衆議院

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第7号 令和2年11月27日(金曜日)

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令和二年十一月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    神田  裕君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田畑 裕明君

      高木  啓君    百武 公親君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    阿部 知子君

      稲富 修二君    尾辻かな子君

      大島  敦君    川内 博史君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      森田 俊和君    山川百合子君

      山井 和則君    高木美智代君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      青山 雅幸君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   文部科学副大臣      田野瀬太道君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   国土交通副大臣      岩井 茂樹君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 伊原 和人君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     高木  啓君

  森田 俊和君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     神田  裕君

  山井 和則君     森田 俊和君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     国光あやの君

    ―――――――――――――

十一月二十六日

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の整備を目指すことに関する請願(大西健介君紹介)(第一九一号)

 同(稲富修二君紹介)(第二四九号)

 同(松田功君紹介)(第二五〇号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第三一七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第三一八号)

 同(山岡達丸君紹介)(第三一九号)

 コロナ禍から命と暮らしを守る年金支給に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二〇〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第二〇一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第二〇四号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二〇五号)

 同(冨樫博之君紹介)(第二〇六号)

 同(原口一博君紹介)(第二〇七号)

 同(浅野哲君紹介)(第二五一号)

 同(井野俊郎君紹介)(第二五二号)

 同(井上義久君紹介)(第二五三号)

 同(井林辰憲君紹介)(第二五四号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第二五五号)

 同(稲富修二君紹介)(第二五六号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第二五七号)

 同(江田康幸君紹介)(第二五八号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第二五九号)

 同(大串博志君紹介)(第二六〇号)

 同(大西健介君紹介)(第二六一号)

 同(太田昭宏君紹介)(第二六二号)

 同(岡本充功君紹介)(第二六三号)

 同(勝俣孝明君紹介)(第二六四号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第二六五号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第二六六号)

 同(岸本周平君紹介)(第二六七号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二六八号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二六九号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二七〇号)

 同(斉木武志君紹介)(第二七一号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二七二号)

 同(下条みつ君紹介)(第二七三号)

 同(関芳弘君紹介)(第二七四号)

 同(高木美智代君紹介)(第二七五号)

 同(武井俊輔君紹介)(第二七六号)

 同(武部新君紹介)(第二七七号)

 同(中川正春君紹介)(第二七八号)

 同(中曽根康隆君紹介)(第二七九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二八〇号)

 同(日吉雄太君紹介)(第二八一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二八二号)

 同(福山守君紹介)(第二八三号)

 同(細田健一君紹介)(第二八四号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第二八五号)

 同(前原誠司君紹介)(第二八六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二八七号)

 同(松田功君紹介)(第二八八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二八九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二〇号)

 同(小渕優子君紹介)(第三二一号)

 同(門博文君紹介)(第三二二号)

 同(金子恵美君紹介)(第三二三号)

 同(菅家一郎君紹介)(第三二四号)

 同(岸田文雄君紹介)(第三二五号)

 同(工藤彰三君紹介)(第三二六号)

 同(後藤田正純君紹介)(第三二七号)

 同(高村正大君紹介)(第三二八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第三二九号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第三三〇号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第三三一号)

 同(関健一郎君紹介)(第三三二号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第三三三号)

 同(寺田学君紹介)(第三三四号)

 同(西岡秀子君紹介)(第三三五号)

 同(根本幸典君紹介)(第三三六号)

 同(古田圭一君紹介)(第三三七号)

 同(山下貴司君紹介)(第三三八号)

 同(吉野正芳君紹介)(第三三九号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(大西健介君紹介)(第二〇八号)

 同(神谷裕君紹介)(第二〇九号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二一〇号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二一一号)

 同(篠原豪君紹介)(第二一二号)

 同(関健一郎君紹介)(第二一三号)

 同(西岡秀子君紹介)(第二一四号)

 同(前原誠司君紹介)(第二一五号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一六号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第二一七号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一八号)

 同(青山大人君紹介)(第二三九号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第二四〇号)

 同(後藤祐一君紹介)(第二四一号)

 同(下条みつ君紹介)(第二四二号)

 同(中川正春君紹介)(第二四三号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二四四号)

 同(牧義夫君紹介)(第二四五号)

 同(松田功君紹介)(第二四六号)

 同(柚木道義君紹介)(第二四七号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第三一〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第三一一号)

 同(古川元久君紹介)(第三一二号)

 同(本多平直君紹介)(第三一三号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安全・安心な保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(大西健介君紹介)(第二一九号)

 同(岡本充功君紹介)(第二二〇号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二四八号)

 同(菅直人君紹介)(第三一四号)

 同(関健一郎君紹介)(第三一五号)

 同(本多平直君紹介)(第三一六号)

同月二十七日

 奥多摩病院の存続・充実に関する請願(手塚仁雄君紹介)(第三五八号)

 同(宮本徹君紹介)(第五〇七号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三五九号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第三六〇号)

 同(櫻井周君紹介)(第三六一号)

 同(清水忠史君紹介)(第三六二号)

 同(中谷一馬君紹介)(第三六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第三六四号)

 同(田嶋要君紹介)(第四九三号)

 同(武内則男君紹介)(第五六一号)

 同(吉田統彦君紹介)(第五六二号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の整備を目指すことに関する請願(池田真紀君紹介)(第三六五号)

 同(吉川元君紹介)(第三六六号)

 同(川内博史君紹介)(第四一六号)

 同(矢上雅義君紹介)(第四一七号)

 同(柚木道義君紹介)(第四一八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第四九四号)

 同(神谷裕君紹介)(第五六七号)

 同(本多平直君紹介)(第五六八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(石破茂君紹介)(第三六七号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第三六八号)

 同(櫻井周君紹介)(第三六九号)

 同(根本匠君紹介)(第三七〇号)

 同(野田聖子君紹介)(第三七一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三七二号)

 同(船田元君紹介)(第三七三号)

 同(細田健一君紹介)(第三七四号)

 同(三原朝彦君紹介)(第三七五号)

 同(山口俊一君紹介)(第三七六号)

 同(山井和則君紹介)(第三七七号)

 同(横光克彦君紹介)(第三七八号)

 同(石崎徹君紹介)(第四一九号)

 同(川内博史君紹介)(第四二〇号)

 同(城内実君紹介)(第四二一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四二二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第四二三号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第四二四号)

 同(平口洋君紹介)(第四二五号)

 同(堀井学君紹介)(第四二六号)

 同(松本純君紹介)(第四二七号)

 同(上杉謙太郎君紹介)(第四九五号)

 同(岡田克也君紹介)(第四九六号)

 同(海江田万里君紹介)(第四九七号)

 同(木村次郎君紹介)(第四九八号)

 同(田嶋要君紹介)(第四九九号)

 同(田畑裕明君紹介)(第五〇〇号)

 同(武村展英君紹介)(第五〇一号)

 同(野田毅君紹介)(第五〇二号)

 同(橋本岳君紹介)(第五〇三号)

 同(福田達夫君紹介)(第五〇四号)

 同(牧島かれん君紹介)(第五〇五号)

 同(山田賢司君紹介)(第五〇六号)

 同(石田真敏君紹介)(第五六九号)

 同(岩田和親君紹介)(第五七〇号)

 同(小熊慎司君紹介)(第五七一号)

 同(金子恭之君紹介)(第五七二号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第五七三号)

 同(小島敏文君紹介)(第五七四号)

 同(原田義昭君紹介)(第五七五号)

 同(古屋圭司君紹介)(第五七六号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第五七七号)

 同(村井英樹君紹介)(第五七八号)

 同(山本拓君紹介)(第五七九号)

 同(吉田統彦君紹介)(第五八〇号)

 お金の心配なく、国の責任で安心して暮らせる社会とするための社会保障制度の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九五号)

 同(清水忠史君紹介)(第三九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四〇〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第四〇一号)

 同(宮本徹君紹介)(第四〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第四〇三号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇七号)

 同(清水忠史君紹介)(第四〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四一二号)

 同(藤野保史君紹介)(第四一三号)

 同(宮本徹君紹介)(第四一四号)

 同(本村伸子君紹介)(第四一五号)

 子どもの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願(宮本徹君紹介)(第四八〇号)

 八時間働けば普通に暮らせる働き方、セクハラ・パワハラ禁止の法整備を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四八一号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八四号)

 同(清水忠史君紹介)(第四八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四八九号)

 同(藤野保史君紹介)(第四九〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第四九一号)

 同(本村伸子君紹介)(第四九二号)

 全ての世代が将来にわたって信頼できる年金・医療・介護等の社会保障制度の確立等に関する請願(金子恵美君紹介)(第五六〇号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安全・安心な保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(大串博志君紹介)(第五六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第五六四号)

 同(森田俊和君紹介)(第五六五号)

 同(吉田統彦君紹介)(第五六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、成長戦略会議事務局次長松浦克巳君、内閣府大臣官房審議官難波健太君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、文化庁審議官杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局長坂口卓君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君、政策統括官伊原和人君、国立感染症研究所長脇田隆字君、観光庁観光地域振興部長村田茂樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田美樹さん。

山田(美)委員 自由民主党の山田美樹です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 コロナの感染が再び拡大しております。連日連夜対応に当たってくださっている関係者の方々に、改めて心から感謝と敬意を申し上げます。

 冒頭に、厚生労働省がけさ発表された雇用調整助成金の特例措置の延長についてお伺いいたします。

 政府は、一人一日上限一万五千円、最大十分の十助成という、これまでに前例のない特例措置を講じて、事業主の雇用維持の努力を強力に支援してきたと承知しております。この特例措置の期限が十二月末までであったところを、来年二月末まで延長する方針を公表されたことについては評価をしたいと思います。

 しかし、地域や業種によっては、来春以降も厳しい状況が続く企業も数多くあろうかと思います。来年三月以降はどのように対応していくのか、田村厚生労働大臣にお伺いいたします。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられますとおり、特例措置ということで、今までにないような対応をさせてきていただいております。

 本来は九月までという予定だったんですけれども、雇用の情勢等々を考えながら、十二月までこれを今延長しておる最中であります。

 もともとは、一月以降は、失業、休業、これが急激に悪化しない限りは段階的に本来の姿に戻していくということであったわけでありまして、足元を見ると、休業者、失業者が急増しておるというわけではないわけでありますが、しかし、新型コロナウイルス感染が今伸びてきておる、非常に感染が拡大してきておるという現状があります。そういう意味で、雇用に万全を期すために、二月までの延長を決めさせていただいたということであります。

 三月以降はどうしていくか。これは、二月までこれを延ばした上で、先ほど申し上げた、失業者、休業者が急増するというようなことが起こらない限りは、段階的に、段階的にではありますけれども、本則に戻していく。ここは我々もしっかりと配慮していかなきゃならないと思っています。そういう方向性でありますが、またそのときの足元の雇用情勢を見ることになると思います。

 あわせて、やはり、そんな中においても、非常に困っておられるような方々はそのときにもおられると思います。そういう方々にどうやって寄り添った対応があるのか、これは、我々、しっかりと今から検討していかなきゃならないと思います。

 そしてもう一つは、失業なき労働移動ということで、これは在籍出向も含めて雇調金の中でもいろいろな対応策が今もございますが、こういうものも強化をしていくという必要性もあろうと思いますので、これからも雇用をしっかり維持できるように万全の対応をしてまいりたいというふうに考えております。

山田(美)委員 明確な方針をお示しくださり、ありがとうございます。不安を払拭していただいて、雇用の維持に全力を挙げていただくよう、強くお願いいたします。

 続きまして、都心部におけるコロナ感染防止についてお伺いいたします。

 私は日ごろ、東京の千代田区、港区、新宿区で地元活動をしておりますが、都心部は第一波の当初から、全国的に見ても感染者数、割合ともに非常に高く、第二波では、都心の繁華街における感染者の増加がメディアでも大きく取り上げられました。忍耐強く繁華街のクラスター対策に当たってくださった地元の事業者、行政、医療従事者を始めとする関係者の方々の御尽力に、この場をおかりして心から感謝を申し上げます。

 新宿区や港区を始めとする都心の保健所においては、土日も平日並みの体制、ほかの部署からの、又は外からの応援で人員を拡大してもなお、感染の確認がふえて業務が追いつかない、慢性的に極めて忙しい状態がもう既に何カ月も続いており、これから冬場に向けて更に感染が拡大することに不安と危機感が広がっております。

 特に、感染者が確認された際に濃厚接触者や感染経路を調べる積極的疫学調査は、保健所にとって非常に大きな負担ですが、感染の拡大に調査が追いつかず、最近では、大変な労力をかけて調査を行っても感染経路がわからないケースが七割、八割近くに及ぶと聞いております。

 先般、厚生労働省のコロナ対策本部から、積極的疫学調査について、重症化リスクを踏まえて優先順位づけを行うとの方針が示されたと伺っておりますが、都市部において具体的にどのように進めていくべきとお考えか、田村厚労大臣にお伺いいたします。

田村国務大臣 保健所の皆様方、本当に、新型コロナウイルス感染拡大時より、大変な本当に御尽力をいただいているわけでありまして、もともとこういう全国的に広がるパンデミックの感染症に対応するようなそういう体制でない中で、本当に無理に無理をしていただきながら日々御努力をいただいておること、心から改めて感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、いろいろな、今まで積極的疫学調査等々にも御尽力をいただいてきたわけでありますけれども、やはり効率的にこれを進めていかなきゃならないということがございまして、これは、今月の二十日に、アドバイザリーボードで御議論をいただいた上で、一応事務連絡という形で発出をさせていただきました。

 内容的には、行動履歴の調査に関しましては、基本的には、一つは、重症化リスクの高い方々、重症化リスクの高い、そういうような方々が多数いる、そういう状況でありますとか、また、感染拡大がしやすい、感染が生じやすいと考えられるそういう状況、こういうところを優先的に調査をいただくというようなこと。優先順位をしっかりつけさせていただくということ。

 それから、今まで、十四日間、見つかった方々、感染された方々の、十四日間、過去にさかのぼっていろいろな行動履歴、調査をしてきたわけでありますけれども、こういう推定のための調査、感染源の、これに関して、七日間というような形で期限を短縮させていただいて、より効果的に対応をいただけるというようなことを今回発出をさせていただいたということであります。

 いずれにいたしましても、これからも保健所の皆様方には大変なお力添えをいただかなきゃならぬわけでございまして、どうかこれからも頑張っていただきますように、心からお願いを申し上げる次第であります。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 こうした具体的な優先順位づけというものが全国の保健所の皆様にしっかりと伝わるように、行政の方からも、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 続いてなんですけれども、コロナの感染拡大は地域医療にも深刻な影響を及ぼしております。

 都心部では、高額な家賃が払えずに閉院する診療所やクリニックがふえております。一般患者さんの受診抑制も深刻でございまして、特に御高齢の患者さんは、バスや電車などの公共交通機関を避けてマイカーでの通院を希望する方がふえておられ、駐車場の不足が問題になっていると伺っています。

 健診の受診率も例年に比べて非常に低く、糖尿病などの生活習慣病やがんの進行が心配されています。定期健診を受けられる期間を延長できないかですとか、GoToトラベルをやるならGoTo健診キャンペーンもやってくれないかなどの御意見も伺っております。

 質問ではありませんので御答弁は結構ですが、地域の声として、国や自治体でぜひ御検討いただければと思います。

 さて、これまでは感染者が集まる地域は繁華街などに限定をされておりましたけれども、第三波の到来で市中での感染が広がるにつれて、発熱外来を行う地域の診療所やクリニックでは不安と緊張が高まっております。

 患者さんの受け付け数を減らすという一方で、感染の疑いのある発熱患者と一般の患者を分けるために、院内のレイアウトを変更したりですとか、発熱患者向けに診察時間を分けたりですとか、検査の紹介状を渡すときには、接触を避けるために、電話をもらってから診療所の入り口の外で手渡したりなどなど個別の対応を迫られ、まさに身を削ってぎりぎりまで、費用負担も業務負担もふえて、これ以上コロナ対応が続くと開業医はもう参ってしまうよという声が多数聞かれております。さらに、外国人居住者の多い地域では、日本語のわからない外国人の発熱患者への対応も困難をきわめていると伺っています。

 冬場に向けて今後更に感染が拡大した場合、発熱外来をいわゆる診療・検査医療機関に頼るのは限界があろうかと思います。感染の不安が一般患者の受診抑制につながることがないよう、診療、検査体制の強化が不可欠であります。

 例えば、公園などの公共の場に仮設の発熱外来を設けていくというのも一案と考えられますが、厚労省はこうした地域での診療、検査の取組に対してどのように支援をしていくのか、お伺いいたします。

正林政府参考人 お答えします。

 この冬の季節性インフルエンザの流行期には、発熱等の症状を訴える方が大幅にふえて、検査や医療の需要が急増することが見込まれます。こうした中でも、検査体制、医療提供体制をしっかりと確保し、発熱等の症状がある方が確実に受診していただけるような体制を構築していく必要があると考えています。

 そのため、できるだけ多くの医療機関に申請いただけるように、入り口や診察室を複数確保するなど、発熱等の症状がある方とそれ以外の方が接触しないように物理的な動線確保ができる医療機関、それらが困難な場合は、発熱等の症状がある方専用の診察時間を一部設ける、複数の診療所で輪番制を組むなどしてそれぞれの時間的分離を行うことができる医療機関、さらには、ドライブスルー方式や駐車場等にテントを設置するなどの方法で動線確保ができる医療機関についても、各都道府県において診療・検査医療機関として指定可能としております。

 また、全都道府県において、例年のインフルエンザ流行期と同程度の発熱患者が発生することを想定して検査体制整備計画を策定し、最も検査需要が集中するピーク週における一日四十六万件程度の需要見込みに対して五十万件程度の検体採取能力の確保を見込んでいるとともに、検査体制整備計画に基づき、インフルエンザの流行ピークに向けた体制整備に取り組んでいるところでございます。

 こうした体制整備のために、国としても、予備費を活用し、発熱患者等を対象とした外来体制を確保する医療機関への補助等を実施しており、引き続き、都道府県の状況を伺い、必要に応じて技術的助言を行うなど、都道府県等とともに診療、検査医療体制の充実という形で体制整備を進めてまいりたいと考えております。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 これまでも、厚生労働省におかれましても、一次補正、二次補正それから予備費の活用といったところでかなりさまざまな措置を講じてくださっているかとは思いますけれども、今後またどのように状況が展開していくかというところは非常に多くの関係者の方々が不安を持っておられるところでございますので、ぜひとも柔軟な対応、そして手厚い対応を引き続きよろしくお願い申し上げます。

 時間が限られておりますので、本当は、コロナ終息後、オンライン診療についてはどうなっていくのかという質問も用意しておりましたが、問題意識だけ伝えさせていただければと思います。

 都心部の特徴として、外から通勤してくる患者を多く抱えるオフィス街の診療所やクリニックが、企業のテレワークの影響で患者さんが激減して経営が非常に厳しいというお話を伺います。ただ、居住者を中心とする夜間や休日診療も減少しているため、やはりオンライン診療を広げることで活路を見出そうという診療所も出始めていると伺っております。

 ただ、こうした場合、オンライン診療が定着、普及していった場合に、先々、いわゆるコンビニ受診がふえる懸念もあり、本当に必要とされている要介護者、難病患者の方々を優先すべきなのではないかといった声も聞かれておりますので、ぜひこの問題意識をお伝え申し上げたいと思います。今、厚労省において、コロナ終息後のオンライン診療のあり方について検討を進めているということですので、ぜひお聞きおきいただければと思います。

 質問は以上で終了ですが、最後に一つ、マスク着用の普及啓発についてお願いいたします。

 都心の繁華街で本当にマスクをしていない若者や外国人が急激にふえています。ニューヨークですとかドイツのバイエルンやフランスのように罰則つきの義務化ができればいいんですけれども、日本ではなかなかそういうわけにもいかないでしょうから、せめて国の施策としてマスク着用の普及啓発に更に力を入れていただければと思います。歌舞伎町で命がけでクラスター対策をやっておられた地元の医師会の先生が、何千人のクラスターもマスクからとおっしゃっておりました。

 一日も早いコロナ終息を願って、質問を終了いたします。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)委員 質問の時間をいただきまして大変ありがとうございます。

 山田委員と同じように、本当にこのコロナ禍のもと、医療従事者あるいは関係者の方々が大変御苦労なさっている、心から敬意を表したいと思います。

 また、大臣始め職員の方、さらには全庁的にみんながこのコロナに対して取り組んでいることに国民の皆さんもほっとしているとは思うんですけれども、何せ、いわゆる未知のウイルスでございますし、また、医学界の中でもなかなか知見が少ない中で対応しているということで、非常に不安を抱いているのかと思います。政府としては、明るい何か光を一つでも二つでも、少しでも見せていただくような形をぜひお願いしたいと思います。

 さて、そのような中で、実は、地元、私の地方は北海道でございますけれども、私のエリアの中には三十二の市町村がございます。そこで、大中小、いろいろと地域医療に奔走している特に自治体の病院というのが、地域医療構想あるいは医療計画に対して非常に興味を持つと同時に不安を感じております。また、新型コロナウイルスが、この構想も影響を受けておりまして、非常に地域の方は動揺しているというのが現状でございます。

 それで、一つ、最初の質問として、この再検証の期限はいつなのかということをまず明確にお答えいただきたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 地域医療構想は、高齢者が急増する二〇二五年、また、さらなる高齢化の進展と現役世代急減による労働力の制約が強まる二〇四〇年を見据えて、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、各地域において、それぞれの実情を踏まえながら、病床の機能分化、連携を進めていくものでございます。

 厚生労働省といたしましては、本年一月に、地域医療構想の議論の活性化に向け、公立・公的医療機関などの具体的対応方針の再検証をお願いしたところでございます。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を受けて、八月三十一日に通知を発出をいたしまして、再検証の期限を含めた構想の進め方については、骨太の方針二〇二〇や医療部会の議論の状況、そして地方自治体の意見を踏まえまして、厚生労働省において改めて整理の上お示しすることといたしました。

 今後、医療部会の議論でございますとか、今般の一連の感染症対応を通じて得られた知見を踏まえまして、地域医療構想の進め方について具体の議論を行った上で、再検証の期限を改めてお示しをしてまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 なぜこんな質問をしたかといいますと、調べればわかることなんですけれども、当初、この医療計画や構想が政府から発表されましたら、田舎の方では、病院の縮小あるいは再編が目的ではないか、特に、うちの病院は赤字だからとうとう政府のメスが入ったというような、非常に錯覚というか間違った情報で受けとめておりまして、当時、非常に悲痛な声が多かったような気がしております。

 ですから、ぜひ政府の方としては、やはりこのことがしっかりと地域医療を守っていくんだ、あるいは今の抱えている医療問題を少しでも整理していくんだという、何かそういう姿勢をもっとアナウンスしていただき、市町村の公的病院が安心できるようなアナウンスを、これからぜひ、もっともっと丁寧にやっていただきたいなというふうに思います。

 さて、この再検証につきましては、コロナ感染を受けた後、未知のウイルスなど本当に大変な対応をしているかと思います。そこで、全ての公的病院なりがこのコロナの感染症対策に対応できるとは私も思いませんし、厚労省もそういうふうに受け取っていると思います。これに更に民間の個人病院なんかも含めますと、非常に医療体制に無理が生じてくるのではないかと思います。

 よって、今後は病院連携を更に充実していく必要があると思いますし、厚労省としてはどのような支援を考えているんでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 現在、厚生労働省を通じまして、各都道府県においては、地域医療構想の実現に向けまして病床の機能分化、連携などのために必要な取組を進めている医療機関に対しまして、地域医療介護総合確保基金による支援を行っております。また、厚生労働省においては、今年度、医療機能の分化、連携に向けまして、病床規模の見直しや病院の再編に伴う雇用や債務の承継などの今までの補助金では対応できない課題に対応するために、新たに病床機能の再編支援を行う補助事業を措置をしたところでございます。

 さらに、地域医療構想調整会議における合意を条件といたしまして、都道府県からの申請を受けまして、複数医療機関が医療機能再編等の検討を行う事例につきまして重点支援区域として選定をいたしまして、地域の医療提供体制に関するデータ分析等の技術的支援を行うとともに、病床機能の再編支援を一層手厚く実施をすることといたしておりまして、これまで九県十二区域を選定をいたして支援をさせていただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでの取組を通じまして、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 よくわかりました。

 私も、岩見沢市というところで十年間市長をやっていましたけれども、労災病院と市立病院の医療連携をやろうと五年ぐらい汗をかきましたけれども実現せず、本当に最後は断腸の思いで、断腸の思いというか、こちらの方に来ましたけれども。この医療構想、計画を立てた途端、もうその二つがしっかりと手を組み合って、特に、先ほど言った重点地区にされたということで、やはり政府の力はすごいなと改めて思いましたので、個人的に大変感謝しております。

 さて、ただ、ちょっとここで問題なのは、四百二十四の公的あるいは公立病院に白羽の矢が当たりましたけれども、実はそこから外れている病院もございます。そこの市長、町長に聞きますと、最初のころは、我々は目をつけられていないんだ、よかったと、何かわけのわからない感想を言っている方や、赤字でも俺らのところはいい病院だと評価されたのかと、本当に本末転倒な考え方を持っている市長、町長もいらっしゃいました。

 そこで、今回、その四百二十四以外の病院あるいは市町村に対してどういうふうな考え方があるのかなというのをちょっと伺いたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど御答弁いたしました、本年一月、公立・公的医療機関などの具体的対応方針の再検証を要請いたしました際に、委員御指摘の再検証要請の対象となっていない医療機関も含めまして、診療実績データの分析結果を都道府県にお示しをしているところでございます。

 再検証要請の対象となっていない公立・公的医療機関などにつきましても、診療実績データの分析結果を参考としながら、それぞれの地域における医療の将来需要を踏まえた上で、みずからが担うべき機能や役割について改めて確認、検討をしていただくとともに、地域医療構想調整会議において御議論いただきたいというふうに考えております。

渡辺(孝)委員 あと残り五分だという紙が来ましたので、つくった原稿をだらだら読んでいたら大臣の決意を聞けなくなりますので、ここでちょっと締めたいと思いますけれども。

 正直申し上げまして、なかなか地方と中央の感覚の差、また東京と市町村の感覚の違いというのは、これはどこの議員の先生も感じていらっしゃるのではないかと思います。私は、今回のコロナが大きく社会を変えるのではないか、例えば、働き方やあるいは病院のあり方もそうでしょうけれども、当然、商売等々の形も変わってくるというのは顕著に社会現象としてこれからもあらわれてくるし、アフターコロナもそれが継続されていくのではないかというふうに思います。それはそれでいいんですけれども。

 一方で、この地域医療構想、計画につきましても、実は地方を変えていくというふうに私はちょっと危惧しております。

 というのは、例えば、医療連携するにしても、核になる病院に、例えばドクターを集中させよう、あるいは医療機関、従事者を含めて充実させようという動きが私は出てくるのではないか。それはそれでいいと思います。責任分担はある程度しないと、こういうコロナに対しても対応できませんし、私はぜひ、どんどん進めていくべきだと思うんですけれども。

 大臣に一つお願いしたいのは、この病院の計画、構想によって、病院が変わるだけじゃなくて、例えば、田舎に行きますと、今どんどんどんどん少子高齢化が進んでおります。そうなると、病院に行く足がなかなかないということで、民間のバス会社はどんどんどんどん路線を縮小しております。そういう意味では、交通体系にも大きく影響が出るのではないか。高齢者の方が病院に通うというのが、大変なその地域の問題になるかと思います。

 また、総務省では、コンパクトシティー、タウンという構想の中で、実際、どこの市町村長も、町の中心からコンパスで円を描いて何とかこの中に住民を集めようという、それが十年かかろうが二十年かかろうが、やろうとしております。そういうことを考えますと、この地域医療構想に関しましても、私は大きく町を変えていくと思います。

 そういう意味では、それこそ総理の言っている縦割りをぜひ打破していただき、総務省なり、あるいは国交省なり、いろいろな各省と、声を発していただけるのは田村大臣だと私は非常に自負しております。

 ぜひ、大臣のこの地域医療構想に対する思いもさることながら、俺がやってやるというような強い決意を聞かせていただければ、私、おとなしく、B班なのですぐ帰りますけれども、よろしくお願いします。

田村国務大臣 いささか、いただいていた質問の内容とは違う質問になったわけでございますが、地域医療構想、実は私が前回大臣になったときに法案を出させていただいて、非常に束ねた法案だったものでありますから、野党の皆様方からもお叱りをいただきながら、成立をさせていただいた法律です。

 病床の機能分化、連携という形の中で、やはりこれから医療資源も限られてくる中において、二〇二五年を一つ、目安にしました。これは、団塊の世代が全員七十五歳以上になられるということで、そういう状況においてもしっかり効率的に質の高い医療を提供できるような体制をおつくりをいただきたいということで、これを進めさせていただきました。公立・公的医療機関のいろいろな状況等々のデータも出させていただいて、そこにおられる橋本前副大臣も大変なお力添えで全国を回っていただいた、そんな記憶がございますけれども、地域の方々にも御理解をいただきながら、今に至っています。

 コロナ禍でありますから、感染症という視点も入れて今いろいろな見直しをしていただいておるわけでありますが、二〇二五年に限った話じゃなくて、二〇四〇年、高齢化のピークを迎えて、いろいろなこともこれから何度も見直しをいただかなきゃいけないものであります。それ自体、つまり病床がどうだというだけじゃなくて、実は、医療機関というよりは地域、住民の方々にとって大変重要な役割ですから、町づくりそのものにもかかわってくる話になってくると思います。

 私の地元ではコミュニティーバス等々が中核的な医療機関をぐるぐる回っていただきながら、地域の方々をそれこそ医療機関に導いていただいているわけですが、北海道はまた我々のところとは違った事情、広大な面積の中で、言うなれば人口密度も非常に低いという中でのいろいろな御苦労もあられるんだというふうに思います。

 今言われたような各省庁との連携というもの、これも踏まえながら、町づくりですから、これは政府全体を挙げていろいろな協力をしていかなきゃならぬというふうに思っています。その中核であるのが医療機関であろうと思いますから、その立場から、各省庁の中においてリーダーシップをとりながら、委員が期待されているような役割が担えるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

渡辺(孝)委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

とかしき委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 まずは、十一月二十日、当委員会におきまして、労働者協同組合法案、何とか通過をさせていただきました。委員長を始め委員会の全ての先生方に感謝を申し上げながら、残された時間、しっかり質疑をしてまいりたいと思っております。

 今回は一般質疑でございまして、コロナ、大変厳しい状況の中で年末を迎えるという時点で、私自身、気になっております三点について確認をしたい、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 一点目が、介護報酬改定でございます。

 今回の介護報酬改定の議論が進んでおりますが、給付費分科会の議論を見ておりますと、訪問看護の報酬、基準について議論されていると理解しております。その内容につきましては、いわゆる訪問看護ステーションでありながら、リハビリ専門職による訪問看護に特化した訪問看護ステーションがあるんだけれども、この増加は問題だ、看護職員の割合の設定を求めるべきとの、こういう議論が行われているというふうに理解しております。

 これまでも訪問看護ステーションのPT、OT、STさんによる訪問看護、いろいろと規制が行われてきた経緯がありますが、私は、現在の介護現場において、リハ専門職による訪問サービスのニーズがあって、そこに対応し切れていない現在の介護保険の実態があるのではないか、こう思っております。

 介護保険による訪問リハの実績がない市町村も四〇%以上あるというふうに聞いておりますし、何よりも、取組が期待されている老健施設、ここが訪問リハをどれぐらい行われているかというと、なかなか地域に出ていくことはできていない。

 こうした実態の中で、訪問看護ステーションの看護職員割合六割以上というような議論がされて、人員配置基準の新設などが議論されていると思いますが、これを機械的に行いますと、訪問看護現場で従事しているPT、OT、STさん、三割ぐらいの人、約五千人ぐらいのリハ職が職を失うのではないか、こういう声もあるわけであります。

 私は、何よりも、そうしたリハ職のサービスを受けている方々のサービス利用に支障が出るのではないかと危惧するわけでありますが、ここは厚労省の見解を伺いたいと思います。

土生政府参考人 御説明させていただきます。

 令和三年度介護報酬改定につきましては、現在、御指摘ございましたとおり、社会保障審議会介護給付費分科会で御議論いただいているところでございまして、その中で、訪問看護の役割を果たしていくためのサービス提供のあり方についても御議論いただいているところでございます。

 その背景といたしましては、介護保険では訪問看護の一環として理学療法士等によるリハビリテーションが提供されておりますが、近年、リハビリテーションを中心としたサービスを行う事業所が増加している中で、その利用者は要介護度が軽度な方が多い等の傾向が見られるという点がございます。

 こうした状況を踏まえまして、具体的な論点といたしましては、御指摘ございましたとおり、一定の経過措置期間を設けた上で、人員配置基準において介護職員が占める割合を六割以上とする要件を設けることとしてはどうか等についても御議論いただいているところでございます。

 これにつきましては、訪問看護の役割を果たせるよう看護職員の役割を設定すべきとの意見があった一方で、利用者へのサービス提供に支障や混乱が生じないよう十分な配慮をお願いしたい、実際にどのようなサービスが提供されたかが重要であり、提供されたサービス内容で判断すべきなど、さまざまな御意見をいただいているところでございます。

 年末の審議報告の取りまとめに向けまして、厚労省といたしましては、関係者や現場の方々の意見を更に丁寧にお聞きしながら、地域に応じた必要なサービスが提供されるとともに、現場における混乱が生じないよう引き続き検討し、分科会において御議論を進めていただきたいと思いますし、また、御指摘のありました訪問リハビリテーションの充実についてもあわせて検討してまいりたいと考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 これから二〇二五年、二〇二二年、二〇四〇年、二〇四五年などを考えますと、医療、介護で働く人たちの数というのは、今八百万ぐらいですけれども、一千万人ぐらい必要ではないかと言われている中で、私は、PT、OTさん養成施設、実は副大臣のときに随分苦労しまして、裁判も起きて、規制をすることができなかったという背景があります。毎年多くのPT、OTさんが輩出される中で、こうした方々を介護現場で有効に活用するということは、私は極めて大事な視点だと思っております。

 ここは、例えば市町村の地域支援事業、総合事業などで活用する方途もあると思いますが、そうはいいながら、リハ職、リハ専門職が地域の中で活躍できる環境というのは実はなかなか難しい問題があるわけで、私は、新しいスキームが要るのではないかと。訪問看護を看護職以上は行っちゃいかぬとか、そんな総量規制をやってきましたけれども、もっと抜本的に地域の中でリハ職を生かせる仕組みを私は考えるべきだ、このように申し上げておきたいと思います。

 二点目であります。薬機法改正後の取扱いについて議論させていただきます。

 薬機法の改正によりまして、地域連携薬局の制度が創設をされました。初めて薬剤師、薬局の役割ということが法的に整備されたわけであります。私は、その際、この委員会でも質疑をいたしましたけれども、地域連携薬局の整備が迅速に図れるよう、進まない健康サポート薬局の届出の状況、もうきょうはそういうことは余り言いませんが、そういうことを踏まえて適切な対応をしてもらいたい、こういう議論をさせていただきました。患者の目線に立てば、病気になる前は健康サポート薬局、病気になったならば地域連携薬局ということで、両者をしっかりと地域の中で、地域包括ケアを考える上で、私は整備を進める必要があると考えております。

 そこで、薬剤師の配置についても、特に女性の多い職場でありますから、私は、薬剤師配置基準などについて過剰な規制をしないことがある意味重要ではないかと思っている次第でございます。現場では、実務経験五年以上の薬剤師二人以上の配置、常駐要件などは、育児や介護などの休業で届出の撤回を余儀なくされているという実態もあるわけでありまして、ここは今検討されていると思いますが、そうしたことをよく踏まえて検討作業を進めていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 先生御指摘のとおり、現在、昨年の薬機法改正において設けられました地域連携薬局などの要件について、来年八月の施行に向けて検討を進めているところでございます。

 ちょうど一年前、先生からこの委員会で同様の御指摘がございまして、手前どもの方から、例えば、御指摘の健康サポート薬局につきましても、柔軟化できることは柔軟化するということを申し上げましたし、今回、その健康サポート薬局に加えまして、地域連携薬局というものができましたので、地域でそれぞれの役割が十分に発揮できますよう、この要件の検討に当たりましては、現場の状況を踏まえながら柔軟な運用についてしっかりと検討してまいります。

桝屋委員 今の御答弁、時間があれば中身を詰めたいところでありますが、気持ちを酌んでいただきますように、どうぞよろしくお願いいたします。委員長も同じ気持ちではないかと私は推察をいたすわけであります。

 最後に、コロナ対応について。

 先ほど同僚の山田議員さんと全く同じ認識を持っております。現在の感染状況から、改めて、私は特に高齢者施設の取組が気になっておりまして、陽性者あるいは濃厚接触者が出た場合の各施設の取組でございます。

 施設の現場では、直ちに感染拡大防止のためのゾーニング、あるいは感染対策をすぐに取り組まなきゃならないと。そういうことがしっかり準備できている施設であればいいわけでありますが、新しい施設などについては、やはり所轄の保健所が感染対策の指導を行っていただく、適切な指導を行っていただくということが私は大事だろうと思っております。こうした体制が十分できているのかどうか、私は自治体によっては大分区々となっているという実感を持っております。

 厚労省からは事務連絡が出ておりまして、高齢者施設における新型コロナ感染症発生に備えた対応等についてということで、専門家の派遣などについて十分な体制をとるようにということになっておりますが、これができているかどうかというのが気になるわけであります。

