衆議院

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第15号 令和元年5月8日(水曜日)

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令和元年五月八日(水曜日)

    午後三時二分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      丹羽 秀樹君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    吉田 統彦君

      稲富 修二君    岡本 充功君

      源馬謙太郎君    白石 洋一君

      太田 昌孝君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    藤田 文武君

      柿沢 未途君    中島 克仁君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          三田 顕寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 吉井  浩君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         瓦林 康人君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  山井 和則君     源馬謙太郎君

  鰐淵 洋子君     太田 昌孝君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  源馬謙太郎君     山井 和則君

  太田 昌孝君     鰐淵 洋子君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局審議官三田顕寛君、内閣府大臣官房審議官福田正信君、国税庁長官官房審議官吉井浩君、厚生労働省職業安定局長土屋喜久君、子ども家庭局長浜谷浩樹君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、国土交通省大臣官房総括審議官瓦林康人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 長かった連休が終わって、先日火曜日には障害者問題で参考人のお話も伺いました。それも踏まえた上で、本日は、連休後の初めての質疑ということで、四十分のお時間をいただきましてありがとうございます。

 まず、そもそも、障害者問題、根本にある優生思想、あるいは差別、排除などの根幹をお伺いしたいと思います。

 先般、ちょうど連休に入る前ですが、四月の二十四日に、旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が全会一致で成立をいたしました。

 旧優生保護法が成立されたのは、一九四八年、戦後間もない、三年とたったところで、当時は人口が非常にふえていくところでありました。その時代に、一つは不良な子孫を残すな、あるいは障害のある方が、例えば自分の生理等々をきちんと世話できないではないかなどのさまざまな障害者に対する侮蔑的、排外的な考え方から、不妊手術が強制されて、旧優生保護法が廃止される一九九六年に至るまで、厚生労働行政のもとに、当時、厚生省でしたから、厚生省の指導のもとに、不妊手術が繰り返されていったという事実がございます。

 実は、深刻なことに、法が廃止されました平成八年、一九九六年以降も、被害者の救済というのは一切語られることがなく、昨年になりまして、仙台である女性が裁判に訴えるということから国会も動き出しまして、二十三年後の今日、廃止から二十三年たってやっと救済法の成立ということを見たわけであります。

 ここにいる一人一人が、あるいは行政、あるいはさまざまな、例えば総理もそうですが、この法律にのっとって、被害を受けた一人一人に対して、国としてあらゆる手段を使って丁寧に対応し、調査はもちろんのこと、全容解明を実行する中でお一人残らず救済につなげていくというのは、皆さん当然の合意だと思います。

 さて、皆様のお手元には、同様に、戦後間もなく新憲法のもとでつくられた、人権じゅうりんの著しい法律としてのらい予防法、これも同じ平成八年に廃止をされましたが、廃止の二年後、一九九八年七月に、熊本地裁にらい予防法違憲国家賠償請求訴訟が提訴されまして、翌年には東京、岡山でも提訴が続き、二〇〇一年五月に熊本地裁で原告が勝訴したことをもって、時の小泉総理は控訴を断念されるという英断を下されました。

 そして、翌六月には衆参両院でハンセン病問題に関する決議が採択され、ハンセン病問題に関する検証会議が二〇〇二年の十月から約二年半にわたって行われるところとなりました。

 この検証事業と申しますのは、厚生労働省が財団法人日弁連法務研究財団に委託されたものであり、きょうお配りしているお手元のものは、その目次でございます。

 これをざっと見ていただきましても、なぜらい予防法のような、人権を無視し、なおかつ隔離政策をとり続け、その方の一生を子供を持つことも含めて排除してきたかということに当たる、さまざまな観点からの検証がなされております。

 「ハンセン病患者に対する隔離施策が長期間にわたって続けられた原因、それによる人権侵害の実態について、医学的背景、社会的背景、ハンセン病療養所における処置、「らい予防法」などの法令等、多方面から科学的、歴史的に検証を行い、再発防止のための提言を行う」ということで、二〇〇五年三月に最終報告書が作成をされました。

 根本大臣にお伺いいたしますが、私は、戦後の新憲法のもとで大きな二つの人権侵害の法律、一つは優生保護法、一つはらい予防法、これは、廃止されたことをもってその全貌が直ちに明らかになるのではなく、すなわち、これを執行してきた省庁としての厚生労働省がみずからその全貌を明らかにする責務があると考えます。

 ハンセン病の場合は、厚生労働省が、先ほど申し上げました日弁連の法務研究財団に委託をして、二年半にわたる検証を行いました。今回の優生保護法についても同じような行動を厚生労働省としてとられるべきと考えますが、いかがでしょう。

根本国務大臣 らい予防法については、今委員から御紹介がありましたが、これは、内閣総理大臣談話に基づいて設置された患者との協議の場であるハンセン病問題対策協議会での議論を受けて検証会議が開催されて、そして検証会議は厚生労働省健康局長が日弁連法務研究財団に委託して実施されたという経緯があります。

 このらい予防法は、昭和二十八年に政府提出法案として成立、施行されて、この執行を厚生労働省がしていたわけですが、らい予防法の関係については政府提出法案であるということが基本にあると思いますが、こういう検証会議で検証がなされたということであります。

 今の委員のお話ですが、今回の旧優生保護法一時金支給法において、二十一条で、国は、共生社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査を実施することとされております。

 これは、立法過程の中でさまざまな御議論をいただいた上で、旧優生保護法が議員立法により成立した経緯等に鑑みて、国会が主体となって実施することとされているものと承知しておりますが、厚生労働省としては、この国会が実施する調査についてできる限りの協力をしていきたいと考えております。

阿部委員 私のお尋ねは、国は当然調査をすべきです、調査にとどまらず検証を行わなければならないと思います。

 というのは、こうした優生思想というのは、さきの津久井やまゆり園事件でもそうですが、障害がある、役に立たない、いない方がいい、繰り返し繰り返し社会の中に芽を吹いてくる考え方であります。誰しも、誰の中にも大なり小なりあるんだと思います。しかし、しっかりと法体制あるいは執行体制がそれを超えて権利を守っていくということを行うというのが、厚生労働行政の責務であると私は思うわけです。

 例えば原発事故は、国会事故調というものをつくりました。同時に政府事故調というものもございました。行政府もまた、みずからの行ったことに対しての調査、検証が必要だと私は思うんです。

 例えば、優生保護法の適用手術数が減ると、厚生労働省はいろいろな通達を出して、もっとふやしなさいと、簡単に言えばそういう檄を飛ばしていたわけであります。

 国としては、広くこういう優生思想が人々の中にはびこり、それが社会の中でどんどんどんどん障害者を追い詰めていった。例えば、この手術をしなければこの施設にはいられませんのような形で、親御さんが抵抗しても、親御さんが無知であると責めていった。そういうことをトータルで国は見ていく必要がある。もちろん厚生労働省もあると思いますが、私は、この間のこの優生保護法の被害者に対する救済法の中で厚生労働省の主体性が見えないということが極めて残念ですし、これはこれからも、例えば遺伝診断など、いろいろなことが私たちの社会には技術の進歩に基づいて起こってまいります。そうしたときの厚生労働行政の根幹、思想を問うものとして、やはり主体性ということをしっかり、協力じゃなくてみずからというところが非常に重要と思います。

 例えば、具体的には、厚生労働省はこの一時金の支給ということに関して、相手のプライバシーがございますから、相手に通知するのではなくて言ってこられた方について調査して救済の手だてをとるという手挙げ方式をとっておられます。

 しかし、なかなか、この手術を受けた当の障害のある方は、御自分がそれを受けたかどうかも、ある場合はわからない、御家族もそれを言いかねている、家族との関係も複雑であるなどなど、これは非常に難しい。いわば、救済の方策をつくったとして本当にそこにどれだけがたどり着くのかすごく難しい。

 そのときに厚生労働省がやらねばならないのは、各県の優生保護担当部局、あったわけです。それから、それの医療機関もありました。あるいは、収容されているというか、施設などで多くこれが起こったわけで、そういうことを丹念に調査していく体制、これは私はいまだに不備だと思います。

 例えば、これまでのところ鳥取県、岐阜県、三重県などでおのおの独自に調査をなさって、審査会の書類、記録や医療機関への聞き取り、そして関係者への聞き取りなどを主体的に行ってきておられますが、これは各県任せではなくて、厚生労働省がきちんとリーダーシップをとってどこにどういう可能性があるか、そして、聞き取ってわかったことがあればそれも全国に、もちろん名前などは要らないです、どういうケースがどう起こっているかということがわかりますから、そういう情報共有をしたり、せめてこういう施設については全て網羅すべきだのようなガイドラインをつくったり、やるべきことは多々あると思いますが、いかがでしょう。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、個別通知のお話もあったかと思いますけれども、個別の通知につきましては、今回の法律の立法過程における与党ワーキングチームあるいは超党派の議員連盟の議論におきまして、仮に優生手術等を受けた方を把握している場合でも、個々人の置かれている状況はさまざまでありますので、例えば、同居している家族には一切伝えていない場合、当時のことを思い出したくない場合も想定されますので、一律に当該者に一時金の支給対象になる旨を個別に通知することは慎重に対応すべきという結論に至ったと承知をいたしております。

 したがいまして、一時金支給法にはそのための根拠規定はないというふうに承知をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、議員御指摘のとおり、着実な一時金の支給が重要と考えておりまして、地方公共団体、障害者支援団体等の関係者の協力を得まして、一時金の支給手続等につきまして十分かつ速やかに周知を行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 そんなしゃくし定規な答弁を聞いているのではないんです。法律ができて、具体的に何をするんですか。今までだってそういうことをやっていたでしょう、関係団体、都道府県に周知。この法律ができたことで、更に何を前に進めるのですか。

