衆議院

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第11号 令和4年4月8日(金曜日)

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令和四年四月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    国定 勇人君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      高見 康裕君    土田  慎君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    堀内 詔子君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           中島 克仁君

   議員           吉田 統彦君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     山口  晋君

  鈴木 英敬君     国定 勇人君

  土田  慎君     高見 康裕君

  長谷川淳二君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     鈴木 英敬君

  高見 康裕君     土田  慎君

  平沼正二郎君     長谷川淳二君

  山口  晋君     川崎ひでと君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長林伴子君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、大臣官房年金管理審議官宮本直樹君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、保険局長浜谷浩樹君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 ありがとうございます。三十分間、質問をいたします。

 前半は、私たち、今回、対案を出しております。今日の配付資料にもございますが、一ページ目ですね、自宅放置死対策を求める要請というものも、来週火曜日、させていただきたいと思っております。こういうコロナ自宅放置死をどうなくすか、その議論。それと、今回、今関心が高まっておりますが、感染防止対策またワクチンの三回目接種を促進するためのワクワクイベント割ですかね、もちろん、これは主管は経産省なんですけれども、感染防止対策またワクチン接種にも関係しますので、そのことについての御所見を後藤大臣にお伺いしたいと思います。

 また、後半については、齋藤理事や理事会の皆さんにも御配慮いただきまして、このコロナ禍で深刻化しておりますAV問題についても後半質問させていただきたいと思います。

 それでは、配付資料を見ていただきたいんですが、今回、薬機法の審議ということですが、薬機法自体は非常に限られたコロナ対策の中の一部にすぎませんので、私たちとしては、三つの法案を対案で出させていただいております。その中でも、本当にコロナ禍で一番深刻なのは、やはり自宅放置死が増えてしまったということであります。

 こちらに要望書がございますけれども、来週火曜日のこの薬機法の参考人質疑でも、私たちとしては、自宅放置死遺族会の高田代表にお越しをいただきまして、この高田代表も弟さんを御自宅でコロナで医療につながることなく亡くされてしまったわけですけれども、そのような無念なことが、今、第七波も迫ってきておりますけれども、二度と起こらないように、そういうことを参考人でも高田代表から御発言いただき、また、要望書も提出をさせていただきたいと思います。火曜日の午後ですので、後藤大臣あるいは担当の方、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 そこで、この要請事項にもございますけれども、私たちとしては、そういうことを二度と起こさないために、コロナかかりつけ医が必要ではないかということを考えております。平時から完全にかかりつけ医をするということに関しては賛否両論あります。そして、何よりも、私たちも、フリーアクセスですね、日本が世界に誇る医療のフリーアクセス、これを維持するということは大賛成で、それは何が何でも堅持していくという方針であります。しかし、前回も中島議員と後藤大臣、審議されましたように、このコロナの中ではそのフリーアクセスが残念ながら機能せずに、医療につながることができず亡くなられた方が多数おられるということであります。

 次のページを見ていただきたいんですけれども、私たち、今回、コロナかかりつけ医法案と、また、薬機法の改正法案、そして、私たちの対案も出させていただいております。このことの審議を深めさせていただきたいと思います。

 そして、三ページにありますように、立憲民主党の感染症対策の二法案と政府案との違いというものも出しておりますので、是非、御賛同をいただければと思っております。

 そこで、後藤大臣にお伺いをしたいんですけれども、もちろん、残念ながら、今、リバウンドとか第七波が来ているのではないかと言われておりますが、そういう中で、二度と自宅放置死を出さないために様々な取組を厚生労働省も取り組まれていることは知っているわけですけれども、やはり、一つのキーポイントは、中島議員を中心に私たちが提唱しております、いざというときのために、ハイリスクの方を医師の担当を決めて、そういうコロナかかりつけ医のような体制をつくっておくことが、第七波で自宅放置死がなくなるために必要ではないかと思っております。後藤大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 まず、新型コロナにより自宅でお亡くなりになられた方々、そしてその御家族には、改めて心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 自宅で療養されているコロナ患者の方に対して、病状等に応じて着実に健康観察や必要な医療を提供していくことが重要だというふうに考えております。

 厚生労働省としては、昨年の夏の経験、反省を踏まえまして、全体像に基づき保健医療提供体制を強化しながら、オミクロン株の特徴を踏まえて、自宅療養者等が確実に医療を受けることができるという体制をつくるべく努力をしてまいりました。

 こうした中で、迅速に感染の有無を診断するためのいわゆる発熱外来を設け、全国で三・六万機関を確保しておりますし、健康観察、診療医療機関を設けて、これは二・二万機関まで拡大しておりますけれども、現場において、陽性判明後、引き続き速やかに健康観察が行われる仕組みも構築するなど、体制の整備に当たっております。今現在でも、しかるべく、高齢者施設又は自宅等、対応をしていかなければならないと思っております。

 御指摘のコロナかかりつけ医については、日頃から患者のことをよく知るかかりつけ医が診療を行うことは望ましいことであるということについては、私も同じ意見でございます。

 地域において、急速に拡大する感染症に対して、診断、治療へのアクセスを、どのように短期間で、かつ広く構築するかについては、これは併せて考えていくことが重要なことであるとも思います。

 いずれにしても、自宅療養者の症状の変化に迅速に対応して必要な医療を提供することは何より重要と考えておりますので、まずは、診療・検査医療機関や健康観察、診療医療機関の更なる拡充に努めてまいりたいというふうに思っております。

山井委員 ありがとうございます。趣旨には御賛同いただいていると思うんですが、私の知り合いも、地元で、あと一日救急車で運ばれるのが遅れていたら死んでいたであろうという親しい方もおられます。そういう意味では、本当に、第七波が来るリスクもございます。

 今のに加えて、では、そういう方針、コロナかかりつけ医的なものがあればより安心ですよねということなんですけれども、それをより推進するために、何らかのインセンティブ、優遇措置、予算措置が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 制度の前提を飛ばしてその財政措置と聞かれると、ちょっと答えにくいといえば答えにくいんですけれども。

 厚生労働省において、例えば、今、発熱外来の設置、三万六千機関、健康観察、診療医療機関の設置とその拡大、二・二万機関、こういうようなことにつきましては、それぞれ、緊急包括支援交付金等の対象として、あるいは補助金の対象として支援をいたしております。診療・検査医療機関が例えば公表されている場合の診療報酬の加算も七月まで延長するというような支援体制を取っております。

 自宅療養者の症状の変化に迅速に対応して必要な医療を提供することの重要性は、先ほど申し上げたとおりなので、そうした体制整備のために必要な財政的な支援を行うということについては、十分検討していくべきことだというふうに思っておりますけれども、まずは、どういう対策を行っていくか、そのことについてしっかりと検討して取り組んでいきたいと思います。

山井委員 是非、財政支援をお願いしたいと思います。

 続きまして、配付資料の八ページにありますように、イベントワクワク割というものを五月にも開始へということが書いてございます。三回目のワクチン接種証明など条件にと。

 これはもちろん経産省の政策ではありますけれども、いかに三回目のワクチン接種を進めるか、また同時に、感染拡大防止をするかというのは非常に重要なことでありますし、私の地元でも、是非大規模なイベントをやりたい、そういう思いの方々は非常に多くて、ここは感染を収束させてイベントをどんどんできるようになればいいんですけれども。

 そこで、厚生労働省というか、ワクチン接種や感染拡大防止にも関係しますので、後藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 大臣として、このイベントワクワク割について、ワクチン接種の促進効果やイベントでの感染拡大防止効果など、どのような効果が期待できると考えておられますか。

後藤国務大臣 御指摘の事業は、令和三年度補正予算で計上されている事業でありまして、要綱等の枠組み等は示されているわけでありますけれども、ワクチン接種や検査結果をどのように活用するのかというようなことについては、三月十一日のコロナ分科会において、ワクチン追加接種を要件とすることが望ましいという専門家による議論がなされたことを踏まえて、今後、具体的な制度設計がなされていくものだというふうに承知をいたしております。

 実際の事業の開始に当たっては、感染状況を踏まえて判断がなされるということでもありますし、個別の都道府県において、実施は当該自治体の意向を踏まえることとなっていると承知いたしておりますけれども、これ以上の詳細については、経済産業省において今まだ検討中ということなので、私としてはコメントはちょっとしづらいというところでございます。

 厚生労働省としては、三回目のワクチン接種や社会経済活動のために必要な検査の促進の観点、そうしたことを総合的に考えながら、関係省庁としっかり連携をして取り組んでまいりたいと思います。

山井委員 ありがとうございます。

 経済産業省担当ということでありますけれども、これで感染拡大しないか、あるいはワクチン接種が促進できるかというのは大きく厚生労働省に関係することだとも思いますので、もう一問だけお聞きしたいと思います。

 例えば、ワクワク割、五月からやるという報道も出ておるわけですけれども、蔓延防止措置というものがどこかの自治体で出た場合、このワクワクイベント割というのはやることになるのかどうかということ、これも経産省からどのように聞いておられるか。

 また、この時期ですね、私も趣旨には大賛同するんですが、問題はこのタイミングですよね。ということはちょっと悩ましいところがありますので、今申し上げましたように、蔓延防止措置がもし全国どこかで出た場合、このワクワク割がどうなるのかということも含めて、早い方がいいのか遅い方がいいのか、そのタイミング、感染拡大防止の責任者である厚生労働大臣にお聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 先日の四月六日のアドバイザリーボードにおいては、全国の新規感染者数が増加傾向となっており、今後の動向に注意が必要であるということ、特に十代から二十代の増加が顕著である、あるいは、現在の新規感染者数は昨年夏のピークよりも高い状況が続いていて、現在の感染状況はリバウンドの可能性も懸念されるとか、地域別に見ると、継続的に増加している地域もある一方で、横ばいの地域もあり、感染状況の推移に差が生じてきているというような評価や分析がなされております。

 また、感染力がより強いBA・2への置き換わりの状況も含めて、今後の動向に注意が必要というふうにも認識しておりまして、厚生労働省は直接担当するわけではないわけですけれども、御指摘のイベントワクワク割を実施する時期についても、感染状況を踏まえた上で判断をしていくことが重要だというふうに考えております。

山井委員 これは質問通告もしておりますが、もし蔓延防止措置がどこかの自治体で出た場合、どうなりますか。

後藤国務大臣 今、どういう運用にしていくかということも丁寧に制度設計をしていくということでありますので、いろいろな意味でのイフクエスチョンでもあるので、適宜に、感染状況に応じて、やはりこうしたことというのは、感染の状況と経済をどうやって回復させていくか、その両方でありますけれども、それはあくまで国民の命と暮らしを守る、感染の状況を踏まえた上での検討だというふうに思っています。

山井委員 一応申し添えておきますと、昨日、経産省と話をしたときには、どこかの自治体で蔓延防止措置が出たら、このワクワク割は一時全国的に停止するということを聞いております。

 それでは、後半の質問に移りたいと思います。

 十二ページを御覧いただけますでしょうか。これは、こういうAV出演被害に取り組んでおられますぱっぷすさんの資料を二ページにわたって配付させていただきます。

 コロナ禍で、残念ながら、アルバイトが減った学生さんや若者の方々がアダルトビデオの出演被害に遭うということも深刻化しておりまして、コロナということとも非常に深刻に連動している問題が拡大しております。さらに、四月一日から民法改正で十八歳が成人となりました。この問題につきましては、この間、齋藤先生、そして伊佐先生、牧原先生、田村先生、与党の方々も大変精力的に取り組んでおられることに敬意を表したいと思っております。

 それで、残念ながら、最新の状況、四月一日以降どうなっているかということを、これで見ていきたいと思います。

 このぱっぷすさんの資料によりますと、十二ページの右下ですね、ちょっと読み上げるのも私もつらいんですけれども、これは非常に深刻な問題で、児童福祉法、児童ポルノ等々、この委員会にも関係することでもありますし、さらに、コロナ禍で貧困な若者が増えているということで、コロナ禍で増えている問題でもありますので、私からも読み上げさせていただきたいと思います。

 四月一日以降の状況、アダルトビデオ販売サイト、四月一日法改正、十八歳J○三年、女子高三年ということなんでしょうかね、今までためていた秘蔵映像J○第一弾と。

 女子高生を示唆している映像が、今もう、四月一日以降、今まで撮影した、ためてあったやつがどんどん今販売をされております。これは非常に深刻な問題です。私たちが恐れていた事態が残念ながら起こりつつあるということです。

 そして、その前の十一ページの方には、新聞報道ですけれども、自民党さんや公明党さんがこの問題に非常に精力的に取り組んでおられるということを十一ページに、新聞の配付資料としてございます。上川先生を先頭に、そしてまた公明党は佐々木さやか先生を中心に取り組んでおられると聞いております。

 それで、次の十三ページの左上ですね、四月一日以降の状況、販売サイト。これもJ○三年と書いてある。これは恐らく女子高生三年生という意味なんだろうと推測します、このサイトを見ると。

 今年の卒業生です、四月になり法律が改正し、十八歳であればJ○三年でも成人とみなされ、アダルトビデオに出れるようになりました、今回の映像は十八歳J○三年です、新しい法律では年齢的には問題ないのでしょう、念のため四月を待ってから限定的に公開しています、早期割引が更にお得ということで。

 残念ながらこういうのが売り出されて、また残念ながら売れているということで、これが増えてきているわけであります。

 それと、三月一日投稿のアダルトビデオ事業者のあるブログ、これも公開されておりまして、これもぱっぷすさんからいただいた資料なんですけれども、必要なところを読み上げさせていただいております。

 自主制作AV、個人撮影したアダルトビデオを販売してもうけるブログ、この四月一日から十八歳は成人なのでアダルトビデオ出演契約は自己責任で可能となるというお話と。

 ここを読みます。左上の方に行きます。ぱっぷすさんにより、赤線を引いてございます。

 かつて、私自身、未成年の子を撮影し、そのことが親にばれて作品公開が没になっていた、十九歳の女性を撮影した、しかし、親から抗議を受けた、それで、承諾書にサインをもらったと親に対して反論したけれども、親の立場からすれば自分の娘がAV出演するなどとんでもない話で、親御さんは、映像を公開するなら弁護士を立てて裁判も辞さないということで、引き下がらざるを得ませんでしたと。

 これは、未成年取消権が三月まではあったからですね。これらのことから、今までは十八歳、十九歳のモデルの採用は控えていたと。

 左の下のページに行きます。

 ですが、十八歳は成人だと法律で定義されるわけですから、四月一日からは方針を転換せざるを得ないでしょうねと。

 十八歳、十九歳は今までは撮影していなかった、でも、四月一日からは方針転換して撮影するということでしょうか。

 なぜって、年齢が低いほど需要が高まるからです、今回の法律施行は棚からぼた餅のような恩恵を与えるでしょうね、来る四月一日に備え、あなたも是非今から十八歳の女の子を確保しておいた方がいいかもしれませんと。

 非常にこれは深刻な問題であります。ぱっぷすさんの資料によりますと、三月末までに撮影かつ契約されたやつは、この十三ページにありますように、取消権があったから、契約解除、そして作品の回収、被害者救済が可能だったということです。しかし、四月一日以降に契約して撮影したものに関しては、取消権がないため、販売停止、削除は法的に不可能になる。これを、何とか一日も早くこの状況を超党派で議員立法を作って止めてほしいというのがぱっぷすさんからの要望であります。

 そこで、林局長さんにお伺いします。三月末までの契約のものは、こういうふうに救済が可能だった、削除ができたわけですけれども、四月一日以降ということになれば、このような契約解除、あるいは作品回収、削除というものは、強迫とか不当な勧誘とかそういうものがない限り、やはり難しくなるのでしょうか、いかがですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 四月以降、十八歳で成年となりましたので、十八歳、十九歳の者が双方の合意によって御指摘のようなアダルトビデオ出演契約や撮影した動画の販売を許諾する契約をした場合には、民法における意思表示の瑕疵などの取消し事由や消費者契約法における不当な勧誘行為などの取消し事由が存在しない限り、これらの契約を取り消すことはできないと承知しております。

山井委員 これは政府を責めるわけでもありませんし、これは立法府にも、私たち、ボールがあると思うんです。

 それで、残念ながら、こういうふうなブログとかサイトを見ておりますと、シリーズ一、二、三、四と、一日一日、これは本当に嘆かわしいことですけれども、現役女子高生と思われるわいせつなビデオが、一日一日、どんどんどんどん拡散し、販売されていっております。私の理解では、恐らくこれは試されている部分もあるんじゃないかと思うんです、こういうことをやってもセーフなのかと。そういう意味では、政府にも頑張っていただかねばなりませんが、私たち立法府も頑張って。本当に、高校生の方々がこういう映像を撮られて、それがどんどん拡散する。残念ながら、この被害で自殺をされた方もおられるわけですね。男性にもこういう同様のビデオの被害はありますから、女性だけの問題でもございません。こういう非常に危機的な状況で、一日一日、数が増えていっております。

 ぱっぷすさんから、被害者の方からのメールをいただきましたので、ちょっと早口になりますが、読み上げさせていただきたいと思います。

 十八歳と数か月で出演してしまった者です。早生まれでなければ、まだ高校生でした。たった一度の契約で出演が決まり、意に反して世の中に画像が拡散してしまった上、自分の画像を使ったアダルト商品までたくさん出回っていました。本当に悔やんでいます。この時期は、大人に近づくにも、まだメンタルが不安定でした。同じぐらいの年でも、メンタルがしっかりしている子、未熟な子、それぞれですが、ほとんどの子が未熟だと思います。若さゆえ、大人に近づくにつれ、悩みも多い時期です。私の場合は、メンタルが未熟な上、精神的にショックなことがあり、正確な判断ができなく、悩みを親身に聞いてくれて勧誘に乗ってしまったことが出演の原因です。メンタルがしっかりしていればと自分を責めましたが、東京に住んでいなければ、あんな勧誘がなければ、法で守ってもらえれば、思うことは切りがないほどです。当たり前のように個人が漏れている時代でしたので、二十歳になり、自分で契約できる年になれば、悪徳でない業者からもいろいろなたくさんの勧誘DMが自宅に送られてきたり、電話が来たり、恐ろしさを感じました。このように、法が許してしまえば、メンタルの未熟な判断のできない十八歳をアダルトビデオに出演させようとする業者が当たり前のように増えることは簡単に想像できます。若ければ若いほど、口がうまければ勧誘も簡単だと思います。特に、今はアダルト女優がアイドル化してきて、アダルトビデオの世界へと若い子の勧誘が簡単だと思います。業者は法改正を大歓迎で、アダルトビデオ業者が高校生を狙わないわけがないです。心がついていけず、人生の中で十八歳の時期が一番心が不安定でしたと、この被害者の方からメールが来ております。

 残念ながら、私も委員会の場でこういうことを言いたくないですけれども、インターネットを見れば、この四月一日以降、現役女子高生のこういうわいせつなビデオが、一日一日、どんどんどんどん増えていっています。これを放置したら、本当に深刻な問題、これは児童福祉法にも関係することで、後藤大臣にもお聞きいただきたいんです。

 それで、林局長にお伺いしたいんですが、この問題は担当省庁もなかなか分かりにくくて、政府としても今までから全力で取り組んでくださっていたというのは分かるんですけれども、幾つもの省庁にまたがっていて、対応が難しいと思うんです。そういう中で、先ほどもお話ししましたように、齋藤先生、伊佐先生、牧原先生、田村先生を始め、与党の方、また野党も、全力で今、力を合わせて取り組んでいるわけなんです。それで、今、先ほどの十一ページにも報道にありましたように、自民党さんや公明党さんもプロジェクトチームをつくって、早急に議員立法の案を詰めるのではないかと報道をされております。

 そういう中で、本当でしたら政府がやっていただきたいという気持ちはもちろんあるんですよ。あるんですけれども、今はそんなことは言っていられませんので、やはり、スピーディーにやるには、まずは、政府が対応するまでのつなぎの間でも、超党派の議員立法をこの国会で一日も早く成立させるしか、今のこの緊急事態を回避する方法はないのではないかと思います。

 そのことについて、答えづらいとは分かっているんですけれども、林局長さんから御答弁いただきたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 アダルトビデオへの出演の強要は重大な人権侵害であり、そもそも、本人の意に反して出演を強要することはあってはならないことと認識しております。

 今回、まずは行政府としてできることは全てやるという観点から、三月に関係府省の局長級を招集いたしまして、「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージを決定いたしました。行政府としてできることは全てやるということで、アダルトビデオ出演強要問題の根絶に向けて、関係省庁と連携して、しっかり取り組んでまいります。

 そして、現在、AV出演強要問題に対する立法措置について、各党の国会議員の先生方の間で議論が深まっておりますこと、検討が進んでおりますことを、私どもとしても心強く感じております。引き続き、その内容、御議論の状況をよく見守りたいと存じます。

山井委員 この薬機法の次は児童福祉法の審議になりますけれども、私も非常に気になりますのは、今回、四月一日から十八歳が成人年齢になったとはいえ、残念ながら、四月一日以降、高校三年生だけじゃなくて、高校生はオーケーなんだということで、高三以外の高校生のわいせつな映像もどんどん増えてきちゃっているんですね。これはもちろん児童ポルノ法違反でもあったり児童福祉法違反でもあるんだと思うんですけれども、そういう意味では、本当にこの厚生労働委員会としても私たちは取り組まねばと思います。

 それで、林局長に。一番深刻なのは、今言いましたように、今まで撮りためていたビデオを販売するということですが、ここは重要なんですね、今まで撮りためていたということは、三月末までに契約、撮影しているんです。ということは、今まで撮りためていて、今、一挙放出されているこのビデオに関しては、ぱっぷすさんに相談されたら、基本的には契約解除と作品の回収はほとんど可能なんです。ところが、四月一日以降、契約、撮影されたものは、幾らぱっぷすさんに相談されても、取消権がないからもうどうしようもないんです。

