。
○津村委員 もしお答えをいただけるなら永岡さんにも答えていただきたいぐらいですが、委員長、今の大臣の御発言というのは、私たち国会の方での差配が重要だということを示唆されているんだと思います。あなたたちがしっかりやらないと文科省だけではできませんよという今御答弁ですよね。委員長、いかがですか。
○斎藤委員長 後刻、理事会で十分に議論をしていただきたいと思います。
○津村委員 最後、呼びかけで終わりますが、永岡さん、是非そういう方向で私たちやってまいりましょう。
それでは、もう時間になりますので、最後の質問になっていくと思います。
私は、副大臣、政務官がお飾りであってはならない、副大臣、政務官がしっかりと、政治的に責任を負えるのは政務三役でございますので、副大臣、政務官が、決裁の過程において、スタッフではなくラインであることをしっかりと確認をさせていただく質問を用意しておりました。
答弁の大体ラインを聞かせていただいてきた中で、先走って申し上げますと、文科省は、大臣が判こを押す前に、事務次官が判こを押した後、まず政務官が押し、その後副大臣が押し、大臣が押すというふうに、しっかりとボトムアップになっているというふうに聞いていますが、大臣、肌感覚として、副大臣、政務官の押印が後回しになっているケースはどのぐらいありますか。例外的には認められると伺っています。
○松本(洋)国務大臣 ちょっと具体的な数字については私は承知をしておりませんけれども、今委員からもお話があったとおり、原則、事務次官、政務官、副大臣、大臣の順に決裁、承認を行うことになっております。また、内部規則でも定めがありますけれども、いきなり決裁、承認ということはなく、事務方から説明を受けたり、意見交換を行いながら内容の精査を進めていくこととなっております。
説明につきましては順番などが前後することがあり得ますけれども、ただ、私から申し上げたいのは、中村、小林両副大臣、そして清水、福田両政務官、しっかりと仕事をしていただいておりますので、そのことは申し上げたいと思います。
○津村委員 時間となったようですので、最後、一問にまとめて終わらせていただきます。
総務省の政府参考人に来ていただいておりますが、各省の文書取扱規則や専決規定等の、決裁に関するこの種の規則を政府として統一的に把握しているのかどうかということが一点、そして、それらは公表されているのかということ、端的にお答えください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
副大臣それから大臣政務官の決裁順序などの決裁については国家行政組織法において規定されているものではございませんで、各府省における決裁の運用状況を把握する立場にはございませんが、各府省における文書の決裁につきましては、行政文書の管理に関するガイドラインに定められておりますように、各行政機関の実情に応じ、適宜定められているものであると承知しております。
その上で申し上げますと、各府省の規定を統一的に把握しているのか、それから公表しているのかにつきましても、繰り返しになってはございますけれども、国家行政組織法を所管する立場としては、統一的に把握してございません。公表についても把握してございません。そのような立場にもないと考えております。
○津村委員 資料請求等をしていきたいと思います。
大臣、是非、大臣補佐官等、まだ未活用の制度もございます。文科省のガバナンス、また伺っていきますので、今後とも頑張ってください。
終わります。
○斎藤委員長 次に、菊田真紀子君。
○菊田委員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子でございます。
早速質問に入らせていただきます。
大臣、まず、不登校の現状について伺いたいと思います。
文部科学省が今年十月末に公表しました令和六年度問題行動・不登校調査によれば、小中学校の不登校児童生徒数は約三十五万四千人、過去最多となりました。ただし、新たに不登校となった児童生徒の数については九年ぶりに減少に転じたとされています。増加幅がやや鈍化をし、新規の不登校者も減少に転じたことは一定の変化と受け止められますが、不登校児童生徒の総数は依然として過去最多という厳しい状況を我々は深刻に受け止めなければならないと考えています。
大臣も、さきの所信におきまして、不登校児童生徒数やいじめ重大事態、小中高生の自殺者数が過去最多となるなど極めて憂慮すべき状況と、強い認識を示されました。
これまで文科省は、COCOLOプランを始め、学校内外の学びの場の整備、不登校支援員の配置など、様々な施策を講じてきたことを承知していますが、改めて伺います。文科省として、現在の不登校の状況をどのように認識しておられるのか。また、これまで講じてきた不登校対策は、どの部分が効果を上げ、どの部分に課題が残っていると考えておられるのか、まず御見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 今委員から御指摘、御説明がございましたとおり、令和六年度の小中学校における不登校児童生徒数は約三十五万四千人と過去最多となっております。不登校児童生徒数の増加率は低下しているものの、大変憂慮するべき事態となっておりますし、私自身も、この問題、大変深刻に受け止めているところであります。
文部科学省におきましては、令和五年三月に取りまとめられましたCOCOLOプランに基づきまして、校内外の教育支援センターや学びの多様化学校といった多様な学びの場の整備、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門的な知見を有する人材の活用、不登校児童生徒の保護者への相談支援や情報提供の充実などに取り組んでいるところであります。これらの取組が、新規不登校児童生徒数の減少や不登校継続率の低下につながっているものと考えております。
しかしながら、依然として不登校児童生徒数は増加を続けております。また、三八・三%の不登校児童生徒が学校内外の機関などで専門的な相談や指導を受けていないという課題もございます。
このため、今後も、誰もが安心して通える魅力ある学校づくりを進めるとともに、多様な学び場の整備や教育相談の充実を引き続き進めること、今後、COCOLOプランに基づく具体の取組事例の周知を新たに行うことなどによりまして、誰一人取り残されない学びの保障に向けて取組を徹底してまいりたいと存じます。
○菊田委員 校内教育支援センター、いわゆるSSRについて伺います。
大臣は、就任直後、戸田市の中学校を視察されて、校内サポートルームによる不登校支援が一定の成果を上げていると言及されていました。私自身も、先日、新潟県の教育委員会に話を伺ったところ、この校内教育支援センター、SSRに来られた子供が教室へ戻れる例が多い、まず学校に来られることが何より大きい、こういう評価がございまして、私も、お話を聞いて、非常に有効な施策だと感じております。
そこで、伺います。
SSRは、不登校支援の中で、どのような位置づけにあるのでしょうか。また、COCOLOプランの柱として、どのような役割と効果を期待しているのか、大臣の見解をお聞かせください。
○松本(洋)国務大臣 校内教育支援センター、SSRは、不登校から学校復帰する段階にある児童生徒や不登校の兆候が見られる児童生徒が学校内で安心して学習したり相談支援を受けたりすることができる場所であり、多様な学びの場を確保する上で重要なものと考えております。
また、校内教育支援センターを設置した自治体からは、校内教育支援センターが、不登校や不登校傾向の状況の改善、欠席日数の増加の防止などに効果が出ているとの声もいただいているところであります。
委員に御紹介いただきましたように、私も、就任して一番最初の視察に埼玉県戸田市の新曽中学校というところにお伺いをさせていただきまして、まさにこの校内教育支援センターを視察をさせていただきました。
なかなか学校に今まで足が向かなかった、そして教室に入って一緒に勉強することがなかなか難しいという児童生徒が、この校内教育支援センターで、今、タブレットがありますから、実際に学校のほかの生徒さんが受けているのと同じような授業をそちらの方で、別の場所ではありますけれども、授業を受けたり、また、そうした中で、例えばこの時間だけは学校の皆さんと、ほかの生徒さんと交流をしたりとかというような、そうしたきめ細かい対応をしていくことで、今までなかなか学校に足が向かなかった生徒さんがそこを通じてまた教室に復帰することができるようになったというようなことも実際にお話として伺ったところでもありますし、具体的に数字として、一旦不登校にはなってしまったんだけれども、そこからまた復帰する日数が短くなったとか、そうした様々なお話を聞かせていただきました。
また同時に、外部の方にそうした教室をお願いをしてサポートしてもらうことによって、先生方の負担というものも減ったというような、様々な成果というものの御報告をいただいたところであります。
文部科学省としては、引き続きこの校内教育支援センターの設置促進に努めてまいりたいと思います。
○菊田委員 大臣は現場の声をしっかりと受け止めてくださっていることを大変心強く思っております。
この校内教育支援センターの設置状況には、自治体間で大きなばらつきがあります。資料の二ページを御覧ください。
全国平均の設置率は約五八%ですが、設置率が低い県もあります。例えば設置率が二〇%台の県は、福島県、山梨県、鳥取県、愛媛県、熊本県、宮崎県があります。文科省の御説明では、人的配置ができない、財源の確保が難しいといった理由で設置率が低い自治体があるということでありました。
しかしながら、この校内教育支援センターは、今御紹介がございましたとおり、COCOLOプランの第一の柱として、学校には来られるけれども、なかなか教室に入れない、そういう子供たちのための学びの場と明確に位置づけられ、不登校対策において欠かせない基盤であります。にもかかわらず、現在の国の支援は、新規の設置から三年間のみです。四年目以降は自走してほしいと、自治体に委ねられています。
現場の教育委員会からは、人件費も含めて、継続したくても、自治体財源ではどうにも賄い切れない、支援員を確保できず、結果として、校長先生や教頭先生が対応しており、働き方改革と逆行しているなど、切実なお声を聞いてきました。
不登校対策は、御存じのとおり、単年度で成果が出るものではありません。子供一人一人の回復を丁寧に支える、長期的かつ持続的な体制づくりが不可欠です。にもかかわらず、制度自体が三年で打切り、その後は自治体任せとなっているのは私はいかがなものかと考えます。
是非、国として、恒久的な財政措置を講じて、自治体間の格差を生まない仕組みに改めるべきだと考えますが、大臣の御所見を伺います。
○松本(洋)国務大臣 令和七年六月時点の全国の公立小中学校における校内教育支援センターの設置数は、昨年度に比して約三千校増の一万五千八百七十四校となっておりまして、着実にその設置が進んでいるものと認識をしております。
一方で、御指摘のとおり、自治体によって設置率に違いも生じているということから、より多くの学校で校内教育支援センターが設置されるよう、文部科学省では、今年度から新たに、三年間ではありますけれども、未設置の学校を対象に、学習や相談の支援を行う支援員の配置に係る経費を支援しているところであります。
今年度からこの予算というものを措置をいたしまして、まずは校内教育支援センターを設置をしてもらうということを今取組として国として進めているところでありますけれども、まずは、この三年間しっかりと進めてまいりたいと思います。
○菊田委員 是非、過去最多となっている不登校児童生徒数、こういう本当に深刻な状況を改善するために予算措置をしっかりしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
また、新潟県の教育委員会との意見交換におきまして、設置はされたんですけれども、利用者がゼロという学校があることを聞きました。そのゼロには、SSRを利用した後教室に戻れた、つまり成果があったゼロと、そもそも学校に来られない、苦しいゼロの二種類があるという指摘でありました。
自治体側は実態をどう評価すべきか分からないという戸惑いを抱えています。このゼロをどう分析するのか。SSRの利用実態を丁寧に把握をして、効果があったのか、それとも活用がされておらず効果がないのか。もっと政策評価につながる仕組みを整備していく必要があると思いますけれども、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 今お話がございましたとおり、このSSRに関しまして、児童の状況というのは、利用状況も学校によってそれぞれまた異なっているというのはそのとおりだと考えております。
文部科学省におきましては、現在、まさに校内教育支援センターの利用者数の状況についての調査を行っているところであります。今後、この調査結果を踏まえつつ、また自治体へのヒアリングなどもしっかりと行って、校内教育支援センターにおける取組の具体的な状況をしっかりとヒアリングをし、分析を行ってまいりたいと考えております。
その上で、例えばそもそも家から出ることができない状況にあるなど、不登校児童生徒の状況は様々であります。校内教育支援センターの利用以外の形での支援が有効である場合も認識しているところでありまして、そうした様々な状況に応じた手段を含めまして、不登校児童生徒一人一人の状況に応じた多様な学びの場の整備を進めてまいりたいと考えております。
○菊田委員 次に、学びの多様化学校について伺いたいと思います。
資料の三ページ、御覧ください。
現在は二十九の都道府県と政令指定都市に五十九校設置されていますが、文部科学省は令和九年度までに全ての都道府県・政令指定都市に一校以上設置する、こういう目標を掲げております。その意義と、この目標達成に向けてどのように整備を加速させていくのか、大臣の決意を聞かせてください。
○松本(洋)国務大臣 学びの多様化学校でありますが、不登校児童生徒の実態に配慮をいたしました特別の教育課程を編成する学校であります。基礎学力の定着に向けた一人一人に対応したきめ細かな学習指導や、社会性の育成に資する体験的な学習など、不登校児童生徒の実態に配慮した教育活動が行われているところであります。
公教育の中で不登校児童生徒が学んでいくことができる場を整備していく観点から、その設置を促進することは意義あることだと考えております。そのため、第四期教育振興基本計画におきまして、令和九年度までに全ての都道府県・政令指定都市に一校以上設置することを目標としているところであります。
文部科学省におきましては、その設置を促進するため、今後とも自治体における設置促進に資する経費の支援や設置、運営について豊富な知識を有する者を学びの多様化学校マイスターとして自治体などに派遣する取組に加え、今後、新たに、学びの多様化学校に係る具体の取組事例の周知を行ってまいりたいと存じます。
文部科学省として、この学びの多様化学校の設置を促進するとともに、学びの多様化学校で蓄積した指導方法などを、そこを中心として各現場に出していくというような形で、全体のそうした学びの多様化の質の向上というものの拠点にしていくことも大変大事なんじゃないかと思います。そうした取組を通じて、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策に取り組んでまいりたいと存じます。
○菊田委員 次に、職業高校への支援について伺いたいと思います。
来年度から私立高校の授業料の無償化が全国一律で拡充されることになります。高校の進学先を選ぶに当たり家庭の経済状況に左右されなくなるということは大変喜ばしいことではありますけれども、一方で、公立高校離れとか、地方の専門高校の衰退といった懸念もあるというふうに思っておりまして、この問題意識は与野党を問わず共有されていると考えております。
そういった懸念から、以下、質問させていただきます。
文科省の令和六年度学校基本調査によれば、高校生は全国で三百九万人と、十年前から一五%減少しています。これほど生徒数が減る中で、やむを得ず、全国的に県立高校の統廃合が進められています。
各都道府県教育委員会では県立高校の再編整備計画を策定していますが、公立と私立を横断して検討する総合的な高校教育計画は存在していません。高校教育全体をどう再構築していくかという視点での制度設計は、国としてもこれまで十分ではなかったように思います。
現状、私立高校の入学定員や学科構成は基本的には学校法人の判断に委ねられており、定員の変更は都道府県への認可、届出を経る仕組みではありますが、県が主体的に公私の全体調整を行う制度とはなっていません。
文科省は、公立と私立の定員調整について、公私立高等学校協議会等を設けて協議するよう努めることとの通知を出しており、都道府県では協議の場が設けられているものの、あくまで努力義務であり、公私協議を制度として義務づける仕組みは存在していません。そのため、県全体で高校の在り方をどう整えていくかについて公私が対等に議論できる制度的枠組みは十分とは言えない状況です。他方、秋田県や長野県のように、公立と私立の役割分担や定員の在り方について協議会で調整する運用を行っている県もあるというふうに伺っております。
先ほど申し上げましたように、来年四月から私立高校の授業料無償化が全国的に始まれば、これまで以上に公私間の格差が拡大しかねないという懸念がございます。
そこで、人口減少時代において、学校を単に減らすのではなくて、地域の教育力、バランスよく維持するという観点から、国と地方、そして公立と私立が一体となって教育の在り方を整えていくことが求められるというふうに考えますが、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 問題意識は共有していると承知をしております。
一般論として申し上げれば、私立高校の授業料に対する支援を拡充した場合、公立高校への一定の影響というものはあるのではないかと考えております。
公立高校は、高校教育の普及や機会均等を図るために、高校標準法で配置及び規模の適正化の努力義務が都道府県にかかっており、定員割れの場合においても、教育委員会が学校を配置する必要があると判断することも当然あり得ます。その際、併せて、区域内の私立高校等の配置状況を十分に考慮しなければならないとされているところであります。このため、各都道府県におきまして、例えば公私間での協議なども行いながら、地域の実情に応じた適切な配置及び規模を丁寧に検討いただく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、三党の合意におきまして、高校教育改革に関するグランドデザイン二〇四〇(仮称)を今年度中に国として提示をいたします。そして、その上で、各都道府県が地域の実情等を踏まえて実行計画を策定することとされておりまして、そのためにも、文部科学省としては、高校教育改革、高校の教育の質の向上につながるようスピード感を持ってしっかりと検討を進めてまいりたいと存じますし、是非、各都道府県におきましては、地域の実情等を踏まえた実行計画というものの策定、並びに、それをしっかりと支援をしていくための国からの資金というものと組合せをして、そうした各地域の実情に沿った教育というものがなされるように努めてまいりたいと思います。
○菊田委員 次に、私立高校の授業料無償化が進む中での、公立の工業、農業、商業などの職業高校への影響について伺います。
