衆議院

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第18号 平成30年5月15日(火曜日)

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平成三十年五月十五日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    小田原 潔君

      大岡 敏孝君    神山 佐市君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      中谷 真一君    長尾  敬君

      船橋 利実君    穂坂  泰君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   文部科学大臣政務官    新妻 秀規君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  木下 賢志君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     中谷 真一君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  小泉進次郎君     神山 佐市君

  塩崎 恭久君     小田原 潔君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     塩崎 恭久君

  神山 佐市君     小泉進次郎君

  中谷 真一君     穴見 陽一君

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  浦野 靖人君     足立 康史君

    ―――――――――――――

五月十五日

 過労死と職場における差別の根絶に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第一〇九九号)

 同(白石洋一君紹介)(第一一五四号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一一九〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第一二四四号)

 同(日吉雄太君紹介)(第一二六五号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(竹本直一君紹介)(第一一〇〇号)

 同(根本幸典君紹介)(第一一三五号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第一一三六号)

 同(左藤章君紹介)(第一一六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一九五号)

 同(武村展英君紹介)(第一二二二号)

 同(斉木武志君紹介)(第一二二九号)

 同(牧義夫君紹介)(第一二三〇号)

 同(日吉雄太君紹介)(第一二四六号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二六七号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第一二七五号)

 同(神田憲次君紹介)(第一二七六号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一一四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一八四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二一〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二一九号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一一五号)

 介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の処遇改善と確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一二〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一二二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一二三号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一二五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一二六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八五号)

 さらなる患者負担増計画の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二二七号)

 医療・介護の負担増の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一二九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五四号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(江田康幸君紹介)(第一一三〇号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一一三一号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一一三二号)

 同(中川正春君紹介)(第一一三三号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第一一三四号)

 同(長妻昭君紹介)(第一一五五号)

 同(御法川信英君紹介)(第一一五六号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第一一六〇号)

 同(細田健一君紹介)(第一一六一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一六六号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一一九二号)

 同(宗清皇一君紹介)(第一一九三号)

 同(柚木道義君紹介)(第一一九四号)

 同(藤原崇君紹介)(第一二一一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一二二〇号)

 同(平口洋君紹介)(第一二二一号)

 同(川内博史君紹介)(第一二二八号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二六六号)

 安心・安全の医療・介護に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一一五〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一五二号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(田中和徳君紹介)(第一一六三号)

 同(田中和徳君紹介)(第一一六八号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一一九六号)

 同(松田功君紹介)(第一一九七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一二四七号)

 同(古川元久君紹介)(第一二六八号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一六七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一二四五号)

 介護・福祉・医療サービスにおける利用者負担等の撤廃に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一六九号)

 最低保障年金制度の実現に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一八一号)

 生活保護制度の充実に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一八二号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一八六号)

 同(日吉雄太君紹介)(第一二四一号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一八八号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一二四二号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一一九一号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二七四号)

 社会保険料の負担軽減に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第一二四三号)

 同(柚木道義君紹介)(第一二六四号)

 神経系疾患である筋痛性脳脊髄炎の研究推進に関する請願(棚橋泰文君紹介)(第一二五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省健康局長福田祐典君、労働基準局長山越敬一君、雇用環境・均等局長宮川晃君、子ども家庭局長吉田学君、社会・援護局長定塚由美子君、年金局長木下賢志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田真紀君。

池田(真)委員 おはようございます。立憲民主党の池田真紀です。

 まず冒頭、今、配られました資料は全部読み込みができておりませんけれども、働き方改革の一般労働のデータも、不適切な形できょう公表ということであります。これから、後々の質問者の方も読み込んで、改めて質疑ということだとは思いますが……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。

池田(真)委員 今国会の目玉法案であって、安倍総理も重要法案だと言っている働き方改革について、このようなデータ、あるいは、データが不誠実であったにもかかわらず、その後もずっとこの公表を隠し続けていたり、そういう姿勢についてはいかがなものかと思います。

 まずは、この件について大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど理事会に、平成二十五年度労働時間等総合実態調査の一般労働者に関するデータについて、精査をさせていただいた結果について御報告をさせていただいたところでございます。

 今回の精査においては、異常値である蓋然性が高いもの、これを母数から削除し、また、裁量労働制に係る部分も削除いたしまして、再集計を行ったというものでございます。

 この実態調査において、裁量労働制のところも含めてということになりますけれども、こうした異常値である蓋然性が高いもの、こういったものが含まれていたということ、これは謙虚に私どもは反省をしていかなければならないというふうに思いますし、また、今後において、こうしたことをしっかり反省材料として、統計のとり方又は統計をお示しするとき、しっかりとこうしたことを踏まえて対応させていただきたいというふうに思います。

池田(真)委員 後ほどまた改めて、これはずっと質問という形になると思いますが、つい先週の五月十一日の私の質問に対して、田中政府参考人が、まずは労働時間の状況の把握をきちんとすることということを前提に、高プロの方は大丈夫だよという御答弁がありました。どうやって労働時間を把握するんですかというようなやりとりだったと思うんですが、その大前提の大前提であるデータがこのような形であれば、今国会、審議の前提が揺らいだというふうに私は思っております。

 まず、このことの撤回を求めていきたいというふうに思います。いかがでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 裁量労働制ではなくて高度プロフェッショナル制度についてということですか。(池田(真)委員「全部です」と呼ぶ)

 今、御審議いただいているところでありますし、今回は、高度プロフェッショナル制度については、健康管理時間ということで、これをしっかり把握し、また、それに対しては、パソコンのログイン、ログオフ、そういった時間等を踏まえてその把握をするということでございますので、そうした把握をしつつ、また、それぞれ監督指導に当たったときには、その実態等をよく踏まえて、適切にそうした運用が行われるよう努めていきたいというふうに思います。

池田(真)委員 信憑性がまずないというふうに思いますので、これは言い切りにしたいと思います。

 本日は、この間に行われました生活保護基準の改定について質問をさせていただきたいと思います。

 きょうお配りをいたしました資料の中で、資料三ページにありますが、私の方は現場におりましたので、もう重々承知しておりますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 三ページの一番左端にある年齢区分、ゼロ歳から二歳とか、三歳から五歳、六歳から十一歳というふうにありますけれども、この年齢区分が八区分になっていると思います。この八区分について、いつからという確認をしようと思ったんですが、きのう厚労省の方からも事前のレクの方でいただいた資料がありますので、あわせてつけさせていただきました。

 資料七ページをごらんいただいて、右端です。平成十七年からということで、現在のこの八区分は採用されているということでよろしいかと思います。

 この前から、三十六年の前をさかのぼると、昭和二十五年には男女が分かれていた、ゼロ歳―二歳等の八区分、そして、昭和三十二年には男女がまだ分かれたままでの九区分があって、この三十六年に男女が統合されて現行のような形になっているかと思います。

 しかし、ここの中でちょっと注目をしていただきたいのが、この一類費の年齢区分の中で、二十歳から四十歳、そして四十一歳から五十九歳、そしてあとは六十以上と、あとは十九歳以下というような、この四つの類型といいますか、ここの部分に限って言えば、昭和四十年から長期間にわたって、一貫して同じ年齢区分が維持されてきたというふうに思います。

 この年齢区分が長期間にわたって変更されなかったという事実、この事実については、この年齢区分に合理性が認められたということであるからだというふうに思いますけれども、合理性が認められるということでよろしいでしょうか。

定塚政府参考人 年齢区分についてお答え申し上げます。

 今の資料で適用されています平成十七年―現行からの区分の中で、例えば二十歳から四十歳、それから四十一歳から五十九歳、六十歳から六十九歳というような区分をしているわけでございますけれども、これはもともと、この資料にもありますとおり、昭和三十六年以降、最初の段階としては、年齢別栄養所要量の年齢区分に応じて設定をしてきたというものでございます。

 その後、平成元年であるとか平成十七年に見直しを行った際に、高齢者の消費実態を踏まえた見直しを行うとか、十七年には、若年者、未成年のところの年齢区分を変えた方がいいのではないかという議論があって変更されてきたわけでございますけれども、現行の区分について更に改定をする必要があるということで考え、今回、見直しを行っているものでございます。

池田(真)委員 年齢区分は、合理性が認められて、根拠があってこの年齢ということでよろしいですよね、この間の。

定塚政府参考人 今、御説明申し上げましたとおり、この区分、もともと、年齢別栄養所要量の年齢区分ということをずっと最初からとっておりまして、それがある上で、必要に応じて適宜見直すべき部分を見直してきたということでございます。

 そういう意味では、現行において、これまでの経緯からして、根拠があったといえば言えるわけでございますけれども、今回改めて年齢区分を総合的に見直しをしたところ、改正することが適当であるという結論に至ったというところでございます。

池田(真)委員 そうしましたら、そもそも、今、栄養区分の話がありましたけれども、きょうの資料の七ページの右下のところにあります昭和五十九年からの水準均衡方式ということでありますけれども、この水準均衡方式によって、生活扶助費の決定方式というのは、生活扶助費を第一・十分位の消費支出に合わせるという内容をこの間行ってきたということでよろしいかと思います。

 そして、五年ごとの基準部会に、諮問機関ということでございますけれども、生活扶助の基準について厚労省から検討を命じてきたというような形でよろしいですか。その算定につきまして、この基準について、基準部会の方にそういう基準の方を、生活扶助基準のあり方について検討を命じてきたということでよろしいでしょうか。

定塚政府参考人 生活扶助基準につきましては、定期的に一般の消費支出の動向等を踏まえて見直すということとしておりましたので、最近で言うならば、五年ごとに見直しをするという方針を審議会の中で以前決定をしていただいておりまして、そういう方針がございましたので、今回、生活保護基準部会で御検討をお願いしたという経緯でございます。

 そのときに、どのような内容を見直すかということを議論していく中で、年齢区分についても見直しをしようという委員の合意が得られまして、見直しをしたというところでございます。

池田(真)委員 今、今回の見直しについての御答弁をいただきましたけれども、今回の見直しの前に、以前の年齢基準については合理性があったかどうかということの確認です。

 今回の見直しについては、今お話をしようと思っていますけれども、資料一、ごらんいただければと思いますけれども、この資料一については、こちらの右、ちょっと四角にかかっている、この赤い線のところなんですけれども、赤いところが一と書いてあります。これが、一般の低所得者の基準を一、消費を一というふうにしたときに、その当時の生活保護の人たちは〇・六九、ゼロ歳から二歳の方たちは低いわけですね。だから、これは上げなきゃいけないよというような部分の差だと思います。

 こういうようなものがあって見直しがなされてきたということでありますけれども、今回の扶助費の改定については、先ほど御答弁の中にありました、見直しをしたとおっしゃいましたけれども、この見直し、年齢区分の見直しが六区分になっているわけですよね。この六区分を見ると、資料二の方にありますけれども、ちっちゃいんですが、この四角の下に、ゼロ歳―五歳、六歳―十一歳、十二歳―十七歳、十八歳―六十四歳、六十五から七十四、七十五歳以上というような六区分に今回なったということであります。

 今までの基準については合理性があったものと私は認識をしておりましたけれども、先ほど明確な答弁をいただけませんでした。今回のこの六区分について、変更した部分につきまして、この年齢の区分のあり方について、消費支出の話もありましたけれども、これについては合理性があるのかどうか、根拠資料があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

定塚政府参考人 先ほど答弁申し上げましたけれども、もちろん、これまでの年齢区分についても、さまざまな経緯から設定をされているものであり、もちろん合理性はあるというふうには考えております。

 ただ、審議会で十分な資料をもってきちんと議論をされたかという点におきますと、今回の見直しにおいて、まさにいろいろな資料を用いて多角的に検討しているというところでございます。

 今回の検証では、第一類費の年齢区分の見直しを行うに当たって、具体的には消費支出であるとか就労状況など、いろいろな観点から分析を行っているところでございますけれども、この中で、ある一定の年収とか、貯蓄の単身世帯における年齢階級別の消費支出を見ると、六十五歳未満と六十五歳以上の間にやや差が見られることであるとか、年齢階級別の就労率を見ると、二十五歳から五十九歳までは就労について大きな差が見られない、一方で、六十歳前半と六十歳後半を比較すると六十五歳のところでやはり区切りがあって、二〇%以上の差があるというようなことが見られるということが審議会で資料をもって議論をされました。

 その上で、報告書においては、御承知かと思いますけれども、十七歳以下の子供の年齢区分においては、子供の就学状況などにより、必要な生活費にも変動が考えられるということ、一方、十八歳以上の成人期においては、身体機能や社会活動の状況や実際の消費支出の差というのは、年齢による差よりも個人のライフスタイルなどによる影響が大きく、年齢差を考慮しないことがより妥当と考えられるという議論がされまして、報告書にもその旨、書いてございます。

 また、六十歳以上については、先ほど申しましたような状況について報告書に記載があるところでございまして、こうしたことを踏まえて、十分議論の上で年齢区分を設定したという経緯でございます。

池田(真)委員 今、御答弁いただきました内容については、私も報告書で目を通させていただいております。その点は十分承知しておりますが、ただ、その根拠となるものがやはり理解がしがたいというか、どこを探しても見当たらない。

 社会通念上、いろいろ考えても、十八歳の人と六十四歳の人と同じでしょうかね、消費支出。非常にライフスタイルも多く異なるというふうに思いますが、消費支出についても、根拠といいますか、裏づけるようなデータはこの間ないというふうに思いますので、あるのかないのか、当然、いろいろ基準部会の報告書だけではないデータもあるでしょうし、その部分が基準部会並びに厚労省の中で最終的に決定をするときに、そういったデータが、根拠資料があるのかないのか、教えていただけますか。

定塚政府参考人 先ほど御説明したとおり、審議会においては、年齢区分を含めてさまざまな議論がされているわけでございますけれども、その中で必要な資料は、その都度、審議会委員が、こういう資料が欲しいということで、それは分析して提供した上で議論していただくということとしてやっております。

 この年齢区分につきましては、先ほど申し上げたとおり、成人期については年齢による差というよりも個人のライフスタイルでの差ということの方が大きいであろうという委員の認識で、そこのところはむしろ大ぐくりにした方がいいのではないかというような意見も出されていたということから、特段のデータ、済みません、今、私、役所の方で特段のデータを持っていたかどうかということは若干自信がないんですけれども、少なくともそこのところはデータをもって審議会で検証してということにはならなかったと理解をしております。

 また、六十歳前半層につきましては、六十五歳以上とともに、データも出して審議会の方で議論をしておりますけれども、こちらの方は、六十歳から六十四歳、やはり就業率が上昇しておって、その前の年齢の成人期と引き続いて同じように取り扱うことが妥当であろうという議論がされたところでございます。

池田(真)委員 極めて個人的な委員の見解だと私は思います。個人のライフスタイルということであれば千差万別でありますし、それを最低生活の保障である二十五条、きちっと保障する基準を決めるものであれば、きちっとそれを裏づける根拠が私は必要だと思います。

 この資料一の方の丸、上の方に書いてあります丸にも、これは報告書に書いてあるとおり、やはりここに書いてあるとおり、合理的説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合には、それらの根拠について明確に示されたいというふうに書かれてある以上、同様に、私は、今回の明確な根拠を、資料をもって求めていきたいというふうに思います。

 なぜかといいますと、これを見てください。ここの部分で年齢区分、八区分あったところを、いろいろな乖離がありますが、この資料二になると、今回の見直しの結果、見ていただくと、ゼロ歳―五歳、六歳―十一歳というような六区分になっていくと、この青い線が十二歳から十七歳以降、緩やかにカーブをしているんですが、緩やかに保護基準を下げる、下げなければいけないというふうになっているんです。

 ということは、多くいる高齢者について、本来であれば、資料一であればですよ、六十から六十九歳、青い線、上げなければいけないんです。ここの層が実はすごいたくさんいて、御存じのとおり、生活保護受給者は高齢者が半数以上を占めていますから、そうすると、全体で生活扶助額を上げなければいけなくなる。

 そもそも、生活扶助額を総体的に下げるということの結論ありきの中で、どうしたらいいものかと考えた結果、こういう若年層と高齢者を一緒にすることによって、こうやって緩やかなカーブで全体的に引下げができるというふうに思ったのではないかと疑わざるを得ないんです。そうでないのであれば、明確な資料をまずは求めていきたいと思いますが、こういうような状況の中で、検証結果をもう一度やり直すというようなお考えはないでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員から御説明いただきました、委員提出資料一の六十歳から六十九歳のところにつきましては、先ほども御説明しましたけれども、六十歳代層の状況について、審議会の中でもデータを出して分析をしております。

 その結果として、六十歳代の前半層と後半層では消費支出においても差がある、また、就労率について大きな差があるということで、審議会の中では、やはり六十五というところで、近年の情勢、データも鑑みれば、一つの区切りとするということが適当である。ここの部分は、データをもって議論していただいて、結論を出していただいたというものでございます。