 私、言いづらいんですけれども、実は、手元にも、お見せしませんが、ある映像のコピーを持っておりますけれども、既に一日以降、十八歳の学生さんのビデオを撮ったという、公開されている画像がもう出てきているんですね。

 そういう意味では、私たち、与野党協力して、また、政府とも、これはけんかする話では全くありませんので、与野党、政府と協力して、私、申し上げたいのは、これ、本当、今国会で成立させるのは当然のこととして、一日も早くやらないと駄目だと思うんです。もう終わりますけれども、なぜならば、今、穴の期間なんですね。例えば一か月後に議員立法が成立して、これが取り締まれたとしても、この一か月間に契約、撮影された人は、その方の映像は、一歩間違うと、一生、どうしようもないということになりかねません。

 そういう意味では、このことに関しましては、もちろん内閣委員会、そして法務委員会、様々な担当はあるとはいえ、私は、子供を守る、女性を守るということは、この厚生労働委員会の大きな役目で、後藤大臣にも是非、このことはリーダーシップを取っていただければと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございます。

橋本委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、薬機法の中に含まれております電子処方箋の問題、課題について質問をさせていただきます。

 これは薬剤師さんや薬局に関わる問題でありますけれども、電子処方箋の仕組みを整備して、どんどんどんどんデジタル化してやっていきますと、全てが顔を見なくても薬が患者さんに届いていくというようなシステムになっていくんじゃないかと思います。

 オンラインで診療して、お医者さんが処方箋を電子的に送る。それが薬局に来て、また電子的な手段で送られてきて、そして、それをまた宅配業者の人がその患者さんのところに送る。一種の、薬のアマゾンのようなビジネスモデルができてしまって、どこにも顔が見えない、薬剤師さんの顔も見えない、それで薬が自動的に運ばれてくるというような、はっきり言いまして、パソコン一台あれば薬局ができる、そういうようなシステムになりかねない、そういった可能性があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 電子処方箋によりまして薬局に処方情報が速やかに共有されることで、患者を待たせることなく調剤やオンライン服薬指導が可能となるなど、非対面型の医療が促進されるというふうには考えております。

 しかし、一方で、オンライン服薬指導は、その都度、薬剤師の判断と責任に基づいて実施されるものでありまして、服用に当たって手技が必要な薬剤の初回処方時など、薬剤師が適切な服薬指導の実施が困難と判断した場合には、対面による服薬指導を促すこととしております。

野間委員 やはり、どこかで、実際に声を聞いて、相手の表情を見て、服薬の指導というのが絶対これは必要になってくると思います。

 平成二十七年に厚労省の方から、患者のための薬局ビジョンというビジョンが出ておりまして、ここでは、薬剤師、薬局を、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局に再編成していこうという構想が出ております。

 当然、服薬情報の一元化、これとこれを飲み合わせていいんだろうか、いろいろな、三つも四つも医療機関に行っている方は多いですから、そこから同じような薬が出て、これは無駄じゃないか、これとこれは一緒に飲んじゃいけないんじゃないか、そういったことも一元化して、薬学的な管理や指導を行っていくということも含めて、門前薬局からかかりつけ薬局へ転換していくんだということが、そこでうたわれているわけであります。

 本当に薬が多過ぎて、薬漬けと言われているような時代ですから、これは是非やっていかなきゃいけないことだと思うんですけれども。

 その構想の中に、二〇二五年ぐらいまでに、医師も、これはいろんなところにかかるのではなくて、まず、かかりつけ医を基本として、そこと、かかりつけ薬局、調剤薬局が連携をして、そういう医療に、地域医療をつくっていこうという構想が出ているわけですけれども。ですから、やはり、かかりつけ医がいて、そしてかかりつけ薬局、薬剤師さんがいる、これが恐らく厚労省さんのビジョン、理想の姿だと思うんですが。

 大臣、このかかりつけ医、私どもも法案を提出させていただいておりますけれども、当然これはやっていかなきゃいけない厚労省さんのビジョンだと思うんですけれども、度々答弁されていると思いますが、薬剤師との対応においても、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 厚生労働省においても、患者さんを丁寧に診ていただくかかりつけ医機能は非常に重要だということで、そうしたものを地域の医療提供体制の中でしっかりと位置づけていきたいということで政策を進めていることは、申し上げているとおりです。

 それで、患者のための薬局ビジョン、平成二十七年に出まして、このビジョンに沿って、地域包括ケアシステムの一翼を担うかかりつけ薬剤師、薬局を推進してきておりまして、これらかかりつけ薬剤師、薬局と、地域の医療機関、医師、かかりつけ医の機能を担う皆さんとの連携は重要だというふうに考えております。

 今般、電子処方箋が導入されるわけでありますけれども、こうしたデジタル技術を活用することによりまして患者の処方情報や調剤情報を共有することが容易になるということでございますので、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携がより一層進むことが期待されると考えます。

野間委員 ですから、やはり、かかりつけ医の制度も、これは昨年の財政制度等審議会でも強く推奨されているように、是非これを確立させていただきたいと思います。私どもも提案しております。

 海外を見ますと、ドイツなどは医薬の分業が昔から進んでおりますし、かかりつけ医とかかりつけ薬局の連携が非常に密にされているということであります。

 歴史を調べてみますと、ドイツで医薬の分業が始まったのが一二四一年、神聖ローマ帝国の皇帝フリードリッヒ二世が、勅令によって医療と薬剤師の職業を分けて薬剤師のみに薬局の開設や経営権、調剤権を与えたということなんですね。もう八百年以上前からやっている。なぜか。いろんな歴史的な経緯があるんですが、今回ウクライナのことを見てもそうなんですけれども、やはり薬、薬品が、いろんな戦争やら紛争のときに地域になくてはいけない。それを外国に頼ったり、いろいろ分からない人に頼っちゃいかぬということで、地域の薬局や薬剤師を非常に大事にしたという歴史があるわけであります。

 これは我が国においても、こういう身近にウクライナの問題もあります。地域にある薬局や薬剤師さんを大切にしないと、ただパソコンだけで調剤されればいい、そういう問題ではないと思います。やはり、ある意味で、有事のときの医療の、医薬の経済安保と言ってもいいんじゃないかと思いますけれども。

 そういった意味で、やはり電子処方化を進めていくことも非常にいいことなんですけれども、これはかかりつけ医とのきちっとした連携の下、そして薬剤師さんのやはり顔が見えるシステムをきちっと電子化を進める中でもつくっていただきたいと思うところであります。

 ドイツなどは九割がかかりつけ医を持ってやっているということでありますし、ドイツでは国民の大体七割が、軽い症状だと、まず近くの薬局に、これはどうしたものかな、どういう薬を飲んだらいいですか、どこのお医者さんにかかればいいですかということを相談に来るというぐらい地域で非常に頼りにされている存在であるということでありますので、そういった面も是非大切にしていただきたいと思います。

 今回、電子処方箋のシステムを入れていくわけですけれども、社会保険診療報酬支払基金システムの中に一緒に入ってやっていくということですけれども、これは非常に巨大な情報、データがこの支払基金システムの中に入っていくわけですが、これは本当にこの負荷に耐えることが、このシステムは大丈夫なんだろうかと非常に心配されるわけですけれども、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、この電子処方箋システム、診療報酬支払基金を通じてデータをやり取りするというシステムでございますので、そのデータ負荷ということも一つの課題と考えておりまして、私どもといたしましては、データの負荷に関しましては、想定されるデータ量のピーク時も含めて見積もりまして、回線の許容通信量を設定しております。したがって、負荷に耐えられるというふうに考えて設計しているところでございます。

野間委員 このシステムについて、本来であれば令和四年の八月から開始するはずだったのが、来年の令和五年の一月に開始が延長されているということでありまして、開発業者の入札が不調だったということも伝えられていますけれども、これは今現状どうなっているんでしょうか。

鎌田政府参考人 まず、御指摘のございました入札の不調、申し訳ございませんでした。御迷惑をおかけしましたし、それで作業が遅れましたことをおわび申し上げます。

 その原因でございますが、お願いというか、想定しておりました業者が、大手ベンダーの方々が、ちょうど多忙な時期というところでございまして、入札に応ずることができなかったということでございます。

 しかし、改めて入札に応じていただいて、今は契約しておりますので、きちんと今、作業も管理もした上で、順調にシステムの開発を進めているというところでございます。

野間委員 是非慎重に進めていただきたいと思います。

 この社会保険診療報酬支払基金システムのオンライン資格確認という、そのシステムを使うということなんですが、この導入状況ですね、病院とか薬局の導入状況、これがまだ一四%程度しかないということになっておりますけれども、来年一月までにこのような状態できちっと間に合うんでしょうか。

鎌田政府参考人 済みません、オンライン資格確認の制度につきましては、役人で恐縮でございますが、保険局が中心にやっているところでございますけれども、御指摘のとおり、今、オンライン資格確認につきましては、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指しているところでございますが、今御紹介ありましたように、実施に必要となる顔認証つきカードリーダーの申込みをしている医療機関は全体の五八%程度、実際に運用を開始した施設は全体の一四%強となっているところでございます。

 一方で、オンライン資格確認につきましては、事務コストの削減ですとか、あるいは様々な情報を医療機関に提供できるというメリットもございますので、こうしたメリットをしっかりと周知していくことで、オンライン資格確認推進協議会を設置すること、あるいは、診療報酬改定におきましてオンライン資格確認システムの活用による評価ということもするなどして、今、関係者が一体となって進めておりますので、この方向で環境づくりを行い、取り組んでまいりたいと考えております。

野間委員 是非間に合わせるようにお願いしたいと思います。

 この電子処方箋システムは一つの医薬に関することですけれども、これはいずれ医療機関とも電子カルテのやり取りもできるようにするというのが恐らく将来的な構想だと思いますけれども、病院、医療機関によってカルテの形も全く違ったり、なかなか統一してやっていくということも大変なことのようですけれども。

 大臣、やはり電子カルテとの連携も含めて、そういったデジタル化をどういう方向に進めていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

後藤国務大臣 質の高い医療の提供に向け、地域の医療機関の連携を推進し、また患者の利便性向上を図るためには、各医療機関が管理する電子カルテ情報を医療機関を超えて円滑に共有するような体制を整えていくことが重要であるというのは、委員の御指摘のとおりだと思います。

 異なる電子カルテを使用する医療機関間で情報を共有するためには具体的な項目について電子的仕様を定める必要がありまして、先月、診療情報提供書などについて医療機関間で共通の標準規格を定めたところでございます。

 今後、システム事業者によりまして標準規格に準拠する電子カルテの開発がなされる予定でありまして、厚生労働省としては、こうした電子カルテを医療機関に普及させるべく、医療情報化支援基金を活用して導入支援を図ってまいります。

野間委員 是非、電子カルテの一元化、統一化を図っていただきたいと思います。ただ、本当に、大きな銀行が二つ三つ合併しますと、なかなかシステムの統合が二十年も三十年もかかってもできないということがありますので、非常に難しい問題だと思いますけれども、推進していただきたいと思います。

 それと、患者さんの病名も含めたいわゆる医薬品に関する情報というのは、それこそ犯罪組織にとっても本当にこれはお金になる情報だということで、いろいろな意味での、ハッキングやら、データを取ろうという動きも当然出てくると思いますけれども、このシステムの安全性、クローズのものだとも聞いておりますけれども、その辺非常に心配になりますけれども、どうなんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 この電子処方箋システムのセキュリティーでございますが、先生から御紹介ございましたように、まず、ネットワーク回線につきましては、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワーク、いわゆるIP―VPN方式などにより構成しておりまして、インターネットには接続しないという環境をつくっているところでございます。それから、電子処方箋を保管するクラウドシステムもインターネットから遮断していること。そして、医療機関や薬局からウイルス等が侵入しないようにルーター等でデータを選別するということで、ウイルスに感染したファイルは通さないという形にしております。さらに、電子処方箋に電子署名を付して改ざんを防止するということも取っております。

 これら一連の対策を総合的に行うことによりまして、高いセキュリティーレベルを確保しているところでございます。

野間委員 近年、いろいろな病院からデータが盗まれて、それによってお金を脅迫されるということも度々起きておりますので、万全を期していただきたいと思います。

 電子処方箋を導入する薬局、薬剤師さんの側から、いろいろな不安、疑問が上がってきております。例えば、このシステムを導入する費用が地域の小さな薬局にどれぐらいかかるんだろうか、ランニングコストとか保守点検費用など経営を圧迫するんじゃないか、心配が出ていますけれども、この辺はいかがでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 電子処方箋は、患者さん、そして医療機関、薬局にそれぞれメリットがございます。したがいまして、規模の小さいところも含めまして、できるだけ多くの医療機関や薬局に導入していただくということが大変重要でございます。

 こうした観点から、私どもといたしましては、導入支援ということで医療情報化支援基金に三百八十三億円を積みまして、それを活用して、医療機関や薬局における導入時の財政負担を軽減しようという措置を講じているところでございます。

 それから、医療機関や薬局のランニングコストについてでございますが、これはオンライン資格確認システムを基盤としておりますので、新たなコストの増が抑えられるということを想定しております。

 加えまして、一方で、処方情報の入力の手間が省ける、あるいは調剤情報の入力についても容易になるということで、コスト削減効果ということも期待できますので、医療機関あるいは薬局に過度な負担にならない、もたらさないというふうに考えているところでございます。

野間委員 これは社会保険診療報酬支払基金システムのシステムを使うということなんですけれども、ここにかかる費用というのも当然出てくると思うんですけれども、それはどれぐらいな負担になるんでしょうか。それはまた、やはり医療機関とか薬局が何らかの形で負担することになるんでしょうか。

鎌田政府参考人 支払基金におきまして、御指摘のとおり、この電子処方システムを管理運営するということでございますが、その費用につきましては保険者が負担するという形を取っているところでございます。

野間委員 それが何か九億円ぐらいかかるというような指摘というか、あれも出ているんですけれども、そんな程度でできるのかなというのは非常に疑問なんですが、どうでしょうか。

鎌田政府参考人 御指摘のとおり、年間で九億円強で運営できると見積もっているところでございます。

野間委員 非常にそれであれば安上がりだなとは思います。

 それと、これは実際、薬局でよくあることですけれども、患者さんが、医師に、本当は紙、処方箋をもらって、薬局に薬をもらいに行くわけですけれども、紙を忘れてしまって、薬局に行くのを忘れてしまうんじゃないか。今後、紙がなくなるわけですね、電子化、電子処方箋になりますと。そうすると、ああ、今日はもう薬局に行かなくていいのかなと、薬局に行かない人も、実際こんなことはよくあるんですけれども、出てくる可能性がありますけれども。紙は当分は続けるということなんでしょうか。ただ、いずれなくなるということですけれども、それはどれぐらいの期間を見ているんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、電子処方箋により、システムは来年一月から運用を開始しておりますけれども、普及は一気にというわけにいきませんので、徐々にということでございますから、当然、そのためにも、紙の処方箋も発行されますし、現場の混乱を防ぐという観点からも、当分の間は、患者さんが電子処方箋を選択した場合であっても、医療機関におきまして処方情報を印字した紙を患者さんにお渡しするということを取っております。

 それがどれくらいかということでございますけれども、それはやはり電子処方箋システムの普及状況ですとか、あるいは先生が御指摘になった現場の声というものも勘案しながら判断していくことになりますが、処方箋が電子化されたことにより、議員が御懸念されるようなことはないように、理解ですとか、あるいはシステムの運用に留意してまいりたいと考えているところでございます。

野間委員 そうですね。やはり高齢者の方も多いですし、紙をもらうというのに慣れている方が多いですから、当分の間は続けていただかないと問題が起きるんじゃないかと思います。

 処方箋が発行されない症状、外科的な処置のみの、そういった患者さんもいるわけですけれども、そういった方が、普通の、習慣的に薬局に来て、処方箋があると思って薬局に来た。そういった場合、問い合わせて、いや、出ていないですよというときに、これは本当に病院の方からその指示が来ていないから出ていないんでしょうけれども、いや、あるはずだと、これは何かシステム上の不具合があるんじゃないかというような問合せが、そこでやり取りがあった場合、そういう確認はどんなふうにやったらいいんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 先生の設定された状況というものが、薬が処方されない場合ということで、患者さんが誤解なりなんなりをされているというところでございますけれども、その場合、仮にその患者さんが薬局に来た場合でも、恐らく手元に何もないわけですけれども、先ほど申し上げましたように、当分の間は医療機関において処方情報を印字した紙をお渡しするということになってございますので、薬局の方でもそういったことを患者さんにどうなのかと聞きますし、もちろんそれで、忘れてしまったとか記憶にないとかということはあるでしょうから、そういう場合には薬局の方から医療機関に問合せするということで、そういった患者さんの混乱というんでしょうか、現場の課題は解決されるというふうに考えているところでございます。

野間委員 適応外の処方あるいは自費の診療というときがありますけれども、この場合は当然オンライン上には上ってこないということでよろしいんですね。

鎌田政府参考人 今御指摘いただきましたように、電子処方箋システムは、その基盤がオンライン資格確認システムでございまして、これは患者の被保険者番号とひもづけておりまして、それによりまして電子処方箋を管理しているところでございます。

 したがいまして、被保険者資格の確認を前提としない適応外の使用ですとか、あるいは自費の診療というものは、このシステムの対象とはならないというふうに考えているところでございます。

野間委員 薬局によく二つ三つ医療機関に行っている患者さんから電話があって、どこどこのお医者さんからこういう薬を出されたんだけれども、これとこれと一緒に飲んでいいだろうか、そういった相談が薬剤師さんに来ることはあるわけですけれども、こういった場合に、その患者さんの薬剤の情報をシステム上で薬剤師さんは見ることはできるんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 今、御紹介いただきましたように、患者さんと薬剤師さんとで話し合って、過去の服薬情報というか、こんな薬を飲んでいたんだけれども一緒に飲んでいいのかとか、あるいは、ほかの医療機関でもらったのが、こういうのがあるよということを確認したいという場合には、この電子処方箋システムによりまして、過去の服薬情報なり、他の医療機関なりでの処方情報は見ることができるというシステムになっているところでございます。

野間委員 その見る際には患者さんの同意が必要ということですね。それは、そういう電話の相談なんかがあった場合は、どういう形で、そのシステム上に、伝えればいいんでしょうか。

鎌田政府参考人 御指摘ございましたように、そうした過去の服薬情報ですとか調剤情報を閲覧するためには、薬局あるいは医療機関でございますけれども、オンライン資格確認の顔認証端末を用いて、患者自身がマイナンバーカードを用いて閲覧に同意するという必要がございます。

 したがいまして、電話やオンライン服薬指導で薬局なりの店頭にいらっしゃらないという場合にはその端末が使えませんが、そういう場合には過去の処方情報等を閲覧することはできません。

 一方で、重複投薬あるいは併用禁忌につきましては、この電子処方箋システムによってチェックすることが可能でございます。

野間委員 それは、そうすると、薬剤師さんが見るということではなくて、どういうふうにそれは確認できるんでしょうか、この飲み合わせの問題について。

鎌田政府参考人 閲覧というよりは、処方するあるいは調剤するということでシステム上入力しますと、重複投薬とか併用禁忌というのをクリックする作業をしてもらうんですが、そのワンクリックによってその情報がシステムから返ってくるというものでございます。

野間委員 よく分かりました。

 紙媒体を終了した場合、電子処方システムで、そういった場合、災害などでシステムが故障した場合は、結局、最終的には電子認証などなしで処方箋というのが発行できる、そうしないとできないと思うんですけれども、それはそういうことでよろしいんですね。

鎌田政府参考人 御指摘ございました災害時、あるいは、システムでございますので停電時におきましては、この電子処方箋システムが稼働しないということになりますので、紙の処方箋の交付に切り替える運用とすることとなります。

 また、こうした災害時の取扱いにつきましては、詳細を決めまして、医療機関や薬局の皆様を含め、広くお示ししていきたいと考えているところでございます。

野間委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、電子処方システムがきちっと円満に導入されて、かかりつけ医、かかりつけ薬局の、この二つの両輪が回っていくことを希望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 自宅放置死、高齢者施設死について、まずはお伺いしたいと思っております。

 これまでの感染拡大時では、保健所や医療機関が逼迫し、必要な医療を必要な人に届けることができないという事態がいまだに起きております。自宅放置死や高齢者施設死が大変な社会問題となりました。医療にアクセスできずに自宅で亡くなられた方が、警察庁の調べで、これまで累計で千六百六十六名、高齢者施設などで亡くなられた方は、厚労省によると、令和四年の一月から三月までで二百五十三名となっています。

 このような現状に対し、自宅放置死遺族会はこう声明を出されています。

 政府は、昨年十二月、今年六月までにコロナ対策の検証をすることを表明しました。それでも私たちは遅いと考えています。もっと早く検証していれば、病院や保健所の負担を減らすような政策転換することで陽性者に効果的な対応ができ、少なくとも自宅で重症化リスクの高い患者を放置することを減らすことができたと思います。放置された命の代償の教訓を生かさないと、悲劇が繰り返されるのではないでしょうか。政府は、第五波と第六波の間に少なくとも三か月の時間があり、この間何をしていたのかといえば、何も変わっていないのではないでしょうか。

 御遺族の声、まさにおっしゃるとおりです。この御遺族の声にどう応えるのか、大臣にお尋ねします。

 政府は、第五波から何を学び、三か月もの間、一体どのような具体策を講じたのでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナによりまして、自宅、社会福祉施設も含めて、お亡くなりになられた方々、そしてその御家族には改めて心よりお悔やみを申し上げます。