 私の地元では、保健所の所長さんが、それでなくても保健所の、先ほど同僚の山田議員からありましたように、積極的疫学調査でもう本当にパニックになっている中で、じゃ、老人施設でクラスターが発生した、すぐに現場に保健所の職員が行けるか。なかなかこれは手が回らない。あるいは専門家がいないということもあり、私の地元の保健所では、民間の医療機関と提携をしまして、いざというときには、医療職あるいは医学管理ができる、感染対策ができる、そういうチームを事前に確保していて、直ちに派遣するという体制ができているようでありますが、これが本当にできているかどうかということが大変私は気になっております。

 厚労省としては、保健所の指導体制、先ほどの疫学調査、積極的な疫学調査もさることながら、こうした体制ができているかどうか、この辺の把握がどれぐらいできているのか私は大変心配しておりまして、どうぞ大臣、ここは大臣と、最後に大臣の思いをお聞かせいただきたいんですが、そうしたことをこれから、いよいよ体制をつくらなきゃならぬと思っておるんですが、いかがでございましょうか。

田村国務大臣 大変重要な視点だというふうに思います。

 先ほど山田委員からも御質問をいただきましたが、今大変な状況に保健所はなっております。

 ふだんから、やはり高齢者施設等々、特にクラスターが起こる可能性がありますので、これに対して十分な対応。例えば感染者が出た場合に、そこに行っていただいて、積極的疫学調査のみならず、感染を防ぐためのいろいろな指導もいただきながらという形で、いろいろなお仕事をいただくわけですね。ところが、感染拡大してくると残念ながらまたそういうところもふえてくるわけで、大変多忙な業務になられる。

 言われるとおり、もとからまず都道府県の中である程度保健所の人を差配できるようにうまく対応いただく、場合によっては本所の人間も対応いただけるような、そういうような仕組みをつくっていただく、いろいろなことをお願いしてきております。そういう感染症業務以外の方々にも感染症に対するいろいろな業務の研修を受けていただいて、これまた酷な話なんですけれども、本当を言いますと、それはそれで業務がほかにあるわけですから、非常に酷な話なんですが、何とか回していただく。そして、更に申し上げれば、都道府県間での融通というもの、これもお願いしていただきながら。

 きょうも記者会見したんですけれども、場合によっては学会、団体から人材、ある程度集まっていただいて、そういう足らないところにはお願いさせていただくということで、これも一千二百名、いろいろな職種の方が入っておりますけれども、そういうような、一応、人材バンクではありませんけれども、そういう機能も進めてきております。

 ただ、そういうものが本当にちゃんと連携できていくということが大変重要でありまして、本来からいうと日常の業務でも十分に人材強化が必要なわけで、それができていればある程度は動きがとれるわけであります。もちろん、パンデミックではそれだけでは対応できませんが。

 十分に、委員が言われたような視点で我々も、各都道府県にそういうような体制がとれるように改めてお願いをさせていただかなきゃならないということで通知も出しておりますけれども、あわせて、通常時の保健所機能というものも我々見直していかなきゃならぬということでございまして、しっかり強化すべく取り組んでまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 極めて大事な話でありまして、私ども公明党、地方議員と連携をいたしまして、こういう体制について守っていきたいというふうに思います。

 保健所の現場では、先ほどの議論じゃありませんけれども、ステージ3以上になったところで、もうクラスター対策で足取りを追っかけるなんということは、結局追っかけてわからないわけでありまして、確かに重症化のリスクに重点的にということもわかりますが、いま一歩違う、保健所の業務として取組を打ち出す必要があるのではないかと、私も悩みながら今現場を見ているところでございます。

 引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、西村智奈美さん。

西村(智)委員 西村です。よろしくお願いいたします。

 COVID―19の新規感染者が増加しております。また、重症者もふえているということで、大変深刻な状況になってきている。これはもう皆さん共有しているとおりです。

 こんな中、政府の専門家による分科会が、二十日に引き続いて二十五日ですから、極めて短期間のうちに二度にわたって提言を出しておられます。これは本当に強い危機感があってのことだというふうに思うんですけれども、その中で述べられていることでは、ステージ3相当地域との往来を自粛するようにと。また、GoToトラベルについては、感染拡大地域、ステージ3相当地域からの出発分も一時停止の検討を要請するというような内容だったというふうに聞いております。

 そこでなんですけれども、この間、GoToトラベルキャンペーンを本当にどうするのかということについては皆さんが疑問を持っておられるところです。きのうも総理のぶら下がりの会見が行われたときに、総理の口から、手洗いやマスクはきちんと対策をとってくれというような話はあるんですけれども、GoToキャンペーンについてはどうですかという記者さんからの質問があるのを振り切って、何も答えずに帰っていかれた。これは私はやはりよろしくないことだというふうに思うんですよね。

 そこで、お伺いをしたいと思います。順次参ります。

 尾身会長が、ステージ3に相当する地域として、札幌市、東京二十三区、名古屋市、大阪市を例示したということのようであります。また、西村大臣が、ステージ3相当になっているのに必要な対策がとられていない地域があるというふうにも述べているそうですけれども、必要な対策というのは、具体的にこれは何を指しているんですか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 十一月二十五日の分科会からの提言におきまして、ステージ3相当の対策が必要であるが、そのような対策がとられていない地域があり、都道府県は、政府と連携し、当該地域において早期に強い措置を講じることとの御指摘をいただきました。

 この具体的な中身でございますけれども、酒類を提供する飲食店における営業時間の短縮要請を早急に検討すること、二つ目が、必要な感染防止対策が行われていない場合は、ステージ3相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の往来はなるべく控えること、三点目が、GoToトラベル事業の一時停止を行うこと、四点目が、GoToイート事業の運用見直しやイベントの開催制限の変更等も検討することなどの御提言をいただいております。

 政府としては、この提言も踏まえて、各都道府県において、現下の状況等を的確に把握し、地域の実情に合わせた効果的な対策を講じることが重要であると考えております。

西村(智)委員 明確に御答弁いただいたと思います。つまり、GoToトラベルの一時停止あるいはGoToイートについても検討をするということも盛り込まれているということを確認できました。

 それで、今回、東京都が、二十八日ですからあすからですね、二十日間、時短要請を行った。これに引き続いてほかの自治体も時短要請を行っているところがかなり出てきまして、政府の分科会が言っているところの時短要請については、これはかなり進んでいるところはあると思うんです。

 ところが、GoToトラベルについては、これはどこでも、誰も、検討している節がございません。

 どの地域がステージ3に当たるかどうか、すなわち、GoToトラベルキャンペーンの一時停止について検討しなければいけないというステージ3に当たるかどうかの判断というのは、どこに委ねられているんでしょうか。

和田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、ステージ3に当たるかどうかの判断でございますけれども、これは都道府県というようなことになってございます。

 八月七日の新型コロナウイルス感染症対策分科会におきましては、各都道府県における感染状況の段階を四つのステージに分けて、各ステージで講ずるべき施策というものが整理されました。ステージの判断に当たっては、一つ一つの指標をもって機械的に判断するのではなく、現場を最もわかっております都道府県がそれぞれの地域の実情に応じて総合的に判断することとされております。

 感染拡大を抑制し、医療提供体制を守るためには、都道府県が地域の実情に応じた感染防止対策を行うことが重要であり、国としては、都道府県がこの対策をちゅうちょなく行っていただけるようにしっかりと支援をしており、引き続き、都道府県と緊密に連携をして感染防止対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

西村(智)委員 この第三波と言われる波のときに、日本医師会の中川会長が、GoToトラベルキャンペーンが第三波のきっかけになったというふうに明確に述べておられました。

 そんな悠長な、都道府県に判断をしてもらって、政府がそれをというような答弁では、はっきり言えば手おくれになってしまっているわけですよね。今まさに大きな波が来ている状況で、医療機関の逼迫も本当に懸念されているという中で、私は今の答弁ではとても納得はできません。

 田村大臣、本当にまさに今逼迫しつつある状況の中で、今のような、都道府県に判断をお任せしているということではいけないんじゃないかというふうに私は思うんです。

 しかも、分科会の方からは二十五日に提言が出されていて、ステージ3に相当するという地域においてはGoToトラベルの一時停止ということが、これはもう明確にやらなければいけないこととなっています。実際に、ステージ3でやらなければいけない必要な対策の中に盛り込まれている飲食の提供をする店での時短要請については、もう多くの自治体で既になされています。

 ただ、GoToトラベルキャンペーンについては、これは出発地の問題と目的地の問題とありますから、やはりこれは都道府県が独自で判断するという枠を超えてのことだと思うんですよ。しかも、これは政府がまさに主導して、第一次補正予算にあれほどがっつりと盛り込んで始めていることですから、これはやはり政府の責任として、GoToトラベルの一時停止についてもっと踏み込んだ検討が行われてしかるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 たしか中川会長は、GoToトラベルが原因であるという証左はないがというような前置きがあった上で、そういう発言をされたんだというふうに記憶をいたしております。

 それから、GoToトラベル、よくこれは私ではなくて国土交通大臣等々がおっしゃられているわけでありますが、四千万人参加されて、百八十人強ですかね、今、それぐらいの方々が感染という形で報告をいただいておられるということでありまして、今まで政府は、直接的にGoToトラベルが今回の感染拡大の影響といいますか、そういうようなものとしてエビデンスがあるということがあるわけではない、つまり、エビデンスはないんだということで申し上げてきたんだと思います。

 その中において、我々、分科会の方からいろいろな御提言をいただいて、今般、知事さんと西村大臣がお話しする中において、北海道、大阪に関して、GoToトラベルに対して一時停止ということを決められたわけであります。

 今、東京都のお話だったですかね、委員がおっしゃったのは。東京都のお話がありましたが、それは、東京都知事さんとまたいろいろな話合いがあるんだろうというふうに思います。その上で判断されるという、一応制度上そういうような形になっておりますので、そういうような形になるんだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、飲食の場面、お酒を飲む、これに時間制限をかけられた、これは非常に大きな意味があると思います。

 やはり、クラスターが起こる、感染が起こる場所の危ない五つの場面の中で、大人数で飲食を長時間するような場所、こういうことは専門家の方々がおっしゃっておられるわけでありまして、こういうところをしっかりと閉じながら、また一方で、専門家会議の方でまた新たな御提言をいただきましたので、これにのっとって政府の中で検討を進めてまいるという形になるというふうに認識いたしております。

西村(智)委員 いや、認識しておりますじゃなくて、まさに政府が先頭に立ってそこのところは判断をしなければいけないんじゃないですかということを私は申し上げているんですよ。今の田村大臣の答弁だと、全く他人事のように聞こえますね。

 他地域との往来は控えること、これは明確にステージ3で取り組むべきこととしてあるわけですよ。他地域との往来は控えろと言っておきながら、GoToトラベルキャンペーンについては何の判断も政府がしないというのは、これは一体どっちなんですか。

 きょうは国交省にも来ていただいているので、やはりこれは国の方が判断をすべきではないかというふうに考えるんですけれども、国交省としてはどういうふうに考えていますか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 政府の分科会からは、従来、ある都道府県がステージ3相当と判断された場合には、GoToトラベル事業にかかわる感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたいということと、さらに、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要があるとの提言をいただいております。

 これに加え、二十日の分科会において新たに、今までどおりの対応では早晩、公衆衛生体制及び医療提供体制が逼迫する可能性が高いと判断している、また、このままの状況が続くと、結果的には経済、雇用への影響が甚大になってしまうと考えられるとの現下の状況の判断があり、感染拡大地域においては、都道府県知事の意見も踏まえ、一部地域の除外を含め、国としてGoToトラベル事業の運用のあり方について早急に検討していただきたいなどの提言がなされたところであります。

 こうした中で、二十四日夕刻、北海道、大阪府の両知事から、それぞれ、札幌市、大阪市が国のステージ3相当にあるとの認識が西村担当大臣に伝えられたことを受け、関係閣僚で協議をし、両市を目的地とする旅行について一定期間GoToトラベル事業の適用を停止することを決定したものであります。

 GoToトラベル事業は国が実施する事業であり、事業の運用に関する判断は国が最終的に行いますが、その判断に当たっては、分科会のこれまでの提言に沿って、各都道府県の感染状況や医療提供体制の状況を最もよく把握している都道府県知事の判断も十分に踏まえる必要があり、各都道府県と緊密に連携の上、適時適切に判断を行うことが重要であると考えております。

西村(智)委員 まあ、何も答えていただいていないんですよね。

 国と地方が協議する、それはもう当然のことだと思いますが、GoToトラベル事業はまさにおっしゃったように国が主体として始めた事業ですから、やはり国の判断、責任において判断をしていただかなければいけない。

 何で総理は沈黙しているんですか、あれ。きのうの記者会見、ぶら下がり、私もニュースで見ましたけれども、GoToトラベルキャンペーンについては一言も語らず、そして、質問があったのを何も答えずに帰っていかれたんですよね。

 こういうやり方が国民に対して、どういうふうに行動したらいいのかということの迷いを与えてしまう、私はそうだと思っているんです。なので、ここはやはりきちんと協議をして、結果を出していただきたい。

 厚労大臣に伺うしかないんですが、ちょっとまず国交省に聞こうかな。

 今現在、GoToトラベルキャンペーンの一時停止について、どこかで、政府全体としてですよ、政府全体として、GoToトラベルキャンペーンの例えば出発地、目的地、どこにする、限定するような条件がついてもいいでしょう、いいんですけれども、一時停止について、どこかで協議はされていますか、それとも全くされていませんか。どちらでしょうか。

鳩山大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 一昨日の分科会の提言において、今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討することが盛り込まれたことは、真摯に受けとめております。引き続き、最大級の警戒感を持って当該地域の感染状況等を見つつ、関係省庁と協議しながら、政府としてどのような対応がとれるか検討してまいります。

西村(智)委員 検討していないということですよ、今の答弁は。

 じゃ、内閣官房、いかがですか。協議していますか、していませんか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 同様の回答になりますけれども、先日の分科会で、このGoToトラベルに関する厳しい御指摘をいただいたのは事実でございます。しっかりと検討してまいりたいと思います。

西村(智)委員 していないということですよ。

 大臣、いかがですか、こんな状況で。医療機関は本当に逼迫しちゃいますよ。これは政府が率先してやる、それこそ田村大臣のリーダーシップで、協議、ちゃんとしてもらえませんか。

田村国務大臣 医療機関の問題は、我々、大変深刻に捉えております。そういう発言も、私は分科会でもさせていただきました。

 やはり重症者が非常にふえてきているということ、それから病床占有率ですね、これが上がってきているということでありますから、綿密にそのような地域、都道府県とは、厚生労働省、いろいろと情報交換をしながら、どのような形がいいのか、厚生労働省として支援できる部分はしっかりと今対応をさせていただいている状況であります。

 あわせて、今は、GoToトラベル、GoTo事業全般ですか……(西村(智)委員「今、トラベルと言っていました、私」と呼ぶ)トラベルに関しては、先ほども申し上げましたが、これは私自身が所管ではありませんが、分科会から御提言をいただいておりますので、その御提言を踏まえて、今現状、政府として検討している最中だというふうに認識いたしております。

西村(智)委員 いや、認識している人たちばかりで、本当に、何というか、ハッピーなことだと思いますが。

 本当に、総理のリーダーシップで、これ、ちゃんとやっていただかないといけませんよ。この前の予算委員会でも、明確な答弁、何もなかった。総理のまさに肝いりで始めた事業ですよね、これ。やはり総理の判断、もう政府のメンツとか総理のプライドとか、そういうことを言っている段階じゃないはずです。そこはしっかりと検討して、結果を出してください。

 次に移ります。検査体制について伺いたいと思います。

 ほかの省庁の方は結構でございます、答弁のない方、政務官。

 先日、新潟市内、私の地元の介護施設でクラスターが発生いたしまして、本当に残念だったんですけれども、入居者が八十数名だったところ、今既に五十名くらいの入所者の方が陽性ということで、当然職員の方も多数陽性になっておられます。

 私の知人が施設に出入りしていた。職員ではないんですけれども施設に出入りしていて、濃厚接触者には当たらないという判断があったので行政検査は受けられなかったんだけれども、やはり一定時間施設の中にいたので心配で、家族ともども自費で検査を受けて、それで陰性だったそうなんですけれども、潜伏期間があることとか無症状の感染とかという可能性もいろいろ考えて、今、家族ともどもお仕事を休んでおられるということなんですね。

 もちろん、職員の方々は、本当にそれ以上にというか、それと同様に今大変な心配な思いをされておられるという状況です。

 これもたびたび何度も問題になっているんですけれども、医療従事者や介護施設などへのPCR検査、やはりこれを定期的にできる体制が私はあった方がいいというふうに思うんです。八月の二十八日に対策本部の決定がなされていて、介護施設への検査も積極的にやるという通知が出されていたと思うんですけれども、その結果というか実績、これについては確認しているでしょうか。

 自治体から結果報告を求めるべきではないかと思うんですけれども、田村大臣と内閣官房、政務官にそれぞれお伺いいたします。

田村国務大臣 今月十九日に、重点的な検査の徹底ということで要請をさせていただきました。

 今までも実は何度もいろいろな要請をさせていただいておりまして、発熱をされていた場合にはまず絶対にといいますか、これはもう検査をいただかなければ困るわけで、お願いをしておったんですが、なかなか検査できていない。それはいろいろな事情があると思います。施設側のことがある場合もあるし、もちろん、検査をしようと思ってもしてもらえなかったというような場合があるという話も聞いております。

 そういうことなので、再度徹底するということで、発熱者が例えば老人施設の中でいた場合は必ず検査してください、その上で、検査をして陽性が出れば、これはもう施設の方々は皆さん、症状がなくても検査してください、こういうふうなこともお願いをいたしました。(発言する者あり)いやいや、今までも何度も出しているんです。出しているんですが、なかなかそれがうまく動いていないので再度出させていただいたということであります。

 済みません、長妻委員にお答えして申しわけありません。済みませんでした。

 ということでございまして、そういう意味で、徹底をする。

 今までそういうものがどれだけあったかというのは、実のところ、検査していないのでわからないというのが実情なんですが、今回、しっかりとフォローアップをするということで、そういう場合には団体の方々にお願いしまして、団体の方から、例えば自治体の方でやってもらえなかったなんということがあった場合、保健所ですね、そういう場合、今は大分なくなっていると思うんですけれども、一応フォローアップといいますか、情報をしっかりと確保するようにいたしております。

 また、都道府県の方でもつかめた場合には、都道府県の方からもフォローアップをいただくということで、これからこういうふうなことがあればしっかりと情報が伝わるようにということでお願いをいたしております。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 一部重複するかもしれませんけれども、厚労省の方で、厚労省さんから伺っていることを申し上げますと、感染者が多発している地域におきましては、症状がない場合も含めて、高齢者施設等に勤務する方々や入所者の方々を対象に積極的に検査をするというふうな方針で動いてございます。

 また、陽性が判明した方がおられる施設におきましては、そこの従業員全員に対して原則検査を実施するといったことで、繰り返し要請と通知をしている次第でございます。

 個々の市町村からのデータというのはないんですけれども、全体的な話といたしまして、一週間当たりのPCR検査数でございますけれども、四月には五万八千件程度でございましたが、直近におきましては二十一万件程度までふやしております。

 また、季節性インフルエンザの流行も見据えまして、都道府県において検査体制の整備計画を策定していただいております。ピーク時には一日四十六万件程度の検査需要が見込まれておりますけれども、体制としてはそれを上回る一日五十四万件程度の検査能力を確保するべく、現在、体制整備を進めております。

 いずれにしましても、厚労省さんとしっかりと連携して頑張ってまいりたいと思います。

西村(智)委員 私は全体的なことを聞いたのではなくて、介護施設への検査を積極的にという通知が出されているので、それについて内閣官房はどういう対応をとってきているんですかということを聞いたんですよ。全くやっていない、厚労省さんの方から答弁があったとおりということなんですけれども、これは対策本部の決定ですからね。やはりちゃんと責任を持って対応していただかないと困ります。田村大臣からはこれからフォローアップするというような答弁だったんですけれども、これは一刻も早くやってください。

 私も今回改めて思ったんですけれども、職員の皆さんのストレスというか、不安というか、やはりそれは相当なもので、自分が陽性じゃないか、あるいは何か熱が出たとき、せきが出たとき、本当に仕事に行っていいのかどうか、休んだらまた周りの人に迷惑をかけるしというような悪循環で、これは決していいことばかりじゃないんです。

 陰性だったからといって慢心するかといったら、絶対そんなことはありません。より注意しようというふうに思うし、そこはしっかりとやはり体制、もう通知は何度も出していただいているということなんですけれども、結局、実績が上がっていないんですよ。大臣、今、これからフォローアップするようにするとおっしゃったんだけれども、結局、何度も何度も通知を出していて、例えば七月の二十八日にQアンドAで、包括支援交付金で、自費で検査を受けた場合には包括支援交付金の補助の対象となるということも示されているんだけれども、実際にはどのくらい進んでいるのかな、どのくらいこれが実行されてきているのかなというふうに思います。

 この七月二十八日のQアンドA以降で、以降というか、これもあるので質問するんですけれども、包括支援交付金によって高齢者施設等において自費で検査を受けた場合に補助の対象となったものは一体どのくらいの件数、額があるでしょうか。

田村国務大臣 基本は、発熱すれば行政検査なんですね。ですから、本当は行政検査でなければならないんですが、行政検査じゃない場合に関して、つまり、ないというのは、行政検査をしてもらえない。今は多分、今いろいろとお話があったとおり、医療機関等々で検査キットで、簡易キットの方でインフルエンザと両方とも疑われるということで対応いただく地域を、二万四千医療機関、これは診療・検査医療機関として指定をさせていただいておりますから、そちらに行っていただくことが多いと思いますが、以前はPCR検査等々、保健所等々にお願いしてという形だったと思います。

 それで……(発言する者あり)いやいや、ちょっと仕組みだけ言わないと。

 結局、何が問題かというと、結果的に言うと、そういうような中で、本人が診てもらえない場合は自主的に施設の方が出していただく、そういうものをこの交付金で出しますよという話であるんですが、全体で三千九百億円交付して、事業所の申請に基づき、県から事業所へ一千二百億円、この交付金は行っています。そのうち、今言われたものはかかり増し経費、つまり、検査だけじゃなくて、感染防護だとかいろいろなかかり増し経費の中の費用なんです。それが三百億円でありますので、何を申し上げたいかというと、全体の中の数字の内数なので、最終的に申し上げればどれぐらいというのは今のところつかめていないというのが現状であります。

西村(智)委員 最後の一言だけ言っていただければそれでよかったんです。

 仕組みは、それはそうだと思いますよ。なんだけれども、私、冒頭から申し上げていますけれども、無症状の方であっても、濃厚接触だと言われない方であっても、やはり不安はあるわけです。その中で仕事をしていくことについて、本人の不安を少しでも解消するために自費で検査を受けたいという方はやはりいらっしゃるんだと思うんですよ。

 そういうところにちゃんと支援の方法がありますよということを、もうちょっとちゃんと丁寧にやっていただかないと、これはやはり、せっかくある、かかり増し、三百億円、これが生かされないというふうに思いますので、ぜひそこはちゃんと周知していただきたいと思うんです。

 それでなんですけれども、以上のような回答が返ってくるだろうなというふうにも考えまして、これは、定期的に検査するというふうに厚労省の方から号令をかけていただく、そのことによって、今のような、何か複雑な仕組みで、施設がやってくれないとか、あるいは自費で検査を受けなきゃいけないとかいうようなハードルがないようにするという意味でも、やはり定期的な検査は必要じゃないかというふうに考えるんですけれども、いかがですか、大臣。

田村国務大臣 これも、今般、改めてですけれども、以前からそうなっていたんですが、改めて通知させていただいているんですが、感染拡大地域に関しては、保健所所長の判断で、老人介護施設等々、要するに重症化の蓋然性の高い方々がおられる施設ですね、こういうところは集中的、定期的に検査をやっていただけるという仕組みになって、それを通知をさせていただいております。

 ただ、感染拡大していない地域に関して全て今のような話でやるとなると、以前も申し上げたと思いますけれども、多分、検査能力だけで一日PCR二、三十万件ぐらいの能力で、たしか年間費用が二兆円弱ぐらいかかるというような推計であったと思いますけれども、費用対効果を考えるとなかなかそこまで回らないという現状であるということは御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 私、何も感染が拡大していない地域まで定期的にやってくれというふうには申し上げておりません。そこは工夫の仕方で、いろいろあると思うんですよ。

 ただ、やはり、スクリーニングというか、今回、私の地元で出たのも、本当にそんなに感染していなかった地域です。それが、あるときぱっと出て、それで施設内にわあっと広がっていって、だけれども、その施設の近辺では感染は見られていないんですよ。つまり、感染は拡大していない地域だったんです。

 ということもあるので、例えば時期の問題とか、地域の問題とか、ちょっと工夫していただければ、それは私は可能になるんじゃないかと思うんですけれども、これは、どうやったらそういう形で、逆に大臣に聞きたいんですけれども、どういうふうにしたらそういう定期的な検査というのが可能になるでしょうか。

田村国務大臣 定期的な検査というのがなかなか難しいのは、例えば十日に一回だとか一週間に一回、ずっとやり続ければ、ずっとその危険性が排除できるんですが、それはさっきも言ったとおり、費用対効果の問題と検査のキャパシティーの問題があると思います。

 そこで、実は、症状が出た人は早目にお願いしますということを何度も何度も、これはもうずっと、八月、七月からですかね、お願いしているのはそこでありまして、誰も何もない中でやるというのは、いつやったらいいか、これはもう本当にわからないわけでありますから難しいんですが、何か味覚症状に異常を来した、ちょっと体調が悪くて倦怠感がある、これも初期症状ですから、そういう方々に関しては早くやっていただいて、もし陽性が出れば、もう全員、中におられる従事者の方々、また入所者の方々、全員検査をやる。これがもう一番、今の状況の中で、集団感染といいますかクラスターを起こさせないためには私は一番の方法だと思いますので、ですから、再度、症状のある方はもう徹底的にやってくださいということをお願いをさせていただいたということであります。

西村(智)委員 まあ、ここは知恵の出し方だと思うんですけれども、施設に例えば出入りしている、勤務している、そのことがやはり不安になるんですよね。仕事の上でも、それはいろいろな支障が出てくると思います。ですので、当然そのキャパの問題はあるとは思うんだけれども、そこは全国民にやってくれという話ではないので、優先順位をつけての話で、今、全体でPCR検査の対応可能件数もふやしてくださっていますよね。だから、そういう中で何らか工夫できるんじゃないかというふうに思いますので、ぜひここは考えていただきたい。何度も提案のあったところだと思います。

 それで、ちょっと具体的なことで確認なんですけれども、濃厚接触者の家族、これは行政検査の対象にはなりませんか。医療機関で例えば濃厚接触と判断された人の家族についてなんですけれども、何かこの点について厚労省から考え方を示すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これもまた委員からお叱りいただくかもわかりませんが、感染拡大している地域に関しては、これも私、七月だったですかね、まだ私は大臣じゃありませんでしたけれども、本部長で、同じような意識は共有させていただいていまして、その地域において感染拡大していれば、地域の住民も含めてそのエリアの方々は検査できる、行政検査できるという仕組みに一応なっております。そういう意味からすれば、そのエリアであれば、例えば、濃厚接触者の家族というような意味合いでなくて、濃厚接触者の家族もやれるということはあります。

 一方で、濃厚接触者の家族という定義でいけるかというと、これは、濃厚接触者、PCR検査をやっていただいて、今ならば多分一日ちょっとぐらいで結果が出ると思いますから、それで陽性ならば今度は陽性者の家族ですから、多分同居していれば濃厚接触者になりますので、その場合は検査に入るという形であるというのが今の現状であります。

西村(智)委員 それは、田村大臣も同じ問題意識を持っておられたということであれば、大臣になられたわけですから、ちょっと検討していただいた方が私はいいと思います。

 つまり、陽性になったら今度は濃厚接触者ということになるんでしょうけれども、その間やはりタイムラグはできるわけですよね。では、その間どうするのか、仕事に行くのか、学校に行くのか、あるいは休まなきゃいけないのか、どういう権限で誰が休ませるのかとか、いろいろな問題が付随して出てきちゃいますので、私は、ここはもう一回きちんと整理していただく必要はあると。お願いいたします、ぜひそこは。お願いいたします。

 それで、そういうふうにいろいろ見てくると、結局、何か検査体制というのはいろいろでこぼこが多いなというふうに私は思います。受けたい人が受けられないとか、医療機関に行っていろいろな対応をされるとか、いろいろな問題があって、やはりでこぼこがあると思うんですよ。

 日常生活や経済活動、社会経済活動を行う上で不安材料をなくしていけるように、まさに厚労省が司令塔、厚労省なのか、政府全体、内閣官房なのか、そこはあれですけれども、そこが司令塔になって、検査対象者を拡充して、検査体制を、何というのでしょうね、不安のある人をこぼさないような、何かそういう仕組みにしていく、そういうことが必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、もう一回お願いいたします。

田村国務大臣 難しいのは、例えばクラスターが出ていたら、クラスターの濃厚接触者の家族というと、これは膨大な数に多分なると思うんですよね。そこを、委員の言われる話だと、本人が望む場合はというイメージなのかなと。すると、それは、感染防止というよりかは、本人の意向をどうするかという話の中で、何か対応できることがあるのかという話なんだと思います。

 なかなか整理が難しい、委員も政府の中で高官をやられた御経験があると思いますので、そういう整理というものが非常に難しくて、万人とは言いませんけれども、同じように対応しなきゃいけないという行政の宿命がある中において、どういう方法があるのか、なかなか私も今即座に思いつくわけではありませんが、問題意識は私も共有している部分がございますので、どういう方法があるのか、ちょっと検討はいたしたいというふうに思います。

西村(智)委員 やはりエッセンシャルワーカー最優先だろうというふうには思います。ぜひ検討をお願いします。

 それで、一点確認です。

 例えば土曜の夜とか、夜間救急センターに行ったときに、実際にPCR検査を受けていないと診られませんよというふうに言われるケースがあるようなんです。感染疑いでPCR検査をしていないということで、ほかの病気の診断がおくれたりすることがないようにぜひしてほしい。

 自治体の対応状況についてはどういうふうになっているか、把握しておられますか。通告しているんですけれども。

田村国務大臣 委員からいただいているのは、感染疑いで他の病気と判断されて、おくれたりすることのないようにするための自治体の対応状況ということで御質問は御通告いただいておりますが、これは発熱があるということですよね。発熱があるということになると、多分、今、診療・検査医療機関という形になりますので、例えばかかりつけ医に御連絡いただいて対応するという話になると思います。それで、夜間という話ですが、一応、夜間対応も、各自治体に一定数の夜間対応の部分をつくってくださいというお願いをさせていただいておりまして、つくっていただいているはずでございます。

 ただ、それも含めて、委員が、本当にそうなっているのかというようなことでございますので、これは改めてどういう状況か、もしかして確認しているかもわかりませんが、私の方から担当の課の方にどういう状況か確認してまいりたいと思います。

西村(智)委員 できれば今答弁いただきたかったんですけれども、ぜひ、後日で結構ですので、お願いします。

 最後に、フリーランスの働き方について伺います。

 ことし七月に閣議決定された成長戦略実行計画で、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するために保護ルールの整備を行うということで、年末までにガイドライン案を取りまとめてパブコメを行うというふうに聞いております。

 まず、このガイドラインの位置づけ、どういう位置づけで、どういう内容となるのか、内閣官房に伺います。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 本年七月に閣議決定されました成長戦略実行計画におきまして、フリーランスとして安心して働いていただける環境を整備するため、政府として一体的に、実効性のあるガイドラインの策定や労災保険のさらなる活用等を進めることとしております。

 ガイドラインの内容でございますけれども、まず、発注事業者とフリーランスとの取引におきまして、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法の適用に関する考え方を整理し、ガイドライン等によって明確にするとともに、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上の雇用に該当する場合には労働関係法令が適用されることなど、こうした法令の適用関係を明らかにするとともに、独禁法、下請法、労働関係法令に基づく問題行為の具体的な事例も入れながらしっかりと明確化するということを想定しております。

 ガイドラインにつきましては、先ほどお話のありましたとおり、年内をめどに意見公募手続を開始することとしておりまして、フリーランスの方々に安心して働いていただける環境の整備を進めてまいりたいと思います。

西村(智)委員 雇用関係があればということなんですけれども、その点に関して申し上げると、一九八五年につくられた労働基準法研究会報告、この判断基準がずっと延々と残り続けているというふうに承知いたしております。

 しかし、これはもう策定されてから長い時間が経過しておりますし、この間、新しい働き方が拡大してきていて、裁判で争われてもなかなか雇用関係というふうには認められないというような事例が続いているようです。

 ですので、まずこの研究会報告の枠組みそのものを見直す必要があるんじゃないかと私は思います。時代に合わせて、雇用というあり方というか労働者性についての考え方を少し広げていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 労働者性というものは、使用されているという事実と賃金が支払われているかということがあるんだと思いますが、その中において、例えば、仕事、業務の指示でありますとか、仕事を依頼した場合、そういうものが諾否の自由があるのかだとか、あと、更に申し上げれば、指導監督みたいなものがかかっているのかどうなのかというところなんだと思います。

 裁判では、言われるとおり、見直しというような、そういうような判例が出ているわけではないので、そこの部分自体を変えるというのはなかなか難しい。これは多分、日本だけじゃなくて世界じゅう同じように今悩んでおられるところであって、今、内閣官房で申されたとおり、やはりそれは、例えば下請との関係でありますとか、それから独禁法等々、いろいろな関係があると思いますけれども、そういう問題の中でやっていく話に今のところ議論を整理をされておりますので、なかなか労働者性という、労働法制の中で見るという話になると、今言ったような部分のところがしっかり確認をされる。ただし、契約上の問題ではありません、実態としてちゃんと確認できれば、それは労働者として取り扱わせていただくという話になるということだと思います。

西村(智)委員 なので、私は、実態に合わせてよく判断をしていってもらいたいということを申し上げているんです。

 先ほど大臣がおっしゃった契約云々ということですと、結局、一九八五年、今から三十五年前ですか、それと同じ枠組みにしかならないんですよね。その間、いろいろな働き方が出ているし、かなり多様になっていると思います。一言で言うと、この研究会報告では対応できないようなケース、事例がたくさん出てきているという実態があります。

 ですので、パブコメでの意見の反映とか、実態をよく見るということとか、それから、この間JILPTが調査も行っていると聞いていますので、そういう結果も踏まえて、広げる方向で検討していってもらいたいというふうに思います。

 これが一つと、それから、仮にこのガイドライン、今後手続を経て改定されたとしても、先ほど内閣官房からもあった独禁法や下請法、それから、私が今大臣とやりとりしている労働者性、いずれについても、やはりフリーランスの人たちを守るためにはまだまだ十分じゃないところがある、出てくるんじゃないかというふうに思います。残る課題はあるというふうに考えるんですけれども、内閣官房と厚労省の認識はそれぞれいかがでしょうか。

 また、新しいガイドラインをつくったとき、あるいは、内閣官房で独禁法や下請法による執行の強化を行った後で、更に審議会などで議論して、具体的な法改正を行う必要があるというふうに考えるんですけれども、厚労省と内閣官房、それぞれに伺います。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 先ほど申し上げたとおり、基本的に、労働法制で対応しようと思うと、実態が労働者であるということ、これが重要でありまして、逆に言うと、今あるいろいろな多様な働き方でも、実態がそうであれば、それは労働者としてみなすわけでありまして、労働法制で対応をしっかりさせていただくということになろうと思います。

 あわせて、先ほど来、下請法でありますとか独禁法、ここはガイドライン等々を踏まえた上で、関係府省と協力をしながらしっかり対応してまいりたいと思います。

和田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 御指摘ありましたとおり、しっかりとまずは法執行ができるように体制を強化させていただきたいと思います。

 あわせまして、下請法の一千万円要件、こういったものを、もうちょっとバーを下げるですとか、また、労災の特別加入を認めるようにする等々の立法的な課題の解決等々も含めて頑張ってまいりたいと思います。

西村(智)委員 やはり圧倒的な力関係の差があるということをぜひ御理解いただいた上で、引き続きお願いします。

 終わります。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁です。

 新型コロナウイルス感染症関連について質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど来、他の委員からも指摘がございますように、昨日は、全国で新規陽性者二千五百四人、神奈川、三重、兵庫では、一日の感染、陽性者、確認が過去最多を更新をしています。もちろん、検査数のこともありますので、数だけで評価できないということは承知をしている一方で、重症者の数、二十六日時点で、前日比で三十四人の増加、四百十人という状況、初めて四百人台に達したと。

 東京、大阪を中心に、医療提供体制が崩壊の危機にある、このように日本医師会の会長、そして私も、不肖ですが、医療関係者として、もちろん地域差はあります、地域差があることは承知しておりますが、やはり、東京、大阪、現場の医師、また、後ほど話をしますが、介護現場、使命感だけではもう限界だと、悲鳴ともとれるような発言というか、そういう状況にあるということです。

 これは二週間前、ちょうど二週間前の金曜日も、私、質疑に立たせていただいたわけですが、重症者に関してはタイムラグが発生すると。今現在も感染拡大が続いておる、そして現在も重症者の数がこれだけ急激にふえておるということを考えると、タイムラグを考えて、この一、二週間後に更に逼迫する状況になる、そういうおそれが非常に高いんじゃないかと。