 一律に通知しないと。その言い方はきれいに聞こえて、本当に当事者がわからない場合が多いということもおわかりなんだと思います、行政、担当では。この法律をつくっても大変少ない数しか救済に結びつかなかったら、それはそれで、私はやはりこの法律自身の問題になってしまうと思います。

 それを丹念に本当に拾い上げていく行政の、当たり前だけれども努力がなければ、先ほど申しましたらい予防法だってそれから優生保護法だって、ある意味、行政が少ないものはもっとやれとか踏み込んでやってきたわけですね。それとある意味同様に、きちんと全体像が把握されるために、この法律ができて以降加わった調査、何かありますか。こういうことをやるから、法律ができたから、もっと救済に結びつくという、何か加わったもの、ありますか。

 大臣、二十一条で「優生手術等に関する調査その他の措置を講ずる」というけれども、調査、何を追加するんですか。その他の措置、何を追加するんですか。御答弁ください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたけれども、今回の二十一条の調査につきましては、本法律の立法過程における御議論におきまして国会が主体となって実施することとされております。

 したがいまして、調査の内容も含め具体的な対応につきましては今後議論されることになるものと承知をいたしておりますけれども、厚生労働省といたしましてもできる限り協力をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、例えばですけれども、国会が調査を行うに際しまして、例えば個別のケースに関しまして医療機関等に協力をいただく必要がある場合には、厚生労働省といたしましても、協力の要請あるいは必要な調整を行うなど、可能な限り協力をしてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 そんなことはこの法律ができる前もやってきたんです。

 そして、余りに厚生労働省が動かないから、各自治体が自分の配下の医療機関にヒアリングをしたり関係者ヒアリングをやってきているわけです。いい取組があれば、それを更にあちらこちらに波及させていくというのが厚生労働省の責務なんだと思います。国会が検討されるとか調査されるとか言っていられない実態があるわけですから。

 大臣、改めて伺います。

 せめて、各県それぞれの取組をしておられます、そこからわかってきたものもあります、それを一度きちんと厚生労働省としてデータを集められて、やれることはないのか、進められることはないのか、救済に結びつくための何かはないのか、検討していただきたいが、どうでしょうか。大臣に御答弁を伺います。

根本国務大臣 国会での議論の中で個別に通知することは慎重に対応すべきという結論になったと聞いておりますが、その過程で私もさまざまな議論があったんだろうと思います。個々人の置かれている状況はさまざまである、あるいは当時のことを思い出したくない場合も想定される、実は、恐らくいろいろなケースでいろいろな議論が行われたんだと思います。

 その意味では、個別に通知することは慎重に対応すべきだということの結論ですが、我々はこの法案の趣旨をきちんと、一時金支給の趣旨、内容、これはきちんと広報そして周知徹底を図らなければいけないと思っております。

 具体的に先ほどの鳥取県の例がありましたが、それぞれの県でどのようなことをされておられるのか、そこのところは厚生労働省としても工夫し、いろいろ考えるべき要素があるのではないかと思っております。

 その意味では、一番身近な自治体で、所管している自治体の取組、どういう取組をして、しかし、個別に通知することは慎重に対応すべきという基本がありますので、その辺は踏まえながら、どういう対応があり得るのか、ここは、周知徹底を図るという中で更にどういう対応、工夫があり得るのか、そこは私も考えていきたいと思います。

阿部委員 実は、きのう省庁に質問レクをした際に、県がどのような独自の取組をしているかほとんど御存じないということで、私の方でも新聞記事を調べたり調べ得る限りの例を挙げて、こういうところではこうしていますとお伝えしたところです。私は、本来それは厚生労働省がやるべきことだと思います。

 個別の通知はしないというけれども、厚生労働省だって誰がその手術を受けたかがわかっていないんだから、通知しようにもできないと思うんですね。個別に通知しないといって言い逃れているとしか聞こえません。

 全体をどう把握するかがこのできた法律を生かすかどうかの肝になっていますから、今大臣の御答弁を前向きに実施していただきまして、それぞれの都道府県の工夫、そしてそれがよいものはいろいろなところで同じように行われていくよう、ただし、それがプライバシーの問題等々あることは存じております。全体像を把握するということをやらないと、これだけ大きな出来事が起きたことについての国としての対応にもならないと私は思いますから、よろしくお願いいたします。

 次に、障害者のいわゆる水増し雇用問題についてお伺いをいたします。

 これは昨日の参考人の御指摘にもありましたが、私が思うところ、一九六〇年にいわゆる身体障害者雇用促進法ができて、一九七六年には民間の雇用率の算定ということが法定化され、一九八七年、今度は知的障害者が法の対象となり、一九九七年になって知的障害者が雇用率算定の対象になり、二〇一八年、精神障害者も対象となると。

 雇用率の算定をどこまで広げるか、あるいはそれをどう上げていくかということが改正の重きをなしてきたと思うんですけれども、その一方で、この雇用率の向上というところに着眼する余り、働いている人の実態はどうかということが全く見えてこなかった。だから、数だけあれば人がいなくてもそれでよしとしてきたことがあると私は思うんですが、大臣は、この雇用率の向上だけが法の目的とされてきたのではないか、私はこれは大きな根本問題と思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。

根本国務大臣 確かに、法律で法定雇用率というのを定めて、障害者の皆さんがその持てる力を十分に発揮して、そして生きがいを持って働けるように、やはり障害者雇用は社会連帯の発想がベースにあると思いますし、委員がおっしゃられるように、ただ単に数値をクリアすればいいということではなくて、今回の法改正の中でも活躍の場を広げるようにということも我々盛り込んでいるわけでありますが、やはり障害者で雇用された皆様がどういう仕事をしていくのか、そういう環境をどう整えるのか、私は、そういう環境を整えると同時に雇用率も上げていく、やはりそういう発想が必要なんだろうと思います。

阿部委員 今大臣るる御答弁いただきましたが、実は、障害をお持ちの方の就労の実態というのは、厚生労働省は一貫して調査したことがございません。一度もありません。

 二〇〇九年に障がい者制度改革推進本部というものが、これは民主党政権下にできまして、そのときに、内閣府の中に置かれた制度改革推進本部が差別禁止部会という小さな部会をつくって、そこで就業、雇用実態について調査したのが一回あるのみです、内閣府の調査といって。

 私は、雇用をつかさどる厚生労働省がその働いている人たちに、例えば職場のハラスメントはどうであるのか、労働環境はどうであるのか、差別はないのかなどを調査したことが一度もないということに驚愕をいたしました。これもきのう質問をいたしましたところ、ないという御答弁でした。

 そして、あわせて次の質問に行かせていただきますが、今回水増し雇用で、じゃ、足らざる分をどんどんとりましょうとなっていますが、実は水増し雇用されていた障害者の枠にははまらないはずの人たちは一体どうなったんでしょうか。その方たちは他の部署に転換したのか、あるいは解雇されたのか。四千人近い方の水増しがこれから充足されるという裏には、四千人余りがどこかに消えなければなりません。

 この方たちの実態調査、すなわち、例えばお目が悪いとされて障害者とされているが、障害者雇用の枠に入っているが、実は雇用の枠ではなかった人たちはどこでどう遇されているんでしょうか。答弁をお願いします。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省において障害者雇用政策を企画立案するに当たりましては、企業だけではなく障害当事者についても随時調査、ヒアリングを行いながら政策の企画立案をしてきているという実情にございます。

 例えば、障害者雇用実態調査というものは五年に一度調査を実施しておりまして、直近では平成二十五年度の調査を公表しているものがございますが、事業所調査だけでなく障害者個人に対しても調査を実施しているところでございます。

 また、差別のお話もございましたが、平成二十七年に障害者差別禁止指針、それから合理的配慮の指針を策定するに当たりましては、障害当事者の団体を通じて当事者の方々からも広く意見を聞くという形でのヒアリングを実施させていただいてきているところでございます。

 これらの指針の策定から四年が経過をしている状況にございますが、ことしの二月に取りまとめました障害者雇用分科会の意見書においては、こういった差別禁止や合理的配慮の提供の実施状況について幅広く実態を把握することが適当だというふうにされていることがございます。

 これを踏まえまして、今年度から二年かけて、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構において、私どもからの要望研究として、差別禁止指針や合理的配慮指針に関する取組の実態把握に関して調査研究を実施する予定でございますが、その際に、企業で働いている障害者の方々を対象とするアンケート調査も実施を予定しているところでございます。

 また、もう一つ、各府省での今回の件に関しまして、特に、カウントの対象になっていたけれども実際には障害者に該当しなかった方の雇用についてお話がございました。

 こういった職員の雇用については、まず、常勤職員であれば、国家公務員法上の法律あるいは人事院規則に定める場合でなければ本人の意に反して免職されることはないというふうにされているわけでございまして、その前提の中で引き続き公務の職場において勤務をされているということになろうかと思いますし、また、非常勤の職員の場合については、雇用契約の内容や担っている業務の内容に応じまして各府省において適切に御判断をされているものというふうに考えているところでございます。

阿部委員 適切に御判断をされているものと思いますだけでは、本当にそうなのかわからないのです。皆さんは本当に上辺の調査しかしていない。

 四千人余りがあなたは本当は障害者じゃなかったと。常勤の人は公務員として守られる。そうでしょう。非常勤の人がどこにどう転職したか。それだって、仕事を権利とする、障害があれなかれ、そういう労働者なんです。