 二十歳から四十歳、あるいは六十歳未満のところは、逐一データで年齢階級別に分析をして、それでどうしましょうというよりは、全体として、先ほど申し上げたように、大ぐくりにして、個人のライフスタイルによる影響が大きい部分だというふうにしておったわけでございますけれども、六十歳代のところはデータをもって行ったということを御了解いただければと思います。

 そうした点におきまして、今回の検証、十分なデータや根拠をもって議論したところであり、見直す必要はないと考えているところでございます。

池田(真)委員 時間がなくなってしまいましたので、次の質問に参りますけれども、明確に今おっしゃったのは、見直しをしないということでありましたが、明確な根拠をもってというところでは、私は納得をしておりません。

 そして、次に参りますけれども、今度は物価による調整なんですけれども、前回の検証ではデフレの調整を行っているということでありますが、それはもう確認するまでもないかと思います。首を縦に振っていただきましたので、そこはもう。

 ただ、今回は、今回の検証の方では、物価による調整を行っていないんです。前回の検証と同様の物価による調整を行わなかった理由をお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

定塚政府参考人 今お話ありましたとおり、前回の見直しでは、まず審議会において、今回の検証でも行いましたが、生活扶助基準における年齢、世帯構成、地域のバランスと、一般低所得世帯の消費実態におけるバランスとの比較を行い、そのゆがみ分を調整をするということ、これは審議会で議論いただきました。その上で、給付水準の検証は審議会においては行っていなかったので、政府として、物価の変動分、デフレ調整分も、審議会の検証に加えて反映して見直しを行った、これが前回の改正でございます。

 一方、今回の見直しにおきましては、平成二十六年の全国消費実態調査のデータをもとに、年齢、世帯構成、地域別のバランスの比較、前回審議会で行った検証でございますけれども、この比較だけではなくて、そもそも生活扶助基準の給付水準と一般低所得世帯との消費水準との均衡が図られているかということ、これはモデル世帯で比較をするという検証を行っております。

 その点が前回と違うところでございまして、この比較対象となった一般低所得世帯の消費水準、こちらにはこの間の物価の影響というものも織り込まれておりますので、更に物価について前回のように考慮する必要はないと考えているところでございます。

池田(真)委員 一貫性がないというのがまず一つと、あと、実際、今回の検証の一貫性を図るということであれば、物価の上昇率が、添付資料八にもあるように、〇・七%に伴う生活扶助費の引上げを今回しなければいけなかった。でも、そうすると生活扶助額が上がってしまうから、だから今回は行わなかったのではないかということで、理由はともかく、今回と前回とでは一貫性がないということは明らかだというふうに思います。先ほどの年齢区分についても、やはり、全体的な結論ありきの恣意的な調整をしているのではないかと言わざるを得ないんです。ということで、非常に明確なデータをきちっと示していただきたいと思います。

 そして、もう残り時間がなくなってしまいましたが、最後になりますが、生活保護、こういう状況で、今回、生活困窮者自立支援法の一部を改正する法案という名前では、いかにも生活困窮者自立支援法のみのような感じですが、実は、等の中に生活保護のいろんな部分が含まれているわけですね。その中での取扱いをいろいろ考えますと、今回資料がついておりますけれども、附帯決議が五つついております。

 この附帯決議についてですが、非常に私は遺憾に思っております。先ほど定塚局長がおっしゃっていたような基準の見直しについても、低所得者世帯に合わせていく、均衡を図りながらというお話がございましたけれども、どんどん低くなっていく年金高齢者に合わせて、より生活困窮者の人たちもどんどん引下げをしていくというようなやり方で本当にいいのかどうか。

 本来、二十五条で示される健康で文化的な保障すべき基準をもう一度見直す必要があるのではないかと思うところに、ここに、例えばこの附帯決議でいうと、五番では、生活保護法の六十条で、本来であれば、適正な指導、指示、あるいは助言指導や相談支援を行うべき、行うことでよいにもかかわらず、このような、無理やりパチンコとか家計支援に結びつけるような形での言葉が入ったりとか、あとは、医療機関との連携を図ってと言いながら、医療機関の取締りはやらない。生活扶助、要は生活保護、医療扶助を狙っているような医療機関にやるのではなくて、当事者だけにこういうような偏見を生んでいるだけのように思います。

 そして、この一番が今の基準に絡まってくるところなんですが、一番は、高齢者、よりふえていく高齢者、今回は若年層と高齢者を一緒くたにして、そして全体の生活扶助額を下げたと言わざるを得ない状況の中に、更にこれから引締めをしていこうということがここに書かれているかと思います。

 そして、本来、附帯決議としたら、この手の法律の場合は、例えば、この間に問題になった大学の一時金については、今でもある間違った事例、収入認定してしまうとか、そういうようなことは行わないように周知徹底するとか、あとは、学習支援費の実費払いについても、そもそも子供が領収書をその都度とっていくのも困難だ、そういうことを鑑みて、基準額上限までは申出に基づいて、挙証資料がなくても支給するよう配慮を行うとか、そういう趣旨が、性質が附帯決議なのではないかと私は思っております。

 このことに関して、積極的に取り組んでいきたいという発言のあった加藤厚労大臣に、どのように受けとめていらっしゃるのか、どのように行っていくのか、お伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今、委員がおっしゃった、このことについてということでありますが、今、委員が御主張になった、この附帯決議に盛り込まれていない、そういった要因についてということですか。それとも、この附帯決議についてということでしょうか。(池田(真)委員「附帯決議全体」と呼ぶ)

 この附帯決議については、先般、この委員会において御決議いただき、可決をいただいたわけでありますから、私どもとして、その趣旨を十分尊重して努力していく旨、述べさせていただいたところでありますので、これから、今後の検討において、今回の附帯決議も踏まえつつ、進めさせていただきたいというふうに思います。

池田(真)委員 進めるというのは、そういう強化、取締りをやるということですか。

加藤国務大臣 この検討の中に、この文章以外にどういう思いが込められているかどうかはちょっとわかりませんけれども、まさにこの文章をそのまま受けると、それぞれ検討を行っていくということでありますから、これから検討していく中において留意をすべき等と書いてございます、あるいは、こういう点を踏まえるということが書いてございますから、そういったこともしっかりと踏まえながらやらせていただく、こういうことであります。

池田(真)委員 今回の基準の見直しについても、そして今の前向きな答弁がなかったのも非常に残念に思っておりますけれども、ただ、申し上げたいのは、今回の基準、基準部会という形での決定とおっしゃいますけれども、やはり明確な資料、データはないと思います。先ほどから、合理性といったもの、年齢区分についての根拠といったものが本当になくて、恣意的に操作されたとしか私は思えませんし、そうでないのであれば、データをきちっと示していただきたいというふうに思います。

 どうしたら、こういう科学的な根拠をきちっと持って、十八から六十四歳までの年齢区分を行ったのか、そしてデフレ調整を行わなかったのかということもあわせて、非常に不可解だと思いますので、このことを申し上げ、そしてもう一点、冒頭に申し上げました働き方改革においても、データがこのような不適正な状況でありますから、まずは審議の大前提といたしまして、データをきちっとしていただきながら情報を公開して、十分な審議をしていただきたいというふうに思っております。

 それを要望いたしまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 きょう、生活保護法、困窮者自立支援法の補充質疑ということですが、その前に、きょう、理事会の方に、労働時間実態調査についての報告書が出てきました、調査結果が出てきましたので、まず、それについてお伺いをしたいと思います。

 この労働実態調査は、七十年ぶりの労働基準法改正のもとになる調査ですよね。そのもとになる調査が何と二割も不適切だった。これでどうやって、これから私たちはこの働き方改革法案を審議するんでしょうか。前提が崩れているというか、労働者の全てにかかわる法律をこれから議論しなければいけないのに、その前提となる調査が、こんな二割も間違ったものがある、そんなものを出されてきて、法案審査の前提が崩れている、もう撤回していただくしかないと私は思うんです。

 まずお聞きしますが、今回によって、一日の労働時間も撤回だということで、平均は、前回、一般労働は九時間三十七分ということで提示をいただいていたと思います。今回、二割削減された後の平均の一日の労働時間、一般の方の労働時間は何分になったか、もしおわかりでしたら教えてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 失礼いたしました。

 先ほど委員御指摘の九時間三十七分という、まずこの数字、これは委員会で御指摘をいただいて、当時の精査する前のデータは一時間三十七分というのが時間外の数字でありました。それに法定労働時間ということで八を足したこと、これについても、法定労働時間を足すのか所定労働時間か、こういう御議論があったわけでありますから、その議論はそれとして、我々も反省しなきゃならない点でありますが、そこで使った一時間三十七分との対比で申し上げさせていただければ、今回は一時間三十三分ということになるわけであります。

尾辻委員 わかりました。

 それで、この今回の労働時間等実態調査というのは、第百三回の労働政策審議会労働条件分科会、二〇一三年九月二十七日に行われたものですけれども、ここで村山労働条件政策課長は、本分科会で労働時間法制について調査審議をいただきます際には、いつも、まずもって今後の労働時間法制等の検討の際に必要となる実態につきまして把握を行っている、その調査結果がまとまり次第、本分科会にも詳細に御報告申し上げ、議論の出発点にしていただければと考えておりますと。

 この議論の出発点が、今完全に崩れてしまったわけですよね。正直言いまして、労働時間の調査、労働時間の把握もしっかりできていないのに、どうやってこれから、高度プロフェッショナル制度といった労働時間規制を外すとかそんな議論、現状がわからないのに議論できるんですか。前提が、私は崩れたと思うんですけれども、いかがでしょう。

加藤国務大臣 もちろん、今回の労働等実態調査の結果、これも含めて労働政策審議会で議論をしていただいたということ、それは御指摘のとおりであります。

 ただ、今言った高度プロフェッショナル制度について具体的にこの統計資料を使っていたかというよりは、むしろ、長時間労働の是正あるいは割増し賃金、こういったところにおいて御議論に供されていた、こういうふうに承知をしているところでありますが、そうした長時間労働の是正とか、中小企業においても割増し賃金を適用していくということ、これのみならず、その必要性は労働政策審議会でも確認をされていたところでありますので、それに沿って御審議をお願いしたいというふうに思っております。

尾辻委員 私は、政府は法案を撤回して、新たに実態を調査した上で議論をやり直すべきだと強く求めておきます。

 次に、これも、もう一つちょっと、理事会に出てきたので、あわせて、済みません、今お聞きしておきたいと思います。

 野村不動産の過労死をめぐって、復命年月日から支給決定までどれくらいかかるのか出していただきたいということで出していただきました。百四十一件、平成二十九年度には過労死事案があった。その中で、二カ月以上三カ月未満、四カ月以上というのはたった四件、百四十一件中たった四件しかないということで、この野村不動産の過労死の事案は、十月に復命年月日があって十二月に支給決定ですから、二カ月あるわけですね。ということは、百四十一件においては、かなりこれは異例だったということが言えると思うんです。

 復命年月日から支給決定まで平均八・一日ですから、なぜこれだけ、この四件ですけれども、あるわけで、これは、私たちから見ると、引き延ばしをされたのではないか、時間稼ぎをされたのではないか、その間に特別指導というスキームをつくったのではないかと勘ぐりたくなるわけであります。

 このことについて、なぜ、この野村不動産は、こんなに長くかかったのは異例というふうに、大臣、お認めになりませんか。

加藤国務大臣 先般も答弁をさせていただいたんですけれども、十二月中に労災決定があったものについて出してほしいということで出した、それは二件ということでありますが、ただ一方で、今回の場合の過労死の関係でどこまで個人情報を公開できるかということで、そういった点も踏まえて、どちらであるとか、そうであるということについては答弁は控えさせていただくということでやらせていただいているので、今委員御指摘のように、どっちかが、これを前提にということになるとなかなか説明しづらいところはあります。

 ただ、要するに、監督官が一応これを調査した、その後、署として最終的にそれを確定する、その作業の間の時間ということになるわけでありますが、それはそれぞれの状況状況によって、今ここにお示しになるように場合によっては四カ月以上かかるものもありますし、この間、たしか局長が、ほとんど即断即決みたいな答弁もしていたというふうに思いますが、そういった事例もあると思いますので、これはそれぞれ状況状況に応じて、その間の時間がかかったりかからなかったり。

 ただ、一般的に、かかる場合というのは、最初の方が、最初というか、監督官が調べた中身について相当精査をする必要があった、こういった場合においてはどうしてもそうした時間がかかっていく。

 こういうことで、別に、私ども、要するに、労災の認定と特別指導のお話ということはありますけれども、それはそれぞれ別々に物事を進めておりますから、特別指導があるからといって労災認定をいたずらに遅くする、そういうことは全くありません。

尾辻委員 これは、一カ月以上ある事案ということで出していただきました。

 これはちょっと理事会にお諮りいただきたいんですけれども、じゃ、一カ月より前の段階、一週間で出たものは何件あるのか、この百四十一件のうち。二週間で出たもの、三週間で出たもの、三週間から四週間で出たものということで、ちょっとここ、もう少し詳しく資料をいただきたいんですけれども、理事会でお諮りいただけますでしょうか。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

尾辻委員 結局、なぜ私たちが野村不動産の過労死事案をこれだけ言うかというと、一つは、結局、裁量労働制の違法適用というものが過労死などこういう悲劇的なことが起こらないと見つからないのではないかということがあるわけですね。そうすると、今までの御答弁されていた、裁量労働制は、私たち、ちゃんとわかりますよ、違法適用があったら指導しますよということではないわけですね。ですから、裁量労働制の拡大、そしてスーパー裁量労働制とも言える高度プロフェッショナル制度、それを導入する上で、こういう濫用事例でもって広げていくというのは、私は、これはおかしいんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、済みません、もとの質問に参りたいと思います。

 まずは、ジェネリックのことについてお聞きしたいと思うんです。

 私、ジェネリック医薬品が今回から、原則、後発医薬品によりその給付を行うものとすると、第三十四条を変えるということなんですね。ただ、その通知を手に入れて、ちょっと皆さんのお手元にもお配りをさせていただいているかと思うんですけれども、この通知を見ていると、おかしなことに気がついたんですね。

 それは何かというと、この生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いの通知というのは、平成二十五年五月十六日に出ているんです。これは、今回の、被保護者に対し可能な限り後発医薬品を使用することを促すことという努力義務の法律が通る前にこの通知は出されているんですよ。

 この通知におけると、既に、2のイのところとかで、「処方医が一般名処方を行っている場合または銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬品を原則として使用することとする。」というふうに、前回の法改正より以前に、通知文でいきなり原則化ということが書かれているんですが、この通知は法令を超えていませんか。

定塚政府参考人 御質問いただきました通知でございますけれども、今御指摘いただいた部分、後発医薬品を原則として使用するという部分が含まれておりますけれども、その後に、同じ通知の中で、「先発医薬品の使用を希望する者に対しては、薬局において、先発医薬品を希望する事情等を確認した上で、先発医薬品を一旦調剤し、その先発医薬品を希望する事情等を福祉事務所に伝達する」ということとしているところでございます。

 したがいまして、現行の取組では、患者が希望した場合に、今申したようなことを経て、一旦、先発医薬品が薬局において給付されるという仕組みとなっているということで、現在の法律の規定にのっとった仕組みであると考えているところでございます。

尾辻委員 いや、のっとっていないと思うんですけれども。特に、ウの部分ですよね。先にイがあるわけですよね。順番でいうとイが先になっているわけで。

 この通知なんですけれども、どの根拠法によってこの通知は出されたんですか、当時。

定塚政府参考人 この通知は、前回、二十五年の生活保護法を改正した後に、その生活保護法改正法にのっとって出したものでございます。

尾辻委員 いや、五月十六日というのは、法案は通っていないですよね。もう一度答弁ください。

定塚政府参考人 失礼いたしました。訂正をいたします。

 二十五年の法改正以前でございまして、法改正に向けて検討している段階でこの通知を出したということでございます。(尾辻委員「根拠法令は」と呼ぶ)根拠法令という意味では、一般的に、生活保護法に基づいてその取扱いをどうするかということ、生活保護法の各種通知を出しておりますので、その一環の通知ということでございます。

尾辻委員 どこに、処方医が一般名処方を行っている場合又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合、後発医薬品を原則とするというようなことが法令に書かれているんですか。

定塚政府参考人 当時、そのような条文はもちろんなかったわけでございますけれども、生活保護法のもとで生活保護の運用をどうするかということを通知としてお示しをしているというものでございます。

尾辻委員 いや、これは完全に法令を超えていると思いますよ、通知が。

 では、どの条文でしょうか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 失礼いたしました。

 生活保護基準につきましては、生活保護法の八条の中で保護の基準が定められており、その中で、保護の基準については、「必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」というような考え方が示されているところでございます。

