衆議院

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第10号 令和2年12月9日(水曜日)

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令和二年十二月九日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長代理理事 橋本  岳君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君

   理事 中島 克仁君 理事 長妻  昭君

   理事 伊佐 進一君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小島 敏文君

      小寺 裕雄君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      田畑 裕明君    百武 公親君

      深澤 陽一君    堀井  学君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      金子 恵美君    川内 博史君

      白石 洋一君    津村 啓介君

      山川百合子君    山井 和則君

      早稲田夕季君    高木美智代君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      青山 雅幸君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   農林水産副大臣      葉梨 康弘君

   国土交通副大臣      岩井 茂樹君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渡邊 昇治君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     五味 裕一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安居  徹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     早稲田夕季君

  森田 俊和君     山井 和則君

同月九日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     堀井  学君

  木村 次郎君     小寺 裕雄君

  高村 正大君     深澤 陽一君

  繁本  護君     杉田 水脈君

  西村智奈美君     金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     木村 次郎君

  杉田 水脈君     繁本  護君

  深澤 陽一君     金子 俊平君

  堀井  学君     青山 周平君

  金子 恵美君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     高村 正大君

    ―――――――――――――

十二月四日

 一、保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案(西村智奈美君外九名提出、第百九十六回国会衆法第三九号)

 二、公職の候補者となる労働者の雇用の継続の確保のための立候補休暇に関する法律案(森山浩行君外十名提出、第百九十八回国会衆法第一九号)

 三、認知症基本法案(後藤茂之君外五名提出、第百九十八回国会衆法第三〇号)

 四、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(山花郁夫君外八名提出、第二百一回国会衆法第一一号)

 五、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、第二百一回国会衆法第一二号)

 六、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、第二百一回国会衆法第一三号)

 七、児童扶養手当受給者に対する臨時特別給付金の支給に関する法律案(尾辻かな子君外十名提出、第二百一回国会衆法第一五号)

 八、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案(西村智奈美君外六名提出、第二百一回国会衆法第一八号)

 九、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(長妻昭君外五名提出、衆法第一号)

 一〇、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律案(西村智奈美君外六名提出、衆法第二号)

 一一、低所得であるひとり親世帯に対する緊急の支援に関する法律案(長妻昭君外八名提出、衆法第三号)

 一二、厚生労働関係の基本施策に関する件

 一三、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件

 一四、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(新型コロナウイルス感染症対策等)


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     ――――◇―――――

橋本委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に新型コロナウイルス感染症対策等について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官渡邊昇治君、消防庁審議官五味裕一君、財務省主計局次長宇波弘貴君、厚生労働省医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君、年金局長高橋俊之君、国立感染症研究所長脇田隆字君、経済産業省大臣官房審議官安居徹君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長代理 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日は、冒頭に貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。御礼を申し上げます。

 早速、限られた時間でありますので、質問させていただきます。

 まず大臣に、冒頭、質問させていただきます。

 今、第三波とも言われる中で、医療機関がもう各地で非常に逼迫してきている。とりわけ私の地元大阪でも、今、この感染拡大、医療機関が非常に逼迫して、人材も不足しているという状況になっております。

 先週の木曜日に、公明党の大阪府本部から大臣宛てに、緊急要望をさせていただきました。もちろん、一自治体の話ではありますが、現状、今、一自治体だけでは対処できないというような状況になっておりまして、全国から支援が必要だ、こういうような内容の緊急要望をやらせていただきました。とりわけ人の部分です、人材。

 大阪では、大阪コロナ重症センターというのを十二月の中下旬に開いていく予定になっておりますが、看護師が百三十人必要だということですが、もう現状で既に手いっぱいですので、どこからこの看護師の皆さんに来ていただくかというところで、非常に今、看護師不足に悩んでいるところです。

 もちろん、ほかも大変な地域がたくさんあって、まことに恐縮ではありますが、この大阪、我々の緊急要望を受けていただいて、現在、政府としてどのような取組をしているか、お伺いしたいと思います。

田村国務大臣 大阪府、大変な状況というふうに私ども認識いたしておりまして、今月一日から六日間連続で三百人を新規感染者、超えられている。昨日は重症者が百四十六名というような話でありまして、重症者も非常に多いということで、病床が逼迫しているというようなお話をお伺いしております。

 言われたとおり、大阪府のコロナの重症センターということで、これは、百三十人ですか、看護師を確保しなきゃならないということで、いよいよ十二月の十五日あたりに運用を始めるというような話をお聞かせいただいております。

 言われたとおり、看護師の方がまだ十分に集まっておられないということで、公明党の大阪府の本部の方からも御要望をいただいたわけでありまして、保健医療体制、しっかりと体制を整えていかなきゃならない、そういう意味でいろいろな御要望をいただいております。

 看護師に関しましては、これは、都道府県、それから看護協会等々とも連携しながら、確保のために今いろいろと対策を組ませていただいております。同時に、自衛隊の方の看護職の方々、これは防衛省の方とも今調整をさせていただいておるというような状況でございます。

 いずれにいたしましても、やはり、重症者が多くなってまいりますと、これはまさに命にかかわってくる問題になってまいりますので、しっかりと、政府といたしましても、厚生労働省といたしましても、大阪府支援のためにお手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 大阪の支援のためにと対策を今とっている、調整を進めていただいているということ、本当にありがとうございます。

 これはやはり人が大事だというのは、もうこの委員会でも何度も議論を皆さんさせていただいていたと思います。

 大阪だって、病床数のパーセント自体はまだ余裕があるように見えるんですが、実際は、今、中等あるいは重症でも、医療機関になかなか受け入れてもらえないというようなお声も聞いております。

 高齢者施設の皆さんの声を聞かせていただくと、例えば、高齢者施設で感染者が出た、しかも、中等、重症になりつつあるというような状況の中で、なかなか医療機関が受け入れてくれない。なぜかというと、当然、中等、重症ですから非常に厚い治療が必要になってくるわけですが、それだけじゃなくてプラス介護も必要になってくる。そうすると、病院が今もう既に人員が逼迫している中で、そこまで、介護まで手を回してやるような余裕は全くないので、そうすると、高齢者施設で感染者が出ても医療機関に受け取ってもらえずに、そのまま高齢者施設で見ている例がふえてきています。そうすると、当然、人材もない、十分な防具もない、こういう中で高齢者施設が今感染者を見ているというのが現状です。

 保健所もなかなか介入してくれないというようなお声も聞いております。もちろん、保健所の皆さんは本当に今、限られた人員の中で最大限やっていただいているとは思うんですが、ただ、現場から見ると保健所機能が麻痺しているんじゃないかという、非常に大阪では厳しい声もいただいております。

 例えばPCR検査だって、国では、介護施設では積極的に検査できるようにというふうに厚労省からも通知を出していただいておりますが、大阪では、発症者が出てもマスクをみんなしているから濃厚接触じゃないんだというふうに判定されて、受けられないというようなことがずっとありました。最近になってようやく、いま一度通知を出していただいて変わったようですが。

 保健所の皆さん自体、現場は本当に頑張っていただいています。それも十分わかった上で、この保健所機能の強化というのが、今、特に感染が拡大している地域では重要じゃないかというふうに思っております。

 更にまた言えば、今後のことも考えれば、平時から恒常的な人員体制というのを確保していくということも大事だというふうに思いますが、大臣の見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 保健所の皆様方、日常業務が本来あるわけでありますけれども、この新興感染症、新型コロナウイルス感染拡大ということで、そちらの方にも影響しながら、やはりこちらの方に、新型コロナの方に多くの業務を割いていただいております。そういう意味では、もう本当に大変な御活躍、心から感謝を申し上げるわけであります。

 当初から、PCR検査全般で、窓口から、検査が終わった後で検体を運ぶでありますとか、終わった後の陽性者の搬送でありますとか、さらには病院等々いろいろな差配もしていただかなきゃならない。非常に過重な負担がかかっております。その上、積極的な疫学調査なんかもやっていただいているわけでありまして、やはり感染が拡大してまいりますとどうしても業務がふえてきて、本来やらなきゃいけないこともなかなかやれないんだというような、そんな悲痛な声もお聞きをいたします。

 そこで、現状、自治体間の専門職の方々のいろいろな融通といいますか調整、こういうことをやりながら、一方で、都道府県単位で、バンクのような形で、学会でありますとか関係者の方々でいろいろ御協力をいただいて、全国で一千二百名ほど今確保させていただいております。

 そういう体制を組みながら、応急の対応ということは今仕組みをつくらせていただいておりますが、言われますとおり、恒常的に強化をしていかないと、そもそもいろいろな負荷がかかり過ぎているという部分がございますので、それに向かったやはり財政的な措置というものをしっかり要求をしていかなきゃならないというふうに考えております。

 今まで、いろいろな流れの中で、保健所の機能というものを地方に移管しているというのもあります。ありますけれども、そもそものことを考えた上で、再度、我々、保健所機能を見直しながら強化をしてまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 いよいよ、今の季節、タイミングというのは、本当に来年度の予算に向けた、最後、財務省と厚労省がさまざま議論している中だと思いますので、ぜひ、恒常的な、さっき大臣が強調していただいたところもしっかりと確保していただきたいというふうに思います。

 もう一つ大事な点は、地域の医療機関、かかりつけ医の機能だというふうに思っております。保健所も今大変な状況の中で、保健所に相談していく仕組みから、かかりつけ医にまずは相談する、こういう仕組みが今動き始めておりますが、ただ、やはり現場は、いろいろ伺っておりますと、感染防止も含めて、そもそも今まで十分な体制がなかった中で、地域の医療機関、クリニック、町のお医者さんも苦労されているという状況です。

 町のクリニックでもきちんとした一定の役割を担ってもらうためには、それに対してのきちんとした裏づけ、財政的な支援というのもやはり必要じゃないかというふうに思っております。継続的にこれはやる必要があって、一時的に、もう今、これからの時代のことを考えると、継続的に、常時からこうした体制を地域の医療機関でも構えてもらう必要があるんじゃないかというふうに思っております。これは、医療機関だけじゃなくて、もちろん歯科もそうですし、あるいは薬局も私はそうだというふうに思っております。

 また、あわせて、減収割合が今非常に高い小児科とか耳鼻科とか、ここは国が価格を決めている以上、経営が立ち行かなくなって町から小児科がどんどん消えていくというようなことになれば、医療提供体制に対して大きな影響を与えていくわけで、この両面について財務省に御配慮をぜひいただきたいと思いますが、いかがですか。

宇波政府参考人 今御指摘いただきました新型コロナ感染症に対する対策でございますけれども、先生御承知のように、重点医療機関を始めとして、これまで、医療機関に対して、二度の補正予算あるいは予備費の活用などによって約三兆円の支援を実施してきているところでございます。まずは、これらの支援を速やかに現場にお届けをする必要があるというふうに考えてございます。

 さらに、昨日閣議決定いたしました総合経済対策におきまして、新型コロナ緊急包括支援金のさらなる増額を行うほか、現下の感染拡大の影響を踏まえた緊急的、臨時的な対応として、これは減収補填という趣旨ではございませんけれども、診療・検査医療機関を始めとした医療機関等への感染拡大防止策等への取組の支援を行うとともに、今お話のあった小児科等における子供の外来診療に係る診療報酬上の特例措置を認めることとしてございます。こうした支援を早期に実現すべく補正予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、御指摘のあった継続的なかかりつけ医の推進ということについては、さまざまな施策を通じて、今、これを恒常的な施策としてかかりつけ医の推進にも取り組んでまいりたいというふうに財政当局としても考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 財務省の方から、恒常的な取組としてしっかりと、今、前に進めていきたいという発言がありました。ありがとうございます。

 もう一点財務省に伺いますが、クラスターをつくらないという点で財政的な支援がやはり大事なところというのは、私は介護業界じゃないかというふうに思っております。

 まさしく今、介護報酬、この議論も山場を迎えているわけですが、現場は本当に必死の思いで今戦っていただいています。高齢者の健康を守る、命を守るという観点で頑張っていただいて。こういう介護現場に対して国がどういうメッセージを送っていくのかというのが、まさしく今、問われているんだというふうに思っております。これだけ頑張っていただいている介護現場、本当に戦意喪失にならないように、私はプラス改定は絶対に必要だというふうに思っております。そこをまず申し上げたいと思います。

 あわせて、これは、一時の補助金というだけじゃなくて、介護業界だって今後この感染防止対策というのはずっとやっていかなきゃいけない。恒久的な財源というのも、やはりここでも必要だというふうに思っております。そういう意味では、今介護報酬の議論の中で、こういうところもきちんと見れるような報酬体系というのが必要じゃないかというふうに思っています。また、あわせて、感染症が出てしまうとまた必要な費用というのが一気にふえてしまうわけで、ここもどうやって見てあげるかということも大事な観点だと思います。

 こうした介護事業者の、事業所の対応力を強化していくという予算、来年度以降も必要になってまいりますので、ここもお願いしたいと思いますが、いかがですか。

宇波政府参考人 介護報酬改定でございます。これは予算編成過程でまさに今検討中でございますので、そういう意味では最終的な予算編成の決定まで引き続き調整してまいりたいと考えておりますけれども、報酬改定でございますが、介護費用そのものは高齢化の要因によって毎年大きく増加をしております。保険料、利用者負担が上昇している中でございます。

 こうした中で、一つは、保険料あるいは利用者負担への影響、それから、今御指摘のあった介護事業所の経営状況とか、あるいはそれから見えてくるさまざまなサービス提供のコスト、こういったものを総合的に勘案しながら、予算編成過程で十分検討してまいりたいというふうに存じます。

 御指摘のあった感染症の対応でございますが、これも医療と同様でございますけれども、これまでも、緊急包括支援交付金であるとか、これを通じた慰労金の支給とかいうような形で介護サービス事業所に対してさまざま御支援を申し上げてきたところでございます。

 今後とも、感染防止に全力を尽くされている現場に必要な支援が届くように、予算編成過程において、御担当の厚生労働省とよく議論をし、調整してまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 なかなか、今審議の過程なので、しっかりと、はっきりとしたことはおっしゃっていただけないかもしれませんが、ぜひ御配慮いただきたいと思います。

 最後、簡単に一問だけ。一人親支援、これは対象がどうなるか、報道で出ておりますが、申請不要ということでいいのかどうか、いつごろ振り込まれるのかという点について、最後、伺いたいと思います。