 根本大臣、今のような曖昧な答弁じゃなくて、実態像を出してください。どの方がどこに異動されたのか、雇用は継続しているのか、解雇された方はいないのか。今回の問題で障害者の水増しにフォーカスが当たっていますが、障害者じゃないのに障害者という枠で働いていた人たちのその後は一切語られておりません。適宜適切にやられているものと思うというのでは御答弁になりません。それを確かなものとして見せていただきたいです。これはお願いを申し上げます。

 そして、きょうはわざわざ内閣府にお越しいただきましたので、少し問題を内閣府の方に投げさせていただきます。

 今般、二〇一六年から施行されているところの障害者差別解消法、これの見直しが俎上に上っております。見直しの現状、並びに、二点あわせてで恐縮ですが、先ほどから厚労省が働く障害者の調査、調査とおっしゃいますが、本当に中身のないものです。私が見たところ、一番中身があったのは平成二十一年の内閣府のものでした。職場でのハラスメントの状況等も聞いておられました。今後、差別解消法の見直しに当たって、こういう就労場面における障害者の抱えているもろもろの問題についてどのようなお取組をされるのか。二点お願いします。

左藤副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 先生御指摘の障害者差別解消法は、平成二十八年四月から施行されておりまして、本年四月をもって施行から三年が経過をしたところでございます。この法律の附則で、施行から三年経過後の見直しの検討を行うことが規定されていることを踏まえ、障害当事者や学識経験者等により構成される内閣府の障害者政策委員会において、本年二月より、同法の見直しの検討のための議論を始めているところでございます。

 今後、法律の施行状況に関する議論や障害当事者、関係者の御意見、御知見を踏まえ、障害者差別の解消に向けたさらなる取組のあり方について議論を進めたいと思っているところでございます。

阿部委員 二点目は御答弁がなかったですが、私が一番問題としているのは、この法律改正の前にハラスメントの問題で法改正がありましたが、障害者に対するハラスメントの体系的な調査というのはほとんどないと思います。私が見ていないと言うべきかもしれません。なぜ障害のある方が就労を継続できないのか、多くハラスメントの問題がございます。そこを最もきちんと調査したのが内閣府の調査でありましたので、私は例示をさせていただきました。

 済みません、時間で。もう一つ行きたいので、ごめんなさい。これが本来は厚労省のやるべきことではないかということでございます。申しわけございません。副大臣にはごめんなさい。

 最後に一問。私が最後に問題にしたいのは、二〇一八年度のいわゆる障害のある方たちの福祉的就労における報酬改定の影響ということで指摘をしておきたいことがございます。

 就労継続B型と移行支援という、いわゆる福祉的就労の報酬単価が変わりました。簡単に言うと、例えば就労継続B型では高い工賃を払っていれば報酬も高く、評価も高くしましょう、就労移行では就職ができた成功率が高ければ報酬を高くしましょうという改定を行いましたが、お手元の円グラフで見ていただきますと、何と事業所の六割が減収になってしまう。就労継続B型と移行支援のおのおの合わせたものの六割が赤字になる、減収になる。

 そして、赤字幅というものが右側のグラフにございますが、これは就労継続B型の事業所でとったものですが、三百万円以上年間の赤字になったところが何と三三・九%、そして二百万円以上も含めれば半数が就労継続B型では赤字になっております。すなわち、今、障害者雇用、就労を問題にしておりますが、それに先立つ福祉的な就労の場面において、その事業所が継続できない状態が来得るということであります。

 裏を見ていただきますと、この結果を更に詳しく分析いたしますと、事業所でも、精神障害単独の方の御利用の継続B型の減収幅が大きゅうございます。そして、これの意味するところは、精神障害の方はどうしても利用日数とか利用時間が短いということで、そうそう高い工賃を稼げるわけではないということであります。プラス、もし年間三百万も赤字が出たら、人を一人切らなきゃいけない。障害のある人たちをサポートしてくれる方の雇用も危うくなります。

 根本大臣にお伺いできればと思いますが、今回の法改正で精神障害の方の十時間以上二十時間未満の新たな就労ということも前向きに算定していくということでありましたが、その土台になる福祉的就労の場面で、特に精神障害の方たちが通う事業所が赤字によって成り立たなくなる懸念があると思います。こういう改定をなさる前に、そもそもいろいろなシミュレーションはなさったのか、そしてこういう結果について今後どのように検証されるのかについてお願いをいたします。

根本国務大臣 就労支援B型、これについては、障害のある方が適性に応じて能力を発揮して、地域で自立した生活を実現するという観点から重要なサービスだと思っております。報酬の改定に当たっては、障害者へのよりよい支援のあり方や事業者の経営実態等を踏まえて対応することが重要だと考えています。

 昨年四月の報酬改定、これは、次のような事項を踏まえて、審議会等での議論を経て、平均工賃月額や就職後六カ月以上の定着割合などでめり張りをつける見直しを実施したものであります。

 一つは、平成二十七年の十二月の社会保障審議会障害者部会報告書において、工賃、賃金の向上や一般就労への移行を更に促進させるべき、あるいは、就労継続支援B型については、高工賃を実現している事業所を適切に評価するなど、めり張りをつけるべきであるといった御意見がありました。

 また、報酬改定が経営に与える直接的影響の事前調査は実施しておりませんが、平成二十八年度の決算における全サービスごとの平均収支差を二十九年度に調査したところ、全サービスの平均収支差がプラス五・九%であったのに対して、就労継続支援B型事業所の平均収支差率が一二・八%のプラス、就労移行支援事業所の平均収支差率がプラス九・五%と高い状況にあった、こういう状況になっております。

 平成三十年度障害福祉サービス等報酬改定は、全体として、障害者の重度化、高齢化への対応、あるいは医療的ケア児への支援や就労支援サービスの質の向上などの課題に対応したものとして決められたものであります。

 今後の改定に当たっても、今委員からいろいろな課題や御意見がありましたが、前回の改定後の平均収支差率などを必要な調査等を通じて把握して対応していきたいと思います。

阿部委員 大臣に申し上げたいのは、高い工賃を払えるところだけ残ればいいということじゃないんです。それは長時間働かなきゃならないということで、就労支援に向けて少しでも、一歩でも二歩でも就労に近づいていくように支援するための福祉的就労。それから、一般就労に定着したかどうか、就労移行は二年ではかられますが、精神の疾患の場合はそれがなかなか、二年間で本当に一般就労に行けるかどうかが難しいというのは今までも言われていました。それなのに、それを指標にして、うまくいって成功報酬としてしまえば元も子もない状態になるということで、ここをきちんと把握していただきたい。

 最後に申し上げたいですが、今回の法改正でいわゆる職場に障害のある方がおられたとき相談に乗るという相談員の方を研修させるというお話でありましたが、障害者職業生活相談員です、この研修がわずか二日であります。

 私は、障害者の生活相談、就労相談に寄り添う形になるためにも、障害者の権利擁護、アドボカシー、御自身の、障害者の権利を十分守っていける代理者になれるような素養を生活相談員の研修の中に入れるべきと思います。

 時間がないので、このことを申し添えて質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 先日に引き続きまして、障害者雇用のことについて質問してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、まず最初にお聞きをしていきたいのは、障害者雇用という話の中で、女性の障害者雇用というのはどうなっているのかという視点に基づいて質問をしてまいりたいと思います。

 今回は、各省庁で、四月二十二日時点で二千七百五十五・五人分の採用があったということでありますけれども、では、今回採用された方の男女比はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました採用状況の調査におきましては、先日公表させていただいた資料にも掲載いたしましたように、障害種別あるいは常勤であるか非常勤であるかといったことについては確認をしておりますが、男女別については把握をしていないところでございます。

尾辻委員 障害者雇用促進法で、調査というのには、実は、国も地方公共団体も企業も、毎年、フォーマット、性別の回答欄がないんですよ。なので、結局、男性が多いのか女性が多いのかというジェンダーの視点で障害者雇用を見たときに全くわからない、こういう状況があるわけです。

 障害があるということ、そして女性であるということは二重のマイノリティーの課題、複合差別の課題で、やはりこれが今も全く可視化されていないということではないかと思います。

 障害者権利条約では、第六条にわざわざ障害のある女性という項目立てがありますし、第四次障害者基本計画でも、障害のある女性に対してきめ細かい支援が必要というふうにも明記をされているわけです。

 なので、男女別の採用がやはりわかるようにしなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょう。

土屋政府参考人 障害者の採用に当たりましては、どのような支援をしていくかというようなことなども含めて、障害種別などについては着目をしてその把握もしているところでございますが、御指摘の点については、特に今回の国等の採用においてどのような状況にあるかということについて、今後の把握について検討してまいりたいと思います。

尾辻委員 それは、障害者雇用促進法に基づくこういう雇用状況の集計についても検討いただけるということでいいですか。

土屋政府参考人 御指摘の点は、いわゆる六・一報告、企業から六月一日現在で雇用状況報告をいただいているものについてであろうかと思いますが、この点については、雇用率制度の運用状況なり施行状況というものを確認するというために義務的に各企業から報告をいただいているものでございます。その観点から、これも障害種別であるとか重度であるか否かといったことについての報告はいただいているところでございますが、この報告においては、報告をしていただく側の企業などの負担についても十分考慮した上で、その中でいただける情報をしっかりといただくという観点から報告をいただいているということでございまして、そういった意味では、現状の形で引き続きやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

