衆議院

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第4号 令和7年12月5日(金曜日)

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令和七年十二月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 斎藤 洋明君

   理事 岸 信千世君 理事 永岡 桂子君

   理事 深澤 陽一君 理事 荒井  優君

   理事 安藤じゅん子君 理事 津村 啓介君

   理事 高橋 英明君 理事 西岡 義高君

      あべ 俊子君    阿部 弘樹君

      安藤たかお君    五十嵐 清君

      石田 真敏君    遠藤 利明君

      小渕 優子君    柴山 昌彦君

      関  芳弘君    武部  新君

      丹羽 秀樹君    平沼正二郎君

      福田かおる君    松野 博一君

      宮内 秀樹君    向山  淳君

      山本 大地君    青山 大人君

      五十嵐えり君    菊田真紀子君

      坂本祐之輔君   佐々木ナオミ君

      下野 幸助君    高橋  永君

      竹内 千春君    辻  英之君

      西川 将人君    吉田はるみ君

      阿部  司君    徳安 淳子君

      藤巻 健太君    石井 智恵君

      浮島 智子君    平林  晃君

      山崎 正恭君    大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       松本 洋平君

   文部科学大臣政務官    福田かおる君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            恒藤  晃君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            合田 哲雄君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         小林万里子君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       西條 正明君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            坂本 修一君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    浅野 敦行君

   文部科学委員会専門員   津田樹見宗君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     平沼正二郎君

  渡海紀三朗君     向山  淳君

  船田  元君     五十嵐 清君

  牧  義夫君     西川 将人君

  阿部  司君     藤巻 健太君

  山崎 正恭君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     船田  元君

  平沼正二郎君     安藤たかお君

  向山  淳君     関  芳弘君

  西川 将人君     牧  義夫君

  藤巻 健太君     阿部  司君

  平林  晃君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     石田 真敏君

  関  芳弘君     渡海紀三朗君

    ―――――――――――――

十二月四日

 教育環境の整備及び教職員の待遇改善に関する請願(岸信千世君紹介)(第一六四号)

 教職員が教育に専念できる環境の整備等を求めることに関する請願(升田世喜男君紹介)(第一九一号)

 同(川内博史君紹介)(第二八一号)

 民間委託を推進するような積算単価を見直すとともに、学校現業職員の法的位置づけを求めることに関する請願(神津たけし君紹介)(第二〇四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五二号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二五三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五四号)

 同(田村智子君紹介)(第二五五号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二五六号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五七号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(馬淵澄夫君紹介)(第二〇五号)

 私学の経常費及び授業料助成の増額に関する請願(荒井優君紹介)(第二七九号)

 大学等学費半額と入学金ゼロ、奨学金返済の負担軽減に関する請願(本村伸子君紹介)

 (第二八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

斎藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官恒藤晃君、文部科学省大臣官房長茂里毅君、総合教育政策局長塩見みづ枝君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長合田哲雄君、高等教育局私学部長小林万里子君、科学技術・学術政策局長西條正明君、研究開発局長坂本修一君、スポーツ庁次長浅野敦行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斎藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新です。

 本日は、日本成長戦略実現に向けての人への投資について主に質問させていただきたいと思います。

 高市内閣が目指す強い経済を実現し、我が国が持続的に成長、発展するためには、その基盤となる人材の育成が極めて重要です。

 自民党として取りまとめました総合経済対策に向けた提言においても、産業イノベーション人材の戦略的な育成を推進すること、そのために、産業界の参画を得つつ高校、大学、大学院等を一気通貫で改革していくことを提言しております。具体的には、いわゆる高校無償化に先立って実施する高校教育改革の取組や産業構造の変化を踏まえた高等教育の構造改革に取り組むことが必要だと認識しております。

 いわゆる高校無償化に向けては、私も文部科学副大臣の立場や自民党の政調副会長、事務局長の立場で関わってまいりましたが、十月末の三党合意文書においても、公立高校や専門高校への支援の拡充など、高校教育の振興方策について明記されているところでもあります。

 私の地元もそうでありますけれども、少子化が加速化する地域では、高校教育の維持や学びのアクセスの確保に苦戦している自治体もあります。専門高校等が果たしている地域社会、産業を支える人材育成の機能を強化する必要があるとも考えております。

 そこで、いわゆる高校無償化に先立つ高校教育改革については、今回の補正予算案にも基金の計上などを行っていると承知しておりますが、具体的にどのように支援を行っていくのか、文部科学省の見解を伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 未来を見据えた我が国の成長には社会や地域産業を支える人材育成が極めて大事でございまして、高校がその重要な役割を果たしていると考えてございます。

 地域の経済社会を支えるエッセンシャルワーカーの圧倒的不足あるいはいわゆる理系人材の不足が指摘される、武部委員がおっしゃるとおり、今後の少子高齢化の中で、高校生の生徒数も大きく減少していくことが深刻化されると考えてございます。

 このため、いわゆる高校無償化と併せまして、今年度中に国が策定をいたします高校教育改革に関するグランドデザイン二〇四〇に沿った緊要性のある取組等につきまして、先行的に補正予算で支援をするということを考えてございます。

 その内容といたしましては、一つは、地域産業人材を育成するエッセンシャルワーカーの支援、いわゆる理数系人材育成、文理横断の学習、そして地域でなくてはならない高校に対する教育機会の確保の観点からの多様な学習ニーズへの対応でございます。高校教育改革を先導する拠点のパイロット校を創設し、そのため、都道府県に基金を設置するための約三千億円を計上しているところでございます。

 加えまして、学ぶ意欲のある高校生が家庭の経済状況に左右されることのないように、放課後等を活用して、地域との連携によって学力向上、学習支援を図るような取組にも支援をしていきたいというふうに考えてございます。

 当該地域の実情を踏まえた高校教育改革を先導できる取組に対しまして必要な支援ができるよう、国としても伴走支援を行ってまいりたいと考えてございます。

武部委員 産業イノベーション人材の戦略的育成には、今御説明いただいたとおり、高校教育改革と連動する形で高等教育改革にも取り組んでいく必要があると思います。

 産業構造の変化に関しては、将来、今もお話ありましたけれども、理工、デジタル系人材やエッセンシャルワーカーが不足するという予測もあります。このような状況を踏まえて、高等教育の構造改革にも取り組まなければならないと承知しております。

 今回の補正予算案にも、大学等に対する成長分野への転換支援を盛り込んでいると思いますが、それらも含め、高校教育改革と連続性を持った高等教育改革を進めていく必要があると考えますが、どのように取組を進めていくのか、文部科学省の見解を伺いたいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま武部先生からお話をいただいたとおりの社会的な構造、産業構造の変化でございますが、他方で、我が国におきましては、高校、大学を通じて、理数科目から早々に離れていってしまうといったような構造的な課題があるというふうに認識をいたしてございます。

 この状況を改善するため、令和七年度補正予算案におきましては、先ほど望月局長から答弁をした三千億規模の高等学校教育改革促進基金を新設するとともに、文理分断構造の転換を図る成長分野転換基金を二百億積み増しし、既存の基金残高と合わせて一千億円規模で再始動するなど、これらを一体的に活用して、高校から大学、大学院に係る一貫した改革に取り組むための経費を計上しているところでございます。

 こうした人材育成改革を進めるために、松本大臣の下にタスクフォースを設置をいたしてございまして、その議論を踏まえ、文理分断からの脱却や、専門教育を重視する高校教育とも連動する形で、大都市の大規模大学における理工、デジタル系人材育成の強化や、人社系学部における学生教員比率の改善、数理、デジタル併修による質の向上などを通じて、高校教育から大学教育までの構造改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

武部委員 我が党の柴山先生の質問にもありましたけれども、高校までは理系が好きだけれども、大学に進学する際に理系を諦めてしまって文系に進んでしまう、そういうような子供たちが結構いらっしゃるというふうに承知しております。ですからこそ、高校教育と高等教育一体となって連携して、必要な人材を育てていく、理系人材を育てていくことが大変重要だと思います。

 それと、これも大学の関係、高等教育関係になるんですけれども、日本の経済、日本全体の経済活性化のためには地方が元気になる必要があると思っています。総理も所信演説の中で引用されておりましたが、吉田松陰先生の言葉のとおり、地方の活力は、すなわち日本の活力であると考えています。

 昨日、政府は、地域未来戦略本部の初会合を開催されました。地域の産業を支える人材確保、育成支援も検討課題となっているところです。

 地方活性化に向けた一つの鍵となるのが、地方大学の振興だと考えています。私が文部科学副大臣のときに、地方大学の振興策を検討し、その方向性を取りまとめました。

 また、中教審においても、「我が国の「知の総和」向上の未来像 高等教育システムの再構築」の答申においても、質の向上、規模の適正化、アクセスの確保を目的に、高等教育政策の方向性を示されたところでもあります。アクセスの確保という観点は非常に大事だと思います。地方大学は、エッセンシャルワーカーを始め各地域、産業を支える人材を輩出するなど、地域の活性化には地方大学の役割が非常に重要となっています。

 私の地元である北海道でも、例えば、地元の北見工大、帯広畜産大学、小樽商大が法人統合しまして、北海道国立大学機構が誕生しました。この大学は、有機的な教育研究の融合が行われています。工業と農業とそして商業と、高等教育、大学のレベルで、今は農業掛ける工業とかIT、スマート農業とかありますから、こういったことで北海道全体の地域課題の解決に取り組んでいる例もあります。

 各地域の状況や課題に応じてどのような人材を育成していくべきなのか、これは大学関係者だけではなくて、当然、自治体も、それから、その地域の産業界も巻き込んだ取組が必要だと考えています。

 地方大学の振興に向けどのように取り組んでいくのか、文科省の考えをお聞かせください。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 武部先生には、副大臣時代に大変御尽力を賜りました。

 地域の社会や産業を支える人材育成を持続可能とするため、このためにも高校教育から大学教育までを構造的に改革するということに取り組む必要があると考えておりまして、先ほど申し上げました令和七年度補正予算案において、必要な経費を計上しているところでございます。

 その上で、各地域において、例えば、十五年後の二〇四〇年のその地域の社会や産業のあるべき姿を見据え、知事と学長の緊密な連携の下、地域の産学官が人材需要を共有し、高校改革と連動する形で、その地域においてどのような大学あるいは高専であるべきかなど、地域ニーズを踏まえた人材育成方策を協議、実行するための地域構想推進プラットフォームの構想を支援することとしており、その中では、例えば、地域に不可欠な医療分野に関しては、自治体と大学、大学病院が連携して、地域医療を支える人材育成等にも取り組むことといたしております。

 その際、文部科学省といたしましては、経済産業省や厚生労働省などとも緊密に連携し、これらの取組をしっかりと支えてまいりたいと存じております。

武部委員 副大臣のときにいろいろと大学も視察させていただいて、今お話にあったとおり、金沢大学なんかは、文理医融合の学域でやっている大学もありますし、山梨大学なんかも、大学のコンソーシアムだけじゃなくて、県も入って、あるいは地場の産業も入ってコンソーシアムを使って、この地域のどういう未来像をつくっていくか、それにはバックキャストでどんな人材が必要かということをプラットフォームをつくりながら人材育成している大学、地域もありますので、是非これを進めていただきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、スポーツの振興について質問させていただきたいと思います。

 強い経済の実現に向けては、勝ち筋になり得る分野への投資を強化することも重要だと思います。これも私が文部科学副大臣時代に検討したことですが、スポーツを生かした経済活性化は大いに可能性を秘めていると考えています。

 スポーツの振興には、トップスポーツから地域スポーツ、健康増進、さらには、スポーツツーリズムやスポーツホスピタリティーなど様々な切り口の取組がありますし、多種多様な主体が関わっています。民間事業者と組んで健康町づくり、これに取り組む自治体もあります。また、プロバスケットボールのBリーグは、各クラブが町づくり事業に参画する、そういうノウハウを持っていまして、そういう好事例もたくさんあります。

 スポーツの可能性を最大限活用して地域社会の活性化や課題解決に貢献していくという考え方の下、スポーツがもたらす価値、可能性への認識を広げるとともに、企業や自治体など多様な主体が連携する体制構築を支援して、そこからまた新たな価値の創造や経済効果を生み出していけるような好循環、エコサイクルをつくっていくことが大変重要だと思っておりますけれども、国としても是非取り組んでいただきたいと思っておりますが、スポーツ庁の見解を伺いたいと思います。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 スポーツ庁といたしましては、スポーツが地域社会の活性化や課題解決に貢献し得るものと考えており、本年八月に、当時の武部副大臣の下で、スポーツを生かした経済活性化、地方創生の実現に向けた取組の方向性等について議論し、取りまとめを行ったところでございます。

 地方では、急速な少子高齢化や人口減少、それに伴い地域の経済や活力が低下している中、各地域のスポーツ団体や自治体、企業の連携が限定的であり、経済成長や地域活性化に貢献し得るスポーツの多様な価値、可能性を活用し切れていない状況が見受けられます。

 スポーツ庁といたしましては、本取りまとめを踏まえ、スポーツにおける様々な主体の連携体制を構築し、各主体の事業を一体的に取り組んでいくことで、スポーツを通じた地方の自律的な成長を実現し、スポーツ界と地域や社会が共に発展していく好循環の創出を支援していくための予算確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。

武部委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。

 この前の大臣所信も含めて、今回の高市総理の所信表明演説でも私立高校の無償化と給食の無償化というのを期限も切って明言されているというのは、大変覚悟の決まった立派なことだというふうに思っておりました。大変そこは、ある意味野党ではありますけれども、ずっと提言もしてきたことですので、よくここまで踏み込んだなというふうに思って拝見していましたが、昨日、今日になって、いろいろニュースでも、この無償化というものが本質的な無償化なのかどうかということが取り沙汰されていますので、冒頭にそこの質問をさせていただきます。

 実は幾つかの市町村からも、給食の無償化について交付税の措置をするとなると、交付税が不交付の団体に関しては実質的に増税になるんじゃないかということで、御相談もいただいています。もちろん、今、制度設計は各党で、与党で行われていると思うんですが、文部科学省として、今、この交付税で措置するみたいなことをどのように考えているのか、まず教えていただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる給食無償化につきましては、本年二月の自由民主党、公明党、日本維新の会、三党合意において、国と地方の関係も含めた様々な論点について十分な検討を行うとともに、安定財源を確保することとされております。

