衆議院

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第10号 令和4年4月6日(水曜日)

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令和四年四月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    国定 勇人君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    中野 英幸君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           中島 克仁君

   議員           吉田 統彦君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鎌田 徹郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阿久澤 孝君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     中野 英幸君

  塩崎 彰久君     古川 直季君

  土田  慎君     山口  晋君

  松本  尚君     国定 勇人君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     松本  尚君

  中野 英幸君     上田 英俊君

  古川 直季君     塩崎 彰久君

  山口  晋君     土田  慎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十二日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官鎌田徹郎君、財務省主計局次長阿久澤孝君、厚生労働省医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、子ども家庭局長橋本泰宏君、保険局長浜谷浩樹君、政策統括官鈴木英二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。

長谷川委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。

 本日は、厚生労働委員会初質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 薬機法等の改正案について、時間が限られておりますので、早速、質問に移らせていただきます。

 まず、緊急時の薬事承認制度についてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症の対応において、医療、医薬品をめぐり、様々な問題が顕在化をいたしました。中でも、新型コロナワクチンの実用化の遅れが最大の課題の一つであると思います。

 欧米諸国と比べて、我が国は、ファイザーのワクチンが約二か月遅れ、モデルナのワクチンは約五か月遅れで承認をされました。感染症有事においては、予防手段であるワクチン、治療手段である抗ウイルス薬を国民に迅速に届けることが求められます。今般のコロナ対応を踏まえまして、感染症有事に備え、医薬品のリスクとベネフィットを緊急に審査する仕組みを設けておくことは、極めて必要性は高いと思います。

 その上で、緊急承認制度が発動される緊急時として、感染症のアウトブレーク等が該当する、また、手続として、対象となる医薬品等を政令で定めると答弁されていますが、まずは、平時の薬事承認から有事の緊急承認にスイッチを切り替える基準や手続を明確にしておくことが必要だと思います。

 そこで、緊急承認制度を適用するに当たっての具体的な基準や手続について、お伺いをいたします。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 緊急承認制度は、緊急に使用する必要があり、他の医薬品での代替が困難な医薬品を制度の対象とするものでございます。

 したがいまして、その適用の基準、考え方でございますが、まず、緊急に使用する必要性につきましては、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と同等の疾病の蔓延状況や感染者の急速な増加が確認された場合、あるいは医療体制が逼迫している場合などを想定してございます。

 また、代替の困難性につきましては、国民への供給の観点なども踏まえて判断することとしておりまして、他の複数の医薬品が既に承認されている状況におきましても、治療の選択肢を拡大し、より安定な供給に資するような場合にはこの制度の適用が認められると考えているところでございます。

 そして、もう一つのお尋ねの具体的な手続ですが、議員からも御紹介ありましたように、まずは、こうした状況などの政策判断といたしまして、制度の適用対象となる医薬品を政令で定めまして、その上で、個別の具体的な製品につきまして、PMDAによる審査、審議会での審議を経て、厚生労働大臣が承認の判断をするというものとなっております。

長谷川委員 ありがとうございます。有事の制度でありますがゆえに、手続を明確にした上での発動を御検討いただきたいと思います。

 次に、緊急承認制度が適用される場合に、有効性については、推定された段階で承認を可能とする、その一方で、安全性については、現行の承認制度と同水準の確認を求めるとされております。

 緊急時にあっても国民から信頼される形での薬事承認が行われるように、安全性については、平時と同じ水準の確認を求めることは重要であると思います。しかし一方で、感染症有事において実際に機能しなければ、絵に描いた餅になるわけであります。

 今後、新たな感染症の急速な拡大によって、治験を行う医療従事者の負担が増加したり、あるいは被験者の感染リスクが高まれば、治験体制の確保に困難を来すことも想定をされます。有事の際に機能する制度とするためには、最悪の事態を想定した治験体制の確保を、平時から用意をしていく必要があると思います。そのため、国内における治験環境の整備拡充はもちろん、日本人を含めた国際共同治験を拡大するなど、海外承認に遅れることなく、国内と海外での同時承認もできるような制度の体制を用意していく必要があると考えます。

 そこで、感染症の急拡大時などにおいて緊急承認制度が機能するための治験体制の確保について御所見をお伺いします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 有効で安全な医薬品につきまして、速やかに実用化を進めることができるよう、感染症の蔓延といった緊急事態も想定しつつ、平時から国内外の治験実施体制を整備していくことが重要だと考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、平時から、国内において、日本の治験をリードする医療機関である臨床研究中核病院の間でネットワークを形成しまして、電子的な情報の共有を始めとする治験のデータ収集を効率的に行うことが可能な体制の構築を進めております。

 あわせまして、国際共同治験の体制整備に向けまして、現地の人材育成や拠点整備を支援するなど、アジア地域における臨床研究、治験ネットワークの構築に取り組んでおります。

 また、有事におきましては、例えば今般の新型コロナ対応におきまして、速やかな実用化を後押しすべく、治療薬の治験や薬事承認に必要な費用の補助なども行っております。

 引き続き、関係者と連携しながら、こうした治験実施体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 時間の都合で、緊急承認された後の安全対策の質問はちょっとできないですが、もとより、市販後の安全対策も含めて、有事において機能する制度としていただくように御検討をお願いいたします。

 次に、ワクチンや医薬品が国民に迅速に行き渡るように、国による流通管理の強化も極めて重要だと思います。

 現在、ワクチンの流通については、ワクチン接種円滑化システム、V―SYSによって一元管理されていますが、コロナ治療薬の流通は、薬ごとに異なっているのが現状です。

 今後、感染症有事の際に、治療薬を調達することが困難になるということも想定をされます。緊急承認された治療薬については、国が責任を持って流通を管理していくことが必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。

島村大臣政務官 今般の法案による緊急承認は、緊急時において、国民に迅速に医薬品を提供するための制度でございます。こうした制度の趣旨に鑑みれば、緊急承認を行う際には、必要な患者に確実にお届けできるように対応することが大切だと思っております。

 一般的には、緊急承認直後には、通常の医薬品メーカーと卸販売業者による一般流通に委ねることは難しいことも多いと把握しております。国におきましては、医薬品の対象疾患や特性を踏まえつつ、医薬品の管理方法や供給方法について検討する必要があると考えております。

 今回の具体例としましては、新型コロナウイルスのワクチンに関しましては、偏在や無駄が生じないように接種を進める必要があることから、国や自治体がワクチンの配分量を決定し、供給させていただきました。

 また、治療薬に関しましては、流通量が限られている中、必要な患者に公平に配分するため、供給が安定するまで国が買い上げ、医療機関等に無償で提供する仕組みをつくってまいりました。

 このような経験を踏まえまして、緊急承認を行った際には、対象となった医薬品に応じて、個々、管理、供給方法について適切な対応を取れるよう、今後も検討してまいりたいと思っております。

 以上です。

長谷川委員 政務官、ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、治療薬の特性にもよりますが、新型インフルエンザですとタミフル、リレンザは備蓄をしているわけであります。備蓄も含めた管理体制の強化についても御検討いただきたいと思います。

 次に、ワクチン、治療薬の国産化の開発促進についてお伺いをいたします。

 これまでの特例承認制度では、海外で承認された医薬品に対象が限定をされていましたが、今回の緊急承認制度によって、国内の企業が世界に先駆けて開発したワクチンや治療薬が承認される仕組みが整備されることになります。

 しかし、御案内のとおり、ワクチン、治療薬の開発で我が国は後れを取ってしまっているのが現状であります。ワクチンや治療薬を国内で開発、生産できる力を持つことは、国民の命、健康を守ることはもちろん、海外から医薬品の調達交渉における優位性の確保や、さらには外交や安全保障の観点からも極めて重要であると思います。

 今回、ファイザーやモデルナが開発したメッセンジャーRNAワクチンは、元々がんの免疫治療などで研究の蓄積を重ねていた技術をワクチンに応用したものであります。さらに、ファイザーのワクチンを開発したドイツのビオンテックやモデルナは、いずれも創薬ベンチャーであります。我が国も、創薬ベンチャーの育成を通じて、新たな技術による新薬の開発に平時から戦略的に取り組んでいくことが、感染症有事におけるワクチンや治療薬の迅速な実用化の土台になってくると思います。

 そこで、大臣に、我が国の創薬ベンチャーの育成を含め、国産ワクチン、治療薬の開発促進に向けた決意についてお伺いをいたします。

後藤国務大臣 ワクチン、治療薬を国内で開発、生産できる体制を確立していくことは、今委員から御指摘のありましたとおり、安全保障上も極めて重要でございます。

 昨年六月に、政府が一体となって必要な体制を構築し、長期継続的に取り組む国家戦略として、ワクチン開発・生産体制強化戦略を閣議決定いたし、国内でのワクチン開発、生産体制の強化を進めることといたしております。

 これを踏まえ、厚生労働省としては、アジア地域の臨床研究、治験ネットワークの充実、薬事承認プロセスの迅速化等のほか、新型コロナワクチンについても開発支援を行っており、ワクチンの迅速な開発、生産に必要な環境整備支援を行ってまいりたいと考えています。

 治療薬につきましては、AMEDの事業を通じた研究開発支援のほか、新型コロナ治療薬については治験費用や薬事承認に係る費用の補助なども行っておりまして、国内企業による治療薬の開発、生産を積極的に支援してまいります。

 また、今特別に御指摘のありました医薬品、医療機器分野のベンチャー企業を支援するために、医療系ベンチャーが抱える課題について専門家から支援を受けることができる相談窓口、MEDISOを平成二十九年度に設置しまして、医薬品等の研究開発から実用化までのプロセスを総合的に支援をいたしております。

 引き続き、国内でのワクチン、治療薬開発の基盤整備を後押ししてまいりたいと思います。

長谷川委員 大臣、ありがとうございます。

 ワクチン、治療薬を開発できる国は限られています。我が国がその一翼を担えるように御尽力をお願いしたいと思います。

 続いて、電子処方箋の仕組みの創設についてお伺いをいたします。

 この電子処方箋のメリット、医療サービスの向上ですとか事務の効率化、これが現実に享受されるようになるためには、まず、その基盤となるマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認の普及が前提となります。しかし、このオンライン資格確認システムを導入済みの医療機関、薬局は三月末時点で約一四%台、マイナンバーカードの保険証利用の登録も、全カード交付数の、これも同じく一四%台にとどまっています。マイナンバーカードの保険証利用は、医療機関に設置された顔認証つきのカードリーダーがあればすぐにできますので、まずは何より、システムの医療機関、薬局における導入が最優先課題だというふうに思います。

 令和四年度までにおおむね全ての医療機関、薬局にシステムを導入する、この政府の目標を達成するための更なる取組の加速化についてお伺いをいたします。

浜谷政府参考人 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、御指摘のとおり、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指しておりますけれども、実際に必要となる顔認証つきカードリーダーの申込みをしている医療機関は全体の約五八%程度、実際に運用を開始した施設は御指摘のとおり全体の約一四%強となっております。

 このオンライン資格確認につきましては、医療機関等には、導入で事務コストが削減されるメリットがございます。また、患者さんには、自ら同意した上で過去の薬剤情報や特定健診結果を医療機関等に提供することで、よりよい医療が受けられるメリットがございます。

 こうしたメリットをしっかりと周知していきますとともに、医療機関等における導入加速化に向けた集中的な取組として、次の三つの柱で取組を進めております。

 まずは、医療関係団体にオンライン資格確認推進協議会を新たに設置していただきまして、連携して導入加速化に向けた取組を進めております。

 第二に、令和四年度診療報酬改定におきまして、オンライン資格確認システムの活用により診断、治療等の質の向上を図る観点から、新たな評価を行うことで、オンライン資格確認の利用の普及を促進してまいります。

 三つ目に、個別の医療機関等の状況や種別ごとの特性に応じまして、導入支援や働きかけを強化しております。

 こういった取組によりまして、関係者が一体となって対応していく環境づくりを行い、連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 システム導入に向けて診療報酬による手当てをするということですが、先ほど御答弁いただいたように、医療機関等にとって電子処方箋というのは、事務コストの削減という大きなメリットがあります。そうしたメリットを十分に御理解をいただいて、先ほど推進協議会において取組を進めるとおっしゃいましたが、是非、足並みをそろえて取り組んでいただくように、格段のお取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、医師、薬剤師の厳格な資格確認についてお伺いします。

 この法案によりまして、電子処方箋に含まれる処方、調剤情報を、患者の同意をその都度得なくても、医師、薬剤師間で共有することが可能となります。これによって、重複投薬などのチェックが可能となることは患者側にもメリットがあると思います。一方で、処方、調剤情報は、患者さんにとっては大変機微な情報でもあります。支払基金、国保連合会が保有する情報にアクセスする際の医師、薬剤師の資格を厳格に確認する仕組みと、個人情報の漏えいを防止するためのセキュリティー対策が極めて重要だと考えます。

 厚生労働省は、医師、薬剤師の資格確認に当たりまして、HPKIカードの普及に取り組んでおられますが、民間の電子署名サービスやマイナンバーカードによる電子署名の活用も検討すると答弁されています。

 HPKIとマイナンバーの基盤であるLGPKIは、いずれも高いセキュリティー水準を有しています。民間の電子署名サービスは、現時点ではそこまでの水準を持ったものはないと聞いております。医師、薬剤師の資格確認に当たっては、セキュリティー対策の観点からも、HPKIカードの普及に努めつつ、マイナンバーカードでの資格確認も認めていくのが現実的な対応ではないかと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

後藤国務大臣 電子処方箋は、真正性を担保するために、医師や薬剤師の電子署名を付すこととしておりまして、その資格確認に当たって、セキュリティー対策に万全を期していくことは必要不可欠であると考えます。

 このため、保健、医療、福祉分野の電子証明となるHPKIカードの更なる普及を促進するとともに、議員御指摘のマイナンバーカードによる電子署名への対応についても検討を進めてまいりたいと思います。

長谷川委員 大臣、ありがとうございます。

 政府は、昨年の末の閣議決定で、医師や看護師などの国家資格において、マイナンバーを利用したデジタル化を進めるという方針でございます。その際には、マイナンバーカードでの資格確認も可能となれば、より利便性が、そして効率性が増す仕組みになると思います。更なる取組をお願いしたいと思います。

 それでは最後に、感染症対応における薬剤師、薬局との連携強化についてお伺いをさせていただきます。

 配付をさせていただいた資料を御覧いただきたいと思います。

 私の地元の愛媛県では、新型コロナ感染症対応の現場において、医療従事者の皆さんが日夜御尽力をいただいている中で、薬剤師の皆さんにも大変大きな役割を担っていただいています。

 一枚目でございますが、ワクチン接種については、医療従事者が大変限られている中で、集団接種会場などで、ワクチン接種に当たっての薬剤充填作業に当たっていただいています。

 また、配付資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。自宅療養者に対してですが、オンライン診療を通じて、薬局から経口治療薬、飲み薬を配送する仕組みをつくっております。

 自宅療養者の方からは、外出が当然できない中で、薬局から自宅まで薬を直接配達をしてもらったので大変助かった、何より、薬剤師の方から丁寧な説明をしてもらったということで、安心して経口治療薬を飲むことができた、そうした声もいただいています。

 また、抗原検査の実施や宿泊療養施設への調剤、服薬指導などでも、薬剤師の皆さんが大きな役割を担っております。

 今後想定される新たな感染症対応においても、薬剤師の役割や薬局のネットワークの活用が重要になってくると考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 まず初めに、薬剤師の皆様におかれては、今回の新型コロナウイルス感染症対策において、ワクチン接種や経口治療薬の供給等、御尽力をいただいておりますことに私からも心から感謝を申し上げます。

 こうした活躍は、薬剤師や薬局がふだんから地域包括ケアの一員として、自治体や関係機関と連携しつつ、患者を支える役割を果たしていただいたからこそ実現できたものというふうに考えております。

 今後想定される新たな感染症対応においても、薬剤師や薬局と地域の医療ニーズを把握する自治体が密に連携することが重要でありまして、国としてもその連携をしっかりと支援してまいりたいと思います。

長谷川委員 大臣、現場の皆さんの励みになるお言葉をいただき、ありがとうございます。

 時間も参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 先日の参考人への意見聴取に続き、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。限られた貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 先日の本会議で、我が党の伊佐進一委員が、今回創設する緊急承認制度における安全性の確認については、治療薬やワクチンに対する国民の信頼性が重要であるということを考えれば、緊急といえども、推定ではなく、通常の審査と同様の確認、対策が重要であると訴えましたが、この安全性評価に関しまして、日常診察における診療記録や研究以外の目的で作成されたデータなどの、いわゆるリアルワールドデータの活用や、集積する事例を統計的に解析するなどの方法も安全対策としては非常に有効だと考えますが、佐藤副大臣に見解をお伺いします。

佐藤副大臣 市販後の安全対策におきまして、リアルワールドデータの活用が重要であると認識しており、今般創設する緊急承認制度で承認された医薬品につきましても、リアルワールドデータの活用も含めた十分な安全対策を実施してまいります。

 これまでの市販後の安全対策におけるリアルワールドデータの活用事例としては、新型コロナワクチン接種後の心筋炎及び心膜炎について、国内の医療情報データベースを活用した結果等から、重大な副反応として添付文書に記載することとされた事例があります。

 厚生労働省としましては、引き続き、医療機関や製造販売業者からの報告に加えて、リアルワールドデータも活用して、医薬品の市販後安全対策を行ってまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 次に、新型コロナウイルスとの戦いが三年目に入っていますが、これまでの政府の取組を振り返ったときに、こういった国民の健康に関する問題は命に関わる問題であり、特に薬やワクチンというのは人間の体の中に取り込むものであり、国民の皆さんはより慎重になりますし、意見も分かれる問題であります。私どものところにも、様々な御意見を持った方々から声が寄せられます。

 そんな中で、政府や我々政治家は、国民の皆さんの命と健康、生活を守るためにワクチン接種や薬の投与に取り組んできましたが、やはり最も重要なことは、国民の皆さんへ、早い段階で、丁寧に、分かりやすい、そして何よりも説得力のある説明を行い、理解していただくことであると思います。

 例えば、私は、新型コロナのワクチン接種、一回目、二回目はファイザー社製でした。三回目で初めて違う会社、モデルナ社製を打つときは少し不安もありましたが、ファイザー、ファイザー、モデルナと打った場合が最も抗体の数値が高かったとのデータを基にした説明があり、納得、安心して打つことができました。

 そういった面において、安全性は確認しながらも、有効性は推定でも可能としている今回の緊急承認に関して言えば、また国民の皆様方の関心も集まりますし、非常に不安も大きくなってくると思います。今後起こり得る緊急承認の際に、国民の皆さんの理解が不可欠であり、十分な分かりやすい説明など、国民の理解を十分に得る方策が必要だと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

後藤国務大臣 国民の皆様に広く安心して緊急承認制度の対象となる医薬品を使用していただくためには、制度についての理解が必要であることはまさに議員御指摘のとおりでございます。医療従事者や国民の皆様に対して、緊急承認されるものであっても、通常の承認時と同様に安全性を確認していくことについて周知に努め、緊急承認制度の理解の醸成にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、審査過程の透明化等につきましても、特例承認に係る審議の内容について、審査報告書については当日又は数日以内に公表するとともに、議事録についても三週間以内に公表するなど、迅速な対応を行っているところでございます。

 緊急承認の適用においても、通常時と同様に、こうした審議会の報告書や議事録の公表等も迅速に行って、充実した情報公開、発信に努めてまいりたいと思います。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 なかなか、伝えていっても本意でないところが切り取られて報道されたりとかいったこともまれにはあると思いますし、非常に難しい問題だと思いますが、先ほどありましたように、なぜそもそも緊急承認をしようとしているのか、その検討段階からしっかり説明し、進捗状況についてもできる限りで明らかにしていただくことがありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、医薬品の開発には治験が欠かせません。この点につきましても、先日、伊佐委員が本会議で指摘したところでございます。予備費を使っての治験への支援費を倍増するなど、強力な支援を行ってくれていますが、具体的な治験の参加人数を確保する環境をいかに整えるかといった課題など、国内外における治験体制の強化や国際共同治験の強化などに一層取り組むべきだと考えますが、厚生労働省の今後の取組についてお伺いします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 有効で安全な医薬品につきまして、速やかな実用化を進めることが大切でございます。

 今般の改正法案における緊急承認といった事態も想定しながら、平時から国の内外の治験実施体制を整備していくことが極めて重要な課題だと考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、平時から、国内におきまして、日本の治験をリードしている臨床研究中核病院、これらの間でのネットワークを形成しまして、治験のデータ収集を効率的に行うことが可能な体制の構築を進めております。

 あわせまして、国際的な共同治験を体制整備するという観点から、現地の人材育成や拠点整備を支援するなど、アジア地域における臨床研究、治験のネットワークの構築に取り組んでおります。

 また、今般の新型コロナ対応におきましては、有事の対応としまして、速やかな実用化を後押しするべく、治療薬の治験や薬事承認に必要な費用の補助、こうしたことも行っております。

 こうしたいろいろな取組を総合的に重ねることによりまして、治験実施体制の整備を更に進めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 国内外におきまして、先ほどお伺いしたような形で強力に進めていただけたらと思います。

 緊急時の承認だけではなく、ふだんの一般的な承認の治験レベルが上がっていく、先ほどもありましたように、そういったことが重要であると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、電子処方箋についてお伺いします。

 今回の電子処方箋の導入に際して、患者への利便性への配慮として、マイナンバーカードだけではなく被保険者証を医療機関や薬局で提示等することでも、電子処方箋を利用できる仕組みとし、紙の処方内容の控えを交付することとしています。

 しかし、かえって、この紙の処方内容の控えを交付することによって、マイナポータルでの処方内容の確認が進まなくなることが懸念されます。

 電子処方箋導入後も紙の処方内容の控えを継続していくのでしょうか、お伺いいたします。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 電子処方箋により、患者は、マイナポータルで御自身の処方情報を閲覧できるようになります。他方、来年一月の運用開始から当分の間は、患者が電子処方箋を選択した場合であっても、医療機関において処方情報を印字した紙を患者さんにお渡しすることとしております。

 これは、現在のマイナンバーカードの普及状況なども踏まえまして、マイナポータルで処方内容が閲覧できないなど医療現場が混乱しないように配慮したものでございます。

 したがいまして、当分の間ということでございますが、今後、普及状況を踏まえまして、将来的にはマイナポータルでの閲覧に統一することも検討してまいりたいと存じます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 やはり、国民の皆さんに優しい導入をしていかなければならないので、なかなか難しいところだと思います。マイナンバーカードの普及につきましては我が党でも強力に取り組んでおるところですが、またしっかりとその辺のところもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、電子処方箋導入に際しては、現場の業務負担の軽減、効率化が重要と考えますが、厚生労働省は、電子処方箋の円滑な運用開始に向けた医療機関や薬局への支援として、医療現場の業務プロセスに配慮した設計を挙げていますが、具体的にはどのようなことを想定しているのか、お伺いします。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ございましたように、電子処方箋の円滑な導入を進めるためには、できるだけ現行の医療現場の業務プロセスに沿った形で導入するということが必要だと考えております。

 具体的には、重複投薬等のチェックの時間を可能な限り短縮すること、電子カルテ未導入の医療機関であってもレセプトコンピューターで電子処方箋を利用可能とすること、薬局におきましては、電子処方箋の内容を自動的に取り込み、データの入力を省くことなど、医療現場に最大限配慮した対応を行うこととしております。

 その上で、本年秋頃からモデル事業を実施いたしまして、現場の意見を拾い上げ、必要な対応を行うことで、来年一月の運用開始に万全を期してまいりたいと存じます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 私も、現場の薬局とか病院の先生方に聞きましても、非常に配慮していただいて、それほど、業務が今までと、負担があるというよりも、逆にやはり軽減されるんだというふうに言っておりますので、先ほどお伺いしたように、しっかりと現場の意見も聞きながら、そういった設計で進めていただけたらというふうに思います。

 次に、今回の電子処方箋の導入は、スピード感を持って、早期に一〇〇%を目指していくべきだと思います。政府においては、システム導入の初期費用やランニングコスト、さらには医療機関、薬局、保険者の負担に対して財政面も含めた最大限の支援を行い、強力に普及を推進すべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 電子処方箋は、患者や医療機関、薬局にメリットがあり、できるだけ多くの医療機関、薬局に導入いただくことが重要であると考えます。

 このため、厚生労働省としては、医療情報化支援基金三百八十三億円を活用いたしまして、医療機関や薬局のシステム導入を支援するほか、令和三年度補正予算九・三億円を活用しまして医療機関や薬局向けに周知広報を行いまして、複数の地域でモデル事業を本年秋頃に実施しまして、丁寧に医療現場の意見を拾い上げ、改善を図るなど、強力に導入を、支援を進めてまいります。

山崎(正)委員 是非よろしくお願いいたします。ランニングコストなんかは仕方ないと思うんですけれども、また、初期費用等の支援につきましては、よろしくお願いいたします。

 最後に、高齢化が急速に進む我が国では健康寿命の延伸が課題であり、今後、薬剤師による服薬指導もますます重要になってきます。

 そんな中で、気になることがあります。例えば、私の地元の高知県のある調剤薬局さんでは薬剤師さんが服薬指導をしてくださるのですが、調剤薬局さんは基本的にはどこもそんなに大きい店舗ではなく、例えば、患者同士は長いソファーのすぐ近くに座っているということが多いと思いますが、そこで薬剤師さんが大きな声で、今日はおなかの調子が悪かったかいとか、○○の値はどうやったねとかやるものですから、そこにいる人みんなに大体その人がどんな病気で来ているのかが分かります。その薬剤師さんは特に極端ですが、ほかのところでも、声の大小はあっても環境に大差はなく、患者さんのプライバシーがだだ漏れの状態です。