 こうした考え方に基づきまして、生活保護法のもとの各種通知が出されているところでございます。

尾辻委員 いや、これは全然、根拠法令になっていなくて、それも、これは前回の改正前なんですよ。後発医薬品が努力義務になる法案が衆議院を通る前に、先に通知で、原則ですよというのを通知で出している。これはおかしくないですか。

定塚政府参考人 先ほども申したとおり、原則としてと、この通知には記載はありますけれども、その後に、本人が希望する場合には先発品を一旦調剤するという部分があるわけでございますので、そうした意味で、今回の改正をしようとしている内容とは違うということでございます。

尾辻委員 いや、私、今回の改正について聞いておりません。

 とにかく、前回のところでは、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すこと、促すことと書いてあるんですよ。可能な限り使用を促すと、原則として後発医薬品を使用することとするは、これは全然違うことですよ。この法案をやる前から通知でこんなことをやっているって、いいんですか。

 そこで、別添一と二がありますということであるので、別添一と二をちょっといただいて、添付につけております。

 そこでも、例えば、生活保護法の指定を受けている薬局の方へというところで、下の箱のところを見ていただきたいんですけれども、丸が三つ、1、2、3があります。2のところで、「生活保護では、医師が後発医薬品の使用が可能であると判断した場合は、原則として使用して頂くことにしています。」

 前回の努力義務の改正の前に、こういうことを薬局に通知してくださいという様式例で、厚労省、こんなものを出しているって、いいんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 申しわけございません。今御指摘いただいた資料がわからないので、もう一度いただければと思いますけれども。

尾辻委員 配付資料をお手元にお配りしているかと思います。再度確認をしてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 申しわけありません。資料が手元になかったため、大変失礼をいたしました。

 先ほど申したように、この通知は法改正の前に発出をしているわけでございまして、この通知の考え方に基づいて、今御質問いただいた資料は出しているものと考えております。

 なお、この通知の考え方でございますけれども、前回の二十五年改正のときにも、もちろんこの考え方について十分議論がされて、その上で二十五年の改正がされておりますので、その時点で検討した上で、法律と通知に整合性があるというふうに判断されたものと理解しております。

尾辻委員 ですから、改正後はそうかもしれませんが、改正前に出るということは、整合性がとれていないんじゃないですかということを私は申し上げております。

 逆説的に言いますと、通知でここまで強く書いているということで、今回、じゃ、わざわざ改正する必要はあるんですかという議論も起こってくるかと思うんです。

 一点だけ違うのは、今回の改正が行われると、患者本人が希望しても、先発を希望しても、患者本人の希望だけでは先発薬を処方してもらうことができないという、患者本人の希望を無視することになるような気がするんですね。つまり、生活保護以外の方は選択肢があるわけです。安い方がいいと言えば、後発医薬品。でも、自分は飲みなれた方がいい、先発医薬品。ですけれども、生活保護の方にはこの選択肢がない。法律がこんな不公平なことをしていいのかという部分については、私は非常に疑問を持っているということをお伝えしておきたいと思います。

 次に参ります。

 添付資料にあります、京都新聞でございます。京都新聞が三月二十九日にこのような報道をされましたということで出しております。

 ここは、滋賀で、計十四自治体を京都新聞が調べたところ、生活保護のしおりの不適切な記載が見つかったということでありまして、例えば、ある市は、独身女性は妊娠が判明した時点で、子の父親から支援を受けられると判断し、廃止となる場合がある、自動車も、保有、使用は認めていないと書いていたり、現在は努力義務にとどまるジェネリック医薬品について、使用してもらいますと掲載していたり、自分が生活保護を受けたからといってむやみに友人や知人を誘い入れることはできない、こういうしおりがどうも自治体では配られているということなんですけれども、これは厚生労働省として把握されておりますか。そして、何か指導されていますか。

定塚政府参考人 今御指摘、御紹介いただきました報道のありました滋賀県内の自治体で策定していた保護のしおりの内容、生活保護受給の要件について不正確な記述があったり、あるいは申請をためらわせるような記述が含まれており、不適切な部分があったというふうに理解をしております。

 今回の事案を受けまして、滋賀県において、御指摘の四市に対して直ちに指導を行いまして、不適切なものについては、既に使用を中止するなど是正をしていると報告を受けているところでございます。

尾辻委員 問題は、新聞報道などで報道されないと、結局是正されないんじゃないですかということを私は問題だと思っているわけですね。新聞がやって初めてわかるということは、そうすると、今もいろんな自治体に、もしかしたらこういう不適切なことはあるかもしれませんよね。

 一点だけ。資料の中にあります、「医師がジェネリック医薬品を使用できると判断した場合には、ジェネリック医薬品を使用してもらいます。」これは今回、不適切だということで、滋賀県は削除したわけですね。でも、先ほどの通知の中でいうと、これは不適切かどうかわからないですよね、ということもあるんじゃないかという、これも、ちょっと時間がないので指摘だけにしておきたいと思います。

 次の質問に参りたいと思います。

 生活保護法六十三条の件であります。六十三条は、生活保護を受けた後に、例えば、田舎にある不動産が売れた、年金をさかのぼって受けることができたというときに、それまで受けてきた保護費を返還しなければいけないよとか、あるいは、役所が間違って払い過ぎたときに保護費の返還を求める、これは六十三条です。この六十三条返還権について、今回、七十七条の二は、「国税徴収の例により徴収することができる。」というふうにされたわけです。これによって、六十三条返還権は税金と同じ扱いになって、非免責債権、つまり、自己破産しても免れることができないという扱いになったわけです。

 このような取扱いは自治体から求めがあったということなんですけれども、この非免責債権化は悪影響を及ぼすのではないかという意見があって、日弁連からも、七十七条の二の第二項、また、返還債権を生活保護費から天引きを可能にする七十八条の二については、削除されるべきという意見書が出ております。

 つまり、今までであれば、この国税徴収というのは、不正受給の場合のみ国税徴収ということだったんですね、国税と同じ徴収の例にするということにしただけです。でも、ただの悪意のない受け取り過ぎもこのように非免責債権化するというのは、これは私、やり過ぎじゃないかと思うわけです。

 社会保障審議会の部会でも、報告書の中に、生活保護の返還金の取扱いということで、福祉事務所の算定誤りに係る返還金を保護費との調整対象とすることは慎重に検討すべきという意見、また、先日、参考人で来られた早稲田大学の菊池先生も同様の発言をされております。

 まず、この福祉事務所の算定誤りに係る返還金、これは保護費との調整とするのはやめるべきだと思いますが、いかがですか。

定塚政府参考人 ただいま御指摘いただきました改正につきましては、現行の六十三条の返還金には、二十五年改正において、不正受給に係る返還金、これは国税徴収の例による徴収ができるようにしたわけでございますけれども、同じような規定を置いていないということから、特に自治体から、資力がある要保護者が自己破産した場合に、その返還金債権が破産管財人によるへんぱ行為の否認権の行使の対象となって、福祉事務所が回収できないという事態が生じている、こういう問題があるので改正してほしいという意見が行われ、地方分権改革等でも議論が行われたという経緯でございます。

 こうした経緯で改正をしたいと考えているわけでございますけれども、御指摘の福祉事務所の算定誤りの場合の返還金につきましては、部会の中でも先ほど御紹介いただいたような意見があるところでございますので、省令におきまして、七十七条の二により徴収できるという場合から除外する方向で検討しているところでございます。

尾辻委員 省令により除外する方向ということなので、これは省令で除外するようにお願いしたいと思います。

 更に聞きますが、七十七条の二の第二項、国税徴収の例ということですけれども、そうしますと、国税徴収と一緒ということですから、理論上、生活保護の方の資力の差押えができるようになるということになるんですか。理論上です。

定塚政府参考人 御質問いただいた点については、理論上、国税徴収の例により徴収を行うということでございますので、返還額の決定を始めとした一連の徴収手続が同じように適用されるということでございます。

尾辻委員 これは不正受給じゃないんですよ。ただ単に、例えば、年金とかが後から入ってきた。でも、もう使っちゃっている人だっているわけですよ。それで直接、生活保護の方の資産の差押えができるようになったら、困りませんか。何かでこれはちゃんと抑止をすべきだと思いますが、いかがですか。

定塚政府参考人 現行の不正受給に係る費用徴収におきましても、被保護世帯の保護金品及び最低生活を維持するに当たって必要な程度の財産の徴収は行わないということ、これをお示ししているところでございまして、今回の返還金の費用徴収に当たっても、これと同様の対応とするということを考えているところでございます。

尾辻委員 とにかく、差押えとかしてしまって、生活する人の生活が成り立たなくなるようなことというのは絶対にやめていただきたいと思います。

 あと、七十八条の二なんですけれども、先ほどの話と最初の質問ともちょっとかかわってきますけれども、天引き徴収を可能にするわけですよね。役所のケースワーカーさんと生活保護の方というのは対等では、私はないと思うんです。どうしてもケースワーカーさんの方が影響力がある、強い。その中で、あなたには払い過ぎたからねとか、年金もらっちゃったからね、だから、この分はちょっと生活保護から差し引かせてもらうからねというようなことを今回可能にするわけですよね。これはさすがにちょっと、ケースワーカーが、いや、同意と言っていますけれども、本人の同意というものが、力の差によって同意したことになってしまいませんか。大丈夫ですか。

定塚政府参考人 御指摘のような懸念も伺っているところであり、本人の同意ということを規定しておりますけれども、そこのところが確保できるように、運用上も地方を指導してまいりたいと考えております。

尾辻委員 しっかり運用をお願いしたいと思います。

 もう、ちょっと時間が参っておりますので、あと、今、いろんなところで、六十三条の返還ですね、返還債権というものは、全額返せというようなことが間々、自治体ではあります。本来であれば、必要なもの、自立を助長するものであれば全額じゃなくていいはずなのに、全額返せという指導がかなりされています。ここについても、私、かなり問題だと思っておりますので、ここも、今回新しくこうなるのであれば、六十三条で全額返還せよといったような基準や通知も少し緩めていただきたい、自立の助長のためであれば大丈夫だということがはっきりわかるように通知などでお示しいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。初鹿です。

 きょうもたくさん質問を用意してきたんですが、やはり、一言、裁量労働制のデータの問題については私からも言わせていただかなければならないなというふうに思います。

 まず、二千五百除いて九千幾つの事業場で再集計を行ったということですが、私、そもそも、調査のやり方が、事業場に話を聞いて、それで、それをもとに調査を行うというこのやり方が本当に正しいのかということを非常に、この間、疑問に思っているわけですよ。やはり、どうしても、事業場が監督官から労働時間のことを聞かれたら、できるだけ少な目に言いたくなるのが私は心情ではないかというふうに思うわけです。ですから、この九千も、私は定かじゃないので、やはり調査はやり直すべきじゃないかということをまず指摘をさせていただきます。

 その上で、このいただいた資料を見ると、除外したものがどういうものかといったら、1、一日の時間外労働が二十四時間を超えるもの。2、一日の時間外労働時間数と法定労働時間八時間を合算した場合に二十四時間を超えるもの。3、一週と月、一日と月、一日と一週について時間外労働時間数に逆転が見られるもの。

 これは、見ればわかるじゃないですか。二十四時間、労働時間、残業時間を超えていて、これをもともと除外していなかったって、一体どんな集計しているのかというふうに私は非常に疑問に思うわけです。だから、私はやり直しをまず求めます。

 それに加えて、この二十五年度の調査、これが提示をされたのは二〇一三年九月二十七日の労働政策審議会の労働条件分科会なんですよね。このときに当時の村山労働条件政策課長は何と発言しているかというと、読み上げますよ。

 本分科会で労働時間法制について調査審議をいただきます際には、いつも、まずもって今後の労働時間法制等の検討の際に必要となる実態につきまして把握を行っております。省きますけれども、それで最後は、その調査結果が取りまとまり次第、本分科会にも詳細に御報告申し上げ、議論の出発点にしていただければと考えております。

 つまり、このいいかげんなデータが議論の出発点で、裁量労働制の拡大と高プロが今回の法案に導入をされたわけでありますよ。出発点がこんないいかげんなわけですから、やり直しが必要なんじゃないんですか。少なくとも、労働政策審議会のこの労働条件分科会をもう一回開催をして、このデータ、再集計したデータをもう一回提示をして、意見を聞くべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、裁量労働制については、そういう御指摘も踏まえて、今回、全面的に削除させていただいたということでございます。

 それ以外のことについては、当委員会等々でもいろいろと、平成二十五年度労働時間等総合実態調査については、整合性がないじゃないかというさまざまな御指摘をいただきました。そうした御指摘、それから更に我々の中でも改めて精査をし、今回、こうして精査結果を出させていただいたということでございます。

 そうした中で、例えば、先ほどちょっとお話がありました、時間外の労働時間等々においてそうした大きな変化というものがあるわけではありません。そしてまた、これをベースに御議論いただきました長時間労働の是正等、あるいは割増し賃金の中小企業への適用、こういったことに対する必要性ということについては、今回精査した結果を見ても、それは何ら変わるものがないというふうに考えておりますので、これを踏まえて、我々、引き続き、誠心誠意御答弁をさせていただければというふうに思っております。

 ただ、いずれにしても、こうしたことになったこと、特に、裁量労働制も含めてでありますけれども、約二千を超える事業場について除外をせざるを得なくなったこと、このことに対してはしっかりと反省をして、今後につなげていきたいというふうに思います。

初鹿委員 もう一回言いますけれども、労働法制について調査審議する際には、いつも、まずもって実態について把握をすると言っているわけですよ。今回のこの調査で実態把握できたんですか。

 大臣、先ほど池田議員の質問で答弁しましたよね。答弁していますよね、一日の平均労働時間はわからないと。わからないんですよね、一日の労働時間は。わからないんですよね。なぜかといったら、時間外の数字はわかっているけれども、そこに法定労働時間の八時間を足すのか所定労働時間を足すのか、そこの議論があるということを言ったわけですから、わからないわけですよね。まあ、答弁でわからないとまでは言っていなかったと思いますけれども。

 じゃ、この調査で一日の平均労働時間は算出できるんですか。できないですよね。だって、時間外はわかるけれども、例えば、時間外が一時間という人が、その人の事業場によって所定労働時間は七時間かもしれないし、七時間十五分かもしれないし、八時間かもしれない。しかし、皆様方が計算したのは、八時間を足して、そして、一日の労働時間は九時間三十七分だとか九時間七分だとか。さっきの答弁では一時間三十三分だから、九時間三十三分になるということになるんだと思いますが、これは実態を全く反映していないですよね。

 一時間、時間外があったとしても、所定労働時間が七時間の人は八時間ですよ。八時間、所定労働時間があったら、一時間残業していたら、全体の一日の労働時間は九時間になるわけです。そうやって法定労働時間の八時間を足しただけでは、実労働時間は出てこないわけですよ。違いますか、大臣。

加藤国務大臣 議論いただいたのは、時間外労働時間の規制をどうするのか、また、それにかかわる割増し賃金をどうするのかということですから、その前提においては法定労働時間を超える時間数というものが問われる、したがって、それに応じたものを調査ではとった。

 しかし、私どもが出したときに、それに法定労働時間八を足したということ自体が、そのまま労働時間であるというふうに、こう御説明したことに対しては、ここでも御指摘いただいたように、所定労働時間と、そこのところはあるので、そこの使い方、もし仮にするのであればそうした注釈を足すべきではなかったか、こういう御指摘はいただいたということ、このことはそのとおりでありますけれども、議論の前提としては、法定労働時間を超える時間数をどうするかということが議論の対象であり、そして、それに必要な法定労働時間を超える時間数というものをここでは調べをさせていただいた、こういうことであります。

初鹿委員 じゃ、ここで調べたかどうかはともかくとして、この調査の結果、一日の労働時間、平均労働時間はわかるんですか、わからないんですか。

加藤国務大臣 これからは直ちには、単純に八を出せばそうだということではないということではあります。

 ただ、申し上げた、議論の前提とするのは、法定時間を超える労働時間数をどうするかという議論でありますから、それにのっとった調査を行った、こういうふうに理解をしております。

初鹿委員 そうだとしても、やはり、高度プロフェッショナル制度という時間に縛られない、そういう働き方を導入しようというときに、実際に一日にどれぐらい働いたかという数字は非常に私、重要だと思うんですよ。長時間労働の議論もしているわけですよね。そのときに、働く時間が総数としてどれぐらいになるかという実態もわからないままこの法案の審議をするということは、私はやはりおかしいと思いますので、やはり調査はやり直すべきだと思います。

 そして、今指摘をしたように、やはりこのデータをめぐってまだまだ質問しなければならないことはたくさんあるので、ちょっと、私もほかのことをやりたいのできょうはこれで終わりますが、あしたの委員会は、法案審議ではなくて、このデータの問題を集中審議で行っていただきたいと思います。