 政府では、昨年の夏の状況を踏まえまして、自宅で亡くなられるような方、そうしたことがあってはならないということで、対応を全体像という形でまとめました。全体像で整備いたしました保健医療提供体制をしっかり稼働させることを基本としつつ、その中でもオミクロン株の特徴に対応する対策の強化、迅速化を図ってまいりました。

 今般のオミクロン株の感染拡大において、死亡者のうち高齢者の占める割合が高いことを踏まえまして、高齢者施設等における医療支援体制の強化、あるいは自宅での医療提供体制の強化に取り組んできております。

 そして、今でも、具体的には、例えば施設からの連絡、要請によりまして二十四時間以内に感染制御、業務継続支援チームを派遣できる体制の構築、全ての施設で医師や看護師による往診、派遣ができる医療機関の事前確保、こうしたようなことも含めて対応を図っているところでございます。

 自宅療養者の支援については、自宅療養に対する健康観察、診療医療機関について、一月には一万六千機関だったんですけれども、二万二千機関へとこの数か月で〇・六万機関を増やすとともに、保健所のみに頼らずに健康観察等に対応できる体制の構築、そうしたものにしっかりと取り組むことによりまして、自宅での医療提供、しっかりと対応できるように必死に取り組んでおります。

 今後とも、オミクロン株に関する新たな知見の蓄積に併せて対応を図るとともに、今後またどんな形の感染が進んでいくのか、今後の感染状況は分かりませんけれども、そうしたものに対する体制を整えていきたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 大臣から力強く、今後の体制、全力で取り組むという御答弁をいただきました。

 二月二十一日の予算委員会、長妻委員から岸田総理へ、「亡くなった方に対して何かお言葉はないんですか、総理。」という問いに対し、岸田総理はこう答えられました。「政治は結果責任でありますから、亡くなられたことについては、至らなかったことはおわびを申し上げながら、そして、遺族の皆様方には心からお悔やみを申し上げながら、引き続き、国民の安心、安全のために努力を続けていきたいと考えております。」

 総理は、結果責任について認められました。

 第五波の昨年八月の自宅死が二百十八名、第六波の今年二月の自宅死が五百十二名です。先ほどお示しいただいた全体像、残念ながら今回の第六波において十分に機能したとは言えないというのは明らかです。

 その上で、これから迫りくる第七波への対策について、大臣にお尋ねします。

 放置された命の代償の教訓を生かし、もう二度と悲劇を繰り返さないため、今回の政府提出の薬機法改正案でどのように自宅放置死や高齢者施設死を防ぐのでしょうか。教えてください。

後藤国務大臣 先ほど、第七波も含めて今後の医療提供の体制、保健医療体制についてどういう形で取り組んでいくのかということについては、御答弁をさせていただいたところであります。

 全体像をつくりまして提示しましたけれども、全体像というのは、ありとあらゆる最悪の可能性も想定しながら、全てのメニューを提示させていただいたものです。

 しかし、例えばオミクロン株が、特徴が分かってくるにつれまして、非常に感染が広がるけれども重篤化しにくいということになれば、限られた医療提供体制等を使ってどういうふうに社会そして国民の命を守っていくのか、そうしたことを、オミクロンの特徴に合わせて、自宅療養だとか、あるいは高齢者施設、これは入院が原則でありますけれども、しかし、そうした中で高齢者施設に対する医療提供体制を整えていく、そういうことを取り組んでまいりましたし、今後とも、そうしたことについては果断に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それで、今、委員の方からは、薬機法改正で、自宅死の問題についてどういう効果があるのか、自宅死を防げるのかというような御質問だったというふうに受け止めましたので、そのことについて申し上げますと、薬機法改正ということからいえば、薬機法の内容について言えば、緊急の承認制度をつくるということでありますので、自宅療養に有効な医薬品を迅速に承認していくことが可能となるという意味では、自宅療養者の方々の安全、安心の確保に寄与するものだとは考えておりますけれども、先生の御質問の本質は前段の部分だったと思うので、そういう形で必死に取り組んでいきたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 大臣から御答弁があったとおり、今回の薬機法で、直ちに、自宅療養を強いられている方々に必要な医療を届けるということがかなう内容ではありません。抜本的な対策にはなっていないので、私たち立憲民主党が提案しているコロナかかりつけ医法案を始めとした、具体的に必要な方に必要な医療を届けていく、コロナから国民の皆様の命を守るこの法案、是非とも大臣にも御理解いただいて、御支援いただければと思います。

 それでは、次のテーマに移ります。

 政府提出の薬機法改正案、緊急時の対応として、迅速に薬事承認をできる仕組みとすることとなっていますが、まずは、これまで現行法で特例承認してきたコロナ治療薬の検証から入るべきと考えます。

 お手元の資料を御覧ください。

 既に政府は、コロナ対策として、五つの治療薬を特例承認しています。例えばモルヌピラビルであれば、販売開始から僅か八十五日間で十二万千九百四十人の患者に投与された結果、二千二百四十六件の副作用報告があり、うち二百八十二件が重篤であり、九名の方がお亡くなりになっています。

 このような副作用や死亡者数などについて、政府はどのようなリスクコミュニケーションを取っているのでしょうか。そもそも、この情報は国民の皆様へ公表されているのでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 薬の副作用あるいは副反応の情報でございますけれども、今御紹介いただきました特例承認のものも含めまして、国に御報告いただいたものにつきましては、一覧表にまとめまして、審議会で評価していただくわけでございますが、その資料をまず公表しております。

 また、それとは別に、重篤な副作用につきましては、PMDA、医薬品の審査ですとか安全対策をしているところでございますけれども、そこのホームページに、データベース化した上で、症例一覧という形でお示ししておりまして、必要な情報を、検索すれば、それぞれの症例の概要も含めて、閲覧可能となっているところでございます。

 いずれにしましても、リスクコミュニケーションは重要でございますので、副作用に関する情報の提供を進めてまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 今、局長からも、リスクコミュニケーションは重要だと言っていただきました。本当にそのとおりだと思います。コロナ治療薬への国民の皆様の期待は相当高く、実用化が前進していることはすばらしいことだと思います。しかし、だからこそ、本当に安全なのか有効なのか、どのような副作用が想定されているのか、その場合の救済制度はどうなのか、新薬だからこそ、コロナワクチン同様に十分な情報提供が求められています。是非とも、いま一度、検索しないと分からないのではなくて、もっと国民の皆様へ分かりやすい形で公表していただきたいというふうに思っております。

 その上で、モルヌピラビル、八十五日間で二百八十二名の重篤者と九名の死亡者、この副反応や死亡例と治療薬との因果関係は認められているのでしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 これまでに特例承認された医薬品の副作用報告につきましては、PMDAにおいて受け付けて評価を行っているところであります。

 これまで、治療薬との因果関係があるものとして評価されているものはあるものの、それらは既に明らかとなっている副作用等でありまして、新たな安全対策措置が必要と判断されたものはございません。

 一方で、死亡事例の方でございますけれども、この死亡事例については、これまで治療薬との因果関係があると評価されたものはありません。

 コロナ治療薬投与後の死亡事例の因果関係の評価については、必要な情報を収集した上で評価しているものの、コロナに罹患した方に投与しておりまして、コロナそのものが重症化した可能性や基礎疾患の増悪等を考慮する必要もありますことから、治療薬が原因として発生したものなのかということの判断は極めて難しいということが一般的に言えるとは思います。

山田(勝)委員 ということは、因果関係は認められていないという御答弁でした。コロナワクチン同様、やはり国が推奨している薬であって、しかも、この特例承認は従来と比較して治験が不十分であるという特徴も持っています。薬害を認めないという政府の姿勢に国民の皆さんにはどうしても映ってしまうと思いますので、是非ここは因果関係を積極的に認めるべきであると強くお訴えさせていただきます。

 さらに、薬害防止を目的とする民間団体、薬害オンブズパースン会議からは、モルヌピラビルへの安全性の懸念や有効性への疑問が示されています。特に、副作用報告の四六%に当たる千三十四件は使用上の注意から予測できない副作用であり、死亡された九名の方々の詳細は一切公表されていない。こういう状況、本当に安全で有効なのでしょうか。お答えください。

鎌田政府参考人 モルヌピラビルでございますが、製造販売業者であるMSDが市販直後の調査の一環として公表している副作用収集状況、これは発売から八十五日間でございますけれども、副作用名を死亡とする報告は九件あるのは事実でございます。

 一方、この副作用症例でございますが、MSDからPMDAに対して報告され、PMDAでその評価を行っておりますが、死亡例は高齢者が多く、原疾患との鑑別も難しい症例も多いことなどから、現時点におきましてモルヌピラビル投与と死亡との因果関係が明らかになった事例はないというふうに承知しているところでございます。

山田(勝)委員 僕の質問は、因果関係じゃなくて、このモルヌピラビル、本当に安全で有効なのかという御質問です。お答えください。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御答弁いたしましたように、現時点においてモルヌピラビルの投与と死亡との因果関係が明らかでないということを踏まえますと、現時点でモルヌピラビルの使用を一時停止する必要はないというふうに考えているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 そして、本改正案によって、特例承認、モルヌピラビルも含めた現状の特例承認を更に上回るスピード承認を可能にするのが、今回の緊急承認の制度であります。あくまで緊急時の対応でありながら、安全性、有効性の確実な担保が図られていない以上、正式な制度である承認という形で本当によろしいのでしょうか。例えば、このモデルとなっているアメリカでは、緊急使用許可、EUAのように、承認ではなく使用許可とすべきではないでしょうか。大臣、お答えください。

後藤国務大臣 今委員御指摘の米国のEUAは、未承認の状況にある医薬品等について、通常よりも有効性及び安全性について裁量幅を広げた運用によりまして使用を特別に許可する仕組みであります。

 一方、我が国において、安全な医薬品を市場に供給するよう努めることは、行政のみならず製薬企業を始めとする医薬品に関わる全ての者にとって基本的な責務であり、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要であるというふうに考えております。

 したがって、今般の緊急承認の仕組みは、現行の薬機法の枠組みを活用しまして、安全性については確認を前提としつつ、有効性について推定ができる承認制度とすることが適当であるというふうに考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 安全性を確認した上でというお話でありますが、そもそも、治験の数が圧倒的に少ない、有効性を確認できない状態で、なぜ安全性が確認できるのでしょうか。教えてください。

後藤国務大臣 一般論としてまず申し上げると、医薬品の承認審査において、その安全性については、効能、効果に比して著しく有害な副作用を有しないかどうか、評価され、確認されるわけでございます。

 緊急承認制度においても、そのようなベネフィットとリスクのバランスを考慮しつつ、許容可能な安全性を担保するという意味で、安全性の確認をきっちりと要件としているわけであります。

 第三相試験が実施されない場合であっても、一定期間に高頻度で生じる副作用については、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など、比較的少数の症例に基づいて安全性を確認することは可能であるというふうに考えております。

山田(勝)委員 安全性を確認可能というお話なんですけれども、やはり、治験の数が相対的に少ない以上、安全性への信頼も当然弱まるということは間違いない事実だと思っております。

 その上で、なぜアメリカは承認でなく使用許可、この使用許可が望ましいかというと、アメリカの場合、緊急使用許可制度では、実際に市場に流通して、有効性が認められないと判断すれば、すぐにその使用許可が取り消されています。

 一方、日本はどうでしょうか。医薬品として、新薬として一度承認されれば、取り消されることはほとんどない。これは、厚労省の方の事前のレクからも、記憶にないと担当者の方も言われるぐらいなので、ほぼない。このような状況で本当に大丈夫なんでしょうか。本法案において、緊急承認後に有効性が認められない場合には取消しは可能なのでしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 今般創設する緊急承認制度では、承認時に認められた有効性等が確認できない場合は、速やかに承認を取り消すことができる仕組みとしております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 取消しが可能という明確な御答弁をいただきました。

 続いて、発動要件、この緊急承認が認められる発動要件についてお尋ねいたします。

 本来、あくまで緊急時の対応であり、緊急承認が頻発されるようなことは望ましくありません。発動の要件が、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止する場合であり、他に代替手段が存在しないケースが想定されています。これでは余りに漠然とした規定であり、時の政権の濫用を防ぐためにも、政令等で具体的な想定ケースを規定すべきではないでしょうか。大臣、お答えください。

後藤国務大臣 委員も今御指摘されたように、緊急承認制度の適用に当たりましては、対象となる医薬品について、まず、医薬品を緊急に使用する必要性があり、他の医薬品での代替が困難であることを適用の要件といたしております。

 このように法令で一定の要件を定める一方で、緊急承認制度の対象となる医薬品を政令で定める際には、緊急事態宣言の発出や感染症の流行といった個別具体的な状況を総合的に勘案しながら、弾力的かつ機動的に対応する必要性があるというふうに考えまして、これらを踏まえて作成された今般の改正法案の規定は適当であるというふうに考えております。

山田(勝)委員 それでは、コロナ感染症に限定した政令ということの定めは、明記されているのでしょうか、されるのでしょうか、されないのでしょうか。

後藤国務大臣 弾力的かつ機動的に対応する必要があるということから、こうした医薬品を緊急に使用する必要性や代替困難であること以上の細かい法規を設けるということにはなっておりません。

山田(勝)委員 国民の健康リスクもあるような新薬の緊急承認ですので、こういった権力の濫用を防ぐためにも、より規定をした方が望ましいというふうに考えます。

 次に移ります。

 緊急承認後、二年以内の期間に有効性の確認が求められています。実臨床レベルの観察研究では、この間のアビガンのケースのように、不明瞭なまま終わる可能性が高いと考えられますが、緊急承認後の第三相の治験はこの法案で義務化されているのでしょうか。

後藤国務大臣 委員御指摘のとおり、緊急承認後の一定の期限内に改めて行う承認申請につきましては、原則として、第三相試験、検証的臨床試験の成績の提出を求めることを想定しております。

 なお、感染症が急速に収束した場合など、試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータにより有効性、安全性の確認を行う場合があることも考えられます。

山田(勝)委員 また、こういった実臨床レベルの検証等々なんですが、その場合の期間延長、最大一年間で一回のみであることが明確化されるべきだと考えます。

 確実に第三相の治験が行われる、一年間の延長で一回のみということの明確化、この辺りはどういう認識でしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 承認の期限につきましては、延長でございますね、それは一年間の延長ということを想定しております。それについて一回とすべきではないかということでございますが、現実には、そもそも承認の有効期間である二年の期間、そして、延長の期間でしていただきますのは、今大臣から申し上げましたように第三相試験、そしてそれを踏まえた情報の処理、承認申請書の作成、そしてさらに審査をするということを考えれば、実際には、期限の一年の間に、延長というのは一回というのが現実的じゃないかというふうに考えてございます。

 したがいまして、特段、回数は決めてございませんが、原則としては一回限りの運用となるものと考えております。

山田(勝)委員 続きまして、立憲民主党の対案についての話題に移りたいと思います。

 日本の製薬産業のワクチンなどの治療開発が世界から相当遅れている現状からどう抜け出していくのか、この必要な医療を国民へ安定的に提供し続ける大変重要なテーマだと思っております。

 私たち立憲民主党は、特定医薬品措置法案により、有用な治療薬を迅速に確保する仕組みを創設します。また、コロナかかりつけ医法案では、特定の医療機関や保健所の業務負担を軽減し、より多くの医療関係者の方々に参加してもらうことで、飛躍的に医療へのアクセスを高めることも可能になります。また、感染症対策支援法案では、医療が逼迫することがないよう、政府主導で各都道府県の医療資源の調整を図り、病床の確保に万全を期してまいります。

 コロナから国民の皆様の命を守ることに与党も野党もありません。後藤大臣を始め厚生労働省には真摯に私たちの提案を受け止めていただくとともに、委員会の各会派の皆様におかれましては、これら三法案に賛同していただくことを心よりお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 コロナ感染症が我が国で大きな問題になってから二年以上が経過いたしました。そして、このコロナ感染症で改めて私たちが学んだことは、当然ながら命の主人公が自分自身であり、いろいろな情報をきっちりと伝えられて判断できる、そういう主体性もまた不可欠だということであると思います。

 私は冒頭、今日は、一問目は、患者さん自身からの副反応報告制度ということについて、更なる充実を求める立場から御質問をさせていただきます。

 いわゆる患者からの副反応報告制度と申しますのは、患者さん若しくは御家族の方から副反応について報告を上げる制度でありまして、これまで、副反応報告は、医療機関ないし薬機法に基づいて製造業者から上がるという二ルートでありましたけれども、平成二十四年三月から、PMDAの方で患者さんから直接副反応の報告をいただくという制度を試行されまして、平成三十一年三月からは本格運用をするところとなりました。

 この本格運用ということに伴って、お手元の一枚目の資料を見ていただくと分かりますが、これは、平成三十一年から現在まで、一体どのくらいの数の報告があったかを簡略にチャート、図にしたものでございます。

 これを見れば一目瞭然と申しますか、ちょうど予防接種が始まりましてからの令和三年の四月以降ですが、ここから破格に報告数が増えてございます。

 ちなみに、この報告数の内訳を申しますと、令和三年八月一日から十一月三十日、一番最後のところで報告数が九百二十七件、うち、回復をしていないと言われる方が二百六十五件。さらに、この九百二十七件のうち、書いてございませんが、コロナワクチンに関係するものは八百七十一件、大半がコロナワクチン関連だということであります。

 そして、このうち、下の方に十一と書いてございますのは、こうやって寄せられた報告から、いわゆるフォローアップ調査といって、患者さんからの訴えに基づいてPMDAの方で調査をかけるものの件数が十一件と、少ないと思いますが。

 どういう症例をフォローアップに回しているのかという点と、果たして、ここに上げられました九百件近いもの、正確に申せば八百四十二件ですが、PMDAとしては、医療機関からの報告のもの、薬機法に基づく報告のもの、あわせて患者さんの報告のものというこの三つの扱いをどのようにされているのかの二点について、担当部局からお願いを申し上げます。

    〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕

鎌田政府参考人 二点お尋ねがございました。

 まず、後者の方からでございますが、どのように扱っているのかということでございますけれども、我々、副反応報告につきましては、御紹介いただきましたように、医療機関からの報告、それから製造業者の報告と併せまして、患者報告、患者さんから直接御報告いただいた内容につきましても、審議会、副反応の合同部会の方に報告いたしまして、ワクチンの安全性について議論に付して、評価をいただいているところでございます。また、同じように、それを踏まえまして、我々、広く安全対策を考える上での情報としているところでございます。

 それからもう一つ、報告があった件数のうち、フォローアップはどういうものをしているかということでございますが、それは、報告していただいた内容を踏まえまして、PMDAの方で判断してフォローアップをしているというところでございます。

阿部(知)委員 何というか、中身のない、失礼ですが、答弁で、どういうのを判断の材料にしていますかと聞いたんですが、まあ、仕方ないでしょう。

 大臣にお伺いしたいと思いますが、予防接種法に基づく医療機関からのものと薬機法に基づく製造業者からのものを含めて、大臣に報告義務になってございます。果たして、大臣は、患者さんからの報告症例、多いと思いますが、これについて、これまで報告を受けたことがあるか、御存じであったかなど、お願いいたします。

後藤国務大臣 患者等からの副作用報告につきましては、PMDAにおいて受理して、報告内容を整理した上で、その整理結果がPMDA理事長から厚生労働大臣の方に定期的に報告されているということについては認識をいたしております。

阿部(知)委員 こんなに急に増えているということは御自覚でありますか、患者さんからの報告件数が。どうでしょう。

後藤国務大臣 この間、国会の審議あるいは感染状況の拡大に伴いまして、そういう認識は持っております。

阿部(知)委員 私は、今後、薬剤の承認の仕組み、特例承認にしても緊急承認にしても、第三相、多くの方に使ってみた結果というものを経ないで承認していく、逆に言うと、ある意味で、多くの国民がそれに協力して、治験のフェーズを共に担っているということだと思うんです。

 そうなると、そこからの報告ということの重要性については、もちろん、治験の報告がまとまってという一方もありますが、自分が使ってどうだったかという報告をやはり直截に集めていくということが、より安全性に寄与すると思うんですね。

 そもそも、PMDAが患者報告の試行の取りまとめのところで書いてございますが、PMDAのまとめとしては、製造販売業者や医療機関からの報告とは異なった視点からの情報であることを念頭に、患者副作用報告において発生傾向の多い副作用に注目して、添付文書改定等の安全対策措置を検討する情報の一つとして有用であると考えると。

 医薬品にはみんな添付情報がついてございまして、これは非常に重要な情報であります。そこに、患者さんから寄せられたものも、その改定等々に生かしていこうということが書かれてございますが、果たして、日本においては、こうやって患者報告制度から上がったもので添付書の改定に結びついたようなものはあるでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、患者さんからの副作用報告が直接的に契機となって安全対策を講じたものはございませんが、先生、一方で、傾向を把握するという御指摘もいただきました。

 私ども、こうした患者さんからの副作用報告につきましては、医療機関なりメーカーからの報告と併せまして、全体の副作用発生の傾向を見るのに参考としておりまして、そして、そうした全体相まって、添付文書の改定等の安全措置を講じているというところでございます。

阿部(知)委員 これもばくっとした答弁ですよね。私が願っているのは、せっかく貴重な声が上げられて、それが安全対策に本当に向かうように充実をしてほしいんですね。

 例えば、アメリカ、イギリス、オランダなどでも同様の患者報告制度を持ってございますが、これまで改定に結びついた添付書の例として、英国では、バレニクリンというお薬による攻撃性、スコポラミンによる幻覚、アムロジピンとグレープフルーツの相互作用、これはとても重要なんですね。でも、患者さんが使ってみて分かるんですね。オランダでは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬中止後も継続する性機能不全、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるデュロキセチンというお薬による電気ショック様感覚等のシグナル、これも非常に自覚的なものだけれども、患者さんから多く報告が上がれば、それが添付書に入れられるということなわけです。