 私は、例えば、患者さんのプライバシーを守るためには、カウンターのようなところをパーティションで区切り、そこでお薬を渡し、服薬指導を行う等の対応を行うことにより、患者さんのプライバシーを守ることにもなると思いますが、こういった面の患者さんへのプライバシーに対する配慮の徹底、それとともに、パーティションを設置するなどの環境整備をした場合の財政的な支援ができないか、是非検討をお願いしたいと思いますが、佐藤副大臣の見解をお伺いします。

佐藤副大臣 委員御指摘のとおり、薬局での服薬指導に当たりましては、患者さんが安心して相談できるように、プライバシーに配慮しながら薬剤師が対応することは極めて重要であると認識しております。

 このことから、平成五年に薬局自らが自主的に達成すべき目標として通知した薬局業務運営ガイドラインにおきまして、患者のプライバシーに配慮した業務を行えるよう、構造、設備に工夫することを求めております。さらに、健康サポート薬局や認定薬局につきましては、間仕切り等で区切られた相談窓口の設置等を要件としているところであります。

 直接的な財政支援は行ってはおりませんけれども、患者さんのプライバシーの配慮を含め、地域医療に貢献する一定の体制を有する薬局について、診療報酬上の評価を行っているところであります。

 患者さんや地域の住民が薬局で安心して相談できるように、引き続きこれらの取組を進めてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。是非、そういった面のところの推進も、御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 本当に、今回の電子処方箋の導入につきましては、私の友人の調剤薬局の社長さんも言っておられましたが、一番いいのは患者さんを待たせなくて済むんだ、そして、安心して薬を出すことができるというふうにおっしゃってくださっていました。そういった面におきまして、今のところ、私が現場を歩きましても、病院、薬局、患者さん、皆さんにとってウィン・ウィンの制度ではないかなというふうに思います。

 一日も早い導入、そのためには、先ほども言いましたように、マイナンバーカードの普及が大切でありますし、先ほど長谷川委員からもございました、やはりなかなか進んでいないというところがあると思うんですけれども、これにはなかなか半導体不足の問題なんかも絡んでいるというふうにはお伺いしておりますが、これから着実にそういったところのオンライン資格確認の普及が進んでいくように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そういったことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 先週本会議で審議入りをした政府提出の薬機法改正案、そして我々が提出をいたしましたコロナ対策関連三法案の実質審議、今日から始まるということでございます。

 今日は財務省さん、また警察庁さんにも大変お忙しい中、御出席をいただいております。後ほど質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 政府案は、新たな緊急承認制度の創設、電子処方箋の仕組みの整備の内容となっておりますが、我々が提出した三法案、通称オミクロン・感染症対策支援法案、そして、コロナかかりつけ医法案、日本版EUA、特定医薬品特措法案という三本の内容でございまして、二年以上続くコロナ感染症蔓延長期化から浮き彫りとなった我が国の感染症対策に対する課題を解決に導く内容でございます。

 資料の一枚目、三法案と政府案との関係性を一枚の紙にいたしました。

 青い枠で囲ってある1のところが、オミクロン・感染症対策支援法案の範囲でございまして、こちらは、急増する自宅療養者へのパルスオキシメーターや検査キット、物資の必要性、これを確実に確保しつつ、病床不足の対応です。協定締結協力金支給であったり、医療提供体制の調整、要請。加えて、特措法と感染症法の一括法案として提出をさせていただいてお示ししてあるんですけれども、いわゆる司令塔機能の強化というものが含まれております。

 そして、オレンジ色の、ちょっと順番があれですが、三が、コロナかかりつけ医法案の内容ということで、急増する自宅療養者、必要な方が必要なときに確実に医療にアクセスすることを実現するための法案。

 そして、緑の枠が、二番目、特定医薬品特別措置法案、日本版EUAと呼んでおりますが。

 政府の今回の薬機法の内容は、グレーの点線で囲った、申請、承認審査、承認までという内容に対して、我々この三法案で、先ほども言ったように、これまで浮き彫りとなった課題について解決に導くための内容の法案であります。

 まず大臣に、読んで、見ていただけましたでしょうか。この三法案、しっかりよく見ていただいて、受け止めていただきたいというふうに思います。大臣、是非、この内容、真剣に議論、そして受け止めていただきたいと思いますが、まず冒頭、大臣の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 今、委員からも御説明のありました立憲民主党から提出のあった三法案につきましては、私も内容を見せていただいております。

 議員立法に関するものでありますことから、まさに国会において御議論をいただくべきものというふうに考えております。

中島委員 そのような答えになるとは思っておりますが、是非内容をしっかり見ていただきたいと思いますし、今回並行審議、関連法の審議ということでございますので、私からもるる質問、内容についてさせていただきたいと思います。

 昨年末に政府は、感染症法改正などコロナ対策関連法を一旦取りまとめたにもかかわらず、今国会に提出せず、感染症危機管理の抜本強化は六月に先送りと、大変のんきな構えでおられると、私は当時も思っておりましたし、現在も思っています。

 そうやってのんきなことを言っている間に、今年に入っていわゆる第六波、感染者、死亡者はこれまでで最も多い数字となり、現在もリバウンド、第六波が収まらないまま第七波、感染拡大の懸念、予断を許さない状況となっております。

 こういった政府の姿勢の中で、これまでの経過、現在も、私、大変心配しておるのが、政府の対策の遅れを最も危惧する部分が自宅療養者の数であります。

 今日は、最初の審議ということなので、自宅療養者含め、このコロナ感染拡大、蔓延の状況の中で、医療へのアクセスというところに焦点を絞って質問を続けさせていただきたいと思いますが。

 まず確認でございます。現在、直近で、コロナ感染が確認され、自宅療養されている方の人数、入院調整中の方も含め、お答えいただきたいと思います。と同時に、第六波でコロナにより自宅でお亡くなりになられた方の人数、介護施設でお亡くなりになった方の人数も含めて、お答えいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 三月三十日時点の療養状況調査によりますと、自宅療養者は二十九万四千二百八十九人でございました。それから、自宅等で入院先調整中の人数は二百三十一人でございました。

 また、令和四年一月一日から三月三十一日までの間に、新型コロナ患者の死亡者数のうち、HER―SYS上で検案した場所が自宅と入力された件数は百二十三件でございました。

 また、同期間に、HER―SYS上で御指摘の介護施設、障害福祉施設を含む社会福祉施設等と入力された件数は二百五十三件でございました。

中島委員 今お答えいただいたのは、現在、コロナと感染確認をされて自宅で療養される方の数、約三十万人ということをお答えいただきました。ピーク時には約六十万人近くの方が自宅療養をされていた。数は減っているものの、いまだ三十万人の方が自宅療養されておる。

 加えて、HER―SYS上でございますが、自宅でコロナ感染症でお亡くなりになった方の数は、現在、一月から三月末、この第六波ということでお答えいただきましたが、御自宅で百二十三人。先月、三月四日、同じ厚労委員会で聞いたときは七十二人ですから、この一か月で五十一人増えている。

 そして、社会福祉施設、これは介護施設だけではない、いろいろな施設、社会福祉施設が入るということですが、こちらは二百五十三人。これも三月四日、一か月前に比べると九十一人増加しておるということでございます。

 この数字、HER―SYS上ということでございますが、昨年からずっと毎月毎月出しているわけでありますが、昨年の第五波、八月のとき、こちらはHER―SYS上で四十九件だったと、私、承知しております。

 昨年の、令和三年の一月から十一月まで、約一年で百八十一件の中、今回、第六波では、この一月から三月までの三か月で、自宅でお亡くなりになっている方は百二十三件、こういう事実ということで今お答えいただいたと承知いたしましたが、それで間違いないですね。うなずいていただければいいです。はい、分かりました。

 それでは、今日は警察庁にも来ていただいております。警察庁が把握している新型コロナウイルス陽性死体取扱状況について、資料の一番最後、十一枚目にお示しをさせていただいておりますが、この内容について警察庁から御説明をいただきたいと思います。

鎌田(徹)政府参考人 お答えいたします。

 令和四年二月中に警察が取り扱いました新型コロナウイルス陽性の御遺体は五百六十四人でございました。

 この五百六十四人のうち、生前にPCR等の検査が実施された方は二百七十人、死後に実施された方は二百八十九人、検査不実施の方は五人となっております。

 また、この五百六十四人の発見場所の内訳でございますが、自宅等が五百十二人、外出先が五十二人でございまして、自宅等の詳細な内訳につきましては、自宅が三百八十四人、入所施設が百十二人、宿泊施設が五人、その他が十一人となっております。

 なお、令和四年三月分につきましては現在取りまとめている最中でございまして、お答えいたしかねることにつきまして御容赦いただきたく存じます。

 以上です。

中島委員 資料十一枚目に基づいて、今警察庁から御報告、御説明をいただいた内容は、特に今年に入って、一月、二月、第六波、そして二月の数字はこれまでで最高の五百六十四件、発見場所、自宅が五百十二人。その内訳が、御自宅で発見された方三百八十四人、そして施設が百十二人、宿泊療養施設が五人、その他十一人ということで、これは、先ほど厚生労働省からお答えいただいた御自宅でお亡くなりになった方百二十三人と、この警察庁が調べた数字三百八十四人、これは随分数字に乖離がある。

 この件については、昨年の第五波、デルタ株による感染拡大のときから、精査、検証するべきだということ、長妻委員を中心に、警察庁に調べていただいた数字、この数字だけ見てもかなり数字が異なる。倍以上、三倍近く、自宅でお亡くなりになった方。もちろん、内容は様々あると思います。例えば在宅医療をしていて元々延命処置をしない、そのままの経緯の中でお亡くなりになる方、そういう方もおられる。ただ、第五波まで以上に、第六波でこの数字が増えている。そして、厚生労働省のHER―SYS上と、また警察庁の調べた数字、これだけ乖離がある。

 大臣、一年通して数字だけ見れば、過去これまでで最高の数字を示している。そして、厚生労働省のHER―SYS上の数字と警察庁の数字、この乖離。この数字、どのように考えられるか、御答弁いただきたいと思います。

後藤国務大臣 まず、自宅でお亡くなりになられた方々の、御指摘に当たって、まずはその御家族も含めて、本当に改めて心よりお悔やみを申し上げたいという気持ちです。

 厚生労働省としては、自宅で療養されているコロナ患者の方に対しまして、症状等に応じて、健康観察や必要な医療を提供していくための環境整備が重要であるというふうに考えております。

 昨年夏の感染拡大に際して、感染の拡大に病床の確保が追いつかない事態や、陽性判明後の健康観察や治療が迅速、確実に実施されない状況が生じまして、治療開始が遅れる、そして、その上で重症化する事例や在宅で亡くなる事例等が見られたこと、非常に深く重く受け止めております。

 こうした課題を踏まえて、昨年十一月に取りまとめた全体像に基づいて、保健医療提供体制を強化しながら、オミクロン株の特徴も踏まえながら、自宅療養者等が確実に医療を受けることができる流れをつくってきたということでございます。

 それから、先ほど、死亡事例に関する数字の違い、あるいは実態はどうなっているのかというお尋ねがありました。

 厚生労働省としては、昨年夏の感染拡大時に、自宅での死亡事例について死亡に至るまでの経緯や、自治体の取組事例について調査を行いまして、その調査結果と自治体の取組事例の周知を行ったところでございます。

 本年一月以降の自宅での死亡事例につきましても、より詳しい実態把握のために、現在、各都道府県を通じまして調査を行っているところでございます。

 引き続き、こうした調査による実態把握に努めまして、必要な改善に取り組んでまいりたいと思っております。

中島委員 昨年十一月の取りまとめの全体像に沿ってやった結果、今の現状。実態調査、やっておると言いますが、実際には対応できなかった。第五波よりも第六波、いわゆる自宅放置死、第六波の方が最悪の事態を招いている。こういう、私は、しかも今、現在進行形なんだということをこの数字は示しているんじゃないかと。

 そして、この十一枚目の警察庁の調べでございます。二月の五百六十四件、取扱件数のうち、生前にPCR検査で陽性確認された方は二百七十人。もちろん、されていない方の数も多いわけでありますが。検査で陽性とされながら、されながらも、二百七十人の方が最終的に警察で発見された。これは一体どういう状況にあったのか。健康観察、その反省に基づいてという話がございましたが、感染が確認されながら、自宅で、陽性死体取扱いに含まれてしまっている。こういった状況から、今、検証、実態調査、調査中と言いましたが、やはり、政府、楽観観測だったんじゃないですか。

 昨年の十一月の取りまとめ、その取りまとめに沿ってやった結果、この第六波で、改めてこの昨年の第五波、私も対応させていただきましたが、ひどい状況でした。それよりもこの第六波は更にひどい状況を招いてしまった、その可能性が高いと言えるんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 昨年の十一月の全体像というのは、先ほども御指摘もいただき、私も申し上げた、昨年夏の状態等を省みて、最悪の事態も、いろいろなケースを想定してつくったものでございます。

 その後、オミクロンが発生をしたわけでございまして、オミクロン株の特徴に応じて、感染力が強く、しかし重篤化する数は少ない、相当に速いスピードで広がる。そういう事態に対応するために、自宅療養者の増加をやむなしとして、それに応じた対策を取ってきたと。

 例えば、厚生労働省として、自宅療養者の増加に対応して、健康観察、診療医療機関の数について、一月の一・六万から二・二万と、〇・六万増やすというような対応をいたしましたし、例えば、保健所のみに頼らずに健康観察等に対応できる体制構築のためのMyHER―SYS等のシステムの徹底活用、健康観察のために都道府県が設置するフォローアップ体制の強化等、体制の充実を図ってきておりまして、地域における体制をしっかり稼働させるとともに、自宅でも療養できる環境整備に努めるべく、全力を挙げて今も取り組んでいる。

 そして、こうした体制については、今もまた今後の感染状況を見据えながら、体制の更なる整備、進めているところであります。

中島委員 フォローアップ体制、健康観察、診療医療機関の数も増えているということで、努力をしていると。それは私も認めます、様々やっている。

 ただ、昨年十一月の取りまとめに沿って対応した結果が第六波で、さらに、本来なら助かる命が助からなかった。これ、毎回お名前出して大変申し訳ないですが、昨年、第三波でも自宅放置死が発生し、そして、第四波で大阪、兵庫を中心にひどい状況になった当時の田村厚生労働大臣ですね。厚生労働省として対応できなかった、じくじたる思いだと、二回にわたって言ったわけですよ。そのじくじたる思いが生かされず、第五波でデルタ株でひどい状況となり、さらに、第六波で、救える命、本来だったら救えたはずの命が救えなかった可能性が私はあるんじゃないかと。

 我が国は、世界に誇ると言われる国民皆保険制度。その我が国で、必要な方が必要なときに医療にアクセスできていない、経過の途中でお亡くなりになるような事態、それもまだ実態調査もできていない、把握もできていない、こんな状況が二年以上も引き続く、これは異常な状況だと、大臣、認識されておりますでしょうか。

 加えて、必要な方が必要なときに確実に医療にアクセスできるように、つけ焼き刃じゃなくて、地方丸投げではなくて、医療システムの変更を厚生労働省が、そして政府が主導して行うべきだと思いますが、認識とともに、大臣、お尋ねしたいと思います。

後藤国務大臣 今、大変に医療の現場が困難な状況にあること、あるいは、医療と実際に健康観察をつなぐ保健所の機能が大変な状況にあること、そうしたことを踏まえながら、日々少しでも状態をよくするべく、今、関係者の皆さんとも知恵を出し合いながら懸命に取り組んでいるところでございます。

 改めてもう一度申し上げるとすると、昨年夏いろいろな問題点がありまして、こうしたケースをしっかりと踏まえた上で、反省をした上で、昨年十一月の全体像に基づく保健医療提供体制の全体の姿を国民に明確にお示しをしたつもりであります。

 そして、その前提としての全体像に、その後流行しましたオミクロン株の特徴を踏まえて、自宅療養者等が確実に医療を受けることができる、そういう体制づくりに懸命に取り組んできたつもりでございます。

 こうした中で、先ほど申し上げたような診療・検査医療機関、発熱外来を三・六万機関設けるとか、健康観察、診療医療機関を設けて、二・二万機関まで拡大しておりますけれども、現場において、陽性判明後、速やかに健康観察が行われる仕組みも構築するなど、いろいろな形でできる限りの対応をしてきているというふうに考えております。

 自宅療養者の症状の変化は、オミクロン株の場合に迅速に対応する必要があることは非常に強く認識しておりまして、必要な医療提供をするということは何より重要と考えております。

 診療・検査医療機関や健康観察、診療医療機関の更なる拡充等に努めながら、自宅療養、しっかりと必要な医療が届けられるように対応していかなければならない、そのことに心して取り組むように、頑張ってやらせていただきたいというふうに思います。

中島委員 是非、こういう状況が二年以上、今オミクロン株の特徴にも触れられましたが、オミクロン株、昨年、世界各国で先行感染拡大して、伝播力が強いというよりは早い。一方で、軽症で済むんじゃないかと。実際私も週末、外来をやらせていただいていて、昨年八月の第五波のデルタ株に比べると、非常に軽症で済む方が多いなという印象を持っています。ですが、だからこそ、そういう感染蔓延の状況の中で、医療にアクセスできずに放置されて亡くなる方が出るというのは、より深刻な私は状況なんじゃないかと。

 国民皆保険制度は、先ほども申し上げましたが、確実に医療にアクセスできることを保障していたはずです。それが、有事、国民の皆様、日頃高い保険料を払って、そしていざ有事のときに医療にアクセスできない、遮断されてしまったと。

 二年以上こういう状況が、感染初期は、コロナ株、いろいろ変異もしましたけれども、何物か分からないというところで、医療機関もどう対応していいか分からない。でも、昨年の八月も踏まえながら、この感染症がどういった態様か、様々培ってきた経験値があったはずです。にもかかわらず、我が国、国民皆保険の特徴であるフリーアクセスどころか、肝腎なときにアクセスできない。強く受け止めると言っておりますが、受け止めても改善しなければ意味がありません。

 先ほど私が言ったのは、医療システムの変更、これはやはり厚生労働省が、そして政治が判断するべきだということで御指摘をさせていただきます。資料の二枚目ですね。先ほども、一枚目のポンチ絵の3に当たります。今回我々が提出をいたしました、通称コロナかかりつけ医制度でございます。

 これは、いわゆるかかりつけ医を明確に定義し、制度化する内容です。事前に登録をすることで、いざ濃厚接触、そして感染が確認されたとき、その方々が確実に医療にアクセスするための内容の法案です。少なくとも基礎疾患があるなど重症化リスクが高い方々には、事前に登録をして、平時の相談から、いざ濃厚接触、感染が確認されても、迅速に検査をし、そしてタイムリーに早期治療を実現させるための内容であります。

 我々立憲民主党からの提案、与党の皆さんも、賛成するのは難しい、いつもそういう状況だと思うんですが、もし御賛同していただけるなら一度撤回しても構いません。ちょうど先ほど言った、じくじたる思いをされている田村前厚生労働大臣、議員立法を成立させる名手でございますから、田村前厚労大臣に超党派議連の会長でもやっていただいて、この内容、是非超党派で、中心で、与党の皆さん、また野党の会派の皆さんもそうでありますが、是非やっていこうじゃないですか。

 超党派で、委員長提案ということであれば、そういった場合は、改めて、大臣、応援していただけますか。

後藤国務大臣 あくまで議法についての御議論は委員会でいただくことになりますし、今、中島委員がおっしゃったようなプロセスであれば、なおのこと政府からコメントはできないということで、その辺の立場のことについては御理解をいただけるものというふうに思います。

 新型コロナ感染症に感染した場合であるか否かを問わず、日頃から患者のことをよく知るかかりつけ医が診療を行うことは望ましいことだというふうに思います。また、先ほどから度々申し上げている健康観察、診療医療機関で自宅療養やあるいは高齢者施設を診ていくということ自体の考え方の基本も、それと共通するところであるというふうには思っております。

 地域において急速に拡大する感染症の場合には、短期間に増加する感染者に対する診療、治療にどのように広くアクセスを構築するかについても併せて考えていくことは重要だろうというふうに認識をしています。

中島委員 かかりつけ医の重要性については大臣も認識をされておると。

 これは別に今に始まったわけではないと思うんですね。今年の診療報酬改定でも加算もされておる。以前から、かかりつけ医機能の強化は必要だと。しかしながら、その状況の中でこういう事態を招いている。

 こういう状況を脱するための法案が、コロナかかりつけ医、我々が提出した内容であり、そもそも、昨年の六月、通常国会でございますが、我々、第四波の医療のアクセスができないという状況を踏まえて、プライマリーケア機能を持つかかりつけ医を家庭医と位置づけ、制度化する。資料でいうと三枚目ですね、家庭医制度の整備の推進に関する法律案の立法事実。まさにコロナ禍で、つながるはずの医療がつながらず、放置死した現状を踏まえて、そして資料の四枚目、これは法案の概要でございますが、目的、定義、基本理念と、まさにプログラム法として提出をさせていただきました。残念ながら廃案となっているわけでございますが。

 我々、繰り返しですが、第三、第四波、二度とこういう状況を招いちゃいけないと言いながら、先ほど警察庁また厚生労働省からも、数字だけ見ても更にひどい状況を招いてしまった。大臣も何もやっていないとは言いません。昨年の十一月の取りまとめを踏まえて、病床確保や自宅療養、関係してくれる診療所の数も増えた。しかし、これまでの延長線の対応では難しい。

 改めて、このコロナかかりつけ医、その先には、平時の少子高齢化、人生百年、我が国が抱える医療基盤の再構築にもつながる日本版家庭医制度。

 これは我々だけが言っているんじゃないんです。大臣御地元の、この六月に出した法案の内容、御指導いただいたのは諏訪中央病院の鎌田實先生ですよ、鎌田實先生。そして、これも、選挙区ではないと思いますが、御地元長野の松本にある相澤病院、四病院団体の一つの日本病院会、相澤理事長、御指導いただきました。加えて、医療界ではプライマリ・ケア連合学会、草場理事長。支払い側からは健保連さん。そして、家庭医制度に続くコロナかかりつけ医制度、まさにこのコロナ禍で、昨年の八月、自宅放置死された、その遺族会の皆様の思いを反映させた内容であります。

 是非、立憲民主党だけが言っているわけではなく、医療界、まさに後藤大臣の御地元の、私は、長野、県境を挟んでですが、先生方に御指導いただいたことからこういう発想になっていて、まさに御地元の、長野モデルと言ったらなんですが、これをやるのが、私は、後藤大臣、今このコロナ禍で厚生労働大臣をやっているその意味が、巡り合わせがあるのではないかと思います。

 それ以外にも、今日は財務省にお越しをいただいておりますので、ちょっとお答えいただきたいんですが、昨年十二月、財政審議会において令和四年度予算の編成等に関する建議が示され、コロナ感染症蔓延長期化を踏まえ、かかりつけ医について明確に建議の中で示されております。

 政府における財政審の建議の持つ意味と、コロナ蔓延長期化、また、我が国の構造的課題である少子高齢化を踏まえ、かかりつけ医の明確化、制度化についてどのような内容となっているのか、ポイントを絞って御説明いただきたいと思います。

阿久澤政府参考人 お答えをさせていただきます。

 財政制度審議会の建議でございますけれども、財務省設置法に基づきまして、国の予算などに関する重要事項につきまして、審議を経て、財務大臣に述べられる意見として取りまとめられるものでございます。

 御指摘の、昨年十二月の財政制度等審議会の建議におきましては、コロナ禍においてフリーアクセスが十分に機能しなかった経験から、必要なときに必要な医療にアクセスできることの重要性、これを踏まえまして、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化し、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定するなどの制度を設けること、また、利用希望者による事前登録や医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討すべきといった提案がなされているというところでございます。

中島委員 今、財務省に、昨年末に示された財政審の建議の内容を簡単にポイントを絞って御説明いただきましたが、資料の五枚目から十枚目に赤線を引いて、今話をした内容をお示しをさせていただきます。

 何点かポイントがございますけれども、特に今お話しいただいた、九枚目、dの今後の制度面の課題というところで、第五波の下でピーク時には全国で何万人と発生した、入院先調整中の方々が。こうした方々の外来医療、在宅医療へのアクセスの機会は限られていたことが指摘されている。そして、我が国の医療制度の特徴であるフリーアクセスは、肝腎なときに十分機能しなかった。いつでも、好きなところでという意味で捉えられがちであったこと。質重視の、かかりつけ医を制度化するべきだと、明確にこの建議の中で言っているわけであります。

 すなわち、財務省の建議として、先ほど、我々が昨年六月にお示しした日本版家庭医法案、そして今回のコロナかかりつけ医法案、まさにこの財政審の建議に合致するものだと思います。私、びっくりしたんです。昨年末この建議を見て、内容が酷似している。どっちが先でも、どっちでもいいんですけれども。

 財務省さん、今の建議の内容を踏まえて、我々が提出している昨年六月の家庭医法案、またコロナかかりつけ医法案、御評価いただけますでしょうか。

阿久澤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに御指摘いただきました議員立法、これにつきましては国会の場において御審議をいただくものと理解をしておりまして、先ほども申し上げました財政制度審議会の建議における内容との関係、こちらについて詳細に御説明するのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど御説明させていただきました建議も踏まえまして、政府部内で調整をした結果、昨年十二月二十三日に決定した新経済・財政再生計画の改革工程表におきまして、かかりつけ医機能の明確化と、患者、医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について検討を進めるということの方針が示されているところでございまして、この改革工程表に沿いまして具体的な方策を検討する中で、先ほど申し上げました建議の内容の反映も含めまして、しっかりと議論を深め、改革を着実に実行していく必要がある、このように考えております。

