衆議院

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第32号 平成30年7月4日(水曜日)

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平成三十年七月四日(水曜日)

    午後一時十五分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      石崎  徹君    泉田 裕彦君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大西 英男君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      神田  裕君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      小泉進次郎君    小島 敏文君

      小寺 裕雄君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中谷 真一君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      長尾  敬君    鳩山 二郎君

      藤原  崇君    船橋 利実君

      穂坂  泰君    細田 健一君

      本田 太郎君    三浦  靖君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    岡本あき子君

      武内 則男君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    森山 浩行君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      國重  徹君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐藤 文一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           及川  洋君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月四日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  井野 俊郎君     三浦  靖君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  国光あやの君     神田  裕君

  小泉進次郎君     斎藤 洋明君

  小林 鷹之君     鳩山 二郎君

  後藤田正純君     石崎  徹君

  塩崎 恭久君     中山 展宏君

  田畑 裕明君     木村 次郎君

  高橋ひなこ君     大西 英男君

  三ッ林裕巳君     小島 敏文君

  池田 真紀君     森山 浩行君

  尾辻かな子君     岡本あき子君

  長谷川嘉一君     武内 則男君

  中野 洋昌君     國重  徹君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     後藤田正純君

  大西 英男君     藤原  崇君

  金子万寿夫君     鬼木  誠君

  神田  裕君     国光あやの君

  木村 次郎君     中村 裕之君

  小島 敏文君     三ッ林裕巳君

  斎藤 洋明君     佐々木 紀君

  中山 展宏君     泉田 裕彦君

  鳩山 二郎君     岡下 昌平君

  穂坂  泰君     本田 太郎君

  三浦  靖君     井野 俊郎君

  岡本あき子君     尾辻かな子君

  武内 則男君     長谷川嘉一君

  森山 浩行君     池田 真紀君

  國重  徹君     中野 洋昌君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     小寺 裕雄君

  岡下 昌平君     小林 鷹之君

  鬼木  誠君     上野 宏史君

  佐々木 紀君     小泉進次郎君

  中村 裕之君     三谷 英弘君

  藤原  崇君     高木  啓君

  本田 太郎君     木村 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  上野 宏史君     細田 健一君

  小寺 裕雄君     塩崎 恭久君

  高木  啓君     高橋ひなこ君

  三谷 英弘君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  細田 健一君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水道法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、子ども家庭局長吉田学君、経済産業省大臣官房審議官佐藤文一君、大臣官房審議官及川洋君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君、水管理・国土保全局次長清瀬和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 六月の十八日七時五十八分、大阪府北部地震が発生をいたしました。私の地元でもございまして、震度六弱というような大きな揺れであったわけなんですけれども、お亡くなりになった方もあり、そして、多くの方が避難をされたというようなことでもございます。

 インフラについては、その後の対応も含めて、大分平常に戻ってきておりますけれども、生活の方はまだまだということで、少し最近ニュースが減っているのが気になっておるところであるのですけれども、今後も見守っていただきたいというふうに思います。

 今回の北部地震におきまして、水道管が破裂をするというようなことも起こってまいりました。この現状、そして対応について、まず御説明をお願いをいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 六月十八日の大阪北部を震源とする地震では、最大震度六弱を記録しまして、大阪広域水道企業団の送水管の破損等により、高槻市や箕面市におきまして、最大九万四千戸に断水又は減圧給水が発生いたしましたが、迅速に復旧を行いまして、翌日の十九日には解消するに至りました。

 このほか、大阪府吹田市におきまして発生し、約三十戸に影響してございました断水は、地震発生当日の十八日までに解消したところでございます。

 なお、平成二十八年度末におきまして、耐震性を有すると評価される耐震適合管が基幹管路に占める割合は、全国で三八・七%、大阪府においては全国平均とほぼ同等の三九%となっているところでございますが、大阪府における四十年の法定耐用年数を超えた管路の割合は二九・三%と、全国の一四・八%より高い値となってございまして、管路の老朽化が進行しているという状況にございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 今回の復旧、現場の方が一生懸命頑張っていただいたわけなんですけれども、この被害に対しての復旧という部分に関しては、よくやったというようなことでありましょうか、それとも、もっとこんなことができたというようなことは何かあるのでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、非常に迅速な対応によりまして、一日、二日ほどで断水なども解消したということで、そういう意味では、迅速な対応ができたのではないかというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 直後に水道管から水がどおんと噴き上がるような映像が出たりして、えらいことだというような印象があったかと思いますが、現場の皆さんの迅速な対応によってきちんと復旧をされたということでございます。

 また、老朽管が非常に多くなっている、これは全国的な問題でもありますけれども、これについては、今後対応していかなければいけない非常に大きな課題だというふうに感じております。

 では、せっかく宇都宮審議官がいらっしゃいますので。二月の七日の予算委員会で、私、お話をさせていただきました。これは通告をしておりませんが、基本的なことでありますので。

 二〇一三年四月十九日、CSISにおいて、日本の水道は全て民営化するという趣旨の発言を麻生当時衆議院議員がされております。それに対して、麻生さん、そういう思いですかとお聞きをしたときに、いやいや、それは日本の中でそういう議論が起こっているのだという説明をしたのだという説明をされました。それに対して、じゃ、日本の中で水道の民営化という議論を行っているのかという形で宇都宮審議官にお尋ねをいたしましたところ、いや、コンセッションは入れるんだけれども、民営化の議論はないという言い方をされております。

 ということは、民営化とコンセッションは違うという御認識だと思いますけれども、この違いについて、御説明をお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 民営化と申しましてもさまざまな形があると思いますけれども、いわゆる全ての、水道事業者としての主体まで民間に委託してしまうという民営化ではなくて、あくまで、今回の法改正における官民連携というものは、水道事業者としての位置づけは市町村に残したまま、ほかの部分について民間に協力いただく、そういった形のものでございます。

森山(浩)委員 運営権というような言葉もあったかと思いますけれども、値段の上げ下げというようなことも含めて民間事業者に委託をするのがコンセッションということでよろしいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そのとおり、料金設定も民間にさせるということでございますけれども、その前提といたしまして、自治体の条例においてその料金の幅を先に決めた上で委託をする、料金設定を行うというようなものでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 同じライフラインの事業者として、電気事業あるいはガス事業というのがございます。電気事業法、ガス事業法というのがあって、民間の企業が責任を持ってこれをやるんだということをそこで定めているわけですが、水道法については、水道事業法というものがございません。

 その中で民間事業者が参入してくるということなんですが、まず、参考に、電気事業法、ガス事業法において、民間事業者の安定供給の責任というのはどのように規定をされておりますでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 電気事業法におきましては、経済産業大臣の許可を受けました民間事業者である一般送配電事業者に対して、ガス事業法におきましては、経済産業大臣の許可を受けた民間事業者である一般ガス導管事業者に対して、それぞれ最終的な安定供給の責任を義務づけているところでございます。

 具体的には、電気事業については電気事業法第十七条におきまして、ガス事業におきましてはガス事業法第四十七条におきまして、需要家への最終的な電気、ガスの供給義務を、一般送配電事業者及び一般ガス導管事業者に対してそれぞれ課しておるところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ということで、電気、ガスの事業者については、大臣の許可や認可やというような形で事業者を特定した上で義務を課すという形で事業法が制定をされているわけですが、今回の水道法の改正において、コンセッションの対象にする事業者に対して、厚生労働大臣が、何らかの許可、認可、あるのか、あるいは安定供給の責任というものはどこにあるのか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今般の水道法改正法案では、コンセッション方式を導入する場合におきましても、自治体は、水道事業者としての位置づけを維持して、事業の最終的な責任を負うものとしてございます。

 電気事業法やガス事業法と同様に、水道法の第十五条第二項におきまして、水道事業者は、当該水道により給水を受ける者に対し、常時水を供給しなければならないこととされてございまして、常時給水の責任を負っているところでございます。

 コンセッション方式を導入するに当たりまして、水道事業者でございます地方自治体は、災害等の非常時における当面の事業継続のための措置をあらかじめ定めることが求められてございまして、厚生労働大臣が、その措置について確認した上で許可を与えることとしているところでございます。

森山(浩)委員 平時も災害時も供給の責任は地方自治体が負ったまま、一から十まで事業については民間企業者にお任せをするという形になりますと、これはどのようにチェックするというふうな形になりますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、PFI法におきまして、地方自治体は、委託先の事業者、コンセッション事業者についてモニタリングをすることとされてございまして、さらに、今回の水道法改正法案におきまして、厚生労働大臣がやはりそういったモニタリングをするというような設定となっているところでございます。

森山(浩)委員 モニタリングということでありますけれども、先日、パリ市の元水道局長が来日をされた際に御講演をいただきました。その中で議論になっていたのは、二十五年間コンセッションという形で水道を民営化していったという中において、一つは、パリ市の中で、水道事業について技術的なチェックをする職員がどんどんいなくなっていった。チェックできない。あるいは、じゃ、収入と支出、これをきちんと出してくださいといった場合に、いや、パリ市水道の事業だけの収支というのは出せませんよと会社全体のバランスシートを出してきたというような形で、十分な情報開示がなされないままであった。そして、二十五年間で水道の料金が四倍になったなどというような事例を紹介され、二十五年たったときに、コンセッションを継続するのではなく再公営化をするんだという話に落ちついて、現在、パリ、ヴェオリアなどのもとの町でありますけれども、パリにおいては公営化という形で再スタートを切っているというような御報告をいただきました。

 つまり、一旦コンセッションにしてしまった場合に、地方自治体の方で、その今までの技術レベル、チェックをするということに特化をしたとしても、これまでの技術レベルを保つことができないということが懸念をされるわけです。形上は地方自治体が責任を持っている、でも、実際は民間企業がやる、しかも、民間企業には給水の責任がないという状況というのは非常にリスクが高いと思いますけれども、その辺はいかがされていますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、PFI法に基づいてコンセッションを導入いたします地方公共団体におきましては、コンセッション事業者の業務の実施状況に関するモニタリングを実施することとされてございまして、また、今回の水道法改正法案で、厚生労働大臣が、そういったモニタリング体制や実施方法について、適切なモニタリングを行えるということを確認した上で許可することとしているところでございます。

 このため、地方公共団体においては、モニタリングに必要な人員を確保するというように考えているところでございます。

森山(浩)委員 ということで、結局、具体的には制度がないという状況だと思われますけれども、どうでしょうね、水道事業法もないという状況の中で、責任は地方自治体がとる、でも実際は民間企業がやるという形で、料金まで決められるということに関する歯どめがないのではないかという部分に関して、大臣、何かつけ加えることがありましたら。

加藤国務大臣 チェック等については、今審議官の方からお話をさせていただいたところだと思います。

 それから、サービス水準については、水道法に基づく規制を満たしていることに加えて、あらかじめ地方公共団体が定めた要求水準書に従うことが求められますし、また、利用料金についても、条例によって枠組みが決められている。

 今般の水道法改正案においては、これらのサービス水準及び利用料金について、厚生労働省が水道事業者たる地方公共団体とコンセッション事業者に対し、報告徴収、立入検査等を行う仕組みになっているわけでありますし、また、監視、監督の結果、コンセッション事業者が運営事業を実施しなかったり、重大な契約違反があった場合などには、これはPFI法でありますけれども、公共施設等の管理者等は運営権を取り消すことができる。

 また、今回の法案においては、コンセッション事業者が水道法に違反した場合には、厚生労働大臣は、運営権を設定した地方公共団体に対して運営権の取消しを要求することができるということで、さまざまな形でコンセッション事業者に対する歯どめというんでしょうか、そういったものも設けさせていただいております。

 具体的な中身はこれから省令等において決めさせていただきますけれども、今回の措置は、あくまでも、今回私どもが提案しているコンセッション方式にみんな行ってほしいということではなくて、それぞれの事情の中で、そうしたやり方がその地域にとってより効率的な運用であり、また安定的な運用に資するという判断をされればそういう選択をとっていただきたい、いわば選択肢をふやしているということでございますし、また、そうした選択肢をした場合についても、今るる御説明したようなさまざまな措置を講ずることによって、安定的な、あるいは公共的サービスとして適正に運用できる、こういう担保をさせていただいている、こういうことでございます。

森山(浩)委員 一つは、今の日本において水道事業といった場合に、外資系の企業が圧倒的に強いであろうと思われていること、そういう実態と、そして、重大な違反があった場合にはとめることができるとなっていますが、例えば、現在の給水量からいうと今の半分でいいところもあるわけです。しかしながら、過大な投資をした、そしてその分を水道料金を上げたという部分に関しては、これはチェックのしようがないというようなことも含めて、都度都度の地方議会あるいは地方自治体のチェックというのはきかないのではないかという懸念を表明をさせていただいて、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 森山委員に引き続き、大阪・大阪コンビで水道法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。

 今回、改正案ということで見させていただきました。まず、第一条の条文の「目的」が変更になっているかと思います。一条、「この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化する」、ここが変わりました、「ことによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。」

 以前であれば、「水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成する」ということでしたけれども、これが水道の基盤強化という文言に変わったということで、先日の高橋委員の議論の中でも、大臣の方からは、計画的な整備、保護育成も水道の基盤強化に含むという答弁をされておられるかと思います。ですので、今回、改正案が本当に水道の整備、育成、こういう意味を含む基盤強化になっているのか、この視点で質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、二〇一三年三月に策定された新水道ビジョン、ここでは、強靱、持続、安全な水道を目指す、この三つを目指すということが書かれているわけです。しかし、先ほど森山委員からの質問にもあったとおり、二十四条にコンセッション、公共施設運営権の設定をできるというふうにしたコンセッション方式は、本当に新水道ビジョンの強靱、持続、安全な水道を目指す方向性と整合性がとれているのか、私は非常に疑問を感じております。

 また、水道法の第六条第二項では、「水道事業は、原則として市町村が経営するもの」というふうになっております。人口減少時代にダウンサイジングもしなければいけないことは理解をしていますし、垂直統合や水平統合を含めた広域連携も必要であるとは思います。しかし、その方向と、本当にコンセッション方式がその解決策なのかということについては、先ほどからあるように、疑問があるところであります。

 皆様のお手元に配付資料を配らせていただきました。実は、ヨーロッパ、そしてPFIの生みの親でありますイギリスでは、今、PFIは反省の時代に入っています。これは資料なんですが、もう一つ、実はこのイギリスで、カリリオンという建設会社がこの一月に、十六億ポンド、約二千四百四十億円の負債を抱えて経営破綻して、会社清算することになりました。ここはイギリスのPFI事業を多数受託している会社でありまして、病院や道路の建設を手がけるほか、刑務所の保守管理や学校給食の提供も行っていた。新聞記事によると、イギリス政府はまずこうした約四百五十件の契約で支障が生じないように対応しなければならないというふうに記してあります。

 公共事業を民間会社に委託するリスクというのは、こういった経営破綻ですね。そうなると契約が履行されないわけですから、次の委託先はどうするんだとか、非常に困難な対応を探らなくてはいけない。イギリスで起こった、このPFIを受けていた会社の破綻というのが、じゃ、本当に日本は関係ないんでしょうか。

 さらに、先ほどの配付資料にありますとおり、イギリスの会計検査院がPFIの費用対効果をまとめた報告書というのを出しました。それをイギリスのガーディアンという新聞が記事にした部分を、これは国会図書館にちょっと訳してもらったんですね。そうすると、納税者はPFI契約の二百億ポンド負担、二百億ポンドというのは二兆九千億円、負担している。中には、公的資金による事業よりも四〇%高いPFI事業のコストがあるんだということが書いてあるわけです。

 ここに書いてあるのを見ると、例えば二つ目のパラグラフには、イギリス会計検査院はPFI及び、PF2というんですけれども、プライベートファイナンス2の利点については言及していないと。つまり、PFIで何の利点があるかわからないというふうにここで書いてあると。

 四つ目のパラグラフでは、PFI調達の便益に関する利用可能なデータが依然として不足している。

 そして、五つ目のパラグラフでは、その他、報告書では、PFI事業の費用に含まれる保険料が過大となっていることが、実施中のPFI事業を途中で中止して公営事業に戻した場合、多額の追加費用が生じることを指摘しているということで、今やイギリスの会計検査院も、そして同様のことは、実はEUの会計監査院でも同じようなことが指摘をされています。

 ですから、今、日本に必要なのは、PFIやコンセッション方式をこのように広げて進めることではなくて、これらの、先にPFIを導入した国で起こっているさまざまな現象についてまず検証すべきではないかというふうに思います。

 今回、水道法にコンセッション方式を導入するということですけれども、私、この導入の仕方も非常に強引だなというふうに思いました。

 二〇一四年の六月二十四日に閣議決定された日本再興戦略の中で、公共施設等運営権方式について、二〇一六年度末までの三年間を集中強化期間に設定し、この期間内に達成すべき目標を設定する。この中には、わざわざ上水道と書いてあって、六件というふうに件数まで書いてあります。そして、この三年間ではできなかったということで、さらに日本再興戦略二〇一六で交付金も補助金もつけて、そして、昨年六月のPPP/PFI推進アクションプランでは、「集中強化期間を平成三十年度末まで伸ばし、次に掲げる措置等により、六件のコンセッション事業の具体化を目標とする。合わせて、既に検討に着手している案件について、事業開始まで切れ目ない支援を行うことにより、コンセッション事業の着実な導入促進を図る。」ここまで書かれているわけです。

 先ほど大臣は、コンセッションは行けるところは行ってほしいみたいなことを言っていたわけですけれども、ここには、こうして具体的な六件という目標まで挙げているわけです。

 確認ですけれども、この六件というのは、厚労省の目標ということでいいんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 六件の目標についてでございますけれども、日本再興戦略二〇一四などにおいて掲げられた上水道事業の目標につきましては、直近では、平成三十年六月十五日の民間資金等活用事業推進会議において決定したPPP/PFI推進アクションプランにおいて、先ほど御指摘いただきましたように、二十六年度から三十年度までを集中強化期間として、六件の具体化が目標とされているということでございまして、こういった推進会議において決定されたものということでございます。

尾辻委員 ですから、この六つの目標というのは、厚生労働省の目標となるということですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省も入るということでございます。

尾辻委員 とすると、先ほど大臣が答弁でおっしゃった、これは、自分たちは決してそこを全部やりなさいということじゃないとか、行けるところは行ってほしいと言ったことと、これは私、ちょっと矛盾しているんじゃないか、違うんじゃないかというふうに思うんですけれども、この六件、わざわざ目標を立てて、そして交付金も入れて、補助金もつけて、そして期間まで区切って六つということでやること、これと先ほどの説明は、大臣、矛盾しないでしょうか。

加藤国務大臣 いや、先ほど申し上げたのは、全ての市町村にこうしてほしいということを申し上げているわけではなくて、基本的には、それぞれの市町村において選択をしていただく、その地域の状況に応じて判断していただく。

 この六つについても、あなたのところはこれをやりなさいというわけではなくて、そうした事例が生まれてくるように、一種のモデル事業ということになるのかもしれませんけれども、我々も、そうしたことをやりたいというところに対して、そうした支援を行っていくということでありますから、別に矛盾しているものではないというふうに思います。

尾辻委員 私から見ると、最初に政府がやった三年間では出てこなかった、それをわざわざまた期限まで区切って、このように補助金、交付金まで出してやっているというのは、どう見ても、そちらに誘導している政策だというふうに判断、受けとめられると思います。

 ちなみに、この六つの自治体というのはどこなのか。そして、そこの自治体議会はそれに対して、例えばどういうふうに言っているのかもわかれば、一緒に教えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 これまで水道分野においてコンセッション事業を実施した事例はございませんけれども、資産評価、デューデリジェンスに着手又は同等の検討を実施した案件としては、ちょうど六件ございまして、まず宮城県、それから宮城県村田町、静岡県浜松市、静岡県伊豆の国市、それから大阪市、奈良市、この六件でございまして、これらについては達成される見込みと伺っているところでございます。

尾辻委員 議会の状況というのはおわかりになりますか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと詳細はまだ把握してございませんが、さまざまな意見があるということを伺っております。

尾辻委員 達成の見込みというのは、資産というか財産を評価する、デューデリジェンスですかね、それだけのことが達成見込みなんですか。それとも、コンセッションを達成する見込みという答えなんですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 このアクションプランの目標が達成される見込みということでございます。

尾辻委員 アクションプランの目標というのは何ですか。

宇都宮政府参考人 この目標につきましては三点ございまして、一つ目は、集中強化期間に実施契約を締結する予定の案件、二つ目は、実施方針公表段階となる予定の案件、そして三つ目は、事業実施に向けて具体的な検討を行っている段階の案件、以上でございます。

尾辻委員 それは議会で承認を得ないとできないことではないかと思うんですけれども、達成見込みと言ってしまっていいんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの三点目の方、具体的な検討を行っている段階ということでは、達成ということで考えられると思います。

尾辻委員 こういうふうに、これは地元自治体や地元議会の承認も必要なことですから、こうやって、国が六つとか言ってやっていく方法というのは、本当に地元議会を無視しているんじゃないかというふうにも私は感じています。

