衆議院

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第6号 令和3年3月24日(水曜日)

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令和三年三月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      小田原 潔君    大串 正樹君

      大隈 和英君    加藤 鮎子君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小島 敏文君    後藤田正純君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      百武 公親君    深澤 陽一君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      川内 博史君    白石 洋一君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      山川百合子君    山井 和則君

      早稲田夕季君    高木美智代君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      青山 雅幸君    高井 崇志君

    …………………………………

   議員           早稲田夕季君

   議員           尾辻かな子君

   議員           山井 和則君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   経済産業副大臣      長坂 康正君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渡邊 昇治君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   参考人

   (公益社団法人日本医師会副会長)         今村  聡君

   参考人

   (城西大学経営学部教授) 伊関 友伸君

   参考人

   (学習院大学経済学部教授)            遠藤 久夫君

   参考人

   (NPO法人医療制度研究会副理事長)       本田  宏君

   参考人

   (一般社団法人日本医療法人協会会長)       加納 繁照君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     加藤 鮎子君

  小島 敏文君     深澤 陽一君

  山田 美樹君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     山田 美樹君

  加藤 鮎子君     木村 弥生君

  深澤 陽一君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四三号)

 同(稲富修二君紹介)(第三四四号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第三四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四八号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第三四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三五〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第三五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五二号)

 同(篠原豪君紹介)(第三五三号)

 同(下条みつ君紹介)(第三五四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五六号)

 同(寺田学君紹介)(第三五七号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第三五八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三五九号)

 同(日吉雄太君紹介)(第三六〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第三六一号)

 同(松田功君紹介)(第三六二号)

 同(松平浩一君紹介)(第三六三号)

 同(宮本徹君紹介)(第三六四号)

 同(務台俊介君紹介)(第三六五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三六六号)

 同(屋良朝博君紹介)(第三六七号)

 同(青山大人君紹介)(第三七四号)

 同(大西健介君紹介)(第三七五号)

 同(岡本あき子君紹介)(第三七六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三七七号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第三七八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第三七九号)

 同(白石洋一君紹介)(第三八〇号)

 同(矢上雅義君紹介)(第三八一号)

 同(柚木道義君紹介)(第三八二号)

 同(生方幸夫君紹介)(第四〇五号)

 同(川内博史君紹介)(第四〇六号)

 同(櫻井周君紹介)(第四〇七号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第四〇八号)

 同(池田真紀君紹介)(第四一五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第四一六号)

 同(道下大樹君紹介)(第四一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第四一八号)

 同(吉川元君紹介)(第四一九号)

 同(篠原孝君紹介)(第四三九号)

 同(関健一郎君紹介)(第四四〇号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第四六九号)

 同(緑川貴士君紹介)(第四七〇号)

 同(武内則男君紹介)(第四八八号)

 福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(村井英樹君紹介)(第三六八号)

 同(下条みつ君紹介)(第三八三号)

 同(白石洋一君紹介)(第三八四号)

 同(岡本充功君紹介)(第四〇九号)

 同(務台俊介君紹介)(第四一〇号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第四一一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四二〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四二一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二三号)

 同(清水忠史君紹介)(第四二四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四二八号)

 同(藤野保史君紹介)(第四二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第四三〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第四三一号)

 同(柚木道義君紹介)(第四三二号)

 七十五歳以上の医療費負担の原則二割化反対、後期高齢者制度の廃止に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第三七三号)

 新型コロナ対策の強化、介護報酬の引上げ、介護従事者の大幅な処遇改善、介護保険制度の抜本改善に関する請願(早稲田夕季君紹介)(第四〇四号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第四三八号)

 コロナ禍から命と暮らしを守る年金支給に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第四六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四六五号)

 同(藤野保史君紹介)(第四六六号)

 同(宮本徹君紹介)(第四六七号)

 同(本村伸子君紹介)(第四六八号)

 中小零細・個人事業者の社会保険料負担の軽減と制度拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四七六号)

 同(笠井亮君紹介)(第四七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七九号)

 同(清水忠史君紹介)(第四八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四八四号)

 同(藤野保史君紹介)(第四八五号)

 同(宮本徹君紹介)(第四八六号)

 同(本村伸子君紹介)(第四八七号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(武内則男君紹介)(第四八九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案(中島克仁君外七名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案及び中島克仁君外七名提出、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官渡邊昇治君、厚生労働省医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がございますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 コロナ禍下で大変御苦労されていらっしゃいます医療従事者の皆さんの待遇につきまして、中長期、短期、二つの視点から御質問させていただきます。また、時間が許せば、HPVワクチンやコロナ対策の一時支援金についても質問を重ねたいと思っています。

 まず、医師の働き方改革に関連いたしまして、過重労働の一つの背景とも言われてまいりました医師法十九条一項の医師の応招義務の対象範囲につきまして、令和元年十二月に厚労省から重要な通知が発せられていると思います。どういった効果を期待したもので、その後一年余りたって、どういった効果が見られているのか、大臣に伺いたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられているのは応招義務だというふうに思いますけれども、正当な理由がなければ、診療を求められれば応じなければならないということでありまして、罰則があるとかという話じゃないんですけれども、しかし、これは医師にとっては精神的には非常に大きな、ある意味、これが医師にとっての誇りでもありますし、すごい責任でもあるということでありまして、そういうものにおいて、働き方改革の中で、しかしながら、これ自体が医師の過重労働等々の原因になったのでは、これはやはり問題があるということであります。

 言われたのは、二〇一九年十二月に通知をしたというものであろうと思います。これは、有識者の研究班がいろいろと検討した上で、応招義務の解釈等ということでありまして、勤務医が、これは労働契約の範囲内、この範囲で働くのはいいんですけれども、この範囲を超えた部分において指示を受けた場合は、これは労働基準法違反になりますので、このような場合において、応招義務というもの、こういうものに関しては、仮に言われたものに対して拒否したとしても、これは応招義務違反にはならないというようなことを明確化したものであります。

 これの効果はどうかというと、ちょっとまだ効果までは今のところ判断するのは難しいということでありますが、いよいよ、これから、医師の働き方改革も二〇二四年に向かって動いてまいりますので、更に周知をさせていただきながら、医師の皆様方には、働きがいを持ちながら健康をしっかりと維持できるような働き方の推進、これに努めてまいりたいというふうに考えております。

津村委員 尊厳死問題と医師の応招義務の関係についても問いたいと思います。

 先ほど大臣お触れになりましたように、医師の職業倫理の根幹にこの応招義務がございまして、これが日本の医療の大変すばらしいクオリティーを担保している一面があると同時に、働き方改革、あるいは、今後、命に向き合う上で日本人として、日本の医療として考えていかなければいけない生命倫理の問題を考える上でも、この規定の意味合いというものは真剣に向き合っていかなければいけませんし、場合によっては物事の考え方を改めていかなければいけない、そう思うわけですけれども、この医師法十九条において、医療拒否が認められるには正当な事由が必要とされているわけですけれども、平成三十年に改訂されました厚労省のいわゆる、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインに準拠して、先日も議論させていただきましたが、延命治療の不開始又は中止を決定するという行為は、ガイドラインに準拠している限りにおいてですけれども、この正当な事由に該当すると考えてよろしいでしょうか。

田村国務大臣 ちょっと難しい問題なんですけれども、アドバンスト・ケア・プランニング、要するに、ガイドラインというのは、言うなれば、生前からといいますか、最終段階を迎える前から、医療関係者、従事者それから家族等々も踏まえて、自分が最終段階を迎えるに当たってといいますか、それに向かっていく中においてどういう医療を受けていくべきなのかということをいろいろ話し合っていただいて、決定をいただいておきたい、御自身の意思というものでどのような治療を受けたいかということを明らかにしておくというような、そういうものであるわけでありますが、当然、それで、ACPにのっとって医療を行うということは、これは応招義務とは直接関係ないわけでありまして、医療を行っていただければいいのであろうというふうに思います。

 あと、延命だとかそういうのを、例えば、もういよいよというときに家族がどのような治療を望むかというのはあるんだと思いますが、基本的には、よくあるいろんな延命治療、延命した後に回復するというような、そういう可能性がある場合には、医師の判断においていろんな治療をやられるんであろうというふうに私は理解いたしております。

 直接応招義務との関係というのが、ちょっと私も、そこのところの理解が、十分に理解できていないんですけれども、少なくとも応招義務というのは、正当な理由がないときに、診療を、したいという者に対して断れないというような話でありますので、あらかじめACPで決まったものを医師がやるということ、その中において、例えば延命治療というものを望んでいないという場合に、それを行わないということは、それは患者本人の意思に基づいた対応ということでございますので、応招義務というよりかは、平素からそういう意思の伝達の下にそういう治療を受けられるというような、そういう認識であります。

津村委員 今、大臣、お人柄だなと思うんですけれども、必ずしも、応招義務と人生の終末期の生命倫理の問題、尊厳死の問題、理解が十分でないというふうに謙虚な言い方をされましたけれども、実は、私、今回、この応招義務の議論が働き方改革の文脈から光が当たった、これは大変重要なことではあるんですけれども、元々、この応招義務が戦後の日本の医療において果たしてきた役割や意味合いをもう少し幅広に見たときには、これは働き方改革の文脈だけで議論しては、やはり必ずしも十分でなくて、生命倫理の問題全般、あるいは尊厳死の問題も議論の大きな視野に入れながら、その意味合いを今後とも考えていかなければいけないという意味での問題提起ですので、今日の議論にとどまることなく、この議論、続けさせていただければと思っております。

 HPVワクチンの話を少しさせてください。

 今、コロナワクチンのことが大変な国家的テーマですけれども、短期的にはもちろんそのとおりで、私たちもサポートしていきたいんですが、中長期の視点に少し視座を上げてみますと、HPVワクチンの国際的な評価の高まりの一方で、日本の現場対応というのが、最近いろいろ動いているんですけれども、更に進めていく余地があるのではないか、そういう問題意識でございます。

 昨年秋に、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンというんですか、スウェーデンで実施されたHPVワクチンの接種の有無と浸潤性子宮頸がん発生に関する追跡調査についての論文というものが発表されまして、大変話題になりました。

 厚労省としては、過去、平成二十五年三月二十八日、矢島健康局長が、子宮頸がんそのものを予防するエビデンスは今のところないという趣旨の答弁をされていますが、少し状況が変わってきたように思うんですけれども、大臣の認識、いかがでしょうか。

田村国務大臣 そのときの大臣は私だったと思うんですけれども、以前はまだ、子宮頸がんワクチンを打ってから効果が出るまでに世界的にやはり一定時間かかる、効果といいますか、統計的に効果が出るという、結果が出ると言った方がいいのかも分かりませんけれども、時間がかかるということで、なかなか、子宮頸がん自体を防いでいるという効果自体はすぐには分からないということでありましたので、その前段階である前がん病変、これを予防する、こういう効果はあるのではないかというようなことが言われていたわけであります。

 言われたとおり、昨年十月ですかね、公表されたスウェーデンの研究論文でありますが、ここで疫学的にHPVワクチンの効果、これが示されておるわけであります。更に我々としては今後の科学的な知見、この集積をしっかりと期待をしているところであります。

 言われるとおり、もうあれから年数がたってきておりますので、子宮頸がんがそれによってどれぐらい減ってきておるか、打っていない方々と打っている方々との間で有意差が出てくるというような、そういう研究結果が徐々に出てきているものというふうに認識いたしております。

津村委員 このHPVワクチンの接種の積極的勧奨が、一時的に差し控え、そして速やかに今後のことについて検討するということだったはずなんですが、もう七年半がたっているわけですね。

 今回の論文のほかにも、ワクチンの有効性、安全性に関する様々な、今おっしゃられました、初期の段階であったり、あるいは浸潤性のがんであったり、様々な前向きな評価が研究成果として上がってきている中で、本来であればこうした論文について、いわゆる副反応検討部会ですか、そうした現場で議論を積み重ねていくべき段階になっていると思うんですが、仄聞するに、部会では今、コロナで大変だということはあると思いますけれども、ちょっとこの議論がなかなか今追いついていないというようなことも仄聞しております。

 これは加速していくべきテーマだと思いますが、今の検討状況を大臣はどう御覧になっていますか。

田村国務大臣 平成二十五年に定期接種化をした当時、私が大臣でした。その後、様々な症状が出ました。出ましたといいますか、報告されました。実際問題、非常に重篤といいますか、体を動かせなくなるような、そういうお子さんが報告をされる中で、接種勧奨、これは審議会にお諮りする中で、接種勧奨を一時的に中断をしているわけであります。

 その後、また、いろんな研究等々調査をやった結果、そういう症状のお子さんが一定程度、接種とは関係なく、やはり状況が見られるということもあったわけでありますが、そういうものも踏まえながら、審議会の方でもいろんな国内外の知見を評価をいただいてきているわけでありまして、そういう内容も踏まえてリーフレット等々を作ってきたわけでありますが、この内容というものが十分に国民の皆様方に伝わっていないということもございましたので、昨年十月に更に新たにリーフレットを改定いたしまして、積極勧奨ではないんですが、対象者の方々のところに個別にこれが発送をされるというようなことを各自治体にお願いをさせていただいて、今、順次そういう対応をいただきつつあるんだというふうに思っております。

 そういう状況の中で、それぞれ、接種対象者、年齢の対象者に対して、そういうようなリーフレットで、もちろん有効性というのも十分にお伝えをさせていただいておりますし、リスクというものもお伝えをさせていただいて、御理解をいただきながら、そういうものが、子宮頸がんワクチンというものがあるんだ、これを打てばこういう効果があるけれども、こういうリスクもあるんだということをしっかりとお伝えをさせていただきながら、定期接種でありますから、これを進めていっておるというような状況であります。

津村委員 もう一つ前向きな動きとして、昨年夏に九価のHPVワクチンの薬事承認ということがございました。今年二月から販売が始まっていると思いますが、今後、公費助成の見通しはどうなっているんでしょうか。

田村国務大臣 言われるとおり、昨年七月薬事承認を行って、本年二月に製造販売会社より販売がスタートしておるということであります。

 当然、これは薬事承認を得ておりますので、有効性、安全性というものは確認をされているわけでありますが、定期接種に向かっては費用対効果、これも見ていかなければならないわけでありまして、今、審議会において評価を行っていく必要があるということで昨年八月から検討を始めているところでありまして、感染研、国立感染症研究所、ここでファクトシート、これを作成を依頼したところであります。今後、このファクトシートにのっとって審議会で十分に御議論いただいた上で最終的には判断をいただくということになっております。

津村委員 ファクトシートが大分集まってきているんじゃないかという時期だと思うんですけれども、いかがですか。

田村国務大臣 次のワクチン評価に関する小委員会、ここでこのファクトシート等々を報告できるという形になっております。

津村委員 是非、前向きに進めてください。ありがとうございます。

 コロナ対策の一時支援金の話を少し経産省の方とさせてください。

 もう既に申請開始から、鳴り物入りの申請入りから二週間たったわけですけれども、申請件数そして給付件数が大変伸び悩んでいるというふうに仄聞をしております。昨年の持続化給付金と比べて、かなり、一桁どころか二桁この申請が伸び悩んでいるというふうに受け止めているんですが、数字を確認させていただきたいと思います。

 受付開始から二週間たちましたが、二週間時点の申請件数、給付件数は、持続化給付金と今回の一時支援金でどのような違いがありますか。数字を教えてください。

長坂副大臣 お答え申し上げます。

 持続化給付金につきましては、昨年五月一日に申請受付を開始いたしまして、開始二週間後の五月十五日時点で、約九十六万件の申請を受け付け、約十三万件の給付を行ったところでございます。

 一時支援金につきましては、三月八日に申請受付を開始いたしまして、開始二週間後の三月二十二日時点で、約二万件の申請を受け付け、約五千件の給付を行った次第であります。

 困難な状況に直面している事業者の皆様に迅速かつ適切に一時支援金をお届けできるよう、引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。

津村委員 四十八分の一ということになるわけで、大変なことですけれども、ちょっとこれ、それぞれ見ていきたいと思います。

 持続化給付金の、これは昨年の五月からですから、今はもう半年以上たっているわけですし、受付が三月十五日で一応一通り終わっていると思うんですけれども、現時点、最新の申請件数、給付件数はどういう数字になっているのか。

 そして、持続化給付金は、今回のこの十一都県の緊急事態宣言対象地域ということとは関係なく、当時、全国対象地域でしたから、全国一律、同じ条件で給付されているものと承知しておりますけれども、申請者の地域的な分布の偏りといったものは見られているんでしょうか。

長坂副大臣 お答え申し上げます。

 コロナ禍におきまして厳しい経済環境に置かれる中小・小規模事業者等の事業継続を支えるべく、昨年来持続化給付金を実施したところ、三月二十三日まで、この三月二十三日でございますが、約四百四十一万件の申請を受け付け、約四百二十四万件をお届けいたしました。

 持続化給付金においては、申請時に本社所在地を御入力いただいているところでございますが、地域を問わず迅速かつ簡潔な手続で給付を行うものであり、申請時において地域ごとに集計を行っておらず、現時点でお示しすることはできません。

 申請データにつきましては、分析に適した形となっていないために、地域別の集計には追加データ分析作業が必要でございますが、こうした作業は本来の給付業務とは異なる作業であるため、その一方でまた、持続化給付金の委託事業者が現在、一時支援金事業の執行に従事しておりまして、まずは一時支援金の一日も早い支給に注力することといたしたいと考えております。

 しかしながら、御指摘のとおり、持続化給付金についての地域に着目した分析は、今後の政策検討においても重要な情報となり得ると考えております。今後、準備が整えば、地域別のデータについても取りまとめて集計したいと考えております。

津村委員 これに対して一時支援金の方は、全国一律と必ずしも言えない制度設計になっています。

 具体的に申し上げますと、緊急事態宣言の対象地域であるのかどうか、そして、そうした地域との取引が一定のウェートを占めているのかどうかということで、申請の一つの要件となっています。さらに、そこには事前確認制度等の前回にはなかったハードルが様々あることが、今回、二週間時点で四十八分の一しかこの申請が来ていない一つの背景になっていると思います。

 経産省には最後の質問にしますけれども、この一時支援金について、例えば、三つ私はカテゴリーがあると思うんですけれども、緊急事態宣言発令地域である十一都府県、そして、今回、更に、特に影響が多いという形で経産省がお認めになっている二十一道県、そしてそれ以外の県という三つの区分にした場合、この支援対象となり得る中小企業者数というのはどういった分布になっているんでしょうか。どのぐらいこれはカバレッジがあるかという質問です。

長坂副大臣 お答え申し上げます。

 一時支援金につきましては、業種や所在地を問わずに、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業又は外出自粛等の影響を受けまして、本年一月から三月において、前年若しくは前々年の同月比で売上げが五〇%以上減少していることなどを給付要件といたしております。

 一方、個々の事業者によっては緊急事態宣言に伴う影響の度合いが異なるため、給付対象となると想定される事業者数を地域別にお示しすることは困難でございます。

 その上で申し上げますと、直接関係がある数字ではございませんけれども、例えば二〇一六年の経済センサス活動調査によりますと、各地域区分に所属する中小企業数、全国三百五十八万者の内訳でございますが、第一に、緊急事態宣言地域十一都府県、百八十五・二万者、第二に、V―RESASによります二十一道県、百十三万者、第三に、その他の県、十五県でございますが、五十九・六万者となっております。

 なお、委員御指摘のV―RESAS等の統計データにおいて、宣言対象地域内からの旅行者の割合が五割以上の基準については、保存書類の簡素化のための基準でございまして、給付要件そのものではございません。

 したがいまして、委員御指摘の、一の緊急事態宣言地域十一都府県や、二の特に影響の大きい地域、V―RESASによります二十一道県以外の地域の事業者においても、例えば、顧客台帳や自ら実施した顧客調査の結果を保存書類とした上で、給付要件に該当する場合は申請いただくことも可能でございます。

津村委員 経産省への質問はこれで終わりたいと思いますけれども、この一時支援金の申請が持続化給付金に比べて大変遅れている、二%にも届いていないということは、様々な方から御意見をいただいています。ただでさえ、二百万円だった前回に比べて六十万円という形で給付額が少ないにもかかわらず、事前確認制度が設けられて、しかも、その制度も朝令暮改されている、あるいは謝金が極めて少ない。

 こういった中で、本当にこの制度が機能しているのか。あるいは、各自治体から支援をいただいている方々が対象から外される等の様々凸凹のある制度になっていることというのは、先ほどおっしゃられた、この三つのカテゴリーの特に五十九万者については対象になりにくいということも含めて、非常にハードルの高い制度になっているのではないかと思います。

 四十七都道府県、地域の数字も今後チェックをしていただけるということを先ほど御答弁いただきましたので、今後とも、この数字についてはフォローアップさせていただきたいと思います。

 こちらは厚労委員会ですので、また別の場で議論させてください。

 最後に、野党提出のコロナ対応医療従事者等慰労金法案について、提出者の方に二つのポイントから伺わせていただきたいと思います。

 このタイミングで慰労金を支給すること、昨年も一定の実績があるわけですけれども、今回、この第三波後のタイミングという意義と、その対象範囲について工夫をされていると思うんですが、少し御説明いただきたいと思います。

尾辻議員 私の方から、このタイミングで慰労金を支給することの意義についてお答えを申し上げます。

 第一波に係る対応では、令和二年度第二次補正予算により、医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等に勤務して患者、利用者と接する者を対象に慰労金が支給をされました。

 しかし、第二波以降、新型コロナウイルスの感染者が増加し、その対応が長期化する中で、再び緊急事態宣言が発出される事態となり、現場で働く環境は過酷さを増しております。

 加えて、昨春以降、医療従事者等の方々は、強い緊張状態が続く中、私生活においても自粛を求められ、心身の疲労はもう限界に達しています。また、政府の新型コロナウイルス対応従事者慰労金の対象期間は昨年の六月末までであり、昨年七月以降に新たに新型コロナウイルス感染症の患者等に対応した場合は二十万円の慰労金支給の対象とはならず、昨年七月以降に働き始めた方は五万円の慰労金支給すらないという不公平感も存在するところです。

 この間、政府は予備費を使って、新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業を実施し、医療機関に対して医療従事者の人件費を補助していますが、処遇改善に結びつくということが担保されておらず、対象地域も限られているという状況です。

 こうした状況を踏まえて、一刻も早く、新型コロナウイルス感染症の患者等に対応している医療従事者等に再び二十万円の慰労金を支給するとともに、昨年七月以降に働き始めた医療従事者等にも五万円又は十万円の慰労金を支給すべきであると考えております。

早稲田議員 慰労金の支給対象範囲についてお答えいたします。

 本法案においては、医療及び介護、保育、その他の福祉サービスといった継続して提供される必要のある業務に従事している者が、新型コロナウイルス感染症の感染防止措置を講じつつ、感染症にかかった場合に重症化となるおそれが高い患者、高齢者等と接触することにより、心身の負担を受けつつも強い使命感を持ち当該業務に従事していること等に鑑みて、慰労金を支給することとしております。

 このため、本法案による慰労金は、政府による慰労金の対象となっていた医療、介護、障害福祉の現場で働く医療従事者、職員の方々のみならず、薬局薬剤師、医療の提供に密接に関連する業務の従事者に加えて、保育園、幼稚園、学童保育など子ども・子育て支援施設の現場で働いている方々、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々を含め、広く対象とすることとしております。

 以上です。

津村委員 ありがとうございました。終わります。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 医療法等改正案の質疑でございますが、この法案は、医師の働き方改革、また地域医療構想に関連する内容を一括にされておりますが、現在、新型コロナウイルス感染症の現状は、緊急事態宣言が二十一日に全面解除されたものの、一日また週当たりの感染者数は、下げ止まりというよりは増加傾向、また、実効再生産数も都市部を中心に一を上回っておるということ、また、前回のときも質問いたしましたが、変異株は感染力が高い、確率が高い、一方で致死率も高いという報告が出ているということから、予断を許さない、いわゆる第四波への懸念が高まっておるという状況だと思います。

 医療体制の強化、また病床の確保が喫緊の課題となっており、コロナの感染拡大長期化により浮き彫りとなった課題を精査して、今後の地域の医療体制をどのように構築していくのか、浮き彫りになった課題はるる、たくさんあります。そういったことの再検討が必要だ。

 一方で、一昨年九月、秋に名指しされた、再編のために名指しをされた公的病院四二四リスト、その後追加されて四三六リストになっておりますけれども、私の地元も七病院がリストに指摘されている中で、感染当初から、コロナ患者を受け入れる受け入れない以前に、真っ先に発熱外来を設置したり、また、近隣の介護施設の感染対策に奔走したり、こういった状況、まだまだ先が見通せない状況の中で、まず、この四二四リストを撤回をして、そしてゼロベースから再検討するということが必要だと強く申し上げておきたいと思います。

 そういった趣旨に基づいた医療法修正案を我々は用意をしております、お示しをすることになっておりますので、今、短い時間でありますが、我々の修正案を政府・与党には真摯に受け止めていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 今お示ししたように、緊急事態宣言は解除はされたものの、分科会の尾身会長もおっしゃっているとおり、これまでの感染対策、延長線上ではなかなか難しいという懸念も示されております。一年以上となる新型コロナウイルス感染症の現状で、多くの国民が疲弊をしております。

 ワクチン接種も始まっておるわけでありますが、前回も私、指摘をいたしました、この局面を大きく打開していくためには、やはり治療薬、治療方針、標準医療の確立だと。前回、大臣も答弁で、私は、一月の自宅療養患者さんが三万人を超えたとき、二度とこのような状況を招いてはいけないと、その問題意識は共有されておるということで、その中にも、標準医療の確立が求められると大臣も答弁をされておりました。

 私は、決して平時の新薬に対する承認プロセスをすっ飛ばせと言っているわけではないんです。平時での承認プロセスを踏まえれば、やはり、ワクチン同様、治療方針の確立も周回遅れになってしまうということから、既存薬、私は、我が国が医療先進国として培ってきたいわゆる経験医学、経験医学イコール私は安全性と言っているわけでありますけれども、新型コロナウイルス感染症治療方針の確立に、この経験医学、我が国の培ってきた経験医学を最大限発揮するべきだ。その象徴が、大村智博士が開発された、四十年前から年間三億人に投与されているイベルメクチンということで質問をさせていただきました。

 私自身は、長くこのイベルメクチンに携わっておるというか、よく知っておりますので、間違いなく、私、コロナ、これは抗ウイルス作用だけではなくて、いわゆるサイトカインストーム、比較的若い方がラッシュで病状が変化する、この抗炎症作用というものも数年前から有効性に関して研究成果が出ておるということでありますし、こういった観点から、イベルメクチンを代表に、既存薬、治療方針の確立を急ぐべきだ。

 そして、その一つのポイントが、医薬品副作用被害者救済制度の対象となるかどうか。医師が判断して使える、使えると大臣は度々答弁されますが、いわゆる判断して出す医師の免責、これを担保するということが今後ポイントになってくるということで、前回質疑で、イベルメクチンに関して、現在、適応外使用が可能であり、保険給付の対象となることは確認をさせていただきました。

 一方で、今言ったポイントである副作用被害者救済制度の対象とはならないと大臣は明確に御答弁されましたが、間違いないですね。うなずいていただければいいです。間違いないですね、間違いない。いいです、まだ質問していないから。

 それを踏まえて、私は、一般論として、適応外とはいえ保険適用を認めながら、副作用による健康被害が発生した場合には当事者間で解決せよと。これは、患者保護の観点からも欠けるし、また、一つの診療行為が保険適用かつ自由診療とも捉えられるような状況になっているということは、保険診療に対する信頼も害するというふうに私は思います。

 ここで質問します、事務方に。参考人に質問いたしますが、過去に医薬品の適応外使用によって生じた副作用による健康被害について、医薬品等副作用健康被害救済制度の対象となった例が存在するのか、全くないのか、お答えいただきたいと思います。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御指摘が、適応外使用であってもこの被害救済制度の対象となった例があるか否かという点については、対象になった例はございます。

中島委員 あるということでございます。大臣は、救済制度の対象にはならないと明確に答えたということで、これは大臣の答弁が違うということでよろしいですか。

鎌田政府参考人 適応外使用の薬を使った場合における医薬品副作用被害救済制度の関係でございますが、医薬品副作用被害救済制度につきましては、適正に使用された承認医薬の副作用が救済対象ということでございまして、それは個々に救済の可否を判断するものでございます。

 適正使用の判断は、基本的には承認された範囲の使用が原則でございますけれども、例外的に、その範囲を超える適応外使用であっても、その個別の事例に照らしまして、現在の医学、薬学の学問水準に照らし、総合的な見地から適正な使用かどうかを判断するわけでございます。

