衆議院

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第7号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午後三時十五分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    東  国幹君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      金子 俊平君    川崎ひでと君

      菅家 一郎君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      古川 直季君    松本  尚君

      三谷 英弘君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      吉田とも代君    山崎 正恭君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     東  国幹君

  土田  慎君     山口  晋君

  西田 昭二君     西野 太亮君

  三谷 英弘君     古川 直季君

  三ッ林裕巳君     菅家 一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     後藤田正純君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  西野 太亮君     金子 俊平君

  古川 直季君     三谷 英弘君

  山口  晋君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     三ッ林裕巳君

  金子 俊平君     西田 昭二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する山井和則君外二名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局長山田雅彦君、保険局長浜谷浩樹君、人材開発統括官小林洋司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。どうぞよろしくお願いいたします。

 教育訓練支援給付金についてお伺いいたします。

 先週の質問では、雇用を守る仕組みである雇用保険制度の雇用調整助成金が我が国の失業率の抑制に効果を上げている点を評価し、六月までの特例措置の延長を歓迎するとともに、今法案では、雇用保険財政の安定化、また、今回のコロナ禍のような予想外の雇用情勢になった場合にも、より機動的に国庫繰入れが可能になることを確認をさせていただきました。

 その上で、今後の成長分野、より人手が必要となる分野への円滑な労働力移動、就業促進を図ることも重要課題であると思います。

 中長期的なキャリアアップを支援するため、厚労大臣の指定する専門実践教育訓練を受ける場合に、受講費用の五割を国が支給するという専門実践教育訓練給付制度が既に用意されておりますが、これに加えて、四十五歳未満の若年離職者に対しては、訓練期間中に基本手当の八割を受講支援として教育訓練支援給付という形で受け取れるという制度の対象期間を、今法案では、令和七年三月三十一日まで三年延長するとしております。

 専門実践訓練の指定講座として二千五百八十四講座が用意されておりますが、現在の活用状況をお聞きしたいと思います。つまり、専門実践教育訓練受給者の人数、また、離職者が利用できる教育訓練支援給付受給者の人数、また、その就業につながった割合等を教えていただきたいと思います。

田中政府参考人 令和二年度におきます専門実践教育訓練給付の受給者数は二万九千四百四人であります。そのうち、教育訓練支援給付金の受給者数は三千五百三十人となっております。また、教育訓練支援給付金の受給者のうち、受講修了後に目標とする資格などを取得し、かつ再就職した者の状況を調査した結果、おおむね七〇%程度の方が再就職に結びついているということでございます。

吉田(久)委員 せっかくのこの制度ですが、知らない方も多いと思います。是非、広報を強化し、周知をお願いしたいと思います。

 ただ、今後の人材不足が見込まれている高度な情報通信技術を学ぶ講座や、AIやデータサイエンスやデータセキュリティーの講座数が全体の三%というのも気になるところではあります。就業した場合の追加支給の割増し等でインセンティブをつけることも考慮していいのではないかと思います。

 次に、キャリアコンサルティングの業務についてお伺いします。

 それぞれの指定講座の内容を見ますと、制度の趣旨としては当然ながら、かなりの高度なスキルアップ、リスキリングが要求される中身となっています。キャリアアップのチャンスが用意されていることは歓迎すべきことではありますが、受講してみて、これはやはり自分には向いていないことが分かるとか、能力的に断念してしまうなど、本人とマッチしない場合もあるのではないかと思いますが、ここにキャリアコンサルタントの個別具体的なアドバイスが得られる機会があるのかどうかをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 ハローワークにおきまして、専門実践教育訓練等の給付金を受けられる全ての方に、訓練受講前のキャリアコンサルタントによる支援を実施しているところでございます。

 具体的には、お一人お一人の状況に応じた適性や能力等の明確化、それを通じたキャリアプランの作成、適切な職業訓練の選択等の支援を行っております。

 また、訓練受講者が再就職や資格取得等の目標を達成できるよう、訓練受講期間中に訓練施設が相談に応じるなど、バックアップ体制を確保しております。

 引き続き、こうした取組を通じて、訓練受講者のキャリアアップを支援してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 ありがとうございます。

 ある最近のベストセラー本によりますと、離職、失業のストレスは本当に深刻で、心身共に苛烈な影響を及ぼし、若死にのリスクを六三%増やすというデータも紹介されておりました。そもそも、離職した方たちにとっては、この制度にたどり着くまでに相当なストレスを受けてきたと思われますので、メンタル的な支援も含めて、是非、丁寧な専門家のキャリアコンサルティング等のアドバイスを受けながら次の就業に着地できるように、離職者の側に立った運用を今後もお願いしたいと思います。

 通告はしておりましたが、ちょっと飛ばしまして、次、リカレント教育の取組について、済みません、お伺いをしたいと思います。

 デジタル化の急速な進展、多様化する労働環境、そして、業界によっては慢性的な人材不足といった問題が見受けられる現在の雇用状況の下、関係者の協働による学びの好循環、いわゆるリスキリング、リカレント教育の充実を図り、非正規雇用者のキャリアアップ、人材不足を解消することを政府が進めていくものと承知をしております。

 その中で、地域ごとに人材開発に向けた協議会を設置し、地域のニーズや特性を生かしながら人材開発の促進を行うものと思いますが、その協議会の中に是非とも女性の活躍という側面を忘れずに入れていただきたいと思います。

 まさにその視点に立った北九州市の女性デジタル人材育成の取組は先駆的なものになっており、市として真剣に持続可能な町づくり、地方創生の鍵として女性の活躍促進が重要であることを認識していただいていることに敬意を表したいと思います。

 地域によってはその協議会に女性がいないとか女性の視点が入らないということがあってはならないと思っておりますが、これについての政府のお考えをお伺いします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今般法定化する協議会におきましては、産業界を始め幅広い関係者からデジタル化の急速な進展や地域の詳細な訓練ニーズをしっかりと把握し、精度の高い教育訓練の設定を効果的、効率的に進めていくこととしております。

 また、協議会では、訓練を修了された方やその採用企業などから個別にヒアリングを行い、訓練効果の把握、検証を行うこととしており、今御指摘ございました女性の方々の声など、訓練を受講する当事者の御意見も積極的に伺っていきたいというふうに考えております。

 女性活躍の推進は非常に重要な課題でございます。こうした協議会の取組を通じてニーズをしっかりと酌み取り、効果的な訓練の実施に努めてまいりたいと考えます。

吉田(久)委員 特に個々の方が受けられるキャリアコンサルティングにおいては、女性のライフプランも加味したキャリアコンサルティングも、地域や企業内での人材開発促進の中で是非利用できる体制を整えていただくようにお願いしたいと思います。

 続いて、厚労省として、令和三年の規制改革実施計画において、リカレントガイドライン、仮称ですけれども、の策定を求められていると承知しておりますが、現時点での策定の進捗状況についてお伺いしたいと思います。あわせて、その中で、女性活躍の視点でのリカレント教育の実施については政府として是非後押しをお願いしたいと思いますが、政府の御見解を是非、厚労大臣にお聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 現在、労働政策審議会の人材開発分科会におきまして、企業における学びや学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けた御議論をいただいているところでございます。

 デジタル化の急速な進展や職業人生の長期化等に対応するために、関係者が協働して学びや学び直しを強力に進めていくことが必要であり、議員御指摘のように、女性活躍の視点も重要であると認識しています。

 具体的な策定作業はこれからの課題となりますけれども、委員の御指摘を踏まえて、女性を始めとした労働者の学び、学び直しが実現できるよう、女性活躍の視点からもガイドラインの検討を進めてまいります。

吉田(久)委員 ありがとうございます。是非その視点もしっかり入れていただければと思います。

 求人メディアの質の向上についてお伺いします。

 募集情報提供事業者、いわゆる求人メディアや広告を入口とする就職が、新卒以外では、ハローワークの二割を超えて三割に及んでおります。様々なトラブルも多く、今回の法改正で届出を義務づけ、厚労省としても指導監督できる体制に一歩前進することは歓迎しております。掲載する情報の正確さ、日頃から最新情報を提供するという仕組みが大切だと思います。

 この情報のチェック機能という観点からお伺いしますが、虚偽の情報などが発見された場合、どの機関が窓口となり対処するのか、相談窓口を今後設けるという方向性なのかどうかをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 今般の改正法におきましては、募集情報等提供事業者に迅速かつ適切な苦情処理及び必要な体制整備を義務づけており、まずは、事業者においてしっかりと、利用者から寄せられる苦情へ対応することを求めていきたいと思います。

