第22号 平成30年5月23日(水曜日)
平成三十年五月二十三日(水曜日)午前九時六分開議
出席委員
委員長 高鳥 修一君
理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君
理事 橋本 岳君 理事 堀内 詔子君
理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君
理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君
赤澤 亮正君 秋葉 賢也君
穴見 陽一君 安藤 高夫君
井野 俊郎君 石川 昭政君
大岡 敏孝君 菅家 一郎君
木村 哲也君 木村 弥生君
黄川田仁志君 国光あやの君
小泉進次郎君 小林 鷹之君
後藤田正純君 佐藤 明男君
塩崎 恭久君 繁本 護君
白須賀貴樹君 田畑 裕明君
高橋ひなこ君 中山 展宏君
長尾 敬君 百武 公親君
船橋 利実君 三ッ林裕巳君
山田 美樹君 池田 真紀君
尾辻かな子君 長尾 秀樹君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
初鹿 明博君 堀越 啓仁君
山川百合子君 吉田 統彦君
大西 健介君 白石 洋一君
山井 和則君 柚木 道義君
伊佐 進一君 中野 洋昌君
高橋千鶴子君 浦野 靖人君
柿沢 未途君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
厚生労働大臣 加藤 勝信君
厚生労働副大臣 牧原 秀樹君
厚生労働大臣政務官 田畑 裕明君
厚生労働大臣政務官 大沼みずほ君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 邦彰君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 高橋 俊之君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 山越 敬一君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 田中 誠二君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 宮川 晃君
政府参考人
(厚生労働省子ども家庭局長) 吉田 学君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 定塚由美子君
参考人
(日本年金機構理事長) 水島藤一郎君
厚生労働委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 中山 展宏君
三ッ林裕巳君 菅家 一郎君
池田 真紀君 長妻 昭君
初鹿 明博君 堀越 啓仁君
足立 康史君 浦野 靖人君
同日
辞任 補欠選任
菅家 一郎君 黄川田仁志君
中山 展宏君 大岡 敏孝君
長妻 昭君 池田 真紀君
堀越 啓仁君 山川百合子君
浦野 靖人君 足立 康史君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 石川 昭政君
山川百合子君 長尾 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 百武 公親君
長尾 秀樹君 初鹿 明博君
同日
辞任 補欠選任
百武 公親君 三ッ林裕巳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六三号)
労働基準法等の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第一七号)
雇用対策法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一四号)
労働基準法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一五号)
労働契約法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一六号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、労働基準局長山越敬一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、雇用環境・均等局長宮川晃君、子ども家庭局長吉田学君、社会・援護局長定塚由美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田真紀君。
○池田(真)委員 おはようございます。立憲民主党の池田真紀です。
まずは、質問に入る前に、新聞等で報道されていますが、きょう、まさかの強行採決ではないかという報道が、結構、昨晩から流れております。
委員長、まだまだ審議は不十分でありますし、更に言えば、もととなっている出発点のデータでさえ、まだしっかりとしたものにはなっておりません。当然、きょうの強行採決なんてことは絶対ないようにお願いをしたいと思います。お約束していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○高鳥委員長 一言、申し上げます。
働き方改革関連法案の採決につきましては、与野党間の協議が続いておりますので、委員長としては、その協議の推移を見守りたいと思います。
○池田(真)委員 質疑を通してですけれども、絶対にきょうは強行採決なんということはないというふうに私は思いますので、改めてお願いを申し上げたいと思います。
まず初めに、きょうは二十五分ということですので早速質問に入らせていただきたいのですが、どうしてもやはりお聞きしなければならないことがございます。
加計学園問題のことです。
加藤大臣の方に、もう通告もしておりますので、お答えをお願いしたいんですが、昨日、あるいは記者会見や本会議の方でも御答弁されているかとは思いますが、この委員会でも改めて、平成二十七年の二月の十四日に加計学園の関係者と、事務所の訪問をされたときにお会いしたということで、会ったということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 これまでも国会において答弁、あるいは記者会見において申し上げておりますが、平成二十七年の二月の十四日の土曜日、夕刻であったと記憶をしておりますが、私の地元の事務所において加計学園の事務局の方とお会いをいたしております。
○池田(真)委員 その後、会ったことに対して報告といいますか、総理への報告というのは、きのうの答弁では、参議院の厚生労働委員会でも、ないというふうにおっしゃっているんですけれども、改めて、会ったということについて総理への報告はあったのでしょうか。
○加藤国務大臣 これも、これまで御答弁させていただいているように、総理に対して、そもそも私に対して説明をということでありましたから、それは私限りで聞かせていただいたということでありますから、それに対して一切総理にも報告をしておりません。
○池田(真)委員 では、加藤大臣に対して説明をということですので、その説明の中身はどういう内容でしょうか。
○加藤国務大臣 きのう参議院の方でも御説明させていただいたんですが、私の事務所の場合には、基本的には秘書が立ち会わず、私一人が聞く場合が非常に多く、いろいろメモを残しているわけではございませんので、ちょっとつまびらかに、メモがあって……(発言する者あり)済みません、ちょっと答弁しにくいので。
○高鳥委員長 御静粛にお願いいたします。
○加藤国務大臣 メモがあって、それを申し上げられるわけではありませんから、非常に記憶をたどりながらということになりますけれども、基本的には、加計学園の事務局の方から、この間の獣医学部の新設に関する加計学園における取組についてのお話があった、こういうふうに記憶をしております。
○池田(真)委員 資料の方にありまして、愛媛県からの文書、十五というふうに書いてある、皆さんももう御存じかと思いますけれども、これは加藤大臣、大臣というか、加藤衆議院議員にお会いするということではなくて、地元の議員だからではなくて、「官邸への働きかけを進めるため、」ということで明確に書いてありますが、この官邸への働きかけを進めるための面会だったと私は推測いたしますが、その目的が、その後、達成されているわけですよね、時系列を見ると。
ですので、私は、総理への報告はなかったとしたら、そうしたら、では、官邸への働きかけは行ったのでしょうか、獣医学部の新設、そして総理との面会と。
○加藤国務大臣 今の質問は、主語は、私がという意味ですか。(池田(真)委員「そうです」と呼ぶ)しておりません。
○池田(真)委員 そうしましたら、もう記憶の話ですので、今確認させていただいたので、当時では報告をしていない。では、総理にこの関係で話をされたのは、一番最初はいつでしょうか。
○加藤国務大臣 この関係というのは、加計学園が獣医学部新設についてという話ですか。(池田(真)委員「はい」と呼ぶ)したことはありません。
○池田(真)委員 私もおかしいなというふうには思いますけれども、そういう御答弁でしたので、御答弁は御答弁ということで受けとめさせていただきます。
そして、記者会見の中で、まずその前に、この文書の中で、その後に、当時、内閣官房副長官であった加藤大臣の方は、今治市の設置は難しい状況にあるというコメントを出されています、十六ページにありますけれども。なぜこの難しかったものが、その後、するっと実現してしまったのでしょうか。
○加藤国務大臣 その今委員のお手元にあるのは、加計学園がつくったメモではなくて、加計学園から今治市が聞いて、それを県がまとめた、伝聞の伝聞なんですよね。
ですから、私も、先ほどから申し上げているように、そのとき具体的なやりとりがどうだったかというのは詳細に記憶をしているわけでもありませんし、メモをとっているわけではありませんけれども、基本的には、先方から、これこれこういう経緯があり、いまだそこに至っていない、難しい状況についてという話があって、それについてお話を聞いた、それに尽きるわけでありまして、私の方から、こうだああだということを追加的に、言われたことを踏まえて何かしゃべったことはあるかもしれませんけれども、こちらから、それを超えて何か、こうだああだと言ったことは余り記憶にはございません。
○池田(真)委員 そうしましたら、今、公開されましたこの文書で、加藤内閣官房副長官のコメントとして書いてあります1、2、3、4のようなことをコメントした記憶はないということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 ですから、ちょっとこれもここから、済みません、推測になるんですけれども、先方から、こうこう難しいですねといって、ああ、それは難しいですよね、こういうやりとりはあったかもしれません。その先方の状況を確認する、あるいは、この制度そのものは、基本的にはたしか大臣告示だったというふうに思いますから、そういう話の中で、それに触れたということはあると思います。
したがって、こういうのは、大体、間接的な話というのは、どっちが言ったかとかなんとかというのは、かなり混同されているケースが、いや、このケースについて言っているわけじゃ、一般的にあるわけでありまして、そういったことで、基本的には、私は先方からお話を聞いて、それを踏まえていろいろ話をしたというふうに記憶をしております。
○池田(真)委員 そうしましたら、そのいろいろ話をしたという中に、これを進めるようにということで関係省庁、ないし、あるいは総理に働きかけを行ったような、あるいは取り次いだということはないということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 それも先ほど答弁したとおりであります。
○池田(真)委員 獣医学部新設については、創設については、加藤大臣の関与というものが、今の御答弁では、進めることも何もなかったということでありますね。
ただ、この文書は、目的は、やはり官邸への働きかけを進めるためにというふうに明確に書いてあるので、先方はそのような形で来られて対応されたのではないかというふうに思います。
また、会見の中で、きのうの会見の方は、地元の議員としてお会いしたということで問題はないと。それと、あと、いろいろなおつき合いがあるからという話をされています。加計学園は私の地元にあり、いろいろなおつき合いがある中で話を聞いた、この面会について安倍総理大臣には何も話をしていないというふうに、きのう会見のときお話をされていますので、このいろいろな関係というのは、ちなみに何でしょうか。
○加藤国務大臣 入学式、卒業式等に御招待、御招待というか案内をいただいたり、あるいは、理科大自体が、加計学園がやっている岡山理科大学というのがあるんですが、そこにおいては留学生も結構おられて、そういった皆さんも含めた、何か夏のバーベキューパーティーみたいなものが、これは結構大がかりでありますが、そういったところに我々議員が呼ばれて行って、そこでいろいろお話をさせていただく。そのときにはもちろん、留学生とお話をすることもありますし、理事長ともお話をすることもある。そういったつながり、関係のことを申し上げております。
○池田(真)委員 そうしましたら、いろいろなそのおつき合いがある仲は、いつから始まったんでしょうか。要は、先ほどのお話では、平成二十七年の二月の十四日が初めてではないということでよろしいですよね。その前からおつき合いがあると。
○加藤国務大臣 いつというのは明確じゃありませんけれども、私が活動し始めたころから、少なくとも議員になる前にお呼びをいただいたことはないんだというふうに思います。そのとき、もし仮にあれば、私の父のかわりに出たことになるんだろうと思いますし、また、議員としては、なってから、もう十五年たつんですけれども、その間に先ほど申し上げたようなつながりがあったということであります。
○池田(真)委員 あともう一つ、この加計問題で確認をさせていただきたいんですが、加藤大臣の後援会で、二〇一四年の九月の五日に発足をされています地元の後援会の中で、加計理事長が幹事になられているという報道がありますので、それを報道を通して私は知ったわけですから、ちょっと確認をさせてください、事実かどうか。
○加藤国務大臣 今、急だったので、正式な名称はちょっとあれなんですが、岡山懇話会といったか、岡山経済懇話会と……(池田(真)委員「岡山懇話会」と呼ぶ)懇話会ですね、岡山懇話会という団体が、これは経済界などの方を中心に結成をしていただいておりまして、その中の理事という名前だったか幹事だったか、名前がちょっと定かではありませんけれども、そういった形で加計理事長にもお入りいただいているということであります。
○池田(真)委員 非常に、そこから獣医学部の創設と関係があるかないかというところはまだまだ不透明な部分で、加藤大臣は関係ないというふうにおっしゃっておりますけれども、やはりこれは普通の感覚ではないなというふうに思います。何らか、この間、話があるのではないかというふうに当然思います。
と申しますのも、今までずっと関係があったのであれば、失敗しているときにも、十回も申請したけれどもだめだった、その時代から相談に乗っているかもしれないし、話題にのっているかもしれない。でも、今回明確になっているこの公開をされた文書の中で、会ったその二月の面会、それはもう本当に目的がはっきりしているわけですよね。官邸への働きかけを進めるためにという目的がはっきりしてお会いになって、その後一気にこの加計学園の問題は、問題といいますか、これは獣医学部の創設に向けてですけれども、スムーズにスタートしているということがありますので、加藤大臣が、これが真っ先に、スタート、きっかけだったのではないかというふうに私は思っておるところであります。
これはまた改めて他の場面で御質問させていただきたいと思いますが、このやりとりの中で、先ほど、正式な文書でもないしというお話がありましたけれども、この一連の中で、きのう、本会議でも、あるいは参議院の厚労委員会でも、加藤大臣は会ったことをお認めになっていますよね。でも、この後に続く文書について、総理は、会っていないと、お認めになっていないんですよ、まだ。それは、加藤大臣、どっちが本当だと思いますか。
○加藤国務大臣 たしか、きのうの国会の答弁で、その日に会った記憶はないし、ただ、残念ながら官邸の記録が、これは何か面会記録というんですかね、が破棄をされていて確認できなかった、多分そんな答弁をされていたというふうに承知をしておりますが、私は本人じゃありませんから、それについてコメントするのは控えたいと思います。
○池田(真)委員 非常に近い御関係だと思いますので、やはり何らかの御相談とか、あるいは、愛媛県と総理とどっちが本当のことを言っているかというようなことは、加藤大臣としては大方推測ができるのかなと思いますが、こういうようなやりとりがあることが非常に残念に思っております。
早速ですけれども、また本題といいますか、厚労関係のものに行きたいんですが、働き方改革の関連法案についてですが、その前段に、法案に行く前に、きょうお越しいただいております、十八日金曜日にもおいでいただきました原審議官、きょうもありがとうございます。
まず、十八日に私も質問させていただいて、原審議官の方で、努力しますとおっしゃっていただきました。その後の山井委員の質問のときにも、きょうじゅうに、十八日中に報告をしますというような御答弁がありましたので、その後どうだったかということをまずお聞かせください。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先日も申し上げましたが、全国過労死を考える家族の会の声については、政府として十分に受けとめたいと存じます。
その上で御答弁させていただきますと、さきの委員からの御指摘を重く受けとめまして、総理本人へは、政府として、このような面談依頼があり、また面談依頼の対応を検討する旨、外交日程が立て込んでおりましたけれども、金曜日の夜のうちに秘書官を通じて伝えさせていただいたところでございます。
○池田(真)委員 そうしましたら、秘書官の方から、総理に会うということで調整をしていただいているのかどうか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたとおり、金曜日の夜に秘書官を通じて伝えさせていただいたところでございます。
その上で、今回の面談依頼も政府として受けとめて検討いたしました結果、法案への御意見については、担当省庁であり、内容、経緯等を熟知している厚生労働省においてお伺いさせていただくことになったものでございます。
○池田(真)委員 それ、たらい回しというんですよね。十八日にも申し上げましたけれども、加藤厚労大臣にはもう以前お会いしているんですよ。それで、らちが明かないんですよ。
更に言えば、この働き方改革は、この法案については総理案件ですよね。はっきり言えば、首相案件ですよね。総理の肝いりの法案なわけで、何が何でもいいから今国会通してやる、そういう意味で強行審議入りしたじゃないですか。だから総理に会いたいということで言っているわけですが、そのお気持ちを酌み取らなかった、組織として、官邸として拒否をしたということで間違いないでしょうか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
官邸、内閣官房、厚生労働省を含め、政府として検討した結果、厚生労働省において対応させていただくことになったものと承知してございます。
○池田(真)委員 この後、厚労省に何かという話は当然私もございませんので、厚労省に何か対応をということはありませんので、ただ、官邸として断った、拒否をした、はっきり言えば、声を聞いてほしい、そういう声に対して、助けてほしいと言っている声に対して、本当に水際作戦、沖合作戦そのものだと私は思います。非常に残念です。
まずは、この面会の部分は、改めて、厚労省ではもう終わった話なんです、厚労大臣との面会は終わった話なので、必ずもう一度戻してください。誰が認めたんですか、厚労省でいいなんて。御家族は認めていましたか。御家族へのレスポンス、やっていましたか。
これは、官邸としての、組織としての御回答、御検討をちゃんといただいて、先ほどの考えであれば、それはもう一度差し戻していただきたいと思います。総理との面会まで調整をしていただいて、面会できるかできないか、あるいは、ちゃんとした対応が済むまでは、声を聞いていただくまでは、この法案の採決なんてあり得ないというふうに思います。
そしてもう一つ、時間がなくなってしまいましたが、きょう、資料につけさせていただきましたが、昨日の厚労委員会、参考人質疑の中で、寺西代表からの資料がございました。その中でありますけれども、理事会で出された文書、たしか五月十八日に私もいただきましたけれども、ここの中に高度プロフェッショナル制度というものがなかったと。
きのうのこの質疑の中で出てきたのが、右側に書いてある高度プロフェッショナル制度、これがテープ起こしの一部ですということだったんですけれども、はっきり言って主訴ですよ、一番の訴え。それが、高度プロフェッショナル制度を削除してくださいということで言いに来ているのに、その主訴を、一番の訴えを取りこぼしているんでしょうか。それとも、これは改ざんなんでしょうか。これは厚労大臣にちょっとお考えをいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 本年の二月二十三日に過労死の御家族の皆さんからお話を伺ったところでございまして、その際、私ども、たしか委員会で会ってほしいという話があって、一日か二日後にお会いをさせていただいたということでありましたけれども、そのときに、私どもの方ではテープレコーダーを置いてとっておりませんでした。
そして、その概要については事務方がメモをしていたということで、そのメモをお出しするようにということだったので、そのメモを忠実に、ただ公開部分だけに限って、もちろん、そこから先は非公開を前提にいろいろな話をさせていただきましたから、公開部分を出させていただいたということでありますから、出すために何かしたわけじゃなくて、もともとあったものをお出しをさせていただいたということでありますし、それから、実際、その部分は公開をされているわけですね。全てのマスコミの方も入っておられます。
それから、この資料を見ると……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。
○加藤国務大臣 この資料を見ると、多分、家族会の方はテープをとっておられたということでありますから、そういった中で、我々があえてそれを違うように書く必要性もないということであります。
○池田(真)委員 テープがあるかないかだけではなくて、これは、来られた、面会された方の主訴を、今、改ざんをしていないということであれば、主訴を聞き取れなかったという話になるわけですよ。
○加藤国務大臣 申しわけないんですけれども、私が聞いたんですよ。これは、メモをとったのは事務方がとったんですから、私はそこをしっかり受けとめている。それが大事で、もしそういうことだったら、文書で全部やりとりするということになりませんか。
だから、私は、あくまでも私が聞かせていただいた、そしてその部分は全部を公開しておりますし、それから、正直言って、全部のやりとりも、家族会が別に録音することは私たちは禁じておりません。ですから、その範囲においては、家族会の方にはその部分、これは個人的な話ですけれども、それはどうぞということをやっている中でやっているんですから、そういう言い方をされたら、じゃ、我々、要旨として持ったものは一切、中身、一部違ったといったものは出せないことになりませんか。
だから我々は、持っているものを出してくれというお話があったので、その範囲で出させていただいたということでありますし、先ほどから申し上げたように、本件については厚生労働省としては録音をしていなかったということであります。
○池田(真)委員 今の言いわけ、とても苦しくて、これがどこかのほかの企業とかだったら、そういう言い方で済むかもしれませんけれども、ここ、厚労法案を、厚労省に関連する法案の問題ですよ。
例えば今の、全く一番の主訴を聞き取れなかったということですよ。それで、高度プロフェッショナル、これは文書の話をしているんじゃない、だから大臣どう思うんですかと私は聞いたわけですよ。高プロ削除ということはしっかり酌み取っていますという言葉、一つも言っていないじゃないですか。だから言っているんですよ。一番大事な主訴を酌み取っていないんですよ。
だから、助けてと言っても、今の厚労省の中では、助けてという声も聞き取っていただけないし、酌み取れないと私は思いますが、主訴を聞き取れなかったというのは、とんでもない話だと思います。
○加藤国務大臣 これは、私がつくったメモじゃないんですよ。私がつくったメモではない。
ですから、私が聞き取ったときには……(発言する者あり)
○高鳥委員長 静粛にお願いします。御静粛に願います。
○加藤国務大臣 ですから、私は、家族会の皆さんからそれぞれ聞くようにという、委員会でもお話がありましたから、それをしっかり受けとめさせていただいたのでありまして、それをメモったものがこれだったということであって、メモのとり方がよかったか悪かったかという議論は別途あるのかもしれませんが、少なくとも、今委員がおっしゃるように、私が受け取っていないということをこれから判断されるというのは違うんじゃないんですか。
○池田(真)委員 これ、理事会で出されて、この委員会に出されたペーパーですよね。加藤大臣が目を通さないわけないですよね。
これ、一番の肝の主訴が漏れていますよと指摘すればいいんじゃないですか。あるいは、その後の答弁等で、私はこの言葉をしっかり酌み取っています、高プロ削除ということをおっしゃっていましたというふうに言えばいいんじゃないですか。メモの話なんかしていません。このことを聞いているかどうか、わかっているかどうかということを私は言っているんです。
○加藤国務大臣 ですから、当時のものを、当時というか、やりとりを出せということだったものですから、それをメモにしたものはこれしかなかったということでこれを出したので、それをまた私が一々記憶でいじって、また録音と違ったら、また皆さんから、違うじゃないですか、誰がいじったんですか、誰が修正したんですかと。ですから私は、あるがままに出させていただいたということであります。
○池田(真)委員 これは委員会に出された資料なので、報道の、インターネットからとってきたペーパーではありませんから、非常に重たいことだと思います。改ざんでなければ、主訴を酌み取れなかった、あるいは、委員会に出す前にチェック、指摘ができなかったということになります。いずれにしても、加藤大臣の責任は大変大きいと思います。
それと、あと、最後言い切りで終わりますけれども、きょう、本日、過労死防止対策推進法案が与野党一致で可決をされた日、過去四年ですけれども、になるわけですよ。この日に強行採決をしようというのは、まずまずとんでもない話だと思います。そもそものデータは改ざんされていた、あるいは、そちらの言い方であれば誤っていたとかいう話なんでしょうが、どうしてそういうことが、原因の究明も行われていない中で、そういうことは全くできないと思います。
一番の目的、今、高度プロフェッショナル削除という御家族の要望は、大臣は、話を聞いてしっかり酌み取っている、私はわかっているというのであれば、絶対今回の法案の中から削除すべきだと思います。削除できることだと思いますので、それはお願いを申し上げたい。
そして、働き方改革の中で、総理が会えない理由を探してみました。予定、もちろん公開されている予定以外にも、極秘の面会予定もあるかもしれませんが、見ましたけれども、やはりかなりちゃんとインターバルあるんですよね。朝八時過ぎから大体九時で、夕食つきの会合で、最後、お帰りになるのが九時ということですね。多くの、今面会を求めている方たちの、亡くなられた方たちは、こういう、最低この総理ぐらいのインターバルは欲しいということだと思います。
総理の、前後でも十分会えます、本当に会えます。全部私、チェックしました。インターバルも、十三時間とか十時間、当たり前ですよ、十五時間とか十七時間とか十三時間とか。だから、こういうような状況の中で、会えないという理由が全くわかりませんので、原審議官の方には、もう一度お持ち帰りいただいて、きょうお計らいをいただきたいと思います。
そして、それが実現するまでは、やはり法案の採決なんということは到底あり得ないし、そもそもデータもむちゃくちゃでありますので、これは法案を撤回して調査研究からやり直すべきだと私は申し上げて、きょうの質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。
○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。
きょうも、二十五分ということでちょっと質問時間が短くなりました、端的にお答えいただけますようにお願いを申し上げたいと思います。