 これまで適応外使用であっても適正使用として認められているものにつきましては、一定のエビデンスに基づきまして治療法として推奨され、実際に医療の現場において広く使用され、治療効果も認められているような使用方法、いわゆる医学、薬学的に公知であるというような場合でございます。

 なお、現時点におきまして、イベルメクチンなどの承認外の適応外につきましては、用法、用量の問題、あるいは、異なっていること、あるいは安全性や有効性が確認されていないということを踏まえますと、これまでの解釈に照らしますと適正使用とは言えないというふうに考えているところでございます。

中島委員 イベルメクチンに関してというよりは、私は前回も、保険給付の対象になる。一方で、副作用の救済制度、これは、今事務方が説明しましたけれども、大臣にちゃんと説明しておかないと。例外はあるわけですよ。イベルメクチンに関してはと今答弁されましたが、ちゃんと、先ほども言ったように肝の部分です、東京都がイベルメクチンに関しては治験にも協力しています。そして、東京都医師会は、もし一月のような状況、現在でもそうですが、在宅患者さんにイベルメクチンを配付しようとして、要するに、あのような事態を絶対招いてはいけないということで、強く、その場合、医師の判断でありますが、免責を求めているというか、免責するべきだと私は思います。

 そういう観点で、資料の七枚目でございますが、今例外があると言った、これは平成二十九年の検討会での資料でありますが、双極性障害、ラモトリギンという薬、適応外で、その後、救済制度の対象となったものであります。今も少しお答えいただきましたが、医学的に知られており、不適正とまでは言えないということになっています。

 加えて、資料の八枚目でございますが、これはPMDAのウェブサイトに掲載されているQアンドAであります。適正な使用とは、原則的には医薬品等の容器あるいは添付文書に記載されている用法、用量及び使用上の注意に従って使用されることが基本となる、個別の事例については、現在の医学、薬学の学問水準に照らし、総合的な見地から判断されますと記述されています。

 また、資料の五枚目、これは厚生労働省のウェブサイトに掲載され、厚生労働省医薬・生活衛生局とクレジットをされております医薬品・医療機器等安全情報、ナンバー三百四十七でございまして、六枚目のページの赤線の部分でございますが、医薬品等の副作用によると疑われる健康被害が生じても、適正な使用ができなかった場合、救済制度による救済ができないことがありますが、の一方で、ここですね、適応外使用の場合であっても、ガイドラインに記載されているなど医療現場で広く知られるものは救済対象となる場合もありますと記述をされております。今参考人からも少し触れられておりましたけれども。

 そして、資料の一枚目から四枚目、いわゆる今回のCOVID―19に対する診療の手引、いわゆるここに示されているガイドラインに値するものだと思います。二枚目は、トシリズマブ、これはアクテムラですね。抗リウマチ剤アクテムラ、これもメイド・イン・ジャパンの薬。そして三枚目、ファビピラビル、これはアビガンですね。アビガン、これもメイド・イン・ジャパンの薬。そして、四枚目のその他の薬剤例というところにイベルメクチンも入っております。

 全部で十一種類がこの診療の手引に入っておるということで、先ほど、用法、用量のことも鑑みて、イベルメクチンは救済制度には対象になり得ないというようなお答えがありましたが、ここに示されている十一種類の中で、いわゆる安全性、先ほど冒頭にも言いましたが、イベルメクチンは、四十年間、年間三億人、科学的根拠、先ほど承認プロセスをすっ飛ばせと言っているわけではないと言いましたが、二十七の国、四十四の研究で研究成果が出ているわけです。しかも、菅総理が、イベルメクチンに関しては、我が国にとって極めて重要な薬で、最大限支援するという話をされているわけです。

 新型コロナウイルス感染症診療の手引に、今お示しした、記載されている医薬品のうち、既に別の適応症で、イベルメクチンも疥癬、糞線虫症で既に我が国で保険適用になっている。このような薬事承認されたものについては、本来の適応症に対する用量、用法であれば安全性が確認されておる。とするならば、医師が診療の手引記載の医薬品を本来の用法、イベルメクチンは、今回のコロナ、治験をやっているのは疥癬と同じ用量です。同じ用量で世界の各国からも有効性が報告されておるということでありますので、それと同じ用量、用法に従ってコロナ患者への適応外使用をしたような場合には、全く無計画な適応外使用とするのではなくて、ある程度の適正性が確保された使用と考えるべきではないかと私は考えます。

 コロナ禍という非常事態であって、特に軽症者向けの治療薬がない中で、このような適応外使用には、医薬品副作用健康被害救済制度の対象と認める余地が私はあるのではないか。

 加えて、医師による、先ほど言った東京都ですね、コロナ患者の命を救うための取組を支援するのが本来国の責任であって、万が一副作用により生じた患者の健康被害救済を広く認めるために、少なくとも対象とすることを全否定するのは、私は、いかがなものか。むしろ、イベルメクチンに関しては、繰り返しですが、安全性が確立されているわけでありますから、しゃくし定規にやる局面では私はない。幾ら正常の承認プロセスを踏んでも、我が国の過去の薬害、イレッサもそうだったかもしれませんが、安全性の問題が出てくる。

 そういうことを鑑みれば、積極的に対象に加える、菅総理の言葉をかりれば最大限支援していくと言っているわけですから、加えていくべきだと私は考えますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

鎌田政府参考人 先ほど来御指摘のありました救済制度についての可能性とか、適正な使用ではないかという御指摘でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、適正な使用とは、用法、用量、使用上の注意に従った使用を基本といたしまして、個別の事例について、現在の医学、薬学の学問水準に照らしまして総合的な見地から判断しておりますし、先ほど申し上げましたように、医学、薬学的に公知の考え方と申しますのは、海外で承認されていること、あるいは、求められる効能、効果の科学的根拠が証明されていると同時に、その効能、効果が臨床現場で広く受け入れられることなども考慮されているところでございます。

 先生の資料にございましたラモトリギンにつきましては、まさに資料の下の方に書いてございますように、効果が医学、薬学的に知られており、不適正とまで言えないという判断をされたということでございまして、具体的には、学会などで使い方などにつきましても詳細に定められるとか、そういったガイドラインがあったということでございます。

 他方、イベルメクチンの研究開発の支援でございますが、御案内のとおり、AMEDの研究費で四億円強の研究予算を支援しておりますし、さらに、治験におきましても、やりやすいようなやり方については、医師主導治験を担当する医師と相談しながら進めているところでございます。

中島委員 大臣に答弁を求めたんですよ。これは、事務方はそう答えるしかないんです、ないんだと思います。

 救済制度に関して、先ほども言いましたが、東京都医師会は腹をくくって、自宅で、薬も出されない、医者にも診られない、その途中経過の中で亡くなるような方が二度と出てはいけない。ましてや、私も対応しましたが、やはり、今回の新型コロナウイルス感染症、この局面を変えていくためには、冒頭にも言いましたが、我が国は医療先進国として培ってきたわけですから、これでワクチンも治療薬も周回遅れ、これでは医療先進国とは言えませんよ。

 そして、菅総理が最大限支援すると言いながら、前回、具体的なことも残念ながら示されませんでした。

 我々は、特例承認の特例、我が国で万が一ウイルスが発生して、海外に頼っている場合ではありません。万が一、変異株も含めて、今回は武漢発祥ということですが、そういう場合のことも想定しながら、特例承認の特例、若しくは既存薬の承認プロセスの迅速化を図るための特例規定、こういった法改正を議員立法で考えております。

 むしろ、私たちは、菅総理が応援するつもりで、だってそう言っているわけですから、最大限支援すると。そういったものを用意しておりますので、是非、菅総理の意思を厚労省がやらないというなら我々がお示ししますので、是非その際には間違いなく受け止めていただけると確信をしておりますが、大臣、一言お願いいたします。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

田村国務大臣 このイベルメクチンは、御承知のとおり、まだ評価が定まっていないという中で、今、医師主導治験でやっていただいております。

 安全性のことをおっしゃられますけれども、そもそも、用量どうだというのは、それは医師の御判断でやられるわけでありまして、医師主導治験は別にいたしまして、適応外使用というものはそういうものです。

 ですから、今までの用量で仮に三億人大丈夫でも、オーストラリアの研究所の中でのいろいろな試験においては百倍ぐらいを使ったというような事例も去年四月に出てきておるわけでありまして、そういう意味では、安全性というものは十分確認できているかどうか分からないということ。

 それから、有効性自体に関しては、先ほども申し上げました、まだ評価が定まっていない。もちろん、効いているというような、そういう研究機関もあれば、効果がなかったと言っているところもあります。ですから、今、医師主導治験をやっていただいているということ。

 それから、救済制度は、基本的に製薬メーカーが資金を出していただいておりますので、そういう意味では、公知、まず効くであろうということがいろいろと社会の中また医療関係者の中で認識として十分にお持ちいただいているというものが対象で、特例という話を先ほど局長がしました。

 更に申し上げれば、特例承認の話もありましたが、特例承認は、御承知のとおり、海外で承認されている、日本と同等の言うなれば薬事当局を持っているような、そういうような国で要するに承認されているものに対して日本の中において特例でやるわけでありますので、そういうことも御理解をいただきながら、医薬品の安全性と有効性というものをしっかりと我々は審査させていただきたいというふうに思っております。

中島委員 もう終わりますけれども、だったら、こんな診療の手引で、こうやって薬、そして大臣は、使ってもいい、使えます使えますと言っておいて、でも、使った後は、後はそっちの責任でやってくださいなんていうことは、本来、東京都が腹をくくってやっているわけですから、それを支援して、そして免責を担保するのが国の責任だということを強く申し上げて、質問を終わります。

とかしき委員長 次に、安藤高夫君。

安藤(高)委員 自由民主党の安藤高夫でございます。

 本日は、質問の機会、ありがとうございます。

 まず最初に、今回の法案における議論のベースとなっておりますコロナの支援策についての質問をさせていただきまして、その後、それを踏まえて今回の法案についての質問をさせていただきたいと思います。

 では、第一問ですけれども、クラスターの支援の問題でございます。

 全国的に病院におけるクラスターが頻発しておりまして、都内においても、都内は大体六百五十病院ぐらいありますが、そのうち何と百四十病院がクラスターを起こしている。この二、三日でも、二病院ぐらい、また増えました。クラスターは今や全ての病院において他人事ではない、そう思っています。クラスターが発生すると、保健所より一定期間新規の入院を止めなければならないというような命令が来ます。そうしますと、病院の経営としても非常に大きな打撃を被ります。

 クラスターが発生した病院に対する支援策としては、ゾーニング等をしながらコロナの患者さんの入院をさせる場合、重点医療機関とみなして、これに関しては支援金の対象になったことに関しては、非常にこれは評価できると思っています。しかし一方、複数の病棟にわたってクラスターが発生した場合、要するに様々な病棟で陽性の患者さんが出てしまった場合、これは支援金では大変難しい、厳しい実態もあるようです。

 それで、私の方で、クラスターが発生した病院さんに対して、申し訳ないんですけれども、ちょっと何病院か電話をして、実際どれぐらい厳しいのかということを聞いてみました。

 そのところ、大規模な急性期病院においては、一か月当たり九億五千万です、約十億円。これは一か月じゃ済まないですから、早くても三か月ぐらいは入院を止めなければいけませんから、そうすると、三か月だと三十億円。この時点でもう病院の経営はアウトになってしまうような状況だと思います。次に、ある中規模のリハビリテーション病院においては、一か月当たり一億円。ある大型の慢性期の病院でも一か月当たりやはり一億円の損失が出るということで、大変厳しい状況に見えてきます。

 今後、第四波を想定していかなければならない中で、コロナ患者さんを受け入れていない病院についても、ポストコロナの患者さんの受入れとか、コロナ患者の受入れ病床の設定に、勇気を持って積極的に取り組んでいかなければならないと思っています。そういうことも含めて、今後もクラスターが発生した場合に、しっかりとした支援が必要ではないか、そして、自信を持ってコロナの患者さんを受け入れるというような体制づくりが必要ではないかと思っています。

 今後の方針について、厚生労働省の見解をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

山本副大臣 新型コロナ患者を受け入れる医療機関が、そのことによって損失を被ることがないように、しっかりと支援をしていくことが大変重要であると考えている次第でございます。

 医療機関の前年度からの減少額、これを試算をしますと、昨年四月から十二月までの九か月間で、全体で一・三兆円の減収でございます。

 これに対しまして、これまで、院内等での感染防止の対策に関します補助を含めまして、医療機関支援として四・六兆円の予算、これが計上されている次第でございます。クラスターが発生した場合には、一般の医療機関でも重点医療機関の病床確保料の補助対象とすることとしている次第でございます。

 また、労災給付の上乗せ補償を行う民間保険に加入する場合の保険料、これも一部補助することによりまして、手厚い支援、これを実施をしている次第でございます。

 また、診療報酬ということに関しましても、コロナ患者の診療についての大幅な引上げ、さらには、令和三年度予算案におきましても、特例的な対応ということで、外来診療また入院診療等の際の一定の加算、これも行うこととしている次第でございます。

 来年度におきましても、こうしたクラスターが発生した場合の支援、これを引き続き実施をしてまいりたいと思います。

 なお、これらの支援によりまして、新型コロナ患者を受け入れる医療機関が実質的に損失を被ることがないようにしておりますけれども、これらの支援を受けても、結果としてなお損失が生じた医療機関がある場合におきましては、どのような対応ができるか、これは引き続き検討してまいります。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 様々なメニューがあるのは大変すばらしいことと思っておりますけれども、さっきのように、大型のクラスターを起こしてしまった医療機関に関してはまたしっかりと支援をお願いしたいとともに、ポストコロナの患者さんを受けている病院にも更に支援をいただきたいと思っております。ありがとうございます。

 次に、二問目に行きますけれども、コロナの外来支援に関してです。

 これは一昨日、参議院の厚生労働委員会で自見はなこ先生も同様の質問をされたと聞いておりますけれども、先般、コロナウイルスとインフルエンザ対応ということで、外来診療への支援をする枠組みが整備されました。コロナとインフル、両方とも発生したら大変なことになるということの、その対応でございますけれども。

 一方、その支援の仕組みが三月三十一日で終了すると聞いております。この支援の仕組みは、インフルエンザの流行を抑えるのに有効であったとともに、それ以上に、地域の開業医におけるコロナ患者さんの抽出と初期治療へ大きく貢献をいたしました。

 私がちょっと聞いた話では、特に福井県、福井県の医師会長の池端会長に聞いたんですけれども、何と、びっくりしたんですけれども、初発の陽性者の全例が開業医によってピックアップされたということで、これは本当に偉大なことだと思っています。このようなケースも踏まえて、福井県医師会を始めとして幾つかの地域からも要望が出ています。

 今後、変異株の対応も地域の診療所等で行うことが必要になってくると考えておりますけれども、今後の外来診療における支援の枠組みについて、その予定も含めてお教えいただければ幸いです。よろしくお願いします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 新型コロナへの対応におきまして、発熱患者等の適切な相談、診療、検査が提供されるためにも、診療・検査医療機関の体制を確保すること、これは議員御指摘のとおり非常に重要だと考えております。

 御質問の中にありましたインフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業でございますけれども、昨年九月に、インフルエンザ流行の規模が予測できない中で、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行も想定をいたしまして、多数の発熱患者が生じても適切に検査を受けられるよう財政支援を実施をしたということでございますけれども、これも議員御指摘のとおり、例年のようなインフルエンザの流行は実際にはなく、流行の想定時期も過ぎていきつつあることから、この事業については予定どおり今年度末で終了するということでございます。

 その上ででございますけれども、各都道府県には次の感染拡大時に備えまして四月以降も現在の相談、外来診療体制を維持するようお願いいたしておりまして、第三次補正予算による診療・検査医療機関に対する感染拡大防止等の補助、これは今年度の未実行分もあるようでございますので、これについて来年度も活用するということとさせていただきたいと思っております。

 それから、診療報酬におきましても、診療・検査医療機関を含めまして、令和三年度予算案における特例的な対応といたしまして、外来診療等の際に一定の加算を算定できることといたしておりまして、これらによりまして、国民の皆様に必要な相談、外来診療体制を確保できるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 本当にこのインフル、コロナの仕組みが功を奏したと思いますけれども、様々な受入れには経費がかかりますので、今局長さんの方でお話がありましたけれども、様々なまた支援で、半額分でもいいですけれども、あれば非常に元気が出るというお話も聞いておりますので、よろしくお願いします。

 コロナの抑え込みという意味では、ワクチン接種についても非常に期待をされていますけれども、ワクチン接種の仕組みについてちょっと困ったことがありまして、例えば、大学病院を中心としている基本型の病院ですけれども、ある大学病院でワクチンが余った場合、地域の他の大学病院に流せないというような仕組みがございます。そうなると、ワクチンが無駄になって、効率的な接種ができないというような困ったことが起きております。

 もう一つ、また加えて、ワクチン接種の順番ですけれども、普通の順番だと、医療従事者が接種が完了してから次に行くわけですけれども、医療従事者の接種が完了していないうちに次の段階に行ってしまう逆転現象が起こりつつあるという懸念があります。例えば、四月から高齢者の施設でもワクチン接種が行われる予定ですけれども、そうした場合、まだ医療従事者、特にお医者さんがワクチン接種を終わっていないというような形で、逆転現象が起きていくことが想定されます。

 そのようなことがないように、これはある程度自治体において采配もあるようですけれども、当初とは異なった順番で現場が混乱する想定もありますので、是非とも方針に誤解がないようにお願いしたいと思っております。

 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。三問目、ここから法案についての質問をさせていただきたいと思っています。

 医師の働き方改革でございますけれども、これに関しては、地域の医療は大学病院からの医師の派遣によって支えられています。これは日勤帯とか、当直もそうですけれども。そして、この医師の働き方改革を進めることで、大学病院が地域の医師を引き揚げるのではないかというような懸念が現場から起きております。

 そこで、大学病院から医師の派遣を加味した連携B水準という枠組みが織り込まれていますが、これは大変評価することですけれども、そのことに関して、大学病院にその趣旨をしっかりと周知して、適切に指定申請をしていただくことが必要だと思っています。この制度が、枠組みが絵に描いた餅にならないように、どのように取り組んでいくのか、厚労省の方の見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 医師に対する時間外労働の上限規制の適用に伴いまして、大学病院等から医師の引揚げによって地域医療が崩壊することがあってはならないというふうに考えております。

 このため、地域で必要とされる医師の派遣が継続され、地域医療が守られるよう、議員御指摘の連携B水準というのを設定をいたしまして、大学病院等から医師の派遣について、地域医療提供体制の確保の観点から必要と認められる場合には、当該医師について、通算して年千八百六十時間の時間外・休日労働の上限を認めることといたしております。

 大学病院が地域医療を支える医師の派遣に重要な役割を担っていることを踏まえまして、大学病院において連携B水準の指定の申請が適切に行われますように、文部科学省や全国医学部長病院長会議などと連携をしながら、連携B水準の趣旨でありますとか内容等につきまして丁寧に周知をしてまいりたいというふうに考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。是非、全大学病院が連携B水準に手を挙げるように、よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、第四問目ですけれども、各医療関係職種の専門性の活用に関してです。

 医師じゃなくても行える行為をタスクシフトしていくことは非常に重要で、今後もしっかりと進めていく必要があると思っておりますけれども、しかし、現場では、まだまだ少ないのではないか、医師の仕事の三分の一ぐらい他の職種に渡してもいいのではないかという話も出ているように聞いております。

 これまでの取組をもっともっと大胆に進めるためにはどのようなお考えか、ちょっと厚労省にお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 議員御指摘のとおり、医師の労働時間の短縮を進めていくためには、他の医療専門職種へのタスクシフトあるいはタスクシェアの推進が重要でございまして、本法案におきましては、現行制度下でのタスクシフティングを最大限推進しつつ、多くの医療専門職種それぞれが自らの能力を生かしまして、より能動的に対応できる仕組みを整えるために、診療放射線技師などの四資格について改正を行いまして、業務範囲の拡大等を行うことといたしております。

 それから、現行法令上も実施可能なタスクシフト、タスクシェアを更に推進していく観点から、各職種が可能な業務の範囲の明確化を行うとともに、好事例について、そのプロセスや費用対効果も含めて収集、分析を行って、周知を図ることといたしております。

 それとともに、看護師の特定行為研修制度について、研修修了者を対象とした研究によりますと、医師や看護師の勤務時間の短縮等の効果が示されておりまして、こういった研究結果や現場での活用事例、これはシンポジウムでございますとかウェブサイトの場で周知をいたしております。

 それから、平成三十一年四月には、研修内容の見直しとカリキュラムの効率化により研修時間数の短縮を図るとともに、外科などの一定の領域でニーズの高い特定行為のパッケージ化、これを可能とするなどによりまして、受講しやすくするための制度改正を行ったところでございまして、こういった取組によりまして、直近一年間で特定行為研修修了者は前年比四八%増と急速に増加をいたしておりまして、今後更に、特定行為研修修了者の活動の効果に関する知見を更に周知をすることで、引き続き特定行為研修修了者の活用を推進してまいりたいと考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 特定看護師の活用というのは非常に重要だと思っております。特に急性期においては、結構基準がしっかりしています。慢性期においては、多少その基準をハードルを下げてもいいのではないかというような現場の意見もありますので、どうかまたそこら辺の検討もよろしくお願いしたいと思っています。

 アメリカでは、医師の卒後医学教育認可評議会と題しまして、ACGMEという仕組みがあります。これは私も、以前から、この仕組みを日本版のものをつくった方がいいのではないかと思っております。こういうのをつくることによって、医師の教育に大きな貢献をして、またこれは、最終的には働き方や労働の領域においても貢献するものと考えています。

 日本においても、このような海外の事例を参考にして、しっかりとした医療従事者の教育と、公正な医師の国家試験の実施、そして働き方が行えるように、これまで以上に力を入れて進めてほしいと思っております。

 では次に、五問目の質問ですけれども、これは地域の実情に応じた医療提供体制の確保というものでございます。

 現在、医療計画の記載事項に新興感染症を追加するということで、すなわち五疾病六事業にしようというものですけれども、これに関して、是非ともゾーニングの議論も進めてほしいと思っています。

 ゾーニングに関しては、医療関係の議員の先生方とも勉強会を行っているところでございますけれども、その中で、特に、新しく病院を建てる場合とそれからリニューアルの場合において、どのような基準を設けていくかが大きなポイントになってくると思います。

 例えば、新しく病院を造る場合は、これは職員の食堂とか休憩室、これが感染源になってクラスターを起こしておりましたけれども、この要件も重要であり、またさらに、既存の病院においては、パンデミック時にゾーニングが展開できるよう国からの支援も検討すべきだと考えております。

 この一つに関しては、厚労省ではゾーニングに対してどのような考えでいるのかということと、加えて、これからの仕組みを構築していく上で、公的・公立病院の医療機関だけでなくて民間医療機関においても検討されるべきではないか、これがいわゆるイコールフッティングの考え方ですけれども、それを含めて、厚生労働省の見解はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、ゾーニングの考え方でございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症対応におきまして、病床確保に当たりましては、感染している方と感染していない方ができる限り交わらないというようなことで、時間的、空間的な分離を行い、いわゆるゾーニングを行いつつ、これは既存の一般病床を活用することが有効だということが様々な知見から明らかになっております。

 今回の対応において得られたこのような知見を踏まえまして、今回提出させていただいております改正法案におきましては、新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、医療計画の記載事項に新興感染症等の対応を追記することといたしておるところでありますが、具体的な記載項目といたしまして、このゾーニングを始めといたしました感染防御対策の実施に配慮いたしました一般病床等の確保などの内容を定めることを想定をいたしておりまして、今後詳細な検討を進めていきたいと考えております。

 それから、都道府県が定める医療計画に基づきまして、公立・公的、民間の別でございますとか、それから新設、既存の別とか問わず、各医療機関等において実効的な取組を進められるよう、ゾーニングの取組状況を含めまして、今般の新型コロナ対応で得られた知見を整理あるいは周知するなど、必要な支援について検討していきたいと考えております。

安藤(高)委員 そのような計画があるということで、大変うれしく思っています。

 最後のゾーニングにおいては、エビデンスに基づいた建築設計のガイドラインとか、あとハード面の整備に対する補助というものが実際問題必要になってくると思いますので、また引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 では、最後の質問になりました。これも、地域の実情に応じた医療提供体制の確保ということでございます。

 医療計画に定める医療提供体制において、新興感染症に対応できる病床の確保が重要となってきます。今回のコロナにおいては、東京においては、第三波のときに、一月七日でしょうか、何と最大一日二千五百二十件を超えたということで大きなショックだったんですけれども、今後、万が一、これも東京都医師会の副会長の猪口正孝先生が言っていますけれども、もしかしたら、この二五二〇を超える可能性が非常に強くなっている、自分ではほぼ超えるんではないかというような確信を持っているぐらいの話をされるんですけれども、もしそのようになってしまった場合、重点医療機関が満員になってしまう。

 そうした場合、少しよくなった陽性患者さんも転院をさせることが必要になってくるんじゃないかということとともに、今ある退院基準を満たさない状態での患者さんの転院も検討する必要が出てくると思います。

 医療計画の中における新興感染症等の部分において、陽性患者そして陰性患者の転院についてどのように定めていくのか厚労省の見解をお伺いしたいとともに、また、感染症に対応できる病床の在り方について、今回のコロナの例を踏まえると、コロナ用の病床を拡大することはいいことなんですけれども、その代わり、一般の、普通の患者さんの診療にも影響してきてしまう、縮小になってしまう可能性があります。

 このことを踏まえて、既存の一般病床を感染症病床に効率的に切り替えることができるような病床の在り方が必要ではないか。すなわち、病床の拡大ではなくて、病床転化というような仕組みづくりも今後整えていく必要があるのではないかと考えておりますけれども、これに関して厚労省の御意見をお伺いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症の対応におきましては、医療機関の役割といたしまして、重症者に対応する高度な医療機関、それから中等症患者に対応する地域の中核的な医療機関、それから回復後の患者に対応する後方支援医療機関など、各病院がその機能に応じた役割を果たしていただいておりまして、これは委員御指摘のとおり、効率的に受入れ体制を確保するために医療機関の間の役割分担と連携が重要だという認識をいたしております。

 それから、先ほどの御答弁にも触れましたけれども、病床確保に当たりまして、感染防止のためのゾーニングの実施でございますとかマンパワーの配置の工夫によりまして既存の一般病床を活用することが有効であるということを、改めて知見として明らかになってございます。

 こうしたことを踏まえつつ、医療計画における具体的な記載項目といたしまして、新興感染症等の感染拡大時に病床の確保などを機動的に講じるためどのような対策が必要なのかということになりますけれども、受入れの候補となる医療機関を始めといたしまして、地域の医療機関における役割分担や患者の状態に応じた円滑な転院など、医療機関間の連携の在り方、それから感染症患者の受入れに活用しやすいゾーニングなどの実施に配慮いたしました一般病床の確保、こういったことを内容として定めることと想定をいたしておりまして、今後、こういったことを詳細に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 また、患者さんの搬送ということも非常に重要になってくると思います。今回のコロナの件、まだ終息しているわけではありませんけれども、しっかりと踏まえて、未来の新型の感染症にとっての対応をしていくべきだと思いますので、しっかりとまたそこのところをよろしくお願いしたいと思います。

 これで私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

とかしき委員長 この際、暫時休憩といたします。

    午前十時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十一分開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 この法案は、地域医療構想を税制面あるいは財政面で支援する、こういうような側面もある法案でございます。やはり、一番重要なのは、今回、本当に手痛い教訓を我が日本は得たと思うんですね。つまり、助かる命が助からない、入院すべき方が入院できないという事態が、一月含めて、我が、この近代国家日本で起こってしまった、それで命を落とした方を多く発生させてしまったというのは、これは、厚労委員会のメンバー全員のみならず、厚生労働省を含めて、やはり、全国会議員、当事者が大きな反省をしなきゃいけない。これは戦後でも非常に大きな出来事、痛恨の出来事が起こったというような、強い強い、やはり教訓をかみしめていかないといけない。

 今回、第四波も起こる可能性もあります。ということで、今回、医療構想ですね、地域医療構想。非常に私が気になりますのは、コロナの前の分析でそのまま突っ走っているということで、あれだけコロナの教訓で、公立・公的病院の位置づけが大変重かった、こういうことがあるにもかかわらず、いまだに、コロナの前に作られた四二四リスト、それがブラッシュアップされたんでしょう、ちょっと修正も含め、間違いも含めて、今は四百三十六医療機関のリスト、これは全て公的・公立病院、医療機関等でございまして、狙い撃ちじゃないでしょうか、公立あるいは公的医療機関を。何であの教訓が生かされていないのかということなんでございます。

