衆議院

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第8号 平成30年4月6日(金曜日)

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平成三十年四月六日(金曜日)

    午前十時十二分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    大岡 敏孝君

      神山 佐市君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      船橋 利実君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      平野 博文君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   参考人

   (厚生労働省東京労働局長)            勝田 智明君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月六日

 辞任         補欠選任

  塩崎 恭久君     神山 佐市君

  三ッ林裕巳君     石川 昭政君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     三ッ林裕巳君

  神山 佐市君     安藤  裕君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

四月六日

 大幅な福祉職員の増員・賃金の引き上げに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第七七六号)

 同(白石洋一君紹介)(第八六八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第七七七号)

 同(井出庸生君紹介)(第七七八号)

 同(井上義久君紹介)(第七七九号)

 同(伊藤渉君紹介)(第七八〇号)

 同(石崎徹君紹介)(第七八一号)

 同(泉健太君紹介)(第七八二号)

 同(岩田和親君紹介)(第七八三号)

 同(尾身朝子君紹介)(第七八四号)

 同(岡田克也君紹介)(第七八五号)

 同(岡本あき子君紹介)(第七八六号)

 同(鬼木誠君紹介)(第七八七号)

 同(勝俣孝明君紹介)(第七八八号)

 同(門博文君紹介)(第七八九号)

 同(金子恭之君紹介)(第七九〇号)

 同(工藤彰三君紹介)(第七九一号)

 同(関芳弘君紹介)(第七九二号)

 同(武井俊輔君紹介)(第七九三号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第七九四号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七九五号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第七九六号)

 同(原田義昭君紹介)(第七九七号)

 同(森山裕君紹介)(第七九八号)

 同(山口俊一君紹介)(第七九九号)

 同(山本拓君紹介)(第八〇〇号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八〇一号)

 同(穴見陽一君紹介)(第八〇九号)

 同(石田祝稔君紹介)(第八一〇号)

 同(石破茂君紹介)(第八一一号)

 同(岩屋毅君紹介)(第八一二号)

 同(岡本充功君紹介)(第八一三号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第八一四号)

 同(小林茂樹君紹介)(第八一五号)

 同(坂本哲志君紹介)(第八一六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第八一七号)

 同(階猛君紹介)(第八一八号)

 同(高市早苗君紹介)(第八一九号)

 同(橘慶一郎君紹介)(第八二〇号)

 同(中川正春君紹介)(第八二一号)

 同(原田憲治君紹介)(第八二二号)

 同(福田昭夫君紹介)(第八二三号)

 同(牧島かれん君紹介)(第八二四号)

 同(三原朝彦君紹介)(第八二五号)

 同(石田真敏君紹介)(第八四三号)

 同(稲富修二君紹介)(第八四四号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第八四五号)

 同(船橋利実君紹介)(第八四六号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第八四七号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第八五四号)

 同(小島敏文君紹介)(第八五五号)

 同(田中和徳君紹介)(第八五六号)

 同(中谷元君紹介)(第八五七号)

 同(船田元君紹介)(第八五八号)

 同(古川康君紹介)(第八五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八六〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第八六九号)

 同(後藤茂之君紹介)(第八七〇号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第八七一号)

 同(白石洋一君紹介)(第八七二号)

 同(新谷正義君紹介)(第八七三号)

 同(富田茂之君紹介)(第八七四号)

 同(吉川元君紹介)(第八七五号)

 同(小川淳也君紹介)(第八九三号)

 同(加藤寛治君紹介)(第八九四号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第八九五号)

 同(御法川信英君紹介)(第八九六号)

 同(宗清皇一君紹介)(第八九七号)

 同(国光あやの君紹介)(第九一三号)

 同(熊田裕通君紹介)(第九一四号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第九一五号)

 同(岸田文雄君紹介)(第九三二号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第九三三号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(重徳和彦君紹介)(第八〇八号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第八四一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第八五三号)

 同(小川淳也君紹介)(第八九二号)

 同(津村啓介君紹介)(第九二九号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八四二号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第八五二号)

 同(村上史好君紹介)(第九〇〇号)

 国の責任で社会保障制度の拡充等を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八七八号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八八五号)

 同(藤野保史君紹介)(第八八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第八八八号)

 同(本村伸子君紹介)(第八八九号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(岸本周平君紹介)(第八九〇号)

 子供医療費無料制度に関する請願(小川淳也君紹介)(第八九一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九〇一号)

 同(笠井亮君紹介)(第九〇二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第九〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九〇五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九〇六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九〇七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九〇八号)

 同(藤野保史君紹介)(第九〇九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九一〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第九一一号)

 同(本村伸子君紹介)(第九一二号)

 過労死と職場における差別の根絶に関する請願(藤野保史君紹介)(第九二八号)

 精神保健医療福祉の改善に関する請願(寺田学君紹介)(第九三〇号)

 同(矢上雅義君紹介)(第九三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として厚生労働省東京労働局長勝田智明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官坂口卓君、労働基準局長山越敬一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 まず最初に、きのう、本会議が与党によって強行で開催をされました。

 我々野党は、イラクの日報の問題、一年間も国会に出さずに、しかも、大臣にも報告していなかったということでありますから、こんな立法府を軽視するような大問題があって、それが解決できない中で、与党だけで本会議を強行したということは、断じてあってはならないことだと思います。本来なら与党も一緒に、行政に対して、行政府である内閣に対して、立法府を軽視し過ぎじゃないか、そういう抗議を示す、そういうものだと思います。

 そういう中で、この厚生労働委員会も、昨日、まだ与野党間での協議が調っていないにもかかわらず、委員会を開催することが決められていたというのは、非常に遺憾であります。まず、そのことに抗議をさせていただきます。

 ただ、ほかの委員会と違って、この厚生労働委員会は、イラクの問題とは別に、非常に重要な問題で、今、与野党の間でさまざまなやりとりが行われていたところであります。ですから、私は、きょう、こうして、当事者である勝田局長が出席をして委員会が開催されることは必要だったと思っております。ですから、こうして質問に立たせていただきますけれども、いずれにしても、与党のこの強引な国会運営には厳しく抗議をさせていただきたいと思います。

 それでは、質問に移らせていただきますけれども、まず、この厚生労働委員会で、今こうして集中審議という形で審議が行われているのはなぜかといったら、勝田局長、あなたが三十日の記者会見で報道機関に対して、是正勧告ということを認めるのか認めないのかとか、黒塗りにされている資料はおかしいんじゃないかとか、そういう質問を繰り返しされた、それに対して、何なら皆さんのところに行って是正勧告してあげてもいいんだけど、そういう発言をした。それが非常に、私たちは、不適切きわまりない、厚生労働行政の信用を失墜した、そういう大変問題な発言である、そういう認識を持って、この問題を集中審議をするべきだと主張してきたわけであります。

 まず最初に、勝田局長に伺いますが、自分の発言のどのような部分が、なぜ、我々野党の議員からここまで厳しく不適切だと言われているのかという認識を持っているのか、お答えをいただきたいと思います。

勝田参考人 まず、申し上げさせていただきたいと思います。

 昨年十二月、そして本年三月に開催しました定例記者会見における私の発言、局長の権限をいたずらに行使するかのような発言であり、不適切なものでありました。また、私の発言、国民の皆様に、労働行政の公平公正について大きな疑念を抱かせることとなりました。改めて撤回させていただきますとともに、国会議員の皆様、報道機関の皆様、国民の皆様に対して深くおわび申し上げます。

初鹿委員 誠意が余りこもっていないように感じるんですよね、今のお話。

 与党の皆さん、水曜日の質疑の際に、発言の文字起こしが出ていませんでした。その中で、十分に、本人もいなかったわけで、内容の確認ができなかったわけですが、出てきた文字起こしを見て、皆さん、どう思いましたか。特にプレゼント発言。野村不動産という企業を特別指導するということを公表する、それをプレゼントと称する。相手を罰することをプレゼントと称するのは、私は非常に不謹慎だと思います。

 しかも、その中に過労死があったという、それが原因で特別指導になったということも含まれているということであるわけですから、人の死をプレゼントだと言うのは、私は極めて本当に不謹慎きわまりないと思います。その点については、勝田局長、どういう認識を持っておりますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 プレゼント発言につきましては、プレゼントととられかねない発言であり、私としては、プレゼントというほどいいものではありませんがと申しましたが、そうとられかねない発言であったことにつきまして、深く反省させていただいております。

初鹿委員 勝田さん、いいかげんにしてくださいよ。私も、きょうは冷静にいこうと思いましたけれども、今の発言は非常に残念ですよ。

 お配りした資料の十二月二十六日の会見録、見てください。真ん中あたりで、はい、それでは、御質問の際はメディア名と記者名をお願いいたします、どなたからでも結構ですのでどうぞと司会が促した。それに対して、まず最初に記者が、プレゼントの中身はと聞くんです。そうしたら、勝田さん、こう言っていますよ。プレゼントもう行く、やります、じゃ、やるかと。軽いですね。それで、記者が、皆さん待ってますと言ったのに答えて、じゃ、やりましょう、はい、プレゼントというほどの話じゃないけれども、資料をお配りしますけれども、野村不動産株式会社に対して特別指導を行いましたと。

 プレゼントととられかねないじゃなくて、プレゼントじゃないですか。プレゼントと言っているじゃないですか。認めてください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 プレゼントという記者の方の発言に対して、それを受けてしまったことは非常に軽率であります。私としては、プレゼントというほどのものではないというふうにお答えしたことによって、プレゼントではないつもりで発言したところでございます。非常に申しわけございません。

初鹿委員 十二月一日の議事録も出てきておりますけれども、最初にプレゼントと言ったのは、勝田局長、あなたですよ。十二月二十六日はイギリスの習慣ではボクシングデー、それは、拳闘のボクシングじゃなくて、プレゼントのボックスをあける日だ、そういうことを説明して、プレゼントだと言ったわけですよ。そのことを忘れたんですか。

 素直に、プレゼントだと、野村不動産の件をプレゼントだと発言して不適切だったと認めてください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 十二月一日の時点では、プレゼントということについて、特定のことを想定して申し上げたものではございません。

 ただ、プレゼントととられかねないことになりましたことについては、私の一連の発言が不適切だったと思っておりまして、おわび申し上げたいと思います。

初鹿委員 ちょっと今の答弁も、十二月二十六日に決めているか決めていないか、そんなことではなくて、二十六日のときにプレゼントということに対して答えている。それはもうプレゼントでしょう。もういいかげんにしてください。

 この話はここで終わらせていただいて、次に移ります。

 昨日、東京労働局にお邪魔をさせていただきました。私と山井議員、岡本議員、池田議員、尾辻議員、そして高橋千鶴子議員と、東京労働局に二時ごろ伺いました。

 なぜ行ったかというと、今話題になっておりますこの野村不動産の過労死をした遺族の方が、東京労働局と新宿労働基準監督署に対して、過労死があった事実を公表してもよいというファクスを送った、名前は伏せてほしいけれども、過労死があったということは公表してもいい、それには同意するというファクスを送った、そういう情報が入ったので伺いました。

 当初、担当の方はなかなか素直にその点を認めていただけませんでしたが、最終的に、同時刻に参議院の厚生労働委員会で社民党の福島みずほ議員から加藤大臣に対しての質問もあり、ファクスが来ているということを認められたので、担当した方も認めました。

 まず勝田局長に聞きますが、勝田局長、当然このファクス、きのう見ているんですよね。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 東京労働基準局にファクスが届いていることは事実であり、私もそれは拝見しています。

初鹿委員 そのファクスは、どなたからのものでしたか。

勝田参考人 現時点において、御質問になっているファクスが、どなたからどのような趣旨で送られたかというものにつきまして確認する必要があると考えておりまして、現時点では回答を差し控えさせていただきます。

初鹿委員 きのうの十二時に届いて、二時の段階、二時四十分ぐらいですかね、加藤大臣はそういう趣旨の答弁をしているんですよね。それがどなたからなのか、どういう趣旨なのかを含めて、今私どもの方で申し上げる情報を持っていないと。

 勝田さん、それから何時間たっているんですか、大臣。確認をするということは、何を確認するんですか。書いてあることが事実か、本人かどうか、御遺族本人なのかどうか、当事者に連絡をすればすぐにわかることだと思います。当事者に連絡をとってお話を伺いましたか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 現時点では、まだ連絡がとれておりません。

初鹿委員 なぜですか。

 ちなみに、これは勝田さんが連絡をとるべき責任者なんでしょうか。それとも、誰が責任を持って連絡をとるものなのでしょうか。

 大臣、これは誰に指示をしておりますか。

加藤国務大臣 これはなかなか、もちろん事案そのものの関係、そもそも、現段階で私ども、過労自殺を通じて云々ということは申し上げられないということを前提に議論させていただきますけれども、事案そのものからいって、どこの所掌というのはなかなか判断しにくいところがございますので、一応、厚生労働省としてこの問題に、いわば本省主体で当たるべきだというふうに考えております。

 ただ、これはまさにファクスが一本来ただけということでありますから、これをどういうふうに確認するのか、それから、実際、最終的には御本人にやはりお会いをして確認をしなければ、電話で確認するといっても、では、電話の相手がどなたかというのは私どももわかりませんから、等々、かなり慎重にやらなきゃいけないということでございまして、そういった段取りをとりながらやらせていただこうというふうに思っております。

 従前から申し上げておりますように、この過労死案件について、御遺族ないし御遺族の代表である例えば弁護士等が公表されているのであれば、その事案をもって我々は対応させていただきますが、正直言って、こういう事案、しかもファクスでこういうお話が来た、そして、私どもから直接何かこうお願いをして、それに対して同意をいただいたとか、そういう経緯でもございませんから、そういったことも含めて丁寧にやっていかなければ、特にこういう個人情報に係る話でありますから、段取りを踏みながらやらせていただきたいというふうに思っております。

初鹿委員 時間がもう結構たっているので、そんなに確認する事項というのはないと思うんですよ。対象者はもうわかっているでしょうし、当然、申請して、認定をしているということであれば、連絡先等も把握をしているでしょうし、ファクス自体にも連絡先が書いてあったのではないかと思います。

 では、大臣、お願いですけれども、個人情報の部分は消していただいて結構ですので、送られてきたファクスを理事会に提出することはできますか。

加藤国務大臣 私どもとしては、ファクスは今、東京労働局とそれから監督署それぞれに来ているということで、これはいわば私信としていただいているわけでございますから、それを開示するにしても、やはり御本人の了解を得なければ、それはなかなかできないものというふうに認識をしております。

初鹿委員 では、早急に了解をとっていただきたいと思います。いつまでに了解をとられますか。

加藤国務大臣 今の了解も含めて、先ほど申し上げたさまざまな確認をするということ、それはしっかりやっていかなきゃいけないと思いますが、ただ、相手がおられるわけでありますから、やはり相手の状況を踏まえながら私たちはやらなきゃいけないと思っておりますから、今の段階で、いつまでにとか、こうだということを申し上げるのは差し控えたいと思います。

初鹿委員 相手の状況を踏まえてと言いながら、まだ連絡をとっていない。状況はもうわからぬじゃないですか。

 まずは、私は、きのうのうちに連絡、第一報、確認の電話をする必要があったと思います。いかがですか。

加藤国務大臣 ですから、電話をするにしても、どこに電話をしていくのか、そういったことがございますし、そこはやはり慎重にしていかなければならないというふうに思います。

 例えば、仮に間違ったところに電話したら、それはどういうことになるのか。やはり我々もいろいろな資料を持っておりますから、それを含めて丁寧にこれはやっていかなきゃいけないと思いますし、相手にはいろいろな多分御事情もあるんだろうと思いますから、その辺もしっかり踏まえてやらせていただいているということでございます。

初鹿委員 ぜひ、御遺族の方がどういう思いでファクスを送ったのか、想像してください。過労自殺ですよ。過労自殺ですよ。どんな思いで御遺族の方が、本当に、やむにやまれない思いだったんじゃないかと思いますよ。

 この間の国会での野村不動産への特別指導をめぐる議論を聞いていて、これは私が公表を同意して、野村不動産への特別指導のきっかけが過労死だった、そのことをやはり明らかにしないとならない。そして、なぜそうしたかといったら、これは私の想像ですけれども、皆さん方が進めようとしている働き方改革関連法案の中に、過労死を助長するおそれのある高度プロフェッショナル制度、これが入っていて、このままではこの法案が通って、過労死をする、そういう人が出て、自分と同じように苦しむ人が出てきてしまう、それだけは避けたい、私は、そういう思いからファクスを送られたんだと思います。

 先ほどの大臣の答弁を聞いていると、ファクス一枚じゃ誰だかわからない、ちゃんと記者会見でもやって顔を出して発表でもしないと認めないよ、そういうようなことを言っているように私は聞こえました。それは私は、余りにも遺族の気持ちを考えていないと指摘せざるを得ないと思います。

 では、ちょっと次の話題に移ります。

 二十六日の日に特別指導が発表されました。二十五日に特別指導に入っております。二十六日の日というのは、この過労死案件が労災認定された日です。非常にいいタイミングというか、日にちが一緒になっている。これは偶然なんですかね。

 勝田局長、過労死認定の日に合わせて特別指導を発表したのではないですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、労災認定業務につきましては、申請者である労働者御本人又は御遺族から個人情報をお預かりしているもので、その個人情報を保護する観点から、こういった案件があったかなかったかも含めて、回答することは差し控えさせていただきたいと思います。

