衆議院

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第17号 平成30年5月11日(金曜日)

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平成三十年五月十一日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    上杉謙太郎君

      大岡 敏孝君    金子 俊平君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      福山  守君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    八木 哲也君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    神谷  裕君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    伊藤 俊輔君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           西村智奈美君

   議員           大西 健介君

   議員           白石 洋一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小川  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     上杉謙太郎君

  小泉進次郎君     高木  啓君

  後藤田正純君     福山  守君

  三ッ林裕巳君     黄川田仁志君

  尾辻かな子君     神谷  裕君

  山井 和則君     伊藤 俊輔君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     金子 俊平君

  黄川田仁志君     三ッ林裕巳君

  高木  啓君     小泉進次郎君

  福山  守君     八木 哲也君

  神谷  裕君     尾辻かな子君

  伊藤 俊輔君     山井 和則君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     国光あやの君

  八木 哲也君     後藤田正純君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六三号)

 労働基準法等の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第一七号)

 雇用対策法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一四号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一五号)

 労働契約法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一六号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、西村智奈美君外二名提出、労働基準法等の一部を改正する法律案、岡本充功君外四名提出、雇用対策法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び労働契約法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房長矢野康治君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、職業安定局長小川誠君、政策統括官藤澤勝博君、経済産業省大臣官房審議官吉田博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、政府案に対しての質疑を進めさせていただきたいと思いますが、高度プロフェッショナル制度、そこを焦点に、ちょっといろいろ確認をさせていただきたいことがあります。

 現在でも、大臣、自分のペースで土日祝と関係なく働いている方、いらっしゃいますよね。これは一般労働者じゃなくて、例えば芸術家の方、陶芸家だったり画家だったり芸術全般。ただ、こういった方も、会社組織になっている人、いっぱいいるんですね。家族の会社じゃなくて、普通の会社組織の中で芸術家として働いている人。これは一番、最たる例なんですが、例えばこういった方たちは、一般の労働されている方もそうですが、自律的に働いているわけですね、自律的に。誰にも強制されることなく、あくまで完全に自分のペースで働いているわけです。それは恐らく他人に強制や修正される筋合いのものではないわけであります。

 つまり、既にそういった形で働いている方、世の中には今いっぱいいるわけですが、なぜあえて、今回、この高度プロフェッショナル制度というカテゴリーを設ける必要があるのか。そもそもそこが誰のためなのか。そして、そもそも法整備する必要がないのではないかと考えるんですが、まずそこを大臣に、お言葉をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今、吉田委員のおっしゃった芸能関係、ちょっと私も芸能界の中の働き方自体を詳しく承知していませんが、いわゆる労働法制のもと、要するに、雇用という形であればそうした形というのは、少なくとも働き方としては今用意されていませんから、雇用関係の中でのそういう働き方ではなくて、多分違う形での、請負とか、あるいは、今フリーランスとかありますから、そういう方々においては、典型的にはフリーランスの方あるいは自営業でやっている方々はまさに今委員御指摘のような働き方というか仕事の仕方をされておられる、それはそのとおりだというふうに思います。ただ、そうした仕事の形をとる中で、まさに付加価値の高い仕事を生んでおられる方もいらっしゃる。

 一方で、今、雇用関係のもとにおいても、いわばサラリーマンという立場でありながらも、今、いろいろ委員も御承知のように、求められている仕事の中身も随分変わってきております。そういった中で、労働時間にかかわらず自律的に仕事をされたいという希望がある方、これはこれまでも申し上げてきたところでありますし、私の知っている方の中にもそういう思いをおっしゃる方もいらっしゃいます。

 ただ一方で、やはり一定の雇用関係にありますから、一定のルールは定義をしていく中で、そしてその方の力を発揮していただく、そういった意味で、今回、雇用関係のもとにおいてそういう働き方もできるようにということで、今回の高度プロフェッショナル制度というものを提案させていただいている、こういうことであります。

吉田委員 大臣、芸術家を例に挙げたのはあくまで例であって、芸術家でも、大臣さっきおっしゃったように、会社組織の中で、フリーランスじゃなくて、普通に会社員として働いているけれども芸術活動、芸能活動をしている人もいるんですよ、これは最たる例ですが。

 今回、高度プロフェッショナルに指定されると思われる仕事、もともと、例えば、保険の営業の方だったり、いわゆる金融関係という意味ですね、金融関係、アナリストだったり、そういった方、そもそもそういう働き方を既にしていますよね、既に。多くのそういったカテゴリーに入る方は、そもそも自由に、自律的に、土日祝も自分が時間を配分して、休むときは休んで、そうやって働いている方が既にいるんですよね。そういった中であえて法整備をする、まあ、大臣の今の御答弁で結構ですけれども、する必要がどこまであるのかな、そもそもそこに疑問があるんですが、ちょっと次に進ませていただきます、いろいろ確認したい点があるので。

 今回、大臣、健康確保措置というのをちゃんととっていただいていますね。これはかなり細かく書かれていましたが、この健康確保措置に違反した場合の罰則というものに関してちょっと教えていただきたいんですね。

 それは当然、やはり厳しいものにしていかないと、これは新しい試みですから、ちゃんと通告してありますよ、新しい試みですから、しっかりとした厳しいものになるべきだと私は考えていますので、大臣、ちょっとそこをはっきりしっかりと教えていただきたい。これはしっかり通告してありますよ。

加藤国務大臣 まず、たてつけとして、健康管理時間の把握をしていないとか、そういった要件を、要するに高度プロフェッショナル制度の要件を満たしていなければ、その段階では適用されません。そうすると、通常の労働者とみなされ、そして、その中において、例えば、三六協定がどうなっているのか、賃金がそれに基づいて、要するに通常の労働者としてどうなっているのか、そして、それにのっとって払われていなければ、当然そこにおいて監督指導等が行われる、こういうたてつけになっているわけであります。

吉田委員 わかりました。そうすると、単純に、違反をしてしまった場合は高度プロフェッショナル制度が外れてしまうということですよね、大臣。それで、一般の労働のカテゴリーに入る。大臣、大丈夫です。一応確認しただけです。

 ただ、それだと、安易に高度プロフェッショナル制度を、それ自体に、企業が、同意をお互い労使でしたのに、違反したら普通の労働基準法のカテゴリーに入るだけということになると、安易に高度プロフェッショナル制度が進んでいくというか、どうせ違反しても普通の労働法制のカテゴリーに入るだけだということになると問題が起こる可能性があるかもしれないんですが、そこは、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 これは、一つは、法律のたてつけで、そうした要件を満たした場合には、通常のそうした労働時間法制から除外をするということになっていますから、当然、要件を満たさなければ除外はされないので、通常の雇用関係としてみなされて、それに適用する法律がきちんとなされていなければ。高度プロフェッショナル制度だったら除外はされているかもしれないけれども、通常だったら除外されていないわけですから、それを前提に法律が適用される。

 そして、その中で、基本的に、さかのぼっていくわけですから、そこできちんと賃金等が支払われていなければ、これは当然、それとして罰則等が適用されるということですから、そこのところはある意味では厳しい対応になるということになると思います。

吉田委員 わかりました。ちょっとそこを確認したかったので。

 もう少しこの高度プロフェッショナル制度をいろいろお伺いしたいんですが、例えば、この制度を導入いたしますね。導入した後に、高度プロフェッショナル制度に起因すると思われる過労死というものが起こった場合は、その責任の所在はどこになるのか。これは、過労死の労災認定だとかそういうテクニカルな部分ではなくて、どちらかというと道義的な意味の責任の所在を問いたいんですね。それは例えば企業にあるのか、それとも、こういった制度の導入を決めた厚生労働省にあるのか。

 そしてまた、この高度プロフェッショナル制度に起因すると思われる過労死が続発した場合は、法改正などを厚生労働省としてはお考えになるのかどうかということを教えていただきたいんです。

加藤国務大臣 もう委員もある程度御存じの上でお話しになっているので、重複するところは除外しながら答弁させていただきたいと思うんですけれども、高度プロフェッショナル制度の趣旨ということを踏まえて、そして、先ほどお話があった、時間や場所にとらわれない自律的で創造的な自由な働き方を可能にするという制度であり、そして、例えば、長時間労働のお話も今ありましたけれども、これが、業務命令の中で長時間労働をさせられている、こういうことであれば、これはもともと、先ほど申し上げた、要件を満たさないということに。最終的には省令等も整備して対応していきたいというふうに考えております。

 また、健康確保措置の充実も図らせていただいているところでありますし、さらに、医師による面接指導、これは、健康管理時間が長時間に及ぶ場合には、一律に、しかも罰則つきで義務づける、こういった措置も入れさせていただいております。また、健康確保措置の実施状況については、労働基準監督署への報告を使用者に義務づけて、当該報告の中で健康管理時間の状況も含めて把握する、こういった方向で検討していく。これは、報告内容を省令でこれから決めるということになりますけれども。

 そういったさまざまな措置を通じて適切な履行をしっかり確保していくということが、この制度においても当然求められていくわけでありますし、私どもは、高プロのみならず、全ての制度のもとにおいて、働いている方が過労死ということにならないように、一つ一つ監督指導等に努めていきたい、こういうふうに考えております。

吉田委員 わかります。そういう答弁になるのは、大臣、わかるんですけれども、ちょっと、私が答えていただきたいことは、過労死が心配されているわけで、大臣がおっしゃるように、過労死に至らないように仕組みをつくっていく、今大臣おっしゃったとおりなんだと思うんですけれども、これが続発をしていくような状態というのは厚生労働省としては好ましくないし、それは想定していないかもしれないんですけれども、そういうことが起こってしまった場合の責任というものの所在を聞いているんです。これは企業が悪いのか、それとも、こういった制度をつくってしまった厚生労働省が悪いのか、そこをお伺いしたいんです。

 高度プロフェッショナル制度という制度がどのように運用されていくか、そして過労死が起こらないためにどういった工夫をされるかは、今大臣がおっしゃったとおりなんだと思います。それはもう重々理解しますが、世の中というのは予想できないことが起こる可能性があるわけですよね。一番世の中の人が心配しているのは、過労死が起こるんじゃないかということを心配されているわけですから、それが起こった場合の責任の所在というのをやはり明らかにしていただきたいなと思うんですが、もう一言ちょっといただけませんか。

加藤国務大臣 それは、今、残念ながら現行の法制度の中においても過労死事案が発生をしているわけでありまして、そうしたことに対しては、私どもは、そうした過労死を二度と起こさせないように、例えば、過労死事案があるそうした事業所に対しては監督指導をしっかり努めていく、こういった対応をさせていただいているわけでありますから、この制度、例えば、高度プロフェッショナル制度がお認めをいただいて、それが実際に運用されるようになれば、やはり、そうしたもとにおいて、先ほど申し上げた制度的な仕組みを設けておりますから、それが、その制度的な仕組みをしっかりと行われた中で適切にまさに運用されるようしっかり監督指導に努めていく、これが私たちの姿勢であります。

吉田委員 わかりました。監督指導されるということですから、責任は厚生労働省ということなんだと思います。

 実際の高度プロフェッショナル制度の運用に関してお伺いしたいんですが、これは労使の合意が必要なんですよね、聞いておりますが、同意の強制というものは絶対にあってはならないことだと考えております。また、同意の強制が絶対に起こらないと大臣はお考えか、断言できるのか。また、できないのであれば、同意の強制が行われたとき、そういった事案が発覚したときはどのような御対応をとるのか。大臣、教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 同意の強制ということでありますけれども、強制性というのは、例えば非常に暴力的な形とかいろんな範囲があるんだと思いますが、通常考えられる場合は、これに同意しなければ解雇するぞ、不利益な取扱いをするぞ、こういうことなんだろうと思います。

 これについては、そういうことをしてはならないということを法律に明定しておりますので、それにのっとって対応させていただくことになろうかと思います。

吉田委員 法律にのっとってということでありますが、罰則とかそういったものも厳しくあるのかどうかも一言お答えいただければと思います。

加藤国務大臣 その場合にはこの高度プロフェッショナル制度はスタートしていないわけですよね、同意をしていないわけですから。したがって、通常の労働関係の中において不利益なことが行われた場合ということで対応することになりますので、我々としては、是正指導を始めとした監督指導等、これを行っていく、こういうことになるわけであります。

吉田委員 そこを確認させていただきたかったので、それで結構です。

 次に、高度プロフェッショナル制度の適用となる職種に関して。大臣、何度かお答えになっている部分だと思います。ちょっとここは大事なことですし、皆さん知りたいと思うので、できるだけ丁寧に、具体的に答えていただければとお願いをして入らせていただきます。

 高度プロフェッショナル制度の適用となる職種は、研究開発だったり、アナリスト、コンサルタント、金融商品のディーラー、金融商品の開発等が俎上に上がっていますが、一番大事なことは、私さっきも言いましたけれども、業務形態が完全に自律的で、他律的な要素がほぼゼロである点が最も重要ではないかと考えるわけであります。

 私自身も、日本とアメリカで医師として、そしてある日は研究者として働きました。もちろん、両方の業務が混在している部分があった日もあるんですが。二十四歳で医者になりましたけれども、その後ずっとほとんど土日祝日も休んだことはないんです。

 そういった中で、やはり医師としての業務は、例ですけれども、他律的な要素が多いですね。応招の義務もありますし、いろいろな他律的な要素で働かなきゃいけない。しかし、研究者というものは、やはり自律的にコントロールがある程度できる部分がある。全くこれは違う仕事なんですね、大臣。もちろん、ただ、研究者は入っていますけれども、基礎研究者は、一部のスーパースターのような学者を除いては給料がもともと安いので、この高度プロフェッショナルに入らない可能性が高いんじゃないかと私は思っておりますが。

 大臣に重ねて確認とお伺いをしたいのは、どのような職種が高度プロフェッショナル制度の適用となるのか、そして、その職種がほぼ完全な自律性が担保される職種なのかどうかということをちょっと教えていただけますか。

加藤国務大臣 先ほどの答弁のところでもう少し正確に申し上げると、要するに、通常の労働者においてそうした、例えば違法な解雇が行われれば解雇の濫用ということにもなりますし、そういった同じような形で適用されるということでございます。

 その上で、まず、業務でありますけれども、これは法律に、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務と法律上で規定をし、それを前提にこれから省令で決めるということになります。

 今回の議論、労働政策審議会の議論をいただき、平成二十七年二月十三日の建議においては、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、これは企業や市場等の高度な分析業務というふうになっていますが、また、コンサルタントの業務、これは事業、業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務、そして、今委員御指摘のあった研究開発業務、これらを念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当とされているところでございますので、それを踏まえて、法案成立後、労政審において議論していただいて、今申し上げた制度の趣旨あるいはこの法律の要件、これを前提に議論をしていく、こういうことになるわけであります。

吉田委員 先ほど私がるる並べたものが、今、入っているということですが。

 大臣、要は、先ほど来申し上げていることであって、ここが私は一番、過労死を起こさせないためには大事だと思うんですが、自律的な仕事なのか他律的な仕事なのかということなんですね。

 これは、一口に、ある職種というふうに決めてしまうと、その職種にも、るるカテゴリーが細かく言えばあるわけであって、その中で、やはり、させられる仕事、自分の自由がききづらい、ほかからの要素で仕事内容や仕事時間がある程度拘束や規定をされていく仕事に対して、プロフェッショナル制度は導入すべきでないと思うわけです。

 だから、自律性の担保ということに関して、これは審議会の内容も当然あって、大臣は、それを踏まえてということですが、大臣として、やはり、自律性を担保するということは一言おっしゃっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 それは、答弁でも申し上げておりますように、自律的で創造的な自由な働き方の選択肢を整備するということを申し上げているわけでありますから、当然、自律的な働き方ができなければ、いわゆる強制される、逆なことを言えば、他律的というのは指示されるとか、強制されるという言葉が的確かどうかわかりませんが、指示されるということでありますから、そこは必要最小限ということでありますので、本件においても、先ほど業務の話を申し上げましたが、業務を省令で決める際には、例えば、始業時間がどうだとか、時間に関するそうした制約がないようにしていくとか、そういったことを盛り込んでいくことも考えていく必要があると思います。

 それから一方で、要件の中において、年収要件等も決めた議論の中では、やはり交渉力が、過去の有期労働のときに、三年を五年にするというときの議論で、交渉力がある人については五年にしてもいいじゃないか、それを踏まえて年収要件等も議論をさせていただいたとか。あるいは、職務について、最初、文書において合意をするということになっていますから、これまで、どっちかというと、日本のサラリーマンには無限定みたいな話がありますけれども、こういう職務をするんだということをある程度絞り込んだ上で合意をしていくとか。さらに、最終的には本人と、先ほど合意の強制性のお話がありましたけれども、本人が文書で合意をする。こういう要件を課すことによって、自律的に働いていっていただける、あるいは、自律的に働く方が対象になり得る、なる、こういう要件を設けさせていただいている、こういうことであります。

吉田委員 わかりました。ちょっと、そういう点をしっかり確認をしておきたかったので、それで御答弁は結構でございます。ありがとうございます。

 じゃ、ちょっと内容をかえて、この法案の中で、除外というか、五年間の中で決めていきましょうとか、少し、除外項目に入っているもので医療と建築というのがありますね。

 ここからはちょっとお二人の政務官に聞いていこうと思うんですが、まず、政府案では、医師に関しては、施行五年後から時間外労働の上限規制等が適用されると聞いておりますが、それを決める省令の方向性は、平成三十一年の三月までに決めるはずですよね。であれば、もう一年もないわけであります。現時点で相応の方向性は当然決められていなきゃいけないわけであります。

 まず一番大事なことは、本法案と今後決められる省令で、地域医療の崩壊や医療自体の崩壊を招くことはもちろんですが、現時点でも問題になっております医師の偏在に伴う諸課題を悪化させたり、診療科の偏在に伴う諸課題を悪化させてはいけないわけでありますが、この点は応分の配慮をされているのか、お答えいただけますか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 医師の働き方改革につきましては、医師の働き方改革に関する検討会におきましても、医師の偏在対策等と一体的に検討していく必要があるということが指摘されており、そうした問題意識を持って検討を進めているところでございます。

 医師の診療科偏在については、是正していく必要がありますので、現在国会に提出しております医療法及び医師法の一部を改正する法律案におきまして、地域医療対策協議会での協議を踏まえた地域で不足する診療科への効果的な医師派遣であったり、若手医師の希望に配慮したキャリア形成プログラムの策定、活用等によって、診療科偏在の是正に資する対策を盛り込んでいるところでございます。

 また、医師の働き方改革につきましては、地域の医療提供体制の実態や、及ぼすその影響等を考慮しつつ、地域の医療提供体制全体を通じた機能分化、連携を進めることも念頭に置いて、その部分についてもしっかりと検討を行う必要があると考えております。

 医療提供体制全体のあり方に対する視点を大切にしながら、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

吉田委員 政務官、おっしゃったとおりなんですけれども、医師法と医療法の改正をするのは、医療崩壊を起こさないため、診療科の偏在とか地域の偏在を起こさない、起こさないというか、是正していくためにやっていくわけです。もう大臣はよくおわかりだと思いますけれども。政務官、だから、それを、絶対に、このまま上限規制とかやると悪化させちゃうわけですよ、悪化させるんです。だから、そのために相応の、今おっしゃったような医療法、医師法の改正と一体型だけでは足りなくて、更に踏み込んだ働き方改革における工夫をしないとだめなんですよ。だから、そこを聞きたいんです。

 医療法、医師法とか、そういう一体型とか、そういうことじゃなくて、具体的に本点に関して、この働き方改革の五年後のものに対してしっかりとした工夫をしていただかなきゃいけない、そこを聞きたいんです。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 委員も御承知のこととは思いますが、医師の働き方改革に関する検討会の中で、時間外労働規制のあり方や具体的な勤務環境改善策の検討を行っておりまして、二月に、中間的な論点の整理、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組を取りまとめたところであります。

 医師が行っている業務のうち、できる限りタスクシフトを進めるべきもの、特に、検査手順の説明であったり入院の説明、診断書等の代行入力について、原則医師以外の職種により分担して実施していくことで医師の負担を軽減していくこと。

 また、平成三十年度の診療報酬改定におきましては、医師が行う事務作業の補助者を配置しております体制を評価する医師事務作業補助体制加算の評価の引上げ等を行いました。

 厚生労働省といたしましても、過酷な勤務実態を解消するために、こうした対策について医療機関へ周知して、速やかな実行を促すことを含めて取り組んでまいりたいと考えております。

吉田委員 どうしても、準備した答弁書を読むと答えにならないので、ちょっと今のお答えは違うので、生のお答えをしてほしいんです。

 じゃ、もうちょっと具体的に聞いていきますけれども、例えば、政務官、一口に医師と言っても、その置かれた状況は、労働環境は全然違うんです。純粋な臨床医だったり、研究医だったり、大学の教官。大学の教官は、大臣も御承知のとおり、これは一番大変ですよ。臨床、研究、学生の教育、三足のわらじを履いている割に、一番給料が安いんですよ。あと、私立の病院、公的な病院、公立の病院でも違うんですが、そういったところはどのように考えているか、お答えいただけますか。簡潔で結構です。

大沼大臣政務官 委員御指摘のように、臨床研修医や大学の勤務医などは、勤務医の平均よりも勤務時間が長くなっているという調査結果もございます。週の勤務時間が六十時間以上の勤務医の割合は、全体では四〇・六%でありますが、臨床研修医は四八%であったり、また、大学病院におきましては、勤務医の週当たりの勤務時間が六十三時間四十四分と、全体の五十七時間十分を大幅に超えているという事態でございます。

 現行制度におきましても、医師である大学教授が主として研究の業務に従事する場合には専門業務型裁量労働制を適用することも可能とされておりますが、三足のわらじという実態も踏まえて、しっかり検討会の中で勤務実態を踏まえた検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

吉田委員 ちょっと難しい内容、専門的な内容も含んでいるのであれですが。

 じゃ、次はもっと具体的に聞きますね。例えば、薄給の大学の医師や研修医が行う土日祝日のバイトというのは、勤務時間になるんですか。これは大学から紹介されたものも含むし、大学から頼まれて行くものも含むんですが、これは勤務時間でしょうか、そうじゃないんでしょうか。

田畑大臣政務官 お答えをいたします。

 今の労働基準法の三十八条の一項には、労働時間、事業場が異なる場合におきましても通算をするというような規定になっているわけでございますので、今おっしゃられる事例におきましても、基本的に、もちろん、指揮のもとに労働ということであれば、労働時間に通算されると考えられます。