 そういう状況の中で、二週間前もそうですが、田村大臣は、厚生労働大臣という立場、また新型コロナ対策本部の副本部長という立場でございます。GoToトラベルのあり方についても、総理はきのうの、西村委員からも先ほどありましたけれども、やはり、先ほど、分科会で私からも提言をしているという話がありましたが、何か遠慮しているような印象を受けます。国民の命と今の医療、介護現場を守る、その先頭でリーダーシップをとってもらう立場でありますので、ぜひそこはお願いを改めてしたいと思います。

 きょうは、新型コロナウイルス感染症関連、現在の状況が、先ほど来話をしておりますが、大変危機的だという状況、これもまた長期にわたって国民の不安も強い、更に今後が大変気になるということで、大変お忙しいとは思い、恐縮でありますが、尾身先生、また脇田所長にもお越しをいただいておりますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

 まず、尾身理事長にお尋ねをしたいと思いますが、一昨日、新型コロナウイルス対策分科会が開かれまして、ステージ3相当地域との往来を今後三週間控えるように求める提言をまとめられ、また、アルコールを提供する飲食店の時短営業要請の検討、GoToトラベルで、感染が拡大している地域からの出発分に関しても一時停止の検討を要請をされました。感染爆発の危険に、政府の対応に改めて危機感を示した内容と私は受けとめております。

 尾身先生は、先ほども二週間前という話をされましたが、二週間前にも緊急提言をされて、今が重要な局面、そして食いとめる最後のチャンスと、最大級の危機感を二週間前にはもう既にお示しをしていた。この重要な局面、最後のチャンスとされてから、ちょうどもう二週間がたつわけでありますが、この二週間が経過、その最大級の危機感を示されてから二週間、今現在、どのような現状、局面なのか、尾身先生の御見解を改めてお伺いをしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 私たちは今、どういうふうに状況を分析しているかというと、こういうことだと思います。

 実は、日本の多くの人々の協力があって、例えば三密を避けるだとか五つの場面を避けてくださいということに多くの人が私は協力をしていただいた、そのことによってここまで来たということだと思います。

 しかし、このウイルスの、これは誰の責任というよりも、ウイルスの性格上、もう先生も御承知のように、特に二十代、三十代、四十代という人たちは感染しても無症状あるいは軽症で、その人たちが、全く本人も自覚がないし、意図的なんということは全くないわけですけれども、症状がない。活動が活発な世代ですので、そういう人たちの中で一部の人が五つの場面というようなところに遭遇して、それが感染拡大の重要なドライビングフォース、一つのですね、それだけではない、ということが私はあったと思っています。

 したがって、今までは、いろいろな多くの人が、メッセージを出して、協力をしていただいた。個人の努力ですよね。これは十分やっていただいたんだけれども、ここまで来ると、その個人の努力だけで、今の感染が拡大している状況をある程度鎮静化するということはなかなか難しいので、私どもは、いわゆるそこの五つの場面の中で最も重要な、飲食、お酒なんかをめぐる五つの場面ということをなるべく避けたいためには、個人の努力に加えて、やはりそういう店の営業時間の短縮、あるいは感染の拡大している地域とそうでない地域の行き来を少し控えてくれるということが、もうここに来ると必須だというふうに。

 今の現状は、実は医療の方は、ステージ2のようなときには、少し負荷がかかっているということですけれども、今は医療体制が厳しい状況ということは、これはアドバイザリーボードでも言われているし、今問題なのは、医療、まあ、崩壊とか、いろいろそういう言葉が使われております。実は、問題の核心は、一般の医療ですね。コロナじゃなくて、一般の医療との両立が難しくなっているということ。

 そういう状況がありますので、先ほど冒頭に言ったようなことで、これは、人々の個人の努力だけに頼るステージはもう過ぎたということだと私は認識しております。

中島委員 今の尾身先生の、二週間前にもこのことはおっしゃられていたわけですね。このままいくと、国民の努力、個人の努力ではコントロールが難しくなると。私、最後のチャンス、また重要な局面以上に、この言葉は非常に印象的かつ重要な御発言だなと。

 そして、きょうも、今、尾身先生の方から、もちろん、この新型コロナウイルス感染症、無症状者が多いという状況の中で、これまで国民の協力を得てきた、しかし、個人の努力ではこのままではという、そして、飲食を含めて更に踏み込んだ施策が必要と。

 二週間前に最後のチャンスとおっしゃっていたわけですが、その対策は現在進行形で、最後のチャンスをまだ逸していないという状況と今のお話を聞いていて思いますが、ただ、感染抑止には国民個人の努力ではどうにもならない状況というのが、具体的に、国民にとって、今現在も、私の地元、山梨県の韮崎というところでありますけれども、今週、やはり、介護施設、通所施設でありますが、クラスターが発生しました。実は私、よく知っている施設でございまして、私も、私なりに感染対策、アドバイスをしておりました。しかし、残念ながらクラスターが発生した。

 その施設は、具体的に言えば、窓は常時あけております。換気をずっとしておる。さらには、食事などで使う机には高さ六十センチのアクリル板を設置して、食事の際の飛沫対策。さらに、利用者が洗った手を拭うタオルも一回一回かえる。さまざまな、少しやり過ぎなんじゃないかというぐらいの感染防護対策をしていたにもかかわらず、人手不足です、人手不足の中、十分健康管理を把握した上でボランティアに来ていただいた、その御家族が感染が確認をされた。その御家族も無症状だった。そのボランティアに来られた方も無症状だったけれども、検査をしたら陽性だった。それで、念のため介護施設の利用者また職員の検査をしたら、職員十三人中三人、そして利用者二十五人中五人の感染が確認された。ほとんどの、その方、御高齢の方が五人いるんですが、幸いなことに軽症若しくは無症状ということなんですが、施設の施設長さんは、一体これからどうすればいいんだ、県、国の方針に従って感染対策、そして私もアドバイスをして、感染対策をしていたにもかかわらず、クラスターが発生してしまったと。

 まさに尾身先生がおっしゃった、こういう事例はもう国民一人一人の努力ではなかなか抑止できない、こういう状況にあるのではないかと思います。

 そういった意味で、言うまでもなく、先ほど来、GoToトラベルキャンペーン始め、今政府がこだわっていると言ったらいいでしょうか、そういう状況を、この感染抑止のためには、国民の移動と会食、接触の総量抑制が最大の私は対策だと。もちろん、GoToトラベルキャンペーン始め、経済を回すということは大事ですが、医療崩壊を来したり、国民の命が危険にさらされるようなこういう状況の中では、回しても全く経済政策に至らない、こういうふうに私は思うわけであります。

 改めて、尾身先生には、今の最後の局面、最後のチャンス、現在進行形だというふうに受けとめますが、国民の移動と会食、接触の総量抑制、これが不可欠だと私は思うわけですが、御見解をいただければと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 私は、今の局面で最も求められていることは、感染が急速に一部の地域で拡大しているわけですよね。これを早く、この拡大のところを、急に下げることはできないかもしれないけれども、少なくともこのスピードを少し下の方にやるということが今一番大事だと思います。

 そのためには、これは、先ほどの、営業時間短縮だとか、感染拡大している地域とそれ以外の人の動きをなるべく控えてくれという強いメッセージと強いそういう方針を国及び地方自治体が出す。今、少しずつそういう動きが各地方自治体で出ていることは、私は評価をしたいと思います。

 と同時に、国民の方も、全ての国民が同じ危機感を共有することが重要で、これは、国民だけ、あるいは国だけ、地方自治体だけということじゃなくて、みんなが、その三者が同じある一定の方向を向いてやることがこの三週間に求められる。ぜひこれは、みんなが当事者意識を持って危機感を共有することが今極めて重要だと思っています。

中島委員 そうだと思います。国、地方自治体の強い意思表示というか、それに、国民の引き続きの協力。

 ただ、私、先日、こう尋ねられました。今感染が拡大しているんだよな、感染防護はしなきゃいかぬ、でも、一方で、政府のGoToトラベルキャンペーン、イートキャンペーンは続いておるということは、まだ大丈夫なんだよねと。そういう印象を持たれている方、これは当然だと思うんですよ。

 尾身先生始め、最後の局面と言っている一方で、人の移動、飲食、これを政府が進める、これは車の両輪といいますが、今そういう局面ではない。今尾身先生がおっしゃったように、国民、各自治体そして国が一つになって取り組む時期に、よく言われますが、アクセルとブレーキを両方踏んで、国民の緊張感を十分に、今尾身先生がおっしゃったように、保てるとは私は到底思えないんですが。

 尾身先生、いかがでしょうか。

尾身参考人 私は、今感染を、拡大局面に来ていますよね、これを下方方向に行くためには、国民一人一人の行動、結局は、最終的には行動に還元するわけですよね。そういう意味では、先生の御質問のGoToについては、私ども分科会でもはっきり言いましたけれども、GoToトラベル自体が今の感染拡大の主たる原因になっているという、そういう評価はなかなか、そういうことではないと思っています。

 しかし、GoToトラベルについて国に検討していただきたいと言った趣旨は、このGoToトラベルを出すことのメッセージというものが国民の意識に影響するのではないかということで、なかなか、事務的な作業等、難しいというのも我々は十分知っていますけれども、今は、最終的には一の方向に向かなければいけないので、そういうことも検討していただけると、国民も含めて同じような方向に向くのではないかということで検討をお願いしているということでございます。

中島委員 私もまさにそう思います。

 GoToを、経済を回していくということの重要性を強調して、ある意味、総理もこだわりがあるのかもしれませんが、これは国民に誤ったメッセージを与えてしまっている可能性がある。私、本質的にはそこが一番大事な部分じゃないかと思うんです。

 二週間前にも、私、ちょっと緊張感、足りないんじゃないでしょうかと。その後、三連休前、日本医師会の中川会長も、この三連休、十分気をつけてほしいと。一方で、私も地元にいましたけれども、もう中央自動車道、五十キロの大渋滞ですよ。

 この先週末を踏まえてこれから三週間を重点的に取り組むと言いますが、やはり、国民の多くが、本当に、政府、また尾身先生が最大級の危機感を示したことと一体的になり得ているかということは、私は、大変、今の政府のGoToトラベル、イート始めそういう方針を崩さないということは、本当にメッセージとして誤ったメッセージを伝える可能性が私はあると思います。

 次の質問に入りますけれども、一日の陽性者、最多を更新している状況が続いておるわけですが、これから季節は十一月から十二月、本格的な冬を迎えます。低温、乾燥、換気しづらい状況ということでありますが、新型コロナウイルス感染症、これはいろいろ報告また調査結果、出ておるんですが、これも尾身先生にお尋ねをしたいと思います。

 コロナウイルス、さまざまな種類ありますが、この新型コロナウイルス感染症、低温、乾燥という条件で感染力が高まる、いわゆる冬型感染症と言っていいんでしょうか。その後、今後ですね、今の感染経路、飛沫、接触、いわゆるマイクロ飛沫と言われておりますが、この乾燥した条件のもとで、接触感染のリスク、どの程度高まると考えられますでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 呼吸器感染というのは、先生も御承知のように、一般に、乾燥だとか温度が低くなると感染しやすいということで、それは一般論でそうで、今回の感染の拡大が気温だけで一定こういうことになっているということではなくて、ほかのさまざまな、先ほど、人の動きだとか、そういうことが関係していると私は思います。ただ、気温のこととかいうのは、感染の拡大の一つそれを助長される要素であることは、多分そういう可能性は否定できないと思います。

 したがって、特に、なぜ冬という、今回の北海道なんかも、やはり冬になるとどうしても室内にいる時間が長くなりますよね。そうすると三密の機会がふえるということで、冬になれば今まで以上に危機感を持って対処していくことが重要だと思っています。

中島委員 北京大のグループの調査結果は、温度が一度上がると感染者は三・〇八%減って、湿度が一%上がると感染者は〇・八五%減っていた、こういうことを公表しています。

 ただ、今、尾身先生もおっしゃったように、私も一応臨床医という立場で、呼吸器系に悪影響を及ぼすウイルス、これは季節との連動性は間違いなくあると思います。冬の乾燥した寒い気候によってウイルスの安定性と伝播力を高めると同時に、さらに、冬場、人の免疫系が弱まるということからすると、資料の一枚目、これはもう先生方には釈迦に説法でありますが、コロナウイルスは、現在六種類、新型コロナウイルスを入れて七種類確認をされておる。そして、左側の風邪と書いてある一から四番目、これは風邪症候群をうつすウイルスでありますけれども、これは上気道、鼻腔また咽頭粘膜に付着をして風邪症候群を起こす。一方で、肺炎の一、二の方、SARS、MERS、これは肺門に付着して重篤な呼吸不全を引き起こす。

 そして今回の新型コロナウイルスは、先ほど、無症状の方また軽症者が多いということを鑑みると、これは、上気道にも感染しながら、SARS、MERSのような肺門にも感染していく。

 ここが非常に悩ましいところだということなんですが、臨床的にいくと、このヒトコロナウイルス、確認されているウイルス自体も、通年性ですよね、通年性であることは間違いないんですが、やはり呼吸器系に合併症、若しくは悪化していく経緯は、これは間違いなく冬場に感染拡大が起こる、これは間違いない私は事実だというふうに思います。

 これは通告していないんですが、脇田先生は、感染症の分野からいって、今の私の指摘にはどのようにお考えでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスも、同じコロナウイルス感染症の一つとして、委員が御指摘のとおり、四種類の風邪のウイルス、そして、この新型コロナを含めて三種類の肺炎のウイルスというものがございます。肺炎のウイルスは、SARS、MERSといったところ、こちらは季節性が、流行がSARSの方は終息しております、MERSは中近東ということで、余り季節性がよくわからないということはあります。

 ただ、今回の新型コロナウイルス感染症は、南半球でも北半球でも、夏でも冬でも流行がある。ただし、やはり冬はその流行が拡大しやすいような傾向に今のところあるというふうに見ております。

中島委員 ありがとうございます。

 やはり、冬場に感染拡大、また感染力も強まる傾向と言えるという脇田先生からの御答弁だったというふうに思います。

 そういう状況は、実は、この新型コロナの経緯の中で、いわゆる第一波と呼ばれた三月、四月、そして、第二波と言われた七月。私、三月、四月のときに、大変今でもショッキングだなと思ったのは、例えば、フルPPEでなくても一定程度感染防護をして、当時はまだガウンテクニックの徹底がされていなかった部分もあるかとは思いますが、着脱した防護品から接触感染をした、若しくは、院内感染の例においては、パソコンのキーボードから接触感染をしたと。本来、ちょっとあり得ないなというような状況で感染が広がった。

 これはやはり、接触感染、もちろんエアロゾル、エアロゾルとは言わないのかわかりませんが、部分もですが、この冬場に、またあの三月、四月のときのような、先ほど介護施設の例を言いましたが、目に見えないウイルス、徹底的に予防していても無意識にさわってしまう、こういったことからいう感染経路が、この冬に向かって更にまた同じような状況に陥ってくるのではないかと私は思うんですが、尾身先生、いかがでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおり、これは接触感染という伝播の方式も、それからマイクロ飛沫というのもあり、両方この冬には気をつける。接触感染だけ、あるいはマイクロ飛沫だけということではなくて、両方の感染、伝播ということで広がっていることはわかっておりますので、両方十分気をつける必要があると思います。

中島委員 もう一点、尾身先生にお尋ねしますが、西村大臣が先週、今後の感染状況は神のみぞ知ると発言をされました。一昨日の参議院予算委員会では、この発言は分科会の尾身先生の発言を引用したと。ちょっと言いわけがましいなというふうに思うわけですが。

 確認ですが、尾身先生がおっしゃられたことなのか、そうであるのならば、その真意をお尋ねしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 実は、国の大臣、西村大臣を始め田村大臣とはしょっちゅうお話をしています。西村大臣ともほぼ毎日、この何カ月、話しておりまして、そのときに、私はこういう文脈で申し上げて、大臣もそういうことで理解していただいたと思いますけれども、結局ポイントは、我々は、この感染の状況を評価するために、いろいろな指標を使っているわけですよね。感染者の数、きょうの何人、それと同時に、感染のスピードのぐあいをやっている。それから、もちろん死亡者の数、PCRの陽性率、リンクの追えない人、実効再生産数、それから、最近は「富岳」なんていうコンピューター、あるいは数理等、こういう多角的な方法を使って、今感染が、実際に何が本当に起きているのかということを知りたい。

 実は、その一〇〇%を知ることは、データも限りがあるし、全ての行動を我々は知っていない。そのことを知っているのは、私は比喩的に、神のみぞ知るということで、我々の努力、政府の努力、自治体の努力、医療関係者、保健所の努力は、その神のみぞ知っているものになるべく近く行くために、いろいろなデータを分析を駆使していく。それで、実際は神のみぞ知るんだけれども、そこになるべく近づくように、いろいろなデータを総合的に毎日のように分析することが大事、そういう文脈で申し上げたという意味で、私が申し上げましたけれども、そういう意味で申し上げたことであります。

中島委員 尾身先生からそういうふうに御説明されれば理解できるわけです。しかし、そういう言葉を、担当大臣が軽はずみにそういう言い方をする。先ほどのGoToキャンペーンの誤ったメッセージじゃないですけれども、大変国民には、私は大変不快に感じました、西村大臣がああいう発言をされたことに対しては。きょう、尾身先生から、しかも、一昨日、あれは尾身先生が言ったことだと、大変何か言いわけがましい、見苦しい発言だったので、きょう、真意をちょっと御確認いたしました。いわゆる、さまざまな多角的な方法で評価をしていくんだけれども、そこには不確定な部分もある、そういう趣旨だったというふうに思いますが。

 先ほどの、この第一波、第二波と、第一波はその後初夏に向かう、そして第二波は御承知のとおり八月の猛暑、しかし今のこの現状は、これから十二月、一月、二月と、先ほど私、新型コロナウイルス感染症が冬型かどうかということを確認をいたしましたが、非常にそういう期間が長く来る。言うなれば、言い方が正しいかわかりませんが、これからが本番だと。

 新型コロナウイルス感染症、もちろん、これまでの対策で、国民の協力もあって、でも、不確定ないわゆる気候については、第一波、第二波は初夏又は猛暑、しかし、これから先、より気温は下がり、また乾燥も強くなる。もちろん、公衆衛生上の取組が大事だということはわかりますが、この気候だけは不確定要素。でも、恐らく低温、乾燥した時期になると。

 そういったことから考えると、今の現状というのは、これから迎える、もしかしたら本番かもしれない。しかし、これまで培った経験値を国民そして国、各自治体と共有して、この本番の被害を最小限に食いとめる、こういう認識が私は正確なのではないかというふうに思うんですが、尾身先生の御見解を伺いたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 私は、今我々はこの半年以上多くのことを学んできたと思うんですよね。経験してきた。だけれども、二つだけまだ未知の領域なんですよね。その一つが、実は冬を経験していないということです。それからもう一つは、きょうの議題ではありませんが、ワクチンがまだ。この二つが私は未知の領域で、今そこを経験、これから始めるということで。

 そういう意味では、今、ここ最近の、我々も提言している三週間というのは、実は、この初めての冬を経験するということも含めて、その危機感が非常に重要だということで、その中でも、国民一人一人の努力と同時に、先ほども、何度も言って恐縮ですけれども、一番重要だと私たちが思っているのは、やはり飲食店の事業時間の短縮と、それから県を、感染の拡大している地域とそうでない地域、なるべく移動を、このことが、国民の人々の努力に加えて、極めて重要な時期に今まで以上に差しかかっていると思っております。

中島委員 我が国がまだ、世界各国ですね、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きて、北半球において初めて迎える冬と、大変危機感を持って政府も、そして各自治体も、国民にもこのことを共有しなければいけないと、改めて尾身先生のお話を聞いていて感じさせられました。

 尾身先生には、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。どうぞ御退席ください。

 続いて、きょうは国立感染研の脇田先生にもお越しいただいておりますので、基本的なことかもしれませんが、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど、新型コロナウイルス感染症は冬型感染症というふうにお話がありました。季節性のインフルエンザ、さらにはRSウイルス感染症やノロウイルスも含めてですが、その他の感染症、いわゆる冬型と呼ばれている感染症はほとんど流行していない。もちろん、コロナの影響で感染対策をしている結果というふうにも言えると思いますが、その他に何か要因があるのか。

 加えて、ちょっと時間がないので確認いたしたいんですが、現在、欧州また北米でも感染拡大が起きていますが、これも確認ですが、今欧米で流行しているコロナの遺伝子型と現在日本で拡大傾向の新型コロナウイルス遺伝子型、同じものなのか違うものなのか、一緒にお答えいただければと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 最初の質問の冬型の感染症ですけれども、国立感染症研究所の週報として、さまざまな感染症のデータを毎週公表しています。それを見ますと、コロナだけでなくて、クラミジア肺炎であったりRSであったり、今のところ全く流行がないということは明らかであります。新型コロナウイルス感染症の対策が、十分にほかの感染症にも効果があるということは明らかだと思っています。

 ただ、それだけではなくて、季節性インフルエンザにつきましては、通常、南半球と北半球を毎年循環をして流行が起こるということで、南半球でもほとんど流行がないということに加えて、人の動きがないということがその要因というふうに考えています。

 それから、二つ目のゲノムの方ですけれども、この新型コロナウイルス、まだ発生してから約十カ月といいますか十一カ月といいますか、非常にまだ短いわけですね。

 発生した起源は中国であることは明らかで、それが当初日本にも流入してきまして、今、その中国から入ったものはほとんど、ほとんどというか全く日本では見られません。そのときにヨーロッパに入ったものが、三月にヨーロッパから日本に戻ってきた、それがもとになって現在の流行の拡大、それは日本で流行しているもののもとであります。ヨーロッパでは、現在、そのヨーロッパの株をもとにして広がっているということですから、もとは同じものですけれども、区別ができます。

 ウイルス学的に言うと、遺伝子型が違うとは言いません。系統が違うというふうに言っております。変異を見ますとまだ〇・一%以下の差であって、遺伝子型が違うという言い方はウイルス学的には言わないということですけれども、我々、親子関係、ウイルスの親子関係を全部見ていきますと、そこの区別はできるということでございます。

中島委員 資料の二枚目は、十一月十一日のときの内閣委員会、我が党の後藤委員の質問で、今、ヨーロッパ、アメリカで感染が拡大しているコロナと我が国の拡大しているコロナは違うものかどうかという質問に対して、これは西村大臣、「欧米から来る方、あるいはアジアから来る方、いろいろな方がおられますけれども、その方々のウイルスと日本で広がっているウイルスは今の時点では違うものというふうに報告を受けております。」というこの言い回しなんですが、これもやはり誤解を与えるんじゃないか。

 今先生がおっしゃったように、これまでの経緯の中で、コロナウイルスは変異しやすい、二週間に一回は変異していくとも言われているウイルス。先週まで審議されたいわゆる予防接種法、日本が契約を進めている欧米三社、今、三相試験は欧米で行われているわけです。その欧米ではやっているウイルスと我が国のウイルス、型が違うということであれば、では、契約して、ファイザーなりモデルナなり、ワクチンが我が国では効果がないんじゃないか、こういう懸念を持たせてしまうと思うんです。

 確認ですが、現在のところでは、厳密に言えばゲノムは若干変異してきているけれども、遺伝子型が違うとまでは言えないという理解でよろしいでしょうか。

脇田政府参考人 ウイルスの変異によってワクチンが効かなくなるんではないかということは非常に重要な問題だと思うんですね。

 現在のワクチンというのは、中国で最初流行した株をもとにつくられています。ですから、今ヨーロッパで流行しているヨーロッパ型、それから日本で流行しているものというのは、多少変異はありますけれども、ほとんど差がないとウイルス学的には考えられます。

 それで、一番重要なことは、今現在開発されているワクチンというのは、ウイルスが細胞の表面に取りつくところをブロックするといいますか、そういった抗体を誘導する、免疫反応で誘導するということになります。そこの、ウイルスが細胞にくっつく、一番肝の部分ですので、そこが変異してしまうとウイルスの感染力がなくなってしまうということもありますので、比較的変異が起こりにくい部分とも考えられます。

 いずれにしても、そこの部分の変異がワクチンの効果に非常に重要ですので、そこの部分は十分に注意して見ていくということが必要と考えています。

中島委員 もう時間がありませんので、あわせて質問させていただきたいと思います。

 先ほども今も御答弁いただいたように、新型コロナウイルス、RNAウイルスということで変異しやすいという状況の中で、これも諸説いろいろ報告されていて、人から人への感染を繰り返して変異することで強毒化すると言われることもあれば、逆に弱毒化するんじゃないか、こういう報告もあるんですが、この辺について、今わかっている段階での御説明をいただきたい。

 もう一点、資料の三枚目、これは「コロナ ミンクから変異」という見出しの新聞記事です。デンマークで飼育するミンクから変異した新型コロナウイルスが確認され、この感染は二百カ所以上の農場で確認をされ、ワクチンが効かないおそれのある変異型ウイルスが五カ所で見つかり、人への感染も確認されたと。私、この記事を見たとき、大変不気味で、今後十分注意しなきゃいけないと。

 人から人への感染、それでも変異をしていく。この飼育されているミンクを介して変異した新型コロナウイルス、これは人への感染も確認されておるということですが、これはどういう意味を持つのか。そして、これはデンマークで殺処分されたということですが、今後、我が国においても、また世界各国で、この記事、ミンクを介して変異をしたということが持つ意味というものについて、脇田先生の見解をお伺いしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 現在のウイルスが変異がある、それで、その変異によってウイルス自体が弱毒化しているのか、強毒化しているのかという明確な今現在データがないわけですね。それはもちろん世界じゅうの研究者が注目して調べているところですけれども、今現在のウイルス株によって、弱毒化したり強毒化したりという情報は得られていません。

 変異はランダムに起きるということですし、現在、今共通して起きている唯一の変異はD614Gというところですけれども、これは感染性を若干上げるということは言われていますが、病原性には変化がないということでありますので、今のところそういったことはわかっていませんが、今後も注意していく必要がありますし、研究が進められるというふうに思っています。

 それから、人獣共通感染症、もともとこの感染症は。宿主をジャンプすると言いますけれども、宿主を越えるとやはり病原性がかなり変わるということはあります。ですので、今回、ミンクの方に感染をするということになりますと、やはり病原性が変わるという可能性ももちろんあります。

 ですから、なるべくそういった、動物に感染して、そこで蔓延をして、また人に戻ってくるというようなことは避ける必要があると思いますし、ミンクにおいてどのような変化があるのかということは、今またこれも研究者が研究を行っている途中でありますので、まだはっきりとした情報はありませんが、注意をして見ていく必要があるというふうに思います。

 いずれにしても、異なる宿主への感染というのはウイルスの性質を変える可能性があるということは考えております。

中島委員 ありがとうございました。

 もう一点だけ脇田先生に、資料の四枚目、これは予防接種法改正案の参考人質疑で、大阪大学免疫フロンティアセンターの宮坂名誉教授に御出席をいただいてお話をいただいたときの資料でございますが、人工モノクローナル抗体、この可能性について。これは、トランプ大統領で有名になりました、三日間で退院をしたということでありますが。

 時間がないので、もう御承知だと思うので説明いたしませんが、これはもう従来からリウマチの治療でも行われていて、安全性もある程度確保されておる。そして、先ほど来言っているように、ウイルスの変異から、やはりワクチンの効果も、有効性についても不確定という状況の中で、この人工モノクローナル抗体の可能性、私は非常に注目すべきところだなと思うわけですが、脇田先生の御見解をお伺いしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 人工モノクローナル抗体ですけれども、既にさまざまながんの治療等にこのモノクローナル抗体が使われていて、医療における有用性というのは証明をされているというところだと思います。

 お尋ねがありました、例えばリウマチに使われている抗IL6抗体、これも重症化予防として、今現在、臨床的な研究がされているというふうに承知しておりますし、ただ、資料でお示しになられました、いわゆる回復者血漿からつくった人工モノクローナル抗体がどの程度の効果があるのか、これについても今研究中だと承知しておりまして、十分な情報はありませんが、いずれにしても、そちらの場合は感染をとめるもので、抗IL6抗体等のものは重症化を抑えるものとして、いずれにしても、どちらも効果があれば使用には非常に有用だと考えます。

 以上です。

中島委員 治療薬として、これは海外ではもう臨床研究が始まって、治験にもなっておりますし、これをうまく利用すると、いわゆる免疫パスポートとしても利用できるということで、ワクチンの可能性がまだ不確定という段階で、ぜひこの治療方法についても注目をしていただければと思います。

 時間ですから終わりますが、大臣には、検査・医療提供体制、この件について質問をしたいと思っていたんですが、来週に回させていただきたいと思います。御用意していただいたのに、大変申しわけございません。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、きょう冒頭、拡大しておりますコロナ感染症について、とりわけ、前回も質疑させていただきました札幌市での、あるいは北海道での対応を中心にお伺いをいたします。

 前回も指摘させていただきましたが、感染拡大とともに、医療や介護施設でのクラスターの発生、複数の感染者の発生が医療や介護を逼迫させて、感染による、一番の最後のとりでというところが守られなくなるのではないかという問題意識からの質問でございます。

 冒頭、お手元にお示しいたしました資料は、実は、新型コロナウイルス感染症対策推進本部にお願いいたしまして、クルーズ船以降、一体、報道されたクラスターの数は幾つあるんですかということで、お調べをいただきました。二人以上で集計してくださいまして、二千三百九十件だそうでありまして、その内訳のところを見ていただきますと、医療施設が三百八十六、福祉施設が四百五十二。三分の一以上は医療福祉施設であるということで、ここは、そこで発するクラスターが、次に患者さんを病院自身が受け入れられなくなるという、その次のところにつながる重要な問題かと思います。

 さて、十一月になりましてから、札幌市ではどのくらいのクラスターの数の発生がございますでしょうか。担当者でお願いします。

正林政府参考人 お答えします。

 お配りされたこの資料と同様に、実際のプレスリリース等をもとに、同一の場で二名以上の感染者が出たと報道されている、その事案の件数を集計しています。

 昨日、十一月二十六日時点で、十一月中に北海道で新たに発生したと報道されている集団感染の事案の件数は七十六件、うち、札幌市で発生したと報道されている事案の件数は四十五件でございます。

阿部委員 今御紹介いただきましたように、札幌がとりわけ多い。このごろは旭川市等々でも病院のクラスターの報告がございますので、札幌のみではございませんが。

 このうち、医療介護施設が幾つありますかというのはわかりますか。お願いします。

正林政府参考人 お答えします。

 先ほど、北海道七十六件と申し上げましたが、そのうち医療機関は十六件、それから福祉施設は十六件、うち高齢者福祉施設は十四件になっています。それから、札幌市、四十五件と先ほど申し上げましたが、そのうち医療機関は十件、福祉施設も十件、その十件のうち高齢者福祉施設は九件となっております。

阿部委員 よくお調べいただいて、ありがとうございます。

 四十五件のうち半数以上は医療や介護施設であるという実態がございますし、全北海道的に見ましても、やはり三分の一くらいがそうであると。やはり深刻な実態なんだと思います。

 そういうことにのっとって、先回の御質問は、医療や介護施設で、いわば予防的に、クラスターになる前に検査をしていくべきだと。クラスターになってからでは本当に大変なので、これについて田村大臣にもお尋ねをいたしました。

 二十日の日にも通達を出していただきまして、それはお手元にございますように、この通達によりまして、医療や介護施設の皆さんを、五人以上のクラスターのある地域においては、重症者リスクが多数いる場所、集団の高齢者施設、医療機関等では優先して検査を実施をしなさいというふうには書かれておるのですが、はてさて実際にその札幌市内の機関がやれているかどうかというところ、きのうも担当の方にお伺いいたしましたが、なかなか今現場も大変で、そこまで調べがつかないということで、私は、やはり実際はどうかということも重ねて申し上げたいと思います。

 十九日にも通達が出て、医療や介護施設の団体に窓口をつくって、検査が必要な場合の相談はどうするか等々が図られるようですが、しかし、その検査先というのは自治体に相談しなさいとなっていて、そうすると、やはり保健所、そして衛生研究所、いつも目詰まりになっているところにまた、そういう要望が上がっていってしまいます。

 この点について大臣にぜひきょうはお伺いをしたいのですが、私は前回も指摘しましたが、通達を出してもやれない要因をもう少しお調べいただかないと、本当に、出していただいているんですけれども、はてさてどうかということであります。

 保健師さんの応援もしていただいていますが、彼女たちは積極的疫学調査であって、検査のサポートはなかなか手が回りません。

 沖縄の事例だと、防衛省・自衛隊と連携して、これは看護師さんの派遣ですけれども、行うとか、もしも保健所で検査体制を受けるのであれば何らかのサポートが必要であるし、また、そうでなくて民間の検査機関にお願いするのであれば、それのスムーズ化を図らないと、とにかく早くやらないとみんな倒れてしまう、その危機感を私は強く持っておりますが、大臣はどんな、これから保健所だけに頼らずに、介護福祉施設、病院等の職員の予防的検査をどうするかということで、お考えをお願いいたします。

田村国務大臣 幾つかに分かれるわけで、感染者が出た施設に関しては、これはやはり積極的疫学調査をどこまでやるかというのは、感染拡大地域においていろいろな状況がありますから、優先順位という形で、きょう午前中、午前中というか朝も答弁させていただきましたけれども、言うなれば、例えば今まで十四日、発症してから十四日前まで調べていたのが、優先的に七日までにするだとか、それから、非常に重症化のしやすいような方が多い場所等々、いろいろな優先順位を入れたわけです。

 そうはそうとして、やはりこれは、誰か発症した場合、全員やる場合にはどうしても保健所が中心にやっていただくという話になってくると思います。それは、いろいろなつながりも調べていく中においての、付随的に一緒にやっていくという話になりますから。

 委員のおっしゃられたのは、そうじゃない、例えば感染地域で、保健所は主体的にこの地域をやりましょうと。これも、基本的には保健所が差配されて、どういうオペレーションになるか、それは保健所の方がとる場合もあれば、医療機関に依頼される場合もあると思いますし、民間の検査をするところにお願いをする場合もあると思います。それぞれだと思いますので、それはそれぞれ、保健所のオペレーションの中で考えていただくという話になると思います。

 今言われた、例えばクラスターが、五人以上が二つ以上起こったようなところで、これは優先的に、そういう感染者とかかわりのあるような介護施設は、無症状者も含めて、これは優先順位高目でやってくださいというところなので、ここに関してどうしていくかというのは、一義的にはやはり保健所が絡む話だと思いますので、ちょっとよく自治体とも相談をさせていただきながら、どういうやり方が一番、感染はある程度拡大していますので、人手がどうしても保健所はとられますので、どうやっていくべきかというのは、ちょっと相談をさせていただきたいと思います。

阿部委員 大臣は私の問題意識をよく御理解であるので、発熱者が出たところはまだ今までの保健所スキームでも、出ていないところで、しかし予防的にやらないとそこからクラスターが出てくることがございます。

 次のページ、実は世田谷区でやってございます予防的検査、社会的検査というものの御紹介でありますが、何回か取り上げさせていただいております。

 東京都ではもう既に十月から陽性者数が大変ふえておりまして、十月から十一月二十二日まで、検査人数が千五百三十六人に、これは全く無症状の、働いている皆さんです。九十施設で行ったところ、二十人が陽性に出られた。もちろん陽性に出たから感染力があるかどうかはわからないです。でも、隔離をすれば次のクラスターにはならない。

 この世田谷区のデータで、特に十一月の九日から十五日のところで十二人という陽性者が出ておりまして、それまでは、ぽつりぽつり、一人とか、最後がちょっと五人と多くなってきますが、十二人は実は一カ所で、介護者が十二人陽性に出ました。しかし、無症状で、その段階でもう利用者と隔離をして、クラスターを未然に防止できたという危機一髪ケースでございます。でも、感染が拡大してくると、こういうことが実際に起こるであろう。

 世田谷区では、この検査は、保健所ではなくて大学と連携しながら行っている。そして、大臣もこれは御存じなので、あえて簡単に言ってしまいますが、プール方式といって、検体を幾つかまとめてはかる。そうでないと、ここは、例えば一日にやっている件数、二百人くらいしか、これだとできないのだけれども、プール方式にすれば千人という規模でいくので、予防的検査を行う場合には、やはりスピードが必要ですから、よいであろうということであります。

 大臣にお願いがあります。私は、この方式はあちこちでやれとは思っていません。ただ、感染が拡大しつつあるところでは、一つは大学との協力等も視野に入れて、また、スピードアップしてこういうプール方式も検討するなど、厚労省としてもぜひ、ヒアリングというか、やっていらっしゃるかもしれませんが、やっていただきたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 プール方式は、私ももう四月の時点から、これは中国が武漢でやった方式でして、一千数百万人をわっと、何日かな、一週間か何かでやっちゃった、そういう話だったと思いますが、厚生労働省の方に検討してほしいということを、まだ大臣ではありませんでしたけれども、お願いをずっとしてきたことであります。

 また、世田谷区長さんは、国会議員同期でございまして、ちょっと政党は違っていたんですが、当時はたしか同じ与党だったというふうに思います。そういうことで、人間関係もございますので、いろいろな御相談はいただいております。

 ですから、この世田谷でやられたことも私もよく存じ上げておりまして、世田谷でやった方式を、いろいろと資料をいただいて、厚生労働省、感染研の方でも検討いただいておりますが、まだ、厳密に言ってこれを推奨できるかというと、そこまでの数字が出ていないものですから、なかなか難しいところでありますが、引き続き検討をさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 感染が拡大し切ってからでは遅いので、今が大事なときだと言われております。

