衆議院

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第8号 平成31年4月12日(金曜日)

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平成三十一年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大隈 和英君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      斎藤 洋明君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    武部  新君

      谷川 とむ君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    山田 美樹君

      山本ともひろ君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    吉田 統彦君

      稲富 修二君    小熊 慎司君

      白石 洋一君    山井 和則君

      伊藤  渉君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    森  夏枝君

      中島 克仁君    柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           西村智奈美君

   議員           大西 健介君

   議員           尾辻かな子君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  木下 賢志君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     小寺 裕雄君

  塩崎 恭久君     宮内 秀樹君

  丹羽 秀樹君     斎藤 洋明君

  船橋 利実君     高木  啓君

  岡本 充功君     小熊 慎司君

  鰐淵 洋子君     伊藤  渉君

  丸山 穂高君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     武部  新君

  斎藤 洋明君     山本ともひろ君

  高木  啓君     船橋 利実君

  宮内 秀樹君     塩崎 恭久君

  小熊 慎司君     岡本 充功君

  伊藤  渉君     鰐淵 洋子君

  森  夏枝君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     大岡 敏孝君

  山本ともひろ君    丹羽 秀樹君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

四月十二日

 業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第二号)

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(岡本充功君外五名提出、衆法第三号)

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第四号)

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

同月十一日

 社会保険料の負担軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八五三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八五四号)

 同(藤野保史君紹介)(第八五五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八五六号)

 同(宮本徹君紹介)(第八五七号)

 同(本村伸子君紹介)(第八五八号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八五九号)

 パーキンソン病患者が生きる希望を失うことなく治療に専念できる環境の整備に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八六〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(亀井亜紀子君紹介)(第八六一号)

 同(根本幸典君紹介)(第八六二号)

 同(古屋圭司君紹介)(第八六三号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第八九四号)

 同(藤井比早之君紹介)(第八九五号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第八九六号)

 同(鬼木誠君紹介)(第九〇九号)

 同(古川元久君紹介)(第九一〇号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八九一号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、子育て支援の充実を求めることに関する請願(今枝宗一郎君紹介)(第八九二号)

 同(船田元君紹介)(第八九三号)

 同(伊藤信太郎君紹介)(第九〇七号)

 同(古川元久君紹介)(第九〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第二号)

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(岡本充功君外五名提出、衆法第三号)

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件(毎月勤労統計調査等)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十日に終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、保健、医療、介護などの制度運営に係る八本を束ねた法案であり、三日間の審議では極めて不十分です。最も機微な医療等データの利用拡大とともに、皆保険制度を揺るがす問題が含まれており、賛成できません。

 以下、本法案に反対する理由を述べます。

 反対する第一の理由は、オンライン資格確認におけるマイナンバーカードの導入です。

 マイナンバーカードに金融資産の保有状況と医療保険の負担額を連動させて税、保険料の徴収強化を図ることなども骨太方針などでうたっています。保険証は従来どおり使えますが、一二・二%にとどまるマイナンバーカードの普及を拡大しようとする意図は明らかです。持ち歩く頻度がふえることで、紛失や情報漏えいのリスクも高まります。

 また、保険医療機関に提供する情報には、滞納による資格証明書や短期証などの資格情報も含まれるため、窓口での受診抑制につながることがあってはならないと再度強調しておきます。

 なお、医療情報化支援基金に消費税増税分を充てることにも反対です。

 第二の理由は、NDB、介護DBの第三者提供です。

 医療、介護等の情報を営利目的に提供すべきではありません。高齢者個人の健診データや介護情報が名寄せされ、ハイリスク高齢者へのアウトリーチを行うといいます。名寄せされたデータはマイナポータルと市町村の中だけの活用といいますが、経済財政諮問会議では、健康、医療と介護ビッグデータを連結し、民間活用を期待しています。

 政府は二〇二五年に約三十三兆円のヘルスケア産業の市場規模を推計しており、それは、公的保険がカバーする部分が縮小され、負担増にもつながることを見ておく必要があります。

 第三に、社会保険診療報酬支払基金の統合についてです。

 規制改革委員会の号令で、四十七都道府県の支部を廃止し、全国十カ所程度の審査事務センターに集約するものですが、標準化の名のもとに、地域の事情に見合った診療内容が考慮されなくなるおそれがあります。

 また、支払基金にレセプトデータの分析などの業務を担わせることは、保険医療機関をチェックするという最も信頼が問われる支払基金の業務とは相入れないものであり、反対です。

 第四として、健保の被扶養者に国内居住要件をつけることは、本法案準備の審議会での議論には付されておりません。改正入管法による外国人労働者受入れを契機としたものであり、委員会でも議論があったように、内外無差別に当たらないのか、同じ外国人、同じ在留期間で差をつけるのはおかしいのではないかなど、更に議論を深めるべきであります。

 本法案を審議中に、二百億円規模の介護保険料の計算ミスが発覚し、またも公表をおくらせたことが問題となりました。国民の命、暮らしに直結する諸制度を所管し、最も大きな予算を持つ厚労省の存在そのものが問われているという危機感を持って国民のための仕事をしてほしいと強く求め、討論を終わります。(拍手)

冨岡委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、本案に対し、小泉進次郎君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び社会保障を立て直す国民会議の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。吉田統彦君。

吉田委員 私は、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び社会保障を立て直す国民会議を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 今回の医療保険制度の運営に関する改正に続き、二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者に移行することなどから、少子高齢社会の進展を見据えた取組を早期に開始し、医療保険制度の健全な運営に努めること。

 二 個人番号カードによるオンライン資格確認が導入されることを踏まえ、個人番号カードの更なる普及拡大に向けて、セキュリティ対策の充実など、効果的な施策を検討するとともに、関係府省が連携して取り組むこと。

 三 介護分野において、医療分野と比べて進んでいないデータ集積・分析の一層の推進を図ることにより、科学的根拠に裏付けられた介護サービスの提供に係る方法論を確立するとともに、その普及を図ること。

 四 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施において、市町村が配置する保健師等の医療専門職については、適切な人数及び処遇が確保されるよう、必要な支援を行うこと。

 五 我が国の医療保険制度は内外無差別の原則を採っているとともに、外国人による医療保険の不適正利用の実態が十分に把握されていないことを踏まえ、健康保険の被扶養者等の国内居住要件の例外要件の設定等に当たっては、国籍による差別的な取扱いとならないようにすること。

 六 被扶養者の国内居住要件の例外規定については、保険者が円滑に認定事務を行えるよう、具体的かつ明確に定めること。また、保険者が被扶養認定を行うに当たり、被扶養者の身分関係、生計維持要件を適切に確認するよう指導すること。

 七 治療目的で来日する外国人が在留資格を留学等と偽って高額な保険給付を受けることのないよう、高額療養費等の申請があった際には、必要な調査等を徹底すること。

 八 外国人のなりすまし受診対策を実施するに当たっては、被保険者証とともに在留カード等の本人確認書類が提示されないことのみをもって保険給付を否定する取扱いとはしない旨を医療機関に周知徹底すること。

 九 年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となって償還払いを強いられることのないよう、被扶養認定の具体的かつ明確な基準を策定すること。

 十 社会保険診療報酬支払基金の組織見直しに当たっては、審査結果の不合理な差異の解消に向けて、適切に指導すること。また、社会保険診療報酬支払基金がレセプト事務点検作業の集約化を進めるに当たっては、職員の家庭の実情等に十分配慮すること。

 十一 社会保険診療報酬支払基金の審査委員会及び審査事務局については、地域医療の特性を踏まえ、引き続き四十七都道府県に設置されるよう、必要な措置を講ずること。

 十二 近年の後期高齢者支援金や介護納付金の総報酬割の導入等に伴い、健康保険組合等の財政負担が増加していることを踏まえ、財政状況が厳しい健康保険組合等に対する必要な支援を検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

冨岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、根本厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十九分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に毎月勤労統計調査等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官福田正信君、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、厚生労働省大臣官房長定塚由美子君、大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、老健局長大島一博君、保険局長樽見英樹君、年金局長木下賢志君、政策統括官藤澤勝博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 本会議終了後、皆様、お疲れさまでございます。順次、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、毎月勤労統計の質問に入る前に、きのうありました、一型糖尿病の方の障害年金の支給を打ち切ったことは違法として処分取消しを求めた訴訟で、大阪地裁が、処分の詳しい理由が示されておらず違法な手続だとして処分を取り消しました。

 裁判長は、判決理由で、障害年金の受給権者は支給を前提に生活設計を立てており、支給停止は生活の安定を損なわせる重大な不利益処分であり、原告らへの処分通知書には障害等級が二級に該当しないとする結論しか記載されず、行政手続法が定める理由提示義務に違反するということで判断をされています。

 私は、この判決で示された、処分通知書が理由提示義務に違反であるということをしっかり受けとめるべきだと思っております。

 まず、この判決に対する大臣の受けとめを聞かせてください。

根本国務大臣 今回の判決は、障害程度の認定の適否自体について判断した判決ではなく、支給停止処分の通知書に記載した理由が不十分な記載であり、行政手続法に違反するとの判決をいただきました。

 従来から、個別に問合せがあった場合には年金事務所などにおいて丁寧に理由を説明しておりましたが、通知する書面における理由の記載が十分ではないとの判決でありました。

 障害の状態は個人ごとに異なるものでありますが、今後、通知する書面においてどの程度丁寧に理由を記載することができるか検討してまいりたいと思います。

尾辻委員 裁判所が言った、理由が十分書かれていないという指摘は受け入れるということでよろしいですか。

根本国務大臣 裁判所からはそのような御指摘をいただきましたが、控訴をしないということかという問いということであれば、関係省庁と協議の上、適切に判断したいと思います。

尾辻委員 次に控訴するかどうかというのをお聞きしたかったんですけれども。

 今の答弁でいくと、理由が十分書かれていないということを、それはもう裁判所が認定していることですから、しっかり受けとめて、多分、控訴しても同じ判決が出ると思います。そうすると障害年金を、処分を取り消して受け取れる人が更に受け取れなくなるということになりますから、これは争う話じゃないと思いますので、しっかりと裁判所の判断を受けとめていただいて。障害年金というのは、障害基礎年金、障害のある人たちの非常に大事な権利です。このような形で障害年金を取り消したということは、やはり非常に問題だと思っています。

 判決をしっかり読んで、これらの今までの手続に瑕疵はなかったのかということについてはまた今後引き続き聞いていきたいと思いますが、控訴についてはここでしっかりと、判決を読んで、しないということを求めておきたいと思います。

 それでは、毎月勤労統計に質問を移したいと思います。

 まず、お手元に資料をお配りさせていただきました。この三枚の資料、ほかの資料もあるんですが、これは三月十九日に、衆議院の厚生労働委員会の集中審議が終わってから新しい資料が出てきました。

 本来であれば、集中質疑があるというのがわかっていればその前に出していただかないと、その後でこれが出てきたという資料の出てくるタイミングについては、非常に遺憾だと思っています。今後、資料の出し方については、集中審議があるのならその前に出していただくように要望しておきたいと思います。

 この中身に入っていきたいと思いますけれども、これは、二〇一七年七月十三日午後四時過ぎに厚生労働省の雇用・賃金福祉統計室から発信されている、組織の中でいろいろ共有されるメールかと思います。

 この資料の中で、読んでみると、メールとメールに添付されているワードの文書がここに書かれているわけですけれども、神奈川県や大阪府では調査事業所のうち四割が五百人以上で東京をはるかに上回る、一分の一にしている五百人以上増に伴う増加は限界と書かれているんですね。東京で行っている仕組みの導入が望まれる、こういうことも書いてあるわけです。

 このメールで見る限り、東京都が抽出であるということは組織内で共有されていたというふうにこの資料で見られるんですけれども、そういうことでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都の大規模事業所を抽出調査としていることにつきましては、特別監察委員会の追加報告書にもございますように、監察委員会では、事実を認識していた者も複数いたことは確認していると承知をしております。

 また、追加報告については、全国の都道府県に送付していた都道府県・産業別の抽出率逆数表には、東京都の大規模事業所について抽出調査が行われていたことが確認できる記載があることなどからすると、抽出調査としていることを意図的に隠そうとしたとまでは認められない、このように書かれているところでございます。