最初に、池田委員も質問されました加計学園をめぐってでありますけれども、一昨日、愛媛県の文書が国会に提出をされまして、一月二十日に初めて知ったという総理の答弁が虚偽だったのではないかという疑いが強くなりました。国会にうそをつくかのような総理の答弁、これでは、一体、内閣の何を信じればいいのかという思いが強くなっております。国会審議の前提が崩れることが起こっているのではないでしょうか。本日の答弁を含め、うそやごまかしなくお答えをいただけますように、強くお願いを申し上げたいと思います。
きょう、私の配付資料、十五と十六ということで、愛媛県の公開されました資料を持ってまいりました。ここで何点か確認をさせていただきたいと思います。
加藤大臣、二月十四日に加計学園の関係者と、事務局長でしたかね、お会いしたと、きのうおっしゃっていたと思うんですけれども、加計学園の獣医系の大学の新設をしたいということはこのとき初めて知ったか、それとも過去から知っていたか、お答えください。
○加藤国務大臣 加計学園において、そうした獣医学部新設についていろいろと活動されていたということは承知をしておりました。
○尾辻委員 いつから御存じだったか、教えてください。
○加藤国務大臣 ちょっと、いつからという記憶はありませんけれども、この会ったときには、少なくとも、その認識のもとでお会いをしたというふうに記憶をしています。
○尾辻委員 これは結構大事なことなんですね。このときに知っていて、その過去がいつごろからというのは、加藤、そのときは内閣副官房長官ですけれども、政府の中にいる方がこの特区について知っていた時期がいつなのかというのは大事であります。もう一度、ちょっと思い出していただけませんか。
○加藤国務大臣 ちょっと、正直言って、何をきっかけにそれを知ったのかということは、申しわけないですけれども、記憶にありませんが、ただ、先ほど申し上げた、お会いをした段階においては、そうしたことがあるということは承知をしていたということであります。
○尾辻委員 では、この十四日、会ったときなんですけれども、加計学園側は官邸への働きかけを進めるために面会を予定していると、どうもこの愛媛県の文書ではなっております。加計学園から官邸への働きかけをこの面談のときお願いされたかどうか、お聞かせください。
○加藤国務大臣 具体的な、官邸への働きかけを含めて、何か具体的なということについての要請はございませんでした。
○尾辻委員 それでは、ここの次、十六ページに書いてあります、この面談の結果というのがここに報告されているわけですね。1、「今治市への設置は厳しい状況にあるとの連絡があった。」これは、加計学園から今治市に連絡があったのか。
加藤大臣は、今治市への設置は厳しい状況にあると、加計学園にその面談のときに伝えたという記憶はありますか。
○加藤国務大臣 私は、先ほどからお話をさせていただいていますけれども、加計学園からそういう話を聞いて、ちょっと細かいやりとりは覚えておりませんけれども、加計において、これまでやってきたけれどもなかなか難しい、関係者からの理解もなかなか進まない、そういった話があって、ちょっとそこからの細かいやりとりは覚えていませんが、まあ、そういうこともあるんですかねというような、そういうやりとりはあったのかもしれないと思いますが、私の方から、厳しいとか厳しくないとか、そういったことを申し上げて、加計側が言ったことを追認するのではなくて、私の方からそういったことを申し上げる、そうした状況にはなかったというふうに思います。
○尾辻委員 では、ここに書いてある、ちょっと、コメントについても確認をしたいと思います。ここの文書では、加藤内閣官房副長官がこうコメントしたという記録になっておりますので確認したいと思いますが、特にこの3ですね。「県・今治市の構造改革特区への取り組みは評価。」というふうに書いているんですけれども、当時会ったときに、このように取組は評価するというお話はされていますか。
○加藤国務大臣 正直言って、今治市、県云々というよりも、そうやって加計学園の皆さんが御努力をしているというこの努力というものを、これは本件だけじゃなくて一般的に、例えば委員においても、こうやって努力していますよと言われれば、その努力は認めているという、これは普通のやりとりではあったのではないかというふうに思います。
○尾辻委員 ということは、ここのコメントの3のところ、この部分については正しいんじゃないかということですよね。
じゃ、1とかの、「獣医師養成系大学・学部の新設については、日本獣医師会の強力な反対運動がある。」こういうことはおっしゃっていますか。
○加藤国務大臣 先ほども、評価ということではなくて、一般的な言葉のやりとりということを申し上げたのであって、それから、それ以外のところは、基本的には向こう側からいろいろ御説明があったということだったのではないかというふうに思います。私の方から、これこれがある、これこれがないとか、そういった申し上げる状況には、私の方はなかったというふうに思います。
○尾辻委員 ということは、愛媛県の文書、公文書として出てきたものが、加藤大臣にとっては事実と違っているということでよろしいですか。加藤大臣の認識と違っているということで。
○加藤国務大臣 ですから、おっしゃっている意味において、私が先にこういうことを言ったということにおいては、むしろそれよりは、先方からのこうした状況等の御報告が、お話があって、それは、ちょっとそこから先は記憶がありませんからわかりませんけれども、それを、そういうことがあるんですかねみたいな、そんなことはあったのかもしれませんけれども、私の方から積極的に、今の状況はこうだああだということを言えるような状況には、私はなかったというふうに思っております。
○尾辻委員 御地元ということですけれども、加計孝太郎理事長とは大体どれぐらいの頻度で会われるんでしょうか。
○加藤国務大臣 頻度と言われても、全部とっているわけじゃありませんけれども、そんなにしょっちゅう会うわけではなくて、例えば、先ほど申し上げた、先方が主催をするそうしたパーティーといいますか、イベントのときに、私も参加をして、そこでお話をするとか、そんな感じであります。
○尾辻委員 わかりました。
それでは、きょうの質疑に入っていきたいと思います。
きょう、まずお聞きしたいのは、平成二十五年度労働時間等総合実態調査についてお聞きをしたいと思います。
皆さんのお手元にも、九千八十三事業所の正しい統計のデータについてということでお配りをさせていただいております。
この法案の労政審での審議の出発点となった調査結果、私たちは、いまだにこのような疑義が残っている、そして確認をしなければならない状況は異常だと言わざるを得ないんです。本来、野党が調査して見つけるものではなくて、厚労省が精査して提出すべきもの。それを、野党の指摘がなければ問題にすら気づかなかったというのは、余りにこれはずさんと言わざるを得ない。そして、間違いの指摘のために、本来しなければならない法案の議論に時間が割けていない、この責任は厚労省のずさんなデータにあるということをまず指摘をしておきたいと思います。
そして、新しい、九千八十三件の突合済みのデータは、月曜の夕刻にやっといただいたものであります。ここから私たちが見ただけでまだこれだけ疑義があるということですから、確認をさせていただきたいと思います。
A、事業場が単独事業場にもかかわらず、事業規模と企業規模が違うのが八十二件ありました。
めくっていただきたいと思います。
これはどういうことかといいますと、例えば一番上の五〇二というのを見ていただきたいんですが、事業場の属性は一となっております。これは単独事業場であるということです。本社でもなく、支社でもありません。企業規模は十二人ですと言っています。単独事業場には九人おります。ということは、残り三人は何をされているということになるんでしょうか。この事業場規模と企業規模が全然合わない、そして、単独事業場なんですよね。これはどういうふうに読めばいいんでしょう。
○山越政府参考人 これでございますけれども、同一企業内に本社・本店、支社・支店の関係にない事業場がいわば並列である場合であるというふうに考えております。
○尾辻委員 そうしたら、この場合でいうと、残り三人はどこにいるんでしょう。
○山越政府参考人 これは調査対象と別の事業場、並列する事業場にいるということではないかと思います。
個別のデータについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○尾辻委員 個別の事業場ですよね。それで、事業規模が九人。何か全然わからないんですよね。
こういったようなことがたくさんあって、例えば六九四三、下から五つ目を見ていただきたいんですけれども、これは業種でいうと、八、三、二ですから美容業なんですね。企業規模が三人、事業場規模が二人、そして事業場の属性というと、これは単独事業場。残り一人は何をしていらっしゃるんでしょうか。
○山越政府参考人 この事業場規模と企業規模が異なる場合でございますけれども、こういったものは理論上あり得ると考えております。
個別についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、こういった事業場規模と企業規模が異なるものは、同一企業内に本社、支店の関係にない事業場が複数ある場合というふうに考えております。
○尾辻委員 じゃ、これもまた、一人の事業場がまた単独事業場であって、単独事業場が二つあるということになるわけですか。
○山越政府参考人 今申し上げましたように、本社、支社関係のない単独事業場が二つある、そういった並列関係にあるという場合には、こういった事業場規模と企業規模が異なることになるというふうに考えます。
○尾辻委員 理論上はあり得る。私もこれをずっとヒアリングさせてもらって、理論上はあり得るんですけれども、現実にあるかどうか、私は聞いているんですね。
この中で今私が言った、例えば五〇二と六九四三、これだけでも、本当にどういう事業場になっているのか、正しいのかどうか、監督官や事業場に聞いていただけませんか。
○山越政府参考人 これにつきましては、論理チェックを行いまして、必要なデータ、統計として集計しているものでございますので、この統計は精度として高まっているものというふうに考えております。
○尾辻委員 精度として高まったとおっしゃいますけれども、私、先日も言いましたけれども、食事を出されて、二割腐っていたんですよ、二割腐ったのを取ったから食べてくれと言われても、食べられますか、普通。そういうのって、普通、例えば調理の方法とか素材とかそういうのが間違っているからこうしたものが出てくる。ですから、どれだけ取り除いても取り除き切れないということがここにいっぱい出ているわけですよ。こういうものが議論の出発点というのは、私はあり得ないと思いますよ。
じゃ、次に行きますよ。Bを見ていただきたいと思うんですけれども、このBは、事業場が一人にもかかわらず、最長の者と平均的な者の二人がいる。事業場の規模が一人であれば、どちらかに数字が入って、どちらかはブランクにならなきゃおかしいんですよ。なぜ一人なのに二人分のデータが入っているんですか、B。
○山越政府参考人 今御指摘をいただきました、事業場規模が一人でありまして、最長の者と平均的な者双方にデータがあるということでございますけれども、これは、調査対象時点は四月一日でございますので、事業場規模は一人とした場合でも、調査対象月が四月でございますので、四月一日時点で事業場規模が一人でございまして、その後二人以上に従業員がふえた場合は、こういったことが論理的に起こり得るものでございます。
○尾辻委員 理論上起こり得ると言いますけれども、こんなこと、本当にあるんですか。一人なんですよ、ここで。なのに、二人分入っている。これは正確性に欠けるんじゃないですかということを私は申し上げているわけです。
いろんなことを言っても、理論上あり得る。じゃ、聞いてください、ここに。二つしかありませんから。五五と一五七三のところに、四月一日時点で一人で、その後二人になったんですかと聞いていただけないですか。
○山越政府参考人 今回の調査でございますけれども、通常の統計と同様に、一定の条件を設定いたしまして、データ全体にチェックをかけまして、エラーを検出、除外しているものでございまして、これによって統計の精度は高まったというふうに考えているところでございます。
○尾辻委員 確認してくださいと私は申し上げています。確認をしてください。これは議論の前提となるデータなんです。
四月一日で一人で、それ以降に二人になったかどうか、この二つだったらすぐ聞けますよね。確認してください。
○山越政府参考人 今申しましたように、こういった例は論理的にあり得るわけでございまして、また、今回のデータは、一定の精査の条件、これを定めまして、これによる論理チェックを行って出しているものでございますので、精度が高まったものというふうに考えているところでございます。
○尾辻委員 へ理屈ばかりですよ。これぐらい確認してくださいよ。本当にこれぐらい確認してください。精度が高まったとかいう話ではありません。本当に、四月一日に一人で、その後二人になったんですか、ここの事業場。それだったら正しいと言えますけれども、どうやって精度が高まったとこれで言えるんですか。もう一回答えてください。
○山越政府参考人 この調査でございますけれども、精査を行ったわけでございます。これは、一定の条件、論理チェックをする条件を定めまして、これに基づきまして異常となる蓋然性が高いものを除外した、こういう通常の統計でも行われるようなデータの精査方法で行ったものでございまして、これで信頼性の高いものになったというふうに考えているところでございます。(発言する者あり)
今回、二十五年にやりました労働時間等総合実態調査でございますけれども、統計としてより正確にするという観点から、一定の条件を設定いたしまして、異常値である蓋然性の高いものを当該データから除くという方法で精査を行ったものでございまして、これによって信頼性が高いものになったというふうに考えておりますので、さらなるそういう御指摘のようなことをすることは考えていないところでございます。
○尾辻委員 これは、じゃ、間違ったままですよ。これでいいんですか。
じゃ、まだほかにもありますから聞きますけれども、Cでいうと、企業規模が一万人より上、一万人より人がいるにもかかわらず、調査対象は一人の事業場規模となっているというのも七件ありました。
一万人より上ということ、これで一人しか事業場にいないって、どんな企業なんですか。企業規模一万人、でも、事業規模たった一人ですよというのが七件もあるんですよ。これも、理論上あり得るんですか。
ちょっと時間がないので次に行きますけれども、Dも見てくださいよ。事業規模は三百人以上だが、最長の者、平均的な者ともに、一日、一週、一カ月、一年、全てがゼロ。三百人以上の事業規模があって、誰も一年間残業していない、一カ月も残業していない、これが十一件。
ちなみに、事業規模を抜いたら、これは千四百二十五件あるんですよ。千四百二十五件、最長の者も平均的な者も両方とも、一日、一週、一カ月、一年、全てがゼロなんです。こんなこと、あり得るんですか。
○山越政府参考人 今おっしゃられた最初の事例につきましては、企業の中の小規模の営業所などが考えられると思います。
それから、二点目の例でございますけれども、これは、実質的に時間外労働がゼロの場合、こういった場合は当然これに当たるというふうに考えます。
○尾辻委員 信じられますか、三百人以上の規模の企業で、一年間残業ゼロ。一年間残業ゼロ、一カ月もゼロ、全員ゼロ、私、こんなことはないと思いますよ。
結局、監督官が来ているわけでしょう。監督官が監督をした後に調査的ということでやっているわけでしょう。これは本当のことを言っていないと思いますよ。
ここ見てくださいよ、Dなんか。事業人規模八百七十四人とか、事業人規模八百二十三人。これで誰も残業していないと言っているんですよ。こんなの、あり得るんですか。
○山越政府参考人 法定時間外労働でございますけれども、これが実際にゼロ、ないという場合はこういった事例が論理的に起こるというふうに思います。
○尾辻委員 何を言っても、あり得るとしか答えないということ自身が私はおかしいと思いますよ。ちゃんと事業所や監督署に確認してくださいよ、本当にそうなのか。
Eも見ますけれども、これは、最長の者、平均的な者ともに、一日、一年、一カ月、一年、全てが同じ時間なんです。こんなこと、あり得ますか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
これは、例えば、調査対象月、二十五年の四月であったわけでございますけれども、そのうちのある一日についての時間外労働があった場合はこういった結果になるものでございます。
○尾辻委員 どういう意味ですか、一年間と一月と。これは前年のものでやるわけですよね。
例えば、じゃ、これを見てくださいよ。一〇六三九で見ましょうよ。事業人規模一人、ああ、これは、一人なのに両方あるという、また変なデータですね。この人は、一日で一時間、一週間でも一時間、月間でも一時間、年間でも一時間。これは、意味がわからずにこうして書いただけじゃないんですか。その上の人は、一日三時間、一週間で三時間、月間でも三時間、年間でも三時間。こんなこと、あるんですか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
この日、週、月、年の時間外労働が全て同じ時間になるというケースでございますけれども、この調査対象時期でございますけれども、原則といたしましては、御指摘がございましたように、年については、平成二十四年度、前年度、調査することになっておりますけれども、平成二十四年五月から平成二十五年四月までの実績を調査することでも差し支えないということで調査を行っておりますので、今申しましたように、二十五年の四月に、特定の日に、ある時間の時間外労働があればこういったことが起こり得るわけでございます。
○尾辻委員 理論上あり得る、理論上あり得るという話ばかりで、私、これは信じられません。一つ一つ事業所に聞いてください。
あと、私、きょう朝見ていて、実は、事業所の番号が違うのに、五六八四と五七〇〇というのがあるんですけれども、全部数字が一緒なのがあるんですよ。つまり、業種も、事業場の規模も、企業規模も、そして一般労働者の労働時間、全部一緒、数字が全て一緒。これはちょっと手元にありません。五六八四と五七〇〇、これは全部一緒なんです。残業時間、一年間で千二百五十一時間、一緒。月間、百四時間で一緒。週と日も一緒。
こんなこと、あり得ますか。これは絶対に間違えていると私は思うんですけれども、これぐらい確認してください。
○山越政府参考人 今おっしゃられたような例も、論理上あり得るものだというふうに思います。(発言する者あり)
この二十五年度の労働時間等総合実態調査でございますけれども、今回、統計としてより正確にするという観点から、一定の条件を設定いたしまして、異常値である蓋然性が高いデータについては除外するという方式で精査を行ったわけでございまして、こういう精査を行うことによりまして信頼性は高いものとなったというふうに考えておりまして、これ以上精査をするということは考えておりません。
○尾辻委員 おかしいですよ、本当に。これは出発点でしょう、議論の。労政審に出したデータでしょう。そして、二割ちゃんと除いて、まだこれだけ、私たち素人が見てもあるのに、これでどうやって精度が高まったと言えるんですか。その根拠はどこにあるんですか。
時間が来ているということですから、私、全然こんなものは信じられないです。そして、その上で、きょう強行採決をするかもしれない、こんなこと、あり得ませんよ、本当に。まずは、出発点のデータの正しいものを出し直しする。ですから、今回、法案は撤回をして、もう一回調査からやる、これが本来、厚生労働省がやるべきことではないでしょうか。今回の午後からの採決など到底許されるものではない、断じて許されないということを強く申し上げまして、私からの質問といたします。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
大臣、まず、今のデータのやりとり、尾辻委員とそれから山越労働基準局長とのやりとりを聞いていて、どんなふうにお感じになりましたか。
論理的には確かにあり得る話かもしれません。一事業場の時間外の労働時間が全部同じとか、一日も一カ月も一週間も一年も全部同じとか、それから、違う事業場であるにもかかわらず、上段と下段になっているものが一日から一年まで全部同じとか、普通に考えたらこんなことはあり得ないよなというデータが次から次へと出ているわけですよ。これで本当にデータの信憑性は高まったとお考えでしょうか、大臣自身が。
○加藤国務大臣 今のやりとり、例えばゼロ、ゼロ、ゼロというお話がありましたけれども、例えば、大企業でも三六協定を結んでいないところもあるわけでありますから、そういうところは残業をしないということになるわけであります。
そういった意味で、今回は、論理的におかしいというもの、これは除外をするということでエラーチェックをさせていただいて、今の御指摘については、それぞれあり得る可能性があるということでありますから、それはその中に現存させていただいている、こういうことであります。
○西村(智)委員 論理的にはあり得る、そこまでは私も認めましょう。だけれども、実際問題、こんな、偶然でないと、それこそ天からやりが降ってくるような確率で一緒の数字が出ているということ自体、本当におかしいことだと思うんですよ。
ですから、これは改めて確認をしていただきたい。同じことを申し上げ、委員長にこれは理事会の協議事項として要求したいと思います。
○高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○西村(智)委員 それで、私もきょう、幾つも質問したいことがあります。
まず、先日、愛媛県から参議院の予算委員会に提出された資料についてです。先ほども池田委員がこの点について質問をされました。
加藤官房当時副長官が、加計学園と平成二十七年の二月にお会いになった。その面会記録が報告として上がってきているということで、加藤内閣官房副長官のコメントとして1、2、3、4というふうに書かれております。
加藤大臣は、会ったことはお認めになっておられる。それで、お話しになったことも、正確には記憶はしていないけれども、大体こういう1、2、3、4、このような内容のことをおっしゃったのではないかということは、そこは確認させていただいてよろしいですか。
○加藤国務大臣 言われたというのは、1から4、私が言ったということでありますか。
むしろ、先ほどから申し上げているように、ちょっとつまびらかなことは正直言って残っていないので、断定的なことは申し上げられませんが、基本的には、向こうからるる説明があって、それについて私がいわば感想に近いようなことを申し上げたということはあったかもしれませんが、私の方から先に、これはこうだ、あれはこうだといったことを言い得る私自身の知識といいますか、そういう状況にはなかったというふうに認識をしております。
○西村(智)委員 恐らく、私も大臣おっしゃるとおりだと思うんです。恐らくは、加計学園側から何がしかのお話があって、要請もあったのかもしれない。それに対して加藤官房副長官は、その当時、お会いになる前に恐らく事前のレクや事前の情報収集をいろいろされていたんだと思うんですけれども、それを受けとめて、1から4のことまではおっしゃったということだと思うんです。
愛媛県は当然、又聞きの話だとしても、それを改めて改ざんする必要もないわけですから、私は、ここに書かれていることは、やはり加藤官房副長官が、ニュアンスの違いはありますよ、例えば、強力な反対運動があると言ったことも、もう少し違う言い方だったのかもしれません。あるいは、文科大臣の対応も影響かというのも、もうちょっと違う言い方だったのかもしれません。いろいろな語尾の違いはあるとしても、大体内容としてはこういうことをおっしゃった。
だとすると、やはり愛媛県の、今回、参議院の予算委員会に提出された資料というものは、真実のことが書かれているのではないかというふうに見るのが私は普通だと思うんです。
中村知事が今回これを公開したことによって、中村知事にとってのメリットはないわけですよね。むしろ、このことを、これを出すことによって、いろいろなリスクを知事は想定したと思います。だけれども、それでもこの公文書を出してこられた。ということからすると、やはり安倍総理一人がここに書かれている内容について否定しているということが、どうしても解せないんです。
この内容について、今、先日公開された、参議院の予算委員会に提出をされた愛媛県の公文書の中で、唯一これを否定されているのは、安倍総理一人なんですね。加計学園とは会っていない、当然あそこに書かれている言葉も言っていないということなんでしょう。これはやはり大臣、おかしいと思いませんか。
○加藤国務大臣 まず、先ほどのコメントという意味が、私からのコメントというよりは、そこで、まず先方からそういった説明があって、そういった状況なんですねということですから、ここもどこまで正確なのかということももちろんあります。
ですから、丸めて言えば、その日において、加計学園の獣医師学部の新設について話があったという点についてはそのとおりということは先ほどから申し上げているということであります。
ただ、それはここでの、ここの部分の話でありまして、それ以外が正しいか正しくないかということを私に問われても、当事者じゃないので、何とも申し上げられないということであります。
○西村(智)委員 それでしたら、改めて伺いたいと思います。
これは、丸めて言えば、やはりここに書いてあることを加藤官房副長官はおっしゃったと思うんですよ。随分消極的なことをおっしゃっていますよね。加計学園の提案に対して、獣医学部が反対している、文科大臣もどうのこうの、関係団体からも反発しているというような非常に消極的なことを多分おっしゃったということからしても、私は、加藤大臣自身も、ああ、ここに書かれているようなことを確かに言ったかもしれないなという感じではあると思うんです。官房副長官側に記録が残っているかどうか、それはわかりませんが。
そういう中で、安倍総理の発言のあの部分だけ、あるいは安倍総理が会っていないということに、ただ一人、あの公文書がうそだということを言っているのは安倍総理だけなんですよ。安倍総理にこれはやはり説明責任があるというふうに大臣はお思いになりませんか。
○加藤国務大臣 ですから、それに対して総理は、会っていないという答弁をたしかきのうの本会議でもされていたというふうに承知をしておりますけれども、いずれにしても、今、この点も含めて、いろいろな御疑問に対して、御指摘に対しては、総理が一つ一つ丁寧に答えていくという姿勢を示しておられるわけでありますから、そういった姿勢にのっとって今後とも対応されるものというふうに思います。
○西村(智)委員 これは多くの人たちが大変不自然だというふうに見ています。加藤大臣は会ったこともお認めになっている、そして、ここにコメントも出ていて、随分消極的におっしゃっているので、加藤官房副長官のタイプからしても、恐らくこのようにおっしゃったんじゃないかと思うんですよ。それにもかかわらず、その出てきた文書の中で、本当に安倍総理だけが、あの文書を真っ向から否定しているということなんですよね。これは本当に不自然なことだというふうに思います。
ここは徹底的に、安倍総理に加藤大臣の側からもきちんと説明責任を果たしてもらいたいというふうに進言してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。そうでなければ、加藤大臣から、例えば、先ほどのやりとりにもありました、何か加計学園についていろいろ働きかけをしてほしいと言ったんじゃないですかというような、いろいろな疑いもかかっていきますよね。
やはり、安倍総理本人の、今まさにその言動の信憑性が問われているわけですから、加藤大臣の口からも、ぜひ、安倍総理に対して、説明責任を果たすべきだ、果たしてもらいたい、こういうことを言ってもらいたいんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほどからお話を申し上げているように、総理も常にそういうふうに言っておられるわけですから、私からそれを追認的に申し上げる必要性はないんだろうというふうに思いますが、ただ、この委員会で委員からそういうふうなことがあったと、そういう御指摘があれば、それは総理にはお伝えいたします。
○西村(智)委員 安倍総理は、口では、説明責任を果たすとおっしゃるんですね、うみを出し切るとおっしゃるんですね。だけれども、どういう手法でそれをやるのか、あるいはどういう場でどういう説明をするのか、一度として、私たちが見ていて、ああ、これが説明責任だなと思えるものってないんですよ。これでうみを出し切ったなと思えるものってないんですよ。
ですから、そこは大臣からもぜひ言っていただきたい。
それで、きょうは私、同一労働同一賃金のことについても質問をしたいと思っております。
今回、働き方改革関連法の中で高度プロフェッショナル制度を削除してもらいたい、それが法案審議の前提だということを言い続けてまいりました。長時間労働を助長して過労死をふやす、こんな仕組みはつくってはなりません。
今必要なのは、ワーク・ライフ・バランスという言葉、多少手あかがついているとすれば、生活時間というものを一人の生活者の一日の二十四時間の中できっちりと確保するという考え方を新たに導入することであって、それを実現するために、例えば、私たちの法案の中では、生活時間そのものを提起させていただいておりますし、インターバル規制も導入してほしいということも言っているわけでございます。
