衆議院

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第15号 令和2年5月22日(金曜日)

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令和二年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 岡本 充功君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      木村 哲也君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    百武 公親君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      阿部 知子君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本あき子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      中島 克仁君    西村智奈美君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    藤田 文武君

    …………………………………

   議員           山井 和則君

   議員           池田 真紀君

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   厚生労働大臣政務官    自見はなこ君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 太刀川浩一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     今枝宗一郎君

  大岡 敏孝君     池田 道孝君

  小林 鷹之君     黄川田仁志君

  三ッ林裕巳君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     大岡 敏孝君

  今枝宗一郎君     安藤 高夫君

  黄川田仁志君     小林 鷹之君

  百武 公親君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一一号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一二号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案並びに山花郁夫君外八名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官太刀川浩一君、出入国在留管理庁審議官佐藤淳君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長小林洋司君、社会・援護局長谷内繁君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君、人材開発統括官定塚由美子君、政策統括官鈴木英二郎君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村哲也君。

木村(哲)委員 皆さん、おはようございます。自民党の木村哲也でございます。

 このたびの新型コロナウイルス感染拡大におきまして、お亡くなりになられた方々におきましてはお悔やみを申し上げさせていただくとともに、まだまだ今現在も罹患されている皆様におきましてはお見舞いを申し上げる次第でございます。

 そしてまた、医療、福祉を始め、緊急事態宣言が発令されても使命感を持って取り組まれている方々、緊急事態宣言の中でも出勤せざるを得なかった方々、そしてまた政府、各省庁の皆様におきましては不眠不休の取組をなされているということで、感謝と敬意を表させていただく次第でございます。

 昨日でございますけれども、この新型コロナウイルス、関西近県では解除がなされました。しかしながら、まだまだ油断は大敵でございまして、関東近県におきましては千葉と埼玉は数値は下がってきたものの油断はできないというところで、一体感が必要であります。この緩みも二週間後はどうなってしまうのかというところも鑑みながら、しっかりと一致結束して終息に向けて取り組んでいかなければならない、終息を目指していかなければならないと肝に銘じておるところでございます。

 それでは法案審議に入らせていただきますけれども、少子化に歯どめがかからない、出生児が百万人を切ったというニュースを聞いてから間もなく九十万人を切って、今現在八十六万人となってしまった。超高齢社会が顕著にあらわれてきているわけでございます。そんな状況で、やはり、社会構造が大きく変化をしてきている中で、より一層私たち一般市民の問題も複雑化、複合化をしてきているわけでございます。

 今回の社会福祉法改正につきましては、そんな地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対する市町村の包括的な支援体制を構築するわけでありますけれども、まさに、今回のコロナウイルスが拡大をして、医療、福祉、介護従事者そして利用者への感染、そしてこのような状況下での子供の居場所、ではこれから子供たちの教育はどうなってしまうのか、そしてまた事業者におきましては経営、運営困難に陥っている、そして従業員に対しても雇用のあり方等々、複雑化、複合化した問題がございます。そして、その悩みを、ではどこに相談していいのかというところが一番の問題であります。

 今回のコロナウイルスに関連して一例に挙げられたのは、両親が感染してしまった場合の子供の居場所をどうすべきか、そして親を介護していたときにそのかわりはいるのか、そしてその資金の問題等々も含めて、より複雑化、複合化してきた。

 今回の法案では、断らない相談支援、そしてサークルなどの参加支援、相談を受けたら最後までこの問題を追尾して、居場所の確保までするというのが目的であります。

 確認の意味でお伺いいたしますけれども、例えば、今述べた一例、こういう問題を私たちは陳情として受けるわけでございますけれども、市役所の窓口に行きますと、これは多岐にわたることでありますから、これは言葉が適切かどうかわかりませんけれども、あそこへ行け、ここへ行けのたらい回しになってしまう。やはり、ワンストップ、一元化がないというような問題がございます。

 厚生労働大臣にお伺いいたしますけれども、この法案で地域共生社会の実現を目指していくとされておりますけれども、具体的にどのような社会を目指していくのか、そしてまた、この法案が通れば属性を問わない相談支援体制ができるというところで、問題解決につながるシステムが構築されるということでよろしいでしょうか。大臣の御見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 まず、この法案では地域共生社会を実現していこうということでありますが、具体的には、全ての人々が地域、暮らし、生きがいをともにつくり高め合う社会とニッポン一億総活躍プランの中にも述べております。まさに、支え手側と受け手側、支えられる側と言ってもいいのかもしれませんが、そうした区分がなく、地域のあらゆる住民が役割を持って支え合いながら暮らすことができていく、そうした地域社会をぜひ目指していきたい。本法案でも、地域共生社会の実現を目指した地域福祉の推進ということを改めて明確化させていただきました。

 その中で、今、相談の話、委員からお話がありました。

 まさに、この問題はどこに行ったらいいんだろうか、Aという窓口へ行くとBです、Bというところに行くとCです、あるいは、ここではありません、そういう場合もあります。しかも、相談が一つの事項だけではなくて複数の事案に絡んできているというのが最近特に指摘をされているわけでありますから、そうしたさまざまな課題に対してどこがどう受けとめていけるのか、そういった意味で、市町村全体で包括的に相談を受け、支援をしていく体制が必要だということで、今回の事業では、例えば窓口自体を一括化する、いわゆるワンストップの窓口をつくるという例もあるんだろうと思います。また、複数の相談窓口が連携して、そこで、本人が行かなくても、あるところに来れば、違うところと話を聞きながらトータルとして対応していただける。これは市町村の規模とか状況に応じていろいろあっていいんだろうというふうに私は思っております。

 検討に当たっても、大事なことは、それぞれの関係機関が、どうしても役所は縦割りになりますから、その縦割りの中のところでよく意思の疎通をしながら、自分たちの地域でどういう形で総合的に相談を受けていくのか、こういったことを重ねていくことが、ワンストップをつくっても、後ろが全然つながっていなければこれは機能しないということになりますので、そういった調整を重ねながらしっかりつくり上げていただくということが大事だというふうに思っております。

 本法案の施行は令和三年ということでありますので、それに向けて、指針あるいは運用のマニュアル、こういったものもつくらせていただいて、それぞれの市町村の実情に応じて円滑な相談支援体制を構築していただけるように我々としても努力をしていきたいと思っております。

木村(哲)委員 大臣、ありがとうございました。

 今大臣がおっしゃられたように、ワンストップをかけても、その先に、複雑化、多様化した問題を、どういうふうにこの相談を最後の参加するところにまで振ることができるのか。私たちも全ての専門家じゃないので、陳情を受けたときにこの問題はどうやって処理したらいいのかと専門家に振るわけでございますけれども、非常に難しい。

 今回、自治体の担当者の方々にも伺ってきました。なかなか、この法案が通ったとしてもどういうように検討していいのかわからない、難しい、これから更に検討していかなければならないというところでありまして、今大臣がおっしゃられたように、今現在も既存のサービスがあり、例えば福祉においては包括支援センターがあって、これは医療、福祉、介護の相談に乗りますけれども、子供のことが一定絡んだらこれがまた複雑化してくるという流れの中で、これは人口規模にもよりますし、そしてまた広さにもよりますし、今の既存の政策、そのような制度、それで大きく変わってくると思います。各自治体でこれは大きく変わってくると思います。

 それには、今度は自治体の悩み。例えば、多岐にわたって専門的な知識が必要で、私たちでも悩むところなのに、全体の知識を網羅した人がコーディネート役に入らなければならない、そういう場合に、どのようにワンストップから最後まで、どういう資格者が必要なのかというところも含めて、自治体の関係者にも、きょう、しっかりとこの厚生労働委員会を見てくれ、わかりやすく説明があるからというように申し伝えてありますので、ぜひとも、資格的なところも含めて御答弁を願いたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、今回の新たな事業でございますけれども、属性や世代を問わない相談の受けとめを始めとして包括的な支援を行いますので、対応される支援員の資質の確保及び向上は非常に重要だというふうに考えております。

 具体的には、介護、障害、子供、生活困窮の分野で現在支援を行っている社会福祉士、保健師等の専門職等による対応がベースになるというふうに思います。さらに、市町村全体でチーム支援を行いますために、関係する他機関とのつなぎ役を担う人材につきましては、例えば、社会福祉等の相談援助にかかわっておられる有資格者の方や、福祉分野におきます相談支援機関で実務経験を有する者などが想定されますけれども、そういった方を新たに配置していくということになるというふうに考えております。

 ただ、議員がおっしゃいましたように、そういった人材が全ての自治体に全て備わっているというわけではございません。

 これらの支援に携わる者に必要な資質の確保のために、国といたしましては、今までやってまいりましたモデル事業におきます好事例や課題を参考にしながら、先ほど大臣から申し上げましたように、令和三年施行に向けた指針やマニュアル等を発出した上で、きちっとした研修カリキュラムを作成した上で研修を行っていきたいというふうに考えております。また、都道府県におきましても、広域自治体といたしまして、市町村におきます体制構築に向けた支援や、広域での人材育成やネットワークづくりなどの役割を担うことが期待されているところでございます。

 国といたしましては、都道府県とも連携いたしまして、支援員の資質の確保や向上に向けた支援を進めてまいりたいと考えております。

木村(哲)委員 ありがとうございます。

 この法案が通りましたら、自治体が悩むことなくワンストップで複合化した悩みを解決できるような、また、自治体も試行錯誤しております、二百八事例がモデルでこれを行っておりますけれども、本当に地域によってさまざまです、そのようなことも含めてしっかりと御指導をお願いしたいと思います。

 障害者施設とコロナ関連についてお伺いをいたします。

 日本国内において、横浜のダイヤモンド・プリンセス号は最大級のコロナ感染の被害をこうむりました。その次に施設で大きかったのが船橋が保有する北総育成園、障害者施設でございます。こちらにおきましては、職員、家族を含めて百二十一名。

 この中で注目をしなければいけないのは、職員六十七人のうち四十人が陽性であった、そして、入居者七十人のうち五十四人が陽性であったということで、何と職員の六〇%が陽性となり、この数値からおわかりのとおり、この施設は、ほとんどの職員が陽性になりましたから、運営が厳しい状態に陥ったというところでございます。

 今現在は、二人の入院患者を除いて、ほかの陽性患者は陰性になったということでございますけれども、この現場はダイヤモンド・プリンセス号と同様に病院化してすさまじい状況になったわけでございます。なかなかこの中身まで報道はされなかったんですけれども。

 この対応としては、千葉県、そしてまた船橋市、船橋市は中核市で保健所政令市でありますから、この職員、そしてこの法人の一部の方々の一致結束、一致団結により難局を乗り切ることができたんですけれども、国として、職員の大多数が感染してしまった場合、即座に対応できるスタッフの派遣とか、そしてまた国の支援、これは第二波、第三波が来たときの例になるとも思いますので、ぜひとも、その取組、実施、御見解をお伺いいたします。

橋本政府参考人 御承知のとおり、社会福祉法人さざんか会の北総育成園におきましては、職員にも非常に多くの感染者が確認されることになりまして、この支援体制の確保が課題になったわけでございます。

 この運営法人であるさざんか会におきましては、法人の中のほかの事業所から数名を北総育成園に派遣されたというふうにも伺っておりますが、そのほか、関係者の協議を踏まえて千葉県や船橋市からも応援職員が派遣されたというふうに承知いたしております。

 私ども厚労省といたしましても、職員の不足が生じる社会福祉施設等からの応援の派遣要請があった場合にはこれに積極的に対応いただくよう、二月十七日に関係団体の方に依頼をしました。また、応援職員の派遣の調整ですとかあるいは派遣に要する費用につきましては、都道府県の方に助成をさせていただくということにいたしております。

 また、今年度の補正予算の中では、職員が多数感染するなどしまして職員が不足した場合に必要となる採用経費等のかかり増し経費に対する助成も可能なようにさせていただいております。

 感染者が発生した施設の中で職員を確保するのは非常に大変なことでございますので、法人内での職員の配置ということにまずは御努力をいただく必要がございますけれども、その上で、ほかの関係者からの支援も得ながら、また今申し上げたような各種の支援策も活用して、入所者に対する適切な支援を行うことができるように、私どもといたしましても必要な支援をさせていただきたいと思っています。

木村(哲)委員 これは、本当に中がすさまじい状況だった。例えば、施設の中も、職員においては病院に行かれたわけでございますけれども、利用者においては、ここの障害者施設が病院化して、レッドゾーン、グリーンゾーンに分けて、まさにダイヤモンド・プリンセス号の中と同じような状況になったというところでございます。

 こういう場合にはやはり感染症の専門家を派遣する等の支援をすべきと考えますけれども、これはいかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 一義的には、保健所の方において、各施設がこれらの対応を行うに際して感染の状況等に応じて調査とか助言を行うというような形が多いかと思いますけれども、今般の御指摘の例もそうでございますが、厚生労働省におきまして国内の感染症の専門家の方々で構成されるクラスター対策班を設置して、自治体からの要請等に応じて専門家チームを派遣し、感染拡大の可能性についてのリスク評価や感染拡大防止対策などの提案等の支援を行っているところでございまして、今般も感染研から派遣させていただいたところでございます。

 今後とも必要な対応をしっかり行ってまいりたいと考えております。

木村(哲)委員 今回のレアケースなところは、職員の六割がかかってしまったというところもありますし、そして、感染した全体の六割がサイレントキャリアだったんです。非常にすばらしい施設なんです。私も市議時代に視察にお伺いしましたけれども、職員と利用者が和気あいあいとしているような、そのようなすばらしい施設で、だからこそサイレントキャリアが広めてしまったのかなと。

 これは、船橋が所有しているといっても、都心ではないんです。船橋から車で一時間半ぐらい行ったところですかね、成田の先、銚子の手前というような、本当に田んぼの真ん中にあるような、そういうような施設でありまして、どうして感染してしまったのかいまだにわからないというようなところでありまして、このサイレントキャリアがどのように影響していったのか、その感染経路をつかむ意味でも、しっかりと、これは市、県が要望しているところでもあるんですが、国も含めて検証すべきであると思います。これはいかがでしょうか。

橋本政府参考人 北総育成園は、障害者の入所施設におきまして大変大規模な集団感染が発生した事例でございます。これを検証するということは、今後、新型コロナウイルス感染症はもとより、全ての感染症への対策を効果的に進める上でも大変重要だというふうに認識しております。

 このため、今後、検証を行うに際しましては、一つは、平時から備えておくべき事項は何か、それから二つ目には、感染症が発生した場合に対応すべき事項は何か、また三つ目には、その際重要となる関係者の連携をどのようにするか、そういったさまざまな事柄につきまして、今回北総育成園の現場で御対応いただいた皆さんの経験を踏まえて中身を整理いたしまして、全国の障害者施設でそれぞれ共有するということで、今後の感染症対策に役立てたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、厚労省といたしましては、今後、関係者の方々の御協力を得ながら、今回の事例をしっかりと検証できるよう、具体的な対応を検討させていただきたいと考えております。

木村(哲)委員 それで、この委員会でも多く質問が出たんですけれども、老健施設での死亡者、これは例えば政府発表と新聞発表で差異があったりですね。そもそもなんですけれども、私も昨年質問させていただきましたけれども、福祉施設で死亡事故が起きた場合、こういうものも含めて自治体に報告する義務はあるんですけれども、自治体から国に報告する義務はありません、今の介護保険法の中では。ですから、国がそういう死亡例の数を把握できていないというところがございます。

 つまり、その前段、施設が報告を上げる際に、何が事故で、何が誤嚥肺炎で、何が持病を持っていたかという基準がないというところもありまして、これを自治体に上げる際に明確な数字が上がってこない、これを国が拾い上げても明確な数字が上がってこないというところも問題視しなければなりません。

 時間がないので要望にさせていただきますけれども、この基準づくりというものをやはり専門家会議でもう一度改めて議論していただいて、それを行うことによって、事故や病気、誤嚥肺炎、このコロナウイルスで亡くなったというところ、この基準づくりをしっかりとしなければ明確な数字は上がってこないものだと思います。この件は、しっかりとした基準づくりを要望させていただきます。

 最後になりますけれども、マイナンバーにおきまして、パスワードでこれだけ混乱するというのは誰も認識していなかった。私自身もパスワードを忘れてしまっていたんですけれども、ほかの人は必ずメモして覚えているものだろうと思ったら、ふたをあけたらこういうような状態になりました。

 この間、多くの高齢者の方々も、パスワードは非常に難しいよというところで我々にありまして、二〇二一年には保険証がわり、二〇二三年には医療機関、薬局、それでまたこれから発展していき、電子カルテそしてまたお薬手帳等々にも発展していくものと思いますけれども、パスワードを忘れてしまった方々が医療機関等々を受診する場合を想定して、生体認証をしっかりと導入すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

盛山委員長 時間となっております。簡潔な答弁をお願いします。

浜谷政府参考人 議員御指摘のとおり、マイナンバーカードの四桁の暗証番号を忘れてしまった方でも医療を受けられる環境整備が重要と考えております。

 このため、マイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認システムにおきましては、生体認証の一類型であります顔認証機能がついたカードリーダーを利用する予定でございます。これによりまして、患者が暗証番号を忘れた場合でも顔認証による確実な本人確認を行うことが可能となり、マイナンバーカードを健康保険証として利用することができるようにしたいというふうに考えております。

木村(哲)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 きょうも質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 まず冒頭、けさほどの報道でありましたが、アストラゼネカが九月にワクチンの供給ができる、十億本というのがございました。けさの話ですので、もしお答えできればということで質問させていただきますが、報道では、この会社に対してアメリカから一千億円ぐらい資金供給がされてワクチン開発が行われていると。

 先日、ちょうどWHOの総会がありました。その中でも大きなテーマの一つがワクチンへの公平なアクセスでありました。ところが、報道では、最初に開発した企業に対しては特許を制限するような表現があるということで、米国がそれを批判しているという状況だと伺っております。これは、最初のこのワクチンの契約が四億本と言われておりまして、そのうち三億本がアメリカに行く、一億本は英国に行く、こういうような報道でありました。

 治療薬については、今、国産のアビガンというものを日本は開発しているわけですが、ワクチンについては公平なアクセスというのが非常に大事だというふうに思っております。また、日本にとっても、これをどうやって獲得していくか、しっかり厚労省も努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 ワクチンの関係につきましては、まず、開発、製造については、厚労省の方でも、予備費とか、あるいは先日の補正予算でもつけていただきまして、しっかり開発支援に向けて取り組んでいきたいと考えております。特に、国内系でしたらば、塩野義の関係とか、アンジェスが阪大と連携してとか、いろいろ取組を支援させていただいているというような状況でございます。

 海外の方でも開発は進んでおりまして、まだどこがどういう状況かというのは見えないところはもちろんありますけれども、公平にというルールは世界的に考えていくところだと思いますけれども、その中で、やはり日本としては、外国のメーカーのものも、あるいは国内のものも含めて、しっかり国民のために確保できるものは確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊佐委員 このワクチンは、けさほどの報道と、実は、前回私が質問したとき、朝の報道でアビガンの報道があって、報道だけを見ていると、かなり混乱した方も多いと思います。私自身もそうでしたので、ちょっとそこについて質問させていただきたいと思うんです。

 報道では、有効性が示せず、早期の承認が困難か、こういう報道でありました。その後、いろいろな方、いろいろな団体からこれに対して声明が出ておりまして、例えば、まさしくこの臨床試験をやっている藤田医科大学の方からは、やっているのは有効性のチェックじゃなくて安全性のチェックだったはずだ、こういうような声明があったりとか、総理からは、有効性が確認されればという前提ですが、今月中にも承認を目指したいという言葉があって、今アビガンの開発は一体どうなっているのか、こういう混乱を来したような状況がありました。

 ちょっと確認したいのは、今、アビガンの研究の枠組みというのは三つあると理解しています。一つは、企業がやる治験。これはまさしく薬事承認のためにやるものです。これが、まさしく総理がおっしゃったように、有効性が確認されたら今月中にも承認を目指したいという話です。もう一つは、今、感染された皆さんに三千例を超えて投与されている観察研究、これが二つ目の枠組み。今回、有効性示せずというふうに報道されたのは、特定臨床研究の中間評価というふうに理解しています。

 では、この特定臨床研究というのはそもそも何なのか、伺いたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 アビガンにつきましては、今委員から御指摘がございましたように、観察研究、それから特定臨床研究、企業による治験が進められているところですけれども、この特定臨床研究につきましては、藤田医科大学病院を中心に、新型コロナウイルスの感染が確認されました無症状又は軽症患者を対象にアビガンを投与し、その有効性及び安全性について検討することを目的として、臨床研究法に基づく特定臨床研究を三月二日より実施しておりまして、現在も継続中であるというふうに承知しております。

 新型コロナウイルス感染症の治療薬につきましては、五月十二日付の通知によりまして、一定の成果があり、一定の要件を満たす公的研究費の研究成果を利用した薬事申請も受け付けることとしておりまして、アビガンの特定臨床研究結果についても一定の成果が得られれば薬事申請に当たって利用可能であるというふうに考えてございます。

伊佐委員 薬事承認をするかどうかというのは治験で決まります。報道が出た特定臨床研究は、先ほど局長の方からあった、一定の成果が得られれば薬事承認の申請プロセスで使える、こういうものだということでした。だから、今回は、まず治験そのものではないということです。その上で、特定臨床研究の中間解析の結果が出たというのがこの話でした。

 つまり、結果を最終的に出す前に独立した評価委員会のところにデータを持っていって評価をしてもらうことになるわけですが、この中間解析の結果の報道が有効性示せずということだったと思っておりますが、では、この独立した評価委員会の評価というのは何を評価しているのか、この意義を伺いたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、臨床研究の中間解析は、研究者の判断により研究開始前にあらかじめ作成しました計画に基づいて研究者から独立した評価委員会により行われるものでございまして、例えば安全性の問題とか、あるいは、逆に、極めて高い有効性が示されたとかというようなことにより、中間解析の時点において試験を中止する必要があるかどうか等について判断が行われるものでございます。

 今般のアビガンの特定臨床研究についても中間解析の実施を計画上定めていたものというふうに承知しておりますけれども、研究の科学性、中立性を確保するため、中間解析の内容は開示されていないものというふうに承知しております。

伊佐委員 おっしゃっていただいたとおりです。

 つまり、独立評価委員会の評価というのは、この臨床研究を途中の段階で続行していいかどうかという評価。だから、続けちゃだめというときは二通りしかないと私は伺っておりまして、どういうときかというと、半分やった時点ですごくこの薬は有効だと今の段階でわかってしまったので、もう継続しなくていいですよというのが一つ。もう一つは、全く逆で、これはすごく危険だということがわかったので、もう進めないでくださいというのが一つ。