渡辺(由)政府参考人 御指摘の一人親世帯の臨時特別給付金の再支給についてでございますが、これは、できるだけ早くお届けできるように、第二次補正予算で実施した給付金と同一の対象者に同額を同じ自治体から申請不要で振り込むという仕組みで、できるだけ簡便な形で進むように工夫しております。

 また、時期ということでございますが、厚生労働省といたしましては、支給を年内を目途に実施するという総理の御指示を踏まえまして、支給事務を担う自治体とも連携をしながら準備を進めているところでございます。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 閉会中審査ということでございますが、貴重な質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。

 それでは、限られた時間でありますから、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 昨日でありますが、追加の経済対策が閣議決定をされたところであります。事業規模は七十三兆六千億円ということであろうかと聞いております。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を増額をし、重点医療機関等の病床確保や軽症者の宿泊療養施設の確保支援、また外国人対応などの充実、医療提供体制の強化を図るということが盛り込まれているところであります。また、介護、障害福祉、児童福祉の緊急包括交付金についても増額をし、物品の購入費支援等に努めること、また施設の個室化改修等の支援も行うともあります。

 使い勝手のよい支援メニューとしていただきたいというふうに思うわけでありますが、まず、政府において、コロナ感染症拡大防止と早期収束に向けましたこの経済対策について、厚生労働分野につきまして、国民の皆さんに対して実効性のある経済対策であるということについてのメッセージをぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本経済対策でございますけれども、雇用を維持し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くために、事業規模総額七十四兆円という大規模な経済対策を昨日閣議決定したところでございます。何としても国民の命と暮らしを守るという政府の強い意思と実行力を示したものであると認識しております。

 本経済対策につきましては、傷ついた家庭や企業の不安に寄り添う守りと、新時代への攻めという二つの視点から成り立っております。

 厚労省といたしましては、まず守り。万全の医療提供体制を確保するとともに感染拡大防止に全力を挙げると同時に、内外の感染状況による経済への影響、とりわけ雇用、事業、生活への影響をできる限り緩和してまいります。

 その上で、攻めであるデジタル改革、グリーン社会の実現など、今後の経済構造の転換にも適切に対応していくため、業種、職種を超えた労働の円滑な移動や、そのために必要な人材投資の支援などを強力に進めてまいりたいというふうに思っております。

田畑委員 もちろん、国会審議を通じて、成立に向けて政府も努力をしていただきたいというふうに思います。

 今、現在進行形でも、各医療機関、医療提供体制の堅持に大変御努力をいただき、先ほどの御答弁もありましたが、厳しい地域、大阪等々においては自衛隊への協力要請等の動きも出ているところであります。都道府県を超えた連携強化、支援の体制づくりについても御検討、動きがあるというふうにも承知をしているところでございますが、抜かりなく、そしてまた、大変労力がかかるところかというふうには思いますが、機能を発揮することを本当に期待をしたいと思います。

 この後、年末年始にも差しかかるところでございます。もちろん、医療や、また介護施設においても、サービスを、また診療体制をとめるわけにはいかない。しかしながら、働いている方々の休暇もおとりをいただきながらのバランスある就労環境もつくっていかなければいけないということでございます。医療機関ですとか高齢者施設等におきます年末年始のそうした提供体制のしっかりとした点検ですとか、感染予防についての支援を、これはまた政府としても、各自治体、都道府県とも連携をして取り組むことを切にお願いをしたいというふうに思います。

 また、私も、週末を介して、いろいろな地元の皆さん方と、座談会等を通じていろいろな御意見を拝聴しているところでございますが、これからのこの経済対策も含めて、政府における情報発信の発信力の強化について、いろいろ御意見をいただくところでございます。

 もちろん、一生懸命、懸命にやっていらっしゃるというふうには理解はしているところでありますが、国民の視点に立って、そうした支援を含めた政府の施策がしっかり届くということが何よりも大切であろうかというふうに思います。

 答弁は結構ですが、田村大臣におきましても、いろいろな場面で御発信をされていらっしゃるわけでありますが、就任前の、党のお立場のときも大変いろいろ力強く御発信をなさっていらっしゃったわけでありますので、もちろん、今、政府の一員ということであろうかというふうに思いますが、厚労省を牽引をしていただき、コロナ対策を含めたさまざまな発信について、いつもながらの発信力を強化をしての取組を本当に御期待をしておりますし、多くの国民の皆さんもそれを望んでいるというか期待をしているということをつけ加えをさせていただきたいというふうに思います。

 さて、今、重点医療機関への支援についても、空床支援、補償等についても、二次補正でそれが盛り込まれ、今、各自治体にも届き始めているというふうには認識をしておりますが、これまでの国会の審議においても、野党の先生からも、例えば、自治体へその緊急交付金の届くのが、各自治体によって差異があるということが指摘をされております。

 さまざま事情もあろうかと思いますし、一旦精査をして、申請、申告に基づき、厚労省とすれば、政府から都道府県に交付をしているんだというふうに認識はしているところでございますが、つい先般も、十一月二十四日については、早期交付に資する各自治体の事例をまとめて通知をしているとも認識をしているところでございますが、特に、コロナ患者の扱いによって、医療機関の経営についても非常に不安視する声が今も私のところにも多く寄せられているところでございます。

 コロナ患者を重点的に受け入れる医療機関への支援について、今、令和三年度の予算編成のさなかでもありますが、令和三年度以降も引き続き継続する必要があるというふうには考えるところでありますが、政府のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 医療機関への支援については、新型コロナウイルス感染症への対応や患者数の減少による収入の減少などに対応するため、補正予算と予備費を合わせて、これまで約三兆円の措置などを実施してまいりました。

 コロナ対応を行う医療機関に対しては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金により、これまでも、新型コロナ患者専用の病院や病棟、疑い患者専用の個室病床を設定する医療機関における空床の補助単価を大幅に引き上げるとともに、これまでの空床確保については四月にさかのぼって適用するなどのほか、診療報酬上、重症の新型コロナウイルス患者に対する一定の診療への評価を三倍に引き上げるといった支援を行ってまいりました。

 また、昨日閣議決定された国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策において、交付金を増額し、引き続き重点医療機関等の病床確保などの医療提供体制の強化を図ることとしており、まずはこうした支援が一刻も早く現場の医療機関に届くよう全力を挙げており、あわせて、国民の皆様に必要な医療が確保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

田畑委員 きのう発表した経済対策をしっかり成立をさせて機能させること、もちろん当然だというふうに思います。次年度も含めて、そうした支援体制がしっかり継続をして、医療機関の皆さんにもメッセージが届くことを期待をしたいというふうに思いますし、我々もしっかり支えていきたいというふうに思います。

 経済対策においては、雇用の分野もいろいろ盛り込まれているところであります。雇調金の延長について等々含めて、これから、労働移動、そうした分野についてもしっかり取り組んでいただきたいことを申し添えをさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、次でございますが、ちょっと介護分野のことについてお話をさせていただきたいと思います。

 先ほど伊佐委員からも、介護報酬の改定について、財務省の答弁についてのコメントがございましたが、当然、今回のコロナ禍においても、介護施設、高齢者施設で頑張っていらっしゃるそうした皆さん方への介護報酬をしっかりプラスをしてお応えをするということが大変大切なことでなかろうかなというふうに思います。

 施設類型も大変多岐にわたり、また、基礎報酬から加算報酬含めて大変複雑な体系になっているところでありますが、シンプル化をするということも期待をしたいというふうに思いますが、大詰めの議論の中で、我々党としても、しっかり発言、発信をしながら、いい着地ができることを期待をしたいというふうに思います。

 その上ででございますが、特に、この感染症の拡大防止について、今、急増を防ぐため、いわゆるクラスターを防ぐために、その予兆を早期に検知し、そして早期に介入をしてクラスターの大規模化を抑制するということは当然とても重要なことであろうかというふうに思います。

 政府においても、そのためのAI等を活用した感染拡大の端緒の早期探知、感染拡大・抑制シミュレーション等の活用に向けた調査研究を行うことなども実行されているというふうに認識をしております。特に、高齢者施設等における重点的な情報収集と評価を行う仕組みづくりが必要でなかろうかというふうに思います。

 新型コロナウイルス感染症対策について協議をする協議会等の枠組みを活用し、高齢者施設や医療機関、保健所、地衛研や地方感染症情報センター等が、対面での会合、電話会議、リモート会議やグループチャット、メーリングリスト等での現場の気づきを積極的に地域で共有する仕組みづくりというものが大事でなかろうかというふうに思います。つまり、法に基づく報告のみならず、ニュースやSNS等のネット情報、医療関係者や担当者の気づき等、さまざまな情報源を広く活用すべきではなかろうかというふうに考えます。

 既に、全国におきましては、フットワークの軽い民間の有志の皆様方によるそのような動きが全国各地で動き出しているところであります。例えば、千葉県の流山市における訪問介護事業所のネットワークづくりが進んでいますし、鹿児島県霧島市においては小規模多機能グループホーム協議会ネットワークというものが立ち上がっているところであります。私の地元の富山県においても、とやま介護安心ネットワークという組織が立ち上がり、ネットワーク間で感染対策上のさまざまな疑問、悩み解決のためのリモート研修会等も積極的に開催をされております。

 また、先ほど申しました三つのネットワークそれぞれが相互連携をしながら、全国的にも情報共有の輪が広がっているというふうに認識をしているところであります。このような、現場の気づきを共有をし、早期に対処できるネットワークのメリットを今後の感染症対策に生かすべきではなかろうかというふうに思います。

 また、そのようなネットワークが、今後、今も現在進行形でつくっている地域包括ケアネットワークにも礎として活用できることがあるのではなかろうかなというふうに考えるわけでありますが、今申しました、そのような民間有志のネットワーク、そこに行政も寄り添っている地域も大変出てきているというふうには認識をしますが、現場の気づきを生かすような取組、まずは政府がどう把握をしているのか、またそのようなことをどう活用していくべきかというふうに認識をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、新型コロナ禍におきましては、地域を挙げた取組が何よりも大事になってくるというふうに思っております。そのため、介護サービス事業所や医療機関、行政、民間など、地域の関係者が連携して感染拡大防止の徹底に向けた取組を進めていくということが重要でございます。先生も御指摘ございました御地元のとやま安心介護ネットワークを始め、全国で先進的な取組が始まっています。

 厚労省といたしましては、調査研究事業といたしまして、事業所間連携を含む介護サービス事業所や自治体における感染症対策等の取組の実態把握、あるいはその応援体制の構築、そうしたものに向けた調査研究をただいま進めているところでございます。

 先生御指摘にもございました、今後の地域包括ケアシステムの構築に向けてもこうした取組というのは大事であるというふうに思っております。そしてまた、そうしたシステムの基盤になるのがこうした取組であるというふうに考えておりますので、厚労省といたしましても、地域の関係者が連携して高齢者を支えていくための取組、こうしたことを積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

田畑委員 ありがとうございます。あえて政務官にお答えをいただいたので、大変ありがたいというふうに思います。

 特に、高齢者施設、このコロナの初期のころから、特に施設ごとで、施設としての孤立というか、なかなか外に出れずに、また職員の方々は利用者と向き合わなきゃいけない、そういう中で、このようなネットワークというのは本当に自発的に出てきたなというのが、私も関係者の皆さんのお話を聞くと感じるところでございます。

 もちろん、何か法に基づいて動いているわけではないので、政府や自治体が積極的に関与また支援するというのは当初は難しかったのかもしれませんが、しかし、善意で行っていらっしゃるこういったネットワークづくりですとか、そうしたことによって、職員の方も実は救われたというお声を聞いたりとか、もちろん、改善や改良につながる、そうした事例も出てきているというふうにも認識をするところでありますので、そうした現場の気づきをすくい上げるような仕組みもこれからの取組としてぜひ御意識をしていただいたり、また、今、調査事業を行っているという御答弁がございましたが、その調査をしっかり検証したり評価をしながらまた次につなげていくということ、結果として、介護現場、高齢者施設で働いている方々のやる気と意欲をしっかり堅持をし、また政府が応援をしているというメッセージにつながるのではなかろうかなというふうに思いますので、御期待を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、時間が参りましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁です。

 新型コロナウイルス感染症の拡大がとまりません。新型コロナウイルス感染、新規感染の数は連日高い水準となっております。昨日は、死者また重症者の数、過去最多を更新したと。大臣もそうかもしれませんが、私も、医療関係者、また介護関係者から悲鳴が聞こえてきます。大阪や東京、また旭川のみならず、私の地元山梨、やはり十一月中下旬から感染、新規感染者の数がふえてきて、現場にいる医師たちから、とにかく今は感染者を抑制するためにできる限りのことをしてほしいと強く、悲鳴と申し上げましたが、恐らく大臣のところにも届いているかと思います。緊張感を持って質疑に臨みたいと思います。

 きょうは、大変お忙しい中、尾身先生、また脇田先生にも御出席をいただいております。また消防庁からも御出席をいただいておりますので、順次質問させていただき、その内容を踏まえて大臣にも答弁を求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず脇田先生にお尋ねをいたしますが、先週、新型コロナウイルス対策を検討するアドバイザリーボード、座長を務められておられますが、資料の一にございますように、直近の新規感染者数、検査状況、入院患者数、重症者数、病床占有率などを踏まえ、感染状況について、過去最多の水準が続き、最大限の警戒が必要な状況との見解を取りまとめられました。

 アドバイザリーボードは、感染拡大の要因として、県境をまたいだ移動の経験がある二十代から五十歳代が他の人に感染させていることが多いとしています。

 十月の時点のアドバイザリーボード評価では、感染の増加要因と減少要因が拮抗しており、拮抗状況はいつ崩れてもおかしくない、ぎりぎりのところであると評価され、十一月に入って、そのバランスが崩れ始めた、このまま放置すれば更に急激な感染拡大に至ると指摘しています。

 脇田先生にお尋ねいたしますが、十月に感染の増加要因と減少要因のバランスが崩れ始め、十一月にはバランスが崩れた、そして、現在、最大限の警戒が必要な状況と評価されております。バランスが崩れた前兆は十月には確認されていたにもかかわらず、アドバイザリーボードで示されていた、更に急速な感染拡大に至る可能性があるという十一月のときの評価、この懸念が今現実になっているという理解でよろしいでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 七月、八月の感染拡大の後に十分に感染者の数が下がり切らず、そしてそこで拮抗したような状況になっていました。それが、十月になって、やや、横ばいから微増の傾向になって、その後、感染拡大に入ったというふうに考えています。

