衆議院

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第8号 令和4年3月30日(水曜日)

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令和四年三月三十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      東  国幹君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    大西 英男君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    中谷 真一君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    松本  尚君

      三谷 英弘君    柳本  顕君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           坂本 修一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            大野  達君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     平沼正二郎君

  三ッ林裕巳君     杉田 水脈君

  山本 左近君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     西野 太亮君

  杉田 水脈君     中谷 真一君

  平沼正二郎君     鈴木 英敬君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     大西 英男君

  西野 太亮君     山本 左近君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 国立病院の機能強化に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第五〇五号)

 同(重徳和彦君紹介)(第五〇六号)

 同(山岡達丸君紹介)(第五〇七号)

 同(石川香織君紹介)(第五五七号)

 同(小沢一郎君紹介)(第五五八号)

 同(田中健君紹介)(第五五九号)

 同(寺田学君紹介)(第五六〇号)

 同(柚木道義君紹介)(第五六一号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第五七九号)

 同(神谷裕君紹介)(第五八〇号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第五八一号)

 同(仁木博文君紹介)(第五八二号)

 同(道下大樹君紹介)(第六一六号)

 同(湯原俊二君紹介)(第六一七号)

 保育・学童保育制度の抜本的改善に関する請願(菅直人君紹介)(第五〇八号)

 同(たがや亮君紹介)(第五九七号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第五〇九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五一〇号)

 同(小沢一郎君紹介)(第五一一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第五一二号)

 同(吉良州司君紹介)(第五一三号)

 同(田中健君紹介)(第五一四号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第五三三号)

 同(末次精一君紹介)(第五三四号)

 同(長坂康正君紹介)(第五三五号)

 同(柚木道義君紹介)(第五三六号)

 同(渡辺創君紹介)(第五三七号)

 同(青山大人君紹介)(第五七〇号)

 同(神谷裕君紹介)(第五七一号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五七二号)

 同(仁木博文君紹介)(第六〇八号)

 同(道下大樹君紹介)(第六〇九号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六二四号)

 同(松木けんこう君紹介)(第六三二号)

 命を守り社会を支える福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一五号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第五一六号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第五三八号)

 同(寺田学君紹介)(第五三九号)

 同(森田俊和君紹介)(第五四〇号)

 同(神谷裕君紹介)(第五七三号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第五七四号)

 同(大石あきこ君紹介)(第六一〇号)

 同(堤かなめ君紹介)(第六一一号)

 同(道下大樹君紹介)(第六一二号)

 同(松木けんこう君紹介)(第六三三号)

 同(谷田川元君紹介)(第六三四号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一七号)

 同(石川香織君紹介)(第五一八号)

 同(小沢一郎君紹介)(第五一九号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第五二〇号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第五二一号)

 同(菅直人君紹介)(第五二二号)

 同(重徳和彦君紹介)(第五二三号)

 同(山岡達丸君紹介)(第五二四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五四一号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第五四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第五四三号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第五四四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第五四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四七号)

 同(末次精一君紹介)(第五四八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五五〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第五五二号)

 同(本村伸子君紹介)(第五五三号)

 同(谷田川元君紹介)(第五五四号)

 同(柚木道義君紹介)(第五五五号)

 同(渡辺創君紹介)(第五五六号)

 同(青山大人君紹介)(第五七五号)

 同(神谷裕君紹介)(第五七六号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第五七七号)

 同(山崎誠君紹介)(第五七八号)

 同(福島伸享君紹介)(第六一三号)

 同(松原仁君紹介)(第六一四号)

 同(道下大樹君紹介)(第六一五号)

 同(宮本徹君紹介)(第六三五号)

 区立台東病院の再編・統合案の撤回に関する請願(宮本徹君紹介)(第五三一号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充に関する請願(今枝宗一郎君紹介)(第五三二号)

 同(小林茂樹君紹介)(第五六九号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六二三号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第五九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六〇二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六〇五号)

 同(宮本徹君紹介)(第六〇六号)

 同(本村伸子君紹介)(第六〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六三〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(伊藤渉君紹介)(第六二二号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度に関する請願(田村貴昭君紹介)(第六三一号)

同月三十日

 新型コロナ危機打開のため雇用調整助成金の特例措置の延長等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第六四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六四四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六四八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六四九号)

 同(宮本徹君紹介)(第六五〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第六五一号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充に関する請願(柴山昌彦君紹介)(第六五二号)

 同(保岡宏武君紹介)(第七三六号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第六五三号)

 同(櫻井周君紹介)(第六七〇号)

 同(緑川貴士君紹介)(第六七一号)

 同(岩屋毅君紹介)(第六九六号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第六九七号)

 同(吉川元君紹介)(第六九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五六号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第六五四号)

 同(長坂康正君紹介)(第六五五号)

 同(櫻井周君紹介)(第六七二号)

 同(岩屋毅君紹介)(第七〇二号)

 同(末松義規君紹介)(第七〇三号)

 同(吉川元君紹介)(第七〇四号)

 同(階猛君紹介)(第七三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(山本左近君紹介)(第六五六号)

 同(岸本周平君紹介)(第七三八号)

 同(長友慎治君紹介)(第七三九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七五九号)

 同(井出庸生君紹介)(第七六〇号)

 同(井野俊郎君紹介)(第七六一号)

 同(井林辰憲君紹介)(第七六二号)

 同(石井拓君紹介)(第七六三号)

 同(石川昭政君紹介)(第七六四号)

 同(石川香織君紹介)(第七六五号)

 同(石破茂君紹介)(第七六六号)

 同(稲富修二君紹介)(第七六七号)

 同(大口善徳君紹介)(第七六八号)

 同(金田勝年君紹介)(第七六九号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第七七〇号)

 同(菅家一郎君紹介)(第七七一号)

 同(吉良州司君紹介)(第七七二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第七七三号)

 同(後藤田正純君紹介)(第七七四号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第七七五号)

 同(櫻井周君紹介)(第七七六号)

 同(高市早苗君紹介)(第七七七号)

 同(武村展英君紹介)(第七七八号)

 同(土田慎君紹介)(第七七九号)

 同(寺田学君紹介)(第七八〇号)

 同(土井亨君紹介)(第七八一号)

 同(中野洋昌君紹介)(第七八二号)

 同(仁木博文君紹介)(第七八三号)

 同(西岡秀子君紹介)(第七八四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第七八五号)

 同(福田昭夫君紹介)(第七八六号)

 同(宮下一郎君紹介)(第七八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第七八八号)

 同(八木哲也君紹介)(第七八九号)

 同(山田賢司君紹介)(第七九〇号)

 同(山井和則君紹介)(第七九一号)

 同(米山隆一君紹介)(第七九二号)

 同(渡辺周君紹介)(第七九三号)

 保育・学童保育制度の抜本的改善に関する請願(櫻井周君紹介)(第六六八号)

 同(小熊慎司君紹介)(第六九二号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(緑川貴士君紹介)(第六六九号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第六九三号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第六九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五四号)

 同(山田勝彦君紹介)(第七五五号)

 国立病院の機能強化に関する請願(緑川貴士君紹介)(第六七三号)

 全ての世代が将来にわたって信頼できる年金・医療・介護等の社会保障制度の確立等に関する請願(岸本周平君紹介)(第六九五号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(吉田宣弘君紹介)(第六九九号)

 命を守り社会を支える福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(小熊慎司君紹介)(第七〇〇号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第七〇一号)

 同(櫻井周君紹介)(第七三七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五七号)

 子供医療費無料制度を国の制度として創設することに関する請願(新垣邦男君紹介)(第七二九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七四〇号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(櫻井周君紹介)(第七三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府男女共同参画局長林伴子君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官覺道崇文君、消費者庁審議官長谷川秀司君、法務省民事局長金子修君、外務省大臣官房参事官北川克郎君、文部科学省大臣官房審議官坂本修一君、科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官寺門成真君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君、農林水産省農村振興局農村政策部長山口靖君、観光庁観光地域振興部長大野達君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畦元将吾君。

畦元委員 自由民主党衆議院議員、畦元将吾です。

 初めに、今なお続くロシアのウクライナ侵略によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 では、早速、質疑を始めさせてもらいます。

 最初に、認知症についての質問をさせていただきます。

 WHOによると、二〇一五年、認知症有病者数は五千万人、そして毎年一千万人近くの方が新たに認知症になるとの報告があります。

 では、我々、日本ではどうでしょうか。実際にどれくらい認知症が発症して、将来はどの程度の人が認知症を発症するかという予測ですが、六十五歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計一七%、二〇二〇年時点では約六百万人に上がることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。そして、その数が二〇二五年には七百万人に増加し、六十五歳以上の方の五人に一人が認知症を発症するという推測がなされています。

 残念ながら、現時点においては認知症を完全に予防する方策、また根本的な治療薬などは存在しないという現状がある中で、政府にお尋ねいたします。認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、認知症があってもなくても同じ社会で共に生きるという意味での共生社会の実現に向けた取組や、認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせるとか、認知症になっても進行を穏やかにするという意味での予防の取組をそれぞれ推進していく必要があると考えますが、厚生労働省の見解をお伺いできますでしょうか。お願いします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 認知症の人の数は、先生から御紹介ございましたとおり、二〇二五年に約七百万人に増加すると推計されている中で、政府といたしましては、令和元年六月に関係閣僚会議で取りまとめました認知症施策推進大綱に基づき、共生と予防を車の両輪とした施策を推進することとしております。

 具体的には、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すための共生の取組としまして、認知症の人御本人による希望大使等の普及啓発活動の推進、認知症サポーターなどが支援チームをつくり、見守りや外出支援などを行う仕組みであるチームオレンジの取組推進、認知症バリアフリーの取組を推進するため、認知症の人を含む高齢者が利用することの多い金融、小売などの業種において接遇の手引を作成するなどの取組を推進しております。

 また、認知症になるのを遅らせたり、進行を緩やかにするための予防の取組としまして、高齢者が身近に参加でき、介護予防や認知症予防に資する通いの場の拡充、自治体における認知症予防に資すると考えられる運動や栄養改善などに関する活動事例を収集し、推進するための手引の作成、認知症治療薬の開発に向け、円滑な治験実施を目指したコホート研究や認知症ゲノム研究など、病態解明を目指した研究などを推進しているところでございます。

 引き続き、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って暮らせる社会の構築に向け、認知症施策推進大綱に基づく取組を推進してまいりたいと考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 認知症の問題はこれからも更にクローズアップしていくと思いますので、政府また厚労省の方々、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 大臣所信表明の内容の中の質問です。

 厚生労働大臣の所信表明で、健康寿命の延伸を図るため、国民健康づくり運動プランの策定に向けた議論を進めるとともに、予防・健康づくりの政策効果に関する実証事業を着実に実施してまいります、とありました。

 健康寿命の延伸を図ることは、我が国にとって大変重要と認識しております。がん検診、特定健診、また成人病対策、まだいろいろなことはありますが、大変重要と考えております。

 そこで、大臣に質問です。

 予防・健康づくりの政策効果に関する実証事業とは、具体的にどのようなもので、どのような効果が期待できるものでしょうか。考案の段階かもしれませんが、国民健康づくり運動プランとして大臣が目指すところを教えていただければ幸いです。お願いいたします。

後藤国務大臣 先ほどから委員御指摘のとおりで、予防・健康づくりの取組、これは、個人のQOLを向上させ、将来の健康に係る不安を解消する、また、健康寿命を延ばして社会保障の担い手を増やす、地域社会の中で高齢者の活躍促進を図る、そういった多面的な意義があると考えております。

 予防・健康づくりを効率的、効果的に実施していくためにも、健康増進効果等のエビデンスを確認、蓄積していくことが重要であります。

 令和二年度からの三か年で、予防・健康づくりに関する大規模実証事業を行っております。具体的には、特定健診、特定保健指導、糖尿病性腎症の重症化予防プログラム等について実証事業を行っておりまして、既に特定保健指導の効果等について一定の成果も得られております。

 引き続き、エビデンスに基づく政策立案の考え方に基づきまして、予防・健康づくりを進めてまいります。

畦元委員 後藤大臣、ありがとうございました。

 健康寿命が延伸する可能性を強く感じさせてもらいました。引き続き、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 医療分野で利用される放射性同位元素の製造体制について質問いたします。

 医療機関の放射性同位元素、以下、RIと言わせてもらいますが、を用いた医療への応用には、腫瘍などの検出をする診断目的、転移性がんの検査又は心筋シンチ、脳シンチなどもあります。加えて、最近ではRI治療も始まっているようです。

 お配りしています資料の一番最後のページの画像のところを御覧いただきたいんですが、骨転移が全身に広がった転移性前立腺がんに対し、RIの一つであるアクチニウム225を付与した薬剤を投与したところ、転移がんが寛解したことを示唆する報告があり、現在、アクチニウム225は注目を集めております。こうした背景から、放射線線源となるRIの重要性が高まっております。

 我が国では、現在、年間約百万件の画像診断に使われるRIの一つであるテクネチウム99mの原料であるモリブデン99は、一〇〇%輸入に頼っております。モリブデン99について、我が国は米国に次ぐ大消費国であり、世界生産量の一五%を日本が消費しています。日本はRIを使った核医学医療の先進国とも言えます。皆様も御存じのように、PET、健康診断で使うPETも同じことですが。

 医療用RIは原子炉により製造可能です。サイクロトロン、加速器のRI製造も可能ですが、原子炉に比べてコスト高になります。現時点ではほぼ一〇〇%を海外からの輸入に頼っており、空輸のトラブル、輸入元の原子炉の点検、又は自然災害、最近ではウクライナとロシアなどの影響で、供給が一時ストップすることも年に数回あると報告を受けております。結果、検査に来た患者さんは予約をしていた検査、治療ができず、延期になっていくことになります。

 資料の二枚目を御覧ください。

 日本には、中性子の密度が高く、加速器に比べて大量のRIが安価に製造可能な原子炉である試験研究炉JRR3と高速実験炉常陽があります。日本の技術を使った高速炉常陽では、高速中性子を活用して、がん治療に有用な、希少なRIであるアクチニウムの製造も可能です。

 輸入に頼っている間は、安定した供給ができないために、先ほど申しましたが、予約とかまた計画どおりに検査や治療ができず、患者さんに大きなダメージも与えることがあります。一刻も早く再開を望んでいる、一刻も早く日本で作れるような、核物質が作れるようなことの再開を望んでいる医療施設や患者さんのいることを御理解いただきたいと思います。

 余談ですが、日本が保有する冷却高速炉のノウハウや試験設備をアメリカのビル・ゲイツ氏のテラパワーは認めまして、日本との契約の覚書が済んだとも聞いております。

 二〇二一年六月十八日に閣議決定として、成長戦略フォローアップ工程表の、量子技術などの最先端技術の研究開発の加速として、試験研究炉を使用したRIの製造に取り組むとあります。

 原子炉は、エネルギー利用のみならず、医療分野でも利用されるRIの製造にも活用できます。医療分野ですから、RIは人の生命や命に関係します。国産のRIが量産されることにより、国内の医療機関は安定したRIの供給が実現します。加えて、輸入に比べて安価、下がる可能性もありますし、まずは、先ほどから繰り返して申しておりますが、検査や個人の利益になります。また、検査や、個人、政府の医療負担の減額にもつながる可能性もあるのではないでしょうか。

 ちょっと厚生労働と離れるかもしれませんが、経済的に見ても、日本から海外へのRIの輸出ができれば、大きなビジネスチャンスにもなるとは思います。

 現在の輸入一〇〇%での状況は、現在、RI検査の価格ですが、一回の検査で、心臓シンチを全額自費ですると十万円、ガリウムシンチ、骨転移とかを見るのですが、それをすると約六万円、その三割、一割が個人負担となるのが現状です。検査の中では断トツに高額な検査となっております。参考までに、CTの検査では、全額でも二万円以下です。これだけの差があります。

 ここで質問です。内閣府にお尋ねします。

 現時点で、原子炉を使ったRIの製造、また国内出荷などの具体的な状況と今後の見通しを教えてください。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 医療用RIの国内製造や安定供給体制の確立につきましては、我が国の医療体制の充実のみならず、経済安全保障の観点からも重要な政策と認識しております。このため、原子力委員会の下に、医療用等RI製造・利用専門部会を設置いたしまして、アクションプランを取りまとめるべく、議論を進めているところでございます。

 原子炉を用いてRIを製造する方法につきましては、効率よく大量のRIが製造できることから、内閣府としても大変有望であると認識をしてございます。

 先生から御指摘のございましたモリブデン99につきましては、日本原子力研究開発機構が試験研究炉JRR3を用いて製造する手法の実用化に必要な実証データの取得を進めておりまして、二〇二五年度までに国内需要の約三割の国産化に必要な技術を確立することを目指しているものと承知をしてございます。

 また、アクチニウム225につきましては、高いエネルギーの中性子を活用して大量のRIを製造することができる高速実験炉常陽による製造が期待されてございますが、現在、常陽は、新たな規制基準に適合するため安全審査が行われているところでございまして、日本原子力研究開発機構が早期の運転再開に向けた取組を進めているものと承知をしてございます。

 これら原子炉によるRI製造を含めまして、医療用RIの製造、利用が着実に進むよう、引き続き、関係省庁とも連携しながら、アクションプランの早期策定に向けて議論を深めてまいりたいと考えてございます。

畦元委員 ありがとうございます。

 先ほどから繰り返して言いますが、医療関係に関しては、患者さんの健康管理又は命とかにも関係しますので、是非とも早期の対策を望んでおります。よろしくお願いします。

 では、次の質問ですが、時間の関係もありますので、ちょっと順番を変えさせてもらいまして、中小企業の経営者の状況について質問をさせてもらいます。

 上場していない企業の借入金や負債は、代表者が全ての責任を取ることになります。企業代表者は、人件費や法定福利費の支払いのために借入れをすることは少なくありません。コロナで痛手を負っている非上場会社における雇用側は、先の見えない大きな精神的な不安また経済的不安から、破産宣告に踏み切ったり、また自殺を考えている方もいらっしゃるということをお伺いしました。是非とも、中小企業の経営者も役員も労働者であることを忘れないでいただきたいと思っております。

 一部の企業を除き多くの中小企業は、従業員を守る責務を担っており、自らの生活よりも従業員の生活を重要視、優先している企業もあることは実感しております。雇用する側と雇用される側のバランスをしっかり考慮した政策を進めていくことも重要と考えております。企業が経営を維持していくという観点において、維持をすれば雇用される側も幸せになれますので、よろしくお願いします。

 例えば、従業員を雇用するに当たり、書類や一回か二回の面接で十分な判断はできかねますので、そのとき、試用期間を設けて対応しておりますが、費用をかけて、教育とか長年培ってきたノウハウを伝えているわけなんですが、ここで質問です。

 試用期間中でも、社会保険とか労働保険の会社負担分を免除とか減税とかいうことを考えてもらうことはできないでしょうか。また、政府として、企業側の負担や雇用に関する不安解消、企業のモチベーションアップをするために厚生労働省の方としてはどのように考えているか、何かあれば教えてください。よろしくお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、私から、社会保険の関係について御回答させていただきます。

 まず、中小企業の事業主の方からそのような御要望があることにつきましては、受け止めさせていただきたいと思います。

 その上ででございますけれども、社会保険や労働保険につきましては、試用期間も含めまして、被用者として必要な給付を受けられるように、一般の被用者と同様に社会保険や労働保険が適用されております。このため、こうした制度が事業主と被用者双方が納める保険料で支え合う相互扶助の制度であるという趣旨を踏まえますと、試用期間中の方の保険料の事業主負担分などを減免することは難しいものと考えております。

 ただ、なおでございますけれども、例えば、社会保険料の納付が困難な事業所につきましては、従来から設けられております猶予の仕組みの活用によりまして、事業所の状況に応じて分割納付も認めるなど、柔軟に対応しておりまして、こうした仕組みをより御活用いただけますよう、一層の周知広報に努めてまいりたいというふうに考えております。

深澤大臣政務官 安定的な雇用機会の確保を図るため、中小企業の賃金負担を軽減するなどの支援は大変重要と考えております。

 雇用保険制度においては、例えば、一定の就職が困難な方を企業へ雇い入れる場合の特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金といった施策を講じております。こういった助成金を御活用いただけるよう、しっかりと周知に努めてまいりたいと思います。

 以上です。

畦元委員 深澤政務官、また官僚の方、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 時間がないので、最後の質問になります。

