衆議院

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第4号 平成30年11月30日(金曜日)

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平成三十年十一月三十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      丹羽 秀樹君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    稲富 修二君

      岡本 充功君    白石 洋一君

      山井 和則君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           吉本 明子君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 社会保障制度改革に関する請願(穴見陽一君紹介)(第三七号)

 中小零細企業の社会保険料負担の軽減、国庫負担増に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四五号)

 同(藤野保史君紹介)(第四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四七号)

 同(宮本徹君紹介)(第四八号)

 同(本村伸子君紹介)(第四九号)

 七十五歳以上の医療費負担二倍化に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五七号)

 同(藤野保史君紹介)(第五八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五九号)

 同(宮本徹君紹介)(第六〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第六一号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(中谷元君紹介)(第一〇三号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇四号)

 同(大串博志君紹介)(第一〇五号)

 同(櫻井周君紹介)(第一〇六号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第一〇七号)

 同(矢上雅義君紹介)(第一〇八号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一三号)

 同(白石洋一君紹介)(第一一四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二四号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一四四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四八号)

同月三十日

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一六四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六五号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(中村喜四郎君紹介)(第一六六号)

 同(荒井聰君紹介)(第一七三号)

 同(青山雅幸君紹介)(第一九五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一九六号)

 同(生方幸夫君紹介)(第一九七号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一九八号)

 同(牧義夫君紹介)(第一九九号)

 同(池田真紀君紹介)(第二二三号)

 同(岡島一正君紹介)(第二二四号)

 同(青山大人君紹介)(第二五一号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第二五二号)

 同(山崎誠君紹介)(第二五三号)

 同(宮本徹君紹介)(第三〇四号)

 患者負担をふやさないことに関する請願(西岡秀子君紹介)(第一七一号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一七二号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二〇〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇二号)

 同(牧義夫君紹介)(第二〇三号)

 同(松田功君紹介)(第二〇四号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二二五号)

 同(関健一郎君紹介)(第二二六号)

 同(古川元久君紹介)(第二二七号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二二八号)

 同(青山大人君紹介)(第二五四号)

 同(大西健介君紹介)(第三〇五号)

 七十五歳以上の医療費負担二倍化に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第三〇〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三〇一号)

 同(宮本徹君紹介)(第三〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官福田正信君、子ども・子育て本部審議官川又竹男君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、厚生労働省医政局長吉田学君、健康局長宇都宮啓君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、労働基準局長坂口卓君、職業安定局長土屋喜久君、子ども家庭局長浜谷浩樹君、社会・援護局長谷内繁君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、老健局長大島一博君、保険局長樽見英樹君、人材開発統括官吉本明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 朝一番最初の質問となります。大臣、皆様におかれましては、参議院の方で水道法もやっておりますのでお疲れのことだと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まずは、今週、あり得ない強行な日程で入管法の一部改正法案が衆議院を通過いたしました。私たちとしては、厚労分野とも非常にかかわるということで連合審査をお願いしておりましたけれども、それがかなわなかったということについては強く抗議を申し上げたいと思います。

 そして、これにかかわることで、まずは最初質問させていただきたいと思うんですが、何度も取り上げて恐縮なんですが、国民健康保険の不正受給にかかわる件について、ちょっと一点だけ確認をしておきたいと思います。

 皆様のお手元の資料の一ページ目に、前回、私が質問したときに要求した資料をいただきました。これですね、不正事案として確定しているものがあるのか、あれば出してほしいということでお願いをさせていただいたら、出てきた資料であります。

 ここに書かれてあることは、国民健康保険のレセプト全数調査において、可能性の残る事例が、これは一千五百万件中二件、〇・〇〇〇〇一%。そして、確認がとれないものは一千五百万件中五件。さらに、不正事案として確定したものではないということが、ここで書かれております。

 しかし、十一月七日の参議院の予算委員会で、安倍総理がこのようにおっしゃっているんですね。「その点については、今まで既にそういう問題が指摘をされてきました。おっしゃった、御指摘されたように、高額療養費制度というのを、ある意味、我々の想定、本来そうあるべきだという形以外の形で使って、我が国に来て直ちにそれを使われる方が実際におられたということで、」と、実際おられたというふうになっております。

 高額療養制度を、本来そうあるべきだという形以外の形で使って、我が国に来て直ちにそれを使われる方が実際おられたと総理はおっしゃっておられます。この原稿は、つまり、これは誰が確かめたんでしょう。厚労省は、このように、確定はできないというふうにおっしゃっているわけですよね。ということは、総理がおっしゃっているのは、これは独自の調査をされたということになるんでしょうか。それとも、厚生労働省がこの原稿を書かれたんでしょうか。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、厚生労働省の調査で確定できなかったものを、どうして総理がこのようにおっしゃっておられるのかということについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

根本国務大臣 御指摘の調査は、昨年三月に、全市町村の一年分の国民健康保険のレセプトを対象として、外国人の国民健康保険の利用状況について調査を行ったものであります。その結果、国民健康保険の資格取得から六カ月以内に高額な医療を受けていた方が十九名いたことが把握できたものであります。

 外国人の医療保険の利用については、来日してすぐの留学生が高額な医療を受けたり、入学翌日に入院したりするなどの報道もなされているところであります。このようなことを含めて総理は御発言されたのではないかと考えています。

尾辻委員 報道ベースといいますけれども、ちゃんと、実際おられたというふうに答えておられるんですね。正直言って、厚生労働省の調査とはそごが生まれているということで、これは総理の、本当は答弁の訂正が必要だと思うんです。

 大臣にお願いなんですけれども、厚生労働省の調査では不正事案は見つからなかったということを安倍総理に伝えていただけないでしょうか。簡潔にお願いいたします。

根本国務大臣 この国民保険の不適正利用に係るレセプト調査について、厚労省からも資料を提出しておりますけれども、これについては、国会でもこの状況については答弁をしております。

 そして、総理の答弁は、「高額療養費制度というのを、ある意味、我々の想定、本来そうあるべきだという形以外の形で使って、」まあ、ここなんだと思うんですけれども、「我が国に来て直ちにそれを使われる方が実際におられた」。これは、そういう報道がありましたから、恐らくそれを念頭に発言されたのではないかと私は思います。

尾辻委員 総理に厚生労働省の調査を伝えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 これは、この辺については国会でも答弁しておりますから、私も。だから、総理はこれを把握しております、この調査の結果については。

尾辻委員 ぜひ伝えていただきたいと思います。

 私は、本来、これは訂正が必要だと思っているんですね。これは、どういうメッセージを発するかという問題だと思っているんです。

 これから、新たに五年間で、特定技能の方が二十六万人から三十五万人も日本に来ていただいて働いてもらおうとおっしゃっている政府が、まるで医療のただ乗りをしているというふうなイメージを発信しているように私は思えてならないんですね。本当に来てほしいのか、来てほしくないのか、よくわからないと思っているんです。労働者ですから、ずっと元気に働いていただきたいですけれども、けがも病気もされます、人間ですから。

 ですので、ここで更に申し上げたいのは、こういう不正受給案件の話を殊さら大きく取り上げることはやめていただきたいと思います。これは偏見や差別を助長する、そういうことになりますので、ここはしっかりお願いをしたいと思います。

 さらに、報道ベースで、今、出てきたことの確認です。

 病院受診の際に、これから、成り済まし防止策として、政府内では、受診時に顔写真つきの在留カードの提示を求めることが防止策の選択肢となっているというふうに報道されています。このような検討をされているかどうか、お答えください。

根本国務大臣 いわゆる成り済ましによって不正に保険診療を受ける行為に対しては、厳正に対処するとともに、未然に防ぐ取組もあわせて実施していくことが必要であります。

 まず、前段の問いについては、そういう方針を固めたという事実はありません。その上で今申し上げました。

 そして、このような問題意識のもとで、本年五月から七月にかけて、外国人の診療が多い医療機関に対するヒアリングを行いました。行ったところ、例えば、外国人が多く受診する医療機関では、日本人、外国人を問わず国籍を確認した上で、外国人の方には、入管法の携帯義務を前提として、在留カードなどの提示を求めるという取組を行っているということでありました。

 この問題は、成り済ましという問題は、国籍を問わず生じ得る問題でありますので、その点にも留意しながら、どのような対応が可能か、与党での議論も踏まえながら、対応を検討していきたいと思っております。

尾辻委員 今大臣もおっしゃったように、外国人の方に限った措置にしたら、これは平等原則に反します。同じように保険料を払っておられる方ですから、外国人の方だけ何かを見せる、日本人は要らないということになりませんし、じゃ、日本の方にも出してもらうということになると、顔写真つきというと運転免許証とかマイナンバーカードとかいうことになりまして、これは誰でも持っているわけではありません。マイナンバーカードの普及率も一二%なんですね。運転免許証を持っている方も限られているわけですから、これは慎重にしていただきたいと思います。

 要は、医療アクセスできる、この権利をどうやって確保するのかという視点は非常に大事だと思うんです。それこそが厚生労働省は考えなきゃいけない視点だと思うんです。今でも外国の方は、医療制度がわからない、日本語のコミュニケーションが難しいということで、病院とか診察からやはり遠のいてしまう傾向があるんです。問題はそちらの方だと私は思います。

 さらに、前も申し上げましたけれども、働く人の多くは被用者保険に入るということですから、ちゃんと被用者保険に入っていただくように、事業主の方に働きかけていただきたいと思います。

 次に、特定技能一号、介護のことについてお聞きしていきたいと思います。

 介護で働く外国人の方の在留資格が、これで四つ目になるんですね。EPA、これは二〇〇八年から始まりました。そろそろ十年たちます。去年の九月から在留資格「介護」というのができました。そして、去年の十一月から技能実習で介護が入りました。そして、来年の四月からは、政府は、特定技能一号でも介護を入れようということになるわけです。これで、介護現場で働く外国人の方は五分類、つまり、配偶者とか、永住者等の配偶者もいられますので、日本人配偶者もいられますので、さまざまな在留許可を持つ方が介護現場で働くという、では、本当にこれで現場は大丈夫なのか、混乱しないのかというすごい心配があります。

 まず、去年の十一月から始まった技能実習のことについてお聞きしたいと思いますけれども、まず、現状、今何人来日されて、そして、今現場で働いておられるのは何人なのか。あわせて、今、技能実習二号まで行かれた方が、一号から二号に行かれた方もいるのかということについてお聞きしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、介護の技能実習は昨年の十一月から施行されておりまして、今手元にある最新の数字でございますと、ことしの十月三十一日現在の数字になりますけれども、介護職種の技能実習計画申請数は九百八十六件で、認定数は四百七十二件となっております。そのうち、速報値ではありますけれども、二百四十七人が入国されているというふうに承知しております。

 そのうち何人が実際にお働きになっているかは、ちょっと正確な数字はございませんけれども、今のところ、二百人程度の方が実際にお働きになっているのではないかというふうに考えております。

 また、先生がおっしゃいました、二号の、二年目の方にお進みになっておられる方はいるのかということでございますけれども、介護の技能実習で来られた方の、一番初めに来られた方はことしの七月一日ということでございますので、まだ二年目に進まれた方はいらっしゃいません。

尾辻委員 そういう現状で、たしか七月から、二名の方か何かが働かれたというような今状況なわけです。

 その技能実習の、実は日本語のレベルを変えるんじゃないかという報道がなされているんですね。本来は、N4で入ってきて、一年後にN3という日常会話ができるレベルになるということが条件。ただ、今回、それを、N3に到達しなくても在留する仕組みを検討するというふうに報道されています。

 これは実際にされるんでしょうか。そして、それはいつまでに結論が出るものなんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護分野の技能実習生につきましては、サービス提供に当たりまして、利用者の方、また、職員間でのコミュニケーションが求められますことから、他の職種と異なりまして、議員御指摘のとおり、日本語能力につきましては、入国時にN4、入国一年後までにN3の取得を求めることを、昨年九月に公布したところでございます。

 これを踏まえまして、ベトナム、フィリピン政府などで介護職種の送り出しに必要な国内制度を進めておられたんですけれども、政府間の意見交換の場におきまして、入国一年後にN3を取得できないという場合の帰国のリスクについて懸念が示されて、現在も両国からの円滑な送り出しは進んでいない状況でございます。

 政府としては、こうした状況を踏まえまして、先ほど議員がおっしゃいましたように、技能の移転による国際協力という技能実習制度の目的が果たされますよう、介護の技能実習生につきまして、入国一年後の日本語要件を満たさなかった場合にも、引き続き在留を可能とする仕組みにつきまして、介護の質にも配慮しつつ、時期を含めて検討を進めているところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、一番初めに来られた方々が七月一日ということでございますので、そういう方々が第二号技能実習に円滑に進むことができるように準備を進めているところでございます。

尾辻委員 介護現場で働くには日本語能力は必須です。ですから、国同士でうまくいかないからということで、いきなりゴールが変わる、基準が変わるというのは、これはいかがなものかと思うんですね。

 更に言うと、今お話しいただいたように、つまり、ほかの職種分野では技能実習から特定技能一号に移られるということになりますけれども、介護分野に至っては、来年四月一日時点で技能実習から移られる方はいないわけですよね。

 それで、五千人、一年目では受入れ見込みだという数字が出ているわけです。これは特定技能の話ですね、特定技能の一号の介護というのは一年目には五千人ですよということを厚労省はおっしゃっているわけです。それで、五年目までに五万から六万人受け入れますよということですから、これは確認ですけれども、では、特定技能一号の方は来年四月一日からは試験で全て受け入れる、こういう認識でよろしいでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員今御指摘のとおり、介護の特定技能一号におきましては、技能実習から移行することは一年目には想定しておりませんので、基本的には全て試験から来られるということを想定しております。

尾辻委員 では、四月一日から始まる特定技能一号で、五千人の試験は、一体いつ、どこで、どのようにされるのかを教えてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 試験につきましては、これから分野別の運用方針等で定めていくことになると思いますけれども、基本的には、国外で介護の技能及び日本語につきまして試験を行うということになるというふうに想定しております。

尾辻委員 だから、何カ国ぐらいでされるのかとか、どのように、実施主体はどうするのかとか、ちょっと、法務省さんが出しているところでも送り出しのイメージが実はないんですよ。だから、全然わからないんです。誰が判断するのかもわからないんですが、本当に一年目で五千人確保できるんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、初年度の五千人という数字でございますけれども、これにつきましては、いわゆる外国人を受け入れることができる施設のうち、一六%のところが希望しているということを踏まえまして、初年度はそのうちの四分の一程度が導入するということを前提に導き出したものでございまして、必ず五千人の方が確保できるかということではないという数字でございます。

尾辻委員 さらに、技能をどのようにはかるかなんですけれども、大臣が十一月六日の記者会見で、この特定技能一号の技能のレベルはということで、技能実習三年修了相当とお答えされていると思います。

 この特定技能一号が技能実習三年修了相当の技能だというのを、どういう試験ではかられるんでしょう。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今回の法務省の枠組み全体に共通するものでございますけれども、技能につきましては、技能実習三年を修了した者については、試験等を免除し、必要な技能水準を満たしているものとされているということでございますので、今議員が御指摘いただいたように、介護の技能につきましては、技能実習三年修了相当の介護技能が担保されるような試験を整備していきたいというふうに考えております。

尾辻委員 それがどういう試験かということを聞いておるんですけれども、ちょっとお答えがないようです。結局、そういう肝心なところが何も決まっていないんですね。

 あと、実務的なことを聞きますが、今、介護福祉士の資格というのは、実務経験三年ということが受験資格の一つとなっております。技能実習で三年、特定技能一号で三年働けば、これは介護福祉士の受験資格を得られるという理解でいいのかどうか、お聞かせください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生としての実務経験並びに特定技能一号としての実務経験につきましては、介護福祉士国家試験の受験資格であります三年間の実務経験として認められるということでございます。

尾辻委員 そうすると、例えば、技能実習でも特定技能でもいいですけれども、三年やって介護福祉士を取得した方は、在留資格「介護」につながるということでよろしいんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 現在、在留資格の「介護」でございますけれども、養成施設ルートだけ認められておるんですけれども、今回の平成二十九年十二月八日に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきまして、「介護分野における技能実習や留学中の資格外活動による三年以上の実務経験に加え、実務者研修を受講し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人に在留資格(介護)を認める」というふうにされているところでございます。

