衆議院

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第2号 令和4年3月2日(水曜日)

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令和四年三月二日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    土田  慎君

      西田 昭二君    長谷川淳二君

      深澤 陽一君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      吉田とも代君    輿水 恵一君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  山崎 正恭君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  輿水 恵一君     山崎 正恭君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 全ての世代が将来にわたって信頼できる年金・医療・介護等の社会保障制度の確立等に関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第二二八号)

 同(金子恵美君紹介)(第二八三号)

 保育・学童保育制度の抜本的改善に関する請願(中川正春君紹介)(第二三〇号)

 同(山岸一生君紹介)(第二三一号)

 同(金子恵美君紹介)(第二八〇号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二八一号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第二三二号)

 同(森田俊和君紹介)(第二三三号)

 同(大石あきこ君紹介)(第二五五号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二八二号)

 同(浅野哲君紹介)(第二九八号)

 介護保険制度の抜本的転換に関する請願(白石洋一君紹介)(第二三四号)

 コロナ禍の下、保育、医療、介護、年金など国民の命と健康を守る社会保障の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五四号)

 小学校休業等対応助成金の継続、全国一律最低賃金制度の創設、食品衛生監視員を大幅に増やすこと等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二七七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二七八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二七九号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(大島敦君紹介)(第二八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也君、厚生労働省医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、労働基準局長吉永和生君、職業安定局長田中誠二君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君、政策統括官大島一博君、政策統括官鈴木英二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 よろしくお願いします。

 今日は、大変お忙しい中、コロナ分科会の尾身会長にもお越しをいただいております。本当にありがとうございます。後半で質問させていただきますので、前半ちょっと、申し訳ございません。

 それでは、冒頭、配付資料十五ページにありますように、優生保護法裁判について一問だけ大臣に御要望したいと思います。

 昨日もこのような要請書が出ております。国は、大阪高裁判決について、上告又は上告受理申立てを断念し、本件判決を確定させること。このことについて強く要望したいと思います。後藤大臣、よろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 優生保護法の問題については、本当にこれは、与野党一致で一時金の支払いの法律を通しましたときに、本当に皆さんと一緒に深く議論いたしましたけれども、旧優生保護法の法律、また、それによって行われたことに対しまして、厚生労働省としても、非常に深い反省、そして、今後に対するしっかりとした責任を果たしていくということについては、申し上げたとおりでございます。

 訴訟につきましては、いろいろ訴訟の内容等について今吟味しておりますので、関係省庁とよく協議したところで進めさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 是非よろしくお願いいたします。

 それでは、コロナ対策の質問に移らせていただきます。

 配付資料を見ていただければと思いますが、例えば、二月二十七日のNHK七時のニュースでも、コロナ感染を高齢者がされて、介護サービスが停止になったと。これでは在宅で高齢者が生きていけない。これは障害者も同じことでございます。

 つまり、残念ながら、やはり、陽性者の高齢者や障害者を訪問する、あるいは濃厚接触者の障害者や高齢者を訪問するホームヘルパーさんは、非常にリスクを感じられるわけなんですね。当然だと思います。

 恥ずかしながらも、私も、私の地元で、是非、山井議員も一緒に陽性のお年寄りの患者の御自宅を訪問しましょうと誘われたことがあります、お医者さんから。防護服で完全フル装備しますから、山井議員、一回見てくださいと言われましたけれども、残念ながら、私は、恥ずかしながらお断りをして、ちょっと申し訳ない、勘弁してくださいと、恥ずかしながら私はそう言いました。

 そういう中で、本当に、全国の約六十万おられる高齢者やあるいは障害者向けのホームヘルパーの方々が、やはり今、入院できない方も増えているわけです、誰かが介護をせねばならないという本当に熱い思い、使命感でホームヘルプをされているんですけれども、やはり、中には、もううちの事業所は受けません、あるいはホームヘルパーさんも受けれません、例えば家族に受験生がいるから行けませんとか、そういうケースがあるんです。これは本当に分かります。でも、そういう中でホームヘルパーさんは支えてくださっております。

 私も、祖母が二十年間寝たきりで亡くなったこともあって、議員になる前は、高齢者福祉の研究者で、大学でも高齢者福祉を教えておりました。そういう立場からすると、このニュースにもありますように、やはり、加算なり特別手当を少しでもいいからつけてほしい、お金がもらえるから行くんじゃないけれども、気持ちとしてつけていただきたい、そういう御要望があります。

 それで、暮らしネット・えんの小島さんや、でぃぐにてぃの吉田真一さんなども、先日も、井坂議員、中島議員とともに厚生労働省に要望をさせていただきました。やはり、このことについて是非手当や加算をつけていただきたいということをお願いをしたいと思います。

 まず最初の質問ですが、このように濃厚接触者そして陽性者の高齢者や障害者にホームヘルプに行かれる場合、質問通告しておりますが、事業者の判断で特別手当をつけた場合、全額国庫負担ということで見ていただくことはできませんでしょうか、大臣。

後藤国務大臣 今、山井議員から本当に御指摘のありましたとおりで、介護サービスや障害福祉サービス、感染防止対策を徹底した上でサービスを継続いただいている事業者に対して必要な支援をしていくということは非常に重要だと思っております。

 特別手当など、その名称のいかんにかかわらず、感染者や濃厚接触者に対応した事業所等が労働の対償として職員に支払う割増し賃金の類いあるいは手当、そうしたかかり増し経費については、地域医療介護総合確保基金等の枠組みを活用して補助をいたしておりまして、御指摘のとおり、全額公費による支援となっております。

山井委員 これは非常に重要な答弁で、先ほど言いましたように、こういう手当をつけてほしいというような報道や、井坂議員、中島議員、小島さんや吉田さんの要望もあって、今大臣が答弁してくださいましたように、全額公費で見るということです。

 そこでなんですけれども、ちょっと簡単に御説明しますと、例えば、配付資料の二ページ目にありますように、厚生労働省老健局からの文書回答でも、介護職員の割増し賃金、手当、全額公費による支援をするとなっております。そして、その基となるのは、四月、二十四日、先週金曜日に出たこの事務連絡ですね。職員の割増し賃金、手当などは補助対象となるということなんです。それが、そもそも昨年四月から始まっております介護サービス事業者のサービス提供確保事業や、また、障害者に関しては、配付資料にありますように、障害福祉サービス事業所に関わるサービス継続支援事業、ここで全額公費負担で見ると、今大臣は答弁をされました。

 ところがなんです。私も、十数か所の障害者あるいは介護事業所に、出ますよと、もっと言えば、今から出るんじゃなくて去年四月から出るんですよということを言ったら、出ると知っている事業所はゼロ。都道府県に問い合わせても、都道府県も、いや、そんなの、人件費出るんですか、初耳ですと。

 確かに、これを見てもらったら、詳しくは言いませんけれども、このペーパーを見てもらったら、陽性や濃厚接触者のところにホームヘルパーが行ったときに特別手当が出るとは、はっきり言って、これを読んでも、読めません。そうは読み切れません、さすがに。

 だから、実際は、制度を使えると大臣はおっしゃってくださるんだけれども、使っている事業所はほとんどありません、残念ながら。そこで、周知のために、二十四日、事務連絡を出してくださったのはありがたいんですけれどもね。

 そこで、大臣、多くの事業者がおっしゃっているのは、特別手当出していいんですね、全額負担うれしいです、是非もう今日からでもあしたからでも出したい、あるいは、今まで自腹を切って既に出しているから、その部分も払ってもらえるんだったら助かりますということなんですけれども、じゃ、幾らだったら出るんですかと。せめて何か目安、めどを教えてくださいということなんです。

 そこで、私も、おとつい、昨日と、老健局さん、障害福祉課さんと三度、四度議論を重ねましたが、社会通念上適当な額は出しますという答弁なんですね。ところが、じゃ、例えばホームヘルパーさんが一回行くときに千円でオーケーなんですか、三千円でオーケーなんですかと。当事者の方々は、当事者団体の方々は、三千円とか五千円ぐらいあるとありがたいという声もありますし、でも、幾らだったらいいんですかと聞くと、社会通念上適当な額としか言えませんと。これで、多くの事業者が都道府県に問い合わせても、幾らだったらオーケーと言ってもらえない。

 結論としたら、金曜日に事務連絡は出たものの、額は言えませんと言われたら、どこの事業者も申請できないんですよ。何でかといったら、例えば、二千円払った、申請した、そうしたら、社会通念上不適当ですと言われて却下されたらお金は出ないわけだから、怖くて払えないわけですよ。

 そこで、なかなかデリケートな問題です。別に、幾らお金を出すから行ってくださいとかそういう話じゃないけれども、さっきも言ったように、感染リスクの中行っていただくその感謝の気持ちですよね、その気持ち、それを是非やはり金額にしていただきたいんですけれども。

 そこで、これも質問通告をしておりますが、あえて、目安とか上限という行き方ではなくて、例示としてお聞きしたいと思います。

 社会通念上適当な額と聞いたけれども、多少のめどがないと事業者は申請ができません。それで、私の地元でも千円出している、持ち出しでですよ、持ち出しで千円出している事業所もあります、一回ヘルパーさんが行かれるたびに。ついては、大臣、お答えいただきたいんですが、例えばですけれども、例示、一回のホームヘルプに対するヘルパーさんの給料と同額程度の特別手当を事業者が上乗せして出す場合、全額公費負担で負担してもらえると理解してよろしいですか。

後藤国務大臣 補助対象となる割増し賃金、手当の水準については、考え方としては、社会通念上適当と認められるものである必要があるというのが考え方の基本であると思います。

 そして、個別の事案の適否の判断でございますけれども、実際の申請に基づいて判断することになるわけではありますけれども、今御指摘の、給料と同額程度の特別手当を事業者が上乗せされたような場合ということでありますれば、感染者が発生した事業者であること等の、補助要件のこれは基本ですね、見舞金のようなものでないというような、そういう補助要件に該当すれば、都道府県におけるこれまでの割増し賃金、手当の補助の実績を踏まえても、全額公費負担による補助対象となり得るというふうに考えております。

 全国都道府県くまなく調べられているわけではありませんけれども、コロナ対応によって一日当たり定額という形で千円から二万円払った例だとか、また、賃金単価等を増額して通常の賃金単価等の支払いをしているもの、そうしたものへの手当の実際の補助の実績はございます。

 そういう意味で、ちょっといろいろ申し上げましたけれども、結論として申し上げれば、給料と同額程度の特別手当を事業者が上乗せしたような場合、これは、一般的には、社会通念上適当な額ということで考えさせていただきたいと思います。

山井委員 今の答弁を聞いて、本当に、今日から、あしたから全国本当に全ての、コロナ感染者そして濃厚接触者を介護されている、また障害者福祉、高齢者介護の事業所は手当を、全額国庫負担で出るんですから、出されることになると思います。

 それで、ちょっと念のためですけれども、ちょっとくどいようですが、例示ですよ、繰り返して言いますけれども、本当に、こういう場合はどうか、こういう場合は幾らかというのは言えないというのは分かりますので、ただ、例示としては、今言ったように、ホームヘルパーさんの一回行くのが例えば平均二千円ぐらいだとしましょう、例えば千五百円とか二千円だったら、感染者の方、濃厚接触者の方の中に行くときには上乗せでプラス、さっきおっしゃったようにつかみ金じゃなくて給料として正式にそれを上乗せしてやった場合は、全額公費で出るということでよろしいですか。

後藤国務大臣 いわゆる給料としての対価性が認められている、そういうものであるということの前提の下で、今委員の御指摘のとおりで結構でございます。

山井委員 これはうなずいていただけたらいいんですけれども、当然、この手当は去年四月からですから、遡及して、去年四月以降で既に払っちゃったやつもオーケーということですね。

後藤国務大臣 そういうことで結構です。

山井委員 それで、昨日の晩も私、五、六の事業所の方々と話をしましたけれども、例えば、この事業は三十一万円という上限があるんですね、介護の場合は。それで、障害者福祉の場合も十万七千円という上限があって、防護服とかいろいろなものを買ってもう使い切っている、今更、特別手当が出ると言われても駄目だというところがほとんどです。やはり今みんな、防護服とかガウンとか、めちゃくちゃお金がかかるんですね。

 ついては、めちゃくちゃ小さい字なんですけれども、十ページを見ていただけますでしょうか。十ページ、これはきついんですよ、字が小さくて。それで、赤線をわざわざ引きました。つまり、介護の場合も、今言ったこの確保事業は三十二万が上限なんです。でも、防護服とかガウンとかでもう使い切っちゃっているんです、ほとんど。それで、一番、また小さいところ。これも字が小さくて見えないと思います。これは実物大ですからね、言っちゃ悪いですけれども。本当にこれは実物大で。ここにどう書いてあるかというと、結局、使い切った場合は、個別協議を実施し、厚生労働省が特に必要と認めれば三十二万を超えてもいいとなっているわけですよ。

 だから、今の大臣の答弁で特別手当を出せるというだけでは不十分で、でも、多くの事業所はもう上限使っちゃっているから、必要であれば厚生労働省と協議してくださいということなんですけれども、はっきり言って、個別の事業所が厚生労働省と協議できるはずありませんので、まあ、するんですけれども、でも目安は言ってもらわないと駄目で、今言ったように、先週金曜日の事務連絡を見て、あっ、特別手当に使えるんだ、これからでも出したいと思ったところが既に三十二万なりを超えていたときに、特別手当を出しますといったときに、まさか、出したはいいけれども、三十二万を超えているから駄目ですと言われることはないですね。

 もちろん、不正は駄目ですよ。不正は駄目ですけれども、今答弁された、特別手当は必要ですから、こういうことで三十二万を超えたときに厚労省と交渉したときには、ほぼ確実に認めてもらえるということでいいですね。

後藤国務大臣 御指摘の特別手当が、今委員からも確認していただいたように、かかり増し経費支援の補助対象の要件として該当しているということでありますれば、上限額を超える場合には個別協議を認められております。

 それで、補助の上限額を超える場合の個別協議の申請があったものでございますけれども、かかり増し経費支援の補助対象の要件に該当しておるものについて、厚労省で却下した事例はこれまでないと承知しておりまして、全て承認しておりますので、委員の御指摘のとおり事務は進むものと思っております。