 委員長、取り計らいをお願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 じゃ、よろしくお願いします。

 それでは、本題の生活保護法の方に入ります。

 皆さんのお手元に、一枚、一番最初に資料、NHKのニュースを提示させていただきました。済みません、質問通告をした後に私この記事に気がついたので、きちんと通告がされていないので、詳しいことはお聞きしません、単純なことしか聞かないので、お答えいただきたいと思います。

 今回、生活保護引下げについて憲法違反だということで、提訴が行われました。五年前の改定のときも訴訟になっておりますよね。二回続けてこのような引下げについて提訴が行われたということについて、大臣、どうお考えになっておりますか。

加藤国務大臣 済みません、訴状を確認していないので正確なことは言えないんですが、この訴訟は、今回まだ議論しているやつではなくて、過去のやつではなかったかという認識をしているんです。もし違ったら訂正させていただきますけれども。

初鹿委員 訴訟自体はそうなのかもしれませんけれども、ここに書いてあるとおり、ことしの秋に更に引き下げられる予定で、更に引き下げられるという前提でこれは提訴されている、そういうことなわけで、つまり、このタイミングで訴訟が行われているというそこについて、やはり、どういう認識を持っているのかということを私は聞きたいわけであります。いかがですか、こうやって引下げについて訴訟を起こされているということについて。

加藤国務大臣 訴訟そのものの対象になっているのが前回の引下げだということであれば、前回の引下げそのものも生活保護法等に基づいて実施をしたものということでありますから、そういった意味で、我々がこうした法律を提案させていただいている、あるいは成立していただいた法律のもとで執行している、そのことについての必要性をしっかりと、訴訟ですから、どういう言い方をすればいいかわかりませんけれども、主張していきたいというふうに思います。

初鹿委員 やはり裁判、提訴するに至るまでの心理的な葛藤というのは非常にあったと思いますので、それぐらいに引下げが深刻だという、その重みはぜひ受けとめていただきたいと思います。

 その上で、具体的な中身に入っていきますが、まず、今回の生活困窮者自立支援法等改正案の中には、幾つも、いろんな法律が入っているわけですね。今回、まず最初に、児童扶養手当について取り上げさせていただきます。

 児童扶養手当については、我々野党は、毎月支給ということで、今回、対案というか、法案を提出させていただきました。一昨年、昨年ですかね、も出させていただいているわけですけれども、私、非常にここはこだわりたいんですよ。

 というのは、家賃にしても、光熱費にしても、子供の塾代にしても、毎月毎月支払うものが普通の生活の中では圧倒的に多いわけですよ。その中で、手当が、今まで四カ月に一回だったのが二カ月に一回になる。これは前進でいいんですけれども、やはり毎月ではないということになると、どうしても、手当が入らない月に足りない分を先食いをしてしまって、それがどんどんどんどん家計を圧迫していくことになるという実態があるわけです。

 しかも、生活保護世帯においては、手当が出る分が収入認定されて、減額されてしまうわけですね、手当が出ない月には。生活保護費というのは、憲法二十五条で定める最低生活、健康で文化的な生活を担う、最低限度の生活を賄う費用として生活扶助費が決められていると思うわけですが、そこから大体五万円ぐらいの金額が引かれているということは、最低生活を割るんじゃないんですか、最低生活を賄う水準を割っているんじゃないかと思うわけですけれども、これは憲法違反には当たらないんですか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護法の基準を定めております第八条一項でございますが、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」とされております。

 これに基づきまして、具体的には、一カ月を単位として、最低生活費と収入認定額、比較の上、各月の保護費を決定しているわけでございます。

 この算定に当たりましては、児童扶養手当、年金など、複数月分がまとめて支給される収入については、御指摘ありましたとおり、実際の支給額を受給月から次回の受給月の前月までの各月分に分割をして計上するということとしているわけでございますが、これは、こうした手当、年金の受給者は、これらの収入を次回の支給月までの間の生活需要に充てるということとされているということを踏まえた取扱いでございまして、一月の保護費だけに着目をして、必要な額を保障していないということにはならないと考えております。

初鹿委員 次回に充てるからいいんだ、そういうお話ですが、じゃ、生活保護を受け始めたとして、最初に受ける月が支給月じゃないときは、その分減額されているわけですよね。それは、その月の最低生活を賄える費用じゃないわけだから、憲法違反じゃないんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 失礼いたしました。

 具体的に収入認定をする場合には、その収入が手元にあるかどうかということも判断して認定を行うということですので、実際、その額が手元にない、あるいは入ったけれども使ってしまったというような場合は収入認定は行わないという取扱いをしているということでございます。

初鹿委員 ちょっと意味がわからないんですけれども。

 私が言ったのは、最初に生活保護をもらいに行くときに、収入認定をしない、要は収入がなかった場合はそれは減らないということなんですか、最初の月は。そうすると、児童扶養手当が一カ月分もらえなくなる、支給されなくなるということなんですか、支給日のときには。それはどういう扱いになるんですか。ダブっちゃうじゃないんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 例えば、ある月に生活保護を開始する、その前の、例えば二カ月前に児童扶養手当をもらっていたけれども、もう生活保護開始のときには使い切ってしまっていたという場合には収入認定はしないということでございます。

初鹿委員 いずれにしても、やはり、手当が入らないで収入が少ない月があると、どうしても、臨時の費用とか出たときとかにお金を使うと、どんどんどんどん先食いになるわけですよ。

 例えば、電気製品が壊れました。生活保護世帯は預貯金しちゃいけないわけですから、五万円とか十万円の支出をなかなか手元から出すというのは難しいわけですよ。一時扶助でもらえるということになっても、それも後払いなわけですから、先食いがどんどんどんどん重なっていくと、結果として後から入ってきても、家計のやりくりが大変になって、それで行き詰まるということを、やはり常々言われるわけですね。

 そういうことを考えると、生活保護受給者については、収入認定をして減額をするということをやめて、毎月きちんと同じ額が入るようにすればいいんじゃないか。

 そもそも、支払っているのは同じ自治体なわけですから、自治体の中で調整して、私は前にも提案したと思いますが、児童扶養手当を自治体が代理受領できるようにして、そして毎月平均的に払うようにすればできるんじゃないかと思うわけです。

 今の制度は、法律上、本人じゃないとだめだということですから、それは、じゃ、例えば、例えばですよ、本人の同意をもらって、本人の通帳をケースワーカーが預かって、そこから毎月均等になるように払うとか、何かそういう工夫をして、きちんと毎月同じ額が支払われるようにする必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

定塚政府参考人 御提案のようなことを実現しようといたしますと、先ほど申しましたような、そもそもの考え方ということもございますけれども、児童扶養手当を、全ての生活保護世帯に対して、毎月、生活保護費の算定基礎からその部分を変更するということになります。これは福祉事務所の算定が毎月変わってくるということになるわけでございまして、大変な事務負担の増大ということになり、場合によっては過誤などのミスを招くおそれもあるということで難しいのではないかと考えているところでございます。

 一方、改正法案は年三回から年六回ということで考えておりますので、児童扶養手当の支払いは。そういう点では、生活保護を受給する収入の波というのも小さくなると考えておりますし、さらには、御懸念いただきましたように、計画的な家計管理をしていないと使い切ってしまうということが多々起こりがちでございますので、こうしたところも、ケースワークによって家計管理に課題を抱える家庭については金銭管理支援を行うということが重要であると考えておりまして、ことし四月からそうした事業も開始しておりますし、家計管理能力の向上ということを図ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 計画的にやっても、さっき言ったように、緊急で必要なものが出てきたときに、それを一時扶助でもらおうとしても、後払いになるから、どうしても先食いというのが起こっていって、それが結果としてだんだん生活が苦しくなるということもぜひ御理解をしていただきたい。

 その上で、今回すぐにできないとしても、生活保護世帯については毎月均等に支給できるように。それで過払いがあったら後で調整すればいいわけですよ。それは自治体が大変かもしれないけれども、それを自治体の側が負担をするのか、それとも受給者の側に負担を、しわ寄せを押しつけるのか、どちらが行政のやるべきことかといったら、私は自治体が頑張るべきだということを思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 では次に、児童扶養手当と、あとさまざまな公的年金についての関係についてお伺いします。

 今、現状だと、公的年金を受給していると児童扶養手当が支給されない、若しくは、児童扶養手当の額の方が大きい場合はその差額分が支給されるということになっているわけですが、十分に年金事務所の窓口の方がわかってはいると思うんですけれども、不親切なのか、きちんと年金の申請に来た方に、そういうことになっているということを伝えていなくて、児童扶養手当支給をとめるように自治体の方に行かなければいけない、それを、手続をやらないためにもらってしまっていて、後になって返還が求められる。そのときには、今までだと、既に、三回払いで四カ月分入ってくるわけですから、二十万ぐらい入って、使っちゃった後に、返してくれということになって、わあこれは大変だということになっている、そういう指摘を受けるわけであります。

 ですので、いま一度、年金事務所にきちんと、申請に来た方に、児童扶養手当がもらえなくなるので手続をちゃんとしてくださいねということはきちんと丁寧に説明してください。

 それと、今、マイナンバーも導入されてきているわけですから、本来なら、年金事務所の方から自治体の方に、○○さんが申請に来ました、これで決定をするときに、自治体の方に、年金を支給することになったから児童扶養手当支給をとめてください、そういう連携を図れば本人の負担も減るんじゃないかと思いますが、このような連携をとることはできないんでしょうか。

牧原副大臣 まず、年金受給手続を行う方のうち、児童扶養手当を受給している方の割合というのが〇・二六%と非常に少ないために、お一人お一人に、窓口に来られた方に児童扶養手当を受給しているかどうかを確認して説明をしたり、その結果をそれぞれの自治体に連絡したりするということはなかなか難しいと考えておりますが、現状でも、子供がいるとかそういう形で児童扶養手当を受給しているというふうに考えられる場合には、御本人に対して、年金が支給される期間については児童扶養手当が停止又は一部支給になる、あるいは、市町村から児童扶養手当の返還請求があることを御案内しているものと承知しております。

 ただ、議員からもう既に、以前にもこうした御指摘をいただいておりまして、機構から、取扱いを年金事務所に徹底するということを回答させていただいておりますし、また、今後、日本年金機構から新規裁定者全員に、年金発送時に、児童扶養手当を受給している場合は返還が生じる可能性がある旨のお知らせを送付することについて検討を進めておりまして、先生の御指摘を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。

初鹿委員 済みません、時間がなくなってきたので、きょうは文科省からも新妻政務官に来てもらっているので、ちょっと制服の問題に行かせていただきます。

 ことし、中央区の公立学校でアルマーニの制服を導入するということで非常に話題になり、私は非常に不適切だというふうに思いました。文科省も、これはやはり問題だなということで、通知を出していただいていることは御承知をしております。

 その上で、きょう質問させていただきたいのは、生活保護で、子供が、お子さんが入学する際に入学準備金が支払われます。以前から私は指摘していましたが、これでは十分に賄えないんじゃないか。それに応じていただいて、今回引上げをしていただけることになりました。小学校で六・三万円で、中学校で八万円。私は非常にこれはありがたいなと思うんですけれども、やはりこれでも足らないんですよね。

 今資料をお示しさせていただいておりますが、朝日新聞、二年前の記事ですけれども、ある市の制服、体操服まで合わせると九万七千円を超えている。次のページ、公正取引委員会ではきちんと調査してもらって、それでも、価格帯で一番多いのは三万から三万五千円ということで、これでランドセルを買ったりいろんなものを買ったりしていると、やはり十分に賄えないじゃないかと思うわけです。

 そこで、私は、この入学準備金の範囲内で買えるように、制服の価格、標準服ですね、価格の上限をきちんと決める、それも、制服だけじゃなくて体操服も含めて合算した上限がこの範囲内におさまるようにするべきじゃないかというふうに思います。

 それと、要保護世帯、じゃなくて、準要保護世帯には就学援助が出ております。就学援助も国基準というものが決められていて、その金額は、これまでは、入学準備金に合わせて小学校四万六千円の、中学校四万七千四百円で、半分、国が負担をしているということでしたが、この就学援助の国基準は、こちらの生保の入学準備金に合わせて今回引上げはしないのかどうか。

 この二点、ちょっと御確認させてください。済みません、早口になってしまいまして。お願いします。

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

新妻大臣政務官 答弁申し上げます。

 まず一問目、就学援助制度についてなんですけれども、要保護者と準要保護者に対して市町村が必要な援助を行うものですけれども、生活保護法に規定する要保護者につきましては、市町村が行った支援に係る経費の二分の一を国が負担しております。

 標準服等の学用品の選定については、各学校において適切に判断すべき事項と考えておりますけれども、その選定に当たっては、生活保護世帯を含めて、保護者に過重な負担にならないよう配慮することが必要であると考えております。

 このため、文科省におきましては、従来より、要保護児童生徒援助費補助金の事務処理通知におきまして、各教育委員会に対して、保護者負担が過重なものとならないよう留意することが重要だという指摘をさせていただいております。

 さらに、本年三月には、教育委員会等に対し、従来の通知内容に加え、保護者等ができる限り安価で良質な学用品等を購入できるよう、所管の学校における取組を促すとともに、各学校における取組内容の把握に努めること、そして、学校における通学用服の選定や見直しを行う場合は、保護者等学校関係者からの意見を聴取した上で決定することが望ましいこと、これを内容とする通知を発出したところです。

 文科省としては、引き続き、自治体に対して各会議等において働きかけを行ってまいります。

 また、二問目の就学援助の単価の引上げについてなんですけれども、平成三十年十月、生活保護基準の見直しにおいて、入学準備金の支給上限が引き上げられることになった、これは承知しております。

 一方、就学援助におきましては、要保護者に対する国の補助金について、平成二十九年度より、制服代を含む入学時に必要となる費用として支給される新入学児童生徒学用品費等の予算単価を、小中学校とも約二倍の金額に引き上げました。

 文部科学省としては、引き続き、保護者の教育費負担の軽減について検討していきたいと考えております。

 以上です。

初鹿委員 質問を残してしまいましたが、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 国民民主党の岡本です。

 きょうは、改めて生活保護法や生活困窮者支援の法律について質問をしていきたいと思いますが、先ほどの尾辻委員と厚労省とのやりとりを聞いていて、やはり平成二十五年の法改正前にジェネリック使用を原則とするということにしたのは、ややちょっとやり過ぎだったんじゃないか、文書として。

 そこはやはり問題があったという認識は、あのやりとりを聞いていて私は思ったんですけれども、その点ぐらいは、大臣、どうですか。ちょっとやはりやり方に丁寧さに欠けるところがあったとか、そういう意味で問題意識を持たれますか。

加藤国務大臣 一般論で申し上げると、そうした法改正があれば、法改正後に、それを踏まえて通知を出して、その実行を図っていくというのが一般的なやり方なんだろうというふうに思います。

 ただ、その一般的でないやり方を、当時、なぜそういうことになったのか、ちょっと私も全部当時の状況がわかりませんから、ここで一概に適切だったか適切でないかということは申し上げられませんけれども、一般論で申し上げれば、今委員御指摘のような、法律改正し、それが成立し、それを踏まえてさまざまな通知等を出す、これが一般的な流れなんだろうなというふうに思います。

岡本(充)委員 ここで答えられないのなら、やはりそれはちょっと一回調査するべきですよ。なかなかこの政策は難しくて、苦労されているのはよくわかりますよ。いろいろな政策を立てる中でも、どっちから見るかによって物事の見え方が大分違うので。だからこそ、丁寧にやらなきゃいけなかった。

 そういう意味で、どうしてそういう通知が法改正前に出てしまったのかということはやはり調べるべきだと思いますし、ぜひ調べていただきたいと思いますが、どうですか大臣、それは。

加藤国務大臣 細かいところはどこまで、当時の話ですからわかりませんが、少し経緯は追ってみたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 その上で、私も同じように関心事で、今回、厚労省が配っていた配付資料に、ジェネリック医薬品の使用をより促進していく、原則化していくという話があったわけでありますが、そんな中、厚労省に、ちょっとイメージをつくってよと言ったら、お配りした最初の三枚の図が出てきました。

 ここで確認をしておきたいのは、結局、今回、原則化後ということになっていますが、そもそも厚労省として、生活保護受給者以外の皆さん方もジェネリック医薬品の使用を原則化していく、こういう方向の検討はこれからしていくことになるのでしょうか。

 保険局長でもいいです、お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。来られていないか。じゃ、定塚局長にお願いします。