 また、労働局におきましても、虚偽の募集情報であるとの御相談があれば、実態を把握し、必要に応じ指導等をさせていただきますので、この点についてもしっかり周知をしたいと思います。

 さらに、今回の法案の確実な履行確保に当たっては、従前の各労働局での対応に加え、厚生労働本省に募集情報等提供事業の実態把握や指導監督を行う新たな組織を設置する等の体制強化を図る予定でありまして、指導監督などに適切に対応できるように準備してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 規模からすれば、全国に展開するハローワークと比肩できる求人、求職情報の取扱機関は見当たらないと思います。正直、業界では、ハローワークの求人情報も滞っていたりするとも聞いておりますが、ハローワークは都道府県労働局の所管でありますけれども、日々入れ替わる求人情報をどのような体制で対応してきているのか、また、今後、対応すべく人員を増やす等変更される予定があるのかどうかについてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 ハローワークは、全国規模で、全国のネットワークによって無料の職業紹介サービスを行う機関でありまして、我が国の今後の労働市場においても一番重要なインフラ、基盤になると考えております。

 そのため、様々な工夫により、可能な限り効率的に求人、求職のマッチングを行っていけるように、人材面、それからシステムの面、様々な改善を加えていっております。

 今後とも、そういった観点からハローワークのサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日も、雇用保険法等について質疑をさせていただきます。

 まず、資料一を御覧ください。こちらの方は、雇用保険法、今回の法案に対する修正案ということで、まずそちらについてお伺いをしたいと思います。

 提出者にお伺いをいたします。修正案の趣旨、どのようなものでしょうか。

山井委員 井坂議員、御質問ありがとうございます。

 昨年十二月から連合さんなどと議論をさせていただきまして、この雇用保険法に関する連合の意見、またあるいは多くの働く皆様の声を聞きながら修正案の準備をさせていただきました。

 例えば、今年一月七日の雇用保険部会報告に対する連合の談話にあるとおり、雇用政策の担い手としての政府の責任を示すべきであり、国庫負担は本則に戻すべきである、政府は機動的な国庫繰入れを制度化したというが、その機動性、実効性の担保がないことについての懸念があるなどという御意見をいただいております。

 このほか、育児休業給付については、子育て支援を国の責任で行うべきであり、全額国庫負担の新しい制度に移行することを早急に検討すべきである、雇用保険の対象となっていないフリーランス等の雇用によらない働き方をする者にも、育児休業給付の対象を拡大することも併せて検討すべきという意見もいただいているところでございます。

 これらのことについて、総合的に、多くの団体の方々、そして党内での議論もさせていただきまして、また国民民主党の皆さん、また有志の会の皆さんとも議論を重ねた上で、このような修正案を作成させていただきました。具体的には、国庫負担割合を本則に戻す、そして機動的な国庫繰入れの確保、育児休業給付についての検討ということであります。

 この後も御答弁いただきますが、国民民主党さん、有志の会の皆さんとともにこういう修正案を出して、やはり今回、私たちも、よい改正も含まれていると思いますが、問題点もある改正ですので、与党の皆様にも御賛同いただければと思います。

 ありがとうございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、この修正案の財源について伺います。

 修正案では四月の一日から国庫負担割合を四分の一に戻すことになるのか、そのための財源はどうするのか、そして失業等給付の水準を維持するためにどのように財源を確保するのか、提出者に伺います。

田中(健)委員 お答えします。

 現行法では、失業等給付についての国庫負担割合は本則の四分の一であるところ、二〇〇七年度から当分の間の措置として本則の五五%に引き下げられ、さらに、二〇一七年度以降は本則の一〇%に引き下げられて、四十分の一となっています。

 二〇一七年改正の際も、また二〇二〇年の改正で時限的な引下げが延長された際にも、衆参の厚労委員会において、雇用政策に対する政府の責任を示すものである雇用保険の国庫負担については、早期に安定財源を確保し、本則に戻すとの附帯決議が可決をされています。にもかかわらず、政府は、労使の雇用保険率を引き上げる一方で、国庫負担割合は暫定措置ですらなく本則を四十分の一に引き下げるという改正案を提出をいたしました。

 雇用保険財政はコロナ禍において非常に厳しい状況にあります。失業等給付の積立金は来年度末には枯渇する見通しであり、雇用保険二事業の雇用安定資金の残高は既に枯渇をし、また、失業等給付の積立金からの借入れで賄っている状況であります。

 コロナ禍においては、労働者のセーフティーネットとして、失業等給付や雇用調整助成金が非常に大きな役割を果たしています。このような中で国庫負担割合の引下げが行われてしまえば、積立金は枯渇し、給付水準を引き下げざるを得ないという状況に追い込まれてしまうことを懸念しています。

 そこで、修正案では、四月一日から国庫負担割合を四分の一に戻すこととしています。そのために必要となる経費は来年度で約二千七百五十億円が見込まれ、必要な経費は予備費を充てることを想定しています。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、機動的な国庫繰入れについて、これも修正案、伺います。

 政府案の機動的な国庫繰入れにはどのような問題があるか、そして修正案ではその問題にどう対応するのか、伺います。

仁木委員 お答えします。

 政府案では、財政状況を踏まえ、必要がある場合に国庫が一部を負担することができるとされていますけれども、国庫繰入れを発動する具体的な基準が明記されていません。このままでは、実効性がなく、必要な国庫繰入れが機動的に行われない可能性があります。しかも、国庫負担割合も今回引き下げられていることから、雇用保険の財源が不足し、給付水準の引下げにつながりかねないと危惧しております。

 一方、修正案では、国庫繰入れは政令で定める基準に従って行うこととし、その政令は、雇用保険の財政状況、受給者の数の状況等に応じた機動的な国庫負担が確保されるように定めることとしております。具体的には、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告において、国庫繰入れが行われる場合とし、四つの場合を挙げていることから、これらを政令で定めることにより、機動的な国庫繰入れが実効的に行われることを担保しようとしているところであります。

井坂委員 ありがとうございます。修正案に関する質問は以上です。

 大臣にお伺いをいたします。

 資料にも改めてつけさせていただいたんですが、機動的な国庫繰入れがやはり本当にきちんと行われるのかどうか、これが、本会議でも申し上げましたとおり、本法案の最大の焦点だと考えております。この間、大臣にも精いっぱいの明確な御答弁をいただいてきたということに関しては私も感謝している部分もございますが、答弁、もちろん議事録に残したということはありますが、やはりこれを何とか省令等に記載する方法がないのか、これについて検討ぐらいはすべきではないのか、大臣に最後、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 機動的繰入れを行うべき状況として、労働政策審議会の報告書に記載された四つの類型など、機動的繰入れの運用の考え方について、同審議会での議論を尊重して対応していく必要があるということについては、前回もはっきりと御答弁を差し上げました。

 厚生労働省として、この考え方を何らかの形でお示しできるか、検討してまいりたいと思います。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。何らかの形でということで、一歩踏み込んだ御答弁をいただいたと思います。

 ちょっと参考人にお伺いをしたいんですが、例えば、この資料二、雇用保険部会報告の2ですよね、受給者実人員の平均が七十万人以上かつ弾力倍率が一未満、こういうときは国庫繰入れが行われるべきである。これは当たり前の話だと思うんですよ。逆に、この状況で国庫繰入れは行わないなんということがもし想定されているなら、国庫繰入れするようなときはないと思います。永遠にないです、これは本当に。

 参考人に伺いたいんですが、例えばこの2のような内容を政令に記載をすると、一体どんな不利益があるんでしょうか。

田中政府参考人 今般の法案では、新設する機動的な国庫繰入規定においては、失業等給付に係る保険料率が法律上の本則である千分の八である場合に加え、これに準じて国庫繰入れを行うことができる場合の要件を政令に委任しております。

 議員御指摘の内容は、その繰入れの具体的運用に関わるものですけれども、機動的な国庫繰入れの実施を検討すべき具体的な状況を政令に規定することは、かえって検討すべき状況を限定することにつながるなど柔軟な制度運用を妨げるおそれもあり、適切ではないと考えております。

井坂委員 政令に書くと限定し過ぎてよくない、こういう御答弁が続いているんですが、大臣に伺いたいんです。

 こういうときしか繰入れしたら駄目ですよというような狭い限定をすれば、これは不利益がありますけれども、今、繰入れする範囲は物すごく広く取られていて、その中で、さらに、せめてこういう最悪の場合は繰入れをしなさいよ、あるいは、せめて繰入れを検討しなさいよ、これぐらいはむしろ書かないと、逆に、どんなときでもしなくてもいいみたいな今法律になっているんですよ。