吉田委員 田畑政務官、ありがとうございます。はっきりそう国会で言っていただいたのは重要なんですよ。今、全くそうなっていないんです、実態が、大学病院。これは大きなハレーションが実は起こる、すごい発言なんです。これは岡本さんもよくわかっている。私も大学の教官ですから、今のは大事な発言で、そのとおりなんですが、これは非常に大きな御発言だったと、私は敬意を表します。敬意を表しますけれども、これはしっかり守っていくとなかなか本当に大変なことになりますので、大事なお答えをいただきました。

 では、次に、大学の教官の研究や学会発表の準備の時間は労働時間ですか、そうではありませんか、お答えください。

田畑大臣政務官 お答えいたします。

 厚生労働省においては、労働時間の正確な把握のため、労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを策定をしているところでございますが、このガイドラインにおきましては、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを申しまして、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たることを示しております。

 今委員御指摘の研究ですとか論文に要するような時間でありますが、これは個別具体的に判断する必要がございますが、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価できる場合におきましては、労働時間に該当するものだと考えるものでございます。

吉田委員 ありがとうございます。政務官、頑張っているアカデミアの学者たちがもう大喜びして、みんな本当に政務官のファンになっちゃいますよ。

 だって、労働ですよ。だって、今回、研究者の高度プロフェッショナル制度を議論しているわけじゃないですか。それは、仕事として研究者は認められているわけですよ。医者とかほかの、農学者でもいいんですけれども、のやっている研究というのは研究開発そのものなわけですから、高度プロフェッショナル制度との整合性を考えると、それが労働ということ、労働者として今回そういう制度をつくるわけですから、おっしゃるとおり、研究、学会の論文を書いたり、スライドをつくったり、学会に行くとか、そういったことはやはり私は労働だと思うし、ここもしっかりと担保してあげないと。だから、労働時間が医療関係はどんどんどんどん長くなって、働き方改革が難しくなるんですよ。

 だから、ここは、今お答えいただいたお答えでもう私は十分納得をしましたし、世の中のアカデミアの人たちは勇気をいただいたと思いますけれども、大事な話です、これは。そこを、だから、しっかり、今後、厚生労働省としては実態をしっかりと担保できるようにしていただきたいと思って、先に進みますね。ありがとうございます。

 次の質問に移りますが、大学病院とか中核病院というのは、医師にできる限り、さっき大沼政務官に言っていただいたように、診療とか研究に特化できる環境を与えないから、夜に仕事が延びていくわけです。そんな環境では働き方改革は無理ですよ。

 だから、同時に、お伺いしますけれども、私も、研修医一年目のとき、月に七回当直して、一睡もできないわけですよ。翌日も八時ぐらいまで働くということをやっていて、これは今やったら多分過労死になっちゃうような働き方です。ただ、夜とか休日の一次、二次、三次救急や基幹病院の医療というのは、こういった医療によって支えられている部分があるのが現状なんですが、ここをどのように考えるか、お答えください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 救急の今、御指摘があったり、あるいは、診療科目ごとの偏在等もある、どうしてもお医者さんの少ない科目においてはそこへ患者さんが集中して、またそれがそこで働く方の働く時間を長くしている、こういったことは指摘をされておりますし、そういった意味で、働き方改革を進めるに当たっては、医師の偏在対策等々にもしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

 そういった意味で、実は、この国会には、医療法及び医師法の一部を改正する法律案を提出し、そして、中身は申し上げませんけれども、それらを通じて、診療科偏在の是正に関する対策等も盛り込んでいくつもりでもあります。

 また、救急等のあり方については、これはまさに先ほどから政務官からもお話をしておりますけれども、医師の働き方改革に関する検討会において、そうしたことを担当されている方々からもいろいろ御意見を聞きながら、実際そうしたものに、緊急医療に対して、これはやはり求められているものでもありますし、これは続けていかなきゃいけない。その際に、じゃ、どういう形をとればそこに働いている方々が長時間労働に陥らないで済むのか、そのためには医師を確保していくということも当然求められると思いますけれども、そういうことを含めてしっかりと議論をさせていただきたい、こう思います。

吉田委員 ありがとうございます。それで結構です。

 医療の関係で、最後、もう一問、簡単に聞きますが、医師の働き方対策は、そもそも、少子高齢社会における医療崩壊を食いとめる、地域包括ケアのシステム実現とかで、さっき大沼政務官もおっしゃったように、コメディカルスタッフや事務スタッフが徹底的に医師の負担を軽減して、医師が診療、研究、教育に特化できる環境づくりは重要ですよね。

 ただ、大学病院では、実際どういうことになっているかというと、医員とか助教とかそういう下の方のクラスの教官やスタッフがいるんです。これは実は、外科とか内科とか一番今不足しつつある科だと、卒後十年、十五年たった医者で、大学の外だと部長だったり副部長だったりもう中心になっている人たちが、中核になるべき人たちが、大学病院では、看護師さんの仕事をしたり、ほかのスタッフでできる仕事をしたり、正確に言うとさせられたりしているんですよ。中には無給だったりすることも、大臣、あるんですね。

 これはやはり放置しちゃいけないと思うんですが、政務官でも大臣でもどなたでも結構ですので、簡単にお答えいただけますか。

加藤国務大臣 まず、仕事であれば無給ということがあってはならないわけですから、きちんと賃金が支払われるようにしていただかなきゃいけない、これはまず一つの大前提であると思いますし、今ずっと委員が御議論いただいているのは、今回の法案という話よりは、現行法の中の議論をさせていただいているということでありますから、現行法においてどうなっているかを今るる説明をさせていただいております。

 その中で、本来医師でなくてもやれるような仕事というのを実際医師の方がやっておられる、こういう御指摘もいただいておりますので、先ほど申し上げた医師の働き方改革に関する検討会でも、緊急に対応するという中において、タスクシフトということで、医師でない方においてやれるものはそこへ移行してやっていくことによって、医師の方が本来対応すべき医療行為をより集中的にやっていただく、あるいは、そういった形をとることによって長時間労働を是正していくということを進めていく必要があります。

 ただ、これも、動かした先が、またそれにおいて過剰な長時間労働になってはいけないわけでありますから、全体を見てやっていかなきゃいけないということもそのとおりだと思います。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 そのとおりで、実際、もっと言うと、医師を診療させれば診療報酬が発生するじゃないですか。それによってコメディカルの方やクラークさん、事務スタッフを雇用するというように、雇用にもつながるんですよ。安藤先生なんかはお詳しいですけれどもね。そういったことをしっかり考えて運用していかないと、今回の法案ともやはり関連する部分ですので、大きく関連しますよね、大臣。だから、ここはしっかりやっていただきたい。

 きょうはすごく充実した答弁を本当にいただきましたので、これは実現することが大事ですので、ぜひ厚生労働省として頑張っていただきたいとお願いしまして、野党案についての質問に移らせていただきたいと思います。

 大沼政務官はもう結構です。どうぞ、お忙しいようなので。

 立憲民主党案では、使用者に対して、労働者ごとに、各日において十分な生活時間を確保できるよう、始業から二十四時間を経過するまでに、十一時間を下らない範囲において一定時間以上の継続した休息時間を確保して与える義務を課す、いわゆるインターバル規制を設けていますが、その趣旨に、特に「十分な生活時間が確保できるよう十一時間を下回らない範囲内」と明記した趣旨は何でしょうか。お答えください。

西村(智)議員 お答えいたします。

 現在、長時間労働というのが社会で重大な問題となっております。これを解決して、労働者の健康を保持して、人間らしい質の高い働き方を実現するとともに、生活時間を十分に確保するためには、終業時刻から始業時刻までの間に一定時間以上の継続した休息時間、いわゆるインターバルを確保して労働者に与える義務を使用者に課すことが必要であると考えまして、本法律案ではインターバル規制を設けているところでございます。

 そのインターバルの具体的な時間につきましては労政審の議論に委ねることとしておりますが、その範囲は「十分な生活時間が確保できるよう十一時間を下回らない範囲内」としております。

 ここで、十分な生活時間の確保ができるようにとしておりますのは、長時間労働には、健康を脅かすという問題だけでなく、日常に必要な生活時間がとれなくなるという問題もあるからでございます。

 つまり、長時間労働によって、例えば、労働者が家族と一緒に食事をとる時間や、子育て、介護のための時間、また地域の活動に参加する時間、そしてまた労働者本人の自己研さんのためやリカレント教育などのための時間、そういった生活時間がとれなくなると、労働者御本人のみならず、その御家族、そして住んでいる地域にも深刻な影響を及ぼすこととなってしまいます。

 このような問題を解決するためには、単に労働時間を短縮するという観点からの取組だけでは不十分であると考えました。そこで、労働時間を短縮するという観点だけではなく、生活時間を十分に確保することがディーセントワークを実現するためには重要である、こういう観点から、具体的にその時間を定めるに当たって、十一時間を下回らない範囲内と規定しております。

 十一時間という時間につきましては、先進的にインターバルを導入しているEUの制度なども参考にいたしております。

 以上です。

吉田委員 ありがとうございます。

 じゃ、もう一言お伺いしたいんですが、また、そのインターバル規制を管理監督者に適用することとしていますが、その趣旨もお伺いできますか。

西村(智)議員 お答えいたします。

 管理監督者につきましては、現行の労働基準法上は、労働時間、休憩、休日、これらに関する規定が適用除外となっております。

 これは、管理監督者は経営者と一体的な立場にあって、労働時間、休憩、休日等の規則を超えて労働することが要請されるという経営上の必要があって、職務の性質上、通常の労働者と同様の労働時間規制がなじまないこと、それから、出退社についてある程度の自由裁量があって、労働時間規制を外しても保護に欠けることがないことなどが理由となっていると承知いたしております。

 しかし、インターバル規制については労働者の健康確保のための最低限の規制であるというふうに考えておりまして、すなわち、そのインターバル規制によって、健康を保持し、毎日十分な生活時間を確保して、人間らしい質の高い働き方を実現することができるのでありまして、インターバル規制の必要性は管理監督者であっても同様に言えることだというふうに考えます。そのため、今回は、管理監督者についてもインターバル規制を適用することといたしました。

 以上です。

吉田委員 じゃ、もう少し聞いていきたいんですが、立憲民主党案では、裁量労働制の規制を強化していますね。その趣旨と概要はどのようなものか、御説明いただけますか。

西村(智)議員 裁量労働制が適用される労働者につきましては、実労働時間と賃金とが連動しておらず、仮に何時間働いたとしても、あらかじめ定められた時間しか働いたものとみなされず、使用者においても当該労働者の実労働時間を把握していないことが多いというのが現状でございます。

 また、使用者が定額働かせ放題の制度として労働者を酷使し、長時間労働を強いているという実態もある。これはJILPTの調査などでも承知をいたしているところです。その結果、裁量労働制が適用される労働者の過労死や健康被害が多く発生しているところであって、最近では、裁量労働制を違法に適用したとして特別指導がなされた野村不動産の従業員が実は過労死していたということが事後的に発覚したということもあって、非常に深刻な問題となっております。

 また、労働者本人が認識しない間に裁量労働制が適用されているようなケース、労働者本人が裁量労働制の内容を十分に理解していないようなケース、こういったものもよく見られまして、この制度の適用に当たり、労働者の意思が十分に反映されていないという問題点がございます。

 そこで、我々は、安倍政権が目指してきた、そして今も目指している企画業務型裁量労働制の対象業務拡大は行わず、現行の裁量労働制の適正化を図るための規制強化策を本法律案に盛り込んでおります。

 具体的には、使用者に対し、労働者が事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計時間である健康管理時間を労働時間管理簿に記入することを義務づけた上で、その健康管理時間に上限規制を設けて、裁量労働制が適用される労働者についても長時間労働の抑制を図っております。これに加えて、健康確保措置の充実、及び始業時刻及び終業時刻が労働者に委ねられていることの明確化を規定しております。

 それから、専門業務型裁量労働制につきましては、対象労働者への事前説明と対象労働者の同意の要件化、同意の撤回の法定化、これを規定しています。

 また、企画業務型裁量労働制については、対象労働者の要件の厳格化、労使委員会決議の指針への適合並びに行政官庁による助言及び指導、事前説明の強化や、同意の撤回の法定化など同意手続の適正化を規定しております。

 以上です。

吉田委員 ありがとうございます。

 もっと聞きたいんですけれども、ちょっと田畑政務官にもせっかく、あれですので、ぜひお伺いしたいので、またの機会に残りはさせていただきたいと思います。

 田畑政務官、建築業者の働き方改革という部分でちょっと教えていただきたいんですが、彼らは繁忙期というのが年度末にあったりしますし、非常に仕事がない、梅雨の期間なんかもそうなのかもしれませんが、少ない期間があったり、また、月ごとにしっかり区切られてしまうと、月をまたいでの仕事の工程が組みにくくなったりすることもありますよね。

 また、ゼネコンはいいと思うんですけれども、中小零細、一人親方、一人親方といっても一人じゃなくて二、三人でやっている零細、本当に超零細の会社、そういったところだと、例えば大手ゼネコンが週二回は休んでしまうと、日数で給与をもらっているところなんかもたくさんあるわけで、給与自体が減ってしまったり、また全然労務環境が違うわけですよね。

 そういった会社の規模の大小、そして、月をまたいだり、繁忙期とかいろいろなもので一般の仕事とは大きく異なる事情がある建設業界、田村先生も建設はお詳しいと思いますけれども、そういったところに関してどういう工夫を今回しているのかということをちょっと、やはりはっきり政務官から言っていただかないと、まだ世の中の人たちは余りわかっていないので、お答えいただけますか。

田畑大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 建築というのは、建設業ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、現行、建設事業というのは、労働時間の延長の限度等に関する基準の適用除外というふうになっているわけでございますが、今回の法案におきましては、長年のこの取扱いを改めまして、罰則つきの上限規制を適用することとしているところでございます。しかし、施行期日は、五年後に一般則をということで、今御提示をさせていただいているわけであります。

 御指摘のとおり、元請、下請といった企業ごとに置かれた立場、企業規模等々、非常に建設業も幅広い業種ということでございます。ですから、我々もしっかり問題意識を持ちまして、昨年の八月には、関係省庁の連絡会議におきまして策定をした、建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインを今策定し、運用を開始しているところでございます。

 その中で、御指摘ありました、いわゆる元請が、下請を含めた建築、建設工事に従事する労働者が長時間労働を行うことを前提とした不当に短い工期となるようなことがないように、適正な工期での請負契約を締結することであったりですとか、降雨、また地域によっては降雪ということも想定されるわけでありますが、作業不能の日数ですとかさまざまな休日についてもしっかり考慮するといったこと、また、予定された工期で、さまざまな要因によって工事が完了しないということも想定されますから、その場合は受発注者双方の協議の上で適正に工期を変更するといったこと、また、施工の時期の平準化、これについてもしっかり行うといったことを盛り込んだガイドラインでございます。

 そうしたことをしっかり周知を徹底しながら、長時間労働を前提とした不当に短い工期設定をなくして、長時間労働の是正ですとか、建設においても週休二日制の導入、このことについても確保を図っていきたいなというふうに思っています。

 また一方、中小や小規模事業者になればなるほど、建設業におきましても、法令に対する知識ですとか労務管理体制が必ずしも十分ではないというふうにも考えているわけでありますから、全国に働き方改革推進支援センターを今、四月から設定をしたところでございますが、そうした場を通じましてきめ細やかな相談、支援をしっかり行っていきながら、建設に従事される方々、労使ともども安心して就業体制ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、午前中が十五分、そして午後が三十分というふうな時間をいただきました。

 まず、前半につきましては、十五分しかございませんけれども、ちょっとセクハラ問題につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、きょう、財金がやっている中、大変お忙しい中、矢野官房長においでいただきました。まずお礼を申し上げたいと思います。

 そして、早速質問をさせていただきたいと思いますが、この間、ちょうど連休に入る前だったと思います。私も、生でですけれども、矢野官房長が会見をされるところをスマホ動画で見ておりました。この財務省の一連の問題は、セクハラがあったということで結論づけて処分をして、さらには、矢野官房長の方も、関係者の方々におわびを申し上げるということで謝罪をしていただきました。

 そして、どうしてもきょうはお越しいただいてお聞きしたかったことがございます。それは、矢野官房長御自身の御発言についてです。

 名乗り出ることはそんなに苦痛なのかという発言があったかと思います。その言葉につきまして、まず、私は、謝罪、そして撤回ということが妥当だと思いますが、どうお考えでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の前事務次官が起こしましたセクハラという事態で世の中に大変御迷惑をおかけしまして、おわびを申し上げます。

 今委員から御指摘をいただきました、私自身が衆議院の他の委員会で答弁をした内容、これが報道でもいろいろ引用されておりまして、記者会見でも申し上げましたけれども、私は、答弁の中では、名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかとは申し上げておりません。

 議事録をごらんいただければわかりますけれども、私が申し上げましたのは、財務省に対してではなくて弁護士事務所に対してということ、それから、弁護士事務所は、もとよりですけれども、守秘義務があるということ、そして、なおかつ、名前を伏せて匿名でということ、それでも無理でございましょうかということを申し上げただけではなくて、さらにその前段で、この女性記者の方は、御友人とかあるいは同僚の方が週刊誌に話を持っていって第三者通報的にこの記事が書かれているのではなくて、御本人が録音テープを持ち込んで記事ができ上がっている。そのことは記事を読めば明確で、かぎ括弧つきで自己主張しておられるということが明確、私はそこをすごく注目しました。ということがあって、それでもなお無理でしょうかということを申し上げたんです。議事録をごらんいただければおわかりになります。

 ただ、それでもなおデリカシーを欠くということであれば、おわびを申し上げますというふうに記者会見でも申し上げました。

 私自身が何にも問題なかったなどと言い張るつもりはございませんけれども、多々、テレビのボードなどに、名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかといって顔写真が出て、ほとんど、くそやろうという感じで報道されました。

 私自身も、本当に、名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかとだけ言ったら、私は本当に人でなしだと思いますよ。そんな人間は私も軽蔑しますよ。でも、さすがに私もそんなことは申し上げておらなくて、今申し上げたような前提をるる置いて、それでも無理でしょうかと。

 親にも兄弟にも言うことは難しいんですというような発言もありましたけれども、本件とは全く違っていて、本件はもう、親兄弟を超えて、第三者に名乗り出ておられるんですよ。だから、それでも無理ですかというふうに私は申し上げたんです。議事録に明確に書いてあります。

 ただ、それでもなお繊細さを欠いたとすれば、おわびを申し上げます。そのことは明確に申し上げます。(発言する者あり)私が申し上げた言葉は消えません。おわびを申し上げます。

池田(真)委員 新聞報道だけではなくて、直接お話しいただきましたので、非常によくわかりました。

 その上で、申し上げます。無理です。名乗り出ることは絶対に無理です。

 私は、ソーシャルワーカーとしてもいろいろな方々にお会いしてまいりましたし、そして、多くの方々は、そういう窓口がきちっとある警察に行っても、弁護士に行っても、役所に行っても、全部そこでまずは否定される、だからたどり着かないんです。

 なので、名乗り出ることも非常に難しいし、産業医があっても難しいし、そういうデリカシー以前に、人権感覚、相手の気持ちになって考えることができないのでしょうか。

 そして、言った言葉は消えないと言いましたけれども、撤回はできますよ。ぜひ撤回していただきたいと思います。

矢野政府参考人 恐れ入りますけれども、申し出ることができないという、できるできないの話ではないんですけれども、べきかどうかという御指摘をいただいていると承知の上ですけれども、本件、それで結果的には、弁護士事務所の名誉のためにも申し上げますけれども、弁護士事務所も、もともと人権に物すごく意を用いておられる弁護士事務所ですよ。それが、匿名で、なおかつ、上司が言ってきてもいい、あるいは弁護士同伴でもいい、電話でもいい、いろいろなことを、それで十分かどうかという議論はあるにしても、物すごく工夫をしてお話を伺うというスタンスを弁護士事務所さんはとられました。

 結果的には、テレビ朝日さんが名乗りを上げられました。本人ではなくて、上司である、あるいは会社である株式会社テレビ朝日さんが名乗りを上げられたんですよ。そして、その結果、テレビ朝日さんの顧問弁護士と私どもの顧問弁護士であって第三者性が欠けていると御批判はありましたけれども、顧問弁護士同士の話合いが水面下でずっとなされて、結果として認定に至ったのであります。

 手を挙げるはずはないということは、事実とは結果的には違ったと思います。

池田(真)委員 もう一つ申し上げますと、顧問弁護士ですよね、財務省の。相手方の弁護士に申し出ることなんかできるわけありませんよ。

 そしてもう一つは、当事者が弁護士を雇っても構わないとおっしゃいました。どれだけ、権力者に対して弁護士を雇うことが難しいかということを全く御存じないと思います。

 そこで、申し上げますけれども、今の言葉はまずは撤回していただきたいです。メッセージを物すごく国民に発するんですよ。その責任、立場におありの方です。どの方々が聞いても受けとめられる、そのためには言葉を撤回していただきたいと思います。

矢野政府参考人 顧問弁護士につきまして、第三者性云々という御指摘をいただいておりますけれども、顧問弁護士さんのところに直接ではなく、匿名でも電話でも、あるいは弁護士さんを通じてでも、上司を通じてでもという話で、結果的にはそれで話が始まったんです。始まって事実認定に至ったんです。

 なので、一方で、第三者という話はよく承知しておりますけれども、人事院の規則上は、今は、各省に置かれているセクハラ相談員というものが、内外にわたるセクハラ事案であっても、それを調査する、責任を持って調査するということになっているんです。(池田(真)委員「撤回するかしないかだけ答えてください」と呼ぶ)私は、言葉を発したことについて責任をとらなきゃいけないと思っています。私自身の発言は、それが、報じられていることとは違う発言をしているわけですけれども、それでもなおデリカシーを欠いた部分があったとすれば、それは責任を持っておわびします。それ以上でもそれ以下でもありません。

池田(真)委員 撤回をしないということで、今ここで確認をさせていただきました。

 であれば、おわびをするではないんですよ。おわびをしていただき、そして撤回をすればよかったと私は思いますよ。

 時間があと五分ということですので、きょうはもうこれでお引き取りいただいて結構ですが、この問題は、財務省、研修したと言うけれども、矢野官房長、受けていませんよね。麻生大臣も受けていないんですよ。一番受けるべき人が受けていないんですよ。言っていることとやっていることが全く違います。