 三党の実務者による検討チームにおきましては、先月七日から議論が本格的に開始されまして、その後、自治体首長等からのヒアリングや地方団体との意見交換が行われていると承知をしております。

 文部科学省といたしましては、政党間における御議論等の結果も踏まえ、対応してまいります。

荒井委員 ありがとうございます。

 もちろん、文科省としてはそういう答えが精いっぱいだというふうに思います。今日のこの委員会にも各協議に参加されている先生方が多いかというふうに思いますが、特に給食に関して、昨日、今朝というか、上げられてきたニュースでは、無償化という言葉が実質的に相当トーンダウンしてしまうんじゃないかというふうに思っています。

 全額無償化ということが実質的に難しいということがそれぞれの先生方の話からも上がっているように拝見しますが、どうぞここは諦めずにしっかり頑張っていただきたい。元々、高市総理が、全額無償化するんだということを所信表明演説でもおっしゃられていたというふうに思います。ここでその部分を申し上げることは差し控えますが、是非頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、先生方、よろしくお願いいたします。

 もう一点、これも非常に大きなあれでしたが、私立高校の無償化。

 もちろん、これは大阪で実現してきたことを日本維新の会と自由民主党の連立合意の十二項目の中に盛り込まれていて、この十二項目の連立合意に盛り込まれていた中で唯一、高市総理の所信表明演説でも、期限を切った政策として打ち出されていたのが、この私立高校の無償化だったというふうに思っています。

 実は、私立学校の現場では、これは一体、本当に四月から始まるのか、若しくは、始まっても三年で終わるんじゃないかみたいなうわさもあって、なかなかしっかりとした提示が、例えば、今の中学校三年生、もう今、十二月に入りましたから、高校の受験希望というのを出しているわけですけれども、保護者としてもやきもきしながら、また学校としても、詳細が分からないので、非常に苦しみながら、ただ、現場では、三年で終わるんじゃないかみたいなことも言われていたわけです。

 恒久的な財源を措置しなければ、結局、困るのは現場の皆さんなわけですが、ただ、昨日、おとといぐらいのニュースには、これを扶養控除を減らすことで対応するみたいなこともニュースに出ているわけですね。非常に大きなことだというふうに感じているわけです。

 これは質問には、事前には伺ってはおりませんでしたけれども、また、文科省はまだそういった議論には入っていないんだとは思いますが、ただ、先ほど武部先生が御質問されていらっしゃいましたが、武部先生と僕は同じ北海道ですが、例えば、僕の札幌市は私立高校は二十校ぐらいあるわけですが、武部先生の地元には私立高校というのはそんなに数はないわけです。

 そうすると、この扶養控除を減らすと、つまり公立高校に通わせている親御さんの負担だけが増えていくということになりかねないんじゃないかということを心配しています。恐らく、四百万円から九百万円の年収の世帯の方々、かつ、公立高校に子供を通わせている方が実質的な増税になるというのは、これは本来目指している姿ではないんじゃないかというふうに思っていますので、この扶養控除を減らしていく財源のつくり方というのはやはり違うのではないかというふうに思っています。これは答弁は求めませんが、同じく与党の関係者の皆さんには、そもそも総理が目指しているものとは違う方向に進んでいることに懸念を申し上げておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続いて、質問を続けますが、今回の私立高校の無償化によって一つ実現することは、私立高校というものの経営がほとんど税金で賄われるという形になるわけです。

 金銭的には、収入的には実質的には公立と変わらなくなるというふうに思うわけですが、一方で、じゃ、そういう税金によってほぼほぼ運営されている私立の学校がどういう経営状況なのかというのを公表する義務というのは、実は、文科省所管の、つまり大学を持っている学校法人に関してはこれを義務づけられているわけですけれども、県が所管の、つまり高校しか運営していない学校法人に関しては、この公開は義務ではないんですね。努力義務という形になっていて、必ずしも公開しなくてもいいわけです。

 ただ、考えてみてください。これからどんどん税金によって学校が運営されていくわけですが、その運営状況がどういう状況なのかというのを、納税者である有権者や若しくは保護者の皆さんが知らない状況で運営されていくということに関してはかなりの不安を覚えています。

 というのも、僕自身、私立高校の経営をしていましたけれども、実際の私立高校の経営状況はかなり厳しいところも正直あるというのが実態だと思っています。そして、そういう状況も踏まえてしっかり公開しながら、それは保護者や有権者の選択にも資するんじゃないかというふうに思いますが、今後、文科省として、この公開をやはり義務づける必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございましたように、大学等を設置する大臣所轄学校法人につきましては、全国的に学生募集を行われることを踏まえ、計算書類等のインターネットによる公表が義務づけられているところでございます。

 他方、御説明にありましたように、知事所轄学校法人につきましては、その規模等の違いに応じまして、計算書類を備え、関係者が閲覧できるようにする形で情報開示を行い、インターネットを通じて広く情報を公表することまでは必要ない場合も考えられるため、これまでインターネットによる公表までは求めていなかったところでございます。

 こうした考え方を踏まえながらも、本年四月に施行されました改正私立学校法におきましては、全ての学校法人におきまして積極的な情報公開を行うことが望ましいことから、大規模な知事所轄学校法人に対しましては、計算書類等の情報公開を今回改めて義務づけますとともに、その他の知事所轄学校法人に対しましては、これまでのように関係者が閲覧することは引き続きできますけれども、計算書類の情報公開に関するいわゆるインターネットでの部分につきましては努力義務ということになっております。

 文部科学省としましては、引き続き、改正法の趣旨の周知徹底を始め積極的な情報公開が、努力義務ではございますけれども、進んでいくようにいたしたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 僕も、過去、二校、学校運営に関わってくる中で、実際にその学校の運営に携わってみると、財務諸表が相当悪くて、あと二年分しか、二年運営するのにぎりぎりな現金しかないみたいなことも両方の学校でありました。県は違いますけれども。

 よくよく考えると、こういう学校の運営の再建がうまくいかなかったら、不利益を被るのは当然生徒になるわけですね。あるとき突然、学校法人がお金がないから運営できませんというふうになれば、その高校生たちはどこに行かなければいけないのか。本来なら、これは、それぞれの各県が所管ですから、県の学事課などがそういった財務諸表をしっかり読み込んで、これは大丈夫なんですか、どうしますかということをやらなければいけないと思うんですが、過去、そういった県はほとんどなかったように、僕の少なくとも肌感ではあります。

 そうなると、しっかりとこういった公開を事前にして、もちろん不安をあおる必要はないんですが、学校の経営改善を早め早めに促していくというのも、これから少子化がどんどん進んでいく中で必要なことじゃないかというふうに思いますので、是非、文科省としても、積極的な情報の公開、そしてその経営の指導をしていただきたいなというふうに思っております。

 残りの時間は、大臣と文科省と、まさに学校というものがどうやったら変わっていくのかということを議論させていただきたいというふうに思っています。

 今日も、前半は予算とかお金の話をしてきているわけですが、もちろん、文部科学省は五兆円ぐらいのお金を使いながら日本の教育を運営しているわけですが、でも一方で、僕は学校の現場にいて感じるのは、学校はやはり予算とかお金の話だけではないし、もちろん教育の中身だけではなくて、学校現場の空気感みたいなものが、実は、一番この学校というものがよりよくなっていく大切なものなんじゃないかというふうに思っています。

 僕の感じでは、不登校だったり、若しくは先生の休職が増えていくということも、実は、すべからく職員室の中での空気感というものが影響しているんじゃないかというふうに感じていまして、僕自身も、学校改革にはどうやったら職員室をより明るく風通しがよくできるかというのに邁進したことを覚えています。

 今日は、資料に、僕の高校にインターンで来てくれた、「ビリギャル」の映画のモデルになった小林さんの本から幾つか抜粋したものを御用意しております。

 御承知の方も多いと思いますが、小林さんは、学校というものがそもそも嫌いで、そして塾の先生によって救われて、慶応大学に行って、今でも頑張られているという形なわけですが、でも、僕のやっている学校に来てくれて、学校というものの見方が変わったということをこの本の中では書かれているんだというふうに思います。

 二百十九ページにございますが、まさにその彼女が、いろいろな学校で講演を、大臣もされていたり、文科省の皆さんもいろいろな学校にたくさん行かれると思うんです。ただ、学校に行けば行くほど、まさにここでは彼女は、変化が起きにくいところが学校じゃないかというふうにも書かれているんですが、この学校の変化が起きにくいというのは、組織論としては、やはり、なかなかいろいろなことがイノベーティブに前に進まない、そして非常に何を言っても動いていかない。そういったことが、先生たちが仕事をしにくくなったり、また、生徒たちもこの学校にいても仕方がないと思うことの一因じゃないかというふうに思うんです。

 そこで、文科省に伺いたいんですが、どうして学校とはこうして変わらないというような組織になってしまったのか、お答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 荒井先生からの配付された資料、私も拝見させていただきました。荒井校長先生と生徒のやり取り、あるいは、この生徒が変わっていく様子、学校それから教師との考え方をどんどんどんどん進化させていった様子がよく分かりました。感銘いたしました。

 今お尋ねの、学校がなぜ変わりづらい組織であるかというお尋ねでございます。

 我が国の学校を考えてみますと、知徳体にわたって全人的な教育を行うことがずっと戦後期待されてございまして、確かにそうなっています。これは時代を超えても変わらない要素だと思っています。

 一方で、教育課程、あるいは、多くの児童生徒がいる学校の中で、教師と学校との関わり、あるいは地域との関係の中で、グローバル化やテクノロジーの進展など社会環境に応じて変化を求められる部分がある一方で、学校のそうした元々の伝統や雰囲気、風土といった観点から、先ほど申し上げた全人的な教育の観点の教育の方針という中で、変わらないという部分もある。だから、変わっていく部分と変わっていかない部分というのが共存しているものというふうに考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 変わっていく学校、変わらない学校、変えちゃいけないところと変えるべきところと、それぞれもちろん組織にはあるというふうには思っていますが、やはり学校によって、そういった空気感をまとっている学校と、まとっていない学校があるんじゃないかというふうに思います。

 二百二十三ページのところを見ていただきたいんですが、小林さんも、ここで、生きている学校は、生徒たちが自分の意思を持つことが許されている、というか推奨しているような環境があるように思う、そうじゃない学校は、生徒たちが意思を持つことを抑制してしまっているんじゃないか、そういうことを書かれているわけですね。

 まさに僕もそう思っていました。自分自身が学校にいたときに、やはり生徒たちが意思を持つことを許さない雰囲気というものが僕の赴任した学校にはあって、それをどうやって変えていくのか、ライブリーにするのかというのに努めてきたなというふうに思うんです。

 望月さんがお答えになるかどうか分かりませんけれども、望月さんは、生きている学校、そうじゃない学校というのを、学校現場に行かれることは多々あると思うんですが、お感じになることはあったのでしょうか。

望月政府参考人 いろいろな視察は行かせていただきましたけれども、非常に子供たちの様子が伸び伸び、生き生きしている学校、それから、先生と生徒の関係というのが非常に信頼関係があるなと思っている学校、いろいろあると思います。

 学校とは、一人一人の児童生徒の、自分のよさや可能性を認識して、その資質、能力を伸ばしていく場であると考えてございます。生きている学校というのを、この著書の方では、子供たちが意見を述べたり、あるいは他者との対話や議論を通じて考えたりする機会を持つということも一つあると、これは大変重要な要素だというふうに考えてございます。こうした機会というのは、児童生徒が自分自身のこととしていろいろな社会のことを考えたり、あるいは他者のことを考えたり、あるいは自らのそうした課題を解決するといった教育的意義も大きいものだと考えてございます。

 校則の見直しについても触れてございますけれども、校則の見直しの過程における児童生徒の意見の聴取をする機会の確保、あるいは、子供たちの発案をきっかけとした学校行事などというのも今行われつつあります。学校の雰囲気とか、あるいは地域ぐるみでの学校のそうした状況というもの、児童生徒のいろいろな声も聞きながら、子供たちの主体的な社会参加に関わる教育の改善ということについては、一つの、今後の必要な資質、能力を身につけるという中においても大事な要素だと考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 ちょっと戻っちゃいますけれども、二百二十ページの中ぐらいに、命令文のことについてまさに小林さんが書いているわけですね。命令文で相手の行動を変えることはできないということを書かれています。

 多分、ここに突き詰まるんじゃないかと思っていて、学校ではよく、指導する、指導という言葉が、学習指導要領の指導もそうですが、学校現場でも、指導しましたみたいなことを、指導しておきましたと、たくさん使われるわけですが、でも、それは、よくよく聞くと命令文に近いような形のような気もするんです。

 彼女の視点からするとそれを命令文というふうに書いているかと思いますが、やはり上から物事を変えようとするその姿勢というものが、実は、子供たちが自発的に成長していく、もっと言うと、先生たちが自発的に活動していくことをやはり阻害してきているんじゃないかというふうに思いますので、是非、望月さんを含めて文科省の皆さんにはしっかり今後もいい文科行政を進めていっていただきたいというふうに思っております。

 時間がまだありますので、二百三十二ページの最後のところですね。

 今、世の中が、これは世界中ですけれども、違いを認めない社会になりつつあるというふうに思っていますが、本来、学校というところは、ここで小林さんも書いていますが、まさに違うということを知れる場所なんだということを書かれているわけです。つまり、違う人たちが集まって一緒に学んでいる、これを子供の時代から経験することで、その違いをお互いに認め合うということをみんな学んでいくんだというふうに思っています。

 今こそ、こういう学校というものの重要性が非常に必要なんじゃないかというふうに思っていますし、これは否定することはもちろんないとは思うんですが、是非、文部科学省として、違いを認める意味での学校の意義というのを改めてお伝えいただきたいと思います。

松本(洋)国務大臣 現場での荒井委員の経験に基づくお話、私も大変興味深く傾聴させていただきました。是非、いろいろとまた御指導いただきたいと思っております。

 学校に通う子供たちは、性格や発達状況、家庭環境などが一人一人異なっております。外国にルーツがある子供や特別な支援が必要な子供もいる、そういう場所であります。そうした子供たちが学年、学級などの生活を共にする集団の中で多様な他者と出会い、共感やあつれきの中で自己を知り、高めるとともに、他者とどのように共存するかという、社会を形成していく上で不可欠な様々な人との関係づくりを学ぶことは大変重要なことであると考えております。