 例えば、医療機関でクラスターが起こると、もう入院患者さんを受け入れられない、他の業務も差し支える、救急もストップだ。介護施設で起きると、今度は病院から退院してこられる方を受け入れられない。本当に目詰まりになりますので、大臣は既に興味を持って世田谷区のことも聞いていただいているのは承っておりますので、よいものは何でも積極的に取り入れて、日本が乗り越えていくというリーダーシップをおとりいただきたいと、重ねてお願い申し上げます。

 では、引き続いて、後半の私のいただきました時間を、きょうは、生殖補助医療ということで質疑をさせていただきます。

 生殖補助医療というのは、大臣のお手元に、カラーの、さまざまな態様の生殖補助医療というグラフ、図がございます。これは、都立墨東病院の産婦人科の久具先生がおまとめくださいましたもので、今、生殖補助医療、不妊治療という言い方もされますが、それは本当にバリエーションが多くなりました。夫と妻、卵子とまた子宮、人工授精か体外受精か、親との遺伝的関係はどうかなどをわかりやすくグラフにしたものでございまして、この上から四つ目までは、基本的に、第三者の子宮ではない、妻なら妻の子宮から生まれる赤ちゃんのことであります。

 今、実は、このグラフにもないことが起こっていて、子宮の移植というのが行われておりますので、それで成功もしたという報道もあるので、日進月歩という、進歩しているのかわかりませんが、いろいろなことが可能になっております。

 こうした生殖補助医療の実態について、到底、政治の側あるいは社会の側も追いついていないのではないかという問題意識が、きょう私の質疑の中心であります。

 既に、平成十五年、二〇〇三年に、厚生労働省の科学審議会生殖補助医療部会が、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書というのを出しておられます。十七年前なので、また今ここにあるよりはちょっと前かもしれません。

 この審議会の報告書で取り扱っているものは上から四番目まで、すなわち、子宮を第三者に依拠するというところまでは検討しておらないかと思いますが、そういう認識で、大臣、よろしいでしょうか。厚生労働審議会の対象としたのは、上から四番目くらいまでのところで一応いろいろなケースを想定していると。

 もし大臣じゃなければ、担当でお願いします。

渡辺政府参考人 御指摘の報告書の中では、今先生御指摘のございました、子宮の所在が妻であるということについては容認すると明示的に記述されております。一方で、子宮の所在が妻でない、いわゆる代理懐胎についても言及をされておりまして、これにつきましては、「人を専ら生殖の手段として扱い、また、第三者に多大な危険性を負わせるものであり、さらには、生まれてくる子の福祉の観点からも望ましいものとは言えないものであることから、これを禁止するべき」というふうに記述されております。

阿部委員 続いて、いわゆる年齢制限、これは、卵子、精子を提供する側、もらう側、される側、その技術を使う側等々全般を見て、今御答弁のような、これは制約する、これは行ってはならない等々の審議会の報告でありますが、その中で、年齢についても制限がございます。

 提供される側の年齢制限ということは、どのように規定されておるでしょうか。

渡辺政府参考人 御指摘の報告書の中では、卵子の提供者の年齢要件につきましては、満三十五歳未満としております。この理由としましては、三十五歳以上になりますと、卵子の異常等の理由から妊娠率が低下し、流産率がふえるということが予想されるということ、こういったことが理由として挙げられております。

阿部委員 一つ飛ばして御答弁だったと思いますが、それは提供する側の条件ですね。三十五歳を過ぎると卵子が老化をしてくると言われておりまして、あと、男性についても、五十五歳未満の成人、精子提供は五十五歳未満というふうに書かれてございます。

 さらに、提供される側、もらう側はどうかと申しますと、一定の加齢により妊娠できない御夫婦は対象にならないこと、それからお子さんをお育てになるためのいろいろな諸条件がどうであるか等々ということで、いろいろな制約、細かに決めてございますのが、この報告書であります。

 加えて、卵子提供の回数制限もあるのですが、これについてはどうでしょうか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 回数制限につきましては、同一の人からの採卵回数は三回までとされております。この理由は、卵子の採取に伴う排卵誘発剤の投与によります副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷等により卵子の提供者自身が不妊症となるおそれがないとは言えないため、このような制限を設けているということでございます。

阿部委員 私がこの審議会の報告書を取り上げさせていただくのは、既に十数年前、そうした女性の体への配慮、あるいは生まれてくる子供への配慮などが報告をされておる、しかしながら、その後、法制化等々がされておらないで今日まで来ている。

 もう一つ大きな問題は、その報告書の中では、卵子や精子など第三者に提供する記録を管理する公的管理機関の必要性についても書かれております。卵子がどなたから来て、精子がどなたから来て。大臣も御承知の臓器移植等々では、UNOSで登録をして、きちんとたどれるようになってございます。このどなたからの卵子か精子かということは、子供にとっては自分の遺伝的なルーツを知るために大変重要と思います。

 大臣は、こうした公的管理機関の必要性、また、その役割について、これは報告書に書いてあるのを求めるのではなく、大臣はどうお思いですか。

田村国務大臣 生殖補助医療の今言われた情報というもの、これを管理することは大変重要だと私も思います。

 現在、議員立法で議論をいただいている中において、そこにおいてもそういうことが書かれているというふうに思いますが、議員立法のこれからいろいろな動きも見ながら、この情報をどう管理するのかということは、我々も検討課題だというふうに認識いたしております。

阿部委員 厚生労働の審議会の報告書になったということは、本来、生殖医療における行為規制と申しますが、例えば年齢はどうか、採卵は何回までかとか、行為規制というのですが、そういうのは、本来的にはやはり厚生労働省が一定程度、ガイドラインをつくったり法制化したりすべきものであろうと私は思います。もちろん学会は学会でガイドラインでやってございますが、いろいろな問題がまた出てくる場合もあります。

 加えて、例えば、生殖補助医療で、特に精子あるいは卵子をもらって、精子の場合でいたしましょうか、生まれたお子さんは、御自分が誰かと結婚しようとするときに近親婚になってしまわないかとか、精子提供者が何人かに精子を提供していればその可能性が出てきたり、先ほどの遺伝的な疾患が自分にありやなしやなど、極めて深刻な問題がそこにございます。記録も、保存されていればいいですけれども、今、カルテの保存は五年ですので、二十年たって大人になって知りたくてもこれは知ることもできないし、開示を求めてもされないなど、深刻な状況があると思います。

 そこで、きょう大臣にお尋ねしたいのは、ちょっと、あらかじめ投げていないので申しわけないのですが、この厚生労働審議会の報告書の後、日本学術会議にもこの問題は投げられまして、日本学術会議の方でも非常に意味のあるというか、私たちに参考になる報告書を出していただいています。平成二十年の四月のことでございます。それでも、平成二十年だから、もう十二年もたってしまっています。このときの学術会議への審議の依頼と申しますのは、時の法務大臣と厚生労働大臣が連名で出してくださいました。

 十二年前に比べて、例えば、受精卵の着床前診断といって、子宮に戻す前の診断も含めて、本当にある意味、技術が先走っていっているところもございます。改めて、例えば、大臣と法務大臣が御相談いただいて、学術会議に対して審議の要請をかけるとか、今、学術会議問題は任命問題で揺れておりますが、私は、十分活用すべき知のシンクタンクだと思っております。そのこともきょう私は提案したいと思いますので、大臣の御答弁を伺います。

田村国務大臣 非常に難しい問題がいっぱいある中で、今国会に提出していただいている議員立法に関しても、規制にかかわる部分というのは国会で検討というような話にたしかなっていたんだというふうに思います。

 いろいろな問題が本当にありまして、倫理観もあるし、生命観もあるでしょうし、家庭観みたいなものもあるでしょうし、さまざまな、日本国民の中にはいろいろな考え方がある中で、学術会議にこれを投げかけるというのが、どういうような学術会議に対しての、何といいますか、重さがあるのかというのは、再び考えるところはあるわけでございますけれども、委員がそうおっしゃられるなら、一度、私自身、深く考えてみたいと思います。

阿部委員 日本学術会議の報告も読んでいただきますと、今大臣がおっしゃったような、与える社会的な影響、あるいは出自を知る権利をどう保障するか、そして、特に、障害を持つお子さんの、いろいろな出生前検査で、生まれ出る権利はどうなってくるのかなど、いろいろな多面的な検討もしてございますし、ぜひ、この二〇〇八年の報告書を読んでいただきたいと思います。

 ちなみに、冒頭のこの表をつくられた久具先生は、そのときの産婦人科側の先生でございますので、また、今日、日進月歩の中でいろいろな思いも持っておられます。

 そして、私は、もう一つ、特に生殖補助医療では、親は子供を望みますが、その結果生まれてくる子供にとってはどうであろうかという視点を必ず両輪兼ね備えないと、本当に重大な問題になってしまうと思います。

 実は、平成二十八年、二〇一六年に児童福祉法の改正というのがございまして、私も塩崎大臣と御一緒させていただきましたが、その改正の一番のポイントは、児童福祉法においては、児童のいわゆる権利、子供の権利というものを真正面に置いた。子どもの権利条約は一九九四年に批准されておりますが、日本の法律の中には子供の権利という言葉は以降誕生いたしませんで、平成二十八年になってやっと真正面に置いていただいたという、大きな改正点でございました。

 そして、全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとって、適切に養育されること、その生活を保障され、愛され、保護され、心身の健やかな成長及び発達、その自立が図られる等々の権利を有するとございますが、特に私がきょう取り上げたいのは、七条と八条、子供の権利にのっとる七条と八条がどのように日本の中で実現されているかでございます。

 実は、こういう条約物は英文として読んだときの方がわかりやすいものも多々ございまして、日本語が難しいということもあろうかと思いますが、簡単に言うと、子どもの権利条約の七条では父母を知る権利、第八条では子供がアイデンティティーを保持する権利の尊重、一言で言うと、というふうに言えると思います。

 父母を知る権利の方は、第七条で、可能な限り、できる限りとなっておりますが、そのできる限りの意味をどうとるかもありますが、八条の方で、いわゆるその子供自身のアイデンティティー、アイデンティティーと言った方がむしろわかりやすくて、法律によって定められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係とか言われると、ちょっとアイデンティティーというのと遠くなってしまうと思うのですが、要は、私は誰、どこから来たのという、自己にかかわる、自我にかかわる重要な認識の部分であります。

 まず大臣にお尋ねをいたしますが、児童の権利条約ということの重みを再確認させていただいて、特に、実は先ほど取り上げました報告書、厚生労働審議会の報告書では、子供の出自を知る権利を、生殖補助医療でも十五歳になればその権利を保障しましょうというふうな報告書になってございます。求めれば知ることができる。もちろん、求めない、知りたくないというのも権利でありますから当然ですが、そもそもの子どもの権利条約に対する御認識と、二〇〇三年にあります厚生労働審議会の子供の出自を知る権利についての報告についてのお受けとめを伺います。

田村国務大臣 児童の権利に関する条約の七条、八条、今ここに、手元にありますけれども、これを我が国も締結をしているわけでありまして、そういう意味では、ここに書かれていることを重視するというのは、それは当然のことでありますので、適切に対応していくとしか言いようがないんですが、多分、それと今ほど来の話との兼ね合いでどのように考えるのかというような話であるというふうに思います。

 この条約を締結するに当たっての要件というのは、戸籍法等々、いろいろな形で担保はされていると思います。その上で、今般の生殖補助医療等々の中において出自を知る権利等々とどうかかわってくるかということは、これまた検討を要する大きな課題であるというふうに思っております。

阿部委員 私が大臣に、御理解されていると思いますけれども、受けとめていただきたいのは、アイデンティティーの一部だということなんですね。

 私も長年小児科医をやってきて、やはり自己肯定感の持てないお子さんは本当にいろいろな意味で生きづらい。そして、自己肯定感というのはどこから来るのか。やはりその一つに出自ということが、別にどんなお母さん、お父さんであったかではなくて、確かに私は物ではなくて人のつながりの中で生まれてきたんだということを感じたい、実感したいということが、多く、精子提供で生まれた当事者の方から言われております。このことはとても重要と思いますので、ぜひ、私ども、子どもの権利条約を前に進めるという観点から、大臣にも御尽力いただきたいと思います。

 さて、子どもの権利条約にのっとって、児童虐待防止法の改正の折にも子供の意見表明権ということが附帯決議につけられ、二年以内の検討というふうに置かれました。子供は従来、意見表明の主体というよりは、聞きおかれる対象でしかないというふうな限られた立場でしたけれども、そうではなくて、子供はあらゆる意見を表明することが権利なんだということをどう担保していくかということですが、二年以内の検討ということで、もう一年ちょっとたちましたでしょうか、このあたりの検討状況を教えてください。

田村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、児相でありますとか養護施設の中において子供が意見をしっかりと表明し、その権利をしっかり守らなきゃいけない、これはもうそのとおりでありまして、ただ、そうじゃないいろいろな状況が起こっているというのも散見されるわけであります。

 そんな中で、検討規定で、国内外の事例集でありますとか課題の検討を行うため、昨年の十二月に検討会を立ち上げて、今年度内をめどに議論を進めていただいているということでございますので、議論を進められた内容をもとに、子供の最善の利益、これをしっかりと守るための対応等々を検討してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 やっと調査が始まったという段階で、必要な措置をどうするかというところまであと一年半くらいなんだと思います。

 附帯決議と言われるものは、つけるだけではなくて、それが本当に動くということが大事で、私は、子供の意見表明権も子供の出自を知る権利も不可欠と思っておりますので、具体的なものが見えるように、また厚労省でも御尽力をいただきたいと思います。

 さて、今大臣もところどころでおっしゃっていただきましたが、既に参議院では、生殖補助医療における親子関係、簡単に略して言うと、を定める法案が通過をいたしておりますが、いわゆる議員立法でございます。この議員立法というのはとても大事なものでありますが、同時に、国会審議が比較的短い時間ですっといってしまうということの中で起きる問題もあろうかと思います。

 その一つに、旧優生保護法の一時金支給という法律があります。旧優生保護法は、一九四八年から九六年まで、不良な子孫の出生を防止するということで、障害のある方、あるいは障害を理由に次々不妊手術を施行したものであります。この方たちに慰謝の意味も込めて三百二十万円をお払いしようということになったわけですが、しかし、この審議のあり方について、障害当事者団体から大きな疑念あるいは反対の声が上げられておりました。

 お手元につけてございますが、日本障害者協議会、略してJDの藤井さんの意見書、要約いたしますと、このでき上がった議員立法は、内容面の不十分さに加えて、当事者不在で進められたことに強い憤りを覚えますと。障害者権利条約の締結国として、私たち抜きに私たちのことを決めないでという願いにも反して、国会の場で被害を受けた人たちの意見を聞く場が設けられなかった、このことを大変に残念に思われている表明だと思います。

 そうした背景の中で、この一時金の支払い状況は今どうなっておりましょうか。

渡辺政府参考人 御指摘の一時金の支払い、令和元年の五月から始まりまして、令和二年十月末現在、直近の認定者数でございますが、八百十四名となってございます。

阿部委員 想定された被害者が二万五千人で、支給決定が八百十四。この前、桝屋先生が肝炎のことでお取り上げでありましたが、とにかく、情報が届いていないのか、認定数は、頑張っていただいていますけれども、まだまだ少ないと思います。

 そうした中で、実は、この一時金支給の現状も踏まえて、調査室にも、何でこういう法律ができたか、あるいはその支給状況がどうであるかをフォローするために、調査室に宿題として、衆参の委員会から調査が命令をされておりますが、この調査について、企画の中に当事者の声を入れてくれという要望書が同じようにJDから上がっておりますが、これについて、調査室、御答弁お願いします。

吉川専門員 お答えいたします。

 旧優生保護法一時金支給法第二十一条に基づく調査につきましては、本年六月十七日、衆議院及び参議院厚生労働委員長より、衆議院厚生労働調査室及び参議院厚生労働委員会調査室に対して調査命令が、また、国立国会図書館に対して調査への協力要請がございました。これを受け、現在、衆議院と参議院、また国会図書館とで連携協力しながら調査を実施しているところであります。

 私どもといたしましては、委員長の命により調査主体として調査を実施しているところでありますので、外部の方を参画させるということは考えておりません。

 一方、六月十七日に衆参の厚生労働委員会理事会で合意された文書には、作業手法として、民間団体等を含む関係者からの説明聴取と記載されておりますので、今後、関係者からの説明聴取のあり方についても検討してまいります。

阿部委員 今の御答弁、突き詰めて言えば、ヒアリングはするけれども、どういう相手にヒアリングするか、企画段階は関与できないと。

 繰り返しますが、障害者の権利条約は、私たちの声抜きに私たちのことを決めるなということであります。

 とかしき委員長に、ぜひ委員会として御検討いただきたい。この出されている要望書ですね、障害者団体から、これを御協議いただきたいですが、いかがでしょう。

とかしき委員長 今、調査室長から答弁がありましたように、国会で調査するということで、衆参の理事会で合意して、委員長の命令により、調査の企画、計画の段階で外部の方を参画させるということは想定していないと承知しています。

 しかし、委員がおっしゃいますように、優生手術の実施状況等を明らかにするためには、関係者や関係団体からの説明聴取は大変重要であると認識しております。

 調査室におきましては、関係団体等から説明聴取を検討していただくよう、お願いを申し上げます。

阿部委員 何度も申しますが、説明聴取という対象ではなくて主体なんだというふうに考えていただければと思います。

 最後に、残された時間で、私は、本当はきょう参考人として、このJDの代表の藤井さんをお願いをしたかったですが、一般質疑の場ですので、それがかないませんでした。藤井さんからの御意見を御紹介して、残りの時間を使いたいと思います。現在、衆議院でこれから審議されようとしております生殖補助医療の親子関係についてです。

 本法律案の基本理念、第三条四項前段部分の「心身ともに健やかに生まれ、」という表現は、一九九六年に廃止された優生保護法の第一条「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」につながりかねません。障害者を「不良」とする立法理念のもとで、おびただしい無抵抗状態の人たちが優生手術を強いられました。辛苦の過去をほうふつさせるような、また誤解を招くような表現は、一切これを用いるべきではありません。

 「心身ともに健やかに生まれ、」という響きには、そうではない人に特別な感覚をもたらします。障害当事者や家族の中には、どうしようもない疎外感や負い目、悲しみを抱く人がいるはずです。新たに生まれる法律において、なぜ特定の人たちの存在を否定する内容を盛り込んだのか、理解に苦しみます。立法府の見識が疑われます。他方、批准された障害者権利条約第十七条には、「その心身がそのままの状態で尊重される権利を有する。」とあります。法案第三条四項はこれに背くものです。

 昨年制定された、優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案の背景を想起する必要があります。この法律は、「不良な子孫の出生を防止する」を旨とする優生保護法の猛省の上に打ち立てられたのです。この法律の背景や内容に立脚するならば、法案の第三条四項はあり得ないと考えます。

 以上、御紹介といたします。ありがとうございます。

とかしき委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。

 まずは、田村大臣にお礼というか感謝というか、一人親への手当ですね。これは、臨時特別給付金というものを年内もう一度支給するというようなことが相調ったと聞いておりますので、感謝してよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 お礼をおっしゃっていただいたことは大変ありがたいわけでございますが、相調ったとはどういう意味なのか、ちょっと私もよく理解ができませんでして、どういうことを念頭に相調ったとおっしゃっておられるのかをお聞かせいただければありがたいと思います。

長妻委員 報道等で、けさも全紙出ておりまして、相調ったという報道があるので、これは実際にはまだ、決まる方向ということでよろしいんですね。

田村国務大臣 報道は報道でございまして、別に、厚生労働省として、これをきょう私が閣議後記者会見で申し上げたというような類いのものではないということであります。

長妻委員 まあ、そういう方向になるんじゃないかというふうに推察をしておりますけれども、これは、我々、我が党立憲民主党を含めて野党が議員立法をこの委員会にも提出をしておりまして、まだ審議はされておりませんけれども、その前にそういう手当てをしていただくというような方向だと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、私自身、GoToトラベルキャンペーンに大変大きな懸念を持っているものでありますので、まずその質問をしたいと思いますが、その前に、数字の最新のものを、きょう国土交通省の岩井副大臣にお出ましいただいていますので、最新の利用者の感染者数とそれぞれ都道府県別施設、これを教えていただけますか。

岩井副大臣 お答えをいたします。

 最新ということで、十一月の二十六日に観光庁が報告を受けているものでございます。

 まず、旅行者に関しまして、GoToトラベル事業による割引を利用した旅行者で新型コロナウイルスの陽性と診断された方の数が少しふえまして二百二名、利用者の感染が確認された宿泊施設は三十八都道府県で百三十施設、上位は、北海道十七施設、東京十一施設、大阪八施設となっております。

 また、従業員に関して御報告申し上げますと、GoToトラベル事業に参加登録している宿泊施設の従業員で新型コロナウイルスの陽性と診断された方は百七十七名、従業員の感染が確認された参加登録宿泊施設は二十七都道府県、百三施設でございまして、上位は、東京三十四施設、北海道、沖縄それぞれ八施設、大阪、福岡がそれぞれ六施設となっております。

長妻委員 ありがとうございます。

 これによると、今おっしゃっていただいた一日前の資料をいただいていたんですけれども、利用者でいうと一日で五名ふえた、そして施設数でいうと七カ所ふえたということでございまして、非常に今もこれはふえ続けているということで、従業員の方についても一日で二名ふえた、施設数で二施設ふえたというようなことで、今おっしゃっていただいた上位の場所は、まさに今分科会でも言われている場所でございます。

 よく、菅総理もこういうことをおっしゃるんですね。これまで延べ四千万人が利用しているが、コロナ陽性になったのは百八十人だと、今回二百人を超えたわけですけれども、少ないと言わんばかり。田村大臣も、参加されている方々は三千万人以上、感染は百三十八人というのを当委員会でも繰り返しおっしゃっておられるんですが。

 数字上はそうかもしれませんけれども、これは私聞いてびっくりしましたのは、GoToトラベルに参加しているお客さんに、陽性になったら報告するようにということは言っていないということなんですね。ですから、たまたまというか、旅館が気づいた場合、報告するとか、保健所から何か報告があるとか、おたくの旅館でとか、そういう、たまたまでないと上がってこないということを聞いてびっくりしたわけでございまして、だから、これは氷山の一角だというふうに捉えていただきたいと思うんです。

 これは副大臣に重ねて聞きますけれども、今は大阪と札幌の出だけを停止していますが、これは、その後、その停止を拡大するという検討はしているんですか。

岩井副大臣 まずは、新しく東京とか愛知……(長妻委員「いや、検討しているかどうか、ほかを除外する」と呼ぶ)

 基本的には、分科会の御提言を踏まえて各都道府県が独自の判断をしていただいて、それを受けて、最終的には国がその運営の仕方を判断するということであります。

 ただ、新しいところに関しては、実は、札幌市、大阪市につきましては、ステージ3相当という判断、あとは、GoToトラベル事業を一時停止してほしいという要請を受けました。それを受けての対応なので、ほかは受けていないので検討はしておりません。

長妻委員 要請を受けないと検討しない、こういうことなんですね。

 赤羽大臣も、NHKのニュースを見ていましたら、そういうような出発地を外すことは検討していないと。これは多分、大阪と札幌のことだと思いますが。いずれにしても、停止を拡大するのは検討していない、つまり、都道府県からそういうことが上がってこないと動かない。今、うなずいておられますけれども。本当に国としてそういう姿勢でいいのかということで、私は本当に強い危機感を持つのでございますけれども。

 そこで、きょう、お忙しいところ、尾身先生にも来ていただいておりますけれども、尾身理事長にお伺いします。

 今の大阪と札幌のみ出発だけ、これが今ようやく自粛、これだけの措置で、その後は検討しないと国は言っておりますけれども、尾身先生は、GoToトラベルについて、当然、GoToトラベル以外もいろいろな感染の可能性というのはあるので、ただ、GoToトラベルも全体の人の行き来をふやす、総量をふやす手段の大きな一つだし、さっき尾身先生がここで答弁されたように、国民が気持ちが緩む、そういう一つの悪いメッセージになる、こういうようなことも私たち考えておりますので、先生のGoToトラベルについての停止拡大の見解をお尋ねします。

尾身参考人 お答えいたします。

 午前中も申しましたように、今の段階は、人と人の接触とか人の動きをなるべく、できるだけ避けるということが求められると思います。

 そういう中で、私は、一番やはり大事なのは、きょう申し上げましたように、営業時間の短縮だと思いますけれども、それと同時に、ステージ3の対応をしなくちゃいけない地域とそれ以外の地域は、しっかりと感染防止対策が徹底できている場合はもちろん除くわけですけれども、そうじゃない場合には、ここの地域間の動きをなるべく控えるということが求められると思います。

 GoToの話は、GoToだけが今非常に社会的な関心を集めていますけれども、GoToも人の動きで、そういう大きな文脈の中から、なるべく人の動きを、いわゆるステージ3相当の対応をしなくちゃいけない地域とそうじゃない地域の出入りはなるべく控えていただきたい、そういう文脈の中で考えるべきものだと考えております。

長妻委員 やはり政治の側が相当前のめりで検討しないということなので、なかなか尾身分科会長も言いづらい面もあるかもしれませんが、今、尾身先生がおっしゃったように、感染地域との往来ですね、これはやめた方がいい、こういう発想で、そして、あと、尾身先生にお伺いしたいんですが、昨日ですか、ステージ3に相当する、札幌市、東京二十三区、名古屋市、大阪市ということでおっしゃられましたけれども、これはそういうような認識を個人的にお持ちであるということでございますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 ステージについては、もうこれは何度も申し上げましたように、我々も、ステージ2、3、4のそれぞれの、どういう状況になったら当てはまるかということをかなり前に提案させていただいて、今の状況を見ると、各担当の知事あるいは国の方はしっかりと判断していただきたいというのが我々の考えで、先日申し上げましたように、個人的な意見を述べろということであれば、先ほど申し上げたような市はそういう地域として該当するのではないかというのが我々の考えであります。

長妻委員 これはこの委員会でもいろいろ議論になっていて、やはり政治的思惑と科学者の意見、これがいろいろせめぎ合うというのはあると思いますけれども、ただ、この局面においては、やはり科学者の意見を尊重して動いてもらわないと困るわけですね。

 そういう意味では、尾身先生が今見解としておっしゃった、ステージ3に相当するんじゃないか、そして、国としてしっかり判断してほしい、こういうことでありますので、札幌市、東京二十三区、名古屋市、大阪市については、往来含めて、出発も含めて一時停止する、少なくともですね、そういうことが本当に重要だというふうに私は強く思っているところでございます。

 あと、尾身先生がきのうの会見でもう一点おっしゃっておられたのは、そこから出ないことが非常に重要だと。つまり、札幌や大阪市のことを指しておられるんだと思いますけれども、出発についても、出ないことが非常に重要とおっしゃったと思うんですが、これはそういうことでよろしいんですか。

尾身参考人 お答えいたします。

 これはもう感染対策上の一般的な原則ですけれども、感染が拡大しているところとそうでないところがありますよね、そういう場合には、感染が拡大している地域に入らないことも、そこから出ることも、両方なるべく避けるというのが、感染、特にこれは今、全国の感染拡大防止という観点からすると、その当該の地域から外に出ないことも、またそちらに入ることも、なるべく、先ほど言ったような感染対策がしっかりととれないような場合は、両方とも大事だというのが私たちの考えであります。

長妻委員 両方とも大事だ、私もそう思います。出るのだけオーケーで入るのはだめというのは合理性に欠くわけでありますので、出発する方もいずれはそこに戻ってくるわけで、そこの医療が逼迫する可能性だって出てくる。

 尾身先生、お忙しいということで、これで結構でございますので、どうもありがとうございました。

 それで、国土交通省は検討しないということで非常にかたくななので、これは私、田村大臣の責任というのも相当出てきていると思うんですよね。

 先ほども午前中の質疑で、GoToトラベルキャンペーンは自分の所管じゃないとおっしゃいました。確かに所管じゃないでしょう、その事業自身は。ただ、広い意味では大いに所管だと思うんですよね。つまり、感染を抑えるというような大きな意味で、あるいは、もう一つの意味は、医療関係者とか福祉施設関係者の声を代弁できる大臣というのは一体誰なのか。これは厚生労働大臣ですよ、代弁できるのは。経済のことを代弁する人はいっぱいいますよ、それは。いいんですよ、そういう大臣がいても。しかし、そういう非常に今大変な状況にある立場の声を代弁できるのは厚生労働大臣だけなんですよ。

 所管がどうのこうのとかみみっちいことを言わずに、ぜひ田村大臣、これはさすがに、少なくとも、尾身先生がステージ3に相当するとおっしゃったところの往来は、GoToトラベルキャンペーン、これは中止しようよというようなことをちょっとおっしゃっていただいて、それで、閣内で議論を巻き起こしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 医療従事者の皆様方の声を代弁する、そういう役割も当然担っていると思いますから、今、厳しい医療状況下の地域、あります。そういうところに対して、例えば、病床が足りなくなりつつあるというところに関して、しっかりと病床確保、これは計画をつくってやっていただいておりますが、いかんせん、これは感染がやはり予想以上に速いという意見も、実はこの間の分科会で、どなたとは申し上げませんが、そういうことを専門家の方がおっしゃられました。一週間、以前と比べて思ったよりも速いと。これがこの感染症の怖いところなのかもわかりません。

 そういう意味では、それに間に合うような形でどう医療施設を確保するか。そして、さらに、きょう午前中もお話がありましたけれども、寒さという問題、乾燥という問題、これは私も、私は専門家でも臨床医でもありませんからあれですけれども、こういうものに関しても、これから感染拡大する可能性があるということで、しっかりと対応していかなきゃならぬと思っています。そういう意味では、医療をしっかりと守るという意味では、提供体制を整備していく最大限のお手伝いをしていかなきゃならぬと思っています。

 一方で、私は、労働者の言うなれば意見を代表する立場にもある大臣でもあります。そういう意味では、雇用もしっかりと守らなきゃなりません。その中において、今言われたGoToなるものの感染に対する影響というものは、これは、いろいろな御意見はありますけれども、直接の証左はないという御意見、これは分科会の御意見でもございました。その中で、分科会から改めてGoToトラベルに関していろいろな御意見、提言をいただいたわけでございますので、それはそれとして検討をしてまいらなければならないと思っておりますし、政府の中で検討はいたしておると思います。

 そしてまた、最後に……(長妻委員「わかったわかった」と呼ぶ)いやいや、まだGoToに関して何ら対応していないところに関して申し上げれば……(長妻委員「いいです、いいです。GoToトラベルキャンペーンを、ちょっと、委員長」と呼ぶ)

とかしき委員長 済みません、まだ答弁中ですから。

田村国務大臣 要するに、それに関しては、要は、知事さんの御意見もお聞きするというのが今までのルールなんです。ですから、知事さんの御意見も、これは担当は多分西村さんになるんだと思いますが、大臣にしっかりと御意見もお聞かせをいただきながら、私は厚生労働大臣として、医療の逼迫状況というものはしっかりとお伝えを、これは内閣にさせていただいております。

長妻委員 これは深刻だと思いますね。大臣の中で、ブレーキを踏む大臣、誰もいないじゃないですか。田村大臣がそんなことでどうするんだというふうに思いますよ。

 田村大臣も、今、感染は予想以上に速いとか、寒さが心配だと。そういうことを、危機をおっしゃりながら、なぜかGoToトラベルは、さわらぬ神にたたりなしなんですかね、触れない。おかしいと思うんですよね。

 GoToトラベルキャンペーンが感染を拡大した直接のエビデンスがないと。それはそうだと思いますよ。じゃあ、感染を拡大させていないエビデンスもないじゃないですか。そんなもの、わからないんですよ。ただし、いろいろな方がおっしゃっていますよ。例えば大曲先生、あるいは中川日本医師会の会長。例えば、中川会長は、GoToトラベルが感染者急増のきっかけになったことは間違いない、感染者がふえたタイミングを考えると関与は十分しているだろうと。

 十月一日から東京が解禁になって、大体十月の十五日ぐらい、中旬ぐらいから相当、ぐっとふえているんですよ、全国の感染が。こういうふうにお医者さんもおっしゃっておられる。そして、先ほどベッドのことをおっしゃいましたけれども、きのう、大曲国立国際医療研究センター長が、このままふえ続ければ通常の医療が圧迫され深刻な状況となる、予定されている手術が受けられなくなる、こういう相当な危機を表明されているんですよ、東京都の会議で。

 田村大臣すらというか、田村大臣が、十一月二十五日、こういうふうにおっしゃっていますよね。分科会ですかね。通常の医療を提供できづらくなっていると悲鳴のような声も聞いていると、大臣みずからおっしゃっておられるんですよ。医療が崩壊してしまったら国民の命が守れない、田村大臣がおっしゃっているんですよ。

 GoToトラベルキャンペーンは関係ないじゃなくて、これは大いに、国民の気の緩みも含めて、先ほど尾身先生がおっしゃったようなことで関係しているわけですから、これは、東京二十三区、例えば名古屋市、さっき尾身先生がおっしゃった、そして札幌市、大阪市の出発分、これはせめて中止するべきだということをやはりおっしゃっていただきたい。東京二十三区は、これは大きいですよね、旅行者のボリュームも違いますから、ほかの町に比べると。東京二十三区もこれは中止するというようなことを、少なくともそういうようなサジェスチョンを閣内でなぜ言えないんですか。言っていただけないですか。

田村国務大臣 GoToトラベルだけじゃないですよね、はっきり言って。一番の影響は、今、尾身先生も、やはり飲食店、そこでお酒を出す飲食店、ここは確かにクラスター、起こっています。証左もあります。そこは今、東京も、名古屋もですかね、名古屋はちょっと今記憶がありませんが、名古屋もそうですね、それから、大阪、札幌と。これは一番やはり証左もあってクラスターが起こっている。これを何とかしないといけないということで、それぞれの地域の責任者の皆さんが動き出したわけです。国の方から適時、そういう分科会のいろいろな提言もお伝えをさせていただいています。その中で、そういうような御判断をいただいたわけです。

 GoToトラベルも含めて、要は、感染の予防策をしっかりやっていない、そして、やっていないような移動、さらには寒さ、この三つが感染拡大の要因というふうに分科会もおっしゃっているんです。つまり、感染予防をしっかりやっていない中での移動の増加。

 そんな中において、先ほど来尾身先生がおっしゃっているのは、それはそうだけれども、一定程度やはり守らない方々もおられるんだと思います、そういう意味で、感染拡大地域において、つまり、第三ステージと見られる、そういうようなところにおいては、人の移動、往来というものを一定程度制限をしてくださいという話でありますから、それを踏まえて、今、内閣として、そのような地域に関していろいろとどのような状況でしょうかというような話をする中で、言うなれば、時間制限というのが一つ出てきたというふうに認識いたしております。

長妻委員 いや、これだけGoToトラベルキャンペーンを擁護する厚生労働大臣というのはみっともないなと思うんですよね。

 それで、これ、飲食ということも、尾身先生、二つ言われたんですよ、飲食と、もう一つは感染地との往来、この二つだとおっしゃられて。飲食だって、旅行に行ったら飲食しますよ、それは泊まったときに。それは飲食だって旅行すればふえるわけで、GoToトラベルキャンペーンが感染を広げたのではないとおっしゃいましたけれども、それはGoToトラベルキャンペーンが、それだけが感染を広げたということは言えないかもしれないですけれども、GoToトラベルキャンペーンも感染を広げているんですよ、これ。そういうことで、多くの専門家がおっしゃっているじゃないですか。

 そのときに、例えば、これも十一月の二十六日、きのう、東京都の医師会の猪口副会長が、例年、冬は脳卒中や心筋梗塞など入院患者が増加する時期だと、冬は。入院が必要な中等症以上の患者のさらなる増加に対応できる病床確保が急務と。病床確保はそんな簡単なものじゃないですよ、私も聞きましたけれども。そして、全国の重症者は、過去最多の四百十人。東京が一番重症者ベッドの充足率が高いんですよ。

 そして、十一月二十五日、日本医師会の中川会長は、全国各地で医療の提供体制が崩壊の危機に直面していると。崩壊の危機がこれから来るんじゃなくて、直面しているとおっしゃっているんですよ。

 ですから、厚生労働大臣、ぜひGoToトラベルキャンペーンについては、非常にこれは象徴じゃないですか。これはやはり見直した方がいいというのを発信していただかないと、誰も発信しないですよ。国交省は検討すらしないと言っているんですから。

 さっきから国交省の話を聞いても、都道府県が自分のところはステージ3だと言えば停止するような話をしていますけれども、田村大臣に聞きますが、そうしたら、小池知事が東京は停止してほしいと言ったら停止するということになるんですか。

田村国務大臣 私はそこの部分は所管じゃございませんので、私の方から今ここで物を申し上げるわけにいきませんが、ただ、内閣官房、西村大臣のもとで、調整はいろいろなことをされておられるんだと思います。

 そんな中において、これは西村大臣がみずからおっしゃっておられることでありますが、GoToトラベルを是が非でも守ろうとかじゃなくて、事実、もう札幌と大阪市はこれに対して停止をしているわけですから。もう停止が始まっているんですよ。

長妻委員 これは、出発はまだオーケーなわけですよね、尾身先生の言っているのと違うわけで。小池知事も、二十五日、GoToトラベルキャンペーンについては国が判断するのが筋とおっしゃっておられるんですね、小池東京都知事。そして、東京に来ないでというのを一知事が判断できないというような趣旨のお話もされておられる。