山井委員 ありがとうございます。

 それはありがたいんです。ただ、これも、事業者の方の声を聞くと、もう現場は戦場で、濃厚接触者とか陽性者の方のヘルパーに行くのでもう戦場だ、そういう中で、個別に厚労省と協議してください、これだけの資料を、何十枚も資料を作ってくださいと言われても、もうできないと言うんですよ。だから、これは要望ですけれども、この個別協議も簡素な資料で認めてもらえるようにということを要望したいと思います。

 ついては、もう一つ、これも要望ですけれども、例えば、陽性者と誰が判断するんですかと。保健所から証明をもらってください。ところが、保健所は今パンクしちゃっているわけですよ、はっきり言って、多くの地域で。保健所からの証明書をもらってくださいと言ったら、事実上、無理なんですよ。出ないんですから、簡単に。それと、濃厚接触者の証明は、これも役所に聞いたら、保健所からもらってください。ところが、今、濃厚接触者は役所も判断していないんですよ。こういうところをぎりぎりぎりぎり資料を出せと言ったら、結局、特別手当は申請できないと、また話が戻っちゃうんです。これは要望ですけれども、ですから、こういうふうなことについても、今日の答弁を含めて、今週中にQアンドAを是非出していただきたいんです。

 本当に、全国のホームヘルパーさん、もう私も涙が出ますよ。濃厚接触者、陽性者のところに決死の覚悟で。多分、下手したら御家族は反対されると思いますよ。行かないで、そんなところと言うかもしれませんよ。でも、それを手弁当で行っていられるんです。そういう意味では、是非とも、できるだけ利用しやすいQアンドAを今週中に出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今、山井先生の御指摘について、私も本当に、ヘルパーの皆さんたち、ありがたいなというふうに思っております。

 かかり増し経費支援は、感染者や濃厚接触者に対応する訪問介護事業所等がサービスを継続できる体制を確保するための仕組みでありまして、必要な事業所等に活用していただくことが重要だというふうに考えております。

 このため、かかり増し経費支援の仕組みを分かりやすく周知する観点から、これまで御指摘いただいたような事例を例示しつつ、必要な事項を今週中にQアンドAでお示しをしたいと思います。

山井委員 例えば、私、計算させてもらったんですけれども、今、もし日本中の濃厚接触者と障害者の方、高齢者の方がホームヘルパーを利用して、特別手当を、例えばですよ、低過ぎますけれども千五百円使ったとしても、一か月で一・九億円。恐らく、書類が煩雑だから、はっきり言って、二、三割の方しか申請されないと思います。ということは数千万の話なんですね。かつ、当事者の方々からは、まあこれはもう今日は議論しませんけれども、やはり特別手当は三千円ぐらいあった方がありがたいとか、そういう声は当然ありますので、そこはまた御検討ください。

 この質問はこれで終わらせていただきます。

 尾身会長、大変お待たせをいたしました。

 尾身会長、昨日、一昨日と、東京でまた一週間前より感染者が増えているんですね。今までから尾身会長は、高止まり、富士山形で、そう簡単に減らないですよということとかおっしゃっていましたけれども、予断は許しませんけれども、昨日、一昨日と、一週間前より東京が増えているということで、今後また、東京のみならず全国も含めて、また再び増えるとか下げ止まりのリスクというのはやはりあるんでしょうか。

尾身参考人 私は、委員のそのお答えに対しては、一言で言えば、その可能性、高止まりという可能性もあるし、場合によっては、BA・2の問題もあるので少し上がるということもあるし、ここは今、慎重に対応を考えるべき時期だと思います。

山井委員 そういう慎重な時期ということなんです。

 それで、先週、尾身会長を始めとします有志の専門家の方々が提言を出されました。今日の配付資料に入れさせていただきました。見ていただければと思います。

 十二ページ、「オミクロン株感染蔓延期における「濃厚接触者」に関する作戦転換」。一言で言うと、緩和すべきじゃないかという趣旨だと思うんです。七ページの資料を拝読させていただきました。結論としては、「感染蔓延期に最適化された対応への転換」「今求められる社会全体の努めは何か」。もっと緩和すればいい、濃厚接触者を追うこと自体をやめるなり減らしてもいいんじゃないかという趣旨なんです。

 ついては、これは割とふわっとした提言なので、具体的にお聞きしたいと思いますが、例えば、私たちは、十四ページにありますように、先日、濃厚接触者の待機期間を七日でなくて五日に短縮してもいいんじゃないか、そういう申入れを厚生労働省にもさせていただきました。ついては、尾身会長、今回提言を出された、その選択肢の一つとしては、今、七日の濃厚接触者の待機期間を五日に短縮してもいいじゃないかとか、そういうふうなことも含まれているんでしょうか。いかがですか。

尾身参考人 委員の御指摘のこの我々の政府への提案というか、政府にこういうことを考えていただきたいではないかということで、具体的なことをまだ提案している段階ではありませんが、実は、なぜこういうことを考えていただきたいかという背景には、皆さん御承知のように、この感染はもう二年以上たちました。初期の頃は、濃厚接触者を同定して、それを隔離することによって感染の拡大を防ぐという重要な意味があったわけですよね。それ以外にも、しっかりした調査をすることは、ウイルスの性状等、生物学的特性を知るという二つの目的があったわけですね。感染防止と生物学的特徴の同定と。

 ところが、今回は、オミクロン株の場合は、もう委員御承知のように、世代期間、時間というのがたった二日、中央値。潜伏期が三日、中央値。そうすると、感染して症状が出て、症状が出てから報告し、報告して検査が出て再調査をするというまでに実は感染が、既に一次感染のみならず二次感染、三次感染等々が起きていることが十分考えられるということが起きている。そうすると、今までのように濃厚接触者を特定して隔離するということの方法の効果が以前よりも少し薄くなってきているというのが我々の問題意識です。

 したがって、これはなかなか、何日にするとかという極めて具体的な問題があるので、これは政府ともしっかりと協議をしなくちゃいけないので、ともかく、こういう問題意識に基づいて、濃厚接触者の調査の問題と、それから、濃厚接触者を特定して、その特定した人をどうするのか、この二点について議論をしていただきたいというのがこの趣旨。

 その際に、私は、二つ大事なことがあって、これは仮に、この我々の提案、たたき台です、政府への。これは、今のオミクロン株の蔓延期というこの時期に限定したものであります。したがって、この蔓延のレベルが下がってきてみたら、また徐々に元に戻すということであります。それからもう一つは、仮にこういうことで濃厚接触者の調査などを少しずつ緩めていくということであっても、これは濃厚接触者調査等々を全てやめるなんということではなくて、例えば医療の現場なんかというところはこれからもしっかりとやっていく。その二点が非常に重要な留意事項だと私は思っております。

山井委員 本当に、尾身会長を始めとしますそうそうたる専門家の方々がこういう提言をされておられます。正直言って、賛否両論、メリット、デメリットあると思いますが、また後藤大臣も含めて御検討いただければと思います。

 それで、最後に後藤大臣に改めて先ほどの件、要望も含めて御質問したいんですけれども、私もこの間、いろいろな事業者に聞いたら、こう言ったら悪いですけれども、この特別手当、期待が半分、不安が半分なんです。

 何でかというと、特別手当が出るといっても、また書類を山のように出さないと駄目なんでしょう、無理です、小さなホームヘルプ事業所、障害者事業所、そんな事務職員もいませんから無理です、そうしたらもう自腹で出しますという危険性が高いと思うんですね。

 例えば、先ほど言ったように、濃厚接触者の証明を出してください、保健所からもらってきてください、それは厚労省、言うのは簡単ですよ。でも、保健所は出してくれないですよ、そんな。今はもうパンクしているから、多くの自治体で。だから、例えば、厚労省からすると当たり前に思える、はい、これこれの十の資料をそろえてくださいと言われた時点で、多くの事業所は、今はそれどころじゃない、戦場で、お年寄り、障害者を救うために頑張っているから、手当がもらえる制度ができたのはうれしいけれども断念ということに多くの事業所はなりかねないんです。

 ついては、今言った、やはり、濃厚接触者や陽性者の判定に必ず保健所の書類が必要だとか、そういうことを言い出すと、もう事実上使えなくなりますからね。本当は必要なんですよ。今の緊急事態に限って、やはりそういうことの緩和も含めて。とにかく弱小の事業所が多いんです。そういうところが簡単に、簡素に申請してお金がもらえるように、その努力だけしていただけませんか。いかがですか。

後藤国務大臣 先ほども申し上げたように、必要な事業所等に活用していただくことが大切だというふうに考えておりますので、今委員御指摘があったような点、しっかり踏まえた上で、実態に即した対応をするように努めてまいりたいと思います。

山井委員 是非、全国のホームヘルパーさんが本当に今回の厚生労働省の取組で喜んでくださるような、そういう使いやすいQアンドAをお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

橋本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義です。

 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 それから、後藤大臣始め、内閣府それから文部科学省からそれぞれ、黄川田、池田両副大臣、それから尾身先生も、今日も引き続きありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 ちょっと質問の順番を変えまして、それから、尾身先生には、また適宜、いつものように専門家としてのコメントをちょっと求めさせていただきますので、よろしくお願いします。

 実は、子供、五歳から十一歳へのワクチン接種が本格化して、私と委員長の地元、同じ岡山県の方も、今月中旬から接種がスタートしていくと。ちなみに、私は小学校の娘、息子がおるんですが、二人とも対象でして、今週末は家族会議です。本当に、どの親御さんも迷っています。パパ友、ママ友からもたくさん問合せが来ています。そんな中で、この五歳から十一歳のワクチン接種の問題、三番目に通告していますが、これからちょっと入らせていただきたいと思うんですね。

 まず、昨日も堀内ワクチン担当大臣が現場視察に行かれるのはいいことなんですが、資料の五ページ目にもつけておりますが、非常に親御さんたちの考え方が割れています。割れているだけではなくて、ここの五ページ目には、昨年十月の野村総研の、子供のワクチン接種に対して、五歳から十一歳、どうさせたいかという。これは当然、子供さんとも相談をした上でのコメントも入っているかもしれませんが、この時点では、子供に接種させる意向が六六・四%、それから、させたくない、絶対させたくないを合わせると大体三三%で、倍ぐらい、させる方向、こういう調査なんです。

 実は、直近で、昨日も堀内大臣、視察に行かれていますけれども、例えば墨田区なんかでは、親御さんに対して、なるべく早い段階での接種を希望が三一%、逆に、様子を見て問題なければ接種したいということで、しばらく様子を見ようかなという方が四八・七%で、ほぼ半分。もっと言うと、これは私、かなり高い数字だなと思いましたが、江東区が実施した保護者へのアンケートでは、子供の接種に大いに不安があるが約四〇%、少し不安があるが約五〇%で、九〇%の親御さんが大いに若しくは不安があるとお答えになっています。

 そこで、私は、大変大事になってくるのは、もちろん私も、基礎疾患等があるお子さんなんかは、保護者、御家族、主治医さんとよく相談をして、接種されることで重症化リスクを防げるんだと思いますが、やはり副反応リスク等への心配で、子供がそばで御自身の親御さんの経験も見ている、そういった中で、慎重にしたいという声、私の地元の親御さんからもたくさん来ているんですね。

 そこで、まず後藤厚生労働大臣に伺いますが、接種を勧めたい、受けさせたいという親御さん、子供さん、あるいは、副反応が心配だ、ちょっと様子を見たいという親御さんや子供さん、それぞれに対する不安に対して、例えば私の地元岡山県では、副反応などの不安への二十四時間無料電話相談の窓口の設置、あるいは、副反応の出現頻度や程度に関して調査、公表していく、これもタイミング、適宜していく必要があると思いますが、こういうことをされているんですね。もちろん、ほかの自治体でもされている。どちらの立場の保護者や子供さんに対しても、不安を取り除き、安心していただくためのそういう対応を全国でお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種後の副反応等につきましては、今委員から御指摘いただいたように、各都道府県において、相談窓口の設置や、協力を依頼する専門的な医療機関の整備を進めるなど、住民からの相談に対応できる体制の整備を行っていただいているというふうに認識しております。

 こうした体制については、先日、二月二十一日に、各都道府県等に対しまして、五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチン接種にも対応していただくように、改めて依頼をしたところでございます。

 このほか、特に五歳から十一歳までの子供に関して、十二歳以上と同様に、新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる症状については、副反応疑い報告制度によりまして常に情報を収集して、定期的に開催している審議会においてしっかりと評価を行って、結果は速やかにホームページ等によりお示しすることといたしております。

 厚生労働省としては、引き続き、こうした取組等を通じまして、国民の皆さんが安心してワクチン接種が受けられるように、不安や心配にお応えできるように、体制の構築に努めてまいりたいと思います。

柚木委員 是非よろしくお願いいたします。

 それで、これはちょっと今朝の報道で知ったので、大臣は多分御認識されていると思うので、ちょっと御見解をお述べいただければ、全国の自治体も安心すると思うので。

 今朝の朝日新聞の報道に、大阪の泉大津市が接種券を、厚生労働省は事務連絡を、私も拝見しましたが、各自治体に対して接種会場の確保や接種券の早期配送、住民への情報提供を求めているんですが、これは、きちんと情報提供がされている場合には、接種券は希望者のみに、つまり、お子さんが受けたいという希望者のみに送付するということを事前に、これは多分ホームページ等で告知をして、そういう方式を泉大津市は取っていて、当該市長は、そういうそれぞれの選択は尊重されるべきだ、啓発をやっていくのは接種主体者である市の責任、しっかり当該者にお伝えしていきたいと述べておられて。

 これは、そういうやり方で予防接種法や省令などにも抵触しない、つまり違反しないという認識で全国の自治体が御判断をいただいて大丈夫だということでよろしいんですかね、厚生労働省としては。

後藤国務大臣 ちょっと私、泉大津市の事例については詳しく承知をいたしておりません。

 一般的に、ワクチン接種券を送るかどうかということについては、国としては地方公共団体に対して接種券を送っていただくようにお願いをいたしております。

柚木委員 今、厚生労働省の担当者の見解ということで、きちんと情報提供がされていれば接種券を希望者のみに送るという方式も可能で、予防接種法や省令にも抵触しないということで、泉大津市としては、接種のメリット、デメリットを勘案した結果ということで。これは本当に、希望者のみに送る、あるいは全部に送るかによって、多分、接種率が大分変わってくると思うんですね。まさに十二歳以上とは違う、努力義務を課さなかったことも含めた、多分いろんな御判断の対応だと思いますので。