初鹿委員 私の質問は、二十六日の日、この認定が出るのに合わせて特別指導を公表したんですかという質問です。もう一回お答えください。

勝田参考人 繰り返しで恐縮でございますが、労災認定につきましては、案件があったかなかったかを含めて、回答することは差し控えさせていただきたいと思います。

初鹿委員 言い方をかえますが、記者会見の日に合わせて認定する日も決めたんじゃないんですか、二十六日に。それで、合わせて発表しようと思っていた、私はそう推測するんです。

 十一月十七日の大臣への説明資料、黒塗りになっておりますが、当然、この調査結果という中に、さまざまな是正勧告を行った、その結果が出ていて、そのことが書かれているということで、大臣、よろしいんですよね。

加藤国務大臣 これまでも申し上げてきたことで恐縮ですけれども、是正勧告については、その有無について、これは説明を控えさせていただくということでございますので、本件についても申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

初鹿委員 局長は、二十六日のこの文字起こしを見ていただければわかるとおり、再三にわたって、何度も何度も是正勧告を認めているんですよ。事業所も五カ所だとか、そういうことも認めていて、それで、東京労働局管内だけではないから、本省とも相談をしてやっているということを何度も認めております。それで、本来は認めちゃいけないんだ、発表しちゃいけないんだということも言いながら、何度も是正勧告したということを言っております。そうですよね、局長。

勝田参考人 会見の内容を、改めて私どもの方でも見させていただきました。

 その結果、会社がホームページで是正勧告を公表していることについて否定はしないという発言を行ったものであり、是正勧告かどうかを別として、指導措置を行った時期等について言及していますが、是正勧告を行ったこと自体は直接申し上げていないものでございます。

 誤解を与える表現になりましたことは、改めておわび申し上げたいと思います。

初鹿委員 下線を引きましたから、皆さん、見てください。一つ一つ読ませていただきます。

 例えば、二十六日の五ページ目のところで、記者から、ちなみに個別の是正勧告っていうのは、それは日付ばらばらなんですか、四支店。そうですね、それぞれの、ちょっと県外のものもあるので。そうですねと言っているじゃないですか、記者からの答えに。

 それと、あと、日にちについて、これも二十六日の、十ページと下に書いてあるものですけれども、いつ是正勧告が終わったのかという記者からの質問です。特別指導より前に、二十五日までに全部終わっているという理解でいいんですかという質問に対して、必ずしもまでではないかもしれませんけれども、少なくとも二十五日よりは前ですから、前後いろいろあるだろうと思いますけどと基準部長が言っています。これは基準部長ですね。基準部長は、二十五日までと言えるんじゃないでしょうかということを言っております。こうやって何度も答えているわけですよ。

 あと、これは六ページのところ、記者から、二十六日の会見を聞くと、是正勧告したというのは、記者の質問に局長認めていらっしゃるんですけれどもという質問に対して、局長は何と言っているかというと、大臣、本当はいけないんだなと言っているんですよ。記者からなぜと聞かれて、その後に、認めたってことでいいんですよね。局長は、あっ、いいのか。基準部長は、うん、是正勧告したって話はお話し申し上げた。局長は、そうかそうか、それはよいんだな。よいんだなと言っているじゃないですか。言っていますよね。こういうふうにちゃんと言っていますよ。それは個別のこととかにはかかわらないんですかと更に記者から聞かれて、そうしたら、でも、もうしようがないですね、今回は。もうしようがないですね、今回は。今回、しようがないから認めちゃいましたと言っていますよ。違いますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 このやりとりにつきましては、その後、監督課長がお答え申し上げたのも含めまして、相手方の企業のホームページにそういったことが書かれているということについて、それを否定しないということを認めたものでございます。

初鹿委員 いいかげんにしてください。言っているんですよ。

 後から資料を追加させていただきましたが、二十八年十二月二十六日に出た「過労死等ゼロ」緊急対策という資料です。

 ちょっとこちらを見ていただきたいんですけれども、是正指導段階での企業名公表制度の強化というのがあります。そこには、新たな仕組みということで、現行の要件を以下のとおり拡大します、企業名公表の制度を拡大しますといって、月百時間超を月八十時間超に拡大、過労死等、過労自殺等で労災支給決定した場合も対象、これらが二事業場で認められた場合に、前ページの企業本社の指導を実施し、是正されない場合には公表、こういうことが書いてあるわけですね。過労死、過労自殺が二事業所に認められた場合などにも企業名を公表と。

 それで、最後に配った資料、流れを見ていただきたいんですが、ここに、労働局長による指導、企業名公表というのが一番右側に書いてあるんですよ。

 もともと、この仕組みでやろうと思っていたんじゃないんですかね。多分、五事業所で是正勧告を行っていて、そのうちの一つは過労死、過労自殺があって、二つの事業所以上であるから、企業名を公表できる条件が整っているんじゃないんですか、このルールに従えば。それで、もともとこれにのっとって企業名を公表しようとしていたのではないんですか、違いますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私ども東京労働局では、私どもの野村不動産に関する調査結果等も踏まえ、どのような指導をするかということで、今回の特別指導を実施する方針について本省と相談していたものでございます。

初鹿委員 答えてくれていないんですけれども、特別指導というのが非常にイレギュラーだということを、この審議の中でも再三質問がありますよね。何の法律にのっとっているんだといったら、設置法だと。どう考えても、設置法で企業名を公表するというところにはいかないんじゃないかというふうに私は思っていますし……(発言する者あり)そうなんですよ、認められないと思いますよ。

 ただ、このルールに従っていけば、二事業場以上で長時間労働、違法でやらせていたわけですよね。本来は企画業務型の裁量労働制に適用されない、そういう人を、適用したということにして長時間働かせていた。これは明らかに長時間労働違反だと。三十二、三十五、三十七条違反のどれかに当たるんじゃないか。それで、過労死というものの案件もあった。この二つをあわせて、特別指導という形で、労働局長が全社的に指導するということで社長を呼んで指導し、そして企業名を公表した。

 つまり、私が推測をするに、二十六日の段階で、本当は、過労死があったということも、過労死があり認定をしたということも認めて、それがきっかけで是正勧告を行っていって、特別指導という形で野村不動産の企業名を公表した。こう考えると筋道が通りますよね。私はそうじゃないかと思います。違いますか。

勝田参考人 指導監督の個別に係る端緒等につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

初鹿委員 端緒は聞いておりません。発表がそういうことだったんじゃないのかということを聞いているのと、このルールに従ってやったんじゃないのかということを聞いているんです。このルールに従ってやったんじゃないんですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、今回の事案につきましては、これを放置することが全国的な法律の遵守に悪影響を及ぼすおそれがあることから、特別指導を行い、それを公表したものでございます。

初鹿委員 過労死があったということを認めたくない、認めてはならないように誰かから言われている、だからなかなか言えないのかもしれませんが、これは推測ですよ、大臣。推測ですけれども、厚生労働省は、私が今言ったように、過労死があって、調べていって、そうしたら複数の事業場で違反があって、だから、特別指導というか、局長が指導をして、それを公表しようと思っていた。ところが、そのことを報告をして、過労死がきっかけだということを報告したら、どこかから、過労死については発表するな、そういうブレーキがかけられたんじゃないんですか。

 二十六日の日に報告が上がっているわけですが、大臣、三月五日の石橋議員の、過労死のことを知っていたのかどうかという問いに対して、そのタイミングではと言ったんですが、そのタイミングではということは、どこかで知っていたということなんだと思いますが、二十六日、そのぐらいの段階で知っていませんでしたか。

加藤国務大臣 多分三つのことをおっしゃったんですけれども、一つは、先ほどから申し上げておりますように、過労死について、個別のことについては、先ほど申し上げたような状況になればともかく、そうでなければ、それについては説明をし、回答し得ないということが一点であります。

 それから、二点目として、例えば書類送検とか、今お示しになった資料、一つの公表基準でありますけれども、その場合においても、過労死については一切説明はしたことはございません。

 それから、済みません、もう一個が何だったかな。(初鹿委員「知っていたんじゃないんですか」と呼ぶ)知っていた云々については、ちょっと個別のことなので、申し上げるわけにはいきません。

 思い出しました。それから、先ほど、一つ一つについては、それは一般的なことを申し上げたので、一般的に、そういった事案があったときに一つ一つ上がってきているわけではない。そもそも、先ほど申し上げた過労死に対する姿勢ということは、従前から申し上げているとおりでございます。

初鹿委員 加藤大臣も頭のいい方だなと今改めて思いましたが、一般的なことで、その都度その都度とお答えいただいて、このことについては個別案件で答えられないと使い分けをきちんとされていて、どこで知ったのかということ、この件についてはちゃんとお答えいただいていなかった、個別案件だから答えられないということで終わっているというふうに私は理解をし、それは、私が指摘していたように、知っていた可能性もまだあるのではないかということを指摘をさせていただきます。

 その上で、二十六日の日に安倍総理にも報告をしておりますよね。その際に、野村不動産に特別指導を行ったきっかけ、経緯、経過、きっかけなども報告をあわせてしているんでしょうか。報告をした方はどなたですか。お答えいただけないでしょうか。

加藤国務大臣 私ども本省の労働基準局より首相官邸に対して、東京労働局長が特別指導を行った旨を報告した、これは説明申し上げてきたところでございます。具体的には、東京労働局が記者会見時に配付をした資料、これをもって報告をしているということでございます。

初鹿委員 では、総理に説明したときに出した資料と、説明をした際に、大体お役人の方って説明する際に、ちゃんと説明する要点を書いて、それできちんと押さえながら、漏れがないように押さえながら説明されますよね。その資料を理事会に提出をしていただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 では、ちなみに、大臣、二十六日に総理と、この野村不動産の件、そこには過労死のことも含みますが、お話しされましたか、個別に。

加藤国務大臣 もうちょっとかみ砕いて説明しなきゃいけないと思うんですが、通常、私ども、総理に上げるときに、それは大変重要な案件であれば直接大臣が官邸に行って、いわば、もちろんスタッフが入ることもありますけれども、そこで説明をする。

 しかし、こうした報告事案というのは、それぞれの担当局から、通常は担当秘書官、場合によっては秘書官のスタッフがおられますから、それを介して上げて、そしてそれを多分、ここから先は推測になりますが、秘書官がまとめていろいろな事案の中で説明する、こういう仕組みになっているわけでありますので、したがって、本件について私が直接総理に御説明をしたということではございません。

初鹿委員 私も、この問題をいろいろ考えていって、何か腑に落ちないなと思って、最終的に、推測しているのは、厚生労働省は、この野村不動産の件、過労死もあって、非常に問題だと思って一生懸命調査して、各事業所でも実態を明らかにして、それで是正勧告を行って、過労死の問題も、これも、こういうことがあったということを公表したいと思っていたんじゃないか。でも、法案の審議に、過労死があった、しかも裁量労働制を違法に適用していて過労死があったという事実が明らかになると法案審議に悪影響があると誰かが判断して、過労死についての公表をとめたんじゃないんですか。違いますか。

加藤国務大臣 ちょっと私はよく、今の委員の御指摘はわからないんですが、こういう言い方をしていいか、ちょっとあれなんですけれども、もし委員の立場で言うのであれば、多分、公表しない方がいいんだろう、一切、特別指導についてもということにもなるんではないかというふうに思います。

 ただ、過労死については、さっきから申し上げていますように、私どもは、先方が、遺族ないし遺族の代表が公表されれば、それはそれとして常に認めてきている、こういう立場でございますから、それをちょっと一緒にして御議論いただくのはどうなのかなという思いを持ちながら、今委員の質問を聞かせていただきました。

初鹿委員 いや、だから、私は、ぎりぎりまではそうしようと、二十五日までは思っていたんじゃないかと思うんですけれども、二十六日に総理に報告をした時点で、総理なのか、また、その総理の意向を誰かがそんたくをしたのかわかりませんけれども、それで、過労死の案件についてはやはり明らかにするんじゃないというような指摘があったのではないか、そういう疑いがあるんじゃないかというふうに思うわけです。

 だから、総理に対してどういう説明をしたのかということと、改めてやはり総理に、過労死があったことを知っていたのか知らなかったのかを伺いたいと思います。

 ぜひ、委員長、総理もここに呼んで集中審議を改めて行うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 まだ聞きたいことはありますけれども、時間になりましたので、次の質問者にバトンタッチをしたいと思います。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 きょうは集中審議、それも、勝田労働局長が来ていただきました。いろいろお聞きしたいことがありますので、順次お聞きしていきたいと思います。

 まず、この審議に入るに当たって、とにかくこの間、労働行政をめぐって、そして裁量労働制をめぐってどれだけの混乱があったのかということについて、もう一度指摘をさせていただきたいと思います。

 まず最初にあったのが、裁量労働制の労働者、そして一般の労働者との労働時間の比較について、この件がございました。裁量労働制の方が労働時間が短いという虚偽の答弁をされておられた。それも、これは三年間続けておられたということで、これ一つとってみても、今回、働き方改革を進める資格があるのか。この一点だけでも、あると思います。そして、その発言は撤回をされました。

 その次にあったのが、では、この裁量労働制をめぐるデータ、食い違いがあるから原票を出してほしいと言った。そうしたら、いや、原票はありませんとお答えになった、予算委員会で。そうしたら、一週間後に厚生労働省の地下倉庫から出てきた。三十二箱もの大量のものが出てきた。これ一つとってみても、もう今国会で働き方改革を進めることは無理だと言わざるを得ない、そんな不誠実な対応です。

 そして、ここまで来てやっと私たちがそのデータを見て、一日二十三時間働いている人がいるとか、一週間で一時間しか働いていない人がいるとか、データそのものもおかしいんじゃないですかという話をしたら、最後にそのデータは撤回ということで、これ一つとってみても、もう働き方改革、今国会で進められない。

 三つあったんですね。ところが、まだあるんですよ。

 結局、データ自身を撤回いただきました。そして、働き方改革から裁量労働制の撤回というところまで来たわけです。しかし、高度プロフェッショナル制度が残りました。高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制の枠外に外すものですから、裁量労働制よりも長時間労働になるわけです。これをまだ残したまま、まだやると言っておられる。もう私は本当に理解できません。

 そして、まだあったんですね。実は、大臣が、そして安倍総理が胸を張って、野村不動産が裁量労働制の不適切な、適法でない運用をしていた、撤回する特別指導をしました、こうして私たち、西村委員や高橋委員に胸を張って言っておられた。実は、その原因は過労自殺だった。

 ということで、もう本当にここまで並べただけで、どうしてこれで働き方改革を更に進めると言うことができるのか、もう私には本当に理解ができません。

 そして、さらに、きょう来ていただきました勝田東京労働局長の不適切な発言であります。これは、どういう発言をされたのか、そして、どういう意図があったのかお聞きしたいと思いますけれども、今もやはりこの労働基準法がしっかり守られていない中で、現場の労働基準監督官の方々は少ない人数で頑張っていらっしゃるわけですよね。なのに、そのトップの人が、こんな権力濫用、そんなことを言ってしまう。真面目に、しっかりと正しい働き方、労働者を守りたい、そう思って働いている労働基準監督官の皆さんに本当に申しわけないと思われないのか、このあたりについてもお聞きしていきたいと思います。

 そして、きょう、ちょっといろいろな論点があるんですけれども、ファクスの件が一番最新でありましたので、ファクスの件だけお聞きしたいと思います。

 確認です。もう一度確認です。

 きのうファクスが届いたということは事実かどうか、これが一つ。そして、相手方に電話をしたかどうか、この事実の有無。この二点だけ、まず確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

加藤国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたけれども、東京労働局と監督署にそうしたファクスがあったということは、きのうも、先ほどからも認めさせていただいているところでございます。

 このファクスはいただいた。それ以外に電話があったとかそういうわけではございませんから、こちらの方から、しかも、これまで何かいろいろなやりとりがあった中でのファクスというわけでもございません。ある意味では、これまでそういうやりとりがない中でこうしたファクスをいただいたということでございますから、これはもちろん先方に確認等をしていく必要があるということでございますけれども、ただ、先方といっても、これは電話で確認するわけにはいかないわけでありますから、いかに本人に、どうアプローチをしていくのか。そして、本人もいろいろな状況があるんだろうと思いますから、その辺もおもんぱかりながら丁寧にやっていく必要があるということで対応しているところでございまして、今の時点で電話で確認したのかということについては、そうした確認は行っておりません。

尾辻委員 常識的に考えて、御遺族の方、ちょっとその辺、どなたか私どもはわからないんですけれども、公表してもよいということを意思を伝達しているわけですよね。そのときに、では何で電話で確認できないのかということ。御本人が公表してもいいですよと連絡をしてきているわけですよね。自分の連絡先も来ているわけですよね。お返事くださいということですよね。電話で確認しなければ、何で確認するんですか。教えてください。

加藤国務大臣 ですから、これは、本人に本当にきちんと確認して、私は丁寧にやらなきゃいけないと思っております。(尾辻委員「どうやって」と呼ぶ)

 したがって、いやいや、電話をしたって、それはもちろん、相手が出られたときに、それが本人かどうか確認しようがないじゃないですか。ですから、きちんと、もちろん電話を、アプローチしなきゃなりませんよ。そして、そこへ行くという段取りをしていかなきゃいけませんけれども、それをするにしても、やはり、しっかりこちらの方もいろいろなことを考えて準備をしながら、しっかり当たっていく必要があるんだろうということでございます。