 したがいまして、特定技能一号による在留期間中若しくは技能実習による在留期間中に介護福祉士資格を取得した方につきましては、在留資格「介護」への移行が可能となるよう、今、法務省におきまして、必要な省令の改正について検討しているものと承知しております。

尾辻委員 こうやっていろいろな資格ができていくわけですけれども、介護現場に外国の方の力をかしていただくことになります。

 でも、そもそも忘れていただきたくないのは、介護の人手不足というのは一体なぜ起こっているのかというところなんですね。これは、仕事の負担に対して賃金が安過ぎる、低賃金である、ここがやはり私は根本原因だと思うんです。だから、幾ら外国の方に来ていただくといっても、ここの部分をちゃんと改めないといけないと思うんです。

 今回、報道では、この入管法改正法案、単純労働だ、単純労働が可能になるんだと言われています。大臣にお聞きしたいんですが、介護は単純労働でしょうか。

根本国務大臣 まず、単純労働という言葉、これはさまざまな文脈で用いられておって、一概にお答えすることは困難でありますが、今回の介護分野の受入れ、これについては、試験等により一定の専門性、技能を確認することとされております。

 具体的には、技能実習三年修了相当として、介護業務の基盤となる能力や考え方などに基づいて、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できる者を受け入れるという考え方ですから、単純労働者という言葉はいろいろな文脈で用いられておりますから、一概にお答えすることは困難ですが、今回の受入れの介護の中身は、この一定の専門性、技術性を持つ皆さんということになります。

尾辻委員 介護の仕事は専門職です。その人の最期の部分を、ずっと傍らにいることが許された専門職である。そして、その人の生活を支える専門職である。ここの部分をしっかりと押さえていただいて、今、介護現場の、一生懸命人手不足の中で働いている皆さんが大分混乱されています、自分たちの仕事は大事にされないんじゃないかと。ですから、しっかりと、介護の仕事は専門職であり、その待遇改善をまずしっかりやるんだということを、政府からも発信していただきたいと思います。

 最後に、もう一問だけやらせていただきます。あした、十二月一日は世界エイズデーでございます。ですので、ちょっとHIVについてお聞きしたいと思います。

 配付資料九ページ目でありますけれども、昨年の七月に、NPO法人のぷれいす東京、同じくNPO法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャパンのこの二団体が、当時の塩崎厚生労働大臣そして古屋副大臣宛てに要望書を出されております。副大臣には直接面会されて要望されておるその内容が、ここに書かれておりますとおり、HIVをめぐる医療の進歩に障害の認定基準が追いついていない、ですので、HIVに感染した方が障害者手帳をなかなか数値によってはとれないということがここに書かれています。ですので、障害者手帳の基準を変えてくれないかということを書いてあるわけですね。

 障害者手帳を持たなかったら三割実費負担ということになりますから、あるホームページでは、大体月七万円ぐらい薬代が必要だということが出たりしているんですね。

 実際に、この要望書の中のお困りの声の中でも、括弧四のところですけれども、例えば、「未服薬なので、半年に一度の検査となっていたため、通院の動機を保つのが難しく、通院中断してしまい、発症に至ってしまった。」とか、「他者への感染を防ぐ意味で服薬を早めに開始したいが、CD4が高いため手帳がとれず、それができない。」「B型肝炎があり、肝炎の状況からも治療を早期に開始したいが、手帳が取得できず治療がなかなか始められない。」こういった声があるわけです。

 やはり、九八年にこれは基準ができていますから、もう二十年たちました。このHIVの医療の進歩に障害認定基準をしっかり合わせるべきだと思います。認定基準の変更を検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 身体障害者手帳は、身体に一定以上の障害が永続する方に対して交付されまして、福祉サービスですとか、医療費の自己負担が医療保険制度よりも更に軽減される自立支援医療としての更生医療、こういったものの前提になるものでございます。

 身体障害者手帳の認定基準につきましては、視覚障害ですとか、ほかの、心臓とか腎臓とか肝臓とか、そういった各種の内部障害等の障害種別間のバランスを考慮しながら、医学的な観点からの身体機能の状態を基本としつつ、日常生活の制限の程度によって定められております。

 また、更生医療は、身体障害者手帳の交付を受けた方で、その障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる方を対象としておりまして、一定以上の障害が存在するということを前提としております。

 そういったことの上で、御指摘のように、HIVに感染された方について、感染ということをもって直ちに一定以上の障害が発生するわけではないわけでございますけれども、早期の治療ということを目的として広く身体障害者手帳を交付し、更生医療の対象とすべきかどうかということにつきましては、今ほど申し上げましたような、身体障害者手帳の趣旨ですとか、あるいは更生医療の目的というものに照らしながら慎重に検討する必要があるというふうに考えておりまして、引き続き、専門家の方々の意見を聞きながら、適切に対応していきたいと考えております。

尾辻委員 ぜひ検討を、慎重にとつきましたけれども、検討をいただきたいと思います。

 最後、一点だけ要望をやって。池田さん、一分下さいね、済みません。

 最後につけた梅毒のことについて、一言、要望だけしておきます。

 一月から、この添付の十一ページにあるんですけれども、届出が変わるんですね。そこで、性風俗産業の従事歴と性風俗産業の利用歴がここに入るということです。性風俗産業の従事者、利用者に対するスティグマ強化につながらないかということが非常に心配されます。これは新聞報道もされましたから、いわゆるこういう産業で働いていることが医療従事者に明かせない、明かしたくないということで、検査とか治療から一層遠ざかってしまうんじゃないか。ですので、ちょっとこういう届出のやり方というのは慎重に検討していただきたいということを要望しまして、また次のときにこれは質問させていただきたいと思います。

 きょう、全部質問できずに、待機していただいた方、申しわけありません。また次の機会に質問させていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 おはようございます。立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 二十一日に、障害者雇用に関しましての参考人質疑が行われました。今回の水増しについては、悪質、偽装、もう一度再検証をするべきだなどと、大変厳しい、そして真っ当な御批判、御指摘を受けたわけでございます。その参考人の全員から出た御意見は、一カ月という短期間で、しかも障害者、当事者の不在の政府の基本方針において、一気に障害者を雇用するなどという方針を立てたということに非常に問題があるという御意見を受けたと思います。

 この方針を見直すとか、検討をし直すとか、大臣の御見解を、御所見を伺いたいと思います。

根本国務大臣 障害者雇用促進法のもとで、国の行政機関も事業主として、障害者の雇用の確保や安定を図る責務を有しており、また、民間に率先して障害者を雇用すべき立場にあります。

 障害者雇用促進法においては、法定雇用率を達成していない公的機関、これは達成に向けた障害者採用計画をつくらなければならないとされております。計画期間は、関係法令により一年間とされていることから、まずはこれに沿って取組を開始しております。

 現在、現時点の進捗としては、各府省による個別の採用選考に加えて、人事院において障害者選考試験を実施することとしており、十二月三日から受験申込みの受け付けが開始されると承知をしております。

 また、厚生労働省としては、基本方針に基づいて、各府省の取組を支援するため、ハローワークの求職者、障害者就労支援機関の利用者、特別支援学校の卒業生などに対して、ハローワークと関係機関の連携により、きめ細やかな職業相談、職業紹介などのサービスを実施するとともに、十一月二十七日には、府省等への就職を希望する障害者など約三百人を対象に、業務内容等に関する説明会を開催したところであります。

 こうした取組を着実に進めるとともに、進捗状況や課題について関係閣僚会議などでフォローアップを行いながら、三十一年末までの法定雇用率達成に向けて、政府一体となって取り組んでいきたいと思います。

池田(真)委員 今は、全く変わらない、再検討しようがないという話だったと思います。

 そもそも、計画をつくらなければいけない、そのつくらなければいけないつくり方の問題があった。そして、基本方針に基づいてとおっしゃいましたが、その基本方針に基づいて水増しが行われていた要因については何の検証もなされていないし、改善もとられていないと思います。

 また、もう一つ、参考人質疑をせっかくしたのに、そのときに出た御意見というのは、民間で長年努力をされて戦力として担っていただいている人材を公的な部門にとられるのではないかというような懸念をされていることへの対策といったものを、全く今聞くことができませんでした。非常にこのことは問題だと思っています。

 いま一度、参考人質疑が行われた際にありました、検証の見直しですとか、当事者を入れた方針についても、再検討をしていただくことを強くお願いを申し上げたいと思います。

 引き続きまして、障害者の雇用につきまして、サービスについてお伺いをしたいと思います。

 就労と福祉支援の融合を求める声というのがありました。私も現場で、非常にこの間疑問に思っていたところであります。社会参加だとか就労の義務といろいろ言っておきながら、なぜそこに使えないのか。そのことで断念をする方々がたくさんいらっしゃる中で、今回を機にぜひ、大きく一歩を踏み出せる機会にしていただきたいという思いから質問をさせていただきたいのですが、今、現行のサービスの中で、重度訪問介護、そして行動援護、あるいは同行援護については、通勤等について、営業活動の経済等に係る外出、通年かつ長期にわたる外出等は除くというふうにされて、該当はされていません。

 ここについての問題は、厚労省の資料ではございますけれども、個別給付については、障害者の社会参加の促進、地域での障害者の自立した生活を支える上で重要であるが、あるがなんですね、これらの制度の趣旨や人員、財源の制約などからこれらが対象外とされているという言いわけになっているんです。

 書面できちっとこれはホームページで公開されているんですが、この人員や財源などの制約からということが、まずこれは、政府といいますか政治の力で政策決定をすれば、一歩踏み出せるものだというふうに私は思っています。

 ぜひ諸外国のことも検討していただいて、手帳がイコールではないとか、雇用率の算定の際の障害者の定義です、対象者についての検討だとか、あるいは、公的な部門におけるペナルティーや委託事業の見直し、さらには、日本の中でも、二〇一〇年の三月に、行政独立法人の機構の方での調査がありますけれども、障害者を雇用するに当たってどういう懸念とか負担がありますかというようなアンケート調査の結果では、金銭的な負担感よりも、ハード面、バリアフリーなどの物理的な環境改善に対しての負担が非常に大きいということで、これらが五七%、四五%という形で上回っています。要するに、企業側では、障害者を排除しようなんということは全く思っていない企業がたくさんいらっしゃる。でも、こういう財政措置によって、これらは、企業での就労といったものも可能になるというふうに数字があらわしているものだと思います。

 再度、この障害者雇用については、今の障害者、当事者不在のまま立てられた拙速な方針ではなくて、いま一度改めてこれは検討し直すことを求めて、今回、この件についての質問は終わらせていただきます。引き続き、検証は行っていきたいというふうに思います。

 そして、障害者介護サービス、引き続きますが、今度は、医療の関係になります、医療と介護。

 平成二十四年の四月から、ヘルパーによるたんの吸引、経管栄養の実施ができるようになりました。これは本当に、長年の当事者運動とか御家族等の運動があって、一歩一歩、そしてその声に真に厚労省が向き合ってきた結果の歩みだと私も思っています。

 しかし、ここにおいても、私も、ちょっとまだいま一歩、疑問があります。それは、まず、基礎研修をやってから実地研修になるんですが、その実地研修を終えてから都道府県の方に申告をして、その後に認定証が発行されます、交付をされます。その認定証が届くまでの期間といったものは、事務処理要領とかそういったものも見ても、どこにも今記されていないんです。都道府県ばらばらだと思います。

 まず、この期間といったものがどのぐらいなものなのか、そして、申請をしてから、要は、実地研修を終えた、その証明書をもらった方が認定証をもらうというところにおいて、却下やあるいは取下げなどの割合、あるいは認定率について、どのようになっているか、お伺いをさせてください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 喀たん吸引等の研修修了につきまして、実地研修から認定までにかかる期間ですとか、あるいは却下や取下げの割合、あるいは認定率の状況につきましては、私どもは承知しておりませんが、認定の交付手続といいますのは各都道府県の方が行う事務でございますので、適時適切に対応されているものと承知いたしております。

池田(真)委員 認定されているかどうかの率とかも承知しておりませんというのは、初年度でもありませんので、非常に無責任かと思います。

 それは、三種類、今、そもそも認定するに当たっていろいろな要件がありますから、これは見直さなければいけない時期にも差しかかってきているかと思います。さらには、人材の育成も行わなければいけない中で、制度の見直しの時期にかかっていますから、これはぜひ把握をしていただきたいと思います。

 私は、きょうは、そのことではなくて、実際に喀たん吸引等が必要な方々、二十四時間三百六十五日、必要なわけです。現行の制度に入る前は、いろいろな介護人派遣事業等で何とか乗り切ってきたというような現実もありますが、今そういうわけにはいかないということですので、実地研修の後、認定証を交付されるまでの間に支援ができない、援助ができないということで、非常に苦慮しているケースがあります。これは命の問題でありますし、また、家族のレスパイトについては、早急に必要なケースというのも本当に多々あるわけであります。

 もちろん、全ての人がというわけではありませんけれども、実地研修が終わった時点で、かつ、利用者が申請がある場合といいますか、真に必要な場合に、限定的にみなし認定のような柔軟な対応ができるように見直してほしいというふうには思っています。大臣にこれは見解をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 介護職員などが行う喀たん吸引等については、利用者に対して安心、安全性の担保を図る観点から、認定証の発行前に行うことを認めるのは困難であります。

 厚生労働省としては、研修修了者が円滑に業務に従事できるように、今後、迅速な認定の交付手続に関して、全国会議において周知するなどの対応を検討していきたいと思います。

池田(真)委員 今大臣が、円滑に従事していただくようにとおっしゃいましたけれども、円滑に従事できていないんです。それが現実なんです。ですので、その穴埋めをきちんと検討していただきたいと思います。

 また、認定率についても、安全に、安心にとおっしゃいました。確実にできるようにということなので交付前にはできないということでしたけれども、だから私がさっき聞いたんですね。実地研修を終えてから、申請をしてから、手続の段階で交付できなかった人、却下というのはその時点でどのぐらいの割合があるのかということは、これは、根拠があるのであれば、今の答弁でも私も納得ができるかと思います。でも、その状況を把握をしていない中で、今の答弁は、私はとても理解ができません。

 ぜひ、まず実態把握をしていただくということ、そして、あわせて、そのデータをもとに再検証をお願いしたいと思います。現場は求められていますので、そのことは強く申し上げたいと思います。

 そしてまた、引き続き、今度は、障害者の福祉のサービスが、今介護サービスが続きますけれども、次は障害児童ですね、児童の介護サービスについて御質問をさせていただきたいと思います。

 きょうお配りしている資料の横向きの方になります。障害者福祉サービスの体系の重度訪問介護が、児童がございません。こちらの中でなぜないのかということで、理由を、端的に結構です、時代の、制度の変遷等はちょっと割愛していただいて結構ですので、現段階でなぜないのかということをお答えいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 重度の障害がありまして、常に介護を要する方に対するサービスといたしましては、ひとり暮らしをされているような方々もいらっしゃいますので、入浴ですとか排せつ、食事等の介護、調理や洗濯、掃除等の家事、あるいは長時間の見守り、さらには外出時における移動中の介護、そういったことを行う重度訪問介護というものがございます。

 一方、障害児でございますけれども、基本的には保護者とともに生活をしておりまして、障害児が居宅においてこのような長時間にわたる総合的なサービスを受ける必要は基本的にないだろうということで、サービスの対象とはなっておりません。

 なお、居宅におきまして短時間に集中して入浴ですとか排せつ、食事等の介護を行う居宅介護というサービスにつきましては、障害児も利用可能でございます。

池田(真)委員 居宅介護では足りないんですね。

 それで、今おっしゃいましたけれども、基本的には保護者と住んでいる。当然ですよね、子供さんですから。でも、保護者の方といいましても、子供は常時介護を必要とするわけです。二十四時間三百六十五日、必要なわけですね。そういう中で、この類型はないだろうとおっしゃいました。その思い込みをまず捨てていただきたいと思います。

