衆議院

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第11号 令和3年4月14日(水曜日)

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令和三年四月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      武井 俊輔君    百武 公親君

      堀井  学君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      川内 博史君    白石 洋一君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      堀越 啓仁君    山川百合子君

      山井 和則君    早稲田夕季君

      高木美智代君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      高井 崇志君

    …………………………………

   議員           西村智奈美君

   議員           稲富 修二君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   厚生労働副大臣

   兼内閣府副大臣      山本 博司君

   財務大臣政務官      船橋 利実君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府規制改革推進室次長)           彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣法制局総務主幹)  嶋  一哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          武藤 功哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     出倉 功一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 伊原 和人君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     堀井  学君

  木村 弥生君     高木  啓君

  小島 敏文君     八木 哲也君

  津村 啓介君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     木村 弥生君

  堀井  学君     青山 周平君

  八木 哲也君     杉田 水脈君

  堀越 啓仁君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     宮澤 博行君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外十名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外十名提出、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官松田浩樹君、内閣官房内閣審議官・内閣府規制改革推進室次長彦谷直克君、内閣法制局総務主幹嶋一哉君、内閣府大臣官房審議官海老原諭君、大臣官房審議官難波健太君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、外務省大臣官房参事官遠藤和也君、財務省主計局次長宇波弘貴君、主税局国際租税総括官武藤功哉君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官塩見みづ枝君、総合教育政策局社会教育振興総括官寺門成真君、文化庁審議官出倉功一君、厚生労働省大臣官房審議官横幕章人君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長田中誠二君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、保険局長浜谷浩樹君、人材開発統括官小林洋司君、政策統括官伊原和人君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大岡敏孝君。

大岡委員 自民党の大岡敏孝でございます。

 今日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速、政府提出、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法の一部を改正する法律案及び立憲民主党さん提出の高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、順次質問させていただきたいと思います。

 まず、内閣提出の法律案は、この名前のとおり、全世代型社会保障という考えの下で、世代間の負担の公平化というか平準化のために、後期高齢者のうち一定所得以上の方には窓口での二割負担をお願いしようという法律を中心としたものでございまして、私は、現在の国の財政状況、それから今後の後期高齢者医療の伸び、それから現役世代の今における状況からして、一〇〇%の答えとは言えないかもしれませんけれども、確実な一歩を進む法律案ということで、私は評価したいと思っております。

 その上で、今回の法案では、説明によると、現役世代に平均的な収入を得ていた方の、また、これはモデル的な年金収入を年間百八十七万円と見立てて、一万円の位じゃなくて、なぜか十万円の位を四捨五入して二百万円。二百万円以上の人には二割負担をお願いするという内容になっております。

 私自身は、法案提出に至る前の党内の議論では、高額療養費制度による支援を前提に原則二割負担というのを私の意見として主張しておったわけですけれども、最終的にはこの案に帰着をしまして、私も現在ではこの案に賛成をしているという立場でございます。

 そこで、考えなければならないのは、じゃ、この収入二百万というのが現役にとってどうなのか、高齢者にとってどうなのかということでございまして、御存じのとおり、現役と年金所得のある高齢者とでは、同じ収入が二百万でも税金の金額が違う。さらには、現役世代というのは、配偶者も見つけないといけない、子育てもしないといけない、社会活動もしないといけない、様々なことをしないといけないということで、どうしても、同じ所得、同じ収入であっても負担は大きい。

 そういったことを考えますと、現在、これ以上現役世代に負担を頼り過ぎるのは、私自身もこれはもう限界だということを考えておりますので、こうした一定の高齢者の方々には負担をしていただくという考え方は、私はこれからも進めていかなければならないことだというふうに思っております。

 その上で、この内容についてお尋ねをしたいと思いますけれども、まず、今回の改革の考え方が、現在の現役世代と高齢者世代のみを調整するものなのか、それとも、これは公費負担をどう扱うかという議論ですけれども、将来世代まで含めて負担調整をしようとするものなのか、まず、この原理原則をお尋ねをしたいと思います。

 その上で、先ほども少し申し上げましたが、モデル年収を百八十七万円としつつ、それで二百万で切った理由。私は、十万円の位を四捨五入するというのは余り聞いたことがない処理だったんですけれども、なぜモデル収入を百八十七万としつつ二百万としたのかについて教えていただきたいと思います。

 最後に、この改革で一体何年もつのか。御存じのとおり、この改革の前提になっているのは、今後三年間で現役世代の負担金が一兆円増えるということが前提になっていると思います。一体この改革で何年もつのか、この点につきまして政府の考え方を教えていただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 三点御質問いただいたと思います。

 まず、今回の改革が将来まで見据えたものなのかということでございます。

 少子高齢化が急速に進む中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築して将来世代に引き継いでいく、これが重要でございます。

 来年から団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となり始める中で、後期高齢者支援金の増加が見込まれます。これに伴いまして、現役世代一人当たりの負担も増加いたします。今回の窓口負担の見直しは、その現役世代の負担増加の伸びを一定程度抑制するものでございまして、その効果は将来世代にも及ぶものというふうに認識いたしております。

 二点目は所得基準でございます。

 窓口負担の二割負担の所得基準でございますけれども、厚生労働省から機械的な五つの選択肢として、単身世帯で年収百五十五万から二百四十万までの範囲を審議会等にお示しし、御議論いただいた上で、政府・与党で協議の結果、決定したものでございます。

 今回の改正法案で提案している基準でございますけれども、課税所得二十八万円以上、かつ、単身世帯で年収二百万円以上、複数世帯で年収三百二十万円以上に限り二割負担でございます。

 この考え方でございますけれども、まず、後期高齢者のうち所得上位の三〇%に相当する課税所得、これが課税所得二十八万円以上ということでございました。その上で、四十年間平均的な収入で厚生年金を納めてきた方の年金額を超える水準である。こういった二つの考え方を考慮いたしまして、年収二百万円以上というような基準としたものでございます。

 また、経過措置といたしまして、二割負担への変更による影響が大きい外来患者さんにつきましては、施行後三年間、一月分の負担増を最大でも三千円に収まるような配慮措置を講じることといたしております。

 それから、三点目でございます。

 何年もつのかということでございますけれども、今後につきましては、もとより制度を持続可能なものとしていくためには不断の見直しが必要であるというふうに考えておりまして、今回の改正法の附則におきましても、公布後速やかに、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、社会保障制度の改革及び少子化に対処するための施策について、実施状況の検証を行うとともに、総合的な検討に着手し、必要な措置を講ずるというふうな規定を盛り込んでおります。

 この附則の規定に基づきまして、持続可能な社会保障制度の確立を図るために、医療保険制度につきましても、現役世代の負担軽減を含め、総合的な検討を進め、更なる改革を推進してまいりたいというふうに考えております。

大岡委員 ありがとうございました。

 これは、収入の範囲を上から三〇%で切って便宜的に理由をくっつけたというふうに聞こえたんですけれども、本当は、やはりもう少ししっかりとした基準で、また、ほかの制度とも整合性が取れる形で今後はしっかり検討すべきではないかということを付言をしておきたいと思います。

 あわせて、最後に何年もつのか。これも、不断の見直しということを言っていただきました。私も全く同感でございますので、引き続きしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

 次に、今回立憲民主党さんが提出をされました、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをしたいと思います。

 まず、現役世代の負担増に頼る現行制度のままでは限界がある、これはもう私も全く同じ認識でございます。また、本会議では、中島先生から、抜本的な改革が必要だという発言がありました。これにつきましても私も大変共感をしております。

 そこで、この対案につきましてお尋ねをしたいと思いますけれども、まず、保険料の上限を上げるということでございますけれども、大体これはどのぐらいまで上げる考えでいらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。

 それから、本会議のやり取りを聞いておりますと、公費負担を増やして現役世代の負担を減らすという政策を想定されているようなんですけれども、この金額はどの程度を考えておられるのかを教えていただきたいと思います。

 それから三点目に、現役世代の負担を減らすという考えは全く私も同じなんですけれども、ただ、現役からの支援金を減らす、その財源を一旦公費投入によって行うということになりますと、これは将来世代に対する負担を増やすことになるんじゃないかと思うんですけれども、この点についてどのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

 あらかじめ言っておきますけれども、これは精緻な計算までは求めませんので、もう本当にイメージで結構でございますので、お答えいただければありがたいと思っております。

西村(智)議員 大岡委員から三点御質問いただきました。ありがとうございます。

 まず一点目の、所得の高い高齢者に払っていただく保険料の上限額、いわゆる賦課限度額についてお答えいたします。

 後期高齢者医療における保険料の賦課限度額は、令和二年度現在、政令で六十四万円と定められております。私たちは、高所得の高齢者の方の負担能力や国民健康保険における保険料の賦課額を参考にいたしまして、これを八十二万円程度まで引き上げることができるのではないかと考えております。これによる保険料収入の増加は、粗い計算で約四百三十億円と見込んでおります。

 次に、二点目の、現役世代の負担を軽減するための公費の負担額についてお答えいたします。

 本法案は、特別調整率を加えて令和四年度における後期高齢者負担率を算定することにより、現役世代の負担を約七百二十億円軽減しようとするものです。この軽減額は、政府案による現役世代の負担軽減と同程度でございます。

 この約七百二十億円につきましては、先ほど申し上げた賦課限度額の引上げによる約四百三十億円の保険料収入の増加のほか、約二百九十億円の国庫負担を見込んでおります。

 一方で、本法案による特例的な後期高齢者負担率の算定により、現在国民健康保険が負担している後期高齢者支援金の中に入っている約六十億円の国費の負担がなくなることとなります。そこで、本法案では、中低所得者への保険料軽減措置として、国が負担する約二百九十億円から約六十億円を差し引いた約二百三十億円、これを国費負担として計上したところです。

 最後の御質問についてお答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、本法案では、約七百二十億円の現役世代の負担軽減を図る一方、約二百三十億円の国費負担を見込んでおります。

 政府案では、公費負担が減少するということでありますが、その財政影響の試算は、いわゆる長瀬効果による医療費の増減効果を見込んだものとなっています。しかし、長瀬効果による負担の軽減は確実なものとは言えません。

 また、政府案では、コロナ禍での受診抑制が懸念される中、更なる受診控えによって症状を悪化させる高齢者が出ないかが懸念されます。

 本法案のポイントは、コロナ禍における当分の間の措置として、現役世代の負担軽減を図るため、後期高齢者負担率を算定する際に、特別調整率を加えようとするものであります。

 将来的には、医療費の動向、窓口負担割合の引上げによる受診機会への影響や各世代の負担能力等を見極めた上で、高齢者の医療保険制度が持続可能で安心できるものとなるよう施策が講じられるべきであると考えております。

大岡委員 御丁寧に説明していただきまして、ありがとうございました。

 私も、先ほど話を聞いておりまして、保険料の上限を上げるというのは十分傾聴に値する御意見だと思っておりますし、五対四対一としておりましたものを、少し高齢者にはしっかりと負担をしていただくということも、これも十分傾聴に値する意見だと思っております。ただし、やはり将来負担が将来世代まで見越したものとなっているかということは、今後しっかりと、これからも議論していかなければならないんじゃないかなと思っております。

 次に、医療政策におけるデジタル化、また、これが現状、少し遅れているのではないかという問題意識についてお尋ねをしたいと思います。

 菅総理は、政府の大方針としてデジタル化を掲げています。厚労省が把握できます医療費に関するデータとしましては、一つ、医療法人の損益計算書の事業報告書等というものがございます。しかし、これは、残念ながら、全て紙で出されて、紙で用意されているデータでございまして、全くデジタル化がなされておらず、現状分析、あるいは様々な政策には使えないということが指摘をされています。先日お話を伺いました一橋大学の荒井先生は、御自身でこの紙を全部取り寄せて、全てデータに自分で落とし直して、それで様々な分析をされておりました。

 私、これは本来は、やはり厚労省の方でしっかりとデジタル化した形で御用意をして、それで分析をしていただくというのが本筋ではないかというふうに思っております。

 また、診療報酬の改定に使っております医療経済実態調査、これを見てみますと、やはりサンプルが少ない、提出率が悪い、それから、実態を捉えられていない項目がある。更に申し上げると、調査判明までどうしても時間がかかってしまうという大きなデメリットがあります。

 ほかにも、厚労省は、レセプトデータという、毎月上がってくるデータもアクセスすることはできるんですね。

 私は、全て一つにしろとは言いません。ただし、ここの三つの資料を皆さんがお持ちなのであれば、これを上手に組み合わせて、相互補完的に組み合わせて、そして、エビデンスに基づいた政策決定にもう一歩、一歩どころか二歩、三歩、前に進めていくべきではないかと考えております。

 そこで、まず、先ほど申し上げました事業報告書、これをデジタル化する考えがあるか。各事業者からデジタルで提出していただいて、皆さんがしっかりと精査をすれば、これはそんなに難しい作業ではないと考えております。

 そして、この資料、先ほど申し上げた三つの資料を連携させて、医療の実態を捉えて、もう一段精緻なエビデンスに基づいた医療政策に生かす考えがあるのか、教えていただきたいと思います。

 ちなみに、社会福祉法人は既にこの手のデータはデジタル化されているということを付言をして、これを踏まえてお答えいただければと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、エビデンスに基づきまして、またデジタル化を進めて、データ分析の下に医療政策を進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 三つ御指摘いただきましたけれども、まず、医療経済実態調査でございますけれども、これは、医業経営の実態を明らかにして、診療報酬に関する基礎資料を整備するために実施しているものでございまして、二年に一度でございます。

 この調査につきましては、介護施設等と区別した医療施設のみの損益状況が可能であるといったこと、あるいは、設定している入院基本料等、医療機関の属性ごとの分析が可能であるといったメリットがある一方で、御指摘のように、抽出調査かつ任意回答であることから、回答のサンプル数が限定的であるといったマイナス点といいましょうか、そういった点もございます。

 他方で、御指摘の事業報告書でございますけれども、これは、都道府県知事が医療法人の経営の実態を把握して適切な監督権限を行使するために、医療法人から都道府県知事宛てに提出することとなっております。

 この報告書につきましては、毎事業年度終了後三か月以内の届出を求めておりまして、速やかな経営実態の把握が可能でございます。また、全ての医療法人に対して報告を求めております。一方で、医療法人のみに限定した調査でありますので、それ以外の医療機関の損益は把握できないといったこと、介護施設等との損益の区別はできない、そういった点もございます。

 また、御指摘の事業報告書の届出につきましては、御指摘のように、現在は、都道府県に対しまして紙媒体による届出がされているということで、紙でございます。

 これにつきましては、改革工程表二〇二〇におきまして、アップロードによる届出、公表を可能とする仕組み、それから、アップロードするデータベースの整備につきまして、二〇二三年度に向けて引き続き検討を進めることとされておりまして、これに基づきましてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 エビデンスに基づく医療政策とするためにも、現在でも、医療経済実態調査とレセプトデータ、いわゆるNDBとの連携は行っておりますけれども、これに加えまして、今後さらに、事業報告書の活用等につきましても検討してまいりたいというふうに考えております。

大岡委員 ありがとうございます。

 これはもうデジタル化をすれば様々な活用が可能になりますので、まずはそこからスタートしていただきたいと思います。

 次に、国保改革についてお尋ねをしたいと思います。

 今回の法改正案では、法定外繰入れの解消と保険料水準の統一につきまして、しっかりと国保運営方針に、記載事項に入れるということが書かれておりますので、これは一定の前進というふうに評価をさせていただきたいと思います。

 一方で、じゃ、令和元年度はどうなっているかというと、三百十八市町村、合計一千九十六億円の法定外繰入れが今も行われている状況でございます。

 これについて、やはり今後、一定程度期限を区切って、この法定外繰入れの解消、それから保険料水準の統一を進めていくべきだと思いますが、これについて政府はどのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 法定外繰入れの解消、これは計画的に進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 これまでも、平成三十年度の国保改革におきまして、毎年約三千四百億円の財政支援を行いまして財政基盤を大幅に強化いたしますとともに、各自治体におきまして、赤字の原因を分析した上で、解消期限や具体的な取組等を定めました計画を策定し、計画的な取組を進めてきたところでございます。

 国といたしましては、改革工程表二〇二〇におきまして、平成三十年度決算における法定外繰入額千二百五十億円よりも繰入額を減少させる、あるいは、その法定外繰入れ等を行っている市町村数を令和五年度までに百市町村、令和八年度までに五十市町村とすることといったKPIを設定いたしまして、取組を進めております。

 今後さらに、各市町村で効果的な取組が進みますように、赤字発生の要因ごとに効果的な取組を分析いたしますとともに、特に繰入額が多く、解消期限の遅い市町村を中心にいたしまして、効果的な取組の横展開を行うなど、国としてもしっかり支援してまいりたいというふうに考えております。

大岡委員 ありがとうございます。

 次に、後期高齢者医療制度の県単位化について質問したいと思います。

 御存じのとおり、もう国保は既に県単位化がされておりますけれども、後期高齢者医療制度というのは残念ながらいまだに広域連合で運営をしておりまして、社会保障審議会の医療保険部会においても、どちらかというとネガティブな地方の意見のみを抜粋をして、これはしないような書きぶりになっています。

 しかし、実際には、例えば私の足下の、足下というか地元の滋賀県におきましては、この事務そのものを国保連に委託をするなど、新しい検討を今進めているところということを聞いております。

 私は、これは当然、もう近い将来、県単位化、あるいは県も広域連合に入る形で、暫定的には県も広域連合に入る形でもいいので、やはり広域化をしっかりと進めていくべきだと思っておりますが、これにつきまして政府の考えを教えていただきたいと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 大岡委員御指摘がございましたけれども、後期高齢者医療制度におきまして、広域連合そのものは、被保険者の資格管理や保険料の設定、保険給付など、財政運営の責任を持ちつつ、都道府県あるいは市町村と連携しながら高齢者保健事業を実施するなど、制度発足から十年超がたった現在におきまして、安定的に事業運営を行っているというふうに承知しております。

 委員御指摘のございました昨年末の社会保障審議会医療保険部会におきましては、都道府県への移管につきまして様々議論があった中でこうした仕組みになったということで、この中でしっかり運営をしていく仕組みをしっかりしていくべきであるといったような御意見が様々出たところ、こうした地方公共団体の御意見を十分踏まえながら検討していくべき課題かというふうに思います。

 また、広域連合におきましては、昨年度から保健事業と介護予防の一体的実施など、これは市町村と連携し、積極的な取組を開始したところでございます。

 厚労省といたしましては、まずは広域連合との連携を強化しながら、これらの取組を進めていきたいというふうに考えております。

 また、御指摘の広域連合の先進的取組についてでございますけれども、実際に、効率化の観点から事務を委託している広域連合、これは今、四十七のうち十九連合が事務を委託しているところでございまして、滋賀県でも様々検討を行っていただいているというふうに承知をしております。

 まずはこうした先進的な取組、その実情をお伺いした上で、効率的な運営方法について検討してまいりたいというふうに考えております。

大岡委員 ありがとうございました。

 こやり先生、滋賀県のことを本当に熟知していただいていると思いますので、是非滋賀県の取組をこれからも後押しをしていただきまして、これを是非全国に広げるということにお力をおかしいただきたいと思います。

 次に、同じく滋賀県における百歳大学の取組についてお尋ねをしたいと思います。

 先ほど来議論がありますとおり、この後期高齢者医療制度、やはりこれは抜本的に、あるいは全方面的に改革しないと限界を迎えています。

 そうした中、滋賀県では、やはり高齢者の行動を変える、気づきを変える、これをしない限り、後期高齢者医療費そのものが減らないという強い危機意識の下、百歳大学というものを進めています。

 ここは、人生を登山に例えると、山を登るための義務教育は六プラス三でしっかりとやっている。しかし、下山するための教育は何もできていない。せめて一年は勉強しないといけないんじゃないか。結局、下山の方が危ないわけでございまして、下山の途中で、山の下り方を皆さん習っていないので、途中で転げてしまって、けがをして、結果として医療費がかかってしまう。こうした問題意識の下、百歳大学の取組を進めています。

 この団体は、最終的には二回目の義務教育をつくりたいと。つまり、全国民を対象にして、費用は無料で教育をする、下山のための教育をする制度というものを求めています。

 これにつきまして、文部科学省、どのように捉えておられるか教えていただきたいと思います。

とかしき委員長 寺門文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 委員御提言の御趣旨は、人生百年時代の今日、学びの在り方についても、学校教育の一時期の学びだけではなく、まさに教育基本法に定める生涯学習の理念としても大変重要だと存じます。

 このため、委員御提言の一端の実現に向けましては、文部科学省におきましては、高齢者を含めて全ての方が生涯にわたって、必要なときに必要な学びの機会を主体的に選択し活用できる、そういった環境整備に努めているところでございまして、具体的には、委員が御提案ございました滋賀県の取組の例で申し上げれば、各自治体が行っている様々な高齢者向けの学習活動の情報などを収集、分析いたしまして、優良事例として各自治体と共有を図り、横展開を図ることで、社会教育活動の推進を図ってございます。

 引き続き、こういった取組を通じまして、委員の御提起の趣旨というものを生かしてまいりたいというふうに存じます。

大岡委員 終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 大臣、毎日御苦労さまでございます。

 いよいよ今週から高齢者のワクチン接種が始まったわけでありまして、順調に進むように、私ども公明党も全力を挙げて党のネットワークを生かしながら取組を進めているところでございます。

 さて、後期高齢者医療制度であります。

 今の大岡委員のお話を横で聞きながら、自民党の中でも随分悩まれたんだなと。全く違う方向で私どもも随分悩んだわけでありまして、様々な議論がある野党の対案も含めて、本当にみんなが悩んでいるなということなんですが。

 私どもの方は、特に後期高齢者医療制度の窓口負担について、高齢者世代や、今日も傍聴席に当事者がいらっしゃいますけれども、現役世代の、例えば健保組合、健保連の皆さんとか、いろいろな声を聞きながら、正直申し上げて、悩みに悩んだといいましょうか、随分苦しんでまいりました。

 私ども公明党の思いは、安倍総理にこの議論が始まったときに提出をいたしました内容、提言に尽きるわけでありますが、何と書いたかというと、現行の原則一割負担という仕組みを基本として、後期高齢者の負担の在り方の検討に当たっては、生活実態や医療の利用状況等を踏まえ、具体的な影響を丁寧に見つつ、負担能力に応じた負担という観点に立って慎重に検討すべきであるという、いかにも公明党らしい文章でありますが。二割負担、これは全世代型の社会保障制度改革ということで、これは私どもも議論を続けてきたわけでありますが、しかし、どうしても二割負担ということになりますと、こんな議論をまとめたわけであります。

 大臣に最初に確認したいと思います。

 今回の改正案では、後期高齢者医療制度における一部負担金、いわゆる窓口負担について、私どもは、原則一割負担というこの法律の構成は変わっていない、このように思っているわけでありますが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。お願いいたします。

田村国務大臣 自民党の中でも、大岡委員のお考え、また全く違ったお考え、いろいろなお考えがあって、いろいろな議論をされたというふうにお伺いいたしております。

 後期高齢者医療保険制度自体、みんなで高齢者を支えていかなければならないという発想の下で、たしか舛添大臣のときですかね、私は委員長席に座っていた覚えがあるんですけれども、舛添私案なるものも出てまいりまして、大臣の私案って一体何なんだという議論をした覚えもありますが、山井議員と意気投合したというような、そんな思い出がよみがえるわけでございます。

 年数がたってまいりまして、総報酬割やいろいろなことをやる中で、やはり現役世代の負担というものが非常に大きくなってきたというもの、これも事実であります。

 そういう中において、全世代型といいますか、高齢者の皆様方にも応分の御負担といいますか、負担能力のある皆様方には御負担をお願いしたいという思いの中で、そういう意味で、負担が重くなってきたというか、これから更に重くなってくるというようなことが想定される中で、若い方々の負担をなるべく、重さというものを、荷物が重いものをなるべく、軽くとまではいかないのかも分かりませんが、重くならないようにというような形の中での今回の御提案であります。

 そういう意味では、一定程度所得のある方々に二割負担を高齢者もお願いをいたしたいということで、そういう意味では、年収ですか、収入が単身世帯で二百万というようなことを切らさせていただきながら対応させていただいておるわけでありますが、全体で七十五歳以上は一千八百十五万人おられますけれども、この中で一割負担の方々が一千三百十五万人という形で残ります。そういう意味では、約七割の方々が一割負担ということでございます。

 原則一割負担という言い方自体はしていませんが、しかしながら、これを見ると、大方の方々が一割負担だというような認識の下で、そこは我々としては、しっかりと今般制度設計する中において、高齢者の皆様方の御生活も考えた中での御提案ということでございますので、委員のお考え方と我々の考え方と共通する部分もあるのではないかというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今回の法律は、昨年十二月、閣議決定された全世代型社会保障改革の方針に基づきまして、今大臣からお話がありましたように、二割負担とされる方は、課税所得二十八万円以上かつ年収二百万以上の方とされたわけであります。

 ただ、条文を見ますと、これは後期高齢者の法律の六十七条に第二項を加えるという扱いでありますが、この対象者については法文上は政令で定めるとなっているわけで、例えば大岡委員が大臣になられたり総理になられると一気にここが変わるんじゃないかという懸念を持つわけでありまして、改革はもちろん私どもも進めなきゃならぬと思うんですが、ここはやはり国会の審議、あるいは国会での議論、与党での議論、こうしたことも大事にしていただかなきゃならぬと。

 大臣、私は、いつも高齢者の皆さんに、これからは、現役並み所得のあるお年寄りの皆さん、それから国民年金でも平均で五万円程度の年金で暮らされているお年寄りの皆さん方、そしてその間の幅広い方々、この三つのグループですよ、こう申し上げて、応能の負担をお願いしたいというようなことも言っているわけでありますが、この真ん中のグループが、ラインが動くわけでありますから、これは政令で大丈夫かなという声をよく聞くんでありますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員がおっしゃられましたとおり、今回、課税所得二十八万以上という形で、かつ単身世帯で収入二百万、複数世帯で三百二十万以上というような形の中で、全体で約二割の方々が対象になってくる、三百七十万人という形でありますけれども。

 そういう意味からいたしますと、上位所得者の三〇%の方々という形、それから、先ほど話がありましたが、四十年間平均的な収入で厚生年金の保険料を払っていただいて得られる年金、それは上回っているという形の中で、一定程度の御負担をお願いさせていただくということであります。

 法律的には、負担割合というもの自体、これ自体を法律に明記をするという形になって、二割負担というものを入れているわけであります。

 そのような意味からいたしますと、実際問題、金額に関してはこれは政令で定めるという話になっておりますから、委員の御心配というのもあるわけでありますが、今現在で、これを引き上げるということを我々は全く考えていないわけでございまして、全く白紙でございます。

 さらに、そうはいっても、大岡大臣が生まれた場合はというようなお話もございましたが、これは勝手に政務で決めるのではなくて、審議会や関係者の方々にいろいろとやはりお話をお聞かせをいただく中において、国民的理解を得た上でという話になりますので、そういう意味では、大岡大臣が勝手にやることはできないということだというふうに認識いたしております。

桝屋委員 そこで、私ども公明党が、先ほど御紹介したような思いから、高齢者の生活実態あるいは医療保険の利用状況等を踏まえて、負担能力の観点から丁寧に検討してもらいたい、こう申し上げてきたわけでありますが、この点、特に高齢者の生活実態あるいは医療の利用状況等について、今回どのように、今の二十八万円かつ年収二百万円以上の者という方々の負担という観点はどのように説明されるのか、浜谷局長、お願いします。浜谷さん、はっきり、さっきから声が小さいから、よく聞き取れるようにお答えいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、医療の利用状況でございますけれども、七十五歳以上の高齢者につきましては、やはり受診の頻度が多く長期にわたりますので、医療費が高い状況にございます。一人当たり医療費で見ますと、七十五歳以上、九十一・七万、一人当たり窓口負担額七・七万円です。例えば七十歳未満では、三割負担でございますけれども、一人当たり医療費は十九・九万、平均窓口負担額四・一万ということで、絶対額で見ますと、やはりその負担額は多い状況にございます。そういった医療の状況をまず勘案しております。

 また、生活実態につきましても、これは家計調査を特別集計などいたしまして、例えば年収二百万円の世帯につきましては、これはあくまで平均でございますけれども、支出は百八十八万ということで、一定程度の収支差があるといったことも勘案しております。

 こういったことなども勘案いたしまして、今回の改正法案で提案いたしております窓口負担の見直しの所得基準につきましては、課税所得二十八万円以上かつ単身世帯で年収二百万円以上、複数世帯で年収三百二十万円以上という、いわゆる負担能力のある方に限って二割負担とする考え方でございます。

 また、先ほど申し上げましたけれども、二割負担への変更による影響が大きい外来患者さんにつきましては、施行後三年間、一月分の負担増を最大でも三千円に収まるような配慮措置も講ずることといたしております。

桝屋委員 今の御説明で、私どもも与党の一員として多くの国民の皆様に御説明をしなきゃならぬわけであります。

 今、浜谷局長が最後におっしゃった話でありますが、介護保険制度もそうでありますけれども、高齢者にとって窓口負担というのは一割だというのが大分定着をしておりますから、今回二割負担の導入ということでございまして、とりわけ今お話がありましたような長期に外来医療を受けている高齢者の方々の負担、変更時の負担感は大きいわけでありまして、ここは、高額療養費制度も活用して、二割負担になる者の外来受診の負担増加額を最大でも月三千円以内にするという配慮措置を講ずる、これは絶対必要だろうと思っておりまして、当初これが、政府側から四千五百円の負担増の範囲内という議論もあって、ここは自民党の先生方ともさんざん議論をし、三千円以内ということにしたわけでありますが、この配慮措置の対象となる方々、どの程度いらっしゃって、この配慮措置によって具体的な効果はどういうふうになるのかということを、局長、御説明をいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の配慮措置の対象者でございますけれども、二割負担となる対象者の約八割程度がこの対象になるものと考えております。

 それから、具体的な効果でございますけれども、まず、配慮措置がない場合でございますけれども、これは今でも高額療養費制度がございますので単純に二倍になるわけではございませんで、現行の年平均八・三万円が十一・七万円ということで、配慮措置がない場合には年三・四万円の増加になります。これを、更に配慮措置を講ずることによりまして、八・三万円が十・九万円、負担増でいいますと年二・六万円増となります。すなわち、年三・四万円増が年二・六万円増に抑制される効果があるということでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 この措置が三年間ということでありまして、また三年後、悩まなきゃならぬな、こう思うわけでありますが。今回、野党案も見させていただきまして、いずれにしても、後期高齢者医療制度、これは導入まで随分私も苦しんできた経緯もございますから、引き続き、大岡先生のお話ではありませんが、不断の見直しをしなきゃいかぬと。また、この三年間、今回は窓口負担の議論をしっかりさせていただくということが大きなテーマであろう、こう思っております。

 私ども公明党は、全世代型社会保障改革について、特に医療分野においては、働く現役世代と高齢者世代を対立関係に位置づけて議論をするということはできるだけ避けたいというふうに思ってまいりました。今回の改正に当たっても、働く現役世代も恩恵を受けるような仕組みが大事ではないかということも申し上げてきたわけで、そうした観点では、傷病手当金の通算化、あるいは育児休業中の保険料の免除要件の見直し、あるいは子供に係る国保の均等割額の減額措置なども改正案に含まれたということは評価したいし、歓迎したいと思うんですが、現場から早速こんな声が出ております。

 例えば、傷病手当金の支給期間の通算化でありますが、精神疾患の方々などは、やはり、仕事と療養の両立の観点から、非常にこの制度、改正を期待をされておられます。この法律が通りますと一月一日から施行でありますが、現に今、この傷病手当金の期間になっている、受給を受けておられる方々もあるわけで、来年の一月一日時点で、例えば今年八月から九月ぐらいから傷病手当金の対象になった、一年六か月の範囲内で、働く期間があって不支給になっている、そういう方々は一月一日以降どういう扱いになるのか、是非通算期間に入れてもらいたい、こういう御要請もありますが、お答えをいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案では、治療と仕事の両立の観点から、出勤に伴い不支給となった期間を延長して支給を受けられるように、傷病手当金を通算して一年六か月に達するまで支給することとしております。

 それで、御指摘の、いわゆる今受給されている方の扱いでございますけれども、本改正の施行日は来年一月一日としておりますけれども、経過措置といたしまして、施行日の前日において支給開始から一年六か月を経過していない傷病手当金受給者につきましても、改正後の規定を適用することといたしております。

 このため、具体的に申しますと、来年一月一日時点で傷病手当金の受給権がある方、すなわち、昨年七月二日以降に傷病手当金の支給を開始した方につきましては、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その期間を延長して傷病手当金を受給することが可能となります。

桝屋委員 そうしますと、局長、この傷病手当金って意外と、私どもに寄せられる声を勘案しますと結構利用者が多いのでありますけれども、どのぐらいの利用者がいらっしゃるのか、現状でも結構です、お答えをいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 支給期間の通算化につきまして、一定の仮定を置きまして行った推計では、令和四年度で約四万人の方が通算化の対象となると見込んでおります。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今日は、特に、この制度、今回の全世代型社会保障改革の関連法案の入口部分でありますので、とりわけ高齢者の負担という観点から議論をさせていただきました。この後、同僚議員から、今度は若人の立場から、現役世代の立場からしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。以上で終わります。

とかしき委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 いよいよ本日から、全世代型の社会保障の法案、我が党立憲民主党を含め野党の案と閣法の内閣の案と、並行して審議するということでございます。

 今までもるる与党の方からも御発言がありましたけれども、我々も、現役の方々の負担が余りにも重過ぎるということで、やはり何らかの措置をしなければいけないということで、政府と同等程度の現役の皆さんへの軽減策、これを対案として出させていただき、先ほども我が党の西村議員が答弁をさせていただいたところでございます。

 その中で、政府案で幾つかの疑問がありますのでお尋ねをするんですが、政府案は窓口の二割負担によって財源が千八百八十億円出るということなんですが、聞くところによると、長瀬効果もこの中に含まれているというふうに聞いておりまして、長瀬効果は幾らぐらいでございますか。

田村国務大臣 約九百億円を見込んでおります。

長妻委員 これも、私も最近この資料一ページ目をいただいて、配付しておりますけれども、立憲民主党がそういうことをちょっと小耳に挟んだので、具体的に幾ら長瀬効果なんですかということを文書で出してほしいと申し上げましたら、なかなか出てこなかったものが、何度も何度も申し上げてやっとこの一ページ目のものが出てきたということで、ちょっと私も見てびっくりしたんですが、与党の皆さんは知っていましたか、この金額、前から。

 財源が一千八百八十億円、二割上がることで出るということで、てっきり、二割窓口負担が上がるからその分の増収が一千八百八十億だと思いきや、そうじゃなくて、増収分は九百八十億だと。あとの九百億、ほぼ同じ金額は長瀬効果。長瀬効果というのは、窓口負担が上がって受診抑制になる。お金が高いから行けないなということで行かない。受診抑制や受診控えの効果が九百億ということで見込んでいるということ。

 ちょっとおかしいなと思うのは、これは審議会の部会でずっと議論されていましたけれども、そこにはこの金額は示されていないということなんですよ。我々が要求しなかったらずっと出てこなかったんじゃないかなと思うわけで、九百億円というのは、受診機会、これが減るということになるわけですか。

田村国務大臣 これは、今までのいろんな言うなれば負担の引上げのとき、このときに、どういうような効果があるかということ、こういうものを実証的に見ていく中で出てくるわけでありまして、例えば、現行の長瀬方式については、一般制度でいきますと、平成九年九月の改正の実績でありますとか、あと、高齢者でありますと昭和五十八年二月改正から平成九年九月の改正までの実績、こういうものを基礎に推定をしてきております。

 要するに、そういうような経験則の中において、負担が増える中において一定の受診日数が減るというような中から、こういうものを効果として出してきているわけであります。

長妻委員 受診日数が減る、入院の期間とか、あるいは、一番多いのは外来に行く回数、受診機会が減るということが九百億を見込んでいるということなんですが、これは半額が長瀬効果だということなんですが、これは必要な医療が削られるということはないんですか。つまり、もっと言えば、必要な受診がなされなくなってしまう、こういうことはないという確認は取れているんですか。

田村国務大臣 必要だとか必要じゃないかだとかというんじゃなくて、実態として、これぐらいの受診回数、日数が減るということでございます。それから算出した金額であるわけであります。

 基本的には、必要な医療はしっかりとお受けをいただくということであろうというふうに思います。

長妻委員 与党の皆さん、今のは分かりますか。うなずいている方がいて、ちょっと信じられないんですが。

 必要じゃない、必要とはかかわらず、医療費が減るという長瀬効果の公式を当てはめただけだというような答弁ですけれども、それは困るんですよ。つまり、必要な医療が削られるか削られないか知ったこっちゃない、ただ計算式を当てはめたら九百億出るんだからというような趣旨ですよね。

