衆議院

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第19号 令和4年5月13日(金曜日)

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令和四年五月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    国定 勇人君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    西田 昭二君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    古川 直季君

      堀内 詔子君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山口  晋君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           早稲田ゆき君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  川又 竹男君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     平沼正二郎君

  塩崎 彰久君     山口  晋君

  鈴木 英敬君     国定 勇人君

  長谷川淳二君     古川 直季君

  三谷 英弘君     西田 昭二君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     鈴木 英敬君

  西田 昭二君     三谷 英弘君

  平沼正二郎君     勝目  康君

  古川 直季君     長谷川淳二君

  山口  晋君     塩崎 彰久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案(岡本あき子君外十二名提出、衆法第二八号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外十六名提出、衆法第三〇号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案並びに岡本あき子君外十二名提出、保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案及び早稲田ゆき君外十六名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官川又竹男君、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也君、厚生労働省健康局長佐原康之君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、国立感染症研究所長脇田隆字君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。質疑の機会をいただき、ありがとうございます。柚木道義でございます。

 児童福祉法の通告を四問しているんですが、脇田所長にも今日お越しいただいていて、先にマスクの着脱の問題を、終わったらもう御退室をいただければと思いますので、なるべく簡潔にやり取りをさせていただければと思っています。

 昨日の参議院の厚生労働委員会で、岸田総理から、屋外で距離が二メートル以上ある場合は云々、要は外してもいいということがありながらも、恐らく多くの報道あるいは質疑を見ておられた方々は、今の段階ではマスクの着用を緩和するということは現実的ではないと政府として考えているというメッセージの発信は、その前日の官房長官の会見などを御覧になっていたら、あるいは脇田所長の様々な御発言も私も承知しておりますが、もうマスクはそろそろ場面によっては取っていいんだなというふうにみんな思いかけていたところが、いや、やはり着けておかなきゃ駄目なのか、どっちなんだと正直思っていると思うんです。私もそうなんですね。

 そこで、これは本当に、実は児童福祉法の問題にも関わるんです。まさに、児童のコミュニケーションのいろいろな取り方、発達支援あるいはメンタルヘルス、大人もなんですが、今日、通告の中でも多少やり取りしているんですが。熱中症対策はもちろん必要です、これから梅雨に入っていく。コロナで亡くなるどころか、熱中症で亡くなってしまっては、マスクをしていたがために呼吸が困難になってとか、保育園で喉に詰まらせて亡くなった園児さん、最近でもおられます。発見が難しくなるとか、様々な課題が実はあるので、マスクの着脱問題というのは、たかがマスクかもしれませんが、されどマスクなんですね。命にも関わり得る、あるいは健全な発達にも関わり得る重要な問題でありますので。

 まず、脇田所長、所長はこうおっしゃっています。いつになったらマスクを着用する必要がなくなるかは、感染状況によって変わってくると。岸田首相も、現段階では、今の段階ではマスクの着用を緩和することは現実的ではないと考えていると。

 では、どういう感染状況になったら、どういう状況になったらマスクを外せる状況になっていくのか。こういうことをちゃんと指標化していかないと、現場は混乱しています、幼稚園、保育園。この後、ちょっと厚生労働大臣にも伺いますが、推奨取りやめの検討という報道、今日も大きく出ていますよ、園児のマスク。どっちなんだと。その基準をまず、しっかりお示しいただくことが大事だと思うんですね。

 どういう感染状況になったら外せるんでしょうか。脇田所長、お願いします。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染防止のためには、基本的感染対策が極めて重要であります。マスクの着用、手指衛生、換気などの徹底に加えまして、いわゆる三密の回避が必要であります。

 マスクの着用は、感染リスクを下げる方法の一つでありまして、自分が感染するリスクとともに、相手を感染させるリスクも低減できる可能性がございます。

 このため、屋内のみならず屋外でも、人との距離が十分取れない場合には、また、会話を行う際に、マスクを正しく着用する必要がございます。

 一方で、感染リスクが高くないと考えられる、例えば屋外において人との距離が十分取れている場合、屋外で会話がない場合には、マスクの着用は必ずしも必要がなく、特に今後、気温、湿度が高い場合は熱中症のリスクが高くなるということで、屋外での人との距離が十分ある場合は、マスクを外すということが推奨されると考えております。

 先日のアドバイザリーボード、五月十一日でありますけれども、その後の記者ブリーフィングにおきまして、現在の全国の新規感染者数、地域差がございますけれども、過去の推移と比べましてもまだ非常に高い状況にあると判断しております、マスク着用を含めた感染対策を行っていくことが重要であるということを述べさせていただきました。

 マスク着用などの基本的感染対策の在り方は、ワクチン接種の状況、変異株の流行状況、そしてウイルスの特徴等にもよると考えておりますので、こうしたことを踏まえながら、引き続き検討する必要があると考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 厚生労働大臣、先ほどのぶら下がり会見、私も後半のちょうどマスクの部分をお聞きしておりました。おっしゃっていることは昨日の総理答弁と整合的だったと思うんですね。

 他方で、やはり、岸田首相も、屋外で人との距離が十分取れればマスクの着用は必ずしも必要ではない、特に、これから梅雨どき、気温、湿度が高いときには熱中症のリスクが高くなる。場合によっては亡くなる方もおられたわけですね、この間。屋外で人との距離が十分である場合にはマスクを外すことを奨励している。

 ちなみに、昨日も厚生労働省とやり取りして、直近の、ちょうどコロナが始まっての年度の熱中症による死者の方は千五百人とか、大変な方が亡くなっているんですね。マスクをしていたかどうかという分析まではもちろんあれなんですが、それぐらい恐ろしい部分もあるわけですから。

 昨日も、保育園は厚生労働省、学校、幼稚園は文科省、それぞれ来ていただいて、コロナ室にも来ていただいて、このマスクの着脱のルールについて、大人の方もそうなんですが、いろんな方がいろんなところでいろんな発信をされる。コロナ大臣も発信される、厚労大臣も発信される、それはそれで所管があるからしようがないんですが。

 やはり、国民の皆さんから見て分かりやすく、例えば、どういう場所で、どういう場面で、どういう物理的な例えば距離、こういったものが確保されていれば外していいんだというようなことを、例えば資料の十三ページ目には、東京都の医師会の尾崎会長、こうおっしゃっていますね。特に、マスクを外す状況として、保育所、幼稚園の外遊び、学校の体育、部活動、公園、山、川、海、散歩やジョギングなどが挙げられたと。

 まさに、こういう具体的な、私たちが生活の中で、例えばお昼を公園で食べる方とかおられるかもしれませんね、この辺でも。そのときなどを含めて、具体的に、場所、場面、距離、こういったものを、ワンボイスで、大臣、厚生労働大臣がワンボイスでも結構なんですよ、是非、国民の皆さんに分かりやすい形で整理をして発信をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナの感染経路は、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等でありまして、感染防止のためには、三密の回避や換気などに加えて、マスクの着用が極めて重要でございます。専門家からも、マスクを着けずに近距離で会話するような感染リスクの高い行動を避けることが重要であると指摘されております。屋外においても人との距離が十分取れない場合は、無症状の場合でも会話により感染が広がる可能性もあることから、マスクを正しく着用する必要はあります。

 御指摘のように、東京都医師会がソーシャルディスタンスを保てる屋外ではマスクを外すことを提案されていることは承知をいたしておりまして、厚生労働省としても、人との距離が十分取れれば屋外でマスクの着用は必ずしも必要でなく、特に、今後、夏に向けて、気温、湿度が高くなると熱中症のリスクが高まりますから、屋外で人との距離が十分ある場合、具体的には、少なくとも二メートル以上の距離を確保できている場合には、マスクを外すことを推奨しております。

 今先生御指摘がありましたように、こうした考え方、例えば、基本的対処方針や、あるいはそれに基づく広報、また厚生労働省でも周知広報を、いろんなビラ等を配りながらやっておりますけれども、こうした考え方について、引き続き、国民に分かりやすい形で伝わるように周知広報していくことが必要だというふうに考えております。

柚木委員 分かりました。

 そうすると、まさに、全国知事会が、この資料の十四ページ目以降、十五ページにも書いておりますが、平井鳥取県知事、会長さんもこうおっしゃっていますよね。屋外でのマスク着用の新たなルール作りを、是非国民の皆さんに分かりやすく発信をしてほしいと。やはり現場、後ほどちょっと園児のマスクのことについても伺いたいんですが、これは本当に迷っていると思いますよ。一定の条件があれば緩和していいんだけれども、だけれども、現段階では緩和は現実的ではない、保護者からもそれぞれの意見がある、私も伺っています。ですから、この知事会からの要望、あるいは、東京都の小池都知事も、科学的知見としてこういう場合は外していい、国がまさに明確に、客観的に基準を決めるのが一番じゃないかということでもございます。

 是非、厚生労働大臣、この屋外でのマスク着用の新しいルール作り、これはいつまでに行って、どういう形で国民に周知をいただけるのか。

 それからもう一点。これはまさに大臣も先ほどもおっしゃっていましたが、官房長官もおっしゃっています。このマスクの着脱については、先ほど脇田所長、ありましたが、今後の感染状況や専門家の意見を踏まえて検討するというのは、これは例えばまさにアドバイザリーボードであったりコロナ対策分科会などで専門家の皆さんが協議をしていくという意味で、専門家の意見を踏まえて検討するということでよろしいんでしょうか。

 以上二点、お答えください。

後藤国務大臣 知事会の方から、屋外でのマスクの着用について要望があったということは承知をいたしております。

 屋外マスク着用に対する現在の政府の対応については先ほど申し上げたとおりで、子供の話はまた後ほどという話もありましたので触れませんが、引き続き、先ほども申し上げたように、様々な場面で周知広報を努めていくことが第一だと思います。

 その上で、新たなルール作りを行うかどうかということでございますけれども、こうした周知を行いつつ、例えば知事会や専門家の皆さんからの意見も伺い、その前提には感染の状況、現状をどう評価するかということがありますから、そうしたことで意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに思います。

 もちろん、専門家の意見を聞く場は、既存のそうした部会やアドバイザリーボードみたいな場所ももちろん考えられますし、一般的に、例えば専門の、子供の対応の関係の方とか、それぞれの専門の方の御意見ももちろん聞きますけれども、最終的には、政府として統一的に御説明をするという意味においていえば、そうした既存の分科会等でもしっかりと議論をして、意見を伺わせていただきたいと思います。

柚木委員 よろしくお願いします。

 ちょっと今朝の報道で出ているので、大臣、可能な範囲で教えてほしいんですが、園児のマスク見直しへ、政府、推奨の取りやめを検討と。

 まさに、これまでは、むしろ可能な範囲で着用を推奨するというコロナ対策分科会の提言、厚生労働省も自治体に着用の推奨を通知していたわけですが、総理は、現時点では緩和は現実的ではない、でも、外で一定の条件では外してもいい、大臣も先ほどの閣議後会見で、現時点では緩和は現実的ではないと。しかし、園児のマスク、推奨取りやめ検討、見直しへ。ちょっとこれはなかなか、現場も保護者も子供たちも、どっちと思うと思うんです。

 実際に、じゃ、園児のマスクは見直しへということで、政府の推奨は取りやめを検討していく、いる、そういう方向は、それはそれでいいんですか。お答えください。

後藤国務大臣 まず、若干、報道等には事実についての認識も正確でないようなところもあるように見受けられるように思いますけれども、子供のマスクの着用について言えば、もう一度申し上げると、特に二歳未満の乳幼児はマスク着用が推奨されていません。また、二歳以上であっても就学前の子供については、本人の体調が優れず、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理に着用させる必要はないということでございます。マスクを着用する場合は、保護者や周りの大人が子供の体調に十分注意した上で着用していただく必要があり、その旨の周知をこれまでも行ってきているところでございます。

 こうしたことについて、感染の状況等を見極めながら、専門家の御意見も聞き、関係者の御意見も聞きながら、必要があれば検討していくということでございますけれども、少なくとも、子供のマスクの着用について、今、マスクの着用を推奨しているようなことを前提でどうも議論が進むとすれば、それは現在の状況についての認識についても少し事実と違いがあるのかもしれないという印象を持っております。

柚木委員 しっかり整理して、是非、現場が混乱しないように発信をお願いします。

 最後に、ちょっと脇田所長、一問だけ。

 十八ページ目の資料に、マスクを外さない子供が増えていると。これはまさに発達支援とかコミュニケーション不全とかにも関わる部分で、児童福祉の問題にも関わるんですが、そういうマスク依存の子供が増えている可能性があるということで、港区の、近所の診療所の精神科医のお医者さんが、そういうマスク依存に陥ると意思疎通が難しく、孤立して不登校や引きこもりになるリスクが増えると。

 もちろん熱中症とかそういう部分も大切なんですが、中長期的には、私たちも当たり前になって三年目で着けていますが、発達支援とかメンタルヘルスとか、引きこもりとか不登校等にもなり得る、そういうリスクも含めて、このマスクの着脱についての今後の方針は、是非専門家の皆さんの中でも御議論をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

脇田政府参考人 委員御指摘の、マスクを外さない子供たちが増えているという状況につきましても、専門家会議のメンバーの中にも小児科の医師であるとかあるいは社会医学系の先生方がいらっしゃいますので、その点に関しても議論を深めていきたいというように考えます。

柚木委員 ありがとうございました。脇田所長はここまでで結構ですので、ありがとうございました。

 では、残りの時間はちょっと法案質疑に入ります。大臣にお願いいたします。

 まず、児童相談所の人員確保と処遇改善について、この間、議論もされてまいりましたし、参考人の方々からの様々な指摘もございました。その中で、今回の法案に盛り込まれました一時保護時の司法審査に関して、一時保護に保護者が反対しているようなケースで、司法審査が加わることによって子供の安全を最優先に対応できるようになると考えられますが、一方で、児相における法務などの事務処理の負担が増える点などが現場から懸念が、お聞きをしておるところでございます。

 一時保護時の司法審査のために必要な人材を確保するための職員の更なる処遇改善を進める、あるいはそのための人員を確保する、こういったことが急務だと思われるわけですが、厚生労働大臣の御所見をお願いいたします。

後藤国務大臣 委員御指摘のとおり、一時保護開始時の司法審査の導入に際しまして、一時保護状の請求に当たりまして、請求書類の作成等が児童相談所で新たに発生いたします。児童相談所全体の体制強化とともに、児童相談所の司法とのやり取りに対応可能な人材確保が必要だと認識をいたしております。

 まず、児童相談所全体の体制強化として、児童福祉司の確保については、児童虐待防止対策体制総合強化プラン、新プランにおきまして、令和四年度までに五千二百六十人の体制とする目標を一年前倒しして、おおむね達成しまして、令和四年度も五百五人上積みした増員目標を設定したところでありまして、令和五年度以降は、児童相談所の虐待相談対応件数や今般の法改正による児童相談所の役割の増加等の状況を踏まえまして、次期プランの策定も含めて検討していくことといたしております。

 また、司法とのやり取りを行う専門人材の確保については、厚生労働省として、これまで、弁護士を配置した場合や弁護士事務所等に委託を行った費用の補助を行っておりまして、さらに、司法との対応を行う事務職員を配置した場合の費用の補助を令和四年度に創設するなどの体制強化を図っているところでございます。

 今般の一時保護の司法審査の制度改正を踏まえまして、今後、今委員御指摘のとおり、更に必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと思います。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 御承知のとおり、この児童虐待の件数は本当に残念ながら右肩上がりで、私や委員長の地元の岡山県でも痛ましい死亡事件、ある意味相次いでいるわけですね。全国的にもそうです。委員の先生方の御地元でも同じような状況がおありだと思います。是非しっかりとした実効性のある取組をお願いしたいと思います。