中島委員 まさに合致するんじゃないですかね。合致するんですよ。

 先日、医療情報サイトで、神田眞人財務官がインタビューに答えておられます。今の建議と同じ内容に、ほぼ合致するんですが、財務官としてインタビューを受けています。

 この中で、今もお話しいただきましたが、コロナ禍でフリーアクセスのよさは発揮されなかった。そして、発熱患者が迅速に受診できないという現実があった。日本の医療提供体制は優れていると思われていたが、実は脆弱だったことが露呈した。国民が本当に必要なときに必要な医療にアクセスできるようにすること、質の重視に切り替えることが大事だ。具体的に、今まさにおっしゃった、かかりつけ医機能の要件を法制上明確にした上で、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定するなど制度を設けること、こうしたかかりつけ医に対して利用希望の者による事前登録、医療情報登録を促す仕組みの導入を検討していくべきだ。非常時に備えた制度改革も不可欠だと、明確に言っています。

 私は、今の御説明は合致しているというふうに思います。

 そして、大臣にちょっと確認したいんですが、財務省の建議、そしてこのインタビュー記事でも、コロナ禍で、我が国の医療制度の中で、フリーアクセスは機能しなかったと財務省は明確に言っています。厚生労働省として、このコロナ禍、フリーアクセスは機能したのか、しなかったのか、お尋ねしたいと思います。

後藤国務大臣 基本的には、フリーアクセスは日本では機能していると私は思います。

 ただ、問題は、必要なときに必要な医療すら受けられなかったという事態はフリーアクセス以前の問題であるというふうに思いますので、そういう意味においては、私は、大きな問題を、昨年の夏、また、パンデミックの下での我が国の医療界は課題として持っているということについては、委員の御意見と意見を共通にするところであります。

 厚生労働省としても、かかりつけ医については、上手に医療を使っていくという観点から、国民を対象に、かかりつけ医を持つことの大切さを周知啓発しておりますし、都道府県において、かかりつけ医の育成、研修への支援を行ったり、かかりつけ医が有効に機能している事例の収集、横展開、こうしたことを、かかりつけ医機能を充実化させていくということで、厚生労働省としてもこれを推進をいたしております。

 財政審の建議は政府部内の審議会の建議でありますけれども、かかりつけ医の機能の要件を法律上明確にする上に、かかりつけ医として認定する制度を設けて、事前登録を国民に対して促す、そういう仕組みとして制度をつくるという御提案であるというふうに承知をいたしております。

 そうした、いろいろな、国民に事前登録をしてもらうことも含めて、認定制度をかちっとしたものをつくっていくということ自体については、これは、先ほども紹介がありました政府全体で決めましたところの新経済・財政再生計画改革工程表においては、かかりつけ医機能について明確化を図るとともに、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策について検討を進めていくということで、政府としての統一的な見解をまとめているところであります。

中島委員 ちょっと最初の点が分かりづらかったんですが。

 私は、端的に、このコロナ禍で、大臣として、我が国の国民皆保険の特徴であるフリーアクセスは、財務省は機能しなかったと言うのに対して、大臣は何かフリーアクセスそれ以前の問題と。これはどういう意味なんでしょうか。感染症だからしようがない、そういう意味なんでしょうか。まずそれが、もう一回明確にお答えいただきたいのと、私は、改めて改革工程表、これは鈴木財務大臣も予算委員会で答えています。そして岸田総理も、かかりつけ医が広く普及するようしっかり取り組むと、明確に予算委員会で答えています。

 先ほどのフリーアクセス以前の話の御説明と、この検討、改革工程表に沿うのはいいんですが、これは今まさに現在進行形で起きている話なんですよ。改革工程表に載っているからいいじゃないかじゃ済まないんです、すぐやらないと。だから、我々議員立法で出しているわけですから。

 じゃ、改革工程表に載って、かかりつけ医を明確に定義して制度化する、いつまでにやられるのか、お答えいただきたいと思います。

後藤国務大臣 フリーアクセスが十分に肝腎なときに機能しなかったということについては認めています。問題は、はっきり言って、どのような選択が可能であり、どのような医療が提供できるかということからいうと、昨年の夏に起きたことは、十分に自宅において医療を提供できなかった場合もあったというような意味においては、非常に、原始的な問題として大きな問題であったということを率直に申し上げたという気持ちであります。

 それから、先ほどから申し上げているように、物の考え方の方向について、我々もかかりつけ医機能というものを大切に考えていった方がいいのではないかということで従来から政策を進めておりますけれども、例えば、法制上明確にすることはともかくとしても、かかりつけ医制度を認定する制度としてつくった上で、それを国民に選択して事前登録をしてもらう、そういう仕組みまで、本当にどういう段取りで、どのように国民の御理解を得られるのかとか、そういうことについては、やはり、患者と医療者双方にとっての観点から、その機能が有効に発揮されるための具体的な方策についての検討の中で、そういうことも含めてやはりこなしていかないと、医療というのは本当に国民の日々の生活にとっていつ必要となるか分からない重要な公的なサービスでありますので、そういうことを、制度の趣旨からということよりも、そういう実態がどのように回すことができるのか、そういう観点を含めて丁寧に検討していきたいというふうに考えます。

中島委員 大臣おっしゃるとおり、我が国の国民皆保険制度創設以来、かかりつけ医を制度化して、登録制、支払いはどうするかは議論はあるとは思いますが、国民皆保険創設以来の大改革に当たる内容だと思います。だからこそ、拙速にはできないというのはよく分かります。だからこそ、我々昨年の六月に、まさにプログラム法ですよ。

 工程表、これは政治がこういう制度を構築していくんだという意思を示して、それにのっとって工程表というものができてくる。そして、まさに導入は、このコロナで浮き彫りとなった課題じゃないですか。

 まずは、このコロナで自宅放置死をしないために、少なくとも基礎疾患、高齢者、重症リスクの高い方は事前に登録しましょう、まさに段階を踏むと大臣はおっしゃいましたが、コロナで浮き彫りとなって、そして、自宅放置死、第三、第四、第五、そして第六波と、繰り返せば繰り返すほど、先ほども数字が出ていたようにひどくなっているじゃないですか。まさに我々が提出したコロナかかりつけ医法案を導入に、我が国のかかりつけ医制度化、実現するべきだと思います。

 これに対して、日本医師会から、地域における登録制やかかりつけ医の制度化は緊急事態法整備など憲法絡みの議論は不要だと。こういうことを財務省の建議でも言っている。すなわち、日本医師会は、このコロナ禍でもフリーアクセスは維持されていると。

 今、大臣は、政府の統一見解だと思いますが、改革工程表で進めていると。大臣は、財務省の建議、先ほどはっきりおっしゃっていただきました、フリーアクセスは機能しなかったと。日本医師会は、機能している、だから法整備は必要ないという見解でありますが、大臣は、今も御答弁いただいて、確認でございますが、段階はあるにしても、かかりつけ医は明確に定義をして制度化するという意思で、決定でよろしいということでしょうか。

後藤国務大臣 私は、先ほどから、フリーアクセスが日本で機能していないと言ったつもりはないんです。フリーアクセスは、我が国の医療制度としては生きている……(中島委員「さっき言っていました」と呼ぶ)いやいや、おっしゃったことですので、申し上げているので、改めて申し上げるわけでありますけれども。しかし、昨年からのパンデミックの状態の中で、日本の医療の提供体制が不十分である事態が発生したということについては、私はお認めをいたしました。

 ただし、日本がフリーアクセスの医療提供体制を取っているということについては何ら否定をしているわけではないということだけ申し上げた上で、今、かかりつけ医の機能について、厚生労働省としてはそれを進める方向で政策を進めてきているわけでありますけれども、今回、工程表の記載を、先ほどから申し上げているところでありますけれども、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための方策というのを、本当に医療の現場、国民一人一人の立場、どういう形で医療が提供されるのかということをきちっと見極めた上で検討を進めていく必要があるというふうに考えています。

中島委員 時間が残り僅かなんですが、何か、共有されているのかしていないのかよく分からないですけれども、政府として、鈴木財務大臣も岸田総理も、財務大臣は改革工程表に沿って進めていくと。これは、明確に制度化に向けてということでありますから。

 社会のコンセンサス、国民の皆様が何をこのコロナ禍で思っているか。前も言いましたが、この永田町、霞が関におられる方は医療にアクセスできるんですよ。例えばコロナの心配があるときに、後藤大臣も皆さんも、知り合いの、地元に行けば、医師会の先生を知っているとか、ちょっと聞いてみようと、できるんですよ。

 だけれども、一般の国民の皆さん、まさに自宅放置死遺族会の皆さんの訴えは、ここに電話してくださいと言われても、電話が通じない、そして薬も追加されない。最初、感染が確認されたときは微熱程度だったものが、二日したらせきがひどくなった、症状の変化に対応していただけない。そして、社会ではコロナ感染症の情報があふれている。

 私も昨年の八月、この第六波でも、先週も対応いたしましたが、その国民の皆様の不安、もしかしたらそういう不安が、いわゆる後遺症にトラウマとなってつながっているかもしれない。この安心に応えるのが私は政治の役割だと思います。

 大臣は、かかりつけ医がおられますか。

後藤国務大臣 特定の一人の方をかかりつけ医として指定しているつもりはありませんが、少なくとも数人の何かあれば診ていただく先生はいます。

中島委員 私が言うかかりつけ医は、昨年六月にお示しをしたプライマリーケア機能を持つ、そういう意味だと。大臣、こういう激務をされていて、そして御自宅、地元でも、いろいろ。

 今の状況というのは、整形外科のかかりつけ医、そして内科のかかりつけ医、それぞれかかりつけ医がいる状況。でも、いざというときに、このコロナが示してくれたように、私はコロナは診れません、こういうミスマッチが起こっている。

 そして、ワクチンのリスクコミュニケーション、これは大臣もワクチン担当の一人だと思います。いわゆるリスクコミュニケーションを担当するんだと思いますが、これは大臣が幾ら発信してもなかなか行き届かないんですよ。まさにリスクコミュニケーション、仁木委員も前にその重要性を指摘しておりましたが、これはまさにかかりつけ医がするんですよ、個別性を見てね。

 そういう状況を生み出すことがこのコロナにおいても大変重要であるし、大臣にとっても、先ほども言ったように、私はこの発想は、地元山梨県八ケ岳南麓で、富士見高原病院の井上先生、諏訪中央病院の鎌田實先生、そして八ケ岳を挟んで、佐久総合病院、そして松本の相澤病院の相澤先生。まさに長野モデルじゃないですか。

 大臣、私、大臣に本当に期待しています。御地元の医療システムを我が国の医療システムに反映していこうじゃないですか。是非大臣、一言御決意をお願いいたします。

後藤国務大臣 答弁前から拍手は初めてで、ありがとうございます。

 かかりつけ医の件につきましては、厚生労働省としても、かかりつけ医の機能をうまく使っていくという政策をまず進めているということを申し上げておきたいと思いますし、それから、新経済・財政再生計画改革工程表というのは、これは政府で決定したものでありまして、当然、先ほど申し上げた、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策について検討を進めていくというのは、これは厚生労働省も含めた政府全体の決定でありますから、そうした方向でやることについて、私は何ら異を唱えているつもりはありません。

 そうした方向でしっかり検討していきたいというふうに思いますけれども、その中において、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるということは、一人一人の患者さんにとってどういう形で医療がきちっと提供されていくことが見届けられるのか、そうしたことも含めて、やはり国民の命と暮らしを守る医療について丁寧な制度設計が要るということを申し上げているということで、方向性については先生がおっしゃっていることについて異なる見解を持っているわけではありません。

中島委員 もう時間ですので、まだまだ薬機法は審議が続きますので、大臣も制度化、かかりつけ医に向けて前向きだということでございますので、我々の法案、是非与党の皆さんも含めて御賛同いただければと思います。

 質問を終わります。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、二〇一九年以来、薬機法改正に関する審議ということで、よろしくお願いを申し上げます。

 そもそも、この現在の薬機法ですが、これは、民主党政権時代に、医薬品、特に医療機器承認における大幅なタイムラグ、デバイスラグ、ドラッグラグ、そういった解消、PMDA改革、そして医薬品、医療機器を章立てを別にする、さらに、再生医療製品を書き込む、法律にしっかり入れていく、そういった必要性が明らかになりまして、私も党内でこの法改正の際、責任者として取りまとめ、改正の原案を厚生労働省の方々と検討し、立法の準備をさせていただきました。政権交代後の自民党政権下での成立ということでありますが、私も大変思い入れの強い法律であります。

 しかし、今回の法改正は、重要広範議案として、三月三十一日に、総理にも御登壇いただいて、本会議で趣旨説明、質疑が行われました。しかし、内容が極めて薄い、大変残念なものと言わざるを得ません。そこで、私自身も提出者となり、三本の対案を提出させていただいております。本日は、しっかりとした審議をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の法案の大きな内容は、パンデミック時に限り、迅速な薬事承認を可能とするため、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品等について、他に代替手段が存在しない場合、安全性の確認を前提に、医薬品等の有効性が推定されたときに薬事承認を与えることができるようにするとされていますね。

 まず、そこでお伺いしますが、今回の法律が仮に成立していたとした場合、過日承認されたアクテムラのオフラベル使用での承認は可能でしたか。また、その場合、米国食品医薬品局、FDAが昨年の六月二十五日に緊急使用許可を出していますが、我が国ではどれくらいの期間で今回の緊急承認ができたとお考えでしょうか。

後藤国務大臣 緊急承認の制度は、安全性の確認を前提に、有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を与える仕組みであります。

 その効果は、個々の医薬品等の性質等に応じて異なりますけれども、例えば、国内で開発された治療薬の場合において、第三相試験が完了していない段階の限定的なデータに基づいて承認の判断が可能な事例があると考えております。

 今御指摘があったアクテムラのような既に別の適応で承認済みの医薬品につきましては、既存薬の効能追加として、今回の緊急承認制度の対象となります。有効性が推定できた段階で承認できることとなり、承認申請の促進に資するものと考えています。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣、今回は、今の私の質問はオフラベル使用に限定していますので、大変御丁寧な御答弁で感謝申し上げますが、ポイントのところだけ御答弁していっていただくと質疑が有効かつ濃密にできますので、よろしくお願いいたします。

 大臣、そうすると、アクテムラみたいなオフラベル使用の場合は、相当早い段階で使用が可能になるわけですよ、大臣の今の御答弁では。そうすると、もう一度そこをお伺いしますが、米国より早い段階での承認が可能だったとお考えになりますか、そうではないですか。

後藤国務大臣 新型コロナの治療薬としてのアクテムラについて、米国で、EUA、緊急使用許可がなされたのは昨年六月二十四日であります。日本での適応追加承認は本年一月二十一日ということになります。

 このことに関しまして、米国では申請が昨年四月二十日になされましたけれども、日本で承認申請がされたのは昨年十二月十三日でありまして、日本において企業が承認申請の準備に時間を要した理由としては、複数、三つの試験、臨床試験の結果が異なっていたことからデータの整理等が必要となったためだと聞いております。しかしながら、その後の申請から承認までは米国やEUよりも短い期間で行っているわけであります。

 今般創設する緊急承認制度によりまして、申請に必要な臨床試験データが軽減されまして、日本での承認申請の促進にも資するものだと考えています。

吉田(統)委員 くしくも大臣が今、後ほど議論しようとした問題点をおっしゃっていただきましたね、製薬メーカーの申請。

 ただ、私は、少しうがった見方ですが、これはやはり各国の様子を見ていた部分もあったんじゃないかというような印象も受けるんですね。私が有効性を、生理活性を基に提案させていただいたのは相当早いですし、インターロイキン6は私も専門としているものの一つですが、同様に、同じような研究をしていた学者が効果、薬効が効くという提案をしていたのは相当前であります。

 今の御答弁で結構ですが、やはり、せっかく法改正するのであれば有効にやらなきゃいけない。ただ、くしくも大臣が、繰り返しになりますが、企業の都合ということをおっしゃった部分がありますので、そこをクリアしないと結局問題は前に進まないということを大臣が今お認めになりました。

 そこで、じゃ、続き、行きます。ありがとうございます。一般的な話として、では、伺います。

 例えば、イベルメクチンという薬があります。これは我が国で製造されて、他の用途、寄生虫薬で使用されている医薬品のオフラベル使用の場合、また、他国で幅広く承認されている医薬品を国内で使用しようとする場合、同様に、そもそも今回の法改正によって使用許可が可能になりますかということ。そして、一概におっしゃるのは難しいと思うんです、ですので、幅を持って答えていただいて結構ですが、一般論として、どれくらいの期間でこれが使用可能になるかということを確認させていただけますか。

鎌田(光)政府参考人 済みません、お答え申し上げます。

 先生御指摘の、イベルメクチンですとか、あるいは海外で使用されているものが使えるかどうかということにつきまして、先ほど大臣から申し上げましたように、今回の緊急承認制度は一定のデータを基に有効性が推定される場合ということで、一般論としては対象になりますけれども、他方で公知申請というものもございますので、我々はそういったものを駆使して、使用に向けて検討いたします。

 ただ、先生お尋ねの、具体的にどのくらい短くなるのかということは、やはりそのデータがどれだけ熟度を持っているかというか、その制度にふさわしい熟度、データの内容がそろっているかどうかに関わりますし、また、先生御指摘のように企業の申請状況によりますので、一概に、それぞれの制度においてはどのくらい短くなるか、いつ承認になるかということはお答えできないことについては御理解賜りたいと存じます。

吉田(統)委員 公知申請の話が出ましたが、公知申請でもやはり、さっきおっしゃるように、企業の都合が大きく入ってくるわけです。そして、公知申請も、いつの間にやら役所の、適応というか、それを対象とする範囲に関して何か厳しくなったようなことを、前、レクに来たときに、以前そんなことは言っていなかったのになということを言い出している部分があるので、公知申請自体も形骸化しないか非常に心配なところですね。

 あと、役所の方に関しましては、私も大臣にお答えをいただくつもりで質問を作っていまして、そして、役所の方しか答えづらいところはそのつもりで役所の方を御指名しますので、そういう約束でレクをしていますので、大臣に私が聞いているときは大臣に答えてもらってください。大臣も全部お分かりではないと分かっていますので、ちゃんと、細かいところは役所に聞くと、昨日も聞いてありますので、勝手に手を挙げられると、答えられると、私も議論が成り立たなくなりますので。

 本当はこの後聞こうと思ったんです、局長に。

 要は、通常の薬事承認でも大体のタイムコースは知らせることはできますよ。大体こんな感じだとか、期間とか、大体、一般論として言えます。だから、概算でいいから大体示せばいいんですよ。だって、一般のとき、一般の普通の薬事承認のとき、こんな感じだって、ここは何年かとかで示すじゃないですか。だから示せないわけないじゃないですか。一般のときも示せるんだから。それを聞いているんです。

 もう一回、じゃ、局長、ちょっと、本当に一般論で結構ですので、大体ここにどれくらいかかるか。それが分からないと、アカデミアも医療の現場も困るんですよ。だって、パンデミック、パンデミックと言いますけれども、エボラみたいなアウトブレークが起こってきた場合、今の局長のスピード感だと多分対応できないですよ。どうですか。

鎌田(光)政府参考人 まず、薬事審査にどれくらい期間を要するかということにつきましては、我々としても標準的な事務処理期間という形で、通常の承認であれば一年程度ですとか、あるいはほかの制度の場合には九か月や六か月とか、そういったことをお示ししてございます。

 先生、今、エボラあるいは緊急時の対応ということをおっしゃいました。

 正直、我々、例えば特例承認で今回は対応いたしましたが、それはまさに製品によりまして、また、得られるデータの程度、そして得られるデータがどのくらい、一遍に出てくるのか、あるいは事前に少しずついただけるのかによって異なります。我々としては、一生懸命審査しまして、資源も投入いたしまして可能な限り短縮いたしましたが、一概に、緊急時にどのくらいでできるかというのは、今申し上げたように、データの熟度なり、製品の性質によるということは御理解賜りたいと存じます。

吉田(統)委員 分かりました。適正な審査は必要ですので、適正な審査をしてください。後ほど、どう考えても適正じゃないという話をるるさせていただくところがありますのでね。

 では、これは簡単な問いですが、大臣、あえて確認をしておきますが、今回の法改正、医療機器も対象でございますね。

後藤国務大臣 医療機器も対象範囲です。

吉田(統)委員 加えて、パンデミック下という環境だと、なかなか医療機器というのはぴんとこない部分も皆さん、あると思うんですが、医療機器については、どのようなものが今回の緊急承認の対象になると政府として想定をされていますか。

鎌田(光)政府参考人 済みません。具体的に、この制度を審議する審議会におきましても、医療機器あるいは再生医療あるいは体外診断薬というものについても対象とすべきということは御議論賜りましたが、例えば今回の対応時にこの制度がなければどうだったのかというようなことは、ワクチンあるいは治療薬、何か具体的になかったので、今具体的にこれだというものは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、医療の現場、あるいは緊急時の状況というのは様々でございますので、この制度を駆使して対応してまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 では、もうそれで結構です。

 先ほど冒頭に、米国で昨年六月に緊急使用許可が出たと。我が国は、本年一月二十一日、SARS―CoV―2による肺炎に対する治療薬として承認されたわけです。

 以前から私も内閣委員会、厚生労働委員会でも指摘、質問させていただいているんですが、アクテムラの場合は、炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン6の作用を阻害する働きを持つ、日本で開発された関節リウマチの薬、治療薬、既に承認をされていたんです。新型コロナによる肺炎でも効果が期待されていて、WHOも、我が国の承認に先んじて、投与を推奨する医薬品としていましたね、大臣。当然、我が国発の、我が国で承認された医薬品ですから、安全性も十分に評価をされていたわけです。

 このような医薬品が米国に遅れること半年以上というのは、さっき、まあ製薬メーカーの御都合はおっしゃいました。承認されたということであります。これは、感染力の強い亜種が次々と発生している現状で、オミクロン株に至っては全ての国民が強いリスクを持っている、感染のリスクがあるということを申し上げても過言ではないと思います。その中でよかったと思いますね。

 しかし、この承認の在り方、やはり反省すべきところ、大臣、あるんじゃないですかね。今回の法改正も含めてなんですが、薬事承認の在り方の現状全体について、どのように大臣がお考えになるのか。

 また、さっきは製薬メーカーの都合で遅れたとはっきりおっしゃったように私は感じましたが、今回、日本でのアクテムラの承認が遅れた理由は何であると考えているのか。さっきもおっしゃったように、製薬メーカーの都合だったとお考えなのか、あるいは、政府として反省する部分があったのかについてお答えを、大臣、いただけますか。

後藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、承認許可日については、米国で二〇二一年の六月二十四日、日本で二〇二二年の一月二十一日ですが、申請日は、米国で二〇二一年の四月二十日、日本では二〇二一年の十二月十三日に申請をされていますので、申請から決定までの期間は日本の方が短いという話をさせていただきましたが。

 当時、十二月十三日に日本の申請が遅れたという事情については、三つの海外三相試験が実施されまして、一試験では有意差がありましたけれども、二試験では有意差がなかった、そういうような事態の中で、承認申請をするデータの準備にそもそも時間がかかったというふうに私は聞いております。そうした複数の臨床試験の異なった結果の中からデータの整理をして、十二月に申請がされたということであると思っております。

 今回の制度というのは、薬について言えば、三相の治験は要らない、あるいは、ワクチンについては三相をやっていただく必要があるわけでありますけれども、そうした対象の見直しと、それから提出データ等を少し簡素化できるという点からも、法律改正の意味は大きい、あるというふうに思っています。

吉田(統)委員 大臣、大変に優秀な方であるというのは承知を本当にしているんですが、そもそも、今の大臣の話を聞くと、メーカーの都合だったということ、まあ、メーカーの何の都合だったかは別として、メーカーの都合だったと。そして、申請が出てからは早かったんだから反省すべき点はなかったとおっしゃっているのですか。反省はしていないんですか。

 私が聞いているのは、今回、反省すべき点がアクテムラについて全くなかったのかということを聞いているんです。そこを答えてほしいんです。

 だから、そういった問題を踏まえた上で今回の法改正があるんじゃないかと私は思って聞いているんですが、大臣は、問題はなかったようにおっしゃりつつ、法改正の意義もおっしゃっているので、これだとちょっとおかしいわけですよ。だから、大臣、今回のアクテムラは、メーカーのあくまで都合で、審査とかそういったことにおいて全く政府としては瑕疵がなかったし、遅れもなかったとおっしゃっているという理解で逆にいいんですか。はっきり、そこをさせてください。

後藤国務大臣 私は、個別の薬の承認についての是非だとか当否だとか評価を言っているわけではありません。ただし、今回の法律改正は、必要なデータ、三相が要るのか要らないのか、そういう点について制度は改善をされているというふうに思いますので、そうした点については、それに関わるような個別の承認についてプラスの効果が出る改正であるというふうに申し上げております。

吉田(統)委員 そうすると、じゃ、局長に聞きますけれども、要は、今のままじゃいけないと思って改正案を出しているんですよね、今回。今のままじゃいけないと思ったのは、何がいけなかったんですか。具体的な事例があったわけではなく、ただそう思ったんですか。それをはっきりしてくださいよ。これは大事なポイントですよ、立法事実等に関わる。どうですか。