 配付資料の四ページ、おめくりいただきたいと思うんですけれども、こちらの方には、片括弧三、右の方を見ていただきたいんですが、世界の民営化水道、これが今、PSIRUという、公共サービスリサーチ連合というところによると、二〇〇〇年から二〇一五年三月末までの十五年間で、世界では三十七カ国で民営化された二百三十五水道事業が再公営化されたというふうに報告をされております。パリ、ベルリン、アトランタ、インディアナポリス、ブエノスアイレス、ラパス、ヨハネスブルク、クアラルンプール。この再公営化というトレンドを、どのように厚生労働省としては捉えているんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年に出されました、海外で二百三十五件の自治体が再公営化されたことを示している報告があるということは承知してございます。

 一方、例えば二〇一五年のフランス水道協会の報告書によりますと、一九九八年から二〇一一年までの間にフランス国内でコンセッション方式等で契約された事業のうち、約九七%は民間との契約を更新している、こういった事例もございますことから、例えばフランスにおいては、一律に民間による運営から公的主体による運営に戻すことが進行している状況であるとは認識していないところでございまして、さまざまな状況があるのではないかというふうに感じているところでございます。

尾辻委員 この再公営化されたところについては、厚生労働省としては検証されたりはしているんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 我々としても、再公営化された海外の事例などを踏まえて今回の水道法改正法案を提出させていただいているということでございまして、そういった事例を教訓に、今回の制度改正を行おうとしているところでございます。

尾辻委員 コンセッション、次ちょっと行きますけれども、契約年数ですけれども、大体二十年から三十年を予定しているというふうに、私、聞いているんですね。それは、大体二十年から三十年のスパンを予測しているということで合っているかどうか。そして、二十年とか三十年とかいうスパンというのは、私、余りに長いと思うんですけれども、まずその事実の確認をしたいと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 コンセッション方式は二十年以上の長期契約が一般的でありまして、長期にわたって事業を行うことで、民間ならではの経営ノウハウや高い技術力を効果的に活用できる、地方公共団体や住民にとって、効率的な施設の整備、管理による安定的な給水サービスを受けることが可能となるメリットがあると考えております。

 長期の契約事業期間中に発生する可能性のある天災、需要の変動及び物価変動等、予測不可能な事象につきましては、地方公共団体とコンセッション事業者の間で、これらのリスクをあらかじめ認識し、リスクが顕在化した場合の費用負担等の対応を事前に実施契約に定めることにより対応することとなります。

尾辻委員 長ければ長いほど、これはメリットもあるかもしれませんけれども、私はデメリットもやはりあると思うんですね。そこはいろいろ工夫をしていくということなんですが、本来であれば、やはり五年ぐらいで見直しをしっかりしていかなければいけませんし、二十年、その自治体で水道事業を民間が運営してしまえば、もうそこには自治体でできる職員がいなくなってしまうんじゃないか。つまり、一度コンセッションにしてしまえば、もうその水道事業は再公営化、例えばそれがうまくいかなくても、もう戻すときに人がいなくなるんじゃないか、私はそんな心配もするんですね。

 先ほど大沼政務官からのお答えにもあったように、では災害時にどうするのかというのを、もう少し詳しくお聞きしたいんですけれども、これは確認ですけれども、もしコンセッションの事業実施の自治体が、例えば地震などで被災をして断水とか漏水した場合、これはこの民間企業で対応できるのか。そして、自治体職員であれば、地震が起こったら何号招集とかで招集されるわけですけれども、こういう招集はどのようにして可能になって、どのように担保されているのか、教えてください。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 コンセッション導入時の災害時の対応につきましては、どこまでを民間企業に委ねるかを、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めることとなります。このため、契約で義務づけることによって、断水、漏水した場合の対応や給水車による応急給水、補修、点検などの応援を民間事業者に行わせることも可能でございます。

 なお、コンセッション方式を導入するに当たりまして、水道事業者であります地方自治体は、災害等の非常時における当面の事業継続のための措置をあらかじめ定めることが求められております。厚生労働大臣が、その措置につきまして、近隣他市が被災した場合等の対応を含む他の水道事業者との相互協力体制につきましても確認した上で許可を与えることとしております。

尾辻委員 契約で可能ということですから、その契約が締結されるかどうかというのは、別に許可の条件じゃないということですよね。契約に入っていたらやりますし、入っていなければやらないということになるということでいいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そういったことも含めまして、災害時の対応について、しっかりと対応できるかということを厚生労働大臣の方で確認した上で許可をするということでございます。

尾辻委員 次に、被災が近隣だった場合、どうなるのかということです。

 今回、大阪の北部地震のときも、高槻、箕面が断水をしたときに、近隣から、大阪市や堺とか、そういうところから給水車がやってまいりました。

 こういう近隣他市が被災した場合に、例えばコンセッションをしている市は、その民間会社に、給水車を送れと言えるのか、漏水している部分とかを補修、点検するように言えるのかということ、それはどうなるんでしょう。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション方式を導入いたしましても、水道事業者は市町村のままでございますので、現行の日本水道協会による、自治体同士のそういった応急支援などの枠組みは使えるということでございます。

尾辻委員 それは契約に入れるということですか。契約があったら行くし、契約がなければ行かない、そこも確認したいんですけれども。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 契約は、あくまで水道事業者である自治体と、契約を引き受ける民間事業者との契約でございまして、今の、近隣の市町村からの応援というのは、あくまで水道事業者である被害を受けた市町村と近隣の市町村の関係ということでございます。

尾辻委員 ということは、コンセッションをやっている民間会社に、自治体は、悪いけれどもどこどこに給水車をやってくれと言えばできるということでいいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今のお尋ね、民間に対してではなくて、つまり自分が、被災している自治体が近隣の自治体にそういう応援をお願いするということでございまして、その民間の事業者に対しては、あくまで被害を受けたときに応急に招集するというような契約を交わしていれば、そういう民間事業者にも招集をかけられるというようなことでございまして、ですから、その民間の関係と近隣の自治体との関係は、また分けて考える必要があると思います。

尾辻委員 ですから、私が聞いているのは、その自治体、被災したのはコンセッションの自治体じゃないんです。近隣の自治体が被災をしました、それで、コンセッションを実施している自治体が応援に入る、日本水道協会からの応援に来てくれというところがあったときに、民間会社に対して、給水車を出してくれと言うことができるのかということを聞いております。

宇都宮政府参考人 お答えをいたします。

 そういったことにつきましても、契約で義務づけることによりまして、可能だということでございます。

尾辻委員 逆に言うと、契約でそれをやっていなければ、ないということですよね。それは別に許可の範疇ではないですよね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 個々の事例について、なかなか現時点でお答えするのは難しいと思いますけれども、非常に小さい自治体が密集しているとか、そういう場合には、そういったことも含めて検討する可能性もございますし、やはりそれはケース・バイ・ケースではないかなというふうに考えてございます。

尾辻委員 一番大事な災害の応援が、コンセッションはできるかできないか、今の時点ではわからない、可能性があるとか、そういう答えだったというのは、私、これは非常に問題があると思いますよ。

 水道ってライフラインですからね。そのライフラインが、特にこの地震大国である日本で、水道管とかが破裂して水道が通らなくなったときに、コンセッションであれば、いや、契約次第ですみたいなことで本当にいいのか、ここは再考していただきたいと思います。

 そして、このコンセッションになって、先ほど申し上げたように、じゃ、自治体職員に水道事業がわかる人がいなくなっていくんじゃないかということは、非常に私、危惧をしております。特に、熊本地震のとき、熊本地震のこの水道の報告書を見ると、今でも水道職員の減少や経験不足で断水のときの対応が難しかったという報告書が上がってきております。

 本当に、コンセッション方式をやったときに、このモニタリングによって適切に管理監督ができるのか、そしてその権限などは本当に管理監督者にあるのか、教えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから御答弁申し上げていますように、この水道事業におきまして、PFI法に基づいて、地方公共団体が、サービスの水準その他枠組みを事前に条例等で定めた上で、議会の議決を経てコンセッション事業者が決定されて、水道事業を運営することになる。

 今般の水道法改正法案では、地方公共団体から、コンセッションの事業の内容、経理状況等々の実施計画書の提出を受けて、厚生労働大臣が、確実性、合理性のある計画となっているか、そういったことについて審査して、許可する制度としているということでございます。

 加えまして、PFI法に基づいて地方公共団体がモニタリングをする、改正水道法案に基づいて厚生労働省がモニタリングをする、こういったことによりまして、安全な水の安定供給というものは担保されるものと考えているところでございます。

尾辻委員 この指導監督は、きっちりと権限は担保されているんですか。モニタリングして、ここがおかしいよとかいうときになると、こうやって変えてくださいとか言えるんですか、自治体。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 PFI法に基づきまして、言えるということでございます。

尾辻委員 私は、これは担保が本当にされているのか、疑問なんですね。

 それで、ちょっとこれは熊本地震の報告の際に気になったんですけれども、地震の際の水道の災害マニュアルがなかったというふうに書いている自治体が結構あったんですね。

 今、自治体における地震などの災害時の水道マニュアルの整備の割合というのは何%ぐらいなんでしょう。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 厚生労働省としては、水道事業者に対しまして、地震などの災害時の応急給水や水道施設の復旧の体制に関しまして、水道事業者とコンセッション事業者の役割分担、両者の連携方法等々、危機管理対策マニュアルを策定することを求めていくことを想定してございますが、具体的にどのくらいの整備状況かというところは、現時点では把握してございません。

尾辻委員 私、メールで返してもらったんですけれども、全国における地震に対する災害マニュアルの策定状況はどの程度かと私が聞いたところ、返ってきたお答えは、全国千四百七十事業者のうち、六二%に当たる九百十五事業者が地震対策マニュアルを策定済みということで、これは日本水道協会の平成二十七年度水道統計ということになっていますが、というふうにお答えいただいているんですね。

 とにかく、六二%に当たる九百十五事業者しか地震対策マニュアルがないということは、これは大丈夫ですか。それで、今、私も質疑しても、把握していないと答えられたので、これは本当に大丈夫なんですか。コンセッションをやるとかどうこうの前に、災害に対する対策すらちゃんとできていないということでは困りますよということで、これはしっかり把握してください。

 そして、これが九百十五しかないということは、六二%で、三八%はないんですから、これは災害対策マニュアル、ちゃんとつくらないといけないと思いますよ。

 あと、次、確認します。

 コンセッション方式ですが、これもイエスかノーかで答えていただきたいんですが、今、広域化したときの一部事務組合、この一部事務組合もコンセッション方式は可能なのかどうか、これだけ答えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 一部事務組合が経営する水道事業においてもコンセッション方式を導入することは可能でございまして、この場合、一部事務組合の議会が承認する必要があるということでございます。

尾辻委員 一部事務組合というのは、結構やはり市民からは遠いんですね。まあ大阪もそうですけれども、大阪市以外で一部事務組合で水道をやっていますけれども、各市から一人しか出ないんですよ。そういうところでコンセッション方式をやるといっても、これはなかなか本当に難しいなというふうに思いますし、自治の観点からも、これはいかがなものかというふうに思います。

 コンセッション方式はやはりいろんな問題点がありまして、一つは民間会社が運営するということで、じゃ、民間会社の経営の透明性はどうなるのかということは、非常にこれは問題になるかと思うんですね。

 今、全国の自治体で民間委託で受けているヴェオリア、ここのヴェオリア・ジェネッツという会社があるんですけれども、ここは非上場なんですよ。だから、誰が株主かもわからないし、財務諸表もわからない。

 じゃ、こういったところが仮にコンセッションで受けたとして、株主配当とか役員報酬とか、こういうのも、総括原価方式ですから、契約の中からのお金で払うということになります。株主配当や役員報酬はモニタリングなどでわかるんでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 コンセッション事業者に対しましては、PFI法等に基づきまして財務状況のモニタリングを行い、役員報酬や配当金等につきましても確認することが可能でございます。また、このように財務状況をモニタリングすることによりまして、水道料金や民間事業者の役員報酬等が極端に高くならないようにできると考えております。

尾辻委員 諸外国の中では、やはり役員報酬が非常に高いというようなことが起こっておりますので、しっかりとモニタリング、これは担保されているということなので、していただきたいと思います。

 ちょっと飛ばしまして、広域化の話もお聞きしたいと思うんですね。

 今、コンセッションの話を聞いてきました。大臣の最初の森山委員の答弁にもあったとおり、コンセッションができるところというのはやはり限られていると思うんです。つまり、そこに民間会社が入っていって、利益の生まれるところ、そこはコンセッションが入っていく。そこで一番利益が上がる、いいところだけコンセッションで持っていかれて、残りは、じゃ、広域化で本当にやってくださいねということになるんだろうかというのは、私、これは非常に疑問を感じるんですね。

 それで、広域化には、メリットもあるけれども、デメリットもやはりあると思います。

 特に、熊本の災害の報告書を私も見せていただきましたけれども、やはり災害時に自己水を持っているかどうかというのは非常に大事なんですね。ダウンサイジングや広域化を進めた場合に、県営水道とか広域企業団水道、そこから用水供給を受けますよということになって、自己水とかをもうダウンサイジングの中でやらないということになると、災害のときに本当にこれで大丈夫かなというような視点も非常にあるかなというふうに思います。

 大阪でも、実際、高槻なんかは、三割の自己水のところは大丈夫だった、七割の広域企業団の部分の水道管が壊れたとかありましたし、豊中も一割の自己水に切りかえたというところで、何とか大丈夫だったということも聞いております。まあ、豊中は壊れませんでしたけれども。

 こういった広域化ということについて、私、今このようなちょっと疑問もあるんですけれども、本当に連携が必要な地域が取り残されたり、災害のときに逆に脆弱性になってしまったりしませんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 広域化は、御指摘いただきましたように、非常に重要なことでございます。この広域連携につきましては、それぞれの事業基盤に格差がありますことから、住民や議会の理解を得ることを含めまして、その調整が非常に難しいという現状がございます。

 このため、都道府県に、市町村を超えた広域的な見地から水道事業者等の間の調整を行う広域連携の推進役を担っていただくということが重要でございまして、今般の水道法改正法案におきましては、都道府県に対しまして、広域的な水道事業者等の連携を進める責務を法的に位置づけて、リーダーシップをとって進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 この広域連携の推進役でございます都道府県が主導する広域連携の協議会や水道基盤強化に関する議論を行う中で、地方公共団体が、コンセッションも含めまして、水道事業のあるべき姿ということを選択することが望ましいというふうに考えているところでございます。

尾辻委員 都道府県を入れて広域をやっていくということなのですが、このときに、垂直統合だけではなくて、近隣自治体の水平統合、こういうこともやはり考えていく必要があると思いますので、ここは御検討いただきたいと思います。

 今、この水道法、コンセッションのことを中心に聞いてきました。

 最初にあった新水道ビジョンの中で言っている三つのことについて、私は、今お話を聞いても、やはりコンセッションは違うんじゃないかなという思いがすごくするわけですね。

 大臣、本当にこの二十四条のコンセッションを入れることで、強靱、持続、安全な水道になるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今回の法案は、コンセッションのみならず、今委員御指摘の広域化をどう進めていくか、そういった中において都道府県がリーダーシップをとっていただく、そういったことも盛り込ませていただき、現下の水道施設が老朽化をしていく、人口減少の中で料金収入の減少など水道の事業基盤が急速に悪化をしている、こういう状況にどう対処していこうか、そしてまた、それぞれの状況は当然地域によっても異なるわけでありますから、その地域において地方公共団体が主体的に取り組んでいただく、その環境をつくっていこう、こういうことであります。

 このコンセッション方式については、今申し上げた有効な選択肢となるよう、安定性、これは災害時への対応ということも含めた安定性、あるいは水質の確保ということも含めた安全性、あるいは経営面から見た持続性の確保に十分留意をした制度として整備をするところでございますので、それぞれ、例えば不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま、運営権の設定を可能としてほしいという、これはまず地方公共団体からの要望があり、今回のこうした仕組みを、今、先ほど委員から御指摘のあるさまざまな懸念というものを念頭に置きながら、そうした懸念に対応できる、そういう仕組みとして提案をさせていただいたということでございます。

 これも先ほどから申し上げているように、全てこれによってやってくれということではなく、あくまでも選択肢の一つとして提供させていただいている。そういう意味において、その選択肢を、せっかくの選択肢を削除する必要はないのではないかというふうに考えております。

尾辻委員 議論させていただきましたけれども、コンセッションは、やはり不測の事態とか災害時に、契約ということが縛りになって、これはうまくいかないんじゃないか、そういうのはたくさん今の質疑の中でも出てきたと思います。私は、二十四条は、コンセッション方式のところは撤回すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 最後に一問だけ、児童虐待をさせていただければと思います。

 私たち、児童福祉司を増員するという法案を提出させていただきました。そして、審議をお願いしていますけれども、まだ審議時間をとっていただけない状況になっております。ぜひとも審議時間をとっていただきたいということを、まずここで申し上げておきたいと思います。

 きょう、二つ新聞記事をつけております。一つは、二〇一〇年の雑誌の記事ですけれども、児相で働きたくない、児童相談所の担当者は、あすは我が身だということで、非常に無力感とバーンアウトしているということがここに書かれてあります。なぜそういうことになるのかというと、一枚おめくりいただいた最終八ページのところにありますけれども、これは忙し過ぎるということが書いてあるわけですね。非常に責任が重い、そして対人関係でやっているのに、このようにケースがたくさんあるというようなケースであります。ですから、やはり児童福祉司の増員こそが、一番まず私たちがやれることではないかというふうに思っております。

 そして、さらに、私は、重大事故が起こったときの検証、これは今回もされるということなんですが、その検証がちゃんとフィードバックされているのかということについて、これをちょっとお聞きしたいんですけれども、今、第十三次まで来ていると思います、子ども虐待による死亡事例等の検証結果。これは報告が上がっておりますけれども、これが研修に使われている割合というのはどれぐらいになっていますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました、国において行っております社会保障審議会児童部会での児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会、十三次にわたる報告について、それぞれ報告が出た際には、都道府県等において関係部署や関係機関に配付をまずさせていただいておりますが、平成二十九年に把握をした段階におきましては、都道府県がそれを研修に活用しているというのは約四割という数字を手元に持ってございます。

 ただ、あわせて、平成二十八年の児童福祉法の改正におきまして、平成二十九年四月から、それぞれ、児童相談所におられる児童福祉司の任用前の講習会、あるいは児童福祉司の任用後の研修、さらには要保護児童対策調整機関の専門職の研修などの講習会のテキストとして、このような形における死亡事例の検証結果についての活用を促しているところでございます。

 私ども国としましては、もちろんホームページなどによってこの検証結果を広く公開いたしますし、これまでも、児童相談所運営指針あるいは市町村子ども家庭支援指針において、この検証事例から、検証結果から学びを引き継いでいくことが重要ということで、いろいろな会議、例えば全国の関係者が集まる会議などにおいてそのような取組を説明し、また周知徹底、活用を促しているところでございます。

尾辻委員 やはり四割というのは私は少ないと思うんですよ。重大事故があって、死亡事故があったのに、そのうち四割の自治体しかこれは研修していない。報告書を読むと、自治体自身も検証していないケースがあったりしますから、ここはしっかりとやっていただきたいということを指摘をさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党・市民クラブの武内則男です。

 きょうは、本当に、委員の差しかえをしていただいて、四十五分という時間をいただいて、水道法改正案の質問に立たせていただくことになりました。仲間の皆さんに感謝とお礼を申し上げたいというふうに思います。

 冒頭、委員長の方に、ぜひとものお願いがございます。というのも、私、与党筆頭の田村筆頭理事が厚生労働大臣のときに、参議院で厚生労働委員長を務めさせていただきました。大変お世話になりましたが、今回、水道法を審議するに当たって、少し、水をめぐるこれまでのことについて、どういう事態が起こってきたのか、そういうことを振り返りながら、最後、委員長に少しお願いをしたいと思います。

 一九九五年一月十七日に阪神・淡路大震災が発生しました。翌十九日に、私、自治体の水道で勤めておりましたので、調査団を派遣して、現地における何が最も求められているニーズなのか、そして、我々近隣だけではなくて日本全国から命の水を届けるためにどういう支援が必要とされているのか、そうした調査をしていただいて、その内容をもって、五人一班体制で約二カ月間、神戸に仲間を送ってきました。私も三度ほど入りました。このときに、本当に組織のあるべき姿としてすばらしい仕事をしていただいたのが日本水道協会でした。

 実は、一班目の派遣は年休で行ってもらいました。ですから、公務災害があっても見舞金制度もありません。こういう神戸の市民、命の水を届けてほしい、災害に対して本当に苦しい思いをされている人たちに、水道に働く全国の仲間が、自分たちが今何ができるのか、そこに人がいれば命の水を届けるというその使命感を持って神戸に結集をしてくれました。

 そのとき、日本水道協会からのいわゆる要請をもって、自治体の水道事業体が、出張扱いあるいは派遣という形をとって、公務災害に対してもきちっとした措置が行われるという前提でもって現地への派遣が始まりました。今は、ですから、東日本大震災のときも、日本水道協会からの派遣要請を受けて各事業体が派遣をしていくという措置がとられたというふうに思っています。

 阪神・淡路大震災のときに出てきたのは、それまで、ボランティア休暇とかボランティアなんてありませんでした。ほとんど言われていませんでしたし、NPO法もできていませんでした。あの災害を通じて、地域住民の命をお互いが守りながら、そしてつながって、そして生き抜いていく、それを多くの日本人が、国民が学んだというふうに思います。