 そのことを申し上げまして、官房長、どうもありがとうございました。お引き取りください。

 そして、次、もう数分しかございませんので、一問、加藤厚労大臣にお伺いいたします。

 用意した質問を飛ばして、二番目に行くわけでございますけれども、この間のお話、おとといの委員会の中でも、柚木委員に対して、セクハラとパワハラとは別だというお話も、別々に対処をされるという話をされていたと思います。パワハラについては有識者を入れて検討していくと。

 セクハラについてのコメントがなかなかなかったということで、加藤厚労大臣の取組についてお伺いしたいと思います。

 野田総務大臣がセクハラの罰則を含めた法規制について検討するというような新聞報道等がされております。

 加藤厚労大臣は、この一連の中の、今の答弁も含めてですけれども、このような実態に対して、セクハラ問題を統括している厚労大臣として、どのようなお取組をお考えでしょうか。

加藤国務大臣 先般の柚木委員に対しては、セクハラとパワハラとはそれぞれ、今の制度の状況が違うということで、分けて答弁させていただいたということでございます。

 いずれにしても、職場におけるセクシュアルハラスメントを始めとしたそういったことは、ハラスメントそのものもそうでありますが、働く方の尊厳、人格を傷つけて、職場環境を悪化させるということにもつながるわけでありますから、これはあってはならない、こういう認識のもとで、私ども厚労省についても、セクハラについて申し上げれば、セクシュアルハラスメント対策の必要性について、機会あるごとに、男女雇用機会均等法、またそれに基づく指針、これについての周知徹底を図るとか、あるいは、セクシュアルハラスメント対策が講じられていない企業あるいはセクシュアルハラスメントが生じた場合に適切な対応がなされていない企業に対する指導や労使の紛争の援助、こういったことを行うことによって、セクハラのない職場づくり、これをしっかりと進めていきたいというふうに思います。

 それから、今委員お話があった法制化の話でありますが、厚生労働大臣としてお話をさせていただければ、これは労働法制のもとでということになるわけでありますけれども、御承知のように、労働法制そのもの、あるいは男女雇用機会均等法は、事業主の雇用管理上の責任を明らかにするという法律の性格でありますから、職場におけるセクシュアルハラスメントを禁止して罰則を科するとか、あるいは行為者そのものに刑事罰を科するということをこの法律の中で盛り込むことは、法律の性格上、なじまないのではないかというふうに考えているところでありますし、労働法制全般が、まさにそういった視点に立って、立っておりますから、基本的には、法律の責任の主体は事業主ということで構成されている。そういったところから、なかなか、この刑事罰云々という議論は難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

池田(真)委員 大変残念に思います。

 職場におけるというのは、事業主だけじゃなくて、あらゆる職場に関連して、厚労大臣の中で、これからの働き方を推進していく、女性が安心して働いていく、そして、社会的に立場の弱い、障害者だとか生活困窮者の就労、雇用をつくっていく、そういう立場にある厚労大臣、厚労省として、やはりこのセクハラ問題、パワハラ問題は進めていくべきだというふうに私は思っておりますので、前向きな答弁がなかったことに、非常に残念に思います。

 加えて、もう時間が終わりますので申し上げますと、この間の新聞とかにある福田氏、長尾氏、下村氏、麻生氏の新聞記事のほかに、きのうも朝日新聞の方で、これは自民党の加藤氏が、結婚しなければ……(発言する者あり)そう、大臣ではない、寛治衆議院議員です、結婚しなければ子供が生まれないとか、人様の子供の税金で運営される老人ホームに行くことになるというような発言があったことは御存じかと思います。

 どういう意図があったかというのは別として、その言葉を発信するというのは、非常にこの国として、私はどうかと思います。介護離職ゼロと言いながら、この考え方というのは、女に、子供を産んで、そして家庭で子供を面倒見ろ、親の面倒も見ろ、介護を面倒見ろと言っているようなものですよ。これは、後で謝罪したということでございますけれども、非常に、こういう考え方がしみついていること自体に、この国の考え方を変えるということは必要だと思います。

 ILOの中でも本当にありますので、セクハラとパワハラの問題、そして更に言えば、外国人ケア労働者をこれから入れていくということを考えますと、私もホームヘルパーで、一対一の密室の中の関係というのをずっとこの間やっております。今でも、ソーシャルワーカー、どんな場面にでも一人で行きます。どういう場面に遭遇するのかということを想像してきちっと対処していかなければ、私たちは働く人たちの、きちんとした対応、尊厳ある人間、そして安全を守れないというふうに思いますので、ぜひ、セクハラ問題、もう一度、野田総務大臣と御相談していただいて、罰則つきでないと何が問題になるのかということもぜひ御相談いただきたいと思います。

 以上、午前中につきましては終わらせていただきます。ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、小林鷹之君。

小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、基本的にこの法案に賛成の立場でありますが、労働者の方々がより意欲的に働ける環境をつくっていくために、そして本法案の実効性を更に担保するために質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の法案で新たに創設されることになっております、いわゆる高度プロフェッショナル制度について伺います。

 働き方改革の目的の一つは長時間労働の是正にありますけれども、高度プロフェッショナル制度は、一定の条件を満たす労働者を労働時間に関する規制の適用外とする制度でありますから、一見、本法案の目的と異なる制度のように見えなくもありません。

 一昨日の委員会でもこの点について議論がありましたけれども、改めて、この制度が新規に創設された目的とその期待される効果についてお伺いしたいと思います。

田畑大臣政務官 ありがとうございます。お答えいたします。

 今回の法案におけます罰則つきの時間外労働の上限規制と高度プロフェッショナル制度の創設は、いずれも、健康を確保し、誰もがその事情に応じた多様な働き方を自由に選択することを可能とすることで、その能力を発揮できる労働制度へと改革をするという一つの趣旨、目的を持つものであります。

 時間外労働の上限規制については、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けるものであります。これは、労働基準法制定以来、七十年ぶりという改革ということであります。

 これにより、過労死を防止し、働く方がその健康を確保し、ワーク・ライフ・バランスを図ることができるようにしていくことでありますが、長時間労働を是正をすることによって、経営者は、労働者にどのように働いてもらうかに関心を高め、時間当たりの労働生産性の向上につながっていくという効果を期待しているものでございます。

 一方、高度プロフェッショナル制度は、働き方に合った健康確保のための措置や高い年収の確保、職務範囲の明確化等の要件を設定をした上で、雇用関係のもとで自律的に働くことができる働き方の選択肢を準備をするものでございます。

 この制度の効果といたしましては、高度専門職の方で創造的な仕事を行う方について、健康をしっかり確保しながら効率的に成果を出す働き方が可能となるということを考えられるというふうに思っているところでございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 この法案によりますと、高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者というのは、高度の専門知識等を必要とし、その従事した時間と得た成果との関連性が高くない業務につき、かつ賃金が基準平均給与額の三倍相当程度を上回る労働者、このように位置づけられております。

 二〇一七年二月に労政審から提出されましたこの建議書にも、おおよそ年収にして一千七十五万円を超えるとされておりますが、そもそも、これに該当する労働者というのが、全労働者のうち、どれくらいの割合で存在するのかということと、あわせまして、その対象者の中には、恐らく、現行の法律のもとでは専門業務型あるいは企画業務型の裁量労働制の対象者として現在働いている方もいらっしゃるんだと思います。そうした方々につきまして、新たに高度プロフェッショナル制度が創設された場合に、その対象者の方々が裁量労働制から高プロ制度に移行するメリットというものを具体的に教えていただければと思います。

山越政府参考人 今回の高度プロフェッショナル制度でございますけれども、今御指摘がございましたように、対象業務を省令で規定をし、また、書面等による合意に基づきまして職務を明確に定める、それから年収要件も定めるということでございますので、これに着目した統計はないわけでございまして、この対象となる方の人数を今把握するということは難しいわけでございますけれども、その上で、参考値として申し上げさせていただければ、平成二十八年分の国税庁の民間給与実態調査によりますと、給与所得が一千万円以上の方は全体の四%となっております。ただ、この統計には役員や管理職も含まれております。それから、対象業務が限定されておりませんので、高プロの対象者はこの四%よりも、その分少なくなるというふうに考えておりますけれども、必ずしもそういったことで合致をしないものでございます。

 それから、高プロへ裁量労働制から移行するメリットについてのお尋ねがございました。

 この新しい高度プロフェッショナル制度でございますけれども、希望する方に、働く時間の長短でございますとか時間帯にかかわらず高い収入を保障して、それから年間百四日の休日確保など、そういった健康確保措置を直接的に講じまして、めり張りある効率的な働き方を可能とする新しい制度だというふうに考えております。

 裁量労働制のもとでは、労働時間の長さでございますとか時間帯が割増し賃金とひもづけられておりますので、当然、企業の労務管理は、働く時間の長短や時間帯のあり方を意識した管理にならざるを得ないものでございます。歩合給でございましても、労働時間規制が適用されますので、残業があれば割増し賃金の支払い、そういったものの必要があるわけでございまして、純粋に仕事の成果に見合った賃金を裁量労働制のもとでは支払うことができないわけでございますけれども、この点につきまして、今度の高度プロフェッショナル制度におきましては、直接的に、成果によって賃金を支払うことを義務づけているわけではないわけでございますけれども、対象となる方について、先ほど申しました要件を定めまして、時間や場所にとらわれないで、自律的で自由な働き方を選択していただけるようにする制度でございます。

 したがいまして、現行制度の労働時間についての制約を取り払いまして、時間と賃金の関係を切り離すことになりますので、仕事の成果に見合った処遇をすることが可能となる制度でございまして、希望する方には、時間でなく成果で評価される、例えば、働きたいときに集中して働けるということが可能になる制度である、そういうメリットがあるというふうに考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 今、幾つかメリットを挙げられたんですけれども、私の問題意識としては、裁量労働制から高プロ制に移行する場合に、賃金ないし収入がどうなるかということなんですね。

 二〇一七年に労政審労働条件分科会から提出されております、今後の労働時間法制のあり方についてという建議には、本制度の対象者になることによって賃金が減らないよう法定指針に明記することが適当である、このような記載がされております。

 その指針というものがいつごろ作成される予定で、そこに、賃金が減らない、この趣旨というものは明記されるという理解でよいのか、お聞かせいただければと思います。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度に関してでございますけれども、この法案が成立されましたらこの指針を定めていきたい、労政審で検討していきたいと考えておりまして、その中におきまして、仮に高度プロフェッショナル制度に移行した後の賃金につきまして、これを労使委員会において対象労働者を決議するに当たって、本制度の対象となることに、高プロの対象になることによって賃金が減らないようにすべきということを、法定の指針で明記する方針で対応していきたいというふうに考えているところでございます。

小林(鷹)委員 明快な答弁ありがとうございました。高プロ制に移行しても決して賃金が減ることのないように、配慮をお願いいたしたいと思います。

 次に、高度プロフェッショナル制度における対象業務なんですけれども、これはもう再三議論で出ているとおり、法案成立後に省令で規定されることになっておりますけれども、先ほど触れさせていただいた建議書に記載されている具体例としましては、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリスト、あるいは研究開発、こうしたものが挙げられているんですね。

 それで、例えば、研究開発に従事する労働者について、入社数年の若手研究員の方で高い能力を持って成果も出しているのに、年収が一千万円に満たない場合には、もちろん高プロ制度が適用されない、労働時間の制限が適用されることになるわけですよね。

 意欲にあふれる研究者ほど、一日でもあるいは一時間でも早く結果が知りたくて、もっと仕事をしたいと思う場合もあると思うんですね。しかし、高プロ制度適用外であるために仕事を中断せざるを得なくなる。また、研究開発の場合というのは、この成果をどう判断するのかという課題が出てくるんだと思います。ディーリング業務のように短期間で数字として結果が出てくる業務とはこれは全く異なりまして、研究内容によって、そもそもどの段階を成果とするのか、判断が難しい場合もあると思いますし、そもそも成果が出ない場合さえ私はあるんだと思います。

 こうして、労働者が働きたいという強い意欲を持ちながらも、労働時間制限のためにその意思に反して仕事ができない状況や、能力ではなく成果、この成果のみで評価される場合に、逆に意欲をそがれてしまう労働者というのも、これは実際に出てくるんじゃないかと思うんですね。

 また、より広い大きな視点から見たときに、そういう研究者が時間に縛られることなく思う存分に研究することができない、こうした環境の中では、日本が世界に誇る技術力の低下を招く一つの要因にも私はなり得るんじゃないかと思います。

 今、この国、我が国に求められている働き方改革というのは、単に長時間労働を規制するということだけではなくて、あくまで個々人の状況に応じた多様な働き方を柔軟に認めていく、すなわち選択肢をふやしていくということが、私はここが肝なんだと思うんですね。長時間労働をもちろん無理強いするような社会であってはならないと思います。でも、同時に、働きたいという前向きな意欲を過度に国が抑えつけるような社会であってもいけないんです。

 あくまで一例として研究業務について申し上げましたけれども、法案成立後に、この高プロ制度の対象業務や対象労働者を定める際には、年収条件及び対象業務の職種や範囲に柔軟性を逆に持たせた方が労働者にとってもより使いやすい制度になると私は考えるんですけれども、見解をお聞かせください。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、これは、イノベーションでございますとか高付加価値化を担う高度専門職の方につきまして、そういった方が希望される場合には、健康をしっかり確保した上で、仕事の進め方でございますとか時間帯をみずから決定していこうという制度でございます。

 この制度の具体的な対象業務でございますけれども、法律上は、高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められる業務を、これが法律の要件でございますので、これを踏まえまして、法律成立後に労政審で検討していくことになりますけれども、これにつきましては、平成二十七年の労政審の建議の中で、御指摘ございました研究開発業務などが例示として挙げられているものでございます。

 こういった挙げられている業務を念頭に置きまして、改めて審議会で議論をしていきたいと思いますけれども、これは、その際には、従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くない、そういったものとして認められる業務というのが要件でございますので、それを踏まえまして、適切に業務を検討し、省令で規定していく、こういうことにしたいというふうに考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 今、私が申し上げた質問に対しての答えに対しては、本当にしっかり頑張っていただきたいと思うんですけれども、改めて、私は、この高プロ制度、多くの野党の方々とはもちろん逆のスタンスになるんですけれども、この制度を、事業者のみならず、労働者にとっても本当に使いやすい制度にしていただきたいということを、改めて念押しさせていただきたいというふうに思うんです。

 次に、この高プロ制度についてなんですけれども、これは労働時間制限の適用外とされています。事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計時間、いわゆる健康管理時間を定めることにもなっている。また、休日については、一年間を通じて百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を与えることとされています。そのほかにもいろいろな規定がある。そういう意味で、労働時間の上限規制というのはもちろんありませんけれども、休日の下限規制はあるということは言えるんだと思うんですね。

 この高プロ制度については、もちろんさまざまな評価がありますけれども、そもそも論として、また一般論として、果たして今の日本人の労働時間が本当に長いのかというところはしっかり考える必要があるんだと私は思うんです。

 例えば、諸外国との比較でいえば、OECDの調査によると、二〇一五年の就業者の平均年間実労働時間は、日本が千七百十九時間なのに対して、アメリカが千七百九十時間、イタリアが千七百二十五時間、イギリスは千六百七十四時間であります。また、祝祭日と有休取得日数を加えた総休暇日数を比較しますと、我が国は、ヨーロッパに比べると少ないんですけれども、アメリカやアジア諸国と比べると多いという結果もあるんですね。これは、単純に絶対値を比較することが、それはできないかもしれないんですけれども、日本の労働者が世界と比べて断トツに働き過ぎであるとは私は必ずしも言えない、そういう見方もできるんじゃないかと思うんです。

 そうした中で、労働時間の上限規制がないことをもって高プロ制度を否定するということは、私は適切ではないと思います。むしろ、高プロ制度の対象者というのは、我が国の国力強化に欠かせない経済政策の基盤であるイノベーションなどを担う高い専門能力を有する労働者なんだと思います。したがいまして、もちろん適切な休暇日数を取得してもらった上で、めり張りのある効率的な働き方をしていただいて、なお一層の能力発揮をしていただけることを私は期待をしています。

 政府におかれましても、多様な働き方の選択肢の一つとして、高プロ制度の対象となる労働者にとってよりよい制度になるよう、運用面を含めて、実効性ある制度設計に御尽力をお願いしたいと思います。この点につきまして、牧原副大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

牧原副大臣 今、委員がおっしゃった点で、選択肢をふやすという点が一つのポイントだというふうに思います。

 ですから、この高プロの対象業務に当たったり、年収要件を満たしたとしても、御本人が今までと同じように残業代があるような働き方がいいということであれば、その選択も可能であるわけです。

 他方で、例えば私が視察に行った企業の方でも、これは裁量労働制の方ですけれども、ある創造を考える人は、一カ月間、ほかの国を、世界じゅうを回って、そして、何時から何時まで働いたという報告だけをして、いろいろな国のいろいろなパッケージ、いろいろなものを見てインスピレーションを起こして、それで送るというような働き方をされている方もいらっしゃいます。高プロは、このような非常に柔軟な、時間にとらわれない働き方をより可能とするものでございますので、そうした選択肢として提供させていただくということです。

 御承知のとおり、今、第四次産業革命の出現やグローバル経済の中、G7やOECDの会合でも、技術革新がどれだけ人間の労働を奪ってしまうのか、こういうことがほぼ話題の中心にございます。三十年後ぐらいで見れば、本当に五割から七割ぐらいの今人間がやっている労働がなくなるんじゃないか、こういうようなことも多く指摘がされているところでもございます。

 こうした中、高い付加価値を生み出していく経済を追求して、そして、新しい産業がどんどん生まれてくる中で、幅広い職種への需要をもたらして、雇用就業機会の拡大という波及効果というものを期待していかなければいけないという面もございます。

 もちろん、健康、働き過ぎになってしまうんじゃないかという懸念があるのもそのとおりでございますので、健康措置を確保した上で、そしてまた、高い年収を確保したり、職務範囲の明確化等の要件を設定した上ですけれども、こうした自律的に働くことができる高度プロフェッショナル制度を選択肢として整備をし、そして、高度な知識等を持った専門職の方が自律性、創造性を十分に発揮していける環境を整備して、そしてより一層の能力発揮や生産力の向上を期待し、ひいては日本の経済の発展につなげ、そして何よりも、雇用をちゃんと守っていく、誰もが働くことができるということは必要なので、経済をしっかりと維持しながら雇用も確保して国全体としての発展を期す、こういうことをやっていきたいと思っております。

小林(鷹)委員 ありがとうございました。

 また、この高プロだけではなくて、働き方改革全般につきまして、より実効性のある制度にしていくためには、労働者の能力や成果について適正な評価がなされるかどうかというのが非常に重要なポイントになるんだと思います。なぜなら、労働者側に立って考えてみますと、高プロ対象者にとっても、一般のそれ以外の労働者の方にとっても、自分が携わった仕事上の成果が適正に評価をされて、それが賃金に反映され、さらなる労働意欲の向上が起こり、そして、ひいてはより多くの成果につながっていくと私は思うんですね。

 この法案におきましては、事業者に対して、労働時間ですとか健康に関する管理、指導についての具体的な規定というのはあるんですけれども、一方で、労働者の能力や仕事の成果に対する評価に関する、例えば指導についての規定というのは見当たらないんですね。

 そこで、事業者に対して、管理者が適正な評価をしていくための、例えば人事評価ルールに関するガイドラインの作成ですとか、あるいは研修などの指導を国が行っていくということも私は一案かと思うんですけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の働き方改革法案に盛り込まれました雇用対策法改正では、基本的理念を改正いたしまして、労働者は、その職務や職務能力の内容が明らかにされ、それらを踏まえた公正な評価と処遇等が効果的に行われるよう配慮されるべき旨を加えることとしております。

 また、適正な評価の推進に向けては、例えば、パートタイム労働者の働き、貢献に見合った待遇が確保されるよう、パートタイム労働者の職務分析、職務評価の導入支援を実施しているとともに、能力評価の推進に関する施策等を推進していくこととしております。

小林(鷹)委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、次に、中小企業の働き方改革について質疑をさせていただきたいと思います。

 私も、地元を回っておりましても、今回の法案に対する関心というのは非常に高いというものを体感しています。特に、中小企業の経営者の方々からはさまざまな不安の声もいただきますので、私自身、この質疑を通じて、少しでもその解消に努めていきたいというふうに思います。

 まず、言うまでもなく、企業全体の九九%以上を占めていて、雇用の約七割の受皿となっておりますこうした中小企業というのは、地域の経済あるいはコミュニティーを支えておりますし、日本経済の屋台骨なんだと思います。この中小企業の活力なくして、日本経済の持続的な成長というのはあり得ないと思います。

 その多くの中小企業の経営者の皆様からは、ただでさえ人手が足りない中で、労働時間の規制が強化されると仕事が回らなくなる、こんな声もありますし、大企業は労働時間規制に容易に対応できるかもしれないけれども、できなくなった仕事を中小企業に回して、そのしわ寄せが来るんじゃないかという声もあります。また、中小企業の従業員の方たちの中からは、とにかく仕事をして給料を稼いでもっといい暮らしをしたい、そういう声もいただく。そうしたさまざまな厳しい声というのも私は実際に地元でいただくんですね。

 そういう中で、自民党の部会などにおいても、こうした声というのが多く寄せられた結果、中小企業へのこの適用が平成三十二年度に延期をされて、また、附則第三条の四で、行政官庁は、当分の間、中小企業主に対して、この新労基法三十六条第九項の助言、指導を行うに当たっては、さまざまな事情を踏まえて行うように配慮をすると記載されることになったことは私自身も評価をいたしておりますが、そもそも、この附則に規定されている当分の間、これはいつから始まって、どれくらいの期間が想定されているのか、教えてください。

山越政府参考人 御指摘の附則の規定でございますけれども、これは当分の間配慮する旨規定しておりますけれども、現時点で具体的な期間を想定しているものではございません。法案の附則には、施行後五年を目途とした検討規定も設けられておりますので、相談体制の整備でございますとか助成金の拡充などの支援も進めながら、中小企業における状況を踏まえまして今後判断していくものと考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 今の答弁にあったとおり、なかなか具体的な答えというのは難しいというのはそのとおりだと思うんですけれども、一方で、これは中小企業にとっては非常に重要な問題なんだと思います。だからこそ、可能な限り予測可能性を高めて、中小企業の経営に資するような対応というものをぜひお願いしたいと思います。