 私が一番懸念しているのは、よく私たちがいただきます副反応報告で、医療機関、薬剤メーカー、そこは数値で出てまいりますし、私たちも多い少ないを判定しますが、せっかくやっているこの患者からの報告制度については、ほとんど数値も見せられませんし、お尋ねして初めて言われる。どう活用しているのですかと言うと、非常に漠たる答えしか返ってこないわけです。

 私は、今後、二つ改善していただきたいです。

 皆さんのお手元に、患者副作用報告制度のこういうかわいい御案内がございます。これは、患者さんたちが飲んだときあるいはワクチンを打ったときに、自分に常ならざる出来事が起きたら報告してくださいよというものなんですが、ここに、いわゆる昨今のSNSでアプローチできるような案内もついていますが、これをクリックしてみますと非常に使いづらいんですね。比較のために、いわゆる医薬品副作用救済制度の方にも同じような案内があるんです。

 今もう、皆さん、パソコン、スマホの時代ですから、どうやったら、患者さんたちが訴えやすいか、使いやすいかということの利便性も大変重要だと思うのですが、局長は、これに自分でアプローチしたことはありますか。ごめんなさい、投げていない質問で。

鎌田政府参考人 まず、私がこれをアプローチしたことがあるかどうかということですが、先生からの御質問をいただいて、この画面を見たということは直接ございます。そして、実は、先生からの恐らく御質問の趣旨としては、使いづらいのではないかということでございまして、スタッフの方からその画面を全部プリントアウトして私に見せてくれましたので、そういう意味では、バーチャルというんでしょうか、間接的ながらアクセスしたというところでございます。

 そして、ついでに申し上げますと、先生、やはり、使いやすくしろ、ほかの副作用被害救済制度も同じように使いやすくしているではないかという御趣旨だと思いますので、それを踏まえまして改善に努めてまいりたいと思います。

 それから、ついでで恐縮でございますが、患者さんの副作用報告につきまして数字等が明らかになっていないということでございますが、審議会の方には、薬効分類と医薬品名とそれから副作用名、例えば、睡眠鎮痛剤のブロチゾラムについては自律神経失調で件数が一件あるというところまで報告しているところでございます。

阿部(知)委員 大分御答弁が具体的になってきて、ありがとうございます。本当に使いやすくしていただきたい。特に、今、スマホで使えるかどうかが、非常に、パソコンに向かわなくてもいいですから、これは工夫の範疇と思いますので、お願いしたいと思います。

 さて、後藤大臣にお尋ねいたしますが、繰り返し申しますように、副反応の報告ルートには、予防接種法に基づく医療機関、それから薬機法に基づく製造業者、そして患者報告制度、三ルートがあると言っていいと思うんですが、前二者はそれぞれ法的な位置づけがございます、予防接種法、薬機法。ところが、この患者報告制度は、PMDAが試行し平成三十一年からはルール化して行っていますが、ここには法的位置づけがございません。

 私は、具体的にはちょっとどういう法でというのは申し上げられないのですが、是非、後藤大臣に、これは大事なルートだし、今後もっと大事になるし、法律でこれを位置づけて、大事な情報源としていただきたいですが、どうでしょう。

後藤国務大臣 患者副作用報告制度は、医薬品等の安全対策措置の検討に活用しておりまして、平成三十一年三月より開始をいたしました制度でございます。政府広報やSNSを使った周知活動など、国民や医療関係者に向けた広報活動をまず実施しながら、施行しているところでございます。

 患者副作用報告制度を法的に位置づけるべきとの今の委員の御指摘につきましては、今後、こうした患者副作用報告制度の運用の状況を踏まえて、有識者や関係者の意見を聞いた上で、慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、厚生労働省として、国内外の副反応疑い事例の収集に加えて、患者からの報告についても、報告の活用や制度の周知等を進めて、活用してまいりたいと考えています。

阿部(知)委員 私は、慎重に検討じゃなくて、前向きに検討すべきだと思いますし、既にアメリカ等々では、これはバイパスじゃなくて、大事な主流になっております。先ほど申しましたように、今後どんどん新薬等々が出てまいりまして、第三相を欠いて承認あるいは使用許可が出るわけで、そのときに備えねばならないもう一つの対応策だと私は思っておりますので、大臣、うなずいてくださいましたので、前向きというふうに受け止めさせていただきます。

 さて、次の質問ですが、めくって三ページ目を見ていただきたいと思いますが、ここには、この間、新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要というものがお示ししてございます。この間、何度も取り上げてまいりましたが、これまで千五百十三例が死亡として報告され、各々、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカがございますが、実は、この大半が、九九・何%、因果関係が不明である、断定できないというこれまでの検証結果があるわけであります。いかに何でも、これだけ多くの数の方がお亡くなりになって、因果関係がないものばかり、分からない、グレーゾーンというのでは、国民の不安も取れまいと思いますし、私はここで、今日は、改善点について幾つか、先日来申し上げていることの繰り返しになりますが、お話をしたいと思います。

 下に書いてございますのは、ワクチンとの関連ありと医師が認めて報告したもの、これが千五百十三件のうち百六十八、決して多くはございませんが、医師として責任を持って因果関係ありというふうに書かせていただいているもの。そのうち解剖もできたものは二十七件ございます。

 でも、解剖しても因果関係について断定できないというふうに書かれる場合が多くて、その多い理由が、そもそも事例の集積がないので断定ができないと。心筋炎の所見があってすら断定ができません。そうであれば、集積していくしか逆にない。解剖の先生たちも、一生懸命、誠実ですから、断定はその責任とか経験というものも踏まえて行うわけで、圧倒的に立ち遅れた日本の解剖体制の一つの結果なんだと思います。

 大臣にこの前もお伺いいたしましたが、アメリカでは、コロナの死亡例と、それから、解剖、剖検、メディカルエグザミナーという制度は、ガイドライン、規則がありまして、こういうものは解剖すべしと、もちろん本人同意は必要ですが。日本の場合は本当にそれは全くないんですね。アメリカもそんなに解剖の進んだ国では実はありませんが、でも、こうやって、不審に亡くなってしまわれたら何とか解明して、国民の安心に結びつけようという試みですから、こうしたことを検討されるべき時期にもう来ていると。余りに多い死亡者数、余りに少ない解剖数でありますので、いかがでしょうか。アメリカのようなガイドライン、あるいはメディカルエグザミナー制度と、いわゆる感染症のワクチンによる死亡との何らかのルールをつくっていくことについてです。

    〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕

後藤国務大臣 直近の審議会で、ワクチンとの因果関係の評価を行った千五百十三件の新型コロナワクチン接種後の死亡事例のうち、病理解剖を含めて解剖されたことが報告された事例は百四十三件でございます。こうした解剖については、死亡診断を行った医師の判断により解剖の要否を判断しているものでありまして、国として、接種後に死亡した場合における解剖の要否に関する何らかの判断基準を示しているものではございません。先生の御指摘のとおりであります。

 御指摘のような基準を設けることにつきましては、解剖は個々の死亡の状況に基づき医師の判断により行われるものというふうに考えております。死因を究明するために解剖を積極的に進めていくかは、今審議されている審議会の中でも様々な意見があるところでございます。

阿部(知)委員 申し訳ありません、今日提示した資料の私の記載に誤りがございまして、下に書いてございます二〇二〇年三月十八日開催というのは、二〇二二年の誤りでした。失礼をいたしました。

 また、今、後藤大臣がお答えくださった病理解剖というのを含めれば百四十三、私が副反応報告の中でチェックいたしましたものが二十七ということで、あの報告自体の中に、逆に言うとそれも記載されていないので、私たちは分からないという状態であります。これは質問取りのとき何度も質問したんですけれども、分からない、数えられないということでしたので、私が自分で拾ってこの数値を上げました。しかし、もし百四十三例としても、決して多くはない。

 私は、大臣が既に御承知のように、死因究明制度というものについては、これは橋本委員長も大変熱心にやっていてくださいますが、日本は圧倒的に立ち遅れております。

 そして、大臣にここで確認したいのは、死因究明制度に公衆衛生的な視点を持つ。コロナは感染症ですから、もしそれが蔓延して死因が分からなかった場合には、公衆衛生的に非常に深刻な事態が生じるということであります。私は、今の死因究明制度のガイドライン等々を見ていて、ここに、どこから、いわゆる公衆衛生的視点が入るのだろうかということを極めて疑問に思います。この質問が一点。

 それから、果たして、この死因究明制度、一旦法定化され、その法律が有効期限が切れ、新たに今作られている法律ですが、その間、一貫していわゆる解剖を実際に担ってくださる方の数が増えません。医学部の法医学教室の方の数だけでなくて、もっとあると思いますが、大臣はこれについての御認識はいかが持っておられますでしょうか。

 やはり充実させていかなきゃいけないから法律ができているんですけれども、全然充実しないのですが、このことについて、二点、お願いいたします。

後藤国務大臣 死因究明等推進基本法に基づきまして昨年六月に閣議決定された死因究明等推進計画におきましては、公衆衛生の観点から、死因究明等に関して講ずべき措置を、施策を示しておりまして、これには新型コロナや新型コロナワクチンの副反応による死亡が疑われる場合も当然に含まれるというふうに理解されております。

 厚生労働省では、死因究明拠点の整備を支援しておりまして、解剖、検査の実施体制について、公衆衛生のために必要な体制整備を行うことといたしております。

 今後も、必要な死因究明が推進されるように、引き続き取組を実施してまいりたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 字面は書いてあるけれども、やっていないんですよね。

 それで、さっきのワクチン接種後に亡くなった事案で、解剖はどう進めますかというルールもないですし、あと、正直言って不審死がたくさん起きております。そのことについても、亡くなって発見されたらコロナだったという事案も多くございます。そのことの解剖体制も、私は時間が今日はないのであえて指摘しませんが、是非、大臣には、念頭に置いて、書くだけじゃなくて、どういう体制を取ればやれるかを考えていただきたいと思います。

 続いて、いわゆる副反応の中で、私がいつも受けている副反応報告の中で抜けていると思うものがございますので、問題提起をさせていただきます。

 次のページを見ていただきますと、これは、これまでワクチン接種を、最先端というか、先頭を切ってやっているイスラエルでのデータ集積に基づいて、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンという一流誌に報告されたものであります。これは、どんな事象がワクチンを接種した群としない群で有意差を持って発現しているかというものの例でございます。

 例えば、ここには、中ほどの段にヘルペスゾスターと書いてありますが、これは帯状疱疹です。真ん中より下の方に、マイオカルダイティス、心筋炎、これはよく言われております。

 私が今日取り上げたいのは、帯状疱疹についてでございます。

 私の身の回りの臨床の先生方も、患者さんにワクチン接種した後、帯状疱疹の患者さんを診るということが多いねというふうに話題になっております。しかし、副反応報告のいろいろな記載を見ますと、これが注意すべき事項としては出てきておりません。

 私は、これは、まとまった、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンの非常に信頼性のあるデータと思います。

 是非、我が国においても、帯状疱疹は、免疫力が落ちたときに再燃してくるものであって、免疫力の指標になるものでございます。簡単に言えば、ワクチン接種は、直後、一種の免疫混乱を起こして、免疫力が低下しているゆえに、データ的にはもっと詳しくありますが、簡単に言えばそういう事象であります。

 このことが全くシグナルとして取り上げられていないということは、日本の報告制度の中で問題があるのではないかと懸念をいたします。数だけ自分で数えても、政府の報告の中にすら結構、多いとは思いますが、こういうふうにコントロール群と比べたものではないので、御発表でないのかもしれません。

 でも、是非、後藤大臣、今後着目していただいて、ワクチンは免疫的に言えば確かにコロナに対しての抗体はつくりますが、その途中で御本人の免疫を一旦落としているということがあるという事実ですので、取り上げていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 ワクチン接種後の副反応が疑われる症状につきましては、副反応疑い報告制度により常に情報収集しており、症状別に集計を行うなどの情報の整理が行われた上で、定期的に開催している審議会において評価が行われております。

 新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告においては、帯状疱疹やヘルペスウイルス関連症状も報告されておりますが、これまでの審議会の議論においては、これまでの副反応疑い報告状況に基づいて、新型コロナワクチンの安全性について重大な疑念は認められないと評価をされているところでございますけれども、委員のいろいろな御議論等も聞いておりまして、しっかりとした審議会の審議をしていく必要があると思っております。

阿部(知)委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 確かに、心筋炎のように重症化したり、死に結びつくというものではないかもしれない。だけれども、免疫力が低下するということ、あるいは免疫に混乱を来すということは、先日来、宮本委員がお取り上げの、例えば慢性疲労症候群、あるいはコロナワクチン接種後の長引くもろもろの症状、強いて言えば、子宮頸がんワクチン接種後に起こる、いろいろな免疫の関係していると思われる神経免疫の関与するところの症状とも関連してまいるものかとも思いますので。それからまた、四回目のワクチン接種のときにも、果たして接種していいことだけなのか、もう一つの好ましからざる出来事もあるのかということは念頭に置いて、それを国民に通知して、選んでいただくということになろうかと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 先日来、宮本委員が、様々なワクチンの副反応で長引くもの、あるいは、そもそもロングコビッドといって、コロナ感染自身も遷延性の症状を示しておりまして、それについては病態の解明が必要ですし、この前、佐原局長の御答弁では、そういう患者さんの御相談には乗りますということでありましたが、私は、やはり本格的な研究体制というものを是非日本もつくるべきだと思っております。

 アメリカでも、既に大統領は巨額を投じておりますし、国民の健康レベルに関係いたしますので、もちろん手当てして患者さんに寄り添うということが第一です。と同時に、何が起きたのかを今後解明していっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告において、自己免疫系の副反応を疑う症状や遷延する症状が報告されていることは承知をいたしております。

 自己免疫系の副反応を疑う症状も含めて、新型コロナワクチン接種後に生じる遷延する症状については、都道府県が診療体制の整備や相談窓口の周知等の取組を行っていく中で、専門的な医療機関における診療の蓄積により、新たな知見が得られることも期待されると考えております。

 厚生労働省としては、こうした遷延する症状について、専門家の意見も聞きながら、必要な研究や研究体制について検討し、進めてまいりたいというふうに思います。

阿部(知)委員 是非そうしていただきたいし、例えば、子宮頸がんワクチンについては、既に機能性の身体障害だという形で片づけられていますが、今もってその後の症状等々に苦しむ少女たちがいるわけです。

 虚心坦懐に、何が起きたのか、それから、今年の四月から再開されておりますし、安心して受けるためには、例えば、イレッサなどではそうでしたが、一定の遺伝子タイプの方が副反応が強いとかそういうことが分かってくれば、副反応か、違うのかという論戦だけじゃなくて、より解明されて、どういう人はリスクがある、それは気にするからリスクがあるとかではないんですね、やはり身体的に何らかのバイオデータというか、あるんです。それを解明していこうという気持ちを持たないと不毛な論議が続きますので、是非、大臣にもよろしくお願いしたいと思います。

 以上にて、私の今日の質問を終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、電子処方箋について質疑をしていきたいと思っております。

 少子高齢化、人口減少、その中で、社会保障費を、サービスを維持しながら、そして適正化していくには重要な一歩だと思います。データヘルスの観点からもです。

 そこで、質問をさせていただきたいんですが、電子処方箋はドクターが診断をして処方されますが、その処方箋をデジタル化することで、データとして分析することが可能だと思います。診断から処方が、どれだけ効果が上がったのかの判断ができると思われますが、どこまでこの電子処方箋を活用されるのか、お聞かせください。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 実際の医療環境下において、実際の医療の現場におきまして、多様な患者さんから取得される医療データを、それを電子的に評価していくということは、今後、いわゆるリアルワールドデータの活用ということも含めて、非常に重要であるというふうに考えており、様々なことをしているところであります。

 一方で、電子処方箋システムは、御案内のとおり、処方の情報、調剤の情報のみをやり取りするものでございますので、現時点では、いわゆる医薬品の有効性、安全性、どのぐらい効果があったのか、副作用が出たのかということには、ダイレクトに活用するということはできません。

 また、今はとにかくそれをいかに確実に導入するかということで、具体的な検討も行っているわけでございませんが、御指摘のとおり、将来的には、例えば、他の医療システムと連携してデータを突合するなどできれば、医薬品の評価にも活用することはあり得るというふうには考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 せっかくデータを集めるわけですから、これはもう一気にビッグデータ化していくのがいいのではないかなと思います。

 やはり、飲まれる薬というのはなるべく少ない方がいいというような研究結果もあり、特にシニアの方でしたら、一日五錠以上の薬を飲むと転倒率が上がるというような結果も出ておりますので、できるだけ飲み合わせであったりとか薬の効果、そういうのを高めていくために、是非、この電子処方箋からのビッグデータ化、そして薬の適正化、それに生かしていただけたらと思っております。

 続きまして、令和三年の六月四日、厚生労働省のデータヘルス改革推進本部のデータヘルス改革に関する工程表について、患者本人が閲覧できる情報、健診情報やレセプト、処方箋情報、電子カルテ情報、介護情報等は、医療機関や介護事業所でも閲覧が可能と記載がありました。

 そこで、御質問させていただきたいんですが、電子処方箋は本人以外使用できるのか。介護施設では薬の処方箋をケアマネさんやヘルパーさんが確認することも多いんですが、電子処方箋管理センターに介護施設でもアクセスできるのでしょうか。もし現状できないというのであれば、いつ頃できるようになるのかというところの御回答をいただけたらと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 電子処方箋の仕組みはオンライン資格確認等システムを基盤としておりまして、オンライン資格確認等システムに接続していない介護事業者の方は、処方、調剤情報、電子処方箋システムに載っているこれらの情報に、直接閲覧はできないということになっているところでございます。

 他方、患者さんがマイナポータルを通じて御自身が処方されたり調剤された情報を御覧になることはできますし、また、このシステムは別でございますが、電子版お薬手帳ということでも調剤関係の情報は閲覧ができます。その際に、患者さんの同意を得た上で、介護事業者の方が、マイナポータルあるいはお薬手帳から、患者さんというんでしょうか入所者というんでしょうか、その方のお薬の情報を閲覧することは可能であると考えております。

 一方で、今御指摘ございましたこうした情報を、医療や介護を含めたサービスを提供する関係者の皆様の間で情報を共有すること、それは重要であると考えてございます。現在、具体的なことはまだ決まってございませんが、将来的には、様々な情報を電子的に共有することが可能になれば、より患者さんの、あるいは入所者の方のニーズに即した総合的かつきめ細やかなサービスを提供することが可能というふうには考えているところでございます。

一谷委員 現状はそうだということをお聞きしたんですけれども、やはり、地域包括ケアの視点からいきますと、閲覧をしていくのは非常に重要だというふうに考えております。

 また、将来的に閲覧が可能になった場合は、通達、事務連絡でいいのか、又は薬機法の改定が必要なのか、新たな立法が必要なのかというところのお答えをいただけたらと思います。

鎌田政府参考人 どのような形で情報を提供するかですとか、またそのときに必要なことは何か、患者さんの同意ですとか、あるいは提供する情報が医療機関のものなのかどうかということについては論議が必要なので、一概には、法律あるいは通知とかいうことはございませんが、例えば、今回検討しております電子処方箋システム、支払基金を通じて医療機関と薬局でやり取りする、そこに介護事業者を入れるとなると、そこは様々な個人情報保護ですとかそういったものをクリアした上でございますが、やはり法改正によって措置する必要があるところがございますし、一方で、単に情報を見るということであれば、先ほど御答弁いたしましたが、患者さんのマイナポータルにはその情報がございますので、それが分かれば、入所者の傍らに介護者がいて、それで患者さんに同意を得て、あるいは一緒に見るということであれば今でも可能だというふうに考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございました。

 私は今のですごい理解をしたんですけれども、先日の一般質疑でもさせていただきましたBCP、災害が起こったときの復興していくというときには、やはりデータベースにデータが残っているということは非常に有効だと思いますので、それはまた、これはちょっと、やり取りをしていないので、質問なんですが、先ほど災害時には紙に戻すというような話も野間議員の質疑のところであったんですけれども、患者さんのメリットとしては、やはり、データベース化でデータ化されているということが災害時にも有効だというふうに私は思って、導入する、また患者さんが電子処方箋を使おうというふうな思いになるように思うんですが、これはやり取りをしていないあれなんですけれども、もし御意見がありましたら、何かいただけたらありがたいなと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの御指摘についてですが、例えば、ある地域で停電あるいは災害が起きたときに、その地域内にございます医療機関、薬局では電気の供給が止まるということなどから電子処方箋システムが稼働しない、使えない場合どうするかということと受け止めましたので、そういう場合には、当然、紙で対応するとか、もちろん、非常な災害の場合には処方箋なしでも対応するという措置をしているところでございますけれども。

 一方で、先生の御指摘は、電子的にデータがあれば、バックアップということであればいいのではないかという御指摘はまさにそのとおりでございまして、電子処方箋システムは、一つのメリットとしては、まず、サーバーに情報がございますし、更に別のサーバーにはバックアップのシステムを取りますので、仮に、災害時にお手元にお薬手帳がない、またお薬が分からないときに、御本人から被保険者番号等を確認されれば、それでその方の処方情報などが、調剤情報など確認できるというメリットがあると考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 ここは、すごいアピールというか、この電子処方箋を広げていく中で一つ重要なポイントではないかなと思いましたので、質問をさせていただきました。恐れ入ります。

 次は、オンライン診療、今だからこそできているんですが、これは平時も継続をされていくのかというところについてお伺いをさせてください。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 現在は、新型コロナ禍の時限的、特例的な取扱いとして、初診を含めて電話やオンラインによる診療を可能としております。