 別に、そうしたアプローチをしないということを申し上げているのではなくて、当然、するに当たって、やはりいろいろなことを配慮しながら進めなければならないということを申し上げているわけであります。

尾辻委員 これは時間稼ぎですよね、はっきり申し上げて。

 きょうの朝、働き方改革が閣議決定されたわけですよね、高度プロフェッショナル制度も導入という。これを導入するかどうかというところで、この過労死を発端にして、裁量労働制による、違法適用による自殺があったかどうかって非常に大事なところなんですよ。それがないと前に進めないのに、これは時間稼ぎをしているとしか思えません。

 とにかく早急に、早急に確認をしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 勝田労働局長にお聞きします。

 このファクスのことについてですけれども、勝田労働局長もこのファクスをごらんになりましたか。有無だけ教えてください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私も拝見をしております。

尾辻委員 それでは、きのういただいたテキストデータの起こしを見ていただきたいと思うんですけれども、三月三十日の記者会見、三ページ目に、勝田労働局長はこのようにおっしゃっております。もちろん御本人とか関係の弁護士さんが全部明かしちゃって、周知の事実になっていれば、それについてお話しすることはあるけれど、向こうが出さないものはお話ししないことでやっているという御発言があります。こういう御発言をされましたでしょうか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 このような発言をしております。

尾辻委員 そうすれば、これをこのまま読みますと、御本人と関係の弁護士さんが全部明かしちゃった、これが、今ファクスで、公表してもよいというのが来ているということです。周知の事実かといえば、新聞報道で周知の事実になっております。この二つの要件を満たしております。

 それについてお話しすることがあるけれどもということなので、ぜひこの過労死の案件についてお話しをいただきたい、そういうふうに思っています。順次、このことについてもお聞きをしていきたいと思います。

 次、勝田労働局長の発言について確認をしていきます。

 きょういただきました、委員に配付されました十二月一日の定例会見です。

 五十三分後、局長。二十六日に一日おくれのクリスマスプレゼントがありますからということをおっしゃっております。そして、不適切発言も実はあるんですね。下から三行目。あの、この中のどこかに踏み込みましたというプレゼントだったりしたら大変かもしれませんけど。また是正勧告や指導のことをプレゼントというふうに言って、不適切な発言をされております。

 私ども、月曜日に労働局に行ったときに、勝田労働局長からは、十二月二十六日に特別指導をするのを決めたのは、たしか一週間ぐらい前だ、十二月十九日あたりだったというふうに私どもに発言をされました。なぜ、それなのに十二月一日には一日おくれのクリスマスプレゼントということがあるんでしょうか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 十二月一日の時点で何かプレゼントと申し上げましたのは、特定のことを念頭に置いて申し上げたものではございません。

尾辻委員 もう本当に、国会を冒涜するのはいいかげんにしていただきたいと思います。

 私どもは事実を知りたいだけなんですよ。その真実を、こうしてテキストデータも出ているのにごまかし続けること、これは、国民の皆さんが見たらどう思われるか。労働行政を担当される労働局長がここまでうそのようなことを言われている。私は非常に残念でなりません。

 ちょっと、どんどん、いろいろあるので指摘をしていきますので、お答えをいただきたいと思うんですけれども、是正勧告のこと、何かやはり全然違うんですよね。

 メモをきのういただきました。労働委員の皆さんにみんな来ましたよね。労働局として、是正勧告を行ったことを認めたものではないと書きました。

 まず、これ、書かれて、決裁をされたのは誰でしょうか。

加藤国務大臣 決裁という具体的な手続はとっておりませんけれども、厚労省の責任において出させていただいているものであります。

尾辻委員 大臣、ごらんになりましたか。出す前に確認されましたか。

加藤国務大臣 大体、方針を大体聞きながら、正直、ここへお出しさせていただいている資料、一つ一つそうですけれども、たくさんございますから、最終的なものまで全部私がチェックしているわけではございませんが、ただ、こうした方針で、こういった事実でということを聞きながら、ではそういうことでやってくださいということで対応させていただいている、こういうものでございます。

尾辻委員 では、違う確認をします。

 労働局として是正勧告を行ったことを認めたものではない、このメモは今でもそのとおりでしょうか。

加藤国務大臣 と承知しているという、その紙でございますか。その紙の認識は、今でも変わっておりません。

尾辻委員 もうテキストデータは皆さんのもとにもあります。あり得ないんですけれども、もう一度聞きます。本当に、これ、このまま維持されるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 その認識は変わっておりません。(発言する者あり)

高鳥委員長 質問を続けてください。

尾辻委員 わかりました。

 では、矛盾のところだけ指摘をしていきたいと思います。

 勝田労働局長、是正勧告という言葉、使いましたか、使っていませんか。それだけお答えください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 どの部分を指していらっしゃるのか少し理解ができなかったのですが、二十六日の会見の中で、是正勧告という言葉が使っていないわけではないと思います。

尾辻委員 全ての会見です。十二月一日、十二月二十六日、三月三十日、ここで是正勧告という言葉、お使いになっているかどうか、有無だけ教えてください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 十二月二十六日と三月三十日について、是正勧告のやりとりがあったのは事実でございます。

尾辻委員 そうしたら、勝田労働局長、労働局として是正勧告を行ったことを、これは発言されましたか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私としては、労働局が是正勧告を行ったことを認めた発言をしてはいないものと考えております。

尾辻委員 指摘をしておきます。

 もう議事録に書いていますので、十二月二十六日のテキストデータ、五ページを見てください。

 記者が、ちなみに個別の是正勧告っていうのは、それは日付ばらばらなんですか、四支店。基準部長、そうですね、それぞれの、ちょっと県外のものもあるので。

 これは認めていませんか。もう一回言いましょうか、五ページ。

 ちなみに個別の是正勧告っていうのは、それは日付ばらばらなんですか、四支店。基準部長、そうですね、それぞれの、ちょっと県外のものもあるので。

 これについてはどうなんですか。これは言ったということになりませんか。

勝田参考人 この発言につきまして、私どもの基準部長の発言でございますが、企業の発表等に基づいてそのような発言をしたものと思っております。

尾辻委員 そういうふうに書いてないですよ。日付もばらばらとか書いてあって、とりあえずここは完全に食い違っていて、大臣始め皆さんは、厚生労働委員会において私たちに虚偽の答弁をされたと言わざるを得ないということをしっかりと指摘をしておきたいと思います。これで働き方改革をやるなどということは、私たちは到底理解できないし、承服できないということを申し上げておきます。

 続けて聞いてまいりたいと思います。

 ちょっと時間がないので、先に安倍総理の、会見の話のところですけれども、先ほど初鹿委員もやりましたけれども、これはもう一度確認します。

 安倍総理は過労死のことはお知りにならなかった、これでよろしいですか。

加藤国務大臣 まず、過労死事案個々については、先ほどから申し上げているように、個別事案については申し上げることは控えさせていただいているということでございます。

 それから、基本的に、総理に対しても、一つ一つの認定等々においては、上げるという仕組みにはなっておりません。

尾辻委員 とりあえず、私、きのう、安倍総理に対してどういう説明をしたのかということをペーパーを出してくださいと申し上げているので、まずはそのペーパーを早急に出していただきたいと思います。

 私、知らないということも、またこれはこれで問題だと思うんですよ。だって、初めての特別指導の公表ですよね。それも、安倍総理が一丁目一番地、今国会と言った働き方改革、そのことで安倍総理がこのことを知らない、知らせない、これも私は非常に問題だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、個別の案件について、それを、有無について私ども申し上げられないということでございますので、今の御質問にもお答えするのは控えさせていただきたいと思います。

尾辻委員 何かもう全く食い違いというか、かみ合わなくて、本当に事実を教えていただきたい。特に、ファクスまで来ているんですから、今、働き方改革、閣議決定されているんですから。私たち、本当にこれを知らないと議論もできませんということを申し上げておきたいと思います。

 次、行きます。

 では、是正勧告の、また先ほどの時期なんですけれども、ちょっともう一度確認しますけれども、これは、勝田さん、御自分が決めた、十二月十九日に自分で決めた、これでいいですか。

勝田参考人 是正勧告については私は決めておりませんので、承知しておりません。

尾辻委員 特別指導については、勝田労働局長お一人で決めた、それも十二月二十六日の一週間前に決めた、それでよろしいですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 まず、特別指導を行ったのは二十五日でございます。私がそれを決定しましたのは一週間前でございます。

尾辻委員 これ、すごく食い違っているんですよ。

 加藤大臣に説明をした資料、黒塗りが出てきましたよね、私、きのう出しましたけれども、十一月十七日に、ここでは既に、三、指導方針、東京労働局長が指導するってもう書いていますよ。四番目のところでも、東京労働局長から社長に対して全社的改善を求める特別指導を行うと書いてあります。

 これは矛盾していると思うんですけれども、いかがでしょう。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のございました十一月十七日の大臣への報告文書でございますけれども、これにつきましては、その時点での調査の結果につきまして、また、今後の、十一月十七日の後の指導方針について、全社的改善を求める特別指導、監督を行う方針などについて説明をしたものでございます。

 そして、その後、更に調査が行われ、先ほど局長から御説明がありましたように、東京労働局長がこの特別指導の実施を決定した、こういう経過かと思っております。

尾辻委員 済みません、私、ちょっと意味がわからないんですけれども。

 この調査も、ここでもう既に、十一月十七日に調査結果って書いてあります。ところが、この十二月二十六日のテキスト二ページ目を見てほしいんですけれども、記者から、同じ質問が出ると思うのでお答えいただける範囲で構わないんですけど、立入調査っていつごろやられてるんですか、まあ、複数回だと思いますけど。基準部長は、最近ですね。記者は、今月という理解でいいですか、十二月とか。基準部長は、今月ですね、はい。

 調査したのは十二月、こちらの資料では十一月十七日に既に調査結果が出ている、これはどういうことなんでしょうか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 十一月時点での状況を御説明しますと、私ども、東京労働局管内の調査等をもとにしまして、経緯等について本省の方に御相談しておりまして、それについて大臣に御報告が上がったというふうに承知しております。

尾辻委員 そうしますと、この立入調査、十二月というのはどういうことですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 その以降も追加的な調査を引き続き行っていたということでございます。

尾辻委員 もう意味が本当にわからないんです。ちょっと、事実がどこにあるのか全然わからない。とりあえず、ここも私はちょっと理解できないということを申し上げておきたいと思います。

 今度、過労自殺の公表基準、何か矛盾がないのかということについてお聞きしたいと思いますが、朝日新聞の二〇一七年一月十六日の朝刊、過労自殺をされた関西電力の方がいらっしゃって、出頭させて指導票を渡したというふうに書いてあるんですね。

 関電広報室は、課長の自殺については、プライバシーの問題もあるので回答を控えている。関電は言っていないのに、朝日新聞でもありますし、読売新聞でも、関電社長を出頭させて指導しましたよ、日経新聞でも、関電社長に指導した、課長の過労自殺ですよ。そして、これは毎日新聞、産経新聞、全部に書いてあります。この関電の自殺のときは過労自殺であるということを公表しているのに、なぜ、野村不動産のとき、このときは過労自殺であるということでの特別指導であるということは公表されていないんでしょうか。

加藤国務大臣 済みません。委員が何をもって厚生労働省が過労死について発表したと言われたのか、ちょっとよくわからないんですが。

尾辻委員 ここの新聞記事にそのように書いてあります。二〇一七年の一月十六日にそのようにやったということですけれども、じゃ、聞き直します。じゃ、厚生労働省としては、これも公表していませんよということですか。

加藤国務大臣 普通、公表した場合、マスコミは、厚生労働省が公表したとか発表したという、大体マークをつけているというふうに認識をしております。

 いずれにしても、個別事案については、私どもは基本的にそうした公表等を控えさせていただいているということでございます。

尾辻委員 そうすると、これは一体、ちょっと読みますね。運転開始四十年を超えた関西電力高浜原発一号機、二号機の運転延長をめぐり、原子力規制委員会による審査に対応していた関電課長の四十代男性が昨年四月に自殺した問題で、福井労働局敦賀労働基準監督署が関電の岩根茂樹社長を出頭させ、管理職を含む全職員の労働時間管理の徹底を求める指導票を交付していたことがわかったということであります。

 これは、私、それでは確認をさせていただきますけれども、厚生労働省としては、この事実、指導票を出したという事実、そしてその端緒がこの過労自殺であったということは公表していないということでよろしいですか。

加藤国務大臣 その今の質問、非常に難しくて、事実を公表していないということになると、事実を認めた上で、私、答弁しなきゃいけなくなるので、いずれにしても、個別の事案についてはお答えを控えさせていただきたいと思いますし、今委員が述べられたところの最後に、関係者が明らかにしたと。こういう書き方は、通常、マスコミから、私の経験からいえば、まさに、直接例えば厚労省が発表したケースでない場合にこういった引用が使われているというふうに認識をしております。

尾辻委員 わかりました。では、厚生労働省が発表したわけではないということですね。承知しました。

 それでは、次に行きたいと思いますけれども、勝田労働局長の発言について、おどしともとれる発言というのが実は何度もあるんじゃないかということについても、最後、指摘をしておきたいと思います。

 私、これはこのときの一回だけだったのかなというふうに思っていたんですよね。でも、そうしたら、十二月二十六日にもそんなことをおっしゃっているんですよ。これもちょっとびっくりしました。十一ページ。

 局長は、皆さん、マスコミ業界とかそういうので取り上げてほしいですかと。記者は、いやいや、勘弁してくださいよ、そりゃもう、局長のとこ毎日陳情に行かなあかんですよ、勘弁してくださいって、夜討ち朝駆けしますよと。

 実は、三月三十日のことが問題になったけれども、十二月二十六日もこのような発言をされている。これは私はとんでもないと思うんですけれども、これはそういうことですかね。

高鳥委員長 尾辻委員に申し上げます。

 申合せの時間が既に経過しておりますので、御協力を願います。

 勝田東京労働局長、簡潔にお願いします。

勝田参考人 不適切な発言であり、申しわけなく思っております。

尾辻委員 御自分がこういうことを発言したということをテキストデータで指摘されないとわからないということ、それ自身が労働局長としての資格がないというふうに申し上げざるを得ないと思います。

 きょう、もう閣議決定、働き方改革、されたということですけれども、労働行政に対する信頼がここまで根幹的に揺らいでいるときに働き方改革を進めることは認められないということを申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 希望の党の大西健介でございます。

 昨日、与党が国対委員長会談にさえ応じないという中で本会議が強行されました。そういう中できょうの委員会もセットされたということについて、私からも、冒頭、強く抗議をしておきたいというふうに思います。

 本来であれば、そういう状況ではあるんですけれども、前回のこの委員会における審議、勝田東京労働局長の発言が問題になっているにもかかわらず、勝田局長自身が出席いただけない、また、会見の議事録、これも全く出されないという中でのそういう審議でありましたので、皆さんが一番知りたいことが、その発言の真意というのが全く明らかになりませんでした。そういう中で、きょうは勝田東京労働局長が本委員会に出席をいただけるということでありますので、私も、不本意ではありますけれども、その発言の真意や背景についてただしていきたいというふうに思っております。

 それでは、早速ではありますけれども、先ほど来ここでも議論されていますけれども、今回、記者会見の議事録が公開されたことで、私は、是正勧告を行ったことを認めた発言はなかったというこれまでの大臣の答弁やあるいは厚労省の説明というのが虚偽だったということが明らかになったというふうに思います。このうその説明を我々が受けてきたことについては、我々野党だけではなくて与党の議員も、私は怒らないといけないと思います。

 配付資料の、まず、十二月二十六日の会見の議事録というのを改めてごらんをいただきたいんですけれども、二十六日の議事録の六ページというところですけれども、線を引いておきましたけれども、ここをごらんいただくと、これは基準部長の発言ですけれども、基準部長が、今回は会社が勧告って申してるんで、事実として、我々として認めざるを得ない状況にあるのかなと思いますと。

 認めざるを得ないと言っているんですよ、事実として認めざるを得ないと。なのに、これで何で、是正勧告を行ったことを認めた発言がなかったと言えるんですか。これは、認めざるを得ないとはっきり言っているじゃないですか。

 そして、その少し下ですけれども、同じく基準部長が、まあ、会社も認めてますからという前提で、まあ前提でですけれども、申し上げれば、否定はしませんと。

 はっきり言っているじゃないですか、否定はしませんと。

 そして、その上で更に記者から、是正勧告を行ったのは新宿労基署ですかというふうに聞かれて、まあ、そうですと答えているんですよ。

 是正勧告を行ったのが新宿労基署であるということまで認めておいて、これで、是正勧告があったことを認めていないなんて言い張るというのは、これは私はとんでもないことだと思います。

 改めて勝田東京労働局長にお聞きをしますけれども、これは是正勧告があったことを認めていますよね。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私あるいは私の部下が十二月の二十六日の記者会見で申し上げていることは、野村不動産御自身がホームページにおいて是正勧告について明らかにしている、これを述べて、これを前提にしてやりとりを行ったものでございます。