職業高校は、地域の産業を支える人材育成の拠点であります。技能や技術を学び、即戦力として地域社会に貢献する学生を輩出しています。かつて、新潟県庁の職員の多数が県立の農業高校の出身者、こういう時代もありました。
文部科学省の令和六年度学校基本調査によれば、高校生全体のうち約七四%が普通科、職業高校が約一七%、そのほかの学科が九%を占めており、職業高校の生徒数の減少が進んでいます。
また、職業高校では、実験器具や機械などの設備が大変老朽化しており、ICT環境も不十分であることから、これらの更新も大きな課題になっています。しかし、国の補助を活用しても、地方財政力の違いによって整備水準にばらつきが生じているのが現状です。
私は、職業高校における実習や設備更新への支援をもっと、もっともっと重点的に行ってほしいと思います。特に、地場企業との連携を進める工業、商業、農業系高校では、最新の産業技術やデジタル分野を取り入れた教育環境の整備が不可欠です。
授業料無償化が、教育格差の是正にとどまらず、今まで以上に地域の産業人材を育てる、そういう教育投資へとつながるよう、政府として支援を強化していただきたいというふうに思いますが、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、専門高校は、我が国の産業、経済や医療、福祉の発展を担う人材の育成とともに、地域産業の発展を支える観点から大変重要な役割を担っていると認識をしております。
こうした専門高校における実験、実習に必要な設備の整備につきましては、令和七年度におきましても、国として、DXハイスクール事業において、デジタル化に対応した人材育成や最新機器の整備に係る経費の予算計上、産業教育設備の整備に要する経費について普通交付税措置を講じるなど、学習環境の整備も進めているところであります。
また、今般の総合経済対策におきましては、いわゆる高校無償化と併せて、国が今年度中に提示するグランドデザインに沿った緊要性のある取組などにつきまして、都道府県に造成する基金などにより先行的に支援することとしているところであります。
私も個人的にお話を聞いたことがありますけれども、例えば、農業高校なんかにしてみれば、最近は、例えばGPSなんかを使ったりとか、新たなそういう技術を使ったそうした機具というか、そういうものも実際に導入が始まっているけれども、実際、農業高校にある設備では、そういう新しい技術はまだまだ勉強できる環境が整っていないだったりとか、そういういろいろなお話をお聞きをしたこともありますし、また同時に、今、工業高校だったりとか高等専門学校だったりとか、やはりそういうところに対する人材ニーズというものが大変高まっているという状況の中で、より高度な技術をやはり専門高校段階で身につけるということは社会からも必要とされているところだと思います。
そういう意味で、こうした専門高校に対する支援というものも、このグランドデザイン並びに各都道府県の計画、併せてしっかりと支援をしていくことができるように努めてまいりたいと思います。
○菊田委員 資料の四ページを御覧いただきたいと思います。日経新聞の今月十八日の朝刊で、職業高校や高専に対し、一校当たり二十億円規模の支援を検討している、こういう報道がございました。
今、私の地元三条市でも、工業高校と商業高校を統合して新たな産業高校を設置することが検討されているんですが、関係者からは、古くなった校舎の改築程度では追いつかない、通学しやすい立地のよい場所に新しい校舎を構えたいという声が上がっています。産業界からも大いなる期待が寄せられています。
日本は物づくり立国、科学技術立国であり、今回の報道が事実なら、そのような現場の声に応える方向性として歓迎すべき内容だと受け止めていますが、この記事の内容は文科省が検討している方針で間違いございませんでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 御指摘の報道に関連をいたしまして、今般の総合経済対策では、高等学校について、国が示すグランドデザインに沿った緊要性のある取組などにつきまして、都道府県に造成する基金等により先行的に支援することとしております。さっきお話ししたとおりであります。
また、高等専門学校につきましては、理工、デジタル系人材育成の強化や文理分断からの脱却を図るため、成長分野転換基金の拡充、活用を行うこととしております。先ほどのグランドデザインに沿った基金のほかに、この分野転換基金の拡充、活用というものもその手段としてはあるということであります。
なお、総合経済対策に基づく令和七年度補正予算の原案に関しましては、現在、財務当局と最終調整中でありますので、詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにしても、文科省として、高校や高専における産業イノベーション人材の育成に一体的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、スピード感を持って具体化の検討を進めてまいります。
○菊田委員 大臣は、物づくり強化はするんだけれども、一校二十億円という数字はおっしゃいませんでした。多分、なかなか言いづらいところがあるんだろうというふうに思いますが、これぐらいないとなかなかインパクトがございません。是非こういった職業学校に対する手厚い支援、お願いしたいというふうに思います。
文部科学省が令和八年度から新規に実施をする予定のネクスト・マイスター・ハイスクール事業について質問させていただきますが、これまでもマイスター・ハイスクール事業を五年間やっておられて、今回それをバージョンアップするということでございます。より実践的で柔軟な職業教育を地域の産業界と連携して進めていくということでございます。
資料の五ページを御覧ください。
私の地元の燕三条は、全国屈指の金属加工や精密物づくりの地域でありまして、昔から燕三条で作れないものはないというふうに言われています。産業界の技術革新は驚くほど早く、学校現場からは、現場のスピードに教育が追いつかないという声も聞かれます。こうした地場の産業を次の世代に引き継ぐためには、職業高校の教育環境を充実させて、即戦力の人材を輩出することが欠かせません。
ネクスト・マイスター・ハイスクール事業を全国的に広く普及させ、持続的に支えていくために、文科省としてどのような方針で取り組まれるのか、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 文部科学省におきましては、令和三年度からマイスター・ハイスクール事業を実施をいたしまして、産業界と連携をしてカリキュラム開発を行う取組や、企業の技術者を招聘した授業、実習など、専門高校と地域産業界が一体となって職業人材の育成を行う取組を推進してきたところであります。令和八年度概算要求におきましても、こうした取組を引き続き支援する経費を要求しているところであります。
我々文部科学省といたしまして、これまでのマイスター・ハイスクール事業における産業界と連携した学びは大変重要であると考えているところであります。そのため、先ほど基金のお話もさせていただきましたけれども、専門高校における実践的な教育を更に充実をさせていく、そうした観点から、スピード感を持って、このネクスト・マイスター・ハイスクール事業につきましても具体化の検討を進めてまいりたいと存じます。
○菊田委員 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと飛ばさせていただきまして、給食の無償化について伺います。
二〇二三年三月二十九日、立憲民主党と日本維新の会で学校給食法の一部を改正する法律案を衆議院に共同提出しております。その制度設計では、国が学校給食費の標準額を定め、その部分を国が負担するという枠組みを示しております。また、標準額を超える部分については自治体や保護者の負担となり得る、そうしたたてつけでもありました。
ただ、法案を提出した当時と比べて、現在、状況は大きく変わっております。相次ぐ物価高、米価の高騰、人件費の上昇、さらには燃料費、輸送費の増加など、あらゆるコストが上がっています。給食費も各自治体で引き上げざるを得ない状況になっています。
資料の八ページを御覧ください。
令和五年の給食費の状況ですが、例えば小学校の平均は四千六百八十八円、最も高い福島県が五千三百十四円、最も低い滋賀県は三千九百三十三円と伺っています。単純に、給食費が低いから質も低いというわけではありません。滋賀県は自治体の補助により低く抑えられていると伺いました。一方、給食費の高い県では有機食材を活用していたり、私の地元新潟県では全国で三番目に高い五千二百六十五円ですけれども、豪雪地帯とか中山間地域があって輸送コストがかかる、こういう側面がございます。
給食無償化の制度設計に当たっては、現在の物価高とか地域の実情、自治体の様々な工夫や努力といった、こういう要素をどのように踏まえてつくっていくのか、非常に難しいというふうに思います。国の基準額を幾らにするのか、給食の質を落とすことはないのか、また自治体に過度な負担が生じないのか、国としてどのような役割を果たすべきとお考えか、大臣の認識を伺いたいと思います。
○松本(洋)国務大臣 いわゆる給食の無償化についてでありますが、現在、三党の実務者による検討チームにおいて、今月七日から議論が本格的に開始され、その後、有識者や自治体首長からのヒアリングが行われるなど、地方の実情などを踏まえ検討が進められているものと承知をしております。
文部科学省といたしましては、政党間における御議論などの結果を踏まえ対応してまいりたいと存じます。
○菊田委員 それ以上なかなかお答えできないということでございますね。承知しました。
質問を終わります。ありがとうございました。
○斎藤委員長 次に、安藤じゅん子君。
○安藤(じ)委員 委員長、ありがとうございます。
立憲民主党・無所属、安藤じゅん子です。
松本大臣、御就任おめでとうございます。大臣の所信的挨拶の中で、今、我が国は、将来予測困難な激動の時代にあり、社会課題も山積している、文科省が担う教育、科学技術、学術、スポーツ、文化芸術は、全ての政策の根底にある人間の力を育み、豊かな未来をつくる根幹として重要な役割を果たし、一人一人が未来に希望が持てる社会を形成していけるよう取り組んでいくという御挨拶に、私も、教育、学びに終わりはなく、全ての人間の力を一生涯育て、一人一人が未来社会をつくる担い手であると信じる一人として、非常に心強く聞かせていただきました。前向きな御答弁をお願い申し上げまして、質疑に入りたいと思います。
松本大臣が所信で述べられている、科学技術イノベーション政策の推進についてお聞きします。
科学技術指標二〇二五及び科学研究のベンチマーキング二〇二五によれば、主要指標の一つである注目度の高い論文数は引き続き減少、停滞の状況にあり、国際共著相手として日本の存在感が減少していることが指摘されています。
国は、この状況に対し、研究力向上政策と銘打って、研究大学への支援として、十兆円規模の大学ファンド、国際卓越研究大学への支援や、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージによる研究大学への支援を開始しました。
第一期で東北大学が認定を受け、今年二月に約百五十四億円を交付され、助成が開始されました。第二期は八大学から申請があり、認定された場合には、今年度中に助成が開始される予定と聞きます。
さらに、今年の七月には、海外から優秀な若手研究者等の受入れを進めるための支援として、大学ファンドの運用益により、三年間で総額三十三億円の緊急支援を公表し、九月、十一大学を選定したと聞き及んでおります。
また、赤字がかさむ大学病院に対して、教育や研究を補助するとして、最先端機器の購入や人件費などの一部を補助する新事業を、最大で四百五十五億円補正予算で盛り込むことを現在調整しているとの報道を目にしました。
しかし一方で、真理の探求、新たな知見を創造する学術の中心としての役割を担う大学が置かれている経済的環境はどうなのかといえば、国立大学協会が、運営費交付金の減額や物価高騰等による基盤経費の圧迫等から、もう限界とした上で、国立大学の財務状況の改善のための国民の理解等を求める声明を発表したり、来年度からは更に四大学が授業料の値上げに踏み切ることとなり、授業料値上げは国立全八十五大学中十大学に広がっています。学生サイドも、支援の更なる拡充が欠かせない、大変厳しい状況に置かれていると認識しています。
今年のノーベル賞では、大阪大学の坂口志文氏がノーベル生理学・医学賞を、京都大学の北川進氏がノーベル化学賞をそれぞれ受賞しました。日本人研究者が同年にダブル受賞をするのは十年ぶりで、国内では大きな喜びが上がっております。
松本大臣からは、本省で両氏へ祝意を述べられたかと存じます。両氏からは、我が国の基礎科学力の低下を懸念する声と、研究時間確保のための環境改善、そして、若手への支援体制が必要であり、科学技術立国日本の正念場であるというメッセージを強く発信していらっしゃるのは御案内のとおりです。
正念場という両氏の声にしっかりと応えていくこと、科学技術イノベーション政策における基礎科学力の底上げと環境整備を、目に見える成果を発現させるための更なる取組を期待して、科学技術イノベーション政策について、大臣に伺います。松本大臣として、科学技術イノベーション政策へかける決意を伺います。お願いします。
〔委員長退席、深澤委員長代理着席〕
○松本(洋)国務大臣 津村委員からもお話がありましたけれども、科学技術イノベーション政策というのは、大変重要な分野だと私自身考えているところであります。社会課題の解決はもちろんでありますし、また同時に、我が国の豊かさにつながっていくものでもあります。
一つ例を申し上げますと、私、茨城県にある核融合炉、フュージョンエネルギーの実証炉でありますJT60SAに視察に行ったときに、そこの研究者の方から言われた言葉がすごく印象に残っていまして。これまで、エネルギー覇権を握る国というのは、いわゆる地下資源を持っている国がエネルギー覇権を担ってきたけれども、この技術を開発し実用化することができれば、技術力を持つ国こそがエネルギー覇権を持つことにつながっていくんですというお話を聞いたのが大変印象に残っております。
別に、これはフュージョンエネルギーの話だけのことを言っているのではなくて、やはり、これだけ高度に発達をし、そして科学技術、新たな技術が社会を大きく変えていく、そうした状況を見ていくと、やはり、私たちの国としては、これからも科学技術立国であったりとか様々なそうした技術というものを使って、日本の国の社会、そして世界を変えていくような力を持つことができるのかどうかというのは、これからの我が国の発展にとって極めて重要だと思っているところであります。
そのために、当然、国際卓越大学のお話もしてくださいましたが、我が国における、いわゆる物すごく高い水準の研究だったりとか、そういうものを伸ばしていくということも極めて大事である一方で、やはり、それを支えていく基礎研究をしっかりと守っていく、ここの厚みを増していくということも同時にやっていくということが、これからの日本の未来にとっては、私はすごく大切なことだと思っています。
ですので、そういう意味では、運営費交付金を始めとした、そうした基礎研究や大学経営を支えていくような資金というものを我々としては確保していくことができるように、財政当局とも交渉をしながら、全力を尽くしてその確保というものもやってまいりたいと思います。また同時に、いわゆる競争的資金を導入することによって、それをより深掘りしていくような、そうした資金というものも一緒に併せて獲得をしていかなければいけないし、先ほどおっしゃられたような様々な取組を通じて、極めて高度な研究をしていくというものも伸ばしていかなければいけない。
そういう意味では、科学技術イノベーション政策というものの大切さをしっかりと国民の皆さんにも御理解いただくとともに、そのために必要な施策というものは総動員をしていくことができるように、私自身、先頭に立って頑張ってやっていきたいと思いますので、是非、委員皆さんの御理解と御協力もいただければと思います。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
科学技術産業立国として、今現状、デジタル赤字問題の解消に向けたデジタル人材の育成、施設老朽化が著しい大学の支援もさることながら、投資するのであれば、更にサイバーセキュリティー対策の一層の強化であるとか、もう本当に、海洋国家であるこの日本のポテンシャルを最大限に生かす技術開発、また、お話がありましたけれどもフュージョンエネルギー、廃炉に向けた原子力人材の育成等、我が国の理系人材育成は待ったなしと、大臣とともに同感でございます。
現在、来月十日には、スウェーデン・ストックホルムでノーベル賞授賞式が執り行われるところですが、今月十日行われた坂口さんと北川さんの対談の中で、文系学問への関心、哲学、文学、芸術に幅広く触れて研究を深めていたというお話を伺って、私、大変印象的でありました。是非とも、今後、国として理系人材を増やすに当たり、こうした点も御留意いただきながら、国民理解を更に深めていただけたらと思っています。ありがとうございます。
次に、大臣所信でも述べられているいじめ対策についてです。
文科省は、令和五年四月に発足したこども家庭庁とともに、いじめ重大事態調査の改善などを図るため、いじめ重大事態の発生、調査の開始に係る報告などを行うよう都道府県教育委員会に対し要請しました。
しかし、発生報告書等の対応が適切に行われていない事案があったことから、同年七月、いじめ重大事態調査の基本的な対応チェックリストを作成、配布し、適切な対応を求め、令和六年八月、重大事態の認知件数が増加傾向であることを踏まえ、いじめ重大事態の調査に関するガイドラインについて、いじめ事態調査への学校や関係者の対応をより明確化する改定を行いました。
ガイドライン改定後のいじめ発生状況を確認しますと、令和七年十月に公表された文科省令和六年度問題行動等調査において、令和六年度の小中高及び特別支援学校におけるいじめ認知件数は七十六万九千二十二件となり、コロナ禍の影響で令和二年度に一度減少したものの、その後四年連続増加し、過去最多。
また、いじめ重大事態の発生件数は千四百五件、過去最多となっています。このうち四百九十件、約三五%は、重大な被害を把握する前にいじめと認知されていなかったとあります。
いじめ重大事態については、二十一日でございましたけれども、調査報告書のうち三十二件を国として初めて分析し、これによって重大化を防ぐための対応、特徴をまとめた留意事項集を作成されるとのことでございますけれども、いじめ防止対策推進法の理解が進み、積極的認定や保護者の意向尊重でいじめ重大事態の認知件数が増加している一方で、いじめ重大事態事案の三割強が早期発見、対応できず、その兆候を見逃していたことは大変ゆゆしき事態であると私は考えます。
そこで、伺いたいと思います。
今後、いじめ対策についてどのように取り組んでいくのか、政策方針と大臣の決意をお聞かせください。
〔深澤委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(洋)国務大臣 まず、御質問に答える前に、正確にちょっと、先ほどの私からの発言の中で、茨城県にあるフュージョンエネルギーの施設でありますけれども、JT60SA、実験装置ということでございましたので、済みません、訂正をさせていただきたいと存じます。