 これは後ほどでもいいので、ちゃんと全国に向けて、今、承知していないということでしたが、岡山なんかもこれからですから、中旬ですから、各自治体が参考にされる可能性もありますので、今の段階でなくてもいいので、これ以降で、厚生労働省としての見解をちゃんと発信していただいた方がいいと思いますので、いかがでしょうか、大臣。

後藤国務大臣 各自治体において接種券を送らなくても、それはそれで、それぞれの御判断において認めるということについては、こちらの姿勢でございます。

 ただ、いずれにしても、適切な案内、情報提供、そうしたことはしっかりしていただく必要があるかなというふうに思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 それでは、蔓延防止等重点措置の解除、延期について、あしたにも関係閣僚会議を開いて岸田総理が会見というようなこともお聞きしておりますので今日の段階でほぼほぼ詰まってきているとは思いますが、是非、ちょっと尾身先生にも、専門家の立場から御見解をお述べいただきたいと思います。

 実は、私がちょっと気になっているのは、今日は山際大臣は内閣委員会ですから副大臣にお越しいただいていますが、解除、延長をそれぞれの判断で、医療逼迫とか新規感染者、重症者病床使用率、自宅療養者の数とか、そういうのはもちろん結構なんですが、昨日の会見ですか、こういうふうなことを述べられているんですね。

 地域一体性にこだわらず、例えば、東京でいえば首都圏、愛知、関西圏とか、近隣地域は大体同じようなこの間対応をすることが多かったんですが、そういったことにこだわらず、蔓延防止措置をどんどん解除できるところは解除していく、基本的に解除あるいは延長をそろえてもらう必要はない、こういうふうに述べていらっしゃって、自治体や国民の皆さんがそれをどう受け止めるのかというのもちょっと私心配で。

 尾身先生にこれは通告しているんですけれども、先行解除して感染再増加している沖縄県とか山形県、こういったところの、先行解除したことによって今の状況が起こっていることの分析とか評価も踏まえて、今回の解除とか延長にしていかないとですね。もちろん私も、経済活動との両立は大事ですから、岡山もたしか解除を申請するというような報道を今朝見ましたけれども、それはそれで解除されるのが可能であればいいんですけれども、また再増加してきて結局同じことになったり長引いたりするのであれば、むしろ一定のところまで延長した方がいいんじゃないかという判断にもなってしまうと思うので。

 尾身先生、再増加している自治体、こういったところが実際あるということを考えると、解除のタイミング、そして解除するかどうか、こういったことも大変大事になってくるので、どんどん解除していく、基本的に地域一体性にこだわらなくていい、そういう考えが分科会専門家の先生の中で共有されているのかどうなのか、ちょっとお答えいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

尾身参考人 二点、申し上げたいと思います。

 一つは、先行して解除された県がありますよね。私は、これは沖縄なんかが典型的だと思いますけれども、沖縄で、重点措置が出されている間にどういう対応策を取った、それでどういう効果があった、そして解除した後にどういうことが起きつつあるのかということを参考にするということは非常に重要だと思います。

 その上で、今回、恐らく早晩、緊急事態宣言の延長あるいは解除という議論がなされると思いますけれども、そのときには、やはり、これは委員も御承知のように、新規の感染者数はもちろん重要ですけれども、今回の問題の一番の核心は、新規の感染者の動向に加えて、重症者、特に高齢者を中心とした重症者、しかも、元々持病がある人がコロナ感染を契機にぐぐっと状態が悪くなる、それで残念ながら一部の人は亡くなる、このことが今回の問題の重要な点なので。

 そういう高齢施設での感染対策等々、どうこれからやっていくのか、いかないのかという各自治体の計画なんかも当然、私は、新規の感染者、重症化率に加えて、これからどうするのかということも、沖縄などの経験を踏まえて決めていけばいいんじゃないかと思っております。

柚木委員 そうすると、通告二の出口戦略の中でもちょっと事前通告を尾身先生にさせてもらっているんですが、先ほどの山井委員が以前予算委員会でマッターホルン形とか富士山形とかいう表現をされたんですが、現状、ある意味そのどちらでもなく高止まり形で、もっと言うと、その感染が減り切らずにもうすぐに第七波に行ってしまうんじゃないか。BA・2とかBA・1・1とかいうのも何か昨日、私報道で見ましたけれども、いわゆるオミクロン亜種がそのまま今置き換わりつつあって、それが市中感染が拡大していけば、富士山形どころか高止まりしたままそのまま七波に行く、そういうようなことになってしまうと、もちろんそれは私も望まないんですが、やはり、それを想定した分科会専門家の先生方の対応をしっかり政府と共有していただいて。

 伺いたいのが、そのまさにオミクロン対策、オミクロン亜種対策、それから第七波対策として、もちろんこの後ちょっと高齢者接種の問題もやりますけれども、三回目接種が計画どおりいっていないからそれの前倒しをどんどんやることも必要なんだけれども、今後、例えば四回目接種とか、接種だけじゃなくてワクチンの確保ですよね。イギリスなんかでは年内も確保しているというような報道も見ましたけれども。

 やはり、オミクロンに効く、効かないはもちろんあるけれども、その亜種、ステルスオミクロン、さらに、第七波で更なる変異種、そういったものに効果のあるワクチン、あるいはその研究開発も進めていくんですけれども、それを確保、接種というところまで、もう既に分科会専門家の先生方の中では検討して対応を考えていかないと、昨年、一昨年の例なんかを考えても、また後手後手に回りかねないと思いますので。

 これは分科会の会長でもある尾身先生の御認識を伺いたいんですが、マッターホルン形でも富士山形でもなく高止まり形のまますぐに第七波に行ってしまう、そういう可能性、認識、危機感はおありでしょうか。また、それに対する対策はどのようにお考えでしょうか。

尾身参考人 今の御質問ですけれども、今の富士山形かマッターホルンですか、以前から出ている新規感染者の数というのはもとより非常に重要なファクターですけれども、重点措置云々の最終的な判断は、私は、レベルの考え方を出したときもそうですけれども、新規の感染者の数に加えて、医療の逼迫、あるいはもう少し上流に言えば重症者の数、死亡者の数ということも非常に重要だと思います。

 したがって、今の出口戦略ということですけれども、私は、基本的な概念としては二つに分けた方がいいと思います。

 一つは、今起きている第六波の一番の課題は、新規の感染者が高止まりをしているということもそうですけれども、最も重要な、今我々が何とか早く解決しなくちゃいけないのは、特に高齢施設を中心に、重症者、重症者に行く前に中症者から亡くなる方もいるので、この高齢施設における感染対策をどうするかということを徹底的に私はやる必要があると思います。

 そういう中で、中長期の第四回目のワクチン等々という話は、今まだ三回目も打っていないわけですから、ここは一度この第六波というものを何とか乗り越えられた後に、これは文字どおり中長期、このウイルスは、残念ながら今回の第六波がある程度下火になってもそれでゼロになるということは決して私はないと思います。これからも必ずリバウンドというか、新しいウイルスの変異株が来るかどうか、そういう要素もある、不確定要素がかなりある。これが季節性インフルエンザと違って、このウイルスは今まだウイルスの変化が進行中で、季節性インフルエンザの変化が非常に連続性で穏やかな変化に比べて、このウイルスは極めて不連続性な変化が起きているということ。しかも、治療薬が、今、インフルエンザのようにすぐに誰でもというわけにはいかないわけですよね。

 そういう意味では、中長期の考え方というのはしっかりと第六波がある程度落ち着いた後に様々なことを考えるとして、我々専門家の方でも、その中長期な方もどうしたらいいかは今考えているところでございます。

柚木委員 そうすると、ちょっと内閣府の黄川田副大臣に一つここで伺っておきたいんですけれども、山際大臣もいろいろな多分思いがあって、地域一体性にこだわらずどんどん解除していくんだ、基本的にそろえてもらう必要はないという会見のコメントは質問への答えかもしれませんが、どんどん解除していく、地域をそろえる必要はないんだという発信だけではなくて、これは是非、まだまだ高止まりでそのまま第七波に行くかもしれないというそういう危機感も、そして再増加をしている沖縄、山形のような状況もあるわけですから、極めてここは慎重に、やはり、安心してばっと解除してしまうことによってまた再増加にならないようなメッセージの発信も同時にしていただくことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 分科会等でも、経済と医療、これをしっかりと両にらみしながら議論しておりまして、御指摘のとおり、ただ単に経済中心というわけではなくて、しっかりと医療の逼迫状況などの見通しも含めて考えているところでございます。

 また、地域、いろいろと御意見もありますから、一件一件丁寧に、そしてコミュニケーションを取りながら判断をしていくというところで進めていっております。

柚木委員 是非、両立は私も必要だと思いますが、メッセージの発信が非常にやはり大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それで、ちょっとこれも順番を変えて、先ほどから尾身先生が、高齢者接種、高齢者施設も含めてだと思いますが、これが非常に重要、本質と言われたので、ちょっと通告をしているそちらの方に行きたいと思うんですね。

 今朝の報道にも様々出ておりますが、実際、二月末までに接種対象者の九七・四%完了見込みと言っていたのが、実際には六割止まり、四割が未接種です。今年に入って、恐らく大半がオミクロンによる死者だと思いますが、分かっているだけでも五千五百人を超えています。

 厚生労働大臣、この結果を受けて、全体の接種の遅れが医療逼迫、死者の増大につながったことに対して、岸田首相も謝意を国民の皆さんに、申し訳ないということを述べられましたが、高齢者接種六割止まりで四割未接種、今年に入って五千五百人以上が、恐らく大半がオミクロンで亡くなっている、その多くが、高齢者施設クラスター、高齢者の方、持病のある方、こういったことを考えたときに、六割止まりというのはちょっと余りにもひどいんじゃないんですか。国民の皆さんにここで釈明いただけませんか。

後藤国務大臣 まず、高齢者施設での三回目接種でございますけれども、昨年十二月より、医療従事者と同様に接種間隔を二か月前倒しするということで、これは最初から六か月ということで前倒しをしております。

 接種券なしの接種の実施や事務の簡素化など、これまで数次にわたりまして通知を繰り返し、周知してまいりましたけれども、実際に高齢者施設での接種が進んでいないという皆様の御指摘、我々もそういう実態を憂慮いたしまして、二月十八日に公表した調査結果も踏まえまして、確かに二五%近くがまだ接種していないということでしたので、十八日に早速にオンラインで会議を行いまして、一つ一つ丁寧に対応いたしておりました。

 今、二月末時点、何がネックになっているのかというのを一つずつ施設ごとに問いただして、それに対して対応ぶりを指示しておりまして、接種券は要らないとか、六か月経過していない人がいても何回かに分けられるとか、二千七十円以上に金がかかるときは金の支援も満額出るとか、そういう一つ一つのネックを取り除くということで、今、一件でも多くの高齢者施設に打てるようにということで取り組んでおりまして、昨日、再調査を行ったところでございまして、自治体別の結果も含めてしっかりと皆さんに御報告するとともに、一件でも多い、一施設でも多い高齢者施設での接種にしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っています。

柚木委員 今の答弁の中で確認ですが、二月末までに接種完了したかを再調査ということですが、もう二月は終わっているわけですから、恐らく週内にも、結果をちゃんと公表して、そしてそれを踏まえて個別の、まさに遅れている都道府県等にはアプローチをして、あるいはその結果を公表していただく、そういうことが必要だと思うんですが、週内ぐらいには調査を行って、いつ公表していただけるんですか。

後藤国務大臣 締切りは三月八日にしてございます。できる限り早く、集計をいたしまして、御報告できるようにしたいと思っています。

柚木委員 お願いします。

 それで、より重要なのは、せんだっても参議院の予算委員会で小西委員と後藤大臣がやり取りされているみたいですが、これはやはり、目標設定なくして達成なしだと思うんですよね。六割、三月に入って目標再設定を是非いただいて、それに対して残り四割。じゃ、一週間にどれぐらい進んでいけば達成できる、いつまでに。締切りが三月八日って、調査にも締切りがあるんですよ。是非、目標なくして達成なし、命を救えないと思うんです。

 やはり私、菅政権のとき、菅首相が一日百万回のあの大号令で、河野大臣と、もちろんいろいろな無理もあったと思うし、現場も頑張っていただいたと思いますよ。でも、やはりああいうことがあって、ある意味退路を断つことになるわけですね、目標設定することは。

 後藤大臣、まさに、今度もう堀内大臣、退任されるんでしょう。後藤大臣、もっと重要ですよ。是非、後藤大臣がその音頭を取って目標再設定をして、じゃ、三月のいつまでに高齢者施設の接種を完了するのか、高齢者、対象者を完了するのか、そういうことの目標再設定をいただくことで救える命も増えると思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 総理の方からも、一日百万回接種といった目標を掲げております。

 今、VRSの入力ベースでしか把握ができない状況で、最終的に一日の接種数というのは、事後的に、少し入力が遅れる分、修正されていくわけでございます。そういうことではありますけれども、二月半ば以降、安定的に一日百万回程度の規模となっておりまして、直近では一日百三十万回程度というペースアップがおかげさまでできております。

 こうしたことから、一日百万回の目標はおおむね達成できているのではないかというふうには思っておりますけれども、全国の自治体や企業、医療関係者の懸命の努力に改めて心より感謝を申し上げるとともに、一日も早く、希望する方にできるだけ多く接種を受けていただけるように、政府を挙げて関係者の皆さんとともに全力を尽くしていきたいと思います。

柚木委員 それでは危機感が伝わりません。やはり、目標設定してある意味退路を断って、そのことで自治体の方も大変だけれども応えていただける、現場も頑張ってくださる面があると思いますので、ちょっとこの問題ばかりやるわけにはいきませんが、是非、目標の再設定をお願いします。