 その後、ボランティア休暇制度ができたり、あるいはNPO法ができて、そして災害に対する、さまざまな個人的あるいは団体の支援も含めて、支援のあり方が、全国で起こっている災害に対して行われていく、実施されていくという今日を迎えてきています。

 東日本大震災のときは、原発事故もあり、大変厳しい状況の中ではありましたが、事故があった数日後に、とにかくこうした災害が起こったときに国が最もとらなければならないのは責任の所在と指揮命令系統です。ですから、当時、副大臣を、大塚耕平さんだったんですが、責任者にして、日本水道協会や簡易水道協会、多くの水に関係する八団体が統一のテーブルをつくって、そこに全ての情報を結集して、そして災害に当たる、その責任の全ては厚労副大臣のもとでやる、そうした危機管理意識も持って災害に対応してきたというのが、水をめぐる私自身の体験と、そして今日です。

 今回、この水道法の改正、落選中でしたが、香川県における広域も勉強させていただいて、現地にも入らせていただきました。この法案で、二十四条以外における、基盤強化を始めとした、あるいは、幽霊企業を始めとした、地域の事業体で、そこに貢献をしてきて、そして長い歴史を持って頑張っている民間企業の皆さん、そうした皆さんに五年間の更新制を取り入れて、いるやらいないやらわからない、連絡もつかない、そうした企業についてはきちっと指名業者から外していって、地域で本当に大事にされる、そして地域を大事にする企業を残していこう、そのためにつくられた法律、これには私も賛成です。

 小規模自治体は大変厳しい状況にありますから、こうした広域化や、国、県、自治体、そうしたところの責任を明確化していくという、まさにこれから目指さなければならない水道事業をめぐるあるべき姿だというふうに思います。

 しかし、たちが悪い。今回、コンセッション方式というのは、さまざま指摘がされているとおりです。私は、一〇〇%この導入は望みません。

 こうした災害があった状況の中です。どうかこの厚生労働委員会において現地の、百聞は一見にしかずという言葉、政治家も皆使います。ぜひ、大阪において、大阪北部において実際直近で災害が起きています。この厚労委員会において与党の皆さんから、大阪で災害が起こった、水が大変だ、早う水道法の審議をやるべきだというお声も、報道を通じて知りました。ならばなおさらのこと、大阪の現地に委員会として視察に行く、あるいは、参考人を呼んでしっかりとこの水道法の改正について議論を掘り起こし、あるべき水道事業を求めていく、そういう委員会にしていただくことを委員長にお願いを申し上げたいというふうに思います。

高鳥委員長 一言申し上げます。

 武内委員から、御自身の実体験に基づいて貴重な御意見をいただいて、私、聞いていて大変感銘を受けました。それはこの委員会所属の委員にも伝わったと思います。

 その後の視察等のことは、また各理事間で、よく理事会で御協議をいただきたいと思います。

 質問を続けてください。

武内委員 ありがとうございました。ぜひ重ねての慎重な審議を求めたいというふうに思います。

 それでは、法案の中身に入りたいというふうに思います。

 まず、六月十八日、森山委員、尾辻委員の方からもお話がございました、大阪北部において地震が発生をいたしました。聞けば、政令市である大阪市や堺については、日ごろより事業管理あるいは災害対策などの努力が功を奏して、その被害は限定的で、市民に直接影響を及ぼす事態は極めて限定的であったというふうに御報告を受けています。しかし、そのほかの大阪府の市町村では大きな被害があり、応急給水や復旧作業などを含め、大阪市や堺市は政令市としてのその役割を存分に発揮し、奮闘されているというふうに聞いています。

 このように、一分一秒を争う命の水としての取組は、各地域や各自治体、事業体及び広域水道企業団の間で連携を図る、いわゆる公公連携として、文字どおりライフラインとしての命を守る取組が重要だというふうに考えますが、御所見をお伺いいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道の災害時における協力体制といたしまして、先ほどお話ございました日本水道協会が、災害の程度に応じて、都道府県や地方支部などの単位で広域的な応援体制を構築しているというところでございます。

 今回の大阪府の北部を震源とする地震でも、この枠組みの中で、近隣の水道事業体等による給水車での応援等、公共事業体間の連携がうまく機能したものと考えているところでございます。

武内委員 阪神・淡路もそうでしたが、災害が起こって、いわゆる自治体間における連携協定がいろんな形で結ばれていっています。これは水だけではありません。保健師さんの派遣であったりとか、あるいはごみの収集であったりとか、そうしたいろんな事業内容によって連携が、連携協定を結んで今取り組まれていっているというのは事実です。

 しかし、そこには、なぜ僕が公公連携であるべきだということを言うのは、水道事業体だとか、あるいはごみの収集だとか含めて、水道事業体なんかで働いている全国の人たちは、そこに人がいれば水を運ぶというその使命感で全員が、事業体にかかわっている人たち全員、二十四時間三百六十五日努めています。ですから、全然違う自治体で、遠く離れた自治体でもしそういう事態が起こったとしても、同じ思いを持つ、水を届けるという使命を持って頑張っている、公の責任を果たしているからこそ、公公連携によって、損得ではなくて、そしてそこに行くんだということが実現をされていきます。

 改めて申し上げておきたいというふうに思いますが、この公公連携のあり方ということについては、せんだってある委員会で、これは地方創生だったと思いますが、地方創生の委員会で、都道府県が指示をすることができる、そういう法案も通りましたが、それ以前に、基礎自治体においては相当な災害連携協定が結ばれて進んでいっています。こういうところをしっかりと充実をさせていくことの方が、私は、災害時により危機感と緊張感を持って対応できる、それに対応できる力強い基礎自治体や、あるいは都道府県、あるいは国というものになっていくんだろうと思いますので、改めて公公連携の重要性について、もう一度しっかりと国として、厚生労働省として、水をめぐってきちっとした議論、そしてあるべき姿を出していただきたい、検討していただきたいというふうに思いますが、どうですか、御所見。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のとおり、そして先ほど申し上げましたように、このたびの地震災害でも公共事業体間の連携がうまく機能したということで、その重要性はまさにそのとおりでございます。

 しかし、それに加えまして、今般導入しようとするコンセッション方式においては、水道法に基づく認可を有する水道事業者は地方公共団体のままということにしてございますので、これまでと変わらないということで、基本的にはやはりこの枠組みで行うことになるということでございます。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

武内委員 どういいますかね、二十四条に関してはこの後聞きますが、そういうことではなくて、しっかりと御答弁もしてはいただいたんですが、きちっとそういう、そもそもあるべき姿のところを議論していないと、何かあったときにその場の対応に全てなってしまって、非常に危険な状態に陥ってしまうということが、特に水や電気やガスや、あるいはごみの収集だというところでは必ず出てきますので、水をめぐって、厚生労働省として、しっかりとした議論を、ぜひそういう場を充実させていっていただきたい。御要望しておきたいというふうに思います。

 それでは、今回の水道法改正を提出するに至った背景について、幾つか確認をしながらやりとりをさせていただきたいと思います。

 二〇一六年に厚生労働省の中から専門委員会が立ち上がって、それで、水道のあるべき姿について、基盤強化について議論がスタートをしたというふうに認識をしていますが、それでよろしいかどうかと、当初その専門委員会が目指したあるべき姿とは何だったのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、平成二十八年一月に取りまとめられました水道事業基盤強化方策検討会の提言を踏まえまして、平成二十八年二月に、御指摘の水道事業の維持・向上に関する専門委員会を設置いたしまして、水道事業の基盤強化について検討を行ったところでございます。そこでは、水道事業の基盤強化及び水道施設の更新、強靱化の促進方策並びに指定給水装置工事事業者制度などの検討事項につきまして、課題解決に向けて検討を行うこととされたところでございます。

 そして、そのために推進すべき施策といたしまして、大きくは以下のものが掲げられたところでございまして、それは、まず広域連携の推進、それから官民連携の推進、アセットマネジメント、計画的な資産管理でございますが、それの推進、水道料金の適正化の推進、そして指定給水装置工事事業者制度への更新制の導入といったことを掲げてございました。

 この専門委員会では、こうしたさまざまな施策の論点につきまして議論することを予定していたものでございまして、その後、九回にわたって議論、検討がなされて、平成二十八年十一月に取りまとめ報告書が提出されたということでございます。

武内委員 それでは確認しますが、この専門委員会が立ち上がったとき、先ほどの項目の中の二件目に官民連携という言葉があったかと思うんですが、ここにコンセッション、今回出された法律のコンセッション方式というものが、当初の立ち上がった専門委員会の議論の中でこれがあったのかどうか、なかったとすれば、どの段階でコンセッションの議論がこの専門委員会の中に入ってきたのか、教えてください。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 この時点では、コンセッションという言葉は入ってございませんでした。

 その後の経緯は少し長くなりますけれども、よろしゅうございましょうか。

 初めから経緯を申し上げますと、我が国では、まず、平成二十三年のPFI法改正によりまして、コンセッション方式の制度が導入されたということでございます。

 その後、平成二十五年六月に閣議決定しました日本再興戦略におきまして、上下水道等へのコンセッション方式の導入を推進する旨が記載されて、翌年の平成二十六年六月に閣議決定いたしました「日本再興戦略」改訂二〇一四におきまして、水道におけるコンセッション方式について、平成二十八年度末までの六件の数値目標が設定されたということでございます。

 そして、平成二十七年十一月に、第二十五回産業競争力会議実行実現点検会合におきまして、コンセッション方式の推進に関する議論がスタートいたしました。

 一方、厚生労働省におきましても、平成二十七年九月に有識者会議である水道事業基盤強化方策検討会を開催して、平成二十八年一月の中間取りまとめによりまして、官民連携が水道事業基盤強化策の一つとして有効である旨が提言されたということでございます。

 そういった二つの会議が同時並行的に行われた中で、こうした議論を踏まえまして、日本再興戦略二〇一六におきまして、コンセッション方式の導入に向けた方策が検討事項としてまとめられますとともに、経済財政の運営と改革の基本方針において、上下水道等におけるコンセッションを推進することなどについて、平成二十八年六月に閣議決定されました。

 そして、平成二十八年三月に厚生科学審議会に設置されました水道事業の維持・向上に関する専門委員会におきまして、この日本再興戦略二〇一六で閣議決定された検討事項を踏まえて議論、検討がなされて、二十八年十一月の報告書におきまして報告がなされたわけです。

 ちょっと長くなりますが引用しますと、「官民連携のうち、コンセッション方式については、具体的に導入を検討している地方公共団体もあることから、水道事業及び水道用水供給事業において現実的な選択肢となり得るよう、災害等の不測の事態も想定した官民の権利・義務関係の明確化、適切なモニタリング体制や水質の安全性の確保を含め、事業の安定性、安全性、持続性を確保する観点から、水道法の趣旨・性格、関係法令間の法的整合性に十分留意するとともに、海外の先行事例の教訓も踏まえながら、法制的に必要な対応を行うべきである。」とされたところでございます。

 これを踏まえまして、厚生労働省は、改正法案を作成するに当たりまして、地方公共団体からコンセッション事業の内容、コンセッション事業者の経理状況、利用料金などが記載された実施計画書の提出を受けて、厚生労働大臣がそういった審査をして許可をする制度を創設することとしたということでございます。

武内委員 一つだけ確認をしたいと思います。

 厚生労働省として、この運営権を売り飛ばすという議論が、厚労省の中で、スタートの段階で、なかったという理解でいいですよね。

 今の報告の中においても、産業競争力会議だとか再興何とか会議だとかというところで決定をされたことを踏まえていろんなことが動いてきているというふうに経過説明、済みません、余り全部を頭の中で整理をできなかったんですが、少なくとも、厚生労働省としては、この水道の基盤強化をしていかなければならないという求められたニーズ、あるべき姿について、はなから、コンセッション方式を導入して運営権を売り飛ばすなんということを、当初の議論の中からあったとは思いたくないんですが、なかったという理解でいいですよね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、まず、官民連携という概念につきましてはもともと議論されていたところでございまして、その後のプロセスの中で、そういったコンセッションという手法が提案されて入ってきたのではないかというふうに考えてございます。

武内委員 そういうことですよね、途中からそういうものが入ってきたというふうに。

 官民連携は、私自身も否定しません。それは、国、県、基礎自治体、そこの責務を明確化しながら、そして地域における民間企業を始めとした、あるいはコンサルを始めとしたところとちゃんと連携をして、新たなオプションとして、地域に合った官民連携を模索していくということは、これは将来において禍根を残しませんから、反対する理由は私も全く持ち合わせていません。

 しかし、今回のようなコンセッションを、いかな自治体で、幾つかの自治体からやりたいというところもあるなんということを理由に導入をしようとしていますが、多くの委員が指摘してきたように、もうイギリスなんかからしたら二十五年おくれのことですから、あちこちで再公営化が進んできています。まあ、ちょっと二十四条の議論で、後にしたいと思います。そこは、国民の命を預かる厚生労働省として、そして命の水を守る、その責務の一翼を担った厚労省として、もしや、まさか、こんな議論が当初からあったというふうには私も思いたくありませんので、そういう理解をさせていただけたらというふうに思います。

 あと一つ確認したいんですが、内閣府さん、来られていますかね。

 二〇一六年それから二〇一七年と、フランスの方に実は視察に行っていると思います。それで、それをもとに報告書が提出されたというふうに承知をしていますが、どうも、森山委員の方からも御指摘あったように、二〇一三年に麻生副総理がCSISで、日本の水道を全部民営化しますという発言をされたというふうに私も理解をしていました。そうではないというふうにおっしゃっていますが、まさに、民営化に向かって国策としていろんなことが進められていっているとしか、今の現実に起こっていることをさかのぼってみれば、そうとしか思えません。本当に許すことができないというふうに断じざるを得ないんですが。

 いわゆるPPP/PFI事業推進室で水道民営化に向けて進められていた二〇一六年、一七年と二年続けてフランスへ水道事業の調査に向かわれたというふうに思いますが、それは間違いありませんか。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、内閣府におきましては、平成二十八年、二〇一六年八月に、フランス、英国の水道分野における官民連携制度と事例の最新動向について、平成二十九年十月には、フランス及びスペインの水道分野における官民連携制度と事例の最新動向についての調査を行っております。

武内委員 もう一点確認をしたいと思います。

 報告書の中には、パリは日程が合わなかったといって視察に行っていないという記載があろうかと思うんですが、それで間違いありませんか。

石崎政府参考人 御指摘のとおり、日程調整が合わなかったという記述がございます。

武内委員 二〇一一年にパリが再公営化したことは御存じですよね。いわゆるPPP、PFI、コンセッション方式ありきで、いわゆる民間事業がやっているところばかり視察をして、そして報告書を作成された。そうではない、そういうPFI事業を使って民間事業に委託をしたものの、それが再公営化をされて、そしてやはり公営がそれは担うべきなんだと言っている自治体をどこか調査されましたか。

石崎政府参考人 御指摘のとおり、パリ市におきましては、平成二十八年度の調査の際に、御指摘のような状況を当然ながら承知してございましたので、現地大使館を通じまして、ヒアリングの依頼状をパリ市に対して送付いたしました。それで、面会を試みましたが、渡航日までに回答がいただけなかったために、そのヒアリングは実施できませんでした。このために、パリ市の事例については、文献調査及びその他の公共団体のヒアリングにより情報収集を実施して、その結果は報告書に記載してございます。

武内委員 ですから、パリへは行かなかったということを記載しながら、きちっと調べたら、民間事業者で成功事例を全部調べてきて、そしてその報告書をつくり上げてきた。いわゆるPFIやコンセッション方式ありきとしか見えません。

 本来、日本においてコンセッション方式を水道に適用するのであれば、世界できちっとやられている再公営化されたところ、それはパリであったりいろんなところ、そうしたところもちゃんと視察をして、こういうリスクもある、しかし日本においては導入することがより有効なんだという報告書にして、そこが、報告書を基本としてこのことが本来議論されるべきではないかと思うんですが、ちょっと御所見をお伺いします。

石崎政府参考人 繰り返しになりますが、当然、この調査の際にはパリ市が再公営化したという情報はわかってございました。このために、パリ市に関して、先ほど申しましたように、我々としても現地大使館を通じてヒアリングをきちんと試みてございます。しかしながら、それについて御回答をいただけなかった。そのために直接のヒアリングができなかったというものでございます。

武内委員 御回答いただけなかったから私たちは載せませんでしたなんて、ばかなことを言っているんじゃないですよ。ちゃんときちっと比較をしてやるべきじゃないですか。

 だって、もし今回このコンセッション方式を導入して、最後、認可は大臣がするわけですよね。コンセッション方式を導入するに当たって幾つかの歯どめもかけていますと言っています。それは、導入しますから歯どめも必要になります。そうしたら、何かが起こる、想定されるリスクに対してきちっとした対応をとるということを、この法律を出す以上は準備していく責任はちゃんと法律を出す側にあるんですよ。

 そのときは、回答を得られなかったから載せませんでしたではなくて、そうしたところをきちっと何度もお願いをして、そういうのをちゃんと調査して、その報告書の中にリスクとそうでない効果等をちゃんとやるというのは当たり前の話ですよ。そんなこともせずにこのコンセッションが水道法改正の中に入ってきたというのは、とてもじゃないですけれども容認することはできないというふうに申し上げておきたいと思います。

 もう一点あります。

 先ほど尾辻委員も触れていただきましたが、いわゆる、ことしの二月にイギリスの会計検査院やヨーロッパの会計監査院がこのPPP、PFIを問題視するレポートを出していますが、これについては厚労省は承知していますね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 本年一月に英国会計監査院が、これまでの会計検査報告書、議会財務委員会の報告書及びPFI実施省庁へのインタビューなどに基づいて、PFIとPF2という報告書を発表したということは承知してございます。

武内委員 じゃ、あの民営化大国のイギリスで、このPPP、PFIの手法、二十五年間、イギリスは続けてきて経験をしてきたわけですね。その結果、このスキームを痛烈に批判している公式なレポートだというふうに僕は認識しています。

 きちっと知っておられるというふうに答弁いただきましたので、本来であれば、さきの内閣委員会でPFI法を強行採決されましたが、こうしたイギリスの、PFIや民間委託、官民連携をやって、もう二十五年も前からどんどん進めてきたイギリスでさえこうしたレポートが出されている、やはりこれはちゃんと国民に明らかにするべきですよ、こうした議論の中で、あるいは内閣委員会でのPFI法の議論の中で。そして、PFI法に基づくこの二十四条のコンセッション、運営権の問題、きちっとやはり国民に明らかにして、そういうリスクもあって世界ではこういう流れになっているんだということもちゃんと発表しなきゃ、ひきょうですよ。

 今回、レポートにおいては、公共入札よりもこのPPP、PFIの方が四〇%割高になるというエビデンスが示されています。今後もこうしたものが続くなら膨大な市民のお金が企業のトップや株主に流れると、批判や警笛をこの中で鳴らしています。水道に至っては、もはや規制も監督も機能しないという状況にあるということがこの報告書の中で明らかになっています。イギリスでこういう状況が起こっているのに、なぜ日本でこれを導入して二十五年おくれをやろうとしているのか、私には理解することができません。こうした報告書に対して何か御所見がありましたら、お伺いをしたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の英国における水道事業につきましては、完全民営により実施されているということでございまして、今回我が国で導入しようとするコンセッション方式とは異なる形態でございまして、必ずしも今回のコンセッション方式の導入に直接関連するものとは考えてございません。そういうことでございます。

武内委員 じゃ、そうした失敗事例ではなくて、日本は日本のやり方で堂々と、このPPP、PFI、いわゆるPFI法からコンセッション、この法案を出した政権の責任において、何が起こったとしても全ての責任はきちっと政権や政府が担う、そういう心構えでいるということでよろしいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから御説明申し上げていますように、今回導入しようとしてございますコンセッション方式につきましては、まず、自治体が水道事業者としての位置づけを維持したまま行うということでございますし、また、その契約に先立ちまして、計画について、きちんとしたものであるかということについてチェックする、それから、厚生労働大臣も、そういったさまざまな状況についてきちんと確認をした上で許可をするということで、海外における事例なども参考にしながらきちんとした制度とするということで、今回の法案を提出させていただいているところでございますので、そういう意味では、我々としても、そういった教訓を踏まえた、責任ある制度というふうに考えてございます。

武内委員 約三十五分間、そもそも、この議論の中で、水道法をめぐってちょっと議論をさせていただきました。最後の議論の大きなテーマとして、本来あるべき水道事業のあり方について政府側と議論をさせていただきたいと思います。

 二十五年五カ月の自治体生活の中で、実は十四年、水道事業体で、技術屋で仕事をしました。冒頭も若干触れましたが、当時、二百人近くの職員が全てのところにいます。いわゆる検針をして、そして調定をかけて、料金を徴収して、その料金でもって水道事業を運営していく。そして、川から表流水やあるいは伏流水をとりながら、取水事業をやりながら浄水場に運び、浄水場の中できちっと安心して飲める安全な水をつくって、そして、送水管、配水管、給水管を通して家庭に流れていく。ですから、住民が蛇口をひねれば本当に安心して飲める水が三百六十五日、安定的に供給される、そこに使命感を持って、全職員が水道事業全般について当たっています。