そういう中で、やはり同一労働同一賃金、非常に重要です。私の立場からすれば、男女間の賃金格差を是正するためには、もうちょっと踏み込んで、均等待遇を実現するために、もっと政府案からは踏み込んでもらいたかったというふうに思っておりまして、足りない部分は、ですから立憲民主党の私たちの案に入れ込んだつもりなんですけれども、政府案に対してきょうは伺いたいと思っております。
同一労働同一賃金、これは、働き方改革の実行計画にあるとおり、非正規雇用で働く人の待遇改善によって実現すべきだと考えております。
正社員の労働条件の引下げによる同一労働同一賃金の実現は、法の趣旨に合致しないということでよろしいかどうか。そして、同一労働同一賃金は、正社員の労働条件の引下げによることなく、非正規労働者の処遇改善によって行われるべきことを法律上明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 同一労働同一賃金の目的は、非正規雇用労働者の待遇のまさに改善ということでありますから、不合理に低くなっている方の待遇の改善は、これは図るべきだというふうに思います。
また一方で、労働条件の不利益変更については、労働契約法上、原則として労使双方の合意が必要とされております。また、労使で合意することなく、就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法の規定に照らして合理的な変更でなければならないということで、現行においても、そうした一方的な不利益変更については法的な整備がなされております。
また、同一労働同一賃金に対応するために、労使で合意することなく正社員の待遇を引き下げる、これは望ましい対応とは言えないというふうに思います。
ただ、いずれにしても、各企業において、処遇体系全体を労使の話合いによって確認をし、あるいは構築をし、そして非正規雇用労働者を含む労使でその点を共有していくことが大事だというふうに思っております。
○西村(智)委員 私どもの対案の中では、雇用対策法に、労働者の待遇についての格差の是正が、通常の労働者の待遇の低下によることなく、通常の労働者以外の待遇の改善により行われるようにするというふうに明記をしております。やはり、法律上、きちんとこういう形で書くことが私は必要だと思っております。
次に、非正規労働者が裁判で不合理な待遇差の是正を訴えるためには、自分自身の待遇や正社員との待遇差の内容、理由、こういったものを正確に知っておく必要があります。
その意味で、待遇の説明義務の強化は重要だというふうに思いますが、閣法では、説明方法についての定めがありません。結果として、口頭説明あるいは不十分な資料に基づく説明も容認されてしまうことが懸念されますが、これについてはどう考えておられるでしょうか。
○加藤国務大臣 その点については、今、現行法においても類似の規定があります。
その説明方法については、通達において、口頭によることが原則、説明すべき事項を記載した文書を交付することによってもその義務を履行したと言える、また、口頭による説明の際に、説明する内容等を記した文書をあわせて交付することが望ましい措置である、こうしたことを規定をしているわけでありますから、そういったことを含めて、この法案が成立した段階において、そうした内容も詰めていきたいというふうに考えております。
○西村(智)委員 望ましいというような形で、労使の力関係に結局委ねられるようなやり方ではだめだと思うんです。
書面での説明の義務づけ、それから正社員の待遇に関する説明で用いる資料が既にある場合は同じ資料を用いるとか、そういう形で実効性を担保、確保していく必要があると考えております。私たちの対案では、同じ資料を用いるというふうにもきちんと規定をさせていただいております。
次に、そもそもそういった理由、背景の説明がされていない場合や、説明されていたとしてもその内容が不十分であるなど、待遇の説明義務が十分に果たされていない場合の法的効果、これについて、政府としてはどういうふうに考えておられるでしょうか。
そうなりますと、結果として、労働者が裁判で待遇の不合理性を立証することが不可能になります。これでは、同一労働同一賃金が有名無実化しかねません。説明義務を果たしていない場合の法的効果として、きちんとそのことを、不合理性を基礎づける要素となることを明らかにしておくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、非正規の雇用労働者が説明を求めたにもかかわらず説明されない場合には、各労働局において指導監督等を行い、待遇差に関する説明が確実に受けられるようにしていくということであります。
他方、今お話がありました、待遇差について事業主が十分な説明をしていない場合に、今申し上げた労働局の対応を待たずに非正規雇用の方が裁判に訴えるということも、これはあり得るというふうに思います。
待遇差に関する説明は、説明を求めた非正規雇用労働者と事業主との間における待遇に関する話合いが前提となり、事業主が十分な説明をしなかったと認められる場合には、当該非正規雇用労働者との間で真摯な話合いはなされていない、あるいはなされているとは言いがたいということになります。
最終的にはこれは司法判断ということになりますが、現在でも、不合理な待遇差か否かの判断に当たっての考慮要素の一つであるその他の事情というのがございますが、これには労使交渉の経緯等が含まれるというふうに解釈をしております。
この点は労働政策審議会の建議においても書かれておりますが、この待遇差について十分な説明をしなかったと認められる場合にはその事実、そして、していなかったという事実もその他の事情に含まれ、不合理性を基礎づける事情としてこの司法判断において考慮されるものと考えているところであります。
○西村(智)委員 確認させていただきました。
昨年六月の労政審の建議では、説明義務に関する比較対象となる正規雇用労働者は、職務内容、職務内容・配置変更の範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者とされていますが、労働者が事業主が選んだ正規労働者との比較を納得できない場合にどういう措置をとることができるでしょうか。
また、当初の説明時に比較対象に異議を唱えなかったとしても、裁判では、労働者側が当初とは異なる比較対象となる正規雇用労働者を選定して待遇差の是正を訴えることは可能でしょうか。
○加藤国務大臣 今、二つお話があったと思います。説明をするときの話と訴訟のときの話と、二つあったと思います。
待遇差の説明については、全ての正規雇用労働者との待遇差を説明するということになると、これはなかなか事業主の負担が大きいという問題があります。また、その点を全く自由にするということになれば、全く関係ない、かけ離れた人でもよいのかということで、これ自体が意味のないということになるわけでありまして、パートタイム労働者や有期雇用労働者の指定する者との待遇差の説明を一律に求めるということになりますと、その中身においては、個人情報保護に関する問題もあるという点も指摘をされております。
そこで、建議においては、事業主が業務の内容等が最も近いと判断する者を説明時の比較対象とし、また、最も近いと判断した理由をあわせて説明することが考えられるとしているところであります。
そういった意味で、今回、今お話がありましたように、非正規雇用労働者として事業主の待遇差に関する説明あるいは対象者について納得ができない場合、また、その理由の説明が不十分であって説明義務が履行されていないと考える場合には、労働局に対する、指導等を求めていく。
また、事業主に対して特定の者との待遇差について任意で求めるということも考えられるところでありますけれども、事業主は、非正規雇用労働者から特定の者との待遇差について説明を求められた場合であっても、その特定の者との待遇差について常にそれを説明しなければならないわけではありませんが、他方で、事業主が比較対象として選定した者が最も近いと判断した理由は、先ほど申し上げた、説明をすることが求められているわけでありまして、いずれにしても、説明義務における比較対象となる正規雇用労働者については、建議においても、個別事案に応じた対応を含め、施行に含めて考え方を整理していくとされているところでありますので、法案成立後、労政審における審議、議論をいただいた上で、先ほど申し上げた指針あるいは通達ということで明らかにさせていただきたいというふうに思っております。
また、もう一つ、訴訟のときの話でありますけれども、今回は、非正規雇用労働者と待遇を比較することとなる通常の労働者とは、いわゆる正社員を含む無期雇用フルタイムの労働者でありますけれども、この非正規雇用労働者は、不合理な待遇差の是正を求める際、通常の労働者の中でどの労働者との待遇差について争うかは選ぶことができるものとされているところでありまして、したがって、御指摘のように、例えば説明を受けたときにはAという人であったとしても、そしてBという人については求めなかったとしても、裁判所においては、通常の労働者の中で、例えばBとの比較で待遇差を争うということもできるというふうに考えているところであります。
○西村(智)委員 政省令の中できちんと書き込んでいただくことになると期待をいたしておりますけれども、ちょっと今の御答弁だとまだまだわからないこともあるなというふうに思います。
それで、通常の労働者の定義についてもう少し聞いていきたいんですが、やはり重要なのは、誰と比べて同じ賃金にするかということであります。
誰と比較すべきかということを考えるに当たって、今回の改正案の中によく出てくるのが通常の労働者という言葉なわけですけれども、これはどういう人のことを指すのか、御答弁ください。
○加藤国務大臣 今回の改正案をベースにして申し上げさせていただきますと、通常の労働者とは、いわゆる正社員を含む無期雇用フルタイムの労働者ということであります。
○西村(智)委員 現行の通達では、雇用形態、賃金体系等が通常の労働者の判断基準に入っています。この点は大きな問題だと思います。
長期雇用を前提とするということになれば、今回、新たにパート法に入る有期の人が除外されます。すると、パートで働く人、これは多くは女性ですが、これも除外されることになります。長期雇用だから待遇がいいのだという考え方が法案の趣旨に入っているとすれば、これは同一労働同一賃金などあり得ない。果たして、非正規で働く人の処遇改善につながるのか、これは大きな疑問であります。
関連して伺いたいんですけれども、通常の労働者の定義というものが書かれているパート法、現行法の第二条の通達には、比較対象者の選定方法についても詳細な規定が盛り込まれておりますが、これは今回の改正でも維持されるという理解でよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 現行のパートタイム労働法の通達において、例えば、事業所において同じ業務に従事する者の中にいわゆる正規型の労働者がいる場合は、当該正規型の労働者等々を通常の労働者としているという規定があります。
ただ、今回の改正法では、パート・有期労働法の適用単位を事業所単位から事業主単位に変更しているということ、それから、有期フルタイム労働者も保護対象とし、無期フルタイム労働者等を比較対象としているということ、こうした点がございますから、そうした変更点を踏まえて、今の通達、それについては必要な見直しはあるというふうに思います。
○西村(智)委員 法律の性格も変わるということで、比較対象者の選定方法についてもこれまた今後変わってくるということなんですね。ここはとても大事なところだと思います。
誰と比較するのか、誰と同一の賃金とするのか、誰と不合理な格差がないと判定するのか、ここがずれてしまうと、非正規で働く人たちの実質的な待遇改善にはつながらない、つまり、今回の改正が意味をなさなくなってしまうというふうに思います。
ですが、今の答弁ですと、現行の通達がなくなってしまう可能性もあるということですよね。通達がなくなれば、誰と比較すればいいのか、具体的な手がかりはなくなります。働く人の側としては、誰と比較をすればいいのかわからなくなるのではないでしょうか。
加えて、厚生労働省としても、誰に行政指導してよいのかわからなくなるのではないでしょうか。今の御答弁ですと、今回、法律を改正したとして、行政指導は恐らくこれまでどおり行っていくということだと思います。通達をなくして行政指導ができるのか。全ての非正規で働く人が裁判を起こせるわけではない以上、行政指導というのが本当に重要な救済手段だというふうに思うんです。
通達は維持すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。それから、行政指導への影響はないのか。この点について伺います。
○加藤国務大臣 先ほど、別に今の現行通達をなくすということを申し上げたのではなくて、現行の通達において、今回改正をした部分、これを踏まえた必要な見直しをするということを申し上げさせていただいたということでございますので、そういった意味では、引き続き、所要の見直しは当然、法案との整合性をとる必要がありますから、させていただきますけれども、それを踏まえた通達をベースに行政指導等を行っていくということになります。
それから、今後は、これまで事業所という部分もありましたが、これは事業主ということでありますから、指導対象は事業主になるというふうに考えております。
○西村(智)委員 じゃ、行政指導には影響はないということで確認させていただいてよろしいですか。
○加藤国務大臣 そういう意味での対応をさせていただきますので、そうした意味で的確に行政指導が行い得るように措置をしていきたいと思っております。
○西村(智)委員 現行の通達、なくすことはないけれども、見直すことはするということですよね。
ぜひここは、私、やはり本当にこれで同一賃金、均等待遇が実現できるのか、ちょっと疑問に思っております。比較対象者ができるだけ多くの人にわかるように、今の基準を最低限維持しつつ、次の通達の見直しについても議論していっていただきたいというふうに思っております。
関連して、比較対象についてなんですけれども、これも何度か議論になっておりますが、通常の労働者と比較する場合に、一人でも働き方が同じような通常の労働者がおられれば、その方と均等待遇になるということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 例えば、あるパートタイムで働く方あるいは有期雇用で働く方について、その事業主のもとにおいて、一人でも職務の内容、職務の内容及び配置の変更範囲が同一の通常の労働者が存在すれば、当該通常の労働者との間での取扱いが問われる、そして、そこにおける差別的な取扱いは禁止をする、こういう規定であります。
○西村(智)委員 個人で構わないということで、よろしいということで確認いただきました。
では、現行のパート法九条は行政指導の対象条文となっておりますけれども、個人の通常の労働者との比較において改正九条違反が認められた場合に行政指導を行うということで、これも確認させていただいてよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 新たな九条ということでございますよね。(西村(智)委員「そうです」と呼ぶ)当然対象になります。
○西村(智)委員 ありがとうございます。
ほかにも人材活用の仕組み等々についていろいろ質問したかったんですが、ちょっと質問時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
○高鳥委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 きょうは一般質疑ということで、さまざま、課題について聞きたいと思います。
特に、生活保護、生活困窮者制度の補充質疑でありますから、補充的な意味を込めて、私、幾つか確認したいと思います。
お配りしている資料にありますように、前回私が指摘をした四十代の夫、三十代の妻という定義は、そこに書いてあるとおりです。これで生活保護の最低生活費は一体幾らなのかというのを、詳細をちょっと出してくれということで出してもらいました。これは、同程度の収入は一体幾らになるのかということで、いわゆる税金だとか社会保険料だとか、こういうものを加算すると年収は一体幾らぐらいになるのか、こういう話をしました。
前回は、いわゆる被用者の保険に入れる方、いわゆる社会保険に加入する事業所の場合でありましたが、国民年金や国民健康保険の場合には、この四百二十という数字は幾らに変わるんですか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。
御提示いただいた資料の中に四百二十万円とございますけれども、同じような世帯で、仮に国民年金、国民健康保険に加入をしていた場合、お尋ねの年収は約四百五十万円となります。
○岡本(充)委員 四百五十万円の年収があると、この一家四人が生活保護を廃止し自立的な生活を送ったときに、その生活水準が変わらなくて済む、こういう理解だ、こういうことですね。と思ったら、そうじゃないんです。
めくっていただいて、就労自立給付金。これは要するに、今の説明だと、年収四百五十万、もし直前まで四百四十万の収入があった場合、そこから税やさまざまな保険料等を引いた残額が所得認定をされる、所得認定をされて、そこからいわゆる勤労控除の金額が上乗せをされていくわけです。
先ほどお話をしましたように、年収で先ほどの数字でありましたが、これは月収にすると、およそ三十八万円程度になるんでしょうか、三十七、八万円だという理解だと思いますが、この三十七、八万円の人がいて、この人が現にその直前の段階で一体幾らの勤労控除を受けていくことになるのか。三十七万円で、一体幾らの勤労控除を受けることになるのか。この金額、毎月の金額をお答えいただきたいと思います。金額でお願いします。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。
本件、年収でいきますと四百二十万円という……(岡本(充)委員「四百五十万円でしょう。さっき四百五十万円と答弁したじゃないですか。ちょっととめてください。整理して。委員長、変えるそうです」と呼ぶ)
○高鳥委員長 時計をとめてください。速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
定塚社会・援護局長。
○定塚政府参考人 先ほどの年収四百五十万円の場合でございますけれども、勤労控除は年額で約六十九万円、月額にすると約五万七千円ということになります。
○岡本(充)委員 ということは、現実に勤労控除があるわけですから、結果として、この控除の分を含めると、三十七万円月収があるこの家庭においては、五万七千円の勤労控除を得て、四十二万七千円の月収があって初めてギャップがなくなる、こういう理解でよろしいですか。
〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕
○定塚政府参考人 委員から御指摘いただいた額どおりでございます。
○岡本(充)委員 つまり、四十二万七千円ということは、年収でいったら、これは五百万を超えてくるんですよ。大臣、この金額を初めて知ったでしょう、私の指摘を受けて。五百万円を超えてきて初めて、一家四人が生活保護を受けてきたときと同程度の生活ができるようになってくる。これは本当に、ここまで頑張ってお仕事をするようになるのは、なかなか大変なんですよ。
私が言いたいのは、この勤労控除の仕組み、これを大きくしていけば大きくしていくほどギャップがでかくなります、離脱のときに。これを大きくしろと言うことは、ギャップが大きくなるから大変になるんですが、私は、その一方で、何で五百万円を超えなければ生活保護と同程度の生活ができないかといえば、やはり、そこに大きな社会保険料また税金の支払いがあるんだと。
一ページ目の、厚生労働省も出してきましたけれども、年額四百二十万円で算定をした場合でも、ここにあるとおり、月額でいうと十万円近いお金が社会保険料や保育料また医療費等で支出しているわけでありますから、こうしたところをきちっと手当てをする仕組みが必要なんじゃないかということを私はこの場で訴えたいと思うんですね。やはりここを支えてあげなければ、五百万を超えなければ生活保護から脱却できないとなれば、これはもう諦めちゃう人も出てくると思いますよ。
だって、加藤大臣、働き方改革関連法の高プロは、何で一千七十五万円と今言われているんでしたっけ。
○加藤国務大臣 一千七十五万という数字は、労政審において、過去、ちょっと時点は忘れましたけれども、有期について三年から五年に延ばす、そのときに、交渉力のある方という議論の中で当時一千七十五万という数字が出て、それを踏襲しているということであります。
○岡本(充)委員 いや、法律には何の三倍と書いてありますか。
○山越政府参考人 これは、労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額の三倍を相当程度上回るとなっておりまして、基準年間平均給与額の定義が、毎月勤労統計をベースに、法律に定められているところでございます。
○岡本(充)委員 それは幾らですか。
○山越政府参考人 平成二十九年の毎月勤労統計調査に基づく年間平均給与額は三百十二万円余り、三百十二万九千二百四十九円でございます。
○岡本(充)委員 前回、大臣は、それを責めるつもりはないですけれども、四百万円から五百万円ぐらいじゃないかというような趣旨の答弁をされましたけれども、現に法案で書いている金額は、三百十万を超えた金額を想定した毎月勤労統計をベースに我々法案質疑をしているわけでありますが、それと比較しても、この五百万を超えてくる金額というのは、何もこれを下げろと言うつもりは私はないんですよ。これがなければ生活できないんです、これが最低基準なんだという中で、ぎりぎりの生活をしている人たちがいる。でも、そこから卒業するためには、その所得を得なければ今の生活水準が下がるという、ここに僕は矛盾を感じていましてね。
したがって、今言った就労自立支援金の見直しは、勤労控除をふやしていくということでは、なかなか、ギャップがでかくなるだけだと思う。したがって、私は、やはり仮想の積立金額をふやしていって、結果として、頑張って働いた分、今の話で、例えば、毎月三十七万数千円で五百万円という話でしたけれども、まあ四十二万円とは言いませんが、例えば三十万後半の給料を稼いでいても、いわゆる、今、勤労控除って幾らになるんでしたっけ、さっきのは五万七千円でしたね、五万七千円でした。したがって、五万七千円のお金がプラスされるけれども、三十万円台後半稼いでいて、五万七千円のお金が、現実的に自分の可処分所得がふえる分にすぎないわけですね。
したがって、本当に三十数万円の、三十七、八万の給料をもらっている人からすると、実際に使える金額は五万七千円しかふえない。制度として、ここをふやしてほしいと言いたいところだけれども、これをふやしちゃうと、先ほどのギャップが更に大きくなるので、私は、その五万七千円を引いた残りの三十一万数千円の、このお金の中から積み上がってくるお金をきちっとためておいて、後で離脱をしたときに、こうした社会保険料にあてがえる仕組みを充実するべきではないか、こう考えているんです。そうじゃなければ、これは五百万円、諦めちゃう。
三百十数万円が今の毎月勤労統計の数字だと基準局長は答えられましたよ。この数字と二百万円も乖離がある。この現実をやはりどう考えるかというと、これしか解決策はないんじゃないかと思うんです。これはどうですか、大臣、検討されてみたらいかがですか。
○加藤国務大臣 委員御指摘のように、自立に向けてということが基本になるわけですから、ただ、自立に向かった瞬間にがくっといく、今おっしゃる税や社会保険料の負担がふえ、結果的に実質の収入が減るということがないように、なるべくシームレスにつくっていく、こういう御趣旨なんだろうというふうに思います。
ただ、一方で、さっきからお話がありますように、勤労控除は、自立していく過程にある方だけじゃなくて、まだそこには至っていないけれどもという方にとっても、やはり就労をインセンティブするという意味においては、これが意味はあるというふうにも思っております。
また、就労自立給付金そのものは、委員御指摘の趣旨ではありますけれども、そこでどうインセンティブというか、スムーズにしていくかということ、これはしっかりと議論をしていく必要があるということで、今回、これまでのやり方を変えた形のものを提案をさせていただいているということであります。
○岡本(充)委員 提案をしている新しい基準でも、では、先ほど言った三十七万円の給料を頑張って一年間得ている人は、一体積立金は幾らになりますか。局長で結構です。
○橋本委員長代理 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○橋本委員長代理 速記を起こしてください。
まず、厚生労働省、きちんと通告を伺って、答弁を準備しておくようにしてください。
定塚社会・援護局長。
○定塚政府参考人 失礼いたしました。
新しい計算方式で計算をいたしますと二十三万六千円となりますけれども、ただ、上限額を設定する予定でございますので、上限額十五万円ということになります。
○岡本(充)委員 もう十五万円を超えるのは明らかなんですから、これは十五万円なんです。
では、十五万円で何カ月分ですかといったら、一カ月ちょっとですよ、社会保険料に直すと。これで本当にいいのかという話を私はきょうしたいわけです。見直しましたと言うけれども、三十七、八万の給料をもらって、頑張ってやりましたと。いや、さっきの五百万というのはすごい数字ですよ。
ちなみに、ちょっと制度で確認したいんですけれども、公務員の方で年収五百万円以下の方というのはいらっしゃると思うんですね。例えば、年収五百万円以下の家族、公務員になったら、生活保護を受けながら公務員、公務員として働きながら生活保護を受けることができるのか。これは、事実関係、確認はきのうしました。答弁を求めます。
○定塚政府参考人 御指摘いただきましたとおり、公務員であっても同様に生活保護基準に該当すれば、生活保護受給対象となってございます。
○岡本(充)委員 つまり、公務員の給料を受けながら生活保護を受ける、こういうことになりかねないという大変驚くべき答弁なんですよ。
だから、これが本当に問題だと私は指摘をしているのは、まさにこれだけの金額をどうやってシームレスにするのかといったときに、十五万円の積立金を用意しましたからシームレスになりますということでは、私は不十分だと言っているんです。さらなる検討をするべきじゃないか。まだ法案の話で、施行もしていないのに、まだちょっとそれはとか言うのかもしれませんが、でも検討はもう始めてもいいんじゃないですか。大臣、どうですか。これは十五万円では全然足りないでしょう、本当に。
○加藤国務大臣 これは、今回の法案改正からストレートにくるわけではなくて、省令以下での議論ということになるわけでありますけれども、今、今回も新しく実施をするということ、それから、保護を廃止するかの判断をどうするかということもありますよね。今おっしゃった基準で、すとんといくのか、もう少しいろいろな部分を判断してやっていくのか、そういったところもよく見きわめながら、今後において、今委員の御指摘も含めて、この検討はこれで終わりということではなくて、どう自立促進を図っていくのかということでありますから、そういう観点に立って、どういう措置をとっていくことが必要なのかについては、引き続き、我々としても検討していきたいと思います。
○岡本(充)委員 ぜひ私の指摘を踏まえて考えていっていただかないと、諦めちゃうという話になるのが、私は、これは制度として望ましい姿ではないと思いますから、ぜひ、ここはしっかりもう一度検討していただきたいと思うし、廃止に向けて頑張る家族、頑張る人をもっと応援してあげてくださいよ。私は、そういう趣旨でこの話をさせていただきました。
それから、引き続いて、前回の質問で取り上げさせていただきましたけれども、これは四ページ目ですか、全体の診療件数に比べて生活保護受給者の割合が高い医療機関数、これは平成二十三年分はなかったということですので、平成二十五と平成二十九で比較してもらいました。重複している医療機関がこれだけある。つまり、この右の医療機関は、この間もかなりの確率で生活保護受給者の方が集中している医療機関だと思います。この実態を調べるべきだという話をしましたが、この間、どのような調査をしていただいたのか、そして、どういう医療機関であったのか。国保を含めて、これはしようがなかったんでしょうか、レセプトはなかったんでしょうか。どういう確認でしたか。
○定塚政府参考人 前回、委員からの御指摘を踏まえまして、私どもの方で二十五年のデータ、それから二十九年のデータというのを改めて突き合わせて精査をして、この資料をつくらせていただいたということでございます。
具体的なそれぞれの医療機関について、どのような医療機関であるか、あるいはレセプトはどうなっているか等の点については確認をしておりません。
