衆議院

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第5号 令和元年11月13日(水曜日)

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令和元年十一月十三日(水曜日)

    午前九時十三分開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      岡下 昌平君    神谷  昇君

      木村 哲也君    国光あやの君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      田村 憲久君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      船橋 利実君    細田 健一君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮路 拓馬君    山田 美樹君

      阿部 知子君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本 充功君

      白石 洋一君    中島 克仁君

      西村智奈美君    初鹿 明博君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    藤田 文武君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   会計検査院事務総局第一局長            三田  啓君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房全世代型社会保障検討室次長)      河西 康之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     岡下 昌平君

  塩崎 恭久君     細田 健一君

  船橋 利実君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     宮路 拓馬君

  高木  啓君     船橋 利実君

  細田 健一君     塩崎 恭久君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     神谷  昇君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     大隈 和英君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 社会保障制度改革に関する請願(平口洋君紹介)(第四一号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第四二号)

 同(務台俊介君紹介)(第六五号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第四三号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八六号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第八九号)

 同(清水忠史君紹介)(第九〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九四号)

 同(藤野保史君紹介)(第九五号)

 同(宮本徹君紹介)(第九六号)

 同(本村伸子君紹介)(第九七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六一号)

 同(藤野保史君紹介)(第一六二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六四号)

 七十五歳以上の医療費負担の原則二割化に反対することに関する請願(畑野君枝君紹介)(第六二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇一号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇三号)

 ハラスメントも長時間労働もない社会、人間らしい働き方の実現に関する請願(畑野君枝君紹介)(第六三号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度に関する請願(畑野君枝君紹介)(第六四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇六号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇九号)

 ケアプラン有料化などの制度見直しの中止、介護従事者の大幅な処遇改善、介護保険の抜本改善に関する請願(畑野君枝君紹介)(第七一号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二四号)

 同(清水忠史君紹介)(第一二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一二九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一三〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三二号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(宮本徹君紹介)(第一五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百九十八回国会閣法第五四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十一月十一日、ハンセン病問題対策に関する調査のため、国立療養所多磨全生園及び国立ハンセン病資料館の視察を行いましたので、参加委員を代表して、私から調査の概要を御報告申し上げます。

 まず、東京都東村山市の国立療養所多磨全生園において、石井園長から概況説明を聴取するとともに、全国ハンセン病療養所入所者協議会の藤崎事務局長及び多磨全生園入所者自治会の平沢会長を始めとする皆様と懇談し、療養所に勤務する職員の定数削減問題やハンセン病に対する差別根絶に向けたさらなる普及啓発の促進等について要望を受けました。

 その後、園内の各施設について説明を聴取した後、入所者の御遺骨が安置されている納骨堂において、亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、献花を行いました。

 次に、国立ハンセン病資料館に向かい、ハンセン病にまつわる歴史や、過酷な状況の中で生活をしてこられた入所者の方々の体験を示す展示資料などについて、職員から説明を聴取しました。

 以上が視察の概要であります。

 最後に、今回の視察に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

     ――――◇―――――

盛山委員長 次に、第百九十八回国会、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房全世代型社会保障検討室次長河西康之君、内閣府大臣官房長大塚幸寛君、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房長土生栄二君、大臣官房年金管理審議官日原知己君、医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、医薬・生活衛生局長樽見英樹君、子ども家庭局長渡辺由美子君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長三田啓君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林裕巳でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、この薬機法の質問に入らせていただきます。

 五年後の今回の薬機法の改正案では、医薬品、医療機器等をより安全、迅速、効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善、薬剤師、薬局のあり方の見直し、法令遵守体制の整備、医薬品等行政評価・監視委員会の設置、採血制限の緩和など、広範多岐にわたる改正事項が盛り込まれております。

 私は、五点に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先駆け審査指定制度及び条件付早期承認制度の法制化についてであります。

 我が国においては、医療上必要不可欠な医薬品、医療機器等の日本発の開発を進めていくためには、産業振興についても戦略的に検討していく必要があります。しかし、特に医療機器の市場規模につきましては年三兆円程度で停滞しており、年ごとの変動も一千億円前後と、余り発展していない状況が続いていることも事実でございます。

 このような状況の中、我が国のすぐれた技術を活用した革新的な医薬品、医療機器を創出し、国内だけでなく、海外の市場規模の拡大を目指した政策の実現が望まれておりますが、今回の法改正に当たって先駆け審査指定制度及び条件付早期承認制度の法制化をすることは、革新的な医薬品、医療機器等の創出、国内産業の振興に対してどのような効果が期待されるでしょうか。加藤厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今回の法案で、これまで試行的に実施しておりました先駆け審査指定制度及び条件付早期承認制度の法制化を図るということでございます。

 委員も御承知のように、先駆け審査指定制度では、世界で最先端の治療薬等を我が国の患者に最も早く提供すること、また、条件付早期承認制度では、医療上の必要性が高いけれども、要するに、患者さんが非常に少なくて、多数の患者に対して効果を確認する治験を実施するのは難しいという医薬品の課題を乗り越えていこう、こういう趣旨で、ベースにおいては、あくまでもそうした患者さんに対してよりいい医薬品を一日も早く届けたい、これがベースであります。

 しかし、同時に、こういうことをすることによって、これまでは通知による試行的なもの、したがって、いつ制度が終わるかわからないという不確定性があるものを、今回法律化することによって恒常的な制度になる。したがって、企業における行動においても、先行き、こういう制度が引き続き継続されていくんだという予見性を持っていただくということが、結果において、こうした制度の活用、そして、こうした医薬品の開発、創出、そういったものにつながっていくことを期待しております。

三ッ林委員 大臣、ありがとうございます。

 私は、この法律がさまざまな製薬、創薬について必ず効果が期待できるものと確信しております。

 そしてまた、その上で、さらに、イノベーションを推進するという意味で、新薬創出加算についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 先駆け審査指定制度、条件付早期承認制度、これが法制化されるわけですが、これらの対象となるのは医療上の必要性が非常に高い医薬品であります。このため、革新的な医薬品の創出を促進する、またイノベーションを促進するという観点から、これらの制度の対象となった医薬品を新薬創出加算の対象とすべきだと私は思いますが、加藤大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 この制度の対象になったから自動的に新薬創出等加算の対象にするか、こういう御質問なんだというふうに思います。

 新薬創出等加算が、革新的な新薬の創出や適応外薬等の解消を図る観点から、真に革新性、有用性のある医薬品に限定して評価をしている。現行で加算の対象になっている品目等を踏まえて議論する必要があると思いますが、ただ、結果的に、保険収載されているものにおいてはこうした加算がなされているというのは、今実態としてはあります。

 ただ、今委員御指摘のように、そこのリンクをより強くしていくかということについては、令和二年度の薬価制度改革において新薬創出等加算の対象品目について議論をさせていただいておりますので、そういった中においても検討を進めていきたいというふうに思います。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 創薬を我が国でつくっていく、そういったためにはさまざまな制度をやはりリンクさせて進めていくべきであると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、この法案の中でバーコードの表示の義務化についてうたわれているわけですけれども、医療安全の確保の観点から、製造、流通、そして医療現場に至るまでの一連においてトレーサビリティーを確保することが重要であると考えます。医薬品、医療機器等にバーコードを表示することで、製品追跡システム、トレーサビリティーですが、この構築が可能となり、一連の流通や医療現場での活用が期待されます。

 ここ数年、医療分野におけるトレーサビリティーを取り巻く環境が大きく変わってきていることを感じますが、多くの国や地域においてバーコード等の表示が義務づけられるなど、議論が進んできております。

 我が国においても、これまで通知により製造販売業者にバーコード表示の取組を求めてきており、着実に進捗してきたと承知しております。このような取組は非常に重要でありますし、医療現場での活用も含めて推進すべきであると考えます。

 今回の法改正により三年後には医薬品等へのバーコード表示が義務化されることを踏まえ、政府は医薬品等のトレーサビリティーの向上による安全対策についてどのようなことを推進していくのか、御答弁をお願いいたします。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の薬機法の改正法案の中で、製造販売業者に対しまして、医薬品、医療機器等の容器へのバーコード表示を求めるということにしております。

 では、具体的にどういうことをバーコード表示を求めるのかということにつきましては、最終的に省令で決めていくことになるわけでありますけれども、製品コード、製造ロット番号、それから使用期限というふうにするということを考えているところでございます。

 したがいまして、こうしたバーコードを活用することによりまして、医療機関におきまして、例えば医薬品の回収というようなことが生じたときには、速やかに回収ロットを特定して対応するということが可能になるわけでございますし、また、医療現場におきまして、製品の取り違えの防止というようなことにも活用ができる。あるいは、使用後の患者様の記録の追跡というものを行うことが必要になった場合にも、このバーコードを使うことによって、どの薬をいつ、どういうふうに使っているのかということが特定ができるようになるということで、そういう意味でいいますと、医療機関の現場におきます省力化にもつながるのではないかというふうに期待をしているところでございます。

 ですので、今回の改正自体は製造販売業者に表示を義務づけるというものでございますけれども、これとあわせまして、バーコード表示によるトレーサビリティーの向上というものをどう実効あらしめるかということで、薬局あるいは医療機関等における具体的な方策についても、関係者の御意見も伺いながら検討していきたいというふうに考えているところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 ぜひ、トレーサビリティーを我が国でしっかりと医療現場で位置づけていくことは大変必要なことであると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、誇大広告のことについて質問させていただきたいと思います。

 今般の医薬品医療機器法改正におきましては、高血圧治療薬における重大な虚偽・誇大広告違反が発生したことなどを契機として、虚偽・誇大広告に対して課徴金制度を導入することとしたと承知しております。

 これまで、このような違反については、違法広告による売上高にかかわらず、一定の罰金刑しか科すことができなかったことから、違反事業者に対するペナルティーにも限界があったわけでございます。今般、この課徴金制度を導入し、また、消費者庁の景品表示法の三%の一・五倍の、利益率四・五%という高率の算定率とすることで、虚偽・誇大広告違反への抑止効果が見込まれることが期待されると考えております。

 一方で、このような規制を課すことによって、適正な広告を行っている製薬メーカーの広報活動が萎縮して、消費者への情報提供を妨げることになっては本末転倒でございます。したがって、虚偽・誇大広告、特に誇大広告については具体的な例示をするなど、製薬メーカーにわかりやすく周知する必要があると思いますが、この点について、今後、法律施行後どう進めていくのか、御答弁をお願いいたします。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 誇大広告とはどのようなものがなるのかということでございます。薬機法第六十六条に誇大な記事を広告するという言葉が出てくるわけでありますけれども、この解釈としては、実際のものよりも優良であること、あるいは有利であるということを誤認させる広告のことだというふうに解釈をしているわけでございます。

 では、具体的にどういうものかということでございますけれども、例えば、医薬品等の長所を大げさに示す標榜を行うような場合、それから、例えば、グラフを並べて示して、しかし、グラフの目盛りが左側の表と右側の表とで実は違っておって、並べて見るとすごく効果があるように見えるけれども、目盛りをそろえるとそうでもないとか、あるいは、論文などから優位性を見せるデータを引用して広告をしているわけでありますが、ただ、これは、論文の中には優位性のあるデータと不利な情報と両方あるというような場合に、優位なデータだけを引用して広告をしているというようなことがこれまでの具体的な例としてございまして、こういうものは誇大な広告に該当するというふうに考えているところでございます。

 事柄の性質上、過不足ない形でこれが誇大に当たるということをかっちりと示すことはなかなか難しい分野でございますけれども、今申し上げたようなことを始めとしまして、先生御指摘のとおり、実際の誇大広告の違反事例を周知するといったようなことを丁寧に行いまして、製造販売業者の皆さんの理解を深めていただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 臨床研究法も成立いたしまして、臨床の現場では、やはりきちっとした研究を進めていかなくてはいけない、多くの研究者がそう思っておりますし、当然、製薬メーカーの方も、これまでの誇大広告、そういったことは、こういった誇大広告の今回の薬機法の改正によって更に引き締まってくると私も思います。ただ、広報の萎縮、これだけはぜひとも周知していただきたいと思いますので、丁寧な説明をお願いいたします。

 次に、薬局の認定制度について質問させていただきます。

 薬局については、医薬分業が進んでいる一方で、薬剤師、薬局は本来の機能を果たせていないのではないか、こういった指摘がございます。患者にとってメリットに感じられるような業務に取り組むことが求められており、単に調剤のみを行うのではなく、患者が服用する薬について、重複投薬や相互作用の確認、多剤投与や残薬の解消などの業務を医療機関等と連携しながら対応することが必要であると思います。

 今回の法改正では、薬局の認定制度を導入することで、地域で必要とされる業務に薬局が取り組んでいくことは大事なことだと思いますが、今の薬局は、大手チェーンによる規模の大きい薬局がある一方で、もう昔から地域住民のために取り組んでいる、薬剤師が数名の小さな薬局があるわけでございます。薬局の規模はさまざまです。

 薬局の認定制度を導入した場合、認定要件を満たすための業務が大きくなり、小規模の薬局では薬剤師の確保が必要となることも想定されます。少人数の薬剤師しかいない薬局は認定が取得できなくなるのではないか、各地域で認定が進むよう円滑に運用すべきではないか、こういった観点から、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局、こういったことが本当に隅々まで周知できるのかどうか、この点について質問させていただきます。よろしくお願いします。

樽見政府参考人 今回の法改正におきましては、御指摘のような薬局の認定制度を盛り込むということにしているわけでございます。御指摘のとおり、地域連携薬局あるいは専門医療機関連携薬局というものでございます。

 御指摘のような、例えば、小規模だけれどもそれぞれの地域で長年やってきた薬局というようなことになりますと、地域連携薬局として、地域包括ケアシステムの中で、患者さんに適切な薬物療法を提供する、相談等も含めて服薬指導をきっちりやる、そういう役割を果たすことが期待される薬局ということがあるだろうというふうに思います。

 地域連携薬局ということで申しますと、入退院時あるいは在宅医療の際に、ほかの医療提供施設と連携してしっかりと対応できる、いわば在宅医療の、何というんでしょうか、身近な相談、薬に関しての頼れる薬局ということでやっていただきたいというふうに考えておりますので、要件としては、例えば、入院されるというときには、それまで飲んでいた薬はどんなものだったか、あるいは、こんな薬を持っていますというようなことを医療機関に提供する、そういう情報連携でありますとか、あるいは、休日、夜間を含めまして相談に応じる、あるいは、休日、夜間に調剤の必要が生じたときには、調剤応需体制と言っておりますけれども、それに応じられる体制を確保する、そういうことをいわば条件として求めていくということを想定をしているところでございます。

 これについて、具体的には法律成立後、省令で定めるということで、具体的な検討をしていくわけでございますけれども、例えば、夜間、休日の体制の確保というところで、小さい薬局では難しいのではないかというような御指摘があるということを承知をしております。

 そういう場合には、例えば、相談については、まずは薬局の中で薬剤師の当番制というものをやっていただく。あるいは、それだけではなくて、ふだんから患者さんに関する情報連携をほかの薬局と行っておいていただいて、そういう薬局と連携して相談に応じる。あるいは、調剤をやるということに関して言いますと、ほかの薬局との連携で当番制を地域でしくというようなことで、地域における夜間、休日の調剤応需体制に参画するといったようなことも含めることを現在考えているところでございます。

 御指摘のとおり、専門医療機関連携薬局も含めまして、各地域において認定薬局の普及が円滑に進むよう、また、そういう意欲と能力を持っている薬局がしっかり参加していただけるように、具体的な要件の設定について、関係の皆さんの御意見も伺いながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 薬剤師さんは、かかりつけ薬剤師、そしてまた健康サポート薬局、そして今回、この薬機法においては、認定制度で、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局、こういった認定を受けて地域で頑張ってやっていただくわけですけれども、この認定を受けたら、それでは薬局はどういうインセンティブがあるのか、この薬局の認定をしていただくためにどのようなことを国として考えているのか、この点について質問いたします。

樽見政府参考人 認定を受けることのインセンティブということでございます。

 それぞれの地域に応じた形で患者さんのための役割を果たしていただく、それがいわば今後の薬局というもののあるべき姿、それがまた、地域における地域包括ケア、地域医療ということの中で望ましい、そういう全体の絵柄を私どもの方としてもしっかりと周知をしていくことがまず必要だろうというふうに思っております。

 認定薬局の普及ということでいいますと、先ほど申し上げたような具体的な要件について、認定基準というものについて、法律の公布後できるだけ早期に検討を進めて示して、十分な周知を行うことにしたいと思いますし、インセンティブという面で申しますと、ここで新たな構造設備が必要となるということもありますので、それに対応しまして、不動産取得税を減免する特例というものにつきまして、来年度の税制改正要望の中で入れているところでございます。

 また、認定取得のための手続が大変なんじゃないかというお話もあるかもしれませんけれども、例えば、今御指摘ありましたように、ほかに薬局をいろいろ位置づける仕組みがございますけれども、既にほかの制度で薬局から報告されている情報もこちらの方で活用するというようなことで、いわば、ちょっとインセンティブと言うにはまだ足りないかもしれませんけれども、少しでもハードルを低くする取組をしていきたいというふうに思っております。

三ッ林委員 地域包括ケアシステム等々、地域の医療体制をつくり上げていくためには認定薬局は非常に有効だと思います。そのために、ぜひともそれぞれの地域の薬局が意欲を持ってできるような支援をお願いしたいと思います。

 それで、最後の質問になるわけですけれども、医薬品等行政評価・監視委員会、これについて質問させていただきます。

 薬害肝炎事件の発生を受けて厚生労働省に検証検討委員会が設置され、平成二十二年の四月には最終提言がまとめられ、その中に、医薬品行政の監視・評価機能を果たすための第三者組織の創設が盛り込まれております。この組織の創設のため、超党派の議員連盟や政府における調整が行われてきたものの、最終的には原告団、弁護団の同意が得られなかった経緯がありまして、今日まで長い期間が経過したものと承知しております。

 医薬品による健康被害を防止するという観点から、医薬品行政から独立した第三者組織が評価・監視することは重要であると考えます。今回、長きにわたる原告団、弁護団との協議を経て、ようやく新たな組織、医薬品等行政評価・監視委員会が設置されるわけでありますから、その機能を十分に果たせるような組織体制とすることが必要でありますし、最終提言においても、独立性の確保を始め、さまざまな具体的な提言がされておりますが、厚生労働省は委員会が機能を十分果たすためにどう取り組んでいくのか、この点について質問させていただきます。

樽見政府参考人 医薬品などによります健康被害の発生あるいは蔓延の防止ということを進めるために、医薬品等の安全性確保に対する対策、施策につきまして、その状況を公正中立な立場から評価し、監視していただく仕組みを設けることは重要なことであるというふうに私どもとしても考えているところでございます。

 今般の法案で、医薬品等行政評価・監視委員会というものを設置をすることを盛り込んでいるわけでございますけれども、御指摘のとおり、薬害肝炎事件の検証委員会による最終提言、あるいは薬害肝炎訴訟の原告団などとの協議結果も踏まえて具体化をしているということでございまして、おっしゃるとおり、独立性、あるいは専門性、機動性というものが必要だということを提言でいただいておりますので、それを確保するための措置というものを運用上考えているわけでございます。

 まず、独立性ということに関しましては、まず、委員会は、厚生労働大臣からの諮問を受けて受け身で動くというのではなくて、諮問がなくてもみずから議題を決めて審議することが可能であるという仕組みにしておりますし、また、委員は独立して職権を行うということをこの法律上明記をしている。それから、事務局は、私ども医薬・生活衛生局ではなくて、大臣官房に置くという形にしている。

 それから、専門性ということに関しましては、委員については、医薬品などの安全性確保等に関してすぐれた識見を有する者の中から委員を任命する。

 しかし、委員の人数は十人以内で組織するということにしまして、機動性を確保することにしております。

 こうした三点、法律上書いてあるところでございますので、これに基づきましてしっかりと運用しまして、本法案が成立した後、厚生労働省としては、医薬品等の使用による健康被害の発生、蔓延防止というためにこの委員会がしっかりと機能していくように努力をしていきたいというふうに考えております。

三ッ林委員 この評価・監視委員会ですけれども、最終提言から約十年を経て制度が具現化されたものであります。これまで、サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害肝炎等、多くの薬害事件が起きてきた中で、医薬品、医療機器等の行政を評価・監視できる組織の設置が改正案に盛り込まれたことは大きな進歩であると思います。

 ただ、この委員会が、独立性と専門性、機動性、御説明いただきましたけれども、こういった委員会であること、これは、今後もう二度と薬害を繰り返さない、こういったことを監視するためにぜひとも必要ですので、緊張感を持ってこれから対応していただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 きょう、久々にまとめて時間をいただきましたので、まずは大臣と議論をしたいと思います。薬機法の本体の議論に入ります前に、今、全世代型社会保障検討会議が動いておりますので、こうした問題もちょっと議論をしたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 今回、再び厚生労働大臣の任におつきになりました。厚生労働大臣にとって極めて大きな出来事があったというふうに思っております。消費税率の引上げであります。

 私どもとしても、これは平成二十七年、二〇一五年十月には一〇%になるというふうに税・社会保障一体改革の中で腹を決めていたわけでありますが、二度にわたり、約四年間延期されたわけであります。今回、やっと、何とか引き上げることができた、約束の社会保障の充実を進めることができるというふうに我々も思っているわけでありますが、改めて大臣の任につかれた加藤大臣の率直なお気持ちをお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 大臣に就任したときにも申し上げたんですけれども、まさに厚生労働省の担当している分野は、本当に、国民の皆さんのさまざまな生活場面、あるいは人生のステージ、それぞれに密接不可分というか、非常に関係の深い行政分野であります。また、これからの懸念もいろいろあるわけでありますから、そういったことをしっかり踏まえて、二回目ではありますけれども、常に初心の思いで取り組んでいきたいと思っております。

 それから、今、桝屋委員がおっしゃられた件は、消費税の引上げと、それに並行して社会保障の充実を行っていく。

 私も、当時野党ではありましたけれども、自公民の協議の中に参加をさせていただいて、御議論をさせていただいた。そういった経緯もあるだけに、今回、十月に消費税が一〇%まで引き上げられ、そしてそれに伴ってさまざまな充実、当初想定したものは当然、加えて幼児教育の無償化等も進めたわけでありますけれども、ある意味では税と社会保障の一体改革として進めてきた第一幕、これは一つの区切りなのかなという思いがしております。

 ただ、実施をすると言ってまいりました幼児教育の無償化やあるいは年金受給者への給付金、こういったものがしっかりと行っていけるようにまず責任を持って取り組みたいと思いますし、また、先ほど申し上げたように第一幕であって、まだこれから先、二〇二五やあるいは二〇四〇、そうした時代に向けて社会保障制度をどうしていくのか、また、その中において医療、介護、それぞれをどう考えていくべきなのか、今回、検討会議を設けられておりますけれども、しっかりとこういう議論を重ね、対応すべき措置を一つ一つ具体的にとっていきたいというふうに思っています。

桝屋委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃったとおりでありまして、幼児教育の無償化あるいは年金生活者支援給付金、やっとお約束したことができるわけでありまして、十月から始まりました制度については、我が党もただいま、全国三千名の議員とともに現場の声を改めて聞いて、問題があるとすれば再び党としても取り上げたいという活動を今やっているところでございまして、まとまりましたらまた御報告をさせていただきたいというふうに思います。

 まさに第一幕、一区切りついたと今大臣もおっしゃったわけでありますが、私ども公明党としても、まさに二〇一四年から続きました社会保障・税一体改革の大きな区切りがついたと。大臣がおっしゃったように、これからは言ってみればポスト一体改革といいましょうか、二〇二五年あるいは二〇四〇年を見据えてこれからの社会保障改革の道筋を描くということが極めて大事でありまして、ここはまさにしっかりとした国民的議論を行っていかなきゃいかぬ、その役割を国会が担わなきゃならないというふうに思っている次第であります。

 今大臣もおっしゃったように、政府は既に総理を議長とされる全世代型社会保障検討会議を立ち上げられて動いているわけでありますが、国民から見ますと、さっき言った第一幕が終わって、第二幕、二〇二五年あるいは二〇四〇年を展望した社会保障の姿というものと今やられている全世代型社会保障検討会議、これがどういう関係にあるのかというのは、最近の報道ぶりでも、国民にどんなメッセージが届いているのかなというふうにいささか心配をしております。

 ここは、大臣、どういうふうに国民に説明をされるのか、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 多分、委員の御指摘は、給付と負担の議論が先行し過ぎているのではないかということなんだろうというふうに理解をさせていただきました。

 まさに今回は、財政論からくる給付と負担の議論ではなくて、今委員もお話があったように、二〇二五とか二〇四〇年、これを迎えてどんな日本の社会があり、そしてその中で社会保障システム、医療、介護がどうあるべきであって、そしてそれに向かって、また、もちろん給付と負担等、持続可能性の観点から含めて議論していく、そういう議論の仕方をしていかなきゃいけない、このことは私自身も検討会議で発言をさせていただいたところではありますけれども、私自身は、単に発言をしただけではなくて、そういう方向で議論をしていきたいというふうに思っています。

桝屋委員 大臣、そのとおりでありまして、全く同じ気持ちであります。

 最近の報道ぶりは、介護保険制度の補足給付の話であったり、医療保険制度の二割負担の話であったり、そんなことばかりが報道されるものですから、まあ、報道もそこが一番気になるのでありましょう。国民も気にはなっておりますが、今やっている全世代型社会保障の議論は財政論から出発しているわけではないということであります。最近の報道ぶりを見ると、この前も、野党の山井先生、同僚の山井先生が声を大きく懸念を表明された、そこも理解されるわけで、決して、財政論からくる負担と給付の話から始まっているわけではない。

 介護保険であれば、認知症対策であったり、あるいは地域共生社会をどうつくり上げていくのかという全体像。あるいは医療であれば、負担の話より以前に医療の提供体制をどうしていくのかというような全体像。年金、医療、介護のまさに社会保障の全体像というものをしっかりと議論しながら、そして負担と給付、財政論ももちろん避けて通れない課題でありますから、その前提を失ってはならぬ。大臣は今、そういう気持ちだ、こうおっしゃったので、大変心強く、安心をしたわけでありますが、ところが、全世代型社会保障の担当大臣は別にいらっしゃるわけでありまして、あの方は私はよく知らない方でありまして、大臣、よろしくお願いします。

 ここはぜひ、厚生労働省としてしっかりと、今のような全体像、特に国民は、先ほど言いましたように、二〇二二年から二五年、そして二〇四〇年という、我が国はいまだかつて経験したことのない流れを経験するわけでありますから、誰人も一番心配している問題。

 先ほど野党の諸君から、財政論からではないというふうに言えば、違うだろう、うそを言うなと言われましたけれども、財政論も避けて通れない、これは事実でありますけれども、むしろこの全体像というのはきちっと描けなければならない。そこは既に去年の骨太でも決めてきたことでありますので、どうぞ大臣、そういう思いで議論を進めていただきたいし、我が党も今月中には、いろいろな団体からお声を聞いておりますから、提言を政府にお届けしたいというふうに思っておりますので、大臣、もう一度、その辺の決意をお願いを申し上げたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、当然、そのあるべき姿の中において財政面の議論をしていかなければ、これは持続可能性にはつながらない。ただ、あるべき姿がなくて、単に帳尻合わせというのは、それは違うだろうなということで申し上げたところであります。

 いずれにしても、そういった形での議論を、これは全世代型社会保障検討会議だけでやるわけではなくて、それぞれ各党、我が党あるいは御党含めてそれぞれで議論いただいて、またそうしたものも当然吸収しながら、踏まえながら議論を進めていくべきものだというふうに認識をしておりますので、ぜひ、公明党における議論、そしてそれをぜひ我々の方にも教えていただくことをお願いしたいと思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 全世代型社会保障検討会議は、十二月に中間まとめ、そして六月が最終のまとめだと思っておりまして、今後の政策日程をよくよく我々与党も念頭に置いて、国民的議論を喚起できるように取組を進めたいというふうに思っている次第でございます。

 さて、薬機法でございます。

 先ほど同僚の三ッ林先生がお話をされました、特にきょうは薬剤師、薬局のあり方について議論をさせていただきたいと思います。

 旧薬事法以来、随分長きにわたって、薬局は薬剤師が調剤の業務を行う場所という、そのことのみが法的には規定をされてきたわけでありますが、今回、薬剤師及び薬局に新たな機能が付与されるということになりました。すなわち、薬剤師には、服用期間を通じた継続的な薬学的な管理、そして患者への指導の義務化、さらには医師等への服薬状況等に関する情報提供に係る責務の明確化、薬局について言いますと、地域連携薬局あるいは高度医療機関連携薬局という機能が付与されることになりました。

 このことは評価をしたいというふうに思いますが、一方、病院等他の医療機関では、機能分化、専門分化といいましょうか、これは随分早く進んでおりまして、歴史は古いわけであります。

 一九九〇年代に入って、私の記憶では、特定機能病院、これが平成五年に制度ができました。あるいは、地域医療支援病院、これが平成九年であります。等々、さまざまな機能が医療法で規定をされ、運用されてきた経緯があると思っております。

 こうした医療行政全般の進展の中で、薬局行政、ここはいささかおくれをとってきたのではないかと私は思っているわけであります。やはり、医療関係の専門性、機能分化に比べて薬局の整理がおくれてきたということで、だから、最近の議論でも、医薬分業の成果が見えないとか、あるいは、調剤報酬の果実が国民に還元されていないのではないかというような批判、いわゆる一部の薬局批判につながっているというふうに思うわけでありまして、さらには、診療報酬改定のたびに、調剤薬局のところだけ、しかも頑張っているところが大変狙い撃ちをされるような調剤報酬の改定が行われてきたんじゃないか、こう思っています。ここは私も反省をしたいと思っております。

 厚労省、率直に反省をしなければならないと、大臣、私は思っているんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、まさに今委員御指摘のように、医薬分業という中で、昔でいえば、病院に行ってかかれば病院の中で全てが終わったものが、今は処方箋をもらって院外薬局に行く、また、それに伴ってさまざま、報酬というか、払う側からいえば負担も変わってきている。なぜそういう制度になっているのか、また、そうなったことによってどういう効果が私たちにあるのか、今委員御指摘のように、必ずしも十分に認識されていないし、あるいは発揮もされていない部分があったというふうに思います。

 ただ、今何が起きているかというと、やはり高齢化が進む中で、幾つかの診療科に行ってそれぞれ薬を処方していただくということで、多剤で服用していくという課題がある。それから、これまででいえば、がん等の治療はかつては原則入院だった、それが今では通院をしながらそうした治療ができる、そういった状況になってきている。

 そういったことも含めて、今回の法案では、一つは、薬剤師に対して、調剤はきちんとする、これは当然でありますけれども、その後の調剤したものの服薬状況の把握あるいは服薬指導、これをしっかりやってもらうという意味で、これを義務化したわけであります。また、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局という特定機能を有する薬局を改めて認定し表示することによって薬剤師、薬局の機能強化を図りたい、こういう趣旨で改正をさせていただきました。

 少し遅過ぎたという御指摘をいただきましたけれども、ぜひこういう方向で進めさせていただきたいと思います。

 また、調剤基本料については、それぞれの薬局の経営状況等を見ながら適宜改定をさせていただいているところでありますので、それらも踏まえて、患者本位に医薬分業が進んでいく、また、その実感をそれぞれの患者の皆さん、国民の皆さんに実感していただけるように努力をしていきたいと思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 なかなかお答えにくいでしょうが、私も厚労行政に深く関与してきた一人として、大体、最近の議論というのは、財務省から言われて、引っ張り込まれて議論せざるを得ない、近くは私は社会福祉法の改正のときにつくづく思いました。財政審で、社会福祉法人はみんな経営にすき間がある、内部留保がいっぱいあるというようなことを一方的に喧伝されて、この内部留保の中には必要な内部留保もあったわけでありますが、やむなく社会福祉法の改正をした。これも実は、厚労省から先に、厚労側から打って出るという手はあったんだろう、私はこう思っているんですが、どうしても後手に回ってしまっているような感じがするわけで、今回、改めて薬局、薬剤師の役割を法的に整理するということでありますから、今後は、おくれたことはやむを得ないという気も私もしているわけでありますが、このおくれを取り戻すべく頑張っていただきたい、こういう思いで申し上げたわけであります。

