衆議院

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第14号 令和4年4月15日(金曜日)

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令和四年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 俊平君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    武井 俊輔君

      土田  慎君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    古川 直季君

      堀内 詔子君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    柳本  顕君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    岡本あき子君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     小森 卓郎君

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  後藤田正純君     宮崎 政久君

  長谷川淳二君     古川 直季君

  堀内 詔子君     金子 俊平君

  早稲田ゆき君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     国光あやの君

  小森 卓郎君     加藤 勝信君

  西野 太亮君     平沼正二郎君

  古川 直季君     長谷川淳二君

  宮崎 政久君     後藤田正純君

  岡本あき子君     早稲田ゆき君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     武井 俊輔君

  平沼正二郎君     川崎ひでと君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

四月十四日

 保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案(岡本あき子君外十二名提出、衆法第二八号)

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柳樂晃洋君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官寺門成真君、厚生労働省医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、保険局長浜谷浩樹君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。

勝目委員 おはようございます。京都一区選出の、自由民主党、勝目康でございます。

 本日は、厚生労働委員会におきまして最初の質問の機会となります。委員長を始め関係の皆様に心より感謝を申し上げます。

 厚労省の皆様にお世話になるのは、二月の予算委員会の分科会以来のことであります。本日も、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、時間もありませんので、早速質問に入りたいと思います。

 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症では、これまでに経験のない対応を迫られて、厚生労働省さんを始め、国も、地方公共団体も、医療機関も、事業者も、皆が試行錯誤を繰り返しながら全力で対処をしてきた、そのような二年余りであったかと思います。

 今、足下の状況といたしましては、蔓延防止等重点措置、これは全国で終了したわけでありますけれども、BA・2の置き換わりもあり、また、今朝の大臣会見でも出ておりましたけれども、沖縄における感染の拡大、あるいは一部地方都市においてもそのような状況が見られるということでありまして、新規感染者数は増加傾向に転じております。また、重症者の数も下げ止まりという状況でございます。

 オミクロン主体の第六波以降は、無症状、軽症の方が多くて、新規感染者数のみで状況を判断するというのは、これは適当じゃないんだろうと思うわけでありますけれども、重症者の数あるいはお亡くなりになった方の数、そういった状況はよく見ておく必要がある、このように思っております。

 新型インフル特措法は、政府が基本的対処方針など対策の大枠を定めて、それで、各都道府県が地域の実情を踏まえて対策の総合的推進、その責任を有する、こういう法体系になっているものかと思っております。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染者の方のうち、重症者の数、それから亡くなった方の数につきまして、都道府県別に見てどういう状況か、御教示をいただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症の重症者数及び死亡者数につきまして、都道府県のホームページの公開情報を収集し、取りまとめた上で、公表しております。

 まず、重症者数につきましては、一部の都道府県でその定義が異なることに留意が必要ではございますけれども、四月十三日時点で、全国では二百三十一人となっております。都道府県別に見ますと、最も多いのは大阪府で四十五人、次いで東京都で二十三人、そして兵庫県は十七人となっております。なお、十一の県で重症者数がゼロというふうになっております。

 また、死亡者数につきましては、これも四月十三日時点の累積値でございますが、全国では二万八千八百十七人となっております。都道府県別で見ますと、最も多いのは大阪府で四千八百三十七人、次いで東京都で四千二百四十四人、神奈川県は二千百四十七人となっております。

 また、直近一週間、四月七日から十三日までの死亡者数は、全国で三百六十九人となっておりまして、都道府県別で見ますと、最も多いのは大阪府で八十四人、次いで神奈川県で三十四人、東京都が三十一人となっております。

勝目委員 ありがとうございます。

 重症者の数でありますけれども、四月十三日の今数字をいただいたんですけれども、その前は何かもうちょっと数が違ったんじゃないかと思うんですが、その状況をちょっと教えていただければと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今、四月十三日の状況を御報告させていただきましたが、四月十二日でありますと、大阪府が二百八十一名、東京都が二十七名、兵庫県が十三名となっております。

 大阪府の数について大きく違っておりますのは、都道府県ごとに若干重症者の定義が異なっておりまして、この新しい定義により大阪府から御報告いただいているという状況でございます。

勝目委員 ちょっと確認なんですけれども、四月十二日時点の二百八十一というこの大阪の数字、これは、全国、言うたら、国の基準による報告数値という理解でよろしいでしょうか。

佐原政府参考人 そのとおりでございます。

勝目委員 どうもありがとうございます。

 実数でも大阪府が多くなっているということでありますけれども、ちょっと、私、理解できないなと思いますのは、国基準による重症者の数、これが四月十二日まではそれで報告をされている、四月十三日以降は、定義が変えられたんですかね、それで、二百八十一が四十五になった、こういうことであります。だから、四十五の数字というのは国基準じゃない、こういう理解であろうかと思います。

 各都道府県において責任を有する新型コロナの対応につきまして、都道府県間の比較というのができる必要というのはあると思うんですよね。そうしないと、住民の方への情報提供としてもどうなんだというところがあると思いますし、また、その対策の評価についても、横の比較ができなければ、住民の方としてもできないわけであります。そういうところがある。

 厚労省さんとしても、オール・ジャパンで重症者の状況をずっとフォローされてきて、ある日突然、言うたら、報告値の半分以上を占めているところがごそっと減ってしまう、こういうことでありまして、全体像が全く異なってしまうんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。これでいいのかなと思うわけでありますけれども、本日は問題提起にとどめたいと思いますけれども、我々としてもしっかりここは見ていかないといけないな、このように考えております。

 いずれにしても、都道府県間でかなりばらつきが見られるわけでありますけれども、厚労省さんとして、この特に多いところについて、どういう要因があるのか、そのお考えをお聞かせください。

佐原政府参考人 まず、御質問の重症者の基準につきましては、各都道府県ごとで、いろいろ負担があるということで、都道府県独自ので報告いただいているところがありますが、節目節目では国基準での御報告をいただいて、比較できるようにしているところでございます。

 また、今御質問ありました要因ということでございますけれども、まず、一般論としては、新型コロナの重症者数、死亡者数に影響する要因としては、感染者数の増加、それから高齢者等の重症化リスクの高い方への感染の広がり、それからワクチンの接種の進捗状況、また地域の医療提供体制などが考えられるところでございます。

 各都道府県で重症者数、死亡者数にばらつきが見られることについては、こうした要因に関しての状況が地域によって異なることや、また、特に都市部では、夜間滞留人口が多いなどによりまして人との接触機会が多いため、感染者数が多くなる傾向があること等の要因が影響している可能性がございます。

勝目委員 ありがとうございます。

 様々な要因が考えられている中で、それぞれ、そこはもう都道府県の方でしっかりターゲットを絞った対策というものを講じて、その効果を出していくということが必要なんだろうと思います。

 日本全体、オール・ジャパンでの感染状況というのをしっかりマクロで捉える、これは当然大事なわけでありますけれども、そのときにやはり留意しないといけないのは、全国一律、一様に同じ状況じゃないということなわけであります。今ほどお答えありましたように、都道府県間でも大きなばらつきがあるわけでありますので、そこで、その数が多いところ、何が原因で、その対応のために何をしないといけないのか、これは国の方でも個別に把握をして、しっかり御助言をいただければというふうに思います。

 続きまして、今回の法改正で新設をされます緊急承認についてお伺いをしたいと思います。

 この緊急承認でありますけれども、国産の経口治療薬、これを速やかにお届けできることになれば、このコロナ対策の出口に向かって一歩進んでいけるんじゃないかなというふうに期待をするところであります。これまで、アメリカの薬二つが特例承認をされていて、今、塩野義さんが条件付承認を申請している、こういう状況であろうかと思います。

 おととい、この塩野義の薬につきまして催奇形性があるという報道がありましたけれども、事実関係と承認プロセスへの影響についてお伺いをいたします。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の塩野義製薬のコロナ経口薬に関する催奇形性についてでございますが、令和四年四月十三日に、塩野義製薬から、非臨床試験において胎児における骨格形態異常が生じていることは事実である旨、及び、塩野義製薬としては本件が本剤の承認審査の可否に影響を与えるものではないと考えている旨がプレスリリースされており、私どもも承知しているところでございます。

 ただ、御案内のとおり、現在審査中でございまして、個別の審査の内容ですとか評価につきましてはお答えできないということについては御理解賜りたいと存じますが、我々としては、申請者から出されたデータに基づきまして、専門家の意見を踏まえて、優先かつ迅速に審査を進めてまいります。

勝目委員 ありがとうございます。

 当局におかれては、粛々と必要な審査を、しかしスピーディーに進めていただければというふうに思います。

 この薬、実際に使うに当たって、医療現場の方が本当に自信を持ってちゅうちょなく使っていかないといけない、そういうものでないといけないと思っておりますけれども、今、先行の二つの特例承認を受けたもののうち、ニルマトレルビル、リトナビルは、これは結構、併用禁忌も多くて、ほとんど院外では処方されていない、こういう状況だと伺っております。そうした意味で、承認を受ける薬が多くなるというのは大事なわけでありますし、また、臨床現場でのデータを蓄積してフィードバックをしていく、このことが大事だというふうに思っております。

 厚労省さんとして、今この仕組みはどうなっていて、今後どのようにしていこうとされているのか、お伺いをいたします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 承認された医薬品につきましては、緊急時か否かにかかわらずに、市販後に医薬品の使用成績の情報を調べたりですとか収集しまして、また、それを適切にお医者さんを始めとする医療現場に提供する、いわゆるフィードバックするということが重要でございます。

 このため、我々としては、製薬企業に対して使用成績調査という形でデータも集めさせていただきますし、また、副作用の情報なんかも集めていただいているところでございまして、それについては、メーカーを通じて医療機関に適宜報告してもらったり、あるいは我々の方で収集して、必要があれば添付文書や、情報提供等、作成してもらって、さらに医療現場へ提供するということをしているところでございまして、今後承認される薬につきましても同様にしてまいりたいと考えております。

勝目委員 そういう情報の集積とフィードバックのサイクル、循環をしっかりつくっていくということが大事だと思います。エビデンス・ベースト・メディスンということもあります。そのために電子カルテの標準化というのが不可欠だろう、このように考えております。膨大な作業が必要になりますので、これは政治のリーダーシップが不可欠であります。

 この電子カルテ標準化に向けまして、大臣の思いをお聞かせいただければと思います。

後藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、電子カルテ情報の標準化は非常に重要でありまして、その電子カルテ情報の標準化に当たりましては、傷病名、医薬品、検査など情報項目ごとに標準用語や標準コードを選定すること、例えば、診療情報提供書や退院時サマリーなど医療機関の間で共有する情報を検討、決定した上で、それらの電子的仕様を策定することなど、様々な作業が必要になるわけでございます。

 厚生労働省としては、先月、まずは、診療情報提供書や退院時サマリーなどの情報について共通の標準規格を定めたところでございます。

 今後、データヘルス改革工程表を踏まえまして、例えば、標準化された電子カルテ情報を全国で閲覧可能とするシステムの在り方など、医療の情報化に関する検討を進めていくこととしておりまして、こうした中で、電子カルテ情報の標準化の取組についても、医療現場のニーズを踏まえまして、優先順位をつけつつ、着実にしっかり進めてまいります。

勝目委員 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 先ほどの勝目委員の質問にもございましたが、まず、先日の参考人質疑のときに我が党の伊佐進一議員が、新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めた初期の頃といいますか、今までは呼吸器系のダメージ、具体的に言えば、急速に症状が悪化しまして肺炎によって亡くなってしまう方が多かったというふうに認識しておるんですけれども、そのことについて言及していたんですけれども、今現在、呼吸器系のダメージによって亡くなられている方の現状というか、そういったところについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今般のオミクロン株による感染拡大におきましては、厚生労働省のアドバイザリーボードでは、以下のような評価をいただいております。

 まず、これまでの流行とは異なり、死亡者のうち八十歳以上の占める割合が高くなっていること、それから、感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いこと、また、基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないこと等が報告をされております。

 また、基礎疾患を有する陽性者の方で、コロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪、悪化すること、また、高齢の感染者の方で、心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより入院を要する感染者の増加につながることにも注意が必要と指摘をされているところでございます。

山崎(正)委員 済みません。それもそうなんですけれども、今現在、呼吸器系のダメージの方自体は前よりも減っているんですかね。減っているか増えているか、そこが聞きたかったんですけれども。

佐原政府参考人 オミクロン株の感染におきましては、例えば、デルタ株のときに比べますと、呼吸器系の症状を呈している方、また、それにより入院されている方は明らかに少ない状況でございます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 それで、先ほど答弁の中でも言ってくださっていたんですけれども、やはり持病が悪化して亡くなっている方も実は多くなってきているというふうな御指摘がありました。

 私は、地元のコロナ患者さんを最前線で治療されている医師の方なんかのお話を聞いても、持病が悪化して、例えば糖尿病なんかなどが非常に悪化した状態とか、またそれが起因となって、例えば血栓が原因による死亡事例なんかも非常に多いというふうにお聞きしました。

 持病が悪化して亡くなられる事例が増えてきているというのは先ほど聞かせていただきましたけれども、そのもうちょっと具体的な現状についてお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、厚労省のアドバイザリーボードでは、オミクロン株について、基礎疾患を有する陽性者で、コロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が悪化することに注意が必要と指摘をされております。

 四月六日のアドバイザリーボードに提出されました資料によりますと、コロナウイルス陽性者の死因について、HER―SYSに入力があった二百九十一件を分析しましたところ、三七%に当たる百九例が新型コロナウイルス感染症以外が原因で亡くなっていたということでございます。

 また、御質問の血栓症により亡くなられた方の頻度ということなんですが、こちらは今現在、把握はできておりませんが、これまでの新型コロナウイルス感染症の経験に基づいて作りました診療の手引におきましては、合併症として、肺の塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症というのは報告されているという状況でございます。

 その上で、オミクロン株の感染拡大の中で、血栓症の合併症の発生頻度がどうなっているのかということに関するデータの収集には一定の期間を要しますので、厚労省において、今後、知見の収集に、これについては努めていく予定にしております。

山崎(正)委員 ありがとうございました、詳しい御説明。

 現場のお医者さんに聞くと、やはり、なかなかそれを特定するのは難しかったり、いろいろな病気に重なるので血栓の実態がどこまで把握できるか分からないですけれども、現場でやっているドクターの感覚でいうと、やはり、血栓のそういった症状が多いのではないかということなので、また是非、実態把握、どこまでできるか分からないんですけれども、一度していただけたらどうかなというふうに思います。

 今までの御回答を聞くと、まさに、先ほど勝目委員からもいろいろと、都道府県ごとの判断が違うというふうなお話なんかもありましたが、伊佐委員が先日指摘していたように、重症判定、いわゆる軽症、中等症、重症判定において、その判定基準になっている、国がいろいろ、一つ示していくのは、今までは酸素濃度であったりとか呼吸器の状態だったと思うんですけれども、これだけ持病の悪化でお亡くなりになる方が増加している現在の状況においては、従来の重症判定の判定基準をもう少し変更していくことなんかも必要ではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のコロナウイルス感染症の重症度分類につきましては、これは新型コロナウイルス感染症の診療の手引の中でお示しをしているものでもありまして、これは新型コロナウイルスの肺炎における病態を臨床的に評価することを目的としてお示しをしているところでございます。

 この診療の手引については、診療を実際に行っている各学会の専門家の方々の参画を得て作成しているところでございます。

 今、オミクロン株の場合、肺炎に至らなくとも、感染を契機に元々の基礎疾患が悪化したり、あるいは全身の状態が悪化する症例が見られますけれども、そのような場合は、様々な基礎疾患やその病態に応じて、その症例ごとに主治医により適切に判断が行われ、必要な対応が取られているものと承知をしております。

 ただ、御指摘の点につきましては、専門家の方々の御意見も伺いながら、どのような対応ができるか検討してまいりたいというふうに考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 是非、その辺のところが、かなりウイルスも変化してきていますので、その判定基準なんかも是非柔軟に検討していただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次に、これも、今回の薬機法の質疑の中でも、この委員会の中でも何度も出てきた話題でありますが、今までも議論になっていましたが、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を考えた場合の、新型コロナウイルス感染症の感染症法に基づく分類について御質問いたします。

 これについても地元の現場の医師の皆様方からお声を聞かせていただくと、私たち医療現場の人間のことだけを考えればそれはもう二類相当のままがいい、ただ、今の日本の経済、生活の大きなダメージを見ると、また、これからコロナとの戦いがまだまだ長期戦であるということを考えればそればかりも言っていられないと。

 そこで現場の先生方が言われていたのが、オミクロン株になって多くの方は軽症である、それは事実としてあるが、しかし、軽症者が多いといえども、感染者が増えると、それに合わせて高齢者の方の感染者数も増え、そして高齢者の方が重症化しやすいこともこれまた事実であり、私たちの目の前で高齢者の方が亡くなっている現実があるんだ、今も多くの高齢者の方が亡くなっている、そうなったときには、こんな百年に一回と言われるウイルスとの戦い、それもどんどん変異を繰り返し迫ってくる敵に対しての、現行の分類制度の二類か五類かといった固定的なものではなく、新たな枠組みが必要ではないかという御意見を現場のお医者さんも言われておられました。そこのところに厚労省さん、また政府の皆さん方の知恵を絞っていただきたいと要望されていました。

 この点については、本委員会の中でも、今の五類相当として部分的に二類相当適用がいいというふうな御意見もたしか出ていたと思いますが、私は逆に、五類相当にすると再びの規制がかけにくいので、二類相当で、部分的に、例えば重症化リスクの持病のない若者、まあ何歳で年齢を区切るか等は議論していただいて、そういった部分ではその人たちには部分的に五類相当を適用するといった柔軟な枠組みに変えていく、若しくはもう根本的に枠組み自体をもっと柔軟性のある新しい枠組みに変えていくといったことも重要であると思いますが、大臣の御認識をお伺いいたします。

後藤国務大臣 今委員御指摘のように、新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。新型インフルエンザ等感染症に関する感染症法に基づく措置は、入院勧告、措置、それから就業制限、外出自粛要請など様々あるわけでございます。

 今御議論としてお示しになられました、一部五類の対応を適用していくことや、新型インフルエンザ等感染症に位置づけたままこれらの措置の一部を行使しないとかいうようなことについては、例えば、一つずつ具体的に言えば、入院勧告、措置を行使しないこととした場合には入院に要した費用が公費負担とならなくなるとか、あるいは、検疫法による隔離措置や、特措法における蔓延防止重点措置や緊急事態措置に関する取扱い、どういうふうに取り扱っていくのか、そうしたことを総合的に検討する必要があるというふうに承知をいたしております。

 今後、これまでの対応を客観的に評価しまして、次の感染症危機に備えて、本年六月をめどに、危機に迅速、的確に対応するための司令塔の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめることといたしております。現下の危機対応を行いつつ、これまでの対応を客観的に評価して、広く関係者と協力の上で検討していきたいと思います。

 なお、社会経済活動の維持、保健所や病院の負担軽減という観点では、政府としても、科学的根拠に基づきまして、これまでも、感染者の隔離期間の短縮や濃厚接触者の待機の在り方の見直し、積極的疫学調査の重点化、発生届の入力項目の簡素化、健康観察の重点化など、医療機関や保健所の業務負担の軽減に取り組むとともに、感染拡大を防止しながら社会経済活動を維持するための取組も実態に合わせて行ってきたところでございます。

山崎(正)委員 大臣、ありがとうございました。是非、また六月に向けて御検討いただけたらと思います。

 次に、先日の参考人質疑で、伊佐議員が医薬品のイノベーションについて梅田参考人に質問いたしました。

 G7の中で、唯一日本だけがマイナス成長という状況について、梅田参考人は、二〇一五年度ぐらいまではある程度の成長をしてきたけれども、ここのところの五、六年は停滞していて、ここから先の予測も厳しい状況が見えている、その根っこのところには、やはり、日本の社会保障制度が大変厳しいという状況の中で、仮にイノベーティブな製品であってもアメリカやヨーロッパに比べて低めの価格に設定せざるを得ないとか、成長していく、成長の抑制をしなければならないというようなこと等がやはりだんだんと利いてきている状況で、それらのことが回り回って、やはり、開発投資、開発意欲につながっていくのではないか、これからは、いかに、社会保障、財政、そういったこととイノベーションということを両立させていくか、どうやってそれを両立させていくかという議論を進めていかなければならないだろうと、大変遠慮がちではありましたが、言われておりました。

 これが日本の製薬会社の多くの皆さんの本音の部分、悲痛な訴えであるというふうに思います。

 そこで、この社会保障、財政と医薬品のイノベーションの両立についての大臣の見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 日本の製薬産業が絶え間ないイノベーションによりまして革新的な新薬を生み出し、グローバルに競争するための環境を整備していくことは、非常に重要な我が国の課題だと考えています。

 同時に、公的保険で賄われる薬剤費全体は、高齢化の進展等により、増加する傾向にあるわけでありまして、国民皆保険の持続性という視点も忘れてはなりません。

 今後の薬価制度の在り方については、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立するように、今先生からの指摘のあった問題意識をしっかりと踏まえまして、両者のバランスを取りながら、不断の見直しに取り組んでまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。大変両立は難しいと思います。

 済みません、最後に電子処方箋についてお聞きします。

 今回の改定で、マイナンバーカードで資格確認をして電子処方箋を利用した場合、今のところ、受益者負担でマイナンバーカードでの確認に十数円の費用がかかるということですが、このことはこの間も出ておったんですけれども、やはり、このことについては丁寧な国民への説明が重要だと思いますが、佐藤副大臣に認識をお伺いします。

橋本委員長 佐藤厚生労働副大臣、申合せの時間が来ておりますので、手短にお願いします。

佐藤副大臣 はい。

 令和四年度の診療報酬改定では、オンライン資格制度について、外来で、患者の同意の上、過去の薬剤情報や特定健診結果等の情報を活用して診療等が行われた場合に、初診料等に新たな加算を設ける評価をいたしました。これは、患者の方々にとって、従来の保険証にはない機能が追加され、より質の高い医療が受けられるメリットがあるということであります。

 具体的には、患者さんがカードリーダーで情報提供に同意したとき、例えば自分が使った薬や過去の健康診断の結果を、不正確になりがちな口頭ではなく、データによって正確に医師にお伝えすることができる、別の医療機関や他の診療科で処方された薬剤の網羅的な情報が医師等に提供されるようになることにより、これを確認した医師などにより、より多くの種類の正確な情報に基づいた総合的な診断や、重複する投薬を回避し、適切な処方を受けることができるようになると考えております。

 その結果として、我が国の医療保険制度の仕組みに基づいて、通常の診療報酬改定と同様に、患者の方にも一定の御負担をいただくことになりますけれども、議員御指摘のとおり、こうしたメリットについて丁寧な周知広報に取り組むことが重要と考えておりますので、今後、厚生労働省のSNSやホームページ、医療関係団体、医療機関、保険者など様々なルートを通じてこういった情報をお伝えして、御理解いただけるように努めてまいります。

山崎(正)委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。水曜日に引き続いて、質問させていただきます。

 先日の質疑での内容をまず確認させていただきたいと思いますが、先日の質疑、私も議事録を見まして、後藤大臣とは、かかりつけ医強化の必要性についてはもう十分共有されているんだなと、改めて議事録を見て、感じています。

 ただ、私どもが今回、関連法案として提出をさせていただいているコロナかかりつけ医、この目的の第一は、とにかく、必要なときに医療にアクセスできず、御自宅で放置死されてしまう、このような事態は絶対に防がなきゃいけない。まず、今回のコロナかかりつけ医、我々が提案した理由、これがもう最優先。

 もう一つの理由が、ここがちょっと、大臣と私、私も思いが強いせいか、混乱してしまうところなんですが、いわゆる今後の我が国の医療ビジョンを、このかかりつけ医、明確に定義をして、制度化をしていくと。この二点の問題意識が、どうも答弁と、私も本当、もう何年もここで質問させていただいているんですが、言葉足らずというか、質問が余り上手でないので、そこがちょっと食い違ってしまっているのかなと思って。

 改めて、先日、財政審の建議で示されているかかりつけ医の制度化の必要性に対して、これも余り、対比したからまた混乱しちゃったのかもしれませんが、日本医師会などは、国民の理解を得られず大混乱を招く、そういう見解を示されている。それに対して、私は、かかりつけ医を制度化したら、国民の理解を得られず大混乱となるのかどうかということに対して、大臣に質問をさせていただいた。

 その答弁は、改革工程表に沿って、患者と医療者双方にとってその機能が発揮されるための具体的な方策について検討していくとともに、国民の理解が十分得られるように丁寧に議論を進めてまいりますと答弁をされました。

 私が聞いたのは、いわゆるコロナかかりつけ医を導入した場合、今のような、先ほど来、話も出ておりますが、変異株による感染再拡大、六波が収束しないまま、また第七波、確かに今のオミクロンは、伝播力は早い、強いものの軽症で済むケースも多い、そういう状況の中で、今後、絶対自宅死を招かない、放置死を招かないために、私はコロナかかりつけ医導入が必要なんじゃないかと。これがどうして混乱を招くのかというふうに私は尋ねたんですけれども、大臣の答弁は、今後、かかりつけ医を制度化して、定着させるというか、将来の医療ビジョンとしていくためには、国民の理解を得られるために十分にという答弁だったと思います。そこがちょっと食い違っていたのかなと。

 改めて大臣に確認なんですが、我々は今、目の前の危機、先日、高田共同代表も来られて、二度と自宅放置死を招いてはいけない、そのためにどうかお願いしたいということも述べられておりました。コロナ禍の今の状況の中で、コロナかかりつけ医制度、これを導入した場合、大臣、国民の皆様の理解を得られず大混乱を招くと考えられますでしょうか。

後藤国務大臣 今、本当に丁寧に議論を整理していただいたので。

 やはり、かかりつけ医の問題を議論するときに、まず、かかりつけ医制度という、恒久的な制度として議論するときに、制度として議論するのと、かかりつけ医機能という、ここにも随分幅があると思います。それから今、先生おっしゃったように、いわゆる一般的な恒久制度としての議論と、それからコロナ等のパンデミックへの緊急対策という意味でこういうことを考える、やはり議論を整理しながら、しっかりやっていくということが大切だというのは、先生の今御提示されたことについて、私も共感をするところであります。

 ある程度限ってということでお話を聞かれましたけれども、政府としても、例えば、今、自宅でおられる方に対しまして、できる限り、医療機関、往診したり、健康観察も含めてサポートもし、医療も提供できるような、そういう医療機関を地域において増やして、そして、それをあらかじめしっかりと結びつけていくことの重要性については認識をしながら、そうした対応を全体像の見直しという中で進めているということにおいては、考え方において、そこは違うものではないというふうに思っております。