 これは、さっき四二四リストと申し上げましたが、四二四リストから引いた、削除されたものと増えたもの、全てこれは公立・公的病院でございますが、十九病院増えたというふうに聞いておりますが、十九病院増やした、つまり、再検証リスト、リストラしなさいというような公立・公的病院の国が作ったリスト、十九病院増えましたが、その中で、コロナの受入れ可能病院というのは何病院ぐらいあるんですか。この十九病院の名前はマル秘になっているようでございますが、教えていただければと思います。

田村国務大臣 十九病院に関しましては、名前は公表していないというふうに存じておりますが、十九という数字はお示しをさせていただきました。

 この中で、新型コロナウイルス感染症患者受入れ可能な医療機関は十三病院であります。そのうち受入れ実績を有する医療機関は九病院。さらに、十九病院のうち感染症指定医療機関が四病院入っております。

長妻委員 これは、追加した十九病院でも、十三病院がコロナ受入れ可能じゃないですか。追加したうちの七割がコロナ受入れ可能病院ということで、しかも、四二四リストを公表したら大騒ぎになって、地方から反発を食らったから、今度は、それを改善した、ああ、改善はしていないですね、同じ基準で、凸凹、ミスも含めて修正した四三六リストは一切公表しないと。公表できないような再検証リストであれば、それは撤回する必要があるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 何で、追加した十九医療機関、公立・公的病院、七割がコロナ受入れ可能であるにもかかわらず、それをターゲットにしちゃうんですかね。これはちょっと信じられないわけでございます。

 厚労省にはちょっと、ずっと既定の、既存の固定観念があるんじゃないかということで心配しているんですが、つまり、民間病院が日本の医療は優先なんだ、あくまで民間病院がまず主役で、それに補完するのが公的・公立病院だ、足らざるところを補うのが公立・公的病院だ、こういう意識がまだ非常に強いんじゃないかと思います。

 現に、今回、四三六リスト、四三六病院のリストは全て公立・公的病院であるということなんですが、これは田村大臣にお伺いするんですが、私は民間だって再編が必要なところはいっぱいあると思いますよ。何で民間のこういうリスト、再編をしてくださいというリストを作らないんですか。民間もいずれは作るんですか。

田村国務大臣 元々、新公立病院改革ガイドラインでありますとか骨太の基本方針で、民間の代替できないところ、これをしっかり担っていただこうと。例えば、災害でありますとか救急のような不採算部門でありますとか、特殊部門、専門的なものでありますとか、こういうものに関して、やはり主に公的・公立病院は担っていただこうという基本的考え方があるのは事実であります。

 その上で、公立・公的病院、名前が挙がったところと。これは初め名前を挙げたんですが、なぜその後名前を挙げなかったかというと、名前を挙げる必要がなかったから。にもかかわらず名前を全国的に公表したものでありますから、これに関しては、そうあるべきではないということで、そこに、その地域に伝わればいいだけの話なので、地域医療構想ですから、そういうことにしたんですけれども。

 そもそも、全部なくなるわけではなくて、急性期の病床がその中で若干なくなるということでございますので、何か医療機関がなくなるというようなことはないということはどうか御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、民間の方にも、実績の方はちゃんとお渡しをいたしておりまして、それを基に要は地域医療構想を各都道府県、二次医療圏内でお作りをいただいているわけでありまして、公的医療機関のみならず民間も、その病床の利用がどういう状況であるか、そういうことを含めて、いろいろと再編に向かって御協力をいただく、御努力をいただく、こういうことでございますから、公的医療機関の情報、それから民間医療機関の情報、こういうものを踏まえて、協議会の方で御議論をいただいておるということであります。

長妻委員 長々と答弁されましたけれども、全然答えていないじゃないですか。(田村国務大臣「答えているじゃない」と呼ぶ)答えていないじゃないですか。何で民間が入っていないんだということなんですよ。

 この経緯、皆さん御存じですかね。田村大臣はよく御存じだと思いますが、地域医療構想は、まず、二〇一七年の三月に策定が済んだんですね。策定しました、都道府県で。その構想に基づいて、全国に地域医療構想調整会議というのが設置されました。大体三百三十九会議あります。そこで相当医療機関を巻き込んで議論したんですよ、どういうふうに再編するのか、どういうふうに役割、機能強化をするのかと。これは再編だけじゃないですからね。財務省は過剰な病床の適正化、適正化と言っていますが、それだけじゃないんですね、今回の目標は。それプラス、切れ目のない提供体制の構築と、二つなんですよ、目標は。地方自治体は真面目に調整会議で議論した。それで提出をして、それが二〇一八年の末頃、結論が出たわけですよ、ほとんどの調整会議で。

 ところが、予期しないことが起こったんですね。どういうことかというと、厚生労働省がそれをひっくり返した、駄目だと。私は後ろにいろんな団体の存在があったと思うんですが、駄目だとひっくり返して、再検証しなさいということで、それで四二四リストが出たわけですよ。

 さっき、田村大臣、十九病院は公表する必要はない、地域が分かっていればいいんだと。じゃ、何で四二四病院は公表しちゃったんですか。地域が分かっていればいいんでしょう。何か矛盾がありますよね。

 だから、私が聞きたいのは、質問に的確に答えていただきたいんですが、これは別に、公立を狙い撃ちしちゃ駄目なんですよ。もしやるのであれば、民間。そうすると、民間の再検証リスト、こういうのもいずれ出すんですか、出さないんですか。

田村国務大臣 民間も診療の実績等々は各都道府県に出しておりまして、それも踏まえて、それももし各都道府県に情報開示のあれがあれば各都道府県の責任において開示はされるんだと思いますが、それは出しております。

 それから、これは諮問会議の方で御議論をいただいた中において、十分にまだこれでは言うなれば再編に向かって疑義があるのではないかという御指摘をいただいて、結果的にはこういうものを出しましたが、当初、名前を公表したということで大変お叱りをいただきました。橋本副大臣がたしか全国におわびに回られたというふうに記憶いたしておりますが、我々、実は当時、与党の、私は大臣じゃなかったんですけれども、それに対して、やはり、名前まで全国的に出す必要はないんじゃないか、その都道府県で分かっていればいい話であるので、都道府県の内においてそういう議論をなされるべきであって、全国的に開示する必要はないということでございましたので、与党からも疑義が出まして、結果的に、次に向かって、今回は名前を出さなかったということであります。

長妻委員 全然答えていないんですね、質問に。(発言する者あり)いや、答えていないですよ、これ。与党、何を言っているんですか。

 いや、答えていないんだ。何で、再検証リスト、自治体病院だけ、つまり公立・公的病院だけなんだというふうに聞いているわけです。そういうのを、リストを出したと言いますけれども、それはデータですよ。再検証ということで位置づけたものじゃないですよ、民間のは。ターゲットにして、この四百三十六公立・公的病院のリストを出して、もう一回、不十分だからちゃんとやれというふうな指示を、なぜ公立・公的病院だけにするのかということなんですね。

 さっき、骨太の方針の話がありました、経済財政諮問会議。これで、八ページ、配付資料ですけれども、二〇一五年比で二〇二五年は急性期のベッドを三割削減すると。この計画は今も生きているんですね。どうですか。

田村国務大臣 まず、初めに申し上げましたけれども、基本的な考え方として、民間で代替できないような必要性のあるもの、これに関しては公的の医療機関に担っていただくという前提があります。ですから、そのようなものをお出しをさせていただいておりますが、後段の話に入りますけれども、その上で、何でしたっけ、ちょっと申し訳ない。三割削減、ごめんなさい。(長妻委員「ひどいな。余計なことを言うからです。初めから答えればいい」と呼ぶ)済みません。

 三割削減の話でありますけれども、これは御承知のとおり、まず、人口構成、構造が変わります。人口がまず減っていくのと、高齢者が一定程度その中において割合を示す、その中において、当然、急性期というものが一定程度必要なくなっていく。その代わりに、高齢者が増えますから、回復期のベッドが必要である。先ほど切れ目のないと言われたのは、そういうことなんです。

 その意味からいたしますと、一定程度これは、レセプトデータ、ナショナルデータベース、NDBデータ等々、それから病床のいろんな利用量、利用率みたいなものをしっかりとデータを、病床報告を各自治体からいただいた上で、各都道府県が出されたものを集計して三割減という形になっておりますので、それは基本として今回も継続しておりますけれども、改めて申し上げますけれども、その上で、今、再検証いただいておりますので、それぞれの二次医療圏ごとの御議論をいただいて、都道府県でまとめていただいてお出しをいただくということであります。

長妻委員 いやいや、だから、再検証してまとめて、二〇一八年の末に結論が出たんですよ、地方の調整会議で。駄目だとひっくり返したんじゃないですか、厚生労働省が。まあ、いろんな団体があったと思います、裏に。

 今おっしゃったように、地方自治体から三割カットの要請、資料が上がってきたというのは、これは人口比で、単純な機械的計算で上がってきただけで、地方自治体からは、調整会議で二〇一八年末頃、三割なんて上がってきていないですよ。だからけしからぬということです。

 つまり、この骨太会議の結論ありきで地方にやれというふうに言っているその押しつけが、コロナの今回大きな教訓があった後にも変わらずに、暴走列車が止まらない、こういう状況だと私は心配をしております。

 例えば、再編、リストラリストに出ている四百三十六の公的・公立病院で、ちょっと見ると、例えば診療の実績が少ない、一定以下ですね、それと類似、近所に、近くに同じような診療科がある、近くの定義は全国一律で車で二十分なんですよ、車で二十分。

 ところが、私も知事さんといろいろ話しました、自治体の方とも話しました。例えば、北海道と新潟は、普通のときは車で二十分だけれども、雪が降ったら二十分で行けない、こんな一律でやるのはおかしいんじゃないかと。こういうような意見も出ているんですよ。どう思います、それは。

田村国務大臣 検討資料としてはお渡ししましたけれども、そのままこれをお決めいただくのではなくて、今ほど来委員もおっしゃられました、コロナ禍という状況もございます。次に向かって、コロナが仮に収まったとしても、新興感染症の再び大拡大があるかも分かりません。そういうことも踏まえた上で、次に向かってこれをお出しいただくということであるわけでございますし。

 一方で、人口構成が変われば、ベッドを持っていれば、その医療機関は逆に経営上厳しくなるという現状があることも御理解をいただく中において、そこで適切に良質な医療が提供できるのは、その地域においてどのような病床の配分をしていくのか、それぞれ種類において、そういうことも踏まえてお考えをいただくということで、今検討をいただいておるわけであります。

長妻委員 これは与党の方もちょっとだまされちゃ駄目ですよ。

 単なる目安のリストじゃないんですよ。目安のリストならいいですよ、こういうリストありますよ、参考にしてくれと。そうじゃないんですよ、経緯を見ると。

 政府はそういう説明をしているんですよ、いやいや、これは別に守らなくてもいいんですよと、外ではですね。ところが、自治体に対してはそうじゃない。つまり、これは再編要請リストになっちゃっているわけですよ、過去の経緯を見ると。実際そうですよ。

 それで、この四百三十六リストを分析しますと、コロナ受入れ可能な病院が六割もあるんですね。もっと言えば、公立病院というのはどういう役割を果たしたかというのはもう田村大臣もよく御存じだと思いますが、全国のこのリスト以外も含めた公立、公的、民間病院というのを分けると、コロナ受入れ可能な病院は、公立全体の七割、公的病院の八割。ところが、民間はいろんな事情はありますけれども二割なんですよ。ほとんどの病院が実際に受入れ実績があるということで、構想区域人口の十万人未満が、公立・公的病院は八割なんですね、受入れ可能なところが。

 つまり、大臣も今いみじくもおっしゃいました、民間の代替ですと。代替機能が公立・公的病院。私、その発想をちょっと一旦よく考えた方がいいと思います、その発想を続けるのを。本当に代替なのかと。

 過去の経緯、もうよく御存じだと思いますが、一九五九年、厚生労働省が医療保障委員会というところで最終答申を出しました、我が日本の医療の体制を決める最終答申。これは、欧米諸国の例を見るに、病院の主力は公的医療機関が占めている、公的な資本による医療への要請が強くなっているということで、公的医療機関への期待を膨らませて、公的医療機関をもっと増やさなきゃいかぬという国の方針が決まったんですよ。

 ところが、その後、ある医師会、日本医師会の大物の方が医師会長になって、すさまじい政治力があって、一九六三年の医療制度調査会の最終答申でそれがひっくり返されて、公的・公立じゃない、民間が主体なんだ、こういう方針に大きく転換したということが現状としてあって、それが今も脈々と、私は別に批判するつもりはありませんが、当時はそういう判断も是とされたんでしょう。

 ただ、今、今回コロナの状況を見て、ヨーロッパ各国に比べて圧倒的に公的・公立病院が少ないんですよ、比率が。それでガバナンスがなかなかできないという大きな問題が起こったわけじゃないですか。

 それにもかかわらず、この方針を撤回しないと。四三六リストは、コロナの実績が全く、全く反映をされておりませんし、あるいは在宅介護との接続機能、これも全く反映されていませんし。

 知事さんともいろいろ話すと、今回いろいろ見えてきたと。例えば介護が必要な認知症の方がコロナになったときに、これは急性期のベッドの中に入院しても、そこで介護を、ノウハウを持った看護師さんもいないと、受入れが。慢性期のベッドならあるんだけれども。つまり、急性期であり慢性期である、そういうような、コロナで急性期なんだけれども、ただ、慢性期的な、介護の機能を持った急性期のベッドや病床が必要なんだ、こういう評価もしてほしいという意見も、直接知事さんから私も話を聞いたりしていますので。

 ですから、こういう単純な、コロナの前の基準で分けた四三六リスト、これは撤回していただかないと、この法案の審議というのはできないですよ。これを前提にこの法律を通せといったって、私は、ちょっとこれは、今後の日本の危機管理対応医療、責任を持てないですよ。撤回してくれませんか。

田村国務大臣 これは先ほど申し上げましたが、NDBのデータですね、これと、それから病床報告、それから将来に向かっての人口の推計、こういうものから医療の需要量というものを出していって、必要なものはこうであるというのを機械的に出したものであります。でありますから、あくまでも参考資料でございますので、このとおりやっていただかなきゃならないというものではないということはもう何度も申し上げておるわけで、そこにコロナ禍のことも含めて考えていただいてお出しをいただきたいということでございますので、委員の言われているように、これじゃなきゃいけないということを申し上げているわけではない、あくまでも参考資料だというふうに御理解いただければありがたいと思います。

長妻委員 今のは本当に建前ですよ。これは気をつけなきゃいけないんですけれども。

 違うんですよ。だから、一回結論が出たけれども、駄目だということでこのリストが出てきて、さっき冒頭質問しましたけれども、急性期のベッド三割削減の方針は変わっていないんですよ。そのターゲットに公的・公立病院がなっているということなんで。私も、全く全否定しません、再編を全否定しませんよ。日本は、確かにベッド数が多過ぎる。これは私も認めます、いろんな理由がありますけれども。それはいろいろな機能強化、選択と集中をしなきゃいけない、それは思いますが。

 ただ、コロナの実績をきちっと見た後に、そういうリストを作るなら作って、民間と一緒に合わせたリストを作って国のガイドラインを示してもいいと思いますよ。ただ、今コロナのさなか、しかもコロナが全く反映されていないリストで三割削減しろ、どうだと。これは余りにもひどいんじゃないですか。

 今回の法案はあめですよ。税制の優遇とか補助金をつけるからどんどんやってねと。あめだけ方針が間違っているのに、この国会で審議しろというのは余りに失礼じゃないかと。非常に強く大臣には抗議をして、これは撤回しないといけないと思いますよ、コロナの後に作り直さないと。これを強く申し上げます。お願いしますよ、本当に。命が懸かっていますからね。

 次に参りますが、もう一つ、同じような医療の関係ですけれども、配付資料の一枚目ですね、これはコロナ室に作っていただいたんですが、実際の療養者数、政府が見積もったものが大きく外れてしまったと。東京では実際、見積りの三倍、首都圏ですね、ほとんど三倍を超えています。大体三倍ぐらい。千葉は三倍を超えました。

 田村大臣、何でこんないいかげんな療養者数、最大療養者数を出してしまったのか。これは改善して、田村大臣に質問は、今後、第四波を見据えて最大療養者数、これを出すおつもりというのはありませんか、もうちょっと正しい数字として。

田村国務大臣 三月から五月の昨年の感染の実績からこういうような推計をして、これを秋口、夏から秋に向かって、各自治体からいただいたデータで整備してくださいということにいたしました。

 やはり、秋冬といいますか冬場の感染拡大というのは、これは北半球は、ヨーロッパでも、御承知のとおり、ちょっと春先とは比べ物にならないスピード、量と数という形でありまして、これは我々も素直に反省して、元々こういう飛沫系の感染症は、確かに冬場は感染拡大するリスクというものは言われていたわけであります。これは世界的に、我々も状況を見ながら、つまり、今般のヨーロッパ等々の拡大の状況も見ながら、次に向かって、五月中にこれを見直すということで今やっていますが、五月中だと間に合わない可能性もあるかも分かりません、いつ何どき、何が起こるか分かりませんので。四月にも、また感染拡大、これは起こさないように我々は最大限努力しますけれども、まさかのことも考えた上で、ダブルトラックで各都道府県には医療提供体制の整備をお願いをいたしております。

長妻委員 最悪の見積りというのは本当に最悪にしてもらわないと。最悪の見積りを楽観的な前提を置いちゃったんですよ、はっきり言えば。そういうことはもうやめていただきたい。本当に最悪のものを出していただきたいと思います。

 次に、心配な変異株でございますが、年代別の、大体十歳に区切って、どれだけの比率で感染があるのかということで、厚労省に調べていただきましたけれども、変異ウイルスは、今までの通常のコロナ全体に比べると、例えば十歳未満の占める比率は何倍ぐらい違うんですか。

田村国務大臣 令和三年三月十七日時点ですけれども、新型コロナウイルス陽性者のうち十歳未満が占める割合、これは二・九%でありました。一方で、三月十六日時点の変異株の確認数においては、十歳未満が占める割合は一四・六%と、非常に多く見えますが、一方で、数が少ない中で、子供のコミュニティーでのクラスター、これが起こっておりまして、そういう中での確認事例も多いので、一概に、これをもってして子供の方が感染力があるとかということは、まだ評価を世界的にされているわけではありませんが、事実の数字としてはそういう数字であります。

長妻委員 この三ページにありますが、これを見ると五倍も高いじゃないですか。変異株は非常に、年代を十歳で区切ると、一番高いのが四十代の一六・五%。その次に十歳未満が高い、一四・六%。これはちゃんと、まだ分かりません、分析していませんじゃなくて、本当に感染力が強いのか。あるいは発症率、あるいは致死率、いろいろ言われていますから。

 十六歳未満のワクチンはないんでしょう、これ。接種しないんでしょう。大丈夫なんですか。大丈夫なんですかね。(田村国務大臣「世界的にないんですよ」と呼ぶ)いや、世界がそうだからそうだといって、日本じゃないですか。危機管理をちゃんとしていただきたい。いかがですか、十六歳未満のワクチン。

田村国務大臣 世界的に、十六歳未満に接種というものが認められているワクチンがないわけでありまして、そういう意味では、今いろんなところでそういうことをやっているというのは報道では聞いておりますけれども、しっかりと情報収集しながら、十六歳未満のワクチン、接種ができるワクチンが承認されれば、それは我々といたしましてもどうすべきかというのは真剣に考えてまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 これは先手を打って、国産のワクチンで、やはり十六歳未満で接種の治験をするとか、そういう、日本は出遅れているわけですから、ここでやはり、役割分担じゃないですけれども、ちゃんとその存在意義を示さないといけないと思いますよ。世界がそうだからそうなんだというんじゃなくて。

 それで、四ページ。これをちょっと作っていただきまして、これも気になるんですが、アナフィラキシーの副反応でございますけれども、これは、当然、専門家のブライトン分類、世界的なブライトン分類の一、二、三に分類されたものがアナフィラキシーだと日本国ではなっているようでございますので、その分類におけるアナフィラキシーを調べていただきましたら、それでも、米国も同じ分類です、相当高いんですよ。十倍以上なんですよ。

 これは、田村大臣、大丈夫なんですかね。どういう対応を今後いたしますか。

田村国務大臣 国産でということでありますが、国産のワクチンは今、四つ、五つ走っておりますので、この開発を何とか早めていただくように我々も支援していきたいと思いますが、日本の国で治験ができない、ヨーロッパに比べて感染が圧倒的に少ないわけでありまして、そこが最大、やはりちょっと難しいところであります。海外で日本のワクチンが治験できる環境というものもある程度整えなきゃならぬというような課題はあるというふうに思います、感染が多い国ですね。

 その上で、今言われた、これは審議会でお諮りをいたしました、結果、言われるとおり、ブライトン分類でやっても、三月九日まで、これで十万七千五百五十八回接種で、ブライトン分類で分類して、事例七ということで、百万分の六十五という数字であります。

 これは、一般的に今まで言われていたアメリカのワクチン、イギリス等々ですと百万分の五だとか二十という数字が出ておりますので高く見えるんですが、一方で、最近米国で公表された文献では、同じ医療従事者、これに打った、今、日本は医療従事者でありますから、その結果でいいますと、アメリカは百万回当たり二百七十回、同じブライトン分類であります、こういう数字が出てきておりまして、審議会の評価では、発生率等々、日本の方が低いんですが、同程度であるというような御評価をいただいております。

 いずれにいたしましても、これからも注視して、我々としては、しっかりと確認した上で国民の皆さんに情報をお伝えをさせていただきたいと思っております。

長妻委員 いや、この四ページ目は厚労省に作っていただいた資料なんですよ。これで十倍あるというのはちゃんと分析をしていただきたい、今度の金曜日もあると思います。

 最後に大臣に申し上げたいのは、解除してしまいましたね、緊急事態宣言をこの前の日曜日に。私は、東京選出の国会議員として大変心配です。解除すべきじゃなかったと思います。十一日間連続で一週間の平均が前の週の一週間より伸びたんですよ。増えているんですよ、どんどん新規感染者が。それで、年度末、年始で、お花見とか歓送迎会、相当人が出ている。これは私は、大変なことにならなければいいなと。何でここで解除してしまったのか、大臣が体を張って止めなかったのか、私は不思議でたまりません。

 大臣、これは政治責任は取れるんですか。もし相当な第四波が起こって、感染が拡大をして、ワクチンが行き渡らない前に大きな波が起こった、そしてまた、病院で入院できない方がたくさん大量に発生すると、これは政治責任は取れますか、大臣。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、どうかおまとめをよろしくお願いいたします。

田村国務大臣 ヨーロッパも、何度も、ロックダウンして、解除して、またロックダウン。これはまた、ドイツもそうであります、フランス、イタリア。イギリスは今、若干収まっておりますけれども。それぐらい厄介な疾病であることは間違いありません。

 一方で、基準を示して、専門家の方々からこれをクリアすれば解除。それは、私権を制限するわけですから、国民の皆様方も。本来やっちゃいけないことをやっているわけで。ですから、専門家の方々にちゃんと評価をいただいて、今回、諮問委員会でも、諮問会議でも、皆さんが解除致し方がないだろうということで、解除いただきました。

 次、なるべく感染拡大しないように、我々、最大限の努力を五つの柱でやりますが、当然、感染が拡大局面に入ってきて、このままではということになれば、蔓延防止措置もやりますけれども、場合によっては、また緊急事態宣言もやって抑える。

 この疾病というのは、そうやって、国民の皆さんの生活、これを守りながら、時には私権の制限をかけて感染を防いでいく、こういう疾病でございますので、我々としては、国民の皆様方の生命、健康を守れるよう、しっかり努力してまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 つらいことをお願いするのが、本当に誠意を込めてお願いするのが政府の役割だと思いますし、諮問会議で反対がなかったと。私、先生方に聞きました、諮問会議の。それは、方針はもう解除だ、それで御意見はありますかという聞き方だったということなんですよ。そうじゃなくて、白紙の段階で是非専門家の意見も聞いて、今後見直しをしていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣以下政務の皆さん、よろしくお願いします。

 それから、今日は、手前ども野党の方から提案をさせていただいております新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案の提案者にも御答弁をいただこうということで、御参加をいただいております。よろしくお願いを申し上げます。

 今、最後の部分でも議論になりましたけれども、緊急事態宣言が解除されて、桜も満開に近く、大変な人出のようでございます。感染をいかにしてコントロールしていくのかということは本当に難しい問題であろうというふうに思いますが、いずれにせよ、医療あるいは介護等に携わる皆様方の物理的負担あるいは心理的負担というのは大変なものがあるだろうというふうに、これまでもそうだし、これからも変異株などの流行によって更に大変になるのではないかということが容易に想定をされるわけです。

 医療、介護の関係者、エッセンシャルワーカーに感謝しますよ、敬意を表しますよとみんな言うけれども、でも、委員長、私は思うんですけれども、プロを評価するのはお金なんですよね、お金。プロの評価というのはお金なんですよ。

 そういう皆さんにちゃんと、ありがとうねとお金を渡す、給付する、支援するというのが本来あるべき態度で、言葉だけで頑張ってね、感謝しているよと、戦争中の欲しがりません勝つまではみたいな話をいつまでやっているんですかということで、私ども野党から、この慰労金、私は感謝手当と言っていいと思うんですけれども、の支給のための法律案というのを提案させていただいたわけでございます。

 そこで、今日、提案者の山井議員にも御参画をいただいておりますが、この立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の共同提案によるコロナ対応医療従事者等慰労金法案について、この法案の中では、子育て施設で働かれていらっしゃる皆さんにも慰労金を支給するというふうに記載してございます。これはなぜなのかということを教えていただきたいと思います。

山井議員 川内委員にお答えをいたします。

 冒頭、川内委員がおっしゃいましたように、慰労金が一度出て、現場の方々から大変好評でありました。しかし、第二波、第三波が来ているにもかかわらず、二回目の慰労金は出ておりません。

 その意味では、医療従事者を中心に、コロナ対応の方には是非とも二十万円の慰労金を支給をすべきだと考えておりますし、また、今御指摘いただきましたように、大きな問題点は、一度目は医療従事者、介護従事者、そして障害福祉従事者に出た、全職員の方に五万円出たわけですけれども、その中で、子育て支援施設、例えば保育園やそして学童保育などには出なかったわけですね。

 私の手元に、昨年六月一日の全国社会福祉協議会からの、清家会長を先頭に、緊急要望、昨年六月一日です、この中で、全保育士等に慰労金の支給をしてくださいという要望書が出ております。ここに、読み上げますが、保育所、児童福祉施設が対象外とされたことに関して、関係者は驚愕と強い憤りを感じています。全国社会福祉協議会が驚愕と強い憤りを感じているなんて、こんなことを全社協が出したのは前代未聞です。それだけ介護や医療、障害者福祉に比べて保育が後回しになってしまっているということは、これはあってはならないことだと思います。

 さらに、先ほど長妻委員からも話がありましたように、変異種などは、約五倍、お子さんたちに感染力が高いんではないかというふうに言われております。そういう中で、今回、保育園、こども園、そして学童保育の方々にも、是非とも全保育士さんに五万円の慰労金を出していただきたい。

 これは与野党関係なく、繰り返し言いますが、障害医療そして介護があって、なぜ子育て支援の方々が、これだけ懸命に一年間も取り組まれているにもかかわらず慰労金が出ないのか。これは一歩間違うと、子育て支援政策、子育て現場をいかに日本の政府、国が軽視しているかということにもなりかねませんので、これは与党の方々も賛成してもらえると思いますので、是非一緒に実現できればと思います。よろしくお願いいたします。

川内委員 田村大臣、昨日、令和二年度予算の予備費を使って子育て世帯に対する給付金を支給するよ、その他も、旅行、観光等に対する支援をしていこうねということで政府が決定をされて、それは私どもも要望をしていたことですから、大変高い評価をしたいというふうに思います。

 他方で、今、山井議員から答弁があったように、昨年のある一定の時期までの慰労金については支給をされている。しかし、第二波、第三波、そして、これから心配される第四波、医療従事者の方々も本当に、介護もそうだし、子育て施設もそうですけれども、大変な思いをしながらエッセンシャルワークをしていらっしゃるという中において、去年、冬のボーナスが減りましたよ、あるいはもらえませんでしたよという方々もそういう中にいらっしゃるということで、これは、予備費が令和二年度予算はあと五千億ほどまだ使い残しがあるやに聞いております。多分、ちょうどこれは五千億ぐらいの予算になるのではないかというふうに思いますが、予備費のコロナ対策への使用という意味においてみんな一致していると思うんです。みんながこれをやればいいねと思っていると思うので、是非、田村大臣、これは前向きに検討しませんか。