定塚政府参考人 今回、生活保護について、ジェネリック原則化ということで改定をさせていただくわけでございます。

 もちろん、大きな流れとして、ジェネリックの使用促進ということは、省を挙げて、一般も含めて進めていくわけでございますけれども、では、一般の、生活保護以外について今回の生活保護のような同じ改定をするかというと、私の聞いている範囲では、そのような検討は今のところされていないと伺っております。

岡本(充)委員 済みません、答弁者は役所の方にお任せしたら保険局長は登録されなかったようですから、これは大臣にちょっとお聞きしたいんです。

 表現についても、私はやはり検討するべきだと思うんですよ。原則化とかいうと、何かやはりちょっと厳しい、きつい言い方だよなと私は思っていて、実際のところはどうなのといって見ると、一ページ目はそうなんですけれども、基本的に、例えば一番最初、先発・銘柄名処方の場合ですと、もちろん先発で処方箋上の変更不可のチェックがあれば、生活保護受給者の方もそれ以外の方も先発医薬品が処方される。チェックがなかった場合にどうなるのかというと、やはり薬剤師によってジェネリック医薬品の使用を促すんですよね、現場で、どうですかと。促してもらうようにしていますよね。じゃ、ジェネリックにしましょうかという話になれば、薬剤師から医師への情報提供もある中で後発医薬品が処方される。

 一方で、いやいや、どうしても私は先発がいいんですという人もいます。そういう場合には、そこでやはり医師への情報提供をする中で、後発医薬品にするのか、それとも、そこで医師の方から先発医薬品がいいよ、やはりいいよと言われたら先発にする、こういう流れになるわけです。

 したがって、処方の流れ、これはほかのやつも見ていきますけれども、ここがちょっと違っている。

 一方で、後発・銘柄名処方の場合はどうなるのかというと、基本的に、一般の医療保険証をお持ちの方と生活保護受給者の方と、先ほどお話をした、チェックありなしにかかわらず流れが一緒。

 最後、一般名処方のときも、先ほどの先発・銘柄名処方と同様に、薬剤師が説明してジェネリックの使用を促した後も本人が先発を希望した場合にのみ若干フローが変わってくるわけでありますが、基本的に、医師の処方権を侵害しない範疇でジェネリック使用を促しているというこの方針は変わらないわけなんですよ。

 したがって、大臣、私がここまで説明している話は間違っていないですよね。間違っていないと言っていただいた。そういう意味で、促しているわけだから、やはりこれは今後とも、今回、生活保護の方だけに何か不利益をもたらすようなことがあってはならないし、そういうことがないようにしなければならないというのは当たり前のことなんですが、その上で、それ以外の皆さん方、もっと言えば、どのような健康保険証の方であれジェネリック医薬品の使用を促していく、これを進めていく以上は、私が今説明をしたフローでいけば大きな差がないフローになっていくという方向でいいのかどうか、ここについて確認をしたいと思います。大臣で結構です。

加藤国務大臣 ジェネリックについて、医療全体の使用割合は三十二年九月までに八〇%、できる限り早期に達成、生活保護の使用割合については平成三十年度まで八〇%、若干時期は違いますけれども、いずれにしても八〇%を目指してやっていく。

 そういった意味において、一般の方においても、ジェネリックの使用について、今ここでお示しをいただきましたけれども、実際、特に先発品を使えとなっていればともかくとして、そうでない一般的な場合については、薬局においても、ジェネリックどうですか、こういうことで対応させていただいているということでございます。

 ただ、生活保護者と一般の者との違いは、結果的に、一般の者の場合には、ジェネリックと先発品との差額は本人が自己負担割合の分だけ負担をする、こういうこともあるわけでありますし、他方で、生活保護の場合は、もう委員御承知のように、そういった負担がないということもありまして、その辺も踏まえて、今回こうした形での対応をお示しさせていただいているということでございます。

岡本(充)委員 そう言いますけれども、大臣、御案内のとおり、トータルで見た場合の全医療費における公費負担の割合は九割近いわけなんですよ、押しなべて見ると。公費、保険料で見るとね。自己負担割合はどのくらいかというと、一一から一二%だったと思いますよ。私、きょう資料を提出していませんけれども。見られたことはあると思います。

 そういう意味でいえば、一般の方は一割でも払っているんだからと言われるのかもしれませんけれども、やはりかなりの部分が保険料や税で賄われている仕組みなんだということを考えると、今大臣が言われるほど、そんなに差をつけるような話なのかなという気がしなくもないんですね。だから、もっとジェネリックの使用を適正に推進をしていく、促していくという取組をやっていけば、この差が私はなくなってくるんじゃないかというふうに思うんです。

 この考え方について、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、生活保護受給者であれ、そうでなくても、後発医薬品を使える場合においてはしっかり使っていただく、このことは大変大事な視点であると思いますし、それは結果的に医療費を抑制をし、そしてその結果として保険料の負担あるいは税金の負担の抑制、あるいは伸びを抑えていくことにはつながっていく、それはそのとおりだと思います。

岡本(充)委員 私は別に医療費の伸びを抑制しろと言ったわけではないですからね、大臣。抑制をしろと言っているわけじゃなくて、適正にするべきだ、こういうことであります。

 その上で、ちょっと今度は二点目の質問に移りたいんですけれども、ここでも議論になりまして、我々の法案を出したんですけれども、児童扶養手当の支払い回数を、今回、年三回から六回にする。これを毎月支給にすると、国、地方にどれだけの負担が生じるというふうに考えているのか、それから、結果として、今回、毎月支給にしなかった、六回にとどめた理由は何なのか、もう一回整理して答えていただきたいんです。どちらでもいいです。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

吉田政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当の支給回数を見直すことによってどれぐらいの業務負担が出るかということにつきましては、今回私どもが提案させていただいている年六回であれ、また今御指摘の毎月であれ、それぞれ自治体の事務負担は、その職員体制あるいはその抱える児童扶養手当受給者が異なるために、なかなか正確に定量的に見積もることは困難だというふうに思っております。

 今回の見直しに、私どもとしては、平成二十八年の児童扶養手当法改正の附帯決議を踏まえて、実際に行っていただいている自治体に、事務負担について、回数増の可否、あるいはそのために必要な運用の見直しなどについて調査あるいは追っかけてのヒアリングをさせていただいた結果として、さらに、地方三団体とも調整をし、必要な事務処理の見直しもあわせた上で、現行の年三回から六回にふやすことが可能だということになりましたので、法案として提出させていただいて議論をいただいているということかと思います。

 毎月ということになりますと、そのアンケートあるいはヒアリングにおきましては、可能であるというふうに御回答いただいたところが全体九百二回答の中の四十四、全体の四・九%程度ということなので、私どもとしては、なかなか困難であるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今回、私どもの提案においても事務が変更、現場においてはふえるという形になりますので、その影響について引き続き精査をし、総務省とも連携しながら、適切に事務処理が実施できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 ちょっと更問いで聞かせてもらうんですけれども、今の話だと、アンケートに基づいて十二が難しいと言った。では、その難しい理由までは聞いているんですか。具体的にどういう理由で難しいのか、そして、結果としてそれが何件ぐらいあって、だからできないんだ。

 いや、アンケートに基づいて政策立案をする、それはそういう考え方もあるでしょう。捜している間にもうちょっと聞くから、捜してもらっていていいですよ。

 アンケートに基づいてやるということもいいけれども、本当にどのくらい金額がかかるのか、何が課題なのか、やはりきちっと洗っておかないと、今後、もし十二にするという議論が出てきたときに、果たしてそれが乗り越えられるのかということになるわけでありまして、結局何が壁なのか、はっきりさせておかなきゃならぬですよね、大臣。

 そういう意味で、今、金額がどうなのかとかいうことははっきりするわけですよ、どういう調べ方をするかにもよりますけれども。もう少しそうしたできない理由、今回は六回にとどまった理由というのを明らかにしておくべきだと思うから、更に問いたいと思います。どうぞ。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 大変恐縮です。正確にそのアンケートを整理をした具体的な計数までの資料は今手元にすぐ出てまいりませんけれども、定性的に、そこのアンケートの中で毎月支払いに対しての難しさという形で自治体から御指摘をいただいておりますのは、多くの自治体が、児童手当と同じ担当部署でこの児童扶養手当を扱っているということもありまして、児童手当の支払い月が二、六、十という形になっていることとの間で、児童扶養手当と児童手当を同一月に行うことについては、事務過重、あるいは場合によっては過誤を招きかねないリスクがあるというような御指摘をいただいておりましたり、あるいは、支給認定をするに当たりまして、請求時あるいは定時的に支払っていただくために、住民票等で事実婚でないことですとか子供の養育関係などの受給資格などを確認するという事務を今行っていただいておりますけれども、そこに至るに当たって、十分確保できる期間が必要であるかとかいうことについて懸念をされ、なかなか現実問題としては難しいという御意見をいただいているというところでございます。

岡本(充)委員 まあ、それは理由として挙がっているのかもしれないですけれども、私はやはり、政策として決定をすれば、いずれもが乗り越えられる課題のように聞こえてならないんですね。やはり、役所側の都合でそう言っているけれども、じゃ、二、六、十は絶対今後とも児童扶養手当は支給できないのか、そんなことないと思いますよ。やはり認定の仕方も違うわけだし、さっきの話で、調査だってそんなに毎月毎月ずっとやっているわけじゃない。決められたときに調査をしているわけで、対象者がどうなのかというのを定時的に調べていく中で、その調査のタイミングをずらせばいいだけですから、やはり、これは工夫さえすればできることだったと思います。

 そういう意味で、これは大臣、やはり、毎月支給に向けてこのハードルが乗り越えられないか、更に調査を進めていくという御決意ぐらいはいただけませんか。調査を進めていくだけですから。

加藤国務大臣 これまでは年三回だったんですね。それをいろいろ御議論いただきながら、いや、なかなかそれは難しいということで、今回、年六回、二カ月ごとということに、ここまで踏み切ってきた。それに当たって、今のアンケートもあります、それから、それぞれ都道府県等の担当者との間でもいろんな議論を積み重ねてきた、結果において今回こうしたことを踏み込んだということであります。

 調査と委員おっしゃいましたけれども、現在、この決めた六回もまだ支給していませんから、まずこの支給においてどういうことになっていくのか、そういったことをしっかりフォローしながら、やはり実態を踏まえていかないと、今委員の御指摘はそういうことだと思います。実態を踏まえていかなきゃならない。

 他方で、児童扶養手当を、より、毎月というニーズがある、そういった御議論もそうだと思いますし、一方で、児童扶養手当よりも、児童手当というのもありますけれども、その辺を含めてどうなっているのかということ等も含めて、これは引き続き検討する課題であるということはそのとおりだと思いますが、まずは、私どもとして、六回ということでお認めいただければ、この六回がしっかりとやっていけるか、また、その中でどういう問題があるのかないのか、そこをしっかりとまずはフォローアップさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 今の話ですと、六回やって、その課題を見ながら、十二回ができるんなら、それは十二回についてもまた検討していく、そういう理解でいいわけですね。まず六回やってみて、困難を確認して、その上でまた、できそうかどうか見きわめながら、十二回が本当は望ましいなと私が思っているこの思いは、大臣、共有してもらっている、こういう理解でいいですか。

加藤国務大臣 多分、受けられた方も、できれば毎月の方が家計管理をしやすいとか、いろんな問題はあるんだろうというふうに思います。

 ですから、今、まずはこの六回が支給されたということ、そこをしっかりと実施をし、また、その中での状況をまず踏まえさせていただきたい、そこから先は、踏まえたところからまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 大臣、その役所の答弁ですけれども、そこはやはり政治家として踏み込むべきじゃないですか。えらい保守的ですね。残念だな。笑ってみえるけれども、やはりこれは、本当に政治家として踏み込むべきところだと思いますよ。

 じゃ、続いて、次の話に行きたいと思います。

 本会議で質問したんですけれども、生活保護世帯が一体どのくらいお金を、若しくは現物を給付を受けているのか、そのイメージが、私、やはりなかなか世の中にない。もっと言うと、生活保護世帯が生活保護を廃止してひとり立ちをしていくためには、私、物すごい段差があると思っているんです。物すごいギャップがあると思うんです。それで、これはくどく聞いているんです。本会議でも聞きました。

 平均的な医療費がかかる中、通院をする四十代の夫、三十代の妻、そして小学校低学年と保育園に通う二人の子供がいる四人世帯が東京二十三区で生活保護を受けながら生活をしている場合に、生活保護で受ける現金、現物給付に相当する賃金を得るために、一体幾らの額面での年収が必要となるのか。つまり、平均的な医療費を足してください。それから、その年収であればかかるであろう国民健康保険料、そして国民年金、わかるわけですから、それを足し合わせて、額面で一体幾らになるのか、これを金額でお答えをいただきたいと思います。事務方でいいです。

定塚政府参考人 本会議での答弁では、今御質問いただいたような御家庭の場合に、一定の仮定のもとで試算をすると、平成三十年四月時点で年額約三百四十万円となるという御回答を差し上げていると思います。

 この額と同額の支出を行いまして、かつ、税金、社会保険料などを支払うために必要な年収については、社会保険制度の加入状況であるとか保育料など、世帯の状況によってさまざまではございますけれども、この点につきまして、仮に、夫婦ともに協会けんぽ、厚生年金に加入をして、かつ、医療費の自己負担分については世帯員全員が生活保護受給者の平均程度に医療を受けているなどの仮定を置きますと、お尋ねの税、社会保険料等を支払うために必要な年収は、年額約四百二十万円となります。

 なお、この前提のもとでは、社会保険料は年額約六十万円、医療費の自己負担分は年額約二十万円となるところでございます。

岡本(充)委員 それは厚生年金の保険料も入っていますか、それから住民税も入っていますか。

定塚政府参考人 今申し上げた金額は、所得税、住民税、それから保険料等全て含んだ数字での試算でございます。

岡本(充)委員 この四百二十万円という金額、平均的なサラリーマンの年収は大臣、幾らぐらいだと思われますか。

加藤国務大臣 ちょっと済みません、手元に数字がないので正確な水準はあれですけれども、たしか四百万から五百万ぐらいの間ではなかったかなというふうに思います。

岡本(充)委員 これは出し方にもよるけれども、三百万円台という資料もいっぱいあるわけですよ、世の中。その四百二十万円が適正か適正じゃないのかという話もあるけれども、これだけの所得水準を確保しなければ、生活保護から脱却したときに自分の生活は苦しくなるんですよ。

 この金額を稼げるように頑張ってもらいたいという気持ちがある、そうなるためには段階的にやはり応援していかなきゃいけないというのが私のかねてからの持論で、いきなり廃止して自立しなさいといって、これだけの給料がなければ今の生活を維持できないという話になると、これは大変なんだよ。(発言する者あり)いやいや、そう言われるが、そうなんですよ。

 それで、その話の中から、二十五年の法改正で、資料にある、就労による自立の促進で、就労自立給付金の創設というのが行われた、こう理解しています。そういう理解でいいですよね。

定塚政府参考人 今御指摘ありましたとおり、生活保護から脱却するときに、特に税、社会保険料等がかかるということがございますので、これを踏まえて就労自立給付金ができたと承知をしております。

岡本(充)委員 その四百二十万円が一例ですけれども、結局のところ、ではどれだけお金がもらえるのかというと、ここのポンチ絵にあるように、月額七万六千八百円の就労収入のある者が六カ月積み立てて、脱却した時点で一括支給を受けた場合というので、そもそも七万六千八百円のうち、基礎控除を除いた五万五千六百円分が保護費から毎月控除される。その上で、脱却できたら九万五千円ですといっても、先ほどの、例えば、想定される厚生年金や、また、初年度は住民税はかかりませんけれども、協会けんぽの保険料、こうしたものをもし払うとすると、九万五千円だと何カ月分になるんですか。

定塚政府参考人 就労自立給付金の支給額の上限でございますけれども、単身世帯十万円、多人数世帯は十五万円としているところでございます。

 この考え方としては、保護脱却直後に増加する税金、社会保険料等の負担分を念頭に置いて、その三カ月程度を賄える額を目安として決めているということでございますので、御指摘のとおり、少し足りない分はあるかと存じますけれども、基本的には、税、社会保険料等負担分の三カ月分という理解でございます。

岡本(充)委員 だから、この七万六千八百円、生活保護を受給しながらアルバイトなりなんなりで収入を得ている人が、では離脱をしました。この先ほど言ったモデルケースの場合、一体何カ月分の税、社会保険料になりますか、住民税は当月かからないという前提のもとで。計算してください。

橋本委員長代理 通告されていますか。(岡本(充)委員「している」と呼ぶ)

 では、とめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 では、速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 申しわけございません。