 問題は、例えば、コロナ対策としてのかかりつけ医の導入ということになりますと、今度は、一体いつのパンデミックに対応するのか、足下、そうした体制をしっかり組んでいく時間的余裕があるのかとか、どんなかかりつけ医の枠組みを前提にしてどのように地域の皆さんとマッチングをしていくのか、そうしたことについて、どのぐらいの時間をかけて、どのぐらいの対応が進められるのか。そうしたことについては、実効性の問題として、足下の対策としてどうなのかということの問題はあると思います。

 パンデミックということからいえば、もちろん、そういうときのみに、例えば緊急医療体制としてどんなことが取れるかという議論はまた別にあるかもしれませんが、そうしたことも含めて、全体としてのかかりつけ医の枠組みをしっかり考えた上で、御議論をさせていただきたいというふうに思います。

中島委員 整理をして話をまた続けたいと思うんですけれども、大臣、先週の質疑では、必要なときに必要な医療すら受けられなかったという事態、これはフリーアクセス以前の問題であるとまで答弁されているんですね。

 それで、私が今回、コロナかかりつけ医を導入するべきだと言うのは、繰り返しですが、高田共同代表を始め、国民皆保険制度、世界に誇ると言われる我が国で、二年以上にわたって、警察庁の調べでは、三月中旬の時点で、これは詳細は分かりません、どういう状況だったのかということは今後の実態調査が必要でありますけれども、この一月から三月中旬までで、八百人以上の方が自宅でコロナ陽性で取扱いをされている。一方で、HER―SYSでは百二十六人。ここに随分乖離があるということ。

 先ほど来オミクロンの特徴も話をしていますが、私も外来をやっていて、先日、こんな例がありました。

 発熱で受診をされ、車で待機していただいて、検査をしたら、その方は四十度の発熱だったんですが、コロナは陰性でした。一方で、無症状、ほぼほぼ無症状なんだけれども、職場でコロナの方が出たので念のために来ましたと。その方を検査したら、陽性だったわけです。コロナ陰性だけれども四十度の発熱がある。一方で、ほぼ無症状だけどもコロナ陽性だった。そして、無症状なんだけれども、保健所に連絡をして、そして健康観察に入る。一方で、四十度の発熱がある方は、コロナが陰性だから、薬を出して、あとよろしくと。それは私は、何かまた症状が変化したら連絡を下さいということになるんですけれども。

 今、このコロナ、二年以上続いて、コロナかどうかにかかわらず、やはり必要な方が必要なときにちゃんと医療にアクセスできて、的確に医療がなされるということが本来一番大事なわけで。ただ、コロナ発生以来、こういう状況が続いていく中で、先日の高田共同代表は、むしろ今のオミクロンの状況は悪化しているんじゃないかと。

 その悪化している意味というのは、コロナ対応がちょっとマニュアル化されている部分があって、最初のファーストアクセスはできるけれども、もうコロナだから、この薬、カロナールだけ出して、あとは何かあったら連絡を下さい。当然、症状は変化しますから、最初は七度ちょっとの微熱だったかもしれませんが、それが二日目には八度を超える、そしてせきが出てくる、そのセカンドコンタクトがなかなか取りづらい。そういう状況の中で、症状の変化に対応し切れていないことから、場合によっては医療にかかれず自宅でお亡くなりになる方が出てしまう。

 こういうことが、昨年の第五波のときとはまたちょっと状況が違って、軽症でとはいいながら、軽症な方だからこそ、三十代後半ぐらいになると、基礎疾患を自分で持っているか分かっている方はいいですけれども、健診を余り受けられていなくて、実は糖尿病が非常に悪い方だった、そういう方々が、やはり症状の変化に、速やかに医療にアクセスできる、こういうことを、やはりもう二年以上、我が国、コロナ発生以来、たっているわけですから、そういう体制を取らなきゃいけないんじゃないか。

 そういう意味で、さっき体制のお話をされましたけれども、大臣が度々、いわゆる健康観察、診療医療機関、これが増えて二・二万に、また、発熱診療所なども含めていくと、かなりの数が手を挙げてくれていると。

 そこは、私、もう一歩踏み込んで、事前に、基礎疾患がある方とか、高齢者の方であったりとか、心配な方は事前に登録できる、ここまで健康観察、診療医療機関に踏み込んで対応していただけると、これは事実上、我々が言っているコロナかかりつけ医、これは資料の二枚目ですけれども、これを我々は法案として提出しているわけですが、立憲民主党案ですから、なかなか与党の皆さんに御賛同いただくのは難しいと正直思っておりますし、事実そうなんだと思いますが、法案が通らなくても、六月に取りまとめられるコロナ強化対策、これはもう一歩踏み込んで、重症化リスクが高いと思われる方は最低でも事前に登録して、そしてふだんの健康観察、ふだんの状況が分かっていれば、もし濃厚接触、感染が確認された場合、これは速やかにオンライン診療から入れると思うんです。

 ですから、健康観察、診療医療機関が二万二千に増えた、これは体制としてはいいことだと思います。ただ、オミクロンの特徴を考えると、伝播力が早い。そして、今回の特徴は、発症してから三日以内に基礎疾患が悪化して亡くなるケースも多い。いざ感染が拡大してから医療とつなごうと思っても、なかなかつながらない。

 大臣、これは運用で可能なんですよ。一歩踏み込んでいただいて、事前登録できると、健康観察、診療医療機関にそこまで踏み込んでいただければ、私は、自宅放置死はかなりの数、防止できるんじゃないか、そう思いますが、大臣、どうでしょう。

後藤国務大臣 今、先生から本当に丁寧に御説明があったことは、全体像を昨年の十一月につくって、その後オミクロンが感染が広がり出して、デルタのときを前提につくったありとあらゆる第六波への対策というものの中で、デルタ株よりもオミクロン株になったことで、大きく全体像の前提が、修正すべきだという点につながったわけです。

 そういう意味で、まさに発熱外来について、三・六万に増やす。そして、それもできる限り、それを公表することによって地域の皆さんが発熱外来に行けるように、最初はどんなウイルスなのか、あるいはどの程度重篤なものなのか、毒性が高いのか分からなかったときから、分かってきたことを前提にそこを増やし、公表していくということで取り組みました。また、健康観察、診療機関も二・二万まで、これも、自動的に増えたというよりも、政策としても、国も県も、そして地域の医療関係者も、みんなが力を合わせて健康観察、診療機関を増やすように努力をしてきた、そこまで来ていると思います。

 そして、これでもまだまだ、今後の状況から考えてみて、今後変化が、感染の変化、新しい変異株あるいは変異種みたいなものが出てくることを想定したときに、もう一段の対策を講じることが必要だということで、まさに、四月二十二日に向けても、もう一段の対策を深めていこうということをやっているわけであります。

 そうした中で、先生が御指摘されたように、リスクのある方、高齢者等が感染すれば重症化していくということなら、あらかじめ、重篤になる可能性の高い病気を持っておられるような方については、感染前から、どういうふうに感染した場合にした方がいいのかということについては、もちろん、ふだん自分が診ていただいている先生に御相談をしておくことが好ましいことでしょうし、リスクが高齢者ということであれば、特に、高齢者施設における医療提供体制だとか、何か起こったときの緊急体制の準備だとか、そういうことについてしっかりと取り組んでいく必要がある、そのことを我々も目指して、今懸命に取り組ませていただいているというふうに申し上げたいと思います。

中島委員 懸命に取り組まれていることも承知していますし、健康観察、診療機関が増えていること、また、発熱診療に対応する医療機関も増えている、これも御努力だと思いますし、報酬上のインセンティブも持たせている、政策的な誘導ということも効果を示していると思います。

 それで、繰り返しなんですが、先ほども言ったように、ふだんかかっている患者さん側からしたら、かかりつけ医だと思っていたんだけれども、いざコロナ、濃厚接触になったら、うちでは診れません、こういうミスマッチが、これは平時のかかりつけ医の問題、これはこの後ちょっとお話ししたいと思うんですが。

 このコロナ禍において、先ほど、コロナ陰性で四十度の発熱がある方、一方でコロナ陽性で無症状、事前に登録しておくだけで、その患者さんに対して、的確というか、陰性なんだけれども、それは陰性だからあなたは大丈夫ですよとほっておかないわけですよ。私もそうだったですけれども、四十度の熱で原因が分からないから、むしろ健康観察、そちらの方を私はします。

 そういう状況を、やはり事前に登録しておくと、例えば、薬歴とか、既往歴も当然ですし、その方の仕事がどういう仕事かとか、いろいろな情報を持ちながら、いざコロナ、濃厚接触、感染が確認された場合、これは全てとは言いませんが、やはり私、高田共同代表、自宅放置死遺族会、二度とそういう、いざ感染してしまってひどい状況になったときに医療にアクセスできないとか、そして、アクセスは一旦はできたものの、形式的と言われてしまえばあれですけれども、陽性だったけれども、あなたはお若いから、四十代だから、この薬を飲んで自宅で待機していてと。その間に病状が変化して、その先がつながらなくなり、自宅放置死してしまった、これは高田共同代表の弟さんですけれども、ふだん、かかりつけ医もいたんですけれども、やはりこういう状況になってしまった。

 そういう意味から、私は、事前に、心配な方は、コロナになったとき若しくはその心配があるとき、確実に診ていただけるということを、しっかり登録して、このコロナ禍がもう二年以上続いていて、努力されていることは十分承知していますし、だけれども、また第五波そして第六波で、先ほど警察庁の自宅での死体取扱い、八百人をこの一月から超えているわけですから、やはりこういう状況を、もう一歩踏み込んで、そういう事前登録、是非御検討していただきたいと思います。

 そうであれば、この法案は成立はしなくても、政府が私の問題意識を受け止めていただいて、六月に取りまとめる、正直、ここは六月なんて悠長なことを言っていないで、本当は去年の冬に様々な強化策をやっていればこの第六波はもっと違う状況だったかもしれないなという思いはあります。しかし、今また新たな変異株、感染力が高いのか、またもしかしたら重度化するのか、まだまだ予断を許さないわけですから、是非この事前登録をして、二度とそういう自宅放置死、医療にアクセスできない方、全部できるとは言いませんが、少なくとも心配な方はそういう事前登録をして、そしていざというときには確実に医療にアクセスできる、こういう状況を、一歩踏み込んで御対応を、強化策として盛り込んでいただければと。

 是非検討すると、前向きな答弁をいただければと思います。

後藤国務大臣 問題意識は、先ほど私も長々と答弁させていただいたとおりで、私は中島先生がおっしゃっていることと同じ問題意識を共有しているというふうに思っています。

 そういう意味で、発熱外来について言えば、三万六千の数を増やすことも努力していますけれども、我々、特に、いろいろなインセンティブ措置を含めてお願いをしているのは、医療機関の名前を公表してほしいと。公表することによって、地域において、発熱があったようなときに、発熱外来として、きちんとしたゾーニングをしたり、患者さんを分けたり、いろいろそういう対応のできる、発熱している患者さんを受け入れることのできる地域の医療機関をなるべく多く、そしてどの医療機関であるかということをはっきりさせる。そのことによって、実を言うと、医療サービスのレベルも上がると思いますし、多くの医療機関に手を挙げていただける前提、きっかけにもなるものだというふうに思って、そうした政策も進めています。

 そして、実際に陽性になって、自宅療養が健康観察、診療ということで始まった場合には、これは今、数をどんどん増やすということで、二万二千まで、ともかく往診、そしていろいろな形でのフォローも含めて、今各都道府県において、地域でそうしたことがしっかりできる体制を地域の医療の皆さんと一緒になってつくっていくということで、そうした活動を一つ一つ積み上げていくということは、結果として、登録とかいうことの意味が、制度的な登録なのか、どういう意味なのかはよく分からないですけれども、しかし、そうした方向で政策を進めていくという先ほどからの中島委員の本当に丁寧でそして熱心な御議論については、そうした方向性を我々も理解をしながら、地域の医療体制を国民の側からきちんとつくっていくという必要があるということで考えております。

中島委員 前向きだったかどうか、共有はできていると思うんですが、是非制度設計については、我々も、法案を出したからには、こういうスキームがいいんじゃないかとか、こういうやり方がというのはありますので、本当は成立させて、与党の皆さんにも御賛同いただければ、より具体的な内容、これは与党も野党もございませんので、できると思うので、是非与党の皆様には御賛同を改めてお願いをしたいと思います。

 そして、我々がコロナかかりつけ医法案を提出した一番目の理由は目の前のコロナ自宅放置死を防ぐことと言いましたが、もう一つの理由は、やはり将来の我が国の医療基盤として、いわゆるかかりつけ医を制度化して、医療基盤に置く。

 我々が去年六月に提出した法案は、日本版家庭医制度法案といいますが、これは明確に、プライマリーケア機能を持つかかりつけ医を家庭医と位置づける。このことによって、今回コロナで浮き彫りとなった課題、ミスマッチが生じているような状況を、やはり将来また新たな新興感染症が出てくるとも限らない。加えて言えば、平時、我が国は、少子高齢化、人生百年時代、さらには、疾病構造はシングルファクターからマルチファクターに変化をして、年齢構造も人口構造も変化した。

 これは、後藤大臣、八年前、私、政治家になって海外視察に行かせていただいて、そのときの厚労委員長で、今いる中だと井坂さん、山井さんはいなくなっちゃったけれども。海外、ヨーロッパの医療制度、本当に当時の後藤委員長が私の意見を反映していただいて、イタリアの地域医療とかそういう先生方の話も聞いていて、やはり、我が国、今回のコロナという経験をして、その教訓を生かして、是非このプライマリーケアを評価する仕組み。我が国にはプライマリーケアを評価する仕組みが、残念ながらないんですよ。

 ちょっと粗っぽい言い方をすると、例えばですが、私は医者ですけれども、やはり患者さんが多ければ、我々は報酬が増えます。でも、先ほども言った疾病構造の変化、生活習慣病がメインになった現在、やはり患者さんが元気だったら、でも、人間ですから必ず病気になります。でも、病気になっても重度化しなかったら、それを評価する仕組み、そして、最期、人間ですから最期があるわけですが、私はあんたにみとってもらいたいよといって在宅を選ばれる、こういうプライマリーケアをやはり評価する仕組みというのは我が国には絶対必要だ。

 そして、このコロナを教訓に、まさに自宅放置死された方々の無念の思い、さらに行き場のない憤り、でも、失われた命を今後に生かしたい、そういうことからいくと、私は、このコロナをきっかけに、プライマリーケアを評価する仕組み、日本版家庭医制度。そして、改革工程表も、このかかりつけ医の明確化、一枚目の資料ですが、二三年までというふうになっております。私たちが昨年六月出した法案は、まさにそのプライマリーケアを持つかかりつけ医を家庭医と位置づけて、その目的、理念、そして今後の工程表を示したプログラム法です。

 是非、このコロナの教訓を生かして、そして日本の将来の社会保障の基盤を。そのことが、さすが日本だと、世界に誇る国民皆保険制度を持っている日本が、このコロナを経験して新たな医療制度、社会保障制度を構築したと。

 そして、何度も言いますが、私は、諏訪中央病院の鎌田先生や、富士見高原病院の井上先生、佐久総合の先生方に御指導いただいた内容が、まさにこういう状況なんです。

 後藤大臣が、このコロナを切り抜けるとともに、日本の将来の医療基盤、社会保障制度改革を実現することを大いに御期待をいたしておりますので、是非、今日はいっぱい私が一人でしゃべくってしまっておりますけれども、コロナを踏まえて、乗り越えて、将来の我が国の安心できる社会保障につなげていくんだと、御決意をお願いしたいと思います。

後藤国務大臣 本当に、決意という意味においては、これは決意を持ってそうした医療制度にしっかりと取り組んでいくということで考えていきたいと思いますし、政府の方針としても、かかりつけ医機能の明確化等、患者と医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について検討を進めることについては、これはもう政府自身の方針でもありますし、私も決意を固くしておりますし、そういう方針に従って進めてまいりたいと思います。

 その上で、もうここでやめた方が格好いいかもしれませんが、少しプライマリーケアの話とかを申し上げておくと、プライマリーケアのことからいうと、一般的には、患者の心身の状況を踏まえて臓器や疾病を限定することなく包括的に対応することを指すもの、そういうふうに理解しております。

 ただ、その意味は、高齢者の慢性疾患を幅広く診療することなのか、それとも、診療科の振り分けも含めた患者の初期対応全般について全部責任を持つものなのか、そうしたことについては、プライマリーケア自身の意味するところの幅も相当大きいというふうに思っています。

 ですから、そうしたプライマリーケアの範囲をやはりきちんと限定しながら、まずは、医療現場においてどのような内容のプライマリーケアを前提として議論を深めていくのか、そういったことも、先ほど、議論する決意の中では、検討していく必要があるなというふうに思っております。

 また、プライマリーケア機能を持つかかりつけ医という非常に結構、理想的な家庭医像についても、これもどこまで、どういう形で議論していくのか、そうしたことについてはしっかりと議論を進めていく、日本の医療制度をよくするために議論をする、その決意が固いことを申し上げたいと思います。

中島委員 終わりますが、時間がかかることは承知しているんです。だからこそ、早くやらなきゃいけないし、このコロナをきっかけにそこに入っていかなきゃいけない。三十年かかるところを二十年にするのが政治の役割です。

 是非、後藤大臣、御期待していますし、我々も、家庭医法案、再度今国会で出してまいりますので、是非、今回の三法案も含めて、与党の皆様には御賛同いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 先般の水曜日に引き続き、後藤大臣と様々な法案に関する質疑をさせていただきたいと思います。

 当日、水曜日、厚生労働大臣の諮問機関である中医協で金パラの改定を提案したということでございます。本来は七月に、大臣、予定がされていたものでございますよね。

 念のための確認ですが、今回は七月の予定のものを五月に前倒しをしたわけではなくて、七月のものはまた七月にやる、その上で、緊急の改定ということで、今回、五月からの改定を行うという理解で、大臣、よろしいですか。

後藤国務大臣 その理解で結構です。

 今回、本来のルール変更によりまして、年四回、実勢価格による改定の制度変更を行ったんですが、七月を待たずに今回は緊急的改定を行ったということでございまして、七月には七月で通常の制度に基づく制度運用を行います。

吉田(統)委員 分かりやすい御答弁で、ありがとうございます。

 そうすると、大臣、五月末までの金パラの告示価格は三十グラム当たり九万四千四百七十円だったわけなんです。五月一日から十万二千三百九十円となりますが、ある会社の四月十一日現在の金パラの市場価格は十万八千九百円とも聞いていますので、実は大臣、現時点で既に五月一日以降の告示価格を上回っていまして、今回の改定でもこの逆ざや状態が完全に解消されるわけではないんです、大臣。今回のルール改定でも、通常のルールによって、今年の一月から三月の金銀パラジウムの素材価格を参照しているためなんですよね、これは。今後も市場価格の高騰が続けば、更に新たな改定まで逆ざや状態が継続することになります。

 ここで、大臣、今回の緊急改定をしていただいたんですが、それによってもやはり逆ざやが完全に解消されない点について、大臣、どのようにお考えになられますか。

後藤国務大臣 診療報酬改定、市場価格の状況に応じてできる限り対応していくということで、変化幅による改定から年四回の実勢価格による改定に変更したのもその一つでありますけれども、現時点においてそれ以外の施策について検討を要する状況にはないというふうに考えております。

 いずれにしても、今後とも何らかの対応が必要かどうかは、パラジウム等の市場価格や歯科医療の現場の状況を見ながら、当然関係者の御意見を伺いつつ考えることになりますけれども、今、現状としては、最低限の、実勢、市場価格の状況に応じて対応するという考え方で進めさせていただいているというふうに思っております。

吉田(統)委員 大臣はそう御答弁なさるしかないんだと思います、それは。

 ただ、そもそも厚生労働省の方、これは従前からです、かなり長い間いろいろな形で私もお話を聞いていますので。彼らも、実は結構胸を張って、診療報酬改定で金銀パラジウムの高騰にしっかりと対応できる制度を整えたと言っていましたよ、以前も。そして、今回ですら、そういうことをやはりおっしゃっています。

 にもかかわらず、今回、年四回の改定に加えて緊急改定をしなければならなくなったということで、これは厚生労働省の責任や大臣の責任というわけではないんですが、市場の原理に基づくものですので。

 ただ、今のやり方や、改定を、頻度を上げるというやり方ではもう難しい、つまり制度自体が破綻しているということを、大臣、お認めになりませんかね。このままでいけると本当に考えていらっしゃいますか。

 私は、これは難しいと思いますよ。委員長も首をかしげていましたけれども、委員長ね、これじゃ無理ですよ、本当に。委員長、よくよくお詳しいと思うんですけれども、医療のことは。

 だから、制度疲労というか、もう完全に限界が来ているんです。やはり、投機対象にもなっているものだし、希少金属であるという時点で、これを通常の今までのやり方でやっていくのは、大臣、やはり無理だと思うんですが、大臣はそれでも、今なお、工夫はされるとおっしゃっていますが、この制度の維持で何とか切り抜けられるとお考えですか。

後藤国務大臣 金銀パラジウム合金については、輸入される素材価格の高騰によりまして価格に変動はあるものの、メーカーからは、材料となるパラジウムの確保自体に問題は生じていないというふうに聞いておりまして、供給に支障が生じる状況ではないというふうに聞いております。

 こうした供給に支障が生じるような状況が生じているわけではない状態の中で、国が自らパラジウム等を確保するとか、何かいろいろな緊急的な措置を考えてみてはどうかという御提案なのかもしれませんけれども、そういうようなことは今する状況にはないというふうに考えています。

吉田(統)委員 じゃ、まあ、大臣、いろいろお考えにはなっていただいているんだろうなというのが、ちょっとニュアンスとして、大臣、伝わりましたので。

 では、ちょっと役所の方にお伺いします。

 私は、本当に、胸を張ってつくった制度で緊急改定を挟まなきゃいけない時点で、これはかなりもうやばい状況だと私は思いますよ。しかし、そういった指摘をすると、厚生労働省のレクに来られた方や説明に来られた方は、今回は特別急激な高騰だったからしようがないんですと言い訳をされていました。

 しかし、そうじゃないですよ。私もちょっといろいろ計算してみましたけれども、金、パラジウムに関しては、ここ数年の間にも、数学的にはほぼ同程度の高騰を数回しています。

 今回、確かにスパイク状に上がっていますが、今回だけが特別だと何回も言っていましたよ、レクに来られた方が。でも、これは違いますよ。ちゃんと計算すると、そうでもないことが分かります。

 そうすると、やはり、今の仕組みが非常に難しい。私は、別に、このままいけるんだったらいけばいいと思いますよ。このまま制度を維持して、今のまま対応していくことによって成り立っていくならいいと思います。しかし、皆さんが胸を張ってこれは大丈夫だと私にも説明していた制度でも緊急改定を挟まなきゃいけなくなっている現状を踏まえて、本当にこのままやっていけると厚生労働省としては思われますか。どうぞ、お答えください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の五月の歯科用貴金属価格の緊急改定でございますけれども、まさに緊急の改定ということでございまして、ウクライナ情勢という想定外の特殊事情の下で、まず、歯科用貴金属の素材価格が最高値となったこと、それから、過去に素材価格が高騰した際と比較いたしましても最高額の、上昇額となっていること、それから、歯科医療関係者からも価格の急騰への対応を求められる声があったことなどを総合的に勘案いたしまして、改定を行うということでございます。

 なお、随時改定のルールを今回見直したわけでございますけれども、まずは新たな随時改定の方法を着実に運営してまいりたいと考えておりますし、この随時改定の方法の更なる見直しにつきましては、今後の価格変動の状況、関係者の御意見等を十分お伺いする必要があるというふうに考えております。

吉田(統)委員 だから、答弁の、準備されたやつをそのまま読まなくてもいいですよ。私がお話をしているんです、前提として。その前提としてお話ししているところとまた違う説明をされているので、それじゃ成り立ちませんからね。

 私は、だから、さっき、計算して、一定程度同じ割合になっているということを数学的にちゃんと精査をしているので、その上で言っているから、前段のところはおかしいんですよ。

 まあいいです、余り、もうここ。ただ、役所としては、今、この今回つくった制度を、胸を張って、これでいいんですとおっしゃっていた方もいらっしゃいますが、これを堅持すると。もうほかの方法をやはり考えていくべき時期に来ていると思うんですけれども。

 以前なら、金の値段というのは、やはり上がったり下がったり一定程度していたんですよね。ただ、ある時期から本当に金の値段がずっと上がり続けているじゃないですか。パラジウムというのは、比較的、希少金属ですけれども、安かったんですよね、昔は。ただ、今はもう投機でも用いられて、物すごい高騰じゃないですか。金の高騰と比べたら、パラジウムの高騰の方がはるかに高いわけですよね。

 前提として、今までやってきたバックグラウンドと全く違う状況になっちゃっているので、ここでやはり今までの改定の回数を、頻度を変えるとか、そういう対応では難しい。だから今回も緊急改定が必要になったわけじゃないですか。

 さっき私が言ったように、今までもこれくらいの似たような状況というのはあったわけです。あった状況を踏まえて今回の制度をつくったけれども、また更に緊急改定が必要になったということは、申し訳ないですけれども、厚生労働省さんは、大臣、しっかり答弁していただいていますが、大臣の答弁もちょっとやはり厳しいですよ。だって、そういう前提がもう崩れちゃっている。ちゃんと制度設計したのにまた駄目になっちゃっているわけじゃないですか。

 そこって本当に真摯にお考えになる必要はないですか、厚生労働省、大丈夫ですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、随時改定については、まずは着実に運営してまいりたいというふうに考えております。

 また、ほかの手段といたしましては、まず、価格が変動しにくい歯科用貴金属の代替材料の推進ということも必要だというふうに考えております。

 今回の診療報酬改定におきましても、CAD・CAM冠という代替材料について適用拡大しておりまして、CAD・CAMの詰め物、インレーについても新たに保険適用としたところでございます。

 こういった代替材料の保険適用について、関係学会、企業等からの提案に基づいて、有効性、安全性等に関するデータを踏まえて、中医協での検討が進むようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 代替の話はまた別途するので、代替の話はしていないんです。