 だから、今回は結果は開示されていません。出てくるのはイエスかノーかだけで、臨床研究を進めている藤田医科大学に対して、続けていいですよという答えだけが返ってきた。つまり、その意味するところは、今の段階では、物すごく有効とわかったからもう続けなくていいよ、こういうわけでもないし、すごく危険だからもうやめてねというわけでもないということでした。だから、すごく有効ということがわかったわけではないというのを捉えて、有効性確認できずというような報道になったというふうに理解しています。

 だからちょっと混乱させたような報道だったかなと私は思っておりますが、とにかく有効性と安全性というものをしっかりと評価して前に進めていただきたいということだけ、きょうは申し上げておきたいと思います。

 次に、介護、障害福祉施設の関連について質問したいと思います。

 我が党から大臣に申し入れた事項の中に、介護や障害福祉施設の職員に対する特別手当というものをやっていただきたい、あるいは、感染防止のためのかかり増し経費の支援をしていただきたいというような要望を五月の最初に出させていただきました。

 その後、補正予算の中でサービス継続支援事業というのを今回組んでいただいております。このサービス継続支援事業というのは、従業員に対する割増し賃金、手当をまさしく見ていただくもので、あるいは、マスクとか手袋、体温計、衛生用品の購入、こういうものにも充てられる、あるいは損害賠償保険の加入の費用にも充てさせてもらえるということで、これは非常にありがたいと思っております。

 ただ、要件があります。その要件で支援が受けられる事業所というのは、休業要請を受けて休んでいるところ、感染者が発生した施設、あるいは濃厚接触者に対して訪問系サービスを行っている事業所。そのほかには、どこか感染者が発生したところで大変なところに派遣する場合、そういう場合もあるんですが、大きく言えば、感染症が発生した施設、あるいは濃厚接触者という方への対応がないと支援できないというようなメニューになっております。

 でも、逆に、今、現場は感染症を出さないために手を尽くして頑張っているわけです。相当な負担と緊張の中で今対応していただいているわけで、でも、こういうところには支援が届かないというような制度になっております。今、第二次補正予算を議論していただいておりますので、ぜひ、このサービス継続支援事業を少し拡大して、もうちょっと使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

大島政府参考人 委員の御指摘がありましたとおり、第一次補正予算で掲げましたサービス継続の支援事業は、対象を限定しまして、感染症が発生したとか、あるいは休業要請があったところで、それ自体もかなり当初の予算の設定時からは柔軟化したものでございますが、ただし、一般的な事業所には適用があるものではございません。

 二次補正におきましては、事業所一般を念頭に置いたサービス継続、あるいはコロナ感染症に対する取組を応援するといった観点のことができないか、検討してまいりたいと考えます。

伊佐委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 もう一点、ちょっと関連して、雇用保険の受給者でない方々の就労というのは、求職者支援訓練というのがあります。

 この求職者支援訓練は、月十万円を受け取りながら訓練が受けられるということですが、この求職者支援訓練に認定されるには、この訓練で就職できたという一定の就職率を達成する必要があります。基礎コースなら三〇%以上、実践コースなら三五%以上、これが達成できないと訓練という認定がおりませんが、今、就職難という状況です、内定の取消しもあります、こういう中で訓練を終了した三カ月の就職率を見るわけですが、大体二月末に自粛が来て、三月、四月、五月、今月末でいよいよ三カ月になります。この認定の基準をちょっと緩和していただきたいという現場の声がありますが、いかがですか。

定塚政府参考人 求職者支援訓練の認定の基準については、先生から御紹介いただきましたとおり、認定の申請を行う民間教育訓練機関の訓練についての就職率等について一定の基準を設けている、これは、訓練の一定の質を担保するという観点から省令で規定をしているものでございます。

 一方で、御指摘いただきましたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により就職活動が難しくなっているという状況がございます。こうしたことから、訓練受講者の就職率が低下する可能性があるという点は課題として認識をしているところでございまして、認定基準を柔軟に取り扱うということについて現在検討を行っているところでございます。速やかに必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

伊佐委員 現在検討を行っていただいているということですので、よろしくお願いします。

 法案の内容を質問します。

 この法案の一つの大きな柱に、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制の構築というのがあります。

 これはぱっと聞いたら非常に難しいなと思うんですが、私の理解では、いろいろな縦割りの事業があって、支援するためには基準をクリアしなきゃいけない。困窮や障害、要介護、いろいろなものがあって、支援を受けるためにはそれぞれの部局が示す基準をクリアしないといけない。基準までいかないぎりぎりだったとしても、その基準を超えないと、結局、支援が十分に受けられない。でも、現場はどうかというと、支援の基準は超えないにしても、実は、さっき申し上げた困窮や障害や介護やいろいろな課題が重なり合っていて、その重なり合いの結果、極めて深刻なケースもあるというふうに認識をしています。

 具体的な事例で質問したいと思いますが、過去、千葉県で痛ましい事件がありました。県営住宅の家賃を滞納して立ち退きを命ぜられた母子世帯がいらっしゃって、この母子世帯のお母さんが、中学二年生の娘と無理心中をしようとして、娘を殺害してしまう。

 この背景には、別れた夫の借金の返済があって、養育費の支払いもない。家賃を滞納せざるを得なくて、闇金からお金を借りた。その闇金からも強烈に取り立てられる。市の給食センターで働いていらっしゃったわけですが、最低賃金すれすれで、学校の休み期間中は当然給食センターは仕事がないわけですが、でも上司からダブルワークはだめだと言われて、給料もなくなった。

 これは、いろいろな行政部局がかかわっていたんです。住宅局や市の年金保険課や福祉課や子育て支援課、それぞれから見たら別に決定的じゃなかった。でも、どの部署も、誰も全体像を把握していなかった。最終的には、公営住宅の住宅局が明渡し訴訟をその母子世帯に起こして、それが決定打になったという事件でした。

 こういうケースは今回の法律ができれば助けることができるということでよろしいでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の、二〇一四年に千葉県で発生しました痛ましい事件でございますけれども、生活困窮者自立支援制度のあり方について再確認するきっかけとなったものでございまして、支援機関間の情報共有や緊密な連携を行う体制づくりの重要性を改めて強く認識した事案であったというふうに認識しております。これにつきましては、平成三十年の法改正の際にも議員から同様の質問をいただいているところでございます。

 まさにこういった事案にかかわっておられます複合的な問題を抱える方につきましては、日々の生活に追われまして、みずから相談することが難しい方が多いというふうに承知しております。このため、そういった方に相談支援が届くようにするアウトリーチの観点が極めて重要であると考えております。

 このような観点から、本法案におきましては、アウトリーチ支援の機会を設けまして、訪問による相談や、課題を抱える個人や世帯への継続的な支援、こういったことを行うこととしております。さらに、アウトリーチ等を通じて課題を抱える方を把握した支援機関から必要な支援機関への情報共有を行う、さらに逆方向の情報の共有もあると思いますけれども、そういうことが重要でございますため、今回の新たな事業では、複数の関係者間の連携を円滑に進めます多機関協働の事業も位置づけておりまして、これによって、市町村全体のチームによって支援を進めて、複合化した問題を抱える本人や世帯が制度のはざまに陥ることを防ぐこととしております。

 このような新たな事業を通じまして、市町村全体で包括的な支援を行う体制を整備して、必要な支援を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 以上、終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 立国社の稲富でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、社会福祉法改正案、そして障害福祉関連三法案についてお伺いをいたします。

 この社会福祉法改正案については、市町村において地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するとあって、包括的な相談支援の体制をつくるということが想定されております。これはすばらしい。まず、窓口をつくっていくということはやはり非常に大切なことだと思います。

 属性、世代を問わず全ての相談を受けとめる総合相談窓口を設けるということでございますが、ただ、この間、さまざまな審議を通じて思ったのは、必ずしもワンストップの相談窓口をつくるというわけではないということ、市町村にお任せするということかと思いますが、やはりワンストップでつくっていくということが私は大切だと思いますが、大臣の見解をまず伺います。

加藤国務大臣 一番大事なことは、先ほどから、あるいはこの委員会でも御議論いただいておりますように、さまざまな課題を抱える方をしっかりと受けとめて相談に乗っていただける、そういう体制をどうつくっていくのかということなんだろうというふうに思います。

 今委員のおっしゃるように、ワンストップというやり方も当然あると思います。ただ、ワンストップというのは、受け口が一つでも、後ろにそれぞれがつながっていないと、実際に、相談は受けたけれども解決にならなければこれは意味がないわけでありますので、それぞれの機能がしっかりと有機的につながっていくということがやはり必要なんだと思います。

 ですから、ワンストップというやり方もあると思いますし、どこが受けても、そこがまた他と連携して全体として解決策を見出していく、こういうやり方も、これはそれぞれの市町村が、また規模にもよるんだと思いますけれども、そういう中でやっていく。そして、大事なことは、先ほど申し上げましたけれども、関係者がよく意見を交換しながら意思の疎通を図ってトータルとして解決を目指していく、そういったことを私どもは想定をしております。

 そのためにも、やはり、交付金という形で別々に出ていたものを今回一本化することによって使い勝手をよくしていく、また、これまでの機能に加えて、各相談支援機関と支援の方向性を整理して連携体制を構築するための事業、いわゆる多機関の協働の事業も創設をする、こういったことを通じて、先ほど申し上げた、それぞれの自治体が包括的に個々の相談者、課題を抱える方々に対応し、その解決を図っていただける。

 また、実際の施行は三年でありますから、それに向けて既にモデル的に実施している事例もあります、そういった事例も踏まえながら、指針やマニュアル等をつくって、より多くの自治体においてこうした趣旨に沿った対応をとっていただけるように努力していきたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。向いている方向は同じだと思いますので、しっかりお取り組みをいただければと思います。

 次に、介護サービス提供体制の整備について伺います。

 現在、私の地元福岡市では、介護保険事業計画を作成しているところです。同時に、六年計画の保健福祉総合計画、あるいは三年計画の障がい福祉計画を作成しているところでございます。当初は令和三年三月までの策定を目指してきたわけですが、審議会等の開催めどが立たないため、策定スケジュールを変更するということに福岡市はなっているということです。総合計画、障がい福祉計画は来年度、令和三年度策定に変更することになりましたけれども、介護保険事業計画については変更すべきではないという国の指導があったというふうに伺っております。

 保険料の改定があるということは理解しますが、この状況下で、その他の計画との整合性を考えれば、最低限のところは保険計画を決めたとしても、歳出、その他の事業についてはじっくりと議論した上で来年度策定に延ばしてもいいのではないか、あるいは三年を四年計画として他の計画に合わせるなど、柔軟な対応が何かできないのかというふうに思いますが、答弁を求めます。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 市町村介護保険計画は、三年を一期として、介護サービス量の見込みを保険料と一体的に定めるものでございます。

 委員御指摘のとおり、確かに、今のコロナ禍の中で、その策定に当たっての困難があったり、あるいは、実際に、入所あるいは通所、訪問、それぞれの介護事業が今回のコロナの影響でどうなるのか、そうしたことの見通しがまだ必ずしも立たない状況にあるということは、私もいろいろ考えましたが、そうだなと思いながら、ただ、これもお話にございましたけれども、さはさりながら、人口動態として高齢化がどうなっていくのか、そうしたことのベースが動くものでもないということもあるわけで、そうした中で、きちんと保険料等々を考える必要があるという意味で、やはり来年度から第八期市町村介護保険計画を行うということに向けて基本的に本年度、令和二年度内に定めていただく必要がある、このように考えているところでございます。

 ただ、例えば、ほかの計画との連携にかかわる事項につきましては、当該のほかの計画がまだ定められていない、あるいはちょっと延期になった、そうした事情がある場合もあろうと思いますので、こうした事項の記載については令和三年度途中になって追記をするような形ということになっても構わないんだろうというふうに思っております。

 また、介護保険事業計画の作成は本年九月ごろから本格化するものと考えておりますけれども、厚生労働省といたしまして、各市町村が効率的に介護保険料を設定できる算定ツールを提供するなどの支援を行いまして、自治体の負担軽減に努めてまいりたい。

 また、委員会の開催などにつきましても、例えばウエブ開催等ができるとか、今後、効率的な運営方法などについても示してまいりまして、市町村がそうした計画をつくるに当たってなるべく支障が生じないように私たちもサポートしてまいりたい、このように考えております。

稲富委員 ありがとうございます。地域に合わせた柔軟な御対応をぜひしていただければと思います。ありがとうございます。

 次に、衆法提出者にお伺いをいたします。

 介護についてですけれども、何といっても大切なのは介護・福祉人材の確保でございます。現役世代が減少していく中、人材を十分に確保できなければ今後はサービスを提供できなくなってしまうということでございます。コロナ感染拡大前は人手不足だということで、人材確保が極めて難しい状況でございました。しかし、状況は大きく変わるであろうと思われます。

 そこで伺います。どのようにすれば魅力ある職場になるのか、どうすれば人材確保が進むのか。本法案の目的、内容についてお伺いします。

山井議員 稲富委員にお答え申し上げます。

 今おっしゃってくださいましたように、もともと、介護職員、障害福祉職員の処遇改善は与野党を超えてみんなの願いであったと思います。さらに、最近では、コロナの感染の問題もありまして、ますます人手不足、感染リスクの問題も課題となっております。

 そういう中で、本法案におきましては、全額国費負担で平均月給一万円を引き上げると。これは、介護職員さん、そして障害福祉職員さん、ケアマネさんを含め、全職員さんの引上げを念頭に置いております。

 また同時に、今も稲富委員から御指摘がありましたように、コロナの感染で、欧米でも半数以上の死者は介護施設である、そういうデータもございます。そういう中で、今回、介護・障害福祉におきまして全ての職員さんを対象とする危険手当というものも必要ではないかというふうに考えて、これも二次補正についての要望をさせていただいております。

 さらに、加えまして、特に障害施設におきましては、私もきょう、障害施設の方がつくってくださったマスクをつけさせていただいているんですが、今回の法案の中にあります、食事加算をぜひ存続させてほしい、減額や縮小をしてほしくないというのが切なる願いでありまして、三年前、ここにもおられます加藤大臣の英断で、食事加算が廃止、減額されるのではないかというのが与野党みんなの思いで継続になったわけでありますので、ぜひそれについても、三年後の見直しがことしありますけれども、与野党を超えてみんなの力で継続できればというふうに思っております。

 加えまして、今回の法案には、介護の分野で特にセクハラやパワハラというものが問題になっております、それを防止する規定も入れさせてもらっております。

 与野党を超えて皆さんの思いは同じだと思いますので、ぜひ成立をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

稲富委員 ありがとうございます。現場の皆様の声、思い、あるいは勇気づける、そういう内容かと思います。ありがとうございます。

 続きまして、重度障害者の就労について衆法提出者に伺います。

 重度訪問介護の利用者については、就労の有無にかかわらず生活するためのサービスを利用する必要があるということを考えますと、職場通勤時にサービスが利用できるようにすることは当然でありまして、提出法案にはその内容が反映されていると思います。他方で、重度障害者の就労を考えた場合に、障害者を受け入れる企業をどのようにふやすかということが同じく必要であろうかと思います。

 そこで伺います。重度障害者の就労促進のために受け入れる企業をふやす必要があると思われますが、提出者の意図をお伺いします。

池田(真)議員 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございます。現在、告示五百二十三号の通知が就労の壁にもなっております。現在事業所をやっている重度訪問介護の利用者の言葉なんですが、ヘルパーが使えないというこの五百二十三号の通知は長年の当事者運動で得た二十四時間介護の実現から後退した、私たちを仕事や社会から排除することになる、職場で必要とする介助はあくまでも日常活動の介助、食事とか、トイレとか、水分補給とか、かゆいところをかいてもらうとか、マウスをとってもらうとか、言葉を伝えてもらうとか、介助があれば仕事ができる人が多くいるというお話でした。

 一番大切なのは、当事者の仕事をしたい、就労したいということをかなえるために何があったらよいのか、当事者の目線にスタートラインを置くことだと考えております。

 野党案が実現されることによって、重度障害者の就労実現、そして社会全体として全ての障害者の雇用が促進される第一歩になるものと考えております。

 ありがとうございます。

稲富委員 ありがとうございます。ぜひこの内容に党派を超えて御賛同いただければと思います。御答弁ありがとうございました。どうぞ、もう御退席を。

 次に、コロナの問題に移ります。

 今、コロナの感染拡大に際して、私は、地元の皆様に携帯を公開して、いろいろな御相談をいつでも電話してくださいということをやってまいりました。当初は、三月、四月上旬あたりは、熱があるけれどもどうしたらいいのか、どこに電話をしたらいいのか、三十七度を超えた熱が二日続いているけれどもどうしたらいいのか、あるいは、福岡の方が、東京に息子がいる、熱が出ている、息子のひとり暮らしだけれどもどうすればいいんだ、そういった声が非常に多くございました。

 今は局面が変わりまして、地元の皆様からいただく御質問、御意見は大きく二つあります。

 一つは、やはり経済的な支援のことで、御存じのとおり、厚生労働省、経済産業省、その他の省庁と県と市にそれぞれの支援メニューがあって、利用する側からするとどれがどれかわからない、どれだったら利用できるのか、そういうことが一つと、もう一つは、高齢者の方々からでございまして、今後どういうことを用意すればいいのかという非常に不安な声です。

 以下、私は、三つ、よくいただく質問について御質問させていただきます。例えば、政府の方々はわかっているだろうと思われることも意外に伝わっていないところがたくさんありますし、意外にそこが情報としても十分に行き渡っていないことがあると思います。こういった質問を三つ申し上げますので、ぜひわかりやすくお伝え願えればと思います。

 一つは、体調不良がある場合、検査はどうやったら受けられるのか、あるいは、そのときにどういうふうな移動手段でそこに行けばいいのか。ぜひ御答弁をお願いします。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 高齢者や基礎疾患のある方など重症化しやすい方等は、発熱とか軽い症状がある場合でも、すぐに帰国者・接触者相談センターに連絡いただきたいというふうに考えております。帰国者・接触者相談センターにおきましては、帰国者・接触者外来の受診の必要性を判断いたします。帰国者・接触者外来におきまして医師が必要と判断した場合にはPCR検査が行われます。

 また、移動はどうかという話がありましたけれども、受診の際には公共交通機関の利用はできれば避けていただきたいというふうに考えておりますが、やむを得ず公共交通機関を利用する場合にありましては、他の人が新型コロナにかからないように、どうかマスクとかを着用いただく等、できる限りの対応をとっていただく必要があるというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 二つ目です。もし検査をした結果が陽性であった場合はどこに行くのか。例えばホテルになるのか、自宅待機になるのか、どうなるのか。そして、ホテルやそういった施設に入る場合の費用はどうなるのか。そして、陽性が出た直後にそこに入る場合に着がえはどうすればいいのか、その場合の費用はどうなるのか。まとめて、ぜひ御答弁をお願いします。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 PCR検査をしまして陽性の場合には、もちろん入院していただきます。軽症の場合はホテル等に行っていただくわけですけれども、こうした場合には自己負担はありません。

 また、検査結果が陽性となった場合、都道府県知事の勧告等によりまして入院する場合の医療に関する費用についても、医療保険を優先適用した上で、残額等につきましても公費で負担するということになっております。

 原則、自己負担はございません。

稲富委員 ありがとうございます。

 次、先ほどもありましたけれども、アビガン、レムデシビルなど、巷間さまざまな報道があります、こういった治療薬はどこでもらえるんだということはいかがですか。

小島大臣政務官 どこでもらえるかですけれども、アビガンにつきましては、いわゆる観察研究等に参加している医療機関において、医師が必要と判断した場合に限って投与が認められております。また、レムデシビルにつきましては、五月七日に薬事承認がされたところでありますけれども、医療機関の限定はありませんが、現時点では原則として重症患者が対象とされております。

 いずれにしましても、患者が希望すれば必ず処方されるというわけではございません。

稲富委員 ありがとうございます。御丁寧に御答弁いただいてありがとうございました。

 まず、体調にちょっと御不安があった、あるいは熱が出た、そして検査してほしいといったときは、さっき御答弁がありましたように、相談センターに電話をする、あるいはかかりつけのお医者さんに相談をするということを理解しました。

 それと、先ほどちょっと御質問させていただきましたアビガン、レムデシビルというのは、どこかに行ったらすぐもらえるということではなくて、あくまで、相談センター、帰国者・接触者外来、そして検査を受けた上で、その先に、いただける場合、あるいは投与される場合があるということであって、どこかに行けばあるとかいうものではないという理解をさせていただきました。ありがとうございます。

 最後に大臣に伺います。

 大臣のユーチューブも拝見しました、高齢者に対してのメッセージを拝見しました。今、高齢者は四人に一人がひとり暮らし世帯である、そして、夫婦二人のみの世帯を合わせると、一人か若しくは二人であると六割近くでございます。どちらかというと、経済的なことが心配というよりも、いざかかったときにどうすればいいんだということがすごく不安な要素になっております。

 ですので、さまざまなことの土台のそこの不安をどう解消するかということが大事で、その点で、政府の四月七日の文書でも在宅のひとり暮らし高齢者に対する取組の実施等を出されておりますし、基本的対処方針でもひとり暮らしということが書かれております。

 しかし、ひとり暮らしの高齢者、あるいはお二人で、御主人がもし病院に行ったらどうすればいいんだという不安な声に対してもう少し、世帯が小さいところの御高齢者に対するメッセージあるいは対応が必要かと思いますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 最近では新規の感染者数が減少傾向にはありますけれども、引き続き感染のリスクというのはあるわけで、特に高齢者、なかんずく基礎的疾患を抱えておられる方については大変な御不安を持っておられるというふうに思います。

 どうすればまず感染の可能性を減らせるのかといった形で、感染拡大防止等に対するさまざまな情報を今委員も挙げていただいたようにお示しをさせていただいているところであります。また、仮に感染した場合においても、先ほど政務官から御答弁させていただいたように、基本的には自己負担がないということでございます。

 その上で、どういった場合に対応されたらいいのかということを、改めて五月八日に相談・受診の目安も整えさせていただきました。

 また、相談しようとしても帰国者・接触者相談支援センターになかなかつながらないというお話もありました。今、それぞれの自治体で、コールセンターの電話回線をふやすとか、あるいは外部に委託するとかいった形でそうした体制も整えていただいておりますので、そういったこともしっかり支援をすることによって、相談していただきやすい環境をしっかりつくっていく、その結果において、外来、そして場合によっては、陽性になった場合には医療につながっていく、こういう流れをこの期間に、先ほど申し上げた感染者数が減少する中にあっても、都道府県等とよく連携をとりながらそうした体制をしっかり整備していきたいというふうに思っております。

 そうしたトータルな措置をとることによって先ほどの高齢者を始め国民の皆さんの新型コロナウイルス感染症に対する懸念あるいは不安というものを解消するとともに、もう一つは、先ほど御質問がありました治療薬、ワクチン等、こういったものの開発等々をしっかり進めていくことで根源的な不安の解消に努めていきたいというふうに思っております。