 ちょっと時間の関係で少し飛ばさせていただきますけれども、一昨日の質疑の中で、労働時間の把握をどうするのか、タイムカードの話ですとかサービス残業の話がありましたけれども、最近は社内でイントラネットなどでつながる企業というのもふえてきていて、結果として社員の労働時間は、社員それぞれのPCのログイン、ログオフで管理をしている会社が多くなってきているというふうに聞いております。したがいまして、労働者が意図的にログオフした後で仕事を続けない限りは、適正に労働時間の把握ができるものだと私は考えます。

 そこで質問なんですけれども、ソサエティー五・〇を目指す我が国として、中小企業を含めた全企業において、せめて従業員全員へのPCの整備、また、労働時間管理をPCで行っていく環境づくりというのを国として私は推進すべきではないかと思います。これによって、労働時間の管理が容易になるだけではなくて、中小企業におけるIT化を進めることによって生産性の向上も図られるのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味で、ぜひ厚労省におかれても、経産省と協力して、中小企業を含めた企業のIT化というのを推進していただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。

山越政府参考人 労働時間の把握に関しましては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを定めておりまして、この中で労働時間の考え方を示しております。また、把握の方法については、使用者がみずから現認する、又はタイムカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認することが原則であるということを定めておりまして、その周知とか徹底を図っていきたいというふうに考えております。

 労働時間の状況の把握に関しましては、どのような方法を選択するかにつきましては各企業の実情に応じて判断いただくものだというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、こういったパソコンのログオン、ログオフの時間によることも含めまして、適正な把握を促してまいりたいというふうに考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 中小企業のIT導入については、いろいろIT導入補助金とか用意されていまして、これに加えて更に加速していくためには、例えばシンガポールのETC、これは完全義務化して日本とは違う形でやったら結果として効率がよくなった、そういう例もありますので、例えば、きょうは経産省審議官にいらしていただきながら、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきますけれども、中小企業のIT化というものを本当に進めていくという観点からは、納税手続とか社会保険とか、あるいは各種補助金の申請、この行政手続のIT化というものを本当に一〇〇%、期限を決めた形で実施していくということもありなのではないかというふうに思います。

 中小企業につきまして、さまざまな不安があるということは事実なんだと思います。最後に副大臣から、中小企業の事業者に対して、さまざまな不安を払拭する前向きなメッセージをお願いしたいと思います。

牧原副大臣 本当に先生から大事な御指摘をいただいておりまして、我々も、中小企業や小規模事業者につきましては、業種、地域、規模等において多様であり、そして、人手不足や取引慣行等によって厳しい状況があるというようなさまざまな不安の声があるということは認識しております。

 こうした不安に対しては、まず、相談窓口を非常に充実をしていきたいというふうに考えておりまして、全都道府県に働き方改革推進支援センターを設置するとともに、商工団体とも連携の上、こうした個別相談にしっかり当たっていきますので、まず、わからないこと、不安なことがありましたら、こうした相談窓口にぜひ御相談を賜りたい。

 と同時に、先ほど申し上げた三六協定の附則に、三条の、その附則における、取締りの附則ですね、ここにおいてちゃんと配慮をするということも書かせていただいておりますので、いきなり何かお縄を頂戴するような不安というのはないということも御理解いただきたい。

 それと同時に、先生が御指摘になりましたような生産性向上に向けては、官邸あるいは中小企業庁とも協力をして、そういう検討会も立ち上げて、全面的にこうした支援をして、そして人手不足についても、今、政府を挙げて対策を考えて、党からとかもさまざまな提言をいただきながら検討してまいりたいと思っておりますので、ぜひ、時代がどんどんどんどん動く中、中小企業の皆様も、この働き方改革というものを通じて、将来にわたるまでうまく繁栄できてやっていけるように、そして従業員の皆様も幸せになれるように、我々としても全力を尽くしてまいりたいと思っております。

小林(鷹)委員 時間が参りましたので、最後、一言だけ指摘を加えさせていただきますけれども、きょうは副業、兼業については質問する機会がなかったんですけれども、さまざまな課題というものがあると思いますので、労働者、事業者双方の利益を確保していく観点から、国がこうした副業、兼業を推進するからには、法整備などについてもしっかりと整備をしていただいて、予見可能性を高めていくということも必要だということと、私自身、この法案については、ぜひこの国会で成立させて、実行に移すべきものと考えております。

 一方で、あるべき働き方というのは、人によっても違いますし、さまざまな業種によっても、おのずと異なるんだと思います。

 今回のこの法案というのは非常に大きな一歩だと思いますけれども、まだまだ各種業種を十把一からげにしている側面というのもやはり少なからずあるように思いますので、ぜひ、そうした、これからきめ細やかな制度設計というのが必ず必要になってくると思いますので、加藤大臣始め強力なリーダーシップのもとで厚労省の皆さんに頑張っていただきたいと思いますし、与党の立場でしっかりと支援させていただくことをお誓いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先日のこの厚労委員会の議論を聞いておりまして、山井委員、いらっしゃいますね、あと岡本委員が非常に大事な議論をされておりました。高度プロフェッショナルの制度の中で大事な議論をされておりましたので、私の方でも少し、ちょっとここを深掘りをさせていただきたいというふうに思っております。

 それは何かというと、高プロで例えば残念ながら過労死された場合、この労災認定をどうするかという議論でした。労災認定の目安として、月、一カ月百時間、あるいは複数月平均で八十時間というところが、残業の労災認定をされる目安になっておりますので、真の労働時間をどうやって割り出していくのかというところが大きな議論になりました。

 その議論の中では、三つの時間があると。一つは、一般の労働者の、使用者が把握しなきゃいけない労働時間というもの。高プロの場合は、健康管理時間、これも使用者が把握しなきゃいけない。もう一つ最後に、労災認定のために、真の労働時間というのがどれぐらいなのか。これは調査をして、真の労働時間というのをしっかりとはっきりさせなきゃいけないということになっております。

 おとといの委員の御指摘では、高プロの健康管理時間と一般労働者の労働時間というのが違うじゃないかと。つまり、健康管理時間から労働時間を割り出して、そこから真の労働時間を割り出すとなると、一手間かかるじゃないか、非常に困難じゃないか、こういうような指摘だったというふうに思っております。

 じゃ、ちょっとまず確認をしたいのは、これまでの一般労働者の労働時間というものと高プロの健康管理時間の差というのは一体何なのか、どこが違うのかということです。もちろん、法律上の書き方が違うのはわかっています。法律上の話じゃなくて、実際に現場から見て、実質的な差として、健康管理時間というものと一般的な労働時間というものの違いがどこにあるかというのをお答えください。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度における健康管理時間でございますけれども、これは事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間の合計の時間と定義をしております。したがいまして、一般の労働者の労働時間との相違は、事業場内にいるが労働していない時間、すなわち、食事時間など休憩している時間が相違となり得るものだというふうに考えております。

 ただ、省令で定める労働時間以外の時間については、労使の決議によりまして、健康管理時間から除くことが可能となっております。この具体的な項目は労働政策審議会で議論する予定でございますけれども、この事項といたしましては、休憩している時間などを定める予定にしております。

伊佐委員 つまり、この差というのは何かというと、休憩時間を入れるかどうかというだけなんですね。つまり、それ以外の実質的な差というのは実はほとんどなくて、しかも、休憩時間を健康管理時間というものに入れるかどうかというのは労使で決めるので、もし労使で、休憩時間というのは健康管理時間に入れませんよ、高プロの場合は入れませんよとなったら、実は、一般労働者の労働時間と高プロの健康管理時間というのはほぼ同じ、実質的に同じだということになるということです。

 ただ、じゃ、何で労働時間と言えないんだというと、もうそこは、高プロがそもそも労働時間というのを適用除外しているので、労働時間というのはなかなか言えないと。これは厚労省が言えないので私がかわりに言いますが、そういうことなので、健康管理時間というもので、そこを健康確保のためにつなげていこうというふうにしたということだと思います。

 その上で、じゃ、労災認定の現場のプロセスから質問したいと思うんですけれども、高プロの労働者であったとしても、一般労働者であったとしても、労災認定をするためには、真の労働時間というのが幾らだったのかというところをしっかり調査する、こういうプロセスがあるわけです。

 おとといの野党の皆さんの話では、健康管理時間の場合は、そこからまず一般労働者でいう労働時間を一むきして、そこにまず求めなきゃいけない、その上で真の労働時間を求めなきゃいけない。つまり、このプロセスを経るので一手間かかるんだ、一むき、ここでしなきゃいけないんだ、こういう議論だったと思います。

 でも、この三段階、三段論法というのは私は間違っていると思っていまして、つまり、健康管理時間であれ、一般の労働者の労働時間であれ、そこから直接、真の労働時間が何なのかというのを求める、この真の労働時間を求めるプロセスは、健康管理時間、高プロであれ、一般労働者であれ、実はやることは一緒じゃないかと私は思っているんです。その点、どうですか。

山越政府参考人 過労死などの労災請求がなされた場合でございますけれども、これにつきましては、その被災された方に、高プロでございますとか一般の労働時間とか、その中でどういった労働時間が適用されていたにかかわらず、さまざまな労働時間に関する記録に加えまして、パソコンのログイン、ログアウトの記録、あるいは会社への入退館記録、業務日誌や、さらには同僚や取引先への聞き取りなど、さまざまな方法によりまして労働基準監督署が独自に調査を行って、実際に働いた時間を把握し、労災認定を行うこととしているところでございます。

 したがいまして、御指摘をいただきましたように、高度プロフェッショナル制度が適用される労働者でありましても、適用されない労働者でありましても、労災認定のための調査方法は同じものになるというふうに考えております。

伊佐委員 そうなんです。つまり、ここは一皮むくんじゃないんです。やることは一緒で、同じように、タイムカードを見たりとか、さまざまな現場でのヒアリングがあったりとか、そこは一緒だというふうに私は理解をしております。

 その上で、もう一つ、高プロの懸念と言われています、前回の議論でもありました、アリの一穴じゃないか、ここからどんどん拡大されていくんじゃないかという話ですが、ずっとこの委員会の議論を聞いていて、その理由は二つ指摘されていると思っています。

 一つ目は、年収要件。これは、年収が平均年収の、一般の年収の三倍以上に適用されますよということが書いてありますが、大体、だから一千万円超ということになります。これが、例えば、ある日、二倍になるんじゃないか、あるいは、四百万円以上に一気に引き下げられるんじゃないか、こういう議論がありました。

 ここはもうはっきりしていまして、ここは厚労省が勝手に変えられるものではありません。なぜかというと、三倍というのは法律事項です。法律で書かれていますので、ここのところを二倍にしよう、四百万円にしようと思うと、当然、この場で、この国会の場で議論をして、しっかりと結論を得ないとこれはできません。これはもうはっきりしています。厚労省が恣意的には変えられないということです。

 もう一つの御懸念は、対象となる業務、これが恣意的に拡大されるんじゃないか、野方図に拡大されるんじゃないかということです。

 これは、今まで累次議論がございましたが、法律上では、高プロの対象というのは、高度の専門的知識が必要、そして時間と成果の関連性が高くない、そこは具体的には省令に落としますよ、こういうたてつけになっているわけですが、ここが拡大される。

 まず伺いたいのは、ここの、この拡大されることに対する、野方図に拡大されることに対する歯どめがどうなっているか。つまり、厚労省が恣意的に、省令だからといって、どんどん拡大できるんじゃないか、あるいは、使用者が恣意的に高プロの適用を、どんどん恣意的な運用をしていくんじゃないか、この歯どめがどうなのかというところを伺いたいと思います。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度の対象業務でございますけれども、これにつきましては、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くない、そういったものとして認められる業務というのが法律の規定でございまして、これに当たるものを省令で定めていくことになりますけれども、省令を定める際には、この法律の要件の範囲内で、公労使から成ります労働政策審議会で議論して定めていくことになるものでございます。

 それから、各事業場でどうなるかということでございますけれども、これにつきましては、制度を導入する際には、労使同数から成る労使委員会、この五分の四以上の多数での決議が必要でございますので、したがいまして、労働側の過半数の多数による決議が必要でございます。そして、法令に定める対象業務以外の業務にこの制度を適用すれば、当然この決議は無効になるものでございます。

 したがいまして、使用者が恣意的に対象業務を適用するということはできないものと考えております。

伊佐委員 今、局長、本人の同意とおっしゃいましたか。本人の同意についても少し言及いただければ。

山越政府参考人 この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、対象労働者、適用する場合には、その御本人の同意が必要でございますので、同意がない場合には、これは当然、この高度プロフェッショナル制度はその方には適用されないということでございます。

伊佐委員 私は、ここが本当に大事な肝だと思っていまして、本人の同意というものを、どう適正にしっかりと担保していくかということだと思います。

 今回の場合、裁量労働制よりも更に厳しくして、書面で本人同意をとるというたてつけになっていると思いますが、私、ちょっと一つ提案があるんですが、これ、同意をたとえとったとしても、やはりこの働き方は合っていない、自分で嫌だと思って、例えば、成果ばかり求められるので生産性が結局上がらなかったと。野党の方もおととい指摘されておりましたが、成果主義だと生産性が下がる場合もあるんじゃないかというのは、私はそのとおりだと思っておりまして、もし、高プロに一回なったんだけれども、高プロはやはりやめたい、しんどいとなったときのやめる手続、一般労働者に戻る手続、ここもしっかり規定すべきじゃないかというふうに思っております。

 これは、ガイドラインで指摘するんじゃなくて、できることなら、この同意の撤回の手続についてはしっかり省令に定めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

牧原副大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 高度プロフェッショナル制度は、希望する方のための選択肢でありますので、本人の同意がないという場合には認められない。したがって、御指摘のように、同意を撤回するということについても認められるべきであるというふうに考えております。

 そして、その場合の手続につきましては、今御指摘がありました省令という話もありましたが、今のところは、労使委員会の決議事項に関する指針、これは大臣告示を策定することとしており、その指針に位置づけるということも考えておりましたが、今の御指摘も踏まえて、今後さまざま、具体的に検討をしていきたいというふうに考えております。

伊佐委員 しっかり指摘を踏まえてということでした。これは、できるだけしっかりと拘束力があるような形で、ガイドラインじゃない形でお願いしたいというふうに思っております。

 そもそも、この高プロが拡大するんじゃないかという話は、高度プロフェッショナル制度そもそもが悪いという前提で、拡大しないようにしなきゃいけないというような議論になっているんじゃないかと思います。私、悪いのは、この制度というよりも、これを恣意的に運用されることが悪いこと、もし悪用されるのであればとんでもないこと、これをどうやって防ぐのかというのと同時に、これまで議論があったような、多様な選択肢をどうやって働く皆様に提供できるかということだと思いますので、適切に、適正に運用できる制度というものをしっかりと追求してまいりたいというふうに思っております。

 裁量労働制について伺いたいと思います。

 裁量労働制の趣旨というのは柔軟な働き方ということで、現に今適用されていらっしゃる方がいらっしゃいます。その上で、今回は、残念ながら、裁量労働制の部分というのは再検討、全面削除ということになりました。

 昨日、野党の方が配っていただいた資料、裁量労働制を現在適用されている方の生の声というのを資料で配っていただいております。この資料、非常に貴重な資料だなと思っておりまして、いろいろな、今の裁量労働制に対する不満の声ももちろん書いてあります。長時間労働が常態化する場合には規制が必要ですねという声であったりとか、あるいは、制度に見合う人材の年度ごとの精査が必要で、一回とってしまったらそのままになっているのが問題だという声もあります。

 でも、逆に、裁量労働制でありがたいという声も結構載っていまして、例えば、午前中に私ごとで利用するような場合には非常に有効に機能していますという答えであったりとか、あるいは、適用対象者の拡大を希望していますという声であったりとか、裁量労働制をすることが働き方の多様性を進められるので非常によいという意見、中には、朝寒いから二度寝して起きたら十時半だったけれども、特に問題なく普通に出勤すればいいからよかったというような声もあったりとか、いろいろな声があるわけです。

 こうした、悪い、改善しなきゃいけない、これは問題だと思われるところもあれば、いいと思っているようなところもあるわけで、この悪いところをいかに抑えていくかということが大事だと思います。

 その上で、今回、全面削除。つまり、裁量労働制の対象業務の拡大、これは削除された。と同時に、今現に裁量労働制の方がいらっしゃるわけで、この方々のための健康確保措置についても削除されちゃったわけです。ここは実は党内でも相当議論がありました。健康確保措置の部分だけ残せないのかという議論がありました。

 改めて確認したいんですが、両方とも落とした理由について伺いたいと思います。

牧原副大臣 まず、今回、政府の裁量労働制に関するデータについて国民の皆様に疑念を抱かせることになったことについては、深くおわびを申し上げる次第でございます。

 その上で、裁量労働制自体は、厚生労働省において新たな実態調査を行うということにしておりまして、今回の問題点をしっかり反省した上で、正確なデータが得られるよう、専門家の御意見も伺いながら、適切な調査設計を行っていくということでございます。

 それらを踏まえ、健康確保措置等も含めて、制度のあり方そのものを労政審で御議論いただくことにしておりますので、全面的に、健康確保措置のことも含めてということでございます。

 なお、一般のことも含めて、今回、産業医の面接指導の申出について拡大をして、健康確保措置は拡大しておりますので、そのこともあわせて付言したいと思います。

伊佐委員 裁量労働制の実態が正確に把握できていなかったというところは、総理も答弁で認めているところだと思います。

 それで、この全面削除、両方とも削除するとなったときに、我々公明党も三月の十五日に緊急申入れを行いました。それは何かというと、早急に実態把握せよ、調査をしてヒアリングをして、その上で裁量労働制の長時間労働を是正する、この観点から再び制度設計してください、こういう内容だったんです。

 この趣旨は、念のため確認しておきますが、単に、対象業務の拡大も健康確保措置もまとめてやるから、一個だめになったからまた後で一緒にやります、これだけだったら我々は許しません、こうじゃありませんよという趣旨なんです。つまり、実態把握が甘かったので、ここをしっかり押さえたら、今回やろうとしていた健康確保措置よりもより効果的な、あるいはより適切な健康確保措置というのがあるんじゃないか、そういうところを再度検討して、しっかりとした健康確保措置により近づけていけます、こういう趣旨で我々は申入れを行いました。

 そういう意味では、単に同じものを機械的に後回しをするというだけではないんだというところ、ここを確認したいと思います。

牧原副大臣 委員を始め公明党の皆様から、三月十五日にそうした緊急の申入れをいただいております。

 こうした御指摘も踏まえ、また、労働時間が裁量労働制については長くなる、残業代も払わず長く働かせるというような指摘があるということも承知をしておりまして、制度のあり方について抜本的に労働政策審議会で御議論をいただくということについて、そうした指摘についても留意していきたいと考えております。

伊佐委員 ここはしっかりと、なかなか現段階で強化ということは言いにくいかもしれませんが、我々の趣旨というのは、そういう趣旨で申し入れたんだということを理解をしていただければというふうに思います。

 もうそろそろ時間になりますので、質問は終わりますが、今回、さっき副大臣からも一言おっしゃっていただいたように、この裁量労働制について、対象業務の拡大をやめた、やろうとしていた健康確保措置についても一回撤回をしたということですが、じゃ、何もやらないかというとそういうわけじゃなくて、今回の法案の中でも、今の裁量労働制をとっていらっしゃる、現に裁量労働制で働いていらっしゃる方々に対して、健康確保措置というものを、より一歩踏み込んだ、強化することにもなっているわけです。

 具体的には、我々もここは一番こだわったところですが、みなし時間であったとしても、裁量労働制のようなみなし時間で働いている人だったとしても、しっかりと労働時間を使用者は把握しなさい、こういうところを義務づけよう、こういうような中身も法案に入れておりますので、こうした取組を通じて、しっかりと、労働者の皆様がいろいろな選択肢をみずから選択できる、そして健康的な生活が送れるような、こういうような制度をつくってまいりたいというふうに思っております。

 終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。池田真紀君。

池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。

 午前中に引き続きまして、よろしくお願いいたします。

 午後は働き方改革についてということで御質問させていただきます。

 まずは野党案につきまして御質問させていただきます。

 まず一つ目になりますが、高度プロフェッショナル制度を導入しないという趣旨につきましてお伺いしたいと思います。これは、立憲民主党、国民民主党ともにお願いしたいと思います。それぞれよろしくお願いいたします。

西村(智)議員 お答えいたします。

 労働者が望んでいる働き方は、自分で納得できる仕事があり、それによって十分な収入を得て、休息時間や余暇のための時間、ボランティア活動をする時間、地域での活動をする時間といった生活時間をしっかりと確保することができる働き方であるというふうに考えております。

 しかし、高度プロフェッショナル制度は、労働基準法の労働時間規制を全て適用除外とする仕組みであります。サービス残業という、残業代を払わない違法行為が蔓延しているという現状では、悪用されるおそれが極めて大きく、残業代ゼロ制度と称されるのは当然であります。

 また、長時間労働に対する抑止力が作用しないという現行の裁量労働制の問題点を何ら解消することなく、それどころか、更に歯どめを弱くする仕組みでありまして、まさにスーパー裁量労働制と言わざるを得ません。

 このような長時間労働を助長するおそれが高い制度は創設すべきではないと考えます。多くの問題を抱える新たな仕組みを設けると、アリの一穴になってしまうわけであります。

 具体的な問題点を挙げますと、まず第一に、働かせ放題となることです。高プロでは、そもそも労働時間の上限規制がかからず、しかも労働時間が賃金と結びついていないため、使用者に対して長時間労働の抑制がきかないということになります。

 次に、対象となる労働者の年収要件についても、今後、年収額がなし崩し的に引き下げられるおそれが十分に想定されます。

 さらに、対象業務が拡大されるおそれがあるということです。閣法を見る限り、対象業務が抽象的な表現で規定されておりまして、将来的には省令改正によって、つまり、我々国会議員が関与なしに、国会での議論なしに拡大する可能性が大いにあると言わざるを得ません。

 このような問題点に加えて、対象労働者の同意を要件としているとはいっても、その同意が任意かつ真摯なものであることが十分に担保されていないこと、成果に応じて適正な処遇が確保される働き方とうたっているものの、この点について法的な担保は設けられていないことといった、いずれも重大な問題点が数多く存在しています。

 当事者であり、かつ直接の利害関係者である労働者の立場からも、労政審の答申において、高プロの創設は認められないという意見が付記されており、多くの問題を抱えていることは明白です。

 したがって、高プロというスーパー裁量労働制を合法化することは、断じて認めることはできません。そのため、私たちが提案する人間らしい質の高い働き方を実現するための法律案には、この制度を想定しなかったところでございます。