 委員長も、歯科のことは詳しいと思いますけれども。代替で全部成り立てばいいんですけれども、やはり強度が足りないというのはもう御存じだと思うので。代替もどんどんやればいいですよ、それは大臣もそうお考えだと思います。代替でできるもので、安価で、保険でしっかりとやっていけるものをどんどん入れていかれるといいと思います。しかし、今そこじゃない部分を聞いているので。まあ、いいです。

 じゃ、もう少し大臣にも聞いていきますが、今回、やはり、緊急改定、大臣、診療報酬の引上げですよね、そもそも。ですから、患者さんの窓口負担もやはり増加するし、一方で、技術料は変わらないので、歯科医院は別に増収にもなりませんね。金パラの高騰により経営もより苦しくなっている。

 こういう状況を、大臣、どういうふうに捉えられますか。つまり、随時改定をやっていくと、頻度を上げると、上げていく場合は患者さんの負担も増えていくんですよね、やはり。その辺を踏まえてどう思われますか、大臣。

後藤国務大臣 それぞれの本当に緊急な局面で、医療現場からいろいろなお話があったり、あるいは国民が医療を受ける立場でいろいろな声があれば、そのときそのときの状況をまたつぶさに検討するということは行政にとって大切なことだとは思いますけれども。

 しかし、全体として見ると、我が国は、やはり、診療報酬制度に基づいて、国民の負担も含めて、全体として医療を安定的に持続的に支えていく、そのときに、診療報酬制度というのは、持続的な医療提供体制を支えるという形で制度は設計されているので、そういう基本的な考え方に従ってやはり運営するべきものなんだろうというふうには思います。

吉田(統)委員 大臣がおっしゃるとおり、本当に継続というか守っていくことが大事ですよね。私は大臣を信じて、期待していますので。

 この点は終わりますが、本当に難しいと思います。例えば、選定療養みたいにして外に出しちゃうと、外に出た分が自費になってしまって、より患者さんの負担が増えたりとか、本当に難しいですよね。このかじ取りは本当に難しいと思いますので、大臣、よく御精査いただいて、政策決定していただきたいと思います。

 それでは、別の話をさせていただきます。

 処方箋ですね。先ほどまた少し議題にも上がりましたが、電子処方箋は、大臣、別に義務ではないですよね。

後藤国務大臣 義務ではありません。

吉田(統)委員 また、もう一つ、これも簡単な確認ですが、今回の仕組みはマイナンバーカードを発行していない方でも当然電子処方箋の交付を受けることができますね、大臣。

後藤国務大臣 できます。

吉田(統)委員 確認で、ありがとうございます。はっきりと、分かりやすく。皆さんが聞いていらっしゃるので。

 私も診療していて、大臣、患者さんから希望を聞いて処方箋を当然作っていく場面があるというか、作るわけですけれども、例えば分かりやすく目薬とかにすると、例えば五本、患者さんが欲しいと言って、診察のときに。そのとおり処方しても、紙の処方箋を見て、自分は七本と言ったはずだとか、結構あるんですよ。思い込んで、お互いに思い込みがありますから。こういうことはよくありまして、患者さん本人が間違えていた場合もありますし、医師の聞き間違いや医師の打ち間違い、そういったこともあるんですけれども。そうすると、今の紙の処方箋だと、大臣、それを見て、あっ、違うと気づいて、受付に行って戻ってきたりということがよくあるんですよ。これは特商法の電子書面の交付とちょっと似たところがあるんですけれども。

 今回の法改正で、こういった間違いの是正がしにくくなったり、そのまま、今のは本数ですが、例えば薬の日数だとかそういうものの確認がしづらくなる可能性が、大臣、あるんじゃないかと危惧しますが、そこは大臣、大丈夫ですか。

後藤国務大臣 実際の運営からいうと、当面の間は患者が電子処方箋を選択した場合であっても医療機関において処方情報を印字した紙を患者さんにお渡しすることにはなっていますから、当面の運用としては、両方運営ということになります。

 ただ、それは、電子処方箋が非常に広く広まってくるということになれば、電子処方箋を前提に、それはそれでまた、患者さんが電子処方箋の内容にアプローチできるような形でそもそもの仕組み自身を拡大していくとか、そこは制度全体を見ていくことだというふうに思います。

 それから、処方箋をいつも見られるということは必要でしょうけれども、一言申し上げると、やはり、処方を作られるのはお医者さんですから、余りお医者さんに、こうしてほしい、ああしてほしいというふうに、患者の立場で言えるのかどうかということはあるのかなというふうに思いますけれども。いずれにしても、処方箋は医師の判断に基づいて出されることだというふうに思っております。

吉田(統)委員 大臣、そのとおりなんですけれども、大臣も、でも、お忙しい方なので、例えば、まあ、大臣は健康なので薬を飲んでいないかもしれないけれども、ちょっと俺、忙しいから、これだけ、花粉症のお薬とか、一か月出してよと、そういうことはよくあるものですからね、大臣。

 私、大事なのは、併用ということは少し聞いているんですが、完全になくなっちゃうと、大臣、やはり少し心配なんです。だから、確認を患者さんがしっかりとできることは、置かれた時代背景においてもやはり違いますから。だんだん、確かに、それは電子化されていきますよね、高齢化して、デジタルに慣れた方が高齢化に順番になっていくわけですから。

 ただ、一つの例えですけれども、アメリカはすごく電子化が確かにされていて、何でもネットとかなんですけれども、いまだにスーパーとかでチェックを切っているおばあちゃんとかいるんですよね。

 だから、そういうこともありますし、病気になられた方というのはやはり御高齢者が多いですから、そこはちょっと配慮をしていただきたいということは、さっき、大臣、配慮するとおっしゃってくださったので、安心して、じゃ、そこは信用しますので、お願いいたします。

 では、あと、電子処方箋、停電したときにちょっと困るんじゃないかという危惧は当然、大臣、ありますよね。今回のスキームで問題の一つは、やはり災害時の対応というのがあるんだと思います。

 二〇一一年、東日本大震災のとき、私も現地に診療のボランティアに行きました。医療機関の状況も当然見てきましたが、診療できていたのは、実は紙カルテの医療機関だったんですよ、大臣、十年たちますけれども。

 もちろん、医療のデジタル化、ビッグデータの活用は必要かつ極めて重要だと思います。今回の電子処方箋についても基本的には進めていくべき部分はあるんだと思いますが、同時に、災害時に備えたバックアップ体制の構築や、さっき少し述べましたが、デジタルに慣れない高齢者等への対応はやはり重要であります。ここに関しては、大臣、どのようになさっていくのか、教えてください。

後藤国務大臣 今、委員御指摘になられました災害や停電時等、紙の処方箋の交付に切り替える運用とすることで、患者は調剤を受けることが可能となります。このような災害時の取扱いについては、医療機関等にお示しをしていきたいというふうに思っています。

吉田(統)委員 大臣、その医療機関へのお示しを教えてほしいんですけれども。まだ決まっていないですか。

後藤国務大臣 ガイドラインをしっかりと出したいと思います。

吉田(統)委員 いつ頃までに、大臣、やっていただけるんですか。

後藤国務大臣 検討して、それは、まだ時期をはっきり申し上げられませんけれども、できるだけ早くにと思っております。

吉田(統)委員 大臣を信用しますが、できるだけ早く本当に指し示してあげないと、災害はいつ来るか、大臣、分からないですね。明日来るかもしれません。そういった中で、本当にしっかりとした対応を、約束いただいたと思っていいですね。しっかりしたことをやると約束していただいた。分かりました。

 それでは、リフィル処方箋についても、大臣、ちょっと伺っていきます。

 政府はリフィル処方箋を進めようとしていますね。確かに、ただ単に医薬品などの処方を受けるためのみに診療を受けるのは、本来の姿ではないかもしれません。ただ一方で、このリフィル処方箋が受診抑制につながってしまう、必要な診療が行われないリスクがあるのも私は危惧しています。

 我が国において、がんの早期発見が多くて、胃がんや大腸がんなどのがんの治癒率、寛解率、五年生存率が極めて高い。これは、やはり外科医及び内科医の外科的技術及び診断能力が極めて優れているという点がまずありますが、受診回数の多さというのも実は指摘をされています。

 日本は、本当に受診回数は確かに多いです、大臣。胃がん、大腸がん、術中死の少なさや五年生存率の高さは世界の先進国でも際立っています。胃がんは切れればまず亡くならないんじゃないかというほど優れています。

 しかし、これは極めて、繰り返しになりますが、受診回数、大事だと思うんですよ、やはり。それを、逆に予防医学的な部分に置き換えるということであれば、それも一つの手ではあると思いますが。大臣、私が申し上げたリフィル処方箋の想定される功罪ですね、功と罪というものに関しては、どういうふうにお考え、ないしは、今後、政府としては評価をされるのかということを、大臣、教えていただけますか。

後藤国務大臣 四年度の診療報酬改定で、症状が安定している患者さんについては、医師の処方によって、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設けたわけで、これは症状が安定している患者について、医師のあくまで処方によって行われることだというふうに思っています。思っているというか、そういう制度です。失礼しました。思ってちゃいけないんで、そういう制度です。

 患者の状態等を踏まえ、処方箋の複数回の使用の可否や、リフィル処方を行う場合の使用回数や総投与期間について医師が判断し、その上で、処方箋を受け取った薬剤師は、患者の服薬状況の確認を行って、必要に応じ医師へ情報提供も行うということでありまして、そういう意味では、医師の処方に基づき、薬剤師と適切な連携の下で患者への投与を行えるということを全体として判断している仕組みであって、安全性にも配慮しているものというふうに思っております。

 リフィルがなくて、度々診断に来てくれれば病気の予防に役に立つというような議論については、私どもとしては、やはりそこは、予防としてどういうふうな対応をしていくのか、健診というものをどういうふうに使っていくのか、そうした議論と、実際の症状に対して、医療提供をどうしていくのか、医師のしっかりとした判断の下で適切な医療指示が行われるということが安全性の第一の基本だというふうに思っています。

吉田(統)委員 大臣、予防と早期発見は若干ニュアンスが違いますので、そこはしっかりと大臣がグリップしていただきたいと思います。

 ただ、大臣、本当に膵がんとか特定のがんというのは、僅かな異変で、それを捉えて、診断をつけないと、まず助かりません。こういった部分に関しては、やはり、繰り返しになりますが、日本は、頻繁にある程度、頻繁というか適切な間隔だと医師は思っていると思います、もちろん。その中で、ちょっとした異変に気づいて、やはり早期の診断をして、治療を試みるわけであります。胃がんもそうですよ。胃がんも切れないと、やはり命は失われるわけです。

 ですから、こういったところは、大臣、本当に聡明な大臣に期待して、本当にずっと御答弁、真摯に御対応いただいていますので、私は尊敬をますます深めていますが、ここは、予防と早期診断は違いますので、大臣、そこはしっかりとやっていただきたいと思います。

 時間がないので、次のテーマに移ります。

 大臣、薬剤師の偏在対策というのは言及いただいたですよね、たしか。当然、院内処方の場合は、リフィル処方箋ということは、概念としてもそもそも存在しないじゃないですか。ただ、大臣、院内処方というのが、やりたくてやっているわけじゃないということも御理解いただきたいんです。つまり、院外処方にできないから、やむなく院内処方にしているところがあるんですよ。委員長、笑っていますけれども。御地元でもそういうところはありますよね、山間地で、やはりなかなか難しくて。

 そもそも、だから、そういう状況の中で、院内処方が院外に処方箋を出したときより安いという状況というのは、私には異常に映るんです。

 では、大臣、そういうことをするのであれば、全ての医療機関がちゃんと院外処方にできるような環境を、大臣が過日おっしゃったような薬剤師の偏在対策も含めて、整えてからやっていくべきではないかと私は思うんですが、大臣、それはいかがですか。

後藤国務大臣 医薬分業、そもそも論からいって恐縮ですけれども、薬局の薬剤師が、医師と独立した立場で、医薬情報を一元的、継続的に把握しまして、複数医療機関の受診による重複投与の防止や薬の相互作用の有無の確認、そういうことを行うことによって、患者が安全で、効果的な薬物療法を受けることができる仕組みとしているわけです。

 しかしながら、最近では、近年、医薬分業については、そのメリットを余り患者が感じられない、そういった課題も指摘されているところでありまして、そういうことに対応して、二十七年に、厚生労働省としては、患者のための薬局ビジョンを策定して、本ビジョンを踏まえて、薬機法改正において薬剤師、薬局の機能の強化のための措置を盛り込むなど、患者本位の医薬分業を推進する施策を進めてきている。これは恐らく、前回も先生と議論したところでも申し上げたことです。

 こうした施策を進めていくことによりまして、薬剤師、薬局が、地域包括ケアシステムの担い手として、患者の服薬状況等の情報を一元的に継続的に把握し、最適な薬学的管理やそれに基づく指導を実施することによりまして、患者にとって意義のある医薬分業ができる、それを今後の方針として進めていくということを掲げております。

 また、院内処方と院外処方の診療報酬を比較すると、院外処方の方が一般的に高い状況にありますが、これは、薬局の薬剤師が医師から独立した立場で、薬学的知見に基づいて、重複投薬の有無の確認や薬の相互作用の有無の確認を行う点を評価したものというふうに考えます。

 医師と薬剤師、それぞれが必要な役割をしっかりと果たして、患者に対して適切な薬物治療が提供されるように、引き続き、診療報酬の在り方については中医協でしっかり議論してまいりたいと思います。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 大臣、今の話を受けてですが、一つは、じゃ、やはり、やむなく院内処方にしているところというのは、手間もかかるし、人手も要るんですよ。圧倒的にこれは患者サービスなんです。だから、そこはちゃんと理解いただいて、やはりちゃんと診療報酬上担保してあげないといけないと思いますよ。だって、人は絶対に要りますよ、医師が全部できませんから。あるいは、院内に薬剤師がいる場合もあります。そこはちゃんと、今、院内に薬剤師がいる場合、評価はちょっとされますけれども、すごく、不当に安い評価ですよ、これ。もう一つは、じゃ、大臣、ここは私、大事なことだと思うんですが、もう時間がないので、まとめてこの二つ、お答えいただきたいんですが。

 私が今言ったように、院内処方をちゃんと評価してあげなきゃいけないと思います。その大臣の前向きな御答弁をいただきたいのと、じゃ、大臣、今、抗がん剤とか、例えばHIVの治療薬だとか、そういった非常に薬理学的な知識、生理活性に対する知識とか必要な薬も処方で出しますよね、院外処方で。そうすると、医師は、やはりそういうときに非常に細かく説明、ムンテラを行うんです、今はまだ。じゃ、大臣、今の、独立したということを厚生労働省さんがちゃんと担保してくれるのであれば、もう我々はそういった説明を一切せずに、薬のことは全部薬局、薬剤師さんにお任せしているから、全てこれは薬局、薬剤師さんに聞いてくださいと、それが厚生労働省の進める医薬分業なんだと、我々はそういうスタンスでやっても説明義務違反等には問われませんね。

後藤国務大臣 細部についてはまた事務方からも答弁させていただきたいというふうに思いますけれども、私が先ほどから申し上げているのは、やはり、地域包括ケア、地域医療の中で、あるべき姿として私たちが目指すべきもの、お医者さんはあるけれども薬局は一軒もないところがあったときどうするのかという回答に対して、どういう出口を探すかということは、だから、院内処方に同じ診療報酬をつけるということになれば、そのままになってしまうということでもあると思います。

 ですから、それは、院内、院外の、状況に応じた体制をどのように守れるかということについては丁寧に我々も見ていきたいとは思いますけれども、そこにやはり政策的な階段をつけて、我々が政策的に何を誘導していくかということをお示しするということは、これは大切なことなのではないか、そういうふうに思っております。

吉田(統)委員 じゃ、役所からも。

 私は、薬剤師さんにどんどん活躍してほしいんです、もっと。もっと活躍して、本当に患者さんのために役に立つ説明をしっかりしていただく。だから、責任を持ってやっていただきたいのが先ほどの質問の趣旨なんです。

 ですから、そういう体制をしっかり整えていただけて、かつ、さっき申し上げたような部分に関しては、医師はもう全幅の信頼を持って、お任せしちゃって大丈夫ですね。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生は、まさに先生でございますので御存じだと思うんですけれども、処方は医師がする、それを受けて、調剤そして服薬指導は薬剤師がする。

 大きな役割が違うということでございまして、処方でございますから、インフォームド・コンセントと関連がございまして、どういう処方をしたかということについてはお医者さんからいく。

 それを受けて、その処方箋を受けた薬剤師の方で、まさに薬の、どういった薬なのか、また、まさに飲み方がどうなのかをする。

 そして、それは単に薬の説明にとどまらず、今、前回の薬機法の改正で、服薬指導ですとか、さらにフォローアップということを薬剤師の役割として明記していただきましたので、まさにこの薬がどういう薬かだけじゃなく、それがどういった効果を持つのか、表れるのか、そしてその症状を実際に見て、そしてそれを、大事なのは、お医者さんに、処方、調剤情報を共有する、フィードバックするということで初めて薬物治療の効果的な実践ができると思います。

 まさに御指摘のとおり、法改正等を経まして、医師と薬剤師が信頼関係をつくってそれぞれの役割を発揮するということが大事かと考えております。

吉田(統)委員 もう終わりますが、局長おっしゃるとおりで、信頼関係と、あと、局長、やはりそこを本当に、今おっしゃったことを実現してください。お願いしまして、終わります。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 この薬機法の質問も三回目となりました。まず初めに、これまで日本政府が購入したワクチンの金額と数について伺います。

 資料の一番を御覧いただきたいのですが、これは朝日新聞がすごい分かりやすくまとめてくれたのでこれを使わせていただいておりますが、全て公表情報です。合計、これまでで二兆三千三百五十六億円、ワクチンの購入には使っている。別の数字ではもう二兆四千億円使っているという数字もありますが、一応、今日はこの数字を基に議論させていただきます。

 これだけお金を使っておりますから、税金を使っておりますから、当然、その中身について確認をするのは国会の責務であります。

 一昨日の政府の財政制度審議会でも、このワクチン購入の費用対効果を考えるべきだと指摘をされています。その際の財政審の会長代理のコメントとして、当初はワクチンの確保が遅れたということもあり、想定より慌てて多く契約したのはやむを得ない部分もあった、しかし、争奪戦という状況は過ぎたようなので、これからは検証して次に生かすことが大事だ、こういう財政審会長代理のコメントもありました。

 私も全く同感で、ワクチンの確保が遅れて急いで買った当初のことはともかく、ワクチンの争奪戦も収まった今、次に向けての検証と議論が必要です。

 そこで伺いますが、ファイザー、モデルナ、そしてアストラゼネカのワクチンのまず単価をお答えください。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンを確実に確保することは、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要です。

 新型コロナの流行が始まりまして、ワクチンの獲得競争が激化していた中、厚生労働省として、ワクチンの確実な確保を最優先に、企業との交渉を行う必要がありました。この事情については、先生も先ほど御紹介をしていただいております。

 交渉状況等を含めまして、交渉に関する情報が公になった場合に、企業側が他国と交渉する際に不利益を被るおそれがあり、その結果、我が国とは契約を結ばないという事態になることを避けるために、企業と秘密保持契約を締結しているところでございます。

 この秘密保持契約については、企業側から聞いているところによれば、各国と秘密保持契約を結んで供給を行っているということだそうでございます。

 そして、ワクチンの単価については秘密保持契約の対象となっておりまして、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社のそれぞれに改めて確認をさせていただいたものの、単価については公表を控えてほしいということでございました。

 秘密保持契約とは、相手の同意なく第三者に対して契約に係る秘密情報を開示してはならないという守秘義務を課す契約でございますので、相手に確認をさせてはいただきました。

 ワクチンに対する国民の関心は高く、情報公開の重要性も十分認識しておりますし、どの範囲の情報を公表することが可能かについては、引き続き、企業との間でできる限りのコミュニケーションを重ねまして、可能な限りの情報公開に努めてまいりたいと思っています。

井坂委員 二兆四千億円使っていながら単価は答弁できないということでありますが、この図で普通に計算すれば、単価はおおむね出るわけであります。

 例えば、この図一の、八月二十七日に四千二百九十六億円でファイザーのみを一億二千万回分契約をしているということで、これは、単純に四千二百九十六億円を一億二千万回で割り算すると三千五百八十円、当時一ドル百十円ですから、約三十二ドルで恐らく契約をしたんだろうということは推測できるわけであります。

 同じように、今年の三月二十五日には六千六百七十億円でファイザー、モデルナ、合わせて一億七千三百万回分契約をしている。これも、普通に回数で割り算すると一回分当たり三千八百五十五円で、これも、この当時は一ドル百二十円ですから、大体、これもまた三十二ドルということであります。

 ファイザーは恐らく一回分当たり三十二ドルぐらいなんだろうなというふうに容易に推測ができるわけでありますが、大臣、ほかの国とも守秘義務契約でファイザーは結んでいる、単価は公表できないとおっしゃいましたが、ほかの国が幾らでワクチンを買っているかというのは、これは、ユニセフのホームページを見れば、ずらりと値段も出ております。

 この資料の二番目を御覧をいただきたいのですけれども、これはユニセフのCOVID―19のワクチンマーケットダッシュボードというところで、本当にずらりと、各国、幾らで買ったのか、これは一番右が単価です、プライス・パー・ドースということで、一接種当たりの単価ということで出ております。

 例えば一番下、これはファイザーですけれども、ファイザー、国によって多少違いますけれども、例えば、アメリカは一回当たり十九・五ドル、ヨーロッパは一回当たり十四・七ドルから、恐らく一番最初、高いときは二十三・一五ドルということで、おおむね十五ドルから二十ドルぐらいの範囲でファイザーのワクチンを各国買っております。

 結果的に日本は一回当たり、ファイザーを三十二ドルぐらいで買っていると思われるわけでありますが、欧米の倍近い値段で買わざるを得なかったのであれば、これは直ちに批判はしませんが、しかし、その事実を基に、やはり、次はどうするのかということを考えていかなければいけないというふうに思います。

 大臣に重ねてお伺いしますが、値段は大体こういうことだと思いますが、現在までに納品されたワクチン、これは契約数は出ていますけれども、実際にメーカーから日本に納品をされたワクチンというのは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、それぞれ何万回分でしょうか。

後藤国務大臣 先ほどちょっと、海外での単価は全部、一覧表になっているというお話がありましたけれども、各企業にも確認しましたところ、全部の国に直接確認するという時間もなかったので、各企業に確認しましたところ、ワクチンを供給する全ての国との間で単価についての秘密保持契約を締結していて、企業との合意の下で政府が価格を公表している国はないということでありました。

 日本としては、相手企業と秘密保持契約を締結した以上、ワクチンの単価をお示しすることは困難である、そういう信義に基づく対応をいたしております。

 また、先ほどちょっと、この表の中で、四千二百九十六億円が一億二千万回なんだったら、割り算すれば価格は出るねというお話がありましたけれども、例えば、こういう予算の措置日、四千二百九十六億円の中には他社の流通経費等の予算も入っているので、特にここは他社の流通経費も入っておりますので、流通経費それから他社の流通経費、予算上の積算をどこでどう対応するかということは必ずしも明確でないということではございます。

 その上で、ワクチンの納品数でございますけれども、ファイザー社の新型コロナワクチンについては、昨年分の一億九千四百万回分については全て納入済みでございます。本年分については、昨年分の在庫も活用しながらではあるものの、本年五月までの配送可能量として既に自治体にお示ししている成人用約五千八百七十万回分と小児用分千五百九十万回分の配送を賄えるだけの数量のワクチンが納入されております。

 また、モデルナ社の新型コロナワクチンについては、昨年分の五千万回分については全て納入済みでございます。本年分については、昨年分の在庫も活用しながらではあるものの、本年五月までの配送可能量として既に自治体にお示ししている自治体向けワクチン五千七百五十万回分と、職域向けワクチン千二百万回分の配送を賄えるだけの数量のワクチンが納入されております。

 アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについては、国内及び各国・地域で必要となる時期や量を踏まえまして同社と調整の上で順次納品していただいておりまして、現時点で、国内供給約二十万回分、海外供与約四千三百万回分を賄えるだけの数量のワクチンが納入されております。

井坂委員 大臣、例えば、八月二十七日の四千二百九十六億円がワクチンの購入代金ではないと。それはそうだろうと思いますが……(後藤国務大臣「いや、入っている」と呼ぶ)ワクチンの購入代金は入っているけれどもそれ以外の配送とかのお金もあるんだ、それはそうだろうと思いますが、そこまでおっしゃるなら、じゃ、ワクチン以外のお金、予算は幾らぐらいこの中に入っているんですか。

後藤国務大臣 だから、それを申し上げると差し引いて割れば単価が出るという計算になるので、申し上げないと言っています。

井坂委員 委員長、これは問題だと思いますよ。だって、ほかの、別に、守秘義務契約を仮にファイザーと結んでいるとしても、それ以外の配送の費用を国会でつまびらかにできないというのは、これは私は問題だと思いますよ。そんな、完全にブラックボックスじゃないですか。

 繰り返しますけれども、別に、無駄だとか何だとかそういう議論ではないですよ、まだ今の段階で。ただ、やはり、二兆四千億円使っておいて、こんなでっかい丼勘定、私、聞いたことがないですよ。

 ちょっと、もう一度御答弁ください。

後藤国務大臣 数量が多くなりますので、もちろん予算の額は大きいと思いますけれども、予算の項目をお示しをし、そして、予算を何のために使うか、きっちりと国民に御説明をした上で予算の手当てはされているので、そういう意味では、予算手続を通して、そして、その予算を説明する状況の場合に、単価が表示できない、単価が守秘義務契約によってお話しできないということは、予備費の手続、予算の手続のたび、補正予算の手続のたびに説明として申し上げてきているということだというふうに認識しております。

井坂委員 いや、だから、単価が、仮におっしゃるように守秘義務契約で答弁できないとしても、それ以外の費用も、それを言うと単価が分かるから言えませんなんて言ったら、もう何も言えなくなってくるじゃないですか。

後藤国務大臣 そういうことですから、別に、流通経費も含めて、この金銭の価格部分について言えば、守秘義務の違反の、守秘義務契約の対象になっているわけです、流通の部分についても。

井坂委員 流通も含めてで、しかも、丸ごと何にも言えないということで、これは全く納得できる答弁ではありません。

 ちょっと本当に、理事会で、ここまでブラックボックスでよいのか、国民に対する、ひいては納税者に対する当たり前の説明責任として、ここまでブラックボックスでよいのかというのは、大臣にもお考えをいただきたいし、委員長、一遍、理事会で、本当に国会としてこれでいいのかということは、お取り計らいをいただきたいと思います。いかがですか。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。