 こうした私の思いからしますと、私は、新たな機能の薬局が一日も早く全国に認知され展開されていくことを期待しながら、これから何点か確認をしたいというふうに思っております。

 最初に、今回の薬機法の改正、平成二十五年の改正法の附則で施行後五年の見直しという規定があったものですから、それを受けて行われたというふうに理解をしております。とりわけ、革新的な医薬品、医療機器等への迅速なアクセス、あるいは適切な製造、流通、販売の仕組みなどの改正は私はあるんだろうというふうに思っておりましたけれども、薬局機能の追加に関する議論はいささか唐突に感じております。一番最初の案なんかも、ここでは申し上げませんが、ちょっと驚いたわけでありまして、いささか、この薬局、薬剤師の機能ということについては唐突感を持っております。

 厚生科学審議会の制度部会において、薬局の機能について何回、どのぐらい審議をされたのか、御報告をいただきたいと思います。

樽見政府参考人 今回の法改正、御指摘のとおり、平成二十五年の改正法附則で施行後五年を目途とする検討をするんだということになっておりましたので、そういう検討規定に基づきまして、平成三十年の四月から十二月にかけまして厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で議論をいただきまして、それを踏まえて行うというものでございます。

 この制度部会、この件につきまして、取りまとめの公表までに合計十回開催をされております。その中で、この薬局、薬剤師のあり方について議論をしたというのは、そのうちの八回でこの議論が出ておるということでございます。

 その議論では、多くの薬剤師、薬局において本来の機能が果たせておらず、医薬分業のメリットを患者が実感できていないといったような指摘がありまして、一方で、先ほど大臣の御答弁でもありましたけれども、高齢化による多剤投与が増加しておる、あるいはがんの外来治療も増加しておる、こういうことに対応できる薬物療法のニーズが高まっているという状況があるという認識のもとで、これに対応する施策ということとして、患者が自身に適した機能を持つ薬局を選択できるような、そういう特定の機能を持つ薬局というものを法令上明確にし、名称の表示を可能とすべきということを提言をいただいたということになっております。

桝屋委員 十回のうち八回議論されたということで、内容は随分深化したんだろうと思っておりますが、わかりました。

 その上で、地域連携薬局でございますが、厚労省はその要件として四つ挙げておられます。一つは、プライバシーに配慮した構造要件、二つ目が、特に医療提供施設との情報共有体制などの地域連携要件、それから三点目が、実際に業務を行う薬剤師などの体制要件、さらには、在宅訪問活動など在宅要件、この四つを挙げておられます。

 それぞれの要件についてこの制度部会においてどのような議論が行われて、地域連携薬局の姿がどういうイメージとして議論されてきたのか、もう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。

樽見政府参考人 医薬品医療機器制度部会におきます認定薬局に関する議論ということでございます。どんなイメージかということの御指摘でございます。

 地域連携薬局ということになりますけれども、地域におきまして、在宅医療への対応や、入退院を始めとするほかの医療機関、薬局などとの服薬情報の一元的、継続的な情報連携において主体的な役割を果たす薬局というイメージ、それから、専門医療機関連携薬局ということになりますけれども、がんなどの薬物療法を受けている患者に対しまして、医療機関と密な連携を行いつつ、高い専門性に基づき、より丁寧な薬学的管理や特殊な調剤に対応できる薬局というようなことの考え方をお示しをしまして、それに必要な要件ということも御議論いただいた上で、こういうカテゴリーというふうにしていったわけでございます。

 その中で、委員の皆さんからは、まさに地域連携薬局については在宅医療ということにしっかり対応できることが大事、それから、専門医療機関連携薬局はがんの化学療法の専門性ということを持つことが大事であるといったような御指摘をいただいたわけでございまして、こうした議論を踏まえまして、制度部会の取りまとめをいただき、この法案に盛り込んだということでございます。

桝屋委員 私がなぜこのイメージを聞くかといいますと、今申し上げた四つの要件ですが、地域連携薬局でございますが、三年前に創設されました健康サポート薬局の要件とほぼ同じではないかなと私は思っているんです。さらに、地域連携薬局については、それに麻薬の調剤とそれから無菌調剤の要件がつくのかな、こう資料を見て思うわけでありますが、この二つの要件が加えられた理由というものをお示しをいただきたいと思います。

樽見政府参考人 地域連携薬局、先ほど御指摘の健康サポート薬局。健康サポート薬局と申しますのは、いわば元気なうちからの健康相談でありますとか、あるいは予防といったようなところの相談にも応じ、いざ病気となったときにはかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師としての機能が果たされる、そういう薬局、そういうイメージでございますけれども、地域連携薬局につきましては、まさにかかりつけ薬局ということは基本的には同じ、重なるわけでございますが、地域連携薬局の方は、在宅の患者さんは病気が重くなって入院するということもありますし、また、退院してくる、あるいは介護を受けながら在宅医療を受ける、そういうさまざまな療養環境を患者さんは移行するという中で、そのニーズに適切に応じて、在宅医療を受けるときの薬剤管理ということについて安心して頼れる薬局、そういうことをイメージしているということでございます。

 そういう意味でいいますと、健康サポート薬局におけるかかりつけ薬局機能というよりは、在宅医療ということに安心して対応できるというところが、在宅医療という側に更に一歩寄っているということであるというふうにイメージしているわけでございます。

 近年の薬剤管理の現状を見ますと、例えば、がん患者の方の緩和ケアのための医療用麻薬の使用というものがございますし、あるいは、十分な栄養を口から摂取できない患者の方には輸液ということで、液体のお薬を輸液として点滴するというようなことがありますが、そうしたものの調製には無菌の環境での無菌製剤というものが必要になってくる、そういう特殊な調剤もふえてきておりますので、地域連携薬局の要件ということになりますと、健康サポート薬局と同じようなかかりつけということでの機能に加えまして、麻薬調剤や無菌調剤に対応できるということを求めるということが議論されているわけでございます。

 こうしたことについて厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会においても議論をされ、そういう考え方ということで了承いただいているという状況でございますけれども、具体的な要件につきましては、今後、関係者の御意見も伺いながら、引き続いて検討して、できるだけ早期に具体化をしていきたいというふうに考えております。

桝屋委員 健康サポート薬局というのが、三年前でしょうか、制度ができてこれまで来ておりますが、それで今回、地域連携薬局。今御説明があったように、かかりつけ薬局、それから健康サポート薬局、さらに地域連携薬局、それぞれの機能が違うんだという説明はあったものの、今までこの三年間、健康サポート薬局をしっかり整備しようということで進んできたと思うんですが、今、健康サポート薬局は千五百六十七、九月三十日現在。五万か六万、薬局がある中でまだこの数というような状況でありまして、今まで薬局の中で健康サポート薬局は、しっかり地域の中で役割を果たそう、健康サポートもやろうということで頑張ってきて、今回、地域連携薬局という新しい機能ができた。これは移行できるのかな、ぜひ自分たちも認定を取って役割を果たしたい、こう思うところも多いわけであります。

 今まで、健康サポート薬局の届出をして、表示をして地域で頑張ってきたこの健康サポート薬局、これは地域連携薬局に今の二つが加わればなれる。この二つが簡単なことかどうなのかなんですが、特に健康サポート薬局を目指してきた皆さんからすると地域連携薬局になれるのかどうかという声が強いわけでありますが、ここはどういうふうに言われますか。

樽見政府参考人 御指摘のとおり、健康サポート薬局、平成二十八年の十月から、これは省令に基づく制度ということで実施をしているものでございます。ですが、まさに今回の地域連携薬局と同様に、あるいは薬剤師の継続的な服薬指導を義務化するという考え方と同様に、薬局、薬剤師の機能というのが、お薬という物を調剤してお渡しするというだけではなくて、まさに医療の一環として患者さんに対する対人業務というものを充実していくんだという考え方の中で出てきているということについては、全く共通の基盤に乗っているということでございます。

 そういうことでいいますと、健康サポート薬局の方はより、何というんでしょうか、日ごろ元気な人を相手にしながら、いざ病気になったときにはかかりつけになれるということで、地域連携薬局については、いわば在宅医療というものを安心して支えていただけるような薬局ということで、ちょっとずれておりますけれども、ただ、今申し上げたように、対人業務を充実するという考え方も共通でございますし、かかりつけ薬局という機能という、そこの基本は同じでございますので、健康サポート薬局の届出をしていただいている薬局が自動的に地域連携薬局の要件を満たしていくことには必ずしもならないんですけれども、さらに麻薬、無菌といった体制整備等を行うことによって地域連携薬局の認定を取得できるというような形にしていくということを考えているわけでございます。

 ちょっとそこの、更に加えるというか、麻薬、無菌だけかというところについて、全体の検討の中で更に検討を深めさせていただきますけれども、基本は同じですので、ぜひ、より患者さんにとって病気になったときにも安心してかかりつけになれるという方向に手を挙げていただけるとありがたいなというふうに思いますし、そういうためのサポートというものについても私どもとしてやっていきたいというふうに思っているところでございます。

桝屋委員 樽見局長、今いみじくもおっしゃったけれども、今まで健康サポート薬局として地域で届出をし、表示をし頑張ってきた人たち、これがまた地域連携薬局として手を挙げて頑張ってほしいという率直な思いを言われたんだけれども、私もぜひそうあるべきだと。ただ、三年前の健康サポートから今回でしょう、これがどう進むのかというのはなかなか悩ましいな。

 そこで、現場の声を一つ聞いてもらいたいのであります。

 例えば、今言った麻薬の調剤あるいは無菌調剤などについても、確かに在宅医療で、がん患者さんが最近は入院から在宅になっているということはあろうと思いますが、現実に、例えば地域支援体制加算、これは診療報酬の方で話を聞いておりますけれども、あそこではこうしたものはまさに実績要件が求められているわけでありまして、実際にそういう患者がいらっしゃるかどうかということも地域によってはあるわけであります。これから進むんだろうというふうに思うのですが。

 したがって、現場の声は、しっかりした準備、いざというときにはしっかり、例えば麻薬の調剤にしても無菌調剤にしても、幾つかの薬局が集まって無菌室をつくり、そこへ集まってやるとかいろいろな方法があるわけだから、いざというときにはちゃんと対応できますよと、この準備ができていれば認定を受けることができる。いたずらに、加算のように実績だけを求められるとなかなか苦しいんじゃないかというような声が現場にあるわけであります。

 ここは今から要件を検討されるんだろうと思いますが、さっきおっしゃった、手を挙げてもらいたいというのであれば、その辺はぜひ中身をよく見て判断をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 実情をよく伺って、まさに制度が実を上げて機能できるように、よく考えていきたいというふうに思います。

桝屋委員 具体的な声は、また局長にお届けしたいと思います。

 それで、健康サポートにもう一回戻りますが、さっき言ったように、まだ千五百程度なんですよ。これも、皆さん方のお考えとしては、今回の地域連携薬局の認定制度、これとの関係にも留意しながら健康サポート薬局の普及を一層推進したいと多分お考えでしょう、ともに中学校区、地域の中に整備をするというお考えだろうと思いますが、まだまだこれからであります。

 先ほどの三ッ林先生の質問に対して、例えばインセンティブとして、あるいは地域連携薬局でお答えになったかもしれませんが、健康サポートも税制優遇措置が元年に切れるんですね。これはぜひ継続を取り組むべきだし、今の健康サポートの税制優遇措置は不動産だけなんです、設備投資については対象になっていないということもあって、厚労省、この辺はしっかり支援をすべきではないか。ただいま千五百というものをどのように地域に広げていくのか、具体的な方法についてお考えをお聞きしたいと思います。

樽見政府参考人 健康サポート薬局、まさに本年九月末時点で千五百六十七件ということで、まだまだでございます。制度が始まってからまだ三年というところでございますし、健康サポート薬局の認定を受けるために一定の研修を受けた薬剤師さんということを要件にしているんですが、その研修を受けているという薬剤師さんの数だけで見ますと実は二万人ぐらいまでになってきておりまして、今はまだいろいろ準備をしていて、これからやっていこうというところはまだあると思いますので、まだ少ないわけでございますけれども、これからこれもふえてくるだろうというふうに期待をしているところでございますけれども、これについてはしっかりとやっていきたいと思います。

 税制改正でも、健康サポート薬局の構造設備に係る不動産取得税の減免措置、これはおっしゃるように切れちゃいますので、これの延長要望ということも行っております。それから、健康サポート薬局に関する効果というものも検証しまして、その結果を踏まえた取組ということを健康サポート薬局の普及の方でもやっていきたいと思いますし、地域連携薬局の普及の方でも生かしていきたいと思います。

桝屋委員 今、樽見局長はいみじくもおっしゃったけれども、健康サポートでもう少し言いますと、五年以上の実務経験のある薬剤師で研修を修了した人が常駐しなきゃいかぬということで、二万人というお話もあったけれども、なかなか、この常駐、常に二人ぐらいは確保しておかないと常駐ということにならぬわけでありまして、これもなかなか難しさもあるようであります。

 あるいは、どうも、健康サポート、いろいろ現場で聞きますと、現場の保健所の対応が相当区々としているのではないかということで、現場ではお悩みになっているようでございますが、こうした改善策も同時に検討される必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 おっしゃいますとおり、健康サポート薬局、基準としては、薬剤師二名以上配置ということは必ずしも求めているものではないんですけれども、開店時間中に一定の薬剤師の常駐を求めているということで、現実的に二名以上の体制がないとなかなか難しいというような御指摘はいただいて承知をしております。

 今回の法改正で、まさに先ほど申し上げたとおり、地域連携薬局の認定制度という中で、例えばその地域で夜間、休日対応みたいなことが必要になるというときに、自分の中の薬局だけで全部対応しなきゃいかぬというところについてはちょっとその要件を柔軟に見ていくというようなことを検討しているところでございますので、それとあわせまして健康サポート薬局についても要件を、これは役割ということとあわせて考えないといけないわけでございますけれども、その地域連携薬局の要件というものの具体化を検討を深める中で、健康サポート薬局についても柔軟化できるところについては運用を柔軟化するということを検討していきたいと思います。

 それから、自治体において、まさに届出手続の運用に差があるという御指摘もいただいています。したがいまして、健康サポート薬局の届出の受理あるいは相談対応の業務の参考としまして健康サポート薬局の基準の明確化ということに努めてきたところではございますけれども、引き続きまして、対自治体ということについても、よく私どもとしても相談をし、必要に応じ指導しまして、円滑な運用が実施できるように努力してまいります。

桝屋委員 ありがとうございます。

 それから、もう時間がないから質問にはしませんが、今度の新しい地域連携薬局、これは専門医療機関連携薬局も同じだと思いますが、認定に当たっては、多分、各自治体、都道府県知事が地方薬事審議会の意見を聞いて認定をするということが想定されているようでありますが、この薬事審議会も実際にないところもありますし、一年に一回というようなところも結構多いわけでありまして、この辺は事後報告等の仕組みもお考えのようでございますが、あわせて、地域連携薬局あるいは専門医療機関連携薬局、これが全国展開するためには自治体の体制も整備が必要だということをお願いをしておきたいと思います。

 時間がなくなりましたのでもう質問をやめますけれども、いずれにしても、きょう樽見局長が、健康サポート薬局も地域連携薬局も、手を挙げてどんどん、それぞれ地域の中で中学校区に一カ所という目標が多分あるんだろうと思います。地域包括ケアを考えますと必要なことでありまして。

 そのためには、一つは、先ほど、健康サポートと地域連携薬局、この違いをちょっと申し上げましたが、端的に言いますと、地域連携薬局、これは専門医療機関連携薬局も同じでありますが、ここはまさに診療報酬上の評価に多分つながっていかなければならないと思っているわけでありまして、さすがにことしの診療報酬は間に合わないと思いますが、次に向けて、私は、現場の実情もよくよく把握をした上で、まさに、本当に、かかりつけ薬局といいましょうか、新たな薬局の機能が全国的に展開されるように、我が党も取り組みたいと思いますし、細部にわたって十分現場の声を聞きながら調整していただきますようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 野党共同会派の小川淳也です。

 まず、加藤大臣、念のためお聞きします。公金、公権力に対する疑念が高まっているようですので。

 加藤大臣のお地元から、いわゆる桜を見る会への参加者数というのは相当数あるんでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと数字そのものは私自身把握しておりませんが、私自身も桜を見る会に出席をしておりますので、そういった機会に地元の方、知っている方に会う機会はありました。

小川委員 既に、午前中の文科委員会かと思いますが、萩生田大臣もそのような御答弁のようであります。

 参加者については、加藤先生の事務所で取りまとめるというようなことは行っておられますか。

加藤国務大臣 これは委員御承知のように、この参加者というか、案内状自体は内閣府から発出されるということで、私どもが一定、例えば券を持って配るのとは全く違う仕組みになっているので、あくまでも内閣府において発出されている、こういうことであります。

小川委員 最終的に内閣から案内状が届くに当たって、加藤先生の事務所で案内先等について調整を行う、連絡を行う、取りまとめを行うということはございませんか。

加藤国務大臣 私のところで取りまとめを行うということはありません。

 ただ、いろいろな方からこの話を聞かれて、こういうものがあるからぜひ行きたいとか、まさに陳情ベースで個々にあるそういったものは、普通の陳情と同じように、多分事務所で処理しているのではないかなというふうに思いますけれども。

小川委員 橋本副大臣、いかがですか。同趣旨のお尋ねです。

橋本副大臣 私も副大臣として、ないしは政務官のときに桜を見る会に行ったことはありますし、そのときにいろいろな方にお目にかかったことはございます。

 また、これも大臣同様の答弁になろうと思いますが、取りまとめそのものは、内閣府ですかね、の方でされているというふうに承知をしております。

 また、行きたいというお話そのものを伺ったこともあると思います。

小川委員 小島政務官、同趣旨のお尋ねです。

小島大臣政務官 私の方も、事務所から整理をしておりません。

小川委員 加藤大臣、もう一つお尋ねします。

 石破先生は既に、党役員でおられたときに、役員には何か特別枠のようなものがあったということを公に発言しておられますが、総務会長を御経験ですので、その点についてもお聞かせください。

加藤国務大臣 いや、枠という、そういった認識はしておりません。枠があったという認識はしておりません。

小川委員 加藤大臣、御飯論法という言葉の生みの親でもあられるわけで、その点、言葉尻は置いておくとして、よく質問の趣旨を踏まえて御答弁いただきたいんですが、枠というのは、つまり、大体何人ぐらいでしたら加藤先生の関係者を受け入れるよという内々の指示であり、暗示でありという意味でお聞きしています。実態としてそれがあったのかなかったのか、明確にお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 いや、だから、今の委員の御質問は、具体的に、例えば五十人とか百人とかいう枠があって、それを踏まえてやっていたのか、そういう質問ですから、最初に申し上げたように、五十人とか百人とかいう枠を設定されて、そういった話をいただいたことはありません。

小川委員 その信憑性については随分と疑念は高まっていますから。これは通告していませんから、しかし、よく一度事務所にお尋ねをいただいて、整理をお願いしたいと思います。

 同時に、加藤大臣は官房副長官もお務めでしたから、こういった政府のいろいろな取りまとめのそれこそかなめになる方であります。それも含めて、いろいろと説明をお願いしなければならない面が多々あろうかと思いますので、ぜひその点もあわせてお願いをしたい。

 それから、きょうは急なお呼び立てで恐縮でしたが、内閣府から官房長にお越しをいただきました。ありがとうございました。

 昨日までの国会での御答弁と、昨夜からけさにかけての報道と、ちょっと食い違いがあるのではないかと思いますので、これも念のためお尋ねをいたします。

 総理は国会で、桜を見る会に関して、私は主催者として挨拶や招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめなどには関与していないという御発言をなさっています。

 一方、昨夜からけさにかけて、安倍晋三事務所の名義で、参加者募集の御案内なる文書が確認されているようです。出席を御希望される方は、別紙申込書に必要事項を記入の上、安倍事務所又は担当秘書まで御連絡くださいますようよろしくお願い申し上げますというやりとりになっています。

 そこで、お尋ねです。

 政府として取りまとめを行うに当たって、安倍晋三事務所から、誰々に、何名も含めて、連絡をしてくださいという事務的な連絡はありましたね。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 桜を見る会、こちらは、これまでもるる答弁申しましたとおり、内閣府、内閣官房におきまして取りまとめを行っているものでございまして、その過程で、各省庁等からの意見を踏まえて、幅広く御招待をしているものでございます。

 一方で、今委員御紹介のございました事務所のブログ云々については、ちょっと私は承知をしてございません。

 ただ、申し上げましたとおり、各省庁等の意見を踏まえて、内閣官房、内閣府において取りまとめているものでございます。

小川委員 各省庁などの中に安倍先生の事務所は入りますか。

大塚政府参考人 あくまで私どもは、各省庁等からの取りまとめを行っているものでございます。

小川委員 各省庁等の中に安倍先生の事務所は入りますか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 各省庁等から出すこととしておりますが、ただ、各省庁は各省庁それぞれで、またいろいろな各方面からさまざまな推薦をいただくような形になっているものと推測されます。

 私どもは、あくまでも各省庁等から推薦をいただいているものでございます。

小川委員 ないならないで明言してください、安倍晋三先生の事務所からの連絡はないと。ないならないで、ここで明言してください。

大塚政府参考人 ただいま申し上げましたように、私どもはそれぞれの各省庁等から伺っておりますが、それぞれの先でまたどういった形でのいろいろな推薦手続、プロセスをたどっているか、私は承知をしてございません。

小川委員 大変苦しい御答弁ですかね。

 もう一点お聞きします。

 この明らかになったと思われる申込書類には、御夫妻で参加の場合は配偶者欄を御記入くださいとあります。参加される方が御家族、知人、友人の場合は別途用紙でお申し込みください。つまり、コピーして利用してくださいと書いてある。

 そうすると、昨日の官房長の御答弁ですが、この行事は、あくまで功労者、さまざまな公的分野における功労者をお招きし、御慰労するという趣旨のようであります。

 同時に、官房長は既に、後援会云々は功績、功労云々とは直接は結びつかないと御答弁されています。

 そうしますと、こういう形で仮に御家族、知人、友人を幾らでも、コピーですから幾らでも招待できるわけで、これは本来の趣旨と異なりますね、この行事の趣旨と。

大塚政府参考人 今お手元で委員がごらんになっておられますものが、私、ちょっとどういうものか、つまびらかに承知してございません。

 一般論で申し上げますれば、桜を見る会は、功績、功労のあった方、それから御本人の配偶者、それからその同伴者につきましても一定の範囲で認めているところでございます。

小川委員 この際、疑念が高まっていますので、その一定の範囲について明確にしていただく必要があると思います。

 委員長にお願いをいたします。先ほど来官房長が御答弁されている各省庁等の中身について、詳細な説明を委員会として求めていただきたいので、理事会での御協議をお願いしたい。

盛山委員長 理事会に諮ります。

小川委員 いま一点、最後にしますが、一万八千人近くに参加者数が相当膨れ上がっているようです。参加者数を含めた名簿の廃棄をしたということを言われているようですが、ちょっと考えられない対応だと思います。

 個人名の特定は要求いたしませんが、例えば県別に、各県からそれぞれどの程度の人数が参加したのか、これも資料要求したいと思いますので、御協議をお願いします。

盛山委員長 理事会で諮りたいと思います。

小川委員 けさの理事会で御説明をいただいた議事録等についてもお聞きをいたします。

 まず、河西さん、連日の御対応ありがとうございます。

 高齢者在職老齢年金制度の見直しに係る重要な論点であります。つまり、この制度を見直すことは高齢者の就労意欲を増すということが重要な根拠になっていたはずです、一連の国会答弁等で。ところが、けさ明らかにしていただいた最終議事録をつくる過程において、まず初動段階、内閣官房から経団連に、その発言、これでいいですかと確認するその初動段階において、既に中西会長の発言、勤労意欲を減退させる、つまり、在職老齢年金制度が高齢者の勤労意欲を減退させるとの議論があるが、それは経営者の目から見るとそんなことはないのではないか、働く意欲にかかわる話ではないのではないかという重要な発言が、初動段階、最初の段階でドラフトから落ちています。

 その経緯と理由について御答弁をお願いしたいと思います。

河西政府参考人 お答え申し上げます。

 公表された議事録につきましては、一言一句、全て発言されたとおりに書かれているものではございません。

 在職老齢年金につきまして、勤労意欲を減退させていないという議論につきましては、会議終了後の記者向けの説明会におきまして、働く意欲、勤労意欲は減退させていないという御意見が会議の場であったということを事務方から紹介させていただいております。そう紹介していますように、政府として発言を隠すような意図は全くございません。

 中西議員の発言につきましては、議事録案におきまして、慎重に検討という御本人の意図をきちんと記載しております。

 なお、議事録案に就労意欲を減退させないという発言を含めなかったことにつきましては、特段の理由はございません。

 当然でございますが、議事録の最終的な決定は議員側にしていただいているところでございます。事務局である以上、その要求に従って作業しているところでございます。

 中西議員につきましても、議事録案を送付して御確認をいただいておりまして、最終的に中西議員側から送付された議事録をそのまま公表しているところでございます。

小川委員 今の御答弁、重要な点が二つあると思うんですが、記者ブリーフであえて担当者が数ある発言のうちこの発言を紹介したということは、この発言の重要性を極めて的確に認識しておられたということです、担当官が。これは国民に知らしめるべき必要な要素を含んだ重要な証言だ、発言だということを認識していたということです。

 加えて、二つ目の問題点は、今、ドラフト段階で議事録に掲載しなかったことに特段の意図はないとおっしゃったが、その説明では済まない。重要性を認識してあえて記者ブリーフしているわけですから、議事録の最初の段階、初動段階でこの発言を掲載して、広く国民に知らしめるべき対応をとるのが当然だと思いますが、この二点について、重ねて説明を求めたいと思います。

河西政府参考人 繰り返しになって非常に恐縮でございますが、議事録案につきましては、各議員に対しまして確認をいただいた上で議事録を確定するところでございます。

 議事録案はあくまで議員側に対しまして送付して御確認いただくためのたたき台のようなものでございまして、その段階で当該部分が入っていなかったことにつきまして、特段の理由は、意図はなかったということでございます。

小川委員 政策論として真面目に答えてください。この重要な論点を特段の意図なく落とすほど、霞が関は劣化しているんですか。担当者の資質は、管理職の資質は、特段の意図なくこんな重要な証言を落とすほど劣化しているんですか。

 では、本来、議事録に掲載すべき重要発言だった。その点、認めてください。

河西政府参考人 議事録の掲載につきましては、あくまで議員側に最終的な決定をしていただいておりますので、私どもといたしましては、そのとおりに議事録を作成し公表するということだと思っております。

小川委員 本当に苦しい御答弁なんですが、理事会でも要求していますので、ちょっとこの議論は追って継続させていただきます。

 今、具体的に、この議事録作成のもとになった速記録の要求をしています。それから、重ねて、どういう判断で最初の段階で落ちたのか。そして、経団連から異議の申出があったにもかかわらず、どういう理由で最終的に落ちたのか。大きくこの三点を要求しています。

 午後、理事会を再開していただけると委員長にお聞きしておりますが、そこで速記録をまず公表することをこの場で公言していただきたい。

河西政府参考人 お答え申し上げます。

 議事録につきましては、議員の皆様に確認をいただいてから公表する旨合意をしているところでございまして、その合意に従いまして、議事録を議員の皆様にお送りし、御確認いただいた議事録を公表しているところでございます。

 議員から了承を、御確認をいただいていない途中段階の速記録を開示することは控えさせていただきたいと思っております。

小川委員 今、もうこれは午後の理事会を再開しても意味がないという御答弁でした。速記録の開示を要求していますから。今、もうここで開示しませんと言いました。

 委員長、これは理事会、どうしますか、お昼。

盛山委員長 午前のこの委員会の後、理事会を再開して、そこで再度協議をしたいと考えます。

小川委員 ぜひここは、委員長の指導力を重ねてお願いしたいと思います。

 加藤大臣、一言御答弁ください。

 これは、前回の質疑で、他者の発言だから言及、論評しないというお立場をおとりになった。しかし、大臣は委員としてこの全世代型社会保障検討会議に参画をされておられます。重要委員でしょう、ほとんどが最終的に厚生労働省の政策課題ですから。全て法案化をして国会に提出する責任は大臣にありますから。ちょっと、他者の発言だから関心がない、言及しない、論評しないでは済まないと私は思います。

 したがって、お尋ねです。

 この在職老齢年金制度の見直しにおいて、これが就労を促進するのか否かというのは極めて重要な論点です。その論点にかかわる発言者がいた。しかも、それは経営側、経営団体の我が国のトップであった。極めて重要な立場にある人間が重要な趣旨の発言をした。そのことが議事録のドラフト段階から落ちている。経団連からクレームがあったにもかかわらず、最終的に押し切って落としている。これは大変にゆゆしき事態だと思います。

 厚生労働大臣として、これは見識にかかわる問題ですので、一連の経過に対して、警鐘を鳴らすなり、あるいは私は抗議すべきだと思う。事務局に対して、厚生労働大臣として、正確に、必要な趣旨を落とさず漏らさず議事録に掲載すべきだという抗議をしてしかるべきだと思います。大臣の見識を一言聞かせてください。

加藤国務大臣 まず、私は、論評しないとは言っていません。言及することは……(小川委員「いや、もう御飯論法は結構ですから」と呼ぶ)違います。他者の発言について私がどう言ったかということはしない、これがルールだと言っただけでありまして、それについて、例えば、今委員の言われた視点が議論においてどうなのか、発言じゃないですよ、そういった視点の議論は大事なことは我々も十分承知をしていますが、ただ、私が申し上げたのは、その場で他者の意見が、ばらばらで言ってしまったらますますわからなくなるから、それはルールで統一している、これは別にこの検討会議だけではなくて、さまざまな検討会議はそうやっていますよということを申し上げたにすぎません。

 それから、それ以上については、私は経緯、経過は知らない立場でありますから、どういう経緯でどうなったか、そこはしっかり内閣府の方で、あるいは内閣官房になるんですか、しっかり説明をしていただくべきものだというふうに思います。

小川委員 いや、不十分ですよ。厚生労働大臣として一言見識を述べるべき場ですよ、これは。内容の重大性に鑑みて、手続の瑕疵に鑑みて。

 大臣、この間もそうでした。どういう経緯かわからない、どういう議論か私は知らないからとよくおっしゃいますが、これは理事会でさんざん議論になっていることも知らないんですか。

加藤国務大臣 今言ったのは、理事会の議論ということを私は申し上げたのではなくて、内閣官房と中西委員との間でどういうやりとりがあったのか、そういうことは承知をしていないから、その辺も含めて内閣官房からしっかり説明すべきだということを申し上げているにすぎません。

小川委員 まさにそこが理事会で議論になっているんですよ。

 小島政務官、大変恐縮ですが、いつも理事会に御陪席をいただいて、ありがたく、敬意を持ってお迎えをしております。時に、与野党協議の場ですから、議論が激しくなったり、いろいろと政務官に御負担をおかけしていることも自覚をしているつもりです。

 しかし、政府を代表してあの場にいる。そして、理事会で重要な協議が行われている。大臣は、いつもそれを知らない、存ぜぬとおっしゃる。政務官としての職責を果たしていないんじゃないですか。大臣に報告しているんですか、理事会でのいろいろな協議を。

小島大臣政務官 逐一報告をしていますけれども、全般、大体九時から委員会が開会のはずが、理事会が延長しました。その中で、私がここに入ったら既に委員長が開会を宣言していたわけですよ。だから、入ってすぐ委員会ですから、どうやって説明するんですか。私はその間、ちゃんと、ここに入るまでに事務官の方へ伝えております。そういうことをこの前はっきりと申し上げたんです。ですから、時間がなかったわけですよ。

 そういうことはあなたもわかっているでしょう。九時からですよ、九時から開会なのに、理事会が九時を回ったんですよ。僕が入ったら、もうここで既に委員長が宣言でしょう。どうやって説明するんですか。だから、事務局へちゃんと言っていますよ、私は。その事実をはっきり言ったんですよ。(発言する者あり)