鎌田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この改正の動機といいますか、ですけれども、まず、広い意味におきまして、やはり、こういったパンデミック時におきまして、我々として、できるだけ早く国民の皆様に医薬品を届けなきゃいけないという考えを持っております。そうしますと、他国の対応状況なんかを考えて様々な制度を改正するという意味もございますし、また、こうした国会審議の場で、具体的に、ワクチンの承認の遅れですとか、今御指摘のような治療薬の承認日の違いなど御指摘があったというのが大きな要請であったと考えてございます。

 また、先生、アクテムラについてのお尋ねがございました。

 これは大臣から申し上げましたように、これは先生御存じのように、五つの臨床試験で、うち企業が三つやったとか、そのうち二つが違うとか、そういったことでございまして、そうしますと、その判断に、日本の承認制度ですと基本的に確認になるわけでございますけれども、その点でいきますと、それにつきましては企業においてもどう解釈するのか、我々においても企業と相談しながらやっていきますので、そういった意味において、仮にこれが違う制度であれば更に早くできたんじゃないかという思いがあったのは事実でございます。

吉田(統)委員 局長、そうはっきり言っていただきましたね。そうすると、この後、私が議題にするところ、すごくおかしいですよ、承認、今までの。局長、はっきり今おっしゃっていただきましたよね、データのことについて。私もそう思いますよ、これ。ちゃんと、やはり当然やらなきゃいけないんです。

 ただ、例えば、じゃ、もうこの後、別の議題に行きますが、しっかりやっていただくという趣旨でどんどんやっていただきたいんですけれども、アンジェスという会社があります。そこの話についてちょっと私は、では、確認をさせていただきます。

 今回の法案、パンデミック時に医薬品等の緊急承認を認めるものですね。現行法制の下で、特定の政治家の影響によりワクチン開発の助成金、補助金など、不正な予算づけがされているんじゃないかという疑念が正直あります。

 昨年四月二十一日の厚生労働委員会で、私はこの点についても少し聞いています。

 そこで、「コラテジェンという、大阪大学発のベンチャー会社であるアンジェス社が開発した肝細胞増殖因子遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤、これは薬理活性がいまいち分かりにくい製剤ですが、動脈硬化症やバージャー病による下肢の潰瘍が適応となっています。投与一回当たりの薬価は六十万三百六十円で、田辺製薬が販売しています。既に二〇〇一年から医師主導治験が行われており、米国、欧州を含む第三相試験では、コラテジェン群の優位性を示すことはできませんでしたが、早期承認制度の適用により、六例と極めて少数の臨床試験の結果で薬事承認を得ています。これは適正だったと言えますか。」と私は聞いています。

 今のお考えだったら適正じゃないんじゃないですか、どう考えても。

 この質問に対して、鎌田政府参考人は、「御指摘のコラテジェンですが、先生御指摘のように平成三十一年に承認しました。標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な重症虚血肢を有する慢性動脈閉塞、ASOの患者を対象にプラセボ対照無作為二重盲検試験の結果、本品又はプラセボの初回投与から十二週後の安静時疼痛又は潰瘍の大きさの改善率などから本品の一定の有効性が期待でき、」なんですよね。期待でき。何でも期待できますよね、そうすると、本当に。本当ですよ、これ。「また、安全性は許容可能と判断して」、安全性は許容可能と判断してって何なんですかね。後で見直して僕もびっくりしましたけれども。「承認したものでございます。」との答弁でした。

 しかし、この内容だと、今の話、これはパンデミックの緊急性がある状態でやっていたものですよね。そうですよね、今回のアクテムラ。それでもそういった厳しい御判断の下でなさったわけですよ。当然ですよね。でも、何でこのときは。この内容だと、ほかの薬品だと承認は下りないんじゃないですか。改めてお聞きしますが、局長で結構です、どうぞお答えください。

鎌田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のコラテジェンは、まさに先ほど先生から御紹介いただきました、再生医療等製品を対象とするもので設けた制度、いわゆる条件付、期限付承認制度というものでございます。したがいまして、これは安全性については確認であるものの、品質が均一でないですとかいう観点から、有効性については推定ということでございます。

 先ほど、答弁におきまして、確かに、有効性が期待できる、安全性は許容というのはそのとおりでございますが、有効性は推定し、安全性が確認できる。許容というのは、忍容性ですとか、そういった医療のリスク・アンド・ベネフィットの観点からできるということでございますので、これは制度上、繰り返しですが、条件付、期限付承認という制度の上で承認したというものでございます。

吉田(統)委員 だから、有効性推定だったら、今回の法案も推定じゃないですか。今の法案でできるじゃないですか。何のための法改正なんですか。何のための法改正になりますか。推定で今までもできているじゃないですか。だから、私はこれを聞くためにさっきるる聞いていたんですよ。さっき、はっきりと答えましたね。

 大臣、どうですか。法改正の意味、なくなっちゃうじゃないですか、こんな承認していたら。大臣、ちょっと簡潔に。ちょっと後ろの方、私の話を聞いてほしいんだ、大臣に。大臣、ここは大事なことなんです。今の答えが政府の答弁だと認めてしまうと、委員会室で、今。この法改正の意義がなくなっちゃう。今も同じことをやっているということになるんです。ちょっと後ろの方、私の話をしっかり聞いてもらって、ちゃんと。大臣、ここをはっきり答えてほしいんです。本当にお願いします。

後藤国務大臣 今、コラテジェンの薬事承認について、条件及び期限付承認というのは、これは再生医療に固有の承認制度としてあるわけです。

 この承認制度というのは、有効性は推定されて、また安全性が確認されると、再生医療に係る固有の承認制度である条件及び期限付承認はなされるということでありまして、別に今回の制度は、再生医療に係るだけの制度ではなくて、ワクチンや医療制度全般について認められる制度ですので、先生の御指摘については、条件及び期限付承認という類型とは違う新しい制度で有効性を推定し、また安全を確認する、そしてまた、必要なデータ等についても簡素化を認め、緊急の場合において薬の承認を早めて国民の命を守るための制度として認められるものだというふうに思っています。

吉田(統)委員 後でまた別のものを聞くのでその答弁で結構なんですが、大臣、そうすると、本当に、今の、現行、これまでのこの状況下の中で、データ等を含めて、再生医療製品以外で、効果が推定としか判断できない状況で承認した例は一例もないですね。どうぞ答えてください。一例もないですね。

後藤国務大臣 そういう例はないということであります。

吉田(統)委員 分かりました。

 それでは、ちょっと後でまたその辺も確認していきたいと思いますが、承認されてから、コラテジェンですが、大臣、実際どれくらい使用されているのかを教えていただきたいと思います。

 そしてまた、その後の効果、推定であった以上はやはり、これだけの期間がたっていると、その効果のフォローアップと確認はされているはずだし、されていないとまずいんですが、ここはいかがですか。もし大臣が難しければ、ここは政府参考人で結構です。どうぞ。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目、どのくらい使われているのか。申し訳ございません、現時点で、今手元にございませんので分かりませんが、他方、それをフォローアップしているかどうかでございますが、これはまさに条件付承認で、本品の有効性、安全性について承認後も継続して調べて結果を報告することが条件でございまして、現在それも調査が続いているというふうに理解しております。

吉田(統)委員 局長、私、これは細かく言っておいたので、要は、省としてこのデータをお持ちでないという理解でいいんですね。省としてないんですね。これはちゃんと説明してあったので、今の局長の答弁だと、私の通告が不十分だったということじゃなくて、省としてそのデータがないという理解でいいですね。

鎌田(光)政府参考人 済みません。経緯はともかくとして、今、私の手元にございません。御理解賜りたいと存じます。

吉田(統)委員 これはレクしておいたんだから。今の答弁だと、私がレクが不十分であって、ちゃんと趣旨を説明していなかったことになっちゃう可能性があるんですよ。局長、違いますよ。これはちゃんと言ってありますから。その後どうなったのか、どれくらい使われたのか、フォローアップはどうだったのかということを伝えてあるんです。にもかかわらず、今日、答弁が今の御答弁ということは、省として持ち合わせていないということになるんですが、それでいいんですね。そんなことじゃ困りますよ。

鎌田(光)政府参考人 先生、申し訳ございません。手元にないので、今確認しておりますが、企業からいずれ報告するということで条件をつけているところでございます。

吉田(統)委員 その辺、やはり十分時間はあったと思うので、かなり早めに通告等していますので、やはり議論をしていく上で必要なデータだと思います。

 それでは、別の話にします。

 コラテジェン同様、アンジェス社の開発しようとしているコロナワクチンにしても、承認に至らない、ないしは承認の俎上にも上がる効果があるかどうか、現段階では極めて疑わしいと考えます。

 以前から指摘しているように、従前から使用されている生ワクチンだとか不活化ワクチンはもちろんそうですよね、そして、メッセンジャーRNAワクチンやウイルスベクターワクチンについては、生理活性というものが結構明らかにしっかりなっているんです。また、エビデンスとなる論文がたくさん存在しています。しかし、DNAプラスミドワクチンに関しては、身内が書いたと思われる論文を除くと、なかなか、肯定的な評価をしている論文というのは、少なくとも私は承知をしていない。また、質問レクの際に厚生労働省の担当者の方にも聞きましたが、御存じないとのことでした。むしろ否定的な意見が多いということは、以前にも委員会でも指摘させていただいております。

 そこで、再度お伺いしますが、このようなワクチンに巨額の予算をつけることはおかしいんじゃないかと、大臣、思うんです。なぜアンジェス社のワクチンに莫大な予算、補助金等がつくことになったのかを、ここは大臣に明確にお答えいただきたいと思います。

後藤国務大臣 アンジェス社のDNAワクチンについて研究開発に関する支援を決定したのは、一次公募では令和二年五月頃、二次公募では同年八月頃でありまして、生産体制整備に関する支援を決定したのは同年七月頃であります。

 当時は、新型コロナに対応するために、メッセンジャーRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンといった、バイオ医薬品の生産技術を応用した新しいタイプのワクチンの開発が世界中で進められておりまして、組み換えたんぱくワクチン等の既存のワクチンを含め、あらゆる可能性を視野に入れて国内での開発、生産体制の整備を進める必要があったということであります。

 また、アンジェス社のワクチンについては、令和二年六月から臨床試験が開始され、国産ワクチンとしては最も早く臨床試験に入ったものと認識をいたしております。

 このような状況の下で、公募による申請に基づきまして、外部専門家により構成される評価委員の審査を経た上でアンジェス社のワクチンに対する支援を決定したものでありまして、当時の、先ほど申し上げたような状況を踏まえると、DNAワクチンであることのみをもって開発支援を行うべきでないということにはならないと考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 大臣、これは本当に、今日、本当に自民党の先生方、今枝先生もいらっしゃる、高階先生もいらっしゃるし、多くの専門家がいらっしゃるので、多分、DNAプラスミドワクチンは、分かっていたと思うんですよね、与党の先生方も絶対。聡明な先生方ばかりですもの、こうやって今ぱっと見せていただいても。これは僕は本当に異常だと思って見ていましたよ、ずっと。

 インドで、実は唯一、DNAプラスミドワクチン、昨年の八月に承認されたということを実は聞いています。もう先生方も御存じかもしれません。しかし、ネイチャーダイジェストの記事によると、チャンピオンデータで有効率は、二万八千人の参加者が対象で六七%だったそうです。しかも、六七%は一見するとまあまあに見えるんですが、これはチャンピオンデータですよね。所定の効果を得るために最低三回の接種が必要とされていると記載されています。

 このインドでのDNAプラスミドワクチンについて厚生労働省内でどのように評価されているのかを、これも局長の方がいいですかね、大臣。局長に聞きましょう。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 インドでは、昨年の九月にザイダスキャディラ社のDNAワクチンが緊急使用許可を取得しておりまして、また、御指摘は本年四月二日付のランセットかと思いますけれども、このワクチンの臨床試験について、これは中間評価であるということで、まだ最終的な評価ではありませんが、御指摘のような発症予防効果、六六・六%であったという論文が出たことは承知をしております。

 ワクチンについては様々な研究論文がありますので、我々としては、そういったものをしっかり注視していきたいと考えております。

吉田(統)委員 局長、もうちょっとちゃんと答えてほしいんですけれども。

 じゃ、厚生労働省は、このデータだと、薬効が推定されるという、今回の法改正上の推定されるになりますか。

鎌田(光)政府参考人 申し訳ございません。個々の製品のまだ申請のないものにつきましての評価につきましては、答弁を控えさせていただきたく存じます。

吉田(統)委員 そんなことを言っていたら、委員長、これは話にならないですよ、議論にならないですもの。だってこれは、そういうエビデンスに基づく正確な、ランセットでしたかね、論文。超一級誌ですよね。超一級誌に載っているデータが、さっきいろいろ、るる、研究、様々データを見るとおっしゃっていたわけで、だから、一つの目安として聞きたいわけですよ。このデータだと薬効が、今回の法改正をされたときに、いや、そういうことを議論していかないと、この法改正の意味が希薄になるわけですよ。エビデンスに基づいて私は話しているわけですよね、だって。ですから、答えられないならもういいです、同じ答えが多分返ってくるので。

 ただ、それじゃ議論にならないし、こういった事例に関してやはり一定のクライテリアというか基準を設けないと科学的じゃないですよね、余りにも。少しそこはそういった御答弁で逃げるのはやめていただいて、せっかく局長が来ているんだったら、ちゃんと真摯に国民に向けて説明をしてください。

 じゃ、もうちょっと聞きますけれども、元々、DNAプラスミドワクチンが実用困難ということは、私は厚生労働省は気づいていたんじゃないかと思うんですよね。

 そこで、念のために、李下に冠を正さずという言葉、私も好きな言葉で、また、安倍元総理も、李下に冠を正さずとよくおっしゃっていました。よもやですよ、大臣、アンジェス社の創業者や株主と当時閣内にいた特定の影響力の強い政治家が懇意にしていたという事実は、よもやないですね。

後藤国務大臣 質問の趣旨がちょっとよく分からなかったんですけれども、私が知っているかということですか。それは知りません。

吉田(統)委員 じゃ、役所にも聞きます。

 もう一度言いますが、当時こういった、これは李下に冠を正さずということが大事なんです。だから、そもそも疑われることを政治家はやっちゃいけないわけですよね。特に、総理や閣内に入っていらっしゃる大臣。まあ、後藤大臣はそんなことは絶対ないと私は思いますよ。ただ、だから、あえてそういうことは気をつけていただく必要があるわけでありますが、そういった場合、厚生労働省として、このアンジェス社の創業者や株主と当時閣内に関係が深い方がいらっしゃったら、やはりそれは、助成金、補助金をつけるときに一定程度考えなきゃいけないと思うんですよ、疑われちゃいますから。だから、李下に冠を正さずと皆さんおっしゃるわけじゃないですか。

 だから、その当時、そういった当時の閣内にいた特定の影響力の強い政治家がこういった方々と、よもや、利益相反関係にもなりますから、よもやいるわけがないし、いてはいけないと思うんです。いてはいけないですよね、局長。

佐原政府参考人 私もそのようなことは承知をしておりません。

吉田(統)委員 いてはいけないですよねと聞いているんです。いていいか、いけないかということだけを聞いているんです。あなたが知っているかどうかじゃなくて、政府としてそういうことがあっていいのかいけないのか。利益相反関係になるから基本的には社会だと駄目なんですが、駄目なのか、それともそれは寛容されるのか、今の政権では。どっちかということを局長に聞いているんです。

佐原政府参考人 失礼いたしました。

 生産体制の支援事業につきましては、外部の専門家により構成される評価委員会の審査を経た上で採択を決定しているものでございます。

吉田(統)委員 じゃ、いてもいいんですね。ということですね。そういう御返答ですよね、今のは。分かりました。いてもいいわけですね。だから、利益相反関係があってもいいということになる。いや、元大臣、それは違いますよ。そう答えていますよ、今。いやいや、だって、ちゃんと答えていない。今、田村前大臣がおっしゃったように、いやいや、これは真面目な話、大事なことですから。だったら、そう答えればいいじゃないですか。私がイエスかノーかで聞いているんだから、答えれば。

 利益相反関係になるようなことがいけないと思うんです、一般論として。大事なことなんです。だけれども、利益相反関係があっても、お諮りする組織で了とされれば、非常に強い利益相反関係にある方が例えば政府の中、閣僚の中にいらっしゃっても、それは構わないのかということを聞いているんです。構わないんなら構わないでいいんです。そう、はっきり答えてほしいんです。

佐原政府参考人 例えば、どのような方がどのような方とどういう関係にあるのか、いろいろあるかと思いますけれども、それは、補助金の審査に当たりましては、そういった方はまず審査委員の中に入らない上で、あくまで厳正な審査を行っているところでございます。

吉田(統)委員 そんなことは聞いていないじゃないですか。そんなことは聞いていないですよ。ちゃんとここは答えましょうよ。

 これからの薬事行政、医薬品、医療機器行政ですごく大事なことなんです。そういったことがあってはならないんですよ。やはりエビデンスに基づいてちゃんとした承認をしていかなきゃいけない。今回、厚生労働省としては、そこをしっかりと配慮しながら、効果の推定まで踏み込んでやるとおっしゃっているわけですよね。それはいいんです。ただ、そこで恣意的な運用があっては絶対いけない法律ですよね。だから、そこを私は聞いているんです。だから、そこははっきり答えていただけばいいじゃないですか。何でそんな逃げるんですか。

 だから、何度も申し上げているように、李下に冠を正さずという言葉があるので、やはりそういうことは、本来、利益相反関係にいる、なっちゃっているわけですよね、そういう場合は政府と。だから、そういった場合に関しては、非常に厳密な対応をすべきであるわけですよ、本来は。でも、そういうことは役所、厚生労働省は関係ないんですね。

 例えば、もっと言えば、総理大臣が例えばある会社の方と極めて親しい関係にあった場合、この会社の申請が出た場合に予算がついたりするということに関しては、もう全くそれは関係ないことであって、的確に第三者において薬効その他を確認して予算をつけるという理解でいいならいい、そうやって答えればいいじゃないですか。だから、つまり、そういう状況にあってもそういうことがなされていくということであれば、そうやって答えればいいわけですよ。何でそんな逃げるような答弁で、はっきりしないんですか。

後藤国務大臣 特定の例えば政治家や閣内にいる方が不適切な、決定に関与するようなことがあってはならないことは、これはもう当然のことであります。

 それを担保するために、客観的な第三者委員会で非常に公平な、客観的なスクリーニングをかけて決定をしていくということと今言ったことは何ら矛盾しないというふうに思います。

吉田(統)委員 それなら、はっきりそうやって言えばいいんですよ、関係ないんだと。関係があった事実はないんだって言えばいいんですよ。後で何か証拠が出てきたら困るわけですから。後で証拠が出てきたら困りますね、大臣。

 じゃ、次に行きますね。この話はまた。ちょっと次も準備してありますので。

 アンジェス社のワクチンの開発は、大臣、インサイダーの可能性があるという指摘も実はされています。

 月刊タイムス等の記事によると、アンジェス社が二〇二〇年三月五日にコロナ治療薬開発に乗り出すとIRで公表した直前の二月十七日、約九十三億七千万円相当の新株予約権発行を表明しています。その受け手は、実際の購入者を特定されないためか、全株、証券会社、フィリップ証券ですかね、で引き受けられて、その大量希薄化のため、アンジェス社の株価は翌日ストップ安となり、二月二十五日には三百七十五円まで下落しています。

 ところが、大阪府の吉村知事がアンジェス社のDNAプラスミドワクチンについて、四月に、九月までに実用化、された記憶はないですね、と発言して、株価は九百八円になった。六月に、二〇二一年の実用化を目指す、されていないですよね、と発言すると、六月二十六日には底値の約六倍に当たる二千四百九十二円に急騰するなど、吉村知事の発言と株価が連動していきます。

 しかし、その後、九月の第一、第二相臨床入りや第二、第三相治験開始のアナウンスに、市場は反応が薄かった。二〇二〇年下半期は、千二百円から千三百円をはい回るような株価が続いていて、昨年から今年にかけて下がり続けた株価は、今年二月二十四日には二百八十五円を記録しています。

 非常にコロナワクチン開発に伴い株価が乱高下しています。

 こういったものはまずないと思うんですけれども、一応確認をします。政府関係者がアンジェス社のワクチン開発に関し、補助金や助成金の決定などを事前に漏らしたという事実は絶対ありませんよね、局長。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省からそのような情報が漏れているということはないと思います。

吉田(統)委員 その厚生労働省というのは、当然、政務三役から内閣総理大臣まで入ると理解してよろしいですか、局長。

佐原政府参考人 はい。そのように理解していただいていいと思います。

吉田(統)委員 分かりました。

 ちょっと時間が大分なくなってきましたね。じゃ、引き続きこのテーマで行きます。

 このアンジェス社の株式に関しては、次のような指摘もされています。投資家らがアンジェスの業績の先行きを強く不安視する背景には、アンジェスが二〇〇二年九月のマザーズ上場以来、ことごとくと言っていいほど市場を裏切り続けてきたことへの不信感が横たわっていると。

 そもそも、上場してから二十期連続最終赤字なんですよね。役員報酬が高いとも指摘をされています。

 一方で、医薬品の開発においては、肝細胞成長因子遺伝子治療薬の開発を行って、二〇〇八年四月に厚生労働省に承認申請したものの、二〇〇九年に申請取下げ。今度は米国中心の国際共同治験の場に移しましたが、想像以上に患者さんが集まらず、二〇一六年に中止となっている。その後、さっき、医薬品条件付早期承認制度を利用して、二〇一九年三月に国内初の遺伝子治療薬、コラテジェンが承認されるまで、実質的に医薬品などを開発した実績はないにもかかわらず、上場廃止された事実もありません。そのコラテジェンも、先ほどもそうですが、昨年の四月二十一日にも厚生労働委員会で私がしているとおり、米国、欧州を含む第三相試験では、優位性がない、六例と極めて少数の試験結果であったと。これはやはり、幾らこの条件付の制度でも、恣意的な承認を疑わざるを得ません。

 こういったアンジェス社が、ひとえに、債務超過に陥ることなく財務を維持してきたのは、増資に次ぐ増資を重ねていたことが要因であります。

 そこでお伺いしますが、このようなアンジェス社のこれまでの医薬品の開発状況、経営状況など、状況を考えると、IR情報とかそういったものも含めてですよね、そもそも本当に、二十期連続赤字で、やけに役員報酬が高くて、こういった経営をしている企業を補助金や助成金の対象とするのは、一般の国民からするとちょっと理解がしづらいんですが、厚生労働省としては、こういった場合も補助金や助成金などの対象にするんですか。つまり、全然そういうことはもう関係ないわけですか、大臣。それとも、ちゃんとした基準が一定程度あるのかということをはっきり教えてほしいんです。

後藤国務大臣 先ほどからちょっとよく話が見えないんですけれども、インサイダー取引等があれば、これは全く違法な行為ですから、インサイダー取引があれば、これは違法行為として処断されるのは当然のことだと思いますし、それから今の、今度のお尋ねでありますけれども、ちょっと全体像として何が問題なのかもよく分からないですが、経営状態が悪いことをもって、あるいは経営の姿勢が悪いことをもって、アンジェス社のDNAワクチンに対する支援を決定したことについての是非というふうにもし捉えさせていただくとすれば、経営状態が悪い場合であっても、バイオ医薬品の生産技術を応用した新しいタイプのワクチンの開発が世界中で進められていて、あらゆる可能性を視野に入れて国内での開発、生産体制の整備を進める必要があったということです。

 このような状況の下で、外部専門家により構成される評価委員会の審査を経た上で、ワクチンに対する支援を決定したものであります。

 生産体制整備に関する評価委員会は、経営戦略を専門とする委員もメンバーに入っておりまして、そうした視点からも審査を行っていただいているものというふうには考えております。

 いずれにしても、支援を行うに当たっては、企業の評価に与える影響等も十分に考慮し、しっかりと情報管理を行っているところでございます。

吉田(統)委員 大臣、どうも私の説明が悪かったみたいで申し訳ないんですが、確認したかったのはそこでいいんです。

 つまり、私が確認したいのは、赤字だろうが何だろうが、そういったことは関係ないということなんですね。つまり、もうずっと赤字だろうが、財務状況がすごく悪くて倒産しようであろうが、役員報酬がべらぼうに高くて、どうも経営的に課題があるんじゃないかと思われる会社でも。それならそれでいいんですよ、そこを確認したいだけなんで。

 それでも、全くそういうことには関係なく、国のあらゆる、国家戦略として大臣が御決定されたんだと思いますけれども、最終的には。後藤大臣じゃないですよ。そのときに、それは全く関係ないんですね。そこはいいんですよ、関係ないなら、それは関係ないでいいわけです。それは、事実、関係ないならば。

 ないしは、一定のちゃんとした基準。だって、投資をしたけれども、物ができ上がってくる前にそれが潰れてしまうような状況は、やはり望ましくないわけですし、ちゃんとした、やはり予算づけに対する、その期待に応えられる企業であるべきだとも私は思います。

 ですから、それは関係ないんですね、大臣、今のお話だと。そうすると、ないという前提であれですが、次の答弁のときに、もし何か追加であれば言ってください。

 ただ、私は、その予算づけは是非たくさんしてほしいんです、ベンチャーに対しては。結局、今回は問題点を聞いているだけであって、応援をどんどんしていかないと、日本の医薬品、医療機器のベンチャーってすごい弱いんですよ。