井坂委員 ありがとうございます。

 続いて、これも直ちに批判をされることではありませんが、現在までに既に廃棄又はキャンセルをしたワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、それぞれ何万回分でしょうか。

後藤国務大臣 ファイザー社とモデルナ社の新型コロナワクチンについては、現時点でキャンセルはしておらず、また、国において廃棄を行っていることもありません。

 一方、アストラゼネカ社のワクチンについては、国として供給を受ける必要がない分については供給を止めていただくことが可能となっておりまして、同社と協議し、四千万回分は既にキャンセルをいたしております。

 また、同社のワクチンについては、必要となる時期や量を踏まえ、同社と調整の上で納品されているものの、結果として、国内使用や海外供与に用いられず有効期限を迎えた場合は廃棄せざるを得ず、多少の廃棄は生じていると考えられます。

 なお、同社との関係もあること等から、これ以上の詳細を申し上げることは差し控えたいというふうに思っています。

井坂委員 これまでのところは、ファイザー、モデルナに関しては廃棄又はキャンセルは行っていないという答弁でありました。

 ちょっとこれは参考人に重ねてお伺いをしますが、廃棄、キャンセルはしていないけれども、アストラゼネカのときのように、海外に無償又は無償同然の値段で提供したワクチンというのは、これまでに何万回分ありますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 日本政府として海外にこれまでに国際貢献として供与したワクチンにつきましては、四千三百万回を供与しております。いずれもアストラゼネカ社製のワクチンを用いております。

井坂委員 最後に、これも通告どおりですけれども、キャンセル料というものが、当然、キャンセルするとかかってくると思います。アストラゼネカについては、もう既に作りかかってしまった分の実費については、これは支払うということだというふうに伺っておりますが、このキャンセル料、あるいは、せめてキャンセル料率ぐらいですね、値段が言えないということですから。じゃ、大体、キャンセル料率は五〇パーなのか、八〇パーなのか、それとも二〇パーぐらいで済むのか、そういった辺り、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、お答えをいただきたいと思います。

後藤国務大臣 アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについては四千万回分を既にキャンセルをいたしておりまして、このキャンセルに伴いまして、アストラゼネカ社に対して違約金を支払う必要はなく、既に支払い済みの金額から、四千万回分のために同社に生じた必要経費を除いた金額が返還されるという約束になっております。

 このことは、アストラゼネカ社は、当然、説明していいということで、我々は了解を取ってお話をしています。

 キャンセルに関するルールについては、そのルールの有無も含めて秘密保持契約の対象となっておりまして、公表の可否について改めてファイザー社とモデルナ社にも確認いたしましたけれども、キャンセルのルールについては、そのルールの有無も含めて公表を差し控えてほしいということであるので、御理解をいただきたいと思います。

井坂委員 今日いろいろ伺いましたのは、私もさすがに、二〇二〇年の段階でファイザー一億二千万回とかアストラゼネカ一億二千万回契約した、これは仕方ないと思っているんですよ。そこを批判するつもりは全くないんです。ワクチン争奪戦が厳しかった、しかも出遅れたということですから。

 ただ、例えば、今日のこの資料一を見ていただいても、下の方、新しい方にある、今年の、例えば二月十四日にまたファイザー、しかも三回目接種分を一千万回追加をしたりしている。これは、でも、去年の十月七日にファイザーだけで一億二千万回分既に契約をしていて、日本人が赤ちゃんから百歳のお年寄りまで全員ファイザーのワクチンを打ったって、三回目を打ったっても足りるはずなのに、また今年に入って一千万追加で契約していたりするわけですよ。これはやはり何でなのかなと思いますし、モデルナも入れたら物すごい数、追加でまた今年に入って契約をしているわけですよ、三回目も、そして四回目も。

 この辺りも、やはり、もう今はワクチン争奪戦なんというよりもやや余っているような状態ですから、本当に中身の議論をしていかないと、緊急時だから仕方ない、秘密契約だから何も言えないで許されることではないということだけ、はっきり申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、続きまして、一昨日の議論に引き続いて、社会経済活動を維持したまま医療の逼迫をいかに防ぐかということで、続きをさせていただきたいと思います。

 一昨日の委員会では、コロナは二類か五類かという議論を丁寧にいたしました。事実確認として、コロナは二類でも五類でもなく、新型インフル等感染症というカテゴリーであること、そして、実際は、二類相当どころか感染症一類よりも多くのことが柔軟にできる仕組みに今なっているということ、そして、誤解があったのは、必要があればできるという手段が数多く用意をされているだけで、無駄なことをしなければいけない義務はほぼないし、本当に無駄な義務があればまた今後も外していけるということ、そして、新型コロナを仮に五類感染症にすると、何か現場が楽になるというよりは、いざというときにできることが減るだけということなどなど、質疑をしてまいりました。

 そもそも勝手に五類にできるわけでもなくて、感染症法の定義でこう書いてあります。「コロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」、これが新型インフル等感染症の定義であります。

 実際は、ワクチン三回目をやっても予防効果は四七・四%でありますから、ワクチンを全員三回目打ったって、これは免疫を国民が獲得したという状態にはなりません。

 そこで伺いますが、このもう一つの、当該感染症の全国的な急速な蔓延により国民の生命、健康に重大な影響を与える、この要件は毒性と感染力だけで決まるのか、それとも医療体制との需給関係が大きな要素となるのか。つまり、感染力がオミクロンみたいに強くても、患者をしっかりと受け入れて治療ができる、あるいは投薬ができる医療体制があれば、新型コロナ、特にオミクロン株であれば新型インフル等感染症の定義から外れることも可能なのかという趣旨でお伺いいたします。

後藤国務大臣 感染症法上、各感染症は、インフルエンザを含むその他の感染症との比較も含めて、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案して、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが定められておりまして、今般の新型コロナウイルス感染症については、感染症法上、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられています。

 新型コロナウイルス感染症の新型インフルエンザ等感染症の位置づけは、御指摘の医療提供体制の逼迫状況は直接的な考慮要素ではありませんけれども、感染力、罹患した場合の重篤性を踏まえまして、総合的な観点から判断しているわけでございます。

 新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、更なる変異の可能性もありまして、現下の新型コロナの感染状況等を踏まえますと、新型インフルエンザ等感染症と認められなくなったと判断することは困難であると考えます。

井坂委員 そのために必要なのは、やはり二類を五類へみたいな形式論ではなくて、オミクロンが蔓延をしても医療体制をしっかりと整えるということに尽きるというのが、一昨日と本日の議論の帰結だというふうに思います。

 インフルエンザと同じように、やはり、かかったら、患者が近所の病院でしっかり治療してもらえる、薬をもらえるということ、あるいは、重症化してもそういう方には病床が十分あるということ、特に高齢者施設などはしっかり感染予防や重症化予防ができているということ、これらを実現するために、感染症法の改正や、かかりつけ医制度の法案がやはり必要です。我々は、本当に真摯な気持ちで今回、三つの法案を出しておりますので、是非、各党の皆様に再度お願いをいたしまして、本日の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 今日も質疑に立たせていただくことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、新型コロナウイルスの、新型インフルエンザ等感染症、いわゆる二類相当となっているところから、五類感染症及び五類相当に変更していくことが可能な状況なんじゃないかということについて、るる質問させていただきます。先ほど井坂さんもやったので、大変恐縮なんですけれども。

 まず、季節性インフルエンザの致死率を下回ったときということで、少しお話しさせていただきます。

 今、オミクロン株になってから、致死率は、SARS、MERSと比較すると、大きく下回っているのが現状だと思います。もちろん、ウイルスの変異も考えられますが、感染症の特徴として、二年程度経過すれば弱毒化することも明らかとなっていると思います。

 そんな中、季節性インフルエンザの致死率を下回った場合に、実際に、五類への変更というのは検討が可能なのかどうか、教えていただければと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に位置づけられているところであります。

 まず、御質問の五類感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する感染症が指定されております。

 仮に、新型コロナウイルス感染症の分類を五類感染症に変更する場合は、そうした要件に該当する必要があると考えます。

 このため、致死率などに加えて、感染力も踏まえた総合的な観点から判断する必要があると考えております。感染力が大きければ、感染する人が増えて、致死率が低くても、結果として死亡する方は多いという状況もございます。

 また、現在の新型コロナウイルス感染症につきましては、オミクロン株であっても、致死率や重症化率が、今のところインフルエンザよりも高くて、更なる変異の可能性もございます。

 こういったことも勘案しながら、今後とも検討していく必要があるというふうに考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 私、今回、改めて、二類なのか五類なのか、どういう位置づけが最も国民にとって安心、安全な体制の下で次へ向けてスタートできるのかと考えたときに、やはり、二類に据え置いていることそのものは、公衆衛生に力を入れているんじゃないか。我々、我が党が主張しておりますが、五類へ変えるということは、医療全体でこのコロナウイルスに向き合っていくというような考え方ができるんじゃないかなと思うんですけれども。

 その上で、現在、オミクロン株そのものが死因の原因となっているケースは大分減少していると理解しています。そして、いわゆる二類相当であると、保健所がコロナ対応しか認められていない結果、コロナをきっかけとして、ほかの死因、例えば、高血圧からくるものだったりというのをよく耳にするようになりました。

 そういう意味では、今、実際に二類のままに据え置いて、そのために、例えば、コロナウイルスに対していい対応ができているという措置がもしあれば、逆に教えていただきたいなと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 現在の新型コロナウイルス感染症は、まず、二類ではなくて、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられているところでございます。

 これによりまして、都道府県知事が実施可能な措置としては、入院の勧告、措置、患者さんへの健康状態の報告の求め、外出自粛要請、健康診断受診の勧告、措置等がございまして、もちろんこれは全ての患者さんにやるわけではありませんが、こういった措置を行うことができるということになっております。

 また、これら以外にも、検疫法上の隔離の措置でありますとか、必要に応じて、特措法におきます蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態措置などの発動ができるという点がございます。

金村委員 ありがとうございます。

 済みません、つい二類相当と言ってしまって、申し訳ありません。

 いわゆる新型インフルエンザ等感染症の枠組みで今対応しているわけなんですが、そこから、先ほど来我々が申し上げている、季節性インフルエンザの致死率を下回ったよと、やはり五類のような対応もしていくべきなんじゃないかという議論になっていったときに、では、果たして、今のようないわゆる新型インフルエンザ等感染症でしていく支援の在り方と、変化するわけですね。

 その変化することによるデメリットと言うとちょっと大げさな言い方ですけれども、やはり今のままの方がいいんだと主張できる点というのを、少しお伺いさせていただけますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのお答えの若干裏返しになって恐縮でございますが、新型コロナウイルス感染症が五類感染症となった場合につきましては、現在、知事等が可能と、できるとされています入院の勧告、措置、患者への健康状態の報告等の求め、あるいは特措法によります蔓延防止等重点措置の発動といった措置ができなくなるということが、課題がございます。

 一方で、五類感染症であっても引き続きできるものとしては、済みません、できるというか、五類感染症であっても、引き続き患者を診断したときの医師の届出が義務とされる。また、都道府県知事は積極的疫学調査を行うことが可能といったことがございます。

金村委員 実際、もう既に現段階において、いわゆる柔軟な対応というのは十分できていると認識しています。

 例えば、当初は陽性者に対して入院勧告をしていたものが、実際には、現在、自宅療養やホテル療養が可能となっている。加えて、入院勧告されるのは、重症化リスクが高い患者さんに対してのみ行われている。従来の、元々スタートした段階とは、かなり柔軟になってきていると認識しています。

 さらに、いわゆる軽症者の健康観察を自分自身で行えるように切り替えたり、濃厚接触者については事業所が同定しないというように、実際にはかなり柔軟に対応しているので、我々はこの二類、五類とかに非常にこだわって主張をしてきたんですけれども、かなり柔軟に対応して、まさに、経済活動と新型コロナウイルスとしっかり向き合っていくということを、柔軟に変更していっているという認識はおありなんでしょうか。

佐原政府参考人 新型コロナウイルス感染症につきましては、今御指摘いただきましたように、社会経済活動の維持の観点とか、保健所や病院の負担軽減という観点から、感染者の隔離期間の短縮でありますとか、濃厚接触者の待機の在り方の見直し、また、積極的疫学調査の重点化、あるいは発生届の入力項目の簡素化、健康観察の重点化など、現在流行しておりますオミクロン株の特性に合わせまして、措置の見直しというのを順次行ってきたところでございます。

 感染症法上、各感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案して、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが定められております。今私の方で申し上げました、例えば積極的疫学調査の重点化、こういった措置、これはあくまで新型インフルエンザ等感染症として、特にオミクロン株の特性を踏まえて重点化、簡素化したものでありまして、これだけをもって新型コロナウイルス感染症が五類感染症に近づいていると評価するかというと、そこはちょっと慎重に考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。

金村委員 柔軟に対応していくことと実際に変更することというのは少し位置づけが私自身は違うと思いますので、そろそろ政治決断のタイミングなんじゃないかなと考えています。

 その中で、私、今のオミクロン株になってから、ますます御決断いただきたいなという思いがございまして、それは、少なくとも、子供たち自身が常日頃からマスクを着用している状況を何とか改善したい。つまり、私、娘が小学校二年生なんですけれども、小学校に上がってから、マスクを着用せずに学校生活を送ったことがない。実際に、この間、娘がマスクを取ると、口元を隠すんですね。つまり、隠す場所に子供たちの中ではなっていってしまっている。

 現状、今の日本において、AIやイノベーションのまさに進化によって、よく、教育の分野でいえば、いわゆるIQからEQなんて言われているんですね。つまり、いわゆるコミュニケーション能力や社会性をしっかりと成長させなければ社会の中で活躍することはできないというようなトレンドがある中で、実際にマスクを通していくと、口角が上がらなくなったり、あとは相手の感情になかなか気づくことができなかったりと、大きな弊害があると思っています。

 だからこそ、柔軟に対応してきたことはもちろん尊重いたしますけれども、思い切って、やはり五類だとかそういったいわゆる決断をして、脱マスクに向けた取組をまさに今進めていくべきタイミングなんじゃないかなと思いますが、政府の御答弁を願いたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症の感染経路は飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等でありまして、三密の回避や換気などに加えて、マスクの着用が極めて感染対策として重要であるということは言えます。このため、国民の皆様には、マスクの着用を含む基本的感染対策の徹底について御協力をお願いしているところです。

 専門家からは、マスクを着けずに大声で長時間会話するような感染リスクの高い場面を避けることが重要であると指摘されておりまして、政府としては、引き続きマスクの着用をお願いしたいというふうに申し上げているところであります。

 今、特に委員から御指摘のありました、子供、特に小さい子供のマスク着用については、これまでも、例えば専門家の中、あるいはアドバイザリーボードや感染対策の分科会等でも大変大きく議論になってきているところでありまして、小さい子供たち、幼児の人格形成、コミュニケーション力の形成、そうしたことに対して、マスクの着用というのは非常に阻害要因になるのではないか。あるいは、実際にマスクを着用させても、例えば保育園のように子供が小さければ、そんなことはなかなか励行できないではないか、そういうような議論があったことは事実でありまして、子供、なかんずく幼児に対するマスクの着用の問題はこれまでも非常に大きな議論となってきましたし、そのことが議論として重要であるという認識は持っております。

 コロナに関する感染症法上の分類の見直しのタイミングとマスク着脱のタイミング、これをリンクづけるということは私は困難だというふうに思っておりますし、新型コロナへの対策については、マスク着用などの基本的感染対策も含めて、引き続き、ウイルスの症状や感染状況も踏まえながら、専門家の意見も伺い検討していきたいと思いますけれども、そうしたときに、子供のマスクの着用に関する配慮が必要だという議論も併せてやはり行われるべきことだというふうに思います。

金村委員 ありがとうございます。政府の中でも議論がしっかりされているということを理解しました。

 実際、季節性インフルエンザなんですけれども、昨年、我々、マスクをしていますから、陽性者の割合というのは随分減っているんですね。なので、マスクの効果というのは当然あることは理解できるんですけれども、ただ、その判断をしている我々は、マスクのない子供時代を過ごした上で今その判断をしておりますので、是非とも政府にも御見解をいただきたいですし、政府が決められない問題であれば、例えば国会の中で、少し投げられない高めのボールを国会として宣言していくとか、いろいろな決断もあるのかもしれませんので、是非期待してまいりたいと思います。

 次に、医薬品流通について少しお伺いさせていただきます。

 私、今回、この薬機法改正に基づいた質問の中で、創薬のことを随分質問させていただきました。私自身も、大変知識の深まる結果にもつながりましたし、勉強にもなりました。

 その上で、いわゆる医薬品産業ビジョン二〇二一の中で医薬品流通について記載があるんですが、実際、いろいろお話を聞いてみると、もうやれることはほとんどやっているんですね。むしろ、産業構造的にいえば、もはや限界ぐらい改善をしているということが分かりまして、医薬品産業ビジョン二〇二一に記載しなくてもいいんじゃないかなと思うぐらいのレベルだったんですね。

 その上で、唯一、改善策として記載があるのが、医薬品卸売業者の単品単価交渉、ここが一つ改善策としてあり得るんじゃないかと記載があったんですね。いわゆるこの単品単価交渉に着目した理由を教えていただければと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 現在の医療用医薬品の流通におきましては、医薬品卸売業者が医療機関や薬局と医薬品の取引を行う際に、品目ごとに価格や割引率を交渉するのではなく、複数の品目をまとめてそれらの総額ベースで価格や割引率を交渉する商慣行が存在しております。

 一方、医薬品の価格につきましては、医療保険制度の下、医薬品が持つ治療効果や、剤型など使いやすさ等を踏まえ、個々の品目ごとに公定価格である薬価が定められております。

 こうした薬価制度の趣旨を踏まえますと、医薬品の取引価格につきましても、交渉の段階から、個々の医薬品の価値を踏まえつつ単品単価交渉を行うことが基本であると考えられますことから、昨年十一月に、医療用医薬品流通改善に向けた流通関係者が遵守すべきガイドラインを改定しまして、単品単価交渉を推進していくことを明記したところでございます。

金村委員 ありがとうございます。

 医薬品卸売業者がどうやったら経営改善やいい経営につながっていくのかと考えたときに、この単品単価交渉に着目されたということだと思いますが、まず、これは結論から言うと、薬価が大きく上がったりしない限り、何か物すごく例えば利益が大きくなるとか、そういうことというのは非常に考えにくいと思うんですね。

 また、製薬企業から医薬品卸売業者、そこから病院や薬局にお届けするんだと思うんですけれども、かなり商慣行も、一般企業と比較すると割と業界独特というか、商慣行が散見されていました。

 その上で、今、日本においては国民皆保険制度ですから、全国津々浦々にこの流通網をしっかりと張り巡らせて、どの人も医療を提供されたときにお薬を提供されるということなんですけれども、本当に薬価以外に何か選択肢はないのかなと考えたときに、いわゆる医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、流改懇というのが医政局長の私的懇談会として平成十六年に設立をされておりますが、この流改懇を通して少しでも産業構造そのものをしっかりと支援していくというような実効的なものというのは今後どういった取組があるのか、そこを教えていただけますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁しましたように、医療用医薬品の流通におきましては、総額ベースの取引、いわゆる総価取引のほかに、製薬企業から医薬品卸売業者に販売する価格の方が卸売業者が医療機関、薬局に販売する価格を上回るといった、ちょっと特別な商慣行が現在存在しております。

 こうした商慣行の改善のために、先ほど先生が引用されました医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、これを設置してずっと議論を重ねております。昨年十一月には、先ほども答弁申し上げたようなガイドラインを改定し、まさに業界の流通構造の改善に向けた具体的な提案として、単品単価交渉の推進、頻繁な価格交渉の改善、在庫調整を目的とした返品の是正、こうしたことを進めるということを盛り込みました。

 さらに、是非このガイドラインを業界に徹底していくということを進めていくとともに、やはり、このガイドラインの改定が果たして価格交渉や返品の実態にどのような影響があったのかを把握、分析をし、その結果を踏まえて医薬品の流通の状況の改善が実効的なものになるように、必要な取組についてこの流改懇で検討してまいりたいと思っております。

金村委員 ありがとうございました。

 創薬の部分もそうですし、いわゆる医薬品卸売業者もそうなんですけれども、私は厚生労働省が、もちろん規制というブレーキもありますが、しっかりとアクセル、産業を支援していくという視点を強化していくことが、ひいては我々国民一人一人の豊かさにつながっていくと思いますので、どうか御努力いただきたいと思います。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、新型コロナワクチンの緊急時の契約について、一言申し上げたいなという具合に思います。

 医療品の承認につきましては、安全性の担保というのがもちろん一番大事であります。これは緊急時といえども変わるということはありません。しかしながら、緊急時ということで、一方、この迅速な判断というのが非常に重要になってまいります。特に、パンデミックのときに関しましては、一定程度財政面を度外視をしたとしても、まずは国民の皆様の命と健康というのを守るのが最優先事項でありまして、その結果、ワクチンが一定程度残ってしまうということも理解をいたしております。

 そこで、資料の一番目を御覧いただければと思います。

 過去、記憶に新しいところでは、二〇〇九年に新型の豚インフルエンザのパンデミックがありました。発生当初は、これが新型の鳥インフルエンザではないかということで、世界でも緊張感が走ったという記憶があります。その際、政府が緊急に特例承認した二社のワクチンについて、その後、急速に流行が下火になったということもありまして、違約金を支払って解約されたという経験があります。

 先日も複数の委員から御議論がありましたけれども、今回のアストラゼネカ社のワクチンについても、緊急時の判断というのは私はすごく判断が難しいものなんだなと改めて感じておりますし、関係者の御努力には改めて敬意を表したいという具合に思うんですけれども、ただ一方、この結果に萎縮されないようにしていただければいいのかなという具合に思っております。

 ただ、超過契約したために今物すごい数のワクチンが残っているわけなんですけれども、これを在庫一掃セールのように四回目ワクチンとして国民に接種させるということは、やはりこれはちょっと疑惑の目が向けられるということになりますので、是非注意をしていただきたいなという具合に思います。

 そこで、今回、この四回目の接種の議論、もう今までされてきていると思いますけれども、イスラエルを始めとして先行している諸外国のリアルワールドデータをできるだけ正確に分析して評価した上で慎重に判断をしていただきたいという具合に思いますけれども、改めて、ちょっと大臣の見解をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 確保したワクチンについては、国内外の使用や供与を通じて最大限有効に活用するように進めてまいりたいと思っております。

 四回目接種につきましては、三月二十四日の審議会で、接種を行うか否か、仮に四回目接種を行う場合の対象者や三回目接種からの適切な接種間隔については、ワクチンの有効性や安全性、効果の持続期間等に関する最新の科学的知見を踏まえて引き続き検討することが適当とされておりまして、専門家の意見も踏まえつつ、リアルデータ等を活用して最新の科学的知見や諸外国の対応状況を注視しながら、四回目接種を行うか否かを含めて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

池下委員 自治体のスケジュール等もありますので、是非、その判断というのを、分かり次第自治体に発信していただければと思います。また、今日の議論にもありましたけれども、ワクチンのコストの問題に関しましても、事後の検証というのは改めて必要になってくるかと思いますので、そちらの方もお願いをしておきたいなという具合に思います。

 次に、新型インフルエンザワクチンの細胞培養の生産体制についてお伺いをしていきたいという具合に思います。

 今回の新型コロナ感染症に対しましては、二〇〇二年のSARS、そして二〇一二年のMERSを契機にした生産体制というものが機能した、制度が機能したという具合に言われています。

 そこで、資料の二番目を御覧いただきたいと思うんですけれども、我が国では、先ほど申し上げました、二〇〇九年の新型豚インフルエンザのパンデミックを機に、従来の鶏卵培養のワクチンの生産よりも短期間で全国民分の新型インフルエンザワクチンを製造することができる細胞培養による生産体制の整備事業に、約一千億円ほど国費を投資されました。

 平常時の維持管理や初期費用などの問題というのも一定あるやには聞いているわけなんですけれども、しかしながら、せっかくここまでチャレンジしてつくってきた制度なんですが、昨年六月にまとめられたワクチン開発・生産体制強化戦略には、残念ながらほぼ触れられていないわけなんですね。

 このパンデミックを機に、我が国においてワクチン開発、生産を滞らせた全ての要因を明らかにして、解決に向けて国を挙げて取り組む必要があるという内容のことをこの戦略の中ではうたわれているわけなんですけれども、前回のパンデミックのときにせっかくやったてこ入れというものがどうなったのかなという具合に私は思っております。

 防疫は、平時の準備のほかに、もう一つ、やはり、せっかくやってきたこの継続性というものが併せて必要になってくるかと思います。喉元過ぎれば熱さ忘るるという言葉がありますけれども、それをやっていかないと、やはり新しいものも生み出すことは私はできないという具合に思っております。

 そこで、細胞培養による新型インフルエンザワクチン生産体制についての評価、そして今後の取組につきましてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今御質問いただきましたのは新型インフルエンザの発生時のことでございますが、コロナだけではなく新型インフルエンザの発生時にも、速やかにそのパンデミックに対応するワクチンを開発し、また供給していくことが求められていると思います。

 一般的に、全国民分の新型インフルエンザワクチンを生産するためには、鶏卵培養法というのを用いる場合には、鶏卵を入手してから一年半から二年程度の期間を要するものとされております。

 このため、今御指摘ありました細胞培養法を用いまして生産期間の短縮を目指しまして、平成二十一年の二月の新型インフルエンザ対策行動計画におきまして細胞培養法等の研究開発を進めることとしまして、平成二十一年度補正予算において細胞培養法ワクチン実生産設備整備等推進事業を開始しております。

 なお、平成二十五年の六月に閣議決定されました政府行動計画でも、この方針は継続して維持されているところでございます。

 この方針によりまして、インフルエンザの亜型の一つであり、感染する危険性が非常に高いと言われておりますH5N1型につきましては、ワクチン製造用のウイルスが決定しましてから、一年半から二年ではなく、六か月以内に全国民の新型インフルエンザワクチンを生産できる体制を整えたところでございます。

 本事業につきましては、平成三十一年度をもちまして、生産体制が整えられましたので、終了しているところでございます。

 また、この事業に続きまして、別の事業によりまして、今度、H5N1型以外の亜型にも対応して六か月以内に全国民分の新型インフルエンザワクチンの生産が可能となるよう、現在、更なる体制整備を支援しているところでございまして、令和三年度でありますと二十三億円、また令和四年度予算でも二十二億円を予算確保して、引き続き、こういった新型インフルエンザのワクチンの生産体制の確保といったことの充実にも現在努めているところでございます。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 せっかくこれはつくった仕組みですから、今いろいろな形で予算もつけていただいているわけなんですが、当然、一番最初につけた金額よりも大分金額が少なくなっているなという印象も、今御答弁いただいた中で感じました。