その上で、いじめ対策について今後どのように取り組んでいくのかという質問でありますけれども、まずもって、いじめは決して許される行為ではありません。令和六年度の調査結果におきまして特にいじめの重大事態の発生件数が過去最多となるなど、極めて憂慮すべき状況にあると認識をしておりまして、文部科学大臣として極めて重く受け止めているところであります。
私自身、先日二十一日に開催をされましたいじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議に出席をいたしまして、いじめ対策の取組状況や今後の方向性につきまして、こども家庭庁を始めといたします関係省庁と共有をしたところであります。
いじめの対応に関しましては、いじめの未然防止から再発防止に至るまで、総合的な対策を進めることが重要と考えております。
このため、文部科学省といたしましては、児童生徒に対する取組として、いじめの未然防止教育の推進に向けた教職員用動画教材やネットいじめの未然防止に資する啓発動画の作成、周知徹底や、教育相談体制の強化に向けたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、充実、SNS等を活用した相談の推進などを図っているところであります。
また、各教育委員会や学校に対する取組として、生徒指導担当者などを対象とする研修会の開催や、文部科学省職員を直接教育委員会等が開催する研修会へ積極的に講師として派遣することなどを進めているところであります。
大切なのは、現場をしっかりと見て、現場に力点を置いた対策を打つということだと思っております。幾ら文部科学省がいろいろと旗を振っても、現場がそれに応えてくれる、また、現場にとって役に立つ施策というものを打てなかったら何の意味も成さないということだと思っておりますので。そういう意味では、現場にしっかりと力点を置いて、学校が全ての児童生徒にとって安全で安心な環境となるように、引き続き、いろいろと現場の状況のヒアリングであったりとか研究をしつつ、いじめ防止対策に努めてまいりたいと存じます。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
現場を第一に考えていただけるということであります。
ガイドラインの改定がなされましたいじめ重大事態への対応ですが、実効性を担保していかなければいけないと私は考えています。
そこで、令和六年八月のいじめ重大事態調査ガイドライン改定のポイントをお聞かせいただきたいと思います。お願いします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
いじめ重大事態調査に関しましては、児童生徒や保護者に寄り添った対応を促すために、御指摘の令和六年八月にガイドラインを七年ぶりに改定しました。
その内容でございますけれども、学校いじめ対策組織が平時から実効的な役割を果たし、学校、設置者とも連携した対応を行うための必要な取組を記載。重大事態調査におきましては、第三者が調査すべきケースを具体的に示し、第三者性の確保に関する考え方を記載。調査の際の児童生徒等に対する事前説明の手順や説明事項の記載。調査すべき項目の明確化等を図ったところでございます。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
ガイドライン改定のポイントは、平時からの備え、そして第三者調査に加えて、保護者の申告等で実態調査を行うことが可能になった点等をお示しいただきました。
しかし、現状としましては、保護者が申告しても学校で実態調査が行われないという事例を聞き及んでおります。中には、教師や学校がスクールローヤーに調査実施の要否を確認、助言を受けているケースもあるようで、子供をいじめから守るという観点から、これでは国がいじめ対策に求めている方向性と真逆なのではないかと考えます。
例えば、消費者庁が所管している公益通報者保護法では、調査は申告から二十日以内と期日を設け、実施をすることを義務づけています。
いじめ重大調査のガイドライン四章の中で、児童生徒、保護者の申立てがあったときは、重大事態が発生したものとして報告、調査等に当たる。なお、学校がいじめの事実等を確認できない場合には、早期支援を行うため、必要に応じて事実関係の確認を行う。また、申立てに係るいじめが起こり得ない状況であることが明確であるなど、法の要件に照らして重大事態に当たらないことが明らかである場合を除き、重大事態調査を実施することを記載とあります。
そこで伺いたいと思うんですけれども、こちらの箇所に、申告から○日以内に調査を実施すること、調査結果を申告者へ書面ないしメールで○日以内に報告する等、いじめ重大事態調査の実施、調査報告について期日を設定してはどうでしょうか。お願いします。
○望月政府参考人 御指摘のとおり、今回のガイドラインにおきましては、児童生徒や保護者に寄り添った対応を促すために、児童生徒、保護者からの申立てがあった場合には、重大事態が発生したものとして報告、調査を行うということを明記をしたところでございます。
その上で、いじめの重大事態調査に関する事案の内容、あるいは複雑性とか、あるいは調査組織の委員に関すること、聞き取りの状況、あるいはそうした調査を行った後の報告等につきましての事案が様々でございまして、調査期間の期限や目安等は記載をしないこととしてございます。
ただ、調査期間が長期にわたることは、保護者や児童生徒の心理的な負担が重くなるということがございます。重大事態ガイドラインでは、まさに児童生徒、保護者に寄り添った対応を促す観点からの改定でございましたので、今後とも、改定のガイドラインの趣旨である保護者や児童生徒に寄り添った対応を、学校現場の状況も踏まえまして促してまいりたいと考えてございます。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
児童生徒、保護者に寄り添うというところで、転学や卒業後でも丁寧な調査ができる、そういった観点から、長引かせないけれども期日を設けない、設定しないということでありました。
ガイドライン改定におけるパブコメの中で、調査の実施に目安を設けるべきという御意見が寄せられていたことを確認しました。文科省として、重大事態調査について、この目安、期日というところについて御検討いただきたいと思っています。
あわせて、次期改定に向けて、各団体が実施したいじめ重大事態調査の現状、二十一日、会合のときにありました分析にとどまることなく、文科省は、こども家庭庁と連携した再調査の実施というものに踏み込んでいただきたいと思っています。
学校や教育委員会、自治体が行った調査に疑義が生じた際、国の再調査、検証のために、是非とも、今現状、五年であります保存期間についても、延長の必要性がないかなどなど、ガイドラインの実効性を高める、そしてあらゆる手だてを講じて、我が国のいじめの対応力の向上を国としてお願いしたいと思います。
ガイドラインの改定に関する二点目は、性的いじめを項目立てすることについてです。
殴る、蹴る、盗む、無視をするといういじめの態様でカウントされないいじめに、性的いじめがあります。被害者はトラウマを抱え、適切な支援につながることがなければ、その後の人生に暗く重い影を落としていることは皆様御承知のとおりです。
調査において、性的いじめの有無、実数を把握することで、より適切な対策、支援にリソースを充てることができます。
そこで、伺います。
性的いじめを重大事態調査の対象項目として立てるべきと考えるが、どうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、重大事態を含めたいじめ全体の態様別の件数を把握してございます。
態様につきましては、いじめの防止等のための基本的な方針に基づきまして、悪口やたたくなどのいじめに関する、いじめの行為に着目した調査項目としてございまして、どのような行為までを調査上、性的ないじめと整理するかなどの課題がございまして、現時点では、態様別状況の分類には性的いじめを設けてはおりません。
二十一日に開きましたこども家庭庁とも連携した重大事態の調査報告書の中には、これは文部科学省に提出をされているものから分析しますと、性的ないじめが関係するものも存在してございます。
いじめの重大化を防ぐための留意事項集の中にも、性的ないじめは、いじめの重大化につながり得る要素、特徴の一つと掲げてございまして、その必要な対応も記載をしたところでございます。
留意事項集の周知あるいは研修事例集の活用も通じました、こうした研修の実施を促すことによりまして、性的いじめが生じた場合の重大化の防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○安藤(じ)委員 ありがとうございます。
性暴力というのは、本当に人権侵害であります。いじめの予兆というわけではなくて、本当のいじめです。人権侵害です。ですので、是非ともこの実態を把握するべく、適切な支援につなげるべく、被害者を守るべく、性的いじめを調査項目に立てていただきたいと思います。現在、被害者支援のため、こども家庭庁の性暴力支援アドバイザーが各地で専門家育成に当たっているさなかとお聞きしておりますが、一方で、我が国が早急に再発防止のために確立していかなければならないことは、性暴力加害児童生徒への指導と専門家による継続的な支援であるとも考えます。このための第一歩として、是非とも性的いじめの項目立てをお願いしたいと思います。
続きまして、女性の登用について伺いたいと思います。
女性版骨太の方針二〇二五説明資料によれば、「あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大」があり、「政治・行政分野における男女共同参画の推進」では、「各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定め、より一層の女性登用に向けた取組を強化するなど、行政分野における女性活躍を推進する。」とあります。男女共同参画社会の形成に向けた文科省の取組という二〇二五年一月の資料も同様でありました。
私は、男女共同参画は、教育行政についても欠かせないと考えています。
そこで、伺いたいと思います。
教育行政における女性の登用、男女共同参画社会の推進に関する大臣の認識をお聞かせください。
○松本(洋)国務大臣 令和二年に閣議決定されました第五次男女共同参画基本計画において、初等中等教育機関の教頭以上に占める女性の割合を、令和七年度に校長を二〇%、副校長、教頭を二五%とする成果目標を定め、取組を進めてきたところであります。
その結果、文部科学省の調査によりますと、令和六年度時点で、校長は二一・六%、副校長、教頭は二六・二%と、いずれも成果目標を上回りました。過去最高の割合となったところであります。
一方で、教員全体の女性の割合に比べて、いまだに教頭以上に占める女性の割合が低いこと、また、女性管理職登用には地域や学校種によって差があり、目標値と開きがある自治体もあるといった課題があると承知をしているところであります。
文部科学省としては、これまで、各教育委員会に対しまして、女性の管理職登用対象者への意識啓発や人材育成、能力実証を行った上での積極的な登用、働きながら出産や育児などがしやすい環境の整備などについて通知をするとともに、人事担当者を集めた研修会において優良事例の情報共有を行ってきたところであります。
引き続き、各教育委員会における女性管理職の増加に向けた取組が一層促進されますよう、必要な取組を進めてまいります。
○安藤(じ)委員 どうも御答弁ありがとうございました。
現状としては、都道府県ごと、地域ごとで格差が広がってしまっている現状がありますので、是非とも、政策決定の場に女性がいることが欠かせないという観点から、更に強力な推進をお願いしたいと思います。
最後に一問だけ、済みません。
十一月十四日、クマ被害対策等に関する関係閣僚会議の中で、政府のクマ被害対策パッケージを確認させていただきました。文科省としての取組として、着手済みとして、都道府県、市町村等と連携した熊出没時の安全確保、学校及び登下校時の安全確保等の取組の周知とありましたが、大臣、この学校教育現場において、決して児童生徒等、犠牲を出すことはなりませんので、この観点から伺いたいと思います。
今後、学校教育現場や通学路の熊対策をいかに取り組んでいくのか、お願いします。
○松本(洋)国務大臣 熊の出没に対する学校及び登下校の安全確保は、喫緊の課題であると考えているところであります。
御紹介をいただきましたクマ被害対策等に関する関係閣僚会議に先立ちまして、文部科学省では、全国の教育委員会及び学校に対しまして、熊出没に対する学校及び登下校の安全確保の取組を周知するとともに、緊急連絡会を開催したところであります。これらにつきましては、今月十四日に決定をされました政府のクマ被害対策パッケージにおける緊急的な対応として盛り込まれているところであります。
あわせて、本年度の関係予算に関する事業計画、予定を見直すことによって、各教育委員会において、教職員や児童生徒などに対する熊対応に必要な研修などを実施することも可能としているところであります。
さらに、令和八年度概算要求におきましては、専門家の派遣や教職員研修や見守りボランティアなどの熊対応に必要な物品等の支援を行うための予算を要求しているところであります。
引き続き、環境省もそうでありますし、また、学校の登下校という観点からすると、警察の御支援とかも必要だと思います。こうした関係省庁とも連携をいたしまして、学校及び登下校の安全確保に文科省としても取り組んでまいります。
○安藤(じ)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○斎藤委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。
前国会に引き続き、文科委員会に所属させていただいております。本日、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、教員の働き方改革についてお伺いします。
大臣は所信の中で改正給特法について触れられ、教育の担い手である教職員が安心して本務に集中できる環境づくりに向け、学校教育に働き方改革等を進めていくという決意を述べられています。
全国の公立小中学校では、教員不足、教員の長時間労働が大きな社会問題となっています。そのような状況を踏まえて、今年の通常国会では給特法の一部改正が行われ、教員の負担を軽減する様々な策が講じられました。
しかし、このような改革を行うに当たっては、正確に教師不足又は教員の長時間労働の実態を把握していることが必要だと考えて、私自身、前回の質疑でも、正確な実態調査の必要性を訴えてまいりました。
教員不足の実態を把握するための調査は、直近では令和三年に実数調査が実施されました。それによりますと、始業日の四月一日の時点で二千五百五十八人の教師が不足しており、五月一日時点では二千六十五人の教師が不足しているという結果が出ていました。
翌年以降は、実数調査ではなく、教育委員会に対し、前年より改善したのか、同程度か、あるいは悪化したのかというアンケート形式に変わってしまいました。理由は現場の負担を軽減するためとのことでしたが、重要な社会課題に取り組むには、例えば、コストを投じてでも調査人数を一時的に増やすなどして、実数調査が必要なのではないかというようなことを主張させていただきました。
また、この令和三年の調査は、調査日が始業日の四月一日とわずか一か月後の五月一日の二時点を取るというものですが、年度の後半になるにつれて教師不足の数は膨れ、四月と翌年三月では数字に大きな開きがあるということも指摘されています。
年度の初めから正規雇用職員が欠員になっていて臨時的任用教員が配置され、年度の途中では、産休、育休あるいは病気などで欠員が出た場合には配置する先生がもういないという、そんな状況も起こっています。
このような状態を正確に把握するには、年度末の不足状況を調査する必要性が高いと思い、前回の質問で指摘させていただきました。
そこでお伺いをいたします。
令和七年は、教員不足の実態調査、これ自体、行われていますでしょうか。行っているとすれば、どのような形式で行われ、どの時点で行われたのか。実態を把握するという観点から、始業当初だけでなく学年後半にも行われたのか。もしそれが行われていなかったら、その理由と、あと公表の大まかな予定時期についても教えてください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
先般の国会におきまして、給特法の改正を通じまして、熱意ある、志ある多くの方々が教員になっていただき、有為な人材を学校現場に迎えていく、一方で、働き方改革をしっかり進めていくということをこの委員会でも審議をしていただきました。
その上で、働き方改革を進めながら、教師不足の状況を把握するために令和七年度の状況につきましては、令和三年度と比較することができるような形で、始業日及び五月一日時点での教師の不足数につきまして、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等を対象としての実数の調査を行っているところでございます。
一方で、この調査につきましては、学校現場にもお問合せをしなきゃいけないこともございます。学校の負担もございます。直接に状況のお伺いを幾つかの教育委員会でもしなければいけませんので、可能な限り早く公表したいと思ってございますけれども、公表時期について今申し上げることは難しいというふうに考えてございます。
年度後半の状況についてのお尋ねもございました。
これは各教育委員会により聞き取りをする中で、学校現場の調査負担等にも鑑みまして、年度途中での実数での把握というのは行わないこととしてございますけれども、教育委員会からも学校の状況をお伺いする中で、状況を適切に把握してまいりたいと考えてございます。
○竹内(千)委員 あわせまして、公立の小中学校の長時間労働の実態調査についても一緒にお伺いします。
直近では令和四年に実施されており、そのときの教員の平均残業時間が月四十七時間という結果が出ています。勤務時間に関する実態調査、これについても令和七年に行われたのか。それは令和四年の調査と同様の形式で行われているのか。また、公表予定時期も併せて教えてください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年度に実施しました教員勤務実態調査につきましては、給特法の審議でも御説明をしましたけれども、抽出された教師一人一人に調査票を配付して、十五分単位で、時間刻みで、自分の行っている業務を記録していただくという大変負担が重い調査でございました。
一方で、教育委員会における在校等時間の客観的な把握が令和六年時点でも九九・八%まで進み、そうした客観的な把握が徹底されてきたということがございまして、学校現場に追加の調査負担を生じさせることなく、毎年度、全国の教育委員会が年間を通じて把握する在校等時間の状況を調査をしたいと考えてございます。