 御答弁ではそんなことはないと繰り返し言っていただいているので、それは過去の議事録をつぶさにひっくり返せば、後の時代の人も、こういうときはしなきゃいけないんだなと分かると思うんですが、やはりこれは政令等にしっかり書いていただく、最低やはりこういうときは繰入れしなきゃいけない、あるいは繰入れを真っ先に検討しなきゃいけないと書いていただきたいと思うんです。

 これは、もし労政審から何らかの形でやはり省令等への記載を検討すべきだという意見があれば、大臣、お伺いしますが、それはさすがに門前払いせず、検討していただけますね。お伺いします。

後藤国務大臣 労政審の御議論を尊重するということは度々この国会で答弁もさせていただいておりますし、先ほど、何らかの対応ができないかどうか、答弁もさせていただいたとおりであります。

 内容について、法令的な問題については、先ほど局長が答弁したとおりでございます。

井坂委員 何らかの形でできないかということで検討してくださるという御答弁をもって、また今後の議論の足がかりにしてまいりたいというふうに思います。

 続きまして、今度は保険料率についてです。

 これまで、この委員会でも、弾力倍率という数字についてずっと議論をしてまいりました。この弾力倍率というのは、今年の積立金残高それから今年の単年度黒字を合わせて、これが今後何年分の、いわゆる失業等給付の支払いの何年分に当たるか、何倍に当たるかというものが弾力倍率。今あるお金で失業等給付があと何年払えるか、ざっとこんな数字であります。

 この弾力倍率が二を超えると、雇用保険財政に余裕ありということで、保険料を最大〇・四引き下げてもよいと。逆に、弾力倍率が一未満になると、来年分も支払いが危ないということで、これは二年後の保険料を〇・四%引き上げてもよい、こういうルールになっております。

 前回の委員会でお聞きをしたところ、令和四年度の弾力倍率はマイナスの〇・六七になる見通しということで、一未満どころか、異例のマイナスが見込まれているわけであります。

 参考人にお伺いをいたしますが、こうなると、令和六年の雇用保険料率は、〇・八%から更に〇・四%引き上げられた一・二%まで引上げ可能となるのかどうか。まず事実をお伺いいたします。

田中政府参考人 三月九日の審議でお答えしたとおり、令和四年度の弾力倍率を機械的に算出しますとマイナス〇・六七となります。

 令和四年度の弾力倍率がマイナス〇・六七となった場合、令和六年度の失業等給付に係る雇用保険料率は、本則の千分の八から千分の十二までの範囲で引上げが可能となります。

井坂委員 今、〇・八でも上げ過ぎじゃないかという議論もある中で、更に、その二年後には、一・二%まで引上げ可能、必ず引き上げるとは言っていないですけれども、引き上げようと思えば引き上げてもよいという状況になります。

 大臣にお伺いいたします。

 本会議でお答えを十分にいただけなかった部分ですが、国庫負担を四分の一に戻すこともせず、なおかつ機動的国庫繰入れも十分にせずに、保険料率を〇・八から一・二まで更に引き上げるなどということは、これはない、そんなことはしないと明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般の法案において新設する機動的な国庫繰入規定の運用に当たっては、労働政策審議会の報告書におきまして、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払いに支障が生ずるおそれがある場合等において、機動的な国庫繰入れにより対応すべきであるとの考えが示されております。

 加えて、この報告書におきましては、機動的な繰入れの意義について、雇用情勢が急激に悪化して財政悪化した局面においても、保険料率を引き上げるよりも迅速に、必要に応じた金額を繰り入れられることにより、雇用保険財政の安定を図ることが可能となるものとされております。

 厚生労働省としては、こうした趣旨を尊重しまして、適切に対応してまいります。

井坂委員 大臣、正面からお答えをいただきたいんです。これはもう架空の話じゃなくて、そうなるんです、令和六年には。四分の一に恐らく戻すことはないでしょう、今回、法改正するばかりですから。また、機動的国庫繰入れがもし十分に行われないで、足りないからといって保険料が一・二%まで引き上げられる、これはあってはならないことだと思います。

 しかも、今、雇用保険財政は雇用保険二事業に多額のお金を貸し出して、それが返っていないのも込みでの、この弾力倍率が低くなっているという話ですから、こうした、お金を、要は会計間でのやりくりも、これも十分に戻す努力もせずに、保険料だけを更に一・二%まで引き上げるというのは許されないことだと思います。

 大臣、再度答弁いただきたいんですが、もう目の前に迫っている話なんです。それはルール上は一・二%まで引き上げることはできるけれども、しかし、四分の一にも戻さない、十分な国庫繰入れもしない、しかも貸し出したお金を取り戻す十分な努力もせずに一・二%まで引き上げることは考えていないと、政治家としてはっきり答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 先ほど局長から答弁したように、弾力条項は上にも下にもついている、そういう法制度上の問題でございます。

 今般の法案において新設する機動的な国庫繰入規定の運用に当たっては、労働政策審議会において述べられている、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払いに支障が生ずるおそれがある場合等において、機動的な国庫繰入れにより対応すべきであるとの考え方が示されております。

 こうした趣旨を尊重し、適切に対応いたします。

井坂委員 御答弁、おっしゃることはよくよく聞けば分かるんですけれども、やはりはっきり言っていただきたいんですよ、いや、そんな邪悪なことは考えていませんと。逆に心配なんですよ。余り回りくどいことをおっしゃると、もしかして時と場合によってはそういうことがあり得るのかと思ってしまうので。いや、今の御答弁は、つぶさに聞いてよくよく理解すれば、そういうこともせずに一・二%にすることはするなと労政審にもはっきり言われているから、そのとおりにしますということなんだろうと思いますが、やはり、大臣、政治家として、そのようなことは考えていない、そういう法改正じゃないんだぐらい、ちょっと一言お願いします。

後藤国務大臣 労政審というのは、三者が集まって、本当にしっかりと議論をしながら、我々はその労政審の質疑を大変に重く受け止めて、こうした労働関係の法律制度を運用しているわけでございます。

 その労政審の報告書において、もう繰り返しませんが、先ほど申し上げたような、そういう状況がある場合に、機動的な国庫繰入れにより対応すべきであるとの考え方がはっきり示されているわけで、厚生労働省として、こうした趣旨を尊重して、適切に対応いたします。

井坂委員 了解いたしました。

 労政審の部会報告のとおりにしっかり運用していただきますようにお願いをいたします。

 続きまして、この保険料、今回、四月から九月は〇・二%、そしてそこから来年三月までは〇・六%となります。ちょっと一問飛ばしますが、参考人に伺いますが、年度の途中に保険料が変わるということが最初から決まっているのは、恐らく今回が初めてのパターンだと思います。

 実際、私、週末地元に戻ったときに、この手続とか計算がとても煩雑になる、ちょっとやはり実務家の意見を聞いてほしかったというふうに苦言をいただいたところであります。

 参考人に伺いますが、保険料率を年度途中に変更する、こういうやり方について、社会保険労務士など実務家の意見を事前に聞きましたでしょうか。

田中政府参考人 今般の改正案において、年度途中で保険料率の変更を行うことについての実務上の問題につきましては、省内において十分検討し、実施可能との結論に至りましたが、今回は事前に外部の実務家からの意見聴取を実施することはできませんでした。

 なお、保険料納付事務の負担軽減のために計算支援ツールを用意することとしておりまして、さらに、労働局における丁寧な相談対応を行うなど、円滑な手続に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

井坂委員 これは大臣に一言コメントをいただきたいんですが、今回聞いていないということで、今後、計算とか手続とか現場の実務が大きく変わることについてはやはり社会保険労務士など実務家の意見も聞きながら中身を検討すべきであると思いますので、大臣、ちょっと、今後はそうしていただけるかどうか、お伺いいたします。

後藤国務大臣 今後、保険料の変更など企業実務に大きな影響を及ぼす可能性のある改正に際しましては、実務を担う方々から前もって意見を聞くなど、丁寧な対応に努めてまいります。

井坂委員 是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、雇用調整助成金について伺います。

 雇用調整助成金には、売上げが三〇%減ったときの業況特例と、それから緊急事態や蔓延防止が発令されたときの地域特例が設けられており、その場合は助成率が十分の十となります。

 この業況特例と地域特例の助成率については、コロナ禍による雇用への影響が続く限り同水準で維持すべきでないかと考えますが、参考人に伺います。

田中政府参考人 雇用調整助成金につきましては、これまでに例のない特例措置を講じて、事業主の雇用の維持を強力に支援してまいりました。

 先般、雇調金の特例措置等を六月末まで延長する方針を公表しましたが、七月以降の取扱いについては、経済財政運営と改革の基本方針二〇二一を踏まえ、引き続き、感染が拡大している地域及び特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 引き続き、最大十分の十の雇用調整助成金が出せるように、必要な制度設計をよろしくお願いいたします。