 ただ、今回のコロナ禍の中で、やはり、国産のワクチンを作ってもらいたいという国民の気持ちというのは多くあったと思います。そんな中で、やはり、この創薬、先ほど金村議員からもありましたけれども、日本の中で創薬という分野をもっともっと伸ばしていくためにも、是非推進をしていただきたいなという具合に思っています。

 今回、政府は、これまでパンデミックによる非常事態対応を想定しなかったことを反省し、ワクチン体制の強化戦略をまとめたとされております。先進的研究開発戦略センター、いわゆるSCARDAをAMEDの中に新設されて抜本的な改革に着手されたということも、私の方は評価をさせていただきたいと思います。

 そこで、ワクチン戦略についてなんですけれども、先日の参考人質疑におきまして梅田参考人からも御指摘がありましたけれども、国内外の製薬会社の負担軽減や緊急時の迅速な対応を図るためにも、国際的な調和を含めた大胆な改革が必要ではないかという御指摘がありました。

 これに関しまして、大臣、必要性、そして今後の方策につきましてお伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 ワクチンの国家検定についてでございますね。

 ワクチンの国家検定でございますけれども、製造過程において高度な技術や品質管理が必要であることから、企業が実施する品質試験とは別に、国立感染症研究所において、動物試験や理化学試験による品質規格への適合性の確認を行う国家検定を製造ロットごとに実施しております。

 この国家検定については、今委員まさに御指摘のように、国際的な規制調和や企業の負担軽減、効率化等の観点から、具体的には、検定で実施する試験項目のうち、一部の動物試験の削除、企業からの検定を申請する際の手続の簡略化、新型コロナワクチンについては書面のみの検定の実施などの取組をこれまで実施してまいりました。

 引き続き、業界団体、また、国立感染症研究所等とも協議しつつ、書面での検定の拡大と更なる国際調和を推進して、国家検定の迅速化、簡素化に取り組んでまいりたいと思っています。

池下委員 ありがとうございます。

 やはり、国際化の流れというのは止められないものだと思っておりますし、この製薬業界の中でも求められているところだと思っておりますので、是非、推進の方、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっとまだお時間がありますので、ちょっと通告はありませんけれども、一つだけ、参考人でも結構ですので、お伺いをしたいなと思います。

 今朝の読売新聞の記事でありまして、コロナ、重点感染症指定、厚生労働省暫定リスト、エボラ、天然痘もという見出しが出ておりました。

 新型コロナは、重点感染症リストの分類のBにリストアップされたという具合になっておりますけれども、今回、このBに分類することによりましてどういう具合の改善が行われるのか、そして今後の見通しにつきまして分かりましたらお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 厚生労働省では、御指摘の重点感染症というものがどういうもので、今後日本国内においてしっかり準備をしていかなければいけない感染症は何なのかということについて検討してきております。

 この中で、AとBとCという、そういったカテゴリーを設けておりますけれども、これに位置づけることによりまして、一つは、今、AMEDの方でやろうとしていますSCARDA、ワクチンの開発の中で、重点的に研究開発の支援を行っていく感染症は何なのかということを決めていく際の資料になるというものでございます。

池下委員 ありがとうございます。

 今回の分類によりまして、また、そのワクチンの生産体制ということもまたしっかりとやっていただきたいなという具合に思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 以上で質問の方を終わりたいと思います。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 薬機法も大詰めとなってまいりましたので、これまでの委員会での答弁を受けて、また、先日参考人質疑もございましたので、それらも受けて質問をさせていただきたいと思います。

 一昨日の質問の最後、緊急使用許可と承認制度についての議論もさせていただきました。

 私としましては、承認の信頼性を確保するためにも、逆にしっかりと使用許可というような形を取った方がいい、別の形がいいと思っていたのですが、なかなか安全性への信頼ということ、これはどちらも大切だという理解はできたんですけれども、かみ合わず、大変残念でしたけれども、次に移りたいと思います。

 次は、何度も答弁があったものの中に、今回の緊急承認制度は、安全性については現行の承認制度と同等の確認をすると、これは何度もほかの委員の皆さんからも議論がありました。

 改めてお聞きをさせていただきたいんですが、第三相の臨床試験の主眼というのは有効性の検証にあることというのは明らかであると思っていますが、承認前の医薬品については安全性を確認する手段も臨床試験しかないと言われています。大規模な第三相の試験を行わずに小規模な第二相の試験までの結果で今回承認するという制度では、現行の承認制度と同等ということを言われていますけれども、同等の確認というのができるわけがないと思います。

 ここで言う、改めて、安全性の確認というものは何なのかということの説明を求めたいと思います。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、医薬品の安全性についてでございますが、御指摘ございましたように、いわゆる治験、あるいは非臨床試験や、治験、いわゆる臨床試験を通じて、副作用、副反応というものはどういったものがあるのか、どの程度の頻度で出るのか、その度合いはどの程度かといった、毒性なども含めて評価するのでございますが、それはさらに、医薬品の承認審査におきましては、それが効能、効果に比して著しく有害なものではないかどうかという評価をして確認していくというのが医薬品の承認審査における安全性の評価でございまして、この緊急承認制度におきましても、同じように、今申し上げたような、ベネフィットとリスクのバランスというものを考慮しながら許容可能な安全性を担保するという意味では安全性の確認をする、それが考え方でございます。

 そうした考え方に立ちましたときに、そもそも、第三相試験が実施されない場合でございましても、一定期間に高頻度に生じる副作用につきましては、プラセボ群との間での発生頻度に明確な差が生じることが多いことでございますので、後期第二相試験など、比較的少数の症例に基づいても安全性を確認することは可能だというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 まさに、参考人のこの意見書の中に、第二相の試験の成績で承認した結果、承認直後から多数の副作用、また死亡者を出してしまった例として、抗がん剤のイレッサが挙げられておりました。

 今も局長からあったんですけれども、元々は第三相試験では厳密な検証ができるのはあくまでも有効性であって、臨床試験としては大規模だとはいっても、今まさにありました、数百から多くても数千人の規模にとどまるこの第三相試験では、患者の年齢や病気の重症度や合併症の有無など様々な条件下で、臨床試験よりもはるかに多数の患者さんに使用されたときに生じる可能性というのは予測することは不可能であるというふうにも指摘をされています。

 だからこそ、逆に言えば、これは市販後の安全対策というのが重要になってくるということで、今回も市販後の安全対策の重要性ということも項目として大きく掲げられておりますが、今の私の認識で間違っていますでしょうか。

鎌田政府参考人 御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、安全性については、臨床、非臨床、あるいは臨床試験の中でどのようなものが出るのか確認して、そして承認審査の過程で、ベネフィット・リスク・バランスで評価、確認するということで、第三相がない場合であっても、一定期間のものである程度確認できるというふうに申し上げました。仮に、それこそ安全性が確認されなければそれは承認しないということで、そこは確認できるから承認するものでございます。

 他方、先ほど御指摘の例でイレッサというものをおっしゃいました。イレッサについては、詳しく申し上げませんが、その当時、承認当時の科学的知見では予見し得なかった、確認し得なかった事象がその後発生したというものでございます。そういった意味におきましても、市販後安全対策、そして使用後の成績調査というものは重要でございます。

 また、それこそ緊急時に使うお薬であれば、恐らく今回のように初めての作用を持つものですとか、新しいモダリティーのワクチンとかというものでございますから、そういう観点からも、使用後の安全対策、使用後の調査、追跡調査が必要でございますので、その点はこの制度設計をしていただいた審議会においても御指摘を受けておりまして、私どもも、高頻度の審議会の開催で確認するですとか、あるいは、その点を重視した使用条件をつけるとかということを考えているところでございます。

田中(健)委員 今度は、緊急時で使っていたものから正式承認に、次に移る段階の正式承認申請についてお聞きをしたいと思います。

 正式承認申請は臨床試験を求めないという点について、これも議論が何度かされていました。答弁を確認しますと、第三相試験の実施を想定している、原則として第三相試験の結果を求め、さらに市販後の調査の成績も求めるということを何度も挙げられていましたけれども、これが臨床試験の成績を求める規定を設けないという理由にはならないのかと思います。

 これも前回のときに質問させていただいたんですけれども、本当に上乗せの趣旨ならば、条文を、臨床試験に関する資料及び使用成績に関する資料と明確にすべきかと思うんですけれども、改めて見解を伺います。

鎌田政府参考人 御指摘のとおり、私どもといたしましても、今回の緊急承認制度におきましての、期限内に改めて承認申請していただく場合には原則として第三相試験の成績を求めるというものでございますが、あわせて、先ほど御指摘のあったように、実際使っていただいたデータなどを踏まえて評価する必要性もございますし、また、場合によっては、感染者が急速に減少すれば、第三相試験が完了できない、一定程度進んでも完了できないという場合もありますので、そういったことを補う意味におきましても、リアルワールドデータ、使用成績調査なども通じて有効性の確認をする必要があるというふうに考えているところでございます。

 そうしますと、原則として求める第三相試験の成績に加えて、こうした実際の使用成績あるいはリアルワールドデータを求めるということを考えれば、立法技術論としては、今申し上げたように、使用成績に関する、その他の資料という形で法文上するのは妥当だと。なお、これも以前申し上げましたが、同じような法律の構成を持つ再生医療製品におきましても、そのようになっているというところでございます。

 加えまして、きちんと臨床試験の成績の資料を求めることは、下位法令である省令において明記したいと考えているところでございます。

田中(健)委員 まさに次に続く質問なんですけれども、今御答弁にあった立法技術論。その中でも、これも答弁にあったんですけれども、再生医療製品の制度におきましても同じ条文があり、同じ書きぶりにしておりますので、やはりそこは、法的にも同じような書きぶりにするというのが妥当だと考えているということがありました。

 それを聞いたときは、そうなのかなというふうに納得してしまったんですけれども、そもそも、それでは、再生医療等製品に関する条文が適切なのかということをお聞きをしたいと思います。

 というのは、再生医療等製品の場合は、患者が少ない、また原料となる細胞が不均質である等の特性から、一般の医薬品と同様の第三相比較試験が困難な場合がある、これは厚労省の資料に載っている文言であります、といった特性があり、この緊急承認制度の対象となる一般薬の医薬品の場合と同様に考えることはできないんじゃないかというふうに思いました。

 それらを踏まえると、先ほどの立法的な技術論、また、ないしは再生医療等の制度と同じようにするのが妥当だという理由は成り立たないんじゃないか。つまり、同じ書きぶりにしなくてはならない理由にはならないのではないかと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。

鎌田政府参考人 まず、繰り返しで恐縮でございますけれども、我々としては、原則として第三相試験でございますし、また、そうした考え方から、下位法令である省令におきましてはきちんとその旨を明記するということでございますけれども、御指摘の再生医療等製品の条件及び期限付承認制度は、お話がありましたように、生きた細胞由来でございますので、不均質ということで、同じように有効性を確認するのには相当の時間を要するために、有効性を推定された段階で承認するというものでございます。

 他方、緊急承認制度は、緊急時に時間的猶予がない場合において、有効性を確認するために時間を要しますので、有効性が推定された段階で承認する、それで期限内に確認。

 そういった意味においては、確かに、何をもって推定とする理由ですとかは異なるものの、後から一定程度のデータを求めて期限内に確認するという意味においては同じでございます。

 したがいまして、制度の構成としては、有効性が推定された段階で承認し、期限内に改めて有効性の確認を求めるという共通した枠組みでございますので、立法技術論としては、緊急承認制度、そして、再生医療等製品の制度において同様の規定を設けるというのは妥当であるというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 これも、何度もやり取りしておりましても、有効性の推定条件、期限を付して承認するということが再生医療等製品の制度と私は違うんじゃないかという視点で聞いたんですが、今では同じだということで、ここも残念ながら理解が深まりませんでしたが、次に進みたいと思います。

 また、梅田参考人からあった指摘について確認もしたいと思います。

 参考人からは、今回は、全然また角度が違いますけれども、国際的なランダム化比較試験を主導できる人材を育成し、平時からより多くの日本人が臨床研究、治験に参加できるような仕組みを構築する、臨床研究、治験の基盤を整備する必要があると、平時からの必要性を強く強調していました。

 これまでの答弁の中で、政府としましては、臨床試験、治験の推進に関する今後の方向性について二〇一九年度版取りまとめといったもので取組が進められており、臨床研究中核病院、これも何度か出てまいりましたが、日本全体の臨床基盤を支え、日本の医療機関を総合的に支援するプラットフォームと位置づけていて、研究開発基盤が整備されてきたということでありますが。

 具体的には、それでは、ここで掲げられております人材育成と、例えば財政リソースの効率化、これが大きなテーマとして掲げられていますが、これはどう進んだのか。つまり、人材は増えたのか。また、国際共同治験、これも何度も言われていますが、この体制整備とありますけれども、今、二拠点ということもありましたが、この全拠点のノウハウ展開をこれからしていくということがありましたが、これが進んだのかという、具体的な実績のほどをお聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 有効で安全な医薬品について速やかに実用化を進めるためには、御指摘の人材育成や国際共同治験の体制整備などを通じて、国内外の治験実施体制を整備することが重要であると考えております。

 このため、厚生労働省では、日本の臨床研究をリードする医療機関である十四の臨床研究中核病院を通じて、臨床研究を担う従事者に対し、講義やグループワークなどの研修を行いまして、人材育成を進めているところでございます。

 こうした人材を各地の研究に関わる医療機関に提供することで、より多くの臨床研究を並行して実施することが可能となり、多額のコストを要する治験の効率的な実施に資する取組になっていると考えております。

 また、国際共同治験の体制整備に向けまして、国内二つの医療機関とASEAN五か国等が連携した現地の人材育成や拠点整備の取組を支援するなど、アジア地域における臨床研究、治験ネットワークの構築に取り組むとともに、このネットワークを通じて得られた国際共同治験のノウハウ、例えば諸外国の規制の状況や規制への対応方針等について、全ての臨床研究中核病院が参加する連絡会議を通じて、病院間で共有を図っているところでございます。

 引き続き、治験、安全体制の整備に向けて、必要な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 この二〇一九年取りまとめ、現在も進行中ということで、今るる大臣から御説明ありましたが、平時の対応が大変重要だということの指摘でありますから、これらの取組、これからもしっかりと私も追っていきたいと思っています。

 さらに、参考人からの指摘の中で、同じように、平時から、画期的な新薬を迅速に自国及び世界に届けるための制度を今から整備すべきという指摘がありました。

 これも様々な委員からの指摘がありましたが、アメリカの例が述べられていまして、アメリカのFDAには、平時から、既存の規制やガイダンスにとらわれることなく、その時点で得られた科学的根拠に基づき、必要な対応を柔軟に判断する専門性とリソースを備えており、新型コロナウイルスワクチンの研究開発においても、一部の非臨床試験を臨床試験と並行して実行することや、また、第一、第二、第三相試験を一つの試験として実施する、これは技術的にどういうものなのかと思うんですけれども、様々な取組が平時からされているということを、指摘がありました。

 この平時からの画期的新薬の自国及び世界に届けるための制度整備に対して、改めて、日本ではどのような取組をこれからしていくのかという、大臣からの決意を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘の参考人質疑の中で、米国食品医薬品局、FDAにおける柔軟な対応として述べられていた、例えば、今も御紹介ありましたけれども、一部の非臨床試験を臨床試験と並行して実施することや、第一相試験から第三相試験までを分離することなく一つの試験として実施すること、限られた安定性データに基づいて薬剤の有効期間を決定することにつきましては、新型コロナ用医薬品等への対応の中で、日本においても同様に柔軟な対応を行ってまいりました。

 緊急時の薬事対応について御議論いただきました医薬品医療機器制度部会での取りまとめの中でも、平時の薬事承認も含め、より一層の承認の迅速化に向けた制度的検討を行う必要があるとされております。

 これまで、平成三十年の薬機法改正において新設した、先駆的医薬品等に対し優先相談、優先審査を行う先駆的医薬品等指定制度等も、画期的な医薬品等の迅速な実用化に資する制度であると考えております。

 今回の新型コロナウイルス感染症の対応も踏まえて、平時からの更なる対応について検討してまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 最後、一点なんですけれども、これも平時の取組であります。

 先ほど池下委員から国家検定の話がありまして、今回の緊急承認においては、国家検定のかなり簡素化というのが進められることになりましたが、平時からもこの国家検定の簡素化ができないかという指摘であります。

 先ほど来ありましたように、今までのワクチンは鶏卵等を使って製造するワクチンでありましたけれども、今回はメッセンジャーRNAを使ったようなワクチンで、従来に比べ、品質が均一なワクチンを対象とすることではないということで、国家検定の在り方というのも大きなこれから議論になるかと思っています。

 緊急時のみならず、平時であっても、科学的根拠に基づき、国家検定の要る、要らないの必要性や、又はその簡素化というのを検討して、承認審査の迅速化の取組も是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からも御指摘、御紹介ありましたように、先ほどの池下委員との、大臣の中で、大略は申し上げているところでございますが、ワクチンの国家検定ですが、同じように、WHOにおきましては、ワクチンの品質の確保という観点から、各国に対して、生産の一ロットごとにその品質を確保するようにという考えを出されておりまして、それを踏まえまして、アメリカ、ヨーロッパでも同じようにやっておりまして、その日本の在り方が国家検定ということになってございまして、その必要性という意味においては、品質確保という観点からは必要であろうというふうに考えているところでございます。

 他方、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、じゃ、今のやり方でいいのか。それは、今御指摘ございましたように、ワクチンの特性ですとか、あるいは、本当に、そもそもそのやっている内容が必要なのかどうかという観点からの見直しは必要でございまして、私どもも、そういった外部の御指摘もありまして、医薬品産業ビジョン二〇二一の中で、国際的な規制調和を図りつつ、一部の試験の廃止も含めた手続の迅速化、簡素化を図るよう検討を進めるということでございますので、改めて、そういった意味では御指摘があったということで、今後、国際調和を推進して、国家検定の迅速化、簡素化に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 時間となりました。ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 配付資料をお配りをしておりますが、新型コロナワクチンの副反応の症例評価をしていらっしゃった専門家のお一人から、再任時に薬事関係企業に従事しているとの申出があって、内規に抵触するということで、専門委員の委嘱を取りやめたという発表が一昨日ございました。

 資料の三ページ目につけておりますけれども、リーフレットを見て当人が気づいて申出があったということです。もしリーフレットを勘違いしたり、あるいは見ていなかったりということがあればどうだったのかなということも思います。利益相反の確認というのは自己申告だけでいいのかということも感じました。

 この間、新型コロナワクチン接種後の死亡事例について評価不能などと個別症例を評価している専門家の情報というのは公表されておりません。これでは利益相反の有無も国民は検証がしようがないということになっております。

 これは、国民がチェックできる仕組みが必要なんじゃないでしょうか。

鎌田政府参考人 まず、御指摘のPMDAの副反応評価に係る外部専門家の利益相反につきまして、十分なチェックができなかったことにつきましては、おわび申し上げます。

 その上で、先生がお配りしていただきました、これは十三日、おとといの部会に報告したものでございますけれども、この方が関わった評価につきまして、再度、他の専門家も含めて評価しましたところ、まず問題はなかったということは一言申し上げさせていただきます。

 そこで、今、どのようにチェックするのか、分かるのか、公表するなどして透明性を高めるべきじゃないかという御趣旨かと思いますが、外部の専門家につきましては、まず、どのような方が外部の専門家になっているかということについて、PMDAのウェブサイトにおきまして名簿を公表しております。他方、公平かつ中立的な立場から意見が述べられますように、個別の評価につきましては、誰であるかまでは、評価していないところでございます。

 したがいまして、今般、この方、何度か、たまたまこの方は、お配りいただいた資料にございますように、医薬品に関係ない企業の健康管理のアドバイザー、嘱託だったということもございまして、最後はやはり御自身で、どのような企業で働いているか、あるいは給与なりをいただいているか、最後は御本人の方で確認していただくしかないものですから、こうした確認を繰り返し繰り返しすることによって、透明性の確保というか、利益相反のないようにしてまいりたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 公平中立な評価のために公表を一人一人についてしていないというお話だったんですけれども、公平中立な評価をするためには利益相反がないということがやはり大前提になるわけですよね。しかし、それが今は自己報告任せだということになっていて、国民は、本当にそれが利益相反があるのかないのかというのは確かめようがないというわけですよ。

 二〇〇九年の新型インフルエンザの頃は公表されていたというお話も伺ったんですけれども、やはりちゃんとやるべきじゃないですか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたように、二〇〇九年の新型インフルエンザワクチンに関する審議会資料につきましては、評価結果とともに、評価を実施した専門家の氏名というものを掲載してございました。

 ですが、その後、やはり評価に関わった専門家の名前まで書くということにつきましては、公平かつ中立的な立場での科学的評価に支障を来すおそれがあると考えられましたので、まず専門家のリスト一覧という形で公表するとともに、また、当然、個別の評価というものは出して、それをまた審議会なり、あとは他の専門家で併せてチェックするとかいうことで保っておりますし、自己の、最終的には、どんな利益相反関係があるか、どういった会社に就職等しているかについては、最終的に御本人に確認の必要があるということで、御本人にそうした利益相反に対する考え方なり手続を徹底するという方針を取っているところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、何度も申し上げますけれども、自己申告だけではチェックし切れないというのが、やはり私は今回のことの一つの教訓だと思いますので、その点は是非再考を願いたいというふうに思います。

 情報不足で評価不能と判定されたという方が今回の新型コロナのワクチンでもたくさんいらっしゃるわけですけれども、もしその中に、あってはいけないことですけれども、判定を評価している人の中に利害関係者がもし仮にいたとしたら、これはもう遺族の方からしたら本当に納得できない話になっちゃうわけですから、是非ここは本当によく考えていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 次に、参考人質疑で、薬害オンブズパースン会議の水口弁護士から、制度目的にふさわしい取消しを行う上で、緊急承認ではなく緊急使用許可がよいのではないかという指摘がございました。

 アメリカの緊急使用許可の場合は、例えば、ロナプリーブがオミクロン株への有効性が低いとして現在使用は許可されていません。ゼビュディもオミクロン株BA・2への有効性が低いとして現在使用は許可されていません。緊急承認では、こうしたケースはどのように対応されるんでしょうか。

鎌田政府参考人 まず、事実関係でございますけれども、アメリカでEUAを受けた中和抗体につきましては、取消しということはされておりませんで、許可の対象の制限という形で、当該中和抗体薬が感受性のない新型コロナウイルスにより感染症が引き起こされていると考えられる地域は許可の対象外という扱いで、そこで使ってはならないというふうな扱いになっていることで、それは、EUAのときは、許可を取り消す場合には、英語でリボークと言うらしいのですが、それとは異なるというものと承知しているところでございます。

 その上で、日本におきましても、特例承認いたしました中和抗体につきまして、承認条件に、有効性が減弱するおそれがある変異株が流行している場合には、適正な使用が確保されるよう必要な措置を講じることとしております。これに基づきまして、ロナプリーブにつきましては、オミクロン株に対して有効性が減弱するおそれがあることから推奨されないという注意喚起をしたという事実関係でございます。

 それで、緊急承認制度においても、変異株の感染状況等を踏まえて、それによって対応は異なりますが、中和抗体薬が適正な使用が確保されるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 私も念のためFDAのホームページを見て、リボークというのが取消しで、あと、今のロナプリーブはノット・カレントリー・オーソライズドと、今は許可されていないというのは確認はして、違う扱いになっているというのは確認しましたけれども、臨機応変に、効果がなくなったらこれは推奨できないんだというのをしっかり徹底する運用にしていただきたいと思います。

 次に、これも参考人質疑で指摘された点ですけれども、緊急承認制度の前に、この間の批判的総括が必要だという指摘がございました。

 そこで、アビガンが追加購入されることになった経過についてお伺いをいたします。

 二〇二〇年四月七日に当時の安倍首相が記者会見で、観察研究の仕組みの下、希望する患者への使用をできる限り拡大する、そのためにアビガンの備蓄量を現在の三倍、二百万人分まで拡大する、こう述べられました。

 百五十九億円の税金を使って二百万人分を備蓄しました。しかし、その後、アビガンは、新型コロナウイルス感染症に対する有効性を国内の試験でも海外の試験でも示すことができておりません。そして、元々このアビガンは、強い催奇形性など副作用が様々指摘されていたわけでございます。

 私、参考人質疑の水口弁護士の指摘を踏まえて、改めて、承認時、二〇一四年二月三日の薬食審の議事録を読んでみました。今日、資料で、五ページ目から八ページ目まで、抜粋してつけておりますので、是非皆さんも見ていただけたらと思いますが。

 とにかく委員からは、高病原性のインフルエンザウイルス感染症に有効だとする理由が不明だという指摘が相次いでおります。PMDAの側も、御指摘の部分はまだ明確になっていない、こう回答しているんですね。結局、いろいろ議論して、あしたにも来るかもしれないパンデミックに備えてこれは一刻も急がなきゃいけないんだということで、一般に流通するわけではないからといって承認したというのがこのアビガンだったわけです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、安倍首相がこうやって二〇二〇年の四月七日、もう二年前になりますけれども、アビガンを更に追加購入していくんだということを決めた際に、この二〇一四年の二月三日の薬食審の議論のようなことはどこまで皆さんの中で共有をされていたのか、閣僚レベルまでちゃんと伝わっていたのか、科学的エビデンスが委員から疑問を呈されていたものだったというのは知っていたのか、この点をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 アビガンについては、平成二十六年二月三日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症の治療薬としての承認の可否について審議をされております。審議の結果、他の医薬品と同様に有効性、安全性が確認されて承認を可とされたものと承知をいたしております。

 また、令和二年四月七日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策において、アビガンは新型インフルエンザの治療薬として承認を受けているが、その効能や副作用、使用上の注意事項について十分な周知が必要であることに留意しつつ、令和二年度内に二百万人分の備蓄を目指すこととされました。

 これを受けてアビガンの追加購入を行っており、閣議決定の過程において、当時の総理及び厚生労働大臣に対しても適切に報告がなされたものと承知しております。

宮本(徹)委員 適切にの中身をお伺いしているんですね。薬食審で決まっていますよというふうに、単なるそういう形で伝えたのか、あるいは、先ほど通常と同じようにやったという話ですけれども、議事録を読む限り、こんな形で承認したことはないという発言が委員の中から相次いでいるわけですよ。極めて異例な承認がやられたわけでございます。そういうことをちゃんと伝えていたのかということをお伺いしているんです。