 だから、計算は分かりますよ、九百億減る、受診控えが起こる。ただ、その受診控えが起こった中に必要な医療は入っていない、こういうことが言えるんですか、こういうことを聞いているんです。

田村国務大臣 高齢者の皆様方の課税所得、収入というもの、こういうものを前提を置いて、今回二割負担という形にさせていただく方々は、一定の負担能力という形の中でやらせていただいております。でありますから、必要な医療というものは当然受けていただくだけの所得といいますか家計というものに対しての余力があるという中において対応させていただいております。ということであります。

 ちなみに、大体、今回の二割負担で、機械的にこれは計算したものでありますけれども、受診日数を二・六%程度減少させる計算ということでありまして、七十五歳以上の方々の平均の外来受診日数でいきますと、二割負担の対象者の方々は、受診日数が三十三日から三十二・二日になるという形であります。

長妻委員 計算式は分かるんですけれども、私が聞いているのは、九百億が、受診控えが起こるわけですよね、現実に、それを明記されているわけですから。その受診控えが起こっても必要な医療は削られないんだとおっしゃいましたから、じゃ、受診控えが起こったのは、ある意味では行っても行かなくてもいい医療だということだと思うんですが、例えばどういう医療が行っても行かなくてもいい医療。

 九百億削られる中身というのは、必要な医療は削られないわけですよね。ということは、必要じゃない医療が削られるということで全体としては必要な医療は維持されるというようなことだと思うんですが、必要でない医療というのはどんなものなんですか。

田村国務大臣 必要だとか必要でない医療ということを申し上げているわけではなくて、三十三日が三十二・二日に受診日数がなるということを申し上げているわけでありまして、それぞれが必要じゃない医療というようなことを申し上げているわけではないわけであります。

長妻委員 言っている意味が分からないですね。

 だって、九百億減るわけでしょう、与党の皆さん。九百億減るということは、受診控えが起こるんですよ、与党の皆さん。それは全然問題ない、受診控えが起こっても。今まで無駄な医療をやっていたから、窓口負担を二割に上げて、それで来ない、九百億減っても、それは大勢に影響ないんだ。そういう趣旨ですよね。

 でも、それは確認できているんですか、何か統計上とか過去のデータとか。窓口負担を上げて受診抑制が起こる、それによって重症化は発生するかしないかとか、そういうエビデンスみたいなものはないんですか。

田村国務大臣 無駄な医療という概念がどういうものなのか、ちょっと何をおっしゃっておられるのかよく分からないんですが、正直申し上げて、今般のことに関してどのような影響が出るかというのは、まだやっていないわけでありますからこれは分からないわけでありますが、ただ、今までも数度にわたっていろいろな自己負担を上げるということをやってまいりました。それに対して、極端に平均寿命が短くなるどころか、平均寿命は延びているわけでありますし、健康寿命は延びているわけでありますから、それ自体をどう証明するかということ自体はなかなか難しいわけでありますけれども、今まで負担を上げてくる中で、極端に国民の皆様方が健康を害するというようなことはなかったんだろうと思います。

 もちろん、平均寿命や平均余命、健康寿命、こういうものが上がってきている中において、負担を上げたものとの因果関係というものを直接我々が何らかのエビデンス、証左をもってお示ししたことはありませんけれども、今までの流れからいくと、そういう流れであったということは確かであるというふうに思います。

長妻委員 エビデンスがない、影響は分からない。ちょっと無責任なんじゃないですかね。

 九百億減るというのは政府が認めているわけですよね、受診抑制がある。しかし、それによって健康悪化、重症化の影響は分からない、エビデンスはない。ただ、大臣が一点おっしゃったのは、平均寿命が延びているから、過去もこういうことがあったけれども、まあ大丈夫なんだ。すごく非科学的なアバウトな根拠ですよね。それで与党の皆さんいいんでしょうか、本当に。先生、いいんですか。だって、九百億減るわけですよ、受診控えが起こるわけです。

 例えば、審議会でも多くの先生が懸念を示しておられるわけですね。例えば、十六ページ、部会で松原先生という医師会の先生が、一般区分の人が二割になると二倍払うことになります、検査をしたら物すごい金額になります、そういった二倍になるということでありますので、多くのお年寄りがどう判断するかというと大変心配です。こういうこともおっしゃられて、あるいは、コロナで皆さん大変不安に思っているときに、追い打ちをかけてそのようなことをするのは適切ではないというようなこともおっしゃられておられるわけですね。

 部会では、兼子先生という老人クラブの方は、窓口負担は応能負担ではなくて、それを利用する人に対しての負担の強化、応益負担の強化であろうと思っております、そういう意味では保険料の応能負担が私は基本だと思うと。我が党と同じ案のことをおっしゃっておられる先生方、こういう方々も多いんですよ。

 ですから、九百億減るわけですよね。これによって影響がないとおっしゃるのなら分かりますよ、エビデンスも聞きますけれども、その後。影響があるかどうか分からないで、九百億、長瀬効果です、計算上こうです、入院日数がちょろっと減るから心配するな、平均寿命が日本は延びているから、過去もこういうことはあったけれども大勢に影響はないんだというのは少し無責任じゃないか。与党の皆さん、そう思いませんか。

 私も、相当、がんの専門家の方を含めて、ちょっといいですか、田村大臣、聞いていてください。(田村国務大臣「聞いています」と呼ぶ)専門家の方にお話を聞きました、がんの専門医とか地域でお医者さんをやられている方とか。おっしゃっていたのは、なるほどと思いまして、早期発見、早期治療の機会なんですよ。それが七十五以上の人は現役の方とちょっと違うんですね。

 例えば、十ページを見ていただくと、これは厚生労働省にいただいた資料ですが、なるほど専門家の皆さんの意見どおりだったんですが、健康診断を受けるというのは、現役の方は大体七割の方が毎年受けている。毎年というか、これは、基礎調査で、過去一年に健診や人間ドックを受けた人の総数の割合ということで、七割ぐらい。ところが、八十歳以上になると五三%、半分ぐらいしか健康診断を受けていない。

 がんの専門家の方もおっしゃっていたのは、七十五歳以上、八十歳ぐらい、高齢者でがんが早期発見される契機は、やはり、ちょっと体の調子がおかしくて普通と違うということでかかって、念のためにMRIとかCTを撮る、あるいはいろいろな血液検査とかをする、それで見つかるケースが大変多いというんですよ。それが端緒になって早期発見。

 なかなか、七十五以上、八十以上の人が健康診断を毎年受けるというそういうことではなくて、そういう意味では、気をつけてくれと私も言われました。何か高齢者は病院にいっぱい行っているから、ちょっと負担を上げて病院へ来なくなっても大勢に影響はない、そういう現役の感覚で言うのはやめてほしい、そうじゃなくて、それが端緒になって早期発見とかそういうことができるということで、開業医の先生は、やはりかえって高くつくんじゃないか、つまり重症化して緊急入院とか入院日数が長引くというようなことで、無駄な医療をかけているという高齢者はいないとその方はおっしゃっておられました。それは医者をひとつちょっとおとしめるような発言だともおっしゃる方がいるんですね。無駄な医療だとすると、お医者さんは、いやいや、次はもう来ないでいいですよということを言うお医者さんもちゃんといるんだよということもおっしゃっておられる。

 つまり、我々の案のように、保険料の賦課限度額を上げていくというようなことで、保険の原理は応能負担も一つの形でありまして、保険料で応能負担、病気の人と病気でない人を区別せずに応能負担をお願いする。

 ところが、今の政府の案は病気の人だけの応能負担じゃないですか。病気の人だけ、お医者さんに行く人だけ、年収二百万円以上の人に応能負担をお願いする、それでかつ影響が分からないというのは余りに無責任なんじゃないかということで、大臣、再度聞きますけれども、九百億減ることで、調査していただけませんか。過去そういうことがよくあったわけですよね、一割とか二割とか変わったことが。そういうところの調査、どういう影響があったのか、これをこの委員会に出していただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 後期高齢者医療保険制度も含めて守っていかなきゃならないという問題があります、持続可能性という意味で。今、賦課限度額のお話がありましたが、これは平成二十年に後期高齢者制度がスタートしてから、当時五十万だったのが六十四万まで賦課限度額は上がってまいりまして、直近、令和二年も上げているんですね、令和二年度も。ですから、これはこれで上げてきているわけでありまして、決して賦課限度額に我々が手をつけていないわけでも何でもないわけであります。その中において、負担能力のあるより多くの方々に御負担をいただかなきゃならないということで、今般、能力のある方々に対して対応させていただく。

 言われるとおり、医療機関で高齢者の方々が受けることによって、いろいろな疾病の端緒といいますか、そういうものを見つけていることは確かでございますから、それに対しては、我々も、そういう必要な医療はしっかり受けていただくように、今コロナ禍でこういう状況でありますから、かえって医療をちゃんと受けてくださいとお願いをさせていただいておりますので、それをもってして我々は必要な医療を受けないでくださいと言っているわけではないので、しっかり受けていただければありがたいというふうに思います。

長妻委員 大臣、ここに事実が書いてあるじゃないですか。九百億円受診控えが起こるということが明確にここに書いてあるわけですよ。それを財源の捻出の根拠に入れちゃっているわけですね。

 だから、この受診控えは健康に影響がないのか、医療行政として、その責任者として、大臣は断言できないのであればエビデンスを出す責任があるんじゃないのか、こういうことを言っているんですけれども、与党の方はそう思わないですか。いやいや、受診控え、どうせ高齢者は無駄遣いの医療をしているんだから、ちょっとぐらい減っても大丈夫なんだと言わんばかりの私は空気だと思いますよ。

 大臣、今申し上げたように、エビデンス、受診控えがあっても過去いろいろな問題が起こらなかった、あるいは、起こったとしたらこういう問題だったというのを、是非、調査結果をまとめて出していただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 様々な要素が絡みますので、それを、この負担が上がったからそれによってどう出たかということを詳細に因果関係を明確に示すということはほぼ不可能だというふうに思います。

 だから私も、先ほどから、数度の負担、例えば七十歳から七十四歳に関しましても段階的に二割負担にしてきているわけですよね。そういうことをしてきている中においても、健康寿命、平均寿命というものは決して下がっているわけではないわけであります。

 ただ、それもいろいろな要素がありますから、それ自体を因果関係をつけて証明するということはほぼ不可能に近いわけでありますけれども、ただ、もしそこで本当に極端に健康寿命や平均寿命が縮まるというようなことが起これば、それは何らかの因果関係があるのかも分からないということで、我々も立ち止まることもあり得ると思いますが、しかし、そういうような証左があるわけではございません。

 申し上げますけれども、これを直接、負担の上昇と併せて何を指標にするのかというのも難しいわけでありますが、様々な要素があってそれぞれ私は健康寿命、平均寿命が延びてきておると思いますので、それを因果関係をなかなかお示しするというのは難しいという認識であります。

長妻委員 平均寿命にまで影響が出たら大変な大きなことだと思いますよ。平均寿命に影響が出ないから大丈夫だとか大丈夫じゃないとか、平均寿命の推移を見るとか、そんな問題じゃなくて、もっときめ細やかに、受診をできないことによってどれだけの方が重症化してかえって高くつく、こういうことが起こるのか、そういう試算をしないと駄目じゃないですか。

 十一ページですけれども、検診の件で、これも「クローズアップ現代」とかいろいろなところで報道されていますが、これは日本対がん協会が発表したもので、コロナで検診が減って、少なく見積もっても二〇二〇年は一万人以上のがんが未発見になっている、こういうことなんですね。

 さっき申し上げたように、高齢者は健診は余り行かずに、やはり、いろいろなことがあって、少し調子が悪かったりいろいろな問題があって行って見つかるというのが非常に多いということで、このコロナとは今回の二割は関係ありませんけれども、ただ、関係があるとすると、受診控えという意味では同じなんですよ。

 そういう意味では、このレポートも、別の病気の治療中に偶然発見されるなどのがんも含めていえば一万人ということを言っているので、大臣、もうちょっと切実にこの件についてお考えをいただければというふうに思います。

 委員長、さっき私が申し上げましたように、受診控えが九百億起こるわけですから、これについてどんな影響があるのか、あるいは過去どういう影響があったのか、この資料を理事会に提出いただきたいと思うんですが、いかがですか。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 そしてもう一つは、大臣、七百二十億ありますよね、現役世代の負担を軽減する。本当にこの財源が出るのかという疑念もあるんですね、政府案だと。我々の案は、さっき西村議員が答弁したとおり、具体的にお金は用意できますので。

 ただ、七百二十億の半額が長瀬効果ですよね、大体、比率でいえば。七百二十億の半額が長瀬効果なんですよ、現役の皆さんも。行き当たりばったりで本当にこの金額が出るのかどうか。確実にこの七百二十億は出るんですか、半額が長瀬効果という根拠が非常に薄いように感じるんですが、いかがですか。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、今まで長瀬効果という形で、そういう形で効果が出てきておるということであります。

 ちなみに、いろんな数字等々を我々も見てきているわけでありますけれども、過去も、例えば、長瀬効果の効果ということでありますけれども、平成十八年の改正、これは、先ほど申し上げました、現役並みということで二割から三割に高齢者の方々も負担をお願いをしたということで長瀬効果が生じまして、結果的に言うと、理論値と実績値と余り変わらない、理論値が〇・四日減、実績値が〇・五日減ということで、ほぼ同じような数値が出てきておるということがありまして、過去のを見てまいりますと、長瀬効果というものが出てきておるということであります。

長妻委員 過去その例がそうだったから今回もというのは、財源の捻出としては非常に私は根拠が希薄だと思いますよ。リアルな財源じゃないじゃないですか。

 そういう意味で、二ページ目に東北福祉大学の先生が書いた論文がございます。長瀬式の概要と問題点。基本的に、確かに公式に当てはめる数字は多少修正をされておられるようですが、その公式自体は変わっていないんですよ。この先生がおっしゃっているのは、資料の六ページで、この公式を作るときの使用したデータは更に古く、九十年前だということで、相当なバイアスがかかっている、推計した長瀬式を過去の経験からほぼ実証されているとして現在に適用することはナンセンスである、こういうふうにおっしゃっているんですね、分析して。八ページ目、終わりにということで、信憑性の低い長瀬式に替わる新たな枠組みを構築することが必要であろうということで、非常に根拠が希薄だと。

 与党の皆さん、本当にこれは財源が出るんですか。確認しているんですかね、長瀬式の詳細を。本当に現役の方の負担が確実に軽減できるんですか。是非この長瀬式、長瀬効果の検証もしていただかなければ困るというふうに思うわけでございます。

 そして、もう一つは、これもよく誤解される方がいるんですが、前期高齢者は二割の方も多い、その方が七十五を超えると一割になっちゃうから二割のままでいいんじゃないの、こういうふうに軽くおっしゃる方がいるんですが、十二ページ目を見ていただくと、当たり前ですけれども、年齢が高くなれば高くなるほど病院に行く回数が増えるんですよ。増える。これは、七十五以上は一割負担ということでこの窓口負担のグラフを厚労省に作っていただいているんですけれども、八十歳以降、窓口負担は、二割の七十から七十四歳以上に高くなっちゃっているんですよ、一割なのに。何でかというと、病院にいっぱい行くから。

 これは誰でも容易に想像できると思いますが、そういう体の調子が悪くなる方が多くなる。そういうようなことで、こういう数字も見ながら、二倍に膨れ上がるということがいかがなものかというようなことを是非議論をいただきたいというふうに思います。

 その中で、大臣、先ほども公明党さんから質問がありましたけれども、二割負担の年収要件は年収二百万だというのは分かりました。じゃ、その年収要件を変えるのは法律改正じゃなくて閣議決定だけでできるということでよろしいんですね。

田村国務大臣 先ほども桝屋委員にもお答えいたしました。

 基本的には、法律は、負担割合など基本的な事項、これを明記しているわけでありまして、その金額、これに関しては政令で定めるということにいたしておりますが、今、現時点ではこれを変えるというようなことは考えているわけではありませんが、もし変えるようなことがあったとしても、それは審議会にしっかりとおかけをして関係者の御議論を丁寧にいただくということになろうと思います。

長妻委員 審議会のメンバーを選ぶのは政府なので、そういう意味では、それはある程度政治的に判断されるということが通例でありますので、一度法律で入れると、今も検証がないとおっしゃいましたので、長瀬効果で受診抑制になったときに、それは健康や重症化に影響があるのかどうか分からないということですので、是非そういう考え方は撤回をしていただきたいというふうに思います。

 この件で、最後に、大臣が、さっき入院日数が減少する、少しだけだ、あるいは通院日数も減少する、少しだけだとおっしゃいましたけれども、じゃ、その少しだけということを強調しますが、本当に影響がないということでいいんですね、これは。政府としてそれを言っていただかないと、影響がある法案を審議するわけにはいかないんですよ。影響が健康にはない、重症化にも影響はないんだ、そういうことを言っていただけませんか。

田村国務大臣 少しだけと私は何も言っていないので、日数だけを申し上げたわけでありまして、少しだけとは何とも申し上げていないので、それは少しだけかどうかというのはそれぞれの御判断だというふうに思いますが、基本的に、必要な医療は受けていただくということを前提で、負担能力というものを考えた上で今回お願いをさせていただくわけであります。

 先ほど来、私は平均寿命や健康寿命は決して証左だと言っているわけではなくて、様々な要因があります。例えば、言うなれば、感染症がわっと広がった場合、インフルエンザもそうでありますけれども、流行すれば当然医療費は伸びるわけでありまして、長瀬効果といっても、そういうような年が次に来てしまえば伸びることだって当然あり得るわけでありまして、そういう意味では、なかなか医療の現状というものは分かりませんし、コロナ禍であるということで、これだけ我々は皆さんに大変な御負担をお願いしていろいろな対応をいただいております。結果、昨年は、お亡くなりになられた方々の数は減っておるというような、そういうようなこともあるわけでありまして、様々な要因が関わって医療というものは成り立つわけでありますが、先ほど来、冒頭に申し上げたとおり、必要な医療はしっかり受けていただく、そのための我々はいろいろなお願いをこのコロナ禍においてもさせていただいているわけでありまして、そこの点はしっかり政府としても必要な医療を受けていただけるような対応をしてまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 ちゃんと答えていないですね。必要な医療は受けていただく、いただきたいということですよね。いただく。

 ただ、九百億受診抑制が起こっていて、じゃ、この中に必要な医療はないんですね。いや、いいんですよ。ちゃんと答えてください。この中に、九百億で受診抑制が起こる中に必要な医療というのは含まれていない、こういうことでいいんですね。

田村国務大臣 何をどうおっしゃっておられるのか意味が理解できませんが、九百億というのは一つの試算であります。

 先ほど申し上げたとおり、いろいろなそのときの疾病の状況、感染症の状況で医療費というものは変わります。それはもう委員も御承知のとおりでありまして、あくまでも、今までもこの長瀬効果というものを盛り込んで制度改正をするときにはいろいろと出してきた、試算をしてきたわけでありますから、今般も同じようにさせていただきました。

 九百億かどうか分かりませんが、仮に九百億というものがなくなっても、この中に必要な医療が入っているか入っていないかではなくて、必要な医療はしっかりと受けていただくということであります。

長妻委員 九百億かどうか分かりませんがと、財源の根拠となる数字が分かりませんと大臣は今おっしゃったんですよ。これは、与党の方、大丈夫ですか。だから、与党の皆さんもよく考えていただきたい。九百億の中に必要な医療は含まれていない、こういうことですね、桝屋先生。

 さっきからやじを飛ばしておられますけれども、九百億の中に必要な医療が含まれていないならいいんですよ。断言できない、何度聞いても答えないじゃないですか。必要な医療が九百億の中に、受診控えの中に含まれていないということなのか、含まれているとしたらどういうことなのか、たださないといけないじゃないですか、厚生労働委員会でしょう。

 是非、委員長、本当にはぐらかす答弁ばかりでございますし、九百億円かどうか分かりません、こういう答弁も出ましたので、何しろ、その九百億円の中に、受診控えの中に必要な医療が含まれるか含まれないか、文書で厚生労働省に出していただくように、理事会で協議いただければと思います。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 そして、これは引き続き同僚議員がやりますが、大きい問題ですよ。与党の皆さんも、大丈夫だというやじを飛ばさないでくださいよ。さっき言ったじゃないですか、問題ないと。おかしいじゃない。我々だって責任ある対案を出しているんですから。

 それで、今日、尾身先生にも来ていただいて。もう第四波に入っているんではないか、大阪では医療の当事者が、医療崩壊だ、こういうふうにもうおっしゃっています。

 尾身先生にお伺いしますが、第四波にもう入ったということで日本はよろしいでございますか。

尾身参考人 いわゆる一般の社会で言われている第四波というのにもう入っているというのは間違いないと思います。

長妻委員 それで、大阪は、蔓延防止措置を出した二週間後の来週の十九日まで様子を見て緊急事態宣言発出の要請を判断するとされているんですが、これは、今医療崩壊が起こっているというふうに当事者も大阪で言われておられるので、そこを来週まで待って様子を見て緊急事態宣言の要請というよりは、私は直ちに緊急事態宣言の要請の準備に入るということが必要だと思うんですが、尾身先生はいかがでございますか。

尾身参考人 私は、当然、今委員がおっしゃるように、緊急事態宣言を出す可能性については十分検討する必要があると思いますが、その前に、私はこういう席で申し上げたいのは、今の大阪が一つの典型的な例だと思いますけれども、一番大事なことは、今はもう人流が減っているので、いわゆる新規の感染者数というのはいずれ頭打ちする可能性があります。

 したがって、問題は、感染者がどれだけ、今千を超えたとかということが非常に多く問題になって、それは確かに問題ですけれども、それよりも問題なのは、これから起きて、どんどんまた更に厳しくなる重症者をどうするかということが実は大阪では私は最大の問題だと思います。

 したがって、今我々がやるべきことは、この今の状況にどう対処するかということ、何をすべきかということで、その中で、重点措置でできないのか、あるいは緊急事態宣言を出さなきゃ駄目なのかというのは、これは、どうしてこういう状況が起きていて、何をすべきかということを議論すべきで、重点措置か緊急事態措置か。実際に、今重点措置でやっているものの多くは、緊急事態宣言のこの前のよりも幅広くやっているので。しかし、確かにもう一方は、人々に与えるイメージというのがありますよね、重点措置。そういうことも当然あるわけで。

 したがって、私は、一番大事なことは、今の状況をどう好転するか。特に、医療の供給体制、こういうことの中で、いわゆる重点措置で不十分であるという判断があればすぐに緊急事態宣言に変えるべきだし、いやいや、緊急事態宣言、重点措置の選択じゃなくて、今やるべきことがあるんだったらそれに集中すべきということだと私は思います。

長妻委員 もう尾身先生もよく御存じのことだと思いますが、今回は変異株が大阪では流行していて、これは多くの医療の現場の方もおっしゃっておられますけれども、重症化の期間が長いとか入院の期間が長いということで、新規感染者がピークアウトをしても相当重症者は引きずるということが言われているので、これまでとはちょっとタイミングも含めて違う判断が必要なんじゃないかなというふうに思いますので、是非そこはよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 そして、もう一点尾身先生にお伺いしたいのはオリンピックの件なんでございますが、これも、私は東京選出の国会議員で、多くの方から不安だ、不安だと地元の方からも聞かれているんですが、渋谷区も私は選挙区ですので、本当に競技場の周辺というか隣接する中心部ですので、尾身先生、仮に東京で緊急事態宣言が出ている場合は、ちょうどオリンピックに重なった場合は、オリンピックはできないという判断を日本政府はIOCに直前に伝える、そういうことでよろしいんでございますか。

尾身参考人 私はオリンピックの開催について決める立場ではないと思いますが、ただ、私の立場としてはっきり言えるのは、今の東京、日本ですよね、これは、ともかく早く、東京も徐々に感染が広がっていて、私は大阪のようになる可能性も十分あると思うので、今の状況を何とか早く下方転回、下方に転じさせること。それからもう一つは、今、当然六月、七月には高齢者のワクチンが最大のテーマですよね。それについてしっかりやって、二つですね、感染の拡大を防止するということと、しっかりと高齢者に対するワクチンをやるということが、オリンピック云々については私は申し上げる立場ではないんですけれども、私の感染症の立場としては、そのことが極めて今重要で、それに注力すべきだと思います。

長妻委員 最後に尾身先生にお伺いしますけれども、前回、先週、ここの委員会の場で、これからは政治に余り気兼ねせずに提言をしていくんだ、プロフェッショナル集団としてというような御発言があって、私は本当にそのとおりだというふうに強く思ったわけでございまして、やはり積極的な提言をするということをおっしゃられたことは本当にいいこと、喜ばしいと思っているんですが、具体的には今後どういう積極的提言というのをされていくおつもりでございますか。

とかしき委員長 尾身独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

尾身参考人 昨年の八月に私どもが出したあのステージの考えのときには、我々専門家は、ステージの判断、あるいは、緊急事態宣言、今でいえば重点措置なんかの判断については控えるべきだという思想でありました。

 しかし、今回は、様々な分科会の人たちあるいは政府の方とも一応相談はしましたけれども、今こういう状態ですので、去年の経験を踏まえて、私ども、必要なときにはしっかりと我々の意見を述べるということが求められると思うということで、そういうことにしたいと思います。

長妻委員 以上で終わりますので、是非、また第四波に入ったということを初めて尾身先生がここでおっしゃられて、日本にとって本当に正念場でございます。前から言っているように、助かる命が助からなくなる、こういう事態を絶対避けるように、田村大臣、笑っている場合じゃないですよ、本当に医療行政、お願いします。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 健康保険法等改正案について質問いたします。

 まずは、二割負担について。

 社会保障制度を持続可能で安心できるものとしていくため、現役世代の負担を軽減していく必要がある点については、与野党共に異論はないと思います。その手段として、政府案は、一定所得以上の後期高齢者の窓口負担を引き上げるとしています。窓口負担を引き上げれば給付費が減少しますので、給付費の約四割を支える現役世代の負担も軽減することになりますが、給付費の五割を賄う公費も減少します。今回の窓口負担の見直しは、現役世代の負担軽減より、公費負担を軽減できることが一番の目的ということはないでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられますとおり、多くの方々に支え手になっていただきたいということで、高齢者の皆様方も、負担能力のある方々に関しては二割負担ということをお願いをさせていただきます。

 結果として、これは公費が五割、後期高齢者支援金に関しては現役世代から四割、そして高齢者自体が一割ということでありますので、結果的に、おっしゃられるとおり、公費負担というものが減るのは事実でありますが、これまた多くの方々が、若い方々、現役世代の方々が御負担をいただいている部分でもございますから、全体で考えると、やはり若い方々の御負担を減らすという意味では、決して本来の考え方には、これは将来も含めてでありますけれども、そぐっていないということではないんじゃないかというふうに考えております。

大島(敦)委員 苦しい答弁だと思います。

 次に行きます。

 現行の医療保険制度において、窓口負担割合は原則三割で、未就学児と七十歳から七十四歳の方は二割、七十五歳以上の後期高齢者は一割となっています。七十歳以上の方で現役並み所得のある方は三割負担となっています。

 今回、後期高齢者のうち一定所得以上の方を二割負担にしようとしていますが、窓口負担割合について、年齢で区切らず全員が三割にした上で、年齢に関係なく低所得の方については二割負担又は一割負担に軽減する方が、人生百年時代における、まさに全世代対応型の社会保障制度としてふさわしい形ではないかとの意見もありますが、その点についての御所見を伺います。

田村国務大臣 全世代型として、所得、能力に応じてということで、そこは高齢者、現役を分けずに対応するというお話だったのかなというふうに、それでよろしいですか。

 そういう考え方が全くないわけではないんだと思います。今般も、全世代型の中で、所得、能力に応じた負担という形の中で、今回、高齢者の方々に、一定所得、能力のある方々に対して二割負担ということでありますから、全くそういう背景がないわけではないんですが、ただ一方で、やはり、先ほど来お話が出ていますとおり、現役世代、七十からの前期高齢者、後期高齢者、それぞれで医療を受ける回数とかが変わってまいりますので、そういう意味からすると、医療にかかる負担だけ考えると、もちろん若い世代はほかにもいろんな支出がありますから、全体としては高齢者と全く支出内容は一緒というわけではないんですが、医療というものだけを考えれば、よりやはり回数が多い高齢者というものに対して負担割合というものを考慮するということは、考え方としては決して間違っているものではないのではないかというふうに考えております。

大島(敦)委員 三割負担について、坂口厚労大臣だった時代に、健康保険法の改正案だったと思いますけれども、答弁の中で、三割までが保険の限界だという答弁を覚えています。やはり三割を超えると、それは保険制度としては成り立たないという意見がございまして、この三割というのは一定の考え方かなと思っています。

 高齢者一人当たりの医療費が高くなるというのはそのとおりです。それで、高齢者は一人当たりの医療費が高くなることから、負担割合が低くても負担額は高くなる等の指摘については、むしろ高額療養費で柔軟に対応すればいいかと考えるんですけれども、その御所見を伺います。

田村国務大臣 確かに、高額療養費というのは非常に、私、すばらしい制度だというふうに思っております。予期せぬ大病にかかられた、手術しなきゃならない、そういう場合に高額療養費があることによって、本来受けられないような負担というものを緩和をしてもらえるということでありますから、非常にいい制度だと思うんですが、高額療養費も上限がありますので、それまでに至らない方々が頻回で受診されるということになると、やはり一定の御負担感というものは低所得者の方々には出てくるんであろうなというふうに思いますと、いろんな組合せというものを考えながら、その時々、もちろん、一方で、今般のように、だんだん支え手が減ってきて、支えられるという言い方がどうか分かりませんが、サービスを受けられる回数が多い高齢者の方々が増えてまいるから今回のようなことをお願いをしていかなきゃならぬわけでありまして。

 そこのバランスで非常に我々も苦しみながら、実はいろんな検討をさせていただいているわけでありますが、今、現状を認識する中において、高額療養費というものもありますが、それに至らない中で、言うなれば頻回で医療を受ける方々の御負担を考えると、やはり一割負担というものというのは必要であるのではないかというような認識であります。

大島(敦)委員 政府案の窓口負担割合の見直しによる現役世代の負担軽減は二〇二二年度で七百二十億円、二〇二五年度で八百三十億円にとどまっています。大臣は、現役世代の負担軽減はこれで十分と考えているのでしょうか。それとも、更に負担を軽減していくべきと考えているのでしょうか。更なる負担軽減が必要と認識されているのであれば、具体的にどのような方法があり得ると考えているのでしょうか。

田村国務大臣 認識としては、まだこれから、高齢化のピークに向かって、支える側と、それから医療を受ける可能性というか、回数の多い方々と、やはり、更に、支える側の負担というものが増えていくことが予想されます。そういう意味では、委員が今言われた中身そのものからいうと、やはり、そういう方々の負担を、増えるんですけれども、どう緩和していくかということは当然必要だというふうに思います。

 ただ、どういう方策をというのは、これは、今般のこの法案を出すに当たっても、これだけ、我が党の中でもいろんな議論があったわけでありますし、与野党含めていろんな御議論がございますので、そこは皆様方のいろんな御議論、お知恵をいただきながら検討していかなければならない課題だというふうに思っております。

大島(敦)委員 先ほども質問があった内容の確認です。

 二割負担となる所得基準額は政令で定めることになっています。三割負担の所得水準も同額です。一度法案が成立してしまえば、法改正をしなくても、政令で所得水準を変更して二割負担の対象者を広げることが可能となります。政府案としても当然すぐに変更するつもりはないでしょうが、将来的にこの基準額を変更することはあるのでしょうか。具体的にどのような状況になった場合に変更を検討する可能性があるのでしょうか。考え方を伺います。

田村国務大臣 まだ、法律自体、御審議いただいている中でございますので、今般のこの政令で定めている金額を言うなればいじるというようなことは、基本的に今は考えておりません。その上で、今委員がおっしゃりたいのは、これから先という意味合いだったというふうに思います。

 多分、そのときの経済状況、また、負担をされる方々の所得、生活の状況、さらには保険自体がどういう状況であるのか、様々な要因がある中において、その場合には検討ということになってこようと思いますが、今、現状で、つぶさに、どういう状況ならどうだということを申し上げるわけにもいきませんし、国民の皆様方の御理解がいただけないことには、そう簡単にはこれをいじるというわけにはいかないというふうに思っておりますので、いずれにいたしましても、国民の皆様方としっかり対話する中において、そのときどうであるべきかということは御議論をいただきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 二割の対象となる二百万円の収入基準について詳細に見ると、年金収入とその他の合計所得額が二百万円以上となっています。これは、介護保険の二割負担、三割負担の所得水準と同様のことですが、後期高齢者医療の三割負担となる所得水準、夫婦二人であれば後期高齢者で五百二十万円、単身であれば三百八十三万円以上かと思いますが、この後期高齢者医療の三割負担の所得水準は、単に収入となっています。この二つにどのような違いがあるのか。後期高齢者医療では二種類の収入基準が混在することになりますが、問題はないでしょうか。

田村国務大臣 基本的に、今回、介護の基準を使っているということでありますが、後期高齢者の三割基準というもの、これは委員がおっしゃられたとおり、全ての収入を基準額と比較する方法、基準額を比較する方法ということになっております。

 年金収入プラスその他の合計所得金額ということでありますから、年金の収入とその他の収入、給与所得等々から所得控除等々を抜いた部分という形で、一定の控除をした中においての金額と、そもそも収入全体というものとの比較でありまして、これは、後期高齢者の三割の方々に関しますと、大体五割給与収入があるという形で、かなり収入があるということが前提でございますので、そういう方々に対して、所得控除等々をその分だけ引くというわけではなくて、そのままの御負担能力があるから御負担をお願いしようということ。

 一方で、二割負担の方々に関しては、やはりそれほど給与所得がない方でございますから、そこは所得控除等々の対応でなるべく御負担がないようにというような基本的な考え方であるというふうに御理解いただきたいというふうに思います。

大島(敦)委員 二割負担の導入の施行時期は二〇二二年度後半となっていますが、二〇一九年十二月に取りまとめられた全世代型社会保障検討会議の中間報告では、二〇二〇年度初めまでに改革を実施できるよう、必要な法制上の措置を講ずるとされたところであり、後ろ倒しになりました。

 政府案では、七百二十億円、現役世代の負担が減少するとしていますが、これは満年度ベースの金額であって、二〇二〇年十月から施行しても、三百六十億円しか減少しないのではないでしょうか。現役世代の負担軽減を大きくするためには、施行時期は早いほどよいことになりますが、施行時期を決定するに当たっては、何を考慮し、いつ判断するのでしょうか。

田村国務大臣 おっしゃられるとおり、二〇二二年十月以降となっております。

 これは、満年度ベースで言われると七百二十億円なんですが、二〇二二年の十月以降ですから、その年度来、どこになるかというのはまだ決まっておりませんので、それは、保険者等々の皆様方と話をしながら、準備段階、これは結構準備が大変でございますので、どこら辺になるかというのは、今からいろんな御議論の中で決めさせていただきたいと思います。

 仮に二〇二〇年十月だったとしても、これは五か月間になりますので三百億円という形に、今、三百六十億円とおっしゃっていただきましたけれども、三百億円しか財政効果がないという話になります。ただ、それ以下になることも当然あるわけでありまして、そこは、広域連合の皆様方を含めて関係者の方々と、準備ができないことには対応できませんので、しっかりと準備できる状況、いつなのかということを御議論をさせていただきながら対応させていただきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 次の質問も、これまでの質問の確認ですけれども、二割負担の導入による財政影響については、足下の状況が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による受診抑制などによる医療費の減少を踏まえたものになっているかと思います。そうであるならば、政府の給付費一千八百八十億円減の約半分と見込んでいるほどの長瀬効果は発揮されないのではないでしょうか。

田村国務大臣 これは、コロナ禍というようなお話もあったわけでありますけれども、基本的に、いろんな状況がある中において、長瀬効果というものは、今までもこれを踏まえて財政効果を示してきて、それによって予算等々も組んでいくわけでありますので、そういう意味では、長瀬効果というものを今までどおり所与の方式として入れさせていただいておるということでございます。

 他にもっと効果的なものがあればいいんですけれども、今までの経験則からいうと、長瀬効果というのは比較的、これが正しい、当たっておるということがございますので、これを使わせていただきながら、財政効果というものを積算をさせていただいておるということであります。

大島(敦)委員 次に行きます。今回の配慮措置について。

 政府案では、長期頻回受診患者等への配慮措置として、施行から三年間、外来患者の負担増を最大でも三千円に収まるようにするとしています。この配慮措置は延長することも想定しているのでしょうか。

田村国務大臣 施行後三年間、増加分というのを月々三千円というような形で、これを上限という形で外来の方々に関しては措置を講ずるわけでありますけれども、ちょっと、まだ施行もしておりませんので、今、現時点でこれを延長するというようなつもりはございません。

 いろんな状況を見ながら、どういう状況かというのはあるのかも分かりませんが、基本的には、この三年という形でお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 政府参考人に伺います。