今年度の調査につきましても、全国の教育委員会に対しまして、令和六年度一年間の状況につきまして、上限時間の原則である月四十五時間以下の教師の割合あるいは一か月当たりの平均時間などの回答を依頼しているところでございます。
これも可能な限り早く結果を公表したいと思いますけれども、調査結果を精査をする必要がございますので、現時点でいつの公表かというのは申し上げることはできません。
こうした学校現場に負担をかけない形で、できる限り学校の状況をしっかり把握できる調査という形にしてまいりたいと考えてございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
教師の負担を軽減し、教師不足を解消するということに当たっては、今本当の現状がどうなのかということを正確に把握することがまず出発点だと思いますので、前回と条件をそろえるとか現場の負担を減らす、これらも大事な事由ではありますが、もしかしたら、今把握できている数字より、より状況は深刻かもしれないという可能性もありますので、できましたら、今後の調査においてはやはり年度後半の数も取ってほしいということと、あと、できるだけ、なるべく早い結果の公表をお願いいたします。
続いて、給特法について伺います。
公立学校の先生方の給与については、給特法が適用され、労基法の三十七条というのが適用除外されていて、残業の有無にかかわらず、時間外勤務手当が支給されない仕組みになっています。その代わりに定額の教職調整額、現在は基本給の四%がしかれていますが、では、教職員がその規定の時間外に稼働した時間がどう整理されているかというと、ガイドラインによって時間外在校等時間という概念に整理されています。
時間外在校等時間は、正規の時間外に学校内外で校務に当たっても、超勤四項目に当たらない校務は、自発的に行っているものだから、教員の職務と勤務態様の特殊性、そういう理由から時間外勤務には当たらないというような整理をされています。
私、この点ずっと疑問をお伝えをしているんですが、ここで文科省作成の資料一をちょっと御覧ください。これは地域の保護者の方々に宛てた資料なんですけれども、真ん中のちょっと上の一の右、上の方に「厳しい勤務実態」と書かれて、平均時間外在校等時間は地方公務員一般行政職の約三倍で、令和四年で月四十七時間だったというふうに書かれていますが、一般行政職の方々にはこの時間外在校等時間なんという概念は存在していないわけで、これは時間外勤務時間、残業時間のことを指していると思います。このような資料からも、時間外在校等時間と残業時間は実際は同視されているということが見て取れると思います。
裏をめくって、資料二を見ていただきたいんですが、これは、教師を目指す皆さんへということで、教師を目指す皆さんに作られた資料だと思います。その一番下、「多様な経験と能力が求められる教師に見合う処遇へ」というところの、教師の初任給の学部卒のところを見ていただくと、給与月額二十五万二千円、そして教職調整額が一万八十円、これは四%に当たります。その計が二十六万二千八十円というふうに記載されて、その一番右側に、参考として、国家公務員二十二万円。
これだけ見ると厚遇されているようにも見えるんですが、これは、令和四年の調査に基づきますと平均四十七時間の時間外勤務の労働を行っている教員の給与であって、仮に、この基本給二十二万円の国家公務員が、教員と同じ週三十八・七五時間、年五十二週として換算するなら、月四十七時間の時間外労働を行っていれば、ざっくりですけれども月に八万円弱の残業代が支払われていなければならなくて、基本給と合わせると約三十万となって、これと比較すると、教員の待遇が、多様な経験と能力に見合う処遇とは言えないのではないかなというふうに思います。
別の表現をすれば、令和四年の基準に基づけば、教員は月四十七時間の時間外手当を受け取ってもいいところを、現在は一万八十円、これは二十五万二千円の給与者にすれば、ざっくりですけれども七時間弱の時間外手当にすぎないことになり、四十時間のただ働きをしていると言っても過言ではないと思います。
もちろん、それを改善しようと、今回の給特法の一部改正で、時間外在校等時間を月平均三十時間に抑えるという目標を立て、教職調整額を令和十二年までに一〇%に引き上げるということを決めました。しかし、一〇%の教職調整額、二万五千二百円、これを労基法を基に計算すれば月十五時間程度の残業代にしかならず、月三十時間に抑えるという目標を達成してもなお、約半分はただ働きを強いるということになります。
労基法三十七条の趣旨は、基本給の一・二五倍に当たる高い割増しの時間外勤務を払うことを使用者に義務づけて、時間外労働を抑制することにあります。本来は雇用主と被用者、契約自由でルールを決められるところを、労基法が強行規定として、時間外勤務を払わなかったり、割増しを行わないことを違法としている法律です。それを給特法で適用除外としてしまうことに合理性があるとは私は思いません。時間外労働を抑制する趣旨で置かれた規定を適用除外しているのだから、長時間労働がなくならないのは、ある意味当たり前ではないかというふうに思います。
今年の通常国会で、時間外在校等時間なる概念を用いて給特法より労基法三十七条が適用除外されることを変えるべきだという趣旨で質問をさせていただきましたが、最終的には一歩一歩でも教師の処遇改善を期して、時間外在校等時間の概念を残したままの給特法に賛成をいたしました。
しかし、一定の教職調整額を払うことで労基法三十五条の適用除外をされているこの給特法のままだったら、全く残業しない教員も、平均残業時間の四十七時間を超えて勤務するような教員も同額の支払いを受けるという不平等も伴っています。
長時間労働がはびこって教職員の精神疾患による病気の休職者も数多く、令和五年度には約七千人と過去最多の数を記録している。このことに鑑みても、近い将来、これを見直して労基法三十七条の適用を除外する現給特法を変える必要があると私は思いますが、大臣の見解を伺わせてください。
○松本(洋)国務大臣 教師の職務でありますけれども、逐一、管理職の職務命令によるのではなく、教師の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなど、どこまでが職務であるのか切り分け難いという特殊性がございます。そのため、給特法では、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとしております。
また、今般の教師の処遇改善に当たりましては、中央教育審議会においても、一年以上にわたりまして給特法等の法制的な枠組みも含めて総合的な議論が行われ、教師の裁量性を尊重するこの仕組みは現在でも合理性を有しているとされていると承知をしております。
一方で、教師や教師を目指す皆さんには、教職の魅力向上を実感してもらうためには、処遇改善と併せて、働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実を一体的、総合的に進めていく必要があり、教師を取り巻く環境整備に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。
今年の通常国会で成立をいたしました給特法の改正におきましても附則で三十という数字が示されていると承知をしておりますけれども、別にこれがゴールではないと考えておりまして、当然、それを一つの数字としての目標として附則のところに書かれているわけでありますけれども、更なる業務の改善等々を通じまして、教員の皆さんの働き方改革を進め、また、教師の皆さんには、本来果たしてもらうべき生徒と向き合う時間というものをしっかりと確保をした上で、こうした改革というものを進めていくことによって、処遇の改善、負担の軽減、こうしたものを併せて今後とも進めてまいりたいと思います。
○竹内(千)委員 私は、時間外在校等時間がまだ三十が長いとかそういうことではなく、給特法そのものの問題意識をお伝えしたのであって、大臣の今の見解がこれまでと何も変わっていないことにちょっと残念な気持ちを持っています。ただ、この問題意識だけは今日お伝えをしました。これから教育行政を担うトップとして、同じようにこれからも問題意識を持っていただけたら幸いです。
かなり時間を使ってしまいました。通告をしていたのに大変申し訳ないんですが、少し飛ばさせていただいて、高等教育の教育支援について伺わせていただきたいと思います。
奨学金ですね。教育の機会を確保して学生の人生を支えるというその奨学金が、逆に大きな負担になって、その後の人生の足かせとなっているというような、そんな声が聞かれます。今年から、子供三人以上を扶養している多子世帯について、所得制限なく大学の授業料等を免除する制度もスタートしましたが、この子供三人という要件に該当しない学生たちの負担は相変わらず残っています。
令和六年度に、給付型、貸与型、いずれかの奨学金を受けた学生が百十五万人、そのうち給付型が三十五万人、貸与型が九十五万人で、圧倒的に貸与型の方が受けている、多いという実態もありますし、奨学金の返済を行っている人数が令和六年に四百九十七万人で、無利子が百八十、有利子が三百十七で、有利子が無利子より圧倒的に多いことも分かります。
本来、令和六年に奨学金を返済している方の中で延滞等、返済困難にある状況の方々をちょっとここで伺う予定だったんですが、大変申し訳ありません、時間がないので、私の方で一応把握しているものをお伝えいたしますが、延滞している人が十二万七千人、支払い督促の通知を受けた人一万四千人、支払い督促を実際申立てをされた人三千九百人、支払い猶予を受けている人十五万人、減額返済を行っている人が五万二千人と、三十三万人、三十万人を超える方々が何らかの苦労をしていると。
実際に、満額返済をしているという人たちも、返還のためにかなり生活に余裕がない、出産や結婚をためらうという方もたくさんいまして、去年六月の労福協の調査では、約七割の人が今後の奨学金の返済に不安を感じている、四割半ばの方が返済の負担感に苦しさを実感しているというような、そういう結果が出ています。
そこで、大臣に見解を伺います。
教育の機会を確保して学生の人生を支えるはずの奨学金が、逆に大きな負担となってその後の人生の足かせとならないように、例えば、給付型奨学金を拡充するとか、現在、扶養する子供三人以上となっている多子世帯の対象を拡充するとか、奨学金については有利子をなくして全て無利子にするなど、公的負担の拡充を図る必要があるのではないかと私は考えますが、大臣の見解をお聞かせください。
○松本(洋)国務大臣 家庭の経済的な事情によって若者の進路選択の幅が狭まるようなことがあってはならず、奨学金を通じて支援が必要な若者の学びを支えることが極めて重要であると考えております。
一方で、委員が御指摘をされているのは、そうやって借りた奨学金が非常にその後の生活の厳しさを助長することにつながっているということかと思っております。
文部科学省といたしましては、そもそもの高等教育費の負担軽減等々も進めているところであります。先ほど多子世帯の話がございましたけれども、そういったことの一端でありますし、また、奨学金の返還につきましては、返還の猶予や毎月の返還額を減額をする制度によって支援を行ってきているところであります。
また、予算委員会等々でもいろいろと御意見をいただいたところでありますけれども、例えば企業によります奨学金の返還というような形で、民間の皆さんのお力もいただきながら、そうした施策というものも進んできているというふうに承知をしているところであります。
お尋ねの更なる制度の拡充などにつきましては、こうした制度の利用状況や課題なども踏まえた上で、関係者の声にも耳を傾けつつ、検討を重ねていく所存であります。
奨学金の返還負担の軽減に向けまして、引き続き、高等教育費の負担軽減と併せて取り組んでまいりたいと存じます。
○竹内(千)委員 大臣は、所信の中でも、誰一人取り残されることなく子供たちの学びの機会を確保する、それが文部科学省の使命だともおっしゃられていますので、今後とも、引き続き教育負担の支援について進めていただきたいと思います。
最後に一言だけ、メディアリテラシー教育について伺いたいと思います。
これからGIGA構想も進んでいきますが、もう既に、あっ、分かりました、大変失礼しました。ちょっと時間が終了しましたので、申し訳ありません、この次にまたこの話をさせてください。
本日はありがとうございました。
○斎藤委員長 次に、辻英之君。
○辻(英)委員 立憲民主党の辻英之です。
松本大臣、御就任おめでとうございます。
早速質問に入ります。
大臣、日本最初のお札に使われた和紙を御存じでしょうか。明治新政府の紙幣に使われたのが、私の地元、福井県越前市の越前和紙です。その卓越した技巧は世界に誇るもので、お札に使われる透かし、この技術も越前和紙の職人が生み出した技です。
資料一です。
すけない紙はないというほど多種多様な和紙をすくことが可能な越前和紙。その中でも、雁皮という原材料にこだわってすかれる越前鳥の子紙が、このほど、ユネスコ無形文化遺産の和紙に追加登録予定となって、十二月に決定する見込みです。この和紙を始め、越前打ち刃物、越前たんすなど、伝統工芸の宝庫なのが越前市です。資料二にあるとおり、十一月には、ユネスコ創造都市ネットワークにクラフト・アンド・フォークアートで登録されました。
文化的価値が高く評価された越前市のこれら伝統工芸について、大臣の所感を伺います。
○松本(洋)国務大臣 越前で作られた和紙がそうした形で大変使われていたということを初めて知りました。勉強になりました。ありがとうございます。
この度の越前市のユネスコ創造都市ネットワークへの加盟及びユネスコ無形文化遺産への越前鳥の子紙の登録勧告を、私としても本当に喜ばしく思っているところであります。ユネスコ創造都市として、越前和紙や越前打ち刃物、越前たんすなど、多様な伝統工芸を生かしたコミュニティーの強化が評価をされたと承知をしております。
今後、越前市が創造性、クリエーティビティーを核として、国際的な連携を進められることを期待したいと存じます。また、越前鳥の子紙については、来月インドで開催される政府間委員会での正式決定に期待をしているところであります。
来年は日本のユネスコ加盟七十五周年でありまして、日本国内のユネスコ関連事業についても、情報発信の強化に取り組み、越前市の伝統工芸を含め、しっかりと発信をしてまいりたいと存じます。
まずは、今回のユネスコの認定に向けて地元の皆さんが一生懸命御努力された、このことに敬意を表したいと存じます。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
越前市の皆さんのみならず、全国の伝統工芸関係者へのエールとなったと思います。感謝します。
同じく、ユネスコの無形文化遺産に伝統的酒造りが登録されています。文化審議会では酒造りが重要文化財へ登録される動きもあると聞いております。資料三です。
登録は追い風と考えますが、私は福井県内の酒蔵を十か所ほど回って、課題を聞きました。主食米の高騰で酒米を作る農家が減っている。酒米確保が非常に厳しい状況です。また、和紙を始めとした越前市周辺の伝統文化業者の声も拾い続けていますが、持続することが極めて厳しい状況でもあります。このような登録が登録だけで終わらずに、価値を生み出す職人や業界、地域社会などに波及効果を生むために政府に必要な取組は何か、見解を伺います。
○日向政府参考人 お答えいたします。
ユネスコ無形文化遺産を含む地域の文化遺産につきましては、その適切な保存、継承とともに、地域活性化に向けてその積極的な活用が期待をされております。
文化庁では、登録されたユネスコ無形文化遺産について、観光ボランティアの養成、講演会、シンポジウム、展示会、教育事業、調査研究事業等の実施について補助をさせていただいているところでございます。
文化庁としましては、今後とも、地域にとってのアイデンティティー、誇りであるユネスコ無形文化遺産を活用した地域活性化の取組を支援してまいります。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
政府としての後押しをしっかりとお願いして、次の質問に移ります。
令和八年度の概算要求に示された新たな教員定数改善計画について伺います。資料四です。
今年四月二十三日の給特法審議で、私は、平成十三年を最後に中止されていた教職員定数改善計画を再開すべきだと質問しました。その際、今ここにおられるあべ前大臣には、今後とも計画的な教員定数の改善に取り組むと答弁をいただきました。その質問と答弁の成果がこのように示されたことは、一定の評価をします。
今回の改善計画は基礎定数の改善と理解をしています。これが、次の年にどうなるか分からない加配定数の改善にならないよう、要求を貫いていただきたいと強く思います。
新たな教員定数改善計画における基礎定数の確実な拡充について、松本新大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 全ての子供たちのよりよい教育の実現に向けまして、学校における働き方改革の更なる加速化、教職の重要性と職務や勤務の状況に応じた処遇改善と併せて、学校の指導、運営の体制の充実を図ることが重要であります。そのためには、定数についても改善をしていくということが必要不可欠だと思います。
このため、令和八年度概算要求におきましては、中学校三十五人学級の推進、養護教諭の複数配置基準の引下げなど、教職員の基礎定数の改善に係る予算を要求をしているところであります。
文部科学省といたしましては、定数改善に必要な予算の確保をするとともに、次期通常国会において、義務標準法改正案の提出に向けて取り組んでいるところでありまして、これらをしっかりと進めてまいりたいと思います。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
基本的に私は応援をしておりますので、是非とも最後まで貫いていただきたいと思います。
そして、自治体が安心して教員を雇用することが可能になるように、教員給与の地方自治体負担の割合を三分の二から二分の一にすることがやはり必要だと考えます。
教員定数改善計画をより効果的にするために、義務教育費国庫負担法に基づく国庫負担割合を二分の一に戻すべきと考えますが、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 義務教育費国庫負担制度は、地方公共団体の財政力の差によって教育水準に格差を生じさせないため、国と都道府県・政令市の負担によりまして、教職員給与費の全額を保障する極めて重要な制度であります。
義務教育費国庫負担金の負担割合については、平成十八年度から国の負担割合が二分の一から三分の一に変更をされており、地方負担分である残り三分の二については、所要の交付税措置が講じられているところであります。この変更は、三位一体の改革の議論の中でこうした結論が得られたというふうに承知をしております。
義務教育に係る費用の国の負担割合の在り方につきましては、国と地方の役割分担や税財源配分の在り方の観点から、政府全体で検討が求められる課題であると考えております。
文部科学省としては引き続き必要な教育予算の確保に努めてまいりたいと存じますが、今申し上げましたように、三位一体の改革の中で税源移譲がなされたということであります。こうした経緯というものも踏まえながら、政府全体としての議論の中で考えられていくものと承知をしております。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