○岡本(充)委員 いや、これはやってくださいと頼んでいるんです。やっていただけるんですか。
○定塚政府参考人 生活保護法に基づく指定医療機関に対する指導については、指導、指定権限を持つ都道府県等がございますので、今後、委員の御指摘を踏まえまして、都道府県等を通じて、どのような医療機関であるのかというような実情把握をしてまいりたいと思います。
その際、必要であれば、私どもの方も都道府県と一緒に、どのような医療機関であるのかというのを確認をしてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 大臣、都道府県は、だって、この支払基金のデータは持っていませんからね、厚生労働省が前面に立ってやらなきゃだめですよ。今の局長の答弁じゃなくて、やはり政治的にきちっと、これについては事実関係、ちゃんと確認をして、国保も同様なのか、そしてまた、どういう医療行為をしているのかを含めて確認をして、問題があれば指導する。やはりそれはやるべきだと思います。どうですか、大臣、答弁してください。
○加藤国務大臣 医療扶助が適正に実行されていくという意味においては、生活保護者側の問題ももちろんありますが、医療機関における対応ということも当然、委員御指摘のように、大事なポイントだというふうに思います。
委員の方から御指摘もあって、今、この二カ年度にわたって見た、ダブりがあるのがどれだけなのか。もちろん、委員御指摘のように、これには国保とか後期高齢者医療制度のデータは入っていませんから、そこがどうなのかという問題はありますけれども、とりあえず、今局長からも申し上げたように、直接監督権限があるのは都道府県でありますから、それを飛び越えて我々がというわけにはいきませんが、担当の都道府県とまずデータをよく、我々が持っているデータも出して、その辺のところをよく協議をし、また、過去においてどういう指導を行っているかということもこれはあるかと思いますので、そういったことを一つ一つ積み重ねて、問題があれば、都道府県において個別指導の実施ということに向けて我々も監視をさせていただきたいと思いますし、その結果についてはしっかりフォローし、もし問題があればしっかりとした指導を行っていき、そこにおいて、医療扶助の適正な執行という面において問題がないようにさせていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 それはきちっと、匿名化したものでも結構ですから、報告もいただきたいと思います。よろしいですか。うなずいていただきましたね。では、どうぞ。
○加藤国務大臣 どういう形でできるかというのはありますけれども、何らかの報告はさせていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 ぜひお願いをします。
では、その上で、もう幾つか確認させてください。よく議論になっている、いわゆる養育費の支払いが滞る話ですね。
いろいろなところの議論の中で、養育費の支払い義務者が不当に義務を免れないように、諸外国でも制度化されている、国による養育費立てかえ払い、国による養育費の取立て援助なんということをやることについて、国として検討していることはあるのか、若しくは何が課題だというふうに考えているのか、御答弁をいただきたいと思います。局長でも結構です。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、私どもも、一人親家庭の生活の安定あるいは子供の健やかな成長のために養育費を確実に確保するということが必要だというのは、まず基本的な認識でございます。
その上で、今御指摘いただきましたような諸外国の制度、私どもとしても、いろいろな機会を通じて勉強しておりますが、完全に把握しているわけではございません。
そういう意味では、その内容にもよりますけれども、一般に言われているような、国による養育費を立てかえる、国による養育費を取り立てる、あるいは取立てを援助するという仕組みを考えた場合には、養育費が民事上の債権債務にかかわるという、ここのところをどう考えるかということから、例えばでございますけれども、もしそういう制度を仕組んだ場合に、我が国の場合にどのような実施主体に行わせていただくか、あるいは支払い義務者から徴収できなかった場合の負担のあり方をどう考えるかというようなところが、今のところで私どもの念頭にある課題でございます。
養育費の支払いの履行確保という観点からは、現在、法務省において、強制執行の申立てを容易にするための財産開示制度、財産を開示する、開示制度の実効性向上を含む民事執行法の改正に関する議論も進められているというふうに承知をしておりますので、このような議論も踏まえて、私どもとしては研究してまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 私はやはり、子供の貧困というのは、本当に早急に取り組むべき課題だと思いますよ。だから、国として議論しています、議論していますと言っている間にも、本当に多くの子供が困っているんだとすれば、やはり早急に何らか手当てをするというのは必要だと思うし、何で、民民の契約だといったって、労働法制があるのか。
きょう、山越局長、つい、いろいろなものに当たっちゃいますけれども、何で民民の契約なのに労働基準法ってあるんでしたっけ。
○山越政府参考人 労働者の労働条件を確保するために、使用者と労働者だけでは適正な労働条件を確保できない場合に最低基準を定める、必要な最低の基準を定めるというのが労働基準法だというふうに思っております。(岡本(充)委員「力の差があると言っていたじゃない。力の差があるんでしょう」と呼ぶ)それは、労働者と使用者の交渉力の差があるということが背景にあるというふうに思っております。(岡本(充)委員「力の差があるんでしょう」と呼ぶ)交渉力……(岡本(充)委員「力だよね」と呼ぶ)力の差、はい。交渉力に差があるというふうに思っております。
○橋本委員長代理 質問は挙手をして言ってください。
○岡本(充)委員 はい。
いや、突然の質問だったから、済みません。十分な答弁じゃなかったかもしれないけれども、力の差のある二者の交渉において、やはり支援をするというのは、民民の契約でもあるんですよ、こういう考え方が。したがって、民間の契約だから云々という話ではなくて、やはり制度としてできる話だし、先ほどの債権が回収できなかった場合のその負担のあり方、これはもう最終的には公的な処理をせざるを得ないものもあるかもしれない。しかし、これはやはり十分検討ができる範疇です。ぜひ検討してもらいたい。
大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 その辺の仕組みをどう組むかということで、いろいろな御議論はあると思います。
ただ、一方で大事なことは、例えば先ほどの強制執行の申立てでありますけれども、これは養育費の取決めがなければできないわけですね。取決めがないケースが多いというふうに私は認識をしておりますから、まず、そういった面においては、厚労省として、すくすくサポート・プロジェクトで、弁護士による養育費相談、これは自治体が実施をしたものに対する支援とか、あるいはなかなか自治体で難しければ、公益社団法人に事業を委託してやっていく、こういったことも進めさせていただいて、まずは、養育費に係る、これは、養育費を決めるというのは、どっちが強い弱いということは一概には言えない関係なんだろうと思いますけれども、その両者において、まずその取決めをしていただくということに向けて、努力をさせていただきたいというふうに思います。
その上で、委員御指摘のように、今、取立ての議論をさせていただいておりますから、まず、こうしたことを一つ一つ議論し、制度化し、その上で、また更に必要なことがあれば、またその上で考えていくという、やはり段取りを踏んでいく必要があるんじゃないかというふうに思います。
○岡本(充)委員 やはり、そう言っている間にも時間はたっていくわけですよ。自治体では、果敢に取り組んでいる自治体も出てき始めているわけですから、これはぜひ早急に検討してもらいたいと思います。
その上で、最後に、子供食堂などの取組が全国であるようですね。私の地元でも、ちょっと顔を出したことがあります。こうした取組、それもまた民民だからという話かもしれませんが、何らかの基準をつけて支援をしていくということを考えてもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 子供食堂、私も幾つか見させていただいて、単に食事を提供しているだけではなくて、やはり地域のお子さんに対する関心を持ちながら、地域全体としてそれを支えていこう、こういった取組のあらわれだというふうに思いますし、また実際、その場においては無料、場合によっては低価、低い価格で食事が提供されて、いわば団らんの場というものが提供されている、大変有意義だというふうに思います。
子供食堂に関しては、今、一人親家庭の子供に対する生活・学習支援事業の中で実施しているところもあります。また、子供の未来応援基金なども活用してやっていただいているところもございますので、そういった施策、あるいはそういった施策を組み合わせることによって、子供食堂をやっておられる皆さんを、あるいはそれを活用している世帯の皆さんを、しっかり支えていきたいというふうに思っているところであります。
○岡本(充)委員 大分ふえてきていますから、やはり今、既存の枠組みではない枠組みを考えてみてはいかがか、こう言っているわけです。今の既存の枠組みを説明してくださいという話じゃなくて。
これもやはり大臣の決意だと思いますよ。できるできないはいろいろあるかもしれないけれども、検討するぐらいはどうですか。
○加藤国務大臣 今、委員からお話がありました、地方自治体でもいろいろな取組をさせていただいたり、あるいは国の補助金をうまく活用してやっていただいている事例もある中で、他方で、委員のお話のように、例えば食品衛生管理上の問題あるいは運営の問題、さまざまな課題もあるということを指摘を受けているわけでありますので、こうした自発的にやっていただいているということ、その大事さを維持しながら、私どもとして、どういう支援あるいは助言ができるのか、これはやはり関係者の皆さんともよく話し合っていきたいと思います。
○岡本(充)委員 ぜひ、それもスピード感を持ってやっていただきたいと思いますが、なかなか厚生労働大臣というのは大変ですよ。多岐にわたることがあって、今度、今から聞く年金の話、ちょっと最後に確認をしておきたいんですけれども、これもまだ中途だと思います。
きょうは水島理事長にお越しいただいていますけれども、三月来議論がありました、いわゆる扶養親族等申告書の処理状況、これは資料につけています。現時点で、未提出者に四月末までの提出を求めていたと思いますが、回収状況がどうなっているのか。また、支払いは一体どれだけの人に済んでいて、どれだけの人にまだ支払いができていないのか。これについて確認を求めたいと思います。
〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○水島参考人 お答えを申し上げます。
平成三十年分の扶養親族等申告書は、昨年八月末で約七百九十五万人の方にお送りをいたしております。
そのうち、七百九十五万人の方のうち、十二月十一日のその締切りで、二月の支払いで処理を、調整をさせていただいた方が六百六十六万人でございました。したがいまして、この時点で申告書の未提出の方が百三十万人いらっしゃったということでございます。
その後に、十二月以降にも二十九万五千人の方に申告書をお送りしておりまして、合わせて八百二十五万人の方に申告書をお送りいたしておりますが、五月までにお支払い、調整が終了いたしました方が七百十八万人でございます。その時点で、百七万人の方が現在未提出、あるいは返戻、お返しした後にまだ御提出いただいていないという状況でございました。
この百七万人のうち、お送りした後に、既にお亡くなりになっていらっしゃる方が十六万人いらっしゃいまして、残る九十一万人の方に対しまして、四月十八日から個別に御連絡を申し上げまして、再提出のお願いを申し上げたところでございます。もちろん、その申告書の様式に関しましては、かなり、抜本的にわかりやすいものに改定をいたしております。
再度のお知らせをお送りした方のうち、四月末までに御提出をいただきました方が約五十万人でございまして、したがいまして、この五十万人の方々に関しましては、六月のお支払いで調整をさせていただくことといたしております。
残りは、三十九万人の方が残っているわけでございますが、この六月は、四月末までに原則としてお送りいただいたお客様に対して対応いたしておりますが、その後に約十万人の方から御提出をいただいております。したがいまして、この方々に関しましては七月に調整をさせていただきたいというふうに考えておりまして、現在、未提出の方は二十九万人ということになると思います。
ちなみに、前年の未提出の、ちょっと基準が違う面がございますが、四十万人程度でございましたので、今回、かなりのお客様から御提出をいただいたというふうに考えております。
○岡本(充)委員 これは、亡くなられた十六万人の方には一体どうなっているんですか。
○水島参考人 この方々は、死亡後の税の調整ということで対応を、それぞれがなさっているということでございます。
○岡本(充)委員 対応済みということですか。ちょっと聞き取れなかったです。対応は済んでいるんですか、済んでいないんですか。
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
水島理事長。
○水島参考人 三十年度に準確定申告をしていただいて、個別に対応していただくということになります。したがいまして、これから対応していただくということになります。
○岡本(充)委員 つまり、対応ができていない人が死亡者の中にもいらっしゃるということですね。
もう一つ聞きたいです。
再委託をして中国に出していた。これは本当に大丈夫だったのかということで、まず一回目の調査をするということで、一回目の調査では、外に漏れていないという話でしたが、もう一度改めて調査をすると言われましたよね。今、その調査はどうなっているんですか。
○水島参考人 お答えを申し上げます。
SAY企画の事案の判明を受けまして、当機構におきましては、三月二十七日から、個人情報を取り扱う外部委託契約のうちで、平成三十年四月以降も契約が続く百十八の契約及び三月中に契約が満了をいたしておりますが特定個人情報を取り扱っていた一契約、この合計百十九契約を対象にいたしまして特別監査を実施いたしました。
その結果でございますが、仙台広域事務センターの厚生年金被保険者資格取得届のパンチ入力データの作成業務、これを委託をいたしております株式会社恵和ビジネスにおきまして、契約に違反をいたしまして主体的業務の再委託をしていることが判明をいたしました。四月五日に当該事業者への委託を停止をしたところでございます。
この一件を除きましては、私どもの現在監査は終了いたしておりますが、事前に承認している再委託以外の再委託は行われていないということを確認をいたしております。その中で、中程度あるいは幾つかの是正すべき点が発見されておりますが、この点に関しましては、五月末までに是正をし、フォローをしてまいる方針でございます。
○岡本(充)委員 その再委託は、どこに再委託していたんですか、その仙台の。
○水島参考人 仙台市内の会社ということでございますが、社名に関しましては公表をいたしていないということでございます。
○岡本(充)委員 時間になりましたから終わりますけれども、最後にもう一問だけ。
委託のあり方の検討会をやっていると思います。この検討会はいつ終了して、どういう報告をするんでしょうか。
○水島参考人 検討会は四回実施をいたしております。その報告に関しましては、六月四日に開催されます年金事業管理部会におきまして公表を行うということにいたしております。
以上です。
○岡本(充)委員 ぜひ私にも、それをいただきたいと思います。
これで質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 三十分間、質問をさせていただきます。
まず、委員長に要望しますが、まさか、人の命を奪うこの高度プロフェッショナルを含んだ働き方の法案を強行採決することは絶対にやめていただきたい。体を張ってとめさせていただきますので、まずそのことを最初に申し上げます。
委員長、お願いします。
○高鳥委員長 一言申し上げます。
採決につきましては、現在、与野党間で御協議をいただいておりますので、委員長としては、協議の推移を見守りたいと思います。
質問を続けてください。
○山井委員 ということは、与野党の合意がないときには採決はしないということでよろしいですか。
○高鳥委員長 まだ引き続き御協議をいただいておりますので、その推移を見守りたいと思います。
○山井委員 円満な運営がなければ、それは委員長の解任決議も含めて当然問題になってくるわけですから、絶対そういうことはないようにしていただきたいと思っております。
きょうも、過労死の御遺族の方々、傍聴にお越しをいただいております。
そして、きょうの配付資料を見ていただきますと、配付資料の二ページ目と三ページを見ていただけますか。二ページ目ですね。二〇一四年の五月二十四日、きょうが、二〇一八年の五月二十四日ですから、ちょうど四年前なんです。この御遺族の方々の笑顔を見てください。この衆議院厚生労働委員会で、全会一致で過労死防止法が通過をした。それについて御遺族の方々が涙を流して喜んでおられました。四年前のことであります。
それから四年たって、昨日の意見陳述でも、寺西参考人は、まさか、過労死をふやす法案が強行採決されようとし、そのことの意見陳述に自分が来ようとは夢にも思っていませんでしたということをおっしゃっておられました。
ですから、自民党の方々にも申し上げたいんですけれども、国会の存在意義、知恵というのは、前向きな修正をして、与野党で合意して、いい法案を通すことであります。そういう意味では、きょう強行採決をするのではなく、もうこの間の審議で、高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度が過労死を招くということは明らかになりました。御遺族の方々も、安倍総理への面談を求めて、昨日午後、総理官邸前で座込みもされ、マイクでも安倍総理への面談を求められました。私もその話を聞いて本当に涙が出そうになりました。過労死の御遺族がですよ、過労死の御遺族がそこまでしないと、過労死をふやす法案を政府・自民党はやめないのか。私は、与党や政府の良識を信じておりますので、ぜひとも、高プロを削除して、審議を続けて、与野党でできる範囲の合意をして、採決を、与野党合意の上で今後審議を続けていただきたいと思っております。
特に、十六ページを見てください。実際、十一年前にも、第一次安倍政権で安倍総理は、残業代ゼロ法案、ホワイトカラーエグゼンプション、今回の高プロと似た制度の提出を考えましたけれども、ここに書いてありますように、現段階で国民の理解が得られていない、思えない、決してサービス残業がふえたり、残業を助長することはあってはならないということで、安倍総理が断念をされました。
きょうの午後一時から、安倍総理はこの場に来られます、加藤大臣そして安倍総理が。世論調査でも多くの方々がこの働き方改革法案の今国会での成立には反対と言っているわけですから、ぜひともそこは、高プロを削除していただきたい。私は、そこがまさに国会であり、国会審議だと思うんですね。国会審議をしても関係なく強行採決して、人が死んでもどうなっても知りませんよなんということがあったら国会の意味がないですから、ぜひそこは冒頭お願いしたいと思います。
そこでなんですが、非常に残念なことに、加藤大臣の虚偽答弁、そして厚生労働省が捏造の家族会との面談メモを提出したことが明らかになりました。
きょうの配付資料の十ページを見てください。これは、前回、そして昨日の参考人質疑でも言いましたから、もう明らかになっていると思います。
つまり、先日の理事会に、厚生労働省から、高度プロフェッショナルへの賛成意見の十二人のメモが出てきました。それに対して、賛成意見の方々からの加藤大臣へのヒアリングのメモだけ出すのはバランスを欠くということで、私から五月の十六日に、高プロに賛成の人のヒアリングをして、それを根拠にするというのは問題だ、これと真っ向から違う意見が出たと思いますよ、二月二十三日の過労死家族会の方々と加藤大臣との面談をと。
ですから、真っ向から違う意見が出た過労死家族会の方々の意見、つまり高プロを削除してくださいということが面談で言われたわけですから、その二月二十三日の加藤大臣と過労死御遺族の方々との面談メモを理事懇に提出してくださいということを言いました。
実際、ここの配付資料の新聞記事にもありますように、報道されているんですね。八ページ、裁量労働制や高プロに反対、過労死遺族、厚労大臣と面会。そして、九ページ、ここにも、赤線を引きましたように、残業代ゼロ制度、高度プロフェッショナルの撤回を求めた。そして、下の新聞にも、脱時間給、高度プロフェッショナルなどの制度について撤回を求めた。新聞も報じております。
ところが、厚生労働省が理事懇に提出した資料、こちらを見てください。すっぽりと、一番重要である高プロの削除が、改ざんされて、なくなってしまっているんです。恐ろしいことですよね。
御遺族の方々が、過労死をふやさないでほしいという必死の願いで、高プロ削除と裁量労働制の拡大削除の要望に行った。ところが、わざと面会内容を改ざんして、高プロの削除を要望していないということにしてしまった。考えられますか、こんなこと。
おまけに、そのことを私が指摘したら、加藤大臣は虚偽の答弁をされて、先日の私への答弁ではどうおっしゃったか。きょうの配付資料に入っております。十一ページ、私がこういう抗議をしたら、加藤大臣は前回の質疑で、冒頭部分だけマスコミが入られたので、そこの部分は公開をしてやっていますから、そこだけ公開させていただきましたと。中身においては高プロの削除の話はあったかもしれないけれども、冒頭ではなかったから書いていないんだ、こう反論されたんです。
ところが、家族会の方々が、冒頭の頭撮り、テープレコーダーでとっておられます、当然。私も聞きました。ここの黄色の部分のように、高度プロフェッショナル、こうした法律をぜひ削除していただきたいとお願いと、高プロの削除を頭撮りの部分でも言っているんですね。にもかかわらず、その部分だけ御丁寧に厚生労働省はカットして、私たち議員に配付する。
加藤大臣、これは深刻な問題です。御遺族の方々の要望を改ざんして国会に出す、許せません。謝罪と正しいペーパーの再提出をお願いします。
○加藤国務大臣 今委員の御質問の中でまさにあったように、面談のメモを出せとおっしゃったので、メモとして残ったものを出させていただいた。
それから、改ざんとおっしゃいましたけれども、改ざんというのは改ざんする前と後がありますけれども、私どもはこのメモ一個しかございません。
もちろん、このメモには、その後、マスコミが退出した後のやりとり、もちろんございますが、そこは、家族会の方とも、これは非公式の面談だということで、そこは削除させていただいたということで、委員のおっしゃっていることは全く当たっていません。
○山井委員 言いわけもいいかげんにしなさい。
過労死家族の方々のメモとテープがあるじゃないですか。なぜ一番肝の部分だけメモに入っていないんですか。あり得ないじゃないですか。部下のメモをとった人の責任にされるのかもしれませんけれども、最低です。大臣の資格はありません。いずれ加藤大臣の不信任案、提出させていただくことになると思います。
私は、もうこんな低次元な議論は本当はやりたくない。御遺族の方々が高プロ削除の面談をした、その高プロ削除の内容さえ改ざんして、世の中に知らせない。じゃ、私たちは何を信じて国会審議したらいいんですか。必死の思いで、命を救いたい、過労死をなくしたい、悲壮な思いで加藤大臣に高プロの削除を要望したんですよ。それを、メモにとっていなかったって、あり得ないじゃないですか、そんなこと。何で、一番肝の高プロ削除だけ聞き逃した、メモをとり忘れた。冗談じゃないですよ。御遺族の思いをないがしろにするのもいいかげんにしていただきたい。子供じみた言いわけはやめてください。もう話になりません。
それで、こういう加藤大臣に切なる思いを届けても、こういうふうにメモの改ざんまでして、私たち国会議員あるいは世の中に高プロ削除の要望があったことを知らせない。それは仕方ないですよ、それだったら安倍総理に会うしか。ということで、今回、家族会の方々は、これは加藤大臣では話にならないということで、安倍総理に面談要望されました。
原審議官、お越しをいただいております。
先ほどの池田議員への答弁で、先週金曜日の晩遅くには安倍総理に家族会からの面談依頼が伝わったということであります。
そして、面談の依頼の紙、こちらにありますように、七ページであります。このままでは過労死がふえるから会っていただきたいという切なる思いでありました。
それで、原審議官、ということは、安倍総理は金曜日の晩にこの御遺族の方々からの面談依頼を受けて、それで、要は面会を拒否されたということですか。先ほどの答弁では、何か厚生労働省で対応したらいいとおっしゃっていましたけれども。ということは、安倍総理は御遺族からの面談の依頼を聞いて、私は会わない、自分は会わないと面会を断ったということなんですか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁させていただきましたが、まず初めに、全国過労死を考える家族の会の声については、政府として十分に受けとめる必要があるというふうに存じます。
それから、さきの委員の御指摘も受けとめまして、私の方で、このような面談依頼があったこと、それから本件面談依頼への対応を検討する旨、金曜日の夜、外交日程が分刻みの中、秘書官を通じてお伝えをさせていただきました。
その後、休みの日にかけまして、官邸、内閣官房、厚生労働省、これで、どのような対応をするかということで協議を行わせていただきました。その結果、政府として検討した結果、所管の法律の御意見でございますので、厚生労働省において対応させていただくことになったものと承知しております。
なお、この方針につきましては、政府としての対応を検討した結果ということで、総理にも報告をさせていただいているというふうに承知してございます。
○山井委員 話は簡単なんですよ。安倍総理が、働き方改革、過労死をなくすために自分は一番力を入れているから当然会いますよと言えば会うのに、会わない。そして、会わない方針を了承した。ということは、安倍総理は家族会との面談を拒否したということですね。
この十二ページ、一年前の二月には、首相官邸で、過労死された高橋まつりさんのお母様の幸美さんに会われて、この記事によると、まつりさんの写真のアルバムを首相に見せながら思い出を語った、首相は涙ぐみながら聞いていたという、そして、首相は去年の一月の施政方針演説で、まつりさんの自殺に言及し、二度と悲劇を繰り返さないと強い決意で、長時間労働の是正に取り組むと述べたと。
何か言い方は悪いですけれども、自分が会いたいときだけ、何か自分のプラスになるときだけはちゃっかり会って、いざ、本当に過労死をなくすために、お願いですから会っていただきたいと、きのう座込みまでされても、過労死を減らすと言っていたけれども、ちょっと、うそがばれたんじゃないかということで、もう会わない、そういうことなんですか。これは、午後、総理が来られますので、同僚議員からもこのことも話があると思いますが、都合のいいときだけ会って、本当に過労死をなくしてほしいという御遺族の意向を拒否する。そして、加計理事長とは十何回も会う。私は、どう考えても間違っているとしか思いようがありません。
原さん、お帰りください。
安倍総理も、もともとは、過労死を減らしたいとか長時間労働を是正したいとかそういうことを言っていたけれども、法案審議の中で、この高プロ、残業代ゼロ制度が過労死をふやすということが明らかになって、格好悪くてもう御遺族の方に会えないのかもしれませんけれども、それでは困ります。働き方改革とリーダーシップをとっておられる以上、ぜひとも採決までには会っていただきたいと思います。
それで、今回、私、幾つか質問主意書を出させていただいたんですが、割と驚いた答弁が返ってまいりました。
例えば、今まで、健康管理時間が百時間を超えたら医師の面談があるというのが一つの健康確保の切り札となっておりました。ところが、昨日返ってきた質問主意書によると、高プロで健康時間が百時間を超えた労働者の方が、毎月百時間を超えたら面接指導を受けなければなりませんか、先延ばしし続けて実際に指導を受けないというのはだめなんですかということを、質問主意書を出させていただきました。そうすると、驚くべきことに、医師による面接指導を行わなければならないこととしているが、労働者が当該医師による面接指導を受ける義務については規定していないと。つまり、労働者が百時間、健康管理時間がふえたからといって医師の面接指導を受けなければならないわけではないと書いてあるんですよね。
ということは、結局、忙しくて受けられないということになれば、面接指導を受けなさいよと本人に言えば、もう雇用主の義務を果たしたことになる。つまり、必ずしも面接指導を受けなければならないということではない、とにかく、受けなさいよと言えばそれで義務を果たしたことになるということで、大臣、よろしいですか。