尾辻委員 これでは、結局、働いている方で女性がどれぐらいいるのかとかは全然わからないわけです。

 じゃ、どういうふうにして厚労省は、障害のある人で、女性の働いている実態というのをつかんでいるんでしょう。

土屋政府参考人 現状においては、障害者の方で、雇用されている方の男女別についてデータとして把握をしているというものが私どもとして現時点では手元にない状況でございますが、これから、例えば実態調査であるとかいろいろな調査研究の中で把握することを含めて、検討してまいりたいと思います。

尾辻委員 しっかりと検討いただきたいというふうに思います。

 今、一般の就労の中では、五年に一度の障害者雇用実態調査しかないんですね。これは五年に一度なんですよ。その中では、男女の割合は、六対四もいかない、七対三ぐらいなんですね。なので、今省庁で雇っている人がどれぐらいの男女比なのか、そして今調査をしている中でどういう男女比になるのか、しっかりとまず把握をしてください。そうしないと次に進めませんので、よろしくお願いしたいと思います。

 NHKの福祉番組のウエブページでも、障害者であるだけで年間収入は障害のない人に比べて少なくなり、女性であることで男性障害者よりも更に少なくなる、有業率は三割弱で、年間収入は年金や手当を含めても平均九十二万円で、男性障害者の約半分という厳しい現実があるというふうにも指摘をされていますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 関連してお聞きいたしますけれども、障害関係の政策を議論する審議会、女性障害者の割合は大体どれぐらいでしょうか。

土屋政府参考人 厚生労働省において障害者関係の審議会といたしましては、労働政策審議会の障害者雇用分科会、それから社会保障審議会の障害者部会の二つが設置をされているところでございます。

 このうち、労働政策審議会の障害者雇用分科会では全部で二十名の委員に御参画をいただいておりますが、このうち障害者代表の方々は四名でございまして、うち女性の委員が一名いらっしゃいますけれども、御自身が障害者である女性の委員というのはゼロという状況でございます。

 それから、社会保障審議会障害者部会におきましては全部で二十九名の委員がいらっしゃいますけれども、このうち当事者の関係は八名でございまして、うち女性の委員が二名いらっしゃいますが、これも、御自身が障害者である女性の委員というのはゼロというふうになっているところでございます。

尾辻委員 こういうように、政策を審議する審議会の中に女性の障害者の方の参画がゼロである、これは非常に問題があると思います。第四次障害者基本計画でもちゃんと女性の障害者の参加というのはうたっているわけで、これでは配慮しているというふうには言えないと思います。

 あと、内閣府についてはどなたかお答えいただけますか。内閣府、お願いします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府に置かれております障害者政策委員会におきましては、障害のある女性の委員は二名任命されております。委員全体に占める割合は約七%、あと、障害当事者の委員に占める割合は約一八%、女性の委員に占める割合は約二〇%となっております。

尾辻委員 内閣府の方は一定いらっしゃるということですけれども、厚労省として、女性の障害者の方に委員に入っていただかなければいけないと思いますが、この辺のバランスを今後配慮していただけないでしょうか。

土屋政府参考人 審議会の委員につきましては、関係の団体から御推薦をいただいたりというような中で選任をしている部分もございますけれども、御指摘の点については、今後の選任の中で、どういうことができるか十分に考えながら選任を進めてまいりたいと思います。

尾辻委員 やはり、ダブルマイノリティーになって、なかなか障害女性の現状や、そして声が届きにくい様子が今のことからもわかってくるかと思います。

 では、障害者施策の中で、障害女性の課題というのが今どういうふうに把握をされているのかということについてお聞きしたいと思います。

土屋政府参考人 障害者施策全体の中では、女性障害者の課題に関して、先ほど委員からも御指摘がございましたように、障害者基本計画の中で、これは平成三十年に閣議決定をした計画でございますが、「障害のある女性は、それぞれの障害の種別ごとの特性、状態により様々な支援が必要であることに加えて、女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることから、こうした点も念頭に置いて障害者施策を策定し、及び実施することが重要である。」というふうに記載をされていると承知をしております。

尾辻委員 それは私がもう指摘をしたことなので、具体的な政策というのはないということなんでしょうか。

土屋政府参考人 厚生労働省の施策の中では、例えば雇用の問題、それから福祉、健康の問題、それぞれございますが、私どもの施策の中では、それぞれの障害者の方の個別のニーズに対応して必要な支援なりサービス、医療の提供などを行っているというのが現状でございます。

尾辻委員 やはり、計画には書いてあるけれどもなかなか具体的な政策に落とし込めていないということではないかと思います。

 DPI日本会議の女性障害者ネットワークが調査した女性の障害者の生きにくさの回答で、実は一番、最も多かったのが性的被害だったんですね。回答者の三五%が被害を受けたことがあるというふうに答えられたということで、今、新聞などでも障害の女性、女性障害者の方の性被害の特集が組まれたりしております。

 厚労省とか政府において、こういう女性に対する性暴力についてという調査はあるんでしょうか。

土屋政府参考人 お尋ねのような調査については、障害のある女性の方への性暴力について特化して調査したものがあるというふうには承知をしておりませんけれども、平成二十九年度に内閣府が実施をした若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業といった事業の中では、民間支援団体に対して実施をしたヒアリングなどにおきまして、若年の性暴力被害の主な背景要因の一つとして、知的障害、発達障害の影響によって、繰り返し性暴力被害を受けたりすることや、支援につながりにくい状況があるということが報告されているというふうに承知をしております。

 なお、私ども厚生労働省としての部分におきましては、少し概念が違うかもしれませんが、障害者虐待防止法に基づく障害者虐待への対応状況の調査の中で、性的虐待ということについて把握をしているところでございます。

尾辻委員 ちょっと虐待とは違うと思うんですけれども、今、るる、女性の障害のある方々への対応を聞いてきました。やはりこれは大きな課題だと思います。今、省庁に雇用された方の女性の数もわからない、どれぐらい、雇用促進法においても、今、雇用された方の男女がわからないといった状況、審議会においても女性の当事者がいないという状況、これはいろいろな課題があると思います。

 大臣、今後、どういうふうに施策、取組を進めていくのか、大臣にお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 先ほど委員からもお話がありましたが、障害者基本計画、第四次の基本計画においても、障害のある女性は、障害者であることに加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれる場合があり、こうした点も念頭に置いて障害者施策を策定、実施することが重要である旨記載されております。先ほど委員からも御紹介がありました。

 実際、女性の障害者については、障害者であることによって困難な状況に置かれるばかりではなくて、結婚あるいは雇用、育児などにおいて抱える課題があることは承知をしております。

 厚生労働省としては、例えば職場における女性障害者に対する性的被害やセクハラの問題について関係部局が一体となって対応するなど、障害者が置かれたさまざまな状況を踏まえた支援をこれからも行ってまいりたいと思います。

尾辻委員 しっかり現状を把握して、前に進めていただきたいと思います。

 次に参ります。先日の参考人質疑でも指摘があった件です。

 障害者が必要とする職場介助者や手話通訳者等の人的支援や駐車場、家賃補助などの助成期間が十年ということになっているということで、ただ、これは十年たっても必要な支援が変わるわけではないので困っているんだということを指摘もされていたと思います。同じ人がずっと働き続けるためには必要な支援だと思います。

 この十年、たしか、働く期間の平均が十年だから十年にしようみたいなことだったと思いますが、これは、大臣、やはり大事なことだと思いますので、見直すべきではないでしょうか。

根本国務大臣 障害者が働くために必要な介助などは、合理的配慮指針にもありますけれども、これは基本的には雇用する企業において行われるべきものと考えております。

 障害者雇用納付金に基づく助成金、今委員の御指摘の助成金ですが、この趣旨は、新たに障害者を雇用する事業主が障害者雇用に伴う経済的負担を余儀なくされる場合に一定の期間の中で助成金を支給し、それによって障害者の雇用を容易にすることで障害者の雇用水準を全体として引き上げようとするものであります。

 御指摘の職場介助者の配置等に関する助成金、これについては、このような趣旨を踏まえて、障害者雇用納付金を財源として実施しております。限られた財源の中で、さまざまな課題を抱える障害者の雇用をより効果的に推進していく必要があります。こういうことを踏まえつつも、助成金の実績や効果などを勘案し、必要な検討を行っていきたいと思います。

尾辻委員 十年たったら必要な支援がその人にとってなくなるわけではないので、最初のインセンティブでやっているんだというならば、違うサービスにして継続していくなり、これでは、十年たって助成金がなくなったのでもう雇用をやめますというようなことも起こり得ることだと思いますので、ここの部分についてはしっかりと、検討していただくと今おっしゃっていただいたので、検討していただきたいというふうに思います。

 次は、除外率のことについて少しお聞きしたいと思います。

 障害者雇用の除外率制度、これは、二〇〇二年の法改正によって、二〇〇四年四月から、ノーマライゼーションの観点から廃止ということになりました。しかし、経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するということで、今も段階的に引き下げている、縮小する。しかし、この縮小が、前回の縮小からもう九年たっているんですね。廃止を決めてから十七年経過しているということで、この除外率の縮小の見通しはどうなっているか、大臣にお聞きいたします。

土屋政府参考人 除外率の制度につきましては、御指摘がございましたように、ノーマライゼーションの観点から、平成十四年の法改正によりまして、平成十六年の四月に廃止をしているところでございます。その上で、現在は、経過措置として除外率を引き下げ、縮小しつつ継続をしている、こういう状況になっております。