 それから、ワクチンパスポートが新たに、三回接種で飲食制限緩和案というのが、尾身先生、議論されていると思うんですね。これも出口戦略に直結する話ですが、一方で、オミクロンの今の状況とかオミクロン亜種の今後の状況も踏まえた対応が必要になってくると思います。

 政府は、引き続き、いわゆる新ワクチンパッケージ制度というふうに言った方が分かりやすいと思いますが、開始時期、有効期限、子供への取扱いなど議論を進める方針、賛否両論あるために実は調整が難航しそうじゃないかという報道も、これは六ページ目につけております。あるいは、お店の負担、そもそもそういうことがやれるのか、ちょっと少し複雑だから、私、逆に混乱するんじゃないかという懸念も持っています。

 このいわゆるワクチン検査制度、新ワクチンパッケージ制度は、今後どういう形で出口戦略に向けて議論がなされていくのか、尾身先生、お答えください。

尾身参考人 前回の、たしか二月二十五日のコロナの分科会でこの議論が始まりまして、最終的な、これからの感染症に対してワクチンあるいは検査をどのように活用していくかというのは非常に重要な問題で、この前もいろいろな課題が出ました。例えば、どういう時期になったらいわゆるワクチン検査パッケージを始めるのか、あるいは、いつまでに始めるのか、どのような場所でこれを適用するのか。これは非常に極めて重要な問題でしたので、この前の会議では結論が出ませんでした。むしろ、どういう問題を議論すべきかということは明らかになりました。

 したがって、これからそれほど時間をかけずに、具体的な問題提起があったので、ただ議論を続けるなんということじゃなくて、そのいろいろな問題提起に対して幾つか選択肢があるわけですから、それについてなるべく早く結論を出すべきだと私は思っております。

柚木委員 よろしくお願いします。

 それで、治療薬、塩野義のコロナの新薬、飲み薬が出ていますが、これは一般論として伺います、今後の様々なまた新薬のこともありますので。

 薬事当局は、まさにオミクロンなどの流行株の違いによる影響、結果の臨床的意義、熱が下がるとか、せきが止まるとかいうことだと思いますが、慎重に審査すると。ただ、そのときに条件付早期承認が適用されたとしても、実際の実用化後の、つまり、処方されて国民の方が飲まれるその後の対応がより重要になるという現場の医師のコメント、これは今日の資料の中にもつけておりますが、実用化後の対応というのはどういうことを皆さんは認識していて、それにどう対応していくということも含めて、どういうふうに今後審査が、この塩野義の飲み薬だけじゃなくて今後も新しい国産のいろいろな新薬が出てくるときに、例えばこの塩野義のような飲み薬が出てきたときに、昨日閣議決定された薬機法の緊急承認が可能な対象になっていくのかも含めて御答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 塩野義製薬の経口薬については、二月二十五日に条件付承認を求める申請がなされました。まずは、PMDA及び薬事・食品衛生審議会におきまして、条件付承認制度への該当性について評価をしていくことになります。

 本剤につきましては、現在、評価中であるため、私どもの方からその内容についてお答えすることはできませんが、塩野義製薬が発表している臨床成績、プレス発表においては、抗ウイルス効果については示されているものの、実際に患者の症状が改善するかどうかについて統計学的な有意の差が認められないという結果が発表されていること等もありまして、今御指摘のあるようなことも含めまして、いろいろな御意見をおっしゃる専門家がいることも承知いたしております。

 しかし、我々としては、早期実用化に向けまして、提出されたデータに基づき、専門家の意見もしっかり聞きつつ、優先かつ迅速に評価と審査をしっかり進めていきたいと思っております。

柚木委員 ごめんなさい、文科副大臣、お越しいただいていたんですが、ちょっと時間切れで申し訳ありませんでした。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 私は、昨年の十月の選挙で四年ぶりに議席を与えていただきまして、鹿児島三区から選出をさせていただきました。

 私は、四年間の浪人中、落選中、ほぼ毎朝、地元の地域で、高齢者の方に非常に人気のあるスポーツ、グラウンドゴルフがありまして、これをずっと、この四年間、ほぼ毎朝回っておりました。六十代から七十代、八十代、九十代の方まで、少ないところで二、三十名、多いところですと三百人、四百人の方が集まって大会などを開いておりました。そこにほぼ毎日行って高齢者の方のお話を聞いてきたんですけれども、これは五人、十人じゃないですね、百人、数千人の方から必ず出る話が、野間さん、年金がこんなに少なくて私らは生活できませんよと。

 ある女性の方は、こういう方は多いんですけれども、十五年前に主人、お父さんを亡くして、主人がいたときは何とか老齢基礎年金だけでやってきたけれども、もう今、十五年もたって、預金も取り崩して、本当に暮らせませんよ、一生懸命農業をやって頑張ってきたけれども、これだけが今は収入の頼りなんだ、国は私たちのことをどう考えているんですかねと、口々にこれを訴えられました。

 大臣の御地元も、あるいは委員の皆さんも、高齢化、少子化が進む中で、こういう声をよく聞いておられると思うんですけれども、今、日本全国で老齢基礎年金のみを受給している方は一体何人おられるのか、そして、こういった皆さんが平均で月に幾ら年金をもらっているんでしょうか。お答えください。

高橋政府参考人 令和二年度末におきます老齢厚生年金を受給していない基礎年金のみの受給者につきまして、老齢年金と統計上呼んでおります、新法老齢基礎年金の原則二十五年以上の受給資格期間を有する方に、旧法国民年金の老齢年金受給者を合わせた数で申し上げますと、受給者数は約五百四十三万人、平均年金月額が五万千二百七十六円となってございます。

野間委員 そうですね、月五万一千二百七十六円、これでは生活できませんよね。総務省の家計調査でも、大体、独り暮らしだと十五万円ぐらい、月にかかると言われています。

 もちろん、この基礎年金全てで高齢者の生活を賄う、そういう制度趣旨ではないということも分かっておりますけれども、どうなんでしょうか、こういう高齢者の、老齢者の、これしか収入がない方に対する支援というのはされているんでしょうね。お答え願います。

後藤国務大臣 私の地元も、木曽郡を始め山の中の選挙区を抱えておりまして、先生のおっしゃっていることについてもよく理解をいたします。

 しかし、基礎年金というものについて少し考えさせていただくと、基礎年金というのは、それだけで老後の生活の全てを賄うものではなく、現役世代に構築しました生活基盤、あるいは貯蓄等と組み合わせて老後の生活を送るという考え方に立って給付の設計を行っているということについては、制度的な議論としてまず申し上げたいと思います。

 そして、その上で、低所得や無年金、低年金の高齢者の方々に対しては、公的年金のみならず社会保障制度全体で総合的に支援していくことが重要であると考えております。

 そうした観点から、医療、介護の保険料負担軽減だとか、年金生活者支援給付金の支給といった支援措置を行うということで、これまで対応しております。

 こうした様々な施策によりまして、できる限り高齢者の暮らしが安定するように支援してまいりたいと思っております。

野間委員 今大臣がおっしゃったように、確かに、基礎年金、老齢年金だけで暮らせるようにという趣旨ではないということはもうよく承知しているところでありますけれども。

 ちょっと歴史を振り返りますと、いわゆるこういう近代的な社会保障というのは、十九世紀、ドイツの鉄血宰相と言われたビスマルクが、社会政策としてこういう制度を取り入れた。近代社会保障の創始者、ビスマルクと言われていますけれども、当時、もう釈迦に説法で恐縮ですけれども、近代資本主義が勃興期で、様々な工場の労働者が生まれ、経営者、資本家と労働者のひどい格差があり、またいろいろな劣悪な労働条件の問題等で、これでは国がやっていけないということで、社会政策として年金や保険、障害に対する様々な近代的な保険制度、保障制度ができてきたと言われておりますけれども、やはり当時の資本主義の状況に合わせて、そういった保険制度が生まれたわけですけれども。

 今、岸田総理は、新しい資本主義ということを言われていますね。やはり今また、安倍政権あるいは小泉政権以来の新自由主義によって様々な格差が生まれ、また高齢化という問題もあって、大きく資本主義の在り方が今変わろうとしている中で、岸田総理も新しい資本主義を訴えられていると思うんですけれども、こういう社会保障の姿もまた新しく変わっていかなきゃいけないと思います。

 もちろん、今、政府がやられている財政検証、また今度、令和の六年にも新しい財政検証が年金、社会保障について出てくるんでしょうけれども、これが従来の枠組みの考えだけでやられていくと、本当にこれは高齢者も助からないですし、先ほど申しましたけれども、従来の現役時代の様々な貯蓄等をやりくりして老後をやっていきなさいということも、もうこれだけ高齢化が進めば成り立っていかないのが現状だと思います。

 そういった中で、国民年金の制度、国民年金法の第一条には、憲法二十五条第二項に規定する理念に基づいて、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とすると。やはり、こういった大きな目標を掲げているわけですから、これが実効性あるものにしていただきたいということです。

 今、高齢者の皆さん、先ほども言いましたけれども、ガソリン代も上がる、それから電気代、食品代、もう様々上がっています。この十年間で、実質、実は六%ぐらい受給は下がっているということも出てきておりますので、これから私は、是非、大臣始め政治の力で、新しい枠組みで、まあ私がちょっと計算したところ、例えば、じゃ、あと十万円この五百四十万人の方にプラスするとすれば、年間六兆四千八百億円ぐらいかかる。国費を、半分ということで三兆幾ら、それぐらいは何らかの形で捻出していただいて、高齢者に安心して老後を送ってもらえるような仕組みを従来の枠組みを超えてつくっていただきたいというのが多くの高齢者の願いだと思いますので、今明確なお答えはいただけないでしょうけれども、大臣の新しい資本主義の中の決意を述べていただきたいと思います。

後藤国務大臣 新しい資本主義、イノベーションの世界だとかそういう産業政策を抜きにいたしましても、厚生労働省で所管している社会保障制度あるいは雇用政策、非常に重要な意味があると思っています。

 それで、社会保障制度をしっかりと持続可能なものにすることによって一人一人の国民の生活をしっかりと守っていくこと、また、適切な所得再分配機能を働かせることによってしっかりとした分厚い中間層を守っていく。そうした格差を固定化しない社会をつくるような、そういう社会をつくっていくということによって、やはり、安定した内需あるいは消費につながる所得の向上につながっていくと思っていますし、また、所得を給料アップということで増やしていくために、的確な雇用政策、しっかりと労働生産性も高めながら就業構造の変化等に対応していく、そういう支えをすることによって、しっかりとした成長につなげていくという任務を持っているというふうに思っています。しっかりとそういう形での政策に取り組んでいきたいというふうに思っています。

 また、あくまで考え方については、先ほど申し上げたように、高齢者の生活の全てを基礎年金で支えることは制度的には難しいというふうに考えておりますけれども、令和六年に予定されている次期財政検証の結果等も踏まえて、令和二年改正で指摘された公的年金制度の所得再分配機能の強化、これは与野党の修正協議によって附則に入れた条文でございますけれども、それをしっかりと、そうした問題も始めとして、様々な問題について検討を進めていきたいというふうに考えております。

野間委員 是非、新しい発想でお願いいたしたいと思います。

 続いて、これは歯科、歯医者さんの問題です。

 歯科で、歯医者さんで、詰め物といいますか、金や銀、パラジウムという貴金属を多用するわけですけれども、こういった金や銀やパラジウムというのは、投機の対象にもなりますし、希少金属でありますので、非常に相場が上下します。

 ところが、歯科でこれを使うときに非常に相場が上がっている、しかし、それが保険の価格に反映されていない、歯科医の皆さんが非常に赤字を負ってまで材料を買って医療に当たっているという大きな問題があって、御承知のとおりなんですけれども、これの改善について今どうなっているのか、教えていただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 歯科用貴金属の告示価格につきましては、その素材のパラジウムや金が市場価格の変動を受けやすいことから、通常二年ごとの診療報酬改定以外にも、随時改定を行っております。

 令和二年度診療報酬改定におきましては、それまで年二回の随時改定を、四月と十月は、平均素材価格から算出した変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス五%を超えた場合、それから一月と七月に、その変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス一五%を超えた場合の、最大年四回の改定としたところでございます。

 その後、またパラジウム等の価格が急に上昇したことから、中医協においても御議論いただきまして、令和四年度の診療報酬改定におきましては、変動幅にかかわらず、四月、七月、十月、一月の年四回の改定を実施いたします。

 また、より直近の平均素材価格を告示価格に反映する観点から、計算に用いる平均素材価格を、随時改定の、これは従来は三か月前までのものから、二か月前までのものとするといった見直しも行うことといたしております。

野間委員 是非、そういった実勢価格に近い改定をしていただきたいと思います。

 今、ロシアのウクライナ侵攻で様々な、我が国も経済制裁をするということになっておりますけれども、とりわけこの歯科の材料、あるいは自動車用で使うパラジウムが、ロシアは世界の四割の産出量を占めているということなんですけれども、これは歯科の問題にも影響してくるわけですが、我が国の経済制裁、そしてパラジウムが今後入ってくるのかどうなのか、その辺りについて教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚労省におきましては、輸入の状況については把握しておりませんけれども、歯科用金銀パラジウム合金等の製造販売業者に聞き取りをいたしましたところ、現在のところでございますけれども、安定供給が困難になるといった報告は受けておりません。

 引き続き、状況について注視をしてまいりたいと考えております。

野間委員 直ちには影響ないということですけれども、いずれ経済制裁など長引けば当然影響が出てくると思いますので、こういう投機とか、あるいはそういったロシアなどで産出するもの、なるべくそういったものに依存するというのを減らしていくのがやはり本筋ではないかと思います。そういった意味で、投機の対象等の貴金属から、なるべく入手しやすいものに変更していくべきだと思います。

 よく歯科医の皆さんから、ジルコニアという、いわゆる人工ダイヤなどでも使う非常に硬度の高い、また経年劣化がない、そういった素材も使われているということでありますが、まだこれが保険に収載されていないということでありますので、またそういったものの奨励もお願いしたいと思います。