 これはやはり、通所、入所介護が大前提だったという日本の制度の、福祉の歩みがあると思います。地域で暮らすんだというような障害者福祉の広がりといったもの、共生社会の実現というのが児童においてはまだまだこんなにおくれているということを物語っていると思います。

 ぜひ、現在の親御さんたちにお話を聞いていただきたいと思います。私も現場で、重度の障害児のお子さんたちが二人、結構いらっしゃいます。行動援護、あるいは重心のお子さんたち、たくさんいらっしゃいますので、そういう方たちや、レスパイトの意味も含めて、とりわけ入院等のときの要望も強くございますので、これらについては、再度、時代に見合う、共生社会に向かって地域社会でみんなで暮らすんだということをぜひ意識をしていただいて、思い込みを捨てて、実態調査に取り組んでいただき、今後の見直しに反映をしていただきたいと思います。これはお願いでございます。

 障害者福祉サービスについては、通学等の問題もありますが、自治体で非常に工夫をされて、御努力をされて、国の制度ではできないところを自治体が工夫して担っているという現実もありますので、その自治体の利用実績、取組を逆に国の施策に反映させていくということも必要かと思います。それもあわせてお願いをしたいと思います。

 そして、次の質問は生活保護になります。資料はありません。

 十月一日から、学習支援費の申請状況ですね。私も、事務手続については、質問、要りません。生活保護の実施要領とか、全国の係長会議等の資料、私も全部拝見をしておりますので、書きっぷりについては異議もある箇所もたくさんありますけれども、とりあえずの確認でございます。

 今現在の中で、もう周知の時期ではありませんから、申請状況の実績について把握をされているのかどうか、あるいは、把握をされているのであればどういう状況かをお伺いしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 生活保護受給世帯の子供の学習支援費につきましては、ことしの十月一日から、クラブ活動にかかる費用を支給対象として、活動の状況に応じて実費を支給しているということでございます。

 議員御質問の支給実績を把握しているのかどうかということでございますけれども、まだ支給実績につきましては把握はしておりませんけれども、実際、詳細に把握するには個々の対象者ごとに調査を行う必要がありますので、地方自治体の事務負担を考慮する必要があることから、まずは調査の内容や手続について検討していきたいというふうに考えております。

池田(真)委員 実施機関の事務負担のためにとおっしゃいましたけれども、それであれば、もっと早くQAを作成するとか、詳細の実施要領等を作成する必要があると思います。今、現場では、走ってしまってから大変な目に遭っているかと思います。だから、調査ということの負担とおっしゃったと思うんですけれども、実際に行っていく機関としては大変、あえて聞きましたけれども、負担をかけていると思います。

 そういう中で、今度は大学の給付等もありますから、詳細に、大丈夫ですかというようなことを考えていただくのと同様に、通常だと、一カ月単位の一時扶助等の申請で毎月の給付というようなことになりますと、二カ月を超えてというのは給付はできませんよね、さかのぼるのはできたとしても、返還はできますけれども、支給を遡及することはできませんので、一年間という単位で、あるいは年度というような単位で、初年度でございますから、後になっても、レシート等出てきたり、あるいは状況を把握した上でこれらはしっかりと給付を、最低生活基準を下回ることのないように給付をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 さて、もう一点の、まだ、十月一日施行ではございませんが、もう一つの方の見直しになります。今現在、社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会、十一月五日に第一回が開催をされたと思います。こちらについて、第二回がこの後ということですけれども、検討会、年をまたがって、これからこれからということではございますが、この一つ一つの検討会の中で私たちが参加していくのはなかなか難しいので、この段階でちょっとお伺いをしたいと思います。

 私は、現場の中からちょっと今懸念をしているところが、この基準で今問われていることであります。入所定員が二人以上十人未満の小規模の巡回型グループホームのような無料低額宿泊所が、この社会福祉住居施設から排除されるのではないかというような懸念を持っている状況でございます。一気に施設等を環境整備はできないと思いますし、また、大型化ということで本当にいいのかという検証も行わなければいけないと思います。ですので、今回のこの検討会によって一気に、規制といいますか、基準が大きく変わってしまうのではないかという懸念があります。

 この基準は、前回と、そして次回、十二月の二回目のあたりで決まるのではないかなと推測をしていますので、ぜひ、現段階でも結構でございますので、そういう懸念があるかどうか、可能性があるかどうか、それは排除していく予定ですみたいなこともあれば、お答えいただければと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘になりました社会福祉住居施設の基準、また日常生活支援住居施設の認定要件でございますけれども、施行が再来年の四月でございますので、実際に事業を運営している事業者等の関係者の意見を十分に聴取した上で、制度設計の検討を進めることが必要というふうに考えております。

 議員が御指摘になられました検討会ですけれども、十一月五日より検討を開始したところでございます。今後、関係者の意見等を十分聴取しながら、鋭意検討を進めていきたい。今、検討を進めている状況でございます。

池田(真)委員 十分意見を聴取していただきたいと同時に、関係者とおっしゃいましたが、関係者だけでは私は不十分だと思っています。

 と申しますのも、検討会に入っているのはごくごく限られた状況でありますけれども、もっと言えば、実施機関、現場はそこに合致しない方々が山ほどいるわけですよ。その人たちは今実際どうなっているのかということをまず厚労省としては把握するべきだと私は思います。

 一つのうまくいっている事例や施設、業者からモデルを進めていくのもいいかと、一つの案だとは思いますけれども、でも、そこに、型に当てはまらない実態が、都道府県というか、実施機関によって全く地域事情は異なりますので、今ある実態をまず把握をしていただきたいなというふうに思っています。

 あわせて、日常生活支援の住居施設という類型に私は若干違和感を持っているんですね。

 施設側が運営をする場合には、それは合致する、求められているニーズだと思いますが、実際には、施設にはいない、居宅だったり、札幌で火災がありましたけれども、あそこもここの、該当する無低ではありませんでした。いわゆる居宅において、単身では必要だ、支援が必要な方たちがたくさんいらっしゃる中で、担当のケースワーカーはそれに追いついていないです。まともに仕事をしている人でも、四カ月に一回、半年に一回、それがせいぜいの訪問です。これでは全く足りないわけですよね。こういった類型をするのであれば、施設型に付随をするのではなく、今どこにいてもそういう必要な方たちに支援ができる、要するに、昔から言われていた分業の部分になるかと思いますが、そういったものの検討も進めていく必要があるのではないか、施設に位置づけるのではなくてというふうに思います。

 一つ、例でございますけれども、私は、福祉事務所ではないんですが、民間になってから、平成二十四年と二十五年度に、東日本大震災の被保護受給者生活再建事業、厚労省の事業から都道府県に委託をされて、都道府県からとある専門職団体に委託をされ受託をしたといったものを、私、担わせていただいたことがございます。それは、北海道全部、百七十九市町村を私一人でコーディネートいたしました。

 どこにいらっしゃるかわからないところに、一つの事業所にお願いしていく、施設にお願いするということは困難であります。財源的にも困難であります。そういう中で行った方法は、全道各地に、いろんなところで仕事をしている専門職に登録をしていただいて、また、生活保護に関する、もちろん専門職ですから基礎知識はありますけれども、更にタイムリーな情報ですね、研修を行って、必要、発生したときに、私、インテーク、アセスメントを行ってつないでいく、仕事をしながら現場に入っていただくというようなことを行ってまいりました。

 予算とか一つの事業所に丸投げをするのではなくて、こういう流動的な、支援の回数もたくさん必要な方もいらっしゃいますので、非常にこういった、今までの事業の検証も行っていただいて、多様な類型でぜひ日常生活支援を行っていただきたいというふうに切に願っております。

 また、もう一点、スプリンクラーの設置の義務も検討されているようですが、そもそも、スプリンクラー、グループホームだとかファミリーホームだとかいろんなところで余り実施されていない、実効性のないもので、補助金等も行っていますけれども、全ては難しいと思います。その中で、さらには木造の物件が多かったり、そういうような住居のところに必須というのはなかなか難しいのかなと思います。もっと言うと、札幌が原因だとおっしゃっていますけれども、でも、札幌のあの火災は、あそこにもしスプリンクラーがあっても、それ以前の問題かなと思っています、あの火災事故に関しては。ですので、これとスプリンクラーを要件に結びつけないでいただきたいと思います。

 もちろん、安全な住居をどう確保していくのか、これは、生活保護の方だけではなくて、年金生活の方や、低所得者の方や、今般話題になっている外国人の、これから入ってこられる技能実習生の方等の住居といったものをどう保障していくのかという住居政策の話だと思いますので、ここはちょっと懸念をしているところでありますので、ここも丁寧に検討、御審議をいただきたいというふうに思っています。

 持ち時間がなくなりましたが、最後、本当は介護現場のセクハラの問題を質問したかったんですが、これはまた改めて行っていきたいと思います。

 一点だけ申し上げますと、介護現場だけではなく家事援助も含めて全て、こういうケアワーカーのところの、特に居宅においてというところで調査が日本ではなされていません。ぜひ厚労省、今、実地調査に、実態調査に乗り出していただいて、今後の質問のときにぜひ質疑をさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、大臣、大臣所信で大臣がおっしゃったことに関して質問させていただきます。ホルモン採血、不妊治療のホルモン採血、そういったものを保険適用にするとか、それはあくまで一例なんですけれども、今後の不妊治療をどのように支えていくおつもりなのか。

 むやみやたらに保険適用に、もちろんすればいいというわけではないですね。それに便乗して収益を上げようとする医療機関だって、当然出てきてしまいますから。そういった中で、しかし、患者目線で保険適用を含めた支援は必要だと思うんですが、ここの点に関してもう一度しっかりと大臣に確認させていただきたいんですが、大臣のお考えになる不妊治療に対する支援、大臣所信でおっしゃったことというのは具体的に何を意味するのか、御説明いただけますか。

根本国務大臣 不妊治療については、委員、御専門ですので。

 不妊治療については、他の疾病と同様に、治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性、安全性などが確立しているもの、これについては保険適用の対象としております。例えば、子宮、卵管の機能障害等に対する治療については保険適用されております。

 そういう観点で、不妊治療のうち、体外受精や顕微授精、そして委員御指摘の体外受精の際のホルモン採血などについては、保険適用外とされております。そして、保険適用については、不妊の原因となる疾病に対する治療と位置づけられるかという課題があると考えています。

 他方、一方で、保険適用となる一般的な不妊検査を行った結果、治療が可能な疾病が明確となって、当該治療を行ってもなお不妊に悩む方や、治療の方法が明確にならなかった方などの経済的負担の軽減を図るために、高度な治療費がかかる体外受精や顕微授精について、平成十六年からその費用の一部を助成しております。

 そして、さらなる支援ということですが、平成三十一年度概算要求では、夫婦ともに不妊治療が必要な場合の経済的負担を軽減するために、男性不妊の初回治療にかかる助成を拡充するための費用を計上しているところであって、引き続き、子供を持ちたいと願う夫婦への支援に資する取組を推進していきたいと思います。

吉田委員 大臣、昨日、レクのときに、現状、実際、厚生労働省は助成を削っちゃったわけですよね、一旦、四十三歳以上は全部切ってしまって。だから、私がお答えをきょういただきたいと言ったのは、今からやることだけだったはずなんです。

 だから、さっき男性不妊のことをおっしゃいましたが、それだけですか。昨日私も丁寧に説明をしておいたはずですが、今からやっていくこと。今までのことというのはもうみんな周知のことですから、大臣が所信でおっしゃったように、これから大臣がやっていくことに関してしっかりと御答弁をいただきたいんです。余計なことは要らないので、そこだけ。男性不妊の初回の受診のところだけですか。ほかはやらないんですか。

根本国務大臣 今、三十一年度概算要求で新たに助成を拡充する内容について申し上げました。

 これからやることという意味では、現在の、不妊に悩む方への特定治療支援事業、この事業について、この事業については、採卵準備のための投薬開始から、卵子を取り出して体外受精又は顕微授精により精子と受精させ、受精胚を女性の体内に移植する一連の治療について助成するものでありますが、これについて、今、一回につき十五万、初回三十万となっていますけれども、男性が精子を精巣から採取するための手術を受けた場合、十五万円を上乗せして、初回に限り三十万円に増額するための経費を計上する。これは全体の助成回数は六回までですが、こういう新たな助成の拡充、これは三十一年度の概算要求でやっているということであります。

 委員が御指摘のように、子供を持ちたいと願う夫婦への支援に関する取組、引き続き推進していきたいと思います。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 ちょっとかみ合っていないですね。男性のことはわかりましたと、さっき申し上げた。今るる御説明いただいたのは、男性不妊のことを再度おっしゃっただけであって、だから、女性、性としての女性に対しての不妊、やらないのかと聞いたんですが、ちょっと大臣、またここはしっかりと、具体的な施策をまた聞きますから、具体的な施策をちょっとよくよく御開陳いただければ。男性の不妊の、それもいいと思います。大事だと思いますが、やはり、それだけでは、もちろん、大臣が所信であれだけ力強くおっしゃったからには足りないですから、しっかりそこをやってください。

 では、次の議題に移ります。

 コンタクトレンズのことをちょっと聞かせてください。

 大手コンタクトレンズメーカーが、今、通信販売を始めました。そこで、実に多くの患者さんがコンタクトレンズを眼科に受診せずに買うようになってきたわけです。

 一般社団法人日本コンタクトレンズ協会が、ことしの一月に、比較的コンタクトレンズ利用者の多い女性を対象に実施した調査だと、コンタクトレンズ購入者のうち、購入するたびに眼科を受診している方は四四%、そして、カラーコンタクト使用者の眼科受診率に至っては、わずか一六%であることが明らかになっています、大臣。

 コンタクトレンズの販売に関しては、厚生労働省は、平成二十四年以降、重ねて通知を出しています。コンタクトレンズを購入しようとする者に対してコンタクトレンズの適正な使用方法を十分に説明することや、購入時に医療機関の受診勧奨を行う等について、周知徹底してきましたよね。平成二十九年九月に発出された通知だと、小売販売業者の販売に際しては、購入者に対して、医療機関の受診の必要性及び医師の指示に従って使用することを明確に伝達するとともに、処方箋不要、検査不要等をうたって、医療機関の受診が不要であると誤認させるような販売行為は不適切であると明記されているものと承知しています。

 しかし、どうでしょう、大臣。実際、インターネットを検索すると、多くの通販業者が処方箋不要等を売り文句にしています。この現状を、大臣、どのようにお考えになりますか。

根本国務大臣 コンタクトレンズは、購入者が安全に使用いただけるように、眼科医の指示のもとに適切に使用することが最も大切であると考えています。

 今委員がもう既に御紹介されたように、厚生労働省としても、コンタクトレンズの製造販売業者、販売業者に対して、購入者への受診勧奨に加えて、コンタクトレンズの適正な使用方法や不適切な使用による障害のリスクについての情報提供の徹底を求めておりまして、累次の通知を発出しております。

 また、都道府県などが行う監視指導においても、販売業者に対してこれらの徹底を指導しております。

吉田委員 大臣、それは私がもうお話ししたことであります。

 そうじゃなくて、大臣に聞きたいのは、そう大臣が、厚生労働省が頑張ってくださっていても、インターネットを検索すると、多くの通販業者が処方箋不要等を売り文句にして売っている現状をどう考えるかということを端的におっしゃってほしいんです。

根本国務大臣 コンタクトレンズの不適切な使用によって目の障害などが発生しますから、だから、これは私は非常に問題だと思います。

吉田委員 そうですね。大臣、けしからんと大臣は思われるわけですね。

 そうすると、こういった通知に違反する通販業者に、例えばメーカーに商品を納入しないような指導をするとか、そういった対応もやはり根本的にしないとこの問題は解決できないと思うんですが、大臣は、その点、どう考えられますか。

根本国務大臣 販売そのものを規制することも重要だと思いますが、コンタクトレンズの購入者に適切に使用していただくことが最も重要だろうと思います。ですから、まずは、購入者に対する適正使用の情報提供の徹底に注力すべきだと考えています。