○加藤国務大臣 お尋ねの趣旨が、高度プロフェッショナル制度を適用するための要件として、当該制度の対象となる労働者は、その健康管理時間が一定時間を超える場合に医師による面接指導を受ける義務ということにつながるのかという趣旨で私どもは解したので、その制度を適用するための要件としてそうした義務は規定されていない、こういうふうにお返しをしたということであります。
○山井委員 それでは全く歯どめにならないじゃないですか。百時間を超えて面接指導を必ず受けるということでも、私は歯どめにならないと思いますよ。面接指導を受けたからといって、岡本議員も指摘したように、別にそれで労働時間が減るわけじゃないんですから。でも、今の答弁によると、医師の面談を受けてくださいとは言うけれども、別に受けなくてもいい。それは、忙しくて過労死しかかっているような方は受けられないケースも多いですよ。全くこれは歯どめになりません。
それともう一つ、きのうも主意書の答弁が返ってきました。これもやはり驚くべき内容であります。どういう答弁か。きょうの配付資料に書かせていただきました。要は、二十四時間の連続勤務、ページ五です。質問主意書で、二十四時間連続労働しなければ終わらないくらいの業務を指示することを禁止する規定は働き方改革法案にありますか、業務が過大であったため、結果的に労働者が二十四時間連続して労働した場合、このような指示を禁止する規定はありますかと。それに対して答弁は、御指摘のような指示等を禁止する明文の規定はないと書いてあるんですね。
そうしたら、本当に、これだけの仕事を今からやってくださいと言われて、それで、あなた、高度プロフェッショナルでしょう、やり方は任せますよと言われたって、徹夜しても終わらない仕事を渡されても、それを禁止する規定はないんです。
逆に、裁量労働制には、守られてはいないけれども、一応法律に書いてあるんですよ、一応は。つまり、裁量労働制の法律には、遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要がある、遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的に指示することが困難と。つまり、まだ裁量労働制は、守られていませんよ、守られていないから過労死になっているんですよ、しかし、まだ一応、一応は書いてあるんです。高プロはこれも書かれていませんから、過労死のリスクは非常に高いわけですね。
それで、お伺いしますが、高プロの対象者が過労死した場合、加藤大臣や国民はその事実を知ることはできるんですか。さらに、高プロの対象者が過労死しても、今まで御遺族の方や弁護士の方々がおっしゃっているように、ほとんど労災認定は受けられません、過労死とは認められません。そういうふうな場合も、加藤大臣、厚生労働省や国民に、新しく導入した高プロで人が死んだけれども労災認定されませんでした、こういう事実は知らされるんですか。加藤大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 まず最初の、個別事案について出すのかということについて言えば、これはもうこれまで一貫して申し上げておりますように、個人情報保護等の観点もありますから、個別情報について一件一件。もちろん、御遺族あるいは御遺族の代理人がお認めになれば、その範囲においてはこれまでもお示しをさせていただいているということであります。
その上で、厚労省では毎年、過労死等の労災補償状況を公表しているところでありますので、高度プロフェッショナル制度が適用される労働者の過労死等の支給決定件数の公表についても、これに沿って検討していきたいと思っておりますが、ただ、個人情報の保護等の観点も十分配慮していく必要があろうというふうに思っております。
また、過労死等の支給決定件数については、今申し上げましたけれども、どのような雇用形態で働いていたと認識していたという観点から、今、裁量だけでありますから、裁量も含めて、ほかのことも含めて、その公表方法を検討させていただきたいというふうに思っております。
○山井委員 検討って何なんですか。ちゃんと公表するんですか。具体的に誰が高プロで亡くなったとは言えませんよ。一件、二件、三件、四件、高プロの労働者が一年間で過労死したということは公表されるということですか。
○加藤国務大臣 今、ですから、一件ということになると、かなり個別情報とのかかわりというのはあるんだろうと思います。ですから、そういった場合にどうするかということも踏まえながら、どういう形でお示しをしていくのか。
ただ、基本的には、現在も、過労死等の労災補償状況を公表し、その中では、裁量制については専門型、企画型も分けて公表させていただいておりますから、基本的にはその線に沿って対応していきたいと思っております。
○山井委員 全く話になりません。
それで、今言ったように、労災認定がそもそもおりないんです、残念ながら。労災認定がおりないんです。高プロだったのに、申請して、却下されて、過労死している人の件数も同様に発表されることでいいですか。
○加藤国務大臣 今のお話は、結果的に、申請件数と決定件数ということになるんだろうと思います。その辺はどういうふうにするのか。例えば、ある年度に申請があったからといってその年度にすぐに決定になっていない場合ももちろんあるわけでありますから、その辺も含めて、それから、先ほど申し上げた個人情報の保護の観点ということも含めて、その辺の対応については考えさせていただきたいと思いますけれども、過労死の実態等についていろいろとお示しをしていくということは大事だというふうに思います。
○山井委員 ちょっと確認しますが、労災申請して、高プロの人が過労死して、労災認定、過労死認定を受けられなかった、その方の事実も、ことし一年間で、高プロで過労死したけれども労災申請を受けられなかったという件数を明らかにするということでいいですね。
○加藤国務大臣 いずれにしても、その辺についてはこれから議論させていただきたいと思いますが、ただ、過労死の実態等について示していくということは大事なんだろうというふうに思います。
申請の部分も、過労死とは認定をしているわけではありませんけれども、そうした状況を示していくという観点から、どういった形の対応があるのかということでありますし、少なくとも決定については、今既に裁量労働制についてはお示しをさせていただいておりますので、そういった方向に沿って考えていきたいと思っております。
○山井委員 全く答弁になっていません。
結局、高プロで亡くなっても、労災認定も受けられず泣き寝入りをし、本当に、家庭崩壊しかねません。本当に恐ろしい危険な法案です。
そして、きょう、配付資料一ページ目に載せさせていただきましたけれども、きょうも傍聴に御家族の方々、御遺族の方々お越しをいただいておりますが、本当にこれは大変な、深刻な問題です、過労死というのは。読み上げさせていただきたいと思います。これは、過労死防止法制定のために五十五万筆署名が集められたんですね、そのときのチラシに出ておりましたマーくんという子供、当時小学校一年生の詩です。
ぼくの夢
大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや
そして、このマーくんが大きくなられてから、続きの詩をつけ足されました。右のページです。
大きくなっても ぼくは 忘れはしないよ
得意な顔して作ってくれた
パパ焼きそばの 味を
ぼくは タイムマシンに乗って
お母さんと一緒に 助けに行こう
そして 仕事で 死んだらあかんて 言うんや
仕事のための命じゃなくて
命のための仕事だと ぼくは伝えたい
だから 仕事で 死んだらあかんて 言うんや
そしてもう一つ、下のページに、「にいがた記者日記:家族の時間」、毎日新聞の東海林さんの記事であります。非常に重要ですので、読み上げさせていただきます。
毎年六月になると思い出すことがある。過労死で夫を亡くした女性の話を聞きに東海地方を訪れた時の話だ。もう、十年以上前のことだが、蒸し暑さと共によみがえる。
家を訪ねると、三歳ぐらいの女の子が、白いレースのワンピースに赤いエナメルの靴でおすましして、玄関にちょこんと座っていた。誰かを待つかのように、背筋を伸ばし、ほんのり笑っていた。
二時間近く女性の話を聞いた。昼夜問わず携帯で指示を受け、月百時間を超える残業。体がきついと退職を決意した直後、営業車の中で休んでいて突然死した。まだ三十代になったばかり。結婚七年目で授かった愛娘を残して世を去らねばならなかった無念に胸が締め付けられた。
帰り際、少女は、まだ玄関に座っていた。気丈に振る舞っていた女性が大粒の涙をこぼした。「休みの日は、かわいい格好して、良い子にしてれば、お父さんが迎えにきて遊びに連れてってくれると待っているんです」。体全体で父を求めるいじらしさに涙が止まらなかった。長時間労働は家族みんなから大事な時間を奪う。少女の小さな背中はそう告発していた。
御遺族の方々また私たちが必死に反対しているのは、御本人が亡くなってからでは取り返しがつかないんです。高プロを強行採決で導入した、やはり上限がなかったから、あるいはルールが守られなくて死んじゃったでは、取り返しがつかないんですよ。だから、私たちは、何とかこの高プロを削除していただきたいということを今お願いしているんです。
質問の最後に改めてお願いしますが、加藤大臣、やはり、私たちの仕事は、与野党、政府を超えて国民の命を守ることだと思うんです。こういう犠牲者を出さないことだと思うんです。こういう犠牲者を出すという可能性がある、特にそれを当事者の過労死の御遺族の方々が必死に訴えておられるのであれば、一旦立ちどまって、与野党合意できるところだけを成立させよう、そして、この高プロについては、引き続き、過労死するリスクがあるのかないのか、どうやって軽減できるのか、そのことを検討しようじゃないですか。
ぜひとも、きょうも安倍総理がこの後来られますが、安倍総理とも相談して、高プロを削除する、その決断を、加藤大臣、担当大臣としてしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、渡辺(孝)委員長代理着席〕
○加藤国務大臣 今読み上げられた文章、本当に、お父さんを亡くされた子供さんの思い、あるいはその姿を見た記事であり、文章だったというふうに思います。
まさに、過労死、亡くなった御本人も、そうしたかわいい子供さんを残して逝ってしまうということに対する思いというのも相当あると思いますし、また、残された御家族のつらい思い、このことを私たちはしっかりと共有をしなければならない、そういった思いも含めて、今回、時間外労働についても罰則つきの上限規制等々のことをし、また、実際、長時間労働の是正に向けて私どもも取組をさせていただいて、また、議員立法も踏まえて対応させていただいているということでございます。
その上で、そうした取組をしながら、一方で、これからの時代を考え、AI等が進む中で仕事のありようも変わっていく中で、この国においてどういう仕事のありようが出て、また、より付加価値の高い事業を残していくのか、そういった観点から、今回、自律的に創造力を発揮してほしい、そういう期待の中で高度プロフェッショナル制度を提案させていただいたところでございます。
それについては、きのうの参考人質疑の中においても、それを支持するという声もあったというふうに承知をさせていただいているところでございます。
また、労働政策審議会でもお諮りをし、要綱をかけ、そして、それを踏まえて、現在、法案を提出させていただいているところでございますので、委員会において御審議をいただくことをお願いしたいというふうに思います。
○山井委員 最後に意見だけ言わせていただきます。
過労死で亡くなられた方々、私も多くの方々の話を聞きましたが、責任感が重くて、家族思いの方ばかりなんです。責任感が重い方が過労死をされてしまうんですよ。今回、修正案で、途中で高プロを離脱できるという修正案をつくられるようですけれども、残念ながら、なかなかそういうのは実効性はありません。戦争でもないのに、なぜ二日に一人、人が死なないとだめなのか、この日本で。そういう意味では、万が一この高プロを含んだ法案を強行採決されたら、これは残念ながら人災になりますよ。この強行採決、この法律が人の命を奪って、こういう過労死の遺児をつくったということになりますよ。
そういうことがあっては絶対にならないと思いますので、ぜひとも高プロの削除をして、与野党円満に合意できる部分だけ今後審議をしていく、そういうふうにしていただきたいと思います。
ありがとうございます。
〔渡辺(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
○高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
今、山井委員から、過労死防止基本法制定を目指してきた家族の会の皆さんと私たちの思いをお話をされておりましたけれども、きょう五月二十三日は、四年前にこの委員会で法案を全会一致で可決をした記念日であります。まさかその四年後の日に、過労死家族の会が猛反対をしている、もちろん私たちが反対をしているこの法案の採決を提案をされるなんて、全く逆行していると言わなければなりません。
新たな大綱の準備をしています。実態調査を行って、過労死がなぜ起きるのか、どんな分野で起きるのか、詳細な調査、毎年白書が出されるようになりました。私、これはすごく大事なことだと思っています。それを踏まえて、国が何をやるべきかということを大綱の中で今定めていく作業をやっている最中なんです。だからこそ、それを振り切るかのように法案が先に仕上がっていく、こんなことはやはりあってはならない。重ねて指摘をしたい、このように思います。
多くの人から言われていますけれども、十分な審議をやるべきだということ、委員長に一言お願いします。
○高鳥委員長 一言申し上げます。
採決につきましては、与野党間で引き続き御協議をいただいております。委員長としては、その推移を見守りたいと存じます。
質疑を続けてください。
○高橋(千)委員 けさの理事会に新しい資料が出されました。これは私が五月十八日の委員会で求めた資料なんですけれども、このように書いてあります。平成二十五年度労働時間等総合実態調査に係る精査結果をもとに訂正した、労働政策審議会労働条件分科会資料についてと題してあります。
私が十八日に行った質問の趣旨は、データを二割削除したわけですね。残りのデータは一定数があるんだから、余り結果に影響がない、こういう説明があったわけです。ですが、加工してさまざまな政策決定過程の中で使われているわけです。私自身も四回も質問したということで、それに影響がないのかということを質問をし、新しい、その精査をした数字を使っての調査結果を出してほしいということを求めたのに対してきょう出されたんですけれども、新旧対照表がついていないので、これだけの分量ですから、一遍には気がつかなかったわけなんです。
そこで、まず山越局長に、この新しい数字をもとにして、調査結果、影響がなかったでしょうか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
今回、二十五年労働時間等総合実態調査を精査をしたところでございますが、その結果としては、二十五年に取りまとめたものとその結果は大きな差異はなかったというふうに承知をしております。
それから、労働政策審議会におきましては、この労働時間等総合実態調査以外にもさまざまな資料をお出しして、そしていろいろな御経験のある労使の方に御議論をいただいて結論を出したものでございますので、その結果に影響するものではないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 大きな差がないという答弁でありました。
私が十八日の委員会で指摘をしたのも一部ではあるんですね。やはり結論が、零コンマのデータを使っている場合に、たとえ〇・一%影響したとしても、それは大きな意味があるんじゃないか、このように指摘をしたんです。
それで、大変取り急ぎではありましたけれども、私の事務所で、古いデータと新しい、きょうもらったデータと比較をしてみました。そのわかっただけでも、大変驚く実態があります。
例えば、特別条項つき時間外労働に関する労使協定において定める法定時間外労働の実績ということで、一年について、一般労働者の比較なんですけれども、もとのデータは、一年ですからちょっと多いですよ、千時間を超える人が三・九%となっておりました。資料を持っている方は七十六ページです。三・九%となっておりました。それが、四八・五%なんですよ。三・九%が四八・五%。平均時間が、四百六十七・三一だったのが八百八十八時間。これだけの差を、大きく差がないと言ってよいのでしょうか。
○山越政府参考人 この平成二十五年労働時間等総合実態調査、精査前と精査後でございますけれども、これについては傾向に大きな変化、差異はないというふうに考えておりまして、また、先ほど申し上げましたけれども、労働政策審議会におきましては、さまざまな、これ以外にも資料をもちまして議論をいただいたところでございます。
○高橋(千)委員 データが全く、差が大き過ぎる、このこと自体は認めますよね。
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
山越労働基準局長。
○山越政府参考人 今御指摘の数値でございますけれども、千時間超ということで非常にサンプル数の少ないところのデータでございますので、平均値ということでは動いておりますけれども、全体の分布の傾向としては変わっていないと思いますし、それから、このクロス集計でございますけれども、特別延長時間が短い方が実際の労働時間も短いというクロスの結果が変わっているものではないというふうに考えます。
○高橋(千)委員 結果の話ばかりしないでください。結果をどう見るかというときに、もとになるデータなんですよ。
しかも、今局長、例えて言ったけれども、短いほど短いという、私が委員会で指摘したのは、長いほど長いですよ。当たり前じゃないですか。延長時間が、三六協定で設けているのが長ければ、当然、それに引っ張られて、実績、実労働時間も長いということを私は指摘したんですよ。
それを検討するデータが、そのとき使った数字は三・九%、それが四八・五%ですよ。それで何の影響もないと言うんですか。もう一度。
○山越政府参考人 今御指摘いただいた部分でございますけれども、これは特別条項つきの法定時間外労働の実績でございますけれども、一年の特別延長時間が千時間超で、その実績が千時間超のところをお示しいただいているのかというふうに思いますけれども、それは非常にサンプル数が少ないところでございますので、こういった変化が出ているというふうに考えます。
全体としての傾向には影響がないというふうに考えています。
○高橋(千)委員 余りにも不誠実な答弁だと思いますよ。
これだけの差がありながら、サンプル数が少ないからいいんだと。大臣、そういう立場ですか。こんな形で法案を決めるんですか。
○加藤国務大臣 これはたしか、もともとのお出しをした統計といいますか、平成二十五年度労働時間等総合実態調査をベースに、労政審において、クロスで集計をしてほしいということでつくった表だというふうに認識をしております。
その上で申し上げれば、今回、もちろん今おっしゃったような数字、これはそれぞれ、精査後と精査前の数字はそのとおりでありますけれども、先ほどから委員御指摘のように、ベースになっているのは、やはり罰則つき上限規制を課さなければならない、こういう議論でありますから、新たな数字を見ても、その結論には変わりがない、こういうふうに考えます。
○高橋(千)委員 到底納得できません。
例えば、資料を持っている方、九十一ページになるんですけれども、法定時間外労働の実績で、新技術、新商品等の研究開発の業務。これは、新商品などの研究開発の業務というのは、当然、除外をするわけですよね。そのためにどれだけの時間、残業しているのかということを調べる大事なデータだと思うんですね。それは、四十五時間超の枠の中で百時間を超えているのが、もとのデータは三・〇%。それが六・三%と倍になっております。一千時間超は、〇・三%が〇・九%ということで、三倍になっております。そういうデータの積み重ねの中で、結論が変わっています。
これは、新技術、新商品等の研究開発の業務の法定時間外労働の実績を見ると、一カ月四十五時間以下や一年三百六十時間以下におさまっているのは五割程度。私が十八日に読み上げたのは、七割なんです。この趣旨は、除外をしても上限の中におさまっているよ、大体、そう言いたいわけでしょう。七割おさまっているというのが結論だったんです。でも、私、三割はみ出ているじゃないかと指摘をしました。
ところが、直したら半分ですよ、半分。これで問題ないと言えますか。
○山越政府参考人 これは、四十五時間にはまっているのが、超えているのが三割だったものがということだと思いますけれども、いわば、はめること、七割が五割なわけですから、それはそれだけこういったことを施行し得るというデータかと思います。
○高橋(千)委員 何を言っているんですか、一体。
三割はみ出ているだけでも重大だなと私、言ったんですよ。それが五割です。対象者の半分は既にはみ出ている。それでも除外するんですよ。問題にならなくなるんですよ。いいんですかと聞いています。
○山越政府参考人 いずれにいたしましても、これも分布の傾向としては変わっていないというふうに考えておりまして、これは政策の判断に影響するものではないというふうに考えます。
○高橋(千)委員 七割が五割になって、影響しないなんて考えられません。労政審に差し戻してください。
○山越政府参考人 労働政策審議会におきましては、労働時間等総合実態調査だけではなく、さまざまなデータを踏まえまして、そして、現場の事情に通じておられる労使の代表の方が議論をされて結論を出されているというふうに考えておりまして、審議会に戻すということの必要はないというふうに考えます。
○高橋(千)委員 なぜあなたがそれを結論できるんですか。労政審に聞いてみたんですか。七割が五割になっても影響ありませんねと聞いてみたんですか。
○山越政府参考人 労働政策審議会の議論でございますけれども、さまざまな資料に基づきまして労使の方に御議論をいただいているものでございまして、この資料を戻して改めて議論をしていただく必要はないというふうに考えます。
○高橋(千)委員 審議会の人たちが大変な時間をかけて議論したのに、大変失礼だと思います。
私は今、この短い時間でわかったのを紹介しただけなんですよ。これは全体ではないと思います。だけれども、政策決定に直接かかわるわけです。除外するかしないか、何時間までを上限にするかって、何年もかけて、時間、議論したじゃないですか。それを、これだけ違っても影響ないって、ほかの資料も見たからって、ほかの資料だって信じられませんよ。そうじゃないですか。
労政審に差し戻してください。これは理事会で協議をして、意見を言いたいと思います。委員長、お願いします。
○高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○高橋(千)委員 やはり、こういう出発点が、信頼をもう失っているんですよ。本当にそういうことを自覚しているのかなと思います。
私が最も不可解なのは、また、絶対終わらせるわけにいかないなと思うのは、野村不動産の特別指導の問題です。
大臣は、私たち野党が何に納得していないのか、おわかりでしょうか。
○加藤国務大臣 この委員会ではいろいろな視点から御議論いただいておりますので、それぞれ、例えば、特別指導の端緒として過労死があったのではないか、あるいは特別指導と労災認定が一緒ではないか等々御指摘をいただいておりますので、そういった観点からの御疑念を持っておられるというふうに認識をしております。
○高橋(千)委員 端緒として過労死があったのではないかと私たちが今思っていると。それはそうです、思っています。それを答えられないから、大臣が答えられないから納得していないというふうにおっしゃっているんでしょうか。
○加藤国務大臣 それはいろいろな形で御指摘がされているので、その背景にあるということは、いろいろな御指摘があるんだろうと思います。中には、今、大西委員からも場外からお話がありましたけれども、過労死がなければ見つからないのではないか、こういう視点もあったんだろうというふうに思います。
○高橋(千)委員 これは、やはり今度の国会は裁量労働制のデータの捏造問題から始まったわけですよね。根っこは一緒だと思います。裁量労働制は長時間労働になる、過労死を招く、そういう野党の批判をそらすために、結びつけたくなかった、認めたくなかった、それが本音ではないでしょうか。
十二月二十五日の特別指導、だけれども、十月三日には過労死認定の方針がほぼ決まっていた。それを十二月二十六日、つまり特別指導の翌日までずらしたのは、二十六日にすれば、厚労省が決めた公表通達に沿って対応しなければならないからではなかったのかということを、我々はずっと指摘をしてきました。
一方、実際の野村不動産への指導は、同種事案の防止を図るために公表すると説明されていた。つまり、この事案を通して再発防止をする、その目的だと思うんですね。
再発防止のための周知であるなら、なぜ野村か、なぜ特別指導なのかを明らかにしなければ、再発防止にならないんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 なぜというか、野村不動産において、そうした広範な形で裁量労働制の違反があったということでありまして、また、そうした違反ということをこうして公表することによって、そうしたことが是正されていく、あるいは世の中においてその辺をしっかり認識をしていただく、こういった趣旨で行ったということであります。
○高橋(千)委員 何回もいろんな資料を出してもらったわけですけれども、そのマスキングしている理由は、結局、手のうちがわかっちゃうから、こういうときにどんな指導をしたのかわかっちゃうからということを言っておりました。それは、我々は理解できないことはないんですよ。だけれども、全部わからないんだったら、公表通達であれば公表しているようなことすらもできないのであったら、どんなときにこういう指導を受けるのかなということも全然わからないわけで、やはり再発防止にはならないと思うんですね。
それで、私、改めて聞くんですが、裁量労働制の違法適用を見抜くのはやはり極めて困難である。過労死が端緒になって初めてわかったんだ。総じて長時間労働の傾向があるんだ。それどころか、逆なのかもしれない。つまり、長時間労働が常態化してしまって、これは先日のIT会社の社員の事例がそうですよね、裁量労働制を活用して時間制限を逃れようとする傾向がある。こうして裁量労働制というのはやはり長時間労働と密接な関係がある、このことは認めるべきではないでしょうか。
○加藤国務大臣 裁量労働制を導入している事業所に対しても、例えば平成二十九年では二百七十二の事業所に対して是正勧告とか指導を実施しているところでありますし、また、本年二月より、全国一斉に、広く適正化に向けた自主点検を実施し、それを踏まえた監督指導を実施していくということにもしているところでございます。
私どもとしては、裁量労働制だけではなくて、それ以外の働き方が行われている事業場についても、過労死の事案があればもちろんでありますけれども、それ以外の情報等々を入手した場合、あるいはそうした端緒を見つけた場合、それに対しては監督指導をしっかり行っているということであります。
○高橋(千)委員 では、その二百数十の調査も端緒があったということですか、告発なり過労死のようなことが。
○加藤国務大臣 全てがどうかというのは、機械的に行った場合もあるんだろうと思いますし、そして、そうした端緒があった場合等々について実施をした、結果として、今申し上げたような是正勧告又は指導を行っているということであります。
○高橋(千)委員 どうしてお認めにならないんでしょうか。
少なくとも、裁量労働制が、野村の場合も三六協定を上回っていたというふうにしっかり書いているわけですから、野村自身がホームページで認めているわけですから、そういう議論をずっとしてきたのに、大臣がそのことを一つも認めないから同じことを繰り返しているように思うんだと思うんです。だけれども、私たちは、その後新しい事実がどんどんわかってきて、やはり、いよいよもってこれは結びつけたくなかったんだなと思わざるを得ない。
何でそれを認めたくないのか。それはやはり、高プロを導入するということは、これまでも指摘したとおり、もっともっと発覚が困難になるし、指導することも困難になるということを、いよいよもってそこに結びつくのが嫌だなということになるんじゃないでしょうか。
時間がありませんので、ここは指摘にして、高プロの質問を続けたいと思います。
高プロのニーズがわからなければ立法事実がないと私は主張してきました。今回、大臣がヒアリングをしたという十二名の概要について、理事会の協議の決定によって出していただきました。正直言って、高プロでなければならない必然性を感じません。