 我が国の次代を担う子供たちがそれぞれ豊かな人生を送り、国家及び社会の形成者として必要な資質、能力を身につけることができるような学校となるよう、私自身が先頭に立って汗をかいてまいりたいと思います。

 たまたま昨日、上目黒小学校というところにちょっと行ってまいりまして、これは研究校ということでいろいろな独自な取組をやっているんですけれども、たまたま、「はかせタイム」という場所を拝見をしました。子供たちが自分たちで問題意識であったりとかこんなことをやってみたいというテーマを見つけて、それを一生懸命、勉強をしたり練習をしたりする。例えば、紙飛行機でギネス記録を超える、そんな紙飛行機を作りたいだったりとか、バク転できるようになりたいだったりとか、カードゲームを自分で作りたいだったりとか、手品を練習しているんですとか、いろいろな子供たちがいたんですけれども。

 すごく印象に残っているのは、子供たちが目をきらきらさせているのもそうなんですけれども、私が何しているのと聞いたら、その問いかけに対して十倍ぐらい物すごい熱量で私にその思いを語ってくれる子供たちの姿を拝見をしたりしました。

 先生と話をしたときに先生もおっしゃっていたのは、この時間をやることによって、先生たちも、今までふだんの学校の生活の中では見えなかった子供たちの様子というものを改めて知る機会にもなりましたというお話がすごく自分の中には印象に残っているところでもあります。

 やはりこうした取組も含めまして、そうした子供たち一人一人の違いというものをしっかりと認識をしてそれらの個性を伸ばしていくということが極めて大事なことだということも改めてすごく感じたことも、生きている学校という話がありましたけれども、それに関わって、ちょっと私自身の思いを述べさせていただきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 この前の所信の質疑のときから、大臣が自分の言葉で答弁されていることには大変共感を持って拝見していましたので、今日もありがとうございます。今日のこの質疑は誰が答えるかをこちらからは明示しなくて、是非文科省で考えてくださいというふうに投げていましたので、このタイミングで大臣にお答えいただいたことを感謝しております。

 僕は、でも、いつも思っているんですけれども、学校もまさに違いがあって、できている学校とできていない学校とがあるんだというふうに思います。それは地域によってもありますし。是非、文科省の政務三役若しくは文科省の皆さんに、難しい学校、苦しい学校にこそ足を運んで行っていただいて、先生たち、生徒たちのしっかりとした、何とか頑張ろうとしている姿勢というものを、やはりその場所に行くということが一番必要なんじゃないかというふうに思っておりますので、是非そういった姿勢もよろしくお願いします。

 最後に大臣にお伺いしたいのは、僕も私学出身でもあります。日本の教育を改めて、文部科学省の行政も考えて突き詰めていくと、やはり日本の教育は福沢諭吉から始まっているというふうに僕は考えています。独立自尊ということを福沢諭吉はずっと言い続けてきたわけですが、教育というのは国家のためにあるのではなくて、一人一人が独立した学びをしていくことによって国を形成していくんだ、まさに明治維新のときにそう言い続けてきたわけで、ゆえに、福沢諭吉は、文部科学大臣にもならず、東大の総長にも声がかかってもならず、あくまで私学として慶応義塾大学を運営してきたというふうに思っております。

 そういう、まさに福沢諭吉のまなざしを受けて教育を受けてきた大臣として、今文科大臣をされているわけですが、この独立自尊という言葉を今の立場でどういうふうにお考えになっているのか、教えていただけますでしょうか。

松本(洋)国務大臣 委員御指摘の独立自尊という言葉は、私も、学校で教育を受けていたとき、様々な経験をしてきたときに、常に胸に刻んでいた言葉であります。

 現在、大臣という立場なので、個別の教育理念についてのコメントは避けたいと思いますが、ただ、文部科学省が教育行政においてその力をしっかりと発揮するために、職員一人一人が省の理念に共感をし、主体的かつ協働して職務に当たることが大変重要だと思っているところであります。そのため、文科省では、今年の七月にミッション・ビジョン・バリューというものを策定をいたしまして、立場を超えて協働することや、国民の声を受け止め、次世代への責任を果たすことを職員の行動指針として示しているところであります。

 文科省の職員がそれぞれ、そうした形で活動をしていくことも大変大事であるわけでありますが、先ほど、上目黒小学校のお話もさせていただきました。学校それぞれが創意工夫をしていますし、もっと言えば、クラスの担任の先生一人一人が、教師の一人一人がいろいろな創意工夫をしながら学校の教育というものに当たっていただいているということが実態だと思っております。

 そういう意味では、文部科学省行政もそうでありますけれども、そうした教育に携わっていただいている皆さんお一人お一人もまた、独立自尊ではないですけれども、やはり自ら教師として考え、行動をし、子供たちの未来を切り開いていっていただきたいと思っているところであります。もっと言えば、そうした思いというものを受け止めて、子供たちも、そうした形で、自分たちで考えていろいろな道を目指していく、また勉強を、学習を深めていただく。やはりこうしたことをやっていくことが大変大事なのではないかと思います。とりわけAIだったりとか、いろいろな社会の変革がある中で、やはりこうした考え方というものはこれからなお一層大事にされるべきではないのかなということを、私は個人として大変強く感じているところであります。

荒井委員 終わります。期待しています。ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今委員会では初めての質問になります。大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、ちょっと今週は、私はこのニュースにとても残念な思いになりました。それは、学校基本調査における特別支援学校中等部卒業者の集計、これが大学進学率を出すときに除外されていたという問題です。もう本当に、私はこのニュースを見たときに、とても胸が痛くなりました。なきものにされたんじゃないかとか、本当に傷ついた方がたくさんいます。文科省、どうしちゃったのと、本当にちょっと残念な思いになったんです。

 この十二月一日の毎日新聞の報道で、文部科学省の学校基本調査で、大学進学率などに使用される十八歳人口の集計から障害のある児童生徒が通う特別支援学校の卒業者が除外されていることが判明しましたが、この調査自体は、平成十一年、一九九九年の学校基本調査報告書に初めて登場したものです。

 この除外はいつから行われていて、そして、その除外されている年から今まで、除外されていた総人数は何名になるでしょうか。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 学校基本調査における大学進学率の算出におきまして特別支援学校の生徒のデータが含まれていなかったことは適切ではなく、しっかりと改善を図ってまいります。

 学校基本調査におきましては、一九九九年度の報告書におきまして一九五四年度まで遡りまして大学進学率を公表し、それ以来、同じ算出方法を用いております。

 お尋ねの、一九五四年度から二〇二四年度までの大学進学率の算出におきまして含まれていなかった特別支援学校の中等部及び特別支援学校制度創設以前の盲学校、聾学校、養護学校の中等部を卒業した生徒の総数につきましては、現在の確認段階では、約四十六万人でございます。

吉田(は)委員 四十六万人という数字を聞いて、ちょっと衝撃を受けています。一九五四年から遡ってということで調査されているということは承知しました。でも、これは本当にちょっと、文科省、大問題だと思います。

 では、まずこれはちょっと大臣にお伺いしたいんですが、当然ながら、この問題、厳しく受け止めていただいて、過去に遡って再集計して、修正、そして公表を行っていただきたいと思います。これは大丈夫ですかということをお伺いしたいのと、どのぐらいのスピードでこの修正作業というのはできるでしょうか。お伺いいたします。

松本(洋)国務大臣 学校基本調査における大学進学率の算出において特別支援学校の生徒のデータが含まれていなかったことについて、適切でなかったことは明らかであります。改善を図るべきと考えておりますし、また、改めまして、関係する皆様におわびを申し上げたいと存じます。

 少しだけお話をしたいと思いますが、委員御指摘のとおり、これはメディアによって報道がされました。その直後に、私自身も、初めてこの事実というものをそのメディアの報道で知ったところでありまして、すぐに、これは一体どういうことなんだということで省内の中からお話を聞かせていただいたところであります。そして、早急に、実際にその大学進学率の算出方法の在り方について、経緯の確認なども含めて調査並びに見直すようにということで指示を出し、そして先般の閣議後の記者会見で私からそのことを申し上げたというようなことであります。

 見直しに関しましては、過去の数値も含めて対応することとしているところであります。ちょっと今ここの時点でいつまでという明確な期限をお示しをすることはできないわけでありますけれども、ただ、今申し上げたように、私自身も、今回の件については大変重く受け止めているところであります。そうした意味において、可能な限り速やかに公表をしていきたいというふうに考えているところであります。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 今回、この件が判明してから、翌日には大臣も対応してくださったという点に、そこは本当に感謝申し上げたいと思います。

 誰かを責めて何かするというわけではなくて、今回の件で、やはり多くの特別支援に通う児童生徒、保護者の方、また社会の方が悲しい思いや衝撃を受けました。そのことに対するやはり誠実な対応を私はお願いしたいというところでございます。

 では、修正された後に公表され、また、大臣の方から説明があるという認識でよろしいでしょうか。

松本(洋)国務大臣 どういう形で公表をするかというところはまたちょっといろいろと調整をしてまいりたいと思いますけれども、少なくとも、本件に関して、事務方から説明をさせてそれで終わりだとは思っておりませんので、私自身の口で、きちんと国民の皆さんに対して、経緯であったりとか、どこまで本当に調べられるのかということはあるわけでありますけれども、そうしたことも含めて国民の皆さんにきちんと真摯にお伝えをできるように、私自身から御説明ができるようにしてまいりたいと思います。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。今、心強いお言葉をいただきました。

 皆様のお手元に配付している資料の一ページ、これは、大学、短期大学、高等専門学校における障害のある学生の在籍者数です。御覧いただいたように、この学校調査が始まった平成十一年、これはもっと前ですけれども、そこを見てみても、本当に進学する方が増えています。もっともっと増えると思います。今、大学入学でも、合理的配慮など、入試のところでもだんだん、どんどんと変わってきていますので、進学を目指す方々をやはり支援していきたいというところで今回の件は大変重要ですので、お願いをしたいと思います。

 今、大臣が、経緯を含めということをおっしゃっていただいたんですが、ここが実は私は肝だと思っております。

 というのも、今回、こうした除外したこと、特別支援学校から大学には進学しないんじゃないかとか、そういった差別意識が背後にあったのではないかという御指摘もございます。私自身も、大学で教員をしていた当時、精神的障害そして身体的障害を持ちながら本当に一生懸命勉学に励んでいる学生とたくさん会いました。絶対そういう差別があってはいけない、そこを私はとても気にしているんですが、文科省、今回どうしてこんなことが起きたのかなということを考えながら幾つか私も可能性を探していたところで、この文科省令というんでしょうか、これに出会いましたというか見つけまして、これが配付資料の二ページになります。

 文部科学省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要綱ということで、平成二十七年の十二月二十五日に文科省がきちんと訓令を出していらっしゃるんですね。この訓令にはこうあります。

 不当な差別的取扱いの禁止、この第二条には、職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利、権益を侵害してはならないとあります。

 また、研修・啓発の第七条になりますが、「大臣官房人事課長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、法や基本方針等の周知や、障害者から話を聞く機会を設けるなど必要な研修・啓発を行うものとする。」というふうにあるんですね。

 これだけしっかり省内の中に、本来こういうことがあってはいけないよということが訓示されているけれども、なぜこれが除外されてしまったのか。これは、大臣、今までの中で何か御報告はございましたでしょうか。

松本(洋)国務大臣 まずもって申し上げたいのは、この文部科学省訓令というものに示されているように、我々は、そうしたハンデを持つ人々、様々な状況にある人たちに対して何かしら差別的な取扱いをするということは絶対にあってはならないというのが当然文部科学省の考え方でありますし、そのことを職員の皆さんにも一人一人に徹底をしているというところでもあります。

 実際のこれまでの経緯につきましては、過去の担当者への聞き取り、もう既に退職をされているような方々も含めて聞き取りを行っているところでありまして、時間がかかっているということもございますし、また同時に、様々な調査というものを今積み重ねをさせていただいているところでありまして、ちょっと現時点においてお答えできる状況にはないということは御理解をいただきたいと存じます。

 ただ、委員がお持ちの問題意識というものは、私のみならず、文部科学省の職員も共有をしているところでありますので、それに沿って、先ほども申し上げたように可能な限り速やかに、しっかりと公表をすることができるようにそして私自身から御説明をすることができるように、努めてまいりたいと存じます。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に文科省を応援する一人だからこそ、あえて厳しいことを言わせていただきます。

 これは、平成十一年から今まで、この間ずっと除外されていて誰も気づかなかったのか。この担当部署は何人の方がいらっしゃるんでしょうか。二、三人で回しているなら、その方々が気づかないということもあるかもしれない。でも、何人の方がこの学校調査に関わっていて、誰も、あれっ、ちょっとおかしいんじゃないか、除外するのはまずいんじゃないかという声がもし上がらなかったとしたら、やはり組織として何らか大きな、コミュニケーションの問題か、それか、もし本当に気づかないとしたら、これはやはり大問題だと私は思っているんですね。

 これは誰も、声が上がらなかったという認識で合っていますか。

塩見政府参考人 お答えをいたします。

 まず、お問合せがありました学校基本調査を含めた教育に関する統計の調査分析業務の担当でございますけれども、文部科学省総合教育政策局参事官調査企画担当におきまして担当させていただいておりまして、当該部署の定員は、現在、三十名ということでございます。

 声が上がらなかったというふうなお話がございました。過去の経緯につきまして、大臣から御答弁申し上げましたとおり、現在、その点につきましては確認を進めているところでございまして、現時点で明確なことを申し上げることは難しいわけでございますけれども、先ほども大臣からもございましたように、やはり職員の意識の向上、改善ということが大変重要であると考えておりますので、私どもも、今回の件、深く反省いたしまして、肝に銘じて取り組んでいきたいと考えております。

吉田(は)委員 総合政策局、三十名ぐらいの方がいらっしゃるということで、もしかして、これは大丈夫なのかなと思ってもちょっとボスには言えないのか、ちょっと分かりません。でも、誰かを責めるというわけではなくて、今回の問題というのは本当に大きな課題を抱えているということを是非御認識いただいて御対応をいただきたいと思います。包括的でインクルーシブな教育、これを推進しているのが文部科学省でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、大臣、最後に、この件に関して、研修、啓発、こういう障害者差別がないように研修、啓発を行うというふうに書いてあります。ちょっとこの状況も、大臣として、これを契機に調査いただいて現状を把握されてはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。