 委員御指摘のとおり、増加要因と減少要因が拮抗していたというふうに評価をしていますけれども、やはり十一月に入って感染拡大のスピードが増してきたということで、更に急速な感染拡大に至る可能性があるというふうに評価をさせていただいています。

 この最大限の警戒が必要であるということですけれども、こちらは、やはり新規感染者数の増加だけではなくて、医療あるいは公衆衛生体制への負荷がありますし、さらに、重症者数が増加していくということが、最大限の警戒が必要ということで評価をさせていただいています。

 現在は、新規感染者数の増加スピードというのは、十一月に評価した状況よりは落ちついてきているというふうに考えていますけれども、引き続き新規感染者数は過去最多の水準ということでありますので、引き続き最大限の警戒が必要な状況というふうに認識をしております。

中島委員 アドバイザリーボードの評価、この懸念が、十月から前兆があったにもかかわらず、政府の対応、見通しが甘かったと私は思っています。

 この評価では、感染拡大の要因として、基本的な感染予防対策が行われていないこと、そうした中での人の移動の増加などが挙げられております。

 これも脇田先生にお尋ねいたしますが、これまでの感染対策、三密を避ける、またマスクの徹底、距離をとる、それぞれの、従来の対策が徹底できていない結果なのか、それとも、今までの感染対策では防げないような何か違う要因が加わっているのか、見解をお尋ねしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 これも、アドバイザリーボードの構成員の評価、分析でありますけれども、現在の感染拡大の要因は主に四つあるというふうに分析をしています。

 まず第一に、基本的な感染予防対策、これは個人あるいは社会を含めてですけれども、それに加えて、人の移動が増加すること、それから、気候によって、気温の影響ですね、それとさらに人口密度ということで、大都市圏においては感染拡大しやすいというようなことがございます。

 さらに、現在の感染拡大の要因の一つとして、見えにくいクラスターというものが感染拡大の要因となっています。これは、これまで、保健所の先生方の努力によって、見つけやすい、見つけられるクラスターというのはかなり抑えられてきておりますが、現在は見えにくいものがふえてきているというふうに考えています。

 委員、先ほどの御質問でありましたけれども、二十代から五十代の皆さんが、社会活動が活発な世代であって、移動歴があるという方々が、二次感染がほかの世代と比べると多いということで、こうした世代では、感染しても無症状あるいは軽症のことが多いので、本人が気づかないままに感染拡大につながるという可能性があるということを指摘させていただいております。

 ですから、そういった働き世代の皆さんへも十分周知をする必要がありますけれども、国民の皆様に、感染リスクが高まるような例えば五つの場面であったりとか三密であったりとか、そして室内ではしっかりマスクをしていただくとか、それから、どうしても寒くなりますと室内に入りますから、そういったときには密を避けて換気をしっかりしていただく、それからやはりフィジカルディスタンスをとっていただく、そういった基本的な感染予防対策を徹底していただくということが非常に大事だと考えております。

中島委員 四点プラス見えにくいクラスターというお話がございました。

 これは、評価も私も見させていただいておりますので、私、ちょっと懸念するのは、資料の二枚目にありますが、新型コロナウイルスは非常に変異しやすい。これは前回、脇田先生にも御見解をいただいたんですが、先日は、変異によって毒性が変化するか、弱毒化するのか強毒化するのか、これに関しては現在のところ明確にはなっていないということでございましたが、資料の二枚目は、新型コロナウイルスの変異により感染力が増すという研究結果が相次いでいるというものであります。

 英国、米国の研究班、日本では東京大医科学研究所の研究チームが、変異によって感染力が強くなったことをハムスターの実験で確認、変異が感染拡大に影響したと指摘をしています。欧州の場合、特にイタリア・ベルガモで広がった変異種、これが多くの死者を出したというふうに言われています。

 改めて脇田先生にお尋ねいたしますが、我が国の現在の感染拡大にこのウイルスの変異が関与している可能性について、見解を伺います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、現在の流行の主体の株にはD614Gという変異がございまして、これは、武漢の最初の株では見られなかった変異でありまして、ヨーロッパで感染が拡大したときに主流となった株であります。現在、日本でもあるいは世界でも主体となっている株であります。

 この株を実験室内で細胞あるいは動物を使いまして検証しますと、感染性が増加しているということが御指摘のとおり報告されているということは承知をしています。ただ、実際に、現在の流行に、どのようにこれが従来の株に比べて感染拡大に寄与したかということに関しては必ずしも検証されておりませんので、これは引き続き我々も注視をしていきたいというふうに思いますし、また、更に新たなそういった病原性あるいは感染性に関与するような変異株が出るかどうか、そういうところに関してはしっかり見ていきたいというふうに考えております。

中島委員 脇田先生、私はここは大変危惧するところなんですね。やはりヨーロッパを中心に、先ほどベルガモの話をいたしましたが、もう三月の時点で変異種があれだけ拡大をしている。そして、新型コロナ、発生からこれだけ時間がたっている状況の中で、今、注視してという話がございましたが、そういった可能性も今否定できない、今後も否定できないということでありますから、これはそれ以外の今でき得る対策、徹底するべきだと改めて思います。除外できる要因は徹底的に取り除き、最大限の警戒が必要だということを改めて思っています。

 脇田先生には後ほどもう一度御答弁いただきますので、次は尾身先生にお尋ねをしたいと思います。

 勝負の三週間と位置づけて二週間が経過いたします。尾身先生、約一カ月前から緊急提言も示され、同時に、食いとめる最後のチャンス、今が重要な局面と、この時点で最大限の危機感を約一カ月前から示されておりました。また、十日前の私との質疑、十一月二十七日ですが、国民一人一人の努力では防ぎようがない段階に入ったとされ、国、自治体、国民が問題意識を共有し、一つになることが必要だと、更に踏み込んで強い危機感を示されました。

 現在の状況が、国と自治体、国民が問題、危機感を共有し、一体となって新型コロナウイルスと立ち向かっている状況と言えるかどうか、尾身先生の見解を伺いたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃったように、今の状況は、国、自治体、国民が一体になって取り組むべきだということは申し上げたとおりであります。それで、今のこの状況は、一言で言えば、やはり人の動き、接触を控えるということが極めて重要だと思います。

 そうした中で、私どもが先日来政府に提言をして、人の動きやあるいは時短などを実行していただきたいということについて、政府それから自治体の方で、当然地域によって多少対応は、感染状況が違いますから異なりますけれども、時短要請と、それから不要不急の外出自粛ということについては地方自治体それから国が連携をしてやっていただいたということについては、私は評価ができると思っております。

中島委員 勝負の三週間の最初の土日には、東京都内、各地ですが、若干土日の人出が減少した。一方で、先週末はまた増加傾向にある。

 これまでの新型コロナウイルス感染症、四月の時点、第一波、これは緊急事態宣言によって何とか抑え込み傾向にできた。そして、七月の第二波も、多くの国民の協力、理解のもとで抑え込んできた経験値がある。そして、これまでに、対策を施策する側もさまざまなことがわかってきた。

 しかし、この経験値が逆の意味で、これはもう政府に言いたいですけれども、第二波の七月、GoToトラベル、これは三連休を、前倒しして実施しました。そして、その後、そのとき批判もありましたが、実施した結果、八月に感染者は減り始めた。これは、今の状況とは全く違う状況だと私は理解しています。その当時の成功体験を今回も生かそう、もしそういう考えを持っているならば、大きな間違いだ。

 これは繰り返し申し上げますが、多くの国民、コロナ疲れもあるかとは思います。しかし、政府が、GoToトラベル、GoToイートもそうですが、感染を、徹底してくださいと言っている一方で、人の移動を促す政策を推し進めようとする、このことに多くの国民が、緊張感が緩んでいるとは言いませんが、なかなかそういった行動に移せない、そういう理由になっているんじゃないかというふうに思います。

 尾身先生は、六日の日曜日の討論番組で、GoToトラベルの運用の見直しを含めた人の移動の抑制が必要との認識を、先ほどもお示しされましたが、示されました。さらに、GoToトラベルも含めて人々の動きと接触を短期間、集中的に減らすことが今の感染拡大を鎮静化させるために必須だと述べられ、さらに、六十歳以下の無症状や軽症の人が都道府県境を越えて移動するケースを挙げ、全く意図せず感染拡大の重要な原因になっているとわかってきたと指摘、三密回避などの対策、人の移動への対策を急ぐべきだ、先ほども御答弁いただきましたが、強調されておりました。

 この短期間、集中的に人々の動きと接触を減らすことが必須という意味は、四月のときのような緊急事態宣言を発出する必要があるというふうに私は受けとめましたが、そのような理解でよろしいでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 私どもは、八月七日に四つのステージの考え方をお示しさせていただきましたけれども、そのときの考えと今も変わっておりませんで、結局、ステージ3になったら、3相当の地域では人々の動きをなるべく避けていただきたいということ。それで、ステージ4になったら、これはもういわゆる緊急事態宣言相当のことを発出しないと、必要があるという見解を示しましたけれども、今も私はそのように思っております。

中島委員 ちょっと確認ですが、もう緊急事態を出すべきだということで今の御答弁はよろしいんですか。

尾身参考人 ステージ4になった場合には、緊急事態宣言を出す必要が出てくると思います。ただ、今のところ、ステージ4だというふうに考えている地域は、そういう判断はされていないと思います。

 ステージ4というふうに各地方自治体それから国が判断された場合には、これは緊急事態宣言を出す事態になったというふうに考えるべきだと思います。

中島委員 きのう加藤官房長官が、旭川に自衛隊を派遣することに対して、旭川市に緊急事態宣言を出すのかどうかという記者からの問いに、現時点で緊急事態宣言を出す状況ではない、専門家も同じ意見というふうに言われているんですが、尾身先生、旭川は今、医療提供体制、医療崩壊にもう入っているかもしれない。

 こういう地域を限定して、ステージ4という基準はありますけれども、先ほども言ったように、医療従事者からも聞いておりますが、今、高齢者の重症化、さまざまな要因で人材がいない、一人でも少なく感染者を抑制しなきゃいけない、そのために、そういった地域、大阪もそうかもしれませんが、限定して、基準を満たさなくても、やはり人の動き、接触を最大限今抑制しなきゃいけないという状況の中で、地域を限定した緊急事態宣言、ステージ4ということもありますが、現状を把握しながら、そういう対応をすることが必要とは考えませんでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 旭川等の個別の地域にとって極めて医療に負担がかかっているということがあることは、私もそう思います。

 それで、国が緊急事態宣言を出すということと各地域が緊急事態相当の状況にあるということは少し違いますので、今、国として緊急事態宣言を出すステージかというと、まだそういうところには至っていないと思いますが、地域によっては極めて重要な時期に差しかかっているという問題意識は、私はあると思います。

中島委員 まあ、きょうちょっと時間が足りませんので。

 きょう、消防庁にもお越しいただいています。

 資料の三枚目、四枚目でございますが、資料の三枚目は東京消防庁、また四枚目は大阪市消防局の緊急搬送困難事案の状況調査結果であります。対象としている救急搬送困難事案とは、現場に到着した救急隊により搬送先の医療機関が決まるまでに、受入れが三十分以上、現場での滞在時間が三十分以上の事案としてそれぞれの消防本部から消防庁に報告が上がったものです。

 東京消防庁管内、大阪市消防管内の四月から十一月第五週、十二月第一週にかけてまでの結果でありますが、東京消防庁管内では直近で前年同期比四七%増、大阪消防管内では六一%増というふうになっています。

 消防庁にお尋ねいたしますが、救急医療体制の現状、特に、医療提供体制が逼迫している東京また大阪市の現状と、前年同時期で搬送困難事案が増加している要因、新型コロナウイルス感染症拡大との因果関係、どのように分析されておるのか、お答えいただきたいと思います。

五味政府参考人 まず、東京消防庁及び大阪市消防局管内におけるこれまでの救急搬送困難事案の状況でございますが、先生御指摘のとおり、直近では、東京消防庁管内では約一・五倍、大阪市消防局におきましては一・六倍というふうになっております。

 このように前年と比べまして救急搬送困難事案が増加している要因についてでございますが、新型コロナウイルス陽性患者や疑い患者への対応などから、都市部を中心として地域の医療供給体制が厳しい状況に置かれていることが、救急搬送困難事案が増加する要因の一つとなっているというふうに考えております。

 引き続き、最近の新型コロナ感染症患者が増加傾向にあり、消防の現場では危機感を持って対応していることも踏まえまして、今後の状況の推移について十分注視していく必要があると考えておりまして、今後とも、厚生労働省など関係機関と連携しながら、各地域の消防機関が救急搬送を適切に行えるよう必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

中島委員 今、分析について、また、危機感を持ってというお答えがありましたが、これは四月のときからこの統計をとり始められて、四月は増加率が百五、六十%になった。恐らくこれは厚生労働省と地域とで連携をしてやっている結果ですけれども、もうずっと例年同時期に比べてこういう例がふえている。そして、これからまさに冬が本番、ヒートショック、循環器、脳血管障害で搬送される方々がふえるという状況の中で、ぎりぎりの状況じゃないかと私はこれを見ていても感ずるわけであります。

 これと、いわゆる超過死亡のことについて脇田先生に御見解をお聞きしようと思ったんですが、ちょっと時間が足りなくて。超過死亡、当初ちょっと誤った報道をされたように私は感じておりまして、ひとり暮らしの方がお亡くなりになって、そしてコロナでお亡くなりになった方を見逃しているんじゃないか、それを超過死亡みたいな報道がされたんですが、実際は、まさにこれから医療が逼迫して医療崩壊が起こり、循環器疾患、脳血管疾患でお亡くなりになる方が一体どのくらいになるのか、まさにこの超過死亡を疾病の原因別に詳細に分析していくことが必要、これに対して見解を聞こうと思ったんですが、ちょっと時間がないのでお許し願いたいと思います。

 最後、大臣にお尋ねをいたします。

 きょう、尾身先生、脇田先生、そして消防庁から、今、救急搬送困難事例、これももうずっと高どまりしている、こういう状況の中で、大臣、医療関係者、現場からは、大臣が頼みの綱です、大臣に、踏ん張って、そして政府に対して、とにかく今は、医療、また介護、そして救急の医療の現場を守るんだと、強い決意をいただきたい。