 続きまして、求職者の個人情報について伺います。

 かつて、就活サイトが無断で学生の内定辞退率のデータを企業に提供して問題になりました。そこで、今回の法改正では、個人情報の収集、利用について、募集情報提供事業者のサイトを利用する際に個人情報の利用目的を明らかにするというふうになっています。しかし、利用目的に全て同意しなければそもそもサイトが利用できないということになると、これはもう求職者は同意せざるを得なくなって、意味がなくなってしまう。

 参考人に伺いますが、求人サイトを利用する際に、求職者が情報収集される個別の情報の目的を理解して、同意するか否かを利用目的別に判断できるようにすべきでないかと思いますが、伺います。

田中政府参考人 今回の職業安定法の改正におきましては、業務の目的の範囲内で個人情報を取り扱う場合、求職者から同意を求めるのではなく、当該目的をあらかじめ明示することで求職者がその利用目的を理解、納得した上でサービスを利用する環境を整備するということにしています。

 個人情報の取扱いについて個別同意をどうするかということにつきましては、様々な議論があることは承知しております。このため、まずは、本改正の履行にしっかりと取り組みつつ、我が国における個人情報保護法制に関する議論もしっかりと注視してまいりたいと考えております。

井坂委員 様々な意見があることは聞いているということで、是非、個人情報に全部同意しないとサイトを使えないということだとやはり同意が形骸化しますので、無意味なものにならないように、後で例えば同意の撤回、オプトアウトができるようなということも含めて、利用者の意思がちゃんと個別に反映される仕組みを考えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、フリーランスについて伺います。

 フリーランスに関する相談は、現在、東京第二弁護士会が実施しているフリーランス一一〇番に寄せられています。

 参考人に伺いますが、その内容を分析して、フリーランスの今後の保護を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 フリーランスの保護につきましては、今後、事業者がフリーランスと取引する際の契約の明確化などについて内閣官房を始めとした関係省庁で検討しておりますが、新たなフリーランス保護法制を含む所要の措置を講じていくこととしております。

 御指摘のあったフリーランス・トラブル一一〇番に寄せられた事例や傾向については、そうした保護法制を検討していく中で関係省庁とも共有しつつ、実態を踏まえた対応を行っていきたいと思っております。

井坂委員 相談内容をきちんと今後の検討に生かしてくださるということで受け止めました。

 重ねての質問ですが、このフリーランス一一〇番の相談内容とか、あるいは今後の分析結果など、これも労働政策審議会にも報告すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 御指摘のありましたフリーランス・トラブル一一〇番に寄せられた事例や傾向については、今後、労働政策審議会に報告していくこととしたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 是非、単に相談を聞くだけでなく、その内容を労政審とも共有しながら、実態把握、傾向の分析、そして、今後のフリーランスの保護という政策に結びつけていただきたいというふうに思います。

 最後に、キャリアコンサルタントのことについて幾つかお伺いをしたいと思います。

 資料の三を御覧ください。こちらは、昨日の厚生労働委員会の参考人、連合の方が配付をされた資料そのものであります。この下の方を見ていただきたいんですが、今後の課題ということで、真ん中の方に、障害者、生活保護受給者、母子家庭などコンサルティング領域を幅広く拡大すべきということが提言をされております。

 もちろん、今のコンサルティングで、こうした障害の方とか母子家庭の方、生活保護の方をコンサルティングすることはもちろん禁じられていなくて、実際、そういう方をコンサルティングする例も多いと思うんですが、ここでの趣旨は、要は、こういう、特に障害のある方のコンサルティングを専門にやっているキャリアコンサルタントとか、あるいは、特に母子家庭の問題に強いキャリアコンサルタントとか、よりそういう専門特化をしたキャリアコンサルタントあるいはキャリアコンサルティングが今後必要ではないか、こういう提言だというふうに思います。

 参考人に伺いますが、こうしたここで書かれているような特定分野、特に特定のお困りの分野に強いコンサルを今後増やしていくべきではないかと考えますが、御所見を伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 キャリアコンサルタントは、御指摘いただきましたように、職業選択ですとか能力開発に関する相談、助言を行う専門家でございます。障害者ですとか生活保護受給者など、特定分野に強いキャリアコンサルタントを増やしていくというのは、大切な課題であるというふうに思います。

 そして、そのために必要なことは、専門能力をその分野で高めていただくということでございます。

 キャリアコンサルタントの資格の更新に当たりまして、大臣指定の更新講習の受講等が要件とされておりますので、そうした機会の活用ですとか、新たな研修教材の開発、提供などを通じて、専門性の向上について十分検討してまいりたいというふうに思います。

井坂委員 今後、そういった専門性を高める研修などというお答えでありました。

 あと、また実際、現場で母子家庭の相談とか障害の御相談とかに当たっている、そういう方々が更にキャリアコンサルタントの資格を持ってキャリアコンサルティングに参入をしてくる、こういった方向も是非御検討いただきたいというふうに思います。

 最後、もう一つ、この資料三で、左上を御覧いただきたいんですが、キャリアコンサルタントの就労状況ということで書かれています。正社員が四割、非正規社員が三割、フリー、自営が一割、こういう割合であります。

 必ずしも正規がよくて非正規が悪いというわけではありませんが、やはり、キャリアコンサルティングを受ける多くの方が、どちらかというとやはり正規の社員になりたいと思っておられる方が多いような中で、肝腎のキャリアコンサルタント自体が非常に非正規、フリーの方が多いというのも、ややいびつな感じはいたします。

 参考人にお伺いをいたしますが、三割が非正規、一割がフリーということで、キャリアコンサルタント自体の待遇改善が必要ではないか、お伺いをいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今、資料でお示しいただきましたように、キャリアコンサルタントは幅広い分野で活躍をいただいておりまして、また、就業形態も様々な状況となっております。

 この待遇改善を図っていくというのは非常に重要な課題でございまして、そのためには、キャリアコンサルタントの認知度ですとか信頼性、専門性を高めていくことが重要であるというふうに思います。

 キャリアコンサルタントの活動の実態把握というのをもっときちんと行うということと、それから、今般こういった改正に盛り込ませていただきますので、関係者とも協力しながら、この改正を機に、認知度や信頼性の向上、専門性の向上、そして、何より活躍の場の拡大にしっかりと取り組んでまいります。

井坂委員 参考人に重ねて伺いますが、この調査自体が二〇一八年の調査なんですね。事前にやり取りした中では、実際に、例えば非正規のキャリアコンサルタントの方が、望んでそうなっているのか、それとも実際はやはり正規のコンサルタントになりたいのかとか、非正規の方が、企業のコンサルタントが多いのか、ハローワークのコンサルタントが多いのか、そういうクロス分析もできていないということでありました。

 まず、この実態の把握、クロス分析も含めて、再度やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 ここで非正規社員というふうな形になっておりますのは、例えばハローワークでもたくさん相談員として働いていらっしゃる方もおられまして、非常に幅広い領域で活動をいただいているということの表れでもあるのかなというふうに思います。

 今回、企業におけるキャリアコンサルタントの重要性等も盛り込ませていただいております。そういった中で、最新の実態を把握して、より活躍の場が拡大するように努めてまいりたいというふうに思います。

井坂委員 雇用保険法を中心に、大臣にもいろいろと質疑をさせていただきました。御答弁では、いろいろお答えをいただいた部分、これは今後に向けて非常に大事な御答弁だったと思います。

 なお、修正案とかいろいろな形で、とにかく何でもありではなくて、やはりこういう場合は繰入れをする、こういう場合は国庫負担を戻す、こうしたことを少しでも後世に残していきたいという思いで質疑をさせていただきました。

 長時間、本当にどうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 皆さん、こんにちは。日本維新の会の金村龍那です。今日もどうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、育児休業給付金について質問をさせていただきます。

 私も三人子供がおりまして、都合、三人で、育児休業制度そのものは二年半程度取得して、妻がですね。その上で、給付金も一年と数か月手元にありましたので、私自身、妻のキャリアもそうですが、家計にとっても非常に制度としてありがたかったなと。ほとんどの、大半の今のお父さんやお母さんがこの育休制度の中で子育てをスタートされている方が多いと思います。

 その中で、やはり、改めて見ると、雇用保険の中で、いわゆる保険制度の枠組みでこの制度を今後も継続していくのか、それとも子育て支援の観点からやはりしっかりと支援をしていくべきなのか、厚労省の中でどのような議論が今行われているのか、こういったところについて、まずはお伺いさせていただきたいと思います。