 仮に配慮措置がなかった場合、現役世代の負担軽減は何億円と見込まれるのでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 配慮措置を講じなかった場合、現役世代の負担でございますけれども、二〇二二年度満年度分で九百五十億円の減少と推計いたしております。

大島(敦)委員 続きまして、配慮措置は高額療養費の仕組みで対応するとのことですが、同一の医療機関の受診であれば窓口での負担額は最大三千円の増にしかなりませんが、複数の医療機関や薬局を利用して、合計の窓口金額が三千円以上増えるような場合には、償還払いになるため、一旦は三千円以上の負担額が発生することになります。最短で四か月後をめどに償還されるとはいえ、受診抑制が生じてしまうことはないのでしょうか。

田村国務大臣 その点も含めて長瀬効果の中に入っているというふうに認識いたしておりますけれども、ただ、おっしゃられるとおり、高額療養費、今回、この三千円というものを導入をさせていただきました。高額療養費は、本来の高額療養費も同じでございまして、例えば、複数の医療機関を受けた場合に、それを集約してしっかりと確認できるような、そういう仕組みというものはないわけでありますし、また、保険者で審査をするわけでございますから、医療機関が出したものが全て通るかどうかも分からないということを考えますと、これは、やはり償還払いという形でしか方法が今のところないわけでありまして、保険者が、利用者といいますか患者の方々の口座等々の番号を確認した上で、一定期間、四か月ぐらいたつとそこに振り込まれるというような形の制度であります。

 これは、よく我々も周知をさせていただかないと、混乱が生じてはいけませんので、しっかりと、今回のこの三千円上限という外来の方式に関しては、周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 続いて、任意継続被保険者制度について伺います。

 任意継続被保険者の保険料算定基礎は、従前の標準報酬月額か、その保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のいずれか低い方となっていますが、政府案では、健康保険組合の場合、従前の標準報酬月額とすることを可能とすることとしています。

 この見直しを協会けんぽに適用した場合、どのような弊害が生じると想定しているのでしょうか。協会けんぽに適用しない理由を伺います。

田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、今回、本来は、そこの企業等々を退職されたような方々がそのまま任意継続被保険者として保険に加入できているという場合に関して、当該退職者の従前の標準報酬月額又は当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額とすることを引き続き原則とはしているんですが、健保組合に関しましては、健保組合自体がいろんな独自の取組をやられております。

 付加給付をやられておられましたりでありますとか、また、事業主と被保険者の保険料の負担割合、こういうものの変更をしたりされておられるものでありますから、一定の自由度というものはあってしかるべきであろうという中において、どちらか低いというわけではなくて、高額の給与が支払われた者に対して退職前と同等の負担、応能負担を課すことが適当な場合もあろうということで、退職時の標準報酬月額、これを使う、低い方ではなくて、こういうことも今回特例的に可能といたしております。

 しからば、なぜ協会けんぽにはそれを認めないんだということなんですが、比較的、健康保険組合の場合は同質の方々が入っておられるのが多うございます。例えば、企業全体で健康保険組合をつくられている場合、そこはそれぞれ理解をしていただきやすいという部分もありますし、会社自体の俸給表等々も含めて、ある程度似通っている部分もあります。もちろん、中には同業種のようなものもありますから、他企業が入っておられるのもありますから、そういうところはどうするんだという問題はあると思います。

 一方で、協会けんぽはもう本当に千差万別でございますので、非常に給与の高いところもあれば低いところもあるという中においてこれを認めるということになりますと、なかなか、それぞれの利害の調整というものができるのかできないのかというような問題もございます。

 ですから、そういう意味からいたしますと、協会けんぽでこれを特例的に認めるというのはなかなか難しいというような、そういうような我々としては認識であります。

大島(敦)委員 続きまして、政府案では、任意継続被保険者の任意脱退を可能とすることとしています。任意の制度であるにもかかわらず、これまで任意で脱退することができなかった理由について、政府参考人に伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 任意継続被保険者制度でございますけれども、古い制度でございまして、この資格喪失事由につきましては、健康保険法制定当初から、本人希望による資格喪失が含まれておりませんでした。これは、健康保険法の制定当初には、国民健康保険など他の公的医療保険制度が存在しなかったことから、任意継続被保険者が自主的に資格喪失を行うメリットがなく、資格喪失事由として、本人が希望する場合を定める必要がなかったためというふうに考えております。

 一方、国民皆保険が実現いたしまして、また、国民健康保険と健康保険の療養の給付の給付率が統一された現行制度の下では、任意継続被保険者での保険料と国保に加入した場合の保険料の差などを踏まえまして、国保に加入することを希望する方が実際に生じております。

 こうした背景も踏まえまして、今回の法案には、被保険者の生活実態に応じた加入期間の短縮化を支援する観点から、被保険者の任意脱退を認めることを盛り込んだところでございます。

大島(敦)委員 子供に係る国民健康保険料の均等割の減額措置について伺います。

 政府案では、子供に係る国民健康保険料の均等割の減額措置を導入することとしていますが、その対象範囲は、未就学児まで、減額の五割の軽減にとどまっています。子育て世代の経済的負担を軽減するための措置でありますが、被用者保険と比べれば十分とは言えないのではないでしょうか。

 今回、なぜ対象を未就学児までとし、軽減も五割としたのか、また、今後対象や軽減額の拡大を検討していくつもりがあるのか、伺います。

田村国務大臣 国民保険制度というものがあるから日本の国に皆保険制度が成り立っているということで、大変重要な制度だというふうに思っております。

 そういう意味では、被保険者といいますから、それぞれ家庭の皆様方、皆さんが給付が受けられるわけでありますから、そういう意味では、均等割という形で負担をお願いするということでありますが、やはり、子育て世帯への負担軽減というものは、今、この少子化も含めて大変な状況の中で考えていかなきゃならないということであります。

 一方で、そういう意味からいたしますと、よく低所得者だけというような考え方もあるんですが、やはり子供全体ということを考えると、ここに関しては、例えば多子世帯でありますとか低所得者のみならず一律に、今般、考え方としては、基本的な考え方を認識として持っております。

 そのほかにも、未就学児の医療費の窓口負担割合は二割とされていることでありますとか、所得の低い方々も一定程度の負担をいただいていることも考慮して、これは半額という形にさせていただいたということでございます。

大島(敦)委員 国保の均等割について、全ての世帯員がひとしく保険給付を受ける権利があるため、世帯の人数に応じた応分の保険料を負担いただくことが基本と思いますが、基本と多分考えていらっしゃると思いますが、均等割を廃止できなくても、以前行われていた後期高齢者の保険料の軽減特例のように、九割軽減するということは可能ではないでしょうか。

田村国務大臣 国保なんですけれども、これは、軽減スキーム、それぞれ、実は所得に応じて低減がかかっておりまして、低所得者は七割軽減となっておりますので、七割軽減ということは三割、それの半額ですから、そういう意味では、一割五分という形になりますので、事実上は非常に低い御負担の中で対応いただけるということであります。

大島(敦)委員 育休中の保険料免除について伺います。

 政府案では、育児休業中の保険料の免除について、月内に二週間以上育児休業を取得していれば、その月の保険料が免除されることになります。一方で、これまでどおり月末に一日だけ育児休業を取得していれば、その月の保険料が免除される要件はそのままになっています。この要件を残す理由は何か、伺います。

田村国務大臣 基本的に、保険料というものはどういう考え方かといいますと、月末に働いていただいているかどうかというのを確認するわけでありまして、そのとき働いておられる、収入があるということを前提に保険料をかけるわけでありますから、そこは、手続上といいますか、制度上やはり残さざるを得ないというところがあります。

 ただ一方で、そこにかかっていない方々、つまり、育休という形で本来は所得の対象にならないわけでありますけれども、そこを育休という形で確認をするわけでございますので、もし育休でなかった場合、軽減を受けられないという形になりますから、それまで、つまり、月末が育休の対象にならないのにその月、多く育休を取っている方々は、これは非常に損をしたといいますか、何で我々は対象にならないんだというような、そういうようなことになりますので。

 しかし一方で、育休は一定程度取っていただかなければ育児休業という形にはならないという認識もありますから、そこで、二週間というような形は新たにつくらせていただきながら、今委員が言われた月末というものは、それが制度でございますので、残させていただいておるということであります。

大島(敦)委員 月末要件との公平性を考えれば、月内で二週間以上の要件は長過ぎるのではないかと考えます。二週間以上とした理由を伺います。

 あわせて、賞与の保険料免除の要件について、育児休業期間を一か月以上とした理由についても併せて伺います。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、月末というのは、基本的に制度の中で確認をするところでございますので、ここは二週間関係なく残させていただいたということでありますが、一方で、先ほど申し上げましたが、そこにかかっていない方々でも、やはり育休を取っておられる方々、公平感というものがなければならないわけでありますが。

 ただ、やはり育児休業というものを一定期間取っていただきたいというようなこと、認識がございますので、ここは二週間ということと、もう一つは、さすがに、社会保険料、その月免除になりますから、余り短いと逆に得しちゃうという方も計算上出てまいりますので、やはり半分は取っていただきたいというような、そういう認識で社会保険料の方を免除させていただこうということであります。

 一方で、今、賞与の話がございました。賞与は、賞与月に月末取られて、賞与に対する社会保険料が免除されるという方々が多々実は見られるわけでございます。でありますが、ここは、まあ、その月だけというか、賞与の場合は数か月分という形になりますので影響額も大きいものでありますから、月末のみというものは、これはさすがにということでございまして、そうではなくて一月というような形で、今回このような形で提案をさせていただいておるということでございます。

大島(敦)委員 御答弁いただいてありがとうございました。

 抜本的に制度を見直さないと、なかなかこれは直すのは難しいかと思います。次の改革のテーマとしてお考えいただければと思います。

 続きまして、ワクチンの接種記録システムについて伺います。

 接種のやり方は、自治体、会場ごとに様々個別に異なっております。現場現場で試行錯誤しながら取り組まれると思います。最初から順調に接種が実施できるとは限りません。システムの入力か接種かと、どちらを優先すべきか判断を求められた際には、完璧を期して入力を優先するのでしょうか。副大臣に伺います。

山本副大臣 このワクチン接種記録システムにつきましては、システムの開発段階では、システムの動作の確認や脆弱性のチェックなど、必要な検証を十分に行うとともに、運用開始に当たりましては、実際のタブレット端末でダミーデータを使って入力作業を体験いただける期間を設けるなど、運用に今万全を期しているところでございます。

 その上で、先ほどの、各自治体におきましての、入力の部分を含めて難しい部分等に関しましては、費用負担、また人の面、さらには人員等の部分の確保に関してしっかり対応している次第でございます。

 なお、こうしたシステム上の、事後的に接種記録システム、この入力をすることはできるわけでございますので、そういう対応をしている状況でございます。

大島(敦)委員 システムを構築するのは物すごく難しいです。私も、一九九四年、製鉄所で自分のチームだけマッキントッシュを与えて、アップルトークでチャットで会話しながら、マクロを使って業務改善していたので、よく分かっています。こんなにうまくいくとは思わないという前提で質問します。

 接種する会場でシステムトラブル、人的資源の不足などによって入力が難しくなり、また事後的な入力も難しくなった際には、都道府県、市町村、病院などは責任を問われるのか。最終的に自治体などが使わないと判断しても、事後的に何らかのペナルティーは科せられるのか。この点について明確な答弁をお願いします。

山本副大臣 この点に関しましてお答え申し上げたいと思います。

 今委員が御指摘されました、システムトラブル等によって入力が難しくなった場合、これはワクチン接種を円滑に実施する、これが最優先でございますので、仮に自治体がシステムの利用を中止した場合にも法令違反になるものではありません。また、自治体に対しましても不利益な取扱いをすることはありません。

大島(敦)委員 確認したいんですけれども、これから現場は結構混乱します。私も自治体、取材をしています。皆さん、一生懸命やっている。マンパワーは一定です。そこに負荷をかけていますので、従前でも物すごい負荷がかかる中に、タブレットを五万台、皆さんにお渡しをして、それで一々バーコードを入力するというのは結構負荷です。

 これは、自治体がもう、なかなか対応できない、対応できない、もうこのシステムを使わないで接種を優先するといったときも、再度、後半部分、答弁してほしいんですけれども、自治体の責任は問われないということでよろしいですか。

山本副大臣 今、委員おっしゃいましたとおり、自治体に対しての不利な取扱いをすることはありません。

 その意味で、自治体に対しまして、しっかり支援をするということを今後ともやってまいりたいと思います。

大島(敦)委員 副大臣、ありがとうございました。

 続きまして、地元にお住まいの医師の方から聞かれているんですけれども、市の端境にある病院や診療所では、患者のほとんどが隣町に住んでいる場合もあり、また、その人の体調を一番理解しているのはかかりつけ医であるため、隣町にあるかかりつけ医の下で新型コロナウイルスワクチンの接種を受けられるよう、取扱いを緩和すべきと考えます。その考え方を示してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

山本副大臣 ワクチン接種に関しましては、平時の定期接種と同様に、各地域で住民向けの接種体制を構築することから、住民票所在地での市町村で接種を受けること、これを原則としているわけですけれども、長期入院、長期入所している等のやむを得ない事情がある場合は、住民票所在地以外で接種を受けることができることとしている次第でございます。

 例えば基礎疾患を持つ方に対しましては、主治医の下で接種する場合につきましては住民票所在地以外で接種を受けることはできますけれども、これは基礎疾患を持つ方につきましても、主治医による予診を通じて、接種の延期も含め、慎重な予防接種の適否の判断に資するものとの理由に基づくものでございます。

 今、委員御指摘の、市町村にかかりつけ医がいるだけの、住民票所在地で以外の接種を認めることにつきましては、自治体におけるワクチンの供給量の確保の問題、さらには、医師等の接種体制確保の観点からも、なかなか難しいものと考えている次第でございます。

大島(敦)委員 今後もこの点は質問させていただきますけれども、これからワクチンが、政府の見解でいえば、相当量、自治体に入ってきます。管理項目は僕は二つだけだと思っています。どの都道府県に何箱配ったか、あと、接種したそのロット番号、この二つだけ管理すれば私はいいと思っているの。ですから、そこを柔軟に、今後は、ワクチンがふんだんに自治体に供給された場合には、そこの垣根は取り払っていただいて、ワクチン接種を重視した方が私は国民のためかと思いますので、その点、御留意ください。

 終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 法案の審議の前に、二点お伺いしていきたいと思いますが、まず一点目は、今日の理事会で出された資料についてであります。

 日雇看護師の介護現場への解禁に当たって、それを要望した団体の方との打合せの資料でございます。今日、出ました。真っ黒なんですよ。日時と場所以外、全部黒い。何も分からない。これはさすがにひどいんじゃないですかね。

 今、本当に行政の透明性が求められている中で……

とかしき委員長 資料の提示は理事会協議が必要ですので。

尾辻委員 そうですか。では、口で説明いたします。

 ということです。

 委員長、これでは内容が全然分かりません。しっかりと厚労省に、これが分かるように、資料を開けるように求めていただけませんか。(発言する者あり)内閣府です、申し訳ありません。内閣府に、ちゃんとこの資料を開けるように求めていただけませんか。

とかしき委員長 今日、理事会で協議をいたします。

尾辻委員 こういった、今本当に、コロナのとき、そしてワクチン接種が始まっているときに、いかに情報をしっかりと、即時、そして透明性ある政策決定をしていくかというのは本当に大事なことだと思っております。ですので、ここもしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 次なんですが、まず、コロナの対応ということでお聞きしていきたいと思いますが。

 まず、今日、厚労省の方ではアドバイザリーボードが五時半から開かれるということで、大臣おっしゃっていただいていますね、今日アドバイザリーボードがあるということで、またそこで新たな分析が出るとは思うんですけれども。

 私が危惧しているのは、この前、ちょっと決算行政監視委員会でもやりました、総理外遊中にきちっと対応ができるのか、対策本部でということは、非常に危惧をしております。

 これが、総理は、十五日、明日から十八日までが訪米ということになるわけですけれども、総理が訪米された場合に、政府のコロナ対策本部、ここで緊急事態宣言を発出したり、蔓延防止等重点措置の拡大をするというとき、このときは、対策本部会議は、加藤官房長官が代理でやるということでよろしいんでしょうか、副大臣。

赤澤副大臣 政府対策本部については適時適切に開催されるものと考えておりますが、現時点において、次回の開催については決まってはおりません。

 なお、委員お尋ねのとおり、政府対策本部長たる総理が海外出張などの際に政府対策本部を開催する必要がある場合には、新型インフルエンザ等対策特別措置法第十六条第五項に規定がございまして、政府対策副本部長たる官房長官がその職務を代理することとなります。

 いずれにしても、政府部内においては、日々、必要な情報をしっかり共有しておりまして、総理御不在の際も、総理の御指示の下、適時適切な感染症対策を講じてまいりたいと考えてございます。

尾辻委員 今、報道では、埼玉、千葉、神奈川の首都三県と愛知で蔓延防止等重点措置をするということ、要請を考えていると知事がおっしゃっておられるような状況です。報道によると、どうも十六日にコロナ対策本部をやるのではないかという報道もあるんですね。

 その場合、やはり、蔓延防止等重点措置になるというのは、非常に私権制限のある宣言になりますから、このときは、もちろん記者会見もあるということでいいんでしょうかね、その記者会見ね。そのときは、じゃ、加藤官房長官が記者会見をされるということになるんでしょうか。

赤澤副大臣 誰が記者会見をするか、特にルールで決まっているものでは必ずしもないと思いますが、先ほど申し上げましたように、特措法の規定で、総理に事故があるとき、これは解釈として海外出張中も含まれておりますので、副本部長の官房長官が代理をいたしますので、会見についても官房長官が代理することはあり得るというふうに思います。

尾辻委員 菅総理の帰国は十八ですから、そうすると、総理が出席したコロナ対策本部というのは十九日、最短でも十九日になるのではないかというふうに考えるわけですね。この間ウイルスの感染というのは止まってくれない、このところで、本当にちゃんと対応できるのかというところ。

 そして、大阪の、今、感染拡大に対する認識、この辺りをお伺いしたいんですけれども、大阪は昨日ついに千九十九人、千人を超えました。そして、重症病床使用率は、ついに、大阪府の資料を見ると、二百二十四床確保している中で重症者は二百三十三人、あふれています。今、大阪府知事、大阪市長共に、不急の手術を延期してほしいという状況になっております。これはまさに医療崩壊と言うときではないでしょうか。

 まず、じゃ、田村大臣、この状況、今、重症病床が、確保病床を重症者が超えた大阪府の状況というのは、そして三次救急が止まり、救急が一部止まっております、そして不急の手術の延期を首長が求めているという状態は、これはもう医療崩壊と言っていい状態だと私は思います。大臣の認識をお伺いします。

田村国務大臣 非常に厳しい状況だというふうに私も思っております。国の基準で重症病床を出すと、大阪が言っている数字よりかは若干余裕がまだあるんですが、これはハイケアユニット等々を入れるとということであります、それにしても厳しいのは、実態としてそのとおりでございます。

 そういうことも含めて、例えば、退院の基準等々、これは変異株等々、N501Yというものは、ちょっと今までウイルスが長く体の中にあるんじゃないかというようなこともございまして、退院基準を従来株よりも厳しくしていったんですけれども、感染研のいろいろな御評価をいただいて、同じような状況でも時間とともにウイルスが減っていくというような、そういうような結果をいただいておりますので、退院基準を従来株と同じようにするという形の中で対応いただくでありますとか、いろいろなことは決めさせていただいてはいるんですけれども。

 それにしても非常に厳しい状況でございますので、例えば、新たに重症病床を確保した場合には一千九百五十万円、これは新たにこういうものを給付させていただくということも使っていただきながら、今、大阪の方では順次重症化病床の方も確保していただいておるというふうな認識でございますが、しっかりと国としてはこれからも大阪を支援してまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 大臣、もうお金の問題では正直ないんです。要はキャパの問題、そしてそれに対応する人の問題なので、正直、幾ら政府がお金を準備したといっても、これはもう広がってこないんです。

 だから、まず認識として、大阪は厳しいというよりはもう崩壊状態にあるんだということをまずやはり大臣が認識していただかないといけないと思うんです。厳しいのではなくて、これは私は崩壊していると思います。いかがですか。

田村国務大臣 崩壊しているとかしていないじゃなくて、先ほど尾身先生がおっしゃられましたけれども、まだ後から遅行指数で重症者は出てまいりますので、増えてくる可能性が高いわけなんです。それに対してどう対応していくか。大阪等々では、お聞きするところによると、中等症の病床等々でも重症者の方々を診ていただくような対応もしていただいておるようであります。

 まずは、重症患者の方々を、しっかり医療を提供していかなきゃならないので、これは崩壊云々ではなくて、しっかりとそれに対しての準備、対応をしていくということが必要でございますので、それに対しては様々な、人の面、それからお金の必要な場合はお金の面を含めて、国としても最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 いや、ちょっと、今の状況を、私は大阪の厳しさを、本当に大阪府民の方々また近畿の方々、知っていただかなければいけないと思っています。

 今日は、お忙しい中済みません、尾身先生にもまた来ていただきました。ありがとうございます。

 尾身先生、大阪の今の医療状況について、先生の御認識をお聞かせください。

尾身参考人 お答えします。

 今の大阪の状況は、新規の感染者数は、私は早晩感染者は減ってくる可能性があると思います、それは人流なんかがかなり減ってきていると。

 しかし、今委員おっしゃるように、これは今、大阪の最大の課題は、重症者がどんどんどんどん、今も大変ですけれども、更に増えてくるということで、医療の逼迫がかなり深刻な状況になる。もうなっている、更になることは明らかで、そういう意味では、現場、地域の大阪府の自治体、それから医療関係者が懸命に努力をしていただいていますけれども、私は、今大臣おっしゃったように、これはやはり全国的に、国がかなりリーダーシップを取って、人の支援ですよね、全国の医療機関もみんな大変なんですけれども、今こういうときには、まだ感染がやや下火の地域がありますから、そういうところの医師あるいは看護師さんに、これは今まさに緊急事態、まあ、非常に厳しい状況ですから、そういうところには、大阪府の取組を国が全面的に私は支援することが今求められていると思います。

尾辻委員 大臣、今、尾身先生がおっしゃっていただいたように、本当に今支援が必要な状況だと思います。大阪は重症病床のセンターをつくりましたけれども、三十床ありますけれども、まだ十六床しか動いていない。これも人が足りないから動けていないんですね。こういったところはやはり人の支援が必要だと思います。

 そして、尾身先生、さっき緊急という言葉をお使いいただきました。本当に緊急で厳しい状態だとおっしゃっていただいていて、吉村知事も昨日、大阪の感染者は九割方変異株、N501Yの変異株になったとおっしゃっておられて、大阪府は本当に最大の危機を迎えています。担当者、府の職員も、ピークが今何人になるか分からない、もしかしたら二千人前後まで増加するんじゃないかというような、もう本当に危機感のある状態になっております。

 ですので、私はもう、やはり今強い警告を出さなければ大阪の府民の命が失われることになると思うんです。尾身先生、強い警告が必要だと思われませんか。

尾身参考人 委員がおっしゃるように、警告は非常に強いメッセージですね、これは出す必要はあると思います。しかし、私は、それと同時に、メッセージを裏打ちするだけのアクションが必要だと思います。

 そういう意味では、先ほど申し上げましたように、私は、国が府と連携を取って、全国の医師の人を、何とか今非常事態なのでやってくれと言えば、二千人、三千人は無理ですけれども、ある一定の数は私は必ず、これは私のJCHOの経験でもそうですので、リーダーがしっかりやれば、地方の病院も大変なんですけれども、大変さが今大阪とは違いますから、これは明らか。そのことを、だから、大阪府と国が連携して、申し訳ないけれども、今大変なんですね、どこも。しかし、より大変なところが今大阪ですから、そこに必要な人材を送っていただくというのは、これは私は、一万人とかそんな数は無理と思いますけれども、ある一定の数は、私は短期間に、これは全く可能だと思います。

 それはやる意思だと思いますから、警告というメッセージと同時に、アクションが一番今求められていると思います。

尾辻委員 大臣、今、尾身先生からは、医療従事者を、各都道府県、大変なところですけれども、大阪に送っていただくようなアクションが必要だという御意見がありました。それを受けての、大臣、やはり、大阪府知事と連携して、大阪の医療を何とか支援していただくことが必要かと思います。いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、人の支援というのは大変重要でありますので、しっかりやってまいりたいというふうに思います。

尾辻委員 だから、総理がいないというときであってもしっかりとやっていただきたいと思うんですね。

 赤澤副大臣、もう一つお聞きしたいと思っております。

 報道によると、先ほど申し上げたように、埼玉、千葉、神奈川、愛知、ここが蔓延防止等重点措置の手を挙げるんじゃないか、知事さんが表明をされたりしているところなんです。

 政府の六つの指標というあの例のステージを見ると、実は今、蔓延防止等重点措置が必要なステージ4になっているのは、それで蔓延防止等重点措置になっていないのは、実は奈良県なんです。奈良県はステージ4の指標が三つぐらいあって、ただ、ここは知事さんが要請されていないというところで出ていないんですが。京都出ました、兵庫も出ました、大阪も出ました、そして数値的には奈良ももうステージ4なんですね。奈良に蔓延防止等重点措置が必要かと思いますが、副大臣、どうお考えでしょうか。

赤澤副大臣 質問にお答えする前に、先ほど私は記者会見という言葉を使いましたが、政府対策本部の後、通常、会の中でマスコミを入れて総理がメッセージを発表して、それが後ほどホームページに出るという形を取っているので、どういう形で国民に発信するかについては決まった形はないということは、取りあえずちょっと申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、お尋ねでございます。これについて先ほど御通告いただいたんですが、直前でも教えていただければ大変ありがたく、多少資料も見てまいりました。ありがとうございます。

 それで、蔓延防止等重点措置の適用の要件も、先生よくもう御理解されていることですが、いろいろ基本的対処方針に書き込んでいるんですけれども、要すれば、分科会提言におけるステージ3相当の対策が必要な地域の状況になっていることなどを踏まえて、ここからはいつもお答えしていることなんですが、政府対策本部長が基本的対処方針分科会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断すると。

 総合判断というところがポイントで、委員御指摘のとおり、奈良県は現在、指標だけを見ると、特に医療提供体制がステージ3相当の数値も出ておりますし、おっしゃったように、4に当たるような数字もないではないと。

 ただ、奈良市での飲食店クラスターが頻発している状況には実はありませんで、私自身が荒井正吾知事と直接お話をしましたが、隣接する大阪府からの流入が多いんです。これはもう奈良の通勤者の三割が大阪でありまして。ということで、その辺が非常に、原因がかなりはっきりしているものですから、まずは、大阪との往来自粛とテレワークの徹底、駅などのモニタリング検査などによって対応を行うというのが奈良県でありました。

 あわせて、政府としては、御案内のとおり、大阪府に蔓延防止等重点措置を出して、いわば奈良から見た場合の火元の方も対策を講じているということで、状況を総合的に見ながら、引き続き、県と密接に連携して、感染状況等を見極めていきたいというふうに考えている状況でございます。

尾辻委員 尾身先生、ステージの考え方というのは、やはりその数値で政策を決めていく、もちろん最後は総合的ですけれども、やはりその指標こそが最も評価をまずするべきものだということで出されたと思うんですね。

 今、赤澤副大臣がおっしゃっていただいたように、奈良というのは、もうステージ4のところに入っているのが三つぐらいあって、ステージ3にも入っているというところでいうと、これはやはり蔓延防止等重点措置が必要な地域ではないかと考えますが、尾身先生のお考えはいかがでしょうか。

尾身参考人 委員御承知のように、重点措置は、都道府県の中でもある地域を特定して、そこで感染が広がっているというところをやるということで、実は、今お話がありましたように、奈良県の場合は、奈良県で感染がどんどん燃え盛っているというようなことじゃなくて、大阪からの流入ということで、したがって、そこはなかなか私は悩むところですね。

 それは、いわゆる県全体としての指標を見ると今先生がおっしゃるとおりなんですけれども、感染の伝播の実態を見ると、むしろ大阪を下火にすることを全力ですればという可能性がかなり私はあると思いますので、ここはなかなか白黒、ステージ3、4だからというよりも、これがまさに総合的な判断で、ここは正直申し上げてなかなか難しい、知恵を絞って判断する、地元の意向もありますし、感染の実態というものもステージと同時に考慮して、最終的に判断すべきものだとは私は思います。

尾辻委員 県知事はそうなんですけれども、奈良市長は出してほしいと言っているわけなので、赤澤副大臣、しっかりとこの辺りの自治体の事情も聞いていただければと思います。大阪をやはりどうにかしないと、これは近隣に広がっていくんだという御認識だと思います。

 尾身先生、ずっと私も議論させていただいています。蔓延防止等重点措置はかなり強い権限を持っていて、そしてやっているということですけれども、やはり人々が受けるイメージの問題だと思うんですが、緊急事態だと言われたらやはり危機感を持つんですね。

 ただ、その一個前の蔓延防止等重点措置では、いや、緊急事態のやはり一個手前であるという認識から抜けなかったり、人々は、やはり、政府が緊急事態宣言と言ってくれたことで様々なイベントって止まるんですね。もう緊急事態やと言われているからやめとこうとか、これもやっていたけれども。ただ、蔓延防止等重点措置では、何か止めるブレーキにどうもならないんです。

 なので、やはり大阪はこんなに医療が大変で何とかしなきゃいけないということですから、やはり緊急事態宣言、必要かと思います。尾身先生、いかがでしょうか。

尾身参考人 委員おっしゃるように、今この時期に、言葉のイメージというものが極めて。この病気は、感染症という側面と同時に、社会心理学的な側面が今物すごく強くなっていると思います。そういう意味では、今委員おっしゃるとおり、言葉のイメージというのが大事で、特に言葉のイメージで一番影響を受けるのが比較的若い層です。お年寄りの層は、実は、言葉のイメージというよりも、感染がどんどん上がっている情報効果、これが多いということが研究で分かっています。

 そういった意味で、私は、今大事なことは、イメージというのが大事。と同時に、やはり政策ですよね、一体何をするかという政策。それから、人々は、高齢者を含めて、感染が、今、東京が実は大阪ほど人々の人流が減っていないんです。これは、一つの要素としては、東京の感染の上がりが大阪に比べて徐々ですよね。これがまだ東京都民に対して強いイメージ、これがだから情報の効果と申し上げていますけれども、情報効果というものも実はイメージと同時にあって、だから、情報か、イメージ、それから実際にやる政策がどれだけ強いかということも、人々の。

 そういう意味では、時短をやっている、特に見回りに行くとか認証制度を出す、こういう汗をかいているということも実は言葉のメッセージ。と同時に、今は言葉だけよりも、やはり人々は政府、自治体のアクションを見ているんです。これはもういろいろなところで分かっていますから、そういう意味で、強い意識と行動というのが今非常に求められていると思います。

尾辻委員 この厳しさの中で、その厳しさが伝わるメッセージというのは私は緊急事態宣言しかないんじゃないかと思いますので、本当に必要になっていると思います。

 山井委員とのたしか質疑の中で、尾身先生は、大阪は千人を超えるとやはり緊急事態宣言も考えなければいけないということをおっしゃっておられたかと思います。昨日まさに千人を超えたというところで、いかがでしょうか。

尾身参考人 何度も申し上げましたように、今一番の問題は、感染者が上がるというのはある程度私は織り込み済みでした。むしろ、医療の緊迫というのが今最大の課題ですから、それを何とか防ぐために、緊急事態宣言という方法がいいのであればやるし、今の重点措置を強化すればできるのか、あるいは国が支援をしてやれば解決できるかということで、これは、何が一番原因で、何を抑えればいいかということで、場合によっては、緊急事態宣言しかないのであれば出せばいいし、ほかの方法があれば、それを早急に判断するというのが国の仕事であり、我々の仕事だと思っています。

尾辻委員 今日の夕方からアドバイザリーボードもありますので、状況をしっかり見ていただいて、御判断をお願いしたいと思います。

 赤澤副大臣、尾身先生、以上で質問は終わりとなりますので、御退席いただいて結構でございます。お忙しい中、ありがとうございました。

 それでは、次、ちょっとワクチンのことについてお伺いをしていきたいと思います。

 この間、私、大阪の自治体の例えば市会議員の方々とか首長さんから話を聞くのは、接種券をとにかく早く配付してほしいということで、実は、四月上旬に大阪の自治体、大体の自治体は接種券を高齢者の方々に配ったんですね。コールセンターも設置したんですよ。

 接種券が来たということは、もうすぐ自分たちはワクチンを受けられるんじゃないかと思って、みんなコールセンターに電話したんですよ。高齢者の方って大体みんな電話ですから、コールセンターはパンクしたんですね。

 じゃ、実際にワクチンはいつ来るんですかということになると、どうも、しっかりと来るのはやはりゴールデンウィーク明けからだということで、今、コールセンターに電話されても、コールセンターの人も、済みません、私たちも分かりません、まためどが立ったらということをずっと繰り返しているという一か月になってしまって、何かもう国はやったふりだけしているやんかという、非常に不満というか、しっかりと自治体がそれによってどうなるのかということを見極めながらやってほしいという強い声が来ております。

 このやり方、結局、ちょっと今、今回は自治体を混乱させたのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

山本副大臣 新型コロナワクチンに関する相談体制に関しましては、ワクチン接種体制確保に係るスケジュールを踏まえまして、三月半ばを目途にコールセンターを開設できるように都道府県また市区町村に準備をお願いしたところでございます。

 また、高齢者向けのワクチンの供給につきましては、四月五日の週から十九日の週にかけまして数量を限定して自治体に配付すること、また、これに併せまして、全国で四月の十二日から高齢者向けの優先接種のスタート、これは始まったばかりでございますけれども、また、四月の二十六日の週からは、全国全ての市町村に行き渡る数量のワクチンの配送を行うことを自治体にお示しをしているところでございます。

 こうした供給スケジュールを踏まえまして、高齢者向けの接種券の印刷、配送等の準備につきましては、四月十九日の週までに行う限定的な高齢者への接種につきましては、各市町村におきまして接種の時期に先立って接種券を送付すること、さらには、他方、四月二十六日の週以降に行うその他の高齢者につきましては、標準的に四月二十三日までに接種券が届くように送付すること、これをお示しをしたところでございます。

 また、市町村内でいいますと、一部の地域の住民等に対象を限定して接種券を配送することも差し支えないことであるとか、他市町村内に入所、入院する方が、当該ほかの市町村での接種が円滑に進むように留意しながら、市町村において段階的に送付することも可能であることを自治体に併せてお示しをした次第でございます。

 こうしたことも踏まえながら、混乱を避けつつ準備を行っていただけると考えている次第でございます。

尾辻委員 実際に混乱はもう起こっているんですね。副大臣の方にそういった混乱の声というのは聞こえていますでしょうか。

山本副大臣 これは、各自治体を含めて、市町村会の方や知事からもお話を聞いている次第でございます。

尾辻委員 どういう話を聞いておられますか。

山本副大臣 それは、一つの、ワクチンの供給の配付スケジュールでございますとか、また、先ほどございましたシステム等に関しての質問等の内容に関してでございます。

尾辻委員 自治体を振り回しているという意味でいうと、最たる例の一つが、実は、医療従事者向けのワクチンの配付に当たって、自治体に希望量を聞いて、その希望量から出すということをやったわけですよね。

 実は、厚労省さんかな、内閣官房も一緒になっているのか、ちょっとその辺あれなんですけれども、一月二十五日に自治体向け説明会をしたときに、この医療従事者向けの優先接種は、V―SYS上で全国の医療機関からワクチンの希望量を集約をして、そして国から都道府県、都道府県から医療機関への分配量を決定するんだよということで、最初は、これはV―SYSに基づいてちゃんとやりますよということを一月二十五日はおっしゃっていたわけです。なので、自治体は、そうか、そうかと思っていたわけですね。

 ところが、二回目の説明会、二月十七日に自治体向けであったときは、いきなり、医療従事者に対する優先接種に係るワクチン配送先、所要量調査についてということで、こう書かれていたんです。所要量はV―SYSを介さずに都道府県を通じて集約し、そして、ワクチンや針、シリンジの配送予定はV―SYSを介して連絡する予定、このため、都道府県には各基本型接種機関のワクチン所要量を報告するようお願いする。

 この報告が、二月二十四日までにやってねと。つまり、二月十七日に自治体向け説明会をして、二月二十四日までに量を報告してくださいねと方針を転換した上に、このときというのは、平日は、二月二十三日が祝日ですから、三日しかなかったんです。これをいきなり言われた自治体ね、都道府県も、三日で、いや、準備していた自治体もありますよ、でも、していなかったところは、いきなりこれで三日、電話して、所要量をやるのにてんやわんやだったということを聞いております。