 このため、先ほど申し上げましたけれども、販売業者に対して都道府県などが監視指導を行っておりますが、特に、今年度は、コンタクトレンズの適正使用に関する購入者への情報提供の状況を重点監視の対象としております。

 この監視指導の結果については、都道府県から報告を求めているところであり、御指摘のインターネット販売も含めて、コンタクトレンズの使用に関する実態調査も予定しております。

 これらの結果を踏まえて、さらなる適正使用の推進策を検討し、消費者に対する適切な情報提供の徹底を販売業者に対してより強く求めることができないか、検討していきたいと思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 大臣、しっかりとやはり、実は、六年前にも私は似た内容の質問をさせていただいているんですけれども、状況は、実は大臣、悪化をずっとし続けている状況なんです。だから、私はさっき、メーカー側にも指導が必要じゃないか、販売業者に対する指導、そして購入者に対する指導もそうなんですが、メーカー側に対する指導も必要なんじゃないかなと私は思うんですが、大臣、メーカー側に対する指導ということに関しては、大臣はいかにお考えになられますか。

根本国務大臣 先ほども、コンタクトレンズの製造販売業者そして販売業者に対して、累次の通知を発出しております。要は、販売そのものを規制する、そういうことも重要でありますが、当然、製造業者に対しても、累次の、発出していますから、指導するようにと。やはりコンタクトレンズの購入者に適切に使用していただくことが最も重要だと思います。まずは、購入者に対する適正使用の情報提供の徹底に注力すべきだと考えております。あとは、先ほど私が申し上げたとおり、引き続き、対策について検討していきたいと思います。

吉田委員 大臣、ありがとうございます、しっかり御答弁いただきまして。

 本当にそのようにやらないと、やはり高度医療機器なんですね、高度管理医療機器のクラス3に一応コンタクトレンズは入っていますので、例えば、水道で洗ったりして保存なんかするとアカントアメーバとか感染したり、本当にいろいろな感染を起こしますし、若い方の将来の健康、感覚器、目の健康を奪ってしまうことにもなりかねないので、ぜひそこは今後も注力をしていただきたい。また、角膜内皮細胞というのも、不適切な使用で減ります。これは二度と、一旦減るともう戻らない細胞ですので、そういったところに関してもやはり配慮いただきたいと思います。

 では、ちょっと時間がなくなってきましたので、死体解剖保存法とか、あと標本の解釈というところをちょっとお聞きしたいと思います。

 大臣にお尋ねしますが、一般に、臓器から組織の小部分を切り取り、作製して、ヘマトキシリン・エオジン染色、免疫組織染色、インサイチュハイブリダイゼーションに用いたプレパラートや、臓器の組織から抽出したたんぱく質、DNA、RNA等は、死体解剖保存法に言う標本に該当するのか、お聞かせください。

根本国務大臣 委員御指摘の死体解剖保存法に言う標本、この標本とは、保存するに当たって、原則として遺族の承諾が求められている死体の全部又は一部を指して、その趣旨は、死体の尊厳に関する遺族等の感情を保護することにあるということになります。

 そして、ここに言う標本というのは、死体の全部又は一部をホルマリンに漬けるなどして長期間保存するような、遺族等の感情を保護する必要のあるものを指すのであって、これは死体解剖保存法の解釈ですけれども、一般に、臓器から組織の小部分を切り取って顕微鏡で観察をするために作製したプレパラートは、死体解剖保存法に言う標本には該当しないと解されるものと考えています。

吉田委員 委員長も科学者でいらっしゃいますけれども、これは結構大事なポイントだったんです、実は。

 日本というのは今まで、組織を使った研究というのが非常に欧米に比べるとおくれていまして、論文を見ても、なかなか、実際に人体の一部を使った標本なりを、標本というか、プレパラート等を用いた論文のいわゆる図ですね、フィギュア、そういうものが非常に希少というか、ほとんど、委員長、ないですよね、はっきり言って。そういった特徴があると私は認識しております。

 そうすると、大臣、例えば、生前に本人の了解が得られており、その他の倫理的な部分を含む諸事情が整っている場合や、御家族がその提供を希望され、その他の倫理的な部分を含む諸条件が整っている場合において、御遺体の一部をヘマトキシリン・エオジン染色、免疫組織染色、インサイチュハイブリダイゼーション用の切片にしたり、また同様に、御遺体の一部からたんぱく質、DNA、RNA等を抽出して研究等に用いることは問題がないのか、確認をさせてください。

吉田政府参考人 若干、技術的な点について御答弁申し上げたいと思います。

 先ほど大臣からお話ございましたように、今委員が一連御質問いただきました死体解剖保存法、つまり、これにつきましては、この法律に基づきまして、遺族の承認という要件をもってして使用というものが認められているという方向性になってございますが、先ほどの答弁にありましたように、今御指摘いただきましたものにつきましては、ここで言う標本に該当しないということですので、この法律が適用されるものではないというところでございます。

 もとより、一般に幅広く、組織、細胞の一部とおっしゃいましたものにつきましては、生命倫理の問題とか、再生医療の、どんどん技術が進歩しております中において、一定の、そのような観点からの規制というものがガイドラインなどで行われている部分がないわけではございませんが、一般論として申し上げれば、今御質問いただいたような文脈において、御指摘いただいたようなものについては、死体解剖保存法の適用がないというところで扱われるものと承知をしております。

吉田委員 回りくどい表現でしたけれども、要は、ガイドライン等というのは、私がさっき言った諸条件に当たると思いますので、そういうものが整っていれば研究等に資することができるという理解でいいですよね。

 大臣、きのう、私、懇切丁寧にこの話はしてあったので、細かく。大臣ちゃんと、いや、いいです、いいです。大臣、もうわかりました。大臣に明確な御答弁をいただきたいと私も思いまして、細かく言っておきました。大丈夫ですよ、よくわかりました。大臣も、御理解、大変にいただいていると思いますので、それで結構です。

 ちょっと、じゃ、もう少し、その類似の質問で、法医学人材の育成ということに関して、大臣にお伺いをしたいんです。

 現在、我が国において、例えば大学の法医学教室で働く法医解剖医というのは、全国で二百人以下だと言われています。また、法医学を希望する学生も少ないと報じられています。

 また、この少子高齢社会の先には、必然的に多死社会というものが訪れる可能性があるわけでありまして、死因究明の必要性、そういったものも高まる中で、法医学の重要性が高まっているわけです。ただ、大臣、一年に九千人以上、医者は誕生してくるわけですけれども、法医学者になるのというのは、大体二人とか三人だとも言われているわけですよね。実は、法医学者不在県というのももう現に存在しているわけです、大臣。

 この状況を鑑みるにつけて、厚生労働省としては、法医学者をふやす、ないしはその質ももちろん担保して増員していくためにはどうすればいいか、そして、何かやるおつもりがあるのかということを具体的に教えていただきたいんです。

根本国務大臣 法医解剖を担う人材を育成し、確保すること、これは私も、死因究明等の施策を推進していく上で重要だと思っております。

 文部科学省において、死因究明等に関する教育及び研究拠点の整備を推進するため、大学の取組を支援していると承知しておりまして、厚生労働省としても、死因究明等を担う人材の育成、確保に資するよう、医学部教育を所管する文部科学省と連携していきたいと思います。

吉田委員 ぜひ、これは頑張っていただきたい。

 委員長、もっとありていに言うと、やはり待遇とか給与とかも改善してあげないとなかなか法医学者はふえないと思います。

 どれくらい、本当、法医学者が少ないかって、やはり現場の医師はわかっているんです。例えば、岡本議員、大変優秀なドクターですけれども、岡本議員が今から法医学の道に進まれたら、すぐ教授になられるぐらい、やはり、それくらい、本当にそういうレベルで不足しているんです、人材が払底してしまっているので。

 大臣、ちょっと全国的に、やはり待遇改善とか、モチベーションを高めていく、そういったことを具体的にお考えいただかないとなかなか難しいかなと思うんですけれども、大臣、もう少し具体的に、法医学者を大事にする、国家の大事な、国家戦略の一つとして、死因究明等々に資する法医学者を大事にしていく施策、何か具体的に御開陳いただけるものはないでしょうか。

吉田政府参考人 まず事実関係として申し上げさせていただきますれば、今の法医の問題を始めとしまして、委員御指摘いただきました死因究明をきちっと行うことというのが大事であるというのは、政府全体としても認識してございます。

 その中で、今御指摘いただきました法医、法医学者に係る人材を育成するという観点につきましては、主に文部科学省の方で行われているということは先ほど大臣から申し上げたとおりでありますが、その上で、政府全体、その一員としての厚生労働省におきましても、死因究明全体を推進するという観点から、種々の問題について、実態も十分私ども聞かせていただきながら、関係省庁と連携をして進めさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

吉田委員 今、橋本議員からも大事な指摘がありましたけれども、大学だけに頼ってもこれは本当に難しいですし、大学は養成をしていく機関ですけれども、さっき私が言ったのは待遇面ですね。なかなか大変ですよ、法医学というのは、かなり、ちょっと今申し上げるのはなかなかつらいような御遺体を法医解剖、資するわけですから。待遇面もしっかりと、やはりやってあげないとなかなか難しいところがあるのではないかなと思います。ぜひ、次回またお伺いしますので、具体的な施策をもう少し御開陳、次回はしていただきたい。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後に、臓器移植提供者をふやしていく施策に関して、簡潔にお伺いしたいと思います。

 脳死移植はふえました。脳死と認定された方の移植自体はふえているんですが、臓器移植全体というのは、実は日本というのはずっとほとんどふえていないんですね。臓器移植、レシピエントとして待たれる方、ドナーになっていただく方、そういった状況、今の日本を鑑みると、やはり、臓器移植のドナーになっていただける方をふやしていく必要というのは当然あるのではないかなと思うんです。

 そこに関しては、さまざまな問題があって今の状況になっているとは存じ上げておりますが、日本における臓器移植を、やはり移植を待たれている患者さんのためにもふやしていく、そういった観点での施策に関して、大臣の御答弁を求めたいと思います。

根本国務大臣 委員御指摘のように、必要な方に臓器移植が行われるように、国民の皆さんの理解のさらなる推進と、医療機関が円滑に移植を実施できる体制の整備、私はこの二点が重要だと考えております。

 現在、臓器提供意思表示カードの配布や、中学生向けのパンフレットの作成、配布、教員向けのセミナーなどの普及啓発策を進めております。また、脳死判定の模擬実習など臓器摘出シミュレーションの実施や研修会の実施などを通じて、医療機関における臓器移植の体制の整備を進めております。

 今後、移植経験者やドナー家族を学校の授業に派遣して経験談を語っていただく新たな取組や、臓器提供事例が多い施設が経験の浅い施設と連携して円滑に移植を行う体制整備、これを実施すべく、平成三十一年度の概算要求に新たな関連予算を盛り込んだところであります。

 これからも国内での、委員御指摘のように臓器移植が円滑に推進されるように、関係学会とも連携して、引き続き必要な対策を進めてまいりたいと思います。

吉田委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、大臣、本当に、今御開陳いただいた政策をしっかりと力強く進めていただきまして、やはり、円滑な臓器移植、そして適切な臓器移植がなされるようにさらなる御努力をいただきますよう期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介です。

 きょうは時間が限られていますので、早速質問に入りたいというふうに思います。

 妊婦加算について、先日、参議院の予算委員会で我が党の櫻井充議員から質問をさせていただいて、これを受ける形かどうかわかりませんけれども、厚労省の方でも対象の見直し、運用の厳格化を図っていただくということで検討していただいていると聞いております。まず、このことについて大臣にお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 資料の二ページ目の記事にあるように、例えばコンタクトレンズをつくるために眼科を受診した場合、これはさすがに対象外にした方がいいんじゃないかとか、あるいは診察後の会計時に初めて妊婦だということを知ったみたいなものは、これもやはり外そうというようなことで検討しているということを聞いております。それはいいんですけれども、私、まだこの見直しでも不十分じゃないかなというふうに思っております。

 診察時に注意が必要というのは、例えば赤ちゃんが欲しくて、いわゆる妊活ということをされているとか、あるいは授乳時、これもやはり丁寧な診察が必要ですけれども、こういう部分には加算はつきません。それからまた、妊娠中であっても、薬局で薬を処方してもらった場合にも、これは加算はありません。

 そういうこともありますし、他方で、加算を避けるために、例えば妊娠していることを隠してというか、言わないで受診するみたいなこともあり得るんじゃないかということも思いますけれども、こうなると、これは本末転倒だというふうに思いますけれども、大臣、どうお考えになりますでしょうか。

根本国務大臣 妊婦の方の外来診療については、通常よりも慎重な対応や胎児への配慮が必要であることから、診療に積極的でない医療機関が存在していること、あるいは、日本産婦人科学会からの妊婦の外来診療に対する評価の新設の要望、これを踏まえて、丁寧な診療を評価する観点から妊婦加算を行いました。妊婦加算はそういう対応で講じたものであります。

 そして、妊婦加算の趣旨に反するような算定、これは適切でないと考えておりますので、例えばコンタクトレンズの処方のみの診療のように、患者が妊婦であるかどうかにかかわらず通常と同じ診療を提供する場合について、算定は不適切である旨を明確化していきたいと思っております。

 その意味では、妊娠していることを隠すことにつながらないように、当該加算の趣旨が妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするものであるということについて、丁寧な周知に努めていきたいと思っております。

大西(健)委員 時間がないので、ちょっとお願いしたいんですけれども。

 今回、見直しで、例えば診察後の会計時に妊婦であることを初めて知ったということだと、妊婦であることの丁寧な診察をしているわけではないので、それなら加算しませんよという、こういう見直しは私はいいと思うんですが、でも、そうすると、では加算されたくないから隠すみたいなことになったら、これは本末転倒じゃないですかということを聞いているんですけれども、もう一回、簡潔に。

根本国務大臣 不適切な例は、コンタクトレンズの話と、あとは診察の際に医師が妊婦であると判断せずに診察を行った場合、こういうものは不適切な事例ですから、しっかりとこれは明確化したいと思います。

 今の先生の御指摘ですが、やはりこれは、繰り返しになりますけれども、妊娠していることを隠すことにつながらないように、この加算の趣旨、これを、妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするものであるということについて丁寧な周知をして、そしてしっかりと理解をされるように、これから丁寧に周知の対応をしていきたいと思います。

大西(健)委員 確かに、妊婦さん側にもそういう正しい理解をしていただかなきゃいけないんですけれども、そういう点でいうと、資料の一をごらんいただきたいんですけれども、これは育児アプリ開発会社カラダノートというところが調査をされた結果ですけれども、妊婦加算を知っているは二六%。そもそも皆さん、知られていない。さらに、反対が六七%、賛成は何とわずか三%ですよ。こんなに賛成が少ない政策というのも珍しいと思いますけれども。

 胎児への影響に留意した医薬品の処方が必要だとか、あるいは合併症等も念頭に置いた丁寧な診察が必要になるということは私も理解をします。理解しますが、その費用を妊婦に負わせるのか、これが皆さんが反対している理由なんじゃないですか。

 それがそもそも私は間違いだと思うんです。妊娠中には、体調の変化が激しくなったり、あるいは不安になって病院に行く回数もふえたり、こういうふうなことが起こり得ます。その加算分の費用を妊婦さんに負担させる、ここが私はやはり根本的におかしくて、この点を見直さなきゃいけないと思うんですけれども、この部分はいかがでしょうか。

根本国務大臣 この点は、繰り返しになりますが、妊婦の方の外来診療について、通常よりも慎重な対応あるいは胎児への配慮が必要であるということで、丁寧な診療を評価する観点から妊婦加算を新設したものであります。

 やはり、大事なのは、当該加算の趣旨が妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするものである、こういうことについて丁寧な周知に努めてまいりたいと思います。

大西(健)委員 ちょっとなかなか御理解いただけないんですけれども、その配慮が必要なのは私も理解しているし、理解している人たちもいるんです。それでもなお、その費用をなぜ妊婦さんに負担させるんだということにみんな不満を持っているわけですよ。