尾辻委員 私は組織内で共有されていたと思うんです。

 まず、この宛てのところが、全部隠れていますけれども、これは、誰が、どこ宛てに出しているんでしょうか。それによって、組織の中で共有されていたということになると思うんですが、いかがでしょうか。組織だけで結構です。

定塚政府参考人 このメールにつきましては、担当内で共有をするために配付をされた文書というふうに理解をしているところでございます。

尾辻委員 いや、結局、だから、数人知っていたとかいうレベルじゃなくて、組織でしっかりとこのことは認識されていたという証拠だと思うんですよ、これが。だから、今まで説明されてきたことと、この資料が出てくることによって、また説明が変わるはずなんですね。

 ちなみに、これは監察委員会には出されているんでしょうか。

定塚政府参考人 このメール及び文書については、特別監察委員会から提出を求められているものではなく、提出をしていないところでございます。

尾辻委員 特別監察委員がこの資料がどこにあるとかわかるわけないじゃないですか。その中でどれを出すかというのは、結局、省内の人たちが決めているということで、こういう重要な書類ですら特別監察委員会に出ていなくて、あの報告書というのはどういう事実を書いているのかということだと思うんですね。

 監察委員会の報告書を見ると、東京都は例外と考えていたということ。でも、ここに書かれているのは、組織の中では神奈川県、大阪府にも広げていたということで、やはり報告書に書かれていることと事実が違うというふうに思うんですけれども、それについていかがですか。

定塚政府参考人 監察委員会の資料につきましては、監察委員会に確認したところでは、大規模事業所の抽出調査の三府県への拡大に関しては、ヒアリングや関係資料を確認することにより検証に必要な情報を得ることができたということなどの観点から、御指摘の関連資料の提出は求められなかったものと承知をしてございます。

 また、先ほども申し上げましたけれども、東京都の大規模事業所が抽出調査であるということは、既に特別監察委員会の報告書の中で、事実を認識していた者も複数いたということ、また同時に、逆数表が全国の都道府県に送付されていたということで、全国の都道府県でも東京都の大規模事業所について抽出調査が行われていたということが確認できる状態であったということが述べられているところでございます。

尾辻委員 いや、同じことをおっしゃっているんですけれども、そうすると、こちらも同じことを聞かなきゃいけなくて、審議が全然進まなくなるんです。

 どう見ても、このメールで見ると、組織の中で、それも十五人というふうに新聞報道ではありました。十五人の人が知っているというのは、複数というところと、いや、複数って何人なのかというのはありますけれども、違うじゃないかというのと、資料について、求められていなかったから出さなかったというのは、これは理由にならないと思うんですよ。ちょっと、もう一度お答えください。

定塚政府参考人 先ほど申したように、事実を認識していた者も複数いた。複数というのは別に二、三名ということではなくて、ここにあるように、一定程度共有をされていた、そういう認識かと考えております。

 そういうことで、そういった実態につきましては、先ほど申したように、特別監察委員会の方では既にほかの資料等で把握をしていたということで、それ以上の資料を求める必要がなかったというふうに理解をしているところでございます。

尾辻委員 調査が不十分だし、集めた資料もやはり不十分だということが、私はこれで示されていると思うんですね。

 何が問題かというと、特別監察委員会の報告書にはどういう資料を確認したのかということが何も添付がないんです。なので、私たちでそれを確認できないんです。客観的で中立的な報告書を出そうとすれば、どういうことを証拠として集めたのかということも本来あるべきだと思うんですね。

 実は、この報告書の中に日付の間違いがありますよね。一月の報告書の五ページで、総務省への申請の日付を九月十八日としていますけれども、これは誤りですよね。

定塚政府参考人 今御指摘いただきました点につきましては、厚生労働大臣から総務大臣への調査計画の変更申請の日付について、一月報告の五ページには平成十四年九月十八日とございますが、正しくは平成十四年九月六日でございました。

 記載されていた九月十八日は、変更申請を行った日付ではなく、変更申請が承認された日の日付であるということでございます。

尾辻委員 事実関係にも間違いがあるということは、本当にこの報告書というのはしっかりと調査されたのかということが、やはり疑義が生じるんですね。先ほど言ったように、結局、どういう資料を集めたのか私たちにはわからないから、その報告書が本当に、書類と照らし合わせて、いいかどうかわからない。やはりすごく不十分だと思うんです。

 あと、東京都のここ最近の動きについても確認をしておきたいと思いますが、東京都が三月二十八日に調査結果最終報告をまとめています。都から厚生労働省に調査方法の変更を要望した事実は確認できなかったということで書いてあるわけですね。

 ということは、都が要望した事実もないのに東京都だけ抽出に変えていたということになって、なぜ東京都を抽出にしたのかという理由の一つがなくなるわけですけれども、この最終報告をどのように受けとめておられますか。

定塚政府参考人 東京都の最終報告書、三月二十八日に公表された報告書でございますが、こちらにおいては、東京都から厚生労働省に要望している事実は確認できなかったとされているところでございます。

 一方で、特別監察委員会の報告書と追加報告書におきましては、平成十六年から東京都の規模五百人以上の事業所について全数調査から抽出調査に変更された理由として、平成十五年のブロック打合せ会議における質疑応答集などを根拠に、都道府県担当者からの要望ということを理由の一つとして挙げているのは事実でございますが、東京都であると記述されたものではないと承知しているところでございます。

尾辻委員 ということは、東京都は要望していないのに、東京都のみ五百人以上の事業所を三分の一の抽出にした。これは全然理由になっていない、経過がわからないということになるんですけれども、これについては、東京都じゃないんですよね、要望したのとかが。なのに、なぜ東京都が三分の一の抽出になったんでしょう。

定塚政府参考人 今申し上げたように、東京都からということで報告書に書いているわけではございませんが、ブロック打合せ会議の質疑応答集などを根拠に、都道府県担当者から要望されているということを理由の一つとして挙げているところでございます。そのほかにも理由はございますが、今の理由も一つとして、平成十六年から抽出調査に変えていると承知しているところでございます。

尾辻委員 ですから、東京都は要望がなかったのになぜ都道府県という名称をしているのか。結局、相関関係がないわけですよね、なぜ東京都が三分の一になったのか。だって、東京以外のところが要望しているのになぜ東京だけが三分の一になったんですかということを聞いているんです。

定塚政府参考人 今申し上げましたブロック会議というのは一つの理由でございますけれども、そのほかには、追加報告書の中では、東京都に大規模事業所が集中して数も増加していることから、全数調査にしなくても適切な復元処理がされる限り統計としての精度が確保できると考えていたこと、また、一定の調査事業所総数のもとで、中規模の事業所の精度を向上させるために、その部分の抽出率を高めるかわりに、負担軽減のために標本数が十分な大規模事業所を抽出に変更したこと、また、今申し上げた会議等もその理由の一つでございますが、かねてより厚生労働省に寄せられていた都道府県や回答事業所からの負担軽減の要望に配慮したことなどが、十六年一月調査以降で抽出調査に変更された理由として挙げられているところでございます。

尾辻委員 ちょっと聞き方を変えますけれども、じゃ、東京都が要望した事実はなかったということはお認めになりますか。

定塚政府参考人 東京都が要望したという事実は、厚生労働省においても確認はできていないということでございます。

尾辻委員 最初からそれを答えていただきたいんですね。

 だから、東京都が要望した事実がないのに、東京都の抽出のところがこうやって三分の一になったというのは、これはやはり、どういうことなのか、報告書を読んでも結局何もわからない。つまり、報告書を早く出そう、早く出そうとする余り、東京都の部分についても、こうして今やっと東京都は出してきたわけですよね。

 そうしたら、やはり経緯で見ると、誰が見ても、何で東京都は要望していないのに東京都だけになったのと。それに、わざわざここに都道府県というふうに書かれているわけですから、やはりこの報告書は私は不備があると思います。

 次に、ちょっとローテーションサンプリングの話もしたいんですけれども、さっきの添付の資料を見ても、特にワード文書の中では、非常にローテーションサンプリングについて苦労しているのが如実に見てとれるんですね。

 これは、ちょっと技術的なことかもしれません、毎月勤労統計というのは、ここにも書かれているように、抽出率というのを自在に、ここは多いから抽出率はちょっと下げようとか、そういうふうに自在に抽出率を変えていた、毎月勤労統計というのはそういう調査なんだということでしょうか。

藤澤政府参考人 お尋ねの点でございますが、毎月勤労統計調査におきましては、サンプルの入れかえごとに、その時点の母集団事業所数などを考慮しまして、統計の精度が確保されるように必要に応じて抽出率を変えているところでございます。

 それで、この抽出率に関しましては、全国調査分については、従来から報告書で記載をしているところではございますけれども、今ほども御指摘の東京都の五百人以上規模の事業所の取扱いについては、これは不適切な取扱いを大変長く続けてきていたということについては真摯に反省をしたいと考えているところでございます。

尾辻委員 抽出率をこのように変えて、何か文書の中には、抽出率の逆数の差異を考慮しない処理になっていたというような統計委員会の報告書もあったんですけれども、そこは、こういうふうに抽出率をいろいろ変えても、しっかり復元していたということなんでしょうか、東京都以外は。

藤澤政府参考人 東京都は、おっしゃるようにといいますか、東京都の五百人以上は三分の一抽出にしていたにもかかわらず長い期間にわたって復元をしていなかったわけでございますが、それ以外にはそういうことはございませんでした。

尾辻委員 これも、結局、どういうふうに抽出率を変えていたのかというようなことは、年報などからも何も見えないんですよね。今やっと、何か統計委員会に出すようにということで出てきているんですけれども、本来であれば、こういう抽出率とか産業別とか事業所規模別でかなり変えているわけですから、それもきちっと情報開示すべきだと思いますが、いかがですか。

藤澤政府参考人 今ほども申し上げましたが、毎月勤労統計の年に一回出しております年報には掲載をしているわけでございますが、今後とも適切な情報提供に努めていきたいと考えております。

尾辻委員 いや、細かいのは出ていないじゃないですか、都道府県でそういうのはあるけれども。私も確認しましたけれども、私が求めているのは、もう少し細かいのをしっかり出すべきだということを申し上げています。

藤澤政府参考人 失礼しました。

 地方調査の抽出率の情報提供についておっしゃっているんだと思いますけれども、こちらにつきましても、都道府県とも相談しつつ、情報提供のあり方について検討していきたいと考えております。

尾辻委員 そういうのを出さないと、結局、どこで何が間違えていたのか、外部の目が入らないんですよね。ずっとこういうふうに毎月勤労統計が間違ったままになったのも、やはり外部にどういう調査をしているのかというのを出していないので外部調査がきかないということがあると思いますので、どういうふうな抽出率で出しているのか、事業所数も幾らなのかとかいうことがわかるように、しっかりと情報公開をしていただきたいと思います。

 あと一点、一月分の毎月勤労統計についても確認をしておきたいと思います。

 速報から確報値が、一月分の毎月勤労統計、出ました。名目賃金においては、速報値が一・二%増というところから、確報値は下振れしてマイナス〇・六%ということになって、ローテーションサンプリングをしているので、結局、速報値と確報値でも変わってしまうというようなことがあって、本当にこの毎月勤労統計は実態をきれいに把握しているようになったのか、ローテーションサンプリングをやって。この一月分を見ると私はそう思わないんですけれども、いかがでしょうか。

藤澤政府参考人 ことし一月の速報と確報の数値の動きにつきましては御指摘のとおりでございまして、速報を公表しました段階では一・二%の増でございましたが、確報を公表した際に、前年同月比で〇・六%減ということになってございます。

 一月の速報と確報の名目賃金の伸び率の差の要因でございますけれども、ことしもサンプルの入れかえ年でございましたが、サンプル入れかえ年の一月調査は、速報値は入れかえ前のデータによる値を公表しておりまして、確報値は入れかえ後のデータによる値を公表しております。ということで、一月調査特有の旧サンプルから新サンプルの入れかえによる影響のほかに、速報値が確報値と比較をして高目に出ていたことというような要因が考えられるところでございます。

 これは、ローテーションサンプリングについてのお話がございましたけれども、現在、ローテーションサンプリングの導入に向けた経過措置の期間中でございますので、いずれは平準化されていくことになろうと思いますが、引き続き、情報提供でありますとかあるいは丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

尾辻委員 結局、段差ができたり、それを三角補正しないとかで、本当に事実を示しているのかということや、エコノミストが使える毎月勤労統計に私はなっていないと思うんですね。