 アメリカだと、大臣はたしかジョンズ・ホプキンスにもいらっしゃったんじゃなかったんでしたっけ。ジョンズ・ホプキンスにも、大臣、いらっしゃらなかったですかね、大臣は昔。要は、アメリカだと、MITでもジョンズ・ホプキンスでもやはり……(後藤国務大臣「ブラウンです。ジョンズ・ホプキンスじゃない。発音がよ過ぎて分からなかった」と呼ぶ)いやいや、私の発音が悪かったんだと思いますけれども。大臣御承知のとおり、やはり、起業したい、ベンチャーをつくりたいというのが、かなり野心的な若者が多いんですよ。

 日本は、そういったところ、本当に弱いですよね。もっと、東大なんか入る、東工大なんか入るそういった若者が、起業、ベンチャーをつくることが目的だと、MITの学生みたいに言っていただくような環境でもいいと思うんです。ただ、その原資はやはり税金ですから、しっかりとした目利きをして、ベンチャーに対して予算をつけてほしいんです、今回のことにかかわらず。

 そこで、ちょっと建設的な質問なんですが、適正、的確なベンチャーの応援をするに当たって、大臣は、厚生労働省としては、どんな工夫をされているのかをお答えいただけますか。

後藤国務大臣 先ほどから、若干、二者択一でおっしゃるんですけれども、あくまで、生産体制整備に関する補助金についてもそうでありましたけれども、持続可能性の評価も恐らくプロジェクトの中には入っているだろうと私は思いますし、そうした意味で、評価委員会においては、技術の専門家、また経営戦略を専門とする委員も入って、様々な観点から審査を行って、補助対象として適切である、そういう結論が得られている。

 そのことは、基準をどういうふうに書いているかということは別としても、少なくとも、そうした形でスクリーニングの第三者性と公平性を担保しながら、補助金行政なり、そうした事業の推進を行っているということだというふうに思います。(吉田(統)委員「その後の私の肝腎な問いに、大臣、答えていないです。だから、ベンチャーを育てるためにどういう工夫を、そっちの方が私の問いで、その前はあれですが」と呼ぶ)今の話は、実を言うと、仕組み、工夫に共通する話として申し上げました。

橋本委員長 それぞれ、指名を受けて御発言ください。

吉田(統)委員 そういうことですね、分かりました。

 ちょっと今、委員長のお言葉が聞こえなかった。ごめんなさい。

 もう時間なので最後にもう一言申し上げて終わりますが、ベンチャー支援なんですけれども、今の、もう簡潔に答えていただきたいんですけれども、誰がどのように最終的な司令塔になって、国家の、これは大事なところだと思うんです。様々な分野においてベンチャー企業を育てていって、野心的なベンチャー企業を育てる、ここに関して、特に医学だとか科学に関するところに関しては、誰が今、指揮権を持って、どういった形でなさっているのかを、最終的にちょっとそれだけ聞いて終わらせていただきたいと思います。

橋本委員長 伊原医政局長、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 世界的に見ますと、アカデミアとかベンチャー、ここが今の医薬品開発において中心的な役割を果たしつつあるというのはそのとおりでございまして、そうした支援をしていくというのは国としても非常に重要な課題だと考えております。

 そうした中で、ベンチャー企業を支援するに当たりましては、一つは、技術的に、研究開発から実用化までの、薬事規制とか、その辺をどうサポートしていくかという、支援することが一つ。それからもう一つは、ファイナンスの問題があると思います。

 前者の方の、研究開発からの技術的な問題につきましては、厚生労働省の方で、ベンチャー企業を対象としましたMEDISOというところをつくって、今、一生懸命応援をしております。

 同時に、ファイナンスの方では、資金調達とかとなりますと、経産省さんも同じように窓口をつくっておりまして、一緒に連携をしながらそういうサポートを進めているところでございます。

 今後とも、医療系ベンチャーの果たす役割は大きいと思っていますので、支援をしっかりやっていきたい、このように思っております。

吉田(統)委員 もうおっしゃるとおり、ベンチャーからスピンオフした企業が今回の技術を大体支えていますから、頑張ってやってください。

 ありがとうございます。以上です。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 まず初めに、今回の閣法に対して対案として提出をされております立憲民主党の法案について、幾つかお伺いをいたします。

 政府提出の薬機法改正案に対して、立憲民主党は三つの法案を提出しています。

 まず、コロナかかりつけ医法案及び日本版EUA、特定医薬品特措法案の二法案を中心に、提出した趣旨を教えていただきたいと思います。

中島議員 御質問ありがとうございます。

 井坂委員にお答えをさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症が我が国で発生、拡大して以来、政府の度重なる不作為、楽観観測によって、保健所や医療機関の逼迫、医療品供給の目詰まり等により、必要な医療を必要な人に届けることができない異常事態が感染拡大のたびに発生をしております。

 にもかかわらず、岸田総理は、昨年十月の所信表明演説で医療資源確保のための法改正を明言しておきながら、オミクロン株への十分な対策を取ることもなく、今国会での感染症法の改正を見送ることを判断をいたしました。

 この不作為の結果、医療へのアクセスがままならない異常な状況の中で、自宅放置死や高齢者施設死が発生するという最悪の事態が繰り返されるとともに、今なお何十万人、先ほど三十万人近くが、今なお不安とともに自宅療養を余儀なくされている状況でございます。

 我々が今般提出いたしました三法案は、政府の後手後手の対応、不作為が招いたこのような異常事態を解消し、必要な人が必要な医療にアクセスできる当たり前の状態を確保するためのものでございます。

 具体的には、コロナかかりつけ医法案により、高齢者等の重症化リスクの高い方々が、自らの新型コロナに係る健康管理や病状が急変した場合の他の医療機関等との調整を一括して行うコロナかかりつけ医を平時の段階から登録できる制度を導入することにより、感染症有事の際にも確実に医療にアクセスできる体制を整えることとしております。

 また、このコロナかかりつけ医が治療に必要な医薬品を迅速に手にすることができるよう、特定医薬品特措法案により、国主導で有用な医薬品を迅速に確保する仕組みを整備することとしております。

 最後に、オミクロン・感染症対策支援法案により、病床逼迫により必要な患者が入院できなくなる事態を防ぐべく、政府対策本部長による都道府県間の調整の仕組みを設けること等の措置を講じております。

 これら三法案によって、二年以上続く政府の不作為を解消するとともに、長きにわたるコロナとの戦いを終わらせる出口戦略へと歩みを進めることができると考えております。

 以上です。

井坂委員 本年一月からのいわゆるコロナ第六波では、第五波までと同じく、自宅放置死あるいは高齢者施設死というような状況が発生をしてしまいました。こうした状況を二度と招かないためには、感染確認直後から医療へのアクセスを確保する必要があります。

 コロナかかりつけ医法案を提出した趣旨についてお答えください。

中島議員 井坂委員御指摘のとおり、自宅放置死、高齢者施設死といった最悪の事態を防ぐためには、何よりもまず、医療へのアクセスを確実に確保することが必要不可欠であります。

 コロナかかりつけ医法案は、平時からの一貫した取組を通じて、感染症有事の際にも医療へのアクセスを確保できるようにすべく、コロナかかりつけ医制度の導入を政府に義務づけるものであります。

 コロナかかりつけ医は、その登録を行った重症化リスクの高い方々について、日頃からの健康相談や新型コロナに係る症状がある場合の検査等を行うとともに、これらの者が新型コロナの患者等となった場合には、健康観察や医療の提供を行うこととしております。また、病状が急変した場合における自治体や他の医療機関との連絡調整も行うこととしており、平時から感染症有事に至るまで、一貫してその登録を行った方々の医療アクセスを確保する役割を担うこととなります。

 また、このコロナかかりつけ医制度の導入に際しては、オンライン診療の活用等により、利便性の向上を図るとともに、居住地等の事情にかかわらず、確実に医療につながることができることとしております。

 以上のように、コロナかかりつけ医の導入は、医療へのフリーアクセスに配慮しつつ、必要な方に必要な医療を確実に届けるものであり、この制度の導入により、自宅放置死、高齢者施設死という最悪の事態を防ぐことにつながると考えております。

井坂委員 立憲民主党で提案したもう一つの法案、日本版EUA、特定医薬品特措法案では、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品として指定する医薬品の要件が二つ定められています。

 そのうち、第二条第一項第二号にある「最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見」というのは、どのような内容を想定しているでしょうか。

吉田(統)議員 御質問ありがとうございます。

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定の要件のうち、最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見とは、指定の対象となる医薬品に関する国内外の医療における優れた使用実績や臨床試験での優れた試験成績について、国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された論文等がある場合に、その論文等を科学的根拠とすることについて一定の合理性があると判断できる場合には、その医薬品を新型インフルエンザ等の治療において有用性が認められる医薬品として、その医薬品に一定の有効性を推認しようとするものです。

 その判断は厚生労働大臣が行うものですが、厚生労働大臣は指定が見込まれる医薬品について事前に情報の収集、整理、分析及び提供を行うこととしており、また、必要がある場合には、関係する学会から意見を聞くことができるとしております。

 薬事承認申請で必要となる治験には、一定の数の感染者の方々の協力が必要となり、多くの時間を要することとなります。外国での治験が先行している一方で、国内での治験が進まないという事例もあります。

 感染症との戦いは時間との戦いです。感染症有事という緊急性を踏まえ、本法案では、あくまで安全性が相当程度確立された既存薬であるということを前提に、科学的根拠に基づいて有用性が認められるものについては、薬事承認が下りるのを待つことなく、その使用の促進を図ることとしております。

 以上です。

井坂委員 ありがとうございます。

 同じく、この日本版EUA法案では、医薬品の指定に当たり、学会の意見を聞くことができるというふうにされています。

 学会からの意見聴取に関する規定を設けた趣旨、また、参考にした制度など、お答えください。

吉田(統)議員 御質問ありがとうございます。

 学会からの意見聴取の規定は、厚生労働大臣が行う最新の論文等による医薬品の有効性及び安全性に関する情報収集に加え、学会の意見をも聞くことができるとすることで、例えば、製薬企業が営利性を優先し、既存薬では利益が余り見込めないという理由から、薬事承認の申請を行わないような場合においても、学会の意見を含めた十分なエビデンスを収集し、製薬企業の意向にかかわらず、科学的根拠に基づいた指定を行うことができるようにするために設けられたものです。

 このような規定を設けることにより、国民にとって必要な医薬品を、新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等の治療薬として遅滞なく指定できるようになると考えられます。

 例えば、炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン6の作用を阻害する働きを持つアクテムラについては、私が二〇二〇年六月の内閣委員会での質疑で既に指摘したように、重症化の要因としてサイトカインストームがあるのではないかという議論が研究者間で早くから行われ、また、米国では二〇二一年六月にいち早く緊急使用許可をし、二〇二一年七月にはWHOも酸素投与を要する入院患者にステロイド薬と併用することを推奨する中で、我が国では今年一月二十一日に至るまで承認がなされませんでした。

 我が国でも本制度を導入することで、学会の意見を聞いた上で、エビデンスに基づく判断で、いち早く新型コロナウイルス感染症の治療薬として指定することが可能となり、より一層その使用が広がることが期待されます。

 なお、学会がその意見を述べるに当たっては、客観的で科学的な観点から意見を述べることが求められるとともに、述べた意見については一定の説明が求められるところです。

 とはいえ、製薬企業の申請に基づくというだけではなく、国主導で学会の意見を聞いて使用を認めるという複数のルートを設けることで、国民が真に必要とする医薬品を速やかに届けることが可能になると考えております。

井坂委員 同じく、この日本版EUA特措法で、附則に検討規定があります。平時において、厚生労働大臣が製薬企業の申請を待たずに医薬品を指定し、その使用を認める制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずることとされています。

 この念頭に置いている仕組みや制度はどのようなものでしょうか。

吉田(統)議員 御質問ありがとうございます。

 御質問いただいた検討条項は、現行の医薬品の承認制度が製薬企業の申請を前提としたものとなっており、国民にとって必要な医薬品であったとしても、製薬企業の都合により申請が行われず、使用できないことがあるという現状や、遺伝子治療等の分野においては、製薬企業の力によらないでも、アカデミアで自己完結的に医薬品を開発できるようになっているという状況を踏まえ、平時においても、国や学会の主導により医薬品の使用を認める制度の整備等について、政府に検討を義務づけるものです。

 詳細な制度設計については政府の検討に委ねることとしておりますが、先般来、委員会質疑等で私が指摘しているように、現在でも、例えば遺伝子治療の分野では、CAR―T製剤のように、製薬会社が介在することなく、アカデミアで完結する形で医薬品の研究開発から治療まで行われている例があり、このような実例や、特定医薬品特措法案の内容等を踏まえ、具体的な制度設計がなされるものと承知しております。

 このような制度が整備されることにより、医薬品の承認が全体的に迅速化され、国民が必要とする医薬品を速やかに届けることが可能となります。また、難病患者、特に希少疾患の患者のための安価かつ高品質な医薬品の開発にもつながり、医療費が増大する我が国においては、医療経済的にも大きなメリットが見込まれます。

 以上、提出者といたしましては、この検討条項を通じて、国がリーダーシップを取って、アカデミアで完結させる医療を一定程度厳格なルールをつくって認めていくことにより、医療費の拡大を抑制できるという提案をさせていただくものであり、このような制度の実現に向けた検討を進めることが必要不可欠であると考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 まだまだ立憲民主党の議員立法について議論して共有したい部分はあるんですが、本日は、議法提出者には質問はこの程度といたします。

 続きまして、大臣に伺います。

 ちょっと大分時間が押してしまっていますので、六、七、八、ちょっと三問、参考人、飛ばさせていただきます。

 今回の法案は、感染症パンデミック、こういうときに迅速に医薬品、医療機器を国民、医療現場に届けるという一つの手段であります。

 しかし、実際は、例えば三回目のワクチン、二月いっぱい、遅れに遅れ、ピークアウトをしてからようやくワクチンの接種が進んだりとか、あるいは一月、二月段階で検査キットが全く足りなくなって検査が事実上できなくなったりとか、あるいは二〇二〇年の春にはマスクが足りなくて、例のアベノマスク、アベノマスク自体もまた配付、流通に大きな課題を残したりと、新薬の承認というだけではなくて、まさに必要なものの準備、手配、それからそれを迅速に現場に届ける流通、こういったところにも非常に反省点が多いというふうに思っております。

 大臣にお伺いをいたしますが、感染症の発生時における医薬品、医療機器、また衛生用品等、必要数量の予測、それから確保、そして配付まで、総合的な仕組みの見直しが必要ではないでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナ対応では、未知の感染症への対応という困難な状況の中で、時には必要な物資が不足することもあり、大変国民の皆様には御迷惑をかけた点もあることを率直におわびをしたいと思いますが、その都度、企業と連携もしながら、関係者と連携しながら必要な対策を講じさせていただいております。

 今御指摘のあった抗原定性検査キットにつきましては、オミクロン株の感染が拡大していく中で、一般薬局等に対する大量発注等もありまして、当時メーカーは生産をしていない状況でありましたんですけれども、在庫が一挙になくなるということでありましたので、メーカーに対して、国が買取り保証して、ともかく増産を要請するとともに、需給が安定するまでの間は供給先の優先づけを病院、そしてまた行政検査等にまず行いまして、必要量を確保し、供給に努めて、しばらくの間、御迷惑をかけましたけれども、今、期末で一億五千、そして現在二億回ということで体制を整えたところであります。

 また、マスク等の個人防具等につきましては、国内企業への増産要請や補助金による増産支援、国が直接調達して医療機関等へ無償配付する、必要な備蓄などの対応を行ってきております。

 こうした足下のコロナ対応において、引き続き、必要な物資の確保にしっかり取り組んでいく必要がありますし、今回、国民の対応もあって、マーケットからあっという間に物がなくなるような事態、経験も踏まえつつ、今後の感染症対策における物資確保の仕組みの在り方について、しっかりと今後の体制に向けて対応できるように検討し、体制を整えていきたいと思います。

井坂委員 今回、パンデミック、もちろん百点満点というわけにはいかないのは承知をしておりますが、教訓が幾つもあるわけで、今回の新薬だけに限らず、そこは大臣御答弁のとおり、しっかり検証、検討して、新しい仕組みにつなげていただきたいというふうに思います。

 議法はもう私、質問いたしませんので、お戻りいただいて結構です。

橋本委員長 では、衆法提出者、どうぞお戻りください。

井坂委員 今回の法改正では、三回目の治験で有効性の確認を行わなくても医薬品を承認する緊急承認という仕組みが新たに制度化をされようとしています。しかし、有効性が曖昧なまま緊急承認とはいえ正式に承認としてしまうよりも、アメリカのEUAのように、緊急使用許可という別カテゴリーをつくった方が承認薬の信頼性が保たれるのではないでしょうか。

後藤国務大臣 米国のEUAは、未承認の状況にある医薬品等について、通常よりも有効性及び安全性について裁量幅を広げた運用により使用を許可する仕組みです。

 一方、我が国において、安全な医薬品を市場に供給するよう努めることは、行政や製薬企業を始めとする医薬品に関わる全ての者にとって基本的な責務であると考えまして、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要であるというふうに考えております。

 したがって、今般の緊急承認の仕組みは、現行の薬機法の枠組みを活用し、安全性について確認を前提としつつ、有効性について推定ができる承認制度とすることが適当であるというふうに考えております。

井坂委員 いや、大臣、そういうことをお聞きしたんじゃないんです。安全性のレベルを下げろという話じゃなくて、米国EUAのように、承認じゃなくて緊急使用許可という別カテゴリーをつくった方がいいのではないですかと。

 それは承認薬の信頼性だけじゃなくて、例えば、もう既に安全性がほかの用途でも確認されている既存薬をコロナ用に使うとかいうときも、緊急承認ではなくて緊急使用許可という別カテゴリーがあった方が、本当にいろいろな、柔軟な形で制度設計ができると思うんです。

 今回みたいに日本で作る新薬だけに何かメリットがあるぐらいだと、やはり対象が余りにも狭過ぎて、さっき吉田委員とのやり取りもあったように、何か本当に立法事実はあるのかみたいな話に、私は、ないよりは、この緊急承認というか、新薬のスピードアップはあった方がいいと思いますよ。ただ、やはりもっと、新カテゴリーをつくって、安全性のレベルを下げるのではなくて、安全性が確認された既存薬などの緊急使用なども柔軟に認めていった方がよいのではないか。安全性の話じゃなくて、新カテゴリーがあった方がいいのではないかという、御答弁をお願いします。

後藤国務大臣 米国のEUAは、有事に際して未承認の状況にある医薬品等の使用を許可する制度でありまして、ベネフィットがリスクを上回るという事態のときに裁量幅の大きい運用が行われる可能性はあるというふうに思っております。

 例えば、二〇二〇年の三月でありましたけれども、クロロキンの使用許可は短期間で、同年六月には三か月間で使用の許可が取り消されているような事例もありまして、そういう意味におきますと、我が国においては、国民から信頼されるそういう市場における供給ということを考えて、改めて申し上げますが、安全性についての確認を前提としつつ、有効性について推定ができる承認制度という制度を提案いたしております。

井坂委員 安全性の議論をしているわけじゃないんですが。

 例えば、政府だって、アビガンみたいに、もう何か観察みたいなやり方で事実上投与したりしているわけですよね。別に、緊急承認、米国の制度をそのまま入れろと言っているのではなくて、別カテゴリーをつくった方が、むしろ承認薬の有効性確認をショートカットするよりも承認薬の信頼性が保てるし、いろいろな既存薬の活用などにもつながるのではないかという趣旨で申し上げました。

 次もお伺いをしたいんですけれども、時間もあれですので、ちょっと一つ飛ばします。

 政府案で新たに制度化される緊急承認では、第三相の治験が免除をされます。安全性の確認は第二相までの治験で十分とされますが、しかし、さはさりながら、やはり第三相まで治験を行った方がより安全性が高まるのではないでしょうか。

 通常の承認に比べて安全性の確認が第二相まででは不十分にならないのか、大臣にお伺いをいたします。

後藤国務大臣 医薬品の承認審査において、その安全性については、有効性、ベネフィットと比較して著しく有害な作用、リスクを有しないかどうか、有効性と安全性との比較考量により評価されることになります。

 緊急承認制度においても、ベネフィットに比してリスクが許容可能であるかどうか評価することになりますけれども、その状況における医薬品使用によるベネフィットを考慮しつつ、医薬品としての最低限の安全性を担保するという意味で安全性の確認を要件としているものであります。

 具体的には、一定期間に高頻度で生じる副作用については、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など、比較的少数の症例に基づいて安全性を確認することは十分可能であるというふうに考えております。

井坂委員 ちょっと先ほどもう答弁で、ワクチンについては第三相の試験は免除をしないということをさらっと答弁でおっしゃっていたので、次の質問は飛ばさせていただきたいというふうに思います。

 その次の、緊急承認で、今回、GMP適合性調査なども免除されるわけでありますが、これはちょっと法案の書きぶりが曖昧になっていたので、確認をしたいと思います。GMP適合性調査等を緊急承認では全く行わなくても緊急承認をされるのかどうか、参考人に確認をいたします。

鎌田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急承認の際のGMP適合調査でございますが、これは承認時にはGMP調査を受けることを必要としてはございません。

 ただ、その場合でございましても、製造所において製造管理が適切に行われて、品質に関する資料が審査できるということで一定の品質の担保ができるという考えからでございます。

 また、その場合であっても、後ほどGMP調査を実施する場合はございますし、また、実際の承認審査におきましては、審査期間に影響を及ぼさないように、可能な限りGMP調査を行うということとしております。緊急承認までに、また、GMP調査を実施しなかった場合でも、事後的に確認を行うことで品質の担保をしてまいります。

井坂委員 ちょっとはっきり分からなかったので確認ですけれども、可能な限り等々、いろいろおっしゃいましたが、全く承認までにはやらなくても緊急承認はできるし、緊急承認後も全くやらなくても、そういうこともあり得るということですか。

鎌田(光)政府参考人 お答えします。

 まず、承認時にGMPの調査をしていなくても、それはGMPの調査は必要とはしてございません。それから、そういった場合、事後的にはGMP調査を行います。

 ただ、もう一つ、承認時にGMPを行わない場合であっても、製造所が製造許可を受けているですとか、ほかの医薬品についてきちんと作られている、あるいは個別の製品についてきちんとした書類でもって品質担保ができるということで確認できれば、そういったGMPの調査を行わないという判断をするというものでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 これもまた参考人に確認ですけれども、今回、緊急承認の期間の延長が認められるようになっています。これも法案にはっきり書かれていないんですけれども、緊急承認の、当初、二年以内と定められた期間が、更に最大一年延長できるわけですが、この延長の回数は、一回のみ、それとも延長、延長と重ねることができるのか、お伺いをしたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 承認の期限の延長でございますが、これは一年を超えない範囲内で延長ということで、延長の期限、上限を定めております。

 また、御指摘の回数、何回かということは明示してございませんが、実際に医薬品の開発ですとか、またそれに伴う審査の期間を考えますと、一年のうちに複数延長するというような事態は考えられませんので、実態上は一回になるのではないかと考えてございます。

井坂委員 一年という縛りがあって、回数には縛りがないけれども、まあ、事実上、一年、一回延長がほぼ全てだろうということだと思います。

 ちょっとまだ時間の余裕がありますので、参考人にさっき飛ばした十三番を、これも確認事項ですので、お伺いをしたいと思います。

 新型コロナの治療薬というような形で、今回、緊急承認の場合には、まず政令に指定をします。この政令の指定の要件なんですけれども、緊急事態宣言を政府が発令するとか、あるいは感染症がいわゆる感染症法上の第二類相当以上の大変致死率、致命率の高い感染症であるとか、何らかの感染症指定などとこの政令指定が連動するのか、それとも、緊急事態宣言もあるいはなく、二類以上の指定もなくこの政令指定が行われるのか、お答えをいただきたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 医薬品の政令の指定でございます。緊急事態宣言などと直接連動するのか否かというお尋ねでございますけれども、これは、そうした緊急事態宣言や感染症法上の指定と直接連動する制度ではございません。

 ただ、しかし、実態といたしまして、御指摘のような緊急事態が宣言された場合、あるいは感染の状況というものを踏まえて、そうした個別具体的な状況を踏まえて、政府として政策的に、総合的に勘案しながら政令を指定していくというものと考えてございます。

井坂委員 緊急事態宣言とはタイミング的に必ずしも連動しないというお答えですけれども、もう一つの、感染症法上、例えば二類以上、二類相当以上とか、感染症の強さ、致死率などの要件も全くないということですか。

鎌田(光)政府参考人 要件という意味で、法律的ということで受け止めてしまうのですが、そういう意味では、先ほど申し上げました緊急事態宣言と同様に直接連動するというものではございませんが、仮に緊急事態宣言がなされていない場合で、非常に感染性の強い疾患の流行が始まって、国民の生命、健康が危険にさらされて健康被害が発生しているというような、この法律に定める状況があれば、そうした状況を踏まえまして、政府としては、状況判断、政策判断をして、政令を指定するということはあると考えてございます。

井坂委員 そういう法案なんですよね。だから、要は、例えば五類相当でもやろうと思えばできてしまうというような法案だと思います。

 大臣にちょっとこの議論、少しだけ大臣にもお伺いしたいんですが、やはり、先ほど緊急使用許可のような別カテゴリーの方がいいんじゃないかと申し上げたのは、こういうこともあるんです。やはり、緊急承認とはいえ承認ですので、治験を省略しての承認ですから、本当にやみくもに五類相当のような感染症でも何か場合によってはできるみたいな、要件が今非常に曖昧です。こういう承認のショートカットで曖昧なようなことで私はやはり本当にいいのかというふうに思うわけでありますけれども、何かもうちょっとちゃんとした政令指定の要件が要るんじゃないでしょうか。