 というようなことで、このままだとずっと、国は都道府県が判断してほしい、都道府県は国が判断するのが筋だと、ずっとお見合い状態で、何にも、科学的も何の合理的判断もなく、ずるずるずるずるいっちゃうんですかね。これは命がかかっているわけですよ、医療崩壊の。

 大臣、これをどういうふうに打開するのか。やはり厚生労働大臣が最後の、命を守る、つまり、最悪の事態というのは、これは認識は同じだと思いますが、助かる命が助からなくなる、この状況は絶対避けなきゃいけない。その認識は一緒だと思うんですよね。

 そういう意味で、どうですか、医療崩壊を防ぐために、一旦、GoToトラベルキャンペーン、東京を含めて中止すべきだ、こういうことをぜひ発信していただきたい。ここでも表明していただきたいと思うんですが、できないんですか。

田村国務大臣 私、所管外なので、それを私に聞かれてもあれなんですが、私は、GoToトラベルに矮小化するべきではないとは思っています。いろいろなことをやらなければならないという中において、だから、そういう意味では、これは尾身先生もおっしゃられましたが、一番の原因があるだろうと言われている部分は、今までのクラスターの発生をしている部分、そういうところをいかに抑えていくか。

 飲食といっても、お酒を出す飲食ですよね。多分そういうところは、結構大きな声で騒がれて、マスクもしていないような方々がそこで感染を広げておられるという可能性があるところ、ここには、大変申しわけないんですけれども、これはそれぞれの知事さんの御英断もあって、夜、何とか休業してもらえないかという休業要請をかけられて、国も、それに対しては一定の支援をしなきゃならないということで、五百億を用意させていただいたわけであります。

 それで、これでちゃんと減っていくのかどうなのかというのも、これまた大変難しい問題なのかもわかりません。寒さという要因が、ちょっと四月の状況とは違うと思いますから。

 そういう中において、我々は、医療というものを何とかして守らなきゃなりませんから、そのために、感染拡大地域、医療が逼迫している地域の行政の皆様方と話をさせていただきながら、お手伝いできることをしっかりやっていく、その体制を整えていく、そういうことを今やっておるわけでありまして、その責務はしっかりと我々は進めてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 いや、大臣の努力はわかりますけれども、縦割りの厚生労働省だけじゃ解決できないマターなんですよ、これは国家の危機ですから。自分のところだけ病院のベッドを確保するために頑張っても、どんどんどんどん感染を抑えることと逆の政策が続いていたら、焼け石に水になっちゃうんですよ。

 また、担当じゃないとおっしゃいましたけれども、担当じゃないという言い方はやめた方がいいと思いますよ、こういう局面で、自分はGoToトラベルの担当じゃありませんと言うのは。全体を俯瞰して意見を言うのが厚生労働大臣の、ある意味では、コロナという感染症ですからね。矮小化しているんじゃないというか、矮小化しているんだったら、すぐやめればいいじゃないですか、そんなに小さいものであれば。

 これは、国土交通副大臣にちょっとお伺いしますけれども、さっき、上位の、利用者が感染した施設、旅館とかホテルだと思いますが、おっしゃいましたけれども、ほかの都道府県全て、何カ所か、感染が出た都道府県、教えていただけますか。

岩井副大臣 全てでしょうか。手持ちに少し資料がございませんので、調べて御報告させていただきます。(長妻委員「配付資料。ちょっと時間とめて」と呼ぶ)

 先ほど、十一月二十六日の段階のものは御報告したんですが、それではなくて、先生にお配りした、二十五日の段階のものでしたらございますので。(長妻委員「じゃ、お願いします」と呼ぶ)はい。

 まず、新型コロナウイルスの陽性と診断された者が利用した宿泊施設の所在地と数を言っていけばよろしいでしょうか。

 北海道、十七、青森、四、岩手、二、宮城、五、秋田、四、山形、一、栃木、一、埼玉、一、千葉、三、東京、十一、神奈川、五、新潟、二、石川、二、山梨、一、長野、一、岐阜、一、静岡、五、愛知、三、三重、一、滋賀、一、京都、五、大阪、八、兵庫、四、奈良、一、和歌山、一、岡山、一、山口、二、徳島、二、福岡、二、佐賀、一、長崎、六、熊本、二、大分、二、宮崎、三、鹿児島、四、沖縄、七、その他、一ということになっております。

長妻委員 これが十一月二十五日までの話で、たった一日で今の箇所数が七カ所ふえているわけです。どんどんどんどんふえているわけですよ。

 利用者で感染した方が二百二人ということで、田村大臣なんかは少ないようなニュアンスで、ここで答弁を何回もされておられますけれども、その方々だって氷山の一角だし、その方々がどれだけの方に感染をさせたかというのも全く不明でありますから、これは私、田村大臣、本当に真価が問われるというふうに思いますので、こういうときに馬力を出して、閣内で本当に言っていただかないと、これは、ラストチャンスだと言っている専門家もいるんですよ、この時期が。

 ぜひ、田村大臣、また答弁を求めても、何かよくわからない、GoToトラベルを擁護することばかりおっしゃる厚労大臣というのは情けないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 次にちょっと参りますが、訂正ですか。修正。

岩井副大臣 今、都道府県、鳥取、二、茨城、一が抜けておりました。失礼しました。

長妻委員 ということなんですよ。

 ちょっと、本当にお願いします。

 次に、検査体制のことなんですけれども、いまだに、PCR検査、聞きましたら、一日、今能力は八万四千五百八十五件あると。ただ、最高、実際に実施したのは、直近だと十一月十八日、三万七千七百五十四件。一番多く実施したときでもその数字で、差額が四万六千八百三十一件もある。

 これは、さっきも阿部さんから質問がありましたけれども、高齢者施設や障害者施設に無症状でもやはり検査をするということが重要だと思うんですね。九月十五日に通知を出していますよね。感染者が多数発生している地域などについて、「その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、いわば一斉・定期的な検査の実施を行うようお願いしたい。」と通知を出しましたけれども、この通知に基づいて一斉検査したのは何件ぐらいあるんですか、大臣。

田村国務大臣 現状は把握できておりませんが、これからに関してしっかりと都道府県の方から御報告をいただくように、先般文書を発出をいたしました。

長妻委員 ちょっと随分のんびりしていると思うんですね。

 厚労省に聞いたらば、一件だけ、愛媛県松山市の高齢者施設一件は把握している、それ以外把握していないということなんですが、これは海外の例を見ても、高齢者施設で大変なことになる。八十歳以上の死亡率、すごいですよ、コロナの。

 ここで一つ私が驚いた例として、これは都内のある高齢者施設なんですけれども、ここは、無症状だけれども、ちょうどそういう機会があって、これはどこにでもそういう機会はないんですけれども、機会があって従業員全員にやってみた。そうしましたら、職員だけで、まあ感染者は出ないだろう、誰も症状ないからと、念のためということでやったらば、十三名が陽性になった。十三名が陽性になったけれども、全く無症状だった。

 そこで、じゃ、従業員だけだと思ったんだけれども、入所者も全員やってみようということでいたしましたら、数名の方が陽性が出た。しかも、その方も今の時点でも無症状だと、もう何週間もたっていますけれども、その入所者も、感染、陽性が出た方全員無症状だ。無症状でもいろいろな今学説があって、当然感染する、あるいは有症状と無症状で感染力が変わらないという説もありますし、無症状の方が弱くなるという説もありますし、いろいろな説があって、無症状でも感染するというようなケースがあると思うんですが、厚労省としては、無症状だと感染させるというような、国の見解はどういう見解ですか。

田村国務大臣 検査は、一定程度、特異度というものもありますし、感度というものもございますので、全てが全て正しい判断、判断といいますか、陽性、陰性が、結果が出ているかどうかというのは、ちょっとこれはまた別の問題としてあると思います。

 その上で、今世界的に見ても、無症状者のうち発症する前という方、これは発症する二、三日前は感染力がかなり増しているというのはあります。全く無症状の方がうつしているというのは、幾つかの研究で百人のうちの五人だとか、八人、九人というのは、私、見た記憶がありますが、国として、全く無症状な方がどれぐらいの感染力があるかというのを明確に我々として持っているようなデータはございません。

長妻委員 これは国として早急に出していただきたいと思うんですよね。

 この施設は、数百人の方が検査、従業員、入居者が受けて、今申し上げたような人数が出たわけで、相当な確率です。ですから、もしそういう検査を受けていなければ、無症状で感染させる方がそのまま動き回って、高齢者が発症して大変な事態になったかもしれないわけで、こういうところは本当に特殊です。

 私も、高齢者施設あるいは障害者施設、いろいろ聞いてみましたところ、やはり、近くの開業医が自費ならやってくれるというような、まず自費で開業医でやってもらって、自己負担分は払う、しかし、そのお金が補填されるかどうか不明だということで、なかなかどういう手順でやったらいいのかわからないというところもあります。あと、いろいろなそういう悩みを抱えておられるので、ぜひ大臣、症状が出ていなくても、先ほど申し上げましたようにPCR検査はまだ余裕があるわけですから、今の段階では。抗原検査キットもあるわけですから。抗原検査キットだと無症状の方はなかなか出にくいんだろうというふうには思いますけれども。

 PCR検査の余裕がありますから、感染拡大地域の高齢者施設を順次指名をして、こちら、こちら、こちらということで、それで検査を順繰りに始めるというプログラムをつくりませんか。いかがですか。

田村国務大臣 ですから、この間発出した文書の中に、クラスター、五人以上のクラスターが複数あって、そことかかわっているような、関連しているような介護施設等々に関しては、優先的にこれを、検査をやってくださいというようなことをお願いをいたしました。

 あわせて、感染拡大地域、これは保健所所長ですかね、の判断になると思いますけれども、こういうエリアに関しては、委員言われたように、蓋然性がかなりあるということなので、そこに関しては集中的に、定期的にそういうものをやっていただきたいというようなことは、これは発出をさせていただいております。

長妻委員 だから、今回、これは緊急事態ですから、ちょっと気になるのは、今のようにいっぱい出していますよね、通知を。十一月十九日も、発熱が一人でもあれば、陽性が出たら全員検査しろとか、介護施設も見たらいっぱい通知がありますよ、もう何十通と。

 いっぱいあるけれども、出しっ放しで把握していないじゃないですか。さっきも、高齢者施設で、感染拡大地域で全員検査したのは何施設あるかと。把握していませんと。一件しか把握していない、日本全国で。だから、通知を出したら出しっ放しで、後はフォローを全然していないんですよ、はっきり言えば。これは大臣のリーダーシップでちゃんとフォローしないとだめですよ。

 それで、余裕がなかったら、私、わかりますよ、PCR検査で、もう一件もできない、満杯だと。相当これは余裕があるじゃないですか。今、一番ピークで検査した日だって、四万六千八百三十一件まだ余っているわけですから、これはぜひお願いします。

 そしてもう一点、深刻なのが、私もいろいろ聞きますと、なかなかこれはせつない話なんですけれども、全員検査、症状は誰も出ていないけれども、やはり全員検査を受けた方がいいという気持ちがある一方で、余りちょっとなかなか外では言えないということなんですけれども、そういう施設の方、何人かと話したんですが、検査を受けると、仮に無症状で陽性の方が出ると、例えば従業員であれば自宅に二週間とか、利用者であればいろいろなゾーニングをしないといけないとか、相当いろいろな意味で負担がかかるから、そのことを考えるとなかなかちょっと腰が重いんだと正直におっしゃっていただいたところも複数あるんですよ。これは深刻だと思うんですね、深刻だと。だから、進まない理由はこういうところもあるんですよ。

 厚労省も通知を出していただいて、これは六月三十日に、緊急時に備えた応援体制、つまり、従業員が休んじゃったときに、そこに応援に行く体制をつくってほしいというようなことを言っているんですが、なかなかこれは進んでいないようです。そういう意味では、ちょっと深刻なんですね。

 ぜひ、この点について、応援体制を含めて、検査を無症状でも受けていただくように、どういうふうに改善するのか、大臣の所見をお伺いします。

田村国務大臣 これはたしか六月の専門家会議の御提言、当時はまだ専門家会議だったと思いますが、その御提言の中に、介護施設等々でクラスターが生じた場合に、そこで働く方々が、仮に陽性じゃなかったとしても濃厚接触という形で二週間療養しなきゃならないとすると、その間、介護施設で従事される方々のマンパワーが減るので、これは大変なので、そういうものに対してのしっかり体制整備をすべきであるというようなたしか御提言をいただいて、政府がその後、厚生労働省が文書を発出した、私はそう記憶しているんですけれども。

 いろいろな、グループで介護施設をやっておられるグループもあります。そういうところは、グループ内で、人員の、そういうことが起こった場合に人の差配をしていただくような、そんなお願いをさせていただいたりだとか、地域においては、仮にグループ内じゃなかったとしても、地域の中での同じ職種、業種の中でそういうような融通をつけるような、そんな体制をつくってくださいというようなお願いもさせていただきながら、言われる点、よくわかります。

 一方で、もとから今、介護施設等々、人が足らない、マンパワーが足らないということもございますので、そこも踏まえてどういう対応をすべきであるか、これは我々としても検討させていただきたいと思います。

長妻委員 これまで自民党政権が医療、介護の報酬をどんどんどんどん切り刻んできて、ふだんでもぎりぎりのところに今回コロナ危機が来て、人手不足になるからなかなか検査をちゅうちょせざるを得ないという本音の話が、本当にいろいろなところから聞こえてきますので。今大臣がおっしゃったのはそういう方針だけれども、現実の現場はそうなっていませんから。もうあっぷあっぷですから、どこかで融通なんかできませんから。ですから、これをぜひ、人、物、金を集中的に投入していただきたい。

 最後に、生活保護の件をお伺いします。自殺者もふえております。

 配付資料の十一ページ目に、親族照会、扶養照会について、今、大体、申請された方あるいは開始された方で、一人平均何件ぐらい親族に通知が行くんでしょうか。

田村国務大臣 照会でありますけれども、平成二十八年七月の保護開始世帯に係る状況について、これは扶養照会の件数でありますけれども、平成二十九年に厚生労働省が調査実施をしております。その結果によれば、保護開始世帯数一・七万世帯について、扶養調査の対象となった扶養義務者数は三・八万人で、単純に計算すると一世帯当たり二・二人の扶養義務者が扶養照会の対象となっているということであります。

長妻委員 多分、今初めてこの数字というのは世の中に出たと思うんです。特別調査で調べた数字なんですが。

 私も、生活保護を受けるのをちゅうちょしている方々と何人もお話をいたしました。やはり非常に多いのが、親族にばれる、それはもう死んでも嫌なんだと、親族に知られるのが。これは大きいんですよね。あと、住宅ローンを組んでいる方は、それが全部売られちゃうというのもあるんですけれども。いろいろな理由があるんですけれども、やはり多いんですよ、親族照会。

 それで、世界を調べると、十二ページですけれども、日本ほど幅広くやっている国はないんですよ、親族照会。これはせつないと思うんですね。

 その一番最後のページにありますけれども、こういう通知書が行くんですね、面倒を見なさいというような、親族に。

 これは大臣、見直す検討を始めませんか、親族照会。せめてヨーロッパ諸国並みに。扶養照会ですね。これは相当大きいんですよ。

 私も、新宿のいろいろな地域を歩いていますと、本当に真っさらの服、新しい洋服で、新しいかばんで、深夜、ホームレスになっておられる方がいらっしゃって、新しく相当な方が今なっておられるんじゃないか。生活保護も、ことし四月は二四・八%増加しましたよ、申請が。

 これは大臣、見直すということをちょっと宣言していただけませんか。

田村国務大臣 扶養が要件にはなっていないので、そういう意味からすると、扶養は優先するという、優先原則があります。あと、資産でありますとか持てる能力、最大限これは使っていただく。資産もそうであります。こういうことをしていただいた上で、他の法律的な扶助の制度、これも使った上で、最終的に、セーフティーネットと言われています生活保護、これをお受けをいただくという話になる。

 言われるとおり、扶養義務に関しては、家族関係がもう完全に壊れていたりだとか、それから、そもそもDV等々があって、自立を阻害する、こういうようなものに対しては、もちろん、自治体においてはそういうものまでやっている事例があるとお聞きしていますから、そういうものは我々も、それは間違えていますよということを何遍もお伝えをして、そういうものがないように、ちゃんと受けられるように、これは権利ですよというリーフレットもつくって、今般そういう広報をしております。

 でありますから、そういう意味では、ちゃんとそこは配慮をさせていただいた上で、もし扶養をしていただける方がおられるということがあれば、扶養をいただくという制度になっております。

長妻委員 一人当たり二・二人なんですね。二・二人の親族に手紙が行っちゃっているんですよ、現実は。だから、これは特例でも、ぜひ検討していただきたい。

 そして、生活保護費がことしの十月、また減らされました、このコロナの中に。これは本当によくよく考えていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。

とかしき委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、雇用調整助成金についてお伺いします。

 けさ、大臣からも発表が正式にありまして、二月末まで現行水準を延長するという発表をいただきました。これは、恐らく与野党含めて、累次にわたって御要望させていただいて、きょうは本当にうれしいニュースをいただきました。ありがとうございました。

 そこで、なぜ二月末までなのかということをぜひお伺いしたいんです。

田村国務大臣 私の前任の加藤厚労大臣のときからおっしゃっておられる話だと思います。

 今般の特例、本当にリーマンのときよりも更に大きく特例の範囲をふやして、それこそ、十分の十、中小企業等々で解雇されていないところに対しては十分の十の補助をさせていただくでありますとか、一日の上限を大幅にふやしているわけでありまして、こういう意味からすると、特例を続けてまいりました。九月で本来は切れるものを十二月末までということでありまして、そのときの加藤大臣がおっしゃっていた内容というのは、休業者数、失業者数が急激にふえる、悪化する、こうならない限りは、段階的に本則に戻す。段階的ですよ、段階的に本則に戻していく、こういう話だったんです。

 今、そうしたら、急激に悪化しているかというと、実は、足元の数字を見ると、失業者、休業者、休業者数はだんだん戻ってきておりまして、大体二百万人ぐらいであります。これはコロナ前の数字ぐらいに実は戻ってきているんです。

 ただ、新型コロナウイルス感染症がまた感染拡大をしてまいりまして、先ほど来から、大変な状況になるのじゃないかという御心配をいただいています。こういう状況において、やはり雇用というものは非常に不安視されるということでございますので、これを更に延長しようと。

 二月は、なぜかというと、まず、一月、二月ぐらいまで、新型コロナウイルス、しっかりとこの感染状況を見なきゃならないということでございまして、今般、二月というような形にさせていただいたわけであります。

稲富委員 ありがとうございます。

 非常に切りが悪いなというのが正直なところで、やはり年度末とか、そういうのがあればいいんですけれども。というのは、やはりまたこれは一月になったときに、また次どうするんだということで、一月になってまた御要望するという、恐らくこの感じでいくとなるのではないか。

 これは予想ですけれども、非常にそういう細切れであるということで、改めてちょっとお伺いしたいんですけれども、雇用調整助成金というのはかなり大きな財政を使い、やっている政策で、効果をどのように定量的に分析しているのか、お伺いします。

田中政府参考人 雇用調整助成金につきましては、現在の特例措置開始以降の支給申請件数、これが約百九十七万件に上っております。現在、これを迅速に支給することを最優先としておりますので、全数の中で把握できる支給決定にかかわるさまざまな要素について、かなり限定的にシステムに入力しているという状況でございます。

 したがって、例えば産業分類とか企業規模とかあるいは対象労働者数といった、定量的な分析に通常は入力して行っている項目がちょっと入力できていないという状況でございまして、毎日の申請件数が一日一万件を超えている中では、迅速な支給を優先するという意味で、こうした対応はやむを得ないと考えております。

 ただ、その中でも、実は、後追いになりますけれども、令和二年四月から八月の間に支給決定した約六万件を対象にサンプル調査を実施しております。申請状況を後づけで把握をしているわけですけれども、例えば、その中で、支給決定件数で、産業分類、大分類で見てみますと、製造業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、こういったところが上位を占めております。製造業は、もともとの雇用者数が多いので多くなっていると思いますけれども、その他は、やはり労働力調査で休業者数が多かったような業種と一致しておりまして、そういう意味では、休業を雇用調整助成金がしっかり支えているというふうに考えてもよいのではないかなというふうに思っております。

 なかなか細かな分析まではできませんけれども、今後、こうした調査、サンプル調査なども含めて、工夫して、雇用調整助成金の活用状況、効果について分析をしてまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 これからやっていくということで、ぜひ取り組んでいただきたいんですけれども、やはりそれがないと、どれぐらいのお金を使い、この政策を進めるのかというのが非常にわかりづらいと思うんですね。

 ちょっと資料の、お手元にお配りした三ページ目をごらんいただきますと、これは大臣も、これまでの雇用調整助成金については、いろいろな工夫を、更に拡大をして要件緩和をし、さまざまな取組を、これはもう与野党、要望してここまでやってきたという経緯がある。それは本当にいいことだと私は思うんです。

 ただ、私も、この厚労委員会にずっといて、昨年からこのコロナ禍もいて思ったのは、これを見ていただくと、例えば、四月十日に申請書類の大幅な簡素化をする、五月一日に特例措置の拡大をし、そして五月十九日にさらなる手続の簡素化をし、六月十二日に日額上限の引上げ、これもずっとやって、ここで初めて実行されて、八月二十八に延長、きょう更に延長ということで、非常に、何というんでしょうか、結果的にはいいんですけれども、ただ、非常に小出し感があって、それによって、ある意味、戦力の逐次投入で、非常にそのことによるコストが、私はすごくかかったと思います。

 例えば、それを一旦決めた後、四月まで遡及するとか、あるいは書類も、最初の方に、例えば中小事業者がつくっていた、しかし途中から簡素化をした。これも簡素化をしないと絶対に回らないということも何度も言って、やっとここまで来た。その間、難しい従来の書類でやっていた人たちは簡単になったということで、非常に、何というんでしょうか、その場その場で逐次投入されてきて、結果としてはいいんですけれども、やはり、私が思うのは、今、分析、これからということなんですけれども、より中長期で考えた場合に、より長い目線で雇用政策の中でどうするかということを考えないと、例えば、また小出しで、あるいは段階的にというと、実務レベルでは非常に困るというふうに思います。

 そこで、先ほどちょっと大臣もおっしゃいましたけれども、今の雇用情勢について、どう判断して、今後についてはどう考えているのか、まず伺います。

田村国務大臣 まず前段の、委員がおっしゃった部分は、我々も反省しなきゃいけない部分は多々あると思います。

 当初は、この雇調金、いきなりといいますか、緊急事態宣言で、今も厳しい状況なんでしょうけれども、飲食店等々は非常に基盤が零細な、弱い、そういう方々がこれをお借りになられる。それで、もともとは、これは製造業的な部分の、ある意味では、一定程度、人を雇っておられて、ちゃんと賃金台帳等々いろいろなものをお持ちになられているところ、ですから、そういうところが一回書類を提出したら、後はもう更新で給付ができるような、そういうような仕組みでつくっていたんです。その方々にとっては、その方が効率的ですから。

 ところが、非常に基盤の弱い、飲食店等々のところから来た場合には、書類が非常に多いというのがありまして、それでなるべく減らせないか、減らせないかといろいろなことをやった結果、また、今の話じゃありませんが、いろいろな統計をつくれなくなってしまったということなので、これは我々これからいろいろと反省をしなきゃいけないところもあるんだ、制度の中で、ということは我々も感じております。

 その上で、今経済の状況がどうなのだと言われる中においては、確かに、足元は、休業者も、いっときは四百万人以上のところまでふえたのが、だんだんだんだん減ってきているという現状があります。雇調金も役割を果たしてきているんだと思います。

 いろいろな数字を見ると、非正規はまだ厳しい状況。これは、なかなかまだ戻ってきていません。昨年度と比べても、百万人以上の減という形になっています。正規は、九月の数字だったと思いますが、正規は前年同月比よりも若干上回っているというような数字が出てきております。

 ただ、先ほど申し上げましたが、コロナの感染というのは、多分、一旦いろいろな国民の皆さんにお願いして行動制約をかけておさまる、おさまってまた広げるとまた感染が広がってくる、そしてまたそこで一定程度のいろいろなことをお願いする、またと、こういう繰り返しを今やって、どうでしょう、四月から三回目ぐらいに入ってきているのかもわかりません。ですから、この感染拡大がどれぐらいの規模になるかによって、雇用にも影響が出てきます。

 もっと言うと、我々が更に国民の皆さんにいろいろなお願いをしなければならないような事態になってくれば、更に雇用にも影響が出てくるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、現状というよりかは、これからの先行き、感染状況も見ながら、どのように判断していくかというのは、我々、予想は非常に難しいわけでありますけれども、そこも含めて考えたから、今回、二月まで雇調金を延長させていただいたということであります。

稲富委員 ありがとうございます。

 資料に、今大臣から御答弁いただいたように、完全失業率そして失業者数、そして二枚目に行きますと、確かに正規の従業員は対前年同月比はふえて、非正規は減ったものである、そういったことが数字で見てとれます。

 ちょっと航空産業について、この間の御紹介をしたいんですけれども、この雇調金との関係を御紹介したいんですけれども、やはり二〇二〇年度、第二・四半期は大幅な赤字で、ANA、JAL、二大航空会社も二千億円を上回る経常損益を計上したということ。その間、雇用調整助成金は、約ですけれども、約二百八十億円ぐらいとっている。対象人数は六・六万人ということで、非常にこれを活用していたわけです。

 その一方で、各会社、それぞれ労働移動して、出向したりして雇用を維持しているということがあります。冬季の賞与をカットしたり、役員報酬をカットしたりということをやっている。

 私は、今回思ったのは、これからどうするかといったときに、例えば、雇用調整助成金は全産業に適用する。でも、先ほど分析を少ししていただきましたけれども、かなり業種によってばらつきがあるということが、今回、リーマンとは全く違う局面になっているということがわかってきていると思うんですね。交通産業と製造業そしてサービス業、全く、人員、雇用の減り方、そしてトレンドが変わっているということで、例えばですけれども、雇用調整助成金は、今では産業かかわらずやるというけれども、これからは、先ほどの分析を生かせば、私は産業によって、余り言うと、線引きをするのはどうなんだという議論はあるかもしれませんけれども、やはり産業によってその対応を変えざるを得ないんじゃないかなというのが私が思うところなんですよね。

 例えば、交通産業でいえば、そもそも人の移動をなるべくしないようにとなったらどうしようもないということもあり、やはりそういう産業と製造業はまた違う。それを同じ制度でまた運用していくということにやはり無理がある。

 ただ、おっしゃったように、これは一年を通した中で分析をして、じゃ、産業別にどう考えるのかということをやはり次の段階では考えていかなきゃいけないんじゃないか、それも、より長期的に、どの産業について政府としても後押しをするか等も含めて考えるべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣に見解を伺います。

田村国務大臣 非常に委員のお考えというのは参考になるなというのを率直に感じます。私も同じようなことを考えたこともありました。

 ただ、一方で、今委員が言われたとおり、一つの企業でもいろいろな業種をやられているわけで、なかなかそこまで線引きするのが難しいという現状もある中で、実務的にどういうことができるのかというのは非常に難しいというのが本当のところでございまして、我々も、二月でとりあえず雇調金の方は、三月以降は本則に向かって段階的にという話をしております。

 一方で、労働移動というものに対してどういうふうに、この雇調金も含めて支援していくのかということも考えていかなきゃなりませんし、それでも厳しいというような企業等々がある場合に、どうやって寄り添っていけるのか、これはしっかりと検討していかなければならないというふうに考えております。

稲富委員 今後分析して、ぜひ、よりちょっと長期的な視野も含めて、次の対応をしていただければと思います。

 それでは、次に移ります。後期高齢者医療の窓口負担について伺います。

 これも当委員会で随分と何度も御議論があったかと思いますが、全世代型社会保障検討会議の中間報告、昨年のやつでは、後期高齢者の負担は、負担能力に応じたものへと改革する、一定所得以上の者については二割とすると。ことし六月二十五日の中間報告では、この方針に沿って、本年末の最終報告において取りまとめるということでございますが、大臣、この方針にのっとって、ことし以内に負担増を決める、そういうことでしょうか。

田村国務大臣 現状、おっしゃられましたとおり、この年末までにしっかりと議論をさせていただいた上で、方向性を出すということになっております。

稲富委員 ありがとうございます。

 しかし、私は、後期高齢者医療制度の中で、現役負担のことも考えれば、窓口負担のあり方を検討することは、それはあってもいいと思います。ただ、今のこのコロナ禍で負担増を本当に議論して決めていくというのに対しては、やはりこれは相当違和感があります。なので、ぜひこれは再検討を私はしてほしいと思います。

 その中で、これは大臣も答弁で何度もされておりますけれども、負担能力に応じたものへと、応じて負担をということを何度かおっしゃっています。

 その中で、今回、所得に応じて、その負担二割の範囲を決めていくということなんですけれども、やはり資産はどうするんだと。要するに、負担能力と所得額というのは必ずしもイコールじゃない。負担をする能力は、やはり資産がある人がいるじゃないかということは、これは、負担増の話をすると、やはり地元の方は、いやいや、向こうはもっと金融資産もあるしお金もあるじゃないかと。でも、フローだけで見ればそんなに変わらないということはやはりあるわけで、やはり、金融資産を含めて資産をどうするんだ、それは負担能力としてカウントすべきじゃないかということを私は思うんです。

 それに応じて今回も検討されたということで、お配りした資料で四ページ目に、金融資産等の保有状況の反映ということで、御検討いただいたんだと思います。大臣、これは検討した結果どうなったのかということをぜひ教えていただけますでしょうか。

田村国務大臣 すごい難しい問題だというのは委員も御理解いただいていると思います。

 金融資産となると、多分、銀行の口座、こういうものを把握しなきゃいけない話になってくるわけで、マイナンバーをこれに今ひもづけるということは御本人の選択でやれることになっておりますが、それを義務づけることができるのかどうか。もっと究極なことを言うと、不動産の資産はどうするんだ、動産の中でも、例えば持ち運びができるような、宝石、金塊、こういうものはどうするんだということまで考えると、全ての商行為をマイナンバーがなければできないというふうにすれば、何十年かたったら、多分資産のありようまで全部わかるということができるのかもわかりません。ただ、これはなかなか現実的には難しい、国民の御理解もいただけないというふうに思います。

 検討会の方は、ここまでは申し上げておりませんけれども、マイナンバーと預金口座はどうなんだというようなところも含めて、引き続き、いろいろな問題がございます、検討していくということになっております。

 なお、介護においては、特養の補足給付に関しましては、これは今もう既に、入っていただくときに、本人の御承諾を得まして、銀行口座等々、場合によっては照会もさせていただくというような形で、当初は通帳なんかのコピーなんか出していただきながら、補足給付を出す。これは補足の給付でございますので、本給付じゃないというところでこういうような御理解を何とかいただきながら進めておるということでありますけれども、本当の給付の方をなかなかこれでやるというのはまだハードルが高いというふうに思っております。

稲富委員 であれば、そもそも、負担能力とか書かなくて、所得に応じてと書いてほしいんですよね。負担能力と書く以上は、やはり資産を、その負担の、まさに負担能力に応じてやるということを目指しているということで、私はそういう方向感だと思うんです。難しいということもそのとおりだと思います。

 ただ、例えば六十五歳以上の単独世帯でいえば、収入と支出、例えば生活をちょっとイメージしていただくと、ほとんど七割ぐらいが、これは厚労省のデータでいえば七割ぐらいが年金、あと私的年金。

 支出でいえば、最大支出はやはり医食住で、医は医療ですね、食は食、住は住居なんですよね。そうすると、結局、医療と住居で最大お金を使って、そして残りで食事をするという感じの生活であるということを想像すると、この住なんですよね。住がどれぐらいの負担があるのかということによって、御家庭によっては、医にどれぐらい使えるのかというのは非常に大きく左右される。

 六十五歳以上であれば、持家比率が大体八割、二割は借りているという状況であれば、もちろん、正確に言えば、いろいろな、さっきおっしゃったように、不動産、動産、金融資産、いろいろありますよ。でも、住居に物すごくお金がかかっていて、住と医だけは絶対削れないから困るわけで、住の、持家でない方について言えば、その方の住の負担を減らせば、逆に言えば医に使えるわけです、と私は思うんです。

 なので、何が言いたいかというと、この住のところをどう、例えば賃貸借がある人について言えば、賃貸借があれば、例えば医療費を減らすとか負担を減らす、例えばそういうことです。何らかの工夫をして、やはり不公平感を払拭して、まさに負担能力に応じたものに変えてもらいたいなということも私は思います。ちょっとこれは意見として申し上げます。

 次に、もう一つ、よくある、地元で言われることは、保険をよく使っていないと。要するに、保険を余り使わないと。これはもう医療保険に限らず介護もそうですけれども、保険を私は余り使わないという人、だけれども保険料は常に払うんだということに対して、全く使っていないのに保険を払い続けることについてどうなんだ、もっと、例えば保険を払っている人には安くしてくれないのか、メリットがないのか、そういう御意見をいただくことがあります。

 それは、民間保険はそうなるけれども公的にはならないという、理屈はそうなんですけれども、私は一定その気持ちもわかるんですよね。自助努力して健康を維持して、保険は払わない、だけれどもそれで一緒なんだというのは、一定その気持ちはわかると私は思うんです。

 そこで、これはまだ検討にも上らない状況だと思いますけれども、やはり保険に頼らない人への何らかのメリットの制度というのを何らか考えられないかというふうに思うわけですが、大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 例えば保険者が独自に、ヘルスケアポイント、健康づくりをされている方々にポイントを還元して、それで何か健康商品を購入してもらったり、いろいろな、地域によっては、もしかしたら、そこの町で使えるような何か商品券的なものもあるのかもわかりません。いろいろな御努力をいただいているのはよくお聞きいたしておりますし、全体として、健康づくりに非常に御努力いただいた保険者には、これはメリットとして一定の優遇をするというようなことを国としてもやっている部分はあります。

 委員がおっしゃったのは、そうじゃなくて、多分、まさに、もう三年医療保険を使っていなかったら例えば保険料が下がるみたいなイメージなんですかね。イメージはそういうイメージなのかもわかりません。

 難しいのは、もとからお元気な方と、もとから持病をお持ちの方、つまり、外的要因ではなくて、生まれながらにいろいろな疾病を持たれている、又は、同じような生活をしていても、一方は元気だけれども、一方はいろいろなところで体に支障を来してしまうという、つまり、努力と努力をしていない人という話じゃなくて、そもそも論として、個体差として、疾病にかかりやすい、かかりにくい、もとから疾病を持っている、そういうような中で医療保険を使わざるを得ないという方がおられるわけで、その方々に対してどう考えるかと考えると、なかなか、保険を受けていないからメリットがあるというのは御理解をいただけないのかなというのが、これは公的保険という、そういうようなものでございますので、民間であればそういうこともあるんだと思いますけれども、公的保険、セーフティーネットという意味からすると、みんな共助で支えられている制度でございますので、なかなかそこは難しいところかなというのが私の所感であります。

稲富委員 いずれにしても、後期高齢者医療の窓口負担二割については、やはり年末にかけてもっと、私は、もう一回見直していただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 続きまして、休業手当の六割の算出方法の改善についてお伺いします。

 これは宮本議員も当委員会で御指摘をされておりましたが、私の地元でもやはり休業されている方がふえて、タクシーの運転をされている方、あとはLCCのパイロットの御家庭の方から御相談を、同じような趣旨でいただきました。

 労働基準法十二条では、平均賃金は、三カ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額だと。二十六条では、休業期間中の労働者、その休業期間中は休日は含まないということで、実際に平均賃金を休業期間中で掛けると、結果としては六割にならない。二十日間であれば四割になっちゃうという話だと思うんですね。

 大臣は、その際に、ちょっと微妙なといいますか、答弁をされまして、どうあるべきかということを検討するための準備はさせていただきたいという、ちょっと、どっちなんだという感じなので、改めて、これはやはり、どうするのかと。やはりおかしいと思いますよ。ちょっとぜひ御答弁をお願いします。

田村国務大臣 私、でき得る限りの最大限の答弁を宮本委員にしたという思いなんですが、つまり、休業を余儀なく、してもらわなきゃならないというのは、企業はかなり厳しい状況に置かれているわけでございまして、そういう企業がどう支払うかというのは企業の負担部分もあるわけで、そもそも企業が運営できなければ、その後、職を失われるわけですね、働く方々も。そういう観点もあります。それから、当時宮本委員がおっしゃられたような観点もある。

 そんな中で、検討に向かっていろいろな資料、いろいろな資料というのはいろいろな方々の御意見もお伺いするということも含まれているんだと思いますが、そういうことも含めて、そういうことをやらせていただくということでございます。

稲富委員 企業が負担になるというのはそのとおりです。ただ、だったら、その企業を支える制度は別につくるべきで、ここで言っているのは、休業手当は、あくまで、働く意思がある人が会社の命令によって働かなくていいと言われて、それは六割が最低水準だよねと。それは、我々の常識的な、ノーワーク・ノーペイで、でも、休業の命令で六割を最低限払うというのは、非常に常識にかなう話です。

 でも、それが実際に四割というのは、これは全然、休業手当の趣旨とは私は違うと思いますし、もうわかっていらっしゃった上でおっしゃっていただいているので。

 それで、今いろいろな関係者の方のお話も聞くということも少しおっしゃっていただいたので、実際どういうふうに資料を当たる、関係者の話を聞くとおっしゃいましたけれども、もう一度、どういう方、どういう勉強をするのか、ぜひお伺いしたい。