 以上です。

白石議員 国民民主党の法案についての答弁を申し上げます。

 国民民主党は、綱領に、生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つことを掲げ、結党しました。働く者の立場に立ち、誰もが安心して働いて、安心して暮らしていける社会をつくる、それこそが私たちが目指す改革であり、それを実現するための法案が安心労働社会実現法案であります。

 高度プロフェッショナル制度は、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離すもので、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増し賃金に関する規定が適用除外になるという危険な制度であります。このような残業代ゼロの定額働かせ放題につながる過労死促進制度は、私たちが提案する安心労働社会実現法案とは相入れないものであります。

 具体的な問題としては、主なものに限ったとしても、一、労働時間の延長の上限規制の適用がなく、健康管理時間の上限規制の適用についても任意であり、割増し賃金による長時間労働の歯どめがきかないことで働かせ放題になる。

 二、その上、休日に関する規制や深夜労働の割増し賃金の規定もないことから、対象労働者は、休日や深夜といった、上司や他の労働者が働いていない時間帯に働くことが多くなり、例えば、ほかの労働者に聞くことによってその労働時間を把握することが極めて困難となり、その結果、労災の救済も困難になり得る。

 三、対象となる業務は抽象的な表現で規定されており、今後、法改正なく対象となる業務の範囲が拡大していくおそれがある。また、対象となる労働者についても、今後、より低い年収の者にまで拡大していくおそれもあるといったことが挙げられます。

 また、それに加えて、四、成果で評価される働き方とされていながら、対象労働者の処遇に成果を適切に反映させる保証がないこと、五、対象労働者の真摯な同意が十分に担保されていないことといった多くの問題点が存在しています。

 二〇一七年の労政審の答申においても、高度プロフェッショナル制度の創設は認められないとの労働者代表委員の意見が付記されているところであります。

 このように、働く者を守るという視点が完全に欠落している高度プロフェッショナル制度という過労死促進制度を合法化することは、断じて認めることができません。そのため、私たちが提案する安心労働社会実現法案にはこの制度を規定していなかったところであります。

池田(真)委員 ありがとうございました。

 閣法については後ほどお伺いしたいと思います。

 続けて、野党案につきまして、立憲民主党の方です。

 生活時間と書いてあります。生活時間について、先ほど少し御説明ありましたけれども、改めて、生活時間とは何か、そしてまた、法案の中では、生活時間の確保という観点からはどのような施策が盛り込まれているのか、お伺いしたいと思います。

西村(智)議員 御質問いただき、ありがとうございます。

 この生活時間という用語は、考え方としてはずっとありましたけれども、法律案として盛り込むのは今回が初めてではないかというふうに思います。

 現在、労働現場で問題となっている長時間労働は、労働者の生命や健康を脅かしているだけではなく、家族と一緒に食事をとる時間や、子育て、介護のための時間、また地域の活動に参加する時間がないなど、労働者御本人だけではなく、その御家族や住んでいる地域にも深刻な影響を及ぼしており、職場内にとどまらず、社会全体にとって大きな問題となっております。したがって、今求められているのが生活時間の確保という観点であるということでございます。

 そこで、私たちの法律案では、生活時間について、具体的には、例えば、家族と一緒に過ごしたり、ボランティアをしたり、本を読んだりするなど、私たちの日常に必要な時間を念頭に、健康を確保するための時間、社会活動を行うための時間、自己啓発をするための時間その他の労働時間及び通勤に要する時間以外の時間と定義いたしております。その上で、本法律案では、生活時間の確保という観点を踏まえた理念や各種の施策を盛り込んでおります。

 まず、雇用対策法の改正では、労働施策に関する基本的理念や国の施策、就業環境を整備する事業主の責務について、労働者が豊かな日常生活等を享受しつつ充実した職業生活を営むことや、その意欲及び能力に応じて就業することができるよう、各日、その日ごとにおける生活時間を確保するという観点を盛り込んでおります。

 次に、労働基準法の改正では、過重な長時間労働を是正し、労働者の生活時間を確保するという観点から、時間外労働時間の上限を単月八十時間未満、複数月平均六十時間以下としております。

 そして、インターバル規制については、労働者が各日において十分な生活時間を確保できるよう、十一時間を下回らない範囲で、一定時間以上継続した時間を休息時間として労働者に与えるよう使用者に対して義務を課しております。

 また、裁量労働制を行う要件として、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間を合わせた時間、いわゆる健康管理時間について、生活時間を確保できるように、これを一定時間以下とする措置を講ずるよう事業者に義務づけております。

 さらに、労働契約法の改正では、労働契約を締結、変更する上での配慮事項について、労働者が豊かな日常生活等を享受できるよう各日における生活時間を確保するという観点を盛り込んでおります。

 以上です。

池田(真)委員 ありがとうございました。

 もう一方の国民民主党の案で、改正後の労働基準法の規定について検討を求める規定を附則に設けております。その検討のめどを三年後とした趣旨につきましてお伺いしたいと思います。

大西(健)議員 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、私どもの法案では、施行後五年ではなくて三年を目途にして、改正後の労働基準法の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ、検討を加えて、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

 具体的に検討の項目として想定しているものは幾つかありますけれども、とりわけ時間外労働の上限規制の部分について見直しを行うことを想定しております。

 我々の提出した本法律案においては、時間外労働の上限時間については、単月の上限百時間未満、複数月の上限は月平均八十時間以内と、政府案と同じになっておりますけれども、これについては党内でも長過ぎるのではないかという議論がありましたけれども、まずは、早急に罰則つき上限規制を導入することを優先して、労政審において労使がぎりぎりで合意したこの水準を尊重するということにいたしました。

 ただ、我々もそのままでよいというふうに思っているわけではありませんで、時間外労働の上限時間については、長時間労働を抑制するために、なるべく引き下げることが望ましいと考えております。施行後、この時間外労働の上限規制を強化していくことも含めて、改正後の労働基準法の施行の状況等を踏まえて早急に検討を行う必要があると思っております。そこで、法律の施行後の全般的な見直しの時期について、政府案では五年後とされておりますけれども、我々が提出した法律案では三年後といたしております。

 それ以外にも、本法律案では、時間切れで今回積み残しになってしまったさまざまな諸課題について、附則に検討規定を置いております。具体的には、法人重科制度の導入も含めた、労働時間等に関する規定に違反する行為に対する罰則のあり方、給特法の改廃を含めた教職員の長時間労働の規制、過半数労働組合がない事業場における労働者の過半数代表を選出する民主的な方法、副業、兼業に関する労働者等の保護、フリーランスに関する労働者に準じた保護、こういった諸課題について、できるだけ早急に検討を加えて見直しを行いたい、こういう趣旨から、五年ではなく三年後の見直しということにさせていただいております。

 以上です。

池田(真)委員 ありがとうございました。

 それぞれの対案がありますので、政府案につきましての一方的な説明だけではなく、比較していろいろこの後審議をできればというふうに思っております。

 ここの段階で野党の皆さんの方の案は質問を終了させていただきますので、お席の方にお願いいたします。ありがとうございました。

 引き続きまして、質問を、事前通告もしておりますけれども、ちょっと順序をかえまして、ごめんなさい、午前中の質疑の中でやはりちょっと気になりましたもので、もう一度確認をさせていただきたいというふうに思います。

 高度プロフェッショナル制度の中での健康管理時間と労働時間についてなんですが、山越局長の答弁で、健康管理時間は労働時間プラス休憩時間と食事時間というふうにおっしゃっていたと思います。労働時間を出すといった場合には調査の仕方は今と同じだというふうにおっしゃっていましたけれども、もう一度お伺いしたいんですが、労働時間をどうやって出すかというのをもう一度聞かせていただけますか、高プロの対象の人に。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度におきましては、労働基準法上は労働時間の管理ということにはなっていないわけでございまして、そのかわり、健康管理時間を把握していただく仕組みになっているわけでございます。

 この健康管理時間につきましては、事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間の合計の時間、これを健康管理時間とすることにいたしております。

 ただ、その中で、労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を健康管理時間から除くことを決議した場合にはこの時間を除くことができる、こういった仕組みにさせていただいているところでございます。

池田(真)委員 健康管理時間は、事業場内とか事業場外とかというのは、要するに、時間を管理するというか、把握しなければいけないということになりますか。

山越政府参考人 健康管理時間を把握していただくということにするわけでございまして、これは、今申しましたように、事業場内に当該労働者がおられた時間と、事業場外において労働した時間を合計した時間でございます。

池田(真)委員 全然よくわからなくて、そもそも、高プロは労働時間を管理しないと言っているのにもかかわらず、どこからどこまでが休憩時間で、どこからどこまでが食事時間か、どこからどこまでが自己研さんの時間か。読書をしていた、これは仕事なんですか、それとも、食事をしながら仕事の読書をしていた、これはどちらに入るんですか。そして、誰が管理するんですか。

山越政府参考人 健康管理時間の中にどのような、これは、基本的には、事業場内におられた場合はその事業場内にいた時間が当たるわけでございますけれども、その中から、今おっしゃられました食事とかレクリエーションとか、労働時間以外の時間をどう差し引くかというのは、当該事業場の労使委員会、労使で決めていただく、そういう仕組みにさせていただいているところでございます。

池田(真)委員 全然意味がわかりません。

 まず、労働時間をそもそも把握しないと言っているので、把握している上でその健康管理時間が云々というのであればわかるんですけれども、全く意味がわかりませんので、後ほどまた改めて厚労大臣にも質問していきたいと思います。

 ただ、まず、労災認定の話が今ちょっとありましたのでお伺いしたいと思いますけれども、労災認定では、まず、実労働時間、そして真の労働時間という証明が出づらくて、なかなか認定が受けられないという実態がありますよね。その認識はいかがでしょうか。

山越政府参考人 労災認定を行う場合の労働時間でございますけれども、これは、労災の請求がありましたときに、私どもの監督署におきまして、労働時間がどうだったかということを、どのくらいの長さだったかということを、適用される労働時間制度にかかわらず、いろいろな、社内の記録でございますとかパソコンのログイン、ログアウトの記録、入退館記録でございますとか、あるいはいろいろな聞き取り、同僚の方などに対する聞き取りを行って、労働基準監督署で労働時間が何時間かということを把握して認定をしているというところでございます。

池田(真)委員 タイムカードについても、いつ押すかとか、そして、超勤につきましても、例えば、今月は二時間までに全員してくれというようなこともあるわけですよ、現実には。だから、その申出だけでも難しいですし、今、数値だけでも、きょうの資料でお配りさせていただきましたけれども、なかなか認定ができない、認定されない。

 申請をしている人というのはごくごく一部ですよ。私の中の同僚だって多くの方々が亡くなりましたし、もちろん仕事を通しての方もいらっしゃいますが、同僚の方でもいらっしゃいました。でも、それは、支給や認定までどころか、その前に申請にも至らないという方がたくさんいるんです。まずそのことを認識をしていただきたいと思います。データで見ても、きょう、資料七もそうですし、実際に御遺族の方のニュースが入っています。

 そして、あとは、裁量労働に係る支給決定件数というのも資料七の二というのに添付してありますが、ここの内訳、詳細についても、これ以上はありませんけれども、これを見るだけにおいても、申請をしてもそのまま認定はしづらい。それは何なのかといったら、やはり労働時間、真の労働時間の証明なんではないでしょうか。どうやって労働時間を証明するのかというのが全くよくわからないです。

 把握しなくていいということではなくて、私は、法律に、きちっと把握してほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣の方がいいですね、今のこの質問は。

加藤国務大臣 まず、過労死の、もちろん、過労死等があれば申請をする、そういったところを我々しっかり周知をしていく、これは努力をしていかなきゃいけないというふうに思います。

 ただ、過労死給付の請求の際の請求書というのがございます。そこには、労働者の氏名、生年月日、住所、負傷又は発病年月日など記載事項が決められているんですけれども、被災者の労働時間に対して記載をしていただくということにはなっていないということであります。

 ですから、もちろん、それ以外にも、御家族の方が、こういう状況でしたとか、ああいう状況でしたとか、こういうお話はしっかり聞いていく必要があると思いますし、そして、我々がやった裁定の結果と、御家族の思っていた実態、実態というか、思っていたものとずれがある、これは、そうしたことがあることは十分承知をしておりますけれども、ただ、申請に当たって、じゃ、労働時間をどこまで把握していくかということを、少なくともこの請求書上は求められているものではないということは言えるというふうに思います。

池田(真)委員 申請とか請求書上とか、そういう話ではなくて、現実の話を言っているんですよ。仕事がつらくて大変だといって亡くなられた方々に対しての言葉ではないと私は思います。これは単なる手続論であり、へ理屈ですよ。

 きょうのこの資料にもついていますけれども、加藤大臣のそういうはぐらかしというのはヤフーニュースでも流れているんですから、そういう言いかえのことではなくて、きちんと回答していただきたいと思います。

 そして、せっかく今過労死の話が出ましたので、ちょっと戻して、おとといの委員会のときに、そういえば復命書を黒塗りで提出をしていただきまして、委員の、私もですが、共有をさせていただきました。

 それで、そのときの質問で、この復命書の部分、書式が違うんですがということで、今配られたものだからわからないという話で、結論がなかったと思います。ぜひ、この違いについて、調査した結果といいますか、確認をした結果をシェアさせていただきたいと思います。

山越政府参考人 御質問は、この二つの復命書の間で、整理番号と書いてあるのと復命書と書いてあるところの違いという御指摘だと思います。

 この調査復命書でございますけれども、精神障害の業務起因性の判断のためのものでございますけれども、これは精神障害の労災認定の実務要領に様式が記載されているものでございますけれども、この中においては、この様式を参考に様式を工夫して差し支えないとされているものでございます。

 それで、なぜ食い違っていたかということでございますけれども、これにつきましては、当該監督署におきまして、調査復命書につきまして全ての事案に通し番号をつけて管理をしていたわけでございますけれども、この通し番号の呼び方がこの監督署では復命書番号という呼び方をいたしていましたことから、一つは復命書と書かれているということでございまして、意味としては、通し番号としての整理番号、それから、復命書と書いてあるのもその整理番号を書いてあるということでございます。

 ただ、これは、同じ署の中で異なる表記をしているというのは必ずしも行政文書の取扱いの観点から適切ではないと考えますので、この点については、同じ監督署では同じような様式で管理していただくよう、今後しっかりと都道府県労働局に指導していきたいというふうに思っております。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 タイトルが違うのに通し番号とは言わないと思いますし、私はこれは別物かなというふうに思っていたんですね。

 私は、地方公務員の現業から事務職員になったときに、まず、この書式で相当根拠があるということを学ばせていただきましたので、国のトップであるところでこんなことがあるなんというのはまずないと思いますので、今おっしゃったように、直しますとおっしゃっていましたので、ぜひそこら辺はもう一度チェックをしていただきたいと思います。

 そして、もう一つ。このレベルですよ、このレベルの事務処理ミスがあるような、地方自治体でも絶対ないですよ。そんないいかげんな、通し番号のタイトルが違って、通し番号が自由に変えていい、判こが押してある押してない、何でもいい、こんなことはまずないですよ。そういうことがあるような復命書の中で何が書いてあったのか。

 そして、過労死について周知をする、防止をする、予防をするといっても、どのように予防しているか全くわかりません。この間の野村不動産の話もそうですけれども、実際に過労死につきましての対策、特別指導を行ったというふうにおっしゃっておりますけれども、特別指導の中身については御遺族の云々と言いますが、では、そこだけに限らず、過労死について、具体的にどのように周知をして予防をしているのか、加藤厚労大臣、あるいはこれからでもいいですから、教えていただけますか。どうやったら事前に予防ができるのか、どういう周知を行っていくのか、教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、それぞれの企業等において、長時間労働の是正等をさまざまな機会に啓発をしていく、指導していくということが必要だというふうに思います。

 それから、残念ながら過労死が発生した、そうした事業所においては、二度とそうした過労死を引き起こさせない。そのためにも、その過労死の背景になっていた、例えば長時間労働があるとか、さまざまな事案について監督指導をし、そして是正を図っていただくということが必要になると思いますし、また、それ以外についても、監督指導に入るに当たって、我々もさまざまな情報を収集をし、そうした長時間労働の疑いがあるもの、例えば八十時間、これまでは百時間以上としておりましたけれども八十時間以上、そういったものに対しては監督指導を行ってく、こういう方針は打ち出させていただいております。

 そういった情報をしっかり収集しながら、今委員御指摘のように、過労死が起きない、こうしたようにしっかりと取り組ませていただきたいと思います。

池田(真)委員 今回の高プロの部分というのは、やはり多く問題があるのは、まず職業の問題と、あと時間の問題と、いろいろな、本来であれば安心材料で法律を進めていかなければいけないことが、むしろ全くないんですよ、何も。何にもわからないから、みんなが不安だと思います。

 それで、もし本当に安心だというのであれば、労働時間を把握しますとか、あるいは職業を限定するとか、何かあったときに国が責任をとるようなきちっとした対策が私は必要だというふうに思っています。

 どうしてかといいますと、ちょっと時間が、あと二分ありますが、健康管理時間についてもお伺いしたかったんですが、またの機会に、あるいはその後の方々にお願いできたらと思いますが、健康管理時間についても、いろいろ企業とのやりとりがこれから、改革案の中ではやりとりがされるというふうに法案の中に書いてありますけれども、実際には、企業からそういうデータがどのように流れるのかということが非常に不安であります。

 最後に一問だけさせていただきますけれども、産業医の中で、健康管理、確保の中で、産業医との情報提供について、改革案は私の方ももちろん把握しておりますけれども、誰が、自己申告のものなのか、それとも管理者が提供をするのか、どういう情報のやりとりを行うということなのかを教えていただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、産業医、産業保健機能の強化ということを図ろうとしておりますけれども、その中でも特に長時間労働の状況をしっかりと産業医に伝えて、産業医が専門的な立場から、本人あるいは事業者に対して必要な措置を指導できる、あるいは事業者に対しては勧告できるというようなことを目指しております。

 そういった意味で、まずは労働時間の状況の把握をきちんとするということと、それから、その状況を、事業者にとどめるのではなくて産業医の方にもしっかりと伝えられるようにする。そうしますと、そこから先は産業医の専門性、また、今回、さまざまな情報提供の仕組みを整備しようと思っておりますので、そういった中で、産業医がしっかりと専門的に判断して必要な措置を指導できるという流れに乗せていきたいというふうに思っております。

 ここでちょっと詳しくは御説明できませんけれども、そうした形で、必要な情報の流通について強化するということでございます。

池田(真)委員 今お話ししたとおり、労働時間を把握してとおっしゃいました。だから、やはり必要なんですよ。労働時間を把握して、でなければ、産業医だってわからないし、誰がそのデータを出すんですか。

 その情報共有する部分でも、今だって、企業側からのデータは改ざんされている場合もありますし、多いですし、そして、専門的な視点とおっしゃいましたけれども、実際の産業医はいろいろな場面での専門医ではない場合が多いです。相談をしても正しいケアにならない、そういう方々がたくさん、多いんです。だから、産業医自体の改革は私は必要だと思いますけれども、その制度について、きちっと現状を把握して、高プロのために、説得材料のために産業医を使うなんということはあってはならないというふうに思います。

 質問時間が終了してしまいましたので、また引き続き、私も質問させていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党、大西健介でございます。

 きょうは三十分と時間が限られておりますので、早速質問に入っていきたいというふうに思うんですけれども、まずは、この委員会でも繰り返し取り上げられております野村不動産に対する特別指導に関連してお聞きをしたいというふうに思います。

 我が党の山井委員からも繰り返し言及をしていただいておりますけれども、私、一月二十九日の予算委員会において、野村不動産において長期にわたって裁量労働制が違法適用されていた事例を取り上げて、現行制度においても濫用が認められるのに、拡大すれば定額働かせ放題になるんじゃないか、こういうことを質問させていただきました。

 お手元に、そのときの会議録をお配りをさせていただいております。線を引いてありますけれども、私、三回にわたって、線が引いてあるところが三カ所ありますけれども、三度にわたって、しつこいくらいに、裁量労働制は一旦導入されてしまうと濫用が表面化しにくい制度であるということを、このとき指摘をさせていただいているんです。それに対して、総理が最終的に答弁をしていただいているのは、「万が一、本来対象にならない業務にこの制度を適用していた場合には、労働基準監督署において厳正に対処していく」というふうに述べた上で、その上で総理は、この野村不動産において昨年十二月に特別指導を行ったことをその例として挙げている、こういう答弁なんですね。

 しかし、既にこれは何度もこの委員会でも指摘をされていますように、過労死がきっかけになって是正勧告が行われて、そして最終的にこの特別指導に至ったということであれば、この答弁はやはり私はおかしいと思うんです。

 野村不動産では、二〇〇五年の四月ですよ、二〇〇五年四月以降、ずっとこの違法適用が続いていたんです。これは過労死が起きなければ、私は、違法適用というのは明るみに出なかった可能性が高いんじゃないかと。つまり、言い方はきついですけれども、人が死なないと濫用が見抜けない。まさに、一旦導入されると濫用が表面化しにくい制度であると三回私は言っていますけれども、まさにその証左じゃないですか。全く真逆なんですよ。政府はこの答弁を私は訂正する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。(発言する者あり)

加藤国務大臣 虚偽とおっしゃっているんですけれども、どこが虚偽なのかを、もう少し具体的に申していただいた方が、ちょっと私の方としても答えやすいんですが……(大西(健)委員「私は虚偽と言っていない」と呼ぶ)あっ、失礼。それは失礼いたしました。ちょっと違う話が頭の中に混在をいたしましたので、済みません、訂正させていただきます。それは済みません。そこは訂正させていただきますけれども、不適切だとおっしゃったということでありますが、どこが不適切なのか、具体的に指摘を、この答弁の、総理の答弁のどこが不適切なのかを言っていただいた方が、答弁がかみ合っていくんじゃないかと思いますが。

大西(健)委員 今の質問のとおりで、私は三度にわたって、一旦導入されるとこれは濫用が見抜けない制度ですよねということを言っていて、それに対して総理がお答えになっているわけですけれども、これは、二〇〇五年の四月ですよ。十三年近く、この違法適用をやっていたわけです。

 これは何で見つかったかといえば、我々は、これは過労死があったから明るみに出たんじゃないですかと。そのことを、まさに、逆に、総理は、万が一、本来対象にならない業務にこの制度を適用していた場合には労基署が厳正に対処していくんですと言って、そして、野村不動産では十二月に特別指導をやりましたと言っているわけですから、ですから、本来過労死を知っていたら、まさに私たちはこの過労死が端緒になったというふうに思っているんですよ。