 前であれば、三年間でやっていましたから癖がわかっていますけれども、今、全然まだ癖もわからないという状況になっていて、これはやはりローテーションサンプリングを導入したこと自身に無理があったんじゃないかということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、統計に関する審議等ということで、まず最初に、統計調査不正に関する点を質問させていただきますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 そもそも、厚生労働省が発出するアンケートや調査の仕方というものが、正確な返答が戻りにくいものになったり、回答者に対して不親切なものになったりしていませんでしょうか。

 実際、厚生労働省からのアンケートや調査を見ると、答える側に負担を強いる、また、必要不可欠でない、本来の内容と関係ない情報を書かせる形式のアンケートや調査を散見することが実際あるんですね。また、他省庁とちゃんと連携をとれば記載させる必要がない、回答者に多大な負担をかける内容の記載を強いる例も散見するんです。

 正確に多くの情報を調査で得たいと思うのであれば、そもそもこういった姿勢を改めていくべきではないでしょうか。大臣、どうでしょう。

根本国務大臣 一般に、統計調査などを行う際には、調査票やアンケートの内容が適切なものとなるようにして、今委員のお話にもありましたが、調査対象になった方々の負担の軽減に努めることが重要だと思っております。

吉田委員 大臣、それは本当に重要なことなので、この際、こういった統計不正の問題が起こったのを契機に、調査や統計のとり方、アンケートのとり方を、厚生労働省として、やはり本当に必要不可欠な部分を尋ねるタイプのものにしていただきたいし、繰り返しになりますが、他省庁と連携をとれば書かせる必要のない情報を結構書かせる調査が厚生労働省は多いんですよ。そういったことは今後やめる方向でちゃんとやるということを、大臣、お約束いただけませんか。

根本国務大臣 私も、調査対象になった方々の負担の軽減に努める、これは重要だと思います。

 今委員の御指摘ですが、統計法に基づく統計調査、これについては、例えば、集計事項と全く関係のない調査事項は含まれていないか、あるいは、他の調査票情報や行政記録情報の活用により削除できる調査事項はないか、被調査者にとって記入しやすい調査票の設計となっているか、社会経済情勢の変化により必要性が低下している調査事項はないかといった事項が、統計法に基づく統計調査については、要は総務大臣の統計調査の承認の際の審査事項、こうされております。

 統計法の規定が適用されない業務統計やアンケートなどについても、調査対象になった方々の負担軽減を図るよう努めるのは私も当然だと思います。委員の御指摘も踏まえて、やはり、それぞれの調査などにおいて、実はこれは適切に対応するべきものと考えております。

 引き続いて、それぞれの統計調査などの趣旨も踏まえて、調査内容や調査方法の不断の見直し、これは適切に対応してまいりたいと思います。

吉田委員 大臣、御丁寧に答弁ありがとうございます。

 そのとおりなんですけれども、他省庁との連携もしっかりとってくださいね。そこが結構抜けている部分が多いんですよ。私もそういうのを見かけたら、今大臣から答弁いただきましたから、随時指摘をして、厚生労働省の方にちゃんと申し上げるようにしますが、やはり他省庁との連携もしっかりとっていただきたいと思います。

 では、いろいろきょうは聞いていきたいと思います。また統計の話も聞くんですが、防衛省から来ていただいていますので、お忙しいと思うので先にまずそこをやらせていただきたいと思います。

 二〇一七年の一月に行われた第四十回日本眼科手術学会学術総会で、戦場の眼科というタイトルのシンポジウムが行われているんです。

 新安保法の施行によって、自衛隊も今までより危険にさらされる可能性が出てきたわけであります。また、災害や有事の対応という面から考えても、災害大国日本では災害時の視機能を確保することは、隊員の安全を守るということはもちろんですが、実力を発揮していただくという意味でも非常に重要です。

 シンポジウムでは、自衛隊病院の眼科医師から、米国の現状や日本の現状についての講演もありました。

 米軍では、副大臣、一人の兵士にかかるさまざまな費用を考えた場合、視力が悪いことで本来の能力を発揮し得ない場合や万が一にも戦死するという事態は極めて大きな損失という考え方が、実際、米軍にはあります。米国の兵士は、公費でレーシックという屈折矯正手術やインプランタブルコンタクトレンズ、いわゆるICLというものを受けられて、その安全性は実はもう認められています。

 こういった状況を踏まえて、今後の自衛隊においてはこういったレーシックとかICLという屈折矯正手術などの自衛隊員への適用や提供に関してどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のように、レーシックなどの手術については、視力矯正の手段として近年多く実施されておりまして、視力の向上のみならず、長所として、眼鏡のように紛失、破損のおそれがない、また、コンタクトレンズのように衛生面でのケアが必要ないといった点があると承知をいたしております。一方で、長期的な影響について不確定な要素があることや、術後合併症の可能性もあることなどから、慎重な評価を要するものと考えております。

 レーシックなどの手術に関する御指摘をしっかりと受けとめ、視力矯正などの手術が隊員の任務にどのような影響を与えるかという点などについて、今後、米軍を含め、国内外における情報の収集に努めてまいりたいと思います。

吉田委員 副大臣、ありがとうございます。

 今の御答弁、私がなぜ米軍の話をしたかというと、まあ、一応その安全性というものは確立を基本的にはされているという前提でお伺いをしたいんです。

 私は、どうしてもしろというわけじゃないんですよ。そうじゃなくて、やはり隊員の皆さんの安全性や実力機能をしっかりと発揮していただきたい中で、こういうテーマに関してはどういうふうに防衛省がお考えかということを問うているわけです。

 だから、ちょっと切り口を変えてもう一個説明させていただくと、副大臣がおっしゃったように、逆に、眼鏡やコンタクトレンズを使用している自衛隊員が、海外派遣などで不都合を感じたり、その活動の中で何らかの障害があった例というのはないのかということ、聞いてありますから、これをしっかり答えていただきたい。

 そして、清潔な水が使用できない場所ではコンタクトレンズは使用できませんね、副大臣。また、眼鏡を外して寝ていた、そういったときに、就寝中に不測かつ重大な事態が発生した場合、初動がおくれることもあるでしょうし、眼鏡が破損、破壊された場合に、隊員の視機能に損耗が起こるわけですよ。

 国家国民のために精いっぱい働いている隊員の皆さんがその能力を最大限発揮できる環境を整えるのは我々の重要な責務じゃないですか、副大臣。そういった点で、今のお答えでは不十分だと思いますので、もう一度改めて今の趣旨でお伺いします。

原田副大臣 自衛隊においては、例えば、野外での訓練等の際に、風よけのゴーグル、そして破損をしにくい眼鏡の使用、また予備の眼鏡等の携行などの工夫を隊員が個別に行っておると聞いています。

 委員御指摘のように、それをなくすためにもレーシックというのが必要になってくるのではないかと私自身は思いますけれども、眼鏡等が不要になるように、今のレーシック手術などの視力矯正の手術を行う隊員がおることも確かでございます。

 アメリカの取組については詳細には承知しておりませんけれども、多数の隊員がレーシック手術等を受けているということは承知しております。

 委員御指摘のように重要なことでありますので、防衛省としても検討の余地があるかな、このように思います。

吉田委員 ぜひ、さまざまな面から御検討ください。

 それがいいと言っているわけじゃないんです。とにかく、隊員の皆さんが実力を発揮できて、また、御自身の身の安全もしっかりと守った上で機能を発揮できるような、そういった環境。くしくもおっしゃいましたけれども、眼鏡だと予備を持っていても、橋本理事も苦笑していましたけれども、本当に予備で役に立つのかということもそうですし、壊れにくいといっても、眼鏡は壊れますから、体の一部じゃないですから。そういったことをよくお考えいただいて、とにかく、やはり我々の宝ですから、自衛隊を大事にしてあげてください。

 副大臣、今御検討いただけるということをいただきましたので、よくよく本当に御検討いただいて、またお伺いしますので教えてください。

 では、次に、災害のときのお話で続きをさせていただきたいんですが、災害だけではないんですが。臨床宗教師に関して、大臣、ちょっと聞かせてください。

 現代の医療というのは、単に病院といった医療機関のみで行われるわけではありません。災害の場面であれば、御自宅での緩和ケアなど、その意味では、広く地域包括ケアシステム全体のさまざまな場面で行われます。このような場面としての広がりだけでなく、患者さんに寄り添うという意味でも広がりを見せていて、人の心の中にある宗教心にも寄り添っていく必要があるわけです。

 こうしたニーズに応えるには臨床宗教師の活用が重要ではないかと考えるわけですが、特定の宗教という意味ではもちろんありませんよ。そうじゃなくて、心に寄り添うという意味での臨床宗教師について、厚生労働省で担当する部署というのはどこになるのか、大臣、お答えください。

根本国務大臣 臨床宗教師は、被災地、人生の最終段階の医療現場や介護現場など、その活動の場はさまざまであると認識しております。こういう場でやはり心に寄り添うということは、私も被災地の経験からすると、心に寄り添うということが大事だとは思います。

 ただ、厚生労働省でどこの部局が担当するかということでありますが、厚生労働省では、医政局、健康局、社会・援護局障害保健福祉部あるいは老健局など、各部局が所掌する領域それぞれに活動の場がありますので、特定の部局が担当する、ここの局が担当しているということではありませんで、それぞれの部局でそれぞれの活動の場がある、こう理解をしております。

吉田委員 今の御答弁は、私が尋ねた、医療の場面だけでなく介護なども含めたさまざまな場面で臨床宗教師が活躍していることを大臣は認識しているという趣旨だと受けとめました。

 実際そのとおりで、先ほどは患者さんなど国民の視点から、厚生労働省でも複数の部署にまたがるさまざまな場面でのケアを担う人材として臨床宗教師について述べました。さらに、例えば医療を行う側の視点からも臨床宗教師の活用は、医師の働き方改革でも指摘されているタスクシェアやタスクシフティングにも資する、まさにチーム医療の観点からも効果的ではないかと考えております。

 以上を踏まえて、臨床宗教師が持つ専門性を厚生労働省はどのように活用していくのか、大臣、お答えください。

根本国務大臣 医療現場や介護現場などにおいては、これまで医療・介護従事者がこのような役割も担ってきたものと考えますが、心のケアに特化した臨床宗教師も現場において活動の場を広げられていることは承知しております。医療・介護従事者の負担軽減の観点からも、継続的な活動を期待しております。

吉田委員 大臣から、二年前は塩崎大臣ですね、厚生労働省もよく考えなければならない、そういった御答弁だったことと比較すると、臨床宗教師の活動の場が広がっているや継続的な活動を期待しているという踏み込んだお答えなんだと思います。

 大臣には、複数の部署をしっかり引っ張っていただいて、この臨床宗教師の活動が更に広がって、何より国民の皆様がさまざまな場面で安心して必要とするケアを受けられるようにしていただきたいと思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 大臣、LEDの普及などで我々の周辺というのはブルーライトであふれ返っています。ブルーライト自身は、私の母校でありますが、名古屋大学の赤崎教授ら多くを始めとした日本のすばらしい発明でありますが。青色LEDですね、失礼しました。

 その中で、ブルーライトというのは、サーカディアンリズム、いわゆる体内時計を狂わせることが最大の問題であります。例えば、看護師さんの三交代とかそういった特殊なところで、委員長はよく御存じだと思いますが、不規則な環境で働いている看護師さんには乳がんの罹患率が高い、あと、多くの生活習慣病にも影響を及ぼすことがわかっています。もちろん、眼精疲労だとか、場合によって加齢黄斑変性とか、目の病気のリスクも高まるわけであります。

 とりわけ夜間にブルーライトで囲まれた環境で過ごすことで子供の発育に影響を与えることもよくわかっておりますが、大臣は、その点、いかがお考えになりますか。

根本国務大臣 ブルーライトを浴びることが体内時計を変化させ、睡眠に影響するという報告があるということは承知をしております。

 例えば、就寝前にブルーライトを遮断する眼鏡をかけた人の方が睡眠の状態は良好で、睡眠時間が長くなるという報告があることは承知をしております。また、睡眠障害の研究の中では、睡眠障害が疾患の発症と関連があるという報告があることは承知をしております。