鎌田政府参考人 先生御指摘の、そしてまた資料としてお配りいただいた二月三日の薬食審の議事録でございますけれども、これは確かに審議の過程においてアビガン錠の有効性を示す臨床試験の成績が乏しいというような否定的な意見が表明されましたが、そうした議論を経まして、まさに新興あるいは再興インフルエンザの感染症治療薬として、使用条件を付して承認するというふうになったものでございます。

 様々な条件がございますけれども、そのうちの一つが、追加の臨床試験が確認されるまでは製造してはならないというものがございまして、実はその追加の試験が幾つか行われまして、その試験におきまして、例えばプラセボ対照で有効性が確認されたとか、あるいは、追加試験で新型インフルエンザに関しても高有効性が再確認されたとかいうことができましたので、この承認は是とされたというか、改めて審議されなかったことでございますので、今大臣が申し上げましたように、そうした薬食審で承認されて、使用上の注意ですとかそういったものを伝えれば、十分にその内容が伝わっているものと考えるところでございます。

宮本(徹)委員 この二〇一七年の追加の試験、二つのうち一つは、ちゃんとした有効性が示されていないんじゃないですか。一方は示されたそうですけれども、もう一方はちゃんとした有効性がはっきり示されていなかったんじゃないですか。

鎌田政府参考人 追加の試験、これは添付文書にも記載してございますが、二つの試験がございまして、一つは、有意差があると確かに出ております。もう一つについては、統計上の有意差というものに達しませんけれども、本剤群、つまりアビガン投与群とプラセボ群を、投与すると、アビガン投与群の方が有意な結果であるというふうに読めるというものでございます。

宮本(徹)委員 二つのうち一方しか統計上の有意差は示さなかった、それぐらい、ちゃんとした有効性というのは示せていなかったわけですよ、その後の臨床試験でも。

 元々、普通のインフルエンザに効かないものが何で新型インフルエンザだったら効くのかという根本的な疑問が薬食審でも出されていたわけですよね。その後の臨床試験でもなかなかはっきりしない、すかっとした有効性が示せなかったわけですよ。

 そういうものだということを、本当にちゃんとどこまでみんなで共有していたのか。あるいは、知っていて、いや、アビガンは効きそうですよということで、政治家が先頭になって社会に向かってあおるようになっていったというのだったら、本当に大変問題な経緯だったというふうに私は思います。私はこの経過というのは検証が必要だと思いますよ、検証が。そのことを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 ちなみに、最後に一点だけアビガンの問題で確認しますけれども、二〇二〇年の四月のこの安倍元首相のアビガン追加購入に至った判断というのは、誰がイニシアチブを発揮して決めたことなんですか。

後藤国務大臣 アビガンは、新型インフルエンザの薬として備蓄していたところ、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補として更に追加で購入し、その治療薬として現時点で約二百万人分を保管しております。

 アビガンについても既に新型インフルエンザ用治療薬として薬事承認されておりまして、一定の安全性が確認されていたことを踏まえまして、今回のパンデミックの初期段階に危機管理の観点から購入することとしたものでありまして、政府として、令和二年四月七日に新型コロナウイルス感染症緊急対策を閣議決定し、備蓄を行いました。

宮本(徹)委員 私は、誰がイニシアチブを取ったんですかというお話を伺ったんですよね。政府としてというふうに答えられたら、大変困る答弁なんですね。だって、様々、当時治療薬の候補が挙がっている中で、アビガンだけが選ばれていったと。しかも、調べれば調べるほど、大変、薬事承認の過程から科学的エビデンスに疑問を呈されてきたものだったわけでございます。これは本当に検証が必要だと思いますよ。

 是非、その点、政治が何らかの力でこれを特別視して選んでいたとしたら大変問題だと思いますので、しっかり検証していただきたいと思います。

 残された時間で、電子処方箋についてお伺いをしたいと思います。

 今回、電子処方箋の発行、利用は、保険証で受診した場合もマイナンバーカードの場合も、どちらでも利用可能ということとされております。現実には、今、多くの人がなじみのある保険証を使っているというのが医療機関にかかるときの実態だと思います。

 そうであるならば、保険証の受診時にも、医療機関等が直近の処方、調剤情報等の閲覧をできるようにすべきではないのか、あるいは、マイナポータルで得られるような過去の処方内容を本人が確認できるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、マイナンバーカードでの本人確認ができない場合、いわゆる被保険者証だけで受診された場合には、他の医療機関での過去の処方ですとか調剤情報は閲覧できないこととなります。

 ただ、これは、過去の処方、調剤情報というものが要配慮個人情報に該当すると。要配慮個人情報の閲覧については、個人情報の保護の観点から、医療機関等であっても本人同意を得る必要があるということでございまして、これは電子処方箋に限らず、他の電子的なアクセスで個人情報にアクセスする場合も同じような扱いになっているということでございます。

 なお、先生からもちょっと御紹介いただきましたが、患者本人は、処方内容を確認できますように、マイナポータルでそれができるようにしますし、また、当分の間は紙の処方情報をお渡しするという対応をしたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 保険証の場合も本人同意を得る仕組みをちゃんとつくればいいだけではないかというふうに思いますので、その点の改善を求めまして、時間になりましたので質問を終わります。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日配付しました一枚目の資料を御覧になっていただきたいんですけれども、これはコロナワクチン開発の現在の状況でございます。

 大臣、今回の様々な生産体制整備等に対する予算、あるいは研究費も併せてですけれども、やはりこういうコロナ禍だからこそ出しているということもあると思います。そういう意味で、今この状況が来週またアップデートされて、それが厚労省のまたホームページに出されるということでございますけれども、今後の開発の、例えば期限を切るのとか、ある程度待っても、もうシーズがシーズのまま、種のままで花が咲かない、いわゆる上市できるような状態にならない、承認を受けられない、そういうときがあるかもしれないと思うんですね。その辺の時間感覚はどのようにお考えでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンや治療薬を国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは、危機管理上も極めて重要でございます。

 ワクチンの開発支援につきましては、生産体制の整備への補助や有効性を検証する臨床試験の実施費用に対する補助などの取組を行っております。現在のところ、国内で開発されたワクチンは実用化に至っておらず、まずは一日も早く実用化できるよう、しっかりと開発支援を行っていきたいと思います。

 治療薬の開発支援につきましては、AMEDの事業を通じた支援を行っておりまして、令和三年度補正予算において百億円を措置しております。

 また、有力な新型コロナ治療薬の我が国での実用化を重点的に支援するために、治験費用の補助として、令和二年度補正予算で七十億円、令和三年度補正予算で五十六億円を確保しております。

 加えて、緊急追加支援のために、令和三年度予備費において百五十億円を追加で措置しております。緊急追加支援は、既に採択されている薬剤のうち治験の更なる加速化を目指すものを対象に募集しておりまして、その支援期間は、令和五年三月三十一日までとしております。

 新型コロナワクチンや治療薬の開発支援を行う期間や最終的に必要となる支援の総額について、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であるものの、引き続き、関係府省と連携して国内での開発、生産の基盤整備を後押ししてまいりたいと思っております。

仁木委員 このことは、ワクチンのことに関して、国民の税金を使って開発あるいは調達、午前中の委員の質問でも出た、質疑された内容でございました。

 私が申し上げたいのは、今、本年度の三月三十一日で終わりだと。ということは、更なる追加支援はない、あるいは場合によってはあるということだと思います。そういう中で、どうしてこういう事業をするのか。やはり、そもそもは、ワクチンが医療の現場、あるいは国民に打てばコロナ感染症対策になるのに、そういうものがなかったということで始まっていると思います。片や、今回の薬機法の改正でもそうでございますが、ベースには、やはり、私は、日本がこれから医療で存在感ある国でいる、いわゆるイノベーションで国民の健康や自分たちの体のために役立つということであると思います。

 そういうことで、今、期限は切っていただけないわけでございますけれども、もし前者のことが主眼、いわゆる大きな目的であるならば、あるいは、今、現場ではモデルナとかファイザー、そして今後、新たに承認を受けたノババックス、今の状態でもアストラゼネカは使えますけれども、そういう玉が、いわゆるワクチンがあるわけですね。そういう中に今後ずっと予算をかけ続けて、追加をもしして、やる意味があるのかどうかということも併せて考えなきゃいけないと思います。

 ちなみに、私は、今後の日本がこれから、特にコロナウイルス感染症は変異していくウイルスでございますし、今後の対応として、こういうパンデミックに至ったときに、またそういう作る拠点というのは大切だと思いますので、作っておくべきだと思います。

 特に、この生産体制整備については、デュアルユースということで、今回ワクチンの創造、いわゆる創薬に至らなかった場合でも、バイオヘルスの拠点、例えばバイオ医薬品のプラットフォームとして使えるような、そういうダブルセットアップはできているわけでございますけれども、そういう意味でいうと、今、大臣、玉がそろった場合に、更に日本の、メイド・イン・ジャパンの、国産のワクチンができ上がったことを更に目指していくのかということは、どうでしょうか。

後藤国務大臣 先ほども申し上げたんですけれども、国産のワクチン、治療薬も含めてでありますけれども、こうしたものを国内で開発、生産できる体制を確立していくということは、我が国における成長産業、将来を開く産業を振興させていくという面もありますし、また、国民の命を守る、安全保障、そういった観点もあると思います。

 そういう意味では、国内で開発、生産できる体制を日本が今後確立していくことをしっかりと取り組んでいくことは、危機管理上も含め、我が国の産業にとっても国民生活にとっても重要なことであると思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 私が聞いた両方を加味した上での、ワクチンを創薬していく、そういう御回答であったと思います。ありがとうございます。私もそういう考えを持っております。

 そして、ワクチンが出そろった中で、やはり医療の現場としては、今、アストラゼネカ社のワクチンが例えば承認を受けていたとしても、実際、現場ではファイザーとモデルナなわけですね。それでノババックスも入ってくる。そして、また新たにメイド・イン・ジャパン、国産のワクチンもできたとする。

 そういうことは、これは私、お願いなんですけれども、どのワクチンを打つのか選ぶのは国民でございますけれども、やはり、医療の現場には、それぞれのワクチンの属性、属性というのは副反応そしていわゆる有効性、そういったもの、そしてまた、それぞれ打ち方が、接種の仕方が違います、一つ一つの容器も違うように。私がこの間、一人当たり一プレフィルドシリンジがいいということはかねて申し上げておりますし、そういうことも併せてしっかりと説明した上で、医療の現場から、大臣が厚労省として国として国民に対してリスクコミュニケーションしているように、打つ現場の医師や看護師とか医療スタッフもしっかりと接種をされる方々に説明できるような、そういう明確なガイドラインをお示ししていただきたいと思います。

 その上で、私のこれは一つ提案なんですけれども、ワクチンの接種率が上がらない現状もありますし、五歳から十一歳の方々に関しましては結構ワクチンの接種率が低いです。これは、免疫と加味したワクチンの接種の仕方を一つ提言したいと思います。

 それは何かというと、既に国でもそういう制度があります。例えば、B型肝炎ウイルスのワクチン、あるいは最近では風疹ワクチンですね。一旦、血液検査を行って免疫を見ます、そして、あったら打たない、ない場合は打つというふうな形がありまして、私はかねてよりこの質問で何回も申し上げておりますが、抗体検査において抗スパイクたんぱくを測定して、カットオフ値、基準値を設ける、その基準値を下回っている人はワクチンを打つ、基準値を上回っている人はまだ免疫があるから打たない。このいわゆる免疫というのは、場合によったら、オミクロン株に感染して自然に治癒した場合にできる、自然に獲得した免疫も含まれているわけでございますけれども、そういうことを考えた、いわゆる免疫と組み合わせたワクチン接種計画、大臣、個人的でも結構でございますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 なかなか個人的見解をここで述べることはできないんですけれども。

 ワクチンを接種前に抗体検査を行う例としては、御指摘のとおり、医療従事者に対して、就業中のB型肝炎や風疹への感染予防を目的として、事前の抗体価測定の上で、任意でワクチン接種が行われる場合があります。

 新型コロナウイルスの中和抗体については、感染予防効果等との関係が一定程度明らかにはなっているものの、抗体価の測定については高度な安全基準を満たす実験室が必要であり、測定にも時間を要するというような課題もあります。また、感染したことや接種済みであることを示す抗体価の測定につきましては、比較的簡便に行えるものの、実際にどの程度の値であれば感染予防や重症化予防等の効果があるかが明らかではないという課題がありまして、現時点で、抗体価に関する基準を設けて、これと併せて接種を行っていくというようなことはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。

 今後の抗体検査の活用の在り方については、引き続き科学的知見を収集して検討していく課題だと思います。

仁木委員 大臣、そうですよね。

 それで、この間も大臣、御答弁いただいておりますが、ワクチン接種のデジタル化、これによって、接種された方の追跡調査を行う、副反応と、そして免疫を測定していく、今おっしゃった中和活性、それと、私がこの間ずっと申し上げている抗S抗体、その測定、この二つをもってしてもかなりの情報を得られると思います。それを国がやるんです。

 大臣が御答弁になって、なかなかエビデンスがない、エビデンスに基づいてやりたいのにエビデンスがないからという答弁が多いわけですけれども、国がつくっていく。これも、日本が創薬で世界をリードする国であり続けるためには非常に大切な考えだと思いますので、そのことは強調したいと思います。

 ちょっと時間がないので、最後に申し上げますが、私は前もお聞きしました。電子処方箋の導入によって、診療報酬七点、三割負担の六十四歳以下の方に関しましては、三割負担ですから二十一円の負担になります。やはり私は、デジタル行政に医療もなってほしいという考えでございます。これは非常に国民に大きなメリットがあるわけですけれども、今回の一導入、いわゆる処方箋の電子化だけでは、一か所行くたびに二十一円オンされていく、これをいかに国民にメリットと感じてもらうような、つまりインセンティブを与えるようなもっと政策、何かないでしょうか。

橋本委員長 後藤厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、手短にお願いします。

後藤国務大臣 令和四年度診療報酬改定では、オンライン資格確認について、外来で、患者の同意の上、過去の薬剤情報や特定健診結果等の情報を活用して診療等が行われる場合に、初診料に新たに加算を設けて評価することといたしまして、これは、患者の方々にとっては、自ら同意した上で、過去の薬剤情報や特定健診結果を医療機関等に提供することによりまして、よりよい医療が受けられるというメリットがあることが評価されたものであります。

 今後、患者自ら同意すればこうしたメリットを生かせていける、更によりよい医療が受けられるようになる、こうした点を国民の皆様に丁寧に周知広報して、理解を得られるように努めていきたいというふうに思います。

仁木委員 ありがとうございました。質問を終わります。

橋本委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 自民党の鈴木英敬です。

 総理も御出席ありがとうございます。

 また、ルーキーの私に総理に質問させていただく機会をいただきました与党の皆さんに心から感謝申し上げたいと思います。

 本日は、コロナ対応の教訓も踏まえまして、我が国で創薬の空洞化、これを回避するためにという観点から二点申し上げ、最後に、総理に一つ御質問させていただきます。

 まずは、緊急承認制度についてであります。

 二年以上たっても、いまだ国産コロナワクチンや治療薬がない。大変残念です。海外製薬メーカーに国民の命を委ねるかのような状況は、一刻も早く脱しなければなりません。

 本年二月、国内で初めて塩野義が国産コロナ治療薬の申請を行いました。岸田総理も、国会で、早期実用化に向けて優先かつ迅速に進めると力強くおっしゃっていただきました。しかし、一か月半以上たっても、いまだ承認されていません。

 そうした中、先月、塩野義が、アメリカでNIHの支援を受けて最終段階の臨床試験を行うと発表しました。国内で開発された薬が、先にアメリカで承認されるなどという事態はあってはなりませんし、それは我が国における創薬の空洞化を意味する事態であると、大変危惧をしております。

 そこで、政府においては、緊急承認制度の運用に当たって、安全性を決してないがしろにしないという大前提の下、パンデミックという危機的状況でもタイムリーに国民に薬を提供するという制度趣旨を十分踏まえ、過度にリスク回避的な運用をせず、柔軟な審査、迅速な審査をお願いをしたいと思います。塩野義の国産コロナ治療薬の審査が進んでいない現状も総理に改めて御理解いただき、緊急承認制度では、運用面の改革にも是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 続いて、我が国で創薬分野のスタートアップが少ないという課題です。これも、創薬の空洞化という観点から大変大きな課題です。

 ファイザーのワクチンを開発したのはドイツのビオンテックというスタートアップ。アメリカのモデルナもスタートアップです。メッセンジャーRNAワクチンという革新的イノベーションは、いずれもスタートアップの力が生み出しました。

 自民党で先般、スタートアップ支援策について、私もライターをさせていただいて、魂を込めた提言を取りまとめました。

 中でも、創薬分野は、スタートアップが直面している課題が特に顕著に表れる分野です。薬事承認にたどり着いて収入につながるまで十年以上、同時に、開発初期から大きな資金調達が必要で、臨床試験に初期段階でも数十億円の資金が必要です。アメリカでは、ここに百億円単位で出資するベンチャーキャピタルがいるわけですが、日本ではせいぜい十億円です。一桁小さい。

 ただ、岸田内閣は既にこの課題に真正面から取り組んでおられます。昨年末の補正予算、五百億円の創薬ベンチャーエコシステム強化事業を盛り込み、ベンチャーキャピタルの出資を条件に、その二倍まで臨床試験費用を補助するという新事業をスタートさせました。

 先週、総理は神戸を訪問され、創薬スタートアップの方々と車座で懇談され、その場でも、本事業を評価する声があったと聞いています。他方、現状、この制度の対象がワクチンなど感染症対策につながる技術だけに限定されており、制度拡充を望む声も出たと聞いております。その後、総理から、スタートアップ創出五か年計画では、より踏み込んだ支援策を考えなければならないと力強い御発言があったと承知をしております。

 そこで、総理に質問です。

 こうした現場の声を速やかに制度拡充につなげていただきたい。全体的なスタートアップ支援への意気込みと併せ、創薬分野の更なるスタートアップ支援を進めることについてお聞きします。

岸田内閣総理大臣 まず、一点目の、今般創設されます緊急承認制度について、その運用についての御指摘でありますが、この緊急承認制度の運用については、国民の皆様により早く必要な医療等をお届けできる、こうした観点から、どうあるべきなのか、具体的なこの制度運用の点において、御指摘のように、政府としましてもしっかり工夫をしていかなければいけない、努力をしっかり行っていきたいと思っております。

 そして、二点目のスタートアップですが、委員御指摘のように、先週末、神戸で創薬やバイオのスタートアップ経営者の方々にお会いさせていただきまして、車座で意見交換をさせていただきました。いずれの方も、まさに社会課題を成長のエンジンに変えていこうという大変前向きな、意欲にあふれた方々ばかりでありました。

 こうした社会課題を成長のエンジンに変えていくという考え方、これは、私が申し上げております新しい資本主義という考え方にも一致するものであり、こうした取組を是非しっかり後押ししていきたいと思っています。

 今年をスタートアップ創出元年と位置づけて取組を進めていくということ、これを申し上げているわけですが、創薬ベンチャーエコシステム強化事業についても、その場で様々な評価の声あるいは拡充を求める声、いろいろいただきました。スタートアップ五か年計画の策定に当たり、多額の資金が必要であるというこの創薬分野の特徴、これをしっかりと念頭に、現場の方々の声も聞きながら、資金調達も含めてしっかり支援を行っていきたいと考えております。

鈴木(英)委員 しっかりとした支援というお言葉をいただきました。ありがとうございました。

 質問を終わります。

橋本委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 午前中に引き続き、質問に立たせていただきます。私もルーキーであります。よろしくお願いいたします。

 今回の緊急承認制度においては、安全性は確認、有効性は推定となっていますが、この点については、国民の健康、命に関わる問題であるがゆえに、国民の皆さんの意見が分かれる、非常に難しい問題です。先日の参考人質疑においても、待ち望まれていた制度との賛成意見がある一方、世の中の治療薬やワクチンにおいて副作用や副反応が全くないものはなく、早期の承認に対して慎重な国民の皆様もおいでます。

 結局、この副作用、副反応というリスクと使用したときのメリットを比較しながら使用するかどうかの判断をしていくんですが、今回のようなパンデミックのときには、国としての大きな方針が必要となります。そのときに最も重要なのは、国民に対して、科学的知見に基づいた国としての方策を、その決定に至った経緯から科学的データを公開しながら分かりやすく、丁寧に、そして強力に発信し、国民の皆さんに説明していく、その国民との信頼関係の構築への努力が重要であります。

 そこで、その方策の決定には強力な科学的な知見が必要であると思います。また、もう一つの側面としましては、パンデミック時には健康危機対応が重要であり、すなわち、それは国家の安全保障であります。

 そういう意味において、アメリカには、多種多様な専門家による様々な研究が行われ、かつ健康危機対応としての強力な機能を擁するCDCがありますが、もちろん、あの規模のものをそのまま日本に導入するというのではなく、科学的根拠の強化や危機対応力の部分だけでも導入していくことができないかと思うところであります。

 総理は、今国会の施政方針演説でも、本年六月をめどに、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化等について、中長期的な観点から必要な対応を取りまとめると表明されています。

 そこで、アメリカCDCのような機能を持った組織の創設など、抜本的な感染症対策の強化の必要について改めて総理にお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、今の新型コロナ対応につきましては、今後しばらく、平時への移行期間として、最大の警戒を続けながら、安全、安心を確保しつつ、可能な限り日常生活を取り戻す期間と考えております。要は、緊張感を持って、全体像で示した医療提供体制を堅持し、そして、オミクロン株の特徴に合わせて強化もしながら、社会経済活動を回復させていく、現在はそういう段階にあると認識をしています。

 そして、コロナ後を見据えたならば、次の感染症危機の到来という事態も想定し、感染症対応の強化策を考えていかなければならないと思っています。

 そういった観点から、現下のこの対応も含めて、これまでの対応を客観的に評価し、本年六月をめどに、中長期的な観点から必要な対応を取りまとめるということにしております。そして、その中で、委員御指摘のように、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化、これについてもしっかり検討していきたいと考えております。

山崎(正)委員 次に、後遺症対策についてお聞きします。

 先日の参考人質疑の中で、高田参考人から、後遺症に苦しむ友人が、医師から、後遺症は我慢してください、何年かかるか分かりません、後遺症はみんな我慢していますと言われ、絶望でしかない、今、後遺症の解明をしているから頑張ってつき合っていきましょうねと言われると頑張る気力が湧くけれども、友人は自死もよぎると言われていたそうです。

 私も、やはり、今、後遺症のメカニズムの解明、そしてそれに沿った治療等が大事だと思います。アメリカでは、新型コロナウイルスの後遺症の研究に、二〇二三年予算として千四百億円強が発表されております。

 そこで、日本においても、新型コロナウイルスの後遺症のメカニズムの解明と、より強力な後遺症への対策が必要ではないかと考えますが、総理の御認識をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、新型コロナウイルスのいわゆる後遺症のメカニズムを解明していく取組、これは大変重要であると認識をしております。

 後遺症については、いまだ明らかになっていないことも多いと承知をしています。よって、新型コロナ感染症の入院歴のある患者の方々の追跡調査を行っているほか、AMEDにおいて病態解明に係る研究が実施されているところです。

 後遺症に関する国内外の知見に基づき、昨年十二月には、後遺症に悩む患者に対して適切な医療が提供されるよう、かかりつけ医等の医療従事者向けの診療の手引を取りまとめたところですが、今年度も、後遺症の実態の把握や病態解明のための調査研究の予算、これを確保しております。

 今後とも、国内外の知見を集積し、必要な対策にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

山崎(正)委員 やはり、アメリカとの予算の桁も違います。後遺症に苦しんでいる人の皆さんの希望に、送れるように、是非強化を今後ともよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦です。

 総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 貴重な時間ですので、早速質疑に入ってまいります。

 今回、薬機法の改正案の審議でございますが、総理、薬事法から薬機法に衣替えをしました。そして、PMDA改革、その他政府の御努力は、されているのはよく分かっております。その結果、我が国のドラッグラグ、デバイスラグは縮小されているとされていました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症蔓延の状況下で、より本質的な我が国の弱点とも言えるデバイスラグ、ドラッグラグ、そういった問題が残されていることも明らかになっています。

 今回の法案はその解消にほんの少しだけ資すると考えますが、より本質的な問題であるパンデミック以外の対応や製薬メーカーの申請ありきの承認制度など、本質的な問題は置き去りにされています。また、一昨年のマスク不足や、それに続くアベノマスクの混乱等により、医薬品、医療機器生産体制の不備や生産能力の脆弱性も明らかになっています。特に深刻なのは、開発力が低下していることです。

 そこで、このような我が国の現在の医薬品、医療機器の研究開発力から生産力に至るまでの危機的な状況において、人材にだけフォーカスして、総理、聞いてまいりたいと思います。

 先ほど鈴木英敬委員からもお話がありましたスタートアップ、そして、維新の金村委員からも、先日、ベンチャー支援のお話がありましたね。

 スタートアップというのはシリコンバレーで使われる言葉で、ベンチャーというのは和製英語ですね。似たような部分もありますが、若干の違いを持って用いられています。しかし、総理、スタートアップだろうが、ベンチャーだろうが、こういった野心的な、理系の野心的なベンチャーが活躍していくためには、そのベンチャーを支える理系のPhDの活躍が極めて重要であります。

 しかし、総理、アメリカだとPhDはむちゃくちゃ社会的地位も高いわけでありますが、日本のPhDは、残念ながら、本当に就職先もないし、博士になってもその先どうなるか分からない、そういった状況にあるんです。ポストが圧倒的に不足している。こういった状況を改善しないと、この国の創薬、そして医療機器の開発は何ともなりませんが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、我が国の研究開発力等を考えました際に、人の力は大変重要であると認識をしています。

 もちろん、その前提として、様々な予算、大学ファンド等の予算や、大学改革、様々な制度や組織の改革、これも重要なことでありますが、その中にあって、人材、御指摘のPhDの在り方、こうしたことの重要性を政府としましてもしっかり認識をしております。

 研究開発費の充実と併せて、PhDを取得した若手研究者への支援を始め、抜本的な支援を政府としても考えていきたいと思っています。

 また、このPhDの研究者の支援ということを考えた場合に、一つ、臨床系分野において医師免許を持つ教授が、工学や情報学など医学以外のPhDの学位や専門性を有する教授と連携する、こうした分野を超えた連携、これが成果につながるという指摘、これも重く受け止めなければならないと考えております。