 技術屋もいれば、調査員もいますし、あるいは化学の技術屋、水質管理をする技術者さんもいます。いろんな職種の人間が水、命の水ということをめぐって力を合わせて運営をしていく、これが公共、公営における、公営企業が果たしてきた役割でもあり、そして使命感でもあります。そういう視点に立ってやりとりをさせていただきたいと思います。

 本来、水道事業のあるべき姿は、そもそも、今回の法改正の趣旨にあった、純粋に、事業の基盤強化だというふうに私は、二十四条が入った今でもそう思っています。運営権などという、海外では、先ほど議論させていただいた失敗事例もある、そういう中でこうしたものをたてつけるのではなくて、何よりも基盤強化をもって、そして人材育成、技術屋の育成、技術屋の継承という観点で事業がしっかりと推進されていく、それを国がちゃんとサポートをしていく、そういう水道事業であるべきだというふうに思います。

 これまでいろんなことがあって、人減らし一辺倒でやられてきました。公営企業は、水道料金を上げようと思えば、議会を通さなければなりません。議会ではどういう議論になるか。ちょっと極端な事例なのかもわかりませんが、住民に負担を強いるのであれば、そこで働く職員もちゃんと身を切れ、これです。企業手当であったり、特殊勤務手当であったり、基本給であったり、いろんなものが削られ、もうこれ以上削れないという中で、人員を削減して人件費を落としていく。そういうものと引きかえに水道料金を、本当にぎりぎりのところまで頑張った、けれども、もうこれ以上、このままの料金収入で水道を守ることはできないというぎりぎりのところで議会に出すんです。

 そういうことをずっと戦後、自治体は経験をしてきて、まさに厚労省が指摘するように、技術の継承であったり管の基盤であったり、そうしたものが危ぶまれる事態になったということは、これは一方で自治体にも責任はあります。そうした事態を迎えたからこそ、私は、今回の水道法改正案が議論をされ、国会に提出される議論が専門委員会でスタートしたんだというふうに思っていました。

 市民の共有の財産としての公共水道の強化、やはりこれこそが持続可能な水道のあるべき姿だというふうに思います。今回、運営権などという海外で失敗をした手法を持ち込むのではなくて、やはり新たな視点で、広域化や、あるいは地域における各自治体の連携、地域における民間企業との協力、そういったイノベーションを巻き起こすことが必要ではないかというふうに思いますが、御所見をお伺いします。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 武内委員から、冒頭は、それぞれ、阪神・淡路大震災等のときの、高知から乗り込んでいただいて現地の復旧復興に御貢献をいただいた、そのときのお話、また、十四年間ですかね、水道事業に取り組んでこられたその経験からの御指摘、これは我々も重く受けとめなければならないというふうに思いますし、また、水というのは、発展途上国を見ても明らかなように、安心した水があるということ、そして安定的に供給されているということは、住民の健康はもとより、社会基盤の大事な一つであるということ、これは間違いないところであります。

 日本でも、明治時代には、悪疫が流行する、そして、それをどう予防していくのかという意味において、公益優先の中で、地方公共団体が布設、経営をしていくという形での水道事業が展開をされ、そしてその後、昭和三十二年の水道法になり、立法当初より水道事業の経営主体は原則として市町村ということでやってきたわけでありますし、また、料金収入を主たる財源として地方公共団体がその事業を実施してきて、そして今日、地域住民にとっては欠かせない社会資本の一つとして、そして現在、平成二十七年度末現在では水道の普及率は九七・九%、ほとんどの国民が水道の供給を受けている、こういう状況が実現をしてきた。

 こうした歴史というものを我々はしっかり踏まえる中で、今委員御指摘のように、また私たちが申し上げているように、一方で人口減少によって水の需要が減少している、あるいは水道の老朽化等々の課題に直面をし、そうした中で今のすばらしい水道というシステムというものをどうやって次の世代につないでいくのか、そのためにも、水道の基盤を強化するということは非常に大事だというふうに思います。

 そういった意味において、私どもとして、あるいは今委員まさしく御指摘いただきましたけれども、今回の法案は、広域連携といったもの、これは従前から言ってきた話ではありますけれども、より都道府県がそのリーダーシップをとっていただいてこれを推進していただく、また、そういう中での公と民の連携の一つとして、今回、コンセッションという制度、そして、これには、委員御指摘いただいた他国における再公営化等々の失敗例、こういったものも見させていただく中で、そうした事態を生じさせないようなこういった仕組みを盛り込むことによって、水道施設の適切な資産管理、あるいは時代や環境に対応した、より持続的な水道を堅持していく、構築していく、こういうことで提案をさせていただいているということでございます。

 我々としても、先ほどから委員御指摘のように、まさにこれまで培ってきた水道事業というものを今日的な環境の中でどう継続していくのか、そして、それはそれぞれの地域においても異なると思います。ですから、それぞれの地域の首長さんの主体性をもって、その地域に応じた広域連携はもとより、また、こうした官民の連携等々をぜひ推進していける、こういう環境をつくらせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

武内委員 厚生労働省としても、なかなか答弁として言えない部分もあるんだろうとは思いますが、察していますが、大臣から御答弁いただきました。

 最後に、私の方から少し重要なことを御指摘して、質問を終わりたいと思います。

 戦後七十年、全国の自治体の水道に働く人たちは、これは働く人たちだけではありません、その水を供給し、そして水を使っている多くの国民、それは、水道法と地方公営企業法があったからこそ、そのもとで、命の水に公が責任を持つという、まさに安全、安心、安定供給という社会的責任を果たしてきました。その歴史には、命の水でもうけようなんという精神や概念は一切ありませんでした。今回の二十四条は、ここに、ある特定の意図や狙いを持って手をつけようというのがこの二十四条である、そう断じざるを得ない。このことを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 質問の機会を再びいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、六月二十九日でございましたかね、前回の同委員会でも冒頭お尋ねして、大臣、私もあれは通告していなかったので、首をかしげていらっしゃったので、多分承知しておられなかったのかなと思いましたし、そしてまた、大西健介議員から当日、そしてきょうも森山委員から指摘があった、二〇一三年四月の麻生副総理の日本の水道を全て民営化しますという宣言に関して、ちょっと改めて確認をさせてください。

 麻生副総理は、二〇一三年の四月十九日、ワシントンDCの、米国の戦略国際問題研究会、CSISにおいて、日本の国営若しくは市営、町営水道は全て民営化しますと発言されていらっしゃいます。

 捉え方によっては、これは、先ほど来お話があるように、日本の命の糧である水、水道を外資に売り渡すと解釈されかねない、そうだとは思っておりませんが、解釈されてもおかしくないような御発言であったと考えます。

 実際、かなりあのとき会場はどよめいていたわけですが、この発言は、当然、CSISだけでなく、我々にとっても驚くような、びっくりするような内容であったわけですが、これは内閣の総意としての御発言と考えてよいのでしょうか。今ちょっと御不在になられていますが、委員の中には当時の厚生労働大臣もいらっしゃるわけですが、今、済みません、ちょっとお忙しいとは思うんですが、内閣の総意で御発言されたのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 これはあくまでも、その場において、麻生大臣としてこうしたことをお話をされた。しかも、このCSISの発言、水道は全て国営若しくは市営、町営でできていて、こういったものを全て民営化します、ここだけとると、えっという感じがするんですが、いわゆる学校をつくって、運営は民間、民営化する、公設民営、そういったものも一つの考え方にアイデアとして挙がってきつつありますよという一つの状況を麻生総理が言われたのではないかと読んで思いますし、また、ことしの二月の衆議院の予算委員会での麻生大臣の答弁でもそういった趣旨の答弁、「アイデアの一つとして挙がってきつつあります、そういうぐあいに表現しておりますので、そういったものも一つの考え方、」同じことですが、「アイデアとして挙がってきつつありますというように述べております」と言っておられるので、あくまでもそういった趣旨で、国内における議論の一つとしてそういった議論がありますよということを紹介されたのではないだろうかというふうに思います。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 副総理として御発言をされていらっしゃるわけですので。

 ただ、これも確認をさせていただきたいんですが、このCSISという組織、もう加藤大臣よく御存じだと思いますけれども、これは一九六二年だと思いますが、ジョージタウン大学が設けた戦略国際問題研究会、これが後に学外組織として発展した、あくまで民間のシンクタンクですよね。一応、形としては、今、外交問題評議会ですかね、CFRの下部組織のような役割をして、日本向けのいろんなことをしたりしているわけですが、なぜ麻生総理がCSISであのような発言をなさったのかということをちょっと聞きたいんです。

 つまり、政府とCSIS及びCFRとの関係がどのようなものであって、どうして我が国の水道の問題をあそこで麻生副総理がおっしゃったのかということは、わかります、加藤大臣は、先ほどのお答え、よくわかりますけれども、なぜそういう発言をあの場でしたのかというのが非常にやはり知りたいなと思いますので、御所見をお聞かせください。

加藤国務大臣 麻生大臣がその二十五年の四月の十九日のCSISの講演、これがどういう経緯で決まられたのか、そこはちょっと承知をしておりませんが、一般的に、私どもが海外に行ったときに、広く日本の考え方等を知っていただく場づくりの一つとしてこうしたシンクタンク等を使うというのは、本件のみならずございます。私も、拉致問題担当大臣としてのシンポジウム等もそういったところにお願いをして、いろいろな方に集まっていただいて認識を幅広くしていただく機会に使わせていただきました。

 したがって、多分そういった流れなんだろうと思いますが、ただ、これを見ていると、この発言というのは、冒頭のスピーチではなくて、質問を受けてそれに対する答えとしておっしゃられたというふうにちょっと私の手元にはなっているところなので、あくまでも、特に第三の矢の方向性について聞かれたということで、日本の中におけるそうしたさまざまな動きということを麻生大臣がお話しされたのではないか。これは済みません、推測になります。

吉田委員 大臣、そのとおりで、そういう外国のシンクタンクに対して、大臣がおっしゃったような、そういった使い方をすることはありますよね。だから、そのときに、ふと、もう大臣の頭の中にすごく大きなテーマとしてあったのかなというふうに私は受け取ったんですね。質問して、麻生大臣の頭の中に。

 ただ、おっしゃった場面を私は見ましたけれども、結構何か堂々と、こういったものがありますというような感じで私には見えましたが……(発言する者あり)いつも堂々とされている方だとは思うんですけれども、こういうのもありますよみたいな感じで、あそこだけ見ると、大臣、全体の流れとは別に、やはり特出ししてそういう政策があるというふうに見えますよね。見えましたので、やはりそういったものが頭の中にあって、当時からそういったことが議論の中であって、ただ、この法案との関連性は、大臣、ないと考えてよろしいんですかね。今回の法案とあの麻生大臣の発言との整合性とか関連というのは一切ないと我々は考えてよろしいですか。

加藤国務大臣 直接この発言が、あるいは今言ったコンセッション等の議論に対して麻生副総理がそうした場において具体的におっしゃられたという記憶は、私にはありません。

吉田委員 わかりました。本法案と、加藤大臣、そもそも最初私がお話ししたときも余り御承知なかったので、そもそもこの議論は加藤大臣の頭にはなかったんだろうと思うんですが、役所となるとまた別ですからね。そういった関連があったのか、これはちょっと時間があったらまた聞いていきます。

 それでは、またちょっと具体的なお話を聞いていきたいと思います。

 何度か同じような質問はありましたし、先ほど武内委員からもやはり技術の継承というお話がありましたが、運営権を民間事業者に、水道施設に対して渡すと。それで、この民間事業者が事業継続不可能になった場合、これが比較的短期間で不可能になった場合というのは対応がしやすいのかとは思うんですけれども、これが、何十年か後に事業継続が不可能になってしまったなんという自治体が発生したときに、当然、水道事業に明るい職員がいない可能性が高いわけです。

 つまり、短期間であれば、先日も少しそういった答弁をいただいて、工夫をして戻したり、技術を継承するということができると思うんですよ。これは何年間、短期間の問題。これが長期間に及んだ場合というのに関してはどのようにお考えか。つまり、長期間たってだめになっちゃった場合にどう対応するのか、お答えください。

高木副大臣 お答えいたします。

 コンセッション方式を導入する場合には、地方公共団体が、コンセッション事業者の業務、経理の実施状況等に関しまして四半期ごとに報告を求めるなど、定期的にモニタリングすることによりまして、事業継続が不可能になる前に対処することが重要と考えております。

 したがって、今般の水道法改正法案におきましては、厚生労働大臣が、地方公共団体のモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者により適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可することとしております。

 したがいまして、こうしたルールにのっとりまして、大臣が、許可の際には、事業継続が困難となった事態もあらかじめ想定しまして、迅速に事業の継続体制を構築できるよう、その対応方法についても確認することとしております。

 ですから、それが短期であれ長期であれ、そのルールにのっとって、途中、モニタリングをしていただきながら、こうした事業継続が不可能になる前に対処をしていく等が必要であると思っております。

吉田委員 委員長も聞いていただいて、今、全く答えになっていないのがわかる。

 私が言ったのは、長期間たってだめになった場合。だから、その前提の今の副大臣の話というのは聞いていないし、前回それは聞いているんです。

 私は、だから、長期間たってだめになった場合のことを聞いているのであって、そうさせないようにするとか、そんなことをるる説明いただいても、だめになることはあるわけだから、長期間たってだめになったときのことをはっきり聞いているんですから、余計な言葉は要らないし、繰り返しの答弁は要らないので、そこだけ答えてほしいんです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 高木副大臣。

高木副大臣 先ほども申し上げましたが、まず一つは、そのような事業継続が不可能になる前に対処できるようにモニタリングをしていくことが一つ。

 そして二つ目に、やはり、そもそも、事業継続が困難となった事態をあらかじめ想定をしまして、継続体制を構築できるよう、その対応方法についても確認をするというのがスタートでございます。

 それで、委員の御指摘は、それがもっと、ただ、これは契約ですから、それが後になってであれ初期であれ、きちんとそれは履行されることが重要でありまして、これが一つ。

 それから、もう一つ。契約にもよりますけれども、専門的なノウハウ等を有する自治体職員をコンセッション事業者に派遣させることも一般的には想定をされる。これも前回答弁をさせていただきました。そこで、万が一再公営化せざるを得なくなった場合には、これらの職員を自治体に復帰させる。

 いずれにしても、こうしたモニタリングをする職員は当然必要ですので、こうした事業継続が万々が一不可能になった場合につきましても、そのモニタリングをしている職員が中心となって今後の事業を継続していくということになろうかと思います。

吉田委員 全く答えになっていないですが。ちょっと、僕、本当に今の答弁、五分ぐらいをなしにしてほしいですね、これは。全然お答えになっていないですよ、それでは。まあ、いいです。

 じゃ、ちょっと次に行きます。

 だから、つまり何も考えていないというふうに、今のお答えだと、厚生労働省は何も考えていないということを周知したことになっちゃいますから、答弁は気をつけられた方がいいと思いますよ。

 じゃ、次に行きますね。もう大丈夫です。次に行きます。

 それでは、現在、水道事業自体は赤字の地方自治体も多いわけですよね。一般会計の繰入れによってそれを補填していることもあるわけです。そのような地方自治体が、改正案によって水道施設に関する運営権を民間事業者に設定しても、水道料金の収入で果たして赤字を黒字化したりする経営が成り立つのかどうかということをちょっと聞きたいです、お考えを。

 そもそも、全体的にそうですけれども、現行の水道料金で民間事業者が利益を上げられるとお考えなのかどうかを教えてください。

高木副大臣 最初に御指摘の、赤字の水道事業者にコンセッション方式を導入してコンセッション事業者が利益を上げることができるのかという、まずこの問いでございますが、事業経営に必要な経費を水道料金で回収できていない水道事業におけるコンセッションの導入につきましても、民間企業の有する技術や経営ノウハウを活用することによりまして、地方公共団体が実施するよりも効率的な事業運営が行われる、このように判断される場合には、コンセッション事業者に利益が出ることを前提としてコンセッション事業が導入される場合もあると考えております。

吉田委員 そういった場合は、相当慎重な判断を多分されるんだと思います。そうすると、そういう際に、今副大臣がおっしゃったようなケースの場合は、事業者に対して、水道料金の値上げとかそういうものに頼るような運営をしてはならないような指導をした上で認可をするんですか。それを教えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、契約する段階で、そういったものにつきましても規定を決めた上で行うということでございます。

吉田委員 つまり、そもそも一般会計からの繰入れが相当分行われている自治体の水道事業の運営権の移管に関しては、では相当慎重にやるんですね。つまり、水道料金が上がらないことも一つの大事なポイントとしてやると考えていいですか。それで、もしむちゃくちゃ値段を上げなきゃいけなくなるような事態になったらどうするかも含めて、ちょっとお答えください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから大臣も答弁申し上げていますとおり、このコンセッションというのは、あくまで選択肢の一つとして示しているものでございまして、そういった経営状況の非常に悪い自治体において、無理をしてコンセッションに出すということは非常に考えにくいのではないかなというふうに思っているところでございます。

 そういう中で、ある一定の条件を課せばそれなりに民間も受託できるというようなことであれば、そういう中で、そういう条件をつけて、そしてまた地方議会で、条例によってさまざまなことを定めた上でコンセッションに出して、そして、民間事業者でこれでもペイすると思ったところが手を挙げる、そういうようなことでございまして、無理やりにそういうところにコンセッションを勧めるということではございません。

吉田委員 もう時間がほとんどなくなってしまいましたけれども、大事な話が多々あるんですが、しようがないですね。

 まず、民間に移行することに対して、国民も不安を持っている方がいっぱいいると思いますね。そこに対してやはりしっかりとした説明を、国民に対しても啓発をしていかなきゃいけないんですが、国民が民間に委託することに対して不安を持っていることに対して、何かしら厚生労働省としては対応して、これは大丈夫なんだ、ちゃんとこれは国が最終的に責任を持つ、自治体が責任を持つということは何かされるんですか。

高木副大臣 民間企業の技術や経営ノウハウなどを活用できる官民連携につきましては、水道事業の基盤強化のための有効な対応策の一つであることは先ほど来答弁をさせていただいております。

 今般の水道法改正法案におきましては、住民に最も近い市町村が水道事業を経営するのだ、継続するのだという原則を引き続き維持をしております。

 また、御指摘のような不安の声があることも踏まえまして、コンセッション方式を導入する場合においても、引き続き、水道事業の最終的な責任は地方公共団体が負えるよう、地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持することによりまして、水道事業の公共性を確保する、このようにさせていただいております。

 なお、官民連携につきましては、さまざまな連携の形態がありますので、地域において議論を尽くしていただき、どの方策がいいのか、経営を一体化する、もしくは基盤を一体化する、さまざまなやり方がありますので、こうしたことを議論をしていただき、地域の実情に応じて適切なものを選択していただくことがまず重要であると考えておりまして、国が一律に官民連携を進めようとしているのではございません。

吉田委員 もう時間になってしまったので、もっと聞きたかったんですけれども、終わりますけれども、大臣に最後、五十年後というのは、また本当に、日本のライフラインとしての水道のあり方は大きく変わってくると思います。現在より、有収水量というんですかね、これは四割ぐらい減少するというデータもありますよね。こういった中で、やはり先のことをしっかりと見据えてさまざまな御判断をいただきたい。もちろん、今回のコンセッションにおける民間への委託も慎重なお取り計らいをいただいて、いろいろお考えになっていただいていることはもう答弁でわかりましたけれども、更に、ライフラインですので、しっかりとした対応を切に願いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 岡本でございます。

 きょうは水道法の改正ということで、いろいろな論点があるんですが、私は、今回、民間の事業者が撤退する可能性、議論されていますけれども、ここを少し違った角度から聞いていきたいと思います。

 そもそも、確認ですけれども、先ほどいろいろな委員が指摘をしていましたけれども、コンセッション方式で契約をできる期間というのは、大臣、無制限なんですよね。どれだけ長い期間でもいい、どれだけ短い期間でもいい。この期間は法律で定められていませんよね。

加藤国務大臣 契約の概念でありましょうから、基本的には契約期間に制約はないというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 だから、かなり長い期間の契約をすることも想定をされるわけですね。

 かなり長い期間の契約をする、その契約をしている間は、コンセッション方式を引き受けた民間企業の側から解約をすることができる、こういう条項が入ることを想定しているんでしょうか。事務方でいいです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業の契約におきましては、契約を解除する要件を明確化するとともに、一定の是正期間を設けることによって、契約期間の安定性の確保を図ることとされているところでございます。

岡本(充)委員 それはどういうことが契約解除の要件となるのか、ちょっと明確に教えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業者は、経営が苦しくなった場合等を含めまして、みずからの責任によって運営権を放棄する場合、PFI法の第二十六条第六項によりまして、公共施設等の管理者等の許可を受けることが必要とされているということでございまして、こういった場合に解除する要件を明確化するということでございます。

岡本(充)委員 だから、経営が苦しくなったときには解除を申し出ることができて、解除ができるという理解、それから、経営が苦しくなって法人が解散してしまった場合には、当然これは契約する主体がなくなるから、コンセッションで運営をする会社がなくなる、こういう理解でいいですね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 経営が苦しくなった場合にすぐに放棄するということではなくて、先ほど申しましたように、そもそも解除できる要件というものをまず明確化するということで、その要件に該当していればということでございます。