 こういった急な方針を出すとか、こういう依頼をやるということについては、副大臣、どうお考えでしょうか。

山本副大臣 ワクチンの接種に当たりましては、地方自治体また関係機関との連携で、効率的な運用を実現するために、ワクチンの配分量の調整また接種実績を把握できるシステム、V―SYSでございますけれども、この構築をしながら、日次のワクチン接種実績の集計等を用いている次第でございます。

 一方で、このシステムにつきましては、システムを構築していく段階で、当初予定しておりました接種ルールに変更があったということでございます。例えば、医療機関のほかに、医療機関への小分けの配送を認めたりとか、こうした変更があったりとか、また、ワクチンの供給量が限られている中で、各自治体に確実かつ公平な配分が求められたということもございました。また、必ずしもユーザーが、自治体の皆さんでございますけれども、システム利用に慣れていないとは限らないということもございまして、こういう現実的な課題を踏まえまして、運用上の工夫や、システムの機能に一定の制限を設けることで、現場の混乱が生じないように取り組んできたことがございました。

 委員御指摘の件でございますけれども、一月二十五日の第二回自治体向け説明会の時点では、医療従事者向けの優先接種におきまして、V―SYSの希望量の登録機能を用いてワクチン分配を行うこと、これを想定したわけでございますけれども、しかしながら、医療従事者向けの優先接種におきましては、配付先の接種施設が限られているということであるとか、V―SYSを通じた配送先の指定を円滑に行うのには一定の時間を要することが見込まれる、こういうことがございまして、V―SYSを用いずに分配先や分配量の決定を行うこととしたもので、委員御指摘の二月十七日に事務連絡を発出いたしました。

 このような対応によりまして、結果として現場の関係者に本当に御不便をおかけしたことがあったものと認識しておりますけれども、円滑なワクチン接種が行われるように、これからも自治体と緊密に連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

尾辻委員 実はシステムの話というのは結構ややこしいんですけれども、結局、V―SYSも、今でも使ってはおられるんですが、私、ちょっと聞くと、V―SYSを使ってしっかりと希望量とか所要量を聞いて配送するというのが、全部V―SYSになるのは五週目からだと、クールでいうと。つまり、五月十日から全て。その前の二つの週は、五月三日とかは、ゴールデンウィークが挟んでいるので、V―SYSでやるところもあるけれども、結局、エクセルとかメールとかでやり取りをして配送をしている部分もある。

 だから、全部がV―SYSになるというのは五月十日からの接種の週であるという、これは事実としてよろしいでしょうか。

正林政府参考人 おっしゃるとおり、五月十日からです。

尾辻委員 そういうことなんですね。

 ちょっとこれからシステムの縦割りの話をしたいと思うんですけれども、例えば、私、一個教えていただいたのは、門真市の職員さんが、今回、新型コロナワクチン接種に係る事務フローをつくっていただいたんです。本来は、これは厚労省と総務省で一緒につくらなければいけないんですが、そこまで多分手が回っていないんだと思うんです。

 実は、予防接種台帳、河野さんがやられたVRS、V―SYS、住民基本台帳、住基ネット、自治体のコロナワクチン接種の予約管理システム、ここの自治体だとこの六つのシステムを今回の予防接種では動かさなきゃいけなくて、それの連携が必要なんですね。これは、この複雑さが市町村にちゃんと伝わったかというと、やはり、何となく、厚労省さんは、住基の部分は、じゃ総務省にみたいな感じになって、総務省さんの方も予防接種台帳のことは分からない。ここで、うまいこと連携ができていたのかなというのは若干疑問が残っているところです。

 要は、これはかなり複雑なことをやっているのは確かです。なので、この複雑なことを五月十日から実際にやり始めたときには、何かしらの支障が出ることは多分間違いないと思います。

 その支障を一つ一つやはり潰していくしかないとは思うんですけれども、こういった結構複雑なシステムであるということを前提に、ちょっと質問通告が間に合わなかったんですが、昨日、河野さんがまた、またとか言ってしまったら、済みません、あれなんですけれども、何か昨日も、接種したときに余ったワクチンが、その場にいる若者に打ってもいいよ、柔軟にやっていただいていいよということをおっしゃったんですね。

 ただ、このシステムを私は見る限り、いや、それは本当にできるのかな、つまり、これは廃棄する自治体が悪いというよりは、そういうルールになっていないことの方が問題なんじゃないかなというふうに思うんですが、ちょっとこの河野大臣の発言、そして、こういうふうに本当にワクチン接種はなるのか、それともまだ検討されているのか、お答えできたらちょっとお答えいただければと思います。

正林政府参考人 申し訳ありませんが、河野大臣の発言をちょっと確認しないといけませんので、その上でとしたいと思います。

尾辻委員 副大臣、発言については確認されているでしょうか。

山本副大臣 発言については確認しております。

尾辻委員 河野大臣がおっしゃるようなことは可能なんでしょうか、今のシステムで。(発言する者あり)

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 申し訳ありません。通告されていなかったので、ちょっと今お答えすることができません。

尾辻委員 要は、この一言でも、桝屋先生ずっと、今いらっしゃらないですね、ずっとおっしゃられているように、一言言われるだけで自治体は大混乱になるわけです。

 これは、本当にそれが可能になるなら、通知を出していただきたい。つまり、文書主義ですから、これは大臣が言葉だけで言って、そして、じゃ、みんな余ったやつは打ってくれるんでしょうとかいって来てもらったら、余計に混乱するわけです。なので、もしそれをするのであれば、ちゃんと通知に落とし込んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。

正林政府参考人 改めて確認した上で検討したいと思います。

尾辻委員 本当に、今回の廃棄で、私は自治体を悪者にしてほしくないんです。何かやはり聞くと、いや、捨てるのはもったいない、それは私らもそう思います。でも、じゃ、国がつくったシステムが本当にそうやっていきなりここにいる若者に打てるようなルールになっているのかというところは、これはやはりしっかりと、もしできるようになるのなら通知を出していただきたいということ、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、私の質疑時間がもう間もなく終わってしまうようなんですけれども、済みません、後期高齢者の二割制度のことについてお聞きをしていきたいと思います。あっ、終わってしまいました。済みません。

 次もあるので、ちょっと言い切りで言っておきたいと思いますけれども、一つは、やはりコロナの今、こういう二割の話をするときなのかということなんです。

 高齢者の皆さん、今、この一年外出を控えているから、物すごくやはり体が悪化している。ADLと私たちは言うんですけれども、日常動作がやはり悪化していて、健康状態も正直よくはありません。こういうところで二倍にしてしまうと、やはりこれは受診抑制がかかってしまうということを強く懸念をいたします。このことについては、ちょっと次の質問の機会で御質問させていただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島でございます。

 政府提出、健康保険法等改正案、立憲民主党提出の、高齢者の医療確保、全世代支え合い法案について、それぞれ質問いたします。最後の部分で、先週本会議でも質問しました新型コロナウイルス感染症の治療薬の確立についても質問いたしますので、今日、午前と午後をまたいでになりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 団塊の世代が全て後期高齢者になる二〇二五年問題を間近に控えて、医療費全体が膨らみ続け、現行の高齢者医療制度、この制度設計では、今後ますます現役世代の負担が厳しくなってくることが危惧をされ、現役世代の負担を軽減させなければならない、こういう思いは私もより強く思っている立場であります。

 こういった課題について、持続可能な制度設計と現役世代の負担軽減、やはり、時間をかけてじっくり、そして国民のコンセンサスも得ながら審議が必要だということだというふうに思いますが、一方で、先ほど来話がございますように、新型コロナウイルス感染症、拡大の傾向が歯止めがかからない、いわゆる第四波と言える状況の中、今回の政府案では、単身世帯の場合で年収二百万円以上の後期高齢者の医療費窓口負担を現在の一割から二割へ引き上げるとの内容となっています。今、尾辻委員もおっしゃいましたが、重複する基礎疾患を抱えていて、そしてコロナの重症化リスクの高い方々、この一年余り、不安と強いストレスの中で長時間過ごし、今後、ワクチンに対しても後期高齢者の方ほど大変不安が強い、こういう状況にある中であります。

 まず、立憲民主党、議員立法提出者にお伺いをしたいと思うわけですが、政府案の一定年収以上の後期高齢者の医療費窓口負担を二割に引き上げることについてどのように考えるか、提出者にお伺いしたいと思います。

稲富議員 先ほど委員おっしゃったように、二〇二二年以降、団塊の世代が後期高齢者となり、その医療費が増え、後期高齢者支援金を拠出する現役世代の負担は今後更に厳しさを増していくことが懸念されます。後期高齢者医療保険制度について抜本的な改革が求められているのは明らかであります。

 我々としても、将来の高齢者医療の費用負担の在り方を見直す中で、様々な財源確保を検討することを否定するものではありませんが、新型コロナウイルスの感染拡大による受診抑制が懸念される中で窓口負担割合を引き上げることは、更なる受診抑制による症状の重症化を招きかねず、コロナ禍の現状で窓口負担割合を引き上げるべきではないと考えます。

 コロナ禍の今行うべきことは、政府案のように病気の方が受診する際の窓口負担を増やすことではなく、まず保険料としての応能負担を強化していくことであると考えます。具体的には、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得者の方に負担をお願いすることによって、国費の投入と併せ、政府案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減できると考えます。

 将来的には、後期高齢者の増加に伴う医療費の増加によって更なる改革が必要となると考えます。医療保険制度全体の負担の在り方などについては引き続き検討を進め、医療保険制度の持続可能性の強化と現役世代の更なる負担軽減を目指してまいります。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 窓口負担の引上げによって更なる受診抑制が懸念される、重症化を招きかねないと。このコロナ禍にあって、まして第四波拡大が、加えて変異株の重症化リスクが高まっており、不安が広がっている中、政府案のように病気の方が受診する際の窓口負担を増やすことではなく、まず保険料についての応能負担を強化するべきと。具体的には、保険料の賦課限度額の引上げと公費の投入ということでございました。

 もう一点確認をさせていただきたいと思いますが、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費の投入と併せて現役の世代の負担を軽減するということでありますけれども、この賦課限度額引上げの対象となるのはどのくらいの所得階層を想定されているのか、議員立法提出者にお尋ねしたいと思います。

稲富議員 お尋ねの保険料賦課限度額の引上げについては、病気の有無にかかわらず負担を分かち合う、いわゆる応能負担の強化を目指すものであります。

 具体的には、現行の政令で六十四万円と定められている後期高齢者医療保険における保険料賦課限度額を八十二万円程度にまで引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることを想定しています。

 具体的な所得階層について、提案者としては、令和三年度における全国平均の保険料率に基づいて算出したものとして、単身世帯の場合で年収がおおむね九百万円以上の後期高齢者の方々が対象となると考えております。

 対象となる後期高齢者は、後期高齢者の約一・三%、約二十四万人と考えております。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 政府案では年収二百万円以上の方の窓口負担一割から二割に対して、立憲民主党案ではおおむね年収九百万以上がということで、随分違いが、差があるなというふうに思いますし、この対象は、政府案では後期高齢者の約二〇%、約三百七十万人に対して、立憲民主党案で対象は後期高齢者の約一・三%ということであって、公費の投入と併せ、政府案の見込みと同程度現役世代の負担を軽減できるということで、現在、新型コロナウイルス感染症進行形の中で、これは高齢者にとっても、一方で現役世代にも大変配慮された内容だと、私も、恐らくおられる議員の方々も感じておられるんではないかと思います。

 議員立法提出者には御退席いただいて結構でございます。

 立憲民主党案について、今、今日はスタートの審議でございますので、お尋ねをいたしました。

 先ほど来話がありますように、現状においても多大な医療費を支払っている多くの方々がおられることは事実であって、このコロナ禍が現在進行形の中、更に窓口負担を引き上げることになれば、先ほども議論がありましたが、受診控えに拍車がかかり、症状の重症化を招くことも危惧され、何より重症化リスクが高いと脅かされている高齢者の方々の不安は更に高まります。

 少なくとも、感染拡大が現実的な状況となっているこの現状のコロナ禍において、これ以上受診抑制を引き起こすような政府案の内容、政策を実施するべきではないと私は考えますが、改めて、先ほど立憲民主党案の質疑、答弁もございましたが、踏まえつつ、大臣の見解を伺いたいと思います。

田村国務大臣 お話ございましたが、令和四年度から団塊の世代が、これが後期高齢者、七十五歳以上になられるということで、そういう意味では、現役世代の負担は後期高齢者の支援金という形で増えてくるわけであります。

 そんな中で、今般御議論をいただいて、こういう形で提案をさせていただいているわけでありますが、まず、コロナに関しては、今、現状、こういう状況で、受診控えが確かにあるということは事実だろうと思います。感染をするのが非常に恐怖心もあられるというふうに思いますので。ただ、これに対しては、医療機関は感染防護をしっかりやっていただいているということと、必要な医療はしっかり受けていただきたいということで、上手な医療のかかり方という形で厚生労働省もPRをさせていただきながら対応させていただき、実際問題、必要な医療を受けなければ健康を悪化させるわけでありまして、これは何としても受けていただきたいということをお願いいたしております。

 あわせて、今言われた一定の方々の二割負担というもの、これは、今年ではなくて、来年度の十月以降、年度末までの間、まだ決めておりませんが、この間に施行をしていく。しかも、三年間にわたっては、負担の増加、上限は外来三千円という形で対応するわけでございまして、そういう意味では、一定期間のやはり周知といいますか予見性というものが高齢者の方々にとってみれば必要でございますので、いきなり上がるというわけにいきませんから、早めに、しっかりと法律を通していただく中において、周知もさせていただかなければならないというふうに思っております。

 今、足下、すぐに上がるということではないということだけははっきり申し上げて、しっかりとこのコロナ禍の下において必要な医療はお受けいただきたいというふうに我々もPRしてまいりたいというふうに考えております。

中島委員 今、施行の話、配慮措置の話だったと思うんですが、施行は令和四年後半ということですが、コロナが、もし、もちろん終息するために鋭意努力するわけでありますけれども、一年前のこの時点でも、今の現状は想定していたかと言われればできていなかった。令和四年後半、コロナがどういう状況にあるか、まだ何も分かっていないわけです。

 コロナが万が一ですが、変異株が更に変化し、令和四年度後半においても現状のような状況だった場合は、施行は、法律が通ったという前提の話は余りしたくないですけれども、どういう対応をされるんでしょうか。

田村国務大臣 ワクチンもこれから接種が一般の方々にも始まってまいります。状況が変わってくるということも十分にあるわけであります。

 コロナ以外のいろんな感染症がどうなるかということも含めて予見ができないわけでありますので、そこに関して今何か断定的に申し上げることはいたしませんが、今委員がいろんな形で賦課限度額の上昇等々の御提案もいただきました。

 これは、正直申し上げて、議論の中でも賦課限度額の話はあったわけでございますので、そういう意味で、これから、まだまだ若い人たちのいろんな御負担の部分もございますから、いろんな御提案というものは、これからの若い方々のいろんな負担軽減に向かって、我々としても参考にさせていただきたいというふうに思います。

中島委員 全然答えていないじゃないですか。現在進行形のコロナ、令和四年後半が施行というふうに、この法律、政府案はなっているわけですが、コロナがもし今のような状況だった場合はどう対応されるんですか。

田村国務大臣 ワクチンもこれからスタートを、今、一般の方が、高齢者の方がスタートしたばかりであります。そんな中で、状況も世界中変わってくるでありましょうし、一方で、コロナだけでなくて、どんな感染症がいつ発生するか予見できないわけでありますから……(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛に願います。

田村国務大臣 それをここで答えろという方がむちゃな話でございまして、法律を通していただければ、我々はそれに沿って対応を考えたいというふうに思っております。(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛に願います。

中島委員 だって延期するんでしょう、そういう状況だったら。それは何が起こるか分かりませんけれども、先ほど尾辻委員も言いましたが、今まさにコロナがいわゆる第四波、そして変異株の脅威にさらされて、多くの国民、特に重複疾患を持って、かかってしまったら命に関わると思っている高齢者の皆さん、本当にこの時期にこういう議論をするということは、これこそ多くの国民の皆さんに不安を更に助長させる。

 もちろん、現役世代の負担、冒頭にも言いましたようにこれも大事な課題ですが、今これから、尾身先生も先ほどまでおられましたが、第三波よりも第四波の方が非常にまた更に大きな現状になるということですから、そもそも……

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いいたします。

中島委員 はい。

 午後にも続きますので、引き続いて質問させていただきたいと思います。

とかしき委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩といたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 午前に引き続いて質問させていただきたいと思います。

 午前、いわゆる新型コロナの、大臣、お分かりください。私も、週末、外来をしたりいろいろな方と話をしていて、ワクチン接種もそうですけれども、多くの高齢者の方、特に後期高齢者の方々は、ワクチンも打っていいものやら、一方で、一たび感染してしまえば命の危険にさらされる、こういう不安、これがもう一年以上続いているわけです。

 こういう状況の中で、私は、今回、先ほど立憲民主党案の答弁も改めて確認をいたしましたが、政府案では、後期高齢者の約二〇%、対象約三百七十万人、こういう多くの方々が対象になり、もちろん施行はということですが、まだまだこの新型コロナの見通し、高齢者の方々はワクチンもいつ打てるか分からない、治療法の確立もされていない、そういう状況の中で、更に不安に追い打ちをかけるような今のこのタイミングでのこの議論というのは非常に違和感がある。

 一方で、立憲民主党案、もちろん現役世代への負担の軽減も考えつつ、現状では私はベストな考え方だということを改めて申し上げたいと思います。

 その上で、先ほど長妻理事とも話をされましたが、いわゆる長瀬効果、これは、受診機会が過去の例で、窓口負担が引き上げられた場合、今回も約九百億円を見込んでおる、機会が減る分について。そこについて、必要な医療は削られないと大臣はおっしゃいましたけれども、改めてですが、大臣、我が国の医療の現状の中で必要な医療と不必要な医療が混在しているんでしょうか。改めて確認します。

田村国務大臣 基本的には、医療関係者、医師の方々が御判断いただいて治療をされるわけでありますから、必要な医療というのが前提であるというふうに考えております。

中島委員 先ほど午前中の議論で、上手な医療のかかり方、デーモン閣下と迫井医政局長も一緒に、上手な医療、こういうかかり方ですよ、例えば救急車の使用の仕方とか。その前提が、現在、上手に医療をかかりましょうと言っている時点で、今我が国は上手に医療を受けられていませんよと言っているようなものなんですよ。

 そして、ここで、長瀬効果、いわゆる必要な受診、すなわち必要な医療、これが窓口の負担が上がることで九百億円。

 ここは、やはり前提として、政府として、もちろん医師が判断すると言いますけれども、例えば、後ほど聞きますが、診療報酬の二年に一回の改定であったり、さきの医療法では医療提供体制の話もされました。様々な要因で受診機会、受診の在り方というのはるる変わってくるわけですよ。

 大臣、根底として、そうは言いますが、これは医者のせいにするというよりは、政府として、厚生労働省として、我が国は現状で、やはり不必要な医療、受診があるんだ、そう考えていらっしゃるとしか私は思えないんですが。

 改めてですけれども、今回の長瀬効果、その根拠がやはり不明瞭だ、改めて理事会で協議もということでありますけれども、先ほどの、高齢者の方、実際に過去の例で死亡数が増えたとか死亡率がとかという話がありましたが、それは当たり前です、そんなことになったら大変なことですから。

 ただ、今、現状、コロナの現状で考えると、例えば認知症の悪化。この一年余り、施設におられる方は家族と面会もできない。そして、通所介護を受けられない方、家にある意味引きこもり的な状況になって、認知症の悪化と、そして介護の重度化。

 こういったことを厚生労働省として、この一年余りの間、受診の在り方も随分現状では変わっていると思います。こういった認知症の悪化、介護の重度化等々、こういったことを調査されていますか。

田村国務大臣 まず、前提で、今、上手な医療のかかり方のお話がありましたが、今、現状では、言われるとおり、とにかく必要な医療は受けてくださいということをお願いをしております。

 それ以前は、外来機能の明確化というのを前法案の中で言っておりましたけれども、やはり、開業医の皆様方を中心にかかりつけ医機能というものをしっかり発揮していただくのに、やたら大きな病院で初診外来、こういうものをやっていただくと、御本人もそれこそ短時間での診療というような形になりますので、そういうことは上手なかかり方でお願いしたいというようなことは、これはお願いしてきたという経緯があります。

 その上で、今委員がおっしゃったところでいいますと、我々としては、必要な医療というものは当然のごとく必要で、お受けをいただかなきゃいけないということでありますから、今般、このような形でコロナの対応がいろいろとございましたので、それに向かって、今、調査研究を始めております。

 これは、参議院で足立委員、立憲民主の足立委員からもそういう御要望をいただき、そんな中において、調査をするということで今始め出しておるというふうに認識しております。

中島委員 その調査結果は理事会に提出をしていただきたいと思いますので、お願いいたします。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。(田村国務大臣「まだ出ていませんよ」と呼ぶ)

中島委員 出たら。

 早急に、私は去年の秋から言っていますから、秋から調査するべきということを言っておりますので、これは出たら、まず真っ先に理事会に報告をしていただきたい、そういうことでございます。

 資料の一枚目、これはちょっと古いデータですけれども、平成二十五年になってしまいますが、いわゆる八十歳を一つのラインに医療費が急激に上がってくる、その内訳、入院に係る費用が御高齢になればなるほど積み重なっていくということであります。

 ここの部分についての負担が現役世代にあるということでありますけれども、ここももう基本中の基本かもしれませんが、大臣に改めて確認します。なぜ高齢化率が高くなり高齢化社会になると医療費が膨らむのか、増え続けるのか、大臣の認識をちょっと確認させてください。

田村国務大臣 加齢に伴い、やはり心身共にいろいろな形で不具合が生じてくるわけでありまして、そういう意味では、一つは認知症のような形もございますし、フレイル、サルコペニア、いろいろな状況もありますし、当然、慢性疾患が悪化してということもございます。

 そういう意味で、どうしても加齢に伴い医療費がかかってくるということと同時に、その割合が、高齢者の割合が増え、さらに、長寿化でより高齢者が増えてきておるというのが今の現状でありますから、そんな中において、医療費がかかり、一方で支える側が少子化の中において減ってきておるというのが、今の我が国の医療保険というか、社会保障制度全体の最大の課題であるというふうに考えております。

中島委員 やはり高齢化に伴って疾病構造が変化する。これは、資料の二枚目が医科診療費の傷病別内訳ということで、これもちょっと古いですが、二〇一三年度であります。この内訳を見ると、生活習慣病の占める割合が三四・四%、老化に伴う疾患、一五・三%で、これで約半分を占めている。

 すなわち、人口構成の変化、加えて疾病構造の変化に、私は、制度が追いついていないんじゃないか、現状に陥っているんじゃないか。根本的な制度改革がないまま現行の制度設計を踏まえた場合、現在のコロナの拡大、現在進行形という状況に鑑みれば、先ほども言ったように、立憲民主党案の方がよりマッチすると思いますが、まさに後期高齢者の重複する疾患、この二枚目の資料でもあるように、これは単独ではないです、高血圧、心疾患を持っていたり、様々な疾患がオーバーラップしている。

 こういう状況の中で、医療法のときにも私は話しましたが、まさに高齢化社会、余り年齢で区切ってしまうのはいいかどうか分かりませんが、御高齢の方が抱えている疾患に対応する医療体制はやはりプライマリーケアの部分だ、プライマリーケアが機能を発揮する医療が非常に高齢者医療に対してマッチングするんだ、こういう私は認識を強く持っています。

 その上で、診療報酬と高齢者医療制度、医療費の増大との関係性について一点お尋ねしたいんですが、現在、診療報酬体系は出来高払い。出来高払いの診療報酬体系と医療費の増大との関係性、この点について大臣の認識をお尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 適切な医療というものでいけば、必要な医療でありますから、出来高であったとしても、それは必要なものという形の中において医療費に計上されていくんだというふうに思います。

 一方で、慢性疾患、糖尿病でありますとか、それから高血圧症でありますとか、もちろん、脳血管疾患でありますとか心臓疾患、こういうものを含めて、言うなれば慢性疾患、循環器、こういうようなものに関して加齢に伴ういろいろなものに対しては、それぞれ、やはり、いろいろな必要な医療という対応の下で医師が御判断をいただいて治療されているんだと思います。

 ただ、一方で、加齢に伴う慢性疾患等々を含めて、これは地域包括診療料というものをつくっておりますので、地域包括ケア診療料という形は、これは委員が言われている意味では包括払いという形で対応いたしておりますから、そのようなもので対応いただいている医療機関、また患者の方々もおられるということで、我々としても、委員のお考えと違っていない部分も多々ございますので、そういう意味では一つの考え方であろうというふうに思います。

中島委員 考え方は、これは今日は時間がありませんし、今後この議論は続きますので、ゆっくり話をしたいと思いますけれども、そのためにこそ、かかりつけ医の制度化、厚労省で定義もされておりませんので、これは任せてしまっている状況。こういう状況を、まさに後期高齢者医療制度の中にプライマリーケアを評価する仕組みをコミットすることが、最もニーズにも合いますし、若年世代の負担の軽減にもつながるということだけ申し上げて、また次回、その話題はしたいというふうに思います。

 続いて、大阪での感染状況、新型コロナウイルス感染症でありますが、昨日の状況、また隣県の兵庫、私は何度も言いましたが、第三波の一月のときに、感染が確認され、御自宅で、医師に相談どころか薬も出されていない、その経過の途中でお亡くなりになる方もいる、こういった状況を二度と招いてはいけないということ、これに対して大臣も真摯に受け止めていただいておると思いますけれども、現実に、昨日私は大阪、兵庫の先生方とも話をしました。

 在宅で待機をしている方、いわゆる酸素飽和度八〇%台でも在宅で過ごさざるを得ないそういう方々に、医師会に委託をして対応をと言っておられますが、私は大変危惧します。

 今後、東京も含めてですが、また一月のときのような状況を招いてしまうんじゃないか。こういった危機感から、私は、もうとにかく、この状況を打開していくためには、治療方法。ワクチンも大事です。私も、ファイザー製のワクチンに関して、当初思っていたよりも大変いいワクチンだなという印象を持っています。ただ、やはり感染対策の基本はワクチンと治療方法の確立です。この車の両輪がそろわない限り、今後の見通し、変異株もどういう状況になってくるか分かりません。

 こういったことから、治療薬の確立、治療方針について、ちょっとまた加えて質問させていただきたいと思います。

 この件に関しては、四月の二日、厚労委員会で尾身先生。こういう危機ですよね、このときには、ある程度、いろいろな知恵、研究を一つにして、エビデンスをつくるシステム、これが日本の場合には個人に任されているという傾向がある、スタディーのプロトコールというものが日本には比較的弱いので、これが今回の一つの教訓で、これはもうすぐやるべきだと。

 そして、資料の五枚目、六枚目。

 先週の金曜日、厚生労働委員会、高木美智代先生。ふだん穏やかな高木先生が語気を強めて、アメリカのEUAのような緊急承認の運用を考えるべき、ワクチン、治療薬開発についても厚労省がチームをつくって積極的に取り組むべき、今は企業任せになっている、国民の命を我が国が守るために政治としてどうするかという最重要課題。これ、赤線を引っ張り過ぎて、私、共有する内容ばかりです。

 与党の高木先生がそのとき私の方を振り向いていただいて、これは野党の皆さんも共有していただけると。少なくとも私は大共有します、もうずっと言っていますから、私。

 一刻も早く、有事の際の薬事承認の特例、緊急時に一定の安全性、有効性を確保しつつ、早期に患者に治療薬、ワクチンを届けられる仕組みづくりを早急にするべきだ。

 そして、菅総理。私は先週の木曜日、本会議でも質問いたしましたが、改めて国として最大限支援していくように従来から指示していると答弁されました。

 改めて大臣に確認いたしますが、現在の厚労省の治療薬、ワクチン開発に対する取組は、菅総理大臣が言うように、最大限の支援をもうしているということでいいんですか。

田村国務大臣 まず、体制論からいいますと、特措法を通していただく中において、これは感染症法でありましたけれども、NCGMと国立感染症研究所、ここに協力しながら検体でありますとか臨床データを集めて、それをワクチンにしても治療薬にしても研究開発にしっかりと使っていけるような体制を組もう、データベース化しようというような、こういうような法律を通していただく中において、今、体制を整えていこうという状況であります。

 一方で、今、治療薬に関しては、もうAMEDの方で研究費を出しながらいろいろな対応をいたしておりますが、まず、緊急使用に関しては、そういうお声もあります。ですから、我々もいろいろな形で、ワクチンに関しましても、特例承認を目指す申請を受けて、今、既存よりは速い対応で審査をやっておりますが、ただ、安全性はこれは外せない。いろいろな御意見があるのも事実で、安全性を無視してまでやってほしくないというお声も多々あります。そういう部分でも、我々は十分にそこは配慮しなきゃならないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、我々といたしましては、治療薬の開発等々をしっかりと支援する中において、全力を挙げて日本発の治療薬というものをしっかり承認できればというふうに考えております。

中島委員 もう既に最大限やっている内容がそうだということですよね。この間、高木委員の御発言、国際共同治験、条件付承認、これも、やはり私も近くで答弁を聞いていて、製薬会社、企業任せ、申請があったら対応する、私にはそういうふうにしか聞こえませんでしたし、私は繰り返し言っていますが、承認プロセスをすっ飛ばせとは言っていないんです。

 やはり有事のとき、これは資料にもお示ししてありますが、四枚目、これは米国の動きということで、FDAの承認プロセスを加速し、連邦政府の資金を増額することで新たな医療の導入、これも検討されています。

 加えて、三枚目の資料、時間がありませんから言いますが、これは理化学研究所奥野先生のデータ、富岳による二千百二十八種の薬剤候補ランキングということであります。

 確認ですが、奥野教授の富岳を用いたCOVID―19治療薬候補研究の中間報告で示された数十個の薬剤を厚生労働省は全て把握しているか。これらの薬剤については、全てAMEDによる国の最大限の支援が行われていて、製薬企業が新型コロナ治療薬として薬事承認を得ることに積極であるという理解でよいか。特に、上位の薬剤について重点的な支援がされ、製薬会社も積極的であるという理解でよいか。三点についてお尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 感染研だとか厚労省の所管でもいろいろなところがいろいろな研究をやっておりますが、厚労省自体が本省で研究しているということはない、これは御理解いただいているものだというふうに思います。

 その上で、今のお話でありますが、医薬品名等の詳細が公表されておらず、ここで具体的に言及をすることは避けさせていただきたいというふうに思います。

 一般論として、AMEDで去年も五回ほど公募して、令和二年度も、いろいろな研究者、これは国が非常に近いところもありますし、それから一般の民間もあります、そういうところのいろいろな研究等々を公募で受け付けて、それに対して支援をやっておるということであります。

とかしき委員長 中島克仁君、申合せの時間が来ております。

中島委員 富岳に対しても莫大な国費が投入されているわけですよ。ですから、確かにこれは既存薬です。既存薬で新型コロナウイルス感染症に効果があると言われているものを奥野教授がこうやって示しているわけです。

 当然ながら、厚労省はこれを把握しつつこの上位ランキングにあるものに対して最大限の支援をしている、そうでなければおかしいはずですから、この件については、時間が終わってしまいましたが、引き続きまた質問させていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。委員長、よろしくお願いいたします。

 まず、昨日、麻生大臣が、福島第一原子力発電所で貯留されている冷却のために使われている水、あるいは地下水で炉心に触れた水等について、トリチウム以外も、今は、現状はいろんな核種が数倍から数万倍、基準値以上含まれているというふうに聞いておりますけれども、それを再び再処理して海に放流するということを、政府として東京電力とも相談の上、決定をされたということに関して、飲んでも何てことないそうだというふうに、大臣会見でお述べになっていらっしゃいます。

 飲んでも何ともないそうだ、飲んでも何ともないというのは、これは政府見解ですか。

田村国務大臣 私、直接麻生副総理が何をおっしゃったのか聞いていないんですが、今委員がおっしゃったことがそのままだとすると、私、前後にどういう言葉があったのか分からないんで、そこのところはちょっと何とも申し上げられないんですけれども。

 多分、トリチウムという意味からすると、この福島第一のサブドレーン等の運用の目標ということで、放出水でありますが、リットル当たり千五百ベクレル、そういう基準であり、トリチウムですよ、WHOのトリチウムの飲料水水質ガイドラインというのが、リッター当たり一万ベクレルであるということをもってしておっしゃられたのではないのかなというふうには思いますが、飲料水ではないと思いますので、飲むことはお勧めはできないと思います。

川内委員 先ほどの尾辻委員の、河野大臣のワクチンについての、あれも大臣会見での発言ですけれども、大臣が会見で発言することというのは、政府の一員としてお述べになることで、私は、閣僚の皆さんが御自身の発言について、例えば昨日、麻生大臣はパーティーを開かれたそうですけれども、パーティーで政治家として発言することは、それは自由であろうというふうに思うんですが、閣僚として発言するときは、少なくともその発言に気をつけていただきたいなというふうに思うんですよね。

 いや、飲める水なんだとか、そういうことをおっしゃること自体が、非常にセンシティブな原子力発電所の事故の処理に対して、私はいい影響を与えるとはとても思えないですね。科学的に、みんなで真剣に議論して、どうするのかということを悩みに悩んで結論を見出していかなければならないときに、いや、飲めるそうだぜ、あれはみたいなことをおっしゃるのはいかがなものかというふうに思いますので、田村大臣から麻生大臣に、川内が言っていたというふうにお伝えいただければというふうに思います。

 そこで、今日の法案について聞かせていただきますが、大臣は先ほどから、必要な医療を受診していただきたい、窓口負担が二割に引き上がるけれども、必要な医療を受診していただきたいというふうに希望を述べていらっしゃるわけですが、必要な医療が受診できるのかということになると、窓口負担が倍になるというのは、先ほどから長瀬効果という言葉も、私も今回のこの法案で初めて勉強させていただいたんですけれども。

 まず確認をさせていただきたいんですが、窓口負担を引き上げると、本来ならば病院に行ったであろう人が行かないこともあるという理解でよろしいんでしょうか。窓口負担を引き上げると、本来ならば病院に行ったであろう人も行かないこともあるということでよろしいんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる長瀬効果でございますけれども、給付率が変化する制度改正を行うことによりまして長瀬効果が生じ、受診行動が変化することが経験的に知られている、こういうものでございます。

 この長瀬効果による受診日数の減少につきましては、給付率が変化することに伴い受療行動が変化することでありまして、医療の内容そのものを判断するものではないということでございます。(川内委員「聞いたことに答えていないの」と呼ぶ)

 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたものと繰り返しになりますけれども、医療の内容そのものを判断するものではないということでございまして、長瀬効果による医療費や受診日数が減少することをもちまして、本来なら病院に行ったであろう人が病院に行かないということを判断するというものではないということでございます。

川内委員 長瀬効果についての見解をお聞きしているわけではなくて、窓口負担を引き上げると、本来ならば病院に行ったであろう人が行かないこともあるという理解でよろしいんでしょうかということをお聞きしているんですけれども。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正でございますけれども、一定所得以上の方に限り、かつ経過措置も設けることによりまして、必要な受診が確保できるよう措置をしているということでございます。

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 浜谷保険局長。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の窓口負担の見直しでございますけれども、一定以上の所得の方に限り対象といたしますとともに、経過措置も講ずることとしております。こういった措置によりまして、必要な医療が確保されるようにしているということでございます。(発言する者あり)

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 本来受けた医療、本来行っているかどうか、これは別として、結果として受診行動が変わって、受ける医療の回数といいますか、これが減る、若干といいますか、この計算式上減るということでありまして、これは本来行っていたものが減ったかどうかは別であります。結果として減るということであります。

川内委員 私、質問で、窓口負担を引き上げると、本来ならば病院に行ったであろう人が行かないということもあるんですか、あるということですかと聞いたんですが、今の大臣の御答弁あるいは局長さんの御答弁を国民の皆さんに分かりやすく言い換えるとすると、窓口負担を二割に引き上げると、倍になるわけですからね、引き上げると、結果として、病院に行ったであろう人が行かないということにもなるということでよろしいか。結果として、そういうことになるということでよろしいか。

田村国務大臣 本来行っていたかどうかは別にして、経験則的にですね、経験則的に、今委員が言われたように、病院に行く回数というのが経験則的にそういう数字であるというものを示したものが長瀬効果、長瀬方式というものであります。

川内委員 だから、私は長瀬効果の意味をお尋ねしているわけではなくて、分かりやすく国民の皆さんに今回のこの法案、政府提出の法案というものを説明するとすれば、窓口負担が引き上げられると、結果として、病院に行ったであろう人が行かないということにもつながることになりますねということを、そこはそうだというふうに、今の御答弁を総合すると、そうお答えにならざるを得ないんじゃないかと思うんですけれども、委員長、そうじゃないですかね。