 ですから、ネット上では事実上の妊婦税なんて言われていることでありますから、この点については、資料にもつけておきましたけれども、小泉自民党厚労部会長からも、おかしい、放置できないと言っていただいているということですので、与野党協力をして、少なくとも、いろいろなことがあっても赤ちゃんが欲しいといって子供を産もうという妊婦さんに対して、経済的な負担を負わせるんじゃなくて応援をしていく、そういう仕組みをぜひ与野党を超えてつくっていきたいと思いますので、引き続きの御検討をお願いいたしたいと思います。

 次に、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るための取組、風疹対策についてお聞きをしたいと思います。

 これについても、資料三にありますように、本委員会における議論も受けてだと思いますけれども、抗体を持っていない人が多い三十代から五十代の男性に対しても無料での接種を行うような検討を今、厚労省でしていただいているというふうに聞いています。これも私、感謝申し上げたいと思います。

 ただ、幾つか気になる点があるので確認したいと思うんです。

 まず、資料の三ページなんですけれども、上段のところで、これはNHKの報道なんですけれども、千葉県の船橋市の産婦人科医院が独自に調べたところによると、二千四百七十一人のうち、抗体が不十分だった妊婦さんが四三%に上ったということであります。年代、性別にもよりますけれども、厚労省がこれまで説明してきたのは、大体おおむね八〇%ぐらいみんな抗体があるんじゃないかということを説明してこられたんですけれども、かなり大きな開きがある。何でこんなことになっているのか、あるいは、大丈夫なのかなというふうに思うんですけれども、政府参考人の方から簡潔に御説明いただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました調査につきましては、民間団体が行ったものでございまして、その詳細につきまして、我々、承知してございません。

 なお、抗体が不十分だったというお話でございますが、この抗体価には程度というものがございまして、通常、抗体を十分に保有しているというのは、赤血球凝集抑制法で八倍以上の方のことをいいまして、抗体価が八倍あれば風疹の発症や重症化を予防できると考えられてございます。国立感染症研究所の調査によれば、二十代から四十代女性の九割以上は抗体価八倍以上を保有しているとされているところでございます。

 一方、より確実に風疹の予防を行うために、三十二倍以上の抗体価の保有が推奨される場合というのもございます。国立感染症研究所の同じ調査によれば、二十代から四十代女性の約八割はこの抗体価三十二倍以上を保有しているとされているところでございます。

大西(健)委員 今の御説明だと、必要な抗体価の程度の問題ということですけれども、やはり余り大きな開きがあるので、ちょっと確認をさせていただきました。

 次に、国は自治体を通して抗体検査を支援してきたということでありますが、果たしてその効果というのがちゃんと上がっているのかというのを、私、ちょっとどうなんだろうというふうに思っています。

 また、抗体検査をする費用というのは、ワクチン接種と同じぐらいの費用がかかる。抗体検査をした上で、またワクチン接種に行くということになると、費用もかさみますし、時間や手間もこれは余計にかかります。

 先日の質問で初鹿委員からもありましたけれども、三十代から五十代の男性というと、みんな忙しくて、病院に二回も行っていられないということであります。

 根本大臣は、二十七日の会見でも、現在行っている抗体検査に対する補助事業の対象の拡大、つまり抗体検査をしてその結果だから、こういう発言をされています。

 ですから、あくまで、まだ厚労省は、抗体検査して、そして抗体がなければ接種をということで、二段階を考えておられるようなんですけれども、抗体を持っていても接種を行うことは問題ないわけですから、二重にやると費用もかさむわけです、費用だけじゃなくて手間も時間もかかるわけですから、一回、接種でもう一本化した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 抗体価の低い方が多いとされる三十代から五十代の男性においても、抗体保有率は約八〇%でありますから、この八割の方は予防接種を受けなくとも感染予防に十分な免疫を保有していると考えられます。

 今、全国的な対策の早急な取りまとめに向けて、審議会で有識者の意見を伺いながら検討を進めておりますが、抗体のこういう保有率を勘案すれば、抗体検査と予防接種を組み合わせて対応することが適当だと思います。

 その意味では、まず抗体検査を行って、その上で抗体価の低い方に予防接種を受けていただくという体制を構築する、そして抗体価の低い方を減らしていく、これが経費面でも効率的であり、重要であると私は思います。

大西(健)委員 先ほどの千葉県の産婦人科医院のお話でも、やはり抗体価の程度もいろいろばらつきがあるわけですから、それだったら、もう思い切って、さっきから言っているように、二回病院に行けないですよ。行っている暇がないんですよ。だから、一回でやってしまった方が、私は、その部分の費用対効果という意味でも、これは接種に一本化すべきだというふうに思います。

 それから、抗体を持っていない人が多い三十代から五十代の男性を接種の対象に拡大して加えるということはいいことだと思うんですけれども、そうした場合に、MRワクチンが不足するおそれがあるんじゃないか。

 MRワクチンは、過去にも製薬メーカーの不祥事で不足したことがあります。また、現在でも、聞くところによると、定常的に使用している小児科でないと売ってもらえないと。例えば、じゃ、今後、三十代―五十代の男性が内科で打とうと思っても、そこにはワクチンは来ないというふうに現場の医師からは聞いています。大人の使うワクチンがふえれば、今度は子供のワクチンが不足するということも起こるおそれがあります。

 厚労省は、MRワクチンの不足に対して、具体的にどのような対応をするつもりでしょうか。

根本国務大臣 今、全国的な対策の早急的な取りまとめに向けて検討を進めておりますが、その中では、子供の定期接種に活用する分のワクチンも含め、ワクチンの需給状況、これは重要な一つの検討の視点であります。

 このため、抗体検査を実施した上で必要な方にワクチン接種を行う効果的、効率的な実施体制を構築することが必要であると考えています。

 そして、ワクチンの増産については、既に製造販売業者と交渉を進めている中で、一定量の増産が可能であるということを確認できておりまして、これを通じて、小児の定期接種等の悪影響が生じないようにしていきたいと思います。

大西(健)委員 過去にMRワクチンが不足したときの審議会の資料とかを見ると、短期間でワクチンの増産を行うことは困難だと、これは厚労省自身が書いていますよ。生ワクチンの製造のリードタイムは、大体十七カ月から二十三カ月だそうです。また、日本のワクチンメーカーというのは小さいところが多いので、一年間の間にいろんな種類のワクチンをつくっている。一つのラインでそれをつくっているので、ほかのワクチンを製造した後に別のやつをつくろうと思ったら、その間に洗浄とかもしなきゃいけないので、更に一、二カ月かかる。結構時間がかかるから、そんな簡単に増産できないというふうにやはり言っているんですね。

 これまで、風疹は二年から三年置きに流行を繰り返してきています。現在でも、米国疾病対策センターは、妊婦さんは日本に渡航しないようにという警告を出していますけれども、放置すれば、二〇二〇年のオリンピックのとき、リオ五輪のジカ熱みたいな話になりかねないんですよ。だから、これは一気呵成に私はやる必要があると思うんです。

 ですから、一気呵成にやるために、不足するんだったら、私は、今回、東京オリンピックに向けた緊急の措置として、海外で標準的に使用されているMMRワクチンを緊急承認して、大人の方に使う分には海外から緊急承認で持ってきたMMRワクチンを使うことを検討されるべきだというふうに思いますけれども、これはぜひ大臣、検討していただけませんでしょうか。

根本国務大臣 風疹対策についても、我々は非常に急がなければいけないと思って、今までやることはやってまいりました。そして、今、全国的な対策の早急な取りまとめに向けて、審議会で検討を進めているところであります。

 ワクチンの需給状況、これは重要な一つの検討の視点であって、まずは既存の国内ワクチンを増産することを優先したいと考えております。また、既に製造販売会社と交渉を進めている中で、一定量の増産が可能であると今確認できております。海外産のワクチンを輸入する状況にはないと考えております。

大西(健)委員 何回も言いますけれども、二〇二〇年のオリンピックに向けて、リオのジカ熱みたいなことにならないようにするというのは、私、政治の意思だと思うんですよ。

 まさに二次補正にこの接種の対象拡大の費用を計上しようということで検討しておられるということであるならば、今からでも遅くありませんから、一気呵成にこの対策をやるために、接種で一本化して、抗体検査してからなんかじゃなくて、接種で一本化して、もう一気に打ってしまう、そのためにワクチンが不足するならMMRワクチンの緊急承認を検討する、これをぜひ大臣の政治的リーダーシップでやっていただきたいとお願いして、私の質問を終わります。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 短い時間ですので、事実関係を幾つか確認をしていきたいと思います。

 まずは、どこから順番かというと、じゃ、基準局から聞きたいと思います。

 そもそも、制服や所定の作業着を着用して業務に従事しなければならない労働者について、更衣時間は労働時間と含まれるのか、これについての解釈を聞きたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 労働時間につきましては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというものにおきまして、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間であるとしております。

 その上で、今委員お尋ねの更衣時間につきましても、着用を義務づけられた所定の服装への着がえなど、使用者の指示によりまして就業を命じられた業務に必要な準備行為と認められる場合には、労働時間に該当するものでございます。

岡本(充)委員 じゃ、続いて、また事実関係をちょっと確認していきたいと思います。

 きょうは警察庁と内閣府にも来てもらっていますが、電動車椅子での飲酒禁止に関する報道がありました。実際、電動車椅子に乗っている障害を持たれている方、また高齢者の方等が、いわゆる道路交通法上の飲酒に、若しくは酒気帯びに該当するような血中のアルコール濃度でこうした乗り物を動かしている場合には禁止をされる、こういう考え方でいくのかどうかについてお答えいただきたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますが、御指摘の電動車いすの安全利用に関するマニュアルというものがございまして、これは、電動車椅子の交通事故が多数発生していたことを踏まえ、平成十四年度に、警察庁から委託を受けた公益財団法人日本交通管理技術協会が作成したものであります。

 同協会においては、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会、電動車いす安全普及協会等の有識者から成る委員会を設け、電動車椅子利用者や他の交通参加者の安全を確保するために必要となる事項等をまとめ、電動車椅子の利用者の方に御活用いただくためのマニュアルを作成したと承知しております。

 そのマニュアルにおきましては、「少量のアルコールでも電動車いす利用時の判断や操作を誤らせるおそれがあります。 お酒を飲んだら電動車いすは利用しないようにしましょう。」と記載されております。

岡本(充)委員 それはかなり昔の話ですよね。今、警察庁としてどういう見解なのか。電動車椅子で飲酒をしている場合には、これは道路交通法の違反に当たる、こういうふうな見解なのか、それとも道路交通法上の法違反には問われないという考えなのか、そこを聞いています。はっきり答えてください。

高田政府参考人 まず、道路交通法の適用でございますけれども、道路交通法では、一定の規格におさまる電動車椅子を通行させている者については、歩行者ではないものの、その者の安全を確保するために歩行者とみなして道路交通法を適用することとされているものです。したがいまして、酒気帯び運転の禁止の規定の適用はございません。

 一方で、電動車椅子は原動機を用いる機械に乗車して利用するものであり、先ほど申し上げましたマニュアルにありますとおり、少量のアルコールでも電動車椅子利用時の判断や操作を誤らせるおそれがあるものと考えております。

 このため、電動車椅子利用時の判断や操作を誤らせることのないよう、引き続き、電動車椅子の利用者の方に安全に電動車椅子を利用いただくために必要な事項として、飲酒して電動車椅子を利用することのないよう、電動車椅子利用者の方々に呼びかけてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 これは、だけれども、はっきりさせるべきですよ。きょうはそういう意味で政務に来てもらっているんです。

 今の話を聞いていて、障害をお持ちの方、高齢の方、電動車椅子の方、乗っていいのか乗って悪いのかわからない。道路交通法上の法令違反にはならないと言いながら、乗らないように指導する。これははっきりさせるべきだと思いますよ。古いマニュアルではなくて、こういう問題が出てきて国会でも指摘されたわけですから、きちっと、どうあるべきなのか、整理をしていただけませんか。

高田政府参考人 繰り返しになりますけれども、飲酒して電動車椅子を利用した場合には、判断や操作を誤り、利用者や周囲の歩行者等を死傷させるおそれがあり、例えば、平成二十六年十一月には、奈良県において飲酒した電動車椅子の利用者が河川に転落し亡くなる事故も発生しております。

 こうした状況もありますので、警察庁としては、引き続き、電動車椅子利用者の方々に安全に電動車椅子を利用いただくために、飲酒して電動車椅子を利用することのないよう呼びかけることは必要なことであると考えております。

岡本(充)委員 呼びかけるけれども、乗ること自体は、じゃ、禁止をしない、そういうことでいいですか。イエスかノーで。呼びかけるけれども、乗ること自体は禁止をされていないので乗っていただいて結構です、そういうことでいいですか。

高田政府参考人 繰り返しになりますが……(岡本(充)委員「ちょっと、イエスかノーかで。違うならノーで」と呼ぶ)はい。呼びかけは必要であると考えております。法令上は、現在のところ、禁止をする規定はございません。

岡本(充)委員 ぜひ、それはきちっと理解してもらうように周知をしないと、禁止をされているかのごとく受け取られると、やはりこれは障害者の社会的障壁になりかねないと思います。障害者の社会参加の障壁になりかねないと思いますから、これはぜひしっかり周知していただきたいと思います。

 続いて、ちょっと話がいろいろ飛ぶんですけれども、前回ちょっと積み残した話もあるんですが、社会保障制度について大臣と少し議論をしたいと思います。

 きょうお配りをしている資料の中で、二ページ目の、経済がベースラインだったときの将来の保険料、保険料率の見通しですが、協会けんぽや健保組合、市町村国保も、二〇四〇年に向けて保険料が上がっていきます。この保険料が上がっていく大宗は、高齢者への給付増が大きな原因となる、こう考えていいんでしょうか。保険局長からでいいです。

樽見政府参考人 今般の将来見通しでございます、経済前提をベースラインケースとした場合でございますけれども、協会けんぽの保険料は二〇一八年の一〇・〇%から二〇四〇年には一一・五ないし一一・八、健保組合の保険料は二〇一八年度の九・二%から二〇四〇年度の一〇・九ないし一一・二へいずれも上昇するという見込み、御指摘のとおりでございます。

 この要因でございますけれども、高齢者の医療費が増加するということに伴いまして後期高齢者支援金等が増加する、それから、負担する被保険者、いわば現役世代の人口でございますけれども、これが減少していくといったようなことが主な要因であるというふうに考えております。

岡本(充)委員 もちろん、高齢者世代への負担だけではないでしょうけれども、医療も高度化するとかいろいろあるでしょうが、高齢者給付増が大きな原因と考えていいかということについてはどうですか。いいんでしょうか。

樽見政府参考人 申し上げましたとおり、いわば、若い世代が減っていくということが保険料上昇ということの大きな要因でございますけれども、いわば、医療費のふえるというところで見ますと、高齢者の医療費が増加するということが大きな要因の一つであるというふうに考えています。

岡本(充)委員 助け合いの制度ですし、高齢者への支援というのはしていかなければいけないと思います一方で、やはり支え手側の理解が得られなくなったのではいけないというふうに思うわけです。

 そういう意味で、このままの制度でいくと、自分の払っている保険料は、自分たちのいざというときに備えるということよりは、高齢者の皆さん方への支援に回っていくということになっていくということに多くの働く世代の理解が得られにくくなってくるんじゃないかということを懸念するわけでありますが、大臣に、この点について、どのような対策をとっていく必要があるとお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

根本国務大臣 委員、大変精通されておりますが、国民皆保険制度、これは、やはり国民全体で負担する支え合いの仕組みで、社会連帯の理念に基づく制度、国民皆保険はそういうことであります。そして、この考え方に基づいて後期高齢者医療制度、これを創設しました。

 ただ、これからの高齢化の進展や高齢者の医療費が増加するということを踏まえると、国民の共同連帯のもとで引き続き、支え合いの仕組みを維持する、そして現役世代に応分の拠出金負担を求めていくことが必要だとは考えておりますが、一方で、拠出金負担の特に重い保険者の負担軽減を図ることも重要であって、これは保険者に対して一定の財政支援を行っております。