松本(洋)国務大臣 今回調査をした結果がどういうものになるのかということに関して今お答えをすることは困難であるわけでありますけれども、そこで改善すべき点というもの、今回こういうことがあったわけですから、当然、どこかしらに問題があったのはそれは間違いないと思います。

 ですから、そういう意味では、そうしたことをしっかりと明らかにした上で、今後こうしたことが起きないようにしていくためにどうしていくべきなのか、それは制度的な見直しかもしれませんし、また同時に、やはり職員の皆さんにも改めて、そうした研修、啓発等を通じていま一度しっかりと認識を持ってもらうということも当然私たちとしてはやらなければならないことだと思います。そこに関しましては、私の方からもしっかりと指示を出し、そして文科省を挙げてこうした研修や活動等にも取り組むことによって、職員の皆さんの更なる意識改革に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 今回のは、修正して終わりという案件ではないですので、どうかその点は、大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと、残りの時間に関しまして、短くなりますが、大臣の教育に対する考えをお伺いしたいと思います。

 十月二十六日、NHKの「日曜討論」で、司会者の方が成長戦略としての人材の育成が欠かせないのではないかというふうに問うた際、大臣がこのようにおっしゃいました。教育の分野においてもう一つ大切にしていかなければいけないことは、社会に必要とされる人材をどのように育て供給していくのかというような観点だと考えておりますというふうに発言されました。私、ちょうどテレビを見ながら、うっと、ちょっとひっかかってしまったところがございます。

 というのは、もちろんこれは成長戦略の文脈で語られたことではございますけれども、この供給という言葉、私はちょっと物のような感じがしたのと、そして、社会に必要とされる人材という言葉は、社会に必要とされる人材でなければ自分の価値はないのかなと、ちょっと不安を覚えました。

 これは、大臣、私が敏感過ぎるんでしょうか。ちょっとこのときの発言の大臣のお気持ちをお伺いしたいと思います。

松本(洋)国務大臣 委員の、供給という言葉に対しての違和感というものに関する御認識というものを今お聞かせをいただきました。私自身も、そういうふうな捉えられ方をしてしまったということであれば、反省すべき言葉遣いだったなというふうに率直に言って思っているところであります。

 「日曜討論」の場で、どんな中身だったかというと、今おっしゃられたように、成長戦略の中での教育という位置づけの御質問に対してたしかお答えをしたところだったと思っております。

 実際、今、日本の国の経済や社会というものが大きく変わっていく中におきまして、様々な社会の中で必要とされている人材像というものが変化をしてきているというのも、これもまた事実だと思います。そして、そこに対して、じゃ、教育というものが果たしてどういう役割を果たしていくべきなのかということも大きな論点になっているということも、これも事実だと思っているところであります。

 社会の中で必要とされ、さらには社会を牽引していくような人材を育てていくということも重要な教育行政の観点であると思っているところでありまして、御指摘の発言は、今後、産業構造も大きく変化をする中で、社会を持続的に発展させていく力を持った人材を教育を通じて送り出していくという趣旨で申し上げたところであります。

 決して、これが、物のように子供たちを扱っているという言葉でもありませんし、また、子供たちの将来の希望をそれによって縛るというような考え方に基づいているものではありません。

 ただ、社会の変化というものも同時に横目で見ながら教育行政というものは進めていかなければいけないという観点もあるんだろうと思っているところでもありまして、そうした意味をお話をしたいということで、ああいう表現になったということであります。

 いずれにいたしましても、先ほど荒井委員の中で独立自尊なんという話もあったところでありますけれども、まずは個人が自ら考え、そして主体的に取り組み、そして自らの未来の道を決めていくということが当然教育の一番の基本ではあると思っておりますので、そうした点で教育を進めてまいりたいと思います。

吉田(は)委員 私も子供を、もう成人しましたけれども、育てた一人の母親としてやはり感じるのは、子供を産み、育てること、それはその子供に幸せになってほしいとひたすら願うことでありますし、教育は、その子供に将来にわたって、親がいなくなっても、いなくなくなっても、一人で生き抜く力、それを与えてくれる、いわば子供への贈物と私は考えています。

 あえて成長戦略の文脈での教育を考えてみたとき、私は、この場合、教育の中で、休み、無駄、遊びをつくり、かつ、挑戦できる社会構造、これがイノベーションを生み、成長戦略としては大切だと思っております。

 ちょっと例を申し上げたいんですが、台湾のオードリー・タン氏は、十四歳で中学校を中退、その後、起業し、アメリカのシリコンバレーに渡って、三十五歳のときに台湾の初代デジタル発展大臣になられました。新型コロナウイルス感染症の封じ込めで成果を上げて、世界の注目を浴びたわけです。

 そのタン氏が、先月十月にアメリカのスタンフォード大学を訪れた際に、こんなことをおっしゃいました。

 AIに仕事を任せつつ、新たな変化に正しく適応するために、質の高い睡眠を取るというのはどうでしょうか。私の場合、八時間眠ればリフレッシュして目覚めることができ、前の日を引きずることはありません。睡眠が四時間だと、疲れを引きずったままで、新しい世界に向けた活力が足りなくなり、不安になります。私は、自分のことを競争力のある睡眠者と標榜しているほどですと。

 私は、休むということは本当に大事だと思っていまして、とても共感をしました。日本の生産性を上げること、実は、休息、これがキーなのではないかと思っています。

 また、アップルの創業者であり、MacやiPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズさん、彼も高校、大学を中退して放浪しています。でも、そのときにフォントを作るカリグラフィーに出会いました。三十歳で会社を追われ、iPhoneが生まれる。遊びの時間があり、失敗、挑戦がありました。

 また、今年のノーベル生物学・医学賞を受賞した坂口教授、十年間、坂口教授の研究は見向きもされなかったというふうにおっしゃっています。

 休んでいるときも、無駄に見えるときも、そして遊んでいるように思われることも、実はイノベーションにつながる道だと思います。

 日本の教育は、今、本当に管理がちょっとがちがちになっている。これはなぜか。その先に受験というハードルがあるからではないかと私は思っているんです。成長戦略も含め、大臣、ちょっと今日は時間がないので深掘りできませんけれども、受験の改革、こういった本当に、まさに考える力がある、自分で想像できる、そういう力を子供たちに届けたい、それは私は、やはり受験というものが大きくあるのではないかなと思いますが、最後に大臣のお考えをお伺いします。

斎藤委員長 吉田君に申し上げます。

 質疑時間を超過しておりますので、恐縮ですが、思いを大臣には受け止めていただいて、終わりとしていただきたいと思います。

吉田(は)委員 ありがとうございました。(松本(洋)国務大臣「しゃべりたかった」と呼ぶ)

 思いを受け止めていただきまして、ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、徳安淳子君。

徳安委員 日本維新の会、徳安淳子でございます。

 今回、初めて質問の機会をいただき、ありがとうございました。私も、今回は、質問の中身につきましては、身近な、周りにいらっしゃる方のお話を基に三問質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、先ほど障害のお話もございましたし、障害をお持ちの方を取り巻く環境の整備状況として、まず二問お尋ねいたします。

 初めに、これまでの教育支援内容と就労の課題です。

 様々な特性の障害をお持ちの子供たちへ、教育支援の内容は時代とともに制度の改正がなされてまいりました。例えば、二〇〇六年の教育基本法改正では「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」との規定が新設され、以降、様々な支援制度が整備されてきました。二〇〇七年には、従来の盲学校、聾学校、養護学校が特別支援学校に一本化した学校教育法の改正もございました。特別支援学級もあり、地域の小中学校に設置されています少人数のクラスで勉強もできます。

 障害の有無にかかわらず、誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の構築を目指しております。そして、その共生社会の形成のためには、障害のある子供の自立と社会参加を目指した取組を含めた学校教育が求められ、その重要度は増しております。

 そこで、その重要な役割を担う学校教育へのこれまでの支援策の検証をどのようになされておられるのか、課題からの現場に合わせた支援内容についてお聞きをいたします。また、これまでの教育制度からどのように就労へつなげているのかもお聞きいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある児童生徒の教育につきましては、先ほど徳安先生からも御紹介がございましたけれども、平成十九年に、障害の程度等に応じ特別な場で指導を行う特殊教育から、一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への発展的な転換を図る、あるいは、平成二十五年には、障害のある子供の就学先につきまして、本人及び保護者の意向を踏まえながら決定する仕組みに見直すなど、時代や社会の変化、そうした学校現場の実態等に応じまして、制度改正や環境整備を行ってきたところでございます。

 その上で、文部科学省におきましては、障害のある子供の自立と社会参加を見据えまして、一人一人の教育的ニーズに応じた指導と支援が適切に提供されるよう、学校における支援体制の整備を図ってきているところでございます。

 具体的には、学校におきまして、対象となる子供の教育的ニーズを正確に把握し、医療、福祉、保健、労働等の関係機関と連携した個別の教育支援計画を作成すること、対象となる子供の状況や取り巻く環境の変化等を定期的に把握し、教育的支援の内容を柔軟に見直すことなどによりまして、幼児期から学校卒業後までの一貫した的確な支援を行うこととしてございます。

 就労を見据えた教育という観点がございました。特別支援学校高等部のうち、知的障害のある生徒の教育課程におきましては、教科「職業」を必修といたしまして、産業現場等における実習を含めて、将来の職業生活を見据えた実践的、体験的な指導を実施することや、高等教育段階におきましても、障害のある学生に対する自己理解、職業適性の把握や、就職活動支援などのキャリア教育、就労支援を実施することなどに取り組んでいるところでございます。

徳安委員 多々、もちろん個別にお取り組みをいただいているというのは理解できるんですけれども、じゃ、それがどのような形で就労につながっているのか、その就労の率というか、就職率というか、そういうものが把握されておられるんだったら教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 特別支援学校高等部の卒業後の進路でございますけれども、就職者数は約三〇%となっているところでございます。

徳安委員 その三〇%の方々が経済的に食べていけるのか、その三〇%の方々が本当に自立していっているのかというところまでしっかり把握はされているんでしょうか、お尋ねいたします。

望月政府参考人 卒業後の進路のその後の状況については、一人一人の状況についてまで我々の方として承知をしているわけではございません。

徳安委員 生涯にわたってやはりしっかりとお一人お一人に寄り添うということが大事だというふうに思いますので、最初、幼少の頃から卒業までは、今お話のあったとおり、いろいろ個別のニーズに合った形で御指導、御支援されているというのは理解できるんですが、その後の人生の方がうんと長いわけで、その後こそまた大事だと思うんですけれども、その後、伴走するというお考えはないんでしょうか。

望月政府参考人 行政としてどこまでのそれぞれの方の人生のところについて支援をしていくかというのはそれぞれの制度によりますけれども、これは、文部科学省のみならず、厚生労働省等、他の福祉部局等とも連携を図りながら、子供たちや保護者も含めた支援というのが全体で必要ではないかと考えてございまして、文部科学省の方のみで、学校を卒業した後のそうした方々の支援というのを網羅的に把握をし、そして支援をしていくということはなかなか難しいところがあるかと思ってございます。

 ただ、先ほど来御説明していますように、学校と学校以外の機関、あるいは学校を超えた段階、卒業した後の地域とか他の機関との連携ということは、これは各現場レベルでも大事だと思っていますので、そういった連携につきましては、今後とも指導助言してまいりたいと考えているところでございます。

徳安委員 お一人お一人人生に関わるというのは大変難しいというか、かなりの労力もかかるというのはもちろん理解できるんですけれども、そういたしますと、その就労された三〇%以外の方々はどのようにお過ごしなのか、どのように把握されているのか教えていただけないでしょうか。

望月政府参考人 繰り返しで恐縮でありますけれども、学校を卒業した後、一人一人がどういう家庭状況の中で、また社会の中で、職業あるいは社会の中でのそうした役割を果たしていくかということについて、網羅的に文部科学省で把握をできるものではないというふうに考えているところでございます。

徳安委員 先日、私の地元の兵庫の方から、文科省への来年度予算編成に対する提案というのが届きました。その中で、公立学校における障害者雇用ということで、障害者の学校現場等での任用を促進するために、障害者雇用に必要な財政支援制度の創設の要望がございました。教育委員会として、法定雇用率二・五%から、今、令和六年度が二・七%に引き上げられまして、来年度からは二・九%まで引き上げられるということから、積極的に採用を行っていくというような文言がございました。

 そうしますと、それぞれ学校に障害のある方が在籍時から例えば校内での採用に向けた練習とか訓練とかを計画的に行って、学校で就労への道というのも開けるのではないのかなというふうに感じているんですけれども、これまで、そのような教育制度を取り入れてこられているんでしょうか。

望月政府参考人 特別支援の例えば高等部につきましては、教育課程の中で自立活動というものを必須にしていたり、先ほども御説明しましたけれども、他の学校種にはない「職業」というものを知的障害の場合には設けているなど、自身が自立して生きていくため、そして他者と関わりながら社会で暮らしていく、そうしたことを一つ念頭に置きながらの教科も設けて、学校全体として子供が成長していくという課程をカリキュラム上も組んでいるというところでございます。

徳安委員 それでは、同じ障害をお持ちの方のスポーツのことをお尋ねしたいと思います。

 障害をお持ちの方のスポーツ競技というのは大変盛んになってきておりまして、ボッチャとかゴールボールなどはパラリンピック種目で学ばせていただいたところでもございます。近年の二〇二〇東京パラリンピックでも、選手たちが本当に、限界に臨む、困難なことがあっても諦めずに挑戦し続ける、生き生きと戦いに臨まれておられるそのお姿には、尊敬の念と勇気、感動をいただいております。

 パラリンピック開催が障害者スポーツを後押しする大きなきっかけとなったとも言えると思います。開催ごとに普及振興が全国に広がっておりますが、パラリンピックという大きな大会のアスリートの方々の雄姿もそうですが、やはり、そこまでいかなくても、ごく日常でスポーツを楽しむ、親しむことで、仲間との交流を深めて、孤立せず過ごせる社会形成にもつながると考えております。

 そのような、初めてスポーツを始められる方、ふだんからスポーツに接しておられる障害をお持ちの方々への支援などについてお尋ねをいたします。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 障害のある方がスポーツに親しめる環境の整備は重要であり、スポーツを実施する場所や活動を支える人材が必要であると考えてございます。