 東京都のGoToトラベルは、十七日、来週の木曜日がその期限になっています。延長すべきだと考えているのか、それとも更に強い対応をするべきだと考えているのか。大臣には、人の移動、接触をこの短期間で徹底的に抑制しなきゃいけない、GoToトラベルは、大臣として、十七日の期限を延長するのか、それともストップさせようと考えているのか、お答えいただきたいと思います。

橋本委員長代理 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

田村国務大臣 今、医療、介護の現場、これをしっかり守っていかなきゃならないわけでありまして、いろいろと医療の方も人材も不足しているという話がございますから、そこはそれぞれ連携しながらしっかりと対応していく、これは都道府県、看護協会ともという話は先ほど大阪でもありました。自衛隊のお力もおかしをいただくところはあると思います。いろいろな形で協力しながら、医療提供体制、これは守っていかなきゃならぬと思っています。

 今ほど来お話がありました、アドバイザリーボード、分科会でもいろいろな御議論をいただいておりますが、まず、基本的な感染対策、これがしっかり行われていない、そして、しっかり行われていない中での人の移動、さらには気温の低下、人口密度、こういうものが感染が広がっている要因であろう、こういう御評価をいただいております。

 そういう意味で、今、GoToトラベルのお話がございました。我々、医療の状況、随時官邸にもお届けをいたしております、お伝えしております。そんな中で、東京の話でございましたから、東京都と、そして担当であります西村大臣、それぞれ話をする中において、政府の中で適切にこれから判断してまいるものというふうに存じ上げております。

中島委員 来週も質疑を希望して、質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間質問をさせていただきます。

 GoToトラベル、後ほど尾身会長に質問させていただきますが、冒頭、今までから田村大臣、長良課長に要望させていただいております休業支援金の質問をさせていただきたいと思います。

 これは、休業手当がもらえない非正規雇用の方が非常に多くて、五千五百億円、予算をとっていただきました。しかし、残念ながら、今日の時点で、まだ五百億円、つまり九%ぐらいしか使われておりません。

 その理由は、非正規雇用のアルバイト、パート、登録型派遣の方々というのは、事業主や店長、社長さんに相談するといっても、恐れ多くてなかなか相談できない。相談できないどころか、申請の前に、休業支援金が欲しいんですけれどもと言ったら、何を面倒くさいことを言っているんだ、もうシフト入れない、あるいは、この資料の中に入れましたけれども、それでもう解雇、休業支援金を申請するんだったら、そんなややこしいことを事業主に言ってくるんだったら、解雇。

 私のところにも、この休業支援金の相談と申請をしたことによって、解雇や、シフトを外されたという被害者からの相談が山のように来ております。そういうのを見て、なかなかみんな、びびってしまって、申請できなくて立ちすくんでいるんです。

 長良課長、田村大臣を始めとして、十月三十日に大幅な対象拡大、この五ページの、半年以上の勤務、月四回以上の勤務で、コロナが原因で仕事がないのであれば、休業させましたかに、事業主がいいえと、はいじゃなくていいえと書いても対象としますよという、すばらしい大幅な対象拡大、実質的なことをやっていただいたにもかかわらず、なかなかまだそれが徹底されていないんです。

 ですから、この対象拡大によって喜んで申請した人が、まだほとんど支給決定が出ていなくて、支給決定が出るのが十二月中旬とか下旬じゃないかと言われているんですね。

 ついては、私の知り合いのホテルの配膳の方でも二人が申請をされていますけれども、二人がもらえたならば同僚の三十人が申請したいというケースとか、多々あるんですね。皆さんやはり、同僚や同じ働き方をしている人が通れば安心して行けるけれども、そういう事例もないのに事業主に相談したらアウトになっちゃう。

 ついては、先日も申入れの要望をさせていただきましたけれども、今、十二月末で申請締切り、これではもうほとんどの方が申請できませんので、来年三月末まで延長すべきではないか。事業主への申請書類の交渉の日数を考えれば、年末締切りだと、事実上、もう今から事業主と交渉しても間に合わなくなってしまう。きょう以降の申請準備はできないことになります。ついては、たとえ三月末でなくてもいいですので、この場で、いつまで延長するのか、答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 休業支援金は、御承知のとおり、申請期限というものは、もともと基本は、休業の事実をしっかり確認しなきゃいけないということで、余り長くなり過ぎるとそれがなかなか確認できづらくなるということでありまして、三カ月ということにいたしております。

 今般、日々雇いでありますとか、それからシフト、こういうふうな方々に対して、リーフレットをつくって、パンフレットをつくって周知をさせていただく、これが十月の末でありました。

 そう思うと、委員言われるとおり、十一月、十二月、言われる中において、申請するのが怖いというお気持ちがあられるのはよくわかるんですが、できれば本当は早くやっていただいて、皆さん一丸となって支給を求めて申請をいただくというのが本来一番その方々にとってもいいというふうには思うんですが、ただ、今言われるような御心配もあろうと思います。

 先ほど申し上げました申請期限三カ月というのが本来基本であるということも念頭に置きながら、しかも、十月末にこういう周知徹底をした、新しい考え方を周知徹底したということもございますので、この二つをしっかり勘案しながら、委員からの御要望、おとといですかね、お越しもいただきました。しっかりと受けとめさせていただくべく、どの期限にするかというのは今申し上げられませんけれども、一定の延長はさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 これ、本当に私、一般論を言っているんじゃなくて、例えば、申請したいので書類を、サインしてくださいとか言っても、いやいや、チェックに三週間ぐらいかかるよと言われるわけで、となると、もう、今から相談したって年内は無理なんです。ついては、今、前向きな答弁をいただきましたけれども、例えば一月十日まで延長しますと言われたって、これは今からもう間に合わないんですよ、年末年始ですから。

 ここで、一つちょっと明言していただきたいのは、少なくとも一月末までは延長する、そのことはこの場でやはり言っていただきたいと思うんです。そうしないと申請できないんです。

 例えば二十日までにその書類を下さいと事業主に言ったせいで、何を厚かましいこと言っているんだ、シフト入れない、首だと言われた人、いるんですよ、本当に。数十万ですからね、人生かかっているんです、みんな。

 そういう意味では、この場で、せめて一月末までは延長するということは答弁していただけませんか。

田村国務大臣 いろいろな準備等々もございます。先ほど私が申し上げたのは、その申請期限というものが本来、基本は三カ月であるということを申し上げました。その上で、今回の新たな考え方を周知徹底するのが十月末であったということも踏まえて、延長を検討するというか、延長を事実上させていただくということでございます。

 ちょっと期限に関しては、今ここでつぶさに申し上げるわけにはいきませんので、それは御容赦いただきたいと思いますけれども、十二月末を一定期間、先ほどの考え方のもとに延長をさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 十二月末から、三カ月ですから、少なくとも一月末というふうには理解したいと思います。

 といいますのは、そうしないと申請できないんですよ。これで年を越せないという、本当に困っていられる方、めちゃくちゃ多いですから、一日も早く、一月末あるいは二月末、三月末ということで発表していただきたいと思います。

 それでは、GoToトラベルのことをお伺いしたいと思いますが、予備費で三千七百億円、そのうち三千億がGoToキャンペーンということで、やはり今一番の最優先課題は、尾身会長にもお越しをいただいておりますが、医療現場の逼迫、医療崩壊、感染症対策こそ最優先だと思います。

 そんな中で、このGoToトラベル、経済的に効果があることは否定はしません。しかし、感染拡大地域、感染拡大のときにやると逆に感染拡大のリスクがあるのではないかということで、今回、東京大学などの調査結果が出ました。きょうの配付資料をごらんいただきたいと思いますが、十四ページ、十五ページですね。

 そこで、尾身会長にお聞きをしたいと思います。

 この調査結果、もちろん尾身会長はお読みになられたと思いますが、この十四ページ、十五ページを読みますと、これの下のところですね、ここに書いてありますけれども、GoToトラベル事業の利用者は非利用者より新型コロナに感染するリスクが高いことを示しており、GoToトラベル事業が新型コロナ感染拡大に寄与している可能性があることを示唆していますと。それと、約二倍、コロナ感染を示唆する症状が出るという、発熱、偏頭痛、せき、頭痛、味覚、嗅覚異常ですね。それとともに、二ページ目のところには、ここにありますように、波及効果、今後の予定、GoToトラベルの利用者はより新型コロナに感染しているリスクが高いと考えられます、GoToトラベル事業が新型コロナ感染拡大に一定の影響がある可能性があることを示唆しています、現在のGoToトラベルのやり方は新型コロナ感染リスクの高い集団にインセンティブを与える形となっております。

 コロナ感染の原因になっているということは、断定はできないということはもちろんこのペーパーの中に書いてありますけれども、こういう可能性が示唆されています。この論文について尾身会長の見解をお聞きしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 私どものこのGoToに対する考えは、前から申し上げましたように、ステージ3の地域ではGoToを含めて人の動きを抑えた方がいいということを申し上げている。

 その上で、先生の御質問ですので、この今回の東大の発表についてですけれども、私は、こうした難しい問題に東大の研究者がやっていただいたことに対しては、心より敬意を表したいと思います。その上で、研究者の方も認められていると思いますけれども、今回は、この研究成果をもとにこのGoToが感染を広げたかどうかということを明確に判断するのには少し難しいのは、理由があると思います。四つ、私の、これは見たばかりですけれども、難しい理由があると思います。

 その四つのことは、まず一点目には、この調査では、旅行した時期と症状が出た時期の時系列についての検討がなされていないということが一点目です。

 それから二点目は、ここで発表されているいわゆる症状、発熱とか嗅覚異常とか、この症状の有病率が、実際に検査を行われたのは八月の末から九月の上旬で、この時期には比較的感染が抑えられている時期で、その時期のいわゆる推定有病率に比べて、ここで発表されているのは極めて、桁違いに高いんですね。

 どういうことかというと、例えば、当時は、八月の末ですと、どんなに高く見積もっても、当時の有病率は私どもは〇・一%を超えることはないと思います。ところが、今回の場合は、嗅覚異常、発熱などでは数%、ほかのは一〇%というようなことからいって、少しこういうことを考えますと、こうした症状が感染自体を必ずしも正確に示しているのではない、示していないのではないかという可能性もあるということです。

 それから三番目は、こういういわゆるアンケートを通しての質問というのは、これはこの世界の常識なんですけれども、いわゆるリコールバイアスというのがありまして、いわゆる思い出しの偏りということで、あなたは症状があったということを聞かれると、どうしても、はいというように聞く、そういう傾向がこういうスタディーではよくあることなんです。リコールバイアスというのがあります。

 それから四点目は、これは主観的な症状を主にやっているので、実際にPCR検査なんていうのをやっていないわけですよね。

 そういう意味では、このスタディーというのは、非常に、極めて私たちとしては敬意を表したいと思いますけれども、このスタディーの結果だけをもって明確な判断を下す、つまり、GoToが実際に感染拡大に寄与したかというのを客観的に、サイエンティフィックにやるのは少し難しいのではないかというのは、これは敬意を表していることとは別に、これは我々、こういう専門家がこれを客観的に見るとそういう課題がある、ただし、敬意を表したい、そういうふうに私は感じております。

山井委員 私も昔、ちょこっとですけれども、京大の大学院で酵母菌の研究とかやっておりましたので、その研究の、ちょっとだけのことはやっていましたけれども、そういうことも踏まえて言わせていただきますと、尾身会長に申し上げるのも恐れ多いですけれども、それは限界はありますよ。それで、何か足らざる点があるとおっしゃるのであれば、今回六カ月もGoToキャンペーンを延長するのであれば、失礼ながら、じゃ、アドバイザリーボードや厚生労働省、GoToキャンペーンのエビデンスがないとおっしゃっているから、感染拡大に寄与しているのかどうか、調査してくださいますか。

尾身参考人 これは分科会段階では正式に話していませんから私の個人的な考えですけれども、この感染症は、先生も御存じのように、無症状の方が感染させるということで、なかなかどこで感染したのかわかりにくいという難しさがありますよね。

 調査をするのであれば、私は時間があればした方がいいと思いますけれども、そのときは、これは、こういう厳密な、あるいはしっかりした研究のデザインをしっかりやる。その中で、どういうことをやるか。

 簡単に申し上げますと、健康状態とか年齢というのは三つのグループに分けたらいいと思います。一つはGoToに行った人、二つ目はGoToに行かなかったけれども旅をした人、それから三つ目は旅をしなかった人、この三つのグループ。ただし、この三つのグループは、年齢層なんかで、健康状態がほぼ同じグループをしないと調査の意味がありませんから、その人たちのグループを、それぞれ、いろいろな行動をしますよね、それを適宜PCR検査なんかで追っていくという方法が最もやるべき方法だと思います。

山井委員 非常に重要な答弁をいただきました。ぜひその調査をやっていただきたいと思いますが、ぜひやっていただきたいということで、それをやっていただいたら、いつごろ、その結果、国民は知ることができますか。

尾身参考人 私が今答えたのをもしやるのであれば、そういうしっかりしたスタディーを。これは少し時間がかかりますので、これは、やった方がやらないよりいいと思いますけれども、やるのならしっかりとスタディーデザインをして、時間をかけて……(山井委員「いつごろ結果が出ますか」と呼ぶ)それはちょっと、急には、ちょっと私も今ここでは即答は、しかし、一週間とか二週間でできることはないと思います。

 そこには、なぜかというと、これは厳密に言うのだったら、前向きのコホートスタディーというのは時間を経過してフォローしないと結果が出ないので、少々時間がかかることは間違いないと思います。

山井委員 やはり、私はさっきも言ったように大学院でも研究していましたから、私も持論は、エビデンス・ベースト・ポリシー、エビデンスに基づいた政策決定が必要なんです、これは。これはもう党派関係なく。

 ところが、今一番問題なのは、その調査研究、今のところやる予定はない、やってもいつ結果が出るかわからない。万が一、GoToが終わってから、実はGoToは感染拡大に大きく寄与していましたとわかったら、これ、どうするんですか。取り返しがつきませんよ、人の命が失われているんですから。