 また、昨年七月以降、新型コロナ禍におけるオンライン診療の活用状況を踏まえつつ、コロナ収束後の恒久的な枠組みについて検討を行いました。

 それを踏まえまして、今年の一月にオンライン診療の適切な実施に関する指針を改定いたしまして、かかりつけ医師によることなど一定の要件を満たしていれば、今後とも初診からオンライン診療を可能とするというような見直しを行いました。

 こうしたことを踏まえまして、この四月からの診療報酬改定におきまして、初診料の新設に伴って、点数について引き上げるとともに、対象疾患に関する要件を撤廃するなど、算定に関する要件緩和を行っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 オンライン診療は、なかなか診療所に行きにくい、車椅子の方であったりとか、あと、うつ病で、家からなかなか出づらいという方に対しては非常に重要で、すごい革新的なことだと思いますが、患者さん側の本人確認はどのようにしていこうかというふうにお考えになっておられるのか、お聞かせいただけたらと思います。

伊原政府参考人 御質問いただきました患者さんの本人確認ですけれども、今回改定しましたオンライン診療指針におきましては、緊急時などやむを得ない事情がある場合を除きまして、お医者さんと患者の双方が、オンライン上、身分確認書類を用いてオンライン画面越しに確認する、こういう形で記載しております。

一谷委員 その身分確認というのは、何か保険証とかドクターのカードとかということでよろしいんでしょうか。何か急にそこだけアナログ的になっているような気もするんですけれども、おいておきます。

 そこで、私は、オンライン診療は電子処方箋にすごいつながっていくと思うんですね。一気通貫で、オンライン上でできるということは非常に有効だと思っております。

 電子処方箋も生かしていかないといけないんですけれども、一定履歴が残るというところと、やはり患者負担が発生するはずなんです。そうすると、国民の同意を得なければこの電子処方箋はなかなか進んでいかないと思うんですが、私は、先ほど、災害のときにこの電子処方箋のデータのバックアップは有効だと自分ですごい考えましたが、皆さんが考える電子処方箋に対して個人のメリットは何なのか、ここをしっかりつかんでおかないと、この電子処方箋がやはり進んでいかないのではないかと思っておりますので、質問をさせてください。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、新しいシステムを導入して、それなりに導入の負担等発生しますし、それについては、御答弁いたしましたように、補助などをして円滑化を進めるわけでございますが、何よりもその制度の趣旨、メリットについて御理解いただくということは御指摘のとおりでございます。

 御指摘のあった患者さん、被保険者の方にとってどんなメリットがあるのかということでございますけれども、まず、こうした情報を患者さん自らが見ることができる。あわせて、一元化して見ることができるということで、患者さん自身の健康増進というものについて注意喚起、あるいは意識が高まるという意味で健康増進に寄与するものと考えておりますし、オンライン診療それから服薬指導の利用促進によりまして、医療のアクセスも容易になるということで、アクセスが一層向上する。そして、具体的には、繰り返し申し上げてございますが、重複投薬が抑制される、結果、医療費適正化による医療保険の持続可能性が、そういう形で負担も軽減する、あるいは引き続き医療保険を使えるという意味でのメリットもございますので、こうした点につきまして、導入までにきちんと国民の皆様に理解できるよう、努力してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 なかなか、国民の皆さんは社会保障費の抑制というところにメリットを感じていただけるかというと、やはり難しい面もあるかと思いますので、やはり、データを共有することによって、フィットネスで自分の健康管理ができるとか、介護事業所が使いやすくなるとか、いろいろなアイデアを盛り込んでいけたらと思いますし、我々政治家も、地域に帰って、これを進められるように説明することが重要だと思っております。働き手も足らなくなりますので、力を注いでいきたいと思います。

 それでは、次の質問なんですけれども、先ほど野間議員の質問の中で回答が出てしまいました。ありがとうございます。私もこのオンラインの資格確認システムの入札が五か月なかったというのは非常に疑問に感じたんですが、偶然なかったというところで理解をしました。

 ただ、このシステムは毎年毎年入札になると思うんですが、入札でシステム会社が替わった場合に何か不都合が起きないのかなというところがすごい疑問に思うんですが、御答弁いただけたらと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 電子処方箋システムの安定的な運用ということは、御指摘のとおり、重要でございます。

 まず、今、開発をしておりますが、支払基金におきまして、システムの開発から運用にまず円滑に移行するということが重要でありますので、その支援業務を開発業者とそれから運営事業者とは別の事業者に委託するわけでございますが、そのときに、支援業務に関して、運用マニュアルなどの作成により、円滑な運用支援、移行支援ということをしてまいります。

 それからもう一点、運用開始後でございます。基本的には同じ事業者に継続して運営が委託されるという予定でございますので、この点、安定的な運用がなされるものと考えてございますが、仮に、その事業者が替わった場合でも、今申し上げたような形での運用支援業務ということを通じて、円滑な運用に心がけてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 サーバーの運営は継続的に滞りなくやっていかなければならないと思いますので、そこのところは注意をしていっていただけたらと思います。

 続きまして、今回の薬機法の改定は、私は非常に災害のときに電子化するということは役に立つなというふうに思っております。

 そこで、少し視点の違うというか、私の妹が実はジャパンハートというNPOの医療奉仕団体をさせていただいていまして、ミャンマーやカンボジアで医療をやっております。今回の東日本でやったりとか、コロナのクラスターが起こった場合にドクターや看護師さんを派遣をさせていただいていまして、我が妹ながら、代表を務めて、しっかりしているなと思うのは、二〇二一年の十二月二十四日ですかね、総理官邸で表彰もいただきました。その際は誠に、本当にありがとうございました。(発言する者あり)ありがとうございます。

 非常に災害のときに困ったことがありまして、避難所にドクターや看護師さんを派遣して、さあというときに、やはり医薬品が足らない。その避難所に、日頃からつき合いのある製薬会社から、じゃ、薬品を寄附しますよと言っていただいたときに、東日本大震災ですから十一年前になりますけれども、当時、その医薬品が届くのに非常に時間がかかって、なぜですかと聞いたところ、医療機関を通して避難所へ届けてほしいんですという回答だったんです。

 それで非常に困ったということで、もう十年以上たちますけれども、現状どうなっているのかというところ、災害はいつ起こるか分かりませんから、御答弁いただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 災害時に避難所などが設置されたときに、どういった形で医療あるいは医薬品が提供されるかといいますと、まず、お医者さんが往診する、その場合は御自分でお薬を持参されたりとかなどもございます。一方で、診療所が避難所に開設されれば、診療所があれば、そこに薬を卸さんの方からお届けするということは可能だと考えております。

 一方で、御指摘のございました、寄附かどうかということでございますけれども、いわゆる薬機法、我々の所管する流通規制法でございますけれども、その上では、卸販売業の方が、往診するお医者さんが所属する医療機関ですとか、避難所に開設した診療所に対して医薬品を寄附、譲渡することは可能でございます。

 また、そもそも有事の際に医療機関の開設の手続がどうなるかということでございますが、その都度特例的な対応を取っているところでございますし、例えば、今御指摘のございました東日本大震災ですとか、あるいは平成三十年の七月豪雨のような場合には、医療機関の開設等は事後で差し支えないということでございますので、御紹介のあった事例、残念な事例でございますけれども、こうした措置を活用すれば対応は可能ではないかというふうに考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 これは、これから改善できたらいいなという思いで御質問させていただいておるんですけれども、先ほど言っていただいた、診療所を開設すれば事後でいいということなんですが、やはり災害のときに、なかなか、事後でというところは、期間の定めもないですし、実際ジャパンハートも開設しました。しかし、それは二年後なんですね。二年後です。地域の医療機関が全部なくなってしまって、二年後に開設をしたんですね。それを、開設するという前提で製薬会社から寄附をいただいていたということなんですが。

 じゃ、開設できる医療奉仕団体が、定款に載っている、どれだけあるのかということもありますし、ここはこれから改善の余地であるとか議論の場をいただけたらなと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。ここはやはりしっかりしておかないと、いざ災害が起こったときに、また、どうしたらいいんだということになって、製薬会社も困りますし、現地に行っているドクターや看護師さんも困りますので、一人でも命を救うためにはやはりこういった迅速な対応が必要ですので、どうぞ御検討よろしくお願いをいたします。

 では、最後に、質問を大臣にさせていただけたらと思います。

 実は、日本維新の会の参議院の梅村聡議員の知り合いで、奥野恭史さんという方がいらっしゃいます。その方は京都大学の大学院医学研究科の教授でありまして、ビッグデータを用いた医科のことが専門だということがあります。

 この記事は、二〇二一年六月三十日の記事になりますが、研究所に承諾を得て、今日ここで披露させていただきたいんですが、日本の創薬における課題は、富岳、これは私の地元の神戸にありますスーパーコンピューターですけれども、活用などによって、世界トップレベルの研究開発拠点がある、そして技術力もある、しかし、いざというときに研究機関や企業が統合できず、総合力で他国に負けてしまうと。これは創薬についてです。こういう実態がある中で、日本の製薬企業は規模や資本力が弱く、スピード感がないとなっております。

 承認プロセスに課題がある、これは今回の改正で改定されたと思うんですが、やはりスピード感を持って開発するためには資本力というものが必要になってくるのではないかなと思います。世界のメガファーマと戦うためには、開発費も、私、一桁、二桁違うと。アメリカなんかは一兆円でしたが、日本は多く見積もっても一千億、しかもそれがばらばらに行ってしまうという現状をどう大臣はお考えなのか、御答弁いただけたらと思います。

後藤国務大臣 新たな医薬品を迅速に開発し実用化するためには、基礎研究から応用研究、そして臨床研究、治験に至るまで、切れ目のない支援を行うことが重要だと考えます。

 このため、厚生労働省では、文部科学省や経済産業省など関係府省と一体となって、日本医療研究開発機構、AMEDを通じまして、例えば、基礎研究の段階における革新的な技術開発に対する支援や、臨床研究、治験の段階における希少な疾患の医薬品開発に対する支援など、基礎研究から実用化に至るまで、一気通貫の支援を行っております。そして、こうした視点から、ますますこうした体制整備と支援を強めていく必要があるというふうに、私も委員と同様、思います。

 また、今、富岳という御指摘もありましたけれども、AMEDを通じまして、二十社程度の製薬企業から化合物のデータを集約いたしまして、化合物の薬効や毒性、最適な構造を予測するAIを開発する取組を支援しているところでありまして、今後、より精度の高い成果が得られるように、このAIによる予測に富岳を活用することも検討する、そんな取組も行われておりまして、引き続き創薬の研究開発支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 この富岳は、実は一千億円ぐらいでできて、ほかの国の、中国、アメリカのスパコンに比べても非常にコストパフォーマンスが高いと、まさにお家芸だと私は思っております。ですから、ここの開発、実はその前の「京」ができた段階で富岳の開発も進めていた。ということは、富岳ができている、その次もやっていかないといけないと思いますので、お力添えをいただきたいと思いますし。

 先ほどのAMEDというお話がありましたが、私の感覚では、開発支援が主で、どちらかというと経済産業省寄りだと思うんですね。間違っていたら……(後藤国務大臣「基礎研究」と呼ぶ)間違っていますか。経産省寄りのように、一緒にやっているんですけれどもね、というように思っているんですけれども。やはり、医薬開発については監督官庁が厚労省でもありますので、薬機法からはみ出た部分、この基礎研究というところに対してやはり力を入れていっていただきたいなと思うんですが、最後、御答弁を、何かもしありましたら、いただけましたら、ありがたいなと思います。

後藤国務大臣 AMEDは、基礎的な部分の研究支援、一生懸命やっております。

 今お話のあった、例えば、AIによってスーパーコンピューターの富岳を使って分析するようなものは、大体、研究者が長い時間をかけて、化合物と化合物を選び出して、そしてそれが本当に実際にどうかということを実験室でやっているようなものを、実を言うとスーパーコンピューター、AIを使って、それを機械的に分析して、化合物の組合せやあるいは構造体を一挙に計算して進めていく、そんなようなことも進めていまして、その後、そうしたものの当たりがついた場合に、具体的にどういうふうに研究開発から次の製造につなげていくのか、開発製造につなげていくのか。そうなりますと、産業支援の立場にもなります。

 厚生労働省も創薬の分野を所管いたしておりますので、関係の省庁とも連携を取りながら、一貫した研究開発そして創薬に、日本の国として挙げて取り組めるようにしていきたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございました。大変理解をさせていただきました。

 先ほどの奥野恭史さんの記事では、創薬の世界においては、医薬品開発の成功確率は二万五千分の一以下であり、開発費は一千二百億、開発期間は十年以上が常識であったと書いてあります。しかし、新型コロナウイルスの登場によって、欧米の企業はこの常識を覆し、一年以内にワクチンを作ってきたという現実もありますので、やはりここは我々日本も、常識にとらわれず、イノベーションを起こしていける、そういったことを期待しまして、本日の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 どうも皆さん、誠にありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。

 午前中最後の質問ということで、後藤大臣始め皆様お疲れのことと思いますが、どうぞ最後までよろしくお願い申し上げます。

 それでは、薬機法の質問に入る前に、一問質問させていただきたいと思います。

 今週に入りまして、政府は三回目の新型コロナワクチン接種を加速させるためにイベントワクワク割の実施を検討しているとの報道があります。三回目接種を条件に、スポーツ観戦やコンサートなどのチケット代金を二割引きするとのことです。

 しかし、そもそも、新型コロナウイルス感染症の発症予防、重症化予防を目的としている新型コロナワクチンの接種を加速するために、わざわざ、自宅にいるより感染リスクが高いイベントに参加することをワクチン接種のインセンティブにすること自体が矛盾ではないのでしょうか。御見解をお伺いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会におきましては、感染防止対策が取られたイベントの感染リスクは低いと評価されております。

 御指摘の事業につきましては、ワクチン接種歴や検査結果を活用しながら、消費者が安心してイベントに参加できる環境を醸成し、新型コロナにより甚大な影響を受けましたイベント業界の需要を喚起する事業でございます。

 対象とするイベントは、自治体の開催制限要件、これを遵守し、感染防止対策が徹底されたイベントのみを対象とする予定でございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 このワクワク割が適用されるイベントの条件として、参加者にワクチンの接種歴やまた陰性の検査結果の確認を求めるということですけれども、この陰性証明を発行してから、少なくともイベントまで数日は経過しているわけです。また、潜伏期間もございますし、そもそも、イベント会場に向かうということで、電車とかバス、こういった交通機関を利用して参加する方も多くいるわけです。先ほど御答弁いただきましたが、ワクチンが感染防止の機能を持っているならその趣旨も分かるんですけれども、あくまでも本人の発症予防と重症予防のワクチンですので、世の中の、今、接種率が上がらなくて、接種を促そうというイベント、これで感染が逆に広がってしまうかもしれないというリスクを抱えていると私は思っております。

 その問題意識がございますけれども、例えば、自宅への食事の宅配料金を割引するとか、例えばウーバーイーツとかですね、こういった感染リスクが低いものに対してインセンティブをつけるのが正しいのではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

田中政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、ワクチンの接種歴、陰性の検査結果を確認することで、より安心、安全にイベントに参加していただくということで、むしろ、感染を抑制しながら経済活動を継続いただくことに寄与すると考えております。

 ほかの事業も考えるべきではないかという点につきましては、ほかの省庁も御検討されると思いますけれども、我々といたしましては、より安心、安全にイベントに参加していただくということを目的としたこの事業、感染状況を踏まえながらしっかりやっていきたいと思います。

 以上でございます。

吉田(と)委員 是非、慎重にキャンペーン対象を考えていただきたいと思います。

 それでは、薬機法の質問に入らせていただきます。

 現在既に、条件付承認は、医薬品等に対する承認として認められています。その対象は、希少疾病用医薬品、先駆的医薬品又は特定用途医薬品その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものとされていますが、その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものの中に、緊急時に健康被害の拡大を防止するが含まれているか、御答弁をお願いいたします。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきましたように、条件付承認制度は、希少疾病用医薬品、あるいは先駆的医薬品、あるいは小児などの特定用途医薬品等の医療上必要性が高い医薬品が対象であって、いわゆる第三相試験でございますが、検証的臨床試験の実施が困難なものについて、開発や製造販売の促進を図ることを目的といたしまして、第二相試験などによりまして安全性と有効性が確認できる場合に承認を可能とする制度でございます。

 御指摘のございました、その他医療上特に必要性が認められるに該当するか否かということでございますけれども、むしろ、条件付承認制度、制度全体の目的は、今御紹介した、第二相で、確認で承認できる制度上の措置ということに鑑みますと、まずは、その制度の趣旨が、健康被害拡大の防止のために緊急時に使用する医薬品に適用できるか否か、また、それはどのような場合、どのような条件で適用するのかといった趣旨、目的に応じたことで検討が必要となってございますし、例えば、これを導入した国会の審議におきましても、ワクチンなどについては慎重な適用という御意見をいただいたところでございます。

 また、条件付承認制度の内容の措置でございますけれども、先ほど御紹介した目的を踏まえまして、有効性の確認ですとかなっていますし、GMPの適合調査ということが特例的になってはございませんので、緊急時に、有効性を確認することとなっているものを、じゃ、それを超えて、解釈で、あるいは適用したからといってできるのかどうか、あるいはGMP調査というものができるのかどうか、そうしたことが、医薬品の有効性や品質確保といった制度上の措置との関連ということも併せて検討することが必要だと考えてございます。

吉田(と)委員 今の御答弁から、条件付承認も緊急承認も、緊急時の対応という意味が含まれているという理解でよろしいんでしょうか。

鎌田政府参考人 条件付承認が緊急時に使用される医薬品を対象とするかどうかということにつきましては、一概に否定されているというふうには考えてございませんが、先ほど御説明申し上げたのは、制度につきましては立法の趣旨がございますし、それに応じた措置がございますので、それがそうした緊急時にどこまで適用できるのか、活用できるのかという点について検討が必要ではないかというふうに申し上げたところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。理解いたしました。

 では、続きまして、次の質問に参ります。

 医薬品医療機器制度部会の取りまとめによれば、緊急承認制度の発動要件としては、特例承認と同様に、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品、医療機器等であり、ほかに代替手段が存在しないこととするのが適当であるとまとめられています。そして、当該医療品の使用以外に適当な方法がないという非代替性については、供給の面から、同種、同効果の製品がほかにも存在する場合も対象とすることが適当と取りまとめています。

 そこで、例えば、先に承認されている製品が不足、足りないような状況になった場合、企業が次の承認で申請しようとしている製品について、この緊急承認の適用ができるのでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 緊急承認制度の適用となる条件といたしましては、緊急に使用される必要性があるということと、今御紹介いただきました代替するものがない、いわゆる代替の困難性と我々まとめておりますが、それがございます。

 この代替の困難性については、典型的なのは、当然、治療薬がない、ほかにない、承認されていないという場合でございますけれども、対象となる健康被害の疾患に用いられる医薬品が既に承認されている場合であっても、供給という観点から、更に医薬品が必要であるとか、承認されている医薬品だけでは治療法として十分ではなく、更に複数の選択肢が必要でないかという場合がございますので、そうした場合には、御指摘のように、企業がこれから通常の承認で申請しようとしているものであっても、緊急承認制度の適用が認められる、適用の対象となるというふうには考えているところでございます。

 ただ、個別の具体的な製品が本当にこの緊急承認制度で承認されるかどうかにつきましては、PMDAの審査あるいは審議会での審議を経て判断するというところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 品切れになる場合で、緊急時に、健康被害を拡大する、それを抑止するために必要だという場合は検討もしていくということですよね。ありがとうございます。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 三月三十一日木曜日の衆議院本会議での質疑について、追加でお伺いしたいと思います。

 新型コロナワクチン接種後の死亡事例とその因果関係について質問させていただきました。

 直近の審議会で、ワクチン接種後の死亡事例とワクチン接種との因果関係の評価を行ったのは千五百十三件。そのうち、病理解剖を含めて解剖されたことが報告された事例は百四十三件との御答弁でした。

 評価を行った千五百十三件の内訳については、α、ワクチンと死亡との因果関係が否定できないものはゼロ件、β、ワクチンと死亡との因果関係が認められないものは十件、γ、情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないものが千五百三件と紹介させていただきましたが、このうち、この百四十三件、解剖されたという中のα、β、γに分類された件数をそれぞれ教えていただけますでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 先生御紹介いただきましたように、三月十八日の審議会に御報告した千五百十三件のうち、病理解剖を含め解剖されたものは百四十三件でございます。

 その内訳でございますけれども、αは、因果関係が否定できないというものはゼロ件、β、因果関係が認められないというものは一件、γ、因果関係が評価できないというものは百四十二件でございます。

吉田(と)委員 同じく、三月三十一日木曜日の衆議院本会議で後藤大臣は、ワクチン接種後の副反応疑い事例の評価に当たって、医療機関や製造販売業者から情報収集をしており、特に厳密に評価する必要がある疾患については、個別調査票を作成し、より詳細な情報収集を図っていますと御答弁いただきましたが、この千五百十三件のうち、そして百四十三件のうち、個別調査票を記入していただいた件数というのは、それぞれ何件あるのでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチンにつきましては、通常のワクチンでも個別調査票の提出を求めておりますギラン・バレー症候群、それから急性散在性脳脊髄炎に加えまして、血小板減少を伴う血栓症、血栓塞栓症、いわゆるTTS、それから心筋炎及び心膜炎、三つ、合計五種類の疾病に対して調査票を作成しております。