吉田委員 大臣、ありがとうございました。

 防衛副大臣、ごめんなさい、お忙しいと思いますので、どうぞもう退室いただいて結構です。言い忘れまして、本当に申しわけありませんでした。

冨岡委員長 原田副大臣、どうぞ。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 では、次に、またライトに関する質問を続けさせていただきたいと思います。

 二〇〇七年に、屋外活動と近視の関係に関する有名な論文が出ました。屋外活動と近視進行抑制の関係などと言われるもので、オリンダ・ロンジチューディナル・スタディー・オブ・マイオピアという論文、IOVSという有名な雑誌の論文ですが。

 それを踏まえて、特に我が国を始めとした東アジアの国々は近視の方が多いですよね。この委員会室を見渡してもかなりの数の近視の方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。

 もちろん、これは遺伝的要素もあるんですが、子供たち、特に幼児から学童に対してある一定時間の屋外活動を義務づける、そういった国も出てきている。これは、屋外活動が二時間、三時間あると子供たちが近視になりにくいから、こういった科学的なエビデンスがあるからなんです。

 また、日本における慶応大学の研究ですが、バイオレットライト仮説というのがありまして、これは、当然、太陽光というのは直接見ては網膜障害を起こすので、禁忌、厳禁ですが、屋外活動での近視抑制効果というのは、このバイオレットライトが存在する環境下で活動することによって近視が抑制されるという仮説があるんです。

 私もかなり高い可能性でこれは真実ではないかと考えますが、このバイオレットライトと近視抑制の効果との相関に関して、厚生労働省としてはどのようにお考えになるかということ。また、子供たちに一定時間屋外活動を促すということに関して、大臣、どのようにお考えになられますか。

根本国務大臣 近眼の要因については、その正確なメカニズムはいまだ十分には解明されていないと承知をしております。

 委員もおっしゃられましたが、遺伝要因のほか、物を近くで見るか否か、屋外での活動時間の長短といった環境要因が発症、進行に関与していると言われております。また、その発症、進行予防に、太陽光に豊富に含まれるバイオレットライトが関連しているという報告があることも承知をしております。

吉田委員 ですので、大臣、そういった報告があるのを御承知いただいているということですが、これに関して、先ほど申し上げたように、東アジアのほかの中国だとかシンガポール、そういった国々は、やはり、近視というのは網膜剥離、緑内障、さまざまな病気を起こします。近視性脈絡膜新生血管という病気もあります。

 こういった中で、それは近視じゃない方がいいわけですよね。さっきの自衛隊の話じゃないですけれども、眼鏡がない方が生活はしやすい部分もあるわけであります。

 そういった中で、こういった報告を大臣が承知しているという御答弁をいただいた中で、何も厚生労働省としては考えていかないのか、何か今後していくおつもりがあるのかということを聞きたいんです。

根本国務大臣 先ほど先生のおっしゃった慶応大の坪田一男教授、私も知っておりますが、その研究でも、そういうバイオレットライトについては、バイオレットライト透過型コンタクトレンズを装着した被験者は近視が進行する眼軸長の延長が抑制した、こんな報告は受けています。

 今後、近視の発症、進行のメカニズムについては、やはりエビデンスの蓄積が必要ではないかと思います。その点では、研究成果について引き続き情報を収集して、その結果を踏まえて文部科学省とも連携していきたいと思います。今はまだちょっと学童の戸外活動についてもエビデンスを持ち合わせておりませんので、そこはまずエビデンスの蓄積が必要だと思っております。

吉田委員 時間がなくなったので、ちょっと統計のこともまた質問したかったんですが、もう少しだけここを、時間が少しありますので。

 大臣、エビデンス、エビデンスと言うのはわかるんですよ。エビデンス・ベースド・メディスンと言いますね、EBM。ただ、大臣、これは初出の論文が二〇〇七年なんですよ。その後、さまざまなデータが出ていて、これを否定する論文というのは、大臣が御存じだったらぜひ教えていただきたいんですが、そういったものは比較的ない中で、また、エビデンスの積み重ねという意味では、もう既におっしゃっている十分な積み重ねがある状況だという理解をなさるのが、科学者から見た場合は当然ではないかなと思うわけです。

 逆に言うと、今後何があればエビデンスが完成されたと厚生労働省はお考えなんでしょうか。

根本国務大臣 今の委員の御質問はなかなか難しい質問だと思いますが。

 バイオレットライトと近視の関係についての研究が十分に行われているかということについては、十分に行われているかというところがまだありますので、研究の進捗も踏まえながら、まずは、その成果の情報収集、そして蓄積を図っていきたいと思います。

吉田委員 まあ、そうですね。確かに、バイオレットライトはまだ新しいデータですから、大臣のおっしゃるとおり。

 ただ、屋外活動に関してはもう十分な蓄積があると思いますので、もう終わりますけれども、厚生労働省として、日本に近視がたくさんふえちゃってもいいとお考えではきっとないとは思いますので、こういう疫学研究ですから、そういったものを生かして国民の健康を守る、そういったこともまた今後引き続きやっていただきたいなとお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、質問をさせていただきたいと思います。

 本題の統計偽装、アベノミクス偽装の質問の前に、ちょっともう一つ、関連して、今、地方創生委員会ですか、地方分権一括法の中で児童福祉法の改正、学童保育の規制緩和というのが審議されておりまして、これは地方創生委員会で審議されていますけれども、児童福祉法の改正ですから、非常に私の地元でも、ただでさえ職員、児童相談員の方の数が少なくて、もっとふやして、余裕を持って子供たちに対応したいと。

 いろいろ、発達障害、アレルギー、御病気あるいは家庭的な理由で、非常に寄り添って濃厚にお世話をせねばならない子供たちがふえる中で、もっと児童指導員、職員の数をふやして、そのためには待遇を改善して質も向上させるべきという流れの中で、今回の児童福祉法の規制緩和、つまり職員が一人でもオーケーであるという、自治体の判断によっては一人体制の学童保育も可能にするというのは逆行ではないかという強い批判が保護者の方々の団体や現場からも出ております。それについて、冒頭、少しだけ質問させていただいて、本題の統計偽装の質問に入りたいと思います。

 今申し上げました、一人体制でも学童保育が可能になるという規制緩和というのは、質の向上というものに対して逆行しているので問題ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

根本国務大臣 放課後児童支援員の人員配置、資格に関する従うべき基準を参酌化する内容を含む第九次地方分権一括法案、これについては、三月八日、閣議決定、国会に提出したところであります。

 今回の措置は、従うべき基準により、人材確保が困難といった地方からの要望、例えば、具体的には、現行の基準では児童四十人当たり放課後児童支援員を二人配置することとされているが、児童数が少ない放課後児童クラブや、時間帯、夕方、土日等があるため、その場合には放課後児童支援員の一人配置を可能としてほしい、こういう自治体からの要望があって、全国一律ではなく、自治体の責任と判断により、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものであります。

 また、基準については、市町村が、地方議会の議を経て、条例により制定するものであります。厚生労働省としては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断により、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。

山井委員 きょうの配付資料の十七ページにもありますように、一部の地方自治体はそれを要望しているかもしれませんが、例えばこの新聞記事の中で、池本日本総合研究所主任研究員は、日本の政策は親への就労の対応が先で、子供の権利を守る視点が弱いとか、あるいは学童保育学会代表理事の垣内先生は、人材確保が難しいのは待遇の低さも原因だとか、そしてこの見出しにありますように、一人体制、現場の声はあり得ない、「低待遇 人材集まらず」「職員配置 基準を緩和」「学童保育 問われる安全」「安全確保 地方の責任重く」とかです。そして、保護者や学童保育の関係団体は、安全、安心できる毎日の生活の場を子供たちに保障できないなどと基準緩和に強く反対してきた。かつ、市町村間での格差が広がり、子供の育ちにも影響する可能性があると全国学童保育連絡協議会の佐藤愛子事務局次長もおっしゃっているわけですね。

 私も、民主党政権で、長妻大臣のもと政務官をさせていただいて、保育の規制緩和などを総務省、内閣府とやり合ったことがありますが、私は徹底的に闘ってそのときは阻止しました、それについては。やはり、最低基準というものはしっかり国が担保しないとだめなんです。

 そういう意味では、学童保育の重要性がますます強まる中で、逆に、質を高め、安全性をより確保するためには、職員をふやし、児童指導員をふやし、職員の待遇の改善が必要であると考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

根本国務大臣 放課後児童支援員の待遇を改善することは、人材確保を図るとともに、放課後児童クラブの適切な運営を図る観点から大変重要だと考えております。厚生労働省では、平成二十九年度から、放課後児童支援員キャリアアップ改善事業を実施しております。

 この処遇改善は、始まって日が浅く、一部の市町村での実施にとどまっており、低い実施率と認識しています。多くの自治体でこの事業を活用していただいて放課後児童支援員の処遇改善を行っていただくよう、全国主管課長会議を始め、文部科学省との連携のもとで開催している全国五ブロックにおける説明会などのあらゆる機会を通じて、この放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の推進を働きかけていきたいと思います。

山井委員 別に、それを最優先で進めていけばいいわけであって、規制緩和する必要は何にもないわけです。ぜひとも全自治体が処遇改善できるように早急に取り組んでいただきたいですし、同時に、これは本当に、格差は確実に広がりますよ。財政が厳しいから子供の安全、学童保育の質が後回しになっていいはずはありませんし、一番重要なのは子供の視点なわけです。子供にとっては、規制緩和というのはマイナスになるんです。

 ついては、こういう規制緩和をしても、国として学童保育の質にどうやって関与していくのか、第三者評価等を含めて、どうやって国がこれからも学童保育の質を責任を持って改善させていくのか、そのことの方向性をお答えください。

根本国務大臣 厚生労働省としては、放課後児童クラブの質が確保されるように、放課後児童支援員に対する研修により、支援員の質の向上を図ること、放課後児童支援員の、今申し上げましたが、処遇改善の推進、放課後児童クラブの活動内容について、質の向上の観点からの評価の推進、放課後児童クラブの好事例の普及、展開、あるいは、放課後児童クラブを巡回し、育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置などを行って、放課後児童クラブの質の確保に努めていきたいと思います。

山井委員 本来、これは児童福祉法改正なので、この厚労委員会できっちり審議すべきことなのに、何でこんなことになっているのか。本当にこれは、安かろう悪かろうみたいなことで、投票権も発言の機会もない子供の利益というか子供の思いが無視されているように思えてなりませんので、これも引き続きしっかりここで議論していきたいと思います。

 本題の統計偽装に移りますが、十三ページの記事にもありますように、見るも無残ですね、この統計。つまり、官邸が口出しして昨年一月から統計指標を変えたために、この十三ページのグラフで見てもらうように、昨年は上振れして、ことしは下振れして、もうエコノミストの方々も、去年とことしの賃金統計は当てにならない、そう言われてしまっていますよ。本当にこれは恥ずかしい限りであります。

 ついては、ことしの一月の実質賃金はマイナス何%でしたか。

冨岡委員長 じゃ、一時、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

 根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 一月の毎勤統計の実質賃金はマイナス〇・七であります。

山井委員 これは、去年の十二月が非常に高くて、一月になるとマイナス〇・七ということですが、この〇・七はサンプル入れかえの影響もあると思うんですが、そうしたら、根本大臣、〇・七というと大幅なマイナスですけれども、この〇・七%を、額面どおり大幅に実質賃金が下がったと私たちも受け取っていいということですね。

冨岡委員長 できませんか。

 じゃ、とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

根本国務大臣 一月の実質賃金はマイナス〇・七、それが毎勤統計の実態、事実であります。そして、それの要因分析は、サンプル入れかえによる影響などもあったと思っております。

山井委員 そうしたら、問題は、私たちはサンプル入れかえの影響を除いた本当の実態を知りたいんですよ。サンプル入れかえで大きな下振れをしているんでしょう。下振れを除いた本当の実質賃金は、一月は大体、〇・七じゃなくて、どれぐらいだったんですか。答えてください。

根本国務大臣 サンプル入れかえによる要因は寄与度という形では一定の前提で出せますが、その〇・七が幾らであるかということについては出しておりませんし、サンプル入れかえによる寄与度という形では一月だけは出せますけれども、それは、実際の伸び率から単純に引くようなものではない性格のものであります。