盛山委員長 静粛にお願いします。

 小川君、御発言ください。

小川委員 質問者を罵倒するようなただいまの政務官の御答弁はいかがですか、委員長。

盛山委員長 小島大臣政務官に申し上げます。

 御発言、注意をしてというんでしょうか、言葉遣いに注意をして御発言していただきたいと思います。

小川委員 政務官、いろいろと御負担をおかけしていることは事実ですから、それは私もよく自覚したいと思います。しかし、政務官には政務官の職責があります。

 しかし、最終責任は大臣にあると思いますよ。大臣が、不都合なことは何かといえば知らぬ存ぜぬで、そういう大臣の姿勢が政務官の今のような御答弁にもつながっていると私は思いますよ。これはちゃんと指導してくださいよ、大臣としても。そのことも改めてお願いを申し上げたい。

 残念ですが、限られた時間の中で、当然、法案についてもお聞きしなければなりません。

 まず、大臣、医薬品とか医療機器に関してなんですが、日本からの輸出品というのは大体合わせて一・五兆ぐらいのようなんですね。一方、輸入は合わせて四・五兆ぐらいのようなんです。技術力等において決して引けをとる国だとは思えないんですけれども、なぜこんなに医療、医薬品に関してはいわゆる貿易赤字が多いんでしょうか。ちょっと所管の大臣として御見識をお聞きしたい。

加藤国務大臣 今は、多分、医薬品と医療機器を足した数字を言われたんだと思いますので。

 これは私自身も、従前から、これだけ日本の技術力がある、創薬力もある、そういう国においてどうしてこういうことになっているのか、あるいは、国内で使われている医薬品の中でも海外の割合がかなり高い、こういう認識は持たせていただいているところでありまして、背景についてはいろいろあるんだと思います、分野別なところ、あるいは基礎研究の力、開発の力、あるいは開発から実際の製品につなげていく力。そういったものをやはり総合的に勘案しながら、今、AMED等も立ち上げて、そうしたことを補い、日本のそういった創薬あるいは医療機器の開発力を上げるべく努力をしている、こういうふうに承知をしております。

小川委員 そういう意味では、今般の早期承認制度を含めて、革新的な創薬というんですか、先進的な薬の開発を含めて、いろいろと環境を整えるということは、日本の抱える産業政策としても、また患者対策としても一つ必要なことだろうと思います。

 ただ、ちょっと懸念するのは、健康被害救済制度というのがあるようですね。副作用等の請求件数、被害の救済の申立てはずっと右肩上がりなんです。したがって、これは指摘にとどめますが、いろいろと薬の開発等において特例制度を設ける以上、この救済制度も充実する必要があるのではないかと、私は昨日、事務的にも指摘しました。

 医薬品、製薬メーカーの売上げの千分の〇・二と聞きました、一万分の二ですか、一万分の二の金額をこの救済制度に対して拠出していただいているようです。これらを少々充実することも含めて、この被害、もちろん被害があってはならないわけですが、万一の際にきちんと補償なり、そういった安全装置も整えつつ創薬を推進していくということが必要ではないかと思いますので、指摘にとどめたいと思います。

 それから、一点ちょっと答弁を求めたいんですが、厚生労働省と製薬業界との健全な関係を疑わしめるような事態はあってはならないわけでありますが、今から三年前、厚生労働省から出向していた法制局の職員が、当時検討していた臨床研究法案の関係資料を知人である製薬会社の役員に対して漏えいしたという事案があったようです。

 これについて、処分は極めて軽い。国家公務員法の処分に該当しないんですかね、一番軽いと思われる訓告程度。厳重注意とか口頭注意より少し重いのかもしれませんが、いわゆる懲戒処分に該当していない。したがって、人事院規則で言う公開にも当たらないということで、私は重大事案だと思いますが、結果として、厚生労働省の職員が知り合いの製薬メーカーに関連の法案を漏えいしたというのは重大な事案だと思いますが、これはなぜ訓告程度なのか、しかも公表しなかったのか。

 極めて厚生労働省と製薬業界との関係性を疑わしめる事案だと思いますが、なぜこんなに軽い処分で、公表すらしていないのか。その点、御答弁いただきたいと思います。

土生政府参考人 先生御指摘の事実関係につきまして御説明をさせていただきます。

 御指摘の事案は、平成二十八年一月に、厚生労働省から内閣法制局に出向しておりました参事官が、製薬会社の執行役員に対しまして厚生労働省から入手した臨床研究法案の関係資料を提供したというものでございます。当該職員につきましては、国家公務員法に定める守秘義務に違反するものといたしまして、平成二十八年十二月に訓告処分を行ったということでございます。

 処分につきましては、事実関係を精査した上で、事案の内容やその影響等を踏まえて厳正かつ公正に実施したものと承知をいたしておりまして、これに関連して定められております人事院の公表指針の内容を踏まえまして、当時は公表しないという判断をしたということでございまして、適切な取扱いであったものと承知をいたしております。

小川委員 大臣、いかがですか、今の御答弁。これは一般論として認めていただけますよね。製薬業界と厚生労働省との間に不適切な関係を疑わしめるような事案はあってはならないわけで、この点については厳しく処していくと一言おっしゃってください。

加藤国務大臣 その点も含めて、我々が厚生労働行政を行うに当たって、そうした懸念が持たれないようにしっかり対応していく必要があるというふうに思います。

小川委員 最後に、これは現場の薬剤師さん、地域の医薬を支えておられる薬剤師さんからの声ですので、一部代弁をさせていただきますので、ちょっと今後の方向感等について御答弁をいただいて、質疑を終えたいと思います。

 まず一点目。薬局には、責任者たる管理薬剤師さんがいらっしゃる。そして、例えばですが、みずから複数の店舗を経営しているような場合がある。しかし、管理薬剤師は、みずからが担当する店舗以外の業務は行えないことになっている。したがって、例えば休店日、休業日、あるいは閉店時間以降、これだけ人繰りが難しい時代ですから、人材確保が容易でない時代ですから、みずから経営する他の店舗の応援業務に閉店時間、休業日等に入りたいと思っても、規約上なかなかこれが難しい。この点について、ぜひ一定の合理的な範囲での許容範囲、規制緩和をしてくれると現場は助かるという話があります。

 それからもう一点。今度、地域連携薬局というカテゴリーをつくられるわけですが、地域事情はさまざまですから、余り限定的に規定されると柔軟な運用ができなくなるのではないかという声があります。この辺も含めて御答弁をいただきたい。

 最後に。年間一万五千人ぐらい薬剤師試験、薬剤師の国家資格の試験を受けているようですが、合格者が一万人ということですから、極めて相当程度の専門知識があるが国家資格に合格していない方々が年間五千人ぐらい生まれるということになります。この方々については、一定、補助業務的なことを行わせることを検討してはどうかという声があります。この点、ぜひ、あわせてになりますけれども、御答弁をいただきたい。

 また、委員長、大変恐れ入りますが、定足が満たされているのかどうか、ちょっと御確認をいただきたいと思います。

盛山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 速記を起こしてください。定足数を満たしたようですので。

 樽見厚生労働省医薬・生活衛生局長。

樽見政府参考人 それでは、恐縮ですけれども、まとめて御答弁をさせていただきます。

 薬局の管理者が、当該店舗の閉店時、ほかの薬局で業務ができるようにならないかという声でございます。

 その薬局の所在地の都道府県知事等が、薬局の管理者としての業務を遂行するに当たって支障を生ずるおそれがないと判断した場合に、例外的に他の薬局で従事することを認めるということになっているんですが、それの運用としまして、ことしの三月に通知を示しまして、そこで、薬局の営業時間外である夜間、休日に、当該薬局の管理者がその薬局以外の場所で地域の輪番制の調剤業務に従事する場合、あるいは、僻地において薬局の管理者の確保が困難であると認められるような場合に、当該地域に所在する薬局の営業時間外にほかの薬局に勤務する場合といったようなことを加えてお示しをしたところでございまして、薬局の管理が適切に行われるということが前提というふうに考えておりますけれども、必要な場合には、実態を踏まえて、判断基準を更に示していきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、地域連携薬局の要件でございますけれども、これは先ほどの桝屋先生の御質問のときにも考え方をいろいろ示しましたけれども、こうしたことをこれから省令で明確化していくことをできるだけ早くしたいというふうに思いますけれども、そうしたときに、地域の医療提供体制の確保を担う都道府県知事が認定をするということになっておりますので、都道府県知事の運用という観点からも、関係者の意見を伺いながら、具体的な要件を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、薬剤師の資格を持たない卒業生の方ということでございます。

 薬局の業務の中で、薬剤師の資格を持っておらない方ができる業務、あるいはやっていただける業務という言い方かもしれませんけれども、調剤補助業務というふうに言っています。調剤補助業務については、ことしの四月に、薬剤師が調剤に最終的な責任を有することを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的考え方というものをお示ししたところでございますので、これに基づいてやっていただきたいというふうに考えております。

小川委員 それでは、議事録問題、それから公的行事に関する疑惑、さらなる善処をお願い申し上げまして、質疑を終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、早速質問に入っていきますが、限られた時間ですから、端的に答えていただきたいと思います。

 まず冒頭は、お配りしている資料で、健康保険組合連合会、全国健康保険協会、日本経団連、日商、それから連合、それぞれ連名で十一月八日に被用者保険関係五団体の意見として医療保険制度改革に向けた意見書を出されたようでありますが、これはもう大臣は当然受け取ってみえるんだと思いますが、これについて大臣はどのようにお考えなのか、一、二、三、四、五、これについてコメントをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

加藤国務大臣 まず、制度全体の見直しについては、これまでも申し上げておりますように、まず、二〇二五年、二〇四〇年の日本の社会を見据えた社会保障のありよう、あるいは医療のありよう、それを考える中で、給付と負担、あるいは持続可能性、こうしたことについて議論することで、国民の皆さんが引き続き安心して、やはり活動の基盤が社会保障制度でありますから、そういった観点から議論していくべきだというふうに思います。

 後期高齢者の窓口負担のあり方についても、これは既に、改革工程表において、議論するということになっております。引き続き、この工程表にのっとって丁寧な検討を行わせていただきたいというふうに思っております。

 それから、拠出金の負担等については、これは、現役並みの世帯についての拠出金の負担については、従前の制度から引っ張ってきてこうした仕組みになっているわけでありますので、限られた予算をどう使っていくのかという観点から、なかなかそういった難しい点もあるというふうに感じているところであります。

 保険者機能については、それぞれしっかりと保険者機能を発揮していただくべく、インセンティブを設けていく等の対応をしていく必要があると思います。

 医療費適正化、これはいろいろ書かれておりますけれども、中身一個一個についてはコメントいたしませんけれども、常に医療費の適正化を図るべく、また、そうしたこと全体を通じて社会保障制度を持続的なものにしていく。

 また、特に若い世代の人から見ても、今後ともこうした制度が次の世代にしっかりと継承されていく、こういった努力をしていくことは当然必要だというふうに思っております。

岡本(充)委員 雄弁に語られたところと、ある意味コメントを踏み込まなかったところと、二つあったと思います。

 一点目の、後期高齢者の窓口負担について原則二割とする方向で見直すべきであるという考え方について大臣はどう考えるのかということ。

 それから、二点目の、この拠出金の負担増が生じないように財政支援等の負担軽減措置が必要であるという意見について大臣はどう考えるのかということ。

 それから、医療費適正化の中でも、私は二点ちょっと関心があります。一つは、いわゆる受診時定額負担という考え方、それからもう一つは、OTCなど、薬局で買える医薬品について保険の給付から外していく、こういう方向性についてどう考えるのか。

 この四点について大臣の考え方はどうなのかということをお聞かせいただけませんか。

加藤国務大臣 最初の後期高齢者の窓口負担については、先ほど答弁をさせていただいたというふうに認識を……(岡本(充)委員「前向きなんですか」と呼ぶ)ですから、前向きということではなくて、しっかりとそこは議論をしていただきたい。

 さまざまな議論があります、これについては。ですから、私は、今、そうした皆さんの意見を聞きながら最終的には判断をするという立場であって、あくまでも聞かせていただくという立場です、今は。

 ただ、最終的に結論を出して法案を出せば、当然それは私どもに説明責任が生じるわけでありますから、まずは皆さんの御意見をしっかり聞かせていただきながら、最終的な判断をさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、現役並み所得者に係る給付費への公費投入については、これは今具体的に議論がされているわけではありませんけれども、これは、先ほど申し上げたそうした経緯、特に、老人保健制度のころからこういった経緯を持って、それが後期高齢者制度にも引き継がれてきた、こういった経緯を踏まえたものというふうに承知をしているところであります。

 それから、定額負担についても、これまでも議論をするということになっておりましたので、これについてもしっかり御議論をいただいて、その議論を踏まえて私どもとしては判断をさせていただきたい。OTCについてもそういうことであります。

岡本(充)委員 結局、意見を聞いていきたいということであるとすると、結論から言うと、大臣の考え方、これについてどういうふうな思いを持っているかということが聞けなかったのは大変残念ですね。大臣として、どういう課題を持ち、どういう問題意識を持って意見を聞いているのかということぐらいは私は答えてほしいと思いますよ。言われるのならどうぞ。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 それも最初に申し上げたんですけれども、やはり、これからどうあるべきなのか、その中で、例えば負担の公平というものをどう考えていくのか、それぞれ目指すべき方向があると思います。そういった観点にのっとって議論をしていくべきだというふうに思います。

岡本(充)委員 ですから、だからこそ、それぞれの方向性はどういうところなのか、あると思いますがじゃなくて、あるんだったら、それを答えてくださいということなんですよ。それぞれの方向性はどういうふうに考えているのか、その中で議論があるんですよ。

 だから、要するに、どうぞお好きにやってください、見ています、こういう話ではなくて、やはりこういう課題があってこういう論点があってこういう問題があるよねという中で議論を聞いていかないと、漠然と聞いているだけでは、そんなはずはないんですよ、漠然と聞いているとは思えないんです。

 したがって、そういうところを答えていただきたかったということですよ、大臣。そうじゃないと、だって、さっきの答弁では、答弁してもらっても、申しわけないですけれども、それはそのとおりですとしか言いようがない。やはり、きちっと前向きに、何が議論の論点なのか、どこに着目していくのか、こういうことを示すべきではないでしょうかね。

 じゃ、続いて、きょうは文科省に来ていただいています。順番をちょっと変えますけれども、前回も聞きまして、前回資料としてお配りして、きょうは配っていませんけれども、大変多くの製薬メーカーからの報酬を得ている大学の教授がいたという事実をこの委員会で明らかにしました。それを受けてということもあるのかもしれませんが、それ以前からもあったんでしょうけれども、七ページ目にありますように、大学がいろいろと倫理規程や兼業の取扱いについて定めるようにしてきたようであります。

 問題意識は二つぐらいあるんですが、一つは、文科省に聞くべき話は、本務に影響していないのかということであります。

 二百回講演をしていて、本当にどうなのかと聞いてみたら、調べたところでは、年に数回授業を行い、そして、週に一回の外来といろいろな回診等を行っている、こういう答弁をされた大学教授もいらっしゃったと聞いておりますが、二百回も講演に行っておいて、年間数こまの学生への授業と、それから週に一回の自分の大学病院の外来というのでは、しかも、自分の給料よりも倍ぐらいの給料を製薬メーカーからもらっているということだと、どっちが本当の仕事かわからなくなってくるんじゃないか、こういう思いを持っているわけです。

 本務に影響があったのではないかと強く疑って大分詳細を調査をしましたが、きのうも大分議論しました。私はかなり本務に支障があったのではないかということを思っておるわけでありますけれども、こうした状況を踏まえながら、国立大学は、今お示しをしているように、実は、皆さんにお配りをしている資料のA、Bは国立大学です。Cは私立大学です。Cだと、これから先、大変大きなコンサルタント料も受けられます。AもBも実は受けられるんですね。

 例えば、一回当たりの講演の料金は規程のとおりにしたとしても、包括でコンサル契約を結んで、一年間一千万、年間百回の講演をしてください、こういう話をすることももちろん可能になってくるわけでありまして、やはり、総額でのあり方、また、コンサル契約の中身についても踏み込んで兼業規程や倫理規程を定める必要があると私は思っています。

 そういうことを踏まえて、まだこれでも不十分だという意識を私は持ちながら、なおもう一つ大きなポイントとしては、私立大学にもどのようにしてこうした考え方を導入してもらうのか。大きな課題だと思いますが、文科省から、私の今話をした本務に影響があったのではないかという指摘を踏まえつつ、こうした規程のあり方についてどうされるのか、お答えいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 こういった製薬企業等からの謝金受取の活動に関しましては、大学病院の本務に支障が生じる場合があるのではないかという指摘もあることは承知をしております。

 医師が行う講演等の活動については、各大学病院において、それぞれの兼業規程に基づき、本務に支障がないことなどを判断しているものでございますけれども、大学病院において教育、研究、診療の使命が十分に果たされ、社会的信頼が損なわれることがないことが重要であると認識しております。

 このため、兼業規程や倫理規程は各大学が定めるものでございますけれども、文部科学省といたしましては、大学病院が社会的信頼を確保するために、各大学における規程の整備が図られるよう、謝金の受取上限額等を規定している各大学の事例を紹介するなど、御指摘のあったコンサルティング料の取扱いなども含めて、全国医学部長病院長会議などの関係団体における議論を促してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 議論を促していっても、もう私はこの委員会でもいろいろなところでもやってきたんです。無給医の問題も長くやってきました。それから、タスクシフティングという今格好いい名前がつきましたけれども、昔はそんな名前はなかったですけれども、これも、十年以上この問題をやって、いっときは文科省から、全て静脈注射は看護師がやるようになりました、無給医はいません、こう答弁をもらっておきながら、結局、ふたをあけてみたらやはりいた、そして、結局はタスクシフティングもなされていなかったという実態があったわけです。

 大学の独自性に任せるんだという話になっていくと、こうしたこれまでの無給医の問題やタスクシフティングの問題と同様に、一部の大学はやることをやらない、本来の方向性、多くの大学はそれに従っても、やらないといってそのままにしておく大学を残してしまったのでは、余りにもそこは頑張った大学がかわいそうだと私は思います。そういう意味で、今の姿勢だけではなくて、もっと踏み込まなきゃいけない。

 そういう意味で、これまでの反省を踏まえてぜひ取組を工夫してもらいたいんです。どうですか。

森政府参考人 先週の当委員会におきまして、私どもの佐々木文部科学大臣政務官からも御答弁したところでございますけれども、こういった規程については各大学が定めるものでございますけれども、文部科学省としては、全国医学部長病院長会議などの関係団体の議論、こういったものをしっかりと促していきたいというふうに思ってございます。

岡本(充)委員 同じところを読んでいるんですよ。

 ちょっと、聞いてくださいよ。これまでのタスクシフティングの話や無給医の問題では、国会答弁は結局間違っていたんでしょう。それは認めたわけですよね。私の指摘を踏まえて更に研究しなければ同じことになりますよと言っているんです。同じやり方ではだめなんだから、今すぐ答弁できないかもしれないけれども、やり方を含めて工夫をしてくださいと言っているんです。私の指摘を踏まえてやるんですか、どうですか。

森政府参考人 これにつきましては、既に取り組んでいる大学等もございますので、そういった例を使いながら私どもとして取組を進めたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 かみ合っていないです。

 私の指摘を踏まえて、これまで失敗したわけですよ、実際できなかったわけでしょう、できないことがあったことを認めたじゃないですか。それをちゃんと踏まえてやらなければ、同じことの答弁を言っているんですよ、やった大学とやらない大学の差ができるだけですよ。

 これまでの私の指摘、それから答弁の反省を踏まえて対応をとるべきだと言っているんです。そういう対応をとらせてもらいます、そう答弁してくださいよ。

森政府参考人 これらについても、各大学で取り組んでいただくことでございますけれども、これは国公私立大学を通じて変わらないことでございますので、その点について私どもとして取り組んでいきたいというふうに思っています。(岡本(充)委員「私の指摘を踏まえてやってくださるんですね」と呼ぶ)当然、これまでも委員会でもさまざま御議論いただいていることでございますので、そういった国会での御議論を踏まえて取り組んでまいります。

岡本(充)委員 ぜひ、頑張った大学だけがばかを見るようなことはしないでいただきたいと思います。

 もう一つの論点は、これが本当に治療方針をゆがめていないかということを非常に気にしています。これは厚労省に聞くべき話であろうかと思いますけれども、ガイドラインをつくっている先生にかなりこうしたお金が流れている。

 例えば、私が調べたところ、二〇一八年の肺がんの診療ガイドライン二〇一八版、作成委員は百四十五人いたけれども、百十二人にこうした肺がんの治療薬のメーカーからお金が流れている。それから、胃がんのガイドラインは、十八人の委員のうち十八人とも受け取っている。それから、二〇一九年の大腸がんのガイドラインは、二十五人のうち二十一人が受け取っています。

 これで特に問題がないんだと言うのかもしれませんが、日本医学会は既に、COI、いわゆる利益相反の管理ガイドラインというのをつくっていまして、一社五十万円以上のお金を製薬メーカーから受け取っていたら自己申告する、こういう話になっています。これに基づいて本当にやっているのか、大変気になります。

 例えば、今回の指摘をした委員の中でも、二百件近い講演をしていた方の中には、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン二〇一五、この査読者になっていた方がいます。この方は、日本老年精神医学会のクレジットで一旦査読者の名前に登録していたんですが、実際の本が出版されるときには、その方は、教授でなく、同じ研究室の准教授に名前を変えています。しかし、准教授に名前を変えているけれども、実質的に自分の部下ですよ。一社から一千万円近いお金を何年にもわたって受け取っていて、そして高齢者の認知症の治療薬の承認にもかかわり、そしてなおかつガイドラインでそれを推奨する。これで、一方で一千万円近いお金をもらっているということがあっては、これはディオバン事件の二の舞になるのではないかという危惧も持たざるを得ないわけです。

 そういう意味で、私は、誇大広告の問題にこの後触れますけれども、こうしたいわゆるガイドライン作成において、一社から多額のお金をもらっているような方がいる、それも九百万円を超えるようなお金をもらっているような方がいるというのであれば、やはりそれについては問題意識を持つべきだ、こう思うわけでありますが、大臣、お考えを聞きたいと思います。

加藤国務大臣 ちょっと私が混濁しているかもしれないんですが、委員がおっしゃったガイドラインは二つあって、治療のガイドラインと、それから資金提供に関して業界が自主的に決めているガイドラインというのがありますよね。どちらのことをどう言っておられるのか、ちょっと済みません。

岡本(充)委員 資金提供のあり方ですよ。

 結局、資金提供のあり方について私は問うているんだけれども、治療のガイドラインをつくる方が多額のお金をもらっていて、そして、そのお金をもらっていることを伏せたままいろいろな場所で推奨し、この治療薬がいいですよと言っている。それを見て、医師が、この薬だということで、そのガイドラインにのっとり治療するということが果たしていいのかという問題意識を持っているというところまではいいですか。

 それを踏まえた上で、私は、こうしたガイドライン作成に当たる医師が製薬メーカーからの多額の報酬を受け取ることについて問題意識を持っているわけでありまして、これについて、やはり厚生労働省として適正な指導をしていくべきではないか、こう言っているわけです。

加藤国務大臣 今おっしゃられたのは、治療ガイドライン。治療ガイドラインというのは各学会でおつくりになっているというふうに私は認識をしておりまして、厚生労働省において具体的につくっているわけではない。したがって、それは、それぞれ学会において、今おっしゃったような懸念を含めて御対応いただくべきものだというふうに思います。

岡本(充)委員 対応いただくべきものですよ。ただ、それが最終的に医薬品の選択に資するものになっているわけですから、それが誇大広告かどうかはもちろんその時点ではわからないかもしれないけれども、将来的に本当にそれが正しかったのかというのは後でまた検証されるときも来るでしょう。そういう中において、今のような多額の報酬をもらっているという状況について、あらかじめきちっとやはり公表する仕組みなどをつくっていくべきじゃないか。既に日本医学会などはそういうようなガイドラインをつくっているわけです。

 そういう意味で、厚生労働省としても、適正なガイドライン作成がなされていくように、きちっと私はそれについて目配りをしていく必要があるんじゃないかと言っているわけですから、大臣の考え方がそれに同意をしていただけるかどうか、そこしかないです。直接指導する権限があるわけではないので、その考え方に同意していただけるかどうかを聞いています。

加藤国務大臣 ですから、先ほど、それぞれお決めになる学会において、そういった今委員御指摘の懸念も含めて適正に対処されるべきものだというのを先ほど申し上げた。それに尽きるというふうに思います。

岡本(充)委員 それとあわせて、もう一つ、今大臣が混同されたと言われた製薬協が独自に決めているルールですね、独自に決めているんだからと言いますけれども、これはなかなか、大変調査が難しかったです。正直言って大変でした。

 結局、当初はプリントアウトもできなかった。画面には出るけれども、プリントアウトできないんです。なおかつ、一年で消えちゃう。したがって、ことし大学が公表しているデータと、そして去年のデータ、これを比較するというようなことになると、年度が違うから、結局それが正しく公表されているかもわからない。

 何が言いたいかというと、公表の仕方について、もう少しきちっと本来の趣旨にのっとって、そうしたデータを見る人たちにわかりやすい仕組みにしていく。例えばPDFで統一をするとかエクセルで統一をするとか、こういったことをやっていかなければ、こうした資料を公表しても、世の中でどういう人がどういう資金提供を受けているかがわからないわけですから。私は、プリントアウトもできないというのはもってのほかだと思いますよ。

 しかし、こうしたことの取組を促していけるのは私は厚生労働省だと思いますから、大臣、ぜひ促していただきたい。

加藤国務大臣 いよいよこれから臨床研究法に基づく公表が行われるわけでありまして、二〇一九年十月以降、順次行われるんだろうというふうに思うわけでありますけれども、それと並行して、今委員御指摘がありました業界団体の自主的なガイドライン、これは二〇一一年に策定されて、逐次、二〇一八年に改定をされました。その際に、今回の臨床研究法に基づく情報公表を踏まえて、今委員御指摘の印刷禁止の設定等々については、これは外すということが対応されたというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 それはもう対応されたんです。更に対応するべきじゃないか。だから、PDFで統一するなりエクセルで統一するなりすることによって、さまざまな製薬メーカーからどういうふうな資金の流れがあるかというのを研究者等が調査できるわけですよ。

 したがって、こうした調べる側からも見やすいように更に促していくべきではないですかと言っているんです。過去の事実を聞いているわけじゃないです。

加藤国務大臣 済みません、現状がどうなっているか私自身把握しておりませんから、今委員の御指摘を踏まえて、やはりこれは、公表するというのは、単に出せばいいということではなくて、みんなに見てもらう、透明性を高めるということでありますから、そういった観点から、ただ、原則として委員御指摘のように自主的なガイドラインでありますから、そこに対する限度はありますけれども、今申し上げた趣旨に沿ってどう対応されるべきなのか、そのために、少し、それぞれ今どういう実態になっているのか、まずは検証させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひ公表の趣旨にのっとっていただきたいと思います。

 じゃ、ちょっと話題をかえまして、医薬分業の効果について大分きのう議論しました。費用は一体どのくらいかかっているんでしょうか。医薬分業が進められてからこの間、費用というのは結局積算できましたでしょうか。どのくらい費用がふえたんでしょうか。

樽見政府参考人 恐縮でございます、医薬分業のメリットに関するデータということでいわば宿題をいただいたというふうに認識しておりましたので、費用に関しての数字を、今、恐縮でございます、持ち合わせておりませんけれども、医薬分業のメリットに関するデータということで……(岡本(充)委員「いいよ。じゃ、次に行きます」と呼ぶ)恐縮でございます。

岡本(充)委員 きのう、ちゃんと言ったんです、コスト・ベネフィットを比較しますよと。ベネフィットも聞くけれども、まずコストですよと。これだけコストがかかって、どういうベネフィットが得られたのか。

 恐らく、私は、コストは計算できないと思うから、できないのなら計算できないで結構です、こういうふうにきのうちゃんと通告したんです。できないならできないで結構です、ただ、できるのならやってみてください、こういうふうに言っていますから、ぜひそれはもう一度改めてお知らせをいただきたいと思います。

 その上で、コストは幾らか、ベネフィットは何なのか。つらつらといただいた文書を読みました。三ページ目です。医師と薬剤師が相互に専門性を発揮する。大変、読むとそうかなと思うかもしれませんが。

 そもそも、本当に疑義照会だってふえているのか。疑義照会のパーセンテージは書いているけれども、パーセンテージとしてふえていない。そして、疑義照会の中身は、薬が残っちゃったから日数調整をお願いしますというのが多いわけですね。本当の意味での副作用、若しくはさまざまな意味での禁忌や慎重投与を調整をしていく、そういう役割を担っているのかどうかという、そうした根拠もなかなか乏しいと思いますし、多分、局長の答弁だと、厚生労働省からいただいて今私の配付資料にしている資料を読み上げられるだけだと思いますから、それではだめなんじゃないかということを、もう随分やったんです。

 局長、それだけ分厚い資料をお持ちなわけですね。私の答弁のためにこれだけつくられているということは、相当私ときのうやったことがわかるんです。局長、それは五センチぐらいありますか。かなり分厚い資料をお持ちです。かなりやったんです。

 だから、表向きの話をされても、きのう随分これはやりました。結論から言うと、厳密な意味でのベネフィットはやはり検証できていないということに私は至ったと思っています、きのうの議論で。したがって、ここでもう一度、そういう表向きの話ではなくて、本当にどれだけのコストがかかって、どういうベネフィットがあったかをもう一度検証していく必要があるんじゃないかという指摘をしたいわけです。

 それについて、ぜひ検証していくという方向で、局長、答弁いただけませんか。

樽見政府参考人 恐縮でございます、一・五センチぐらいの資料でございますが、御指摘のような、まさにコストの見方、あるいはベネフィットの見方、それを数字でどういうふうに見るかということについて、なかなか難しい面があるということは率直に申し上げないといけませんけれども、問題意識については理解をいたしましたので、そういうことを含めてちょっと勉強してみたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いしたいと思います。簡潔な答弁でよかったです。きのう二時間ぐらいこれをやっておいて、短い答弁で、きちっとやっていただくということは重要ですから。

 じゃ、続いて、順番が前後しますけれども、医薬品の在庫について。これだけちょっと聞いておきたいんです、どうしても。

 調剤薬局の医薬品の在庫がなかなか調整がつかない。前回もちょっと聞きました。先進事例が福岡市だという話もきのう伺いました。しかし、私が気にしているのは、これはなかなか全国に広がっていない。今や一箱数千万という医薬品も出てきたと聞いておりますから、残ってしまったら調剤薬局は大変な損害が発生するわけであります。

 こうした一旦開封をしてしまったけれども残薬が出た場合の調整の仕組みをきちっと全国に均てん化させるべきだと思いますが、これについて御答弁いただけますか。

樽見政府参考人 これにつきましても、前回、宿題で賜ったところでございます。

 一週間の間で調べまして、こういうデータがありました。平成三十年十月の医薬品の備蓄の例えば品目ということでありますと、地域で薬局の間で融通をする仕組みがあるというふうに言っている薬局でございますと、そういう環境があるというところとないというところで、実は、備蓄している品目というのは余り変わらないんですけれども、廃棄額、一カ月分の医薬品の無駄になって捨てているという金額は、融通しやすい環境のある薬局というものは一万七千七百五十八円という平均値ですけれども、そういう環境がない地域だというふうに自分で答えている薬局は廃棄の平均値が二万一千六百九十八円だということで、廃棄額が明らかに多いのですね。そういう意味で、薬局間で在庫を融通するというようなことによって、廃棄を減らす、それから、迅速な医薬品確保の体制の構築が可能になるということだろうと思います。

 まさに、そういうことをやっている地域、そうでない地域がありますので、そういう取組事例などについて、まず各地域の医薬関係者と共有するということを進めまして、各地域における取組を促していきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 本当にこれはやってあげないと、小さな薬局は、高額な、今のように一万、二万の話じゃないときには大泣きしているわけですから。本当にそうですよ。大きなチェーン店はいいですよ。大臣、それはもう問題意識はわかっていただけていると思いますから、これはぜひ仕組みを考えていただいて、全国に均てん化してもらわなければいけないと思います。