 だから、話は戻りますが、もちろんさまざまな限界はあるけれども、今回の東大の方々がやってきた研究というのは、さまざまなリミテーション、限界はありますよ。あるけれども、感染拡大に寄与している可能性があるというのは、この方も言っているじゃないですか、査読前だけれども、やはり非常に大きな社会的判断が要るから、あえて査読前だけれども発表したと。だから、私は、これについては、やはりその重みを受け取らざるを得ないと。ほかにやっている人がいるんだったらいいですよ。ほかは研究やっていないんだから。

 そこで、尾身会長にお聞きしたいんですけれども、昨日も東京都の尾崎会長が、これ以上感染者や重症者がふえればコロナ患者も一般患者も守れない、GoToや人の動きを一旦、一時とめていただきたいという切なる記者会見をされました。ついては、やはり東京は、高齢者や基礎疾患の方だけじゃなく、少なくともGoToを一旦とめるということをすべきではないですか。尾身会長、いかがですか。

尾身参考人 お答えいたします。

 もう従来から、私ども分科会は、ステージ3相当の地域については、GoToも含めて人の動きを、今の時期、感染の、今、この状況を打開するためには、GoToを含めて人の動きあるいは接触を控えるべき時期だと思っております。(山井委員「あえて確認しますが」と呼ぶ)

橋本委員長代理 山井和則君、指名を受けてから発言してください。

山井委員 ステージ3相当ということは、東京も含めて一時停止すべきだということでよろしいですか。

尾身参考人 私ども分科会はそう思っております。

山井委員 人間も病気のときはお医者さんの言うことを聞くんですよ、健康なときはいいけれども。これだけの感染症で、未曽有の危機に陥っているときに、今、尾身会長がおっしゃったように、分科会の方々がやめるべきだと言いながら、政治の判断でそのお医者さんの言うことを聞かない。私はこれは大問題だと思いますよ。

 まだ、それで、いや、感染拡大に寄与していないんだというエビデンスがあるのならいいですよ。感染拡大に寄与していないエビデンスなんかないですよ、これは。おまけに、そういうエビデンスをとる調査すらする気がない。

 そこで、これは田村大臣に申し上げたいんですけれども、これもちょっと言いづらいんですけれども、今、厚生労働省、医療従事者にありがとうというキャンペーンをしてくださっているんです。私も気持ちはわかります。でも、今回、予備費を使う場合、一番、国民や医療現場、介護現場の方が期待していたのは、これだけ命がけで、本当に決死の思いで対応されている医療、介護、あるいは、クラスターが発生した障害者福祉の現場の方、コロナの感染者が発生した、あるいは受け入れている医療、介護、障害福祉現場の方々に、第一波のときと同様に二十万円の慰労金を出すべきではないか。七月以降の新入職員にも五万円の慰労金を出すべきではないか。

 田村大臣、この方々はGoToを利用できないんですよ。旅行も行けないんですよ。本当に困っておられます。この今言った、コロナ感染者に対応している、クラスターが発生したところの職員さんに二十万円慰労金を出す、このことは私、与野党を超えて、全国民で反対する人なんかいないと思いますよ。

 厚生労働省がありがとうというキャンペーンを医療従事者にするのであれば、言葉だけじゃなくてお金を出してあげていただきたいんです。田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 これは、最大二十万円の慰労金を支給という形で、まだ届いていないよというお話もございますが、都道府県経由でこういうものをしっかりと、感謝の気持ちも含めて、特に、重症化の可能性がある方々に対して接していただいている方々を中心に、日々の生活から大変な御努力をいただいてきた。それは、本当に、対処方針も特徴もよくわからないという中で、暗中模索で頑張ってきていただきました。そういうことも含めてこれを決定をさせていただきました。

 ある程度対処方針もわかり、今、感染防護のためのいろいろな医療機関等々への支援もさせていただき、そして、医療機関自体の経営が厳しいという中で、三兆円のお金を準備させていただいて、これはまだ都道府県が交付していないところもあるということでありますから、それをなるべく早くと促しております。

 一方で、厳しいという医療関係者の方々にしっかりとこれを確保していただくためのいろいろな対応、つまり、具体的に、こういうことをすればこの資金が確保できる、交付がされるまでの間は無利子無担保の融資がございますというようなことを事細かくいろいろとアドバイスする、そういう窓口をつくりました。

 そういう中において、しっかりと医療機関がこれを確保していただいて永続していただく、そして、そのもとで働くそれぞれの方々に対して、とにかくちゃんとした医療が提供できるような対応をしていただく、このような形で進めさせていただいておりますので、そのような意味では、しっかりと感謝の思いというものを伝えさせていただくための今回のキャンペーンであるというふうに御理解いただければありがたいと思います。

山井委員 感謝の思いは形にして、お金にして、本気でやってくださいよ。看護師さんも介護職員さんも、家族にも会えず、ホテルに泊まって、命がけでやっておられるんです。ありがとうのキャンペーンもありがたいですよ。でも、やはりそれをお金で示しましょうよ。お金を全然出さないで、頑張ってくれといって、GoToには三千億、合計一兆円、それで医療現場の方々にはありがとうのキャンペーンでは、これはもたないと思います。

 今度申入れにも行きますけれども、これは私たち、引き下がりませんよ。医療、介護現場で頑張っておられる、命がけで頑張っておられる方、これはもう与野党関係ありません。田村大臣も応援しますよ、予算獲得のために。予備費を使って、ぜひともこれはお願いしたいと思います。

 そして、それに関連して、田村大臣、こういう医療現場が塗炭の苦しみを味わっているときに、七十五歳以上の医療費の窓口負担を二割に更に引き上げる。このことについて賛否両論あるのはわかります、それは。その議論は前からありました。でも、このコロナで医療現場のみんなが困っている、高齢者もコロナに感染したら死んじゃうかもしれないと思っているときに、二割負担の、窓口負担の拡大を決める、こんな話は絶対通りません。厚生労働大臣として、体を張ってそれは阻止すると。また落ちついてからその議論をやろうじゃありませんか。田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 医療現場で頑張っていただいている皆様方も現役世代なんですね。現役世代の負担が、このままいくと過度になっていくという中において、高齢者の方々も、負担能力のある方々には御負担をいただこう。それは、若い方々の負担を、これ以上ふえるのをなるべく抑えるためにということであります。

 まさに、医療現場で現役世代として活躍されている方々の負担をこれからなるべくふやしていかないということを考える中において、今回のこの二割負担というものを我々としては進めさせていただきたいというふうに考えております。

山井委員 火曜日の時点で、感染者は一日最多、二千百五十六人、重症者は五百三十六人、お亡くなりになった方は四十七人、最多。今、医療現場でお亡くなりになっていっているんですよ。そんなときに自己負担を決めるって、あり得ないでしょう。

 今の議論は一定理解はしますが、それは平時の議論です。このコロナ禍でやる議論じゃありません。ぜひとも断念していただきたい。あり得ない話です。

 それで、尾身会長にお聞きしたいんですけれども、私も高齢者福祉の国際比較ということを長年研究していまして、スウェーデンにも二年留学しましたし、ドイツ、アメリカにも三カ月ずつ行ったりしていました。

 コロナ禍において、GoToトラベルのように、旅行をどんどんしましょうといってコロナ対策をやっている世界の国って、どんな国があるんですか。

尾身参考人 お答えいたします。

 どの国がGoToと同じようなことについては、今、私自身がそのデータは、残念ながら、申し上げるのはありません。

山井委員 それは尾身先生ですから、世界のことを御存じだと思いますよ、コロナ対策の権威ですから。

 だから、尾身先生が知っておられる範囲では、今、田村大臣も笑っておられますが、尾身先生が御存じの範囲では、世界でそんな国はないということですか。

尾身参考人 私自身は、実は、先生、もちろん国際的なことにずっと関心がありますけれども、今回、先生もそうですし、ここにおられる厚生省の大臣始め、みんな今の感染をどうするということについてのいろいろ情報は集めていますけれども、どの国が同じことというのは、そんなに多くはやっていないと思いますけれども、世界の中でどの国というのは、正直言ってそこまで余裕がないので、また必要だったらすぐ調べさせていただきます。

山井委員 私も調べましたが、イタリアがちょこっとやっているという話はありますが、ほとんどやっている国は少ないです、極めて。

 ということは、尾身会長、かなり大胆なこれは挑戦だと思いますよ。世界の国が人の移動を減らしているときに、日本は、GoToトラベルという、人の移動を税金を使って拡大するという実験です。世界が注目する実験かもしれません。

 尾身会長のお立場からして、こういう世界でも珍しい、繰り返し言います。GoToトラベルで助かっている飲食店、観光業の方はいっぱいおられます、その声は私も聞いていますから、平時にはやった方がいいと思います。しかし、こういう感染拡大期、感染拡大地域についてやるということ、世界でも珍しい実験、尾身会長、これは大丈夫だと思われますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 私自身もそれから分科会のメンバーもみんな、これは全員一致だと思いますけれども、GoToトラベルの意義、なぜこれを政府がやられたいかというのは十分理解して、我々も理解をしています。

 ただし、先ほど申し上げましたように、今の時期に、しかもステージ3相当の地域では、できれば、GoToも含めて、GoToだけじゃなくて、人の動きをとめるというのは、これは世界的な感染対策上の合理的なオプションだと私は思います。

山井委員 最後の質問をさせていただきます、時間が来ましたので。

 今おっしゃったように、尾身会長がおっしゃっているとおりなんです。GoToを否定しません。大事です。助かっている方は多いです。しかし、感染拡大地域、感染拡大時期にやるのは世界の常識に離れているということなんですね。

 最後、質問通告しておりますので。こういう中で、年末年始、忘年会も新年会もなくなって、飲食店などがもう本当に潰れかかっているんです。ぜひとも二回目の持続化給付金などを出すべきではないかと考えますが、参考人、いかがでしょうか。

橋本委員長代理 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 持続化給付金でございますけれども、先生方御承知のとおり、戦後最大とも言える危機の中で、前例のない、思い切った、使途に制限のない現金を給付するという措置でございます。

 これまでにも、そのほかにも、家賃給付金、実質無利子無担保、それから、地域や業態の事情に応じて地方公共団体が対応できる地方創生臨時交付金など、さまざまな措置を講じてまいりましたし、昨日閣議決定された経済対策の中では、民間金融機関の実質無利子無担保の延長でございますとか、それから、新分野、事業転換等の事業の再構築に取り組む中小企業を支援する補助金の創設、こういったものを盛り込んでございます。

 今後の感染症の状況や経済動向も見きわめていきながら、こうした支援を活用しながら、困難に直面している事業者の皆様を最大限支えていきたいというふうに考えてございます。

山井委員 予備費を活用してでもぜひやっていただきたいと思いますし、先ほど言った慰労金、介護とか医療とかの慰労金は数百億円でできますので、田村大臣、ぜひとも決断していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

橋本委員長代理 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭です。

 尾身先生、本当にお疲れのところありがとうございます。

 まず、尾身先生にお伺いいたしますけれども、きのう政府が閣議決定をいたしまして、GoToトラベルキャンペーンを、本当は一月末までが期限だったんですが、これを六月末まで延長するということを決定いたしました。これは、尾身先生、分科会には、この延長の是非、延長していいですかというような諮問というか意見聴取というのはあったんでございましょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 分科会にそういう諮問はございません。今のところ、ございません。

長妻委員 諮問なく、意見を伺うことなく閣議決定しちゃったんですかね。

 これはちょっと尾身先生にお伺いするんですが、例えば、大きなこととしては、十月一日に、GoToトラベルキャンペーンでそれまで除外していた東京都を加えるということがあったと思うんですけれども、そのとき、非常に重大な変更だと思うんですけれども、東京を加えていいですかというような、意見を聞かれたというのは、分科会はそのときはあったんでございますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 そのときは、十月一日の数日前、たしか九月の二十五日の分科会で私どもに諮問がありまして、そこでは、東京都も、いわゆるステージ2といいますか、感染がかなり下火になっているということがわかったので、政府の諮問に対して分科会として正式に了承したということであります。

長妻委員 政府は、分科会、分科会、分科会の先生方がこういうふうにおっしゃっていたということをよく引用するわけですけれども、こういう、分科会に否定されるだろうと政府が思ったのかどうかわかりませんけれども、大切な、六月まで延長ということについて分科会に意見を聞かない、これは私はおかしいと思いますよ。

 それは、分科会がGoToトラベルについて、ステージ3については停止せよと言っていて、今もやっている地域があるということも鑑みて、意見を聞くと否定的に言われるから、意見を聞かないですっ飛ばして自分たちだけで閣議決定してしまおう、こういうようなことがあったとしたら、私はとんでもないことだと思います。

 きょう国交副大臣が来られておられますけれども、GoToトラベルは所管が国交省ですよね。これは何で専門家の意見を聞かなかったんですか、延長するとき。

岩井副大臣 委員にお答えします。

 基本的なスタンス、すなわち、分科会の提言を踏まえて、各都道府県の御意見も踏まえるという、そのスタンスは変わっておりません。このたびのGoToトラベルの期間の話については、それは全体的な話でございまして、当然、運用していく間に、感染状況をしっかりと把握しながら、逐次、分科会の御提言を、そこを踏まえながら、また今までのスキームでしっかり対応させていただきたいと思っております。

長妻委員 いや、でも、延長するしないというのは、これは重大なことですよね。ちょっと分科会をないがしろにしているとしたら、これは大問題だと思いますので、そこはきちっと、そういうことではない対応をしていただきたいと思います。

 これは尾身先生にもう一度お伺いしますけれども、では、今回のGoToトラベルキャンペーンが六月末まで延長になりましたけれども、これについて尾身先生の御意見はどんなものですか。

尾身参考人 お答えいたします。

 この六月までの延長ということについて、分科会では先ほど申しましたように議論をしていないので、メンバーの間でもしておりません。

 私の個人的な意見なら申し上げられますが、私は、先ほども申し上げましたように、GoToトラベルを政府が推奨された理由は、私自身、よく理解しているつもりです。経済の疲弊があって、それに対して何とか財政的な援助をされたいというのは非常に、ほかの国でやっているかどうかは別として、その理由、根拠、意味というのは十分、私だけじゃなくて多くの国民が理解していると思います。