 スポーツを実施する場所につきましては、一般の方々がパラスポーツに出会う機会として、全国各地で様々な団体が体験イベントや教室を実施しております。また、地方公共団体が、パラスポーツセンターと呼ばれる障害のある方が優先利用可能な体育館やプールを有する施設を整備し、専門のスタッフを常駐させております。スポーツ庁では、これらに対して支援を行っているところでございます。

 また、各種イベントなどを行うに当たってはそれを支える人材が重要でございますが、日本パラスポーツ協会が行う指導者の養成に対しても支援を実施しております。

 さらには、日頃の活動の成果を発表する場として、全国障害者スポーツ大会を国は日本パラスポーツ協会、都道府県とともに主催しております。これは必ずしもトップアスリートだけではなく、競技経験の浅い方も出場して、ボランティア等として地元住民も運営に参加することで、障害者の社会参加や国民の障害に対する理解を深めることにつながっております。

 引き続き、スポーツ庁としては、こうした障害のある方がスポーツに親しめる環境の整備に努めていきたいと思います。

徳安委員 ありがとうございます。

 やはりいろいろなスポーツを通じて交流が深まるということも確かですので、そういう思いで障害者の方々への支援を引き続きしていただきたいと思いますが、最後に、松本大臣から、障害をお持ちの方々や御家族の方に何かエールを送っていただければと思います。

松本(洋)国務大臣 障害のある方の自立と社会参加に向けて、学校教育やスポーツなどの分野において文部科学省に期待されている役割は大変重要であると思っております。

 障害のある子供一人一人の教育的ニーズに応じて福祉、労働等の関係機関と緊密に連携を図りながら、幼児期から学校卒業後の就労まで見据えた切れ目のない一貫した支援を行うことや、障害のある方がスポーツに親しめる環境の整備を進めることなどを通じまして、障害のある方の自立及び社会参加の支援に取り組んでおります。

 障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の形成に向けて、文部科学省としても全力で取組を進めてまいります。

 なんですが、就労に関しても、先ほど委員からは学校にということでありましたけれども、やはり民間企業も含めて、そうした社会全体でしっかりとこうした皆さんの雇用を通じて受け止めていただくということも大変大事なことだと思いますし、また、私の地元に小平の特別支援学校というところがありまして、実はそこで私、野球盤って分かりますか、子供の頃に遊んだようなあの野球盤をもう少し大きくしたようなやつで、障害をお持ちの子供たちがすごく楽しんでいらっしゃるところに毎回お邪魔をさせていただいています。私もバッターボックスに立つんですけれども、なかなかヒットを打てないぐらい難しかったりするんですけれども。そこには、例えば実際のプロ野球でやってくださっている審判の方がお手伝いに来てくださったりとか、場内アナウンスをしてくれている方がいらっしゃってくださってその場を盛り上げてくださったりとか、制度としてのしっかりとした整備も大変大事なのでありますが、やはり国民の皆さんの御理解というものがなお一層私は大事なんだろうと思っているところでもあります。

 こうしたところでも、文部科学省がお役に立てることは何があるのか、そういうことも考えつつ、頑張ってやっていきたいと思います。

徳安委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので、最後の質問は離島への教育環境の整備についてお尋ねしたかったんですけれども、是非、教育の格差という言葉もありますので、格差のないようにしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 十二月になりました。もう幾つ寝るとお正月、そんな季節になってきたわけでございますが、年が明けますと、全国の多くの小中学生が書き初めの宿題に臨んでまいります。しかし、地元の保護者であったり書道教室の先生からお話を伺っていますと、この書き初めの宿題、これを課する学校が減ってきているということを耳にいたします。また、毛筆の授業に苦手意識を持つ学校の先生が増えていて、しっかりとした毛筆書写の授業が行われていないのではないか、そういった懸念の声もいただいております。

 毛筆による書写は、国語科の学習指導要領の中で我が国の言語文化に関する事項と整理されており、小学校三年生以上で年間三十時間程度配当されております。この時間は結構な時間だと思いますけれども、それだけの時間が配当されているというのは、重要な授業であるというあかしだと思っております。

 私も、毛筆による書写はしっかりと守り伝えていく、そんな必要のある重要な我が国の伝統的な言語文化だと思っております。墨をすって、姿勢を正して、筆の運びや筆圧を意識しながら、一筆一筆集中して文字を書く。書写は、日本人としての精神性をも育む大事な教育だと私は考えております。更に言えば、現代は余り字を書くという必要がなくなった時代であります。だからこそ、あえて紙に筆で字を書く、この行為は、脳科学的な効果の面から見ても、とても必要なことだと考えております。

 そこで、文科省の方に、冒頭申し上げたような、学校現場で起こっている毛筆書写の授業に対する懸念点、この懸念点について実態をどの程度把握していて、どのように考えているのか教えていただければと思います。

    〔委員長退席、岸委員長代理着席〕

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 宿題の状況というのは各学校で違いますので、私なんかも毎年毎年、書き初めが学校で年中行事でしたけれども、今、各家庭の状況も踏まえて書き初めをどういうふうにするかということについては実態を把握をしているものではございませんけれども、いずれにしましても、書写というものは小中学校の国語科の中では実施をしてございますけれども、文字を正しく整えて書く力を育むだけではなく、文字文化への理解や豊かな感性の涵養にも資する学びであると認識しているところでございます。

 その中で、書写に対する指導に一定、苦手意識を持つ教師もいるということをお聞きしていることはございます。

 学習指導要領に基づく書写の指導が適切になされるように、国語科ではありますけれども、その中でも特別に、国語の教科書に加えまして、書写の教科書を使用するということになってございまして、教科書発行者により多様な教科書が発行されております。その教科書を活用をしていくとともに、先ほどの苦手意識を持つ教師等のために、筆の動かし方に関する分かりやすいデジタル動画でありますとか、あるいは優れた実践事例の普及なども通じまして、書写指導がしっかりできるような形で努めているところでございます。

西岡(義)委員 御答弁ありがとうございます。

 書写ということなので、画一的に同じ課題に取り組むというような一面もありますけれども、例えば書き初めにおいては、本来の書き初めの意味である新年の抱負を書くであったり、ある程度自由度を認めていったり、そういった芸術性も考慮していただければと思います。

 今私も申し上げました、書写の授業に対する、指導に対する苦手意識を持っている教員が増えている、このことについて、大学の教職課程、ここにも原因があるのではないかという指摘がございます。例えば、九十分二こまの授業を受講しただけでは、きちんとした毛筆の指導力がつかない、こういった指摘がございます。

 この教職課程、現在の小学校の教職課程において、毛筆書写の指導がどのようになっているのか教えていただければと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の書写についての教職課程における指導でございますけれども、教育職員免許法施行規則に、小学校及び中学校の国語の養成課程において取り上げることになってございます。ただ、その書写をどの程度取扱うかにつきましては、各学校の自主的な判断でございます。

 今後、学習指導要領を踏まえました教職課程の実施に関しまして、教職課程認定大学への説明会などの場を活用しまして周知を行うなど、教員養成における書写指導の確実な実施を促してまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 毛筆書写は大切な伝統的言語文化でありますので、しっかりと教職課程から指導力を身につけられるよう、文科省の方でも検討していっていただければと思います。

 また、この書写、高校では芸術科目になって書道という授業になります。小中学校においても、この約三十時間を図工や音楽のように芸術科目として抜き出して専任教員を置く、そういった検討もできるのではないかと思います。学習指導要領の改訂の時期でもありますが、書の文化、これをしっかり守り伝えていくという視点は忘れずに検討を加えていっていただければと思います。

 このテーマの最後に、年が明ければ多くの子供たちが書き初めの宿題に臨むわけですけれども、その子供たちに対して、是非大臣から一言励ましのお言葉をいただければと思います。お願いいたします。

松本(洋)国務大臣 新しい年の始まりに行う書き初めは、毛筆を手に一画一画心を込めて丁寧に書くことで、自分の気持ちと向き合い、文字文化の奥深さや表現の楽しさを実感できる我が国のすばらしい伝統文化だと思います。

 と余り堅苦しいことを言うのではなくて、でも、やはり私自身が子供の頃に書き初めをしていた頃のことを思い出すと、自分自身、今年はどんな字を書こうかなとかというのを考えつつ、今年一年の目標だったりとか、今自分が思っていることを書き初めで表すとしたらどんな言葉になるのかなとか、いろいろなことを考えるきっかけになったのもこの書き初めというものだったんじゃないのかなと思っております。

 そういう意味では、新年を迎えるに当たって書き初めを書くということを一つのきっかけにして、子供たち自身には、令和八年の抱負であったりとか、自分自身の思いを相手にどう伝えるのかだったりとか、そうしたことをいろいろ考えていくきっかけとしても是非活用をしていただいて、この書き初めを楽しんでもらって、そして、それを字にして相手に伝えるというのもまた書き初めなのかなとも思いますので、そういう意味では、それをまた学校に持ち寄ってみんなでいろいろと話をしてもらって、そんないいきっかけにしてもらいたいと思います。

西岡(義)委員 温かいお言葉、ありがとうございます。子供たちもきっと励みになると思います。

 では、次のテーマに移ります。

 海洋調査の分野について伺っていきたいと思います。

 我が国の排他的経済水域は面積で世界第六位、そして、その広大な海の約半分が水深四千メートル以深の海域、水深五千メートル以深の海水体積が世界第一位という深海大国でもございます。そして、南鳥島沖水深約六千メートルの海底では今年の六月にレアアース泥が確認されており、深海の調査研究は我が国の資源開発の面からも重要な役割を担っていると考えております。

 その深海調査を支えてきたのが、有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」、そしてそれを調査ポイントまで運んでいく深海潜水調査船支援母船「よこすか」でございます。「しんかい六五〇〇」は、我が国が保有する有人深海調査船の中で唯一、六千メートル以深での調査作業が可能な調査船でございます。しかしながら、この「よこすか」とともに建造から三十五年以上たち、老朽化が著しい状況だと聞いております。

 この「しんかい六五〇〇」と「よこすか」、それぞれ実際いつまで運用可能と見込んでいらっしゃるのか、教えていただければと思います。

    〔岸委員長代理退席、委員長着席〕

坂本政府参考人 お答えいたします。

 有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」及び支援母船「よこすか」は、御指摘のとおり、建造から三十五年以上が経過しており、それらの深刻な老朽化への対応は我が国の深海探査において喫緊の課題でございます。

 昨年八月に取りまとめられた科学技術・学術審議会海洋開発分科会の提言において、「しんかい六五〇〇」の運用限界については、これまでの潜航実績から耐圧殻の耐用年数である二〇四〇年代までと推定されております。また、「よこすか」は船体構造の劣化や着水揚収装置の劣化が激しいため、「しんかい六五〇〇」より早い時期に運用停止となる懸念があることが示されております。

 文部科学省としては、これらの状況を踏まえ、令和七年度補正予算案に「しんかい六五〇〇」とその母船「よこすか」の老朽化対策に係る経費を計上するなどの必要な対策を講じているところであり、今後も我が国の深海探査を推進してまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 次の新造艦ができるまで、しっかりとつないでいっていただきたいと思います。

 今伺ったように、期限はもう見えている、そういう状況でございます。ですので、より深いところへ潜れる新型船の開発であったり、「しんかい六五〇〇」と母船「よこすか」、それぞれ後継船の開発が急がれる、そういった状況だと認識しております。その一方、こういった特殊な調査船は、一点物であるがために建造設備が失われていたり技術者が引退していたりと、その建造技術が継承されていないというような現状があるかと思います。

 そこで、現在の新型の有人潜水調査船と支援母船、開発状況、また今後の展望についてお伺いできればと思います。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 「しんかい六五〇〇」は、現在、我が国の深海探査機の中で最も深い海域にアクセスできる探査機の一つであり、これにより、海底地質学、地球生命科学、海底鉱物資源、地震、防災等の分野において様々な成果を上げているとともに、アウトリーチの面でも大きな貢献をしております。

 一方で、「しんかい六五〇〇」は、一九八九年に建造されて以来、既に三十六年が経過しており、構成機器や部品の生産中止、機器メーカーのサポート停止が進むなど、技術面の課題が多くあり、老朽化への対策を様々な面で講じているところでございます。

 本件については、「しんかい六五〇〇」が我が国の深海探査の象徴であることなども踏まえ、多角的な検討が必要であり、今後も、後継機の開発の必要性について、引き続き議論をしてまいります。

 また、「よこすか」の後継船となる新たな母船については、「しんかい六五〇〇」等の各種探査機を効率的かつ効果的に運用するために必要となるものであり、令和八年度概算要求において設計費を計上しているところでございます。

 今後も、必要な対策を講じるとともに、我が国の深海探査の充実に努めてまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 深海は、宇宙以上に可能性を秘め、そして未知の世界でもあります。是非、積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。

 その一方で、二〇一五年に「しんかい一二〇〇〇」を開発する構想がありつつも、予算がつかずに頓挫してしまったというようなことも聞いております。また、国内で「しんかい六五〇〇」と同等仕様の新造は開発期間、コストの面から困難という報告も出ているというのを目にしました。こうしている間に、中国では水深一万千メートルに達する有人潜水調査船を開発しております。

 こういった重要でありながらニッチな分野でありますから、しっかりと国が投資をして予算を充てていかないと、こういった技術の継承、また新技術の開発を進めていくことはできないと考えております。お金を理由に、優れた理由が失われていくのはとても残念なことであると考えております。

 この点に関しまして、我々国民民主党は、教育国債、これを発行して、科学技術予算を倍増させることを提案しております。教育だけではなく、科学技術に対してしっかり投資をしていく、そのために五兆円程度の教育国債の発行、これを党として提案させていただいております。

 高市総理も、未来を創造するための投資に係る新しい財源調達の在り方については前向きに検討していると、本会議での玉木代表からの教育国債の質問に対して答弁なさっておりました。科学技術振興のためにも、是非大臣から、この教育国債、これを求めていっていただきたいと思うんですけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。

松本(洋)国務大臣 科学技術イノベーション、大変重要な分野でありまして、しっかりと、私としては、予算を確保をしてそれぞれの事業を進めていく、その決意に変わりはございません。