 では、続いて、私の資料の六ページ目、薬剤師の専門性をどう担保していくかということについて聞きたいと思います。

 薬剤師の専門性は、ここで見てみると、意外な話なんですが、妊婦・授乳婦専門薬剤師は、二〇一五年十月で九人、二〇一六年も九人、二〇一七年も九人、二〇一八年の十月一日になって十二人。この四年間で、結局、九、九、九、十二、全国でですよ。一方で、HIV感染症専門薬剤師は全国で二十六人。これでも少ないと思いますが、HIVの専門薬剤師よりも妊婦の専門薬剤師の方が少ないというこの現実ですね。

 学会がこれは独自にやることだ、また大臣に聞くとそう答弁をされるのかもしれませんが、それは学会が取り組んでいることだから厚生労働省としてという答弁ではなくて、この問題意識を共有してもらえるのであれば、さっきと同じです、どういう対策がとり得るのか。やはり、病棟に薬剤師を配置するということを今推進をしてきているし、薬剤師もかなりの数が卒業してふえてきている。その中でどういう専門性を高めていくのか。

 専門医のあり方についても大分私はここでやったことがありますけれども、それともあわさってきますが、専門性の高い薬剤師をどう育成をし、そしてそれをどう診療報酬などで評価をしていくかということを考えていかなければ、これは進まないんじゃないかと思います、このままでは。これについて、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 まず、薬剤師が、まさに地域における医療ニーズに対応して役割を発揮をしていただく。単に薬剤師の免許を取ったらそれで終わりということではなくて、その後も自己研さんに努め、専門性を高めていただくことが必要でありますし、今、委員、個々の分野をお話しになりましたけれども、それぞれの分野において一定の専門薬剤師等が認定を取得しているというふうに承知をしております。

 今回の改正でも、こうした専門医療機関連携薬局というのを認定することにしておりまして、この薬局には高い専門性を有した薬剤師を配置することが必要で、その専門性の判断に際して学会等の認定制度を活用しているところでありまして、まさに、こうした専門医療機関連携薬局を普及していくためには専門薬剤師等がこれ以上に必要になっていく。

 今回の法改正を契機に、学会等とよく連携をしながら、高い専門性を有する薬剤師の育成支援、例えば、研修で活用できる研修プログラムを開発していくとか、あるいは、今回の専門薬剤師等の普及啓発による専門薬剤師等の取得を促すような広報、啓発、そういったことも含めて、国としてできる支援はしっかりやっていきたいと考えています。

岡本(充)委員 そのできる支援の中に診療報酬での評価は入りますか。

樽見政府参考人 薬局、薬剤師制度を所管している私どもの方としては、適切な診療報酬上の評価ということについて、中医協におけるこれからの議論という中で、必要に応じてお願いをしていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 浜谷さんが答えるべきじゃないんですか。診療報酬に含まれますかと聞いているんですから。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 医薬局とも相談しながら、必要性等について、必要に応じ中医協で検討してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 必要性は今感じてもらえたんじゃないですか。こんなに少ないんですよ。全国で九人しかいないんですよ。一定数いると大臣は言いましたけれども、これは一定数いるとは言いませんよ、九人しかいなかったら、全国で。これは一定数いないんですよ。

 だから、やはりどうやってふやしていくか、診療報酬上の評価もしていく必要があるということについて私はここは指摘をさせていただきましたから、もちろんここで決める話ではありませんから、ぜひ努力していただきたいと思います。

 最後に、いわゆる医薬品の先駆け審査制度について少し聞きたいんですが、そもそも、治験の責任医師の名前、それから治験の施設というのは公表ではないんですか。これについてちょっと確認をしたいと思います。

樽見政府参考人 治験の実施状況につきましては、治験の透明性を確保するということを目的としまして、国内にある複数のデータベースのいずれかに登録を行って公開するということを、通知でございますけれども、お願いをしているということでございます。

 そのデータベースの登録、臨床試験情報登録センターというところのデータベースに登録していただいて、そうしますと、国立保健医療科学院の臨床研究情報ポータルサイトというところから検索ができるということになるわけでございます。

 この登録に関して、治験を実施している医療機関と医師に関する情報の登録というのは必須にしているわけではないんですが、掲載できるということになっていて、それで掲載している。ただ、臨床研究法上の特定臨床研究については、御存じのとおり、医療機関及び医師に関する情報を公表することが義務化をされているということでございます。

岡本(充)委員 なぜ治験は義務化をしないんですか。

樽見政府参考人 この臨床研究法上の扱い等も踏まえながら検討させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 何で公開の対象になっていないかという理由を聞いているんです、現時点で。これは公開するべきでしょう、いつ、どこで、誰がやっているのか。

樽見政府参考人 率直に申し上げまして、今まで、情報の公開、登録ということについて、任意の仕組みでやってきたということでございまして、そういう点について、あるいはその認識が十分でなかったということかもしれませんけれども、こういうルールでやってきたということでございますので、おっしゃるとおり、臨床研究法の方の対応は進歩してございますので、そういうことを踏まえまして、治験の場合の対応についてこれから検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 結局、理由は答えていないんですね。ただ、ちゃんと対応してください。お願いします。

盛山委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日、私は子宮頸がん関係の質疑をさせていただきますが、まずもって、冒頭、今回の法案改正、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律の一部を改正する法律案となっておりますが、非常に多岐にわたる内容が一緒くたに審議をされる、いつもの形。この医薬品、医療機器の安全性、そして早期承認に伴うさまざまなリスク評価だけをとっても私は十分な審議時間が必要と思いますが、薬剤、薬剤師、あるいは地域の薬局のあり方等も一緒になって論議ということで、このような法案の提出の仕方というのはぜひ厚生労働省として考えていただきたい。本当に、深い、中身のある審議ができなくなってまいりますので、これを冒頭指摘させていただきます。

 そして、その上で、であるにもかかわらず、先ほど我が立憲民主党の小川理事が桜の会のことを質疑させていただきましたが、そうした問題をもここで質疑しなければならないような国会運営というのはやはりおかしいと思います。しっかりと、国会をもっと審議の闊達な場として、国民からの疑義を晴らすように、これは、加藤大臣も政府の重要なメンバーと思いますから、本日の質疑を踏まえてお伝えをいただきたいと思います。

 私たちとて、ここで、この医薬品の審議の中でそれをやりたいわけではさらさらありません。本当に充実した審議を求めるものですので、これもあわせて加藤大臣にお願いをしておきます。

 さて、私が、この法案の重要性、すなわち重い法案だと認識するに至っている背景、これは皆さんも同じと思いますが、実は我が国では、一九六〇年代初頭にサリドマイド問題、そして七〇年にはスモン、相次ぐ二大薬害問題ですが、これらを受けて一九七九年にいわゆる薬事法の改正が行われまして、その中で初めて、医薬品の有効性、安全性を確認するための法改正ということをいたしました。それまでは通達でございました。安全性と有効性を確認するための法改正というものが行われてから、逆に言うと四十年がたっておる中であります。

 この法改正、一九七九年におけるものは非常に骨格的な法改正でございまして、例えば、新医薬品については再審査制度を導入する、あるいは副反応についてきちんと報告義務を課す、並びに通常の医薬品は再評価をするなど、これら全て、安全性ということをどう見るかということに深くかかわる改正でありました。

 そして、この改正にもかかわりませずと申しましては変ですが、今厚生労働省の前に薬害の碑というものがあって、これができたのが一九九九年、この七九年の改正から二十年たったところで薬害の碑ができておりますが、その間にエイズも含めたさまざまな問題が認識され、どうやったら薬害を根絶できるかということであの碑が建って、更に二十年たったところで今日の法案審議があるわけです。

 すなわち、医薬品、医療機器には、特に医薬品の場合、効果と安全性というもろ刃の剣が常にあって、これを、例えば時代の進歩、どんどん創薬がつくられる、そして世界に伍していかなければならない、あるいは患者さんへのメリットを早く伝えたいの中で、どのように安全性を図りながらやっていくのかということかと思います。

 その一例として、私は、子宮頸がんワクチンを取り上げたいと思います。

 実は、子宮頸がんワクチンは二〇〇七年九月二十六日に承認申請が出されておりまして、二〇〇九年十月十六日に承認ということで、その十二月から販売開始をされました。

 しかし、このワクチンは、日本初ということが二つも重なるワクチンでありました。一つは、新規に、アジュバント成分といって、ワクチンの効果を高めるためのアジュバントを加えた。これが新規アジュバント成分。そして、もう一つは、昆虫細胞、昆虫です、虫の細胞をたんぱく質の発現細胞とする本邦初の遺伝子組み換えワクチンであったという意味で、これは二つ、大きな新しい出来事でありました。

 新しいからするなというのではなく、新しいことに伴うフォローアップ体制がどうかということで、私は質問を、まず一問目をしたいと思います。

 このワクチンの承認に当たっては、実は、いろいろな審議の過程で、このアジュバントが自己免疫、体の中の免疫を大きく動かすからそれのフォローアップが必要であるという一点、強く指摘されております。そこで、承認されて以降、市場追跡調査というものを八年以内に行いなさいということも付加されておりました。その市場追跡調査は二〇〇九年に開始されまして、二〇一七年十月十五日に終了して、そこから再審査ということでPMDAに上がってございます。

 実は、子宮頸がんワクチンは本当に社会的にいろいろな不安そして賛否の声を呼んでおりますが、このいわゆる市場追跡調査の結果は出たのでしょうか。それは今国民と共有できるものであるのかについて、事務方で結構ですので、お願いいたします。

樽見政府参考人 サーバリックスでございますけれども、被接種者千例、登録期間二年の使用成績調査を実施することというふうにされているわけでございます。

 それで、御指摘のとおり、医薬品再審査期間が終了した後、三カ月以内に再審査の申請を行うことというふうにされておりまして、サーバリックスは、八年たちまして、再審査申請の期限が平成三十年一月ということでございましたので、これまでの期間ということで再申請をいただいたものについて、PMDA、医薬品医療機器総合機構において審査を行っているところでございます。

 審査が終了し次第、薬事・食品衛生審議会に報告した上で、再審査報告書というものについて公開をするということにいたしたいと考えております。

阿部委員 八年間の間にやりなさい、そのうちの二年間で千例やりなさい、こういうプログラムがあるわけですね。ここまで、八年ぎりぎりまでそれを報告がされていない。申請されても、一年以上PMDAの審査にかかっている。私は、これだけ社会的な事案となったものについて、こういう対応でいいんだろうかと。まず、本当にこれからどんどん新薬が出ていって、そこに市場調査といって、売り出されて後のいろいろな調査をかけるときにこんなに悠長なことをしていては、その都度やはり問題が広がっていくと思います。

 なぜ、かくも遅いのか。これは大臣にお願いいたします。

 私は、これは平成二十五年に定期接種になって二カ月で中止をされた案件であります。そうであるならば、その副反応の広がりあるいは不安について、やはり販売元、そして承認したPMDAにそれなりの社会的責任があろうかと思います。

 なぜ、かくも遅いのか。八年ぎりぎりまで踏ん張って引き延ばして、報告もしない。それから、上がっても、一年以上PMDAの結果が出ない。これからもこのようなことが起こるのであれば、当然、次の早期承認とか先駆的薬剤とか、同じことが起こると思います。もっと販売後のフォローアップ体制をきちんと迅速化して、厚労省もPMDAもチェックしていく姿勢を示していただきたいが、いかがでしょう。

 大臣にお願いします。私は、抽象的というか、細かなことを聞いているのではないです。大臣の姿勢を問うています。こんなに遅いことが私は不思議でなりません。ぎりぎりまでなぜ引っ張るんですか、不安の中。

盛山委員長 樽見局長がまず答弁をして、そして厚生労働大臣に答弁してもらいます。

樽見政府参考人 事実をまず私から申し上げます。

 サーバリックスの再審査、まさに、国内外の市販後の安全性情報を含めたさまざまな科学的知見を踏まえて慎重に審査を行っているということで、時間を要しております。

 時間を要しているということは残念ながら事実でございますが、ただ、事実として、再審査結果が得られる前であっても、国内外で得られた安全性情報というものに基づきまして、例えば、平成二十二年二月に添付文書で重要な基本的事項というところに失神という項目を追加する、あるいは、二十三年十二月には感覚鈍麻という副反応があるということを追記する、二十四年七月に四肢痛あるいは全身脱力の副反応を追記するといったような、その後、二十五年にも二つやっておりますけれども、そうした添付文書改訂といった安全対策上必要な措置というものは、この八年間やっていないわけではなくて、随時情報に基づいてやっているということは申し上げさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど局長が答弁させていただいたように、再審査期間あるいは再審査期間が八年というのはそれぞれ制度として決まっている中でありまして、今、制度を場合によっては弾力的に変えるべきじゃないか、こういう御指摘なんでしょうか。(阿部委員「そうです。というか、もっと早くやる」と呼ぶ)済みません、そこは、ということであれば、またそれはそれとして、こうした制度というのは、常に精査をしていくというか、検討していく必要があるんだろうと思います。

 ただ、PMDAにおける審査が長いか短いかというのは、なかなか一義的にちょっと判断し得ないんじゃないかなというふうに我々は思いますけれども。

阿部委員 私がかかる提案をいたしましたのは、もちろん、制度的に八年でということは知っています。でも、これだけ社会問題化していて、調査しなきゃいけない期間は二年なわけです。八年のうちの二年なわけです。もっと前倒しもできるだろうという指摘であります。これは国民が抱く不安に対してです。そして、今、添付文書に追記したと。そんなことは当然であります。何が起こるのかが追記されなければ、患者さんも不安が募る。

 ところが、ワクチンの副反応被害ということについて、私がきのうも現場の担当者に聞きましたが、そもそも、どんな被害が挙がっておるか、その被害が他のワクチンと比較して多いのか少ないのか、これをどう把握しておるのだと伺いました。そういたしましたところ、ちなみに、PMDAでは副反応のことを広く救済するというので取り組んでおりますが、特に重く障害認定された、あるいは死亡事案があった、それを何例と心得ていて、それが他の薬品と比べて多いか少ないかをお伺いいたしましたが、大臣にお答えをいただきたい。多いか少ないかなんです。

 私は、今おっしゃったように、子宮頸がんワクチンはいろいろな、多彩な副反応を惹起いたしております。それは一応、因果関係は完全にはわかりません。しかし、そこに集められてPMDAがこれを障害認定したり。死亡例は幸いないです。障害認定の数の多さを伺っております。もしあれでしたら、お願いします。

樽見政府参考人 HPVワクチンの接種後に症状を生じた方々の副反応の数ということでございます。

 それぞれの症状とワクチンとの因果関係というのはなかなか明らかでないところがありますので、一概にお答えすることは難しいんですけれども、症状を生じた方々を幅広く対象として施策を講じておりますので、その対象となった方々の人数をお答え申し上げますると、医師や製薬企業からの副反応疑い報告の件数、それは、販売開始の平成二十一年十二月からことし平成三十一年四月末までの件数ということでいいますと、三千百八十七件というふうになっております。

 それから、被害救済に係る給付の件数ということで申しますと、販売開始から平成三十年度までの間に、医薬品医療機器総合機構法に基づく健康被害の救済給付が三百四十件、予防接種法に基づきます健康被害の救済給付が二十八件というふうになっているということでございます。

 これがほかのワクチンに比べて多いのか少ないのかということになりますると、先生御指摘のように、救済の仕組みというところも、厳密に医学的な因果関係までは必要とせず、否定できない場合というものを対象とするという考え方でやっているということが一つ。それから、そもそも、ほかの接種を受けた人が何人いらっしゃるのかという、割合を見るときの分母、そうしたところについて、それを正確に把握をするということがなかなか難しいというような状況がございます。

 そういうことで、恐縮でございますけれども、他のワクチンの割合と比較をして、このHPVワクチンの副反応の発現が高いか否かということについて申し上げるということは難しいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 それは、ある種の言い逃れですね。接種した人数、三百何十万人という、一応推定ですよ、ワクチンの出荷数から推定するんですから。その数に対して明らかに、広く救済するという理念はどの薬剤でも一緒です、どれでも一緒です。子宮頸がんワクチンだけ広く救済しているわけではないです。その中で考えても頻度が高い。

 二ページ目にお示ししたのは、今この件で訴訟が起きておりますので、その訴訟弁護団の作成の資料で、百万人当たりのいわゆる障害認定数は十二・六と、他のワクチンと比べて一桁も多いという。いろいろな集計がありますから、必ずしもこれが全てという形ではありませんが、一つの切り口だと思います。

 そして、私は、今のような答弁はすごく今後のワクチン行政にマイナスだと思います。何人に打ったかわからない、そして、副反応が多いかどうかわからない。そんな、わからないものだらけの中で、これからも子供たちにワクチンを打ち続ける体制などは信じられません。少なくとも、多いか少ないか、傾向くらいは把握すべきじゃないですか。何のために安全行政をやっているんですか。

 重ねてもう一点伺います。

 一体ワクチン接種から症状発現までどのくらいの時間がありますかということを、PMDAが障害認定したものでデータ化してくださいと私はお尋ねしました。どれくらい打ったかわからない、どれくらいかわからない、わからないと言うから、PMDAは少なくとも、私どもの試算だと四十三例、障害認定をしておられます。その人がワクチンを打ってから発病までどのくらいあったんですか。これは皆さんのデータの中にあるはずですよ。どうでしょう。

樽見政府参考人 救済給付に関する判定でございますけれども、一般的に、審議会におきまして、ワクチン接種後に発生した種々の症状等を専門家の方々に総合的に判断していただいて判定しているということでございまして、副反応と疑われる特定の症状との関係で厳密な発症時期の特定というところまでは行われておらないというのが実情でございます。

 また、先ほども申し上げたとおり、救済の判定につきましては、健康被害が生じた方々の迅速な救済を図るという制度の趣旨を踏まえまして、厳密な、医学的な因果関係までは必要としない、否定されないというところの考え方に基づいて判定を行っているということでございますので、発症時期というものが、では、ほかのワクチンと比べてこれが特異的なのかどうかということについても、恐縮ですが、それを申し上げることがなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 結局、多いか少ないかもわからない、どのくらいの潜在で発症するかもわからない。わからないと言っているだけなんですよ。それが、そもそも国民にどれくらい不安を与えているかですよ。

 わからない、わからないと、三回聞いてもわからないと言うから、では、皆さんのつくった資料。これは必ずしも障害が認定されたケースではないですが、平成二十七年の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン部会に出されたデータ、資料の三枚目ですよ。発病から七日間を超えて症状が継続した人のうち、接種日から発症日の期間の人数を区分で分けたものであります。

 通常、予防接種の副反応というのは、そのときに出るか、腫れるとか、二日後に熱が出るかとか、まあ、見ても一カ月くらいのものですね。でも、これをごらんになっていただくと、一カ月を超えたものが二割あるんですね。すなわち、副反応とこれまで受けとめられてきたものよりも症状の発現が遅くなるものがあるという傾向がここでも既に示されております。

 それから、厚生労働省の研究班、池田班、池田先生のデータによると三百十九・七日。三百十九・七といえば、十カ月近くだと思います。今は医師がそれを副反応と思えば登録するようにして、それら全部集めるとそのくらいになってくる。

 少なくとも、加藤大臣、PMDAの中にもっと疫学の専門官を置かれて、単に多いか少ないかもわからない、どのくらいで副反応が出てくるかもわからない、だけれども救済だけはしましょうよじゃなくて、やはり、これからどんどん事後の検証が必要になる薬剤がふえてくるんですよ。

 今でも、もちろん、PMDAには疫学の専門官はおられないわけじゃないと思います。ただ、この事案の分析すらしていないんです。本当に残念です。その部分が物すごく弱いんだと思います。認定作業をすればいいだけじゃないんです。特性を見て、どういうことが起きたのか、何が起きたのかを蓄積していかないと、ワクチンの安全行政はよくなりません。

 私の質疑の意味は、疫学の専門官の配置をもっと多くして、少なくとも今、現場担当が答えたのは、わからない、わからない、多いか少ないかもわからない、そしてどれくらい出るかもわからない、この状態を改善していただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 今PMDAに疫学の専門官が何人いるかも、済みません、私は今、手元では承知をしておりません。また、疫学の専門官によって今委員が御指摘の点が分析し切れるかについてもちょっと見通しを持っているわけではありませんので、いずれにしても、今委員の御指摘は十分承りましたので、実際PMDAがそういった中でどういう機能を果たしているのか、今どういう状況になっているのか、これについては検証してみたいと思います。

阿部委員 このワクチンがそもそも承認申請されたときに、繰り返し、長期のフォローと報告が必要だということがワクチン承認の前提になっておるんですね。ところが、今、長期のフォローとか報告はないんですよ、薬剤会社側からも、PMDA側からも。そのことが本当に社会に混乱をもたらしている。承認の前提なんですね。

 そして、ではどうすれば、その長期、年余にわたるものまでフォローしろと言われることがこれからもないわけではないでしょう。そうしたとき、今この子宮頸がんワクチンで何ができるのか。

 実は、予防接種は、これは前にも質問いたしましたが、打つときに、医療機関に残る接種票と、個票といって、自治体にも接種歴、誰にいつ何を接種したかという個票が残る仕組みになっております。

 すなわち、自治体が実は前例を把握していると言っても過言ではないのです。打った人全体を把握しているのは自治体です。さっき、何人に打ったかわからないと言いましたけれども、それは厚労省が各自治体に聞き取られればわかることです。それから、サンプル調査でどこかの自治体にお願いして、長期フォローのアンケートをとられたっていいです。まだまだ潜在した訴えがあるかもしれません。

 この点について、加藤大臣にお考えをお伺いいたします。

樽見政府参考人 医薬品につきまして、まさにこのサーバリックスも使用した後の安全性情報というのを集めるんだ、これは先生御指摘のとおりでございますが、これはまさにあらゆる薬についてしっかりと安全性情報は集めるということで取り組んでいるわけでございますので、これについて、何というんでしょうか、今の例えば条件付みたいな形の位置づけということではないということについては御理解をいただきたいと思います。

 その上で、状況をどうやって収集するかという御指摘でございますけれども、予防接種法に基づく副反応疑い報告では、医師等に対して、予防接種を受けたことによると疑われる症状を呈しているということを知ったときにはその旨を報告するということを義務づけているところでございますけれども、HPVワクチン接種後に生じた症状について収集することは重要であるという考え方から、この制度の中で、特に、HPVワクチンについては、具体的な症状名が定まらない場合でも疼痛、運動障害等の症状があったときは報告すること、それから、これらの症状について既に治療が終わっている場合も報告することによって、副反応疑い報告が確実に行われるように、現場の医師の皆さんに対して改めて要請を行ったところでございます。

 そういう意味で、こうした仕組みによって副反応が疑われる症状をできる限り多く収集するということを目指して取り組んでいるところでございますので、こうしたデータに基づきまして、専門家の審議会におきまして科学的知見に基づく評価というものを行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 一般薬剤でも安全性が大事だなんというのは当然ですよ。繰り返すまでもありません。

 ただ、あなた方も、このワクチンを承認するときに、添付文書等含めてワクチンの承認過程の中にも、繰り返し、これが自己免疫系統に働きかけるんだから長期のフォローが必要であるということを述べているんですよ。なぜ一般化しますか。

 私は、薬剤特性を踏まえて質疑をしているんです。それが達成されないから、今、多くの少女たちが示す症状はやはり免疫系統が関係していると、私たち多くの臨床医が思っているものであります。それがいかに収集され、そしてもちろん治療法も含めて確立していくか、それ抜きにはワクチンの接種は進められないんです。

 重ねて伺いますが、診療体制はどうですか。厚生労働省が指定した医療機関をこの不安を持った患者さんたちがちゃんと受診できているか。いかがですか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 HPVワクチン接種後に症状が生じた方々に対しては、平成二十七年九月にHPVワクチン接種後に生じた症状に対する当面の対応というのを審議会の方で整理させていただいておりまして、それに基づき、医療面の支援も含めたさまざまな支援の充実に取り組んでいます。

 具体的な取組の一つとして、これらの方々に対し、より身近な地域において適切な診療を提供するために、平成二十七年十一月以降、各都道府県に一カ所以上の協力医療機関、現時点、ことしの六月時点では八十五の医療機関になりますが、を選定し、厚生労働省ホームページ等で公表しており、地域における診療体制の中核的な役割を担っていただいております。

 また、接種後の症状に不安のある方が安心して医療を受けられるように、協力医療機関における医師等に対する研修というものも二十八年度から毎年実施しておりまして、診療内容の向上を図ることで、受診される方の訴えの内容にかかわらず、適切な診療がなされるように支援しているところでございます。

 こうした取組によりまして、協力医療機関はワクチン接種後に症状が生じた方々に対する医療面の支援において重要な役割を果たしていただいていると認識しております。

阿部委員 そんな答弁をしているから、患者さんたちの不安がとれないんです。八十六病院のうち、ほとんどの患者さんが十病院そこそこしか受診しないんです。何が理由だと思いますか。

 皆さんは、こことこことここを指定したから、そこで二十七年からやっているんだからと言います。では、患者さんサイドの声を聞いたことがありますか。あるいは研究班を通じてかもしれませんが、この病院サイドからどんな声が上がっているか、聞いたことがありますか。

 私は、一つの副反応と思われるものが生じたとき、こんなに患者さんたちが安心してかかれない体制というのが最大の不幸だと思います。なぜ、八十六のうち十しか患者さんたちは行かないのか。

 極端に言えば、一つの病院がすごく信頼が高いわけです、患者さんから。逆に言うと、ほかの病院に行くと詐病だと言われるとか、歩いてごらんと言われて転べば、それは詐病じゃないのと。本当に、いかに傷ついているか。

 私は、大臣にはぜひ本当に、起きてしまったことが薬害であるかないか、これは難しいと思います、事実を。だって、薬の害かどうかを定められない。だけれども、それに悩む人たちについて、今不安が増大している、医療機関とのきちんとした信頼関係すら結べないということの中で、大臣は一回この方たちにもお目にかかって、何を改善すれば本当のこれからのワクチン行政にとってプラスになるのか、それを考えていただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 前にも厚生労働大臣をさせていただいたときに、先ほど薬害の日のお話をされて、毎年、いつだったかちょっと忘れましたが、そのときあるいはその後に意見交換をさせていただいたという記憶がございますので、またそうした機会を踏まえて、そうした皆さんの、いろいろな点があると思いますが、今特に委員御指摘あった、医療機関は八十五だと思うんですが、そのうちの十以外がなかなか行けない状況にあるとすれば、何がそういう原因なのかも含めて、いろいろお話を聞かせていただきたいと思います。

阿部委員 八十五でした。申しわけありません。

 そして、薬害の碑の前で薬害根絶デーを行うときに、こういううちわがあるんですけれども、薬害のない明るい未来へ。八月二十四日ですね。薬害根絶デーの後、薬害のさまざまな被害を受けた患者さんの連絡協議会で大臣にお目にかかっていると思います。でも、年に一度でありますから、もっと詰めて、そして大臣が聞いていただけたら。だって、八月はまだ、これから来年しか来ないわけです、過ぎたばかりで。今本当にこういうことが少女たちに不安を与えているのは私はとても看過できませんので、検討をよろしくお願いいたします。

 根絶デーにお会いいただくことも大事です。ほかにももっと、患者さんたち、被害団体の皆さんは、例えば今度の第三者委員会設置についても、当事者の声を聞くというのはすごく大事だと思うんです。そこを組み込んだものでなければ血の通った行政にならないということでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あと、最後一点、懸念をお伝えしなければならないことがありますが、こうやってワクチンについてのさまざまなデータがそろわない中で、しかし、子宮頸がんというものがやはり女性の人生に大きな負担を、女性だけではないですが、男性にもヒトパピローマウイルスは影響しますが、そういうことに鑑みて、例えば子宮がん検診をもっと充実させる必要があると思います。

 きょう、大臣のお手元にもお届けした、これは岡山県の作成のリーフレットの中にある、赤ちゃんと子宮を一度に失った女性の症例ということで出ておりますが、私は、これだけを娘さんをお持ちのお母さんたちに伝えられると、すごく不安が増強すると思います。子宮頸がんワクチンの検診は、この方は三年、間があいていたという。妊娠前、三年受けたことがない。

 今は二年を大体一期として検診を勧め、また、検診方法も進んでおります。そして、検診で子宮頸がんの前がん状態と言われても、その後フォローアップして、子宮全摘などには至らない治療がほとんどでございます。

 これだけ見せられると、ああ、大変だと思う、不安が募ると思います。正しい情報伝達、こういうことを取り組んでおられる岡山県はそれなりに評価をいたします。その上で、子宮頸がん検診の厚生労働省の取組、もっと積極的に打ち出すべきと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 他のがんにも言えますけれども、初期に自覚症状がない、その早期発見、早期治療のためにも、定期的にこうした検診を受けていただくことは重要だと思っております。

 第三期がん対策推進基本計画に基づき、がん検診受診率向上のために、対象者一人一人への受診勧奨、再勧奨、子宮頸がん検診の受診クーポン券の配付、あるいは、ナッジという一つの行動経済学の理論でありますが、それを活用した受診勧奨等の推進、こういったことに取り組んでおります。

 特に、ワクチンに関する有効性と安全性については、審議会での議論を踏まえてリーフレットを作成して、周知を図っているところであります。ここら辺の周知が十分ではないのではないかという御指摘もいただいて、引き続き、リーフレット等を活用した情報提供のあり方については審議会で議論を行っておりますので、その議論を踏まえて、更に適切な情報提供に努めていきたいというふうに思います。

阿部委員 現段階では、子宮頸がんワクチンが子宮頸がんを予防できるということは証明できないわけです。ある年月がかかりますから。そうすると、そこで今安全性と有効性が論議されている中で、でも、そこで何もしないということはできないから、やはり子宮頸がんワクチンを本当に、安全性の確立に向けて努力する一方、検診体制を更に充実する、今大臣がおっしゃった。

 私は具体的な数値を伺いたいですが、時間がなかったので、次回、またよろしくお願いします。

 終わらせていただきます。

盛山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

盛山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 柚木道義でございます。

 午前中、小川委員の質疑にあったんですが、ちょっと不明確な答弁も多かったことも含めて、ちょっと前半、そういう確認もさせていただいた上で法案質疑に入りますので、よろしくお願いいたします。

 実は、私の手元に、安倍晋三事務所から、桜を見る会について、御連絡という一枚の案内状が手元にあります。ここにはこう書かれているんですね。

 このたびは、総理主催、桜を見る会への御参加を賜り、ありがとうございます。つきましては、四月二十から二十一日のスケジュール及び開催概要を御連絡いたしますので、別紙アンケート用紙に御記入の上、期日までに御返信くださいますようにお願いいたします。なお、都内観光ツアーにつきましては、各コースとも人数に制限がございますので、お早目のお申込みをお願いいたします。

 ちなみに、コースAからD、AはスカイツリーアンドNHKスタジオパーク、Bは国立西洋美術館、Cは明治神宮アンド屋形船コース、Dが屋形船アンドNHKスタジオパークということでございまして、その中で、夕食会について、これはいわゆる桜を見る会の前夜祭と称されるもので、四月二十日金曜日十九時から、ホテルニューオータニ鳳凰の間、会費は五千円、当日、受付でお支払いください。主催、安倍晋三後援会。そして、桜を見る会については、総理夫妻との写真撮影はバス号車ごとに行います。送迎バスに乗車されない方は、総理夫妻との写真撮影が困難となりますことを御了承ください。

 これは内閣府に確認をいたしますが、この御連絡の中にこういう記述があります。招待状について、つまり来ていただく方々に対しての招待状については、内閣府より直接、御連絡いただいた住所に送付されますとあります。これは内閣府から送付されたということでよろしいですね。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 桜を見る会の招待状につきましては、各省庁を経由して発送をいただくなど、一般論として申し上げれば、最も効率的なやり方で招待者のお手元に届くようにしてございます。

 個々それぞれがどういうやり方をとって実際の招待者まで渡っているかどうかということについて、ちょっと今つまびらかに、個別具体的にお答えするだけの材料を持ち合わせてございません。申しわけございません。