岡本(充)委員 その解除する要件を、だから、きちっと言ってください。経営が苦しくなったらでいいんでしょう、解除する要件は。それは、そこに、解除する要件として、経営が苦しくなったら解除することができるということを書き込んでいれば、経営が苦しくなりましたから解除してください、これで解除ができる。もちろん、民民の契約ですから、いや、もうちょっとやってくださいと言っているうちに会社が倒産しました……(発言する者あり)民民じゃない、民と公の契約ですけれども、契約ですから、相手方が、いやいや、もうちょっとやってくださいと言っているうちに苦しくなった、会社が倒産した、清算した、こういう場合には、もう有無を言わさず解除、こういうことになりますね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ですから、契約の内容をその民間業者とその自治体とがどういう内容で契約するかということでございますので、ちょっと苦しくなればすぐに解約というようなお話ではございません。

岡本(充)委員 いや、私は、ちょっと苦しくなるとかそういう概念的な話ではなくて、どういう要件だったら解除できるのかと。今からちょっと話していきます。

 こういう場合はどうなのかということで、一例として、きょうは渇水のときの話をしたいと思うんですね。渇水、水が足りないとき。

 残念ながら、水道のもとは工業的につくるわけにはいかない、やはり自然の成り行きに一定程度影響を受けるわけでありまして、今回、水が足りなくなる状況の中で水道の水が確保できるのかということをまず議論したいと思います。

 川には水利権というのが設定をされています。この水利権は一体どういう人が持っているのかというと、多くの場合、先に権利をとった者が権利を持っている。したがって、先に権利を主張した者から順にとっている関係で、水道事業が行われるようになったのは比較的近年でありますから、それ以前より行われていた事業者が水利権を持っている、こういうケースがほとんどだという理解でいいか、まず確認したいと思います。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 水利権の状況でございますけれども、委員御指摘のとおり、いわゆる慣行水利権と申しまして、以前から農業で利用している方が持っておられる水利権というのは、実態として多いということでございます。

 例えば一級河川で申し上げますと、水利使用の総件数のうち、全体で九万七千件のうち、慣行水利権が八万件、許可を得た水利権が一万七千件というような状況でございます。

岡本(充)委員 したがって、水道事業者が権利を持っている、水利権を持っている事例はどのくらいあるんですか。ほとんどないんじゃないですか。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの数字で申し上げますと、許可を得た水道用水が千二百四件ということでございます。全体、件数でいきますと、九万七千件中千二百件という状況でございます。

岡本(充)委員 極めて少ないわけですね。

 それで、そのときに、では水が少なくなったときに一体どういう形で取水制限をしていくのかといったときに、基本的に水道が優遇されるようなケースが多い、こうした水の制限をするときに協議会を立ち上げるそうでありますが、このときには基本的に水道が優遇されることが多いということが事実かどうか。それからもう一つは、この協議会で協議が調わない場合にはあっせんや調停を行うということですが、これまであっせんや調停に至ったケースはないという理解でいいか。この二点、確認したいと思います。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 渇水時におけます水利使用の調整につきましては、河川法第五十三条によりまして、水道用水、農業用水、工業用水等の水利使用者が、相互にほかの水利使用を尊重し、互いに譲るいわば互譲の精神で必要な協議を行うことというふうにされてございます。

 この規定を受けまして、多くの河川では、水利使用者及び河川管理者等から構成されます渇水調整協議会等が設置されてございます。

 渇水時におきましては、河川の流況やダムの貯留量等を河川管理者から情報提供するとともに、この協議会等の場を通じて渇水調整が行われているところでございます。

 実際の渇水調整は、各地域ごとに、渇水の度合い、水利使用の状況や見通し等を踏まえまして行われておりまして、委員御指摘の水道用水について申し上げますと、ほかの水利使用者の協力を得ながら、水道用水の確保に配慮し、上水道の取水制限率を緩和するなどの調整が行われているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き円滑かつ速やかな水利使用者間の調整がなされるよう努めてまいりたいと考えてございます。

岡本(充)委員 協議会が不調であっせんに至った事例があるのかないのかということを聞きました。

 ついでにもう一つ、更問いがあるんですね。あっせんに至る場合にはどのぐらいの期間がかかることを想定しているんでしょうか。かなりかかると渇水が相当深刻になってしまうと思いますが、どのような期間を想定をしているのか。

 その期間とあわせてお答えください。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、河川法には、河川管理者が、協議が成立しない場合において必要なあっせん又は調停を行うことができるという規定がございますが、実際には、この協議会で何度も協議を繰り返して合意に至るというのが実態でございます。

 例えば、近年の特に大規模な渇水と申しますと、平成六年のいわゆる列島渇水というのがございましたけれども、このときの委員御地元の木曽川の渇水の対応でございますけれども、国と県で構成されます木曽川水系緊急水利調整協議会において十七回の協議会等が開催され、段階的な取水制限を行うとともに、発電用水の放流の協力などの緊急的な対策も講じ、渇水調整が行われたということでございます。

岡本(充)委員 期間はどのくらいを想定しているのかということを聞いています。

清瀬政府参考人 多くの場合は、取水制限率を合意する会合は一回で終わることが多いですけれども、その前に、事前にさまざまな調整が行われます。期間を一律に何日間というようなことは、なかなかこちらでは把握してございません。

岡本(充)委員 でも、十何回もやったというのは、相当、それは一日で十何回やったとは思えませんから、かなりの時間がかかったんじゃないでしょうか。そういう意味で、なかなか調整に困難を伴うということもあるんだと思います。

 そんなときに、じゃ、この協議会の当事者に、コンセッション方式のもと、運営権を得た事業者は参加をすることができるんでしょうか。主張することができるんでしょうか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そういう協議会に参加するのは、水道事業者としての自治体でございます。

岡本(充)委員 その場合、思いも寄らない、要するに事業の利益というか売上げが減るリスクを背負うわけでありますが、実際に取水制限になり、結果としてその事業者が売上げが減った場合、自治体は補填を求められることになるのか、ここについてはどう考えているのか。

 それから、もちろん、その以前に、ちょっと想定外に取水制限がかかりましたから料金を値上げさせてください、こういう話になることがあり得るのか、ここについてお答えいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、渇水により水道使用量が減少することで、コンセッション事業者の料金収入が減少するということは当然考えられることでございます。

 しかし、これにつきましては、渇水のみならず、その他災害など変動の予測が不可能な事象ということは起こり得ますので、そういったことにつきまして、地方公共団体とコンセッション事業者の間で、こういったリスクについてあらかじめ認識して、そしてリスクが顕在化した場合の、まあ補償というお話でございましたけれども、その場合の費用負担をどのようにするのかというようなことについて、事前に契約書に定めることによって対応するということになるということでございます。

 また、料金のお話がございましたが、こちらにつきましても、契約上、両者で協議の上、必要に応じて、また条例を改正した上で料金を値上げするということを規定すればそういうこともあり得るということでございます。そういうことを規定していなければ、あくまで、あらかじめ条例で定めました範囲の中での料金設定ということになるということでございます。

岡本(充)委員 すごい長期の契約が許されるわけです。その間にどういう出来事が起こるかわからないし、今言われた災害もそうでしょう。渇水だって災害の一つかもしれません。モニタリングでは、とてもじゃないけれども、残念ながらリスクヘッジは難しいでしょう。

 そういう意味で、こうした事態に至ったときに、今の説明だと、料金の値上げをすることは可能であって、そして、そのときの補償についてはあらかじめ取決めを決めておく。

 あらかじめ取決めを決めていた想定を超えて赤字が出た、そのために経営が悪化した、こういう主張をされたときに、あらかじめ決めた範囲の中でしかお金が払えないということになったら、会社が消滅するかもしれませんよ、売上げが急激に減るんですから。そういう事態になったときにどうするのかという話が私は大変重要なポイントなんじゃないかと思っています。

 確認をしたいんです。これまで、渇水のときに料金を値上げをした、こういう自治体はあったんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 当方としては把握してございません。

岡本(充)委員 そうですね。

 そういう意味で、取水制限はして、水の出は悪くなる、料金は高くなる、こんな話が出てくるとすれば、これは利用者からすると、大変、不利益というか、不便な水道になる可能性があるということです、今大臣聞いていただいたとおり。

 そういう意味で、契約をするときに、こうした点についてもきちっと私は踏まえる必要があるのではないかということで、きょうは指摘をさせていただきました。

 その上で、そうならないようにするためにもどうしていくかというものの一つに、きょう皆さんのお手元にお配りをしたカラーのペーパー、最後の方に載っていますけれども、このペーパーの、要するに、ピークとボトムの話にちょっと行きたいと思います。

 水道がどのくらい使われているのかということで、最後の一枚の、十三と書いてあるところですね。

 ということで、七月から九月の晴れの日、雨の日、休日、こういうところでピークとボトムを見ています。これで見ると、ボトムは変わらないんですね。それはそうでしょう。午前三時、午前四時の時点での使用量は、晴れであろうが、休日であろうが、余り変わらないと思います。しかし、八時から九時ごろの使用量というのはかなり違ってくるし、それから先も、夜遅くまで、やはり平日の晴れのときの使用量が多いという傾向があります。

 そこで、お聞きをしたいと思います。これは平均ですけれども、最大の差は一体どのくらいあったのか、厚生労働省に調査をお願いしましたが、わかりましたでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回、資料を提供いただきました東京都に確認させていただいたのでございますが、日ごとのデータというものは公表していないということでございまして、把握できませんでした。

岡本(充)委員 恐らく、これが平均ですから、これより大きいんじゃないかということは想像がつくわけですね。

 その上で、これで見ても、およそ四倍です。これだけピークとボトムが、何であるのかということは、もうそれは人間が起きているかどうか、気温がどうかということが影響しているというのは容易に想像がつくんですが、要するに、この大きな需要の差は、水道事業者に、需要の高いときに水が不足しないようにするための供給体制の整備を強いることになると思います。

 これがもう少し平準化できれば、かなり水道事業者の施設費用が抑えられるのではないかと私は思うんですけれども、大臣、この考え方についてどう思われますか。

加藤国務大臣 岡本委員おっしゃるような考え方というのは、電力事業において、使用電力のピークを低下させて昼夜の発電量を平準化する、それが結果的にコストの削減を図る。特に電力の場合には、幾つか電力源がありますから、固定的に動かせるやつと、火力のように一時的に対応するやつと、いろんなパターンがあるんだろうと思いますけれども、そういう電力の使用量の少ない夜間等の電気料金を低く設定する、こういう対応がされているというふうに承知をしております。

 水道使用量においても、頭からそれを否定するつもりはありませんけれども、ただ、電力と違って、私の承知している範囲では、半日程度の水を配水池に貯水をして配水をしているというのが今のやり方だということなので、委員おっしゃるように、もっと配水池を小さくすることができれば、さまざまなコストも減るのではないかという議論も、もちろんあるんだろうというふうに思います。

 それから、経営上考えたときにどうするかという意味においても、効率的な経営という意味において、よりピークのところに少し賦課をする、そういうやり方はあるんだろうというふうに思いますけれども、今の状況の中で余りそうしたことをしているという事例は承知はしておりません。

岡本(充)委員 かなり私の問いを先まで答えていただきましたけれども。そうなんです。今、そういう平準化をするためにピークとオフピークの差を縮める取組をしている自治体は承知をされていないそうでありますが、そのために何が必要かというと、結局、今の課題は、私は水道メーターの構造にあると思っているんですね。

 水道メーターの構造はもう長い期間ずっと同じ構造で、羽根車式で、羽根が回って、幾ら水が流れたかということは総量ではわかるけれども、何時に流れたということがわかる仕組みになっていないわけであります。何時に流れたということがわかれば、深夜に使ったときを安くして、日中使った分を高くするといったような、電力に似たような仕組みができるわけですね。

 このメーターが長らくこのままなのは何でなのかというのを大変疑問視して、この間いろいろ調べました。

 ちょっと確認したいんですけれども、そもそもこの水道メーター、羽根車式というのはもう何年ぐらい、かなり昔からやっているんですよね。今でこそ水道メーターの使用期限は、検定の有効期間八年ということになっているようですが、平成五年に六年から八年に延びたんですか。だけれども、それ以来、これは根本的に、延ばすという議論にもなっていないし、短くするという議論にもなっていないようです。

 ここで経産省に確認をしたいんですが、水道メーターの検定の有効期限を八年とする根拠は何であって、この八年の根拠をこの間ずっと見直してこなかった理由は何なのか。八年の根拠と、それから、この間、八年を見直さなかったその理由をお答えいただきたい。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 水道メーターの検定の有効期限の御質問でございますけれども、これは各国等の調査もしておりまして、欧州などでは六年程度というふうになっておりまして、こういうことを参考にしながら、使用期限を専門家に議論していただいて定めているところでございます。

 見直しは平成十二年に一度してございまして、そこでまた改めて八年としたわけですけれども、その際には、検定有効期間を満了した水道メーターの調査をやりまして、使用中の計量器が持つべき測定値の誤差の範囲を超えるものが一定量確認されましたので、これを長くしたりすると更に悪化するというふうに判断されましたので、専門家の皆さんとの議論を踏まえ、消費者保護の観点から、引き続き八年としたものでございます。

岡本(充)委員 その一定のとかいうところが知りたいんです。一体どのくらいの水道メーターにどのくらいの誤差が生じたのか、それは八年使ってどのぐらい変わったんですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 使用公差というのが決められているんですが、これを超すものが約三%程度あったということでございます。

岡本(充)委員 じゃ、七年だった場合、六年だった場合、これは三%は減るんですか、どうなんですか。

佐藤政府参考人 こういうことが起こる原因が、例えば不純物がくっついたり、そういったもので起こりますので、通常考えれば減ると思われますけれども、ただし、八年の使用年数にしておりますので、八年たってから交換をする、あるいは検定をするということで、八年の段階の数字をとっているということでございます。

岡本(充)委員 つまり、八年より前はやっていないし、八年より後もやっていない。一体どこでメーターが劣化をするのかというのがわかっていないんですね。これはやっていないんです。これは加藤大臣に言う話ではないので、落ちついて聞いていただければいいですけれども、言う側の役所が違いますから。これはやっていないんですよ。

 それで、結論から言うと、要するに、三%もこれは違っていて、誤差がどれくらい大きかったか、これも出していないでしょう。出していますか。最も大きかったのはどのくらい誤差があったんですか。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げたとおり、機器の基準、使用公差というものが決められておりまして、これは八%となっております。この八%を超えていたのが三%あったということでございます。(岡本(充)委員「マックス八%」と呼ぶ)はい。上と下です。

岡本(充)委員 八%を超えていたというだけで、一五%なのか二〇%なのかによって全然違うわけですから、どこまで違っていたんですか、一番ひどいものは。

 いや、いいです。調べていないんだね。調べていないということです。

 結局、そういう意味で、これは本当に水道メーターがどこまで使用ができるのか。もっといい商品が出ているなら長くすればいいわけですし、もちろんそれは、大きな誤差が生じるのであれば早くかえなきゃいけない。これを、産総研で検定をしたというふうに事前のレクでは聞きましたけれども、きちっとフェアな形で評価をして、何年使用するのが適当なのか。場合によっては短くしなきゃいけないんじゃないかと思いますよ、それは。それだけ計器の誤差が出るなら。

 私が言いたいのは、羽根車式がいいのかどうかということは、先ほどお話をしましたように、今後のピークとオフピークの平準化を図る意味で工夫が必要じゃないかという観点で今いろいろな取組が行われているようであります。

 それで、ここからはちょっとまた違った観点で聞きたいんですけれども、それ以外にも水をはかる方法があるそうで、超音波による流量計というのもありますし、もちろん、デジタル方式で検針メーターを一々見なくてもいい、雪が降る地域だと雪をかき分けて検針メーターを見るのは大変です。離れたところに電子式のメーターがあればそこで見られるし、もっと言えば、電波を飛ばせば、検針員が回らなくても、どこかで一括してその量をはかることができる、こういう仕組みも今進んできていますね。

 どうですか、そういうことは行われていますか。どうですか。

及川政府参考人 お答えいたします。

 業界の方からも聴取したところでございますけれども、水道の流量をはかること自身、計量法上、型式承認を受けたものという意味では羽根車式なんですが、そのデータをどのように引き出すか、使えるようにするかという意味では、流量のデータを場合によっては電気化しまして、無線通信を利用して遠隔でその流量が、使用した、流れた量が読めるように工夫されている機器、こういったものは既存の技術で十分できますし、物といたしましては、製品化されているものもあると承知してございます。

岡本(充)委員 ところが、この製品化されているものも、検定上は有効期間は八年。だけれども、これは八年使ってどうなっているかということは、実際に実験はしていませんね、確認ですけれども。

及川政府参考人 確認してございません。

岡本(充)委員 つまり、八年の根拠はもう、今お話をした羽根車以外のものは残念ながら根拠もない。羽根車が八年だからこれも八年にしておこう、こういう話なんです。

 やはり、もちろんこれは、結論からして、水道事業者が負担をしていくものであり、最後は水道利用者が負担をする料金にはね返るものでありますから、本当に適正で、そして、より寿命の長いものをつくっていくというのは非常に重要だと私は思っているんです。

 その観点からも、平成五年に大きな法改正をして、十二年に見直しの議論をしたけれども変わらなかったという、二十数年間変わらなかったこの状況を、きちっと私は検証していく必要があるのではないかと思っています。

 そういう意味で、こうしたスマートメーター等、それから今お話をした新たな技術を使った羽根車式ではないメーターなどについて今後普及していくことについて、政府はどのような見解を持っているのか、御答弁をいただきたいと思います。

及川政府参考人 お答えいたします。

 水道事業におきましてどのような機能のメーターを使うか、それをどういった価格のものとして使っていくかというのは、各地の水道事業体の経営判断の中で決まっていくべきものと考えてございます。

 その意味で、私ども経済産業省といたしましては、水道事業体や、厚生労働省を始め関係省庁の考えも伺いつつ、必要な対応を考えてまいりたいと思ってございます。

岡本(充)委員 結局、根拠をきちっと確認をした上で、つまり、今は単価は高いですよ、それは。数売れていないんですから。数が売れてくれば、単価だって下がってくれば、水道事業体もそれを導入することを考えるでしょう。したがって、卵が先か鶏が先かだけれども、やはりそこは、メリットがあるかどうかをきちっと公的に私は評価をしていく必要があるということをここで経産省にも指摘をしておきたいと思います。

 その上で、次の論点に行きます。

 そうやって、じゃ、夜にオフピークで使うことができるようになったとして、その水をどうするんだといったら、ためるところが必要ですよ。各家庭で貯水ができるのか、これは課題なんですが、この貯水についてちょっと聞いていきたいと思います。

 現状の貯水タンクの構造については、お手元にありますように、お手元の資料でお届けをしましたが、五ページ以降に、タンクにいわゆるためた水、これは専用簡易水道というそうですけれども、この基準について、どのような基準があるかということを載せさせていただいています。

 ちょっとそのタンクの構造について、まず国交省に確認したいんですが、九ページ目にありますけれども、不浸透質の耐水材料その他水が汚染されるおそれがないものとするということであります。例えば、想像しづらいとはいいますけれども、金属を使った場合、八ページ、またこれは二重線を引いています。さびどめの措置を講じていれば、例えば、鉛や、場合によってはカドミウムでできたタンクが使用されることがあり得るのか、それは許されるのか、答弁を聞きたいと思います。

眞鍋政府参考人 建築基準法におけるマンションなどの建築物に設けられる貯水槽などの配管設備については、今委員が御指摘になりましたように、安全性、衛生上の観点から幾つか基準を設けております。

 衛生上の観点から、飲料水などの貯水槽については、有効な水の逆流防止のための措置、耐水材料などを使用して、貯水槽から溶出する物質によって汚染されない構造であること、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造とする、金属製のものにあっては、有効なさびどめのための措置を講ずること、水抜き管を設けるなど、内部の保守点検を容易にできる構造とすること、貯水槽の上にポンプなどの機器を設ける場合において、飲料水を汚染することのないように、衛生上必要な措置を講ずることということが定められております。

 具体的にどういう金属を用いるのかという詳細な基準については、この告示の中には定めてはございません。

岡本(充)委員 そうなんですね。どんな金属を使ってもいいという恐ろしい話でありますね。

 その上で、じゃ、掃除はどうしているんだというので、五ページ目です。

 掃除は、汚泥、赤さび等の沈殿物、それから、いろいろ書いていますけれども、異常が存在しないことと書いています。これは、異常が存在したとしても、直ちに使用が停止されるわけではなくて、異常があれば、つまり、さびや汚泥があれば、これを取り除きさえすればまた一年間使うことができる、こういう理解でいいか。確認です。これは厚生労働省ですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 簡易専用水道の設置者は、水道法に基づいて、一年以内ごとに一回掃除を実施するということでございますので、そこできちんと掃除をされれば、次の一年以内の時期に検査するまでそれでよいということでございます。