 これはかなり複雑な計算を要しまして、この資料のイメージ図にあるところは単身世帯を想定をしておりますけれども、上の支給額というところにあるとおり、単身世帯ですと十万円、多人数だと十五万円ということでございまして、大まかに言って、先ほど申したように、三カ月分の税、社会保険料を念頭に考えているということでございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 だけれども、上限がそうであって、七万六千八百円を例示で出しているんだから、これで言った場合、単身であろうと多人数であろうと、上限に行かない、九万五千七十八円なら。だから、これで何カ月分なのか。

 さっきの四百二十万円の額面、手取り三百四十万円、ちょっと計算しながら聞いていてくださいよ、それで割り戻せば何カ月分か。住民税の分だけ引けばいいじゃないですか。それで割ったら、幾らになるんですか。

定塚政府参考人 こちらの資料の方は単身で、先ほど申し上げたのは子供がいる世帯なものですから、単純に計算することがなかなか難しいという状況でございます。

岡本(充)委員 議論がかみ合っていない。

 これは、単身であれ、複数いようと、みんなで働けば別だよ、誰か一人が働いて、家庭の所得が七万六千八百円だから、多人数であろうと単身であろうと、掛ける割合はこういうふうになるんでしょう。違うんですか。金額は変わるんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 定塚社会・援護局長。

定塚政府参考人 申しわけございません。

 単身世帯の場合はちょっと今計算できない状況にありますけれども、先ほど申し上げた、お子さんがいる世帯の場合で、脱却後に生じる公租公課は一カ月当たり約五万円と算定できますので、五万円の三カ月分ということですと、十五万円という部分が税や社会保険料の部分ということになります。この十五万円というのがこの支給額の上限とされているというところでございます。

岡本(充)委員 十五万円の根拠を聞いているわけじゃないんですよ。

 余りちょっと優しいといけないから、本当はここでとめるべきところだけれども、これはちゃんと整理して、きちっともう一回説明してもらって、私、またチャンスを見つけて質問するから、それまでにきちっと整理して、答弁できるようにしてくださいよ。これじゃ、ちょっと話にならないですよ。

 それで、これはやはり金額が足りないんじゃないかと思っているんですよ、大臣。

 大臣にぜひ聞いていただきたいのは、この間ずっとやりとりしていたのは、本当にこの金額で、脱却したときの支援として、非常に段差が大きいときの一助となり得るのかと。それは、ないよりましですよ。でも、これはさっき言った、大きなギャップができるところを本当に埋めることになっているのかと。

 しかも、これは何で六カ月なんだ、もっと長く積み立てたっていいじゃないかと。長く働いていけば積立額が減っていくというこの考え方、つまり、十五万円、十万円におさめるためにかもしれないですけれども、長く働いていくと、積立ての割合が認定額の三〇%から一二%と半減以下になっちゃうんですよ。これは数字におさめるための、無理くりやったんじゃないかとしか思えない。

 やはりこれは、しっかり頑張って働いて、ステップを踏んでしっかり稼いでいって、少しでも、どんどん稼いでいって、脱却に向けて頑張るんだというのを応援していくのなら、長く頑張って、長いスロープを上がって、いきなり難しいですよ、四百二十万円の仕事を探してこいと言われたって。それは難しいんだから、長いステップを踏んで、少しずつ給料が上がっていって、そういう中で脱却ということになれるという、ここを応援していかなきゃいけないという意味においては、長く働いたらいわゆる収入認定額のパーセンテージが落ちていくというのはどうかということもあるので、これもあわせてまたちょっと議論をしたいと思うから、改めてまた説明を求めたいと思いますから、きょうはいいです。

 必ず来てくださいよ、説明に。必ず来てください。

 その上で、ちょっと次の話に行きたいんですけれども、もう一つ大変気になる話があって、これも私、かねてから気にしているんですけれども、皆さんにお配りしている資料では、ジェネリックのページの次に、四ページ、五ページですか、医療機関で入院している患者さん、三カ月間、一〇〇%生活保護の人しか来ない。入院外、診療所で、診療所というのはみんなにオープンにしているんですよ。オープンにしているのに、健康保険証を持っている人が三カ月間一人も来ない。全部、生活保護の人だけが来る。どんな診療所なんですか。実態を見られているんですか。

 これはどういうようなことになっているんでしょうか。例えば調剤薬局だって、一〇〇%生活保護の人しか来ない調剤薬局というのはどうなっているのかというのは、にわかには想像つかないんですが、これは、平成二十三年と平成二十九年、ほとんど数は変わっていません。

 どういうような医療機関、どんな形で経営しているとこういうふうになるのか。これは大臣、報告を受けていますか。

加藤国務大臣 今の委員の御質問は、そういう病院等々というのはどういう状況なのかということ。

 私が報告を受けているのは、今委員がお出しいただいた、こういった件数があるということは承知をしておりますけれども、具体的にそうした病院がどういうふうにやった結果として生活保護者しかいないんだということについて、個々説明を受けたことはございません。

岡本(充)委員 手前みそですけれども、昔、調べてきてくれよという話を、私、言ったことがあるんです。平成二十三年のころの調査。私が聞いたときには、写真も見せてもらいました。こんな医療機関ですと。生活保護歓迎というのぼりが立っている写真を見ました。

 私の地元ではちょっと見たことがないんです。大臣の地元はありますか。そういうのぼりが立っている、スーパー大売出しみたいなのぼりと一緒ですよ。

 ぜひ、どういう医療機関なのか、これはちょっとやはり調べるべきだと思いますよ。平成二十三年のときは、調べるべきだと私は言ったんですよ。写真を撮って持ってきましたよ。こんな医療機関でしたと。大臣、これ、調べさせてみたらどうですか。変わっていないんだもの。やはりおかしいですよ。

加藤国務大臣 私の地元には、少なくともそういうのぼりを出した医療機関は見たことはございませんけれども、いずれにしても、この医療扶助費、御承知のように、生活保護費の約半分を占めるということで、必要な医療を確保すると同時に、医療機関の指導監査を含めて、医療扶助費の適正化を図ることは大変重要だというふうに思います。

 そういった意味において、診療件数に占める生活保護受給者の割合が高い医療機関、あるいは、被保護者以外と比較して被保護者の一件当たりの請求点数が高い医療機関などの情報も勘案した上で、個別指導の対象とする医療機関を選定するよう、都道府県等に求めているところでありますので、今後とも、生活保護法に基づく指定医療機関に関する指導が適切かつ効果的に行われるよう、しっかりと取組をさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 答弁を読むのもいいんですけれども、大臣、政治家としてこれを議論する上で、やはりおかしいという感覚は共有してもらえるでしょう。クリニックがあいているのに、一〇〇%、三カ月間誰一人健康保険証を持ってこない医療機関があるというのはちょっとおかしいんじゃないか、何かあるんじゃないかと思いませんか。

加藤国務大臣 そういった意味で、これは通常の保険診療も多分やっておられるところなんだろうと思います。そうしたところにおいて、生活保護者だけが患者さんであるということ、これは、何か、それを直ちにおかしいと我々が断定していいかどうかということはあると思いますけれども、普通とは少し違うなという感じはするところでありますので、そこだけをもってして調査するということが適切かどうかわかりませんけれども、先ほど申し上げたような、こうした観点に立って、しっかりと指定医療機関に対する指導が適切に行われるよう、我々も引き続き指導を行っていきたいなというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひ、平成二十三年の七月から九月と二十九年の七月から九月、出てきている医療機関の数はほとんど変わっていないんですけれども、同じところなのかどうか。それぐらいは調べられるんじゃないかと思うので、これも調査していただけませんか。二十三年のときもそうだし、二十九年のときも同じ。それは、ああ、もう調べている。調べているなら答弁してください。調べていないのなら、これから調べるかどうか。お願いします。

加藤国務大臣 その前に一つ。それ以外、先ほどお示しした六十一とか、委員御指摘の資料も、国民健康保険と後期高齢者医療制度、これは含まれていないということなので、実際そうした人がいるのかいないのかというのはここからでは直ちにわからないということでございます。

 それから、今言ったレセプト等はわかりますので、今委員の御指摘は、例えば六十一ある機関がどの病院なのか、こういう指摘だと思いますが、それは私どもの方でわかるというふうに聞いております。

岡本(充)委員 ちょっと大臣、聞こえなかったです、語尾が。聞いている、わかりました。

 であれば、比較対照ができるはずですから、同じ医療機関がどれだけ入っているのかというのはわかるはずですから、その数は、じゃ、今答えられるんですか。要するに、六十一と七十二の中でダブりはどれだけあるんですか。

加藤国務大臣 今の委員の御指摘は、平成二十三年のデータで言う、例えば生活保護受給者件数が一〇〇%の入院の七十二と二十九年の六十一が、同じところが幾つあるかということですね。

 ちょっと今、すぐ、手元にはないのでお答えできませんけれども、戻ればというか、後で調べて御報告をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 それ以外の、入院以外の、医科入院外も含めてぜひ教えていただきたいし、先ほどの話で、どういう診療になっていたのか、例えば検査、高額になっていないのかとか、例えば処方箋が極めて短い日数で切られているというようなことがないのかとか、いろいろな観点から、問題点は、私は調査する課題があるような気がします。

 ぜひこういったところを見ていただいて、やはり、先ほどの話で、私は、適切な医療が受けられないことがあってはならないと思っているわけですけれども、一方で、そこに何らかのビジネスが広がっているとすれば、これはやはり、厚生労働省はそこに対してしっかりメスを入れなきゃいけないと思いますので、これはぜひともやっていただきたいし、また御報告を求めたいと思います。

 その上で、こうした話でありますけれども、いわゆる、こうした医療機関の問題以外にも、生活保護ビジネス、本当にいろいろあって、今回もそういうビジネスについてしっかりメスを入れていこうということでありますから、それともあわせてやはりやっていくべきだということを指摘をしておいて、次の課題に行きたいと思います。

 それで、ちょっと順番が前後するかもしれませんけれども、児童扶養手当で一つちょっと飛ばしているのがあったので確認をしておきたいんですけれども、児童扶養手当の不正受給、これはなかなか本当に難しいんだと思います。

 先ほどの話で、誰かから支援があるのじゃないかと思われるケースもあるでしょうし、それから、もちろん、本当に困窮しているのに児童扶養手当を支給されることをためらっている世帯もあるのかもしれない。こうした児童扶養手当の受給権のある人が適正に受給をする、そして、本来は受給する資格がない方が受給をしているケースはきちっと省いていく、こういうことをしていく努力というのはなかなか難しいのは理解はしますが、現実的には、紙を一枚送って、あなたの生活状況はどうですかと聞いて、その返事があるかないかにかかわらず、その紙を送ったことで自分たちの責任を回避しているんじゃないかと、私はいろんな人の話を聞いていて思うわけなんですね。

 要するに、年に一回、おたく、例えば住民票上どういう暮らしをしているのか聞きますということで、住民票に基づいて自治体が聞いているというケースはあると思います。紙を送って返事がなかったら訪ねていくとか、どうする、こういうことまで含めてきちっとやれているんでしょうか。

 つまり、まずは、本来受給する資格があって、受給してもらって生活を支えていかなきゃいけない、こういう世帯にちゃんと児童扶養手当が届いているのかという観点から聞きたいと思います。

 そういう意味で、今私が指摘をしたように、年に一回紙を送って、返事がなくても一、二回訪ねていって留守だったとして、それで放置をされている、そういう家は結構多いんじゃないかと思います。いろいろ工夫をされていると思いますが、どういうふうに取り組んでいますか。局長でいいです。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 児童扶養手当に係るいわゆる不正受給というものに対してきちっと対応するということについては、かねて御指摘もいただいております。

 近くは、前回の二十八年改正法のときにも御議論いただきましたので、その後、今御指摘いただきましたように、紙を送るだけではなくて、現況届出時に対面による手続を徹底する、あるいは、現況届出時に集中相談を実施する、さらには、新規認定の場合などには、特に現地に足を運んでいろいろな現認の調査をするのを徹底するなどの内容を各自治体に改めて通知等を通じて徹底するとともに、その後、毎年度開催しております会議の場などにおいても、これを重ねて呼びかけて求めているところでございます。

 ただ、結果、どうなっているかという実態をまず把握することが必要であると私どもは思っておりまして、従来、地方厚生局が、児童扶養手当の支給事務に当たっていただいている市又は県に対して、現地に足を運んで指導監査ということを行っております。

 その中で、かねて過払い事案の件数などについて把握をしてきましたけれども、平成二十九年度監査からは、過払い事案の中で、不正受給の件数あるいは理由、金額等について、我々自身も市町村の取組について把握をさせていただき、なかなか市町村の方からの申請を待つというだけではわからない部分が多いので、現地に足を運んで実態把握をするとともに、どんなことが不正事案としてあるのか、あるいはそれを踏まえて、他の市町村においてはどのような取組がされているのかということも分析を始めさせていただいたところでございます。

 これからも問題意識を持って取り組みたいと思っています。

岡本(充)委員 両方答えてもらったんですけれども、要するに過払いの方と。私も、過払いももちろん問題だと思います。ただ、本来もらえるはずの人がもらえていないということがあるとすると、僕はそっちの方が深刻だと思っている、正直。

 そういう意味で、何らか、遠慮をしてもらっていないのか、あるのかもしれない。ただ、少なくとも、住民税の課税の情報は自治体は持っているわけですよ。だから、所得がゼロの人はわかるんです、ゼロ若しくは非常に少ない。にもかかわらず、子供と保護者一名ないし二名で暮らしていますというような状況の家庭がどういうふうになっているのか。生活保護も受給していない、これは、面談で確認しますというけれども、大きい自治体だと行けないと思いますよ。

 私の地元でもいろいろな自治体があります。小さい自治体から大きい自治体、あります。村まであります、私の選挙区は。村は確かに行けるのかもしれない。職員の数も少ないけれども、行けるのかもしれない。でも、じゃ、人口の最も多いのはどこですか。例えば横浜市ですか。私の近くだと名古屋市だと思います。じゃ、本当に行けるのかなと思うと、これは物理的に無理だという声も上がるんじゃないですか。

 どういうふうにして、そういった非常に人口の多い自治体で面接をやるのか。これは、やれといったって、それは自治体の職員からしたら、そんなのという話になりますから、そこもちゃんと踏まえて面接が徹底できるようにするべきだと思います。どうですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 市町村の現場においては、今委員御指摘のように、受給者の数あるいはスタッフの体制などによって、この取組を進めるに当たってさまざまな課題があることは私どもも共有しております。

 例えば、大きい市の場合には、先ほども少し申し上げましたが、アウトリーチで確認する機会にやはり限りがございますので、現況届で来ていただくときに、集団相談という形をとって、いわばスタッフが応需の段階で非常にたくさんの件数について把握をするとか、あるいは地域の民生委員さんなどいろいろな関係者の方々の情報も、行政だけじゃなくていただくような働きかけをするなど、先行しているところには取り組んでいただいているというふうに承知をしておりますが、まだまだ現場にも、そして我々支援の方策にも検討すべき課題があろうと思いますので、問題意識を持って取り組ませていただきたいと思います。

岡本(充)委員 それは、集団指導で来てくださいといったって、その地域の人がみんな来ちゃったら、やはり、あの人も、この人もみたいな話、顔見知りだったりすると、それはまたそれでなかなか行きづらいものですよ、想像するに。

 そういう意味で、集団指導で、みんなこの辺の人たちで児童扶養手当の対象になりそうな人、いらっしゃいといって一堂に会するというのは、大臣、どうですか、そのやり方は。それも一つの案かもしれないけれども、ちょっと想像すると問題があるなという感じがしませんか、大臣。大臣の考えを聞いています。

吉田政府参考人 失礼します。

 大変申しわけございません。集団指導というか、集中相談。ですので、期間を限って、ある程度、先ほど申しましたように次々とやる。一斉に……(岡本(充)委員「でも、たくさん来るんでしょう」と呼ぶ)そういうことではありますが、そこは工夫をさせていただいております。

 一堂に会してという形での集団ではございません。そこは私の説明が至りませんで、申しわけございませんでした。

加藤国務大臣 今、局長からも答弁の訂正がございましたけれども、やはりそれぞれプライバシーがありますから、そこには十分配慮しながら対応していくということが必要だと思いますし、また、それぞれのときに相談に応じて、必要な対応、こうした対応がありますよということを丁寧に説明していくということが大事だろうというふうに思います。

岡本(充)委員 なかなか訪問して会えないことも多いでしょうし、本当に難しいんだと思います。だからこそこれは難しい課題で、研究して、どうやってやっていくのかというのを考えていかなきゃいけない。

 同じように、研究して、難しい課題としては、過日、私、これは委員会でも指摘をしたんですけれども、児童虐待の端緒の研究ですね。これも今、やってくれとお願いして、まだ研究だというんです。研究して、検証して、それがよかったら周知してという話になると、まだ大分時間がかかるんですよ、まだ研究しての段階だと。