柚木委員 つまり、内閣府を含めて、各省庁を通じて発送するということで間違いないですね。

大塚政府参考人 御指摘のとおりでございます。

柚木委員 ということは、ここに書かれているとおり、まさに招待状は内閣府より直接、この安倍晋三後援会の参加希望者に送付されたということになります。

 そして、その送付をされた方々が、バス十七台、八百五十人、そういう御指摘もありますが、前夜祭から含めて、ツアーAからDまで、これはわざわざ、都内観光ツアーについてというので四コース。そして、夕食会について、桜を見る会についてということで、まさに、皆さん、見ていただくと、これは観光ツアーなんですよね。その中に組み込まれている桜を見る会。

 そして、大事なことは、税金の無駄遣い、これまで一千七百万円だったのが、安倍政権になって三倍増、五千七百万円。税金の無駄遣いはもちろん問題ですが、更に問題なのは、伺いたいのは、違法の疑いがあるんですよね。しかも、その疑い、三点。

 具体的に指摘を申し上げますが、先ほどの質疑の中でも、この桜を見る会に来る方々は、開催要領の中にも、まさに社会に対しての功労、功績があった方々というふうに定められている中で、安倍晋三後援会の皆さん八百五十人、バス十七台で来られた方々、これは全員その功労、功績がある方ということになるんですか。内閣府、答弁いただけますか。

大塚政府参考人 桜を見る会は、それぞれの各界等で功績、功労のあった方々を幅広く御招待するものでございまして、私どもは、各省庁から御推薦をいただき、最終的には内閣官房、内閣府で取りまとめているものでございます。

柚木委員 そうすると、桜を見る会の御案内、参加申込書には、参加される方が御家族、知人、友人の場合は別途用紙でお申し込みください、コピーして利用ください。つまり、これは答弁されていますが、自治会とかPTAとかそういう役員さんとか、そういう地域に貢献のある方が、確かに総理が言うように、仮に含まれていたとしても、八百五十人の中には、その御家族、友人、知人、おまけにコピーしてどんどん利用してください、呼びかけてくださいとなっていますね。そういう方々も功労、功績があるということでいいんですか。

大塚政府参考人 今委員御指摘のものにつきまして、具体的にその実態がどうなっているかということを、申しわけございません、承知してございませんが、私どもは、あくまでも功績、功労のあった方々を対象とし、推薦をいただいているものでございまして、実際の案内状では、御本人のほか、例えば配偶者、それから御本人のお子さん、お孫さんなどについても、実際に、一緒の入場については認めているところでございます。

柚木委員 そうすると、これは会の趣旨がだんだんだんだんずれて、そういうことで運用していくと、まさに、一千七百万円の予算でやっていたのが三倍増の五千七百万円、どんどんどんどん来る人がふえる。税金を使って、飲食もある、予算が膨張する。

 今、税金は上がって、年金は下がる。おまけに来年以降、医療、介護も負担増になる。こんなところに予算をふやすんだったら年金を減らさないでくれ、子育て支援に回してくれ、そういうふうに、本当に、地元を回るとみんなおっしゃいますよ。こういうところに予算をふやしてくれと国民は思っていないと思いますよ。

 もう一つ違法の疑いがあるのは、仮にその八百五十人、バス十七台の中にそういういわゆる功労、功績があるという方とは違う方々が含まれていれば、ここに来た人は当然飲食を提供されるわけですから、これはまさに公職選挙法違反、場合によっては買収、供応の疑いが出るわけですが、そういう税金を使われる会で、まさに税金によって後援会活動、これは国民に説明のつくあり方なんですか。いかがですか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 後援会活動としての位置づけとしての問題、あるいは公職選挙法との関係についてのお尋ねにつきましては、申しわけございません、私、その所管でもございません、担当でもございませんので、お答えするだけの知見を持ち合わせてございません。お答えを差し控えさせていただきます。

柚木委員 昨日の野党ヒアリングでは、公選法所管の総務省は、一般論として、こういったことが行われる場合には、これは公選法違反の疑いがある、そういう所見でありますし、さらにもう一点違法の疑いがあるのは、ホテルニューオータニ、前夜祭、五千円。

 皆さん、ニューオータニに行かれたことはありますよね、議員の皆さんは、仕事で。写真も見ましたけれども、本当に五千円で、前夜祭が、フロアを借り切って、さまざまなものが振る舞われる。これが仮に五千円以上経費がかかっていたらどうなるんでしょうか。まさにこの差額分の買収、供応ということにもなりかねませんよ。

 そういうような、まさに桜を見る会、そして前夜祭、公選法違反の疑いもある、おまけに税金無駄遣い。こういうようなやり方で、これはあり方を見直す必要があるし、法律違反の疑いもあるんじゃないですか。いかがですか。

大塚政府参考人 今お尋ねのうち、前夜祭云々ということにつきましては、あくまでも桜を見る会は、当日の開催要領上も、八時三十分から十時三十分までの間、例年、新宿御苑において行います。これが桜を見る会でございますので、前夜祭云々ということにつきましてはお答えをする立場にございません。

 それと、来年以降どうするかということにつきましては、また来年以降に向けまして、開催要領等を含め、これから検討してまいりたいと考えております。

柚木委員 菅官房長官は会見でこうおっしゃっていますね、こういう桜を見る会は、政治家からの働きかけで招待者が選ばれて来た人もいると。これはまさに安倍事務所のことじゃないですか。そして、その疑い、国民から無駄遣いの疑念の目があるから、まさに招待者の基準を見直すということを会見で表明されているんじゃないんですか。

 ちなみに、安倍総理は予算委員会での答弁で、来る人は、地元において自治会等で、あるいはPTA等で役員をされておられる方々もおられたと。おられたわけですが、こういう中で、そうじゃない方もいるということは否定できない公選法違反の疑いのある状況と、差額分についても買収、供応の疑いがあることに加えて、もう一点、違法の可能性があるのは、このニューオータニ、五千円、バス十七台、八百五十人分、これだけの会を、まさに案内状に明記されているように、安倍晋三後援会として主催をしておきながら、収支報告書への記載が一切ないということであれば、これは政治資金規正法違反。つまり、三つの法律違反の疑いがある。

 こういうことをなされているからこそ、招待基準の見直しという議論になっているんじゃないですか。いかがですか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 来年度に向けましては、先ほども御答弁しましたとおり、桜を見る会の開催要領等も含めまして、どういった形で実施していくのか、これから検討してまいりたいと思います。

 長官の会見の話につきましても、官房長官の御指示、御指導もいただきながら、冒頭申し上げましたような来年度に向けましての検討をまた進めてまいりたいと考えてございます。

柚木委員 そうすると、来年以降は、普通の閣僚、党役職の人だったら四人とか五人の枠、総理大臣だけ八百五十人、こういう枠は減らされるということでいいですか。

大塚政府参考人 個別のことについては、まさしくこれから検討してまいるということになろうかと思います。

 いずれにいたしましても、来年度に向けまして、長官等の御指示もいただきながら検討してまいるということになると思っております。

柚木委員 自民党の森山国対委員長は、今回の件を受けて、まさに招待者の基準、どういう方々を選ぶのかわかりにくいところもある、したがって見直しという見解を述べられておりますが、内閣府としても、基準が曖昧で、だから見直す、これでよろしいですか。

大塚政府参考人 具体的にどういう観点から来年度に向けて検討を行っていくか、そこも含めて、これからさまざまな観点から問題を整理し、検討してまいりたいと考えております。

柚木委員 そこも含めてということでお認めになったわけですが、つまり、安倍総理が八百五十人、バス十七台、そして、これまで一万人だった方が一万八千人以上、本当に倍増に近いぐらいに膨れ上がって、その一番大きな要因が、総理がどんどんどんどん観光ツアー四コースの中に桜を見る会を組み入れて、税金を使っての飲食、来られる方がどんどんふえて、だから基準を見直すということじゃないですか。これはとんでもないことですよ。国民の生活はますます苦しくなっているんですから。

 そして、違法の疑いがある三点に加えて、場合によっては、虚偽答弁を総理はされている疑いがあるんですね。

 先ほど申し上げた、招待者は自治会、PTA役員、そういう方と言われていますけれども、実際、八百五十人の中には知人、友人、家族がいっぱい含まれていて、ひょっとしたら全然関係のない方が、行ったらおいしいものが食べられる、有名人、芸能人にも会える、おまけに屋台船コースを含めて観光ツアーができる、そうやって来ているんじゃないんですか。これは本当に、税金を使ってのこの会の目的から完全に逸脱している。

 そして、虚偽答弁の疑いがあるもう一つ非常に重要なことは、これは実は内閣府も答弁されていることとかかわるんですが、安倍総理御自身は、招待者の取りまとめ等に一切関与していないと明言されているんですよ。これは安倍晋三事務所から、安倍晋三後援会主催となっているんですよ。めちゃめちゃ関与しているじゃないですか。というか、完全に関与しているじゃないですか。どうなんですか。

大塚政府参考人 桜を見る会の推薦者、参加者の取りまとめ事務におきましては、各省庁から幅広く推薦をいただいて、私ども内閣府、内閣官房において取りまとめているところでございます。

柚木委員 これは今、与野党問わず声が聞こえているんですよ、安倍総理に聞かなきゃわからないと。予算委員会を開いてくださいよ、今要求しているんですから。そして、総理に来ていただいて、国民の皆さん、税金の無駄遣いで怒っていることに加えて、違法の疑い、場合によっては虚偽答弁の疑い、これをちゃんと説明していただきたいんですよ。

 内閣府はこういうこともされていますね。バス十七台、八百五十人を含めて、招待客などの資料は終了後速やかに廃棄、これもおかしいじゃないですか。文書保存期間、きのう確認した中では、総務省、文科省は十年。何で勝手に内閣府だけ、しかも、どんなに要綱を見ても、一年というふうな部分に該当するのは仮にわかっても、一年未満でこの春のことを何でさっさと廃棄しちゃうんですか。おかしくありませんか。

大塚政府参考人 御指摘の招待者名簿等の文書につきましては、これは、現に今、公文書管理法の体系の中で、ある程度、全行政機関で共通した保存期間を設定すべきものはございます。

 ただ、それ以外につきましては、これは各行政機関が保存期間を定めることとされていると承知をしておりまして、桜を見る会の招待者名簿につきましては、これは会の終了をもって使用目的が終わること、それから、やはりかなり膨大な個人情報でございますので、個人情報を含んだ文書を適切に管理するという意味からも、その使用目的を終えた文書につきまして、一年未満文書として、終了後遅滞なく廃棄する取扱いとさせていただいているところでございます。

柚木委員 これはきのう説明を受けて、内閣府からいただいている標準文書保存期間基準の中では一年に該当するんですよ。何で一年未満に勝手にカテゴライズを変えるんですか。これは、招待客などの資料は終了後速やかに廃棄じゃなくて、速やかに隠蔽したんじゃないんですか。何で一年未満に勝手に変えるんですか。

大塚政府参考人 私どもの定めております文書保存期間処理基準、保存期間表というものでございますが、この中の「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」、ここに当たるものでございまして、これは保存期間一年未満と規定しているものでございます。

柚木委員 そのこと自体がまさに隠蔽工作だと、きのうのヒアリングでも大問題になっているじゃないですか。

 では、その隠蔽、一年未満にいつ決めたんですか。

大塚政府参考人 平成二十九年十二月に、政府全体の行政管理に関するガイドラインの見直しがございました。

 これを踏まえまして、平成三十年の四月に、先ほど答弁申し上げましたような文書の性格に鑑みまして、保存期間を一年未満文書というふうに位置づけたものでございます。

柚木委員 これは本当にとんでもない、まさに公文書管理が、そもそも大問題にモリカケ問題でもなって、これを正していかなきゃいけないということも閣議決定までしてやってきているのに、真逆のことをやっているじゃないですか。ほかの、園遊会とかそういうものは全部保存されているじゃないですか。ほかの省庁は十年間保存しているじゃないですか。何で内閣府だけ、こんな隠蔽工作、運用をするんですか。

 これはちゃんと正しい運用をして、招待客、データ、復元してくださいよ。紙でも、もう廃棄したと言っていますけれども、この厚労委員会でも問題になりましたよね、厚労省の地下室から出てきましたよ。どこかにあるんじゃないですか。探してください。あるいは、電子データなら復元してください。答弁してください。

大塚政府参考人 それぞれ、推薦する側として文書をどのくらいの期間保存しておくかということと、それを最終的に取りまとめる立場での文書の保存期間、これが必ずしも一致しないということは、私どもとしては、別に不自然ではないと思っております。

 その上で、それぞれ各省庁が、先ほど申し上げたような公文書管理法制のもとでそれぞれの保存期間を定めているという認識でございまして、私どもとしては、そうした公文書管理法制の体系の中で適切に運用されているものと考えております。

柚木委員 これは、桜を見る会、公選法違反や政治資金規正法違反の疑いもある、場合によっては総理の虚偽答弁、こういったことも起こっている。

 そんな中で、本来の、国民が不自然でないと今の答弁を思わないと思いますよ。不自然だと思うと思いますよ。そういうことをまさに隠蔽するために廃棄、これはまさに公文書管理法の趣旨と全く真逆のことをやっているわけですから、これはぜひ復元を求めますし、そして、そのことは、これは厚労省のことだけじゃないです、各省庁も含めて桜を見る会は枠があって、そこに来られている方は、それぞれ省庁を通じて来られている方がおられるわけですから、税金全体の使い道にかかわることですから、これは委員長、ちゃんと復元をして、あるいは紙なら探して、データを出していただく。理事会で協議ください。

盛山委員長 理事会で協議いたします。

柚木委員 私も法案の通告をしていますのでやりますけれども、これで決して国民の疑念を払拭できませんし、むしろ、このやりとりを通じて、疑念は深まっていますよ。

 税金を使って、飲食のある桜を見る会を、本当にちゃんと適正に行われているのかいないのか。安倍総理後援会事務所主催で、バス十七台、八百五十人、AからDコースのツアー、パッケージ。これが本当に適正な使用と言えるのか、公選法違反や政治資金規正法違反の疑いはないのか、総理の答弁が虚偽の疑いはないのか。

 このことは、引き続き予算委員会等を開いていただかないとやる場所がないんですから、こういう場所でやらざるを得なくなりますので、強く厚生労働委員会からも、予算委員会でやってもらえるためには、ぜひ委員会としてもそういうことを求めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします、委員長。

盛山委員長 御発言の趣旨は伺いました。

柚木委員 通告もしておりますが、限られた時間ですのである程度まとめて質疑をさせていただくんですが、小川委員が全世代型社会保障検討会議の件で、ちょっと重複しないように。

 私は、非常に大きな関心事は、冒頭も申し上げたんですが、この先、税金は上がって年金は下がる、そして、おまけに来年以降、介護保険法改正や、あるいは医療費の窓口負担増や、あるいは受診時定額負担などなど、負担増メニューオンパレードで、おまけに桜を見る会では予算三倍増。

 こういうことはおかしいじゃないかということで、介護の問題についてちょっと大臣に伺いますが、負担増メニューオンパレードで、まさに全世代型社会保障検討会議で今後出てくるテーマは介護なんですよね。

 経済財政諮問会議でも、ここにおられるのは厚生労働行政を本当に熱心にされている方々ばかりですよ。しかし、そういう議論をないがしろにして、どんどんどんどん、質問しますが、例えば要介護一、二の生活援助等は介護保険から外す、要支援一、二の検証もしていないのに、介護切りをまたする。そして、そういうことが起これば、サービスを利用できない人は家族介護で、家族が仕事をやめて、年間十万人の介護離職。三百万人、働きながら介護している。離職者がふえるじゃないですか。何でこういうことを検討しているのか。

 そして、利用者自己負担も、これも一割が二割、二割が三割でどんどんふやしてきて、利用抑制が起こっている。四割利用抑制というデータもある。これを今度は更に、利用負担が今一割の人を二割にする。これは九割ぐらいの人が今一割負担でやっているんです、所得の苦しい方も含めて。その方々まで二割にしたら、ますます利用抑制が起こって、離職もふえて、場合によっては、無理心中、孤独死、こういうことがふえかねない。

 そこで伺いますが、こういう要支援、要介護、介護切りや、あるいは利用者自己負担増を、検証もなくどんどんどんどん、全世代型社会保障検討会議やあるいは経済財政諮問会議で、この厚生労働委員会での二年前の附帯決議の内容等も置き去りにして進めていただくことはぜひやめていただきたいと思いますが、厚生労働大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 ちょっと、個々の話になるよりも全体の話で答弁させていただきたいと思いますけれども、前から申し上げておりますように、今の全世代型社会保障検討会議において、これからどうしていくかは会議全体でお決めになることではありますけれども、基本的に、二〇二五、二〇四〇を見据える中で、社会保障、なかんずく医療、今のお話であれば医療や介護のあり方、そうした議論をし、そして、それにおいて、当然、給付と負担を含めた持続可能性をどう議論していくのかと。

 先ほど岡本委員からもお話がありましたけれども、健保組合等から、財界と労働組合から一緒に高齢者医療の話が出てきた。その背後には、確かに、今委員おっしゃるように、それぞれの負担の増加というのは、直接負担をする方もあるし、保険料負担という形で増加という部分もあるわけであります。そういったことを含めて全体でどうするかということを、これから、あるべき姿を頭に置きながら議論をしていかなきゃならない。

 当然、その中においては、今委員御指摘のように、それぞれの、例えば総合事業が実態は今どうなっているのか、あるいは高齢者の皆さん方の医療費の負担がどうなっているのか、生活の状況はどうなっているのか、そういったことも踏まえて議論がなされるべきだと考えております。

柚木委員 それに加えてぜひお願いしたいのは、現場の人手不足です。

 特にきょうお聞きしたいのは、ケアマネジャー、ケアプランの自己負担、これが発生することで、両面の弊害があるんですね。一つは、まさに利用抑制、それだったらもう介護サービスを利用するのはやめよう。もう一点は、逆に、金を払っているんだからいいサービスをしろよと、過剰サービスにつながりかねない。この両面があるんですね。ですから、ではそれに対してどういう施策を考え得るのか。これなくして自己負担をケアプランに導入することは、まさに両面の弊害を助長する。

 そしてもう一点、人材不足。主任ケアマネジャーは、御承知のように、実務経験十年。しかし、この主任ケアマネジャーがいない場合には、事業所がどんどんどんどん閉鎖されざるを得ないような運用が今なされています。

 そこで、二点目に伺いたいのは、例えば、そういう人がちゃんと資格を取って配置されるまで、最低六年は猶予期間が必要という指摘があります。これは、まさにその措置期間の延長、変更、こういったこともぜひお考えいただきたく、そうでなければ、居宅介護支援事業所の閉鎖、統廃合、データ上もどんどん出てきています、そういう現状。大規模なところだけが残るが、地域のそういったサービスがどんどん失われていく、こういうことにならないように、地域の中小の事業者まで含めて地域包括ケアが、ちゃんと円滑に居宅支援事業所の運営がなされるように御配慮をいただきたいと思いますが、二点お答えください。

加藤国務大臣 まず、ケアマネ、ケアプランの自己負担導入に関してでありますけれども、これも介護保険部会において、ケアマネジメントが担う役割が変化をしております。従前の給付の管理に加えて、医療やあるいはボランティアの皆さんとの連携、入退院等についての連携等、さまざまな役割がふえてきている。また、質の高いケアマネジメントの実現が求められている。また、利用者やケアマネジメントに与える、こうした制度を入れた場合の影響、それぞれを踏まえながら、また、関係者の御意見もよく踏まえて、これは慎重に議論をしていきたいというふうに考えております。

 それから、主任ケアマネでありますけれども、現在、三年間の経過猶予を設け、令和三年四月からの適用ということで、したがって二年後ということになっております。これには、各ケアマネ事業者に必要な主任ケアマネジャーの配置をしていく必要がありますけれども、正直言って、今の動向を見ていると、我々が想定していたよりもその割合が低いというのが実態だと。これは我々も共有しております。

 したがって、そうした現場を踏まえながら、ケアマネ事業者の管理者要件、これについてどう対応していくべきなのか、現状を見ながら考えていかなきゃいけないと思っています。

柚木委員 それぞれ重要な御答弁をいただいたと思いますので、まさにケアプランの自己負担導入によってさまざまな弊害が起こらないように、そしてまた、人手不足については、主任ケアマネの配置の今の運用を柔軟に御対応いただけるということですので、これによって少しでも、中小の事業者を含めて、まさに現場のサービスがちゃんと存続するように、今の御答弁、期待を申し上げたいと思います。

 もう一点だけ、短く。

 ハラスメント対策、今政府を挙げて取り組んでいるわけですけれども、今のままでは、マニュアルが周知されていない自治体や事業者、知らない人がいっぱいいるんですね。だから、これはどうやって周知させていくのか。端的でいいので、実際、ある民間会社等が、現場でどういう形で定着させていくのかという手引書もつくって御検討いただいているというふうにも仄聞しておりますので、端的に御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 介護の現場におけるハラスメント対策のマニュアルについては、これまで、各都道府県、市町村、関係団体に周知する、私どものホームページに掲載する、あるいは関係団体が行う研修等において説明をする、こういうことに努めてまいりましたけれども、更にこの周知を図るという観点から、手引や、研修に活用するスライドや動画をつくっていく。あるいは、介護事業者や事業団体等において、働いている人からいろいろな相談を受けるわけでありますが、その際における手引、こういったものを作成して、またそれを周知することによって、ハラスメント対策、あるいはハラスメント対策についての周知をしっかり図っていきたいと考えています。

柚木委員 ありがとうございます。ぜひ実効性ある取組をお願いします。

 薬機法の通告をしているので、ちょっと早足で申しわけありませんが、質問いたします。

 まず、資料を皆さんにお配りしておりまして、資料の中で、今回、許可業者が法人である場合には、その役員が許可等業者の法令遵守に責任を有することを明確化するため、以下の点を規定すべきであるということで、二点、ぜひこれは要望したいと思っておりまして、一つは、許可等業者の薬事に関する業務に責任を有する役員、責任役員をこの薬機法上明確に位置づけていただきたい。そして、必要な場合には当該責任役員の変更を命じることができるものとする措置を定めること。これは八条委員会の答申であることも鑑みて、ぜひ適切な措置を講じていただきたいと思います。

 それによって、さまざまな不祥事、不正請求などの抑止効果、これは事後的な効果も含めて期待をされるわけでございまして、ぜひ前向きな御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 いわゆる許可業者による法令違反の発生を防止するため、許可業者の法令遵守に主導的な役割を果たす責任者を明確にすることが重要ということで、この改正法案において、許可業者の薬事に関する業務に責任を有する役員、責任役員を明確に位置づけたところではあります。

 ただ、一方、今委員御指摘の責任役員の変更命令に関しては、本来、役員は事業者みずからが決定すべきであり、そこにこうした措置を導入することは慎重であるべきだ、あるいは、適正な社内規程を整備させることを通じて、事業者が法令を遵守して業務を行うことを直接担保することがこの法案によってできるのではないか、あるいは、事業者に法令違反があった場合は、現行法下においても事業者に対して業務改善命令や業務停止命令等の必要な措置を行うことができるといったことを踏まえて、今回の改正法案においては、委員御承知のとおり、導入を見送ったところであります。

 さらに、今後、責任役員の変更命令を含むさらなる措置の導入等の要否については、改正後の施行状況を踏まえて、これは引き続き検討させていただきたいと思います。

柚木委員 ぜひ、法令遵守をより明確にするために、引き続きの御検討をお願いいたします。

 それから、薬剤師、薬局のあり方の見直しに関してですが、まず一点伺いたいのは、薬剤師による服薬期間を通じた継続的な薬学的管理、指導、並びに医師等への服薬状況等に関する情報提供の制度化、これ自体は私も別に賛成するんですが、これを行う場合、例えば薬剤師業務がどういう形で負担が、場合によってはふえるのか、どの程度説明、指導、フォローアップ義務等が発生するのか。

 今回明文化された中で、その中身ですね、管理、指導方法、内容、方法、頻度など、薬剤師の職能に丸投げされても現場は混乱するわけでありますので、何らかのガイドライン、サポートシステムを構築する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回の法改正で、調剤時のみならず、調剤後も患者の服薬状況の把握や指導を継続的に行うこと、把握した情報を処方医に提供することが薬剤師に義務化された。

 ただ、現在、調剤時に関してもガイドラインは特につくられていないというような実態もあります。また、具体的な対応について、そうした個々の多様性がかなりありますから、それがガイドラインに一律に決め得るのかという課題もありますし、もともと、こうした点については薬剤師御自身がしっかり果たすべきものとして自覚されている。そんなことを踏まえて、ガイドラインを今つくるという考え方は持っておりません。

柚木委員 ぜひこれは今後の運用の実態を踏まえて御検討をいただきたいということだけはお願いしておきたいと思います。

 それから、薬学部六年制についてもこれは議論があると思いますので、ぜひ、きょうは文科省も御答弁いただいた上で厚生労働大臣の御見解をお願いしたいんですが、国家試験の合格率も二割弱から一〇〇%まで大きな差が大学によってありますし、それでは何のために大学に入学させたのか、あるいはその後の、大学卒業後の部分も含めた六年制薬学教育の質が問題視されております。

 この成果、六年制の検証、そしてそれを分析してフィードバックする、こういった点、まず文科省についてどのような取組が行われているのか、御答弁ください。

佐々木(さ)大臣政務官 お答えいたします。

 薬学教育につきましては、平成十八年度に修業年限の延長がなされておりますけれども、六年制課程を卒業した薬剤師の資質については、医療に関する知識水準、技能水準等が旧四年制課程で卒業した薬剤師と比較して高くなったとの評価が就職先である病院や薬局からなされております。

 また、文部科学省では、平成二十五年度に薬学教育モデル・コアカリキュラムを改訂するなど、引き続き、各大学において質の高い薬学教育が行われるよう取組を進めているところでございます。

 一方、委員御指摘のとおり、一部には、入学者における六年間での卒業及び国家試験の合格の割合が低い大学が見られるなど、教育の質の確保に向けた一層の取組も必要と考えております。

 文部科学省といたしましては、各大学において、学生の修学状況等の分析結果に基づいた改善計画の策定及びPDCAサイクルを機能させること等の取組を促すとともに、入学者に対する六年間での卒業者及び国家試験合格者の割合の公表など、情報公開も含めた適切な対応を求めているところでございます。

 これらの取組を通じて、引き続き、六年制導入の目的であります臨床に係る実践的な能力を有する薬剤師の養成を進めてまいりたいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 最後に、それを受けて、厚生労働大臣、それでも現場とのギャップがあるんですね。卒後を含めた現場でのスキルアップも含めて、どういう取組を厚労省として考えていくか、最後、御答弁ください。

加藤国務大臣 これまでも、対物中心から対人業務へのシフト、それを踏まえて今回の法律改正も行わせていただいたわけでありまして、そういった意味で、この趣旨を十分御理解いただくとともに、やはり薬剤師の皆さん方が、専門職として、自己研さん等によってその資質の向上に努めることを求められているわけでありますので、関係団体、学会による研修プログラムの作成を支援することなどを通じて、薬剤師の専門性の向上が更に図られていくように、我々としても努力をしていきたいというふうに思っています。

柚木委員 終わりますが、ぜひ、委員の皆さん、これだけ厚生労働委員会、年金、医療、介護負担増、子育て支援をもっとふやしたい。なのに、桜を見る会に予算を三倍増するのであれば、厚生労働予算を三倍増してほしい、そのことを強く皆さんと一緒に取り組んでいきたいことを求めまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 立国社の稲富修二です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、法案の質疑にさせていただきます。

 先駆け審査指定制度について、まずお伺いします。

 これは、どういうものが対象で、どういうプロセスで決定されるのか、基本的なことですが、その基準を伺いたい。近年、当制度で承認された治療薬で耐性ウイルスの検出が報告されたことから、同薬の審査にもっと時間をかけるべきではなかったか、そういった声も出ておりました。安全性の観点からの対応をどのようにされるのか、お伺いします。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、通知において、この先駆け審査指定制度をやっておるということでございますが、その選定のための要件としては、画期性、対象となる疾患の重篤性、高い有効性、安全性、それから、最終的に開発に結びつく可能性が高いことという四つの要件を定めておりまして、企業からの申請に基づいて厚生労働省及びPMDAで評価を行いまして、薬事・食品衛生審議会薬事分科会にその選定結果を報告するというプロセスを踏んでおります。

 御指摘の、抗インフルエンザ薬に対して耐性ウイルスが発生するということにつきましては、治験を実施していた段階においても判明していたことでございますので、この薬の承認の際にはその点も踏まえて評価を行うとともに、企業にはその内容を添付文書に記載をさせ、医療現場へ情報提供させるという扱いをとっているところでございます。

 それから、製造販売後調査におきましても、臨床現場でこのインフルエンザ薬が使用された際の、この薬に対する感受性の変化あるいは耐性化といったようなものについて情報収集を行うようにというふうに承認条件を付しておりますので、それに基づいて企業から随時情報収集をしております。

 この先駆け審査指定制度を今回法制化をするわけでございますけれども、法制化後、この対象品目についても、承認時の有効性、安全性の確認のみならず、通常の品目と同様に、承認後に得られた安全性情報に基づいて適切な措置を講ずるという安全性の確保はしっかりとやっていきたいと考えています。

稲富委員 次に、条件付早期承認制度についてお伺いします。

 患者数が少ない等により治験に長時間を要する医薬品、医療機器を早期に承認する当制度について、健康な方にも投与される予防薬を対象にしている。安全性に問題があった場合、被害規模が大きくなる可能性があると思われます。予防薬も対象とした理由はどこにあるのか、お伺いをいたします。

樽見政府参考人 条件付の早期承認制度でございます。

 予防薬あるいはワクチンは、普通の薬と比べますと、まさに健常人を相手にするというところでは違うというのは御指摘のとおりでございます。

 ただ、こういうものでありましても、例えば、感染症のパンデミックというようなものが生じる、その対策を目的とする製品など、今後の保健衛生上の状況によりましては、医療上の必要性が高く、それをできるだけ速やかに現場に供給しなければいけないということが考えられるものでございますので、現時点においてこうした医薬品を本制度の対象から除外することにはしておらないということでございます。

稲富委員 次に、AIを用いた医療機器についてお伺いをします。

 今回、新たな承認審査制度を導入するということでございますが、学習をしていくわけですけれども、どうやってその品質あるいは安全性を確認をしていくのか、AIについてお伺いをいたします。

樽見政府参考人 今回の改正で、医療機器についての承認制度の合理化というものを入れることにしているところについてのお尋ねでございます。

 医療機器につきましては、御指摘のとおり、AIを使った医療機器、そういうものを始めといたしまして、製造販売承認後も絶え間ない改善、改良が行われることがむしろ通常であるというのが特徴でございます。改善、改良された医療機器の安全かつ迅速な提供を可能とする制度というものが求められているわけでございます。

 従来ですと、一部変更承認を一々とることが必要だったというところについても、継続的な改良について、そうした手続を合理化をしていくということを盛り込んでいるわけでございます。

 今回の薬機法改正においては、市販後に恒常的に性能が変化する医療機器について、製造販売後に性能の向上が絶えず維持されるような計画やプロセスというものを出していただいて、それを事前に評価をして、評価された計画の範囲内ということであれば、性能やあるいは表示内容の迅速な変更を可能とする、さっき申し上げた一部変更承認というものが一々要らないという制度を導入しているわけでございます。

 ですので、こうした制度を活用しまして、絶え間なく改善、改良が行われるという医療機器の性質に即した形で、その品質、安全性の確保、これは絶対必要でございますが、それとあわせて迅速な変更というものを両立をさせることで、承認審査制度の改善を図りたいというふうに考えているものでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 次に、地域連携薬局についてお伺いをいたします。

 先ほど来同僚議員からもありましたけれども、薬局、薬剤師の負担がふえるのではないかという懸念についてです。

 かかりつけ薬局の機能を有する地域連携薬局になる場合には、夜間、休日対応、在宅訪問等が求められることとなれば大幅な負担増ということになる、そういった懸念があると思いますが、この点についての御対応はいかがでしょうか。

樽見政府参考人 認定薬局についてのお尋ねでございます。

 認定薬局、地域連携薬局でありますると、入退院時に、例えば、入院する前に飲んでいたお薬がこうですということを入院先の医療機関にちゃんと情報提供する、あるいは、退院してきたときに、そういう入院時の医療の情報をしっかりともらって、服薬指導をきっちりとやっていくというようなことが必要になります。