岡本(充)委員 つまり、さびや汚泥が入っていたとしても、その対処をしなくても、とりあえず掃除だけしておけばまた一年間使える。

 これは大臣、どう思いますか。またすぐ汚泥や赤さびは発生するかもしれませんよ。この対処をせずとも、とりあえず掃除だけしておけばまた一年間使える。これでいいですか、大臣、どうですか。これはちょっと見直した方がいいんじゃないですか。

加藤国務大臣 今委員おっしゃっている、どういう場合において何が起きているかということなんだろうというふうに思います。

 通常でいえば、これまでの経験等を踏まえて、一年以内で一回掃除をすれば、その間、あと一年間は大丈夫ですよということでこれまでやってきたということなんだろうというふうに思いますので。

 その間にまたちょっと別個の要因があって何かそういう事態が生じているということであれば、それはそれに応じた対処をしていかなきゃいけないと思いますけれども、今のところ、そういったことを知見的に我々が得ているわけではないので、こうしたやり方で対応させていただいている、こういうことなんだろうと思います。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、見直す必要がありませんかと。汚泥があるんですよ、赤さびがあるんですよ。原因を突きとめてそれを改善する必要があるんじゃないですか。それをまた、ふたを閉めて、また一年後、また赤さびと汚泥がありましたね、これでこの水を飲んでいるんですよ。いいんですか。ここをちょっと見直した方がいいんじゃないんですか、こう言っているんです。

 見直すお考えは、検討するお考えはありますか。大臣、お願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、掃除に特化した、今委員御指摘のような基準がないことによって貯水槽水道の管理が不十分になっているといったような事例について、指摘などもございませんので、現時点においてはその必要は必ずしもないのではないかなというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 私、今指摘しているんですよ。私、今指摘しているんです。大臣、どうですか。

加藤国務大臣 指摘というか、やはり実際どういう状況があるかということの検証というんでしょうか、そういったものなんだろうというふうに思います。

 したがって、今委員からも御指摘がありますので、すぐ基準をつくるかどうかは別として、実際どういう支障があるかないか、あるいはどういう指摘が行われているのか等々については、把握をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 現に、六ページ目を見てください。簡易専用水道の基準というのは何かといったら、異常なにおいが認められないこと、異常な味が認められないこと、異常な色が認められないこと。これは誰が判断するんですか。これは非常に曖昧な話ですよ。

 水道の基準はどうかというと、一ページ目からずらっと並んで、五十一項目でしたか、これだけの項目があるけれども、簡易専用水道になった瞬間に、その水の基準はたった六項目になるんですよ。しかも、その数値は、数値で示されているものではない、そこから先は簡易専用水道の責任者が責任を持つんだと言っている。

 不特定多数の人が使用するショッピングセンターなんかでも水は使われていますよ。お冷やで飲んでいますよ。そこの水の基準はこれでいいのか。大臣、どう思われますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 簡易専用水道につきましては、水道事業者から供給を受けた水のみを水源としているものでございまして、その意味では、水道事業者が適正な運営を行っている限り、供給される水は、水道法第四条の水質基準五十一項目に適合した水であると考えられるところでございます。

 しかし、一旦貯水槽に受けた後、利用者に給水される簡易専用水道において、適切な掃除等の管理を怠った場合、水の色、濁り、臭気等に異常を感じることもあるということから、こういった六項目の検査が決められているわけでございまして、その他、施設及びその管理の状況に関する検査、あるいは書類の整理等に関する検査を実施することとされているところでございます。

岡本(充)委員 これは、だけれども、汚泥があるかもしれないんですよ、赤さびがあるかもしれないんですよ。取り除いたら、それでまた一年間使えちゃいます、こういう話ですよ。

 結果として、これは管理者がと言っていますけれども、不特定多数の人が飲むショッピングセンターなどの貯水槽もこの基準でやっている。このことに私は問題意識を持っているんです。

 大臣、指摘をしているわけですから、役所の人はああいう答弁ですけれども、大臣は政治家ですから。これはやはり、これまで長らく見直していないはずです。これを見直していく、検討していく、その必要性については、ぜひ前向きの答弁をいただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 科学的な議論にのっとって判断すべき話なんだろうと思って、政治的にえいやという話ではないんだろうと思います。

 ただ、やはり水に対する安心ということは非常に大事でありますし、そういった意味において、貯水槽も含めて全体として現状どうなっているのか。そして、今委員お話しのように、手前まできちんとした水が来ているんだから、そこから先は一定程度担保すれば多分大丈夫なんだろうということで今運営をしてきているんだろうと思いますけれども、そういった運営でいいのかどうか。その点について、関係者からもいろいろ話をまず聞かせていただいて、まず検討の素地をつくっていきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひそこはお願いをしたいと思います。

 本当に、国交省が言っている貯水槽の構造だって、今のお話で、どんな金属でもいいという話だし、さすがにないと思いますよ。そういう指摘をしておきたいと思います。

 きょうは、全国の水道料金が何でこんなに違うのかということをちょっとひもといて指摘をしたかったんですが、時間がないのでここで終了とさせていただきますけれども、水道法、長らく改正してこなかった影響か、かなり課題が多いですよ、調べれば調べるほど。したがって、これはしっかり私は審議をすることを求めて、私の質問は、きょうは終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから三十五分間、質問をさせていただきます。

 先ほどからかなり、もうコンセッションの問題については議論が尽くされていますので、重なるかもしれませんが、改めてそこを、私たちは、ぜひとも法案から削除すべきだと求めておりますので、その問題点について、ちょっと重なることが多いかもしれませんけれども、質問をさせていただきます。

 また、後半では、喫緊の課題である児童福祉司の増員のことや、また、残念ながら、働き方法案、強行されましたけれども、その高プロの過労死の問題について、後半、質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、今までからるる、きょうも議論されているわけですけれども、きょうの配付資料を見ていただけますか。私の配付資料の一ページ目にもありますように、さまざまな課題がこのコンセッション方式について指摘をされているわけであります。

 この配付資料の二ページ目も見ていただきたいんですけれども、この新聞報道を見ても、大阪の地震で水道管の老朽化対策急務だけれども、結局、水道事業民営化法案は解決策ならずという批判も出ていると。例えば、NPO法人日本消費者連盟の大野代表は、「民営化すると水道管の維持管理も含め、負担は利用者にしわ寄せされる。料金が上がり、水代を払えない家庭も出てくるだろう」と。さらに、「水道は公共のもの。公が管理する原則を崩してはいけない」と。これは先ほど、まさに専門家である武内先生からも、この種の話がございました。

 それと同じく、左の記事も、今も岡本議員から水質悪化の問題点が出てきましたけれども、「水質悪化 値上げ懸念も」「欧州では再公営化の動き」ということで、「海外で水道事業を民営化したケースでは、水質の悪化や料金の高騰を招いており、パリやベルリンなど欧州の自治体では再公営化が進んでいる。米アトランタでは浄化処理のレベルを落としすぎ、蛇口から茶色の水が出た例もある」と。

 そういう意味では、先ほどからも議論がされておりますように、日本のこの民営化の議論というのは、二周おくれ、三周おくれ、国際社会の中ではおくれているのではないか、そういう議論もあります。

 そこで、重なりになりますけれども、改めてお伺いしたいと思うんですけれども、水質が下がり、行政サービスが下がるのではないか、料金が上がるケースもあるのではないか。チェック、モニタリングも民間に委託して、結局コストや手間がかかり、結果的に水質が悪くなり料金が上がるというリスクがあるのではないか。

 質問通告しておりますこの一番目と三番目、セットで今お聞きしましたけれども、このあたりの点について、改めて厚生労働省の見解をお聞きしたいと思います。

大沼大臣政務官 コンセッション方式は、地方公共団体が引き続き所有権や責任を有する制度でございまして、導入によるメリットとデメリットを比較し、メリットが大きいと地方公共団体が判断した場合に導入され、コンセッション事業者のサービス水準や料金に適切に関与する仕組みとなっております。

 水質を含めたサービス水準につきましては、水道法に基づく基準や規制を満たしていることに加え、あらかじめ地方公共団体が定めた要求水準書に従うことが求められます。

 料金につきましては、PFI法に基づき、地方公共団体が事前に条例で基本的な料金の枠組みを定めることとされており、加えて、今般の改正法案におきまして、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して料金を設定することを確認しているところでございます。

 また、モニタリングに関しましても、地方公共団体のモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者により適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で厚生労働大臣が許可することとしており、第三者に委託することで水質が悪化することはないと考えております。

 改正法案に基づきまして、厚生労働省がコンセッション事業者に対しまして報告徴収、立入検査等を実施することとしており、適切な業務履行体制が確保されるものと考えております。

山井委員 今、答弁で、条例の範囲内の料金である、また水質は悪化しないとおっしゃいますけれども、先ほどからるる議論しているように、実際、料金が上がったり水質が悪化して再公営化をしたという事例が、世界じゅうの都市で続出しているわけですよね。そのような中で、日本でだけそうならないということは言い切れないというふうに思います。

 ちょっと更問いになりますけれども、例えば年金も、この間、SAY企画とか、安かろうということで委託をした、そうしたら、とんでもない年金のずさんな情報処理になった。その結果、再委託というか、委託先を当然変えたわけですけれども、一番深刻なのは、本当に全く遂行能力がない事業者に委託しても、そういう能力がないということを、ちょっと話はずれるかもしれませんが、年金機構は全く見抜けなかったということなんですね。今回の話は、それを見抜くのは地方自治体になるかもしれませんけれども、そのあたり、例えば料金をセットするということになれば、そのことによって、水質の部分、そこの悪化、今、悪化することはないということをおっしゃったんですけれども、そのあたりの担保というのは、どうやって担保されるとお考えでしょうか。いかがですか、誰でも構いません、答弁は。

大沼大臣政務官 水質の低下等に関する御懸念でございますけれども、コンセッションを導入する地方公共団体におきまして、コンセッション事業者の業務の実施状況や経理の状況等に関する報告徴収や実地調査などのモニタリングを実施いたしまして、水質の低下や料金の上昇につながらないようにしているところでございます。

 また、先ほども申し上げましたように、こうしたことが実施できる体制となっているかを確認した上で厚生労働大臣が許可するとともに、水道法に基づく水質や水道施設の基準を満たしているか、直接、コンセッション事業者に対して報告徴収、立入検査等を実施する仕組みとなっております。

 また、四半期ごとに、定期的にコンセッション事業者から監査済みの財務諸表の提出を受けることにより、コンセッション事業者の経営状況の悪化によって料金が上昇しないよう水道事業者が確認することとなっており、これらの方法により、地方自治体は適時適切にコンセッション事業者の事業実施状況をモニタリングできるものと考えております。

山井委員 先ほど武内議員が質問をされた阪神・淡路大震災の際の水道インフラの復旧、このことは公の責任のもとにやったことが非常に重要であったという質問をされました。私も、やはりこれは平時だけじゃなくて、いざ災害のときに、コンセッションで民間に委託したことによって十分な緊急時の対応ができなかったということになれば、そのときになって、ああ、安くていいと思ったけれどもコンセッションにしたのは失敗だったとなっても、これはもう後の祭りでありますので、先ほども武内議員からも話がありましたが、そのあたり、このコンセッション方式が災害時にもしっかり対応できる、そのあたりは大丈夫なのか、そのことについて見解をお聞かせいただきたいと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 コンセッション方式を導入するに当たりまして、水道事業者である地方自治体は、災害時の非常時における当面の事業継続のための措置をあらかじめ定めることが求められております。厚生労働大臣がその措置について確認をした上で許可を与えることになっております。

山井委員 繰り返し言いますけれども、年金事業の委託に関しても、確認してやったら、結局は全く本当は確認できていなかったということが問題になったわけでありますし、一旦これは委託をしてしまったら、後で失敗したということでは話にならないと思います。

 それで、次の配付資料、三ページ。

 例えば浜松市では、運営交渉権はフランスのヴェオリア陣営が取得と。それで、その左の記事でも、「水メジャーと競争激化」ということですね。それで、浜松市の場合は、地元企業が参画していることから、ビジネスチャンス拡大という点でも意義があるという、地元にも恩恵があるという話をされております。

 私は、ここは非常に重要だと思っておりまして、こういう仕事が海外に行ってしまうということでは、地域への貢献ということで非常にやはり問題があるんじゃないかと私は思ったりもします。

 そういう意味では、海外のメジャーが入ってくるのではないか、また、日本の会社というのはきっちり参入できるのかどうか。そして、結局、やはりそういうことを一つチェックするには、地元に密着した企業、そういう地元への貢献ということも業者の選定においては加点、加味するべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 まず、コンセッション方式における海外事業者の参入につきましては、PFI法では、事業者の選定については公募の方法等により選定することを基本としておりまして、欠格事由に該当しない限り、外国企業が応募することに制約はありません。

 国内の水道事業に対する外国からの投資につきましては、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法の届出制度に基づきまして、公の秩序の維持に支障を来さないかどうか審査を行い、一定の歯どめがかかる仕組みとなっております。

 現状におきまして、浄水場の運転や設備の保守、また検針や収納などの民間事業者への業務委託におきましては、既に外資系企業が参入しておりまして、特に問題なく業務が実施されていると聞いております。

 これまでも水道分野におきましては、業務の包括的な委託、いわゆる第三者委託や、浄水場等の設計、建設、維持管理を行うPFIまたDBO等の事業が実施されておりまして、水処理メーカーが浄水場の運転を受託するようになっているなど、事業規模や内容に応じて多様な国内企業が参画している実績があります。こうした事業に参画する事業者であれば、コンセッション方式の受皿となるべく、必要な能力を有していると考えられます。

 そして、もう一点の、地元に密着した事業、地元への貢献を加点するべきではないかというただいまの御質問でございますが、この利用料金につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、地方公共団体が事前に基本的な料金の枠組みを定める条例の範囲内でコンセッション事業者が利用料金を定めることとなっております。

 したがいまして、厚生労働大臣も、運営権設定の許可に当たりまして、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認することとしておりまして、したがって、このことが、海外へ利益が不当に流出してしまうという御懸念は当たらないと考えております。

 地元企業の活用につきましては、水道の公共インフラとしての重要性に鑑みまして、水道施設の維持管理、また、先ほど来御指摘のあります災害時の対応を適切に行うために、コンセッション方式を導入する地方公共団体におきまして、事業者の選定に当たって、地元企業の参画や活用という項目を加えて、地元に密着した事業となる提案を行う候補事業者を高く評価するなど、国内企業の参加を促す工夫は十分に考えられます。

山井委員 もちろん、外資や外国の企業を排除せよと言う気は全くありませんけれども、やはり皆さんもお気持ちは一緒だと思うんですけれども、できれば地元の企業をより多く使いたいという思いを私たちも持っておりますので、それは要望として申し上げたいと思います。

 ただ、改めて申し上げたいのは、次のページ、私の配付資料の四ページ、「世界の民営化水道二百三十五事業が再公営化に」と。その理由については、四ページにありますように、事業コストと料金値上げをめぐる対立、水道料金の高騰、人員削減と劣悪なサービス体制、民間事業者への監督の困難さ、さらに、共通するのは契約途中の解約も多いと。

 具体的には、例えばこのレポートでは、ジャカルタ水道・民営化の歴史ということで、るるここに書かれておりますけれども、結局、二十五年間やってみたけれども、最終的には、右上にも書いてありますように、最高裁判決で二十五年間のジャカルタ民営化水道は終えんを迎えたということで、このジャカルタも最後はまた公営化された。

 それと、次のこの裏のページ、六ページ、世界の流れは再公営化ということなんですね。もちろん、きょうの厚生労働省の方々の説明はわからないではないんですけれども、先ほど特に武内先生も強調しておられましたように、やはり世界の流れを見たら、民営化をやったけれども、かなり失敗事例が多いということが既に明らかになっているんですね。

 にもかかわらず、なぜ二周おくれ三周おくれと言われる中で今民営化なのかということは、私たちは全く納得できないですし、私たちは、このコンセッション方式の部分は法案から削除すべきということを強く申し上げたいと思います。

 そのことについて、今までからも議論になっていましたけれども、海外の事例を見てもこれだけ失敗事例があるのに、なぜ今、日本でコンセッション方式なのかということについて、改めて御説明をお願いします。

高木副大臣 まず、海外の事例について申し上げたいと思います。

 パリにおきましては、契約上の要求水準が明確になっていないなどによりまして監視や監督が困難であったこと、また、水道料金の設定方法が不透明で水道料金が急激に値上がりしたこと、そしてまたベルリンにおきましては、設備投資の大幅な不足、そして料金高騰を招いたために再公営化されたものと聞いております。

 今回の水道法改正法案におきましては、コンセッション方式は地方公共団体が引き続き水道事業の継続に責任を持つものでありまして、水道事業を民営化するものではありませんが、海外での水道事業の再公営化事例を踏まえた上で制度の検討を行ったところでございます。

 少しその内容にもなりますが、具体的に、サービス水準を確保するために、厚生労働大臣が、地方公共団体のコンセッション事業者へのモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者により適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可をすること。

 また次に、水道水の安全を確保するということも重要でございまして、水道法に基づく水質や水道施設の基準を満たしているか、厚生労働大臣が直接コンセッション事業者に対して報告徴収、立入検査等を実施する仕組みとしております。

 さらに、適正な利用料金を維持するために、先ほども申し上げましたが、地方公共団体が条例で枠組みを定める、その条例に基づきまして定める、枠組みの範囲内で定めるとされておりまして、加えて、今般の水道法改正法案におきましては、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認することとしております。

 このように、海外での先行事例の教訓を踏まえまして、事業の安定性、安全性、持続性の確保に十分留意した制度としているところでございます。

 そこで、法案から削除すべきではないかというお話でございますが、こうしたことを踏まえて進めているところでございまして、今回のこの導入は、現行法のPFI法でも導入できますが、地方公共団体が水道事業の認可を一旦返上した上で、民間事業者が新たに認可を受ける必要がある。そこで、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま、運営権の設定を可能としてほしいという地方公共団体からの要望がありまして、その位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣の許可を受けることによって、民間事業者に運営権を設定できる制度を設けることとしたものでございます。

 あくまでも、先ほど来大臣も御答弁を申し上げておりますとおり、選択肢の一つでございますので、さまざまな懸念が生じないように手当てをした上で、こうした水道事業の基盤強化に資する一つの方策を提供するものでありまして、削除する必要はないものと考えております。

山井委員 問題点、多々あると思いますので、私たちは、ぜひ削除を強く求めたいと思います。

 それでは、後半、ちょっと話題がかわって恐縮ですけれども、配付資料の十一ページにありますように、この厚労委員会でも先日から問題になっております目黒の虐待死、結愛ちゃんの件ですね。この十一ページにもありますように、「もうご飯食べられない」「女児、衰弱し喉通らず」「パパにやられた。ママもいた」と。この一連の報道、私も読んで本当に涙をしました。やはり、これは党派を超えて、この問題、早急に私たちも再発防止策を決めねばならないと思います。

 そういう中で、私たちは、五党一会派の野党で、児童虐待防止法改正法案を国会に提出をさせていただきました。その内容が、きょうの配付資料の七ページ目にあります。簡単に言いますけれども、四万人に一人の児童福祉司を三万人に一人にふやすべきだということを主とする、そういう法案であります。

 これは、話は割とシンプルでして、香川県の、この結愛ちゃんを担当されていた子ども相談センター、久利文代所長さんに私たちはお目にかかりました。その中で、やはり国への要望として、四万人に一人という国の基準が低過ぎる、とにかく大幅に増員してほしい、国の基準を引き上げてほしい、児童福祉司は現場で数が少なくて、多くの虐待の案件を抱えて疲労こんぱいしているということをおっしゃいました。そういう意味では、児童虐待防止の、児童相談所の現場の悲鳴を法律にしたのが私たちの法律であります。

 この配付資料にもありますように、千二百人、今の児童相談所強化プラン、政府のプランよりもふやすことになるんですけれども、そうすれば、例えば東京では、今、一人の児童福祉司が五十一人担当しているのが二十六人になる、半減する。例えば大阪府も、一人の児童福祉司が六十二人担当しているのが三十一人に半減する。例えば香川県も、四十一人担当していたのが二十六人に大幅に減る。やはりこういう増加が必要だと思っております。

 そこで、先日の柚木議員の質問のときにもありましたけれども、加藤大臣、今検討されていると思うんですけれども、今の現状の児童相談所強化プランよりも児童福祉司を増員する、増員する方向で検討しているということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 今回の本当に残念な、また痛ましい事案を受けまして、先月の十五日に、総理の参加のもと、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議を開催し、そして総理から、緊急に対策を講じるよう御指示をいただき、現在、一カ月程度ということで、今月の中下旬を目途に、まとめられるものは打ち出すということで対応させていただいているところでございます。

 その中では、御指摘の児童福祉司を始め、児童相談所の体制、専門性の強化が必要だということ、そして、増加し続ける児童虐待への対応を更に強化するために、関係府省と連携して、平成二十八年に策定いたしました児童相談所強化プラン、この見直しを図っていきたいというふうに考えておりまして、当然、見直しをしていく以上、児童福祉司の配置基準の見直し、あるいはそれに伴う職員の増加、そういったことを当然想定しながら、我々は見直しの作業を進めさせていただいているということであります。