 医療機器を取り扱う医療従事者の定員制についての質問をさせていただきます。

 現在、MRIを取り扱えるのは、医師、放射線技師、臨床検査技師であり、CTを取り扱えるのは、医師、診療放射線技師です。医師には診療などの業務に優先してもらうために、医療機器、検査を行うための準備や管理は技師の方が行うことが多いと思います。

 MRIやCTなどの医療機器は、病院の開始から終了までほぼ休みなく稼働しており、CTは、夜間救急時に稼働していることも多いです。

 医療機器は、品質、精度、機能は数年前とは比べ物にならないほど進化を続けています。最先端の医療機器は高度な専門知識も必要であり、患者さんのためにも、医療機器ごとの専任の定員制が必要な時期に今なっております。

 常に患者さんに最適な検査を行うため、Aの病院に行ってもBの病院に行っても同じような検査が行えるためにも、特に高額最先端医療機器には定員制を導入するべきと考えております。人手不足、過労での業務、また教育不足の技師が最先端医療機器で検査したときには、十分な機器の力が発揮できないで、医師に正確な情報を提供できないという可能性もあります。患者さんのためにも、定員制の導入の御検討をお願いしたいと思っております。

 質問に入ります。

 是非とも高額最先端医療機器には、専門職も増えてきていますので、定員制の導入を検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。お願いします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、MRIとかCTのような医療機器を適切に管理し、使用するに当たりましては、診療放射線技師や臨床検査技師など、専門知識を有するスタッフが極めて重要な役割を果たしておられるというふうに認識しております。

 こうした医療機器に関しまして、配置基準、診療放射線技師、臨床検査技師などの配置基準を設けることにつきましては、医療費の支払いルールである診療報酬に関しましては、PETなど一部の医療技術について、必要な人員体制の基準を設けております。

 一方、衛生規制として最低基準を定める医療法におきましては、個々の医療機関において患者数や検査数が大きく異なりまして、医療機器ごとに一律の基準を設定するというのがなかなか難しいこともありまして、医療機器ごとの人員配置基準は設けておりません。

 他方、やはり、そういう意味でいきますと、医療機関単位では、医療機器の保有台数や、患者数、検査数など、それぞれの実情に応じて適切な人員を配置していただくことが適当と考えておりまして、そのような形で運用しております。

畦元委員 ありがとうございました。

 患者さんのために、常に最先端医療機器の力が十分に発揮できて、医師の先生方に十分な情報を提供できるような環境づくりを是非ともつくってもらいたいと思います。

 最後に、患者さんは病院を選べませんので、患者さんがどこに行っても同じような検査ができるような対策が取られるといいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、私の質疑はこれで終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 今日は、限られた時間の中で、水道業界、特に工事業界における人材育成、担い手確保について質問をさせていただきます。

 近年、水道業界、特に工事事業者における若者の入職者が減っています。そのために、人材育成、担い手確保は業界の最も大きな課題となっています。課題解決の一つに、若者にとってより一層魅力ある職場にすることが重要であると考えます。本日は、その課題解決に向けて幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、これが現場を歩いていて一番言われるんですけれども、職場環境の整備として、配水管路を埋める場合の、工事をするときの最小掘削幅、工事していくときに道路をどれだけ削っていくかという幅ですけれども、その最小掘削幅は、現在は五十五センチとなっています。

 そのために非常に作業性が悪く、現場からは、例えば埋設管周辺の人力掘削のときに両足が広げられない、溝内で身動きが取れず安全性に問題がある、路肩が崩れたときなどに機敏に動けず大事故につながるおそれがあり不安があると。これは、私も入ってみてくれというふうに言われまして、本当に、入ると私みたいな体型の者は本当にいっぱいいっぱいになるような状況であります。

 さらに、働き方改革の中で、五十五センチ幅では、これも多くの作業員の皆さんも言っていましたけれども、作業服が隣の壁に擦れて汚れ、汚れがひどくて、こうした現場を見ると若者に敬遠されるなど、たくさんのお声を聞いております。

 作業の効率も悪く、作業効率改善や安全確保のために、やむを得ず業者が自己負担で掘削幅を若干広げている、そういったことも多いというふうに聞いております。このようなことは、当然、収益が圧迫され、会社の経営に影響を及ぼしてきます。

 そこで、現場から強い要望をいただいており、我が党の上水道・簡易水道整備促進議員懇話会としても以前より改善要望をさせていただいておりますが、改めて、作業する上で安全性、効率性をより一層向上させるために掘削幅を広げる検討を是非お願いしたいと考えるが、大臣の見解をお伺いします。また、厚労省として、その他安全性を向上させる観点でどのような取組をしているのかも併せてお伺いいたします。

後藤国務大臣 厚生労働省としても、水道管の工事における作業員の安全確保は非常に重要な課題と認識いたしております。

 今委員から御指摘の水道管工事の最小掘削幅につきましては、安全性、効率性の向上の観点から、現場の要望や専門家の御意見等も踏まえまして、令和四年度より、五十五センチメートルから六十センチメートルに見直すこととしております。

 また、水道工事現場の安全性を図るために、新たな工法や技術についても、専門家の御意見を伺いながら、適切と判断されたものについては補助の対象とするなど、水道事業者への導入を促す取組を進めております。

 引き続き、水道工事の安全確保のため、現場の御意見や実態等も踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。

山崎(正)委員 令和四年度より五センチ広がるということで、長年公明党も要望してきたことで、大変にうれしく思うところでございます。ありがとうございます。

 次に、働き方改革についてお伺いします。

 管工事に限らず、土木建設関係に関しては、工期の関係もあり、なかなか週休二日制を確保することが困難であるというふうなお声をたくさん聞くところであります。しかし、そんな中で徐々に導入する業者も出てきているというふうに認識はしてきております。

 そこで、水道工事業界における週休二日制の導入や長時間労働の是正、さらに、例えば事業者側に責任のない工事延長をした場合の工事事業者に対する適正な補償など、働き方改革をどのように進めていくのか、現状の課題と今後の取組についてお伺いします。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 水道工事においては、より働きやすい環境を目指していくことは非常に重要な課題と認識しております。

 このため、厚生労働省で定める水道工事の積算基準において、週休二日制工事に対する諸経費の上積みや、やむを得ず休日に作業する場合の作業員の労務単価の割増し等を盛り込んだ改定を昨年四月に実施したところです。また、水道工事業者側が原因ではない工期の延長が発生した際には工事中断期間の補償を行うことを、積算基準にて既に定めております。

 今後も、現場の実態や業界団体の要望等を常に把握し、働き方改革推進に向けた積算基準の改定を適宜進めてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 昨年度なんかも配管関係の少しトラブルがあって、なかなか現場に水道管が供給されないというふうな状況も出てきまして、そういった中で様々な御相談を受けたところでございますが、先ほど言ってくれました様々な取組をなされているということで、今後、現場において週休二日制が導入できるような体制がもっと整っていけばと思います。今後とも後押しの方、よろしくお願いいたします。

 次に、配管技能者資格についてお伺いします。

 各家庭、会社等への水道管の布設工事等は、水道事業者である地方公共団体の水道配水管に穴を空けて、そこに給水管をつなぎ、水道メーターまで引っ張る工事となっています。これは、きちんと行わなければ、漏水事故を起こしかねませんし、他の埋設物を傷つけるおそれもあるなど、非常に重要な工事で、本来高い技能レベルを持つ人が作業をすべきであると考えています。

 厚生労働省としましても、令和元年に水道法を改正し、指定給水装置工事事業者の指定更新制を導入して、この工事事業者の一定の質の担保を措置したと承知しています。

 この法改正の更新制の導入については、厚労省より、地方公共団体、水道事業者に向けて、令和元年六月二十六日付、「水道法の一部改正に伴う指定給水装置工事事業者制度への指定の更新制の導入について」を発出しており、その中で、更新時に確認することが望ましい事項として、指定給水装置工事事業者を対象とした講習会の受講実績、主任技術者の研修会の受講の状況、そして適切に作業を行うことができる技能を有する者の従事状況など、幾つかのチェック項目があり、それをチェックすることで質を担保することになっております。

 そこで、この更新時に確認することが望ましい事項に関して、水道事業者である地方公共団体が、この通知を受けて、指定給水装置工事事業者の更新を行うときに確認することが望ましい事項をどの程度適切に運用しているのか、お伺いします。義務規定ではなく望ましいという努力規定なので、どこまで実効性が伴っているのか、そういった点につきまして、厚労省の見解をお伺いします。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 給水装置工事事業者について、指定制度により十分な技術力を保持していること等を確認して、工事業者の技術力や工事の適正性の確保を行ってきているところです。

 さらに、平成三十年水道法改正では、新たに指定制度の更新制を導入し、水道事業者に対し、指定給水装置工事事業者の更新の際には、資質向上のため、更新時に確認することが望ましい事項として、講習会等の受講を水道事業者が確認することを依頼しています。

 厚生労働省といたしましても、指定給水装置工事事業者の技術力の保持は重要な課題と考えており、令和元年度に、水道事業者宛てに通知を発出し、指定の更新時に、工事業者に対し、講習会の受講実績、技術助言を行うよう依頼したところです。

 現在、更新制度が導入され二年経過したところであり、水道事業者に調査を実施することなどにより、速やかに実態の把握や実効性を確認し、更なる取組を検討してまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 このことにつきましては、本当に国民の皆さんの生活に一番近い水道というふうなこともありまして、もう少しやはり厳しくてもいいんじゃないかというふうなお声をたくさんいただいていますし、業者さん自体も、この後でまた触れますけれども、今、人材不足ということが起きていますので、様々な、いろいろな人が参入してくる中で、ここはある一定、厳格に質を確保するべきじゃないか、そういったお声も聞くところであります。

 更新制度が形式的なものにならずに、実効性を高めるためにも、現場の最前線が今どのようになっているかというのをしっかりとキャッチアップしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、水道法施行規則第三十六の二号の規定に、適切に作業を行うことができる技能を有する者と規定されています。

 この通知の中でも、適切に作業を行うことができる技能を有する者の従事状況という項目がありますが、具体的にどういう者が技能を有する者に相当するのか、お伺いいたします。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 水道法第二十五条の八では、指定給水装置工事事業者は、省令で定める基準に従い、適正な工事の事業運営に努めなければならないとされています。この基準の中では、水道工事現場において、国家資格である給水装置工事主任技術者を置くことや、適切に作業を行うことができる技能を有する者を従事させることを求めています。

 この適切に作業を行うことができる技能を有する者とは、例えば、水道事業者等によって行われた試験や講習により取得可能な配管工や配管技能士等の資格を持つ者を想定しており、これらの資格を取得した者は、給水装置工事に不可欠な技術を有していると認められます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 更新時の管工事事業者としての適合性を確認することも重要だと思いますが、先ほども言いましたように、併せて、実際に作業する方の技量の質が担保されているかということが大変重要だというふうに思います。私としては、配管技能者の国家資格を設けてもよいくらいだなと思います。少なくとも、是非、配管技能者資格の明確化と活用ができるよう、お願いしたいと思います。

 次に、水道業界の人材育成、確保についてお伺いします。

 命の水である水道管は、生活には欠かせないライフラインであります。水道の蛇口をひねれば水が出てくる、皆が当たり前に思っていることを当たり前にできるように、管工事事業者の皆様は、安全な水を供給できるよう、日々取り組んでいます。

 また、一度被害が起これば、電気、ガス、水道といった、人間が生きるために必要なライフラインを一刻も早く復旧しなければなりません。そのような重要な役割を担って、やりがいがあり、なくてはならない仕事であるし、社会にとっても重要な業界であると思います。

 であるにもかかわらず、この事業を支える技術者、技能者は高齢化傾向にあり、一方で、さきにも述べましたように、若者の新規入職希望者が年々減っています。将来を見据えたときに、水道業界、特に工事業界にどう人を呼び込むかが大きな課題となっています。

 特に若い人に関心を持ってもらうためには、教育との連携が必要ではないかなというふうに考えます。そういう意味においては、工業高校で配管技術を学べるなど、そういった機会を整備していくことが非常に重要であり、喫緊の課題と感じていますが、配管技術や設備工事のことを教える高校が非常に少ない現状にあります。

 そこで、厚生労働省において、水道業界の人材確保を今後どのようにサポートしていかれるのか、文部科学省との連携も含めまして、今後の取組について佐藤副大臣にお伺いします。

佐藤副大臣 水道は非常に重要なライフラインであり、工事業者を含めた水道業界に関わる職員の確保は重要な課題であると認識しております。

 厚生労働省としては、水道事業者に対し、平成三十年に成立した改正水道法に基づいて、広域連携や官民連携の推進によって人材確保を図るほか、先端技術を活用した水道管の異常の早期発見といった業務の効率化により、より働きやすい環境につながる取組をモデル事業として進めているところであります。

 また、本日、委員にお尋ねいただいたような取組も通じて、働きやすい水道業界づくりを進めることで、若者にとっても魅力的な職場であると感じてもらえるように、関係機関とも連携しながら人材確保に取り組んでまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 ライフラインである管路の維持更新をしていくためには、人材の育成、確保なくしてはあり得ません。最近は本当に災害がよく起こるようになっていまして、激甚化しておりますし、非常に頻度が多く起こっております。

 そういった中で、昨年十月には和歌山市の紀の川の六十谷水道橋が崩落したりとか、様々な災害があったときには、こういった業者の方々が災害協定を結んで、真っ先に飛んでいっていただいて、本当にどろどろの中で、そういった中で管を見つけていく。どの管をつないでいくのか、どれを修理しなければならないのか、そういったことには非常に高い専門性が要るというふうに聞いておりますが、実は私、四国比例の選挙区でございますが、四国四県、どこも本当に高齢化が進んでいまして、一番若い人が五十五歳であるというふうな会社が多くございます。

 やはり、今、手を打って、若い人たちを育てていかないと、このノウハウが日本の中から消えていくんじゃないか、我々のところでいえば四国の中では消えていくのではないかというふうな危機感も持っております。そういった中で、工業高校なんかに施設コースをつくっていただきたいというふうな御要望も切に切に伺っておるところでございます。私も元教員出身でありますし、そういった点も含めまして、しっかりとこれからこの水道、ライフラインを守っていく人材育成について共に頑張っていきたいと思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。二十八分間、質問をさせていただきます。

 今日は私もちょっと沈痛な思いでこの場に立っておりますけれども、理由は、あさってから民法改正になるということで、私は民法改正、今回賛成であります。いい面も多々あると思うんです。酒、たばこ、ギャンブルは解禁されず、二十歳のままでした。しかし、私、今日、後藤大臣を始めとして政府の皆様、林局長を始めとする皆様、そして与野党の議員の皆様とともに、何としてもこの問題を解決せねばと思って質問をさせていただきたいと思っております。

 それは、あさってから十八歳に成人年齢を引き下げることによって、ぱっぷすさんという性暴力被害の相談に乗っておられる団体の方々からも御要望いただいておりますが、高校生アダルトビデオ出演解禁を止めてください、十八歳、十九歳、高校生の取消権維持存続立法化のお願いという集会が先日ございまして、齋藤筆頭理事も御出席いただき、公明党からは佐々木先生も来てくださり、各党から御出席をいただきました。そういう超党派での議員立法の協議というのも、参議院の内閣委員会を中心に今行われております。

 それで、一昨日は塩村議員が質問されて、岸田総理からも、もし政府の対応で不十分な点があれば、与野党の議員立法などを見守るという答弁もございました。

 これ、あさってなんですね。今頃何を言っているんだとお叱りを受けるかもしれませんが、私も民法改正に多少は携わってきた人間として、土壇場になってこういうことを言うのは、私自身、反省して、申し訳なく思っておりますが、ただ、それでも深刻な問題なので、是非一緒に考えさせていただきたいと思います。

 今日は、配付資料、二十二ページございます。

 まず、どういうことかといいますと、今までは、十八歳、十九歳の方というのは、未成年の取消権がありました。ですから、契約では、嫌々というか、渋々というか、口車に乗ってというか、契約したけれども、アダルトビデオの撮影をした後、やっぱりこんなの公開されたら困る、自分の人生でということで、取り消してというケースが多々あるわけですね、出るときは合意していたにしても。十八歳、十九歳だったら、これはもう立証責任なく、未成年だったということで取り消すことができました。ですから、多くのアダルトビデオというのは二十歳以上だったんですね。

 ところが、あさってからはその取消権がなくなるわけですから、あさってから、十八歳、現役の高校三年生が契約をし、そのビデオが出回る可能性が高いということなんです。

 ここに書いてありますように、何が起こるかというと、今までは、十八歳、十九歳でスカウトをして、取消権がある十八歳、十九歳はAVの出演はさせないけれども、二十歳の誕生日と同時に出演してもらうということになっていたわけですから、今回、それが十八歳の誕生日で、現役高校生も、理論上、実質的にアダルトビデオに出演できるとなると、ここに書いてありますように、まさに私たち厚生労働委員会が所管します児童福祉法にも関連する高校生や子供たちが、そういう、性暴力、痴漢、レイプなどなどで襲われるリスクも、これは残念ながら高まってくるのではないかと思います。

 それで、配付資料を次、見ていただければと思いますが、二ページ目、三ページ目は、日本大学の末冨教授、内閣府の審議会の委員もされている方でありますけれども、この末冨教授も、「緊急事態! 女子高生がAV搾取され放題? 十八歳十九歳は酒タバコ禁止でAV解禁? #こども家庭庁」ということも書いてあります。

 私も深刻だと思いますのは、一度アダルトビデオが出回ってしまったら、本当に取り返しのつかないことになりかねません。

 田村先生も本当に子ども貧困議連の会長で御尽力くださっていますけれども、実はこのアダルトビデオ問題というのは、残念ながら、貧困問題が関係していまして、コロナ禍でアルバイトができなくなった学生さんや高校生も、単発の高いアルバイトということで、こういうものに、巧妙に出演を、引っ張られてしまっているという、これは残念ながら、コロナ、貧困問題も関係しているんですね。

 その中で末冨教授がおっしゃっていますのは、三ページにありますように、赤線を引きました、事態の深刻さを認識した国会議員なら与野党問わずオール国会でこの高校生世代の緊急事態に対処してくださるはずだと私は信じておりますと。そして、三ページ目、全ての国会議員、関わる官僚の皆さん、一刻も早くアダルトビデオ搾取から高校生世代を守ってくださいということですが、もうあさってから、事実上、取消権がなくなるわけなんですね。

 それで、今までの、相談に乗っておられる、ぱっぷすさんの資料によりますと、例えば昨年度は八十一人、こういうアダルトビデオ関係の被害の相談があったけれども、六十一人は二十歳以上、二十人が二十歳未満なんですけれども、少なかったわけですね。でも、残念ながら、取消権がなくなると、これが非常に増えていくということが容易に想像がつくわけです。

 それで、次のページも見ていただけますでしょうか。配付資料で、このページは、ぱっぷすさんの資料であります。

 ぱっぷすさんは、今日は、公明党さんと自民党さんにも要望書を渡されたと聞いております。

 その資料の中で、深刻な問題は、十七ページにございます。よく、岸田総理も一昨日、意に反するアダルトビデオ出演は取り消せるんですとおっしゃるんですね。ところが、ここは巧妙な形になっておりまして、意に反する形には、物証的には、ならないようにされているんです、それは。

 例えば十七ページの、ぱっぷすさんの相談になられたケースでも、最初にスカウトされたときにも、アダルトビデオは嫌ですよと言っているわけですね。しかし、ほかの仕事を紹介しながら、結局、知らないうちに話がどんどん進められ、仕事が決まったように言われたと。契約書に署名押印時、ビデオカメラの前で契約内容を朗読させられ、自由意思で出ると言わされたと。つまり、ここまで完璧に、意に反していないという証拠を、逆にもうプロダクション側が固めてしまっているんです。

 このことは、今までから、公明党の議員の方々が数年前からアダルトビデオ強要問題を取り組んでおられて、こういう深刻な話があるんだというのを私も公明党の議員の方々からもよく聞かされておりました。それで、二十歳以上でも、巧妙に、こういう事態になっていたのに、あさってからは高校三年生がこうなっちゃうわけですね。

 それで、もう少しだけ説明させてください。このことについて一番詳しい本が、今日の配付資料に入れさせていただきましたが、ちょっと見ていただきたいんですね、九ページ。私もこういう本を読むのはちょっとつらかったんですけれども、勉強させていただきました。「AV出演を強要された彼女たち」という宮本節子先生の本であります。

 この中に多くの事例があるんですけれども、一つの特徴があるんです。赤線を引かせていただきました。

 当時Cさんは、十八歳以上ではあったが二十歳未満の未成年で、この年齢では親の承認なしに契約はできない。取消権ですね。右下九ページ。その結果、八月一日、本採用、契約書を交わす。その月、Bさんは二十歳になっていたという。