 さらに、そういうことに基づいて、例えば、夜間、休日であっても、相談、あるいは調剤が必要になったときには調剤というような業務を行うということが必要になります。また、地域の例えばケアマネジャーの方との連携でありますとか、先ほどの入退院ですと、退院するときに、例えば、在宅のほかの介護のサービスを受ける事業者と一緒に退院時カンファレンスといったものを行う、それに参加をすることが求められるということになりますので、そういう意味でいいますと、おっしゃるように、単に薬局に座ってお客さんが来るのを待って調剤をするということからすると、それは業務はふえると思います。

 ただ、まさに、これからの薬局のあり方として、対人業務というものを充実をして地域の役に立つということを目指しているわけでございますので、そういう意味でいいますと、ある意味今後の薬局のあり方として負担がふえるという要素はあるかもしれませんけれども、必要なことではないかなというふうに基本的には思っています。

 ただ、御指摘のような、例えば夜間、休日みたいなところ、そういうところで小規模な薬局はなかなか大変だという御意見がございます。そういうことで、そういう場合には、例えばほかの薬局と連携しながら対応するという場合を認めるといったようなことを、午前中の質疑でもありましたけれども、地域の実態を踏まえた対応が可能になるような要件というものについて検討して、対応していきたいというふうに考えているところです。

稲富委員 ありがとうございます。

 次に、またこの地域連携薬局と専門医療機関連携薬局についてなんですけれども、これは何度か私も説明を実はいただいたんですけれども、同僚議員からも恐らくあると思いますが、患者さんにとってどういうメリットがあるのか、いいことがあるのか。そして、これぐらいいろいろなものを、別のものをつくることの意味といいますか、いま一つ、何でここまでするのか、何でこういうことをやるのかということが非常にわかりにくいなというのが率直な私の感想です。

 さはさりとて、導入する以上、どういうメリットがあるのかぜひ御答弁をいただきたいのと、健康サポート薬局については、届出数について、薬局全体の二%にすぎないということを伺っております。そういう中にあって、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局を今後どのように整備をして、インセンティブを持ってふやしていこうとしているのか、あわせて御答弁をお願いします。

樽見政府参考人 地域連携薬局と専門医療機関連携薬局、このメリットというものをできるだけわかりやすく各方面に説明をしていって理解を求めていく、これは御指摘のとおり大変重要だと思いますので、これは私どもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

 その上で申しますと、これも先ほど来出ておりますが、まさに高齢化が進んで、在宅で医療を受けられる方が非常にふえている。そういう方が、例えば複数の医療機関に行ってそれぞれお薬をもらってきてというようなことになりますと、やはり、かかりつけの薬局というものを決めておいていただきますと、多剤投与の弊害、ポリファーマシーといったようなものも避けられる。そういういわば医薬分業のメリットというものがはっきりと感じられるようになってくる。

 それから、例えばがんなどの専門的な医療というのも、かつては入院が中心だったものが、外来で通院で治療ができるというふうになってくる。そうしますと、例えばがんのお薬ということになると、なかなかきついお薬もありまして、副作用があったらすぐ相談していただきたい、あるいは、調剤のときだけじゃなくて、まさに、継続的にちゃんと飲んでいただいているか、それによってどういうふうにお体の反応が出ているかということを把握しなければいけない、そういったようなお薬も非常にふえているということでございますので、そうした医療への対応について、在宅医療のパートナーといいますか、在宅医療のときに安心して相談できる薬局というものになっていただくということが期待をされるわけでございます。

 かつ、これを都道府県の認定で看板を掲げていただくということによって、患者さんにとって相談しやすいということもありますし、また、地域にとっては、そういう薬局があることがいわば地域の安心の力を高めるということでもあろうというふうに思っているわけでございます。

 こうしたことについてしっかりとPRをしていく、地方自治体にも理解を求めていくということにします。

 それを具体的に早く進めるためにどうするかということでいいますと、まずは、こういう要件について、法律を通していただきますれば、その後早急に詰めて、できるだけ早く公布をして十分な周知を図りたい。

 それから、新たな構造設備が必要となる場合の税金の減免ということについて税制改正要望を行っておりますので、これをぜひ実現に向けて努力をしていきたいというふうに思っているわけでございます。

 また、ペーパーワーク、承認の事務みたいなところにつきましても、既に報告していただいているような情報というものはそのまま活用できるような形にしていきたいというふうに思っております。

 また、さらに、これも先ほど出ましたのであれですが、今後、必要に応じて、診療報酬上の対応についても中医協において御議論いただきたいというふうに考えているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 次に、今回の法律の中で、特定用途医薬品等については、先ほど少し局長からも御答弁がありましたけれども、現行の希少疾病用医薬品等と同様、試験研究を促進するための必要な資金の確保及び税制上の措置を講じるということが書かれております。

 以下、この税のことと財政のことを少しお伺いします。

 これはいわゆる政策減税ということかと思いますが、平成三十一年税制大綱に既に位置づけられているわけですけれども、医療上のニーズが著しく充足されていない医薬品等であるから財政的な面から支える制度が設けられているのか、どのような政策目的なのか、説明をお願いいたします。

樽見政府参考人 特定用途医薬品でございますけれども、例えば、既存のお薬でありますけれども、それをお子さんに使うということ、それができるんだけれども、それの小児の用途というものについては承認をされていない。そうしますと、お子さんに対して使うということになると、その承認が必要ですし、また、用法用量というものも、お子さん用ということでどうするかということを決めなければいけない。そういうものを、なかなかそれがほっておくと進まないといったような中で、それを進めていただくことの医療上の必要性というものが非常に高い、そういったようなお薬でございます。

 同様のお薬ということで、今までの制度で、希少疾病用の医薬品、いわゆるオーファンドラッグ、必要性は高いんだけれども、ほっておくと企業がなかなか開発をしていただけないような薬ということでオーファンドラッグというものがあって、それは既に制度の中に入っているわけでございます。

 そういうオーファンドラッグ、希少疾病用の医薬品について、金銭的な措置、支援ということで、特に試験研究を促進するために必要な資金の確保、具体的には、常時使用従業員数が千人以下である企業に対しては医薬基盤・健康・栄養研究所を通じて助成金を交付する、あるいは、特定用途医薬品等の開発に係る研究費に基づきます法人税に対する一〇%を上限とした税額控除等というようなものを希少疾病用の医薬品についてやっておりますので、これをこの特定用途医薬品についても行うことにするということでございます。

稲富委員 きょうは財務省にも来ていただいております。

 今回のこの措置によって開発企業はどれほどの減税効果になるのか、その規模、そして、今回は期間があるのかということをまずお伺いをいたします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、研究開発税制全体ですと、全体適用額約六千億円というところを中心に推移しておりますけれども、委員御質問の医薬品製造業についての減収額は幾らかということは、実はこれはデータの関係で把握しておりません。

 私どもで把握できる限りで申し上げますと、医薬品製造業が含まれております化学工業、これについての適用実績につきましてはデータを持っておりまして、五年間の数字を申し上げます。平成二十五年度から二十九年度までの五年の数字です。平成二十五年度で千百二十五億円、二十六年度で千九十億円、二十七年度で千百四十四億円、二十八年度、千五十七億円、二十九年度で千百三十億円となってございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 個別にこれによってどれぐらいの規模があるかということはなかなかわかりにくいということ、ただし、医薬品業界が含まれる化学工業としては、一千億オーダーの減税を政策減税として毎年大体やっている、研究開発としては六千億オーダーの減税をしているということがございました。

 私はこういう政策について政策減税をするというのは賛成ですが、ただし、これはいつもあることですけれども、期限がない、あるいは、永遠にこれが続き、なかなかやめにくい等々、やはりどうしてもそれをやめるということになると難しくなる。あるいは、その他との公平性もおかしくなる、説明できないようなところがある、課税ベースが侵食される等々、私は、とにかく、始めるのはいいけれども、その後の検証をやはりしていくことが必要だと思います。

 その意味で、なかなか租税特別措置は見にくいんですけれども、やはりしっかりと見直していく、常にどういう効果があるのかを見ていくことが必要かということを思いますので、あえてきょう、取り上げさせていただきました。

 次に、少し別の話題に参ります。

 大臣にちょっとこれからお伺いをしてまいりたいと思います。

 消費税が一〇%に上がりまして、これは所信にもありましたけれども、社会保障・税の一体改革がこれで一つ大きく区切りを迎え、二〇二五年までの社会保障のあり方というのは一つの形になって、これからは二〇四〇年なんだということで、今議論がされているものと思います。

 そこで、社会保障を考える上での前提の認識についてお伺いをしたいんですけれども、社会保障と税の所得再分配の機能、これは十分に機能しているとお思いかどうか、大臣に所見をお伺いします。

加藤国務大臣 機能している判断基準、なかなか難しいところでありますし、いわゆる所得の再配分前と再配分後においてそれぞれ税と社会保障でまた配分機能が変わってきている、こういうのが今の実態だと思います。

 ただ、趨勢的なここ最近の動きを見ると、例えばジニ係数で見れば、これは所得再分配後の世帯単位の数値でありますけれども、近年の雇用や所得環境の改善、社会保障、税による所得再分配が機能している結果として、おおむね横ばいで推移をしております。また、相対的貧困率については、長期的には上昇傾向にありましたけれども、ここに来て雇用が大きくふえているということ等もあって低下に転じている、こういう情勢になってきている。

 いずれにしても、格差が固定をしない、また、許容し得ない格差が生じない社会をつくっていく、これは非常に重大な課題であると思っておりますので、そのためにも、経済をしっかり成長させて、その果実がそれぞれの皆さんのところにしっかり分配をされ、また、そうした中で経済の成長が生まれていくという、まさに成長と分配の好循環、これをしっかりと図っていけるように、つくり上げていけるように取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 これは基本的な認識ですので更にお伺いしますが、大臣、ジニ係数で見てやはり格差は拡大をしていないんだということを、はっきりと言うのもなんなんですがということで少し留保をしながら、その事例としておっしゃいました。やはり、再分配機能が十分有効に機能して、そして格差をそれなりに埋めているんだということを、なかなかはっきりとはおっしゃれない状況なのかなと思います。

 確かに、厚生労働省が出している再分配調査を見ると、ジニ係数はほぼ、所得再分配後は大体変わらない数字が出ていて、じゃ、格差が拡大していないんじゃないかということなんですけれども、恐らく大臣がお感じのとおり、その数字と我々の暮らしとか生活とか地元とかの感覚でいうと、とても格差が拡大をしていないとかいう雰囲気ではない。何となくやはり社会が二極化していっているんじゃないかとお感じだからこそ、はっきりとおっしゃらなかったんじゃないかと思いました。

 もう一度端的にお伺いしますが、格差は今拡大しているということをお感じでしょうか。大臣の所見を伺います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたのは、どういう指標で見ていくのか、何に着目していくのかということが大事なんだろうと思います。

 今、経済的なこうした指標で見れば、横ばいであったりあるいは低下をしているということもあります。しかし、一つ一つの事象を見たときに、やはり我々が対応しなきゃいけない課題というのはいろいろなところに存在をし、それを格差と捉えるのか、貧困と捉えるのかはあると思いますけれども、そういった課題があること、それを我々はしっかり認識しながら取り組まなきゃいけない、こういうふうに思っています。

稲富委員 何か、わかったようなわからないような感じですね。

 要するに、おっしゃるように、確かに全体としてどうかと言えない。それぞれ事象によっては違うと言えるし、データによっては違うとは言えます。

 ただ、基本的な認識だと思うんですよね、ここは。どれぐらい社会的に所得分布が変わっていっているのかという基本認識が違うと、それは当然、税とか社会保障の改革だって方向性が私は違うと思うんですけれども、そこは少し、なかなかはっきりとおっしゃれない部分なのかもしれません。

 でも、おっしゃるように今回のジニ係数はそれなりに横ばいだとしても、若い世代のところは非常に拡大をしているとか、世代によって違うとか地域によって違うとか、あるいは単独世帯のジニ係数が上がっている、確かにそれぞれあります。ただ、私は、基本的には社会としてはそういう方向に向かっているのではないかと思います。

 そこで、非常に基本的なことを少しお伺いをします。

 今回の十月一日からの保育料の無償化に伴うことで、大臣の公平感を伺いたいと思います。

 資料の一枚目です。これは福岡の保育料なんですけれども、この赤で囲ったところが保育料の月額。これも累次にわたって当委員会でも議論されてまいりましたが、改めて伺いたいと思います。

 三歳児以上、これは九月までの保育料ですので、左の方ですね、ゼロ円から三万二百円まで、約十三段階に分かれている。右側が国の基準ですので、それと比べるとはるかに福岡は安くなっている。

 その次のページを見ていただくと、階層別の人数。はっきりと三歳以上ということは言えないんですけれども、これに呼応した形でAからDの十一まで、大体そこを構成する方々の比率が載っております。A、Bというのが保育料ゼロ円の方々、Dの一番下の十、十一という方々が最高の保育料を払っていらっしゃる方々。ほぼ一〇%いかないぐらいの方々と言えると思います。

 十月一日を境に、三歳以上、これまで一番払っていた三万二百円を払っていた方々が、当然これがゼロ円になって、ゼロ円だった方はそのままゼロ円ということなんですけれども、今申し上げたように、一番、三万二百円を払っていた方々はほぼ、トータルでいって一〇%未満であろう。そして、ゼロ円の方は、今書いてあるように、一五%あるいは一六%ということなんですね。

 それで、消費税が広く薄く負担をするという中にあって、誰もが納める。しかし、一方で、十月一日を境に高額所得者が、三万二百円の方が負担がゼロ円になるということ。これについて、大臣はこれを公平とお考えかどうかということをお伺いします。

加藤国務大臣 これは、どういう視点で幼児教育の無償化をやっていくのかということだと思います。

 例えば、小学校、中学校は、所得の多寡にかかわらず、基本的には無料であります。どんなに所得が高くても授業料を取られるわけではない。そういった意味で、それは教育としての視点で進めておられるんだと思います。

 今回の幼児教育の無償化もそういった観点からこれまで進めてきていたんですが、ただ、残念ながら財源もないということで、所得の低い人からだんだんだんだん拡大をしてきた。

 今回、こうした消費税の引上げという税収もあったということで、本来やるべきことをここで一遍に実施をした、こういうことでありますから、そこは、常にあるべき姿を見ながら、負担がどうなのかという議論からすれば、本来、教育というもの、この国の基盤を、将来の世代を形成していくという大事な教育をつくっていく、そういった観点から、特に、幼児教育の重要性というのは、申し上げるまでもなく国内外においても指摘をされているわけでありますから、そこをしっかり充実をしていく、そういった観点から実施をされた。

 他方で、二歳までの保育の無償化については住民税非課税世帯、また、保育園の食材料費についても、副食費の免除対象については年収三百六十万円未満相当の世帯の子供まで拡充するといったことで、そうした意味での低所得者への対応というのもあわせてとっているということであります。

稲富委員 もし義務であれば、当然それはそう言えると思います。ただ、義務保育でもありませんし、要するに、義務に向かっていくんだというのであれば、それは一つの理屈だと思います。ただ、それもわからないまま、十月一日を境に。これは、納税者に対して、広く薄く負担をしている人に対して、高額納税者である、例えば国会議員もそうですけれども、保育料が三万二百円だったのがゼロになりましたよということをどう説明するかという話なんです。

 今の大臣の話だと、ああそうですねと。恐らく、広く薄く子供から大人まで、払っている方が、これは消費税を充てているわけですから、それを公正と本当に感じるのかということです。それをどう説明をされるのかというのを伺いたいんです。大臣はどう説明されますか。

加藤国務大臣 私は、地元で今のような説明をさせていただいています。

稲富委員 そう言われてしまえばそうなんですけれども、広く薄く集めつつ、しかし、結果的に高額所得者が保育料がゼロになるということについては、広く薄く集めている消費税について、やはり公平感というのはどうかということを私は思います。それは、大臣は今の説明をされるということでしょうけれども、私はそう思います。

 次に移ります。

 国民年金保険料についてです。

 最後のページを見ていただきますと、これは定額一万六千四百十円です。これを見ていただくと、被保険者の納付者の率を書いております。国会議員は国民年金ですので、七百万円以上の三・四%に入っている。これを見ていただくと、低額の方々の方が納付者として割合が高いということなんですけれども。定額で所得に関係なく毎月一万六千四百十円というこの制度は非常に私は逆進的だと思いますが、これについては大臣はどのように、これは公平な制度と考えるかどうかということをお伺いします。

加藤国務大臣 もともと皆年金制度を入れるときに、どういう形で入れていくのか。当初は、サラリーマン、今で言う厚生年金みたいなものがあったわけでありますけれども、そうした中で、さはさりながら、特に当時は自営業の方も多かったわけであります。そうすると、労働契約に基づいて恒常的に賃金が得られる被用者と、所得も商売の状況によって変わる自営業者、特に課題は所得捕捉、所得把握の問題でありまして、一般的に被用者は源泉徴収、自営業者はそうではない、そういったことを前提にしながら、皆年金を入れるために、国民年金においては定額保険料と定額給付、こういう仕組みになっているわけであります。

 加えて、現在、所得が少なくてなかなか保険料が払われない方、当初は減免するかしないかということでありましたけれども、逐次改正をすることによって、今は、全く払えない人、四分の一だけ払う人、二分の一だけ払う人、四分の三だけ払う人、本来の金額を払う人ということで、本人の負担能力に、その減免の限りにおいてですけれども対応している、こういう仕組みになっているわけでありますので、そうしたこれまでの制度そして現状を踏まえながら、逐次そうした対応をとらせていただいている。

 加えて、現在、年金受給資格期間を二十五年から十年に短縮する、あるいは、今回の消費税の引上げにおいて、年金生活者支援給付金を支給する等の措置もあわせて進めているということであります。

稲富委員 この表は実際に納付している方ですので、減免の人は恐らく入っていないのではないかと思いますが。

 それは、確かに、取るときにある程度不公平であっても、歳出によってそれを埋めるということはもちろんありだし、それがまさに社会保障の一つのあり方だと思います。

 ただ、私がここをるる大臣にもお伺いしてまいりましたのは、やはり、それぞれの社会保障や税の再分配機能が非常に低下をしているんじゃないか。あるいは、もっと言えば、今の社会保障制度の問題は、本来行くべきところに行っていなくて、行かなくていいところに給付が行っている。

 例えば、さっきの保育料なんかを言うと、高額所得者の方の保育料をただにするということは、もちろんその他のことがあって決めている話ですけれども、私は必要ないと思いますね、私は。

 それで、定額の国民年金にしても、これは低所得者の方と高額所得者の方が同じ額を払っている、そして同じ国民年金、基礎年金をいただくというその制度は、非常に私は、払うべき人が払っている、あるいはもらうべき人がもらうという形にはなっていないんじゃないか、そういうことからこれまで申し上げてまいりました。

 二〇四〇年に向けての社会保障の改革を考えるということで、この格差の問題と、そして途中で申し上げました単身世帯について、相当世帯間の格差が広がっております。ぜひ、二〇四〇年に向けての社会保障改革、そのことを踏まえた対策を考えていただきたいなということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立国社の中島克仁です。

 薬機法の質疑で質問時間をいただきましたので、御質問させていただきたいと思います。

 私からは、改正案、内容は多岐にわたるわけでありますが、薬剤師、薬局のあり方の見直し、かかりつけ薬剤師、薬局、新たに創設をされます地域連携薬局について、また、関連して我が国の今後の医療、介護体制について、大臣に御認識、御見解をお尋ねをさせていただきたいと思います。

 二〇一五年、厚労省より公表されました患者のための薬局ビジョンにおいて、患者が副作用等の継続的な確認を受けられたり、多剤、重複投与や相互作用などが防止されるようにするためには、かかりつけ薬剤師、薬局に服薬情報を一元的、継続的に把握してもらい、それに基づき適切な薬学的管理や指導を受けることが非常に重要である旨が指摘をされました。

 こういった指摘を受けて、二〇一六年の診療報酬改定でかかりつけ薬剤師指導料、地域支援体制加算という項目が追加をされまして、かかりつけ薬剤師制度は実際既に始まっているという理解をしております。

 今回の改正で、薬剤師による服薬期間を通じた継続的な薬学的管理、指導の義務化がされるということで、ポイントは患者さんの使用する医薬品の一元的、継続的な管理という観点でありますが、ここはもう前提の確認で、参考人にお尋ねいたします。

 今回の法改正、かかりつけ薬局を事実上義務づけるということでよろしいでしょうか。

樽見政府参考人 患者のための薬局ビジョンで、かかりつけ薬剤師、薬局ということを打ち出しているわけでございます。その中で、おっしゃるとおり、服薬情報の一元的、継続的な把握とそれに基づく薬学的指導、管理というものを求めているわけです。

 ですが、あわせて、かかりつけ薬剤師、薬局の機能ということでいいますと、例えば休日、夜間の対応でありますとか、あるいは、むしろ、かかりつけのお医者さん、かかりつけの医療機関というのもあると思いますので、そうしたところを始めとする、ほかの医療機関との連携強化ということもうたっているわけです。

 そういう意味でいいますと、今回の法改正で、調剤後における継続的な服薬指導を薬剤師に義務づけるという、これは、かかりつけ薬剤師、薬局というふうになるために必要な一つの機能を位置づけたという形の位置づけになるだろうと思います。むしろ、今回の制度の中で取り込んでいる地域連携薬局、あちらの方が、かかりつけ薬局というものを法律上位置づけたというところに近いだろうなというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、適切な薬学的管理、指導というものが患者さん相手により確実に行われるようにするということが大事でございますので、そうしたことに向けて、我々として引き続き努力をしていきたいと思います。

中島委員 今、地域連携薬局の話も出ましたが、お話にも出ました、資料の一枚目に示してあります患者のための薬局ビジョン、薬局再編のための全体像ですね。これの中では、二〇二五年までに全ての薬局をかかりつけ薬局にと示されています。

 今回、服薬期間を通じた継続的な薬学管理が義務化され、一方で、患者のための薬局ビジョンでは、二〇二五年までに全ての薬局をかかりつけ薬局とする、目指すとされていますが、するという。先ほど答弁いただきました。一部、ここを後押しする、更に進めていく、全ての薬局をかかりつけ薬局にしていくんだ、そういう内容だというふうに思います。

 そこで、いろいろな観点があると思うんですが、今回、かかりつけ薬局、ビジョンでいえば二〇二五年までに全ての薬局をということでありますが、財政面であったりとか、一方では患者さんから、もともとこのビジョンは患者さんのためのというビジョンになっておるわけでありますが、どういう影響が出てくるのかについて。

 質問を続けさせていただきますが、このビジョンでいくと、薬局で働く全ての薬剤師がかかりつけ薬剤師となり、全ての薬局がかかりつけ薬局となった場合、医療費に占める薬剤費用、大体今八兆円ぐらいということでありますが、ふえ続ける医療費にどんな影響があると考えているんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 かかりつけ薬局の定義いかんにもよりますけれども、御指摘のかかりつけ薬剤師の指導料という観点で申し上げますと、現在、かかりつけ薬剤師指導料を届け出ている薬局は平成三十年十一月時点で約二万四千施設、全体の約四〇%でございます。ただ、かかりつけ指導料等の算定回数は処方箋全体の約一・五%ということで、平成三十年度では約千二百五十万回算定されております。仮にでございますけれども、このかかりつけ薬剤師指導料を届け出ている薬局が全薬局に拡大した場合には、このかかりつけ薬剤師指導料等の算定回数の増加が想定されるというふうに考えております。

 ただ、一方で、かかりつけ薬剤師が患者の服用状況を一元的かつ継続的に把握すること等によりまして、患者に対する薬物療法の安全性、有効性を薬学的観点から確保いたしますとともに、重複投薬、残薬、多剤処方の防止や解消等を通じまして、医療保険財政の効率化にも寄与することも期待されるものと考えております。

中島委員 今御答弁いただいたように、現行では、かかりつけ薬局も施設基準を満たしているのは大体半分の五〇%ぐらいで、処方箋、これは加算で見るしかないですけれども、大体一・五%ぐらい。さらに、この改正で、先ほど申し上げたように、更にかかりつけ薬剤師、薬局を後押しするという観点だということであれば、ビジョンの中では二〇二五年、現行のままのかかりつけ薬剤師指導料を全員がとったら、当然予算は膨らむわけですよね。一方で、今御答弁いただいたように、重複投与だってあったり、一方では、残薬の整理、適正化ができるという観点。これは逆に、後押しすることで財政面では厳しくなるんじゃないか、そういうふうに指摘されている部分もあると思います。

 この十月には消費税も増税されて、医療費効率化という観点も非常に重要だと思いますので、結果的に効率化されるはずだとか、そういうことではなくて、財政上どういう影響があるのかはしっかりと示すべきだということは御指摘をさせていただきたいと思います。

 一方で、患者さんにとって今回のかかりつけ薬剤師、薬局がどういう影響があるのかということについてですが、これも厚労省として、患者のための薬局ビジョンで示されておりますが、具体的に患者さんにとってどのようなメリットがあると考えているんでしょうか。

樽見政府参考人 まさに、先生御指摘の患者のための薬局ビジョンということで書いてあるわけでございますけれども、服薬情報の一元的、継続的な把握、それから、それに基づく薬学的管理、指導ということで、例えば、複数の診療科を受診する、複数の医療機関に通ってそれぞれで投薬を受けるというような場合に、これが重複投薬ということになっていないか、あるいは薬の相互作用というものがあるかないか、そうした確認、そういう相談をかかりつけの薬局で日常的にしてもらえるというようなことになります。

 それから、在宅医療への対応あるいはほかの医療機関との連携というかかりつけ薬局、薬剤師の機能ということからしますと、例えば、在宅で特に配慮が必要な高齢者あるいはその家族というような方々が、入院したり退院したりということをやられる、そうすると、入院する医療機関にも、前にどんな生活をし、どんな薬を飲んでいたかといったようなことについて、薬局の方から確実に情報を渡してもらえる。あるいは、退院してきたときにも、病院でどんな薬を使っていて、したがって在宅のところでもこういう薬を使い、こういう飲み方をするということによって体調の維持、改善をしていく、そういったような相談ができる。しかも、それをいつでもできるというようなことが患者にとってのメリットということであろうというふうに思っています。

中島委員 重複投与や、また他機関との連携、そして在宅の患者さん、そして、今、いつでもということをおっしゃいましたが、いつでもはちょっとおいておいて。

 今現在、例えば在宅の話もありましたが、在宅医療を受けている患者さん向けには在宅患者訪問薬剤管理指導料、私は既に算定が適切であると思っていますし、薬剤の重複や残薬の調節には重複投与・相互作用等防止加算があります。かかりつけ薬剤師になっていないからといって、ちゃんとやらないということにはならないと思いますし、また、調剤後の継続的な服薬指導、服薬状況の把握と、服薬状況等の処方医へのフィードバック、これは、薬剤服用歴管理指導料を算定していれば当然するべき内容になっています。

 お薬手帳の活用が進んでいる現状では、今回、一カ所に集約する必要が患者さんにとって本当に実感できるかどうか。むしろ、この後引き続いて質問もいたしますが、整形外科、また内科、それぞれかかりつけ医を持っている、一番利便性が高いのは、近くにある薬局でもらうことが一番便利なわけで、それが一カ所に集約されて、いい面もあるけれども、患者さんにとって逆に利便性が悪くなるんじゃないかというふうに受けとめられる可能性が私はあるのではないかと。

 この辺は周知とか普及の問題かもしれませんが、処方箋の枚数や設備基準も含めてまだまだかかりつけ薬剤師、薬局が根づいていない現状を考えると、患者さんにとってどういういい面があるのか、メリットがあるのかということは、もっとアピールというか、理解を深める努力をしていただきたい、そのように思います。

 先ほど言った、いつでもということになりますと、今回の特徴は二十四時間対応。また、患者さんとの同意書を交わす、これを私はいわゆる登録制というふうに理解をしておりますが、開局時間外でも患者さんに連絡先を伝え、勤務表も渡しておくという要件が肝になるんだというふうに思います。

 ここで質問ですが、全ての薬局がかかりつけ薬局となった場合、かかりつけ薬剤師を持つ患者さん、いわゆる同意書を交わしてバイの関係になる患者さんの数を、どのぐらいの数になると想定しているのか。また、一人のかかりつけ薬剤師が受け持つ患者さんはどのくらいが適当と考えているのか。お尋ねします。

樽見政府参考人 これはなかなか難しいところでございます、率直に申し上げて。

 例えば、患者のための薬局ビジョンの中で、かかりつけ薬剤師あるいは薬局というものを持っていただくにふさわしい患者像というものを示していまして、そこでは、高齢者、生活習慣病などの慢性疾患を有する患者、重篤あるいは希少な疾患等で高度な薬学的管理が必要な患者、あるいは妊婦や乳幼児、そういうような方々というのはかかりつけ薬局、薬剤師というものをきちんと持っていただくのが有益ですよということを言っていまして、こうした患者さん方については、特に、かかりつけ薬剤師、薬局を選択して持っていただくということが重要だというふうに思います。

 その結果として、かかりつけ薬剤師、薬局の側として、では何人患者を持つのがふさわしいかということになりますと、患者さんの使っておられる薬剤でありますとか、幾つ処方箋を持ってこられるかとか、そういった条件にも実はよるということでございますので、患者さんの側から、こういう方々はかかりつけを持っていただくにふさわしいというところの考え方は我々としても引き続いて示したり、いろいろその周知なりやっていきたいと思いますけれども、薬局の側から、何人の患者さんを持つのがいいのかということについてはちょっと今時点で具体的な想定というのはなかなか難しいと考えておりまして、むしろ、これから各薬局あるいは職能団体、そういったようなところから実情をよく伺って考えていかなければいけない課題だなというふうに思っているところでございます。

中島委員 いや、私は、そういう設定は、正確にできないまでも、ちゃんとしておくべきだと思いますよ。

 薬剤師さんの数は三十万人と言われています。そのうち薬局勤務の方が十七万人、大体五七%、半分以上ということですが、今もちょっとお話しいただけましたが、例えば要介護者、在宅にいる方、また施設にいる方もいますからこれは実数ではないかもしれませんが、六百万人を超えていたり、あと、在宅患者さんだけでも十五万人いたり、外来患者数、延べ数でいくと、これもかなり幅広いですが、約五百万人前後と言われています。さらに、慢性疾患、生活習慣病ですね、定期的また一元的に管理する必要がある患者さんの数、高血圧だと約一千万人と言われている。

 そういう患者さんを、例えば、二十四時間ですよ、二十四時間いつでもどこでも対応できますと。例えば、介護保険のケアマネさん、担当の患者さんは四十人と決められていますよね。私も在宅医だったからわかりますが、私は最高のとき、百二十人診ていました。患者さんが幾ら落ちついているとはいえ、二十四時間いつでも対応しなきゃいけないという要件をつける以上、大体適正な数はどのくらいなのか、そういったことはやはり、ある程度めどとしてやっておく必要があるということは指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、全体の数もそうなんですけれども、そういう意味からいきますと、今回、二十四時間相談に応じる体制をとって、患者に開局時間外の連絡先も伝え、勤務表も交付する。いろいろな形態の薬局があるわけですが、いわゆる門前薬局と呼ばれる一人薬剤師薬局、こういう方々はやはり、かわりに対応してくれる薬剤師がいる場合とは全く変わってくるということで、大きな格差が出てきてしまうんじゃないか。

 一方で、この時間外の労働の問題、これは上限をどうしていくかということを、医師の働き方もそうでありますが、昨今の働き方改革の動向と相反するのではないかという意見も私はいただいております。

 改めて、現在の議論されておる働き方改革の流れと、今回の二十四時間対応を要件として義務づけるかかりつけ薬剤師、整合性をどのように考えているのか、お尋ねいたします。

樽見政府参考人 まさに、薬局で、二十四時間、夜間、休日対応ということを含めて、患者さんのためにこういうふうにお仕事をしていただきたいということをお願いしていくわけでありますが、世の中、夜間、休日含めて働いて店をあけておられるところというのはあって、そういうところでも働き方改革という中で従業員の方には無理のない働き方をしていただくということで、それぞれの事業者さんが苦労しながら取り組んでいただいているということだろうと思いますし、薬局についても基本は同じだというふうに思います。