 それで、今御指摘の千五百十三件について、これら五つの副反応情報でございますけれども、個別調査票が提出されたのは、千五百十三件のうちは四十三件でございます。また、もう一つ、解剖された百四十三件についての個別の調査票の提出でございますが、それは十三件でございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 この調査票というのは、今御説明いただきました五種類の該当の病名に対して医療機関が提出されているという認識でよろしいのでしょうか。この様式は厚生労働省が作成しているもので、この該当の病名に当たって、医療機関の方で自発的にこれは提出するという理解でよろしいんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査票でございますが、今先生から御紹介いただきましたように、様式は厚生労働省の方で定めておりますし、また、通常は、どういった副反応の症状に対して求めるのか、そして、今回のようにコロナのワクチンについては、こうした症状に求めるべきじゃないかという審議を経て、厚生労働省の方にとお願いして、これは、通知において医療現場の皆様に作成を求めているものでございます。

 したがいまして、調査票を医師が自発的に出すのかどうかという問いでございますけれども、通知ではございますけれども、その副反応疑いを報告するというふうに考えたお医者様が、そうしたギラン・バレーですとか、あるいは心筋炎、心膜炎だというのであれば、この調査票は書いていただくものでございまして、個別に作成の成否をお医者さんが判断するものじゃなくて、そうした場合、症状が疑われる場合には書いていただくというものでございます。

吉田(と)委員 今の御答弁ですと、では、その調査、この報告が漏れるということはないということですね。

鎌田政府参考人 調査が漏れると申しますか、現実に、例えば、通常の副反応疑い報告があっても、作成を依頼しております調査票が添付されていないという事例はございます。

 そうした場合には、我々からも御連絡いたしますが、副反応疑い報告は、医療機関の報告とそれから企業からの報告、両方から情報を集めることになっておりまして、大概は重複する内容でございますけれども、それは、より詳しい情報、入念的に情報を収集しようという観点もございます。

 そうしますと、仮に、お医者様が調査票の記入を忘れたという場合には、今度は企業の方で、当然その調査票があるという考えで医療機関に接触しますので、その時点で調査票が作成されていないとなれば、企業の方から医師に作成をお願いして、それで回収できるということで、実際に、タイムラグというんでしょうか、医療機関報告からは調査票が回収されないケースであっても、企業報告を経ることによって調査票は回収できているという状況にございます。

吉田(と)委員 では、続きまして、質問をさせていただきます。

 γ、情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないものが千五百三件で、全体の千五百十三件のうちの千五百三件。ですので、約九九・三%が情報不足等により新型コロナワクチン接種と死亡との因果関係が評価されていないと、私の本会議質疑の中で紹介させていただきました。

 そこで、私は、どのような情報があれば情報不足とはされないのでしょうかとお尋ねしましたところ、後藤大臣の御答弁は、偶発的なものも含め、起こり得る症状が様々であることから、一概に因果関係の判断に必要な情報をお示しすることは困難と考えておりますとのことでした。

 しかし、起こり得る症状が様々であることは、今回のこの新型コロナワクチンに限る話ではなく、医薬品一般的に言えることではないでしょうか。

 α、ワクチンと死亡との因果関係が否定できないものはゼロ件であることを根拠に、後藤大臣は本会議答弁で、新型コロナ接種後の死亡例やいわゆる後遺症のような症状については、現時点において、ワクチン接種と因果関係があると確認されたものはなく、ワクチン接種によるベネフィットはリスクを上回るとお答えいただいたかと思います。

 ですが、因果関係の判断に必要な情報は少しは示していかないと、ワクチン接種によるベネフィットはリスクを上回るというこの答弁の根拠が全部崩壊するのではないでしょうか。例示で結構ですので、どのような情報があれば情報不足とされないのかについて、再度御教示いただければと思います。

後藤国務大臣 ワクチン接種後の副反応疑いの事例の評価に当たっては、医療機関や製造販売業者から情報を収集しておりますけれども、ワクチン接種後の副反応疑い事例の因果関係評価については、先ほども御紹介いただきまして恐縮ですが、偶発的なものも含めて、起こり得る症状が様々であることから、一概に因果関係の判断に必要な情報をお示しすることは困難であると考えております。このことについては、申し上げたとおりでございます。

 審議会におきましては、こうした状況を踏まえまして、委員の御指摘にもありますが、個々の事例について専門家による評価を引き続き行っていくものとしますけれども、接種対象者の属性等に留意して、集団としてのデータを系統的に検討していくこととするという方針も示されております。

 具体的に、例えば例として申し上げれば、集団としてのデータ解析を行った事例としては、新型コロナワクチン接種後の心筋炎及び心膜炎について、国内の医療情報データベースを活用した結果等から、重大な副反応として添付文書に記載した事例等もございます。

 厚生労働省としては、引き続き、副反応に係る十分な情報や国内外の副反応疑い事例の収集に努めるとともに、ワクチン接種との個別因果関係評価や集団としての傾向の評価等、速やかに行ってまいりたい、そのように考えております。

吉田(と)委員 後藤大臣、ありがとうございます。

 私、国民の皆さんの目線から申し上げますと、やはり、情報不足だから分からないと言われ、また、因果関係は関係なく、どうしたら判断できるのかなと。情報不足のカテゴリーばかりが増えていて、どういう方法で集め、得られるのか。

 例えば、三回目のワクチン接種についても、なかなか進んでいないという状況の中で、いつまでたってもその因果関係についても分からない、これを国が調べていただかないと、やはり不安で、なかなか打っていこう、接種しようという方向に向いていかないと思いますので、まず、この情報不足に向かっての努力をしていただくということ、また、ほかの基礎疾患で例えば死亡したのではないということがしっかり分かるような、除外診断をしたという努力をしていただきたいと私は思っています。

 ほかの疾患、除外診断をしたとか、また、お薬とかワクチンとか、これも、お医者さんのアナログな情報でしっかり収集していくことが難しいのではないかと思いますので、是非、この情報不足に向かっての収集の努力というものを続けていただきたいなと思います。

 そうしましたら、続きまして、質問させていただきます。

 厚生労働省の説明によりますと、今回の緊急承認の枠組みによって、ファイザー社の新型コロナワクチンについて、海外データのみで評価を行った場合、承認の時期は二か月程度早くなった可能性があるとのことでしたが、そもそも、二か月程度早くなったら具体的にはどのような効果があったと考えていらっしゃるのか。また、第三波や第四波のピークが低くなる、あるいはピークの時期がずれたなどの効果があったと考えていらっしゃるのでしょうか。御見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 御指摘のとおり、仮にファイザー社の新型コロナワクチンに緊急承認制度を適用した場合、仮にでありますけれども、国内治験のデータがなくても評価ができるようになるために、承認を二か月程度早くすることができた可能性が想定をされます。

 これに伴いまして、国内でのワクチン接種も二か月程度早く開始できた可能性も、これも考えられるわけでありますけれども、二か月程度早くできた可能性の結果、感染状況等にどのような効果があると想定されるかということについての仮定については、なかなかお答えするのは難しいというふうに考えております。

 いずれにせよ、今後、緊急承認制度も活用して、より早く必要なワクチンをお届けできるように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 接種時期が早くなったら、イコール広く接種が広がっていくということで、国民の皆様には早く届けられて、満足度というものは上がったと私も理解をしております。

 そういたしましたら、続きまして、最後の質問になるかと思いますけれども、後藤大臣にお伺いいたします。

 日本の製薬企業や医療機器会社等の国際的な競争力向上のためには、今回の薬機法等改正案成立に加えて、どのような政策が更に必要だとお考えでしょうか。

後藤国務大臣 医薬品や医療機器は国民の健康と命を守る重要な手段でありまして、我が国の企業が世界に通用する革新的な医薬品や医療機器を生み出し続けるためには、その研究開発力を強化していくことが重要であると考えております。

 医薬品については、昨年九月に策定いたしました医薬品産業ビジョン二〇二一において、革新的創薬を医薬品産業政策の基本的方向性の一つとして位置づけております。

 具体的には、研究開発に向けたデータ基盤の整備、我が国の臨床研究をリードする医療機関である臨床研究中核病院などの治験環境の整備、こうしたものを通じて、企業による研究開発の円滑化などに取り組んでいくこととしております。

 医療機器については、現在、プログラム医療機器の研究開発の活発化など、近年の医療機器を取り巻く状況の大きな変化を踏まえまして、医療機器基本計画の改定に向けまして、産業界の御意見もお伺いしつつ、検討を行っているところであります。

 今後、基本計画に基づきまして、医療機器の研究開発の促進に向けて、人材育成やベンチャー企業の支援など、様々な施策を推進していきたいと思います。

 引き続き、我が国の医薬品、医療機器産業における研究開発力の強化に向けて、しっかりと支援してまいります。

吉田(と)委員 後藤大臣、ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。

 今、ロシアやウクライナの問題など大変不安定な国際状況の中で、緊急の有事に備えて、日本の新薬開発、そして研究体制、こういったものをしっかり基盤を急いでいくべきだと私も思います。

 済みません、答弁の時間、過ぎてしまいましたが、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長吉永和生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑を続行いたします。田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 午後一番、皆さん、よろしくお願いをいたします。

 まず冒頭に、立憲民主党さんが出されております議員立法について何点かお伺いをしたいと思います。

 初めに、特定医薬品特措法案について伺いたいと思います。

 私、一昨日の質問で、今回の政府が出しています緊急承認制度、承認なのか、ないしは緊急使用許可なのかといった議論をさせていただきました。

 今回、閣法では、この緊急承認制度は薬事承認手続の一つとして位置づけられている一方、立憲民主党さんが出されている日本版EUA、特定医薬品特措法案においては、薬事承認ではなく、緊急使用許可とされております。

 なぜこの緊急使用許可の仕組みを用いられたのか、その趣旨を伺いたいと思います。

吉田(統)議員 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、日本版EUA、特定医薬品特措法案では、新型コロナを含む新型インフルエンザ等の治療薬について、薬機法上の薬事承認とは別の指定制度を設けています。

 この制度は、国民の生命及び健康を保護するため緊急の必要性がある場合であって、ほかに薬事承認を受けた優れた使用価値を有する医薬品がない場合に限定したものであり、また、その対象は、既に他の疾患で薬事承認を得ており、一定の安全性が確認されている医薬品であることを前提に、最新の論文等による医学的、薬学的知見により新型インフルエンザ等の治療に有用性が認められるものとなっています。

 この治療に有用な医薬品について、薬機法上の薬事承認とは別の仕組みで実用化することとした理由は、まず、幾ら緊急時であるからといって、薬機法上の薬事承認の安全性や有効性に対する信頼を害するような仕組み、すなわち、医薬品等の安全性、有効性を慎重に確認する薬事承認手続を無理に短縮するような仕組みは不適切であろうと考えられること、そして、アメリカのEUAの仕組みを参考に、あくまで緊急時の一時的な措置として、有用な医薬品の実用化を認める仕組みとすべきという判断をしたためであります。

 我々としては、薬機法上の薬事承認に求められる安全性、有効性をないがしろにするつもりは全くありません。一方で、緊急時に国民の生命と健康を守るために迅速に有用な医薬品が確保される仕組みは、今後、新たな感染症の登場も予想される中で必要であることは明白です。

 そこで、一定の安全性が確保されている既承認薬で転用できるものがあれば、迅速な実用化が期待できること、供給の面でも既に生産ラインが存在していること等から、緊急時に有用な医薬品を実用化する仕組みとして適切であろうと考え、御提案している日本版EUAの仕組みとしてまとめたところであります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 安全性とまた迅速性ということを確認をさせていただきましたが、それが有効に機能するためには、もう一つ出されておりますコロナかかりつけ医法案、これとの関係が大切かと思っています。

 日本版EUAで有効な医薬品というものが実用化されたとして、その場合において、患者にその医薬品が確実に伝わらなければ意味がないわけでありまして、大切なことと考えていますが、このような場合に、今回出されたコロナかかりつけ医法案はどのような役割を果たすのか、伺います。

中島議員 御質問ありがとうございます。

 コロナかかりつけ医の役割として、コロナかかりつけ医が受け持った高齢者等の重症化リスクの高い方々について、日頃から、基礎疾患、医薬品に対するアレルギー履歴や服用している薬剤等を把握しておくことによって、新型コロナの感染時にはいち早く適切な医薬品を処方できるようにすることが期待をされます。

 例えば、ファイザー社の経口抗ウイルス薬であるパキロビッドパックには、多くの併用禁忌の医薬品が指定されているほか、併用に慎重になるべき医薬品も数多く公表されております。

 パキロビッドパック投与の際には、こうした併用禁忌や併用に慎重になるべき医薬品の服用の有無を確認する必要がありますが、日頃からその患者さんを受け持っているコロナかかりつけ医であれば、そのような場面でもスムーズな対応が期待できます。

 現在、新型コロナに感染し、自宅療養を経験された方の中には、解熱剤である、よく使われますけれども、カロナールという解熱剤を処方されただけで、症状がその後変化しても、医療提供はおろか症状の相談もできず、不安でいっぱいであったと述べられる方が数多くおられます。

 コロナかかりつけ医制度の導入により、平時から感染症有事に至るまで一貫して、その登録を行った方々の医療アクセスが確保されることとなります。有用な医薬品が実用化されても、それを必要とする患者の方々が必要なときに医療にアクセスできなければ、その薬を生かすことができません。有用な医薬品の確保と医療へのアクセスの確保は当然セットで行われるべきものであります。

 このように、コロナかかりつけ医制度の導入は、必要な方に必要な医療を確実に届けるためのものであり、この制度の導入によって、自宅放置死、高齢者施設死という最悪の事態を防ぐことができると考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 日本版EUAとコロナかかりつけ医の関係がよく分かりました。

 今回の委員会の中でも、副作用のお話や、また今挙げていただきました自宅放置死の話、こういった問題は、まだまだ今の法律ではカバーできない、また対応できないというところが多いことがありますので、しっかりとこれからも議論をしていきたいと思っております。

 これで質問を終わりますので、御退席いただいて構いません。ありがとうございます。

橋本委員長 じゃ、衆法提出者、どうぞお戻りください。

田中(健)委員 引き続きまして、今回出されております、電子処方箋についての質疑を続けていきたいと思います。

 本会議で私、この電子処方箋についても取り上げさせていただきました。電子処方箋の利用の際の医師の電子署名、これについて質問したところ、大臣からは、HPKIカードの更なる普及のために補正の二・一億円を活用する、さらに、多様な方法による電子署名が可能になるように、民間の電子署名サービスやマイナンバーカードによる電子署名へのサービスの対応を検討していると答弁がありました。

 HPKIの普及に関しては、今回、補正で更に進めるということなんですが、トータル、これまでどれだけの予算が使われてきたのか、まず伺います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 HPKIの普及啓発に当たって、令和三年度補正予算で二・一億円を確保しておりまして、それを今後使おうと考えておりますが、過去、平成二十五年度から令和三年度までに合計約二・七億円の予算を執行しております。

田中(健)委員 HPKIカードなんですけれども、これが、今現時点で五〇%とか六〇%とか半数以上のお医者さんやまた薬局で使われているなら、今言った更なる普及のための二・一億円の補正の活用というのもあるとは思うんですが、十年やって現在六%しか普及していないこのカードに、更に多額の費用をかけて進める理由というのがまだ私、理解できていません。

 デジタル改革法案が、今、議論されて、令和六年からスタートしようとしておりますが、ここにおいても、マイナンバーカードによる国家資格の管理、今、国家公務員の人は身分証明書とともにマイナンバーカードがセットになっておりますが、そのようなものが国家資格にもこれから適用されていくという大目標がある中で、このHPKIカードを一方で進めるというのが、私としてはどうなんだろうかという大きな疑問があります。

 たくさんの署名を使えるのは、冒頭の大臣の答弁のように、いいようにも捉えられるんですけれども、しかし、管理やシステム、更にコストも、ずっとランニングコストがかかりますので、これがずっと続くことになりますし、結局トラブルの元になるんじゃないかと。

 国民にはマイナンバーカードを進めておりますし、またマイナ保険証という、これからキャンペーンも始まりますけれども、促進をしている中、どうして医療機関にはマイナンバーカードを進めないでこのHPKIカードを更に予算を使って進めるのか、一本化を求めないのか。改めて御説明をお願いします。

後藤国務大臣 電子処方箋には、真正性確保のために、医師等の電子署名を付すこととしておりまして、資格確認を含め、電子署名ができる仕組みとすることは必要不可欠なんでありますが、この観点から、現時点で利用可能な電子署名の仕組みはHPKIカードのみでありまして、来年一月の電子処方箋の円滑な導入のために、HPKIの普及促進は重要だというふうに考えております。

 一方で、医療現場のニーズを踏まえて、HPKIに限定せず、多様な方法による電子署名を利用可能とするということも重要であると考えておりまして、マイナンバーカードによる電子署名への対応等についても現在検討を進めているところということで申し上げております。

田中(健)委員 本会議のときの答弁と余り変わらないんですけれども、まだちょっと納得はいかないんですけれども、これから、これを進めてどのくらいの普及率になるのか、またどのようなシステムで併用していくのかということを、また委員会で追って質問していきたいと思っています。

 また本会議の答弁を続けますが、この処方箋を使い、外来でこれらの情報を活用して診療が行われた場合、初診料等に新たな加算を設けることにしました、この場合、通常の診療報酬改定と同じ負担関係になりますという答弁がありました。これは先ほども委員の中で取り上げていただいた方もいましたが、つまり、私たち患者にとっては負担増になるということです。

 診療報酬が上がることで、私たち一般の三割負担の患者というのは、今回、初診や再診や、また薬局も変わりますから薬の調剤で、具体的にどれだけ負担増になるのか伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、患者さんにとりまして、自ら同意した上で過去の薬剤情報や特定健診結果を医療機関等に提供することによりまして、よりよい医療が受けられるといったメリットがございます。

 このため、令和四年度診療報酬改定におきましては、中医協での議論を経まして、診断及び治療等の質の向上を図る観点から、外来で過去の薬剤情報や特定健診結果等の情報を活用して診療が行われた場合に、新たな加算を設け、評価することといたしました。

 御質問の医療費の自己負担でございますけれども、三割の患者さんで申し上げますと、医療機関では、初診料の場合二十一円、再診料の場合十二円、外来診療料の場合十二円、薬局では、調剤管理料といたしまして九円を新たに御負担いただくこととなります。

 国民の皆様にとりましては、先ほど申し上げましたよりよい医療が受けられるというメリットがございますので、この点につきまして丁寧に周知広報に取り組みまして、御理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 たかが二十一円、されど二十一円でありまして、国全体としては大きな額になりまして、答弁をしてもらったんですけれども、メリットを国民に伝えていくということなんですけれども、メリットを感じる前にこれが大きな負担になってしまうというのでは本末転倒になるんじゃないかという懸念があります。

 この診療報酬は、もちろん中医協で議論がされ、皆さんの納得の下、アップがされたということなんですけれども、一方で、このオンライン資格確認システムが、今、全医療機関で一四%ですか、まだ使われていないというのもこの委員会の議論の中でありました。このインセンティブとして診療報酬を上げて使ってもらおうということも言われていますが、一方で患者の自己負担が増える。医療機関の収入が上がるんですけれども、国民の負担も上がる。これは国民の理解が得られるんだろうかと疑問に思います。

 さらに、先ほど局長、自らの判断でと言ったんですが、そう言ってしまいますと、今回、紙の保険証でも電子処方箋を利用できるということも記載をされていますので、これはなかなか、政府が進めるマイナンバー、そしてマイナンバー保険証の、更に逆な意味で国民のインセンティブをそぐことにならないかということであります。

 既に、システム導入に関しては医療機関においては負担はかなり出ていまして、軽減がされていると思う中、逆に、マイナンバーの保険証が使えない医療機関は初診料等を、下げると言ってしまうと大変に批判が来そうなんですけれども、しかしながら、下げて、同時に患者の費用負担も減らしてといった逆の発想の方法はなかったのかなということも考えました。

 トータルで、国、また医療機関、さらには薬局、患者との費用負担の在り方ということについて、大臣に伺いたいと思います。

後藤国務大臣 令和四年度診療報酬改定では、オンライン資格確認について、診療及び治療等の質の向上を図る観点で、よりよい医療が受けられる点を評価して、初診料等に新たな加算を設け、評価しております。この改定に係る検討は中医協で行われましたけれども、御指摘のような観点からの議論は行われなかったものと承知しております。

 なお、中医協答申の附帯意見では、オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用について、今回改定による影響の調査、検証を行うとともに、オンライン資格確認の導入状況も踏まえ、評価の在り方について引き続き検討することとされていることから、診療報酬の在り方については、改定の影響等を踏まえつつ、引き続き中医協で議論をしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、費用負担について、医療保険制度は、保険者、国、地方公共団体、患者、それぞれが役割に応じて負担する費用で賄われているわけでございます。データヘルスの基盤となるオンライン資格確認等のシステムも、これと同様、関係者がその役割に応じ費用を負担し、運営しているということについても御理解をいただければというふうに思っております。

田中(健)委員 それだけ聞いてもなかなか国民には理解が難しいんですけれども、私自身も、マイナンバーに反対しているわけではありませんし、マイナンバー保険証は、是非、データヘルスないしはこれからの社会、大変重要だと思っています。進めるには国民の理解が必要ですし、何か知らない間に診療報酬が上がっていたというような思いをしていただくのは本意ではありませんので、是非、今言ったよりよい医療というものがこれからどのような姿になるのかを明らかにしていきたいと思います。

 質問の中でこればかり言っていますと、私、反対論者みたいになりますので、是非、プラスの面についても質問をしたいと思います。

 プラスの面としては、多重服薬や重複投薬の解消につながるということが言われています。これは併せてポリファーマシーということで、これまでも課題となってきたと思います。これらの対策、また今回における解消がどのように進むのか、伺います。