 この点につきましては、今般の労働政策審議会障害者雇用分科会におきます御議論の中でも議論がございまして、この経過措置について、廃止をすべきという御意見や、一方、残しておく必要があるという御意見などもあって、多岐にわたる御指摘があった状況にございまして、意見書におきましては、除外率の廃止については引き続き検討することが適当であるというふうにされたところでございます。

 今後、具体的なタイムスケジュールなどについてお示しすることはなかなか難しい状況にございますけれども、この意見書の内容を踏まえまして、引き続き労働政策審議会において御議論いただくこととしたいと思っております。

尾辻委員 すぐに廃止というのが難しければ、やはり縮小は段階的にやっていかなければいけないと思います。前回の縮小からもう九年たっていますから、これは進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それでは次に、公務部門のことについてお聞きしていきます。

 まず、障害者雇用促進法の適用外になる公務員、地方公務員について、差別禁止、合理的配慮の提供はどのように担保されているのかということについてお聞きをいたします。

三田政府参考人 お答えいたします。

 一般職の国家公務員についてでございますが、国家公務員法により、不合理な差別的取扱いは禁止されておりまして、また、職員の健康の保持増進及び安全の確保を図ることとされております。これによりまして、障害のある方に対して差別的な取扱いをしてはならないことはもちろん、合理的配慮が求められることも、民間企業と異なるものではございません。

 さらに、昨年十二月には国家公務員の合理的配慮指針を発出いたしまして、各府省に対し、合理的配慮に関する基本的な考え方を含め、合理的配慮の事例等をお示ししたところでございます。

尾辻委員 公務員の差別禁止と合理的配慮提供の根拠の条文はどれになりますか。

三田政府参考人 お答えいたします。

 障害のある方への差別の禁止につきましては、国家公務員法の第二十七条に平等取扱いの原則が定められております。

 また、合理的配慮の提供につきましては、国家公務員法第七十一条の能率の根本基準の規定に基づく人事院規則一〇―四において、「健康障害の防止上特に配慮を必要とする職員については、配置、業務の遂行方法等に関して心身の条件を十分に考慮するように努めなければならない。」と定められております。

尾辻委員 その条文についてちょっと確認ですけれども、国家公務員法二十七条に平等取扱いの原則というのがあります。しかし、ここには障害という言葉がないんですね。人種、信条、性別、社会的身分、門地というふうにあるだけなんです。一部では、社会的身分のところに障害が入るんじゃないかという解釈もあるわけですが、これは、どういうふうに読むと障害のある方への差別禁止となるんでしょう。

三田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員法の第二十七条の平等取扱いの原則の規定でございますが、この規定の中には列挙されている事由が幾つかございますが、列挙されている事由は例示的なものでございまして、これらに限らず、不合理な差別的取扱いを全て禁ずる規定となっております。

尾辻委員 ということは、別に社会的身分に障害が含まれているということではないという、これは確認です。

三田政府参考人 お答えいたします。

 障害のある方につきましては、ここで言う社会的身分というところに該当するものではないと考えております。

尾辻委員 地公法、地方公務員法も同じように十三条で平等取扱いの原則があって、同じような文言ですから、同じような解釈だということだと思います。

 さらに、合理的配慮の根拠ですけれども、今、国公法でいうと七十一条というふうにあったかと思います。これは、能率の根本基準ということが書いてあるんですね。七十一条の二項には、「必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。」ということになっています。つまり、合理的配慮は人事院規則によって根拠となるということだと思いますが、その根拠はどこでしょう。

三田政府参考人 お答えいたします。

 この国家公務員法第七十一条の、委員御指摘の人事院規則で定めるという規定を受けまして、人事院規則一〇―四、職員の保健及び安全保持の第十八条におきまして、健康障害の防止上特に配慮を必要とする職員については、配慮、業務の遂行方法等に関して心身の条件を十分に考慮するように努めなければならないと規定されているところで、これが合理的配慮と承知しております。

尾辻委員 実は、その人事院規則一〇―四の、今お読みいただいたのは第十八条なんですが、これは、実は中高年齢職員等に対する配慮ということで第十八条が置かれていまして、ここにもやはり障害ということや障害者ということはどこにも書かれていないんですね。

 今回、これだけの水増しがあって、こういう雇用が全くされていなかった。でも、その根拠を読んでみると、法律の条文にも障害者という文字がない、人事院規則にも障害者ということが具体的には書かれていない。これは、私、指針はつくられましたけれども、やはり人事院規則ぐらいはもう少し変える必要があるんじゃないか、しっかり明示をする必要があるんじゃないか、国公法も明示する必要があると思いますが、この辺はいかがでしょう。

三田政府参考人 先ほど御説明いたしました人事院規則一〇―四の規定の運用通知がございまして、その中で、先ほどの、特に配慮を必要とする職員とは何かという規定がございまして、そこには「健康診断の結果に基づく指導区分の決定を受けないが、健康障害の防止上特に配慮を必要とする虚弱者、身体障害者等をいう。」ということで、ここに身体障害者等が含まれるということを通知しているところでございます。

尾辻委員 私は、これは非常に弱いと思います。中高年齢職員その他健康被害の防止上特に配慮を必要とする職員というふうになっているんですね。

 こういうことがあったんですから、ちゃんと人事院規則にも障害のある方々に対する合理的配慮というのは明文化すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 時間がないのでちょっと飛ばしまして、きょうは、実は国税庁さんと国交省さんに来ていただきました。というのは、今回の採用人数が非常に多い二つの省庁なんですね。国税庁が七百六十八人、国交省が五百二十二人、これだけの人を今回採用されていたということで、本当にしっかりとサポートができるのかということについて非常に危惧をしております。

 今の雇用の現状と、そして、一番危惧している、本当に、雇用された障害のある方が職場での困り事に対して、どういうふうに相談に乗る体制が今できているのか、そのことについて教えていただきたいと思います。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁におきましては、本年十二月末までに千九十六人を追加で採用する計画としておりまして、四月時点で、常勤職員で九十名、非常勤職員で六百七十八・五名、合計七百六十八・五名の障害者の方を採用しているところでございます。

 常勤職員につきましては、税務職員として必要な基礎知識、技能を身につけるために不可欠な一年間の研修を現在実行中でありまして、研修修了後、各税務署における事務に従事することとしております。

 また、非常勤職員につきましては、国税庁本庁、それから大宗は全国の国税局とか税務署になりますが、事務の補助の仕事に現在従事しているところでございます。

 このように、国税庁におきます障害者雇用は現在既に相当進んでおるところでございまして、昨年十月の関係閣僚会議の基本方針を踏まえまして、国税庁といたしましても、勤務に当たりまして個別的なサポートを行う支援者、それから障害者本人からの相談を受け付ける相談員を職員の中から選任し、今回採用された職員を含めまして、障害を有する職員に対して助言、支援等を行っているところでございます。

 国税庁といたしましては、法定雇用率の達成のみならず、障害を有する職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大にも引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、本年十二月までに外局を含めまして八百十名を追加で採用することとしておりまして、四月一日時点におきまして、外局を含めて六百十四名採用しております。このうち、国家公務員障害者選考試験で採用した常勤職員は二百八名、また非常勤職員は四百六名となっております。

 これらの職員につきましては、特定の部署に集中して配属するのではなくて、個人の能力、障害の種類や程度を踏まえた上でさまざまな部局に配属しまして、それぞれの配属先の他の職員による個別の支援を必要に応じ受けながら業務に従事させております。

 また、国土交通省といたしまして、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、本省、地方支分部局等を通じまして、今回採用した職員が所属する局ごとに職員の中から相談員を選任しまして、障害者の方御本人からの相談にきめ細かく応じるなどの必要な体制を整えております。

 国土交通省といたしまして、今後も、法定雇用率の速やかな達成、障害のある方が活躍できる場の拡大に向けて着実に取り組んでまいります。

尾辻委員 余りの大量採用ですので、この方々が例えば半年、一年でおやめになるようなことのないように、しっかりとフォロー、相談をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 大臣、引き続きの議論、どうぞよろしくお願いいたします。

 前回、雇用状況の現状認識と改正案による改善の程度、今後の改善へ向けての厚生労働大臣としての意思や決意をいろいろ伺っておりましたが、途中で終わってしまっておりますので、引き続き、この問題からさせていただきたいと思います。

 参考人質疑でも、視覚障害をお持ちの方が、盲導犬、介助犬、そういったものをお使いの方の御意見や、そういった重度の視覚障害をお持ちの方のお立場としての意見をおっしゃっていらっしゃいました。

 視覚障害者は、どうしても勤務可能な職域が狭くなりますね、大臣。先天失明の場合、そして中途失明の場合など、失明に至る経緯によってもその職域は大きく変わってきます。

 まず、大臣、認識としてお伺いしたいんですが、民間企業における視覚障害者、特に一級とかをお持ちの視覚障害者の雇用割合は全障害者雇用の何割ぐらいで、本法案でそれはどのようにしていくべきか、そしてどのように変わっていくのかということを、大臣の御認識として教えていただけますか。

根本国務大臣 ハローワークを通じた視覚障害者の就職件数、これは平成二十九年度実績で二千三十五件で、直近三年間で低下しております。就職率は四二・八%と、就職率で見ると直近三カ年はほぼ横ばい状況であります。また、その就職先の多くは、委員も視覚障害者は特に職域が限られているというお話でしたが、あんま、鍼灸、マッサージであります。