稲富委員 ありがとうございます。再三申し上げて恐縮ですが、ひとり暮らしのお年寄り、高齢者に対する支援あるいはメッセージをぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、雇調金についてお伺いします。

 当委員会で私も毎回このことを要請させていただきました。随分と手続が簡略化されているということは承知をしております。手続、これは非常に大きなことです。それでもなお、やはりまだ残っているところがあって、上限の問題です。

 これまでは、私自身もそうですけれども、中小企業が非常に厳しい中で、中小企業がどう雇調金を使い、あるいはさまざまな制度で雇用を守っていただくかということを考えてまいりましたけれども、今はそれだけのフェーズではなくて、名立たる企業も雇用調整助成金を使わなければいけないという局面に入っております。先日、航空関連産業からも今の雇用調整助成金の上限額をどうにかしてほしいという御要望をいただきました。それは名立たる企業です。ですので、これまでとは違うフェーズにもう入ってきていると思います。

 そこでお伺いします。上限一万五千円というのは総理がおっしゃった額ですけれども、この検討状況についてお伺いします。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 雇用調整助成金の日額上限の引上げにつきましては、先日の五月十四日に総理が言及したことを受けて、遡及の有無、引上げの対象等を含め、現在、その具体的な内容の検討を鋭意進めているところでございます。

 委員も御指摘いただきましたように、休業を余儀なくされている皆様の暮らしを守るためということで、総理からの御発言として、一日一万五千円まで特例的に上限額を引き上げるとの御発言もあったところでございます。

 現在のところ、与党での御議論また野党からの御意見もしっかりと伺いながら、早急に具現化してまいっているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。時間が最大のコストだと思います。早急にぜひ結論を得ていただきたい。当然、二次補正が目の前ということであれば早々かと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、これも何度も当委員会でさまざまな委員からも御質問があった七月以降の話で、大臣も何度も御答弁をされていますけれども、改めて伺います。

 コロナの特例の延長について、すぐに六月ということになりますと、企業としては次を考えていくという段階に行きますので、七月以降について延長をぜひしてほしいという声に対してどのようにお応えになるのか。お願いいたします。

加藤国務大臣 基本的な考え方は、今、自見政務官の方から雇用調整助成金についての話をさせていただきました。

 緊急対応期間の延長、私どもは延長は必要だというふうには考えております。ただ、具体的にどうするかについては、先ほど申し上げた、今回の一連の雇用調整助成金の拡充方策、その中で決めていきたいというふうに思っています。

稲富委員 ありがとうございます。延長は必要だということを大臣におっしゃっていただきましたので、ぜひお取組をお願いします。

 そして、みなし失業給付と、あと国による休業手当の直接給付という話があって、新聞では、もう断念した、そして国による直接給付だとか、いろいろ文字が躍っています。実際にどういうことを検討されているのか、お伺いします。

加藤国務大臣 総理が表明された新しい制度については、事業者の命により休業しており、しかし賃金を受け取ることができない労働者が直接申請することができる制度。

 基本的には、雇用調整助成金制度があって、これがメーンというか主たる制度でありますけれども、残念ながら賃金が支給されていないですから、したがって企業からは雇用調整助成金の申請も行い得ない、そうした状況の中で、そうした環境の中におられる労働者の立場に立って、どういう仕組みにすることによっていわば実質的に休業給付がなされるようにしていくのか、こういう観点から今議論をさせていただいているところでございます。

 かなりの数になる想定もしておりますから、申請の手続等もいろいろ考えていかなきゃならない、その辺も含めて今鋭意検討させていただいております。

稲富委員 二次補正に向けてということだと思いますので、ぜひ早急に結論を得ていただきたいと思います。

 次に、その他の経済支援について伺います。住居確保給付金でございます。

 当委員会でも私も一度質問させていただきましたが、私も地元でもお話をしているんですが、なかなか、ちょっとまだ個人の住宅のこの制度が十分にお伝えし切れていないなというところを感じています。制度としてはかなり要件緩和をしていただいている中で、もっと使えればなというふうに思っているところです。

 そこで、今の申請の状況、そして執行の状況をまず伺います。

橋本副大臣 お尋ねのございました住居確保給付金の直近の実績につきましてですけれども、四月分の速報値で、一部まだ未集計のところがございますので確定の数字ではございませんが、現時点、把握している範囲で申し上げますと、申請件数は約八千七百件、支給決定件数は約二千八百件となっております。

稲富委員 ありがとうございます。

 昨年の数字は、副大臣、ございますか。なければ大丈夫です。ありますか、済みません。

谷内政府参考人 平成三十年度の全国の決定件数で申し上げますと、四千百七十二件となっているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。件数としては一カ月余りで随分とふえているし、利用者さんもたくさんいらっしゃるということですが、もっと需要はたくさんある制度だと感じております。ぜひ促進をしてまいりたいと思います。

 次に、例えば福岡市であれば、市営住宅家賃の減免の制度もコロナの対応でやっております。減免を受けながら住居確保給付金を受けることはできるのかということをお伺いをいたします。

橋本副大臣 市営住宅の家賃の減免を受けながらということでございますけれども、住居確保給付金の要件というのがございます。そちらの方を満たしていただければ、減免後の家賃等の相当額について、住居確保給付金の支給対象となります。したがいまして、ともに受けていただくことは可能でございます。

稲富委員 ありがとうございます。今御説明があったように、市営住宅の家賃の減免を受けながらも住居確保給付金は要件さえ整えば受けられるという御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 続きまして、経産省からもお越しいただいております、持続化給付金についてお伺いをいたします。

 この制度の中で、どうしても捉えられない部分があります。それは法人成りをした場合でございまして、去年の十二月に法人成りを仮にした場合。そして、実際、十二月には、経営して、それによっての稼ぎがなくて、実際には一月から稼ぎがある場合は、事実上、昨年の事業収入、稼ぎがなくて、年が明けてから少しでも稼ぎがあるということになりますので、実は、去年の例えば十二月に法人成りをして、実際には一月から仕事を始めて営業利益が出ているという場合は、なかなか持続化給付金の適用が難しいという状況です。

 去年、事業によって収入があれば、その分とことしのある月を比べて給付金が出ることもあるということで、特例として法人成りをした場合を設けていただいているんですけれども、どうしてもそこにはつかまえられないところがあると思います。

 しかし、これは事業として、言うと、個人事業主としてやっていて今度は法人成りをして事業展開をしようとしている人が対象外というのは、やはりどうしてもなかなか納得できるものじゃないんじゃないかと思います。基準がもちろんあるとは思いますが、十二月に法人成り、一月に実際に事業開始という方々について何らか工夫が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 持続化給付金は、経営に苦しんでおられるたくさんの事業者の方々に一日も早く給付金をお届けするとの観点から、簡易かつ迅速さを第一に制度を設計してございます。

 委員御指摘のように、二〇一九年の一月から十二月に法人成りした事業者が個人事業者としての過去の売上げと比較することができないかということでございますけれども、決算月が十二月と定められております個人事業者と、決算月を任意に選定できる法人との間で事業年度のずれが生じるなど、給付金の算定基礎となる前事業年度の年間総売上げを一意に定めることができないという事情もございます。

 また、個人事業者においては、確定申告の方法により、確定申告書類に月ごとの売上げが記載されず、法人成りまでの月ごとの事業収入が確認できないといった課題もございます。したがいまして、法人成り後の実績をベースに算定させていただいているところでございます。

 このため、二〇一九年度に法人成りした事業者につきましては二〇一九年度の売上げ実績がゼロの場合の対応は現時点においては困難となっておりますけれども、一方で、二〇一九年度に売上げの実績が立っております場合につきましては、対前年同月比での実績がなくても、他の月の実績を考慮して給付額を算定するなど、柔軟な対応も行ってございます。

 また、給付金以外にも、創業間もない事業者向けの支援策といたしまして持続化補助金を用意してございます。持続化補助金につきましては、補助上限額を通常の二倍の百万円に引き上げ、また、前年度との比較ができなくとも、一定の要件を満たせば交付決定額の二分の一を即座に支給するといった特別の措置も講じております。

 また、政府系金融機関、民間金融機関による実質無利子無担保、最大五年間元本返済据置きの融資という強力な資金繰り支援策なども御利用いただけます。

 いずれにいたしましても、事業者の皆様方の目線に立って利用しやすい制度とすることが何より重要でございますので、引き続き、皆様方の声に真摯に耳を傾け、必要な対応を行ってまいります。

稲富委員 御答弁をありがとうございます。

 これはまた議論させてください。やはり抜け落ちている部分があるので、そこをどうするか、ちょっとまた議論させてください。ありがとうございます。

 最後に、公共調達の労働者についてお伺いします。

 入管業務に従事する方からこういう御相談をいただいております。例えば福岡もそうですけれども、今、海外からのお客様というのはもうほとんどいらっしゃらなくて、入管業務に従事する方は休業しているわけです。そこで、こういった声があります。

 日ごろの業務としては、入管審査の前にパスポート、写真、指紋の三点について事前のチェックを行い、入管審査がスムーズに進むような業務をしている、そして一日八時間の勤務を一年契約でやってきた、しかし、三月十三日から自宅待機を命じられて自宅待機をしているけれども給料は出ていない、休業手当がないという御相談でございました。

 そこで伺います。国として業務委託をして、その先が休業した労働者に対して休業手当を払っていないということがもし事実だとすれば、それはやはり改善すべきではないかと私は思うんです。こういう実態があることを御存じか、そしてそれに対してどう考えるのか、お伺いをします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の契約及び企業についてお答えすることは差し控えたいのでありますけれども、あくまで一般論として申し上げますと、休業手当につきましては個々の雇用契約に基づいて支払われるべきものと考えておりまして、その上で申し上げますと、私どもが契約を締結している相手方は業務を受託している民間企業でございまして、各種手当の支払い等は個々の雇用関係に基づいて行われることになるというふうに考えているところでございます。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 今回の新型コロナウイルス感染の影響を受けて、営業自粛などにより労働者を休業させる場合には、労使がよく話し合って、休業中の手当の水準、休業日や休業時間の設定等につきまして労働者の不利益を回避するよう努力していただくことがまず大変重要だと考えております。

 委員御指摘の国の委託事業におきましては、経費の支出の可否について交付要綱や仕様書等に規定していることが一般的でございますが、規定がない場合であっても、双方協議規定を設定しているところでもございます。これにより、委託事業等発注者である国側におきまして、委託業者が支払った経費が委託事業に要した費用に該当するか否かなどを協議、確認した上で決めることとされております。

 例えば、当該事業を実施するために雇用された作業従事員への賃金などが事業を実施するために準備、維持した経費と認められる場合は、各事業の内容にもよりますが、委託事業に要した費用として、人件費を含め、支出した経費を国が支出しても差し支えないと考えられております。

 いずれにいたしましても、委託業者から相談等があった場合には、適切な予算の執行の観点も踏まえまして、その実情に応じて適切に相談に応じ、対応してまいりたいと存じます。

稲富委員 ありがとうございました。

 国として休業手当を払うようにという文書まで発出しているわけです、義務がないとしても。したがって、委託先がそれをしていないということであれば、私は何らかの指導なり方法が必要かと思います。

 以上申し上げて、終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうもたくさん聞きたいことがありますので、まず、ちょっと新型コロナウイルス関連の質問をさせていただいて、その後、法案質疑をして、時間に余裕があれば、もう少しだけ新型コロナウイルス関連を聞きたいと思いますが、そこまでいけるかどうか。

 それでは、まず冒頭、ちょっと確認したいんですけれども、大臣、アビガンの件について、大臣の知っている情報についてちょっと聞きたいんです。どういうふうに事務方から上がってきているか。

 総理は五月四日に、三千例に投与して、効果があるとの報告を受けている、記者会見でこういうお話をされているんです。大臣は、効果があるという報告を現時点で受けているんでしょうか。(発言する者あり)

盛山委員長 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 時計を動かしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 済みません、突然の御質問だったので。

 たしか学会からそうした報告があったということを記憶していたので、ちょっと今確認をしております。文書そのものがありませんが、私のうろ覚えでありますから申しわけありませんけれども、効果があるという可能性はあるけれどもまだ十分確認がされていない、たしかそのようなトーンだったように記憶をしております。

岡本(充)委員 官邸のホームページで見ていただければわかるんですけれども、総理は記者の問いに、ある程度効果があると答えている。また、冒頭にも、効果があるとの報告を受けている、こういう発言をされているんですが、今の大臣の発言と微妙に違うんです。効果がある可能性があるではなくて、効果があるという報告を受けているかということを聞いています。(発言する者あり)

盛山委員長 では、とめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 時計を動かしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 これは日本感染症学会における藤田医科大学の先生の資料でありますけれども、ファビピラビルの観察研究の中間報告ということで、生存退院、軽快退院の比率等々が示され、先ほど申し上げた可能性がある、ただし、非投与患者との比較が行えないこと、また、他薬剤との併用も多いことから、この情報だけでファビピラビル、アビガンの安全性、有効性の判断を行うことは難しい、こういう研究であります。

岡本(充)委員 総理が言っていることと違うんですよね。総理は、効果があると報告を受けていると言っているんですよ。効果がある可能性があると言っているわけじゃないんです。だから聞いているんです。

 では、効果があるという報告は大臣は受けていない、そういうことでいいですね。効果があるという報告は受けていない、そういうことでいいですね。確認です。

加藤国務大臣 先ほど、私に対してどういう資料があったのかということで、ちょっと記憶にあることを申し上げたということであります。

 それ以外にもさまざまな論文が出てきていたわけでありますので、その一つ一つがどうだったかというのは確認してみないとわからないということであります。

岡本(充)委員 大臣が聞いていることです。大臣が聞いている報告では、効果があるという断定的な報告、効果があるという報告、こういう報告は聞いていないですね。効果がある可能性があるではないんです、効果があるという報告は受けているのかどうか、そこだけです。

加藤国務大臣 中国の論文では、一回取り下げ、また復活をされておりますけれども、アビガン投与群とアビガン投与なしで、陰性までの日数あるいは肺炎の改善割合において、日数が短縮化している、肺炎の改善割合は高くなっている、こういう報告も出ているわけであります。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、今そういう報告があるという紹介をしてくださいとは言っていないんです。大臣は効果があるという報告を受けていたかということを聞いているんです。今そこで役所の人からレクの紙を入れられて、こういうものがありますという紹介をしてくださいではないんです。大臣は効果があるという報告を受けていましたか、こう聞いているだけですから。まだ受けていません、可能性があるということだけは報告を受けていました、若しくは、受けていました、この三つだと思います。

加藤国務大臣 トータルとしてあるかないかというのは最終的な判断でありますから、それは、まさに今そのプロセスにあるわけでありまして、今申し上げたのは、さまざまな論文でどういうことがあったのかという情報が入っていたか、そういう質問なんだろうと思いますので、一つ一つ確認しながら答弁をさせていただいているということであります。

岡本(充)委員 はぐらかしますね、やはり。大臣がそういう報告を受けていたかと聞いているんです。今そこで受けているかではないんです。受けていたかということです。うろ覚えながら、あるということを聞いていました、詳細は忘れましたけれども、あるというふうにもう五月四日に総理が会見したころは受けていました、そういうことでいいですか。

加藤国務大臣 あるかないかという報告ではなくて、それは、最終的に厚労省の判断ということになれば、まさにこれからするということですから、それに向けてどういう資料があるかということにおいて、先ほど幾つか資料があった、そのことを今私も一つ一つ、うろ覚えでありますから、確認をしながら答弁をさせていただいたということであります。

岡本(充)委員 つまり、総理が言ったときに、どういう情報が厚生労働省の中で整理をされて総理に上がっていたかですよ。大臣をすっ飛ばして行っていたというならそれは別の話ですけれども、一般的には大臣にも報告が上がっていたんじゃないかと。

 そういう意味で、厚労大臣として、アビガンに効果があるという報告、この日本において三千例を投与した経験がある、効果があるという報告も受けている、こういうことでありますけれども、では、この報告を具体的に大臣が受けていた記憶はないということですか、あるということですか。だから、記憶があるかないかです。

加藤国務大臣 三千名に投与をしてと、ちょっとそのときの正確な数字はわかりませんが、観察研究でどれだけの投与をしているか、これはもちろん報告をさせていただいております。

 そして、その中において、受けてよかったかという話は、それは個々いろいろな方から私も聞かせていただいて、もっとアビガンを使えないのかという話もいただいております。ただ、それは個々の方々のいわば判断というか、そうした評価ということであります。

 だから、トータルとして厚労省としての評価というのはまだ定まっていないわけであります。それはもう委員御承知のとおりです。ただ、いろいろな論文があって、それぞれの中で、あるいはいろいろな報道もあります、そういったことを一つ一つ総理が見られたり、全て私どもが総理に報告しているわけではありませんけれども、私のところに上がってきた幾つかの論文等の中身については先ほど御説明させていただいた、こういうことであります。

岡本(充)委員 だから、厚生労働省として判断が定まっていない中、総理が効果があるという報告を受けていると言われたということですね。そうしましたら、やはりそこは正確性を期すべきだと私は思います。

 もう一つ確認をしたいことがあります。きょうは保険局長に来ていただいています。

 五月十五日の「疑義解釈資料の送付について(その12)」というものですけれども、PCR検査について、問一、令和二年三月六日付で保険適用された新型コロナウイルス核酸検出を、これはPCR検査ですね、無症状の患者に対して医師が必要と判断し実施した場合には算定できるか。これに対して、答えは、無症状の患者であっても、医師が必要と判断し実施した場合は算定できる、こうなっています。

 これは、正直言っていろいろな論点があって、なかなか課題が多いことはよくわかるんですが、この書きぶりだと、一月に何回でもできることになってしまうのでしょうか。そしてまた、これだと査定をされる基準がわからないんです。もう少し詳しく、ここでもし説明していただけるなら、御披瀝をいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 PCR検査につきましては、患者に対して行う手術等の内容あるいは周囲の感染状況等を踏まえまして、医師が患者の診療のために必要と判断して行った場合には症状の有無にかかわらず保険適用となるということでありまして、五月十五日付の事務連絡におきまして取扱いを明確化したところでございます。また、御指摘のとおり、三月六日適用の通知においても取扱いの基準を示しております。

 この三月四日付の通知におきましては、保険請求に当たりましては診療報酬明細書の摘要欄に医師が個々の患者について検査が必要と判断した医学的根拠の記載を求めておりまして、その記載を踏まえまして審査を行っていくということでございます。

岡本(充)委員 もう少し明確に。医学的必要性があったら月に何回でも算定できる、こういう理解ですか。しかも、なおかつ、医師が必要だという根拠を書けば、こういう根拠だとだめだという例示ぐらいは示していただきたいと思います。例示を示さないと、書いたら切られたというのではかわいそうですよ。だから、きちっと、こういう場合にはだめだ、そしてこういう場合ならいいと例示を示していただきたいし、もう一つ、何回でもいいのか、回数には上限があるのか、ここを答えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 個々の検査の医学的根拠につきましては、まさに個々の医学的必要性についての判断ということでございます。また、回数についても、個々の患者に対する必要性、医師の判断ということでございまして、現時点におきまして具体的な例示等を示すのはなかなか難しいということでございます。

岡本(充)委員 いや、大臣、やったら後で切られたというのではかわいそうだし、医療機関も困ってしまうし、一定程度の目安をやはりここで示すべきだと思います。

 今、相談されていますから、ちょっと。整理してくれと言っているんですから。それを整理できていないんですか。

 局長、もし答えられるなら。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 失礼しました、通知におきまして、回数につきましては一つ基準がございまして、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかない場合は上記のように合算した点数をさらに一回に限り算定できるというような取扱いにいたしております。

岡本(充)委員 つまり、一月に何回できるんですか。

浜谷政府参考人 基本的には二回ということでございます。

岡本(充)委員 それで、保険で認められない医学的根拠というのは何になるんですか。もう少し具体的に言ってください。こういうものは認められる、こういうものは認められない、整理してもらっていると思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まさにこれは医学的判断ということでございまして、ケース・バイ・ケースということで、恐縮でございますけれども、現時点でこの場で具体例をお示しするということはなかなか難しいということでございます。

岡本(充)委員 でも、本当に、検査したけれども保険で認められなくなったらかわいそうですよ。だから、ちゃんとやはり定めるべきだと思いますよ。

 だって、これは五月十五日に出て、いや、急いで出さなければいけないというのはわかります、だから出しましたと。この中で、明らかにおかしい事例、極端な事例でもいいですよ、例えばこういうものはいいんだ、その考え方だけでも示すべきじゃないんですか。そういう意味で、考え方だけでも早急に整理して示すべきだと私は思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 これは、もともと、手術等、そうした場合にPCR検査をしっかりやるべきだ、やらせてほしい、こういうニーズがあって、私どもも、そうした医師が判断されるものだったらそれは保険適用になる、まさに保険適用というのはそういうことであります。

 したがって、逆に言うと、手術をする前の段階においてPCRが不要な場合があるのかないのかということですよね。皆さんから多くは手術する前には必要だというお話を聞いて我々は対応しておるので、委員の御質問だと、必要ではない場合があるんだろう、こういう前提に立っておられるように私には聞こえたんですけれども、基本的にそういう場合はまずないのではないかということを前提に私どもはこういう対応をさせていただいているということであります。

岡本(充)委員 つまり、これだけを読むと、無症状の患者であっても医師が必要と判断し実施した場合は、要するに、これまでは保険医療ですから、基本的に、疑いがあって検査をし、保険を使う。でも、疑いがなくても保険診療ができるということだと、自由診療で行う健診だってやってくれという話になりかねない。だから、きちっと外枠を決めておくべきじゃないか。

 いや、この通知がおかしいと言っているわけじゃないですよ。やりたいという声があることはよくわかっているけれども、余りにも何か丸投げっぽくて、結論として、現場の先生方がむしろ困惑するんじゃないか。もう一つは、今の話で、保険診療としてこうしたやり方でいいのかという問題意識を持っているということなんです。

 そういう意味で、では、大臣はこの通知のままでむしろ逆にいい、こういうふうに思われている、こういう理解ですか。私の問題意識を二つ伝えました。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、医療界から、特に病院の関係から、手術等、そうした場合にはPCR検査をやる必要がある、それをしっかり認めてほしい、こういう御要望があって、それを一個一個精査する中で、それを議論する中で、基本的に、当然、その手術をするに当たって必要な検査だということでありますから、医師が必要とするものなんだということを前提にこうした通知等をつくらせていただいているということであります。

岡本(充)委員 ということであれば、医師が必要とすれば幅広に認めるのであって、後で保険で認められなくて切られるケースが出てくることは想定しがたい、こういう理解をしておけばいいということでよろしいでしょうか。もしそうであれば、そういう考え方に立ってやっていくということですから。どうですか、大臣。