後藤国務大臣 これまでのポリファーマシー、多剤服用等による有害事象対策としては、医師、薬剤師等の連携体制の構築などが課題となっていることから、医療機関において対策を進めるためのツール等を作成し、周知を図ってきたところであります。

 今般、電子処方箋を導入することによりまして、一元的に調剤情報を閲覧、管理することができるようになりますことから、ポリファーマシー対策をより効率的、効果的に行うことが可能となります。

 今後、電子処方箋を活用したポリファーマシー対策の好事例を収集、展開するなど、厚生労働省としても効果的な対策の推進を図ってまいりたいと考えます。

田中(健)委員 この問題はよく認知症の方なんか、薬をたくさん飲んでしまい、ないしは家にたくさん、ごそっと残っていたというようなこれまで例があって、問題視されていたことがありました。是非これによってこの解消が進むことを期待していきたいと思います。

 また、さらに、この電子処方箋に伴って、これも委員会の議論でありました、オンライン診療、またオンライン服薬指導ということが進むということであります。

 オンライン診療においては、コロナ禍の特例措置で、これまでの初診からのオンライン診療、いよいよ恒久化になるということであります。大きな進展がありました。一方、オンライン服薬指導に関しても、ちょうど三月三十一日に省令改正がありまして、この一日に診療報酬改定があったばかりだと聞いています。この内容について伺いたいと思います。

鎌田政府参考人 御指摘がございました、三月三十一日の省令改正を踏まえたオンライン服薬指導の内容と、それから、それを踏まえました、四月一日以降にございました診療報酬改定についてお答えいたします。

 オンライン服薬指導、令和二年の四月十日に新型コロナウイルス対応として特例的な形で行われたわけでございますが、それをどう恒久化するかということを踏まえて出したのが、三月三十一日の薬機法の省令改正でございます。

 その内容でございますが、初回でも薬剤師の判断と責任に基づきましてオンライン服薬指導の実施を可能とすること。それから、オンライン診療又は訪問診療を行った際に交付した処方箋に限らずに、どの診療の処方箋でも取り扱えるようにすること。それから、特段、服薬指導計画と題する書面の作成を求めないことといった内容を変更したところでございます。

 また、それを踏まえまして出された四月一日からの診療報酬改定の中身でございますが、具体的には、対面診療による処方箋であっても実施可能とすることや、オンライン服薬指導の実施割合等の制限の廃止を行うとともに、対面と同じ点数で算定したというものでございます。

田中(健)委員 オンライン診療、そしてオンライン服薬指導、いよいよ全て対面と同じ診療報酬ということでありまして、差がなくなったということでありますから、これは大きく進む第一歩かと思っておりまして、これも期待をしております。

 さらに、今、診療、また服薬指導ができましたから、最後の配送手段でございます。これについても、これまで、薬機法による服薬指導において対面での受渡しが前提でありましたが、一部、このコロナ禍におきまして、特例で配送が行われていたり、薬局の方が直接持ってきたりということがありましたが、今回の省令でどのように扱えるようになったのかということについても、また、どれだけこれまで使われてきたのかということも分かれば、併せてお願いします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 多少経緯も含めまして整理いたしますと、服薬指導後の薬剤の配送、郵送でございますが、患者さんの御了解を得られれば、これまでも、コロナ以前でも、薬剤の品質の保持ですとか、患者さんへの確実な授与がなされる範囲であれば実施可能でございましたが、ただ、そういったニーズがあったかどうかという点では、進まなかったとか利用が少なかったという実態がございます。

 それで、新型コロナウイルス感染症拡大に際しましては、時限的、特例的な措置として、情報通信機器あるいは電話での服薬指導でも可能になりましたので、また、感染防止という観点から利用が広まったと考えております。

 その実績でございますが、令和二年四月から九月の間に情報通信機器や電話によって服薬指導を受けた患者さんのうち、新規の患者さんにつきましては一二・六%、二回目以降の患者さんにつきましては三九・三%が薬剤を郵送等により受け取られていたというものでございます。

 そして、御紹介ございました三月三十一日の省令改正によりまして、全ての患者さんにつきまして、患者さんの求めに応じて、その都度、薬剤師の判断と責任に基づきましてオンライン服薬指導が可能となったわけでございますが、今後、それに合わせまして、我々、郵送を始めとした様々な方法による薬剤の配送が想定される、つまり利用する方が多いだろうということで、駅構内やコンビニエンスストアの宅配ロッカーの使用も含めた配送方法の留意点を明確化したところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 これによりまして、一気通貫というか、一連の過程がオンラインでつながるようになるということであります。配送手段も、ちょっと私も、今整理していただいたんですけれども、いろいろな配送手段が出ていて、どういう基準に基づいてやっているのかなということが分かりませんでした。今の、まさに対面でなくても配送を受けられるということ、最近、特にコンビニでの配送手段というのがよくマスコミでも取り上げておりましたので、そのようなことが進めば、更に患者が、ないしは利用者が得をするというか、よりよい医療と先ほど大臣はおっしゃっていただきましたが、それにつながるかと思っています。

 最後となりますが、このような中ではあるんですけれども、薬局、薬剤師の数ということを最後に聞きたいと思います。

 これは物すごい数が増えています。平成二年の三万六千九百八十一という数から、直近にある令和二年には六万九百五十一と、コンビニより多いそうであります。さらに、OECDの先進国のデータでも、日本の薬剤師数は大変に多いということが言われています。これらの数に見合った役割というのが発揮できるのか。

 一方で、これも委員会の中でありましたが、地方においては、偏在がありまして、薬局がない、また多くはアクセスが悪いというところもあり、このような大きな課題を全体として日本で抱えているんじゃないかと思っていますが、これらの課題について大臣からの見解を伺います。

後藤国務大臣 少子高齢化が進展し、これまで以上に地域の医療の担い手確保が困難になる中で、地域医療を支えていくためには、地域における薬局や薬剤師の一層の活躍は欠かせないと認識しております。

 厚生労働省としては、平成二十七年十月に患者のための薬局ビジョンを策定し、かかりつけ薬剤師、薬局について、地域における総合的な医療・介護サービスを提供する一員として、患者ごとに最適な薬学的管理、指導を行うことが必要との位置づけを明確にするとともに、対物業務から対人業務への転換を促しております。

 今委員御指摘のとおり、デジタル技術の活用は、業務の効率化に資するだけではなくて、対人業務の充実も期待されると考えております。具体的には、電子処方箋により処方、調剤情報を把握し、先ほどまで御議論をしていただいたとおり、ポリファーマシーの解消や医師への処方提案が可能となります。また、オンライン服薬指導のアプリケーションを活用し、適時適切に患者のフォローアップも行えるということであります。スマートウォッチなどのIoTデバイスから得られた情報等を踏まえた受診勧奨や健康サービスの提案もできるようになる。このようないろいろな具体的な使い方が可能になると考えておりまして、患者のニーズに応えるサービスを提供できるようになると考えております。

 私としても、地域の薬局、薬剤師が、デジタル技術を駆使して、地域包括ケアシステムの担い手として本来果たすべき役割を最大限に発揮し、地域の医療サービスの質が一層高まっていくことを期待しております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 数の問題について、もう少し具体的にお話を聞きたかったんですが、また次の機会にお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず初めに、薬機法の前に、この四月から年金の繰下げ受給について七十五歳まで選択できることになりました。あるメディアの報道を見ていましたら、七十五歳に繰り下げた場合は八十六歳で六十五歳から受給した場合の受給総額を上回る、こんなふうに流れておりましたが、税金や社会保険料が増えることは考慮されておりませんでした。

 二年前、国会で取り上げました。税金と社会保険料を引いた額で見ると、六十五歳で十五万円の年金の方が七十五歳に繰り下げた場合、六十五歳から受けた場合の受給総額が上回るのは九十歳、これは当時の年金局長の答弁だったわけです。

 資料の六ページに参議院の附帯決議をつけております。年金の繰下げ受給については、社会保険料、所得税、住民税等の負担が増加することについても、国民に分かりやすい形で周知徹底するとともに、国民が年金額と社会保険料等の負担の変化を簡易にイメージできるような方策を検討すること。

 資料の最後二枚が、今回の制度の下での年金機構の案内チラシと、その前の案内チラシということで、ほとんど変わっていない、まあ微妙に変わっておりますけれども。

 お伺いしますけれども、この附帯決議の検討、具体化というのはどうなったんでしょうか。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 年金の繰下げ受給につきましては、受給開始年齢を遅らせることで年金が増額されるというメリットと併せて、繰下げ受給に伴う種々の留意点についても周知することが重要であると認識しております。

 このため、今、先生御指摘の附帯決議も踏まえ、繰下げ受給に関するリーフレットにおいて、年金受給開始時期を遅らせている間は加給年金や振替加算も併せて支給されないこと、繰下げにより増額した年金を受給し収入が増加することにより、社会保険料や税の負担が増加する場合があることなどの留意点を記載し、年金受給開始年齢に到達した方に送付するなど、周知広報に努めているところでございます。

 また、働き方、暮らし方の変化に伴う将来の年金額の変化を見える化するための仕組みとして、個々人の年金額を簡易に試算するツール、公的年金シミュレーターをスマートフォンやパソコンから国民の皆様に利用していただけるよう、現在、準備をしているところであります。今月下旬の運用開始を予定しております。

 このシミュレーターには、繰下げ受給した場合も含め、年金受給開始時期に応じた国保、介護保険料や税の支払い額の大まかなイメージを表示する機能も設けております。

 現在、厚生労働省のホームページにおいて動画等を用いてシミュレーターの使い方について広報しているところであり、多くの皆様に御利用をいただければと考えております。

宮本(徹)委員 是非、このチラシにも、そういうシミュレーターもありますよというのを案内していただきたいというふうに思います。

 それでは、薬機法の問題に入ります。

 先日取り上げましたワクチンの長期副反応に続きましては、今日、資料の一枚目に配っておりますが、ヒラハタクリニックでの一月段階の資料をつけておきました。先日の質疑で、治療法の研究をするという答弁がありました。今日の阿部知子さんの質問の中では帯状疱疹の話もありまして、やはり免疫への影響というのはあるんじゃないかというお話がありましたので、この治療法の研究、自己免疫性の症状、これはしっかりやっていただきたいというのは重ねて申し上げておきたいと思います。

 あわせて、被害の救済というのは極めて重要であります。本会議では、救済について、予防接種によって起こることを否定できない場合も含め救済の対象としている、こういう答弁が総理からございました。

 お伺いしたいんですけれども、現状において、新型コロナウイルスワクチンについて、アナフィラキシー、急性アレルギー反応を除いた副反応について、申請件数と救済認定数、認定率、申請から認定までの平均期間はどのくらいでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防接種被害救済制度におきましては、三月二十五日に開催されました審査会の時点で、新型コロナワクチン接種後に健康被害が生じたとして、御本人等から市町村に申請し、その後、市町村から国に進達された件数は千百九十八件でありまして、そのうち認定した件数は六百五十件となっております。

 また、御質問のアナフィラキシーや急性アレルギー反応等を含め、国に進達される際に記載されている傷病名等と実際に審査会を経て決定される傷病名が一致しない事例もございまして、アナフィラキシーや急性アレルギー反応等を除いた申請件数や、その申請件数に対する認定率等をお示しすることは困難でございます。

 それから、事例によりまして異なるため、一概にお答えすることは困難でありますけれども、これまでの定期接種に係る健康被害救済では、市町村からの進達から認定までに半年から一年程度の期間を要しておりまして、新型コロナワクチンについてもおおむね同様となっております。

 なお、最終的に認定された事例に限りますと、同じ審査会の時点で、アナフィラキシー、アナフィラキシー様症状、急性アレルギー反応、じんま疹を除いた認定件数は二十三件となっております。

宮本(徹)委員 認定件数だけだと困っちゃうんですけれども、申請件数との関係で認定率というのは出せますので、それはちょっと後でもう一回、事務方に計算していただきます。

 あわせて、この間の資料でも、審査会では、亡くなった方の五人の例はいずれも保留ということになっているわけです。

 新型コロナウイルスのワクチンや、あるいはこの間議論になっておりますが、HPVのワクチンなどは、新しい作用機序のワクチンであります。その場合は、知見が集積されていない状態で承認をしているということですから、救済においても広く救済する、こういう姿勢でなければ、私はバランスを失すると思います。

 しかし、新型コロナワクチンの副反応の被害救済の認定状況は、先ほどあったとおり、アナフィラキシー以外は二十三件、しかも半年から一年、国に書類が届いてからも時間がかかっているという状況でございます。

 先ほど総理の答弁を紹介しましたけれども、今の制度の運用は、因果関係を否定できない以上は救済する、こういう答弁とは異なる運用になっているんじゃないですか。

後藤国務大臣 予防接種法やPMDA法に基づく健康被害の救済制度では、繰り返しになりますけれども、健康被害の救済に当たりまして、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、予防接種の場合、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合でも救済対象とするとの考え方に基づいて行われておりまして、医薬品等の救済の給付申請に対して、救済の対象とした割合には差異があるものの、医薬品等と健康被害等との因果関係については、審議会において、専門家の御意見を踏まえて、適切に判断されているものと考えております。

宮本(徹)委員 今の状況が適切だと言われたら、本当に国民は困っちゃうと思うんですね。ちなみに、HPVワクチンのときも四割しか救済されておりません。

 今日は、韓国の資料をお持ちしました。お隣の韓国ではどうなのかということでございます。

 資料の二ページ目を見ていただきたいというふうに思いますが、これは、ワクチンの種類別の異常反応及びアナフィラキシーの補償状況ということでございます。

 アストラゼネカが三千八百六十五件、ファイザーが三千九百八十一件、モデルナが一千百五十一件、ヤンセンというのがあるんですかね、二百六十五件ということで、アナフィラキシーの件数はその右に書いていますけれども、アナフィラキシーについては日本の方がたくさん救済されているのかなと思いますけれども、それ以外を含めて、かなり、韓国でいえば、既に九千件ぐらいですかね、補償されているということになっているわけですね。

 日本の制度との違いというのを見ると、一つは、これは資料の、次の三ページ目を見ていただきたいんですけれども、下の方に書いてありますけれども、報酬申請のある日から百二十日以内が審議の期限ということが書いてあります。法律で、請求から審議して補償を決定するまでの期間が百二十日以内というふうに、韓国では法律で決められております。

 それから二つ目に、書類についても、必要な書類が書かれておりますけれども、日本との違い、これだけでは全て分からない面もあるんですけれども、例えば、日本の場合は、ここに書かれているもの以外でいえば、亡くなった場合は、予防接種を受けたことにより死亡したことを証明することができる医師が作成した資料というふうになっているんですよね。あるいは、障害についても、日本の場合は、予防接種を受けたことにより障害の状態となったことを証明することができる医師の作成した診療録ということになっているわけですよ。

 申請のハードルが日本の方が高い、そして、一般的に、日本は医師の作成した診療録、これを作ってもらって、集めるのにも大分時間がかかるというのが今の現状です。

 それから、大きな違いが判断の基準なんですね。これは資料の五ページ目を見ていただきたいと思います。下の方に、真ん中にも少し書いてありますけれども、下の方にも書いてあります。英文で書いてあります。

 韓国では五段階に分けております。一、関連性が明白な場合、二、蓋然性がある場合、三、可能性がある場合、四、関連性が認め難い場合、五、明確に関連性がない場合。

 一から三が補償の対象ということで行われてきました。一から三というのは、可能性がある場合以上ですね、が元々の補償の対象と。

 さらに、昨年末、四の、関連性が認め難い場合も二つに分けて、一つは、ワクチン接種後の死亡について時間的可能性があり、ワクチンと異常反応に対する資料が十分でない場合、もう一つは他の理由による可能性が高い場合ということで、前者の場合は新たな制度を設けて支給の対象にするということにしました。できるだけたくさん、やはり、国の政策として予防接種を進めているという下で、救済される人を増やしていこうということで韓国では運用がなされております。

 是非、日本でも実際に救済される人が増えていくように、そして迅速な救済を進める、こういう観点から、この韓国の制度についても研究して、日本の制度改善にも生かしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 韓国の予防接種後の障害等に関する救済制度においては、我が国と同様に、予防接種後の障害等の事例について、韓国保健福祉部が専門家委員会の意見を聞き、接種との因果関係を認定した事例について救済がなされると承知をいたしております。

 また、韓国保健福祉部の報道発表資料には、新型コロナワクチン接種後の障害等、インジャリーについては、因果関係を証明するデータが不足する場合についても医療費等を補償する仕組みを創設したとの記載があります。

 先ほどから、我が国の予防接種健康被害救済制度についての因果関係等の話については繰り返し御説明させていただいておりますけれども、予防接種の健康被害救済制度は、国により様々である医療制度、福祉制度等に影響を受けるものであると思います。一概に比較することは困難であるものの、韓国の制度の具体的な制度設計についても、必要に応じて情報収集を行ってまいりたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 必要に応じて情報収集を行っていくということですけれども、私は今がその必要なときだというふうに思うんですけれども、そういう認識でいいんですよね。

後藤国務大臣 情報収集を行ってまいります。

宮本(徹)委員 じゃ、しっかり情報収集を行っていただいて、是非、本当に、なかなか救済が届かなくて困っている方々はたくさんいらっしゃいますので、できるだけ幅広く救済されるように、基本的には、因果関係がないと断定できないものは可能性があるということで、やはり救済していかなきゃいけないというふうに私は思います。

 そういう点でいえば、韓国の救済状況と比べても、日本の救済制度は現時点でこういう状況ですから、救済制度が問題なく運用されているかのような前提で、これを緊急承認制度でも適用するという答弁では、私はなかなか国民の理解は得られないというふうに思いますが、その点、いかがですか。

後藤国務大臣 既にこれまでも答弁を申し上げたとおりではあると思うのですが、医薬品等と健康被害との因果関係については、審議会において、専門家の御意見を踏まえて、適切に判断されているものと考えております。

 緊急承認された医薬品については、通常の薬事承認と同水準の安全性が確認されることを前提としておりますことから、現行の救済の枠組みについても維持されるものであり、今後とも、この適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 ちょっとそれではなかなか国民の理解は得られないと思いますので、ただ、韓国の制度についても情報を収集すると御答弁いただきましたので、是非早急な改善を図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、前回の質問の続きについてでございます。

 前回、第二相試験でウイルス量が減少することは確認できたけれども症状改善効果が認められないケースについて、緊急承認制度では有効性は推定されることになるのかと伺いました。別に個別の薬の名前を出しているわけじゃないですよ。大臣からは、予断を持って答えるのは困難だということでございました。このやり取りを聞いた医療現場からは心配の声が来ております。

 まず、根本的なことをお伺いしたいんですけれども、やはり、薬の目的は何なのかということなんですよね。データ上ウイルス量が減ることなのか、患者さんの状態がよくなることなのか。そもそも薬の目的というのは何なんでしょう、大臣。

後藤国務大臣 医薬品は、それを使用することにより、疾患を治癒したり、患者の症状を取り除いたり、軽くするといったことによりまして患者のQOLを向上させることが期待されるものでありまして、薬機法第二条においても人の疾病の治療等に使用されることが目的とされております。

宮本(徹)委員 全く、当然そのとおりなわけでございますよね。薬の目的というのは、やはり症状が改善していってこそ意味がある。例えば抗がん剤の開発でも、腫瘍マーカーの値を下げること自体が目的なのではなくて、生存率が改善していく、こういうことが大事なわけです。検査の値がよくなるというのも当然大事なことですけれども、それと併せて、症状が改善したり、延命効果があったり、こういうことが必要なわけですよね。ですから、私は、承認審査に当たっても薬の根本目的というのは基本に据えられるということが本当に大事なことだと思います。

 その上でお伺いしますけれども、これまで薬の開発の中で、試験管の実験でウイルスが減る、あるいは動物実験で効果があっても、実際の人体では必ずしも症状改善の効果がない場合というのも幾らでもあったんじゃないでしょうか。

鎌田政府参考人 試験管の中で実験でウイルス量が減っても、人体において必ずしもウイルス量が減るとは限らないというのはございます。

 我々としては、そうしたことも踏まえまして、治験、第一相、第二相、第三相の試験において、どのような、ウイルス量の減少という目的があった場合でも、それでその目的が、ウイルス量が減少したのかどうか、そしてまた、ほかに主要評価項目があれば、それで治療効果が出されたかどうかなどを踏まえまして、総合的に医薬品として判断しているところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、当然、試験管でウイルスが減ったからといっても人体では症状改善効果がない場合もある、だからこそ治験を通じて治療の効果そのものを見なきゃいけないんだ、これが基本だということですよね。そこを、本当に明示的に、前回は何か予断を持って答えるのは困難だという答弁があって、大変懸念されるわけです。

 例えば、この間、大きな報道もありましたけれども、イベルメクチン、国内の薬ですから大変期待が高い面はあったわけですけれども、ニューイングランド・ジャーナルでは、三月三十日、国際研究チームの論文の結果、症状改善の効果についてはなかなか見出せなかったというものが出ておりました。ただ、ウイルス量は実験では減っていたわけですよ。試験管の中ではそういう結果が出ても、必ずしも人体でどうなのかということは、イコールではないということだと思います。

 その上で、第二相で安全性は確認できるという答弁が繰り返されておりますけれども、現実には、第三相試験まで行っても、その後新たな副作用が明らかになって市場から消えた薬というのも幾つもございます。例えば、抗生物質のケテック、これは販売開始後に意識喪失の副作用が明らかになりました。あるいはガチフロ、これも販売開始後に低血糖の副作用が明らかになり販売中止になりました。こういう例は第三相までやってもあるわけですよ。ましてや第二相でということになったら、当然、安全性が全部確認できるのかといったら、それは限界があるというのははっきりしていると思います。