後藤国務大臣 先ほどからお話のあったアメリカのEUAということについて言えば、有効性と安全性について、双方で裁量の幅が広がっている、それを緊急に使用する必要がある場合に使用を許可する仕組みであるということであります。そういう意味で、先ほど有効性の話とともに安全性の話も含めてお話をさせていただいているということではあります。

 それから、この制度自身は、要件の中に、直接、緊急事態宣言や二類以上の感染症指定などと連動しているかということについて言えば、これは具体的に要件として連動しているわけではありませんけれども、しかし、そうしたことが必要になる、そういう事態ということを考えれば、先生御指摘のように、緊急事態宣言だとか、あるいは二類相当以上の感染症指定など、そういう具体的な必要性に応じて判断されていくことにはなるというふうに思っています。

井坂委員 米国EUAをそのまま日本にという議論を我々は全くしておりませんが、その安全性、幅広いと大臣がおっしゃる米国EUAですら、感染症の程度においては、重篤又は命に関わる疾病というようなことで、一定の枠をはめているわけであります。そこは本当に、まして曲がりなりにも承認ですから、何かふわっとした、やろうと思えばどんな範囲でもできるみたいなことでは私はやはり問題があるのかなというふうに問題意識を申し上げます。

 次に、緊急承認後についてお伺いをいたします。

 緊急承認後に、また、その後もデータを重ねて承認申請を行うわけでありますが、その際には、もちろん午前中議論があったリアルワールドデータみたいな実際のデータも、これは別途大事だとは思います。ただ一方で、やはり、あくまで正式な承認ですから、事後的にでも、これは検証的臨床試験の結果の提出を求めるのが筋ではないでしょうか。大臣にお伺いいたします。

後藤国務大臣 委員御指摘のとおりでありまして、緊急承認後の一定期限内に改めて行う承認申請については、原則として、第三相試験、検証的臨床試験の成績の提出を求めるということを想定しております。

 なお、感染症が急速に収束した場合など試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータにより、有効性、安全性の確認を行うことも考えられるということでございますけれども、基本的に、第三相試験の成績の提出を求めて、緊急承認後の一定期限内の承認申請を行うということであります。

井坂委員 第三相試験を行わなくていいのは、もう収束してしまって、実際、投与がほとんどできなくなった場合に限るという理解をさせていただきます。

 最後にお伺いをいたしますが、今回、緊急承認という制度ができますと、もちろん、幾ら安全性が確保されているとはいえ、一定重篤な副反応、副作用などが出るわけであります。そうしたときに、ワクチンの副反応報告制度を見ると、いっぱい報告は上がっているのに、結局ワクチンとの因果関係が評価不能という判断をされて、しかも、その評価不能の理由が、ワクチンのことについての知見が十分にたまっていないことによる評価不能なんですね。

 見ても分からないじゃなくて、そもそもワクチンと副反応の関係についての蓄積がないから評価不能。これは当たり前なんですよ。特に新薬だったら必ずそうなるので、緊急承認の場合もこうなりますから、やはり、これは死亡や健康被害については評価不能とせずに、きちんと、知見がたまっていないのは当たり前ですから、たまっていなくても救済ができるような仕組みが必要ではないでしょうか。大臣にお伺いいたします。

後藤国務大臣 予防接種法に基づく副反応疑い報告制度や薬機法に基づく副作用報告制度につきましては、それぞれ、接種後に生ずる症状等の傾向の把握や市販後安全対策の活用のために行われているものであります。

 しかし、一方で、今御指摘のあった予防接種法、これはワクチンですが、あるいはPMDA法、医薬品に基づく健康被害の救済制度では、健康被害の救済に当たりまして、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、予防接種の場合、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合でも救済対象とするとの考え方に基づいて行われています。

 緊急承認された医薬品についてもこうした既存の救済制度の対象とすることとしておりまして、因果関係の判断に当たっても、このような従来からの健康被害の救済制度に対する考え方が維持されるものであります。

井坂委員 是非、知見がないので評価不能みたいな要素が入らないようにお願いをして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 実は、私、今日、四十三回目の誕生日でして。ありがとうございます。まさかバースデー質問を昨年するとは思いも寄らず、いささか興奮しておりますが、真摯に質問してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ようやく、いわゆる薬機法改正法案質疑もスタートいたしました。今回の改正の直接的な背景は、やはりコロナウイルス禍があったと思います。本来であれば、自国でワクチンやそして特効薬を開発できれば最もよかったと思うんですけれども、現段階においてそういう報道は見られていないという中でして、それを受けて、昨年、政府の方で、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、いわゆる薬事承認制度に新たに緊急承認を設けることになったと理解しています。

 その上で、そもそも、やはり、もう一度原点に立ち返って、いわゆる薬機法、いわゆる旧薬事法ですけれども、この法律の趣旨や理念をもう一度理解させていただきたいと思います。

 そして、特に、薬事法ができた、制定された段階で、いわゆる医薬品における規制に重きを置いてきたのか、それとも創薬という視点に重きを置いていたのか、そういったところも含めまして、この薬機法の趣旨、そして理念をお答えいただければと思います。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 薬機法でございますけれども、その理念でございますが、第一条、当然ございまして、目的規定におきまして、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うということで、これが制定のときの基本的な考えでございまして、医薬品等の有効性や安全の確保というものが趣旨、理念と考えられます。

 しかし同時に、一方で、同じ条文におきまして、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図るとされておりまして、これに基づき、条件付の承認がされておりまして、衛生規制という観点を持ちつつも、新しい技術を取り込んでいくという考えも含まれているものと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 ここは結構大切なところだと思っておりまして、やはり規制の側面が強かったのか、それとも新しい技術を取り入れて、いわゆる創薬のところに力を入れているのか。私は、個人的には、厚生労働省においては、規制の部分のブレーキと創薬の部分のアクセルを両方大きく踏み込んでほしいなという話を、厚生労働省の方とお話ししても、いつもお伝えしています。

 そんな中で、今回、薬事承認制度の比較という厚生労働省からの資料もございます。いわゆる平時における条件付承認、そしていわゆる今回新しく設けられる緊急時の迅速な承認ということで、緊急承認の欄がございます。現状、日本で流通したワクチンについては、海外の医薬品になりますので、特例承認であったと思います。

 確かに文言で見ると違いはあるんですけれども、実際に、条件付承認と緊急承認、とりわけ有効性のところが、片や確認で片や推定となっている。この違いをもう一度明確にしていただきたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 先生御紹介いただきましたように、条件付承認制度は、希少疾病用医薬品など検証的な大規模試験の実施が困難な医薬品を早期に実用化するという観点から、安全性と有効性の確認を前提としつつも、大規模試験がなくても実用化できるというのが理念でございます。

 一方で、緊急承認制度は、緊急時に有用な医薬品を速やかに実用化するために、安全性の確認を前提に、入手可能なデータにより有効性が推定できるというものの違いでございます。

 つまり、この両者の違いは、先生おっしゃったように、有効性の確認と推定ということで、有効性の証明の程度が異なるというものでございまして、じゃ、具体的にどうなのかということでございますけれども、有効性の確認は、試験、基本的には第三相試験でございますし、こうした希少疾病などでは第二相などで、やはり有効性が確たるものと判断されるということでございますけれども、緊急承認制度における有効性は、個々の医薬品の性質等において判断が異なり、それに応じた判断が必要となりますが、その時点で入手可能なデータでは、有効性の証明の程度は確認に比べ相対的に低いものの、有効性があると合理的に考えられる場合に有効性が推定できるという場合があると考えているところでございます。

金村委員 ありがとうございます。

 今、御答弁いただきましたけれども、何となく、聞いていると、字面が違うだけで、実は中身はそう大して変わらないんじゃないかというような思いもしてしまいます。

 とりわけ、条件付承認のところで、対象と書いてあるところの文言なんですけれども、その他の医療上特にその必要性が高いと認められたものと記載がありまして、私にとっては、この表現そのものが緊急性を要しているんじゃないかというふうに見て取れるんですね。

 つまり、確かに平時と緊急時で違うものを設けることも一理あるとは思うんですけれども、ただ、同じようなものであれば、少し解釈を広げるとか、同じような文言表現の中で、有効性を推定というのも緊急時にはあり得るとか、そういう表現の仕方も一つ選択肢であったんじゃないかなと考えておりますが、その点、いかがでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 今御指摘のとおり、条件付承認制度における対象範囲は、医療上特にその必要性が高いと認められるものとなってございます。これは、冒頭の答弁で申し上げました目的、理念規定のところに追加したときに併せて創設した規定でございますけれども、これはやはり、研究開発の促進ということも理念に置きつつ、希少疾病用医薬品など平時において検証的な大規模試験の実施が困難な医薬品を想定したものでございます。

 また、一方で、先生御指摘のように、医療上必要性が高いというものについても、緊急時の薬なども該当するんじゃないかということについては、一概には否定できないと思っておりまして、それは医薬品ごとに検討が必要でございますが、我々としては、そうした立法趣旨、立法理念も尊重しつつ、どう対応するかと考えるわけでございますが、一方で、先ほど御答弁申し上げましたように、条件付承認制度は、やはり有効性については確認だということでございます。そうしますと、緊急時に使用する医薬品について確認を求めるというよりも、やはり、有効性が推定される段階で承認を行う緊急制度を新たに創設する方が迅速性に優れているので、緊急時の対応としては適切ではないかと考えているところでございます。

金村委員 今お伺いすると、やはり平時と緊急時は違うんだ、有効性については確認と推定で違うんだ。そういうことであれば、この薬事承認制度が改まることをきっかけに、例えば、製薬企業側がこの薬事承認制度を通して実際にワクチンの開発、そういったことにどれだけ力を注いでいけるのか、ここが非常にポイントになってくると思うんですね。

 私は、今回、この薬機法改正そのものは、やはりどれだけ、トータルでいうと、厚生労働省が創薬の段階をどれぐらい支援していけるのかというところが私自身ではポイントだと思っておりまして、そういった意味では、これから自国で製薬企業なり創薬ベンチャーがいわゆるワクチンや特効薬を開発していく過程で、先ほど申し上げた、いわゆるワクチン開発戦略本部に基づいて、トータルの支援は必要だと思います。ですが、薬事承認制度のまさに緊急承認が設けられることによって、どれぐらい企業側が、よし、医薬品開発しようと意気込んでもらえるのか、その辺り、どのようにお考えでしょうか。

後藤国務大臣 薬事承認制度は製薬企業からの申請に基づくものでありますから、議員御指摘のとおり、その前提として、製薬企業が研究開発を進めることが不可欠であります。国として創薬支援を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

 このため、製薬企業の研究開発支援を始め、実用化を加速するための支援を実施していますが、申請時の企業負担の軽減に努めることも併せて重要な課題だというふうに考えております。

 具体的には、新型コロナ対応として、治験等の手続の簡素化や企業相談の実施を行っていますが、今般創設する緊急承認制度により、申請に三相試験のデータを求めないなど、必要な臨床試験データが軽減されることで、日本での承認申請が促進されるものと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 この後、引き続き創薬、製薬についてお伺いをしてまいりたいと思いますが、やはり、幾らいい例えばたてつけがあっても、そこにチャレンジする企業が生まれなければ結局は元のもくあみというような話になってしまいますので、やはりしっかりと、企業側のバックアップをどうやってやっていけるのか、また、日本として医薬品の開発にどれだけ力を注いでいけるのかというのをこの後質問していこうと思いますが。

 その前に一点だけ、電子処方箋なんですけれども、実は私、障害児支援をずっと事業でやってきたときに、国保連のいわゆる伝送サービスを使って請求業務を八年間担ってきたんですね。そこで、個人情報だとか、あと国保連側のサービスの充実だとか、そういったものは非常に体感してきておりまして、今回、電子処方箋になって、国保連のサービスを運用する形で、より利用者、そして実際に調剤薬局なんかでスムーズに使えるようになると信じておりますので、質問ではありませんので、国保連はすごいいいサービスをしているという報告をさせていただきます。

 そして、創薬、製薬のところに移らせていただきます。

 まず、今回の新型コロナウイルスに対するいわゆる特効薬やワクチンを、日本は自国で開発をできなかったと認識しています。

 そして、実際には、例えば創薬ベンチャーに対する支援がきちんと行き届いていたのか、又は、もちろん製薬企業にとってはしっかりと利益をつくっていかなければなりませんので、創薬から製薬にわたる中で、実はワクチンの開発や特効薬の開発は、企業側にとって負担につながっているのかもしれません。

 そういった意味では、まず、政府にとって、今回いわゆる自国で開発できなかったことに対する認識、これはどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症に対するワクチンや治療薬を国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは、これは危機管理上も極めて重要であると考えております。

 ただ、しかしながら、現在までのところ、国内開発されたワクチンあるいは新規の治療薬というものは実用化に至っておりません。一日も早く実用化できるように、各種支援策を講じているところでございます。

 具体的に、コロナワクチンの接種につきましては、これまで、主にファイザー社、それからモデルナ社のワクチンを活用してまいりました。一方で、国内企業が開発しているワクチンにつきましては、現在、人での臨床試験を実施している段階というところでございます。

 国内企業が開発しているワクチンに対する支援を行うことは非常に重要だというふうに考えておりまして、国内企業に対しまして、生産体制の整備への補助でありますとか、あるいは有効性を検証する臨床試験の実施費用に対する補助などの取組を行ってきたところでありますけれども、これは引き続き支援してまいりたいというふうに考えております。

 また、新型コロナを含む新興感染症の治療薬の研究開発につきましては、これはAMED、日本医療研究開発機構の事業を通じた支援を行っておりまして、令和三年度補正予算では、百億円を措置しているところでございます。

 また、有力な治療薬の我が国での実用化を重点的に支援するという観点から、治療費用の補助として、令和三年度補正予算で五十六億円を確保しておりますが、加えて、治験を更に加速するための緊急追加支援ということで、令和三年度予備費で、去る三月二十五日に閣議決定していただきまして、百五十億円を追加で措置をしているといったところでございます。

 引き続き、このような取組によりまして国内企業が開発する治療薬の研究開発などを積極的に支援をするとともに、国民の皆さんに安全、安心を確保できるよう治療薬の確保にも最大限取り組んでいきたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 昨年、医薬品産業ビジョン二〇二一というのが政府で策定をされました。まだ予算等はついていないと伺っています。

 この中で、世界有数の創薬先進国として、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともにということと、医薬品の品質確保、安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へ引き継ぐ、それに対して、企業における投資に見合った適切な対価の回収の見込みが重要と、至極真っ当なことが書いてありまして、やはり、安全保障の観点からも、自国でしっかりと医薬品の開発を担っていくべきだというのは、総論として皆さんに御理解をいただけると思います。

 私の友人で、創薬ベンチャーのいわゆるCFOを担っている方がおるんですけれども、今回、薬機法の改正の前から、いわゆる昨年成立した補正予算の中で創薬ベンチャーに対する支援があるとか、そういうことも含めて様々な角度で意見交換を重ねてきました。

 創薬のお話を聞くと、非常に工数が多くて、そもそも創薬ベンチャーと呼ばれる人たちが担っているところと製薬企業がフィールドとして担っているところというのが、製薬企業と創薬ベンチャーで少し場所が、場所というか工数の場所がずれているという認識をお持ちで、加えて、今AIの進化によって、いわゆる創薬の初期の段階の探すという行為のところが、これまで四年から五年かかってきたところが数か月に短縮されているとか。あとは、製薬企業と創薬ベンチャーが共同開発を実現しようと思ってもなかなか製薬企業の重い腰が上がらないとか。様々な理由はあると思うんですけれども、こういった創薬ベンチャーの実態として様々な声があります。

 その中で、今回、医薬品産業ビジョン二〇二一の中で、いわゆる革新的創薬という表現がされています。具体的に創薬に対してどういう支援をしていくのか、これをまずお聞きさせていただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今般の新型コロナウイルス感染症の経験を経まして、改めて国民の健康と生命を守る医薬品の研究開発の重要性を認識しております。先生御指摘のように、経済安全保障の観点からも我が国の創薬力の強化、これは喫緊の課題だと考えております。

 先生から御紹介いただきました、昨年九月に作りました医薬品産業ビジョン二〇二一では、革新的創薬を医薬品産業政策の基本的方向性の一つとして位置づけておりまして、具体的には、研究開発に向けたデータ基盤等の整備、オープンイノベーションコミュニティーづくりを中心とした産学官の協働による研究開発環境の整備、それから政策的優先度の高い領域や分野における研究開発の伴走支援、こうしたことを取り組むことによって、ベンチャー企業も含めて、我が国の医薬品の研究開発力の強化に向けた支援を行うこととしています。

 ちょうど先月、これを具体化するための革新的創薬ワーキンググループというのを官民の実務者レベルで発足させまして、まさにこの政策の具体化に向けた議論を開始しました。できるだけ速やかにまとめて、実行に移していきたいと考えております。

金村委員 スタートしたということで、少し理解を深めてまいりたいと思います。

 その上で、この創薬、製薬ではなくて創薬だけで市場規模は大体一千億から二千億ぐらいと言われています。創薬ベンチャーの友人に聞くと、海外においては、創薬ベンチャーが担うべき市場と、それからいわゆる製薬企業大手が担う市場というのは完全に切り分けられていると聞いています。

 つまり、企業も、私も事業をしてまいりましたので、初めはゼロからスタートして最終的に百名ぐらいの従業員を抱える企業になったんですが、やはり、ゼロから始めたときの機動力だったり、思わずやってしまった行為が、結果、道が開けていくとか、いわゆる不確定要素が多い分、もちろんチャレンジしがいもあるんですけれども、結果が伴うこともある。

 一方で、大手製薬企業のように、大きな組織だからこそ、安心、安全も含めて社会に提供できるもの、市場の中で担うべきものというのは、大きく差が生まれてくると思います。

 私は、この創薬と製薬を実はしっかりと区分けしてこれから支援していくことが、むしろ医薬品の開発競争や技術革新においては的を得た考え方だと理解しています。この私の考え方について、どのようにお感じでしょうか。

島村大臣政務官 近年、世界的にはアカデミアやベンチャー企業の有するシーズ等を医薬品開発につなげて成功した例が増加しております。こうした医薬品が世界の売上げの上位を占めていることは、委員とともに我々も承知をしているところでございます。

 こうした中で、厚生労働省としましては、今お話ありましたように、創薬の医療系ベンチャーを支援するため、ベンチャー企業を対象とした相談窓口、MEDISOを設置し、研究開発から実用化に至るまで、法規制の対応やマーケティングに関する相談など、専門家によるきめ細やかな支援を提供するとともに、ベンチャー企業と大手製薬会社の交流を促進するための、今、厚労省としましては、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミットを開催させていただいております。私の地元の横浜でも昨年開催させていただきましたので視察をさせていただきましたが、このマッチングに関しましても非常に機会を得たと皆様方から好評を得ております。

 今後は、革新的な創薬に向けまして医療系ベンチャーの果たす役割は大きいものと考えており、ベンチャー企業が委員がおっしゃるようにイノベーションを創出できるような環境づくりも、引き続き努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

金村委員 ありがとうございました。

 私の地元は横の川崎になりますので、川崎でもサミットを開いていただければと思います。

 その上で、この創薬、製薬のところですけれども、引き続き一般質疑も含めて問いかけてまいりたいと思います。

 やはり、私、コロナ禍の大半はもちろん議員ではありませんでしたので、国会中継だったりニュース、報道、それから仲間の声を聞きながら、コロナ禍にどういう支援をしてきたのか、そして議員側がどういう声を上げてきたのかというのは聞いてきております。

 そういった意味では、政治の、議員として携わっていなかった中で、医薬品が自国で開発できなかったこと、安全保障の観点ももちろんあるんですけれども、まずは、やはり技術力、研究開発、こういったところにしっかり投資を繰り返していって、日本が世界の中でしっかりとプレゼンスを高めていく、そこをしっかりとやはり目標に据えてやっていっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 我が党の吉田とも代議員の代表質問でもさせていただきました、いわゆる新型コロナウイルスの二類から五類のところですね。私も、改めて今のオミクロン株の流行だとか収束、そういった様子を見ていますと、やはり二類から五類というのは一つ判断軸として持っていいんじゃないかなと感じています。いわゆる疫学的な要素や公費負担など、二類相当を継続する答弁が岸田総理からももちろん続いていますが、具体的に、何か数値や、こういう環境ができたら五類も検討しますよのような、そういったエビデンスみたいなものは政府にとっておありなのかどうか、お伺いさせてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 感染症法上の各感染症は、これはインフルエンザも含むその他の感染症との比較も含めて、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案して、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが定められておりまして、今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上は、これは二類ではなくて、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。

 仮に、御質問のように新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に変更する場合、感染症法上の入院勧告、措置、健康状態の報告、把握や外出自粛の要請、あるいは検疫法上の隔離などの措置が行えなくなる、あるいは特措法上の適用がなくなることなども含めて、総合的に勘案する必要があると考えております。

 その上で、具体的な数値基準というのは設けていないんですけれども、五類感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する感染症が五類に指定をされておりまして、仮に、新型コロナウイルス感染症の分類を五類に変更する場合には、そうした要件に該当する必要があると考えております。

 新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、更なる変異の可能性もございます。このため、オミクロン株の感染が続く中、今、このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現段階では適切ではないと考えております。

金村委員 確かに、ウイルスが変異する可能性も否定は全くできませんし、自国でのまさにワクチンや特効薬というものもいまだ開発できていない段階ですから、慎重になるのも無理はないと思うんですけれども。やはり、経済活動との両面だったり、それから、新型コロナウイルスを恐れる余り、例えば高齢者の筋力低下だったり、子供たちのマスク着用だったりとか、いろいろな課題が浮き彫りになってきておりますので、まさにこれは政治決断だと認識しています。

 そういった意味では、二類相当から五類へ変更する、この政治決断という認識はお持ちでしょうか。

島村大臣政務官 今、御質問ありましたように、今回の新型コロナウイルス感染症につきましては、オミクロン株にありましても、委員の皆様方からいろいろと御意見をいただいていますように、致死率や重症化率は残念ながらインフルエンザよりまだ高く、委員も今お話ありましたように変異の可能性もございます。

 こうした中で、例えば、健康状態の報告、把握や外出自粛の要請、入院措置等ができなくなると、政治の立場としましても、現時点では我々が国民の命を守るという観点から現実的ではないと考えております。

 引き続きまして最大限の警戒を保ちつつ、専門家の意見を伺いながら、議論をしっかりと続けていきたいと思っております。

 以上です。

金村委員 ありがとうございます。

 コロナ禍も大分長引いておりますので、いわゆるコロナ禍になる前と、この二年間、子供たちのいわゆる心身の健全な発達に関してどのような影響があったのか、最後に一つ、お答えいただきたいと思います。

橋本政府参考人 新型コロナの流行下におきましても、子供たちの年齢に応じた健やかな成長を支援するということは大変重要なことでございます。

 マスクの着用ということにつきまして、特に二歳未満の乳幼児はマスク着用が奨励されないということですとか、あるいは就学前の子供に無理にマスクを着用させる必要がない、そういったことをホームページの中で私ども周知をさせていただいておりますし、また、令和二年度でございますが、厚生労働省の調査研究におきまして、全国の乳幼児健診の担当者へのアンケートにおきまして、新型コロナの流行による親子の健康状態等への影響につきましては、親子の心身の健康の変化とか親子関係の変化、子供の発達の遅れ、子供の生活習慣の乱れ、こういったことなどが報告されております。

 今般のオミクロン株の流行下では子供の感染も比較的多く発生しておりますけれども、日常生活を継続しつつ、感染拡大防止を図るための取組が必要と考えております。

 新型コロナの流行下における子供の心身への影響につきましては、御指摘いただいたような観点も含めて、今年度も引き続き調査を実施して、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

金村委員 質問時間を終えましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いしたいと思います。

 まず、薬機法の緊急承認におきます緊急というものについて、お伺いをしていきたいと思います。

 今回の改正におきまして、国内産の医療品に対して薬事を緊急に承認するというのは理解をさせていただいておるんですけれども、例えば今回のような新型コロナウイルスは、中国発のアウトブレークということで、しようがないのかなという形で思っております。一方、米国のEUAでは、使用許可として、アウトブレーク、バイオテロ、放射線また核といったような緊急事態について、厚生労働科学審議会の部会内で想定し、議論をされています。

 一方、法案に記載されている緊急というこの表現では、非常に範囲が広く捉える、読み込めるということになってくるかと思います。

 今回の薬機法改正は、そもそも、国内で研究開発された医薬品に対して、お答えにもありましたけれども、ベネフィットがリスクを超える場合に緊急承認されるものであります。まずは承認された医薬品を服用される国民の安全性が第一と私は考えているところですけれども、しかし一方、部会内で議論されている内容から見ると、バイオテロ、放射能、核問題にも触れられておりまして、厚生労働が緊急として判断する範疇を超えているのではないかなと心配をしております。この緊急を判断できるのは、政府や首相の下、政治的判断の要素も多分に含まれるという具合に考えております。

 そこで、緊急性は誰が判断するのかにつきまして、先日、厚労省の方と打合せした際には、閣議決定をされますということでありました。

 私、有事の場合には国家安全保障会議等で判断されるのかなという形で思うわけなんですけれども、安全性は通常の薬事承認と同様の水準で確認されるということを今回前提とされておりますが、緊急性が高まれば高まるほど、必然的にこの安全性へのシフトというのが低くなってしまうのではないかなと懸念をしているところであります。