後藤国務大臣 育児休業給付につきましては、少子化社会対策大綱におきまして、育児休業給付について、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するとされていることや、現在の保険料率で、令和七年度以降、安定運営が可能な見通しとなっていないこと等を踏まえまして、今般の法律において、令和六年度までをめどに、育児休業給付及びその財源の在り方について検討を行う旨の規定を置いております。

 また、労働政策審議会の報告書におきましても、育児休業給付の在り方については、他の関係諸施策の動向等も勘案しつつ、令和四年度から検討を開始し、令和六年度までをめどに進めていくべきとされております。

 こうした議論を踏まえつつ、厚生労働省としては、子育て支援施策を担当する関係省庁とも連携しながら、他の子育て支援制度の在り方も併せた総合的な検討の中で行ってまいりたいと思っております。

金村委員 ありがとうございます。

 令和七年度からどのようになるのか、ここは非常にポイントになると思います。少なくとも、今の働くお父さんやお母さんにとっては、キャリアの観点からも、そして家計の観点からも、この制度を前提とした家庭を築いている方もたくさんいらっしゃると思いますので、しっかりとした裏づけをもって厚労省の中でも議論していただきたいと思いますし、また、やはり、私は子を持つ親として、子育て支援に軸足を置いたいわゆる育児休業制度、そして育児休業給付金制度が必要だと考えています。

 そんな中、私自身の出来事を踏まえて、育児休業制度を少し提案させていただきたいんですけれども。一番下の子ですが、三歳になったときに障害があることが分かったんですね。その段階で妻はもちろん復職していますから、当時、私は企業経営しておりましたので、少し柔軟な働き方を持って、家族でいろんな考え方を持って子育てを更にリスタートさせた記憶をしています。

 つまり、今の育休制度や育児休業給付金の在り方だと、当然その枠外に、年齢として漏れてしまうときというのがあるんですね。そのときに、短期でも、もし育休制度が使えたり、育児休業給付金が少しでも支給されたりすると、家族として話し合う場を持ったり、子供の環境が適切な方向性に進む、そういうきっかけになると思うんですね。

 なので、今の一歳まで、そして最長二歳までという制度そのものを、例えば柔軟に取得できる、僕は総量規制みたいな表現をするんですけれども、総量で、使っていない人に対しては少し余分に、年齢が上限を超えた後でも取得できるような、そういう柔軟な議論というのは今なされているのかどうか、お伺いさせていただけますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 育児休業は、先生今御説明いただいたとおり、原則一歳までとしている。その理由は、その時期が子の養育に最も手厚い手当てを必要としているからであります。ただ、保育所等に入れない場合等に限って最長二歳までの延長を可能としております。

 御提案のあった二歳を超えた後の育児休業については、二つ踏まえるべき点があると思っておりまして、一つは、取得可能期間の延長が、女性に育児の偏っている現状に鑑みると、女性の職場復帰に影響して、女性活躍に逆行することにならないかという観点。それから、仮に取得可能期間を一年間としつつ取得可能年齢を二歳以降に拡大する場合、現行制度では保育所に入れない場合等は一人で最大二年間取得できる、そういったものとの関係をどう考えるかといった点を踏まえる必要があって、慎重な検討が必要だと考えております。

 ただ、一般的に、二歳を超えたお子さんであっても、子供の介護ですとか、介護が必要な場合については、要件を満たせば、介護休業や子の看護休暇、介護休暇といった両立制度の利用が可能となっております。

 なお、介護休暇、介護休業というものについては、どちらかというと、その言葉からすると、お年寄りをイメージされますけれども、長期にわたって介護が必要な方に対しては、お子さんであっても対応できる仕組みになっております。

金村委員 ありがとうございます。

 妻ともそういう話をしたんですね、当時。ですけれども、やはり、会社の中でなかなか言い出しにくい。つまり、育休は取得しやすいんですけれども、今や、当たり前なので。ただ、介護とかそういう表現をすると、なかなか会社の中で気まずいというのが妻の声だったんですね。

 だから、それだけ育休は、つまり、子育てをスタートさせるお父さんやお母さんにとっては非常に当たり前化しているもので、少し表現が変わると会社の中で違和感を持たれる、日本人の特徴的な話なのかもしれませんが。育休そのものを少し柔軟にするだけで、僕は、選択肢がお父さんやお母さんに与えられると思うと、少し議論をしてもいいのかなと考えています。

 続いて、職業安定法、いわゆる求人サイトの法規制についてですが、これは私、実はすごいしっかりやってほしいなという体験もありまして。

 古い求人サイトを見て、賃金設定や働き方を見て、実際に応募してきて、よく面接を私はしていたんですね。すると、例えば、賃金が高い方を設定していて、実際に働いてもらうときに安い設定になる場合があるんですね、古い求人だと。そうすると、働く瞬間からもはやモチベーションが上がっていない。むしろ、僕らは、雇う側ですね、雇用者側は何も表現していないのに既に何か単価を下げたような雰囲気がしてしまう。

 なので、この法規制をしっかりと、まあ届出だと思いますが、していただくことで、雇用者側が労働者としっかりと、スタートラインを手を一にしてやっていけるようにしていただきたいなと思います。

 その中で、いわゆる求職者に対して、この法規制もそうですが、しっかりとサポートしていくことによって、成長産業に対する労働力の移転、ここがこれからの日本にとっては非常に重要になってくると考えています。

 そんな中、今の厚労省の成長産業に対する労働力の移転、また、求職者に対するどういうサポートが行き届いているのか、改めてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 厚労省では、離職された方が早期に再就職できるように、雇用のセーフティーネットを整備しております。

 具体的には、労働者が離職した場合には、雇用保険制度における失業した場合の基本手当や、職業訓練を受講される場合のその期間中の延長給付の支給、それから、雇用保険の給付を受けられない方に無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度のほか、ハローワークにおいて個々の求職者の状況に応じたきめ細かな就職支援を実施しております。

 さらに、今般、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億円の予算を大胆に投入する施策パッケージを創設し、成長分野への労働移動の円滑化や人材育成を強力に推進することとしております。

金村委員 ありがとうございます。

 今の支援の在り方というのは、働き手にとって、例えば、働く環境にとってしっかりと能力を発揮できるようにする、又は手に職を、変えるとか、そういった支援が私は大半だと思っていまして、そもそもの雇用の在り方を、少し種類をつくっていくことの方が実は働き手にとってはいいんじゃないかと私は考えています。

 つまり、働きづらさを感じている人だったり、それから働くことに困難を感じている人たちが今のような支援を受けたとしても、実際に能力を発揮する場所や、その発揮させてもらえるような雇用環境に実はないと考えています。

 例えば、日本であれば、障害者、障害者手帳を取得して、雇用、これは法律で法定雇用率二・三%と決まっていると思いますけれども、例えば、その手帳を取得していない発達障害の人たちだったり、先ほど申し上げた働くことに困難を感じている人たち、こういう人たちに対する雇用の在り方、雇用の支援というのは、今後どのようにお考えか、お聞きさせてください。

後藤国務大臣 共生社会の実現に向けて、障害者一人一人がその障害特性や個性に応じて能力を有効に発揮して活躍できる環境整備を進めることが重要と考えます。

 政府としては、障害者手帳の有無に限らず、障害者や事業主に対して、ハローワークなどの就労支援機関における専門的な支援や、事業主に対して障害者の職場定着等を図るための取組に関する支援等を通じて、その雇用の促進を図っているところでございます。

 引き続き、障害者の雇用の促進におきまして、必要ある支援を積極的に実施してまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 私、今いろいろなところで声を上げているんですが、実はインクルーシブ雇用というのを考えてはどうかなと思っています。

 つまり、これは何かというと、いわゆる一般的に雇用というと、同じような能力を発揮できるように環境を設定してやっていくんですけれども、ただ、人によっては、特定の働き方しかできなかったり、障害はないけれども働きづらさや困難を抱えている。こういう人たちに柔軟な雇用を提供することによって、細くとも長く、雇用をしっかりと継続させていく。いわゆるインクルーシブな雇用を継続してきた企業に対して何らかのインセンティブを提供していく。今の障害者就労の現場もそういった制度の枠組みだと思いますので、このインクルーシブ雇用を日本全体に広げていくことによって、総体的に雇用を通した豊かな日本をしっかりとつくっていくことが私は求められるんじゃないかなと思います。