 したがって、会社が認めていることについてお答えするとともに、個別の是正勧告の事実を申し上げられないことを述べたものであり、是正勧告を行ったことを認めたものではないと考えております。

大西(健)委員 本当に、勝田局長、それを世の中ではへ理屈というんですよ。

 まだまだ幾らでも認めている発言があるから順次紹介をしていきますけれども、会社も認めているという前提でということになるけれども、それは否定しないし、事実として認めざるを得ないと言っているんですよ。事実として認めざるを得ない、これは認めているんですよ。認めざるを得ないと書いてあるじゃないですか。

 そして、本来、私は、東京労働局としての模範解答はこうじゃなかったと思うんですよ。模範解答は、私が言うと、それは会社が認めているということだけで、我々としてはそのことは否定も肯定もいたしません、言えませんというのが、これが模範解答なんですよ。これが模範解答なんです。

 ところが、基準部長が、事実として認めざるを得ないと言っちゃったんです。それから、新宿労基署がやったと言っちゃったんですよ。

 だから、加藤大臣、是正勧告を行ったことを認めた発言はなかったというのは、これはもう、今さら変な理屈を言うんじゃなくて、認めた上で、これは謝罪して撤回をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 この記者会見、ずっと通して、原則論、今まさに委員がまとめていただいた、是正勧告について、この場合は、東京労働局からその有無について説明することはできません、他方で、会社側はホームページで認めています、これを前提にお話をされている。

 ただ、そのときのやりとりで、どの言葉でここで答えたか何か、いわば若干の聞き違い、思い違いはそういう中にはあったというふうには思いますけれども、このベースは、常に、そしてそのことは終始一貫、話をしているわけですから、全体としてそうした認識の中で、労働局長及び基準部長ですか、等が話をされているということでございます。

大西(健)委員 私がさっき言ったように、本来だったら、それは会社が認めているだけであって、我々はそのことについては肯定も否定もできません、言えませんと言っておけばよかったんです。ところが、それを、そう認めざるを得ませんと言っているんですね。

 それから、更に言うと、三月三十日の会議録を見ていただきたいんです、三月三十日の会議録。この六ページ目ですけれども、これは先ほどちょっと初鹿委員も指摘をしていましたけれども、三月三十日の六ページ目ですけれども、二十六日の会見を聞くと、是正勧告したというのは、記者の質問に局長認めていらっしゃるんですけど、こう記者が問いかけているんですね。

 これに対して局長は、最初は、本当はいけないんだな、こう言っているんですよ。それに対して記者が、認めたってことでいいんですよね、こう詰め寄っているんですね。それに対して局長は、あっ、いいのかと。これは少し、ちょっと混乱しているんですよ。混乱していますよね、局長が。認めちゃいけないのかな、いや、いいのかと混乱しているんですよ。

 そうしたら、横からまた基準部長が余計なことを言っているんですよ。基準部長が、うん、是正勧告したって話はお話し申し上げたと言うんですよ。そうすると、今度は勝田局長が、そうかそうか、それはいいんだなと言っているんですよね。

 勝田局長、やはり是正勧告したということを認めているじゃないですか。

勝田参考人 このお話でございますが、二十六日の記者会見において是正勧告の話が出たということをお話ししたとともに、それにつきましては、たしか、その後、監督課長から、会社が公表しているということについてお話しし、全体として、会社が公表していることについてお話をしたということになっているというふうに理解しております。

大西(健)委員 いや、本当に苦しいですよね。

 だから、今も言いましたけれども、記者ははっきりと、認めたってことでいいんですよねと言ったら、それに対して、あっ、いいのかと言って、それから、そうかそうか、それはいいんだなと言っているわけですよ。だから、認めたってことでいいんですよねと言うのに、いいんだなと言っているじゃないですか。

 さらに、続きを見ていただきたいんですけれども、続きのところで、是正勧告をこれで認めたってことでいいんですよね、勝田局長が、そうかそうか、いいんだなと言って認めたので、記者が今度、ちょっと手のひらを返したように、それは個別のことにはかかわらないんですかと突っ込みを入れているんですよ。つまり、今まで厚労省の、労働局の説明というのは、個別のことは言えませんと言っていたのに、認めちゃったから、個別のことにかかわらないんですかと今度突っ込みを入れたら、局長はその後で、でも、もうしようがないですよね、今回はと言っているんですよね。しようがないですよねと、認めちゃったからしようがないですよねと言っているんですね。

 それで、次のページですけれども、更にここで記者が何と言っているかというと、是正勧告したということに関しては公表事案というふうに認識していいですね、こう畳みかけているんですよ。この記者、いい仕事をしていますよね、畳みかけている。公表事案というふうに認識していいですねと言っているんですよ。

 そうすると、また基準部長が出てきて、ということだと、その後、点々々なんです。この点々々に私は意味があると思うんですよ。基準部長も、ぺらぺらぺらぺら今までしゃべっちゃったけれども、ここでふと我に返って、しまったと思ったんでしょうね。だから、ということだ点々々なんですよ。ここでちょっと、点々々と、一瞬ふと我に返っている。

 このやりとりを横で聞いていた勝田局長は、これは記者の誘導尋問にひっかかったと気づいたんでしょうね。その後のところで一転して今度は局長は、通常は是正勧告しても言えないのですと言っているんです。これは時既に遅しなんですよ。時既に遅しなんです。

 だから、それで記者から何と言われているかというと、記者は、中身についてはあのとき、あのときというのは十二月二十六日ですね、あのとき中身については言ってなかったですけど、是正勧告したということ自体については言ってたんですよね、こう詰め寄られているんですよ。

 詰め寄られて追い込まれたから、勝田局長は逆切れして、ここで飛び出したのが問題の、何なら皆さんの会社に行って是正勧告してもいいんだけどという発言なんですよ。こういう流れなんじゃないですか、勝田局長。

 つまり、誘導尋問に乗せられて基準部長がぺらぺらぺらぺらしゃべっちゃった。勝田局長も、ああ、それでいいんだよねと言っちゃった。でも、ふと気づいて、いや、失敗した、是正勧告については言わないということになっているんだといって、こう気づいて翻そうとしたけれども、記者に詰め寄られたから逆切れして、だったら、何だったらあんたらのところにも是正勧告してもいいんだよ、こう言ったんじゃないんですか。

勝田参考人 御質問にお答えします。

 一連の流れの中で、十二月二十六日のやりとりの中で、是正勧告があったということについては私どもも事実として認めているところでございます。(大西(健)委員「認めているじゃないか」と呼ぶ)是正勧告についてやりとりがあったことを認めている。私どもが是正勧告を公表したということではございません。

 今回の発言の中でも、是正勧告のやりとりがあったよねという事実を基準部長も含めてやっていますが、それについて監督課長の方から、それは企業が発表していることなのでそういうやりとりになったということについて補足しているというのがこの事実でございます。

大西(健)委員 さっきも言ったように、基準部長は、ということだがと。だから、是正勧告したということに関しては公表事案ということで認識していいですねと、ここで確認をとっているんですよ、記者が。そしたら、ということだ点々々と言って、ここでしまったと思ったから、監督課長が横から、会社が公表していますというふうにフォローして、そして基準部長が、ええ、会社がと言っているんです。

 だから、ここで気づいたんだけれども、そのときはもう認めちゃっているんですよ。認めちゃっているんです。これはもう往生際が悪いですよ。認めたということをしっかり、大臣、今のを聞いていてそう思いませんか。それで、認めたということを言っちゃったから、そのことを記者に詰め寄られたから逆切れしたというのが今回の発言だというふうに大臣は思いませんか。

加藤国務大臣 一連のやりとりを見る中で、今また局長からもお話がありましたけれども、いささか錯誤的なところはあるのかもしれませんけれども、最終的に、今も、会社が公表していると。

 ですから、もちろん、その辺、委員御指摘のように、非常にかちっとした答弁を、記者会見でありますから、しておくべきだったという御指摘はそうだと思いますが、ただ、一貫してここにおいて、是正勧告についてはこちらからは説明しない、事業者からは公表があった、これをベースにやりとりをされているということでありまして、ややその辺が混濁をしたところで、最終的に、いや、それはやはり企業が公表した話だったということであります。

 その後、逆切れ等々のところは、ちょっと私はそこについては、私はちょっと、本人じゃありませんので、それについては答弁を差し控えたいと思います。

大西(健)委員 これは、私は本当に往生際が悪いと思いますよ。このぐらいちゃんと認めて、撤回をしていただきたい。さっきの、是正勧告として認めたことはないというのは撤回していただきたいと思います。

 それで、今、逆切れの話がありましたけれども、この間、これは初鹿委員も指摘していましたけれども、何ならというのは、国語辞典で引くと、気に入らないのならという意味なんですよ。気に入らないのなら、そういう意味なんですよ。個別案件については答えないというのが労働局のスタンスなのに、基準部長が不用意な発言をして、そして記者に、巧みな誘導で是正勧告をしたことを認めてしまった、それに気づいて記者を恫喝する発言をしたというのが、これが事のてんまつだというふうに私は思います。司法警察権を持つ労働局がその権限を振りかざして報道機関をおどすという発言は、これは言語道断であって、撤回したからといって、私は許されるものではないというふうに思います。

 さらに、きょう、理事会にけさ提出されてきたものですけれども、十二月一日の議事録というのが出てきました。この十二月一日というのは例のボクシングデーの発言があったときの記者会見ですけれども、ここでもこういう発言をしていますよ、勝田局長。あの、この中のどこかに踏み込みましたというプレゼントだったりしたら大変かもしれませんけれどもと。この中のどこかに踏み込みましたというプレゼントだったら大変かもしれませんけど、十二月一日にこういうことも言っているんですよ。

 さらに、先ほどの三月三十日の会見で、記者に、そんなこと言っちゃっていいんですかと、つまり恫喝発言について記者にそう言われた後も、八ページで、皆さんの会社も労働条件に関して決して真っ白じゃないでしょうっていう話だけのつもりですと。これは全然、反省も何もないじゃないですか。

 更に言えば、議事録の十二月二十六日にも、さっきも尾辻さんも指摘していましたけれども、十二月二十六日の議事録の十一ページ、皆さん、マスコミ業界とかそういうので取り上げてほしいですかと。このときは記者も、いやいや、勘弁してくださいよと応じて、冗談みたいなことで済んでいますけれども、でも、冗談であっても、こういうことを言うこと自体がやはり不謹慎なんですよ。

 申しわけないけれども、勝田労働局長は、私は東京労働局長の職にふさわしくないと思います。大臣、更迭すべきじゃないですか。いかがですか。

加藤国務大臣 今委員御指摘の点も含めて、一連の東京労働局長の発言については、そうした監督指導あるいは司法警察官としての立場もある中にもかかわらず、いたずらにその権力を振り回すかごとき印象を与える、また、そうした発言をした、これは甚だ、私は不適切であり、そして遺憾だというふうに思っております。その点も含めて、厳正に処分等について対処していきたいと考えております。

大西(健)委員 今言ったように、三月三十日だけじゃなくて、十二月一日にも同趣旨の発言をしている。十二月二十六日にも同趣旨の発言をしている。これは本当に、口が滑ったという話じゃなくて、そういうふうなことを考えている人なんですよ。そういう人がこの職にあるのは、私はふさわしくないと思いますよ。

 大臣、処分をすると言っていますけれども、じゃ、どんな処分をいつまでにするんですか。明確にしてください。

加藤国務大臣 まだ今の段階で確定しているわけではありませんから、ここで申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、今御指摘の点も含めてしっかりと調査をし、その上で厳正な対処をしていきたいと考えております。

大西(健)委員 あと、これも先ほども初鹿委員からも御指摘ありましたけれども、私ももう一つ許せない発言というのは、やはりプレゼントの発言なんですよ。

 これも、けさ出てきた十二月一日の議事録、この十二月一日の議事録には、はっきり、局長、こう言っておられますよ。二十六日に一日おくれのクリスマスプレゼントがありますからと。何かクリスマスプレゼントととられかねないようなとか言ったけれども、二十六日、一日おくれのクリスマスプレゼントがありますからとはっきり言ってますよ。その次のところでも、二十六日だから何かクリスマスプレゼントが用意される、こう言ってますよ。

 私は、これは本当にとんでもない発言だと思うんですけれども、十二月二十六日のさっきの会見の議事録、これも先ほど指摘ありましたけれども、一ページ目の後半、局長が、プレゼントもう行く、やります、じゃ、やろっかと。この軽薄な発言にはもう本当に言葉を失いましたよ、本当に。これはやはり、先ほどもありましたけれども、民間企業にとっては、企業名を公表されるというのは一大事なんですよ。そして、この野村不動産による裁量労働制では人が死んでいるんですよ、過労死が起きているんですよ。そのことについて、プレゼントもう行く、やりますか、じゃ、やろっかと。これ、何なんですか。許されないですよ。

 この発言には、きょうも傍聴席にも過労死遺族、家族の方、いらっしゃっていますけれども、本当に怒りに震えておられますよ。その人たちに対して、この発言、どういうふうに思っているのか。

 私は、ぜひもう一度、勝田局長、このプレゼント発言、さっき、何かプレゼントと受け取られかねないようじゃなくて、プレゼントとはっきり言っているじゃないですか。人が死んでいるんですよ。遺族、家族の皆さんも聞いていますよ。もう一度、この発言、どういうつもりで言ったのか、そして、この発言に対する謝罪を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 いずれにしましても、私の発言が不適切なものであったと考えており、おわび申し上げたいと思います。

大西(健)委員 今も言ったように、きょう傍聴席に来られていますよ。こんなのでいいんですか。プレゼントと言いましたよね。言いましたよね。ちょっと、今のじゃだめですよ、ちょっと。(発言する者あり)

高鳥委員長 質問を続けてください。もう一度聞いてください。質問を続けてください。

大西(健)委員 勝田局長、プレゼントと確かに言っていますよね。十二月一日、言っていますよね。そして、今、傍聴席で聞いている遺族、家族の皆さんに、人が死んだこと、あるいは、企業にとっては、公表されるというのは一大事ですよ、それを、じゃ、いこうか、こういうプレゼントと言っていること、これに対してどう申し開きするんですか。もう一度お願いします。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 十二月一日の時点でプレゼント云々についてお話ししたときには、特定のことを念頭に置いたものではございませんでした。

 ただ、十二月二十六日の発表の時点で、通常以外の発表はこの件のみとなりましたが、それで、プレゼントはと言われたときにそれを受けてしまったということは非常に軽率であったと思っておりますが、プレゼントというほどいいお話ではありませんということをお断りの上、話をさせていただいております。

 いずれにしましても、私の発言、不適切であり、おわび申し上げたいと思います。

大西(健)委員 違いますよ。十二月一日のとき、受けてしまったじゃなくて、局長から言っているんですよ、二十六日に一日おくれのクリスマスプレゼントがありますからと。記者が、記者だけに特だねが来るのかと。あのう、二十六日だから何かクリスマスプレゼントが用意されると言っていて、これはあなたから言っている話なんですよ。今の答弁では、とても、私は心のこもった謝罪だとは思えないですよ。撤回と謝罪ということではないと思います。

 もう一つ、きょう、先ほど来やりとりがありましたけれども、過労死が起こったことを、遺族の方が、名前は公表しないでほしいけれども、過労死があったことは公表していいということを同意しているファクスを送られた件です。

 これについても、私、この間、野党合同ヒアリングで、過労死遺族の方々はこういうふうに言っていましたよ。これは遺族のためだと厚労省は言っている、遺族のためにこの過労死の公表というのは慎重にやっているんだと言うけれども、いいかげんなことは言わないでほしい、遺族が公表をためらうのは会社側からの嫌がらせが怖いからであって、過労死が起こったことさえ闇に葬り去られて何事もなかったように事が進んでいくことは、これはもう耐えられないとおっしゃっているんですよ。

 ですから、やはりこれは、今回こういう一連の国会のこの議論を聞いて、野村不動産の過労死の遺族の方は、これは大変つらい決断だったと思いますけれども、これは公表してもらって構わない、このまま、逆にそれをしなければ、野村不動産のこの事案で過労死があったことさえ認められないまま事が進んでしまう、それには多分耐えられないと思ったんだと思いますよ。だから、こういうつらい決断をされたんだと思います。

 事ここに至ってもなお過労死を隠し通そうとする姿を見たら、私は、遺族の皆さんはどう思うかというふうに思うんですけれども、大臣、改めていかがでしょうか。

加藤国務大臣 隠し通すということを別に、申し上げているわけではなくて、従前から、遺族やあるいは代理人の方が公表されれば、もちろんその範囲内で我々は対応いたします。

 ただ、本件については、先ほど申し上げましたように、ファクスという形でいただいているものですから、それをしっかり確認をしていく。しかも、やはり、今まさに委員から御指摘がありましたけれども、そうした事案に関しては本当にいろいろな事情があるということ、また、それぞれ遺族の方は大変厳しい、また状況にもおられるというふうに思います。その辺も含めながら私たちは慎重に、慎重にというのは、別に時間を稼ぐという意味じゃなくて、丁寧にやっていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。

大西(健)委員 慎重にした上で、仮に、じゃ、過労死があったということが公表されるようになったら、厚労省として認められるようになったら、そして、きょう私が議論していたように、是正勧告があったということはもう厚労省は認めたということだと私は思います。