 逆に言うと、では大臣、過労死がなくても、今回、野村不動産による裁量労働制の違法適用というのは適切に監督指導できたんですか。十三年見つからなかったんですよ。何でここで急に見つかったんですか。これは過労死が起きたからじゃないですか。

加藤国務大臣 監督指導の端緒については、具体的に答弁するのは控えさせていただきたいと思いますけれども、確かに、御指摘のように、総理も言っていますが、本来の制度の対象にならない個別の営業を担当していた方までも裁量労働制の対象として扱っていたということですから、そうした、本来裁量労働制が適用されないにもかかわらず裁量をしてきたということ、それはそのとおりであります。

 あとは、どういった事案の場合にということに関しては、私どもも、さまざまな情報をとり、また、もちろん、前から申し上げておりますように、過労死事案があれば、それについてはしっかり監督指導していく、これはもう既に各労働局にも通知をしているわけでありますから、そういったことにおいて、あるいは、さまざまな情報を収集して、本件の裁量労働制のみならず、さまざまな違法なことが行われていれば、それに対して監督指導を行っていく、こういう姿勢で取り組んでいるわけであります。

大西(健)委員 先ほど来言いましたけれども、私のこのときの質問の趣旨は、一度導入をしてしまうと外から濫用が見抜けない、だから十三年間見抜かれなかったわけですよ、それが過労死があって見抜かれたんじゃないですか、こういう趣旨に対して、いや、本来適用すべきものじゃない人に適用していた場合にはちゃんと厳正にやるんですと言って、その真後ろの部分で、十二月には野村不動産でこうやっているでしょうと言っているわけですから、これはおかしいんですよ。

 私はおかしいというふうに思いますし、端緒が何なのかというのは今後の監督指導に支障を来すというふうなことを言っておられますけれども、ただ、私は、今後の監督指導の実施に支障を来すというふうな一般的な理由を述べておられますけれども、では具体的にどんな支障があるのか、そういう説明さえありません。

 一方、最終的には、これは法案から削除はされました、拡大の部分については。だけれども、私が予算委員会で質問した時点では、政府はこの裁量労働制の拡大を行おうとしていたのであって、その是非を議論している質問の中で私が、一旦入れてしまうと外から見抜けませんよねと言っているにもかかわらず、この裁量労働制の違法適用が表面化するきっかけになったのが過労死だったかどうなのかということは、これは決定的に重要なことなんですよ。

 ですから、本件の端緒を明らかにすることによって監督指導に支障が出るということと、十三年も続けられてきた違法適用が表面化したきっかけが過労死だったことを明らかにすることの意義を比較考量した場合には、これは私が言っていることの方が、より意義が大きいんです。そうじゃないと、こんな法案審議なんかできないんですよ。

 だから、端緒を明らかにすることが監督指導に支障が出るというんだったら、少なくとも具体的にどんな支障が出るかぐらい、説明してくださいよ。それがないのに、法案の一番肝になる、拡大したら、現行においても濫用があるのに、一旦入れてしまうと外から見抜けないですよねと言っていることに関して、その端緒が仮に過労死だったとしたら、それを隠して答弁するというのは、こんなことをやられたら、まさにこうやって質疑をして、答弁を大臣にしてもらうということの信頼関係が欠くんじゃないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 一つ一つについて、例えば、これは過労死が端緒です、これは誰々からの情報が端緒です、これは内部からの何々が端緒です、そういったことについて説明をするということになりますと、またそれが、これから我々が情報収集をしていく、監督指導していく、そういう上においてさまざまな支障を引き起こすということ、そういった意味から、まず一般論として、端緒等については答弁を控えさせていただいているということであります。

 ただ、従前から申し上げておりますように、過労死事案については監督指導はしていくんですということも申し上げているわけでありまして、そうした過労死等があれば、すべからく監督指導させていただいております。

 それから、本件についてということではありませんけれども、裁量労働制について、それぞれ監督指導をしている実態、いろいろあります。では、それが全てどういう端緒かというと、必ずしも、もちろんさまざまな情報等々、あるいは実際そこに入った結果として、そしてそれによって是正を図っている、こういった事案もあるわけであります。

大西(健)委員 一般論としては、それは私はわかっているんです。ただ、さっき言ったように、これは最終的には削除しましたけれども、法案の肝の部分なんです。その部分について、私は、一旦導入されると、これは外から濫用が見抜けないですよねと言っているんです。そこについて、過労死が明るみに出た端緒だったか、きっかけだったかどうかというのも、決定的に重要な事実なんですよ。だから、その部分を隠して議論をされると法案審議は成り立ちませんよねということを私は言っているんですよ。

 だから、一般論で全部一つ一つについて端緒を明らかにしろなんて言うつもりもないし、それから、これは一般論じゃなくて、この野村不動産の事例というのは特別指導までしたんでしょう。厚労省が史上初、まあ電通事件も特別指導だと言うけれども、史上初のようなことをやったわけですよ。

 そこまでやったことについて、だから、一般的に、全部それを明らかにしたら監督指導に支障が出るというのは私もわかっていますよ。でも、法案の肝になる部分について、議論していることについてうそをつかれたら、うそかどうかはわからないですよ、でも、もし仮に端緒が過労死であったにもかかわらず、それを隠してこんな答弁をされたら、こうやって議論する意味がないじゃないですかということを言っているんです。

加藤国務大臣 いや、隠して答弁をしているということはないというふうに思いますし、それと、それぞれの、先ほど申し上げた、これからの監督指導に影響がある、それから、先ほど申し上げました、例えば平成二十九年で裁量労働制、これは企画型であり、専門型、両方足せば、是正勧告又は指導を行った事業場数は二百七十二あるわけですね。

 ですから、そういった意味で、さまざまな……(大西(健)委員「十三年、見抜けていないじゃないですか」と呼ぶ)だから、それは個別いろいろ事案があります。それは、裁量労働制だけでなくても、一般の働き方をしているところでも、かなりいろいろな問題を抱えて、長時間しているケースも、もちろん残念ながらある。それは我々も真摯に受けとめなければならないと思います。

 したがって、そうした事案に対して、さまざまな形で情報収集したり、それから我々の手元のデータを整理したりして、人数に限界がありますから、より疑いの高いもの、そういったものを集中的に監督指導を行い、そして、そういう中において、過労死が起こらないように、あるいは法にのっとった運用が行われるように、しっかり努力をさせていただきたい、こう思っております。

大西(健)委員 こればかりやっているわけにはいかないので次に行きたいと思いますけれども、改めて、とうとい命が失われて初めて裁量労働制の違法適用の事実が明るみに出た、もしそういうことであれば、そういう現実とちゃんと厚労省が向き合っていかないと、私は働き方改革なんてできないというふうに思いますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、資料の二ページ目ですけれども、これはよくあるような表でありますけれども、裁量労働制と高プロを比較した資料でありますけれども、高プロの方は、裁量労働制では丸がついている項目、残業代、深夜手当、休日手当、いずれもバツがついているということで、この表のタイトルは、「高プロは裁量労働制より規制が緩い」ということですけれども、こういうことで、大臣、間違いないんでしょうか。

加藤国務大臣 これは、出典は新聞の記事だということなので、これは私たちの資料ではないので、このマスコミの記事に対して一つ一つ私がコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、裁量労働制について申し上げれば、裁量労働制自体については、業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定に関して、例えば企画型であれば、使用者が具体的な指示をしないことをする業務を対象として……(大西(健)委員「端的に、緩いということでいいですねと」と呼ぶ)いや、ですから、一つ一つ説明を具体的に言わないと、緩いとか、きついとかという抽象的な議論をしても議論の積み重ねにならないと思うので、一つ一つ、事象についてお話をしようと思っているんですけれども、よろしいでしょうか。(大西(健)委員「端的に」と呼ぶ)なるべく短く。

 したがって、みなし労働時間制度である。ただし、みなし労働時間と実労働時間の乖離が生じないようにすることや、深夜時間帯や休日労務であれば割増しの支払いが必要、これが裁量労働制であります。

 他方、高プロについては、対象業務について要件があって、そして対象労働者については書面等による合意、職務が明確に定められているという要件をそれぞれ課しておりまして、そうした課し方は、裁量労働制は異なった要件になっているということが一つあります。

 それから、さらに、健康確保措置については、例えば、これは連合からの要請も踏まえたものでありますけれども、年百四日かつ四週当たり四日以上の休日取得、これは労使協定をもっても変えられないということ等が盛り込まれているわけでありまして、これらの措置は、ある意味では裁量労働制よりも、より踏み込んだ措置ということも言えるんだろうというふうに思います。

 また、さらに、働く方が自分で判断して働いても、健康管理時間が長期に及ぶ場合には、労働安全衛生法を改正し、医師による面接指導を一律に罰則つきで義務づけておりまして、裁量労働制の場合には本人の申出が要件となり、また不履行にも罰則がない、こういったことでありますから、そういった点については、厳しいというか緩いというか、これは言い方はいろいろあるかもしれませんけれども、異なる要件、異なる制度になっているということであります。

大西(健)委員 いや、一部違うところはありましたけれども、今、表にあるようなことも今の御説明の中にあったと思うんですね。例えば労働時間の上限については、この表では、裁量労働制は実質なし、「みなし労働時間の設定は必要」と書いてありますけれども、高プロの方は、なしみたいな話ですよね。それから、深夜、休日、残業がないところはバツになっていますよね。ですから、私は、やはりこれは一般的に見れば緩いというふうに判断するんだと思うんですね。

 なおかつ、この間の質問で、岡本委員の質問に対して山越局長は、専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制の一部が高度プロフェッショナル制度と重なり合う可能性をお認めになりました。その上で、今言ったように、私は、高プロは裁量労働制より規制が緩い、普通に考えればそういうことだと思うんですね。ということは、まさに高プロはスーパー裁量労働制ということに私はなると思います。

 そこで、お聞きをいたしますけれども、政府は今回、裁量労働制の拡大を法案から削除したわけですから、じゃ、それよりも更に重なり合う部分があって、更に緩い、いわゆるスーパー裁量労働制は残すというのは、私は論理的に整合性がとれないというふうに思うんですけれども、なぜ残すんでしょうか。

加藤国務大臣 裁量労働制といわゆる高度プロフェッショナル制度、それぞれは別々、別々といいますか、一緒になってずっと議論されてきたわけではなくて、産業競争力会議においても別のタイミングにおいて議論されて、そしてそれが日本再興戦略となっているわけでありますし、また、実際、労政審でも、それぞれ個々に議論を、一つ一つ制度ごとに御議論をいただいて、その結果が建議としてまとめられているわけでありますから、別々に議論していた結論について、一つが、裁量労働制についての改正は全面的に削除しましたけれども、だからといって他の改正事案まで法案から削除するということにはつながらないんだろうというふうに思います。

大西(健)委員 岡本委員が前回の質疑で重なっているということを明らかにしました。それから、今私は緩いという話をしましたけれども、いずれにしろ、共通するのは、今回、労働時間の上限規制をつくるにもかかわらず、一方で例外の穴をあけるんです。一つの拡大の方は穴を広げるのはやめたけれども、でも、それよりももっと危険な高プロの方は残すというのは、私はこれはやはり整合性がとれないんじゃないかというふうに思います。

 こういう高プロがだめだというのは、過労死遺族、家族の会の皆さんはもちろんですし、我々野党も反対をしています。連合さんも反対しています。ただ、政権に近い方も、これはおかしいんじゃないかということを言っておられる方がいらっしゃるんですね。

 安倍総理肝いりの産業競争力会議の民間議員を務められているワーク・ライフバランス社の社長の小室淑恵さん、この方はほかにもたくさんの政府の委員会の委員をやられていますけれども、資料の次のページ、小室さんが書かれたコラムです。これは非常に私はいいことが書いてあるというふうに思うので、一部読ませていただきたいんですけれども、線を引いてある部分です。

 「日本の職場に高プロ制度を導入すれば大きな問題が生じるということを、私は九百社の働き方改革をコンサルティングして実感している。日本企業の管理職の大半は「上から降ってきた仕事」に優先順位をつけて取捨選択したり、期日交渉したりということをほとんどせず、部下にどんどん振ってしまう。そうした職場で、一部の「高度人材」だけ労働時間の管理から外したら、これ幸いと難易度の高い仕事だけでなく、他の社員に割り振り切れなかった仕事をその高度人材にのせてしまう。結果、高度人材ほど長時間労働に陥り」、ちょっと飛ばしまして、「今回、設定される残業時間の上限は単月百時間であり、これは生死を分けるギリギリのラインに過ぎず、抜け道をセットで作る必要はない。一部の人材は死んでもいいということは決してないはずだ。」

 私、これは全くそのとおりだと思うんですね。それで、小室さんは、結論として何を言っておられるかというと、高プロは別にもういいじゃん、高プロ抜きで労働時間の上限規制を成立させることが急務だ、こういうふうに主張されているんですよ。我々も、高プロを落としていただければ、すぐにでも、まあ、すぐにでもというのは、ちょっと、私の権限だけじゃないので言えないんですけれども、賛成できるんですよ。

 ですから、私、このまさに産業競争力会議の議員でもある小室さんが言っていること、これはごもっともだというふうに思うんですけれども、大臣、これを見ていただいて、どのように思われますでしょうか。

加藤国務大臣 小室委員の、小室委員というか、議員と申し上げればいいんでしょうか、の御発言は、ちょっと私もつまびらかに承知を、今委員が読まれたところは聞かせていただきましたけれども、それはそれぞれ皆さん、いろいろな御意見があるんだろうというふうに思います。

 ただ、私どもとして、今回の高度プロフェッショナル制度が必要なのは、こうした今の産業、あるいは我が国を取り巻く経済産業構造、こうした大きな変化の中で、これからの時代をどういう形で対応していくことが、この国の成長あるいは社会の活力を維持していく必要があるのか、そういった観点から御議論をいただき、そして、やはり高度のプロフェッショナルな方には、より付加価値の高いそうした仕事を、自律的に創造性のある仕事をしていただく。そのために、今回こうしたことを提案し、また、この高度プロフェッショナル制度において、そうした対象者を、いろいろ要件を限定をしていく。また、先ほど申し上げましたように、健康確保措置も導入をしていく。

 そういう措置を講じつつ、そうした方々が自律的に創造的な仕事をしていただき、また、そのことが、我が国の産業の活性化、さらには、ひいては、この国におけるさらなる雇用の確保等にもつながっていく、そういう観点から進めさせていただいているということであります。

大西(健)委員 大臣、今私が読んだ部分、ちゃんと聞いておいていただきましたか。小室さんは九百社、実際にコンサルティングをやってきた、それで実感するのは、今大臣が言われたみたいな、高度な、クリエーティブな仕事を本来やってもらうための制度なんだけれども、ここに書いてあるように、これ幸いと、難易度の高い仕事だけじゃなくて、他の社員に振り切れなかった仕事をその高度人材に乗せてしまう、だから結局、高度人材のところに仕事がばあっと集中して、高度人材だけが長時間労働になるということに、日本の職場の今の現状で高プロを入れればこうなっちゃいますよということを、専門家の方が言っておられるわけですよ。だから、私は、まさにこうなるんじゃないかというふうに思います。

 続けて、高プロの具体的な問題点について議論していきたいと思うんですけれども、まず、高度プロフェッショナル制度では、年間百四日の休日確保を行った上で、あと有給休暇、五日ですかね、与えて、あとは、四つのうちの一つの健康確保措置をとればいい。

 例えば、では、百四日の休みと五日の有給休暇、それプラス健康診断をやれば、これは二十四時間連続して働かせることが理論上は可能ということで間違いないんでしょうか。

 三百六十五日から例えば百四日引いて、五日引いて、それが二百五十六日になるんですけれども、そして、それに単純に二十四時間を掛けると、年間六千時間を超えるんです。そういう年間六千時間を超える働き方も理論上は可能ということで間違いないか。イエスかノーか、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、これまでも申し上げておりますように、業務については法律に明記し、具体的には省令で書くということでありますけれども、その段階では、働く時間帯の選択、時間配分、これは労働者みずからが決定する、そういう方向で明記をすることを考えているわけでありまして、したがって、例えば業務命令を出す、二十四時間働きなさい、こうなれば、これはもう要件を満たさないということなので、高プロの適用はなされないということになるわけであります。

 他方で、働く方自身で御判断されても、こうした高度プロフェッショナルで働く方が、より付加価値の高いものを出そうとしたときに、本当にそういう働き方になるのかなという感じも思いますが、しかし、仮にそういった場合においても、今回の、労働安全衛生法を改正して、そうした健康管理時間で、長時間に及ぶ場合には医師による面接指導を一律に罰則つきで義務づける、そういうことによってそうした健康確保を図っていく、こういう措置もあわせて講じさせていただいている、こういうことであります。

大西(健)委員 二十四時間連続勤務とか六千時間働かせるということを命じることがなくても、それだけたくさんの仕事を振られたら、二十四時間働かないと終わらないような仕事があったら、結局、実質的に二十四時間働くことになっちゃうんじゃないですか。

 だから、二十四時間連続五日間も、理論上は可能ですよね。理論上は可能かどうかということを聞いているんです。それだけ答えてください。

加藤国務大臣 理論上をいえば、それはいろいろなことが想定されるわけでありますけれども、やはり現実の中で、そうした先ほど申し上げた付加価値の高い方を、本当にそういう形で、まず、先ほど申し上げた業務命令で出すということは論外でもあります。また、御自身で判断するに当たっても、より高い価値を求められているということになれば、それは御自身が自律的に仕事をされていくということになるというふうに思います。

 また、いずれにしても、それは最終的には、例えば、例えばでありますけれども、どこまでやった仕事に対して、足りる、足りないという話が出てきて、そして、その結果として、例えば処遇の問題等々が発生すれば、それはそれでしっかりと我々は見ていかなきゃいけない。例えば、あなたは仕事ができていないから解雇をするということになれば、それはその解雇が適正かどうなのか、あるいは降格をするといった処遇の取扱いがどうなのか、それはそれとして、しっかりと我々も見ていかなきゃいけないというふうには思います。

大西(健)委員 今、はっきりは言われなかったけれども、これは理論上は可能なんですよ、二十四時間連続勤務も。六千時間だって、理論上は可能なんですよ。

 ただ、おっしゃるように、これは机上では可能であっても、現実には起こり得ない。なぜなら、そんなことをしたら死ぬからですよ。だから、これは、死ぬような、死ぬことが起こり得る可能性のある制度をつくるということになるんじゃないですか、大臣。

加藤国務大臣 いや、ですから、先ほども申し上げたような、高度プロフェッショナル制度の対象になる業務はそうでありますし、また対象になる方についても、年収要件を課したり、あるいは職務について文書で合意をしたり、あるいは更に言えば年収要件も課している、そして本人の合意も必要であるということでありますし、また、仮に今おっしゃるような形で、もうどうしようもない状況に追い込まれるということを仮定するのであれば、例えば本人はもうその段階で高プロから離脱したいということであれば、またそうしたことについても対応できる、そういった仕組みも考えていきたいと思っております。

大西(健)委員 先ほども、たしか与党の議員からも質問が出ていましたけれども、法定化はされていないわけですよね、離脱する仕組みについては。ですから、まさに現実には、同意だって、本当に断れるのかという話もありますから、ですから、やはり私は、これは二十四時間連続勤務だって可能、六千時間だって理論上は可能な働き方を導入するということになるんだというふうに思います。

 しかも、命を落とす可能性があるこの働き方について、歯どめがほとんどかかっていない。そもそも、労働基準法は、労使双方が適用除外を望んでもそれは許されない、強行的に適用される法律なんですよ。それを、本人が同意したからといって、労働基準法の適用を免れるということ自体が、本来は私は問題だと思います。

 唯一明確にかかっている要件というのは、これは一千七十五万円という年収要件ですけれども、ただ、そもそも、年収が高ければ使用者に対して交渉力があると、何でそんなことが言えるのか。また、管理監督者でもないのに裁量がある、一千七十五万円以上だったら裁量があると言えるのか。

 大臣、年収が高ければ保護しないでいいという理屈をわかりやすく説明していただけませんか。

加藤国務大臣 まず、交渉力のお話がありました。これは、平成十五年の労働基準法改正時の附帯決議において、有期労働契約期間の特例、これは三年を五年に延長する対象となる高度専門職について、まさに交渉力があるとされたことを踏まえて、労政審で議論した結果として、一千七十五万という年収要件を一つ設定をされたということでありますので、今回もそれを踏まえて、労働政策審議会でそうした形のことが建議の中に盛り込まれているわけであります。

 また、今、年収が高ければ裁量があるということでありますけれども、そうではなくて、これは別途、裁量に関しては一応業務が設定をされているわけでありまして、また、その業務をする際には働く時間帯や時間配分をみずから決定していく、法律から委託される省令においてそういったことを明確に書かせていただくということでありまして、そういった形での業務の対象であるということで裁量が出てくる。

 また、そもそも、この法律のたてつけとして、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものということでありますから、本来のそうした業務というのは、自律的に働くことが前提となっているということでもあります。

 いずれにしても、今回、先ほどもお話をいたしましたけれども、例えば年百四日かつ四週当たり四日以上の休日取得の義務づけなどについては、これまで一般の労働者と比べても、働き方確保措置の充実を図っているということでありますから、年収が高いからといって保護の必要がないということではなくて、こうした働き方をするに当たっても労働法制の中でできる保護はしっかりやっていくということが、今回の高度プロフェッショナル制度、こういう形で御提案させていただいているということであります。

大西(健)委員 時間が来ているので終わりますけれども、何度も言いますけれども、労働基準法というのは強行法規です。ですから、労使が同意したからといったってこれは適用を免れないものなのに、本人が同意しているからいいんだ、年収が相当程度高ければ大丈夫なんだと言うけれども、さっき言ったように、二十四時間連続勤務だって可能、六千時間だって理論上働ける、そういう命の危険のある制度をほとんど歯どめのない中で入れるということは、やはり私は非常に危険だというふうに思います。

 ほかにもたくさん質問を用意していましたけれども、全くできませんでした。労働基準法制定以来の大改正です。我々も今回、野党案というのを出させていただいておりますので、しっかり審議時間をとっていただいて、じっくり審議をさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 終わります。

高鳥委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 高プロについて、引き続き質問させていただきます。

 高プロというのは、同僚議員の話を聞いて、二重に問題がある。一つは、過労死の可能性が高い。これが一番悲惨な、一番いけないことなんですけれども、それに加えて、掛け算のように、労災認定されにくいということですね。この二つが掛け算のように、累乗的に問題がある。この労災認定されにくいということがまた使用者の悪用を促してしまって、過労死をふやす方向に向かわせる、こういうことがあるんじゃないかなというふうに思うわけです。