 そこで、薬機法は、あくまでも第一義は、医薬品が人に及ぼす安全性の確認にあるとは理解しておるんですけれども、緊急事態といっても、その緊急性は事態ごとによって異なると考えております。今回の薬機法改正は、あくまで今の新型コロナウイルスの感染症に当てはまるんだと思いますけれども、同じ感染症で一類に分類されるエボラ出血熱やペスト、また未知のウイルスや細菌、ましてやバイオテロ、こういう災害級の非常事態に対して、この緊急承認というもの、これを使って、スピードで、本当に国民の命を守れるのかなというところで疑問が残っているところです。

 緊急承認制度の対象は今回のような二類相当の感染症を想定して、国家安全保障会議が乗り出す場合など、一類相当の致死率が高い感染症、これらに関しましては、薬事については別途ちょっと仕組みをつくってやることが必要ではないかという具合に思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 医薬品を緊急に使用する必要性について、具体的な状況は様々であり、最も想定されるのは感染症の蔓延と考えておりますけれども、原子力事故やバイオテロ等による健康被害についても、個別具体的な状況に応じて、緊急に使用する必要性に該当し得るというふうには考えております。

 今般の緊急承認制度については、原子力事故やバイオテロといった有事そのものへの対応ではなくて、これらによる健康被害に対して必要な医薬品等を緊急的に使用できるようにする仕組みであることから、薬機法に規定することは適切であると考えております。

 また、緊急承認制度の適用対象となる医薬品は政令で定めることとしておりまして、厚生労働大臣のみが判断するのではなく、政府全体として、政令として対応する仕組みとなっております。

池下委員 まさにこの緊急というのは、様々なケース、また想定外というところが多分に入ってくるかと思いますので、そこら辺もしっかりと加味していただいて、安全な体制づくりというものをしていただきたいなという形で思います。

 また、あわせて、この安全性に関してなんですけれども、先日、レクの中で、緊急承認でも、少数の患者さんを対象とした治験を第二相臨床試験までやっているから、安全性は通常の薬事承認と同等の水準で確認ができるという具合に言われておりました。今回の質疑でもされているかと思います。

 しかし、第三相試験におきましては、多数の患者さんを対象としまして、医薬品候補の有効性、安全性、そして使い方、こういうものを確認すると聞いているところであります。

 厚労省の説明では、通常、第三相まで治験が済んで承認されている医薬品と同等という説明の感じを私は受けたわけなんですよね。そうしますと、やはり、安全性の面から、第三相でもこの安全性の試験、治験というのはやっているわけですから、本当に、第三相試験は安全性については必要じゃないのかなという具合の印象を受けます。

 あくまで今回は緊急の承認でありまして、第二相試験まで、治験までだから、通常の承認された医薬品とは違うということを改めて理解していただいた上で医療機関で処方してもらったりとか、国民の方でも、そういうものなんだよということを理解した上で服用してもらうという必要が私はあるのではないかなと考えております。

 そこで、この理解向上と情報提供、また周知の仕方についてどのような方針を持ってやっていくのかにつきまして、大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 医薬品の承認審査において、その安全性については、有効性、ベネフィットと比較して著しく有害な作用、リスクを有しないかどうか、有効性と安全性との比較考量によりまして評価され、確認をされます。

 緊急承認制度においても、ベネフィットに比してリスクが許容可能であるかどうか評価することとなりますけれども、その状況における医薬品使用によるベネフィットを考慮しつつ、医薬品として最低限の安全性を担保するという意味で安全性の確認を要件としているものです。

 具体的には、一定期間に高頻度で生じる副作用については、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など、比較的少数の症例に基づいて安全を確認することは可能であるというふうに考えております。

 医療従事者や国民の皆様に対しては、緊急承認されるものであっても通常の承認時と同様に安全性を確認していくことについて周知に努めて、緊急承認制度の理解の醸成にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 ただいまの大臣の答弁の中に、最低限の安全性の担保というお言葉をちょっと今入れていただいたと思うんです。とすれば、やはり通常とは違うんじゃないかなと私は考えるわけなんですよ。

 当然、今までやっていた議論を重々聞かせていただいた上で御質問をちょっとさせていただいているわけなんですけれども、そういう意味で、緊急承認の後、この二年後にやはり本承認ということもされていくわけです。当然、リアルワールドデータなんかというのも使っていただきながら、市販後の安全対策というのはもちろんしっかりとやっていただきたいなという具合に思うんですが、この緊急承認の時点では、先ほども質疑がありましたけれども、GMPの適合性調査等は承認段階では行われていないということでありました。とすれば、二相試験までしかやっていない緊急承認は、三相試験までやっている通常の承認とは私はやはりちょっと違うんじゃないかなと。

 また、米国EUAでいいます使用許可というのと日本の中の承認というものはやはり言葉も当然違うわけですから、そこら辺につきまして改めてちょっと御指摘をさせていただきたいなという形で思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、続きまして、ちょっと別途質問をさせていただきたいと思いますけれども、次は、医薬品の健康被害の救済制度についてお伺いをしていきたいと思います。

 緊急時の対応といいましても、その医薬品によって患者さんに健康被害が生じた場合には、医療提供者に対しても国としてしっかりとサポートしていく必要があると思いますし、また、健康被害を受けられた患者さん、やはり、服用されて具合が悪くなった患者さんに対してはこの救済の制度というのをしっかりとやっていかなければならないという具合に私は思っております。

 先週ですかね、先日、予防接種の健康被害救済制度、これにつきまして質疑もさせていただきましたけれども、今回も予防接種法と同様に、医薬品に対しても、今回あくまで緊急ということですので、緊急承認した場合には国が患者をきっちりとサポートする必要があると私は思っています。

 今回の新しい緊急承認の制度が含まれた法改正が行われますと、当然、医薬品に関しまして国民の健康被害に対しての関心度というのは高くなってくるはずです。

 今現在の仕組みでいいますと、医療品で健康被害が生じた場合には、PMDA、製薬会社等が拠出して成り立っている医薬品副作用被害救済制度、これがあるということは重々承知をさせていただいております。

 しかし、さっきちょっとあれだったんですけれども、政治的判断がちょっと含まれるかもしれないこの緊急の承認を行った場合に、やはり私は国として責任を持って補償をしていくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

 そして一方、現在の制度の枠内におきましても、緊急承認をした医薬品に対して副作用又はワクチンによる副反応が生じた場合、国としてはっきり国民に健康被害の情報を開示すること、そして補償の仕組みというものをしっかりと周知していく必要があるかと思いますけれども、御見解の方をお伺いしたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御紹介いただきました医薬品副作用被害救済制度、これは、薬については予期せぬ副作用というものがあるものですから、企業の社会的責任といたしまして、企業の拠出により運営しているものでございます。

 それは、安全性を確認したということでございますので、今般の緊急承認された医薬品につきましても同じように、同水準の安全性は確認していることを前提としておりますので、仮に緊急承認された医薬品から健康被害が生じた場合であっても、現行の医薬品副作用被害救済制度の対象とすることが適当だというふうに考えているところでございます。

 また、緊急承認した医薬品について、仮に健康被害が発生した場合とか副作用の情報について国民に周知すべきじゃないかということでございますが、我々としては、そうした市販後の安全対策といたしましては、副作用、副反応の情報をしっかり収集して、そして、その評価をする審議会の頻度を高めるなどして評価をし、国民の皆さんに情報を提供することを考えているところでございます。

 また、先生の方から、この医薬品救済制度についての周知、こうした安全性の確認された医薬品について健康被害が発生した場合の対象となるということを周知せよという御指摘がございました。

 これにつきましても、我々、健康被害救済制度の集中広報期間などを設けまして、ウェブサイトなどを通じまして周知を行っているところでございますので、この制度が施行した後も、我々は、健康被害の発生状況を踏まえつつ、更なる制度の周知の徹底をしてまいります。

池下委員 私は、何でもかんでも国が補償しなさいねと言うつもりはさらさらありません。ただ、今回はあくまで緊急だというところで、その緊急の幅もたくさんありますよというところなので、そこら辺を含んでいただいた上で、救済制度というものを改めて御検討いただきたいなと思います。

 そして、現行の制度内でもしっかりと周知していきますよというお話もありましたので、これは改めてしっかりとやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと時間もありますので、続きまして御質問をさせていただきたいと思うんですが、ちょっと次は、電子処方箋につきましてお話をしていきたいなという具合に思います。

 今般の薬機法改正の中でこの電子処方箋というものが入ってきまして、当然、今後、やはりオンライン診療などがどんどん進んでくる、そうすれば必然的に電子処方箋の必要性も高まってくる、これは理解をさせていただいております。

 そして、これからちょっとお話しさせていただくところなんですが、地元の大阪府の薬剤師会の皆様がやはりちょっと御懸念されている、そして御心配をされているというところも含めて御質問をさせていただきたいなという具合に思います。

 まず、この電子処方箋なんですが、処方箋のいわゆる疑義照会の対応をどのようにしていくのかということについて、ひとつお伺いをしていきたいと思います。

 現在の紙ベースの処方箋でありましたら、薬剤師さんがその紙の処方箋をいただいて、ああ、ちょっとこの用量がおかしいなとか、お薬の種類がちょっと違うんじゃないかなというときは、手書きで書き換えて医師の方に送り返して照会をするという仕組みになってきているということなんですが、当然、紙で訂正するということは、そこに証拠として何かしら残るわけなんです。

 ただ、もし電子でやった場合、データを書換えした場合に、訂正した部分に対してどのような形で特定をしていくのか。そして、もし、電子のデータのやり取りの中で医療事故が起きた場合に、簡単にデータが書き換えることが可能な仕組みであってはならないと思っております。電子処方箋のデータの取扱い、そしてまた責任の所在につきまして、ひとつお伺いをしたいと思います。

 そして、今回、電子の処方箋になりますけれども、患者さんといいますのは、お医者さんから処方箋をいただいて、病院の近くなのか、自宅の近くなのか、若しくは職場の近くなのか、どこに行かれるかというのは分からないわけであります。ただ、今回の薬機法改正で、一気に、全国どこでも、電子が使えれば、データが使えればいいということになるかと思うんですけれども、ただ、電子処方箋の導入に取り残された薬局などは、従来の紙媒体を使うよりないわけです。

 とすれば、医療機関としても、電子処方箋と従来の紙のやつと両方、二つ発行しないといけないということになりまして、例えば、処方箋をもらった患者本人が電子処方箋でお薬を調剤していただいて、それをもらいます、残った紙の部分で、別の方に渡して、その薬を、言うてみたら転売するというケースも、実は昔、大阪でお薬の転売みたいなというのもあったわけなんですけれども、そういう可能性がないのかどうか。それも併せてお伺いしたいんですが、電子処方箋での今後の展開、そして、スケジュールと不正使用についてお伺いをしたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 まず、最後、今後の導入スケジュールということでございますが、御案内のとおり令和五年一月ということで、そこから徐々に広げていきたいというふうに考えてございますが、まず、疑義照会についてのお尋ねがございました。

 電子処方箋で調剤を行う場合におきましても、紙の処方箋同様に、法令に基づきまして、薬剤師が疑義照会の内容等を含む調剤結果について電子処方箋に記入いたします。この調剤結果というものは、御指摘のように疑義照会の内容等も含まれるものでございます。それを電子処方箋に記入いたしまして情報のやり取りをいたしますし、また、真正性を確保するのに電子署名を付すことになっておりますので、責任の所在も明確になるものと考えているところでございます。

 それから、電子処方箋のシステムの導入の遅れで薬局が取り残されるのではないかということがございましたし、また、そうした薬局が患者が分かるのかということでございますけれども、まず、令和五年一月から徐々に広げていくというところでございますので、患者さんが混乱されないように、電子処方箋に対応している医療機関や薬局の一覧を公表するということをしてまいりますし、また、取り残される薬局とございましたが、これまで答弁申し上げましたように、医療情報化支援基金などを通じまして、そうした医療機関あるいは薬局の電子処方箋システムの導入を支援するということを考えているところでございます。

池下委員 順次進めていくということなんですけれども、やはり薬局、医療機関を使われる方、御高齢の方もいらっしゃいますので、そういうところで混乱が起きないように、是非お進めを願いたいなという形で思います。

 あと、今度は、システム導入におけます医療機関、そして薬局への補助の体制についてお伺いをしていきたいと思います。

 電子処方箋に当たっては、当然、コストというものがかかるわけであります。令和四年度の予算におきまして約三百八十三億円の予算というものを積み増しで確保されているという形で聞いております。しかし、一方、全国に約五万五千軒の薬局が存在して、当然それに準ずる医療機関というのもあるわけであります。

 そこで、この三百八十三億円ですかね、この金額で費用が十分なのか、また、一つの薬局が電子処方箋を導入するコストはどの程度か、関係機関へのコスト負担がないのかどうかにつきまして、併せてお伺いをしたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 医療機関や薬局へのシステム導入支援でございますが、先生から御紹介いただきましたように、今年度予算におきまして、医療情報化支援基金、いわゆるICT基金におきまして、導入支援の補助金として三百八十三億円を活用して、その一部を補助するということでございますが、お尋ねの、それぞれの医療機関、薬局について、どのくらいコストがかかるのかということについては、それも含めて、今後、詳細は決定してまいりたいと思います。

 また、費用負担とかについても御紹介があったんですが、電子処方箋の導入によりまして、医療機関、薬局間でリアルタイムで共有される患者の処方あるいは薬剤情報に基づきまして医療サービスが最適化されることですとか、処方時や調剤、それぞれにおける重複投薬等のチェック、不適切な処方、調剤の抑制が期待されること、それから医療機関におけるデータ入力、業務効率化など、患者さん、それから医療機関、薬局にとって大きなメリットがありますので、それぞれの立場で、導入費用については、負担については分担していただきたいというふうに考えているところでございます。

池下委員 十分の十補助というのはほぼないとは思うんですけれども、やはり、今日質問させていただいたのは薬剤師さんの現場の声ですので、是非そこら辺は真摯に受け止めていただきまして、進めていただければなと思います。

 ちょっと時間がないので、最後の質問にさせていただきたいと思います。遠隔地と過疎地の薬局設置問題です。

 今年で十一年目を迎えます東日本大震災の被災地のことをちょっと取り上げさせていただきたいと思うんですが、ちょっと私の資料の方を御覧いただきたいと思います。

 こちらは福島県の双葉郡周辺の医療機関マップでありますけれども、図の左側、数字がたくさん書いてあります。この地図のうちオレンジ色の数字が薬局の位置、これを示しています。例えば、南相馬市の8の小高調剤薬局から楢葉町の29ならは薬局までは、これは大体六十キロほど離れているという具合に聞いています。そして、地図の左側である葛尾村や川内村などは、薬局が存在していません。

 早ければ本年六月には、双葉町におきましても帰還がスタートするという報道もありますけれども、浪江町、富岡町、大熊町も、全町民の帰還には至っていません。

 そして、次の資料でありますけれども、浪江町内では今後の生活について心配だと感じていることは何ですかというアンケートによりますと、避難している住民にとって最も気になるのは、医療サービスがきちんと受けられるかどうかということであります。

 現在、各自治体と医療機関の協力によって、仮設診療所も含めて医療機関が徐々に戻りつつあります。しかし、薬局は、この広大な地域に点在している状況です。高齢化が高くなっている中、薬を取りに行くことは容易ではありません。医薬品の販売について、専売が認められている薬剤師さんの判断がなければ、なかなか薬局を出すことは難しいかもしれないんですけれども、当該場所を含めて、遠隔地や過疎地でも医薬品の安定供給を行えるようにしなければならないと考えています。

 例えば、モバイルファーマシーなどを活用しまして何とかこの地域に薬局を準備することができないかと考えますけれども、国として、遠隔地や過疎地も含めた薬局整備に対して検討することはできないのか、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘のとおり、山間部や離島、過疎地において、無薬局の地域が存在しているところであります。

 薬局の開設のためにはまずは薬剤師の確保が必要となることから、これまで、地域医療介護総合確保基金を活用した修学資金の貸与などによる薬剤師の確保策が各都道府県により講じられてきたところであります。

 薬剤師の地域偏在については、令和三年度から本年度にかけて、各都道府県等が行っている薬剤師確保の取組事例等について調査等を行うとともに、地域偏在の解消等に資する効果的な方策の検討を実施する予定としています。

 無薬局地域における薬局の設置に当たりましては、こうした調査の結果を踏まえつつ、地域の実情に応じて柔軟に対応策を講じられるよう、薬剤師の地域偏在の解消策と併せ、検討してまいりたいと思います。

池下委員 最後に、一言だけ。

 モバイルファーマシーというのは災害時に使われるというのは重々理解しているんですが、この東日本大震災の被災地、まだまだ復興というのは半ばだと思っております。是非こういうところにも光を当てていただいて、早急に対応していかないといけないと思いますし、人が集まれば薬局というのはまた戻ってくるとは思うんですけれども、それまでの対策としてでも、是非、大臣、御検討いただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。ありがとうございます。

 本会議の質問に続きまして、細かい、一つずつちょっと確認をしながら質疑を続けていきたいと思います。

 早速ですが、まず、承認と緊急使用許可についてです。

 先ほどの質疑の中で、ほかの委員の方から、アメリカの使用許可と日本の承認制度についての質問がありました。

 アメリカのEUAでは使用許可という制度形態を取っているんですが、今回、日本では承認制度にしたと。それは安全性の面での答弁がありましたが、それに引き続き、二〇二〇年、アメリカで短期間で取り下げられた結果があるというのが、例として、大臣、挙げておりましたが、それが問題なのかということです。その薬が問題であって、その制度の問題、つまり、アメリカが取っている使用許可が、先ほど例に挙げていただいたものが問題なのでしょうか。

 改めて、使用許可でなく認証制度にした理由というのをお聞かせください。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣の方から御指摘のような御紹介があったわけでございますけれども、アメリカの場合には、許可というのか承認というのかはともかくといたしまして、とにかく一定の場合、EUAの場合、有事でございますけれども、そうした場合に、未承認の医薬品をそうした特別の事情の下に使用を認める、そのときの裁量性の幅が大きいということが制度の特徴でございまして、その一例としてクロロキンの許可の事例を御紹介したところでございます。

 一方、我が国におきましては、やはり、安全な医薬品を市場に供給するよう努めることは、我々医薬品に携わる全ての者、それは企業も含めてでございますが、基本的な責務であると考えておりまして、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われるということが重要と考えているところでございます。

 したがいまして、緊急承認制度におきましても、安全性については現行の通常の承認と同程度の確認を前提としつつ、緊急性に鑑みて、有効性については少なくとも推定ができるというものの仕組みを今回つくったというところでございます。

田中(健)委員 その幅が広いということで、日本においては、そのようなものでなくてしっかりするということではあるんですけれども。

 日本においても有効性の検査が、また検証が行われていないというのは今回の特徴でありますから、承認が得られれば、確かに国民としては承認薬だと安心はあるんですけれども、一方で、承認薬の意義というのが曖昧にならないか、信頼を逆に失ったり、今まで築き上げてきたものをなくさないかといった懸念があることも確かでありますし、制度部会の中でもそういった声も出ておりましたので、是非御理解いただければと思っています。

 引き続きまして、適用要件の明確化です。

 こちらも先ほど来から質問が出ておりましたが、アメリカのEUAの適用要件というのは、化学的、生物学的、放射線及び核に関わる緊急事態であることを決定した上でという前提がついておりますが、今回の日本における改正案については、答弁の中でパンデミックや原子力事故、バイオテロなども具体的な例として挙げてもらっておりますが、これにおいては法律に明記をしないということであります。

 先ほど、これも答弁の中で、それらにおける健康被害だからということで具体的に明記はしないということでありましたが、であるならば、それらの健康被害、パンデミック、原子力事故、バイオテロなどにおける健康被害というふうに、そこまで書き込んで明確にできないかなというふうに先ほどのを聞いて思ったんですが、これを法案に明記しなかった理由というのを教えてください。

鎌田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 御紹介いただきましたように、緊急承認制度は、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品を対象という制度でございまして、まさに、薬機法ですので、どのような医薬品を承認するか否かということで、そういった健康被害拡大を防止するために使用の必要な医薬品という制度でございますので薬機法になっているのでございまして、この緊急に使用されることが必要な医薬品については、その健康被害の原因となるものが原子力事故あるいはバイオテロという健康被害でございますので、これは、薬機法の規定上、こうした健康被害の拡大の防止の中で様々な状況があるものということで、個別具体的な状況に応じて該当していくものと考えております。

 その上で、医薬品を緊急にする必要性については、何回か御答弁申し上げておりますが、やはり最も想定されるのは、新型インフルエンザ、新型コロナの感染症と同等の感染症が蔓延していること、これは同じような条文の構成となっております特例承認においてなされたものなので、そういったものが参考になるものと考えてございます。

 したがいまして、緊急に使用する必要性に該当する状況の例示としては、国民の生命及び健康に重大な影響のおそれのある疾病の蔓延とすることが適当じゃないかと考えているところでございます。

田中(健)委員 それでは、その関連で、先ほど来もあったんですけれども、緊急という事態をどのように理解すればいいかということです。

 緊急事態宣言との連動というのはないということを先ほど述べておられました。答弁の中では、制度の適用となる医薬品を政令で定めるということがまず第一の適用要件だということなんですが、と同時に、閣議決定という答弁もあったんですが、確認なんですが、まず、閣議決定があって、今が緊急事態だと閣内でしっかりと認められた上で、その上で適用となる医薬品というのが政令として、というか議題として上がるのか、その手順としては今のような形でよろしいんでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、まず、緊急に使用する必要がある事態、健康被害が広がっていることですとか、状況を判断いたしまして、政令において医薬品を定めまして、その上で個別に判断するということでございますが、分かりやすい例で申し上げれば、今回の特例承認におきましても、まさに新型コロナの蔓延という事態を踏まえまして、政令で新型コロナ感染症に対する医薬品ということを定めました。その政令で定めた後に、個別の医薬品、例えばワクチン、具体的なワクチンですとか治療薬の個別の医薬品の申請が厚生労働省にあり、それを承認するという仕組みでございまして、今回新しく設けます緊急承認制度におきましても、まず対象となる医薬品を定め、その上で個別の医薬品の承認審査をするという段取りでございます。

田中(健)委員 済みません、ちょっと私の聞き方が下手だったかもしれないんですけれども、もちろん、政令で新型コロナワクチンということを定めるんですけれども、その前の段階で、今が緊急事態であると。それは、今回はパンデミックを想定していたんですけれども、それは先ほど挙げさせてもらった原子力事故やバイオテロ、こういう場合もありますから、それら様々な日本における緊急時があって、その健康被害があるということ、まず前提として、今、緊急事態だと。例えば、蔓防を出す場合、緊急事態宣言を出してから蔓延防止が発動されるように、その前提として緊急事態というものを国がしっかりと決定するのかということなんですが、もう一度お願いします。

鎌田(光)政府参考人 まず、医薬品を緊急にする必要性の判断でございますけれども、新型インフルエンザですとか新型コロナウイルス感染症、これは特例承認制度を適用したものでございますが、そうした場合と同等の疾病の蔓延の状況や感染者の急速な増加が確認された場合、医療体制が逼迫している場合などを想定しまして、そういった状況を踏まえまして、政府全体で個別の状況を踏まえて、政策的な判断をして、政令を定めるということでございまして、状況の判断は、そうした状況を総合的に政府が判断していくというものになります。

田中(健)委員 ちょっとあれだったんですけれども、同時に行うということで、まず、やはり、しっかりと緊急事態というのがどういうものかというのが必要ですので、私は冒頭に申し上げたんですけれども、そこはしっかりと運用していただければと思っていますが。

 引き続き、終わりもお聞きをしたいと思うんです。感染症のアウトブレークが収束した場合、これも今、蔓延防止をどういうふうに解除するかというのが、緊急事態の解除と、様々な議論がありましたけれども、この場合の廃止時期の見極めというのをどういうふうに判断するのかお聞かせいただければと思います。例えば、今のように、もう緊急事態は今日本全国においては解除されておりますが、感染は今拡大をしている地域もあります。こういう場合はどういうふうに位置づけられるんでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 今回創設いたします緊急承認制度ですが、期限、おおむね二年ですね、定めて、その内に改めてデータを出していただいて、承認あるいは取消しをするというところでございまして、その考え方は、適用の条件である医薬品について緊急に使用する必要性が消失しているか否かということですとか、市販後、安全対策の中で重大な副作用があるか否かという観点から判断することになります。

 そうした、緊急にする必要性が消失したか否かについては個別具体的な状況を踏まえて判断することになりますが、例えば御指摘の、現下のコロナの感染状況についてでございますけれども、引き続き治療の選択肢が必要とされる状況であるとも考えられますし、また、新たな有効性の高い医薬品ですとか、更に新たなモダリティーのワクチン、医薬品が出てくれば、それはそれでまた必要となるという状況でございますので、感染状況が現在と同様のものであれば医薬品を緊急に使用する必要性が消失するものではないと考えているところでございます。

田中(健)委員 現時点では、緊急事態、緊急認証制度の下に、もしも発令される場合があるということなんですけれども、それと、あわせますと、今二年ということがありました。先ほどの中でも、二年を超えない範囲での期限を付して承認を得ることができると。これはスペイン風邪のときも二年ほどで収まったからというような説明を受けましたが、まさに今もう二年たって、三年目に突入をしています。

 ですから、今までのような、二年たったからということで、単純にこの期限の二年というのがどうなのかなという思いがありますので、この期限について、二年以下と、更に一年延長とした根拠を改めてお願いします。