 視覚障害者の職域拡大や雇用の促進については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において視覚障害者用の雇用マニュアルや雇用事例集等を作成しております。これらを当該機構のホームページに掲載することなどを通じて事業主の活用を図るとともに、ハローワークによる個別企業への求人開拓の際にも活用しているところであります。

吉田委員 大臣、まず最初は今の御答弁でいいんですが、私が聞きたかったのは、あはき法等々で規定される職域以外の部分で、民間企業で雇用されている人がどの程度かということを認識として大臣がどのように認識されているかを聞きたいんです。いかがですか。

根本国務大臣 今の実態の資料は今手元にありませんが、今申し上げた資料で見ますと、従来から視覚障害者の就職先として大部分を占めているあんま、鍼灸、マッサージのみならず、これらの技術を生かしたヘルスキーパー、これは企業内理療師、企業等に雇用され、その従業員を対象にして施術を行う者ですが、ヘルスキーパーや、IT技術や就労支援機器の発達、普及を背景とした事務的職業への就職も、先ほど申し上げた事例集では取り上げております。

 やはり、こういう状況の中で、視覚障害者がその資格、技能を生かせる職種に就職できるように、例えばヘルスキーパーや事務職など、個々の企業における新たな職域拡大が必要だと思っております。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

吉田委員 私は、民間企業のとちゃんと役所の人に伝えてあるんですけれども、ちょっと認識がちゃんとされていないということじゃないですかね。民間企業で普通に働く視覚障害をお持ちの方がどれだけ活躍しているかということを聞きたい趣旨で、そうやって説明をしてあるんですが、まず、あはき法のそういうようなものをおっしゃっているし、そこはもう前も大臣は答弁されているじゃないですか、ほかの委員に対して。

 では大臣、次はこういう聞き方をします。これもちゃんと言ってありますから。中央省庁や地方自治体に関して、視覚障害をお持ちの方というのは今どの程度雇用されていると認識されているんですか。そして、それはこの法律で大きく変わっていく、中央省庁はそうですが、地方自治体は変わっていくんでしょうか。

根本国務大臣 平成三十年六月一日現在の国の行政機関における視覚障害者数は百二十一人であります。国のその他の機関、これは立法、司法、及び地方自治体の区分による把握は現段階ではしておりませんが、次回から集計する方向で検討したいと思っております。

 先ほどお答え申し上げましたが、民間企業における視覚障害者の雇用の促進については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が作成した視覚障害者の雇用マニュアルや雇用事例集などを活用しております。要は、視覚障害者が資格、技能を生かせる職種に就職できるように、個々の企業における新たな職域拡大を図っているところであります。

 例えば、厚生省の本省の中で視覚障害の方がやっている仕事を紹介いたしますと、重度視覚障害者の職員の場合、音声読み上げソフト及び点字ディスプレー等の就労支援機器を活用して、移動に制約があるほかはほぼ通常の職員と同様の行政事務に従事しております。やはり、こういう事例を含めて、民間企業でも、国あるいは自治体の中でも、こういう職域を拡大できるように取り組んでいきたいと思います。

 それから、先ほど、視覚障害者のハローワークを通じた就職件数ということで御紹介いたしましたが、改めて、視覚障害者の職業紹介状況ということでいえば、職業別就職件数は、あはき業が九百七十九件、構成比で四八・四%、そして、事務的職業ということを先ほど申し上げましたが、事務的職業が全体が二千三十五件のうち二百八十件で、一三・八%の構成比、そして、生産工程の職業では三・八%の構成比となっておりまして、委員がおっしゃるように、確かにあはき業が大体半分ぐらいですが、事務的職業を中心に、まだ大半はあはき業ですが、その他のさまざまな職業にもついていただいているという状況であります。

吉田委員 なぜこの質問を前回からしているかというと、視覚障害者の数はふえていますよね、大臣。これから高齢化の進展とともに、視覚障害の数は更にふえるんです。ここをしっかりと、せっかくこういう法律をつくるんだったら手当てしていかないと、やはりかかる経済コストや経済的損失というのも大きいものになるということはいろいろなデータや学者の報告でわかっていることなので、非常に大事な部分になってくると思うんです。

 それで、大臣、もう少し細かく聞いていきますが、前回の質問のときに、視覚障害者雇用者数の不正計上について、各省庁の副大臣にお忙しい中お越しいただいて認識を問うたわけでございますが、意図的ではないとおっしゃっていました。ただ、裸眼で視覚障害者と認定するのはおかしいとおっしゃっていましたね。

 こういった中で、まず厚生労働省に伺いたいんですが、今回の法律で採用計画を恐らく立てていらっしゃると思うんですが、障害者手帳一級をお持ちの視覚障害者雇用に関して、厚生労働省は一体何人を予定されていますか。

根本国務大臣 厚生労働省自身の障害者雇用については、障害のある方の障害特性などを適切に踏まえて活躍の場を広げることによって、障害のある職員が生き生きと働くことができる職場としていく、これを基本的考え方にしています。

 お尋ねの重度の視覚障害者の雇用、これについて言うと、昨年十月から本年四月までに採用した者について特定の障害等級、障害種別ごとの人数をお答えすることは、その数が少ない場合に個人の特定につながるおそれがあることから、お答えを差し控えたいとは思っております。

 一方で、平成三十年十月に、厚生労働省における常勤職員の状況を確認しました。その確認した結果では、約四十人の重度の視覚障害のある職員が活躍しており、先ほども申し上げましたが、音声読み上げソフトや点字ディスプレーなどの就労支援機器を活用しながら、議事録作成やシステムの入力作業などさまざまな業務に従事しております。

吉田委員 重度というのはちょっとわかりにくいので、私は一級に限定して聞いているんですけれども、今の重度と一級というのはイコールですか、イコールじゃないですか。

根本国務大臣 約四十人の職員と申し上げましたが、実際の人数は、視覚障害一級の常勤職員が二十二名、視覚障害二級の常勤職員が十六名となっております。

吉田委員 わかりました。

 さらに、一級というのは、本当に視覚という意味ではかなりハンディキャップを負っている状態なんですが、一級に関して、今後ふやしていくんですね。人数とかは不都合があるならおっしゃらなくてもいいですけれども、ふやしていくんですね、この法律で。

根本国務大臣 大事なのは、障害のある職員が、それぞれの障害特性に応じた合理的配慮をしっかり受けた上で、本人の希望も踏まえながらさまざまな業務に従事していけるように、それは我々、努力していきたいと思っております。

吉田委員 わかりました。

 もう少し聞いても、多分同じような答えしか返ってこないので次に行きますが、今度は重度の聴覚障害者である聾者に関して大臣に伺います。

 重度の聴覚障害者については、視覚障害者とは当然異なる配慮が必要になります。具体的に言うと、聴覚障害者の方は、一般的にコミュニケーションにそごが生じやすいですね。聾者の方は、病院に行くのをためらっているうちに病気が重症化するなんということもよくあることであります。

 情報の収集に、視覚障害者等、制限があること、やはりこういった特段の配慮が必要になることがいろいろあるんですが、今度、厚生労働省としては、この聾者の皆さんに関して、では現時点で何人雇用されていて、今後何人ぐらい雇用していくおつもりなのかということをお答えいただけますか。

根本国務大臣 お尋ねの重度の聴覚障害者の雇用についても、採用者数についてはお答えを差し控えたいと思いますが、平成三十年十月に厚生労働省の常勤職員の状況を確認した結果では、重度の聴覚障害がある職員が数人程度活躍しております。具体的には、会議等の際に手話通訳を依頼したり、電話対応について免除するなどの配慮を受けながら、契約等の行政事務や行政サービス業務に従事をしております。

吉田委員 大臣、通告はかなり細かく、文章をそのまま書いて通告していますので、しっかり省内でやってくださいね。いいディスカッションをするために、しっかりやっていますから。

 ただ、大臣、さっきの視覚障害も聴覚障害もそうなんですけれども、なぜ雇用した数とかを言うと差し支えがあるのかというのは、ちょっと私にはよくわからない。個人の特定につながるとおっしゃいましたが、何か、それが本当につながるのかどうかも私は疑問だし、もうちょっとしっかりとした数を雇用していくおつもりであれば、堂々とその数をおっしゃればいいと思うんです。

 大臣、本当にそれが個人の特定につながるんですか。雇用する予定の数、視覚障害や聴覚障害の雇用する数をこの委員会の場で御開陳することは、本当に問題があるんですか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

根本国務大臣 雇用障害者数の情報公開請求に関する情報公開・個人情報保護審査会の過去の答申においては、一桁の数字であるものに関して障害の種類、程度の区分ごとに数字が公にされた場合、他の情報と照合し、あるいは各年ごとの数字を比較することなどにより、職場の同僚等に特定の者が障害者であること及びその障害の程度等が推認されるおそれがあることから、不開示が適当と判断しております。

 個人が特定されるということは、やはりそこは控えなければならないのではないかと思っております。(発言する者あり)

吉田委員 今、委員室からもそういう声が上がりましたけれども、視覚障害者は仕事の中で配慮もされるわけですよね。それは周りの方にはわかると思いますよ、そもそも。だからこそ配慮しなきゃいけないんじゃないんですか。

 そして、数が少ないから開示できないんだったら、数をふやせばいいじゃないですか、大臣、厚生労働省が範を示して。視覚障害者、聴覚障害者は、一般企業が一番雇用しにくい、職域が狭いという話を私がるるしていますよね。だったら、厚生労働省は、少ないから開陳できない数じゃなくて、二桁以上の大きなボリュームの皆さんに厚生労働省で活躍していただいたらどうですか、大臣。