 いずれにしても、これはお互いの支え合いの仕組みですから、私は、支える側である現役世代の、委員おっしゃるように納得感、これが非常に重要であると考えております。引き続いて、現役世代と高齢者世代の公平な負担のあり方については、国民的な議論のもとに私は検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 そういう答弁になるんだろうと思いますけれども、私、国民的な議論でかわすのではなくて、大臣が率先してこの問題をやはり提起をしていく、安倍内閣の中でこの問題を解決するんだという意気込みを持っていただきたい。どうですか。これは、このままでは理解を得づらくなりますよ。ぜひ、解決するためにリーダーシップを発揮して、私、頑張りますと言っていただけませんか。

根本国務大臣 私は大きく言うと二つあると思いますが、この皆保険、支え合い、この仕組みをどうするか、費用負担のバランスということと同時に、やはりこれから健康寿命をいかに延ばしていくか、予防にしっかりと力を入れて健康寿命も延ばしていく、そして誰もが安心して働けるような環境も整備していく、そして確実にしっかりと経済の活性化、成長も図っていく。

 私は、全体の総合的な政策の中で、その意味では、全世代型の社会保障制度改革と言っておりますが、その中の全体の取組の中で、おっしゃられるように、費用と負担の問題は当然さらなる費用の負担の問題が出てきますから、ここはしっかりと、この費用と負担の問題、これを私はしっかりと取り組んでいきたいと思います。

岡本(充)委員 何か決意がちょっといま一つ、その前段の話が大きかったのでわかりづらくなったんですけれども、これは、繰り返しになりますけれども、端的に、やはりこれだけの費用負担が発生する高齢者医療のあり方や、またその担い手を、誰が、どう担っていくのか、こういうことについて、安倍政権の一員として、厚生労働大臣としてこの問題の解決に向けて全力で取り組むんだ、こういう理解でいいか。どうですか、そこだけ答えてください。

根本国務大臣 今私が大きく二つのことは申し上げましたが、この費用と負担の問題、これを私はしっかりと取り組んでまいります。全力で取り組んでいきたいと思います。

岡本(充)委員 後ろで保険局長がうなずいておられましたので、どっちが大臣だかよくわかりませんが、しっかり、ちゃんとお願いしますよ。

 さて、続いて外国人労働者。これは前回もちょっと十分な時間がなくて申しわけなかったですけれども、調査票をいろいろ見ていると、一月十万円に満たないような給料の方がたくさんいる、申告したとき。時給六百五十円でも、週四十時間、四週働いたら十万四千円になる。十万円に満たない給料で働いている人たちは最低賃金以下の可能性があるわけですから、法務省、これは、聞き取っただけではなくて、きちっと厚生労働省に事実関係を通知をする、これはやっていただけるんですよね。確認したいと思います。政務からでいいです。

門山大臣政務官 一般論として申し上げさせていただきますと、法務省におきましては、地方入国管理局が行う調査において不適切な行為の端緒を把握した場合には、その情報の信憑性や確度も勘案しつつ、更に必要な調査を行うほか、労働基準監督署や警察等の関係機関への情報提供を行うこととしております。

 具体的には、平成十八年六月の厚生労働省との間の相互通報制度に関する合意に基づき、技能実習生の実習実施機関において労働基準関係法令違反の疑いが認められた事案について、地方入国管理局長から都道府県労働局長宛てに通報することとしております。

 今般の国会審議におきましては、旧制度下のものであるとはいえ、技能実習制度の根幹にかかわる種々の問題点の指摘を受けているところでございます。新しい技能実習制度のもとでの方策を実効的に実施することを通じて制度の適正化を進め、違法、不当な行為等に対し厳正に対処したいと考えております。

 他方、前回の本委員会で、岡本委員から法務省政府参考人に対し、技能実習生からの聴取において、最賃違反が疑われる案件があったら労基署等に通報すべきではないかという御示唆をいただき、政府参考人から積極的に行う旨の答弁を申し上げたという報告を受けているところでございます。

 現在、私が議長を務めております技能実習制度に関するプロジェクトチームにおいて、失踪技能実習生からの聴取方法、その分析や活用のあり方、関係機関との連携協力のあり方等について検討を重ねており、委員からいただきました御示唆についても、この検討において参考にさせていただきたいと考えております。

岡本(充)委員 最後にします。

 この議論を基準局長も今聞いていたわけですよ。聞いていましたね。聞いていたわけですから、こういう実態があるということを私は基準局長にもこの場でお話ししておきましたから、ぜひ、基準局の方からも、こういう指摘を受けたことについて、調査票の中を見せてもらって、おかしなものがあれば、きちっと、基準局の方からでも、厚生労働省の方からでもアプローチしていただきたい。

 いいですか、局長、できますか。最後にお願いして、終わりたいと思いますが。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、法務省の政務官の方から御答弁がございましたとおり、この問題につきましては、出入国管理機関と私ども労働基準監督行政の方で相互通報制度を設けておるところでございます。

 今般の関係聴取票に記載されました情報につきましては、出入国管理機関の方におきましてさまざまな情報を有しておられるということでございますので、まずは、そちらの出入国管理機関の方で聴取票を端緒に調査を行っていただいて、その上で、疑いが認められた場合につきましては通報をいただくことになっておりますので、私どもとしましても、通報を受けまして、しっかり監督指導をしてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 逃げの答弁ですよ。

 大臣、労働条件について司法警察権があるのは厚生労働省なんだから、ちゃんとそれを指示して、おかしなものについてはきちっと調べさせる。

 大臣、ちゃんと答弁してください、最後に。それで終わりますから。

根本国務大臣 出入国管理機関が実習実施者を調査した結果、労働基準関係法令違反の疑いが認められた場合には、都道府県労働局に通報されることになっております。そして、通報を受けた場合には、厚生労働省では、原則としてその実習実施者に立ち入って監督指導を行い、賃金の不払いなどの違反があれば是正を図らせていただきます。

 今回の聞き取り情報についても、出入国管理機関との相互通報制度を適切に運用して、しっかりと対応してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 大臣まで逃げて、大変残念です。

 終わります。

冨岡委員長 次に、山井和則君。

山井委員 十八分間、短い時間、質問させていただきますので、根本大臣には簡潔に、質問通告もしておりますので、お答えいただければと思います。

 来年、消費増税が予定されておりますが、それとセットで、きょうの配付資料にもありますように、年金の支給抑制、物価上昇分、年金がふえないということで、実質年金カットの見通しとなってきております。これは、消費税一〇%増税と実質年金カット、このダブルパンチというのは、私はあり得ない話だと思います。そのことについて御質問したいと思います。

 配付資料にもありますように、二、三年前に、この場で年金カット法案というのが強行採決をされました。それが来年四月から初発動をいたします。キャリーオーバーということで、マクロ経済スライドが発動しなかった部分が今年度〇・三%分あります。

 二ページ目の記事を見ていただければと思います。赤線を引いてあります。キャリーオーバーで積み残しの部分が〇・三%、さらに、このまま十一月、十二月の物価が大きく下落しなければ、繰り越された分も合わせて〇・六%ぐらいの抑制、つまり、物価が上がる分、その分、年金が上がらないということで、実質年金がカットされる見通しということであります。

 まず最初に、根本大臣にお伺いしたいんですが、可能性として、こういう〇・六%実質年金カット、支給抑制になる可能性はありますか。もし、ないのであれば、この場で明確にないと御答弁いただければと思います。

 短く答弁をお願いします。可能性があるかないか、イエスかノーかで。

根本国務大臣 今回、これからの最終的な指標いかんですけれども、マクロ経済スライドが発動されるような状況になるのではないかと考えております。

山井委員 ということは、マクロ経済スライドがキャリーオーバー分も含めて発動されると、〇・六%、年金実質カットになる可能性があるということで理解をいたします。

 そこで、では、幾らカットになるのかということで、限られた時間ですので、配付資料に入れてございます。厚生年金と国民年金のモデル世帯、配付資料七ページ、国民年金は年額、これは書いてありますね、額が。それでモデル世帯の額が書いてあります。

 そこでお伺いしますが、厚生年金のモデル世帯の年金支給額、月額、国民年金と厚生年金は、それぞれ幾らですか。また、それが機械的に計算して〇・一%下がれば、年額、厚生年金のモデルそして国民年金は、幾ら年金が支給抑制されることになりますか。

根本国務大臣 モデル世帯の年金額は、直近の平成三十年度、これは夫婦で月額二十二万千二百七十七円、年額二百六十五万五千三百四十円であって、また、国民年金の年金支給額は、月額六万四千九百四十一円、年額七十七万九千三百円となっております。

 それで、今、先生、〇・一%はマクロ経済スライドで抑制された場合ということですか。(山井委員「そうです」と呼ぶ)〇・一%、マクロ経済スライドで抑制されるかどうか、これはこれからの数字の話ですから……(山井委員「機械的に計算してください」と呼ぶ)機械的に計算すると、〇・一%のマイナスの改定率となった場合には、あくまでも機械的に計算すると、月額二十二万一千二百七十七円から月額二十二万一千五十六円に、そして年額二百六十五万五千三百四十円から年額二百六十五万二千六百八十五円。国民年金の年金額は、月額六万四千九百四十一円から月額六万四千八百七十六円、年額七十七万九千三百円から年額七十七万八千五百二十一円になります。これは機械的に計算したことですよ。

山井委員 それは差引きは幾らですか、それぞれ。答えだけ言ってください。年額、厚生年金と国民年金、差引き幾ら支給抑制ですか。

根本国務大臣 まず、夫の老齢基礎年金額については月額六十五円。それから、夫の厚生年金報酬比例部分、これは月額九十一円。妻の老齢基礎年金、満額のベースですけれども、月額六十五円。よろしいですか。(山井委員「いや、年額の差引きをそれぞれ」と呼ぶ)年額は、夫の老齢基礎年金の満額、満額でいうと七百七十九円。夫の報酬比例部分、これは千九十七円。そして、妻の老齢基礎年金は、年額七百七十九円になります。

山井委員 ちょっととめてください。年額で国民年金と厚生年金が幾ら支給抑制になるのかということを通告もしているんですから。ちょっと、限られた時間しかないんですから。(発言する者あり)

冨岡委員長 速記をちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

根本国務大臣 では、済みません、私、分解して申し上げたものですから。

 モデル世帯でいうと、二千六百五十五円になります。(山井委員「国民年金は、基礎年金の方は」と呼ぶ)二百二十一円であります。

冨岡委員長 山井和則君、もう一度、質問を。(発言する者あり)

 お静かに。

 根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 国民年金については年額七百七十九円になります。

山井委員 それで、これは確認しました。七ページに書いてあるとおりということが確認できました。

 ということは、〇・六%減ると、基礎年金、国民年金の方は四千六百七十六円、厚生年金モデル世帯は一人一万五千九百三十二円。簡単に言いますと、国民年金が年額五千円、そして厚生年金が年額一万五千円、実質カットされるわけなんです。私は、消費税増税とともに年金カットはおかしいと思います。

 それでは、トータルでいうと、何千万人の人に幾ら抑制されるのかということで、これも配付資料をお配りしておりますけれども、九ページ。つまり、今、公的年金全体では五十四兆円、線が引いてありますけれども、支給されております。それで約四千万人に支給されております。これが、そうしたら、今と同じ、質問通告をしておりますけれども、〇・一%支給抑制になると、幾ら抑制になりますか。機械的に。

根本国務大臣 では、機械的な計算でいきますが、平成二十八年度末における公的年金の重複のない実受給権者数は四千十万人であり、公的年金受給者の年金総額は五十四・八兆円。これは全体であります。

 そして、機械的に計算いたしますと、機械的な計算ですから、数字ですから、五十四・八兆円に機械的に〇・一%を掛けると、五百四十八億円になります。

山井委員 つまり、五百四十八億円。それの〇・六%というと三千三百億円。約三千億円、来年度、消費税一〇%増税とセットで、三千億円ですよ。消費支出の四八%は高齢者です。その高齢者の年金が三千億円減らされる、実質。おまけに、これは障害者年金も含まれますから、障害者の年金もカットされる。

 そこでなんですけれども、大臣、やはり、消費税は一〇%にアップするわ、年金は三千億円実質カットするわ、消費税増税と年金カットのダブルパンチは景気にも私はよくないと思います。そういうことを考えると、来年度の年金実質カット、やめるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

根本国務大臣 まず、マクロ経済スライド、委員は御案内だと思います、当然。(山井委員「簡単に答えてください、もう知っていますので、内容は」と呼ぶ)いや、これは大事なことですから、申し上げたいと思います。

 マクロ経済スライドというのは、急速に進行する少子高齢化を見据えて、現役世代の過重な負担を回避し、年金制度の長期的な持続可能性と国民の信頼を確保するため、保険料の上限を固定し、その範囲内で給付水準を時間をかけて調整する、いわば将来世代への給付水準確保のための仕組みですから、我々は将来世代のことも私は考えなければいけないと思いますよ。

 だから、マクロ経済スライドというのは……(山井委員「ダブルパンチをやめるべきじゃないかという質問ですよ」と呼ぶ)いや、私は、機械的に計算するとそういう話になるけれども、マクロ経済スライドということは将来世代の給付水準を確保する仕組みですから、私は、来年度の状況のことと将来世代の、これは年金の基本論ですから、ここは、我々政治家だから、バランスを持って考えなければいけないと私は思います。

山井委員 言っておきますけれども、このマクロ経済スライドは将来世代にもかかわるから、将来世代の年金も下がるんです、これは。

 それに、大体、報道によると、安倍政権はF35最新鋭ステルス戦闘機最大百機を導入する方向で検討に入った、取得費用は総額一兆円を超える見込み、そして、トランプ・アメリカ政権から米国製防衛装備品のさらなる購入を求められていることを踏まえ、貿易赤字をめぐる対日圧力をかわす狙いもありそうだ。

 私、はっきり言います。国を守ることは重要、国防も重要、必要性があれば戦闘機を買うことは否定しません。しかし、トランプ大統領に言われて買う検討をする百機一兆円戦闘機、三千億円年金カット、バランスが悪過ぎませんか。これだったら、F35戦闘機増税になりかねませんよ。大砲よりバター、戦闘機より年金、やはりこれはしっかりと、こういう、アンバランスだというふうに思いませんか。

 国民の年金、安全保障のみならず、社会保障をしっかり守っていくためには、こういうアンバランスな状況、根本大臣、やはりこれは、繰り返し言います、増税と年金カットなんですよ、セットで。障害者年金もカットされるんです。これは景気にとってもよくありません。

 アメリカに言われてこういうものをどんどん買っていって、結果的には、国民は消費税増税は社会保障のためだったら仕方ないとか思うかもしれないけれども、年金が三千億カットされて、こういうふうに余りにも莫大な、巨額の戦闘機をアメリカから買わされるというのは、私は大問題だと思います。

 このことについて、余りにもバランスを欠いていると思いませんか。厚生労働大臣、いかがですか。

根本国務大臣 私は、年金の長期的な持続可能性、これは非常に大事だと思います。それと同時に、日本の国の安全をいかに担保していくか、これも私は大事だと思います。

山井委員 百機は要らないという声が出ております。

 かつ、安倍政権になってこの五年間で、法人税減税は、五・七兆円減税されております。私、法人税減税もするなとは言いません。法人税減税、五年間で五・七兆円。そして、百機一兆円ものF35戦闘機の購入の検討をしている。一方では、消費税増税とセットで三千億円の年金カット。私は、心理的な影響も大きいと思いますよ。増税の上に年金まで支給抑制、カットされるのかと。これでは景気はよくはなりません。

 その意味では、このことについて、根本大臣、障害者の年金もカットされるんですよ。高額の年金受給者の年金ぐらいは多少我慢してもらうことはあり得るかもしれません。しかし、このマクロ経済スライドは、今までから議論しておりますが、障害者の年金にも、国民年金月額六万円や四万円の貧しい方々の年金も、一律にカットされるんです。これを消費税増税とダブルパンチでするということは、絶対に私は避けるべきだと思います。