 それでは続きまして、学童保育、放課後児童クラブの問題について御質問したいと思います。

 平成三十一年に、現在の放課後児童クラブ、学童保育の様々な基準の見直し等が行われました。一つの、四十名という児童の単位に対して二人指導員さんがつくという従来の基準から、それは参考基準でいいんだ、従うべき基準ではない、二人ではなくて一人でも構わないというふうに基準の変更がなされたわけですけれども、これによって多くの現場からは、一人で四十人の子供を見るのは大変なんですね。ちょっと外からお客さんが来たら、離れて、子供の対応ができなくなったり、あるいは、病気などの子供にかかり切りだとほかの子供たちのお世話ができないということで問題があったんですけれども、この基準を緩めたことでの何か問題等は起きていないんでしょうか。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました放課後児童クラブの人員配置等に関する基準の参酌化、これにつきましては、この基準が従うべき基準ということであったことによりまして、なかなか人材確保が難しい、そういった地方からの声、要望というものを踏まえまして、全国一律ではなくて、自治体の責任と判断によって、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うということを可能にするために、地方分権一括法による改正が行われまして、令和二年度から当該基準を参酌すべき基準というふうな形に変えたわけでございます。

 この参酌化につきまして、令和二年九月三十日現在でこれを受けての条例改正の状況等を調べましたところ、まず、放課後児童支援員等の員数に関する条例改正を行った自治体は、全体の約二%程度に当たる三十二の市町村ということでございました。その上で、参酌化による影響の有無ということにつきましては、この三十二市町村を含めました条例改正を実施済みと回答した五百七十五の市区町村のうち、その五五・三%に当たる三百十八市町村の方で影響があったというふうな回答でございます。

 その影響の具体的な内容でございますけれども、人材確保が困難なこと等から事業の継続が困難な状況だったが事業の継続が可能になったというふうな回答が八五・八%に当たる二百七十三市町村、それから、利用児童の少ない夕方の時間帯等の開所時間を延長するなど、より保護者のニーズに応える対応が可能になったという回答が四・七%に当たります十五市町村、こういった回答が寄せられているところでございまして、こういったことを見ますと、地域の実情に合った運営に資する効果があったものというふうに考えてございます。

 この調査につきましては、令和四年度も引き続き実施することといたしておりますので、改正を行いました自治体における運用状況につきましてフォローアップをしてまいりたいと思います。

 これらによりまして施行状況をしっかり把握をし、放課後児童クラブの人員配置等に関する基準の参酌化に関するいわゆる三年後の見直しということに向けまして、必要な対応について検討させていただきたいと思っております。

野間委員 その人数の、二人から一人というところまで条例改正しているところは非常に少ないということで安心したわけですけれども、次の三年の見直し、令和四年に見直しがあると思いますけれども、この際は、是非これを、参酌化ではなく、もう一度、従うべき基準に戻していただきたいというのが多くの関係者の声であります。

 なぜならば、やはり、先ほど申し上げましたように、二人では、いろいろな様々なことが起きたときに本当に対応できません。一昨年、コロナで一斉休校というのが小学校など行われましたけれども、この際も、子供たちは結局学童に来る、親御さんが連れてくる方が非常に多かったんですね。ですから、学童はある意味で地域の子供さんたちの最後のとりでのようになっております。そういった中で基準を緩めていくと、もしも何か事故が起きたとき対応できないという声も聞きますので、是非、次の見直しでは、もう一度、従うべき基準に戻していただきたいと思います。

 それともう一つ。いわゆる支援員さんは、認定資格の研修を受けて、これを修了して認定資格を取るということにはなっているわけですけれども、このとき、前回のこの基準を緩めたとき、経過措置として、何年間かは認定がない人でも補助員なり支援員とみなすということでずっと行われてきて、これも、この令和二年九月の調査ですと、資格を取らなくてもやっていいという期間を三年、四年と延ばしている自治体も、条例で認めているところも出てきております。

 これは、確かに、研修を受ける時間がない、もろもろの事情があると思うんですけれども、やはり速やかに皆さん認定の資格を取ってもらわなきゃいけないと思うんですけれども、この三年、四年も延ばしている実態について、どう対処されるか。そして、今後、やはり研修を、自治体によっては年一回しか研修を受けられないところもあるようですけれども、年数回は受けられるようにして、また、学童は今どんどんどんどんまだ増えていますし、支援員さんもこれから増えていくと思いますので、こういった認定研修を受ける機会を更に増やしていただけるように望みたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 放課後児童支援員につきましては、子供の発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となりますように、自主性、社会性、創造性の向上等を職務としておりますので、大変専門性が求められるものというふうに考えております。

 このため、国の方で定めます放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準におきましては、放課後児童支援員につきましては、保育士等の基礎資格に加えて、都道府県知事等が行う研修を修了した者でなければならないというふうに定めておるわけでございます。

 令和三年五月一日現在におきまして、この放課後児童支援員の認定資格研修の修了状況でございますが、この修了者数が約九・一万人ということでございまして、修了率ということでいいますと九一・六%という状況でございます。

 国の基準に定めます放課後児童支援員の基礎資格を有する全ての方が認定資格研修を受講できるように、厚生労働省といたしましても、都道府県等が認定資格研修を実施するために必要な費用を補助させていただいておりますので、こういった取組を通じて、引き続き、研修受講機会の確保等の環境整備に努めてまいりたいと考えております。

野間委員 是非、研修の機会を多く設けていただきますようにお願いいたします。

 次に、いわゆる地域医療構想の問題について質問させていただきたいと思います。

 二〇一九年、令和元年の九月に、厚労省の地域医療構想に関するワーキングチームから、再編統合の議論が必要な病院ということで、全国四百二十四の公立、公的な医療機関の病院名が発表されました。

 私どもの地元の病院も、これはなくなってしまうのか、どこかと合併する、統合するんじゃないかということで、非常に地域の皆さんが心配をされていたわけですけれども、今、コロナの問題で病床は逼迫しているということは多くの皆さんが分かってきているわけであります。しかし、二〇年度ですか、コロナの中ですけれども、三千四百床削減がされた、この構想に基づいて削減されているわけです。

 確かに、高齢化や人口減少で、地域地域の医療機関のサイズを縮めていこうとか、そういう考え方、構想はもちろん理解できるところではあるんですけれども、それは一つ、平時の、何もないときの発想であって、今、有事になって、コロナの問題で病床が逼迫しているという、要請もあります。なかなか、この相矛盾する要請を実現していかなきゃいけないわけですけれども、有事の対応、そして平時の対応、これはどういうふうにこれからされていくんでしょうか、質問です。

後藤国務大臣 今、野間委員から御指摘がありましたように、まず、足下の新型コロナ対応におきましては、しっかりと病床の確保を図って、国民の命、暮らしを守っていくことが大切だというふうに思っております。

 全体像に基づきまして整備を進めてきた医療提供体制をしっかりと動かしていく、入院患者について、重症化のおそれが低くなった段階で自宅療養等に切り替えるなど、オミクロン株の知見も踏まえながら、必要な改善を行うことで入院を要する患者に対応可能な体制を図っていく、そういうことに全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

 その上で、将来にわたりまして質の高い効率的な医療体制を確保していくという観点から、人口構造の変化を踏まえた地域の医療ニーズに応じた医療体制の確保をするために、地域医療構想の取組を着実に進めるということは必要だというふうに考えております。

 そして、新型コロナのような新興感染症等の感染拡大時において機動的に対応できるような、あらかじめ体制を、しっかり準備を整えておくことが重要だという御指摘も、そのとおりだというふうに思っております。

 このため、地域医療構想においては、病床削減や統廃合ありきという、ダウンサイジングありきということでは決してなくて、地域での合意を前提として、病床の減少を伴う取組を含めて、医療機関の役割分担と連携に向けた取組を支援をしていきたい。そして、昨年の改正医療法に基づきまして、第八次医療計画から新興感染症等への対応を盛り込むということにしておりますので、感染拡大時に機動的に病床や人材を確保できるように必要な取組を進めていきたい、そのように思っております。

野間委員 総論に反対する人はそんなにいないと思うんですけれども、やはり各論になりますと、地域の医療機関がなくなってしまう、削減される、これは大きな、大問題であります。特に高齢化で病院に行く方が本当に多いと思いますので、そこはやはり地域と丁寧に対話や議論を重ねながらやっていただければと思います。

 ありがとうございました。以上で質問を終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党、長崎三区の山田勝彦です。

 それでは、後藤大臣への所信の質疑に入ります。まず、小児ワクチンについてお尋ねいたします。

 先日、私の地元長崎県の医師会で説明会がありました。今回のワクチンについて、これまでのデルタ株までと違い、オミクロン株に対しては感染阻止効果はほぼない、ただし重症化を防ぐ阻止効果は十分に期待できる、そういった説明がありました。この点に関しては厚生労働省の担当部局の見解もほぼ同じでした。

 その上で、五歳から十一歳の子供たちへ小児ワクチンの接種が始まっていきます。基礎疾患のあるお子さん、そして医療的ケアの必要な子供たちは、重症化リスクがあるため、ワクチンを推奨されるのは理解できます。しかし、重症化リスクの少ない健康な子供たちにとって、ワクチンを接種するメリットとは一体どういったことになるんでしょうか。教えてください。

後藤国務大臣 オミクロン株に対する新型コロナワクチンの感染予防効果は、十八歳以上の方において一部報告があるものの、五歳から十一歳までの子供においては明らかではないということは御指摘のとおりでございます。

 ただし、十八歳以上の方に対する新型コロナワクチンの効果も踏まえまして、五歳から十一歳までの子供に使用する新型コロナワクチンにつきましても、発症予防効果や重症化予防効果といった有効性が一定程度期待できるとの専門家の意見が出ております。

 こうした効果等を考えまして、引き続き、子供に使用するワクチンのオミクロン株に対する効果についてもしっかりと知見の収集に努めてまいりたいと思いますが、最新の情報を丁寧に国民に発信して進めていきたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 オミクロン株へのワクチン有効性について安全性が十分に確認できていないという理由から、今回の五歳から十一歳、新たに接種対象に加わった小児ワクチンについては努力義務としない、そういう方針が厚生労働省から出されました。

 そんな中、全国各地で接種券の一斉送付が始まっています。接種券が実際に行政から自宅に届いた場合、どうしても接種義務があると感じてしまう方々が多くいらっしゃいます。大臣も御承知のとおり、一斉送付をやめてほしいという市民運動が各地で起こっています。一斉送付、最終判断はあくまで自治体であると、先ほどの柚木議員の質疑に対して、そういう御答弁があられました。

 改めて確認させていただきます。つまり、自治体が判断すれば、一斉送付ではなく希望者のみへ送付することが可能である、そういう理解でよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 接種券というのは、接種を実施する医療機関等が接種対象者であることを確認する上で必要なものであるというふうに考えておりまして、接種対象者が速やかに、かつ、円滑に接種を受けることができるようにする観点から、国は市町村に対しては接種対象者に接種券を送付することを求めております。

 仮に接種券を接種対象者に送付しない場合は、今度は逆に、接種対象者は市町村に対して接種券の交付を求める必要が生じてきたり、接種対象者の利便性を損なうことになるという面もあると思います。

 接種券が届いたとしても、新型コロナワクチン接種はあくまでも任意のものでありまして、接種するかどうかは本人や保護者の判断するものであることに変わりはないというふうに思っておりまして、そのことも含めて、しっかりと国民の皆さんにメリットを御説明するだけでなく、そうしたことも含めて考えていきたいと思っています。

山田(勝)委員 済みません、大臣、明確に答えていただきたいんですが。つまり、自治体の判断で、一斉送付はしなくてもいい、希望者のみの送付にすることは可能かということに対して御答弁ください。

後藤国務大臣 先ほども申し上げましたと思いますけれども、接種券を送付していなくても、案内を送付していればいいというふうに考えております。

山田(勝)委員 つまりそれは、自治体の判断で、一斉送付ではなくて希望者のみの送付でいいということでよろしいでしょうか。

橋本委員長 多分、主語を明確にされた方がよいと思いますが。

後藤国務大臣 済みませんでした。

 接種券については、おっしゃるとおりで結構でございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 その上で、大臣から大変重要な御指摘がありました。一斉送付になるにしても、大変、柚木議員の質疑の中でもあったとおり、多くの方々が不安に感じていらっしゃいます。今回の小児ワクチンに関する十分な、メリットとリスクについて親御さんが判断できるような、そういった情報の提供、これが重要になってくると思っております。

 厚生労働省の資料によれば、これまでコロナにより命を失った子供の数が六人、一方、ワクチン接種により亡くなった子供の報告数が五人となっています。

 重症化リスクの少ない健康な子供たちに対し、ワクチンを打たせるかどうか親御さんが判断に迷うのは当然だと思います。そして、新技術であるコロナワクチンであるがゆえに、五年先、十年先がどうなるのか、子供たちの未来にどのような影響があるのか、全国各地で多くのママさんたちが不安に感じ、市民運動が展開されています。

 小児ワクチンはあくまで努力義務ではなく個人の選択である、そして、それぞれの判断が尊重されるべきであり、それによる差別があってはならない、同調圧力があってはならない、そのように強く思っています。

 小児ワクチンについて多くの国民の皆さんが今不安を感じていらっしゃいます。改めて後藤大臣から国民の皆さんに対してメッセージをお願いいたします。

後藤国務大臣 厚生労働省といたしましては、本人や保護者が接種の意義を踏まえた上で安心して接種を受けられるように、しっかりとメッセージを発して、ワクチンの有効性、安全性等を丁寧に説明するとともに、接種が任意によるものであることや、ワクチン接種の有無によって社会で差別が行われないように、しっかりと周知徹底を図ってまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 大臣から力強く、差別や圧力があってはならない、こういったこと、大変重要なことですので、あらゆる場面で是非大臣から発信していただきたいと思っております。

 続きまして、雇用保険法の改正についてお尋ねいたします。

 失業手当の給付、それに当たる国庫負担が原則四分の一から四十分の一へと改定されてしまいます。なぜ、このコロナ禍で多くの国民の皆さんの中に雇用不安があるこのときに、国庫負担率を大幅に引き下げる改定をされるのでしょうか。

田中政府参考人 雇用保険財政につきましては、雇用情勢が良好に推移してきたこと等から、暫定的に、現在、雇用保険料及び国庫負担の引下げを行ってきておりますけれども、コロナ禍の中で、雇調金特例などの対応をしたことによりまして多額の財政支出が生じまして、雇用保険財政は極めて厳しい状況にございます。