 ということで、最後の質問にしたいと思いますけれども、きょうお配りした資料の最後に、大臣に三度説明したときに使った十一月十七、二十二、十二月二十二のこの資料、ありますけれども、この黒塗りの部分に是正勧告という四文字がありますか。また、過労死ないし労災認定という言葉が入っているかどうか。これを全部あけてくれとは私は言いません。ただ、今言った文字が入っているのか入っていないのか、これだけ明らかにしてもらえませんか。

加藤国務大臣 まず、是正勧告に関しては、その有無について申し上げられないということを申し上げているわけでありますから、その姿勢で対応させていただくということであります。

 それから、過労死の案件について、これは一般論で申し上げさせていただきますけれども、先ほど申し上げたような状況、御本人が公表されたり、あるいは、今回の話の中でいろいろ確認していく中で最終的にそうした対応ということになれば、そこは我々、それとして対応させていただきますけれども、ただ、今、マスキングした理由はそれだけじゃなくてほかの理由もございますから、ほかの理由が解除されない限り、そこを解除するつもりはございません。

大西(健)委員 私は解除してくれとは言っていないんですよ。その言葉が入っているか入っていないか、イエスかノーかだけでも答えてくれと言っているのに、それさえ答えられないというのは、これはとんでもない話だと思います。

 時間になりましたから終わりますけれども、一つのうそが百になる、こういうスペインのことわざがあるそうですけれども、うそをつくと、ごまかすためにうそを重ねざるを得なくなって、最終的には筋の通らないことを言わざるを得なくなってしまう。まさに今の安倍政権そのものじゃないですか。都合の悪いことは隠蔽したり、うそをついたり。安倍政権のもとでは国会でまともな真摯な国会の議論というのはできないということを申し上げて、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 希望の党の柚木道義でございます。

 きょうは、過労死御遺族の会の皆さんも、本当に、連日、やむにやまれぬ思いで、いろいろな御事情があるのに、御都合をおつけいただいて、きょうも質疑が実際あるかどうか微妙な中で、本当に早くからお越しいただいておりまして、ありがとうございます。

 加藤大臣、資料の一枚目につけておりますように、こういう状況ですね、今、安倍政権。安倍内閣では、公文書管理をめぐる不祥事が多発、連発ですよ。一年前の防衛省、南スーダンと思ったら、今は、今度はイラクの陸自の派遣。もちろん加計学園の問題もあった。そして、財務省の森友問題。そして、厚生労働省の裁量労働制をめぐるデータの改ざん、撤回。

 こういう中で、今新たに、きょう勝田労働局長もおいでですが、メディアへのおどし、そしてプレゼント発言、こういう状況ですよ。

 そういう中で、加藤大臣、何でこういう中で、しかも、御遺族からの、野村不動産過労自殺、公表に同意するというファクスの確認もしていないのに、きょう傍聴にも来られている過労死遺族会の方が自分たちと同じ過労死や過労自殺がふえてしまうから大反対をしている、このスーパー裁量労働制を含む働き方法案を、何でけさ強行閣議決定したんですか、大臣。何でですか。何で強行したんですか、閣議決定を。

加藤国務大臣 済みません、委員がおっしゃっている強行閣議決定の意味がわからないんですが。

柚木委員 きょう何の審議が行われているんですか、今。この法案が、裁量労働制の部分、データの改ざん、それこそ、裁量労働制の方が残業時間も普通の人より短くなるんだというとんでもない捏造をして法案を強行しようとした、それが断念に追い込まれた、裁量労働制の部分は。そして、まだスーパー裁量労働制が残っている。そういう中で、局長の暴言も含めて許せないと言っているんです、遺族会の皆さんも。そういう中で、大臣、ずっと言っていたじゃないですか、御遺族の方が公表、同意しているんですよ。そうしたら、認めたらいいじゃないですか、この場で、そういうことがあったと。認めもしない、それどころか御遺族の方に確認もせずに、何で閣議決定、きょう法案、しちゃったのか聞いているんですよ。

加藤国務大臣 まず、ファクスの件はファクスの件として、先ほどから御説明させていただいていますように、我々も丁寧にしっかりとやらせていただきたいということは申し上げているところでございます。

 それから、この法案でありますけれども、この法案は、まさに働く方がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択できる社会を実現していく、そういった意味においても、罰則つきの時間外労働の限度枠の設定、また、働き方に合った健康確保のための措置や、高い年収の確保、職務範囲の明確化等の労働者保護を適用し、雇用関係のもとで自律的に働くことができる高度プロフェッショナル制度の創設、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保し、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消するための規定、こういったものを盛り込ませていただいているところでございまして、これはこれとしてしっかり進めていく必要があるということで、きょう、与党のプロセスを経て閣議決定をさせていただきました。

 ただ、委員御指摘のような、裁量労働制に係るさまざまな問題点等々については、我々は、しっかりと反省をして、それに立って、これからも行政を進めさせていただきたいと思います。

柚木委員 きのうときょうの質疑の中で、野村不動産の過労自殺の御遺族の方が、公表を同意しますと。二ページ目、資料もつけていますけれども、きのうの福島委員とのやりとりでもなされていますよ。その中で、大臣はこう答えているんですね。ただ、その中身については、正直言って、それ以外、何の連絡もいただいておりませんから、それがどなたなのか、どういう趣旨なのか、情報を持っていない。だったら、電話して確認すればいいじゃないですか。

 私、きのうもお願いしましたよ。後ろに座っておられますけれども、一時間やりとりしましたよね。せめて、けさ閣議決定する前に、御遺族に直接このファクスの御趣旨を、もちろん本人確認も含めてやってくださいよと。加藤大臣、何でけさの閣議決定まで、それができなかったんですか。

加藤国務大臣 済みません、閣議決定は、先ほど申し上げたことでやらせていただいているということでございますし、このファクスに関しても、こうした事案でありますから、丁寧にやっていかなきゃいけないということで取り組ませていただいているので、別に、時間を稼ぐとか、先ほど隠蔽とかいうお話がありましたけれども、そんなつもりは全くございません。

 ただ、こうした事案ですから、しかも、私どもとして、先ほどから御説明しておりますように、これまでは遺族の方がみずから発表されていた、こういうケースに対応してきたわけでありますが、今回は、同意をするというファクスをいただいた、こういう事案でございますから、これまでも対応したことのない事案だということも含めて、丁寧に対応していかなきゃいけないということでございます。

柚木委員 これまでも対応したことのない事案だからこそ、これまでにない対応をお願いしたいんですよ、大臣。史上初でしょう、公表の特別指導。電通の高橋まつりさんのときは公表していない。

 そして、きょう、こう答えているんですよ。今まで電話をいただいたわけでもない、加藤大臣、これまでやりとりしたわけでもないと。

 大臣、どういう思いで御遺族の方がファクスを送られてきたとお思いですか。何でこのタイミングでファクスをしてきたかと思いをはせることができますか。まさに、もう閣議決定の寸前で、ずっと国会で、過労自殺を認めない、言えない、そういう議論の中で、では遺族が公表を同意したら、そういう思いで、どれだけの勇気を持ってファクスをしてきているんですか。

 これは、電話をして、本人かどうかわからない、それはそうでしょう。電話して、本人面談をセットすればいいじゃないですか。それすらも何でやらないんですか。電話して、本人面談をセットして会えば、ファクス自体が本物かどうかわかるじゃないですか、加藤大臣。

 本当に、やむにやまれぬ思いでこの送られてきているファクス、こういう、電話をいただいたわけでもない、これまでやりとりしたわけでもない、正直言って、どなたからなのか、どういう趣旨なのか、加藤大臣、これ、ファクス、怪文書なんですか。怪文書と考えているんですか。そういうふうにとられかねませんよ、この発言。この発言自体を撤回、訂正してください。

加藤国務大臣 済みません。委員が怪文書と言っているので、私は怪文書なんて一言も言っておりません。

 そして、本件、この公表に関しては、これまでやりとりをしたことがないということを申し上げているだけでありまして、事実を申し上げているので、それを怪文書というふうにおっしゃる趣旨が私には全く理解ができません。

柚木委員 かつて、菅官房長官も同じことを言って、総理の御意向文書、怪文書扱いして、結局違ったじゃないですか。

 この発言、御遺族が聞いたらどう思いますか。正直言って、ファクス以外何の連絡もいただいておりませんから、どなたからなのか、どういう趣旨なのか、申し上げる情報を持っていない、きょうは電話をいただいたわけでもない。

 何ですか、御遺族から電話してこいと言うんですか。どれだけの思いでファクスしているんですか。これまでやりとりしたわけでもない。断腸の思いで、ついに勇気を出してファクスしてきたんでしょう。ひどいですよ。御遺族への冒涜ですよ、これは。みんな心で泣いて聞いているんですよ、きのうのやりとりも、御遺族が。

 委員長、電話、今してくださいよ。今して、せめて面会の約束してくださいよ。五分でできるじゃないですか。委員長、五分中断してくださいよ。御遺族の本人確認、私はきょうまでにお願いしたんですから。御遺族の皆さんの思いでもあるんですよ。中断して、三分でも五分でもいいですよ、つながったら再開してください。お願いします。

 すぐできます。電話してくださいよ。電話してください。電話できない理由があるんですか。速記をとめてください。(発言する者あり)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 柚木道義君。

柚木委員 私は、きょうまでに、安倍総理は予算委員会で、私がこういう声をかけたら、働く皆さんに寄り添って答弁してくださいと言ったら、働く皆さんに寄り添って答弁しますと、わざわざ引用された。

 どこが寄り添っているんですか。できるじゃないですか、電話なんて。これは形を変えた過労自殺の隠蔽ですよ。丁寧にって、電話して本人確認、面会しましょう、行きます、お越しいただきます。普通の会社だったら、お客さんから電話があったら、当然、ファクスがあったら折り返して、そして要件を聞いて、場合によっては伺ったり来ていただいたり、当たり前じゃないですか。当たり前のことをやらずに、何が丁寧なんですか。

 今すぐやらないんだったら、せめて昼休みにやってくださいよ、大臣。約束してください。

加藤国務大臣 別に私ども、全くやっていないという意味じゃなくて、一つ一つ、場所の確認とか、いろいろな事情について当たらせていただいているんです。

 ただ、柚木議員、こちらだけの事情で全部押し込んでいっていいものでは私どもはないというふうに思います。相手も当然いろいろな事情がありますから、そこはよく丁寧にやらなければ、こちらだけの都合で押し切っていいという話では私はないというふうに思っております。

 ただ、先ほどから申し上げているように、私どもの方で、いたずらに時間をかけようとは全く思っておりませんから、それは一つ一つ丁寧にやりながら対応させていただきたいと思っておりますし、今委員あるいはこの委員会からもこうした御指摘をいただいておりますから、それを踏まえてしっかり対応させていただきたいと思います。

柚木委員 加藤大臣、こちらの都合って何なんですか。相手の事情、ある中で勇気を出して、どれだけの勇気が必要だったか。私は、きょうお越しの皆さんからも、このファクスを出すのにどれだけの勇気が必要だったか、みんな泣きながらおっしゃっていましたよ。

 こちらだけの都合、それはおありかもしれませんよね。結局、加藤大臣も安倍総理も、特別指導という都合のいいところだけは使って、この裁量労働、当時含んでいた法案を通すために。だけれども、過労自殺については、それは表向きは個人情報だと盾にとって公表しない。これだって、法制局に確認したら、認めることは別に法律に抵触しないんですよ。皆さんが勝手に、個人情報を盾にとって、過労自殺を認められない。

 本当の理由は、まさに特別指導、これを利用して、いや、悪用してですよ、はっきり言って。過労自殺を認めないんだったら悪用ですよ。都合のいいところだけ特別指導は使う、悪用して、過労自殺は隠蔽して、そして結局、法案を通したいだけじゃないですか。(発言する者あり)何で隠蔽する必要があるんですか、そのとおりですよ。何で隠蔽する必要があるんですか。だったら、電話して、ここの閣議決定をけさするまでに答弁をできる状態で来るのが、それこそ働く皆さんに寄り添った対応じゃないですか。

 結局のところ、法案を通したいから、特別指導は都合よく使って、過労自殺は隠していた。加藤大臣も安倍総理もそうじゃないんですか。違うんだったら、御遺族の皆さんが納得できる答弁をしてください、ここで。

加藤国務大臣 同じ答弁の繰り返しで恐縮ですが、民主党の皆さん方が政権についたときもそうだったと思いますけれども、この過労死事案……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。

加藤国務大臣 この過労死事案については、政府側から、厚生労働省側から、それについては説明や回答はしない。ただし、何回も申し上げて恐縮ですけれども、御遺族や御遺族の代理人たる例えば弁護士の方が公表した場合には、その範囲内でやらせていただくということです。

 それから、先ほど、特別指導とありますが、特別指導より、より重たいものは送検なんですよ。送検の際にも、こうした過労死のことについて、私どもは発表することはありません。

柚木委員 都合が悪くなったら民主党政権のときはという理屈は、もうそろそろやめた方がいいんじゃないですか、加藤大臣。何年たつんですか。

 これは安倍総理にも報告しているんですよね、十二月の二十六日に。

 前回、委員長、お願いしましたよ。安倍総理に報告した資料、何できょう出してくれないんですか。その中にも、過労自殺のことが書いてあるからじゃないんですか。

 安倍総理に報告したことは加藤大臣も御存じなんですから、文書の中身も御存じなんですから、私は言いましたよ、前回も。どういう文書の中身なのか、確認して出してくれと。確認しているんでしょう。その中に、過労自殺と書いてあるのか、書いてある、書いてないが言えないとしても、安倍総理がそのことを御存じだったかどうなのか、そこはちゃんと、前回の答弁を踏まえて、確認してきてくれていますね。御答弁ください。

加藤国務大臣 それは先ほど他の委員に御説明いたしましたけれども、昨年の十二月二十六日に東京労働局において発表したその文書、それを総理に、我が厚生労働省の労働基準局から官邸の方の、多分、秘書官ないし秘書官のスタッフの方に上げて、そして総理の方に報告をしていただいている、こういうふうに承知をしております。

柚木委員 その文書の中に過労自殺という言葉が入っていれば、当然、安倍総理も過労自殺を昨年末の段階で知っていたということになりますが、これについては否定されませんね。

加藤国務大臣 先ほど申し上げました、平成二十九年の十二月二十六日に、東京労働局長による特別指導についてということで配付をした資料がございます。それをお渡ししているということで、この配付した資料については、もう既にお配りをさせていただいているのではないかと思いますが、もし改めてということであれば、もう一度配付をさせていただきたいと思います。

柚木委員 この三回の文書と同じなら同じでもいいので、安倍総理に報告をした文書、真っ黒、黒塗りでもいいので、出してください。前回もお願いしているんですよ。きょうじゅうに出してください。委員長、お願いします、委員長。いや、大臣が出してくれるんだったら、大臣、答弁してください。

高鳥委員長 引き続き理事会で協議いたします。

柚木委員 これは最後の資料にもつけていますけれども、最後、勝田さんに聞きますから、聞いておいてくださいよ。

 ほかでは、過労自殺も公表、認めているんですよ。八ページ目。これは関西電力社長に、これも似ています、事例が。管理職、課長の方が過労自殺。でも、このときは違法ではなかったんですよ。だけれども、社長に指導して、しかも、過労自殺があったことを福井労働局関係者が明らかにしているんですよ。こっちは、野村不動産の方は違法で、かつ、法案に直結する裁量労働制をやっていて過労自殺をしている。そして、特別指導については公表している。なのに、違法で、違法じゃない方でも公表しているのに、こっちは何で過労自殺だけ公表しないんですか。(発言する者あり)関電は違法じゃないですよ。関電は違法じゃないのに公表しているんですよ。

 こういう、やはりこの事案だから過労自殺を公表していない、そう思われても仕方がないですよ。

 ちょっと勝田さんにも一問だけ聞いておかなきゃいけないので。

 この間のやりとりを、私、きょうのですよ、私以外の。聞いていて、私も月曜日も一時間やりとりしていましたから、もう、言った発言まで次の日に文書で改ざんするのはやめてください。はっきり言います。はっきり言います。

 それで、もうこの間、是正勧告の話もありましたよ、これ、本当に。

 認めていいのか、いいんですよねと記者が言ったら、あっ、いいのか。基準部長が、うん。そうかそうか、それはよいんだな、もう仕方ないですよね、今回はと。

 こんな、将棋でいえば詰んでいるんですよ。詰んだ後に、監督課長や基準部長が、会社が公表しています、ええ、会社がと言っても、これ、詰んだ後に、将棋盤から王様が下におりるような話ですよ。詰んでいるんですよ。

 もう一つ、プレゼント発言。これは本当にあり得ないですよ。プレゼントの中身は、プレゼントもう行く、やります、じゃ、やろうか、やりましょう、はい、プレゼントっていうほどのいい話じゃないんですけどと。当たり前でしょう、人が死んでいることを、何がプレゼントなんですか。そして、その後に、野村不動産に対して特別指導を行いましたと書いてある。

 これが出る前は、局長、最初はそんな趣旨で言っていないと言っていた。でも、だんだんだんだん、将棋でいうと詰みそうになって、必ずしも野村不動産のことを意図して言ったんじゃないと言った。これが出てきた。一〇〇%野村不動産じゃないですか。