山井委員 つまり、でも、これは下振れはしているんですよね。下振れはしているけれども、幾ら下振れしているかわからないから、実際には実質賃金がマイナス何%かは誰にもわからない。これは本当に恥ずかしいことだと思います。

 ついては、私の配付資料の冒頭のページを見ていただきたいんですけれども、昨年、ここを見てください。二〇一四年の〇・五%プラス、二〇一五年の〇・一%プラス、二〇一六年の〇・六%プラス、二〇一七年の〇・四%プラス、しかし、二〇一八年の一・四%プラス、これは間違っていますよね、この一・四%プラスという数字。かつ、実質賃金の方も、おととしがマイナス〇・二%でしたけれども、ことし、プラス〇・二%。きょうの配付資料にもありますが、これについては注釈が書いてありまして、配付資料の五ページの米印三、この名目賃金プラス一・四は正確ではない、実質賃金プラス〇・二も正確じゃない、ここにありますように、上振れの段差が入っていると書いてありますね。

 私たちは正確な賃金伸び率が知りたいんです。上振れの段差があるということは、上振れ分を引いて、実態は、一・四名目プラス、実質〇・二じゃなくて、上振れの段差を除いた本当の実態は幾らなんですか、大臣。

根本国務大臣 部分入れかえ方式によって、今までは三年あるいは二、三年に一遍、全部入れかえていたわけですが、この精度を向上するために、統計委員会等の審議も経て、ローテーションサンプリング、要は部分入れかえ方式をやりました。これは精度の向上のためであります。そして、部分入れかえ方式をやった上でも段差は生じる可能性があって、統計はそういうものをはらんでいますから、部分入れかえ方式であっても、それで段差が生じた。それら段差が生じたということはこの統計の説明の中で説明している。

 しかし、その段差がどの程度で、ここからどの程度引けば委員がおっしゃるような数値になるのかということは、そこは、段差の寄与度分析をした上でも、それを単純に引けばいいということではありませんから、部分入れかえ方式によっても段差が生じているということを説明した上で、この数字、データを利用者の皆様には見てくださいねと、統計メーカーとしてそういう注を書いている、こういうことであります。

山井委員 まあ、恥ずかしい話ですね。去年の名目賃金一・四、実質賃金〇・二プラス、段差があるから上振れしています、上振れだから不正確です、正しい数字はわかりません、どれだけ差し引けばいいかわかりません、ユーザーが判断してください、何ですか、それ。そんな無責任な話がありますか。判断しようがないじゃないか。これは本当にめちゃくちゃな話ですね。

 じゃ、せめて教えてください。昨年の……(発言する者あり)今、自民党から、統計ってそんなものだって。先進国で、実質賃金が出ていない国なんかありませんよ。恥を知れと言いたい、恥を知れと。官邸が口を挟んで調査方法を変えたせいで、昨年の賃金伸び率が何%か、厚生労働大臣がわかりません、答えられません。じゃ、どうやって経済政策、消費税増税の議論、景気対策ができるんですか。

 じゃ、少なくともお答えください。昨年の実質賃金プラス〇・二と言っているけれども、段差があって上振れしています。ということは、段差を差し引けば、去年の実質賃金はプラスだったんですか、マイナスだったんですか。せめてそれをお答えください、大臣の認識を。

根本国務大臣 統計上の段差、いろいろな統計も、統計の標本の入れかえ方式を採用していますよ。うちの統計だけではない。そして、それによって段差が生じるということは、それぞれの統計で標本を入れかえるわけだから、そこは段差が生じる。これは、統計学者や専門家もそういう判断をされている。

 そして、今回の数字について段差がどれだけ生じたか。だから、この段差、寄与度は出していますけれども、これを単純に引いて、こういう数字になりますということは出しておりませんし、私は、そういうことは出すことはできませんよ、それは。段差というのは生じるんだから。いや、統計的にはそういう性格のものだと私は思いますよ。

山井委員 統計委員会でも、去年一月の段階で〇・五%上振れしているというのは参考で出しているわけですよ。根本大臣、自分で答弁をしていておかしいと思いませんか。精度を向上させるために調査方法を改善したといいながら、結果的に精度が落ちて、去年の実質賃金がプラスかマイナスかもわからないんですか。

 これは、与党、野党は関係ないですよ。景気対策、消費税増税、経済対策を議論するときに、厚生労働大臣、総理大臣が去年の実質賃金がプラスかマイナスもわからない、こんな先進国はありますか。

 お答えください。あなたは国民に説明する責任がありますよ、去年の実質賃金がプラスかマイナスかぐらいは。どっちなんですか。

根本国務大臣 少なくとも、毎勤統計での平成三十年の現金給与総額の伸び率は、名目賃金は一・四%、実質賃金は〇・二%と公表しています。

 そして、段差というのは、一月については新サンプルと旧サンプルがあるから、一月分については段差で寄与度がどのぐらいあったか、これは計算できますけれども、二月以降はそういう段差は計算できません。なぜなら、一月分しか新サンプルと旧サンプルはとっていませんから。

 だから、その意味で、統計というのはそういう、委員がおっしゃるように、我々が出しているのは、毎勤統計で出しているのが我々の出している数字、公表している数字であって、ある前提で委員はそうおっしゃるけれども、段差をそのまま引いて出すということは、私は、統計の考え方からして、他の統計もそこは同じだと思います。

山井委員 恥を知りなさい、恥を。去年の実質賃金がプラスかマイナスかも答えられなくて、言いわけをするのはやめなさい。プラスかマイナスか答えられないのに、何を言っているんですか。

 つまり、官邸からの口出しで、経済財政諮問会議、二〇一七年の十月十六日の麻生財務大臣の口きき、そしてまた安倍総理の秘書官の、結局、問題意識を伝えられたことによって遡及改定しない。そうやって、官邸からの指示、経済財政諮問会議からのアドバイスによって遡及改定しないことによって精度は下がったんじゃないんですか。これで精度が上がったんですか。今の話を聞いたら、実質賃金がプラスかマイナスかもわからない。プラスかマイナスもわからないんだったら、精度は下がっているじゃないですか。精度は上がったんですか。

根本国務大臣 三十年の伸び率は、名目賃金一・四%、実質賃金は〇・二%伸びております。これは公表しております。

 それから、委員がおっしゃった、もともと、二、三年に一遍、全部入れかえていたわけですよ。そして、どんと段差があって下がって、三年間全部遡及適用して、例えばマイナス〇・四ポイントずつだあっと下がって……(発言する者あり)

冨岡委員長 静粛に。聞いてください。

根本国務大臣 それが果たしていいかどうかということで、精度の向上のために、これは部分入れかえ方式の方がより精度は高まると統計委員会始め統計の専門家で判断して今回のローテーションサンプリングを導入したものであって、官邸から言われたとか、少なくとも統計は極めて専門的でありますから、誰かが言ったからといってローテーションサンプリングを導入するようなことは全くありません。

山井委員 結局、日銀関係者もエコノミストも、私じゃないですよ、日銀関係者やエコノミストも、去年とことしの賃金統計は信用できない、当てにならないと言っているんです。申しわけありません、もう信用されていないんです。非常に恥ずかしいですよ、これは。

 それで、申し上げますが、そのことについては統計委員会、総務省も問題意識を持って、きょうの配付資料で、おとつい、総務委員会でその議論がありました。

 その中で、私は赤線を書きましたが、きょうの配付資料の八、九、十、十一をちょっと読んでください。詳しくは言いませんが、共通事業所系列を、事業所がかわってしまったから、大企業がふえて賃金が高いところが多いから上振れで段差しているから不正確だとおっしゃっているのは統計委員会であり、西村委員長であります。私ではありません。だからこそ共通事業所系列を重視すべきということは、繰り返し言います、私じゃなくて、統計委員会で、厚生労働省も合意している話です。上振れしているというのを認めているんです。

 その中で、八ページ、九ページで、この赤線を読んでいただいたらいいですけれども、結局、なぜ共通事業所系列を扱うというふうにしたのかということに関して、西村参考人は、人々の賃金の変化というものの実態を見るときに、同一事業所の変化を見るという形が実感に近いだろう、その実感に近いということが、景気がどういう状況になっているかということを判断するときに非常に重要な情報です、共通事業所というもののその重要性というものを強調して、それを入れるような形にしたということがもともとの発端であるということで、名目賃金に関しては共通事業所の伸び率をちゃんと公表して、それによると、こういうふうに非常に共通事業所系列の方が低いわけであります。

 それについて逢坂委員は、景気判断指標として非常に重要である、景気が上向いているか下向いているかとか、そういったことを判断する上でも、共通事業所というものは非常に大事なんだ、共通事業所を使っているんだ、この考えでいいですかと言ったら、西村統計委員会委員長は、基本的な考え方はそうですということをおっしゃっています。

 それで、かつ、逢坂委員は、共通事業所について、これ、名目も実質も賃金指数というもので出すべきではないかと。西村参考人は、その利用者の用途に応じていろいろな賃金の系列があるということは、私は望ましい、共通事業所系列も実質について出した方が望ましいということをおっしゃっています。データというのはたくさんあった方が総合的に判断することができる。にもかかわらず、実質賃金検討会は、実質賃金の共通事業所系列を出していません。

 かつ、西村参考人は、九ページ、サンプルが例えば小さいから誤差が大きくなるというのは原則的にはそうですが、この場合には、単純にサンプルの小ささというよりも、例えば、変化ですので、同じものを共通でとっているかどうか、そういうことによって初めて、どっちが本当にいいのかとか、それから、もっとよくするためにはこの二つ、つまり本系列と共通事業所系列を組み合わせた方がいいじゃないか、私自身は共通事業所系列と本系列は組み合わせた方がいいと思っておりますと西村統計委員長はおっしゃっています。それを厚生労働省側にきちんとしていただいて、その際に、先ほど申し上げましたように、透明性を確保するためにきちんとした十分な情報提供がされるということが重要だと。

 つまり、もうこれを読んでもらったらいいですけれども、大御所の統計委員会の委員長は、共通事業所系列も出さないと、上振れだけの数値だけでは判断を誤らせるということをもうおっしゃっているんです。おっしゃっているのに、統計委員会になぜ共通事業所系列の実質賃金を出さないんですか。そして、この実質賃金検討会の中間まとめについて、これは西村委員長とか統計委員会に報告をしたんですか。

 これは、私、びっくりして、私も傍聴に行っています、実質賃金検討会。先日もこんな発言がありました。西村委員長は賃金変化率に焦点を当てているから共通事業所を重視すべきという発言につながったのではないかと思うが、誤解ではないか。統計委員会としては労働者全体の賃金の水準は本系列、景気指標としての賃金変化は共通事業所を重視していくと結論づけた根拠が知りたい。

 もう去年の九月に厚労省と総務省で合意して統計委員会で出した結論について、半年以上たってから、誤解していたんじゃないの、根拠がわからない、だから共通事業所を出せない、こんな議論がなされているんです。私も傍聴していますけれども、傍聴されているほかの新聞社の方々も首をかしげて、統計委員会が今までしてきた積み重ねの議論をゼロから、ちゃぶ台返しされているんですね、理解に苦しむとおっしゃっています。

 単にこれは時間稼ぎじゃないですか。共通事業所系列の数値を参考に出したらいいんじゃないですか、西村委員長がおっしゃるように。

 この中間まとめについて、西村委員長や統計委員会に正式に報告しましたか。していないんだったら、いつ報告するんですか。

根本国務大臣 三月六日の統計委員会では、検討会の資料をベースに共通事業所の賃金の実質化について検討を行っている旨を説明しております。

 このような経緯もあって、三月二十九日に取りまとめた中間的整理について、重ねて西村委員長を始めとする統計委員会の皆様に報告はしておりませんが、いずれにしても、今後とも必要に応じ、統計委員会への説明なども検討していきたいと思います。

山井委員 私たちは、統計委員会や西村委員長の言ってきたこと、やってきたこと、合意したことをひっくり返しているから、早急に、西村委員長や統計委員会に議論の中身、経過を報告すべきだということを数週間前から言っていますよ。何度も何度も厚労省に言っていますよ。

 何で報告しないんですか。報告すると、実質賃金検討会の議論はおかしいということになるからでしょう。私、傍聴もしていますけれども、明らかに、統計委員会の言っていること、決めたことと違う議論をしていますよ、時間稼ぎで。これは大変なことですよ。