 それから、資料二ページ目にもおつけをしております子育て世帯訪問支援事業等における処遇改善も、併せて重要でございます。

 訪問による家庭支援、児童の居場所づくり支援、親子関係の支援、いずれも、新設の事業を含めて、事業を始めるに当たってはまさに人材の確保、これは質、量共に重要でございまして、事業を進めるに当たりまして必要な人材を確保するとともに、業務に見合った処遇とすることが必要だと考えます。つまり、そういったことを市区町村の計画的整備の中でしっかりと定量化をしていただいて、財政的な支援もしっかりと担保された形での対応が必要だと思うわけでありますが、是非、厚生労働大臣の前向きな御答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 新たに創設いたします訪問による家事支援等の事業について、必要な家庭に確実に届け、各家庭の悩みや負担感を着実に解消していくためには、委員御指摘のような、支援に関わる者の資質や体制等を明らかにしつつ、地域ごとの子育てニーズも踏まえた体制整備をしっかりと進めていく必要があります。

 このため、令和三年度補正予算において、安心こども基金を活用して先行的に実施する事業の実施状況を踏まえ、また、既に地域で行われている先進事例など現場の取組をよく伺うことなどによりまして、新たに創設する事業内容の具体化を進めてまいりたいと思います。

 また、新たな家庭支援事業の体制整備に当たっては、整備計画である市町村の子ども・子育て支援事業計画が地域のニーズを適切に反映したものとなるように、地域における児童数やその推移の見込み、また地域における要支援、要保護児童の数、こういった要素を加味することで効果的かつ効率的に体制整備を進めていくようにしたいと考えております。

 さらに、こうした体制整備について、国としても子ども・子育て支援交付金の対象として位置づけて予算面の支援を行っていくこととしておりまして、その中で、委員御指摘の支援に関わる、携わる方々の処遇を含めた人材確保についてもしっかりと検討を重ねて進めてまいりたいと思います。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 それから、子供の意見聴取等の仕組みの整備がこの間も論点になっておりました。意見表明等支援事業は都道府県等の努力義務とされます。子供の住む場所によっては子供の意見等が適切に反映されないおそれが、これは努力義務ですから、あるのではないでしょうか。事業の有無によって、まさに子供たちは生まれてくる場所は選べませんから、差が生じてしまうのは望ましいものではございませんので、これは義務化を含めて是非検討を進めていただきたいと思うわけです。例えば実施自治体の中での好事例を集めて展開する、そして都道府県等の体制整備に向けた支援が重要でございまして、例えば義務化に向けた移行期間を三年とか、着実な道筋を立てて、そして取組を進めていただく、つまり、支援員の養成確保ですね。そして、まさにそれによって努力義務から義務化へというようなことも含めて是非取組を検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 意思表明等支援事業は、事業の担い手など地域資源の状況が自治体ごとに異なっていることから、義務とはせずに、都道府県による必要な措置の実施を努力義務と今回規定いたしております。

 厚生労働省としても、都道府県が実施する意見表明等支援員の研修の参考となるプログラムの例の開発、あるいは、現在実施する子供の権利擁護のモデル事業の取組など、好事例の紹介も含めた周知等の支援を実施することによりまして、その着実な実施をまずは図ってまいりたいと思います。

 また、今般の児童福祉法改正案において、施行後五年をめどとして見直しを行う検討規定が盛り込まれておりますけれども、その際には、意見表明等支援事業の都道府県等における施行の状況等を見て、義務化も含め必要な見直しを検討していきたいというふうに考えております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、最後、お願いしていた部分はもうお願いにとどめますが、この間、井坂さんもされていた児童養護施設の二十二歳までの入所について、他の先生方もされていましたが、実際に二十二歳まで制度上は、これは通知がもう大分前に出ていますよね、早川参考人からの、平成二十三年の。しかし、実態がそうなっていない。資料の五ページ目以降につけているのを皆さん読まれたと思うんですが、私は、最後のページ、心が痛みました。是非、厚生労働大臣から今後の機会の中で、本当に、福祉を受けている人は一般の人が当たり前のことを望んではいけない、こういう思いにだけはさせるようなことがあってはならないと思いますので、そういった意味でも、この児童養護施設での二十二歳までの入所が、今後年齢制限が撤廃されるまでにはもう当たり前になるような、そういう状況をしっかりと、政府を挙げてお取組もお願いをして、質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の衆議院議員、阿部知子です。

 本日は、いわゆる乳幼児揺さぶられ症候群ないしは虐待による頭部外傷とその一時保護、そうしたことを疑われた子供たちと一時保護の在り方について、後藤大臣に御質問をいたします。

 五月の九日にも新潟で司法の判断、五か月の女の赤ちゃんをお父さんが虐待して頭蓋内出血を起こさせたのではないかという事案について、司法は、いろいろな要因で起こることゆえ、必ずしも虐待ではない、断言できないだろうという判断を下されました。

 一方、やはり子供の命を預かる児童相談所等々にしてみれば、本当におうちに帰して大丈夫かということも含めて極めて慎重な判断が求められる。

 せんだっての予算委員会の分科会でも我が党の山岡さんも問題にされておりましたし、法務委員会でも公明党の伊藤先生が問題にしておられましたが、今日、重ねて私からも後藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 今の状況認識は、私が申し上げたことと恐らく大臣とほとんど差がなく、そして、それゆえに厚生労働省では、二〇二〇年の七月から、厚生科研費研究の募集で、児童相談所における虐待による頭部外傷事案への対応に関する調査研究を行われて、報告書が二〇二一年の四月十六日に提出をされております。

 これは、児童相談所から聞き取った、いわゆる虐待による乳幼児頭部外傷、SBSを含むもののうち、一体、児相が受理した件数二百四十三件のうち、いわゆる一時保護をされた方がどのくらいあったか。百二十五人となって五一・四%という数値も出ております。

 冒頭、大臣にお伺いしたいですが、この調査から、果たしてどういう方が一時保護され、二百四十三人のうち一時保護された方が百二十五、逆に、一時保護ではなかった方が百十八となっていますが、これは児相がどういう判断根拠で一時保護とされたかなどは、この調査から明らかになったのでしょうか。一問目です。

後藤国務大臣 今委員から御指摘をいただいた令和二年度の調査研究では、児童虐待による乳幼児頭部外傷事案疑いの受理件数や受理した場合の児童相談所の対応など、虐待による乳幼児頭部外傷に対する児童相談所の対応等の実態について、その概況を調査して、把握したところでございます。

 この調査研究において、虐待による乳幼児頭部外傷、AHTの疑いのあるケースのうち、一時保護実施件数については調査しているところでございますけれども、一時保護に至った事例と至らなかった事例を比較し、その判断根拠等を個別具体の事例で分析することまでは実施をしていないという状況でございます。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁のとおりで、しかし、今もですが、どういう児童に一時保護が必要で、どういうケースは、むしろその他の、親子分離をしないで、親子関係を大切に養育できるのかの判断の基準というか根拠が問われているのが現状だと思います。

 そして、同様に、この調査から分かったことがもう一つございます。いわゆる一時保護が長期化しているという実態であります。

 この百二十五人の一時保護の方のうち、五十四人、これは延べですので本当に一人一人かはちょっと分かりませんが、五十四人は二か月以上親子が分離されているということ、また、重なりもあると思いますが、六十五人の方たちは施設入所という形で、やはり親子が分離をされている。

 大変、子供の幼いときの親子の関係というのはその子の一生に関わりますが、長期保護が常態化しているとも言えると思いますし、その理由が、受傷機転の判断が難しい、どうしてけがしたかが分からないからというふうになっておりまして、そうなると、得られるメリットと失うものの勘案というか、ここが大変に問題になると思うのですね。

 後藤大臣は、こういう長期保護の実態についてはどのように受け止めておられますでしょう。

後藤国務大臣 先ほど御指摘のあった調査研究の結果では、児童相談所において、一年半の間で、虐待による乳幼児頭部外傷、AHT疑いを理由に実施した一時保護延べ件数は百三十一件で、そのうち保護の期間が二か月を超えているのは延べ五十四件となっているというのは御指摘のとおりでございまして、AHT疑いの事案に限らず、児童福祉法上、一時保護については原則二か月を超えてはならないこととされておりますけれども、児童相談所長等が必要があると認めるときは引き続き一時保護できるということとされているのは、制度の前提でございます。

 御指摘のAHT疑いの事案の相当数の一時保護期間が二か月を超えていることに関しては、児童相談所において、虐待によるものか否か、複数の医療機関等にセカンドオピニオン等を求めるなど、その判断に当たって、関係者への調査に相当な時間を要する等の事情があるものと考えております。

 厚生労働省としては、一時保護の期間は、保護した目的を達成するために最低限の時間とする必要がありますが、子供の安全確保が図られることが何より重要でありまして、児童福祉法の現行の規定にのっとりまして、一時保護が子供の最善の利益のために適切に行われるべきものと認識いたしております。

阿部(知)委員 御答弁ではありますが、今のやり方では最善の利益にならないのではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。

 これはまた何人かの方から御指摘されておりますが、いわゆる乳幼児揺さぶられ症候群などについては、平成二十五年の子ども虐待対応の手引きにのっとって判断される場合が多いわけです。この手引には何と書いてあるかというと、家庭内の転倒、転落を主訴にしたり、受傷機転が不明で硬膜下血腫を負った乳幼児が受診したりした場合は、必ずSBSを第一に考えなければならないと。

 加えて、そればかりではなく、例えば転倒や落下によって、SBSでなくても、こうした頭蓋内の硬膜下血腫や眼底出血、脳の実質性の異常所見、主に浮腫ですけれども、むくむということ、そういうことが起こらないかどうかということを検証してみた研究がございます。

 開けて三枚目でありますが、これは六病院、主に日本の小児神経外科学会で発表されたものですが、この六病院の共同研究によれば、乳幼児の急性硬膜下血腫の虐待疑いは三割であったということ。

 厚生省のガイドラインの中には、九五%揺さぶられ、虐待疑いだと書いてございまして、当初、揺さぶられ症候群が世に問われたときは、私たち小児科医も本当に衝撃でしたし、子供の脳が柔らかで、親御さんがこうやっただけで出血してしまうような事案もやはり注意しなきゃいけないということで注意喚起を促したのも事実ですが、その後、いろいろ調査研究が進みますと、実は、虐待が疑われるものは約三割で、そのほかに、例えば、比較的低い、九十センチ以下の場所からの転倒や転落、倒れちゃう。これはどういうことかというと、子供がつかまり立ちする頃に見ていると、みんな後ろにがんと倒れるんですね。そうすると、揺さぶられ症候群と同じようなシェークが脳の中で起きて、それが硬膜下血腫になっていっているという事案が多いということも分かってまいりました。

 これは学問ですから日進月歩でありますし、今度の調査研究に、後藤大臣も脳外科の医師を加えてくださいましたように、子供を診る、私は小児神経内科ですけれども、脳外科の先生にもお世話になって、その知見を集めていって、総合的に、診断基準、手引も考えないといけない時期に立ち至っていると思うんですね。

 ここで、大臣にも是非早急にお願いがありますが、今、手引の見直しですね。だんだん実態が分かってきた、転倒もある、必ずしも虐待ではないものもあるなど、現場も手引が頼りですので、今のように手引に書かれると、どうしても疑わしきは保護しなくちゃと思うけれども、いろいろなケースで起こっているということが分かってきた場合には、この手引の見直し作業というものを早急に開始していただきたいですが、一刻も早く開始していただきたいですが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 今委員から御指摘のあった子ども虐待対応の手引き、二十五年のときに出されたものの中で、九十センチメートル以下からの転落等で硬膜下出血が起きることはほとんどないと言われているとか、受傷機転不明で硬膜下血腫を負った乳幼児が受診した場合は、必ずSBSを第一に考えなければならない、こういう記述があることについて、脳外科の先生方、小児科の先生方、関係者の先生、専門家の皆さんでも大変な議論があることも承知をいたしております。

 子供虐待手引については、国内外の学会等の医学的知見を踏まえまして、有識者による検討も経た上で、今言ったような二十五年の改定がされたわけでありますけれども、改定から八年を経過しておりまして、その間、法制度の変更もあり、厚生労働省としても見直しの必要を認識いたしております。

 委員御指摘の乳幼児頭部外傷については、厚生労働省としても、脳神経外科の医師を含め、各分野の有識者に委員として入っていただいた上で、乳幼児頭部外傷に対する児童相談所の対応等の実態について分析する調査研究を令和二年度から実施しておりまして、児童相談所等の現場における実態把握を行ってきたところでございます。

 このように、一定の検討を進めてきている中において、手引における乳幼児頭部外傷の記載について、関係者より改正の必要性が指摘されていることを承知しております。

 今後、これまでの調査研究の結果に加えまして、医学に関する最新の知見や関係学会の議論の動向を十分に踏まえた上で、手引の見直しについて検討してまいります。

阿部(知)委員 いつまでも検討じゃなくて、始めていただきたいんですね。

 小児科医も熱心に考えていますし、脳外科の先生もそうであります。別に対立しているわけではなくて、よりよい診断基準を作らないと、例えば、後ろに転倒したのに虐待を疑われて親子分離が行われてしまってもいけないし、中には、特に二か月から五か月くらいの硬膜下血腫は、やはり虐待の比率が相対的に高いです。

 そういうことも含めて分かってきたことがあるので、これはもう始めると言っていただきたいが、どうでしょう、大臣。

後藤国務大臣 私の気持ちとして言えば、関係学会の議論、従来は、児童相談所に原則として通告すべきだというお考えや、いやいや、それはいろいろな場合があるということを強調される皆様方や、いろいろありますし、また、専門家のお医者さんの学会によっても、御意見もいろいろな客観的なエビデンスに従って変わってきていることもあるように承知をいたしております。

 そういう関係学会の議論の動向が、非常に議論の幅がまだまだあるような中で、既にこの問題についての問題意識を持って十分に検討をしているという気持ちでいっぱいでございますけれども、先生、先ほど、いつ改正していただけますかというお話だったので、現時点で、改正の有無とか、改正するとした場合の具体的な内容、時期についてお答えすることは困難でございますけれども、関係学会の議論等を十分に検討することは、本当に今まさに検討をする必要があることであるという認識で、この問題を捉えております。

阿部(知)委員 ちょうど児童福祉法の改正が論議されておりますときですし、やはり時は今だと思います。

 そして、大臣にもう一つお願いがありますが、消防庁や消費者庁が、東京都の保健局のデータで、子供のけがの原因が落ちるとか転ぶというものが大変に多いということを出しておられます。救急車を使って受診されますが、そのうち一割は入院を要すると。これは実際に生活の中から浮かんだ子供たちの実態であります。

 先ほども申し上げましたが、つかまり立ちの時期とかは主に後ろに転倒いたします。それが揺さぶられ症候群と同じような病態を起こすということで、大臣にお願いは、母子手帳に、後ろに転ぶということの危険性を、どこかに小さくてもいいからアナウンスしてほしいんですね。はえば立て、立てば歩めの親心で、親御さんは子供の成長をそのように見ていますが、その中でも、でも、つかまり立ちの時期って正直危ないんです。でも、子供は何でもやりたいから、チャレンジングだから、立ってつかまって、そして思い切りがんと転んでしまう。

 母子手帳の記載というのは、親御さんたちに、こういう危険もありますよとか、アナウンスしてさしあげることも重要だと思うんです。私は、それによって一つでも不幸な冤罪と言われるものとか長期の母子分離を防いでいただきたいので、これは検討していただけますか。

後藤国務大臣 我が国では、不慮の事故が子供の死亡原因の上位となっておりまして、子供の事故を防止することは重要でありますことから、母子健康手帳の厚生労働省の示す様式において、子供の年齢に応じて起こりやすい事故や対策を掲載しているところであります。

 委員御指摘のとおり、乳幼児が重大な事態に至ることもある転倒、転落について、保護者への注意喚起のためにどのような対応が取り得るか、母子健康手帳の活用も含めて検討してまいります。