 この発言、おわび、さっきしなかった。そして、撤回してください。答弁ください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の私の発言、十二月一日の発言は、特定のことを念頭に置いたものではございませんでした。そして、十二月二十六日の定例会見でも、野村不動産に対する特別指導を、プレゼントというほどいい話じゃないんですけどと言いつつ公表しました。

 いずれにいたしましても、十二月二十六日のこの発言は、あたかもプレゼントとして提供すると誤解を招くようであったことと考えておりまして、おわびの上、撤回させていただきます。

柚木委員 最初から、おわび、撤回と言ってくださいよ。どういう思いで、人の命を守る労働局のトップが人の死をプレゼントに例える。普通でいえば、メディアへの圧力発言だけで一発レッドカードで退場、更迭。二回もレッドカードですよ。

 私、前回も言いましたけれども、加藤大臣、神奈川労働局長は減給プラス降級、降任、降格ですよ、局長級から課長級に。それでも緩い。

 局長、ここで辞任したいと御答弁いただけませんか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私の進退等につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

柚木委員 加藤大臣、まさか、神奈川労働局長の事例を私が厚生労働省にどういう処分だったか求めたら、減給しか返ってこなかったんですよ。意図的ですね。降任、降格を何で書かなかったか。私、非常に不信感を持っていますよ。

 少なくとも、そういうお茶を濁すような処分で終わらせるつもりはありませんね。答弁ください。

加藤国務大臣 本件については、今、これまでも、大変不適切な発言であるということ、そして、監督行政に対する国民の信頼を大きく揺るがしてしまった。私としても甚だ遺憾でありますし、また、この国会、各委員からもさまざまな御指摘もいただいているわけでございますので、それらを踏まえて、処分に当たって厳正に対処していきたいと考えております。

柚木委員 終わりますが、本当に安倍総理の言葉どおり、働く皆さんに寄り添う働き方改革をやるというのであれば、この後直ちに、昼に、御遺族の皆さん、御遺族の方、ファクス、連絡をとって、次の山井委員の答弁のときに報告してください。

 以上で終わります。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 三十分間、質問をさせていただきます。

 残念ながら、けさ、残業代ゼロ法案、過労死促進法とも言われる今回の働き方改革法案が閣議決定をされたそうであります。今までから多くの議員が、人の命を奪う、過労死をふやすこの働き方改革法案、過労死促進法はやめてほしいということを言ってきたにもかかわらず、閣議決定をされたということに強く抗議をしたいと思います。そして、きょうの夕方、国会提出とも言われていますが、ぜひともやめていただきたいというふうに思います。

 それで、その中で、きょうのこの審議は、ファクスを送られた野村不動産過労死の御遺族や、あるいは、もしかしたらその代理人弁護士の方も、何らかの形でこの質疑のことを知られる可能性は当然あると思います。そういう中で、本当に、この過労死の方々の思い、御遺族の苦しみ、そういうものに寄り添う国会審議に全くなっていない、そういうことを加藤大臣の答弁を聞くたびに私は痛感してなりません。

 何よりも、この労働法制の議論というのは、人の命がかかっているわけであります。命がかかっているのに、きょうもるる議論がありましたけれども、加藤厚生労働大臣、そして厚生労働省は、事もあろうに、理事懇、理事会に虚偽の内容のペーパーを配付した。こういうことでは、もう国会審議の前提が崩れているんですよ。

 先ほどのプレゼント発言や是正勧告したのかという答弁も、議事録と照らし合わせたら、一般国民からすれば虚偽の答弁なんですよ。一般国民からすれば、虚偽の文書を厚生労働、出しているんですよ。言い方は悪いけれども、この厚生労働委員会、虚偽答弁、虚偽資料、それでどうやって人の命を守る働き方改革関連法案の審議ができるんですか。

 森友、加計、イラクの日報。隠蔽、改ざん、国民に対してうそをつく。本当にいいかげんにしていただきたい。

 ですから、最初に委員長に申し上げますが、どう考えたって、是正勧告を行ったことを認めた発言はなかったというのは、これは虚偽です。私たちは納得できません。このペーパーはつくり直してください。そして、その上で、これは罪は重いですよ、集中審議の前に虚偽のペーパーを出しているんですからね。審議妨害ですよ、これは。審議妨害ですよ、うそのペーパーを集中審議の前に出すなんてことは。

 当然、これは謝罪、撤回した上でもう一度出し直し、そして当然、安倍総理も出席していただいて、この野村不動産の集中審議のやり直しをしていただきたいと思います。委員長、お願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 そういう中で、私は今回、本当にちょっと、大変なショックを受けておりますのは、昨日十二時過ぎ、今が一時ですから、もう二十四時間以上たっております。昨日の正午過ぎに、その御遺族の方が、名前は伏せてほしいけれども、過労死で亡くなったというこの事実を公表することには同意するという趣旨のファクスを東京労働局に送ったのではないかというようなことを漏れ聞きました。

 それで、そういう情報を聞きましたので、あと、そのことに関連して、きのうの参議院厚生労働委員会でも、その趣旨の質問があったときに、加藤大臣は、きょうの配付資料にも入っておりますが、答弁をされているんですね。ここの配付資料に入っております、十三ページですね、テープ起こしをさせていただきました。

 その中で、加藤大臣は、おっしゃっている感じのファクスが来ていることは事実でありますが、ただ、その中身については、正直言って、それ以外何の連絡もいただいておりませんから、それがどなたなのか、どういう趣旨なのかを含めて、今、私どもとして申し上げる情報を持っていないということです。

 私は、非常にこの答弁を聞いてショックを受けました。つまり、御遺族の方が大変な苦悩をされた上で、恐らく、やはり過労死の事実を公表することは同意する、そういう趣旨のファクスを出されたんじゃないかと思うんですね。にもかかわらず、まだ野村不動産で過労死が起こったという事実すら加藤大臣は認めない。おまけに、先ほど聞いたら、一日以上たっているのに電話の一本もかけていない。

 やはり、御遺族の思い、苦しみ、願いというのは、私は本当に地球より重いと思いますよ。それに対して、事実上、丸一日以上これを放置していることになっているんじゃないか、そういう気がしてなりません。

 加藤大臣、御遺族からそういうファクスが来たのであれば、簡単なことなんですよ、もうみんな知っているんですから、野村不動産で過労死があったことは。野村不動産も認めていますから。マスコミでも報道されていますから。ぜひその御遺族からのファクスを受けとめて、公表することに同意するというファクス、来たんですよね、ぜひ加藤大臣、野村不動産で過労死の事案は起こりましたということをお認めください。

加藤国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、きのう、野村不動産の絡みということでファクスを頂戴をいたしました。ちょうど参議院の厚生労働委員会の最中に、私、ファクスを見させていただき、福島議員からそれに関する御質問があったので、それに対して、その段階の状況でのお話をさせていただいたということでございます。

 いずれにしても、ファクスという形で頂戴をしておりますから、御本人の意思等の確認等、これをしっかりやっていかなきゃならないということで、今、やはり一番大事なのは、今委員御指摘ありました、ちょっとこの話は難しいんですけれども、今の私どもの段階では、個々について、労災についてコメントしない、これを前提にお話をさせていただいているということでしていきたいと思いますけれども、そういった意味においても、そうした方々の事情というものを、それをしっかり踏まえながら、また、その方の御利益、立場を踏まえながら私たちは対応していきたいというふうに思っております。

 今、全くこの間していないわけではなくて、この間、これはすごく説明は難しいんですけれども、もちろんいろんなやりとりがあります。そういったことも含めて、これは一般論で言わせていただいていますけれども、通常であればいろんなやりとりがあるわけでありますから、そういったものも確認しながら、しっかり、先方に最終的にはもちろん連絡をとり、そして直接お会いをし、そして確認をしていく、こういう作業を一つ一つしていく必要があるんだろうというふうに思います。

 前から申し上げておりますように、私どもは過労死案件を隠しているわけではありません。それぞれの過労死の方々の御意思の中で、直接公表があれば、それをベースにお話をさせていただいておりますし、今回は、こういうケース、正直言って初めてでございますから、どういう対応をすべきなのかということも含めて、今、中で議論をしながら、そして、事実確認についても、御先方さんのこともしっかりと踏まえながらやらせていただいているということでございます。

山井委員 いや、ということは、今の答弁によると、きのうの厚生労働委員会の最中、福島みずほ議員の質疑の前ということは、二時四十分より前ということですね。きのうの二時四十分より前にそのファクスを見ておきながら、まだ電話の一本もされていない。

 私は、これは、本当に、下手をすると、過労死隠しと言われても仕方ないんじゃないかと思いますよ。今までから、御遺族が同意されないから個人情報には触れられないんだということを百回ぐらい聞きましたよ。ですから、今回、本当に悩みに悩みながら、わかりませんよ、わかりませんけれども、きのうファクスをされたんじゃないかと思います。

 さらに、これも私の勝手な推測ですけれども、要は、きょう閣議決定をされる、国会提出されるんじゃないか、そういう前に、やはりこの事実は世の中の人に知ってもらう必要があるんじゃないかということを、国会提出、働き方法案の閣議決定の前に公表してもらう必要があるんじゃないかと、もしかしたら思われたのかもしれません。というのが、きのうという日にちですからね。

 にもかかわらず、電話の一本もされないということで、先ほどから柚木議員が、もう今すぐ、あるいはこの昼休みにでもと、恐らくファクスの中に電話番号は、連絡先は当然あったというふうに推測しますので。なぜ電話しないんですか。

加藤国務大臣 ですから、そういったいろんなことも踏まえて、ちょっと一般論と個別が一緒になっているので非常に答弁しにくいところがあるんですけれども、ちょっと一般論としてお話をさせていただきながら、酌んでいただくしかないと思うんですけれども、この話は。ということで、我々もいろいろ集めながらやらせていただいて、別に、連絡しないとか、接触しないとかいうことを、私どもは一言も言っているつもりはございません。

 いずれにしても、そうした準備もしながら、今、私の方からも、先ほど柚木議員からも御指摘がありましたので、先方に接触をし、そして、しかるべきタイミング、もちろん先方の都合のよいときということになるわけでありますけれども、直接伺って、しっかり話を聞いていく、そういったことも指示をさせていただいたところでございます。

山井委員 きょうが働き方改革法案の閣議決定か国会提出じゃないかという情報は、報道でも流れておりました。それで、きのうファクスがありました。

 うがった見方をすると、閣議決定、国会提出する前、大詰めの前日、あるいは当日に野村不動産の過労死の事実を認めたくない。安倍総理が働き方改革推進法案の目玉として推進してきた裁量労働制の拡大で、野村不動産が、過労死があった。おまけに、そのことは国民には言わずに、野村不動産に関しては厳しく取締りをしたという、ある意味でこの特別指導を厳しく裁量労働制を取り締まっていますというPR材料に使ってきた。しかし、実際は、とんでもない、PRじゃなくて、過労死が起こって初めて指導ができた、大失敗事例じゃないか。人が死なないと特別指導しない、六百人もの違法の裁量労働制がありながら、過労死がないとそれを摘発できなかった、大大失敗事例じゃないですか。

 そういう意味では、昨日、ファクスで御遺族が、裁量労働制で自分の家族が亡くなったことを公表することに同意する、そういうことを決断するファクスを送られたということは非常に重たいですよ。にもかかわらず、まだ電話の一本もしない。

 今、加藤大臣おっしゃいましたけれども、じゃ、いつ電話するんですか、いつ会われるんですか。

加藤国務大臣 まず、委員、一般論ですよ、過労死事案等もあれば当然監督指導は入ります。それはもちろん、そうした過労死が出たこと、これはもう本当に我々真摯に受けとめなきゃいけませんが、しかし、そうしたことを二度と起こさない、その企業によって起こさない、そういうつもりで、それぞれの監督官は入り、徹底した監督指導に努めているわけでありますので、そこのところはしっかり認めていただきませんと、それは監督指導に当たっている人間は、何のためにやっているのかということに私はなるのではないかというふうに思います。

 ただ、委員おっしゃるように、過労死をなくす、これはもう与野党問わず、我々の思いでありますし、我々はそれに向けて一生懸命やっていく、そういうことで対応させていただいているということでございます。

 それから、今委員からお話がありましたけれども、先ほども少し御説明いたしましたが、先ほど柚木委員からも御指摘がありましたので、事務スタッフの方に、連絡をとって、そして直接会ってしっかり話を聞け、もちろん相手の事情をしっかり踏まえながらということを申し上げたところでございます。

 ただ、いつ会うかとか、そういう話は私どもの方で申し上げるものではないんだろうと思います。

山井委員 電話しろという指示は、いつされたんですか。もう二十四時間以上たっていますよ。何で一日以上電話の一本もしていないんですか。

加藤国務大臣 もともとファクスを頂戴したときから、これに対して対応するということは申し上げております。ただ、いろいろな準備をしたり、調べたり、対応したりということである程度時間がかかっているということでございますけれども、しかし、その上において、また改めて、柚木委員等からもお話がありましたので、私の方からもう一度そういう指示を出した、こういうことでございます。

山井委員 先ほども言ったように、働き方改革法案の閣議決定、国会提出の前日にはその事実を知らせたくない、あるいは当日のきょうには知らせたくない、そういう思惑で引き延ばしているとしか思えません。電話一本すればいいんじゃないんですか。電話の一本すらしていない。

 もしかしたら、電話して、公表してもらって結構ですと御遺族から電話で言われたら困るからとか、そういうことも、もしかしたら思っておられるんじゃないんですか。全く納得できません。

 ここにありますように、先ほどの尾辻議員の配付資料で、つまり、残念ながらこの五十代の男性社員が裁量労働制で亡くなられていたのは、二〇一六年の九月なんですね。もう一昨年の九月なんですよ。それで、労災申請されたのは昨年の春。それで、労災認定を受けたのは去年の十二月二十六日。つまり、昨年の春から十二月まで約八カ月、労災申請してから労災認定まで、労働基準監督署と何回も何回も何回も何回もやりとりしているんですよ。

 それに対して、加藤大臣のこの発言は失礼じゃないですか。この十三ページ、福島議員とのやりとりで、ファクスが来ていることは事実ですが、その中身については、正直言って、それ以外何の連絡もいただいておりませんから、それがどなたからなのか、どういう趣旨なのかを含めて、申し上げる情報を持っていない。

 御遺族からなんでしょう。そして、過労死を公表してもいいと。同意ということじゃないんですか。そのファクスが来た。大臣はそれじゃ足りないと言うのかもしれないけれども、御遺族の方の思いを酌み取ってくださいよ。

 普通、ファクスとか送らないですよ。でも、やはりこういうことが明らかになって、そのことが、同じように裁量労働制で過労死する人がなくなるんじゃないか、そういうことを思って、本当につらいけれども、つらいけれども、悩み抜いてファクスされたんじゃないんですか。

 きょうも、過労死の御遺族の方々、傍聴に来られていますけれども、それは普通、家族を亡くしたら立ち上がれませんよ。公表なんかできませんよ。ファクスなんか送れませんよ。何の得にもならないんですから、御自分にとったら。でも、今、国会でこれだけ問題になっているのに、いまだに加藤大臣が、野村不動産の過労死、自分の家族のことを認めない。これでは対策が進まないじゃないですか。そういう思いでファクスが来たに決まっているじゃないですか。

 にもかかわらず、それがどなたからなのか、どういう趣旨なのかわからない。御遺族じゃないんですか。

 加藤大臣、この野村不動産の過労死のことは、加藤大臣はいつ御存じになったんですか。いつお知りになったんですか。

 なぜならば、きょう配付している資料の中でもありますように、特別指導については、十一月十七日に一番最初に報告が行っているんです。そして、二回目が十一月二十二日、三回目が十二月二十二日と、三回行っているんですね。

 にもかかわらず、国会では、西村智奈美議員の質問に対して、きょうの配付資料四ページに入っておりますけれども、裁量労働制で長時間労働を促進するんじゃないかということに関しては、加藤大臣は、野村不動産は、監督指導を行ったところでございますという答弁をし、また、高橋千鶴子議員の二月二十日の質問に対しても、裁量労働制は長時間労働をさせることになるんじゃないかということに関して、野村不動産の事例を置いて、しっかり監督指導を行っていると答弁しているんですよ。裁量労働制を取り締まっている好事例として国会で答弁しているんですよ。しかし、それが、過労死が起こっていて、過労死がきっかけの指導だったら、失敗例じゃないですか。

 これ、加藤大臣、いつお知りになったんですか。

 さらに、今、資料が出てきました。十二月二十六日に安倍総理に対して報告をしたと、このペーパーが出てきましたけれども、安倍総理も、もしかしたら裁量労働制で過労死が起こっていたということを事前に御存じだったんじゃないんですか。

 そうなっていると加藤大臣や安倍総理が知っていながら、史上初の特別指導ですよ、働き方改革法案は目玉ですよ、何で史上初の特別指導をやったのか、大臣や総理は普通聞くでしょう、史上初のことをやったんだから。そこでその一番大きな理由である過労死を報告しなかったというのは、普通は考えられないと私は思います。六百人の違法の長時間労働よりも、過労死が起こったという事実の方がはるかに重いんです。

 加藤大臣、いつお聞きになりましたか。

加藤国務大臣 いろいろなことをおっしゃられたので。

 先ほど、福島議員にわからないという意味は、確認できていないからそういうことを申し上げたということでございます。

 それから、好事例というお話がありましたけれども、委員のその議事録の前に、西村委員が野村不動産の例を挙げておられるわけです。(発言する者あり)いや、だから、触れておられるわけでありますから、それを踏まえてお話をさせていただいているということでございます。