 早急に、西村委員長や統計委員会にこの実質賃金検討会の中間まとめを報告して、意見を聞いてください。時間稼ぎはいいかげんにやめてください。早急に、いつ、西村統計委員長や統計委員会に報告するんですか、中間まとめ。

根本国務大臣 三月六日の統計委員会には、共通事業所の賃金の実質化について検討を行っている旨を説明しているところであります。

 そして、三月六日の西村委員長の発言から抜粋しますと、賃金の実質化については、同検討会、要は厚労省の検討会ですよ、同検討会で検討が進められると承知しており、統計委員会としては何らかの議論をする予定はありません、その点を御承知おきいただければと。これは西村委員長から発言されています。

 ただ、西村委員長の御意見としては、厚労省の方の検討委員会でも今具体的な検討をしておりますし、西村委員長が指摘されたようなお話も、要は、厚労省の今の検討会、これは統計の専門家で客観的、専門的にやっていただいておりますが、そこでの議論は方向性が西村委員長の趣旨とも一致している部分も多いと考えられておりますので、いずれにしても、必要に応じて照会しながら、引き続き検討会で御議論いただきたいと思っております。

山井委員 もういいかげんにしてください、必要に応じてって。早急に西村委員長と統計委員会に報告してください。私も聞いていますが、明らかに統計委員会の議論と食い違っていますよ。矛盾していますよ。本当に、全く違う議論をしています。

 いつ報告するんですか。はっきり言って、報告したら統計委員会から、あなたたち実質賃金検討会の議論はおかしいよ、共通事業所系列の数値、マイナス〇・三パーぐらいになるかもしれないけれども、出したらいいじゃないの、参考のためにと言われるんですよ。言われるから、時間稼ぎのためにやっているんですよ。

 ここで答えてください。早急に西村委員長と統計委員会に、中間まとめを出したんだから、それを報告してください。早急に、一週間以内にお願いします。約束してください。

根本国務大臣 西村委員長の三月六日の話は、西村委員長がこういうことを言っておられる。

 ただ、西村委員長のいろいろ指摘されたこと、これは、検討会でも整理をされている幾つかの課題と重なる部分もありますので、これは検討会が御判断いただくことですが、私は、西村委員長と検討会と議論していただくことが大事だと思いますよ。

山井委員 重要な答弁をされました。ということは、検討会の場に西村委員長を呼んでいただけるということでよろしいですね。

冨岡委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

根本国務大臣 私はそういう感想を述べましたが、ただ、検討会に呼ぶか否か、これは検討会に御判断いただくべきものだと思います。

冨岡委員長 もう時間が来ておりますので。

山井委員 改めて言います。検討会では、西村委員長が誤解しているんじゃないか、共通事業所を重視する根拠が知りたいと委員がおっしゃっているんですから、ぜひ、次回、西村委員長を呼んで、検討会で議論するとともに、この配付資料で、西村委員長が検討会についてどういう議論をされているかというのを言っていただきたいと思います。

 大臣、もう一回答弁してください。西村委員長を呼ぶということをお願いしたいと思います。

冨岡委員長 時間が来ているので、ちゃんと従ってください。

根本国務大臣 検討会において御判断いただくべきものと考えております。

山井委員 終わりますが、もう時間稼ぎはいいかげんにしてください。実質賃金はプラスかマイナスかを言う責任は政府にあります。よろしくお願いします。

冨岡委員長 ルールはしっかり守ってください。今、大幅に時間が超過しました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず初めに、通告にありませんが、根本大臣のお考えを伺いたいと思います。本当に簡単な質問ですので、お願いします。

 櫻田オリパラ担当大臣が、自民党議員のパーティー席上で復興より議員という発言をして、辞任に追い込まれました。更迭という記事もあるようです。私も、東北の人間として、やはり、八年たった今もなお、大切な人やふるさとを失った悲しみが癒えることはなく、建物、道路、鉄路など復興が進む一方で孤独死などもふえている、そういう中でまたも被災地を傷つけたと、許せない思いであります。

 根本大臣も福島の御出身で、二〇一二年に国会に返り咲きされてすぐに復興大臣を務めました。今も、全ての大臣が復興大臣であると、安倍内閣は位置づけているはずです。この発言について、大臣の思いをお聞かせください。

根本国務大臣 私は、安倍内閣の初代復興大臣として、復興大臣が一番必要なのは被災者の皆様に寄り添うということであります、被災者の皆様に寄り添って、魂を込めて復興に取り組んでまいりました。

 被災地の皆様のお気持ちを傷つける発言、私は極めて残念であります。安倍内閣は、全ての大臣が復興大臣。被災地の復興に私も全力を尽くしたいと思います。そして、より一層緊張感を持って政策を進めていきたいと思います。

高橋(千)委員 極めて残念というお言葉をいただきました。後任の鈴木オリパラ担当大臣も岩手の出身でありまして、不適切だという発言をされていると思います。やはり、内閣の一員であるからということではなくて、本当にこういうときは率直な意見を発してほしいなと思っておりましたので、まずこの言葉をいただきたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 五年ごとの財政検証のために、年金財政における経済前提について、専門委員会が取り組まれてきました。三月十三日に検討結果の報告が出されたわけですが、その中で、財政検証に用いる経済前提の基本的な考え方において、毎月勤労統計調査のデータはどのように使われてきたのでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 財政検証の経済前提につきましては、社会保障審議会年金部会のもとに設置いたしました、専門的、技術的な検討を行うために経済、金融の専門家で構成する、年金財政における経済前提に関する専門委員会で平成二十九年七月より議論を行いまして、本年三月に取りまとめたところでございます。

 専門委員会におきましては、平成二十九年十月に経済成長率と賃金上昇率との関係について分析を行っておりまして、その中で毎月勤労統計のデータを用いておりました。しかしながら、本年一月に毎月勤労統計調査の不適切な事案が発生したことから、専門委員会の委員長と相談の上、国税庁が行っている民間給与実態統計調査を用いて改めて分析を行いまして、結果として、別の統計を用いても結果は変わらないということを確認いたしました。

 いずれにしても、三月に取りまとめました専門委員会報告書におきましては、民間給与実態統計を用いた分析に基づいておりまして、毎月勤労統計調査のデータは使用しておりません。

高橋(千)委員 資料の一枚目を見ていただきたいと思います。

 これは、上の段は、昨年の十二月十五日の専門委員会における議論の経過報告の案であります。そして、その案が取れたものが三月十三日で、下の段にあるんですけれども、囲みのところをばっさり削除しております。

 見ればわかるように、毎月勤労統計調査のデータを用いて調べたところとあって、年平均で一・六%程度の差が見られた、経済成長率に比べて一人当たりの伸び率は低いということがあって、その下の方は、いろいろその理由はこうだこうだというふうにあるんですけれども、やはりこれは、統計不正が発覚して、積み上げてきた前提の議論にここでまた修正をかけなければならなくなったということ自体が非常に重大な問題ではなかったかなと思うんですね。

 それで、二つ続けて質問したいと思います。

 まず確認は、経済前提の議論というのは、要するに五年に一回、財政検証をやるときにやっているわけですから、そのときも、毎月勤労統計調査のデータというのは実質賃金の上昇率を見る上で活用していたと思いますが、それを確認したいと思います。

 もう一つは、今おっしゃったように、国税庁のデータを使ったんだけれども、結局違いはなかったと。要するに、毎勤統計は、十五年間以上数字が違っていたわけですよね。それで出ていって、それを使ってやったデータと国税庁のデータを比べてみたら違いがなかったというのはどういう意味なのか、お答えください。

木下政府参考人 まず、財政検証におきまして毎月勤労統計調査についてはどのようにこれまで使われてきたのかということですが、今委員も御指摘がありましたように、過去の委員会におきましても、過去の物価とか賃金等の経済状況の動向を見る際の参考指標の一つとして用いておりまして、そういう中で議論をされているということでございます。

 それから、今回、一月の毎月勤労統計の不正事案が発生した以降に、民間給与実態調査を使いました結果についてほぼ同じだったということ、済みません、今委員がお配りされている資料の二ページ目でございますが、その中にございますけれども、先に言ってしまって申しわけございませんけれども、一九九六年から二〇一五年の平均で、一番下の欄でございますが、民間給与統計調査ではマイナス〇・六となっております。そして、毎月勤労統計もマイナス〇・六。この平均で、二十年間の平均が同じだったということで、結果に違いはなかったというふうに判断したものでございます。

高橋(千)委員 まず、前段の質問については、実質賃金を見る上で参考資料としているということでありました。これは、経済前提のあり方についての報告の中でも、肝心なのは名目ではなくて実質賃金であるということが強調されておりますので、やはり今の議論というのは、山井委員も始めとする勤労統計の問題の議論というのは非常に大事ではないかと思います。

 それから、今お答えいただいた、何で違いがないのかということについてなんですけれども、国税庁の調査を使って、民間給与実態統計を、今、資料の2を開いていただいていると思うんですが、左側を見ていただくと、毎月勤労統計のこれは再集計前の数字でありますから、正しくはないわけですよね。結局、不正がまだ直されていない数字であります。

 ですから、一年ごとで見ていただくと、全く数字が違います。二〇〇六年だと、マイナス一・一に対して毎勤統計は〇・三、二〇〇七年だと、〇・一に対してマイナス一・〇ということで、大分違うんですね。これを二十年でならしてみたらマイナス〇・六でぴたっときた、これはすごいなと思ったんですけれども。

 しかし、これは結局どういうことなんでしょうか。これは再集計してもしなくてもいいんだという意味ではないんでしょう。それは二十年で見たからいいのであって、個々のデータが正しかったという意味にはなりませんよね。

木下政府参考人 今委員御指摘の2の資料でございますが、確かに毎年の違いはございます。

 これをなぜ用いたかといいますのは、実質経済成長率と実質賃金上昇率が過去は比較的連動していたということだったんですが、近年は実質賃金上昇率が経済成長率よりも低いというところの原因を分析するということでございましたので、あくまでも、一年ごとに何か違いがあるということを分析するわけではなくて、傾向値の分析でございましたので、そういう意味で、今申し上げたのは、トータルの二十年平均がほぼ違いがなかったということを申し上げたところでございます。

高橋(千)委員 そうなんです。二十年のトータルで見たら違いがなかっただけの話であって、毎勤統計が正しくなかったということが影響がないという意味ではないということをやはり私は指摘したいと思うんですね。

 それと、今ちょっとおもしろいことをおっしゃいましたけれども、経済の伸び率と賃金の伸び率が、前はそんなに違いはなかったんだけれども今はすごく違うということで、これはおまけですけれども、資料の三枚目に「過去二十年間の平均伸び率の比較」というのをつけておきました。

 結局、労働者一人当たりで見ると、実質経済成長率の方は若干上回っているんだけれども、賃金で見ると一人当たりにする方が低いわけですね。結局、実質賃金上昇率はマイナス〇・七%、これが実態である。なので、総理はいつも、雇用者全体で見るとというふうな答弁をされるのであろうということの謎解きができたなと思うんです。

 質問は、今回、二〇一六年年金改革法、いわゆる年金カット法の附帯決議への対応として、二〇二一年からの賃金物価スライドの見直しを導入した際、まだ始まっていないけれども、もし実際にやったらどういう影響が出るかということを評価しなさいということが宿題となったんですが、今の作業で何がわかっているでしょうか。

木下政府参考人 今委員御指摘のありました平成二十八年の年金改正法の中で、賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方が徹底されたわけですけれども、その法案審議の過程におきまして、「景気循環等の影響で新たな改定ルールが実際に適用される可能性も踏まえた上で、国民が将来の年金の姿を見通すことができるよう、現実的かつ多様な経済前提の下で将来推計を示すべく、その準備を進めること。」と附帯決議がされております。

 この課題に対応するために、先ほどの、経済、金融の外部専門家で構成します、年金財政における経済前提に関する専門委員会におきまして、賃金上昇率が一時的にマイナスとなるような経済変動を仮定する経済前提も設定をされました。

 その上で、三月の十三日の年金部会で、年金改定ルールの見直しの効果を測定するオプション試算をするようにというふうに取りまとめられまして、現在はそのオプション試算に基づいて実際の検証作業を進めているところでございますので、まだ今は現在進行形というところでございます。

高橋(千)委員 これは、きのう説明を受けたときに、振り幅がとても大きいんだ、つまり、バブルとリーマン・ショックを比べたくらいの振り幅なのでなかなか難しいんだという説明を受けたわけなんですね。