 緊急事態において、命を救うためにその薬しかないという場合は、承認を早めるというのは当然あり得ることだと思います。しかし、パンデミックであっても既にほかにも治療用の薬が開発されている、そういう場合というのはまた違ってくると思うんですよね。パンデミックで、それを治療するための薬が何もない段階と、既に幾つかの治療用の薬がある段階というのは、やはり違うというふうに思います。

 その薬を早く承認しなければ命が救えないという場合でなければ、既にほかの治療用の薬があるような場合は、第三相試験までやるというのが基本だと思うんですけれども、その点はいかがですか。

後藤国務大臣 緊急承認制度は、緊急に使用する必要があり、他の医薬品での代替が困難な医薬品を制度の対象といたしております。

 委員御指摘のように、他の複数の医薬品が既に承認されている状況であって安定的な供給が確保されている場合など、代替の困難性に係る要件を満たさない場合には緊急承認制度を適用することはできず、薬事承認に当たっては、原則として第三相試験等に基づき有効性を確認する必要があると考えます。

 緊急時において、安全性を確保しつつ、有用な医薬品の速やかな実用化、安定的な供給が確保できるよう、適切に運用してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 安定的な供給というのにも幅があるのかなという感じもするんですけれどもね。

 アメリカの緊急使用許可も、だんだんだんだん求める試験のレベルが高くなってきている経過があるんじゃないかと思うんですね。初めの頃は本当に少ない実例と実験で、それこそ先日大臣から答弁がありましたクロロキンのように、実際使ってみたら、これは駄目だった、逆に死亡率を高めたということで許可取消しになる。初めの方はそういうものもあったわけですよね。だけれども、ロナプリーブぐらいになると第二相までやり、最近のラゲブリオだとか何だとかというのは基本は第三相の初期データぐらいまで見て、緊急使用許可をしていっているわけですよね。

 ですから、やはり緊急性に応じてしっかりと見ていくというのが大事だと思うんですよね。緊急性がだんだんだんだんほかの治療薬ができてくれば乏しく当然なっていくわけですから、そこはしっかり第三相までやっていこうということを原則にしていただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、本日の質問を終わらさせていただきます。

 続きはまた次回させていただきます。失礼します。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日、審議の最後のバッターになっております。

 私が配付しました資料一枚目を見ていただきたいんですけれども、科学的なシーズ、種があって、そして実用化に向けては深い谷がある。よく、デスバレー、死の谷というふうに言われておりまして、これをいかに早く、そして縮めていくのかというのが非常に大きな課題です。こちらの図にもありますように、基礎研究があってこそ、今回の薬機法にも関係しますけれども、新薬ができてくる、そういうことになります。

 ちょっと、通告を突然させていただきましたが、先月の末に流れたニュースですけれども、所管は違いますが、国立研究開発法人理化学研究所の若くて優秀な有期研究員がもしかしたら解雇されるかもしれない、しかも三百人規模、そして、各々の方々はそれぞれのラボ、研究所に配置されていましたので、そのラボも閉じてしまう、いわゆる、行っていた研究が継続できないかもしれないので、そういったことをいって、そのラボがもし解散してしまう、あるいは研究ができないとなると、およそ六百人近い方々、優秀なブレーンが流出してしまうかもしれない、そういうニュースが出ています。

 これも、厚労省にも関係する雇用の契約法、この改正もあるというふうに言われていますので、労働契約法ですね。それで、このことに関しまして、後藤大臣、ちょっと所管は違うんですけれども、こういった事態、基礎研究あっての新薬、そういうことで見ますと、どうお感じになっていらっしゃいますか。

後藤国務大臣 まず、創薬研究を始めとして、特に今必要なのが、若手の研究者を大切にすることが、今の我が国の研究開発力を強化していくために必要である、そういう政策のニーズについては、委員の御意見と、共有するものであります。

 その上で、今日御議論になっている理研自身は、我が国の研究の上において非常に重要な役割を果たしている団体でございますけれども、文部科学省を始めとして関係省庁において研究環境の整備のための取組をされているということで、厚生労働省として、労働関係法令の所管者として、その周知を含め、関係省庁とも連携して、労働関係法の適切な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。

 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただくということでございますけれども、一般論として申し上げれば、この間も申し上げましたけれども、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないというふうに考えております。

 また、研究開発法人が雇い止めの期間が十年になっているのも、契約法が五年としたときに、最低、研究のためのプロジェクトの期間としては、十年ぐらいは見込まないとそれなりの成果が出ないのではないかというのが、当時、議員立法として議論されたときの御議論だったというふうに思います。

仁木委員 この国の将来にとって、そして今の国民の健康、医療を支えるに当たって基礎研究は本当に大切ですし、今、大臣がお答えになった、特にお気持ち、すごく共有するところでございます。ただ、一つ露呈しているのも改正労働契約法の問題点でもあると思いますので、またそれは次回の審議に委ねたいと思いますが、今日はPMDAの方について述べたいと思います。

 旧来、薬事戦略相談室というのがありまして、特に、私もかつて大手製薬メーカーの治験担当の人と話をしたことがあるんですけれども、やはり、ちょっと窓口の方が堅いというか、ちょっと、悪い意味で言うわけじゃないんですけれども、お役所的で、何か行きづらい、相談しにくい、そういう形があったことを受けて、RS、いわゆるレギュラトリーサイエンスという形の総合相談あるいは戦略相談という形に変わられまして、そして、その前段として、人もやはりPMDAに増やしていくということも、これは、私も前に民主党の国会議員でございましたけれども、そのときもうたっていて、今その流れは引き継いでおられます。

 これが、二枚目の資料ですけれども、PMDAの人員体制の推移を年次的に表しています。

 今、約千人近くになっていますが、同時に、やはり、現場、いわゆる臨床にいた者が患者さんのことを思いながらそういった創薬の過程に携わる、これはかなり重要だと思います。できるだけ安全で、もしかしたらこのお薬が臨床で使われると命が助かるかもしれない、健康になるかもしれない、病気が治るかもしれない、そういうお薬を早く届けるためには、やはり、臨床においてそういった経験のある者もこういったPMDAの従業員というか、にいるということは大きいことだと思いますが、その辺の経緯について、大臣、お答えいただきたいと思います。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生から御紹介いただきましたPMDAでの相談、かつて先生から御指摘のあったような課題もありまして、御支援も得まして、人を増やすとともに、きめ細やかにということで、今先生から資料をいただきましたものは、アカデミアとか大学とか、正直に申し上げまして、なかなか薬事の情報が乏しい方々でもございますし、一方で、企業の方々にも、更にきめ細かく、開発の段階、あるいは安全性とか品質とか、そういうきめ細やかに相談しているのも先生の御指摘を踏まえてということでございまして、その際に、単にきめ細やかにとか細かくするだけでなくて、臨床の状況ですとか現場の状況を踏まえた人材の育成ということでございますが、我々としては、お示しいただいたような職員の増員に加えまして、様々な職種を増やしていこうと。

 薬の審査ということで薬剤師ですとか多いんじゃないかとお考えかと思いますが、御紹介いただきましたように、お医者さんで臨床もいるし、あるいは医療機器もございますので電気系ですとか工学系も入れる。さらに、そうした方々が更に、現場だということで、臨床の現場に医師を派遣するというような、あるいは人事交流する等しておりますし、また、それは医師の資格を持っている職員だけじゃなくて、例えば薬剤師であれば病院の薬剤師部門に行くという研修制度も始めましたし、さらに、大学と連携をして、研究の段階、アカデミアの分野での人事交流あるいは情報交換もするということで、なるべく現場に即した人材の育成ということを図っているところでございます。

仁木委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、今後この分野においても、特に、安全性をより担保する、そして薬の有効性も確かめていく、そのことに関しましてAIとかICTを駆使しながらリアルワールドデータ等の活用とも併せたり、あるいは、今後、また後で述べますけれども、国民の治験の理解をいただきながらより治験しやすい環境を整えれば、本当に、より信憑性のある創薬につながるようなデータが得られるというふうに思っておりますので、お願いしたいというふうに思います。

 そして、これは私も前から述べてきたことですけれども、先ほど私も申しました、国民の理解ということで、治験とか、これはある程度、例えば今回のコロナウイルス感染症に対するワクチンや治療薬、これを例えば第三相試験とかやるにつけてはより多くの母集団、被験者が必要でございますので、やはり、創薬する過程において国民の協力も要るということも、これは日本がバイオヘルスの分野で存在感ある国になるためには大切だと思います。

 ですから、厚労省のいろいろな施策あるいは情報発信、ちょっと弱いというイメージがあって、もちろん、そしていろいろなサイト、ネット等にもあるわけですけれども、アクセスしても、何か専門用語がいっぱい出てくると、もうそこで国民は嫌になっちゃって読まないとか、ちょっと難しいなと思っちゃいますので、そういったことを、より国民への広報啓発について、特に基礎研究、そして特に人が必要な臨床の研究、そのことに対して工夫をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 国民の命、健康を守る新薬の創出に向けて治験や臨床研究を推進することは、大変重要であると思います。患者、国民の参画を促すとともに、治験等の実施体制を強化していく必要があると考えております。

 このため、今委員からも御指摘がありましたように、患者、国民の参加を促すという観点からも、治験や臨床研究への参画のため最新の治療が受けられることや、医療の発展にも貢献できることなどについて十分に理解を深めていただけるように、啓発をしっかり行っていくことが必要であるというふうに思っております。実施中の治験、臨床研究の情報に関するデータベースの充実にも取り組んでまいりたいと思います。

 また、実施体制を強化していくという観点からは、日本の治験や臨床研究をリードする医療機関である臨床研究中核病院を通じて治験等を担う従事者への研修を行うなど、人材育成もしていく必要があるというふうに思いますし、AMEDを通じまして医薬品の研究開発資金の支援を行っておりますけれども、治療薬の治験や薬事承認に必要な費用の補助なども行ってまいりたいと思います。

 こうした内容の推進を含む医薬品産業ビジョン二〇二一を昨年九月にまとめたところであり、引き続き、新薬の創出に向け、治験や臨床研究の推進に取り組んでまいりたいと思います。

仁木委員 そして、今回の薬機法のことについて質問しますが、第三相試験が場合によってはカットできるかもしれない。

 これは過去の経緯ですけれども、今回のコロナウイルス感染症に対するワクチン、モデルナ、いわゆるスパイクバックスが、量が半分になってブースター接種となっています。その経緯は、遅れた経緯、いわゆる海外に比べて接種時期が遅れた経緯とつながるのかもしれませんが、どういった経緯で遅れたのか、あるいはどういった経緯で半分になったのかということも検証する中で、やはり、第三相試験的な、より多くの被験者をもってすれば、もちろん、モデルナもファイザーもアメリカの会社ですから、米国内における治験、つまり、具体的に言うと体の大きい人ですね。薬というのはやはり体重依存というのが、効果あるいは副反応も連動しますので、その辺に関しまして、どういった治験から、具体的には〇・五ミリリットルから〇・二五ミリリットルにスパイクバックスが減った経緯が分かりましたら、お答えいただきたいと思います。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、モデルナ、スパイクバックスですね、ブースター接種において半量になったというところでございます。それは、当初の、初回免疫というんでしょうか、初回の接種のときの試験設計で使っていた、その後の実施の試験を改めて追加でモデルナが半量で試験したところ、同じような効果が表れるというデータがまとまりましたので、モデルナ社の方からそういった申請が来て、それを認めたという経緯でございます。

仁木委員 先ほど来いろいろな御質問に立っている委員がいらっしゃいますけれども、やはり、副反応が気になってワクチン接種につながらないという理由が一番多いと思います。

 そういう意味でいうと、やはり、治験が十分にできていない中で、特に国内ですね、そういう接種が始まっているわけですので、私もやはり経験的に、もし副反応が出て、患者さんが本当に、現場の医師が診て、それで申請する、そういうスキームになっていますので、そういう医師も間に入って、しかもそれがある程度ワクチンの接種と因果関係があると思われることに関しましては、やはり救済していかないと、なかなか日本のワクチン行政というのは進まないんじゃないかと思っています。

 片や、私は再三この場所でリスクコミュニケーションのことを言っておりますが、やはりファクトを、エビデンスをしっかりと国がつくって、デメリット、リスクもしっかりと説明して、そしてメリットも示していく。

 特にワクチンにおいては、抗体があるかどうか、これが免疫の有無につながりますので、やはり、どのくらい抗体が持続するのかどうかということもしっかりとやっていくべきだということで、特に、この場所で繰り返しになりますが、五歳から十一歳までのオレンジファイザーを使ってのワクチン接種が始まっておりますが、これも、タイミングを逸すると、こういった臨床研究、いわゆる、打ってからどのくらい抗体が続くのかという、私は前のこの場所で質問しました、採血して、抗体価をトレースして追いかけていくということができにくくなりますので、その辺も併せて、今、研究班の伊藤先生にもおっしゃっていただいて、やっていただければというふうに思っております。

 そうしたら、今ちょっと電子処方の方の質問に移りたいと思いますけれども、こちら、私の資料の三枚目を見ていただきたいんですが、今、総観してこういう状態になります。

 本人確認のことで、ちょっと具体的な場面を想定していただきたいんですが、これは、本人確認をマイナンバーカードと、あれはたしか、マイナンバーを入れると顔を写すような形になると思うんですね。そうしましたら、例えば、今、コロナ患者さんの陽性者を診る在宅サポート医制度とかも、実際、各都道府県の医師会を中心に回っておりますし、あるいは、私もやっておりますけれども訪問診療等々、そういう患者さんのいらっしゃるところにそういうシステムがない場合は、どのように活用していったらいいんでしょうか。

鎌田政府参考人 訪問診療と電子処方箋、そして、顔認証というんでしょうか、マイナンバーを使った同意の取り方についてのお尋ねということでございますけれども、まず、訪問診療において電子処方箋が使えるか否かについてですが、訪問診療におきましても、患者の被保険者証を確認いたしまして、医師がモバイル端末で電子処方箋を発行することは可能でございます。

 ただ、オンライン資格確認のカードリーダー、先生おっしゃったように、店頭というか、窓口とかにありますので、それが使えませんので、過去の処方情報、調剤情報を、あるいは特定健診情報を在宅、つまり訪問診療先で閲覧することはできません。

 なお、現在、訪問診療などにおきまして、オンライン資格確認の仕組みについても検討を進めており、この検討の中で、レセプトに基づく薬剤情報や特定健診情報の閲覧の仕組みの在り方についても検討しているところでございます。

仁木委員 ありがとうございます。

 今、実際は、今おっしゃった、冒頭おっしゃったように、電子カルテで入力して、その現場でプリントアウトして、紙ベースの処方箋を出しているという現実が訪問診療ではあります。

 改めてお聞きしたいんですけれども、暫定的に電子処方箋のシステムを導入してから、最終形はやはりもう電子処方箋オンリーになっちゃうんでしょうか。そうでないとするならば、例えば、今までどおり紙ベースとか、先ほど言ったような、従来の、電子カルテにいって、実際に患者さんに紙ベースで出している、処方箋を出している場合ですね。何か、NDBと直結していますから、このポンチ絵にあるように。そうすると、再度、やはり入力、手入力を誰かがしなければいけないということになるんですかね、暫定措置というのは。

鎌田政府参考人 まず、今後、電子処方箋だけになるのか、普及するのかということでございますけれども、まず、我々としては、令和五年一月からスムーズにいくということに注力しておりますけれども、いつ一〇〇%になるか、あるいはどのくらい普及するかということについては、今後、我々、施行しながら図っていくことになりますので、いつだとか、今申し上げられませんが、当面は紙の情報も出すということで、両立するんだと思っております。

 それで、入力でございますけれども、いずれにしても、紙の情報であっても、現実には、先生方御案内のとおり、医師が端末に入力して、それをプリントアウトということで、情報自体は入っておるものでございますし、電子処方箋は、その入力情報を紙に印刷するんじゃなくて、それを電子的に、支払基金を介して、薬局とかで交換する仕組みなので、入力ということであれば、それは診療されるお医者さんがまず入力されているというふうに考えているところでございます。

仁木委員 私が申し上げたのは、そうなんですけれども、結局、NDBに載っちゃうということは診療報酬ですよね。そうすると、今のシステムにおいても、例えば、郵送というか紙ベースではもうほとんどなくて、保険者のところにDVDで持っていったり、データですね。データというのは診療の記録ですね。あるいは、そのまま電子上で送信したりする場合もあります。結局のところ、薬の部分だけを切り取って、それで処方箋、今、電子処方箋管理サービスに入力するということになるんでしょうか、誰かが。そういうことでしょうか。質問の意味、分かりますか。

鎌田政府参考人 ちょっと、説明が不十分で申し訳ございませんが、これはNDBとは連携しておりませんで、独立して、今のオンライン資格確認システム、オンライン資格確認も支払基金と医療機関とを結ぶシステムですが、それに電子処方箋の情報を載せて、支払基金の方にあるサーバーで保管というんでしょうか、センターとなって情報をやり取りする仕組みでございまして、先生はお医者さんでございますので、患者さんを診て処方情報を入力して、それで、オーダリングというんでしょうか、クリックして処方決定となれば、それで支払基金に情報が行くというものをイメージしていただければと存じます。

仁木委員 ありがとうございます。

 それで、私が、そのことに加えまして、ここのポンチ絵に、患者のいわゆるマイナポータルとかで自分の処方履歴とかを見ることができるということがあって、これが、電子処方箋管理サービスから個々の患者さんに届く、情報が。そこを双方向にして、患者さんからも何かこのシステムの方に情報が入れば、すごく立派な国民の健康に関するデータベースになると思うんですね。

 そういう意味でいうと、例えば公衆衛生のスタディーとか、あるいは医療費の抑制、あるいは無駄なお薬があるかどうかとか、このお薬が本当に、例えば鎮痛剤と胃粘膜保護剤をいつも常にパッケージで出すような処方のパターンもあるんですけれども、それはもう胃粘膜保護剤は要らないんじゃないかとかそういうことにもつながって、いわゆる財政的にはすごくいい形になるんじゃないかと思うので、それもお願いしたいと思います。

 そういう中で、セキュリティーのことをちょっと今問題にしたいと思うんです。

 私の徳島県の病院で、ちょっとランサムウェアバイラスというか、そういう身の代金の要求型のウイルスがコンピューターシステムに感染してしまいまして、診療が止まってしまったような事例があります。このポンチ絵を見ましても、ドクター側、薬局側、そういったウイルスが入っていく可能性が、やはり個々の端末がほかのネット空間につながっていますので、あると思うんですけれども、そういったセキュリティー対策をお答えいただきたいと思います。対応ですね。

 それともう一点は、同じセキュリティーなんですけれども、このバックアップ体制。大きなデータセンターを日本全国に二つ設けるというふうに伺っております。この辺の電源対策とか、その辺のセキュリティー対策も併せてお答えいただけたら国民は安心すると思います。よろしくお願いします。

鎌田政府参考人 まず、セキュリティーでございます。

 セキュリティーにつきましては、まずネットワーク回線、これが、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワーク、IP―VPN方式により構成されておりまして、インターネットには接続しない形になってございます。それから、電子処方箋を保管するクラウドシステム、それをインターネットから遮断してございます。そして、医療機関や薬局がウイルスの侵入を受けないようにルーター等でデータを選別いたしまして、具体的には、一定のデータ形式に沿った情報のみを選択して通す仕組みでございますので、ウイルス感染したファイルは通さないというようにしております。さらに、電子処方箋に電子署名を付しますので、改ざん防止ということを取っております。そうした総合的なセキュリティー対策を取っているのが一点目。

 それから、バックアップということでございましたが、災害時等どうするのかとか、それこそ支払基金のある地域で停電が起きた場合、どうなるのかということなんですが、電子処方箋につきましては、分散した複数のサーバーで処方データや調剤データを保管することとしておりますので、そうした場合においてもデータを喪失することはないという利点がございまして、実際に、基金においては、複数のサーバーでデータのバックアップを取るということでございます。

仁木委員 将来的にはこういったシステム、本当にいい形だと思っていますので、もう少し、もっともっと診療に、診察に応用していただきたいと思いまして、具体的には、例えば、ほかの病院で取った血液検査や、あるいは動画あるいは画像、そういった検査データが、ほかの次の先生に診てもらったときにそこで見られるようなシステム。

 ですから、私が申し上げたいのは、今、このシステムのソフトを担う会社にいろいろお金も支払われていると思うんですけれども、いろいろ、将来的な拡張を含めて、利活用を含めて、やはり国民によりメリットのあるような形にしていくということが、このシステムをより多く。医療機関はもちろん助成金もありますから、今一四%であったとしても、より一〇〇%近くなっていくかもしれませんが、やはり患者さんが、先ほどからの議論に出ていますけれども、より窓口負担が増えるということでございますので、やはりそれ以上のメリットを感じるような形にしないと、なかなか、私はこのマイナンバー制度を含めて浸透していかないと思いますので、その辺も併せて、より将来的なビジョン。

 私はこのシステムのことも申しましたけれども、最終形のことはどうなのかと申し上げましたが、そういったことも踏まえて、大臣、最後にですけれども、こういった、このシステムがより国民にとってメリットのあるようなものである、そういうふうな形の政策も同時に回せるような、そういう電子処方箋システムであるべきだと思いますので、そのことに対して何かありましたら、よろしくお願いします。

後藤国務大臣 今回の電子処方箋の仕組みについては、先ほどから局長からも説明させていただきました。そういう形で基金を使ってやるわけでありますけれども、今後どういうシステムの広がりとか連携ができていくのか、そういう点については、委員の御指摘等も踏まえながら、長い、中長期的な観点も含めて考えていくべきことだというふうに思います。

仁木委員 委員長、ありがとうございました。終わります。

橋本委員長 次回は、来る十二日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十分散会


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