負担割合を変えるのは難しいとは承知しておりますが、今後もしつこくただしていきたいと思います。
次に、養護教諭についてです。
資料四と五です。
これも六月十三日に文科委員会で、私は、養護教諭が置かれた過酷な業務過多について指摘した上で、前大臣に配置基準を引き下げるべきと質問をしました。その質問と答弁の成果が同じように概算要求で養護教諭の複数配置基準引下げについて示されたことについても、一定の評価をしたいと思います。
しかし、文科省の令和六年度学校基本調査によれば、この配置基準百人引下げだと、例えば中学校では八千九百五十二校中、二百九十四校が複数配置となります。これは少ないと思うんですね。二百人を引き下げるとなると、八百十五校が改善となります。おおよそ一割改善となりますので、これくらいは努力してはどうかなと考えております。
養護教諭の配置基準引下げが示されましたが、更に引き下げるべきと考えますが、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 今お話がございましたとおり、委員からも養護教諭の配置基準の引下げということを御提案をいただき、あべ前大臣の御英断で予算要求がされて、令和八年度は複数の養護教諭を配置する児童生徒数の基準を小中学校いずれにおいても百名引き下げることなど、こうした予算というものを要求をしているところであります。
文部科学省としては、まずは、今回要求している定数改善に必要な予算を確保するとともに、次期通常国会へ義務標準法改正案を提出できるように取り組んでまいりたいと存じます。
まずは、この百人引下げというところでしっかりと効果検証等も行ってまいりたいと思います。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
百人引下げを確実に確保するとともに、更なる引下げの努力を強くお願いをします。
次の国会で、私、過疎地とか僻地の教育環境改善や小規模学校などについても取り上げていこうと思います。その際、栄養教諭や事務職など一人職についても改めて質問をしたいと思います。
次です。養護教諭に関連しまして、修学旅行等の引率業務において施設の入場料などが教員の個人負担となっているという課題です。資料六です。ちょっと古いのですが、中部地方の状況です。
福井県の状況を実際に聞き取りをしました。旅費、宿泊費は県が負担しています。しかし、入場料、ディズニーランドとかUSJとかなどについては、福井県十七市町全てが、県の負担ではありませんでした。十七市町のうちおおよそ半数が市町負担、そしておおよそ半数が教員が自己負担しているとのことです。
近年、多くの施設で入場料等の値上がりが続いています。年々引率教員の個人負担が大きくなっていて、とりわけ養護教諭は毎年の引率となる、その負担は極めて大きいという切実な声を聞きました。
これはちょっと質問をまとめます。修学旅行等の入館料等の教員自己負担について、政府は自己負担をさせないような通知、通達を出す必要があるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○望月政府参考人 御指摘の修学旅行における入館料等の教員の自己負担につきましては、その状況につきまして文部科学省として網羅的には把握をしてございませんけれども、修学旅行の入館料等、教員の自己負担になっているケースもあるという声は伺ってございます。
経費の負担の在り方につきましては各教育委員会等において御判断いただくべき事柄ではございますけれども、校務として行っている行事でございます。文部科学省としましては、各教育委員会が出席する会議等を通じまして、こうした教員の自己負担の在り方あるいは経費負担の在り方について考えていただいて、修学旅行が適切に実施されるよう周知をしてまいりたいと考えてございます。
○辻(英)委員 ありがとうございます。
働き方改革だけではなくて、あらゆる面で教員の負担を少しでも減らすことに努めていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
こちらも、資料七です、二月二十七日の予算委員会分科会で、積雪地域の通学路除雪について質問し、あべ前大臣からは、他省庁と連携を図らせていただきながら、引き続き通学路における子供たちの安全確保にしっかりと努めると答弁いただきました。
この質問と答弁の成果として、積雪地域の通学路の安全確保などについて、国土交通省の第十二次の交通安全基本計画に反映されるということを聞いております。大変喜ばしいことだと思っております。
しかし、冬は目の前に迫っています。通学路の安全確保は熊対策に集中していると思いますが、熊が冬眠した後は、その次は、積雪時への具体的な対応が必要と考えます。
積雪地域における通学路の交通安全について、今後、道路施策としてどのように進めていくのか、具体的に伺います。
○石和田政府参考人 お答えいたします。
積雪地域における通学路の交通安全についてでございますが、冬期の通学路では、除雪が不十分で安全な歩行空間が確保されない場合があることに加え、大雪時には特に通学時間帯前までに除雪を間に合わせることが困難である等の冬期特有の課題がございます。
このため、今シーズンから、冬期の安全、安心な通学路の確保に向けて、道路管理者、学校関係者、地方自治体や警察等が協力、連携する調整会議を新たに設置することといたしました。
具体的には、豪雪地域の全国八地区におきまして、通学路における冬期特有の課題箇所の確認及び共有、通学時間帯までの道路管理者連携による除雪や融雪設備の整備などの対策、大雪時の除雪優先区間の確認や相互応援体制の構築等について先行的に実施する予定でございます。
国土交通省としては、これらの先行地区の取組の結果を踏まえ、来年度以降、他の積雪地域にも対策を展開し、冬期における安全、安心な通学路の確保を更に進めてまいります。
○辻(英)委員 これは、極めて前向きかつ具体的な答弁をいただきました。大変感謝を申し上げます。
私、地元福井県、豪雪地帯でありますので、一メーター、二メーター積もる学校、地域がたくさんあります。大変喜ばしいことだと思います。どうぞしっかりと進めていただきたいと思います。文科省とも連携をお願いします。
次は、資料八なんですけれども、これは八と九なんですが、体育館のエアコン設置についても二月二十七日の予算委員会で質問しました。多くの議員も質問しておることです。
資料八を見ますと、一問飛ばしますね、令和七年五月、設置率二二・七%、上昇率は三・八%ということを報告を受けております。令和十七年度に九五%の目標に向かって加速化していただきたいのですが、一方で、地域格差が生じているという問題があります。この夏に四十校以上、私、小中学校を歩いて、現場の悲鳴を聞き続けています。
資料九です。福井県の体育館のエアコン設置率、僅かに二・六%。東京は九二・五、大阪は四九・二です。現在の制度では、エアコンを設置する際にはどうしても自治体負担が生じます。資料のとおり、自治体の財政状況によって差が出てしまいます。つまり、子供たちが学ぶ地域によって格差が生じているということです。
この格差を打開するためにどうしようと考えているか、その方策について大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 政府といたしましては、第一次国土強靱化実施中期計画に基づきまして、令和十七年度までに、避難所となる公立小中学校の体育館空調設備の設置率を一〇〇%とすることを目指しておりますが、御指摘のとおり、現状、自治体において大きな差が見られているという状況であります。
文部科学省といたしましては、空調設置を加速するため、補助率を三分の一から二分の一にかさ上げするとともに、補助単価を引き上げるなど、国庫補助制度の充実を図ってきたところであります。また、自治体が効率的に空調設置工事を行えるようにするために、工事範囲の分割により体育館を活用しながら設置工事を行うなど、夏休み以外にも対応した工事事例、また、設計、施工を一括して発注する方式など、設計業務等を担う自治体技術職員不足を補うための工事手法などの周知に取り組んできたところであります。
文部科学省といたしましては、引き続き、自治体が計画的に整備できるように、予算の着実な確保や好事例の周知などに取り組んでまいりたいと存じます。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
加速への努力はもちろんですが、どうか地域間格差を是正することに真正面から向き合っていただくことを強くお願いを申し上げます。
次に、資料十です。こちらも、六月十八日に、国立大学運営費交付金を増額すべきと質問をしています。
この半年間、私は、もう限界ですと表明した国立大学協会や、地元福井大、青森の弘前大、母校の北海道大、そして北海道教育大などにもヒアリングをしてきました。概算要求における六百数十億の増額は一定の評価をします。
所信で大臣は、科学の復興を通じた新技術立国の実現を表明しました。であるならば、思い切った投資は必要と考えます。
二つ質問を飛ばします。
国立大学運営費交付金と科学研究費を更に増額すべきと考えますが、大臣の見解を伺います。
○松本(洋)国務大臣 文部科学省におきましては、国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費と科学研究費助成事業、科研費等の競争的研究費のデュアルサポートにより、各大学の教育研究活動を支援してきたところであります。
他方、運営費交付金や科研費の予算額が横ばいの状況が続いておりまして、アカデミアや産業界など多くの方から運営費交付金や科研費を拡充するようにお声をいただいております。横ばいという言い方をしましたけれども、実際には、人件費やまた原材料費の価格が上昇していることを考えれば、実質目減りではないかという声もいただいているところであります。
イノベーション創出の中核となるのは優秀な人材であり、そうした人材を育成するためには、物価上昇など経済状況が変動する中でも、大学における教育研究活動を安定的、継続的に支えるとともに、息の長い基礎研究を長期的に支えていくことができる環境を整えていくことが極めて重要であります。
このため、文部科学省におきましては、令和七年度補正予算、令和八年度予算におきまして、国立大学法人運営費交付金や科研費を着実に確保できるように全力で取り組んでまいりたいと存じます。
今日の質疑の中でも何度か申し上げさせていただきましたけれども、本当に科学技術立国、そして日本の未来のためには、こうした科学技術の力をしっかりと伸ばしていくことが必要でありますし、その前提となるのは研究開発、研究だと思っております。そうした意味で、それらを支える予算を確保していくことができるように全力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞお力添えをお願いしたいと思います。
○辻(英)委員 ありがとうございました。
実は私も昨年八月までは大学の教員として勤務をしていましたので、基本的には応援をする立場です。今後ともしっかりと確保してもらいたいと強く思います。
今回は、多岐にわたる質問にお答えをいただきまして、ありがとうございました。一問、二問ちょっと飛ばしてしまったので、準備いただいた担当の方、申し訳ございません。とりわけ通常国会中の私の質問に丁寧に答弁され、その後政府がきちんと政策化されている案件につきまして、更に確認をさせていただきました。このような生産的な議論と政策化のプロセスこそ、今求められる政治と行政の在り方だと考えます。今後もこのような地道なプロセスを共に進めていくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○斎藤委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。文部科学省望月初中局長。
○望月政府参考人 失礼いたします。先ほどの竹内委員の御質問の中で一点誤りがございましたので、訂正をさせていただきます。
令和四年度の勤務実態調査におきまして、各教員から十五分ごとの業務内容を回答していただくところ、正確には三十分ごとでございました。大変失礼いたしました。
○斎藤委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高です。よろしくお願いいたします。
早速質問に入りますけれども、まず、小中学校の性教育について質問させていただきます。
このテーマにつきましては、この一年間で三回目の質問となりますけれども、子供たちの安全のために重要なテーマだと考えておりますので、松本大臣に替わられたタイミングで改めて取り上げさせていただきたいと思います。
何か政策を論じられるときに、これは海外に比べて日本は遅れているということが往々にして言われておりますけれども、まさにこの性教育、これも海外に比べて遅れている、その一つだと私は考えております。
現在の子供たちを取り巻く環境を見ますと、インターネットを通じて、簡単に不適切なエロ動画、エロ画像、こういったものにアクセスできてしまう。ましてや、広告によって意図せずにハードポルノを目にしてしまうような、そういった環境にあるかと考えております。アダルトサイトが性の教科書代わりになっていたり、インターネットやSNSを通して、間違っているかもしれない半端な知識を得ている、それが今の子供たちを取り巻く性の実態であると強い懸念を抱いているところでございます。
また、警察庁の資料を見ますと、SNSに起因する犯罪、この被害者となった子供の数、昨年一年間で千四百八十六件。そのほとんどが、青少年保護育成条例違反、児童買春、児童ポルノ禁止法違反、不同意性交、不同意わいせつといった性に関わる犯罪です。全体の数を見ますと、令和元年のピークから減少傾向にありますけれども、その中身、構成比を見ますと、小学生が九・二%、中学生が四八・一%となっております。六割弱が小中学生、こういった状況にございます。十年前の平成二十七年、このデータと比較しますと、当時は、小学生で二・一%、中学生で三八%でした。小学生に至っては、その件数自体が三十五件から百三十六件と三・九倍、大きく増えております。
SNSの使い方の教育などが進んで、高校生などを中心に全体の数は減ってきているんですけれども、スマホを持ち始める年齢の低年齢化、これが進むことによって、より若い世代が性犯罪のターゲットにされている、こういったことが見える数字かなと思います。
そのような状況の中で、自分が何をされているのか正しく理解することで、自分が被害者であるということを自覚できたり、また同じく、自覚なく加害者の側になってしまうような、こういったことを防ぐためにも、子供たちに対して正しい性の知識を教えていく、このことは非常に大切だと思っております。
現在、小中学校で行われている性教育について、現状に対する大臣の評価と、性教育の必要性について大臣がどのようにお考えになっているのかをお伺いしたいと思います。
○松本(洋)国務大臣 学校における性に関する指導につきましては、発達段階を踏まえつつ、児童生徒が性に関して正しく理解をし、適切な行動が取れるように取り組むことが必要であると考えております。
このため、各学校におきましては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒への、発達段階に応じ、例えば、異性への関心の高まりや性衝動、性情報への適切な対処や行動の選択など、様々な観点から学習が行われているところであります。
また、児童生徒が性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないことを目的に、命の貴さを学び、自分や相手、一人一人を尊重する態度などを身につける、生命(いのち)の安全教育も実施をされているところであります。
文部科学省といたしましては、引き続き、着実な学習が行われるよう指導に努めてまいります。
○西岡(義)委員 御答弁ありがとうございます。
学習指導要領の範囲の中で様々やられていると。生命(いのち)の安全教育、これも、私も動画などを見ました。確かにそれ自体は必要な教育だと思います。でも、やはり、足りないなというのが私の正直な感想でございます。
例えば、水着で隠れる部分は大切な場所だよねと教えているわけですけれども、じゃ、なぜ大切なのか、そこにちょっと踏み込んだところがないんですね。ほかの保護者とも話していても、そのなぜがないので子供の中に落ちてこないよね、そういった会話もしたりします。
じゃ、なぜ、このなぜの部分が教えられなくなっているのか。これは、先ほど学習指導要領の範囲内とおっしゃいましたけれども、現行の学習指導要領にある、いわゆる歯止め規定、これがあるためではないでしょうか。
小学五年生理科の、「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする。」、中学校の保健では、「妊娠の経過は取り扱わない」と書かれております。この歯止め規定、これがあるために、中学校の保健体育の教科書では性交が書かれていないんです。でも、性交が書かれていないのに、性感染症に対するコンドームの有効性は伝えているんですね。子供からしたら、これは訳が分からないんですよ。実際、これは聞いた話ですけれども、コンドームは指につけるものだと思っている子供もいる、そういった話も聞いております。
以前同じ質問をしたときに、教えてはならないという趣旨ではないと御答弁もいただいておりますけれども、やはり、実際、現場の声、先生方の声を聞いていると、この歯止め規定によって、性教育を行うことに対して萎縮してしまっているというのが現状だというところでございます。
また、現行の学習指導要領の改訂時、このときに、「平成十五年に、学習指導要領はすべての子どもに対して指導すべき内容を示す基準であること(基準性)を明確にし、各学校は子どもたちの実情に応じ、学習指導要領に示していない内容を加えて指導できることがはっきりしました。」「さらなる明確化のために「…は取り扱わないこと」とするいわゆる「はどめ規定」の見直しを行うこととしています。」と、これがQAの中で、文部科学省のホームページ、これにも示されております。
ここまで示しておきながら残ってしまったのが、この性教育に関する歯止め規定ではないでしょうか。
先ほど、前の答弁の中にも、大臣の、格差のない教育のという言葉もございました。また、全国でどこの学校に通っていてもやはり平等に正確な性の知識を学べるように、子供たちに本当に必要な教育は何かという観点から、是非、松本大臣には、今回の学習指導要領の改訂で、この性教育に関する歯止め規定はなくすべきだということを強く発信していただきたいんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 御指摘の学習指導要領の規定は、当該事項を教えてはならないという趣旨ではなく、性に関しては、児童生徒間で発達の差異が大きいこと、保護者の理解を得ながら実施をする必要があることなどを踏まえまして、個々の児童生徒の状況などに応じた個別指導により対応するという趣旨のものであります。
学習指導要領の改訂についてでありますけれども、現在、中央教育審議会において専門的かつ総合的な議論をいただいており、議論の状況も踏まえながら、子供たちが性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう対応してまいります。