 私が言いたいのは、さっきお話しされたように、二十年というスパンで見ると賃金上昇率は大体同じだし、百年でとんとんにすればいいんだよ、そういう議論を多分皆さんされるんですね。だけれども、年金受給者一人一人の実態から見れば、二十年なんて待っていられないわけなんです。毎年の、毎月の暮らしがかかっているわけです。

 資料の4に賃金スライドの図をつけておきましたけれども、真ん中のポンチ絵の上の「◎賃金・物価スライドの見直し」ということで、「賃金・物価動向など短期的な経済動向の変化に対応」と書いている。「短期的な」と。

 結局、GPIFの話ですとかいろいろな話をするときは、絶えず、長期的に見れば大丈夫なのよという話をします。実際には、なかなかそれは振り幅が大きい話なのよと言っているんですよね。だから、短期的にそういう経済がうんと落ち込んだときに、確実に年金を減らす、でも、それは必要ないでしょう、長期的に見てとんとんであるのであれば。

 一瞬であっても、年金受給者にとっては本当に大変なことなんです。だから、賃金スライドというのはやめるべきだということを指摘したい。

 時間が来てしまいましたので、私はきょうはここで、時間を守って終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田です。

 いろいろ質問がありましたけれども、結局、今回の勤労統計の調査が不適切であったというか、不正ということなんでしょう。

 そこで、いろいろ検討会が行われているということなんですが、具体的に前と今後はどう変わっていくのかというのをちょっと確認させてください。

藤澤政府参考人 大変申しわけございません。

 検討会についての御指摘をいただいたと思うんですが、どの検討会のことをおっしゃったのか、ちょっと聞き取れませんでした。大変申しわけございません。

冨岡委員長 もう一度質問を確認します。

串田委員 別にどこの検討会ということではなくて、この不正が行われたことによって、よりよくしなきゃいけないというのは当然検討されていると思うので。

 これまで、いろいろ不正な部分が確認できないで、何年も経過していた。それを、今後はどういうふうなチェック体制にするからそういったようなことが起きないということを今やっていらっしゃると思うので、その具体的なこと、前と今はこういうふうに変わったから今後はこういう不祥事は起きないんだという、そこを確認させてください。これは事前に通告しているつもりなんですが。

藤澤政府参考人 失礼いたしました。

 不正な統計が行われないように、どのようにチェックを行ってきて、今後どうするのかというお尋ねではないかと。大変失礼いたしました。

 これまでは、統計調査実施前の調査方法の適正性については、統計法の規定に基づきまして、厚生労働省では、総務大臣への承認申請の前に私どもの方で審査を行っておりました。

 また、事後といたしましては、公的統計の品質保証に関するガイドラインに基づきまして、厚生労働省の各統計の所管課室において、作成した統計の標本設計が適切であるか、あるいは、統計が誤った解釈のもとに利用されることのないよう、集計値について適切な説明がなされているかといった自己評価を行ってきたところでございます。

 今申し上げましたようなチェック体制があるにもかかわらず、今般の事案でございますが、毎月勤労統計調査について長年にわたり不適切な取扱いが続いてきたわけでございますけれども、二度にわたります特別監察委員会の報告におきましては、公的統計の意義やその重要性に対する意識の低さ、幹部職員の公的統計に対する無関心、組織としてのガバナンスの欠如などが厳しく指摘をされております。

 さらに、専門的な領域として閉じた組織の中で外部のチェック機能が適切に働かず、担当者任せにする姿勢や安易な前例踏襲主義なども指摘をされておりますので、今後、この追加報告にもございますように、開かれた組織への変革と外部チェック機能の導入などが提言されておりますので、それに基づいて検討していきたいと考えております。

串田委員 今、幹部の無関心というのがありました。

 無関心というのもよくわからないんですけれども、室長というか課長以下はみんな、毎年毎年、本来のあるべき統計調査を行わないことを承知した上で伝達をしていったというのは、かなり仲間意識みたいなものがないとできないんじゃないかなと思うんです。そんなことが行われているということを課長以下は情報共有しながら、それはいけないんだということで、職員が幹部に内部通報をなぜしないのかというのは誰もが思うことだと思うんですけれども、どうしてそれが行われていなかったんでしょうか。

藤澤政府参考人 幹部に報告が行われなかったということでございますが、二月の特別監察委員会の追加報告書におきましては、担当課室の組織としての独自の判断、怠慢による不適切な取扱いがあったというふうにされているところでございます。

 その不適切な取扱いを含む今般の事案の全体的な構造としまして、公的統計の意義やその重要性に対する意識の低さ、幹部職員の公的統計に関する無関心、組織としてのガバナンスの欠如などが厳しく指摘をされておりまして、これにつきましては真摯に受けとめさせていただいているところでございます。

 再発防止策でございますが、幹部職員も含めた統計の基本知識の習得や意識改革の徹底、またガバナンスの強化を目的として管理職を含めた研修の強化など八項目にわたる提言をいただいているところでございますので、大臣の御指導のもとで統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止を徹底して国民の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。

串田委員 内部通報は、今後いろいろ国会でも、どうやって内部通報を確保するのかというのは私のところにも陳情が結構来ているんですけれども、今回なぜ内部通報が行われなかったのかというのは本当に不思議なんですね。

 もう一つは、幹部と課長以下というので情報が伝わらなかったというんですけれども、課長以下の人というのは出世しないんでしょうか。要するに、出世すれば幹部になるわけですよね。下の方でそういうふうな、本来ならばしなければいけない調査を行わないことを幹部には知らせていなかったということなんですが、そういう人たちが幹部になるということはないんですか。

藤澤政府参考人 申しわけございませんけれども、事前にいただいていた通告とちょっと違いますし、それから、人事の担当ではございませんので、お答えができにくい部分もございますけれども。

 そもそも、上司と部下との関係ということで申し上げますと、上司が何らかの法令に違反をしていると認識した上で部下に不正な指示を行うことは、基本的にはないものというふうに考えておりますし、仮にということであっても、上司の指示があったとしても、統計法も含めたような法令に違反する疑いのある行為はしてはならないものだというふうに考えております。

 御指摘の、内部通報もございましたが、厚生労働省では、公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドラインなどに基づきまして、内部の職員からの法令違反行為に関する通報対応のための内部窓口と、それから外部窓口の両方を設けまして、そこでは法令違反行為に関しては対象となっておりまして、当該制度を活用することは可能だということにしているところでございます。

串田委員 そういう何らかの具体的なシステムをつくらないと、何か道徳的といいますか、観念的といいますか、これからはこうしましょうというようなことであればなかなか改善というのが認められないのかなという気がするので、次からはこういうふうにシステマチックに統制をしていくんだということがもう少しはっきりしていけばいいのかなと思うんです。

 今回、根本大臣が就任される前からずっと行われている中で、大臣がいろいろと問題視された一つの中に、こういうような疑いがある中で統計調査の発表をしたとか、閣議決定をそのまま遂行したとかということがあると思うんですね。

 これに関して、今後もまた同じような、例えば何か発表をするときに、事前にこういう問題が疑われる可能性がありますということを耳にしたとき、大臣としては、今後はどういうような対応をするのかというのはお決めになっていらっしゃるんでしょうか。

根本国務大臣 私にもいろいろな報告が上がってきますが、私の判断を仰ぐようなことだったら、私は即刻指示します。それから、行政でやる話もありますから、行政でやる話については局長で責任を持ってやる部分もあるし、そして、重要な案件は大臣に上げる、そういうことではないかなと思います。

 今委員の御指摘のような話だったら、私は、大臣として判断して、適切な指示をしていきたいと思っております。

串田委員 適切な指示の中で、私としては、三つパターンがあると思うんですね。

 要するに、そのまま統計調査もするし、閣議決定で予算なんかも一応決定しておく、そして後日、問題があるということを明らかにした上で今のような指示をするという形。これは今回の場合だったんだと思うんですよ。

 だけれども、二番目として、それは、こういう不正な状況の報告を受けた以上は統計調査を発表するのはやめよう、あるいは閣議決定も、いや、やめておこうという二つ目の考え方があると思うんです。

 三つ目として、統計調査は行うけれども、こういう不正の疑いの報告を受けたという留保づけをする、閣議決定に関しても、こういう不正なことが行われているということの留保づけをしていく。三つあると思います。

 それは、今後、将来同じようなことが起きたときに、やはり今回のようなことでそのままスルーして発表した後、後日ということに対しては、何でそれを発表したんでしょうか、何でその閣議決定をしたんでしょうかと、また同じようなことが起きる可能性があるわけですから、今の段階で、将来はどういうような要するにガイドラインというものをつくるのかということはやはり明確にしないと、また同じことの繰り返しになると思うんです。その点をお聞きしたいと思います。

根本国務大臣 個別事案への対応と、それから一般的な制度論が二つあると思います。

 今回の事案について言えば、なぜ予算案の閣議決定をおくらせるという判断をしなかったのか。

 これは、私が十二月二十日に報告を受けたのは、五百人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行っていた、そして、必要な統計的処理を加えずに、要は適切な復元処理を行っていなかった、これが私が受けた話ですよ。だから、その時点で、予算の閣議決定をおくらせるとか、つまり、具体的にどう影響があるかということはその時点では明らかになっておりませんから、だから、予算案との関係性を判断できる状況になかったので、予算案の閣議決定をしました。

 それから、確報値の公表というのは、十二月二十一日に確報値の公表をするということについて、私はその時点で報告を受けておりません。

 要は、事案の具体的な経緯等が明らかでなかった状況の中で、事務方がそこまでの思いが至らずに毎月定例の業務として公表した、こういうことを事後に確認いたしました。ですから、今回の個別事案では、こういう事案ですからそういう対応をいたしました。

 そして、要は、一般論として、そういう問題、課題が提起されれば、私は即刻指示しますよ、こういうことをやるべきだと。大臣としては、そう言うのが責任ですから。

 それから、例えば今回の事案は、平成十六年の時点で、係長の段階で、三分の一でいいじゃないか、東京都の抽出調査はそれでも精度が担保されるだろうと思った、だから三分の一に抽出することを決めた、それをプログラム担当の係長に口頭で伝えたら、結果的にそれが対応されていなかったというのが今回の事案の一番の大きな肝なんですが、そういうことはやはりきちんと、少なくともコミュニケーションは必要ですから、課長と係長。だから、この事案については、部長はずっと歴代知らなかったということを言っておりますけれども、閉ざされた組織であったという監察委員会の報告もいただいておりますけれども、ここはやはり上司と部下のコミュニケーション、これをしっかりとるということだと私は思います。

串田委員 コミュニケーションはぜひとってほしいんですが、要するに、また同じことになりそうな雰囲気をちょっと感じます。ですから、留保するとか何かするとか、もう少しガイドラインがないと同じようなことが繰り返されるような気がするので、また時間があったときにお聞きしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島です。

 毎勤等問題を含む一般質疑ということで質問させていただきます。十分しかございませんので、二点についてお伺いをしたいと思います。

 毎勤統計、きょうもさまざま議論が言われておりましたが、ガバナンス強化の問題、具体的なことは、四月の二日、大臣が閣議後の会見で従来より具体的にお示しをしていただき、組織改革にも踏み込んでいく、旗を振るということでございました。

 一方で、統計そのものの信頼に対して、元日銀理事の早川さんという方が「不正の本質は「人・金・技術」軽視」というふうに指摘をしています。この「背景の一つには、役所が統計を重視していないことがある。中央官庁の統計部署ではキャリア官僚が一年ほど担当してすぐいなくなるし、頑張っても偉くなれない。また、定員やカネを減らせと言われ続け、役人としては点数を稼げないところは減らすことになり、統計部局はどんどんダメになっている。」「かなり早い段階で問題が分かっていたのに前任者とのあつれきを避けるため、前例を踏襲したのかもしれない。」こういう指摘をしておられます。

 改めて、基幹統計、立案の根拠ともなる統計の信頼、今のような指摘に対して、政府統計全体の問題として、統計部門の予算も人材も不足していると私自身も感じるわけですが、大臣の御見解、また問題があるとすればどのように改善するとお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