 医学研究の更なる進展のためにも、こうした取組は重要であると考え、引き続き、医学分野と他分野の連携を促す取組をしっかり進めていきたいと考えております。

吉田(統)委員 総理、ありがとうございます。

 しっかりお答えいただきましたが、ちょっと私が細かくレクをしておいたので、多分、先を少しお話しいただいたんだと思うんですが、総理、そのとおりで、例えば、医学部の内科なら内科、外科、産婦人科、眼科、そういった診療の臨床家にも、私、ジョンズ・ホプキンスにいたんですが、アメリカだと、MDの教授、MDとPhDを持つ教授、そしてPhDの単独、つまり医師ではない理学系、農学系、工学系、こういった教授が並立しています。そしてチェアマンと言われる教授がそのトップに立つんです。これが、非常に有機的な連携を取って、いい研究をして、いい創薬、医療機器、医薬品を生み出していきます。

 総理がおっしゃったことは間違いではないし、大変すばらしい御決意を述べていただいたんですが、具体的に言うと、こういった、医学部の中に、欧米のように、チェアマン制度でもいいと思うんです、複数の教授、いろいろな特性を持つ教授、これを置いてやっていただきたいということを一歩進んで申し上げて、もう時間がないので次の質問に移ります。総理、大変いい御答弁をいただいたので。

 次に、ブレーンサーキュレーションです、総理。いわゆる超一流の研究者、科学者、要はスーパースターですね、山中先生のような。ああいったスーパースターを我が国に引き込んでくる、つまり、世界中の優秀な学者が我が国の研究する環境を好んで集まっていただけるようにならないと、我が国の研究開発は進まない。さっきのスタートアップもそうですし、ベンチャーも何も育ちません。

 そこで、要は、今、逆なんですよね、総理。日本の優秀な学者がどんどんどんどん海外に出ていってしまっている。日本で本来、研究開発にいそしんでいただきたい人材が海外に出ていってしまっているんですよ。これは、大変、我が国の損失になっているわけであります。

 一つの例が、総理、先ほど、NIHの話が出ましたですね、鈴木委員からですかね。NIHは、一本釣りできるんです、研究者を。優秀な、これぞと見込んだ研究者を、研究者も用意して、PIというポジション、プリンシパルインベスティゲーターというものにして、若手だろうが何だろうが、若い、本当に萌芽的な研究者もぐっと連れてくるんですよ。

 ただ、これが、日本版NIHを目指していたとされるAMEDは、自前の研究室が持てないんです。お金配りしかできないので、自前の研究室をつくってPIという立場を授けられる環境にしないと、世界中の優秀な学者にとって、日本の研究職は魅力的じゃないんです。

 先日、M・D・アンダーソンという有名な、テキサスのがんの、オンコロジーの非常に有名な病院、ここの極めて優秀な学者に、日本に幾らだったら来てくれると言ったら、五千万なら行きますと言ってくれたんですね。この方は日本人なんですよ。ただ、日本だと、この五千万を出すことが、現行だと、総理、できないんです。だから、こういったことができる制度を整えたり、さっき申し上げたように、優秀な学者を一本釣りして日本で研究していただく、こういった環境をつくることが、総理、本当に大事だと思うんですが、総理、御所見をお述べいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、委員御指摘のような環境を整備することの重要性、これは私も全く同感であります。今の日本の現状を見た場合に、様々な点において工夫をし、そしてより優秀な研究者に日本を舞台に活躍してもらう、こうした環境をつくっていく、こういったことが大事だと思います。

 具体的にいろいろな指摘があります。委員の御指摘も含めて様々な指摘があり、我が国として考えていかなければならない点は多いと思います。

 ちょうどつい先ほど、先日、日本国際賞を受賞された研究者の皆様方とお会いする機会がありました。世界最先端の科学技術分野での貢献を日本として表彰する、こうした賞の受賞者の皆さんと意見交換する中で、例えば、ある方が、沖縄のOISTを高く評価する、こういった発言がありました。日本においてもそういった世界から魅力のある、世界の人材を引き入れる環境を実現している場があるわけでありますから、そういったものもよく参考にしながら、是非、環境整備を進めていきたいと思っております。

吉田(統)委員 もう時間がないので終わらせていただきますが、総理、ただ、今おっしゃっていただいたことは事実でもありますが、一般的に、日本のプロフェッサーシップは世界において余り魅力がないんです。

 私は、ジョンズ・ホプキンスでグレッグ・セメンザという、二〇一九年のノーベル賞の医学・生理学賞を取った方と共同研究していまして、当時彼は全然、まあ恐らくノーベル賞を取るだろうなと私、そのとき予想はしていたんですが、物の見事に取られた。彼とも話しましたが、日本というのは研究者がスーパーマンだ、医学部の特に教授は診療をやって、研究をやって、教育までしているんだろう、そんなのは世界に類がないけれども、限界が来ているんじゃないかということもやはり言われました。

 総理、是非、今回いいディスカッションができたと思いますので、さらに、まあ一言いただければありがたいですけれども、是非こういったことを政策決定の上でお酌みいただきたいとお願いしまして、一言あれば是非いただきたいんですが。

岸田内閣総理大臣 委員の今御指摘があった点で申し上げるならば、今、政府としましても、十兆円の大学ファンドを創設していますが、併せて大学改革をやらなければいけない。その最も重要な点は、研究と経営の分離であるということを申し上げています。研究者の方々に、より研究に専念してもらえるように、特に若手の研究者の方々に専念してもらえるように、大学改革も併せて進めることが重要だということを申し上げています。

 委員の今の御指摘に通ずる部分があると考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。終わります。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 全て岸田総理に質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 今日は、傍聴席に、先日も参考人に御出席をいただきました、自宅放置死遺族会の高田共同代表にもお越しいただいておりますので、総理には明確に御答弁いただきたいと思います。

 コロナ発生から二年以上がたちました。これまで、現在に至るまで、必要な方が必要なときに医療にアクセスできずお亡くなりになる、いわゆる自宅放置死が多数報告されております。現在進行形であると私は思っております。現在もコロナ陽性と確認をされ、自宅療養される方、三十万人も超えているわけでありますけれども、必要な方が必要なときに医療にアクセスできているかどうか、大変私は心配している立場であります。

 まず、一問目なんですが、我が国は、世界に誇る国民皆保険制度、必要なときに医療にアクセスできるのを保障されているはずだったと思います。今のような状況の中で、必要な方が必要なときに医療にアクセスできない、このような状況が二年以上続いている異常な事態だということを、総理、認識されているか。

 加えて、資料の一番最後のページですね、これは、警察庁が調べられたコロナ陽性死体取扱状況でございます。昨年の第五波、八月、二百十八人。そして、オミクロン株感染拡大の一月、二月、特に二月は、ピーク時五百十二人と。昨年の第五波よりも、オミクロン株感染拡大、この状況の中で、自宅で、全てが放置死と、その実態調査もままならない状況でございます。

 先ほどお尋ねした、このような状況が二年以上続いていることが大変異常な状況だという認識、強く持たれておられるか。加えて、政府は、昨年末取りまとめた感染症また危機管理の抜本強化、これを今年の六月に先送りいたしました。その結果が、このオミクロン株でも、いわゆる自宅放置死、過去最高の可能性が否定できない。この責任をどのように認識されているのか、お尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、昨年夏の感染拡大においては、感染の拡大に病床の確保が追いつかない状態や、治療の開始が遅れ、重症化する事例や、在宅で亡くなられる事例が多く見られた。このことは、政治として重く受け止めなければならないと思っています。

 こうした経験を踏まえて、今の内閣において、全体像に基づいて医療体制の強化をしながら、オミクロン株の特徴に合わせて、自宅療養の強化に取り組んでいるところです。

 具体的には、自宅療養者に対応する医療機関を一月の一・六万から二・二万機関へと増やすとともに、いわゆる発熱外来については、更なる対応の強化を自治体に依頼し、合計三・六万の発熱外来を引き続き確保しております。

 また、一部の地域で非公表となっていた発熱外来の実施機関名を東京都、大阪府において一律に公表するとともに、診療報酬の加算措置を延長しており、自宅療養の強化に引き続き取り組んでいきたいと考えています。

 そして、委員の方から、六月に医療提供体制に対する取組を先延ばしするというふうに御指摘がありましたが、そうではなくして、今、具体的にできるところからは、今申し上げたように取組を進めております。その上で、法改正が必要な医療提供体制の充実ということについては、今日までの取組を全部しっかりと検証した上で、法改正、必要なものがあれば行っていきたいと申し上げているところであります。

中島委員 異常な状況だということの認識は強く持たれているということでよろしいですか。うなずいていただければいいです、もう時間がないので。私は、のんびりしていると思いますよ。

 我々、感染症法、そして特措法、そして、今回の薬機法の対案として、関連法案として、コロナ対策三法案を示させていただいております。

 資料の一枚目、今日、傍聴されております自宅放置死遺族会の高田代表、左側は厚生労働大臣宛てに要望書、そして右側は、各会派、衆議院七会派に要請をさせていただきました。この二ポツの自宅療養中の医療アクセス確保、これに当たるものを、資料の三枚目ですね、コロナかかりつけ医法案ということで我々、お示しさせていただいております。

 先ほども警察庁の調査結果、お示ししたように、自宅で放置死された可能性がある方が、昨年の八月、今年の二月はその倍以上いるわけです。まずは、一月から三月の実態調査を早急にやっていただきたいということと、我々が示しているコロナかかりつけ医法案は、今日、高田共同代表も来られておりますが、医療につながるはずの方が医療につながらず、無念の思いを、行き場のない憤りを持ちながら、二度とこういうことを繰り返さない、その思いを法案にしたものであります。

 内容は、先ほど健康観察、診療機関と言いましたが、事前に登録をし、ふだんは健康管理、いざ濃厚接触、感染が確認をされたら、迅速に医療につながり、そして症状の変化にるる対応していく。国民皆保険の大前提である、必要な方が確実につながるための我々の提案です。

 これをのめといえば、これは国会の議論ということになりますが、遅きに失したと改めて言っておきますが、六月に取りまとめる強化策、取りまとめに、この事前の登録制度、我々が提案したこの内容、そして、コロナ自宅放置死遺族会の思いのこもったこの内容を、是非取り入れていただくことをお願いしたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新型コロナの対応を経て、ワクチン接種あるいは自宅療養者への対応など、身近で頼りになるかかりつけ医の重要性、これは政府においても改めて強く認識をしているところです。

 今後、このかかりつけ医については、その機能を明確化しつつ、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策、これを検討することとしております。

 患者の医療へのアクセスを十分確保し、国民、患者等の理解が十分得られるよう、速やかにかつ丁寧に政府としても議論を進めていきたいと考えております。

中島委員 それは先の話で、今、目の前にある危機に対して、先ほどもお示ししたように、今、現在進行形で、医療につながらず、自宅放置されながらお亡くなりになる方がいる可能性があることに対して、このコロナかかりつけ医、事前に登録をして、迅速に、確実に医療にアクセスできる、この内容を六月の取りまとめに組み込んでいただきたい、そのことを言っているんです。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、まず、足下の状況に対して応えなければならない、そのとおりであります。

 だからこそ、先ほど申し上げましたように、自宅療養者に対する医療機関あるいは発熱外来、こうしたものを今のこの法律の中でできることとして、しっかりと拡充する、これを取組をしているわけですし、さらには、発熱外来の実施機関名、具体的な名前を明らかにするなど、より多くの皆様方に体制を利用してもらえる、こういった取組を進めているわけであります。

 その上で、かかりつけ医等の議論については、丁寧に進めさせていただく、このように申し上げております。

中島委員 二度とこのような自宅放置死を生まないために、我々は提言しています。

 今、総理の発言で、もし今後、また自宅放置死が発生したら、総理、責任取られますね。

岸田内閣総理大臣 そうした事態を起こしてならないからこそ、政府として、今、法律の中で、今の体制の中で、できることを全てやるということで体制を用意させていただいているということであります。そうした取組を進めることによって、政治としての責任をしっかり果たしていきたいと考えております。

中島委員 全く納得できません。

 以上です。終わります。

橋本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義です。

 岸田総理に二問、伺います。

 冒頭、ちょっと入れ替えて、まさに私も中島委員に続いて、自宅放置死の要請書を一ページ目につけていますが、入れ替えて、先にイベントワクワク割の方を伺いますので、総理、お願いします。

 御承知のように、今日も報道されていますが、東京都でも、オミクロン株のうち、感染力のより強いBA・2疑いが七六・七%となって、流行の主体がBA・1からBA・2に置き換わっています。XE株も、今後、連休明け、更に感染速度も上げて拡大をしていく、今後、大型連休に向けて、急激な感染再拡大に厳重な警戒が必要となると専門家も言われています。

 そこで、総理、今の岸田総理は、確かに支持率は高止まり、安定しているかもしれませんが、私は、この第七波をどうやって乗り越えていくか、特に若者たちへの接種が最大のポイントに今なっていますが、そこの部分への覚悟というか責任感というものが、これは資料の九ページ目にもつけていますが、一昨日の参院本会議での杉尾委員への答弁でも、都道府県任せで、このワクワク割についての考え方も全く伝わってこないんです。

 そこで、総理、今日こそは、ゴールデンウィークに向けて、イベントワクワク割というのがちょっとネーミングがいまいちだとか、不人気かもしれないからとかそういうことで、記者会見で公表、説明するはずだったのを、聞く力をそういうところで発揮してやめるんじゃなくて、むしろ、語る力、伝える力を全国の若者、国民の皆様に向けて発揮していただきたいんです。

 総理、是非、今日は逃げずに、御自身のお言葉で、国民、若者の皆さんに向かって御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げさせていただきましたが、今、新型コロナ対応については、できるだけ早期に平常の生活を取り戻すための移行期間に今あるんだという認識に立っています。感染症対策と、そして、社会経済を動かしていく、この二つのバランスが重要だと認識をしています。

 よって、第六波に備えた全体像に基づいて、医療提供体制、ワクチン、検査、そして治療薬、こうしたコロナ対応の体制はしっかり堅持したまま、さらには、オミクロン株の特性に鑑みて強化しながら社会を動かしていく、これが基本的な姿勢であると考えております。

 よって、委員の方からの御指摘の事業につきましては、この事業自体は、ワクチン接種者や検査陰性者を対象としてイベントのチケット価格の二割相当を割引支援することにより、消費者が安心してイベントに参加することができる環境を醸成することを目的とした事業ということでありますが、今の段階において、本事業を開始する時期については、慎重に検討しなければいけないということを申し上げています。

 こうした事業についても、感染の状況をしっかり見ながら開始の時期を検討していくということであります。現時点でたちまちすぐに始めるということは考えていないということを申し上げている次第であります。

柚木委員 結局、このイベントワクワク割、やるんですか、総理。やるんですか、本当に。むしろ、岸田総理御自身が慎重になっていると総理周辺が言っているという報道も出ていますよ。

 総理、これから連休に入るわけですよ。コンサートとかライブとかスポーツ観戦、テーマパークなど、三回目の接種を打って、抗体価が上がるまでちょっと時間かかりますから、一都三県の知事も今日いろんなことを発信されていますよ。小池都知事だって、まさに連休間近だから、メッセージを強力に発信して、若い世代に三回目接種を打ってくださいとやっているじゃないですか。

 一番発信すべきは岸田総理ですよ。是非、連休前に、トップリーダーなんですから、総理が、是非覚悟を決めて、少々ネーミングがどうとか評判が悪いじゃなくて、毅然と覚悟を決めて、国民、若者の皆さんに発信、そして説得をして、もし結果が出なければ責任を取ると、ここで明確におっしゃってくださいよ。

岸田内閣総理大臣 是非、今の政府の基本的なスタンスを御理解いただきたいと思います。

 医療提供体制、これは従来どおりしっかり堅持をするということで、ワクチンや検査や治療薬についてもしっかり用意をする。ワクチンについても、今、高齢者については既に八六%が三回目の接種を終えています。全体でも四七%が接種を終えている、こういったことでありますので、是非若い方々に接種をお願いしたい、これを連休前にしっかりとお願いをしています。

 こうした体制をしっかり堅持しながら社会経済活動をどこまで動かせるのか、これを考えている、これが今の政府のスタンスであります。

 御指摘の事業についても、感染状況をしっかり見ながら開始の時期を判断したいということを申し上げています。そして、今の状況を見る限り、今すぐにこういった事業を開始するタイミングではないという判断を申し上げている次第であります。

柚木委員 岸田総理には、聞く力はあっても伝える力はないと思いますよ。

 まさに遺族会の方への質問、最後、ちょっと二問まとめてお願いします。

 一ページ目につけておりますように、まさに自宅放置死を二度と、本当に悲しい思いをさせたくないということで、私がお願いしているのは、るるこの間の答弁をつけています、この間の厚労大臣の答弁も。ポイントは、調査をしていると厚労大臣は答えたのに、そうじゃないんです。調査をしたって、また去年やったのと同じ結果が出るんですね。

 検証委員会を設置して、そして医療関係者、弁護士、自治体関係者、あるいはまさに遺族会の方などで構成をする検証委員会の中で、コロナ自宅放置死の定義も含めて、まさに実態の検証を早急に実施をして、第七波以降、同じ悲劇を繰り返さないように切にお願いしたい。それが一つ、通告どおり。

 もう一つは、ちょっとお願いなんですが、今日、せっかく大阪から高田共同代表、この後たしか、まさに遺族会の御用事があるということでトンボ返りなのに、総理に聞く耳を持っていただけると信じて来られているんです。今日ここに、まさに先日、厚労大臣に出した要望書を内閣総理大臣岸田文雄様宛てで、総理に一分でも二分でも、今日この後、委員会が終わった後でも、あるいは後日でもいいので、直接聞いていただきたいと。中島委員への答弁も、やはり当事者の方から直接聞いていただくことでもう一歩踏み込んだ対策をいただけるんじゃないかと思うんです。

 是非、岸田総理、聞く耳をお持ちいただいて、今日委員会の後でも。与野党の理事の皆さんも全部受けてくださいました。本当に誠実に受けてくださいました、この要望書。この後が無理だったら後日でもいいんです。是非、直接遺族会の方からの御要望を受けていただけませんでしょうか。

 以上二点、お願いを申し上げます。

岸田内閣総理大臣 まず、一点目につきましては、昨年八月から九月までの間に自宅で亡くなられた方について、都道府県を通じた調査を行いました。その結果を、各都道府県の取組事例について、本年一月に厚生労働省の専門家会議において報告するとともに、各都道府県に対して取組の参考にさせていただくように周知したということを承知しております。

 そして、その上で、本年一月以降の自宅での死亡事例について現在調査中と聞いており、この調査結果の取りまとめを速やかに進めたいと思っています。

 検証委員会をつくれということでありますが、専門家の知見も、今申し上げた形で、しっかりと受け止める形で検証を行っているということであります。

 そして、二点目について、その手紙を受け取るようにということでありますが、受け止め方については、既に厚生労働大臣の方にも様々な要望があると聞いております。その実態を確認した上でどのように対応するか、こちらとして判断をさせていただきたいと思っています。

柚木委員 是非、今日この後も含めて、聞く耳を持っていただいて、もしオーケーだったら教えてください。理事の先生にも、委員長にも相談をして。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 岸田総理、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 私の方からは、まず、ドラッグラグの危機についてお伺いをしていきたいと思います。

 今回の本委員会の方で、国民の命とそして健康を守るために、緊急時に迅速かつ安全に医薬品や医療機器が届けられるような法改正について議論をこれまで続けてまいりました。

 しかしながら、この法律というのは、あくまでも緊急時の薬事の承認という出口の部分について議論されてきたものであると思っております。

 本日の午前中にも質疑に立たせていただきましたけれども、その際に、今朝の読売新聞でも、「コロナ 重点感染症指定 厚労省暫定リスト」という見出しの記事が出ています。今回は、新型コロナにつきましては、Bのグループに類型されたという具合に聞いております。

 ただ、そもそも、緊急時に本制度を活用して手を挙げてくれる製薬企業であったりとか医療機器メーカーがなければ、何の成果も果たすことはできないと考えております。この点につきましては、これまでの議論におきましても、複数の委員の皆様から御指摘があったところです。

 そして、先日、参考人質疑の方に梅田参考人に来ていただきまして、日本に再びドラッグラグの危機が迫っているのではないかという御指摘をいただきました。

 資料の一番目と二番目の方をちょっと御覧いただきたいなと思うんですけれども、一つは製薬工業協会が作成されたレポートで、もう一枚がリスファクスの記事であります。

 この記事によりますと、慢性腎臓病の治療薬が、当初、国際治験に日本の参加予定がなかったという具合に記載があります。記事の中では、国内の治験体制の脆弱さに課題があるのではないかという具合に指摘をされているところなんですけれども、やはり、医薬品にとってサイエンスの評価の部分と透明な審査というのは非常に重要な問題であると考えておりまして、国内の治験体制の強化というものは、また非常に大事なことであると思っております。

 一方で、政府は、医薬品に限って言いますと、経済財政運営と改革の基本方針の二〇二一や成長戦略実行計画、また、医薬品産業ビジョン二〇二一で、今回のコロナ感染拡大を機に、医療品産業の成長戦略に対する方針を矢継ぎ早に打ち出しておられます。その成果の一つとして経済安保法案で医薬品のサプライチェーンの確保が挙げられているところでありますけれども、私からは、政府から大変心強いメッセージが出たのかなという具合に一定理解しております。

 しかしながら、このドラッグラグが再び国民の健康と命を脅かすような事態になるということにはやはり問題があると思っておりまして、そこには、やはり予見性が確保された上で、魅力のある日本の医薬品市場の創出、これをつくり出していくことが私は重要だと考えています。

 ただ、そのための医薬品に対する成長戦略構想は、これまでも幾度となく、私も見させていただきましたけれども、残念なことに、日本の医薬品産業に対する評価というのは、ちょっと世界の中でも、このところ低下の一途をたどっているなと私は感じているところです。

 新たな感染症の脅威に備えるには平時からの体制づくりというのが大変重要であるということは、先日の梅田参考人からも御指摘がありました。今回の新型コロナ感染症は、世界の人々の命と健康、これを脅かしただけではなく、世界経済にも大混乱を起こしています。

 次なるパンデミックはいつ訪れるかは誰にも分かりません。今こそ、日本でワクチンや治療薬開発に関わる方々のマインドセット、これを行っていくために、政府と製薬企業、そしてアカデミアが一致団結して、日本だけでなく、やはり世界を変えていくためにも協力してイノベーション創出をリードしていく必要があると思います。

 そこで、総理にお伺いをしていきたいと思うんですが、医薬品産業ビジョン二〇二一を始めとした成長戦略の目標、これはいいことを私は書かれていると思うんですけれども、ただ、これがかけ声倒れになるんじゃないかなという具合の心配をしているところです。是非これは絵に描いた餅にならないように確実に実行して、これは現場にやってもらわないと全く意味がありませんので、そこのところにつきまして総理に御見解、そして、今後の方策についてお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今般の新型コロナの経験も踏まえて、国民の命と健康を守る医薬品というものについて、我が国における開発力の強化、これが重要であるということ、こうした課題について改めて強く認識をしているところです。委員の問題意識と共有するところがあります。

 その中で、委員御指摘のように、昨年九月に、医薬品産業ビジョン二〇二一、こうしたものを策定いたしました。これらを踏まえて、研究開発に向けたデータ基盤等の整備、また国際水準の臨床研究を担う病院での治験環境の整備、こうしたものについて、製薬業界、また委員御指摘のようにアカデミア、こうしたものと連携をしながら、革新的な創薬に向けて取組を進めていかなければならないと考えます。

 そして、委員御指摘のように、こうしたビジョン、もちろん大事でありますが、これを実行する、こうした段階に向けて政府として取組を進めていきたいと考えております。

池下委員 御答弁ありがとうございました。

 やはり、これはビジョンを描くだけでは何も進まないと思っておりますし、この政治の世界と医薬企業、そしてアカデミアが一体となるということが、次の段階、また日本の国内の製薬関係のところが世界に一歩出ていくというところにつながっていくと思いますので、是非そこら辺の方の御検討をいただきたいと思います。

 それに関連しまして、次は薬価についてお伺いをしていきたいという具合に思います。

 政府の基本方針であります経済財政運営と改革の基本方針二〇二一で、薬価算定基準の見直しを透明性、予見性の確保に留意しつつ図るという具合にあります。また、成長戦略実行計画には、薬価制度における新薬のイノベーションの評価を医薬品産業の成長戦略の一つに挙げられているとお伺いをしております。

 医薬品産業ビジョン二〇二一では、薬価の毎年改定が日本市場の魅力と予見性に悪影響を与えた、また、新薬創出加算の対象範囲の厳格化がイノベーション推進の意欲の低下の原因となっているという声も聞いております。

 そういう中で、昨今の日本政府の医薬品産業のイノベーションに対する評価が、将来性のない、また予見性が困難である、また市場として魅力がないということを、仮に製薬企業の方が、仮定としてですけれども、懸念してしまいますと、やはり、革新的な新薬に国民がアクセスするというのがちょっと諸外国に比べても遅くなってしまう原因になっているのではないかと私は危惧をしております。

 私は、イノベーションへの評価の最大の指標は、やはりここは薬価というものが非常に大事だと考えておりますけれども、我が国における薬価は、当然、国民皆保険制度がありまして、そして公定薬価として、保険収載制度として、私は大変すばらしいものだと思っております。ただ一方、この価格を自由に決めることができないということがあるために、やはりそこは政治が一定、丁寧に調整をしていくということが大事であるのかなと考えております。

 しかしながら、近年は、先ほど申し上げましたけれども、薬価の毎年改定や新薬創出加算の厳格化など、近年の薬価に対する財政当局の切り込みは、製薬産業の成長戦略へ大きな影を落としていると聞いております。

 片や、年々増え続ける社会保障費の伸びを大変厳しい財政状況の中で考えるときに、薬価に対する評価というのは自然と厳しくならざるを得ないと思います。当然、高齢化が進んでいって、お薬を受けられる方がいて、全体的な社会保障費が上がっていく中で、やはり薬価の問題、毎年毎年ちょっとずつ下がっていくというのは一定理解はしているんですけれども。

 そういう中で、昨日、財政審議会の財政制度分科会におきまして、資料の三番になるわけなんですけれども、民間団体であります新時代戦略研究所から、財政規律を保持しつつ医薬品のイノベーションを評価する新しい薬価制度の考え方というのも提言されたと聞いておりますけれども、それに対する総理の評価を教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 日本の製薬産業が絶え間ないイノベーションによって革新的な新薬を生み出し、グローバルな競争をするための環境整備をしていく、これは私も重要であると認識をしています。