例えば、コンサルタントの方、今現在、労働時間に裁量があるのでリフレッシュもできる。もう一人の方、自律的に働くことでグローバルな業務で時差対応が必要なときにも融通がきく。もう一人の方、自律的に働くことは、自社において自律的に場所を選ばず動くことができる環境は整っているので、めり張りのある働き方をして生産性を上げることにつながると考える。もう一人の方、現在は裁量労働制が適用されているが、働き過ぎと感じたら、みずから上司に交渉している。
これは、今のままでよいという意味ではないでしょうか。十二人のうち四名の方が明確に、今の裁量労働制の中で別に困っていないという意味だと思いますが。
○加藤国務大臣 今、そうした形で働いている方をベースにヒアリングをした結果でありますけれども、ただ、要するに、ここで自律的に働くということはそういうことをもたらしていくんだということを言っておられるわけでありますから、そういった意味で、より自律的に働くことができれば、更にそうしたことにも資していくということを含意しておられるというふうに私は考えております。
○高橋(千)委員 含意というだけで、これをやっていいものなんでしょうか。
例えば、チャレンジしたい人にはチャレンジできる環境、アナリストだということですが。でも、高プロの中身は、今の裁量労働制と違うことは、深夜手当などもない、それと百四日の義務づけ、中身はそれだけなんですよね。どうしてそれがチャレンジできる環境なんでしょうか。別に今のままでいいんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 深夜あるいは休日、あるいはみなし労働時間、そういった形で裁量労働制の場合には労働時間の規制があるわけでありますけれども、いわばそういった規制と切り離した中で、自由に、そして、思う時間、自分の思うタイミングで仕事をされたいということ、まさにチャレンジできる環境ということをおっしゃっておられるんだと思いますが。
これは、対象になり得ない人までそういう話をしているわけではなくて、そういった働き方ができる、そういった意味において、年収要件とか本人の同意とかさまざまな要件を課し、その上で、一般の働く人に比べてより強い健康確保措置も導入する中で、そうした選択をしたい人に、そして自律的に働くことによってより創造的な仕事をしたい、そういった方にそうした働く機会を提供したいということで今回の制度を提案をさせていただいているということであります。
○高橋(千)委員 だから、前回も指摘したように、規制と切り離すというのは、要するに、残業代を払わないだけということと上限がないということ、それですよね。何時間でも働けることになることが問題だとずっと言ってきたじゃないですか。
具体的に聞きますけれども、さまざまな知見を仕入れることが多く、仕事と自己啓発の境目を見つけるのが難しいという方がいらっしゃいます。コンサルタント。これはやはり裁量労働制でも同じ課題だと思うんですね。
まず、事務的に聞きますけれども、法案では、健康管理時間を把握することを義務づけます。在社時間と事業所外での勤務時間の合計。この自己啓発の時間は、まさに健康管理時間に含まれるということでよいでしょうか。
○山越政府参考人 健康管理時間は、社内におられる場合は在社した時間でございますので、社内におられるのであれば原則として、協定を結べば除外する仕組みがございますけれども、そうでなければ、健康管理時間の中に在社している場合は含まれることになると思います。
○高橋(千)委員 在社時間に入るので、自己啓発も入るということだとお話がありました。ただし、労使で、分けるというのがあればということを今説明されたと思うんですね。
それで、健康管理時間は、所定内労働を上回る時間が月百時間を超えたときに医師の面接指導を義務づけることになる。だけれども、所定内労働というのは週四十時間というのが基準なので、月というあれではないんですよね。そうすると、割戻し換算をするのでしょうか。それと、境目が難しいと言っているんですけれども、実労働時間もその中で把握していくんでしょうか。
○山越政府参考人 この医師の面接指導でございますけれども、週当たりの時間外、休日労働が四十時間を超えた部分、これを一カ月足し上げまして、それが百時間を超えた場合に対象とするということでございますので、そういった計算になろうかと思います。
○高橋(千)委員 ちょっと、だめですよ。二つ質問したじゃないですか。
実労働時間が入るのかと。その中できちんと分けて把握していくんですか、健康管理時間はこれこれ、実労働時間はこれこれと、そういう意味ですかと聞いています。
○山越政府参考人 申しわけありませんでした。
高度プロフェッショナルの場合の医師の面接指導は、あくまでも実労働時間ではなくて健康管理時間で把握をして行っていただくものでございますので、健康管理時間が何時間になるかということで、義務がかかるかどうかということが決まります。
実労働時間は、その判断の対象ということには用いないということでございます。
○高橋(千)委員 ごめんなさい、時間になっちゃったので、続きは後でやらせていただきたいと思うんですが、実労働時間も数えるとちゃんと答弁しているんですよ、レクのときには。そうじゃなかったら、労災とか、全然わからないじゃないですか。そういう意味なんですよ。それを聞いたわけです。
だけれども、それだけ細かく管理をするということは、やはり自律的とはなかなかならないんですよ。その矛盾が生じてくるというのが高プロの特徴なんだということで、これはもう少し掘り下げてやりたいと思いますので、一旦これで終わります。
○高鳥委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十六分休憩
――――◇―――――
午後一時十分開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、西村智奈美君外二名提出、労働基準法等の一部を改正する法律案、岡本充功君外四名提出、雇用対策法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び労働契約法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党、公明党及び日本維新の会の三派共同提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。浦野靖人君。
―――――――――――――
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○浦野委員 ただいま議題となりました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、公明党及び日本維新の会を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
本修正案は、自由民主党、公明党、日本維新の会及び希望の党の四会派による協議の結果、合意に達したものであり、修正の要旨は、第一に、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の同意の撤回に関する手続を労使委員会の決議事項とすること。
第二に、国は、労働時間の短縮その他の労働条件の改善等の基本方針において定められた施策の実施に関し、中小企業における取組が円滑に進むよう、地方公共団体、中小事業主団体、労働者団体等により構成される協議会の設置その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な施策を講ずるように努めることとすること。
第三に、事業主が他の事業主との取引を行う場合において配慮をするよう努めなければならないこととして、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないことを追加すること。
第四に、政府が改正後の各法律の規定について検討を行う際の観点として、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図ることを明記すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○高鳥委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 この際、お諮りいたします。
各案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長山越敬一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑を行います。
内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。
○繁本委員 自由民主党の繁本護でございます。
総理御出席のもとで質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
今、修正案が出されたわけでありますが、その内容を今まさに聞いたところでありますので、この質問では、あらかじめ通告をした内容に沿って質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、総理は通常国会の冒頭、施政方針演説の中で、働き方改革、この断行を宣言されました。まさに戦後、労働基準法が制定され、七十年ぶりの大改革であります。実質、三六協定で青天井でありました時間外労働、これに上限規制をかける、罰則をつけるという新たな規制であります。また同時に、労働の時間と成果、この関連性が高くない、高度に専門的、その知識を、あるいは技術を必要とする高度プロフェッショナル制度の創設についてもこの法案はうたっているわけであります。
これからの大きな流れとして、私たち働く人間は、いわゆる労働した時間によって収入を得るのではなくて、その労働の結果として出した成果によって収入を得る、そして、それを糧に、私たち国民は自分たちの生活と家族を守っていくということになるかと思います。
一方において、我が国の生産年齢人口は本当に減っているわけでありまして、二〇二五年以降になりましたら、そのスピードがますます加速していくことになってまいります。戦争が終わって、私たちのお父さん、お母さんとか、おじいちゃん、おばあちゃん、みんながつくってくれた今ある生活、豊かで便利な社会、このシステムを維持するにしても、守っていく人口が減っていくわけですから、これをどう、より少ない人口で何とかしていかなければならないかということを考えていかなければならないわけであります。
一方において、また、ソサエティー五・〇、この到来も、やってくるわけであります。
こういう状況の中で我々が考えていかなければならないこれからの働き方、当然の帰結として、これは生産性をいかに上げていくかということだろうと思います。
現在、建設、運輸、医療、介護、あらゆる分野で人が足りません。人が足りなくて困っているという声を私も選挙区でたくさん聞くわけであります。また、今の人手不足だけではありません。これからの将来を考えたときにも、担い手が確保できない、このような懸念の声がたくさん耳に届いているわけであります。
とりわけ、我が国の経済、ここにおいて七割の雇用を支えてくれている中小企業、これについては、人材の確保、生産性、この両面において大きな課題を抱えているわけであります。
生産性が上がらないで、今回の法律で時間外労働規制が設定されて、働きたくても働けない、時間が制約されるというような状況に陥ってしまえば、おのずと働き手の所得は落ちてしまうのではないか、あるいは企業として売上げが減ってしまうのではないか。こんなことになってしまったら、国民の総所得そのものが減ってしまって、その分消費が落ち込んでしまいます。消費が落ち込んでしまったら、総理、約五年と少しで、アベノミクスの成果、データを示すとしたら枚挙にいとまがありませんけれども、これをまた経済の停滞に戻すわけにはいかないわけであります。
働き方改革を断行する中において、世帯所得、国民総所得を確保せなならぬということの認識から、安倍総理、とりわけ中小企業について、考えをお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 ただいま繁本委員から指摘いただいた点は、大変重要な点、働き方改革においては極めて重要な点だと思っております。雇用の七割を占める中小企業、そして小規模事業者の皆さんが対応いただけることが大前提であろうと思います。
御指摘をいただいたように、残業が減って収入が減るのではないかという危惧があることは承知をしております。そうなってはならないと考えています。
我が国の資本主義は、自由競争によるイノベーションを基礎としているものでありますが、一方、経済の悪いときもいいときも、みんなで成果を分かち合うことを特徴としてきたと思います。これが我が国の美徳ではないかと思うわけでありますが、その上で、安倍内閣が主張する成長と分配の好循環は、アベノミクスの成果を中小企業、小規模事業者や働く人に享受していただこうとするものでありまして、しっかりとまずは経済はもちろん成長させていきたいと思います。
働き方改革は、高齢者も若者も、そして女性も男性も、誰もが活躍できる社会を目指す一億総活躍社会の実現に向けた最大の柱であり、常に、働く人や、労働力不足に悩む中小企業、小規模事業者の視点に立って議論を行ってきたものであります。
長時間労働を是正すれば、女性も高齢者も仕事につきやすくなる。また、同一労働同一賃金の実現により正規と非正規の労働者の不合理な待遇差を是正すれば、若者が将来に明るい希望を持てるようになります。
働き方改革は、アベノミクス三本の矢である成長戦略そのものであると考えておりまして、安倍内閣として、このような働き方改革の実現と働き方改革関連法案の成立に向けて、全力を尽くしていきます。
この際、全国四十七都道府県に働き方改革推進支援センターを設置することに加えまして、人手確保を支援するなど、中小企業、小規模事業者に対し全力で支援をしていきたいと思いますし、中小企業の皆さんは人手不足で大変だと思います。その人手確保に対する支援はもちろんのこと、人手不足を補うための、生産性を上げるための設備投資についても、いわば税制上応援をしていきますし、ものづくり補助金等でしっかりと中小企業、小規模事業者に対応できるように応援していきたいと考えております。
○繁本委員 ありがとうございました。
働き方改革、もう一つ、私はこの先にあるものをきょう総理にお尋ねしたいと思います。そのテーマは少子化対策であります。
生産年齢人口が減ると申し上げました。だから、国のため、あるいはふるさとのため、企業のために子供をつくってほしいと言っているのでは決してありません。実際に若者の声を聞いてみましたら、希望するだけの子供の数をつくり、育てることができていない。現に、希望出生率と現実の出生率の乖離はあるわけであります。これをしっかりと埋めていかなければなりません。
そのためには、先ほど総理もおっしゃいました、多様な働き方の市場への参入を促していかないといけない。とりわけ女性の活躍が大事であります。女性が働き、活躍し、そしてまた世帯収入を確保し、それが出生率の向上には極めて有効であるという論文も現にあるわけでありまして、少子化対策と女性の活躍推進、この観点から、出生率の改善も含めて働き方改革をどのように進めていくか、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 我が国の慣行、労働慣行である長時間労働は、健康の確保だけではなくて、仕事と家庭生活との両立を困難にして、少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む要因でもあります。そして、男性の家庭参加を阻む要因にもなっている。
このため、私自身が議長を務める働き方改革実現会議の場で十回にわたる議論を行い、史上初めて、労働界そして経済界のトップの合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けることにしました。
長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、子育て中の女性も仕事につきやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。
そしてまた、同一労働同一賃金の実現を通じて、正規と非正規の労働者の不合理な待遇差を是正していけば、中間層が厚みを増し、より多くの方が豊かな家庭を持てるようになるわけでありますし、日本の出生率改善にも貢献をすると思います。
今回の働き方改革関連法案の成立によって、子育てをしながら意欲を持って働くことができる、そして将来によりよい展望を持てるようになるよう、改革を着実に進めていきたいと考えております。
○繁本委員 ありがとうございました。
働き方改革は、アベノミクスが掲げる構造改革の大きな柱であります。働き方を改革するということは、我々の生き方を改革するということでもありまして、人生百年時代において本当に必要な政策だと思います。このことを申し上げまして、時間となりました、私の質問を以上で終わりたいと思いますが、もしよろしければ、総理、最後、ひとつ御決意を……(発言する者あり)以上で終わります。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 公明党の伊佐進一です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私、質問時間は五分ですので、できることなら二問やりたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず一問目。
昨日の参考人質疑で、今回の働き方改革は出発点にすぎないんだというような御意見がありました。もうそのとおりで、例えば、今回の上限規制についても、あくまで上限ですから、ここから、いかにこの議論のスタートから実際には時間外労働を減らしていくかというのがこれから大事な、まさしくその努力が大事だというふうに思っております。また、過半数代表のあり方についての議論もありました。これも必要じゃないかと。つまり、これがスタートなんです。
そういう意味で、残業を減らすとか、あるいは過労死をなくす、これはもうここにいらっしゃる誰しもが同じような思いでいるというふうに思っております。政府も、更にここから改革を進めていくんだ、総理、それでよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 今回、政党間での協議を経て修正案を提出されたことに敬意を表したいと思います。
今回、史上初めて、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を労使トップの合意により設けることになったことは、戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であり、大きな前進と考えておりますが、いずれにせよ、まずこの制度を導入して、その中において、使用者側、経営側もより工夫する、生産性を上げるために工夫をしますし、働く側も工夫し、そして成果が上がっていく中において、更に工夫できるのではないかということにもつながっていくのではないか。また、中小企業、小規模事業者もそうなんですが、まずはここにトライしてみるということ。しかし、大きな一歩を私たちは踏み出すことができたと思っております。
○伊佐委員 それに向けてしっかりと政治側も、その皆さんの努力を後押しするようなことを引き続きやっていただきたい。
最後、二問目。
高度プロフェッショナル制度、これについて、多様な働き方のニーズに応えると。求める声があるのも事実です。その上で、ただ、アリの一穴じゃないか、ここからどんどん広げていくつもりなんじゃないか、この対象拡大をしていくんじゃないか、こういう懸念が今示されております。
総理、高プロをアリの一穴にしよう、こういうつもりはないというふうに明確に否定していただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今回創設する高度プロフェッショナル制度については、もうこれは既にここで議論があったと思いますが、要件を満たした場合に限って適用されるものであって、これは法改正することなく要件を緩和することは不可能になっている、このように考えております。
○伊佐委員 ありがとうございます。
予想外に時間がもう少しありましたので、ちょっと一言申し上げますと、昨日の参考人質疑でもう一つあったのは、政労使で議論する枠組みというものに非常に大きな期待が寄せられました。それは、なかなか労使だけでずっと話し合っていても決められない場合があって、なかなか前に進まなかった、ところが、安倍総理の今回の取組で政治も中に入っていく、それで政治が触媒になって、そして物事が決まっていったんだ、こういうような参考人の方の御意見もございました。
そういう意味では、しばらく、今、政労使の会議というのは開催されておりません、政労使の枠組みは開催されておりませんので、今後また、この政労使の枠組みというものをしっかりと責任を持って再開していただきたいというふうに思っておりますが、最後、これが来るまで、一言だけお願いします。
○安倍内閣総理大臣 働き方改革関連法案の成立後は、加藤厚生労働大臣に責任者としてしっかりと施行していただき、私自身もフォローアップしてまいります。
働き方改革実行計画は、私が議長を務め、労使トップにお集まりをいただいた働き方改革実現会議において取りまとめたものでありますが、この会議を改組して設置する働き方改革フォローアップ会合で、私も出席をしまして、私もフォローアップは大切だと思っておりますので、毎年フォローアップしていくことになります。
また、御党の提言を受けて創設をした地方版政労使会議の場においても、政労使が連携することにより、長時間労働の是正や非正規雇用労働者の待遇改善など、働き方改革に取り組んでまいりたいと思います。
○伊佐委員 以上、終わります。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、いろいろとんでもないことが続発をしておりますので、この法案を審議する前提となる安倍内閣の正統性について、これを議論していきたいと思います。
データがいいかげん、文書は改ざんする、文書は意図的に廃棄する、一体これはどうなっているんでしょうか。
まず、データについて、加藤大臣は、例の二割削除したデータでございますけれども、平成二十五年度労働時間等総合実態調査に係る精査結果という資料を出されました、きょう、理事会で。これを見ると、例えば、七十七ページ、七十六ページでございますけれども、ビフォー・アフターというか、訂正後と訂正前で、特別条項つき時間外労働に関する労使協定において定める特別延長時間別の法定時間外労働の実績というのがございますけれども、それぞれにおいて、一年の特別延長時間千時間超における実績値の最も高いカテゴリーにおけるパーセンテージと平均時間、これの変化をそれぞれ教えていただけますか。
○加藤国務大臣 きょう提出をさせていただいた資料の七十六ページの、特別条項つき時間外労働に関する労使協定において定める特別延長時間別の法定時間外労働の実績でよろしいですね。
最長の者についてでありますけれども、これは法定時間外労働の実績と一年の特別延長時間、二つの軸であらわしておりますけれども、一年の特別延長時間一千時間超で、そして法定時間外労働の実績が一千時間超である者が、精査前は三・九%、精査後は四八・五%。それから、一年の特別延長時間が一千時間超の平均時間は、精査前が、前に出した数字が四百六十七時間三十一分、現行は八百八十八時間二十一分となっています。
○長妻委員 これはそれぞれ、今は最長の者を言っていただきましたけれども、平均的な者についても教えていただけますか、同じ数字を。
○加藤国務大臣 平均的な者については、一年の特別延長時間が千時間超で、この場合、千時間超はもともとなかったと思いますので、八百時間超から千時間以下のところでありますけれども、当初が三・四%が五〇・三%。また、一年の特別延長時間が千時間超の平均の数字は、前回お示ししたのが三百四十二時間五十一分に対して、今回は四百九十七時間四十七分となっています。
○長妻委員 これは今聞いていただいたように、ちょっと見て、ちょちょっと見てこれだけ大きな乖離がある。
加藤大臣は、この二割削除したデータについて、こうおっしゃっているんですね。結果においてそう大きな変化があるとは認識していないと。これはすごい変化じゃないですか。十倍になっているんじゃないですか、パーセンテージは。
こんなとんでもない、これはあれですよ、労政審の先生の求めに応じて、平成二十五年度データを加工して労政審に出して、これで議論したデータですよ。十倍もパーセンテージが違って、これがちょっとした変化なんですか。とんでもない話だと思います。
これは安倍総理、せっかく来ていただいているので安倍総理にお伺いしますが、事ほどさように、二割データ削除したからいいんだということではなくて、これだけでかい乖離があるので、総理、一回、平成二十五年度調査を撤回する、全てを、まず調査自体を。そういう決断を、総理、していただけませんか。総理。
○安倍内閣総理大臣 委員御指摘のデータについては、厚生労働省において調査票原票の確認等を行った結果、九千を超えるサンプルを再集計したものと聞いているところでございます。
一般労働者の方々に関するデータとして相応の規模を持つものであり、活用が可能なものと考えておりまして、撤回する考えはございません。
○長妻委員 これは通告しているんですけれども、このことで十倍差があるじゃないですか、十倍。これは総理、わかっているんですか。
私が申し上げたいのは、このデータは御存じのように、高プロも含めて、その議論の出発点になるというデータなんですよ。このデータは閣議決定に基づいてつくられたものでありまして、高プロは過労死が本当にふえる、こういうふうに過労死御遺族の方もおっしゃっておられます。私どもも相当研究しましたけれども、これは過労死のふえる制度で、過労死が表面化しない非常にまずい制度であるということは確信を持ちましたので、これをぜひまず削除していただきたいということをお願い申し上げます。
そして、安倍内閣の正統性という意味では、きょう、森友学園の財務省の交渉記録が出てまいりました。本当にこれは正統性が疑われると思います。
総理にも紙を事前にお配りしたと思いますけれども、例えば、財務省のメモでは、「定期借地権の減額要望について(学校法人)」、平成二十七年十一月十日十三時から十三時五分。五分ですから、これは電話かもしれません。先方は安倍総理夫人付谷様(女性)、当方は国有財産業務課小林ということで、先方、つまり谷さんがこういうふうにおっしゃる。「安倍総理夫人の知り合いの方が、近畿財務局管内の国有地で、今年五月に定期借地契約を締結させていただいたところである(学校法人森友学園)。 その知り合いの方から、社会福祉法人同様、優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいたもの。」というような、安倍総理夫人から、優遇を受けられないかというふうに総理夫人に照会があって、それで財務省に問い合わせているというような文書が明らかになりました、財務省作成文書として。
これは、総理、どう思われますか。奥様に聞かれましたですか。
○安倍内閣総理大臣 今までも、今言われた件については、既に何回か国会で議論をしていることでございまして……(発言する者あり)それについては、新しいことという今やじがございましたが、これについては今までも既に出ていることでございます。
そして、その上において、財務省がけさ国会に提出をした応答メモにおいて記載されている、社会福祉法人に優遇を受けられないかというのは、これは籠池氏から夫人付に対して送られてきた手紙にも記載されている話でありまして、ですから、それは今までも、それについて答弁をさせていただいているところでございますが、当時検討されていた、介護施設に適用される定期借地の賃借料についての優遇措置があり、それについて、当該優遇措置の対象に学校法人は含まれないのか、また学校法人にそれを拡大するという予定はないのかという点について問合せがあり、回答をしているということだと財務省からも答弁がなされている、こう承知をしているところでございます。
夫人付からの財務省への問合せについては、国有財産制度に関するものなど、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問合せがあったとしても同様に答える内容であると承知をしているわけでございまして、つまり、これは値下げをしてくれということではなくて、こういう制度があるのか、これは適用されるのかという制度上の問いをしているわけでございまして、これまでも申し上げてきたとおり、私や妻がこの国有地払下げや学校の認可に、もちろん事務所も含めて一切かかわっていないということは明確にさせていただきたい、このように思うところでございます。
そして、念のために申し上げると、籠池氏からの書面に対して、夫人付からファクスにて法令や契約に基づく対応を説明し、籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知をしているわけでございまして、いわばゼロ回答である、こういうことでございます。