田村国務大臣 ですから、要するに、今回こうなった場合に、財政効果というものをお示しをしているわけですね。それは、政策的な一つの方向として、財政がどれぐらいか、効果が出るか。それは、長瀬効果というものを前提に、今までの経験則で出している話であって、結果そういうことであると。

 だから、それが、本来受けていた医療かどうかは別にして、今までの経験則からすると、それぐらいの、長瀬効果という数式といいますか式を当てはめて、それを財政効果として我々としてはカウントしているということであります。

川内委員 長瀬効果の計算式はおいておくとして、その計算式で仮定として導かれる数字というのは、結果として、病院に行ったであろう人が行かなかったから、そういう数字、仮定の数字になるということなわけですよね。大臣、そうですよね。局長、そうですよね。私、頭が悪いので教えてくださいよ、ちゃんと。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 何といいましょうか、本来病院に行ったかどうかとかいうことは別にいたしまして、受診日数が結果として変化するということは事実、その変化することを前提に推計しているのは事実でございます。

川内委員 結果として受診日数が変化すると。変化するとおっしゃったが、結果として受診日数が減少する。減少するでいいですね。

浜谷政府参考人 長瀬効果としては、受診日数が一定程度減少するというふうに見込んでいるということでございます。

川内委員 ここまで十分以上かかっているんですけれども。

 結局、窓口負担が二割に引き上がると、結果として受診日数が減少すると。要するに、病院に行ったであろう人が行かないこともあるんだというふうなことになるわけですけれども。

 厚生労働省が様々にお悩みになられて、様々な、政府として案をお出しになられるというのは、これは、私どもは意見は違いますけれども、尊重しますよ。敬意を表します。ただし、じゃ、これまで厚生労働省がやってきたことが正しかったのか、間違っていなかったのかということについての検証というのもきちんとしなければならないというふうに思うんですね。

 そこで、今回のこの法案にも盛り込まれている特定健診のことについて若干お尋ねをしたいんですけれども、現在、生活習慣病予防のために導入された特定健康診査、特定健診、毎年です、毎年。単年度でいうと、国費で幾ら、そして地方分も合わせて事業費の合計というのはどのくらいになるんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 特定健診、特定保健指導の予算額でございますけれども、市町村の国民健康保険に対する予算額が百六十九・三億、それから国保組合に対する予算額が五・七億、それから健康保険組合に対する補助金が二十七・二億、それから全国健康保険協会に対する補助金が十九・八億でございます。

 市町村国保につきましては、同額の都道府県の補助があるということでございます。

川内委員 事業費の合計を教えてもらえますか、この一年間の。事業費の合計。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 事業費の合計でございますけれども、私ども補助しております補助対象が、例えば全国健康保険協会と健康保険組合については被保険者本人に対する国庫補助は対象外にしていること等から、事業費の総額については把握をいたしておりません。

川内委員 じゃ、国費の総額をおっしゃってください、国費の総額を。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 済みません、先ほど申し上げた百六十九・三、五・七、二十七・二、十九・八を足した合計額でございまして、二百億強程度になろうかと思います。

川内委員 局長、私は、それぞれの保険種別々に教えてくださいということは質問していないんですよ。国費が幾らかかっていますかということを質問しているので。最初から、今の二百億強でございますというのを一回で言えばいいんですよ。

 じゃ、特定健診の事業開始以来、国費は今までに合計幾ら投入されたのかということを教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度以降投入いたしました国庫補助の累計額でございますけれども、総額約二千七百三十七億円でございます。

川内委員 二千七百三十七億円。これに地方負担分も合わさるので、約倍ぐらいはお金がかかっているわけですね。

 特定健診を導入される前、平成十七年に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案においては、生活習慣病対策による医療費適正化効果、医療費削減効果は、二〇二五年度、まだ来ていませんけれども、二〇二五年度の段階で二・二兆円と。二・二兆円、医療費適正化効果が生活習慣病対策でありますよという試算を示されております。

 それに対して、その後、今御答弁あったように、国費を毎年二百億円強を投じて、特定健診、保健指導を推進をしてきていらっしゃるわけですが、その医療費適正化効果というのは、平成二十九年の一月十二日に発表された医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会取りまとめでは、医療費ベースで二百億円、医療費適正化効果は二百億円と。

 二・二兆円医療費適正化効果がありますよとおっしゃって始められた事業で、〇・〇二兆円の効果ですということが厚生労働省自身の取りまとめの中に出てきておりますけれども、大臣、この二・二兆円と二百億円の差をどう考えますか。

田村国務大臣 これは、平成十八年の推計で、メタボリックシンドロームというのがはやりの言葉になりましたけれども、こういうものに着目して、糖尿病や高血圧症等々、こういうものの発症を予防できれば、これだけじゃなくて脳卒中や心筋梗塞もそうなんでしょうけれども、一定程度の医療費が適正にされるということで、制度導入時においては、内臓脂肪症候群の有病者、予備群が、二〇一五年には二五%、二〇二五年には五〇%減らすということを目標にしたということで、約二兆円分、推計で減るであろうということであったわけでありますが、事実、今言われたように、専門調査会が試算した二百億円という適正化。

 これはどういう試算かというと、特定保健指導終了者の増加見込み、これが二百万人に、実際の特定健診、特定保健指導、データとレセプトデータを基に試算した一人当たりの影響額ということで、一人当たり六千円、これを乗じたものを機械的に推計したものでありますから、推計している基といいますか、それが違うということでございますので、これはちょっと、一概にこれを比較するということ自体がどうなのかなというような感じで今受け止めさせていただいております。

川内委員 いずれも厚生労働省さんが試算された数字で、成人病予防、特定健診などをすると、将来的には大変な医療費適正化効果がありますよ、だから国費を使うんですよと。しかし、実際にその効果を試算すると、それは様々な仮定を置いていますから、今大臣がおっしゃったように、一概に単純に比較することはできないかもしれない、しかし、当初の効果は得られていないことは明らかであって。

 私は、先ほど申し上げましたけれども、受診の日にちが減少する、受診日数が減少するということは、病気が悪くなってからしか病院に行かない人もいるかもしれないし、なるべく早い受診を心がけるとすれば、こういう窓口負担を倍にするというようなことをされるのではなくて、特定健診のこの二百億円を、窓口負担を減らす方向で国費を投入するとか、厚生労働省として様々、本来はこれまでの政策効果などを検証した上でされるべきなのではないかというふうに思うわけでございまして。

 このコロナ禍の中で、先ほどから出ていますけれども、窓口負担が一割から二割という言い方と、倍になりますというのは全然イメージが違ってくるわけですけれども、倍になることはそのとおりなわけで、同じ病気で病院に行ったら負担が倍になりますというのはそのとおりなわけで、そういう法案を今、国会に政府がおかけになっていらっしゃる。

 じゃ、ほかにやることはなかったんだろうかということを考えると、様々にほかにも方法があったんじゃないかなということを指摘をさせていただいておきたいと思います。

 次に、先般から課題になっております日雇看護師派遣問題について、若干お尋ねをさせていただきたいと思います。

 前回、四月九日の本委員会で、規制改革ホットラインに、平成二十九年八月一日から平成三十一年四月三十日までに合計千六百九十一件の提案があった、その中で専門チーム会合が取り上げたテーマは七件であったと。この七件のうちの一件が日雇看護師派遣になるわけですけれども。

 この提案を行ったNPO法人日本派遣看護師協会のホームページを見ると、協力会社として、看護師派遣事業を業として行っていらっしゃる株式会社スーパーナースという会社の名前が出ていらっしゃいます。

 そのほかにも、様々に、この提案主体であるNPO法人日本派遣看護師協会について確認をするべきではないかということを先日申し上げておりますけれども、御確認はいただけましたでしょうか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革ホットラインは、広く国民や企業等から提案を受け付けることを趣旨として設けられたものでございまして、個人、法人を問わず、どなたでも提案できるものでございます。

 その御提案いただいた内容を基に、どの提案を取り上げるかという議論をしているわけでございまして、提案者が誰であるかということによって議論を行っているわけではない。そういう意味においては、提案者について詳細な確認をしているわけではないということでございます。

川内委員 そうすると、あれなんですか、内容だけが問題なのだと。

 そうすると、反社会的勢力からの提案も、提案としては受け付けるということなんですか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたとおり、規制改革ホットラインにつきましては、どなたでも提案することができるというものでございます。

 ただし、その内容が、誹謗中傷や権利侵害等、規制改革と関係のない提案や公序良俗に反するような意見につきましては、受付の対象とはされないという取扱いとしているところでございます。

 また、規制改革ホットラインはそのような取扱いでございますが、その後、規制改革の諸会合において議論をするということがございます。そういう場合に、反社会的勢力の提案であることが明らかであった場合には、取り上げるという取扱いになっていたとは思っておりません。

川内委員 そうですよね。提案は誰でもできますよ、だけれども、取り上げるに当たっては提案主体のことをちゃんと見ますよということを今おっしゃっていただいたんだろうというふうに思います。

 だからこそ、千六百九十一件のうち七件取り上げた、そのうちの一件がこの日雇看護師派遣の問題であって、その提案主体が提案を取り上げるに足る団体であったか否かということについては、内閣府の方で、御担当のセクションでしっかりと精査をされたものというふうに思っているからでございますが、先ほどお聞きすると、提案主体のことについてよくよく確認はしていないよという、また矛盾した御答弁も出ているわけですけれども。

 そこで、NPO法第六条には、「特定非営利活動法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。」と規定されております。この事務所の所在地に事務所があることの確認を求めたいというふうに思いますし、NPO法第二十八条の二項には、特定非営利活動法人の貸借対照表の公告の規定があります。このNPO法人の貸借対照表がホームページに公告されているか、確認を求めたいと思います。

 さらに、NPO法第四条の規定には、名称の使用制限の規定がございます。平成三十年五月十七日に規制改革ホットラインに提案したときは、この団体がですね、このNPO法人は、七月四日のまだ認証を受ける前に提案をしていらっしゃいます。NPO法人を名のることはできないわけであります。内閣府は、五月十七日の提案時にはNPO法人を名のっていないと説明をされていらっしゃいますが、このことについての確認を求めたいというふうに思います。

 以上、御確認をいただけますでしょうか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初の質問でございますけれども、NPO法人の実体についての確認ということでございますけれども、規制改革推進会議におきましては、先ほども申し上げましたとおり、その内容を基に議論をしているということでございます。

 また、特別な調査権限があるわけではございませんので、そのNPO法人について確認をするという立場にはないというふうに考えているところでございます。

川内委員 提案主体のことはきちんと確認するよと言いながら、じゃ、確認してくださいと言うと、いや、それは確認しないとおっしゃるということで、どうも何か釈然としない思いなんですが。

 このNPO法人のホームページにございます、協力会社として名前が出ている、先ほど申し上げましたスーパーナースという会社ですけれども、かつて規制改革会議の専門委員だった方で看護師の派遣業をやっていらっしゃった方がいらっしゃるというふうに思うんですけれども、ちょっと教えていただけますでしょうか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革推進会議の委員及び専門委員の任命に当たりまして、看護師の派遣業を行っているかどうかという点については確認しておりませんので、お答えすることは困難でございます。

川内委員 任命するに当たって、その方が何を御職業としていらっしゃるかは見ないということですか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 事前にお話しいただいておりました滝口進さんという方が、平成二十五年九月から二十八年七月まで規制改革会議の専門委員でございました。

 この方の当時の所属、肩書は、今御指摘のあった法人ではございませんでした。

川内委員 所属は、今私が申し上げたスーパーナースではなくて、何だったんですか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 こちらは今も規制改革推進室のホームページに掲載されておりますが、日本メディカルビジネス株式会社代表取締役、東京女子医科大学第二外科非常勤講師でございました。

川内委員 と同時に、次長さん、株式会社スーパーナースという看護師の派遣業務をやっていらっしゃるお会社の会長さんであるということは御存じでなかった、知らなかったと。御存じでしたか。政府として認識していたかどうかを答えてください。次長が知っている、知らないじゃないです。政府として認識していたかどうかを答えてください。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で政府としてのことについてはお答えできませんので、持ち帰らせていただきます。(発言する者あり)

とかしき委員長 もう一度、答弁をお願いいたします。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において、当時、そういう認識をしていたかどうか、政府として少なくとも、当時の規制改革推進室として認識をしていたかどうかについては、現時点でちょっとお答えできませんので、持ち帰らせていただきたいと思います。

川内委員 要するに、この当該提案をしたNPO法人、要するに提案をするためにNPO法人を組織したと思われるわけですけれども、この協力会社たるスーパーナースの会社の代表者の方がかつて規制改革推進会議の専門委員をされていた。

 そして、もう一点教えていただきたいのは、NPO法第三条には、NPO法人の原則として、「特定非営利活動法人は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない。」と規定されています。特定の人のために活動しちゃ駄目よというふうに規定されている。

 このNPO法人が、株式会社スーパーナースさん、看護師派遣業の利益を目的として規制改革の提案を行ったのか行っていないのかというのは大変重要な指標になるというふうに思うんですが、確認する必要があると思うんですが、この提案主体を代表して、平成三十年の十一月に規制改革推進会議専門チーム会合で提案内容を説明した人物は、この当該スーパーナースさんに所属する、あるいは関係する人ではないのかというふうに思うんですけれども、確認をしていただけますか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の規制改革推進会議の専門チーム会合では、あくまでも、ホットラインにいただいた提案の内容を踏まえて、その提案を取り上げるかどうかを決定していたと承知しております。

 したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、提案者について一定の確認は行っておりますけれども、提案者の詳細については確認していないという状況でございます。

 当時の議事概要によりますと、専門チーム会合には、当該NPO法人から理事と社員二名が出席していたというふうに承知しております。

川内委員 ですから、次長さん、これはとても重要なことだというふうに思われるので、その提案された方で主に説明をされた方がこの看護師派遣業の会社と関係のある方だったのではないかということを確かめてくださいというふうに申し上げているわけです。確かめますか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革推進室としては、提案内容を基に議論を行ってきたというところでございます。また、先ほども申し上げましたけれども、調査をする特別な権限があるわけではございません。したがいまして、法人の内容につきまして調査を行う、確認をするという立場にはないものと考えております。

川内委員 NPO法を所管する内閣府の方に、これはNPO法との絡みで、もしかしたら利益相反かもしれないし、NPO法に違反しているかもしれないという事案ですから、NPO法を所管する部署として、こういうことをきちっと確認する必要があるというふうに思います。事務所の所在地とか実態とか財務諸表とか、あるいは提案した人がどういう人であったのかということ。

 これは、規制改革はすばらしいことだと思いますよ。でも、その規制改革の公正さ、あるいは正確さというものをきちんと政府としては説明する責任があるというふうに思われますので、NPO法を担当されるところ、セクションで御調査をいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

海老原政府参考人 御質問のとおり、NPO法におきましては、「特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない。」、三条でありますとか、あとは、住所につきましても、「その主たる事務所の所在地にあるものとする。」というふうな規定が六条にございます。

 ただ、認証につきましては、かつては国が直接認証している部分もございましたけれども、平成二十三年の法改正におきまして、全て、地方分権の観点から、都道府県あるいは指定都市に許認可の権限を移しておりまして、私ども国として監督権限はございません。

 したがいまして、個別具体の事案につきましては、各所轄庁、都道府県なり指定都市において適切に判断されるものというふうに法所管の立場としては考えております。

川内委員 そうすると、この当該団体の提案によって進んだ日雇看護師派遣の政令改正が果たして適正なものだったのか、適切なものだったのかということについて検証することができないということになってしまうわけですね。

 政令改正の主体は厚生労働大臣なわけですけれども、大臣、この規制改革推進会議のメンバーだった人が、もしかしたらですよ、分からないですよ、メンバーだった人が、その会社の関係者にNPO法人をつくらせて、提案主体として規制改革推進会議に提案をさせ、そして、かつて規制改革推進会議でお仲間だった人たちに議論してもらう、友達だった人に議論してもらうということに形としてはなるわけで、そこはきちんと、公正さというものを、政府として説明するためにも、調べるべきことは調べるべきではないかと。

 調査はできないですけれども、当該団体に電話して確認することはできるわけですよ。どうだったんですか、スーパーナースさんと関係あるんですかということは聞けるわけじゃないですか。それを聞くことぐらいは御指示くださいよ。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

田村国務大臣 これは、派遣事業者だとかそういう話、私は、私というか厚労省は承知していないわけで、その上で、規制改革推進会議における検討経緯の話なので、我々はこれにコメントをするものではないわけであります。

 要は、規制改革推進実施計画に基づくニーズ調査というのがあって、その結果、一定のニーズがあるということで、我が省としては、それを受けて、社会保障審議会の医療部会で、例えばその業務管理がどうだとか、大丈夫なのかだとか、それから、あとは労働政策審議会の職業安定分科会労働力需給制度部会というところで、これは雇用管理上どうなんだということをいろいろと御議論いただいた上で、最終的におおむね御了承いただいたものなんですよね。

 それはちょっと、我が省というよりかは、我が省は、出てきたものに対して、それが雇用管理や業務管理上大丈夫なのかということを御審査いただいた上で、最終的に了解をいただいて対応しておるものでありますから、これはやはり規制改革会議でいろいろと対応いただく案件なんだというふうに思います。

とかしき委員長 川内博史君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

川内委員 はい。

 時間が来たので終わりますけれども、さっき理事会で出たメモも全部黒塗りですし、ちょっと、政府として、この規制改革に関する説明は甚だ不十分である、もしかしたら大変なことをしているかもしれないというふうに言わざるを得ないので、引き続きこの問題は、しっかりとまたいろいろ教えていただこうというふうに思います。

 終わります。

とかしき委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲民主党の白石洋一です。

 まず、現場の声を厚労省そして大臣に届ける、要望する質問から始めたいと思います。

 一年余りに及ぶコロナ禍で、介護施設あるいは入院されている医療施設において、そこの入居者さん、利用者さん、あるいは入院患者さんが孤独感にさいなまれてしまって、精神的にだんだん弱ってくる、病んでくるとか、さらには認知症が進んでしまうということが多発しているようです。それを職員さん、スタッフとか看護師さんは見るに見かねているというケースが多いみたいです。私のところにもたくさん届いています。

 家族と会うということ、対面の面会ができないというのはやむを得ない面があります。それは制限されないといけないというところはあります。

 であるならば、オンラインで面会するということをもっと大々的にやるべきだと。このコロナ禍というのはまだまだ続きそうです。あと数か月の話じゃない。六月中に高齢者に対するワクチンが全部供給されたとしても、それを打ち終わるのはもう相当先になると思うんですね。だから、長期戦を、一年ぐらい覚悟すれば、そういった精神的に弱っていらっしゃるお年寄りの方々、それを心配する家族のことを考えても、オンライン面会というのを厚労省としても大々的に支援していくべきだと思うんですけれども、現状はどうなっていますでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられるとおり、介護施設は特に長期間入所されているということがあるわけでありますので、なかなかコロナ禍において直接面会というのを、それは、直接面会の方法もあって、そこにちゃんとこういうようなアクリル板を置いてというようなこともいろいろと初めは指導しておったんですけれども、やはり、オンライン等々で対応する方がより確かといいますか、より感染は防げるわけでありまして、昨年、分科会だったと思いますけれども、そういうガイドラインを御紹介をする中において、厚生労働省といたしまして、御評価をいただいた上で、各介護施設にガイドラインとして、こういうような面会の方法がありますというようなことは周知をさせていただいて、感染を防ぎながら、どうか、介護施設に入所されている方々のいろいろな御不安等々、そういうものに対して家族等との面会でいろいろな対応をしていただきたいというようなことは事務連絡等々で発出をさせていただいております。

白石委員 ガイドラインとかあるいは事務連絡、これは分かるんです。でも、結局は、その受け止めた施設がやるかどうかというのは今、善意に委ねられていると思うんですね。いわばサービスですよ。無償の、これはよかれと思ってやるようなことに任されている。

 それではなくて、それは大事なんですけれども、そこから一歩踏み出して、厚労省として支援をするということが大事だと思うんですけれども、そのような制度というのはあるんじゃないでしょうか。

田村国務大臣 実は、感染が拡大をずっとしたときには、そのオンライン等々、御自宅からがいいんでしょうけれども、施設に来ていただいて、オンラインでいろいろな対応をしていただくというのも、それで大丈夫なのかというような話があったのも事実でありますが、いずれにいたしましても、長時間、これはコロナ禍になってから一年たってきておりますから、委員の言われている部分というのは非常に重要な部分だと思います。

 これは、地域医療介護総合確保基金というもので、こういうICT関係のいろいろなタブレット等々、こういうものに対しても対応した補助金といいますか、基金がございますので、こういうものを使っていただきながら対応をしていただく。

 また、そもそも介護報酬の中において、そういう感染防護対策みたいな形のかかり増し経費等々の部分も含めた報酬を、今般の介護報酬改定の中にでも入れさせていただいております。そういうものを含めて対応をいただいていくということであろうと思います。

白石委員 二点おっしゃった。

 まずは、地域医療介護総合確保基金ですけれども、これは結局、申請する先が県であって、そして、関係者の了解を取らないといけないというものがあると思うんですね。

 そういう地域の関係者の了解を取るとかいうのではなくて、この中で、スマートフォンとかタブレットを買う、あるいはオンライン面会用の部屋を用意するとか、そういったものを直接に支援する、そういう制度というのはできないものなんでしょうか。

田村国務大臣 ちょっと今委員から御質問いただく中において、メニューとして一番近いのが先ほど申し上げました総合確保基金、こういうメニューであって、これ自体はもちろん都道府県にお出しをいただかなきゃいけない話でありますけれども、こういうもので対応いただいているところもございます。

 ほかの感染防護の交付金等々が使えるかどうか、ちょっと今にわかに分かりませんので、ちょっと確認をさせていただいて、またお話しさせていただきたいというふうに思います。

白石委員 オンライン面会に特化した支援制度があってしかるべきだと思うんです。

 それともう一つは、かかり増し経費に対して介護報酬で見るというのもありましたけれども、かかり増し経費というのは実費精算ですよね。領収書が出て、その例えば何割かをお支払いする、そういうことですかね。それも大事だとは思うんですけれども、今は施設の善意に委ねられているということで、それだけの手間をかけるところとそうではないところがあると思うんです。

 ついては、そういった手間をかけるのであれば、介護報酬として点数をつけてあげる。それはケアマネさんがちゃんと差配する形、そういう手続を踏むというのはあるかもしれませんけれども。

 オンライン面会を例えば週何回する、それについて介護点数をつけて、ちゃんとその手間ですね、スマートフォンを入居者さんだけじゃない、あるいは入院患者さんだけじゃない、家族の方も連絡を取ってスタンバイをしてもらって、そしてオンライン面会をすると、結構手間がかかります、時間もかかります。

 そういったところに対して介護報酬として点数をつけてあげて、そして施設にちゃんと、それだけの手間暇、時間について国からちゃんと下りてくる、このようにすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 一つ、包括支援交付金というものがあるんですが、これは医療の方のいろいろなかかり増しのところに使うお金でございます。これは比較的、かかり増しで、いろいろな医療機関から要求を受けて、しっかりと給付をいただいておるというふうに思います。

 介護の方は先ほど言ったやはり地域医療介護確保基金というやつなんですが、今言われたのは多分そうじゃなくて、オンラインに特化したような形で何かないか、ましてや介護報酬でないかというお話だったと思うんですが、あくまでも介護報酬というのは介護上のいろいろなサービスに対しての報酬でございますので、オンラインの面会に特化してというのはなかなかメニューでつくるのは難しいんですが。

 ただ、今回の改定で、〇・七%改定をさせていただく中において、これは今年の九月まで、九月いっぱいまでという形で、上半期という形でありますが、ここは、そのうちの〇・一%分をコロナ対応という形でつけさせていただいております。

 ですから、そういうもの、介護報酬ですからなかなか色がない話なんですけれども、そういうものを使いながらいろいろな対応をしていただくということは可能であるというふうに考えております。

白石委員 介護報酬ということで、今柔軟な対応ができるということであれば、介護施設で食事を提供する、お風呂に入れる、そういった身の回りのサービスをする、それで介護報酬は点数がつきますよね。その追加項目として、オンライン面会をサービスとして提供する。このことについて、ちゃんと施設に対して報いるような介護報酬体系に追加していただけないかということなんですよ。

田村国務大臣 間接的に言うと、委員は、それによって要介護者がお元気になられるだろうから介護サービスではないかというような多分イメージなんだと思いますが、なかなか、今の介護報酬上のサービスというものは、その方に対して、例えば症状がよくなったりでありますとか、自立に向かっていくようないろいろな改善若しくは悪くさせないためのいろいろな対応というものを具体的にやっている、つまり介護事業者、介護従事者が対応しているというものでございまして、家族の面会を手助けするための介護サービス報酬というのはなかなかちょっと、今これはそういう発想でないものでありますから、御提案は御提案としてお受けいたしますけれども、これを介護報酬の中に入れていくというのは事実上はかなり難しいものになってこようと思いますので、やるとすれば他の方法、先ほど来言っているような、いろいろな他のメニュー、介護報酬ではないものでやっていくというのが、これは本来的にはより近道であるのではないかなというふうに考えております。

白石委員 そういう、善意に頼る、あるいはかかり増しで経費が出たらそれを見る制度があるというのであったら、施設によっては、非常にそこを丁寧にやるところもあれば、そういう、介護報酬の点数に乗ってこないんだったらやらないというようなところもやはり出てくると思うんですね。それで、これからの半年、一年ぐらい、高齢者の方々、乗り切れるのかというところが問題意識なんです。

 ですから、例えばヘルパーさんは家事のお手伝いをする、そのことによって介護報酬をその施設は得るということもあるわけですよね。ですから、その一環としてオンライン面会をするということについて、もちろんそこには、やみくもにやるんじゃなくて、ケアマネさんのメニューの中に一つ入れて、それを、ちゃんと施設に対して報いるような形にしていただきたいんです。

 もう一度、大臣、お願いできますか。

田村国務大臣 実はそういうものも含めて今回〇・七%改定をさせていただいているわけでございまして、全てが全てコロナ対応というわけじゃありませんけれども、少なくとも〇・一%はその中で、コロナ対応という形の中で割増しをいただいているわけでありまして。

 ちょっとなかなか、そういうような発想でやれるのかどうか、ちょっと私も今ここで即答はなかなかできないということは御理解いただきたいというふうに思います。

白石委員 是非検討をお願いします。現場の声です。

 次に進みます。

 今、介護施設は、たくさんの工程が加わってきて忙しいんですね。利用者さんは減っているかもしれない。でも、いろいろな工程、感染防止の、すぐ消毒してそこを拭くとか、いろいろなことが出てきている。

 そんな中で、厚労省からマニュアルを作ってくださいという通達が来ているらしいんです。個別の事業所が現場現場に合わせた形で自分たちでそれを一から作るというのは非常に時間がかかるし、今はそれどころじゃないということなんですね。今は職員さんにも余り負荷をかけられないから、経営の方、運営している側が非常に大変だということなんです。例えば、感染予防のための対応例であるとか、あるいは感染者が発生した場合であるとか、もう一つは、何か災害が発生した場合の対応、これらを、マニュアルを作りなさいというのが来ているらしいんですけれども。

 厚労省さんにお願いしたいのは、それらは、厚労省として、こういうふうなマニュアル例があります、基本的にはそれに沿ってください、それをソフトファイルで渡して、それを事業所によって、合わせた形で変えていく、こういった形にしないと回らないという声があるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 やはり、感染予防、感染拡大を防止するために、それぞれの介護施設等々、事業者がいろいろな努力をいただくということ、これは必要で、実際問題いろいろなことをやっていただいているんだと思いますが。

 その中で、今、多分、介護事業所の中でも、それぞれの、言うなれば業種ごとといいますか、入所系でありますとか訪問系でありますとか通所系でありますとか、いろいろなものごとに、じゃ、どういうものを作ればいいんだというようなお話なんだと思います。

 一応、サービス類型ごとに業務継続のガイドラインというもの、これはお示しをして、周知をしているところでありますが、このガイドライン、これに沿った形で、サービス類型ごとのひな形、こういうものもお示しをしております。これは、先ほど言ったガイドラインにのっとっておるものでございますから、このひな形を使って、ガイドラインと参照しながらマニュアルをお作りいただくと、比較的、必要なといいますか、本来そのガイドラインに沿ったものができ上がってくると思いますので、そういう意味からいたしますと、そういうものを使っていただくということが一つであります。

 それから、あとは、より感染対策については、介護現場における感染対策の手引きでありますとか、介護職員のための感染対策マニュアル、こういうものを作成して、サービス類型ごとにこういうものもお示しをしているところでございますので、もしそういうのでお困りでございますれば、厚労省に言えば、一応周知はしているんですけれども、個々で伝わっていないということであれば、委員おっしゃっていただければ、具体的なものをまた委員の方にお示しをさせていただいて、そのお知り合いの事業所等々にお示しをいただければありがたいというふうに思います。

白石委員 そういったものがあるということは知っていますし、伝えています。それをもっと周知させる、お示ししているというのを徹底するということと、それと、やはりまだすかすかだと思うんですね。項目が並べてあるというものを、例えば、大中小の規模であるとか、通所とか入居とか類型別にそれをやって、作っていただいて、それをほぼそのまま、それにプラスアルファ、あるいは取り除くとか、そういった形で、むしろ指示する、こういった形でしてくださいというようなものを出していただければというふうに思います。要望させていただきます。

 それと、もう一つは、一年間コロナ禍が続いて、介護施設等でもクラスターが発生してきています。そのときに、どういうふうに対処するべきなのかということと、どういうアクションをするかということと、そのときにどんな制度があるのかということが、施設を運営している人とかそこで働いている人の問題になるわけですね。それらについては、もう相当な蓄積が出ていると思うんです。

 例えば、私のところで、そういったクラスターが発生した場合、支援制度というのはどんなものがあるのかということを聞かれて、結局、私は、厚労省のいろいろな部局のお話を聞いて、自分で整理してそれをまとめたりしました。それがいいのか、正しいのかどうかというのは分かりません。一応、厚労省さんにも見せましたけれども。

 申し上げたいのは、感染者が施設で発生した場合に、例えば、労災がある、健康保険がある、それから労基法の規定もある、就業規則もある、そして先ほどおっしゃった、感染者が出た場合のかかり増し経費を見るよというような制度がある、こういったものを整理して示す。さらには、場合分けをして、できればフローチャートみたいなものを作って、もし、これから起こってくるでしょう、クラスターというのは。起こった場合も、施設管理者は、一からそれを考えてたどり着くのではなくて、それを見ればすぐ支援してくれる制度に申請できるというものを作っていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、介護事業者、施設等々でという多分具体的なお話なんだと思います。

 言われるとおり、クラスターが出たときに、例えば、出れば全員に対して行政検査で、これは無料で検査ができるでありますとか、それからあと、感染管理の専門家、これを今都道府県でそれぞれ要請いただいて、出た場合にはすぐ感染管理しないとクラスターが広がってしまいますので、そういうものもございますし、今委員が言われたとおり、労災保険の療養給付、療養補償給付でありますとか休業補償給付もあれば、傷病手当、これは健康保険でありますけれども、こういうものもありますし、様々なものがあるものがなかなか分かりづらい、これは委員のおっしゃられるとおりだと思います。

 委員の御意見も踏まえさせていただきながら、より分かりやすく周知するにはどうするべきか、ちょっとこれは検討させていただきたいというふうに思います。

白石委員 私も厚労省さんに聞いたら、老健局さんに聞いたら、これは老健局はここまでです、それ以外のところは分かりません、ほかに聞いてください、こういう、議員でもたらい回しされるわけですね。ましてや施設の運営者はもっと悲惨な目に遭うだろうというふうなことが想像されます。

 ですから、ここまでたくさんの知見があるわけですから、それを厚労省の中だけでもいいです、部局横断的に整理して、そして、それも一気に整理したものを見るだけでも分からないですから、ステップ・バイ・ステップのフローチャートみたいなもので場合分けをして、それで、すぐその支援してくれる制度にたどり着けるようにしていただきたいんです。

 特に、感染が発生したら、いろいろな問合せとか、あるいは電話とか鳴って大変だと思います。そのときに、これがあればすぐに対応できるというものを作っていただきたいと思います。確認で、大臣、お願いします。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、どういうメニューがあるかというのは、言われるとおり、様々な部局に広がっておるわけでありますから、なかなか一つの部署でというわけではございませんので、ちょっと、委員の今の御意見もいただきながら、検討させていただきたいというふうに思います。

白石委員 次の質問に移ります。

 発達障害児のことなんですけれども、発達障害児を抱えるお母さんからのお話で、どこに行っても同情はしてくれるんだけれども結局何もしてくれないということで、打ちのめされているお母さんからで、これは、どうしてもやはりこういう公の場で対応を厚労省として考えていただきたいということがあります。

 発達障害児の高校生です。その高校生はこだわりが強くて、学校で勉強する意欲はあるんですけれども、学校で使っている教科書と同じような順番で、同じデザインで、レイアウトであるような、そういう参考書でないと勉強してくれないんですね。逆に言えば、同じような順番で、同じような用語で、レイアウト、アイコンだとかデザインとかであれば勉強してくれる。

 中学まではうまくいったんです。中学は教科書指導書というのが市販されているからです。教科書指導書があるから、それを入手して、その子に事前に予習してもらって、それでもって学校に行ったら勉強する。それが、その教科書指導書以外の参考書だったら受け付けない、学校に行っても何もしないということで、とにかく教科書ガイドラインというのが大事だったんですけれども、高校に入ったらそれが入手できなくなったんです。

 いろいろなところに当たって、高校の教育委員会、県にありますね、であるとか、あるいは教科書を発行している会社であるとか、あるいは高校の先生。高校の先生は、これは普通科なんですね。その子は、発達障害ではあるんですけれども、知能指数は一〇〇以上あるので、特別支援学校に行くようにはなっていないんです。通常以上の知能はあるわけです。ですから、普通科。そこで相談してもはねられる、同情はしてくれても何もしてくれない。特別支援学校に言っても、これは売れませんということなんですね。

 私も調べてみたら、高校用の教員向け指導書というのは、中間テストとか期末テストの問題例があって、その答えが載っていたりして、それが出回るとまずいということが非常に強くあるみたいです。ほかにも、板書の例だとか、教員にとってはあんちょこといいますか、余り生徒には見られたくないようなものがあるということなんです。

 発達障害でもこういうパターンの子がいる。そのパターンに合わせさえすれば勉強をしてくれて、行く行くは自立した生活ができる。大学にも行きたいというふうに言っているんですね。

 であるならば、もっと寄り添った対応をしてほしいんです。私も、文科省さんとか教科書協会さんとか、あるいは厚労省さんにも相談しましたけれども、それは大変ですねとは言ってくれるんですけれども、具体的に何かというのがないんです。

 ですから、結局は、その発達障害の子は、市販されている参考書を買っても見ない、勉強する気がないということで、お母さんは困っているということなんですけれども。

 発達障害者の自立を支援するということから考えても、もっと寄り添って対応してくれるべきだと思うんですけれども、まずは厚労省さん、いかがでしょうか。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 発達障害児の皆様方の自立支援に向けて、関係機関との連携の下に、地域での総合的な支援体制の整備を進めることが非常に重要だと考えております。

 このため、都道府県、指定都市に設置されます発達障害者支援センターにおいて発達障害者及びその家族の方からの御相談に応じるとともに、教育、医療、保健等の関係機関と連携しながら、専門的知見に基づく助言を行っております。

 また、放課後等デイサービスにおきましても、発達障害を含め障害のある高校生までのお子さんに対し、授業終了後に、生活能力の向上等のための自立に向けた支援を行っているところでございます。

 厚生労働省としましては、こうした支援策を通じまして、発達障害のあるお子さんの自立を支援してまいりたいと考えております。

白石委員 じゃ、文科省さんはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

丹羽副大臣 御指摘の教師用の教科書指導書につきましては、教師が生徒を指導するために使うものでございまして、教科書会社から発行されているものでございます。また、その性質上、教育委員会や学校を対象として販売はされております。

 これを、例えば一般の個人向けに販売するかどうかにつきましては教科書会社自身が決めるものでございまして、国として生徒に対して販売又は貸与するように発行者に促すことについては差し控えることが適当かなというふうに考えております。

白石委員 文科副大臣、お忙しいところありがとうございます。

 その基本原則は原則としてありながら、例外的な対応を、例えば、ちょっとこれは外に出たらまずいというようなものを除いた形で、結局は、その子はテキストの行間に分かりやすい説明があるということが大事なんですね、同じレイアウトの中で。そういった部分だけを抜き取って、教科書ガイドの発行者のところでコピーしたものを実費でお分けするとか、そのお分けする対象としては、ちゃんとこれはお返ししますとか、そういった一筆を保護者に書いてもらうとか、あるいは医師の診断書をもらうとか、そういった念書をもらったりすることによって対応ができるんじゃないか。