 最後にその答弁をお聞きして、質問を終わります。

根本国務大臣 今回、マクロ経済スライド、これは、そういう発動をする状況になるかどうかは、これからの指標を見なければいけません。

 そして、カット、カットというよりは、むしろマクロ経済スライドを導入した場合には伸び率を抑制するということですから、そしてそれも、マクロ経済スライドというのは、我々同じ、共有できると思いますよ。だって、平均寿命が延びて現役世代が減ったら年金財政の長期的安定が担保できるか、そのためにマクロ経済スライドというのは導入しているわけですから、長期的に年金の持続可能性、あるいは将来の世代のことも、我々政治家だから、しっかり考えてやらなければいけないと私は思います。

山井委員 マクロ経済スライドの法案も二年前の年金カット法案も、強行採決を与党がされたわけであります。私、根本大臣の言うこと、一〇〇%否定はしませんよ。しかし、バランスなんですよ。なぜ、年金をカットして同時に百機もF35を買う、あるいは法人税減税も五年間で五・七兆円。私もスウェーデンに二年留学していましたから、消費税増税の必要性はわかっているつもりです、社会保障のためにも。

 しかし、この五年間の安倍政権を見ていたら、消費税増税しながら、一番ふえているのは防衛費、そして社会保障はカットされ、そして法人税減税が大幅にされている。これでは、国民からすれば、年金や社会保障がカットされたお金が結果的には法人税減税や戦闘機に行くんじゃないかと。これでは消費税増税の理解は私は得られないと思います。

 また引き続き、議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 東京医科大学との受託収賄罪が疑われ逮捕された文科省の佐野太元局長と、また、その見返りの不適正入試事案をめぐり、東京医科大学の内部調査の中で、女子学生や多浪、つまり三浪以上の受験生に不利となる選抜が行われていたことが発覚しました。

 資料の一枚目を見てください。

 これは、上の段も非常に重要なんですが、きょうは紹介するだけにします。佐野氏の子息以外にも五名の加点が確認されたと。いわゆる個別調整と書いておりますけれども、何らかの関係者であるということが入試委員会の中で議論されて、いわゆるコネ入学などと言われている、そこの人だと思います。これ自体が非常に重大であると。

 問題は、その下の方なんですね、属性による得点調整。これは、平成三十年度一般入試二次試験の小論文において、百点満点のところを、全員の点数に八割掛けします。そこに、現役男子なら二十点プラス、三浪男子なら十点プラス、四浪以上は零点、女性は全て零点としていたという、驚く手法であります。

 女子並びに四浪男子は、満点をとっても八十点にしかなりません。現役男子の七十五点とった人と二十五点も差があるにもかかわらず、同点にされてしまう。これは、憲法十四条、法のもとの平等、教育基本法第四条第一項、教育の機会均等から照らしても違反であり、断じて許されない行為であります。

 東京医科大学の第三者委員会第一次調査報告書が十月二十三日に出されて、これを受け、十一月七日に、東京医科大学として、入学試験不正への対応についてを公表しましたので、順次聞いていきたいと思います。

 調査は、佐野氏にかかわる昨年からの二年分しかないんですね。だけれども、実際には、平成十八年ころから、もう属性調整はやられていると報告書にも書いてあります。

 女性と多浪の学生を差別したそれぞれの原因、それがいつからか、文科省の評価と対応について伺います。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 十月二十三日に東京医科大学の第三者委員会の第一次報告書が公表されまして、平成二十九年度及び三十年度の小論文試験について、性別などの属性に応じて点数調整を行っていたことなどが改めて確認をされたところでございます。

 大学入学者選抜につきましては、公正かつ妥当な方法により行うことが求められているところ、今回の事態は大変遺憾であり、大学の信頼を失う重大な問題と考えております。

 東京医科大学の第三者委員会においては、平成二十五年度から二十八年度までの入試についても調査を実施しているところであり、文部科学省といたしましては、まずは大学の報告を注視してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 それぞれの原因について聞きました。なぜ女性を差別したか、なぜ多浪学生を差別したか。

玉上政府参考人 それは、現在、調査報告書の方で、まだ十分解析できていないというふうに考えております。

高橋(千)委員 一言も触れられなかったのは非常に残念だと思います。

 これは、まだまだ掘り下げていく必要があると思いますが、第三者委員会の報告書の中にも、入試委員の中で、「「女性は、妊娠や出産というライフイベントがあるので、業務に集中して、技術を高めて、将来的に大学や大学院を支える大事なポジションにつく者が男性医師に比べて少ない」との認識を前提に、「私立大学としては、系列を含む病院の財政基盤を確保して、女性より男性に多く入学してもらって、将来的に大学を支えてもらいたい。」」こういう意見があったということを言っているわけですよね。

 やはりそこにも一言も触れてもらえないというのは、柴山大臣の答弁の中には、ちょっと客観的な表現ではありますが答弁をしていると思いますけれども、そこは非常に重大ではないかなと思います。

 また、多浪生についても、「大学内での進級や医師国家試験で困難を生じることが多い」と。ただ、そうはいっても、人材としてすぐれた成果を残すことがあり得るんだ、十分に見ていくべきだということが報告書の中に書いてあるわけですよね。その点は十分理解していると思いますが、一言お願いします。

玉上政府参考人 不十分な答弁で申しわけございませんでした。

 先ほど先生が触れられましたとおり、今回の事案は、そういう女性のお医者さんの働き方の問題ですとか、そういったようなことも起因しているというふうに報告書にも述べられておるところでございますが、私どもといたしましては、性による差別等は絶対あってはならないというふうに考えておるところでございます。

高橋(千)委員 ここは徹底して調査を、そういう問題意識を持って調査をしていただきたいと思います。

 資料の2は、これは募集人員の七十五名に対して、実際に他大学に入学した学生もいると、当然繰上げ合格をするわけですよね。その繰上げ合格の最下位ラインが百四十六位とかあるわけです。それに対して、今年度は、女子は旧名簿四十三名だったけれども、並べ直してみると八十二名もいたというものでありますね。

 そして、更にめくっていただくと、それを、男性もいますからね、浪人生とか、実際に繰上げ、本当であれば合格したであろうという方の入学意思を聞いていく、そのときに追加の入学者がいるんじゃないかということで表にしているわけです。そうすると、男性が三十四名、女性が六十七名で、大体六十三名くらいはあり得るんじゃないか、こういうふうな数字を大学として出しているわけなんです。

 そうすると、不正がなければ合格していたはずの学生もわかってきている。そうすると、どのように救済を図るんでしょうか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 東京医科大学からは、今回の追加合格者に対する対応につきまして、まずは、学長等の大学執行部の以外の者から選任されました新入試委員会により、属性による点数調整などの影響を排した新合格者選定名簿を作成した上で、新名簿に基づいて、平成二十九年度、三十年度の各入試区分における募集人員まで合格者を決定することとしたとの説明を受けております。

 具体的には、新名簿を用いまして、成績上位の者から、追加入学希望者と、当時合格し現に在校する者を合わせてカウントし、各区分の募集人員に達するまでの者を合格者とするため、各入試区分において追加合格者とできる合計の人数は、最大六十三名になるというふうに聞いております。

 通常でありますと、追加合格者の決定に際しましては、成績上位者から順次入学意向の確認を行うところでございますが、今回につきましては、入試当時に繰上げ合格となった最低順位よりも新名簿において上位となる者百一名、今御指摘のとおりの百一名を追加合格の可能性がある者として、一斉に意向を確認することとしたということでございます。

 この方針につきましては、東京医科大学において、第三者委員会からの提言を踏まえつつ、属性による点数調整等の影響を排した新合格者選定名簿に基づき、合否判定を適正に行うためにはどうすべきかを熟慮の上、決定されたものと考えますが、大学入試の実施や合格者の決定は各大学の判断に委ねられているものと考えますので、文科省といたしましては、まずはその判断を尊重したいと考えています。

 その上で、大学に対しては、入学の意向を確認する際の説明等につきまして、誤解などが生じないよう、丁寧に説明するよう求めているところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 丁寧に説明だけでは済まないですよね、人生の問題なんですから。

 もしかしたら、チャンスがあるんだったら繰上げ合格を、私、今でもしたいという方もいると思います。逆に、もう別の道に歩んでしまった、あるいは全く違う大学に入った、今さらできない、だけれども補償はしてほしいと。当然ありますよね。償わなきゃいけないんです。

 その点についてはいろんな議論がされていると思います。どうなんですか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 東京医科大学におきましては、同大学の第三者委員会の第一次報告書における提言において、追加合格者から補償等の請求があった場合には誠実に対応することとされていることを踏まえ、点数操作の影響について生じた被害についての補償を含め、具体的な対応について現在検討中であると聞いております。

 不利益をこうむった受験生への対応につきましては、一義的には大学において検討されるべきものでございますが、文科省といたしましても、不利益をこうむった受験生の救済など必要な対応がとられることが極めて重要であると考えておりまして、まずは大学において、更に丁寧に対応するよう求めているところでございます。

高橋(千)委員 ここまでは又聞きの話をされています、医科大学によればこうだこうだと。だけれども、平成十八年からあったと評価がされているわけですよね。そして、予備校の中、あるいは高校の入試の担当からも、女子は厳しいらしいということが、もうずっとうわさとして引き継がれていると。だから、結果として、今、五割を切っている女子の合格率が、本当は、もっと早くにこれが是正されていたら、違っていたかもしれないんですよ。そうでしょう。女子に厳しいという傾向をとって、それで志望校を変えているかもしれないじゃないですか。

 そういう意味では、そういううわさがずっとあったのを知っていながら、それを放置してきた文科省の責任もある。当然じゃありませんか。その点の自覚はあるんですか。

玉上政府参考人 私どもも、今回の事案を踏まえまして、本来公正公平であるべき大学入試がきちんと行われるように、今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 これはもう東京医大だけの問題ではなくて、文科省として、八十一の医学部医学科を置く全国公私立大学訪問調査をしているということであります。その中で、もう既に不適切な事案が出てきているというふうに聞いていますが、どうかということと、それは大事なことなんだけれども、しかし、目前なんですよ、入試が。それで受験生はどうしたらいいか、わからないじゃないですか。それに対してどういう対応をするのか、お答えください。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 文科省におきましては、本年八月より、国公私立全ての大学の医学部医学科の入試に関する緊急調査を実施しております。

 訪問調査の過程で、複数の大学において不適切である可能性の高い事案が判明いたしましたため、現在、医学部医学科を置く全ての大学を対象として訪問調査を行っているところでございます。

 一方で、来年度入学者の大学入試も既に始まっているところであり、十月二十三日に、現時点における状況を中間的に取りまとめるとともに、文部科学大臣からメッセージを発することにより、各大学におきまして必要な点検や周知がなされるよう呼びかけたところでございます。

 文科省といたしましては、今年中の最終まとめに向けて、引き続き全力で取り組んでまいりますし、各大学においても、受験生が安心して試験を迎えられることができるよう、引き続き対応してまいります。

高橋(千)委員 佐野前局長の問題が起きなければ、こうしたことも、わかっていた、うわさにはなっていたけれども、明らかにならなかったわけですよね。そういう点では、本当に重大な責任があると言わなければならないし、訪問調査をしているということは、私はとても大事なことだと思います。

 ただ、きょう、次に行かなきゃいけないので要望だけにしますけれども、やはり、そうはいっても、今わかっても、ちょっと判断を決められない、あるいは進路を変えられないという学生がきっと出ると思います。また、その前の年、その前の年の思いを抱えている学生もいると思います。これは東京医科大に限らずですよ。

 そういうときに、やはり情報公開、自分の成績を開示してほしいということを認めている大学はまだ二十大学ぐらいだ、東京医科大学も認めていない方に入っているということなので、これは全部、本人が求めたら開示に応える、そして、その上で、やはり今のような問題があったときにきちんと救済していくということを検討していただきたい。これはぜひ要望したいと思います。

 では、根本大臣に伺いたいと思います。

 資料の4を見てください。これは、ウエブマガジン・ジョイネットを運営する医師向けの人材紹介会社エムステージが、東京医大の女子一律減点について聞いたところ、理解できるが一八・四%、ある程度は理解できるが四六・六%、これは医師に聞いているわけですね、合わせて六五%が理解できると答えています。大変衝撃を受けました。

 ただ、回答者の理由を読んでみると、理解できる人もできない人も、どっちの理由も大変せつないんですね。理解する側の人でも、やはりこういうこともあるのかという気持ちだ、実際自分も、家事、育児をするために仕事を調整して、できないことも多いので、働ける男性を優先されることについて大きなことを言えないという方。我々男性医師が、深夜十二時過ぎまで働いたり、当直の肩がわりなど、現実の負担増を考えると、東京医大がやったことも必要悪として気持ちはわかるという方。そういうものだと予備校時代から言われていた、だから女子学生は何倍も努力して、成績もトップ層にならなければ受からないと言われていた、そのつもりで勉強していたという方もいます。

 逆に、理解できないという方は、医師を志す受験生の心を折るようなひどい扱いだと思います、この不合格のせいで医師になることを諦めた女子受験生がいたとすると本当に許せない。目先のことだけ考えて根本的な解決は考えておらず、人の努力も踏みにじるもので怒りが沸きました、優秀でも女というだけで落ちるって、すさまじいことだと思います。こう声が寄せられています。

 大臣に伺います。

 この問題の背景には、女性医師の働き方の問題があると思います。逆に言えば、男性医師は家庭を顧みず、長時間労働をするのが当然ということになってしまうんです。ここを変えなければならないと思いますが、大臣の認識を伺います。

根本国務大臣 私も実態はいろいろ聞いております。

 医師については、他職種と比較しても、ぬきんでて長時間労働の実態にあります。やはり大事なのは、一人一人の医師が家庭と両立し健康に働き続け、医療の質や医療安全を保つことができるようにする。このためにも、男女を問わず、医師の長時間労働を是正していかなければなりません。

 今、厚生労働省において、医師の働き方改革に関する検討会において今精力的に議論しておりますが、この議論も踏まえて、男女を問わず、医師の勤務環境の改善にしっかり取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)委員 ここは一応一致したということでいいんでしょうか。でも、具体論のところに行くと、なかなかあるわけですけれども。

 エムステージの調査では、女性医師が妊娠、出産に際して、不当な差別、扱いを受けた経験談も紹介されているんです。外科系の医局説明会に行って、入局に関する大事な話をする前に女性だけ先に帰らされたという話。研修医のときに妊娠しました、産休ぎりぎりまで当直もやり、みんなと同じように勤務したのに、事あるごとに、研修医なのに妊娠するなんて、だらしないなどと言われました、初期に切迫流産で数日休んだときには、流れてしまえばいいとまで言われたと。これは内科の医師なんですね。

 一方、妊娠中の先輩女医のフォローをするのは医局全体ではなく、男性若手医師や非妊娠女性医師、残された若手に何の説明もなく、当たり前のように当直をふやされている、妊娠したもの勝ちな雰囲気が否めない、こういう率直な意見も、これは一般の企業でもありますよね。せっかく育休をふやそうと言っているのに、その分が残った人たちにしわ寄せが来る。

 これは全然よくないということで、妊娠、出産したら続けられないような勤務条件、しわ寄せが周りに行くということを改善しなければ悪循環になります。その認識はあるでしょうか。一言でいいですよ。

根本国務大臣 一言ですね。

 要は、男女を問わず、医師の働き方改革、これにしっかり取り組まなければならないと思います。とにかく男女を問わず医師の長時間労働を是正していく、そして医師の健康を確保する。医師の長時間労働を解消していくのは極めて重要な問題ですから、医師の働き方改革、今、検討会をやっておりますので、医師の健康確保の重要性も踏まえながら、しっかり働き方改革に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 その働き方改革がどのようなものかということを聞かなきゃいけないんですね。

 資料の5を見ていただきたいんですが、これは東京新聞の八月二十二日付の、この委員会でも御存じの方は多いと思いますが、東京過労死家族の会の代表をしている中原のり子さんのインタビューです。

 まさに、私、この事例がぴったりだ、本当にそのとおりだなと思うんですが、中原さんの夫さんであった利郎さんは、一九九九年八月、四十四歳の若さで、勤務している病院から飛びおり自殺をしました。三十時間以上連続勤務や月八回以上の当直で疲労を蓄積させたのです。その直接のきっかけは、六人いた小児科常勤医のうち、男性は利郎さん一人だったわけですね。次々と女性医師が定年や介護で退職し、育休から復帰するはずだった若い女性医師も、月四回以上当直できなかったらやめてくれと迫られて退職せざるを得なかった。