 それからまた、失敗事例ということですが、これは先ほど申し上げましたように、一般論でありますけれども、我々、残念ながら過労死が発生したところについても監督指導は入り、そしてそこに問題があれば是正勧告をし等々の措置をとらせていただいているわけでありまして、そうした過労死が発生したということは、本当にこれは残念なことであり、我々としてこれを重く受けとめなければなりませんけれども、それに対して、もう二度とそれをさせないんだということで、それぞれの監督官が入って監督指導しているということでありますので、それをもって失敗事例と言われると、それぞれ今現場で頑張っている監督官の皆さん方、それはどういう形でその話を受けとめられるのかなという、そんな思いで聞かせていただいたところでございます。

 私がいつ知ったかについては、これは個別案件、過労死については個別案件でございますから、従前から申し上げられないということでございます。

山井委員 今も西村議員もおっしゃっていましたけれども、西村議員は質問していないのに、加藤大臣は、野村不動産で監督指導したと本当に自慢げに言っているわけですよ。おまけに、しっかり監督指導していると高橋議員にも答えている。これは私は、一歩間違えば虚偽答弁だと思いますよ。しっかり監督指導じゃないじゃないですか。人が死んでいるんですよ。過労死を出しているんですよ。過労死が出る前に取り締まれなかったということは、失敗じゃないんですか。成功なんですか、それが。

 この黒塗りのペーパーの中に過労死ということが入っていますよね。史上初の特別指導なのに経緯が黒塗り、おかしいじゃないですか。史上初の特別指導をやったのに、なぜその経緯は国民に知らされないんですか。過労死じゃなかったんですか。

 おまけに、この中に書いてあります、最後の、野村不動産を特別指導した理由1、理由1も黒塗り。何で特別指導を史上初めてした理由が国民に知らされないんですか。二番目が長時間労働。ということは、六百人の長時間労働より重い理由がメーンにあるんじゃないんですか。

 そういう意味では、御遺族がもうファクスを送られたんです。加藤大臣、この黒塗りの中から、過労死、労災申請、そして労災認定、それを明らかにしてください。御遺族がもうファクスしているんですから。そして、この中に過労死、労災認定、労災申請ということがありますよ。起こっているわけですから、過労死が。そうすれば、この特別指導というものの意味が全く違ってくるんです。

 加藤大臣、一刻も早く過労死、労災申請、労災認定という黒塗りを外してください。そして国民に真実を知らせてください。それが、今回ファクスを送られた御遺族の思いにかなうことではないかと私は思います。答弁をお願いします。

加藤国務大臣 従前から申し上げているわけでありますけれども、私ども、これは一般論ですけれども、過労死について隠しているわけではありません。一般的にも、これは先ほどから申し上げているように、終始一貫して、この過労死事案に対する政府の対応、厚生労働省の対応は一貫をしているわけでありまして、そしてそれに対して触れないというのがこれまでの一貫した対応なんですよ。

 そういった中で、先ほど申し上げましたけれども、御遺族等が、あるいは代理人が公表されている、こういった場合には、その範囲内において、もちろん私どもは説明をさせていただきました。

 それから、先ほど、ちょっと前の御質問で、山井委員から、同意をすればいつでもと何回も言っているというお話がありましたが、私は、同意をしたらという話は、したことは多分ないと思います。今申し上げたように、遺族や遺族の代理人の方がそうしたマスコミ等で公表された場合についてはこうやっています、こういう説明をさせていただいてきたわけであります。

山井委員 これは働き方改革法案を通すために過労死を隠しているんじゃないか、そういう疑念を持っております。

 それでは、ファクスを送ってでも野村不動産の過労死を認めない、ではどうしたら加藤大臣は野村不動産で過労死が起こったということを認めてくださるんですか。

加藤国務大臣 認めないなんてことは一言も言っていないので、今、相手の御都合もしっかり踏まえながら確認作業をやらせていただくということを申し上げているので、余りそういった、我々がやろうとしていることと、何か、断じられると、ううんという感じを受けるわけでございまして。

 先ほどから申し上げていますように、ただ、これまでの対応は、遺族ないし遺族の代理人がマスコミに対して公表されてきた、それを追認するという形でやってきたので、今回、こういう形のものは初めてでありますから、そういうことでいろいろと丁寧に対応させていただいているということでございまして、しかも、先ほどから申し上げておりますように、本件に、送られた方に対して接触をし、そして直接お話を聞く、こういう方向で今、準備というか、先方の御都合を聞きながら対応を図ろうとしているところでございます。

山井委員 私が言っているのは、もう二十四時間以上たっているんですよ。客観的事実として、二十四時間以上たっているのに一本の電話もしていないじゃないですか。働き方改革法案を閣議決定する、国会提出する、そのときには認めたくない、それで時間を引き延ばしているとしか私には思えません。

 でも、今、加藤大臣、ほかの事例は記者会見されている、代理人あるいは御遺族とおっしゃっていたけれども、では、加藤大臣は、御遺族に記者発表しろとおっしゃるんですか。それは無理ですよ、はっきり言って。では、ファクスで……(発言する者あり)認めないから言っているんでしょう。恐らく、御家族の思いは、全く加藤大臣が認めないから、結局ファクスでも送らざるを得ないのかなと思われたんじゃないかと思いますよ。にもかかわらず、ファクスを送っても、いまだに野村不動産で過労死があったということすら認めない、この期に及んでも。では、どうしたらいいんですか。どうしたらいいんですか。

 そういう御家族って多いと思いますよ。記者会見なんかできないですよ。プレス発表なんかそう簡単にできないですよ。でも、この事実は国民に知ってもらって、二度とこんな悲惨な過労死を、自分のように苦しむ遺族をふやしてほしくない、そう思っている人は多いですよ。

 そういう意味では、このファクスに対して早急に、なぜこの場で、二十四時間以上たっているにもかかわらず、加藤大臣がそのことを認めないのか。私は、これはもう過労死隠しと言わざるを得ないと思います。

 一般論として全て公表しろと言っているんじゃないですよ。史上初めての特別指導で企業名まで公表しているのであったら、そのきっかけであった、六百人の違法残業よりもより深刻な過労死を公表するのは当然じゃないですか。

 さらに、安倍総理も知っておられたんじゃないですか。安倍総理がこのことを知っていて、国会答弁で裁量労働制の拡大を推進していたとしたら、私は大問題だと思います。

 加藤大臣、改めてお答えください。安倍総理もこの過労死のことを御存じだったんじゃないですか。

加藤国務大臣 先ほどから私は、確認をしないと言っているわけでもないし、それから、公表してもらわなきゃ困るなんてことも一言も言っていないんですよ。これはしっかりと丁寧に、そして相手方の立場をしっかり踏まえながらやらせていただくということを申し上げているので、こういうふうに答弁してそういうふうに言われたのでは、逆にそこだけ聞いたら何だという話になってしまうんじゃないのかという感じ、私、そういう思いをしながらやりとりをさせていただいております。

 それから、安倍総理の件については、先ほど申し上げましたけれども、こうした過労死事案について、まず、個々について申し上げるということではありません。それから、総理に一つ一つについて上げているということはございません。

山井委員 今、安倍総理が過労死を聞いていたか聞いていないかということに対しては明言は避けられました。ぜひ安倍総理に来ていただいて、この場で集中審議をお願いしたいと思います。

 なぜならば、繰り返し言いますが、これは一般論ではありません。裁量労働制の拡大という、安倍総理が働き方改革の目玉にしようとしていた、そして、かつ、その取締りの目玉としてやった特別指導が、きっかけが過労死であった、そのことを加藤大臣も安倍総理も知りながら国民に知らせなかったということになれば、これはもう国会審議自体が成り立ちません。

 そういう国民に対して隠し事をする、もう一つ一つ言いません、きょうも勝田局長に質問する時間がなかったわけですけれども、虚偽答弁、虚偽資料、そういう前提においては働き方改革の法案審議なんか全くできない。そして、何よりも、何よりも、過労死の御遺族の思いを踏みにじるような、そういう今の態度は変えていただきたい、そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、きょう八時半に働き方改革法案が閣議決定されたことに強く抗議をしたいと思います。

 きょうの議論と閣議決定がまるで関係ないかのような認識が示されていたわけですけれども、やはり、法案の重要争点の一つである企画業務型裁量労働制について、野党から繰り返し、過労死がふえるんじゃないかと指摘をされ、あげくデータを捏造し、それを撤回に追い込まれました。野村不動産の特別指導を通してしっかり監督をしているとアピールをしているのに、過労死の問題はこれを伏せていた。根拠も崩れたばかりか、法案を本来であればしっかり支えるはずの東京労働局長の暴言によって、監督行政に対する信頼が失墜しているわけです。この閣議決定は踏みとどまるべきでありました。法案を今閣議決定はされましたけれども、これを認められないということをまず最初に強く申し上げたいと思います。

 では、勝田局長に質問をいたします。

 私も大変強く憤りを感じています。どんなに言いわけしても、やはり許されないと思います。どれほど全国の監督官の努力を踏みにじり、労働局の信頼を失墜させたか、受けとめてほしいんです。処分がどうあるべきかは、私、あえて言及しませんが、何よりの責任はこの場で真実を語ることではないでしょうか。

勝田参考人 昨年十二月及び本年三月に開催しました定例記者会見における私の発言、局長の権限をいたずらに行使するかのような発言であり、不適切なものでありました。私の発言は、国民の皆様、労働行政の公平公正について大きな疑念を抱かせることとなりました。改めて撤回させていただきますとともに、国会議員の皆様、報道関係の皆様、国民の皆様に対して深くおわび申し上げたいと思います。

高橋(千)委員 この場で真実を語るべきではないかと聞きました。その認識を伺いたいんです。

 私は、正直言って、会見のときにしゃべっていたのが真実だと思うんですね。本音をぶっちゃけ言っちゃった、それが後でうまくなくなって、後づけの理由で、必死で本省と局長との間でつじつま合わせをしているのかなと思います。真実を語るべきだと思いますが、いかがですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 御質問には誠意を持ってお答えしたいと思います。

高橋(千)委員 残念ながら、真実を語るというお答えはなかったわけであります。

 一つ一つ聞いていきたいと思います。

 私がずっと疑問に思っているのは、なぜ特別指導なのかということなんですね。なぜ野村不動産なのかということを繰り返し聞いていますが、合理的な理由が見当たりません。

 三月三十日の会見において、これは六ページにありますけれども、また、先ほどからも議論されておりますが、記者から、是正勧告したというのは認めてらっしゃるんですけどと聞かれて、本当はいけないんだなと答え、あっ、いいのかと答えちゃって、それは個別のことにはかかわらないんですかと聞かれ、でも、もうしようがないですよね、今回はと言った後に、通常は是正勧告しても言えないですと。

 この、しようがないですよね、今回は、この今回ははどういう意味ですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 今回のケースにつきましては、十二月二十六日の記者会見の時点で、野村不動産においてホームページで発表されていた。それについて否定できないということについてはしようがないですねという趣旨で申し上げたところでございます。

高橋(千)委員 是正勧告五本もというやりとりがその後も確認をされているんですが、そういう案件であるという趣旨ではないんですね。

勝田参考人 申しわけございません。ちょっと質問がよく聞き取れなかったのですが。

高橋(千)委員 過労死もあった、あるいは是正勧告が五本もされている、この五本というのは会見の中でお答えになっていることです。そういう案件であるからという趣旨なのかなと私は思いましたが、そんな意味ではないということですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 野村不動産に対して特別指導を行った理由ということをお答えさせていただければいいのかと思いますが、野村不動産においては、企画業務型裁量労働制の対象とされていた労働者の大半について、同制度の対象業務に該当しない個別の営業活動等業務につかせていた実態が全社的に見られ、法の趣旨を大きく逸脱していたため、特別指導を実施し、また、行政の対応を明らかにすることにより、同種の事案防止を図る観点から、その事実を明らかにしたものでございます。

高橋(千)委員 それは、山越局長が何度も答えていることと同じなんです。私は何度も聞いています。野党のヒアリングに対して、七十件も、対象業務、つまり、裁量労働制を名乗りながら違うことをやっていたというところで是正勧告又は指導されている企業が七十もあった。一年間でですよ。そういう中で、何で野村だけかということには、やはり答えていないと思うんです。

 それで、二〇一六年に電通の過労自殺が認定され、労働局長が経営トップを呼ぶということがありました。私はそれが特別指導の一回目だと思っていたが、いつの間にか違うと。これはいつからなったのかなというのはちょっとよくわからないんですけれども、この事案を受け、過労死ゼロ緊急対策を十二月二十六日に発表し、翌年の一月二十日には、企業トップを労働局長が直接指導し、必ず公表する基準、公表通達が出されています。今回の案件は、会見の中で勝田局長自身が、公表通達とは違う、沿わないということを答えているんですね。これは、いよいよもって、不思議でならないんです。

 公表通達にはこう書いています。「複数の事業場を有する社会的に影響力の大きい企業において、経営トップが当該企業の違法な長時間労働などの問題点を十分理解した上で、自ら率先して、全社的な早期是正に向けた取組を行い、当該企業全体の法定労働条件の確保・改善を図るようにすること。」とある。

 この表現はそっくり野村に当てはまるのではないか。本社と四事業場に対して指導を行ったことは認めているわけですから、公表通達に沿ったものではないのか。もし沿っていないというのなら、どこが違うのか、お答えください。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 野村不動産における指導につきましては、先ほど申しましたように、私自身が呼んで、社長に対して、トップを指導して公表するという形で特別指導を行わせていただいたものでございます。

高橋(千)委員 どこが違うのかと聞いています。

勝田参考人 一番の違いは、局長が直接やるということではないかと思っております。

高橋(千)委員 ちょっと、何を言っているんですか。局長が企業の経営トップに対する指導及び企業名の公表をする、そういうのがちゃんと公表通達にありますよ。一緒じゃないですか。社会的に影響力がある事業場、複数の指導、これはどこが違うんですかと言っています。

 いいですか、少し考えている間に聞きますけれども、公表通達の中に、局長による企業の経営トップに対する指導及び企業名の公表というのがあるんです。対象とする企業は、社会的に影響力の大きい企業であって、以下のア又はイのいずれかに該当する企業であること、略しますけれども、アにもイにも、イの(ア)、イの(イ)にも全て、是正勧告を受けている企業であること、これが条件になっています。

 企業名を公表するということは、これはよほどのことがなければ公表できないとずっと答えてきたわけですから、それでこういう公表通達をつくったわけでしょう。これに沿わないんだとしたら、これ以上すごいことだという意味になりませんか。

勝田参考人 申しわけございません。もう一度答弁させていただきます。

 公表基準に基づきます公表の措置につきましては、複数の事業場において指導を行い、それでも是正が不十分である等で必要な場合に本社に対して指導するものでございますが、今回は、本社で直接問題が起こったことによりまして、本社及び社長を呼んで指導したものでございます。

高橋(千)委員 本社と四事業場と答えているじゃないですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準監督機関の公表でございますけれども、公表する場合といたしまして、書類送検をした場合、今委員がおっしゃられました是正指導段階での企業名公表制度、それから、その他の必要が生じた場合には、同種事案の防止の観点から公表を行っております。

 それで、今申しました是正指導段階での企業名公表制度は、複数の事業場で違法な長時間労働が一定の人数あるいは割合で起こった場合などに行うものでございます。

高橋(千)委員 だから、本社と四事業場と答えているじゃないですか。それについて、なぜ当てはまらないのかと聞いているんです。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 是正指導段階での企業名公表制度でございますけれども、これは、違法な長時間労働、これは例えば月八十時間を超える違法な長時間労働が一つの事業場で十人又は四分の一以上行われている、そういったことが一年間に二事業場あった場合に、さらに、本社で指導する、そういった要件があった場合、要するに三回同じようなことがあった場合に労働局長が指導するということでございまして、今回の野村不動産の件は、この複数の事業場に対する公表制度とは違う基準で公表を行っているものでございます。

高橋(千)委員 ですから、例えば、監督指導において、過労死に係る労災支給決定事案の被災労働者について、一カ月当たり八十時間を超える時間外、休日労働が認められ、かつ、労働時間関係違反の是正勧告を受けていること、こういう重大な、過労死があって、更に時間外労働があって、それだけ厳しくて是正勧告を受けているときに初めて公表するというのは、私、それは随分じゃないのとずっと言ってきたんです。だけれども、これは、そうじゃないけれども特別指導でトップを呼ぶということは、よほど、これ以上の理由がなければできないだろうと聞いています。

勝田参考人 済みません。もう一度答弁させていただきたいと思います。

 野村不動産の事案について、是正勧告の公表措置に該当するかどうかについては、申しわけございませんが、個別の案件でございますので申し上げられません。

 ただし、これについては、全国的な遵法を確保する観点から、特別に私の方から指導させていただいたという経緯でございます。

高橋(千)委員 そうなんです。だから、前回の質問でも、やはり恣意的にあってはならないということをずっと指摘してきたわけなんですよ。それを、私の判断で、遵法のためにと。それは、よほどのことがなければだめだ。でなかったら不公平じゃないですか。たくさん、そういういろいろな問題があるところがあるのに野村だけというのはなぜかというのは、合理的な理由が必要だと言っているんです。