 このため、雇用保険の安定運営を図るために、一昨年成立をさせていただきました雇用保険臨時特例法に基づきまして、先般の令和三年度補正予算において一般会計からの約二・二兆円の繰入れを実施するとともに、今般の法案におきましては、保険料、国庫負担の両面からの見直しを行うこととしております。

 具体的には、雇用保険料率は、原則千分の八であるところ、令和四年度における激変緩和措置として、年度前半を千分の二、後半を千分の六とし、国庫負担については、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた仕組みとするため、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化したときには四分の一、それ以外のときには四十分の一とした上で、これに加えて、機動的に国庫からの繰入れを可能とする仕組みを常設化するものでございます。

 政府としては、雇用保険制度のセーフティーネット機能を果たすため、このような仕組みにより雇用保険財政の安定的な運営を確保する必要があると考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 雇用情勢の様々な環境に対応していくために機動的に国庫から繰り入れられる、そのための改定であるという御答弁でした。

 つまり、大切なことは、多くの国民の皆さんが、今回の法改正により、万が一失業してしまった場合、職を失ってしまった場合、失業手当が、国からもらえるお金が下がってしまうのではないか、そういう多くの不安が国民の皆さんに生じてしまうのは当然だと思います。

 失業手当の減額、本当にないのでしょうか。明確にお答えください。

後藤国務大臣 今般の法案におきましては、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえまして、雇い止めの方の失業手当の給付日数の拡充措置の継続など、令和三年度末で期限を迎える暫定措置の更なる延長を含め、給付内容は維持することといたしております。

 また、今般の改正によりまして雇用保険財政の安定的な運営を確保することを通じて、今後とも雇用保険制度のセーフティー機能が十分に果たされるように対応してまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 大臣から明確に、失業手当の給付額、維持するという御答弁をいただきました。今回の改正の趣旨は、あくまで国民の皆さんの雇用を守る、そして万が一仕事を失うことがあっても従来どおりの公的支援を継続する、そのような趣旨のお話をいただきました。

 是非とも国民の皆様との約束を守っていただくよう心からお願い申し上げまして、次の質問に入らさせていただきます。

 保育士や介護職員などの賃上げについてお尋ねいたします。

 人への投資。私たち立憲民主党が、何年も前から議員立法も提出し、保育士や介護職員の賃上げを訴えてまいりました。政府もようやく動いていただき、大変歓迎いたします。

 しかしながら、月額九千円という額が、私たちの提案内容に比べ、極めて不十分であると言わざるを得ません。

 その上で、いざ試算すれば、多くの介護施設や障害福祉事業所において、その不十分な九千円を更に下回る交付額となっている現実が明らかになってきました。私自身、長崎県内で、各地域十三か所、障害福祉事業所を運営しております。その全てにおいて、一人当たり九千円の交付額には至りませんでした。

 さらに、理解に苦しむのが、社会保険料の事業者負担についてです。

 保育園の場合、社会保険料相当額が今回の交付額にプラスで上乗せされている、事業者の負担の社会保険料が。一方、介護施設や障害福祉事業所には、今回の交付額の中に事業所が負担する社会保険料が含まれている。こういう設計になっていることに強い違和感を覚えます。

 なぜ同じ社会福祉事業においてこのような差別を行うのでしょうか。即刻改善を求めます。至急、保育園と同様の制度に改めるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般の介護、保育などの現場で働く方々の給与の引上げに当たっては、それぞれの制度ごとの違いやこれまでの取組等を踏まえて、具体的な制度設計をしていくことが必要だというふうに思っています。

 具体的に申し上げると、保育分野においては、保育の実施義務は市町村が負っておりまして、市町村が社会福祉法人等に保育の実施を委託する形式を取っております。このため、委託に際して支払われる公定価格では、職員の給与と社会保険料事業主負担金を算定しまして、これらの合計額を人件費として、公定価格として設定してきたところでございます。今般の措置においても、賃金改善に伴う社会保険料の事業主負担分の増加分について交付額に加えていると承知しております。

 一方、介護、障害福祉分野では、保育分野と異なりまして市町村による委託という形式は取らず、事業者ごとに労使間で自律的に賃金を決定するものでありまして、処遇改善に係る加算を原資として、事業者が介護、障害福祉職員の賃金改善を行うことといたしております。このため、従来から、賃金改善に伴う社会保険料等の事業主負担分については事業主において負担するものと考えております。事業主の判断によりまして、事業主負担分の増加分についても従事者の賃金改善額に含むことができることとしております。

 こうした制度上の違いやこれまでの取組等を踏まえまして、今般の処遇改善の措置についても従前の取扱いとしておりまして、今般の措置による賃金改善が事業所の経営を圧迫するものではないというふうに思っております。

 こうした点を含め、混乱なく実施できるように丁寧に説明をしていきたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 保育士は市町村が委託している、一方、介護施設や障害福祉事業所は事業主と直接契約である、そういう制度上の問題であるという説明があったんですが、実際働いている人たちからいったら、全く答えになっておりません。同じく地域の子育てや老後の不安を解消し、安心を高めていくために福祉サービスを提供する、そういう職種の中で、そういった差別が国の制度上あることが大変間違っていると思いますので、是非とも見直し、検討をいただきたいと強くお願いいたします。

 その上で、次に入らせていただきます。後藤大臣の所信の中でありました待機児童解消についてです。これについても制度上の改善を求めたいことがあります。

 私の地元、島をたくさん抱えておりますが、過疎地域においても、少子化が激しく進行している地域においても、実は、保育士が不足し、待機児童の問題があります。

 なぜか。こういった声をたくさん聞いてきました。同じ保育の仕事なのに、島と福岡で月額七万円も給料が違う、島を出ていくのは当然だ、そういう話をたくさん聞いてきました。なぜ保育士がふるさとを離れ、都会へ行くのか。給料が圧倒的に違うからです。報酬上の地域区分制度によって田舎と都会で賃金格差が生じています。

 待機児童を解消していくには、地方や島でも安心して子育てができる環境を整備することが大切です。保育士への都市部優遇の地域加算によって、日本社会が抱えている構造的な問題、都市圏への一極集中、人口集中を促す結果にもなってしまっています。

 一刻も早く現行の地域別の報酬制度を見直し、過疎地域であっても都市部と同じ報酬単価へ改善することで、待機児童の解消に確実な成果を上げることになります。さらに、若い人たちにとってUターン、Iターンが促進され、地方創生にも貢献できます。

 この改善要望は切実な現場の声でもあります。大臣、改めていただけないでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度の公定価格では、民間企業について地域差があることを反映するために地域区分を設けております。

 具体的には、地域ごとの民間給与水準を反映させている国家公務員や地方公務員の地域区分に準拠いたしております。これは、統一的かつ客観的ルールであることの必要性や、介護分野等の社会保障分野制度との整合性などを踏まえたためです。

 こうした地域区分の基本的な考え方については、令和元年十二月の子ども・子育て会議の取りまとめにおいても維持すべきとされたところです。

 他方で、離島などの過疎地域を含め、保育士確保の支援は大変重要な課題と考えており、厚生労働省におきまして、保育士の業務負担の軽減や働きやすい環境整備を図るため、保育業務のICT化や保育士宿舎借り上げ支援事業など、取り組んでおられると承知しておりまして、引き続き厚生労働省と連携して取り組んでまいります。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

山田(勝)委員 明確に求めに対して答えをいただけなかったことは残念です。地域格差によって賃金格差が生じてしまっていて、地方や島からどんどん若い人たちが保育の分野で離れてしまっている。この現実をしっかり受け止めていただいた上で、改定が必要だと思っております。

 次に移ります。障害福祉施策についてです。

 大臣所信の中で、障害者の方々の自立した生活の支援、就労支援の促進について述べられました。

 障害者の方々の雇用を目的とした就労支援事業所は、その生産、販売活動で得た事業収入からしか障害者の方々への工賃を払ってはいけないという厳しいルールに改定されています。

 そのような環境の中で、この度のコロナ危機、全国各地の就労支援事業所の売上げが減少し、そこで働く障害者の方々の工賃も下がっています。大変な社会問題へと発展しています。このまま就労支援を縮小する事業所が増えてくれば、そこで働く障害者の方々の生きがい、働きがい、そういったものが奪われてしまう。大臣が所信で述べられた自立支援どころか、自立を阻んでしまいます。

 しかも、調査をして驚いたことに、就労支援の現場で働く障害者の多くの方々は、コロナの影響を受けているにもかかわらず、雇用調整助成金の対象外である、公的支援が受けられない。信じられないような事態が起こっています。

 理由は何ですかと尋ねると、雇用契約を結んでいないからだと。とんでもない。誰が納得できますか、その説明で。

 これは障害者の方々への差別でしょうか。これこそ社会的弱者を切り捨てる政治そのものではないでしょうか。大臣所信とは真逆のことが現場で起きています。

 就労支援事業所で働く障害者の方々への国からの直接所得補償が必要です。自己責任を福祉の現場で求める政治はおかしい。福祉とは自助ではなく公助であることが基本です。早急な対策を求めます。

 大臣、この問題、どのようにお考えでしょうか。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

田原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、就労継続支援事業所など、障害者が働く場におきまして発注が減少しているなどの声を聞いております。

 就労継続支援事業所におきます賃金、工賃につきましては、生産活動による収入の中から利用者に対して支払われるものでありますので、賃金、工賃が減少しないように、生産活動が継続できるように支援を行っていくことが重要だというふうに考えております。

 このため、これまでも生産活動が停滞をしております事業所に対して、利用者の賃金や工賃の支払いに障害福祉サービスの報酬を充当することを可能とするなど、報酬算定に当たって柔軟な取扱いを認めるとともに、令和二年度第二次補正予算、それから令和三年度の当初予算におきまして、生産活動を後押しするための事業を実施をしております。

 さらに、令和三年度の補正予算によりまして、コロナの影響によりまして生産活動収入が大幅に減少しております事業所に対しまして、新たな生産活動への転換、販路開拓等への支援を通じて事業所の生産活動を後押しする生産活動拡大支援事業を実施をするなど、事業の継続に向けた支援を行ってまいりました。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症による影響を注視しながら、障害者の働く場や収入確保のため、就労継続支援事業所の生産活動を支援してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 今、御説明があった支援事業、恐らく生産活動拡大支援事業と言われるものかと思います。これは、ちなみに、障害福祉事業所向けの支援事業ではありません。

 今の御説明、全くもって現場を知らない、まさに机上の空論と言わざるを得ません。現場の苦悩を全く理解していません。現場の声を基につくられているような支援内容でもありません。

 私自身、農業を通じて障害者の方々の就労支援を行っています。耕作放棄地を開墾し、その土地に合った農産物を計画どおりに生産、販売できるようになるまで、仲間とともに本当に苦労して、三年以上かかりました。その他の業種の皆さんも同じです。必死の思いで生産、販売活動を、地道な努力を重ねながら、時間をかけて、何とか就労支援事業を構築しておられます。

 そういった方々に対して、コロナの影響も受けている中で、今のメッセージ。今の支援事業、コロナで売上げが下がったなら違う業態へ変更されたらどうですか、補助金出しますよ。厚生労働省によるこのようなメッセージに対し、本当に残念に思いますし、正直あきれてしまいます。多くの方々が怒りすら覚えることでしょう。

 コロナによる経済的ダメージは様々な業種に及んでいます。ちなみに、どのような業種への転換が障害就労支援事業所において望ましいと考えているのか、大臣、お答えください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今、生産活動への転換のお話がございましたけれども、転換だけではなくて、新たな販路開拓に要する費用だとか、コンサル派遣の、経営改善に要する費用などを支援をしておりますので、必ずしも生産活動を新しい分野に転換をするという必要はないかと思います。

山田(勝)委員 全く話になりません。

 今この支援事業に計上されている六・五億円の財源を活用し、是非とも、コロナにより工賃が下がってしまっている、苦しい生活を余儀なくされている障害者の方々への直接の所得補償、是非とも実現していただきますよう心からお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高階恵美子君。

高階委員 自由民主党の高階恵美子です。よろしくお願いいたします。

 初めに、コロナ感染症の現状についてですけれども、ワクチン接種歴別に見た発生状況、二十代、五十代、八十代で、直近でどんなデータになっていますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 HER―SYSに登録されているデータを基に、二月七日から二月十三日までの十万人当たりのワクチン接種歴別の新規陽性者数でございますが、二十代では、ワクチン未接種者の場合は九百八十八人、二回目接種済み者の場合は二百九十七人。五十代では、ワクチン未接種者は九百二十一人、二回目接種済みの方は百六十八名。八十代では、ワクチン未接種者は二千四百三十二人、二回目接種済みの方は九十九人となっております。

高階委員 人口十万対当たりの数値でお答えいただけるともっと分かりやすかったかなと思うんですけれども、接種歴のありとないで比較すると、大体、各年齢層で三倍から二十五倍近く開きがあるはずです。

 今回の感染力の強いVOCの流行に際しても、全ての年齢層で未接種者の感染リスクが高いということ、それから、一定の重症化防止等効果が保たれていたということを共有したいと思います。

 そして、問題は、この感染症がこれまでのところおおむね四か月周期で拡大を繰り返しているということでありまして、次の流行が五月、九月にも起こり得る、こういうことを想定して備える必要があると考えます。

 急ぐべきは今の追加接種でありまして、例えば、人口の六割が二回接種を終えたのが去年の十月六日だったんですね。例えば、今年の四月上旬に人口の六割を超える追加接種を終える、こういう目標を達成できそうでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチンの三回目の接種につきましては、これまで、ワクチンの供給、接種体制の強化、そして接種券の前倒しの努力に努めてまいりました。

 その結果、足下の接種状況は、VRSへの入力ベースで見ますと、二月半ば以降は安定的に一日百万回程度の規模となっておりまして、直近では一日百三十万回程度までペースアップしてきております。

 今月以降は、一般の方への接種が本格化していくために、供給されたワクチンがフル活用されて接種が進み、一日も早く希望する方にできるだけ多く接種を受けていただけるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

高階委員 何せ令和三年度というのはワクチンイヤーでありまして、インフルエンザ予防接種と合わせると優に三億回を超える回数、予防接種が実施されています。自治体とか医療機関、そういう現場の皆様の並々ならぬ努力と、それから国民の皆様の御協力があってのことだと、感謝しなければならないと思います。