 お手元の資料で、まず一ページ目なんですけれども、この高プロに近い、高プロはスーパー裁量労働制ということであれば、普通の裁量労働制、これはどうなっているのかというと、過労死、年間数件、あるいは年によっては五件、平成二十七年度は五件出たりしているわけですね。

 過労死というのは二つの種類があって、一つは脳・心臓疾患、そしてもう一つは精神障害。脳、例えばクモ膜下出血だったり、心臓麻痺だったり、精神障害というのは自死されるわけですね。それで、括弧のところが死亡された方ということで、今まで何件か事例を挙げて議論していますけれども、それはまだ一部であって、振り返ると、過労死を裁量労働制でされた方、たくさんおられるということだと思うんです。

 しかし、これは、支給決定がされた件数であって、その背後に、本当は過労死されたんだけれども支給が認められなかった、あるいは、申請さえも、書類が整わなくて、あるいは十分な実証ができなくて断念したというのがあると思うんです。

 次のページなんですけれども、裁量労働制に絞ったデータは少ないものですから、じゃ、一般の働き方でどれぐらいの方が過労死されているのかということなんですね。

 二ページ目は、脳・心臓疾患ですけれども、決定件数、決定件数というのは労働基準監督署長の不支給も含めた決定です。ですからこれが母数で、平成二十八年度だったら二百五十三件。そのうち支給決定されたのが百七件。四割ですね。さらに、一回目だけではなく二回目、三回目と、あるいは裁判に持ち込むこともできる。それらを含めてもプラス八件。ですから、申請して認められるのは四、五割ですね。逆に言えば、過半数は却下されている、亡くなっているんだけれども却下されている。これが実態なんです。これは一般の労働者の方々です。

 裁量労働制がどうなっているのか、これはまだわかりませんけれども、私が推察するには、もっと可能性が高いんじゃないかなというふうに思うわけですね。

 精神障害のところも次のページに出ています。これは自死の方々ですね。精神障害の方は、決定、認定率というのが五割近くですけれども、脳・心臓疾患とそう変わらない数字が出ております。加えて、それだけではなくて、審査請求、再審査請求、あるいは裁判所に持ち込んで訴訟して、それで何とかかち取った件数もあります。

 そこで質問なんですけれども、まず、高プロというのは、先ほども話がありますように、高度な専門知識を有している、そして年収要件、ざっくりこの二つの要件ですね。専門的知識を有しているということであれば、専門型裁量労働制と重なるわけです。その専門型裁量労働制、まあ、裁量労働制のデータが余りにも少ないのでお伺いするんですけれども、その把握というのは政府として、労働基準監督署としてどのようにされていますでしょうか。

加藤国務大臣 裁量労働制の中には専門業務型と企画業務型があるわけでありますけれども、企画業務型については、適用労働者数について、例えば平成二十八年度は七万四千二百九十九人ということになっておりますが、専門業務型裁量労働制についての対象労働数をそうした形では把握はしていないところであります。

白石委員 そうですよね。ですから、結局は、一般の労働者と同じように抜き打ち的に、ランダムに立入りをして、それでどうやっているのか見て初めて実態がわかる。会社によっては十三年も違法な裁量労働制が適用されているのに、それを見過ごしてしまっているということですよね。辛うじて、先ほど大臣がおっしゃったように、企画型については、これは人数だけは把握されているということです。

 これは七ページのところなんですけれども、企画業務型の裁量労働制については、労働者数、把握されている。ちょっと数字は古いんですけれども、七万四千二百九十九。それは年々ふえてきている。六万七千、七万一千、そして七万四千ということ。そして、事業所数から考えると、一事業所当たり大体二十人ぐらいがこの企画業務型に該当しているわけですね。感覚的に、一つの事業所で二十人も企画業務型の方がいらっしゃるということであれば、これはどんどんふえていくんだろうなというふうに推察されるわけです。

 お伺いしますけれども、専門型裁量労働制にかえてお伺いするんですけれども、こちらの労働者保護の監督というのは、政府として今どのようにされていますでしょうか。

山越政府参考人 労働基準監督署におきまして、裁量労働制に係る不適正な運用などの情報があった場合を含めまして、さまざまな情報から法違反が疑われる、そうした事業場に監督指導を行っております。

 この監督指導におきまして、いろいろな違法状況でございますとか乖離の状況について、各種記録なども確認いたしまして、必要な指導を行っているということでございます。

白石委員 それが緩いということは指摘させてもらいます。

 そして、高プロというのは更に労働規制が緩いですけれども、そうであれば、より監督というのは厳しくないといけないと思うんですけれども、高プロについての労働者保護の、把握、そして保護というのはどのようにされますでしょうか。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度の監督につきましては、今後、どのようにするか検討していきたいというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、これは、対象業務、対象労働者の要件等ございますので、そういった事項について必要なチェックをし、違反がある場合には必要な指導をしていくということで取り組んでまいりたいというふうに思います。

白石委員 今の裁量労働制でも過労死があるわけですよね。幾つか事例を挙げてずっとやっていますけれども、それはほんの一部であって、年間、実際支給認定されたものだけであっても、過去、年間数件、五件あったりしている。高プロを導入するということであれば、監督の仕方を更に高度化しないと、こっちも高度化しないと合わないと思うんですけれども、そこは大臣、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

加藤国務大臣 まず一つは、高度プロフェッショナル制度においては、各事業場に制度を導入する際に、対象労働者等について定めた決議、これを労働基準監督署に届けていただくということでありまして、その段階で、法定事項を満たしているか、そして、これは指針をつくることになっていますから、その指針の内容に沿っているか等を確認し、また、その時点で問題があれば指導を行うということにしているところであります。また、健康確保措置の実施状況についても、労働基準監督署へ、報告を受けるということになっております。

 そうした報告等、あるいはまた、こうした事業場に対しての監督指導、こういったことによって法定事項の遵守状況を確認し、そして、それが遵守されていないということであれば、それに対して必要な指導等を行っていくということを考えているわけであります。

白石委員 ということは、裁量労働制の監督の仕方と同じですよね。基本同じです。というのは、裁量労働制というのは、それを適用するときに届出しますということ。それは、先ほど高プロについても、届出します、受け付けますということと同じですし、その後、ランダムに労働基準監督署が抜き打ち検査をする、これも同じです。そういうことでよろしいわけですね。

加藤国務大臣 基本的に、裁量労働制、企画型の場合には、たしか、届出もあり、また六カ月ごとに報告も徴求をしております。そういった意味では、今回の高度プロフェッショナルにおいても、届出また報告、具体的な中身については省令等で書くということでありますから、また労政審の議論を経てということになりますけれども、そういった形での情報、それからそれ以外のさまざまな情報、それらを踏まえながら必要な監督指導を行っていくということであります。

 そういった意味において、一般的な働き方であったり、裁量であったり、高プロであったりしても、情報が出てくる中身は幾つか違うところはありますけれども、そうした私どもが持ち得る情報と、そしてさまざまからいただく情報等々、それを踏まえて監督指導するという意味においては同じだということであります。

白石委員 裁量労働制でこれだけ過労死が出ているのに、高プロというのは、更にその労働規制を緩めている、更に危険だ。であるのにもかかわらず、それは、この法案可決後、後で決めますというところが合点がいかないんですよ。

 これを可決する前に、それもあわせて、高度プロフェッショナルですから、高度な労働者保護の仕組みもあわせて持ってくるべきだと思うんです。どうしてそれをまた省令に委ねてしまうんですか。大体どういうふうにするという方針さえもないんですか。全てそれは、これから決めてしまうことなんでしょうか。

加藤国務大臣 どういうふうにするかというのは、届出や報告の書式という御質問だとするならば、一つは、現在、裁量労働制等で今、届出あるいは報告等を受けているわけでありますから、もちろん制度は違いますので、それ以外、少し精査は必要だと思いますけれども、そういったものも参考にしながら検討していきたいというふうに思います。

白石委員 労働者保護というのは大事なことですから、一人、二人じゃないわけです、過去、累積すれば何十人も出ているわけですから、やはり法案を出す前に、どのように労働者保護を、より高度な規制でもって保護していくかということを同時に考えて議論した方がいいと思うんですね。そのことを申し上げさせてもらいます。

 そして、残念ながら、高プロによって過労死が出たとします。出た場合、その労災認定基準というのはどのようなものになりますでしょうか。

山越政府参考人 過労死、脳・心臓疾患あるいは精神障害でございますけれども、それぞれ労災補償の認定基準が定められておりますので、これにつきましては、どのような形の労働時間制度がその労働者に適用されているかということにかかわらず、この認定基準に従いまして判断をしていく、そういうことになるというふうに考えております。

白石委員 働き方にかかわらず、同じ基準だということですね。

 労災認定の基準というのは、こうやってマニュアルができているわけです。これはどういう、法律なのか、じゃないと思います、これは通達なのか、マニュアルがあって、その一部抜粋をそちらの配付資料に入れさせてもらっています。

 一番目の、過労死の種類である脳・心臓疾患ですね、このフローチャートがありますけれども、いろんな書類を整えないといけないんです。いろんなことを実証しないといけないんですけれども、一番ハードルが高いだろうなというのは、横に線を入れているんですけれども、発症前一カ月間に百時間又は二から六カ月平均で月八十時間を超える時間外労働との可能性は高い、強いということを実証しないといけないんですね。加えてまた、ほかにもいろんなことを実証していかないといけない。

 次のページ、十ページですけれども、もう一つの過労死の種類、精神障害の場合、どうなっているか。

 これは1、2、3とあるんですけれども、2の業務による心理的負荷の評価で、これで強と認められなければ労災にはなりませんということですね。強と認められても、ほかにもいろんなことを実証していかないといけない。

 じゃ、強というのはどういうことかというと、それが次のページにあります。十一ページ。

 1から3までパターンがあるんですけれども、どれかを実証してくださいと。いずれにしても、時間外労働が何時間でありましたかということを実証しないといけないんですね。

 これを、一般の労働者だったらまだ、よく言われるタイムカードだとか入出勤簿とかそういったものでできるかもしれませんけれども、この今議論になっている高プロというのはそういう把握がされないということですよね。労働時間について上司は把握しないということですよね、使用者側は。健康管理時間のみということでよろしいわけですね。

山越政府参考人 労災認定に係る労働時間でございますけれども、これは、さまざまな記録、帳簿、その中にはパソコンのログイン、ログアウトの記録、入退館記録、あるいはいろいろな聞き取りをもって行うわけでございまして、さまざまな資料を用いながら実際の労働時間を把握するということでございます。

白石委員 局長のおっしゃったのは労災申請があってからですよね。その労災申請前に使用者が高プロ適用者の時間外労働を把握はしないんですよねと、確認の質問です。

山越政府参考人 この高度プロフェッショナルのもとでは健康管理時間を把握していただくということになっておりまして、この健康管理時間というのは在社時間と事業場外で労働した時間です。したがいまして、労働時間に加えて、事業場内で労働していなかった時間というのが基本でございまして、また、労使決議によりましてそういった時間を控除するということもできる仕組みになっております。そういったものを把握するという仕組みにしているところでございます。

白石委員 もうちょっと具体的に考えたいので、十三ページのところですね。

 労働規制の比較、これは今までも委員の方が使われた表ですけれども、労働規制、四項目あって、時間外労働と、休日労働、深夜労働、休憩時間というものがあって、裁量労働制というのは、休日、深夜、休憩時間については規制が残っている。管理監督者は、深夜労働については、つまり夜の十時、二十二時から早朝五時までに働いたら、これは割増し賃金を払うということで規制が残っている。ところが、高度プロフェッショナル制度というのは全ての規制が外されているということです。フリーフォールのようになっているわけですね。

 こんな中でどうやって健康管理時間というのは把握するんでしょうか。

山越政府参考人 高度プロフェッショナルにおけます健康管理時間でございますけれども、これは、在社時間については、例えばPCのログオン、ログオフなど、客観的な記録で把握するということを基本にしていただくということにしております。

 こういった健康管理時間を把握いたしまして、労働基準法上は今おっしゃられたことがあるかもしれませんけれども、必要な面接指導を罰則をもってやっていただく、こういう仕組み、医師による面接指導、これを健康管理時間が一定以上になった場合には必ずしていただく、それを罰則をもって強制しているわけでございまして、こういったことで高度プロフェッショナル対象者の健康確保をしていこうということでございます。

白石委員 だから、労働時間とほぼ同じであるならば、何で、健康管理時間というちょっとまどろっこしい、わからない言葉を使うのではなくて、労働時間を把握するというふうに、そういうふうに法律に書いてこないんですか。そこはどうしてそういうわざわざ違う言葉を使うんでしょうか。

加藤国務大臣 労働時間というのは、基本的に、割増し賃金とかそういったものの根拠になることで労働時間の把握をすることになっているわけでありますから、今委員お示しいただいたように、こういった形で適用除外をされていますので、そういった意味での労働時間というものを把握する必要はない。

 しかし、他方で、労働安全衛生法上からいう健康確保を図っていく必要があるということで、私どもとしては、健康管理時間ということで把握をし、そして、その把握に当たっては、先ほど局長から答弁をさせていただきましたように、パソコンのログイン、ログオンとか入退館時間、そういった、どういったものによってそれを把握したかといったこともしっかり残してもらう、こういう形になっているところであります。

白石委員 大臣、ところが、残念ながら、過労死したら、過労死の認定基準というのは時間外労働時間なんですよ、法定外労働時間なんですよ。法定外労働時間が基準になっているのに、高プロの人は、日常の働き方で使用者が管理しているのは健康管理時間なわけですね。ですから、より、もし亡くなられた場合は、特に本人が亡くなられているわけですから、遺族の方が立証するのが難しいんです。

 ページでいうと十二ページなんですけれども、過労死事案が発生してからのフローが書かれていますけれども、遺族が請求書及び添付書類を労働基準監督署に提出ということです。ここで実証しないといけないのは法定外労働時間ですね。さっき、ずっと、過労死が認定される時間だけ働いていたのかどうかということです。これは、おっしゃるとおりパソコンだとか携帯電話だとかそういったものを見る必要があると思いますけれども、仮に会社が健康管理時間を把握していたとしても、それを労働時間に引き直すのは大変だということは認められますよね。

 加えて、労災というときには、会社は認めたがらない性質のものです。だから、ここにもあります、米印の一で、会社が事業主証明を拒否するということがあるわけですね。

 これはちょっと現場を知っていらっしゃる方に聞きたいんですけれども、労災申請のときに会社が事業主証明を拒否するということは、どういう場合に起こったりするものですか。お願いします。

山越政府参考人 労災保険給付の請求の際に請求者から事業主が必要な証明を求められた場合は、その証明、例えば発症年月日でございますとか災害発生状況などについて証明を行うことになっておりますけれども、過労死等事案につきましては、事業主が、被災労働者の疾病が業務に起因するものであると判断できない、そういったことの理由によりまして事業主の証明を拒否される場合もございます。

 ただ、そのような場合でありましても、労働基準監督署は、もちろん労災請求は受理いたしますし、独自に労働基準監督署として調査を行って労災認定を行っているところでございます。

白石委員 結構、事業主証明しない場合が多いみたいですよ。実際、過労死された娘さんを持つ遺族の方からも聞いておりますが、大企業に勤めていた、その大企業がその証明を拒否する、判こを押してくれなかったと言っていますよ。

 じゃ、どこまで労働基準監督署が、労働者、過労死された側についてくれるのかということです。独自の調査とよく言われますけれども、独自の調査というのは、例えば、警察とか検察とかが調査する、そういった権限を持っているんでしょうか。どういう権限を持って独自の調査ができるんでしょうか。

山越政府参考人 過労死等の労災請求がなされました場合は、労働基準監督署におきまして、事業場から必要なタイムカードとかそういった労働実態を明らかにする資料の収集を行うこととしております。

 この調査でございますけれども、基本的には任意に協力を得て行っておりますけれども、事業場側が労災認定の判断に必要な資料の提供に応じない場合は、労災保険法第四十六条に基づき、事業主に対して報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる、そういうふうにされているところでございます。

白石委員 強制力としては弱いものですよね。

 加えて、やはり会社側としてはいろんな手を打つことができるんじゃないでしょうか。実際、過労死ではない、過労によって病気を負われた方のお話を聞きます。労災申請しているんだけれども、会社側にタイムカードを改ざんされている、あるいは証拠となるパソコンを没収されてしまっている、だから実証、立証ができない、こういう話も聞きます。

 それに対して労働基準監督署は、強制的じゃなくて任意とおっしゃいましたよね。お願いするしかないんですか。もう一度お願いします。

山越政府参考人 今申し上げました労災保険法第四十六条でございます。これは、報告、文書の提出あるいは出頭を命ずることができるということになっておりますけれども、事業主がこの規定に違反をいたしまして、報告、文書を提出しない場合あるいは虚偽の記載をした文書を提出した場合は、罰則が適用される場合がございます。

白石委員 その虚偽かどうかがわからないのが問題なんです。

 ちょっと時間も来ていますのでまた次にしますけれども、最後に、十四ページです。

 それで、過労死しました、労災申請しました、不支給決定が地元の労働基準監督署で行われました、でも、それについて異議ありと二回目の訴えをしますということが、この十四ページ、フローなんですね。

 労災保険審査官、あるいはその一つ下、審査会、それでもだめだったら裁判所、ここも三審制である、そこに二回目が終わったら行くこともできるということになっているんですけれども、一旦不支給決定がされた場合、その原告の立証責任というのは誰が負うんですか。それは労働基準監督署ですか。それとも、遺族の方のみでその立証責任を負わないといけないんですか。

山越政府参考人 労働基準監督署長が行った労災保険の給付の不支給決定に不服があります場合は、労災保険法に基づきまして審査請求制度が設けられておりまして、第一審は労働者災害補償保険審査官、二審は労働保険審査会が行うことになっております。

 これは行政組織の中にあるわけでございますけれども、この審査機関におきましては、遺族からのいろいろな申立て、その内容の確認を行いまして、また事業主とか同僚など関係者からの聴取を行いまして、事実確認を審査機関として行って判断しているものでございまして、遺族に立証責任を負わせるものではございません。

 それから、訴訟につきましては、この段階を経なくても、ケースによっては行くことができるものでございます。訴訟については、訴訟法に従いまして、その当事者が立証責任を負う、そういった仕組みが訴訟法に基づいて実施されているものというふうに承知をいたします。

白石委員 時間ですけれども、最後のところ、いつも局長は言葉が消えてしまってわからないんです。つまり、要するに遺族及び労基署なんでしょうけれども、労基署は一旦不支給を決定しているわけですから、協力的じゃないです。ですから、実質、遺族になる。裁判でも遺族に荷を負わせる。でも、残された両親とか、あるいは子供であっても、あるいは奥さん、あるいは夫、難しいです。

 そういった問題点の多い高プロは削除することを求めまして、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 限られた時間ですので、早速質問します。

 ちょっと、まず事実関係。休日手当とか深夜手当の発生する意味、どうしてこういう手当が出るのか、また、休日手当、深夜手当の倍率が違っているのはどういう意味を持つのか、答弁を求めます。

山越政府参考人 この深夜、休日労働に係る割増し賃金でございますけれども、通常の労働時間と異なる特別な労働に対する労働者の補償を行うとともに、使用者に経済的負担を負わせることによって、これらの労働を抑制することを意図するものでございます。

岡本(充)委員 なぜ抑制しなければならないんですか。

山越政府参考人 この深夜、休日労働でございますけれども、通常の労働時間とは異なる特別な労働でございます。そうした労働について、抑制することを意図したものだというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 なぜと聞いています。なぜ。

山越政府参考人 今御答弁させていただきましたように、深夜、休日労働は、通常の労働時間の労働とは異なる特別な労働でございますので、これらの労働を抑制する、そういうことを意図してこの割増し賃金が設けられているというふうに考えております。

岡本(充)委員 いや、ひどいよね。理由を聞いているんですよ。

 だって、通常の勤務と違う勤務だったら、時間外労働だって通常の勤務と違う勤務じゃないですか。でも、六十時間、長時間にならなければ、例えば月二、三時間の所定外労働時間、これは割増し賃金は発生しないでしょう。何で深夜だったらそれが短い時間でも割増し賃金が発生するのか、その理由を聞いているんです。

山越政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、深夜、休日の労働は通常の労働時間とは異なる特別な労働でございます。こうした特別な労働を抑制することを意図したものだというふうに承知をしております。(岡本(充)委員「だめだよ、それは。ちょっと、ちゃんと答えさせて、整理させてよ」と呼ぶ)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 この深夜、休日労働でございますけれども、通常の労働時間に比べて労働者の負担の多い、そういった働き方でございますので、これらの労働を抑制する意図で、この割増し賃金を設けているのではないかというふうに思います。

岡本(充)委員 負担が大きいということでありますけれども、昼夜交代は確かに負担が多いということがいろいろな論文で示されています。夜のみ働く、深夜のみ働く、こういう働き方について、どういった身体、心身への影響があるのか、厚生労働省はどういう資料を持っているのか、全てここで明らかにしていただきたい。

山越政府参考人 日本におきまして、今おっしゃいました夜間勤務、それから交代制勤務もでございますけれども、これについて、健康への影響について明確な知見があるわけではないというふうに考えておりまして、平成二十七年度から、労働安全衛生研究所に対して、関係の文献の収集あるいは内容の精査等を依頼しておりますけれども、有害性が明らかであるという結論は得られていない状況でございます。

 引き続き、情報収集を行ってまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 委員長にお願いします。

 これはいろいろなデータがあるんです。要するに、交代制まで言われたから、交代制については、海外含めていろいろなデータが出ている。それを知らないはずがないんですよ。きちっと整理をして出していただきたいし、そして、夜間のみ働く者についてもきちっと整理をして出していただきたいと思います、理事会に。

 それから、ちょっと確認をしていきたいです。

 五月九日の朝日新聞の朝刊で、提出をさせていただいた資料の二枚目、復命書のところの復命年月日。労災の支給、不支給の決定について、再調査を要した場合には、この復命日はどんどん延びていく、こういう記載があります。つまり、結論が変わる場合は復命年月日も変えるという、この記事の内容は正しいのか、確認を求めます。

山越政府参考人 新聞に掲載されている記事に関しまして発言することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げますと、労働基準監督署で労災補償業務に携わる担当官が調査した事実を復命書に取りまとめた後、その後、署長の決裁を受ける前に、復命書に記載した業務起因性に関する結論を変更する必要がある場合には、復命書をつくり直すこともあり得るというふうに思っております。