加藤国務大臣 ですから、もちろん、一つ一つ、PCR検査だけではなくて、治療そのものを当然審査されるわけですよね。だから、そういった過程の中で当然審査はされていくということであります。そして、その治療ということ自体が審査として適正だという中において、治療するに当たってPCR検査が必要だと医師が判断すればそれは保険診療の対象になり得るということでありますから、それにのっとって審査がされる、それを踏まえて審査がなされていくものだ、こういうふうに考えます。

岡本(充)委員 いやいや、曖昧ですよ。だって、今の話では保険で認められ得ると言っているんです。それはそうです、そうとしか言えないんです。だとすれば、今の話では保険で切られる可能性があるという前提になってしまうから、そうすると現場としてはやはり怖いですよね、切られちゃう。どういう基準なのかといったら、基準も教えてくれない。基準を聞くと、要するに、幅広に検査のニーズがあると聞いているから、今回はこういう医療現場からのニーズに基づいてこの事務連絡を出した、こう言う。

 であれば、そこはどっちなんですか。つまり、幅広に認めていくから、皆さんは、それぞれの現場でのリスクを管理する上で、きちっと検査してくださいということなら、ほかのさまざまな術前検査と同様に、いろいろな術前検査があるわけです、認めていくという方向なのか。それとも、特殊な事例で、こういうことがなければ要件として入らないのか。そのどちらなのか、はっきりしてください。どっちですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 これは通常の検査でも同様でございますけれども、基本的には現場の医師の判断で必要と認めた場合には保険請求ができるという扱いでございますので、そういう意味では、そういった基本的な考え方に立って審査も行われるものというふうに考えております。

岡本(充)委員 いや、答えていないですよ。それは答えていない。

 どっちなんですか。それだったら、症状があって、疑い病名があって検査をする、こういうステップであれば、病気だと疑われるということをもって検査をすることは保険になりますよ。無症状なんですから。何もないのに検査をするということについて、それが適正な保険請求だったかどうかなんて、その基準を示してもらわなければ、本当に切るのならそれは示さないと、何にもないところでなんか判断できないんですから。どっちなんですか、それをちゃんと答えてください。整理ができるのかできないのか、どっちですか。

浜谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、治療のために必要な検査をやっているということで、それは現場現場の医学的判断に基づいて行われているということでございまして、それを前提に審査をさせていただくということでございまして、何がマル、何がバツというのを現時点で具体的にお示しすることは難しいというふうに考えております。(発言する者あり)

盛山委員長 ちょっと定足数をチェックしてください。

 定足数不足で、とりあえずとめましょう。

    〔速記中止〕

盛山委員長 時計を動かしてください。

 浜谷保険局長。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回、診療報酬明細書の摘要欄に医学的根拠を記載していただくわけですけれども、現場で書いていただいた医学的根拠を尊重しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 事実上、そういうことであれば、書いてある根拠、よっぽど変なことが書いていない限りは、基本的には医学的に相当程度妥当性があるということであれば認めていただける、こういう理解でよろしいですね。うなずいていただいていますので、それで。

 今回はかなり異例だと思いますけれども、私は、医療保険のあり方としてこれはまた別途議論が必要だと思いますが、ただ、こういう事態の中でニーズがあるということに対して、どう応えていくかという中で苦渋の決断をされているんだろうというふうに思っていますので、ぜひ、そうした運用をしっかり周知していただきたいと思います。

 まだいろいろ聞きたいんですけれども、だんだん時間がなくなってきてしまって、法案審査で来ていただいている皆さん方が自分の番はまだかとお待ちかもしれませんが、警察庁に来ていただいているので、もう一問だけ。

 死体を検視される中で、PCR検査を経て、若しくはほかの検査も今はあります、抗原検査もありますけれども、いずれにしても、新型コロナウイルスに感染していたということがわかった御遺体は何体、それぞれどこの都道府県であったかということをこれまでこの委員会でも報告をいただいてまいりました。

 最も最新の数字を教えていただきたいのと、その方々は一体どこで亡くなられているのが見つかったのか、これについても御報告いただければと思います。

太刀川政府参考人 お答えします。

 警察が取り扱った死体のうち、検案等を行う医師の判断によりPCR等の検査が実施され、感染が確認された、つまり陽性であったケースとしては、昨日までに計二十六件の報告を受けております。

 都道府県別の内訳ですが、東京十五件、埼玉三件、兵庫二件、群馬、神奈川、静岡、三重、大阪、和歌山各一件となっています。

 亡くなった場所ということでございますが、警察庁で把握している事実関係をもとに、可能な範囲で申し上げます。

 警察で取り扱った二十六件のうち、自宅で亡くなっているところを発見された、あるいは自宅で容体が悪化して通報がされたケースは二十件ございます。このうち十一件は自宅で死亡が確認されたものでありまして、残りの九件は自宅から救急搬送された病院で死亡確認がなされたものです。これらの多くは死亡後にPCR等の検査が行われておりますが、二件については生前に検査が行われておりまして、この二件のうち一件は検査結果が陽性で自宅待機中、一件は検査結果が出るのを待っていたものでございます。

 また、路上や勤務先等の自宅以外で容体が悪化して通報がなされるなどしたケースは六件ございます。この六件はいずれも搬送先等の病院において死亡確認がされております。

 以上です。

岡本(充)委員 その六件は死亡確認後にPCRということでよろしいですか。

太刀川政府参考人 その六件のうち五件については死亡確認後にPCR検査が、一件については生前にPCR検査が行われているということでございます。

岡本(充)委員 その生前の一件は、では、PCRで陽性だとわかっていたのか、検査結果が出る前であったのか、どうですか。

太刀川政府参考人 検査結果の陽性が出たことそのものが生前であるということでございます。

岡本(充)委員 大変興味深いですね。生前にPCR結果で陽性とわかっていて、勤務先か路上にいた、それで容体が悪くなって亡くなった。

 局長、それは御存じでしたか。

宮嵜政府参考人 今の個別の例が具体的にどういう例に該当するのかというのは、ちょっと理解していないというか、把握していない、存じ上げません。

岡本(充)委員 厚生労働省で今一生懸命、前回の質問の、数の報告をしていただくと。委員から御指摘がありました数字については、重要でございますので、ちょっと精査をさせていただいて、御報告できるものをしっかり御報告させていただければというふうに思いますと前回答弁をいただいています。まだ御報告いただいていないんです。

 多分、今一生懸命計算されていると思うし、あれから日にちも限られていますから、ここで今すぐ報告してくれとまでは言いませんけれども、こうした警察の情報なども踏まえつつ、やはりきちっと私は評価する必要があると思いますし、今話があったようなケースが本当にあるのかどうか、ちょっとわかりません。また、どうやらPCR陽性だとわかっていて、自宅で容体が悪化して亡くなったというケースも警察が把握しているということであります。そういう意味では大変私は重要な指摘だと思っていますので、これを踏まえて検証していただきたいと思います。

 では、法案について少し聞いていきたいと思います。

 どこから聞くか、本当に聞きたいことはいっぱいあるんですけれども、まず、認知症の施策について少しいきましょうか。

 認知症の施策の総合的な推進、きょうは老健局長にお越しいただいています。オレンジプランを若かりしころつくられた方でもありますので、そういう意味では認知症対策に対して人一倍思い入れが強いんじゃないかと思いますが、局長、どうでしょう、今、認知症を確実に予防する方法というのはできましたでしょうか。

大島政府参考人 残念ながら、認知症を予防する方法については、科学的エビデンスという意味では、ないと承知しております。一部、認知症になるのをおくらせるとか、認知症の進行をおくらせることについての、リスクを低減させるような要素がある程度論文では出ておりますが、認知症そのものを予防するということにつきましてはエビデンスがないと承知しております。

岡本(充)委員 そうですね。

 それで、今回、認知症の施策推進大綱ということで今走っていますけれども、この中で非常に気になるのは、やはり、予防を含めた認知症への備えとして取組を促す、結果として七十歳代での発症を十年間で一歳おくらすことを目指す。そういう意味では数値目標を掲げるということは重要なことだと思うし、こういったチャレンジングな取組というものを別に私はけしからぬと言うつもりはないんですけれども、これが本当にできるんですか。

 そもそも、だって、エビデンスがないんですよね。どうやってこれを達成するんでしょうか。これから新たなエビデンスが出てくる中で、この二〇二五年までの中でそういうエビデンスが出てきて、それに取り組むんだ、こういう考えではないんだと思いますけれども、どうやっていくのか、これは課題だと思います。

 あわせて、もう一問。

 結局、認知症の対策として重要なのは、御本人へのアプローチもそうだけれども、家族へのさまざまなアプローチだと思います。認知症カフェなども進んできてはいますけれども、介護が理由で離職する人がやはり後を絶たない。そういう意味で、認知症を患う御本人はもちろんしんどいけれども、御家族へのケアというものも極めて重要な中で、今、最新の、どういう取組をしながらそれに臨もうとしているのか、そういう事例も含めて御報告いただきたいと思います。

大島政府参考人 七十代での発症を十年間で一年間おくらせるということは、結果としてということでありまして、目標というよりかは、認知症の予防、これは具体的には、認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのをおくらせるですとか、認知症になっても進行を緩やかにするという意味でございますが、それに向けた取組を行うことによって結果としてそうなればというような、希望的なものとして掲げているものでございます。

 取組の内容としましては非常に一般的なものでございまして、若いころからの糖尿病や高血圧の生活習慣病の予防ですとか運動不足の改善、具体的には、高齢者ですので、家から出かけてもらって簡単な軽体操を行うとか、そういった形でございまして、地域の中で交流していただくといったことを想定しております。そういったことに取り組むことによりまして孤立化防止にもなると思いますので、広い意味の高齢者福祉につながるものと考えております。

 それから、御指摘のありました認知症の方の御家族への支援は非常に重要だと思います。そのとおりだと思います。認知症カフェといった形で地域に根差した取組が出ておりますので、そういう地域地域の取組を応援したいと思っています。そのために、行政の中におきましては、地域包括支援センターというところでいろいろな相談事あるいはNPOの取組の支援等もやっていただいておりまして、そういう包括支援センターへの支援を通じて民間の取組を更に拡充していくといったことも考えております。

 それから、多少細かくなりますが、認知症になって、一体どこに相談に行ったらいいのかとか、いつ、どういうステージで行ったらいいのかという問合せが市町村にあります。認知症ケアパスという名称で、それぞれの地域の具体的な医療機関とか介護施設の名前を織り込んで、ステージごとの状態の特色ですとか相談先の、割と分厚目のパンフレットをつくっていただいておりまして、今、八〇%の市町村でそれがつくられております。こういったものをまず全市町村でつくっていただくといったことも意味があることではないかなと考えております。

 こういったことを今のところはやっておりますが、もう少し気軽に家族の方が相談に行ける場がないかとか、あるいはお勤めの方が、仕事の関係で、そういったことも相談できる場が欲しいという御要望も聞いておりまして、それらにつきましては引き続き課題として、もう少し施策の充実を考えたいと思っております。

岡本(充)委員 大臣、結局、やはり、そういう相談に行くのも、仕事を休まなければいけないんですよ。いろいろな場所に行かなければいけない。こういうものもワンストップでやっていけるような仕組みを考えたり、それから、レスパイトケアじゃないですけれども、一時的に入所できるようなサービスをもっとふやすとか、それこそ本当に重層的に取り組まなければいけないと思っています。

 ぜひ、大臣、その取組をお願いしたいと思います。決意で結構です。

加藤国務大臣 今、老健局長からもいろいろ説明をさせていただきました。

 認知症の本人また家族に対する支援の必要性というのは、これまでも十分に我々もいろいろなお話を聞かせていただいております。一つ一つ、今、それぞれの地方公共団体も含めて対策を講じているところでありますけれども、引き続き、そうした皆さんの声をしっかりと聞かせていただきながら、認知症ということになっていっても本人もまた家族もまさに地域社会の中で住み続けられる、こうした状況、これが先ほど冒頭に申し上げたまさに地域共生社会そのものだというふうに思っておりますので、その実現に更に努力をしていきたいと思います。

岡本(充)委員 では、お配りしている資料の一ページ目。これは、マイナンバーカードを健康保険証として利用するためのカードリーダー、このカードリーダーは一体幾らかかるのか。きのう大分話をしまして、八万円から二十万円台後半だと。九万円まで補助を行うということですけれども、かなりの台数を買うんですけれども、九万円でも結構高いんじゃないかと思っています。

 大臣、きのう大分議論しました。それで、聞かれていると思います。いろいろな機能がついているといっても、今どきはさまざまな工夫をする中で安い機器も出てきているわけですから、更にもう少し安くこういった機器が用意できないか考えるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の顔認証つきカードリーダーでございますけれども、これは、マイナンバーカードの券面情報のスキャン機能とか、ICチップの読み取り機能、顔認証用顔写真の撮影機能、それから、薬剤情報や特定健診情報の照会、閲覧に関する患者の意思確認を行うためのディスプレー機能等、さまざまな機能を兼ね備える必要がございます。

 御指摘のとおり、これにつきましては、顔認証機能の製造実績のある複数のベンダーにヒアリングを行ったところ、必要な機能を満たす顔認証つきカードリーダーは一台当たり約八万から二十万円台後半の価格となるとの回答を得たところでございます。それに基づきまして、厚労省といたしましては、この法案成立の場合ではでございますけれども、支払基金が一括調達する際の購入価格については、これを踏まえまして、価格の上限を税抜き九万円とする方向で検討いたしております。

 ただしでございますけれども、厚労省といたしましては、支払基金が一括調達する際の購入価格につきまして九万円とする方向で検討と申し上げましたけれども、支払基金に対しましては、実際に価格交渉をする際にはできる限り単価を抑えるように要請してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 それから三枚目。これは介護人材の伸びなんですけれども、いつもならもう出ている平成三十年度の介護労働者の人員が出ていませんでした。そして、算定方式を変えてしまって接続性がない、こういう報告を受けています。一体何人の方がどういうふうに働いて、介護需要がどうだったとか、もう一度見直す必要があって、きちっと計算をして、もう一度説明をいただきたい。

 きのう大分やって、ここでまた何人ですかとやったら結局答えられないことはわかっているので、したがって、需要と供給をしっかり計算して、もう一度説明を求めたいと思います。しっかり委員会で答弁してください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、介護サービスの施設・事業所調査につきましては、平成二十九年度調査までは全数調査でございましたけれども、平成三十年度調査からは一部サービスが標本調査に調査手法が変更されておりますので、厳密な意味での連続性はなくなるということになりますけれども、三十年度調査につきましては今後しっかり出して、示していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 最後にもう一つ。

 きのう質問してまだ結局資料が来ないんですけれども、国際厚生事業団が出しているフィリピン向けの資料、それからフィリピン海外雇用庁が出しているフィリピン向けの資料の中で、日本の国家試験に関するQアンドAはどのようになっているかという資料をくれと言ったら、いまだに来ていないんですけれども、これはいただけるんでしょうか、いただけないんでしょうか。あるんでしょうか、ないんでしょうか。(発言する者あり)

盛山委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 動かしてください。

 谷内社会・援護局長。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今いただきましたQアンドAでございますけれども、それについては存在していないということでございます。

岡本(充)委員 これは大変驚きなんですよ。結局来なかったということは、では、なかったんですね。

 資料にはあっさり、国家試験がありますとしか書いていない。つまり、国家試験がどういうもので、国家試験に通らなかった場合には、シャル・リターンと書いて、帰らなければいけないということは書いている。けれども、実際にその後どうなるのかということ、若しくは試験の内容がどういうものなのか、こういったことについては書いていないんです。それで本当にフィリピン政府は日本で働く介護労働者を募集する気があるのか。いわゆる日本語の話ばかりです。それから国際厚生事業団も、結局、今言ったシャル・リターンと書いて、落ちたら帰らなければいけない、こう書いているだけで、実際にその後どういうふうになるのかということを一切書いていない。

 この国家試験にQアンドAがないはずがないんですよ。だって、すごい関心事だもの。だから、本当にフィリピン政府は日本に向けてフィリピンの方の雇用をあっせんする気持ちがあるのかどうか、私は大変疑わしいと思っています。

 准介護福祉士の問題、まだまだ問題があると思っていますので、私は、こうした点についてもまたこれから取り上げたいと思います。

 きょうは時間になりましたので、これで終わります。

盛山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立国社の小川淳也です。

 大臣、まず法案について。例えば、包括的支援、重層的支援、それから社会福祉連携推進法人、おおむねうなずける部分もあるんです。しかし、ただいま岡本委員が指摘された介護福祉士の国家試験の免除、例外規定、これは極めて制度をいびつにし、そして有資格者の地位、ひいては処遇に重大な影響を及ぼす可能性があると思います。

 安易な延長には会派内にも相当慎重な意見、反対意見が強く、この一事をもって原案になかなか賛成しがたいという状況にあります。

 この経過措置、免除規定について、やはり問題が多いと思いますが、まずその点を大臣にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 介護福祉士の養成施設卒業者に国家試験合格を義務づけることで資質を向上させるということで、平成二十八年当時、法律が改正をされたわけでありまして、その基本的な方針というのは引き続き堅持をしているところでありますが、経過措置について、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足が深刻化している等々の状況のもと、有識者の中の議論においても相当な議論がございました。私も先日、宮本委員から御指摘をいただいて、そのやりとりも読ませていただきました。

 福祉高等々の皆さん方から、あるいはそこの高校生の皆さん方からもこうした義務づけをしっかり実施をしてほしいという意見があり、他方で、介護施設等の方々からは、そうしたことは重々わかるけれども、しかし、現実において、これを延長してもらわなければ引き続きの介護サービスの提供ということに支障が生じかねない、こういった御議論もあって、最終的に経過措置を五年に限って延長するということにしたものであって、あくまでもこれは暫定的なものでありまして、大事なことは、この間に養成施設の教育の質を上げて国家試験合格率を高めていくということ、これがまさに重要だというふうに思っております。

 したがって、一つは、養成施設ごとの国家試験合格率を公表する仕組み、これを新たに実施していくということ、また、養成施設の教育の質の向上に係るさまざまな取組、例えば留学生向けの介護福祉士試験対策教材の作成に必要な経費等を支援することによってそうしたところにおける教育の質がより向上される、それに向けての財政支援を行う、そうした施策を進めることによって、経過措置の終了に向けた、終了し得る環境をつくっていきたいというふうに思っております。

小川委員 恐らく五年前も同じようなことをおっしゃっていたんじゃないですか。国会の決議もあったはずで、これを無視された格好になっていることについては、私はちょっと当時は現場にいなかったので、十分その皮膚感覚を受けとめなきゃと思っているんですが、相当怒りが根強いです。そのことは厳粛に受けとめていただきたいと思います。

 それから、これもちょっと時間の関係で指摘にとどめたいんですが、重層的支援というのは言うはきれいなんですが、市町村の窓口は全部縦割りに分かれていますからね。高齢者の窓口、障害者の窓口、子供対策、貧困対策。これを本当に縦割りを排していくというのは、今回法律でお題目を立てた程度で何とかなる問題だとは思えません。極めて困難な、高いハードルだと思います。

 それから、社会福祉連携推進法人。もともと社会福祉サービスは、極めて地域に根差した、対人、対面の、繊細かつ直接的なサービスです。したがって、これを何だか物を売る会社のように大規模化して合理化して効率化していくというには、恐らくそもそもそぐわない面を抱えていると思います。だからこそ、さまざまな公益的な観点からの規制や、あるいは税制上の特例や、いろいろな特別措置が講じられている。

 今回の連携推進法人なんですが、事と次第によっては、大が小を食う、あるいは中が小を束ねるということになりかねない制度だというふうにも思って受けとめています。したがって、時々問題になりますが、社会福祉法人内部の余りにも厚い内部留保とか、余りにも高い役員報酬とか、こういう本来の制度の趣旨にそぐわないものについては、あわせてしっかり監視をしていくということと合わせわざである必要があると思います。

 ちょっと時間の関係もありますので、指摘にとどめたいと思います。

 私、前回の委員会で委員の内外からすごくお叱りをいただいた部分もありますので、当時、真意を十分に、自分自身の言葉選びやあるいは論理展開で真意を伝え切れなかった部分があります、ちょっとおわびしたいと思うんですが。

 この間、福祉法もそうです、この前の年金法もそう、やはりほとんどの質疑はコロナ対策に集中しています。したがって、重要な課題なんですが、必ずしも今国会でというもの以外についてはぜひ先送りをしていただいて、大臣にはコロナ対策に集中していただきたかったという思いはきょう現在も変わりません。

 それから、法案の扱いは国会でお決めになることだとお決まりの紋切りのことをおっしゃいますが、今回の検察庁法を見てください。官邸の鶴の一声ですから。この国会の都合というのは、全て、大臣が都合のいいときにお使いになる方便ですから、私は、自民党国対また後藤先生が言い出せないのであれば、大臣が、しばらくコロナ対策に集中したい、一旦法案を取り下げたいぐらいの英断があってもよかった、この思いも今もってなお変わりません。

 それから、もう随分世の中的には落ちついてきた面もありますが、とにかく、この厚生労働委員会の内部がクラスターになる、集団感染が起きるということだけは是が非でも避けなければならないという強い決意を当時は持っていました。今ももちろん変わりません。このことに対しては随分対策も講じられてきていると思いますし、今後も気をつけていかなきゃいけないと思います。

 最後に、先月の質疑のときに、著名人の方がちょうど犠牲になられた後だったんですね。でも、私が申し上げたかったのは著名人の方に限らないんです。

 今、岡本委員の質疑で警察からの報告がありました。自宅で不審死に近い状況、そして事後的に陽性が判明する、隠れた、物言わぬ犠牲者ですよね。これの背景には、やはり検査対象を、これからの問題にかかわりますからここはあえて議論させていただきたいんですが、どう今までの政策を評価するか、そして正しく確実に方針転換をしていくか、ここは極めて重要だと思うんですよ。その意味で、この著名人の方を一つの象徴として申し上げたわけです。

 大臣に一点だけちょっと認めていただきたいことがあるんです。

 旧基準、三十七・五度、四日間、大臣はこれは誤解だという発言を繰り返されています。そして、後に批判を受けると、言葉の選び方がまずかったという言いわけに終始されている。

 私は一点認めていただきたいんですよ。この旧基準、三十七・五度、四日間が実態として受診抑制につながった面がある、本来検査を必要とする方を検査までたどり着かせなかった、あるいは随分悪化してからたどり着いた、これによって犠牲がふえた可能性は十分にある。この旧基準が事実上の受診抑制機能として働いた懸念、事実はあるという反省の上に立って今後の政策を展開していただきたいので、まずその点をお認めいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、誤解と言ったのは一回だけでありまして、それについてはいろいろ御指摘をいただいたので、そこは真摯に受けとめるということを申し上げたところであります。