阿部(知)委員 ありがとうございます。

 では、最後に。一時保護を、今回、司法の関与ということがこの改正で始まりますが、これについて、一時保護を経験した親御さんたちから審議会でも意見が出されていたと思います。

 簡単に申しますと、終わりから二枚目に資料をつけてございますが、今のままでは、司法審査は導入されたとしても、そこに親御さんたちの意見を聞かれることがないプロセスであるということで、そのことは、子供の権利法等々にうたう、子及びその親の意見を聴取した後に行われるべき母子分離ということに反しているのではないか。ここに、菅家さんが書かれた一枚のペーパーがありますが、今のは、二〇一九年、国連児童の権利委員会からの勧告ですが、それがこの法改正によって担保されていないのではないかという懸念を示しておられます。

 確かに、司法の判断に異論がある場合は、児相からは、司法に、いや、うちは一時保護を続けたいとか、違えば、児相はそういう意見を言えますが、親御さんないし子供にはその場がございません。いわゆる行政不服審査、通常の一時保護について、長く保護されていて、行政不服審査を起こしても、これは県に起こしますけれども、結果が出るまでに二か月どころか十五か月とかかかったり、長くかかるという資料もおつけしてございます。

 時間がないので、最後、省略して伺いますが、こうした事態に対して、明石市で取り組んでいる、こどものための第三者委員会というものでは、一時保護をされる子供は二日以内にこの第三者委員会の関与で面接がなされ、また保護者等も、児童の一時保護に関する不服や面会制限に対する不服をこの第三者委員会に持っていくことができるということであります。

 後藤大臣は、この明石市の取組は御存じであるのか。もちろん、司法の関与とはまた違うスキームであります。第三者委員会でも、大事なことは、親子の権利をきちんと担保しながら子供の安全を守っていくことなので。もうこれは既に始まって四ケースが実際に面会されたり面接しているという。親御さんにしては面会の制限もありますから深刻です、子供に会えないわけですから。この明石市の制度に是非学んで、やっていただきたいと思いますが、もちろん、自治体がなさっているので、国がどうこうということではない。ただ、好事例でありますので、後藤大臣の御所見を伺います。

後藤国務大臣 児童の権利委員会において、児童を家族から分離するか否かの決定の際には、子及びその親の意見を聴取した後に行われるよう確保すること等が勧告されていることは認識をいたしております。今般の改正案の司法審査は、そうしたものに応えるべき改正というふうに理解をいたしております。

 それから、明石市でございますけれども、令和三年度より、今御指摘のあった、通称こどものための第三者委員会というのを児童福祉審議会の中に設けておられます。この第三者委員会においては、第三者性を有する委員が、一時保護中の児童に面会して意見聴取を行ったり、保護者からも第三者委員会に意見を伝えることができて、その申出を受けて第三者委員会が調査、審議を行いまして児童相談所の関係者に意見を通知する取組を行っていると承知しております。

 この明石市の取組については、厚生労働省の実施する子供の権利擁護のモデル事業を活用して行われております。子供の権利擁護を進める観点から、モデル的な取組と認識をしておりまして、全国の自治体担当者に向けた座談会を開催する中で、明石市の取組についても周知したところでございます。

 さらに、細かく申し上げれば、明石市の取組については、子供の権利擁護を図る中で、親の意見も併せて聞く取組が行われていると承知しておりまして、国としても、そのことについても取組状況を注視してまいりたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 実は、明石市の事案が十五か月の母子分離になってしまった、その反省の下に今取り組まれています。是非、厚労省全体でのお取組となることをお願いして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、土田慎君。

土田委員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。

 本日は、貴重な質問の時間を賜りまして、心より感謝申し上げます。

 早速質問に移らせていただきます。

 私、今回の児童福祉法改正案、心より歓迎しております。

 というのは、私自身は今三十一歳で未婚ではございますけれども、友人であったりだとかが結婚、出産ラッシュを迎えているわけでございます。その中で、結婚後、仕事の忙しさであったりだとか、出産そして育児、この大変さゆえに、夫婦関係が悪化してしまったりだとか、また両親の精神状態が不安定な状態になってしまっているというのが、友人の話などを聞いていてよく思うところでございます。

 このことを、虐待であったりだとかということに観点を置くと、それこそ、赤ちゃんを持っている両親からすると、自分は絶対そんなことないから大丈夫だろうというふうに思っているとは思うんですが、ぎりぎりの子育ての中の精神状態の中で、ある意味、語弊があるかもしれませんけれども、虐待をして、ちょっとたたいてしまうとかということに関しては紙一重な状態なんじゃないかなというふうに考えております。

 この紙一重の状態をなくしていくというのが、まさに国であったりだとか我々政治家の仕事なんだろうな、そういうふうに思っております。

 また、子供だけのサポートではなくて、本当に、親であったりだとか妊婦さんであったりだとかのサポートにしっかりと力を入れていかないといけないというふうに思っております。

 今日は、質問の論点として、大きく二つ論点を設定させていただきたいと思っておりますが、一つはこの改正案の地方自治体への実装と、二つ目は支援の網の漏れをいかに少なくするかという二点でございます。

 今回の児童福祉法改正案の内容、物すごい手厚いものになっていると思っております。しかし、例えば、理念だけ掲げているけれども、実際に支援を行う行い手である地方自治体が実施できない、仕事分量的にサポートを行うことができないであったり実装できないということがあったら、これはまさに絵に描いた餅になってしまうわけでございますし、また、理念だけ掲げて、困っている子供であったりだとか妊産婦さん、親御さんに支援が届かない、リーチできないとなったら、これもまさに、何のために法改正をするのかよく分かりません。そういうような状態になってしまうわけでございます。

 先ほど挙げた今日質問させていただきたい大きな論点のうちの一点目、地方自治体への実装の観点でございますけれども、この改正によって地方自治体というのは、いわゆるこども家庭センターの設置努力義務を負うわけでございます。

 今、現状どういう制度があるかというと、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援していくのが子育て世代包括支援センターというものがあって、また、子育てであったりだとか家庭全般に関わるような相談であったりだとか調査であったりだとか、また各機関との連絡調整などを行っていくのが子ども家庭総合支援拠点でございます。この二つを包括して、より手厚く支援をしていこうというのが今回設置が目指されているこども家庭センターでございますが、ただ、自治体によって、今、現状ある二つの支援センターと支援拠点の設置数であったりだとか設置率がかなりばらつきがございます。恐らく、設置できない理由というのは、その自治体が小規模であったりだとか、そもそも子供の数が少ないというような理由が推察されるわけではございます。

 まず、子育て世代包括支援センターについてでございますが、今、全国の自治体の約九七%ぐらいが設置しているわけでございます。その理由として挙げられるのが、平成二十八年の児童福祉法改正による子育て世代包括支援センター設置努力義務化によるものだと思っておりますけれども、この義務化したことによってどれくらい設置自治体が増えたのか。また、未設置自治体にはどのような自治体があるのか。そして、設置数が増加した成功要因を教えてください。

橋本政府参考人 御指摘いただきました子育て世代包括支援センターでございますが、平成二十八年の法改正によりその設置を努力義務としておりまして、設置自治体数は、平成二十八年四月時点での二百九十五自治体でございましたものが、令和三年四月時点では、千六百三自治体まで増加しておりまして、約九二%の自治体で設置をいただいているわけでございます。

 この設置状況を人口規模別に見ますと、未設置自治体の大半は子供の人口がおおむね九千人未満の小規模自治体というふうになってございます。

 このセンターは、妊娠期から子育て期にわたるまでの支援についてのワンストップ拠点として保健師等の専門職が妊産婦に対して総合的相談を行うものとされまして、各自治体におきましても設置の必要性に御理解を深めていただいたもの、これが一つの要因だろうというふうに思います。

 また、私ども厚生労働省におきましても、このセンターの運営費の支援を行いますとともに、平成二十九年度からは、このセンター設置前からの職員の雇い上げですとか、あるいは、協議会の開催等の開設準備の支援を実施してきました。こうした事業を活用いただきつつ各自治体に御尽力をいただいて、多くの自治体での設置が進んできたものではないか、このように考えております。

土田委員 ありがとうございました。

 まさに厚生労働省の努力によって支援センターの普及、設置数が増えてきたんだと存じておりますけれども、一方で、子ども家庭総合支援拠点についてでございますが、平成三十年策定の児童虐待防止対策体制総合強化プランによりますと、令和四年までに全ての市町村に子ども家庭総合支援拠点の設置を目指しているわけでございますけれども、令和三年四月時点では三六・五%の設置率となっているわけでございます。

 この支援拠点の設置、未設置の自治体の傾向であったりだとか、また、未設置の原因も教えてください。

橋本政府参考人 子ども家庭総合支援拠点の設置状況につきましては、児童の人口がおおむね九千人未満である自治体では設置率が二六・四%となっておりまして、特に小規模な自治体では整備が進んでいないものというふうに認識いたしております。

 この子ども家庭総合支援拠点を設置しないことにつきまして、自治体ごとに異なる事情もあるというふうには考えておりますけれども、整備の必要性を、私ども国の方から、指針等によりまして自治体に対して周知徹底をしておるのでございますけれども、必ずしもそれが十分に、意図が伝わらなかったという面もあろうかというふうに思っております。

 また、特に小規模な自治体においては、設置の必要性等を理解しつつも、なかなか支援員の確保などの体制構築に課題がある、そういったことも要因ではないかというふうに考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 今回の児童福祉法改正において、支援センターと支援拠点を、ある意味、機能を統合してやっていこうというのが家庭センターであるわけでございますけれども、今御答弁いただいたように、支援センターと支援拠点の設置率にかなりばらつきというか差があるわけでございます。

 ここでやはり思うのが、一番大事なのは、小さな自治体であったりだとか、いろいろな意味での資源が少ない、足りていない自治体に、いかにうまく家庭センターというものを運用してもらえるようにするかというのが、今回の改正案をしっかりと日本全国津々浦々浸透させていくキーになるんだろうなというふうに思っております。

 それでは、こども家庭センターについてお伺いさせていただきますけれども、今申し上げたように、支援拠点、支援センターのどちらもないであったりだとか、一方がないというような自治体に関して、どのように家庭センターの設置を目指していくのか、そのプロセスを教えていただければと思います。

橋本政府参考人 今、全市町村のうちで九二%の市町村におきまして、母子保健の子育て世代包括支援センターと児童福祉の子ども家庭総合支援拠点のどちらか、いずれかが設置されているという状況でございます。

 これから、いかにこの未設置のところをなくしていくかということでございますが、児童虐待を未然に防止し、家庭支援を強化していくため、児童福祉と母子保健の一体的な対応が重要であるということはどの自治体にも言えることでございますし、今般の児童福祉法改正案が成立した暁には、可能な限り早くこども家庭センターを全国に設置できるように、自治体に対して促してまいりたいと思います。

 その際、私ども厚生労働省といたしましても、現在、子ども家庭総合支援拠点や子育て世代包括支援センターを設置していない自治体がこども家庭センターを円滑に設置できますように、一つは、人材確保のための財政支援ということをしっかりと行っていくということ、それからもう一つ、小規模な自治体の問題などもございますので、複数の自治体が共同で設置することを可能とすることや、柔軟な人員配置を認めることなどを検討しまして、その設置をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 こども家庭センター設置に向けて、まず、財政措置であったりだとか、いろいろな広域連携であったりだとか、いろいろな手段を使って、まずは容器、外側の容器をつくって、そして、徐々にその中身を充実させていこう、そういうようなプロセスになるんだとは思っておりますけれども、ここで、ちょっと現場の、現場というと、地方自治体であったりだとか実際に手を動かす職員の方々の負担についてお伺いさせていただきます。

 今回、それこそかなり手厚い、ある意味、幅広い改正内容になっているわけでございますけれども、逆に、だからこそ、非常に現場に負担がかかるというふうに思っております。

 例えば、今の支援拠点であったりだとか支援センターを既に実装している中規模程度の自治体を想定すると、今回の改正内容をフルに実装しようとすると、どのぐらいの作業量負担がかかる、そういう想定をされているんでしょうか。教えてください。

橋本委員長 大臣は、時間が来ましたら退席いただいて構いません。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法の改正案によりまして、子育て世帯等への支援が確実に届くようにするために、新たな市町村の業務として、要支援児童等に対して計画的に支援を行うためのサポートプランの作成ということを行うことを追加することといたしております。こども家庭センターにおいてその業務を実施するということを想定いたしております。

 また、子育て世帯等への支援につながるためには、地域において子育て支援に取り組むNPO等の協力も必要でございますので、こども家庭センターにおいては、家庭支援に取り組むNPO等の発掘も行いまして、地域における様々な民間機関との連携を推進していくということに取り組むことといたしております。

 したがいまして、既に子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターが設置されている自治体におきましても、これらのこども家庭センターの新たな機能というものを地域で発揮できるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 どのくらいの業務量が追加されるのかという点につきまして、定量的にお示しするということはなかなか難しいわけでございますが、一定程度、市町村の皆様方に対していろいろと追加的にやっていただく部分が出てくるということは事実でございます。

土田委員 ありがとうございます。

 まさに、国と地方、官民一体となって、総力戦でやっていかないといけないんだというふうに思います。

 今いろいろお話しいただきましたけれども、それでもやはり、実際に手を動かすのは人なわけでございます。特に、地方においては、この人の確保がなかなかハードルが高いというふうに思っております。

 そもそも、ありとあらゆる分野で、日本全体で人が足りない、人不足の状態になっているわけでございますけれども、今回の改正によって、訪問支援であったりだとか、家庭関係をしっかりと形成していくような支援も含まれているわけでございますが、これは非常に難易度も高いし、技術も必要になってくるんだと思っております。

 そこで、現場職員にはどういうスキルを、まあ、いろいろ多様な分野がございますけれども、どういうようなスキルを持った人が必要で、そのスキルを持った人をどういうふうに育成していくのか、確保していくのかという点について教えてください。

橋本政府参考人 こども家庭センターにおきましては、子育て世帯等に対する相談支援ですとかサポートプランの作成、こういったことを行うことといたしております。そのためには、支援を要する者の実情を把握して、アセスメントに基づき、適切な支援につながるということが重要であります。したがいまして、相談援助ですとか支援の見立て、こういったことに関する専門性を持った人材の確保を図っていく必要がございます。

 こども家庭センターにおいてこうした人材を各地域で確保していくことが大変重要でございますので、その確保に当たりましては、一つは、これまで市町村において相談支援や指導などに関わってきた方々、OBも含めた経験者の活用をしていただくということ、それから、市町村向けの研修を充実していくということ、それから、児童福祉法改正案において今回導入することとしております子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得を促進していく、こういった様々な手段によりまして、市町村において適切な人材が確保できるように支援をしてまいりたいと考えております。

土田委員 ありがとうございました。

 こども家庭センターの人材であったりだとか人手は十分に足りるようになったけれども、例えば保育園とか幼稚園とかなどなどの、いわゆる必要とされる人材がかぶる領域において余計人手不足が深刻化してしまったよというようなことがないように、しっかりと、必要な人材、想定のシミュレーションであったりだとか、その育成を綿密にやっていただきたいと思います。

 今回の児童福祉法の改正に当たって、変更点が非常に多いわけでございますけれども、地方自治体からすると、何から手をつけていいのか分からないというのが実情であると思っております。国がマニュアルを作成するであったりだとかは当たり前だとは思っておりますけれども、それよりもう一歩でも二歩でも踏み込んだ手厚いサポートを地方自治体に対してしていかないといけないと思っております。

 そこで、質問でございますけれども、自治体の現場職員の負担を減らすために国はどのような措置であったりだとかサポートをしていくのかというところが一点目と、二点目で、事務作業ではなくて、いわゆる現場の職員さんは子供や親とのやり取りに時間を割けるようにしっかりと国がサポートしていくべきだと私は思っておりますけれども、そこに対しての意気込みをよろしくお願いいたします。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案では、子育て世帯等の抱える悩みや負担を軽減して、ひいては児童虐待の未然防止につながるということを目指しているものでございますので、こども家庭センターの設置あるいはサポートプランの作成など、市町村には様々な対応をお願いすることになるわけでございますけれども、見直しの趣旨を御理解いただいて、取組を進めていただきたいと考えております。