山井委員 改めてお聞きしますが、今、配置基準の見直しという答弁もありました。それはもちろん、児童福祉司を現状のプランよりもふやす方向で見直しを検討するということでよろしいですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、児童福祉司の配置基準の見直しによる職員の増加を図るという、そのことを念頭に置きながら見直しをさせていただいているということであります。

山井委員 非常に私は今重要な答弁をされたと思います。といいますのは、児童福祉司をふやすには、国の基準を変えないと安直にはふやせないんですね。この配付資料にもありますように、つまり、現状では、人口四万人に一人の児童福祉司ということになっている。過去を見てみると、ここにもありますように、人口六万人に一人が人口五万人に一人にふえて、そして、今の現状のプランでは人口四万人に一人となっている。

 しかし、これを今よりふやそうとするならば、はい、百人ふやします、二百人ふやしますということは、理論上はできないんですよ。いじるには、私たちの法案にあるように、私たちの法案では、人口四万人に一人では少な過ぎるから、三万人に一人というふうにしたわけですけれども、今、加藤大臣がおっしゃった国の基準、つまり、四万人に一人の基準というものを見直さないと、大幅な職員の増員というのはできないんですね。

 そこで、改めて加藤大臣にお伺いしたいと思いますが、今おっしゃいましたように、人口四万人に一人という児童福祉司の配置基準の見直しを今検討しているということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今、配置基準、実は二つあります。今、委員御指摘のとおりであります。それはそれぞれ、変えるかどうかも含めて、増加をするということを念頭に置いていますけれども、それをどういうふうにするのか、あるいは配置基準としてもう少し考えなきゃいけない部分があるのかということも当然あると思いますので、それらを含めて今見直しを考えている、こういうことであります。

山井委員 細かく言いますけれども、ここを見てもらってもわかりますように、国の基準の一番のポイントは、四万人に一人なんですね。

 そうしたら、この四万人に一人という国の配置基準も含めて変えることを検討しているということでよろしいですか。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 委員のおっしゃる趣旨は、例えば、野党の方が御提案されているように、四万を三万にするというのも一つの見直しだと思いますし、あと、もう少し細かく見ていくということも考えなきゃいけないというふうに我々は思っていまして、ちょっと今の段階で具体な中身を申し上げるほど詰め切ってはおりませんが、いずれにしても、そうした配置基準を見直して、そして、その結果においては当然増員につながっていく、そういうことは念頭に置いております。

山井委員 これは本当に、現場の児童福祉司さんは、先ほどの尾辻さんの話、配付資料にもありましたけれども、疲労こんぱいして、もう本当に倒れかかっておられますし、残念ながら、体を壊してやめておられる児童福祉司さんも本当にふえているんです。

 そういう意味では、今回、結愛ちゃんの事件があったわけですから、百人ふやしますとか二百人ふやしますとか、そういうことでは、逆に現場に失望が広がりかねません。

 その意味では、与野党合意して、これを機会に、私たち野党の案では千二百人ですけれども、大幅にふやす必要があると思います。

 委員長、改めてお願いしたいんですけれども、ぜひとも、今、五党一会派で提出しております児童虐待防止改正法案の審議を、この厚労委員会でお願いしたいと思います。

橋本委員長代理 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

 質疑を続けてください。

山井委員 それで、あと少しだけ時間がありますので、高度プロフェッショナルの話なんですが、きょうの配付資料にもありますように、毎年、前年度の過労死の実態の結果は六月末に発表されているんですね。

 これを見ていただきたい、十七ページ。ちょっとしつこいようですけれども、過去十年間、全部調べました。一々読み上げませんが、五月十六日、五月二十三日、六月八日、六月十四日、六月十四日、六月二十五日、六月二十四日、六月三十日。

 つまり、十年間、六月末に発表になっているのに、ことしだけまだ発表にならなかった。これは言葉を悪く言えば、高プロの法案審議をやっていたので、わざと法案審議の最中に発表しなかったのではないかというふうに私は疑っております。

 そこでなんですが、これはいつ発表するのかということと、野村不動産のケースは裁量労働制で違法でしたから、今までのケースは、違法な裁量労働制は過労死として発表されなかったんですね。でも、やはり、裁量労働制が違法になった過労死についても数を公表すべきだというふうに思いますが、この二点、いつ公表するのか、そして、違法適用の裁量労働制の過労死も発表すべきじゃないか。これをお願いします。

加藤国務大臣 過労死等の労災補償状況、これは例年、委員が御指摘のように、六月、特に末に前年の分を公表させていただいておりまして、本年度は、委員会の審議でも御指摘がありました裁量労働制に関する決定件数の、特に不支給決定件数、これについてもお示しをするということでございますので、集計をし、特にデータに間違いがないようにするという意味において精査をさせていただいておりますので、そういった状況の中で七月に入ってきているということでありますが、早急に作業を完了させて、もちろん今月でありますけれども、早い段階で公表できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、御指摘の、裁量労働制のお話でありますけれども、これまでの取扱いとしては、当時裁量労働制で働いていて、そして発症したんだけれども、その後、監督指導が入って、それはみなすことができませんということで裁量制が否定された場合には、裁量労働制の欄ではなくて、全体の欄、ここに算入されていた、こういう御指摘もございました。

 そういったことから、それが結果的には違法ということで取り消すということになるわけですけれども、やはり、どういう状況の中で働いていたかということが大事だというふうに考えておりますので、そうした後ほど適用がとられるかどうかにかかわらず、その被災労働者が、その時点、発症した時点でどのような雇用形態で働いていたかという観点に立って集計をしていきたいというふうに考えておりますので、今度出す中においては、裁量労働制で働いていた方が、そして、その中で発症されて亡くなられてしまった、しかし、後ほど監督指導が入ったら、それは裁量労働制の適用除外、適用が適切ではなかったという場合においても、実際その方は裁量労働制のもとで働いていたということで、お示しをさせていただいている裁量労働制、これは専門型か企画型か分類して、その中に入れ込んで数字を公表させていただきたい、こういうふうに考えております。

山井委員 ぜひ早期にお願いします。

 それで、問題となるのは、きょうの配付資料の最後のページにありますように、過労死の御遺族の方々を中心に、「間違いなく過労死増える 国は責任を取るのか」と、寺西笑子過労死家族会の代表も、高度プロフェッショナル制度で間違いなく過労死はふえる、このような制度で過労死したら国は責任をとるのかということを、強く危惧をされております。

 ついては、今の裁量労働制と同様に、残念ながら、高プロにおいても、もし過労死が出たら、そして労災申請が出たら、もし不支給であっても、そういう高プロの過労死に関しては、今、加藤大臣が答弁されたのと同様に、年度ごとには、高プロで過労死された件数が何件と、そして不支給であったとしても、過労死で労災申請された件数は何件ということを発表するのが当然だと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 高プロ制度については、いろいろ御指摘もいただいております。我々としても、制度が適正に運用されるよう、しっかり監督指導をさせていただきたいと思いますし、当面、高プロ制度の導入についての決議の届出があった事業場については、その全てについて監督指導を行う、そういうことも検討したいと考えております。

 その上で、今委員からお話がありました、毎年の過労死等の労災補償状況の中に、高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者が過労死した等の場合について、それをどう公表するのかというお話でありますが、そうしたことがないようにもちろん努力をしていくのは当然でありますが、残念ながらそうした事例があった場合には、過労死等の支給及び不支給の決定件数については、今は裁量ですけれども、別途高プロ制度ということで公表するということを考えていきたいというふうに思っております。

山井委員 いや、これは残念ながら必ず過労死は出ます。それで、これは本当に深刻な問題です。これだけ過労死が出るというふうに言っていたのに、強行採決で押し切って、実際そのとおり過労死が出たら、これはもう法律が人を殺したということになりかねません。

 ついては、最初に高プロで過労死が発生し、労災の申請があった時点で、このことに関しては危険な制度だったということが裏づけられるんですから、これだけ問題になっているわけですから、やはり政府、厚生労働省は発表すべきだと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 それは、個別事案の労災保険給付の支給、不支給の決定に関しては、これは従来より、原則として、申請者の個人情報保護の観点から公表しないということでございます。もちろん、御遺族あるいはそれにかわる方が発表されれば、また別途ということになるわけでありますけれども、私どもとして、基本としては、個別事案の公表は差し控えるというその方針には変わりはないということであります。

山井委員 高プロで過労死したら件数を発表する、でも、私、これは本当にただごとじゃないと思いますよ。

 この写真を見ていただきたいんですけれども、高橋まつりさんのお母さんの幸美さんも含めて、過労死の御遺族の方が泣きながら採決を見ておられる。その理由は、過労死が起こるから。ところが、健康確保措置があるから大丈夫だと言って押し切った。

 これで、やはり御遺族が言っていたように過労死したら、これはただじゃ済まないですよ。国はどう責任をとるんですか。そして、当然、そうなったら、高プロ制度は、その時点で政府の説明がうそだったということになっちゃうわけですから、廃止をするということでよろしいですか。

加藤国務大臣 それは、先ほどお話を申し上げたように、厚生労働省としては、制度が適正に運用されるように、制度についてはもう説明いたしませんけれども、健康確保措置等々が盛り込まれたこの制度が適正に運用されるようしっかりと監督指導を行っていく。そして、決議の届出のあった事業所については、当面その全てについて監督指導を行う。そういったことによって、今申し上げた、過労死がないように、また制度が適正に運用されるように、しっかり対応させていただきたいと考えております。

山井委員 もう時間が終わりましたので終わらせていただきますけれども、これは、残念ながら法律は成立しましたけれども、これだけ過労死が必ず出ると言われていた高プロで本当に過労死が出たとなったら、これは本当にどうするんですか。

 それで、今ちょっと加藤大臣もおっしゃったけれども、適切に運用されるようにとおっしゃいましたけれども、いやいや、その企業が高プロを違法適用していたからその企業が悪いのであって、法律が悪くないでは済みませんよ。そういう違法適用を何ぼでもできるような、ざるのような制度だからといって私たちはさんざん言ったわけですから、そういう意味では、とにかくこの高プロを採用する会社が出ないように、そして、とにかく過労死が出ないように、人の命を守るために、これは与野党を超えて、願いは一緒だと思いますので、取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 前回かなり問いを残しましたので、きょう、早速質問したいと思います。

 資料の一枚目ですけれども、先ほど、水道事業の最前線にいらっしゃった武内委員から貴重な発言もありました。日本水道協会が震災被害への対応を実施した主な実績とあります。これをまとめてあります。

 これは、最初のところがやはり阪神・淡路大震災なわけですけれども、百二十六万六千戸が断水し、最大三カ月これが続いた。それに対して、応急給水に百五十六事業体、復旧に四十三事業体ということがありました。また、延べ給水車の台数が一万四千七十三台、活動期間が三十九日間だったわけです。東日本大震災で見ますと、給水台数が一万三千八百台、延べ四万四千五百人の応援の方が行って、百五十二日間も活動したと言われています。この外枠に自衛隊の皆さんの派遣も含まれるということになるわけですけれども、こうしたことが日本水道協会のもとで体制が組まれて、また、自治体同士で協定を組む、そういうふうな形で応援の体制はやっていると思います。

 それで、きょうずっと質問があったわけですけれども、水道給水事業者が民間事業者になった場合、このスキームが同じだ、変わらないというお答えだったと思います。それが逆になぜなのかということ。

 それから、その際の費用負担についてはどうなるのかということなんですね。現在は、救助される自治体が割増し賃金のみ払うと聞いております。この分を災害救助法が補填するというふうな格好になっているのかなと思うんですけれども、払う側、来てもらう側がコンセッションだった場合、そうじゃない場合、行く側、どちらも、自治体によって違いが起きてはまずいわけですよね。それがないということが保証できるのか伺います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、水道の災害時における協力体制としては、日本水道協会が災害の程度に応じて都道府県や地方支部などの単位で広域的な応援体制を構築しているところでございます。

 今般導入するコンセッション方式におきましては、水道法に基づく認可を有する水道事業者は地方公共団体のままでございまして、これまでと変わらないため、基本的にこの枠組みで行う、つまり、同じスキームで行うということとなることでございます。

 コンセッション導入時の災害時の対応について、どこまでを民間企業に委ねるかは、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めることとなるということでございます。このため、災害を受けた自治体への応援を民間事業者に行わせることも可能でございます。

 なお、コンセッション方式を導入するに当たりまして、水道事業者である地方自治体は、災害等の非常時における当面の事業継続のための措置について、費用負担を含めまして、あらかじめ定めることが求められておりまして、厚労大臣が、その措置について確認した上で許可を与えることとしてございます。

 また、費用のことでございますが、応急給水につきましては、災害救助法に基づく措置として、都道府県が実施し、国がその費用の一部を負担する制度がございまして、コンセッション事業者が応急給水を実施する場合も同様の措置がとられると考えられるところでございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 水道事業者が今までどおりであるから大丈夫なんだ、それはさっきも言っていましたね。多分それは、お金の面ではそうなんだと思うんですよ、出す分は。そうすると、実際に出動する方は、結局、自治体は、コンセッションになって、多分ほとんど手も足も出ないわけですよね。その体制については十分な担保があるということなんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁申し上げましたように、民間企業にどこまで委ねるかということは、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めるということでございまして、この契約の中で定めればそういうことができるということでございます。

高橋(千)委員 つまり、あらかじめ定めることが多過ぎるんですよ。二十年も三十年も契約すると言っているのに、こういう場合、こういう場合、こういう場合と、物すごい内容のことを定めておかなければ何もできない。本当にそれはできるんですかということなんですね。

 資料の二枚目に、運営権の設定に関する手続の流れというのをつけておきました。上がPFI法、下が水道法なんですね。

 それで、この一番最初のところが肝心なので、実施方針の中で業務の範囲、利用料金、運営などの基準を条例で決めることになっております。この中に全部盛り込んでしまわなきゃいけない、そういうことになりますよね、今説明を聞いていますとね。

 そうすると、じゃ、前回からも指摘されている管路の老朽化、耐震化率がおくれている問題、これをどうするのか、どっちが責任を持つのかというときに、やはりあらかじめ決めなきゃいけないわけですよね。そんな五割も老朽化したのを我々は受けないよとなった場合に、じゃ自治体がどうするかとなってしまって、そうすると、費用は、水道料金を自治体が徴収するんだけれども、案分しなければならない、そういう格好になるんだと思うんですよね、民間事業者と自治体の分と。具体的にどのように考えているのか、内閣府、厚労省、それぞれに伺います。

石崎政府参考人 御質問の点でございます。

 コンセッション事業、性格としまして、公共施設等の所有者である公共団体が公共サービスを提供する最終的な責任者との責務をまず負った上で、民間事業者に事業の運営を行わせるという性格のものでございます。

 このため、当然ながら、どの部分を負わせるのか、どの部分を公共が担い続けるのか、そういうものに関しましては、その事業の性格ですとか個別の事業の状況、そういうものについて事業者と行政の当事者の間で検討、合意をした上で定めるべきものというふうに考えてございます。

 内閣府としても、そのようなものが非常にきちんとすることが必要だということを基本方針、ガイドライン等に記載し、周知しているところでございます。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業においてコンセッション方式を導入する場合には、PFI法に基づいて、公共施設の管理者である地方公共団体が、施設整備の費用負担を含む業務の範囲、サービスの水準、料金などの枠組みを事前に条例等で定める仕組みとなってございます。その上で、議会の議決を経てコンセッション事業者が決定され、事前に取り決めた枠組みの中で水道事業を運営することになるということでございます。

 コンセッション事業者には、事前に取り決めた枠組みにおいて、水道施設の更新やその費用負担、水道料金の徴収業務を行わせることが可能でございまして、その業務遂行に責任を負っていただくこととなるということでございます。

 加えて、事業開始後も、PFI法に基づいて、地方公共団体がコンセッション事業者に対して業務の実施状況に関する報告徴収や実地調査を行うとともに、今回の水道法改正法案に基づいて、厚生労働省がコンセッション事業者に対してモニタリングを実施することとしてございまして、こういったことで、水道施設の耐震化や老朽化対策についても適切に行われていくものと考えておるところでございます。

高橋(千)委員 具体的に答えてください。

 最終的な責任は、水道事業者である地方公共団体であると。だけれども、更新の費用はどっちが持つのか、つまり、どこまで委託するのか、業務の内容をどこまで設定するのかによって全然違うということですよね。つまり、管路に全く責任を持たないコンセッションだってあるわけですよね。そうなったときに、費用の案分ということが、要するに、水道料金をもらうけれども案分ということが出てくる。そういう意味ですよね。確認します。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、地方公共団体が、施設整備の費用負担を含む業務の範囲その他について条例等で定めるという仕組みになっているところでございまして、それに基づいて費用の負担が行われるということでございます。

高橋(千)委員 今、答えたんでしょうか。わからないです。

 つまり、管路をまるっきり、コンセッションでない場合もありますよねと。一言。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 もしそういう契約になれば、そういうこともあり得るということでございます。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。大変な中身をこの最初の段階で決めなければならないわけ。

 そうすると、今、九月議会を迎えようとしている宮城県は、上水、下水、工業用水、三つですから。その内訳をたどっていくと、九つなんですって。九つにそれぞれ案分をするという作業になって、とても考えられないなと思うんですね。

 逆に、管路を全部引き受ける、更新費用も引き受けるとなったら、その分、当然、利用料にはね上がります。そこを踏まえて、はなからはね上がるというのがわかっていてその範囲を決めるというのは、大変悩ましいことではないかと思うんですね。

 四月から下水道のコンセッションを導入した浜松市では、水道事業へのコンセッション導入を、下水道だけではなく、今度は水道事業に導入することを検討しています。

 内閣府の一〇〇%補助である民間資金等活用事業調査費補助事業、これによって導入可能性調査業務報告書を出しているわけなんですが、そこのバリュー・フォー・マネー、費用削減効果で見ますと、包括委託、まるっと委託すると一%、管路を除くコンセッションだと一から二%、管路を含めたコンセッションだと三から四%削減できる、だからコンセッションが有効だと結論を出したというんですね。

 でも、えっ、たった三から四%って、桁が違うんじゃないのと。これは市の上下水道アドバイザー会議の民間委員が指摘をしたこと。このわずかな誤差で、誤差と言えば失礼ですけれども、何があるかわからない中で、これでコンセッションが有利だなんて到底言えないと思います。

 それで、利用料金がはね上がることが心配されています。この利用料金の決め方、議会の関与の仕方はどうなるのか、伺います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業においてコンセッション方式を導入する場合の料金につきましては、PFI法に基づいて、地方公共団体が事前に条例で基本的な料金の枠組み、範囲というものを定めることとされてございまして、加えて、今般の水道法改正法案においては、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して料金を設定していることを確認することとしているところでございます。

 仮に、やむを得ない事情によって、この枠組みの範囲を超えて利用料金を上げる必要が生じた場合であっても、コンセッション事業者の一方的な意向によって利用料金の値上げができるわけではなくて、議会において条例改正の手続が必要となる仕組みとなっているところでございます。

高橋(千)委員 では、値上げが必要になったら、そのたびに議会で確認をする、議決をするという理解でよろしいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 あらかじめ定められた枠組み内であれば、一々議会の承認は必要ございませんが、先ほど申しましたのは、仮に、やむを得ない事情によって、この枠組みの範囲を超えて料金を上げる必要が生じた場合、そういう場合については、議会による条例改正の手続が必要ということでございます。

高橋(千)委員 枠組み内というのは、つまり、利用料の上限を決めるわけですよね。一気にそこまでいくか、じわじわといくかというのはその事業者によると思うんですけれども、しかし、議会がその範囲を決めてしまえば、そこはかかわれないとなったら、これもまた議会にとっては大変悩ましいことでありますよね。それをどういう根拠で定めるのかということも大変悩ましいことになると思うんです。

 それで、大臣に伺いますけれども、済みません、ここはちょっと通告していないんですが、民間事業者の場合、当然、御存じのように、総括原価に法人税や株主配当を含むことになるわけですよね。ですから、よく言われている、コストを民間のノウハウで下げるんだと言っているけれども、でも、一方では、もうけなくちゃいけないんだから、配当もするんだと言っているわけなんです。でも、そのもうけなきゃいけないという部分を、水道法の第一条である、清浄で豊富低廉な水の供給、特に低廉な水の供給、これに合致していると言えるんでしょうか。

加藤国務大臣 ですから、まさにそこのところは、今お話があった、地方公共団体が事前に条例で決める、その条例で基本的な料金の枠組みを決めるわけでありますから、そこにおいては、今お話のあった条文等も踏まえて、地方公共団体、まさに議会がお決めになる、また、その中においてコンセッション方式をとった場合には、コンセッション事業者がその中で運営していく、こういうことになるわけであります。

高橋(千)委員 久々に、ですからを聞きましたけれども、低廉な水の供給という目的は変わらないのだという趣旨でおっしゃったんだと思います。でも、それを踏まえながら、ちゃんともうけもとりながら、そしてなおかつ安いというのは、絶対私は現実的ではないと思います。そこまで見越してどうやって条例を決めるんですか、先ほどの応援体制までも踏まえてですよ。それはあり得ないなと思います。

 資料の三枚目に、コンセッションのインセンティブ、横展開をやれということで、これは内閣委員会で議論されましたけれども、一定の要件を満たした地方公共団体に対して、地方債の繰上償還による補償金を免除すると言います。これがどれだけのメリットになるんでしょうか。具体例を挙げてお答えください。