 秋以降に向けましては、流行状況のモニタリング、あるいは抗体価試験という補強をした上で、予防接種の対象を重症化ハイリスクに重点化していくとか、戦略の見直しをしっかり進めていく必要があると考えます。

 現下の対応と併せて、中長期の計画、しっかり立っているでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まずは、現下の新型コロナワクチンの三回目接種に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、一方で、御指摘の新型コロナワクチンの四回目接種というのを考える必要があると考えております。これに当たりましては、科学的知見、あるいは諸外国の状況を十分注視してまいりたいと思います。

 また、現在、厚生労働科学研究の研究班におきまして、三回目接種後の抗体価の推移も注視しているところでありまして、中長期的なコロナワクチン接種の在り方につきましては、重要な御指摘をいただきました、引き続き検討してまいりたいと思います。

高階委員 規制から監視へ、コロナ感染症対策の見直しにおいては、感染者の長期の後追い調査についても特段の配慮をお願いしたいと思います。

 ここで、ICD11の適用手続についてお話を移したいと思います。

 WHOは、二月十一日に完全デジタル化版をオンラインリリースしています。日本国内でも、二〇一八年の公表時、既に和訳などの作業を本格化させていたと記憶します。しかし、統計承認に係る諮問がまだ出されていない。この遅れは一体どういう理由によるものでしょうか。

鈴木政府参考人 我が国では、統計法に基づきます統計基準といたしまして、ICDに準拠しました疾病、傷害及び死因の統計分類を告示しておりまして、基本分類表、疾病分類表、死因分類表の三表を示しております。

 先生御指摘のとおり、ICDの最新版でございますICD11につきましては、本年二〇二二年に発効されました。WHO加盟国がICD11に移行するに当たりましては、猶予期間として少なくとも五年の期間が設けられておりますが、我が国におきましては、早期の適用に向けまして、これまでも、関係学会の協力を得ながら和訳等の作業を進めているところでございます。

 しかしながら、WHOにおきまして、二〇一八年の最初の公表から様々な変更を行ってきましたこと、それから、告示に必要な疾病分類表及び死因分類表に相当するものがいまだ公表されていないという状況にございまして、我が国におけます作業は一定の期間を要する見通しでございます。

 今後におきましては、現時点でWHOから公表されております情報の検証を行いながら、社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会で統計基準としての告示に必要な作業を審議いただきながら、ICD11の公的統計への適用に向けて準備してまいりたいと考えてございます。

高階委員 微修正はいろいろあると思うし、項目数が膨大に増えていますから、作業はそんなに簡単でないことは承知しています。しかし、この三十年ぶりの大改定の応用可能性というのは非常に期待が大きいところがありますので、鋭意努力をしていただいて、ある一定期間を決めて、しっかりと適用に向けた作業を進めていただきたいと思いますので、加速を是非お願いいたします。

 性同一性障害者特例法の成立、この法律ができまして間もなく二十年になります。厳しい条件の下ではありますけれども、それでも一万件を超える戸籍上の性別変更が認容されてきました。御家族の皆様からは、子の命を失わずに済んだという安堵の声を聞く一方で、御本人の方は、日々の診療等、大変御苦労をされているところも多いようです。

 現行の保険診療上の課題と、それから今伺いましたようなICD11発効に伴う取扱い変更等ございましたら、お話を伺いたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの性同一性障害に対する性別適合手術につきましては、当該手術を適切に実施することができるよう、一定の施設基準を満たす保険医療機関で実施された場合について保険適用されております。

 この性別適合手術の件数、余り多い手術では、行っておりません。NDBオープンデータに基づきますと、平成三十一年四月から令和二年三月までの年間算定回数を見ますと、精巣摘出術など多くの手術におきまして一件から九件の間又はゼロ件ということであります。

 課題でございますけれども、まず医薬品の保険適用ということがございます。現在、性同一性障害を効能又は効果とするホルモン剤は承認されておりません。したがって、保険適用もされていないという状況でございます。

 このホルモン剤につきましては承認申請もされていない状況でございまして、厚生労働省といたしまして、性同一性障害へ適用拡大を要望している関係学会に対しまして、承認に必要な情報として、性同一性障害に使用する際の医薬品の使用法又は用量等の収集等をすべきものと伝えているところでございます。今後、当該ホルモン剤が薬事承認された際には、保険適用について適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、ICD11におきまして、これまで精神及び行動の障害の章に位置づけておりました性同一性障害の名称を変更いたしまして、新たに設けた性の健康に関連する章に位置づけたものと承知をいたしております。

高階委員 性別と性差に関する様々な科学的知見の集積もありまして、こうした社会包摂性に関する議論が広く行われるようになってきました。人生百年時代を志向する健康戦略の中にしっかりとこの点を取り入れて、より積極的に令和世代の健康、活力の増強に取り組んではどうかと考えます。いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 御指摘を踏まえまして、対応を考えてまいりたいと思います。

高階委員 例えば働き盛りといったときに何歳ぐらいを皆様、想定されますでしょうかね。就業女性全体のボリュームを見てまいりますと、四、五十代は非常に多いんですけれども、この頼れる年代層の方々は、卵巣機能の変化に伴う多様な体調不良が生じる年齢でもありまして、先進諸国で見ますと、エストロゲンのない状態に体が適応するまでのおよそ十年間、女性のQOL低下、そして社会経済的損失をしっかり社会全体の課題として捉えて解決に動き出そう、こういう流れが始まっています。

 我が国では、こうした働き盛りの女性の就業継続支援、何か特段の取組をしているでしょうか。

深澤大臣政務官 お答えさせていただきます。

 女性の就労支援につきましては、まず更年期障害についてがございます。

 更年期障害については、職場や国の支援に関する女性の当事者の希望として、有給休暇や生理休暇を使いやすい職場環境の整備が最も多く挙げられており、また、職場での取扱いに関する希望としては、職場の誰もが更年期症状や対処法について理解ができる研修や、直属の上司に相談しやすい環境等が多く挙げられております。

 更年期障害を患う労働者の職場における支援に関しては、まずは職場における更年期障害に関する理解を深めることで、年次有給休暇等の既存の制度を活用しやすい職場環境整備を推進することが重要であると考えております。

 このため、厚生労働省においては、働く女性の健康応援サイト等において、企業や働く女性向けに更年期障害を含む健康管理に関する情報を提供し、周知啓発を図っております。

 今後とも、職場における更年期障害に関する周知啓発に努め、更年期障害を患っても働きやすい、離職防止につながる職場環境の整備を推進してまいります。

高階委員 性差と性別に関する多様性あるいはそれらの社会的な政策の在り方はいろいろなアプローチがあるんだと思うんですけれども、先ほどの議論とも関わりありますけれども、例えば、今度、第三次の健康日本21のプランを今検討中だと思うんですけれども、日本人の寿命というのは男女とも延びてきていますよね。ところが、健康寿命と平均寿命の長さの差、男女でこの違いを見ますと一・四倍の開きがありまして、十年前とこれは変わっていないんですね。

 恐らく、この先の計画を立てるに当たっては、この男女間格差の短縮に挑んでいってはどうかというふうに考えます。

 例えば、今ほどお話しした令和元年のデータですと、女性で最短県の健康寿命は、男性最長県のそれよりも短くなっちゃっているんですね。これまでの取組が男性に非常に効果的だったということだったと思うんです。

 次なる戦略では、より精緻な取組、更なる成果を期待したいと思いますが、佐原さん、いかがですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、昨年十二月に、健康日本21の最終評価を進める中で、令和元年の健康寿命を公表しまして、女性については男性よりも健康寿命と平均寿命の差が大きいという結果になっております。

 また、健康日本21の目標項目の中で、日常生活における歩数は、男性で増加している一方、女性では減少、あるいは生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている方の割合も、男性では減少しているものの、女性では増加をしているといった実態が見られております。

 今後、これらの点を踏まえまして作成します次期プランにおきましては、御指摘のとおり、性差や年齢を加味した予防、健康づくりを盛り込んでいくことを検討していきたいと考えております。

高階委員 データヘルスの推進というのも非常に重要だと思うんですね。

 例えば、私、学生時代に、課題の一つに、基礎体温をつけましょう、自分の健康チェックのために、こういうふうなこまがあったんです。でも、今は自動的に心拍数もモニターできる時代でありますし、例えばですけれども、個人の健康管理スキルアップのために、定期健診で身長、体重、血圧、視力といったようなことの測定も大事なんですけれども、定期的に、男性ならテストステロンの値、それから女性なら例えばFSHの値というのがきちっと分かる、あるいは抑うつ傾向、あるいはストレスチェックの評価、この結果がフィードバックされて、次に自分がどういうアクションを取ったらいいのかという行動のきっかけが提供される。

 こういった形に、よりカスタマイズされたデータヘルス、令和的な未病対策を推し進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 国民がニーズに応じて自身の健診等の情報を閲覧し利活用できるようにすることは重要と考えております。このため、昨年六月に策定しましたデータヘルス改革に関する工程表に基づきまして、自身の保健医療情報を閲覧、活用できる仕組みとして、パーソナル・ヘルス・レコードの利活用を推進しております。

 具体的には、学校、職場等で管理されている個人の健診等の情報について、マイナポータルにおいてワンストップで閲覧できるよう順次整備を行っているところでございます。また、民間のPHR事業者とマイナポータルとのAPI連携を通じて、国民が適切にPHRを利活用できる環境を整えるための基本的な指針も策定したところであります。

 こうした取組を通じて、引き続きPHRの普及を図ってまいりたいと考えております。

高階委員 より斬新な戦略で是非とも成果を出していただきたい、一緒に協力して進めたいと思います。

 さて、先ほど来議論になっておりますけれども、人への投資、岸田政権で掲げておりますけれども、社会保障人材の給与引上げが今公約されて取組が進められています。大臣も賃上げしやすい環境整備というのを表明されました。

 その規模感あるいは戦略というのを具体的にお伺いしたいところなんですけれども、あわせて、社会保障分野で必要とされる人材は何も有資格者に限らないということも現実であります。

 例えば、現在のコロナ療養者、全国で七十八万五千人に及びます。このうち、入院医療に二万九千人、そして、宿泊、臨時施設、社福等にも同数程度おられ、さらに、在宅で五十四万人以上が療養をされている、こういう状況です。

 施設間のベッド調整とか治療連携の議論はもとより、地域内の様々な部門、あるいはパンデミックの深刻度に応じた、地域を超えた形での人的、物的支援、この体制づくりが急務だと思います。この辺、いかがでしょうか。

大島政府参考人 前段の処遇改善について、まず申し上げます。

 令和三年度補正予算、それから当初予算におきまして、介護、障害、保育、看護等の職員に対する賃金引上げの対応が盛り込まれております。補正予算のベースで見ますと、全額国費、総額八か月分で約二千六百億円、対象者、常勤換算で三百四十四万人となっております。

 今後の方向性につきましては、昨年末にまとめられました公的価格評価検討委員会の中間整理の中で、処遇改善の最終的な目標は、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されていることということが示されておりまして、これに向けて取組を進めていくことになろうかと考えます。

 いずれにしましても、新しい資本主義を実現するためには、今後も、看護、介護、保育などの分野において、その仕事に見合った適切な処遇が行われるよう、収入の引上げが持続的に行われる環境整備をする必要があるとされておりまして、これに沿った取組を進めてまいりたいと考えております。

佐原政府参考人 自宅療養の方への支援についても御指摘ありました。

 厚生労働省としては、MyHER―SYSシステムの徹底活用など、これまでも様々なことを行ってまいりましたが、引き続き、感染症対応における自宅療養者をフォローアップする体制につきましては、目下の危機対応を行いつつではありますけれども、本年六月に行う予定の抜本的強化策の取りまとめに向けた過程の中で、更なる検討を行ってまいりたいと考えております。

高階委員 労基局からもおいでいただきましたけれども、何せほかに代替のできない人員をしっかり確保していくということは大事ですので、過重労働で一部の方に負担がかからないよう、これからも一人一人の働き方改革に目を配りながら、感染対策、取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、経口薬に対しての質問です。

 メルク社の今、経口薬、飲み薬のモルヌピラビル、私、昨年の年末の予算委員会で大臣とも質疑をさせていただいて、とにかくこれは身近で手に入ることが大事なんだということをずっとお訴えさせていただく中で、大臣の方からもいい答弁をいただいて、今、全国一万の医療機関あるいは薬局で配置していただいている。そこはありがたいというふうに思っております。

 その上で、その後、ここ最近ずっとお願いしていることがあって、それは何かというと、在庫制限です。

 全国に配置していただいているのはいいんですが、三人分と決まっていて、今、患者が増えてきている、コロナの陽性者が増えてきている中で、ちょっと心配の声があって、もうちょっと余裕を持って在庫を持っちゃ駄目なのかと。高齢者施設でクラスターが起こっているような地域もありますので、再三、実は党のコロナ対策本部でも何度もお訴えさせていただいております。三人分から増やしてほしいと。これはどう今なったのか、なっているのかというのが一点。

 もう一点は、感染拡大をしている地域については、重点配分できないかというようなお声もあります。これについて副大臣に伺いたいと思います。

佐藤副大臣 新型コロナウイルス感染症の経口薬であるモルヌピラビルにつきましては、百六十万人分を確保しておりまして、三月末までに八十万人分が順次納入される予定であります。

 既に全国の医療機関、薬局に十六万五千人分以上お届けし、これまでに八万二千人以上の方々に投与され、重症化を防いでまいりました。

 二月十五日時点での都道府県別の投与実績で、東京都、神奈川県、大阪府の投与者数が全体の約四割を占めるなど、感染者の多い都市において多くのモルヌピラビルが投与されている現状であります。

 経口薬の投与が必要な重症化リスクを有する患者がいる場合は、医療機関や薬局から製造販売業者に対して、患者数に応じて上限なく発注が可能としており、発注があれば原則翌日にお届けする仕組みとしております。

 さらに、モルヌピラビルの在庫につきましては、必要な方により迅速に届けることができるよう、二月十六日から、高齢者施設のクラスターへの対応に備えるなど、地域において重点的な配分が必要と考えられる薬局における在庫数を、最大三人分から十人分に引き上げさせていただきました。