 それを円滑に進めていく上でも、私どもとしては、今後、施行に向けた準備を進めていく中で、早め早めでいろいろな形での情報を提供させていただいて、市町村で今実際に取り組んでいただいている状況を我々としても十分に吸収させていただくということを繰り返しながらやっていきたいというふうに思っております。

 その上で、今委員御指摘いただきましたような、現場の職員の方々の負担を少しでも軽減していくということが大事でございますので、今後、市町村の現場の御意見も伺いながらでございますが、今回の制度改正の内容について全国の市町村に対して丁寧な周知徹底を図るということや、人員確保のための必要な支援を行うということはもとよりでございますが、それに加えまして、要支援児童等に対する支援のためのサポートプランを自治体が作成する際のひな形となるような様式を御提示するですとか、あるいは、こども家庭センターの業務について、業務の内容等に照らして、地域の適切な関係機関に対して委託することを認めるとか、そういった方策についても検討をさせていただきたいと思います。その上で、子供や親とのやり取りに直接割くことのできる時間を増やすということでございます。

 このこども家庭センターの狙いということからいきましても、やはり、本人や家庭にしっかりと寄り添って問題、課題や悩みを受け止めていくということが大事でございますので、今御指摘いただきましたような形で職員の業務負担ということをできるだけ軽減することなどを通じて、そこで時間を生み出すということによりまして、子供やその家庭との時間を十分に取って相談等の対応を行うということを目指していきたいというふうに考えております。

 サポートプランというものは、御家庭に対して、実際にお使いになる方々にお示しをしながら、まさに寄り添う形で進めていくということを目指しておりますので、しっかりとした相談支援ができるような取組を進めてまいりたいと思います。

土田委員 ありがとうございました。

 冒頭に申し上げましたけれども、本当に、今回の改正内容が絵に描いた餅とならないように、地方自治体への手厚いサポートをよろしくお願いいたします。

 二点目の論点に移らせていただきます。

 二点目の論点というのは、支援の網から漏れてしまう人をできるだけつくらないというような点でございますけれども、実際に、虐待とか困難な問題を抱える家庭であったりだとか子供であったりだとか親御さんというのをゼロにするのを目標に我々は頑張っていかないといけない、努力しないといけないわけでございますけれども、ただ、現実として、なかなかゼロにするのは難しいというような問題があるわけでございます。というのは、困難を抱える方々というのは、社会から孤立していたりして、なかなか見つけ出すのがそもそも難しいという問題がございます。

 そこで、質問でございますけれども、今般の改正に当たって、どの程度まで、今まで目が届かなかった苦境を抱える子供であったりだとか親御さん、家庭に手が届くようになるのか、その支援メニューであったりだとか、その手法がどう拡充するのかという点を教えてください。

橋本政府参考人 現在、保護者への養育支援が特に必要と認められる要支援児童、それから保護者による監護が不適当と認められる要保護児童、こういった方々が約二十三万人いるという状況でございます。そういった中で、子ども・子育て支援事業の種類や量が限られておりまして、個々のニーズに対応することがなかなか難しいという状況、そしてまた、現行制度では、市町村は利用者の申請がないと支援の提供が難しい、こういった課題があるというふうに認識いたしております。

 このため、今回の法改正の中では、一つは、訪問による家事支援の創設など子ども・子育て支援のサービスそのものの拡充を図るということ、それからもう一つは、市町村が必要と判断した場合にはプッシュ型で、利用勧奨等により支援を提供すること、こういった見直しを行うこととしておりまして、そういった対応を通じて、まさに支援が届くべき御家庭、子供たちに支援が着実に届くようにやっていきたいというふうに考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 もう既に現場の皆様は非常に努力していただいているんだとは思っておりますけれども、それでも、一人でも、いわゆる見逃しというのをなくしていくように、今回の改正で一体となって努力していきたいと思っております。

 もう少し、ちょっと各論の話をさせていただこうと思っております。

 改正案の第二十一条十八についてでございますけれども、支援事業の利用勧奨をしているけれども聞かないであったりだとか、関心を示さないような家庭について、この支援内容というのを、強制的にと言うとちょっと大げさでございますけれども、プッシュ型で提供するというふうな話になっておりますが、これは私、実は、なかなかハードルが高いなというふうに思っております。

 というのは、いわゆる、これは大げさに聞こえるかもしれないですけれども、行政処分というか、という形を取るわけでございますが、この行政処分というような文脈で今まで仕事をしてきていなかった現場の人たちが実際に実行主体となるのは、かなりのストレスがかかるんじゃないかなというふうに思っております。

 かなりストレスがかかるからこそ、逆に、しっかりと実行主体であったりだとか実行基準を明確に示してあげる必要があると思います。そうしないと、ある意味、御自身たちができることを忌避してしまって、いわゆる恐れてしまって、この制度改正自体が形骸化してしまうおそれがあるというふうに考えておりますけれども、この利用勧奨の措置であったりだとかを行うに当たって、現場の実行主体であったりだとか実行基準というのはどういうふうに定められているんでしょうか。

橋本政府参考人 今般の改正によりまして創設することとしております家庭支援の事業が幾つかございます。そういった事業の利用の措置の仕組みにつきましては、市町村において児童福祉の業務に当たる職員が、支援が必要と認められる児童やその保護者等に対して利用勧奨を行わなければならないこととし、その利用勧奨を行ってもなお支援に結びつくことが困難な場合において、利用申請がなくとも措置として支援を提供できるようにするため、そういった新しい枠組みをつくるものでございます。

 それで、まず、この利用勧奨につきましては、要支援あるいは要保護児童を想定しております。措置の対象となるケースとしては、例えば、保護者が有している疾患や障害などを理由として支援の利用申請を行うことができないといったものが挙げられるというふうに思っております。

 いずれにしましても、この利用勧奨や措置につきましては、委員御指摘のように、どういうふうな形に具体的になるのかということについて、なかなかまだ分かりにくいところもあろうかと思いますので、その業務フローや対象者像、あるいは利用勧奨や措置によっても対応が困難な事例においては児童相談所による一時保護等を着実に行うことなど、具体的な運用方法を施行までに検討いたしまして、全国の自治体の方にしっかりと示していきたいというふうに考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 現場の職員さんが、本当に必要とされているときに、タイミングに、ちゅうちょなく御自身の職責を果たせる行動を取れるように下準備をしていくのが、まさに行政の責任だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に一点、お伺いさせていただきます。

 今回の改正児童福祉法でございますけれども、こども家庭庁が設置された一年後に施行されるわけでございますけれども、今まで地方自治体はやり取りを厚生労働省とやっていた中で、その窓口がこども家庭庁に替わるわけでございます。

 今日、私、一部しか質問できておりませんけれども、改正内容が非常に多岐にわたるがゆえに、ちょっとの事務的な作業のプロセスの変更であったりだとかが、実は非常に大きな作業負担になるわけでございます。例えば、電話番号がちょっと変わるであったりだとか、担当者の住所が変わるとか、そもそも担当者が替わるとか、そういうようなささいなことが大きな負担になってくるわけでございますけれども、この辺の、いわゆる接続の部分のコミュニケーションの仕方はどういうふうに変わるんでしょうか。よろしくお願いします。

川又政府参考人 子供政策の具体的な実施を中心的に担っているのは地方自治体であり、こども家庭庁の設置に伴い、内閣府や厚生労働省から移管される予定の事務の大部分も、地方自治体に実施いただいているところです。こども家庭庁の設置後も、こうした国と地方自治体との関係は基本的には変わるものはないと考えております。

 なお、現在御審議いただいておりますこども家庭庁設置法案におきましては、所要の経過措置を設けることにしておりまして、こども家庭庁への移行に伴って、地方自治体において追加的な手続等が生じることがないよう措置をしております。

 今後とも、地方自治体と緊密に連携し、こども家庭庁の組織体制等の検討状況に応じまして、御指摘の窓口でありますとか連絡先を始め、必要な情報提供等を行っていくことをしたいと考えております。地方自治体の業務に影響を与えないよう配慮してまいりたいと考えております。

土田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今回の児童福祉法改正は、コロナ禍も増加の要因となってしまった児童虐待の相談件数の拡大等に対応すべく、子育て世帯に対して包括的な支援の体制強化を進めるものと承知しております。その支援拠点となるこども家庭センターの体制、機能について質問をさせていただきます。

 今回の法改正で、市町村にこども家庭センターを創設し、全ての妊産婦、子育て世帯、子供を対象に包括的な相談支援等を行うことが明記されております。

 母子保健と児童福祉の一体的な対応により虐待の防止を図るという趣旨は理解いたしますが、逆に、児童虐待の問題のみに力を入れてしまうといったことになり、これまで行われてきた取組が薄まってしまうのではないかということを懸念をしております。既に母子保健の子育て世代包括支援センターは普及をしており、現場の保健師の皆様の努力によって多くの子育てをする保護者が助けられております。

 こうした機能をしっかりと維持しつつ、発展させていくことが重要であると考えておりますが、こども家庭センターについて、どのような体制、機能を目指していくのか、お伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 今回の制度見直しによるこども家庭センターは、現行の母子保健の子育て世代包括支援センターと児童福祉の子ども家庭総合支援拠点の業務を一体的に行うものでありまして、両機関の設立の意義や機能は維持した上で、組織を発展的に見直すものでございます。

 このため、現在、子育て世代包括支援センターにおいて実施している、妊産婦の継続的な状況把握、妊娠、出産、子育てに関する各種の相談、市区町村が実施する産後ケア事業等のサービスの紹介や提供機関との連絡調整といった母子保健の機能は引き続き維持するということになります。

 また、子育て世代包括支援センターでは保健師等の母子保健の専門職を配置しておりますけれども、こども家庭センターにおいても引き続きこうした専門職による支援は重要であるというふうに考えておりまして、適切な人員配置を可能とするための財政支援等を行ってまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 そもそも子育て世代包括支援センターは日本版のネウボラとなることを目指して設置をしてきたものですが、フィンランドでのネウボラといえば、全ての妊婦に担当する保健師がついて、お子さんが学校に上がるまで、切れ目なく寄り添ってくれる。妊婦に育児パッケージといって、赤ちゃんの肌着等必要なものが、母親手当としてもらえることもインセンティブになっているそうでありますが。

 ネウボラに行けば、諸手続も発育相談もワンストップで受けることができ、予防接種も受けられる、家庭内の様々な問題も相談がしやすく、必要な措置にもつなげることができる。虐待の未然防止に資することはもちろん、妊産婦や保護者の気持ちの、メンタルの上での大きな安心となり、その効果は絶大で、深刻な児童虐待件数も減り、子供の成長にも良好な効果が見られており、これを手本として、日本版ネウボラとして子育て世代包括支援センターが全国の市町村に設置が進められ、保健師による取組を進めてきたところではありますが、残念ながら、担当保健師が妊産婦一人一人につくという体制までは整えられているところはほとんどないと思います。深刻な児童虐待が減ってこなかったことも、この機能がネウボラの肝でもあるにもかかわらず、導入が進まなかったことにも原因があるのではないかと考えております。

 是非、全ての妊婦を対象に担当保健師制、そしてワンストップで相談支援ができる真のネウボラ機能をこども家庭センターに持たせることを目指し、その機能を発展、強化させるべきだと考えますが、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤副大臣 妊産婦に対して相談支援を始めとする各種支援を実施するに当たっては、吉田委員御指摘のとおり、継続的に妊産婦の状況を把握した上で、妊産婦に寄り添った支援を行っていくことが重要であると考えております。

 現行の子育て世代包括支援センターでは、ワンストップ拠点として妊産婦に対する総合的支援を実施するため、保健師等を配置をして、必置としているところでありますが、保健師を担当制とするかは各自治体の実情を踏まえて判断されることになりますが、厚生労働省の調査によれば、約七割のセンターで妊産婦に対する保健師等の担当制が取り入れられていると承知をしているところであります。

 また、今般の制度改正により、子育て世代包括支援センターの機能を維持した上で設置されるこども家庭センターにおいては、一層妊産婦支援や子育て支援につなぐマネジメントを確実に行うため、支援を要する子供や妊産婦へのサポートプランを作成する業務も実施することとしております。

 こうした取組などを通じて、妊産婦の状況を丁寧に把握し、これまで以上に寄り添った支援を行えるよう体制整備を進めてまいります。

吉田(久)委員 より寄り添った制度になるように、またよろしくお願いいたします。

 次に、子育て世帯への家事、育児支援についてお伺いしたいと思います。

 今回、法改正で、改正案で、訪問による家事、育児支援等々を行う事業を創設すると明記されております。

 まさに私が訴えてきた中でも特に皆様に大変期待されていた政策の一つが、この児童福祉法改正案の中で創設される子育て世帯が家事、育児支援を利用できる制度にあります。

 三歳からの幼児教育無償化の実現以降、特にゼロ歳から二歳のお子さんを育てる世帯への支援の充実が切望されており、この時期に、母親のワンオペ育児での産後うつ、虐待等の問題が深刻化しており、社会的養育の支援の強化は待ったなしの状態です。

 縁もゆかりもない遠方に娘さんが嫁ぎ、誰も頼れる人のいない中で子育てする娘さんを心配する同世代の方たちから、本当に一日も早く創設してほしい、いつから利用できるようになりますか、もう既に娘が産後うつ的な状態ですので本当に心配です等々、各地で実現を望むお声をいただき、特にコロナ禍で孤立、孤独が進んだ中では、大変に切実なお声であると受け止めてまいりました。

 その上で確認したいのですが、全ての子育て世帯がしっかりと支援につながっていくことを目指す上では、支援を利用する子育て世帯側が、自分だけが支援を受けてしまっていると感じないようにすることが大事ではないか。つまり、あそこの家庭は育児困難家庭で、虐待を疑われているから、こども家庭センターを通じて、措置として家事、育児支援の方が訪問しているらしいというような、色がつくような制度にするのは絶対に避けなければならない。ゼロ歳から二歳の保護者や、また未就園児の保護者は、むしろある程度は利用することが望ましいというくらいのオープンな制度であるべきだと思っております。

 その意味では、今回創設するサポートプランや訪問による家事支援などは、極力幅広い世帯を対象として取り組むこととするのが理想ではないか。新たな取組であり、浸透させるためにたくさん課題はあると思いますが、どのように取り組むのかを、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤副大臣 支援を必要とする全ての子育て世帯が、今般の児童福祉法改正案により新設する三つの事業も含めまして、地域子ども・子育て支援事業を利用可能となるよう、計画的に整備していく必要があると考えております。

 委員御指摘の子育て世帯訪問支援事業につきましては、法律上、要支援児童の保護者その他の内閣府令で定める者を支援対象としており、この具体的な範囲については施行までの間に検討することとしております。

 こうした中で、現在の支援の提供体制が十分でない状況下において、まずは要支援、要保護児童、特定妊婦、支援を要するヤングケアラーなどに確実に支援を行き渡らせることが必要であると考えますが、支援の提供体制の整備が進んでいく中で、支援を提供する対象の家庭や子供についても、要支援、要保護児童、特定妊婦を含めた広い対象層に量的に広がっていくものと考えております。

 いずれにしましても、令和三年度の補正予算における先行的な取組を進める中で、支援の提供体制の整備にしっかりと取り組むとともに、その実施の状況も踏まえつつ、支援対象の具体的な範囲について検討してまいります。