 そういう意味で、これは本当に、何か事案があってから、しまったという話になるのでは、私はいけないと思うんです。だからこそ、これはもう急いでやるべきだ。幅広くいろいろな、一部の学会だけじゃない、一部の研究者だけじゃない、もっと幅広く見て、どういう情報があるのかしっかり調査するべきじゃないかと私は思いますよ。現状、今どうなっているのか。

 それから、やはりこの端緒の検証、研究については、より幅広い意見やアイデア、もちろん外国を含めて見ていく、こういう方向でやっていただけるのか、それについて御答弁、局長でもどちらでもいいです。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 虐待の発生予防あるいは早期発見という意味で、どういう形で虐待の端緒をつかむかという意味では、まず、深刻な、残念ながら死亡に至るような事例につきましては、厚生労働省に専門家も交えて個々に検証させていただき、その検証事例から浮かび上がった事例の教訓を都道府県現場においてフィードバックするという形で行っておるのが一つ。

 それと、そういう個々の事例の積み上げではなくて全体をどういうふうに把握するかという意味では、昨二十九年度から、児童虐待の地域及び国際比較のためのデータベース構築に関する調査研究というのを立ち上げさせていただいております。

 これ自身は、今の表題にもございますように、虐待に関するデータをなるべく地域で標準化して収集、分析するということを志向するものでございますが、この研究の過程において、地域における先行的な情報共有のシステムの例でありますとか海外の事例などを関係者の方々に整理、収集していただいております。

 その中では、三重県の例など、いわばリスクマネジメントとして幾つか、端緒に、今先生のおっしゃっていただいたような問題意識につながるようなものも、まず初年度として事例として把握をさせていただいているところでございますので、引き続き、後継研究などにおいても、そのあたり、深掘りをさせていただきたいと思っております。

岡本(充)委員 これはなかなか難しい課題ですが、今言われたように、小児科の先生なんかでそうした研究を、どうして死亡につながったのかということを検証している先生もいらっしゃいます。そういう方からの意見をもっと聞いて、やはりさまざまな角度からこの研究を深めていく必要があると思いますから、ぜひもう一段の努力をお願いしたいと思います。ぜひそういう先生方にも聞いてください。

 その上で、きょうは文科省にも来ていただいているんですけれども、もう一つ、就学支援制度について、この間、私、何回か聞きました。

 就学支援制度についてでありますけれども、前回見直しによる影響が各自治体でどういうふうにあったのかなかったのかというのがいま一つよく集計ができていないという結論だったというふうに事務方からは聞いています。そういう意味で、今回もまた生活保護基準が下がるケースがあり得ます。

 そんな中で、やはり就学支援制度に、本来受けられる方が受けられなくなるようなことがないようにする。影響がどうであったのか、前回の反省を踏まえて今回はしっかり調査もするべきだと思いますが、今回は、前回の反省を踏まえて今回の保護基準の見直しの後の各自治体の対応を調べていただけるか、お答えをいただきたいと思います。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでもお尋ねいただいておりますので、就学援助の仕組みについての御答弁は控えさせていただきますが、先回、生活保護基準の引下げに際しまして、地方単独事業である準要保護者への支援につきましては、平成二十六年度から二十八年度において、各自治体の準要保護者の支援についての対応状況を調査させていただきました。

 その際、九六%に当たる千六百九十七市町村は影響は生じていないといたしました一方、調査を実施した三カ年のいずれかの年度で引下げの対応を行っていないと回答したのが八十九市町村、これらの市町村に対して更に聞き取り調査を実施しましたところ、七十九市町村においては、当該調査年度以降に引下げ以前の生活保護基準で認定するなど何らかの対応を行っているということが判明いたしましたけれども、十市町につきましては、当該三カ年にわたって対応していないことが確認されました。

 この地方単独事業である準要保護者への就学援助につきましては、支援対象等の判断はあくまで市町村においてなされるものでございますので、各地方自治体におきまして、政府の対応方針の趣旨について御理解いただきました上で御判断、御対応いただいたものと考えておりますが、今回の見直しに当たりましても、自治体に適切な対応を促しますために、各自治体の準要保護者への支援についての対応状況の調査を行いまして、その調査結果を自治体に通知いたしますとともに、文部科学省ホームページに適切な形で公表するなど、市町村の取組を積極的に促してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岡本(充)委員 どれだけの方に影響があったのかという人数をきちっと把握してくださいということですよ。ランドセルを買えない子供が出てきちゃ困るんですよ。

 いいですか。どれだけの影響人数があったのか、市町村がやるんだからそこはもう市町村にお任せじゃない、ホームページに公表したらそれでいいというものじゃない。そこで結局ランドセルを買えない子供が出てきていたら、これはやはり問題があるんですから。必ず、今回の反省を踏まえて、そういった子供が出てこないように対応をとっていただける、決意でいいです。お答えください。

下間政府参考人 調査の方法あるいは調査結果の公表の具体的な方法につきましては、御指摘も踏まえまして、今後しっかりと検討したいと思います。

岡本(充)委員 本当にお願いしますよ。ここでこうやって議論していると見えないから、そういう人たちは。だから、そこにやはり思いを寄せて政策をつくるのが我々の仕事だと思いますよ。

 では、話はがらっとかわって、宿題が幾つかありますから、また次回、チャンスがあればこの話をやりたいと思いますが、労働法制のことでちょっと大臣に確認したいんです。本当は閣法の質疑で聞いた方がいいんですけれども、ちょっとここだけ確認しておきたい。

 大臣は、前回の委員会かその前か、ちょっと忘れましたけれども、高プロについて、使用者は勤務時間や場所について業務命令できない、そのような命令があれば高プロの対象とはならない旨答弁していますけれども、これは根拠がないですよね。要するに、高プロの対象者の勤務時間、勤務場所、業務命令できるんじゃないんですか。

加藤国務大臣 法案において、高度プロフェッショナル制度の対象業務については、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務についてのみ認められる、これは法案に明記をされているわけであります。

 この省令をこれからどうしていくのかということでありますけれども、検討に当たっては、業務遂行の手段や時間配分は労働者みずからが決定するものであることを明記する方向で検討したいと考えておりますので、そうした法文と、そしてそうした省令、こういったことを整備することによって、今御指摘があったような、例えば残業命令が出てくる、こういった場合には高度プロフェッショナル制度の適用の対象とはならない、こういう仕組みにしていきたいと考えています。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、勤務時間、場所についてです。業務命令はできないですよね。できますか。どっちですか。勤務時間と勤務場所です。

加藤国務大臣 勤務時間については今申し上げたことで……(岡本(充)委員「夜働けというのが言えるでしょう」と呼ぶ)いや、ですから、勤務時間について指定することについて、今申し上げたように、省令等で、そうした残業命令等々をした場合には対象になり得ないという形を整備をしたいということ。

 それから、勤務場所のことがありました。基本的な勤務地はここだということを定めることはあると思いますけれども、業務の遂行手段として働く場所を指示するということはこの制度にはそぐわないということでありますから、その点も含めて省令等の整備を図りたいと思います。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、要するに、裁量労働制は法律に書いているんですよ。裁量労働制の場合は法律に書いている。勤務時間の問題についても法律に書いている。ところが、高プロは法律に書いていないですよね。

 勤務時間というのは、残業しろと言っているんじゃないんです。あなた、夜働いてください、若しくは、二十四時間働けとは言えない、直接的な指示が言えるのかどうかわかりませんが、例えば世界の市場、東京市場、シンガポール、フランクフルト、ニューヨーク、そしてシドニー、各市場の金融商品の開発をしなさい、そこで利益を出しなさいという命令を出したら、二十四時間起きていなかったら全部の市場を見ていられないんですから。

 金融のそういう仕事だとしても、全ての市場を見なさいなんという業務命令が出されたとして、これは実質的に二十四時間働けと言っているのと変わらないわけなんですが、こういうことについて法律で禁止をしていないですよね。ここは法律の中での確認をしているんです。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものということでありますから、今お話のあったような、要するに、この時間からこの時間までずっと見ていろといったものは、そもそも対象になり得ない。

 ただ、例えば、国際的な金融商品を開発するに当たって、それぞれの市場を見て判断しなさいというのはあると思いますから、それはリアルタイムで見るわけではなくて、それぞれの市場を分析して、その分析の結果として……(発言する者あり)いや、これは商品を開発するわけですから、そういったことにつながるということであります。

岡本(充)委員 それはリアルタイムで見るでしょう。リアルタイムで見て、いろいろ動向を見ながら商品の開発をするものもあるでしょう。それはあり得るよ。

 もう一回だけ確認すると、法律には勤務時間や場所について業務命令できないとは書いていない、ただ、省令でそうした命令ができないということを書くつもりだ、こういう考え方でいいですか。イエスかノーでお願いします。

加藤国務大臣 ですから、法律において先ほど申し上げたような規定をしておりますから、省令レベルにおいて、その規定を踏まえて、具体的な省令、したがって、時間等の規制をすることは適切ではない、そういったことを書き込んでいきたいと思っておりますので、そういった意味では、委員御指摘のように、裁量労働制との対比でいえばそういった御指摘もあるんだろうと思います。

岡本(充)委員 つまり、裁量労働制は法律に書いているのに、なぜ高プロは書いていないんだということについては、そういう御指摘もあるんじゃないか、こう言っているわけですね。

 だけれども、これはなぜ、じゃ、高プロは書かなかったんですか。

加藤国務大臣 ですから、そもそも、先ほど申し上げた、対象業務というものを、従事した時間と、従事して、成果との関係性が通常高くないと認められる、こういう規定をしているので、もともと時間とは関係ない形で進んでいるということでありますから、そういった場合において、一々この時間にこうしろ、ああしろということにはなり得ないだろうということを前提に法律上書いていないわけでありますけれども、今、御指摘も踏まえて、省令の中においてはそういったことを含めてしっかりと規定をする方向で、これは労働政策審議会での議論を得てということになりますけれども、対応していきたいと思っております。

岡本(充)委員 これはいろんな課題があって、ちょっともう残り時間が少ないので、なかなか質疑時間を本当に確保できないかもしれないと思って、もう一問だけこの時間を使って聞きます。

 高プロの対象者が過労死した場合は、やはり同様に、時間が長いか短いかで過労死基準を決めるんですね、こう答弁されました。しかし、例えば、長時間労働をしていて、指導監督に入ったにもかかわらず、結果として、長時間労働をしていることについては指導できないわけでしょう、高プロの場合は。できるんですか。過労死した人がいる、そこに入ったら、その人がすごい長時間労働をしていた、心理的負荷の高い仕事をしていた。この場合に、指導監督は、一般論として、局長、できるんですか。高プロの対象者が過労死したときに、指導監督に入ってですよ、できるのかどうか、そこだけ短く、時間が来ていますから。

高鳥委員長 山越労働基準局長、簡潔にお願いいたします。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、これにつきましては、対象業務とか対象労働者の範囲を決めているわけでございますし、健康管理時間の定めもございます。それから、労働安全衛生法の医師の面接指導もこれは罰則でございますので、こういった観点から監督指導をしていくことになるというふうに思っております。

岡本(充)委員 それがクリアされていて、時間だけが長時間の場合には指導できないでしょうと言っているの。とんでもない長い時間、結果として働いていましたというような人がいて、それで過労死をした事案があったとしても、それは、今言ったような医師の面接指導をやっています、百四日ちゃんと休ませています、業務の内容は適正です、であれば、何ら監督指導するものがないですよねということを聞いているんです。イエスかノーか、そこだけ答えて。もう短く、委員長も言っているんですから、それだけ答えてください。

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、健康管理時間の把握でございますとかそれに基づく健康確保措置、あるいは労働安全衛生法に基づく医師の面接指導、そういったものが法律上義務となっているわけでございますので、そういったことについて監督指導していくということが必要でございます。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 例えばそれが、裁量を失わせるような長時間労働、そういった業務である場合は、当然、高度プロフェッショナル制度の適用対象から外れるということになると思いますので、そういったことをチェックし、監督指導していくということでございます。

 いずれにいたしましても、今申しましたように、健康管理時間ということで把握をしているわけでございまして、労働時間についての上限というのは、一般の労働者と違って、ございませんので、その点について指導できるかといえば、指導できないというふうに思います。

岡本(充)委員 じゃ、終わりますけれども、つまり、どんどん過労死して、長時間労働で死んだとしても、これは指導できないんですよ。過労死が出てきたときに指導できない制度だということを指摘して、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今の質問の続きをやりたい気持ちはありますが、ぜひまたこの働き方改革は十分時間をとっていただきたいということで、きょうは生活困窮者支援法について質問します。

 たった一回しか、まだ質問していません。四月十三日、一月たちました。残念ながら、既に本会議で与党のみで採決をしてしまいました。質問したかったことはたくさんありますが、きょうは三十分いただきましたので、まず、生活保護制度そのものについて質問したいと思います。

 三月三十日の本会議で、私は、生活保護法は、第一条にあるように、憲法二十五条に基づく権利であるということを総理に確認をしました。総理は、権利ということは答えず、全ての国民に対して無差別平等に国がその最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットである、このように答弁をされました。

 さて、今回の見直しは、最大で五%の引下げです。いわば、これが新しい最低限度になるという理解でよろしいでしょうか。

定塚政府参考人 今回の見直しでございますけれども、そもそも、生活保護法において、三条あるいは八条、八条においては、保護の基準は、「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」とされているところでございますので、今回もこの観点に沿って、社会保障審議会生活保護基準部会において、専門的かつ科学的見地から検証を行ったものでございます。

 そういう意味におきまして、今回の改定結果というのは、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというものであると考えているわけでございます。

高橋(千)委員 五%下がる今回の基準が、健康で文化的な最低限度の生活であると今お認めになったと思います。これは重大な答弁だと思いますよね。

 結局、国が、憲法に保障された最低限度の生活というのはこの程度のものなんだということを、国の判断で下げていくことになるわけなんですよね。その意味を本当に重く受けとめるべきだと思うんです。

 そもそも、五年前の見直し時は、デフレを理由に平均六・五%カットされました。だったら、今回はインフレのはずなのに、それは考慮はしておりません。年末には最大一三%カットという数字が飛び出して、与党内からも反発があって、落ちついたのが最大五%です。だから、科学的でも何でもありません。

 生の声を少し紹介します。平成二十五年度から生活保護の支払い額が変わっていない。灯油代が上がり、家の中が寒い。電気代、ガス代、水道代、電話代なども全部上がって苦しいです。私の今の生活は、食事は一日二回、風呂は週に三回です。買い物は値段の安いものを買っています。扶助基準が引き下げられてから生活がとても苦しくなりました。人間らしい生活ができる基準に戻してください。あなたたちも私と同じ生活費でやってください。お風呂も週に一回、洗濯も週に一回、トイレも水を流さない、この人生に私は疲れました。豆腐、もやし、もう私は死にたい。こうした声がるる寄せられております。

 一九四八年四月七日に発効し、日本が一九五一年六月二十六日に条約第一号として公布したWHO憲章には、健康の定義として、健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態にあることをいうと規定されています。

 冬に暖房も使わないとか、ほとんど近所づき合いもないとか、一日二食しか食べていない、その二食も、好きなものを食べるのではなくて安いもの、その日安いものを選んで食べるしかない。今よりもっと下げてもよいというのは、それでも最低限度の生活、今この実態を見て、それで最低限度の生活と思っているのか。これは大臣に伺います。最初は大臣に通告しておりましたので、お答えください。

加藤国務大臣 生活保護の水準については、先ほど局長からも答弁いたしましたように、社会保障審議会生活保護基準部会において専門的、科学的見地から検証を行っているところでありまして、今では一般均衡水準というものを見て、それがどうなっているのかということで、まず、どこの水準と対応すべきかということで、今回の検証では、モデル世帯、夫婦子一人世帯では年収階級下位一〇%に当たる世帯の消費水準と生活扶助水準を比較するということ、そして、それがおおむね均衡しているということが確認された上で、あとは、それぞれ年齢あるいは世帯の大きさ、そして場所、これによって、これをまた分析をしたところ、実態と扶助の基準とにおいて多いところ、少ないところがありますから、それを是正をさせていただいたということであります。そして、その検証方法については、透明性の高い一つの妥当な手法ということで、審議会の報告書にも記載をされているところでございます。

 いずれにしても、生活保護法の規定をしっかり遵守しながら、常にこうした最低生活の水準としてどういったものが妥当であるのか、これをしっかりと我々として検討しながら、これは五年ごとに見直しをさせていただいている、こういうことであります。

高橋(千)委員 ですから、その見直しのときに、どれだけ実態を聞いたのかということなんですよ。

 本当の専門家は、生活保護を利用している人ですよね。そして、その利用している人たちが、一日二食も食べられない、もうこれ以上生きていく希望を持てないと訴えているのに対して、それでも最低限度の生活ですよと大臣は言うのですかということを聞いているんです。一般の低所得者と比べて、それで、同時で、均衡がとれているんだというのであれば、それは保護を受ける権利があるのに受けていない人が一般の低所得者の中にたくさんいるという意味なんですよ。