 その財源といたしましての教育国債でありますけれども、御紹介がありましたように、高市総理が、教育国債とするか否かは未定としつつ、新しい財源調達の在り方については前向きに検討していると国会に御答弁されたことを踏まえまして、今、政府内で検討をしていくものと考えているところであります。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、必要な予算を着実に確保し、未来への投資である教育、科学技術政策の推進に全力を尽くしてまいりたいと存じますし、その予算につきましては、しっかりと我々といたしまして財政当局に対して要求をしてまいりたいと思います。

西岡(義)委員 御答弁ありがとうございます。

 教育国債についても、しっかりと前向きに是非御検討いただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、石井智恵君。

石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。

 私からは、学校現場での部落差別問題の学習についてお伺いいたします。

 部落差別問題は、日本の歴史の中で、封建時代の身分制度によって、特定の地域の出身者やその関係者が結婚や就職などで不利益やまた偏見を受ける、日本固有の人権問題です。そして、部落差別は今もなお、なくなってはいません。

 これほどまでに長く続いているのはなぜでしょうか。理由は様々でありますが、人の心の中に、自分はあの人よりも上だという意識を持つことで自分の自尊心を保っているのではないか。そのため、差別する対象を探し続けているのではないかというふうに思います。

 私が部落差別、同和教育という言葉を聞いたのは、中学生のときでありました。実際にそのような差別をする人に直接お会いしたことはなかったですが、それを学校で教えてもらったからこそ、今もその差別について理解をしています。寝た子を起こすなという考え方の方もいらっしゃると思いますが、教えてもらったからこそ、もし差別的な発言をする人がいれば、そのようなことをしてはいけないと判断ができます。

 しかし、最近になって部落差別問題も、ネット上で全国の部落の所在地や詳細な情報を公開されるということが起きておりました。そのため、二〇一六年に部落差別解消推進法が施行され、その後、自治体のモニタリング事業や、またネット上の誹謗中傷に対する取組が進んでまいりました。しかしながら、一度ネット上で上がってしまうと完全に削除することはできません。相手が見えない状況の中で、今もなお差別に苦しんでいる方々が存在をしています。だからこそ、正しい歴史と人権の知識を子供の段階でしっかり学ばせることが必要だというふうに考えています。

 現在の学習指導要領では、人権教育が単独の教科としては設定されておらず、学校教育全体で行うことというふうにされております。人権教育の指導方法の在り方については、先月、検討会議の初会合がスタートされ、来年度中をめどに改定を行うということでありますが、次期学習指導要領の議論が始まったまさにこの時期でもあり、指導要領の議論と連携して日本の歴史とその事実を学習し理解していく、そのような人権教育を実施していく効果的な仕組みづくりが必要であるというふうに思っております。

 そこで、文部科学省にお伺いいたします。小学校、中学校で現在どのような方法で部落差別問題を学習しているのか、その現状についてお聞かせください。

望月政府参考人 部落差別につきましては、日本社会の長い歴史的過程の中で形作られた身分差別によりまして、日本国民の一部の方々が長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられた我が国固有の重大な人権問題であると考えてございます。

 平成二十八年に成立した部落差別の解消の推進に関する法律や、令和七年六月に閣議決定されました第二次人権教育・啓発に関する基本計画等の趣旨を踏まえまして、部落差別のない社会の実現に向けた人権教育を推進することは極めて重要であると考えてございます。

 学習指導要領のお話がございました。学習指導要領には明示はございませんけれども、現在、小学校の社会科、中学校の社会の歴史的分野及び公民的分野の全ての教科書におきましては、部落差別については取り扱っているところでございます。

 学校における人権教育に関する学習方法や教材開発の検討に資するよう、人権教育研究推進事業におきましては、例えば、各学年段階における授業実践の在り方の検討など、部落差別に関わる理解を深めるための実践的な研究、ここは結構多くやられていることは私も確認してございます。

 そして、令和七年三月には、文部科学省において人権教育アーカイブというものを開設いたしました。部落差別に関するものも含む、学校における人権教育の取組、そして教育委員会等で作成した資料などの収集、集約、発信などをこれからも進めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、教員の指導の充実の観点では、教育委員会の人権教育の担当者等を集めた会議の開催や、独立行政法人教職員支援機構と共催する人権教育推進研修などにおきまして、人権教育に関する国内外の動向、あるいは部落差別を含む人権教育に関する指導方法についての研修、講義を実施するなどの取組を行っているところでございます。

 こうした様々な取組を通じまして、部落差別のない社会の実現に向けまして人権教育の推進をしてまいります。

石井委員 御丁寧な答弁を本当にありがとうございました。今後の学習指導要領の中に是非継続して取り入れていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 子供たちの学習の中で、自分の中にも差別している自分がいるんだということに気づいて、これまでの生活を問い直すための学びが必要だというふうに思っております。この想像力を育てて差別をなくしていくために大事なのは、子供たちを取り巻く大人たちも一緒になって学んでいく環境づくりが必要だというふうに考えております。

 そこで、お伺いいたします。

 学校、家庭、地域社会が連携して部落差別問題を含めた人権教育を進めていくことについて文部科学省がどのようにお考えになっているのか、そして、今後、地域ぐるみで差別を防止していく仕組みをどのように強化していくのか、教えていただけますでしょうか。

望月政府参考人 先ほど、令和七年六月に閣議決定された第二次の人権教育・啓発に関する基本計画のことをお話し申し上げましたが、この中にも、「国民に対する人権教育・啓発は、国民の一人一人の生涯の中で、家庭、学校、地域社会、職域などあらゆる場と機会を通じて実施されることにより効果を上げるものと考えられ、その観点からも、人権教育・啓発の各実施主体が相互に十分な連携をとり、その総合的な推進に努めることが望まれる。」旨、記載されてございます。

 それも踏まえまして、学校、家庭、地域社会の連携、いわば社会教育と学校教育とも連携をして、こうした人権教育の実践を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 御説明いたしました人権教育研究推進事業では、家庭と地域社会と学校が一体となった部落差別の解消に向けた取組、これもございます。先ほど申し上げました人権教育アーカイブ、これにも掲載をするなどして普及啓発することなどを進めてまいりたいと考えてございます。

 また、社会教育の指導者として中心的な役割を担う社会教育主事を養成する社会教育主事講習におきましても、部落差別を含めた人権教育などの取組を行っているところでございます。

 引き続き、家庭、地域社会、学校とも連携した人権教育の推進を進めてまいります。

石井委員 ありがとうございました。

 この部落差別の問題、もうないだろうというふうに思っている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、やはり、この部落差別の問題、いまだに続いているということを決して忘れてはならないというふうに思っております。

 政治の中で、政策として制度をつくったことで生まれてしまったこの差別が、長い間、何の罪もない人たちを、百年以上にわたって子やそして孫へと差別され続けております。だからこそ、政治の中で議題として問い続け、解決していかなければならないというふうに思っております。

 そして、国民一人一人の中にある差別、どこで生まれたのか、また家庭はどうか、学歴は、感染症など病気を持っているかなど、知らず知らずに、気がつかない中で差別をしているということがあるということを自ら省みて、そして、人と対話をしながらそれを見つけていく。また、自分の中に誇りがあるということを思っていく、また、自分らしく生きるということを常に問い続けていかなければならないというふうに思っております。

 子供たちが安心して未来を築ける、そういった社会を実現していくためにも、文部科学行政の中で是非この問題を取り入れていただき、継続して取り組んでいただけることをお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党、平林晃と申します。

 本日、差し替えではございますが、久しぶりに文部科学委員会で質問させていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

 本日は、主に科学技術関連を質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 本年は、第六期科学技術・イノベーション基本計画が終了をする年でございます。第一期、当時はイノベーションがついていなかった、科学技術基本計画は、一九九五年にスタートをしたと認識をさせていただいております。基本法が議員立法によって成立をし、同基本計画の策定が始まった、この年が一九九五年でございます。

 これはちょうど私が大学に就職をした年と重なっておりまして、まさにこの九五年から三十年間というのは、私は四年間議員もやらせていただいておりますけれども、二十六年間の大学教員生活と重なっている、こういう年でもございます。その間、私が経験してきたことというのは、決して日本の科学技術のバラ色の時代というよりも、どちらかというとその逆の時代であったかのような感覚を持っているところでございます。

 そこでお伺いをさせていただきたいんですけれども、この第一期から第六期までの三十年間、日本の科学技術の地位は相対的な低下傾向に甘んじていますけれども、この状況を基本計画の立場からどのように評価をしておられるでしょうか、内閣府の見解を伺います。

恒藤政府参考人 お答えいたします。

 科学技術の状況を評価するためには様々な視点からの評価が必要となりますが、一般的によく用いられます論文の指標によって見ますと、被引用数が多い、注目度の高い論文数を示しますトップテン補正論文数は、二〇〇一年から二〇〇三年平均では日本が世界第四位であったところ、二〇二一年から二〇二三年平均では世界第十三位まで低下をしてございます。

 また、我が国の大学部門や企業部門における研究者の数あるいは研究開発費のこの二十年程度におけます伸びは主要国と比べて小さく、さらに、博士課程取得者数の推移を見ましても、主要国の多くが増加させている中で我が国は横ばいとなってございます。

 このように、世界的視野に立てば、我が国の基礎研究、学術研究は相対的に低下していると考えてございます。

 社会課題の解決あるいは強い経済の基盤となりますのは優れた科学技術力であることを踏まえますと、このような状況を速やかに改善するということが必要でございまして、基礎研究力を抜本的に強化することが必要というふうに考えてございます。

 以上でございます。

平林委員 本当に、おっしゃられたとおり、指標においても、また研究者数、研究費、本当にいろいろな観点において厳しい状況が続いている。これは客観的な数字ではありますけれども、中にいた私としても、本当に忙しかったという感覚、強い思いを持っているところでございます。

 例えば、いろいろな授業があったり、ゼミがあったり、入試業務があったり、少子化で高校等への営業活動もある、そうした一切合切を管理するための会議もあったりする、そうしたことで費やされた時間と気力の残りを振り絞って研究をする、こういう状況であります。競争的資金獲得のための申請書を書いたり、もちろん研究そのものをするということなわけですけれども、若い人は有期雇用の次のステップに向けて人事公募書類を書くということで、本当に限られた時間の中頑張ってきているけれどもなかなかうまくいかない、こういう日本の状況はやはりあると認識をしております。

 では、どうすればいいかということですけれども、なかなかそれが分かれば苦労しませんが、先人に学ぶということはできるかなというふうに思います。

 今年は、明るい話題として、坂口先生、北川先生がノーベル賞を受賞されたということで、改めてお喜びを申し上げるところでございます。この先生方に直接私はお会いしたことはないんですけれども、私がお会いしたことがあるのは、広中平祐先生にはお会いしたことがございます。私が山口大学に勤務をしていたときに、ちょうど先生が学長をしておられました。

 そのときに新入職員に対して懇談をしていただいたことがありまして、私、非常に幸運にも、広中先生に御質問をさせていただく機会に恵まれました。先生はどうしてそのようなすばらしい研究成果を出されたのでしょうか、このようにお聞きをしましたところ、先生がおっしゃられたことは、私はこの問題が好きだったんだ、この問題が好きだからこの問題に取り組んでいったんだ、こういうようなことを趣旨としておっしゃっていただいたような記憶を持ってございます。

 今回のノーベル賞の坂口先生のインタビュー記事でも、湯川秀樹先生のお言葉を引かれながら、学問とは自分を納得させることであるという、これは湯川先生のお言葉です。その上で、勉強も研究も自分が納得しなければ前進できませんし、よいアイデアも浮かばないでしょう、周りがやっているから、世の中ではやっているからという理由で向き合ってもモチベーションは決して上がりません、このように言っておられるところでございます。

 この三十年間の科学技術基本計画を振り返りますと、司令塔機能の強化あるいはミッション志向の政策を推進といったような言葉が見受けられます。もちろんこういった機能は必要で、決して否定するものではございません。その反面、大学は、研究者は上の号令の下に頑張らなきゃいけない、そういうような雰囲気も感じているところもあろうかというふうに思います。先人のお声をお聞きするに、また私自身の実感としても、やはり研究者は最後は自主性が大事というふうに思うところでございます。

 そこで伺います。

 第七期基本計画に向けて、日本の科学の再興を目指し、今の現役世代から将来のノーベル賞を目指していく、こんなようなことのためにも、研究者の自主的な取組を強力に推し進めることが不可欠と考えております。このような観点は、第七期科学技術・イノベーション基本計画に含まれているのでしょうか。文部科学省の見解を伺います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生からも御紹介いただきましたが、今年、坂口先生、北川先生の両先生がノーベル賞を受賞された。その一方で、御指摘のとおり、先ほど内閣府の方からも答弁ありましたが、文科省といたしましても、大学等の教員の研究時間の低下や、また主要国が大きく大学部門の研究開発費を伸ばす中で我が国は横ばいであること、こういった課題について認識しておりまして、先般、文部科学省に設置いたしました有識者会議において、我が国の科学の再興に向けて、必要な方策などについて提言をまとめていただいたところでございます。

 この提言の中では、科学を再興して、科学を基盤として我が国の将来を切り開くため、新たな研究領域への挑戦の抜本的な拡充や研究資金制度の継続的な改善、またAIの利活用など時代に即した研究環境の構築、研究力の強化に向けた経営や人事給与マネジメントの高度化による研究大学の機能強化、これらの基盤となる運営費交付金や基礎研究への投資の抜本的拡充など、まさに委員御指摘の研究者の自主的な研究活動を後押しする取組について御提言をいただいているところでございます。

 文部科学省といたしましても、当該提言の内容を来年四月より開始される第七期基本計画に反映いただけるよう、総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会において発表したところでございまして、同調査会で示された第七期基本計画の骨子案におきましても、その柱の一つとして科学の再興が示され、議論されたところでございます。

 文部科学省といたしましては、若手研究者を始め研究者が魅力的に感じられる、まさに好きなことに取り組める研究環境に抜本的に改善すべく、引き続き、第七期基本計画の策定に向けて関係府省と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

平林委員 本当にしっかり取り組んでまいりたいと思いますけれども、若干ちょっと答弁、もう少し短くお願いできたらありがたいなというふうに思います。

 まさに、自主的な取組を本当に強力に後押しをしていただきたいわけですけれども、今の御答弁の中にありましたけれども、やはりかけ声だけではどうにもならないので、お金、経費、本当に重要になってまいります。