田村国務大臣 前回、未知のウイルスということで、どう対応すればいいのかというのがなかなか分からない中で、大変な御負担をいただいた医療従事者、介護従事者の方々に対してお配りをさせていただきました。それは、重症化リスクのある方々を見ていただいている中においてどう対応していいのか分からない中で、大変な気苦労が多い。しかし、一方で、給付したんですが、その分ボーナスを減らされたというような話がありました。意味ないじゃないか、こういうお叱りもいただきました。

 だから、医療機関に全面的に資金を入れて、そうならないようにという形で、そして、今般、四・六兆円、最終的にはこれは包括支援交付金という形で入れて、かなりこれも執行も進んできておりますが、併せて、それではこの拡大局面に対応をいただく医療関係者の方々、従事者の方々に十分ではないだろうということで、これは国が直接、二千七百億円だったと思いますけれども、コロナ対応の病床確保料、これは人件費で三分の二使わなきゃならないということでお渡しをいたしました。

 そのような趣旨の対応の中で、本当に大変な思いをされた方々に対してしっかりと我々としては報いてまいりたいというふうに考えております。

川内委員 田村大臣は型どおりの御答弁をされたんですけれども、四・六兆円のうち医療機関にまで直接執行されている予算というのは、その四・六兆円のうちどのぐらいになるのか。これは質問通告していないんですけれども、正林さん、分かりますか。分からないでしょう。分かるんだったら教えて。四・六兆円のうち直接医療機関にまで、あるいは執行されている金額。

田村国務大臣 一・八兆円たしか交付申請があって、一・七兆円交付決定して、一・五兆円交付済みだったというふうに記憶いたしております。そういうことであります。

川内委員 四・六兆円のうち一・五兆円交付済みであると。三兆円まだ交付されていないわけですね。

 いろいろな事業のメニューがあるので、このくそ忙しい中で書類を書くのは大変なんですよ、事務方も、病院の。

 だから、こういう緊急事態でもう大変な状況の中で、この事業をしたらこうしますよ、この事業をしたらこうしますよ、それは平時の発想なんです。こういう緊急事態においては、ばらまく。戦争映画であるじゃないですか、補給とか支援はヘリコプターで物資をばあっと落とすというのが正しい補給、支援であって、こういうことをしたら水を補給しますからね、こういうことをしたら食料を支援しますからねとか、そんなことを緊急事態にやっている場合ではない。だから、働いている方にも慰労金をばんと支給して、感謝するよ、頑張ってねということが必要なのではないかということを私たちは、多分、与党の先生方もみんなそう思っていると思うんです。誰も反応しないけれども。思っていないの。思っているよね。

 だから、委員長、これをみんなで採決して、採決すれば政府は支給しなきゃいけなくなるんだから、法律というのはそういうものですから、是非そうしていただけるように委員長の御高配をお願いをしておきたいというふうに思います。

 では、山井先生、ありがとうございました。

 次に、医療法等の改正案についてお尋ねをいたします。

 医療法等改正案でございますけれども、医師養成課程の医学生に対して、共用試験に合格した医学生は、医師法十七条の規定にかかわらず、大学が行う臨床実習において、医師の指導監督の下、医療に関する知識及び技能を修得するための医業を行うことができるというふうに変えるということでありますけれども、医師免許のない医学生が医業を行って、そのときに事故とかあるいは医療過誤が起きた場合、その責任は誰が取るのかということを教えていただきたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 診療契約は患者と医療機関の間で締結をされるものでございますので、医学生に関しましても、医師の場合と同様に、医療事故が起こった場合の診療全体を通じての民事上の責任の所在、これは一義的には医療機関にあると考えられます。また、個別の行為についての不法行為、この責任は、法的には、医師、医学生、両方に生じ得るものでございます。

 こうしたことを踏まえまして、医師法に係る改正案の具体的な内容について検討を行いました医道審議会の医師分科会におきまして、診療参加型の臨床実習の中で一定の侵襲的な医行為を行う場合、医学生を保護する観点から、賠償責任保険等への加入は推奨されるべきというふうにされているところでございます。

川内委員 民事上は医療機関、そしてまた刑事的な部分に関してはその時々によるよという、大変医学生がかわいそうになるような答弁だったというふうに思うんですが。

 そこで、改正案では、医学生が、医師として具有すべき知識及び技能の修得のために、政令で定めるものを除く医業を行うことができるというふうに定めてございますけれども、政令でこの仕事はやっちゃ駄目よというふうに定める医業というのはどういうものを想定していらっしゃるのかということを教えてください。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 臨床実習においては、医師の指導監督を前提といたしまして、個々の学生の習熟度等に応じて実施される行為を医師が判断するということを想定いたしておりますけれども、例えば、処方箋の交付により患者が受領した薬剤につきましては、医療施設外で使用され、その薬用効果の発現時点において指導医の直接の監視下にないことから、万一、処方箋に過誤があった場合には、危険の回避や損害の回避ができず、重大な事故を招きかねないということでございます。

 また、処方箋に基づき調剤を行う薬剤師は、処方箋に疑わしい点があるときにはその処方箋を交付した医師に確認をすることが義務づけられておりますけれども、処方箋を交付した者が医学生の場合、適切に確認作業が対応できないというおそれがございます。

 こうしたことから、現時点では、臨床実習で医学生が行うことができない行為として、処方箋の交付を政令で規定することを想定いたしております。

川内委員 今までは、昨日、厚労省の御担当の方に聞くと、グレーゾーンで、実際にはもう指導医の下で医学生はこういうことをしているんですよという御説明だった。それを法的にきちっと規定しますということなんですけれども、現場は今物すごく忙しいので、医学生を人手不足の解消のために使うというようなことがあってはならないんだろうというふうに思ったりするんですけれども、これまで、そういうグレーゾーンの中で行われてきたことに関して、事故とか医療過誤などの報告みたいなものは厚労省は把握していらっしゃるんでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 これまでも、今議員言及ございましたが、一定の整理の下で、違法性阻却事由に該当するという形で医学生が臨床実習において医行為を行ってきたところでございますけれども、医療法に基づく医療事故情報収集等事業におきまして、医師免許を有しない医学生による医療安全事案の情報についての報告は受けておりません。それから、文部科学省においても、大学から医療事故に関する報告を受けたことはございませんで、医学生の臨床実習による医療事故等は承知していないということでございます。

 この診療参加型の臨床実習の充実を図るためには、医療安全への配慮は重要でございまして、今回の法改正により、指導体制等の充実を図るとともに、医学生の質の担保とその医行為について法的に位置づけることとしているものでございます。

川内委員 是非、政令で医学生がしちゃいけない行為について定めるということになっておりますので、それは医道審議会でしっかりと議論される、その上で定めるということでよろしいですか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、これは、先ほどどのような事例があるかということで御説明をさせていただきましたけれども、そのことも含めまして、しっかり有識者に御相談しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

川内委員 それから、この医療法の改正で、持分の定めのない医療法人への移行計画認定制度が三年延長される、令和五年九月三十日まで延長されるということでありますけれども、これまでの移行計画認定により、相続税、贈与税が、医療法人設立に参画したファウンダーに対して、納税の猶予あるいは免除の優遇措置を受けた件数というのが六百件ぐらいあるというふうに聞いておりますが、これまでの免税額、件数についても正確に教えていただきたいというふうに思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 これまで、医療法人の非営利性の徹底や安定的な経営確保の観点から、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行の促進に取り組んでまいりましたけれども、この持分という出資者の財産権を放棄することの難しさがある中で、持分なし医療法人へ移行するという場合には、税制上の負担を軽減するために、委員今御指摘ございましたけれども、出資者に相続が発生したときに相続人に課税されるいわゆる相続税、それから、出資者の一人が放棄したときにほかの出資者に課税される贈与税の猶予、免除措置を平成二十六年十月に創設いたしたところでございます。

 こうしたリスクに対応した本制度でございますけれども、議員御指摘のとおり、これまで六百七十三の医療法人が認定を受けまして、三月二十三日の時点で既に四百七十一の医療法人が持分なしに移行しております。

 国税の統計によりますと、平成二十六年十月から平成三十年末までの納税猶予の適用実績でございますけれども、相続税につきましては約五十三億円、それから贈与税につきましては約十四億円と承知をいたしております。

川内委員 安定的な医療法人の経営というために必要なものなのかもしれないのだろうというふうに思いますが、租税特別措置について、他の様々な法人等との公平公正性というものにも十分留意をして制度を運用していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 引き続いて、ちょっとワクチンのことをお尋ねいたします。

 実は、私は、厚生労働省のホームページで現状までのアナフィラキシーのことを見ようかなと思って昨日見たら、三月十二日の副反応検討部会に報告されて以降、アナフィラキシーのことが全く更新されていないんですよ。

 現状までの、昨日までの時点で結構ですから、アナフィラキシー疑いで全国から報告のあった件数を教えていただきたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 まず、接種の回数ですけれども、昨日三月二十三日午後五時の時点での接種実績は、千九百六十三の施設で六十九万九千百二十六人、このうち三万一千七百五十六人は二回目の接種です。

 アナフィラキシーですけれども、三月九日までにアナフィラキシーとして報告された、十七件あります。それは三月十二日に開催した審議会において専門家に御評価いただきましたが、アナフィラキシーに該当する事例は七件、アナフィラキシーに該当しない事例は一件、現時点では情報が不足しており評価不能とされた事例は九件でありました。

 三月十日以降に報告された事例については、順次、三月二十六日、今週の金曜日ですけれども、そこで行われる次回の審議会などで専門家に御評価していただいた上で、速やかに公表してまいりたいと考えております。

川内委員 三月十日以降のことについては答えません、言いません、審議会に報告するから待っていろということなんですけれども、審議会には行政の中で情報のやり取りはされるでしょうけれども、国会から聞かれたときに、事実を聞かれたときに答えませんというのは法的根拠はないと思うんですけれども。何か法的根拠はありますか、答えないことの。

正林政府参考人 お答えします。

 副反応の評価は、個々の事例について一件一件公表してということよりも、ある一定期間における接種者数に対する副反応疑い報告の傾向を評価して、その後の対応を検討、決定していくものだというふうに考えています。

 専門家の評価を待たずに公表することについては、伝え方によっては誤った印象を与えてしまうとか、あるいは新型コロナワクチンといった新しい事象は誤解や風評を生じさせやすいことがあるため、公表に当たっては、正確な情報をもってしっかりとした中身を担保する必要がある、こういったことも審議会でも御指摘いただいたところであります。

 なお、こうした対応、一件一件毎回公表するのではなく、審議会に合わせて公表というのは、実は二〇〇九年の新型インフルエンザのときも大体同じような考えで対応しておりました。

川内委員 私は法的根拠を聞いたんですけれども、それについては何法の何条にこう書いてあるというふうに端的にお答えいただければよろしいんですけれども、それについては言及がなかったということですね。

 リスクコミュニケーションの要諦は、事実をありのままに提示することであるというのがイロハのイであって、いや、正確な情報を伝えなければなりませんから、ちゃんと評価してからですとか、そういうことを言っているから信頼がなくなっていくんですよね。ということを申し上げておきたいというふうに思います。

 その三月十二日の副反応部会に報告された死亡例一例ですね、この方の死亡の原因というのは何だったんですか。

正林政府参考人 たしか、くも膜下出血だったと思います。

とかしき委員長 答弁、時間がかかりますか。

 じゃ、一度止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 では、筆記を再開してください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 死因はくも膜下出血と推定され、報告医によれば、因果関係は評価不能とされております。

 ただ、専門家によれば、くも膜下出血はこうした年代の方に比較的起こりやすい疾患であり、偶発的な事例かもしれないとのことでありました。

川内委員 くも膜下出血ではないかということを医師は判断したが、最終的には検視が行われて、検視の結果は、死因は不明であるというのが正しい答弁ですよ。正しい答弁。違いますか。事務方、正林さんにちゃんと教えてあげてよ。

とかしき委員長 じゃ、筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 じゃ、筆記を起こしてください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 検視の結果はまだ出ていないと承知しております。

川内委員 この副反応部会に報告された紙には、「検視は行われたが、結果は不明であった。」結果は不明であったという事実として書いてありますよ。じゃ、この紙もうそだということですか。まだ分かっていないと書かなきゃいけないんじゃないんですか。

とかしき委員長 正林健康局長、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

正林政府参考人 その時点では、検視が行われつつあることは承知していましたが、その結果を聞いていないので不明であるというふうに記載したと思います。

川内委員 いや、だから、この記述そのものにしても非常に不正確なわけですよね。

 だから、事実をありのままに伝える、事実をきちっと国民に提示するということが、国民的行事であるワクチン接種というものをスムーズに進めるための要諦なんですよ。そこをしっかり厚労省には理解していただいて、情報をコントロールして自分たちの思いどおりにしようなどということをゆめゆめ思われないことを御提言申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 長妻議員の続きを質問させていただきますが、今回のコロナで本当に多くの方が入院できずに命を落とすということになりました。やはり、この間、政府が進めてきた地域医療構想、公的・公立病院の整理縮小というのは間違いだったということが、私ははっきりしたと思いますよ。

 今、再編統合、病床削減の検討を政府が迫っている四百三十六の公的・公立病院、コロナ患者を率先して受け入れてきた病院もたくさんあります。東京では、例えば済生会向島病院。私は地域の保健所長さんにお話を伺いましたので、大臣、聞いてください。

 重点医療機関として、都立墨東病院と済生会向島病院が採算度外視で受けていただける。済生会向島病院は、病棟は二つしかないのに一つをコロナ病棟にして、早い時期から救急、疑い患者も含めて受け入れてくれた。済生会を目指して医療圏から救急車が走っていく。民間医療機関が受け入れにくい介護度の高い方を積極的に受けて、文句一つ言わず、職員一人一人が使命感を持ってやってくれている。これにほかの病院も見習って受入れが広がった。リーダーになってくれている。これまでは、公的病院は民間と重複があれば減らすということを政府は目的にしてきたが、公的・公立病院の合理化ではなく、医療需要が物すごく高まった危機において感染症医療に特化していただく担い手になるのが公的・公立病院だ。ある程度不採算でも病床は多めに持っていただかないと、いざというときに稼働できない。こういう話を聞きました。

 大臣もこういうお話を聞かれているんじゃないんですか。

田村国務大臣 今、新型コロナウイルス感染症対応をいただいていますので、次に向かっての地域医療構想、これに関しては、いつまでにと、それは二〇二五年が最終年でありますから、それまでにはお作りをいただかなきゃならないんですが、例えば今年度中に、来年度中にというようなことをお願いをいたしているわけではなくて、コロナとの状況を勘案して、それも踏まえた上でお作りをいただきたいとは申し上げております。

 同時に、地域医療構想というのは平時の状況がどうであるかということ、つまり、そこの医療機関が経営していかなきゃなりませんので、余剰病床、余剰人員を抱えますと、当然のごとく、ニーズがないのに、これは経営ができなくなるわけでありまして、そういうことも踏まえてお作りをいただくということを二次医療圏ごとにお話合いをいただいておりますが。

 一方で、こういうような感染症の大拡大、こういうこと自体、やはり想定しなきゃいけない、コロナの後もこういうことは起こるかも分かりませんので。そこで今般も、この法律の中に書いてありますけれども、まさに地域医療計画の中において新たな、五事業に一つつけ加えて、そういうような状況も踏まえた上で、二〇二四年、第八次の医療計画に向かって、こういうパンデミックの状況もその病床の中でどう対応するか、これは役割分担、機能の分担・連携、連携・分化というような話でありますけれども、そういうものもしっかりお考えをいただきたいということでお出しをしておりますが、ただ、今のコロナに関してはそれでは間に合いませんので、五月までに、いや、五月までにもパンデミックが起こるかも分からないから、四月中にも、ダブルトラックで、拡大した場合の対応もしっかりとお願いをいたしたいということで、今都道府県と議論をさせていただいているところであります。

宮本委員 大臣がおっしゃるように、コロナの後もまたパンデミックが起こる可能性はあるわけですよ。そのときに誰が受けるんですか。それは公的・公立病院抜きには考えられないわけじゃないですか。

 なぜこの四百三十六のリストをいまだに撤回しないのか、これは全く理解できないんですよね。撤回しちゃいけない理由はどこかにあるんですか。ないですよね。

田村国務大臣 これはデータに基づいて参考としてお渡しをしておりますので、これを基に、コロナ等々の状況を踏まえながら、これからのパンデミックが起こったときにどうするんだということも踏まえて、しかし一方で、医療経営はしていただかなきゃなりませんから、病院の経営は。そのときのこともお考えをいただかなきゃならないので、これは普通の状況に戻ったときにどういう状況になるかという意味でお示しをさせていただいているわけでありまして、それを参考に各地域でお作りをいただくということになろうというふうに思います。

宮本委員 地域にただデータを渡しているという話じゃないんですよ。この公的・公立病院の四百三十六というのは再検証を求める医療機関になって、再検証を求める通知もコロナの直前に出していますよね。一つ一つの医療機関に対して、迫るリストなんですよ、これは、病床削減を。当該医療機関でなければ担うことができない機能に重点化が図られているかについて分析を行ったと。だから、この点について、ちゃんとダウンサイジングについて検討してくださいというのを各病院に対して迫っているわけですよ。ただデータを出しているという話じゃないじゃないですか。

 ですから、こういうダウンサイジングを求めているリスト自体は撤回すべきじゃないですかということを申し上げているんですよ。

田村国務大臣 それぞれ、高度急性期、一般急性期、それから回復期、それから慢性期等々、いろいろな病床の種類があるわけでありまして、今般、まさに代替能力があれば、それは民間がそこをしっかり担っていただいて、代替できない部分を担っていただくというような基本的な考え方はありますが、高度急性期の病床に関しては、常態でいくと、普通の状況、つまり、こういう感染症のパンデミックが起こらなければこれぐらいのニーズですよという下でお出しをしております。

 しかし、コロナ等々が起こった場合、重症者患者をどうするんだというような御議論もありますから、それも踏まえて、今、地域医療計画をいろいろと考えていただいております。

 ただ、確保したときに、余りにも確保すると、今度は、通常時には、当然そこは急性期の病床としての十分な定数を確保できないということになりますから、そういうことも踏まえながら、どういうふうに御判断をその地域でいただくかということを今調整会議で御議論をください、ただし、期限に関しては、いつまでということではなくて、二〇二五年までにはお出しをいただくということになっておりますけれども、コロナの状況を見ながら、コロナの状況も勘案して、その上でお出しをくださいということをお願いいたしております。

宮本委員 ですから、コロナの状況を勘案して地域で考えてくださいと言うんだったら、コロナの状況を勘案する前に出した病床削減のリストというのは全く間違いじゃないですか。撤回するしかないですよ、本当に。まだ審議、何回もありますから、これは引き続きやりますので、撤回するまで終わらないと思いますよ、この審議は。

 続いて、今日たくさん通告していて、とても終わらない気になってきましたけれども、医師の働き方の問題についてお伺いします。

 B水準、C水準等は、時間外労働を千八百六十時間まで認めるということであります。年千八百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を現在結んでいる特定病院の数及び年九百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を結んでいる特定病院の数、ちょっと教えていただけますか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 三六協定は、各医療機関の時間外労働の実態を踏まえ、労使で十分に協議していただくことが必要でございまして、平成三十年二月、医師の働き方改革に関する検討会において取りまとめました医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組においても、三六協定の自己点検を盛り込みまして、適切な締結を呼びかけてきたところでございまして、お尋ねの年千八百六十時間超の時間外労働が可能な三六協定を締結している病院及び年九百六十時間超の時間外労働が可能な病院の数については把握をしておりませんけれども、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターによる調査によりますと、令和二年十二月末の時点において、回答のあった病院のうち約八五%に当たる約四千八百病院で三六協定が適正に取り扱われていたと承知をいたしております。

 なお、三六協定の取扱いにつきまして是正が必要な病院に対しましては、都道府県医療勤務環境改善支援センターにおいて継続的にフォローアップ対応を実施をいたしておりまして、厚生労働省といたしましても、引き続き医療機関に対しまして三六協定の適切な締結について働きかけてまいりたいと考えております。

宮本委員 三六協定の中身は把握していないはずはないんですけれども、全部届出があるわけですから。

 ある学者の方が、山口大学の三隅先生という方が、病院羅針盤という雑誌で、特定機能病院、二〇一九年四月一日時点の、八十六ですかね、について三六協定を全部調べたと。千八百六十時間超というのは八十六の病院のうち二つだったということなんですよね。そうないわけですよね、千八百六十時間超の三六協定を結んでいるところは。それ以外に、九百六十時間超で千八百六十時間までの病院が四つあったということであります。

 ですから、ほとんどの病院は九百六十時間以下の特定機能病院ですよ。大学病院だとかですから物すごく労働時間が長いところですけれども、それでも、多数は九百六十時間未満なんですね、三六協定は。

 ところが、この間、厚労省の検討会で出されている資料では、病院常勤勤務医の約四割が年九百六十時間超働いている、一割が年千八百六十時間超の時間外・休日労働ということですから、これは三六協定違反が常態化しているということなんじゃないですか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の検討会に提出いたしました資料につきましては、医師の勤務実態を把握するために労働時間等の調査を行いまして、病院常勤勤務医の約四割が九百六十時間を超えて、また、約一割が年千八百六十時間を超えて時間外・休日労働を行っているという結果が示されたものでございますが、この調査につきましては、三六協定との関係などについて問うたものではございませんので、三六協定違反の実態を把握するというものにはなってございません。

 労働基準監督署におきましては、三六協定に違反しているかどうかも含めまして、各種情報から、法違反が疑われる事業所に対しましては監督指導を行いまして、法違反が認められた場合につきましては必要な指導を行っているところでございます。

 なお、令和元年の監督指導状況を見てまいりますと、労働時間に関する法違反でございます労働基準法第三十二条違反につきまして、全業種の平均違反率が二二・四%となってございますが、病院を含みます医療保健業につきましては、これは医師以外の者を含むものでございますけれども、三三・五%となってございまして、少し高くなっているという状況でございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、各種情報から、法違反が疑われる事業所に対しましては監督指導を行いまして、法違反が認められた場合につきましては必要な指導を行ってまいりたいと考えてございます。

宮本委員 全産業の中でも医療は違法残業が大変多いというのが今の話だったとは思うんですけれども、パーセントの報告がありましたけれども、じゃ、直近の年度で医師に違法残業をさせたということで是正勧告を出した医療機関の数、教えていただけますか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年において、法定の除外事由なく、医師、あるいは、これも医師以外の労働者の方も含めてという形になりますけれども、時間外労働を行わせたこととして、病院を含みます医療保健業の事業所に対しまして是正を勧告した件数は、五百四十三事業所となってございます。

宮本委員 ですから、現状は、三六協定というのは九百六十時間未満が多数だと。そういう下で違法残業が他の産業よりも大変医療の分野は多いということなわけですね。

 そういう中で、今回は千八百六十時間まではいいですよというお墨つきを与えていくということになるわけですが、例えば、この千八百六十時間まで認めるB水準の対象となる医療機関というのはどれぐらいになるんですか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 B水準の対象となる医療機関につきましては、地域医療の観点から必須とされる機能に関しまして、三次救急医療機関等の一定の客観的な要件を整理をしておりまして、これに該当する医療機関について、時間外労働の実態を踏まえると、合わせて約千五百程度と見込まれております。

宮本委員 そういう千五百という数がB水準になっていくということを考えると、これから何が起こるのか、この法改正をやっていくことによって。今、九百六十時間未満で結んでいる三六協定、そういう病院も、逆に、今回の法改正で、千八百六十時間、ここまでは合法的に働いてもいいですよということで、今は違法だとされているものが、長時間残業を合法化して容認していく、こういうことになっていくんじゃないかと思うんですよね。

 ですから、三六協定が、逆に、どんどんどんどん、医師の働き方を守るものじゃなくて、医師の長時間労働を合法化して容認していく方向に引き上げられていく、こういうことが起きるんじゃないですか。

田村国務大臣 この連携B、Bに関しては、二〇三五年までには、こういう千八百六十というような特例を、これを是正していくということと同時に、健康確保措置等々でありますとか、時短の計画を出さなきゃならないということでありまして、長いわけでありますけれども、それをずっと許容するわけではないということと同時に、制度としては、もう御承知のとおり、今は、今といいますか現状、この法律が施行されるまではと言った方がいいのかも分かりませんが、今は暫定措置でありますけれども、特別条項を結べば、六か月、六月にわたっては、言うなれば、上限のない中での特別条項ということがあったわけでありまして、それを今般はしっかりと上限を規制するということでございますので、以前よりかは制度的にはしっかりと、医療関係者、医師の方々の健康も考えながら、労働時間を上限を設定したということであろうと考えております。

宮本委員 ちょっとそれは、今、現状の三六協定が例えば特定機能病院でどうかというお話をしましたけれども、千八百六十を超えて結んでいるところは、それは特定機能病院でも二つしかないわけです。それはその二つからすれば規制になるかも分からないですけれども、ほかのところからすれば、逆に、三六協定がどんどんどんどん時間を延ばす方向に変わっていくというのは、規制じゃないですよ、これは規制緩和になりかねないですよ。そこを本当に大変私は懸念しております。

 最後、時間がないので一点だけお伺いしたいと思いますが、医師の働き方改革を進める上でも、私は医師を増やさなきゃいけないというふうに思っていますが、ところが、二〇二三年から医学部は定員削減というのを政府は出しております。その基になっている医師の需給推計、本会議でもお伺いしましたけれども、大変そのパラメーターの設定その他がおかしいんですよね。

 今日、資料を配っておりますけれども、男女比率の設定について、医師の国家試験受験者の男女比は、男性六八、女性三二。これは、過去の直近九年間のデータの中央値を将来推計分はそのまま固定化して使うとなっているわけですよね、三二%を。

 でも、直近の医学部の女性の入学者は、この二年ぐらい見たら三七%ですよ、平均すれば。当然、医学部の不正入試も、男女差別がありまして、それが正されたというのもあります。さらに、世界的な傾向からいっても、女性の医師の比率はどんどんどんどん高まっているわけですよね。日本でも間違いなくそうなっていくというふうに思います。

 ところが、この低い過去の数値、しかも不正なことが行われた時代の数値を未来にわたって固定化して使う、こうやって必要な医師数を抑えていく人為的な操作がやられている。

 それから、もう一枚、次のページに仕事量の推計というのも出ています。これを見たら、男性、女性それぞれ出ているわけですけれども。

 三枚目に需給推計そのものを出していますけれども、労働時間についても、結局、需給バランスが取れますよ、二〇二九年に取れますよと言っていますけれども、その前提は、労働時間週六十時間だ、年間時間外労働九百六十時間だと。これを前提にしてやっているわけですよ。

 私、こういうのは前提が間違っているので、需給推計をやり直すべきだと思いますよ。長時間労働は前提にしない、女性はちゃんとジェンダー平等が進んでいく、こういう前提でやる。本会議で聞きましたけれども、本会議は、それは審議会で決めてもらったことだという話でしたけれども、大臣自身の認識は、こういう推計の数値の出し方でいいと思っているんですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

田村国務大臣 私の勝手な推測のデータを基にやる方が問題であって、これは有識者の方々にデータをちゃんと見ていただきながら、推計されたデータでありますけれども、それを使ってやっていただいております。それも専門家の方々に見てやっていただいているわけで、そこは、私がどうだ、大臣がどう思っているからどうなんだと言われても、私は専門家じゃないんで、そこはちょっとお許しいただきたいというふうに思います。

宮本委員 だから、そういう逃げはまずいと思いますよ。だって、男女共同参画基本計画で女性の医者を増やすって書いているじゃないですか。

とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、よろしくお願いします。

宮本委員 時間が来たので終わりますけれども、一点だけ、委員長にお願いします。

 私、これは自分でちゃんとパラメーターを変えて試算したいんですよ。だけれども、厚労省が試算するための必要な計算式を出してくれないんです。これ、出していただけるよう、お諮りをお願いします。

とかしき委員長 理事会で検討させていただきます。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 早速でございますけれども、質問に入らさせていただきます。

 まず、医師の働き方改革を図る現状の問題点は病院勤務医の長時間労働にあるということでよろしいでしょうか、お伺いします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 我が国の医療は医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられているという御指摘をいただいております。今後、医療ニーズの変化や医療の高度化、少子化に伴う医療の担い手の減少が進む中で、医師個人に対する負担が更に増加することが懸念されております。

 これに対しまして、勤務医の労務管理の徹底でございますとか、健康確保措置の整備を行うことが医師の健康を確保し、ひいては、安全で質の高い医療を持続的に提供する体制を確保するために重要であるというふうに考えてございます。

青山(雅)委員 今御答弁にありましたように、医師の自己犠牲的な長時間労働、これを是正しなければいけないということだと思いますけれども、その自己犠牲的な長時間労働をしなければいけないそのまた理由は、慢性的な病院勤務医不足ということでよろしいでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 医師、これは特に病院の勤務医が長時間労働となる要因といたしまして様々考えられますけれども、医療機関内において職種間の業務分担が進まず医師に業務が集中していることでございますとか、一部の医療機関において労務管理が徹底されていないことなどが考えられると承知をいたしております。