 勝田局長にちょっと続けて聞きますけれども、東京労働局は毎年、過労死等を発生させた事業場への監督指導結果を公表しています。それを過労死等発生事業場と呼んでいるんですね。平成二十七年度は百二十七事業場、二十六年度は百四十二事業場、二十五年度は百七事業場。ですから、ふえているわけですね。二十七年度は、そのうち何らかの法令違反があり是正勧告を行ったものは九〇・六%、二十六年度は八九・四%、二十五年度は八八%と、確実に違反事例がふえております。しかも、この過労死発生事業場とは、認定ではなくて、労災申請が行われた事業場のことを定義しているんです。これは東京労働局のプレスリリースです。

 つまり、この間、過労死が端緒ではなかったのかと聞くと、答えられないと言います。でも、逆に聞くと、東京労働局は、過労死が申請されたら監督指導を行うのが原則なんじゃないですか。だということは、端緒であるのは否定できない。違いますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 過労死が起こったことが指導の端緒になることはございます。それについて、統計的に、私どもの対応したこと等について発表しておりますが、個別の案件について、その端緒が過労死だったかどうかということについては、コメントを差し控えさせていただきます。

高橋(千)委員 個別案件には聞いておりません。

 東京労働局として、過労死発生事業場という定義をわざわざ使って、過労死、過労自殺など過重労働による健康障害を発生させたとして労災申請が行われた事業場に対して監督指導をやっている。つまり、そういう申請が行われた、過労死、過労自殺、あるいはそれに匹敵するような重い、多分これは過労死防止法に準ずる規定だと思いますが、そういう労災申請が行われた時点で、認定された時点で、当然、監督指導を行っている。しかも、そのうち九割くらいは是正勧告している。当たり前なんですよ。違法事例、違反事例がやると、これは報告書をずっと見ました。それは当たり前じゃないですか。それが労働局としてのやってきたことじゃないんですか。

勝田参考人 お答えさせていただきます。

 いわゆる過労死案件等の中で長時間労働等が疑われるものについては、私どもとして監督指導を行わさせていただきます。そして、その結果について発表したものが、お手元にお持ちのものかと思っております。

高橋(千)委員 じゃ、実は、勝田さんの名前の入ったプレスリリース、つまり去年の分だけないんですよ。去年の分だけ。ずっとさかのぼると、全部、局長名が入った発表があるんですが、勝田さんのときだけない。やめちゃったんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 勝田東京労働局長。

勝田参考人 申しわけございません。事実関係を確認しておりました。

 私どもの方で、大変申しわけないんですが、現時点においては集計がおくれておりまして、発表が間に合ってございません。大変申しわけございません。

高橋(千)委員 どんなに遅くても、毎年九月くらいには出しているんですよ。早ければ三月。それをまだって。もう一年ぐらいたつわけですよ。とても考えられないですよね。明確にしていただきたいのと、皆さんが東京労働局として取り組んできたことを否定してはならないということを重ねて言いたいと思うんですね。

 山越局長に伺います。

 是正勧告をしたことを労働局が公表しないということは理解をしています。一般論として、是正勧告というのは、労働基準監督署による立入調査の結果、労基法などの違反の事実があった場合に、労働基準監督官がその指導内容を書面にして交付するものである。なので、勧告しただけでは、もちろんいきなり処分ではないですけれども、改善が見られない場合に送検になることもある、なので公表しないというのは、それは、そういう今までの説明だったと思うんです。

 今読み上げたのは、実は、宮城労働局のホームページに是正勧告書のサンプルがありましたので、間違いないと思います。

 それで、伺いたいのは、先ほどの山井委員の資料を、ちょっとお許しを得て使わせていただきますが、十二ページに、大臣に特別指導に至る理由を報告した黒塗りの文書の最後のやつですね。これは、しかしながら云々かんぬんの後に、認められた問題点というのがありますよね。企画業務型裁量労働制の対象としていた労働者の範囲が不適切であったこと。企画業務型裁量労働制の適用が認められない労働者について云々、黒塗り。企画業務型裁量労働制の適用が認められないことにより、割増し賃金の不払いが認められること、あと黒塗り。そして、最後のところにアンダーラインを引いて、企画業務型裁量労働制の不適正な運用による労働基準法違反について特別指導をやることにしたということ。

 やることにした理由ですから、まだやっているわけじゃないですから、ということは、この認められた問題点というのは、是正勧告の中身を書いちゃったんじゃないんでしょうか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 理事会に提出申し上げた資料でございますけれども、ここにつきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律にも基づきまして、法人等の権利、競争上の利益その他正当な利益を害するおそれがある場合でございますとか、監督指導の円滑な実施に支障を来すおそれにつきましては、その観点からマスキングを施させていただいて提出をさせていただいたところでございます。

高橋(千)委員 というか、右はマスキングしているんですけれども、左は書いているじゃないですか。それは中身じゃないんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 失礼いたしました。

 御指摘をいただいた点につきましては、東京労働局の今回の特別指導の発表の中に含まれている事実でございますので、これはこの中に黒塗りをしないで出させていただいたということでございます。

高橋(千)委員 これは中身ですよね、でも。認められた問題点ですから。チェック項目を書いているわけじゃないんですから。そうでしょう。何かをして認められたという意味でしょう。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、繰り返しになりますけれども、特別指導についての公表をしたときに、その中で示させていただいた事実にわたる部分でございますので、こうした形でお示しをさせていただいているということでございます。

高橋(千)委員 委員長に要請します。

 前回の委員会でも、この特別指導の理由のこの黒塗り、もう少しあけられるんじゃないかというお願いをしました。やはり、これは書くことができて、こっちは消さなきゃいけないという理由がよくわからないんですね。もう少しできるんじゃないかと思いますので、引き続き協議していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

高橋(千)委員 最後に大臣に伺います。

 東京労働局の公表文書、先ほどからお話を、私、これは悪い意味で紹介したわけじゃないんですよ。本当に、これだけの目的意識を持って、過労死事案があったときに必ずそこに監督指導に入っていると、それは並々ならぬ決意を感じました。

 特に、平成二十七年、二〇一五年の八月十九日発表のプレスリリースでは、今後の対応として、こう書いています。今回の結果等を踏まえ、今後、一層積極的に監督指導等を行うとともに、過重労働により過労死等を発生させた事業場で労基法関係法令違反が認められたものについては、司法処分を含めて厳正に対処いたしますと。それで、大臣告示基準をきちんと遵守させるようにといった対応方針が並べてあって、その後にこう書いています。また、平成二十七年七月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱 過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」が閣議決定されたことを受け、更に対策を推進いたしますと。

 過労死家族の会と私たちがつくった過労死防止対策推進法が、この大綱ができたことで、こうして更に対策を強めていくという決意につながっている、現場で生きていたんだとすごく感じました。

 だけれども、その後なんですよね、過労死が、ゼロどころか減っていない。この八月の公表の後に、十二月に電通の高橋まつりさんが命を絶ったことを思えば、悔しくてたまらない。間に合っていなかったということです。そして、三年後の十二月二十五日に野村不動産に特別指導を行い、翌日はボクシングデーだからと、プレゼントと表現をしたこと。過労死の御遺族、家族の皆さんが憤るのも当然であります。

 きのう、私も山井議員らと東京労働局に行きました。野村不動産の遺族が公表してもよいと言ったのに、まだ認めないというのか。いろいろおっしゃっていましたけれども、労災でかかわってきた御遺族の方に、このファクスのことについて、おわかりですか、そういう意味ですかと趣旨をちゃんとただせばいいと思うんです。

 記録を読めば、勝田労働局長が是正勧告を認めていることは明らかなのに、一般論ですなどと後づけで解釈を変える。取り繕い、うそを重ねていけば、必ず破綻します。森友もイラク日報もそうです。データ捏造がそうであったように、裁量労働制と過労死を結びつけたくないことが一番の狙いではなかったでしょうか。改めて真相を明確に語っていただきたい。

 残念ながら、ここで時間になりましたので、終わります。またお願いします。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 ちょっと冒頭に確認をしたいことが一つ、通告はしていないんですけれども。

 今、高橋委員の質問の中で、これも山井さんの資料を使って申しわけないですけれども、黒塗りの部分の指摘を先ほどしていましたけれども、先ほどの答弁ですと、局長がもう既に言及している部分だから、本来はこれは黒塗りになる部分やけれども、局長がもう既に言及してしまっているから黒塗りを外しているという認識でよろしいですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の部分につきましては、昨年の十二月二十六日に東京労働局が本件特別指導について公表をしております。その中に、その公表された資料の中に含まれている事実であることから、こういった提出の仕方をさせていただいたということでございます。

浦野委員 その同じ認められた問題点の中で、公表していい部分と公表してはいけない部分があるというのも、ちょっと納得いかないんですよね。全部、認められた問題点を、軽い重いは別にして、全部公表できないというのならまだしも、部分的にだけ認めて、部分的に黒塗りをするというのは、ちょっと私は余り納得いかないなと思っていますので、その点はちょっと指摘しておきたいと思います。

 それでは、本来の質問通告をさせていただいている部分に入りますけれども、質問通告では一点目に大臣からちょっとお話を聞こうと思っていたんですけれども、これはちょっと最後に回させていただくようにします。

 二つ目の通告から入りますけれども、きょうもずっと午前中からの質疑を聞いていましても、結局、勝田局長の発言、テープ起こしの文面を見ていましても、軽いとしか言いようがないんですね。やはり局長たるものは、恐らく、マスコミの皆さんとずっと記者会見を定期的に開かれている中で、信頼関係はある程度あった中で、そういう信頼関係の中での軽い気持ちで言ったことかもしれないなと。それは、音声データの書き起こしからも少しかいま見えると私は思うんですね。ただ、やはりそれでも、あの発言、マスコミに対する云々というのは、もう本当に恫喝としか受けとめられないような発言だと思うんですね。

 再度確認しますけれども、その発言の意図はそういう意味ではないということでよろしいですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 私としては、あの発言において、いろんなところに労働基準法違反等あり、いろんなところに是正勧告あるいは監督指導等を行っているということについてわかりやすく述べようとしたものですが、それが恫喝ととられかねないものであったということについて非常に深く認識しており、局長の権限をいたずらに行使するかのような発言として不適切なものだというふうに今考えてございます。

 私の発言、皆様に労働行政の公平公正について大きな疑念を抱かせるものというふうに考えておりまして、撤回させていただくとともに、改めておわび申し上げたいと思います。

浦野委員 更に続けますけれども、十二月二十六日の記者会見で、特別指導の特別の意味合いについて、まあ、先ほど高橋委員の質問でも取り上げておられましたけれども、特別の意味合いについて記者会見の中でも説明をされていますよね。そのとおりであるのか、再度、特別の意味合いを説明していただきたいと思います。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 二十六日の記者会見記録では、東京労働局長である私がやったのは、各事業場ということではなくて会社全体の問題について社長においでいただいてやったので、そういう意味で特別、社長だから特別じゃなくて、会社全体だからと説明しておりますし、また、基準部長は、今回の特別指導というのは局長がやったということが特別だということと、事実の様態が法の趣旨を逸脱しており、これを放置することが全国的な遵法状況に重大な影響を及ぼすと認められ、それを今回特別に指導したことですというふうに説明してございます。

 特別指導は、労働基準監督署における監督の結果、事案の様態が法の趣旨を大きく逸脱しており、これを放置することが全国的な遵法状況に重大な悪影響を及ぼすと認められるものについて、労働局長自身が企業の幹部に対して特別に行い、行政の対応を明らかにすることにより、同事案の防止を図る観点から、その事実を明らかにするものでございます。

浦野委員 続いて、この問題が起きてからずっと、この言葉、個別の事案については発言を差し控えるという言葉が続きますけれども、個別の事案について発言を差し控えるということになった理由は何か。それと、そういったことになったことに関して何か法的な根拠というものはあるんですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、これは、労災認定の業務のために労働者の御本人あるいは御遺族から個人情報をお預かりしているものでございまして、そうしたことから、その個人の方の個人情報を保護する観点から、これについては、案件があったかなかったかも含めまして回答することを差し控えております。

 これは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する第八条に基づくものと承知をしております。

浦野委員 個人情報保護法の関係でということですけれども、局長は、記者会見の中で、何か事例を挙げて、そういうこともあったから個別の案件に関しては発言しないようにしているんだというふうな言い方をしていましたけれども、その点、覚えてはりますか。

勝田参考人 是正勧告に伴います公表等につきましては、一定の公表基準に基づいて、特定の理由があるもののみ公表することにしておるものでございます。

 そういったことから、全てについて公表するものではないということを記者会見の場では述べたつもりでございます。

浦野委員 炭鉱のことを引き合いに出して、何か話をされている部分がありましたよね。炭鉱の部分を引き合いに出されて。

勝田参考人 申しわけございません。ちょっと聞き誤りました。

 私、実は筑豊の近くの生まれでございまして、かつて、炭鉱労働者の方々が補償をもらった際に、いろいろな形で周りからお金を無心される、あるいはさまざまな商売のターゲットになる、そういったようなことを承知しておりましたので、そういった例を、わかりやすくお話しするために挙げさせていただきました。

浦野委員 個別の案件については一貫して政府は同じ答弁をもちろんされているので、私はその理由としては非常に理解はするんですけれども、今回の論点になっている部分、これは非常になかなか難しい論点だと思うんですね。やはり、個別具体的な事例がなければ、なかなかそれを防ぐような法律ができないというのが現状ですから、そういったことの積み上げが、例えば過労死で亡くなった方々の、言い方は悪いですけれども、積み重ねがあって過労死に対する法案ができていく。残念ながら過労死は終わらないわけですから、そういった個別の案件がふえればふえるほどそういう議論が高まっていく。そういう意味では、個別の案件もしっかりとわかるようにしないとだめなんじゃないかというのは半分あります。

 個人情報の関係で言えないというのは、それはそうかもしれませんけれども、私は、炭鉱の例を挙げたとおっしゃいましたけれども、時代が変わって、今、意図的に隠そうとしている、していないは別にして、この情報社会で、いつかそういった情報は特定されていくと思うんですね。

 もちろん、こうやって国会でも指摘をされて、そしてずっとこの問題を取り上げれば、取り上げる時間が多ければ多いほど、そういったことを調べていくと、時間がかかる話になります。私は、時間がかかるというのは、ほかのもっと、厚生労働委員会なんかは特に命を預かっている法案はほかにもたくさんあるわけで、そういった法案も審議をちゃんとしていただきたいと思っていますので、この問題を長引かせずに、しっかりと誠意ある対応をしていただきたいと皆さんには思います。

 もう一つ、続いて、局長、これまた発言をされていることで、多くのマスコミでも違反がないわけではないと、またこれを言っていますけれども、マスコミが犯している違反というのは、多分、具体的に、個別の案件やから言えないという答弁をされるんかなとは思うんですけれども、いかがですか。

勝田参考人 私の三月三十日の記者会見での御発言の話だと思います。

 この発言自身、流れの中で不適切なものであると思っており、おわびし、撤回させていただきたいと思っております。

浦野委員 本当にマスコミの皆さんに違反があるんだったら、それはそれできっちりと正攻法で是正勧告なりしていただきたいと思いますけれども、そんなことはないとは思いますけれども、労働局自体が今回の件で問題に対して萎縮しないように、それはぜひお願いをしておきたいと思っているんですけれども、その点はいかがですか。

山越政府参考人 労働基準監督署におけます監督指導でございますけれども、これは、さまざまな情報から、法違反がある、そういう疑いがある事業場に対しまして実施をしているものでございます。

 法違反が認められた場合には、その是正について指導し、粘り強く改善を図らせていきたいと思います。

浦野委員 それでは、最後に、大臣、これまでの議論、そして、きょうの集中、この委員会の議論を受けて、最後に、現時点で大臣の思うところを述べていただきたいと思うんですけれども、私も、このファクスの件、きょうはずっと質問をされておりましたけれども、私は、このファクスの件に関しても、過去に、皆さん覚えていると思いますけれども、にせメールとかの問題もありました。ああいったことがないように、やはり慎重になっているというのは、私は理解をしているんです。ですからこそ、それでもやはりスピード感を持ってしっかりと、こういったこと、他の委員が指摘されたことは真摯に回答していただきたいなと思っております。

 その上で、大臣、きょうの締めくくりではないですけれども、お話をしていただけたらと思います。

加藤国務大臣 まず、今回こういう形で委員会が持たれた、そこには、働く方々のために公平かつ公正な立場で監督指導を実施すべき東京労働局長が、自分の権限そして権力、これをいたずらに行使するかのような発言、まさに不適切な、甚だ不適切な発言をしたということでございますので、これは全く不適切であると思いますし、私としても遺憾でございます。そして、この件に関しては、厳正に、この処分について対処していきたいというふうに考えております。

 それから、今、ファクスのお話がございましたけれども、この件に関しては、先ほどから答弁させていただいておりますように、相手方、送られた方の事情等もよく踏まえながら丁寧にやらせていただきたいというふうに思いますけれども、そういった中で、お相手の意向を踏まえるためにも、まずは連絡をとり、そして直接お話を伺う、そういったプロセスを踏ませていただきたいと思っております。

浦野委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十四分散会


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