鎌田(光)政府参考人 承認の期限、具体的な年限でございますが、御指摘のございました感染症の流行状況というものもございますけれども、医薬品の承認という観点でございますので、企業による承認後の第三相試験の準備と実施というものが大体一年ぐらいかかるであろうと。そして、それを踏まえて企業がデータをまとめて、我々も審査をするというのでまた一年程度であろうというのが私たちの経験上の数字でございますので、通常、おおむね二年以内に終わるのではないかというふうに考えておりまして、二年を超えない期限としております。

 一方で、その期限についてですが、感染症の流行状況によりましては、例えば多少下火になって、患者の組入れが進まないというのもございますし、データの集まりが悪いということであれば時間を要するであろうということもございますので、必要に応じて一年の延長を可能としている、そういう考え方でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 さらに、その期限についてなんですけれども、今おっしゃってもらったように、二年以内に再度改めて承認申請、正式承認をする場合には、第三相の検証的臨床試験が必要ということ、これは委員会でも、また本会議でも述べられていたんですが、法案を見ますと、十四条の二の二の五項ですかね、必要なものとして、臨床試験の試験成績に関する資料その他とあるのは、医薬品の使用成績に関する資料その他の厚生労働省令で定めるものとありまして、これを前提とすると、専門家の方から言わせれば、期限内に改めて行う承認申請に提出する資料としては、必ずしも、この間述べてもらいました検証的な臨床試験の成績でなくても、観察研究に類するものや、又は、この間議論が出ていますリアルワールドデータですかね、ということだけでもよいことにならないかといった懸念が示されておりますが、改めてこの点についてお聞きします。

後藤国務大臣 緊急承認された医薬品について、期限内に改めて行う承認申請に当たっては、原則として、通常の承認申請と同様に、第三相試験の成績の提出が必要と考えております。

 また、緊急承認制度では、実際の臨床現場での幅広い患者データを収集するため、承認の条件として、使用成績の調査等の実施を医薬品の製造販売業者に求めることとしています。

 その上で、期限内に改めて行う承認申請に当たっては、より充実した申請資料により医薬品の有効性、安全性を確認することが適当であり、第三相試験の成績に加えて、市販後の使用成績も評価することとしております。

田中(健)委員 今改めて大臣に答弁いただきましたので、この懸念はないということで、しっかりとしていただければと思いますが、そうであるなら、この条文の中にしっかりと有効性、安全性の確認について検証的臨床試験と同様の結果を求めるというふうに明確に記載をすればいいのではないかと思ってしまうんですけれども、それについてはどうでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 二点ございまして、まず、今大臣から御説明申し上げましたように、原則としては、第三相試験、検証的試験のデータでございますけれども、承認の条件といたしまして使用成績調査とリアルワールドデータというものを求めておりますので、それも入れるという趣旨もございますし、また、同じように、有効性を推定して条件、期限を付して承認する再生医療等製品の制度におきましても同じ条文がございまして、同じ書きぶりにしておりますので、やはりそこは、法制的には同じような書きぶりにするというのが妥当だと考えているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 そこで、今出てきましたリアルワールドデータなんですけれども、これを活用して第三相の試験も今行っているということなんですけれども、一方、今回の法案の説明の中では、このリアルワールドデータの活用は、市販後の安全対策についてという欄で見て取れます。

 これまでの個別事例に基づいた安全性に加えてリアルワールドデータを活用していくということでありますが、どちらかというと、このリアルワールドデータ、これまでの議論でも、ファイザーが新型コロナウイルスでワクチン開発を促進するためだとか、又は一般的には開発を支えたりという、治験の代わりになるというものとして注目を浴びていますが、今回の市販後の安全対策の中にこの活用をあえて入れたということは、具体的にどのように活用することを想定しているんでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 医療分野のリアルワールドデータの活用、御紹介いただきましたのは、医薬品の開発支援という側面からもあるものと考えてございます。

 一方で、まさに実際に使われたデータということでございますので、当然それに伴った結果を見ていくということが必要でございますので、医薬品の市販後の安全対策としても我々は重視しているところでございます。

 これまで、市販後の安全対策におけるリアルワールドデータの活用事例といたしましては、今回の新型コロナワクチンの接種後に心筋炎あるいは心膜炎について御議論がございましたが、そのときに、国内の医療情報データベースと、それから、実際に報告のあった心筋炎や心膜炎の発生件数などを照合したりするなどして、まさにそうしたリアルワールドデータを活用して、重大な副反応として添付文書を書き換えたということがございます。そうした活用が分かりやすい例としては御紹介できると思います。

 我々としては、引き続き、医療機関や製造業者、販売業者からの報告に加えまして、こうしたリアルワールドデータも活用して、市販後の安全対策を行ってまいります。

田中(健)委員 このリアルワールドデータなんですが、今言ったように、安全性又は治験にも使えるということなんですけれども、日本では大変遅れていると、一方でそういう指摘もあります。

 厚労省では、今も挙げてもらいましたレセプト情報や特定健診情報の様々なデータベースを使った公共のワールドデータというのはあるんですけれども、民間事業者も後を追うようにして、今、様々なリアルデータをつくっているということであります。

 遅れているという指摘に対して、官民でどのようにしてこのリアルワールドデータを整備していくのかということについて伺います。

後藤国務大臣 御指摘のいわゆるリアルワールドデータも含め、保健医療分野におけるデータの利活用は非常に重要な課題であると考えています。

 厚生労働省としては、NDBについて、令和二年十月から民間事業者の利用も可能としており、さらに、連結できる情報の拡充等を通じて、NDBの価値、利便性の向上に取り組んでおります。

 こうした取組を含めまして、厚生労働省では、従来から、人々が自身の健康医療情報を日常生活の改善につなげるパーソナル・ヘルス・レコードなど、データヘルス改革として保健医療分野におけるデータの利活用を推進してきているところであります。

 引き続き、官民におけるデータ利活用の環境整備を進めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 これについては今回の電子処方箋にもつながることでありまして、是非進めていただきたいと思いますし、電子カルテなどは、まだまだ大変に世界に比べて遅れているということなので、力を入れていただければと思います。

 健康被害の救済についても伺います。

 特例承認制度であっても、これまで、通常の薬事承認と同様の水準で確認をすることを前提としているため、現行の救済制度、つまり、ワクチンの場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度、また、それ以外は、PMDA法に基づく医薬品副作用被害救済制度が適用された。

 そして、今回もこれを適用するということであるんですけれども、今回、特例承認で認められたワクチンですが、この新型コロナワクチンにおいて、健康被害を受けた方の申請数とそれにおける認定数、その人数と支払われた給付額の、それぞれの額を伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防接種の健康被害救済制度につきましては、三月二十五日に開催されました審査会の時点で、市町村から国に進達された件数は千百九十八件でありまして、そのうち認定された件数は六百五十件となっております。

 なお、実際に給付した額につきましては、現時点でお答えすることは困難なんですが、これは、まず、全ての方に定額の給付ではないということと、それから、特に医療費につきましては、個々の方の受診状況に応じて費用をお支払いするということ、そして、市町村が支給事務を行っているんですけれども、これは各年度、年度末で手続が済んだ後に決算として国の方に上がってくるということになっておりまして、現時点で給付額についてお答えすることはできません。

 以上です。

田中(健)委員 そのうち、死亡で申請された額と、また、認定を受けて救済された実績はあるんでしょうか。伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 死亡事例については、同じ審査会の、同じ時点で、死亡一時金の申請が、市町村から国に進達された件数は七十九件となっておりまして、うち五件が審査され、全て保留となっております。

田中(健)委員 これは、委員会の中でも、また本会議でも出たんですけれども、直近の審議会の別の報告では、接種後亡くなった方のうち、ワクチンと因果関係の評価を行った千五百十三人、これは一人も認定されていないということで、これもお話が出ていましたが、九九%以上が情報不足により評価不能ということでありました。

 そもそも、今回の新型コロナワクチン、知見の収集は今進んでいるところでありますし、有効性の検証というのが不十分なまま承認を与えるというのがこの制度の特徴でありますから、緊急承認制度にふさわしい安全対策や救済制度の運用が必要ではないかと考えています。

 今挙げてもらいました健康被害の方は、千百九十八件のうち六百五十件が、額の程度はありさえすれ、全て定額ではない、それぞれの差によって支給はされていますということです。しかしながら、そちらの救済制度でも今のところゼロということでありまして、これは、因果関係が明確な場合だけで、救済の制度が対象を全て外してしまう、一かゼロというのではなくて、グレードに応じても救済金を支給できるような制度にはできないのかということを大臣にお聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 救済制度につきまして、新型コロナワクチン接種を含む予防接種法に基づく予防接種による健康被害につきましては、予防接種健康被害救済制度に基づき、給付の申請が可能であります。

 現行制度においても、請求された疾病と予防接種との因果関係については、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとの考え方に基づいて認定をしております。

 また、給付額についても、通院又は入院の日数等や障害の程度に応じて給付することになっております。

田中(健)委員 今までのやり方を説明していただいたんですけれども、それでとても救えるというふうに思えないという声が今まで委員会の中でも多々上がっておりましたので、是非ここは、これからも議論をしていきたいと思いますし、検討を進めていただければと思います。

 時間になりました。質問を終わります。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 最後の質問からやります。

 本会議で岸田総理から、新型コロナウイルスワクチン接種後の症状に対しては治療法を含め必要な研究を行っていく、こういう答弁をいただきました。これは、具体的にどういう予定でしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチン接種後の症状につきましては、特に遷延する症状については受け止め方が人それぞれであるため、現時点ではどのような症状を指すのか一律に定めることは難しく、今後の科学的知見を踏まえながら検討すべきものと考えております。

 しかしながら、現にこのような症状に悩まれている方に寄り添うことは重要でありまして、ワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、希望する方が必要な医療機関を受診できるよう、体制の確保や相談窓口の周知等に取り組んでいるところでございます。

 新型コロナワクチン接種後に生ずる遷延する症状に関する知見につきましては、今後このような取組を行っていく中で、専門的な医療機関における診療の蓄積により新たに得られることも期待できるところでございます。

 現時点では具体的な研究の予定を申し上げる段階にはありませんけれども、こうした知見を踏まえて、専門家の意見も聞きながら、治療法を含む必要な研究や研究体制について検討し、進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 具体的にはこれからだというお話でございます。

 それで、今日、資料をお配りをしております。一枚目は、これはサイエンスに出ている例でございますが、コロナウイルスワクチン接種後にロングコビッドと同じような症状が引き起こされるまれなケースがあるというものです。これは今年のサイエンスに出たものなんですね。

 NIHでもワクチン接種後の深刻な長期にわたる症状についてテストしたり治療したというお話が出ていたり、あるいは、この中では、ニューイングランド・ジャーナルで、免疫学者のウィリアム・マーフィーさんが、自己免疫メカニズムがロングコビッドとワクチンの副作用の両方を説明する可能性があるから研究する必要があるんだ、こういうことなんかも書かれているわけでございます。

 ですから、世界的にここに一つ焦点が当たっているわけですね。ロングコビッドと同じような症状がワクチン接種後に起きているということです。

 それから、資料の三ページ目は、前回の質問でも少し触れましたけれども、AMEDのやっている研究ですね。新型コロナの後遺症の一つの類型がME、CFSではないかということが世界的にも言われております。

 それで、改めてAMEDのホームページから引っ張ってきましたが、ME、CFS、筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群は、年余にわたる強い疲労感や脱力、記憶や注意、思考の障害、その他様々な症状のために日常生活を送ることが困難となる原因不明の慢性疾患ですと書いてありますが、これについて、今、免疫治療の有効性を示唆する報告などが世界的にも出てきていますよということが書かれています。

 さらに、次のページで、このME、CFSがどうやって発症するのかということで、発熱や喉の痛み、嘔吐や下痢などの風邪症状を契機に突然発症することが多いということで、ウイルスや細菌が免疫系に作用することが発症に重要と考えられていますと。さらに、そのほか、薬物への暴露、予防接種などの後に発症することがあります、いずれも免疫系に影響を及ぼす可能性がありますということが書かれているわけでございます。

 さらに、その次の資料を載せておきましたけれども、これはヒラハタクリニックのホームページに出ているものでございます。私は一年前も、ヒラハタクリニックの、新型コロナ後遺症の治療のEATの問題については、この場でも取り上げさせていただきました。

 最もたくさんの新型コロナウイルスの後遺症を診られているのがヒラハタクリニックだと思いますが、この中の表の上のところに書いていますように、これは彼なりの治療法について書いているものなんですけれども、新型コロナワクチン後のコロナ後遺症様症状に対してもお使いいただくことができますということが書いています。ということなんですよね。

 このヒラハタクリニックだとか、あるいはその前、平畑先生が注目したのは、慢性上咽頭炎が一つの原因ではないかと、それをずっと日本でやっていたのは堀田先生という方でございますが、慢性上咽頭炎からコロナ後遺症が起きていくということを言われております。

 この慢性上咽頭炎ではないかということで、HPVのワクチン後の患者の治療もかなりやられてこられました。

 そして、今回のコロナワクチンでも、堀田先生にしろ平畑先生にしろ、かなり、コロナワクチン接種後の症状について慢性上咽頭炎から来ているんではないかということで、EATの治療をやって、症状は改善する例が本当に多いと。ただ、完治する場合が全てではないといいますか、症状は改善する、またぶり返す方もいるという話も聞いていますけれども、そういう話が出ているわけですよね。

 ですから、やはり、本当にこのEATという治療法は日本でしかまだやられていないのかなと思いますけれども、こういう実践がこの間積み重ねられているというのは、私たちしっかり学んでいかなければいけないんじゃないかと思います。

 その上でお伺いしますけれども、政府としては、コロナウイルスワクチンの接種後の症状で、新型コロナ後遺症と同様の長期にわたるME、CFSのような症状が起きている、こういう認識はあるんでしょうか。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 ワクチン接種後の副反応が疑われる症状につきましては、副反応疑い報告制度により常に情報を収集しておりまして、定期的に開催している審議会にて評価が行われております。

 御指摘のものを含めまして、長期にわたり様々な症状が続いている等の、いわゆる後遺症のような症状につきましても報告は受けてございますが、直近の審議会では、現状において、これまでワクチン接種が原因と判断されたものはないという評価をいただいているところでございます。

宮本(徹)委員 それはME、CFSと似たような症状という理解をしているということでよろしいですか。

鎌田(光)政府参考人 ME、CFSの両症状の発現する報告ですとか、あるいは片方、CFSの症状の発現のみを報告する事例は、報告されているところでございます。

 それを含めまして、先ほど申し上げましたように、審議会において御評価いただきまして、ワクチンの接種が原因と判断されたものはないという評価をいただいているというところでございます。

宮本(徹)委員 ME、CFSのような症状が起きている、コロナワクチンの接種後にもというのは政府も確認しているということでございます。

 そういう点で、この前の答弁でも少しございましたけれども、医療機関での知見を積み上げていくというお話がございましたが、この医療機関を指定していこうということを今通知も出されているわけですけれども、その際、現に治療を行って改善効果を上げていると報告されている治療法に取り組んでいる医療機関というのは指定されていくんでしょうか。例えば、先ほど言ったEATの治療法でいえば、四百ぐらい、日本国内ではやっている医療機関があるわけですけれども。いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年の二月に出しました通知におきまして、新型コロナワクチン接種後に副反応を疑う症状を認めた場合に対応できる診療体制を構築するために、あらかじめ専門的な医療機関を確保するよう都道府県に依頼をしているところでございます。

 またさらに、本年の三月二十四日付で発出した通知におきまして、ワクチン接種後に遷延する症状を訴える方や、そのような症状についての相談先あるいは受診先について悩んでいる方が存在すること等の指摘を踏まえて、希望される方が必要な医療機関を受診できる診療体制が確保されているかの確認を各都道府県に依頼したところであります。

 また、一昨日になりますけれども、四月四日付で発出した通知におきましては、各都道府県に専門的な医療機関の名称等を公表することにつきまして、各都道府県内の関係機関との調整を依頼したところであります。

 この議論の中での専門的な医療機関につきましては、現に治療を行っているという理由だけで選定しているものではなく、幅広い副反応を疑う症状に対応できるように総合的な診療ができる体制を有するかどうか等を考慮して、各都道府県において選定していただいているところでございます。

 いずれにしろ、新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に悩まれている方が必要な医療機関を受診できるよう、都道府県と連携しながら引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 その幅広いものに対応しようという言い方をすると、かつてHPVワクチンの副反応疑いの協力医療機関は大学病院だとかがかなり多かったわけですよね。ところが、そこでは残念ながら心の問題だと言われるケースがたくさん出たわけです。現に今でもそれが続いているわけですよね。それでは本当に科学的な、もっと現場でいろいろ努力しながら、この治療法を見つけようとしている努力が、ちゃんと酌み取っていけるのかということがあると思いますよ。そして被害者の実際の治療につながっていくのかということがありますので、もうちょっとそこは私はよく考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今、特にこの遷延する症状でいろいろと課題として挙げられていますのは、どういった医療機関に受診をしたらいいのか、また、様々な症状を訴える中で、うちではない、別のところに行ってくださいというようなことがないように、総合的に対応できるというような医療機関が必要ということでありますが、そこは各都道府県の中でしっかり役割分担をしていただいて、国会等でも御指摘ありますが、たらい回しにならないようにというようなこともあります。そういった地域の中での役割分担の中で、しっかりとした診療体制ができることが重要かと考えております。

宮本(徹)委員 たらい回しにならないようにと行った先で、ちゃんといろいろな治療法があるよということを教えていただければいいんですけれども、いや、心の問題じゃないですかというふうに言われたというのがHPVワクチンの後にあったわけですから、そこはよく考えてください。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、治療法の研究をされるということなんですけれども、自己免疫性の症状ではないかという考え方、あるいは慢性上咽頭炎から免疫システムを介在して起きているんじゃないか、あるいは自律神経調節機能が異常を引き起こしているんじゃないか、こういうことを言われているわけですので、そういう神経免疫系の治療法の研究開発、ここにも思い切って予算をつけて対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、ワクチン接種後の副反応疑い報告におきまして、いわゆる自己免疫性の症状が報告されていることは承知をしております。

 ただ、これまでの審議会の議論におきましては、自己免疫性の症状について、ワクチン接種による副反応と位置づけるほどの懸念があるとの専門家の御意見はいただいておりません。

 一方で、自己免疫性の症状も含めて、新型コロナワクチン接種後に生ずる遷延する症状に関する知見については、都道府県による診療体制の整備、あるいは専門的な医療機関における診療の蓄積により、新たに得られる知見があると期待されます。

 厚生労働省としては、御指摘のような自己免疫性の症状も含めて、専門家の意見も聞きながら、治療法を含む必要な研究や研究体制について検討し、進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 急いで進めていただきたいというふうに思います。

 その上で、法案の中身に入ります。

 総理の本会議での答弁で、有効性の推定については、例えば、後期第二相の試験の成績により、一定の有効性があると考えられる場合を想定している、こういう答弁がございました。

 後期第二相というのは、一般的に治験というのは何人ぐらいの規模なんでしょう。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 臨床試験の人数、一般的にでございますけれども、それでも医薬品の特性に応じて決定されますので、具体的に人数を申し上げることは難しゅうございますが、後期第二相試験ということに限れば、一般的には数百例程度のケースが多いということは事実として申し上げられると思います。

宮本(徹)委員 今回のコロナパンデミックで特例承認された治療薬は、アメリカの緊急使用許可の際の臨床試験の評価したデータは大体四桁の症例数なんですね。数百じゃないんですね。ラゲブリオでは一千四百三十三例、パキロビッドパックでは二千二百四十六例。点滴薬でいえば、ソトロビマブでは一千五十七例、レムデシビルで一千六十三例。唯一、ロナプリーブは七百九十九例というのはありますけれども、ただ、日本で特例承認する際には、その後の試験も含めて五千六百七例で、そのデータで評価して特例承認をしております。

 そういうことを考えると、感染症のパンデミックで、後期第二相の数百の症例で、有効性というのはしっかり推定できるんでしょうか。

後藤国務大臣 臨床試験の人数は医薬品の特性に応じて決定されるために、有効性が推定できる一律の人数を申し上げることは困難であります。

 なお、第三相試験であっても、例えばインフルエンザウイルス感染症の治療薬では七百例程度、関節リウマチの治療薬では百例程度で実施されている試験もありまして、数百例の症例で有効性を確認している場合はあることから、数百例規模の第二相試験で有効性を推定することは可能ではあると考えています。

 いずれにせよ、医薬品の特性に応じて医薬品の効果が評価できるように、適切に計画された臨床試験の結果が得られれば、有効性を推定することは可能と考えられます。

宮本(徹)委員 今、塩野義さんが、経口薬について、五百人の治療データを出して薬事承認を申請しております。

 これは報道なんか見ていますと、例えば、アメリカで公衆衛生を研究する木下喬弘医師のコメント、新聞に出ておりました。多くの人への飲み薬を目指すなら治験対象が四百人でも少ない、これで承認すると日本の薬事承認が世界から信頼されなくなる、数か月かかってもしっかり治験をした方がいい、こういうコメントもあるんですよね。

 実際、先ほどアメリカの例も紹介しましたけれども、今回のコロナパンデミックでいえば大体四桁やっているわけですよね。四桁のデータで評価をしているわけです。よほど、数百でも物すごい効果があるという場合もまれにはあるかも分からないですけれども、こういうことを言われているわけですよね。そこはしっかり受け止めていただけたらなと思います。

 その上で、第二相試験で、感染力を持つウイルスの量が有意に減少することが確認できたが、症状改善の効果はプラセボと比べて統計学的に有意な差は認められないようなケースは有効性が推定されるものとなるのかと、これは私、本会議で聞いたんですけれども、答弁がありませんでした。お答えください。

後藤国務大臣 ウイルス量が有意に減少することは確認できたものの、症状改善の効果はプラセボと比べて有意な差が認められないようなケースも含めて、個々のケースについての推定の可否については、予断を持ってお答えすることは困難でございます。

 いずれにせよ、個別具体的な品目の承認に当たっては、申請者から提出されたデータに基づき、専門家の意見も踏まえつつ、総合的に審査することとしております。

宮本(徹)委員 私、今の答弁を聞いて驚いたんですけれども、事前に事務方に聞いていたお話と若干違うんですね。ウイルスの量が減るのは重要な効果だけれども、症状をどれぐらい抑えるのかというのを、こちらを非常に重視するんだというお話も伺ったんですけれども。

 そうすると、症状改善の効果が認められない、この場合でも、ウイルス量が減るんだから、何らかいい効果があるだろうということで承認しちゃうということなんでしょうか。それで大丈夫ですか、本当に。それって本当に信頼を得られますか。

 私、実際、お医者さんたちがお薬を使うわけですから、そういう方々の声なんかを聞いていますと、そこは本当に懸念があるところですよ、懸念が。ウイルス量が減っているだけではなくて、やはり症状改善の効果もちゃんと出ていないと、それは使えないですよという声が出ていますよ。そこはどうですか。

鎌田(光)政府参考人 まず、個別具体の医薬品につきましては、審査中、治験中なので、あくまで一般論でございますが、個別医薬品の評価として、一般論として、例えば主要評価項目が複数設定されているという場合もございますが、そういう場合であっても、具体的な治験の、臨床試験の解析計画によっては、どちらの項目なのか、あるいは両方なのか、そういった試験設計によっても薬の評価というものは変わってくるものと考えております。

 したがいまして、一概に、この場合はどうなのか、この場合ではどうかといったことについてはお答えできないということについては御理解賜りたいと存じます。

宮本(徹)委員 本当に、実際に承認されて使われてこそ意味があるわけですよね。それが、症状改善の効果が分からないままというのは、ちょっと、大変心配な答弁だということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、先ほど来、期限内に改めて行う承認申請のことが議論になっております。原則として、通常の承認申請と同様に、第三相試験の成績の提出が必要と、これは本会議で総理から答弁がございました。にもかかわらず、なぜ、第十四条の二で、臨床試験の成績というのを、医療品の使用成績に関する資料その他というふうに読み替えているのかということについては、いや、これは、前の法律の改正に合わせてそうなっているんだという説明があって、これは、第三相試験の成績に加えて使用成績についても必要なんだというお話でございました。

 そうすると、第三相試験の成績は期限内に改めて行う承認申請では必要ですというのは、法律以外の何らかのところにどう書かれるのか、省令ないし何らかに書かれるのかということをお伺いしたいと思います。あわせて、例外はないのか、その点についても確認をしたいと思います。

鎌田(光)政府参考人 お答えいたします。

 先生御紹介いただきましたとおり、技術的になりますが、今回の改正法の十四条の二の第二項において、臨床試験の試験成績をその医薬品の使用成績と読み替えましたのは、大臣から御説明したように、原則として第三相試験をしつつも、条件としてお願いしている市販後の使用成績等もお願いするという趣旨でございますことと、言及がございました同じような構造を持ちます再生医療等製品の規定を倣ったということでございますが、御指摘の臨床試験が必要だということにつきましては、具体的には、省令におきまして臨床試験等の使用成績に関する資料ということを規定する予定でございます。

 例外はないのかということでございますが、繰り返しで恐縮でございますが、我々としては、原則としては第三相試験の成績の提出を求めるというわけでございますが、感染症が急速に収束した場合など、試験の実施が困難な場合もございます。

 したがいまして、緊急制度の在り方を取りまとめいただいた、御議論いただいた審議会におきましても、緊急時における医療環境等に配慮した、リアルワールドデータを含めた有効性等を確認できるデータを収集することを条件とすることもあるというふうに言われておりまして、それは個々の品目ごとに適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 時間になりましたので、残りの質問につきましては次回質問させていただきたいと思います。終わります。

橋本委員長 次回は、来る八日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十一分散会


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