○西岡(義)委員 情報があふれる中で、子供たち自身が、信じられる情報が欲しい、そのように望んでいるのもあります。保護者の理解も重要ですけれども、やはり子供に何が必要なのか、その目線は忘れないでいただきたいと思います。
歯止め規定の削除は引き続き訴えていきたいと思いますけれども、性教育も必要だと思われているかと思いますので、是非、今おっしゃったように、してはならない規定ではない、教えてはならないという趣旨ではない、これをしっかりと全国の教育委員会にも通達で出して、歯止め規定を気にせずにしっかりと性教育をやりなさい、そういった発信も是非していただきたいと思います。これはちょっと、最後、お願いとして申し上げさせていただきます。
では、次の質問に移らせていただきます。
原子力科学技術についてお伺いしたいと思います。
松本大臣は経済産業副大臣も務めていらっしゃったので、この分野については知見がおありかと思います。また、今日の答弁の中でも、フュージョンエネルギーの視察などもされているということで、科学技術の観点から原子力について伺っていきたいと思います。
今、世界の中で日本の科学技術の現状、これを見ますと、世界の引用上位一〇%論文であったり引用上位一%論文、要は、高い確率で引用されている注目論文、これが世界の中でも十位以下、レベルでいうともう日本は三軍、四軍のレベルだというような見方もある。そういった状況においてでも、原子力科学技術の分野においては、フュージョンエネルギー研究また安全研究の分野で国際的には高い評価を得ている、そういった分野であると認識しております。
この原子力科学技術、非核兵器国である我が国が原子力の平和利用のためにこの分野をリードしていくということは大変意義があることだと私は考えております。
その中で、我が国の原子力研究の現状に対する大臣の認識と評価、また、今後、予算の在り方を含めて、この原子力の科学技術、どのように導いていくのか、方向性をお伺いしたいと思います。
○松本(洋)国務大臣 政府といたしましては、原子力を、地域の理解や環境への配慮を前提に、脱炭素電源として最大限活用することとしております。加えて、原子力科学技術は、エネルギー分野のみならず、健康、医療、材料、農業、宇宙などの様々な分野における貢献が期待されていることから、しっかりと取り組んでいくことが必要であると考えております。
このため、文部科学省におきましては、新試験研究炉の開発、整備の推進、次世代革新炉の開発、バックエンド対策の抜本的強化、研究、人材基盤の強化、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応の五分野の研究開発に重点的に取り組んでおり、その着実な実施に向け必要な予算を確保をしてまいりたいと存じますし、また同時に、これらを支えていくのはやはりそうした研究をしている、また知見を持っている人材だと思っておりますので、こうした観点での取組というものを進めていくことも大変重要だと思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
エネルギーだけではなく、多種多様な分野で、そういった活用も視野に入れて進められるということですので、是非、世界をリードし続けられるようにお願いしたいと思います。
一方、原子力には、原子力災害をもたらしかねない、そういった負の側面もあり、この負の側面を心配する、懸念する声も上がっているのが現状かと思います。そのような状況の中で原子力科学技術を推進するためには、社会や国民が正しい知識を持った上での理解と支持、これを得ていく必要があると考えます。その上で、文科省には、国民の理解を得るために、原子力科学技術についての情報発信をしていくことが求められているかと思います。
この原子力科学技術について、これまでどのように情報発信をしてきたのか、また、その結果どの程度社会や国民の理解、支持を得てこられたのか、そして今後、より一層の理解を得るためにどのように情報発信をしていくのか、具体的にお伺いしたいと思います。
○松本(洋)国務大臣 原子力は、エネルギー利用等の観点から重要な分野であり、若年層を含め、社会、国民の理解を得ながら進めていくことが重要と考えております。もちろん、その前提条件は安全性の確保であります。
このため、文部科学省では、産学官が連携をいたしまして、人材育成コンソーシアム、ANECの活動の一環といたしまして、高校生や高専生を対象とした原子力オープンキャンパスを開催し、原子力分野に対する興味を持ってもらう、そうした取組を行っております。
また、日本原子力研究開発機構におきまして、広報誌やSNSなどにより積極的な情報発信を行うとともに、教育委員会や学校と連携し出張授業や実験教室を行うなど、社会との信頼構築や原子力の理解促進を図っているところであります。
文部科学省といたしましては、このような取組を通じ、引き続き原子力に関する理解の促進に努めてまいります。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
引き続き積極的な発信をお願いしたいと思います。
次に、政策の方向性について確認したいと思います。
原子力科学技術の方向性として、人材基盤強化、今し方の御答弁の中にも、人材育成、しっかりしていくというようなことがございました。しかしながら、現状を見ると、四十歳以下の若手教員が減少してきているというデータがあったり、知識や技術の継承が途絶えてしまうのではないかという懸念があるかと思っております。
このような状況の中で、人材基盤強化のために具体的に何を行っていくのか、お伺いしたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
原子力分野の人材育成は、これまで培われた原子力科学技術の基盤を適切に継承するとともに、将来にわたって技術革新を推進していくため大変重要と考えております。このため、文部科学省においては、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を通じて、産学官が連携したコンソーシアム、ANECを構築し、原子力人材の体系的な教育研究基盤の整備を進めております。
具体的には、大学や高専、研究機関、企業等の複数の機関が連携をして、原子力の体系的な専門教育カリキュラムやオンライン教材の作成、原子炉を始めとした原子力施設等を用いた実習の実施、海外大学への原子力留学や国際機関への派遣、原子力業界探求セミナー、電力会社での実習の実施などを行っているところです。
引き続き、経済産業省を始めとした関係府省、原子力関係機関とも連携し、原子力人材基盤の強化に取り組んでまいります。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
何事も人だと思いますので、引き続きしっかりと、人材育成、取り組んでいただければと思います。
その上で、若い人たちが原子力分野に進もうという、そういった動機づけをするためには、卒業後に、それまでに学んだ知識や技術を生かして自分自身が成長していける環境、進路が重要ではないかと思います。就職先で、学んだ知識や技術を発揮することができなければ、自然とその分野で学ぼうという学生は減ってしまうのではないかと思います。
原子力科学技術を担う人材の成長と技術継承の場として、原子力発電所であったり、発電所の設備を造る製造者、こういったところは重要な役割を果たすものだと私は思っております。
原子力科学技術の発展という観点からも、安全性が確認された原発の再稼働、そして新規増設、こういったものを進めていくべきだと私は考えておりますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 御指摘の原子力発電所の再稼働、新増設、これは経済産業省が所管になるところではありますけれども、政府としては、第七次エネルギー基本計画に基づき、安全性確保と地域の理解を大前提として、既存の原子力発電所について再稼働を進めるとともに、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えなどを進めることとしているところであります。
原子力分野を推進するに当たりましては、若い世代を含む人材の確保が必要不可欠であります。
文部科学省といたしましては、経済産業省を始めとした関係府省、原子力関係機関とも連携をし、原子力の利用と安全を支える幅広い分野における人材育成を進めてまいります。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
文部科学省として、人材育成、お願いしたいと思います。
電源がなくて、AIデータセンターや半導体工場が誘致できないというような実情もございます。産業だけでなく、また原子力科学技術そのものだけではなく、今後の最先端科学技術の振興のためにもやはり電源は重要ですので、原発を動かして電源を増やしていくこと、これを御提案させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○斎藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○斎藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。石井智恵君。
○石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。愛媛県松山市の出身でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、教育現場でのAIの活用についてお伺いいたします。
この夏に国会で行われました教育AIサミットに参加をさせていただき、実際に小学校や中学校の先生方が子供たちにAIを取り入れてどのような授業を行っているのか、その取組を見てまいりました。
子供たちの中には、チャットGPTなど、悩み事を入れると何でも答えが返ってくるために、友達と話すのではなくAIとだけ会話をしたり、AIに恋愛感情を持ってしまうこともあると報告をされておりまして、大変驚きました。そのようなことから、AIを早期に、特に小学校段階から正しく伝える、例えばAIはあなたのことが好きで答えているのではないんですよなどと、AIの特性を指導していく必要があるというふうに思っております。
しかしながら、日本の教育現場では、AIの授業は決して進んでいるとは言えない現状にあります。
今年、二〇二五年十月七日に公表されたOECD国際調査、TALIS二〇二四では、日本のAIの授業活用が二割未満という結果が示されました。過去十二か月の間にAIを授業などで使ったと答えた日本の小学校教員は一六%、中学校教員は一七・四%で、参加五十五か国中、日本は下から二番目の五十四位であったということでありました。
今は、AIドリルなど、子供の思考力を育てるために、わざと答えを出さずに、ヒントを与えていきながら答えを導いていくAIも登場をしています。一人一人の成長段階に合わせて子供の思考能力を高め、また質問する力も身につけることができるようにもなりました。
そこで、大臣にお伺いいたします。
現在、文部科学省の生成AIに関するガイドラインでは、小学校段階の児童については発達段階等を踏まえたより慎重な見極めが必要であるとしておりまして、そのために二の足を踏んで授業で取り扱うことを遠ざけてしまうのではないかということを懸念をしております。
この初等教育におけるAI活用について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○松本(洋)国務大臣 文部科学省が策定をいたしました初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインにおきましては、生成AIは使い方によって人間の能力を補助、拡張し、可能性を広げてくれる有用な道具になり得る一方、発達の段階や情報活用能力の育成状況に十分留意しつつ、リスクや懸念に対策を講じた上で利活用を検討すべきであるというふうに示しているところであります。
今委員御指摘のように、AIにはよい面と悪い面とそれぞれあると思いますし、また、発達段階によって、子供たちがそれらをしっかりと理解をできるどの段階にあるのかによっても、また利用の仕方というのは変わってくるべきものなのかなということを考えているところであります。
また、生成AI等に起因するトラブルに巻き込まれないようにするためには、情報モラル教育を一層充実させる必要があります。そのため、児童生徒向けの学習コンテンツの提供や、教職員を対象としたオンライン研修を実施しているところであります。
文部科学省といたしましては、今後とも、ガイドラインの周知や情報モラル教育の充実に努めるなど、初等教育段階における生成AIの適切な利活用に向けた取組、また、委員から御指摘のあるように、AIリテラシーというんですかね、そういうものに関してもしっかりと目配りをしつつ進めていきたいと思います。
○石井委員 ありがとうございました。
やはり、ファーストインプレッション、誰がどう伝えていくのかといったことが非常に大事だと思います。是非学校の現場でのAI活用を進めていただきたいと思います。
次に、文部科学省にお伺いをいたします。
今はAIキャラクターを授業のアシスタントとして活用するという取組も行っている学校もあるようで、教員ができないことをAIで補うこともできるようになりました。
現在、次の学習指導要領の改訂に向けて取り組んでいると思いますが、AIについても、一人一人に寄り添っていく対話型のAIの活用という観点で、新しい学び方として学習指導要領の中に組み込んでいくこともできるというふうに思います。
今後、AIと先生がどのように役割分担をしていくべきだと考えているのか。また、学習指導要領改訂の中での方向性をお伺いしたいと思います。
○堀野政府参考人 お答え申し上げます。
教育内容、教育環境は時代とともに変化をしていく中で、教師が子供一人一人の能力を最大化するために中核的な役割を担うということは変わりなく、生成AIが社会のインフラの一部となる時代において、学びの専門職としての教師の役割はより重要になると考えております。
様々な学校の場面、生徒一人一人の生徒指導の場面など、人格に向き合いながらそのよさを引き出して自信をつける、こういった場面ではやはり教師の人間としての役割は非常に重要であると思いますし、一方で、授業の中では生成AIを活用して適切な利活用を促していくということが大事だと思っておりまして、そのためにも教師自身が生成AIの仕組みや特徴を理解する等、一定のAIリテラシーを身につけることが求められると考えております。
次期学習指導要領の改訂に向けまして、現在、中央教育審議会においても議論を進めているところでございます。その議論の中で、生成AIにつきましては、三つの観点、活用すること、情報モラル等適切な取扱い、それから特性の理解、この三点がございますけれども、特に小学校段階の生成AIにつきましては、生成AIの適切な取扱いに関すること、それから特性の理解、これを学んだ上で活用を通した体験的な学びを深めるといった方向性などについて検討が行われているところでございます。
文部科学省といたしましては、学習の基盤となる資質、能力である情報活用能力が小学校段階の教育全体を通じて育成されるよう、引き続きしっかり検討を進めてまいります。
○石井委員 ありがとうございました。
AIの使い方は非常に大事だと思いますし、人を思いやる気持ちも育てていくことも必要だと思います。ありがとうございました。
次に、四国遍路の世界遺産化についてお伺いをいたします。
この世界遺産については、ユネスコ憲章の理念に基づき、国際協力の一環として実施をされている活動であります。
ユネスコ憲章の前文の最初の一文には、こう書かれています。「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」世界遺産は、決してインバウンド誘客のために観光地として宣伝するという目的なのではなく、戦争を回避し、国際理解の象徴として世界が保護していくという目的であるということをまずは認識しておく必要があります。
四国遍路は、千二百年以上前、弘法大師空海により開創し、それ以降、江戸時代には庶民のための巡礼文化として確立し、今もなお息づいています。昔は、罪人だった方やハンセン病にかかった方たちが、生きづらさを抱え四国に来て、遍路をしながらお接待を受け、その温かさに触れて生きる力を取り戻していたと言い伝えられています。そして、同行二人といいまして、お遍路さんとして回っている人は皆弘法大師と一緒に回っている人だから、お接待をすれば自分にも功徳が得られるとして敬い、食べ物や宿を提供し、お遍路さんが亡くなったときには遍路墓と言われるお墓を建てて弔ったり、病気になった人はふるさとにまで帰してあげるなど、あらゆる人たちの巡礼を支え、弱者救済のためのセーフティーネットとしても機能をしていました。
世界遺産登録には顕著な普遍的価値の証明が必要ですが、お接待文化もその一つであるとされています。しかし、元々世界にはまれな文化でありまして、英語で説明をしようとしても、サービスではない、ホスピタリティーでもない、正しく英訳ができません。日本独特の文化のため、私は、このお接待という言葉を日本の和食などと同じように世界の共通言語にしてはどうかと考えています。
ユネスコ憲章の本来の目的に照らし合わせても、このお接待文化、唯一無二のものとして世界遺産登録の核になると考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○松本(洋)国務大臣 四国遍路には、委員御指摘のお接待と呼ばれる地域住民がお遍路さんをもてなす文化があり、こうしたお接待文化を含む四国遍路は古くから地域で大切に受け継がれてきた特色ある貴重な文化遺産であると認識しております。
四国遍路につきましては、地元自治体で世界遺産登録を目指した取組を推進をしていることは承知をしているところであります。今後は、世界遺産登録に求められる顕著な普遍的価値の証明について、海外の専門家にも理解される価値の説明など、なお一層の説明の充実を図ることなどが必要と考えているところであります。委員の御指摘のとおりであります。
文部科学省におきましては、地元自治体からの求めに応じまして、これまでも専門的、技術的な観点からの助言などの支援を行っておりますけれども、どういう形で、海外の皆さんにそれを理解をしていただくために、どういう知恵だったりとか、技術的な支援ができるのか、我々といたしましても、こうした助言等の支援を通じて、地元自治体の取組を応援をしてまいりたいと思います。
○石井委員 ありがとうございました。
このお接待という文化、日本人としての精神を示すものだというふうに思いますので、是非、世界に向けて発信をしていくことをお願い申し上げたいと思います。
この四国遍路の世界遺産化は二十年前から始まりましたが、いまだ実現には至っておりません。その理由として、四国八十八か所霊場と遍路道の中で、札所や、また道の保護を進めてきましたが、今指定されているのは七十二か所、しかし、現在までに二十七か所しか進んでおらず、また、遍路道も広範囲にわたるため、文化財保護に非常に時間がかかっております。
そのために、富士山が、自然遺産登録から信仰の対象と芸術の源泉として文化遺産登録に方針を転換したように、現実的に進めていく方法を見直してはどうかと考えております。