 つまり、十八、十九歳はセーフなビデオを撮影して、二十歳の誕生日と同時にアダルトビデオの撮影に入る、こういう流れになっているわけです。

 それで、次のページも、第二次契約を交わした、アダルトビデオの九本の出演が決まる。二十歳になると、プロダクションと第二次の営業委託契約書を交わした。この契約書の内容は、最初に取り交わした契約書の内容はほとんど変わらず、アダルトビデオという文言が入ったものだけだった。アダルトビデオ九本に出演したと。

 次のページを御覧ください。十ページですね。だからアダルトビデオの関係者は年齢には敏感で、十八歳や十九歳ぐらいでスカウトした人については、二十歳の誕生日が来るまでいろいろな理由をつけてキープしておき、そして二十歳を迎えた途端にアダルトビデオの撮影に入る場合がある。さきに挙げたCさんがその典型例であると。

 次のページも、契約が結べるのは二十歳になってからということで。

 だから、十八、十九歳はそもそも被害が少なかったんですね。だから、ぱっぷすさんの相談でも二十歳以上が多かった。

 しかし、あさってからは、アダルトビデオの会社からしますと、実際撮影したところで、やっぱり嫌だとおっしゃる方は多いんですよね、女性の方は。そのとき取消権があったら無条件に取り消せるから、やはりビデオ制作が、プロダクション側としたら大損害を被るから、それだったら元々十八歳、十九歳は取消権があるから声をかけないでおこうと、今まで抑止力になっていた。その最大の、十八歳、十九歳、高校生を、これは男性も被害が出ておりますけれども、守ってきた取消権が、あしたで切れるんです。

 そこで、お伺いしたいと思います。法務省さん。今まで、質問通告しておりますけれども、強迫とか虚偽の説明、錯誤、意に反する契約、不当な勧誘行為、そういうのがなかった場合ね、なく契約を結んじゃったと。それでも、撮影した後、やっぱり嫌だ、自分のこんなビデオが拡散して生涯ずっと残るのは嫌だということで、十八歳、十九歳の方が取消権を行使した場合は、その契約と作品の公開自体、取り消せますか、現時点では。十八歳、十九歳は。

金子政府参考人 お答えいたします。

 現時点では成年年齢が二十歳ですので、十八歳、十九歳の方は未成年者であるため、撮影した動画の販売等を許諾する契約を親権者の同意なく締結した場合には、これらの契約を取り消して、動画を販売できないものとすることが、現時点では可能でございます。

山井委員 つまり、撮影しても、契約しても、契約を取り消して、動画を販売できなくできるんです。

 私が聞いたある方の話では、撮影した人の本当に八割、九割ぐらいが、やっぱりやめてほしいと思う方が多いとおっしゃるんですね。今はそれができるんです、十八、十九だと無条件に、十八歳、十九歳だったら。

 ところが、じゃ、あさってからはどうなるのか。同じように、強迫、虚偽の説明、錯誤、意に反する契約、不当な勧誘とかそういうことがなくて、合意して、契約を結んで、撮影されちゃったと。同じ十八歳、十九歳の人が、あさって以降ね。やっぱり嫌です、出たけれども、これはもう絶対嫌です、自分の将来のことを考えて取り消してくださいと。今日と同じ要望をあさってした場合、法務省さん、消費者庁さん、契約の取消しや販売取消しはできますか。端的にお答えください。

金子政府参考人 双方の合意によって契約が成立した場合には、意思表示の瑕疵など民法が定める取消し事由が存在しない限りは、民法上はこの契約を取り消すことができないことになりますので、委員が御質問で設定された状況の下では契約を取り消すことができなくなるということになると思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者契約法は、消費者と事業者の格差を踏まえ、消費者が契約を取り消すことができる権利等を定めている法律でございます。

 この取消権が行使できる場合は、消費者と事業者との間の労働契約ではない契約について、例えば、事業者から不実のことを告げられて消費者がそれを誤認した場合や、消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、事業者が退去させず消費者が困惑した場合など、勧誘に際して消費者契約法第四条所定の不当な勧誘行為があった場合であります。

 委員御指摘の不当な勧誘行為がない場合については、それが消費者と事業者の間の労働契約ではない契約であったとしても、消費者契約法によっては契約を取り消すことはできないものと考えております。

山井委員 これは恐ろしいことなんですよ。今までから取り消せないんだったら仕方ないですよ。今までは取り消せたんですよ。取り消せるからこそ、アダルトメーカーは、十八歳、十九歳にはアダルトビデオ出演を余りさせなかったんです。ところが、十八歳、十九歳の女性を一番守っていたとりでが、あさってなくなるんです。

 それで、これは岸田総理を批判する意味では全くないんですけれども、例えば、今日の配付資料のラスト、二十二ページ、おとついの決算委員会で、首相は現行法の規定で対応すると。これは当然、総理はそうおっしゃると思います。別に責めているわけじゃないんです。

 ただし、現行法の規定で対応しようとしても、今おっしゃったように、今まで、撮影後、契約後、やっぱり嫌だ、後悔するといったときに、取り消したいと思っても、泣いても叫んでも、もうこれはアウトになっちゃうんです。

 借金も大変です。クレジットカードも大変。でも、このアダルトビデオが、男性物であれ女性物であれ、十八歳、高校生なりで撮影して、今日、あしたまでは取り消せるのが、あさって以降は取り消せない。これは、私は余りにも酷な話だと思います。

 この件についてどうなっていたのかといいますと、今日の配付資料にもありますように、四年前の民法改正の議論のときにも議論にはなっていたわけです。ところが、なかなか進んではいなかったわけなんですけれども。

 そこで、林局長、内閣府にお伺いしたいと思います。今日の配付資料四ページにありますように、こういう民法改正の議論のときにも公明党の若松議員を始め指摘されていたんですね、こういう穴があることを。それに対して、翌年、内閣府は、令和元年度フォローアップ結果ということで、この四ページにありますように、こういう問題も含めてアダルトビデオ強要問題は、法的対応を含めた各種対策、法的対応等について検討していくということで、四年前は終わっていたわけであります。

 そこで、今申し上げたような取消権があさってからなくなるんですけれども、林局長にお伺いしたいんですが、こういう事態の結果、あさって以降、アダルトビデオの出演強要あるいは出演の被害者が増える懸念があるということは、政府は認識しておられますでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも本人の意に反してアダルトビデオ出演を強要をすることは、あってはならないことでございます。

 成年年齢引下げに当たっては、十八歳、十九歳の者のアダルトビデオ出演強要の被害が深刻化する懸念があると認識しております。

 このため、私ども内閣府では、成年年齢引下げに伴う若年層のアダルトビデオ出演強要などの被害予防のため、四月、来月の若年層の性暴力被害予防月間に合わせ、集中的な広報啓発を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携して、アダルトビデオ出演強要問題の根絶にしっかり取り組んでまいります。

山井委員 林局長を先頭に、内閣府さんも頑張ってくださっているんです。来月も集中啓発月間をしてくださっているんです。ただ、啓発も重要なんですけれども、空く穴が余りにも大き過ぎるんです。

 そういう中で、今、林局長からも、十八歳、十九歳のアダルトビデオ強要や被害が、この四月一日以降、増える懸念があるということをおっしゃいました。

 そこで、私は、啓発を頑張っていただいていることには非常に感謝しているんですけれども、やはり、ぱっぷすさんが今回要望しておられるように、あさってでなくなる取消権に代わる立法措置を、臨時的、緊急的、議員立法であれ、そこを、言葉は悪いですけれども、その穴をばんそうこうで塞がないと、先ほども言ったように、今までだったら取り消せた十八歳、十九歳、高校生のお子さんたちが取り消せなくなってしまう。今より後退するということは許されないような気がいたします。

 そこで、林局長にお伺いしますが、啓発は是非頑張っていただきたい。ただ、啓発だけで不十分なところもある。この取消権がなくなる穴の部分を、何らか政府の方で、今、穴を埋める、法改正、法的対応は、御検討は現時点ではされていますでしょうか。

林政府参考人 お尋ねの件につきましては、委員先ほど御指摘のとおり、三月二十八日の参議院の決算委員会で総理が答弁されたとおり、まずは関係省庁と連携して教育、啓発の強化にしっかり取り組んでいくとともに、民法や消費者契約法における取消権、刑法の適用、労働者派遣法や職業安定法による取締りを徹底するなど、こうした法律が適切に適用されることが必要であると認識しております。

 また、同じく総理の答弁のとおり、超党派でこの問題に関する立法措置を議論されていると伺っておりますので、その内容、議論の状況を見守るというのが現在の政府のスタンスでございます。

山井委員 様々な努力をしてくださっていますけれども、法的対応自体は政府としては現時点では考えていないということなんです。

 それで、これは非常に深刻な問題で、あさって大きな穴が空いてしまうんですね。そこで、後藤大臣にお伺いしたいんですが、理論上は、例えば現役女子高生の痴漢のビデオとかレイプのビデオも増えるリスクがあるわけです。

 それで、今日の配付資料にも入れましたけれども、わいせつとか、そういう今までの事件の中で、今日の配付資料十五ページ、例えば、強姦や強制わいせつの容疑で逮捕された五百五十三人に行った調査では、三三・五%がアダルトビデオを見て自分も同じことをしてみたかったと回答。少年に限れば、その割合は五割近くに跳ね上がる。つまり、現役高校生のビデオが増えてしまうことによって、これから高校生全体の性暴力被害に遭うリスク、お子さんたち全体のこういう性暴力、性犯罪に遭うリスクが高まりかねないというふうに思うんです。

 先ほども言ったように、今までは、二十歳から出演するために、十八、十九はメーカーあるいはプロダクションの方が囲い込んでいた。しかし、今度は、十八歳の誕生日から出演できるということは、十六歳、十七歳、高校一年、高校二年から囲い込みということが起こりかねないんですね。

 こういう危機感、後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今、山井委員から御主張、御説明のありましたいろいろな問題、本当に重大だと思います。私も、客観的分析がどうであるかということは承知はしておりませんけれども、少なくとも、若年層への性暴力被害を深刻に、委員と同様に、大変大きな懸念を共有するところでございます。

 アダルトビデオへの出演の強要や性暴力は、そもそも重大な人権侵害でありまして、あってはならないことでありまして、政府一丸となって対応すべき課題と認識をいたしております。

 厚生労働省としても、内閣府を中心とした性暴力被害の防止に関する取組に協力をしておりますし、引き続き、共にできることを適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

山井委員 ありがとうございます。

 こういう若年の性暴力が増える危機感を感じているという御答弁でありましたが、本当にこれは何省の担当、何委員会の担当ということじゃなくて、立法府全体がこの危機感を、私たちは党派を超えて共有すべきだと思います。

 私は、ここで申し上げたいのは、じゃ、これはあさってからで、大変だということになるんですけれども、私が申し上げたいのは、解決策はあるんです。まず、この取消権を、穴を埋める解決策は、議員立法によって可能なんです。ということは、このボールは政府にあるんじゃなくて、私たち各党がどう判断するか。実際、参議院の方でも、今、超党派でこの協議も始まっておると聞いております。

 例えば、法務省にお伺いしたいんですが、議員立法で民法の特別法を設置して世の中のために貢献したという例では、ここにあります、東日本大震災における原発事故の賠償金の時効を延長させる、こういう特例法も超党派の議員立法で成立させたという前例があるんです。

 そこで、法務省にお伺いします。今回、今述べたような未成年取消権がなくなるという問題の被害者を防ぐために、十八歳、十九歳のアダルトビデオ契約に限り取消権を存続させる民法の臨時特例法、特別法について、今、与野党で協議が始まっておるわけですけれども、これを超党派で成立させることにより、より包括的な法的な対応が政府により講じられるまでの間、臨時的、一時的、緊急的に、未成年取消権が使えなくなる穴を塞ぎ、高校生アダルトビデオ出演の事実上の解禁を阻止し、十八歳、十九歳の被害を防ぐことを検討しております。

 このような臨時的な議員立法の特別法での対応は許されるのではないかと考えますが、法務省の見解はいかがでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 御質問が議員立法の内容に関わることですので、法務省としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で、御質問の趣旨が、特定の内容の契約について、政策的な判断に基づき、民法の特則を議員立法による特別法で規定するということがおよそ許されないかという趣旨であるとすれば、そのようなものが許されないということはないというふうに考えます。委員が御質問の中で御紹介されたような前例もあるところと承知しております。

山井委員 ありがとうございます。

 本来、もちろん閣法でやるべきことだろうと思います。ただ、やはり、アダルトビデオ強要問題というのは、どこの役所の担当かというのも曖昧で、谷間に落ちてしまっているんです。あさってから解禁される、それを何とか、この問題、私が言うのも極めて恐縮なんですけれども、今後、こども家庭庁の法案審議、また、その次の児童福祉法の法案審議でも、ここのテーマになると思います。何とか超党派の力で議員立法を成立させたら、穴は塞げるわけなんです。

 公明党さんも数年前からアダルトビデオ強要問題の対策チームをつくって一番頑張っておられましたし、自民党さんもワンツー議連というのがあると聞いておりまして、田村大臣も牧原議員も大変な御尽力をこの問題にもされていると聞いておりますし、野党でも、私たちも頑張っております。ここは、ボールは立法府にあると思います。

 私、一番心配しておりますのは、今回、議員立法ができなくて穴が空いたままになったときに、恐らく数十人ぐらいの十八歳、十九歳の被害者が出てきたときに、何が起こるかといったら、その被害者は、恐らく、こういう穴が空いたことを政府の方も国会議員の皆さんも御存じだったんですよね、国会でも議論されていたみたいですよね、分かっていたのに、なぜ穴をすぐに埋めてくれなかったんですかと。それによって、自分の関係者あるいは自分がアダルトビデオに出演して取り消せなかった、あるいは、自分の娘や息子が中学生、高校生で、こういうビデオ、性暴力、性犯罪被害に遭って、犯人が捕まったら、いや、アダルトビデオを見て、それでやってしまったとなったときには、国会は一体何をやっていたんだということになりかねないのではないかと思います。

 時間が来ましたので終わりますけれども、是非とも、ここは伏してお願いしたいんですけれども、何党がということではなく、超党派の議員立法というやり方があるわけなので、本当に、後藤大臣を先頭に、また与党の皆さん、野党の皆さんとともに、お願いをしたいと思います。

 最後に一言だけ申し上げますが、警察庁のホームページに書いてあるんですね、子供を守るのは大人の責任ですと。子供を守るのは国会の責任だと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日、私は、いただきましたお時間の中で、子供のコロナワクチン接種、わけても五歳から十一歳のワクチン接種について、国は一旦、明確に親御さんたちや子供たちへのメッセージを発出し直して、一度立ち止まって考えるべきと思いますので、何点か質問をさせていただきます。

 御承知のように、本年の二月の下旬から五歳から十一歳の子供たちへのコロナワクチン接種が始まっておりまして、今のところ、約四万回、その対象年齢の五%ほどに一回目ないし二回目の接種が進んでいるところと言われます。

 そもそも、振り返ってみますと、この委員会でもあるいは予算委員会でも、この子供の五歳―十一歳のワクチン接種については様々な取り上げ方がなされてきました。とりわけ、そもそも有効性はあるんだろうか、オミクロン株が拡大して、子供たちの、特に十歳以下が増えている中で、このワクチンはオミクロン株に対しての有効性があるのかどうかということが問われておりました。

 二月九日の予算委員会、私どもの青山議員は、後藤大臣でしょうか、御質問をして、オミクロン株については、五歳から十一歳用の直接のデータは現時点では存在していないと。また、二月二十五日の参議院の予算委員会では、我が党の蓮舫議員が堀内元ワクチン担当大臣に同じように質問をいたしましたが、これまでのデータはデルタ株が前提であり、オミクロン株については十分な集積がないと。いずれも、データもなく集積もなく、接種が開始されております。

 さて、その中で、少しずつデータが分かってまいりました。

 私が最近手に入れたもの、一つはニューヨーク州の保健局の発表ですが、実は、このオミクロン株に対して、特に五から十一歳については感染予防効果が急速に減少していく。例えば、十二歳から十七歳の子供と比べても、前年の十二月から一月くらいの期間を取ると、十二歳から十七歳の子供が感染予防効果六六%から五一%に低下、一方、五歳から十一歳の子供は六八%から一二%に低下する。感染予防効果についてはそもそも判定は難しいことは承知しておりますが、一二%というと、ほとんど変わらないということでございます。

 また、小児科学会が集めた情報によりますれば、これも同じく、三月時点での発表、日本のものではありませんが、感染予防効果は三一%、発症予防効果は五一%。二人に一人くらいは発症しない。感染予防については、三一%というのは本当に極めて低い。

 ワクチンと申しますのは、有効性がまず第一であります。そして、有効性について、オミクロン株についてデータのない中でスタートしたこの事業が、今幾つかデータが集まってまいりました。後藤大臣については、このことについてより真剣に厚生労働省として検証、検討すべきと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチン接種につきましては、厚生科学審議会において、緊急の蔓延予防のために実施する必要があるということで、今後流行する変異株の状況、ワクチンの有効性、安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況等も総合的に勘案して接種を実施しているものでございます。

 先生、今、丁寧に御指摘があったように、当初、オミクロン株への有効性に関するデータがない中で、例えば、感染予防効果については今御紹介のあった三一%とする報告とか、あるいは、発症予防効果、重症予防効果について、現時点で科学的知見が十分ではないとは言えるとは思いますけれども、十八歳以上の者に対してこれらの効果を認める報告があることに鑑みて小児に対しても一定程度期待できるとの専門家の御意見等、いろいろな御意見もあるということでございますけれども、こうしたものについては、今御指摘のあったように丁寧にフォローする必要はあると思っております。

阿部(知)委員 大臣、よく聞いてくださいね。私、十八歳以下と言ったんじゃないんです。今始まっているのは五歳から十一歳。予防効果は今、一二%。これはほとんどないということなんです。まあ、分析によれば、ワクチン量が少し少ないかもしれないということも出ていますが。

 私は、何でも、エビデンスベースド、科学に基づいて政策はなされなければいけないし、乱暴な政策は子供たちにも害しかもたらさない。効くであろうとか、オミクロン株でないもの、あるいは異なる年齢で言われているものをそのまま引っ張ってくるわけにはいかないのです。子供は小型の大人ではないのです。そして、未来という大きなこれからの時間があるのでね。

 今、大臣の御答弁は、私は正直、不正確と思いますが、事務方が準備されたものがそのようなものであるんでしょうから、もっと真摯に、真剣に、五歳から十一歳のこのワクチン効果について集め得る限りのデータを集めるべきだと思います。

 さらに、大臣のお手元の一ページ目にお示ししたように、このワクチンは諸外国ではどのように扱われているか、二〇二二年二月一日時点のものであります。

 これは厚生労働省の厚生科学審議会に出されたデータでありますが、ある程度、概略はつかまえていると思います。

 すなわち、イギリスやドイツ、WHOなどは限定的な接種の推奨をしていると。どういうことを言っているかというと、基礎疾患のある子、重症化しやすい何らかの御病気のあるお子さんについての推奨であるということであって、今の日本みたいに、五から十一の全部の年齢に接種券を送るなどという乱暴なことはしておりません。まあ、そのほかには、例えば、小児に対して接種を推奨というところも、アメリカ、カナダ、フランス、イスラエル、EUとございますが、中身を細かく見れば少しは違ってございます。

 ただ、私が申し上げたいのは、今政府として明確なメッセージを親御さんに送るのは、特定のリスクのあるお子さんがこの接種の対象ですよ、そこは受けていただいた方がよいと思いますという明確なメッセージであるべきと思います。

 大臣、この表でいうと日本はどこに入るんですか。

後藤国務大臣 まず、一つだけちょっと補足のお話をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど、十八歳以上のデータをお示ししたというつもりはありません。十八歳以上の効果を推量してという専門家の知見が出ている、そういうことを踏まえて分科会の方、審議会の方ではこうした結論を出していただいているということを丁寧に説明したつもりでありますし、更なる知見の収集に努めていくことについては委員の御指摘のとおりだというふうに思っております。

 その上で、今お尋ねの、この表の中でどこかということであれば、日本の場合は、小児に対して接種を推奨、そういうグループになるだろうというふうに思っております。

阿部(知)委員 私が申し上げているのは、まあ、大臣、すごく正直におっしゃっていただいて、あるデータは、十八歳以上なんです。だけれども、やっていることは、子供に推奨するんです。それはおかしいでしょうと。