根本国務大臣 事実関係として、今委員が御紹介されたようなことがあるんだろうと私も思います。

 やはりこれからは、我々、今回の事案を受けて幾つかやりたいと思っておりますが、要は、統計に関する認識、リテラシーの向上、これは例えば全職員に対する統計研修の実施や他府省や民間の統計専門家などの人事交流が考えられますし、統計業務の改善、これも、統計の調査内容の正確な公開や利用者の視点に立った統計の見直し等が考えられますし、組織の改革とガバナンスの強化、これも、統計を外部有識者により審議する仕組みの強化や民間人材の活用、あるいは内部組織の強化等が考えられると思います。

 当然、いろいろなチェック体制の強化とかさまざまな課題対応がありますが、私は、要は、今回の対応としては三点申し上げましたが、こういう再発防止という観点からしっかり取り組んでいきたいと思います。

中島委員 今回も、調査員が企業や家庭を訪ねて紙に記録したり、回答者に紙の調査票に記入してもらう方式。加工も不便だし手間もかかる、また改ざんや不正も可能になってしまう。そういったデジタル化できるところ、簡略化、効率化できるところは明確にして、そういうことが難しいところに人手また予算を重点化していくということ、こういった実施体制の問題も明確に具体的に改善の方法を示していく必要がある。組織の改革とガバナンスの強化、ぜひ車の両輪で対応していただきたいとお願いをしたいと思います。

 続いて、健康保険法等の改正で質問し切れなかった、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関連して御質問させていただきたいと思います。

 高齢者の保健事業と国民健康保険事業、地域支援事業を一体的に実施することができる、これは高齢者の疾病予防、フレイル予防等へ取り組めるということで、大変重要なことだというふうに思います。

 ただ一方で、地域間での取組には、それぞれ事情があるのはわかるんですが、従来、地域間格差がある。そして、二年前、いわゆる要支援の方々が総合事業へ本格移行したということで、その後の地域間の格差がどうなっているのか、大変気になるところ。

 そして、資料にお示ししましたように、これは本格移行する前年の、いわゆる要介護認定の地域格差です。最も認定率が低いのは、私の地元でもあります山梨県の一四・一%、最も高いのが大阪の二二・四%と、この時点で八・三ポイントの差があります。

 これは、この質疑のときにも、もう三年前になりますか、四年前ですね、確認をいたしましたが、改めて、この介護認定審査、認定率の地域間格差について厚生労働省としてどういう分析をされておるのか、また認識をどう持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。

大島政府参考人 先生には、前々回の介護保険改正のときに、この点に焦点を当ててかなり御指摘いただきました。そのときも、やはり山梨県は要介護認定率が低い、特に要介護二以下で低いんですが、今回、こういうふうに更に詳細に分析しますと、要支援一、二の方の差が大きいということがわかりました。大阪に比べますと随分違います。

 この原因が何なのかというのはなかなか難しいところではあるんですが、例えば山梨県の中では、要介護認定率も一番全国で低い、「元気な高齢者が多く、その背景には、健康的な生活を支える風土や文化があると分析されています。」というふうに県の介護保険事業計画では記載されております。

 加えて、山梨県の状況を研究した研究者の方がいらっしゃいまして、その方は、ソーシャルキャピタルの醸成が進んでいて地域住民活動とかそれを支える行政施策が充実している、それから、高齢者の就業率が高く、高齢者が役割を持っているといったことを分析されていらっしゃいます。

 なかなか一概に、なぜ要支援の認定率にこれだけ差があるのかというのは要因が絡むと思いますが、一つには、今のような、地域資源、地域で社会活動をしている場が多いかどうかとか、あるいは就労率が高いかということも絡んでいるのではないかなと思いまして、要介護認定率そのものの以前に地域資源の問題もあるのではないかなと考えております。

中島委員 もう時間がないのでまた次回にしますが、厚労省としては、これはいわゆる誤差範囲じゃないと。もちろん、介護認定審査自体は、一次判定はコンピューターでして、二次判定は介護支援専門員が調査に行き、そして介護認定審査。これは本来、どの地域にいても一定程度の幅におさまるものだというのが私は前提だと思うんです。

 その点について、今、なかなか難しい、そして山梨のことを言っていただけましたが、そもそも、高齢化率も山梨県は全国平均よりも高い、そして一番認定率が高い大阪は平均よりも低い、それでこれだけの差が出る。地域事情とはいいながら、これは全国一律の一定程度の幅に入るのが本来あるべき姿だと思います。

 そして、前段でも私はお話ししましたが、二年前にいわゆる要支援の方々が総合事業へ本格移行しました。これは、従来から、有名な和光市とか私の地元の北杜市もそうですが、もともと介護予防が根差していた地域、一方でなかなか取組が進まない地域、ここでの格差が広がってしまう。

 さらに、四年前の改正のときには、要介護三以上の特別養護老人ホームへの重点化ということも言われ、整備がされていない地域は、地域支援事業、総合事業へ移行した後重症化が進むんじゃないかという懸念があったわけです。

 これは、平成二十八年、本格移行する前の調査でありますが、その後、介護認定審査、認定率の地域間格差は精査しておられますか。

大島政府参考人 地域支援事業に移行した後の調査は、今ちょうど、まだ時期がたっておりませんので、平成二十八年の状態と地域移行が終わった後の状態は、調べられる状況になった段階で速やかに確認してみたいと思います。

中島委員 私は大変無責任だと思いますよ。この改正のときに、より重度化する可能性がある、そして要介護三以上の方に特養への入所を重点化すると。今回、この差があって、地域によって受けるサービスが全然変わってくる。一体今どういう現状にあるのか。本格移行してもう二年ですよ、大臣。これは今から精査するんですか。

 これは、大臣、早急に対応して調査するように私から求めて、十分しかございませんので、次回にまた質問の続きをさせていただきたいと思います。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案、西村智奈美君外五名提出、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案、岡本充功君外五名提出、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外五名提出、労働安全衛生法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。根本厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

根本国務大臣 ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 急速な少子高齢化の進展や社会経済情勢の変化に対応していくためには、女性を始めとする多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備することが重要です。こうした観点から、女性の職業生活における活躍に関する取組の推進やいわゆるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等のハラスメントのない職場づくりを推進するため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、女性の職業生活における活躍に関する事業主の取組を更に推進するための仕組みを整備します。

 具体的には、行動計画の策定や女性の職業選択に資する情報公表義務の対象を常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主から百人を超える事業主に拡大するとともに、情報公表の内容や履行確保の強化を行うほか、女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主の特例認定制度の創設等を行うこととしています。

 第二に、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等のハラスメントの予防、解決に向けた事業主等の取組を推進するための仕組みを整備します。

 具体的には、国の施策として、職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実することを明記することとしています。

 また、事業主に対して、パワーハラスメントを防止するため、相談体制の整備等の雇用管理上必要な措置を講ずることを義務づけるとともに、パワーハラスメントに関する労働者と事業主の間の紛争について、都道府県労働局長による紛争解決の援助、紛争調整委員会による調停の対象とすることとしています。

 さらに、セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化や、労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談を行ったことなどを理由とする不利益取扱いの禁止等を行うこととしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

    ―――――――――――――

 業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(智)議員 ただいま議題となりました業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 職場におけるセクシュアルハラスメントは、労働者の尊厳や人格を傷つける許されない行為であります。しかし、連合が二〇一七年に行ったハラスメントと暴力に関する実態調査によれば、職場でセクハラを受け、又は見聞きした人は四一・四%にも上っております。しかも、就職活動中の学生に対する事件が発生するなど、まさに、セクハラ対策の強化は喫緊の課題となっております。それにもかかわらず、政府提出法案にはセクハラ禁止規定は設けられておらず、セクハラ対策も不十分な内容にとどまっております。

 そこで、我々は、セクハラを許さず、全ての働く人が自分の能力を最大限発揮できる社会を実現するため、セクハラを禁止するとともに、その被害を受けた従業者等に対する支援等を推進しようとする法律案を提出いたしました。

 以下、本法律案の概要について御説明いたします。

 第一に、業務等における性的加害言動の定義について、事業者の使用人、役員その他の従業者、個人事業者といった従業者等が、その業務に関連し、又はその業務上の地位を利用して、就職活動中の学生やフリーランスの方を含む他の従業者等に対して行う当該他の従業者等の意に反する性的な言動であって、当該他の従業者等に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれがあるものとしております。

 第二に、従業者等は、業務等における性的加害言動をしてはならないこととしております。

 第三に、従業者の懲戒等の措置、指針の策定、相談体制の整備、紛争の迅速かつ適切な解決に資する施策、二次被害の防止、教育・啓発などについても規定しております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。

冨岡委員長 次に、大西健介君。

    ―――――――――――――

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大西(健)議員 ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 ILOは昨年六月、ミー・トゥー運動が世界じゅうに広がりを見せ、世界共通の課題としてハラスメントの根絶が求められていること等を背景に、セクハラや暴力など、職場での迷惑行為を禁止する初の国際条約制定を求めた委員会報告を採択しました。また、セクハラを受けた被害者の六割超が我慢したとの調査結果も存在しており、セクハラ、マタハラ対策の強化は喫緊の課題であります。

 しかし、政府提出法案のセクハラ、マタハラ防止対策は、自社の従業者が他社の労働者に対して行うセクハラ、マタハラに対応すべきことが明らかではなく、また、他社の従業者が自社の労働者に対して行うセクハラ、マタハラについての事業主の措置義務の実効性が担保されていないなど、十分ではありません。

 我々として、セクハラ、マタハラを許さず、全ての人が自分の能力を最大限発揮できる真の男女共同参画社会を実現するため、セクハラ、マタハラ対策を強化する本法案を提出しました。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、事業主に対し、その従業者が他社の労働者にセクハラ、マタハラを行わないように必要な措置を義務づけることとしています。

 第二に、まず、セクハラ、マタハラに関する対処の周知、公正な立場における相談体制の整備、迅速かつ適切な事後対応その他の事業主が講ずべき措置を具体化しています。

 また、事業主は、その雇用する労働者から他社の従業者によるセクハラ、マタハラに係る相談を受けた場合に、必要があると認めるときは、他社の事業主に対して対応を求め、又は厚生労働大臣に対して相談に係る事実を申告して是正を図るように求める措置を講ずることとしています。

 この措置義務の実効性を確保するため、他社から対応を求められたことを理由とする不利益取扱いの禁止、その違反等に対する厚生労働大臣への申告、厚生労働大臣による公表等の仕組みを設けることとしています。

 第三に、セクハラ、マタハラに起因する問題に関する国、地方公共団体、事業主及び従業者の責務の明確化や、労働者が事業主にセクハラ、マタハラの相談を行ったこと等を理由とする不利益取扱いの禁止等を行うとともに、厚生労働大臣がセクハラ、マタハラに関する調査研究等を行うこととしています。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ御賛同いただきますようにお願い申し上げます。

冨岡委員長 次に、尾辻かな子君。

    ―――――――――――――

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

尾辻議員 ただいま議題となりました労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、あらゆる職場で、業務上の優位的な立場を利用したハラスメントや顧客やユーザーからの行き過ぎた言動によって労働者が深刻な健康被害をこうむる事案が発生し、それが拡大しています。パワーハラスメントは、三年前に労災の支給決定がなされた大手広告代理店における新入女性社員の過労自殺の原因の一つであり、二十代の若者に多発している過労自殺の要因の一つであることも推察されており、法的な規制が喫緊の課題であります。

 そこで、我々は、事業者に、パワハラや消費者対応業務に係るハラスメントにより労働者の職場環境が害されることを防止するために必要な措置を講ずることを義務づける法律案を提出いたしました。

 以下、本法律案の概要について御説明いたします。

 第一に、パワハラが行われ、及びパワハラにより労働者の職場環境が害されることのないよう、事業者は、その従業者に対する周知及び啓発、パワハラの実態の把握、相談体制の整備、パワハラ発生時の迅速かつ適切な対応等必要な措置を講じなければならないこととしております。

 第二に、消費者対応業務に係るハラスメントにより労働者の職場環境が害されることのないよう、事業者は、消費者対応業務の態様に応じ、労働者の職場においてハラスメントに対処するための体制整備、相談体制の整備等必要な措置を講じなければならないこととしております。

 第三に、指針の策定、助言、指導及び勧告、勧告に従わなかった場合の公表、調査研究、国の援助等について規定しております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ御賛同いただきますようにお願い申し上げます。

冨岡委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十六日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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