まずは、お接待文化を無形文化遺産として登録していくことを目指し、そのお接待文化を核に、世界遺産化に向け、関連資産を保護するという方法もあるのではないかと思います。
このお接待文化に関する資産として、例えば、遍路宿、遍路墓、お接待所、お接待と関係の深い札所、道しるべ、写し霊場などがあり、これまで文化財保護してきたものと合わせて絞り込んでいくことで、現実的に近づいてまいります。
また、江戸時代、松山藩では、道後温泉に入る遍路を保護していたとして、国の重要文化財である道後温泉本館も検討に入るのではないかというふうに思っております。
このように、切り口を変えて世界遺産登録を目指すことは可能なのかどうか。可能性があるだけで構いません、実現に向けて望みをかけて、文部科学省にお伺いしたいと思います。
○日向政府参考人 お答えいたします。
ユネスコにおきましては、世界遺産条約が対象とする有形の文化遺産に加え、無形の文化遺産についても国際的保護を推進するべく、二〇〇三年に無形文化遺産保護条約が採択され、我が国は翌年締結をしております。
ユネスコ無形文化遺産の登録に向けては、ユネスコが定める基準を満たす必要があるため、提案対象の定義や担い手の明確化、次世代へ継承していくための保護措置の特定等が必要になり、お接待文化を含む四国遍路について無形文化遺産として登録を目指すには、これらについて検討を行う必要があります。
世界文化遺産は有形の文化遺産、無形文化遺産は無形の文化遺産と、それぞれ異なる文化遺産であり、一般にこれらへの登録に向けた検討を行うに当たっては、様々な検討の方向性が考えられます。
私どもといたしましては、まずは、地元自治体におきまして、後世に何を残していきたいのか、有形と無形どちらの登録を目指すのかなど、学術的な観点から議論を深めていただくことが不可欠と考えております。
文化庁といたしましても、今後とも、地元自治体の求めに応じ、専門的、技術的観点からの助言を行ってまいります。
○石井委員 ありがとうございました。
このお接待文化、本当に四国の中で息づいてきた文化であります。今こそこのお接待文化のよさを世界にも認めてもらえるように、私たちも努力していきたいというふうに思っております。
最後に、今、世界遺産登録がされた場所、多くの方が訪れていますが、やはり地域ではオーバーツーリズムの問題も懸念されております。
世界遺産の本来の意義とは、観光ではなく保全が目的であるということでありますが、人口減少において地域が持続的に遺産を守り続けることも必要だというふうに思っております。
世界遺産登録に向けての保全意義、そして情報発信など、取り組んでいく内容について、その方針をお示しいただけますでしょうか。
○日向政府参考人 お答えいたします。
世界遺産条約では、文化遺産を認定し、保護し、保存し、整備活用し及び来るべき世代へ伝承することを確保することが締約国に課された義務であるとされております。
世界遺産への登録の意義については、令和三年に文化審議会でまとめられた、我が国における世界文化遺産の今後の在り方第一次答申において、遺産の将来世代への継承、世界的な観点からの価値の発見、深化、発信、世界文化遺産を保護し、生かした町づくりによる持続可能な社会の実現と整理されており、文化庁としましても、これを自治体関係者等に対して周知を図ってまいりました。
文化庁としましては、引き続き、世界遺産条約や文化審議会答申を踏まえ、情報の発信を含め、世界遺産の適切な保存、活用に取り組んでまいります。
○石井委員 ありがとうございました。
貴重な意見をいただき、本当に感謝申し上げます。
以上で終わります。ありがとうございました。
○斎藤委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
学校の先生の長時間過密労働についてです。
本日のこの委員会でのやり取りの中で、時間外在校等時間についても質疑が行われましたね。竹内委員のものなんですけれども、その資料の中で、文科省の「地域・保護者の皆様へ」というチラシのようなものの中で、文科省自らが、厳しい勤務実態ということで、時間外在校等時間が地方公務員の一般行政職の約三倍だと。これは残業や言うてしまっているやないか、自己暴露やないか、だったら残業代を払うべきちゃうかということを、もう少し上品なお言葉で質疑されていたと思うんですけれども。厳しい勤務実態って、それ、追い込んでいるのは文科省やろと思いますけれども。
松本文科大臣にここでお伺いしたいんですけれども、松本文科大臣がその質疑に対して答弁でこうおっしゃっていたんですよね。教員の長時間労働を減らしていくんやという方向性、時間外在校等時間が改正給特法で月平均三十時間以内という目標が掲げられた、だけれども、松本文科大臣は、その三十という数字にはこだわらないよ、三十よりも下げていくで、それを全力で本気出すというふうに答弁していたんですよね。
これって、ちょっと言いにくいんですけれども、口だけじゃないんかと思いましたので、口だけではないと答弁してもらいたいんですよ、もう一回。時間外在校等時間が月平均で三十にはこだわらない、もっと下げていくんや、それに全力するということでよろしいですか。改めて、もう一回言ってください。
○松本(洋)国務大臣 その月三十というのは、今年の通常国会において成立をいたしました改正給特法の附則の中にそうした数字というものが示された上で、それを達成をしていくということで私は申し上げたところであります。ただ、できる限り、三十がゴールではなくて、それを通過点として、更に教員の働き方改革を進めていくために、そして処遇改善を進めていくために、そして子供たちに向き合う時間をしっかりと確保していくために、更に進めていかなければいけないと考えております。
それは単なる口約束ではなくて、文部科学省として、そのための様々な取組というものも現在進めているところでありますので、そういう意味では、こうした取組というものを着実に、そしてしっかりと進めていき、今後、そうしたいわゆる働く時間をより適切なものに短くしていく取組を進めてまいりたいと思います。
○大石委員 結局、月三十時間というのも守れるのか、時間外在校等時間を月三十時間以下にすらできないんじゃないのかという状況の中で、三十という数字にこだわらずというんだったら、それなりのことをしないといけないと思いますよ。
月三十時間の残業に減らしていくにしても、やはりこれは予算をつけて、教員を増やすしかないんですよね。現状においてそういうことができていない中で、学校の先生が過密労働に追い込まれていて、過密労働というのは全然休憩時間が取れないという状況ですよね。これが国会の中でも随分労基法違反じゃないのかと質問されてきましたし、そして、国会の外の司法、裁判でもこれが労基法違反というのも認定されてきていますので、やはり全力でさっさとこの是正をやりましょう。
それで、質問で、ちゃんと通知とか、学校の校長先生に、それができるように、休憩を取れるようにちゃんと文科省がやらなければいけないでしょう、そういう問いなんですけれども、問い一ですね。
今年、通常国会があって、六月十八日に私大石あきこがこの文科委員会において質疑を行ったんですけれども、公立学校において校長が教員に休憩時間を取らせない結果、労働基準法違反状態にあることが公的に認定された事実が二つありますねということで、事実を二つ提示したんですよ。
一つは、ちょうど一年前ぐらいの二〇二四年十二月九日開催の土佐町議会、議会での議事録ですね、確定した議事録で、町議会議員と土佐町の教育長の間でやり取りされたものなんですけれども、学校の先生が四十五分間の休憩時間、これは労働基準法で、八時間以内労働だったら四十五分間の休憩時間を取らせないといけないんですけれども、取れているんですかというふうに町議員が聞いたんですよね。そうしたら教育長が、正味取らせられていないと。それは労基法違反じゃないのか、労基法違反やと。ちなみに、周りの四町村も同じだし、全国でも同じ状況やというような答弁が確定しているんですよね。だから、既に学校現場で四十五分の休憩時間が取れていないという事実が一つ明らかになった事例。
それから、もう一つが、今年三月二十五日の高松地方裁判所で、学校の先生、元中学校の教諭が損害賠償を求めた訴訟の判決で、損害賠償が認められたんですよね。労基法違反、三十二条と三十四条の違反が認められたんですよ。
これはどんなものかというと、生徒の合宿ですね。これは、いわゆる超勤四項目といって、学校の先生が超勤の命令を出されてもいい方の業務なんですけれども、その生徒合宿に同行した教諭に幾ら超勤を命じてもいいといえども休憩時間を与えなかったということは、労基法三十二条、三十四条の違法であると。
八時間を超える労働をしていたので、法的に六十分の休憩を取らせないといけなかったんですけれども、その六十分を取らせなかったということと、あとは、八時間を超えた長時間のお仕事をしたので、できるだけ直近の別日で割り振りをしなければいけなかったんですけれども、割り振りをしなかったということで、労基法違反が実際に認定されています。
そういうことで、過密労働、長時間労働というところで、学校の先生に、まずこの八時間であれば四十五分の休憩を取らせていかなければいけない、そして、超えた時間に関しても別日で割り振りをしっかりやっていかなければいけないということが、これは、文科省としてちゃんと認識して、国会の中でも随分質疑されましたし、裁判でも確定して、今裁判でも認定されていますので、そういったことを文科省が意識して、今までどおりの通知ではなくて、こういったことも受けて、よりちゃんと休憩時間が取れるように通知しなければいけませんよね。
それで、国会が閉じて、これまでの間にそのような通知を行いましたか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今、大石委員から御指摘があった、休憩時間を適切に勤務の割り振りによって確保していくということ、これは当然、法令に基づくものでございます。
今回の給特法を踏まえた指針の改正を、各教育委員会に指導を行った通知、九月の文部科学事務次官通知におきまして、給特法の改正を踏まえた内容として、休憩時間の確保等に関する労働時間等の規定を遵守する旨等を定めた業務量の適切な管理等に関する指針を周知し、改めて、所管の学校に対して、十分な指導助言に努めていただくようお願いをいたしました。
また、各種会議などにおきましても、教師の働き方改革とともに、こうした休憩時間の確保についても指導助言を行ってきているところでございます。
○大石委員 このように文科省がおっしゃるんですけれども、でも、その通知も拝見したんですけれども、全然、国会の質疑ですとか、裁判でそういった労基法違反を認定されて、休憩時間を校長がしっかりと義務として取らせなきゃいけないよ、そういうことを受けた内容では全くなくて、前から存在する規定をしれっと出しているだけなんですよ。全然全力でやっていないんですよね。休憩時間をそもそも取らせていないですよね。
まず文科省にお聞きしますが、学校の先生の休憩時間について調査しているんですか。調査しているなら、その年度と名前を教えてください。
○望月政府参考人 休憩時間そのものについては、勤務の割り振りによりまして校長が行うものでございます。その勤務の割り振りについて、しっかり校長が自分の仕事として行っているものというふうに考えてございます。
義務自体につきましては、今申し上げましたように、地方公務員である公立学校の教師についても労働基準法の三十四条は適用されてございますから、仮に公立学校の校長が所定の休憩時間を当該教員に与えていないと認められる場合には、労働基準法に違反するものとございます。(大石委員「問い二」と呼ぶ)失礼しました。
○斎藤委員長 一旦戻っていただいて。
大石君。
○大石委員 休憩時間に関して文科省が調査しているのですかと聞いて、問い二に関連する問いだったんですけれども、そのように事前に文科省に聞きましたら、調査しているということで、二〇二二年の教員勤務実態調査をしているということを紹介されまして。だから問い二のことで聞いているんですけれども。
ただ、もう時間もないので言いますが、この勤務実態調査、休憩時間の調査はしているんですかと言ったら、文科省が答えるのは、勤務実態調査で調査していると。だけれども、この調査というのは、休憩時間の定義が本来の労働基準法に照らし合わせた休憩時間の定義と違いますよね。
二〇二二年の調査自体の休憩時間の定義を教えてもらえますか。端的にお願いしたいです。あと四分なので。(発言する者あり)
○斎藤委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○斎藤委員長 速記を起こしてください。
望月初中局長。
○望月政府参考人 休憩時間の定義のお尋ねですけれども、本人が自主的に休憩あるいは休息、その他、そのときは雑談をする時間も答えたことがあると思いますけれども、そうした自分で自由に使える時間ということで御答弁を申し上げたと思っています。
○大石委員 おっしゃるように、二〇二二年の勤務実態調査における休憩時間の定義は、休息、休憩、校務と関係ない雑談などの、一分単位で先生が自己申告で足し合わせたものだったんですよね。
だけれども、労基法でそういうカウントはしちゃいけないよという、ちゃんとした休憩時間の定義があって、四十五分取らせなければいけないところの休憩時間というのは、このように書いてあるんです。単に作業に従事しない手待ち時間を含まずに、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であってと。その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと。
だから、文科省の休憩時間の調べで、関係のない雑談とか休息とか、コーヒーを飲んだりとか、隣の先生同士と話し合ったりするような時間というのは、労働時間にカウントするべきだと。休憩時間四十五分というのは、ちゃんと労働者が労働から離れることを保障されていないといけなくて、それと違う定義の休憩時間の調査を二〇二二年になされたんですね。
だけれども、この結果においても、四十五分の休憩時間に対して、雑多な、本来カウントしちゃいけないものも含めて、小学校は二十三分、中学校の先生は二十三分、高校の先生は三十六分。だから、本来休憩時間カウントしちゃいけないものもぶっ込んだ調査結果としても四十五分すら取れていなかったという意味で、これは二重に逃れようのない、休憩時間が取れていない、労基法違反状態なんですよね。これは社会でいえば誰もが知っている事実だとは思いますけれども。
労基法違反状態だとお認めになりますね。文科大臣、答えていただきましょうか。この事実、労基法違反ですね。
○松本(洋)国務大臣 地方公務員である公立学校の教師についても労働基準法三十四条が適用されているということから、一般論として、仮に公立学校の校長が所定の休憩時間を当該学校の教員に与えていないと認められる場合には労働基準法に反するものとなると考えております。
我々といたしましても、そうした教員の皆さんが確実に休憩時間を取れるようにするためにも、学校における働き方改革の更なる推進、そして教職員定数の改善など学校の指導、運営体制の更なる充実を進めてまいりたいと存じます。
○大石委員 全力でやると言うてはったけれども、これは仮にも文科省の実態調査で、四十五分休憩に対して二十三分しか取れていない。しかもこの休憩時間というのは本来カウントしちゃいけないものも入っているという、文科省のオフィシャルの調査で四十五分取れていないという事実なんですけれども、仮にもというのはどういうことですか。決定しているじゃないですか。だから、全力でやるというのもやはり口だけやったと言わざるを得ないので、直ちに是正してください。まともなことをやってください。
問四も聞きますね。
改正給特法の附則第六条、すなわちこのように実態調査も曖昧なというか間違った定義で行われた上に、改正給特法で時間外在校等時間という本来なら残業時間として支払われるべきところを支払われないまま、だけれども長時間労働の是正はしていきますという改正給特法が通りました。その中の附則六条で調査をやると言っているんですよ。せめてこの調査は絶対にまともなものでやらなければいけないんですけれども。
この調査、附則第六条の調査、問四です、政府は二年を目途として勤務の実態調査を行いとあるんですけれども、この調査とは、誰が、いつ、どのような項目について調査を行いますか、文科大臣。
○斎藤委員長 松本文部科学大臣、申合せの時間ですので、簡潔にお願いします。
○松本(洋)国務大臣 教師の勤務状態の更なる改善のために調査を行うということでありますが、近年、教育委員会における教師の在校等時間の客観的な把握が徹底されてきたため、全国の教育委員会が年間を通じて把握する教師の在校等時間の状況等について文部科学省において集約をすることが可能となりました。
このため、今後は、毎年度教育委員会に対する調査を実施をし、時間外在校等時間について上限時間の原則である月四十五時間以下の教師の割合や一か月当たりの平均時間などを把握していく予定となっております。
○大石委員 まとめますね。
おっしゃっているのが文科省主体の調査やというふうにおっしゃっているように聞こえるんですけれども、教育委員会ということで、結局地方の教育委員会の調査を統合しただけのものになるかもしれないし、非常に怪しいと思っています。これは冒頭申しましたが、時間外在校等時間というのは本来労基法で定められる労働時間、そして払われなければいけない時間、それを払わずに長時間労働を是正するというやり方を改正給特法でされます。これはたくさんの会派が、政党が賛成したので、この調査で勤務の実態が確実に、正確に把握できるように……
○斎藤委員長 そろそろおまとめをお願いします。
○大石委員 文科省の責任で把握できるように、この調査というものを賛成した党もしっかりと位置づけて見張っていただきたいんです。
時間が来たので、終わります。
○斎藤委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 改革の会の阿部弘樹でございます。よろしくお願いします。
まず、高等教育についてのお伺いをいたします。SPRINGプランというのは、大学院生の数を三倍に増やすということですね。大学院生に食事や住居、その他の優遇措置を図るということですが、もう既に始まっているところですが、現在、大学院生に占める外国人の割合というのは何%ぐらいですか。
○西條政府参考人 お答えいたします。
今御指摘のございましたSPRING制度でございますけれども、令和六年度の支援人数として、全体で一万五百六十四名でございますが、そのうちの留学生が四千百二十五人ということで、約四〇%でございます。
○阿部(弘)委員 じゃ、このSPRINGプランというのは、三倍にするというのは、外国人を三倍にするんですか。日本人は、そんな、住居費や給与に相当するようなお金、生活費、もらっていないですよ、大学院生。
○西條政府参考人 お答えいたします。
このSPRING制度でございますが、これは、修士課程からの進学者を増やすということを目的として行ってきたものでございますけれども、その中で、これまでは留学生が生活費相当額の支援対象となっていたところでございます。