 少し早いですが、本日の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 職業能力の開発促進法について伺いたいと思います。政府は今、DXまたGXというのをかけ声に推進を進めていまして、一方、社会、企業などからもDXに対応した人材育成が求められていますが、今回の改正内容でこういったニーズに応えられるものなのかということをお聞きをしていきたいと思っています。

 政府はデジタル都市国家構想実現会議において、デジタル分野の訓練受講生七万人を確保するということを示し、先月行われた、令和四年の全国職業訓練実施計画案でも、全ての都道府県においてデジタル分野の訓練の一層の推進が必要だとしています。

 しかしながら、DXと一言で言っても、産業や業種や会社それぞれによって人物像やスキルというものがばらばらでありまして、これは労政審の中でも様々な議論があるということを理解していますが、国としてはこの対応をどのようにまず考えているのか伺います。

後藤国務大臣 今般法定化する協議会は、地域や業種等で異なる人材ニーズを、職業訓練にきめ細かく対応していくために、全国一律ではなく都道府県単位の協議会としまして、労使団体や教育訓練実施機関など幅広い関係者に参画していただきまして、地域のニーズを反映した訓練コースの設定を促進するとともに、訓練効果の把握、検証をしっかりと行い、訓練内容の改善を図ることなどを行うこととしたものであります。

 このような協議会を通じて、それぞれの地域、業種に必要なデジタル人材に対するニーズを訓練コースに適切に反映させることで、効果的な職業訓練の実現に努めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 今回の協議会、まさに地方にそれぞれに新しく法的な整備をして、地方のニーズを酌み取って、そしてそれを進めていくということは理解しておるんですけれども、やはり、まず、日本として、国として目指すべきDX、GXの社会像というのを明確化するのが必要かと思っています。そうしないと、産業や企業、またそれぞれの会社においても支える人材ないしは求められるスキルというのが分からない、DX、GXと誰もが言うんですけれども、なかなか具体的には分からないというのが現状です。

 特に中小企業においてはこれが顕著でありまして、今はOJTというのもなかなかできない状況であって、自社内での教育環境の確保が難しいのは当然のこと、研修体制も整っていないという企業がほとんどであります。労政審の中の声によりますと、DX対応の必要性は理解するものの、どこから始めていいのか、さらには、どのように人材育成をすべきかという声が上がっています。

 是非、今回の法改正によりこれを強く推進していくということでありますから、このような、具体的にDXで何が変わって、どういう業務が生まれて、それを支える人材スキルは何なのかというのを、これ自体をまず労政審に示して、そして、国としての目指すべき社会像というものを是非広く議論をすることを求めていきたいと思っています。

 そんな中、政府はDX、GXを推進しているんですが、今後の対応は、職業訓練だけではなく、今回の中にもありますキャリアコンサルティング、これも重要であると思っています。

 その上で、キャリアコンサルタントというのは、先ほど来議論もありましたけれども、就職支援にとどまらず、将来変化を予測しながら、職業生活設計、単なる就職の相談やコンサルだけではなくて、設計にも関わる支援を果たす必要があると考えています。そのためのキャリアコンサルタントの能力の取得方法というのを今後どのように展開していくのか、伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 DXやGXの進展に対応いたしまして、キャリアコンサルタントが今後の職業生活設計に関わる支援を適切に果たすように、できるようにするためには、そうした分野における専門性を高めることが非常に重要だというふうに思っております。

 IT等の新しい課題につきましては、厚生労働省の実施する研修の中でもキャリアコンサルタント向けの専門研修のコースを設けているところでございますが、資格更新講習の中でもそうした知識項目を求めるなど、時代の変化に対応したキャリアコンサルタントの専門性の向上に努めてまいりたいというふうに思います。

田中(健)委員 キャリアコンサルタントは新しい国家資格でありまして、平成二十八年にできたものであります。資格の更新期間が五年となっていまして、先ほども答弁にもありましたけれども、現在はその更新は研修のみとなっています。

 やはり、平成二十八年に取ってからですと、かなり時間がたちまして、その間に求められるスキルやまた社会の要望も変わってきています。新たな技術の知見の付与や育成の在り方も含めて、是非、コンサルタント能力を測る指標を策定したり、また、専門スキルを向上させることを目的として、そもそもこのキャリアコンサルというのは海外で先に発展した職業でありますけれども、スーパービジョンという研修があるようなんですけれども、こういったことが今や海外では当然となっているんですが、こういうことを必須にするなど、そういった検討もすることで、キャリアコンサルタントというものの質を上げ、そして専門性を担保していくということが必要かと思っていますが、見解を伺います。

小林政府参考人 御指摘いただきましたように、キャリアコンサルタントの実践力ですとか専門性を不断に高めていくということは非常に重要な課題でございまして、スーパービジョンの導入など検討していく必要があるというふうに考えております。

 これまで、スーパービジョンを行う上での課題ですとか、あるいは指導者に必要な能力等につきまして、関係者とも連携して検討を行ってきたところでございますが、引き続き実践力や専門性を高める方策について検討を深めてまいりたいというふうに思います。

田中(健)委員 今回の改正案では、このキャリアコンサルティングの推進に係る事業主と国等の責務の規定というのが整備をされました。しかし、規定だけされてもやはり解決に簡単に結びつくことはないと思いますので、今お話がありましたように、是非、新たな分野などに対応した専門的知識を有した、これも先ほど来も議論がありましたが、専門的なキャリアコンサルタントの育成というのを力強く進めていってほしいと思っています。

 済みません。法とはちょっとずれるんですけれども、年度末ということで、一問聞かせていただきたいと思うんです。国民健康保険料についてお聞かせください。

 コロナ禍によって収入減少に伴う国民保険料の減免措置がこれまで行われてきました。令和三年度、年度末が迫っていまして、本年度最後の、十期の減免措置が、実は三月二十四日がこの期限ということで迫っています。

 減免の申出がこの間続いてきましたけれども、どのくらい減免があったのかというのと、また、もう来週で切れるんですけれども、来年度の、令和四年度の対応についてお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険料につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえまして、その影響により収入が減少した被保険者等の保険料を減免した保険者に対しまして、特例的に財政支援を行ってきております。

 令和二年度の実績につきましては、減免決定件数、約四十万件、減免決定金額、約七百三十八億円となっております。

 令和四年度につきましても特例的な財政支援を行うこととしておりまして、三月十四日に保険者宛てにお示しをしたところでございます。

 具体的には、減免額が保険料総額に占める割合が三%以上である場合には、通常は補助率十分の八でございますけれども、これを全額、十分の十の財政支援を実施いたしますとともに、通常は三%未満については補助がございませんけれども、三%未満でありましても、一・五%から三%未満につきましては十分の六、一・五%未満の場合には十分の四の財政支援をすることといたしております。

田中(健)委員 来年度も制度を引き続きということで、しかも、ちょうどおとといですか、あったということでありますので、これは安心したんですけれども。

 しかし、減免の措置というのが、要件が前年の収入の三割以上の減ということになりまして、コロナ禍は二年続いて三年目に突入しますと、前年の収入ですともうかなり落ち込んでいて、更にその三割というと、ますます落ち込まなければ減免措置を受けられないということで、この減免措置、前々年度など、ほかの補助金なんかは、二年間の中で、ある基準を自分で任意で決めて、それと比較しての申込みができるんですけれども、そういった柔軟な対応というのが是非できないかということで検討をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険料につきましては前年所得に応じて賦課することとされておりまして、前年所得が減少している場合には、その所得減少が反映された保険料が賦課されます。

 その上で、当該年に収入が大きく減少する事情が生じた場合には、その事情が当該年度の保険料には反映されませんので、これは納付が困難となると考えられることから、減免の、財政支援の対象としているということでございます。

 このため、収入減少につきましては前年と比較するという仕組みとしているものでございます。

田中(健)委員 大変、是非、困っている方もいらっしゃるので、引き続き検討をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 先週の続きです。

 二〇〇三年に引き下げられた失業給付について、国庫負担を四分の一に戻せば、一人当たり月三・五万円増やせる、このことが答弁で分かったわけでございます。

 先週の質疑では、大臣は、失業給付の目的は、生活の安定だけではなくて早期の就職の促進、こう答弁されました。また、局長は、再就職後の賃金と失業給付の比較において、就職をちゅうちょするような高いレベルになりますと、失業が長期化する弊害がある、こうお述べになりました。

 この答弁を聞いた方からいろいろな意見が来ました。失業給付の水準が低いと、生活のために、労働条件が悪くても非正規であっても急いで職に就かなきゃいけないんだ、ブラック企業がはびこる一因にもなっているんじゃないか、実態を分かっているのか、こういう声が寄せられました。