吉田(久)委員 ありがとうございます。特にゼロ歳から二歳そして未就園児には、いち早くその支援が届くように進めていただければと思います。

 続きまして、さらに、新たな家庭支援事業、一時預かり事業について、自己負担が原因となって利用しにくいといった事態は避ける必要があると思います。より幅広い世帯が利用しやすくなるような、利用料減免を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 新たな家庭支援事業につきましては、現行でも実施されております一時預かり事業と同様に、基本的には利用者負担を求める運用とすることを考えておりますが、要支援児童のいる家庭などが利用者負担を理由として利用を諦めるといったことは避ける必要があるというふうに考えております。

 このため、令和三年度補正予算によりまして、一つは、一時預かり事業の利用者負担分を市町村が減免した場合の費用の補助を行っております。また、もう一つは、法の施行に先駆けて実施する訪問家事支援事業におきましても、住民税非課税世帯など、経済的な負担が困難な家庭の利用者負担の軽減を図る仕組みを設けてございます。

 こういったものの運用状況等も踏まえつつ、令和六年度からの本格実施に向けまして具体的な仕組みについて検討を進めまして、支援を必要とする家庭が適切にサービスを利用することができるよう、必要な予算の確保等も含めて努力してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 ありがとうございます。

 続きまして、ヤングケアラーについてお伺いします。

 今月、厚労省も調査結果を発表いたしましたが、ヤングケアラーと呼ばれる子供たちへの支援が重要です。先月二十七日に、自民、公明、国民民主の三党で、ヤングケアラー支援の検討チームの初会合が開かれ、我が党の伊藤孝江参議院議員も検討チームの一員として、六月に課題をまとめ、三党幹事長に報告することとなっております。一日七時間を家事や家庭、家族のケア等に費やす場合もある、ケアラーの七%に及んでいることなど深刻な状況であり、検討チームの田村憲久前厚労大臣の支援策を早急に議論したいとの力強い言葉に、期待と希望を感じているところであります。

 保護者が問題意識を持っている場合や子供自身が声を上げられる場合、虐待の通報があった場合には支援につながりやすいが、そうでない状態で頑張っている子供たちの情報は行政になかなか届かない。こうしたヤングケアラーの子供たちについて、全員に対してアウトリーチで支援する覚悟が必要だと考えておりますが、どのように取り組むのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

橋本政府参考人 今委員から御指摘いただきましたような事情がございまして、ヤングケアラーというのは、なかなか自発的な相談を待つだけでは支援につながらない可能性がございます。発見して支援につなげていくためには、様々な分野の関係機関が連携するということが重要であります。

 このため、令和三年度に、多機関連携によるヤングケアラーへの支援の在り方に関する調査研究というものを実施いたしまして、発見の着眼点や支援のつなぎ方などをマニュアルにまとめて自治体に周知したところでございます。

 例えば、学校の教職員が子供の生活態度等を契機に把握して、ヤングケアラーが居住する市町村に情報提供することで市町村が行う支援につながるという、そういった発見から支援までの流れが示されております。

 さらに、今般の児童福祉法改正案におきまして、市町村が行う家事支援としまして、ヤングケアラーを含め、支援を要する子供たちがいる家庭を訪問して家事支援を行う事業を創設することといたしておりますが、市町村の方で必要と判断した場合には利用勧奨や措置といった仕組みによって、プッシュ型で支援をするということが可能でございます。

 こういった取組を通じて、地方自治体をしっかりと支援し、関係機関がしっかりと連携しながらヤングケアラーを把握して、必要な支援が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 誰も置き去りにしない支援にしていただきたいと思います。

 時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党、伊佐進一です。

 吉田議員に引き続き、質問させていただきたいと思います。

 放課後児童クラブについてです。この放課後児童クラブも児童福祉法に根拠があります。地域によっては、大阪もそうですけれども、学童保育という言い方をしておりますが。

 今、子供の居場所というのが大事なテーマになっている中で、この放課後児童クラブというのは、居場所以上に、子供に、例えば生活習慣を身につけさせる場であったりとか、生活の場として提供されている。専門性のある職員が子供に向き合っているという状況で、ちょっと今日、資料を用意させていただきました、一枚だけなんですが。

 下のグラフを見ていただくと、この青い線、登録児童数というのはウナギ登り、ずっと拡大しています。少子化がこれだけ進んでも、登録児童数はこれだけどんどん増えている。この数年、コロナの影響がこれだけあったとしても、それでも登録児童数は増えているという状況です。全国で百三十五万人近く。ちなみに、私の地元も話を聞いたら、大阪の門真市に聞いたら、児童の六割が登録しているということです。

 そういう状況なので、利用できない待機児童というのも一万三千人、下のグラフなんですが。保育所に入れない待機児童を、ずっとこれまで政府・与党あるいは野党の皆さんも一緒になって頑張ってまいりました。それでも今、保育所に入れない待機児童が五千六百人に比べて、この放課後児童クラブに入れない待機児童は一万三千人いるんです。倍以上います。

 政府も、ずっと整備を進めていただいていまして、新・放課後子ども総合プランというものも数年前に作っていただいて、二〇二一年度末までに二十五万人増やしたということなんですが、ただ、現状、まだまだこうして追いついていないという状況であります。

 この受皿整備、今後どうしていくかということをまず伺いたいと思います。

橋本政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、令和三年五月現在で、利用できなかった児童数が、今御指摘いただきましたように、一万三千四百十六人となっておりまして、待機児童を早期に解消することが重要と考えております。

 このため、厚生労働省としては、平成三十年九月に策定した新・放課後子ども総合プランに基づきまして、待機児童を解消するため、待機児童が発生している市区町村における施設整備費の国庫補助率のかさ上げということを行うなど、放課後児童クラブの受皿整備を推進しているところでございます。

 プランの終期である令和五年度末に向けまして、こういった取組を通じて放課後児童クラブの待機児童の解消に努めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 かさ上げを含めていろいろな努力をしていただいているわけですが、残念ながら、当初目標であった二〇二一年度末までには、百四十七万人というのが当初目標だったわけですね、今百三十五万人ですので、十二万人分、今、足りていないという状況です。

 待機児童は、グラフを見ていただいても、確かにちょっと近年、二、三年減っているのは、コロナ禍だから、何とかこうして減っているという状況があるんだというふうに思っています。これはまた、いずれコロナも落ち着いて経済活動が本格的に再開してくるとなったら、恐らくこのリバウンドがまた来るんじゃないかというふうに思っていますので、しっかりと整備を進めていただきたいというふうに思っております。

 この受皿と同時に、やはり質も非常に重要だと思います。四十人という定員がありますが、これをかなりオーバーしているところがあるというふうに伺っています。一つの支援単位は定員四十人と。大阪で聞くと、四十人を超えているところは二〇%あるということです。窮屈な中で子供たちは過ごしているわけですが、当然、指導員の皆さんの目も届かなくなるという状況の中で。

 昨年の四月から、この四十人の定員も、従うべき基準というものから、参酌すべき基準、参考にしてくださいというふうに変わりました。だから、ある意味、自治体の裁量が拡大したわけですが。

 私、でも、実態を見てみると、参酌すべきになったから緩くなってこういう状況になったというわけじゃないと思っています。元々、そもそもそれ以前の問題で、指導員の数とか、あるいは場所の確保とか、ずっと問題になっていまして、都市部で四十人を本当に大幅に超えて七十人とかというところも私は伺いました。

 まず、定員をオーバーしている、参酌する基準には変わったものの、国としてこの定員オーバーについてどう思っているか伺いたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘いただきました放課後児童クラブにおける子供の集団の規模につきましては、厚生労働省令において一つの支援の単位を構成する児童の数をおおむね四十人以下とすることとされておりますが、令和三年五月の実態調査において、それを超えているところが一定数存在している状況となっております。

 放課後児童クラブの人員基準等につきましては、その厚生労働省令を参酌して、市区町村で定める条例に基づいて運営されておりますので、各市区町村の責任の下、放課後児童クラブの一定の質を確保しながら、各地域の多様性を踏まえた運営がなされているというふうに認識しております。

 厚生労働省としては、各放課後児童クラブにおいて適切な運営の確保ができますように、整備費や改修費等の支援による場所の確保、それから職員の処遇改善を始めとした指導員等の人員の確保、こういったことに向けた支援を行っているところでございますので、そういった各地域の状況を踏まえながら、質の改善ということにつながるように支援に努めてまいりたいと思っております。

伊佐委員 これは、参酌すべきになったから、もう自治体任せで、自治体の自由にやってくださいという話じゃないということですよね。つまり、しっかり、この定員を超えているところというのはやはり問題がある、好ましくないので、そこは政府としても支援をしていくというふうな答弁だったというふうに思います。

 今、三十五人学級というのを、ずっと移行していっているわけで、だから、三時までは三十五人学級が適切な数だけれども、三時以降は四十人でもいいよとか、しかも四十人を超えているようなところもあるというような状況ですので、ここはしっかり政府としても支援をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、指導員の皆さんの数についてなんですが、さっき局長のおっしゃった二〇二三年度末までの受皿整備、これは計画どおりもしいくと三十万人増えることになります。そうすると、この設置基準、四十人の基準で計算すると、これから一万五千人の指導員が必要になるという計算になります。これは誰でもいいというわけじゃ当然ありません。極めて専門性の高い、子供たちと向き合って、生活の場ですので。

 政府の方では、放課後児童支援員という国家資格をつくっていただきました。ところが、現状は、正規で常勤の職員というのは二割です。ほとんどが非正規あるいは非常勤という状況で。

 昼間、子供が小学校に通う一年間の日数は百九十日間と言われていますが、放課後児童クラブは土日もあるし、夏休み、冬休みもある、大体年間二百八十日通うというふうに言われています。平日であれば放課後から夜七時までなんですが、土日とか休みであれば朝七時半から夜の七時まで、シフト制をしきながら職員の皆さんに対応していただいております。十二時半から十八時がコアタイムですということになっていますが、実態は、その前から準備をされていて、あるいは時間外での仕事もあります。家庭訪問というのも必要です。職場内での検討会もあるし、巡回相談したりとか、保育計画も策定するということになっています。つまり、やるべきことというのは、保育所に準拠した基準が国から示されていますので、非常に多いんです。その時間帯だけじゃありません。

 だから、そういう意味で、放課後児童クラブの支援員、この皆さんがしっかり働けるように、正規化、常勤化を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 今委員から御指摘いただきましたように、放課後児童支援員は、本当にいろんな仕事をされております。そしてまた、子供との安定的、継続的な関わりが重要でございますので、放課後児童支援員が長期にわたって安心して就業できるように、処遇改善や労働環境の整備に努めるということが求められるというふうに考えております。

 私ども厚生労働省としましても、これまで、十八時半を超えて開所している放課後児童クラブにおける賃金改善に要する費用を補助するですとか、あるいは勤続年数や研修実績等に応じた賃金改善に要する費用を補助する、こういったことをやってまいりました。

 さらに、御承知のとおり、今年の二月からでございますが、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提といたしまして、月額で九千円程度の引上げを行うための措置を実施しているところでございまして、このような支援を継続することで、各クラブにおける処遇改善や労働環境の整備を促し、そういったことを通じて人員の確保ということにつなげてまいりたいと考えております。

伊佐委員 九千円アップも、非常に現場は歓迎もしていただきました。ただ、残念ながら、自治体が申請するかどうかですので、自治体によっては申請してきていないところもあります。公務員の俸給表、ほかの職種との差がつくからというような理由もあるらしいんですが、是非ここもちょっとフォローしていただきたいというふうに思います。

 これまでの議論を伺って、副大臣に質問させていただきたいと思いますが。

 さっき言った、定員の確保、質、職員の処遇というものがあります。私もいろいろ話を聞くと、ある方は、学校の先生をしていたんですよ。学校の先生をずっと長らくやっていたんですけれども、それを辞めて、自分は放課後児童クラブで働きたいと言ってなられました。やはり、より生活に関わっていく場所だということで。

 今回の児童福祉法の改正の内容である児童虐待への対応という中でも、非常に放課後児童クラブの役割は大きいです。実際に、放課後になって、着替えもさせます。そこで発見したり、気づきがあったりとか、あるいは、子供と一緒になってカリキュラムを指導員の方が作っていきますので、その中で、会話の中で、あれっという気づきがあったりということもあります。

 この放課後児童クラブというのがいかに重要で、その指導員がいかに大切かというのは、やはり、もうちょっと社会的な認知も上げていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、最後に副大臣の御所見をいただければと思います。

佐藤副大臣 放課後児童クラブや放課後児童支援につきましては、保護者が仕事等により昼間家庭にいない子供の放課後の居場所となり、一人一人の状況や発達段階を踏まえた育成を支援し、子供に関わる地域の様々な関係機関と連携しながら、家庭での子育てを支援する役割を担う大変に重要なものであると考えております。

 地域の中でその存在や役割を十分に認識していただけるよう、厚生労働省としても、実施主体である市町村と連携し、更なる周知を図ってまいります。

伊佐委員 ありがとうございます。

 最後に、時間になりました、児童福祉法を一問だけ、改正法について伺いたいと思います。

 藥師寺参考人に来ていただいて、私の地元の方でして、日頃からいろいろ意見交換しております。日頃からその意見交換の中でおっしゃっていて、あのときちょっとおっしゃらなかったことで、大事な点、一点だけ質問させていただきます。

 訪問支援事業、今回、要支援児童とか要保護児童に対するアウトリーチが組み込まれております。

 市町村のやる事業でありますが、市町村というのは、子育て支援という観点でやるので、基本的には親御さん、御両親との間で対立関係は余り望みません。いかにいい関係をつくるかというところから入ります。逆に児相は、ある意味、冷静に判断しなきゃいけなくて、子供の本当に安全を守るために、時に保護者の感情的な反発というものも受けながら仕事をされているわけです。

 今回、市町村の支援が強化されると、このアウトリーチも含めて、保護者と接する機会というのが増えていくわけです。そのときに、恐らく虐待についての気づきみたいなものも出てくるんじゃないかというふうに思っています。

 よくあった経緯、今まで我々がよく聞いているのは、市町村では大丈夫だと思っていました、ところが実は虐待があったと。

 だから、ここは、今回この法案で自治体からの支援というのは強化するわけですから、この自治体からのアプローチの中にも、是非、児童虐待で対応されてきた方々、あるいはこれまでの知見、こういうものをしっかり共有して、気づきの受皿を広げていただきたいというふうに思っていますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 児童相談所のみならず、市区町村における虐待相談対応件数が増加しておる中で、家庭への支援を強化し、虐待の発生を未然に防止するということが重要でございます。

 このため、今般の児童福祉法改正法案におきましては、全ての妊産婦、子育て家庭、子供への、一体的に相談支援を行うこども家庭センターですとか、あるいは、保育所等による身近な相談機関として地域子育て相談機関というものを設置することといたしております。

 これらの機関は、子育て家庭への総合的な相談や支援を行うものでありますが、今、委員から御指摘いただきましたように、虐待を未然に防止する観点から、虐待対応も含めたソーシャルワークの知識や能力を身につけていただいて、相談や支援を行う中で虐待を疑う端緒があるのであれば、市区町村や児童相談所など関係機関に虐待の通告を行っていただくということが必要と思っております。

 こうした中で、こども家庭センターなどに配置する職員については、適切な虐待対応も含めたソーシャルワークが可能となるように、その知識や能力を有した人員の配置や、相談支援を行う職員の研修の実施などについても検討していきたいと思っております。

 加えまして、今般の改正法案において導入する子供家庭福祉の認定資格というのがございます。

 これにつきましては、市区町村の児童福祉部門の実務経験者も対象とするとともに、社会福祉士や精神保健福祉士といった専門職に加え、一定の実務経験等を有する保育士のルートも設けることとしておりまして、当該資格について、市区町村で相談支援を行うこども家庭センターや保育所等による地域子育て相談機関に従事する方にも、是非この資格を積極的に取得いただきたいというふうに考えております。