 また、一般の低所得者の生活のレベルを上げなきゃいけないんですよ。そこに目をつぶって、これが最低限度になっています、そんなことを本当に言えますか。もう一度。

加藤国務大臣 もう委員御承知のように、生活保護法第三条では、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」同八条で、保護の基準は、「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」こういう規定がされているわけでありますから、それを踏まえて、先ほど申し上げたような手法にのっとって、社会保障審議会生活保護基準部会でも御議論をいただいて、透明性の高い一つの妥当な手法ということで、今回こうした見直しをやらせていただいているところでございます。

 ただ、見直しに当たって、この審議会の報告書では、検証手法に関する課題も指摘をされているところであります。今、委員御指摘のような指摘も審議会の中であったということは承知をしておりますので、今後、検証手法の改善、開発に取り組む中で、こうした課題への対応についても検討していきたいと思っております。

高橋(千)委員 課題が指摘された、それはもうこの委員会でも議論をされたことでありますよね。それを自覚しているのだったら、五年は待てないわけですよ。五年後に見直しをします、それは違うでしょう。今起こっていることに応えなきゃいけないんです。

 志位委員長が二月五日の予算委員会で、貧困ラインが下がっていること、そのために、収入や暮らしがよくなったわけではないんだけれども、貧困ではないとされる人が出てくる、こういう指摘をしましたよね。それに対して安倍総理は、高齢者の世帯がふえたからなんだと答えました。

 生活保護を利用している高齢者は、一般の高齢者世帯に比べると五割台の水準になっている、それは最低限度の生活とは言えないのではないかと私は聞いたんですけれども、それに対しての直接の答えがなかったんですね。

 それで、あえて聞きたい、もう一度。高齢者ならば、一般の高齢者の五割の水準でもよいのですか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 一般の世帯の何割の水準でいいかということにつきましては、委員も御承知と思いますけれども、生活保護基準の見直し方法として、昭和五十八年までは格差縮小方式をとっていたわけでございます。その際の五十八年の検証では、一般勤労者世帯と生活保護勤労世帯の消費支出の比率が六割であるということを確認をしていたところでございます。

 この五十八年の検証ですけれども、所得階層別の消費支出について詳細に分析をして、変曲点の考え方を用いて生活扶助基準の水準の妥当性について検証を行ったわけでございまして、これ以降、五十九年から現在に至るまでは水準均衡方式を採用しているというところでございます。

 したがって、現在では、生活保護基準の改定方式については、一般国民の消費水準の六割を下回らないという考え方は直接採用しているところではないところでございます。近年の検証作業においては、夫婦子一人世帯や高齢単身世帯など、個別の世帯類型ごとに、一般世帯の消費支出と生活扶助基準額の比率を確認はしてございますけれども、これについて、生活扶助基準、最低基準の水準を決める際に直接用いているというものではございません。

 さらに、先ほど申しました格差縮小方式について、五十八年当時六割と申し上げましたけれども、同じ方式で算定をした場合に、直近二十七年の状況では、被保護勤労者世帯の消費支出は一般勤労者世帯の消費支出の八割となっているところでございます。

 一方で、審議会の報告書では、今後いろいろな議論が必要とされているところでございますので、先ほども大臣から申しましたとおり、今後の検証手法の改善、開発については、今後も検討してまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 均衡水準方式、これに変わったのがいつからかとか、そういう説明は本会議でもされたんです。もう十分わかっている。そういうことじゃなくて、それを踏まえて、基準部会でも繰り返し議論されているはずです。

 昨年の十二月十二日、第三十六回基準部会で岡部委員は、夫婦子一人世帯は六割水準をクリアしているけれども、特に注目しなければいけないのは高齢者世帯で、とりわけ単身世帯が五割台になっている、その上で、二〇〇七年の検討会では、この基準では低過ぎるということで見送った、二〇一三年の検証でも、高齢単身は増額が必要なのではないかと書かれたと指摘をしているんです。こういう経過があっての今なんだということで、これは全然踏まえていないわけですよね、これまでの何回もの検討会の見直しを。そういうことを指摘をしているわけなんです。

 十四日の第三十七回の基準部会でも、岩田部会長代理が、五割は注意信号と指摘をしました。だからこそ、報告書の中に、「高齢者世帯の展開後の基準額では五割台になってしまうことが見込まれることに留意が必要である。」と明記されたことを、そのままにはできないと思います。同時に、委員の中に、高齢者の五割の問題だけではなくて、全体として貧困率が高まっている、高齢単身女性世帯の四割以上、十八歳から六十五歳未満の単身世帯の三分の一が相対的貧困にあると指摘をされている。

 ですから、さっき、志位委員長の指摘のように、全体としてラインが下がっているので、第三・五分位の六割、つまり真ん中の所得層のうち六割をもしクリアしているからといって、それでよいとは言えないのではないかという指摘も出ているわけですよね。基準部会報告書は、「一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念がある」、こう指摘をされている。これはもうお認めになりますよね。

定塚政府参考人 水準均衡方式のもとで一般世帯との比較を行っている、そのことによって、一般世帯の消費の水準が下がると生活保護基準にも下がるという影響を与えるという一般論については、基準部会報告書にも書かれているとおりでございまして、そのとおりでございますけれども、ただ、今回の改定におきましては、モデル世帯を設定をして、高さ比べ、比較をした際に、高くも低くもないという結論が出ておりますので、一般世帯が下がったから生活保護基準が下がった、こういう関係にはないということを御承知いただければと存じます。

高橋(千)委員 高さ比べの話も、モデル世帯の選び方とかも、さまざま今指摘したいことがありますが、でも、一般論はそのとおりだということをお認めになったと思います。

 現実に貧困ラインが下がっていて、それに合わせて今見直しをすると言っているわけですから、それで何も違いがないんだというのはおかしいんです。消費水準を比べて、ない中で我慢して暮らしているその実態、どちらも我慢しているのを比べて、変わっていないからいいのよと、そういう比べ方が間違っていると言わなければなりません。

 野党提案には、生活保護基準を一年かけて検討し、そこまでは現行水準を下げないとありました。これは、法案自体は衆では通ってしまったわけですけれども、閣法が通ってしまったわけですけれども、やはり参議院の議論がこれから始まるわけですから、改めて、基準は下げるべきではないということ、そして、そういう意味で、下げずにちゃんと検討していくべきだということを指摘をしたいと思います。残念ですが、ここは言い切りにして、次に進みたいと思います。

 先ほど来、繰り返し指摘をされている、後発医薬品の原則使用について伺います。

 資料の一、これは単純に条文の比較であります。「医療扶助の方法」ということで、旧三十四条にはアンダーライン、「被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。」新法は、「原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする。」というふうになる。原則としてになるわけですが、これは私たちは絶対だめだと思っていますが、先ほど来指摘があるように、既に現行の中でも大変厳しいものになっていると。

 先ほども尾辻委員が紹介をされた、生活保護法関係通知の医療扶助運営要領が資料の二枚目です。

 これは、まずその上の段に「経済・財政再生計画改革工程表の策定について」というのがわざわざ書いてあって、これは、この後発医薬品を原則としていく背景には、まさにこれがあるんだ、経済・財政再生計画があるんだということをちゃんと御丁寧に通知に書いているということ、まさにこれは削減そのものが目的であるということがはっきりするのではないかと思います。

 その上で、どういうふうにするのかということで、先ほど取り上げられたイの後のウのところなんですね。これは、処方医が後発医薬品への変更を不可としていない場合にもかかわらず、つまりこれは、先発でなきゃだめよというときはチェックをするんだけれども、それ以外はチェックがない、それをもって不可としていないというわけですよね。そうすると、希望する者に対しては一旦調剤し、先発を調剤して、その先発医薬品を希望する事情などを福祉事務所に伝達するものとする。これは、一旦調剤してから福祉事務所に連絡するという手の込んだことをしているわけですよね。こういうことを今現在やっている。

 当然、福祉事務所には厚労省から報告を求めています。どのような内容をどのくらいの頻度で求めているのか、また、そこで何がわかったのか。

定塚政府参考人 今、御紹介いただいたように、現行ですと、具体的には、生活保護受給者に対しての制度周知であるとか、指定医療機関、薬局に対する制度説明を行うとともに、先発を希望した場合には、一旦調剤をして、その事情を福祉事務所に伝達をするということとしているわけでございます。

 福祉事務所は、生活保護受給者が先発医薬品を希望する事情等を確認して、明らかにその理由に妥当性がないと判断される場合には、福祉事務所が行う、服薬指導を行う健康管理指導の対象としてございます。

 福祉事務所ごとの後発品使用割合については、毎年六月審査分の状況を厚生労働省に報告するということを求めておりまして、使用割合が一定以下である都道府県などにつきましては、先発薬を調剤した事情などの情報も活用して実態把握を行った上で、後発医薬品使用促進計画を策定して公表していただくということとしてございます。

 二十八年度においては、この後発医薬品使用促進計画を策定した自治体は、九百二十六自治体中、八百十七自治体となっているところでございます。

高橋(千)委員 本当に、ここまでケースワーカーにやらせるのかと思ったんですね。明らかに妥当性がない場合とおっしゃるのは、多分、ですから、薬代が無料なので高い薬の方がいいわという人がいるのよとおっしゃるんだと思うんです。でも、それはあくまでレアケースですよね。

 これは世界の医療団などが指摘をしているように、やはり同じ効能の薬だといっても、錠剤とカプセルの違いですとか、大きさの違いですとか、一日一回でよかったものが三回飲まなきゃいけないとか、そういうことが非常に負担になったりとかいうこともあるんだということで、先発を望んでいる場合もあるわけですよね。そのときに、不可じゃなくても、不可じゃなければもういいんだということ、それをわざわざチェックをして調べさせて、そこまでやるのかなと思うんですよ。

 大阪などでは、わざわざ薬局を一店一店回って、ジェネリックにしてくださいと福祉事務所が言っているそうです。そんなことまでするんですか。今でも十分厳し過ぎます。それがこれから原則となるんですから、そうすると一体どう変わるんですか。

定塚政府参考人 現行の仕組みは、ほぼ今申し上げたとおりでございます。

 ただ、薬局において受給者が希望した場合には一旦先発医薬品を調剤することが可能であるということでございまして、今後、今回の改正で後発医薬品使用原則化が施行されれば、医師、歯科医師が後発医薬品の使用が可能と判断する場合には、薬局に在庫がない場合などを除いて、原則として後発医薬品により医療の給付が行われるということとなるというものでございます。

 具体的には、例えば、医師などが後発医薬品の使用を可能とする処方を行った場合であっても、患者が十分に自身の状況などを医師などに伝えられず、薬局において後発品の使用への不安などから必要な服薬が期待できないと認められるような場合には、薬局から処方した医師などに確認がなされて、医師等が医学的知見に基づいて先発医薬品が適当であると判断した場合には先発医薬品を調剤することになるという流れを考えてございまして、現行の場合には医師等への確認というのがなく、一旦先発薬が調剤されるということですが、今後、改正後においては、今申したように、薬局から必要な場合に医師等に確認をし、医師等が医学的知見に基づき先発薬が適当であると判断した場合には先発医薬品が調剤される、そこの部分が大きく変わってくるところでございます。

高橋(千)委員 だから、これは、今度は薬局がわざわざ医師に、なぜ後発じゃないんですかみたいなことを聞けと言っているわけですよね。大変な負担ですよね。その上で、医師が別に構わないよと言ったら、本人が嫌だと言っても、これは後発を処方するというふうな流れになる。そこまでやる必要があるのかと何度も言っているんです。

 全体で、もう既に後発は六六%、そのうち生保受給者は七二%。もともと生保の利用者の方が後発の利用が多いわけですよね、これだけの厳しい指摘があるのをやっているんですから。それをあえて原則として生保の利用者のみに義務づけることは、やはり差別だと言わなければなりません。そんなことを決めている国がどこにありますか。ジェネリックが同じ効能を持ち、安価で安全というのならば、全国民に普及推進すればいいわけであって、何も保護利用者だけにやる必要はないと思いますが、いかがですか。

定塚政府参考人 後発医薬品の使用促進については、生活保護だけではなくて、医療保険制度を持続可能なものとするためにも重要な施策として、医療全体においても、生活保護についても、使用割合八〇%という目標を設定をしているところでございます。

 前回の生活保護法改正などによりまして、生活保護についての後発薬使用割合がふえてきたわけでございますけれども、次第に年がたつにつれて使用割合の伸びが鈍化をしているという現状にございます。自治体からも、このままでは使用割合を八〇%にするという政府目標は達成が難しく、更に取組を進めるためには、運用で指導、お願い等をするのではなく、制度的な対応として後発医薬品の原則化が必要との意見があったことなどを踏まえまして、また審議会の報告書も踏まえまして、後発医薬品の使用を原則とさせていただくという案を提案しているところでございます。

高橋(千)委員 鈍化をしているから運用だけではだめだ、制度的にやるんだ、本当に率直に大変なことをおっしゃいましたと思います。

 やはり、国全体としてジェネリックの普及を拡大しようと思っているというのは悪いことではないと思うんですよ。それを、だから国としてちゃんと位置づけて、問題がないのだ、むしろ積極的に使いましょうということを全国民として取り上げていけばよいのであって、重ねて、やはり保護の方たちだけに義務づけることは差別であり、やめるべきだと指摘をしたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、問いを思い切り飛ばします。

 昨年、いわゆる小田原ジャンパー事件というものがありました。小田原市の生活保護担当職員が、保護なめんななどとローマ字で書いたジャンパーを着用し、利用者宅を訪問したり、業務に従事していたということが報道され、全国の知るところになりました。

 まず、厚労省は、この事件の何が不適切だったと考えているのか。また、厚労省として再発防止のために何をしたのか。

定塚政府参考人 御指摘の小田原市の事案でございますけれども、まず、生活保護受給者がすべからく不正受給をしているのではないかとの疑いの目で対応するようなものであり、生活保護を必要とする方を萎縮させるおそれがあったことや、また、ジャンパーを着て訪問した際に、生活保護を受給していることが周囲に知られてしまうおそれがあったことなどの点で、大変不適切な事案であったと考えているところでございます。

 生活保護に携わる職員は、制度を適切に運用するに際して、常に、保護を受ける方の立場や心情を理解して、支援が必要な人に確実に保護を実施していくという姿勢が大切であると考えておりまして、厚生労働省におきましては、この事案の発覚後間もなく、二十九年一月に開催した都道府県の部局長会議、全国会議において、このような事案が発生することのないよう、適切な保護の実施について、全国の福祉事務所に対する周知と指導を指示し、また、同年二月には、厚生労働省が実施した神奈川県に対する監査の際に、小田原市にも同席を求め、改善と再発防止を個別に指導しております。

 その後、同年十一月には、神奈川県が実施した小田原市に対する監査の状況を確認するなど、改善状況を継続的に把握しているところでございまして、引き続き、全国の福祉事務所で適正な保護の実施がされるように指導をしてまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 この事件の背景に何があったのかを、やはりきちんと見るべきだと思うんですね。だって、十年間もジャンパーを着ていたのに、報道されるまで誰も指摘しなかったというのはおかしいじゃないですか。その間ずうっと利用者は萎縮していたと思いますよ。

 だけれども、あり方検討会、第三者を入れて検討会が出した四月六日の報告書、私、とても心に響きました。なぜこんな思いをしたのかというのは、実は、怖がらせようとしたのではなくて、自分たちを職員は鼓舞しようとしていた。それは、保護課という仕事が、言ってみれば誰もやりたくない仕事、みんなからも恨まれるし、厳しくしなきゃいけないし、経験は不足しているし、一人で百件以上も見なければいけないし、そういう思いで、職員からアンケートをとったら、誰もやりたくないという答えがいっぱい出てくるわけですよ。だから、自分たちを鼓舞するためにこのジャンパーを着ていた。その思いにさえも、この事件が起きるまで気づかなかったわけなんですよね。

 それで、本当に、この心ない行為が、保護者、保護を利用している人たちだけじゃなくて、市民の心も傷つけたし、支援をしている人たちも傷つけたという立場で、第一は、生活保護利用者の権利を守るために頑張るんだということで、この保護のしおりを変えたわけです。権利であるということをちゃんと書いて、いきなり差押えするんじゃなくて、ちゃんとしたものがあるんですよと書いています。残念ながら時間が来て読めませんけれども。そうしたら、何か窓口が急に優しくなったと利用者の方が言っているそうですよ。

 私、これだけをもって本当に全部解決したとは、まだまだ見ていく必要があると思いますが、同じような事例が全国にあるときに、国がやはりここをしっかり学ぶべきだということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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