 ですので、まさに患者さんへのサービスはしっかりとやっていかなきゃいけませんけれども、あわせて、働く薬剤師あるいは薬局の従業員の方の仕事の仕方ということについては、無理のないような形でおさめていくということもあわせて対応しなければいけないということでございますので、そうしたところに向けて、いろいろ工夫をして取り組んでいかなければいけないというふうに思います。

中島委員 だからこそ、ある意味今回は薬剤師さんの働き方の改革とも言える内容であって、それが、現行の時間外労働のあり方であったりとか、議論されている中で、安易に、二十四時間、はい、いつでもどこでも対応できますよといって、後々になってまたそのあり方を見直すということになると、これは大変なことになると思うんです。

 そういう意味で、先ほどの、どのくらいの国民がかかりつけ薬剤師を、また、一人の薬剤師がどのくらい受け持つのかという設定は、明確に、正確でなくても、やはりこのぐらいが適当だろうというものは厚労省として考えておく必要があると思います。

 二十四時間対応の要件に加えてちょっと質問いたしますが、いわゆる待機時、二十四時間ですから、薬局にいないとき、御自宅で、家にいるとき、夜中も含めてですが、患者さんの薬歴情報の管理はどのようにするんでしょうか。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

樽見政府参考人 かかりつけ薬剤師の方が夜間、休日などの開局時間外に患者からの相談に対応する場合ということになると思いますが、その相談の内容によってさまざまなケースが想定されますので、薬局ごとに、では、どういう体制をつくるのか、また、どういうルールで対応するのか。これは、どなたがどういうふうに受けて、どういうふうに相談するかということも含めて、各薬局ごとにルールを決めて対応していただくということになると思います。

 その上で、まさに、なかなか薬歴等の情報を細かいところまで常に御自宅にいる薬剤師さんにも必要になるというような場合ばかりとは限らないと思いますけれども、時間外にこうした情報を持ち出す、あるいは取り扱うという場合には、個人情報保護の観点から、患者情報の漏えい、滅失等を防止するための安全管理措置というものが必要であるというふうに考えておりまして、医療、介護関係の事業者の個人情報の取扱いということについて幾つかガイドラインも出されておりますので、こうしたものを参考にしていただいて、取り組んでいただくということが適当であろうと思っています。

中島委員 時間がないので質問を飛ばしていきますけれども、今のも、いわゆる一人薬局の体制と、何人か薬剤師がいる大きな体制の中では全く違うと思います。

 医療情報に関するガイドラインに沿ってということになると思うんですが、なかなか、一人でやっている中で、医療情報、薬歴情報を、夜中に患者さんから問合せがあって、一回薬局に行かなきゃいけないとか、一方では、こういう時代ですから、どういうツールを使って、ある意味オンライン診療とも関連するかもしれませんが、そういうシステムの再構築をしっかりとやらないと、これまた先ほど言ったように、一人で薬局をやっているところは立ち行かなくなってしまうということを御理解をいただきたいと思います。

 続いて、地域連携薬局について御質問いたします。

 五万九千カ所あると言われている薬局、立地や規模、地域住民との関係性において多様な状態となっています。いわゆる門前薬局も、一つの診療所に対して一つ存在する薬局から、大病院の前で複数店舗が林立する薬局など、さまざまな形態があります。大手の薬局もあります。また、調剤業務で、地域連携薬局、また専門医療関連薬局も同様でありますが、具体的な要件等は省令事項となっておる。

 確認ですが、地域連携薬局の認定要件は、多様な形態の薬局がすべからく認定を受けられるように配慮するのか。具体的に要件の内容を明確にするべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

樽見政府参考人 認定の要件についてはまさに省令で決めていくということにしますけれども、患者の皆さんあるいは現場の薬局が混乱しないように、地域が混乱しないように、できるだけ早く明確な形で示していきたいというふうに思います。

中島委員 委員長、定数を確認してください。

盛山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 では、速記を再開してください。

 中島君。

中島委員 これは大事な、私も今後の我が国の医療体制、介護体制についてこれから質問していきますが、与党側から提出されている法案ですから、先ほど変なやじがありましたが、本当、そういうやじはやめていただきたい、そのように思います。

 ちょっと順番は前後しますが、十番目の質問に入ります。今回、この後、地域連携薬局、健康サポート薬局等の推進等ありますが。

 結論から言うと、このかかりつけ薬剤師、私は賛成です。桝屋先生もおっしゃっていましたが、こういった取組を更に進めていかなければいけないですし、もっと以前からこういう取組をしなきゃいけなかったんだというふうに私自身は理解しておりますが、ただ、一方で、現状と兼ね合わせていくとまだまだ無理がある。その前提は、やはり患者さん、医療的ケアを、一元的、継続的、さらには包括的に見ていくためには、かかりつけ薬剤師の前に、やはりかかりつけ医、これの確立、制度化が私は大前提だというふうに思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 医療提供体制の、更にこれからの時代に対応していくために、いわゆるプライマリーケアがしっかり維持されていく、そういった意味において、身近な地域でかかりつけ医がおられて、そしてその機能が発揮をしていく、そういう環境整備をしていくことが重要だというふうに考えております。

 我々も、かかりつけ医機能に関する情報の提供をしっかりやっていく、あるいは、診療報酬においてもかかりつけ医機能の評価を推進していく、さらには、かかりつけ医育成のための研修を行っていく等、さまざまなことをさせていただいておりますので、引き続き、患者の方が身近な地域で適切な医療が受けられる、そうした環境の整備、これに向けて取り組んでいきたいと考えております。

中島委員 私が聞いたのは、今回、かかりつけ薬剤師は、私は、今回の法改正で、ちょっとマッチングしないところもありますが、事実上制度化されたというふうに認識しています。一方で、かかりつけ医は大事だという大臣の答弁でありましたが、では、この国にかかりつけ医と呼ばれる医師が一体何人いて、そして今後、地域包括ケアシステムの構築もそうですが、人口構造、疾病構造の変化によって一体どのぐらいのかかりつけ医が必要になるのかということが、いまだ全く定まっていないんじゃないかと。

 そこに問題意識があるわけでありますが、資料の三枚目になります。

 これは、六月二十五日の日経新聞一面でありますけれども、「かかりつけ医 定額制に」。内容は非常に細かく出ております。「厚生労働省は患者が自分のかかりつけ医を任意で登録する制度の検討を始めた。」という記事でありますが、この記事が出た翌日、当時の根本厚生労働大臣はこの記事に対して全否定をいたしました。

 確認ですが、加藤大臣、この記事の内容、厚労省内で検討されていないということでよろしいですか。

加藤国務大臣 記事にありますように、かかりつけ医の登録制度、また、かかりつけ医を受診した際の定額制、これについて厚生労働省で検討を開始したという事実はないということであります。

中島委員 この記事、大変詳細なんですね。この記事全体ということよりも、昨今、定額負担に関しては、大病院への受診に関してまた議論が進められておるということでありますが、一般外来における定額制また包括報酬制、こういった議論もしていない、若しくは、今後進める予定がある、ない、そこについてはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 定額制というのはいろいろなところで使われているので、先ほど申し上げたことはしていない。

 ただ、今お話がありましたように、大病院受診時の定額負担に係る対象範囲の拡大を始めとした外来受診時等の定額負担の導入、活用については、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討ということで経済・財政再生計画改革工程表二〇一八にうたわれているところでありますので、やはり、これからの医療のあるべき姿を考える中で、こうした受診時定額負担を含めた給付と負担のあり方、これについては議論をしていくということで、関係審議会においても意見を聞きながら丁寧に進めていきたいというふうに考えておりますけれども、現実の中で、先ほど申し上げたかかりつけ医の登録制あるいは定額制について今議論する状況にはなっていないということであります。

中島委員 ちょっとそこを確認だけさせてもらいたいんですが、改革工程表の中で検討事項に入っておる外来受診時定額負担ですね。これについては、改革工程表の中に入っている。検討していくという理解でいいですか。

加藤国務大臣 これも、いろいろな検討課題が幾つかある中の一つとしてこれが掲げられて、検討するということになっているということでありますから、いずれにしても、関係者等の意見も聞きながら検討していくことになると思います。

中島委員 これは、我々というか、議連をつくりまして、このかかりつけ医の登録制、包括報酬制、そして、議員立法もほぼでき上がっています。ただ、最後の支払い部分のところが、諸外国のいわゆる家庭医制度においてさまざまな問題も発生しておる。そういう意味からいくと、今の出来高、一方で包括報酬、それぞれメリット、デメリットがあって、いわゆるこの登録制、今回の薬剤師のようにしていくための新たな報酬制度というものが必要になるということが我々の論点になっているんです。

 今、外来受診時の定額負担について、検討項目になっておるけれども、さまざまな問題があり、なかなかということですが、工程表に入っているわけですから、大臣の認識として、患者の定額負担、一般外来の外来受診時、これはする必要があると大臣自身は思いますか。

加藤国務大臣 ちょっと二つの話が一緒くたになっているような感じがするんですけれども、今議論させていただいているのは、まさに外来受診時の定額制についてどうすべきなのか、これについてもそれぞれ御意見もあります。それから、導入の経緯として、例えば頻回受診があるからこういうことが必要だとか、さまざまな御意見もあります。

 そうした御意見を踏まえながら、さらには三割負担という法律上明記されている部分もあるわけでありますから、そうしたさまざまな観点を踏まえながらこれから議論がなされていくべきだということでありますが、かかりつけ医の方はちょっとまた別の話ということであります。

中島委員 時間がないので、きょうはこの記事の内容について確認をさせていただきましたので、このかかりつけ医のあり方については、またじっくりと加藤大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 全世代型社会保障検討会の内容についてなんですが、前回、一般質疑のときに内閣府の政務官が来られて、介護離職ゼロをこの検討項目に含むのかという議論で、ちょっと不安定だったと思います。

 ちょっと確認させていただきたいんですが、これは内閣委員会でも確認をしました。恐らくこういう答えが返ってくるんだと思いますが、検討項目は今明確には決まっていない、介護離職ゼロは従来どおり進めていくんだという答えになると思うんですが、しかし、現実は、介護離職ゼロ、その結果、取り組んではいるけれども減っていない、受皿の整備も、また介護人材の確保も、そして介護休業の取得率もふえていない。従来どおりの取組で、私は、二〇二〇年代初頭、これは所信でも大臣が述べられていましたが、これは本当に大丈夫なんですかと。

 そういう意味では、全世代型社会保障検討会議、一回目が開かれ、これは大臣も大事な立場であるというふうに思います。新たな取組を私は見出していくべきだと。当然ながら、全世代型社会保障検討会議の項目に介護離職ゼロを明確に入れていくべきだと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 検討項目ということになると、例えば、七十歳までの就業機会を確保するとか、年金受給開始時期を選択肢を拡大するとか、こういうことだと思います。

 今委員の御指摘の介護離職ゼロというのはやはり目指すべき理念なんだろうと思いますので、介護離職ゼロというのはこれまでも一億総活躍社会からずっと掲げてきた理念でありますので、当然そういうものを包摂しながらここでは議論が進められていく。

 そして、現在において、御承知のように、五十万人の介護の受皿を整備していく、あるいは処遇改善についても今回消費税の引上げ分を活用する等の施策も行っておりますし、加えて介護人材を、介護の現場における生産性の向上等、さまざまな課題がありますから、そういった課題にはしっかり取り組んでいく中で、先ほど申し上げた介護離職ゼロを目指していく、こういうことだと思います。

中島委員 今、理念とおっしゃいましたが、一億総活躍の、新三本の矢の大看板ですよ。私、介護離職で、親御さんを介護している人もたくさん知っています。あの介護離職ゼロという大看板を掲げたときに、その方々は大変期待したわけです。理念とか、そういう問題ではなく。

 一方で、先ほど柚木委員も質問しておりましたが、社会保障審議会の介護保険部会で、要介護一、二の方の総合事業への移行、これは毎年検討されるんですね。これは私、一年前に、私は山梨が地元ですが、地域包括、全部回りました。そして、この要介護一、二の方、総合事業さえ、全移行はしましたが、その実態は、格差はどんどん広がり、十分に総合事業が根づいている地域は一部に限られていると私は思います。毎年毎年、要介護一、二の方が総合事業へ行ったら、介護離職は確実にふえますよ。

 政府が介護離職ゼロを目指し、一方で、社会保障審議会で毎年毎年のように、生活援助サービス、要介護一、二の方を総合事業へ移行。政府が介護離職ゼロを更に進めるというならば、この議論はもうするべきではないというふうに私は考えますが、大臣、御見解をいただきたい。

加藤国務大臣 いずれにしても、これから更に高齢者がふえていく、介護が必要な方がふえていく、その中で、そうした方が特に地域の中でお過ごしをいただけるような仕組みをどうつくっていくのか、そしてさらに、そこで給付と負担はどうしていくのか、多くの議論をしていかなきゃいけないというふうに思います。

 ただ、今委員御指摘のように、では総合事業が当初想定していたような状況になっているのかという意味においては、市町村の中においてもまだそうした事業をなされていないところもある、また、サービスの利用量についても必ずしも高くない。こういった状況はしっかり踏まえながら、まずは、総合事業に今移行している部分、これを私どもが当初想定していた形で進めていくということが大事なんだろうというふうに思います。

中島委員 現状もそうですけれども、介護離職ゼロと要介護一、二の総合事業への移行は真逆の政策だということを御指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 朝から議論になっております桜を見る会について、冒頭少しだけ質問させていただきます。

 菅官房長官が午前中の記者会見で、各省庁以外に国会議員からも推薦を受け付けているということをお認めになりました。

 内閣官房にお伺いしますが、政治家の推薦は内閣官房で受け付けているということでよろしいですか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 桜を見る会につきましては、開催要領に基づきまして、各界におきまして功績、功労のあった方々を、各省庁からの意見を踏まえて、幅広く招待をしているところでございます。内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものでございます。

 なお、お尋ねいただきました招待者の取りまとめの検討過程におきます情報等の詳細を明らかにいたしますことは、内閣官房及び内閣府における取りまとめの円滑な実施に支障を及ぼすおそれがありますこと等から、従来からお答えしていないところでございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本委員 菅官房長官が具体的に話したわけじゃないですか、国会議員の推薦枠があると。それで事務の支障に差しさわりが出たんですか。出ないでしょう。

 では、政治家の推薦はどこが受け付けることになっているんですか。

大西政府参考人 恐れ入ります、お答え申し上げます。

 私もちょっと、午前中ずっと別件で国会の中をいろいろ動いておりまして、先ほど会見の記録を拝見しましたけれども、その中では、官房長官の方からは、申し上げたのは、じゃないかということを申し上げましたということでございまして、そこは確定的な御答弁ではないのではないかと思っております。

 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますけれども、やはり現時点におきまして、内閣官房及び内閣府におきます取りまとめの円滑な実施に支障を及ぼすおそれがございますので、このたびのお尋ねにつきましても、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本委員 具体的にどういう支障ですか。

大西政府参考人 具体の支障ということでございますが、これはさまざま、言い尽くすことはできませんけれども、例えば、具体的に誰々さんは招待されているのかといったようなことにつきましてお問合せが来ることもございますが、それは個人的な情報ということでもございますし、また、自分の、もっとこういう人たちをどんどん入れてほしいといったような御要望が多数になりますと、実際にはなかなかそれがおさまらないようなことにもなることもございまして、それは一例でございますけれども、いろいろな支障があるということでございます。

宮本委員 別にそういうことは支障にならないじゃないですか。大体、こういう人を入れてほしいというのは安倍事務所を先頭にやっているわけですから。それが支障だったら、桜を見る会自体、やることが問題だという話になりますよ。

 きょう朝から議論になっておりますけれども、桜を見る会、安倍事務所が出している案内では、御出席を希望される方は、二月二十日までに別紙申込書に必要事項を御記入の上、安倍事務所又は担当者まで御連絡くださいますようよろしくお願い申し上げます、参加される方が御家族、知人、友人の場合は別途用紙でお申し込みください、コピーして御利用くださいというのが流れているわけですよね。

 そうすると、安倍事務所が取りまとめた招待状の発送の依頼は、内閣府若しくは内閣官房のどちらかにあったということですよね、物証があるわけですから。

大西政府参考人 恐れ入ります、また御答弁申し上げます。

 繰り返しの答弁に若干なってまいりまして申しわけございませんけれども、招待者の取りまとめの検討過程、発送に至る部分もございますでしょうけれども、そうしたところの詳細を明らかにいたしますことは、円滑な実施に支障を及ぼすおそれがございますので、お許しをいただきたいと思います。

宮本委員 これだけの物証があって隠し続けるというのは、よほどやましいことをやっているということじゃないですか。

 午前の議論でも、内閣府が招待状発送の元締めだけれども、ほかの省庁にも依頼しているという話がありました。内閣官房が発送を行っているものもあるということでいいですか。

大西政府参考人 これも恐れ入ります、また繰り返しの御答弁になってしまいますけれども、そうしたところも含めまして、きょうは答弁を控えさせていただきたいと思います。

宮本委員 全く何を聞いても答えないわけですよね。きょうは勘弁と言うんだったら、この後どこかで答えていただけるのかなと思いますけれども、これは予算委員会を開くしかないということになると思いますよ。

 きょうは会計検査院に来ていただきました。

 閣議で配付された桜を見る会の開催要領では、招待範囲は、皇族、元皇族、各国公使等、衆参議長、副議長等、国務大臣、副大臣、政務官、国会議員、認証官、事務次官等及び局長等の一部、都道府県の知事及び議会の議長等の一部、その他各界の代表者等、計一万人とあります。

 会計検査院に伺いたいんですけれども、こうした書きぶりの場合は、その他各界の代表者等の等の解釈としては、誰でもいいんですか。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、行政文書の解釈につきましては、当該文書を作成しました機関においてなされるべきものと考えております。

宮本委員 会計検査院出身の元調査官の方が、こういう場合の等といった場合はほぼ同等だというふうに解説をしておられますよ。

 各界の功績、功労があった人というのが、本来だったらこの文言から読み取れる中身なんじゃないですか。誰でもいいという話なんですか、これは。そんたくして会計検査院がそういう答弁をされるようでは、本当に私は心配になってしまうわけであります。

 大体、後援会員が友人を誘っていい、知人を誘っていいと。功績、功労のはかりようがないじゃないですか。違いますか、今回出ている文書というのは。功績、功労をどうやってはかるんですか、友人や知人が誘ってきたものを。こんなでたらめをやっていて、真実も明るみに出そうとしないというのは、本当に情けない話だと思いますよ。

 そして、もう一点、会計検査院にお伺いしますが、開催要項をはるかに上回る招待を行って、予算を三倍もオーバーする支出を行いながら、ことしの招待名簿は破棄したと、内閣府も内閣官房も含めて安倍政権は説明しております。

 会計検査院が合規性などについて検査するに当たって、私は、この招待名簿は必要であり、検査が終わる前に破棄してはならないものだと思いますが、検査院の見解をお伺いします。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、各府省においては、文書管理規程を定めまして、これに基づき管理しているものと承知しております。

 会計検査院としては、各府省において適切な行政文書の管理が行われていることを前提として、その保存されているものについて検査をしているところでございます。各府省において文書管理規則に従って適切に管理されていることが必要と考えております。

宮本委員 会計検査院法二十六条では、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、この場合において、提出の求めを受け、又は質問され若しくは出頭の求めを受けたものは、これに応じなければならないと。

 この桜を見る会の合規性の判断ですよ。功労者が、功績者が正しく呼ばれてなされているのか。これは、税金の支出が適正かどうかを見る上では、招待者の中身を判断するしかないわけですよ。ましてや、予算は一千七百万円台で国会では承認されているのに、予算の三倍も支出をしていたわけであります。そして、招待者も、一万人というのが閣議で配られた開催要項で記されていたにもかかわらず、野方図にふやされてきたわけであります。

 これの適正さ、合規性を判断しようと思ったら招待名簿は不可欠だと思いますが、違いますか、検査院。

三田会計検査院当局者 お答えいたします。

 一般論といたしまして、会計検査におきましては、特定の資料だけではなく、さまざまな資料に基づいたり、担当者等から説明を受けたりなどしているところでありまして、一部の資料がない場合でありましても、確認できる他の関係資料等に基づきまして検査してまいります。

宮本委員 ほかの資料を破棄されたら、それはないもとで調べるかもわからないですけれども、本来、会計検査も受ける前に、会計検査上、普通に考えたら、どう見ても、合規性の判断をする上で、調査する上で必要なものを捨てていいんですかということを聞いているわけですよ。そんなことを捨てていいということになったら、何でも捨てるじゃないですか。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、会計検査院といたしましては、各府省において適切な行政文書の管理が行われていることを前提として、その保存されているものについて検査をしているところでございます。各府省において文書管理規則に従って適切に管理されていることが必要と考えております。

宮本委員 即日廃棄していいという文書管理規則をつくったら、即日全部廃棄されて、検査のしようがないじゃないですか。違いますか。

 私は、会計検査院は、本来ならば、こういう問題は国民の関心も非常に高いですから、桜を見る会については、予算も大膨張している、国会の承認されたものを無視している、そして総理の後援会がこれを後援会サービスとして私物化しているという重大な疑惑もあるわけですから、検査院がしっかり検査すべきだと思いますよ。いかがでしょうか。

三田会計検査院当局者 一部の資料が廃棄されている場合につきましても、確認できる他の関係資料等に基づきまして適正に検査してまいります。

宮本委員 桜を見る会について検査をしていくということでよろしいですね。

三田会計検査院当局者 適正に検査してまいります。

宮本委員 国会に報告を出していただけますか。

三田会計検査院当局者 検査の結果、報告する事項がございましたら、決算検査報告として御報告させていただきたいと思います。

宮本委員 国民の関心が極めて高い事項です。そして、総理の疑惑にかかわる問題もありますので、しっかりと検査をお願いしたいと思います。

 それでは、薬機法の審議に移りたいと思いますが、検査院と内閣官房、そして内閣府は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。

 前回に続いて、きょうは、まず、オンライン服薬指導の解禁について質問させていただきたいと思います。

 現行の薬機法では、処方された医薬品の販売は対面による指導となっております。また、前回の薬事法改正の際に、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されるという中で、厚労省は要指導医薬品というカテゴリーを新たに設け、医療用医薬品からスイッチしたばかりの一般用医薬品を要指導医薬品に指定して、これについては対面の販売が必要だといたしました。その際、政府は国会でこう説明していたんですね。使用者本人の状態等を直接五感を用いて判断した上で販売することが必要だ、こういう説明でありました。

 ところが、今回の法案では、処方された医療用医薬品についてまでオンライン服薬指導を全面解禁するというものになっております。直接五感を用いて判断することが極めて重要だという、これまでの認識というのは変わったんでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年の薬事法改正でございます。そのときに、御指摘のとおり、ほかの一般用医薬品と区別して新たに要指導医薬品という医薬品の区分を設けたということでございまして、これは、医療用医薬品から転用して一般用医薬品にしたもの、いわゆるスイッチOTC、そのスイッチしてから一定の期間が経過していない医薬品というものについては、一般用医薬品としてのリスクが確定しておらない、一般用医薬品でございますので、一般の人がやってきてこの薬を下さいなというふうに言ってくるということでございますので、そうしたものについて、薬剤師が直接の対面によって、まさにその五感をもって、患者さん御本人が気づいていないような症状も含めて患者さんと話をして、その上で確認をして販売することが必要だというふうに言っていたわけでございます。

 今回導入しようとしているテレビ電話等による服薬指導というのは、医師の処方に基づいて調剤された薬剤の服薬に対する指導というものでございますので、一般の人が医療用医薬品からスイッチしたばかりの医薬品を買いに来るというものとは違うものでございます。

 あわせて、今回導入しようとしているテレビ電話による服薬指導については、初回は対面で行うというようなことを条件とするなど、対面による服薬指導と適切に組み合わせるということ、あるいは、医療機関との連携体制の確保等の一定の要件を確保することを求めることにしたいというふうに考えておりまして、そういうこととあわせて、必ずしも一律に対面による指導を義務づけなくても適切な実施が可能と考えたものでございます。

 五年前の要指導医薬品は、まさにスイッチされたばかりのOTCということで、普通の一般の方が来られる、それに、まだ一般薬としてのリスクが確定しておらない、そういう薬を売る場合ということでございますので、そうした要指導医薬品の販売についての扱いというものは、今般の改正後も維持をすることにしているということでございます。

宮本委員 要指導医薬品よりも医療用医薬品の方が、これは一般用医薬品に移る前の話なんですから、もっと慎重に扱わなきゃいけないというのは当たり前の話だと私は思いますよ。医療用医薬品に準じた扱いにしたのが、この間の、前回の改正の要指導医薬品ということじゃないですか、位置づけからすれば。その説明は全くおかしいと思いますよ。

 テレビ電話だとかで確認するといったって、それは五感では確認できない方法になるわけですよね、間違いなく。そして、初めは対面を求めるといっても、体調はいつどう変化するかわからないから今まで対面でというのを求めてきたわけですから、そこを規制緩和するというのは本当におかしな話ですし、前回は直接五感で感じるのが大事だと言っておきながら、今度は五感は関係ないですよというのは、本当に朝令暮改が過ぎるというふうに私は思います。

 そして、今回の改正案を見て驚いたんですけれども、対面、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に確認しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものを含むとあるんですよね。ですから、厚労省令で定める方法は対面に含めるというふうに、何でも逆に言えばできちゃうわけですよね。条件も制約もないわけですよ。

 ですから、直接五感を用いて判断することが大事という本来の原則的な立場からすれば、私はオンライン服薬指導というのは極めて例外的な扱いにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 まさに近年、情報通信技術というものは著しく進歩しているわけでございまして、質の高い医療を効率的に提供するという観点から、こうした技術を活用していくということもまた大変重要なことであるというふうに考えているわけです。

 そういう中で、オンライン診療、お医者様の診療というところについては、既に平成三十年の三月にガイドラインを策定して、それに基づく診療が行われています。そのときにも、初回は対面診療とすることでありますとか、あるいは、診療計画というものを作成して、それに基づいて診療を受けていただくというようなことを要件にしているわけでございます。

 ただ、診療は三十年からやっているわけですが、一方で医薬品については、服薬指導について、現行の法律上、対面というものが一律に義務づけられているということになっておりますので、そこのところを今回の改正によって改めまして、一定のルールのもとで、薬剤の適正使用を確保することができるというような場合について、テレビ電話等による服薬指導を認めるものということでございます。

 そういう意味でいいますと、服薬指導は対面が原則であるということは変わらないわけでございますので、極めてと言うかどうかというところはあると思いますけれども、いわば例外という扱いになるというのはおっしゃるとおりであろうと思っています。

宮本委員 例外だとおっしゃいますけれども、やはり極めて例外なものにしなきゃいけないと私は思います。ところがその制約が法律の文言上ないというのは、私は大変懸念しているということを申し上げておきたいと思います。

 次に、新たに設ける課徴金制度について伺います。

 課徴金を課す目的について確認したいと思いますが、これは金銭的不利益を課すことで違反行為を防止するための抑止力だ、こういうことでよろしいですか。

樽見政府参考人 おっしゃるとおりでございます。課徴金導入の目的は、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めるものということでございます。

宮本委員 独禁法も課徴金の制度があります。

 きょうは公取に来ていただきました。

 製造業、大企業の場合は売上高の一〇%としておりますが、この根拠を説明していただけますか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの課徴金の算定率でございますが、平成十七年の独占禁止法の改正によりまして一〇%とされたものでございますが、この一〇%という水準は、過去の違反事件の不当利得を分析しましたところ、九割の事件で八%以上の不当利得があると見られたということ、また、違反行為の抑止という行政目的に照らしまして、その八%に、抑止を強化する分として、その四分の一に当たります二%を上乗せしたものとして設定されたものでございます。

宮本委員 違法行為のやり得にならないように、不当利益にプラスアルファで抑止力をかけているということであります。

 経産省、来ていただいていますけれども、日本の製造業の、今、平均的な売上高営業利益率というのは幾らですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年六月公表の経済産業省企業活動基本調査確報によりますと、平成二十九年度における資本金十億円以上の国内製造業の売上高営業利益率は、約五・七%というぐあいに承知をしております。

宮本委員 今、資本金十億円以上の企業、製造業でいえば、大企業、五・七%が利益率だと。それに対して、独禁法では一〇%、売上高に対して課しているということであります。

 今回の法案では、課徴金の算定率は四・五%と、独禁法の大企業の製造業よりも随分低いわけですね。

 四・五%の根拠について、先週の審議での説明では、医薬品製造販売業者、医療機器製造販売業者の営業利益率の中央値という説明がありました。こういう決め方で、果たして不当利得相当額以上の金銭的不利益を課すことができるのかということが問われていると思います。

 ちょっと数字をお伺いしたいと思いますが、医薬品製造販売業者の医薬品関係の売上高営業利益率の平均、また、医薬機器製造販売業者の売上高営業利益率の平均、述べていただけますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度医薬品産業実態調査に回答いただきました、日本製薬団体連合会の業態別団体のそれぞれに加盟していただいている企業二百九十三社の医薬品売上高に対する医薬品関係の営業利益率は、一二・一%でございます。

 また、平成二十九年度医療機器産業実態調査に回答いただきました、日本医療機器産業連合会の会員企業六百一社の損益計算書における営業利益率は、七・八%となっております。

宮本委員 今回の中央値から見た四・五%に比べて、平均値で見ると、利益率はもっと高いわけですよね。そして、医療機器製造販売に比べ、製薬メーカーの利益率は、平均で見ても倍近く高いというものになっております。

 今、数字をちょっと紹介してもらいましたけれども、大臣、今の法案に出ている四・五%、この算定率というのは、巨大製薬企業からすれば、違法な収益の剥奪、抑止力という点でいえば、私は極めて不十分じゃないかというふうに思います。

 独禁法では、大企業、中小企業で課徴金の率を分けております。薬機法でも、大企業、中小企業で課徴金の率を分け、大企業は引き上げるというのは考えるべきではないかと思いますし、医薬品製造販売と医療機器製造販売でも利益率は大分違います。ここの課徴金の率を分けるというのも私は考える必要があると思いますが、いずれにしても、巨大製薬メーカーの利益率というのは非常に高いわけですから、本当に不法なことをやり得にしないためには、この課徴金の率はもっと引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほどから答弁させていただいているように、課徴金制度の導入というのは、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、今回の場合は広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めることを目的としているということで、今回、算定率を四・五%としたものであります。

 一般的に、例えば景品表示法についての課徴金の算定率は三%でありますから、それと比べては随分高い水準になっている。また、一律にしているというのは、運用面、それからこうした制度をよく知っていただく、そういう点から四・五%という一律の率を課している、こういうことになっているわけであります。

宮本委員 ですけれども、それでは、不法な広告をやってもうけても、もうけは残るということになるわけですよ、大量のもうけが。やはりそれを抑止するためには、独禁法と同じように、不当な利益は許さない、それ以上の課徴金を課すことによって抑止を図る。私は、せっかく課徴金制度を設けるんだったら、やはりそこまでやっていく必要があると思いますので、そこはぜひ今後も考え続けていっていただきたいというふうに思います。

 その上で、もう一点だけ課徴金についてお伺いしたいんですが、製薬業界は、この算定率を決める過程で、厚労省に何らかの意見というのは伝えてきたことはあるんでしょうか。

樽見政府参考人 課徴金の算定率の基本的な考え方につきまして、厚生科学審議会の部会の取りまとめというところで入っているわけです。

 この厚生科学審議会の部会のメンバーとして、医療関係団体、医薬品・医療機器業界団体、薬害被害者、患者団体等の代表者、それから法学を始めとする各種有識者で構成される部会ということでございまして、そこの取りまとめの中で、「課徴金の額の算定については、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じる簡明な算定方式を採用すること。」というふうにされたところでございます。

 こうした考え方で先ほど来出ている制度にしたわけでございますけれども、製薬業界から厚労省に対して何らかの意見を伝えてきたということについてはございません。

宮本委員 伝えてきていないんだったら、製薬業界の方を政治の側、行政の側がそんたくして、これほど独禁法に比べて低いものになったのかなと考えざるを得ません。

 独禁法に比べても低い課徴金の一方で、自民党に対して、製薬業界からの企業・団体献金が行われております。

 医薬品業界の自民党に対する企業献金は、政治資金収支報告書によりますと、二〇一七年、八千三百万円ということになっております。

 製薬業界の政治団体であります製薬産業政治連盟は、毎年政治家のパーティー券を買っております。二〇一八年の収支報告書を見ますと、政治資金パーティーで、アステラス製薬、塩野義、第一三共、武田、田辺などの製薬大企業が毎回四十万円ずつ支払いをしております。そして、そのプールした二千六百万円もの資金で、自民党政治家を中心にパーティー券を購入しております。