石崎政府参考人 今御指摘いただきました措置に関しましては、平成三十三年度までの四年間に実施方針条例を定めるなどの要件のもとで、上下水道事業に係る公共施設等運営権を設定した公共団体に対して、過去に貸し付けられた当該事業に係る地方債につきまして、補償金を免除する、繰上償還することを認めるというものでございます。

 現在検討が進んでいる公共団体の範囲では、支援対象期間において十数件程度、対象となる繰上償還の補償金免除額は最大で十五億円程度に上るものと想定してございます。

高橋(千)委員 最大で十億円程度のとおっしゃった……。

石崎政府参考人 言葉足らずでした。最大で十五億円程度でございます。

高橋(千)委員 失礼しました。十五億円程度の補償金の免除という意味でのメリットですよね。そうすると、一定の、そうですね、一千億くらいの事業なんでしょうかね、かなりの、要するに、償還に伴う補償金なんだと思います。

 ちょっと事前に聞いておいたのは、宮城の場合は、上下で今、企業債残高は六百三十億円ありまして、三%以上が合わせて五十三億円と聞いております。そうすると、大体三、四億円かなと思って聞いていたんですけれども、それよりも大きいところがあるというお話でありました。

 ただ、この繰上償還の原資というのは、民間企業が運営権を買うことによってできるわけですよね。じゃ、それに見合う運営権が、ちゃんと見合いとして買っていただける保証があるんでしょうかということが一つと、さっきおっしゃったように、四年間で実施方針条例を定めなければなりません。相当急がないと、だから、今言ったようにいろんなことを盛り込まなきゃいけない、検討しなくちゃいけないのに、急げとなったら、ちょっと、大丈夫でしょうか、拙速ではないですか。

石崎政府参考人 まず、済みません。言葉足らずで申しわけございません。先ほど、最大十五億円というのは、全部を足して、十数件程度あるものを全部を足して十五億円程度でございますので、宮城県がもしやった場合は、かなり大きい方ではないかというふうに考えてございます。当然ながら、宮城県は今、いろいろな御検討をしていただいてございます。

 あともう一つございました、少し拙速になるのではないかという御指摘についてでございますが、繰上償還、今度、先ほども言いました、三十三年までに実施方針条例を定めることを要件としてございます。当然ながら、この条例を定めるためには、導入可能性調査などの入念な準備手続は必要になります。それがなければ、当然ながら、手続を進めることはできません。また、条例として、あらかじめ議会の承認を得るということが当然必要でございます。このために、当然、十分でいろいろな議論を経た上で最終的な合意がされる、そういう手続が課されるということで、拙速になるということには当たらないのではないかというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 それはそう言わざるを得ない、お立場としてはそうではないかということであります。これは強く指摘をしたい。非常に無理な設計ではないかと思います。

 時間の関係で、もう少しここを質問したいんですが、広域化の問題に行きたいと思います。

 それで、第二条の二に、「都道府県は、」少し飛ばします、「広域的な水道事業者等の間の連携等の推進その他の水道の基盤の強化に関する施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」努めなければならないという表現が入りました。しかも、この条文は全くの新設であります。都道府県に広域連携の推進役になれという趣旨だと思いますが、確認をしたい。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業は主に市町村が経営してございまして、小規模で経営基盤が脆弱な事業者が多いことから、施設や経営の効率化、基盤強化を図る広域連携の推進は、事業基盤の強化に資する重要な施策であると考えているところでございます。

 しかしながら、それぞれの事業基盤に格差があることから、住民や議会の理解を得ることを含め、その調整が非常に困難であるということでございます。このため、都道府県に、市町村を超えた広域的な見地から、水道事業者等の間の調整を行う広域連携の推進役を担っていただくことが重要であるということでございます。

 このため、今般の水道法改正法案においては、都道府県に対して広域的な水道事業者等の連携等を進める責務を法的に位置づけることとしたところでございます。

高橋(千)委員 今お答えの中で、住民の理解を得るのが大変困難である、だからその調整役を都道府県にという御説明だったと思うんですね。ただ、困難であっても、これは重要なことなので、やらなきゃいけないんですよね。これはシステム的に変えてしまったらだめだと思うんです。

 それで、資料の四ページに、今までの広域的水道整備計画、そして、これが条文上はなくなりました、それで水道基盤強化計画になったわけです。同じものではないわけですけれども、時間の関係で、私が比較をして質問します。

 左側は、広域的水道整備計画は、地方公共団体が都道府県知事に要請するという中身になっています。なので、地方公共団体と協議をして、都道府県の議会の同意を得て、計画を定めると書いている。そして、一番下のところに、「厚生労働大臣は、都道府県知事に対し、広域的水道整備計画に関し必要な助言又は勧告をすることができる。」と書いています。

 右側を見ますと、これはなくなっちゃっている。県が主語になっておりますので、県が突然出てきたみたいな格好になっているのと、国の関与、今最後に読み上げたところがなくなっております。それから、県議会の同意を得てという部分もなくなっております。こういう形で、県議会のチェックもできずに、国の関与もない。よろしいんでしょうか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 水道基盤強化計画は県がつくる計画ということで、県議会が関与するものでございます。

高橋(千)委員 違うでしょう。県が関与と。県と議会は違いますから。独立していますから。議会の同意を得てという言葉がなくなっているんですよ。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 大変失礼いたしました。

 広域的水道整備計画については、県の予算が絡む話ということで県議会の関与ということが記載されてございましたけれども、水道基盤強化計画というのは必ずしもそういうものが絡むとは限らないということで、今回については記載が落とされているということでございます。

高橋(千)委員 そうなんですよ。だから、今それをもう一回聞かなければ、関与するからいいんだみたいな、まるで議会の承認を得るみたいな答弁をされた。重大だと思いますよ。

 これは、県議会は一切関係ないと。だって、県が主導してやることを、当然関係するわけじゃないですか。それに対して、何の同意もないと。しかも、国さえももう出番がないんですよ。これは、地方分権の絡みでこうなったと思いますけれども、後戻りできませんよ。いいんですか、大臣。

加藤国務大臣 国の関与は、第五条の二で、厚生労働大臣は水道の基盤を強化するための基本的な方針を定めるということ、これは国全体といいますか、全国的なという話ですけれども、そして、今委員御指摘の中の第五条の三の第三項で、「水道基盤強化計画は、基本方針に基づいて定めるものとする。」こういう構成になっているわけでありますから、一つ一つについて助言、勧告をすることが必要はない、こういうことであります。

高橋(千)委員 定めたら終わりじゃないですか。方針を定めるというのと、ここに書いている必要な助言、勧告をすることができるというのは全然意味が違うわけでしょう。これは地方との協議で、地方分権の流れで取っちゃったんじゃないですか。だから、基本方針を定めてその後どうなっているのかを何のチェックもしない、それでいいんですかと聞いています。

加藤国務大臣 これは多分、むしろ現行水道法のたてつけの方が余りなじみのない仕組みなんだろうというふうに思います。一般的には、これはほかもそうでありますけれども、国が方針をつくり、それにのっとって都道府県あるいは市町村が計画をつくる、これが一般的なたてつけ、仕組みということでありますから、それにのっとった形でやらせていただいたということであります。

高橋(千)委員 一般的な話で済ませてしまったということで、やはりこれも本当に、今回位置づけられて、県が推進役だとなって、結果としては押しつけになるんじゃないのかなという危惧を持っています。それに対して後戻りとか途中でチェックをする仕組みを取ってしまった、これはすごく重大な問題だと思って、重ねて指摘をしたいと思います。

 それで、そこにもちょっと絡む問題なんですが、七月一日付の朝日新聞が「簡易水道 遅れる統合」という記事を報道しました。給水人口五千人未満の過疎に近い地域で簡易水道が引かれていますが、これは約七千カ所、これを同じ市町村の中の上水道に統合するよう政府として進めてきたわけですが、期限を一回延ばしたけれども、来年度末を前に二千十四カ所が残っているという指摘でありました。

 それで、ちょっとそのこと自体を聞くわけじゃないんですが、当然今、今回の基盤強化計画の中などで簡易水道も組み込んでいくという狙いを持っているのかなと思うんですけれども、資料の五にあるように、簡易水道の施設整備費は公共として国の費用補助があります。その趣旨を伺いたいんですね。

 そして、本法案により上水道に統合したり広域化に集約していくことを念頭に置いていると思うけれども、だけれども、広域化に自分たちは入らない、簡易水道のまま残るという選択を尊重するかどうか、ぜひ大臣に伺いたい。その際、そうした場合もきちんと補助金は存続するという理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 まず、簡易水道事業については、事業規模が小さく経営基盤が脆弱な事業と考えられることから、水道施設の新設や改良事業に要する費用の一部を財政支援してきた、こういう経緯があります。

 しかしながら、簡易水道事業は、平成十八年度末で七千六百三十事業と市町村数を大幅に上回っていたこと、小規模な事業であっても経営状態が良好な事業や非常に低い水道料金を維持している事業があることなどを踏まえて、簡易水道の統合を強力に進めつつ補助制度を見直すこととし、統合した又は統合計画を示した簡易水道事業については、一回延ばしていますけれども、平成三十一年度までに期限を限って補助することとしました。

 簡易水道の統合については地方自治に基づき進めていただくものであると考えておりますが、平成三十二年度以降については、離島や町村内の全ての水道事業を統合しても簡易水道事業となる事業などのうち、経営条件の厳しい簡易水道事業に対してのみ、引き続き必要な財政支援を行っていくという整理をしているところであります。

高橋(千)委員 条件が厳しいところのみとおっしゃいましたけれども、尊重するということに対してお答えいただいたでしょうか。

加藤国務大臣 尊重するというのは、簡易水道として引き続き残すということ、これはそれぞれの御判断になろうと思いますが、ただ、今申し上げた形で財政支援は行っていく、こういうことであります。

高橋(千)委員 確認しました。ありがとうございます。

 第二条の二で、国による水源の開発が削除されました。これは、やはりダムなどの過大な水需要を押しつけた開発はもう要らないというのは言えると思うんですね。ただ、国が主語になって水源の開発というのは、ある意味、どんなときでも安定して水を供給できるという根拠法にもなっていると思うんですね。その点での不安というのがございます。

 例えば、香川県も全国初の全県広域水道化を検討していますが、降水量が全国四十六位で、本当に渇水が多い、高松砂漠とまで言われた、そういう事態が起こっているところなんですが、水がないのにダムをつくるということをまたやって、専門家でさえも無駄じゃないかというふうな議論がされているわけなんですよね。その一方で、浄水場は三十三カ所統合される。災害のときや渇水のときに、やはり自己水源というのは残しておくべきなのではないか、そのことを一言だけお答えいただきたいと思うんですが。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業者は、利用者に常時水を供給する給水義務を履行するため、地域の実情に応じて適切に水源を確保していく必要がございます。

 このため、広域化により、水源計画を見直して、自己水源を統合し、効率的な施設整備を進めていくことも有意義な施策でございますが、一方で、今御指摘いただきましたように、災害時を想定して複数の水源を有しておくという観点も重要でございまして、そのバランスを保ちつつ、水源を確保していくことが必要ではないかと考えているところでございます。

高橋(千)委員 終わります。

高鳥委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、本案に対し、西村智奈美君外一名から、立憲民主党・市民クラブ及び国民民主党・無所属クラブの二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。西村智奈美君。

    ―――――――――――――

 水道法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(智)委員 ただいま議題となりました水道法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、立憲民主党・市民クラブ及び国民民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本法案では、地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持しつつ、水道施設運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入することとしています。しかし、諸外国には、民営化に伴いまして水道料金の高騰や水質悪化などを招き、再公営化に至った事例が多数あります。また、災害時に民間事業者がしっかり対応できるのか、民間事業者が水道事業の運営に失敗した場合に地方公共団体が再び水道事業を運営できるのかなどの懸念について、水道利用者から不安の声が上がっています。

 このような諸外国における再公営化の流れに逆行し、水道利用者からさまざまな懸念が示される現状において、国民生活のライフラインである水道事業へのコンセッション方式の導入を推進すべきではないと考え、本修正案を提出いたしました。

 次に、修正の要旨でありますが、水道施設運営権の設定の許可に関する規定の削除を行うことであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

高鳥委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党・市民クラブを代表いたしまして、政府提出の水道法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論いたします。

 今回の法改正は十七年ぶりに行われるもので、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るためのものであり、この点において必要性があることは我々も理解をしており、賛成できるものであります。

 しかしながら、審議の中で多くの問題点を指摘させていただいた、官民連携の推進という聞こえのよい言葉で問題点を覆い隠している、民間事業者に水道事業の運営権を譲り渡す、いわゆるコンセッション方式の導入については、全ての国民に安全で安価な水を安定的に提供することができなくなる可能性があり、強く反対するものであります。

 本日の質疑で尾辻かな子議員が紹介しましたが、世界の民営化水道の実態を調査している公共サービスリサーチ連合によると、世界三十七カ国、二百三十五水道事業が再公営化されていると報告しているとおり、世界の潮流は再公営化に向かっています。

 公共サービスの民営化を積極的に進めてきた英国でも、水道事業者が巨額の利益を役員報酬や株主配当に回しているとの指摘がされ、再公営化の議論が起こっています。

 また、ことし二月に来日したパリ市のアン元副市長は、民営化後の二十五年間で水道料金は一・七倍まで引き上げられたと紹介しているとおり、水道事業の民営化は必ずしも住民の利益にならないことは明らかであります。

 本日の武内則男議員の質疑では、二〇一六年、二〇一七年に内閣府が水道事業の民営化の状況についてフランス等に視察に行きながら、再公営化したパリ市には、先方との日程調整ができなかったという理由でヒアリングすら行っていなかったことが明らかになりました。

 世界の潮流に逆行してコンセッション方式を導入する以上、民営化に失敗し、再公営化した世界の事例に学ぶ必要があることは言うまでもありません。しかしながら、再公営化した自治体に学ぶことなく、民営化ありきで法案化を進めてきたことは非常に無責任であると言わざるを得ません。

 一度民間に運営権を渡してしまうと、再公営化することは非常に難しくなります。現状でも水道事業に携わる人員が減少している中で民営化され、数年たってしまえば、いざ再公営化しようとしても、担うべき人材がいないという事態になりかねません。本日の吉田統彦議員の質問でも、民間事業者が水道事業から撤退する事態になった場合の対策が全く考えられていないということも明らかになりました。

 また、災害時に民間事業者がしっかり対応できるのか、他の自治体との連携が可能なのかという不安の声も上がっております。

 以上の懸念に応えるために、我々立憲民主党・市民クラブは、国民民主党と共同で、水道施設運営権の設定の許可に関する規定である第二十四条の四から十三までを削除する修正案を提出いたしました。

 与党の皆様も、ぜひ、いま一度、コンセッション方式の問題点に目を向けていただき、安易に国民の財産である水道事業を海外の民間企業に譲り渡す結果にならないよう、我々の修正案に賛同いただきますことをお願いいたしまして、政府提出法案に対して断固反対の討論といたします。(拍手)

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出、水道法の一部を改正する法律案に反対、立憲民主党また国民民主党提出の水道法の一部を改正する法律案の修正案に賛成の立場から討論を行います。

 水道事業は主に市町村単位で経営されており、多くの事業が小規模で経営基盤が脆弱です。そのため、政府提出法案のように、都道府県に水道事業者等の広域的な連携の推進役としての責務を規定し、都道府県が水道基盤強化計画を定めたり、広域的連携等推進協議会を設置できるようにすることは、必要な改正だと考えています。

 しかしながら、本法案に規定されている、地方公共団体が水道事業者等としての位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を得て、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みの導入については、一つに、事業者が水道事業の許可を得る必要がなく、水道法上の責任の所在が不明確となること、二つに、自治体職員の転籍、災害時の責任の所在や役割分担などは自治体が策定する枠組みに委ねられてしまっていること、三つ目に、水道事業の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失につながるおそれがあること、また、特に、運営のほぼ全てを民間事業者が行う中で、モニタリングができるだけの知識と経験が自治体に蓄積されないといった問題があると考えています。

 我が党は、今申し上げたコンセッション方式に関する規定に問題があることから、それを導入した自治体に対し、旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金を免除することを盛り込んでいるPFI法改正案にも反対しました。

 コンセッション方式に関する規定は政府提出法案から削除すべきであり、野党提出の修正案に賛成です。

 重大な問題を抱えているコンセッション方式に関する規定が削除されないのであれば、政府案に反対をしたいと思います。

 水は命の源であり、水道は命と生活を支える重要な基盤です。国民民主党は、生活者の立場から、命と生活を支える水の安全、安心を守っていく所存であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、水道法改正案に反対の討論を行います。

 水道事業は、あまねく国民に安全、安心、安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものと言えます。私たちにとって望ましい水道とは、水質基準に適合した水が、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、持続的に受け取ることが可能な水道であると新水道ビジョンはうたっています。しかしながら、水道事業の現状は、全ての管路を更新するのに百三十年もかかる老朽化、四割に満たない耐震化適合率、小規模で経営基盤が脆弱など、憂慮すべき状況となっています。

 大阪北部地震は、改めてライフラインの重要性ともろさが浮き彫りとなりました。与党は、これを法案成立を急ぐ口実にしていますが、本法案が課題の解決にならないばかりか、むしろ、法案成立後ならどうなっていたかを真剣に考えるべきです。昨年の通常国会から継続審議となっていた本法案は、会期末ぎりぎりの、参議院の成立が危ぶまれるタイミングに済ませてしまうようなものではありません。海外で進んでいる再公営化の動きの調査や参考人質疑を行うなど、十分な時間をかけて審議をするべきでした。

 以下、反対する理由を述べます。

 第一は、押しつけというべき広域化の推進です。

 我が党は、各市町村が自主的に広域化を図ることを否定するものではありませんが、本法案は、国が経営基盤強化のために広域化を含む基本方針を策定し、都道府県は基本方針に沿って基盤強化計画を策定し、広域化の推進役を担うことになります。しかし、先行する広域化計画では自己水源の放棄や余剰化したダム水の押しつけも問題となっており、結果として住民負担やサービスの後退を招きかねません。

 第二には、水道事業にPFIの一類型であるコンセッション方式を導入することです。

 水は国民共有の貴重な財産であり、安全、安心、安定的な水の供給は公の責任で行うべきです。利益優先の民間事業者の参入は、経営効率化の名のもとに、事業の安全性、安定性の後退につながり、料金値上げなどの住民負担増を招くことになります。水道事業にかかわる人員の深刻な後継者不足が問題になっています。厚労省は、コンセッションになっても、水道事業者である地方公共団体がモニタリングを行うから大丈夫と答える一方で、そのモニタリングは第三者機関に任せてもよいと明言しました。これでは、技術の継承ができず、人員の確保も含めた基盤の強化にならないことは明らかです。

 なお、立憲民主党、国民民主党提出の修正案は、コンセッション関連部分を削除するという点を評価し、賛成とします。

 以上、本法案に反対する主な理由を述べて、討論といたします。(拍手)

高鳥委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、水道法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、西村智奈美君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、本案に対し、橋本岳君外四名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。橋本岳君。

橋本委員 私は、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 水道の基盤強化においては、水道の高い公共性に鑑み、水が国民共有の貴重な財産であることを再認識しつつ、水が健全に循環し、そのもたらす恵沢を将来にわたり享受できることが確保されることを理念として、国、地方公共団体及び水道事業者等の相互の連携を深めること。

 二 大規模災害の発生に備え、管路の老朽化への対応及び耐震化の推進等水道施設の整備に万全を期すとともに、施設整備の体制を支える人員及び予算が十分に確保されるよう努めること。また、災害時における速やかな復旧を図るための組織体制、災害対応システム等が十分に整備・運用されるよう、必要な措置を講ずること。

 三 水道の基盤強化を図るために、水道事業に携わる人材の確保、技術の継承及び労働環境の改善が必要であることに鑑み、地方公共団体がこれらを実現するために必要な支援を行うこと。特に官民連携を行うに当たって、この点が重要となることを十分認識し、事業運営に支障を来すことのないよう、総合的な施策を講ずること。

 四 経営基盤が脆弱な小規模の水道事業者に対しては、水道の基盤強化の基本的かつ総合的な施策の推進において十分配慮するとともに、必要な支援を行うこと。

 五 水道施設運営権の設定については、水及び水道施設が国民共有の貴重な財産であることに鑑み、公共性及び持続性に十分留意したものとなるよう、地方公共団体において検討すべき事項の具体的な指針を本法施行までに明示すること。

 六 水道施設運営権の設定の許可に当たっては、地方公共団体においてその運営状況をモニタリングするための適切な体制が確保されているかについて厳格に審査を行うとともに、運営における公共性・公平性・公益性の確保を明確にするための具体的な指標等を示すこと。

 七 水道施設の維持管理、修繕及び計画的な更新が、地域の健康資本の基盤として極めて重要であることに鑑み、これらの措置が適切に行われるよう、必要な支援を含めた包括的水道事業システムの構築に努めること。

 八 水道の需給バランスの平準化を進める観点等から、水道スマートメーターを含む周辺機器の研究及び開発を促進するため、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


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