 また、旧基準について、旧基準というか目安でありますけれども、目安の趣旨については、従前から申し上げているように、新たな感染症という、そうした症状の中でどういった場合には受診を考えていただくのがいいのかということで、専門家の御意見も含めてお決めをさせていただいたということで、これを一つの判断にされて、それぞれの皆さんが受診されたり相談された、これをそういうためにつくったということは事実であります。

 したがって、結果として例えば三十七度五分、四日以上ということが中心になってしまって、残念ながらそれ以外の場合等々と書いた趣旨等が十分に伝わっていなかった、そうした御指摘もいただいているわけでありますから、そこは真摯に反省をしなければならないというふうに思っております。

 そうした観点からも、今回、目安を見直させていただいて、これまでの周知等々が足りなかったということも含めて、書き方についても専門家の御意見をいただきながらいろいろ工夫させて出させていただいたということでありますので、これまでのいわば反省も踏まえて今回の新たな目安を出させていただいた、こういうことであります。

小川委員 やや率直な答弁として受けとめたいと思うんですが、これは三月十六日の大臣の答弁なんですが、これは一つの受診の目安だ、相談の目安だ、したがって、少なくともそうなったら必ず診ていただきたいと。これは参議院の予算委員会です。それにあわせて、それから、外来等に一定以上集まることによって医療崩壊が起きないということの担保ということも含めて通知していますと。これは合わせわざでおっしゃっているんですよ。

 私、これをどう総括するかは今後に向けて極めて重要だと思うのであえて申し上げるんですが、つまり、この間、大臣がやられようとしたことは、平時に整えた平時の医療体制に混乱を招かないという政策目標が一つあったんです。全部とは言いません。しかし、結果として、平時の体制をもって有事に立ち向かうという愚を犯してしまったわけです。速やかに有事の体制をとらなければならなかった。具体的に言えば、検査体制の速やかな拡大であり、そして感染者の速やかな大量隔離という手段をとるべきだった。これが私は二月、三月の最大の反省だと思うんです。

 その前提に立って、ちょっとこれはわかりませんが、これから梅雨どき、温度が上がり、湿度が上がり、紫外線が強くなる。わかりませんが、もしかしたら天然の恩恵によってこの北半球で感染が一定抑止される可能性もあると議論されています。万一そういう恩恵を自然からこの夏の数カ月にいただけるのであれば、今度、万一、秋冬にもしかしたら訪れる第二波、第三波に、この平時にいかに有事に備える体制をとるか、これが極めて重要だと私は思うんです。

 そこで、専門家の文献で、極めて私が関心を持っている文献から得た議論を少し紹介させていただきたいんですが、こういうことなんですよ。

 今までは、経済か感染抑止かと、どちらかというと二律背反に捉えて、一方を極端に強調せざるを得なかった。しかし、経済政策は経済政策でかなりのストレス、抑圧、被害をもたらしています。したがって、秋以降は経済も感染抑止も両立でいくべきだという論文です。私もそのとおりだと思いました。

 では、具体的にどうするのか。

 もはや、感染率だとか陽性率だとか、今回の宣言解除も率に注目しているようですが、余り率を議論しても意味がないとその専門家は言うんです。何を問題にすべきかと言うと、検査を広範に行う体制を圧倒的に整えること、これがまず第一。そして、陽性者を幅広に発見し、早期に速やかに大規模隔離療養施設に確保すること、これが第二。したがって、指標とすべきは、大規模な検査のもとで、新規感染者数を常に療養病床数が上回る状態に置く、この不等式。不等式を常に維持することで感染抑止と経済活動の停滞を防ぐことを両立でやっていくという論文がありました。

 だから、私は、ちょっと長い話になって恐縮なんですが、ベッドやホテルの療養所、人工呼吸器、そして人工心肺、それからもっと言えば医療防具、これは、万一、秋冬に同じような第二波、第三波が来て、あるいはそれ以上の波が来て、二月、三月と同じような対応をもし政府がとったら政権は耐えられないと思いますよ。逆を言うと、余り過ぎるほど圧倒的な準備をして、幸運にもそれが不要で終わったときに批判する国民は誰もいないと思う。

 そういうことも含めて、これまでのクラスター対策とか、三十七・五度、四日間以上とか、受診抑制、事を大きくしない、平時の体制で有事を乗り切ろうとした、その十分な反省の上に立って圧倒的な有事に備える有事の体制をこの夏の期間に構築し、万一の秋冬の波の再来に備える。この基本ポリシーのもとに、無駄になってもいいんです、圧倒的な準備を行っていただきたいと思いますが、大臣の見解を聞かせてください。

加藤国務大臣 まず、三月の答弁をもう一回読まないとわからないんですが、少なくとも一連の相談支援センターから外来への流れの中で私は多分そういう説明をしたのではないかというふうに思っておりますが、それはちょっと後で確認させていただきたいというふうに思います。

 その中で、今委員がおっしゃったように、この間において検査体制をつくる、検査体制といっても、分析だけではなくて、拭いというところを含めてしっかりつくっていくということの必要性、これは私も認識をしているところであります。

 加えて、医療体制をつくっていくということ。しかも、これも、重症、中症、軽症、それぞれの状況に応じた役割分担をしてつくっていくということ。これは非常に大事だというふうに思っておりますので、これまでの地域包括交付金、さらには、今、中で議論している中においても、医療提供体制のさらなる充実のための費用として使っていただく、そうしたことも想定して、また、都道府県とともに連携してそうした整備をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。

 それから、今、平時、有事というお話もありました。今、ぐっと減ってきておりますから、こうした中で、この間、新型コロナ感染症の方に相当に人的資源を回して、要するに、それ以外の疾病に対する治療等がやや抑制されていたわけでありますから、それを回復していただきながら、また、ふえてきたときにどう対応していくのかということも含めて考えていかなきゃならない。ちょっと首をかしげておられますけれども。

 したがって、今、各病院で何をされようとしているかといえば、平時における、この間、手術等を遅延させた分については、今新型コロナウイルスの患者さんが減っている状況を踏まえてそうしたことをまずやっておきたい、しかし、これから拡大していくということも当然想定をする中で、逆に言えば、地域の役割分担を一層進める中で、それぞれ、新型コロナウイルス対策をするところ、それ以外の疾病に対する対応も、これをしなければ国民の命は守れないわけでありますから、そのバランスをどうとっていくかということも含めて、トータルとしての医療提供体制、これをしっかりつくっていくということが必要なんだろうというふうに思っています。

小川委員 おっしゃることは外れてはいないんでしょうが、もうちょっと気迫を持って、どう対処するかとか、地域の役割分担とか、定性的な表現に逃げずに、迫真に迫る答弁が欲しいんですよ、やはり。そこが加藤大臣のリーダーシップという意味で最大の問題の一つじゃないですか。やはり、みずからの政治責任、政治生命をかけて物すごく価値判断をして、優先順位をつけて、旗を振るんだという迫力を私は感じたい。本当にそのことを願います。

 最後に、ちょっと時節柄、マスクについて聞きます。

 四月の十七日からいわゆる配付マスクを配っているようですが、ここのところ、きのうの発表ですかね、一千四百万枚が配られた。それで、月内ですか、あと、営業日でいうと、平日でいうと五日しかありません。残り一億一千六百万枚を配り切るんですか、月内に。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 全戸向けのマスクにつきましては、これまで、感染者数を考慮して、四月十七日から、今委員から御指摘をいただきましたけれども、東京都への配付を開始して、五月十一日の週から大阪府を始めとする十二の道府県にて順次配送を行っております。

 五月二十日までに配付した数、これは日々更新してございますけれども、約千七百八十五万枚でございまして、さらに、配送の流れとして、順次三千二百万枚を、累計でございますが、超えるマスクを郵便局まで納入しているという状況にございます。また、あした、二十三日からは残る全ての県への配付を開始する予定でございます。

 今後につきましては、この間、検品等を充実させたことによりまして、当初の予定より、私どもが想定したより若干おくれがあるのも事実でございますけれども、国による検品をしっかり行った上で、品質を確保して、お届けしたマスクに安心をいただきながら、可能な限り五月末を目途に国民の皆様のお手元に届けるよう、迅速に鋭意作業を行っているところでございます。

小川委員 これはとても現実味がないと思いますね。一カ月以上かけて一千四百万枚、あと五日で一億一千六百万枚を配るなんというのは全く現実味がない。

 それで、大臣、配ってくれという声、一人も届いていないでしょう、大臣に。今からでもやめてくれないか、そんな金があればほかに使ってくれないかという声がほとんどですよ、私のところに届くのは。また、五月中旬に調達されたのも同じ会社で、しかも調達額は明らかにしないと報道でも拝見しました。

 ちょっと細かいことを聞きたいところなんですが、もう時間がないので、大臣と橋本副大臣に二点だけ、素朴なお尋ねです、聞かせてください。

 これだけ国民の疑問や反発が強い中で、あえて配り終えようとしておられる。菅官房長官に至っては、そのおかげでマスクの値段が下がっているんだなんということまでおっしゃっている。私は本当に首をかしげていますが。配付の責任者として、厚生労働大臣として、厚生労働副大臣として、それだけ配っているマスクをなぜ御自身は使わないのか。それだけを答弁いただいて、質問を終えたいと思います。

加藤国務大臣 私の周辺の方は、やっとマスクが届きました、使いますという声も私のところにはいただいている、これは事実であります。

 その上で、なぜ使わないのかということでありますが、これは私どもが進めておりますハッシュタグつなぐマスクということで、福祉施設でつくっていただいているマスクをここでPRさせていただいております。まさにそれがこれだということで、前回からもやらせていただいているということで、そうした流れを応援するために、私は福祉作業所等がつくっているマスクをずっと使わせていただいているということであります。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 宿舎の方にもマスクが届きまして、子供たちが使っております。

 私の方でございますが、これも、総社市という私の生まれ育った町の福祉事業所がデニムのマスクをつくったということでいただいたものですから、それを、二枚あるので、交代交代で洗って使っております。

小川委員 きれいな御答弁でしたが、それは福祉施設も大事でしょう、地元の産品も大事でしょう。しかし、これだけいろいろ疑問があることに旗を振っているわけですから、広告塔たるお二人にはぜひおつけいただきたい。

 そのことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、前回事実確認をお願いした問題を伺いたいと思います。

 全国福祉高等学校長会の方が三月に署名を渡したい、会いたいというお話があった件について、確認していただけたでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 一昨日の委員会におきまして、委員から、全国福祉高等学校長会が介護福祉士の経過措置の延長反対署名を提出するため、厚生労働省に面会申込みの連絡をしたが返事がなかったということで、事実関係について御質問いただいた際に、私からは、担当室も含めて話を聞いていないと一昨日は答弁いたしました。

 早速、一昨日のこの委員会の終了後、その午後に、担当室におきまして直ちに全国福祉高等学校長会と連絡をとりました。その結果、確認できたことは、ことしの三月十九日に全国福祉高等学校長会から当方の担当室長宛てに署名を提出するための日程調整のメールを送ったということでありましたので、改めて室長が確認しましたところ、確かにメールをいただいていたということが確認されたところでございます。

 ただし、担当室長の事情を申し上げますと、当時、三月の一月間なんですけれども、担当室長は新型コロナウイルス感染症対策のために厚生労働省のマスク等の物資対策班の業務を臨時に担当しておりまして、まず本務を離れていたということがございます。

 また、当然、本務のメールチェックは行っておりましたけれども、その業務の関係で毎日数百通のメールが届いておりまして、また、たまたまそのメールが届いた十九日は体調不良で休んでいたという中で、当該メールを見落としてしまったということでございました。

 ただし、失念していたということは事実でございますので、早速、一昨日に、全国福祉高等学校長会に対し、担当室長から電話で、失念によりメールへの返信が行われていなかったことを深くおわびさせていただきました。

 また、昨日の午後でございますけれども、私が校長会の来訪を受けまして、四千七百名分ございましたけれども、署名と陳情書を受け取りますとともに、その場で担当室長とともに謝罪をしたところでございます。

 事実関係は以上でございます。

 一昨日の委員会の場におきまして、私から、話を聞いていないと御答弁申し上げたことにつきましては、訂正させていただきたいというふうに思います。

宮本委員 コロナの対応だという話ですけれども、メールを複数でチェックするだとか、日常業務も並行してやっているわけですから、やはりそういう体制は最低とるべきであったということを申し上げておきたいと思います。

 私も、きのう、厚労省に行った後、先生方からお話を改めて伺いましたけれども、伺ったら、福祉系高校で学んだ後に介護福祉士の資格を取っても、介護職につくんじゃなくて、その後、別の道を選ぶ人もいるという話なんですよね。看護師を目指す人も少なくないと言っていました。なぜかというと、やはり看護師の方が資格としてはっきりしている、しっかりしている。介護福祉士は、資格として、自分たちは国家試験に受からなきゃなれないけれども、受からなくてもなれる人たちがいるので曖昧だということで、そういう選択をされる人もいるんだというお話を伺いました。

 先生方は、子供たちに対して、いや、これは経過措置で、これからは一本化されるから、ちゃんとした資格になって専門職として認められるんだよという話をしてきたというんですよ。だから、先生たちからすれば、子供たちにうそを言ってしまったということにも今度の経過措置の延長というのはなってしまうんですよね。だから、四千七百筆の署名も集まったんだというふうに思います。

 私は、この間、福祉系高校OBの若い方々のお話も伺いましたけれども、日本の介護現場では高卒は資格を取っても高卒扱いだ、介護福祉士の資格がプロであるあかし、プロとしてのブランドになってほしい、一本化してほしいんだ、こうおっしゃっておりましたので、しっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。

 それから、この間、介護福祉士の養成施設協会の理事の方にもお話を伺いました。介養協からは昨年十二月に経過措置の延長を求める要望書というのが大臣宛てに出されておりますが、その経過の話を聞いたら、実は、この要望書というのは理事会で多数決で決めたという話だったんですね。内訳は三対五だったと。一人ひっくり返ったらこの要望書も出なかったというような話で、経過措置を延長してくれと言った介養協の中でも、延長すべきじゃないという意見もかなり強いんだということも、皆さん、ぜひ認識を持っていていただきたいと思います。

 もう一問お伺いします。

 養成施設に二〇一七年度に入学した方は五百九十一人、そして、二〇一八年度に国家試験を受験した方は三百九十四人。受験者の方が二百人少ないんですね。二〇一八年度に入学した留学生の方は一千百四十二人、二〇一九年度に国家試験を受験した留学生の方は八百六十五人ということで、受験者数が三百人少ないわけです。

 養成施設への留学生の入学者数と国家試験を受ける人数に大きな差があるわけですけれども、この差が起きている原因は何なのか、そしてまた、養成施設の留学生の合格率が低い原因がどこにあると考えているのか、これらの原因に対する対策をどう考えているのかをお伺いしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目の御質問でございますけれども、入学者数と国家試験受験者数との差分でございますけれども、一般論として申し上げますと、入学後に中途退学したり留年したりする方がいることや、養成課程を終える際に国家試験を受験せずに卒業する方がいるということが考えられます。国家試験を受験しない方々にはさまざまな事情があると考えられますけれども、介護福祉士の資質と社会的評価を高めるという国家試験義務化の趣旨からすれば、可能な限り受験いただくことが望ましいというふうに考えております。

 また、試験の合格率の多寡でございますけれども、試験の合格につきましては、受験された方々御本人の努力、さらには介護福祉士養成施設の教育のたまものでございまして、合格率の高低は一概に論じられるものではございませんけれども、例えば、EPAの介護福祉士の候補者、特にベトナムの方と比較いたしますと、日本語習得に係る要件が異なっていることから、日本語能力が国家試験の学習に影響を与えて合格率が低くなっている可能性があるということは考えられます。

 こうした状況を踏まえまして、養成施設の教育の質の向上に係る取組支援といたしまして、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、留学生向けの介護福祉士の試験対策教材の作成等の経費等々以外の、例えば教育の手引の作成に必要な経費、さらには教員が異文化理解の教育研修を受講するために必要な経費等の財政支援を行うことによりまして、各養成施設における取組を強化していきたいと考えております。

 また、一昨日の委員会でも申し上げましたけれども、国家試験合格率を高めていきますために、養成施設ごとの国家試験合格率を公表するスキームを新たに来年度から設けたいというふうに考えております。

宮本委員 私もいろいろ関係者にお話を伺うと、やはり、日本に来て学ぶために、留学生の皆さんは、EPAと違いますから、たくさんの借金をして来るわけですよ。ブローカーにもお金を支払う。現地での教育、そして日本での授業料というのもあるわけですよね。どうしてもアルバイト優先になっちゃう、借金も返さなきゃいけない、生活費も授業料もいろいろなものも稼がなきゃいけない、そして学業との両立が難しいんだ、授業料も払えない、生活が立ち行かなくなって中途退学しなきゃいけない、お金が全くない、大変だという相談を受けるという話も関係者の方からも伺いました。

 やはり、今の制度設計そのものに大変問題があるというか、無理がある面があると思うんですよね。こんなにたくさん借金をして日本語学校で学んで、介護の養成施設で学んで、生活費をどうするのか。ですから、本当に外国の方々に日本の介護福祉士の資格を取ってもらいたい、日本の介護でも力を発揮していただきたいというのだったら、やはりそういう仕組み自体にメスを入れていかなきゃいけないと思いますし、しっかり経済的な面でも支援をしていかなきゃいけない。そうしないと、今言ったようなお話では、合格率を高めるといっても限度がある話だと私は思いますよ。

 そういうところにしっかりメスを入れていく必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、まさに、国家資格試験を皆さんが受けて合格し、そして介護福祉士の資格を持って活躍していただく、これが本来の姿であることは従前から申し上げているとおりであります。

 ただ、先ほど来から申し上げておりますように、今の介護現場の状況等々を踏まえて今回は更に五年間暫定的に延長するということを法案の中に盛り込ませていただきましたが、この間において、そうした養成校における教育の質の向上、あるいは、今、多くの海外の方がそこで学ばれているわけでありますから、そうした皆さんがしっかり教育を受けて、そして試験の合格を目指して努力していただける環境をつくっていく、このことは大事だというふうに考えております。

 引き続きそういったことも含めて対応していきたいというふうに思います。

宮本委員 私が今お話ししたのは、経済的な面も含めて、やはり更に突っ込んで考えないとまずいのではないかという問題提起をさせていただいているんですよね、経済的な支援も含めて。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 外国人の留学生の経済的な面でございますけれども、これにつきましては介護福祉士修学資金というのがございまして、まさに養成施設で勉強されている方にきちんとした貸付けを行っているものでございまして、例えば入学準備金で二十万円等々のメニューがございますけれども、そういった資金も用意されているといったような状況でございます。

宮本委員 ですから、今の枠組みでは、先ほど言ったように、中途で退学する人もたくさんいる、勉強よりもアルバイトを優先せざるを得ない、たくさん借金をして来る、ここにもメスを入れなきゃいけないですし、そういうところをぜひしっかり考えていただきたいということを申し上げております。

谷内政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げました介護福祉士修学資金でございますけれども、当然、貸付けではございますけれども、五年間介護の仕事に継続して従事された場合には全額免除ということになっておりますので、借りた上で勉強していただいた上で日本で働いていただければ全額免除ということになっておりますので、そういった形でこの資金も活用いただければというふうに思っております。

宮本委員 それだと足りなくて中途退学がいっぱい出ているんじゃないですか、アルバイト優先になっているんじゃないですか、そこをどうするんですか。全然回答はないですけれども、ぜひそこは考えていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、研究者の方がおっしゃっていたんですけれども、外国人頼みの介護というのは諸外国でもうまくいっていない、やはり日本人の介護の担い手をつくらないと介護が崩れていくということをおっしゃっておられました。

 介護福祉士を目指す日本人をふやしていく、潜在介護福祉士の職場復帰を図っていかなきゃいけないと思います。その上でも処遇改善というのは非常に大事なんですけれども、きょうは配付資料をお配りしております。

 この間、特定処遇改善加算が設けられました。上が介護職員、下が障害者福祉の処遇改善であります。昨年始まったわけですけれども、この取得状況を見ますと、介護職員の方が五割台ということになっております。その前の処遇改善加算は一、二、三を合わせて九割とっていましたから、この特定処遇改善加算の取得率は低いわけですよね。さらに、障害者福祉の方で見ますと、十月から一月までずっと、特定処遇改善加算をとった事業所は三割台、三分の一強というのが現状であります。

 この取得状況について大臣はどう評価されているのか、そして、取得が進んでいない原因についてどう把握しているのか。制度設計に問題があったんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これは、消費税の税収を財源として介護職員や障害福祉人材の処遇の改善を図るということで、昨年十月からスタートしたところであります。これを通じて、経験、技能のある職員に重点化してさらなる改善を、そうした皆さんが継続して働いていただける環境をつくろうということであります。

 報酬への加算という形で導入をしておりまして、取得率については委員お示しのとおりでありますけれども、これは介護の場合ですけれども、今後取得を検討していると回答している法人は約二割あるということでありますので、さらなる取得が進むように我々も努力をしていきたいと思っております。

 障害福祉については、今、三分の一、取得率は徐々にではありますけれども上がっているということでありますので、更に取得率の向上を図っていかなきゃならない、そういった観点から、加算の算定要件である経験や資格に応じて昇給する仕組みの整備、あるいは職務内容に応じた賃金体系の整備、研修の機会の確保などを満たせるように、介護事業所に対して社会保険労務士なども派遣して加算取得の支援を行っていきたいというふうに思っております。

 同時に、事務負担の議論もございます。今年度からは届出書類の簡素化も行ったところであります。

 引き続きそうした対策を講じることによって多くの事業所においてこの加算の取得を図っていただき、ひいては介護職また障害福祉の人材の方々の処遇改善につなげていただきたいというふうに思っています。

宮本委員 実態はなかなか取得が進んでいないわけですね。とりわけ障害者福祉の方は、本当にこんなことでいいのかというぐらいな状況なわけであります。介護の側もこれからとりたいところが二割あるということですけれども、なかなか進んでいないというのは、やはり事務が煩雑過ぎるという問題もあるわけですよね。

 それだけじゃなくて、障害者福祉のところも、私は昨年もこの問題を大臣に申し上げたと思うんですけれども、特定の技能がある人に対して処遇改善を二倍にしなきゃいけないということになっているわけですよね。ところが、小さい事業所は本当に十人前後で職員がチームワークを持ってやっているのに、一部の人だけぐっと処遇を改善する、賃金を上げるというのは、チームワークで仕事をしているところも崩れちゃう、壊れちゃう、こういう話も伺うわけですよね。

 ですから、もっと実態に見合って、頑張っている方々がしっかりと処遇が改善されて、今の人手不足が解消されるような方法を、ぜひ、数字だけを見るんじゃなくて、どういう形でだったら賃金アップをみんなで図りたいのかという生の声をたくさん聞いていただきたいと思うんですよ。

 私は、この問題を去年の秋に大臣に問題提起をしたときに、実態調査をするという話を大臣からたしか答弁いただいたんですけれども、まだ実態調査もこれぐらいしかいただいていなくて、今年度、これから調べますという話なんですよね。ですから、具体的な生の声をつかんで対応していただきたいというふうに思います。