 そのことを踏まえて質問させていただきますが、毎回、失業給付、基本手当の日額の上限を決める際に、再就職後の賃金と失業給付の比較、これは何の指標で行っているんですか。

田中政府参考人 雇用保険の基本手当日額については、離職前賃金を基に算出されますけれども、再就職賃金額の水準のバランスを考慮する観点から、上限を設けております。

 この一定の上限につきましては、賃金構造基本統計調査を基にして、その一定水準を基準として定めているところでございます。

宮本(徹)委員 それでは再就職後の賃金というのは分かるんですか。

田中政府参考人 基本的には、労働市場全体の賃金構造を示す賃金構造基本統計調査を踏まえておりますので、そういう意味では、全体の賃金水準ということになります。

宮本(徹)委員 全体の賃金水準で決めているということで、前回の答弁では、再就職後の賃金と失業給付の比較を行っているかのような答弁だったわけですけれども、そういう比較はやっていないわけですね。先週の答弁は何の根拠もないんじゃないかと思います。

 その上で、もう一点お伺いしますけれども、これは東京を例に教えていただきたいんですけれども、ハローワークの求人の賃金の下限額、上限額は、給付水準が引き下げられる前の二〇〇三年と二〇二二年を比較するとどうなっていますか。

田中政府参考人 東京労働局では、二〇〇八年六月から二〇二二年一月までのハローワークにおける求人票の所定内賃金の上限、下限の平均値を公表しております。それによりますと、常用フルタイムの月給の所定内賃金は、二〇〇八年六月の上限が二十九・五万円、下限が二十・八万円、二〇二二年一月の上限が三十一・一万円、下限が二十二・六万円となっております。

宮本(徹)委員 二〇〇三年のものは残っていないですか。

田中政府参考人 はい、残っておりません。

宮本(徹)委員 ちょっと、二〇〇三年のものがないというのも驚きなわけですけれども。

 二〇〇八年と二〇二二年の比較でも、今のお話では、ハローワークの求人の賃金は上限も下限も上がっているわけです。求人賃金の下限は、約一万八千円ぐらいですかね、一万八千円余りですかね、上がっているということになります。

 ちなみに、二〇〇三年について、法改悪されたときの国会の議事録を見ましたら、私どもの先輩議員が二〇〇三年一月の求人賃金を紹介しているくだりがありました。国会に一番近いハローワーク飯田橋で、都内の四十五歳以上の求人賃金の下限は二十万七千三百五十円、上限は二十八万一千五百二十二円と。先ほど、二〇〇八年の数字よりやや低いわけですね。そうすると、二〇〇三年のときから比べても、今、求人賃金というのは上限も下限も上がってきているというのは間違いないわけですね。かなり上がっているわけですよ。

 そういうことを踏まえると、政府が再就職賃金と失業給付を比較して逆転しないように決めたという水準なわけですね、今までの。ですけれども、これは、その政府の論理からいっても、二〇〇三年に比べて求人賃金が上がっているんですから、失業給付の基本手当を引き上げてもいいじゃないですか。一・八万円下限が上がっているんだったら、一・八万円失業給付を月で引き上げても逆転は起きないんじゃないですか。違いますかね。

田中政府参考人 賃金の実勢を雇用保険の給付に反映する仕組みとして、毎年八月に、毎月勤労統計調査による賃金の変化率に応じて上限額等のスライドを行う仕組みとなっております。

 そういう意味で、労働市場における賃金の変化については、こういうスライドの制度を通じて雇用保険の給付額に反映されていると考えております。

宮本(徹)委員 しかし、それよりも実際は、求人賃金の方は上がっているわけですよ。この間の、先週来の局長や大臣の答弁を踏まえれば、私は当然、求人賃金が上がっているんだから、再就職賃金との逆転をしないようにするという皆さんの口実からいっても、失業給付は実際の現場のに合わせて引き上げるのが当然のことだと思いますよ。

 これ以上答弁を求めても答弁は変わらなさそうですけれども、大臣、是非よく考えてください、ここは。二〇〇三年の法律を変えたときの言い分の状況と、実際は、再就職賃金、ハローワークの求人の賃金自体が変わって引き上がってきているわけですから、今までの、前回の答弁は全く成り立たないということだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、もう一点大臣にお伺いしたいことがございます。

 昨日、参考人質疑で、連合の冨高参考人から国会の附帯決議についての指摘がございました。私も今日改めて配りましたけれども、この附帯決議、連合さんからも配られておりました。大臣にお伺いしたいのは、二年前この附帯決議に大臣御自身が賛成された際、国庫負担率について、四十分の一の時限措置を本則に格上げするということが含まれるという認識でこれに賛成されましたか。

後藤国務大臣 令和二年の雇用保険法の改正の際は、コロナ前の雇用情勢等を踏まえまして、国庫負担の暫定措置の延長を行うことに関して国会での議論が行われたものと考えております。私も確かにここに座っておりました。

 その後、コロナ禍における多額の財政支出に対応するために、雇用保険臨時特例法において、定率負担とは別の一般会計による国庫繰入規定を創設したところであります。そして、今年度の補正予算においては、この規定に基づいて約二・二兆円の繰入れを実施したところであります。

 今般の法案においては、こういった経緯も踏まえて、失業等給付の国庫負担については、雇用情勢及び雇用保険財政の状況に応じて負担割合を四分の一又は四十分の一とした上で、こうした定率の負担とは別枠で機動的に国庫繰入れができる仕組みの常設化を行うこととしたものであります。

 こうした見直しは、過去の附帯決議等の趣旨も踏まえつつ、雇用情勢や雇用保険財政の状況に応じて機動的な財政運営を可能とする仕組みを通じて、国の雇用政策に係る責任を果たし、雇用保険財政の安定化を図ることを目的とするものであると考えております。

宮本(徹)委員 附帯決議の趣旨を踏まえていないから、連合さんも私も、こうやってこの附帯決議を配っているわけですよ。

 もう一度確認しますけれども、大臣が二年前賛成されたとき、国庫負担割合四十分の一を本則にするというのが含まれるなんて認識はなかったんじゃないですか。

後藤国務大臣 今回の法律においては、四分の一、四十分の一、そして定率の負担とは別枠の機動的に国庫繰入れができる仕組みの常設化、この全体をもって原則と考えているということであります。

宮本(徹)委員 もう一度お伺いしますよ。

 二年前に大臣が附帯決議に賛成した際、国庫負担率について、四十分の一の時限措置を本則に格上げするということが含まれると思っていましたかということを聞いています。

後藤国務大臣 先ほどから申し上げたことの繰り返しになりますけれども、コロナ禍における多額の財政支出に対応するために、雇用保険臨時特例法において、定率負担とは別の一般会計による国庫繰入規定を創設したところでありまして、今年度の補正予算においては、まさにこの規定に基づいて約二・二兆円の繰入れを実施したところであります。

 今般の法案においては、こういった経緯も踏まえて、失業等給付の国庫負担については、雇用情勢及び雇用保険財政の状況に応じて負担割合を四分の一又は四十分の一とした上で、こうした定率の負担とは別枠で機動的に国庫繰入れができる仕組みの常設化を行うこととしたということで、こうした見直しは、過去の附帯決議等の趣旨も踏まえているということで、雇用保険財政の安定化を図ることを目的とするものでございます。

宮本(徹)委員 私の質問に決してお答えにならないわけですね。趣旨は踏まえているなんて誰も思わないですよ、今回の法改正は。だから、雇用保険部会でも、四分の一に戻しなさいという意見が何度も何度も繰り返し出たわけでございます。

 本当に、もう時間がないのでこれで私の質問を終わらせていただきますけれども、質問時間、全く足りないですよ。全く足りない。そして、大臣も、こういう法案は本当に、少なくとも、附帯決議違反で申し訳ないぐらい言わなきゃまずいと思いますよ。そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日も、五分ではありますけれども、質問をしたいと思います。

 先ほど来、私も、修正案、そして附帯決議のことが出ておりますけれども、やはり、安定した財源確保というのは、今、将来的に例えば失業者になるかもしれない方々、関係者にとって非常に大きな問題でございますので、大臣、改めて、機動的な国庫負担の導入等々含めて、この趣旨を酌み取っていただいた上での御発言をお願いしたいと思います。安心感を与えていただきたいと思います。