 恐らく、私どもはこの今の感染状況のときは中止した方がいいということを再三申し上げているわけですけれども、私はむしろ、早く感染を下火にして、我々の言葉ではステージ2にして、そうなれば、六月なのか七月なのか、経済で困っている人が、それは政府の財政等のことで、私が六月がいいか七月がいいかと言う立場にありませんけれども、しっかり抑えて下火にしてから国民の理解を得てまたしっかりとやる方が、トータルとしては、経済的にも影響があるし、国民の理解が得られやすいのではないかというふうに私は個人的に思います。

 したがって、もう一度言いますけれども、今、早く感染を下火にして、下火になって、ステージ2相当になってからじっくりとまた再開すれば、それは六月であろうが七月であろうが、私はよくわかりませんけれども、再開すれば、所期の目的に合致するのではないかと個人的には思っております。

長妻委員 私もこれは全く同感でありまして、本当によくぞ言っていただいたと思います。一旦中断して、そして六カ月間、下火になったときに、六カ月、また中断後、GoToトラベル、GoToキャンペーンをやったらいいというふうに、私も本当にそういうふうに思います。

 そういう意味で、これは田村大臣にちょっとお伺いしたいんですが、こういう、分科会から再三再四、ステージ3相当、停止要請が出ているにもかかわらず、停止するどころか延長してしまった。延長してしまった。しかも、きのう閣議決定ですからね。田村大臣、ちょっと聞いて。秘書の方、ちょっとちょっと。聞いてください。

橋本委員長代理 どうぞ質問を続けてください。

長妻委員 閣議決定というのは、これは大臣はみんなサインするんですよ、閣議決定、サインされたと思いますけれども。これは、医療を担う責任の大臣が、こういういろいろ議論のある中で延長をサインしたと、厚労大臣。これは何でこんなことをしたんですか。そこで何で異議を言わないんですか。

田村国務大臣 経済対策ですから、基本的に、経済対策全て、いろんなものがありますけれども、分科会にかけるということはないんだと思います。後ほど報告ということはあると思いますし、そのときに、どういうことに気をつけなきゃならないかというアドバイスをいただくことはあると思います。分科会だから全て国の決定事項をかけるということはないと思います。

 その上で、延長をするというのは、これは決して、今も尾身先生がおっしゃったとおり、これが経済対策としては有効であろう、その意義はよくわかるというふうに、御理解するというふうにおっしゃっておられるわけで、その中で、要するに、どこをとめるか、どこをどういう制約をかけるかというのは、それは、そこの感染状況と、それからその知事さん、場合によっては、限定するのならば、そこのさらなる首長さん、こういう方々と相談を多分知事さんがされて、最終的に、政府との間で方向性を決めて、そしてGoToを制約をかけるなりとめるなりするんだと思います。一方で、感染が拡大していない、感染がそれほど広がっていないところに関しては引き続き、今もそうでありますけれどもGoToを行うということでございますから、その点は何ら矛盾する話にはならないんだろうというふうに考えております。

長妻委員 いや、お答えいただいていないですね。サインしちゃったわけですよね。今の答弁を聞いていると、経済担当大臣ですか、田村さんは。

 経済は重要ですよ。ただ、もう言いませんけれども、私もさっき、この質問の前にお医者さんの方の意見を聞いてきました。本当に怒り心頭というか、もう諦めです。きのうも重症者、死亡者、過去最多になり、もう医療現場はしっちゃかめっちゃかですよ、大変ですよ。もう医療崩壊は起こっていると言っています。こういうときに、前回も言いましたけれども、医療や福祉関係の方々の代弁をする大臣は日本に一人しかいないんですよ。厚生労働大臣、田村さん。それが唯々諾々とサインして、何ですか、今の答弁。経済担当大臣じゃないですか、あなたは、そうしたら。

 経済は重要だと言っているじゃないですか。でも、分科会含めて専門家の皆さんが、今はそうじゃないんだ、一旦停止をするということを言っているにもかかわらず、ずっと弁明をする。長いものに巻かれちゃだめですよ、大臣が。

 ちょっと尾身先生にお伺いしますけれども、尾身先生、先ほど、人の動き、接触を控えることが重要だと中島委員の質問でおっしゃいました。そして、不要不急の外出の自粛も重要だとおっしゃいました。これはもちろん、旅行というのは不要不急、GoToトラベルでの旅行というのは不要不急という理解でよろしいんでございますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 私は、不要不急と今お話しのGoToの関係は、不要不急の外出をなるべく控えてくださいというのは東京でも言っているし、大阪でも言っていますよね。これはGoToよりも広い概念、高い概念だと思います。したがって……(長妻委員「GoToトラベルも含むんですか」と呼ぶ)というか、そうですね、GoToの方は、高いというか、より厳しい、そういう趣旨の中で、人々の接触をなるべく、感染した人とそうでない人の接触をなるべく抑えようという文脈の中でGoToも一緒に入ってくるというふうに考えるのが普通だと思います。

長妻委員 ここまでおっしゃっているんですよ。

 本当に尾身先生は、私も、厚労省にお世話になったとき、十年前に新型インフルエンザの対応で本当に寝ずにやっていただいて、感謝しているんです。私は本当に尊敬している方なんでございますけれども、そこまで皆さんが、政府が分科会として尾身先生を会長にして、分科会がそこまで意見を出しておられる。

 これは、九ページ目を見て、分科会の提言ですよ、十六回の、十一月二十日の。こういうことを書いてあるんですね。「人々の健康のための政府の英断を心からお願い申し上げる。」と。こんな、普通、専門家の会議が心から政府の英断を申し上げるなんというのは、相当強いことですよ。英断していないということですよ。

 だから、こういうようなことまで言わせても、なかなか田村大臣は、経済担当大臣のような答弁に終始するというのは、これは問題だと思いますよ、本当に。ほかにいないんだから、医療関係者を代弁する政府中枢の人は。

 それで、尾身会長が先ほどちょっとおっしゃられたのは、私も緊急事態宣言の準備が必要だと今思っておりますけれども、尾身会長がさっきおっしゃられたのは、ステージ4なら緊急事態宣言相当だとおっしゃいましたけれども、私も、表を見ていますと、ステージ4の段階を超えている、ベッド充足数とか、一部超えている地域もあるというふうに見ているのでございますけれども、尾身会長から見て、ステージ4相当と、個人的にでも結構なんですが、思われるようなところというのは、今、旭川を含めて、日本じゅうにどこかございますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 ステージの考え方は、先生も御承知のように、指標で、六つの指標がありますよね。あの数を機械的に当てはめるということよりは、医療の体制、それから検査体制、保健所への負荷、それからクラスターのあり方などを総合的に判断する必要があると思うので、先ほど申し上げましたように、一部の地域では非常に医療が逼迫している状況があることは、私もそう思います。

 緊急事態宣言、我々が書いたあれは、最終的には国が出す緊急事態宣言というのを想定しているので、そういう意味では、あそこでいえば、キーワードは、文字どおり機能不全ですね、医療の機能不全。逼迫というよりも、そういうことになってきた場合は緊急事態宣言ということで、今は、そういうふうになってはいけないという思いで、今いわゆる皆さんがおっしゃる勝負の三週間ということで、三週間が今ちょうど半分から三分の二、折り返しの地点だと思いますけれども、これからの政府、自治体、国民の努力によって、そういうことをぜひ、ステージ3に国全体がなることを回避すべく、今、集中すべき時期だと私は思います。

長妻委員 そうすると、尾身先生は、今、日本全国でステージ4相当だというふうに個人的に思われる地域というのはないという理解ですか。あるんですか。

尾身参考人 なかなか、地域の中には、そこの地域が、医療機能が不全に近い状況になっている地域が一部あるかもしれないという認識はありますが、今、それを回避するために、それこそ今話題になっている自衛隊の派遣、及び地域の中での医療ということで、そういう今動いている状況ですから、今そこを緊急事態というふうに宣言するというよりは、私は、今の事態をなるべく早く回避する、この二つ、医療の逼迫を、医師が足りない、看護師らが足りない、応援するというそういう方向と、感染自体を抑えるという人の動き、この両面があれば、何とかそういう最悪の状況を回避することは、条件を満たせばという、条件のことですけれども、私は可能だと思うので、今それに全力を尽くすべき時期だと思っています。

長妻委員 旭川などでは、障害者施設を含めて三つ、医療関係を含めてクラスターが起こって、もう医療崩壊だという声も上がっておられます。

 旭川が地元の議員にも話を聞きましたけれども、やはり、十月一日に東京がGoToトラベル解禁になってから、旭川にもたくさん旅行者が来た。あるいは、札幌が旅行の着地点として停止になったことで、札幌にある程度近いので、札幌に行けなくなったので旭川に人が流れたということで、本当に大変な状況に今なっている。

 尾身先生がおっしゃったような機能不全というのはもう起こっている地域があるわけですので、緊急事態宣言の準備に入るべきだと私は思いますし、その以前の問題として、GoToトラベルキャンペーンを延長するというのは、これは国民にすごい誤ったメッセージを与えるんじゃないでしょうか。

 中島議員もさっき言っていましたけれども、この前の土日を調べると、箱根湯本で、その前の土日に比べると三六%も人が増加している、熱海でも二八%、人が増加している等々、いろいろ観光地で人が増加しているんですね、この前の土日。それでこういう、勝負の三週間のさなかですよ。来週、一週間後に三週間が終わるわけですけれども、そのさなかにGoToトラベルを延長するというのは、私は、どう考えてもこれはおかしいし、田村厚労大臣がそこにサインしたというのは、本当に、事前にちゃんとしかるべきところに相談して、やめさすという努力をされたのかどうかということなんです。

 田村大臣にお伺いしますけれども、田村大臣も、十一月二十五日、いいことをおっしゃっておられますよ。通常の医療を確保しづらくなっている、提供しづらくなっている、悲鳴のような声を私も聞いているというふうにおっしゃっているんですよ。これは、例えば、直接声を聞いたと思うんですけれども、どんな悲鳴のような声を聞かれましたですか。

田村国務大臣 その前に、私、先ほど、東京で、例えば、今GoToキャンペーンを、六十五歳、高齢者、基礎疾患している方々に関しては制約をかけるようにしていました。それを今解禁するだとか、大阪だとか札幌のGoToキャンペーン、これは出発もそれから着も今とめていますけれども、これを今すぐ解禁するとか、そんなことは申し上げておりませんでして、GoToキャンペーン自体が、これが悪いわけではなくて、感染が拡大している地域に関してはそこに制約をかける、これはアドバイザリーボードや分科会からもそのようなお話をいただいておりますからそれをやっている話であって、感染拡大していない地域に関してはGoToのいろいろな事業は今もやっていますし、それ自体がだめだという話ではないというふうに思います。

 その上で、今委員から言われたお話、まさに東京の現場の話、大阪の現場の話、そういう医療が今逼迫しているところでは、例えば、ほかの、本来、通常の医療をやりたいけれども、そこの人を一定程度この新型コロナウイルス感染症の方に配置せざるを得なくて、そこに対しての一定の制約がかかっているなどというような、そういう悲鳴に近いお声を聞いております。

長妻委員 ちょっともうだめですね、これ。いや、医療関係者、誰が代弁するんだろうと思いますよ。

 GoToトラベルがだめなんじゃないとおっしゃいましたけれども、ステージ3のところのGoToトラベルはだめなんですよ。ステージ3地域はだめだとおっしゃっているんですよ。だめじゃないですか。東京二十三区、とめていないじゃないですか。

 これは、きょう国土交通省来られておられますけれども、観光庁の担当副大臣ですかね、今、GoToトラベルキャンペーンでクラスターは大体幾つぐらい起こりましたか。

岩井副大臣 お答えいたします。

 昨日、十二月の八日の段階なんですが、それまでに観光庁が報告を受けているところでは、GoToトラベル事業を利用した団体旅行において、五人ということで考えますと、陽性が判明したケースは八件ございました。

長妻委員 八件ということで、二件だけ、国土交通省、これは資料一で、報告しましたけれども、ほかはちょっと報告されていないということで、一体どういうものなのか、分科会と共有して、情報を分析してほしい。

 利用者、従業員で、GoToトラベルで感染した最新の数字を教えてください。

岩井副大臣 お答えをいたします。

 同じく十二月八日、きのうの段階でございますが、観光庁が報告を受けているところで、GoToトラベル事業の利用者でまず新型コロナウイルスの陽性が判明した方は二百五十八名、八日の段階です。また、同じく十二月八日までに観光庁が報告を受けているところでは、今度は、GoToトラベル事業の参加登録の宿泊施設の従業員においては、新型コロナウイルスの陽性が判明した方は二百二十名となっております。

長妻委員 そして、私、びっくりしたのは、実はGoToイートも延長になっているんですね、六月末まで。GoToイートの食事券、これも六月末まで延長だと。

 これもびっくりしましたが、GoToイートの担当副大臣、来られておられますけれども、GoToイートの利用店の従業員の方の感染者、そして、都道府県、上位五つぐらい教えていただけますか。何人か、どこの店舗か。

葉梨副大臣 GoToイートでございますが、十二月三日時点で、従業員ですが、事業者を通じて報告のあった従業員の感染者七十六名、店舗数五十八名です。

 上位ですけれども、東京都が十三店舗、千葉県七店舗、北海道六店舗、神奈川県五店舗、愛知五店舗となっております。

 今、もうポイントの付与は終了しておりまして、食事券につきましては、分科会の御意見を承りましたので、各都道府県において、感染が拡大している都道府県においては食事券の発行を一時停止するなどの措置をとっている都道府県もございます。

 そういうことも勘案して、GoToトラベルとも平仄を合わせて、六月末までの延長ということにさせていただきました。

長妻委員 経済と感染防止をてんびんにかけてバランスをとるというのはわかるんですけれども、今はもう感染防止に大きくシフトする時期なんですよ。これは誰でもわかると思うんですよ。何か、GoToトラベルキャンペーン、二階案件という声も聞こえてきますけれども、そういう長いものに巻かれているとしたら、これは政治家じゃないですよ。そんなものは突破しないと。空気を読み過ぎちゃだめだと思うんですよ、私は。

 基本戦略は、前から言っていますとおり、ちゃんとしたワクチンができるまでの間、医療崩壊は絶対起こさせない、助かる命が助からなくなるということは絶対起こさせないというのが基本戦略だと思うんですよね、ワクチンができるまでの間。ですから、収束、ステージ2ぐらいになったらそれはいいですよ、始めても、GoToキャンペーン。それまで何で我慢できないのか。