 他方で、その業務起因性の判断のために作成した復命書には、労災保険給付の基礎となる給付基礎日額に関する調査結果でございますとか、受給権者に関する調査結果を記載することもございまして、こうした記述部分については、署長決裁を受ける前に記述内容を変更する必要が生じた場合に、復命書を新たに作成し直すことはしないということもあるというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 時間になったからそろそろ終わりますけれども、委員長に最後にお願いです。

 理事会に提出をされました、五月十日厚生労働省提出の文書、パラグラフ二のところでありますけれども、二行目、どのような指導を行うか明らかになること、また、八行目、どのような指導を行うか明らかになる、このどのような指導を、明らかになるという具体的な話、それから、端緒である旨が推定される、この端緒というのはどういうものがあるのかをきちっと文書で厚生労働省に提出をしてもらうよう、理事会で協議をお願いしたいと思います。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 では、これで終わります。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

橋本委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 前回、通告しながら質問できなかった分も含め、きょうは、過労死と労働時間の適正把握を中心に質問したいと思います。

 資料の一枚目を見てください。これは山形新聞です。

 半導体大手ルネサスの子会社であるテストソリューションズ米沢工場で働いていた三十代の男性社員が昨年一月二十三日に急性心不全で死亡し、十二月七日に米沢労基署が過労死の労災認定をしました。

 ことしの四月二日に、代理人弁護士が事実を公表されましたので、先日、代理人弁護士からお話を聞いてきました。この記事の下の段にちょっと紹介されているように、長時間労働などによる過労死が繰り返されないように広く報道してほしい、それが、御遺族から弁護士さんに託された言葉であります。

 手記の一部を紹介したいと思います。

 何をしても、もう夫が戻ってくることはありません。私も子供たちも、このような形でいつもの幸せな毎日が終わるとは思ってもみませんでした。長年の夢だったキャンピングカーの納車を目前に控え、心待ちにしていました。当時八歳、六歳、一歳の誕生日を迎えたばかりの三人の女の子たちを残して、キャンピングカーでの家族旅行を実現できぬまま、夫は苦しみながら逝ってしまいました。夜遅くまで仕事を頑張り、少ない休暇でも、休日は家族と過ごす時間を大切にしていました。これから家族みんなでたくさんの思い出をつくろうと張り切っていたのに。

 子供たちのことを思うと、本当につらく思いますけれども。

 男性は、直前の一週間は二十五時間を超える残業でした。四カ月平均だとおおむね八十時間でした。工場は二十四時間稼働しています。ですが、この男性の実際の労働契約は日勤なんです。日勤で夜勤なし、週休二日制なんです。

 ところが、メンテナンスをたった一人でやっているために、昼休みでも日曜日でも深夜でも、呼出しがあれば必ず行かなければなりません。手伝った方がよいのではと心配してくれる同僚がいて、ようやく一人増員されたのは、亡くなる直前だったそうです。

 短期間の過重負荷、過大なノルマによる精神的緊張も認められましたが、弁護士も、遺族の思いを、過労死ライン上の労働時間で亡くなってしまったという現実からすれば、このような法改正では、つまり今やっている法案のことです、過労死、過労自死等の労災を招くおそれのある基準にお墨つきを与えて、政府みずからが容認するに等しいものとなってしまうと言わざるを得ません、こう代弁されています。

 この法案が通っても、過労死ラインに張りつく上限では、同じ犠牲が起こり得るのではないか、大臣はそう思いませんか。

加藤国務大臣 こうして罰則つきの上限規制をするということは、これまでいろいろ議論をされながら、なかなか合意が得られなかったわけでありますけれども、もう中身は申し上げませんけれども、今回の法案で御提示をしましたこの中身について、これはまさに、ぎりぎり実現可能なものとして労使で合意をした、こういう内容でありますので、それに沿って法定をさせていただいたところであります。

 また、もう委員御承知のように、更にこの法案の中には、長時間労働の削減に向けた労使の取組を促す、こういった指針、要するに、指針を定め、そして必要な助言指導を行う、それをしかも法律に規定を設ける、こういった措置も入れ込んでいるところでありまして、私ども、これは、ここまでやっていいという意味ではなくて、少なくともそれ以下にすべきだということでありますし、そしてさらに、そうした長時間労働の削減に向けて、さらなる努力を、労使に対してもその取組を促していきたいと思っております。

高橋(千)委員 少なくともそれ以下に、そんなにそれが最大限やっていいという意味ではないという言葉を何度も答弁で聞いてきました。これは、これから話すことをよく聞いていただきたいと思うんですが、局長にも聞いていただきたい。

 記事の下段にあるように、親会社ルネサス広報のコメントは、就業において法令違反はなかったと認識しています、こうあるんですね。

 同僚などの聞き取りでわかったことは、タイムカードで出退時間を管理しているんだけれども、五時には打刻するようにと言われています。実際は、八時とか十一時まで働いています。さっき言ったように、医師のオンコールみたいなもので、携帯電話がしょっちゅう鳴るわけですよね。だけれども、その着信履歴があったために時間が大分判明したということであります。

 機械の取付け、年間一千台のノルマです。ところが、一日二台が限度だそうです。そうすると、どう計算してもやり切れませんよね。なのに、やり切れなくても、朝礼で、ノルマは達成できたと報告をさせられていた。これはパワハラだと言えます。

 労災が認定されてもなお、法令違反はないと企業は言う。まして、上限を八十、百時間認めてしまえば、法令を遵守していると言うに決まっているじゃありませんか。絶対に上限規制は見直すべきです。

 大臣告示基準こそ上限にすべきと重ねて言いたいと思いますが、大臣、もう一度お願いします。

加藤国務大臣 これまでも、今委員のおっしゃった大臣告示、そして更に言えば特別条項、こういったことがあって、いわば特別条項の部分が青天井になっていた。そこにどう罰則つきで上限をかけていくのか、これは本当にるる議論をしてきたわけでありまして、そして、やっとここで労使が合意をしたということでありますので、まずは、その上限を設定をしていく、そしてその上で、先ほどから重ねてで恐縮でありますけれども、更に長時間労働の是正、労働時間の縮減、これに向けてしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

高橋(千)委員 天井の話をしているんじゃないんですよ。

 労災認定であれば、発症前の一カ月という単位で実労働時間を見ますよね。なので、休日も通常労働日も合算する。それは、それが休日だとか深夜だとかは関係ないわけです。実際の労働時間を発症前の一カ月で見ます。なので、上限の八十時間に休日含むという言葉が加わったのは、そのことを何度も指摘したからなんです。八十、百に休日を含んでいるのはそのためです。

 だけれども、実は、この百と八十は暦の上での期限なんですよね。つまり、五月が残業七十五時間でした、これは違反じゃありません、六月の残業も七十五時間でした、これも違反じゃありません。だけれども、その残業が月末から月初めにぎゅっと集中していた場合、月をまたいで一カ月間を見ると百五十時間になることもあるんですよね。

 これは、労災であれば、それはまさか一日とか三十一日に労災が発生するとは限りません、月の真ん中であったら足し算になるんですよ。だから、百五十時間も二百時間もあるじゃないですか。単月で八十、百、これがマックスだからいいんだという話にはならない。

 現実的にあり得ますね。局長、どうですか。

山越政府参考人 今回の上限規制でございますけれども、単月百時間、複数月、月平均八十時間とすることとしておりますけれども、これは、一定の起算日から起算をいたしまして、その一カ月、二カ月という期間で判断をしているものでございます。これにつきましては、現行の大臣告示におきましても、月の時間数の計算は、三六協定で定められた起算日から区切られた月を単位として計算をしておりまして、これを踏襲しているところでございます。

 したがいまして、起算日から一カ月ということではこの百時間ということになるわけでございますけれども、今御指摘をいただいたのは、ある月の終わりと次の月の前の方ということかもしれませんけれども、起算日を特定しない形でそういった上限を上回るということは、これは生じ得るものでございますけれども、いずれにいたしましても、この上限規制の考え方といたしましては、起算日からどうするかということでございますので、そういうことで制度を設計させていただいているところでございます。

高橋(千)委員 起算日だから、一から三十一じゃないということをおっしゃったと思います。

 それはそうかもしれません。だけれども、今お認めになりましたよね、月をまたぐと足し算になって百五十時間になる場合もあり得る。それをやはり考慮に入れないといけないんですよ。

 これは、大臣告示でも、四十五時間、四十五時間なら下手をすると九十時間になることもあり得るわけですし、単月で満たしているから、足りているからいいんだ、マックスに合っているからいいんだということではないこともあるということをぜひ考慮に入れていただきたい。

 ルネサスの三六協定も、一日の所定外労働時間は十三時間まで認めています。なので、足すと二十一時間で、休憩を入れるとほとんど丸一日働いている。これは、前に私が質問した電力の場合もほとんどそういう三六協定でありました。

 ですから、一日の限度時間は決めていないわけですから、そういう働き方がぎゅっと凝縮されたときに、これは過労死ラインをあっという間に超えてしまう、そういうことを理解していただきたい。

 検討していただけますか。大臣、一言。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 確かに、委員御指摘のような、そういったこともあり得るわけでありますけれども、ただ一方で、実際、企業の現場でそういったものをどう管理をしていくのか、そういった観点も考えていかないと、実効のある規定、規則ということにはならないんだろうというふうに思います。

 そういったことも含めて労使でいろいろ議論した結果として今回の結論に至ったということでありますから、まずはこの罰則つき上限をしっかりと導入していく、そして、これは七十年ぶりの労働基準法の大改革だ、こういう指摘もあるわけでありますから、まずそこをしっかりやらせていただきたいと思います。

 ただ、その上で、先ほどから申し上げておりますように、これはそこまでやっていいというものではないということでありますから、可能な限り労働時間の延長を短くしていく、その根拠規定も設けて、そして指針を定めて、そして労使に対して必要な助言指導を行って、長時間労働の削減に向けた労使の取組、これを我々としてもしっかりと促していきたい、こういうふうに思います。

高橋(千)委員 ぎりぎりの合意だとか、実効性ある策としてこれが限度だという答えを何度も聞いてきたわけですが、山井さん流に言うと、命にかかわる問題をそういう計算では決めてはいけないということを指摘したいと思うんですね。

 こうした中、法案の先取りなのか、資料の二枚目を見てください。時間外労働等改善助成金、時間外労働の上限設定を行う中小企業事業主に対して助成するものです。これは名前が変わって、今年度は十九億の予算、大分ふえていますよね。まず、どれくらいの件数を目標としているかを後で答えてください。

 それで、下を見てください、条件のところ。これは、これまで所定外労働、残業が八十時間以上あった事業場が、六十時間以上八十時間以下に設定した三六協定を届け出さえすれば五十万円もらえる、そういう意味ですよね。言ってみれば、長時間労働を監督指導する「かとく」の監督対象になるような事業場が、八十時間と書いただけで五十万円もらえる、おかしくないですか。

山越政府参考人 まず、この時間外労働改善助成金でございますけれども、平成三十年度予算額は十九億円で、目標としては、二千六百件を目標としております。

 この時間外労働等改善助成金、上限設定コースでございますけれども、今回の労働基準法の改正に先駆けて時間外労働の上限設定を行う中小企業に対しまして支援を行うものでございまして、これは、単月で八十時間以内とする三六協定を新たに引き下げて締結した、そういった場合にも確かに支給するものでございますけれども、この助成金は、例えば、ノウハウが非常に不足しております中小企業につきまして、外部専門家によるコンサルティングを行うとか、あるいは労務管理機器の導入を行う、そういった費用とかノウハウに乏しい中小企業の支援を行って、円滑に労働時間の短縮を進めていただこうという制度でございます。

高橋(千)委員 先駆けてとおっしゃいました。八十時間の上限を私は高いと言っているのに、大臣は、ぎりぎりの合意ですとかいろいろおっしゃって、でも、それを八十時間以下と書いたら助成金を上げるって、国がそんなことを言ったらおかしいでしょう。絶対おかしいですよ。中小企業を支援するんだったら、もっと違う形でやってください。ノウハウ云々と言いますが、これはコンサルをもうけさせるだけです。

 前にも、私、インターバル助成金のことをここで取り上げたことがありますよね。もともと九時―五時とか、インターバルを十分とれている事業所が、十一時間あるいは九時間と書いただけで助成金をもらえるんですよ。そんなばかな話があるかと言いました。だけれども、それも、社労士ですとかコンサルをもうけさせるわけですよね。

 でも、社労士さんが、とてもよく、こういうことに詳しいですから、雇用保険の助成金、さまざまあるのを詳しいですから、自分の事業所が、社労士さんの事業所が、うちのところもインターバルを就業規則に入れたから助成金をくれと言ってきたそうです。みんながそうだと言っていませんけれども、それはちょっと違うでしょう、そういうことを目指していたんですかと。

 やはりこれは見直すべきです。中小企業を応援するんだったら、もっと違う形で、最低賃金を本当に引き上げていけるような、そういう形でもっと応援していくべきだ。これを見直してください。大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 今、最賃のお話もありましたけれども、最賃等に対して取り組むために生産性を向上する、これに対しても助成金も出させていただいているところでございます。

 また、これは、確かに今委員の御指摘、例えばコンサルティングと称して、これまで、この事案かどうか別として、いわば組まれる形でいろいろな事案があったということ、その辺は我々、しっかりと肝に銘じておかなければならないと思いますが、これは単に下げたからもらえるわけではなくて、まさにそういった対応をしていく、あるいは機器等を導入していく、あるいは人材確保のための費用ということでありますから、単にその費用が出ただけではなくて、それが具体的にどういう形で人材の育成につながっているのか、あるいは、コンサルティングを受ければ、それがどういう形で企業の経営改善等につながっていくのか、その辺もしっかり把握をしながら、この予算執行に当たっていきたいと思います。

高橋(千)委員 しっかりチェックをしてください。これはやめてくださいと私は重ねて言いたいと思います。

 それで、ちょっと急ぎながら頑張りたいと思います。

 労働安全衛生法六十六条の八の三、労働時間の状況の把握が義務づけられました。この状況とは何を指しますか。

山越政府参考人 この労働安全衛生法の労働時間の状況でございますけれども、裁量労働制などみなし労働時間の適用を受けている方でございますとか管理監督者の方も含めまして、健康確保措置を適切に実施するために把握を義務づけるものとしたものでございます。これは、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったかを把握することでもよいということとしているものでございます。

高橋(千)委員 よくわからないですよね。

 それで、きょう随分たくさんの方が時間の把握の問題を質問されていましたけれども、要するに、ここで言っているのは、そういういかなる形で働いているのかというのを把握するのも大事だと思いますよ。だけれども、労働時間の適正把握については、昨年の一月二十日にガイドラインが改定されて、使用者には労働時間を適正に把握する責務があることが強調されました。でも、ここで言う労働時間、ここで言う適正に把握とは全く別物ですね。

山越政府参考人 この労働時間の状況の把握でございますけれども、これは、在社時間あるいはそうした在社時間から休憩時間を除いた労働時間でもいい、そういった性格のものでございます。

 そして、その労働時間の状況の把握でございますけれども、これについては客観的な記録をもとに把握する。それが、やむを得ない場合には自主申告ということでよいわけでございますけれども、客観的な方法による把握を原則とする。そういった把握の方法についてはガイドラインと同様の方法で行っていくということを考えているところでございます。

高橋(千)委員 把握する中身が違うでしょう。それを同様の方法って、意味がわからないです。

山越政府参考人 この労働時間の状況は、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態ということで、在社時間を把握することでよいものでございますけれども、もちろん、そこから、在社している間で休憩している時間など労働時間以外の時間を控除いたしまして、労働時間を把握してもいいものでございます。

 そういった労働時間の状況というのは、在社時間あるいは労働時間、そういったものであるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 どう聞けばちゃんと答えていただけるのか。

 状況というと、とても曖昧な表現なんですよね。つまり、いかなる形で勤務しているかといったら、言ってみれば、サンプル調査でいいんですかという話なんですよ。実労働時間を含んでいて、その上で全体がわかるという意味なのか、そうじゃなくて、一部でもどういう時間帯にいるかということがわかればいいのか、そういう違いを聞いています。

山越政府参考人 この労働時間でございますけれども、これは労働基準法上の労働時間でございますので、賃金の支払い、この算定の根拠となるための正確な把握が必要であるものでございます。

 これに対しまして、労働安全衛生法の労働時間の状況は、健康管理、健康確保措置を適切に実施するものでございますので、これは、在社時間ということで、労働時間を含む、包含する時間、在社している時間を把握することでもよいということとしようとしているところでございます。

高橋(千)委員 だから、実労働時間が入っているのかということをさっきから聞いているんですよ。ちゃんと答えてください。

 それで、時間がどんどん、このせいで押してしまったので、その答えと一緒に次に答えてもらいたいんですけれども、資料の三枚目にあるのは、平成二十八年度の長時間労働が疑われる事業場の重点監督指導結果なんです。私、本当に強調したいんですけれども、高プロだけが時間把握が難しいのではないんです。一般の事業場でもこの状態なんです。この一番下を見ていただきたいんですけれども、労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの、一二・四%。その上で、不適正だけれども、一生懸命監督官が頑張って調べたら、月八十時間を残業が超えている、四四・三%なんです。

 何でこういう状況なのか、また、こういう人たちにどういう指導をしているのか、お願いします。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 一つ前の質問で、労働時間の状況でございますけれども、これは、労働者の方一人一人の労働時間の状況を把握していただくというものでございます。

 それから、監督指導の関係でございますけれども、御指摘をいただきました平成二十八年度の長時間労働が疑われる事業場の監督指導でございますけれども、これは、月八十時間を超える時間外、休日労働が疑われる、そういったことが行われたと疑いのある事業場でございますとか、長時間労働によります過労死等に関する労災請求があった事業場を対象として実施したものでございます。

 その上で、監督指導でございますけれども、これは、法違反があれば、私ども、法違反を改善いただくために必要な指導をしていくところでございますし、それから、それに加えまして、労働時間の把握、このガイドラインにつきましても、労働時間が適正に把握されますように、そういった指導をやってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 これはちょっとつけなかったですけれども、結局、監督官が指導をして、何を指導したかというと、全部、ガイドラインの徹底なんですよ。ガイドラインの理解、ガイドラインに沿って適正に把握しなさいと。それが基本でしょう。そういうことですよね。

 資料の四枚目を見てください。これは人事院の調査です。二十七年の民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要。毎年、調査のテーマは違うんですけれども、民間企業と国家公務員の条件を比べるためにやっているらしいんですけれども、どの職種でも、事務であろうと販売であろうと研究者であろうと、自己申告が一番多いんですよね。しかも、五割前後である。これが問題だということを、過労死家族の会を始め、皆さんが指摘をしているんです。

 時間がないので飛びますけれども、労働時間の把握については、私は、ガイドラインを法定化という形でやるべきだと思います。

 昨年の三月八日の本委員会で、参考人として陳述された寺西笑子過労死家族の会会長に、私が、労災認定の最大の障害は何かと聞きました。寺西さんは、最大の課題は労働時間の客観的証拠ですとおっしゃいました。つまり、寺西さん自身が、準備に足かけ三年かかりました、申請する前段階で三年かかった、というのは、会社が箝口令をしいて誰も教えてくれないということがあったとおっしゃっています。その上で、事業主に労働時間適正把握を義務づけるべきと述べていらっしゃいます。

 同時に、参考人の川人弁護士にも伺いました。時間の適正把握は、本来、経営の基本中の基本だと指摘をして、ガイドラインを法律にきちんと書くべきと答えています。

 先ほど来、答弁を聞いていますと、これは労働安全衛生法に位置づけたことの限界なんですよ。だから、労働時間の把握については、ガイドラインの法定化、罰則つきで労基法に書くべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 労働時間の把握については、昨年六月五日の労政審の建議において、労働安全衛生法に基づく医師による面接指導の適切な実施を図るということで、管理監督者を含む全ての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当だとされていたわけでありますけれども、その段階でも、罰則を設けるべきだとの結論には至っていなかったわけであります。

 ただ、この省令については、与党審査において御議論があり、法律で明確に義務づけることとなったわけであります。

 そして、この趣旨を労使がしっかり理解をし守っていただく、そのためには適切な周知や監督指導、これが大事だというふうに思いますし、また、今委員からお話ありました現行のガイドライン、これを参考に把握方法についても省令で定めることを考えておりますけれども、労働時間の状況の適正な把握がしっかりと担保されるようにしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 二〇一七年版の過労死白書で、労働時間が正確に把握されている労働者とされていない労働者を比べると、把握されている方が週当たりの残業時間が少なく、メンタルヘルスも良好だという結果を紹介しています。

 これを受けて、過労死防止大綱の改定素案の中にも、自己申告だと勤務実態は把握できない、長時間労働を招くおそれがあるとして、タイムカードやICカード、雇用側にしっかりと、就労現認を原則として正確な把握に努めるよう求めるという方向が出されています。

 せっかく過労死防止法をつくって、実態を把握して、このようなエビデンスが得られて、やっていこうとしているときに、何か法案の方に全然それが反映されていない。それではだめなんじゃないかと重ねて指摘をしたい。まだ間に合うと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 もう時間の紙が回っておりますので、次に回して、指摘だけをしておきたいと思いますが、資料の5、これは、先ほど言った重点監督の中に、実際にどんな指導をしているのかという事例をつけているんですけれども、それを紹介したものなんですね。

 やはり、これは過労死が端緒になっています。一般の飲食店だけれども、過労死があったので立入調査をやったら、三六協定も結んでいないで、これはもう話にならないんですが、百四十九時間も時間外労働をやっていて、それ以外の労働者五名も同じような実態である、百時間を超えている、最長月百四十五時間。

 やはりそうだと思うんですね。過労死一人あれば、同じような働き方をしている、だから同じ事業所に行って指導するんだろう、私、そういうふうに思うし、やはり大臣がもっともっと乗り越えて、こういうふうにできるだけ公表しなければ、同じことを繰り返すことになると思うんです。

 もうしゃべる時間がないから見ていただければと思いますが、電通は異例のスピードであったと。これは二枚つけておきましたけれども、送検までいっているわけですよね、御家族が会見をされてからたった二カ月で。

 それに比べると、野村はしないのか、そういうことが非常に不思議に思う。裁量労働制で時間が把握できないからなのかな、そういうふうに思ってしまう。だからこそ、なぜ野村だったのか、なぜ特別指導だったのかということを明らかにしなければ、本当の意味でのこの法案の議論は始まらないんだということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十四分散会


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