○長妻委員 これは、総理、答弁書を更新されていないですね、前の答弁書と。これは新たな文書が出たんですよ。ここに書いてあるのが事実だとすると、総理夫人に直接照会があった、そして優遇を受けられないかと、社会福祉法人同様。首相夫人に直接照会があったんですね、ここの文書によると。それで、当方から問合せさせていただいたんだよと。優遇というふうに明確に書いてあるわけですから、その答弁書を更新していただかないといけないんですよ。
それで、総理、いろいろな文書が出てきましたけれども、例えば平成二十七年十一月十二日十時から十時十分、これは電話だと思いますけれども、先方は官邸谷さん(安倍総理夫人付)、当方が田村国有財産管理室長ということで、先方の谷さんが、「森友学園の件については、財務省がよく対応してくれているものと理解している」。当方、財務省は、「財務省として、現行ルールのなかで最大限の配慮をして対応している」、こういうふうに答えておられる。
それで、総理、きょう予算委員会の理事会で、総理、総理、ちょっと秘書官、邪魔しないでね。総理、きょうの予算委員会で、財務省の方が理事会で説明をされて、昨年二月下旬以降の国会答弁との関係で財務省は交渉記録の廃棄も進めた、そして、財務省の理財局の職員が廃棄の指示をした、交渉記録の。こういうことをおっしゃっているんですが、総理、いかがですか、責任は。
○安倍内閣総理大臣 これは先ほども答弁させていただいたように、その前の先ほどの答弁ですが、新しい話ではなくて、私がかねてから申し上げてきたのは、私の妻は、籠池氏から何度か留守電、留守番電話に短いメッセージをいただいていたが、土地の契約に関して、十年かどうかといった具体的な内容については全く聞いていなかった、また、私の妻に対してではなく、夫人付に対して十月二十六日消印の問合せの書面が送られてきたということであり……(発言する者あり)
○高鳥委員長 静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 妻には何回も電話があったわけだが、妻はほとんど電話には出ていないというのも事実でありまして、それと変わりがないんだろう、こう思うところでございます。
そこで、ただいまの御質問、廃棄についての御質問でございますが、森友学園との交渉記録については、麻生財務大臣の指揮のもと、財務省において徹底的に調査し、見つかっているものは全て国会に提出をさせていただいたところであります。残っていないと答弁していたこれまでの財務省の答弁と事実が異なっていたわけであり、まことに遺憾であります。
また、当時保管されていた交渉記録の廃棄が進められていたことも明らかとなりました。国会答弁との関係で文書を廃棄するということは不適切であり、これについてもまことに遺憾であります。決裁文書の書換えと同様……(発言する者あり)
○高鳥委員長 静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 財務省において経緯等の詳細について調査させ、できるだけ速やかに明らかにさせたいと思います。
国民の皆様から厳しい目を向けられていることを真摯に受けとめながら、なぜこのようなことが起こったのか、全てを明らかにするために、麻生財務大臣の指揮のもと、財務省において徹底的に調査を行い、全容を解明し……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。答弁中です。
○安倍内閣総理大臣 再発防止に全力を挙げてもらいたいと思います。
もちろん、行政の最終責任は総理大臣たる私にあるわけでありまして、国民の信頼回復に向けて、私としてもその責務を果たしていく決意であります。
○長妻委員 国会との関係で文書を廃棄を進めちゃうというのは、これは本末転倒じゃないですか。これは与党の皆さんも、もうちょっと怒ったらいいですよ。大変なことだと思うわけでございます。
そして、加計学園の問題についても総理に尋ねなければなりません。これは政権の正統性の話でございますので。
総理、愛媛県から文書が出まして、二〇一五年の二月二十五日前後に、加計孝太郎理事長と会話あるいは面談というのはされましたですか。
○安倍内閣総理大臣 御指摘の平成二十七年二月二十五日に……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 加計理事長とお会いしたことはない。念のために訪問予約も調査をいたしましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できなかったということでございます。
○長妻委員 いや、私が聞きましたのは、今焦点になっております平成二十七年二月二十五日そのものずばりの日ではなくて、二月二十五日前後に加計理事長と、電話でもいいです、電話あるいは面談、自宅でもいいんですけれども、官邸以外でも、二月二十五日前後に電話を含めて加計孝太郎理事長とお話をされたことはありますか。
○安倍内閣総理大臣 電話をしたかどうかということについては、三年前でございますから、それについては、これは記録が残っているわけでもございませんので、今私は確たることは申し上げることはできませんが、いずれにせよ、いわば獣医学部の新設についてのやりとりは一切していないということは、今まで申し上げているとおりでございます。
○高鳥委員長 長妻君に申し上げます。
本日は働き方改革に関する法案審議でございます。質問は議題の範囲内で御協力願います。
○長妻委員 それで、委員長、この働き方改革……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。
○長妻委員 委員長、よく聞いてください。この働き方改革の法案は、政府の案は閣法なんですね。安倍内閣の責任でここに出ているわけで、安倍内閣の正統性を問うというのは、これだけの事態が起こっているんですよ。言論封殺じゃないですか、そんなことを言うのは。
○高鳥委員長 質問を続けてください。
○長妻委員 それで、私が申し上げますと、これは、安倍総理、そうすると、十五分なので、面談というのが、あるいは電話かもしれませんが、二月二十五日前後に電話で話した可能性というのは否定されないということですか、加計理事長と。
○安倍内閣総理大臣 三年以上前に電話で話したかどうかということについては、これは何とも申し上げようがないわけでありまして、これは普通、大体そうだと思いますよ。長妻さん、では、三年前の三月にこれこれこういう人と電話しましたかと言われて、しているかしていないか、それはわからないですよね、割と電話をしている相手であれば。ということでありまして、それは、今こうしていきなり聞かれても、お答えのしようがないということであります。
いずれにいたしましても、獣医学部新設についての話は一切していないということは、電話でもそういうことでございますので、それは改めて申し上げておきたいと思います。
○長妻委員 総理、ちょっとおかしいのは、私、きのう、何度も念を押して、担当の方を呼んで通告しましたよ、電話も含めてできる限り思い出してくださいと。突然聞かれてもって、突然聞いていないじゃないですか、こんな重要なこと。
そうすると、もう一回、総理、確認しますと……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛にお願いします。
○長妻委員 じゃ、会ったことは、自宅でも含めて、二〇一五年の二月二十五日そのものずばりでなくても、その前後に加計孝太郎さんと会ったことは、自宅でも、官邸内外含めてそれはないということは、これは明言されるということですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、電話については、これは三年以上前の話であって確認のしようがないわけでありますが、先ほどから申し上げておりますように、加計理事長とはこれまでも何度も……(長妻委員「ちょっと委員長」と呼ぶ)今、ちょっと答弁中ですから。何度も会っていますが、これまでも繰り返し答弁してきたとおり、獣医学部の新設については話をしたことはないということでございます。
また、二十五日につきましては、これは自宅に帰っているのでございますが、いずれにいたしましても、官邸においても自宅においても、記者の皆さんが出入りする人の名前を逐一確認をしておりまして、これも確かめたところでございますが、首相動静にも載っておらず、自宅も含めて会っていないというのは、今までも申し上げてきたとおりであります。
○長妻委員 これまで、第二次安倍政権になって、加計孝太郎さんとは何回ぐらいお会いしているんですか。
○安倍内閣総理大臣 加計理事長と会った回数でありますが、首相動静で確認できたものは合計十四回ということで、これは動静で確認できたものであります。
そして、フェイスブック等、国会の議論で確認できたもの、これは、例えば首相動静については、私と会った人が複数、これは食事の場合等、またゴルフもそうなんですが、相手が複数であれば、友人らということで、「ら」に含まれる場合もあります。相手が主催する場合は、それは中心的な人物ですから、動静上も発表している。
そして、あるいは、これはさきの国会質疑でも答弁をさせていただいたように、いわばパブリックフィギュアとして確立をしておられるような方については公表するわけでありますが、必ずしも全ての方々が公表されるわけではないわけでありまして、我々も確かめるには、首相動静上で見るか、その「ら」の中に含まれるのは、これはわからない場合もあるわけでございますが、ただ、写真を今まで撮っていた等々で確認できる場合もあるわけでございます。
そこで、今申し上げたように、それ以外、確認できたものが五回あったということでございます。
○長妻委員 では、十九回ということなんですかね。
これは、総理、去年の七月二十四日、国会で答弁されていて、加計理事長はチャレンジ精神を持った人物であり、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたい、こういう話は聞いたと。
これはどういう話でございますか、新しい学部というのは。
○安倍内閣総理大臣 これは、随分長いおつき合いでありまして、私が彼の具体的な事業そのものについて特別に興味を持っていたわけではございませんから話はしませんが、しかし、お互いにどういう人生観を持っているかということについては話すことがあるわけでございまして、その中で、新しいものに挑戦したいと。いわば彼もお父様から事業を受け継がれた方でありまして、そういう意味では、私も父の後を継いだということもありまして、共通点があるんですが、いわば父親の時代とは違う新しいものを自分はやりたい、時代時代によってニーズに合ったものをやっていきたいというような話を、どこでしたか、具体的なことについては、録音をとっているわけでも、メモをとっているわけでもないわけでありまして、大体そんな話をしたなということについてお話をさせていただいたところでございます。
○長妻委員 いやいや、総理は、去年の七月二十四日に明確に、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいというふうに加計理事長から話を聞いたというふうにおっしゃっておられるんですけれども、この新しい学部というのは、どういうような類いの学部なんですか。どういう趣旨で聞いたんですか。重要ですよ、これは。
○安倍内閣総理大臣 だから、明確にというのは、前回、まさにそのようにお答えをしているわけでございますが、どういう話をしたかなということは、当時……(長妻委員「学部って、総理がおっしゃっているんです、学部」と呼ぶ)いや、だから、また私が申し上げるんですが。
これは閉会中審査でしたっけ、予算委員会で、これについてお答えをさせていただくということについて、いわば彼の事業についての、かかわることについて話をしたかなということについて、記憶をめぐらせながら話をしたときのことでございますが、それについて、今お話をいたしましたように、お互いに父親の後を継いでいるという共通点があるなと。それで、お互いに、これは、ある意味では父親がライバルでもあり、という話をしていたということの流れの中で、流れの中において……(長妻委員「学部、学部、どんな学部」と呼ぶ)どんな学部ということについては、そのときも既に答弁をさせていただいているとおり、どの学部という具体的な話は、例えば獣医学部とか、具体的な話はしていませんが、新しい時代のニーズに合った、この時代のニーズに合わせたものを、正確には、今まさに読んでいただいたとおりの答弁をしたんだと思いますが、そういう話をした、こういうこと……(発言する者あり)済みません、ちょっと場外の方、議論を……
○高鳥委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 いや、なかなか……(長妻委員「気にしない、気にしない」と呼ぶ)いや、非常に、この真正面で、長妻先生の隣におられて、存在感のある方なものですから。
そこで、こういうふうに申し上げたわけでありまして、まさにそれは、今、長妻委員が読んでいただいたとおり、それが全てでございます。
○長妻委員 では、その新しい学部というのは獣医学部も含まれるんじゃないですか。
今回、総理は、うみを出し切るとおっしゃいました。それを本当に示していただくには、まず、これはすぐできることだと思うんですよ、これは与党の皆さんも賛同されると思いますけれども。
平成二十七年の四月二日に、例の柳瀬秘書官が、加計学園関係者、今治、愛媛の方とお会いした、官邸でですね。このときに、角田喜彦さん、内閣参事官、文科省から出向、青山豊久さん、内閣参事官、農水省から出向の方が同席しているんですよ。これは、メモを間違いなくとっているはずなんですね。
ですから、総理がこの場で、メモを出してほしい、こういうふうに呼びかけることで相当また明らかになるんですが、政府側の議事録は一切ない、しかし、愛媛県は詳細にある、そんなばかなことはないので、総理、本当にうみを出し切るというのであれば、例えば四月二日のメモが、そのお二人がとっているはずでありますので、それを出してくださいということを、出しなさいというのを、ここで答弁いただけないですか。
○安倍内閣総理大臣 既にもう予算委員会で、この点についても答弁をさせていただいているところでございますが、当時の内閣参事官による記録については、内閣官房から事実確認の指示を行い、各省が行った聞き取りの結果として、文部科学省からは、面会の内容に関するメモ等はつくっていないと思うし、残ってもいない、農林水産省からは、当時、面談の際のやりとりについてのメモ類は作成していないと記憶しているといった報告があったと聞いているところでございます。
○長妻委員 いや、総理、このお二人は、初めは同席していないと言っていたんですよ、四月二日に。ところが、ばれ始めると、同席したかもしれないに変わったんですね。ですから、今、メモがないというふうにおっしゃっていますけれども、総理がメモを出せと言ったら、あっ、メモは実はありましたってなるんですよ。何でそれを指示しないんでしょう。うみを出し切る姿勢がないと言わざるを得ません。
それで、私が一言総理に意見をお伺いしたいのは、総理、一国の総理として、総理も大変だと思います、いろいろ国政、あるいは国外、外交を含めて、国内外。
そのときに、今回のような国家戦略特区において、その前には、加計学園は申請の当事者であったときとなかったときがありますけれども、二〇〇七年から一四年にかけて、愛媛県、今治市が構造改革特区で獣医学部新設を十五回行って、いずれも却下されている。相当いろいろ動きが現実に構造改革特区であるわけで、今から考えると、総理、加計学園と少し密に、幾ら友達といえども接触し過ぎたな、もうちょっと注意深くつき合えばよかったなと、総理大臣の立場のときに限定してですよ、そういうお考え、感想というのはありますか。
○安倍内閣総理大臣 今まで答弁をさせていただいておりますように、民間委員の方々も、プロセスには一点の曇りもない、このように証言をされておられるわけでございますし、また、前川次官も含めて、私から指示や依頼を受けた人は一人もいないということは、もう既に明らかになっているわけでございます。
しかしながら、結果として、このように大切な政策の議論がなかなかできない状況になっているということからしても、まさに李下に冠を正さずということで、より一層身を引き締めていかなければならない、このように考えているところでございます。
○長妻委員 もう一回確認したいんですが、ちょっと私の感覚だと、総理が答弁を若干修正されつつあるのかなと感じたんですが、二月二十五日の会談の件ですね、平成二十七年。いやいや、獣医学部の話は一切していないというような話を強調されるんですけれども、私が聞いているのは、獣医学部の話をしようがしまいが、平成二十七年の二月二十五日前後に加計孝太郎理事長とお会いしたことがありますか、こういうシンプルな質問ですので、イエスかノーかでお答えいただけますか。
○安倍内閣総理大臣 前後の幅によります。前の年までいけば、これはお目にかかっているわけでございますが、これを調べる上においては首相動静等で調べるしかないわけでございますが、それを見る限り、お目にかかってはいないし、電話については、これはわかりませんけれども、お目にかかっていない、こう思います。
それと同時に、食事をするということにおいては、それまでも何回か、加計孝太郎氏との食事については、これを公表した結果、首相動静にも載っているわけでございますので、殊さら隠す必要はないわけでございますので、恐らく私に会いに来られたら、基本的には、単独で来られたら当然載るんだろうというふうに思うわけでございますし、食事をすれば、それは今までも載せているわけでございますので、載っているんだろう、こう思うところでございます。
○長妻委員 それで、例えば加計学園の件では、誰かがちょっと虚偽のこと、あるいは間違っていることを言っているんですよ。
愛媛県が議事録を違うふうに書いちゃったのか、それは非常に可能性、少ないと思うんですが、加計学園側が虚偽のことを言っているか、あるいは総理が間違えた、虚偽のことをおっしゃっているかなので、これはやはり当事者を呼ぶしかありません、これだけ大きな話でございますので。これは私学助成金という税金も入るわけですね、私学には。加計孝太郎さんと、あと安倍昭恵さんの証人喚問が必要だと思いますので、これを要請をしていきたいというふうに思います。
それで、総理、この加計学園でございますけれども、総理みずから会っていないと言った以上、それが崩れれば辞任しないといけなくなる。会ったのが事実であれば、首相と加計学園が面談したとすれば、それがホップになるんじゃないか。その次に、柳瀬秘書官と加計学園が面談して、それがステップになる。そして次に、この愛媛の文書によれば、内閣府の国家戦略特区担当藤原次長と加計学園が面談するということで、ホップ、ステップ、ジャンプで。
それで、一点の曇りがないとおっしゃいましたけれども、それはもうスキームに乗った後の話なんですよ。我々はスキームに乗る前の話を申し上げているわけで、繰り返しますけれども、総理みずから会っていないと言った以上、それが崩れれば辞任しないといけなくなるということについては、どうお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 仮定を置いて、仮定の質問についてはお答えすることはできません。
それと、働きかけについて申し上げれば、今回の規制改革プロセスを主導した八田座長を始め民間有識者の皆さんが、口をそろえて一点の曇りもないと繰り返し述べているわけでありますし、さきの参考人質疑に際しても、八田座長から、私からも、また秘書官からも何の働きかけも受けたことはないこと……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。答弁が聞こえません。御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 そして、先ほどホップ、ステップ、ジャンプというお話をされましたが、前年の平成二十六年の九月の時点で、既に民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記しており、秘書官の面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないこととの発言があったと承知をしており、御指摘のような問題は全くないわけでございます。
○長妻委員 時間があと一分でございますので、もうここでやめますが、総理、今私が、総理は仮定のことを言うなとおっしゃいました。仮定のことというのは、総理みずから会っていないと言った以上、それが崩れれば辞任しないといけなくなるということなんですが、これは、報道によると、自民党の閣僚経験者が発言しているんですよ。きょうの新聞に載っている発言です。
あるいは、自民党の、もう一人、これは別の方だとは思いますけれども、閣僚経験者がこういうこともおっしゃっているんですよ。きょうの新聞に出ています。「最初否定していて後で文書が出てきた今までのパターンから、総理が本当のことを言っているとは思えない」、こういうふうに、私が言っているんじゃない、自民党の閣僚経験者も言っているわけですよ。
ぜひ総理、真摯に、最後に、この正統性が非常に揺らいでいる、安倍内閣の正統性が揺らいでいる中、労働のデータもいいかげん、そして、三年前には当時の民主党に改ざんの疑いのあるデータを示されて、その結果も出ていない。ここで、この法案について私は容認できない、せめて高度プロフェッショナル制度を削除する、こういうことを強くお願いを申し上げまして、私の質問といたします。
よろしくお願いします。
○高鳥委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 国民民主党の柚木道義です。
総理、二十五分間でございますので、なるべく端的な御答弁を、誠実な御答弁をお願いできればと思います。
冒頭、今ちょっと聞いていた、やりとりを聞いた感想だけ申し上げて、それに一言だけ答えていただいて法案質疑に入りますので。
今の議論、そして、きょうこれだけ多くの方が、過労死家族会の寺西笑子代表を始め、メディアの方も含めて、入れなくて外におられる方もいるぐらいに来られているのは、実は、総理質疑の後に強行採決されてしまうんじゃないか、そういう心配もあって駆けつけている方もたくさんおられます。
今の、加計理事長との二月二十五日の面会の話も出ていますけれども、森友学園の公文書の新たな改ざんもきょう出す。十八日と言っていたのをわざわざきょうにぶつけてきて、おまけに、イラクの自衛隊の日報問題もきょうにぶつけてきて、よもや、こういう一つ一つの国民への悪印象を一つにまとめて、その悪印象を薄めようというような印象操作は、これは安倍総理、やめていただけますよね。答えてください。
○安倍内閣総理大臣 ちょっとおっしゃっている意味がよくわからないのでありますが、いずれにいたしましても、根本的にそんなことはないわけでございます。
それと、いわば、何かまとめれば薄まるということなど、全くこれは考えも及ばないところでございまして、それぞれの役所において……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 まさに要望に応えようと熱心に対応した結果ではないのかな、このように思っております。
○柚木委員 今、大事なことを言われましたよ。強行採決はないということですよ、きょう。根本的にそんなことはないと今断言されましたからね。(発言する者あり)いやいやいや、国民にとって悪印象でしょう、強行採決。違うんですか。そして、まさに森友の新たな公文書の改ざんやイラクの自衛隊の日報がまとめてきょう出てきて、それはないと言っていただきましたので、それを信じて質疑に入ります。
過労死家族会の寺西笑子代表が、昨日もこの場で、総理、資料の一をごらんください、安倍総理への面会要請をちょうど一週間前になされて、そして、この委員会での質疑も経て、金曜日の夜に安倍総理にそのことが伝わっているというのはきょうも答弁で確認をされています。
この面談の御依頼、安倍総理に対してですね。長時間労働を是正し、過労死をゼロにするという決意を繰り返し安倍総理は語っておられますが、私たちは、高度プロフェッショナルなど、逆に過労死をふやしかねない改革が法案に含まれていることに強い危機感を持っていると。そして、万が一にも、過労死をふやす法案が成立することは絶対にあってはならない、過労死で愛する家族を失い、地獄の苦しみを、失うのは私たちだけでたくさん、過労死防止のために私たちは人生をかけて活動していると。
残りの人生をかけてずっと活動をされてこられている方も、たくさんきょうおいでです。そういう皆さんの声、しかも、ぜひとも私たちの声を、直接ですよ、直接お聞きいただきたく、切に面談をお願い申し上げますということでございます。
安倍総理、まだお会いいただけていないとお聞きしていますが、採決の前にせめて、きょうも、過労死を防ぐ協議会が厚生労働省であって、その後、必死の思いで、ここに来れば総理にちょっとでも会ってもらえるかもしれないという一縷の望みをかけて来られているんです。
採決の前に、ちょっとでもいいです、ぜひ面談をしていただく。御答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 委員会の運営については委員会がお決めになることでありまして、私が意見を述べることは差し控えたいと考えております。
過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意であります。政府としては、全国過労死を考える家族の会の皆様を含め、過労死をなくしたいとの強い思いを受けとめ、罰則つきの時間外労働の上限を設けることなどを内容とする働き方改革関連法案の成立に全力を挙げているところでございます。
これはまさに、ずっとできなかったのでございますが、いわば初めて労使が合意をして、三六協定でも超えられない上限を設けた。これは罰則つきで設けたということでございます。
御指摘の、全国過労死を考える会からの面会の御要請については、政府として受けとめて検討した結果、働き方改革関連法案に対する御意見であることから、法案の担当省庁であり、その内容、経緯等を熟知している厚生労働省において承らせていただくことの結論に至ったものであります。
私としては、そうした御意見については、法案を担当する厚生労働大臣ないし役所からしっかりと承りたいと考えております。
いずれにいたしましても、過労死をなくしたいとの思いをしっかりと受けとめ、全力を尽くしていく考えでございます。
○柚木委員 どういう思いで今の答弁を、過労死家族会、全国からきょうも十五人以上来られていると聞いていますよ、寺西代表を始め。
高橋まつりさんのお母さんの幸美さんには去年会って、何で同じ遺族である過労死家族会の方との面会は拒否するんですか、安倍総理。余りにも冷たいじゃないですか。
加計理事長と会われるのもそれは結構ですよ。会ったか会っていないか議論していますけれども。会われるのは結構です。何回も会っておられる、結構です。十五分、三年前、二月の二十五日、会っていようが会っていまいが、私は会われること自体は結構だと思いますよ。
だけれども、その十五分、せめて、人生をかけて過労死撲滅のために、愛する家族を失って、そして、加藤大臣に会ったら、一番の肝心である高度プロフェッショナルの削除を、我々への委員会提出の資料から削除されていたんですよ。隠蔽されていたんですよ。
そんな中で、せめて直接安倍総理にお会いしたいとおっしゃっているんです。加計理事長と同じ十五分でも会えないんですか。せめて十五分でも、この後、私の後の方が十五分間質疑が終われば、予定では総理は退室をされると聞いています。その後でもいいじゃないですか。理事会室でもお借りして、せめて十分でも十五分でも、加計理事長にも会われるんだったら、過労死家族会の方にも会ってくださいよ。総理、ぜひお願いします。
○加藤国務大臣 まず、今、柚木委員の御指摘で……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛にお願いします。答弁が聞こえません。
○加藤国務大臣 私が家族会と会ったときの議事録要旨のお話がありました。
これに対しては、メモを出せということでしたので、提出できるメモを出させていただいたところでありますし、また、これまでも委員会において、御遺族から、遺族会の方々からそうした高度プロフェッショナル制度について反対している、これを前提に答弁もさせてきていただいてございますので……(発言する者あり)いやいやいや、違いますよ。
ですから、柚木議員おっしゃっているように、我々の方においてこれまでも真摯に対応させていただいているところでありますし、今総理から御答弁をさせていただいたように、政府全体としては、この法案の作業に携わっている厚生労働省、厚生労働大臣でしっかりとお話を聞かせていただきたいと思っております。
○安倍内閣総理大臣 ただいま、冒頭言われた、隠蔽しているのではないかという指摘が……(柚木委員「いや、そうでなくて、直接会ってください」と呼ぶ)いや、指摘について、それは指摘が違うということで、それは重要なことなので、隠蔽しているということをおっしゃったから、それは政府として当然……(柚木委員「いや、もう今答えたじゃないですか。ちょっと、委員長。厚労大臣が答えましたよ」と呼ぶ)済みません、ちょっと、答えますけれども……(柚木委員「ちょっとひどいですよ」と呼ぶ)いや、少し聞いてくださいよ。