 それと、もう一点、やはり、私たち野党は法案を出していますけれども、保険料、利用料にはね返らない形で全額国費で一律に給与を引き上げていく、これは事務手続も煩雑じゃないですし、どの事業所もあまねく賃金アップを図れるわけですから、こうしたことこそ考えるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、前回通告しておいてたどり着かなかった障害者福祉の問題についてお伺いします。

 相談支援事業、配付資料の裏面を見ていただきたいと思います。前回の報酬改定で経営状況がどうなったのかというのが出ています。増減がそれぞれ出ていますが、減の大きなものの一つが計画相談支援です。マイナス三・一ということになっております。

 相談支援事業の経営が大変厳しくなっているという話を伺います。私が伺ったある事業所は、三百五十万円の赤字だと言っておりました。百八十一人がこの相談支援に登録していて、常勤二人と、あと法人内の別の施設長が兼務の三人で相談支援に当たっている。この通所施設の事務所の一角で賃料も水光熱費も実際は通所施設持ちでやっている、兼務の方の給与も通所施設持ちでやっていると。ですから、実際は二人の人件費と電話代と交通費だけでも三百五十万円の赤字だ、これを法人内の別の事業の報酬で穴埋めしているという話でございました。

 国の基本的な報酬は、計画を立てるときと、あとは三カ月ないし六カ月のモニタリングのときにだけ出るという形になっているわけですが、実際には、急に親御さんが倒れてショートステイやグループホームが必要になると連日のように打合せをしなきゃいけない、あちらこちらに連絡をしてあいている施設を探す、そして、その施設が利用者の状況に合うところかどうか、まず職員がその施設を訪問して相談する、それが確認されれば、利用者や家族に同行して職員の方がその施設にお伺いする。計画を立てるときと三カ月ないし六カ月のモニタリングのときにしか報酬は出ない仕組みになっているんですけれども、そういうものと大変に違う実態があるわけですよね。

 また、別の事業所にもお話を伺いましたけれども、障害者の方の状況に応じて毎月訪問して相談しているケースもあれば、もっと頻繁なケースもある、障害者の方の状況に応じて必要な相談支援を行おうとすればするほどマンパワーが必要だ、法人の他の部門からの持ち出しで支えているのが実態だ、しかし、そんなにたくさん持ち出せないから、少ない人数で多くの利用者の相談支援を担わざるを得ない、訪問した方がいいケースでも電話で済まさなければいけないということでありました。

 障害者の相談支援事業の今の実態と事業所の採算について厚労省としてどう把握して、どうこれを改善していこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 障害者のサービス等利用計画の作成などを行います計画相談支援でございますけれども、これは、障害者の希望に応じた生活を支援するという観点から大変重要なサービスだと私どもも考えております。

 平成三十年度の障害福祉サービス等報酬改定の中におきましては、質の高い支援ですとか、あるいは相談支援専門員の手厚い配置などを評価する、そういう観点からの報酬の見直しを行いました。

 御指摘の採算性という面でございますけれども、先ほど資料で配っていただきました令和元年度の経営概況調査におきまして、計画相談支援の収支差率は、平成三十年度決算で見て、二・〇%のマイナスということになってございます。

 前回の報酬改定の効果や影響等については引き続き把握や分析を行っていく必要があると考えておりまして、今年度に経営実態調査を行いますので、この調査によりまして直近の状況をしっかりと把握した上で、令和三年四月の報酬改定に向けて丁寧に議論させていただきたいと考えております。

宮本委員 前回の報酬改定のときの通知を見たら、改定の趣旨ということで、計画相談支援については、適切な支援の実施や体制の整備を図っている事業所において独立採算が可能となり、新規事業所の増加や既存事業所における相談支援専門員の増員が促進される、こういう内容で報酬改定をしたと言っているんですけれども、全く逆になっているわけですよ、全く逆。

 やはり、本当にしっかり実情をつかんでやっていただきたいと思います。相談支援はとりわけ経験が求められます。そして、ネットワークが生かされる専門職なわけですよね。しっかりと対応をお願いしたいというふうに思います。

 次に、生活介護についてもお伺いします。

 前回の報酬改定では、就労移行支援や就労継続での成果主義が導入され、そうした事業所に大変大きな影響を及ぼしました。次は生活介護が標的にされるんじゃないかという懸念の声も伺っておりますが、一方で、生活介護については利用者から改善を求める声もあります。ASDの人の中には平日、休日にかかわらず同じペースで一日ずつ過ごすことで安定を得られるタイプの人もいる、そういう人に対して日中活動が毎日利用できる選択肢をという声であります。具体的には、土日の入浴ができないというような声が上がっております。

 障害者の特性に合わせて日中活動が毎日利用できるような報酬改定をやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

橋本政府参考人 生活介護でございますが、これは、入浴や排せつあるいは食事の介護の提供など、重度の障害を抱える方が安心して地域生活を送るために必要不可欠なサービスでございます。

 生活介護事業所の営業日でございますけれども、各事業所において利用者数の見込みですとかあるいは職員体制を考慮しながら事業の継続性を検討して運営規程で定めるというものでございまして、全ての日にわたって開所するということも可能ではございます。

 ただ、毎日利用を希望される方もいる一方で、事業所の側から見ましたときに、毎日開所することを前提に多くの職員を確保するというのもなかなか難しい面もございますので、そのバランスの中で、実態として土日を休業日として設定している場合が多いというふうに考えられます。

 令和元年度の調査で調べてみますと、生活介護については、土曜日の営業ということであいておるところが四七・九%、それから、日曜、祝日については二〇・三%というのが実態でございました。

 土日も含めて入浴などを使いたいというふうなニーズがあるというふうなお話でございました。生活介護とあわせて、例えば、地域生活支援事業における訪問入浴ですとかあるいは日中一時支援などを土曜日や日曜日に利用するというふうなことも地域によっては考えられますので、一人一人の障害者のニーズに合わせて多様なサービスと組み合わせて利用するということも一つの方法ではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、生活介護の事業所が地域ニーズを踏まえたサービスを提供していくことができるようにしなければなりませんので、令和三年四月の報酬改定に向けまして、障害者のニーズや事業者の実態などをしっかりと把握した上で丁寧に議論させていただきたいと考えております。

宮本委員 今、生活介護は、一月マイナス何日というところまでしか報酬が出ない仕組みになっているわけですよね。ですから、その報酬体系では休日まで職員はとても配置できないという実態があるわけですね。ほかのサービスが地域によっては使えるという話ですけれども、地域によってはほかのサービスがないところもいっぱいあるわけです。しかも、障害者によっては、その特性によっては、その場所で、同じ人たちの人間関係の中でルーチンで定期的にやることが求められているという面もあるわけですから、一人一人に応じた対応ができるような報酬改定をしっかり検討をお願いしたいというふうに思います。

 法案についてお伺いしたいと思います。

 今回、重層的相談支援、伴走型支援、あるいはアウトリーチというお話もございます。

 引きこもり支援に取り組んでいる皆さんはこう言っているわけですよね。なぜ市町村が厚労省のデザインどおりに動かないのか、マンパワーと財源がないからだ、自治体はお金がない、専門性を発揮するような体制がない、福祉人材が活躍できるだけの財源を国で確保しないと安心して働けないんだ、当事者の中では生活保護費を削って会場を確保している方々までいるというような話もありました。

 私は、こういうことを法律でつくる以上は、自治体格差が生じないように全額国費でしっかり手当てを、財源を確保してやる、そういった必須事業にすべきだというふうに考えますが、その点はいかがお考えでしょうか。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におけます新たな事業でございますけれども、四分野の既存事業を一体的に実施することに加えまして、参加支援とかアウトリーチ支援、多機関協働といった、既存の事業を支えまして体制構築の強化に資する新たな機能を追加することを通じまして、包括的な支援体制の整備を行うことを目的としたものでございます。

 この新たな事業の実施に当たりましては、市町村によって、高齢化の状況等、直面している課題等が多様であること、また、地域の関係者間での十分な事前の議論によりまして事業実施の考え方などの共有を図るプロセスが重要でありますことから、必須事業とはせず、準備の整った市町村から取り組むこととして、市町村の手挙げに基づく任意事業としております。

 また、その財政措置でございますけれども、先ほど申し上げました四分野の各法の実施義務に基づきまして、人員配置基準、配置人員の資格要件等を維持いただきながら必要な支援を提供するとともに、その実施に係る国、都道府県、市町村の費用負担は各法に規定する負担割合と同様として必要な予算を確保する、加えまして、新たな機能につきましても必要な予算を令和三年度に向けて要求していくということとしております。

 したがいまして、具体的な財源規模につきましては予算編成過程におきまして今後調整していきますけれども、制度導入後におきましても引き続き市町村における事業実施に必要な財源確保に努めていきたいと考えております。

宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、しっかり財源を確保して、自治体格差が出ないような形でやらないと絵に描いた餅になってしまうということを指摘しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 きょうは時間が物すごく短いので、端的に行かせていただきます。

 まず、雇用調整助成金について。

 雇用調整助成金は、私も何度も取り上げさせていただいて、もう一歩のところまで来ていると認識しているわけです。この雇用調整助成金でいろいろ特例措置や要件の拡大等がなされているわけですけれども、これは緊急対応期間として六月の末が一区切りになっています。これはもちろん延長すべきだというふうに考えるわけでありますが、政府の見解をいただけますか。

加藤国務大臣 今、雇用調整助成金の特例措置については総理の発言も踏まえて検討させていただいておりますが、今御指摘の緊急対応期間、これは六月末ということでありますが、これを延長する必要があるということを前提に全体の制度設計を含めて議論をさせていただいているところであります。

藤田委員 ありがとうございます。

 続いて、この上限の引上げは私も何度も訴えさせていただいて、与党も一万五千円ということも提言されていますし、それから、遡及適用されるのかどうかというのも現場では非常に重要なことだと思います。それから、大企業も含めて対象範囲の拡大等。

 この雇用調整助成金は二次補正にかかわってくると思うのですが、今回、いろいろまだまだ言いたいことはありますけれども、これをやれば、とりあえずは、まずは雇用調整助成金が雇用維持の政策の柱として私はある程度ワークするところまでくるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、一言で言うと、やはり早く指針を出していただきたいというのがあります。

 というのも、今、西村大臣も雇用調整助成金のことに触れられましたし、総理も触れられましたし、加藤大臣も前向きな発言をされたわけですけれども、実際に最終どうなるかというのは、まだ問い合わせても答えられないわけです。

 ということは、今上がるんじゃないかとかと言っている中で、今申請されている方も、実際に決定したら、また違う解釈で、もう一度申請をし直さないといけないとか、こういう力学が働いていて、今やっていいんだろうか、こういう二の足を踏んでいる事業者さんは非常に多いんですね。

 ということは、事業者は一日一日資金繰りが悪化していっているわけですから、早くお届けするという観点からいうと、もちろんこれは予算がかかわってくることなのでわかるんですが、やはり、方針をいち早く、一日でも早く出すというのが事業者を守るためのコストがかからない一番の方向性だと私は思うんです。

 実際には、今言われているような要件拡大等、特例措置の拡大等はいつ発表される予定なのか、お聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 今回の措置は、いわゆる雇用保険特会の中で全部やれるわけではなくて、一般会計からの繰入れ等々によって設計せざるを得ないということでありますので、そこを今、二次補正予算に向けて鋭意交渉している、折衝しているところでありますから、そこが固まりませんと、ここまでこうなりますということは言えない事情は御理解いただけていると思います。

 ただ、委員御指摘のように、刻々とこうした需要が高まってくるわけでありますから、我々もできるだけ早く中身について確定をし、そしてそれを皆さんに周知をさせていただきたいと思います。

 遡及適用のお話もありました。これはぜひしてほしいという強い要望をいただいている。その辺も含めて我々として対処していかなきゃならないというふうに考えております。

藤田委員 雇用調整助成金については加藤大臣はすごく慎重な御答弁をずっとされてこられましたが、きょうはすごく前向きな御発言をいただきましたので、ぜひともこれを雇用維持の柱に、しかも、これから雇用がますます悪化するという懸念を何とか救っていかなければいけない、そのためにぜひともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、同じく特例措置で、放課後等デイサービス。

 私、実は、先週文科の方に出張しまして質疑をやったんですが、特別支援学校も休校要請を一律にされているんですが、私はこれは休校要請から外すべきじゃないかなというふうに思っているんです。なぜかというと、休校要請で、特別支援学校の子たちは、親御さんが働いておられる場合、一人で家にいるのが非常に難しいということで、結局は放課後デイサービスが受皿になって、ここにかなりの負担がここ数カ月かかっているというのが実態であります。

 その中で、定員が超過すること、それから人員の配置基準をある程度大目に見るということや、又は、電話、オンラインなどの遠隔サービスといったものが特例措置として認められていて、いわゆるかなり柔軟な運用ができることになっています。

 緊急事態宣言が大幅にきのう解除されまして、これからは、緊急事態宣言は解除されたけれども学校の自粛はまだ続いていたり、また、もしかすると緊急事態宣言をもう一回、私の地元の大阪なんかでも入る可能性もゼロとは言えない、そういった中で、学校の運営というのが非常に不安定な中で、特例措置もやはり早目にどこまでの期間まで延ばすかということを言ってあげないと、運営上かなりきつい。

 雇用調整助成金もこういうデイサービス等も一緒なんですけれども、人の動きというのは、労働集約型の御商売やビジネスをされている方でいうとシフトというのがあって、シフトは、今はもう五月末ですから、六月のシフトが全部決まっています。例えば、七月のシフトは六月の中旬、早ければ上旬ぐらいに決まるわけです。ということは、それが決まった後に方針を変えられたとしたら、現場からすると物すごく大変な負担を強いられることになるわけです。

 ですから、話は戻りまして、放課後等デイサービスの特例措置を認める期間、これについて御見解をいただけたらと思います。

橋本政府参考人 今般の厳しい状況の中、学校の休校などのそういった状況を見まして、放課後等デイサービス事業につきましては委員御指摘のような大変柔軟な取扱いをしているわけでございます。

 それで、今、学校の再開という動きになってきているわけでございますけれども、ただ、学校の再開の状況というのは地域によって異なりますし、また、再開した地域でも分散登校が行われるなど、通常とは異なる状況でもございます。そういったことで、緊急事態宣言が解除された後でも柔軟な取扱いを引き続き認めるということを五月十五日に事務連絡を出して周知をさせていただいているところでございます。

 現時点でこれらの取扱いの期限というものは定めてございませんが、今後、学校が通常の状態に戻ってこれらの取扱いを終了すべきというふうに判断される場合が、いずれそのタイミングが来るというふうに思いますが、その場合におきましても、一定程度の時間的な余裕を持ってあらかじめその方針を各自治体にお示しし、現場が混乱しないような対応をさせていただきたいと考えております。

藤田委員 今の御答弁で少し安心しました。

 やはり、少し時間的余裕を。人を受け入れる、利用者さんを受け入れるというのは、予定して次の月、次の月の計画を組むものですから、ぜひともそういう発想で、最後の終了のところ、それから、また再開したり取りやめたりということは早目に、そして余裕を持ってやっていただけたらと思います。

 最後に一問、障害者雇用についてお聞きしたいと思います。

 これも実は文科でもやったんですけれども、新卒の例えば発達障害をお持ちのお子さんとかのキャリア支援とか就職支援というのが、今登校できない中で非常に問題になりつつあるということがあります。

 そもそも、雇用悪化が障害者以外の健常者も含めてかなり進んでいる現状において、障害者雇用は雇用率というのを軸に政策が設計されてきたわけです。雇用率というのは全体の労働者におけるパーセンテージですから、全体が失業がふえてシュリンクすれば、もちろんそこのパーセンテージが変わらなければ実数が減っていくわけです。そういうことで、障害者雇用への悪影響等も懸念される。

 これは、いろいろ事前にもディスカッションしていただいたんですが、何か問題が起こって、例えば大量解雇が起こった、そういうことがセンセーショナルにニュースに流れれば何か対応しないといけないなというのは行政側の対応としてはあると思うんですけれども、私は、予想されるのであれば、先手先手でやはり対応策を考えていかなければならないと。私は障害者分野には結構思い入れがあるものですから、そういう社会的弱者がこういう社会の動乱の中で割を食ったりきつい目に遭わされるというのは、できるだけやはり守ってあげたいというふうに考えるわけでございます。

 文科の方に行ったときには、具体的な対応策はほとんどないというような答弁でした。厚労省と、厚労分野としっかりと連携していくという答弁をいただきましたので、厚労省として障害者雇用への影響についてどうお考えなのか、お聞かせいただけたらと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症による障害者雇用への影響についてでございますが、本年の二月から三月までの障害者解雇数が計五百九人でございます。前年同期の五百三十人と比べて大きな変化は現時点では見受けられないところでございます。

 その上で、障害者の雇用の維持についてでございますが、厳しい状況の中にあっても事業主の皆様に雇用を維持していただけるよう、雇用調整助成金の拡充や支給の簡素化、迅速化等を実施しているところでございまして、企業において障害者を含む雇用の維持が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 また、新卒の障害者を含む障害者全般につきましては、ハローワークにおける関係機関と連携した就職実現に向けたチーム支援や、障害者就業・生活支援センターにおける障害者の職場定着の支援等を通じまして、雇用の維持や就職の支援に努めているところでございます。

 引き続き、障害者雇用への影響に関する実態把握に努めるとともに、障害者の雇用の安定に向け、必要な支援を積極的に実施してまいりたいと考えてございます。

藤田委員 時間なので終わりますが、ちょっと事前にもディスカッションさせていただいたんですが、今おっしゃっていただいたのは、既存のセーフティーネットの中で守っていくと。プッシュ型だったりインセンティブ型というのもやはり今後は検討すべきじゃないかなというところで、選択肢として中でもんでいただけたらと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 終わります。

盛山委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

盛山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。国光あやの君。

国光委員 ありがとうございます。国光あやのでございます。

 御質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まずもって、きょうは安倍晋三総理大臣にお越しをいただいております。本当に、連日のコロナウイルス対策の対応、心から感謝と敬意を申させていただきたいと思います。

 私も、きょうは地元茨城の思いを背負って心から質問をさせていただきたいと思います。

 この社会福祉法等の一部を改正する法案は非常に重要な法案であると私も感じております。私自身も、医療や介護、福祉の現場でずっと仕事を重ねてきた人間でございます。そして、特に介護や福祉の分野は、例えば具体的に言いますと高齢者や障害者、保育の現場でございます、ふだんから縦割り行政の弊害の指摘をよく受けるところであります。これを、一つ、包括的にワンストップで、あるいは横断的に支援をしていく、そういう法案でございます。

 さらに、私が意義深いと思っておりますのは、やはり新型コロナウイルスの対応の中での役割であります。

 皆様の地元でもそうかもしれませんが、メディアでも医療崩壊ということはよく言われます。私自身も今でも現役で医師をしております医療者でありますけれども、医療だけではなくて、例えば介護や保育や障害の分野でも、利用者の皆様、例えば虚弱な高齢者の方、そして子育てに接する保育の現場の方、そのフロントラインでしっかり活動いただいているのが、新型コロナウイルス対策の中でも、この社会福祉、障害者福祉、保育の現場であろうかと思います。

 ただ、この現場は今非常に大きなストレスを抱えております。それは、メディアでもありますけれども、例えば風評被害や過度なバッシングを非常に受けています。それによって離職もやはり非常に続いている。

 そして、何より、今から緊急事態宣言が解除されて、保育の現場に利用者の方が戻ってくる、そしてまた介護や障害者の現場に利用者の方が戻っていらっしゃるときに、例えば防護具がない、マスクやアルコール消毒がない。

 そして、経営です。この日本で経営に影響を受けていない事業者は恐らくほぼないかと思いますが、介護や障害者、そして保育の現場も同じくでございます。具体的には、団体が調べた数字を拝見いたしますと、入所施設は全国平均で大体一〇%から二〇%の減収になっていて、そして、特にひどいのが通所でございます。通所ですと大体五〇%、多いところですと六〇%の減収があるという状況になります。非常に悲鳴が私の地元茨城からも、そして全国からも聞かれております。

 安倍総理、今ちょうど二次補正の議論もなされているところかと思います、ぜひ総理のリーダーシップで、フロントラインで頑張っていらっしゃる医療のみならず介護や障害者や保育の現場の皆様に、エールとともに意気込みをお伺いできればと思います。

安倍内閣総理大臣 現在のこの厳しい状況の中にあって、まさに医療現場においては医療従事者の皆様に大変な御尽力をいただいておりますが、今、国光委員が御指摘をされたように、医療従事者の皆さんのみならず、介護やあるいは障害者福祉、また保育等の現場で、そうした皆さんに対して、必要なサービスを必要とされる方々にお届けするために業務を継続していただいておりまして、国としてもしっかりと必要な支援を行っていく考えであります。

 先般の緊急経済対策などにより、マスク等の物資の支援や職員確保に必要な費用の助成等を実施しております。こうした対策に加えまして、第二次補正予算の編成に向けまして、自民党から、介護等の事業者に対する経営支援や、福祉現場で働く人材への支援等について御提言をいただいております。

 政府としては、新型コロナ対策のために大変厳しい状況にある介護現場の実情もよく踏まえながら、いただいた御提言について早急に具体化をしていく考えでありまして、しっかりと現場で頑張っている皆さんを支えていきたい、このように思っています。

国光委員 安倍総理、力強いお言葉を本当にありがとうございます。多くの現場の関係者にとって本当に温かい励みとなったかと思います。心から御礼を申し上げます。

 続きまして、特に介護や福祉、障害者の現場に非常に困難を生んでいる原因というのが、恐らく、多くの事業者さんが小規模であることだと思います。社会福祉法人の中の九割の事業者がいわゆる中小規模の法人であられます。

 その中で、本法案の一つの柱が、社会福祉連携推進法人制度、つまり、さまざまな社会福祉法人や法人以外の主体も一つの包括的なネットワークでより円滑に例えば人材不足やそれぞれの取組を進めていくということがありますけれども、ぜひそのあたりを、済みません、質問時間が終了いたしましたのでお願いだけにさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ、この法人がより包括的に現場を支えていけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 以上です。

盛山委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、第二次補正予算が間近なことから、新型コロナウイルス感染症対策について三点確認をさせていただきます。

 まず一つは、休業する妊婦のための助成制度について、総理にお伺いいたします。

 総理は、子供を安心して産み育てられる社会構築を目指してお取組を進めてくださっております。そこで、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置により休業が必要な働く全ての妊婦の方が安心して休むことができるよう、新たな仕組みを創設すべきと考えておりますが、御見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 新型コロナウイルス感染症の流行は、結婚、妊娠、出産、そして子育ての当事者にも多大な影響を与えておりまして、安心して子供を産み育てられる環境を整備することの重要性が改めて認識をされたところであります。