 少なくとも、重症化予防については私も合意します。ですから、例えば十歳以下のお子さんで亡くなった三例を見ますと、二例は、お一人は心疾患、お一人は呼吸器のついた子、あと一例はよく分からない。でも、リスクのある子はやはりコロナの感染症で亡くなることが考えられる。一方、リスクのある子もワクチンでもいろいろ問題が起きますが、でも、少なくとも重症化予防の一端は担っているということは合意をいたします。でも、十八歳以上のデータを持ってきて、五から十一歳に推測でやるような行政はやめていただきたい。私ども小児科医は、このことについて非常に実は懸念をしております。

 今何が起きているかということで、少しお話をいたします。

 大臣のお手元の、開いて三ページ目の資料を御覧いただきたいと思いますが、これは、実は二〇二二年の二月十六日に、日付がちょっと消えておって申し訳ありませんが、私の所属する日本小児科医会、まあ小児科学会と臨床的な医会という二つがございまして、ここから、今後子供の接種が始まるに当たっては十分にお話ししたり安全配慮をしなくちゃいけないから、今の報酬の中ではとても担えませんので加点をしていただきたいという要請に伺ったものです。

 一番のポイントは、もちろん加点も必要と考えてもっと金額を増やしていただきたいとも思いますが、ここは、私ども小児科医がどう考えるかというと、重症化しやすい成人への接種を優先すること。よく、子供がかかっておじいちゃん、おばあちゃんがかかるから子供に打ちましょうというんじゃないでしょうという意味です。二番目は、中ほどを読んでおりますが、本年齢における副反応報告の集積を待つものとすること。しかしながら、この二点を前提とした上で、私たちは以下の一から六のようなお願いをしたわけです。

 これは島村政務官がお受けくださいまして、安全性、安全に行うための人手とか、問診も時間がかかるし、同意は親子だし、あるいは子供への筋肉注射はいろいろな過去があるし、母子手帳にも書かなきゃいけないし、もろもろ、もう手間暇がいっぱいかかっているわけです。ですから、それに見合う私どもの接種の費用を考慮していただきたいということで、しかしながら、私たちはそれらも踏まえた上で必要なことには頑張りますということを表明した申入れで、これを受けて島村政務官は、新型コロナワクチン接種事業の中でかかる手間暇や人件費、様々なものは十分配慮をしますということで、二月二十日、二月二十一日でしょうか、通達をお出しくださいました、各地方自治体に。

 どのくらい配慮されただろうかというふうに考えて現状をお伝えしたいと思いますが、各自治体が例えば子供に接種する場合と大人に接種する場合のその委託料の差を設けているかどうかを厚労省に伺いましたが、そうしたデータは把握しておらぬということですので、私の知り得る限り、自分の自治体とそれから世田谷区の保坂区長に伺った数値を御紹介します。

 大人が二千七十円、委託。子供、世田谷区では、六歳から十五歳二千二百七十七円。二百円アップ。五歳については三千円。少し配慮されているかなと。

 一方、ちょっと私の藤沢市は全くなくて、六歳以上はみんな同じ二千七十円。そして、五歳は二千七百三十円。六百六十円の上乗せということで、看護師さんの数もかかる、手間暇もかかる、何よりも親御さんとのお話に時間がかかるんです。その結果、何が起きているかというと、小児科の医院の中でも、なかなかこれを請け負ってやるための余力がございません。人手も増やさなきゃやれないし、結局、みんなどうなるかというと、集団接種へと流れます。

 これは、私も全国のデータを持っているわけではありません。でも、小児科医にとってはそれは望ましくないとは思っています。個別に状況を聞いて、必要性を話して、親御さんの不安を取った上で、接種するならする、しないならしない。とりわけこの予防接種はまだ未知でございますから、私ども小児科医は、安易にはやりたくないのです。

 そこで、大臣、こうした地方任せにして、後はどうとでもなっているでしょうというようなやり方で接種を進めれば、当然、小児の予防接種の在り方として望ましくないものが出てくる、増えてしまうと思いますが、大臣にあっては、子供の接種というのは基本的にどうあるべきとお考えでしょう。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種のための体制整備等に係る費用については、国が全額を負担する方針の下で、必要な予算を措置しております。

 五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチン接種について、保護者に対する通常起こり得る症状への対処方法の丁寧な説明、子供に対する年齢等に応じた分かりやすい説明や、接種の介助など、対象者が子供であることによる経費が発生することを承知いたしております。

 このため、市町村と医療機関とが協働して接種体制を構築する場合に、丁寧な説明などを行うための医療従事者の増員等の費用についても財政支援の対象とする旨、自治体にお示しをしているところであります。

 先ほどもちょっと御紹介がありましたけれども、子供への接種体制に要する費用のみの把握を、今、自治体の現状の中で事務負担につながるため、行ってはいないわけでございますけれども、自治体からの所要見込みの提出により、一部把握はできている状況でございます。

 また、例えば、接種一回当たり、成人ですと二千七十円。例えば、一般的な接種による補助として、五歳児への接種の加算で六百六十円、時間外加算で七百三十円、休日加算は二千百三十円、また、予診のみでやめた場合でも千五百四十円お支払いするとか、そういうような手当てをしているものとは承知しております。

阿部(知)委員 今言ったような数値は既に私が御紹介して、現実には幾らになっているかと私はわざわざ時間を使ったんです。私の市では、五歳でも二千七百三十円。二千七十円に六百六十円しかプラスはないです。だからといって、私たちはやらないと言っているわけではなくて、本当に十分な体制になっていない。

 大臣、次のページ、四枚目の資料を見ていただけますか。

 これは、五歳から十一歳のこのロット、バイアルと、十二歳以上のこのロット、バイアルがいかに違うか、細かに違って、これを間違いなく打つというのがどんなに大変かということであります。オレンジと青のキャップの色が違うだけじゃなくて、中に入っている液の量も、薄めなきゃいけない生食水の量も、針の太さまで違うんです。これを短時間の中で、限られてやるというのが大変。本当に大変。だから、皆、集団接種会場であれば均一なものになりますから、そうなる。しかし、一方で、十分な説明ができる時間がないということなんです。

 私は、日本にとって、子供たちへの接種体制というのは非常に今深刻な状況にあると思いますので、うちのクリニックでこの表は作らせていただきましたけれども、これだけ違ったものを並べてやって、やれないですよ。だから、時間を区切るとすると、その時間にそれだけの数を集めなきゃいけない。現実的ではない。人手は六百六十円では賄えません。

 続いて、それだけではないんです。私たち小児科医がこの予防接種をためらう理由は、いわゆる副反応等々について十分な検証がなされていないわけです。予防接種というのは健康な子供にいたしますから、基本。それによって何か起きた場合には、接種する側も本当に緊張の中であります。

 私が今日お尋ねし、例に挙げたいのは、五歳から十一歳ではありませんが、まだ、五歳から十一歳でそこほど深刻な例は挙がってきておりませんので、数が少ない。それを、ちょっと上の年齢の十三歳の男の子が亡くなった事案でございます。

 お手元の資料二枚目に書いてございますが、この十三歳の男の子は、二回目の接種後、僅か四時間で、お風呂に入っているときに亡くなってしまいました。当然、親御さんとしては、予防接種して四時間でなぜ亡くなるのと思います。ところが、このケースについてすら、診たお医者さんは因果関係ありと報告したけれども、解剖すると、因果関係は連関づけられない、不明だ、評価不能だと出てまいりました。

 私は、そもそも、日本の予防接種行政でお亡くなりになった場合の解剖の在り方は不備だと思います。アメリカなどは、CDCと、メディカルエグザミナーといって剖検をする部署がタイアップしてガイドラインを作って、剖検をして症例を集積するから、何が起これば副反応かが見えてきますが、日本の場合は、私も解剖に関わった解剖医の先生たちに聞きましたが、集積がないので、例えば心筋炎で亡くなっていても因果関係をそこに特定できない、評価不能とせざるを得ないという実情を教えていただきました。

 やらねばならないこと、一つは、この例は、私は、評価不能であれば因果関係の中に含めるべきだと思います。なぜならば、これは特例承認で始まったものでありますから、因果関係が不明であっても否定できなければ認めていく、これが基本です。二点目は、解剖体制についてもっと真剣に副反応の検討部会で検証すべきです。このことについて後藤大臣の御認識を伺います。

 ちなみに、これまで千幾つでしょうか、千五百十二例の中で、解剖は百二十五件のみであります。圧倒的に少ない。解剖したからといって何か分かるわけでもない。だけれども、集積しなきゃずっと分からない。この二点について御意見を伺います。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

鎌田政府参考人 二点ございまして、ワクチンとの因果関係の評価でございますけれども、御案内のとおり、ワクチンの因果関係につきましては、医療機関あるいは製販業者、企業から情報を収集した上で、手続にのっとって評価しているわけでございますけれども、そもそも、副反応自体が様々で、偶発的なものかどうかという、原因で発生したものかは極めて難しいという前提がございます。

 その上で、御指摘の十三歳の事例でございますけれども、御紹介ございましたように、解剖は実施いたしました。その結果、解剖の先生から、解剖医からは評価不能となり、また、そうした報告を踏まえまして、専門家からも死亡との因果関係が評価不能ということで、この分類になっているところでございます。

 先生、途中で心筋炎というお話がございましたが、心筋炎につきましては特別に調査票も作っておりまして、この関係につきましても、この事例につきましては、劇症型心筋炎の可能性は、トロポニンIの値に異常がないですとか、そういったこともやっております。

 解剖するか否かでございますけれども、これはやはり、そもそも亡くなった状況も様々で、遺族の同意もございますので、その辺について御議論は必要ではないかと考えております。

阿部(知)委員 前段の方は私の質問とずれておりますから、あえて繰り返しません。私は、そもそもこの方は、医療機関が因果関係ありとしたんです。解剖は評価不能だったんです。そういうケースをどう扱うかと聞いたんです。

 医療機関が因果関係ありとしたのが、ファイザーが千四百三十件のうち百四十例、モデルナは、八十二件の死亡のうち十七件は医療機関は因果関係ありとしております。

 私たちが因果関係ありと言うときは、かなりの確信でそう指摘をさせていただいています。それが全てなしとされている報告制度の在り方の問題で、それから、先ほどCDCとエグザミナーを紹介したのは、それをルーチンにしておるということであります。そんな体制もなく、検証とは到底言い難い。

 最後に、質問が幾つか残っていますが、後藤大臣に、先般の旧優生保護法による強制不妊手術を受けられたことの東京高裁判決、前段の大阪高裁判決に続いて、上告をなさいました。二つの判断が違うからという上告理由でありますが、そもそも、後藤大臣には、この優生保護手術を施行したということ自身が憲法に反する憲法違反の行為であるという御認識はおありなのかどうか、これについて伺います。

後藤国務大臣 旧優生保護法につきましては、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が、特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、厚生労働省としても真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げる次第であります。

 平成三十一年には、超党派の議員連盟において法律案が取りまとめられ、国会において、全会一致により、こうした方々に一時金を支給するための法律が定められております。

 政府としては、このような事態を二度と繰り返さないよう最大限の努力を尽くしていくとともに、立法府の総意による法律に基づき、一時金を円滑かつ確実に支給することでその責務を果たしてまいりたいというふうに思っております。

 また、その上で、旧優生保護法国家賠償請求訴訟におけるこれまでの判決で、旧優生保護法の一部の規定が憲法に違反すると判断されたものがあることは承知しておりますけれども、旧優生保護法の違憲性については、係争中の訴訟に関する事項であって、見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 そうやって上告して、最高裁判決を待つ間にも被害者は亡くなっていきます。お亡くなりになれば、今の見舞金はもちろんのこと、賠償も受けられないということであります。いたずらに長引かせず、上告を取り下げ、裁判の結果を確定させて、一日も早い救済に結びつけていただきたいと思います。

 以上で終わります。

橋本委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党、長妻昭でございます。よろしくお願いします。

 尾身先生、長きにわたってJCHOの理事長、お疲れさまでございました。

 ちょっと妙なことを聞いたんですが、もう尾身先生は今日が最後で、国会にはお出ましにならないというようなことをお伺いしたんですけれども、まさか、与党が尾身先生をもう呼ばないということではないですよね、齋藤筆頭。違いますね。確認をいたしました。

橋本委員長 質問をお続けください。

長妻委員 これ、委員長もお願いしますね。

 それでは、質問に入ります。

 まず、尾身先生、新型コロナウイルス対策なんですが、私は今、ちょっとリバウンドが始まっているんじゃないかというふうに懸念しているんですが、先生はいかが思われますか。

尾身参考人 私は、リバウンドが起きる可能性はあり得ると思っています。それは、主に四つの理由が私はあると思っています。

 一つは、三回目の追加接種が日本よりも高くなっている国でも、ここに来て、感染の拡大が見られている国が多いということが一点目です。

 それから二点目は、確かに今回は、全体としては、感染が下降傾向に、少し下がったということがあって、この前も重点措置を解除したわけですけれども、下がっている傾向が一時ありましたけれども、まだいわゆる感染のレベルが高いというところがあります。

 それから三点目は、今、日本でBA・2への置き換わりというのが確実に、少しずつ起きておるということがあると思います。

 それから、もうこれは日本の場合には、いわゆる恒例行事ということで感染が拡大するということがずっと二年間見えてきたので、今回も、花見だとか歓送迎会というものが多分これから多くなる可能性がある。

 こうした四つのことを考えると、私は、感染のリバウンドというのが起きる可能性があるということをじっくりと考えてみておいた方がいいと思います。

 それで、今の委員のリバウンドが起きているかどうかという話ですけれども、実は、もう数日待つ必要がある。

 なぜかというと、実は、連休中のことで、報告数を増加させる圧力、報告数ですね、実際の感染者はまだある。報告数が上がるように見える要素と下がる要素というのが、両方あるんです。下がる要素というのは、連休中には検査の数も少なかったりして、報告される数が少ないという、下方に行くプレッシャーですね。同時に、連休になると、人々の活動が少し活発になっているので、接触の機会、感染の機会が増えている可能性がある。この二つの圧力がどうなるかというのは、もうしばらく見て、これが本当に持続する、感染拡大に至るルートに入っているのか、そうでないのか、もうしばらく様子を見る必要があると思っています。

長妻委員 それともう一点なんですが、今月二十一日に蔓延防止措置を全国、全部解除した。私は、ちょっと考えられないようなことを政府はしてしまったなということで、非常におかしいなと思っているんです。

 尾身先生もよくおっしゃっておられるように、例えば、新入学生が学校に入ってきたり、あるいは人事異動とか、年度末、年度初めというのは相当人が動くわけでございますので、その前に日本全国の蔓延防止措置を全部一気に解除したということについては、どうお考えでございますか。特に感染対策の観点から見て、どうお考えですか。

尾身参考人 確かに、今回の判断はなかなか難しい判断だったと思います。

 なぜかと申しますと、今、社会は少しずつ、社会経済あるいは教育、保育というものの活動を徐々に元に戻すことが社会全体で期待されるという部分が、これは間違いなくあると思うんです。そういう中で、今回の場合には、いろいろなことを総合的に考えましたけれども、確かに医療の逼迫というのが確実に減っている、改善されてきているということで、今回は、全体としては、なかなか難しい判断でしたけれども、分科会のメンバーも全員、二人はいわゆる消極的反対でしたけれども、基本的には全員賛成したと思います。

 ただし、分科会の委員、ほぼ全員そういう発言、発言した人はほぼそういう趣旨のことを発言したと思いますのは、この重点措置の解除というものが、そのまま、今までの感染対策を完全に解放して、いわゆる文字どおり、ドラスティックに、一〇〇%元に戻るということは、絶対そういうことではないんだと。解除はするけれども、しっかりと基本的な感染対策を継続する必要があるということ、是非このことを国や自治体に強調していただきたいということは全員一致の考えでした。

 そうでないと、今ヨーロッパで見ているような感染の拡大、ひいては医療の逼迫ということが起こる可能性があるので、是非そうした点をみんなで注意したいということだと思います。

長妻委員 配付資料の六ページを見ていただきますと、ちょっと私もびっくりいたしましたけれども、これは、直近一週間の七日間平均と前の週の七日間平均との比較なんですね。初めて全国でそれが増加傾向、増加に転じたというもので、四十七都道府県、全国含めて出ておりますけれども、何と三十七都道府県で増加に転じたと、昨日までの統計で。

 その前でいうと、三月二十七日時点では増加に転じたのが六県だったのが、おとつい三月二十八日には十三県ということで、一気に昨日、一週間平均が増加に転じたということで、三十七都道府県ということでございます。

 今日、観光庁もお呼びしているんですけれども、この三十七都道府県の中で、地域観光事業支援というのを実施している県をちょっと教えていただければと思うんですが。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 県民割事業の実施は各都道府県の判断によりますけれども、お尋ねのありました、新規陽性者数の前週比が増加した三十七都道府県のうち、三月二十九日時点で地域観光事業支援を活用した県民割事業を実施している都道府県は、北海道、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、山梨県、長野県、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、香川県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の、計二十三道府県であると承知しております。

長妻委員 ありがとうございます。

 これは私もちょっと信じられないんでございますが、増加に転じている三十七の都道府県のうち、二十三県で県民割地域観光事業支援をしている。これは簡単に言うと、GoToトラベルキャンペーンの県内版、県内だけの移動で、あるいは近隣県も含めた、それについて、宿泊費などの五〇%、五千円を超えない範囲で補助するというものが今やられている。

 私も、旅行事業者の皆さん、本当に大変なので、ここはまた別の形で支援するべきだというふうに思うわけでございまして、四月一日から、これも私びっくりしましたけれども、もっと拡大版の、日本を六つのブロックに分けて、その六つのブロック内であればGoToトラベルキャンペーンのような形で補助をするということで、範囲を広げるということなんですよ。

 GoToトラベルキャンペーンは日本全国でしたけれども、どんどんそういうふうな話になってくるというのは、私はちょっと信じられないんですが、これは尾身先生、いかがでございますか。

尾身参考人 先日、三月十一日のコロナ分科会でも、今の事業というよりも、県を越えての移動については議論されました。

 そういう中で、二つの点が大体コンセンサスとして合意されたと思います。一つは、基本的な感染対策を講じている限り、移動そのものでの感染のリスクは低い、しかし、バス内での飲食なんかを、お酒を飲みながらやったり、あるいは旅行先での宴会など感染リスクの高い行動をすると感染リスクが高まる、これは当然のことですよね。二番目のことは、このことから、移動を必ずしも一律に制限せず、移動中での感染リスクの高い行動を控えていただくような努力が必要じゃないのかということで、二点合意しました。

 そういう中で、今回も、委員おっしゃる事業、これは私の理解ですけれども、これは各都道府県の知事さんの判断で行うものと聞いておりますので、知事がこういうことを実施されるのであれば、先ほど申し上げましたように、移動中、あるいは、特に移動先での感染リスクを下げる努力をするという前提の判断が、是非必要ではないかと思います。

長妻委員 旅行を積極的に、税金を使って補助して、どんどん旅行してくださいというのを推進するというのは、私は本当に信じられないわけで、尾身先生がおっしゃるように知事の判断なんですが、ただ、この補助金は、GoToトラベルキャンペーンと同じように、十分の十なんですよ。つまり、全額国費で、地方の持ち出しはないというものなわけで、これを国が丸ごと推進するというのは、大きく禍根を残すようなことだと。四月一日からブロック全体に広げるというのは、私は大きい問題があるというふうに指摘をしておきます。

 感染対策については以上でございますので、尾身先生はここで結構でございます。どうもありがとうございました。

橋本委員長 尾身先生、どうぞ御退席ください。

長妻委員 そして、今ロシアがウクライナに侵略をしておりまして、本当に、西側諸国が、日米欧と協力をして経済制裁を徹底的にやるということで取組を進めていただきたいわけでございますけれども、その中で、ウクライナでクラスター弾が使用されたということの報道がございます。

 このクラスター弾というのは、残忍な兵器ということで、二〇〇八年十二月にクラスター弾禁止条約というのができまして、日本も署名しました。世界百二十か国が署名して、国内にも禁止する法律が今、日本の国内にあります。

 政府に聞きますと、ウクライナで使われたクラスター弾の製造メーカーは分からないということなので、どのメーカーが造ったか分からないものの、今、日本のGPIF、公的年金の積立金の運用が、どうもそのクラスター弾を造っている企業に投資されているではないかというような話。もしそうであれば、とんでもないことだと思うのでございます。