根本国務大臣 障害のある方の障害特性を適切に踏まえて活躍の場を広げる、障害のある職員が生き生きと働くことができる職場としていく、これを我々は基本的な考え方としております。

 ただ、例えば、昨年十月から本年四月までに採用した者について特定の障害等級や障害種別ごとの人数をお答えすることは、その数が少ない場合に、他の情報との照合等によって個人の特定につながるおそれがある、これは先ほど、情報公開請求で不開示が妥当といったことで説明をいたしましたが、情報公開・個人情報保護審査会の過去の答申においては、一桁の数字であるものに関してはということで先ほど私が申し上げたとおりで、こういう考え方でお答えは差し控えたいと思っております。

吉田委員 だから、それを踏まえて、数をふやして雇用したらどうかとさっき言ったんですよ。そうやって言っているのに、大臣、そんなことを何回も読まれても困りますよ、貴重な時間なんだから。

 大臣、あと、本当に、視覚障害一級をお持ちの方が、そういう配慮をしたら周りの人に気づかれないと思われるんですか。思われるとしたら、それは極めて大きな認識の間違いだと思いますよ。本当にそんなことを思っていたらね。思っていないでしょうけれども。いや、もう大丈夫です、同じ答弁をされるので。

 では、大臣、ちょっと別の話にします。今回の特例給付金についてお伺いします。

 今回の改正案で、新たに、障害の特性から二十時間以内であれば就労可能な障害者が一定程度見られることを鑑み、このような障害者等の雇用機会の確保を支援するため、障害者雇用納付金を財源とする特例給付金の制度を設けることとしていますね、大臣。

 そこで、まずお聞きしますが、この特例給付金について、週十時間以上二十時間未満とした基準、これ自体を設定した趣旨を教えていただけますか。(発言する者あり)

根本国務大臣 当然、基本的なことであります。

 特例給付金は、短時間であれば就業可能な障害者の就業機会の確保を促進しよう、こういう目的で、週所定労働時間二十時間未満の雇用障害者数に応じて、障害者雇用納付金を財源とする特例的な給付金を事業主に支給することとしたものであります。

 これは、週二十時間未満であっても、例えば精神障害の方などは、やはり短時間勤務はできますが症状が不安定ということもあって、そういう実態がありますので、しかし、そういう精神障害者等の皆様も働いていただくためには、この特例給付金、十時間以上二十時間未満として、そういう方を採用していただいた方には特例的な給付金を支給しよう、こういうものであります。

吉田委員 だから、その根拠を聞いているんです、時間の根拠。どうしてこの時間を設定したかというのは大事ですよ、大臣。その根拠を聞いているんです。大臣、お願いします。

根本国務大臣 今は二十時間以上ですが、なぜ十時間から二十時間未満にしたか。

 二十時間未満で十時間以上、こうやったわけですが、所定内労働時間が二十時間未満の雇用に対する支援が週所定労働時間二十時間未満の安易な雇用促進にならないように、支給対象となる雇用障害者の労働時間の下限については、現行のトライアル雇用助成金、障害者短時間トライアルコースにおける下限が十時間であることを踏まえて十時間とすることが適当だということで、十時間以上二十時間未満としたものであります。

吉田委員 大臣、そこを最初からお答えいただければよかったと思います。

 次に、特例給付金支給の具体的な要件や単価は省令で定めるとされていますね、大臣。どのような内容になるか、現時点で見込まれる内容を教えていただけますか。

根本国務大臣 現段階では決まっておりませんが、法案成立後、審議会で議論をして、その中で決めていきたいと思います。

吉田委員 全く決まっていないんですか。本当にその審議会で、現時点で粗い感じの予定もない中でこういうことを決めていらっしゃるんですか、大臣。

 じゃ、逆に言うと、それを考えてからやらなきゃいけない問題だと思うんですけれども、財源が障害者雇用納付金ということですが、多様な働き方を進めるというのは、また短時間であれば働くことのできる障害者の方がたくさんいらっしゃれば、それは望ましいわけですね、こういう制度をつくられた場合。その単価とかそういったものがわからないとちょっとお答えにくいかもしれませんが、財源が不足するおそれというのは、大臣、ないんですかね。

根本国務大臣 障害者雇用分科会の意見書においては、この点について、雇用率制度のカウント対象とする常用労働者については、職業的自立の目安である週所定労働時間二十時間以上の労働者とする枠組みを維持すること、そして、特例給付金支給額の単価は、週二十時間から三十時間までの短時間労働者の雇用率のカウント、これは今、〇・五でやっていますから、この〇・五との均衡等を踏まえて、調整金、奨励金の単価の四分の一程度とすることが適当だとされております。

吉田委員 財源が不足するおそれはないですかというのも問うているんですが、それはいいですか。

根本国務大臣 先ほど、調整金、奨励金の単価の四分の一程度と申し上げました。これは、全体の財源の中では、この特例給付金に十分に今の財源の中で対応できるものと考えています。

吉田委員 わかりました。

 雇用率カウントに関して確認したいんですが、今回の改正によっても、三十時間以上の場合の雇用率カウントは一ですよね。二十時間以上三十時間未満の所定労働時間の方の雇用の場合の雇用率のカウントは〇・五ですよね、大臣。

 それで、今回、特例給付金の対象の方については、〇・二五とか〇・三とかそういうふうにもせず、雇用率に影響を与えないんですよね。なぜか、その理由。どうしてそうしたのかという理由を、大臣、教えていただけますか。

根本国務大臣 要は、二十時間以上としているのは職業的自立につながる雇用を促進する観点ですから、週二十時間未満の労働者については、障害者の職業的自立につながる雇用を促進するという観点からは、雇用率カウントの対象に含めることとはしておりません。

 一方で、この法案において、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある障害者、これは省令で週二十時間未満とすることを想定していますが、これについて、雇用する事業主に対する特例給付金を新設するという考え方であります。

吉田委員 私が問うたあれと若干ずれていますけれども、大臣がおっしゃりたいことはわかりましたので、結構です。

 ちょっと時間がなくなりましたので、少し本質的なところも聞いていきたいんですが、今回の改正の大きな柱の一つは、これまで民間企業には厳しい義務を障害者雇用で課してきましたね、大臣。国、自治体にはそのような義務を課してこなかったわけですね。しかし、今回に関しては、国、自治体にも民間同様、また場合によっては民間以上に厳しい義務を課した点、これは一つ大きな柱なんじゃないかなと思うんです。

 ここで確認ですけれども、今回の改正によって、民間に課された義務で国や自治体に課されていなかった義務、及びその他、国や自治体に対する優遇とか、身内に甘いんじゃないかというそしりを受けるような措置は一切なくなると考えて、大臣、よろしいですか、本質的な部分ですが。

根本国務大臣 基本的にはないと考えています。

吉田委員 それは大変に結構なところだと思います。

 今回の改正で特例給付金及び認定制度が新設されていますが、むしろ、先ほど挙げた、国や地方自治体に民間同様の義務を課した、また、障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけるなど、明らかに障害者雇用数の不正計上事件を意識して、取り急ぎ改正案を取りまとめたようにも見受けられるんです。障害者雇用の不正計上と本改正案の関係というのは非常に大きくリンクするというふうに見えるんですが、大臣、そのような理解でよろしいですか。

根本国務大臣 この法案は、今委員からもお話がありましたが、多くの機関で対象障害者の不適切な計上や法定雇用率の未達成が継続してきたこと、これを反省して、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況を的確に把握するための措置等を講ずるものであります。

 委員御案内ですが、具体的には、公務部門について、民間事業主とともに新設する規定としては、障害者の確認方法の明確化を設けました。そして、民間事業主に合わせる規定としては、厚生労働大臣による報告徴収の規定や関係書類を保存する義務を設け、さらに、公務部門のみを対象とした規定として、対象障害者の確認に関し、厚生労働大臣が適正な実施を勧告する権限を新設いたしております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 もっと聞きたいことがたくさんあったんですが、今まで、民間だと、未達の場合というのは一人当たり五万円の納付金を納める義務がありますね、大臣。ただ、それまで、役所というのはそういったものがなかったわけです。

 今回のこの法案を契機に、相当部分、障害者の雇用率を民間、国、自治体でしっかり上げていくという御決意で、大臣、なさっていただけますよね。

 しっかりとそれをやっていただきたいということを切に希望いたしまして、時間になりましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。

 先ほど、吉田委員の質問で、今回の法改正は国における障害者雇用の水増し問題に対応するものではないかという質問に対して、大臣は、そういうふうな趣旨だということをお答えになったというふうに思うんですね。

 他方、障害者雇用については、やはりまだまだ民間も、もちろん国も、当然自治体も、もっと積極的にやっていただきたい、取り組んでいただきたいところは多々あるわけで、そのためにということで、厚労省内で設置をされた、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会というものができて、そこでの議論が行われてきたんだというふうに私は思います。

 ところが、研究会が開催されている一方で雇用の水増し問題が浮上してきたために、私は、研究会のせっかくの議論が今回の法改正に、実は余りというかほとんどというか、生かされなかったのではないかというふうに思えてなりません。大変残念です。

 中身の濃い議論を大変多岐にわたる論点でやっていただいたと承知しているこの研究会ですけれども、まず確認をさせていただきたいんですが、この在り方研究会、ここでの議論は、どういう方向性で、何を主たる論点として議論をされてきたのか、そこのところからまず確認をさせてください。

根本国務大臣 在り方研究会、今委員からお話がありましたように、障害者雇用を促進するための方策について検討を行って、昨年七月に報告書を取りまとめていただいたところであります。