 経済の方々も、それは大変ですよ、刻一刻困窮してくるんですけれども、そこら辺をぜひ、田村大臣、これは期待のあらわれで言っているんですから。だって、ほかの大臣に聞いても、経済、経済、経済、経済ばかりなんですよ。

 やはり本当に、看護師さんの声も、きのうも夜のニュースを見ていましたら、お医者さんが代弁していて、本当に涙が出てきましたけれども。私も直接もいろいろお話を聞いていますが、まさに命がけで、本当は逃げ出したいんですよ、逃げ出したい方もいるけれども、それは使命感で踏みとどまっているので、これはぜひ国を挙げて英断を、分科会が言うように英断を、私は、リードできるのは田村大臣しかいないし、田村大臣が長いものに巻かれていたら、歴史的に裁断されると思いますよ。ぜひよろしくお願いをします。

 尾身先生、どうもありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、きょうは、GoToトラベルが来年度の年金改定に与える影響について伺います。

 資料三ですけれども、年金カット法が施行され、来年度から年金改定のルールが新しいものが適用されます。物価改定率がプラスで賃金改定率がマイナスの場合は、これまでは据置きでしたけれども、来年度からは賃金改定率に合わせて年金を引き下げるということになります。

 そして、資料の四ですけれども、この賃金改定率というのは、計算方法、二から四年度前、三年度平均の実質賃金変動率プラス物価変動率プラス可処分所得変化率、これは〇・〇だと聞いております。賃金改定率も、物価が下がるとそれだけ下押しされる。

 御承知のとおり、総務省の統計で、GoToトラベルが消費者物価指数を大きく引き下げております。私、試算をしてみましたが、結論から言いますと、来年度の年金は、GoToトラベルの影響でマイナスとなる可能性がかなりある。

 まず、十一月、十二月の物価、まだ確定値は出ていないわけですが、東京都区部の十一月速報値の水準まで下がった場合について試算をしました。実質賃金変動率はマイナス〇・二と仮置きして計算すると、物価改定率はプラマイ・ゼロ、賃金改定率はマイナス〇・二となります。よって、年金はマイナス〇・二の改定ということになります。これは、仮にGoToの影響がなければ、物価改定率はプラス〇・二、賃金改定率はプラマイ・ゼロで、年金は据置きになっていたはずだということなんですね。実質賃金変動率をマイナス〇・一と仮置きした場合でも、GoToがなければ据置きのはずだった年金が、GoToトラベルの影響でマイナス改定となります。

 物価変動のもう一つのパターンとしては、十一月、十二月の数値が十月並みだった場合というのも考えられるので、これも試算してみました。実質賃金変動率がマイナス〇・二なら、これもGoToの影響で、年金はマイナス改定になります。実質賃金変動率がマイナス〇・一のときは、マクロ経済スライドの調整率がどうなるかにもよりますが、上がるはずの年金が据置きになるケースもあるということなんですよね。

 大臣にお伺いしますけれども、このGoToトラベルの影響で年金がマイナス改定になってしまう、こういう可能性があるということは否定できないですよね。

田村国務大臣 年金の改定率ですけれども、総務省の全国消費物価指数、これを使っています。

 これを見ますと、今、一月から十月はプラス〇・二という状況で来ておりますが、この後どういう数字になっていくかというのは、これから出てくる数字等々に反映されるものだというふうに思います。この中に宿泊だとかエネルギーだとか、そういうものが入っておりまして、こういうものが今、マイナス要因であろうというふうに推測はされております、推測といいますか、今の足元で。そういう意味からいたしますと、法律上、全国消費物価指数を使う、年金の改定率にということでございますから、事実として、当然、これがマイナスになればマイナス要因になる。

 一方で、GoToトラベルのお話がありました。このたてつけは、これは国土交通省でお考えになられておりますので、厚生労働省といたしましては、事実の中においてこれから推移を見守っていくということであります。

宮本委員 GoToトラベルがマイナス要因になるということで、来年の年金がマイナス改定になる可能性があることは否定できないというのが大臣の答弁だったと思うんですよね。

 このGoToトラベルを始める際に、年金にまで影響が及ぶということは想定されていましたか。

田村国務大臣 それは国土交通省と総務省の方にお聞きいただきたいと思います。

宮本委員 いやいやいやいや、だって、さっきGoToトラベルの延長の話もされていましたけれども、これは年金にまで影響が出る事態なのに、国土交通省に聞いてくれという話じゃないと思うんですよね。全然そういうことも考えずにこの政策を始めてしまったということだと思うんですよ。いや、田村大臣も恐らく今の事態の推移を見て、ええっ、こんなことになるのかと心の中では思っているんだと思いますけれども。

 私は、はっきり言って、このGoToトラベルで年金が下がるというのは極めて理不尽な話だと思いますよ。今、GoToトラベルを見た場合に、例えば、国民年金だけで本当に切り詰めて生活されている方というのは、このGoToトラベルとは全く無縁な生活をやっています。さらに、東京でいえば、六十五歳以上の高齢者の皆さんはGoToは自粛してくださいと言われているわけですよね。まあ、私は全部停止した方がいいと思っていますけれども、少なくとも政府だってそう言っている。GoToに無縁な年金生活者、高齢者、こういう方々がGoToトラベルの影響で年金がマイナスになってしまう。私は、これは許されないと思いますよ。

 私は、特例措置をつくることも含めて、こういう影響が高齢者に及ばないようにすべきだと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

田村国務大臣 物価はいろんなものが構成されて出てくるわけでありまして、宿泊費だけではなくて、先ほども申し上げましたエネルギー、いろいろなものがあります。コロナ禍においていろいろなものが物価が下がっているということもございます。その中において、最終的に全国消費物価指数を使うという話でございます。

 重ねて申し上げれば、何か特例という話がありました。以前、特例でおとめしました、年金を下げるのをとめましたが、結果的に、年金制度上、その後その分、後世の方々が年金の引下げになっているわけでありまして、そういう意味では、特例を使って何らかの形で、年金がまだ下がると決まったわけではありませんが、下がるところを仮にとめたとしても、結果的には、それは後世との公平感、負担感の公平感みたいなものにかかわってまいりますので、なかなか、委員からの御提案、これは一般論として、年金が下がったものをとめるというわけにはいきませんし、そもそも、マクロ経済調整等々がいろいろかかる中によって、本来上がるものが上がらなかったりというようなことはもう既に起こっておるわけでございますから、これは年金を維持するための政策として、今そういうふうな特例は考えておりません。

宮本委員 私は、マクロ経済スライドの問題も意見を持っていますけれども、それにしても、今回みたいな事態で、政府の政策で人為的に物価を下げたわけですよ。自然現象で下がっているわけじゃないわけですよ。しかもそれは、その事業によって恩恵を受けない方々の年金が下がっちゃう。私は極めて理不尽だと思いますよ。その理不尽だという思いすら大臣は共有していただけないというのは極めて残念ですね。

 しかも、先ほど来議論になっていますけれども、七十五歳以上の医療費を二割に引き上げようということをやっているわけですよね。年金は引き下げて、高齢者の皆さんの窓口負担は引き上げていく。踏んだり蹴ったりじゃないですか。私は、これは本当はちゃんと検討しなきゃいけない話だと思いますよ。それはぜひ、そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、医療についてお伺いしたいと思いますが、きょうもずっと議論になっておりますけれども、新型コロナの感染拡大が広がる中で、医療は、自衛隊まで動員しなければいけないという緊急事態になってきております。

 分科会は、先ほど来議論になっていますように、感染拡大地とそうでない地域の人の移動はやめてほしい、GoToについてもそういう地域では一時停止の英断をしてほしいということをずっと言ってきているわけですよ。ところが、それを無視している、それでこういう事態を招いているというのは、そういう点では、本当に私は政権の姿勢が今日の事態を招いているというふうに言わざるを得ないと思いますよ。

 更に言えば、こういう事態になっても分科会の皆さんの提言を全面実践しようとしない、私は、今の医療機関の本当に危機的状況に対する大臣の認識そのものが甘過ぎるんじゃないかと思いますが、そうなんじゃないですか。

田村国務大臣 非常に、医療の現場、それからクラスターが起こっている介護の現場は厳しいものがあるというふうに認識いたしております。

 私自身、今このような状況で、新規感染者数が移動平均で多分二千百名、二百名というところだと思うんですが、一週間の、これが更にふえるということも前提に置いて医療提供体制を考えていきませんと、いろいろな移動の制約をかけても、一方で、気温が下がる、そういうような要因も出てまいります。

 ですから、我々厚生労働省としては、更に感染拡大が起こった場合でも医療提供体制をしっかりと維持できるような方策、これもしっかりと今検討をいたしております。

 いずれにいたしましても、決して私、今の状況を甘く考えておるわけではございませんでして、感染が拡大をしている地域、この地域に対しては大変な危機感を持っております。

宮本委員 大変な危機感があるんだったら、今一番やらなきゃいけないのは、感染者数そのものをふやさないための策を専門家の皆さんの提言にのっとってやることなんですよ。感染症の対策というのは、何よりもやはり専門家の皆さんの知見が一番大事なわけじゃないですか。それを無視して、それをやらずに、やらないから中途半端なことになっちゃうわけじゃないですか、勝負の三週間と言いながら。私は本当にもう何度も同じことを言っていますけれども、分科会の提言はやはり全面実践すべきだということを、田村大臣自身が菅総理と会って説得しなきゃいけないですよ。それをやろうとしない。それをやりますとここで答弁してくれればいいですよ。

田村国務大臣 私が提言するというよりかは、分科会の御提言というものは、これは総理にも伝わっておりまして、だからこそ、各都道府県の知事さんらともお話をさせていただいて、感染拡大している地域、今、例えば札幌、大阪市、それから東京、東京都も島嶼部は別かもわかりませんが、例えば夜間の営業の自粛、こういうようなこともやっていただいておりますし、GoToイートに関しても食事券等々は新規発行しておりませんし、それからGoToトラベルに関しても制約をかけておるということでございます。

 でありますから、分科会からの御提言をしっかりいただきながら、それを進めさせていただいておるというふうに認識いたしております。

宮本委員 分科会は、皆さんのやり方が余りにも中途半端だから、わざわざデータまで示して、若い人たちが感染を広げているんだと。そんな手間まで専門家の皆さんにとらせないでくださいよ。皆さんが初めから分科会の提言どおりやらないから、ああいう計算までしなきゃいけない事態になっているわけじゃないですか。

 それで、その上で、どう感染拡大を防止していくのか。分科会の提言全面実践というのが基本だと思いますが、きょうも旭川の話がかなり出ておりますけれども、本当に旭川は深刻な事態ですよね。大きな病院で二つのクラスターが出、さらに旭川赤十字病院も新しい感染者が出たということで一部機能停止という本当に深刻な事態で、これ以上クラスターを絶対発生させないと、可能な限り発生させないためのあらゆる手だてを私はとらなきゃいけないと思います。基本は、それぞれの医療機関での感染拡大防止策を更にやっていく、換気もやる、私は空調も予防的にとめた方がいいと思いますけれども。

 それとあわせて、政府自身が言ってきた、感染拡大地域での医療機関、介護施設での職員の頻回の検査ですね。私は、こういう旭川みたいなところでこそ国も支援してやらなきゃいけないんじゃないかと思いますよ。そういう認識は、大臣、ございますか。

田村国務大臣 だからこそ、政府の方もそういう通知を何度も発出をさせていただいて、感染拡大地域において、例えば介護施設等々の従事者、入所者に関しては検査をしっかりとやっていただきたいということを申し上げておりますし、当然医療機関も同じであります。しっかりとやっていただく中において、それでも、全てが全て抑え切れないかもわかりませんが、しかし、やることによって、やらないよりかは一定程度感染拡大を防いでいけるものというふうに認識いたしております。

宮本委員 ですから、通知を出して、できているのかという問題があるわけじゃないですか。

 きょう、資料一ページ目に、ちょっと大分前の分科会で配られた資料ですけれども、検査の頻度、それから検査から隔離の遅延日数、そして検査精度についての海外の研究についてのグラフが出ておりますが、これをちょっとわかりやすく説明していただけますか。

渡邊(昇)政府参考人 御説明申し上げます。

 御指摘されている研究事例は、アメリカの大学がことしの夏ごろのアメリカの感染状況をベースに、一万人ぐらいの規模の架空の集団をつくってシミュレーションを行ったものでございます。

 そういう意味で、個別の介護施設への適用ということではございませんけれども、このグラフの見方は、左のグラフが、横軸が検査頻度でございまして、右の方が十四日に一回、二週間に一回ですね、左の方は毎日検査をするという感じでして、検査頻度が高いほど感染者が減るということでございます。

 一つのグラフが六本の棒グラフのセットになっていまして、左の三本が検査精度が高い、右の三本は低い、検査精度が高い方が感染が少なくなるんですけれども、もう一つは、ゼロ、一、二というのがありまして、これは、検査後すぐに隔離するのがゼロ、一日後に隔離するのが一ということでして、頻度が高い方が感染者数が減るということにあわせて、検査後すぐに隔離をする方が感染者が減るということが、左のグラフはそういうグラフでございます。

 右のグラフは、横軸は検査の間隔、頻度でございまして、縦軸は感染者数でございまして、同じ検査頻度であれば、検査精度が高い方が感染者数を減らせますけれども、検査間隔が六日以下になってくると、検査精度によらず感染者数をほぼゼロに抑えることができる、こういうシミュレーションを行ったものでございます。

宮本委員 検査頻度を上げるということ以外に感染拡大防止にとって有効な検査というのはなかなかないのかなというのを示しているのがこの検査だと思うんですよね。

 やはり、旭川みたいなところでは、これ以上クラスターを出したら本当に対応し切れないですから。今だって、圏外に手術だとかのお願いをしなきゃいけない事態になっているわけですよね。

 そうすると、検査を頻回に、ここで示されているように頻回に、ニューヨークは一時期、介護施設、週に二回やっていました。そういう頻度でやって、本当に医療体制を崩壊させないための手だてを、通知を出して済ますんじゃなくて、国自身が一緒になって相談して体制をつくらないと、本当に医療が崩壊するんじゃないかという大変な危機感を私は持っておりますが、そういうところまで、通知を出すんじゃなくて、手だてを打っていただきたいんですけれども、いかがですか、大臣。

田村国務大臣 そういう意味で、検査費用に関しても、これは本来交付金から出ますが、自己負担部分に関してもしっかり手当てをするということでそれに対応いただくということになっております。