 GPIFの投資について大臣にお伺いしますけれども、クラスター弾を、これまで造っていたものも含めて、今造っているものも含めて、投資している実態をお知らせください。

後藤国務大臣 クラスター弾製造企業への株式の投資状況については、GPIFが株式を所有している個別企業の事業内容を網羅的に把握する立場にないため、お答えすることが難しいということでございます。

長妻委員 GPIFから、今、配付資料の一ページ目にあるような資料をいただいたんですが、これは説明いただけますか。

後藤国務大臣 クラスター弾製造企業として名前が挙がったとGPIFが認識している、そういうことではないかと認識している企業に対する投資額をGPIFが先生にお示ししたということでございます。(長妻委員「それを読んでください」と呼ぶ)

橋本委員長 長妻昭先生、今認識は言われたので、御質問してください。

長妻委員 いや、だから、それを言ってください。

橋本委員長 読んでくださいということです。

後藤国務大臣 委員長の御指示ですけれども、これまでにクラスター弾製造企業として名前が挙がったとGPIFが認識している企業に対する投資額ということで先生にお答えしたということのようでございますが、エルビット・システムズ、それからハンファ、テキストロンということで、製造中止が公表されているというものもあるやにも伺っておりますけれども、そのようなものであるということだそうでございます。

長妻委員 クラスター弾を製造している企業への公的年金の投資というのは、ヨーロッパでは多くの国で禁止しているんですね。条約でもこれは禁止されていますから。今三社おっしゃっていただきましたけれども、大臣、これは駄目じゃないですか。どうします、今後。

後藤国務大臣 ESG投資の観点から見ても問題があるのではないかという御指摘だというふうに思います。

 御指摘のGPIFの投資について、積立金運用原則の下で、被保険者の利益のために長期的な収益確保を目的として行われているわけでございまして、株式投資については、外部の指数会社が構築しているESG指数に基づいて運用を行っているところでございます。

 そうしたことのために、運用のルールからいえば、個別の銘柄を投資対象から除外する等の指示を、今、年金積立金運用の原則の下で行うということについては、これは運用の原則から考えて難しいものなのではないかというふうに考えています。

 今後とも、GPIFの年金積立金の運用については、被保険者の利益のために安全かつ効率的に運用を行い、また、年金積立金運用原則の下でしっかりと行っていくものだというふうに思っております。

長妻委員 これは、今、信じられない答弁ですね。自民党、与党もいいんですか。運用のルールからいって個別の銘柄を排除することはできないと。本当にいいんですか。クラスター弾を造っている企業に年金を、幾ら金がもうかるからといって、そういうところに投資して、運用益、国民は喜びますかね。ウクライナで使われているクラスター弾がそこの中に入っているかもしれないんですよ、製造メーカーは分からないけれども。でも、クラスター弾自体が条約で禁止されているんですよ。自民党、どうですか。とんでもないことでしょう。ちょっと姿勢を変えさせるようにしていただきたいというふうに思います。

 特に、テキストロンについては、確かに今製造中止というふうに私も聞いています。ただ、今八十七億円もGPIFは持っていますけれども、たまたま禁止、中止になった。ただ、韓国のハンファとイスラエルのエルビット・システムズ、これは今も造っているとも言われておりまして、そこら辺、問合せはしていただけませんか、この二社に。今クラスター弾を造っているんですかと、問合せぐらい、大臣、していただけませんか。その問合せするかしないかに特化して、ちょっとお伺いします。

後藤国務大臣 年金積立金の運用というのは、他事考慮の禁止、あるいは個別銘柄選択の禁止という制度上の枠組みの上に立って、指数運用という形で指数会社のつくる指数に対して運用をする仕組みになっております。

 そういうことでありますから、個別の銘柄について指数に入れる入れない、そうしたことも含めて意見を聞く、あるいは意見を言うということは差し控えたいと思います。

長妻委員 これは自民党の皆さん、どうなんですかね。問合せもしない、他事考慮だと。

 私、金融庁に、このファンドに詳しい方にお話を聞くと、そんなもの、お客なんだから、GPIFは、そんなもの幾らだって、このファンドからこの企業を外してくださいとかなんとかというのは、もちろん言うことができると。ただ、恣意的にはできないけれども、条約で禁止されているものを造っている。ヨーロッパの諸国では、多くの国でそういうのは除外しているんですよ。でも、問合せすらしない。あなた方の企業は今、クラスター弾を造っているんですかと、その問合せすらできない、これはとんでもないことだと思いませんかね、自民党も。おかしくないですか、これは。

 これはとんでもないと思います。私も徹底的にこれから、ちょっと確認をさせるようにしてまいります。エルビット・システムズは二十六億円、今、株を持っている。ハンファ、韓国の企業、これは軍需産業の企業ですけれども、十億円持っているということですね。かつては、テキストロン、これは八十七億円持っていたということなので、問合せすらしないというのは、これはもうおかしい、どう考えてもおかしいと思いますので、是非問合せをしていただきたいということで、是非理事会で協議してください。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 そしてもう一つは、次の二ページ目でございますが、今GPIFは、ロシアの株や債券を何社で幾らぐらい、そして債券、国債は幾ら持っておられますか。

後藤国務大臣 GPIFの保有しているロシア関連資産については、令和三年三月末時点において、国債約三百億円を含む債券が五百億円、株式が千七百億円となっておりまして、合計約二千二百億円になっております。

長妻委員 二ページ目に、GPIFから、今GPIFが持っているロシアの企業の株、二十一社のリストをいただきました。

 今日、外務省も来ていただいておりますけれども、この中で、アメリカが経済制裁している企業を教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 GPIFの資料にあります投資先ロシア企業二十一社のうち、今回のロシアによるウクライナ侵略を受けて米国が金融制裁の対象とした企業は、ズベルバンク、VTBバンク、ガスプロム、ガスプロムネフチ、アルロサ、トランスネフチの六社と承知しております。

長妻委員 今の六社は、赤い印を配付資料につけましたけれども、この六社が、アメリカ、ヨーロッパも一部経済制裁をしている企業、この株を今持っているということなんですね。

 特に、ガスプロム社、これは有名ですが、五百九十三番、真ん中の方にありますが、これはいわゆる、プーチン大統領がサンクトペテルブルクの副市長をやっているときの部下だったんですね、ガスプロムのアレクセイ・ミレルCEOが。オリガルヒと言われている側近中の側近の方で、これは欧米諸国が資産凍結とか取引禁止とか相当強い措置をしている。

 日本は株を今も持ち続けているということで、当然、今、株式市場がロシアはちょっと大混乱していて、なかなか売るに売れないということは分かるんですが、ただ、侵攻して一か月ですよね。侵攻した直後というのはまだ株式市場は開いていたんですけれども、何でこういうのを、何か対応を今までしたのか、しようとしたけれどもできなかったのか、どっちでございますか。

後藤国務大臣 先ほどから同じ話を申し上げているわけでありますけれども、GPIFの年金積立金は、法制度上、長期的な観点から、被保険者の利益のために行うということと、それから金融市場、企業経営に膨大な公的資金のお金を恣意的に投入することによって影響をマーケットに与えないように、投資判断の全部を運用受託機関に一任する、そういう運用の仕組みになっております。

 そのために、政府やGPIFは、積立金運用の目的以外の事項を考慮することや、特定の企業等を投資対象から入れたり除外するというような指示を行うことはできない、そういう仕組みの中でGPIFの年金積立金の運用をいたしております。

 その上で、御質問のロシア関連資産については、GPIFが採用している全ての債券、株式の運用指数において、指数会社がロシア関連資産を投資対象から除外することを発表しておりますので、そういう意味では、GPIFの運用している運用対象指数資産の中から除外されるという形で、これは排除されるものだというふうに思っております。

長妻委員 私がGPIFに聞くと、ロシア株は今も持っている、こういうお話でしたから、除外されていません。

 指数からは除外されていますけれども、指数から除外されたからといって、パッシブ運用は除外されるかもしれませんが、アクティブ運用は除外されない可能性があるということであります。

 そして、ロシア国債でありますけれども、三百億円持っていると。これはデフォルトの危険性が出ていますよね、S&Pの格付も相当下がってきておりまして。確かに、市場で今売れないというのは分かるんですけれども、この三百億、ロシア国債、侵攻から一か月たちましたけれども、何かアクションを起こそうとはしたんですか、売ろうとしたり、これまで。

後藤国務大臣 GPIFの運用受託機関においては、被保険者の利益のための安全かつ効率的な運用という目的に即して、リスク管理の観点から、新規投資を停止し、既に保有している資産については、取引の大幅な制限から、なかなか売買が困難な状況でありますけれども、状況を注視しつつ、適切な時期での売却等の必要な対応が行われる方針であるというふうに承知しております。

長妻委員 前から言われていることですけれども、GPIFは、ちょっと言葉が悪いですが、素人的な方が、つまり投資のプロがいない形で全部お任せだというようなことなので。そうじゃなくて、リスクの判断とか、やはり、人道的に条約で禁止されているような対人地雷を含めた兵器を造っているところとかは、ちゃんと自分で考えて除外しないといけない。

 これも確認しましたけれども、法律的に、それを除外することが法律違反にはなりませんから。被保険者の利益というのはもちろん書いてありますけれども、それを除外するということは今の現行法でもできるということですので、もうちょっと主体的に取り組んでいただきたい。世界の流れに取り残されないような運用をきちっとしていただきたいということで、終わります。

 よろしくお願いします。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、精神障害者の支援と、年金制度についてお伺いをいたします。

 まず、精神障害者についてですが、身体障害者福祉法には身体障害者相談員制度が定められ、知的障害者福祉法にも知的障害者相談員制度が定められ、それぞれ交付税で予算措置されています。当事者や家族会、支援団体などが相談員となり、初期相談や体験を生かした相談が行われ、令和三年四月時点で、身体障害者相談員は全国に六千六百九十四人、知的障害者相談員は三千百十人いらっしゃる。

 一方で、精神障害者については、市町村による相談と、それから精神保健福祉士による専門的な相談のみが法律に定められ、身体や知的障害者のような家族会や支援団体が相談員になれる仕組みがありません。

 令和二年度に市町村の相談支援を利用した障害者の人数は、身体障害が四十八万人、知的障害が五十三万人、そして精神障害が六十万人と、精神障害の相談ニーズが最も多い状況でもあります。相談員制度がない中で、精神障害者の家族会や支援団体はボランティアで相談事業を展開しており、多くの精神障害者、また家族が助けられています。

 そこで、大臣に伺いますが、精神障害者や家族が行う、あるいは支援団体が行う、この相談事業の件数とか団体数、こうしたまず実態把握をすべきではないでしょうか。

後藤国務大臣 厚生労働省では、精神障害者の当事者や家族による相談事業等の推進に資するように、自治体の取組に対して財政的な補助を行っているところでございます。この事業を通じまして自治体から情報収集をしたところ、各地域において精神疾患の経験者による患者への相談や、家族による他の家族への相談、相談員の養成のための研修会の開催等が行われていると承知はしております。

 精神障害者の当事者や家族の地域における活動等の実態を更に把握することを通じて、こうした活動が有効に生かされるよう取り組むことは重要であるというふうに考えておりまして、令和四年度に各地域で行われている当事者活動及び家族活動についての実態の把握を行ってまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 現在、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業として、精神障害者の家族支援やピアサポートに一定の予算がついています。兵庫県でも当事者団体が委託を受けて、二百七十人の相談員が活動している。しかし、都道府県や指定都市などが自ら手を挙げて、しかも数ある事業メニューの中から家族支援やピアサポート事業を選んで実施してくれなければ、予算がまだつかない状況でもあります。

 そこで、重ねて大臣に伺いますが、やはり、身体障害者相談員とか知的障害者相談員のような制度を精神保健福祉法にきちんと定めて、国が予算措置をして、家族会や支援団体による相談員制度を全国展開すべきだと考えますが、御所見を伺います。

後藤国務大臣 精神保健福祉法では自治体で精神保健に関する相談支援を担う精神保健福祉相談員に関する規定が設けられておりまして、精神保健福祉士、保健師等の専門職が配置されております。

 精神障害については、本人の病状の変化が障害の程度に大きく影響するという他の障害とは異なる特性があり、医療だけでなく、福祉、介護等の多様なサービスを切れ目なく受けられるようにする必要があります。

 精神保健福祉相談員は、専門的な知見を活用しながら、関係機関が連携を図り、本人が必要なサービスを切れ目なく受けられるよう助言を行う役割を担っております。

 これに加え、当事者や家族の立場で助言を行うピアサポートの役割が近年高まっております。厚生労働省においても、地域の実情に応じピアサポートの配置が進められるように、都道府県に対する予算の補助などの支援の拡充を図っているところでございます。

井坂委員 大臣が答弁で、ピアサポート、当事者による相談を、非常に必要性が高まっている、それを認めて予算をつけてくださっている、ここまでは私も大変評価しております。

 ただ、やはりここまで来たら、身体、知的と同じように、やはり普通に、精神障害者相談員という制度、これをきちんと法律で定めていただいて、それに基づいて、これは地方によって差がある話ではないですから、ピアサポートの必要性というのは。これはやはり法定していただきたいと思うんですが、ちょっとそろそろ検討ぐらいしていただけないですか、大臣。

後藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、実態等をしっかりと把握しながら考えさせていただきたいと思います。

井坂委員 ちょっとしつこくて申し訳ないんですが、実態把握していただいて、要は、全国満遍なく相談事業がボランティアで行われている、しかもそれが非常に役に立っているという実態が分かれば、これは、身体、知的と同じように、精神障害者相談員という制度、これを定めていただくことを前向きに検討していただける、先ほどの答弁はそういう理解でよろしいですか。

後藤国務大臣 まずは実態把握をしっかりやらせていただきたいと思います。

井坂委員 今日のところは、そこまでの御答弁をいただけたということで、前向きに解釈をしたいというふうに思います。

 引き続いて、今度は年金制度について伺います。

 高齢者に五千円を給付するという政府・与党の政策が迷走しております。参議院選挙目当てのばらまきだという批判は免れないわけでありますが、一方で、背景には、物価が上がるのに年金が下がることに対する問題意識もあるのだろうというふうにも思います。

 実際に、この一年間で食費の負担は一人一か月当たり千円増えたとする専門家もおり、これが更に四月からは小麦が一七%上がり、紙おむつやトイレットペーパーが一〇%上がるなど、また軒並み値上げが予定をされています。

 一方で、令和四年度の年金額は昨年から始まった年金額改定ルールにより〇・四%下がるわけであります。昨日、政府の閣僚懇談会では、このように言われていました。物価高騰に直面する国民生活の不安を解消する観点から、困窮する方々の生活を守るべくセーフティーネットを強化する、こういう対応が示されたわけであります。

 大臣に伺いますが、物価が高騰する中で年金額が下がっている。この場合、特に年金額の少ない高齢者について、年金以外の方法も含めて、どのように対応されますか。

後藤国務大臣 年金額の改定率がマイナス〇・四%となっているわけでありますけれども、これについては、年金額の改定ルールに基づきまして、前年の物価、そして三年間の賃金がマイナスとなったことを反映している数字でございます。

 足下の物価高騰への対応については、昨日、総理から、原油価格・物価高騰等総合緊急対策の策定について指示があったところでありまして、政府全体として検討がこれから進められるものと承知しております。

井坂委員 昔は、年金をもらい始めた後の毎年の年金額改定、既裁定年金と言いますが、この改定は物価に連動しておりました。ところが、配付資料の1を御覧いただきたいんですけれども、これが昨年から始まった新ルール、年金額改定の新ルールです。

 緑色の棒グラフと矢印を御覧いただきたいんですが、この新ルールでは、既裁定者、すなわち高齢者の年金は、とにかく物価と賃金の低い方にただ合わせる、合わせて下げる、こういうことになったわけであります。その結果、物価は上がるのに年金は下がるといったことが起こるようになっています。

 ちょっと時間の都合で、参考人、一つ飛ばしますけれども、配付資料二枚目、2を御覧いただきたいと思います。

 物価と賃金の低い方に合わせて年金を切り下げる、我々が二〇一六年当時、年金カット法案と批判をしていたこの新ルールが国会で成立して、もし仮に、その翌年、二〇一七年から新しい年金額改定ルールが始まっていたらというグラフを私の方で作成をいたしました。黄色い折れ線は物価の推移。そして、青い折れ線が、古いルールのままなら年金額がどう増減するか。複雑なのでマクロ経済スライドの影響は除いてあります。そして、一番下の赤い折れ線が、新ルールで年金額改定を毎年行った場合にどうなっていたか。こういう黄色、青、赤の三色のグラフであります。

 古いルールから年金額が更に削られて、赤いグラフは黄色い物価との差が開く一方になっています。さらに、赤い点線のグラフのように、マクロ経済スライドを追加すると、年金は物価に比べて下がる一方ということになります。

 二〇二一年、昨年から始まった年金額の改定ルールでは、これは大臣にお伺いしたいんですが、既裁定者の年金額は物価から一方的に乖離をして、対物価の実質年金額は下がり続けるのではないですか。

後藤国務大臣 先ほども委員が座標軸のような資料をお示しになっておりましたから、そうしたものに従って改定をしていくわけでございまして、年金制度の給付の原資となる保険料収入は現役世代の賃金収入に連動いたしますが、賃金水準がマイナスの状況は制度の支え手である現役世代の生活にとっても大変厳しいものであります。

 こうした状況について、年金を受給する高齢世代も、それも共に分かち合うことで給付と負担の均衡を図りまして、制度の長期的な持続可能性を担保していくことが重要であり、それが制度の趣旨だというふうに考えます。賃金変動が物価変動を下回るような場合でも、賃金変動に合わせて改定をする考え方を徹底することは、制度の持続可能性と国民の信頼の確保のために必要なルールと考えております。

 賃金水準がマイナスの状況は現役世代にも高齢世代にも大変厳しいものであることから、賃上げに向けて、政府全体として、あらゆる施策を総動員し、企業が賃上げしようと思える雰囲気を醸成することが大切だということを申し上げているのは、そういうことにもよるわけでございます。

 そして、先ほどの委員の御質問について、ここ数年に起きていることについての御質問ということであれば、年金の水準が下がるという認識でございます。

井坂委員 最後におっしゃったように、ここ最近の経済の状況に合わせて新しいルールをやると、やはり年金が対物価で下がるという御認識、これは、大臣がおっしゃったように、こういうルールに変えた政府側の意図というのは、この間、御説明いただいたとおりなんです。ただ、それを実際にやると、やはりこういうことが懸念したとおり起こると。

 しかも、これは、ここ五、六年が何か特別なのではなくて、もちろんコロナやウクライナが理由でもなくて、新しい年金額改定ルールの仕組み上、赤いグラフの年金額は黄色いグラフの物価を必ず下回って、しかも、両者の差は一方的に開き続けて、一度下がった年金額が再び物価に近づくことは、これは構造上ありません。昔はあったんですけれども、新しいルールではそういうこともなくなってしまいました。

 高齢者に五千円配りたくなるような年金のマイナス改定、これがまた今後も累積をして、今年は五千円だけれども、来年は八千円、一万円配らないと物価との差が埋められない、こういう状況にもなってくるわけであります。

 ポイントは、今、年金をもらっている高齢者だけの問題でもありません。若い世代も、老後に年金をもらい始めた後は、全く同じルールで、年金額が物価に比べて下がり続けます。

 さらに、資料2の上の表、数字の表を見ていただきたいんですが、表の中の下の緑色の行ですよね、これは新規裁定者年金、新ルール、この緑色の行なんですけれども、この数字は、実は上の赤い行と全く同じ数字で減り続けています。どういうことかというと、これはもう若い世代が老後に一番最初にもらう年金額も、まさにこの赤いグラフと同じような推移をたどって、物価に比べて減り続けていくということであります。

 ちょっと時間があれなので、また、参考人、ごめんなさい、飛ばしてしまって申し訳ありませんが。

 年金が物価に比べてどんどん下がる、こういう新しいルールで今後どういう問題が起こるのか。資料の3を御覧いただきたいと思います。これはNHK解説委員室というところのウェブサイトをそのままコピーしたものであります。

 未婚や離婚の独身女性の老後の貧困率というのが上のグラフの赤い線で示されています。貧困率は二〇五〇年頃に向けてどんどん上がり続けて、最終的には未婚や離婚の独身女性の老後の貧困率は五一%に達する、こういう試算、研究結果であります。しかも、未婚や離婚の独身女性というのは、五十歳台に限っても二割いらっしゃって、全くレアケースではない。しかも、今後更に増えてくることが予想されています。