 それから、地域の医療提供体制における構造的な要因といたしましては、地域内の医療機関の機能分化、連携が十分に進んでおらず、効率的な医療提供体制となっていないこと、あるいは、地域間、診療科間で医師が偏在をしていること、それから、特定の医療機関の外来に患者が集中をし、また、一部で必ずしも適切とは言えない救急車あるいは休日、夜間の救急の利用が行われていることなど、様々な要因があるというふうに考えております。

 この法案に先立ちましてまとめられました検討会の中間取りまとめにおきましても、強い使命感の下に医の道を志し、地域の医療を支えている医師たちが、望まない形でその道を閉ざされることのないよう改革を進める必要があるとされておりまして、医師の偏在を是正し、地域で必要な医師を確保するためにも、勤務医の待遇、勤務環境の改善が重要であると考えておりまして、こうした点を踏まえまして、今回の改正法案で、医療機関内において、様々な医療専門職種のそれぞれが自らの能力を発揮をいたしまして、より能動的に対応できるようにするためのタスクシフト、タスクシェアを進めるということと、医師が長時間労働となる医療機関に対しまして、二〇二四年四月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用開始に向けて……(青山(雅)委員「委員長、委員長」と呼ぶ)

青山(雅)委員 私が聞いたことになぜ答えないんですか。それで、時間が、私、十五分しかないんですよ。私がお聞きしたのは、背景にあるのが慢性的な勤務医不足かどうかですよ。なぜ勤務医不足かどうかという質問について端的に答えないんですか。

 今のお話だと、いろんなこと、偏在とか云々かんぬんおっしゃるけれども、偏在だから不足しているわけでしょう。不足しているのかしていないのか、端的に答えてください。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 慢性的な勤務医不足ということでございますけれども、その勤務医不足かどうかも含めまして、先ほど御説明させていただいたような様々な要因が重なって長時間労働に至っている、そういうことを御説明させていただいたところでございます。

青山(雅)委員 過去の厚労省のデータなどを見ても、勤務医不足の事実は認めているじゃないですか、もう十年以上前から。

 勤務医不足、病院会のアンケートでも、病院長はみんな勤務医が不足していると答えている。それを御承知ない、知らないんですか。知っているか知らないかだけを答えてください。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 医師の不足というのは、マクロで見る場合とミクロで見る場合と様々ございますので、御指摘の……(青山(雅)委員「ごめんなさい、委員長」と呼ぶ)

とかしき委員長 今答弁中ですので、済みません、ちょっと聞いてください。

 答弁を続けてください。

迫井政府参考人 医師の不足かどうかは、マクロで見る視点もありますが、個々の医療機関なり地域なりによって、不足あるいは過剰になっているというような様々な状態がございますので、それを一概に、医師の不足、勤務医不足というふうな形で、イエス、ノーとお答えできるものではないと承知をいたしております。

青山(雅)委員 今、野党の理事がおっしゃってくださっているように、質問に答えていないですよね。私、病院会のアンケート等で、勤務医が不足しているというふうに各病院長が答えている、それを知っているか知らないかと答えてくださいと言った。今、全然違うことを答えているじゃないですか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 勤務医協会という、どの調査か私どもとしては存じ上げませんけれども、個々の病院長が勤務医が足らない、あるいは協会として足らないという御指摘があることは仄聞はしたことはございます。(青山(雅)委員「今、最後何と答えました」と呼ぶ)

とかしき委員長 もう一度、正確にきちっとお願いします、最後の御答弁。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 個々の病院長でありますとか団体は様々ございますので、一部の団体でそういった指摘がされたということはお聞きをしたことはあると記憶をいたしております。

青山(雅)委員 医政局長がまさか知らないとは思わない。病院会のアンケートをやったのも御存じないですか。そんなに古くない。今、一応記憶しているとおっしゃるから知っているはずです。知らないはずがないんですね、勤務医が不足しているという実態を。不足していなければ、こんな九百六十時間だとか千八百六十時間なんて問題になるわけないじゃないですか。

 そういう事実を認めないような姿勢というのが、厚労省の今までのいろんな行政に対する不信感につながっているんですよ。さっき問題となったアナフィラキシーショックの話にしたって、それまで毎日出していたものを二週間に一度になって、急に出さなくなっちゃった。どれだけそれで、ワクチン行政に対して新たなる不信感が募っているのか。こんな簡単な問題くらい、承知しているかしないかぐらい、ばっと答えればいいじゃないですか。

 これは、急に今日、私、話を出したわけじゃなくて、先ほど宮本委員の方も同じような質問をされていましたけれども、私、令和二年十一月二十七日の当委員会でも、厚労省は医療従事者の需給に関する検討会というのをやっておられますけれども、ここでも、八月でも十一月でも、「医学部臨時定員増に係る方針について」ということで、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針について検討すると。

 これは、基となるのは、恐らく平成三十年の六月十五日の閣議決定だと思いますけれども、今の新型コロナによる医療崩壊であるとか、あるいは感染症医の不足であるとか、そういった議論、こういうのを全く無視して、先ほども指摘あったとおり、将来の需給予測、これも当てにならないことは明らかなんですね。なぜかというと、寿命が延びれば、その分だけ高齢者というのは医療に手間もかかるし、あるいは新しい医療技術が発達すれば、今の平均寿命だと、もしかしたら、九十、九十五と、百歳にまで達するかもしれない。実際、百歳になっている方の年齢って。物すごい増えているのは御承知のとおりだと思うんですね。

 そういう中で、勝手に需給予測をして減らすというようなことを、今でも医師が足りないと言われているのに、ちょっとおかしいんだと思うんですよ。こんな法制度だけいじったって、そもそも足りない、医者が足りないからこれが起きているのであって、何でそこから目を背けるのか。誰に忖度しているのかなということを不思議でならないわけです。

 大臣が、私がさっき言った、十一月二十七日に何をお答えになっているかというと、「これからの医療の需要を考えると、人口構成が変わってくるので、急性期よりも回復期というものをふやしていくべきだ」と。それはそれでいいかもしれない。その後で、「全体的に病床がある程度整理されてくれば、多分病床当たりの医師というものの数はもうちょっと上がってくると思います。」と。病床当たりの数が増えたって、医師の絶対数が足りなければ。絶対的な病床数を減らせば、病床当たりの医師の数は増えるに決まっているんだから。ただ、病床が足りないから、今、需要逼迫だの医療崩壊だの言われているわけで。同じことが起きたら、間違いなく病床数を更に削るわけだから、医療崩壊になるに決まっているわけですよね。そう考えると、これはもう医師を増やすしかない。

 ところが、そのときに大臣は何を言われたかというと、比較的高学歴な方が多くて、そういうところに人を余り、何といいますか、配置し続けると、本来ほかの産業分野でイノベーションを起こすときに優秀な人材が行かないのではないかということを言われる方々もおられます、いろいろな形を考える上で、バランスというものが大事だというふうに思いますなんと言っているわけですよ。

 だけれども、今の日本を見ると、緊急事態宣言や何かでほかの産業なんかは全部潰れてもいいぐらいの勢いで、医療体制を維持すると。その背景にあるのは病床数の不足と医師の不足なわけですよ。ここに手をつけないで、将来同じことが起きたときにバランスだ何だ言ってこの今の医師不足を放置していたら、同じことがもっとひどく起きるわけじゃないですか。欧米並みになったら、今より十倍になったらどうなるんですか。

 大臣、ここの、法制度じゃなくて、きちんと医師の定員増についても正面から考えるしかないと思うんだけれども、それに関して御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 ちょっと整理しますと、パンデミックの話と全体の通常医療の話は分けた方がいいと思います。欧米は十倍ぐらい患者がいますが、医師が人口当たり十倍いるわけではないので、若干多いぐらいの話です。

 その上で、先ほど迫井さんが話して、ちょっとお叱りいただきましたけれども、必要なところに必要な医師が必要であって、それは、地域で医師が足らないという部分もあれば、診療科で足らないと。そこを今、初期研修、これと後期臨床研修の方で、要するに、ちゃんとそれを、後期の場合は専門医を育てるという意味合いの中に含めて、どう配分するかというのを、偏在がないように、これは今、いろんな形で対応させていただいています。

 幾ら医師をつくっても、必要のない診療科、必要のない地域に医師がいてもこれは意味がないというのは委員も御承知だというふうに思いますので、そこをちゃんとやっていく。

 その上で、今までずっと増やしてきていますから、今から減らすというよりかは、今ずっと増やしてきています、この増やし方をどうするんだという議論をいただいているわけでございますので、決して減らしていくという話ではない中において需給のバランスを考えているんだということは、御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、言いたいのは、パンデミックのときにはパンデミックのときの対応というものは、これは緊急でどうするかということを考えなきゃいけないと思います。一方で、長期的に見たときの医師の需給というものをどう考えるんだ、これはまた別の議論だというふうに思いますから、その点、いろんな、今データをお出しをする中において、審議会で御議論をいただいておるということであります。

青山(雅)委員 そうしますと、私、去年の先ほど言った医師の需給に関する検討会や、先ほど申し上げた平成三十年の閣議決定からすると、二〇二二年度以降は将来的な医学部定員の減員に向けて検討するという話になっているんだけれども、そうではないということですか、今のお話だと。

田村国務大臣 今、毎年四千人増えているという状況なんですね。御承知のように、医師は大体八年、十年、現場で出て活躍するのに時間がかかりますから、それと人口の構成を考えた上で、今まで増やしてきた医学部の定員枠、これをどうするんだという議論をする中において医師の需給を整えていこうということを今御議論いただいているということであります。

青山(雅)委員 今の大臣の御答弁は、そのまま額面どおり受け取ると、減員するということが既定事実ではない、いろんなことを考えながらやっていくと。当然、今のコロナ禍であるとか、今の医療が、これだけ欧米に比べて少ないのにもかかわらず崩壊だの壊滅だの言われなければいけないような状況になっていることも踏まえて、きちんと検討していく、そういうことでよろしいですか。

田村国務大臣 以前は欧米に比べて人口当たりの医師がかなり少なかった。多分、二・一人だとかという数字だったと思うんですが、それがかなり上がってきているのは事実で、欧米に近づきつつある。欧米とはヨーロッパのどの国だというのもあるんですが。それは事実であります。そういうものもいろいろと勘案しながら、一方で人口が減ってきますから、もちろん人口構成も変わりますけれども、こういうものを併せてどれぐらいの医師が必要なんだ、それも十年ぐらいは育成に時間がかかるよねということを勘案しながら検討いただいておるということであります。

青山(雅)委員 玉虫色といいますか、ちょっとよく分からない、結論がよく分からないけれども、少なくとも減員ありきという話ではないというふうには受け取っておきます。

 その上で、ちょっと時間がなくなりましたので、問題提起ということにさせていただきますけれども。

 当然、医師の偏在、おっしゃっているように、過疎地域、少ないわけですね、明らかに少ない。それから、開業抑制がないということで、日本の場合には、幾ら医師が増えていても、こういうときに本当に一線に立っていただける病院の臨床医の方が少ない、そういう問題があるわけで、そういったところにもやはり厚労省にきちんと手をつけていただかないと、国民のためになる医療にならないというところを問題提起させていただいて、またそれは次の機会に譲らせていただきます。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日はちょっと十分しかありませんので、本当は医療確保計画の骨太なところを大臣と議論したかったんですが、余り中途半端になりそうなので、来週もまとまった時間をいただけそうなので、ちょっとその話は飛ばして、今日、内閣官房から、忙しい中、渡邊審議官に来ていただいていますので、ちょっとこのPCRのモニタリング検査の話をまず聞きたいと思います。

 これは、五つの柱の中の一つに、一日一万件、予算額九十億円ということなんですけれども、これはなぜ一日一万件しか、そして予算額九十億。これは本当に、これだけ今、もう何兆円という損害が出ている、経済損失が出ていて、飲食店の時短協力金にも兆単位のお金がかかっている中で、九十億なんて本当に微々たるものですから、何倍にも広げてもっとこれをやるべきだと思いますが、何かこれができない障害というのがあるんでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 モニタリング検査につきましては、一か月ほど前からスタートしたところでございまして、まずは一日一万件というのを目指して努力をしているところでございます。

 その後は、その過程を見ながら、感染状況ですとか検査機関の状況ですとか、あるいは保健所の負荷ですとかワクチンの状況とか、そういうことを踏まえながら件数をまた検討してまいりたいと思いますけれども。

 実は、私ども、実際にやってみて気づいたことは、まず、検査機関の側が、容量といいますか、キャパシティーに余裕があっても、例えば、タイミングが合わない、ほかの検査と重なっちゃっているとか、あるいは病院の検査をやはりどうしても、有症状の方の検査をやはり優先されるとか、あるいは地域的なバランスみたいなものもございまして、なかなか、実際に調整をしてみると、検査機関、難しい部分もございます。数字ではちょっと分からない部分もございます。

 もう一つは、この受ける方なんですけれども、これは本当に、実際に担当してみて意外だったんですけれども、無料で無症状の方に検査を受けていただくということで、ホームページでも希望者を募集はしているんですけれども、無料なのにやはり希望される方が少ないんですね。これを実際聞いてみますと、やはり、無症状なので、わざわざ検査をして、万一陽性になってしまったときに休まなきゃいけないとか、いろんな問題がありまして、なかなかちょっと協力の得にくい部分がございます。

 ですから、そういう部分をよく反省をして、分析をして、様々な機関の御指導を仰ぎながら、御協力を仰ぎながら改善してまいりたいというふうに思っております。

高井委員 予算額の問題ではないし、やる意思はあるんだというふうに受け止めましたので、是非、反省してというか分析していただいて、やはり、国民の皆さんへの周知を、もっと分かっていただくということも大事だと思うし、あと、検査側の体制という話もありました。これは厚労省だと思いますので、何でこれを厚労省はやっていないのかなという気もしますが、そこはよく内閣官房と連携していただいて、とにかく、やはりこれを増やすということで、相当今、テレビなんかを見ていても、やはりこれはもっと増やすべきだ、何でやらないんだという論調ですから、是非これをしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、続いて、同じモニタリング検査ですけれども、これは今、スポット方式をやるということなんですけれども、これも評判はよくないんですね。町じゅうの人をつかまえて何かやるといっても、なかなかつかまらないし、つかまっても何か、どこに行っちゃうか分からないような。そんなやり方よりも、これもテレビなんかで専門家が結構言っていますけれども、やはり的を絞って、クラスターが発生しそうな場所に絞って重点的にやるとか、そういう工夫をすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、スポット型というのは、例えば駅前とか繁華街にのぼりを立てて、それで通りかかった方に、今は唾液PCRキットをお配りしているんですけれども、実際は、なかなか足を止めて、説明をして同意書を書いてもらうので、なかなか受け取ってもらえないとか、受け取ってもらっても、実際に唾液を入れて送り返してくれる人が少ないという問題が、正直なところございます。

 そこで、我々としましては、スポット型ではなくて、むしろ、団体採取型といいますか、事業所、要は学校とか会社とかそういうところで、団体で取っていただく。そうしますと、委員御指摘のように、ある程度確率の高そうなところといいますか、過去にクラスターが発生した場所ですとか、少しリスクの高そうなところを狙って、そういうところにお願いをすることができるかと思っておりまして、そういう方式を検討してまいりたいというふうに思っております。

高井委員 学校とか会社とかいう話も出ましたので、やはりこれは全省を挙げて、それぞれ文科省とか経産省とか、もちろん厚労省もですけれども、是非そこをやっていただきたいなということをお願いをしておきます。

 続いて、これは国民民主党がかなり強く打ち出して、近々提言も出させていただくんですけれども、頻回抗原検査という、非常に回数多く、アメリカなんかだともう一ドルでできる、百円程度でできるという、もちろん精度は圧倒的にPCR検査よりは劣るわけですけれども、それでも広く捕捉できるという意味では、これを気軽にやってもらえるような体制をつくればまさにゲームチェンジャーになるんじゃないかと玉木代表なんかも言っていますが、これを是非やるべきだと思いますけれども、いかがですか。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルスの検査については、感染が疑われる方など検査が必要な方が、より迅速、スムーズに検査を受けられるようにするとともに、濃厚接触者に加え、感染拡大防止の必要がある場合には広く検査が受けられるようにすることが重要と考えています。

 特に、医療機関、高齢者施設等の入院、入所者は重症化リスクが高いことから、感染者が多数発生している地域等において、その期間症状がない方も含め、勤務する方などを対象に、一回に限らず定期的に検査を実施することが重要と考えています。

 また、検査方法について、実施者が状況に応じて適切に選択していただくことが重要でありますが、議員御指摘の抗原検査のうち、例えば抗原簡易キットについては、専用の機材が不要で、簡易、迅速に検査を行えますが、排出するウイルス量が少ない場合には感染していても結果が陰性となる場合があることなどから、無症状者への検査として使用することには十分な注意が必要と考えています。

 こうしたことを踏まえ、抗原簡易キットについては、地域の医療機関における発熱患者等への対応や、PCR検査、抗原定量検査で対応することが困難な場合に、一定の要件の下で、主に感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において御活用いただきたいと考えております。

高井委員 いや、それではやはり大きな効果を得られないので、これは本当に政治決断だと思いますけれどもね、役所はそういう答弁かもしれませんけれども。これは是非、次回、大臣とも議論させていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問かもしれませんが、もう一つ、下水処理場の下水に含まれるコロナウイルスのPCR検査をやるべきという意見も結構専門家の中からも出ておりますけれども、これはいかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を早期に検知することは重要と認識しており、例えばオーストラリアなどの諸外国において、下水中の新型コロナウイルスをモニタリングすることで地域の感染状況の推定や再感染の早期把握に役立てる研究などが行われていることは承知しております。

 厚生労働省では、国立感染症研究所において下水からの新型コロナウイルス検出方法について検討を進めており、現状としては、下水検体のうち沈殿物で効率的に新型コロナウイルスを検出できることが分かっている反面、感染者数が少ないことから、下水中のウイルス濃度から感染者数を推定することは現状では困難であるといったことが分かってきております。

 引き続き、関係機関とも連携しながら、監視体制の強化に活用することが可能かどうかも含めて検討してまいりたいと考えております。

高井委員 平時ならそういう役所的な発想でもいいのかもしれませんけれども、やはりこれはもう本当に非常事態ですから、これは是非、大臣、政治的な決断で、今日はもう問いませんけれども、次回以降、これは国民民主党玉木代表も強く言っているテーマですので、しっかり議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前中に引き続き、内閣提出、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案及び中島克仁君外七名提出、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、公益社団法人日本医師会副会長今村聡君、城西大学経営学部教授伊関友伸君、学習院大学経済学部教授遠藤久夫君、NPO法人医療制度研究会副理事長本田宏君、一般社団法人日本医療法人協会会長加納繁照君、以上の五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十二分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず今村参考人にお願いいたします。

今村参考人 日本医師会で副会長を務めております今村聡と申します。この度は、大変貴重な機会にお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。

 今回の法律案に対する日本医師会の考え方について述べさせていただきますので、資料を御覧になりながら聞いていただければと思います。ページは右下に振ってありますので、それを御参考にいただければと思います。

 まず、ページをめくっていただいて、一ページでございます。医師の働き方改革、医療法についてです。

 医療法の改正で、医師の働き方を地域医療とのバランスを見ながら改革していくことになった点は評価できる点だと思っております。医師の厳しい勤務環境の改善、日本医師会ももう十年以上にわたって勤務医の健康支援ということで委員会を設けておりましたけれども、勤務環境の改善は長年の課題であって、医師の労働時間短縮への取組や健康確保策の推進は非常に重要な施策だと考えております。

 一方、二〇二四年四月施行というスケジュールがあることで拙速に進めていくということは、地域医療の混乱を招きかねない。特に、現在のコロナ禍において、現場が医師の働き方改革に取り組める状況であるのかどうかということを、足下をしっかりと確認しながら進めていただくことが重要だと思っております。

 医師の労働時間短縮計画を調査する評価機能と、臨床従事六年目以降の医師の高度技能の認定を取り扱う特定高度技能の審査組織というものは、地域医療の確保や医療の質の維持と進歩にとって大変重要なものでございます。持続的、安定的に業務が遂行できるように体制整備を進めていく必要があると思っております。

 働き方の新制度を早期に幅広く浸透させる必要があると思っております。ここ四年、こういう議論をずっとしてまいりましたけれども、まだまだ、なかなか医療現場に十分浸透しているというふうには思えません。特に、大学病院と基幹病院に対しては、派遣医師の引揚げで地域医療に影響が出ないように、早期に詳細に周知を図っていただきたいというふうに考えております。

 二ページ目、医療関係職種の業務範囲の見直しについてでございます。

 タスクシフト・シェアについては、新たな職種の創設ということではなくて、既に認められている業務の着実な実施が基本だと思います。また、タスクシフト・シェアを受ける側の医療関係職種に対する支援というものも非常に重要な要素でございます。

 今回の法改正による業務の拡大については、医療安全の観点から、相当程度の教育そして研修体制とメディカルコントロールが必須であります。あわせて、需給の見通しに基づく養成の視点も重要だと思います。

 医師養成課程の見直しにつきましては、いわゆるスチューデントドクターに関する制度創設などの今回の改正概要は、日本医師会としても長年提唱してきたものでございます。医療安全と国民の医療への信頼を守るために、CBT、OSCEの不断の改善と診療参加型臨床実習の充実を求めたいと思います。

 ページをめくっていただきまして、三ページ、地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援でございます。

 病床機能再編支援事業の対象地域、医療機関の選定や執行に当たりましては、それが当事者だけではなく、地域の関係者間の十分な協議と合意に基づいて行われることが実際の運用においても担保されることを求めたいと思います。

 都道府県行政や病床機能再編支援補助金申請者は、交付条件を満たしている場合であっても、地域医療構想調整会議や医療審議会等の場において十分かつ丁寧な説明を行い、関係者の理解を得るよう努めることを求めたいと思います。

 四ページです。新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけです。

 平時から有事に備え、新興・再興感染症の感染拡大や災害等にも強い医療提供体制を構築すべきだと思います。

 日本医師会として、医療計画におけるいわゆる五疾病五事業に新興・再興感染症対策を速やかに追加することを求めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で強く認識されたとおり、新興・再興感染症による医療崩壊を防ぐためには、感染症法上の予防計画だけではなく、感染症への対応と通常の医療が両立し得る医療提供体制を整備していくことが肝要だと考えております。

 本規定の施行日、この案は、次期医療計画に合わせて二〇二四年四月一日でありますが、現行の厚生労働省基本方針等への追加により、施行に先立って必要な医療提供体制を構築していくことが必要だと考えております。

 ページをめくっていただきまして、五ページです。外来医療機能の明確化と連携でございます。

 都道府県が、地域の医療機関の中から、医療資源を重点的に活用する外来を、地域で基幹的に担う医療機関として明確化することとなります。その際に、地域における協議の場において、各医療機関の自主的な取組等の進捗状況を共有し、また、地域における必要な調整を行うことを十分に担保していただきたいと思います。

 また、上記の機能を担う医療機関は、紹介外来だけではなく、状態が落ち着いたら逆紹介によって再診患者を地域に戻す役割も担うべきだと考えます。その促進策は、地域の関係者にとっても納得が得られるものとすべきであります。

 外来機能報告の対象となる有床診療所は、地域に密着した医療施設として限られたマンパワーで現在運営をされております。そのため、外来機能報告の有床診療所への適用に当たりましては、時期、報告事項等の設定や丁寧な説明について特に配慮を求めたいと考えております。

 最後に、改正法案と今後の対応について意見を申し上げたいと思います。六ページです。

 各地の医療現場は、本当に、日本を、地域を見ますと様々な状況にあります。公か民か、あるいは施設の大小や機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な尽力をしております。今回の制度改正は、そうした現場の苦労に報い、支えとなるものでなければならないと考えます。

 大規模な制度改革は想定外の問題を生じやすい、また、硬直的な制度運用がなされれば現場に不安や混乱を招きかねません。今回の医療法等改正法の施行に際しては、政省令、告示、そして関係通知等による具体的な制度設計を含め、地域の実情に応じ、かつ柔軟に運用されることを求めたいと思います。

 また、国や地方公共団体に対しまして、地域の不安惹起や混乱の発生を未然に防ぐためにも、現場に対して丁寧かつ詳細な説明を求めたいと思います。

 今回の医療法改正による制度改革を確実に進めていくためには様々な財政的な支援も必要でございますので、この点をお願いして、私からの意見とさせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、伊関参考人にお願いいたします。

伊関参考人 城西大学経営学部教授の伊関友伸と申します。これから参考人としての意見陳述をさせていただきます。

 まず、資料は、要旨をお手元にお配りしております。

 まず、私の経歴と研究内容について説明させていただきます。

 元埼玉県庁の事務職員を十七年しておりました。県立精神医療センターなど、自治体病院で勤務した経験もございます。大学教員として勤務後は、地域医療に関する研究を行っております。二〇〇六年に夕張市の医療再生に取り組んで以来、全国で自治体病院とか公的病院を中心とした地域医療再生の仕事だとか研究をさせていただいております。最近では、自治体病院、公的病院の統合再編について複数例関わらせていただいております。

 その上で、今回の法案についての意見を陳述させていただきます。

 地域医療の研究者としては、今回の内閣提出第一七号、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案は、医師の長時間労働等の状況に鑑み、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するため、医師の労働時間の短縮、健康確保のための制度の創設、各医療関係職種の業務範囲の見直し等の措置を講ずるほか、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえ、都道府県の医療計画に感染症の項目を盛り込むほか、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に関する支援の仕組みの強化の措置などを行った積極的な法改正であると、全体としては評価しております。

 医療法改正の、医師の労働時間の短縮及び健康確保のための制度の創設等に関する事項については、二〇二四年の医師への労働時間の上限規制導入に向けて、病院現場で医療を継続するため、特定地域医療提供機関、連携型特定地域医療提供機関、技能向上集中研修機関、特定高度技能研修機関の制度が創設されたと理解しております。病院現場の実情を踏まえた現実的な対応として、評価をしております。

 特に、医師数が少ない過疎地の医療機関では、機械的な医師への労働時間の上限規制の導入は地域医療の崩壊を招きかねないと心配をしておりました。

 特定地域医療提供機関の、地域において当該病院及び診療所以外で提供することが困難な医療、及び、連携型特定医療提供機関の医師の派遣、これは、いわゆる医科大学からの医師派遣が対象と思われますが、制度の創設は、過疎地の医療機関にとって現在の医療を継続する上で妥当な措置と考えます。

 と言いつつ、過酷な医師の長時間勤務の現状を考えると、医師の長時間労働の抑制を行う様々な取組が国、都道府県、医科大学、地域の医療機関等で行われることを期待しております。

 医療法第三十条の四第二項の医療計画の記載事項の見直しに関する事項の改正について意見を述べます。

 新型コロナウイルスの蔓延を踏まえ、都道府県が医療機関において定めるものとされている事項として新興感染症を入れることにつきましては、当然の措置であると考えます。

 その上で、都道府県の医療計画において感染症の記載をする場合は、既存の感染症指定医療機関の在り方についての議論が必要となります。国におかれましては、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえた新たな感染症指定医療機関の指定の在り方についての指針が示されることが必要と考えます。

 医師法の一部改正の臨床実習に関する事項において、共用試験に合格した医学生を、臨床実習において、医師の指導監督の下に、医師として具現すべき知識及び技能の修得のために医業をすることができることについて意見を述べます。

 単なる知識だけではなくて、早い時期から現場の医療を実践できることは、医師としてのキャリアデザインとして意義があると考えます。

 私も僻地の病院を数多く訪問させていただいておりますけれども、医学生さんが実習、研修をされる姿を拝見したことがあります。医学生さんにとっても貴重な経験だなということを常々感じております。

 放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法及び救命救急士法の一部改正について意見を述べます。

 チーム医療の実現、医師の働き方改革の視点から、医療技術職や救急救命士の業務の拡大を行うことについては評価をするものです。

 特に、新型コロナウイルスの今回の蔓延に対する病院の対応として、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などの医療技術職の皆さんの活躍は目をみはるものでした。是非この流れを続けていっていただきたいなというふうに思っています。

 最後に、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正について意見を述べます。

 まず、意見の前提として、私は、自治体病院や公的病院の統合再編が必要な場合があるという立場に立ちます。反対ではありません。統合再編して病院の規模を大きくして研修体制を充実させ、医師や看護師の集まる病院、救急などの対応力を強化することは必要であると考えます。