そのため、今回、主に、日本人学生の博士後期課程への進学の支援、また学生が安心して研究活動に専念できるようにするための支援、また大学による学生に対するキャリア支援や環境整備、この事業趣旨を改めて明確化した上で、留学生への生活費相当額の支援は行わないこと等の支援の在り方を見直すこととしているところでございます。
○阿部(弘)委員 いつまでも外国人のための専門教育なんかやっちゃいかぬですよ、日本国民の税金で。まず、日本人の大学院生が日本で学べない。奨学金も返さなきゃいけないものばかり。そして、生活費もかかりますよ、遠隔から都会の大学に出てくれば。そんな考え方で、三倍と目標にしてありますけれども、三倍も、外国人のために、国民の税金を使うんですか。
○西條政府参考人 お答えいたします。
先ほど申したことのちょっと繰り返しになりますけれども、このSPRING事業につきましては、先ほど申し上げたようにちょっと見直しを行っておりまして、そういった形でこれからも進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○阿部(弘)委員 日本は、主に論文などを作成することは理系大学院が重立っておりますが、そういうところで、しっかりと大学の施設も、基準額を二十年前と変えていないものだから、政府の皆さん方の答弁では、これから予算をつけますと。二十年前の基準額じゃ全然整備もできない。
そういう中で、外国人の留学生には、生活費、そして授業料も免除、そして三倍も増やしますと。その知的な生産、知的な研究がどんどんどんどん外国に流出して、今や日本人の論文作成率は上位じゃないですよ、ほぼ中ぐらい。だから、ほとんどの人が母国に帰って研究を。日本でよかったなと、住居費用も生活費も全部ただで、最先端の研究も勉強できて、そして母国に帰って更にその研究の特許などを取り進む。そういうことは改めるべきじゃないんですか、文科省。
○西條政府参考人 お答えいたします。
我が国の研究力強化の観点からは、先生御指摘のあります優秀な日本の博士人材の輩出、優秀な外国人の受入れ、共に重要と認識をしてございます。これを実現するための施策に取り組んでいるところでございます。
今御指摘いただきましたSPRING事業につきましては、近年、経済的な不安やキャリアパスの不透明さを理由に博士後期課程に進学する学生の数が減少傾向にあることを踏まえまして、これを解決するために立ち上げた制度でございます。
一方で、優秀な留学生の獲得、これも我が国の研究力強化の観点から重要であるということで、SPRINGとは別に、こういったものについても対応する施策に取り組んでいるところでございます。
これらの取組によりまして、引き続き我が国の研究力強化に努めてまいります。
○阿部(弘)委員 文科省も、日本国民の税金で成り立っている日本政府ですから、もっと日本人ファーストのことを考えたらいいですよ。
アメリカの大学の話をします。
アイビーリーグの大学は、やはり、大学院生には初任給が出ますね、初任給相当の。そして、生活費も、暮らしていく優秀な学生には奨学金ももちろん出る。これは貸与じゃないですよ。そして、ためた、プールしたお金でいろいろな方々が投資をする、まさにこれが大学ファンドなんですよ。
だから、ハーバード大学などはその額が百七十一億ドル。相当な額なんですが、利率は、プライベートバンクの人たちなどを中心に、多くの方々がこのハーバード大学の大学ファンドに投資をする。投資の利回りが一〇%やそれ以上を超える。卒業生などは遺贈、寄附をそういう母校にすることもあるし、投資のために預けることもある。そういう制度は日本ではつくっていかないんですか。
遺贈制度というのは、大学の、特にいろいろな特許を取るような大学がありますけれども、そういうところは、そういう制度をつくったらどうですか。この後、政府系ファンドについては御質問しますけれども。どうぞ。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、国立大学にとりまして、先ほどございました遺贈も含めた寄附金などの外部資金によって、大学の財源の多様化を進めることは大事だというふうに思っております。実際、国立大学に対する寄附金の受入れでございますけれども、平成十六年には六百五十六億円でございましたが、令和六年度には千百九十九億円になるなどいたしてございます。
遺贈につきましては、京都大学に遺贈寄付相談センターなどを設置をいたしまして、専任のスタッフによる相談を受け付けながら、遺贈を検討している方々への相談を実施するなど、大学全体としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
○阿部(弘)委員 アメリカのアイビーリーグの寄附の仕組みは、もちろん税制上の優遇もありますから、日本も遺贈ですと相続税よりもはるかに高い税率になりますから、税制上の優遇を考えると、いろいろな、今、お金がなくなって、地方の大学では研究というものが死語になっている、そのようにノーベル賞学者が、大隅良典先生、酵母のオートファジーでノーベル賞を取られた先生ですが、そういうことを御存じですか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
地方にある大学、例えば地方にある国立大学におきましては、今日も本委員会で御議論がございましたように、急激な物価高騰や人件費の高騰などによりまして、研究費がなかなか措置されないという話は伺っておるところでございます。
先ほども松本大臣からも御答弁を申し上げたとおり、私ども、松本大臣の下、運営費交付金の確保等に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○阿部(弘)委員 外国人の大学院生ばかりつくっていたら、教員のなり手もいないですよ。
そもそも、今まで博士号を取っても働き口がない、あるいは大学のポストもない、それが日本人が大学院に進まなかった原因じゃないかと思いますので、今後ともよく検討いただきたいと思います。
大臣も、ちょっと高等教育についてどういうお考えがあるか、意気込みをお願いします。
○松本(洋)国務大臣 ありがとうございます。
科学技術イノベーションは、国内外の社会課題の解決に貢献をし、持続可能で強靱な社会を構築する源泉であり、その重要性はますます高まっていると認識をしております。
先ほど来、私、何度もお答えをさせていただいておりますけれども、本当に、これから我が国が将来に向けて発展をしていくために、そして国民の皆さんの一人一人の暮らしを豊かにしていくために、この科学技術の力というものは大変重要でありますし、それを支える研究活動というものの充実というものはまさに必須であろうと私自身は思っているところでありますので、そのつもりで、予算の確保を含めまして全力を尽くしてやってまいりたいと思います。
加えて、今委員からお話がございましたように、こうした博士課程に進む人材をいかに増やしていくのかということで、もちろん、そのための制度というものも大変重要ではありますが、同時に、社会全体で、特に経済界、産業界の皆様方にも御理解をいただいた上で、こういう人たちの採用、並びにその正当な評価というものも併せて社会全体としてつくっていくということも必要不可欠なんだろうと思っているところであります。
そうした社会の全体の動きにつきまして、経済産業省を始め、各省とも連携をしながら取組を進めてまいりたいと思います。
○阿部(弘)委員 アメリカの東海岸、西海岸もそうなんですが、大学というのは、理系の科学者はもうかる商売になっているんですよ。だから、是非とも、日本も研究をすれば財を成せるような社会につくり上げていただきたいと思います。
せっかく厚労省もお見えでございますが、新医師研修制度の弊害というのは様々ございます。その中で、研究能力が壊滅した。私も母校に行くと、研究しているのは、恐らく生活費を優遇されている外国人の方々でしょう。いろいろな外国人の方々が試験管を振っておりますが、日本人はほとんどいない。
そんな新医師研修制度、やめたらどうですか、そんなもの。僻地での医者も派遣できない、臨床もできない、研究もできない。そんな大学、どうしてつくっちゃったんですか。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
医師の臨床研修制度につきましては、医師が将来専門とする分野にかかわらず、医師としての人格を育成し、基本的な診療能力を身につけることを基本理念として平成十六年度に必修化したところでございます。これにより、研修医の基本的な診療能力が向上し、研修医の身分や処遇も改善されたと認識しております。
一方で、大学病院以外の病院で臨床研修を受ける研修医が増加したことにより、大学から地域の医療機関への医療機能供給が低下したり、研修医が都市部に集中する傾向が強まったものと認識しております。
こうしたことから、厚労省においては、平成二十二年度から人口分布や地理条件等を考慮した都道府県ごとの研修医の募集定員上限を設定し、地域偏在の是正に取り組みますとともに、各都道府県においては、割り当てられた研修医の募集定員を各病院に配分するに当たり、大学や医療関係者から構成されます地域医療対策協議会の意見を踏まえ、地域医療の確保に配慮した定員配分を行うこととしております。
臨床研修制度の廃止につきましては、医師が基本的な診療能力を身につけるという臨床研修の目的、内容や、大学病院以外の病院への影響等も踏まえ、慎重な検討が必要だと考えております。引き続き、医師の基本的な診療能力の向上や地域医療の確保に資する必要な取組を進めてまいりたいと思っています。
○阿部(弘)委員 そんなことは聞いておらぬから、次からあなたを指名しませんから。あなた、見てくださいよ、そんなこと聞いていないんだよ。全国の国立医学部の病院が、八割が赤字。患者さんを診る人がいないんですよ。その元凶の一つが新医師研修制度じゃないですか。あなた、俺の質問時間なんて少ないんだよ。今日は、ありがとうございました、いっぱい増やしてもらってね。そんなの、あんた、自分の自説を、どうでもいいことばっかり言うんだったら、あんたなんか呼ばないよ、次から。
ありがとうございました。終わります。
――――◇―――――
○斎藤委員長 次に、愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、伊藤忠彦君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。津村啓介君。
○津村委員 ただいま議題となりました愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。
令和八年に開催される愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会が大規模かつ国家的に重要なスポーツの競技会であることに鑑み、最近における社会経済情勢の急激な変化に対して経費の削減等を図りつつ的確に対応するとともに、大会の円滑かつ安全な実施を確保する観点から施設の警備、暑熱に関する対策等に万全を期するため、必要な特別措置を講ずることが必要であると考え、本案を起草する次第であります。
次に、本起草案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、国は、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会に対し、これらの大会の準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができることとしております。
第二に、お年玉付郵便葉書等に関する法律に規定する寄附金付郵便葉書等について、同組織委員会が調達するこれらの大会の準備及び運営に必要な資金に充てることを寄附目的として発行することができることとしております。
第三に、電波法の特例として、同組織委員会については、無線局の免許、登録申請等の手数料及び無線局の電波利用料に係る電波法の規定について、適用除外とすることとしております。
最後に、本案は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の提案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○斎藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、これを許します。大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
本件、愛知・名古屋アジア・パラ競技大会特措法及び決議に反対いたします。
この大会は来年の九月から十月に開催予定だということで、その大会経費が、当初見込みが一千二百億円だったのが三千七百億円と言われ、三倍超に膨張しているということで、これに国費をぶっ込む、そういう特措法ですね。
これは問題がありまして、誘致時に、運営費は国は負担しないとした閣議了解を事後的に特措法で覆すものであり、今後の大型イベントに対してあしき先例となります。ならぬと決議などでもおっしゃっているんですけれども、なりますね。
四百億円をぶっ込むとされているんですけれども、この国費支援というのが、ここも教育がありますけれども、生活、福祉、医療など優先度が高い分野をおいて大会赤字補填に回される、こういうことがこの国で国策として続いていますので、やはりこれは反対しなければならないですね。
つぎ込んでも解決しませんね。予算が、経費が高騰し過ぎて、選手村をやめて節約すると聞きましたが、これは必要なものでしょう、選手にとって。バリアフリーは大丈夫なんだ、クルーザーとかホテルで、まあ詳細は決まっていないけれども大丈夫なんやと言われても、それは無理ですし、何よりこれは大きな犠牲者が二つ生まれます。
一つは、県民ですね、愛知県民。これは、法案の説明者によりますと、県民、愛知県の、財政調整基金八百億円全部取り崩すんだと。千五百億円ぐらいあるんですけれども、そのうちの使えない分を除いた全額ですね、八百億円を取り崩してまだ足りないんだという説明でした。なぜこれで開催しようと思うんでしょうか。愛知県議会でそれは通ったんですかねと言ったら、説明者によると、まだだということなので、愛知県民の議論すら待たずに国会ではしごを外すということがあっていいんでしょうか。
そして、犠牲者がもう一ついると言いました。これは建設の未払い業者ですね。このアジパラでの運営関連の受注を、GLイベンツという今悪名高い業者が何と六百三十億円で受注しているんですよね。
このGLイベンツがなぜ悪名高いかというと、大阪万博。大阪万博で未払いを起こして係争中なのであります。このGLイベンツは、大阪万博で六つのパビリオンを手がけたんですけれども、そのうちの四つで少なくとも未払いということで係争中なんですよ。マルタ館、セルビア、ドイツ、ルーマニアですね。
セルビア館の方は、先月離婚して、八月の、これは建設業者さん、未払いで、物すごい額の、一億円以上の額の未払いになっていて、離婚して、八か月のお子さんと別れないといけないんだというような、そういった、国内の建設業者が未払いで倒産したり家族と離散したりという悲惨なことを招いている業者に六百三十億円、国費でぶっ込むのが四百億円、愛知県民の財政調整基金取崩しが八百億円と、これはちょっと間尺が合わなさ過ぎるでしょうという状況の中で、これは、れいわ以外が賛成ということで本当にいいんでしょうか。
れいわ新選組は反対します。
終わります。
○斎藤委員長 これにて発言は終わりました。
この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。松本文部科学大臣。
○松本(洋)国務大臣 本法律案の御提案に当たりまして、委員各位の払われた御努力に深く敬意を表します。
愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案については、政府としては特に異議はございません。
○斎藤委員長 お諮りいたします。
本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○斎藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○斎藤委員長 この際、深澤陽一君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。安藤じゅん子君。
○安藤(じ)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して説明に代えさせていただきます。
愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する件(案)
二〇二六年に行われる愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会は、国際親善、スポーツ振興等に大きな意義を有するものとして、政府は、大会運営に当たる公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)に協力する一方で、財政健全化が緊要な課題であることに鑑み、簡素を旨とし、国によるいかなる負担も助成も行わないことを二〇一八年に閣議了解している。
愛知県及び名古屋市においては、大会の成功に向けて最大限の経費の削減等を図りつつ適切に準備が進められているものと認められるが、開催まで一年を切ったいま、最近における建設資材や人件費の高騰など、開催都市に決定した当時には想定することが困難な社会経済情勢の急激な変化に的確に対応する必要が生じてきている。
このような状況を踏まえ、閣議了解の重さを十分認識しつつも、二〇一八年の閣議了解当時には想定することが困難なほどの社会経済情勢の急激な変化等を背景とした極めて特別な事情があることから、今回の措置は前例としないことを前提に、大会の円滑かつ安全な実施に万全を期すために「愛知・名古屋アジア競技大会及び愛知・名古屋アジアパラ競技大会に関する特別措置法案」を起草する運びとなった。
政府は、同法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 今後、同種の国際大会に対し、国が補助する際には、現下の厳しい財政事情を踏まえて、その必要性等について十分検討を行い、真に必要なものに限って行うこと。
二 国の補助の実施に当たっては、組織委員会から業務を受託した業者が更に当該業務を他の業者に委託する場合など数次委託が行われ、又は見込まれる場合において当事者間における紛争の適切な予防・解決を確保するための措置を講ずるとともに、国民への情報公開・説明を行うことを、組織委員会に対して求めること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○斎藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○斎藤委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松本文部科学大臣。
○松本(洋)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○斎藤委員長 お諮りいたします。
本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時一分散会