 大臣に御認識を伺いますが、この上のグラフに書いてあるように、二〇五〇年頃に向けて独身や離婚の女性の老後の貧困率が著しく高まる、そういう御認識はありますか。

後藤国務大臣 御指摘の、独身、離婚女性の老後の貧困率について、政府として将来推計等を行ったものは承知していませんが、一般的に単身女性が将来低年金に陥りやすいとの懸念があるものというふうに認識しています。

 これについては、女性の賃金が現状では残念ながら相対的に低い傾向にあること、女性は男性に比べて配偶者に扶養されている割合が高いこと、出産、育児等により一時的に就業が継続できない環境に置かれる場合があって、年金期間が短くなる場合があること等が、その要因として考えられると思います。

 したがって、社会の実態を踏まえた老後の所得保障を図っていくためには、就業継続できる環境整備や被用者保険の適用拡大を進めることで、女性が自らの保険料納付に基づいて年金給付を確保できる環境づくりに努めていくことが重要であるというふうに考えております。

井坂委員 大臣が今御答弁いただいたようなことが直ちにできればまだいいと思うんですが、それでも、今既に三十代、四十代、五十代の女性にとっては、今から社会状況が変わったりしても、もう老後の年金はほとんど増えないわけであります。

 もう一枚めくって、資料の四番目を御覧いただきたいのですが、先ほどは研究者の方の研究結果をNHKが掲載をしていた形、こちらは厚生労働省年金財政検証の資料であります。

 左下に赤く囲んだのが単身世帯の女性で、正規雇用でも非正規雇用でも、やはり賃金が低いところに単身女性が比較的多く存在します。その結果、左上の赤い囲みの部分、これは単身ですから括弧書きの半分の方を見ますけれども、年金額も月十万円以下、厚生年金でも月十万円以下の単身女性が多くなってまいります。

 単身の男性は、右下の青い囲みのように、正規雇用で所得の高い層が圧倒的に多くて、老後の年金額という意味でも貧困というほどは低くはなりません。

 これは国民生活基礎調査ですから、ある一時期の収入、このまま老後の年金分布になるわけではないというただし書はありますが、そうはいっても、大臣もおっしゃったように、女性は男性に比べて、しかも年齢を重ねても収入が余り増えないという現在の実態もありますし、また厚生年金の加入期間も女性の方が短いということを考えれば、やはり、単身の女性、特に独身、未婚、離婚の女性の老後の年金というのは総じて低いものにならざるを得ないという現実、御認識いただけるというふうに思います。

 なぜこうなったかというと、やはり、今の年金制度、モデル世帯とずっと言われてきましたけれども、結婚もして収入もそこそこある、四十年間保険料を払い続けている、こういう理想的なモデル世帯だけを見て年金制度をつくってきた結果、現在の年金制度では単身の女性が老後とんでもなく低年金になる可能性が高まる問題が起こっているのだと思います。

 大臣、もう一つ現在の年金制度には見過ごせない問題があります。

 もう一枚めくっていただいて、資料の五番目を御覧ください。上のグラフです。緑色に塗ってある折れ線は六十五歳以上の高齢者の人数です。高齢化率が今後高まるだけでなく、人口減少の中でも高齢者の人数は二〇四五年頃まで増え続けます。

 一方で、オレンジ色の棒グラフは基礎年金の国庫負担額です。二〇一九年から二〇二六年は国庫負担十二・三兆円、年金に出しますが、二〇三八年には十・七兆円、そして二〇四六年には九・八兆円と、何か年金を受け取る高齢者の人数は増え続けるのに、国が基礎年金に払うお金は減り続けるわけであります。

 大臣に率直にお伺いしますが、このように、高齢者の人数、年金をもらう人数が増え続ける中で、しかも独身女性の貧困率が五一%になろうかという二〇五〇年に向けて基礎年金の国庫負担総額が減り続けるということに、率直に、大臣、問題を感じないでしょうか。

後藤国務大臣 二〇一九年の財政検証のケース三によりますと、ケース三というのは経済成長と労働参加が進むケースのうち最も控えめなケースでありますけれども、基礎年金の国庫負担総額は、二〇一九年度の約十二兆円が、二〇四六年には名目額で約十八兆円に増加いたしますが、名目賃金上昇率による割り戻した実質額では約十兆円に減少する見通しでございます。

 このような結果となる理由は、マクロ経済スライド調整によりまして基礎年金の額の伸びが賃金上昇率よりも低く抑えられていくということのためでございます。

 国庫負担は基礎年金給付費の二分の一なので、国庫負担の総額の伸びは基礎年金給付費の伸びと等しくなるということが前提でございます。

 この基礎年金ですけれども、所得の多寡にかかわらず、一定の年金額を保障する所得再分配機能を有する給付でありまして、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が行われる中でも、この機能を将来にわたって維持することは重要であると考えています。

 このため、基礎年金の所得再分配機能の維持に向けてどのような方策が可能であるか、今後の年金制度を検討する中でしっかりと検討する必要があるというふうに思っております。

井坂委員 大臣が御答弁でおっしゃった所得再分配機能は、とても年金にとって大事な機能だと思います。そしてまさに、もちろん保険でお互いに平準化するという再分配機能も一部あるでしょうが、しかし、やはり国庫負担できちんと再分配機能、さらには老後の生活が苦しい層にはきちんと税金で上乗せをしていくというのがそもそも大事なのに、大臣がおっしゃったように、基礎年金が、マクロ経済スライドとか、今回の、昨年からのカットルールとかで、とにかく基本的に減る一方の仕組みに今なっておりますから、基礎年金が減れば、その二分の一で自動的に国庫負担額も減ってしまう。

 今の仕組みではそうなるんですが、そのような制度を放置をして国庫負担を減らすから、私は、逆に、単身女性の老後の貧困率が五一%までウナギ登りになるというような、大変な矛盾が今後噴き出してくるのではないかなというふうに懸念をしております。

 資料の5の下の方を最後に御覧いただきたいんですが、私は、四年間の浪人期間中に、先ほどの稲垣誠一先生、NHK解説委員室の解説をしていた稲垣誠一先生を始め三人の気鋭の年金財政学者の方々と一緒に、全く新しいベーシックインカム年金という制度を立案をしておりました。厚生年金の制度はそのまま変えずに、基礎年金の財源を組み替えようという案であります。

 現在の基礎年金は保険料と国庫負担が半々であります。そして、様々なスライドで、後になるほど減り続ける仕組みになっています。それを、国庫負担と保険料、上下半々ではなくて、七十五歳を境に、前後半々で財源の組替えをしようと。七十五歳の前半、六十五から七十五までは全額保険料の年金、そして、七十五歳以降は全額国庫負担で定額のベーシックインカム年金を給付をできないかということを、これは数字も含めてかなり詰めて考えてきております。

 さらに、前期基礎年金は全額保険料ですから、厚生年金と国民年金の財政統合もすんなり可能です。また、七十五歳以降の年金額を月八万円に設定していますから、その分追加の財源も必要ですけれども、その財源の方法も種々、これは甘くはない話でありますが、考えてきております。

 これはあくまで私の案で、今日これに対してどうだこうだという議論はしませんが、大臣、最後に伺いたいのは、やはり政府も、現在の年金制度の問題を根本的に解決するため、やはり後期高齢者ぐらいは、基礎年金は全額税財源で定額、これは年金払った払わないにかかわらず定額で給付をすべきではないか、こういうことをちょっとそろそろ真剣に考えるべきではないかと思うのですが、最後に御所見を伺います。

後藤国務大臣 年金受給者のことを考えると、いろいろ心の痛むことももちろん正直言ってあるわけでありますけれども、世代間の公平ということを考えてみたときに、今の若い世代の将来の年金の姿をどういうものとして位置づけて、そのバランスをどう取るかということは、これは政治の大きな責任だというふうに思っています。

 そして、税財源による給付についてでございますけれども、それは、どのような仕組みであれ多額の恒久財源が必要となるわけで、それが若い世代を中心とした国民の負担となるというところから、いろいろな検討を慎重に、しかし、今後の、将来の安心できる年金制度のために検討していく必要があるというふうに思っております。

井坂委員 終わりますが、今の制度でやりくりしようとすると、若い世代か年金世代かどっちを削るかみたいな議論にしかならないし、あと、最後におっしゃった、税金は必ずしも若い世代に負担がある取り方だけではないので、そこも含めて、やはり、本来の年金の制度の意義というものを真剣に考えて、また引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、平成二十四年に一部改正されました労働契約法、とりわけ無期転換問題について御質問したいと思います。

 ある働いている方が、非正規の労働、一年契約で働いていた方が一年一年ずっと更新していって通算五年を経たときに、その方は、その働いている労働者の申込みによって、次の六年目に入ったところからは無期契約の労働者になれる、いわゆる無期転換ルールが定められたわけですけれども、大臣、例えば、来年の三月三十一日にその五年目を迎える方がいるとして、その人と雇主の契約が来年の三月三十日、一日前までの契約なら、あなたと一年間これから結んであげますよ、そういう契約を雇主がしようといった場合、これをどう思われますか。どう評価されますか。

後藤国務大臣 一般論として申し上げると、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えております。

野間委員 やはり、有期契約の労働者の方の雇用を安定させるというのが、この法の趣旨だと思います。

 ところで、大臣の元にも、先日の三月二十五日に、国立研究開発法人の理化学研究所の労働組合から申入れがあったと思うんですが、これは、研究開発法人あるいは大学の教員、研究者の無期転換ルールは十年という特例になっておりますので、来年の三月三十一日がこの十年を迎えるということで、実は、理研の法人の方から、十年の前に雇い止めをすると。どうも研究者を含め六百人近い方が雇い止めに遭うという現実が一年後に迫っているということで、これはおかしい、何とかしてくれないかということで申入れがあったと報道もされておりますけれども、これに対して、大臣、どのように対処されますか。

後藤国務大臣 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、先ほど申し上げたように、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うということは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないということは申し上げたとおりです。

 その上で、雇い止めの有効性については、労働契約法第十九条の雇い止め法理に基づきまして、最終的には司法において判断されるものと考えております。

 また、厚生労働省としては、無期転換ルールの制度の内容、趣旨、円滑な運用を周知等していくことは重要と考えておりまして、文部科学省を含め関係省庁と連携してそうした取組を進めるとともに、問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局等において適切に啓発、指導等を行ってまいりたいというふうに考えております。

野間委員 既に二〇二〇年、一九年にも東北大学でも似たような事案があって、これは五年ルールでしたけれども、三百人近い方が雇い止めに遭って、その後、宮城県の労働委員会等に申立てがあって、不当労働行為ということを認定され、その後、職員組合と大学の方は和解をしているわけですけれども、既にこういう事例がもう発生をしております。

 来年三月末が、実は、東北大学とか理研のみならず全国の様々な研究法人や大学でも、恐らく数千名の研究者、研究系の職員の大量の雇い止めが十年ルールということで行われるんじゃないかということが非常に危惧されます。

 とりわけ、雇い止めに遭う方は若手の研究者なんですね。今、ただでさえ日本の様々な、科学技術中心に技術力が落ちていると言われている中で、何千名もの研究者、やはり研究というのは五年、十年、長期にわたって研究していかないとなかなか成果は出ませんので、こういった方々がどんどん来年の三月末に雇い止めをされるという現象が起きていくわけであります。これは、単なる労働契約の問題というよりは、日本の技術開発力とか、そういうとんでもない国力の低下につながると思うんですが、今日、文科省の方からもお見えになっていると思いますが、そういうことを放置していいのか。いかがでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、先ほど厚労大臣からも御答弁がございましたとおり、一般論としては、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らしまして望ましくないと承知してございます。

 この旨につきましては、これまでも文部科学省から所管の大学等に対して繰り返し周知を行ってございます。

 引き続き、この点につきましては、厚生労働省とも十分連携を図りながら、本日、委員から御指摘のあった点も含めまして、周知徹底を万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

 また、研究力との関係についてでございますけれども、我が国の研究力向上のためには、一定の人材の流動性を確保した上で、有期雇用契約の下の研究者であっても、安定的なポストの確保を含めまして、将来の見通しを持ち、研究に専念できる環境を整備する、そのことが肝要だろうというふうに考えてございます。

 このため、文部科学省といたしましては、若手研究者を有期雇用とする際の研究環境やキャリア支援の在り方などを含めたガイドラインの策定、また、若手研究者を対象とする各種の予算事業の充実、推進、また、国立大学における若手ポストの確保など、人事給与マネジメント改革を考慮した運営交付金の配分の実施等の取組を進めているところでございます。

 御指摘を踏まえまして、引き続き、人材の流動性の確保と安定的な研究環境の確保の両立を図ることにより、我が国の研究力の確保を強化してまいりたいと存じます。

野間委員 是非、文科省、厚労省さん両方連携して、若手の研究者の皆さんを助けていただきたいと思います。

 続いて、我が国の伝統的あるいは補完的医療というものについてちょっと御質問させていただきたいと思います。

 お配りしました資料の二ページ目になるんですけれども、WHOが二〇一九年に、伝統的、補完的な医療についてのレポートを発表しております。トラディショナル・アンド・コンプリメンタリー・メディスンということについての、医療の世界各国の現況を発表しております。

 この中で、国としてきちっと、その地域、民族性に合った医療、伝統的な医療を政策として持っている国ということで、世界九十八か国があるということなんですが、残念ながら我が国はそこから漏れているんですね、そこに入っていないんです。伝統的、補完的医療を大切にしてやっていない、国家的な政策になっていない、そういうことが公表されております。残念なことです。

 とりわけ、漢方や、はり、きゅうなどを中心に、これは釈迦に説法で恐縮ですけれども、歴史にあらわれただけでも、大体奈良時代に鑑真和上が中国からいろいろな漢方を持ってきているんですね。ですから、もう千三百年、千四百年の歴史が、我が国の伝統の中にはそういった医療があるんですね。こういったものが、残念ながら、今、厚労省さんの中でどのように扱われているのか。国際的な評価はこんな形になっていますけれども、いかがでしょうか、大臣。

後藤国務大臣 WHOの報告書における日本に関する記載について、日本に伝統的、補完的医学を担当する公的な部署や専門委員会はないという指摘を受けているわけでありますけれども、一方で、日本は、伝統的、補完的医学について国レベルの法律や規制があって、国立の研究機関があるということで、決して日本が、伝統的なそうした治療や、東洋医学を始めとした歴史ある多種多様な民間医療に対して、しかるべき評価をしていないというつもりではありません。

 患者、国民や医師が統合医療、すなわち、近代西洋医学を前提としつつ、それに様々な療法を適切に組み合わせた医療を選択することができるように、各種療法の安全性、有効性等に関する科学的知見を共有していくことが重要と考えております。

 こうした観点から、厚生労働省では、各種療法について安全性や医学的な有効性を評価、検討する国内の研究を支援するとともに、海外も含めて、安全性、有効性に関する科学的知見を幅広く収集して、インターネットにより情報発信する取組等も行っております。

 今後とも、患者、国民や医師が適切に統合医療を選択できるように、取組をしっかり継続してまいりたいと思います。

野間委員 是非、今、例えば中国は中医学、韓国は韓医学ということで、アメリカとかヨーロッパにも随分進出して、そういったところでも評価を受けているということでありますので、日本としてもお願いしたいと思います。

 続いて、伝統的、補完的医療を担っている漢方薬のことについてお聞きしたいんですが、漢方薬のいわゆる薬の値段、薬価、これは、お手元に配らせていただいた一ページ目の表、これは私どもの事務所で厚労省さんからの資料を使って作らせていただいたものなんですけれども、平成二年百七十・七から、現在は八十五・九、半分ぐらいになっています。

 これは、確かに漢方の特殊性で、漢方は一九六七年に医薬品として収載をされましたけれども、保険の適用で。漢方薬というのは、もちろん新薬がありません。何千年前から同じ草やあるいは鉱石、動物を使って作っていますので、新薬は生まれませんので、薬価が上がる、新しい薬ができるということはないので、下がる一方ではあるんです。

 とはいえ、今、御承知のとおり、全国で八十を超える大学の医学部や医科大学でも漢方についての教育が行われていますし、漢方の処方、漢方の消費、これはずっと、毎年毎年、二%、三%伸びております。漢方を求める人は増えているということであります。しかし、残念ながら、このように価格がどんどんどんどん下がっていきますと、製造することが不可能になってくるんですね。

 今、医薬用の漢方薬は百四十八あるそうですけれども、このうちの六十八は、漢方メーカーの一社、二社しか作っていないということで、そういったところも、これは不採算なので作るのをやめようかと言っているところも出てくるわけです。ですから、その薬を患者さん、一般の方が欲しいと言っても、もう作るところがない、それをどうしても飲みたいという方も手に入らないような状態になりつつあるのが現状であります。

 ですから、漢方薬の薬価について、できれば、いわゆる生薬として、今、基礎的な医薬品として認定されている生薬がありますけれども、これと同じ原料を使っている医療用の漢方製剤については基礎的医薬品という適用をすることができないだろうか。そしてまた、過去に不採算品の再認定を受けている医薬用の漢方製剤、生薬製剤についても基礎的医薬品として適用ができないだろうか。

 さらに、今、漢方薬の原料は八割が中国産であります。中国も豊かになって、なかなか外国に希少な薬草を出さないように、輸出しないようなことになっております。原価も上がっております。こういったことで、国内の漢方メーカーさんは、不採算品の割合が非常に増加して、採算は悪くなっております。ですから、採算の取れていない医療用の漢方製剤に対して、不採算品の再算定という制度がありますので、これを是非適用していただけないだろうか。いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 医薬品の薬価につきましては、市場実勢価格を踏まえて改定してきております。

 その上で、御指摘がございましたけれども、医療上の位置づけが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかである医薬品を一定の要件の下で薬価を維持する基礎的医薬品という仕組み、あるいは、保険医療上の必要性が高い医薬品であって、薬価が著しく低額であるために供給継続が困難であるものにつきまして、薬価を維持又は引き上げる不採算品再算定の仕組みを設けて、医療上必要性の高い医薬品の安定確保を図っております。

 令和四年度の改定におきましても、不採算品再算定の仕組みによりまして、漢方につきましては、十成分六十一品目につきまして再算定をいたしております。

 今後とも、こうした仕組みを通じまして、薬価制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えております。

野間委員 是非、日本の伝統的な医療、医薬を維持させていただけますように、薬価の面でも配慮をいただきたいと思います。

 続いて、今、農業と福祉の連携、農福連携ということで、各地でいろいろな試みが行われています。私の地元鹿児島県でも、なかなか今、農業の後継者もいない、そして高齢化、過疎化で農業の担い手が少なくなっております。そういった中で、障害を持った方などが農業をやってくれるというのは非常にありがたいことで、農福連携、すばらしい発想、構想で進んでいると思うんですけれども、社会福祉法人の方から、一生懸命農業をやりたいんだ、しかし、幾つかの支障があると。

 どういうことですかといいますと、社会福祉法人が自分たちでやはり農地を持って、そして農業法人と同じような助成措置を受けたい、機械を買ったり、トラクターを買ったり、いろいろな整備をしたり。農業法人、農事法人になりますと、いろいろな形の助成、補助が出るわけであります。しかし、社会福祉法人ですとこれができないんだということを地元の農業委員会等に相談しても、なかなか進まないという現実があるんです。

 せっかく、農福連携、福祉の方の方がやる気になって、農業を一生懸命やりたいと言っているんですから、この辺、何かいい、農福がきちんと連携できる方法はないでしょうか。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初の農地の取得に関する事項でございますが、制度的には、社会福祉法人であっても、農地を全て利用して、周辺の農地の利用に支障がないという場合には、農業委員会の許可を得た上で農地を取得することができて、農業ができるようになってございます。

 あと、農業用機械の関係につきましては、これは実は、農業者も補助制度というのがなくて、原則は融資での対応という形になっておりますが、ただ、地域において継続的な農地の利用上必要な方々につきましては、これは社会福祉法人、一般の方々問わず、農業の、農地利用効率化等支援交付金という補助事業を受けることができるようになってございます。

 委員御指摘のとおり、農福連携の輪を広げるためには、我々としても、社会福祉法人の皆様に、農業支援施策というのがこういうふうに使えるんだということを周知していくことが重要だと思っていまして、今後とも、厚生労働省の皆様とよく相談しながら、どうやったら上手に周知できるのかというのを検討してまいりたいと考えております。

野間委員 是非、市町村にそういったことを周知していただいて、従来の発想ですと、なかなか福祉法人が機械の補助を受けたりとかできません。是非それを市町村に、こういうことができるというのを周知していただきたいと思います。