 引き続き、治療薬が必要な方に確実にお届けできるように取り組んでまいります。

伊佐委員 副大臣、今、三人分から十人分に、特に大変なところは拡大するという御答弁だったと思います。今まさしく、十人分にというふうに通知を出していただいて、全国で今、じゃ、どういうところに配りますかというところをやっていただいていると思います。ようやく拡大していただく方向になったということで、感謝申し上げたいというふうに思います。

 もう一点、ちょっとお願いしたいことがあります。

 これは、オミクロン株の特性というのはデルタ株と違う、今までの株と違うと。お医者さんに聞くと、呼吸器に直接ダメージを与えて、呼吸器疾患で残念ながらお亡くなりになるような方というよりも、今多いのは、元々基礎疾患を持っている、高脂血症とかあるいは動脈硬化とかを持っていらっしゃる方が急性心筋梗塞になるとか、あるいは腎機能が低下していらっしゃる方が急性腎不全になるとかというので、要は、呼吸器疾患以外で亡くなっている方が多いというふうに言われています。だから、そういう意味では、オミクロン株というのは、基礎疾患を持っている方というのはより、今まで以上に注意をして、しっかりとした対応に当たっていく必要がある、健康観察をする必要があるということです。

 ところが、ちょっと今お配りさせていただいている資料、これは診療の手引です。この診療の手引の中で重症度分類というのがありまして、これを見ていただくと、上に書いてあるとおり、都道府県知事が入院勧告できる対象としては重症化リスクの高い患者、中等症、重症です、それ以外は宿泊施設あるいは自宅ですというふうに書いています。

 この中等症、重等症を見るときの基準が何になっているかというと、酸素飽和度なんです。あるいは、臨床状態を見てみても、呼吸困難とか、肺炎所見とか、人工呼吸器が必要とか、全部呼吸器に焦点が当たって作られています。

 だから、酸素飽和度を見て、あるいは呼吸の今、状況を見て、重症じゃないと判断して自宅に戻される。ところが、今回、オミクロン株は、悪化するのが基礎疾患なんですよ。そうすると、自宅でその基礎疾患の部分が悪化して亡くなってしまう、こういうケースが増えているんだというお医者さんの声をいただいています。

 だから、この診療の手引の重症度分類、これは改定してもらった方がいいんじゃないかというふうに思っています。

 もちろん、保健所が判断するときは、この診療の手引で、必ずしもこれだけで判断しているわけではないと思いますが、現状は、ただ、今までと同じように、酸素飽和度は幾らですか、あるいは呼吸器はどうですかというのをやはり判断にして、結局、自宅に送られてしまって亡くなる方がいらっしゃる。これを是非ちょっと考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

佐藤副大臣 オミクロン株の特徴につきましては、アドバイザリーボードにおきまして、基礎疾患の悪化などの影響で重症の定義を満たされずに死亡する方も含まれる、また、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても、感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が誤嚥性も含む肺炎を発症することで、入院を要する感染者が増加することにも注意が必要などと分析されているところであります。

 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症については、年齢に加えまして、ワクチン接種歴の有無や基礎疾患等の重症化リスクの評価も重要と考えておりまして、令和四年二月九日に発出した事務連絡におきまして、1六十五歳以上の方、2四十歳以上六十五歳未満の者のうち、重症化リスク因子を複数持つ方、3妊娠している方と、具体的に明示をさせていただきまして、酸素飽和度や呼吸の状況のみによらず、重症化リスクの高い方については重点的に健康観察を行うようにお願いをしているところであります。

 オミクロン株への対応につきましては、ITも活用しながら、地域の医療機関において健康観察を行い、万が一症状が悪化した場合には、オンライン診療や往診等によりすぐに地域医療が対応する体制を構築し、それに対応する地域の医療機関について、全国一・六万、十一月の全体像に基づく計画を更に三割上回る数を確保したところであります。

 引き続き、オミクロン株の特性を踏まえた対応をし、現場の自治体と連携しながら、自宅でも不安なく療養いただけるよう、こうした体制をしっかり稼働させることに全力を挙げてまいります。

伊佐委員 副大臣、私も事前に厚労省といろいろやり取りをする中で、確かに、通知が出ていますという話は厚労省はするんですよ、基礎疾患の方をしっかり見てくださいと。フォローがあったら、また健康局長に答弁いただきたいと思いますが、ただ、通知、私も今手元にあります。この通知に何と書いてあるかというと、健康観察について、適切なフォローアップを含む自宅療養体制が確保されるようにこういう方々に注意してくださいということなんです。だから、自宅療養が確保されるように、そこが前提になっているわけです。本当に、自宅療養が前提じゃなくて、こういう方々というのは入院であったりとかあるいは宿泊療養に送っていく方が、まだ医療アクセスがある方が私は大事だというふうに思っていまして。

 確かに通知は出していただいているんですが、今、保健所は全然余裕ありません。通知があったとしても、今まで、同じように酸素飽和度を見て、呼吸の状況も聞いて、もちろん基礎疾患があるのかどうかも聞きます。聞くんですけれども、だからといって、高齢者の方は多くの方々が基礎疾患を持っていますので、なかなかそこまで丁寧にいかない状況の中で、これぐらいの呼吸だったら自宅でいいですと言われてしまって亡くなっているという状況ですので、ちょっと、呼吸器中心の現場の判断を変えていかないと私はいかないと思いますが、ちょっと局長、もし補足があったらお願いします。

佐原政府参考人 御指摘の点は、そういう面が非常にあるというふうに思います。

 現在の診療の手引は、感染症を中心とした各学会の先生方の参画を得まして、協議をしながら作っているものでございますけれども、御指摘も踏まえながら、どういったものがより適切なのかということについては検討していきたいというふうに考えております。

伊佐委員 局長、是非検討を進めていただきたいというふうに思います。

 ちょっともう少し掘り下げて話をさせていただくと、高齢者が病院で受け入れられましたとなったときに、その後、幸いに回復されました。ただ、今、次の問題は、退院した後の次の受皿がない。コロナに感染されて回復したとしても、体力が弱っているので自宅に帰すわけにもいかない、高齢者施設も受け入れてくれないという場合に、特に大阪で私がいろいろ聞くと、今、平均在院日数が延びています、受入先がないので。そうすると、在院日数が延びれば、当然新たなコロナの患者は受け入れられないというような状況になって、これが、病床が逼迫している一つの原因だというふうに聞いております。

 そこで、後方の支援する医療、とりわけ高齢者の受入れ体制、これをどう整備していくか。今までも様々やっていただいたとは思いますが、これを機能させていくためには何が必要か、どう対応するのかということを伺いたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、病床につきましては、全体像に基づきまして、既に、昨年の夏に比べて約三割、一万人増の約三万七千人が入院できる体制を確保しております。さらに、今回のオミクロン株対応に関しまして、やはり臨時の医療施設、こうしたものも増やしていこうということで、昨年の夏の五倍を超える水準の四千九百人分の定員を確保しております。

 ただ、先ほど先生が御指摘ございましたように、今回のオミクロン株対応につきましては、高齢者の入院が非常に多くなっております。肺炎等の悪化よりも、基礎疾患の増悪等による症状悪化、これが見られることから、やはり、症状が落ち着いた後の転院先、そこをどう確保していくか、あるいは療養解除後の受入れをどうするかということが課題だと考えております。

 こうした状況もございますので、具体的な対応としましては、まずは、一つは、症状が安定して早期退院されるような方の転院先となる医療機関を確保していくということから、一床当たり四百五十万円の補助を実施しております。それからもう一つ、高齢者施設の療養体制を引き上げていくということから、看護職員を派遣する補助上限額を引き上げたり、あるいは施設内療養を行う高齢者施設の支援の強化を進めております。

 こうしたオミクロンの特性を踏まえまして、しっかりと療養環境を確保できるように、今後とも、自治体、医療関係者、専門家等と緊密に意思疎通を図りながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

伊佐委員 今おっしゃっていただいた四百五十万円とかというもの、つい先日、二月の十七日ですかね、通知を出していただいて、新たな体制でやっていただいています。

 この医療資源、医療提供体制についてもう一点。

 特に大阪の話なんですが、大阪は、今非常に病床が逼迫している中で、臨時医療施設、いわゆる野戦病院というのを知事の肝煎りで千床つくっていますが、残念ながら、今実際に使われているのは十数人分、十数床というふうに言われています。これだけ大阪で病床が逼迫していて、この臨時医療施設が使われていないという状況です。

 元々、この臨時医療施設は、若い人たちを想定して、しかも軽症の人たちを対象にというふうに考えていたわけですが、ところが、オミクロン株は、さっき言った、呼吸器じゃないので苦しくないので、それだったら自宅にいるわという若者が多い。だから、当初のもくろみがちょっと外れてしまって、ニーズの想定が外れてしまった。今本当に必要なニーズというのは、高齢者の皆さんの受入先なんです。

 という中で、この千床の野戦病院、百億円近くかけて今大阪で運営していますけれども、医療資源がもったいないなと思っていまして、ここを是非、高齢者の受入れというニーズで、国が少し支援していただいて、こうした施設も活用できないかというふうに思いますが、いかがですか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪の医療提供体制、なかなか厳しい状況にあると承知しております。病床使用率が昨日時点で七三%ぐらいという状況になっております。

 こうした中で、大阪府における医療提供体制をサポートしていくということから、国と大阪府が連携して臨時の医療施設を合計三百五十床つくるということで、一つは、国の方で人を集めて、医療従事者を集めてサポートする仕組みを導入しました。三月一日時点で百十人を国の方で確保しまして、実際、派遣を行っております。この一つの派遣先がスマイルホテル新大阪というところでして、ここが百五十床ございまして、ここは、介助が必要な高齢者の方々を念頭に置いた整備を行っております。

 それから、あわせまして、先ほど先生の御指摘がありました千床のプロジェクト、こちらの方でも中等症の対象の部分が二百床ございまして、そこの部分について、国のスタッフもサポートすることができるようなことで対応しておるということで、そこはやはり、中等症の方ですので、先ほど先生がおっしゃられたような方々も入れていくということでサポートしようとしております。

伊佐委員 自治体も一生懸命やっていただいていますが、自治体だけでは対応が難しいところもあったり、あるいは広域で支援するのが必要な場合もありますので、是非連携して進めていただきたいというふうに思います。

 ちょっと、副大臣、一問お伺いしたいと思います。

 ちょっと話題を変えまして、不妊治療で、今回、四月から保険適用になりました。その中で、我々も一つ訴えてきた柱が、グリーフケアというものがあります、死産とか流産に対する心のケアということで。死産、流産に対して、行政とかあるいは医療機関の対応というのがなかなかその当事者に寄り添ったようなものになっていなくて、いろいろ、ここ、改善してほしい点があるという様々要望もいただいておりまして。

 これは不妊治療の中の不妊、不育だけじゃなくて、不妊、不育には入っていない流産、死産とか、あるいは新生児死というのもあります。そこまで視野を広げてのグリーフケアというのが大事だというふうに我々は思っておりますが、先月、佐藤副大臣のところに我々一緒に要望させていただいて、当事者団体の皆さんと。そのときに、いろんな要望を受け止めていただきました。まだ一か月もたっていませんが、佐藤副大臣の受け止めと、どのように現在対応しているかということを伺いたいと思います。

佐藤副大臣 伊佐議員御指摘のとおり、流産や死産で子供を亡くされた方、その御家族へのグリーフケアは極めて重要であると認識しております。

 まず、行政や医療機関での対応につきましては、適切な心のケアを行うための相談支援マニュアルを作成すべく、現在、調査研究を進めております。この相談支援マニュアルを、実際に相談支援を行う都道府県等の不妊専門相談センターや産婦人科や小児科などの医療機関に周知し、適切なケアができるように取り組んでまいりたい。

 加えて、死産を経験した方に子供が生まれたことを前提とした連絡が市町村から届き、精神的負荷がかかるといったことがないように、自治体内で死産の情報を共有し、適切な対応を取るよう通知しております。

 また、同じ経験を持つ当事者同士が寄り添ってケアを行うピアサポートが、こうした方のグリーフケアに有効であると考えております。このために、不妊症や流産の経験者を対象としたピアサポーターの育成研修や、都道府県等が行うピアサポートの活動への補助を実施しているところであります。

 是非、引き続き、自治体や関係学会とも連携して、必要な支援を進めてまいります。

伊佐委員 副大臣がさっきおっしゃっていただいた、生まれた前提で役所から連絡が来るという話、私も本当に身につまされるような思いで聞いていました。つまり、死産されて戸籍課に死産で届出を出した、ところが、母子保健課と連携が全然、行政、されていなくて、何で新生児の健診に来ないんですかと連絡が入るとかというようなこともあって、この辺、やはり行政でしっかり対応していただきたい。具体的に進めていただいているので、本当に、直接聞いていただいて、皆さん非常に喜んでおられました。これも聞いて、しっかりまた進めていただきたいというふうに思います。

 時間になりますので、最後、一問だけ簡単に質問します。

 経口薬、国産の経口薬についても既に承認申請がなされたので、ここから、有効性、安全性というのは科学的な判断なので、我々政治が余り口を挟むべきじゃないと思っておりますが、ただ、条件付の早期承認制度というのは、今後、どうしても第三相というのはやっていくことになります。そのときに、これは塩野義に限らずほかの経口薬もそうですが、治験にはやはり臨床件数が必要で、ここは是非国が支援していただきたいというふうに思います。その臨床の、治験の環境づくり、お願いいたします。

佐原政府参考人 御指摘のとおり、治験の環境づくり、自治体と連携しながらやっていくことが重要と考えております。

 具体的には、治験の症例数を幅広く集めるために、昨年より、臨床研究中核病院にコールセンターを設置し、コロナ患者に治験を案内する取組を進めるとともに、積極的に企業と連携して治験の症例数を集めようとする自治体が効果的に取組を進められるよう、相談、助言を行っているところであります。

 また、先般、二月二十五日にも、改めて、自治体に対して再度、協力要請の事務連絡を出しているところであります。

 厚生労働省としては、引き続き、自治体と連携して、治験の推進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十三分散会


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