 感染拡大しているところにおいては検査をやはり定期的にやっていただきたいということを、再度我々もお願いをいたしておりますし、どういう状況であるかというのは、今それぞれの地域の検査状況等々も調査をしておる最中でございますので、やがてそういうものが出てくる中において、さらなる、こちらの方からお願いをしてまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 全体の検査もそうですけれども、まずは今起きている事態を、どう事態の打開を図っていくのかというので、個別に、どこが大変だとわかっているわけですから、そこでどうするのかというのを、マンパワーの投入も含めて考えていただきたいというのがきょうの私からのお願いであります。

 それと、全体を考えた場合に、頻回の検査をやろうと思ったら、私は、プール方式を導入するしかないと思いますよ。私は加藤大臣のときからそのことをお願いしてまいりましたけれども、それは感染研でいろいろ確かめてという話は聞いているわけですけれども、この内閣府の資料でも、精度よりも頻度なんですよ。精度よりも頻度。それをやるために、ぜひ、プール方式、導入を決断してください、大臣。

田村国務大臣 私も、大臣の前、もう四月ぐらいから、プール方式をぜひとも、精度がどれぐらいあるのか、やって実効性があるのか確認してもらいたいということを厚生労働省に、まだ大臣前でありますから、お願いをし、感染研でやってきていただいておるということであります。

 プール検査に関しましては、検査性能については、例えば再検査を含む総コストや時間等について、いろいろと、何といいますか、一定のそういうコストや時間にいろんな問題があるでありますとか、また、キットによってその性能が異なるでありますとか、さらには、複数の検体を一つにまとめなきゃいけないということで、そのときに手間がかかる、非常に時間がかかるというような問題点はあるというふうに、これは感染研の方からお聞きはいたしておりますが、再度、このプール検査というもの、最終的には、私はその精度とコストの問題になってくると思います。そこで有効かどうかということを改めて評価をする必要があると思っておりますが、早く結論を出さなきゃいけない。これは、実は私もそう思っているんですが、各自治体からもそういうお声もいただいておりますので、早く評価をさせていただきたいというふうに思っています。

宮本委員 早急に決断していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、大変貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速です。今盛んに議論されておりますけれども、パンデミックで大事なことは、経済のみを重視することでもなく、また感染拡大防止策のみを重視することでもないと考えております。いわば防疫と経済のタイトロープ、これをぎりぎり渡っていくしかない、これはしばらく続くと考えられます。大変困るのは、そのタイトロープの幅が狭くなっていることです。

 資料1をごらんください。

 これはヨーロッパと日本の感染状況を示したものです、最初の三月のころからですね。左上が日本ですけれども、ぱっと見ておわかりのとおり、日本の場合は三カ月ごとくらい、ヨーロッパの場合は六カ月くらいで波が来ている、しかもその波がいずれも大きくなっていることです。

 そして、もう一つ、これはよく見ていただきたいんですけれども、日本とヨーロッパは同じように思われるかもしれませんけれども、実は縦軸の桁が違います。日本は二Kと書いてある、これは二千人なんですね。ヨーロッパは二十K、つまり二万人なんです。フランスに至っては五十Kのところまで出ております、つまり五万人です。今、日本は、きのうで千八百人くらいですけれども、ここで医療崩壊が取り沙汰されていますけれども、ヨーロッパに至ってはもう二万人を超えているんですね。それで、私はいつも世界のトップニュースを朝見ていますけれども、医療崩壊はそれほどまで懸念されていません。フランスに至っては、左下の一番飛び出たところ、これは実は八万八千人です。日本の五十倍出ているけれども、今一万三千人まで下がりました、医療崩壊せずに乗り切っています。

 私、きょうも盛んに医療崩壊が言われていたんですけれども、なぜこの状況で医療崩壊になっている、おそれがある、ここまで言われなければいけないのか、そこをよく考えなければいけない、そう思っています。きょうはそこの点について聞いてまいります。

 資料2をごらんください。

 資料2をごらんいただくとおわかりなんですけれども、私、経済も非常に重要だと思うのは、日本においてはサービス産業に従事されている方の就業者数の比率が実は非常に多いんですね。これは厚労省のデータですけれども、日本の卸売、小売、宿泊、飲食業の就業者は実は二二・八%です。アメリカやイギリス、ドイツ、フランスに比べて高いんですね。つまり、外出自粛だとか営業短縮とかすれば、それだけ影響される人が大きい。もうそろそろ限界だという声がいっぱい来ています。

 ですから、一方的に、今回のパンデミック、感染拡大防止はもちろん大事ですけれども、経済のこともやはり同様に考えなければいけない。

 では、どうしたらいいかというと、きょうも聞いていても、感染拡大予防のことばかり話されて、医療崩壊のことを言われるんだったら、なぜ医療崩壊するのか、ヨーロッパの十分の一から五十分の一の数字でなぜ医療崩壊が叫ばれるのか、そちらにも光を当てる必要があると強く思っています。

 二つの点からお話をさせていただきたいんですけれども、まず一点目は、短期的、技術的視点です。

 先ほど、共産党の委員の方の御質問で、田村厚労大臣は、頻回な施設へのPCR検査を呼びかけています、こうおっしゃったんですね。

 しかしながら、私はこれを調べてみました。厚労省にも問合せしました。資料3をごらんいただきたいんですけれども、厚労省が出している通知、入所者、介護事業者等に対する通知は、十一月十九日付で、発熱等があれば検査し、陽性であれば全員に、こういうことを呼びかけている。つまり、発熱が前提なんですよ。十一月二十日付にも出ていますけれども、それは別に、優先度を書いているだけで、どういう方にしなさいと書いているわけではない。

 私、非常に問題だと思っているのは、現場の医師のお話、私も聞いています。何人にも聞いています。今、診療の手段としての抗原検査、PCR検査ではなくて、院内感染防止策としての抗原、PCR検査が非常に重要だと考えておられる。春先と違って、PPEなどの資材も行き届いていて、医療従事者の感染リスクや恐怖感も減っている。怖いのは、誰が感染者かわからないというところだと。

 御承知のとおり、発症二日前から感染力があるということで、先日、NHKのニュースでもやっていましたけれども、北海道医療センターで発生した院内感染、あれは恐らくは発症前の方が感染源となったのではないかということを報じられています。

 そこで、首都圏のある病院では、症状のある人には全て抗原検査、それから入院予定患者については全員PCR検査あるいはLAMP検査をやる。結果判明まで、侵襲的措置をやる場合には全員N95をつけてフル装備でやる。なぜここまでやっているかというと、院内感染で病院機能が麻痺した、そういう経験からやられている。

 それから、別の病院の方にお聞きしましたら、発熱患者は待機も駐車場でしてもらって、抗原検査して、検体採取もフル装備でやる、こういうことです。

 政府参考人にまずお伺いしたいんですけれども、こういったことは、春先ではできなかったPCR検査やLAMP検査や抗原検査が一般化してきた、そして、経験に基づくノウハウが蓄積されてきた、これを、発熱等の患者だけではなくて、病院、それから施設にどんどん広げていけば、防疫的に広げていけば、入院患者の感染を減らせますし、何より怖いのは重症者がふえることなんですね。病院に院内感染が起これば、直ちに重症者がふえます。なぜかというと、既に基礎疾患を持って、重い状況で入院している人が多いわけですから。だから、これに関する指針を早急につくって、各病院、施設に配付したら、大変に医療崩壊の危機を減ずることができると思うんですけれども、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 医療機関とかあるいは高齢者の施設、重症化しやすい方々がたくさんいらっしゃいますので、そこに向けての対策が大変重要だと考えています。

 こうした施設の入院、入所者は重症化リスクが高いので、感染者が多数発生している地域等においては、その期間、症状がない方も含め、勤務する方や入院、入所者を対象に積極的な検査を実施することを都道府県等にお願いしてきたところです。

 さらに、今般、十一月二十日でありますけれども、クラスターが複数発生している地域では、医療機関や高齢者施設などの重症化リスクの高い方が多数いる場所が検査実施の優先度が最も高いことを明示し、症状の有無にかかわらず、積極的な検査を実施するよう要請したところです。

 引き続き、感染拡大防止のための必要な検査が医療機関や高齢者施設等で迅速かつスムーズに行われるよう努めてまいりたいと考えております。

青山(雅)委員 今の御答弁で若干不十分だと思うのは、クラスターがいっぱい発生している地域になるかどうかわからないわけですね。そうすると、全国津々浦々でそれをやっておかないと、結局のところ、新しいクラスターがいっぱい発生する。例えば北海道の旭川のようなところがどこに出てきたっておかしくないわけですから。やはり、全国の病院、それは急性期、療養型を問わず、そして高齢者施設、もっと具体的に呼びかけをぜひ検討していただきたいと思います。

 それから次に、時間がないものですから、また時間があれば戻ってきますけれども、少し通告の順番を変えますけれども、先ほど言ったように、欧米の十分の一から五十分の一の人数の感染者数で医療崩壊がこれだけ言われている、日本医師会の会長、東京医師会の会長、たびたび言われています。

 なぜかと考えれば、これは別に新型コロナのせいじゃないんですね。これはもうずっと前から言われてきている病院勤務医と看護師の不足、こんなものは十年以上前から言われている。これを放置してきたから、こういうことになっている。それがこの新型コロナという不測の事態で一気に噴き出しただけ。そこを全く、マスコミも政府も与野党も全然そこをちゃんと考えていない。ここを直さなければ、いつまたこれは同じことが起きるかわからないし、さっきも言ったように、きょうも感染力が増大しているという話もありましたけれども、欧米並みになったらもう一発でアウトですよ。

 資料の5をごらんいただきたいんですけれども、百病床当たりの看護師数、これを見ていただければ、これは厚労省自身が出している資料ですけれども、四分の一しかないわけですね。これは足りないに決まっています、看護師。

 それから、病院勤務医の数が少ない、足りないということも、これも当然、大臣御承知だと思います。

 資料6、これは日本病院会の行ったアンケート結果なので、かなり信用性が高いものだと考えていますけれども、まず、勤務医は充足しているかということで、不足しているというのが四〇・九、やや不足しているが四六・七、もうほとんどの病院で不足なんですね。確保が困難だと感じるかというので、大変困難と感じているところが六三・九もある。やや困難を合わせると、もう九〇%以上です。

 それから、一枚めくっていただいて、本質的な問題ですけれども、勤務医不足の本質は絶対数の不足にあるか偏在にあるのかという話で、地域偏在と絶対数不足、両方ともあるというふうに考えていらっしゃるところが三九、絶対数の不足が一〇、もうこれで半分。もう一つ、やはり偏在の問題だという人が四〇。病院では半数が絶対数が不足していると言っているわけですね。

 きょうもいろいろ言われましたけれども、結局のところ、本質的な看護師、勤務医不足について何の手も打っていないし、打とうという答弁もない。

 資料7は、保育士プラン。これは、御承知のとおり、保育園に預けられない、保育士が不足している、そうしたら、将来の需給予測なんか別に特に言わずにがんがんふやしているわけですよね。

 何でそれを看護師と勤務医ではやらないのか、医師ではやらないのかというところは、私は全くもって不思議でならないわけですよ。将来予測で、例えば、少子化は進むわけですから、保育士だってどんどん減るはずですよね、需要が。だけれども、そこには全然言わないで、何で医師の場合だけ将来予測を持ち出して、そこについて消極的になるのか。

 前回、同じようなことを聞いたときに、十一月二十七日に、大臣は、マンパワーが必要になってくるということは間違いないと認められながらも、こうおっしゃっています。本来ほかの産業分野でイノベーションを起こすときに優秀な人材が行かないではないかということを言われる方々もおられますとか、極端に医師をふやすだけの余力は今の日本にないと言われていますけれども、そんなことを言っている場合じゃないと思うんですね。

 やはり将来を見据えれば、医師だって看護師だってもっとふやすしかない、これが非常に重要な話。今、いろんな工夫をなさって、超短期的な、偏在について、自衛隊活用とかいろんなことでやっておられる、それはすごく評価できるんですけれども、ここにも手をつけなければ、将来同じことが起きたとき、どうしようもなくなると思うんです。これについて大臣の御所見をお伺いしたい。

田村国務大臣 医師は需給予測で令和十一年、看護師は令和七年までは不足していますが、そこで一応、今の計画でいくと、充足するという形になっています。

 日本は、言われるとおり、病床当たりの医師、看護師は欧米に比べて少ないというのは事実です。ただ、病床数が、イギリス、アメリカと比べると約四倍ぐらいですかね、フランスと比べても二倍、ドイツと比べても一・五、六倍多いんだと思います。それは、病床数が多いので、医師、看護師が病床当たり少なくなる。

 医師の数字は、十万人当たり、欧米と比べて、まあそれほど、若干少ないですけれども遜色ありません。看護師は、逆に日本の方が多い、日本より少ない国は結構あります。

 なぜ、しからばヨーロッパでコロナでこんな対応ができるのか。これは我々もいろいろと研究しましたが、一つは、公務員が多い、医師、看護師に。ですから、そういう意味からすると、そういう方々にも公務員ですから命令して配置していただいているということがあると思います。

 それから、大きな病院。日本はベッドが多い、病院も多いんですね、実は。これはやはり大きな病院が欧米は結構あって、そこでいろいろな差配、つまり、組合せがうまく回っている。日本は、一方で、民間の中小病院が多いので、そこの差配がなかなか欧米のようにうまくいかないというのもあると思います。

 まだまだ、ちょっとその違いというものを完全に分析できていませんが、学べるものはヨーロッパからしっかり学んで、今の日本、決してマンパワーが欧米に比べて極端に少ないわけではないので、ベッド数は逆にございますから、そういう意味からして、何とか対応できないかということ、これを今、我々も検討させていただいております。

青山(雅)委員 今大臣がおっしゃったこと、スウェーデンで、最近この件で大変有名な宮川先生、あの先生も、私、時折連絡させていただいているんですけれども、同じようなことをおっしゃっていた。

 であるならば、公立病院をふやすしかないですし、いずれにしろ、医師をふやさないのであれば工夫が要りますし、短期的な視点、中長期的視点をぜひもっと研究していただいて、やっていただきたい。

 時間がないので終わりますけれども、また引き続きこのテーマについてお聞きさせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

橋本委員長代理 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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