田村国務大臣 私、今つぶさに、どういう勉強をする、何を聞く、それを答えられるだけの能力もないわけで、要するに、資料を検討する、いろいろな人から話を聞く、どういうものをそういうふうに集めるのかということも含めて、いろいろとこれから勉強をしていくということであります。

稲富委員 これは、これからまた、コロナの、どれぐらいの感染拡大をし、休業がどういう状況かわかりませんけれども、非常に大きな話でありまして、ぜひ前向きに、これはもう御答弁いただいていますけれども、ぜひ改善に向けて動き出していただきたいというふうに思います。

 続きまして、検査体制について伺います。

 大臣が予算委員会で、我が党の枝野代表の質問に対して、ランセットの掲載されている論文というようなくだりでこういうことをおっしゃっています、検査体制について。蓋然性の高いところでやった場合には、ちょっと私なりに言いかえますけれども、効果があって、一般の集団に広く検査を行った場合にはその効果が薄いというような趣旨をおっしゃったように思いました。

 ただ、ちょっと内容がよくわからなかったんですけれども、改めて伺いたいのは、要するに、蓋然性が高いところで検査をやれば当然効果は高いけれども、そうじゃないところでやった場合には効果が薄いから、だから検査はやらない、なるべくやらない、そういう趣旨なのか、ちょっと改めてこの部分をお伺いします。

田村国務大臣 枝野委員とちょっとかみ合っていなかったのかもわかりません。枝野委員も何か、のべつ幕なく全員にやれなんて言っていない、たしかそんな発言だったと思いますので、ちょっとそれは、かみ合っていない中での私の発言だったらお許しいただきたいんですが。

 イギリスの大学のレポート、四月二十三日で、こういうのがあるんですね。人口の五%にランダムに毎週検査を行い陽性者を隔離させた場合、実効再生産数が平均二%しか下がらないと推計していると報告している。これに対して、医療従事者の感染リスクの高い集団に定期的に検査を行った場合、感染を二五%から三三%減らすということになっていると。これは隔離するということが前提でありますので。

 ランダムに人口の五パーセントを毎週やっても、結果的には、ここからは私の推測ですけれども、その時点だけその五%が陰性であって、その後どうなるかわかりませんから、定期的に同じ方々を、特に蓋然性の高い方々をやった方が効果があるというような意味合いで、実はこれは分科会に出された資料から引用させていただいているんですけれども、申し上げたということで、当時の枝野委員とはちょっとかみ合っていなかったので、これはおわびを申し上げたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 そこで、やはり、けさも、午後もあったように、検査の充実についてなんですけれども、これもやはり私も強く思います。

 というのは、やはり今、まずは、発熱あるいは少し心配だったら、かかりつけのお医者さんに電話してください、そこから検査を受けられるよという話になってきている。ただし、そうじゃなくて、無症状でやはり受けた方がいい、受けたいという人は、これはかなり需要があるんですよね。

 なので、先ほど来、大臣は定期的にと。定期的にやると、確かに、先ほど来議論されているように、費用対効果がどうだ、あるいは運用として難しいんじゃないか、あるいは本来やるべき検査ができないんじゃないかということはありますけれども、別に定期的にやりたいということではなく、例えば、さっき尾身先生おっしゃったように、県境をまたぐようなとき、あるいはどうしても飲食で必要な場合、あるいは五つの場面のような場合で必要な場合、ここはやはり検査しておかなきゃいけないという場面、しておいた方が安心だという場面があるわけです。

 例えば、私の妻は保育士ですけれども、子供と接するときどうするか。そういうときに、検査した方がいいとやはり思うわけですよね。それは別に無症状であっても、やれるような体制、やれるような仕組みにするべきだと思うんです。

 そこで、もっと安くできないのかということなんです、自由診療で。国がお金を入れれば自由診療でも何でもないじゃないかというのは、それはそうかもしれませんけれども、でも、安くできればやっぱりいいというふうに思うんですけれども、改めてその点、大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 どれぐらいの方々がそれをどういう形で利用するかというのが、なかなか我々も推計できないわけであります。

 例えば商業ベース、よく言われていますけれども、スポーツ、プロスポーツでは定期的にやっておられるというような話があります。そういうものに本当に国がお金を入れていいのかどうかというのは、国民的な御議論をいただかなきゃいけないんではないか。いろいろな、遊びに行かれる場合に使われる場合、これに公費を入れるのがいいのかどうか。いろいろなパターンがありますので、一概に物が言えないというのが本当のところであります。

 そういう意味で、実は、これもなかなか、お叱りをいただいている声もたまに、たまにというかちょくちょくお聞きするんですが、オープンデータ化というものをする中において、何とか、値段だけじゃなくて、精度においても競争していただけないかと。

 見ると、ヨーロッパ、アメリカと比べても、やはりPCR検査、日本は高いというわけではないんですね。私も調べてみてびっくりしたんですが、データを見るとそんなに変わらないんです。変わらないものをどう下げるかと考えたときに、やはりいいものもあれば、ちょっといいものじゃないものもあるかもわからない。それをデータをオープンにしていただいて、例えば価格が幾ら、精度管理はどういうやり方をやっているだとか、そういうものを出していただく。

 また、陽性になったときに御報告いただかないと、そのまま陽性で、陽性だからもう隠れていようじゃ困るわけでありまして、そういう方々にちゃんと御報告をいただけるかどうか、そういうこともちゃんと、やっていただく検査側に一定程度責任を負っていただかなきゃならないというところもございます。それも含めて、掲示板のようなものにしっかりと出していただいて、それを見ていただいて、国民の皆さんに御判断をいただく。

 ただ、ここもまた問題なんです、お叱りをいただくところで。国がこれは届出制でやっているわけではありません、法律も何もありませんから。ですから、そこは、あくまでも誓約を企業にいただいて、そしてそこに掲示をいただく。もし何かあったときには、それは国としてしっかりとした対応をしなきゃならない。法律がないから、しっかりとした対応というのもなかなか難しいところはあるんですが、それはいろいろなことを考えます。

 その上で、競争を促して、よくて安いものが出てくれば、これは利用される方々にとってはいい話になるのではないかということで、こういうことも始めさせていただくということであります。

稲富委員 そこで、今、例えば地域の医療機関で検査が受けられるところというのは、私の地元でも出てきています。公表されています。福岡県が公表しています。

 ただし、問題は、何がそこでできるかというのは各医療機関によって違う。例えば、当然、行政検査であればPCR検査をやれる。でも、では自由診療でやれるかと言われれば、いや、それはしませんよ。あるいは、うちはPCRだけで抗原検査はやりません。うちはPCRもやるし抗原検査もやる。自由診療の場合は幾らかかるか、これもはっきりはわからないんですよね。

 もちろん、それは自治体がちゃんと公表しろと言うのかもしれませんけれども、生活する側からすれば、もっとわかりやすく、どこに行けば検査を受けられるのか、幾らかかるんだということ。では、安くできないんだったらいいんですけれども、わかるようにできないでしょうか。何かもうちょっとわかりやすく、どこに行けばいいのかということをできないか。ちょっと大臣、ぜひ。

田村国務大臣 私が先ほど申し上げたオープンデータ化というのはまさにそこが狙いでありまして、どういう検査をやっているかということも含めてそこに掲示をいただいて、その上で、もちろん、どこでやるかだとか、そういうことも含めて掲示をいただいて、その中で、やはりいろいろな努力がそれぞれの検査機関に始まるでしょうから、精度をちゃんと保ちながら、値段設定もいろいろな競争が起こることもあり得ると思います。

 国民の皆様方がわかりやすいものをぜひともしっかりと御提示をいただけるような場をつくらせていただいて、委員が今おっしゃっておられるような、非常にわかりづらくて困る、どこで検査したらいいのかわからないということに対して一定の対応ができればなということで、今進めさせていただいておるということであります。

稲富委員 しつこくてごめんなさい。

 一定の対応で、これは、いつまでにどんなものができるのか。最後、ちょっと、ぜひ御答弁いただけないでしょうか。大体で結構です、どういうものができるのか。

正林政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げたオープンデータ化は、一応年内をめどにしております。

稲富委員 ぜひお取組をよろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

尾辻委員 立憲民主党の尾辻かな子です。

 一般質問の機会を頂戴し、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、社会福祉法人の理事長によるセクシュアルハラスメントの報道についてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。

 配付の資料にもつけさせていただきました。例えば、二枚目、十一月十六日付の朝日新聞では、障害者施設や障害者アートの美術館などの運営を手がける社会福祉法人グロー、滋賀県、の北岡賢剛理事長から性暴力やセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントを受けたとして、元職員の女性ら二人が北岡氏とグローを相手取り、計約四千二百五十四万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと報道がされております。

 続けて、この記事では、提訴は十三日付。訴状によると、元職員は二〇一四年に出張先のホテルの部屋で北岡氏にキスされたり性器を触られたりした。その後も被害は続き、所属長に訴えても対策はとられず、昨夏退職した。もう一人の原告で、北岡氏がことし九月まで理事を務めた別の社会福祉法人の幹部の女性は、非常勤職員だった一二年にホテルの部屋で衣服を脱がされるなど、十年以上にわたり被害を受けたという。原告の女性らは十六日にオンラインで会見し、障害者の芸術の仕事に情熱を持っており、自分さえ我慢すれば働き続けられると思っていたなどと語ったというふうに報道をされております。

 東京新聞などでは、「被害が長期化 職場の無理解も問題」、「福祉の職場 実力者からセクハラ 「未来に残さない」」ということで、これも報道がされているところです。

 これは本当に私は重大なことだと受けとめております。障害者アートに思いがあって、その仕事をするために、セクシュアルハラスメントの被害を受けてもみずからの心に秘めたままだった被害者の方々の思い、実力者であるがゆえに相談しても解決につながらなかったということを思うと、実は、この被害、もしかしたら氷山の一角ではないかという思いもいたします。次の被害者を生まないためには、しっかりと事実を明らかにしていく必要があると思います。

 この北岡氏は、二〇一八年には障害者自立更生等厚生労働大臣表彰も受けておられますし、社会保障審議会の障害者部会の委員や内閣府の障害者政策委員会の委員も務められている。

 昨今おやめになられたという話も聞きます。いつ、どのような理由で辞任をされたのか、内閣府と厚生労働省にお聞きいたします。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 北岡氏につきましては、社会保障審議会障害者部会の委員でございましたが、このたび、十一月二十二日に所属団体を通じて委員の辞任届が提出されました。この辞任届を踏まえ、厚生労働省といたしましてはこれを受け入れることとし、昨日、十一月二十六日付で委員の辞任となったということでございます。

 御指摘の辞任の理由につきましては、一身上の都合と聞いております。

難波政府参考人 お答えします。

 北岡氏につきましては、障害者政策委員会の委員を十一月二十四日付で辞任されました。これは、本人から辞任の申出があったことを受けた辞任ということでございます。

尾辻委員 内閣府の方は、理由は何でしょうか。

難波政府参考人 理由について具体的なところは承知をしておりません。

尾辻委員 これは理由もなく辞任されるんでしょうか。とりあえず理由は把握していないということですね。

難波政府参考人 お答えします。

 理由については特に把握をしておりません。

尾辻委員 結構です。

 次に参ります。田村大臣にお聞きしたいと思います。

 北岡氏は、障害福祉の分野では非常に有名な方でありまして、障害者行政にも非常に影響力があるというふうに報道をされております。

 まず、大臣、この北岡氏は御存じの方なのか、そして、この報道についてどのように受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。

田村国務大臣 個別の案件、まだ事実がよくわからない、明らかにされていませんので、これに関してはコメントは差し控えますが。

 一般的にセクハラという問題は、これはあってはならない話だと思います。雇用機会均等法で、やはりこういうものは事業主がしっかりと対応しなきゃならないというふうになっておるわけであります。

 この北岡さんですか、この人に関しては、私は、もう最近はずっとお会いしていませんが、以前は何回かお会いしたことがございます。

尾辻委員 大臣、そうすると御存じの方であるということだと思うんですけれども、どういう方なのかというのは、大臣の御認識はどういう方というふうに。

田村国務大臣 滋賀で、アメニティーフォーラムという障害者の方々、アートが中心なんですかね、いろいろな障害者団体の方々も参加される、そういうところに、議員としてパネルディスカッションに参加していただけないかということで、超党派で、民主党の議員の方々とともに何回か参加したというふうに思います。

尾辻委員 大体何回ぐらい、今おっしゃっていただいたアメニティーフォーラムに御出席されていますか。

田村国務大臣 私、記憶にないんですが、厚生労働省で出席したのを調べてもらったんですけれども、四回ほど私の名前が書いてあって、その四回とも出ていたかどうか、名前は四回書いてあったということはあるようであります。

尾辻委員 厚労省にお聞きいたします。

 では、過去の、例えば、加藤厚生労働大臣や、その前の根本厚生労働大臣、このアメニティーフォーラムというのは出席されているのかどうか、お聞きしたいと思います。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘につきましては、厚生労働大臣でなかった期間の出席回数は把握しておりませんことから、明確な回数をお答えすることは困難であると考えております。

尾辻委員 それでは、山本副大臣にお聞きしたいと思います。

 山本副大臣、この北岡氏との面識はございますか。また、アメニティーフォーラム、何度か出席されているように、私、ホームページなどを見るとそのようなんですが、何度ぐらい出席されているのか。あわせて、今回の報道についての受けとめもお聞きしたいと思います。

山本副大臣 尾辻委員にお答え申し上げたいと思います。

 北岡氏とは、障害者関係でお会いをさせていただいて、いろいろなお話も今までしておりました。その意味で、アメニティーフォーラムの出席でございますけれども、障害者関係の方がたくさん集まる交流の場ということで、私も調べましたら九回出席をさせていただいております。

 また、報道に関しましては承知しておりますけれども、大臣言われたように、まだこれは個別の報道でございますので、事実関係も明らかでありませんので、コメントは差し控えたいと思います。

 その上で、一般論としては、セクシュアルハラスメントは重大な人権侵害であり、あってはならないもの、こう認識をしている次第でございます。

尾辻委員 ちょっと質問通告はないんですが、大隈政務官、ちょっとアメニティーフォーラムで、見ると、大隈政務官も、シンポジストで出られたことがあるのかなというふうに思うんですけれども、あるなし、もし御記憶があればお答えください。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 アメニティーフォーラム、滋賀県大津市で開催される、私の地元からも障害福祉団体が何人も参加されている大変すばらしい会だと私は認識しております。

 出席させていただいたのは二、三回、シンポジウムの参加が二、三回で、ここ数年は毎年欠かさず、私も楽しみに、障害者アートも含めて、行かせていただいているということでございます。

尾辻委員 せっかくなので、こやり政務官も、滋賀県出身ということで、御面識はあるか、また、どのような関係かとか、アメニティーフォーラムに出たことはあるか、今の記憶で結構です、一言お答えいただければと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 残念ながら、私、フォーラムの方に呼んでいただいたことはないというふうに記憶をしております。

 以上でございます。

尾辻委員 今お聞きしているだけでも、大臣、副大臣そして政務官と、やはり関係が非常に深い方であるということが、まあ、深いかどうかというのは、済みません、あれですけれども、関係があるということは今の答弁でわかりました。

 含めて、あと、今、北岡氏については、社会福祉法人としてさまざまな政府のイベントの委託も受けておられるようなんです。

 それで、まず、確認していきたいと思います。

 まず、文化庁さんなんですけれども、文化庁さんにおいても、当該社会福祉法人が事務局になっている事業があるというふうにお聞きしております。どのような事業にどれぐらいの金額、委託をされているのかということをまず確認したいと思います。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 今年度、文化庁では、障害者の文化芸術国際交流事業実行委員会、これがありまして、これにつきまして、障害者芸術の振興等を図る目的で実施している事業を採択しているところでございます。(尾辻委員「金額は幾らでしょう」と呼ぶ)失礼いたしました。金額につきましては、令和二年度は、八千二百八万七千円でございます。

尾辻委員 こういった事業を担う団体の理事長が今回このような訴訟が起こされたということで、報道がされているわけです。税金を使ってこのような事業を継続するに当たっては、やはり法人にこのような事実があるのかどうかなどの確認や事情聴取が必要ではないかと思います。いかがでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘のこの事案につきましては、我々文化庁の方でも報道で承知しているところでございます。

 このため、事業実施への影響を今後精査の上、適切に対応してまいりたい、このように考えております。

尾辻委員 適切に対処というのは、当該法人にヒアリングなどをしていただくということも含んでいるんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、事業実施への影響を精査する中では、例えば、採択のときに計画されていた事業が実施継続できるかどうかといったことが重要になってまいりますので、今後の対応に当たりましては、必要に応じヒアリングなども考えてまいりたい、このように考えておるところでございます。

尾辻委員 事業を実施できるかどうかにかかわらず、税金を使ってやっている事業の事務局の法人でこのような報道があるわけですから、確認をいただきたいと思います。いかがですか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁は、先ほど申し上げたとおり、先ほどのこの事業に補助、採択しているわけでございますけれども、それに当たりましては、きちっとした審査、それから、その手続に基づいてやっておりますので、その手続等に基づきまして、必要に応じしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

尾辻委員 ちょっとその認識は私は問題だと思うんです。

 この訴訟は起こったばかりですけれども、本当にこれが事実であればゆゆしきことなんです。被害者の方が勇気を持って声を上げられたというふうに私は認識をしておりますから、これは受けとめていただかなきゃいけません。ちゃんとヒアリングをしていただきたいと要望しておきたいと思います。

 次に、厚労省についてもお聞きいたしますが、厚労省においても、障害者芸術文化活動普及支援事業など、委託事業を当該社会福祉法人がされているというふうに聞いております。どのような事業にどのくらいの金額で委託をされているのか、また、あわせて、厚労省としても、当該法人にヒアリングなどの事情聴取、事実確認をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました障害者芸術文化活動普及支援事業でございますが、都道府県と連携し、各都道府県に障害者の方の文化芸術活動を支援するセンターを整備するとともに、これら都道府県のセンターを全国レベルで支援する団体を公募の上採択し設置するものでございます。

 当該事業では、今年度、全国レベルの支援団体といたしまして、美術分野として社会福祉法人グローが公募の上採択されているという状況でございます。額は、委託額が一千六百万円、令和二年度、一千六百万円ということでございます。

 御指摘のヒアリングの件でございますが、大切なのは適切に事業が実施されるということで考えております。今後の対応に当たっては、必要に応じヒアリングなども考えられると私どもも認識をしているところでございます。

尾辻委員 ちょっと、もう一回確認ですけれども、事業が継続されるに当たって必要だからヒアリングをするのか。私が求めているのは、このような報道があったことについて、これはゆゆしき事態だと思っていますので、当該法人にこういった報道が事実かどうか、また、その法人がこの事業を受ける資格があるのかどうかが今問われていますので、事実確認をしていただきたいということを要望しているわけです。いかがでしょうか。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、セクシュアルハラスメントは大変な重大な人権侵害だと私どもも考えております。

 事業を実施するに当たって、私ども、こちらの方に事業を公募でお願いしているわけでございますので、大切なのは適切に事業を実施されるということだと思っておりますが、今後の対応につきましては、先生の御指摘も踏まえまして、必要に応じヒアリングなども考えられると認識しておりますので、適切に対応したいと考えております。

尾辻委員 ちゃんと事実確認していただきたいと思います。

 私は、障害者アートをもっと広めていただくのは、これはすばらしいことだと思っております。厚生労働省にやっていただきたいと思っておりますし、例えば、厚生労働省の幹部職員の皆さんとか議員が現場の障害者団体と意見交換されるのも、それもすばらしいことだと思っております。これはどんどんやっていただければいいなというふうに思います。

 一方で、その厚生労働省の幹部や有力な政治家とパイプがあるがゆえに、それが権力となって、十年間に及ぶ法人内でのセクシュアルハラスメントが是正されない、そして、そのままこのことがうやむやになって、実績のある方なのだから不問にしようなどということは、やはりこれはあってはならないことだと思います。

 皆さんも言っていただいているように、厚労省は、職場からセクシュアルハラスメントをなくそう、そうやって旗を振ってきた省庁ですから、そこはしっかり襟を正して聞いていただかなければいけないと思います。

 もう釈迦に説法ですけれども、例えば、私は大阪ですけれども、大阪では昔、横山ノック府知事がいらっしゃいました。横山ノック府知事、セクシュアルハラスメントにより辞任をされているわけです。一昨年も、財務事務次官が、記者の方に対するセクシュアルハラスメント、これも大きな問題になり、最終的には辞任をされました。

 どういう立場の方であろうが、どういう実績があろうが、セクシュアルハラスメントはだめなんです。このことについてはしっかり受けとめていただきたいと思いますし、この報道の中には、被害者の方はこういうふうにおっしゃっているんですね、人権や尊厳を扱う福祉の職場で未来まで性被害を残したくないんだと。この言葉を私はしっかり受けとめなきゃいけないというふうに思います。

 今、ミー・トゥー運動というのが世界じゅう広がっています。なぜ声を上げているのか、それは、自分が黙ってしまったら次の世代、次の仲間が同じような目に遭うからです。それを何とか食いとめたい。そのときには、権力関係でハラスメントというのはありますから、非常に声は出しにくいんですよ。それでも、今こうしていろいろな方が声を上げているということを私たちは深く受けとめていただかなきゃいけないというふうに思っております。

 そして、やはり福祉業界においてこういうハラスメント、人権侵害、実はこれは氷山の一角で、行われていないかということを非常に危惧しております。

 昨年は、男女雇用機会均等法が改正されて、セクシュアルハラスメント等に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化までなされたところなんです。やはり福祉の分野というのはどうしても、社会福祉法人がちっちゃかったりして、相談窓口に行ったらそれが即そのハラスメントされる方にも伝わってしまうとかそういったこともあって、ちょっと法律どおりできていないんじゃないかと思われることが多々ありますので、福祉の分野でもしっかりとセクシュアルハラスメント対策、特に事業主にはセクハラ防止の責務規定があること、相談体制、受け付け体制の整備など、ここの福祉分野に特化して重点的に取り組む必要が私はあると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 福祉分野に限らず、セクシュアルハラスメントがあってはならないというのは、もう委員のおっしゃられるとおりでありまして、事業主は雇用管理上の措置を講じなきゃならない。言われるとおり、六月施行の法律でこれは強化をされているわけでありまして、ちゃんと周知をまず事業主はしなきゃいけないですよね、セクシュアルハラスメントというものがいかにいけないものかということを。

 同時に、相談者に対して不当に扱っては当然いけないわけでありまして、そういうことも含めて、福祉分野に特化するというよりかは、私は、全ての働く方々、また雇われる方々に対して、特に雇われる方々でしょうけれども、SNSやいろいろなものを通じて、セクシュアルハラスメントというものは本来あっちゃいけないものですから、しっかりと事業主としてそういうような対応をしていただくようにということは、これはちゃんと伝えていかなきゃならないと思っていますし、これからも厚生労働省としてお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 セクシュアルハラスメントというのは表になりにくいんですね。暗数が非常に多いというふうにこういう審議の中でも私も指摘をさせていただいているものでありますから、しっかりとこれは、泣き寝入りや暗数にならないような取組、厚生労働省の皆さん一丸となってやっていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと次の質問に参ります。

 次は、公認心理師の受験資格についてのはざま世代ができているということについてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。

 公認心理師資格は、取得のためには試験を受けなければいけないんですけれども、この受験資格については、移行期は特例を設けてこられたんですね。しかし、その特例措置があっても受験資格がない方々、つまり、それでもこぼれ落ちてしまって、はざま世代になってしまっている方がいらっしゃるんですね。私が御相談を受けた方も、今現在、公認心理師試験の受験資格が取得できる大学院に通っておられます。しかし、院生になって初めて、もう一回改めて大学の履修科目を確認すると、実は大学の履修科目の単位不足が判明して、いわゆる公認心理師試験の受験資格がないということがわかったんです。

 この場合どうしなきゃいけないかというと、私たちだったら普通、大学でその単位だけ履修すればいいんじゃないかと思うんですが、実は、この制度においては、もう一度四年制大学に行き直して、その四年制大学の中で、四年任期の中でその単位を取得してくださいと。それ以外に、こぼれてしまった単位取得をリカバリーする方法がないんです。だから、もう一度、この単位のためだけに、例えば同じ大学、心理系の大学を出ていますから、四年制大学にもう一回行くというのは余りに非現実的で、これは本当にどうにかならないのかということを聞かれています。SNSなどを見ていると、同じような方はやはりほかにもいらっしゃるんですね。アンケートをされたり、ツイッターアカウントから発信されているんです。

 まず、こういう受験資格が得られていない、はざま世代の実情というのは把握されているのかということについて、一応大臣に通告を、では、参考人で結構です。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 公認心理師は、心に悩みを抱えた方などに心理に関する支援を行う国家資格であります。その質の確保が重要であるということから、その受験資格は、公認心理師法上、大学で基礎的な心理学等の知識を一通り修得し、大学院でそれをもとに実際の支援の場で活用できるよう実践的な知識や技術を修得することにより、得ることができるというふうにされているところでございます。

 このような仕組みにつきましては、平成二十九年九月の法律の施行に際して、全国の大学に対して説明会を開催し、周知を行ったことに加え、公認心理師法施行時に大学在学中の方につきましては、履修科目の一部免除、本来であれば二十五科目であるものを十二科目でよいという一部免除も行っているところでございます。

 こうした取組によりまして、大学在学中であった方に対して一定の配慮を行っておりますので、一部免除後の必要科目を履修できなかった方の状況について、改めて調査をすることは考えていないところでございます。

尾辻委員 いや、これは完全な本当にゼロ回答だなということで、では、この方は、本当にもう一回四年制大学に行き直すしかないわけです。実は特例がずっとあって、ちょっと前の方は大学院だけで公認心理師資格の受験資格は取れているわけなんです。ここで、だから、非常に、ちょっとだけ年数が違うだけでこんなことが起こっているわけなんです。

 私、やはりこれはぜひ、まずは現状把握。試験センターに連絡しても、試験センターは、あなたは受験資格がありませんで終わりますから、これではもう、まず事実把握できていないんですよ。

 大臣、今の話を聞いて、ちょっとさすがにこれは問題というか課題はあると思うんです、この受験資格のあり方。ちょっと現状把握とか、やはりこれは経過措置として単位取得を認めるとか、こういう検討をしていただきたいと思うんです。いかがでしょう。

田村国務大臣 一応、今の話を聞いておりますと、履修科目の一部免除ですか、一定の対応はやったという話ですよね。周知も多分十分にやっているんだと思います。

 そういう意味からしたら、大変お気の毒な話なんですけれども、制度がそういう話になっておりますので、なかなか特例ということは、この方に対して難しいのかなというふうに思いますが。

尾辻委員 この方だけではどうもないんですね。同じように、このはざま世代、例えばわずか一年だったりするんです、その特例期間が、大学で。その機を逃したらもう取れないような仕組みというのがやはりあったんですね、はざまですので。だから、もう少しやはり丁寧にこれは見ていただきたい。これは要望にとどめますけれども、ちょっと研究していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、在日外国人無年金問題についてお聞きをしてまいりたいと思います。

 実は、外国籍障害者の方々がいまだに無年金になっているということがあります。そもそも、在日外国人の方々、日本国民でないということで、国民年金に加入できていませんでした。一九八二年の難民条約発効による国籍要件撤廃後も、このとき二十を超える障害者は、関係整備法附則五条によって、そのまま支給されないということになったわけです。さらに、二〇〇五年から施行された特別障害給付金も、学生や主婦の方々というのは救済されたのに、無年金外国籍障害者は対象とされず、そして今も、二〇二〇年に至っても無年金の状態が続いているというゆゆしき状態が続いております。

 実は、この特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律、これができたときに、附則において「検討」というのがあったんです、第二条。ちょっと、さっと読みますね。

 日本国籍を有していなかったため障害基礎年金の受給権を有していない障害者その他の障害を支給事由とする年金たる給付を受けられない特定障害者以外の障害者に対する福祉的措置については、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情を踏まえ、障害者の福祉に関する施策との整合性に十分留意しつつ、今後検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとするというふうに検討事項を置かれたわけです。

 この無年金になった外国籍障害者に対して、では、どのような検討がなされてきたのかということについてお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 国民年金法でございますけれども、先生御指摘のように、昭和五十七年の難民条約の発効に向けた法改正によりまして従来の国籍要件の撤廃がなされ、その際、その法改正の効力は、将来に向かってのみ効力を発生するというふうに規定されました。この取扱いにつきましては違憲性はないという判断がまさに最高裁におきましても出ているものでございます。

 しかしながら、御指摘いただきましたように、改正法施行前に障害者となられまして、日本国籍を有していなかったために障害年金の受給権を有していない方々への福祉的措置、これにつきましては、特別障害給付金支給法の附則第二条の検討規定がございまして、これに基づきまして、年金局といたしましても、地方自治体に聞き取り調査を行うなどしながら検討を重ねてきたところでございます。

 しかしながら、我が国の年金制度は、拠出した保険料に応じて年金を支給するということが原則でございまして、国民年金への加入が任意であった時期の専業主婦や学生で障害基礎年金等を受給していない障害者の方々に対しましては、議員立法によりまして特別障害給付金の支給を認めた、これは極めて特例的な措置だと考えます。また、その際、国会でさまざまな御議論があって、無年金の外国人の障害者については対象に含まれなかった経緯もございます。

 こういったことを鑑みますると、なかなか、無年金外国人障害者の方々に年金制度の延長上の福祉的措置として給付金を支給するということにつきましては慎重な検討をする必要があると考えておりまして、これまで結論に至ることができていないわけでございますが、御指摘いただきました法律の附則の検討規定ですとか附帯決議もありますので、引き続き検討はしてまいりたいと考えてございます。

尾辻委員 済みません、検討の具体的な中身というのは、いつ、どのような検討が政府においてなされたのかということについてお聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 これは、たびたびこれまでも、時々、団体等からも御意見がございますし、国会等でも御議論がございます。そのたびごとに、年金局内、幹部を含めまして、議論を重ねてございます。

 先ほど申し上げたような、もともとの年金制度の特質、それから、その特質の極めて特例的な措置として特別障害給付金というのがある、それとの関係でございますとか、それから、ほかの障害福祉施策との関係等々を検討し、また、平成二十二年には、地方自治体で、この給付金がないということで独自に事業を行っている自治体もありますので、その聞き取りなども行いながら検討を行ってきたということでございます。

尾辻委員 ちょっと聞いていると、ほとんど検討されていないように聞こえるんですね。

 実際に、ここで、附則で「検討」というふうに言われたわけです。二十を超えていらっしゃる方々に何の過失もないわけですよね、外国籍障害者の方々が。例えば、救済されている方々と、学生と主婦とはまた違うわけです。この方々には何の過失もなく、ただ単に一九八二年の難民条約のときに二十を超えていたという、ただその一点でもって、日本に住んで税金を納めているのに年金がない。これが検討事項になっているのにずっとほっておかれているというのは、私、これは本当にゆゆしき問題だと思っております。

 二〇一八年には、国連人種差別撤廃委員会の総括所見でも、市民でない者に障害基礎年金の受給資格を認めるよう立法を改正することと勧告もされているわけなんです。

 ちょっと、まず事実を聞きますが、実際、無年金になっている外国籍障害者の方々は何人ぐらいいらっしゃるのか。実態調査をされたことはあるんでしょうか。

高橋政府参考人 御指摘の人数、無年金の外国人障害者の方が何人いるかということでありますけれども、もともと、年金の事業運営上、加入記録がない方々の情報というのを厚生労働省として保有しておりませんので、なかなか、その方々の実態を把握するということは難しいわけでございます。

 その中で、平成二十二年には、これらの方々に独自に給付金事業を行っている地方自治体、六都道府県、五市町村に対しまして、無年金外国人障害者を対象とした現金給付策についての聞き取り調査を実施してございます。

 しかしながら、これも一部の自治体が個々の要件のもとで実施しておりますので、そのような外国人の障害者の方々の全体像を把握するということはなかなか難しいというのが現状でございます。

尾辻委員 例えば自治体でそうやって独自のことをされているところもあるわけです。やはり、まずはどれぐらいいるのかという実態調査をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

高橋政府参考人 先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまうんですけれども、これらの自治体、それぞれのところで要件が違うわけでございまして、それぞれごとにそれぞれの要件の中で一部の自治体が実施している。そういったことから、そこのところの状況を把握することによってでは、全体のどのくらいいるかということの把握は大変難しいということで、なかなか方法がないということで考えているところでございます。

尾辻委員 まず実態を調べないと、どれぐらいの方がいらっしゃるのかということ、そうしたら、どれぐらい予算が必要かということもわからないわけですから、やはり実態把握は大事だと思いますし、国連からも人種差別撤廃委員会からも言われているわけです。これはやはりちゃんと動かしていく、検討を進めていく必要があると思うんですね。

 ちょっと時間がないので、私、質問していた分、指摘にとどめますけれども、例えばハンセン病療養所の在日コリアンの方々については、入所者給与金、これは一般には自用費と言われているんですけれども、名目で、例えば障害基礎年金と同額が支払われているというような実は救済措置もここではあったりするんですね。

 なので、実は、この方々、昨年だったかな、年金生活者支援給付金が来たときに、無年金だからこれももらえなくて、もう本当に自分たちはずっと日本に住んでいるのに何もないということを憤っておられたわけですね。本当に、この障害のある方々には何の自己責任もない。ただ単に日本政府の都合の中で無年金のポケットに落ちてしまったということだと思います。

 大臣、やはり今、二〇二〇年、これはこのままにしておいてはいけないと思うんです。この外国籍障害者無年金問題を解決するために、ちょっとやはり何かしら検討を、「検討」と書いてあって、やっているわけですから、ぜひとも検討いただきたいと思います。いかがですか。

田村国務大臣 今話があったんだと思うんですが、そもそも年金を掛けていない方々は年金にかかわるものはもらえないわけで、任意年金のときに掛けていなかった方々に対して、議員立法というような、要するに、国民の皆さんに代表される方々が法律をつくって、そしてそういう方々を、救済というか、したわけですね。

 そのときに、外国人の方々はそもそも入っておられない。当然ですよね、任意加入の権利もないんですから。義務がなかったわけですからね。その方々を救うといっても、年金は被保険者の方々が要するにお金を出されて、その上でもらわれている話なので、やはり国民的な御理解をいただかないと、これはなかなか難しいのであろうなというのが話を聞いていての私の率直な意見です。

 その上で、とはいいながら、検討というのはその議員立法の附則で書かれているというわけでありますから、これからもいろいろな御議論があると思いますから、慎重に検討はさせていただきたいというふうに思います。

尾辻委員 もう大臣おっしゃられたとおり、もともと、だから年金に入る資格はなかったわけですから、じゃ、そういうやはり特別障害給付金など、こういうこともぜひ考えていただきたいと思います。

 最後、ちょっと時間がないんですが、一問、生殖補助医療の親子関係について、ちょっと法務省の方に確認をしていきたいというふうに思います。

 今、生殖補助医療、非常に議論されているわけですけれども、この親子関係についてはちょっといろいろまだやはり議論をしなきゃいけないことがあると思いますので、聞きたいと思います。

 嫡出否認権を喪失した父に対して、親子関係不存在や認知調停等によって嫡出推定を外すということが現在行われます。ですので、嫡出否認権がないということは永遠に法的父親であるという担保ということではないという、この理解で合っているのか、逆に言えば、精子提供者も将来的に認知したり認知されたり、親子関係を確認されたりということが、私、これはあり得るんじゃないかと思います。法務省、いかがでしょうか。

とかしき委員長 堂薗法務省大臣官房審議官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、現行の民法七百七十二条の嫡出推定につきましては、判例で例外が認められておりまして、一定の場合には嫡出推定が及ばないという場合があり得るということが解釈として行われているところでございます。

 ただ、それにつきまして、生殖補助医療でも同じような解釈がされるかどうかというところにつきましては、現行法上確定した判例もございませんし、学説上も定まった見解がないというところでございますので、ちょっと確たることは申し上げられないというところでございます。

尾辻委員 ちょっと時間がきょう来ましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長宇波弘貴君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣以下政務の先生方、またお役所の皆様にも、きょうもよろしく御指導をお願い申し上げます。

 けさの朝刊に、一人親世帯の皆さんへの、このコロナ禍における苦境を救うために再び給付金を支出するという記事が出ておりました。

 私どもも求め、そしてまた公明党さんからも要請が出され、昨日、自民党さんの方から総理に対して要請をされたということで、自民党の先生方にも心から敬意を表したいというふうに思います。

 提出をされた森まさこ前法務大臣の、かぎ括弧つきのコメントとして、記者団に「五万円の支援金と同様のものを年内にと申し上げ、総理から「わかった」と力強い答えをいただいた」というふうに出ております。さらに、再支給は年内を目指し、金額や対象者は前回同様とする案が出ており、厚労省、財務両省で詰めるというふうに書いてございます。

 厚生労働大臣に、御担当の閣僚でいらっしゃいますので、この一人親世帯への給付金、二回目の給付金、年内に支給するということを御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 きょう、私、閣議後の定例の記者会見というのがございまして、そこで雇調金の二月までの特例措置、今のままでこれは延長するということははっきりと申し上げました。

 今の案件に関しては、私からの報告の中にはまだ含まれておりません。

川内委員 耳を疑うような、今、御答弁だったわけですけれども、総理がわかったときのうおっしゃったそうでありまして、総理からの指示がまだないということなんでしょうか。