 麻生内閣のときのリーマン・ショックの経済対策で地域医療再生基金というのがございました。これはその後の民主党政権のときにも拡充されております。全国に地域医療再生基金の交付を受けて統合再編した成功事例が多数存在します。私が関わった例でも、兵庫県の加古川中央市民病院、石川県の加賀市医療センター、茨城県の茨城県西部メディカルセンターなどがございます。また、どの病院も勤務する医師が増加し、医療提供能力が向上しております。

 今回、新型コロナウイルスの対応も、数多く患者を受けたのは四百床から五百床程度の病床の多い病院でした。病床が多く、医師やスタッフが多数在籍した病院では、多くの患者を受けることができたのは事実だと思います。新型コロナウイルスの経験を踏まえれば、都市部の自治体の病院で統合再編することは合理的と考えています。

 ただし、中規模の病院を統合して拠点病院をつくれば終わりではなく、周辺病院との機能強化、連携強化が必要と考えます。

 当然、民間病院も今回の医療でちゃんと貢献されております。本当に頑張っておられたと思います。そういう連携をちゃんとしていくことが物すごく重要だと思っております。

 その一方、二〇一九年九月二十六日の地域医療に関するワーキンググループに示された、二〇二五年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証要請、四百二十四機関、後に四百三十六機関については、全国一律で急性期病院の診療実績下位三三%で線を引いたため、僻地の中小病院が数多く対象とされたことなど、問題が多いと考えています。

 そもそも、地域医療構想の議論に感染症に関しては議論がなされていません。厚生労働省の調べでも、再検証要請四百三十六機関のうち二百五十機関が新型コロナウイルスの患者受入れ可能機関であり、うち百九十一機関が実際に患者を受け入れたとされています。

 現在、厚生労働省が進めている重点支援区域という制度がありますけれども、これは、再検証要請の一律の強制改革方式ではなくて、手挙げ方式になっており、病院や地方自治体の実情に合わせており、一定の評価ができます。

 新型コロナウイルスの蔓延を踏まえて、再検証要請については凍結をし、新たに新興感染症を踏まえた地域医療構想の議論を進めるべきと考えます。

 その上で、法案についての意見について、第四条第二項の都道府県計画においておおむね定める事項として、地域医療構想の達成に向けた医療機関の運営の支援に関する事業に関する事項を追加することについては、明文が示されることは意義があると思います。さらに、事業について全額負担するということは評価するものです。ただし、無駄遣いがないようにすることは重要だと考えております。

 第十一条の二の再編計画の認定については、再編統合については当然再編計画が必要と考えます。ただし、三の認定の基準について、一から三の基準については同意いたしますが、実際の統合再編の事例では、現場で働く職員や地域住民の意見が反映されずに、一方的に行政が統合再編を進めていく場合があります。職員や地域住民の意見を反映して再編計画が策定されることを要件とするべきと考えます。

 最後に、衆法第一号、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案についての意見を述べます。

 医療従事者等に給付金の支給を行うことは評価できるものです。特に保育所だとか学童保育従事者等に拡大することを評価します。さらに、病院について言うなら、病院はいろいろな委託業者さんとか直接雇用にない方が数多く勤務しています。一応、十日以上の勤務という基準はあります。支給漏れがないように是非御配慮いただければなというふうに思います。

 以上で終わります。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、遠藤参考人にお願いいたします。

遠藤参考人 学習院大学の遠藤でございます。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、現在、厚生労働省の医師の働き方改革の推進に関する検討会と医療計画の見直し等に関する検討会という、今回の法律改正と関連をする検討会の座長をしておりますので、本日は、各検討会における議論の簡単な経緯及び最後にはこの改正法案についての私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、医師の働き方改革でございますが、もう既にかなり御議論がありましたけれども、私どもが行っております医師の働き方改革の推進に関する検討会というのは何かと申しますと、その前の検討会、医師の働き方改革に関する検討会というのがありまして、そこで基本的な方針が決まりまして、それを実際に実行するためにどのような細部の手続が必要かということを検討した検討会でございます。これは十一回にわたりまして行われました。かなり細かなところの議論も行ったわけであります。

 基本的にこの方針は、医師の労働時間の短縮あるいは医師の健康確保という問題と、地域の医療体制をどう維持するかという問題、そのバランスをどう取るかというところが基本方針なわけでありますが、この具体的な仕組みについて様々な議論をしたわけでございます。

 具体的には、地域医療を守るための、医師の長時間労働を一定程度認めるいわゆる特例水準というものがあるわけでありますが、その指定の仕組みをどうするかとか、第三者の評価の在り方をどうするかとか、あるいは、医師の健康を守るための健康確保措置としての面接指導の具体的な方法であるとか、インターバル規制の在り方はどうあるべきかとか、かなり細かな話をさせていただいたということであります。

 委員の中には、かなり多方のステークホルダーズの委員が入っておられまして、非常に現場の意見、あるいは少し大所高所からの意見等々が、随分議論されました。できるだけ、これは医療現場で円滑に運用されないことには話になりませんので、特に私としましては、医師である委員もおられましたので、そういう現場のことをよく御存じの方の意見を丁寧に聞くなど努めたつもりでございます。

 また、地域医療との関係でいえば、現在の地域医療は副業とか兼業を行う医師によって支えられているという現状がございますので、医師を派遣する大学病院等におきましては時間短縮、時短を進めていただくわけでありますけれども、今、地域に副業、兼業をしなければ地域医療が支えられないということで、やむを得ずこの水準を超えた時間外労働が必要となる場合もありますので、それに対しては連携B水準という特例の措置をつくるというような形で、そういう対応をさせていただいたわけであります。

 労働時間の短縮につきましては、委員の間でも様々な意見がございました。もっと厳しくするべきだという意見と、逆に余りにも厳し過ぎるというような御意見もありましたけれども、様々な検討を経まして、結果的に、医師の労働時間の短縮と地域医療の体制の両立を図るという制度案にまとまったと私どもは考えております。

 しかし、現在の勤務医の長時間労働という慣行は長い時間をかけて形成されてきたものでありますので、また医療システム自体がこのことを前提につくられているという面もありますから、これを実際に実行させるためには医療現場において正しく理解されなければなりません。医師そのものが自らの働き方を改善していこうという強い意識を持つことができる環境が整備されないと、なかなか進まないということもあります。そういうこともありますので、そのことも報告書には書かせていただいたわけであります。政府におきましては、この改革の趣旨であるとか内容を丁寧に現場に伝えていってほしいと思うわけであります。

 また、新型コロナウイルス感染症が流行している中、医師の働き方改革を進めていくことについての御意見、様々な御意見があることも承知しておりますが、その上で、検討会としましては、感染症の蔓延時であっても、医師の健康確保と地域医療提供体制の確保の両立を果たせるような社会の実現を目指して、医師の働き方改革を引き続き推進していくべきであるという基本方針は変わらないだろうということで、そのように取りまとめをしております。

 次に、医療計画の見直しに関する検討会でございます。

 ここでは二つのことを議論しておるわけでありますが、これは、新型コロナウイルスの感染症を踏まえた医療計画、地域医療構想の在り方というテーマで、そのテーマで昨年の十月以降検討を続けてきて、報告書を作っております。

 今般の新型ウイルスの感染症の拡大につきましては、我が国の医療提供体制に様々な影響を及ぼしまして、様々な課題があることも浮き彫りにしたわけであります。これは御承知でございましょうけれども、病床、人材の、局所的ではありますけれども、不足が発生しました。また、感染症対応に対する医療機関の役割分担であるとか連携であるとか、このような体制が未整備である。また、マスクなどの感染防護具であるとか人工呼吸器などの医療用物資の不足、こういった、ほかにもいろいろあるわけでありますけれども、そういう問題が浮き彫りになりましたので、その対応をしていかなければならないということであったわけでありますけれども、その中でどのように対応するかということで、今後は医療計画の中で新興感染症の対応をしていこう、そういう流れで対応させていただきました。

 元々、先ほどもお話ありましたけれども、これは厚生科学審議会の感染症部会において感染予防の視点から様々な対策が取られていたわけでありますけれども、今回の感染が一般病院等々にまで拡大をしていくものですから、医療計画の中でも議論しなければならないということになりまして、これで、一つの新しい事業として感染症対策というものを医療計画の中に、取り組むことにしたわけであります。

 感染症対策として医療計画に対する内容については、実はまだ細かくは決まっておりません。これは第八次から始まることでありますので、まだ細かくは決めておりませんけれども、引き続き様々なこれから感染症対策を検証していくことになると思いますので、そういった知見も踏まえて引き続き検討していくこととなっております。

 ただ、検討会におきましては、一応大きな枠組みだけはつくっております。それは、平時からの取組とそれから感染時拡大の取組と二つに分けまして、それぞれについて必要であろうと思われるような事柄は例示としては書いてございます。

 例えば、平時からの取組の例としましては、感染拡大に対応可能な医療機関、病床等の確保、あるいは感染拡大時を想定した専門人材の確保、あるいは医療機関における感染防護具などの備蓄、その他幾つかありますけれども、そういうような、ある意味当然の話でありますけれども、そういう内容が書かれております。今後、これはまた検討されていくことになると思います。

 一方で、実は、医療計画の中に地域医療構想というものが入っておりまして、地域医療構想と新型コロナウイルス感染症の拡大との関係ということについても議論は行われました。

 結論から申し上げますと、大変大きな感染症の拡大であったわけですけれども、一方で、地域医療構想を進めなければいけなかった理由というのは、我が国の人口構成の大きな変化ですね。都市部を中心にこれから急速に後期高齢者が増える、地方は急速に人口減少が起きる、この二つの大きな流れの中で医療提供体制をどう変えていくのかということが基本であったわけでありますので、その前提は基本的には崩れていないという考え方で、その意味から、地域医療構想につきましては各地で今後も進められていくということが重要である、こういう視点は変わりないということであります。

 したがいまして、少し整理をさせていただきますと、今後の感染症対策につきましては医療計画の中で議論をしていくという形になります。と同時に、地域医療構想は、そのような感染症対策の下で粛々と進めていっていただきたい、こういうような考え方にのっとったまとめをさせていただいているわけであります。

 ただ、そうはいいましても、この地域医療構想のスケジュールといいますか工程のようなものがあるわけですけれども、これは現在、地域医療構想の検討会議も、恐らく各地域によっては余り進んでいないわけですね。これは、コロナ対応が精いっぱいということでありますので。こういうこともあるものですから、この工程やスケジュールをどう考えるかということで、余り、感染拡大が大きい中で、工程を明確にするべきではないというような御意見もございます。

 そこで、検討会としましては、新型コロナウイルス感染症への対応状況に配慮しつつ、都道府県等とも協議を行い、この冬の感染状況を見ながら、改めて具体的な工程の設定について検討することが適当であるというふうにまとめております。そういう意味で、スケジュール、工程については柔軟性を持たせているということであります。

 最後に、外来機能のことでございます。

 外来機能の明確化、連携につきましても、先ほど申し上げました医療計画の見直し等に関する検討会では議論をしておるわけであります。

 これまで、入院医療につきましては議論や取組が進んでおります。また、入院の機能をどのように分けるかとかいうような議論も随分されてきたわけですが、一方で、外来についてはそれをやっていなかったということでございます。

 外来の医療につきましても、地域でデータに基づいて協議する枠組みということはそれなりに重要であろうし、あるいは地域住民に外来の機能を知らしめるという仕組みも非常に重要であろうということでありまして、しかも、最近は、外来といいましても、外来化学療法に代表されるように、非常に高度で専門性の高い医療も外来で受けることができるようになっておるものですから、地域における医療提供体制を協議する上で、入院医療だけではなくて、外来医療、特に高度で専門的な機能を持つ外来医療も併せて議論をするということは合理性があるのではないか、このように考えまして、外来機能の報告について検討をしたわけであります。

 入院医療の報告制度というのは既にあるわけでありますけれども、同様に、外来機能に関する報告制度、これが創設されまして、報告されたデータに基づいて、地域での外来機能の明確化あるいは連携といったような協議が行われる素材ができれば、非常に意味のあることだ、このように考えております。

 以上、これまでの検討会の流れを簡潔に申し上げましたけれども、今回の改正法案につきましては、これまでの検討会の議論の結果が反映されたものだというふうに私は認識しておりまして、評価すべき内容だと考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、本田参考人にお願いいたします。

本田参考人 NPO法人医療制度研究会の本田と申します。

 今日は、大変貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 実は、私、二十年近く日本の医師不足と医療崩壊の問題を訴えてまいりまして、やはり国民の方に日本の医療の現実を知ってもらわなくちゃいけないと思って、もう千五百回以上講演しているんですよ、全国で。

 ところが、変わらない。今回も、世界一、欧米より比べて少ない患者数なのに、日本の医療が崩壊した、瓦解した。何でなんでしょうか。私は、正しい診断がついていないと思います、医者的に言えば。

 なぜ日本の医療が崩壊したのか。そのことを今日お話ししたいと思います。

 実は、私は忘れられない一日があります。二〇〇八年四月十二日。医療現場の危機打開と再建を目指す国会議員、超党派の国会議員、その場面にいらした方もここにいらっしゃいますね。二〇〇八年四月十二日、私は、これで日本の医療崩壊がよくなるに違いない、再建されるんじゃないかと思っていました。ところが、残念ながら、今回は医療崩壊です。

 二〇一五年には「本当の医療崩壊はこれからやってくる!」、あと、今年の二月には「日本の医療崩壊をくい止める 日本を安心して生きられる国にするために」と、実は医療崩壊と書いた本を四冊出しているんですね。だけれども、止まらなかった。

 今日は、なぜ止まらなかったのかということをここでお話ししたいと思います。

 今日は、十六枚の図を持っていますので、私、ページと図の番号、間違えて言うかもしれません。私が言う数字はこの図の番号でございますので、これを御覧ください。

 まず、そういうふうなことで、日本の、今回の働き方改革含めて、医師数その他がどうなのかということで、二番目の方で、医師数と、あとはタスクシフトについて主にお話をしたいと思います。

 それでは、まず三番目の図でございます、二ページ目ですね。

 まず、医師も余り知らないんですけれども、世界で医学部定員を決めている国というのは少ないんですよ。先生方、御存じでしょうか。日本、カナダ、イギリス及びニュージーランドです。ということは、逆に言えば、医師不足を引き起こしちゃいけないということですね。国が決めているんですから。

 ところが、何でこんな医師不足なのかということです。

 その下の図、四番目を御覧ください。

 国会議員の先生方の中にも、日本は医学部定員を二〇〇八年に増やしたはずだから、OECD並みに医師が増えているはずだと思っていらっしゃる方も多いと思います。この四番目の図を御覧ください。二〇一八年で、今、世界の、OECD平均と比べて、日本は何と十三万人不足しているんですよ。十三万人。これが医師不足の原因なんですね。

 この詳細は、またちょっと図を御覧いただきたいんですけれども、十三万人不足している日本で二〇二三年度から医学部定員削減するということになったんですよ。

 私がなぜこのようにハイテンションで話しているかということは御理解いただけると思います。

 五番目の図を御覧ください。

 これは、私が十年前に毎日新聞に書いた、「私の社会保障論」という連載をしていたときに書いた記事です。十年前に既に、日本の感染症学会は、日本には本来は感染症専門医が三千人から四千人必要だと。ところが、千人ぐらいしかいなかったんですね、十年前。

 去年の一月は千五百人ですよ、皆さん。三千人から四千人必要なのが、千五百人なんですよ。ですから、感染症指定医療機関でも感染症専門医がいないという、びっくりするような状況が日本では起きているんですね。だけれども、このことがほとんどメディアで報道されていないんですよ。ベッドが足りないだけじゃないんです、専門医がいないんです。

 その下、御覧ください、六番目。

 これは集中治療医。新型コロナで重症患者さんにはECMO、人工肺の治療をされている、皆さん御存じだと思います。そういう重症者を診る人も、日本では集中治療医学会によれば二千六百五十人足りないんですね。それはそうです、十三万人足りないんですから。

 ところが、ここで特筆すべきは、ドイツは集中治療医が八千人いるんですよ、皆さん。日本は千八百五十人しかいないんです。ドイツ並みに必要だとすると、一万人足りないんですよ、日本は。それはそうです、十三万人足りないんですから。

 これは、感染症だけじゃない、集中治療医だけじゃない、救急その他全て足りないんですね。だから、医師の働き方改革で守れないんですよ。守れるわけありません、十三万人足りないんですから。

 ちょっとしつこいですけれども、今日はせっかくの機会ですから、ちゃんとお話ししたいと思います。

 次、七番目、御覧ください。

 その私の懸念が、ここに当たっています。日本の働き方改革に出たデータ、日本の二十万人の勤務医の調査で、何と四割、八万人が過労死ライン以上なんですよ、皆さん。そのうちの一割、二万人が過労死ラインの倍超えているんです、二倍超えているんですよ。

 これが日本の現実で、二三年度から医学部定員削減するんですよ、大丈夫なんですかと私は聞きたい、誰も答えてくれないけれども。今日は、そういう意味ではやりがいがあるんですね。やはり国会議員の先生がこれを知らないんじゃどうしようもないわけですから、まあ、御存じだとは思いますけれども。

 その下、八番目の図を御覧ください。

 これはよく言う全国各地域当たりの人口当たり医師数です。日本は、先ほど言いましたけれども、しつこいですけれども、十三万人足りないんですが、日本で一番多い徳島も、京都も高知もOECDの平均に達していないんです、皆さん御存じですか。一番多い県でもOECDの平均、日本は世界一の高齢社会ですよね。OECDより多くて罰は当たらないんですよ。それより十三万人足りないんですよ。

 そして、この首都三県を御覧ください、首都三県。東京はまだいいですけれども、医師が少ないでしょう。だから首都三県が、緊急事態宣言、解除できないんですね。ちなみに、今日はスライドを用意していませんけれども、首都三県は、医師だけじゃない、ベッド数も看護師も少ないです。一極集中でそうなっちゃったんです。だから緊急事態条項、解除できなくて、経済がどうするんだと。ベッドだけ用意しても、皆さん、ベッドは自動的に治療してくれないんですよ。医師か看護師がいなければ無理なんです。そうですよね。

 ちょっと妙なテンションになって申し訳ありません。せっかくの国会審議が、申し訳ありません。

 九番目、御覧ください。

 ところが、日本は、済みません、前の八番目で、日本の医師数がOECD並みに要るとすると、四十六万人ぐらい必要なんですね。よろしいですか。

 ところが、次の図を御覧ください。

 厚労省の医療従事者の需給検討会ですと、OECD並みに今要るとすると四十六万人なのに、不思議なことに、三十六万から三十七万人で需給が満たすということになっているんですよ。これはおかしいでしょう。四十六万人なのに、三十六から三十七万人。

 何でか。それは十番目、御覧ください。

 済みません。ちょっと今日は真面目にやる予定だったんですけれども、いつも一般の方を相手に話しているものですから、本当はもっと駄じゃれを入れたりして楽しくやっているんですけれども、ちょっと今日はかなり真面目にやっています。

 十番目、御覧ください。

 十番目、これは私、びっくりしたんですけれども、これは世界の医師数のデータです。一番下の赤い線、日本の人口当たり医師数。上の赤い線、加重平均、世界の国々の。その上に一つ星がありますね、横に赤い線は入っていませんけれども、これは単純平均です。OECDはずっと単純平均を使ってきたんです。

 単純平均というのは、その脇にちょっと解説が書いてありますけれども、各国の人口当たり医師数を足して、その国の数で割るのが単純ね。加重平均というのは、世界の国の人口と世界の国の医師数で出すんですよ。医療体制が違うところでそんな出し方をして意味があると思いますか、皆さん。加重平均。

 だから、私はこんなのはおかしいと、講演会ではオレンジジュース平均と言っているんですけれども。いいですね、済みません。やはり駄目でした。言わない方がよかった。加重平均。

 十一番目、御覧ください。

 十一番目、これが今日の肝です、スライド。十一番目のスライドの上、これは世界の人口当たり医師数。よろしいですか。OECD、日本は低いです、びりの方ですね。その人口当たり医師数の伸びを見てください。これもびりでしょう、日本。その下、この十一番目の下の図が今日私が一番強調したいところですよ。これは世界の人口当たり医学部卒業生数、世界最低。そして、右を見てください、伸びていないでしょう。

 一年、ある年のOECDの数だけ見て、十年後にそこに追いつくかといっても意味ないでしょう、世界は増やしているんだから。医療が進歩すれば医者は必要なんですよ、皆さん。だから、世界でも医学部卒業生数が増えていない日本で二三年度から医学部定員削減するんですよ。それで医師の働き方なんか、できるわけないでしょう。

 そして、十二番目。

 「医師不足を放置すると?」、これが私、長年訴えたいことです。まず、1感染症や大災害時の医療崩壊、そして経済崩壊。皆さん、今回、医療が崩壊すると経済が崩壊するということはもう分かったわけですね。医療は命の安全保障だけじゃなくて、経済の安全保障でもあるんです。ここをちゃんとしておかないと、国の安全保障を考えるんだったら医療もちゃんとしないと、駄目よ、駄目駄目というやつなんです。

 済みません。だんだん普通の調子が出てまいりました。申し訳ありません、ちょっと真面目にやります。

 十三番目。

 じゃ、どうしたらいいのだ。タスクシフトをしっかりする。これはちょっと時間が、もうそろそろ時間があれですからあれですけれども、フィジシャンアシスタントとか、この上の十三番目は、アメリカではいろいろな職種がいるということです、日本と違って。

 十四番目を御覧ください。

 私はフィジシャンアシスタント導入を訴えているんですけれども、この十四番目の下のグラフを御覧ください。アメリカでは、日本にいないような、医師と一緒に働くようなフィジシャンアシスタントがいて、何とこの十年で八万人から十二万人になっています。今、日本はタスクシフトをいろいろな多職種とか特定看護師さんでお願いしようとしているけれども、皆さん、日本は看護師さんも少ないんですから、その少ない看護師さんにこの多職種連携をやるのは、無理よ、無理です。

 十五番目、御覧ください。

 これは、そのタスクシフトでどんなことをやっているか。

 最後です。

 この最後のスライドが、是非御覧いただきたい。これはOECDの医師数ですね。ここに星印で、今言ったフィジシャンアシスタントを導入している国を並べておきました。ドイツ、オーストラリア、オランダ、ニュージーランド、イスラエル、アイルランド、イギリス、カナダ、アメリカ。

 ドイツは、OECDの中で、G7で一番医師数が多い国が、十年前にフィジシャンアシスタントを導入しています。日本はまだ導入していません。これで、医学部定員削減して実効性あるタスクシフトの人数を増やさなかったら駄目でしょう。

 本当に皆さん、なぜ加重平均を使って、医師数を、医師不足を矮小化しているのか、何の目的なのか、是非皆さん検証してほしい。日本の一番の問題は、問題が起きたときにしっかり検証しないからですよ。もう一回、何回でも同じ過ちを繰り返すんですね。

 ということで、今日も私も講演の駄じゃれの過ちを繰り返してしまいましたけれども、取りあえずこれで終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 次に、加納参考人にお願いいたします。

加納参考人 日本医療法人協会の加納でございます。

 この度は、このような貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。また、コロナ禍におきまして、病院等に非常に多くの支援をいただきましたこと、改めて厚く御礼申し上げたいと思います。

 また、医療従事者に対するワクチンの接種に関しましても、着実に進めていただいております。重ねて御礼申し上げたいと思います。私も、三月八日に第一回の接種をしていただきました。感謝申し上げます。

 それでは、説明に入らさせていただきたいと思います。本田参考人のようにちょっと軽快にやりたいんですが、私の立場というのは医療法人協会ということで、民間病院の立場で発言をさせていただきます。

 昨今、少し民間病院に関していろんな批判があったかと思いますが、それは間違いであるということを是非とも認識していただくための話と、今回の法案が通ればそれがどういう状況を招く危険があるかということを少し述べさせていただきたいと思います。

 それでは、説明に入ります。

 私の主張であります二ページを御覧になっていただきたいと思います。二・三・四、八・七・六の法則についてです。これは、日本の医療を分かりやすく理解していただくためにつくった、私の説明用の造語でございます。公的は病院数の二割、病床数の三割、救急搬送受入れ数の四割を占めております。それに対して、民間は病院数の八割、病床数の七割、救急搬送の六割を占めているということでございます。

 さらに、診療所を考えますと、診療所はほぼ十割近くは民間でございます。まさしく日本の医療というものは民間で成り立っているということがこれで分かっていただけるかと思います。

 ただし、これを見ますと、公的は二割、三割の割に救急が四割やっているやないか、公的の方がしっかりやっているんじゃないかということを誤解されるかと思いますが、実は、この民間のうちの八割、七割の中には慢性期や精神科の専門病院が入っております。ちょうど急性期のベッド数で比較しますと、公と民がちょうど四対六、ベッド数とほぼ救急搬送数の受入れは比例しますので、このとおりだと認識していただきたいと思います。

 次に、三ページを見ていただきたいと思います。

 民間と公的の優位を都道府県別に比べたものでございます。これをどう見るかということですが、これは実は、救急搬送受入れ数の割合が民間で何%受けているかということを示しております。五〇%以上受け入れているところが民間優位の都道府県とさせていただいております。二十一の都道府県でございます。逆に、公的が頑張っているところが二十六の県でございます。

 これを見ていただくと分かると思いますが、実は、民間優位の都道府県、埼玉、福岡、東京、大阪などにおきましては、民間が七割から八割、救急車の受入れのシェアを取っております。民間優位の都道府県の人口が実は日本の人口の三分の二、総人口の六六%を占めていることが分かっていただけるかと思います。逆に、公的優位なところは人口の三分の一、総人口の三四%でございます。

 これを見ていただくと、ほとんどの大都市は民間が優位で頑張っているということが分かるかと思います。御出席の先生方の御出身の都道府県を見ていただければ、どちらであるかということも認識していただけるかと思っております。

 また、コロナの発生の状況を見て、色分けを実はさせていただいております。緊急事態宣言の十一の都道府県のうち九つは、この民間優位なところでありました。救急搬送受入れの民間が七割から八割近くを占めているところがほとんどでございました。

 このことは非常に重要なことでございます。コロナがはやったところが、実は民間が優位であったというところであります。これが実は幸いしております。実は、医療崩壊、日本は起こったのかということですが、いわゆる欧米で起こったような医療崩壊は起こっておりません。その大きな要因になります。

 二十ページの資料でまず見ていただきますと、これは大阪府下のデータです。当初はすぐに、私の病院はすぐにコロナ対応をしたわけでありますが、ほとんどの多くの民間病院はコロナの受入れができませんでした。それは、コロナの受入れができなかった理由としまして、当然のことですが、三月、四月といった状況では、マスク、消毒薬すらない、防護服の代わりにポリ袋で防護服を作った、そういう時期でありました。それでコロナの患者さんを受け入れていれば、たちまち欧米で起こったごとく、院内感染、クラスター発生、医療崩壊、感染拡大が実際に起こったと思っております。

 民間病院の多くは、その時点ではコロナの受入れができなくて、一般の救急の受入れに専従した病院が多かったと私は認識しております。コロナ禍において、例えば大阪ですと、昨年の四月の大阪市内の救急搬送は一万五千件でした。一昨年の搬送数は二万件ですので二五%減っていたわけですが、一万五千台の救急車の搬送受入れに関しましては、問題なく受入れができていたわけであります。そのうちコロナの患者さんといいますと、約一割にも実は満たないわけであります。ということは、残りの一万三千数百件の救急車に関しましては、コロナ以外のふだんの救急搬送患者だったわけであります。

 さらに、大阪ですと、通常、救急車の民間救急病院の受入れは七三%となっておりますが、大阪市内の公立病院は、コロナの受入れを始めると同時に救急をストップしました。恐らく、二〇二〇年度の民間比率は更に上がり、八割から九割近く民間で受入れをしたと推測されております。そのことが、実は急性期医療の崩壊を防ぎ、地域医療を守ったという実態であります。

 このような形に、先ほど見ていただいたように、コロナに感染した地域で、大阪以外でもそれぞれの民間病院が活躍し、そのことで、ふだんの一般救急患者さんの受入れが維持されたということであります。そういう意味では、日本の医療崩壊、急性期の医療崩壊というのが現実的になかったということであります。

 ただし、第一波、第二波に関しましては、このように大きな民間バッシングが起こらなかったんですが、第三波に関しましては、季節的な影響もありまして大きな波になりました、重症者も増える状況になりましたし。しかし、コロナ禍において日本で起こったのは実際の医療崩壊というものではなく、海外で起こった医療崩壊というものではなく、重症者等のコロナ受入れ病床の逼迫ということでありました。

 これに関しましては、先ほど見ていただいた二十ページにありますように、民間病院の割合は、四月からPPEがそろい、先生方の御努力で支援金が交付されるようになり、見ていただいたとおり、直線的に四月から上昇しているかと思います。民間病院は、経営がやはり自分でやらなきゃいけないということもありまして、判断が済み次第、協力できる病院はしっかりと協力していったという表れだと思っております。しかしながら、コロナ重症患者さんの病床利用がやはり九割近くまで上昇したことから、医療崩壊が叫ばれたのではないかと理解しております。