 もう一つ、障害者の就労継続支援事業などをやっていらっしゃる方々から、よく、本当につい最近の一番困っていること、それは、三年ごとにいろいろな報酬単価の改定がなされるわけですけれども、今の物価高とか原油高、様々なものが高騰している時代に、三年に一回改定するというのは余りにのんびりしているんじゃないかと。今、薬価も毎年改定するようになりました。三年に一回なんというのは、とんでもない赤字を、例えば送迎の加算なんというのがありますけれども、燃料代の大変な負担をもらいながら、赤字を抱えながらやっていかなくちゃいけない。

 三年というのは余りに長いと思うんですが、どうなんでしょうか、もう少しスパンを短くして、実勢をきちっと反映させるような様々な報酬単価の改定、加算、こういったものを考えていただけないでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 障害福祉サービス等報酬改定につきましては、障害児者のニーズに対応したサービス提供を確保することが必要でございまして、直近の報酬改定の効果や影響、各サービス事業者の収支状況等のデータを収集した上で、有識者や関係者が参画する検討の場において、約一年間にわたって議論を積み重ねて、全般的な改定を行っているところでございます。

 今後につきましても、施設、事業所の経営実態やサービスの利用実態等の現下の状況を踏まえながら、持続可能で質の高いサービスが提供されるように、障害福祉サービス等の報酬改定に取り組んでまいりたいと考えております。

野間委員 そういう従来のやり方も分かるんですけれども、これだけデジタル化だ、いろいろなスピード、迅速性を求められている中で、余りにこれはのんびりした話じゃないかと思いますけれども、改めて、もうちょっと何とかならないんでしょうかね。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、この報酬改定につきましては、直近の報酬改定の効果や影響など、あるいは各サービス事業者の収支状況等のデータを収集するなど、こういういろいろな実態を踏まえた上でいろいろ議論を重ねて報酬改定をするということで、直近では、三年に一度の報酬改定になっているものでございます。

 今後ともしっかりと現状を把握をして、そして、必要な改定をしっかり行ってまいりたいと考えております。

野間委員 歯科の材料ですね、金、銀とかパラジウム、こういったものも昔は非常に長いスパンで、なかなか改定されなくて、実情が、実勢が反映されないといういろいろな苦情があって、最近では何か月かに一回改定するということになっていますので、是非、そういう前例も参酌して早くしていただければと思います。

 最後に、いわゆる介護保険の優先原則という、六十五歳まで障害福祉サービスを受けていた方が、六十五歳になってから、あなたは介護保険に行きなさい、費用負担がある介護保険に移りなさいということを言われることがあるわけです。これは、岡山の浅田訴訟あるいは千葉市での天海訴訟など、裁判にもなって、いろいろな判決も出ております。

 六十五歳になって、なかなか収入もない、いわゆる住民税非課税世帯の障害を持った方が、今まで無償で福祉サービスを受けていた方が、あしたから有償で介護のサービスに転換しなさいと言われることは、これは裁判でも実際認められなかったことでありますけれども、実際、市町村によって、まあ裁判では原告が勝訴していますけれども、市町村によって、介護保険の要介護は四以上でないととか、あるいは総合支援区分の五以上でないと介護保険を受けなくていいということにならないんだということを言われるということもあります。

 この問題は非常に困っている方も多いんですけれども、大臣、どのように御認識されているんでしょうか。

後藤国務大臣 我が国の社会保障全体の体系においては、あるサービスが公費負担でも社会保険制度でも提供されているときは、保険料を支払って国民が互いに支え合う社会保険制度によるサービスをまず利用するという保険優先の考え方が原則になっております。障害福祉制度と介護保険制度の関係についても、この原則に基づいて、同様のサービスを介護保険サービスにより利用できる場合には、まずは介護保険制度を利用していただくこととしております。

 ただし、委員からも御指摘のあった点でございますけれども、その運用に当たりまして、一律に介護保険サービスが優先されるものではなくて、お一人お一人の個別の状況を丁寧に勘案しまして、介護保険サービスだけでなく、障害福祉サービスの利用も含めて、その方が必要とされている支援が受けられることが重要であるというふうに考えております。

 量の関係で、介護保険で足りない場合はそれを障害福祉サービスで補っていただけますし、障害福祉サービスのメニューが介護にない場合は障害福祉サービスを使っていただける、そういうことでございます。

 介護保険サービスの支給限度基準額の制約等によりまして介護保険サービスで十分なサービスが受けられない場合には、障害福祉サービスも利用できるなどの取扱いを通知等でお示しをしております。

 現在進めている関係審議会の議論においても、一律に介護保険サービスが優先されるものではないこと等の運用に当たっての考え方について改めて周知徹底を図ることが必要というふうにされておりまして、このような議論も踏まえて必要な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。

野間委員 是非、介護保険優先原則から一歩先んじて、一切の費用の負担なしに必要な支援を選べる仕組みになるよう要望して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。よろしくお願いいたします。

 五歳から十一歳の小さな子供たちへのワクチン接種が始まりました。まずは、その接種状況と副反応などの報告、上がっている分について教えてください。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 五歳から十一歳までの子供に対する最新の新型コロナワクチンの接種回数は、昨日、三月二十九日公表時点で四十万八千四百八十八回となってございます。

 また、五歳から十一歳の新型コロナワクチン接種後に生じた副反応疑いの事例についてでございますが、三月十八日に開催された審議会の報告によりますと、令和四年二月二十一日から令和四年三月十一日までで、三万四千五百五十八回の接種回数に対し、二件の副反応疑い報告がございました。二件とも重くはないという報告でございましたし、回復又は軽快しているとのことでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 用意した資料を御覧ください。こちらになります。これは、全て厚生労働省が公式にホームページ等々で公表している数字を拾い集めて、表にしたものです。

 改めて世代別の数字を可視化することで、コロナウイルスの年齢が上がるとともにリスクが高まるという特徴がはっきり示されています。高齢者の方々にとっては、本当に重症化や死のリスクのある感染症であり、希望する方々がすぐにワクチンを接種できる環境を整えることは、政治の責任として大変重要であると改めて思います。

 しかし、一方で、子供たちを守るのも政治の責任です。世代ごとに、ワクチンリスクとの関係が逆転していくのがよく分かります。御覧ください。コロナのリスクは、若い人ほど、子供たちほどリスクが少ない。一方、ワクチンのリスクは、若い人ほど、子供たちほど、そのリスクが高い。

 例えば二十代、コロナによる死亡者が三十六名、一方、ワクチン接種後の死亡者が二十六名で、重篤者が何と七百三十一名もいらっしゃいます。子供たちはどうでしょうか。十代を見てください。コロナによる死亡者数が八名、一方、ワクチン接種後の死亡者は六名で、重篤者は四百十三名です。

 何度も強調します。厚生労働省が既に公表している数字です。政府は明らかにリスクコミュニケーションが不足しているのではないでしょうか。この実態を国民の皆様が事前に知らされていれば、我が子に、三万人を超える子供たちに本当にワクチン接種されたでしょうか。私は、六歳の息子にワクチンを打たせることはしません。

 前回の質疑でも大臣にお尋ねしました。この表を御覧いただいた上で、改めて大臣にお尋ねします。そもそも、重症化リスクの極めて低い健康な子供たちへワクチンを打たせる目的は何でしょうか。小さな子供たちへのワクチン接種、本当に必要なのでしょうか。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチン接種については、厚生科学審議会におきまして、緊急の蔓延予防のために実施する必要があり、今後流行する変異株の状況、ワクチンの有効性、安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況等も勘案して、これを総合的に判断し、特例臨時接種として実施することが適当とされたわけでございます。

 専門家のこうした意見を踏まえて厚生労働省としては決定したわけでありますけれども、緊急の蔓延予防のために実施するという特例臨時接種の趣旨を踏まえて、希望する方にはできるだけ多く接種していただきたいというふうには考えております。

 本人や保護者が接種の意義を踏まえた上で安心して接種を受けられるように、引き続き、必要な情報をしっかりと発信しながら、ワクチンの有効性や安全性等を丁寧に分かりやすく説明してまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 集団免疫のために、社会のために、私たち大人のために、小さな子供たちが犠牲になるようなことがあっては絶対なりません。むしろ逆です。私たち大人が子供たちを守らないといけません。未来のある子供たちへのワクチン接種、いま一度見直し、検討が必要ではないでしょうか。

 山井委員も先ほど言われました、子供を守るのは大人の責任です。大臣、政治家として、厚生労働行政の最高責任者として、どうか御一考いただけないでしょうか。是非ともお願いいたします。

 時間がないので、次の質問に入ります。

 先日、私の地元長崎の県議会で、ワクチン接種後の副反応に悩まれる方々に対する専用の相談窓口が設置されることが分かりました。厚生労働省に確認したところ、もう既に全国四十七都道府県で相談窓口が開設されているとのことでした。大変すばらしいと思います。

 さらに、健康被害救済制度もあるとのこと。このコロナワクチンによって健康被害を訴える方々の救済制度について、簡潔に御説明いただけますでしょうか。現在までの申請者数や承認数も教えてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防接種法に基づく健康被害救済制度は、予防接種後の疾病、障害、死亡につきまして、予防接種との因果関係が認定された方を迅速に救済するものでございます。

 また、この認定は、御本人などからの市町村への申請に基づき、厚生労働省に置かれます疾病・障害認定審査会における審査を踏まえて行われております。現在のところ、この新型コロナワクチンに関する健康被害救済については、三月二十五日に開催されました審査会の時点で、国が受理した市町村からの進達件数は千百九十八件でありまして、このうち認定した件数は六百五十件となっております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 これもまた大変すばらしい救済制度だと思います。広く国民の皆様に是非知っていただきたい内容です。

 その上で、私も、この救済制度、コロナワクチンの健康被害の方々の詳細な資料を確認しました。アナフィラキシーや急性アレルギー反応などの症状がほとんどでした。

 心筋炎や心膜炎などの症状に悩まれている方々からは、申請はあっていないのでしょうか。また、お示しした表にあるとおり、ワクチン接種後にお亡くなりになられた方々は千名を超えていらっしゃいます。こういった方々、御遺族からの申請はあっているのでしょうか。教えてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 三月二十五日に開催されました審議会の時点でございますが、疾患名が心筋炎又は心膜炎であるものにつきまして御質問をいただきました。

 国が受理した市町村からの進達件数及び認定件数につきましては、進達された際に記載されている症状名あるいは診断名は、審査会を経て決定される傷病名と一致しないことから、進達受理件数の内訳をお示しすることはなかなか難しいものと考えております。

 また、現在のところ、審査の結果、心膜炎又は心筋炎が原因と認められて給付が認定された事例はございません。

 それから、死亡事例について御質問がございました。

 市町村から進達を受けました件数は七十九件となっております。このうち審査された件数は五件でありまして、いずれも審査結果は現在保留となっております。

山田(勝)委員 ちょっと驚きました。こちらの、心筋炎や心膜炎に対して、因果関係がないということで、給付要件を満たさない、医療費、医療手当の、そういった回答であったかと思いますが、実際、これも厚生労働省の資料で正式に発表されているものです。心筋炎として評価された事例は、ファイザー社のワクチンで二十八件、モデルナ社のワクチンで十八件。また、心膜炎は、ファイザー社で十一件、モデルナ社で二件。正式に評価された方が五十九名いらっしゃる。ちなみに、疑いとして報告があった数は百五十八名もいらっしゃる。なぜ心筋炎や心膜炎で健康被害を訴える方々がこの救済制度の対象にならないのか、大変不思議でなりません。

 また、死亡者の救済制度への届出、相談に関して、まずもって、七十九件しか上がっていない、千件以上の方がいらっしゃって。これも驚きの数字ですし、さらに、その七十九件から五件しか承認されていない。これもまた大変驚きの内容であると感じております。

 ちなみに、なぜ死亡案件は七十九件中五件しか認められていないんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、進達受理件数七十九件でありますけれども五件しか審査されていない理由としましては、まず、原則として進達をされた順に審査を行うということがありまして、アナフィラキシー等から進達されている件数が多いということがございます。また、医学的な観点で審査を進めるために、死亡に関しましては、必要な資料の整理に時間がかかるという状況がございまして、今のような状況になっております。

 それから、もう一つ御質問がありました、ファイザー社、モデルナ社での心筋炎の件数につきまして、これは、救済制度ではありませんで、副作用報告の方で、医師の方から心筋炎の疑いがあるというふうに御報告をいただいたものを掲載しております。

山田(勝)委員 であれば、今審査中ということで、この後、その七十九件の方々も順次審査が通って、そういった支援金の対象に、死亡一時金や葬祭料など、こういったものは遡ってお支払い可能なんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、進達した件数につきましては、我々としては、なるべく早く審査をし、そして必要な手続、救済等につなげていきたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 コロナから重篤な健康被害や命を救うのもワクチンです。しかし一方で、ワクチンによる副反応に悩まれる方や命を失う方がいらっしゃるのも事実です。相談窓口や救済制度の更なる充実を心よりお願いいたします。

 その上で、先日、厚生労働省の担当者の方から、いまだに後遺症や死亡事例とワクチン接種の因果関係は、この時点においても認められていないというお話を伺って、大変驚きました。医療費や死亡一時金がもう既に、先ほどのように国費で支払われています。さらに、阿部委員から指摘があったように、医療機関が因果関係ありと報告しているにもかかわらず、政府は因果関係を認めていない。この状況、全く理解できません。

 大臣、どういうことなのか、国民の皆様に分かりやすく御説明いただけませんか。

後藤国務大臣 ワクチン接種後の副反応が疑われる症状につきましては、副反応疑い報告制度により常に情報を収集しておりまして、定期的に開催している審議会において評価が行われております。

 御指摘の、長期にわたり様々な症状が続いている等の、いわゆる後遺症のような長引く症状についても報告を受けております。直近の審議会では、現状において、これまでワクチン接種が原因と判断されたものはないという評価をいただいております。

山田(勝)委員 先日、子宮頸がんワクチンの被害者の方々と直接お話をしました。大変心が痛くなりました。国が推奨したワクチンにより、若い女性が全身の痛みに悩まされ、歩行もままならない、太陽の光を浴びることが制限される日々。当時中学生だった彼女たちに、このようなリスクについて事前に説明がありましたかと尋ねました。全くなかったと。将来病気にならないために国が無料で注射をしてくれている、教室では、みんな当たり前に注射を打つものなんだ、そういう雰囲気であったと教えてくれました。

 その情景を思い浮かべたとき、大変怖い思いをしました。我が党には、薬害エイズの原告として国と闘い、今なお命を守る政治活動を行っている川田龍平議員がおられます。一体この国は薬害訴訟や被害者の方々から何を学んできているのか。

 大臣、コロナワクチン被害者の方々に対し、このまま本当に因果関係を認めないという考えでよろしいのでしょうか。

後藤国務大臣 今申し上げたように、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会、そして、その下にある副反応検討部会、そうしたところで直近の審議会における判断をいただいているということでございます。

 厚生労働省としては、引き続き、副反応に係る十分な情報や国内外における副反応疑い事例の収集に努めるとともに、ワクチン接種との個別の因果関係や集団としての傾向等の評価を速やかに行ってまいるとともに、国民にもお知らせしていきたいというふうに思っています。

山田(勝)委員 体裁上の救済制度では、被害者の方々は報われません。因果関係を認めてこそ真の救済ができるものであると強く訴えます。そして、今、大臣のお言葉がありましたが、是非とも認めてください、一日でも早く、因果関係を。心からお願いいたします。

 次のテーマに移ります。

 介護、障害福祉職員、九千円の賃金アップについてです。

 前回も御指摘させてもらいました。到底、一人当たり九千円の支給額に至らないと。

 改めて、どのようなケースなら九千円支給できるのか、私自身が運営している事業所、放課後等デイサービスの一例で試算をしてみました。

 毎日ほぼ最大の利用者数で月額二百四十万円の福祉報酬がある場合、かつ、その一事業所の職員が五名体制で運営した場合に、ようやく一人当たり九千円に到達しました。しかし、現場ではこのような状況、あり得ません。週六営業で週五勤務の職員です。ほとんどの営業日が、実質四名で、障害を抱えたお子さんたちを支援することになります。往復の送迎サービスもあります。リスクが高過ぎるし、何よりも十分な福祉サービスをその人員体制では提供できるわけがありません。これは、私の会社だけではなく、同業者の方々にもヒアリングを行い、皆さん同じ意見でした。

 利用者様になるべく手厚い福祉サービスを提供しようと努力している、人をたくさん支援に配置している事業所ほど、一人当たりの支給額は低くなり、九千円から遠くなっていく、届かない内容になっています。

 ましてや、私自身もこういう経験がありました。実地指導を事業所で受けて、専門職員が配置できていない日が一日でもあれば、一か月分の専門職員の加算を払い戻すよう指導を受けました。納得いかなかったので、厚生労働省へ問合せをしました。あんまりじゃないですか、福祉職員は病気で休むこともできないし、これでは家族の看護もできないじゃないですかと。すると、その御担当者の方は私にこう答えられました。不測の事態に対応できるように余裕のある人員配置をお願いしますと。

 大臣、今回の賃上げ制度、私たち現場の福祉事業所を余りにもばかにしていると思います。一体どっちなのですか。ぎりぎりの人員配置を求めるのか、それとも余裕を持った人員配置を求めるのか、大臣、お答えください。

後藤国務大臣 適切な人員の配置を求めているというのが我々の考え方の基本であります。

 しかし、今申されたことの中で、今般の処遇改善について申し上げれば、各サービス種類の中で平均的な配置職員の事業所であれば、常勤換算の介護、障害福祉職員一人当たり月額九千円の賃金改善となるように補助金の配分をしているというのが補助金配分執行のルールであります。

 各事業所においては、介護、障害福祉職員ごとに勤務時間等が異なる、あるいは職員の勤務実態に合わせた処遇改善を行っていただくことを想定をいたしております。

 そして、今回の措置においては、現場の要望に応えて、各事業所においては、介護、障害福祉職員、直接サービスを行っている方たちだけではなくて、他の職種に一定の処遇改善を行うことができるような柔軟な運用を認めることともいたしております。

 こうしたことから、各職員の処遇改善についてはばらつきが生じるということだろうと思いますけれども、こうした点も含めて、混乱なく実施できるように丁寧に説明していきたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 現場の声を是非ともしっかり聞いた上で制度設計をしていただかないと、全く現場の実態にそぐわない内容になっているということを指摘させてください。

 そして、この度の賃上げ制度、速やかに実態調査をし、実際に現場で働く方々に対し、一人当たり平均で幾ら相当の賃金アップを実現しているのか、報告と公表を求めて、次のテーマに移ります。

 就労支援事業所で働く障害者の方々への公的支援についてです。こちらも資料を準備させていただきました。資料を御覧ください。

 全国の障害福祉事業所が加盟する団体が行った実態調査です。

 コロナの影響を受け、半数以上の事業所が減額となり、約二〇%もの工賃が減額されています。工賃、つまり障害者の方々のお給料、全国平均は月額約一万六千円です。これはこれで、元々、大変厳しい、改善が必要な内容です。その上で、二〇%減収のダメージは計り知れません。一万六千円から三千二百円、更に少なくなるのです。

 前回御指摘させてもらったとおり、コロナの影響を受け、工賃が下がり続けている障害者の方々に対し、国から全く支援が届いていない現状の改善をお願いいたしました。業態変更や販路拡大、コンサルタント派遣事業などに計上されている六・五億円の支援事業の予算を、障害者の方々の工賃減少分、直接補填する財源に活用することを具体的に提案をいたしました。

 大臣、私の提案、現場の切実な声でもあります。いかがでしょうか。

後藤国務大臣 就労継続支援事業所で働く障害者の賃金、工賃につきまして、生産活動による収入の中から利用者に支払われるものであるために、賃金、工賃が減少しないように事業者の生産活動を後押しすることが必要でありまして、厚生労働省では、就労継続支援事業所の生産活動を後押しするために、今御指摘があったのは生産活動拡大支援事業ですね、そのほかにも、生産活動活性化事業、工賃向上計画支援事業等を実施しているところであります。

 障害者の働く場や収入確保のために、就労継続支援事業所の生産活動そのものを支援して、その継続性を担保していきたいというふうに考えております。

 それから、障害者への直接補償という意味でおっしゃったんだというふうに思いますけれども、この補助金額を使って障害者本人に対して直接収入補償をすることについては、他の一般の労働者との均衡の観点や、障害年金の受給など他制度による給付の受給も踏まえて、制度的に考える必要があるというふうに思います。

 そして、何より、就労継続支援事業所は、働くことを希望する障害者が個々の障害特性を踏まえた働き方を実現できるよう支援することを目的としたサービスでありまして、就労継続支援事業所の生産活動そのものの支援を通じて、個々の障害者に対する支援を継続的に確保していくことが重要であると考えております。