伊佐委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十四分開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 政府提出の児童福祉法改正案、野党提出の関連法案の審議でございますが、冒頭、今日、脇田先生にも御出席をいただいております。子供を取り巻く非常に心配な案件、原因不明の急性肝炎に関して、加えて、脇田先生、御出席いただいておりますので、大型連休後のコロナ感染状況、また感染対策のアップデートの必要性についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今年一月にイギリスで十歳未満の小児において原因不明の重篤な急性肝炎が発生をしたと報告されたのを皮切りに、欧州や北米でも同様な小児の原因不明の急性肝炎が発生していることが報告されております。WHOによると、これまでに世界で三百四十八人、最も多いのがイギリスで百六十三人、アメリカで百九人が報告されており、我が国でも疑い例が七例と報告をされております。

 脇田先生にお尋ねいたしますが、この原因不明の小児急性肝炎の原因、特徴、現在の各国との比較、特にイギリスでは人数も多いわけでありますが、我が国での発生の特徴などをどのように分析されておられるのか、肝炎といえば脇田先生でございますので、是非お尋ねをさせていただきたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたしたいと思います。

 まず、子供の原因不明の急性肝炎につきましては、欧州疾病予防管理センター、ECDCによりますと、本年の五月十日時点、これはアップデートされておりますが、二十七か国で約四百五十例の報告があったとされております。

 五月三日時点におきまして、英国からの報告では、年齢の中央値は三歳、性別は五〇%が女性ということであります。それで、検査が行われました百二十六例中九十一例、七二%でアデノウイルスが検出されております。また、九十七例中十一例、一一%で新型コロナウイルスが検出されておりますが、現時点ではまだ原因については不明とされております。

 我が国におきましても、四月二十日に厚生労働省から自治体、医療機関に対して注意喚起がされ、WHOの定義に基づきまして、昨年十一月以降の子供の原因不明の急性肝炎の入院例について報告を求めておるというところであります。

 その上で、報告があった事例を毎週取りまとめて公表されておりますが、感染研におきましても、それを分析、評価しております。

 その結果を五月十日に公開しておりますが、その結果によりますと、昨年十月一日から本年五月五日までの期間における国内の入院症例七例につきまして、三例は男性、四例は女性ということで、年齢の中央値が八歳ですので、イギリスの症例よりやや高いということであります。それから、死亡例、肝移植に至った症例はありません。五例が既に退院をされています。アデノウイルスのPCRの結果、陽性であった事例は一例ございます。また、新型コロナのPCRの結果が陽性であった事例も一例ございます。しかし、現時点で子供の急性肝炎が増えているという兆候はないと分析をしております。

 国立感染症研究所は、五月十日にQアンドAも出しておりますが、その中でも、新型コロナとの関連は分かっていない、それから、新型コロナワクチンが原因である可能性は低いとさせていただいております。

 引き続き、各国の政府、WHO、専門家等とも連携をしつつ、諸外国の感染状況を注視していくとともに、我が国の子供の肝炎について情報収集、分析を行ってまいりたいと思っております。

中島委員 ありがとうございます。

 資料の一枚目にお示しさせていただいておりますが、アデノウイルスの関与が当初言われていましたが、今、脇田先生から御説明があったように、国内での感染例に関して、また海外の感染と比較して、A型からE型のウイルスは確認されていない、そしてトランスアミナーゼは五百以上、また十六歳未満という、一応そういう定義の下に、原因不明という状況だと思います。

 西浦先生が、先日、OECD三十九か国を対象に調べたところ、急性肝炎で重症化した事例の報告があった十二か国は、報告がなかった二十七か国と比べて、オミクロン株の感染者が多い傾向が確認されたと、オミクロン株との関係性について可能性をお話をされておったということです。

 先ほど、コロナ感染症との関係性は薄いのではないかと脇田先生はおっしゃいましたが、二年以上続くコロナパンデミックの中で、またこの子供を取り巻く感染症の疑い、原因不明と。私が承知しておるところだと、この原因不明の急性肝炎は我が国でも大体二十例近くは毎年報告されておる。現在のところ、先ほどの定義に当てはまるのは七人ということなんですけれども、改めて、コロナ感染の有無、様々ネットでもこの関係性について言われている中で、現状で、先ほどのちょっと繰り返しになるかもしれませんが、国内七例で、コロナ感染既往の有無、またワクチン接種の有無、これは分かっておられるのでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、一昨日のアドバイザリーボードにおきまして、西浦先生の御報告によりますと、OECDの各国の中で、新型コロナウイルス、特にオミクロン株の流行状況が高い国において、原因不明の小児急性肝炎の症例が相関しているのではないか、そういった御報告がございました。ただ、これは新型コロナウイルスの流行状況と、それから小児急性肝炎の発生状況の相関を見ているということでありますので、直ちにそれが、原因といいますか、因果関係といいますか、そういったものを示したものではないということを承知しております。そういったデータも踏まえながら、更に検討がされていくものと思っております。

 今お尋ねのありました、新型コロナウイルスの陽性者につきましては、七例のうち、PCRの検査が陽性だった事例は一例というふうに承知をしております。

 一方で、ワクチンのことに関しましては、情報が、私の方では承知をしていないという状況であります。

中島委員 先ほどQアンドAもということでありますけれども、やはり国民の皆様、特にお子様に関してのことなので、どういった場合に早めに受診をするとか、そういった啓発ですね。過度に心配するというよりは、やはり適切な、タイムリーな情報提供が必要だというふうに思いますので、是非お願いしたいと思います。

 もう一点だけ。患者が多いイギリス保健省は、様々な仮説を公表しております。通常のアデノウイルスの感染。二年以上続くコロナ感染症の中で、本来だったら、アデノウイルスですから、胃腸炎とかプール熱とか、普通にかかるウイルスに、感染対策をした影響で免疫力が変化し、そして、いざ感染したときに重篤化する説。また、アデノウイルスが変異して、このような急性肝炎を起こすのではないか。また、新型コロナの後遺症ではないのか。また、薬物摂取や外部環境が影響しているのではないか。また、未知の病原体ではないのか。加えて、新型コロナの新たな変異株ではないのか。日本でもBA・4、BA・5というのが検疫でまた発見されたということでございますが。

 このイギリスの保健省の様々仮説というか、こういった可能性を否定して、除去して、消去していくということだと思うんですが、現在、今言った英国の保健省の仮説というか可能性について、脇田先生の御見解をお尋ねしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 英国の分析におきましては、かなりの症例が積み重なっておりますので、詳細な医学情報等を分析する中での仮説といいますか、そういったものが出てきているということでありますので、我が国におきましても、今後、症例が集積してくるようであれば、それを詳細に分析をしていくということが必要だと考えております。

 一方で、先ほど先生おっしゃられましたように、やはり急性肝炎の症状というのが、通常の風邪症状に加えて、例えば黄疸であったりとか、それから胃腸症状、特に白色便等が出た場合には、なるべく早く受診をしていただくということが重要だというふうに考えております。

中島委員 今のような御説明、コロナが二年以上続いていく中で、国民の皆様の不安が深まらないように是非タイムリーに情報を発信していただければと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、コロナ感染状況についてなんですが、一昨日のアドバイザリーボードでは、この大型連休の影響がかなり出ているという状況で、しばらく経過を見ていく必要があるとコメントを脇田先生がされておられます。

 大型連休中の人の動き、人流の増加ですね、今後の感染状況への影響について改めてどのように考えられるか、お尋ねしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 直近の感染状況につきましては、ゴールデンウィーク中の診療や検査の影響、これがかなり減少していたということもありますので、なかなか単純に判断することが難しいような状況ということで、その点については留意が必要なわけですけれども、直近の一週間での新規感染者数、十万人当たり約百九十人、今週先週比一・一六となっております。これは一昨日のアドバイザリーボードの時点よりも更に少し積み上がっているという状況ですが、やはり今週先週比で見ておりますので、先週がお休みだったという影響がかなりあるというふうに考えております。

 さらに、今後の感染状況につきましては、ゴールデンウィークでかなり人の動きが活発だったという御指摘のとおりだと思いますし、それからさらに、変異株BA・2系統へおおむね置き換わったという御報告がございました。そういった感染の増加要因がございます。

 それから、ワクチンの三回目の接種が進んでいるということもありますし、季節的な要因として少し暖かくなってきまして換気がしやすい状況というのがありますが、それは感染の抑制的な要因になるということなんですが、一方で、少し雨が多いような時期にもなってきていますので、季節の要因というのは、少し判断、分析が難しいような状況にあるかなというふうに考えております。

 そういったものに影響されますので、引き続き、今後しばらく感染状況については注視していく必要があると考えております。

中島委員 先週は連休ということで、検査数が少なかった反動なのか、それとも人流が増したことにより今後感染拡大していくのか、今後注視していくと。

 全くそのとおりだと思うんですが、三年ぶりにこの大型連休は行動制限がない、政府は特に行動制限については示さなかったということで、これは国際医療福祉大学の松本先生も、この大型連休中に感染が広がりやすい要因があったにもかかわらず、もし一万人程度で収まれば今後も一定程度社会活動を維持できるのではないかと。要するに、行動制限のない連休後は一万人ぐらいの感染はある程度予想できるという発言だと思うんですが、この松本先生の、一万人程度であれば予想された範囲と考えられるのか。

 加えて、先ほど、人流が増したと。私が承知しているのは、コロナ前の二〇一九年を十とすると、感染初期の二〇年が二から三、そして昨年が三から四、そして今年の大型連休は八程度まで人流が増しておると承知しておりますが、それで間違いないか、確認させてください。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御質問のありました人流につきましては、我々、アドバイザリーボードで特に分析を重視しているのが夜間の滞留人口でありまして、確かにそのデータを見ますと、二〇一九年、つまりコロナ前と比べると、おっしゃったように二〇二〇年はかなり低く、そして昨年はやや増加し、そして今年は、それでもしかし、制限がない中でも二〇一九年には達しないということで、済みません、正確な数値は今つまびらかにちょっとお話しできないわけですけれども、大体そんなような状況だったというふうに記憶しています。

 つまり、完全に制限がないというわけでは、制限といいますか、国民の皆さんがなるべくリスクの低い行動をしていただくといったものが表れてきているんだというふうに思いますが、いずれにしても、昨年、一昨年と比べますと夜間の滞留人口も増加してきている中で、そういったものが今後の感染状況にどのように影響していくかということについては、しばらく注視をしていくということだと思います。

中島委員 二〇一九年、コロナ前、そこまでは戻っていないけれども、昨年、一昨年に比べると、人流、夜間の滞留ということは一番念頭に置くべきですが、全国的にも、かなり人の動きはこれまで以上に活発になっていたと。

 そんな状況の中で、松本先生は、一日の感染者数が一万人程度であれば今のままの対策でいいんじゃないかというコメントを出されていますが、脇田先生は、今後、こういう人流が、二〇一九年ほどではないけれどもかなり戻った状況、大型連休後に、一日の感染者数がどの程度であれば、許容範囲というか、想定される人数だとお考えでしょうか。

脇田政府参考人 新規感染者数というのも、もちろん感染流行状況を把握する中で非常に重要な数値だと我々は認識をしております。ただ一方で、パンデミック、もう二年半になりまして、感染状況がいかにして医療状況に影響を与えているかということが更に重要なんだろうというふうに考えております。

 したがいまして、感染者数だけではなくて、ただいまの入院者数であるとか重症者数、そして病床の逼迫度、占有率といったものもしっかり見ていくということが重要でありますので、現状では、東京都においては、入院者数、それから重症者数も減少傾向にあるというような状況でありまして、占有率に関しても、それほど高い状況ではないというふうに承知をしております。

中島委員 これ以上繰り返しませんが、ただ、やはり、一日の感染者数一万となると、これはまた自宅療養をする方、また、幾ら病床を確保していても、これまでの経過の中で、確保している病床と入院できる人、ミスマッチが生じる。一日の感染者数イコール自宅療養者の数、やはり増えていくということで、それに対する準備というか、予断を許さないという意味では、もちろん重症者の数だとは思うんですが、これはやはりある程度の予測の下にしっかり準備、対応するということが求められると思いますので、このくらいにしておきますが。

 もう一点。一昨日のアドバイザリーボードで、今日午前中、柚木議員も質問されておりましたが、屋外でのマスクの着用について、距離を取って、会話もないような場合であればマスクをする必要はないと指摘をされました。これに対して、山際経済大臣や松野官房長官、岸田総理も、何か明確にならないというか。

 屋外でマスクを取っていいのかどうか。子供の部活動や屋外での活動、マスクをする必要のない場面、また必要な場面をより具体的に私は示す必要があるんじゃないかと思いまして、その件について改めて見解を伺いたい。同時に、オミクロンの特性、また感染経路は、私、やはり海外、また、これまでの経過からいくと、エアロゾル感染が主であると、これまでの分析でも大分分かっていると認識しています。こういった状況から、どのような場面でマスクを着用するのか。

 また、ここにアクリル板もありますが、アクリル板で仕切りをする、また、飲食店などで人が入れ替わるごとに消毒をする。過剰な感染対策が、コスト、労力、また、過度な消毒をすることにより耐性のウイルス又は細菌を生み出してしまう、そういう、逆に悪影響になっていないのか。現実的な感染対策にアップデートする必要があるのではないかと考えますが、脇田先生のお考えをお聞きしたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナ感染症の感染経路、こちらは、ただいま委員が御指摘のあったエアロゾルの吸入、それから飛沫、そして接触感染等ということでありまして、もちろん、感染防止のために基本的な感染対策が極めて重要であるということでありまして、マスクの着用であったり、手指衛生、換気などの徹底、それから三密回避ということでありますけれども、対策の状況によってやはり感染経路もある程度変化をしてくるということもまた事実であります。

 マスクの着用に関しましては、午前中も申し上げましたとおり、感染リスクが高くないような場合、例えば屋外において距離が取れているような場合であったり会話がない場合には、マスクの着用は必ずしも必要ではないということは述べさせていただいております。

 それから、飲食店等において、アクリル板等の設置、これは飛沫防止ということで置かれておりますし、それから席と席の間隔を空けるというようなことで、飲食店の感染防止対策を徹底するための第三者認証制度が設けられているということは承知をしております。

 ただ、屋内における感染対策については、御指摘のとおり、アクリル板、これは適切に設置をするということでありまして、気流を妨げたりして換気が悪くなるというような状況ではよくないということはもちろん承知をしております。換気が非常に重要であるということも申し上げてきております。

 したがいまして、感染状況等も踏まえながら、適切な感染対策というものを検討していく必要があると考えております。

中島委員 飛沫感染防止のための、例えばこの厚生労働委員会で、マスクをしながらアクリル板を通して、これは一体どこまで効果があるのか。例えば飲食店であれば、狭い店内全て仕切りをして、逆に換気が悪くなる、これは電気通信大学の論文にもなっている。今後、やはりそういった、この現状に合った、そして今分かってきたことがたくさんある中で、先ほど消毒の話もしましたけれども、過度なコストとか労力をできるだけ避けていくということも、現実問題として考えていかなきゃいけないのではないかというふうに思います。

 私、質問時間を間違えておりまして、たくさん質問通告していて、もう終わってしまうんですけれども。脇田先生、ありがとうございます、もっと聞きたかったんですけれども、せっかく大臣に御通告してあるので、最後、御質問したいと思うんですが。

 今回の児童福祉法の改正案、一時保護判断に関する司法審査の導入であったりとか、様々、私は、完璧な制度というのはなかなか難しい、こういう状況の中で、一定の、一歩前進というふうには考えているんですが、そもそも、総論として、この児童福祉法、昭和二十二年に制定されたものであって、児童が良好な環境において生まれ、かつ、心身共に健やかに育成されるよう、保育、母子保健、児童虐待防止対策を含む全ての児童の福祉を支援するということが理念ということだと思いますが、その後、時代は変化して、児童虐待、様々な社会問題があるんですが、本質として、なぜ子供は健やかに良好な環境で育たなければいけないのか。