 この辺り、何か考えていただきたいんです、副大臣。この辺り、検討していただけませんでしょうか。

丹羽副大臣 教師用の指導書、これを発行しているのは教科書会社でもございます。文部科学大臣は当該会社の教科書を検定する立場でございますので、例えば文部科学省からこの教科書を出しなさいとかこういったものをつくりなさいと言うことは、なかなか、立場上、差し控えなきゃいけないかなというふうに思っております。

白石委員 厚労省さんは発達障害者、発達障害児がちゃんと自立して生活できるように見てあげる、後見的な省庁だと思うんですけれども、何か寄り添ってサポートしていただけませんでしょうか。

赤澤政府参考人 先ほども申し上げましたように、発達障害者の方が自立して生活を送るということは大変重要でございます。

 私ども、先ほども申し上げました発達障害者支援センター、ここでは発達障害者の方々の御相談に応じるとともに、教育とか医療、保健等の関係機関と連携しながら、専門的な知見に基づいて支援をさせていただいているわけでございます。こういう支援の中で、発達障害者の方々が地域において自立して生活できる、非常に自立支援できるという形で支援するということが我々としての政策ということになるということで対応させていただきたいと思っております。

白石委員 こういう子がいるということで、是非これから寄り添って、それはもう、ちょっと現場のところでは難しいんじゃないかと思います。本省として何か知恵を、合理的配慮の一環として考えていただくことをお願いします。

 次の質問ですけれども、地域医療圏構想、これは前の法案のときによく議論されていましたけれども、私の、現場、地域のニーズとしては、病床数というのは、患者の立場、住民の立場では余り問題ではない。医療圏として問題なのは、必要な分野別医師がちゃんといないということですね。例えば、この病院はせっかく救急病院で救急に入院する患者さんが来るんだけれども麻酔科がないとか、あるいは、この地域にはカテーテルを使える医師がいないから隣の県まで行って診てもらわないといけないとか、そういう話はたくさん聞くんです。

 ついては、この地域医療圏において一番の優先というのは、その圏域でちゃんと分野別の医師が適正な人数がいるかどうかが一番大事なことであって、病床数が、分野別、機能別ですか、機能別に多いか少ないかというのは後回しでいいんじゃないか。むしろ、多過ぎる病床数というのは、病院経営の判断によって、裁量によって、それは経費がかかる割に患者さんが来ないということで自然に減っていくということで、それは二の次に任せておけばいいと思うんですけれども、厚労省の方、そこを答えていただけますでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘の医療提供体制の構築でございますけれども、医療機関の設置主体、これは公民様々ありまして、地域の実情を熟知する都道府県を主体とした、医療資源の配置状況を示す客観的な数値といいますか指標、これが病床数でございまして、それを通じて適正かつ効率的な配置に基づく体制づくりに取り組むというのが基本的な考え方でございまして、特に今後、人口減少それから高齢化に伴って、将来的な需要と供給のミスマッチ、これが課題になっておるというのは多分委員も御指摘の点だろうと思いますけれども、将来の医療需要に見合った医療体制の構築を目指すという視点で、実態に即した必要病床数を推計をして病床機能の分化、連携を進めるということと、それから、あわせて、もちろん医師の偏在とか不足の問題も重要でございますので、地域間、診療科間の偏在対策にも取り組んでいるというところでございます。

白石委員 やはり聞いても病床数が先に来て、その後、地域医療圏の人口当たりの医師数というのは後に来るということで、私、ここでちょっと思考停止が起きているんじゃないかなと。

 私はそういった分野から縁遠いものですから、どうしてもそこが分からないんです。むしろ、地域の実態というのは、医療圏、大体車で一時間以内で行けるところに自分が診てもらいたいお医者さんがいないということが一番大事であって、それを適正に配分する。ここにはある程度強権を発動してもいいぐらい、コントロールしていただきたいんですけれども。そこを副次的なものとして、なぜ病床数の方を先に見ていくのか、もう一度説明してください。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、提供体制、これは施設、具体的には病院とか診療所、こういったいわゆる建物とか土地も含めてですけれども、そういう部分と、マンパワーの配置、両方相まってということだろうと思います。

 これは、いずれももちろん重要ではありますけれども、特に医療全体で見たときに、大きな規模の投資でありますとか施設整備はどうしても病床、病院になりますので、そうしますと、長期的にやはりこれを、サービスを適正に提供して投資を回収するという作業が必要になってまいります。もちろん、医師も一定程度配置は必要でございますし、ただ、施設整備の配置と医師の配置を考えたときには、より流動性が高いのはマンパワーの方かなと。

 逆に言いますと、長期的な視点でちゃんと整備をしないと、病院、病床を一挙に、サービスにミスマッチして整備してしまった場合に影響が大きいということになりますので、両方大事なんですけれども、我々としては、まず、都道府県中心に構築をするときに、まず病床、医療施設の配置、こういったことを重視しているという考え方でございます。

とかしき委員長 白石洋一君、申合せの時間が経過しております。

白石委員 はい。

 施設、病床が非常に流動的に、機動的にできないというのはちょっと分からないです。それは経営に任せておく、院長、理事長のレベルじゃないかなと思います。

 これで終わります。

とかしき委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。

 今日は、この高齢者の医療、窓口負担二割の法案の審議、そしてそれにまた関連して、コロナのワクチンあるいは緊急事態宣言、その医療について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、大変お忙しい中、お疲れの中、尾身コロナ分科会長におかれましては、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。尾身会長のことは多くの国民が大変信頼をし、頼りにしておりますので、本当に大変かと思いますが、是非とも御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、この二割負担の問題ですが、質問通告に従って田村大臣にお伺いをしたいと思います。

 私たちも、二割に引き上げることを、議論もしない、未来永劫議論もしないというわけではありません。私たちの仲間でも、二割に上げるべきだとか、賛否両論、両方あります、正直言いまして。

 ただ、それこそ、医療が崩壊して人が亡くなろうとしている、そういうさなかに二割負担の議論をして決めますかということなんですね、申し訳ないですけれども。やはりそこはどう考えてもおかしい。

 私たちも、今回出しております対案の中で、公費も含めてですけれども、保険料の引上げという応能負担での財源というものを私たちなりに考えているわけであります。

 そこでなんですが、質問通告しておりますが、今後、二割に引き上げていくと、七十五歳以上の方は、今日の配付資料によりますと、平均、配付資料の三ページ目ですね、赤字にありますが、年間三百七十万人の方が約二・六万円負担増になるという資料が出てきております。この配付資料の三ページ目の右ですね、二・六万円、年間負担増になる。これはもう厚生労働省の当然試算であります。

 それで、私が質問したいのは、現役世代の負担減の方なんですね。二ページ目に戻っていただけますか。この二ページ目を見ていただきますと、支援金総額に対する抑制効果七百二十億円で、それで、これは一人当たりにすると七百円、現役世代が約一億人ということでありますから。

 そこで、改めてお聞きしたいんですが、現役世代の負担が軽くなるとおっしゃいますが、年間一人当たり幾ら抑制になるのか、それは、一日当たりに換算すると、負担額は現役世代一人当たり幾ら負担減になるのか、お答えください。

田村国務大臣 委員御承知のとおり、令和四年度から団塊の世代の皆様方が後期高齢者になられるということで、ここで医療費全体、後期高齢者支援金自体が膨らむということがあります。

 それはそのまま現役世代の負担の増大になりますので、それを何とかしなきゃならないということで、この令和四年に向かってと。でありますから、それまでに準備期間が要りますので、どうしても今国会でこれを御議論いただいて成立しないと、やはり、周知期間等々を含めますと、今がやるべき。

 ですから、すぐに負担が増えるという話じゃなくて、それは令和四年度に入ってから、十月以降、その年度中にどこでやるかということは、保険者等々の状況等々を踏まえながら対応させていただくということになります。

 その上で、全体として、今言われたとおり、七百二十億円というような形で負担の軽減という形になるわけでありますが、これは、現役でいいますと一人当たり七百円という形になりますが、これは、一日。(山井委員「一日」と呼ぶ)ですから、年間七百円ですから、二・幾らという、一・九幾らかな、約二円ぐらいという話になります。

山井委員 そうなんですね。これ、現役世代の負担が軽くなるというけれども、一日二円なんですね、一日二円。

 私、この七百円というのも、一か月七百円負担軽減になるのかなと思ったら、一か月じゃなくて年間七百円。一日二円。やはり、例えばそのために二割負担するということは、当然これは理屈が通らないと思うんです。ですから、現役世代の方々は、いや、現役の負担が軽くなるんですといって、ああそうか、それだったら後期高齢者の方々に我慢してもらおうかなと思うけれども、一日二円と聞いたら、年間七百円と聞いたら、いや、そんなのだったらいいわと、私ははっきり言ってなると思います。

 それと、もう一つ、そのことに関係してなんですが、これは先ほど大島議員も質問されていたんですけれども、法案に年収二百万円以上と入っていないんですよね。ということは、近いうちに、気が変わって、二百万円じゃなくて、もう七十五歳以上全員二割にしますというふうにもし決めた場合、そのときに法律改正、法案審議、国会での審議は必要なんですか。それとも、国会での審議や法律改正なしに、全員の七十五歳以上の人を二割にできるんですか。どちらですか。

田村国務大臣 まず、二円と言われますけれども、要は、二〇二五年に団塊の世代が全部七十五歳以上になられるということで、令和四年からそれが始まり出すわけでありまして、それに向かってまずはという形であります。

 ピークは、御承知のとおり二〇四〇年頃、高齢者のピークがやってまいりますので、それに向かっていろんな対応をこれから考えなきゃならないというふうに思います。

 立憲民主党の御提案の賦課限度額、これに関しても、意見は審議会の方でいろんな御意見をいただきました。ただ、準備期間、これは関係者の御理解をいただかなきゃなりませんし、さすがに八十二万円となると、これはちょっと、後期高齢者と国保は違っておりまして、国保は世帯収入でありますし、後期高齢者はそれぞれ個人の収入でありますから、ちょっと、若干同じにはならないと思うんですが、しかし、この賦課限度額を我々も上げてきておりますから、これもこれから、いい提案をいただいておるなということでございますので、今回で終わる話ではありませんから、いろんなことをやりながら、この後期高齢者といいますか、日本の皆保険制度を維持しなきゃならないというところに一番の重要性があるわけでございます。

 翻って、今のお話に戻りますけれども、まだ法律を今この国会におかけをさせていただいている最中でございまして、今、現時点でこれを引き上げるなどというようなことは考えておりませんが、もし将来そのようなことがあった場合には、これは、法律改正事項ではなくて、今までもほかの、今、高齢者の方々は三割負担の部分がございますよね、これも三割負担ということは法律に書かれておりますけれども、金額に関してはこれは政令で定めるというふうになっておりますから、それと同じたてつけでございますが、もちろん、これは審議会でいろんな皆様方の御意見をお聞かせをいただきながら、国民の皆様方に一定の御理解をいただいた上で進めていくことになろうと思いますが、とにかく今は、そんなことはまだ毛頭何も考えていないということであります。

山井委員 念のため確認しますが、国会審議、法改正は必要なんですか、必要でないんですか、お答えください。

田村国務大臣 今お答えいたしましたけれども、要は、これは法律に書かれている事項ではなくて、政令で定めるところでございますので、国民的な、いろんな御意見をいただいて、政令で定めるということになります。

山井委員 これは怖い話ですね。そういう意味では、この二百万以上というのは何の歯止めにもならないんですよ。これは、今回の法改正を送ったら、後はもう政府と審議会で、やろうと思えば、法改正なしに全ての七十五歳以上の高齢者の窓口負担を二割にできる。

 だから、そういう意味では、私たちもこれは本当にちょっと認識を改めないと駄目ですよ。年収二百万円以上の人だけの二割負担の法案審議じゃなくて、全ての七十五歳以上の高齢者の二割負担を可能にする法案だということですから、これは本当に私は非常に重大なことだと思います。

 本当にこれは大変なことですよ。法改正が必要でも、これだけあっさりと皆さん方は通そうとされているぐらいですから、法改正が必要でなかったら、あっという間に、低所得者も含めて二割負担になることを国会としてブレーキをかけられないということです。そういう意味でも問題は大きいと思っております。

 それでは、また後ほどこの法案の話はしますが……(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛にお願いします。

山井委員 大変お忙しい中、尾身会長にお越しをいただいておりますので、尾身会長にお聞きしたいと思います。

 尾身会長とは、ここ三週間ぐらいにわたって、お忙しい中、議論をさせていただいておりますが、ここでの尾身会長と私の議論で議論しているとおりの事態になってきていると思うんですよ。蔓延防止措置、遅過ぎたんじゃないですか、手遅れだったんじゃないんですか、どんどん増えていったら緊急事態宣言に切り替えないと駄目なんじゃないんですか、その切替えが二週間様子を見ていたら手遅れになるんじゃないんですか、近いうちに千人を超えるんじゃないんですかと、もうずっと言っていたとおりの展開に残念ながら今なってきております。

 そこで、お聞きしたいんですが、尾身会長、今、大阪はステージ3ですか、4ですか。今日の配付資料にも昨日のデータが出ておりますが、尾身会長の認識として、今日の配付資料五ページにありますけれども、大阪はステージ3ですか、4ですか。

尾身参考人 お答えします。

 大阪は、幾つかの指標はステージ3のところがありますけれども、指標がもう4になっている、指標という意味では4になっているところがあるというのが今の現実だと思います。

山井委員 そうです。大阪はもうこれはステージ4になっているんですね。それで、ここの配付資料の四ページにもありますように、蔓延防止措置はステージ3、それで、ステージ4は緊急事態宣言というふうになっているんです。

 特に昨日は、陽性率が一八・三%、さらに、重症病床に関しては、重症病床が二百二十四人のところに、昨日は重症患者が二百三十三人と、事実上、重症患者が上回ってしまった。それで、報道によりますと、必要な医療を受けられない、それで亡くなる人が出るんではないかという、もう医療崩壊の状態だという悲鳴を医療関係者の方々も現場で上げておられます。

 そこで、菅総理も、一昨日、尾辻議員の質問に対して、一月の緊急事態宣言のときよりも状況は厳しいということをおっしゃいました。これは見てもらったら分かりますように、尾身会長にお聞きするのも失礼かとは思いますが、一月の緊急事態宣言のときよりも今の方がはるかに深刻な事態になってきております。

 ついては、ストレートに言いますが、私の住んでいる京都も大阪の隣で、大阪が感染爆発したらこれはもう大変なことにもちろん京都もなるわけです。さらに、後手後手に回れば経済的な打撃もますます深刻化します。ついては、大阪も緊急事態宣言を出すべきではないでしょうか。いかがですか。

尾身参考人 委員おっしゃるように、大阪の状況は私は極めて深刻だと思います。

 午前中も申し上げましたけれども、大阪の場合は、新規の感染者数は早晩下方に転じる可能性はあると思います。しかし、医療の方が重症者がどんどんどんどん積み重なってきますから、今でももうかなり逼迫しているので、これから更に深刻度が増すと思います。

 したがって、今一番重要なことは、外出自粛等々で感染者を更に低めるという、これからですよね、ということはもちろん最も重要なことの一つですけれども、今最優先課題は、このまま放っておくと、いわゆる医療の崩壊というようなことが文字どおり起こる可能性があるので、何とかしてこれは、府と周辺の自治体も、あるいは全国の関係者、国のリーダーシップで、何とかこの感染者、特に重症者の増加がもうこれは間違いなく起こりますから、これから。それを何とか対応できるような供給体制の更なる強化。しかし、それは大阪だけではできない可能性があるので、全局的なサポートも必要だと思います。

 そういう中で、今一番何をすべきかということを考えるべきで、その中で、重点措置というフレームワークの中を幾ら強化してもできないのであれば、あるいはできるのであるかは十分判断して、できないんだったら緊急事態宣言だし、という判断をもう私は早晩すべきだと思います。

山井委員 早晩すべきであろうということなんですけれども、私は今週だと思います。もう猶予はありません。おっしゃったように、感染者の伸びが鈍ったとしても、重症者は一テンポ遅れて増えるわけですから。もう昨日で重症患者の数は重症者ベッドの数を超えてしまっているんですよ。

 例えば、今緊急事態宣言を発出しても、効果が出るのは二週間先なんですよ、これは。四月末なんです。今出したとしてもですよ、二週間かかる。ということは、もう大急ぎでやるしかないんです。早晩じゃなくて、尾身会長、今週、緊急事態宣言の検討を大阪はすべきじゃないでしょうか。

尾身参考人 いろんな判断はそんなに猶予、時間をかけてやることはできないと私も思います。

 そのときに、やはり、これはちょっとしつこいようで申し訳ありませんが、今の状況を何とか改善したいわけですよね。そのときに何が必要なのかということを、緊急事態宣言か重点措置かということの、当然そこは判断をするわけですけれども、その前に国と自治体が一体何が足りないのかということをしないと、ただ緊急事態宣言。実は緊急事態宣言を出しても、前回は、途中からはもう協力が得られなくなっているという状況もありましたよね。

 したがって、私はもう早急に、委員おっしゃるように、私はそんなに時間をかけて判断すべきではないと思いますけれども、その前に、一体何が足りないのか、一体、じゃ、何をすればいいのか。これは、言ってみれば、飲食店を休業要請するのか、それこそイギリスのようなロックダウンをするのか、そういうようなことを議論しないで、ただ緊急事態宣言、重点措置ということだけを議論しても、委員はそういうことをおっしゃっているわけではないですけれども、私は本質的に今の大阪に何を求めるかというのを真剣に、早急に。これが今の重点措置の夜八時、それはやはり時短は八時ですよね、そういうこと、あと、重点検査、あるいは飲食店の見回り。

 こういうパッケージになっているんですけれども、それでは足りないかどうかというのを早く議論して、足りないのをやるためには重点措置では難しいのであれば、あるいはそれでいいのか、そういう議論を早くやるべきで、それで、重点措置ではできないという判断があれば、緊急事態宣言をやるし、いやいや、重点措置でもっとやればできるんだという判断だったら、それを徹底的にやればいいと思います。

 その議論が、早く、国と、それから府でしっかりとやらないで、単に言葉で、緊急事態宣言、重点措置ということだけを議論するより、そのことは重要ですね、いずれそういうことになりますけれども、その前に、そっちの本質、原因は何で、何をすればいいのかということを徹底的に短期間の間にやって、それで、緊急事態宣言を出さなければこの状況を改善できないというんだったら、早速、時間を置かずに判断すればいいと私は思います。

山井委員 私、改めてお聞きしますが、この議論、尾身会長とこの場で二、三週間やってきているんです。

 それで、尾身会長も、毎回、緊急事態宣言、蔓延防止措置、言葉だけじゃなくて何をするかが重要だということをおっしゃっていまして、私もそれは全く同感です。

 でも、二、三週間、この議論は続けてきているんです。今はもう検討のときじゃなくて、決断のときが来ていると思うんです。まさに緊急事態宣言に切り替えるか。それを早晩とおっしゃっていましたが、早晩とおっしゃるんでしたら、あしたもアドバイザリーボードを開かれるという話も聞いております、今週、大阪、緊急事態宣言の検討の議論をやるべきじゃないですか。いかがですか。

尾身参考人 アドバイザリーボードは今日やりますので、大阪のことも含めてしっかりと、多分、評価についての真剣な議論が、私は今日されると思います。

山井委員 では、今日、大阪に緊急事態宣言を出すべきかどうかという議論もやるということでよろしいですか。

尾身参考人 お答え申し上げます。

 アドバイザリーボード自体が、緊急事態宣言を出すかどうかという判断はする組織ではないので。ただし、大阪の状況が今どういう状況になって、何が足りないので何をすべきか、一体何が原因だったということは、前回よりも更に深い議論がされると思います。それは非常に、国あるいは我々分科会なんかの判断にも当然影響すると思います。

山井委員 兵庫、大阪で、私の知り合いの老人ホームでも、三十代の方がクラスターの処理に奔走されて、職員の方ですけれども、コロナで亡くなられました、小さなお子さんを置いて。周りの方々は、これはもう戦死だ、殉職だとおっしゃっています。こういう方が増えるんですよ。一日、二日、議論しましょう、議論しましょうと言っている間に、どんどん人がこれから亡くなっていくんです。

 先日も議論したように、第三波では七千四百人が亡くなられて、第四波ではそれを超えるかもしれないと尾身会長もおっしゃった。コロナによる死者だけじゃなくて、これによって景気後退が長引けば、経済的な死に及ぶ人もいる。一日の判断の遅れが国民の死につながるんです。だから言っているんです。

 改めて、アドバイザリーボードというよりも尾身会長にお伺いしたいと思いますが、尾身会長御本人は、今週、大阪の緊急事態宣言を検討すべきだというふうに思われませんか。

尾身参考人 お答えします。

 私は、今日のアドバイザリーボードは様々なデータが出てくると思いますので、今ここで私個人の意見というのを言うことよりは、しっかりとアドバイザリーボードの様々な評価、指標を見て、これは恐らく、国の方も、大臣なんかも含めていろんなことを考えるでしょうから、もうあと数時間ですので、今ここで、私は、出すべきかというよりも、先ほど申しましたように、状況が一体どうなっているのか、特に医療の体制の整備というものがどうなっているのか、それについてということも、直近の情報が入ってくるはずですから、そういうことを踏まえて、今日いろんな議論をするつもりであります。

山井委員 いや、これは、私たちは継続的にずっと議論をしてきて、申し訳ないけれども政府の取組は後手後手になっているんです。その後手後手の中でも、辛うじて私は、リードしてくださっているのは尾身会長だと信じているから、こうやって質問をさせてもらっているんです。

 状況がどうなっているか議論するとおっしゃいますが、どう見たって緊急事態宣言のときよりも厳しいですよね、誰がどう見たって。この指標を見たって、これはステージ4ですよね。もうどう考えても大阪は3ではありません。それは、議論はあるでしょうけれども、もう明らかじゃないですか。

 私は、申し訳ないですけれども、ちょっとうがった見方をすると、蔓延防止措置というのが緊急事態宣言を出さないためのブレーキ、言い訳になっちゃっている。本来だったらステージ4で当然緊急事態宣言を出しているときが、いや、蔓延防止措置をやっていますから、効果を見極めていますからということで、結果的には対策を遅らせる要因に蔓延防止措置がなりかねないのではないか。私の大阪の友達もみんな言っていますよ。まだ緊急事態宣言じゃないんでしょう、蔓延防止措置でしょう、緊急事態宣言は出ていないんでしょう、それほど緊急じゃないんでしょうと言っていますよ、大阪の知り合いの多くは。それでは失われる命があるわけです。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、ある指摘は、今週バイデン大統領と会うために訪米をされます。そういう訪米もあるから、訪米前には緊急事態宣言の議論は余りしたくないんじゃないか、こういう指摘があります。私は、そんなふうには思いたくありません。でも、万が一、訪米とかそういうことがあるから、訪米から帰ってきてから難しい緊急事態宣言の議論はしようというふうにして、一週間遅れて、そのことによって、経済がもっと低迷が長引き、死者が増えたりしたら、これは許されないことだと思います。

 尾身会長、ちょっとこの七ページを見ていただきたいんですけれども、配付資料の七ページですね。これは、英語で言いますと、緊急事態宣言は、左上にありますように、七ページですね、私の配付資料の。デクラレーション・オブ・ア・ステート・オブ・エマージェンシー、緊急事態の宣言。これは明らかですよ、外国人から見ても。ところが、蔓延防止措置、この右上、読み上げます。プライオリティー・メジャーズ・トゥー・プリベント・ザ・スプレッド・オブ・ディジーズ、病気の拡大を防ぐための優先的措置。すごい弱いんですね。これは、日本語以上に、英語にするとかなりニュアンスが違う。

 だから、これはうがった見方だということをお許しいただきたいんですけれども、オリンピックもある、訪米もある、外国人の受ける印象が、エマージェンシー、緊急事態、これはちょっとまずいよねと。この蔓延防止措置のプライオリティー・メジャーズ・トゥー・プリベント・ザ・スプレッド・オブ・ディジーズ、これだったら、そんなに日本は大変じゃないから、オリンピックも大丈夫というふうに思ってもらえるんじゃないか。うがった見方ですよ、こういうふうな指摘が出ているんです。

 尾身会長に聞くのは失礼だとは思いますが、まさかこういう、訪米やオリンピックということが緊急事態宣言の発出の支障になっているということはないですよね。こんな質問はしたくないですけれども、念のため、そういう心配の声がかなり出ているので、失礼を省みず質問させていただきます。

尾身参考人 私は、菅総理の訪米のことを今の議論と絡めているということは全くございません。それは政府の中のことで、そういうことで、私は、そのこととは全く、一%もリンクして考えたことは今まで全くございません。

 それと、もう一つは、ここの英語の、右のページのプライオリティー・メジャーズと、デクラレーション・オブ・ア・ステート・オブ・エマージェンシーのこの話は、イメージとしては確かにそうですけれども、何度も申し上げますように、私は、緊急事態宣言を出すのなら早く出した方がいい、出すのであれば。そのときはやはり、一体、一番の今の、今委員おっしゃるように、いみじくも委員おっしゃるように、医療の崩壊をどう防ぐか、私はこの一点だと思います。そのために一体何ができるか、何をすべきかということを一度、あと十時間でも二十時間でも三十時間でも、なるべく早く、みんなでその議論を私はすべきだと思います。

 その上で、さっき言ったとおりですから繰り返しませんが、そういう中での判断だと私は思います。

山井委員 私は、これは謎なんです。なぜステージ4でここまで医療崩壊が明らかになっていながら緊急事態宣言の議論が行われないのか、本当に謎なんです。来週やるんですか。でも、これは本当に後手後手になります。

 尾身会長、お忙しいと思います、これで御退席ください。

 田村大臣にお伺いしたいと思います。

 これはワクチンのことですが、高齢者のワクチン接種が月曜日に始まりました。これは多くの高齢者から私は聞かれるんですけれども、いつまでに打てるんですかと、多くの方から聞かれています。

 だから、いつまでに完了するという約束はしてもらわなくて結構なので、せめて目標、高齢者のワクチン接種はいつ頃までには終えたい、例えばお盆までには終えたいと目指しているとか、そういうめどを、全国の不安に思っておられる高齢者のためにもお答えいただけませんか。

田村国務大臣 まず、前段、先ほど後期高齢者医療保険制度、これは勝手に二割以上にできると言われましたが、これは法改正が必要でございますので。一割と明記されておりますので、一割と書いてある限りは一割の方々がいなきゃいけないので、全て二割以上と言われましたが、これは法改正が必要であるということは御理解ください。

 それから、今のお話でありますが、これはどちらかというと、私というよりかは河野大臣の所管であろうというふうに思います。

 六月末までに高齢者が二回接種する分のワクチンが入ってくるということは、今準備をしておる。これは、河野大臣の方からもお話がございます。でありますから、その頃から二回分がもう来ますので、接種体制、それぞれ自治体によって規模が違うと思います。規模の違う自治体によって体制も変わってまいります。そういう自治体の体制というものをしっかりと協力をしながら整えてまいりまして、一日も早くこれが打てるような環境を整えてまいるということで、河野大臣と協力してまいりたいというふうに思っております。

山井委員 いや、その答弁では駄目です。

 全国の高齢者はいつまでに打てるんですかと思っておられるわけですから、せめてめどを言えないんですか。ということは、九月か十月になっても高齢者の方は打てない可能性があるんですか、田村大臣。

田村国務大臣 河野大臣が所管でございますので、私は河野大臣と協力をして対応してまいりますので、できる限り早く高齢者の方々に二回接種ができるように、河野大臣と協力して、地域と協力しながら対応してまいりたいというふうに思います。

山井委員 これは、はっきり言って難しい質問をしているんじゃないんですよ。ごくごく初歩的な質問ですよ。めどですよ。どっちの担当という話じゃないですよ。

 改めて言います。全国の高齢者の方が、今週からワクチン接種が始まったけれども、自分はいつまでに打てるのかなと不安に思っておられます。九月、十月になる可能性もあるんですか。あるのなら、あると言ってください。ないんだったら、そうはならないようにしたいとおっしゃってください。

田村国務大臣 ワクチンのロジは河野大臣の担当でございますので、私がここでお答えできるものではないということは、これは御理解いただかないと、これは私がここで物を申すというわけにはいかないということであります。

山井委員 いや、これは国民の健康の責任を持っておられるのは厚生労働大臣ですよ。だから、私は細かいロジの話を聞いているんじゃないんです。一番基本中のキです。厚生労働大臣でしょう、日本の医療に責任を持っておられる。めどを聞いているんです。

 田村大臣としては、いつぐらいまでに高齢者の方々の接種を終えたいと目指しているのか、目標としているのか、お答えください。

田村国務大臣 私が目標を設定するものではないんです。

 これは、地域の体制も含めて河野大臣が日々各自治体と対応いただき、そしてその体制というものを整備をいただいておるということでございますので、私がここで言えることと言えないことがございますから、そこは、委員も政務官をやられたお立場でございますので、御理解いただけるというふうに思います。

山井委員 ということは、改めて聞きますが、全国の方が待っておられますよ、今日の質疑も、全国の高齢者の方は関心を持って聞いておられます。

 ただ、四月から打ち出したけれども、九月か十月、半年後まで打てない可能性もあるということですか。否定されるんだったら否定してください。否定されないんだったら、その可能性があるというふうに理解しますので。いかがですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ております。

田村国務大臣 できる限り早く打てるように、先ほど来申し上げておりますとおり、担当の河野大臣が自治体と協力しながら、もちろん厚生労働省もいろんなリエゾン等々で対応させていただきますが、河野大臣の責任の下、しっかりとそれは、政府を挙げて、各自治体と協力をしながら、一日も早く打てるような環境整備に向かって努力してまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員長 山井和則君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

山井委員 いや、もうこれは、コロナでこれだけ大変なときに、厚生労働委員会で、打ち出したから聞いているんですよ。打ち出したから、いつまでに打てるんですかと高齢者が期待する、不安に思うのは当たり前じゃないですか。それに対して答えられない。

 また来週、これは質問しますから、そのときには答えてください。これは私が知りたいんじゃないんです、全国の高齢者が、命が懸かっているから不安なんです。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。終わります。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。(発言する者あり)御静粛に願います。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 七十五歳以上の医療費の二倍化法案について質問いたします。

 今朝から、この二割負担導入が受診抑制をもたらすんじゃないのかとずっと議論されております。私も本会議でその点を聞いたら、総理からは、直ちに患者の健康への影響を意味するものではないという答弁があったわけですけれども、負担を増やして、病院にかかれなくしておきながら、健康に影響しない、そういうはずがないわけですよ。

 それで、ちょっと幾つか、数字だとかだけお伺いしておきたいと思いますが、まず、二割負担の導入による受診行動の変化で給付費が九百億円減るという答弁があるわけですけれども、これは配慮措置中の額なわけですよね。

 配慮措置終了後の二〇二五年度の給付費の減額は二千百九十億円と政府は見込んでおりますが、このうち受診行動の変化によるものは幾らですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二〇二五年度満年度の給付費減二千百九十億円につきましては、これは施行後三年間適用される配慮措置の影響も含めた財政影響でございますけれども、そのうち受診行動の変化による減少は一千五十億円と試算をいたしております。

    〔委員長退席、門委員長代理着席〕

宮本委員 つまり、三年間の配慮措置が終わったら、受診抑制の額は給付費で一千五十億円。かなり大きな金額ですよね。後期高齢者の今の給付費が十六兆円台だと思いますけれども、その中の一千五十億ということであります。

 あと、この二割負担の導入で十万円以上負担が増える方について、本会議では五千人という答弁があったわけですけれども、これも配慮措置中の数だと思うんですよね。

 配慮措置が終了したら、二割負担導入で十万円以上負担が増える方は何人見込んでいますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の窓口負担の見直しによりまして負担が年十万円以上増える方は、見直しの対象となる三百七十万人のうち、〇・一四%に当たる約五千人程度と見込んでおります。

 一方で、配慮措置を考慮しない場合には約一万二千程度と見込んでおりまして、これは、見直しの対象者三百七十万人の約〇・三%でございます。

宮本委員 一万二千人もの方が、二割負担導入で十万円以上も負担が増えると。

 ちなみに、この十万円以上負担が増えるケースというのは、どういう病気にかかられているケースが多いでしょうかね。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 外来につきましては配慮措置が設けられておりますので、外来のみでは年間の最大負担増加額は三万六千円でございまして、外来だけでは年間十万円には達しないわけでございます。

 このため、増加額が年間十万円以上となりますのは、外来に加えまして、入院による自己負担の増加が少なくとも年間六・四万円、つまり十万円から三・六万円を引いた額でございますけれども、これ以上あるケースでありまして、通常の外来に加えまして、一定期間以上の入院をする方となります。

 こうしたことを踏まえますと、増加額が年間十万円以上となりますのは、例えば、ふだん定期的に通院をしている方が更に入院をしたようなケース、あるいは一月当たりの医療費が比較的少ない入院が長期となっているケースなどが考えられるところでございます。

 なお、負担増となる方につきましては、入院、外来が今申し上げましたように組み合わさった事例も多くあるということでございまして、様々なケースが考えられることから、重立った傷病ということで取り上げるのはなかなか難しいものと考えております。

宮本委員 外来最大三・六万円の負担増というのは、それは配慮措置中の話ですよね。配慮措置が終わったら、外来も更にもっと増える方がいるということだと思いますけれども。

 先ほど局長の答弁があったとおり、入院される方は十万円を超す負担になる方がかなり出るということなんですね。

 私のところにもこんな話が来ているわけですね。がんが見つかり入退院を繰り返しています、二割負担になると生活が成り立たなくなるのではと心配ですと。

 やはり、がんの治療が始まって入退院を繰り返す、こういう方はかなり大きな負担になっていくわけですよね。ただでさえ、がんで、いろいろな不安も抱え、治療でもかなり体に負担がある。精神的にも肉体的にも負担がある上に、財政的にも、治療を続けること自体が暮らしと両立しないんじゃないかという不安を与えるぐらいのことを今回やろうとしているということであります。

 あと、もう一点お伺いしますけれども、配慮措置が三年で終わりますけれども、そうすると、二割負担の導入で最も負担が増えるケースというのは、幾らぐらい本人負担が増えるんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正の対象として検討しております一般区分につきましては、外来の自己負担の上限は年間で十四・四万円でございます。したがいまして、配慮措置終了後における外来のみの年間の最大の負担増加額は七・二万円でございます。

 一方、入院につきましては、自己負担の上限は月額五万七千六百円でございます。したがいまして、理論上はということでございますけれども、一月当たりの自己負担の増加額は最大二万八千八百円でございまして、これが仮に十二か月続く場合の額は約三十四・六万円ということでございます。

宮本委員 相当な、最大、理論上の数字ということをおっしゃいましたけれども、本当に、入院しなきゃいけない大きな病気、先ほどがんというお話もしましたけれども、などとかということになって、治療が長引けば長引くほど、相当な負担が増えるということなわけですよね。

 それで、今日、資料をお配りしておりますけれども、配付資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、これは、西日本にある、ある医療機関、全日本民医連に加盟している病院がいろんな患者さんだとかに取ったアンケートのうち、七十五歳以上の方についてのものをいただいたものであります。収入ごとに聞いているアンケートです。ちょっと収入は答えていないという方もかなりいらっしゃるわけですが。

 これを見ると、医療費を理由に受診をためらったり我慢したことがあるのかということを聞くと、五百一人の回答された方のうち、我慢したことがあると答えた方が七十三人いるわけですね。それは、これを見たら分かりますけれども、収入が多いほどそういう比率は低いわけですけれども、二百万円の収入の方でも、当然そういう方は現状でもいらっしゃるわけですよ、現状でも。

 田村大臣、今でも、医療費の負担を理由に、年収単身二百万円以上の方でも受診をためらう、こういう現実がある、そういう認識はありますか。

田村国務大臣 その医療費というのがどれぐらいの医療費を意識されておっしゃっておられるのかというのがなかなかちょっと分からないものでありますから、ここでにわかに、具体的な対象、つまり、どういう治療なのか、どれぐらいかかる医療なのかということが分からないので、このアンケート自体の、どう分析したらいいのか、ちょっとここではコメントのしようがないということであります。

宮本委員 この手のアンケートはたくさんいろんなところでやられていますけれども、どれもこれも同じような傾向ですよ。今でも、やはり年金生活者の皆さんはそう収入が増えていくわけじゃないですから、未来にわたって年金は削られていくというのが見えている中で、できるだけ、医療費も含めて、我慢できるものは我慢しようということはあるわけですよね。

 私のところに来ている声でも、少しの痛みや我慢できそうな痛みは、医療費を考え、行くのをためらうというような声がたくさん来ているわけであります。今でもそういう状況。

 にもかかわらず、窓口負担を一割から二割、二倍にしていく。これはどう考えても、必要な医療を我慢しなければいけない、こういう事態になることは明々白々じゃありませんか、大臣。

田村国務大臣 日本の制度は、例えば高額療養費があったりでありますとか、今回の場合は、今ほど来委員がおっしゃっておられるとおり、当初三年間は、外来に関しては増加分三千円という上限を組ませていただきながら、緩和措置等々を踏まえておるわけであります。