田村国務大臣 私の方から発表はしておりません。発表しておりません。

 ですから、報道ではいろいろなことが、本当かどうかはわかりませんけれども、そういうことは書かれているんでしょうけれども、物事というのはちゃんとしたプロセスにおいて決定していかないと決まらないものでありまして、いろいろなものがいろいろなときにいろいろな形で流れますけれども、それをもってして物事が、行政が決まるとすれば、それは行政は要らないわけでございますので、行政の手続としてはまだそういうことにはなっていないということであります。

川内委員 いや、何かそんな、ちょっと御答弁としてわからないんですけれども、厚生労働省として、大臣として、年内の支給に向けて検討しているんだということなのか、それとも、全く検討していない、何だそれはということなのか、どっちなんですか。

田村国務大臣 何度も申し上げていますけれども、それぞれいろいろな皆様方、与党、野党から私のところにも御要望をいただき、私も私の立場でいろいろな活動もやっておるわけであります。

 そんな中において、実態をしっかりと調べなきゃならないということで、私の方が指示をして、SNSで一人親家庭の状況はどんな状況かというのを今集めている、集計の最中でございます。そういうのをしっかりと見て、必要な対応をしっかりとやってまいるということであります。

川内委員 それはこの前も聞いて、十二月頭にその集計がまとまるよということもお聞きしているんですけれども、そのまとめを早急にされて、年内の支給に向けて鋭意努力をするという理解でよろしいのかということをお聞きしているんです。

 というのは、大臣、与党の公明党さんと自民党さんが要請されて、野党たる我々も要請して、これは国会が要請しているんですよ。国会全部が、国会全体が年内にと。それを、政府として、何だそれはというようなことをおっしゃるのは、ちょっと違いますよね。国会全部が要請しているわけですから。

 委員長、ちゃんと答弁しなさいと言ってくださいよ。院を代表する厚生労働委員長ですからね。国会全体が、支給してね、みんな大変なんだから、一人親世帯、大変だから支給してねと国会全体で言っているものを、ちゃんとまともに答弁されないというのは、私は、ちゃんと要請を受けとめて、年内支給に向けて鋭意努力をするということを答弁しなさいと厚生労働大臣に御指示をお願いしたいと思います。

田村国務大臣 委員長から命令されたわけではないんだと思うんですけれども。

 委員も与党であられたこともあられると思いますし、行政がどういうものかということもよくおわかりになられると思いますから、これ以上私をおいじめにならないようにお願いいたしたいと思います。

川内委員 いや、大臣がこの場で年内の支給に向けて鋭意努力するということを御答弁されることが、行政をそこに向けて力を結集していくことにつながるので、だから、この場での答弁がめちゃめちゃ大事だというふうに思うんですよね、そういう意味で。

 年内の支給に向けて努力をされるんでしょう。お願いしますよ、大臣。一人親家庭の皆さん、物すごい、やはり年末年始、大変だと思うんです。そこはわかっておる、そのために頑張るからということを言ってほしいんですよ。

田村国務大臣 なるべく早く、調査結果のもとに、必要な措置があれば、それもなるべく早くその措置を講ずるようには努力はしてまいりたいと思います。

川内委員 ありがとうございます。

 財務省の方にも来ていただいているので、年内に厚労省から協議があったら、そこはもうしっかりと財務省としても対応するということを御答弁いただいておきたいと思います。

宇波政府参考人 恐縮でございますが、仮定の御質問だとお答えしようがございません。

 あくまでも一般論でございますけれども、一人親世帯に対する支援のあり方、これは、まずは所管の厚生労働省において御検討いただくべきものというふうに考えてございます。

川内委員 いや、財務省さん、仮定の質問じゃないんですよ。だって、今大臣が、しっかり調査をして必要な措置があれば速やかにそれが実行できるように努力するよということを御答弁されたわけですから、それを受けて、財務省としては、厚労省からそういう要請があったらちゃんとやるからねということはおっしゃっていただかないと。

 仮定じゃないんですよ。仮定の質問じゃないんですよ。お願いします。

宇波政府参考人 委員御承知のように、私ども予算当局の機能と申しますか仕事というのは、所管する担当の御省庁から要求があったときにはそれを受けて協議をしていくというのが、一般論でございますけれども、これが私たちの、査定当局の仕事でございます。

 したがいまして、繰り返しになりますけれども、一人親世帯に対する支援のあり方については、まずは所管される厚生労働省において御検討されるものというふうに考えてございます。

川内委員 この非常事態において、本当に一人親家庭の方々の生活ってむちゃくちゃ大変だと思うんですよね、仕事を失ったり、あるいは仕事が減ったりして。そういう中で子育てをする、そういう方たちの苦境を想像したときに、今の答弁というのは、ちょっと冷たい人たちだな、もうちょっと何か言えないものかなと思うんですよね。いや、それは厚労省で検討することですから、僕たち知りませんみたいな。

 ちゃんとわかっている、厚労省で検討して出てきたら、それは財務省としても受けとめるよと。だって、そうでしょう、今の答弁はそういうことでしょう。受けとめるんでしょう。突っ返すことじゃないですよね、財務省さん。

 財政審で今回出た建議にも、必要なことはちゃんとやるんだということを書いてある、ちゃんとやってねと書いてあるじゃないんですか。必要だと思うから厚労省から出るわけですから。これは仮定の質問じゃないんですよ。

 財務省としてもちゃんと、厚労省で検討して出てきたものについては受けとめるよと。まずは厚労省で検討することだ、僕たちはまだ知りませんということじゃないんだ、私たちもちゃんとわかっていると。だって、厚労省で検討しているということは今御答弁があったわけですから。

 そこで首をひねらないで、もうちょっと何か、もう一言つけ加えてよと言っているんですよ。

宇波政府参考人 仮定というか、恐縮でございますが、要求がない中であります。

 総理からは、この問題について、せんだって、一人親家庭が置かれている実情を把握しつつ、緊急的に支援が必要な場合には、状況に応じて対応してまいりたい、こういう御答弁だったと思います。これは政府全体を代表しての総理の御答弁かと思います。

 そのもとで、財務省としては財務省の役割をきちんと果たし、厚労省でまず御検討をいただいて、それを踏まえてどういう対応をとるかということは、まず、検討いただいた上で、私どもの方が対応していくということになるかというふうに考えてございます。

川内委員 余り満足できる御答弁ではなかったのですが、きょうはGoToトラベルのこともやりたいので。

 何にお金を使っていくのか、何が必要なことなのかということについて、やはりこれは与野党を超えて議論をし、そしてみんなの大切な税金を使っていく、そういう意味では、与野党が一致してこれはちゃんとしてくださいねというふうに要望をしているもの、要請をしているものであるということを政府としても重く認識していただいて、御検討を更に進めていただきたいというふうに思います。菅総理大臣は、わかった、こう述べたそうでありますから。

 では、次に参ります。

 GoToが感染拡大の要因ではないんだということを、政府は今そういう立場でいらっしゃるわけですが、感染研の脇田所長さんは新聞のインタビューなどで、きっかけにはなっているんじゃないかということをお述べになっていらっしゃるわけですね。GoToトラベルは人の移動そのものだから、感染拡大のきっかけ、あるいは一因にはなっているのではないかという脇田所長さんのお考えというものを、それで間違いないのかということをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 十一月二十四日の新型コロナウイルス対策アドバイザリーボードの資料におきまして、今回の感染拡大の要因についてまとめさせていただいています。十分にまだ解明できているわけではありませんけれども、基本的な感染予防対策がしっかり行われていないというようなことの中で、人の移動の増加、それから気温の低下による影響に加えて、人口密度というものが考えられるということですから、人の移動というものは感染拡大の要因になるということは考えております。

 ただ、一方で、分科会の提言にも書いたところでありますけれども、今のところ、GoToトラベル事業が感染拡大の主要な原因であるというエビデンスはないというふうに考えております。

川内委員 済みません、財務省さん、もうお引き取りいただいて、鋭意検討を進めていただければと思います。

 脇田先生はゲノム解析の第一人者でいらっしゃいます。感染研の中ではただ一人ゲノム解析を担われていらっしゃるというふうに思いますが、手を違う違うとやっているけれども、きのう感染研に電話したら、ゲノム解析は脇田先生しかできないんですよ、こうおっしゃって、いやいや、御担当の方にレクに来ていただければいいんですけれどもと言ったら、いや、脇田所長しかそれはできませんからとか言われて、じゃ、それはもうあした委員会で直接聞きますと言ったんですけれども。

 ゲノム解析すれば、今、日本全国で感染が拡大しているコロナウイルスがどういう遺伝情報を持ち、どういうふうに拡散しているのかということは一目瞭然でわかるわけですよね。それはGoToトラベルによって人々が、だって、政府は四千万人泊も、私もGoToトラベルはすばらしいと思いますよ、めっちゃ大事。だけれども、めり張りが大事ですよね。拡大したらちょっと抑える、下火になったらまたみんなどうぞと。ウイルスというのは感染するものなんですから、めり張りをつけていくということが大事で、そういう意味では、今ちょっとGoToトラベルで拡大しちゃったね、じゃ、ちょっと抑えましょうか、そういうめり張りをつけていくことが政策として大事であるというふうに思うんです。

 所長はゲノム解析していらっしゃるんでしょうから、今広がっているものはGoToトラベルにも関連して広がっているということはもう科学的に明らかなんじゃないですか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 ウイルスのゲノム解析と申しますのは、いわば親子関係、そのウイルスの親子関係を明らかにして、家系図を描くような調査でございます。

 国立感染症研究所におきまして、新型コロナウイルスゲノム解析による疫学調査を実施させていただいております。これまでに、四月まであるいは八月までの状況を当研究所のホームページにおいて報告をしております。

 このウイルスのゲノム解析というのは、クラスターが発生します、そこにおけるウイルスの感染のリンク、これの一部を解明する材料ということでありまして、この調査が必ずしもGoToキャンペーンと現在の全体的な感染状況の関係を明らかにできるというものではないと考えております。ただ、新型コロナウイルスの感染状況の把握のためには、この調査のような積極的疫学調査を定期的に実施していくということが重要であると考えております。

川内委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、今現在、日本全国に広がっているウイルスの遺伝情報というのは、それぞれの地域で全く違うということをおっしゃっているんですか。同じものが広がっているんじゃないんですか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 日本において拡散、流行いたしましたウイルスは、二月から中国・武漢の由来のものが入りまして、三月には、その中国からヨーロッパに渡ってさらに日本に戻ってきたものが拡大をしました。それで、七月、八月の流行においては、一旦ヨーロッパから流入した株が終息したわけですけれども、東京の一部の地域で潜在化したものをもとに拡散をした、そこまでわかっております。

川内委員 今現在はどうなんですか。

脇田政府参考人 現在も、七月、八月に流行した株と同様の株が流行しております。

川内委員 ということは、七月、八月に流行しているものが今現在も全国に拡大しているというのは、GoToで人々が移動していることも一因である、そういう意味できっかけになっているというふうに脇田所長は御発言になられていらっしゃるのであろうというふうに思います。

 私は、何でこんなにかたくなになるんだろうと思うんですよね、田村大臣。ゼロか一〇〇かの二択じゃないと思うんですよ、感染拡大防止と社会経済活動の両立というのはね。

 そもそもウイルスは感染するものだから、その波をどうやってコントロールするのかということが、非常に政府にとって、科学的データに基づいてコントロールしていくということが政府に求められていることであって、何か、見ていると、意地になっているように見えるんですよね。

 東京都の小池さんと政府との関係が余りよくない、そんなものは国民に関係ないわけですから。ちゃんと小池さんと話し合って、どうしようかというようなことをちゃんと話し合えばいいのに、何かお互いに意地を張り合って、結局、迷惑というか被害をこうむるのは国民なので、その辺、しっかりしていただきたいなというふうに思うんですよね。

 そこで、一つお伺いしたいんですけれども、きょうは東京都も感染者数が五百七十人になったそうですけれども、東京都の重症者数は、今現在、政府で把握していらっしゃる重症者数というのは何人ですか。

正林政府参考人 お答えします。

 厚生労働省では、療養状況等及び入院患者受入れ病床数等に関する調査を行っており、都道府県からの報告を受けて、国の基準に基づく重症者数を毎週一回公表しており、最新の重症者数は、全国が四百八十三人、東京が百八十七人、大阪が百三人であります。

川内委員 だから、国の基準でいうと百八十七人、それもちょっとデータが古いんですけれども、百八十七人という重症者数。ところが、東京都がきょう発表している重症者数は六十一名なんですね。

 ステージを判断するのは都道府県です、こう政府はおっしゃるんですけれども、じゃ、東京都知事がステージを判断するときにどっちの重症者数を使うのかというと、ちょっとよくわからないんですね、委員長。

 だから、例えば、国の基準でいうと東京都の重症者数は百八十七人で、東京都が現在確保している重症病床数は何床ですか。

とかしき委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 速記を起こしてください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 お答えします。

 確保している重症者の病床数は百五十です。

川内委員 だから、大臣、もう、現在確保されている重症病床数を、国の基準でいう重症者の数は上回っているわけですよね。

 確保想定は五百ベッドですけれども、私がこんなことを大臣に言うのは本当に大変僣越なことで、ベッドをふやすためには、まず人員を確保しなきゃいけない、その人員がなかなか確保できないからベッドがなかなかふえないねというのが現在の政府の最も大きな悩みであろうというふうに思うんですよね。

 そうすると、じゃ、ステージを判断するのは東京都だ、東京都の重症者の発表は六十一名です、確保が百五十ベッドだからまだ大丈夫ですという話になっちゃうわけですよね。ところが、国の基準からするとこれはもう大変だという想定になるわけです。

 分科会は、東京都はステージ3相当だ、こうおっしゃるんですけれども、政府は判断していないんでしょう。政府は東京都のステージを判断されないんですか、政府として。

正林政府参考人 きちんと説明したいと思います。

 まず、国の方、先ほど私、数字を申し上げましたが、あれは、重症者数について、まず集中治療室、ICU等での管理、それから人工呼吸器による管理、それから体外式心肺補助、いわゆるECMOですね、による管理のいずれかが必要な患者として、その数を報告するよう都道府県に依頼して、新型コロナウイルス感染症対策分科会においても、その定義に基づいて重症者数を都道府県にお示ししている。これは、四十七都道府県、同じ基準で集めて比較するために、このようなとり方をしています。

 一方、例えば、ある自治体はICUに、国としてはできるだけ客観的に外形的に把握できるようにということで、ICU等での管理という形で定義してやっていますが、自治体によっては、ICUの中でも場合によっては軽症の方も入っている場合があるので、それをカウントしないということがどうもあるようです。このように、各都道府県で独自の基準に基づいて数字を出している場合が確かにあります。

 ステージ判断するときは、一義的にまず都道府県で判断して、ただ、それだけではなくて、もちろん、各自治体、都道府県も、国の基準もあることを知っていますし、それから、各自治体の独自の基準もあるのを承知の上で、いろいろ考えながらステージを判断し、なおかつ、国とそれはしっかり協議をしながらステージを判断していく、そういう形になっております。

川内委員 だから、それなりに国の理屈と都道府県の理屈っていろいろあると思うんですけれども、この新型コロナウイルス感染症の問題というのは全国に波及する問題であって、だからこそ、法律に基づいて政府対策本部というものをつくり、そこで、政府として、この感染症の問題について、経済にも影響がないようにちゃんとしていこうねということで本部をつくっていらっしゃる。だからこそ、いろいろな数値の、あるいはデータの定義等については、やはり統一しておかないと混乱すると思うんですよ、大臣。

 厚労省のホームページを見ると、重症者数というのに、百八十七人という数と、東京都が出している六十一名という数と、重症者数の数が二つ出ているわけですよね。それは、見ている側からすれば、これは一体どういうことなのということになるわけです。

 今、正林局長が御説明されたとおり、よく見ると、ちっちゃな字で、米印で、これはこうこうこういうことですと書いてありますよ、注が。だけれども、それはリスクコミュニケーションとしても非常にわかりにくい。

 だから、きょう私が提案したいのは、田村大臣と小池都知事が話し合って、あるいは、まだ都道府県で、国の定義と違う重症者数などを用いている都道府県もありますから、そこは田村大臣のリーダーシップで定義をまず統一するということからされたらいかがかということを申し上げたいんです。

田村国務大臣 統計的に、何か後世それを参考にするというのであれば、それは委員がおっしゃられている意味はあるので、それは、出ているわけですよね、今。

 一方で、東京都が出されているのは、東京都の医療提供体制の話であって、要は、東京都が重症者と言われている方々がちゃんと病床に入れれば、それに対する治療の体制が整えられているわけでありますから、たとえ基準が違っていても、医療提供体制、つまり、医療が崩壊しないという意味からすれば、それはそれで、東京のいろいろな努力、それは多分一番始め、緊急事態宣言を出して大変なときにいろいろな経験をされて、東京都が、こうやればより効率的に、しっかりとした治療を提供しながら効率的に対応できるという、いろいろな努力の上で対応されておられるという話でありますから、それはそれとして、ステージを判断する中での指標としては、我々は、東京都の御努力の中での検討なんだろうなというふうに認識をいたしております。

川内委員 だから、今大臣が図らずもおっしゃったように、ステージを判断する上で、国の定義と東京都の定義が違うわけですよね。それで、お互いに責任を押しつけ合うという構造になるのは、私は不毛だと思うんですよ。

 実際に、東京都の入院患者数は、今、千五百六十一名で、今確保されている病床は二千六百四十だそうです。入院調整中の方が六百七十七名いますから、千五百六十一名と六百七十七名を足すと二千二百三十八名ということで、もう普通のベッドも埋まりつつあるわけですよね。それで、受入れ確保想定の病床数は四千ですから、いや、これだけの病床を全部で用意しますよというのは四千あるから、まだ余裕はありますと。だけれども、ベッドはそう簡単にふえない。だから、医療関係者はめちゃめちゃ焦っているんだというふうに、今、思うんですよね。

 じゃ、そこに私ども政治あるいは行政がどうサポートをしていくのかということを考えたときに、まず定義を同一にした上で、ステージの判断を同じ認識のもとで判断できるようにすること、そして、きょう夜七時から対策本部が構えられているようでありますから……(発言する者あり)いやいや、質問じゃないけれども、そこで、その対策本部で大臣として、やはり、きょうずっと長妻先生からも御提起があったわけですけれども、GoToトラベルについて、中止という言葉ではなくて、一時停止。

 分科会も、年末年始を穏やかに過ごすためにというふうに御提起をされていますけれども、私は、正月、みんな、田舎に帰りたいとか、親に会いたいとか、じいちゃん、ばあちゃんに会いたいと。年末年始は移動したいわけですよね。だから、そのために、ちょっと今我慢しようね、一時停止しようねというのは国民は受け入れてくれると思うし、それで経済的に損失を受ける人たちには給付で補償していくという、政府としてめり張りのきいた、おお、なるほどね、さすがだねという対策をとるべきだと。

 きょうの夜、それを大臣は、GoTo担当じゃないけれども、五大臣会合に出席して、札幌と大阪の除外には関係していらっしゃったわけですから、関係しているわけですから、関係大臣であることは間違いないので、対策本部で御発言をいただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 私も、七時からあるというのは初めて聞きましたので、あれなんですけれども。

 いずれにいたしましても、医療という意味からすると、今の医療の状況、それは東京だけじゃなくて、今厳しくなりつつある地域も含めて、これは都度、共有をしていただいております。

 その上で、分科会の御提言をいただいたわけで、その分科会の御提言は、これは決してGoToトラベルのみに矮小化されている話じゃないんです。いろいろなことがこの中に入っておりますので、それも含めて、私もそういう意味では、閣僚の一人でありますから、全く関係ないわけじゃないので、いろいろな医療の状況とあわせて、担当の部局でそれぞれ判断をするに当たって、当然のごとく、これは、全くそれぞれの都道府県の知事さんと話をしないというわけにいかないですよね。それは当然のごとく。

 だから、そういうことを今やっているわけでありまして、その中において、いろいろなまた判断があるのであろうなというふうに思います。

 ちなみに、今委員がおっしゃられたことを私が言うというよりかは、常日ごろ医療の情報という、医療提供体制の情報はしっかりと共有をしておりますので、そういう情報、分科会からいただいた提言、そういうことをもとに、いろいろな議論がなされるということになります。

川内委員 政府の施策として、このGoToトラベルというのは大変重要な施策であると。感染拡大防止そして社会経済活動を両立させることが政府の方針で、そこに向けての一つの施策として行われていることであると。だから、矮小化しようなんて思っていないんですよ。政府がおやりになっていらっしゃることなので。

 だから、国民の皆さんが個人の立場で旅行されることは、それは誰もとめることはできないけれども、しかし、政府がお金を、最高額二万円つけて、どうぞ旅行に行ってください、動いていいですよと言うことは、国民の間に気の緩みをもたらすのではないかとか、年末年始に向けてちょっと抑えた方がよいのではないかとか、やはり、めり張りをきかせることが大変重要なのではないか、この局面では大事なのではないかということで申し上げているわけでございます。

 脇田さん、私の今の考え方、賛同しませんか。どうですか。いやいや、分科会の立場でも、アドバイザリーボードの立場でも、どっちでもいいですよ。私もそういうことを考えているんですよということであれば、そうおっしゃっていただければ。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 現在の感染状況を考えれば、なるべく早くこの感染状況を改善するための対策を打つ必要があるというふうに考えております。

川内委員 非常に難しい立場で、よくおっしゃっていただいたなと。感染状況を抑えることをしてもらいたいと。

 それはやはり、脇田所長としての精いっぱいの、今、御答弁であったというふうに思うので、田村大臣、その気持ちをしっかり受けとめて、国民のために、日本のお正月のためにも、きょうの七時からの対策本部でのよい結論を私どもはお待ちしているということを申し上げて、終わりたいというふうに思います。

 どうもありがとうございます。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 午前中は尾身会長もみえて、個人の努力ではどうにもならない、そういう段階だというお話がありましたけれども、今総理から出ているメッセージというのは、どちらかといえば個人の努力を強調されて、マスクなんだ、それから飲食とかリスクを気をつけてくれという話なわけですよね。

 やはり、勝負の三週間だと言うのであれば、分科会の提言を全面的に実践する、こういう立場に立ってこそ、勝負の三週間になると思うんですよ。中途半端に、部分的に都合のいいところだけつまみ食いして、GoToトラベルやっていいですよと、これでは政府が本気で勝負の三週間だと言っているというのは伝わらないと思うんですよね。

 そこを、私は前から同じことをずっとここで言っていると思うんですけれども、やはりよく話し合っていただいて、きょう、夜、会議があるということですから、そこで話し合って、分科会の言われたことは全部、全面実践しようと。きょうの対策本部が終わったら、総理は緊急記者会見を開くと。そこで、私も考え直しました、分科会の言うとおり、出発地についてもこれは一時停止します、東京や名古屋、そういうところについてもこれは一時停止します、みんなで、先ほど来あるように、穏やかな年末年始を迎えましょうと、こういう記者会見を総理がやるしかないと思うんですよ。そうしないと、本当にとまらないですよ、感染拡大が。そのことを大臣には申し上げておきたいと思います。

 それで、きょうは脇田所長に来ていただいているわけでございますが、GoTo事業と感染拡大の関係について、アドバイザリーボードでも議論されているわけですよね。

 配付資料の一枚目は、十一月十九日のアドバイザリーボードに西浦先生が出された資料でございます。少なくとも週一人以上の感染者を認める都道府県数、あるいは少なくとも週五人以上の感染者を認める都道府県数が、シルバーウイーク以降、あるいは十月一日以降ふえているというのが西浦先生が出された資料でございます。

 これにかかわって、西浦先生はコラムを書かれているんですけれども、こう言っているんですね。「この図を見て「GoToの影響がない」と真面目な顔で言うことは困難になる。」こうおっしゃっているわけですよね。これについては将来、査読を受けて論文として発表する予定だということではございますけれども、こうも言っているんですね。しかし、現在流行状況は待ってくれず、やむなく研究知見の紹介として、この資料ですね、簡単に作成可能な図を公開することとした。この図が示すような因果関係が疑われる中、政策を継続することによって注意義務違反が起こらないようにするためにも、議事録の残った会議体の中で科学者として勇気を持って毅然と発表することが求められていたと、こういうふうにコラムの中で西浦先生は書かれているわけです。

 ちょっと、アドバイザリーボードの座長でもありますので、脇田先生にお伺いしたいんですけれども、確かにGoToが主因だとのエビデンスはないというふうに分科会は書かれているわけですけれども、同時に、このGoToによって、GoToがきっかけだとか、あるいは間接的影響だとかいろいろなことがあると思いますけれども、これによって感染が広がっていったということを否定するエビデンスもないということですよね。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 十一月のアドバイザリーボードにおいて、この西浦先生のデータも確かに提出をされていて、それに基づいて我々議論をしております。

 今回の感染拡大の原因というところを、その上で、構成員の間で議論をしております。その結果、先ほども申し上げましたけれども、基本的な感染予防対策がしっかり行われていないような中で人が移動すること、移動が増加すること、そして気温が低下することの影響、そして人が非常に密度が高い、人口密度が高いようなところという四つの要因が感染拡大の要因であるということであって、この西浦先生のデータも、シルバーウイーク以降にこういった感染が多くなっている都道府県が多くなるということですので、これは人の移動であったり気温の影響というものをあらわすわけでありまして、そういったものは確かに影響しているというふうにアドバイザリーボードでは資料にも出していますし、結論づけております。

宮本委員 そういうことだと思うんですよ。ですから、人の移動、これ以降の季節も、この後、ふえているところは寒くなっていますから、気温と人の移動。で、人の移動をもたらしたのはGoToキャンペーンであるのは疑いようがないわけですから、ある意味私は明々白々だと思うんですね。だからこそ、分科会では、しっかりこれは一時停止しよう、出発地であっても目的地であってもということになったんだというふうに思います。

 もう一点、脇田所長にお伺いしたいんですけれども、このGoToトラベルについて、感染拡大地域を目的地とする場合だけでなく、出発地とする場合も対象除外にすれば、どういう効果が出るというふうに考えられているんですか。

脇田政府参考人 これもアドバイザリーボード、あるいは分科会の方で議論があった点でございます。

 あくまで一般論としても私も申し上げていることなんですけれども、感染が、流行が高い地域があり、そして余り流行していない地域がある、そういったときに、もちろん感染拡大している地域から外へ出ていくということは、その感染をまた広げてしまう可能性がある。一方で、感染していない地域から感染している旅行地に行くということでまた持ち帰るという、その両方の可能性があるというふうに考えますので、感染拡大地域を目的地とすること、それから出発点とすること、それを両方をなるべくとめていくということが、感染拡大を抑える対策になるというふうに議論しております。

宮本委員 ですから、目的地であれ出発地であれ、やはり両方やらないと整合性がとれないというのははっきりしていると思うんですね。

 それで、三週間というのを一番初めに分科会が言ったのは十一月二十日だったというふうに思うんですね。それからもう大分たっているわけですけれども、これが一週間おくれていくということは、感染状況にどういう影響を与えるんでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 現在の流行しています新型コロナウイルス感染症は、潜伏期等の影響がありまして、大体、現在、きょう時点での感染者数というのは二週間前の感染を反映しているというふうに考えます。

 ですから、対策が、効果が出始めてから二週間かかってその効果が見え始めるというふうに概算では考えられます。

宮本委員 ですから、その分、一週間おくれれば感染状況が、今の状況でいえば、更に広がる懸念がかなり高いということでいいわけですよね。

脇田政府参考人 そのとおりだと思います。

宮本委員 ですから、やることはもうはっきりしていると思うんですよ、大臣。いや、本当に、おくれていけばおくれるほど、穏やかなお正月はなくなっていくということだと思うんですね。

 私、予算委員会で申し上げましたけれども、やはり観光事業者も年末年始が一番の稼ぎどきなんですから、そのときにもっと大変な、今よりももっと厳しい制限をかけなきゃいけないような事態は絶対避けなきゃいけないと思いますので、きょうぜひ真剣な議論を本部でやっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 続きまして、次の話題に行きますけれども、資料の二枚目に、これは、西村大臣のツイートで紹介されていた、東大の医科研のマスクの効果についての資料なんですけれども、ここに、下の方に、論文のどこから持ってきたのかというので書いていますけれども、この中で、エアボーン・トランスミッションと書いてありますけれども、エアボーン・トランスミッションというのは、日本語に直せば何ですかね。

正林政府参考人 エアボーン・トランスミッションを日本語にすれば、空気感染となります。

 これは医学的な用語でありまして、飛沫の水分が蒸発した非常に細かい粒子、飛沫核に病原体が付着することによって、長時間にわたり空気中を病原体が浮遊し、十分な距離が離れていても感染が成立する、そういうことを指していると理解しています。

宮本委員 これはマスクの距離が五十センチですから、この資料は長距離の話じゃないと思うんですよね。

 三枚目に、東大自体のホームページを載せておきましたけれども、エアボーン・トランスミッションは空気伝播というふうに、河岡先生の日本語での表現はなっているわけです。河岡先生もウイルス学の世界的な権威で、厚労省のアドバイザリーボードのメンバーなわけですね。空気伝播するのかしないのか、ここで前、議論したので余りきょうはしませんけれども、専門家の皆さんでぜひそこは議論していただければというふうに思いますが、こういうふうに日本の専門家でも使われているということは紹介しておきたいと思います。

 その上で、介護施設や医療機関でのクラスターの主な感染というのは、このマイクロ飛沫感染なのか、あるいは我々イメージする飛沫感染なのか、それとも接触感染なのか。これは解明されていますかね。

正林政府参考人 今、マイクロ飛沫感染という言葉が聞こえましたので、ちょっとそれについてもまず説明した上で御答弁申し上げます。

 先ほど、エア・トランスミッションを空気感染と訳して、それを、医学的にということで、水分が蒸発した状態でという話をしましたが、実際の新型コロナウイルスの場合は、もし水分が蒸発してしまったらそのまま消えてなくなっちゃうので、あえて、空気感染と異なるので、マイクロ飛沫感染という呼び方をしています。

 その上でですけれども、新型コロナウイルス感染症の一般的な感染経路については、飛沫感染とそれから接触感染が知られております。特に、感染者の唾液、それから飛沫等によるものが主体と考えております。

 しかしながら、医療機関や介護施設においては、エアロゾルが発生する手技が行われている場合には空気感染が起こり得ること、医療従事者等が感染者の対応をする場合等で接触感染により他者へ感染を広げ得ることなど、一般的な感染よりも感染リスクが高いことから、飛沫感染、接触感染、空気感染の全ての対策を状況に合わせて講じる必要があると考えています。

 国内の医療機関等で発生したクラスターについては、感染経路ごとの割合を分析しているものではありませんが、感染が拡大したと考えられる状況を分析しており、そういった場面における感染対策の方法を周知しております。

宮本委員 どれが主かというのはないわけです。わからないということですけれども。

 もう一つお伺いしますけれども、今、感染リスクの高い五つの場面ということで言われていまして、狭い空間での共同生活というのが入っているわけですけれども、これは病院での入院の相部屋だとか特養ホームの相部屋というのは当たりますか。

正林政府参考人 十月二十三日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において、狭い空間での共同生活は、長時間にわたり閉鎖空間が共有されるため、感染リスクが高まり、寮の部屋やトイレなどの共用部分での感染が疑われる事例が報告されているという提言があったものと承知しております。

 病院における病室及び特別養護老人ホームの部屋等の個別の状況について、その環境の条件がさまざまなので、感染リスクが高い場面に相当するかについて一概に申し上げることは困難でありますが、いずれにしても、感染リスクが高まると思われる場面においては、三密や大声を上げる環境の回避、室内でのマスクの着用、フィジカルディスタンスの徹底、換気の徹底などといった基本的な感染予防対策が徹底いただけるよう、国民の皆様にしっかり周知してまいりたいと考えております。

宮本委員 いや、五つの場面、もちろん換気していれば、入院の部屋だとか特養ホームの相部屋も当たらないのかなというふうには思いますけれども、あの五つの場面も、普通に眺めたらやはり当たるんじゃないかなというふうに、一般的には、換気しなければ当たるんだろうなというふうに思います。なぜ病院だとか特養ホームであれだけクラスターが多いのかということを考えた場合に、飲食と並んで多いわけですよ。そうすると、やはりこの五つの場面の一つなんだというふうにしっかり認識して対策に当たるのが大事かなと思います。

 その上で、私はかねてから換気が大事だということをずっと言ってきているわけですけれども、次の資料は、アメリカの感染症学会のホームページにあった論文ですけれども、不十分な換気の結果としての老人ホームでのエアロゾル感染というものでございます。これは、七つの棟のうち、外気で換気している六つの病棟では陽性者は出なかったけれども、一つの棟だけ入所者十七名、職員十七名が陽性になったという話なんです。この一つの棟だけ新しい換気システムだったと書いているんです。それは何かというと、CO2濃度が一〇〇〇ppmを超えたら外気と換気する、そうでなければ室内空気を再循環させる、そういう仕組みだったそうなんです。

 前にここで、何ppmがいいか、イギリスの政府は八〇〇ppmと言っているじゃないかとか、ビル管法は一〇〇〇ppmだとか、こういう議論もさせていただきましたけれども。実は、なぜかというと、高齢者の入居者の皆さんというのは余り活動しないので、CO2濃度が上がらないんですよ。上がらないんです。ですから、この間、私も何ppmが大事だとかそういうことに目を奪われていたんですけれども、実は、元気な若い世代が飲食の場面ではかるCO2濃度と同じでは失敗するんだということを、私もこれを読んで知りまして、なので、介護施設ではCO2モニターの計測だけでは限界があるんじゃないかということで、やはりちゃんと、どれだけやるのかというのをしっかり示してやるのが大事だということを申し上げさせていただきたいなというふうに思います。

 ただ、やはり介護施設での換気というのは本当に大変でして、私も施設長さんやいろいろな方にお伺いしても、やはり認知症の高齢者の方なんかはあけると怒るというんです、風邪を引くじゃないかと。その説得も大変苦労するということで、一時間に一回だとか、できれば三十分に一回と思うけれども、なかなかそれが苦労しているというお話を聞きました。

 あるいは、実は、前回議論しましたけれども、手引には何回というのは示されていませんから、共有のところは二時間一回やっています、個室のところはもっと頻度が低いとか、そういう話までして、寝ている時間になったらできないとか、本当にいろいろ苦労があります。そして、常時換気しようと思ったら電気代もかかる、空気清浄機も一生懸命買っているというような状況でございます。本当に苦労をたくさん聞かされまして、こんな中で介護報酬を上げないなんてあり得ないなというのを思ったということも、二度目の慰労金だって必要じゃないかというぐらい、話を伺いながら感じました。

 その上で、あかない窓が結構ある介護施設もあると思うんですけれども、補助の仕組みもあると思うんですが、介護施設等の換気設備について、今、申請だとか決定だとか、補助の状況について教えていただけますか。

土生政府参考人 御説明させていただきます。

 介護施設におきましては、施設の構造等により、窓があっても十分な換気を行えない場合などは、換気設備の設置に対する補助を地域医療介護総合確保基金を活用して行っているところでございます。

 これまでの実績でございますけれども、昨日、御質問通告を踏まえまして、都道府県に聞き取りを行ったところでございますけれども、それによりますと、申請が百三十七件、決定が百二十二件、補助総額が二・七億円ということでございます。なお、予算額は、基金全体の国費四百六十七億円の内数ということでございます。

 御指摘ございましたとおり、介護施設における換気は大変重要でございます。窓での換気が困難な場合には、換気設備の設置が進むよう、引き続き支援に取り組んでまいりたいと考えております。

宮本委員 大いにこれも大宣伝していただいて、換気ができるようにしていただきたいと思います。

 あともう一点、きょうは文科省にも来ていただきましたけれども、学校の換気に係る環境基準は一五〇〇ppmだと。一方、分科会は、商業施設だとかで一〇〇〇ppmということを言いました。一〇〇〇ppmに学校は合わせていくのか。あと、学校にはCO2モニターがもともとあると思いますが、これは、換気について、CO2モニターでいろいろ心配な場面のところを計測するような指示は出しているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

田野瀬副大臣 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会で示された一〇〇〇ppmという基準は、飲食店等において可能な場合について示されたものであり、学校においては、マスクの着用や給食時の会話を控えること、座席配置の工夫などを行っております。この基準が直ちに学校環境衛生基準に適用されるものとは、今のところ考えておりません。これらに加えまして、感染症対策として、三十分に一回以上窓を全開にする、又は、常時二方向の窓を同時にあけるといった換気方法を衛生管理マニュアルで示しております。

 文科省としては、常時モニターによる計測は指示をいたしておりませんけれども、これらの方法により換気の徹底をお願いをさせていただいているところでございます。

 また、冬季に向けた留意点につきまして御質問がございますけれども、今後、改定マニュアルでお示しする予定でございまして、特に換気に関しては、分科会においてその重要性が指摘されていることを踏まえまして、寒い環境における換気の実施などについてしっかりとお示しをしていきたいと考えておるところです。

 各学校においては、このマニュアルも参考に、今年度補正予算で措置しております感染症対策への支援もぜひ御活用いただきながら、地域の感染状況に応じた取組を進めていただきたいと考えておるところです。

 以上です。

宮本委員 学校にはもともとCO2モニターがありますので、ぜひ、部室だとかいろいろなところで、クラスターの原因になっているんじゃないかということも言われていますし、いろいろ活用できますよと。もうほったらかしにされていると思うんですね、CO2モニター。もともとありますので、ぜひそういうのも検討していただきたいというふうに思います。