 この研究会は、我が国の障害者雇用を取り巻く状況等に大きな変化が生じている中で、働き方改革実行計画において、「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う。」ということを踏まえて設置したものであります。

 研究会では、障害者雇用促進制度の中心的役割を果たす雇用率制度や障害者雇用納付金制度のほか、多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢の拡大、安心して安定的に働き続けられる環境の整備、中小企業における障害者雇用の推進、こういうテーマを中心に今後のあり方の検討が行われ、そして報告書を昨年の七月に取りまとめていただきました。

西村(智)委員 大きな論点、幾つか大臣も先ほど答弁してくださったんですけれども、やはり私が一番注目したのは雇用の質の確保と向上、これが研究会報告の中の論点の大きな一つだと私は思います。概要しか出ていないのでまだ詳しい内容はわかりませんけれども、その概要版として出されている研究会報告のやはり主たる論点の一つだったというふうに考えれば、先ほど大臣がおっしゃった、多様な選択肢を多様な障害の種別に合わせて、どういう合理的配慮が可能なのか、環境整備はどうか等々ということがもっと本来であれば法改正の中に入ってこなければいけなかったというふうに思うんです。

 ところが、残念ながら、今回の法改正、特に民間のところでは特例給付金の新設それから認定制度の新設、これ自体は私も評価するところではあります。評価するところではあるんだけれども、もう少し踏み込んだ具体的な課題、今まさに働いていらっしゃる方々が直面していること、これから働こうとする方が直面していることに対応するような内容がもっとあってしかるべきだったんじゃないかというふうに思うんです。

 実は、この点について、昨日行われた参考人質疑で、この在り方研究会のメンバーでもあられた眞保参考人が私の質問に対して、実は、今回の法改正の中では、在り方研究会で残された課題が相当数あるというふうに発言、答弁をされました。

 委員の方が、研究会で議論してきたことの課題が相当数残されたままになっているというふうにおっしゃった。これについて、大臣、どういうふうにお考えですか。

根本国務大臣 委員から今御紹介がありましたように、眞保参考人からそういう御発言があったということは私も承知しております。

 労働政策審議会障害者雇用分科会においては、昨年七月に研究報告書が取りまとめられましたので、その取りまとめられた研究会報告書に加えて、国及び地方公共団体における障害者雇用の不適切計上の事案を受けて、今後の障害者雇用促進制度のあり方について早急に取り組むべき事項、これについて重点的に議論をしていただきました。

 その結果、審議会の意見書において、中小企業に対する障害者雇用納付金の適用など、研究会報告書の一部の論点については、今回は十分に議論が深まらなかったことから、これは、審議会の意見書において、引き続き検討することが適当とされました。

 こうした論点については、今後、労働政策と福祉政策との連携を図りながら、具体の検討の場の持ち方も含めて検討を進めていきたいと考えております。その際、今回の法案には施行後三年の見直し規定を設けていることも踏まえて、今後、労働政策審議会などにおいて引き続き議論をしていただきたいと思っております。

西村(智)委員 まあ、見直し期間が三年ですからね。厚生労働省が法改正のときに見直しを三年と言ってくるのは極めて短期間。ですから、自覚はおありなんだと私は思っています。

 先ほど大臣が答弁されたとおり、議論の場にきちんと当事者の方からも入っていただいて、当事者団体の意見もちゃんと含めてヒアリングをしてやっていただくということ、そして、残された課題について、具体的に一つ一つ丁寧に議論をして、そして答えを出していってもらいたい。ぜひこれをお願いしたいと思います。

 とはいえ、それでお願いしっ放しというわけにもいきません。ですので、具体的に幾つかお伺いをしたいと思っているんですけれども、これも参考人質疑の中で大変重要な論点として皆さんが指摘をされておられました、自力通勤要件ですね。

 これは、国の方の募集、採用の資格要件として当初は含まれていたんだけれども、当事者団体からの指摘があってそれは削除した。ところが、自治体の資格要件はやはり国に倣っているものが多いがために、自力により通勤ができ、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能であること云々という要件が入っているところがかなりあるという指摘がありました。

 この現状について厚労省としては把握していますでしょうか。

根本国務大臣 地方公務員の採用試験における受験の資格要件、これは、各地方公共団体において、求める人材や職務遂行に必要な能力などを考慮して設定されているものであります。

 このため、各地方公共団体における個別具体の資格要件についてまでは把握しておりませんが、他方で、地方自治体における採用試験において特定の障害種別の者に限定して職員の募集、採用が行われている事例が見られるとの報道があり、今、委員からもそういう御指摘がありました。これは承知しております。

 障害者雇用促進法においては募集、採用における差別を禁止しており、応募資格において自力により通勤ができることなどの条件をつけることは、一部の障害者の方の応募を制限するものということでありますから、当該規定の趣旨に反するものと考えております。こういう観点から、総務省と連携して、障害者雇用促進法の趣旨に沿った採用活動を行うよう、地方公共団体に対して要請していきたいと思います。

 さらに、都道府県労働局及びハローワークに対して、管内の地方公共団体が特定の障害種別の者に限定した募集、採用を実施していることを把握した場合には、必要な助言、啓発を行うよう指示しております。

 これからも、総務省と連携して、地方公共団体に対して必要な対応を行っていきたいと考えております。

西村(智)委員 できれば、ぜひ現状をまず把握してください。そういった問題があるから、問題が浮かび上がってきたケースに対して対応するというのではなくて、総務省とせっかく連携をするのであれば、総務省にまず現状を把握していただいて、その上で、先ほど大臣は、法の趣旨に反すると明確に答弁をしてくださいました。きのうの参考人質疑では間接差別だという指摘まであったんですよ。私もそのとおりだと思いながら聞かせていただきました。ですので、そういった考えをぜひしっかりと総務省の方に伝えて、現状を把握していただきたい。

 それと、やはり在り方研究会で本当に議論にならなかったのかな、何で今回の法改正にこの部分が入ってこなかったのかなというふうに思うんですけれども、研究会においてはこれは議論にならなかったんですか、いかがでしたか。

根本国務大臣 在り方研究会においては、通勤が困難な者に対する就労機会の確保の観点から、在宅就業やテレワークなどの多様で柔軟な働き方の拡大といった論点について議論されたものと承知をしております。

 他方で、通勤支援など一部の論点については、今回は十分に議論が深まらなかったことから、意見書において、引き続き検討することが適当とされております。

 今後、労働政策と福祉政策との連携を図りながら、具体の検討の場の持ち方も含めて検討を進めていきたいと思います。

西村(智)委員 現状把握についてお答えはありませんでしたが、やはり現状を把握しないと、幾ら連携しても解決にはつながっていきません。ですので、現状把握をまずしっかりとお願いしたい。

 あわせてなんですけれども、労働局への相談などはどうなっているでしょうか。

 障害者からの相談、例えば差別があったとか、合理的配慮に関する相談があったとか、そういうことで、労働局への相談件数、そしてその内容はどういうものがあったか、紛争調整委員会の利用状況などはどうだったか、これをやはりきちんと把握した上で、そこから先の問題解決につながっていくというふうに思いますので、男女雇用機会均等法も相談件数や内容等々はしっかりと把握しております、ぜひ、大臣、把握していただきたいと思います。そして同様に、均等法は公表もしておりますので、公表もあわせてしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 障害者に対する差別禁止、合理的配慮に係る相談件数などの利用実績、これについては平成二十八年度分から集計を開始しています。

 現段階では、助言、指導、勧告件数及び紛争解決援助、調停の件数はいまだ多くはなく、事案の特定を避ける観点から、これまでその件数等を公表しておりません。

 今後は、障害者に対する差別禁止や合理的配慮の提供義務に係る事業主、障害者の理解を促進するため、一層の周知啓発に努めるとともに、施行状況等を踏まえつつ、業務実績の公表についても検討していきたいと考えています。

西村(智)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、今回の法律改正の中でも、雇用促進法の対象者について、やはり手帳を持っている方という限定があるということも参考人質疑の中でいろいろ意見をいただきました。

 障害者手帳を持たない方についても、例えば差別解消法の視点から、雇用支援についてやるんだ、そういうことを検討する必要があるのではないか。これはいろいろな手法が多分考えられると思います。私も今、こうすべきだという答えがあるわけではありませんが、例えば雇用促進法の対象にするとか、研究会でこの点についてどういった議論があったのか、ぜひ大臣としての考えを伺いたいと思います。

根本国務大臣 障害者差別解消法は、障害者差別の解消に関する基本的事項や、雇用以外の分野における差別解消の措置等を定めております。これは、日本における障害者差別の解消に関する一般法としての性格を有しております。

 これに対して、障害者雇用促進法は、雇用の分野における障害者差別の解消に関する特別法、つまり一般的規定に対して特別的規定という位置づけになっておりますので、雇用の分野では障害者雇用促進法の規定が優先されるものと思っております。

 したがって、手帳を持たない障害者に対する雇用支援に関してのお尋ねでありますが、これは、障害者雇用促進法の規定に沿ってお答えすることになります。

 現行の障害者雇用促進法における障害者、これは、委員も既に御承知のとおりだと思いますが、「心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」と雇用促進法ではされております。このため、障害者手帳所持者に限らず、職業相談や職業紹介等の支援の対象になります。

 一方で、現行の雇用率制度では、この考え方については、要は法的公平性と安定性を確保する、こういう観点から、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるように、対象障害者の条件を原則として障害者手帳等を所持していることとされております。

西村(智)委員 時間ですので、また次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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