 いずれにいたしましても、必要な医療をしっかりと受けていただかなきゃならないということは我々も念頭に置きながら、一方で、やはり、この医療保険制度、後期高齢者医療保険制度も含めて、持続可能性という大きな課題、これは、人口構成が変わる中において、どうしても今よりはそれぞれが、これは今回、言うなれば負担の若干緩和になる若年者層、つまり現役世帯層も、これからまだ負担はそれでも上がっていくわけでございますので、その負担というものをどのような形で負担能力のある方々に分かち合っていただくかということの中においての今回の御提案であるということを御理解いただければというふうに思います。

宮本委員 負担能力が本当にある方に負担をしてもらうというんだったら分かるわけですよ。立憲民主党さん、後期高齢者の保険料の賦課限度額、上限を上げようと。これは、負担能力がある方に負担してもらおうという議論ですよ。

 だけれども、現状でも、年収二百万円の年金生活者の方も、今でも医療費の負担が気になって、我慢できるところは我慢しようというのが起きているわけですよ。そういう方に負担を求めるというのは間違いですよ。その方々は負担能力があるという考え方自体が私は間違いだと言わなければならないと思います。

 ちょっとお伺いしますけれども、二割負担の導入で受診行動が変化すると皆さん試算されているわけですが、これはどういう疾病が多いんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 受診行動の変化につきましては、いわばマクロでの受診行動の変化ということでございまして、個々の疾病でどのような影響があるかということが示されるものではないということでございます。

宮本委員 今、長妻さんから無責任だという話があったと思いますけれども、極めて無責任ですよ。だって、総理は、この受診行動の変化について、直ちに健康への影響を意味するものではないという答弁をされたわけですよ。ところが、これはマクロの話であって、個々の疾病については分からないと。個々の疾病については分からないのに、健康への影響を意味するものでないなんて、断定なんてできないじゃないですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先日の衆議院の本会議におきまして、総理より、令和四年度満年度の給付費減のうち、受診行動の変化による減少は九百億円と試算しているが、このことが直ちに患者の健康への影響を意味するものではないとお答えしております。

 これは、窓口負担割合の変更による受診行動の変化に伴う医療費水準の変化は、経験的に調べましたマクロで見た医療費水準の変化でありまして、直ちに患者の健康への影響を意味するものではないということでございます。

 そもそも、個人の健康につきましては様々な因子があるということでございまして、受診行動のみを取り出して健康状態に影響を与えるかどうかといった分析は難しいものと考えております。

    〔門委員長代理退席、委員長着席〕

宮本委員 難しいからといって、分析が難しいということと、本会議で、受診行動が変化した、受診抑制が起きても健康に対しての影響を意味するものではないと。全然違うじゃないですか。ちゃんと、過去の負担増によってどういう受診行動の変化が個々の疾病であったのか、これを出してくださいよ。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたことと繰り返しになる部分もありますけれども、個人の健康には様々な因子がありますことから、受診行動のみを取り出して健康状態に影響を与えるかどうかの分析は難しいと考えております。

 また、過去の調査研究を参考にいたしましても、幾つか論文など出ておりますけれども、政策面で参考にできる程度の学術的調査研究は今のところ確認をされていないというふうに考えております。

宮本委員 総理の答弁には根拠がないというのがはっきりしたと思います。マクロのことしか見ていない、個々の疾病についての影響については見ていない、論文はいろいろ出ているけれども、それが政策に反映できるようなものではないというのが今の答弁だったわけですよね。

 いろいろな論文、出ていますよね。いろいろな論文は出ていますよね、そうは言っても、これまでの負担増で。例えば糖尿病だとか、こういうものについては受診抑制が起きているんではないのかとか、そういう論文は出ていますよね。少なくとも、ちょっと、この間、皆さんがいろいろ目にしてきた論文で、どういう受診行動の変化があるということがこれまでの論文では指摘されているのか、まとめて、本委員会に是非出していただきたいと思いますが、いかがですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 過去の論文につきましては、今委員御指摘の論文は私は承知しておりませんけれども、例えば七十歳から七十四歳の方につきまして、引上げ前後における健康状態とか、死亡率などとの関係を調査したような研究とか、幾つかあるものと承知しておりますけれども、網羅的に現時点で把握しているものではございません。

宮本委員 ですから、その七十から七十四以外もありますよね、現役世代の一割から二割に上げた、あるいは三割に上げたというときのいろいろな分析の論文はあるわけですから。

 だって、これは本当に大事な問題ですよ。受診抑制が起きて、それが健康に影響を与えるということになったら、こんな法案は許されない。みんな、与党だってそうなるわけですから、是非そこははっきりさせていただきたいと思うんですね。まとめて資料を出していただけますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、いわゆる散発的なといいましょうか、そういう論文は幾つか多分あるだろうと思いますけれども、いわば、しっかりしたと申しましょうか、学術的に参考にできる程度の調査研究等については承知をいたしておりません。

宮本委員 厚労省が参考になる、参考にならないと勝手に判断するんじゃなくて、一定のことを分析したものというのはいろいろあるわけですから。

 委員長、ちょっと、是非理事会で、この受診行動の変化、過去の負担増において、どういう影響があったのかということについてのまとめたものを厚労省から出していただきたいと思います。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

宮本委員 よろしくお願いいたします。

 ちなみに、自覚症状が薄くて、受診が遅れれば重症化する病気というのは、どういうものがありますか。

田村国務大臣 自覚症状というのは、それぞれ個人によって違いますので、自覚症状あるなしにかかわらず、早期に発見すれば、それだけ重症化を防いでいけるわけでございます。

 そういう意味では、ちょっと、今、自覚症状云々という話、個別具体的にここで申し上げるというのは難しいということであります。

宮本委員 一般的に、自覚症状が強いものについては、みんな結構、やはり当然、病院に行くわけですよね、慌てて。そういうのは受診抑制は起きにくいと言われているわけですよね。でも、自覚症状が比較的薄いものというのは、ちょっと我慢すればすぐ治るかなというので受診抑制が起きやすいということを、私が読んだものでは書いてあるわけですよね。

 ですから、そういうところもしっかり、どういう影響が負担増で出るのかというのをしっかり分析しないと、本当に私は無責任だと思いますよ、そういう分析もまともにやらずに、とにかく財政的な理由だけでこういう法案を押し通そうという考え方は。やはり、厚労省らしい考え方では、私はないと思いますよ。

 財政的な問題でいえば、本当に力があるところからもっと負担をしていただくという道だってあるわけですから。それは税金の問題にしたって、本会議でも申し上げましたけれども、金融所得課税だってもっと強化した方がいいという問題もありますし、バイデン政権は法人税の増税だってやるわけだから、そういうことだって考えるというのもあるわけですし、いろんな方法はあるわけですよ。ところが、それはやらずに、健康への影響についてまともな調査もしないまま二割の負担増をやっていくなんて到底許されないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 これは、次回も引き続きやりたいというふうに思います。

 あと、ちょっとコロナ対策で幾つかお伺いしたいと思います。

 一つは、検査のことなんですけれども、この間、アドバイザリーボードやあるいは分科会なんかでの議論なんかでも、発症前の無症状者が二日前からうつすということをよく言われているわけですけれども、本当に無症状なのかというのはよく言われているわけですよね。尾身さんの記者会見なんかでもそういう話が最近よく出てきます。

 先日の厚労省のクラスターのことで、私も気になってお話をお伺いしたら、やはり発熱前に、そういえば、せきがこんこん出ていたとか鼻水が出ていたとか、そういう症状があったというお話をお伺いしました。

 ということですから、私は、発熱の前から、もう本当に、これはちょっと検査に行かなきゃという、わあっと高熱が出る前から、うつす感染力を持っているわけですから、発熱の前にせきや鼻水、あるいはごくごく微熱、ごくごく軽い症状があるんだということを国民に広く知らせていく。そして、医療機関にも知らせて、国民には検査を積極的に受けていただく、医療機関にも検査を積極的にしていただく、これが非常に大事じゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 委員おっしゃられるとおり、軽いせきだとか、ちょっとしただるさであるとか、また、ちょっとした息苦しさ、さらには味覚障害、ちょっと味が変だなみたいな、そういう味覚障害でありますとか、そういうものが初期症状というふうに言われているわけでありまして、これは厚生労働省も、ホームページ、いろいろなSNSを通じて、いろいろな形で広報しておるわけであります。

 こういうものを見つければ、なるべく早く医療機関にかかっていただいて、その上で検査をやっていただきたいということでありますが、今委員おっしゃられたことは、先般の分科会でもやはり同じような意見が出まして、どうも見落とされているような初期症状があるのではないか、そこを早く見つけていくことがクラスター等々を広げない一つの方策ではないかというような御意見を委員の中からもいただいております。

 そういう対策をやらなきゃならないということでありますので、今までもそういうことを我々としてはPRしてきておりますけれども、更に徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

宮本委員 国民に広く知らせると同時に、やはり医療機関も大事だと思うんですよね。

 医療機関、第一波は、そもそも、いろいろな基準があって、保健所も破綻して、いろいろあって、ちょっと検査にかかれないということがありましたけれども、第二波、第三波は、私もいろいろなところで話をしてきましたけれども、実は、医療機関に熱があって行っても、いや、それはただの風邪だよといって検査をしてくれないというのはたくさん聞いたんですよ、私、あちこちで。

 ですので、医療機関も含めて、ごくごく本当に初期の軽い症状であっても検査をするというのを徹底しなきゃいけないと思いますので、その点もお願いしたいんですけれども。

正林政府参考人 医療機関向けに診療の手引というのを、厚生労働省として学会の御協力もいただいてお示ししています。そこには、新型コロナウイルスの感染症の症状として代表的なものに、発熱、せき、倦怠感、呼吸困難、味覚症状、嗅覚症状、そういったものがあるということを示しています。

 また、昨年秋以降、発熱等の症状のある方については、かかりつけ医等の身近な医療機関に直接電話相談して、地域の診療・検査医療機関を受診する、そういう仕組みも導入しているところです。

宮本委員 ですから、発熱とか分かりやすい状態じゃなくても、こんこん、こんこんと。全然熱もないわけですよ。だけれども、ちょっと鼻水が出てきたとか、花粉症かどうか分からないというのも含めて、できるだけ積極的に検査をやはり医療機関にもしていただく、国民にもお願いするということが私は必要だということを言っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから、あと、資料をお配りをしておりますが、私がこだわっている換気の問題なんですけれども、資料の四枚目、一番最後のところに、見回り隊というのを今各自治体で取り組まれているわけです。見回りというよりも、しっかり飲食店の皆さんに、こうすれば感染リスクが下がりますよというアドバイスをして支援をしていくというのが非常に私は大事なことだと思っております。

 これを見ると、チェックポイントが二十あって、換気の徹底というのもあるわけですけれども、書いているのを読むと、換気について以下のいずれかを行っている、CO2濃度測定器を使用してCO2を一〇〇〇ppm以下になるような換気を行っている、若しくは、窓の開放による換気を行うため、三十分に一回、五分程度、二方向の窓を全開するなどして十分な換気を行っているなどなどとあるわけですけれども、三十分に一回の換気でリスクがちゃんと下がるのか、そういう根拠はあるのかというふうに思うんですよね。

 学校では、今、授業中は常時窓開け換気というのをやっているわけですね。それから、前回紹介した高齢者施設、沖縄では、これも共用スペースについては常時窓開け換気が大事だということがありました。

 それから、資料を少し遡っていただいて、資料の三のところに、これは内閣官房のAI等シミュレーション開発事業というので、いろいろなことを、内閣官房が研究者の皆さんにいろいろ提案してもらって取り組んでいるわけですけれども、これは産総研の原史朗先生がやっていたものなんですけれども、実測で、あちらこちらでCO2モニターで測ってやったということなんですけれども。ちなみに、定員いっぱいの状況で一〇〇〇ppm以下に抑制するために求められる換気回数というので、食堂、レストランは一時間当たり十五と書いてあるんですね。これは別に十五回ドアを開けなさいということじゃなくて、十五回空気が入れ替わるということなんですよね。

 それで、やはり基本は、今はもう寒くないわけですから、極力常時二方向の窓開け換気をやっていただくということが、やはり感染リスクを下げるために、最もリスクを下げる方法を、飲食店の皆さんには何なのかということで、丁寧にアドバイスをしていくということが私は必要だと思います。

 あわせて、こういう話をするだけでは、やはりCO2モニターを持って回って、前もお話ししましたけれども、豊橋の保健所なんかは飲食店を測っているわけですよね。このお店ではこの隅っこの方は換気が悪いですね、ここはちょっとこうした方がいいですよとアドバイスもやっているわけですね。そういうやはり懇切丁寧なアドバイスと支援というのが私は必要だと思うんですね。

 これは本当は内閣官房が答えなきゃいけない話だと思うんですけれども、何か内閣官房と厚労省でどっちだどっちだといって、一晩中やっていたのかどうかは分からないんですけれども、今日、結局、厚労省が答えるんですかね、これは。お願いします。

田村国務大臣 換気はもう以前からずっとお願いしておりまして、見回り隊に関しましても、委員先ほど、三十分ごとの換気、一時間に二回未満ですと。これは結核等々の事例で、空気感染が広がるというような事例がありますので、こういうものから引いて、三十分に一回は換気をしてもらいたいでありますとか、今言われた二酸化炭素濃度を一〇〇〇ppm以下にするだとかというようなことを一応お示しをさせていただいて、こういうものを見回り隊に御認識をいただいて回っていただいているということでありますが。

 いずれにいたしましても、見回り隊だけではなくて、我々としては更にこれを広報していかなきゃならないと思っておりますし、これもうちではないんだと思いますが、測定器に関しては持続化補助金等々を使いながら対応いただけるという話も我々もお聞きしておりますので、いろいろなことを対応していただきながら感染を防ぐための努力をいただくということで、我々は換気も含めてしっかりPRしてまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 三十分に一回って、だって、今、濃厚接触者の定義というのはもうずっと、マスクなし、会話十五分で濃厚接触者なんですから、それが感染リスクがあるということなんですから、三十分に一回だったら当然感染リスクは高い状況になっているわけですよ。ですから、やはり極力常時だというのをもっと徹底する必要があると思います。

田村国務大臣 これは、内閣官房の方と、コロナ本部の方としっかりと議論をさせていただいて、いずれにいたしましても、何らかの証左という話になると思いますので、コロナ本部ともいろいろと調整させていただきたいというふうに思います。

宮本委員 学校なんかでも、やはり窓を閉めたら三十分たてば一五〇〇ppmを超えるというのが教室の状況だというのは文科省なんかも調べてなっていますので、しっかりお願いしたいと思います。

 続きまして、ちょっとワクチンのことを少しだけお伺いしますけれども、前からお伺いしていることなんですけれども、前回、脳出血になった方が八人いらっしゃって、うち四人が亡くなられたという話がありました。

 この八人の方々について、血小板の減少などが見られたのか、あるいは既往症など特徴的な傾向があるのか、教えていただけますか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の八事例につきましては、医療機関からの報告によりますと、血小板が減少したという情報はございませんでした。

 また、既往症でございますが、八例中四例に記載がございまして、お許しいただければ幾つか御紹介しますが、くも膜下出血を発症され亡くなられた六十一歳の女性の場合には、頭痛、骨粗鬆症、衰弱。脳出血を発症され亡くなられた七十二歳の女性につきましては、肝臓病、C型肝炎、脂質異常症、虫垂炎。それから、脳出血、被殻出血を発症された四十三歳の女性につきましては、子宮筋腫。それから、脳出血を発症された五十八歳の男性につきましては、高血圧症、高脂血症といった基礎疾患を有していたとの報告を受けているところでございます。

宮本委員 分かりました。

 あと、亡くなられた方は全員女性でしたけれども、それ以外の四人の方の性別というのは分かりますか。

鎌田政府参考人 亡くなられた方以外の四人の性別でございますが、男性が二名、女性が二名という報告を受けているところでございます。

宮本委員 あと、国内で接種している他のワクチンでは、接種後、脳出血が見られる頻度というのはどの程度なんでしょうか。

鎌田政府参考人 ワクチン、接種者ですとかによって異なりますので、単純な比較は難しいのでございますが、国内で接種している新型コロナワクチン以外のワクチンの接種後に、出血性脳卒中、脳出血ですから被殻出血、くも膜下出血などでございますけれども、報告された頻度については、例えば成人などや高齢者を対象といたしております肺炎球菌ワクチンにつきましては、延べ人数が二千百万人のうち、くも膜下出血が二件、それから脳出血が四件との報告を受けているところでございます。

宮本委員 単純に比較するというわけにはいかないですけれども、ほかのワクチンに比べて、ファイザーのワクチンも高いのかなというふうに言ってよろしいんでしょうか。

鎌田政府参考人 この報告がございました審議会、いわゆるワクチン反応部会と安全対策調査会の合同部会におきましては、こうしたことにつきまして、特段、一定の傾向があるとかそういった御指摘はございませんで、引き続き副反応疑いの事例の収集に努め、そうした因果関係、副反応の傾向の評価を速やかに行うべしという御意見でございました。

宮本委員 引き続き、一つ一つやはり丁寧に事例を追っかけていただいて、前回も申し上げましたけれども、何らかのこういう傾向の方がなりやすいとかそういうのがあれば、是非国民への注意喚起をお願いしたいというふうに思います。

 それから、あと、ワクチンの接種に関わって、週末に聴覚障害者の皆さんの集まりに行きましたら、この申込みが、電話かパソコンで接種の予約と言われたけれども、自分は電話はできないし、インターネットも使えないんだ、こういうお話がありました。また、聞きたいこと、いろいろ質問したいことはあるけれども、市の案内にはコールセンターの電話番号だけだった、これだけでは困るという話を伺いました。

 三月三日に障害者への合理的配慮を求める通知というのが出ていますけれども、もう少し丁寧に徹底をしていただけたらなというふうに思っています。

 ちなみに、ここの自治体は、障害者の皆さん、別個、その後、会場を設けてやるということにもなったわけですけれども、ちょっと全体、多くのところはこれからのところが多いと思いますので、具体化は。徹底をお願いしたいんですが。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナワクチン接種に関する障害特性に応じた合理的配慮の提供については、御指摘のように、三月三日に厚生労働省から各都道府県に対して事務連絡を発出しており、聴覚障害者に関しては、電話により相談することが困難な場合もあることから、コールセンター等の相談窓口では電話以外にもファクスやメールなどによる相談対応を可能とすること、それから、自治体のホームページ等における聴覚障害者向け字幕映像の提供などについて検討することなどをお願いしたところであります。

 また、障害者に対する新型コロナワクチン接種を迅速、円滑に行うため、議員御指摘の三月三日付事務連絡を参考として適切な対応を行うよう、改めて、昨日、四月十三日付で留意事項をまとめた事務連絡を発出し、周知を行ったところです。

 障害者の方が円滑に接種を受けることができるよう、自治体の状況も踏まえつつ、引き続き周知を行ってまいりたいと考えております。

宮本委員 ありがとうございます。

 じゃ、通告を受けて早速仕事をしていただいたということで、感謝申し上げたいというふうに思います。

 あと、残り時間がなくなってきましたけれども、高齢者施設での頻回の検査、私も昨年から、週一、二回が必要だということをずっと申し上げてまいりました。蔓延防止等重点措置の地域は週一回程度というのは国が方針を出し、東京も、四月から六月までは週一回程度、高齢者施設と障害者施設の職員の検査というのを決めました。それぞれの施設にも連絡が今行っているところであります。基本は入所施設なんですよね、これは。

 一方で、お話を伺うと、ケアマネやヘルパーさんなど、定期検査を自費で続けている事業所もあるんですよね。これは、それぞれやはりショートステイとデイサービスとホームヘルプと、高齢者も職員も行き来がありますので、一緒に暮らしていなくても、入所施設でなくても大きなクラスターになりかねないというのもありまして、そういうことを続けているところもあります。

 是非、在宅領域の職員についても頻回検査の財政的支援を行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 これは委員も今お話をいただいたと思いますが、やはり入所施設ということで、そこが住まいになっておられる、集団で暮らしておられますから、クラスターのおそれが非常に高いということがありますので、ここに関しては定期的に頻回検査という形であります。

 やはり在宅サービス等々をやられている方々は、自宅に行かれるというような対応でございますので、そういう意味では、そこでクラスター、そこに何十人も高齢者の方々がおられるということはないので、そういう意味では対象外という形にしておりますが、ただ、感染拡大地域におきましては、これは様々な施設、対象の方々が行政検査の対象になりますので、そういう地域であれば、それは、介護事業者の中において在宅サービスをやっておられる方々も対象になり得るということであります。

とかしき委員長 宮本徹君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

宮本委員 時間切れになっちゃって、もうちょっと確認したかったんですけれども、後で厚労省に確認をします。

 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 本日も、大変貴重な時間をありがとうございます。

 早速伺わせていただきます。

 まず、健康保険法改正案ですけれども、これは、午前中、他の議員の方が同じ質問をされておったんですけれども、念のためお伺いします。

 今回の法律案を改正して施行する、これは、言わずと知れた団塊の世代が後期高齢者入りする二〇二五年問題に対応するためということでございますけれども、財政的に何年後まで耐え得る内容になっているんでしょうかというのが私の質問で、今日午前中の質疑を聞いておりますと、不断の検証というお話でした。

 ただ、不断の検証と言われてもよく分からないわけで、しかも、これは経過措置がついておりますよね。少なくとも経過措置の間は多分見直しはしないんでしょうけれども、その先、不断の検証は経過措置が終わったらすぐまたやるのか、それとも一、二年でやるのか、少なくとも五年くらいはもつつもりでやっているのか、お答えになれるようでしたらお答えください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 少子高齢化が進み、来年度には団塊の世代が七十五歳以上の高齢者になり始めます。現役世代が負担する後期高齢者支援金は、二〇二一年度には六・八兆円でありますが、二〇二五年度には八・一兆円となるなど、急増が見込まれます。財政的に何年後まで耐えられるかという明確な予測があるわけではございませんけれども、今回の窓口負担の見直しによりまして、現役世代の負担軽減のため、七十五歳以上の高齢者のうち一定以上の収入がある方々に二割の御負担をいただくことによりまして、二〇二二年度満年度で後期高齢者支援金七百二十億円、公費九百八十億円、二〇二五年度で同様に、支援金マイナス八百三十億円、公費三角千百四十億円の削減となるということでございます。

 まずは、今国会に提出しております法案についてしっかりと御説明いたしまして、御理解を得ていきたいと考えております。

 その上で、午前中申し上げましたけれども、今回の法案には附則の検討規定もございます。今後とも、持続可能な社会保障制度の確立のため、医療保険制度を含め、現役世代の負担軽減を含め、総合的な検討を進め、更なる改革を推進していきたいと考えております。

青山(雅)委員 若干具体的な数字も挙げていただきました。

 私は、これは本会議でも田村厚労大臣宛てにたしか似たような質問をさせていただいたわけですけれども、これは麻生副総理にもお伺いしましたけれども、結局のところ、人口構成が不利に進んでいくというのはずっと続くわけですね。私の見るところだと二〇五〇年から、これは二〇六〇年とたしか公明党の方はおっしゃっておられたかな、同じような話で、高齢者世代がずっと増えていって、それから、働き盛りの世代、勤労者世代が減っていく、それより以下の世代はずっと少ないままと。これが二割変動して、高齢者が一割数が増えて勤労者世代が一割減って、二割の変動があって大体落ち着いていくというのが予想で、人口変動に関する予想というのが一番当たると言われていますので、これは要はそう簡単に変わらないという話なんですけれども。

 そうなると、やはり私は、二〇五〇年くらいまでを目指したきちんとした検証をしなきゃいけないと思うんですね。そのためには税率だって変えなきゃいけないかもしれないし、新しい税金をやるのか、それとも負担をなくす方向で何か考えるのか、その議論はしていかなきゃいけないわけで、その基礎となるべきものはやはり財政検証だと思っています。

 年金では五年に一度、前提条件があれで本当にいいのかという問題はあるんですけれども、経済成長率の見通しとか、やっておられるわけですね。医療保険制度についても、こういう当座の対応を続けるだけではなくて、人口予測に基づいた見通しというのは立てられるでしょうから、必要な検証を行うべきだと思うんですけれども、田村厚労大臣の御見解をお伺いしたい。

田村国務大臣 年金の財政検証は五年に一度という形でありますが、これはもう委員御承知のとおり、積立金の運用でありますとか、運用利回りというのはこれはスプレッドでありますから、経済成長と賃金の上昇との絡みになってきますけれども、物価ですかね、あとなってまいりますけれども、いずれにいたしましても、百年の長期数理計算の下で五年ごとに見直す、それは、言うなれば、先ほど申し上げたとおり積立金も含めて長期で収支が合うかというようなことがやれるからでありますが、医療となりますと、短期間での均衡をやっていかなきゃならぬ。もちろん若干の積立金はあるんですけれども、剰余金ですかね、というのはあるんですが、しかしながら、基本的には短期で合わせていかなきゃならない。しかも、何が起こるかによって状況が変わるわけで、急激な感染症で費用がわっと増えるということもあり得るかも分かりませんし、そういうことを考えると、なかなか年金のように安定的に、変数を入れて数理計算ができるというものではないんだと思います。

 ただ、言われるとおり、高齢者の数、それから支える側の数というのは、これはある程度推計ができますので、一定の要件、条件を付せば、そういうような激変が起こるような因子を省いて見ていけば、将来どれぐらいの負担が必要なのかというのはある程度分かります。

 もちろん、そこには一定程度、医療の言うなれば技術革新みたいなものもありますから、それを費用でどう見ていくんだという部分はあるわけで、その高度化の部分をどう見るかという、変数といいますか、そういうのもあるんですが、それも一定の要件を置いてということであるならば、そういうものはある程度計算はできる。

 ただ、それを年金のような形で自動調整システムは入れられませんので、年金の場合は、マクロ経済調整というような形と、保険料が一八・三%まで厚生年金の場合は上げていくというようなことができたわけでありますが、そういうものがないわけでございますので、負担を自動的に何かに求めるというよりかは、そこで国民の皆様方のいろいろな御判断といいますか御理解をいただくようなことをやっていかなきゃならない。それは保険料もあるでしょうし、税もあるでありましょうし、今回のような自己負担もあるでありましょうし、そういうようなものの中から検討していくということでございます。

 言われるとおり、中長期的にどれぐらいかかるのかというものは、どこかでしっかりと、それは一定の所与の条件の下ですから正しいかどうかというのはなかなか分からないわけでありますけれども、お示しするということは必要になってくるのかも分かりません。

青山(雅)委員 何も自動調整のようなシステムをつくってくださいというわけではなくて、見通しというだけですね。

 というのは、この見通しを立てなかったがゆえに、今から三十年以上前でしょうね、EU並みの高福祉だと思います、私はこの日本の制度というのは。だけれども、それに耐え得る税制を含んだ国民負担をどのくらいにするかという議論をずっと数字に基づいてやってこなかったものだから、政治というのは国民に負担を求めるのは非常に苦手ですよね、それがゆえに赤字国債ばかり膨張してしまった。そこに結局、社会保障費の伸びを全部赤字国債に頼ったわけですから、それでほかの費目は全く伸びないという超硬直化した予算になってしまっているのが、今の日本の経済的な惨状。国民所得が伸びない。後ろの国にどんどんどんどん追い抜かれていく。

 ですから、やはりこの議論というのは数字を含めてすぐにでも始めないと、どんどんどんどん尻すぼんでいく。そして、いつの日かは、今アメリカで、今朝のニュースでびっくりしましたけれども、二・六%ですかね、いきなり消費者物価指数が上がった。アメリカでは日本以上の財政出動をやっていまして、去年と今年と合わせて日本円で四百何十兆円なんですよね。そういったものがインフレに跳ね返ってきた。日本も、このままこういったものを、国民負担をきちんと議論しないでやっていったら、いつの日か、そういうコントロール不能なことが日本で起きた場合に、日本の場合は財政が硬直化していますから、年間三十兆円は足りないわけですから、もうどうしようもなくなっていくわけで、そのやはり一番の問題点である社会保障については、もうちょっと議論を与野党共にすべきだと思っていますし、そのためには、やはり数字だと思うんですよ。

 なので、是非御検討を、今すぐ御返答いただくような問題ではないということは分かっていますけれども、またこの問題は議論させてください。

 もう一つは、そう言いながらも、今度は逆のことを若干言ってしまうわけですけれども、世代間の負担をならすという今回の改正自体には、私は個人的には賛成でございます。これはやむを得ないことですから。どこかから埋めていくしかないわけですから。

 しかし、制度間の不公平というのが、これは他党で御指摘もありますけれども、健康保険においては、扶養に入れば扶養に入った人の健康保険料負担は生じないんですけれども、国保では扶養の概念がないので、新生児であっても国民健康保険料の負担が生じてしまう。これは、子供庁も創設して何とか子供の数を増やそうという今の在り方に完全に逆行した制度設計だと思うんですね。

 こういったところ、年金保険制度では第三号被保険者の問題がしばしば取り沙汰されておりますけれども、医療保険においても、こういった抵抗の大きい部分にまで踏み込んで、一人でも子供を増やしていく方向に向けた改革というのが必要じゃないかと思うんですけれども、その点に関する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 一点、前半の話なんですけれども、以前も一度、政府で、社会保障全般がどれぐらい伸びていくかというのを出して、それに合わせてどれぐらい社会保障給付費を切らなきゃいけないか、こういうことをやっていたんですね。小泉内閣のときにそういうことをやっておりました。

 ただ、このときは、社会保障費が今までどれぐらい伸びてきたか、それをそのまま延長線上に伸ばしていったものでありますから、えらい勢いで社会保障費が伸びるというような、今よりも伸びている。実際問題はそれほど伸びなかったんですけれども。

 ですから、どういうふうに計算するかということは、よほど、やはり専門家の方々にいろいろなお知恵をいただきながら推計していかなきゃならぬのだろうというふうに思います。

 それから、今のお話でございますが、言われるとおり、被用者保険自体は、扶養というような形になりますので、三号被保険者等々の態様も含めて、いろいろな形で負担をされない方々というのがあるわけであります。

 これは、一方で、国保というものがあるから国民皆保険ができているというのもありますから、これはこれで我々は大変重要だと思いますが、子供に関しては、やはり本来は、全てが被保険者でありますから、均等割というような形で保険料をいただくわけでありますけれども、子供は、やはりそこは、少子化対策等々、いろいろな形で子供を大切にしていかなきゃならない、そんな社会でございますので、これは半額という形にさせていただくんですが、そもそも所得の低いところに関しては七割削減になっておりますから三割という形になっておりますので、それの半額という形になりますと、一割五分という形の軽減といいますか、八割五分軽減と言った方がいいんですかね、そういう形になっておるということで、子供に対しては一定の対応をさせていただくということでございます。

青山(雅)委員 世の中に与えるインパクトとしては、実際にかなり踏み込んだことをされたというのは理解しますけれども、なくなるというふうにした方がそれはすっきりと腹に落ちやすいわけで、また是非その方向での御検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、ワクチンです。

 まず最初は、これはちょっとまだ確定したものではなくて、こういう情報もあるよというところで、でも、ただし、もしそれが事実であるならば注意喚起はしてもらわなきゃと思っていることがあります。

 ファイザー社のワクチン、いろいろ見てみますと、二回接種すれば確かに効果があるという論文はもう幾つも出ています。ですから、それはもう、二回接種した場合に効果があるのは間違いないんだと思うんです。

 ただ、気になるのは、プレプリントを資料1でつけましたけれども、最初の線が引いてある結果のところですね、ワクチン接種後の最初の九日間の検査陽性の確率が高くと。最大一・四八というんですから、約一・五倍に増えるということです。感染しやすくなるということですね。これと似たような結果が別の論文でも私は見たことがございます。

 気になるのは、接種後に医療従事者がクラスターを出しちゃったよ、飲食店に行ったりして五名とかなっちゃったよとか、実際に少し感染しやすくなるところがあるのかなと思うんですね。だからやめなさいというのではなくて、感染しやすくなる傾向があるのであれば、接種して二回目を受けるまでの間は従前以上に注意してくださいよという呼びかけもした方が、余計な感染者数の増大を招かないと思うんですね。

 そこでお尋ねするんですけれども、まず、そういった調査、接種後感染した事例があるかどうかの調査をしておられるんでしょうか。また、しておられるのであれば、その内容は分かるでしょうか。

正林政府参考人 そのようなテーマでの調査はしておりませんが、また、接種後感染しやすくなるかどうかというのはまだ分かりませんけれども、ワクチンを接種した方は、元々発症の予防が期待されていますけれども、接種後、一定の免疫がつくまではそれなりに時間がかかると思います。

 このため、医療従事者等に対する接種が始まっても、当面は引き続き感染予防対策を行っていただく必要があるかと考えています。

 こうした接種後の感染予防の考え方について、現在、厚生労働省のホームページにもQアンドAを掲載させていただいておりますけれども、そうしたことを引き続き周知していきたいと思っています。

青山(雅)委員 私、これは通告を口頭か何かで足したと思うんですけれども、まず、その調査をしているか否かはどうなんですか、接種後感染の有無について。健康日誌をつけているわけだから、それを見れば分かるはずなんだけれども、あれはどのくらいつけているんですか、健康日誌の期間は。

正林政府参考人 先行接種で二万人を対象にいろいろな調査をしていますが、済みません、ちょっとそれをきちんと把握していませんが。

 ただ、別の方法で考えられるのは、HER―SYSで感染者についてワクチンの接種歴を記入する欄がありますので、それで把握することは可能かもしれません。済みません、まだ具体的な数字等を持ち合わせておりません。

青山(雅)委員 ちょっと不意打ちになっちゃったかもしれないですが、それはちょっと調べてください。その事実があるか、調べられるかどうか。

 くどいようですけれども、別に、私が申し上げているのは、ファイザー社は効き目はあると思っていますので、それを必要な人に打つ必要はないと言っているわけではなくて、正しい情報を与えた方が社会のためになるという意味で申し上げているので、是非ちょっと調べてみてください。これはまたやらせてください。

 続いて、こちらはアナフィラキシーの話なんですけれども、結局、最新の分科会、四月九日開催のワクチン分科会の資料だと、アナフィラキシー発症と認められたのは、頻度が七十九件なんですね。百万回当たりにすると七十二件。これはやはり、普通どう考えても異常に多いわけですよ。インフルエンザワクチンは、宮坂先生の「免疫力を強くする」というブルーバックスの本によれば、百万件に一・〇以下の頻度といいますから、七十二倍以上ですね。

 ちょっと今日は配付資料を配ろうと思っていて、済みません、失念してしまったんですけれども、数を言っていくと、女性が七十一で、男性が八で、圧倒的に女性が多いわけですよ。そして、年代で分けてみると、二十代が十五名、三十代が二十名、四十代が二十八名、五十代が十三名、六十代が三名。こうして見ると、四十代以下のコロナにかかっても余り重症化しなさそうな年代の方が非常に多い。

 年齢階級別の陽性者死亡率を見ると、四十代以下というのは〇・〇九七%なんですよ。つまり、一万人に一人しか四十代以下ではかかっても亡くなることはない。三十代はもっと低くて〇・〇二五で、二十代は〇・〇〇三だから、ほとんど考えられないような確率だ。

 そうなってくると、リスクとベネフィットの観点からすると、特に若い女性は、本当に打った方がいいのかどうかというのは、勧奨すべきかどうかというのは考えどころだと思うんです。

 それとともに、私はすごく気になるのは、昔、茶のしずくという石けんがございまして、あれは、知らなかったんだけれども、あの中に小麦の成分が入っていた。使っていた人が小麦アレルギーになって、パンも食べられない、パスタも食べられない、焼きそばも食べられないという非常にかわいそうな状況になったわけですね。

 気になるのは、このアナフィラキシーを発症した方々、七十九人の方々が、その後、それに対するアレルギーが、PEGアレルギーが出ちゃうと、これは化粧品にも含まれていますし、医薬品にもいっぱい使っているのがありますので、大変困ると思うんですね。

 その事後調査、追跡調査はされているんでしょうか。

鎌田政府参考人 御指摘のPEGアレルギーについてでございますが、アナフィラキシーの原因である可能性を指摘する意見が科学雑誌などで紹介されていますものの、現時点では特定されておりませんし、また、これまで、海外当局におきましても、アナフィラキシーなど重いアレルギーの原因がPEGというものは特定されておりません。

 それで、御指摘の調査ということでございますけれども、まず、今先生御指摘のように、今、医療機関あるいは企業から報告があって、それを基に我々は把握の努力をしておりますし、ファイザー社におきましても、薬機法に基づきまして、ワクチンの安全性について長期的な観点で評価するための調査を実施することとしております。