 こうした中、働く妊婦の方々に安心して出産を迎えていただけるよう、五月七日から、医師等の指導を受けた妊婦に対し休業等の必要な措置を講ずることを事業主に義務づけをしたところであります。この措置による休業中の賃金については、雇用調整助成金や特別休暇を整備した中小事業主に対する助成金等の活用により働く妊婦の方々が休みやすい環境を整えていただけるよう、経済団体等への働きかけを行ってきたところであります。

 こうした取組に加えて、二次補正予算の編成に向けて、御党から、働く全ての妊婦の方々が安心して休むことができる仕組みについて御要望をいただいていると承知をしております。

 政府として、御要望をしっかりと受けとめまして、早急に具体化してまいります。

高木(美)委員 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。ぜひとも、実現に向けまして、休業する妊婦のための助成制度の創設を心よりお願いを申し上げます。

 次に、妊婦等のPCR検査支援策について、加藤大臣に伺います。

 こうした新型コロナウイルス感染症への対応のために里帰り出産がしづらくなり、立会い分娩、面会も禁止される場合があるなど、妊産婦に多くのストレスが生じております。

 こうした状況を踏まえ、私も、これまで委員会で二度にわたり、PCR検査の実施など、対応策を要請してまいりました。第二次補正予算も見据えて、その後の検討状況を含め、産前産後を含めた妊産婦の方々への支援について、加藤大臣の御決意を伺います。

加藤国務大臣 妊産婦の方々は、新型コロナウイルス感染症のもとにおいていろいろな意味で不安を抱えておられるわけでありまして、安心してお産をし、また産前産後を過ごしていただけるよう、妊産婦の方々の不安を解消し、そして安心感を持っていただく、そうしたことが重要だと考えております。

 このため、不安を抱える妊産婦の方々を総合的に支援していくという意味においては、新型コロナウイルスに感染した場合の妊産婦に対して退院後に助産婦、保健師等による電話や訪問などの寄り添った支援が必要であること、そうした支援の一環として、御本人が希望される場合には分娩前のPCR検査の受検実施、また、オンラインによる保健指導等の実施や、里帰り出産が困難な妊産婦に対する育児等支援のサービス提供など、総合的に支援をしていく必要があると考えております。

 令和二年度補正予算においては、そうした考え方のもとにおいて、しっかりした予算を獲得すべく、更に努力をしていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 さまざまな御検討を重ねていただき、大臣には心より感謝申し上げます。しっかりとお取組を結果としてしていただきますように、重ねてお願いを申し上げます。

 そして、もう一つ、抗原抗体検査について、お手元の資料をごらんいただきたいと思います。これは、AMED研究班が日本赤十字社の協力を得て実施した抗体検査キットの性能評価です。

 下の二〇一九年一月から三月のデータは、陽性率がC社、E社ともに〇・二から〇・四%、これは、これぐらいノイズ、非特異的反応が出る検査ということだと思います。ところが、上段の二〇二〇年四月のデータでも同様の結果となっております。これでは、東京も東北六県も感染者がほとんどいなかったという結論になってしまいます。また、ノイズを拾っただけの検査というなら、これらの検査キットは使えないという結論になります。

 既に自治体などが抗体検査を始めている状況ですので、企業名を公表して情報提供をすべきではないでしょうか。企業名を公表しないということは論文にしないということであり、研究に値しません。研究目的である性能評価を国民と共有しないならば責任の放棄であり、AMEDの採択に疑問を持たざるを得ません。

 公明党は、三月より、厚労省及びAMEDに対して、抗体検査のあり方は、プラスかマイナスかで結果をあらわす定性検査ではなく、数字で結果をあらわす定量検査であるELISA法を用いるよう求めてきました。特に、四月十日には国産のELISA検査キットも上市されており、五月一日の我が党申入れにおきましてもELISA法による検査の性能評価を行うよう求めてまいりました。しかし、いまだに反映されておりません。大変残念に思っております。

 治療法についても、ネルフィナビル、カモスタット、血液浄化療法について、適応外薬として研究するよう求めてきましたが、いまだ対応されておりません。いずれも国産の検査及び治療法でありまして、大切にすべきと考えます。

 いま一度治療法も検査法も幅広く研究を行うことを求めたいと思いますが、総理の見解を簡潔に求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国民の皆様の不安を一日も早く解消し、そして安心して暮らせる環境を整えていくために、幅広く検査法や治療法の研究開発を進めていくことは重要であると認識をしております。可能な限り速やかに実用化に至るよう、さまざまな支援を行ってまいりたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございました。終わります。

盛山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立国社の小川淳也です。

 総理、委員会への御出席、ありがとうございます。

 本来ですと全世代型社会保障改革についてお聞きするつもりでしたが、状況が変わりました。

 まず、黒川検事長の辞職を承認した理由についてお伺いします。

安倍内閣総理大臣 昨日、森法務大臣より、黒川当時の検事長から事実確認を行った結果、厳正に処分するということを決定した、その上で黒川当時の検事長から辞表が提出され、それを処理した旨の報告があったわけでございまして、この処分についても報告があったところでございますが、それを私は総理大臣として認めたということでございます。

小川委員 厳正な処分かどうかは後で議論しますが、総理は内閣の責任者として、黒川さんに関しては、重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するため、黒川氏の豊富な経験、知識に基づく指揮監督が不可欠だ、業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるという理屈立てまでして、違法、違憲の疑いのある閣議決定まで強行して、あえて勤務延長した方なんです。その方が、今、総理が直接はお述べになりませんでしたが、賭博行為、そして接待疑惑、さらには、あれだけ国民が苦しい思いをしているときに自粛要請を無視して、外出して密室にこもってかけごとをするという、ちょっと信じられない不祥事で検察最高幹部が辞任するなんというのは前代未聞です。

 総理、この異様な、異例の任命過程を経て、今回のてんまつに至った、その任命責任をどうおとりになるつもりか、それをお聞きします。

安倍内閣総理大臣 まず、処分に当たっては、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して適切に、適正に処分を行ったものと承知をしておりまして、それを受けて、昨日、私が了承したということでございます。

 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経て引き続き勤務させることとしたものであり、この勤務延長自体に問題はなかったものと考えております。

 黒川氏については、法務省において、先ほど答弁をさせていただいたように、確認した事実に基づき昨日必要な処分を行うとともに、本日、辞職を承認する閣議決定を行ったところであります。法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあるわけでございまして、御批判は真摯に受けとめたいと考えております。

小川委員 よく総理は任命責任はみずからにあるということはおっしゃるんですが、口ではおっしゃるんですが、もうそろそろ、とらなければいけない局面に入ってきていると多くの人は思っていると思います。

 午前中の法務委員会で、森法務大臣が、辞意を表明し慰留されたという答弁をみずからなさっています。それが事実かどうか、なぜ慰留されたのか、お聞きします。

安倍内閣総理大臣 森法務大臣から今御紹介をいただいた旨の答弁があったと承知をしておりますが、森法務大臣にあっては、法務省、検察庁において国民の信頼回復に向け全力で務めていただきたいと考えておりまして、その旨、本人にも伝えたところでございます。

小川委員 理由をお述べいただかなければいけないんですね。

 森法務大臣は、一連の経過において、混乱した答弁、国会の内外の混乱を招いた張本人ですから、この際、辞意を示されたのなら、潔く受理された方が適切だったと思いますよ。

 関連してもう一つお聞きしたいんですが、きのう、折しも二府一県に対する緊急事態宣言が解除された日でありました。総理は、これまで七回にわたって、インフル特措法の改正時、緊急事態宣言発令時、全国に一斉拡大時、一部解除時、延長時、全てみずから会見に立たれています。なぜきのうは会見に立たれなかったんですか。

安倍内閣総理大臣 会見等については既に、恐らく黒川さんの事案と絡めて質問されているんだろうと思いますが、その随分前から、昨日のものについては、関西だけの二府一県に限られていることもあり、ぶら下がりの会見を行うという方針を既に決めているところでございます。

 さらに、二十五日に改めて専門家の皆様に御評価をいただき、今の傾向が続いているようであれば解除も可能である旨、あわせて、昨日はそうお答えをさせていただいているところでございます。

 そういう観点から昨日ぶら下がりの会見を行ったところでございますが、しかし、その際も、そこで出された質問には全て、黒川さんの件についても質問が出されたわけでございますが、全ての御質問にお答えをさせていただいているところでございます。

小川委員 ぶら下がりは七分間とお聞きしています。これまで総理は一時間、時間をとって丁寧に説明をされてきた。一般の受けとめとしては、この不都合な問題について聞かれることから逃げたという受けとめですよ。

 それから、二府一県とおっしゃいますが、ここには一千七百万人がいらっしゃいますからね。大変苦しい自粛生活に耐えてきた、そして、政府の対応の遅さに先行して、大阪を中心に、先行的な取組に苦労してきた府民、県民の皆様もいらっしゃる。一言、それは正式な会見の場であってしかるべきだったのではないかと思います。

 黒川さんの処分についてお聞きします。

 総理は厳正な処分だと先ほどからおっしゃっていますが、訓告処分とは、国家公務員法上の懲戒処分ですらありません。退職金も六千万とも七千万とも言われますが、これは事実上の行政上の注意、教えたというにすぎないんですね、この訓告というのは。これが今の国民感情に照らして適切だとはとても思えません。撤回して、重い処分を求めます。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただきましたが、まず、記者会見との関係において言えば、大阪府そして京都府、兵庫県の解除、これも極めて重い決定ではございますが、その上において、この後、二十五日にももう一度評価をさせていただき決定をするわけでございまして、その際には記者会見を予定しているところでございまして、これは別に記者会見をやるかやらないかということでもちろん軽重を決めているわけではございませんが、それもあり、そういう日程にさせていただいているところでございまして、おおむね、その前の段階においては、この事案の前には大体そういう方向で決めていたところでございますが、大体、多くの方々は、この方針でいこうということで了解をいただいているもの、こう思います。

 と同時に、七分とおっしゃいましたが、私はずっと、出た質問には全てお答えをさせていただいているということでございまして、あらかじめ時間を切っていたわけでは全くないわけでございます。

 そして今、今回は社会福祉法案の質疑であろう、重要広範の質疑であろう、こう思っているところでございますが、ただいまの御質問については法務委員会において法務省に質問をしていただければ、こう思うところでございますが、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮し処分を行ったものである、このように承知をしているところでございます。

小川委員 では、内閣の総責任者として、総理の感想を聞かせてください。

 国家公務員の懲戒規定にはこうあります。賭博をした職員は減給又は戒告。そして、常習として賭博をした職員、報道によれば、あるいは検察内部の捜査も調査も終わっているんでしょうが、いろいろな証言を組み合わせると、月に二、三回、数年単位で行っていた、これはもう賭博の常習だと思いますが、停職です、人事院のルールによれば。

 それから、再三申し上げますが、六千万から七千万と言われる退職金を、こんな不祥事で、こういう形で辞任した検察官にも支給するのか。国民感情に照らして、総理、政府の最高責任者としての所感をお述べいただけませんか。

安倍内閣総理大臣 ただいま小川委員は事案の中身の詳細について御質問をいただいているところでございますが、今回は重要広範議案である社会福祉法案の質疑について出席をさせていただき、その答弁も用意させていただいているところでございますが、いわば法務省あるいは検察庁における処分に当たっての調査等についてはどういう内容であったかということについては、そこで調査に当たった方々から聴取をしていただく方がいいのではないか、こう思うわけでございまして、その中において、処分に当たっては、法務省そして検察庁において黒川氏の人事上の処分を決するに当たり必要な調査を行った、こういうように私は報告を受けて、承知をしているところでございます。

小川委員 法律の専門家ではなく、やはり政府の最高責任者として、国民感情に照らして答弁する責任があると思いますよ。そこからも回避されたと受けとめました。

 質疑内容の変更については私の責めです。私の責任においてこれは行わせていただいております。

 もう一点お聞きしておきます。

 昨日、折しもです、これも折しも、総理は官邸のお庭番と言われた、政権の守護神と言われた検察の最高幹部を失いました。そして、折しもその日に、元最高裁判所判事や法律の専門家六百名余りから、桜の問題をめぐる公職選挙法違反の疑い、政治資金規正法違反の疑いで告発を受けています。この点についても、極めて公の責任の重い立場にある人間として、一言、受けとめをお聞きしておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、前半の黒川氏に対する評価については、それはまさに委員が臆測で物を言われているんだろうと思いますので、それを前提にお答えをすることは、事実として、前提にお答えすることはできないということはまず申し上げておきたいと思います。

小川委員 刑事告発についての総理自身の受けとめもお聞きしています。

安倍内閣総理大臣 御指摘の告発状の中身について私は承知をしておりませんので、具体的なコメントは差し控えたい、このように思います。

小川委員 残念です。これも国民感情に照らして、もう少し真摯な御答弁を期待しておりました。

 今後についてお聞きします。

 検察庁法については、野党はこぞって反対しています。なぜか。三権分立の原則を根底から覆す可能性を秘めているからであります。一方、国家公務員一般職の定年延長については、さほど与野党間に大きな議論の隔たりはありません。それもこれも、もろとも廃案にされるおつもりなのか。あるいは、継続して審議を行われるおつもりなのか。総理の現時点での御意向をお聞きしておきます。

安倍内閣総理大臣 今、三権分立というお話をされたわけでございますが、検察官も公務員であるということは、これはもう既に政府として何回もお答えをさせていただいているところでございまして、その上でお答えをさせていただきますと、この法案についてさまざまな御意見がなされ、我々もさまざまな御批判について真摯に受けとめているところでございます。

 検察庁法の改正についても厳しい御批判をいただいている、これも受けとめているのでございますが、同時に、現在、大変、コロナウイルスの感染症の拡大によって社会状況が厳しい状況になっている中において公務員のいわば定年延長について議論を進めていることについての御批判もあるという御指摘もございました。そうしたことも含めて検討をする必要があるのではないかというふうに考えております。

小川委員 そういう御指摘は世耕さんだけじゃないですか。

 まさにこの厚生労働委員会で、この春ですよ、総理の、内閣の意向を受けて、雇用保険法、高齢者雇用安定法を審議したんですよね、加藤大臣。民間の定年は七十歳まで延長するように努力をし、就業機会を確保するように努力をし、総理が掲げてきたんじゃないですか、生涯現役社会、全世代型社会保障改革。

 それとの筋でいえば、私たちが要求しているのは、行政機関でありつつ司法職でもある準司法官と、みずからの部下たる一般職は切り分けて議論すべきだということを主張しているんです。検察関連法案と、一般職の定年、福利厚生法案は明確に切り分けることを要求します。総理、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、検察官も公務員であることから、いわば公務員法全体の定年延長の改正案についてまとめているということではないか、こう思う次第でございます。

 と同時に、国家公務員の定年を原則六十歳から六十五歳に引き上げる法案が国会に提出をされた中において、確かに今、我々も、人生百年時代を迎える中で元気なベテランに活躍の場を与えることが大事だ、こう思っているのでございますが、その際はまた、現在、官が先走り過ぎてはいないのかという批判はあるわけでございますし、また、民間に先駆けて一律に六十五歳に延ばすのも早急ではないのかという批判も今あるのも事実でございます。そういう中において、まさに今、コロナショックの中で、民間の給与水準の先行きが心配される中において役所先行の定年延長が理解を得ることができるかどうかという議論もあるのも事実でございまして、そういう声に耳を傾けるべきであるという意見が与党の中でも、自民党の中でも強く出ているのは事実でございまして、そういう中において、もう一度ここで検討すべきではないか、こういうことでございます。

小川委員 意趣返しと受けとめる向きもありますよ。動機が不純なんじゃないですか。だから政策に一貫性がないんじゃないですか。お門違いも甚だしい。きちんと筋道の通った政策を論議してください。

 最後に、私もちょっとこれは心を鬼にしてお尋ねします。

 いろいろなおりがたまってきて、いろいろな矛盾が噴出してきて、政権の中にもさまざまな確執や対立が外に見えるようになって、総理御自身がそろそろ進退、総理御自身が引き際を考えられるときを迎えているのではありませんか。それを最後の質問にしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今まさに、我々は、コロナウイルス感染症の拡大を防止し、国民の健康と命、そして何よりも雇用と事業の継続、そして暮らしを守り抜いていく大きな責任があるわけであります。この責任を果たしていく、これが私に課せられた使命である、こう考えております。

小川委員 終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 西村です。

 私も、今回の地域共生社会に関する社会福祉法、それから今回の新型コロナウイルスに関するPCR検査等について質問を用意し、通告もいたしておりました。しかし、昨日から急遽情勢が変わりましたので、私も小川委員の後を引き継いで、今回の検察庁改正法案について質問をさせていただきます。

 先ほど総理は、今回の法案を廃案にするという可能性も排除しないような答弁をされながら、官が走り過ぎるのではないかという懸念がある、そういう声があるという御指摘をされました。しかし、本当にそうでしょうか。

 実は、定年の延長については、もう既に国民年金法の一部を改正する法律案が成立をしておりまして、令和七年度にかけて、六十歳から六十五歳に段階的に公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられるということになっております。また、平成十六年には、定年を六十五歳未満としている民間企業において、平成十八年四月一日から定年の引上げ、継続雇用制度の導入、又は定年の廃止のいずれかの措置を講じなければいけないということになっております。

 こういう背景から、平成二十年に国家公務員制度改革基本法が成立いたしまして、ここで国家公務員の定年を段階的に六十五歳まで引き上げることについて政府で検討するということになっているわけでありまして、官が先走っているわけではないんですよ。逆に、今回の法律案が、仮にこの国家公務員法の改正案がこの国会で成立いたしたとしても、六十五歳への定年の引上げは令和の十二年度に完成することになっております。

 ところが、民間労働法制では、厚労大臣、御存じですよね、既に七十歳までの就業機会の確保に向けて動き出しておりますので、この法律による定年引上げの完成までの期間中に民間との格差が広がっているという可能性が実はあるわけなんです。ですから、私は、この国家公務員法の一部を改正する法律案から検察庁法案を引き離して、削除して、そして改めて議論すべきだというふうに思います。

 ところが、この間の総理の御発言等を聞いていますと、例えば、検察庁法改正案に実は批判が集まっているのに、国家公務員法改正案に国民の批判が集まっている、そういうふうにすりかえをしているわけです。どうしてそういう理解になっているんでしょうか。教えてください。

安倍内閣総理大臣 既に先ほども答弁をさせていただきましたが、民間においては、公務員と違いまして、選択的に定年の延長をということも書かれているわけでございまして、これは全て定年延長ということではないということは申し上げておかなければならない。一方、公務員の場合は全て定年延長になっていくということで、ここは違うんだということは御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。

 また、先ほども答弁をさせていただきましたが、検察庁法の中において、この改正案に対する批判については、私もそれは受けとめなければいけないということは先ほども答弁をさせていただきました。定年の特例延長のところについての御批判というものもあるということは受けとめなければいけないということも申し上げているわけであります。

 その上において、今、我々も、人生百年時代において、こうした形で能力、経験がある方がそういうものを生かしながら働き続けることができる社会をつくっていかなければならないという中において、年金に対する考え方についても別途お示しもさせていただいているところでございますし、制度の改革も進めているわけでございますが、ただ、同時に、この議論を行っていたときと、それは、非常に労働市場もタイトであった状況の中と、今、このコロナウイルスが拡大している中において、大変民間の方々も苦しんでいる中においてこのまま議論を進めるべきかどうかという御指摘があるのは事実でありますから、そこで基本的によく考えてみる必要があるということを申し上げているわけでございます。

西村(智)委員 それはやはり議論のすりかえであるというふうに私は思うんですね。

 この国会できちんと提出されている法案ですし、国民が批判しているのは検察庁法改正案であるということ、これははっきりと総理から受けとめてもらわないと困ります。そこは改めて申し上げたい。

 それから、先ほど小川委員との質疑の中でいろいろ出てきたんですけれども、これまでも、私はいろいろ内閣委員会ですとか法務委員会ですとかの議論を聞いていて、あるいは総理の答弁を聞いていて、なぜ黒川さんを定年延長をするのかということの理由として、余人をもってかえがたいんだ、この人でなければ捜査に重大な支障が生じるんだというふうにずっと言われてきたんです。それは、例のゴーンさんの事件について、それを継続してやるためにということが巷間言われていたわけですけれども、しかし、このゴーンさんの事件、後任の検事長では解決できないという特別な理由が本当にあるのかどうか。私は疑わしいというふうに思っておりますが、よくこれは引き合いに出されるわけです。

 そして、余人をもってかえがたいという、その余人が今回いなくなりました。捜査に重大な支障を来すから黒川さんの定年延長なんだと言われていたその重大な支障という事態が、今まさに、現にやってきてしまったわけであります。重大な支障を来すという状況になって、これから先、そのリスクをどうやって回避していけるのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私が今まで答弁をしていたのは一貫をしておりまして、これから答弁させていただくとおりでありますが、検察官も一般職の国家公務員であり、国家公務員法の勤務延長に関する規定が検察官に適用されるとの今回の解釈については、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしている、その上で、黒川検事長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定され、引き続き勤務させることとしたものであり、これを撤回する必要はない、こういうことでございますが、こう答えている。

 これ以外に私は答えてはいないわけでありまして、今いろいろとおっしゃったことは私の答弁ではないんだろう、こう思うところでございますが、いずれにいたしましても、今後、後任等につきましては検察庁、法務省において適切に判断をされるもの、このように考えております。

西村(智)委員 いや、答えになってはおりません。法務大臣からの請議をきちんと閣議決定されているわけであります。このリスクは一体どうやって回避されるのか。これはやはり今後も問題、疑問として残ってくるというふうに思います。

 更に具体的にお伺いしたいと思います。

 黒川さんは、昨年、東京高検の検事長に就任した際の記者会見で、検事の魂を失ったことはないというふうに述べておられました。これは本当にそうだったのか。記事によれば、あるいは記者の証言によれば、話によれば、三年ぐらい、毎月二回から三回行ってきたということであります。ところが、きょうの午前中の法務委員会でも常習性があったのかということが議論になっておりましたけれども、常習性があったかどうか、どうも調査も行われていないようです。

 依存症であったとすれば本当に大変なことだったというふうに思うし、いろいろなプログラムということも考えていかなければいけませんが、この事件、ここまで政府それから国会がもてあそばれた、翻弄されたわけでありますから、黒川さん御本人から、国会に来ていただいて、事実関係を話していただく必要があるというふうに思いますけれども、総理のお考えはいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この厚労委員会の予定の法案に対する質問を我々は六問いただいておりますので、その答弁を我々は相当時間をかけて用意させていただいているところでございますが、それに関する質問が全くないのは残念でございますが、今おっしゃっている質問については、これはそもそも国会でそれぞれお決めになるということは十分承知の上で御質問されているんだろう、こう思いますが、これはまさに国会でお決めになることでございます。