後藤国務大臣 機動的な国庫繰入れを含めた雇用保険財政、的確なものになるようしっかりと運営してまいります。

仁木委員 私は、この委員会でも、コロナ禍の長期化に加えまして、昨今のウクライナ・クライシス、ウクライナ危機ということも、まず経済を下さげしたり、あるいは雇用をなくしていくようなこと、いわゆるそういう不安要因という負荷になり得ることを申し上げておりますので、そういったことも踏まえた上での財源確保に向けての御答弁だと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、個別の事案でございますけれども、この二事業の中でも、能力開発事業、この間、さきの委員からも御指摘がありましたが、例えば、ある地域で一世を風靡して、いわゆる日本の中でも存在感のある地域であったものが、時代の変遷に伴って斜陽化したようなものもあると思います。例えば、古くは炭鉱、あるいはタオルの町とかいろいろあったと思うんですけれども、あるいは木工業とか、そういう地域があったと思いますけれども。

 そういう中でも、その地域で根差して生きていくためには、やはり仕事あるいは経済的な糧を得ることが必要でございまして、よく、そういった地域創生、地方創生はあるわけでございますけれども、新規産業あるいはベンチャー的な産業を立ち上げようとするような事業者あるいは事業所があるという情報を、例えばハローワークやあるいは地域のJEED等々、今、厚生労働省の出先機関を含めて持っている情報を駆使しながら、例えば、そこで将来的に、そういった新規の、あるいはベンチャーの会社で働くことになるような方々のキャリアアップに向けての厚労省の取組、具体的にありましたら、お答えいただきたいと思います。

後藤国務大臣 議員御指摘のとおりでありまして、単なるマッチングだけではない、地域産業のニーズ、地域の今後の産業展開も踏まえた、積極的な展開を雇用政策が担っていけたらというふうに私も思っています。

 そうした中で、DX分野やグリーン分野など、地域の今後の産業展開を踏まえた人材育成を積極的に行う視点が今後ますます重要になってくるというふうに考えます。

 離職者向けの職業訓練については、これまで、訓練受講者の就職を促進することに重点を置いて取り組む観点から、ハローワークの求人の状況を中心に訓練コースの設定を行ってきたところであります。

 今般法定化する協議会においては、産業界などから、それぞれの地域における今後の産業展開も踏まえた、デジタル化などの急速な進展や地域の詳細な訓練ニーズをしっかり把握し、訓練コースの設定を適切に行うことといたしております。訓練コースの設定後においても、訓練効果の把握、検証をしっかりと行い、カリキュラムの改善につなげていく必要があると考えています。

 こうした取組を通じて、地域の今後の産業展開を踏まえた効果的な人材育成に努めてまいります。

仁木委員 そういう中でも、先ほど、訓練コースのDXの比率が五%も満たないというような御指摘もあった委員がございましたけれども、まさに今、いろいろな決済やあるいは発注、そしてまた、いろいろ、お客様との、CSに向けても、やはりこういったDX的な知識、ノウハウ、そういうリテラシーの高い従業員は望まれるわけだと思いますので、そういったことも含めて、先ほど大臣の方から御答弁ありました、ハローワークは単なるマッチングの場じゃない、今後のその地域が地域として生き延びていくための、より能動的な厚生労働行政を担う、そういうステーションであるべきだということを、力強い御答弁をいただきましたので、そのことは併せてよろしくお願いしたいと思います。

 一方、今、地方においても人手不足というのは深刻です。今回は障害者の雇用について私は触れておりませんが、例えば、外国人技能実習生がいないがために、その企業、製造業あるいはアパレル等々そういったところで、注文はあるんだけれども生産拡大できない、こういういわば黒字倒産的な要素を抱えて、不安に思われている経営者もいらっしゃいます。

 そういうことで、今まで、経営者の側からすれば、障害者ということの属性を知らないがために、余り優秀な労働力じゃないようにみなしがちなこともありましたけれども、今後は、そういった障害者の雇用も含めて、新しい産業創出に向けて、その地域が地域として生き延びていくための施策に、厚労行政の方も、あるいは大臣の方もトップとして、今言われたハローワークの機能強化も含めまして、最後に力強い御発言をいただけたらうれしいと思います。

後藤国務大臣 共生社会の実現に向けて、障害者一人一人がその障害特性や個性に応じて能力を有効に発揮する、活躍のできる環境整備、私たちの開かれた社会を整備していくことが重要であるというふうに思っております。

仁木委員 ありがとうございました。終わります。

橋本委員長 以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、山井和則君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 衆議院議員山井和則君外二名提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 政府提出、雇用保険法等改正案に反対、立憲民主党、国民民主党、有志の会提案の修正案に賛成の討論を行います。

 本法案の最大の問題は、求職者給付に係る国庫負担割合について、今年度までの時限的な暫定措置である四十分の一を新たな本則の原則とし、失業者の生活の安定に対する国の責任を大きく後退させることであります。

 雇用情勢と雇用保険財政が悪化した場合は、国庫負担割合を現行法の本則の四分の一にするとしていますが、発動要件からするとリーマン・ショック並みの事態が起きる場合であり、極めてまれであります。

 本法案により、保険料率は段階的に引き上がります。国庫負担を原則の四分の一に戻さず、国が負う責任まで労働者、中小業者に未来にわたって負わせるのはもってのほかであります。

 二〇二〇年三月、本委員会における附帯決議では、雇用政策に対する政府の責任を示すものである雇用保険の国庫負担については、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと、今回の時限的な国庫負担率の引下げ措置の継続については、令和三年度までの二年度間に厳に限った措置とすることを求めています。

 国庫負担割合の四十分の一への引下げは二〇二一年度までとし、早期に四分の一に戻すことが、自民党から日本共産党まで本委員会の総意でした。立憲民主党などの修正案こそ、全会一致の附帯決議の精神を具体化したものであります。本法案は、後藤大臣自らも賛成した附帯決議を真っ向から踏みにじるものと言わなければなりません。

 コロナ禍は、我が国の失業者、休業者への支援の脆弱さを浮き彫りにしました。休業補償については、雇調金の上限を二倍に引き上げ、休業支援金制度を設けるなどの改善が図られましたが、失業給付は二〇〇三年に大きく引き下げられたままの水準です。少ない失業給付で生活が立ち行かない失業者の苦しみに心を寄せるべきであります。

 国庫負担を四分の一に戻せば、失業給付を一人当たり月三万五千円引き上げることが可能なことが答弁で明らかになりました。やるべきは、国庫負担の原則を四十分の一に引き下げることではなく、直ちに四分の一に引き上げ、失業給付の拡充を図り、失業者の生活を支えることであります。

 以上指摘し、反対討論といたします。

橋本委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山井和則君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山田勝彦君。

山田(勝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 雇用保険の各種給付の水準をできる限り維持することを前提に、必要となる財源の確保に努めること。

 二 労働政策審議会の委員に対し、雇用情勢及び雇用保険の財政状況の推移を逐次報告するとともに、委員から求めがあった際には審議会を開催し、安定的な労働保険特別会計雇用勘定の運営に向け、これまで以上に臨機応変な検討を行うこと。

 三 労働保険特別会計雇用勘定については、必要な積立金の水準を達成するまでの間は、単年度においても黒字となる収支構造を目指し、一般会計からの繰入れ等により必要な積立金水準の確保を図るとともに、積立金が必要な水準に達した後もその水準の維持を図ることを中期的な雇用保険財政の運営方針とすること。

 四 令和四年度の失業等給付においては、労働保険特別会計雇用勘定の安定の観点から、機動的に一般会計を雇用勘定に繰り入れられる仕組みの活用も含め、対応に万全を期すこと。

 五 社会保障関係費に現在位置付けられている失業等給付の国庫負担について、負担割合を将来的に従来の本則の水準(二十五パーセント)とする措置も含め、国の財政・財源の構造から検討すること。

 六 失業等給付の国庫負担割合の判定基準とされる「基本手当受給者実人員七十万人以上」について、新型コロナウイルス感染拡大後の雇用構造も踏まえ、実態に応じて適宜見直しの検討をすること。

 七 雇用保険部会報告に示された新たな国庫繰入制度の運用の考え方を尊重し、雇用保険法第七十二条における重要事項として労働政策審議会の意見を聴くとともに、省令等への規定について検討すること。

 八 令和六年度までに、育児休業給付等の国庫負担割合の引下げの暫定措置の見直しだけでなく、育児休業給付の財源確保の在り方を含め、雇用労働者に限らず、フリーランスとして就業する者など育児・子育てを広く社会で支援する体制の構築を検討すること。

 九 失業者の再就職を促進するためには受け皿となる産業・企業、雇用機会の創出が不可欠であり、厚生労働省においても、雇用政策の一環として、必要な予算措置を行った上で、地域における雇用機会の創出にこれまで以上に取り組むこと。

 十 雇用調整助成金等については、特に業況が厳しい企業・地域において、今後も最大十分の十の特例措置を含め、あらゆる必要な制度設計や手続の検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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