 それから、子供に聞いても、やはり寒くて閉めちゃうというのが今の学校の現状ですので、これは本当にしっかり徹底していただきたいと思います。

 換気は本当に、ちょっと、ほかの質問があるのでもう終わりにしますけれども、なかなか、いろいろ聞いていると大変な分野もいろいろあるなと思っていまして、今、豊洲の市場で毎日のように多くの方が陽性で出ているんですね。築地から豊洲にかわって閉鎖型になって、もちろん今はシャッターをあけるようにしているみたいなんですけれども、やはり、市場で働いている方に聞いたら、初めに陽性が出た方のところというのは空気の通り抜けが悪いところだったんですね、空調の中でも。もともと空調も余りすぐれていなくて、場所場所によってすぐれていないというのは前から言われていたんですけれども、そういう問題もあるんですね。

 私は本当に、やらなきゃいけないことはいろいろあるんですけれども、換気については、やはりちょっと、全体の対策チーム、検討チームみたいなものを持っていただきたいな、つくっていただきたいな、専門家の皆さんなんかも集めてというふうに思いますが、大臣、一言。

田村国務大臣 さまざまな建物がありますね。特養にしても、さまざまな建て方があるし、部屋もあるし、さらに職場という形になればこれまたさまざまということも含めて、CO2濃度というのは一つあったんだというふうに思います。

 委員が求められているものをぱっと出すのはなかなか難しいのかなと。言われている意味はわかるんですよ。わかるんですけれども、全ての状況に解を出せる若しくは全ての類型に解を出せるというようなものをお示しするというのは、一般論的なものならばできるんでしょうけれども、なかなか、委員がお求めになられている緻密なものというのは難しいのかなというのが私の今の感想であります。

宮本委員 たしかに、建物の形もいろいろありますけれども、やはり、一般的にもう少し踏み込んで、ちょっと、いろいろな分科会でもチームをつくるじゃないですか。

 脇田所長、どう思いますか、私のこの換気の問題について。ちょっと、やはり、専門家の皆さん、建築家の中にも換気の専門家というのがいるわけですし、そういうチームをつくって検討するというのもあるんじゃないかなと思うんですけれども。

脇田政府参考人 お答え申し上げます。

 アドバイザリーボードあるいは分科会の中で、さまざまな感染状況に応じて、対策が必要な件に関しては、ワーキンググループなり、ワーキンググループまでも行かなくても、チームをつくって検討することは必要に応じてやっているというところでございます。

宮本委員 いや、私は換気についてもぜひ考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 以上で、脇田所長はもう退席していただいて結構でございます。

 次のテーマに行きますけれども、クラスターが見えなくなり感染が拡大している原因の一つとして、感染の可能性を自覚しながらも何らかの理由で検査を受けない事例がふえ始めているということが分科会の中でも言われております。やはり、少しでも検査を受ける上での障害を取り除くということが、本人の健康を守る上でも、そして感染拡大防止の上でも大事だと思います。

 一つは、やはり、陽性になったら仕事ができなくなる、収入が心配だというので検査を受けない方もいるという報道もあるわけですよね。これは別の角度から前も質問したことがあるわけですが、例えば、国民健康保険のコロナ特例の傷病手当というのは、被用者の場合はつくっていただいたわけですけれども、これは個人事業主は排除されたまま、フリーランスは排除されたままというのもあるわけですよね。

 ですから、検査を受けていただく障害を取り除く上でも、もちろん本人の生活保障という面もありますけれども、やはり、傷病手当、個人事業主だけ排除をしているままというのは非常に形としていびつだと思いますので、これをぜひ検討していただけないですか。

田村国務大臣 ちょっと話は戻って、換気の話なんですが。

 きょう、私、記者会見をやったんですが、換気に限らずなんですけれども、職場で感染予防のための一応チェックリストというのをつくっていまして、この中に換気の部分も、全部じゃありませんが一部ございますので、こういうもので、しっかり換気をやられているかどうかというものを職場に関しましては対応いただくのも一つであるということで、やっていないわけではございませんので、御理解いただければというふうに思います。

 それから、今の話なんですけれども、これはもう委員も御承知のとおり、健康保険法は、これは法定給付ですけれども、国民健康保険法においては任意給付。これはなぜかというと、国民健康保険の方はいろいろな働き方の形態の方々がおられて、特に事業主というのはなかなか所得というものを把握しづらいという部分があって、そこで特例的に、被用者に関しては国の方もしっかりとお金を出すというような対応にしているわけであります。

 話が戻って大変恐縮なんですけれども、被用者に比べるとどういうような収入で、どういうような状況なのかというのが把握しづらいということを考えると、なかなか国がこれに対して対応するというのは難しいというのが現下におけるお答えということで御理解いただければありがたいと思います。

宮本委員 ですから、別に、前年の事業所得はわかっているわけですから。やっている自治体は幾つかあるわけですよ。三百六十五で前年の事業所得を割っていたり、二百四十で割っていたり、あるいは定額で、一日幾らというので傷病手当を出しているところもあるわけですよね。それは、やりようは幾らでもあるんですよ。お金がないわけでもないわけですし、感染拡大防止だとか国民の暮らしを守る上で、障害は一つでも取り除いていくというのが今本当に私は必要なことだと思いますよ。

 あともう一点。

 資料の最後のページに、これも分科会で出されていた資料ですけれども、外国人コミュニティーの見えないクラスターをどう対策するのかという中で、熱があっても手持ちのお金がなくて受診しない例というのが指摘されているわけです。確定診断前の検査以外は公費負担がないため、受診をためらうと。更に言えば、健康保険に入っていない例も少なくないという中で、これは分科会では、東京の北区の保健所長の前田さんが、外国人について、検査時医療費の自己負担免除、これをやるべきじゃないかという提案もされているわけですが、この検討というのはどうなっているんですか。

正林政府参考人 お答えします。

 感染症法に基づく行政検査については、疫学調査及び感染症の蔓延防止の観点から行われるため、日本人か外国人かを問わず、全額公費負担となっております。

 なお、医療機関において保険適用で行われている検査については、健康保険法上、一部自己負担を求めることとなっております。しかしながら、この検査も、感染症法に基づく行政検査と同様の観点を有することから、検査にかかる自己負担部分は公費で負担することとしております。

 初診料とそれから再診料などについては、医師が感染症以外の疾患の可能性も含めて行う診察等の診療に要する費用であるため、ここの部分は公費負担の対象とはしておりません。

宮本委員 いや、だから、それは知っているんですよ。それは知っていて、その検討をしてくれというのが分科会でわざわざ出されていて、ここが感染拡大防止で詰まっているところですよと指摘されていて、それは検討はどうされるんですか、大臣。

田村国務大臣 国の制度として一律的にというのはなかなか、自己負担部分をなくすというのは、これは健康保険法の根幹にかかわってくる問題になろうというふうに思います。

 でありますから、どういう方法があるのか、国一律じゃない中においてどういうことが検討できるのかというのは、いろいろと頭は悩ますところであろうと思います。

宮本委員 頭を悩ませているのは、そこからやはり進まないと。だって、あらゆる問題を本当に特例で今回やっているわけじゃないですか。やはりこれも特例をつくって対応しないと。今、入国規制の緩和をどんどんやっているわけですからね。これは本当に、ここから新たな感染拡大が起きかねないという警告として言われているわけですから、ぜひ、悩みをえいやと解決する決断をしていただきたいというふうに思います。

 それから、あと、病院からこんな話が上がっているんですけれども、ある病院なんですけれども、コロナ病棟はいっぱいになったということで、更にもう一病棟、ハイケアユニットの病棟をコロナ病棟にしようということを考えている。ただ、ハイケアユニットの病棟でやっている手術管理をかわりに一般病棟でやらなきゃいけない。そうすると、新たに手術管理を行うための一般病棟の体制を夜勤も含めて厚くしなきゃいけない。しかし、看護師さんはもう絶対的に不足していますから、別の一般病棟を閉めて、この一般病棟の手術管理の体制のために対応しなきゃいけない。

 こうしたケースの場合はコロナ対応の空室確保料の対象になるんでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 病床確保については、これまで第一次、第二次の補正予算で措置した新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用して対応してきたところですが、更に予備費によって、十月以降においても病床や宿泊療養施設を確保していくこととしています。

 御指摘のように、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるために病床を見直し、使用中止とした病床についても、緊急包括支援交付金による支援の対象となります。

宮本委員 じゃ、この場合も出るということでいいわけですね。それは確認をさせていただきました。

 あと、ちょっと残された時間が少なくなってきたんですけれども、あと五分ということで、少し問いを飛ばさせていただきますけれども、コロナの対応で休業支援金がつくられ、要件も緩和されてきたわけですけれども、こういう例があるんですね。

 結婚式の二次会だとか企業パーティーの会場での貸出しやビュッフェ、調理や給仕を行っている会社で、シフト制で働いていた女性は、昨年十一月から働き始めて三月途中から仕事がなくなった。会社が申請に協力しないので、事業主欄は空欄で申請しようと思っている。ただ、休業前の勤続期間が五カ月だということなんですね。

 この間、要件が緩和されたのは、コロナ以前六カ月、月四日以上勤務していたら、これは対象になるわけですけれども、この間、要件が少し緩和されて、六カ月の合間にいろいろな理由で一カ月抜けたという場合も対応する、五カ月でも対応するということになっているわけですけれども、間が抜けたんじゃなくて、もともと五カ月だという方もいらっしゃるわけですよね。こういう方についても柔軟に対応することが必要なんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

田中政府参考人 休業支援金は、事業主が労働者を休業させて、休業中に賃金が受けられない場合を対象としております。

 今般お示ししたのは、六カ月以上の間、原則として月四日以上の勤務がある事実が確認可能な場合ということですが、シフト制労働者など、休業の前提となる労働契約の内容が不明瞭なケースにおきまして、一定程度雇用が常態化しており、継続して雇用されている方と同視して差し支えないと実務上判断する枠組みとして設定をさせていただいたものです。

 過去の勤務実績が六カ月未満の場合は、継続して雇用されている方と同視することはできず、直ちに対象とすることは困難であると考えております。

宮本委員 ただ、コロナがなければずっと働いていたであろうという点では変わらないわけですよね、それは。何で六カ月でかきっと切っちゃうのかなというのがなかなか理解できないわけです。一般的に、休業手当だとかほかの休業支援金についても、その場合、一般的には、六カ月であろうが何カ月であろうが、事業主がオーケーと言った場合は休業手当も払うし、休業支援金の対象にもなっているわけですよね。

 ところが、今回のこのケースだけ、六カ月なきゃいけない、間は抜けてもいいけれども、端がなければならない、足りないといけないというのはちょっと酷なんじゃないかなというふうに思いますよ。

 そこはちょっと、大臣、検討していただけませんか。

田村国務大臣 制度が一応、六カ月ということで継続して雇用されているというような判断のもとの話であって、間一カ月抜けているというのは、いろいろな理由があって抜けたわけだから、そういう意味では、そこは継続して働いているということを推測できるということで見られるという話であります。

 一方で、六カ月に届いていないというのは非常に難しいわけですけれども、ただ、事業主も一致して、継続雇用をしているんだということであれば、これは事情によっては検討する場面もあるというふうに思います。

宮本委員 もちろん、事業主がサインしてくれていれば問題は起きないわけで、サインしてくれないからみんな困っているわけですよね。だから、そこはもう一つ考えていただきたいと思います。

 最後に、これも本当にもう何回も何回も申し上げてきたことなんですけれども、大企業の非正規の問題なんですよね。これからいよいよ、営業時間の短縮の要請ということで、また大企業の非正規の飲食で働いている方々が、休業手当がもらえない事態というのが生まれる危険性があるわけですよね。

 例えば、串家物語などの外食チェーンを全国展開している大企業であるフジオフードシステムは、正規には一〇〇%の休業手当を支払っているのに、非正規には全く払っていません。渋谷の串家物語でフルタイムで働いていたシングルマザーは、シフト未作成を理由に休業手当が支払われずに店が閉店してしまい、生活に窮している、何度も会社に雇調金を使ってくれと言っても、あるいは労基署に訴えても支払われない、非正規でも一人で大学生の子供二人を育てながら生活費をかけて働いている、四、五月は社会保険料だけ取られて十万円近いマイナス、どうやって食べていけというのか、こういう悲痛な訴えをされているわけですよ。

 今まで大企業の問題は何度も議論してきましたけれども、また今回、飲食への影響が行くわけですよ。同じ方々がまた大変な目に全国で遭うことになるわけですよね。これはもう一度考えなきゃいけないときに来ていると思いますよ。少し考える、検討するという答弁をいただいて、終わりたいと思います。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔に願います。

田村国務大臣 しっかりと大企業としての責任を果たしていただくように、我々、周知を図るとともに、中小企業の場合は解雇していただかなければ十分の十という、それは負担がないわけでございますので、上限の範囲でありますけれども。そういう意味の中において、しっかりと、これを二月まで延期をするということでございますから、申請をいただいて、対応をさせていただきたいというふうに思っております。

宮本委員 なかなか答弁は変わらずに大変残念ですけれども、本当に大企業の非正規の労働者をどうするのか。与党の皆さんからも本当に声を上げていただきたい点なんですよね。本当に困っていますよ。そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 きょうも、貴重な質問の機会、ありがとうございます。

 早速です。きょうの質疑をお聞きしておりましても、与野党問わず、そして大臣も含めて、今の新型コロナウイルスパンデミックは、医療の面でも、経済の面でも、また国民生活の面でも、国家的危機であるとの認識だと感じておりました。

 そこで、質問通告していなくて恐縮なんですけれども、まず大臣に、今言ったような国家的な危機であるという認識でおられるかどうか、念のため確認させてください。

田村国務大臣 これはもう国家的といいますか世界的な危機でありまして、全世界じゅうで多くの方々がお亡くなりになられ、感染がいまだに終息していないということであります。

 その中で、我が国は北半球でございますので、これから冬に向かっていく、乾燥している、気温が下がる。これは、きょうも専門家の方々、これ自体がどうなのかというのは調査はなかなか出ないという話でありましたけれども、しかし、飛沫系の感染症としてはやはり感染拡大する可能性が高いと。

 でありますから、我々も分科会の御提言をいただく中において、各自治体、都道府県の知事とも相談しながら必要な措置を講じていかなきゃならぬ。できれば本当は、いろいろな、十時でお店を閉めていただくだとか、そういうような、私権を制限とまでは言いませんけれども、依頼という、お願いというベースでありますが、同調圧力の強い日本においてはかなりの効果があるという期待もいたしておりますので、そういうことはしたくないというのは本当であります。

 しかし、感染を防いでいくためには、あえてそういうようなことをお願いしていかなきゃならないということに対して、国民の皆様方には申しわけない思いでありますけれども、それぐらいやはり厳しい対応をしていかないと、これから冬場に向かって感染拡大というものを一定程度に抑えられないという危機感のもと、対応いたしております。

青山(雅)委員 ありがとうございます。

 厚労大臣として当然の御認識をお持ちだということを、今、確認させていただきました。

 その上で、あえて我が国の状況をまず確認してみたいと思います。

 現在、第三波ということが言われておりまして、感染者数、確かに拡大しております。重症者数もふえております。しかしながら、これは欧米と比べると、かなりの差がございます。

 お手元の資料1、2、そして3をごらんください。

 これは、私どもの事務所で、信頼できる統計の数字を発表しているウエブサイトからとったものですけれども、アメリカは言うに及ばず、フランス、ドイツなどと比べて、日本の感染状況が、他国と比べると非常に、何と言ったらいいんでしょうね、まだまだ穏やかなものであるということがこのグラフで見てとれると思います。日本は、陽性者数、新規陽性者数も新規死亡者数も、アクティブ、つまり、その時点における重症者数も、グラフの一番下に張りつくような数字でございます。

 結局のところ、そして今、百万人当たりの重症者、こういったものを比べていても、これは資料4、百万人当たりの新規陽性者数がアメリカなんかだと五百二十八のところ、日本は十二人しかいないわけです。それから、百万人当たりの重症者、死亡者数も、日本は他国の大体二十分の一以下。これを見ると、コントロールが実はされている。よその国は日本の十から二十倍の数字になっています。

 フランスなんかも、これは大分下がってきてこの数字ですから、例えば資料1をもう一度見ていただくと、フランス、一時、五万人をはるかに超えて、多分、八万人くらい行っていたわけですね、新規感染者が。日本はどの辺かというと、きのう現在で千八百六十一人です。だから、他国と比べると非常に、実はコロナウイルスをよく抑えられている。

 それが評価としても出ているのが、資料6、「コロナ時代、世界で最も安全・危険な国・地域 レジリエンスランキング」で、めくっていただきますと、ここに表が載っていて、一番が、徹底的な鎖国的な政策を当初からとったニュージーランドです。三番が、天才大臣というふうに言われている、マスクの配付ですごく評判を上げた方がおられる台湾です。日本は実は二位です。これは物すごい高評価だなと思っております。

 ところが、日本国内では、御承知のとおり、余りそのような評価にはなっておりません。政府の対策は手ぬるいという声が、マスコミでも、また当委員会でもそういう声が非常に多いと思います。この実感がない理由の一つは、私は、医療崩壊への懸念が事あるごとに持ち上がるからではないか、こう思っております。何かあると非常にやはりその点を皆さんが気にされる、これは当然のことですけれども。

 一方で、海外に目を向けると、ドイツは、いわゆる第一波でも、今来ている二波でも、医療崩壊という話は全く聞かれておりません。フランスは今回大きな波を乗り切ったという状況です。アメリカでも、これだけの感染者を出しながら、四月のニューヨークは確かに大変な状況でしたけれども、今現在はそういうような状況は伝えられず、また逼迫の懸念が、ワールドニュースなどを見ていると言われている程度です。

 では、なぜ日本は、これだけ欧米と比べれば少ない数字であるにもかかわらず、医療崩壊の懸念を日本医師会会長や東京都医師会会長が述べられたり、現場の医師の方がSNSで発信されたりという危機感を持っているのか、そういう疑問が湧きます。残念ながら、医療体制が、システムの問題として、EU、特にドイツあたりと比べて大変脆弱であるという現実があるからではないかということが推認されるわけですね。

 私は、これはこのままにしていくことは物すごく心配です。三つ理由があります。

 今、ファクターXなどということを一時言われましたけれども、なぜ日本が欧米並みの感染率、重症化率でないかは謎のままです。ということは、逆に言うと、何らかのウイルスの変化等によって、きょうもウイルスの変異の話が出ましたけれども、欧米並みになったら、今、この人数、これを見ていただければわかるように、欧米の二十分の一のこの数字で医療崩壊が懸念されているわけですから、欧米並みになったら、もう即座にアウトです。

 それから二番目は、もう一つは、日本のようにこれだけ良好にコントロールされている国が、それでも医療崩壊の危機ということで経済を抑制しなければならない。ここのところ再び緊急事態宣言がとやかくされるようになっておりますけれども、そういうことがあれば、実は、今の日本の主要な産業というのはサービス産業なんですよね、飲食店などの。地方都市なんか特にそうです。こういったものを中心に、倒産、廃業、こうなれば、自殺者がただでさえ増大されているなどと言われていますけれども、もう大変な副作用が来るわけです。

 それから三つ目は、世界的に見れば、これは新規陽性者のこのグラフ、最初の1をごらんいただければわかるとおり、波を描きながら拡大しているんですね。決しておさまっていない。あれだけ厳しい外出制限だとか、マスクに罰則をつけても、感染者数は増大する一方なんですよ。そうすると、これは当分続くと思われます。

 じゃ、ワクチンがあるじゃないかと言うかもしれませんけれども、もともと日本というのは、発症率も、それから重症化率も大変少ないので、別にワクチンが打たれてそれが有効であったとしても、大したゲームチェンジャーにはならないんじゃないかと、日本の場合は。つまり、現状が続くだけではないかと私は思っているわけです。

 先ほど大臣が言われたような、国家的危機を越えた世界的危機だというのであれば、私は対策をもっともっと本腰を入れるべきだと思うんです。なぜ本腰を入れないという失礼な言い方をするかというと、ドイツを参考にするからです。

 御承知だと思いますけれども、ドイツがこれだけの医療体制を敷いているのは、何と今から八年前の二〇一二年の十二月二十一日に、日本の国立感染症研究所に当たるロベルト・コッホ研究所が作成した、まさに今回を予言するような中国発のパンデミックシナリオ、これを立てて今日にずっと備えてきたからなんですね。これに基づいて着々と医療体制も準備を進めて、その結果、ことしの二月の時点、まだドイツまで波及するか全然わからないときに、人口十万人当たりのICUは二十九・二床、ちなみに日本は五床です。日本の六倍の体制をとっていた。三月初めの時点で、数として二万五千、これを四月には四万床にまでふやしているんです。四万床です。そういう見事な対応の結果、御承知のとおり、自国の重症者を受け入れるのは余裕、それを超えて、州どころか国を越えて、イタリア、フランスの患者まで受け入れた、これは御承知の方も多いと思います。

 そういうふうなナショナルセキュリティーの問題として捉えたときに、今のような短期的な政策ばかりに目を向けていていいのかと私は思うわけです。

 翻って、先ほど言ったように、我が国では欧米に比べてはるかに少ない患者数で医療崩壊が叫ばれています。この医療体制を強靱化するというのは、短期的にも中長期的にも、今のウイズコロナの時代の国家的課題であることは間違いないと思うんです。なぜなら、御承知のとおり、ハーバードだったかな、これが終息するまで二年か三年かかるという予測があります。これは続くわけです、ずっと。その間に、今みたいに、やれGoToだ、自粛だ何だとかと言っていて経済を傷め続ければ、日本は欧米以上の経済的打撃を受ける可能性がある。なぜなら、先ほどから申し上げているように、産業構造が残念ながら今そうなっているからです。

 じゃ、何が悪いのかということで、データをつくってみました。それが資料の7です。

 これをごらんいただければわかるんですけれども、日本の医療体制のどこが脆弱かというと、急性期病床の数は欧米より多いです。七・九あって、ドイツより多いくらいです。ただし、ICUはドイツより少ない。少ないのは、お医者さんの数です。千人当たりの医師数がドイツの半分程度で、一番大事な病院勤務医の数もドイツの半分程度しかないわけですね。だから、マンパワーが少ないから、すぐに医療崩壊の懸念があるし、実際にも、感染症のお医者さん、この対応に当たっている方たちは、もう医療現場は疲弊していると。それはそうです、少ない数で当たっているから。当たり前の話です。

 じゃ、どうすればいいか。

 何で病床数は多いけれども医師数が少ないかというと、これは当たり前の話ですけれども、御承知のとおり、厚労省が長年、医師数の抑制政策を続けています。大学の入学定員、平成十九年まで一人もふやさない、見事にゼロでした。二十年から三年間だけは、二十、二十一、二十二と、数%ですけれども、百人単位でふやしましたけれども、その後はまた、一%未満ぐらいしかふやしていません。

 私が驚いたのは、今のこの状況で厚労省は、医療従事者の需給に関する検討会というのをやっておられますけれども、ことし八月でも十一月でも何を言っているかというと、そういう意識は全くなくて、「医学部臨時定員増に係る方針について」という大項目で、「将来的な医学部定員の減員に向け、医師養成数の方針について検討する。」として、新型コロナによる医療崩壊等、あるいは病院勤務医の過重負担など全く無視して、将来的需給予測に基づく議論、医師減員の議論しかしていないんです。

 私は、厚労大臣が本気でこの話が世界的危機あるいは日本の国家的危機だと思うのであれば、そこをまず一番最初に手をつけるべきだと思うんです。ところが、そんなことは全く議論すらされていない。きょうも、そんな議論は一つもありませんでした。普通に考えれば、今後を見据えた対策は、これはいつおさまるかわかりませんから、医師数の大幅増員です。

 いい例としては、私も弁護士ですけれども、一九九九年から始まった司法試験改革、これは、弁護士偏在、やはり僻地に人が少ないというような問題でされたわけですけれども、その当時、合格者数は七百名くらいしかいませんでした。いきなり三倍の二千百人にしたんです。何が起きたかというと、十五年たった今、弁護士はもう地方都市の隅々にまで行き渡っています。最初は、どうせふやしたって都会にしか行かないよと言ったんですけれども、最初のころはそうだったんですけれども、食っていけなくなるものですから、みんな地方にも行って、ふえたと。

 ですから、これを本当に国家的危機だと捉え、あるいは日本の脆弱性が今出ていると捉えるのであれば、まずやるべきことは、不足しているものを補う。つまり、医師の増加、看護師の増加に向けた検討はすぐにでも始めるべきだし、実際にすべきだと思うんですね。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、先ほども言ったように、日本医師会の会長や東京都医師会の会長がみずから医療崩壊の懸念を口にされている。ナショナルセキュリティーの観点からも、私は医師増員は考えるべきだと思います。さらに、ほかの対策として拠点病院などもありますけれども、そういったものをふやすためにも、医師供給増には医師増が欠かせない。その点についての大臣の御見解をお伺いしたい。

田村国務大臣 ドイツのお話がありました。

 三週間前かな、一カ月までいっていないと思いますが、ドイツの関係者と話をしました。ドイツ、そのときに二週間でICU、三倍になって、崩壊しそうだと、悲鳴でした。ですから、ドイツも非常に危なかったというのが現状です。

 ICU、日本のICUとは若干概念が違っているので、多分日本も、言うなれば、ドイツでやっているようなことの対象ということからすれば、今のICUの数よりも幅広いんだと思います。数的にはそれほど、まあ若干少ないかもわかりませんが、極端に少ないということはないんだというふうに思います。

 一方で、この数字を見ると、やはり、急性期の病床が非常に多い。これが、地域医療構想の中で、そもそも若い方々がおられれば急性期が非常に多くてもいいんだろうけれども、これからの医療の需要を考えると、人口構成が変わってくるので、急性期よりも回復期というものをふやしていくべきだということで、地域医療構想で今急性期の病床をどちらかというと減らしていくという中において、全体的に病床がある程度整理されてくれば、多分病床当たりの医師というものの数はもうちょっと上がってくると思います。

 ただ、全体で見て少ないのは確かなので、今、地域枠も含めて、医師も、医学部の定員枠もふやしておると。

 一方で、今、委員も御承知のとおり少子化の時代で、医師をどんどんふやしていくというのは、医師の方々というのは比較的高学歴な方々が多くて、そういうところに人を余り、何といいますかね、配置し続けると、本来ほかの産業分野でイノベーションを起こすときに優秀な人材が行かないのではないかということを言われる方々もおられます。

 いろいろな形を考える上で、バランスというものが大事だというふうに思います。

 まだ医師は増加傾向にございますので、まだふえていく過程でございます。言われるとおり、全体として、今、ちょうど医師の働き方改革という形の中において、今までよりもマンパワーが必要になってくるということは間違いないわけでありまして、そういう意味ではいろいろな対応をしていかなきゃならないというふうに思っておりますが、極端に医師をふやすだけの余力は今の日本にはないというのは、これは事実であろうと思います。

 申し上げれば、今、感染症に対してのいろいろな対応というものは、これは我々も反省の部分がございます。地域医療構想の中で感染症というものの考え方をどう取り入れていくか、それは地域医療構想だけじゃなくて、多分、地域医療計画の中で、そういうことが起こったときにどう対処するかということも含めて、我々、新たなる試みをしていかなければならないという認識は持っております。

 委員の言われている意味も全く否定するわけじゃなくて、委員の言われている意味もしっかりと参考にさせていただきながら、我が国の医療提供体制というものを、構築をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 大臣として苦しい立場もあろうかと思います。医師会も後ろにあるでしょうから。

 ただし、弁護士の場合に、いきなり七百人が二千人、二千五百人かな、一番多いとき、になったときに、需給バランスなんて誰も心配してくれませんでしたし、それから、優秀な人材を弁護士につぎ込むのはどうかなんという議論は聞いたこともありませんでした。やはり、今の話は少し詭弁ではないかと。

 そして、実際に足りていないわけですから。皆さん、足りていない。勤務医が足りていないのは事実ですよ。勤務医は、余り日本医師会もその話をしませんけれども、勤務医を中心としたグループではないですから。だけれども、勤務医のしわ寄せがどんどんどんどんこれ以上行ったら、更に減りますよ。人数をやはり一定程度ふやすしかないんですよ。

 ドイツの話を出されましたけれども、資料3を見ていただければ、ドイツの重症者、アクティブなもの、きのう現在で三千八百二十六人なんですよ。日本は四百人。十倍います。それは逼迫もしてきますよ。それから更に言うと、日本よりも人口少ないんです、ドイツの方が。ドイツは八千万人しかいませんから。

 だから、そう考えると、やはり、日本は今どうしたってマンパワーが足りていないし、それは将来的な見通しよりも何よりも、今足りていなくて、じゃ、国民が、足りなくて死んでいってもいいのかという話になりますので、そこはやはりちゃんと見据えていただきたい。将来のことはまた将来のことで対策を、それでなっていただいた方の生きる道はまた別で考えればいいんじゃないかなと思いますけれども、ちょっと時間がないんですけれども、そのことをもう一度お願いします。

田村国務大臣 将来どういう体制を組むか。多分、十倍いて崩壊していないというのと、今十分の一で日本の医療が壊れそうだという話とは、ちょっといろいろな対応が違うんだと思います。いろいろなフェーズの患者の方々に対する対応も、多分今の日本と欧米では違うんだと思います。でなければ、十倍って、医師の数が日本は十分の一というわけじゃありませんから。ですから、そこはオペレーションでいろいろな対応をしているんだと思います。

 申し上げたいのは、将来のことはいろいろ我々も考えなきゃいけませんが、目の前のことは、いきなり医者をふやせませんので、あと一年で医者を何万人ふやせというのは、これは無理な話で、今も毎年、多分三千人から四千人ぐらい、医師の数自体は、出られる方々とふえてくる方々、こういう方の差し引きがふえているんだと思いますが、そういう中において、今の、とりあえず目の前のこのコロナは今のマンパワーでどう乗り切るかということを我々は考えなきゃなりませんので、そういう限られた人材の中でどう対応していくかということを一生懸命、都道府県の皆様方と、また地域の医療の現場の方々と知恵を絞りながら対応してまいりたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 そのような御答弁もあるかと思って、もう一つの提案を考えてまいりました。

 ドイツやスウェーデン、特にスウェーデンなんかはほとんどが公立病院なものですから、あっという間に公立病院をコロナ病院に衣がえした。耳鼻科であろうが何であろうがコロナを診ろということになって、日本に比べればそれこそ本当に何十倍、何百倍の患者に対応したわけですね。ドイツも同じです。さっき言ったように、ICUを急にふやした。

 日本ではなぜここが注目されないのかわからないんですけれども、百四十カ所も国立病院がある、国立大学病院が四十五カ所ある、国が開設した病院だけで三百二十もあるんですね。これらをきちんと、地方自治体任せにしないで、感染症対応の拠点病院としたらいかがでしょうか。そういうフレキシブルさがあって初めてこういう急場は乗り切れると思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたい。

田村国務大臣 そういう考え方を持たれる地域が出てくるかもわかりません。

 ただ一方で、入っておられる患者の方々がおられて、例えばこういう話もあるんです。重症化を受け入れていただこうと思ってお願いしようと思ったら、そこの医療機関には筋ジストロフィーの方々がおられて、なかなか重い方々を受け入れるわけにいかない。つまり、何を言いたいかというと、入れようと思うと、そこに入っておられる方々をどこかに移さなきゃならないということになります。

 ですから、全くさらならばできる、若しくはその混乱も覚悟でというぐらい数がふえてきた場合にはやらざるを得ないということも起こると思います。

 日本の今の状況は、今の中で何とかこれを耐えようという、まだそういうフェーズだと思います。もちろん、そういうような、大胆に変える中においては、もしかしたら、これはわかりませんが、大きな損害というものもそこには生じているかもわかりません。

 我々としては、今このある中において、なるべく、入っておられる方々に対して、それでもちょっと移動なんということをお願いすることはありますけれども、大々的にではなくて、何とか、入っておられる方々のそれぞれの医療というものを維持しながら、今、新型コロナウイルスの感染拡大に何とか対応できないかということで、各都道府県、医療機関に対応をお願いしているという状況であります。

青山(雅)委員 まさに言われたとおりのことをスウェーデンはやったわけです。ここの病院はコロナ専門にするから、今いらっしゃる患者さんはここのBという病院が受け入れてくださいと。

 これはふえてきてから急に慌ててやったって、どうしようもないんですね。これを見ていただければわかるように、アメリカなんかは急激にふえています。せめてその対応の検討くらいは始めていただきたい、そういう最悪のシミュレーションの。

 そして、地方自治体間の移送も同じです。地方自治体の枠に縛られて、北海道は満杯なのに、じゃ、よその県は知らぬ顔をしているではなくて、さっき言ったように、ドイツがフランス、スペインを受け入れたように、県の垣根くらいは越えてちゃんと対応する、そういうのはぜひお考えいただきたい。

 済みません、本当はここをお聞きしたかったんですけれども、尾身先生にもおいでいただいて、尾身先生にもお伺いしたいことがあるので、その点についてはまた次回お伺いいたします。

 尾身先生にお伺いしたいのは、私は、コロナについて、何か基本が少し曲がっちゃっているんじゃないかと思っているんですね、感染症の診断として。

 と申しますのは、弁護士として、素人ながら申し上げるのは大変恐縮なんですけれども、感染症などの普通の診察、診断の基本というのは、まず問診を中心として、どんな病気なのかなということに当たりをつける、臨床診断ですね、それに、血液検査やエックス線やCTや、あるいは各種培養検査、そしてPCR検査などを組み合わせて確定診断していく、これが普通のあり方だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 普通の患者さんを診るときに、問診をして、必要な身体所見をとって、その上で検査をするというふうなことは、先生おっしゃるとおり、普通の現場の基本的な原則だと思います。

青山(雅)委員 そうしますと、春先にワイドショーが余りにもPCR検査、PCR検査と言ったものですから、国民もみんな、あるいは政治家も引きずられているんですけれども、私はやはり、発熱外来であるとか、そういったところがきちんと整備されて、PCR検査が初めにありきじゃなくて、まず熱が出た人は安心してかかれて、その中でお医者さんが判断して、必要だと思えばPCR検査もしていく、そこの王道に戻るべき時期だと思っております。

 それについて、お考え、いかがでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 検査の一般的な考えというよりも、多分、今の状況の中でどうすべきかというのが先生の御質問だと思いますので。

 そういう中では、私は、分科会でも先日提言をさせていただきましたけれども、国民、市民ですよね、検査という文脈の中では、みんな、検査のキャパシティーをふやすというのは、これはもう国民的なコンセンサスで、国もそう思っているし、多くの国民。そういう中で、じゃ、検査のキャパシティーをふやした際に、何を、どの人に検査をするか、何のためにやるかということについて、私自身は、必ずしも国民的なコンセンサス、理解が共通なものになっていないと思います。

 簡単に申し上げますと、国民というものを、やはり、検査という文脈の中で、市民ですよね、一般の我々を三つのカテゴリーに分けて考えたらいいんだと思います。一つは、まず、症状のある人。当然、これについては、もうそれこそ一丁目一番地ですから、症状があったらなるべく早く、特に高齢者なんかはすぐに検査をして、やる。

 それから二番目は、ここが必ずしも国民の中でコンセンサスができていないと思いますが、いろいろな人が、それぞれの。で、無症状者の中でも、実は、いわゆる事前の検査の確率が高い人あるいはところと、そうでないところとありますから、事前確率の高いところはもう集中的にやって、このことをやると実は感染拡大防止に非常に有効だということがわかっています。

 ところが、今、社会的な関心になっているのは、事前確率が余り高くないんだけれども、個人の安心のため、あるいは社会経済活動を活発にするということに対する期待がありますよね。このことは、無症状の事前確率が高いグループとはちょっと違うニュアンスがありますから、こちらについては、しっかりと検査のクオリティーのことをちゃんとクオリティーコントロールした上で、しっかりと検査のいろいろな、これはもう偽陽性とかそういう問題はある、そういうことを十分理解した上でやるということで、こちらの方は、人々の安心のため、あるいは経済活動のためという意味では非常に有効で、私はそれはやっていけばいいと思いますけれども、最初の、事前確率が高いというのは感染拡大の防止に役立つので、こっちはむしろ拡大というよりも不安に対する対処であるかということで、検査の性質が違うので、それは別々に、ある程度、意味も違うし目的も違うということで、それぞれをしっかりとコンセンサスをつくって実行していけばいいと私は思っております。

青山(雅)委員 先生に来ていただいているので、最後に一問だけ、済みません。

 今、北海道が大変感染拡大していまして、基幹病院の方がすごく……

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので、手短にお願いします。

青山(雅)委員 大変な思いをされているようです。その中で、挿管をし過ぎて大変な思いをされているということらしいんですね。そういったことに関して……

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので、質疑を終了してください。

青山(雅)委員 そういった中で、済みません、一つだけ。じゃ、お答えは結構です。

 どういうふうな治療をしたらいいのかという具体的な情報をもっと国から欲しいという声があります。私は、これはすごく死者や重症者を減らすために大事なことだと思うので、ぜひ、どういった取扱いをしたらいいのか、特に中等症、重症者に関して、そういったことを積極的に情報提供していただけるようお願いしておきます。よろしくお願いいたします。

とかしき委員長 次回は、来る十二月二日水曜日午前十時四十五分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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