西村(智)委員 いや、総理が閣議で決め、まさに脱法的な閣議決定で黒川さんの定年延長を閣議で決め、そして、それを後づけで正当化するために今回出されている検察庁法改正案というのがあるわけですから、まさにこれは政府の責任、そのトップである総理の責任以外の何物でもない、私はそういうふうに申し上げたい。

 ですから、総理には、もちろん任命責任もありますけれども、なぜ黒川さんの定年延長を決めたのかということについてきちんと説明をする義務、責任があると思います。その点について、総理はいかがお考えですか。

安倍内閣総理大臣 まさに、私はここには行政府の長として立っておりますので、その意味ではまさに三権分立でございますが、国会の運営については国会がお決めになることだということを、先ほど申し上げさせていただいたとおりでございます。

 その上で、人事につきましては、先ほど来答弁をしているとおりでございまして、黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づいて、検察庁が、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるという適正なプロセスを経て引き続き勤務させることとしたものであり、脱法的なものではございません。検事総長にするために勤務延長させたものでももちろんないのでございますが、その上において、黒川氏については、法務省において確認した事実に基づいて昨日必要な処分を行うとともに、本日、辞職を承認する閣議決定を行ったところであります。

 また、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあるということは申し上げているとおりでございまして、御批判は真摯に受けとめたい、こう思っております。

西村(智)委員 訓告についても、先ほど小川議員もおっしゃっていましたけれども、行政処分上の注意でしかないということで、懲戒免職については退職金の全部又は一部を支給しないという規定はありますけれども、それ以外について退職金の規定はありません。ですので、この訓告という処分とあえて言いましょう、訓告をされたことによって、退職金には恐らくほとんど影響は出てこないんじゃないかというふうに思うんです。これは国民感情からしてとても受け入れがたい。

 やはり、政府としてきちんとした処分をするために、例えば官房付にして処分の沙汰を待つとか、あるいは懲戒免職にするとか、私は定年延長の閣議決定そのものが脱法だというふうに思っていますので、それをそもそも取り消すべきだというふうな立場でありますから違和感はありますけれども、しかし、やはりそういう重い処分というものが必要ではないかと思います。

 総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これも先ほど答弁をさせていただきましたが、これは検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して処分を行ったものであると承知をしております。いわば、まさに、検事総長がこの内容等、また法務省において事実確認等々を行いながら、その上で検事総長が適切に、適正に処分を行ったものと承知をしているわけでございまして、その上において、その報告が法務大臣からなされ、そして本人が辞意を表明したということでございまして、それを了としたということでございますので、私も了解をした、こういうことでございます。

西村(智)委員 閣議で了とされた、承認をされてしまったということなんですけれども、そもそものところにさかのぼると、ことしの二月の定年延長の閣議決定、これがやはり私はそもそもの問題の発端だったというふうに思います。

 これを、総理、事態も事態ですが、取り消すお考えはありませんか。ここから全てが始まっていて、そして、この検察庁法という後づけの、まさに正当化するための法律が出てきていて、そして国民的な世論が巻き起こって、検察庁法改正案に抗議しますというあのリツイートが大変多くなされたわけであります。ここをやはり閣議決定にまでさかのぼって私はやり直すべきだ、これを撤回すべきだというふうに思います。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経て引き続き勤務させることとしたものであり、もちろんこれは脱法的なものではないし、検事総長にするために勤務延長させたものでもございません。

 黒川氏については、法務省において確認した事実に基づき昨日必要な処分を行うとともに、本日、辞職を了承する閣議決定を行ったところでございます。既に辞職を承認する閣議決定が行われた中において、勤務延長の閣議決定自体を撤回する必要はない、このように認識をしております。

西村(智)委員 よく事情がわかっていないのに、なぜ閣議で黒川さんからの辞意を了としたのか、そこも不明なんですね。調査もされていないんですよ。午前中の法務委員会でも本当にいろいろな議論がありましたけれども、全く調査されていない。

 本人からの申出があったのでそれを受け取った、そしてそれを閣議で決定したということなんですけれども、なぜ閣議で黒川さんの辞表を受理する、了とするということにしたんですか。その理由を教えてください。

安倍内閣総理大臣 これは、法務委員会で法務省側に、事実確認を行った法務省側に聞いていただかなければいけないのでございますが、まさに先ほどから答弁をさせていただいておりますように、法務省において事実の確認を行ったということでございまして、その上において、先ほど申し上げましたように、検事総長が事実、事案の内容等諸般の事情を考慮して処分を行ったわけでございまして、検事総長がこのように処分をしていくということについて、この判断をしたということについて森法務大臣もそれを了承したということについて私に報告があったわけでございまして、その判断について、これはもう既に検事総長が判断をしていることでもございますから、私も了としたということでございます。

西村(智)委員 森法務大臣の慰留の理由も明らかにされない、森法務大臣に対する新たな指示もない、そういった無責任な閣議がこれだけ積み重ねられているということに、私は心の底から恐怖を感じ、私の質問を終わります。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 検察庁法の問題、通告しておりますので、質問させていただきます。(発言する者あり)何時に通告した。昨日の午前中に通告しておりますので。

 それで、本当に耳を疑うような答弁が続いているわけですけれども、朝から私は本当に耳を疑ってばかりなんですよね。午前の法務委員会、森法務大臣は、総理に進退伺を出したら総理が強く慰留したと。そして、その理由を先ほど総理は本委員会で、法務省、検察への国民の信頼回復のために慰留したと御説明されました。

 今お話がありましたけれども、国民誰もが森法務大臣のもとで検察、法務省への信頼回復が図れるなんて思っていないですよ。信頼を損なった張本人の一人じゃないですか。総理、一体全体、なぜ検察、法務省への信頼が失われているのか、理解されていますか。

安倍内閣総理大臣 今回の案件につきましては、まさにこれは、先ほど申し上げましたように、既に検事総長のもとで処分がなされ、そして本人から辞意が表明され、本日辞職を閣議決定したところでございますが、緊急事態宣言の中においてお金をかけてマージャンを行った、つまり賭博を行ったということについて、お金をかけてマージャンを行ったということについて、当然、まさに責任ある立場として、これは重大な問題であるのは事実でございます。それについては既に森大臣からも答弁をさせていただいているわけでございます。

 そうした中において、法務省そして検察庁において事実関係の調査を行った上において処分がなされたわけでございますが、当然、国民から信頼を集めなければいけない中において、その中で強い権力の行使を行っていくわけでございますから、検察庁への信用を回復しなければならない。その中で、森大臣に、確かに、さまざまな御批判も受けとめながら、ここはしっかりと検察庁そして法務省において士気を高め、信頼を回復するために全力を尽くしてもらいたい、このように申し上げたところでございます。

宮本委員 そういう、かけマージャンをやって国民の信頼を損なうような人物を誰が定年延長をしたんですか、どうやって定年延長をしたんですか。それまでの法の解釈を一方的に変更して、違法、違憲な定年延長をやって、こういう事態を引き起こしたんじゃないですか。そのことを行った安倍政権が国民の信頼を損ねたんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 黒川氏の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経たものであります。

 他方で、黒川氏の辞職については、黒川氏が緊急事態宣言の中に金銭をかけてマージャンを行っていた事実が判明したことを契機に、本人からの辞職の申出を承認し、辞職させることとしたものであったということでございます。

 もちろん、つけ加えますと、勤務延長の判断とは直接これは関係しないということでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この問題につきましては、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して処分を行った、このように承知をしております。

宮本委員 定年延長の判断は間違いじゃなかったみたいなことを言うのは、国民は全く納得しないと思いますよ。

 黒川さんは余人にかえがたいと言って、法律の解釈まで百八十度変えて定年延長をして、このざまですよ。そのことへの責任をどう感じて、どうとられるんですか。

安倍内閣総理大臣 法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものでありまして、その責任については私にあるわけでありまして、御批判は真摯に受けとめたい、このように思うところでございます。

宮本委員 ですから、いつも総理は、責任は私にある、真摯に受けとめると言うんですけれども、行動が伴っていないじゃないですか。責任があるんだったら、責任をどうとられるんですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど来申し上げているところでございますが、このことにつきましては、まさに最終的に内閣として判断をしたわけでありますから、最終的な責任は内閣総理大臣である私にあるわけでございますが、この上はしっかりと国民の皆様の信頼を回復するために全力を尽くしていきたい、このように考えております。

宮本委員 もともと、今回の事態は、黒川氏が賭博をやった、そのことへの国民の憤りは当然ありますけれども、それと同時に、違法な閣議決定で黒川氏の定年延長を行った、そのことに対する国民の怒りもずっとあるわけですよ。だから、あの検察庁法案を撤回しろという、かつてないネット上での国民の怒りも広がったわけですよ。そこをわかっていないんじゃないですか。

 賭博のことは問題だと総理はおっしゃるけれども、総理自身が、閣議決定で、法律の解釈を百八十度変えて、それまで検察庁法のもとでは国家公務員法の定年は適用されないとされていたものを、検察にも適用してやったわけですよ。そこに対して、これは三権分立を損なうものだということで国民の怒りが沸騰しているわけじゃないですか。

 そこを正さない限り国民の信頼は回復できないんですよ。閣議決定は撤回するしかないんですよ。そこの認識を、総理、持ってください。

安倍内閣総理大臣 これは繰り返しになるわけでありますが、検察官も一般職の国家公務員であり、国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるとの今回の解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしております。

 その上で、今般の国家公務員法等の改正案の趣旨、目的は高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点にあるところでありまして、検察庁法の改正部分の趣旨、目的もこれと同じであるということでございます。

宮本委員 全く質問にお答えにならないんですけれども。

 検察庁法の問題については、元検事総長の方々も初めて連名で意見書を出されました。総理もお読みになられましたかね。本会議で総理が検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにしたと述べた、このことについて、法律改正の手続を経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ十四世の言葉として伝えられる、朕は国家であるとの中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢だと。

 絶対君主、絶対王政の時代と同じ姿勢だというふうに批判されているんですよ。こういう批判について真摯に耳を傾けるべきじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 ルイ十六世と同じとまで言われると、多くの方々がそれは違うのではないかというふうに思われるのではないかと思うわけでございます。

 私がここに立っているのも、民主的な選挙を経て選ばれた国会議員によって選出をされた、その多数によって選出をされてここに立っているわけでございますから、この根本的なところをよく見ていただかなければならないんだろう、こう思うところでございます。共産党はどのように党首を決められるのか、よく私は承知をしておりませんが、そのようになっている、総理大臣や、また我が党においても、選挙において総裁を選んでいるということでございます。

宮本委員 民主国家だからこそ、こういう声を上げて批判されているわけですよ。

 私たち一人一人は選挙で選ばれた国民の代表です。立法府は国権の最高機関なわけですよ。だからこそ、その立法府で定めた法解釈を一方的にねじ曲げるのは朕は国家なりと同じだという批判になっているわけですよ。その点を理解されない、受けとめない、大変問題だということを厳しく指摘して、質問を終わります。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 総理、きょうは、お時間をいただきましてありがとうございます。私の方は重要広範について質疑をしたいと思います。

 法律案の中で、私は、医療、介護のデータ基盤の整備と人材確保、業務効率化は、今後の介護・障害福祉の政策において、医療も含めて、その分野において非常に重要になってくるものであるというふうに思いますし、その中で、今回の法案については一歩前進することは確かに認められるだろうという意味で我々の党は賛成の立場ではありますけれども、そこから突っ込んで、もう一歩進んでいただきたいという趣旨で質疑をさせていただきたいと思います。

 介護人材の確保は非常に緊急かつ重要な課題でありますけれども、二〇二五年問題で言われるように、人材の確保というのは本当に難しい、そして労働不足の時代にもなかなか給与水準が上がっていかない、こういう状況があります。

 実は、せんだっての委員会で、処遇改善加算というのが給与水準を上げていく柱になっているわけですけれども、なかなか処遇改善加算の施策によって恒常的に給与水準が上がっていく力学が働かないというような質疑をさせていただきました。ですから、例えば通所でも訪問でも定員があるビジネスモデルですから、報酬単価が上がって、そこに対する売上げのかさが上がらないことには、やはりそこで働く人たちの給与水準は上がらない。つまり、端的に言うと、基本報酬をこの時代に一番必要とされる現場職に対して分配するために上げていかないといけないというのが本質的な問題だと私は思います。

 ですから、給与水準の向上のために基本報酬の引上げというのを、今このコロナで特に苦しんでいる労働集約型の、すごくリスクを負われて働いていらっしゃる方たちの一時的な救済というのももちろんですが、今後、長い目線で我々の日本国を支える現場職の皆さんに対して措置をするために基本報酬の引上げをぜひやっていただきたいということが一つ。

 それから、もう一つはマイナンバーについて。データ基盤の連携は一歩前進というところはいいんですけれども、やはり、厚労分野においてマイナンバーカードの徹底活用は非常に消極的で慎重であるというふうに私は受けとめています。

 今、コロナがありまして、マイナンバーの活用を自民党さんもPTをつくられて積極的にやられ、そして高市総務大臣も先日非常に前向きな御答弁があったというふうにお聞きしておりますが、口座にひもづけるということはもちろんやるべきではあると思いますが、各分野に散らばった情報を分散管理でセキュリティーを担保しつつマイナンバーにしっかりとひもづけて、ユーザーとの、利用者さんとの接点だけじゃなくて、裏側のバックデータがつながることで、しっかりとした研究、分析、そして政策設計の質を高めていくという、ITの先進諸国では当たり前に行われているような、目指すべき方向性に向かうべきだというふうに思うわけです。

 この二点、総理の見解をお聞かせいただけたらと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま、藤田委員から二点、法案について政策的な御質問をいただいたところでございますが、急速に少子高齢化が進み、人生百年時代が到来しようとする中で、介護人材の確保は大変重要な課題と認識をしています。このため、これまでの累次の処遇改善に加えて、昨年十月にも月額最大八万円のさらなる処遇改善を行ったところであり、他産業と遜色のない賃金水準に向けて取り組んでいます。

 現在の加算という仕組みは、処遇改善のために積み増した介護報酬が事業者から職員の方々に確実に届くようにするために設けられたものと承知をしております。今後も介護の現場で支えていただいている皆さんに対する対応をしっかりと考えていきたい、このように考えております。

 そして、医療、介護を始めとした社会保障分野においては、既にマイナンバーを利用し、情報連携を行っています。医療保険や介護保険の給付事務においては、課税情報を活用することによって、添付書類の省略等、手続の簡素化が可能となっています。来年三月からは、医療保険の資格情報をオンラインで確認できる仕組みを活用することで、マイナンバーカードを健康保険証として利用することが可能となります。

 今回の法案においては、この仕組みを活用して、医療・介護分野のデータの連結精度を向上させる仕組みを盛り込んでおり、ビッグデータとしての活用を進めていきます。また、健診情報についてマイナポータルを通じて活用できるよう整備を進めるなど、医療・介護分野を始め、国民の日常生活のさまざまな場面でマイナンバー制度の利活用を進めていく考えでございます。

藤田委員 時間なので終わりますが、今いただいた答弁は本会議でもいただきましたが、それが非常に消極的かつ慎重な活用の仕方だなというのが私の見解です。もっと踏み込んで、マイナンバーをあらゆるところで使っていただきたいというふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。

盛山委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。

 以上で、ただいま議題となっております各案中、内閣提出、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立国社の阿部知子です。

 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の理由は、審議の前提が整っていないことに尽きます。

 第一に、新型コロナ禍に見舞われているさなか、まして黒川検事長辞任問題で総理の任命責任が問われる中で、審議、そして採決すべきような事態ではありません。

 今回の法案は、主な法律だけを挙げても、社会福祉法、介護保険法、老人福祉法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法案、社会福祉士及び介護法と、相変わらず数多くの法律を束ねています。

 そして、審議の中で指摘されたのは、全国各所の介護施設で起きている入所者と介護者の集団感染です。報告があるだけで、四十の高齢者福祉施設で集団感染が起き、感染者は四百六十六人、死亡は三十九人にも及ぶことがわかりました。歯どめをかけるためには何がなされるべきかがまず最優先のはずです。

 また、日本が今大きく依存しようとしている外国人介護人材の実情から目を背けるべきではありません。

 EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能一号と、次々と新たな名目で外国人介護人材の受入れの仕組みをつくってきました。ところが、今、新型コロナの蔓延により技能実習を終えても日本から出られず生活に困窮する人から、介護福祉士の養成学校に入学したものの、親御さんが心配して帰国せよと言われ悩む留学生まで、人道的観点からも優先すべきは、目の前の外国人人材への支援のあり方であります。

 第二に、法案の中身です。とりわけ、束ねた法案の一つ、社会福祉士及び介護法の改正案について。

 平成十九年改正で、福祉系高校を出ても、実務経験を重ねても、養成学校を出ても、誰もが介護福祉士の国家資格に合格することが義務づけられました。しかし、平成十八年に締結したフィリピンとのEPAとの整合性の確保のため、養成施設を出て五年就労すれば介護福祉士になれるという経過措置をつけ、同時に、その経過措置が終わっても不合格となった場合の准介護福祉士資格が創設されました。

 しかし、それはあくまでフィリピンとのEPAとの整合性を確保する暫定措置でした。ところが、その後、この暫定的な経過措置が養成施設卒業者にだけ適用されたまま、もろもろの理由をつけて何回も延長されてきました。

 国会は、その解消をその都度附帯決議して行政に求めてきました。平成二十八年改正のときも、准介護福祉士の国家資格については、フィリピンとの間の経済連携協定との整合性を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、早急にフィリピン側と協議を行う等の対応を行うとともに、当該協議の状況も勘案するとしました。ところが、協議内容をただしても、その日時すら国会には明らかにされません。

 一つ一つの法案の問題点を法案の束に隠し、直面する新型コロナ感染症から介護人材を守るための処遇改善はなおざりに、外国人介護人材に関する立法事実を外交の壁の中に隠し、そんな無責任な内閣提出法案のあり方をこれ以上許容することはできません。

 国会は、まず総理の黒川検事長の任命責任を明らかにするとともに、コロナ感染症対策に全力を挙げるべきです。

 審議の前提を欠いた本日の採決にも反対し、審議の延期を求めます。

 以上、反対討論といたします。(拍手)

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 社会福祉法等改正案に反対の立場から討論いたします。

 本法案は、介護福祉士の国家試験に合格しなくとも養成施設を卒業すれば介護福祉士の資格を取れるという経過措置を更に五年延長します。これは、介護職員の社会的地位の向上のため養成施設ルートの国家試験義務づけを確実に進めるとした衆参両院の附帯決議を真っ向から踏みにじるものと言わなければなりません。

 経過措置の延長法案が出てくるプロセスも全くおかしいと言わなければなりません。

 社会保障審議会福祉部会での議論では、経過措置の延長に反対の意見が圧倒的多数を占めました。議論を踏まえ、福祉部会長は、今後関係者も国会議員の方々も本日の議事録を通じてまた更に認識を深めていただくことになると発言し、両論併記で議論の整理をまとめました。ところが、政務三役のどなたも議事録に目を通すことなく、少数意見であった経過措置延長の法案を厚労省は決定いたしました。初めから結論ありきだったのでありませんか。社会保障審議会を形骸化する姿勢は大問題であります。

 介護福祉士は、介護の現場で中核的な役割を果たす指導的専門職です。本委員会の質疑で、国家試験を課す国家資格で、不合格でも資格が得られる経過措置を繰り返しているものは介護福祉士以外はないということも明らかになりました。経過措置の延長は介護の専門職の軽視であり、国家資格の軽視です。介護福祉士の専門性と地位向上を目指した法の趣旨にも反します。介護福祉士資格を目指す人たちのモチベーションを損ない、介護を目指す人の減少に拍車をかけることにもつながります。

 介護福祉士をきちんとした国家資格として確立し、社会的評価を高めてこそ、介護の質の確保と人材の確保の両立を図る道だと強く指摘しておきたいと思います。

 また、本法案は、地域福祉の理念として地域共生社会をつけ加えますが、国、地方自治体など公の責任を後退させながら自助、互助の強化を求めることには問題があります。本法案には社会福祉連携推進法人制度の創設がありますが、公的支援を縮小して小さい社会福祉法人の経営基盤を崩す政策を続けながら、上からの大規模化を進めることには問題があります。

 以上、指摘し、反対討論といたします。(拍手)

盛山委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 この際、本案に対し、平口洋君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。藤田文武君。

藤田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 重層的支援体制整備事業が、より多くの市町村において円滑に実施されるよう、同事業を実施していない市町村に対し、計画の策定、支援会議の設置及び同事業の実施の準備について、必要な助言、研修等を通じた人材育成その他の援助を行うよう努めること。また、市町村における同事業の実施状況によっては、できる限り速やかに必要な見直しに向けた検討を開始すること。

 二 より多くの市町村において支援会議が組織されるよう、その役割や重要性について周知を図るとともに、効果的な運営方法に関するガイドラインを作成するなど必要な支援を行うこと。また、支援会議に関する守秘義務の規定については、支援会議において知り得た全ての事項が含まれるものであることの周知を徹底すること。

 三 重層的支援体制整備事業の実施に要する費用に充てるための交付金については、同事業が、既存の介護、障害、子ども、生活困窮の制度ごとに分かれている相談支援等の事業のほか、伴走支援や多機関協働といった新しい機能を持つものであることを踏まえ、必要な予算の確保に努めること。とりわけ、裁量的経費についても事業を安定的に運営することができるよう、必要な予算の確保に努めること。

 四 介護保険法第五条第一項に規定する介護サービス提供体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講ずるに当たっては、介護人材の確保及び資質の向上の重要性に十分に留意すること。

 五 介護・障害福祉に関するサービスに従事する者の賃金等の状況を把握するとともに、賃金、雇用管理及び勤務環境の改善等の介護・障害福祉に関するサービスに従事する者の確保及び資質の向上のための方策について検討し、速やかに必要な措置を講ずること。

 六 介護人材を確保しつつその資質の一層の向上を図るための方策に関し、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の終了に向けて、できる限り速やかに検討を行うこと。また、毎年、各養成施設ごとの国家試験の合格率など介護福祉士養成施設の養成実態を調査・把握の上、公表し、必要な対策を講ずること。

 七 今後、必要となる介護人材を着実に確保していくため、介護福祉士資格の取得を目指す日本人学生及び留学生に対する支援を更に充実させること。

 八 准介護福祉士の国家資格については、フィリピン共和国との間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、フィリピン共和国政府との協議を早急に進め、当該協議の状況を勘案し、准介護福祉士の在り方について、介護福祉士への統一化も含めた検討を開始すること。

 九 社会福祉連携推進法人制度について、社会福祉連携推進法人が地域の福祉サービスの維持・向上に資する存在として円滑に事業展開できるよう、社員となることのメリットを分かりやすく周知すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

盛山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

盛山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会


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