 坂口先生のお話でも、学会での反発に遭いながらも、金銭的サポートは継続的に得ることができた、こういうようなお話も伺っているところでございます。やはり、研究には資金が必要となります。それが競争的だけであると、一部の研究者に偏ってしまう可能性でありますとか、多種多様な研究の中から将来のイノベーションが生まれてくることを考えますと、競争的資金を得られやすい研究だけではなくて、日の当たりにくい研究を支えることも重要と考えます。これは文系の研究に関しても言えることではないかと考えております。

 その意味で、やはり基盤経費が重要になってまいります。国立大学の運営費交付金については、文科省の御努力によって、一時期の減少傾向からここ十年程度は同水準を維持いただいているところでございます。ただし、光熱費や人件費の高騰により、実質的には目減りをしている状況です。その結果、人事院勧告に対応できない状況や設備、施設が本当に老朽化している、こういう厳しい状況も生まれています。

 この状況を打開していくためにも、少なくとも、近年の物価、人件費の高騰を踏まえた国立大学法人運営費交付金のより一層の拡充が必要であり、特に、当初予算での安定的な、予見性の高い予算の確保が重要であると考えますけれども、いかがでございましょうか。この点、大臣に伺います。

松本(洋)国務大臣 委員におかれましては、大変日頃から御指導いただき、また応援をしていただいておりまして、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 私も全く同じ思いでありまして、これまでも度々、この運営費交付金、基盤的経費をしっかりと確保すべしということは、いろいろ御指摘もいただいておりますし、私も積極的に発信をしてきたつもりであります。頑張ってまいりたいと思います。

 しかしながら、近年の物価、人件費の上昇などによって、各国立大学からはもう大変苦労されながら運営しているという話は御承知のとおりであります。

 このため、先般閣議決定されました令和七年度補正予算案におきましては、各大学が足下の物価、人件費の上昇などに対応するために必要な経費として運営費交付金を四百二十一億円計上したところですが、人件費にも充てられるものとして、この規模の額の運営費交付金が補正予算案に計上されたことは初めてであります。

 また、先日開催された総合科学技術・イノベーション会議におきまして、高市総理からは、我が国の科学を再興すべく、運営費交付金などの基盤的経費や基礎研究への投資の大幅な拡充について検討するよう指示があったところであります。

 文部科学省としては、令和八年度当初予算においても、国立大学法人運営費交付金を着実に確保できるように引き続き全力で取り組んでまいりたいと存じます。よろしくお願いします。

平林委員 本当に力強い御答弁をいただいたところでございまして、松本大臣のみならず高市総理も明確な御指示をいただいているということで、御期待申し上げます。

 我々公明党も、今、斉藤代表を先頭に科学技術予算の倍増を訴えさせていただいているところでございまして、その思いをひっ提げて、先月十四日には、浮島部会長を中心に、大臣にも要望に伺ったところでございます。我々は野党になりましたけれども、やるべきことは本当にしっかり応援をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 関連した質問になりますけれども、先月四日に示されました国立大学法人等改革基本方針におきましては、八月の改革の方針の内容を踏まえて、運営費交付金の在り方についての考え方が示されているところでございます。

 念のため確認を申し上げますが、国立大学は二〇〇四年に法人化をされました。それ以来、国立大学法人が六年間で達成すべき業務運営の目標を文部科学大臣が定めてお示しされることになっており、それを受けて、大学側は、当該中期目標を達成するための計画を中期計画として作成をし、大臣の認可を受けなければならない、このように法律に定められているところでございまして、現在は第四期中期目標期間の四年目に当たり、三年後の令和十年から第五期に入るということでございます。

 昨年四月の、この委員会でも質問申し上げましたが、運営費交付金の各大学への配分に関しまして、現在の第四期においては、各大学の配分の一部が回収をされて、集められた経費が再び各大学の実績状況に基づいて配分をされる、こういう仕組みが取られているところですけれども、現場の大学からは、この方策に関して懸念が示されているところでございます。改めてもらえる金額が部局に配分されるので、大学の経費が目減りをしている、こういうことがあるわけでございます。

 こういった仕組みが第五期においてはどうなっていくのか、こうした点も含めまして、今後の配分の在り方について文部科学省の見解を伺います。

合田政府参考人 手短にお答えをさせていただきます。

 先ほどいただいた件でございますけれども、御指摘いただいたような仕組み、このことによって、例えば、一橋大学のソーシャル・データサイエンス学部ですとか、お茶の水女子大学の共創工学部、福島大学の農学群などの取組が進んでいるのも事実でございますが、今先生が御指摘いただいたような課題、私どもも認識をしているところでございます。

 国立大学法人等改革基本方針におきましては、とにかく運営費交付金は明快な配分ルールにすること、それから、今申し上げたようなインセンティブ、このインセンティブにつきましても、大きな改革を進める観点と、シンプルな評価の仕組みとするという観点を持つこと、そして、それに併せて、最低限必要と考えられる教育研究をベースとした経費については、社会経済状況の変化に左右されず活動できるよう、物価等の変動に対応させる観点を含め、安定性をより向上させた仕組みにすることというような観点を示しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、安定的であるということと、各国立大学の改革意欲を刺激し、真価の実が上がるということの両立に留意をし、まずは運営費交付金の総額をしっかり確保するということを前提にしながら、運営費交付金の配分の在り方について検討を深めさせていただきたいと存じております。

平林委員 簡潔にありがとうございます。

 まさに、まずは、とにかく確保していく、その上で安定的な配分と、さらに、その上でのインセンティブというか、そういったことであると理解をいたしました。適切な制度の設計を御尽力いただきたくお願いを申し上げます。

 続きまして、企業と大学の間の人材交流についてお伺いをいたします。

 日本と欧米諸国の大学とを比べて感じることは人材交流でありまして、欧米諸国では大学教員が先端企業と本当に行ったり来たりをしている、人事面でですね。日本は、こうした人事交流をそれほど活発には感じてこなかったというのが私の実感でございます。

 この点、文部科学省においても問題意識を共有いただいているようでありまして、今回の補正予算案におきましては、産業・科学革新人材事業が盛り込まれている。ここでは、国が設定する分野において、大学と産業界が研究開発・人材育成計画を作成をして、公募を経てマッチングファンドで複数年にわたり支援する。一プロジェクト当たりの金額をお伺いしたら、年間五億円、最大六年間受けられると伺いまして、かなり大きな規模の支援だなと感じているところでございます。

 クロスアポイント等の活用により、大学、企業双方で雇用、任用し、産学、産業と学術の間の強固な人的交流、人材流動を促進するとあります。非常にすばらしい取組と評価しているところでございますが、私は大学にいた人間として、これはなかなかそう簡単にいかないんじゃないかなという懸念もありまして。

 といいますのは、大学の勤務実態というのは本当に、先ほども言いましたけれども、かなりがちがちにロックされているというか、クロスアポイント制度をやっても、なかなかきちんと機能していない、そんな実態を目にしてきたところでございます。こうした困難を乗り越えて、本事業をどう成功させていくのか。

 この点に加えまして、本事業は大学と産業の間の人事交流に限定していますけれども、これを中央省庁、自治体などの行政組織であったり、通告には書いておりませんけれども、NGOなども含めて、より広い対象に広げていくことも社会課題解決という大学の役割を果たしていくためには重要とも考えています。

 この二点、まとめて文部科学省に伺います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の事業でございます。内容については委員から御紹介がありましたので。

 まず、ちょっと御指摘いただきました大学側の勤務事情の改善につきましては、一つはクロスアポイントメント制度等の構築や活用促進、また、研究開発や人事交流に関わる研究者等に対する給与、処遇面でのインセンティブの付与、また、大学において研究者を支援するための組織体制の整備、こういったことを含めまして、大学における人事給与マネジメント改革や研究環境整備等の取組についても総合的、一体的に我々としては支援していきたいというように考えてございます。

 またもう一点、本事業につきましては、大学と産業界が連携して策定する研究開発・人材育成計画におきましても、各地域の取組とも連携するために自治体とも共同して計画を策定するなど、多様なプレーヤーと共に取り組むことは重要と考えておりまして、こういったことにつきましても本事業において支援をしていきたいというように考えてございます。

平林委員 大学側にもしっかり改革を促していただいて、これは本当に大事な事業だと思っております。私も応援させていただきますので、是非しっかりと進めていただきたいと考えております。

 続きまして、博士人材の活躍についてお伺いをいたします。

 もうこれも何度もお聞きしているんですけれども、昨年三月に博士人材活躍プランというものが文部科学省から発表され、二〇四〇年における博士号取得者を二〇二〇年のおよそ三倍に増やすことを目指しておられます。この博士人材の拡大というのは私も研究者時代からずっと取り組んでまいりましたけれども、本当に難しい目標であると考えております。

 近年、次世代研究者挑戦的研究プログラム、いわゆるSPRINGなどの施策によって増加傾向が見られているところでございまして、本当にすごいなと思っております。

 具体的には、令和四年から令和六年までの二年間で千四百人弱増えている。このトレンドを二〇四〇年まで維持できたとしたら、私の勝手な試算なんですけれども、二万六千人ぐらいまでになるということなんですね。

 ただ、これでも二〇二〇年からすると一・八倍程度なんです。だから、目標の三倍にはなかなか手が届いていない、こういう状況で、加速が必要であると考えております。

 これは本当に僕はやりたいのでこんな質問をするんですけれども、そのために、私は、プラン発案の文科省にしっかりと範を示していただきたいと思っているところでございます。

 このために、既に取り組んでおられている博士号取得者の採用も、これもしっかりやっていただいていると思うんですけれども、職員の博士号取得、これにもより一層取り組んでいただきたいと考えております。同プランにも、働きながら修士、博士を取得する文部科学省職員への支援制度の更なる活用の促進とあるところでございます。この現状、今後について、御見解を伺います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からは毎回言われている話でございますが、博士人材につきましては、新たな知を創造し、社会におけるイノベーションをもたらすことができる重要な存在と文科省としても認識してございます。

 そのため、文科省におきましては、令和四年時点で百十七名の博士人材が現在活躍しております。また、総合職採用者数に占める博士課程修了者の割合でございますが、ここ三か年平均で一〇%を超えたところでございます。

 御指摘のありました博士人材活躍プランにおきましても、博士課程修了者の採用につきまして、今御指摘ありましたが、今後も更なる増加を目指すこととしております。

 また、採用後においても、働きながら博士の学位を取得する職員への支援制度、これを、更なる活用促進に向けて取り組んでいるところでございます。

 採用時そして採用後の研修、この両面で取組を進めまして、更なる高みを目指してまいりたいと思います。

平林委員 今の御答弁、私としてはちょっと不満なんですけれども、現状をもう少しクリアにお答えいただきたかったところでございます。要するに、今の職員の方で、出て行ってM、Dを取るという方がどれぐらいいるのかということをきちっと確認したかったんですけれども、決して多くないと思うんですね。そこを本当にしっかりと進めていただくことも、いろいろなトレンドを変える意味で僕は重要だと思っておりますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 最後になりますけれども、今申し上げましたSPRINGという制度、研究費で年間五十万円、生活費で月二十万円の年間二百四十万円の経費を最大で、博士課程の学生に支給する、こういう制度でございますけれども、令和九年四月からは、研究奨励費支援の対象は日本人学生に限定する、要するに、二百四十万円の部分は日本人だけですよ、こういうことが文部科学省から示されています。これは制度の趣旨にのっとって変更されたとのことでありまして、理解をしているところではございますけれども、ただ、このことが、日本が外国人留学生の受入れを抑制する、こういった誤ったメッセージになることを危惧をしているところでございます。

 外国人留学生が日本を選ばなくなることのないように、どのような支援が考えられているのか、政府の見解を伺います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘がありました我が国の研究力強化の観点からは、一つは、優秀な日本の博士人材の輩出、また、優秀な外国人の受入れ、こういったものは両方非常に重要だというように考えてございます。

 今回、SPRINGの見直しにつきましては、先生から先ほど御指摘あったとおりでございますけれども、一方で、やはり、我が国の研究力強化や国際頭脳循環の推進、グローバル人材育成を進める上では、優秀な留学生の獲得、これは非常に重要だというように考えてございます。

 そのため、SPRINGとは別に、大学ファンドの資金を緊急的に活用したグローバル卓越人材招へい研究大学強化事業、EXPERT―Jと呼んでおりますが、また、先端国際共同研究推進事業、ASPIRE、こういった取組、こういったものを通じまして、海外の優秀な若手研究者や博士課程学生の受入れを促進するための取組、こちらを充実強化してまいりたいというように考えてございます。

平林委員 時間になりましたけれども、科学の再興のために必死に頑張っていくことを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

斎藤委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 学校の先生に労基法が守れているか、学校の先生が人たるに値する生活をできているかについて伺います。通告していた問い二です。

 先週もこの文科委員会の中でこのことをお聞きしましたけれども、学校の先生が長時間労働、過密労働過ぎて休憩時間が取れていないんじゃないかというお話を先週しまして、ちょっと詰めが甘かったなと思いまして、はっきりさせたいなと思っているんです。

 それで、問い二ですね。文科省は、二〇二二年に、教員勤務実態調査、令和四年度の調査を行っていて、その勤務実態調査で休憩時間を調べておられるんです。その勤務実態調査でこのように書いてあります。「平日 休憩時間の平均 学校種・職名別」によると、十月、十一月の休憩時間について、小学校の先生二十三分、中学校の教諭が二十三分、高校の先生三十六分しか取れていないという調査結果だったんですね。

 松本大臣、お伺いしたいんですけれども、この調査結果、法定の四十五分間の休憩時間を取ることができていないですよね。お答えください。

松本(洋)国務大臣 今委員から御指摘がございましたように、令和四年度に実施をいたしました教員勤務実態調査においては、例えば小学校教諭の休憩時間の平均は、十月、十一月が二十三分、八月が四十五分となっているところであります。

 休憩時間を与えることは、労働基準法第三十四条の規定により、公立学校においても適用されるものであり、給特法に基づく指針においても、教育委員会が講ずべき措置として、休憩時間の確保に関する労働基準法等の規定を遵守することをお示ししているところであります。