○高鳥委員長 御静粛に願います。答弁が聞こえません。
○安倍内閣総理大臣 ですから、加藤大臣がそれはそうではないということは説明させていただかなければいけない、それは重要な間違いですから、そのように言わさせていただいた次第でございます。
面会の御要請についてでありますが、もちろん、総理大臣に直接訴えたいというお気持ちはよく、それは私も理解できます。
しかし、基本的にこれは政策的な要望でございますので、当然、この法案を責任を持って担当している、そして熟知している加藤厚生労働大臣がお目にかかって、お答えをさせていただくことが適当であろう、このように考えたところでございます。
○柚木委員 安倍総理、この国会は働き方改革国会とみずから名乗ったんじゃなかったんですか。
高橋まつりさんのお母さんに会って、二度と過労死、過労自殺、こういった悲劇を起こさないと施政方針でも述べて、そして、申しわけないですけれども、野村不動産の過労自殺の隠蔽だって、特別指導、いいところだけはそうやってアピールして、そうじゃないところは、過労自殺、知らなかったと。高橋まつりさんのお母さんと会ったのだって、こんなのだったら、政治利用したと思われても仕方ありませんよ。何で会わないんですか、同じ過労死家族の会の方に。
こうやって多くの方がここに、本当にこの文章を読んだら、さっき山井さんの、家族を亡くされた方々のこの文章、これは与野党を超えて、はっきり言ってみんな涙を流すような思いで聞いていましたよ。こういう思いを、家族が、最愛の家族が、しかも、この高度プロフェッショナルの削除をやってもらわないと、私たちと同じ目に遭う方が絶対にふえるということをさまざまな角度からきのうも質疑で言われています。
そして、これは、実際に家族を失った者でなければわからないとおっしゃっているんです。高プロの事後撤回とか言われていますけれども、そんなことは現実はできないんだと。そして、仕事の量も内容も選べないんだと。そんなことをやっちゃったら、不利益変更、解雇になっている人はいっぱいいる。私も会ってきました。話も聞いてきましたよ。だから、絵に描いた餅なんです。だから、私たちの声を直接聞いてくださいと。
そして、亡くなられて、多くの方が、路頭に迷う家族がふえる。過労死なのに自己責任、勝手に働いて勝手に死んだ、労働時間管理もなくなるから、過労死しても過労死認定すらされなくなると佐戸未和さんのお母さんも言われていますよ。そして、結局泣き寝入りして路頭に迷う家族がふえる。
家族の中には、幼い子供も含まれています。ですから、遺児もふえてしまうんです。お金に困って、さまざまな夢を諦める。いろいろな話をこの間、私も聞いてきましたよ。あるいは、その中でも頑張っている方もいる。
安倍総理、総理は以前、本会議で、生活困窮者支援法案審議の際に、御自身はお金に困ったことがないと率直に述べられておられましたよね。でしたら、せめて、最愛の家族が過労死をして路頭に迷う、お金に困ってしまう、そういう人たちがこの法案によって生まれてしまうかもしれないという切なる声を、せめて直接お話を聞いた上で、その先いつかは採決が来るでしょう。だけれども、総理に直接聞いてもらえば。
総理が十一年前に、当時のホワイトカラーエグゼンプションを撤回したじゃないですか。私は、あれはすばらしい決断、断念とは報道されましたが、思いましたよ。当時も寺西さんたちの先輩、過労死家族会の方が必死の思いで活動されて、そして安倍総理は断念をされた。私は、あれは別に断念じゃなくて、声を聞いて受けとめていただいたと、多くの方は、思っていただいた方もいたと思いますよ。
今回も、ぜひ、過ぎたるは及ばざるがごとしですよ。この高プロ、これは確かに一部そういう人もいるかもしれない。しかし、大半の方が、自分で仕事の量も内容も選べない、断れない、後からも先も。そういう方がたくさんいるということを、実際経験されてきているんですから。せめて、この後、委員会、質疑が終わって総理が退室された後、少しの時間でも会っていただくと、委員長のお許しをいただければ理事会室もお借りできると思いますので、ぜひ、ちょっとでもいいので会っていただけるとこの場で御答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 先ほど高橋まつりさんとの比較をお話をされたわけでございますが、故高橋まつりさんの御遺族との面談は、かつて国会で答弁したのでありますが、まつりさんの一周忌に際して私から花と手紙をお送りしたところ、御礼に来られたいとの申出をいただき、恐縮ではありますが、これをお受けした次第でございます。
そこで、このいわば高プロとの関連で過労死がふえるではないかという御指摘があるわけでございますが、それはるる今まで大臣から答弁をしているところでございますが、そのまさに政策的内容については、担当しているのは加藤大臣であり、そして同時に、まさに熟知をしているのが加藤大臣でございますから、しっかりと的確にお答えをさせていただくには担当大臣が最もふさわしい、このように考えているところでございます。
○柚木委員 もちろん、制度の内容は所管の大臣が御存じですよ。だけれども、十一年前と同じように、ホワイトカラーエグゼンプションを撤回したのと同じ判断ができるのは安倍総理しかいないじゃないですか。加藤大臣じゃ御判断できないですよ。
ぜひ、安倍総理、今、高橋まつりさんのお母さん、幸美さんとの面会のお話がありましたけれども、資料の六ページ以降をごらんください。この切実な、悲鳴にも似た叫びを聞いてください。きのう、寺西笑子さんがまさにこの場で参考人質疑が終わった直後に、連続して投稿されているんです。
聞いて。お願い。全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表世話人は、長時間労働に陥り過労死の発生を促進する危険性が非常に高い、過労死をしても自己責任になる仕組みになっていると批判しましたと。
お願い。皆さん力になって。大切な家族は戻ってこないのにと。
労災認定されたって、死んだ人は生き返らないんですよ。
大切な家族は戻ってこないのに、今生きている人たちを守ろうとしています。どうして言葉で伝わらないの。何人死ねばわかるの。まだ犠牲者が足りないの。
参考人質疑の直後に連続して投稿しています。その前の日も、見てください。
どうして日本では過労が原因で死ななきゃならないんですか。あんなにたくさんの残業をさせられたから高橋まつりは死んだの。
この委員会の法案の審議中にも、二十代のIT関係の方が過労死している報道があって、ほかにもさまざまな報道が出てきているじゃないですか。
そして、佐戸未和さん、きょう、お母さんが来られています。寺西さん、中原さん、西垣さん、桐木さん、工藤さん、書き切れないと。
きのうもたくさん、そちらに、寺西代表を始め五人の方が一緒に、懸命の訴えをされていました。
九ページ目。誰か一人でも生き返らせることができますか。死んだら生き返らせることはできない。時間を取り戻すことはできないんですよ。二度と会えないよ。二度と抱き締めることはできないよ。二度と笑い合えないよ。おいしいものをつくって食べさせてあげられないよ。悲鳴のような言葉ばかりがあふれると。
去年お会いして、二度と過労死、過労自殺のような悲劇を起こさないと総理が約束をされた相手である高橋幸美さんが、こんなに悲痛な叫びを上げて、大反対しているんです、この法案に。
せめて、安倍総理、高度プロフェッショナル部分、この部分だけでも削除をいただいて、そして、長時間労働の上限規制、インターバル規制、あるいはハラスメント対策、そういうところはしっかりと、この法案、通しましょうよ。高プロ部分だけ切り離して、総理の一言があれば、十一年前と同じようにやれます。
どうか、同じ悲劇を繰り返したくない、人生をかけて活動されている皆さん、全国の皆さんに、心のこもった、温かみのある答弁をお願いします。高プロ部分削除、お願いします。
○安倍内閣総理大臣 高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択することができるところでございます。高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度であります。
法律上、次の三つの要件を満たす場合に限定されています。第一に、年間の賃金が平均的な労働者に対して著しく高いこと。具体的には、年間平均給与額の三倍を相当程度上回る水準。現状では、千七十五万円以上の方であること。第二に、専門性があり、通常の労働者と異なり、雇用計画において職務の記述が限定されていること。第三に、何より本人が制度を理解して、個々に書面等により同意をしていること。
今日、活力ある日本を維持していくためには、高い付加価値を生み出す経済を追求していかなければならないわけでありまして、また、第四次産業革命によって、これまで自動化できなかった仕事の自動化が可能となる中において、企画、研究、開発など、創造的に付加価値を生み出していく仕事により力を注がなければならないわけであります。
こうした仕事の評価は、労働の量ではなくて、労働の質と成果で行うことが適していると我々は考えたわけでございます。時間ではなく成果で評価される働き方を選択できるようにする高度プロフェッショナル制度の導入は、我が国にとって、これは待ったなしの課題であると考えています。
法律案から高度プロフェッショナル制度を削除する考えはございません。
そして、長時間労働是正のための時間外労働規制については、私が議長となり、労使トップにお集まりいただいた働き方改革実現会議の場において議論を行い、そして、働く方の実態を最もよく知っている労使のトップが合意したものであります。これに従って、法律案として立案をしたものであるわけでございます。
また、勤務時間インターバルは重要と考えていますが、勤務時間インターバル制度を導入している企業は一四%にとどまっておりまして、この状況を踏まえると、まずは、制度の周知や導入促進を図ることが重要であることから、事業主に対して、勤務間インターバル制度の導入を努力義務として課すこととしたものであります。
こうしたことを我々はしっかりと進めていきたいと考えております。
○柚木委員 安倍総理、覚えておいででしょうか。四年前のきょうですよ、四年前のきょうに、寺西笑子さんたち、本当にうれし涙を流したんですよ。この衆議院の厚生労働委員会で過労死防止法が成立をした、きょうです、四年前の。その日に、よもや、今度は逆に過労死をふやしてしまう法案を、参考人で意見陳述をして、面会も拒否されて、この場に傍聴に来ようとは夢にも思っていなかったとおっしゃっているんです、過労死遺族会の皆さんが。何でこんなことになってしまうんですか、安倍総理。
あのときは、与野党全会派が一致をして成立した過労死防止法案です。それと真逆のことを、きょう、よもや強行採決、あるいは御遺族の声も聞かずして海外へ行かれる、そして採決などということがもしあるならば、これは総理、高橋まつりさんのお母さん、幸美さんや、あるいは寺西笑子さんたち始め全国過労死家族の会の皆さんに、だましたということになりますよ。二度とこういう過労死、過労自殺を起こさない、あの言葉は何だったんですか。
そして、それは私たちが言っているんじゃない。この家族会の皆さんが、この法案が通れば、同じ苦しみ、悲しみ、愛する家族を失って、それが、自分がとめられなかったんじゃないか、一生自分を責め続けて、場合によっては家庭が、あるいは命が絶たれてしまうようなことも起こる、こういうことになる。だから、残りの人生の全てをかけて、この撲滅のために、そしてこの法案からの高プロの撤回のために活動されているんですよ。
安倍総理、もう一度お伺いします。
高プロの導入、それはそういうことを求めていらっしゃる方もおられるでしょう。しかし、生産性が上がれば、過労死、過労自殺が出てしまっていいということにもなりかねませんよ。この高プロ部分については、法案の採決までに、今の与党修正だけでは不十分なことはもう十分明らかになっているんですから、総理の指示が一言あれば、ほかの問題、そうじゃないですか、モリカケ問題、その他の問題、総理の指示が一言あれば、みんな役所の人も言うことを聞くじゃないですか。総理の一言でこの高プロ部分だけを撤回をして、同じ過労死、過労自殺の苦しみを二度と味わわないで済む、そういう社会をつくる、そのための、本当に血の通った、心のこもった答弁をもう一遍お願いします。
○安倍内閣総理大臣 この高プロについても、既にこの委員会においても相当議論されていると思う次第でございますし、先ほど私からも話をさせていただいたところでございます。
いわば、今、柚木議員のお話を聞いておりますと、まるでこの高プロを導入すると過労死がふえるかのごときのお話をされているわけでございますが……(発言する者あり)
○高鳥委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 いや、柚木さんはそういう趣旨のお話をしておられるわけでありますから、そうではなくて、先ほど申し上げましたように、今、それぞれのニーズがあって、働く側にも自分の好む働き方をしたいという方々がいらっしゃるわけでございまして、このグローバルな経済に対応していく中において、いわば九時―五時の働き方では対応できないという方もいらっしゃるわけでございまして、その中で、成果を上げて、しっかりと自分たちも収入を上げていきたいと考えている人はいるわけでありまして、その中で自分の能力を、達成していきたいという人はいるわけであります。
何回も申し上げておりますように、専門性があって、通常の労働者と異なっている、そして、雇用契約において職務の記述が限定されていることであります。まさに、雇用契約をし、そしてその際、いわゆるジョブディスクリプションがあることであります。その上に、何よりも本人が制度を理解をしている、そして個々に書面等により同意をしていること等の条件があるわけでございまして、そういう条件の中で、当然健康をしっかりと管理をしながら対応していくということ等について、今まで加藤大臣が答弁をしてきているとおりでございまして、我々といたしましては、議論をしていただき、成立をしていただきたい、このように考えているところでございます。
○柚木委員 過労死が、もしこの法案を強行採決、成立してふえたら、総理、責任をとれるんですか。生き返らせることはできませんよね。そもそも、では一体誰のための働き方改革なんですか、総理。御遺族や働く方々、求めているんですか。あるいは、労使の調査でも七五パーが導入反対。そういう中で、これでは、生産性を上げるためだったら過労死、過労自殺が出ても仕方がないと言っているのと一緒じゃないですか。そういうことになりますよ、今の答弁だと。これでは、働き方改革じゃなくて働かせ方改革じゃないですか。そんな国民に耳ざわりのいい、国民をミスリードする働き方改革なんていう言い方はやめてください、金輪際。
そして、私はそれでも諦めずに、総理、最後にお願いします。
高プロだって十数人しか加藤大臣は聞いていないんですから、賛成の声しか。ぜひ過労死遺族会の皆様との面会を。もちろん、採決はきょうあり得ないと思いますよ。ですから、きょうのこの後も含めて、その後、後ろで相談していただいても結構ですよ。せめてまず御遺族の皆様の声を聞かずしていずれ来る採決もない、総理が海外に行っている間の採決もない、そのことを最後に切に強くお願いをして、質疑を終わります。
ありがとうございます。
○高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょう、まず総理に何としても伺いたいのは、誰のための高プロ導入なのかということなんです。
昨日の参考人質疑でも、連合の代表も、全労連の代表も、もちろん過労死家族の代表も、きっぱりと反対だとおっしゃいました。推進するという立場の発言は、私はなかったように思います。経団連は、時代の変化に対応した改正である、この程度の評価をいたしました。あとの方は、高プロは妥当である、あるいは、問題があってもごく一部にすぎない、この程度の発言であったかなと思っております。
四月八日、私は東京新聞で見ましたが、共同通信の主要企業に対する調査が発表されて、企業が、残業代ゼロ法案、いわゆる高度プロフェッショナル制度を導入するのに賛成だと答えたのは、わずか二八%。裁量労働制の拡大に対しても、三五%にすぎない。高プロは、対象となる社員がいるけれどもと、これは二十九社でしたけれども、成立したら導入すると答えたのは二社にすぎませんでした。
そうすると、何か一生懸命、やってやって、待っているよ、早く早くと言っているのはどこもいないと思うんですね。誰のために総理はそんなに高プロを導入したいと思っているんですか。
○安倍内閣総理大臣 これは、そもそも、やりたくないと思っている企業、また、やりたくないと思っている働く人はやらないわけでございます。ですから、これはかなり絞られてくる可能性があるんだろうと我々も考えているわけでございますが、同時に、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択したいという方もおられるのは事実でございまして、そういう方々というのは高い交渉力を持っている高度専門職の方々でありますが、そういう方々に限って自律的な働き方を可能とする制度をつくっていくということでございまして、まさにそういう働き方をしたいという方のためにもこの制度をつくっていきたい、こう思っているところでございます。
○高橋(千)委員 やりたくない人はやらなくてもいいとおっしゃいました。総理が同意案件をつけたのが、何年か前に、最初、出発点でありました。それはわかっております。もちろん、私たちは、そうは言っても、同意させられるんじゃないかということはあるんです。それはおいておいて。だけれども、おられるのは事実、一体どのくらいいるのかもわからない、加藤大臣が示したのはたった十二人、それも、別に絶対高プロじゃなきゃいけないなというのは全然感じられませんでした。その、おられるのは事実、その程度で、一体どのくらいかもわからない、どんな人かもわからない、そのためになぜ今急いで導入する必要があるんですか。
○加藤国務大臣 十二人しかおられないということでありますが、聞いた方が十二人ということで申し上げさせていただいたところでありますし、また、今の裁量労働制の中にあっても、自律的に働きたいという希望がその中でも示されたということでございますので。
まさに、先ほど総理が言われたような意味の中において、こうした時間の、そうした今までと、規制とは異なるもとで、その思う能力、それを十二分に発揮したい、そういう希望に対応するということで今回提案をさせていただいているところでございます。
○安倍内閣総理大臣 ちょっと、個別の話でございますので大臣からも答えさせていただきましたが、これは基本的には、先ほど申し上げましたように、いわば企業の中で、それを希望しないという企業は当然それは導入はしないんだろう、こう思うわけでございますが、しかし、実際は、その方が成果が出てくるし、自分の収入も上がるという考え方の方もおられるわけでございまして、また、企業も、そういう方が更に成果を出していこうという気持ちを高め、生産性が上がっていくのであれば、では導入しようということになるということも当然考えるわけでございまして、我々は、一つの制度の中でみんなが働くということではなくて、さまざまなメニューをつくっていくことが大切であろう、こう考えているわけでございます。
企業の中で希望する人が少ないのではないかということもおっしゃっていたわけでありますが、では、そういう意味においては、残業代ゼロでどんどん働かせようという結果にはもちろんならないということを多くの企業がわかっているわけでございまして、実際にそういうニーズがあるかどうかということを考えながら企業の方も恐らく回答しているんだろうと思いますが、そういうことを希望する方々もいるのは事実であろう、このように思います。
○高橋(千)委員 今、個別の話だから大臣に答弁させたとおっしゃいました。個別、その程度なんですよ、賛成だとあえて言う人は。それ以外の例証ができないということでしょう。
全てのナショナルセンターが反対しています。これだけの傍聴者がいます。ネットでこれを見ている人たちがいます。圧倒的多数の反対の声を無視して、個別のニーズ、それに応える、それがおかしいじゃないですか。
なぜ、高プロを導入すると自律的で創造的な働き方になり、生産性が高まるんですか。
○安倍内閣総理大臣 これは、先ほど申し上げましたが、いわゆる時間ではなくて成果で評価されるという働き方が可能となれば、例えば九時から十七時といった画一的な勤務時間に縛られることなく、自分に合ったペースや段取りで仕事を進め、そして創造性を遺憾なく発揮することが可能となるわけであります。
新しいアイデアがひらめいたときには一気呵成に集中的に仕事をして、成果を上げることが可能となるわけでありまして、短時間で仕事が仕上がれば、余暇を楽しみ、あるいはみずからのさらなる成長にチャレンジすることも可能になる、このように考えるわけでございます。
このように、高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を望む労働者のニーズに応えるものであります。
○高橋(千)委員 ニーズはないってさっきから言っているじゃないですか。
時間と成果をリンクしない、これは法律、そうなっています。だけれども、成果と賃金はリンクするとは言っていないんです。何も書いてないんですよ。どうして成果で生かせる働き方だって言えるんですか。裁量労働制やフレックスや、六割も弾力的な働き方があります。違うのは深夜営業の手当を払わなくてよいというだけであって、何も変わりがないじゃないですか。
○加藤国務大臣 ですから、先ほど総理からも答弁をされましたけれども、要するに、時間との関係ではないということでありまして、当然、時間をかけたからまた成果が出るという仕事、まず、その関係に高い相関があるものではないということで、法案にも明記をさせていただいております。
その上で、そうしたある種の自由な時間の使い方の中でその方が自律的に仕事をすることによって、あるいは、先ほど裁量労働制の話もありました。裁量労働制の場合には、深夜とか、あるいはみなしということがありますから、結果的には時間管理があるわけでありますから、そういった時間管理から外れることによって自分が自分なりにその時間を使っていける、そういう自由性の中でこそより創造力のある仕事ができるんだ、こういう声も聞こえてくるわけでありますので。
別に、先ほど総理がおっしゃった、全ての人にということを言っているわけじゃなくて、そういった対象の方、そして年収要件等々も要件を絞り、更に健康確保措置も入れて過労死等々の懸念にしっかりと応えていく、そういう内容で提案をさせていただき、今回また、それについて修正も今議論をしていただいている、こういう状況であります。
○高橋(千)委員 時間と成果はリンクしない、だけれども、成果と賃金もリンクしない、明確に答えてください。
○加藤国務大臣 おっしゃっているのは、収入要件の中で、平均給与の三倍、議論の前提として千七十五万という数字を申し上げておりますけれども、それを下回らないという意味においては、そこは確保していくということが当然必要になってくるわけでありますけれども、基本的に、こういう仕事、しかも書面において決められていくわけでありますから、そのときには、幾らぐらいの年収という議論も当然あるわけでありますので、その年度において、千七十五万を超える部分について成果給のようなものを入れるかどうか、それは労使でお決めになる話だと思いますけれども、少なくとも単年度を超えて中期的に見れば、結果的に、そうした仕事をするからこうした年収、そうした関係になっていくものというふうに思います。
○高橋(千)委員 だから、入り口のところで一千七十五万を超えていたからといって、そこから先に、どんどん頑張って時間を短くして成果も上がったら報酬がふえるということは何の保証もないという、それだけなんですよ。入り口のことしか決まっていないんです。それを、いかにも、自由に働いて時間に関係なく成果が生かせる、そういう言い方をするのはミスリードである。
業務量も減らせません。そうですね。
○加藤国務大臣 今私どもの基本的に想定しているのは、例えば、一年ごとに、まず最初に決めて、収入も決めて、そして職務も書面で決めて、そして本人が同意をする、そして、一年後にもう一度同じ議論をしながら、そこのところについて、じゃ収入がどうか、成果がどうかという議論の中で、結果的に示された条件が今申し上げた要件をまず超えていることが前提でありますが、その上で本人が同意をしなければ高プロは続かない、こういう関係になるわけであります。
○高橋(千)委員 これは、実はもうやりとりしているんですよ。業務量を、指示される量を減らせないよねといったときに、だから、あらかじめ、今大臣、一年とおっしゃいました、一年計画で大体の業務量を決めておいて、そうしたらそんなにふえないでしょうと話している。一年前に業務量が決められる、それが自由な働き方ですか。そんなものじゃないですよ、高プロって。全然意味が違っています。そんなのは答えになっておりません。
今回、労働時間等調査と同じように比較をするべきだと問題になったJILPTの二〇一四年の六月三十日の発表した資料がございます。
やはり、その中で、実は、余り注目されていないんですけれども、専門業務型の方が企画業務型よりも時間が長いんですね。深夜に勤務とか、土曜日、日曜日や祝日に勤務、自宅で仕事、勤務時間外の連絡がある、休日が週に一日もない、こういう働き方がよくあるというのが一〇%から二〇%もあるんですね。仕事に熱中して時間を忘れてしまう、六二・九%。これが自由な働き方だろうか。退社後は何もやる気になれない、五三・六%。時間に追われている感覚がある、七三%。これが、今専門業務型で働いている人たちの実感なんですね。
その中で、高プロの対象者が一部は重なるということは、既にこれまでの委員会の討論の中で認めていました。だから、そうした……(発言する者あり)田村さん、少し黙ってください。そうした中で、やはり、働き方が自由だといっても拒めない、過重労働になるということがあるということが盛んに議論されてきたんじゃないですか。
そして、総理の指示のもとで裁量労働制の調査をやると言ったんです。それが、まだ、調査の設計すらも緒についていないということがこの間の委員会でわかりました、労政審にかけるんだけれども。やはり、そのときにこの実態を見なくちゃ。
高プロを導入すれば自由で何とかと言っていたのが、仕事に熱中して時間を忘れてしまったり、家庭を顧みない、過労死家族が言っているような事態になるんじゃないですか。それを、一度も振り返らずに、調査もしないでやるつもりですか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま、裁量労働制の中の専門業務型の方と高プロの対象となる方々は重なるのではないかというお話がございました。もちろん、現在は高度プロフェッショナル制度はないわけでございますから、そういうこともあり得るだろうと想像しているところでございます。
しかし、その中で、先ほど、三倍という年収要件を申し上げたところでございますが、そういう方々は非常に、交渉力は当然経営側に対して高いんだろう、こう思うわけでございます。いわば、その勤めている会社だけではなくて、他の会社からもそういう人材が欲しいという人材であるという可能性も十分に考えるわけでございまして、いわば、高プロに重なる人材を、裁量労働制の専門業務型の人たち全般と比較するのは、それは違うのではないか、こう思う次第でございます。
いずれにいたしましても、高プロにつきましては、先ほど申し上げましたように、まさに自律的な働き方を可能とする制度である、高度専門職に限って、そして、先ほど申し上げましたように高い交渉力を有する高度専門職に限って自律的な働き方を可能とする制度であり、まさに自分で選ぶことができるということでございます。
○高橋(千)委員 今の私が紹介したJILPTの調査は、一千万以上の年収の方が九・二%もいらっしゃいます。そういう実態なんですよ。普通に、それこそ研究開発業務ですとかそうした中でやっている方たちは、実は、本当に夜も今言ったような働き方をして、それで、それだけの高年収を得ているんですよ。重ならないというだけで済まないんです。だから、家族の皆さんが、そういう働き方をしていた家族を見てきた、そして取り返しのつかないことになっていた、だから会ってほしい、聞いてほしいと言っているんです。
重ならないからとか、そんな問題じゃありません。個別の、ほんのちょっとのニーズがあるからなんて、そんな話じゃありません。さっき紹介したたった十二人の中にだって、専門業務型裁量労働制に今いるけれどもと言っている人がいるんですよ。そういう実態を見ないで進めることは絶対許しません。
引き続きの審議、あるいは、もうこの法案を撤回するというんだったら直ちに終わってもいいですけれども、そうじゃない限りは徹底審議を求めて、私の質問を終わります。
○高鳥委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
この際、暫時休憩いたします。
午後二時四十九分休憩
――――◇―――――
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