 同時に、公的保険で賄える薬剤費全体は高齢化の進展等により増加する傾向にあり、国民皆保険の持続性、こうした視点も重要であるとされ、今後の薬価制度の在り方については、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性、これを両立するようバランスを取りながら見直しをしていく、こうした基本姿勢に基づいて議論を進めていくべきであると思います。

 委員御指摘の一つのこの考え方、これも、このバランスの中でどうあるべきなのか、一つの提案であると思います。今申し上げた基本を大事にしながら、様々な議論、時代の変化の中で様々に参考にさせていただきながら、政府としてこのバランスに腐心をしていきたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 海外と日本では当然事情も状況も違いますので、そういうところは、御答弁がありましたけれども、時代の変化に即しながら対応していただきまして、また、民間の御意見なども考慮に入れながら進めていただきたいと思います。

 以上で質問の方を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 総理、よろしくお願いします。

 財政審が、ちょうど十三日、一昨日前に開かれまして、社会保障分科会の中でコロナワクチンについての報告がありました。八億八千二百万回分の確保のため、二・四兆円の予算が費やされたということです。秘密保持契約のためワクチンの単価は明らかにしないということを、この委員会でも何度も議論となりましたけれども、単純計算すると、ワクチン一回当たり二千七百二十一円ということになります。

 この財政審の中では、世界各国で獲得競争が激化する中、あらゆる可能性を視野に入れてワクチンの確保に努めることは重要であると前置きした上でですが、結果として総人口掛ける接種回数を大きく上回り、そして、ワクチンがもたらす感染拡大防止の効果、ひいては経済的な効果も踏まえた上で費用対効果を考えるべきであるという指摘が出ておりました。

 財政審の指摘を受け、総理は、ワクチン確保と、そして費用対効果というものをどのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、ワクチンの費用対効果について御質問いただきましたが、新型コロナワクチンの確実な確保、これは国民の生命、健康を守る上で極めて重要であると認識をします。

 未知のウイルスに対して世界各国で獲得競争が継続する中、国民の皆様に有効なワクチンをお届けできるよう、あらゆる可能性を視野に入れて、複数種類のワクチンの確保に先手先手で取り組んできたところであり、これまでのこうした取組、これは必要なものであったと考えております。

 もちろん、新型コロナワクチンであっても、国民の税金で購入する以上、御指摘の費用対効果についても一つの大事な視点であると考えています。

 そして、ワクチンについては、直接間接の効果も含めて、効果を算出する、数字化する、これは容易なことではないと思いますが、ワクチン接種による感染、重症化予防効果と、それがもたらす経済社会効果、これは非常に大きいものがあると認識をしています。

 今後も、コロナ対策を進める中で、適切な調達に努めていきたいと考えます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 実際かかる費用というのは、先ほど言った二千七百二十一円ではなく、ワクチン打ち手の医師や看護師などに支払う基本的な接種費用、例えばこれは一回当たり三千七百円、これも報告書に出ていました。さらに、これは医療機関で実施する個別接種だけの費用でありまして、これに集団接種を加えますと、医師一時間当たり七千五百五十円、また看護師さんにも二千七百六十円払っています。さらに、職域接種や学校での接種には、接種一回当たり上限千円の実費補助も出ています。

 私は、ここで、これが安いとか高いとか、また細かい数字の議論をしたいのではなくて、これまでワクチンの接種にかかった費用というのが一体どれだけなのかというのが、なかなか、今総理もすぐ言っても分からないと思うんですけれども、分からないのが問題であると思っています。

 もちろん、更なる社会的な効果やいろいろな効果という、数字に表れない効果というのもあるんですけれども、まずワクチン接種にかかった費用の全体像というのを国民に分かる形で示すこと、いわゆる見える化と言われますが、これが必要ではないかと思うんです。

 といいますのも、今、三回目が進み、四回目も議論されている中で、いろいろな今国民からも声が上がっています。このまま同じようにワクチンを打ち続けるんだろうか、どうなるんだろうかと。そういったときに、まず全体像を示して、今後のワクチンの接種の在り方や、ないしはこれからの議論というのをしてほしいと思っておりますが、総理の御見解をお願いします。

岸田内閣総理大臣 新型コロナワクチンの確保、そして接種に要する予算について全体像を明らかにするべきではないかという御指摘ですが、これは国民の税金ですので、税金の使い方として明らかにする、これは重要なことだと思います。

 そして、ワクチンの確保に約二・四兆円、接種費用として約一兆円、接種体制を整備するための補助金として約一・二兆円など、これらを合わせますと約四・七兆円という数字が出てきます。こうしたことは当然明らかにさせていただかなければならないと思いますが、ただ、問題は、これをどう評価するということかと思います。

 こうした予算措置は国民の命と健康を守るために不可欠なものであり、ワクチン接種による感染、重症化予防効果がもたらした経済社会効果、ここまで思いを巡らせたときに、これは大変大きなものがある、これは当然強く感じるところです。

 この辺もしっかりと国民の皆さんに説明しながら、税金の使い方について御理解いただく、こういった姿勢は政府としても大事にしていきたいと考えております。

田中(健)委員 先ほど、午前中の委員会の中でもブラックボックスなんという言葉も出て、まだまだ中身が分からないということであって、もちろん、全て金額で評価できるものでないと今総理からの答弁でもありましたが、国民の皆さんに、税金であるということ、そして、今後もまだまだワクチンの接種が続いていくということも踏まえ、丁寧な説明をお願いしたいと思います。

 最後は、この委員会質疑、先ほどもありましたが、かかりつけ医の議論も行われてきました。これに関しても、一昨日の財政審の中で、かかりつけ医機能の強化の取組が実体面で実効性を上げていたとは言えない状況下で新型コロナ感染拡大を迎えた、発熱患者等が円滑に診療を受けられない状況が生じた、また、制度的対応が不可欠といった指摘が上がっておりました。

 このかかりつけ医機能については、先ほど総理から丁寧に議論を進めていくとありましたが、長らく必要性が言われてきましたが、なかなか進んでこなかったという事実があります。

 午前中の後藤大臣からは、機能と制度、又は恒久的、緊急的ということで分類をしながら説明があったんですけれども、是非、厚労省といっても政府の方針だということも先ほど後藤大臣からもありましたし、総理からもありました。かかりつけ医機能の必要性というのを総理としてどのように考えているのか。一日も早く整備が必要かと思っていますが、これからの取組も含めて、御意見をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナ対応を経て、ワクチン接種や自宅療養者への対応など、身近で頼りになるかかりつけ医の重要性、このかかりつけ医の重要性については改めて私も強く認識をいたします。

 そして、今後、かかりつけ医について、その機能を明確化しつつ、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を検討するとさせていただいているところです。

 患者の医療へのアクセス、これを十分確保し、そして、国民、患者等の理解が十分得られるように議論を進めていきたいと考えております。

田中(健)委員 検討、議論で終わらないように、是非とも実効性ある総理の取組、求めたいと思います。

 以上です。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理に基本的な認識をまずお伺いしたいと思います。ペーパーを見なくても大丈夫です。

 新型コロナの感染経路、とりわけ重視すべきはエアロゾル感染か、飛沫感染か、接触感染か。総理はどうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 急な御質問ですが、私の認識を申し上げるならば、たしか飛沫感染からエアロゾル感染の可能性は専門家も指摘をしていると思います。空気感染についてはいろいろな議論があったと記憶しております。

宮本(徹)委員 今、ホワイトハウスのホームページも、エアロゾル感染が主要な感染経路だというふうに、今書かれるようになってきているのが現状であります。

 それも前提にしながら、今現状では、都市部では高い感染者数が続いております。そして、資料をお配りしておりますけれども、アドバイザリーボードに出ていた資料ですが、沖縄県では、感染が広がる中で、高齢者施設での感染が再び増えてきているのが現状です。入所者の皆さん、通所施設も出ていますけれども、ワクチンの効果が早くも落ち始めているのではないのか、こういう懸念の声も出ております。高齢者施設が再び主戦場になるのではないか、こういう指摘も出てきております。

 命と医療体制を守りながら、同時に、行動制限は必要最小限にして日常を取り戻していく。この上で本当に大事な点が幾つかあると思いますが、基本は、当然、この間議論されていますように、希望される方々へのワクチンの接種を進めるというのはあるんですけれども、同時に、重症化リスクが高い方々が多い高齢者施設への集中的な感染対策、あわせて、社会全体でのエアロゾル感染対策の抜本的な強化というのが私は必要だということを、ずっと、それこそこの二年、申し上げ続けてきております。

 そして、高齢者施設の感染対策という点でいえば、もちろんワクチン接種も当然あるわけですが、これは今進めているところでございます。あわせて、換気をもっと徹底してやらなきゃいけない。そして、あわせて、感染源対策としての検査ですよね。

 ここの場で尾身会長からは、高齢者施設の職員の検査については週二回、これは理想だという答弁はいただきましたが、なかなか大臣からは現場との関係では苦労しているんだという答弁だったのを覚えております。

 ですけれども、やはり、ニューヨーク州なんかはもう二〇二〇年の段階から、高齢者施設は感染拡大期は週二回の検査をやっていたんですよ、職員の方々に。日本でできないはずがないと思うんですよね。

 是非、高齢者施設で感染拡大を封じて命と医療を守っていく、そのためにも頻回検査、週二回以上、これを検討していただきたいと思うんですね。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 重症化リスクが高い方々が入院、入所している高齢者施設や医療機関において確実に感染対策を行っていくこと、これは重要であり、より頻回の検査を実施することは有効であることをお示しし、そして定期的な検査、これは進めるべきだと思います。

 ただ、その頻度等については、専門家あるいは厚生労働省の判断において、具体的にどれだけの頻度で行うのか、これは是非詰めてもらいたいと思っています。

宮本(徹)委員 一年前にここで尾身さんと議論して、週一回までは来たんですよね、できるだけ週一回と。

 だけれども、オミクロン株というのは、世代間隔というのは二日台だと言われているわけですね。AさんからBさんにうつるのが二日台なんですよ。それはデルタ株以前とは違って短くなっているわけですね。ですから、より一層、頻回検査というのは頻度を上げなければ、有効性は落ちているわけですよ。そこはもう総理の決断だと思うんですよね。総理の決断。

 是非、ここをしっかり守っていくということができたら、もちろん高齢者の方々の命を守る上でも、そして医療体制にとっても物すごい負荷がかかるということは減らせると思うんですね。是非、総理の御聡明な判断をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、定期的な検査、この重要性、必要性、これは認識をいたします。そして、どれだけの頻度が有効なのかということについては、今たちまち私も材料を持ち合わせておりませんので、是非、専門家の意見も聞きながら、頻度を上げていく、こうしたことは大事だと思います。

 そして、高齢者施設におけるこうした定期検査と併せて、社会全体を考えた場合に、抗原定性キットを始めとする検査キットを活用することで、社会全体の安全性と、そして社会経済活動を動かしていく、こうしたことについて努力をしていく、こういった姿勢は重要であると思っています。

宮本(徹)委員 頻度を上げるのは重要だという答弁をいただきました。専門家の意見を聞いてと言いましたけれども、尾身さんはこの場で、週二回の方が理想的ですという答弁は既にいただいておりますので、科学的には結論ははっきりしているということを申し上げておきたいと思います。

 もう一点ですけれども、社会全体のエアロゾル感染対策で、ここでも前に紹介したことがあるんですけれども、アメリカのバイデン政権は、新型コロナ対策の計画の柱の一つとして換気対策を掲げました。三月十七日にアメリカの環境保護庁も室内空気清浄チャレンジというのを公表して、予算もつけて換気対策を進めていくということを示しているんですね。

 政府の戦略として、どう換気を進めていくのか、そのことによって感染しにくい社会づくりをどう進めるのか、こういう探求を是非していただきたいと思うんですが、総理のイニシアチブを発揮してください。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 新型コロナの感染経路につきましては、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染であると認識しており、引き続き、国民の皆様には、マスクの着用、手洗い等の手指消毒、三密の回避、換気への協力を呼びかけているところですが、政府としましても、飲食店など不特定多数の人が利用する施設等を対象に高機能換気設備の導入を支援するなどの取組を行っているところです。

 是非これからも、この換気対策についても、政府としてしっかりと取り組んでいきたいと考えます。

宮本(徹)委員 是非、経済対策の中でも、換気対策、これは本当に、命を守る上でも経済を回す上でも極めて大事だと私は思っておりますので、補正予算を組んで、しっかりつけていただきたい。

 そのことを申し上げまして、質問を終わります。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 総理、今日、私が最後のバッターですので、よろしくお願いします。

 国民の命と健康を守るための医薬品、その市場についてですが、総理も御案内のように、先発品が、特許の期間が切れていないにもかかわらず、薬価の切下げがあります。そしてまた、同時に、日本という国は、私、この委員会でも再三申し上げておりますけれども、臨床研究、治験がやりにくい。そこに対する様々な問題があって、製薬メーカー側にとってみれば、医薬品産業ビジョン二〇二一の中にこういう文言があります。投資に見合った適切な対価の回収が見込まれることが重要であるとありますが、製薬メーカーから見ると、なかなかこの点に関しても魅力的な市場になっていないということがあります。

 このことを受けて、今、総理、一般に、新薬、上市されて、臨床で使われるようになって、それが保険収載されたとしても、国民はやはり一般的には高い対価を払わなければいけません、診療報酬という形、いわゆる窓口負担ですね。また、保険者、あるいは国もそうでございますけれども、やはりそういった対価を払っていく。

 そういう様々なステークホルダーがある中で、総理もこの間の、以前の委員の答弁の中でお答えいただいておりますけれども、やはり、日本の国民の、あるいは世界的な国民の命と健康を守るためにはこういったイノベーションが大切であると言われていますけれども、そういう見地から、どういうふうに、今後の日本、思われますか。

岸田内閣総理大臣 先ほども少し申し上げましたが、日本の製薬産業について、絶え間ないイノベーションにより革新的な新薬を生み出し、グローバルに競争するための環境を整備していくこと、これは重要な課題であると認識をいたします。

 そして、薬価については、市場実勢価格に基づく改定を行っておりますが、特許期間中の新薬のうち、革新的なものについては、イノベーション推進の観点から、薬価改定による価格の下げ幅を緩和する、こうした取組、実施しているところです。

 こうした工夫もしながら、基本的には、薬価制度の在り方として、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立するよう、バランスを取りながら不断の見直しを行っていく、こういった姿勢で臨んでいきたいと考えております。

仁木委員 創薬に必要な基礎研究、先ほども委員からの指摘があったと思います、PhDのステータスが低いとか、そういうのがあったと思いますが。基礎研究、そして臨床研究も含めた、そういった層の厚さ、そういったところへの投資も、政治として行っていただきたいと思います。

 今時間がないので二点申し上げます。これは通告になかったことでございますが、この間の質疑を伺っておりまして。

 一つは、感染症対策の中で、私も総理に予算委員会で申し上げましたが、日本版CDCをつくって、そのCDCが、感染症の分類も含め、あるいはどういった対策がいいか、これは経済対策も含めて、政治、いわゆる総理の方に提言していく。そういったことを、感染症の中でCDCをお使いになっていただきたいということを、一つお願いしたいと思います。

 もう一点は、コロナ禍におけるかかりつけ医の問題ですけれども、私も地元徳島で実際に自宅待機されている方を担当したことがあります。ただ、一回電話して問診をするわけですけれども、ほとんどの場合、急変しない限りは、患者さんの御自宅に医師が伺っておりません。ほかの医師とも情報交換して、そうでした。

 ということは、やはり、電話を一日二回する、ドクターが一日二回する。そして、症状が落ち着いたと判断したら一回する。これは今、総理が、六月以降のこういった対策をということを、この間の議論で言われておりますので。

 今この瞬間にも、自宅にいて、もしかしたら苦しい目に遭っていたり、急変したりする可能性のある患者さんはいらっしゃると思うんですね。そういう方々が自宅で放置死されないためにも、今できるマンパワー、これは今、全国で医師会の方々を中心に頑張っていると思います。マッチングしているんです。新規陽性者が出てきたら、保健所の報告を基にして、県にそういうチームを据えて、その情報を医師会に流して、それで回しています。

 そういう今の、いわゆる立憲民主党さんの言われるかかりつけ医制度には合致しないかもしれないけれども、今できることをすると総理はおっしゃったので、今、一日二回のコール、あるいは、ちょっと落ち着いたら最低でも一回のコールをすることでも全然状況は変わってくると思いますので、そのことを、例えばその対価としての報酬も現場で頑張るドクターに与えていただいて、今のこの局面を乗り越えていただきたいと思います。

 最後のことに対して、もし御答弁ありましたら、お願いします。

岸田内閣総理大臣 最後の点というのは、自宅療養者に対する対応の部分かと思いますが、これにつきましては、先ほども少し答弁の中で触れさせていただきましたが、自宅療養者に対応する医療機関の数、これも拡充させていただく、そして、発熱外来の対応についても、具体的に対応できる場所の数、これを充実させていただくなど、地方自治体にも協力をいただきながら体制の強化を行っています。

 その上で、今おっしゃったように、電話のコール等、様々なソフト面での配慮が求められるということなんだと思います。

 まずは、こうした施設、マンパワーを含めて、医療提供体制、これを充実を図りながら、内容においても充実を図れるよう、自治体ともしっかりと連携をしながら、国民の皆さんの安心、安全のために様々な工夫を積み重ねていきたいと考えます。

仁木委員 一日二回で、自宅で待機して、いわゆる自宅にいなきゃいけない方々へのコールというのは可能だと思います。現場に即刻通達を出されて、実現していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私、有志の会の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 以上で各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。井坂信彦君。

井坂委員 私は、立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました政府提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案及び立憲民主党・無所属の提出する三法案について、賛成の立場で討論を行います。

 一時は収束に向かうかと思われた全国の新規感染者数が、再び増加傾向を見せております。全国の新規感染者数の増加傾向に伴い、療養者数も増加傾向が続いております。第六波の死者数は、これまでの最大であった第四波の約五千五百人のほぼ二倍である約一万四百五十人に達しています。そして、残念ながら、第三波から第五波まで以上に自宅放置死が発生してしまいました。高齢者施設における死亡者も続出し、関係者も疲弊しておられます。

 立憲民主党・無所属が提出したオミクロン・感染症対策支援法案、コロナかかりつけ医法案及び日本版EUA、特定医薬品特措法案は、有用な医薬品を迅速に実用化し、高齢者や基礎疾患を有する方などのハイリスク者を中心に事前に登録したコロナかかりつけ医が迅速、的確な医療提供を実施し、都道府県と医療機関との協定締結により病床を確保して、自宅療養者等の容体急変時には確実に入院を可能とする法案となっています。

 この三法案は、患者に有用な医薬品を迅速、確実に投与し、命を守り、自宅放置死を根絶するために必要な法案です。

 一方で、政府提出法案には、薬事承認手続の枠組みの下、製薬企業の申請が前提となるという問題や、通常よりも少ない臨床試験結果による安全性の確認という課題があります。しかし、有用な医薬品等の迅速な実用化が重要な課題となっている現状に鑑みると、一歩でも二歩でも対策を進めることが必要であると考え、政府提出法案にも賛成することとします。

 最後に、三法案の内容は、コロナ自宅放置死をされた方々の無念の思い、行き場のない憤りを抱えながらも失った命を無駄にさせないという、自宅放置死遺族会の皆様の思いのこもった内容です。さらに、コロナかかりつけ医制度をきっかけに、将来の我が国の医療基盤再構築に進むものです。

 我々は、コロナ禍における教訓を生かし、コロナ放置死を二度と発生させないようにするとともに、医療制度改革、ひいては社会保障制度改革の本丸である日本版家庭医制度創設に全力を挙げて取り組む所存であることを申し述べ、討論を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

橋本委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより採決に入ります。

 まず、中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、中島克仁君外十六名提出、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、中島克仁君外十六名提出、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 緊急承認された医薬品等について、当該承認後に改めて行う承認申請に当たっては基本的に検証的臨床試験の成績の提出を求めるとともに、当該承認時に付された期限の延長は原則として一年間の延長が一回限りとなるよう運用し、当該承認時に認められた安全性、有効性等が確認できない場合には速やかに承認を取り消すこと。

 二 緊急承認制度の運用における透明性、公平性を確保するため、審査報告書や審議会議事録の早期公表、承認済みや開発中の医薬品等の情報開示や情報発信に努めること。

 三 緊急承認制度により承認された医薬品等の市販後の安全対策を徹底するため、製造販売業者による安全性監視計画の設定、徹底したリスク管理、安全性についての情報収集及び収集した情報の専門家による迅速な評価を実施すること。

 四 緊急承認制度により承認された医薬品等の副作用、副反応による健康被害が生じた場合には、当該健康被害の情報を速やかに開示するとともに、医薬品副作用健康被害救済制度の対象となることを確実に周知すること。

 五 電子処方箋については、早期に全ての医療機関、薬局等において導入されるよう、システムの導入を支援するとともに、医療機関や薬局に過度な負担とならないよう必要な配慮を行うこと。

 六 重複投薬の防止等の電子処方箋導入による効果を十分に発揮できるようにするため、電子処方箋の意義、効果を国民に周知するとともに、マイナンバーカードの健康保険証利用の促進に向けた措置を講ずること。また、国民が広くマイナポータルで処方内容を確認できるようになるまでの暫定的措置として行う紙の処方内容の控えの交付を終了するに当たっては、マイナンバーカードを利用しない患者が処方内容を確実に確認できる方策を講ずること。

 七 国民が自らの保健医療情報を把握できるようにするとともに、医療機関が連携して質の高い医療を提供できるようにするため、標準規格に準拠した電子カルテの普及促進に向けた医療機関への財政支援等を講ずることにより、電子カルテ情報についても医療機関間で共有できるよう仕組みを速やかに構築し、データヘルス改革を一層推進すること。

 八 国民の健康づくりにつながる新たなサービス創出のため、パーソナル・ヘルス・レコードの取組を推進するとともに、オンライン診療やオンライン服薬指導を含め、患者の利便性向上に寄与する保健医療分野におけるデータの利活用やデジタル化等のデータヘルス社会の実現に向けた取組を推進すること。

 九 薬事承認制度が製薬企業からの申請に基づくものであることを踏まえ、製薬企業の研究開発支援、申請時の企業負担の軽減、治験等の手続の簡素化、企業相談の実施その他の製薬企業の薬事承認申請を促進するとともに、緊急時には国が主導して医薬品等を確保する仕組みを検討し整備するための措置を講ずること。

 十 国内外の創薬イノベーション基盤強化のため、臨床研究中核病院間のネットワーク形成による効率的な治験データ収集体制の構築、国際共同治験実施のための現地人材育成、臨床研究及び治験ネットワーク構築並びに拠点整備支援等の国内外における治験環境の整備拡充その他の官民におけるデータ利活用の環境整備、薬価制度上の創薬イノベーションの適切な評価を実施すること。

 十一 医薬品等による副反応疑い報告制度の運用において情報不足により評価不能とされる事例の割合が多いことを踏まえ、副作用や副反応を疑う症状が発生した場合における健康被害調査の充実、当該症状を訴える患者に対応できる医療機関の紹介その他の当該症状に悩む者への支援を充実すること。また、健康被害救済制度に関し、厳密な医学的因果関係までを求めない健康被害の救済を確実に実施するとともに因果関係を証明するデータが不足する場合における救済や支援について諸外国の制度を含め情報収集し、検討すること。

 十二 医薬品等の市販後の安全対策を充実するため、患者自らが医薬品の副作用、副反応が疑われる事例を報告できる仕組みについて、報告方法の改善、当該報告に対するフォローアップの拡充、添付文書の改訂等の安全措置への反映その他の当該報告の活用、予防接種の実施状況と副反応疑い症状の発現状況等を個人単位で連結して報告、把握するシステムの整備、予防接種の安全性等に関する調査を的確に行うためのデータベースの整備を実施すること。

 十三 国内におけるワクチン、治療薬の開発、生産体制確立のため、治験費用や薬事承認に係る費用の補助、治験や臨床研究に関する国民の理解の増進、医療系ベンチャー企業の育成等の医薬品等の研究開発から実用化までの各段階を総合的に支援すること。

 十四 疾病の治療又は予防に関し使用価値を有する医薬品について、特に緊急時に医療上の必要が認められた場合に、当該疾病に関する学会等の意見を参考にして当該医薬品を優先かつ迅速に承認する制度の活用について検討を加えるとともに、国民の生命及び健康の保護の観点から必要不可欠な医薬品、医療機器及び再生医療等製品の国内における生産体制の整備及び研究開発の推進のための施策について検討を加え、これらの結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 十五 自宅療養者等の病状等に応じて着実に健康観察や必要な医療を提供するため、日頃から患者のことをよく知るかかりつけ医が自宅療養者等の健康観察や緊急承認された治療薬の適切な投与等の医療提供を実施できるよう、オンライン診療拡充の支援、感染症対策に係る知識の普及及び医薬品、衛生用品等の提供、その他のかかりつけ医等が自宅療養者等に感染の前後を問わず対応するための体制整備に努めること。

 十六 緊急承認された医薬品等が迅速かつ確実に自宅療養者等に届けられる環境の重要性に鑑み、日頃から患者のことをよく知るかかりつけ医により自宅療養者等が迅速かつ確実に医療を受けることが望ましいことを踏まえ、高齢者や基礎疾患を有する者等が感染時にかかりつけ医等による医療を迅速に受けられるよう、往診やオンライン診療が可能な医療機関の事前確保その他診療・検査医療機関や健康観察・診療医療機関の拡充を行うこと。

 十七 コロナ死亡者のうち高齢者の占める割合が高いことを踏まえ、施設に対する感染制御・業務継続支援チームの迅速な派遣体制の構築、医師や看護師の往診・派遣、その他の高齢者施設等における医療支援体制強化、自宅での医療提供体制強化を推進すること。

 十八 コロナ治療薬の供給における課題や感染急拡大時にマスク、検査キット等の医療物資供給不足が発生したことを踏まえ、感染症発生時における医薬品、医療機器、衛生用品等の必要数量の予測から、確保、配布までの総合的な供給体制を整備すること。

 十九 かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について迅速に検討するとともに、コロナ禍において自宅療養者等への医療提供に課題が生じたことを踏まえ、コロナ医療対応を強化するためのかかりつけ医への支援等により、高齢者、基礎疾患を有する者等へのコロナ医療に対応するかかりつけ医が増加するよう、かかりつけ医の有効活用の推進を含め、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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