 繰り返しになりますが、日本は最後まで医療崩壊はしなかったということを繰り返して申し上げたいと思います。実は、欧米の急性期というものは過度に集約され、いわゆる巨艦主義、でかい病院、大きい病院が急性期を担うということになっております。そこにコロナの患者さんが入ってきたわけですから、たちまち、瞬時に医療現場が感染の原因となり、感染が拡大し、日本より発生率、丸ごと急性期の病院が崩壊したわけですから、いきなり大きな感染が広まった結果として、一桁、二桁感染数も増えたかと考えております。

 そういう意味では、今回、民間病院は、コロナを診る病院、またこれは公立病院も含めて、コロナを診る病院とコロナを診なかった病院も含めてしっかりと地域医療を守ったからこそ、医療崩壊は実際には起こらなかったということを認識していただきたいと思っております。これが実は、私はファクターXじゃないかと思っております。これと、介護施設の面会謝絶を含めてやったのが、日本で医療崩壊を大きく招かなかった大きな原因だと思っております。

 次に、今後の必要な医療であります。

 集約化した方がよい医療と、先ほども申しましたように、欧米は、集約化し過ぎて、巨艦主義、戦艦大和級の病院でないと駄目だという理論につながりました。巨大化した病院しか急性期を担えなくしたために、コロナで一気に潰れたわけであります。

 五ページを見ていただきたいと思います。

 実は、本来、集約化した方がよい医療と、分散化した方がよい医療があります。これはやはり、区別して扱うことによって、巨大な病院を都道府県内に幾つも造るというようなことを避けていただきたいと思っております。

 集約化した方がよい医療というものは何かといいますと、小児、周産期、三次救急、それにがん治療の方が入るかと思っております。

 全てのがんじゃないんですが、多くのがんは、集約化した形での手術、がん手術の集約化というのは必要かとは思います。ただし、がんも、いわゆる化学療法等で継続的に診なきゃいけない場合はそういう必要はないわけでありますが。

 それとは別に、今後の増えていく我々の日本の医療の一番の問題は高齢者医療だと認識しております。

 高齢者医療というものは、骨折、脳卒中、心不全というものが主なものでありますが、これは実は二次救急で全て診れます。いわゆる民間の二次救急で十分こなせているわけであります。

 そういう意味で、今後、人口密度の高い大都会においては、点でなくて面で二次救急はしっかり受けていくということが大事だと思っておりますし、逆に、地方においては、どうしても、集約化した点で受けるという体制づくり、オンリーワンになってしまいますが、そういうこともあり得るかと思っております。そういった形の地域での体制の区別をしなきゃいけないということが必要かと思っております。

 実は、これは私の勝手な言葉でつくっています輪廻転床。実は、これからの高齢者の方が病気になりまして、転床のショウは実はベッドでございます、いわゆる、治療して、リハビリをして、在宅に戻る、これの繰り返しを輪廻転床とさせていただいております。人生百年時代、これから何回か輪廻転床を繰り返していただいて、人生を楽しく全うしていただくのが我々の役目じゃないかなと思っております。

 そういう意味で、我々の役目としまして、二次救急というものをしっかりと守っていくということが大事だと思っておりますし、そこに図を足していただいていますが、今後高齢者が増えるところは実は民間病院が救急を支えているところでありますので、そういった形で我々はしっかりとやっていきたいと思っております。

 今後、その二次救急を守るに当たって、七ページを今度御覧になっていただきたいと思います。

 これも大阪の例であります。重立った救急病院がこの中に記載されているわけでありますが、実は、そこに明記されていますように、当直の体制、四割近くは大学からの、等の副業によるものでございます。

 今回、先ほどから話が出ています連携Bというものがつくられております。連携Bというのは、大学等から供給をシステム的にできるようなという形でつくられたと私どもは認識しております。

 以前の議論中は、先生方のお手元にあるほかの資料だと思うんですが、公式の資料では、今、連携BとBが同じ緑色になっているんですが、我々協議しているときは、ずっと、A水準という濃いブルーと近い淡いブルーで書かれていたんですが、どういう訳か、法案化の時点で途端に、Bと連携Bが同じ色になって表現されております。私はそれは非常に問題だと思っておりまして、連携Bは、今後、先ほどから申しました、大都会において守っている民間病院の礎である大学からの労働力の供給という面では、今後、連携Bを主体にしっかりと守っていただくことこそ、今後の高齢者医療を維持していく大事な礎だと考えております。

 その点を踏まえて、今後の法案の中で、そういった意味での連携Bの取扱いに関して、先生方、是非とも御理解いただいて、御協力をお願いしまして、私からの説明とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

とかしき委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。

繁本委員 ありがとうございます。自由民主党の繁本護でございます。

 今日は、参考人の先生方には、お忙しい中、厚生労働委員会に出てきていただきまして、貴重な御意見を賜りました。本当にありがとうございます。感謝申し上げます。また、コロナ禍において、それぞれのお立場で、この終息に向けて、今後の医療体制に向けて御尽力いただいていることにも敬意と感謝をまずもって申し上げたいと思います。

 今日は十分しかありません。限られた時間でございますので、全ての先生方に御質問は当たらないかと思いますが、この点はまずもって御了承いただきたいと思います。

 コロナ禍における今回の法改正の議論でありますから、平時における地域の医療体制、医療計画と、そして有事におけるそれと、両方議論していかないといけないわけでありますが、このタイミングでの法案審議でありますから、論点がたくさんある中ですが、やはり感染症対策を中心に順次質問していきたいと思います。

 新興感染症が発生して、それに対応するべく、今回、医療計画の中に一つ新たな事項が盛り込まれたわけでありますが、今回、一年間の経験をずっと振り返って、見ておりましたら、やはり、コロナ対応をしていただいている医療機関とそうでない医療機関と、それぞれに御尽力いただいて、御発言もございました。

 実際、人が足りているか、病床が足りているか、医療機器が足りているか、あと患者はどうなっているかと、様々な状況が時々刻々と変わっていく中で、対応病院と非対応病院との間でいろいろ混乱があった一年でもあったかと思うんですね。

 それを、そうさせないために、今回、新たな計画事項として新興感染症が起きたときの備えをやっていこうと思うわけでありますが、今回の計画作りにおいては、単に、感染者が出てきた、そしてそれがまた広がっていった、それに対してきちっとやっていこうということだけではなくて、もちろん、通常で、コロナ禍なかりせば、しっかりと病院に通うことのできたコロナではない医療に対しても、良質かつすばらしい医療サービスを提供していかなくてはいけないわけでありますが、実際、この一年、かなりの受診抑制が起きたんですよね。

 したがいまして、感染症への対応をするとともに、平時であるかのように有事においてもしっかりと医療サービスを受けてもらうための、救急医療もそうだし、急性期もそうだし、そして慢性期も回復期も、全ての医療をなるべく平準化していくためには、感染症に対応している病院とそうでない病院との間で医療資源の融通、あるいは患者さんの融通みたいなものがあればいいよねということは誰しもが分かってはるんです。ところが、現実はそうならなかった。それはそうです、初めてのことですから。世界的なパンデミックでありますからね、そうならなかった。

 もう一つは、今日、午前中の審議の中で安藤高夫先生が明らかにしていただいたんですが、受診抑制が起きた結果、我が国で、四月から十二月の間で一・三兆円の医療機関における収入減が実際起きたわけですよ。これは今、病院、医療界全体の経営も圧迫していて、感染症対応もありますが、経営面で、医療崩壊とまでは言いませんが、経営面ですごく医療機関がそれぞれの立場で厳しい状況にあるわけですね。

 したがいまして、これからパンデミックを考えたときの医療計画を考えるときには、経営もしっかり考えながら、医療資源と患者さんをお互い融通させていかなあかん、こういうことが大事かと思うんですが、この点について、やはり課題もたくさんあると思いますので、今日開陳できなかった部分も含めて、今村先生と、民間病院の経営に、その観点から、加納先生に御所見をお伺いしたいと思います。

今村参考人 御質問、ありがとうございました。

 まずは、日本医師会も、安心して国民の方に受診していただけるように、当初は本当に医療機関側も、マスクも手袋もアルコールもPPEもない状況の中で発熱患者を診るというような状況がございましたし、患者さんにも不安がありましたけれども、先生から御指摘のように時々刻々と状況は変わって、そういう物資も十分にあるということで、安心して医療機関を受診していただける体制ということで、安心マークというようなものも発行させていただいて、患者さんに安心を与えるということを努力してまいりました。

 それから、オンライン診療も、従来は平時の医療ということで挙げられておりましたけれども、対面でもなく、一定の医療、安全と信頼の下に行えるオンライン診療については進めていくというような取組をされたということはございます。

 そうはいいつつ、安藤先生のお話、午前中、聞いておりませんけれども、四月から十二月までの間は相当に受診抑制、これも診療科によって相当に差があったということもございますけれども、皆様方、先生方のお力で様々な補助金や診療報酬の改正をしていただいて、これは、流行の二波、三波、四波と、その時期にもよってまた随分変わるわけですけれども、それはかなりの部分補填をしていただいたというふうには思います。

 診療報酬は、御存じのとおり、その行為を行えば自動的にお金が入ってくるものでありますけれども、補助金については大変に申請が大変で、私も実際に、いろんな発熱外来等の診療を行うに当たって、本当に四つも五つもITを活用していろんな申請をしなきゃいけない、それも、なおかつ、支払いというか振り込みも非常に遅れるような状況にございますので、そういった簡素化とか手続の簡便化、あるいは、自治体のお金と国のお金みたいな話になりますと、なかなかスムーズに医療機関にお金が来ないということもありますので、こういったものについては、全額国庫からスムーズに補助金をいただけるような仕組みをつくっていただくと、安心して医療機関が経営ができるかというふうに思っておりますので、是非ともその点もお願い申し上げたいというふうに思っております。

 お答えになったかどうかちょっと分かりませんけれども、よろしくお願いします。

加納参考人 御質問、ありがとうございます。

 我々三病協として、この度のコロナ禍で四回公表させていただきました。やはり、一度目は、五月の十八日に出させていただいた四月の我々の病院団体における集計における状況では、コロナを受けた病院が非常に厳しい状態、二〇%近いダウンから始まり、それぞれ、コロナを受けていない病院までのマイナスの状況を提示させていただきました。それを今まで四回提示させていただきましたが、まだまだやはり厳しい状況が続いております。

 先ほど今村参考人がおっしゃいましたように、支援金というものが今随時入ってきております。冒頭にちょっとお礼を申し上げたのは、コロナを受けた病院、特に重点医療機関等には空床補償等でしっかりと支援金を今補給していただいております。この点に関しましては、三病協で出たデータでもかなり改善はしていますけれども、まだマイナスの状況が続いているというデータを出させていただいているかと思います。

 今後の補助金の執行状況によっては好転するのかということを期待しておりますが、これは是非とも検証していただいて、コロナを診た病院がまずマイナスではいけないということ、私、ちょうど菅総理に御面談いただいたときにもそういうお言葉をいただきましたけれども、そういう形で、しっかりと、コロナを受けた病院に対する対応は是非ともお願いしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、コロナを受けなかった病院も、必死でコロナの院内感染を防ぎながら入院患者さんを守り、職員を守りながら医療に携わって、救急医療を守って、地域医療を守ったということも是非とも評価していただいて、その点に関するまた支援金等の考慮を是非ともお願いしたいと思います。

 その点に関しましては、少し、皆さん方、やはり、コロナを受けた病院に対する評価は非常にしていただいているんですが、コロナを受けなかった病院も、先ほど申しましたように、日本を守れたのは、そういった皆さん方、公も民も必死になって頑張った、そういう姿で我々日本の医療崩壊を招かずに済んだと思っておりますので、是非ともそこの点に関しましても、支援金の方、また御考慮いただければと思っております。

繁本委員 ありがとうございます。

 コロナがかなりの負荷をかけている中で補助金申請が乗っかれば働き方改革の逆行ですから、ちゃんとしないといけないと思います。

 あと、もう時間が来たのでこれで終わらないといけませんので、まだまだ聞きたいことはたくさんあったんですが、これで質問を終わります。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 本日は、五人の参考人に御出席をいただきました。大変お忙しい中御出席をいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。また、それぞれの立場での陳述、大変参考になりました。今後の法案審議に生かしていきたいと思います。

 短い時間でございますので、全ての参考人の皆様に御質問できないことを御容赦を願いたいと思います。

 私からは、この改正案の中身は、医師の働き方、また地域の医療体制の在り方等、かなり多岐にわたる内容でありまして、ポイントを絞って、地域の医療体制の部分につきまして御質問させていただきたいと思います。

 まず、伊関参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 法案について本当に丁寧にお答えいただいていたわけでありますが、お答えいただいた中での地域医療構想、地域の医療体制についての部分につきまして、新型コロナウイルスの蔓延を踏まえて、再検証要請、これは一昨年九月、リストアップ、リスト化された四百二十四、後に四百三十六病院、機関ということになりますが、これにつきましては凍結をし、また、新たに新興感染症を踏まえた地域医療構想の議論を進めるべきとおっしゃっておられました。

 非常に全体の中でボリュームが少なかったので、一度、リスト化された四百三十六機関についてはある意味白紙化して、その上で改めて議論を進めるべきということだとここにも書いてあるわけですが、この理由についてもう少し詳しく丁寧なお答えをいただければと思います。

伊関参考人 お答えさせていただきます。

 確認ですけれども、私は、地域医療構想自体について否定しているわけではない。逆に、今の新興感染症、新型コロナの蔓延を考えると、病院間の連携は必要だというふうに考えています。

 例えば、ECMOなんかは高度急性期病院、中等症ぐらいの方は、軽症の方は地域の急性期病院、検査だとか診断等は地域の開業医の先生、この連携が今回の新型コロナで物すごく重要になった。これは、自治体だとか公的、民間を問わず、医療機関同士の連携、まさに医療界が一丸となって対応することが必要で、そのための議論のツールとしては、地域医療構想ないし地域での調整会議の役割というのは大きいと思っています。新型コロナを踏まえれば、役割は逆に高まってきているかなと思っています。

 ただし、この四百二十四の病院の再検証要請というのは急性期の視点で一律で基準を作りました。そうすると、本当に山奥の唯一の病院はどうしようという話なんですよね。例えば離島、利尻島だとか奥尻島の病院、再検証しなさいと言うんですけれども、その離島に一つしかないんですよ。その病院をどう見直すのかということ自体、やはり理屈にない。

 一方で、都市部はもうちょっと再編して感染症の対応ができるような、感染症の専門医の方が活躍するには、ある程度の病床の規模が必要です。だからこそ、都市部を対象として統合再編を検討するべきなんだけれども、そっちは、逆に言えば三分の一の基準外ですから、対象外なんですね。

 リストを見ていて、私も全国あちらこちらの病院に行っています。相場観があるんですよね。その相場観に全然合わなかったものなので、これは問題だというふうに思っています。

 僻地の病院、いっぱいあります。一生懸命少ないスタッフで頑張っておられます院長先生、看護師さん、その人たちの働く誇りを傷つける、将来の不安をかき立てるような、そういう指摘の仕方をしたので、厚労省の担当の方等のいろいろな思いはあったんだと思いますけれども、もう一回、今回の状況を踏まえて、ちゃんと新興感染症のものを踏まえて議論をし直すことが必要かと考えております。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 地域の実情を踏まえながら、さらに、コロナの現状を踏まえてというお答えで、もう少し議論したいんですけれども、時間がございませんので、もう一問。

 先ほどの陳述の中で、この統合再編に関しまして、職員や地域住民の意見を反映して再編計画が策定されることを要件とするべきであると述べられておりましたが、ここについても、この理由についてもう少し詳しく御説明をいただければと思います。

伊関参考人 特に、自治体病院、公的病院、国立病院も含めて公的性格のある病院を統合再編する場合、まさに地域に根差すというか、自治体病院はまさに地域立の病院ですので、住民の方々、職員の方々、やはり影響は大きいんですよね。

 いろいろな事例を見ると、行政が一方的に、職員の、働く人たちのことを考えずに統合再編を進めて、結局、大量退職したり反対運動が起きて、そのまま先へ進まなかったりすることが結構あります。

 結局は、情報をちゃんと公開して、住民や職員の意見をちゃんと反映して、だけれども、この地域の医療を残すためにはぎりぎり統合が必要なんだと泣いて統合するぐらいの話じゃないと、地域医療なんか残せないです。そうやってこれまで統合してきた病院は、本当に血みどろの経験をしながら、結局、統合して医師が集まる、看護師が集まる病院になって、やはり苦労したけれども一生懸命やってよかったと。

 ちょうど退任されますけれども、静岡県の袋井市長さん、掛川市と中東遠総合医療センターという五百床の病院をつくったんですけれども、もう大反対運動が起きました。そのときに、でも、地域にとって必要だということで統合した。この前、会議に出たときに、本当に苦労したけれども、この統合をして、病院、医療が提供できる、新型コロナの患者さんも対応できる、苦労してよかったというふうにつくづく言われていました。

 やはりそういう地域の関係者の努力に基づいて地域の医療というのは存続できますので、是非、地域の意見、住民の意見、職員の意見を反映させるような仕組みに、統合再編をする場合でも計画に位置づけていただければなというふうに思います。

中島委員 ありがとうございます。

 地域医療構想そのもの、私もそうなんです、地域医療体制の在り方、これは将来を見据えて鋭意やはり議論して、そしてビジョンを描いていくということは全くそのとおりだと思います。

 しかし、一昨年九月の四二四リスト公表の際に、それぞれの地域、今日、橋本先生もいらっしゃいますけれども、あれを公表したことで、私の地元は山梨県北杜市というところで、市町村合併して、今、市立病院が二つ、その二つともリスト公表、名指しされている状況で、やはり地域の住民の方となかなか理解が進めない、そして県も指導力を発揮できない。非常に悩ましい極めて本質的なお話だった、そのように思います。

 時間もございませんが、本田参考人に一点お聞きさせていただきたいと思います。

 先ほど冒頭に、今回のコロナを踏まえて、欧米に比べて我が国は圧倒的に感染者数が少ない、一方でベッド数は逆に圧倒的に多い我が国で、なぜ医療逼迫の状況、これにさらされなければいけなかったのか。極めてこれも本質的なことでございまして、こういう状況を招いたこここそが本当に議論しなければならないことと。今日、本田参考人は働き方の部分、医師不足の部分でございましたが、医療体制の部分で、今回なぜ我が国は医療逼迫を引き起こしたのか、課題について御意見をいただければと思います。

本田参考人 ありがとうございます。

 先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり、私、しっかりした検証をする最高のチャンスだと思いますね。なぜ日本が医療が崩壊というような状況になったのか。先ほど、一番最後に言う予定だったんですけれども、我々医者の中では、小医は病を医し、中医は人を医し、大医は国を医すという言葉があります。やはり先生方は大医ですよね。国を医す。先生方がやはり、本当になぜ感染者数が相対的に少ない日本で医療が崩壊したというのをしっかり検証して、今までの日本の医療の在り方自体を全体を見直す。厚生労働委員会の先生方は大医ですから、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

中島委員 全ての参考人に質問できませんで、申し訳ございませんでした。

 ありがとうございます。

とかしき委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 五人の参考人の皆さんには、それぞれの立場から貴重な御意見をありがとうございます。

 早速質問させていただきますが、まず加納参考人に伺いたいと思います。

 今朝、この医療法の議論をこの委員会でさせていただいたときに、政府の方の答弁では、民間で代替できないところを公立病院でやるんだ、例えば災害とか救急とかという話がありました。でも、今の加納参考人の話を伺うと、いや、代替どころか、民間が今頑張っているんだというお話でした。大阪なんかは特にそうだということでありましたが、私も地元が大阪ですので、民間の病院がいかに頑張っていただいているかというのを見ておりまして、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今回、五疾病五事業に感染症対策というのを盛り込んでいく、つまり、感染症への対応と通常医療の両立というのを考えていくわけですが、その中で、遠藤参考人の方からも、まだどうやって決めていくか細かくは決まっていませんという話がございました。でも、この決め方が私は非常に大事だというふうに思っております。

 加納参考人の方から、民間医療機関が誤解されたこともあったと。確かに、大阪の行政のやり方を見ていますと、一定の、例えば法人の在り方だけで線を引いてみたりとか、病床数だけで協力要請を出してみたりとか、何で医療機関、民間は頑張らないんだみたいな雰囲気も少しあったのは非常に残念でありましたが、だから、そういう一定の基準で客観的に切るんじゃなくて、もう少し、例えば、今回、こうして感染症対策、どういうときにどういう役割を担うかというときには丁寧な議論が必要だというふうに思いますが、思うところをお述べいただければと思います。

加納参考人 ありがとうございます。

 我々民間病院が非常に頑張ったということを御理解いただけて、本当にうれしく思っております。

 実は、三病協という病院団体でコロナの発症すぐの頃にお願いしたことがあります、都道府県ごとに一か所コロナの専門病院をつくってくれ、それはできたら公立病院でお願いしたいと。その公立病院の拠点化した病院の患者さんに関しましては周りの民間病院がしっかりと受入れをするので、ともかく拠点病院を一か所つくって、そこからスタートしようということを申し上げました。

 これらの議論を、今後、六事業のときにそういう感染拠点病院をつくるかどうかということと、今回、重点医療機関には民間病院も非常にたくさん参加しております。そういった形で感染協力病院的な形のシステムをつくるか。これは非常に大事なことですし、そのシステムを維持するのにまたコストがかかります。民間病院は一切そういった補助金というものが交付されませんので、なかなか厳しい状況下でありますが、今回も、非常に協力的に、積極的に参加した病院に関しましては、そういったことなしに、医療の本髄、人を助けるという形で参加した病院も多々あったかと思います。

 そうはいっても、先ほどの繰り返しになりますが、いわゆる経営が成り立つようにシステム的につくっていただければ、民間病院は喜んで、医療に関しては日本の医療を守っている自負がありますので、頑張っていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 次に、遠藤参考人に伺いたいと思います。

 地域医療構想の中で、今回、急性期、高度急性期の病床を三割削減していく必要があるというのが今朝の議論、これは維持されるんだというような議論が今朝も委員会でございました。

 恐らく、人口構造の変化、あるいは高齢者が増えていくので、回復期あるいはリハビリの病床がより必要になってくるという観点で、方向性は十分私も理解をしているつもりであります。具体的に様々な数字、要素を、データを入れて客観的にはじき出した数字だという認識でおりますが、ただ、やはり私は、現場を回っていますと、どうしても現場の感覚は、私は都市部に今いますので、いやいや、やはり急性期は足りませんよ、逼迫していますよという声も依然伺っています。

 そういう意味では、この三割削減というもののデータからはじき出したものと現場の感覚の違いをどう理解すればいいんだろうといつも悩んでおります。

 そこは、将来の構想だからいずれそうなるんですよという話なのか、それとも本来必要な要素が何か漏れているのか、あるいは地域地域の特殊性をもっと考えなきゃいけないのか。さっき本田参考人から医師不足という点もあるんじゃないかということをおっしゃっていただきましたが、この辺の御意見をいただければというふうに思います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 必要病床数に合わせて現在の病床数を再編していくという話でありますが、その中で急性期の病床を減らしていくという流れではあるけれども、なかなか、急性期のニーズはそこそこあるのではないかとか、その他もろもろの理由で急性期の病床が減らない、それは一体何が原因なのかということだと思います。

 その中で、幾つかあるかと思いますけれども、基本的に、急性期の必要病床数、つまり、必要病床数の算定はどうやってやったかと申しますと、これは、ある時期、入院している患者さんで、一日当たりの診療報酬の点数がある水準よりも非常に高い人たちを急性期医療で入院しているとみなして、その人たちの年齢と性を、二〇二五年ではどのぐらいになるかということが予測されていますから、それで将来のそのタイプの人たちの数を出して、それを病床稼働率で割り戻したというような形で出しているわけであります。

 ですから、私は、個人的に言えば、あくまでも、そういう意味ではまだまだ改善をしなければいけないところはあるのだろうなというふうには思うところであります。

 先ほど申し上げましたように、かなり急性期的な治療を外来でやるようなことも出てきておりますし、様々な変化、技術的変化もありますし、それから地域の問題もあります。それから、そもそも急性期というものは何なのか、回復期は何なのかというところは明確にはまだなっていないわけでありますので、それらも含めて今後は議論されていかなければならないだろうというふうに思います。

 ただ、かなり地域医療構想が進んでも、急性期の減少という問題、急性期のシフトという問題がなかなか進んでいないということで今のような議論があるわけでありますけれども、今後、恐らくいろんな議論が進んでいくのではないかなと私は個人的には思っております。

 よろしゅうございましょうか。

伊佐委員 ありがとうございます。

 次に、今村参考人に伺いたいと思います。

 本田参考人の意見にあったPA、NPについてちょっと伺いたいと思うんですが。というのは、今回のタスクシフティング、医師の業務だけれども、ほかの職種にシフトできるものはお願いしようということでありますが、ただ、これは、業務全体の効率化がされないと、単に業務のつけ替えだけで終わってしまう、つまり、そのままで移管されるだけであれば、病院全体の業務量は変わりませんので、しわ寄せする場所が替わっていくだけじゃないかというふうに思っております。そういう意味では、PAとかというのは本当に大事な取組かなと私は聞いていて思ったんですが、今村参考人の御意見をいただきたいと思います。

今村参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほど、冒頭、私の意見の中にも述べさせていただいておりますけれども、日本医師会の考え方としては、まず、今いらっしゃる方たち、いろんな様々な職種の方たちにいろいろな活動をしていただきたいということが前提であります。ただ、その際に、先生おっしゃるように、医療に対する全体の負荷量が変わらなければ、ただのつけ替えに終わるのではないかというお話も、それはそれでもっともなお話だと思います。

 私どもも医師の働き方改革のときに厚労省の中で意見を申し上げたのは、やはり国民の医療の受け方、つまり、医療に対する様々なニーズというんですかね、あるいは国民のディマンドというものが、本当に医療を必要としている方たちの負荷だけではなく、例えば、医師に対する説明を求めるときに、会社に勤めているから日曜日に説明しろとか、様々、個別のことを言うといろいろありますけれども、やはり上手な国民の医療の受け方ということをいろいろ御検討いただいた上で、その全体量の中でどのように配分していくか。その配分については、やはり院内のマネジメントというのが非常に重要で、今まで医療機関はそういったマネジメントを専門的に行うような人材もいらっしゃらなかったという中で、今回、厚労省の中では、いわゆる医療管理者に対するマネジメント研修を徹底して行うというようなこともあり、そういうことをしながら、やはりいろいろな全体的な役割というのを担っていただきたいということを申し上げています。

 もし新たな職種をつくるとなると、相当の養成の時間もかかりますので、それから、今、人口減少の中で若い人たちの人口が減っている中で、適性な方たちがどのぐらいの割合でどういう職に就くのかという、これは医療だけではない全体的な日本社会の在り方にも関わってまいりますので、まずは、今ある職種の方たちの能力をより発揮しやすい環境をつくっていただきたいということを申し上げているところです。

 済みません、長くなりました。ありがとうございました。

伊佐委員 ありがとうございます。

 時間になりました。本当は、最後、PAについて養成をどうするかというのも本田参考人に駄じゃれを交えて回答していただきたかったんですが、時間になりましたので、これで終わります。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、五人の参考人の皆様、大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。

 五人の参考人の皆さんにお伺いをいたします。

 今朝も大臣と議論したんですけれども、今回の新型コロナで、これまで政府が進めようとしてきた地域医療構想で病床を削減していく、あるいは、公的・公立病院、今、四百三十六のリストを出して病床削減の検討を迫っているわけですけれども、こういうやり方でいいのかという議論を朝させていただきました。

 やはり今後もパンデミックは繰り返されるでしょうし、そのことを考えても、医療提供体制には、やはり、平常時、通常時から一定の余力といいますか余裕というのか、そういうのがなきゃいけないんじゃないか。そして、公的・公立病院は、今回、本当に採算度外視でいち早く受け入れるということを新型コロナの患者についてやっていただいたわけですけれども、このリストを撤回をなかなか大臣はしてくれないんですよね。一回撤回してくれたらいいのに、さっき凍結という話もありましたけれども、凍結していただきたいというふうに思っているんですけれども、新型コロナのことを踏まえて、地域医療構想と公的・公立病院のリストの問題について皆さんはどうお考えなのか、五人の参考人の皆さんにお伺いしたいと思います。