 加藤大臣も、製薬産業政治連盟にパーティー券を買ってもらっているんじゃないですか。

加藤国務大臣 私が主宰をしている勉強会等においてパーティー券を購入していただき、それについては、法令に従い、適正に処理をさせていただいているところであります。

宮本委員 二〇一七年、幾らもらいましたか、買ってもらいましたか。

加藤国務大臣 済みません、私の方の収支報告書においては、たしかパーティー券二十万円以内はここには出てこないということになっておりますので、ちょっとすぐには出てこないということでございます。

宮本委員 製薬産業政治連盟の収支報告書の方に出ておりますが、二〇一七年二月二十八日、二十万円、二〇一七年六月二十三日、二十万円、二〇一七年九月一日、二十万円、二〇一七年十二月一日、二十万円。これはマサルカイと読むんですかね、衆議院議員加藤勝信昼食勉強会、支出が記されております。この二〇一七年、もちろん厚労大臣だった期間も含まれているわけですよね。

 加藤大臣、製薬大企業はどういう動機で大臣あるいは大臣経験者の、加藤大臣のパーティー券を買うんでしょうか。

加藤国務大臣 パーティー券を買っていただいている方のそれぞれの事由というのは個々なので、ちょっと直接私自身が知るすべはありませんけれども。

 ただ、御承知のように、政治資金パーティーは対価を徴収して行われる催物であるということ。そして、こうした会に、勉強会に定期的に御参加いただいて、これは実は厚労大臣になってから始めたわけじゃなくて、もうずっと前から始めて、そのころから同じように御参加をいただいているということでありますし、また、この勉強会も、単に厚生労働分野だけじゃなくて、そのときのさまざまなトピックを取り上げながら、意見交換をしながらそれぞれ勉強を深めていく、こういう趣旨で実施をさせていただいているところであります。

宮本委員 報道を見ていますと、製薬メーカーでたくさん献金だとかを政治家にもしておりますアステラス製薬担当者は、なぜ献金だとかをするのかということで、こう言っているんですね。産業界全体の動向を踏まえ、製薬業界の要望を伝える意味においても献金していると。一般的な社会貢献で献金すると言っているわけじゃないんですよ。

 業界の要望を実現してもらうために献金をし、パーティー券を買ってもらっている、こういうことなんじゃないんですか。

加藤国務大臣 今言われた方に対して、ちょっと、その方がそう言っておられる以上に、私の方からコメントすることはありません。

 ただ、さっきおっしゃった献金とパーティー券、ですから、献金という場合には、一般的にいわゆる寄附ということ、そうした寄附というものは私は受け取っていない。いわば、先ほど申し上げた、対価を徴収して行われる政治資金パーティーについて御参加をいただいて会費を負担していただいている、こういうことでございます。

宮本委員 パーティー券も実際は献金の形を変えたものですよ。二十万円も食事だとかそんなものに出ているわけじゃないわけですから。

 前回は、私は、製薬工業協会に対して厚労省から定期的に天下りがあるということを言いました。そして、きょうは、政界に対しては製薬マネーが流れているということを申し上げましたが、やはり行政や政治家が製薬業界とこういう天下りやあるいはお金の関係を持っていて、本当に安全最優先の厚労行政ができるのかという点では、私は大変疑念を抱かざるを得ないと思いますので、こういう点は改めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 薬機法の質疑、きょう、最終バッターということで、三十三分の貴重なお時間をいただいているんですけれども、ちょっとどうしても、ここ数日もやもやしますので、一言だけ意見を表明させていただきたいと思います。

 桜を見る会の質疑がきょう結構ありましたけれども、先週は全世代型社会保障会議の議事録が削除されたかどうかという話、それから、今週は桜を見る会ということで、質疑がとまったり、いろいろ紛糾、他の委員会でもありました。

 私は、先週も話をさせていただいたとおり、やはり、関係ない、関係が浅い委員会に関しては、重要な法案、しっかりと審議を進めていくべきだという立場であります。

 この問題、桜を見る会の問題は、私はこう捉えているんですけれども、古今東西、今まで権力者が、特定の枠があり、その枠を、その周辺の近しい人が便宜を図ってもらって特別なところに入れる、そこに公金が使われて、最初は恐らく節度があったんですよ、それがだんだんだんだん肥大化していって、当然のようにやり過ぎが起こってくる。こういう話で、さすがに、功労者の基準が曖昧なままに地元から八百人以上を連れてくるというのは、私は、民意としては、ちょっとやり過ぎちゃうかというのが皆さんが思うところだと思います。

 それはそれで、追及するならその場でやっていただいたらいいと思いますし、それから、民主党政権も実は当時二回、震災と、朝鮮からミサイルが飛んできてなくなった年もありましたけれども、鳩山政権時代はありました。そのときはどうだったのかというのは、もうリストもないという話で通っているので、検証もしようもないのかもしれませんけれども、それもちょっとどうかと思いますが。こういうことがあって、泥仕合の様相を呈すのは、私は四月に当選したばかりの新人ですから、何とも受け入れがたい、国民感覚とずれている、そのように思います。でも、これは野党の皆さんを責めるつもりもなくて、仕組みが悪いと思いますね、仕組みが。

 国会改革の中でも、追及のための別枠の特別委員会とか、そういう枠組みで、それも、見せ場が必要だったら、テレビを入れてやったらいいと思うんですよ。こういう重要な法案の審議に関しては、粛々とぜひ進めていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 それから、結論、私は、この桜の会のような催しはぜひやめていただきたいなというふうに思います。もう時代に合わない。皆さん、来年誘われたら行きにくくないですか。枠が十枠ありますといって、誰を誘うんですかね。こういうことはもう時代に合わないし、大阪は結構そういうのは民意が厳しくて、大阪で選挙なんかやったら、けちくさいことを言われるわけですよ。その中で、やはり清廉潔白さとか外形的公正性みたいなものに維新の会は結構こだわってやってきたところがありまして、前代表の橋下徹さんが口酸っぱく言っていました。

 これは、今後この委員会でも、全世代型社会保障、社会保障のあり方を根底から見直していこうという大改革をやるのであれば、いろいろな批判はあると思いますから、批判を受けとめて前に進むというときに、何というんですか、本質とずれる議論で足踏みするというのは、私はちょっと納得がいかない。ですから、加藤大臣はその点すばらしい大臣だと思いますから、ぜひ胸にとどめていただきまして、そのような形で進めていただけたらと思います。

 一方で、先週金曜日の理事会でこんなことがありました。先週の理事会も紛糾していたので、きょうの水曜日の日程を決めるのを、火曜日に理事懇を開いて決めるというような話があった中で、いや、それは官僚の皆さんの負担が厳しいので、何とか、やるやらないを決めてくれというふうに、私、失礼ながら、オブザーバーながら申し上げたら、小川筆頭はそれを英断していただきまして、重く受けとめるということで、きょうの開催は金曜日に決まりまして、金曜日に通告できました。

 こういう大局的見地から良識ある判断をしていただける方もいらっしゃいますから、ぜひ与野党一丸となって、国会改革、ずっと言われていることですから、私のような新人議員が僣越ながら申し上げることではないかもしれませんが、一議員としても、国民としてもそれを願いたいというふうに思いますので、閣僚の一人として、ぜひ加藤大臣にも考えていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 それでは、本筋の薬機法に入らせていただきます。

 きょうは、特に、薬局それから薬剤師のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、健康サポート薬局についてですが、位置づけが、先ほどから他の委員の先生方も御指摘がいろいろあると思うんですけれども、私は、今後、新しい枠組みの中で、地域連携薬局だったりというものが非常に似たような形で出てくる中では、ちょっともうこれは一旦制度を吸収して閉じた方がいいんじゃないかなというふうに思うように至っています。

 二〇一六年に制度が導入されてから、全薬局数の約五万九千件のうち、九月三十日時点では千五百六十七件ということで、正直ほとんど広がっていないということです。現場の声を聞いてみますと、制度があるのは知っているが、何が得かようわからぬ、これがほとんどです。

 今後、この地域連携薬局そして専門医療機関連携薬局という認定制度が新設される中で、この健康サポート薬局の位置づけについての考え方、また、広がっていないというこの現状について、どのように認識され、それに対して対策を打たれているかをまず教えてください。

樽見政府参考人 健康サポート薬局でございます。いわば住民への健康相談対応、あるいは、調子が悪いというときに、これはお医者さんに行った方がいいよというような受診勧奨、あるいは、いろいろな健康づくりのサービスといったようなものを含む健康サポート機能を持った薬局ということでありますけれども、そういう健康サポート機能を持ちながら、あわせて、いざ病気になったときには在宅医療の相談をしっかりと受けとめてくれる、そういうパッケージということで健康サポート薬局というふうにしているということでございます。

 御指摘のとおり、千五百六十七件ということで、薬局全体で約六万あるわけですから、割合はまだまだ低いと言わざるを得ないということでございますが、先ほど別の方への答弁で申し上げましたが、健康サポート薬局のための研修を受けている薬剤師というのは実は二万人を超えるというところに来ているということでございますので、薬局の健康サポート薬局というものに対する御関心というものは高いという状況になってきているということだと思います。

 ですので、地域での健康サポート薬局の役割というものについて、これからも私どもとしてもしっかりと浸透するように努力をしていくということをやると同時に、一方で、届出の手続が煩雑であるとか、そういう御意見も承知をしておりますので、例えば、届出の受理でありますとか、業務の、どういうふうに進めるかということの基準の明確化でありますとか、そういったようなことを、これまでもやってきたつもりでございますけれども、引き続いてしっかりと対応していきたいというふうに考えています。

 そういう意味でいいますと、今回、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局という、いわば旗を立てるという制度をつくるわけでございますけれども、病気になる前の段階を含めて幅広く健康サポート機能を持ち、あわせてかかりつけ薬局機能を持つという健康サポート薬局というカテゴリーについては、引き続いて推進をしていきたいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 考え方は何かわからぬでもないなと思ってレクのときも聞いていたんですけれども、薬局もやはりなりわいとしてやっていますので、インセンティブがないと広がらないというのは、これはもう如実に出ている現実だというふうに思います。言ってみたら、広がっていない、インセンティブがないから、やっても得なのかよくわからぬ、負担だけがふえる、このような形で認識されているというのは、市場として見ないといけないなというふうに、そのように認識しないといけないなというのは思います。

 関連で、かかりつけ薬剤師についてもちょっとお聞きしたいんですが、これは私が質問通告した問題意識をそのまま中島先生にやっていただいて、ほとんど同じ問題意識だなというふうに聞いていまして、お医者さんと同じ問題意識を持っていたのは素人ながらうれしいなというふうに思ったんですけれども。

 かかりつけ薬剤師の本来目指すべき姿と現場の実情の乖離というのは結構あるかなというふうに思っていまして、中島先生御指摘の、例えば、かかりつけ薬剤師になると、同意書をいただいて、二十四時間対応、休日も対応しないといけない。厳密にどこまでやるかは議論があるとはいえ、二十四時間、何人かの方から電話がかかってくる可能性があって、シフト表も渡しているというのは、これは結構ストレスですよね。その中で広げていくということなんですけれども、一方で、働き方改革の観点からはこれはちょっと問題がある。

 患者さんからも、じゃメリットはあるのかというと、これは結構、僕も薬局経営にかかわっていたことがあって、いろいろ横つながりで、かなり聞いたんですよ。そうしたら、実際、じゃ患者さんにメリットは何ですかというと、あなたのかかりつけ薬剤師は私です、安心してください、いつでも電話してくれていいですよ、ぶっちゃけ、これだけなんですよ。患者さんから見るとね。

 そうすると、患者さんにメリットが少ないので薬剤師側も勧めにくいという力学が働いていて、大手のチェーンなんかで、ばっと、かかりつけ薬剤師をいっぱいとれといってセールスしているところもあるんですけれども、なかなか相手にメリットが多くないものを、言ったら、セールスマンのように私をかかりつけ薬剤師にしてくれとかは言いにくい。

 また、これは個人についているものなので、異動したら消えてしまうんですよね。退職しても消えてしまう。

 こういうことがあるので、本来のあるべき姿と現場が乖離していて、制度設計がちょっと悪いんちゃうかなというふうに思います。

 この辺について御見解をいただけますでしょうか。

樽見政府参考人 まさにおっしゃる、かかりつけ薬剤師ということでの、かかりつけ薬剤師指導料という診療報酬上の扱いについての要件ということで今おっしゃったようなことがあるということだと思いますが、先ほどの、私が申し上げた健康サポート薬局みたいな機能とちょっとあわせて考えてみたいと思うんですが、お医者さんにふだんは余りかかりませんという人ですと、かかりつけ薬剤師はあなたですという、まさに、だけのメリット、そういう感じがあるのかもしれないと思います。

 ただ、それも、これは程度の問題かもしれませんけれども、我々の方として、患者のための薬局ビジョンなんかの言い方では、それでも、いざ病気になったときには何でも相談できるというところがメリットがありますよと言っているわけですけれども、元気な人でいうと、そういう関係がありますというだけです。

 ただ、一方で、今回の地域連携薬局なんかは、いわば在宅医療ということを念頭に置いている。入院していたのが退院して、うちで、年寄りだけれども在宅で医療を受けていきたい、あるいは、またもしかすると入院するかもしれない、あるいは、在宅なんですけれども、慢性病でかかっている病院があって、それとは別に、最近けがをして外科にかかりましたとか、風邪を引いたらここにかかります、そういう幾つかの医療機関にかかっておる、そういったような場合には、かかりつけの薬剤師、かかりつけの薬局があるということのメリットというのは、例えば、薬の飲み合わせでありますとか、あるいは、こういう体の変調があったときに、それがお薬にもしかしたら起因するのではないかとか、それは、いやいや、お医者さんに行ってもらった方がいいですよとか、そういったような相談をいつでも、お医者さんは、行くと、えてして並んでいたりして、待ったりするということがあるかもしれませんけれども、薬局の場合には大体町の中にあって店をあけているわけでありますので、そういうところと気軽に相談ができる。

 このメリットというのはあると思いますし、それをまたぜひ感じていただけるように、今度の地域連携薬局という制度については持っていきたいなというふうに思っているところです。

藤田委員 ありがとうございます。

 私も、かかりつけ薬剤師とか健サポとかを全否定しているつもりはないんですけれども、非常に制度設計に工夫が要るなというふうに思っているという立場でして、わかりやすい例でいうと、医薬分業元年の話があるじゃないですか。昭和四十九年。

 これは、医薬分業が必要だ必要だと言われて、いろいろな理念的な話をどんどん啓発していったけれども全然進まなくて、結局、院内処方より院外処方の方が報酬を上げたら一気に広がったという。これもインセンティブが働いたから広がっただけの話ということが、まあ、それだけでやれとは言わないんですけれども。

 現実として、健康サポート薬局、こんなすばらしい理念のもとにやりますよと言って、やってみて進んでいないというのは、結局、やる方からしたら、やはりインセンティブがある程度働くような制度設計を、理念を押しつけるだけじゃなくて、それとともにインセンティブが働く制度設計をぜひ細やかに考えていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それから、医薬品の変更調剤についてちょっと見解をお聞きしたいと思います。

 医療費抑制政策の一環として、後発品、いわゆるジェネリックを推進しようという動きは広がってきているわけですけれども、医師の処方の中で、変更不可欄、つまりメーカー名が書かれていたら変えられませんという商品指定があるというものがあって、疑義照会といって、薬局側からこれは変えたらあかんのですかと聞いて、いいよと了承を受けたら変えられるんですけれども、なかなか先生と薬剤師の関係では、先生に異議を申し立てるのは非常に難しいという話で、ジェネリックが嫌いな先生もいらっしゃいますから。そういう中で、変更不可をやめて全部が置きかわった場合、これは民間の試算ですけれども、年間約二千億以上の医療費削減になるとも言われているデータもあります。

 変更不可欄をなくしたらどうかという議論があるわけですけれども、これについてちょっと御見解をいただけますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、前提といたしまして、後発品の使用促進、これは重要な課題と認識いたしております。

 まず、今の仕組みでございますけれども、御指摘のとおり、薬局での調剤におきましては、製品名ではなくて一般名で処方した場合、あるいは、医師が製品名で処方している場合であっても、変更不可欄にチェックがない場合につきましては、薬剤師は医師への問合せを行うことなく後発品の調剤が可能です。

 一方で、御指摘のとおり、処方箋の変更不可欄にチェックがある場合につきましては医師への問合せが必要です。御指摘の変更不可欄の見直しにつきましては、廃止につきましては、一つは、一部の患者さんでは、ふだん使用している医薬品から変更することが治療に悪影響を及ぼす場合があるといったこと、あるいは、湿布等の外用剤等では、有効成分以外の成分が異なることによりまして、患者の使用感に差が生じる場合があることなどの理由から、なかなかやはり、この変更不可欄の廃止には慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

 一方で、後発品の使用促進は極めて重要と考えておりまして、診療報酬上は一定のいろいろな評価をしておりますけれども、後発品の使用促進に向けた診療報酬上の評価のあり方につきましては、中医協におきまして引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 確かに、おっしゃるように、変更不可欄を外した場合のリスクはもちろんわかります。

 これは考え方なんですけれども、基本、あったら、チェックをつけるのは簡単なんですよ。基本、なくて、どうしても変えたらあかん場合に、これは変えてはいけないという注釈をつけるというやり方に変えるだけで、かなり変わると思うんですよね。何となくつけていらっしゃるというふうなものが減らせるという意味で。これは一つ、検討の余地ありかなというふうに思います。

 関連で、処方箋で、薬剤師側から見ると、チーム医療の観点から、より適切な調剤をしていかないといけない中で、病名とか検査数値が、基本、処方箋には書かなくてもいい、要件から外れていますね。検査数値なんかは最近丁寧に入れてくださる先生もふえてきているというふうにお聞きしますけれども、病名なんかはほとんど書かない。これはいろいろ議論があると思うんですけれども、薬剤師が長い間にわたって、特にかかりつけ薬剤師さんが長い間にわたって薬剤師の観点からその人の健康を見ていくという意味では、例えば病名とか診察された内容というのは口頭でその人から聞き出すというオペレーションになっているわけですよ。

 チーム医療の観点から、そこの情報共有、患者さんの一番コアな部分の情報共有については緩和すべきじゃないかという意見もありますが、この辺、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 薬剤師による処方内容のチェック、あるいは副作用のフォローアップ、服薬指導の質の向上ということを考えますと、今御指摘いただきましたように、薬剤師の方が疾患名等を把握するということが重要であるというふうに思います。

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAと申しますが、ここが平成二十七年度に実施した調査によれば、処方箋に疾患名等を記載している医療機関、この実態が、調査対象の三千八百二十一施設のうち二百二十五施設に及んでいた、実際に、患者の疾患名等の情報を処方箋に記載するなどの取組が複数の医療機関においてこういうことからも行われているということ、薬局、薬剤師の処方監査あるいは服薬指導に結果活用されているというふうに私どもとしては認識をしております。

 ただ、一方で、患者の疾患名等を、処方箋の絶対的記載事項、いわゆる必ず書かなければいけないということにつきましては、告知を望まない患者さん方にも自身の疾患名を明かすことにつながるというような懸念、課題もございまして、私どもとしては慎重に検討する必要があると思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 非常にいい御答弁をいただきまして、納得感があるなというふうに思いました。

 私は、プライバシーの観点とかは患者さんの立場に立ったときに確かに留意すべきことだなと思いまして、前段お話しいただいた内容の、現場で進んでいる部分もあるというところは非常に喜ばしいことだなと思いながら、この問題の背景で、薬剤師側は賛成がほとんどなんですよ、医師側は反対がほとんどで、いわゆる薬剤師の権限をふやすので、医師の処方権と薬剤師の調剤権の対立みたいなもので、ちょっとそういう業界構造的なところによって患者さんが本来受けるべきサービスが上がる上がらないということが影響する議論はやめてほしいなと思うだけで、今のようなお話をちょっと煮詰めていただいて、より患者さんに質の高いチーム医療を提供できるような環境をつくれる法整備を考えていただけたらと思います。

 それから、続きまして、薬剤師の仕事を対物業務から対人業務への比重をふやしていくというのが薬局ビジョン等でも示されている中で、いわゆるファーマシーテクニシャン制度と言われるものがあります。

 日本国内では在宅薬学会がパートナー制度と呼ばれるような独自の検定試験を開始していまして、これは何かというと、薬剤師の本質的な業務以外をできるだけ担えるような人材、今いわゆる医療事務みたいな人が何となくグレーなところをちゃかちゃかやっているというのを、ちゃんと認定制度を民間でもつくっていこうという動きが出ていまして、それに伴って対物業務から対人業務に充てられる時間とか気力、体力を創出していこう、このように定義されている人材を指す制度なんですけれども。

 先般、二〇一九年、ことしの四月二日に、薬剤師の調剤業務というのは概念がすごく広くて、どこからどこまでを薬剤師じゃない人がやっていいのかというのはずっと結構曖昧に運用をされてきて、これは危うい面もあれば、都合よく解釈して、ある程度、かなり危険なことをやっているという局面もあります。この辺をちょっと整理していくべきかなというふうに思っていた中で、四月には、いわゆるピッキングという作業を一定の条件下で可能とする通知が出されました。これは私は非常に評価できるなというふうに思っているんですけれども。

 このファーマシーテクニシャン制度のような、ちゃんとある程度の枠組みの中で薬剤師がやる業務を補完できる、そして薬剤師の業務がちゃんと対人業務に向いていけるような枠組みをつくっていくべきだというふうに思いますが、御見解はいかがでしょうか。

樽見政府参考人 おっしゃいましたとおり、薬剤師が対人業務を充実していく、そういう形で専門性を発揮していくというのは大変重要だと思います。そのために、薬剤師ならではという業務を薬剤師にやっていただくということで、薬剤師以外の人ができる業務ということをはっきりさせることによって薬剤師の業務の効率化を図っていくというのは重要なことだと思います。

 御指摘のとおり、ことしの四月に通知を出しておりまして、そこで、薬剤師が調剤業務に関して最終的に責任を持つということを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方というものを通知で示したわけでございます。

 具体的に言いますと、調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づいて、薬剤師以外の者が一定の条件の業務を実施することは差し支えないことということを初めて明示をした。それで、薬剤師以外の者に業務を実施させる場合には、手順書を整備する、あるいは研修を実施するといったような、そういう措置を講ずる必要があるということも明記をした。その上で、具体的にどんなものが調剤に該当しない行為なのかということを例示をしたということでございます。

 したがって、今申し上げたような研修であるとか手順書の整備ということが必要になってきます。

 そういう中で、御指摘のような、日本在宅医療薬学会などでやっている研修というか資格というか、そういったものもございますし、一部の都道府県薬剤師会あるいは地域薬剤師会、関係学会でもこうしたようなものが行われているということでございます。

 研修自体は、各薬局の開設者において薬剤師以外の人に対する研修をやるということを想定して通知を書いているんですけれども、それをバックアップするものとして各団体がやっているという位置づけになるだろうと思いますので、こうした関係団体にも引き続いて積極的に実施いただくことを期待したいというふうに思いますし、厚生労働省としても、こうした状況を踏まえながら、引き続いて必要な対応を検討していきたいと思います。

藤田委員 今民間で広がっているパートナー制度についても非常にポジティブな御意見をいただいたことは、大きなことだなというふうに思います。

 薬局、薬剤師のあり方を考える中で、かかりつけ薬剤師に関しては、例えば健康や介護などに関しても豊富な知識と経験を持って、患者さんや生活者のニーズに応えていくための役割を果たしていきますよというふうに言われていまして、ちょっと考えてみたら、薬剤師が本来活躍すべき薬学からちょっと離れた、幅広いところまで業務を広げてくださいというふうに言われているようにも聞こえるわけです。さっき指摘させていただいたような変更調剤とか、ああいうのは薬学の知識の中で権限を広げていくという、これはちょっと概念が違うと思うんですよね。

 僕が思うのは、本来的に薬剤師が果たすべき役割の質を上げるのであれば、そこの権限をふやすということはやはりやっていくべきじゃないかなというふうにこのチーム医療、地域包括ケアの観点からも思いますし、二十四時間対応せいとか、介護にも知識を持てとかいうような、こういうのはちょっと業務負担が大きい制度設計やなというふうに発想としては思ってしまいます。全く反対というわけじゃないんですけれども、どちらかというと前者の、薬学的な知識を持った、その周辺にある権限を広げていくという方が健全だなというふうに私は思います。

 それから最後に、地域連携薬局というのがさっきから話に出てきますけれども、健康サポート薬局がなかなか広がっていないという実績がもう既に出ている中で、この地域連携薬局を広げていくための施策やインセンティブについて教えていただきたいんです。

 始まる前なので、なかなかこれはシミュレーションが難しいとは思うんですけれども、このまま普通に、何か理念だけが先行すると、健康サポート薬局のように広がらないというふうになってしまったら意味がないと思うので、本当にこのチーム医療のために理念的に絶対に必要だというのであれば、ある程度のインセンティブを働かせないといけないので、中医協等で報酬がどこまで加算されるのかというのは議論がされるんでしょうけれども、ある種のそういう制度設計のインセンティブを働かせるべきだと私は思います。この点に関していかがでしょうか。

樽見政府参考人 地域連携薬局について、いろいろ御示唆も賜りました。きょう一日いろいろ御議論いただきましたけれども、そうしたことを踏まえて私どもとしてもこれを広めるための努力をしていこうと思いますけれども、差し当たって、具体的な要件を、法律が公布されました後、幾つか、いろいろ御指摘賜ったことも含めて考えなきゃいけないところがあります。

 例えば、休日、夜間の体制みたいなことも含めて、そうしたものについてできるだけ早く固めてお示しをしていきたいということが一つ、それから、先ほど申し上げた話でございますけれども、相談対応のための構造設備というところについての税制上の対応ということについて税制改正要望を行っているところでございますので、これを実現をしていきたいということでございます。

 さらにもう一つ、こういう機能を持っていてこれが有益だということを私どもいろいろPRをしていくという中で、これからのまさに薬局の、何というんでしょうか、地域医療での役割を果たすということでいうと、こういう役割というのが薬局の存在意義、存在価値というものにつながっていくということをしっかりと示していくということもあるだろうと思います。

 その上で、調剤報酬上の対応ということについては、そうした地域連携薬局の機能あるいはその地域における施行後の状況といったようなものを踏まえながら、中医協で御議論いただければというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 この地域連携というのは医療業界では今後かなりキーワードになってくるかなというふうに思いますので、薬剤師がチーム医療の中で果たしていく役割というのは今後も非常に大きく注目されていくものだと思いますので、ぜひとも、この業界の人たちがより働きやすい環境で、事業者側もインセンティブが働くような制度、また報酬のあり方を、ぜひ今後、この法案成立後により詰めて考えていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 本日はありがとうございました。

盛山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後四時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時十二分開議

盛山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております第百九十八回国会、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について審査を進めます。

 本案に対する質疑は、先ほど終局しております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 薬機法等改正案に反対の討論を行います。

 最初に、本法案で医薬品等行政評価・監視委員会が創設されます。薬害肝炎事件の被害者、原告の皆さんが長く求めていたものであり、この点については賛成であります。改めて、事件の検証を通してまとめられた最終提言にある独立性、専門性、機動性など、厳格な運営を求めるものであります。

 本法案に反対する理由を述べます。

 第一の理由は、条件付早期承認制度です。

 従来の承認制度は、例外的に少人数の臨床試験データで早期承認した医薬品であっても、市販後に検証的臨床試験を実施することで有効性や安全性を証明することが求められていました。しかし、本法案では、早期承認の条件としている市販後の調査に、臨床試験を伴わないリアルワールドデータの活用でよいとしており、承認前も承認後も検証的臨床試験の実施を求めない制度となっています。しかも、検証的臨床試験を販売開始後に行うことが可能な医薬品についても、検証的臨床試験を義務づけていません。これでは、新たな薬害を生む懸念があります。

 本委員会で指摘しましたように、既に始まっている類似の制度では、有効性、安全性について海外からも問題が指摘されているのが実情であります。医薬品行政で何よりも大事なことは、安全性を確保することです。日本の過去の薬害の痛苦の歴史を教訓にすべきであります。このような規制緩和は認めるわけにはまいりません。

 反対の理由の第二は、オンラインでの服薬指導の、実証なき、なし崩し的な解禁です。

 服薬指導は、対面による患者との信頼関係によって安全性が成り立つと厚労省自身が説明してきました。オンライン服薬指導も、離島や僻地など医療機関や薬局に赴くことが困難な患者に対して、医療アクセスを保障する上でやむを得ない場合に限り、安全性が十分に確保された上で慎重に実施されなければなりません。なし崩し的な解禁は容認できません。

 最後に、新たに虚偽、誇大な広告による医薬品等の販売への課徴金制度が創設されますが、製薬企業の極めて高い利益率にふさわしく課徴金は引き上げるべきであることを指摘し、討論といたします。

 以上です。

盛山委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 これより採決に入ります。

 第百九十八回国会、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 この際、本案に対し、平口洋君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

大西(健)委員 私は、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 我が国における医療ニーズの高い革新的な医薬品、医療機器等の開発に対して、戦略的な支援を行うよう努めること。

 二 先駆け審査制度において、指定を受けた後に要件を満たさないことが明らかになった場合には、速やかに指定を取り消すこと。

 三 先駆け審査制度により製造販売承認を受けた抗インフルエンザ薬について、耐性ウイルスを発生しやすいことが指摘されていることから、その有効性、安全性等の状況を監視すること。

 四 条件付き早期承認制度の対象となる医薬品等の適応疾患について、生命に重大な影響がある疾患(致死的疾患)、病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患、希少疾病といった重篤なものや、申請時に有効な治療法が確立していないものを中心とすること。また、ワクチンを含む予防薬について、条件付き早期承認制度の対象としようとするときは、特に慎重に検討すること。

 五 条件付き早期承認制度により製造販売の承認をした場合は、速やかに有効性・安全性を再確認するために厳格な製造販売後調査等を実施すること。また、承認を受けた医薬品・医療機器の使用に際しては、通常の医薬品・医療機器と異なり、一定程度の有効性及び安全性が確認されたものにとどまることから、製造販売後に再確認を必要とするものであることについて、患者に対して適切な情報提供がなされるよう努めること。さらに、承認を受けた医薬品等の評価に係る調査等結果の提出期限については、実施に必要な最低限の期間を品目ごとに定めること。

 六 条件付き早期承認制度によって承認の際に付された条件を満たさなくなった場合には、速やかに承認の取消し又は承認事項について変更を命ずること。

 七 添付文書の電子化に当たっては、添付文書の情報が改訂された際に、それが直ちに確実に伝達されるための環境整備を図ること。また、災害等により、停電やサーバーに不具合が発生したような場合の添付文書情報へのアクセスを確保するための方策について検討すること。

 八 これまで進めてきた医薬分業の成果と課題を踏まえ、患者の多くが医薬分業のメリットを実感できるような取組を進めること。

 九 健康サポート薬局の届出数が少数にとどまっている現状を踏まえ、その要因を分析して検討し、必要な対策を講ずること。

 十 製薬企業等からの医薬品等の臨床研究に関する資金提供の情報等の公表について、臨床研究法の趣旨にのっとり、更なる透明性の確保が図られるよう、製薬企業等に対して趣旨の徹底を図ること。

 十一 医薬品等行政評価・監視委員会を厚生労働省に設置することについて、委員会の独立性に疑念を招かないように細心の注意を払うこと。また、委員の利益相反がないよう厳格に監視すること。さらに、委員には、薬害被害者を含めること。

 十二 採血事業者に対して、骨髄バンクへの登録呼びかけを行うよう協力を求めること。

 十三 新たな虚偽・誇大広告に対する課徴金制度についてその抑止効果の評価を行うこと。

 十四 「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」で提言された法違反時の役員変更命令の法定化について、本法の施行状況を踏まえ検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

盛山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

盛山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後四時二十一分散会


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