 その上で、令和四年度の教員勤務実態調査においては、十月、十一月が二十三分、八月が四十五分となっていることは事実であります。

大石委員 四十五分取れている月もあるということで持ち出しているかもしれませんけれども、それはそれで結構なんですよ。でも、私が聞いているのは、十月、十一月の休憩時間、今お答えのように、二十三分でした。法定の休憩時間は四十五分ですから、四十五分中二十三分しか取れていないということですよね、大臣。

斎藤委員長 では、その前に、望月初等中等教育局長。(大石委員「大臣に聞いています」と呼ぶ)

 まず局長から事実関係を説明いただいた上で、大臣の見解をお願いしたいと思います。(大石委員「なぜ局長からなんですか」と呼ぶ)

 事実関係だけまず局長から、その上で大臣にしっかり答弁していただきます。

 では、局長、お願いします。望月初等中等教育局長。大臣は次に答弁していただきます。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 所定の労働基準法上の四十五分というものの時間に比べますと、二十三分というのは、教員の、自分で一分単位で計ったものとしては少ないということでございます。

松本(洋)国務大臣 今局長から御答弁を申し上げたとおりであります。

大石委員 松本大臣、この状態、労基法違反ですね。いや、何で手を挙げているんですか。

 松本大臣、法定四十五分の休憩、しかし、この十月、十一月、二十三分であった。労基法違反ですね。

斎藤委員長 では、望月初等中等教育局長から、事実関係をまず答弁をお願いします。その上で松本大臣。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法上の休憩時間につきましては、これは、勤務の割り振りによりまして校長がその休憩時間というものを割り振っている時間でありまして、今回の勤務実態調査などは、教員が実際業務から離れている時間というものを一分単位で計ったものでございまして、直ちに、二十三分だからといって、これが労働基準法上違反となるものではないというふうに考えてございます。

大石委員 大臣、大臣も同じ考えですか。

松本(洋)国務大臣 具体的にどれが違反の事実に当たるのかというのは、いろいろと個別のケースもあるんだと思っております。

 考え方としては、今局長が答えたとおりだというふうに考えております。

大石委員 個別はいろいろあるかもしれないんですよ。だけれども、労基法違反の可能性があると考えますか、大臣。

松本(洋)国務大臣 そこは個別の実態というものを調査をして判断されるべきものだと思います。

大石委員 文科省自身の二〇二二年の調査です。休憩時間が取れているのかの調査。法定が四十五分で、この実態調査では小学校二十三分だったんですから、労基法違反の可能性があると考えるのが普通だと思うんですけれども、労基法違反の可能性はないんですか、大臣。

望月政府参考人 先ほども御説明しましたけれども、労働基準法で定める休憩時間は、使用者が労働者に権利として労働から離れることを保障した上で、労働者に自由に利用させる時間を指してございます。

 勤務実態調査の休憩時間というのは、教員の自己申告によりまして、実際に業務から離れた時間がどのくらいあったかを把握したものでございまして、休憩時間のこの二十三分というものが、勤務の割り振りをしていなかったならともかくとして、実際として教員が感覚として把握しているものということですので、直ちに労働基準法上の違反ではないというふうに考えています。

大石委員 どれだけへ理屈を重ねるんですか。それは私が先週言ったことじゃないですか。

 この休憩時間の調査自体が、休憩時間の定義が労基法にまず沿っていませんよね。それで、労基法、元々これも聞きたかったんですけれども、この休憩時間の調査自体どういう、というか、文科省が労基法の休憩時間の定義をどう考えているんやということを聞きたかったんですよ。

 先週申し上げたのは、先ほどおっしゃったように、労働基準法の施行に関する件ということで、そういった、厚労省がかつて出しているんですけれども、こうなんですよね。休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であってと。だから、一分間の雑談とか、そういった一分単位で詰め合わせたものというのは、そこからして余分なものが入っていますねということは先週申し上げたんですよ。

 でも、それを逆に盾に、労基法の定義の休憩時間の調査じゃなかったから、割り振りのことも含まずにカウントしているから、労基法違反と認定できないというのは、それはもうへ理屈にすぎなくて。

 今、世の中でも、学校の先生が過労死していたりとか、休憩時間が取れていない、それは周知の事実ですよね。文科省にはその認識はあるんですか、休憩時間が十分取れていないという認識は。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 休憩時間について、教師が自由な時間として活用できるとして、その時間をどう使うかは教師の自由でございます。

 それがなかなか、どういう形で使えるかというところについて、教員が自分の感覚として十分に休めていないんじゃないかということを、そういうことから今回、学校の働き方改革ということを、給特法も含めまして、強力に推し進めようということでございます。

大石委員 ちょっとよく意味が分からないんですけれども。

 そもそも、学校の先生の昼休憩、ちょっと、望月さんに聞きますよ。学校の先生はお昼に御飯を食べるじゃないですか、子供たちと一緒に。あれは労基法の休憩時間なんですか。

望月政府参考人 学校の校長の勤務の割り振りとして、いわゆる給食の時間を休憩時間に充てているのか、それをまた分割してしているかというのは各学校の判断でございますので、給食時間そのものを取って、それが一律に休憩時間というふうに申し上げることはできないと思っています。

大石委員 子供たちと一緒に食べる給食、お昼御飯の時間ですね、労基法上の休憩になり得るのですか。

望月政府参考人 学校の中でも、チーム学校として様々な役割を持っています、先生方は。ですから、子供の給食の時間で先生方がそのまま給食支援に付き添っているという場合は、これは通常は勤務時間になります。勤務時間というか、休憩時間には当たらないと思いますけれども、先生方も担任を持っている方々だけではないわけですので、そういう方々に給食の時間を休憩時間に勤務の割り振りをする、これはあると思いますので、休憩時間という時間を取って、それが全部休憩時間であるかないかということではないということを申し上げたところでございます。

大石委員 もう何回やっても詰め切らぬなと思うんですけれどもね。

 多くの方も知らないかもしれませんけれども、子供たちと給食を食べているような時間というのは、学校給食法であったりとか、そういった学校の先生の指導も含まれますし、又は安全配慮義務もかかりますので、一般に休憩時間とは言えないですよね、労基法の定める。だから、本来であれば、学校の先生をちゃんと休ませようと思ったら、かなりの学校の先生を増やして、前後制にしたりとか、お昼御飯までに先生が完全に自由な時間にしていくとか、そうでもなきゃ労基法を守れないんですよ。うなずいておられますけれども。

 だから、それぐらい大きなことですので、労基法を守るという文科省になっていただいて、これは大きな問題ですので、時間がないので、また引き続きこのことはやっていきます。

 そうしたら、次は学習指導要領についてなんですけれども、通告では問い五関連です。

 今日、学習指導要領のことで国民民主党の方が質疑されて、書道のことをおっしゃっていて、やっぱり日本の伝統の書道やと。書道で書き初めとかができるように励ましのお言葉だったりとか、書道を先生方が教えやすいようにカリキュラムを充実させていこうみたいなお話をされていて。

 結構なことだとは思うんですよ。書道も、私もやらないこともないですしね。結構なことだとは思うんですけれども、松本大臣にお伺いしますが、この書道、学習指導要領にもありますけれども、この書道が、例えば筆ペンになったと。書道はいいことだけれども、筆ペンになったからといって、処分とかはさすがにおかしいですよね。

 通告していなかったんです、学習指導要領関連のとき。

 大臣にお聞きしたいのは、さっき書道で盛り上がってはったんで、書道で盛り上がるのはいいので、体制整備もいいんだけれども、さすがに、書道をやれぬかったという事情をもって、学習指導要領を守れなかった処分はないですよね。

斎藤委員長 学習指導要領に関することについては、まず望月初等中等教育局長からお願いします。

望月政府参考人 御承知のとおり、学習指導要領は法規命令でございます。明らかに教育課程の時数の中で書写の時間の確保を小学校等で全くしていないということになれば、これはいわゆる法令違反的なものになるというふうに考えてございます。

 ただ、そのときにどんな形で処分ということになるかというのは、またこれは別問題でございます。それは、それぞれの任命権者で、その学校の状況を踏まえて判断すべきものであると考えてございます。

大石委員 大臣。

斎藤委員長 では、今の点につきまして、松本大臣。

松本(洋)国務大臣 今局長がお答えになられたとおりだと考えております。

大石委員 日本の伝統がとか押しつけがましいようなやり方で、それで筆ペンだったら処分はおかしいんじゃないでしょうかね。

 さっきの望月局長の、場合によってはという学習指導要領は法的拘束力があるのだみたいなお話を元々これは問題があるんちゃうかということで問い五で通告していたんです。

 元々、二〇二五年、今年、学校の先生や学校現場が本当に疲弊して大変なんだ、がちがちなんだみたいなことで一つ学習指導要領も光が当たりまして、参考人質疑だったりとか、全体の質疑も行われたわけなんですよね。私も六月十八日に質疑を行っているところなんですけれども、やはり学習指導要領が、今おっしゃったような、守らなかったら処分されたり、もう袋だたきにされる、守らぬかったら死ぬみたいな罰ゲームとして機能してしまっているという現場が、子供たちのためにもなっていなければ、先生が労基法を守った人たるに値する生活も保障されていない大きな要因ですので、学習指導要領でがちがちに縛るな、そもそも学習指導要領ってそういう性質のものではないでしょうという確認を六月十八日の質疑で行ったんですね。

 でも、そのときに、今も問題でしたけれども、文科省の望月局長の答弁が、やはり、これは解釈がすごくおかしかったんですよね、過去の最高裁大法廷判例と比べて。そこについて問い五でお聞きしています。

 そもそも、六月十八日の局長の答弁、問題答弁がこういうものなんですけれども、「学習指導要領はその全てが大綱的基準でございまして、全体として法規としての性質を有するものでございます。」そういった答弁だったんですけれども、この答弁自体が、過去の、これは学習指導要領の起こりですとか、あるいはその起こりをめぐっての学習指導要領の在り方ですね、そんなことで縛っていいのかという裁判が様々あって、その裁判の最高裁の大法廷判決という、最も最高裁の判決でも重いものに明らかに反しているでしょうということを前回指摘しているんですよ。

 問題答弁と言っている問題というのが、特にこれですね、学習指導要領はその全てが大綱的基準である、学習指導要領は全体として法規としての性質を有すること。こういうことを、間違った学習指導要領の誤りによって、学校現場がいろいろ、筆ペンで処分だったりとか、授業時数を守らないといってつるし上げられたりとか、そういう具体的に害悪が生じているということでただしておきたいなと思ったんですよ。

 問い五の括弧二の方ですね。今日も述べております最高裁判決というのが、旭川学テ事件の最高裁判決なんですけれども、この最高裁判決では、このように示されているんですね。学習指導要領の中には、必ずしも法的拘束力をもって地方公共団体を制約し、又は教師を強制するのに適切でなく、また、果たしてそのように制約し、ないしは強制する趣旨であるかどうか疑わしいものが幾分含まれているということが示されているので、そもそも、この学習指導要領が全部守らなければいけないルールではないですよねという判決なんですよね。

 そういう状況の中で、この判決自体が部分的には法的拘束力を持たせるものが適切でないという部分が含まれていることを前提としているので、望月局長が六月十八日に答弁された内容もそうですし、先ほど答弁された中身も実質そうなんですけれども、やはりこの最高裁判決との解釈に矛盾があるのではないですか。

望月政府参考人 私の過去の答弁でございますので、私の方から御説明させていただきます。

 学習指導要領につきましては、その性質上、法令の規定に基づき、教育課程の基準として定めるものでございます。学習指導要領は全体として法規としての性質を有するとした答弁につきましては、学習指導要領の項目によって法規としての性質の有無が区別されるわけではないとの趣旨でございます。

 学習指導要領が全体として法規としての性質を有するとしても、もちろんこれは各学校で配慮する、工夫するといったことも指導要領に示してございます。学校や教師の判断や裁量を広く想定していることもあるところで、創造的な教育活動というものを、学校現場のものを阻害しているわけではございません。

 なお、先ほどの旭川学テ判決のところでも、学習指導要領については、細部にわたるものが幾分含まれているとしつつも、学習指導要領は、全体として大綱的基準としての性格を持ち、合理的な基準の設定として是認することができると最高裁判決も認めているところでございます。

大石委員 今おっしゃった最高裁判決の、全体として大綱的基準というものなんですよね。でも、局長の答えは、全体が大綱的基準であり、全体に法的拘束力を有すことができるという解釈をしているから、そのような解釈変更はいけないですよということを言っているんですよ。

 最高裁判決に反するものとは考えていないとお答えなんですけれども、つまりは、具体的に、ここに反していないでいいですよね。最高裁判決の今から読み上げるここにも反していないとおっしゃってくださいね。聞きます。

 学習指導要領の中には、必ずしも法的拘束力をもって地方公共団体を制約し、又は教師を強制するのに適切ではなく、また、果たしてそのように制約し、ないしは強制する趣旨であるかどうか疑わしいものが幾分含まれているという最高裁判決を支持されますね。

望月政府参考人 今、大石委員が読み上げていただいたところは、まさに最高裁判決の一部でございます。

 ただ、その後に続けて、細部にわたる部分もあるけれども、全体として見た場合には、教育政策上の当否はともかくとして、少なくとも法的見地からは、上記目的のために必要かつ合理的な基準の設定として是認することができるものと解するということを、全体としての最高裁判決になっていると考えてございます。

大石委員 ですから、その最高裁判決で、強制する趣旨であるかどうか疑わしいものが幾分含まれているということは支持されるという答えはよかったですけれども、その後の解釈で、だから全体が大綱的基準なんだという結論は論理的におかしいでしょうということは申し上げますが、時間がないので、まとめますね。

 毛筆が筆ペンで処分とか、現実には、学習指導要領を守らなかったということで、第三者が何かそういうことを言って、これは自民党が関与したこともあると言われています、そういうことで現場が疲弊しておかしなことになるやろうということを言っているんですよ。書道も大変雅で結構なんですけれども、今、学校の状況というのは、先生が足りなくて、体育の教師が英語とか国語とかを教えているんですよね。PTAに校長先生が、もう学校の先生が足りません、教員免許を持っている人、手を挙げてください、教えてくださいという状況の中で、学習指導要領を守って書道を確実にやるんだみたいな話って、国会の中と外のギャップがすごいですよね。そこが今一番問題なんじゃないかなと私は思っています。

 時間が来たので、終わります。

斎藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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