今村参考人 地域医療構想そのものについては、先ほど遠藤委員からもお話があったように、一定程度やはり進めていかなきゃいけないものだと思っていますけれども、強制的に削減するということではなくて、やはりそれぞれの地域の事情がございますので、しっかりと地域で議論していただいて、あるべき姿に収れんしていくという形が望ましいというのが日本医師会の基本的な立場であります。

 四百三十六の公的な病院については、あくまで一定の仮定を置いた上で挙げられているものなので、先ほど御意見ございましたように、それぞれの地域でまず議論していただいた上で、これはもう絶対に必要なものだと言えばそれで存続をされるということになるという理解をしておりますので、まずは議論していただくという一つのきっかけということで御理解いただければと私は思っております。

 以上です。

伊関参考人 私の意見は何回もお話ししています。

 基本、感染症に対しては、やはり自治体病院は効果的だと思います。

 結局、財政の観点で見れば、例えば今回の新型コロナの補助金、これは、国の予算が、一次補正、二次補正、予備費の充用、だんだんだんだん、時間がかかって来るんですよね。そのときに、感染症というのはすぐぐっと患者さんが増えてきますから、そのときに対応できるのは、やはり診療報酬だけじゃなくて、地方財源を組み合わせることができる自治体病院が先駆的に行うのは、これは合理的だと考えています、感情的な問題じゃなくて。

 一番最初に対応するのは、ふだんから公的財源が入っている自治体病院また公的病院等が真っ先に対応する。その後、ある程度めどがついてきたら、ちゃんとしたいわゆる財政制度がついてきますので、全体に広げていくというのが予算制度と感染症の機能を考えると一番合理的であろうと思います。

 当然、今回の事例を見ても、自治体病院だけで全部対応できないですよね。兵庫県さんはかなり自治体病院が多くて対応できたんです。でも、三次では民間病院のお力をかりなきゃできませんでしたし、逆に民間病院が頑張っている地域もあるんですよ。全ての県を分析すると、やはり県によって全然違います。その地域性をもって議論をすることが必要だろう。

 その点で、今村先生が言われたような地域での議論を、調整会議等で感染症の医療機関の在り方について、病床の在り方について議論することは意義があると思っております。

遠藤参考人 まず、ある程度医療制度に余力を持たせることが必要なのではないかという御発言があって、これは恐らく、地域医療構想の必要病床数を考えるときの考え方にそういうものが必要なのではないかというお話だというふうに思います。確かに、余力を持たせるということは重要なことだと思うわけであります。

 ただ一方で、平時において余力を持つということは、コストであったり様々な負担が当然生ずるわけであります。これは災害医療でも同じようなことが言えるわけなものですから、どこまで社会的に負担ができるかというレベルの話になるので、それはおのずから制約が出てくるだろうというふうに思っております。

 どちらかというと、病床の問題というよりも、医療計画の方で感染蔓延時の対応をしようということで今回は整理がされているわけでありますけれども、いずれにしましても、地元、地域の中での議論の中で感染対策も含めて地域医療構想の審議が行われるということは当然必要なことだというふうに思っております。

 それから、リストにつきましては、これは私の理解ではあくまでも参考というような位置づけであったというふうに理解をしているわけなのですけれども、病院をターゲットにして何でもしなければいけないというレベルのものではなくて、ある一定の計算式の下ではじき出したものであったわけでありますので、その出し方については今後検討する必要もあるのかもしれませんけれども、あくまでも私はあれは参考までにというような意味合いだったという理解をしております。

 以上でございます。

本田参考人 地域医療構想に関しては、先ほど来申し上げているように、三十三万人の医師数で、OECD並みなら四十六万人要るということを抜きに話をすると、ボタンのかけ違いの議論になるんですね。

 皆さん、ジグソーパズルをちょっと思ってください。ジグソーパズルで、四分の一パズルがないのをあちこちあちこち移したら全部埋まると思いますか。無理ですね。百年やっても無理なんですよ、それは。ジグソーパズルで四分の一ない状態ですから。

 だから、私からすれば、今の地域医療構想というのは、ベッド数を減らして医師不足をちょっと軽く見せるようにしたいんじゃないかという気さえします。本当にそういうふうな気がしてしようがありません。

 私の友人で、北海道の士別病院の院長がいます。もう本当に過労死ラインぎりぎりで働いているんですよ。だけれども、事業管理者だからあなたは働き方改革にはなじまないと言われて、今日も先ほどすごく寂しいメールが参りました。私が、彼が過労死する前にどうにかしなくちゃいけません、皆さん。北海道で病院を見直したら、本当に行くところはないですよ。雪も降るし、JR北海道もどんどん路線縮小していますから。

 十三万人不足ということだけ忘れないで進めていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

加納参考人 先ほど申し上げさせていただいたとおり、やはり公立病院がまず受けるというシステムは非常に大事だと思っております。それはなぜかといいますと、公立病院は潰れません。今も、潰そうとして、四百幾つかの病院があったのが、こういう議論の中でなかなか整理ができないというのが現状だと思います。

 経済的にも、例えば、先ほど兵庫県の例が出ましたが、県立病院と公立病院を維持するのに、大体、毎年四百数十億のお金が、税金が組み込まれております。いわゆる公立病院への繰入金というのは総務省から八千数百億円のお金が毎年出されておりまして、一ベッド一万二千円、毎日出ているようなカウントになっております。

 民間病院がその分もいただければ、もしかしたら堂々と経営的なものも安心していけるかなと思いますけれども、そういったいろいろな経済的な理由もしっかりと考慮していただければ、いろいろな対処の方法が考えられるんじゃないかなと思います。

 さっき聞いておりますと、四百二十四の病院のうちの二百の病院がやはりコロナの患者さんを公立病院で受けなかったということでありますし、それは、規模の問題か何か、いろいろな検証をしないことには最終的な整理に関しては結論が出ないんじゃないかなと、私、その件に関しましてはそう思っております。

 以上です。

宮本委員 ありがとうございました。

 四百三十六のリストは参考だというふうに政府は説明するんですけれども、通知は出ているんですよね。一つ一つの病院、ちゃんと病床削減の検討をしてくださいという通知は出ているんですよ。それはただの参考データじゃない状態になっているんですね。

 あと、最後にお伺いしたいんですけれども、本田参考人がおっしゃった医師不足について、今村参考人と加納参考人に、どうお考えか、お伺いしたいと思います。

今村参考人 医師不足という現状の現場で、やはり全国で今、医師が不足しているということは間違いない事実だと思います。

 ただし、医療需要の問題と、それから日本の若い人たちの人数の問題と、それから医師を養成するのに時間と費用がかかるというようなこともございますし、私どもは一定の仮定を置いて国の検討会で医師の需給というものを議論してきた。これは仮定ですので、当然、仮定が間違っていれば違った数字になるということはあると思います。

 したがって、足下は足下できちんと需給を確認しながら、今の偏在、これは地域や診療科の偏在をそのままにして、また、今の若い人たちのいわゆる考え方、いわゆる自由診療に行かれる先生たちが物すごく多い状況になっている中で、ただ医師を養成すれば現場の社会保険診療に関わる地域医療を担うような医師が増えてくるということも、これもなかなかはっきり見通せないということですので、しっかりとした現場のデータに基づいて折々にきちんと議論をしていって、それを修正していくということが重要だというふうに考えています。

加納参考人 ありがとうございます。

 病院団体としましては、一貫してやはり医師不足は申し上げております。勤務医がやはりなかなか充足している状態ではないと我々は認識しておりまして、この先、先ほど今村参考人がおっしゃいましたけれども、もう一度需給の再検証をしていただいて、いろいろな意味で今医師の状況は変わってきております、その中でどれだけ要るのかどうか、もう一度再検討が必要じゃないかなと思っております。

 民間病院に医師というものを供給するためには、例えば紹介会社という形で我々は今お願いするんですけれども、年俸の二割、三割は当たり前で取っていかれます。数百万円の紹介料が要るという形になります。それが大阪でさえそういう状況でありますので、いわんや全国でということになりますと、まだまだ、医師不足というもの、先ほどおっしゃっていただいた十三万人、まさしくそれを実感しているのが我々病院現場だと認識しております。

宮本委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日、大変ためになる議論、各参考人の方からお聞きして、大変ありがとうございます。

 時間がございませんので、早速です。

 まず、これは質疑というよりは、聞いていて大変共感したところでございますけれども、加納参考人のお話の中にあった、統合に適したものと統合に適していないものがある、統合に適したものとしては、産科とか、小児とか、がんとか、あるいは救命救急に関わるところ、そして、地域医療といいますか、これからの高齢者社会、老人医療については輪廻転床という言葉、これはまさに、そういうすみ分けといいますか、一律に統合再編を進めるのではなくて、その医療に合った、適したやり方をするというのは大変すばらしい考え方だなと思っております。

 恐縮ながら、私、弁護士をやっていまして、特に医事訴訟、医療過誤訴訟をよくやっていまして、皆様にも迷惑をかけているわけですけれども、その経験からいくと、やはり一つの問題としては、専門医とかスタッフがそろっていないところで残念ながらそういう医療事故が発生しやすい。しかも、なかなかその状況だと手を出してはいけないような治療についておやりになるものだから大変なことになる。むしろそのくらいだったら、交通機関があるわけですから、地域に非常に集約された、専門医もスタッフもそろったところが一つぼんとある、特にがんなどは慢性期でもあるわけですから、知識のある専門医の方が十分な化学療法、あるいは手術の技術を持った方がおやりになるというのが非常に合理的だなと常日頃思っているところでございましたので、大変共感をさせていただきました。ありがとうございます。

 その上で、次に質問の方に入るわけですけれども、少し話が変わりまして、コロナの治療に関してやはり加納先生にお伺いしたいんですけれども、先生がお作りになった、この二十の図ですね、二十ページといいますか二十の図。これを見ると、先生が大変民間病院が悪いというふうに言われたりして憤慨されている、そのお気持ち、大変分かるわけです。

 ただし、一方、これを見ると、十二月の終わりくらいまでは三〇%くらいの病院が受け入れていた、民間がですね。ちょうどこの頃、病床数不足が、私、実はずっと夏の頃から病床数をもっと拡大するべきだということを田村厚労大臣にずっと言っていまして、それがなかなか進まない中で、実際にも進んでおらず、そのときにちょうど医師会の団体のトップの方が、医療崩壊、医療壊滅というふうに強い言葉をお使いになって強い規制を訴えられたものですから、やはりちょっと国民的な反発があったという事情があったかと思います。

 私は、春先に、先生おっしゃったように、PPEとかが不足している中で、それはやれというのは無理な話だったと思うんですけれども、だんだんコロナの実態も分かり、感染防御のやり方も分かり、いろいろなことが整備された中で、なぜ増えないのかなというのを非常に疑問に思っていたんですけれども、先生のグラフが大変参考になったのは、十二月の末から期せずしてぐっと右肩上がりで上がって、三〇%だったものが、今現在一六%も上がって四六%になっているわけですね。

 これは、どういうことで十二月の末から急激に上がったのか。あるいは、これを全国といいますか、これからも広げるためには、どういう工夫を政策的に取ったらいいのか。是非教えていただきたいと思います。

加納参考人 ありがとうございます。

 もう一つ、二十一ページですか、患者さんの実際の数の推移も図を一緒に入れ込ませていただいているかと思います。それを見ていただきますと、間違いなく第三波に合わせて民間病院も数が増えているということが御理解いただけるかと思いますし、右上がりで急に上がっておりますし、その十二月、どうのこうので、割合的にはきゅっと上がっているかもしれませんけれども、絶対数自身の数で見ていただいても、僕は十月から、やはり先生がおっしゃっていただいたように、PPEがそろい、繰入金等の支援金もある程度準備ができた段階で判断していった民間病院が参加していっていると。これは実際に入っている患者さんの絶対数の数なので、間違いない数だと私認識しております。

 この十一月の三十日、これは、確かに十月の末というのは、大阪は実は大きな山が先に一つ起こりましたので、その山に対応するのに足らなくなったというのが一つあったかと思いますけれども、僕は、民間病院は確かにいろいろな意味で経営的な判断をしなきゃいけないという大きなものがございます。我々民間病院ですから、企業と同じように、残念ですが、二期赤字を出せば銀行さんからきつい目で見られ、三期赤字であれば場合によっては潰れなきゃいけないという形であります。先ほどから申していますように、片や公立病院というのは、非常にちゃんとした経営的な支えがあってやっている病院であります。

 ですから、先ほどから申し上げましたように、公立病院がやはりしっかりと取っていただくことがあって、それから、我々、そういったしっかりとしたバックアップをしていただければ随時参加し、今回は、当初はもちろん先生おっしゃるようにPPEが不足という形で非常に厳しい状況が続きましたので、これで参加しておれば、欧米と同じように一瞬で急性期の医療分野が崩壊し、まさしく、そこから更なる拡大がもっと起こったんじゃないかなと思っております。そういう意味では、民間が判断して、ある程度制限しながらスタートしたというのが、結果的には地域医療を、状況で守ったという形であります。

 元々、コロナの患者さん一に対して、先ほどから言っています救急車で考えますと、その十倍は普通の、ふだんの一般の救急がございました。それに関して、やはり地域で守っている病院が多いのと、やはり中小の病院、民間病院は規模が二百床以下がほとんどですので、そういった規模でゾーニングするのには非常な手間がかかります。そういった形での遅れがあったと推測されますので、そういった考慮の中でも、やはりちゃんと右上がりで上がっていったという事実があるかなということを是非とも認識していただいて、今後は、やはり経済的なバックもしっかりと、大阪でもやっていただいていますから、そういった形で保障していただければ、我々、しっかりとした形で取組ができるんじゃないかと認識しております。

青山(雅)委員 おっしゃるように、経済的バックアップ、あるいは防御着等がきちんと行き届く、そういったことは国の責任だと思いますので、是非私どももその旨政府にも提言したいと思います。ありがとうございます。

 時間がないものですから、あと、今村参考人にお伺いしたいんですけれども。

 私も、今日、午前中、実は田村厚労大臣と、働き方改革は両輪である、やはり医師の絶対数が本田先生おっしゃるように足りていないのに、幾ら法規制だけ変えていってもそれは到底不可能じゃないかというような話をさせていただきました。

 ちょっとびっくりしたのが、医政局長が、勤務医不足、先生は先ほどきちんと勤務医が足りないとおっしゃっていただいたのを、言葉を濁して、二度も三度も認めなかったものですから、そこで大変な時間を浪費してしまったんですけれども。その前提はまず間違いない、病院会のアンケートでも九割近い病院の方が足りないとおっしゃっているわけですから。

 その上で、先生は、仮定が間違っていれば変わるかもしれないけれども、やはりいろいろな諸要素を考えると、医師数を増やすことに必ずしも医師会として前向きではないかのようなお話だったと思います。

 しかしながら、おっしゃるように、例えば最近、がんの自由診療であるとか、いろいろなところに確かに増やしても流れていくという部分はあるかと思います。

 しかし、よく例えを出させていただいて恐縮なんですが、私、弁護士なんですけれども、弁護士は、あるときから、七百人前後だったのがいきなり二千人にぼんと増やされて、三倍ですね、あっという間に裁判所のない中小都市とか僻地にまで行き渡るようになったんですね。

 やはりそれは絶対数が増えれば、幾らそういうところにこぼれ落ちる、先生が言っているような自由診療にこぼれ落ちるところがあったとしても、充足されるのは間違いないと思うんです。その点について、ちょっと最後に御意見をお伺いしたいと思います。

今村参考人 御質問ありがとうございました。

 最後のお話、トリクルダウンみたいな多分お話なんだと思うんですけれども、これは構造的にやはりいろいろな問題があると思っています。

 例えば、今の医学部の進学者というのは、圧倒的に都市部の進学校から行っている。高校の進路指導でも、東京大学じゃなくて医学部に行けみたいなことを勧めるような高校もある。

 そういう中で、ただ単に数を増やせばそれが地域に行き渡る、それも全ての診療科、今は非常に医療も細分化しておりますので、その細分化そのものが余りよくないということで、総合的に診療できるというような意味での、いろいろな診療科の今は専門医制度というのが新しく始まっているわけですけれども、そうであっても、そういった専門医の方たちをどのように全体に地域に満遍なく行き渡るようにしていくのかとか、様々な課題があります。

 先生も御存じのとおり、医師も一人前の医師になるためには十年以上かかります。したがって、その先の十年後の日本の地域の医療事情がどうなっているのかということも考えなければなりませんので、今の現状で不足があるから、それじゃどんどん増やせばいいんだ。

 例えば、人口が私のときには二百二十万人、一学年、おりました。今の医学部だったら私は受からないんじゃないかと思うぐらい、今は偏差値が高くなっている。つまり、百万人の一学年の数字で、更に我々のときの何倍も医師を養成するということが、日本全体の社会の中でそれが本当に望ましいのかどうか。

 もちろん、医療は社会的な共通資本として非常に重要なものではありますけれども、日本社会というのは別に医療だけでやっているわけではないので、全体的な様々な要素を見ながらやる必要がある。

 私は、専門職を増やすということは非常に慎重であるべきだと思っていて、先生は今、弁護士を増やして、それは正解だったというふうにおっしゃったように思いますけれども、弁護士もそうですし、あるいは薬剤師さんもそうですし、公認会計士さんもそうですし、やはり専門職が不足しているからといって単純に増やしていけばいいということではないので、きちんと足下を見ながら、きちんとそのときのエビデンスに基づいて、その折々に見直していくべき必要がある。現状としては、今はああいう厚労省の数字になっているということで、我々は申し上げているところです。

 ですから、絶対に増やすとかそういうことを言っているわけではないのですけれども、きちんとした、その仮定が正しいかどうかということも検証しながらやっていただきたいということを申し上げています。

青山(雅)委員 日本医師会のトップの方が、医療は日本で最も重要な産業だと言ったとか言わないとかいう話もございます。私は、やはり重要だと思っていますし、足りなければ増やすのはやはり優先課題だと思っています。是非その点の御検討はしていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日は、五人の先生方、本当にありがとうございました。

 この医療法、あるいは十年、二十年先を見据えた医療のことについても是非アドバイスをいただきたいところなんですが、今、国民の皆さんが一番知りたいのは、やはりこのコロナ感染対策をどうやって終息し、とりわけ病院の医療逼迫、これをどう解消するかということじゃないかなと思うので、そのことについて時間が許せば全員、五人の方からちょっと御見解を伺いたいと思うんですが、まず最初に加納参考人から伺いたいんですが。

 というのは、私はずっと厚労省に質問しているんですけれども、病院に対する補助金ですね。これが、非常に使い勝手が悪いんじゃないか。ようやく千九百五十万円というのが年末に出ましたけれども、それでも、この間調べたらまだ半分しか使われていないんですね、余っているんです。

 これはやはり、専門家からも、コロナ患者を診るのに結構特化してしまっていて、でも、コロナ患者一人診るのに三、四床空けなきゃいけない、そういうような、赤字補填とか減収補填とかいう言い方もありますけれども、そういうことにもっと使えるようにしたら、もっと民間でも進むんだけれどもなという意見。あるいは、お医者さんとか看護師さんのやはり数が、絶対数が足りないのは問題なんですけれども、しかし、それでも、コロナ患者を診てくれる方には例えば二倍給料を払うとか、スウェーデンなんかそうしていると聞いたんですけれども、そういう予算の使い方をすれば、私は民間病院ももっと引き受けていただけるのかなと思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。

加納参考人 ありがとうございます。

 確かに、民間病院で、私ども実は四月からコロナを受けております。最初は三床で受けまして、最終的に十九床、さらに、一月になり、要請があり、一床増やして二十床まで増やしました。最大十八名の方が入られましたし、中等症、軽症でありますが、第三波はほとんどが中等症以上で、それも高齢の方が入ってこられます。そういった形で入院なさってくるわけですし、本当に急変なさいました。当院でも何人かの方が亡くなっておりますし、また、重症病院の方からも患者さんが、いわゆるみとりで預かってくれという形で、当院でもみとりをさせていただいたことがあります。

 そういった形での対応でありましたが、そういう、患者さんが多い時期と、また少ない時期と、そこを病棟単位でやりますと、その病棟の看護師さん、もう本当に医療従事者というのはすばらしくて、患者さんがいればしっかりとどんなことがあっても対応するということで対応できるんですが、実は、こういうふうに少し減ってきますと空いてくる、そういうふうな間断がどうしてもあるわけなんですね。

 そこらをやはり、その病棟だけじゃなくて、その病棟を支えるには、先ほども言いましたように、病院全体で支えなきゃいけなくて、コロナを診る看護師さんだけじゃなくて、コロナを診るに当たっては病院全体で動かなきゃいけない。

 だから、コロナを診ない職員と、コロナを診る職員との差をつけるかどうかとか、いろいろな微妙な問題がありますし、逆に、減ってくるとまたちょっと、そちらの方がどうなのかなという、これは非常に難しいんですが、民間病院で職員を維持するという面とかけ合わせながら、一生懸命、今、民間病院は対応しなきゃいけないということなんです。

 これが、先ほどから言いますが、公立病院になりますと、やはり公務員であります。公務員でありますし、実は、民間病院と公務員の看護師さんとの給与差も、やはり、多分年俸で百万単位で違うかなということで我々は認識しております。

 そういう意味では、先ほどから申しましたように、まずは公立病院でしっかりと受ける病院をつくって、それから我々が受ける体制づくりをしていただく中で、我々もいろいろな工夫をしながら、職員に納得してもらって、日本のために、地域医療のためにという形で全力を尽くしますが、やはりそういった絡みがどうしても出てきます。

 そういう意味で、民間病院で幾つかの、発言の中であったかと思うんですが、なかなか取組が難しいところもあります。その分は、必ず民間病院は地域医療を守っているという意味で、救急とかそういった面ではもう全力で戦ってきたと認識しております。そういった組合せがなかなか難しいということを是非とも御理解いただきたいかなと思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 同じ質問を、それでは今村参考人と本田参考人、病院経営ということも関わるので。それ以外でも、もし何か、例えばPCR検査をもっと増やすべきだとか、ワクチンをこうすべきとか、そういう提案もあったらそれでも結構でございます、何かいい解決策を。

 それでは、本田さんと、その後、今村さん、それぞれお願いします。

本田参考人 ありがとうございます。

 言いたかったことがあるんですけれども、何で日本の病院が赤字なのか。

 先ほど、日本は医学部の数を国が決めていると言いましたね。診療報酬点数も国が決めているんですよ。日本の診療報酬点数は、欧米の半分ぐらいになっているんです。

 皆さん、胃の内視鏡を受けたことがある方はいらっしゃるでしょう。日本で胃の内視鏡は一万一千四百円、ドイツは三万八千円、アメリカは八万七千円。こんなに安くしたのはどこのどいつだと言っているんですけれども。

 これじゃ、元々黒字にならないんですよ。だから、民間がいいとか悪いとか、公立が悪いじゃなくて、元々黒字になりにくいわけ。だから、全国の公立・公的病院がやはり繰入金を入れないとやっていけないんですよ。安過ぎるからなんですよ。

 一方、日本は、診療報酬が世界の半分以下なのに、薬剤とか、結構高いものもあるんですね。これも国が決めているの。

 ちょっと、今日は立場上、これ以上は避けますけれども、やはり医療費をちゃんと見直ししないと駄目。公立と民間病院を分断しちゃ駄目です。よろしくお願いします。

今村参考人 コロナ全般についてということでよろしいんでしょうかね。

 本当に、医師は、医療機関は、それぞれの立場で、直接コロナを診る医療機関もあれば、コロナを診る予定はなくても結果的にコロナを診ることになる場合もありますし、常に緊張感を持って診療しているということでございます。

 公や私を超えて、あるいは病院と診療所を超えて、やはり連携をしっかり取りながら、国民のために、コロナの対策のためにどのようにするのか。

 例えば、コロナの患者が増えてきますと、病院だけで重症の患者あるいは中等症の患者を診ることができなくて、ホテル療養や在宅療養をする方たちも相当増えてくるわけですし、我々は日本医師会として、会員もたくさん診療所の医師がいますので、そういった地域の中でどうやってコロナの患者さんをしっかりと見守っていくのか、そういう体制づくりも非常に重要だと思っております。

 そのために、国もパルスオキシメーターの機器をたくさん御用意をしていただいたり、あるいは様々なオンラインの診療を活用しながら、そういった方たちを守っていく体制をしっかりつくりたいというふうに思っていますし、財源的には、本当に、何度もいろいろな先生がおっしゃっているように、しっかりとした病院経営が成り立つような形で、診療報酬そして支援金等も併せて守っていただけるようにお願いをしたいというふうに思っています。

高井委員 それでは、伊関先生と遠藤先生にも、あと多分一分ずつぐらいしかないんですけれども、それぞれお答えいただけたら。コロナ対策全般について何かアドバイスがありましたら、お願いします。

伊関参考人 コロナ対策、今のやつは、いわゆる新型コロナウイルスについては、第四波が来るかもしれないんですけれども、かなり対応策はできつつあって、あとは病床を確保して、医療者の体制をいかに整えるか。これが整ってきたかなという感じはしています。

 重要なのは、次の新しい新興感染症に対しての準備をどうするのかということが重要だと思っています。私は、病院の個室化、全室個室でもいいと思っています。いわゆる感染症の外来の動線の分離、やはり病床の規模は上げることは必要だろうと。

 次の感染症がどういうものか分かりません。ただ、確実に何かが起きてきます。そのための準備のための議論をするべきですし、それが地域医療構想でもやはり議論していくべきかなというふうには思っております。

 以上です。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 私自身は医療の関係者ではありませんけれども、たまたま、私的なことを申し上げますと、娘が救急医で、大学病院でまさに新型コロナの患者さんをずっと診ていたという経緯もありまして、いろいろと話は聞いておるわけですけれども。

 大変、私、重要だと思いますのは、今、非常にこれだけ大きな感染症が日本で起きたわけですから、この検証を大規模にきっちりやるということで、これを使って今後の医療政策に反映させていく、それも、小規模にあちこちからやるというよりも、言ってみれば国会レベルできっちりやるぐらいな、そのことは是非やらなければならないだろうと。こういう、ある意味、言葉は悪いかもしれませんけれども、大きな社会実験でもあるわけでありますので、そこを是非進めるべきだ、それが非常に重要なことだというふうに思っております。

 以上でございます。

高井委員 大変有用な、有益な、貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。ちょっと医療法とは直接関係なかったかもしれませんけれども、大変、国民が今知りたいテーマだったと思いますので、本当に感謝をいたします。

 今日は本当にありがとうございました。

とかしき委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 参考人の皆様は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 この際、内閣提出、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に対し、中島克仁君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

    ―――――――――――――

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中島委員 ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 厚生労働省は地域医療構想の実現に向けて、公立・公的医療機関等を名指しした上で、具体的対応方針の再検証を求めてきました。厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、再検証の期限を含め、地域医療構想に関する取組の進め方について、改めて整理の上で示すとしていますが、いまだに具体的な方針を示していません。こうした状況の中、政府案では、地域医療構想の実現に向け、自主的な病床削減等を行う医療機関に対し、財政支援を実施することとしていますが、公立・公的医療機関等を狙い撃ちにした四百三十六の再検証対象医療機関のリストを撤回もせず、地域医療構想全体の方針を示さないままこの事業を実施すべきではないと考えます。また、地域医療構想そのものを否定するわけではありませんが、新型コロナウイルス感染症の第四波も懸念される現状に鑑みれば、今行うべきことは病床削減ではなく病床確保であり、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営が苦しい医療機関に対して支援を行うことです。

 今般の新型コロナウイルス感染症は、医療提供体制に関する様々な課題を浮き彫りにしましたが、まずはこうした課題を踏まえた上で、地域医療構想、医師の偏在の是正など、地域の医療提供体制の在り方を再検討していく必要があると考えます。

 こうした認識の下、よりよい医療提供体制を構築できるよう、本修正案を提出いたしました。

 次に、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、政府案のうち、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援の措置を一旦白紙に戻すため、当該支援に係る改正規定を削ること。

 第二に、政府は、速やかに、地域医療構想について、新型コロナウイルス感染症の蔓延又はそのおそれにより生じた医療提供体制に係る課題を十分に踏まえた見直しが適切に行われるよう、地域における病床の機能の分化及び連携の推進の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加するとともに、政府は、その検討と併せて、地域において必要となる介護等の提供の体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第三に、政府は、新型コロナウイルス感染症の蔓延又はそのおそれにより生じた医療提供体制に係る課題をも十分に踏まえ、地域の医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携、医師の地域間及び診療科間の偏在の是正等に係る調整の在り方、その蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症が蔓延し、又はそのおそれがあるとき等における医療提供施設に対する財政上の支援及び医療従事者の適切な処遇の確保の在り方その他地域における良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に関し必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第四に、政府は、速やかに、令和二年二月以後の医療提供施設の経営状況について調査し、その結果に基づいて医療提供施設に対する財政上の支援のために必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

とかしき委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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