山田(勝)委員 大臣が先ほどから御説明いただいている生産活動を支援するこの制度、地元長崎の同業者の方々へ聞きました。思ったとおり、かなりの不人気です。使われておりません。実際、長崎県の担当者の方も、相当困られているようでした。県から事業所へ何回も何回も電話がかかってきて、何度も何度も締切りを延長したから応募してくれませんかという連絡が入り、全く使い道がないので、県の担当者、何回頼まれても、私たち事業者はこの応募をしない、現場は忙しい、事務の手間を取りたくない、これが全国の障害福祉事業所の方々の本音だと思います。自治体職員さんも、現場を知らない国の支援制度に振り回されて、大変御苦労されています。

 そもそも、お願いしても使われていないような支援制度、なぜそんなにこだわるのでしょうか。本当に必要なんでしょうか。現状のこの業態変更を促す制度、一体どれほどの活用実績があり、幾ら予算が使われ、具体的にどれだけの工賃アップに効果があったのか、しっかりと、こちらも公表と報告をお願いし、あくまで工賃が下がった障害者の方々への所得補償を、直接の所得補償をお願いして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 本日のラストバッターでございますので、お疲れのところだと、それぞれ皆様も、思いますが、よろしくお願いいたします。

 通告に従って、まず、ちょっと白紙撤回というような報道も出ていますが、年金受給者の皆さんへの五千円の臨時給付金支給、まさに経済対策の一環として、今日、資料一ページ目の七項目めがそれに該当すると昨日政府からの説明を受けましたが、そのことについて、今日は厚生労働大臣以外にも、内閣府、国交省からそれぞれ政務官、ありがとうございます。そして、尾身先生も、本当にありがとうございます。

 まず、内閣府の政務官の方にお尋ねしますが、通告プラスアルファで、ちょっと最新の報道があれば、それもオンして聞きますということで申し上げておりますので、それも踏まえた形でお尋ねするので、よくお聞きをいただき御答弁を、答弁書を見つつ、プラスアルファでお願いをできればと思います。

 まさに急転直下で、ゼロベース、白紙撤回という報道が昨日ずっと出ているわけですが、まず一つ、元々通告していたのは、この一ページ目の、まさに昨日閣議懇で閣僚の皆様に迅速対応の指示が岸田総理からなされたという七項目めに、コロナ禍において物価高騰等に直面する国民生活の不安を解消する観点から、特にここでしょうね、以降で、困窮する方々の生活を守るべくセーフティーネットの強化とともに、コロナ禍の影響の長期化に伴い孤独、孤立に悩む方々をきめ細やかに支援しますということに含まれるということなんですが、この確認。

 それと同時に、当初は六月十五日に、元々年金が支給される日に、まさに経済マクロスライドの発動によって減額になる部分を補填するという、事実上補填する形で年金受給者に五千円の臨時給付金支給がなされるのではということだったんですが、これが白紙撤回となると、今後、そうはいっても、この七項目めに含まれる、支給される場合にはこの七項目めがそれに該当するんだという昨日政府から説明を受けていますので、じゃ、一体どういう形で支給され得るのか。例えば、支給額を増額するのか、あるいは、我々も困窮労働者、年齢を問わず十万円支給法案を出していますが、対象者の拡大、こういったものがあり得るのか、そうでないのか。

 そういった点も含めて、ちょっと御答弁をお願いいたします。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず、先生から今御指摘、御紹介ございました今回の緊急対策といいますのは、原材料価格などの高騰等が国民生活や経済活動に及ぼす影響につきまして緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにするために取りまとめるものでございます。

 総理の指示において示された、この柱の四つ目ですね、先生が先ほど読み上げていただきました。コロナ禍において物価高騰等に直面する国民生活の不安を解消する観点から、困窮する方々の生活を守るべくセーフティーネットを強化するとされておりますので、この下で必要な施策を講じてまいる予定でございます。

 今後、具体的に検討していく中で、先ほどの御指摘の申入れ等についても、どのように取り扱うのか考えてまいりたいと考えております。

柚木委員 お尋ねしたところに、ちょっと、多少なりとも、報道はかなりされていますので、しかも、この後、厚生労働大臣にも伺いますが、かなり、当然事務方も対応しなきゃいけないということで、様々なシミュレーションを想定した御準備をされているやにお聞きしていますので、支給額の増額とか対象者の拡大、こういったこともあり得るのか、その検討の中に。それとも、そういったことは考えられないのか。その点だけでもちょっと触れてください。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先生、今の段階では予断を持って語ることはできませんけれども、今後具体的に検討していく中で、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

柚木委員 否定されませんでしたので、そういったバリエーションも考えられるんだと認識をしました。

 それで、後藤大臣に伺いますが、そもそも大臣は会見の中でもかなり、さすが年金の所管官庁で、詳細なシミュレーションもされているようで、三月十八日会見の文字起こしを私も拝見しましたが、いろいろなシミュレーションを想定してこの間来たんだと思いますが。そもそも大臣御自身は、この間も、いわゆる我々は年金カット法案ということで、まさに低年金者を除外してくれとか、当時、私もこの場で安倍総理とも御議論をさせていただいたわけですが、成立をして、この制度はやはり将来世代のために必要だということを述べておられます。

 必要だということであれば、そもそも、私は、それを後から税金で補填するのでは、まさにマクロスライドの制度の意味がありませんから、是非ここは厚生労働大臣、年金所管の大臣として、私たちは年金カット法案という言い方をしましたが、この制度が間違っていない、必要であるとおっしゃるのであれば、それをわざわざ参議院選挙の直前に税金で補填をする、有権者からともすれば選挙買収という疑念を持たれるような、そういうことはやめるべきだということを、是非、これから検討される中で岸田首相に聞く耳を持っていただくべく、年金の所管の大臣としておっしゃっていただけませんか。

後藤国務大臣 先ほどから年金改定について申し上げているのは、年金というものを、世代間の公平に従って、どのように給付と負担の両面からしっかり制度を運営していくかという議論であります。

 そういう意味において、当時、三月十八日の閣議会見において、厚生労働省においては何らのシミュレーションもやっておりませんでしたけれども、御質問に従って、与党の申入れの趣旨をどうかと問われたので、それは、仕事による稼得のない年金生活者を含む高齢者に対して一定程度の短期的な給付を行う、そういう御要望であったのだろうと思いますというふうに申し上げただけでございます。

 今回、総理から新しい原油価格・物価高騰等総合緊急対策の策定指示が出まして、その中においては、コロナ禍において物価高騰に直面する国民生活の不安を解消する観点から、困窮する方々の生活を守るべくセーフティーネットを強化するとともに、コロナ禍の影響の長期化に伴い孤独、孤立に悩む方々をきめ細やかに支援する、そういう方策について、もし必要なものがあれば政府としてまとめていくということであるので、そういう視点で厚生労働省としても検討させていただきたいと思います。

柚木委員 そうやって検討されるということなんだと思いますが。じゃ、最後にこの問題で一つ大臣に御所見を伺いたいのは、にもかかわらず、しかも、こうやって項目七に、まさにやる場合には五千円の臨時給付金がここに含まれるんだと我々は政府から説明を受けて、その直後にゼロベース、白紙撤回の報道が出たんですよね。驚きました。だって、閣議決定、閣議懇で指示が出ているんですよ。じゃ、なぜ、そういうゼロベース、白紙撤回、高市政調会長がああいう形で報道もされていますがおっしゃったのか。

 これについて、私は、大臣、世論調査でも三分の二の国民の皆さんが、これはやはりおかしいんじゃないか。困窮しているのは年代によらない。だから、そういう本当に困っている方のために、税金を二千億も使うんですから、千三百億円給付に使って、七百億円手数料で、五千円配るのに二千数百億円、手数料。こんなこと普通の人はやりませんよ、ATMでも、今。

 ですから、そういうのはおかしいんじゃないかということに、国民の三分の二がおかしいんじゃないかということに岸田総理が聞く耳を持たれて、そして、それを党としても高市政調会長が、白紙、ゼロベース撤回だと。

 私はそういうふうに受け止めているんですが、これは年金所管の大臣としてはどう受け止められていますか、ゼロベース撤回。

後藤国務大臣 どういう御発言だったのか、ゼロベースの撤回であるという発言だったのかどうか、ちょっと私自身は確認をしておりませんので、その評価についてはちょっと申し上げかねるというところでございますけれども。いずれにしても、今回どういう対応が必要なのかということも含めて、与党からの要望も含めて、政府としては必要な対応を考えていくということに尽きると思います。

柚木委員 ちょっとほかもあるので、この問題については、是非、本当に困窮している方々で、年金世代でも、もちろん、働いているけれども所得激減、仕事がなくなって困っている方がいますので。我々はそういう方々に対して、百から二百万の所得、年収の方に、それ以下のところは支援がありますから、十万円支給法案も出しておりますので、是非、そういう困っている方のところに、年齢によらず対応をお願いしておきたいと思います。

 内閣府の政務官、ここまでで結構です。ありがとうございます。

 それから、二問目に、国交省の政務官もお越しいただいておりますので、この質問が終わったら御退席をいただければと思います。

 資料は一番最後になりますが、長妻委員からも質問があったので、尾身先生が述べられたことも私は大事だと思ったので、この後、尾身先生にも一言御所見を伺いますので、お願いします。

 元々はGoToトラベル全国版がコロナで中止になって、今回、県民割が、四月一日以降が地域ブロック内、先ほど長妻委員からも六ブロックというお話があって、それ自体は、長妻委員は、ちょっと今の状況、見通しではあり得ないとおっしゃっていましたが。

 あり得ないとおっしゃっていたんですが、実は私は地元が観光地でもありますので、委員長もそうですが、両立ができるのであれば、やはり観光業、関係の業者の方々も苦労されていますので、両立ができることを望みつつ、しかし、本当に今そういう状況なのかなということの一方で懸念も持っております。

 ですから、それぞれ、拡大をしていくこととの両立について、そしてまた、この四月の末、四月二十八日に、実際、ゴールデンウィーク、全国拡大するのかしないのかという御判断もされるそうですが、その際の判断材料はどういうことになるのか、国交省の政務官に御答弁をお願いします。

泉田大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、経済との両立についてでありますが、先生御指摘のとおり、全国の蔓延防止等重点措置が今月二十一日で解除をされました。これを踏まえまして、県民割事業への支援につきましては、四月一日、来月から対象範囲を地域ブロックまで拡大することといたしました。あわせて、実施期間を来月二十八日まで延長することといたしております。

 実施に当たっては、やはり感染防止を徹底するということに尽きるんだと思いますが、具体的には、ワクチン接種歴の活用、ちゃんとワクチンを接種しているかどうか、そしてまた、検査結果、陰性かどうかというところ、これを活用するとともに、感染予防ガイドラインの遵守、徹底を行ってまいります。加えて、新しい旅のエチケットの励行、これによりまして安全、安心な旅行環境を確保し、感染防止と経済の回復の両立を図ってまいりたいと思います。

 そして、二十八日より後をどうするかというお尋ねでございますが、これは、観光需要喚起策は大変重要で、一方で感染予防を進めていくというのも極めて重要という中で、なかなか見通しが難しいという現状でございます。今後の感染状況や需要の動向等も踏まえまして、どういった観光需要喚起策を講じることが適切なのか、今後、実態を見ながら検討させていただきたいというふうに思います。

柚木委員 やはりそういう御答弁だと私も思うんですね。

 そこで、尾身先生に伺いますが、私は先ほど長妻委員の答弁をお聞きして、ああ、なるほど、そういう御所見でいらっしゃるんだなと思ったんです、そうだなと思ったんですね。

 それは、三月十一日のコロナ分科会で、まさにこのGoToトラベル、県民割とかブロック拡大とか、この一連の事業に関して、二点ポイントがあると。二点目に、いろんな、さっき政務官が答弁されたようなことに配慮しつつ感染予防、移動を一律に制限せず、そういうことで、まさに今そういう状況で進んでいると思うんですね、施策が。

 ただ、まさに、東京の状況も報じられているとおり、沖縄も反転して、あるいは、先ほどの長妻委員が言われたように、もう本当に全国で今反転してリバウンドに、尾身先生は数日様子を見る必要があるとおっしゃられました。まさに数日様子を見たときに、ひょっとしたらもう七波に突入しているという状況に今あるかもしれない中で、私も、少なくとも、今後、ゴールデンウィーク、大型連休のときに、全国にそれを展開していくというのは、期待としては観光地の地元としてあるんですけれども、やはりなかなか困難な状況もあると思うんです。

 なぜ今聞くかというと、やはり、先ほど政務官もいろんなことに御配慮されながら答弁されましたが、事業者さん、それから旅行に行く人、直前にそんなもの決まったって、予約も含めて、準備も含めて間に合わないわけですから、もうあと一か月弱なわけですから、早めに一定の方向性、判断を、十分の十の国費の事業としてやることになるのかならないのかということを示す必要があると思うんですね。

 現状、今リバウンドも、ひょっとしたら七波に入っているかもしれないという中で、大型連休に入っていく中での全国展開ということについては、私は、ちょっとこれから、もっともっと、ひょっとしたら感染リバウンドが増えるかもしれないという中で、現段階で尾身先生の御所見を御答弁いただければと思います。

尾身参考人 私は、今、委員の御質問に対する答えとしては、二つ側面があると思います。ある意味では、左目で直近のことを見て、右目で少し遠くのことを見る必要があると思います。

 それで、確かに、今、リバウンドの可能性があるということは申し上げたとおりで、私は、そういうことを防止するために、もうこれは今までやると言ってきたことを徹底してやってもらう必要があると思います。それは、簡単に言えば、ワクチンの追加接種の更なる促進と、検査、もう随分検査の体制は強化してきていると思いますけれども、私はまだ更に改善する余地があると思います。それから、治療薬ですよね。これが必要な人に遅滞なく届くというシステムを、今は結構よくなりましたけれども、まだ私は改善の余地がたくさんあると思います。

 こうした努力をやって、ある程度感染が比較的低いところに抑えられればいいですけれども、こういうことをやっても、単にリバウンドが起きるということだけでなくて、むしろ、それによって医療の逼迫というものが起きてしまうような状況が、その可能性、蓋然性が高いと判断された場合には、私は効果的な対策を打つ必要があると思います。

 その効果的な対策というのは、単に今までどおりの重点措置の繰り返しということよりは、新たな非常に厳しい状況で、一体どういう人、どういう年齢層が感染あるいは重症化しやすく、あるいはどういう状況で感染しやすいのかということを、実は、今までの第六波、ずっと一から六やると、同じようなことが繰り返されるとは限らないんですね。それぞれの波で非常に特徴が違うので、新たなそういう、リバウンドだけではなくて医療の逼迫ということが非常に重要ですから、そうしたことで、どういう人にも申し上げたようなことをしっかりと分析して、私は、効果的な対策を、そうなったらなるべく早く打つことが必要だと思います。そうなればですね、と思います。

柚木委員 まさにその効果的な対策も含めて、四月の二十八の段階で、今後のいわゆるGoToトラベル、全国展開するのかどうなのかも含めて判断をなされていくものと認識をしました。泉田政務官、ありがとうございました。

 ちょっと時間がないので。

 それで、まさに今、第七波に突入しているかもしれない、あと数日様子を見るとおっしゃられましたが、まさに今、年度末、そして新年度に向けて、お花見も東京も見頃ですし、あるいは、これから新年度に向けて、入学式、入社式、新年度で、様々なやはり行事、いろいろ抑えぎみにといえどもある。

 そういう中で、まさにこのタイミングで、尾身先生に伺いたいのは、数日様子を見たときに、いや、七波に突入してしまっていた、あるいはそれが更に拡大するということにならないために、今まさに学生や児童さんは春休みの中で、そして新年度を本当に社会人も迎える中で、感染再拡大になってしまわないために、今この瞬間、一番何に気をつけるべきなのか、国民の皆さんに対してちょっと御説明をいただければと思います。

尾身参考人 委員の御質問は、一般市民の、我々一般市民が何を気をつけるかということですけれども、私は、花見を見てはいけないということではないと思います。しかし、花見を見て感染のリスクが高くなるような状況というのは、もうこれは明らかなんですよね。非常に狭いところに大人数が集まり、大声を出す、マスクを外す、こういうことでリスクが高いということがもう分かっていますので、そうしたことを、一般市民も随分我々学んだと思うんですよね。

 そういう学んだことを、御自分の命を守るということと同時に、医療を守ったり、社会を守る、高齢者を守るという観点で、社会を、経済を少しずつ回すというのは、私はこれは社会全体のニーズ、期待だと思うんですね。

 それはなぜかというと、感染した人が重症化するということだけじゃなくて、GDPの問題、失業率の問題、自殺の問題等もあるので、ここはバランスを取る必要があると思うんですけれども、一般市民ができることは比較的明らかなので、個人個人がそうした基本的な感染対策を徹底しながらお花見を楽しんでもらうということではないかと思います。

柚木委員 時間がないので、具体例を二つ、同じ文脈なので、尾身先生に伺います。

 一つは、まさに蔓防とか緊急事態宣言、今後もし出し得るときに、専門家会議でも議論されているみたいですので、例えば、年齢とか対象とか、高齢者施設とかクラスターがこれだけ増えています。大阪は三割がクラスターで亡くなっている。そういうところに特化した措置なり発令があり得るのか。

 もう一つは、まさに高齢者施設従事者や利用者への、今後、連休明けに四回目のワクチンが接種ということになってくるときに、医療従事者から打っていくのは、私も家族が医療、介護の仕事をしていますからよく理解しています。ただ、やはり、高齢者施設でこれだけクラスターが発生、死亡者が出ると、その高齢者施設の従事者あるいは利用者、入居者さんも同等の優先順位で、今後のワクチン接種を、四回目、打っていただく。こういうこともまさに特化するという意味では御検討いただくことが、まさに六波の経験も生かせることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

尾身参考人 四回目の接種を、今厚生省のコロナのワクチン分科会でやっていると思いますけれども、最終的には、私は、今申し上げたように、新たなリバウンドがあるときに、どういう年齢層が一番感染しやすいのか、重症化しやすいのかということ、それから、重症化しやすいのは恐らく高齢者であることが当分続くと思うので、そうした高齢者をいかに守り、高齢者の重症化をいかに防ぐかということに私は重点を置いた対策が必要、つまり、状況に応じた対策というのが非常に重要だと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 是非、介護従事者あるいは利用者の方への接種の優先順位を上げることも、今の御答弁を踏まえて検討をお願いします。

 最後に、厚生労働大臣、まさに高齢者施設での医療、治療、療養体制が、この間、やはり追いつかなくて、様々な対策をされていることは私も承知しています。しかし、やはりちょっと提携している医療機関が、とてもじゃないけれども、そういうお医者さんを派遣できないことの連携、行政がどう間を仲介するか。あるいは、高齢者施設での療養に限界がある場合に、例えば高齢者施設入居者用の宿泊療養ホテルとか病院とかを用意、準備するなどの対策を講じなければ、これは六波の教訓を生かすことにならないと思うんです。

 是非、高齢者施設における療養、医療体制の整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 高齢者施設等で感染された方がその施設内で療養を継続される場合に、これらの方々に対して必要な医療支援等が提供されることが非常に重要だということは、もう委員の御指摘のとおりだというふうに思っております。

 三月二日には、都道府県に対しまして、感染制御と業務継続の支援が可能な専門チームが、感染確認後、早期に電話相談を行い、必要に応じて専門家を派遣するような体制を構築すること、また、医師、看護師等の医療チームによる継続的な往診、派遣体制を組み、施設内で必要な医療を提供する体制を構築することについて、改めて依頼をいたしております。

 結果として、高齢者施設等への感染制御、業務継続支援チームに所属している医療従事者として約三千四百人、施設からの要請に応じ、往診、派遣に協力する医療機関として約二千二百件を確保いたしました。

 これを踏まえ、更に対策の徹底も依頼しているところでありまして、今後とも、高齢者施設の施設内で療養を継続される方に必要な支援が行われるように、更なる医療支援の強化に取り組んでまいります。

 ワクチンの接種等についても、本当に皆様の御協力を得て、高齢者施設の大方で接種することが可能になりました。

 四回目については、しっかりと専門家の意見を踏まえ、また、今後の感染状況、諸外国の状況を踏まえて、しっかり決断していきたいというふうに思っております。

柚木委員 以上で終わりますが、是非六波の教訓を生かした対策を心よりお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次回は、来る四月一日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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