 これは、当然子供の人権という問題は大前提ではありますが、我々は立法府で政策を打っていくという面からいくと、この政策目的、政策意思、政策効果、これについて、大臣どのように認識されているか、お尋ねしたいと思います。

後藤国務大臣 児童福祉法第二条では、全ての国民は、児童が心身共に健やかに育成されるよう努めなければならないとした上で、保護者がその第一義的責任を負うとともに、国及び地方公共団体も保護者とともにその責任を負うことを定めているわけでありまして、政府としては、この責任を果たすために、産前産後のケアの推進、保育の受皿の整備、社会的養育における里親委託の推進など、家庭や家庭的環境における子育てに対して、妊娠期から学齢期に至るまでの切れ目のない支援を進め、子供の幸せにつながるように努めてきたところであります。

 今後とも、子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や施策を我が国社会の真ん中に据えて、子供や子育て当事者の視点に立って、子供の健やかな成長や幸せを社会全体で後押ししていくための政策をしっかりと遂行してまいらなければならない、そういうふうに考えております。

中島委員 終わりますが、なぜそれをということで聞いたんですが、私は、政策目的は、やはり必要な子供たちが必要な支援を受けられて、そしてその子供たちの可能性を最大限に引き出すことが私は政策目的であって、そのことは、やはり将来、少子化とはいえど、医療、介護、年金も含むこの制度を持続していくために、一人でも多くの子供たちがその能力を最大限発揮して社会に貢献する、国益に資する、こういう政策結果を社会と我々が十分に共有することだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。終わります。

橋本委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、まず、議員立法で提出されております保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案について、質問させていただきたいと思います。

 おととい、私にあるメールが届きました。それは、その方の給与明細を写真で撮ったものが来たんですね。その方は社会福祉法人がやっている学童保育、放課後児童クラブに勤めている非正規の職員の方なんですけれども、この給与明細を見てくださいということで送られてきました。給与が書いてあるんですけれども、その下に、処遇改善手当ということで金額が記されているんですけれども、五百円なんですね。

 その学童保育の園の園長さんが、やはり気の毒だと思ったんでしょうね、その給与明細を渡すときに、申し訳ない、実は政府からの処遇改善のお金が来ているんだけれども、これを正規の人、定数内の人に配って、そしてまた非正規の皆さんまで配るとこうなってしまうんですよ、常勤の人で三千円、非正規の人で五百円、それしか払えなくて本当にごめんなさいということを言われて、それをもらったということです。

 今日は、伊佐進一委員からも学童保育、放課後児童クラブについてのお話がありました。正規の、いわゆる資格を持った方は二割しかいないんですね。大体八割が非正規の人たちが一生懸命頑張って子供さんたちの生活の場を守っております。おととしは、非常事態宣言で全国の小学校などが休校したときは、保護者の方が、子供さんを何とか面倒を見てもらえないだろうかということで、学童保育が駆け込み寺のようになって殺到して、職員の方が大変な努力をしてその難局を乗り切ったんですけれども、ですから、非常な世の中のひずみを受けながら頑張っている人たちです。しかし、五百円だということで、その方もがっくりされて。

 こう言っちゃあれですけれども、岸田政権の目玉政策ですよね、こういった、どうしても必要な労働、仕事をされている方の処遇を少しでも改善しよう。九千円来るんじゃないか、三%上がるんじゃないかと思っていた方がこんな状態でですね。

 いろいろな理由、計算の方式はあると思うんですけれども、後藤大臣、どう思われますか、こういう方の思いを受け止めて。

後藤国務大臣 放課後児童クラブの処遇改善を図るために、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、雇用形態にかかわらず、収入を三%程度引き上げるための措置を本年二月から実施をしております。

 御指摘の事例について、具体的にどういうケースなのか承知していないわけでありますけれども、常勤なのか非常勤なのか、どの程度お勤めになっておられるのか。非常勤の職員であれば、常勤職員の一か月当たり勤務時間数に対する割合を基に算出することになってくると思いますし、その辺のところはちょっとよく分かりません。

 いずれにしても、必要な人材を確保していく上で放課後児童クラブの職員の処遇の向上は重要でありまして、引き続き、今般の処遇改善の趣旨に沿った対応がなされるように、自治体に対しては一層周知してまいりたいというふうに思います。

野間委員 是非、そういう方の思いを受け止めて、看板倒れにならないようなことをやっていただきたいんですけれども。

 それで、やはりそういうことが起きないようにということで、今回は議員立法でも、これを正すための法案が提出されていますけれども、今回の議員立法の法案についてはどのような処遇の改善がなされるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

早稲田議員 野間委員にお答えいたします。

 先ほど御紹介がありましたように、学童保育の非正規の方、五百円の賃上げということで、大変悲しい思いをされているということでございました。

 政府の処遇改善事業による月五百円の賃上げでは、処遇改善という名に値をしない、極めて不十分だと私は考えます。

 立憲民主党案では、政府の予算措置に加え、常勤換算で一人当たり月額一万円の賃金の引上げを行うための助成金を支給することを想定しておりまして、学童保育に非正規で勤める支援員の方々に対しましても、賃金を始めとする処遇改善の十分な措置が国の責任で講じられるものとしております。

 したがいまして、委員の御指摘のような、正規、非正規を問わず、立憲民主党案ではそのようなことは起こり得ないものと認識をしております。

野間委員 ありがとうございました。

 是非、とりわけ、学童保育にしても介護にしても、非正規の方に支えられているわけですから、そういった方々も同じ仕事をしていますので、月額一万円なりの処遇改善、是非、皆さんも賛成していただいて、この法案を通していただきたいと思います。

 それでは、答弁者の方はここで結構です。ありがとうございました。

橋本委員長 どうぞ、席へお戻りください。

野間委員 続きまして、今回の児童福祉法の改正案の中で、子供の意見聴取等についての規定が、改正が行われているわけですけれども、子供から意見を聴取したり意見表明を受けて、これをどのように解釈をしたり真意を捉えるかというのは非常に難しい問題だと思います。

 それで、今回、意見表明を支援する、そういうことを都道府県に努力義務として、支援する事業を行っていくということが義務化、努力義務ということで入ってきたわけですけれども、子供の思いや真意をきちっと受け止めて、これを、アドボケートというんでしょうか、代弁していくという仕事、決して保護者やまた児相などの機関、法人の立場に立つわけにもいかないですし、やはり、子供を最優先に独立性を保っていく、また、質、スキルを磨いていくということが必要だと思います。そしてまた、こういった方を、事業化していくということでありますと、そういった人はずっとボランティアでやっているわけにいかないでしょうから、やはり費用もかかる。こういった面、どういうふうに運営していこうとしているのか。

 そしてまた、子供の意見や思いを聞き取るということで、これは今政府が想定されている意見聴取とか意見表明というよりはもうちょっと別な次元の話になりますけれども、いわゆるフォレンジックインタビュー、司法面接というんでしょうか、虐待のいろいろな、犯罪面での、自分が受けた虐待について、こうだった、ああだった、いろいろな目撃したこと、感じたことを述べる司法面接という手法がありますけれども、被害の確認面接というような言い方もされますが、こういうことにたけた人たち、こういったことの研修等も行われているわけですけれども、意見聴取やまた意見表明の在り方と、それのある意味での最も厳しいやり方としての司法面接、こういったことの連関性、そしてまた、今、意見表明の支援事業ということの独立性でありますとか、質とか費用の面、どんなふうに運営されていこうとしているのか、お答えいただきたいと思います。

橋本政府参考人 今御指摘いただきましたアメリカで行われております司法面接、原則として一回の面接で情報を収集して、児童相談機関や警察、検察等の関係機関がその情報を共有して、その後の援助を検討するものであるというふうに承知いたしております。

 これと似たものが日本でもございまして、例えば、児童相談所等が性的虐待等の深刻な虐待が行われている可能性を把握した場合に、子供の心理的負担を軽減するとともに、子供から聞き取る話の内容の信用性を確保するために、児童相談所と警察と検察の三機関を代表した者一名による面接、これを協同面接と呼んでおりますが、そういった形で実施をしております。

 アメリカのものにせよ、この日本の協同面接にせよ、いずれの取組も、刑事事件として立件が想定されるような重篤な虐待事例について、子供の負担に配慮しつつ必要な情報を得ることを主な目的として行われるものというふうに認識をしております。

 それに対しまして、今般の改正におきまして導入を予定しております児童相談所等の意見聴取等義務ですとか、あるいは都道府県等の意見表明等支援事業、これにつきましては、一時保護や措置等に関する決定をする際に、子供の最善の利益のため、子供の意見、意向を把握するものでございますので、それ自体は先ほどの司法面接や協同面接とは趣旨、目的が異なるものではございますけれども、ただ、今回設ける意見聴取、意見表明等支援の仕組みというのは大変重要なものでございますので、今後それが適切に運用されるように、御指摘いただきましたアメリカでの取組ですとかあるいは協同面接、こういったもののノウハウが参考になるかどうかということも含めて確認をして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

野間委員 次に、今回、政府が最終的にこういう姿にしていきたいというふうな子供の権利擁護についての機関、これは、厚労省さんからいただいた資料ですと、最終的にはやはり、子供のためのワンストップセンターをつくっていこうとされているのかなというふうに思います。

 今、アメリカでは、全米九百か所に、チルドレンズ・アドボカシー・センター、CACというのが九百か所もあるということでありまして、ここには、警察官、刑事もいる。そして医者もいる。また検察官、司法関係者もいる。児童福祉に携わる人たちもいる。FBIもいる。また市民団体の人もいる。様々な、子供に関わる人たちが一つのセンターに集って、あらゆることに、子供の虐待に対する犯罪とか一時の預かりとか、様々なことをワンストップでできるサービスといいますか、そういったことを九百か所もつくってやっているということなんですけれども、最終的にこういったものを目指していっているのか。まだまだ途中の過程だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 今御指摘いただきましたチルドレンズ・アドボカシー・センター、これは、アメリカにおきまして、州によってその形態とか機能は異なるものの、基本的には、児童虐待への対応に当たって、警察や検察等の多機関が連携して対応するためのNPO法人であるというふうに認識をいたしております。

 それで、児童虐待への対応に当たりまして、警察や検察も含めて様々な機関と連携して対応するということは大変重要なことでございまして、日本におきましても、同様の取組を、そういった趣旨からの取組を、対応しております。

 具体的には、先ほど申し上げましたような協同面接の取組に加えまして、警察との連携ということで申しますと、虐待により外傷がある等の一定の事案について必ず警察と情報共有を行うルールを明確化いたしまして、全ての児童相談所で実施していますほか、児童相談所が児童の安全確認、一時保護、立入調査等を行う際、必要に応じて、虐待防止法に基づき、警察に援助要請することとしております。

 引き続き、児童相談所を始め、関係機関が一丸となって児童虐待防止対策を進めてまいりたいと考えております。

 ワンストップということで、そこに行けばあらゆることが相談できるということが、ある意味理想かもしれませんけれども、それぞれのところに御相談いただいた場合でも、そういった情報がしっかりとつながっていくということが大事かというふうに思っておりますので、しっかりとその趣旨を体してまいりたいと思います。

野間委員 是非、実態的にワンストップで、子供たちが迷わないような形で運営されたいと思います。

 なぜアメリカがそこまでなっているか。いろいろな背景を見ますと、結局、単なる虐待ということだけではなくて、そこから児童の人身売買であるとか更に深い様々な犯罪がアメリカでは起きているということで、そういう非常に強権的なこともしていかないと子供たちを守っていくことができない、擁護していくことができないということが背景にあるようであります。

 次に、いわゆる児童の虐待対応ダイヤルということで、一八九というダイヤルがありますね。これは数年前、令和元年からですか、それまで有料で、お金がかかるということで余り評判がよくなかったんですが、今は無料になって、しかもガイダンスも非常に手短につながるということで改善をされているわけですけれども、どうも最近の子供さん、これはアメリカの例もそうなんですけれども、メールをしたり、SNSで自分の危機や厳しい状況を知らせるということが電話よりも増えているという。私たちも周辺を見れば、子供さんたちはみんなスマートフォンや携帯で、メールでやり取りをしています。

 そういった意味で、今後、この一八九も、電話だけでなくて、やはりメール、SNSでも対応できるようにしないと、そういった子供さんたちの声が届かないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 児童相談所虐待対応ダイヤル、いわゆる「いちはやく」でございますが、虐待を受けたと思われる子供を見つけたときや子育てに悩んだときなどに、ためらわずに電話で児童相談所に通告、相談ができるよう、分かりやすい三桁番号といたしまして運用しているものでございます。

 それで、SNSという話をいただいたわけでありますが、SNS等で相談を受け付けるシステムを導入している自治体もございまして、これまで厚生労働省としても、SNS等を活用した相談体制の構築に係る費用の補助を行いまして、自治体の取組を支援してまいりました。

 その上ででございますが、委員が今御指摘いただきましたような、スマートフォンの普及等も踏まえまして、国によるSNSを活用した相談受付ということを本年度から始めるということを予定しておりまして、具体的には、全国共通のアカウントを作成しまして、子供や家庭からの相談の受付を行った上、各自治体が当該相談に対応するシステムを開発いたしまして、本年十一月を目途に運用開始するよう準備を進めておりまして、本事業が活用されるよう、運用が始まりましたらしっかりと周知を図ってまいりたいというふうに思います。

野間委員 十一月から始まるということでありますので、是非PRしていただいて、ここに好きなときに、メールでもSNSでも何でも、相談してくださいということを周知徹底していただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、これはこの福祉法の中にも入っておりますけれども、小児の慢性疾病医療費の受領証や、また、特定医療費、難病指定のですね、その問題についてお聞きをしたいと思います。

 この受領証、こういった医療費が支払われるためには、年一回これを、事務を、更新していかないと支払いがされないということでありますけれども。去年、おととし、二〇二〇年は、コロナ禍で、これを取り扱っている保健所がとてもその仕事に関わっていることができないということで、自動更新をして、その年は、二〇二〇年はこの受領証の更新の事務を一年延長、先送りにするということが決断されたわけであります。

 それで、今、コロナがそれほどでもないというような一般的な風評はあるんですけれども、先日も私、地元の保健所の皆さんと、保健所の職員、働いている皆さんと、いろいろ話を聞かせていただきました。いや、一般に言われているような、何か落ち着いているとかそういうことではありませんよ、こういうことを言われました。

 一月から第六波に突入したけれども、まあ、その人は直接の感染症の担当者でない、隣の班の応援部隊にいる人なんですけれども、その自分でさえ、時間外労働時間が一月は百十時間、二月百時間、三月八十時間、四月も恐らく過労死ライン超えになるだろう。それぐらい業務が本当に立て込んでいる。感染症担当班の組合員は当然ですけれども、それ以外の人もみんな時間外労働を生じている。いつ職員が倒れてもおかしくない状況にある。

 そのような状況のため、職場内では、自分自身がコロナに感染する前に、コロナ業務で自分が倒れるか、若しくは家庭崩壊する方が早いかもしれない、不謹慎かもしれないけれども、正直、コロナに感染して十日間療養したい、そういう声も上がっているというんですね。

 それで、これは鹿児島県の県の職員労働組合が、ほかの県はどうなっているだろうかということで、四十七都道府県の保健所に勤めている職員の皆さんにアンケートを取りました。

 今、二十三のところから回答が来ているんですけれども、この二十三のうち二十一の県から、これ以上の業務、先ほど申し上げました難病指定やまた小児の医療費の受給の事務が増えていくと、恐らくもう犠牲者が出ざるを得ないんじゃないかと。でも、犠牲者が出ないと政府は分かってくれないのかもしれない。自分たちは、もう今でもすぐ仕事を、これだけきついので辞めたい。辞めたいけれども、それは仲間に迷惑をかけるだけだ。仲間の負担がまた増えるだけだから、自分たちは今、自分たちの責任において、何とか、倒れる寸前だけれども頑張っている。