 なので、中原さんは、産科、小児科のように女性医師がふえ続ける現場で女性医師が働き続けられないと、しわ寄せは男性医師に及びます、夫の職場の女性医師が、結婚、出産、育児、介護、看護をしていても働き続けることができる労働環境であったなら夫は死ななかったと思いますと訴えています。男性の働き方も変える、その視点が絶対に必要です。

 時間になったら困るので先に言っておきますが、資料の六枚目にこれはあるんですよ。大臣、何度も、男も女もとおっしゃいました。女性の子供あり、子供なし、男性の子供あり、子供なしの、四つの分類での週の勤務時間なんですね。女性の子供ありの人以外は大体同じ勤務時間である、そして五十代を超えるとみんな同じくなってくる。この子供がない女性と男性の勤務時間が週六十時間、つまり既に過労死ラインを超えている。月八十時間になっちゃいますからね。なので、本当はみんなが青いライン、四十時間というのが本当は労基法の基本ですからね、ここに下がってくる、そういう立場に立つ、そしてそのためには必要な医師もふやすとしなければならないと思います。

 働き方改革法は来年の四月施行です。でも、医師については、その後、五年間猶予の末に新しい制度になると思います。基準が緩くなるんじゃないかと私は心配しています。また、その上限規制すら五年間猶予で、その前に緊急の対策をやると言っていますね。どこまで議論されているでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただきましたように、働き方改革関連法案におきまして、医師については、その上限規制について施行後五年間の適用猶予、二〇二四年の四月までの猶予、そして、その時点における適用ルールについて来年三月末までに一定の結論を得るべく、今、検討会において議論をさせていただいているところでございます。

 既にこれまで、今御指摘いただきましたように、医師の働き実態などを踏まえ、医療の特殊性、医師の特殊性、さらには医師の働き方における宿日直を始めとする幾つかの医療、医師における留意点などについて御議論を重ねていただいておりまして、今後、私どもとしては、委員の御都合もいただきながら精力的に御審議をいただき、働き方改革の実行計画の中にも盛り込まれております期限までに、意見の取りまとめに向けて事務局機能を果たしてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ゆうべから、きのうからニュースにもされていますけれども、勤務間インターバルを義務づけるということが案として出ているということです、八時間から十時間。でも、これじゃ全然足りないし、でも、それをやるのは当然だと思う、やらなきゃいけない。だけれども、それが、上限規制を一般の労働者より緩める条件だと、だったら全然だめなんですね、今までしてきた議論がチャラになっちゃいます。

 そうではない、やはり、何度も大臣がおっしゃったように、男も女も家庭をちゃんと見られる、そういう環境をつくるんだという立場に立っていただきたい。そこを一言、約束していただけますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 検討会におきましては、まさに医療の特殊性、医療の実態、地域医療における状況と、今大臣からも答弁申し上げましたように、医師そのものの健康確保、そして医療全体の安全性という点を、総合的に各方面からの御議論をいただいております。

 私どもとしては、その議論を、事務局として一生懸命サポートさせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 また機会をいただきたいと思います。

 終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは、美容整形についてお聞きをしたいと思います。

 その中でも注射による美容整形ということをお聞きしたいと思うんですが、美容整形には、外科手術によるものと注射によるものと、いろいろあるんでしょうけれども、大きく分けてこういったようなことがあって、我が国では注射による美容整形というのが大変多いということでございます。

 これは、事情はどういう事情かということも分析もされているんですが、外科手術の場合にはいろいろと、入院とかいろいろな傷跡も残るというようなこともありまして、注射というのは、比較的に傷跡も残りにくいし、手術も非常に簡単にできるというような、そんなようなことも言われています。

 ただ、そのためにいろいろなトラブルというのもたくさん今言われていて、国民生活センターにもたくさん寄せられているんですが、我が国におけるこの美容整形の注射による手術、どんな部位にどのような手術が行われているのかをまずお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただきました、美容医療を含めるいわゆる自由診療につきましては、それぞれ個々の医師の医学的な判断のもとで自由に行われているということでございまして、私ども厚生労働省としては、今御指摘の点については把握してございません。

串田委員 把握していないということなんですが、そうなりますと、美容整形というのは注射によっていろいろな薬剤を注入するというような形で行われているとお聞きしているんですが、この薬剤についての規制というのはあるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 美容整形において注入されるいわゆる薬剤につきましては、事業者、メーカーとか輸入販売業者ですが、そういった事業者が製造又は輸入して国内で販売するという場合には、医薬品医療機器等法、いわゆる薬機法におきまして、医薬品、あるいは分類によりましては医療機器等として、厚生労働大臣による承認が必要になっております。

 しかしながら、承認を受けた薬剤を承認を受けた適用以外の使い方をする、あるいは医師の方々がみずから輸入しまして自身の患者さんに使用されることにつきましては、医薬品医療機器等法上の規制は及びませんので、医師みずからの責任のもとで、医師の専門的な判断に基づき、輸入することが可能となっております。

串田委員 今の説明どおりなんですが、要するに、承認されている薬剤もあれば、全く未承認の、何を使っているのかもわからない薬剤が美容整形で注入されているという現実もあるわけでございます。

 一方、例えば飲み薬、これで未承認の飲み薬を利用するということは許されるんでしょうか。

宮本政府参考人 未承認の医療用の、一般に薬局で処方箋がなくても買えるお薬ではなくて、お医者さんの処方箋が必要になるお薬ということと理解した上でお答えさせていただきますが、一般には、未承認のお薬をお医者さんが、主治医の先生が医療の必要性に基づいて自己の患者さんにお使いになられるということは、薬機法上は規制されているものではございません。

串田委員 最後は、規制されていないということなんですね。そういう意味では、飲み薬も、注入というのも、どちらも未承認で許されているという理解でよろしいんでしょうか、結論としては。

宮本政府参考人 あくまでも、主治医の先生がその判断のもとにという意味では、規制されていないということになります。

串田委員 そういう未承認の薬が、薬剤が美容整形にも注入されているということによって、長年、その後に副作用としてあらわれるというケース、そういう意味では、今そんなようなことが非常に問題になっているんですけれども、こういう副作用について厚労省としては実態を把握しているんでしょうか。

宮本政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたように、医薬品、医療機器、薬剤等につきましては、薬機法上による承認を受けている場合と、それから薬機法上によって承認を受けていないものを主治医の御判断のもとに使われる場合と、大きく二通りの使われ方をされているということでございます。

 このうち、承認を受けた医薬品を承認の範囲内で使う場合につきましては、これは事業者が製造販売しておりますので、その医薬品の製造、輸入を行う事業者が、当該医薬品の副作用やふぐあいの情報を収集し、医薬品医療機器総合機構、PMDAに報告することとなっております。

 一方、医師が診療する患者さんに使用するために個人で輸入されました未承認の医薬品等につきましては、それらを輸入販売する事業者は存在いたしませんので、当該製品の副作用を把握するのは当該医師とならざるを得ませんが、薬機法上は、医師等の医薬関係者は、保健衛生上の危害の発生、拡大を防止するために必要があると認めるときは、承認されたものであるのか、あるいは未承認であるかを問わず、PMDAに副作用の報告を行うよう求められているところでございます。

 厚生労働省におきましては、報告されました副作用報告等につきまして、必要に応じて、承認を受けたものであれば添付文書の改訂指示などを行い、未承認のものであれば関係者への注意喚起や幅広い周知を行うなど、必要な対応を行っているところでございます。

 なお、医療事故情報収集等事業というものがございますが、長年の経過による副作用を検証することを目的とするものではございませんけれども、事故等の事案に係る情報の整理、分析を行っておりますので、その中で御指摘のような事案を扱うことはあり得ることだと承知しております。

串田委員 先ほど飲み薬の話もしましたが、飲み薬の場合には、何らかの疾病というものがある程度確立していて、それに対する投薬というのも、かなり患者の方も知識があるんだろうなと思います。

 一方、美容整形の場合には、いろいろな意味で、行われるに当たって、注入する薬剤が例えば未承認の場合、幾ら説明されたとしても、自分たちが見なれた薬剤ではないわけですから、説明を受けたとしても、それがどういうものであるのかというのはなかなか理解ができないというふうに思います。

 その中で、長年経過したことによって体内でいろいろな状況になり副作用が発生するという例もよく報道されているということなんですが、例えばFDA、アメリカの食品医薬品局、こういったようなところでは、美容整形に対する注入の薬剤に関して、何らかの規制はありませんか。

宮本政府参考人 必ずしも詳細について、情報を私ども持っているわけでは、事情を承知しているわけではございませんけれども、米国におきましては、医師が美容整形において注入する薬剤は、原則、薬事承認を受けている、FDAの承認を受けているということが必要であると承知しております。

 また、医師が承認されていない薬剤を患者に使用するために個人的に、お医者さんが個人的に輸入する制度があるかどうかということにつきましては、そういう制度があるとは承知しておりません。

串田委員 今説明を受けましたとおり、FDAに関しては、注入する薬剤に対しては承認というものを一つ規制として設けている。また、隣国に関しては、韓国で、豊胸手術に関しても、注入について規制がなされているというふうに伺っております。なぜ我が国は規制をしていないんでしょうか。

宮本政府参考人 規制していないと申し上げますか、業者がそういったものを国内でお医者さん向けに製造販売する場合には、その場合には、業者による、その製品につきましての承認等につきまして、を私どもにしていただいた上で、承認を得たもののみが国内でお医者さんによって使用することができる、業者の販売するものにつきましてはということでございます。

 そういう意味で、現在におきまして、今回問題になりましたような美容整形に用いられる薬剤の承認はございませんので、業者による販売というものは、国内ではできないという状況にございます。

 しかしながら、先ほど申しましたように、医師が自身の専門的な御判断のもとに御自身の患者さんに使用されるということにつきましては、これは薬機法の及ぶところではございませんので、ここについては、まさにお医者さんの専門的な判断に委ねられているという状況でございます。

串田委員 今、要は、国内で販売するときには規制はあるけれども、医師が国内で販売されていないものを使う場合には未承認でも構わないというような理解をしました。

 そういうような意味での裁量権を認めたまま、どんなようなことが注入されているのかというのもはっきりしない、そしてまた、それを受ける消費者の側が、十分な説明というものが、未承認の場合には、幾ら説明を受けたとしても、めったに行っているような手術ではないでしょうから、例えば普通の病気であれば、いろいろなテレビの番組もありますし、いろいろな本もあります、いろいろな内臓疾患、そのときの必要な薬というのも検索すれば出てくるでしょうし、未承認というのはまず普通考えられないと思うんですが、美容整形に関しては、それは医師の裁量に委ねたままで、これは安全だというふうに考えていって、規制というものは必要ないというふうに思っていいんでしょうか。

 大臣、その点について、お考えがあればお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 大臣から御答弁いただきます前に、事実関係を含めて御説明させていただきます。

 御指摘いただいておりますような美容医療を含めまして、医療行為というものとして行われたことにつきましては、患者の治療を目的として高度な専門性に基づく医師の裁量の範囲内ということを前提に実施されているということが基本でございますので、私ども、それに対する一律の規制というものについては慎重であるべきというスタンスをとってございます。

 一方で、御指摘のように、美容医療を受ける方々がふえていく中で、身体被害を含むトラブルというものが発生しているという中、この美容医療を安心、安全に受けられる環境の整備というのが必要だというふうに思っております。

 私どもといたしましては、まず三つ、一つは、医療法に基づく医薬品等に関する安全管理責任者の配置や職員に対する研修など、安全管理体制の確保を一方で義務づけるということ、二つ目として、都道府県等が設置する医療安全支援センターに寄せられております苦情あるいは相談というものの把握をするということ、そして三つ目に、医療事故調査・支援センターという形で行っております医療事故調査制度というルートにおいても、死亡事故等の重篤事案が起こった場合には、その情報の把握と再発防止に取り組んでいるところでございます。

 また、さらに、今患者さん側のお話といいますか、利用者さん側のお話もございました。私どもとしても、その診療の安全性や有効性について理解して医療を受けていただくということが重要だと思っておりますので、医療法に基づきまして、医師等による適切なインフォームド・コンセントの実施、あるいは美容医療を含めた医療広告については、必要な規制をこれまでも講じているところでございます。

串田委員 今の説明でわかりますが、ただ、インフォームド・コンセントといいながらも、美容整形に関する薬剤のいろいろな説明を急にされたところで、これは普通の、要するに疾病の薬と違うわけですから、非常に理解できるというふうに私はなかなか思えないんです。

 せめて、これは承認済みのものだ、国内産のものか、あるいは海外から輸入して未承認のものであるかぐらいは使用者に対して医師に説明をさせるというぐらいの、このぐらいの規制はあってもいいんじゃないかなと思います。やはり自分は国内で承認を受けたものしか注入を受けたくないという患者もいると思うんです。ところが、わからないじゃないですか。

 そのぐらいの規制は私は持っていいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 先ほど、薬剤の輸入販売あるいはお医者さんの個人輸入につきまして御説明させていただきましたとおりですが、医師が海外から輸入する場合におきましては、一般的には、水際規制といいますか、通関の際に、未承認のものは通常、通関させないということになっておりますが、医師が必要に応じて通関させる必要があるといったときには、そのための証明書のような手続という制度を私どもで設けております。薬監証明と言われている制度でございます。

 この薬監証明を交付する際におきましては、その使用に当たりまして、あくまでも使われるお医者さんの責任のもとに、専門的な知識の判断のもとにお使いいただくということとともに、患者さんからのインフォームド・コンセント、同意の取得を条件としてこれを認めるものですということで注意喚起を促しているところでございます。

串田委員 美容整形に関してはこのぐらいにいたしまして、残された時間、わずかですけれども、技能実習制度について一つか二つお聞きをしたいと思います。

 技能実習制度から、今度、特定技能一号に入るときに、私、法務委員会のところで質問したのは、出稼ぎであってはならないという回答があったんです。恐らくこれは厚労大臣に聞いても、やはり同じように、出稼ぎであってはならないというふうな回答をされるのかなと思います。

 そこで、この技能実習制度から特定技能一号に入るに当たっては、特定技能一号の中でも、出稼ぎ、いわゆるこれは、出稼ぎという定義を引くと、本拠地に所得を持ち帰る労働形態。出稼ぎというと、非常に何かマイナスなイメージがあるんですけれども、所得を本拠地に持ち帰るという労働形態。技能実習制度から特定技能一号に移るにしても、このどちらにしても、なぜ所得を本拠地に持ち帰る労働形態であってはいけないのか、その点をお聞きしたいと思います。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習制度の目的については、申し上げるまでもないと思いますけれども、技能移転による国際貢献ということが目的で、技能実習生は技能実習に専念することが求められているところでございます。

 しかしながら、技能実習生は働きながら技能を学ぶという労働者であることも一方で事実でございますので、実習期間中に得られる賃金等を考慮に入れて技能実習を志す者がいること自体を否定するものではないというふうには考えております。

串田委員 今の回答は、法務委員会の回答よりはかなり労働者的な意味合いというものを捉えているということで、私はその方が正しいかなと思っています。

 昨夜、民放の番組もちょっと見ていたんですが、報道番組がありましたが、ベトナムの方で、海外の実習生を採用するというところで韓国と日本が比較されていて、今は韓国の方が人気があるということなんですが、そのときの差というのは、韓国は労働者として評価する、日本は技能実習生というふうに評価しているというところが違うと。やはりこれは、外国人を流入するに当たっては、正面から労働者としての面も評価していかないといけないのかな。

 そういう意味では、出稼ぎではいけないというような法務委員会での表記というのは、私、苦言を呈させていただいたんですが、やはりそれは、お金を稼いでいくという、技能も学びながらお金を稼いで、そして母国にお帰りになる、そういう制度であるということを正面から私は厚労省も認めていただきたいというふうに思っております。

 時間になりましたので、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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