 こうした流れの中で、特段PEGという観点ではございませんけれども、こうした長期的な安全性の調査、評価の中で情報収集を行うということとしております。

青山(雅)委員 まだるっこしい言い方をされましたけれども、結局、やっていないという答えですね、今の話は。

 PEGが犯人だろうというのは日本アレルギー学会も公式な文書の中で言っているわけですよ。多分それは御存じだと思うんです。別にPEGに限らなくていいけれども、このアナフィラキシーを発症してしまった人がその後、生活に不便がかかっていないかを調べるべきだと思うんですよ。調べてくれませんか。もう一度お願いします。

鎌田政府参考人 多少繰り返しでございますけれども、そうしたPEGのアレルギーとの関係についての御指摘は存じておりますものの、現時点では、PEGがアナフィラキシーなどの重いアレルギーの反応の原因だと特定されているわけではございません。

 また、一方、我々としては、通常の副反応の情報収集などでそうしたことに気をつけてまいりますし、ファイザー社におきましても、長期的な観点で評価するための調査を行い、その中で必要な情報を収集いたしますので、その中で把握できるものと考えております。

青山(雅)委員 そういうお答えですと、私としては、力いっぱい、若い女性の方、医療従事者の方を含め、PEGでアレルギーになる可能性がある、日本アナフィラキシー学会でも呼びかけられている、それが原因だと。一方、それによってもしアナフィラキシーが発症した場合に、今後一生化粧ができなくなる可能性もあります、それでいいんですか、だからやるのはやめたらどうですかという呼びかけをせざるを得なくなってきますよ。

 ちゃんと調べたらどうですか。別にPEGだと言っているわけじゃないんですよ。とにかく、その後、何らかのことでアナフィラキシーが発症しないかどうか、そしてそれが、調べれば何が原因物質でアナフィラキシーになっているか分かるじゃないですか。何も出なきゃ出ないでいいですよ。ああ、よかったね、そして、言われているように、アナフィラキシーとしても比較的軽症が多いからよかったねという話で。

 調べようとしないところに厚労省の一番よくないところがあるわけですよ。だからB型肝炎だって起きちゃったし、今まで同じ過ちを何十回もやっているじゃないですか。何十回は言い過ぎですね、何回もやっているじゃないですか。調べてくれませんか。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 ちょっと先ほどの件で正確に申し上げます。

 均等割というのは、要するに所得に応じて下がっていくので、子供は最大八割五分削減されるということでございまして、そこだけはっきりと申し上げておきたいと思います。

 今の話なんですが、審議会でも、PEGが原因かどうか、PEGというのはシャンプーやいろいろなものに入っているので、決して化粧品だけじゃございませんから、PEGが原因かどうかは分からないというような話でございました。

 どういうふうに調べるのか、そういう状況の中で、PEGのアナフィラキシーというもの、アレルギーというものをどういうふうに調べたらいいのか、ちょっと私も今つぶさにいい方法が浮かばないわけでございますので、正確にある程度できることがあるのかどうか、ちょっと検討いたしますが、余りにもその負担が大きいという話になるとなかなか難しいのかも分かりませんが、ちょっと頭は働かせてみたいというふうに思います。

青山(雅)委員 ありがとうございます。さすが大臣、前向きなお答えをいただきました。

 簡単な話で、化粧品や何かでアレルギーがその後出ましたかと聞けばいいだけの話だと思うんですよね。出ればそれだけの話ですので。出なければ大丈夫。少なくとも、PEGは化粧品にも含まれているけれども、ワクチンでは出たけれども化粧品では出ないということがはっきりするわけで、これは私だけが心配しているんじゃなくて、医学者の中でも心配している人がいるので申し上げているので、是非検討してください。そんなに大層なことを申し上げているわけではないので。茶のしずくと同じで、パスタを食べたら、焼きそばを食べたら、パンを食べたらアレルギーが出ちゃったよ、大変だよ、困ったよということでなければいいわけですので、是非検討をお願いします。

 次に、アストラゼネカワクチンの話をさせてください。

 前回も言いましたけれども、EMA、欧州医薬品庁は、正式に、アストラゼネカワクチンが血栓症の原因であると。イギリス政府の発表でも、それがヘパリン起因性血小板減少症に類似しているという話で。

 そうしたら、今日、さらに私に詳しい論文を教えてくれた方がいまして、ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、これは非常に権威ある雑誌のようです。これは世界最高峰の臨床系医学雑誌で、ここに掲載されるのは偉業であって、日本人では過去十五年に二十編程度しかない、非常に権威あるもののようです。

 そこに、グライフスバルト大学という医療センター、ドイツのこれも超名門医療大学です、の論文が出て、非常に詳しい結果が出ています。十一人の血栓症。アストラゼネカのワクチン接種後、打った後、九人が女性で、年齢の中央値が三十六歳。九人が脳静脈血栓症で、残りが、三人が内臓静脈血栓症、三人が肺塞栓症、四人がその他血栓症。うち六人が死亡したというものです。

 これは原因もかなり分かってきていまして、ワクチン接種後に血栓を発症した人は全て、ヘパリンを投与された人がいなかったにもかかわらず、血小板第四因子・ヘパリン複合体抗体の陽性反応が出た。ヘパリンと血小板第四因子の複合体の陽性反応がヘパリンを投与しないでも出ている。これはワクチンの前にヘパリンを投与していないこともちゃんと確認されているようです。つまり、原因がきちんと特定されているわけですね、既に。この著者は、ワクチン誘発性免疫性血小板減少症と名づけた。

 こういった論文も併せて当然審議会で審議されていくんでしょうけれども、今日はちょっと議論の取っかかりだけ申し上げますと、そうすると、六千万人分契約しているというアストラゼネカ製のワクチンが適応が限られてくる可能性がある。これも女性なんですよ、これを見ると。十一人のうち九人が女性ですから。中央値が三十六歳だから、やはり若い人は危険なわけですね。

 そうなってくると、今ヨーロッパがやっている六十五歳以上に限るというようなやり方は非常に合理性があるわけです。日本でも、添付資料の2、見ていただけると分かるんですけれども、左と右で目盛りが違いまして、これは例の西浦先生のものですから、去年の八月までのデータですけれども、重症、死亡者は、圧倒的に、四十代くらいを境目、五十代、六十代で増えていくわけですね。だから、これを見ると、特に死亡のリスクは六十代からぐっと上がってくるものですから、六十代以上に限るというのは非常に合理性があると思っています。

 リスクとベネフィットを、こういった事実、今言った医学的知見なども参考にして是非きちんと考えていってほしいし、政府も、これは、資料を見ると、もう五月くらいにはアストラゼネカ社製のワクチンも承認が予定されているかのような、たしかホームページの記載になっていたと思うんですけれども、もう目の前なんですね。

 ですから、こういったことをきちんと考えて慎重にやっていただきたいと思うんですけれども、これは、大臣、お答えいただけますでしょうか。

田村国務大臣 アストラゼネカ社のワクチンという話ですね。

 今、EUの方でも、いろいろな話がある中で、リスクとベネフィットを考えた場合には、ワクチン接種をすべきであるというような評価があったというふうに思います。もちろん、一定の血栓に対してのリスクというものが、可能性があるということはおっしゃっておられた上での話だというふうに思いますけれども。

 これは、いろいろな情報を含めて、今、PMDAで審査をやっている最中でございますから、私が予断を持って物事が言えるわけではございません。しっかり安全性、有効性を審査していただきたいというふうに思っております。

 なお、以前、委員も、ファイザーも含めてそういうお話がありましたが、若干最近状況が変わってきているというのは、これもまだ分析がちゃんとできていないので分かりませんが、大阪の状況が、新しい株が四十代、五十代も含めて重症化リスクが上がっているのではないかというようなこと。これは知事もおっしゃっておられるので、そういうことも分析しながらどうあるべきかということは判断しなきゃなりませんが、アストラゼネカはいろいろな対応を世界で取っておるようでありますが、ファイザー等々に関しては、年齢の若い人には打つなというような話ではないようでありますので、世界の情勢も我々としては把握しながら、しっかりと、ワクチン接種、国民の皆様方に情報を提供させていただきたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 重症者がイギリス株でもしかしたら増えているかもしれないというのは私もちょっと気にしているところで、そういった情報も含めて、ワクチンのリスク、ベネフィットも関係してくるわけですから、きちんとまず厚労省は情報を取っていっていただきたい、そして公表していただきたい。

 今大臣がちょっと言いかけたように、私がもう一つ気にしているのは、既に始まっているファイザー社。これも、四名、女性ですよね、出血で死亡と。先ほども質問にありました。

 まだこれを私は因果関係があると言い切るつもりは全くないですし、そこはこれからも調べていくわけですけれども、百万人に四例というと結構多いかなと。そして、さらに、年代を見ると、果たして本当に脳出血による死亡があるような年代なのかなという気は非常にしているので、これは注意して是非見ていただきたい。

 前回も言ったんですけれども、アストラゼネカだってずっと否定していましたから。CDCか何かもたしか否定していたと思います。なので、ここは予断なく、幾ら大臣がおっしゃるように、国としては少しでも打ってこのコロナ禍を収めたいという気持ちはあるにせよ、それとやはり医薬品の安全性は別なので、今後もきちんと情報公開した上できちんと審査するということをお願いしたいんですけれども、これに関して大臣のお考えは。

田村国務大臣 これはファイザーの話ですか。ファイザーの話に関しましては、これは、先ほど来話がございますように、副反応の疑いのある報告をしっかり今集めておりますので、審議会等々で評価をいただきながら、評価をいただいたものはなるべく早くこれをお出しをさせていただくという形で、国民の皆様方には情報提供をさせていただきたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 残らずきちんと不利な情報も開示した上で、透明な審議をお願いいたします。

 もう一つ私が気になっているのは、このファイザーのワクチンも置き去りにされているのが、全てのワクチンがそうですけれども、どこの国も超急いで承認しているわけで、長期的予後といいますか、長期的な影響というのは分かっていないわけですね。誰しも気にするのが、やはり妊娠に関係するところです。

 この間もたしか例に出させていただいたと思いますけれども、サリドマイドというのは、非常に残念ながら、すごくよく効く薬だ、整腸剤だということで使われていて、しばらくたってみると大変残念な結果で、妊娠の方に影響を及ぼして、障害を持つお子さんがかなりの数が生まれたという被害が出てしまったというのがあるわけですね。

 これはファイザーも含めてですけれども、妊娠に影響を与えない、絶対にないとは限らないわけで、なぜかというと、哺乳類における胎盤の形成に不可欠なシンシチン相同たんぱく質というのがスパイクたんぱく質にある、それに対する影響をもしかしたら新型コロナのワクチンが与えてしまうかもしれないと。要は不妊に対する影響を心配する声も、これはファイザー社の元部長のようですけれども、上げている人もいる。

 そこで申し上げるのは、そういったことも含めて長期的な評価を是非きちんとしていっていただきたいと思うんですね。特に我が国は少子化が問題となっていますので、万々が一影響があるとなると、特に我が国に与えるダメージは非常に大きいので、きちんとデータを取りながら長期的予後について観察をしていっていただきたいんですけれども、その点、大臣にお願いしたいんですけれども、いかがでしょう。

田村国務大臣 妊娠への影響、これはCDCの報告では懸念が認められているわけではないというような、そういう報告があるわけでありますが、いずれにいたしましても、副反応報告も含めて情報を収集しているわけでございますので、長期的なというお話がありましたが、これはまたどういうあれなのか、どういう形で情報を取っていくのかというのはなかなか、それこそこちらは先ほどよりも難しい話になると思うんですけれども、そういう一定の御心配があられるということでございますので、我々としては、そういう懸念のないようにしっかりと調査してまいりたいというふうに思います。

青山(雅)委員 是非よろしくお願いします。きちんと調査していけば、何かあったときにすぐ分かるわけですから。

 最後に一点、イベルメクチン、ずっとこれは積み残しになっていたもので、一つだけ聞かせていただきたいんですけれども、要は、製造販売元のMSDが出荷制限をしている、それが資料4です。出しているのはマルホですけれども、結局、マルホが造っているわけじゃないので、在庫はMSDにあるはずです。手引にも出されている薬が使われないというのはおかしいんだと思うんですよ。そう思います、本当に。

 ですから、これはきちんと厚労省で、こういう出荷制限をすることなく、ちゃんと必要な人に届けるように指導していただきたいんですが、これは大臣にお答えいただきたいと思います。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 これは難しいのは、有効性というのがまだ完全に認められていない。いろいろな評価があります、正直言って。効いているという国もあれば、効かないと言っているそういう評価もあります。

 でありますから、このイベルメクチン、メーカーの方が、今言われたみたいに、メーカー自体が推奨していないという状況でございますので、そこを無理にというわけには、なかなか難しいということは御理解をいただきたいというふうに思います。

青山(雅)委員 時間になったので、これはまた引き続きやらせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も、七時間審議の最後、あと三十分、皆さんお疲れだと思いますけれども、よろしくお願いします。

 私は、今日、内閣委員会と法務委員会とこれで三つ目の質問でございまして、また、途中抜けていますので、もし重なってしまったら大変恐縮なんですけれども、ちょっと聞いていきたいと思いますが、先ほどから伺っていても、もちろん法案は大事なんですけれども、やはりコロナウイルスとの戦いでいろいろ質疑が出て、まず私もそこから聞きたいんですが、これもいろいろな議論があって、実は、感染症法の二類、五類という話ですね。

 これはもうずっと昔から言われていて、一部の人が言っていたなという印象で私も聞いていたんですけれども、最近、昨日の、おとといかな、テレビでも、「ミヤネ屋」という結構視聴率が高い番組がありますけれども、そこでも、もう五類にすべきじゃないかと、専門家の先生が出てきて議論をしていました。

 この議論、いろいろ本当に議論があるのは分かりますが、やはり、これだけ医療逼迫して、本当に東京都が一日四千人になるかもしれないみたいなシミュレーションまで出されると、いよいよ検討もしなきゃいけない段階に来ているんじゃないか。

 その「ミヤネ屋」に出ていた先生は、いきなり五類じゃなくても、何か二類と五類の折衷案みたいなのが考えられないかと。ちょっと私もどういう折衷案があるかというのは専門じゃないので分からないんですけれども、とにかく、やはり今のままでは、病院はますます疲弊し、ちょっと過剰な部分があるんじゃないかと思いますので、この問題、是非大臣にお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 どこに位置づけるかというのは、感染力でありますとか罹患した後の重篤性等々を勘案して決めるわけでありまして、コロナはそれなりに感染力があります、重篤性もあります。

 ちょうど来年の一月にこの指定感染症の期限が切れるということで、先般の法律改正の中において新型インフルエンザ等感染症という位置づけをさせていただいたわけでありますが、五類に落としますと、五類に落としても重篤性や感染性が弱まるわけではないので、当然しっかり感染管理していただかないと広がっちゃいますよね。それから、検体採取、就業規制、入院の勧告、措置、こういうものが五類になるとできない。

 何よりも、要するに海外から来られた方、こういう方々に検疫で、言うなれば、五類になっちゃいますと隔離、停留というのができなくなっちゃうということで、今、特に変異株等々に対して検疫でも非常に厳しい対応をさせていただいておるわけでありまして、五類というわけには我々としてはいかないという思いでございますので、そこは、いろいろな御議論はあるんだと思いますけれども、御理解いただきたいというふうに思います。

高井委員 今大臣が検討しますとか言うとなかなか混乱にはなると思うんですが、ただ、今言ったように、相当最悪の事態も想定してやはりいろいろなパターンを考えておく必要はあるんじゃないかな。水面下で結構でございますので、専門家を集めて、極秘でもいいですから、私は検討しておいた方がいいんじゃないかなという気は、いろいろな方から言われますから、是非、今の答えでそういう方々が納得したかはちょっと私も分かりませんけれども、しっかりそういった議論もしていかなきゃいけないなと思っております。

 それでは、次に、毎度取り上げて恐縮なんですが、総合支援資金のことをあと一、二問聞かせていただきたいんですが、まず、局長で結構なんですが、二月十九日から再貸付けというのが始まりました。これは本当に大臣の御英断で、私からも何度かお願いして、大臣がやると言って、大変な大好評でございますが、これは一体、申請者数が何人で、支給額は幾らでしょうか。

橋本政府参考人 お尋ねいただきました総合支援資金の再貸付けについてでございますけれども、これまでの申請の件数が約十四万件、再貸付けを決定した額は約七百五十四億円というふうになってございます。

 この再貸付けを含みます緊急小口資金等も含めた特例貸付け全体として見ますと、この総合支援資金の再貸付けを開始しました今年の二月十九日が含まれます二月の十四日の週以降の実績に限って見ますと、申請件数が約三十五万件、貸付けを決定した額が約千六百五十四億円というふうになってございます。

高井委員 ありがとうございます。

 七百五十四億円ですか。この方々は、貸し付けられた方は、ちょうど今、承認の通知がどんどん来ていて、私のところにも大変ありがとうという感謝のメールもいただくんですけれども、一方で、不承認だった、落ちてしまった人が大変な思いをしている。不承認の数は教えてくれないんですけれども、七百五十四億の一割とかですかね、一割もいないような気がします。そうすると、七十億とか六十億とかそのくらいだと思うんですよね。

 ですから、私は、何度も言いますけれども、不承認になった方が一番苦しい思いをされて、ある意味、不承認の理由はこれも公表されていませんけれども、私の推測では、返済能力がないという、だから、一番生活に苦しい人が不承認になってしまっている。

 それで、すぐに生活保護とか別の制度に行けるならいいけれども行けないという状況がある中で、大臣、難しい質問を聞きますけれども、不承認になっていて生活保護にも行けないという人が現実にいるんですよ、何かいろいろ制度のハードルでね。こういう人はどうしたらいいんですか。不承認になって、かつ、生活保護にも行けない、この人はどうやって生きていったらいいですか。

田村国務大臣 前回も申し上げたんですけれども、不承認になるという段階で、例えば自立相談支援機関に相談をしていただく。そこで、不承認というような形の方々、つまり返済能力がないという方は、多分そこでまずアドバイスをされると思うんですよね。それができていないとすれば、例えば求職者訓練支援制度の方に行くのか。

 生活保護が受けられないという理由がちょっと私もなぜなのかというのが分からないんですが、そもそも、そこまで対応をしていないということであれば、これは前回も申し上げたとおり、社会福祉協議会が、そこで、これに関しては不承認であるから、もうそれで終わりよというのではなくて、きめ細かい対応をしてくださいということで、四月の七日であったと思いますけれども、再度、他機関との連携を含めた対応ということを事務連絡を出させていただいておりますので、そういうふうなきめ細かい対応をいただく中において、仮に、返済能力がもうない、若しくはもう生活自体が破綻をされておられて、他の方法を選ぶ場合には、そこにつなげていただくということが本来我々としてはそれぞれの現場の皆様方にお願いをしておることでございますので、もしそうでないとすれば、再度我々としては、お話をお聞かせをいただければ、そういう窓口の方々に対する対応ということを更なるお願いをしてまいるということであります。

高井委員 私も、生活保護も取り上げなきゃいけないなと思っているんです。

 今、大臣は、受けられないという人の理由が分からないとおっしゃいましたから、ということは、受けたいと思えば受けられるということですよね。

 もし、現実に社会福祉協議会とかで断っている例があるなら、それはやはり大臣から、受けたいと言っている人には受けさせてあげなよということを再度ちゃんと言っていただきたいと思いますし、あと、本当に、受けにくいというか、そういう社会的な空気というか、いろいろ、親に知られたくないとか周りの目とか、やはり、そういうもう長年しみついてしまった生活保護に対するイメージみたいな、これはなかなか簡単には払拭できませんから、そうなると、私はある程度時間をかけてこの生活保護の改革というのはしていかなきゃいけないと思うんですけれども、やはり、今、当座この一か月、二か月生きていけるかみたいな話になっているので、それであれば、もう一度繰り返して言いますけれども、やはり不承認はせずに承認してあげる、今回不承認にしちゃった人ももう一回再申請を受け付ける、それから、今九か月ですけれども、やはりあと三か月何とかしてほしいという方もいますから、この辺が、今、多分一番最後の三か月というふうな思いの方が多いと思うんですね、やはりコロナ禍でこれだけ失業が増えてしまっている中で。

 そこで、一旦貸して、返せるかどうか分からないという心配はもっともなんですけれども、しかし、まずは貸してあげて、それで仕事が見つかって立ち直れば、それはハッピーな話ですし、それで、これは一年据置きですから、一年間据置きして、その間に自立して仕事が見つかって返せればいいわけで、それでも、全額借りたら、月に大体二万数千円ずつ返すことになるんですけれども、それを返せないとなったら、そのときにいよいよ、では、返済免除という手があるのか、あるいは生活保護に、そこはもうある程度強制的にでも嫌だと言っても移ってもらうということ、こういうやり方をしていくのが私は一番。

 じゃ、それで財源が幾らかかるかといえば、さっき言ったみたいに、七百億の多分十分の一ぐらい、七十億ぐらいでそれができるのであれば、私は今それを緊急にやるとすればやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 ちょっと誤解のないように申し上げなきゃいけないんですが、生活保護は本人の持ち得る稼働能力を最大限生かさなきゃいけないので、その上ででありますから、働けるのに働かないというのは、これは当然のごとく、生活保護は、何もせずに、能力があってやらないのにということはあり得ないわけでありますし、持っている資産等々は活用していただかなきゃならない。

 ただ、生活保護がいろいろな形で入りづらい。コロナ禍ですから、例えば、今まで自分で事業をやっておられて、事業用資産はあるんだ、でも、これを売っ払っちゃったらもう次に立ち直れないというような場合に関しては、それに関しては売却しなくてもいいよでありますとか、どうしても仕事を探すために車が要るというのなら、本来、車は持っちゃいけないんですけれども、一定の価値のない車、余り高いベンツなんかというわけにはいかないんでしょうけれども、一定の車であればそれは持ってもいいよでありますとか、いろいろな対応は今緩和をさせていただいております。

 何を言いたいかというと、多分、今までも、九か月に来るまでに、いろいろなアドバイスは受けておられるんだと思うんです。例えば、本来、働くということを前提でそのお金を借りられて、自立をされるわけでありますから、当座の間どうしてもお金が要るということで、この総合支援貸付けを受けられているんだというふうに思うんですよね。それがだんだん延びてきているという中において、そこの原因は何なのか。つまり、元々自分が働こうと思うところが職がないのに、求人がないのにそこに行こうとしているのか。ということであれば、本来からいうと、先に職業能力をつけるために教育訓練等々を受けていただかなきゃならぬわけでありまして、であるならば、求職者支援訓練、こういうものを受けていただいて、そして伴走型で対応していただく中でそういう職につなげていくということもあるんだと思います。

 そうであるとすればいろいろな対応があるんですが、さすがに九か月、今までどういうような状況であったのかというのがちょっと私もつぶさに分からないものでありますから、その残りの、十二か月というもので、その三か月で解決するのならば、今まででも解決されておられた。でも、それで解決しないとすれば、例えば体が悪くてもう働けないということであれば、これはもう生活保護でしっかりと対応していかなきゃならぬわけでありまして、そういうところをやはりきめ細かく対応していくというところが重要であるんだというふうに思いますので、一概に十二か月にして解決するという問題では、なかなか、もう今まで九か月対応してくる中において、そこの本質的な問題というところをしっかり解決するような対応の仕方を社会福祉協議会なり市の福祉部局が対応していかなきゃならぬということなんだろうというふうに思います。

高井委員 それは本当に、だから、九か月、社会福祉協議会がどうだったかという状況は、それは、大臣自らじゃなくてもいいですから、指示を出して是非聞いてみてもらいたいですけれども、私が聞いている範囲では、やはり社協がもうパンクしちゃっていて、寄り添った支援はなかなかできていないと思うんですよ。だからこういうことに、百七十倍ですからね、通常の申請の。本当に社協の人からも物すごいクレームのツイッターが私に来ますし。

 あと、一方で、やはり、そのお金、貸付けをもらって、それでギャンブルで使っちゃったみたいな、そういう人もいるだろうというツイッターもいただきます。だから、大盤振る舞いし過ぎは駄目だと。

 でも、そういう人はいますよ、それはどんな世の中でも。でも、そういう人の割合が増えるわけじゃないので、それは、一定のそういう人がいるからといって、みんながそうだと思う必要はないし、このコロナ禍だからこそこんなに増えているわけで、何か貸付けを無駄遣いする人の数が急に増えるわけないので、そこは是非、そういう人が一定割合いたとしても、それはもう目をつぶって、まずは貸して、やはりそれ以外の大多数の人が困窮しているわけですから、そこは是非、もう何度もやり取りして水かけ論ですけれども、再度検討いただきたいと思います。

 それで、法案の話とも関わってくるわけですけれども、やはりその財源をどうするかということは大きな課題で、この委員会でも、私は、医療逼迫を防ぐために、千九百五十万円の使い道をもっともっと増やせばいいじゃないかとか、あるいは、今のような困窮者支援もそうですし、あるいは、さっき内閣委員会では時短協力金の話、これも事業規模に応じてもっと出してもいいんじゃないか。でも、私は、時短協力金を出すのなんかよりも医療崩壊に使ってくれと。時短協力金に三兆円使っているんですよ。三兆円の三分の一でいいから厚労省に回して医療逼迫解消のために使うべきだと西村大臣には言ってきましたけれども。いずれにしても、この全世代社会保障だってお金がかかる。

 こういった中で、私は、やはり財源論を、この法案、特に委員会では是非していきたいと思っていますが、アメリカが、今大変な大盤振る舞いというか、二百兆の財政政策をやっていますけれども、財務省、今日、宇波主計局次長、厚労大臣が最も信頼する財務省の役人と称していた財務省のエースだと思いますが、宇波さんにお聞きしたいんですが、国債を数十兆、百兆ぐらいの規模で発行する、そういうお考えはありませんか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問は新型コロナ感染症対策の文脈でのお尋ねかというふうに思いますが、新型コロナの感染の拡大の防止、そのための医療提供体制の整備、あるいは事業者の支援、生活に困窮されている方の支援、雇用支援など、これにつきましては、例えば、令和二年度においては三回にわたって補正予算を編成をし、この中で様々な支援策を講じてきております。

 そのために発行した国債は約八十兆円に及びます。これの大宗は、今申し上げたような新型コロナ対策の予算として整備をしてきている。この中で、例えば医療機関等への支援につきましては、病床確保料等による支援ですとか一床当たり千九百五十万円の緊急支援など、約四・六兆円の予算を計上して医療提供体制の確保に取り組んできたところでございます。

 生活困窮者の方々への支援についても、御質問いただいているような緊急小口等の新規貸付け、再貸付け、住宅確保給付金、あるいは子育て世帯の生活支援特別給付金、求職者支援制度の抜本的拡充、NPOへの支援など、様々な施策を講じてきているところでございます。

 それぞれの状況に応じて支援を十分に図っていくことが必要ではないかというふうに考えてございます。

高井委員 八十兆国債を発行した。でも、ある意味当たり前というか、ここで止めてほしくないんですよ。八十兆も出したんだから、もうこれ以上は出せないというのが、財務省から何かすごく感じるんで。全然八十兆じゃ足りませんから。発行しても大丈夫ですから。

 そのことを議論したいと思うんですけれども、前回の委員会で、次長は、自国通貨建ての国債でもデフォルトすると。

 これは、実は結構有名な話ですけれども、財務省はホームページ上でも、日本やアメリカなど先進国の自国通貨建て国債はデフォルトは考えられないというふうにはっきり言っているわけですよね。だけれども、これを国会で聞くと、もう何回も答弁されているんですけれども、いや、外国の格付会社への意見を言っただけですと。でも、別に誰に対して意見を言おうと、言っていることが変わるわけじゃない。逆に言えば、外国格付会社にはこう言うけれども、何か自分たちの財政再建の話になったら別のことを言っているようにも聞こえて、おかしな答弁だと思いますけれども。すれ違いな、答えていないんですよ。答えられないんだと思うんですよ。

 これは、ホームページにも載っているとおり、正しいわけですよ。自国通貨建ての国債のデフォルトはしない。でも、前回聞いたら、こうおっしゃいました。これは初めて言われたなと思ったんですけれども、デフォルトする可能性がある場合として、債務の持続可能性に対する市場の信認を失う事態が発生すればデフォルトする可能性があると。これはどういう事態ですか。市場の信認を失う事態というのは、財務省はどういう事態を想定されていますか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、質問の冒頭で、財務省のホームページに記載されている記述についてまずお話がございました。これは、従前から御答弁申し上げているように、格付会社に対して日本国債の格付の理由について客観的な説明を求めたものでございます。

 その意味では、前回の、先日の先生から御質問いただいた際もデフォルトということで御質問いただいておりますが、まず、用語の問題としては、デフォルトというのがどういう定義なのかというのが定かではないので、先日の委員会の答弁でも、デフォルトする可能性がある場合としてお答えしたわけではございません。

 その上で申し上げれば、前回と繰り返しになって恐縮なんでございますが、財政事情が厳しい中で日本の国債が購入されているのは、財政運営に対する信認が前提となっております。

 様々な要因によって債務の持続可能性に対する信認が失われて、将来の負債の返済が十分に見込めなくなれば、金利が急上昇し、市場からの安定的な資金調達が困難になる可能性もございます。

 財政運営に対する市場の信認を確保するために、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えてございます。

高井委員 同じことしか答弁いただけないんですけれども、でも、やはり、金利の上昇、インフレということだと思いますよ、私は。

 ここでちょっと、二〇一九年七月十八日の日経新聞に、この方は、ニューヨーク州立大のケルトンさん、アメリカのサンダース上院議員の顧問もされたという経済学者ですけれども、こんなふうに書かれています。

 政府が支出を考える際、制限となるのは財源ではない。インフレが起きるかどうかだと。MMT、現代貨幣理論ですね、については、どのようにインフレを避けるのかという批判が強い。ただ、インフレを生もうと二十年間苦心している日本がインフレの回避法を考えるのはおかしなところもある。あらかじめ、インフレが深刻になった場合には増税するなどと決めておく。トリガー条項。絶対にやる増税よりも、もしものときの増税の方が有権者の理解は得やすいはずだと。

 私は全くこのケルトンさんと同じ考えなんですけれども、前回も、質問まではしませんでしたが、提案はしましたけれども、インフレ率二%になるまで国債を発行するという法律を作って、二%になったら、あるいは二%が見えてきたらでもいいですよ、そこは法律の書き方で。これはやばいな、債務不履行、デフォルトする可能性がある、日本の国債が市場の信認を得られなくなるような兆候が表れたら即時に国債発行を停止するという法律を決めておけば、政治家は信用できないという思いの方も法律で縛られると思いますけれども、それについてはどう考えますか。

宇波政府参考人 先生、せっかくの御質問ですので、少し答弁が長くなることをお許しいただければと思います。

 日本の財政赤字でありますけれども、この拡大は、先ほど御説明申し上げたようなコロナ対応のような機動的に対応するものを別といたしますと、構造的な問題としては、これは主として、少子高齢化の進行を背景に、社会保障の受益と負担のアンバランスというこの構造的な課題によって生じております。

 特例公債から脱却した一九九〇年度の予算と、そこから三十年余りたった今回の二〇二一年度の予算を比較していただきますと、社会保障以外の予算はこの三十年余りでほぼ横ばいでございます。これに対して、社会保障関係費は十一・六兆円から三十五・八兆円と、高齢化等に伴って約三倍に増加しております。他方で、税収は、一九九〇年度は五十八兆円、二〇二一年度は五十七・四兆円と、ほぼ同じ水準であります。

 したがいまして、高齢化に伴う社会保障関係費の大幅な増加に見合った税財源が確保されていない、このギャップが拡大している結果が財政赤字の拡大となっております。

 したがいまして、財政健全化を進めるということは、少子高齢化が進展する日本においては、将来にわたり持続可能で安心できる社会保障制度を構築することといわば表裏一体の関係にございます。

 今御指摘いただきましたように、インフレ率が二%になった場合に国債の発行を停止する、つまり、そこで財政赤字は認めないという考え方を取った場合には、先日も御答弁申し上げましたが、これは、物価が上昇している局面において国債を発行停止する、それに伴って、歳出の大部分を占める社会保障の急激な削減あるいは増税などをその時点で行わざるを得なくなります。国民生活に悪影響を与えかねないのではないかと考えます。

 また、そのような財政運営をするということを法律上宣言をするということは、今から社会保障に対する国民の皆様の将来不安を助長しかねないのではないかというふうに考えます。

 このような理由から、政府としては、御指摘のようなトリガー条項を盛り込んだ法案を提出するという考えは持ってございません。

高井委員 そこは見解の違いですけれども、私は、あらかじめ言っておけば国民の皆さんは備えるし、インフレが上がってくればそういうことになるんだと覚悟すると思うんですよ。でも、それまでは財政出動でいろいろ経済がよくなるわけですから。

 とにかく、インフレ率が二%になるかどうかというのは予想できないんですよね。だから、財務省は、今前段でいろいろおっしゃいましたけれども、そのことで、じゃ、日本の国債の信認が市場から失われると財務省はそう考えているかもしれませんけれども、客観的に、全くインフレになっていないわけですから、もう二十年間デフレなわけですから、まだ余力があるということですよ。だから、そこまではやればいいのであって、何か一千兆になったからとか、GDPの倍になったからとか、世界各国と比べて一番高いからとか、それは理由にならないんですよ。

 私は、何でそうなるのかなと思って、財務省設置法を見てみたら、第三条の任務にこう書いています。「財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、」等々書いているんですけれども、健全な財政の確保が一番なんですね。予算編成とかは出てこないんですね。あとは、通貨とか造幣事業とか。この設置法は変えた方がいいですよね、健全な財政の確保が財務省の一番の。

 私は、多分、財務官僚の皆さんはそこがしみついているんだと思いますよ。設置法なんてそんなに見ないけれども、だけれども、先輩から代々、財政健全化がとにかく我々の使命だと教え込まれて、たたき込まれてやっているから、だから、プライマリーバランスのギャップが出ると、それはおかしいとなるんですけれども、しかし、前回も言いましたけれども、国の借金という言い方がおかしくて、これはやはり政府の借金ですから、政府の借金イコール国民の資産ですから、私はそういうふうに言い換えてもらいたいと本当に思いますけれども、ここは本当に議論をまだ続けたいんですけれども、実は政務官に前回も来ていただいて、空振りを二回続けては申し訳ないので、ちょっと急に話が飛びますけれども、消費税のことを聞きたいと思います。

 関連するんですけれども、やはり国債を発行して私は消費税減税をやるべきだ。でも、あわせて、それだけじゃ不安だというのであれば、所得税の累進課税の強化、それから、法人税に累進性を入れてもいいと思います。あるいは、さっき宮本委員も言われていましたけれども、アメリカが法人税の大増税をやっていますから、世界的流れですよ、イギリスも法人税を上げていますから、それをやる。あとは、金融所得の総合課税ですね。こういうことをまずやって、それで財源をつくって、消費税減税を今こそやはり経済対策としてやらなきゃいけないので、私は是非これを決断していただきたいですけれども、政務官、いかがですか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 これまでも、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の税率引上げ、高所得者に対する基礎控除の適用制限導入など、時々の経済社会の変化を踏まえつつ、税制全般についての見直しを行ってきてございます。

 また、法人は税負担を回避するために会社の分割を行う可能性もあることなどから、法人に対する累進税率の適用には課題があるものと認識をいたしております。

 その上で、お尋ねの消費税に関しましては、急速な高齢化等を背景に社会保障給付費が大きく増加をする中で、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源として位置づけられております。

 令和元年、二〇一九年でございますが、消費税率の引上げは、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換をしていくためにはどうしても必要なものでございまして、消費税率を引き下げるということは考えてはございません。

 いずれにいたしましても、所得税、法人税、消費税を適切に組合せをいたしまして、必要な税収を確保していくことが重要というふうに考えてございますので、今後の税制の在り方について、経済社会情勢の変化等を踏まえつつ検討する必要があると思っております。

高井委員 最後に一問、主計局次長にもう一回聞きます。

 さっき私が言った、国の借金という言い方はやめて、政府の負債(国民の資産)という表記を今後は財務省は取るのが国民にやはり誤解を招かないことだと思いますけれども、それをやっていただけませんか。

とかしき委員長 宇波財務省主計局次長、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

宇波政府参考人 国債は、政府の負債であります。また、国債を保有している国民の方にとっては、その限りでは確かに資産でございますけれども、国債の返済や利払いに当たりまして、国債を保有されているかどうかにかかわらず、現世代あるいは将来の世代の国民の皆様に対して追加的に税金等の負担あるいは歳出改革への御協力をお願いしなければいけなくなりますから、そのことを踏まえて、広報資料などにおいて、国の借金というふうに表記をさせていただいております。

 IMFあるいはOECDにおいても、日本の財政の健全化を評価するに当たって、政府債務、ガバメントデット、あるいは公的債務、パブリックデットという表現、表記を用いているというふうに承知してございます。

とかしき委員長 高井崇志君、申合せの時間が経過しております。

高井委員 はい。

 この法案は財源論が大変大事なので、また大臣にも聞きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

とかしき委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時三十分理事会、午前八時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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