 こういう声が、ほとんどの、半分ぐらいの県の職員の、現場で働いている皆さんの声が届いているんですね。

 ですから、この問題について、難病の指定、そして小児慢性疾病の医療費の受給証の更新事務について、できればもう一年自動更新をしてもらえないだろうかというのが職員の皆さんの声でありますけれども、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 難病医療費助成等の受給者証につきましては、一年に一度、更新することとなっておりまして、その更新に当たっては、医師の診断書が必要でございます。

 新型コロナの感染拡大防止の観点から、診断書の取得のみを目的とした受診を避けるという趣旨から、令和二年三月一日から昨年、令和三年の二月末日までの間については、受給者証の有効期間が満了する場合、その有効期間を、御指摘のとおり一年間延長することといたしました。

 そして、その後、昨年、令和三年三月以降でございますけれども、一方で、適正な給付を確保するということは重要なことでございますので、原則として、通常の手続により受給者証の更新を行うことといたしました。

 他方、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置等の対象地域にお住まいの方や通院している方等につきましては、新型コロナの影響で受診できず、医師の診断書を取得できないことも想定されるために、自治体の判断によりまして、受給者証の有効期限を迎えた場合であっても、更新の申請が行われるまでの間は有効とみなすことや、診断書がなくとも数か月程度有効な受給者証を発行した上で、その間に改めて申請を受け付けることなど、地域の実情に応じて柔軟に取り扱うことを可能といたしておりまして、そういう形で対応させていただいております。

野間委員 今、大臣から、地域の実情に応じて、その辺は少し柔軟に期間を延ばしてもいいという御答弁だったと思います。

 厚労省さんの通知書ですと、三か月程度というような書き方もされているわけですけれども、これが五か月あるいは六か月ということでも、やはり、地域でどうしてもそういう実態がある、あるいはまた、届出の自治体の窓口に人が殺到するのも、これまたコロナ感染の観点からは非常に危ないことでもあります、感染対策として。その辺は、それぐらい柔軟に考えてもいいという言葉を最後に大臣からお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今の委員から御指摘の数か月の具体的期間につきましては、令和三年五月二十四日付の事務連絡においては、一定の目安として、御指摘のように三か月という期間を例示しつつ、例示しつつですね、地域の感染状況等を踏まえて合理的な期間とすることとしておりまして、各自治体において、地域の実情に合わせて合理的と考えられる期間を御判断いただければというふうに思います。

野間委員 ありがとうございました。柔軟に自治体として対応できるということで御答弁をいただきました。

 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 まずは、前回の委員会に引き続き、子供たちのワクチンとマスクについてお尋ねいたします。

 二月末から開始されている五歳から十一歳の子供たちへの最新のワクチンの接種状況は、現在いかがでしょうか。接種率や副反応の報告について教えてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 五歳から十一歳までの子供に対する新型コロナワクチンの接種状況につきましては、昨日十二日公表時点で、一回目が百九万二千七十回、接種率は一四・七%、二回目接種が七十八万六千九回、接種率は一〇・六%となっております。

 また、御質問の副反応疑い報告の方でありますけれども、五歳から十一歳までの子供に対するワクチン接種後に生じた副反応疑い事例につきましては、現在開催中の審議会、本日午後やっておりまして、こちらにおける報告によりますと、当該審議会の集計対象期間である本年二月二十一日から四月十七日までで、百二十一万七千六百四十五回の接種回数に対しまして、医療機関から二十九件、製造販売業者から三十件の副反応疑い報告がございました。なお、この当該集計対象期間後になんですけれども、一例の死亡事例の報告がございました。

 現在開催中の審議会においては、これらの五歳から十一歳までの子供に対するワクチン接種後に生じた副反応疑い事例も含めまして、最新の副反応疑い事例等に基づき、新型コロナワクチンの安全性について評価されているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 一件の死亡事例があったということで、今驚きました。

 四月二十七日、政府はワクチン接種の政策について、これまでの全世代型推奨から大きな方針転換をすることを公表されました。四回目のワクチン接種から、六十歳以上と基礎疾患のある人に接種対象を限定するという方針が後藤大臣から示されました。

 当委員会でもこれまで多くの委員の方々が、子供たちへのワクチン接種は慎重であるべき若しくは見直すべきではないかと多数の御意見がありました。私自身も当委員会で、重症化リスクの少ない健康な子供たちへのワクチン接種は見直すべきであると何度も訴えてきました。厚労省の公表されているデータから世代別の表もお示しし、世代間によってコロナリスクとワクチンリスクが逆転する事実もお伝えしてきました。その立場からも、今回の方針転換は大変よいことだと思っております。

 その上で、とても気になることがあります。先ほどの御報告のとおり、二月末開始された五歳から十一歳の子供たちへのワクチン接種、一回目、二回目を終えた子供たち、全体の約一一%。小さな子供たちにとっての三回目の接種は、我々大人の四回目の接種タイミングと時期が重なる可能性が高いです。

 そこで、質問です。

 例えば、私は現在四十二歳、四回目の接種対象にはなりません。しかし、私の七歳の息子は、同時期に三回目の接種対象となるのでしょうか。もし五歳から十一歳の子供たちが三回目の接種対象になるのであれば、その理由も教えてください。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供に対する新型コロナワクチンの三回目接種については、現時点で検討しておりません。まずは科学的知見や諸外国の状況を注視してまいります。

 ちなみに、現時点で、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イスラエル等、五歳から十一歳までの子供に対する三回目接種は実施されておりません。

山田(勝)委員 ありがとうございました。安心いたしました。

 さらに、念のため確認させてください。今後、小児ワクチン接種券、ああ、そうですね、検討されていないということは、接種券も一斉送付されないという理解をしております。

 その上で、ワクチン後遺症についてお尋ねしたいと思います。

 配付資料を御覧ください。子育て真っ最中の三十代のハルミさんは、これまで持病もなく、健康であったにもかかわらず、ワクチン接種後に体に違和感を覚え、この長崎新聞の記事にあるとおり、症状はどんどん悪化し、二週間後にとうとう入院されることになりました。そして、退院後も職場復帰はかなわず、つえなしでは生活できない体になられました。

 先日、地元長崎で、私は直接お会いし、話を伺いました。ハルミさんは、目に涙を浮かべながら、声を振り絞りながら私に訴えてくれました。想像を絶する恐怖と苦悩の日々、お子さんたちとの平和な日常が突如奪われました。

 ハルミさんは、現在、自分と同じ境遇で苦しむ方々とSNS上でつながりながら、こう訴えています。

 メディアがワクチンのメリットばかりを発信し、実際にある副反応や対策や情報発信をしないのはフェアじゃない。私よりも重篤な症状に苦しんでいる人もいる。三回目接種や子供たちへの接種が進められているが、接種のリスクを知った上で検討してほしい。

 当然、ハルミさん自身もワクチンに全くリスクがないとは思っていなかったことでしょう。ただ、本当につらいことは、働けない、つえなしで生活できない、そういう状況が一年以上も経過しているにもかかわらず、いまだに国から公的支援を一切受けられていない。

 後藤大臣、なぜだか想像つかれますでしょうか。政府がワクチン後遺症を認めていないからです。

 コロナワクチンの被害者救済制度には大きな矛盾があります。それは、この記事にあるとおり、ハルミさんのような症状を訴えても認定されない。認定されるのは圧倒的にアレルギー反応とアナフィラキシーばかりで、驚くことに、心筋炎や心膜炎、死亡者の認定はいまだゼロ件です。

 そこで、厚労省の予防接種室の担当者の方に詳細を確認しました。四月二十八日の直近の審査会のデータです。厚労省が受理した件数千六百七十件のうち、審査された件数は七百七十一件、審査後に認定された件数七百八件で、否認が五十一件、保留が十二件でした。死亡については、受理件数百三十三件のうち、現在までに審査されたのは七件しかない。そして、その七件ともが保留扱いとなっています。

 死亡者が保留として取り扱われている理由について、更に担当者の方に聞きました。審査会でコロナワクチンと死亡との因果関係を議論している最中だから保留されている、そう明確にお答えいただきました。

 つまり、因果関係が認められない以上、いつまでもいつまでも真の救済がなされないままです。また、ハルミさんのようにワクチン後遺症に苦しむ方々、そして亡くなられた方々は現実に多数いらっしゃいます。この因果関係、後藤大臣、一体いつになったらお認めいただくのでしょうか、お答えください。

後藤国務大臣 予防接種法に基づく健康被害救済制度は、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものです。

 その認定に当たっては、審査会において、請求された疾病や死亡等と予防接種との因果関係について、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとの考え方に基づいて審査は行われます。

 現在、国に進達されたものから順次審査を進めているところでありまして、これまでに心筋炎や心膜炎という疾病名で認定された事例はございません。

 また、死亡例の数字について御紹介を委員からいただきました。死亡例については、おっしゃったとおり、これまで七件の審査が行われておりまして、丁寧に審査が行われる中で、現在保留とされているものでございます。

 この保留というのは、今、個々の因果関係は、先ほど言ったような、厳密な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする、そういう因果関係の認定ではございますけれども、死亡事例、あるいはいろいろな事例が出てくる中で、判断がもう少し変わるかもしれない、そういう意味で保留をしている、分かりやすく申し上げればそういうことでございます。

 引き続き、心筋炎、心膜炎や死亡の事例を含め、これまでと同様に、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするという考えの下で審査を進めまして、迅速な救済に努めてまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 ワクチン接種後に大切な家族を失われた御遺族の方々は、国を相手に、現在、訴訟を行う準備もされているようです。いずれ政府は因果関係を必ず認めなければならない日がやってくるというのは間違いありません。審査会の専門家からの話だけではなく、ワクチン後遺症に苦しむ方々や大切な家族を失われた御遺族の方々からも直接お話を伺い、後藤大臣、どうか政治判断を一刻も早くされていただきたい。一日でも早く、国が因果関係を認め、必要な救済措置を取っていただくことを強く望みます。

 続いて、前回に引き続き、子供のマスクについてです。

 後藤大臣から、前回の質疑で、子供たちへのマスクについて、無理にマスクを着用する必要はない、屋外での活動中は着ける必要はない、熱中症対策を優先してほしいという趣旨の力強いメッセージをいただき、感謝しております。多くの国民の皆様から、勇気づけられたとの言葉が私のところにも多数届きました。

 しかし一方で、すぐに保育や学校の現場におけるマスクの運用が改められたわけではありません。暑さや湿度に関係なく、いまだ遠足や課外活動でもマスクを着用。衝撃的だったのは、先日行われた運動会で、子供たちがマスクを着用したまま百五十メートル走を全力で走っている、そういう光景です。

 確かに、松野官房長官からも、十一日の記者会見で、人との距離が十分取れれば屋外では必ずしもマスクを着用する必要はないと発言がありました。しかし、十分な距離とは一体どれくらいなのでしょうか。人によって解釈が異なります。

 誤解なきように言うと、私は決して学校の対応を責めたいわけではありません。学校の先生も子供たちを守るために必死で頑張っておられます。

 特に、濃厚接触者扱いの問題です。現行マニュアルでは、教室で感染者が発生した場合、他の子供たちはマスクさえ着用していれば濃厚接触者とならないとされています。つまり、裏を返せば、子供たちはマスクをしていなければ濃厚接触者になってしまう、そのように学校現場が解釈するのは当然ではないでしょうか。

 運動会でマスクを着けたまま走る子供たち、会話をせずに黙って給食を食べ続ける子供たち。このままでは、本当に、子供たちの健康被害や、精神発達に悪影響がどんどん広がっていくのではないでしょうか。コロナ感染対策ももちろん大事です。ただし、余りにも隔たり過ぎているのではないでしょうか。

 コロナ対策ももう三年目に入りました。例えば、緊急事態宣言や蔓延防止措置が適用されていない場合は、外ではマスクを外す、教室内では、透明の、相手の表情が分かるマウスシールドを認める、そういった段階的な運用の緩和をそろそろ検討していくべきではないでしょうか。多くの子育て世代の皆さんが、熱中症など健康被害や精神発達の影響を本当に心配されています。

 政府による子供たちのマスク着用の運用マニュアルは、積極的疫学調査実施要綱に基づいて作成されています。後藤大臣、どうか改善が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症に感染したおそれのある濃厚接触者は、飛沫、エアロゾルの吸入などの新型コロナウイルス感染症の感染様式を踏まえまして、国立感染症研究所の積極的疫学調査実施要領では、患者の感染可能時期に感染する可能性のある接触のあった者として、具体的に、適切な感染防止対策なく、一メートル以内、十五分以上の接触があった者とされておりまして、マスクの着用の有無のみをもって決められるものではないというふうに考えております。

 また、濃厚接触者の特定と自宅待機等の求めについては、感染リスクの、更なる感染拡大の防止効果、重症化リスクのある者への波及の可能性、社会経済活動への影響も踏まえ、随時取扱いを見直してきております。

 そういう意味で、濃厚接触者の判断、あるいは濃厚接触者の特定とその後の自宅待機等の取扱い、そうしたことも、科学的知見を踏まえながら、必要な改善を行っていくということだと考えております。

 また、マスク自体の着用の話は、先ほどもお話もさせていただきまして、私が直接関係のある、例えば、二歳児未満の乳幼児のマスク着用は推奨されておりませんし、二歳以上であっても就学前の子供については、本人の体調が優れず、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理に着用させる必要はない、マスクを着用する場合は、保護者や周りの大人が子供の体調に十分注意した上で着用していただく必要があるということで申し上げております。

 もちろん、学校につきましては文科省の所管ではございますけれども、いずれにしても、人との距離が十分取れれば、屋外でマスクの着用は、これは大人についても必要ではないというふうに申し上げているわけですし、特に、気温、湿度が高い、熱中症のリスクがあるようなこれからの時期、屋外で人との距離が十分にある場合、具体的には、例としては少なくとも二メートル以上というようなことも申し上げているわけでありますけれども、マスクを外すことを逆に推奨してきているわけでございますので、その辺のところを我々としてもしっかりと周知をさせていただいて、今後、感染状況の中で、しっかりとまた検討をすることができれば検討していきたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございました。

 先ほど、周知していきたいとまた力強い御発言をいただいたこと、大変感謝いたします。

 ただし、現行のマニュアルが続けば、全国の子供たちがマスクを外せる日は訪れません。どうか政府一丸となって、特に後藤大臣がリーダーシップを発揮し、現場の声に耳を傾けていただきたい。保護者の皆さんはもちろんのこと、当事者である子供たちの声に、今こそ、本改正案の重要テーマである子供の意見聴取、必要なときではないでしょうか。

 どうか適切な政策判断を行っていただきますことを心よりお願い申し上げまして、時間となりましたので、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 以上で、ただいま議題となっております各案中、内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外七名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

    ―――――――――――――

 児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柚木委員 ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 昨年夏に福岡県の保育所で送迎バスに取り残された園児が死亡した事例など、保育所での重大事故は残念ながら後を絶ちません。

 幼稚園や認定こども園においては、学校保健安全法により安全計画の策定が義務づけられている一方、保育所における児童の安全確保については、大臣告示である保育所保育指針やその解説通知において触れられているにすぎないのが現状であります。

 このため、保育所を含む児童福祉施設等、児童が長期にわたり入所又は通所する施設については、安全計画の策定を始めとする児童の安全の確保に関する事項が国の定める運営基準として明確に位置づけられる必要があると考え、本修正案を提出いたしました。

 修正の要旨は、家庭的保育事業等及び児童福祉施設並びに一時保護施設の運営について、国が定める基準に従い、条例で基準を定めるべき事項として、児童の安全の確保を追加することであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

橋本委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、牧原秀樹君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

柚木委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。

 二 保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。

 三 子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。

 四 一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、職員の立場ではなく子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。

 五 里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。

 六 自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。

 七 意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。

 八 意見表明等支援事業が都道府県等の努力義務であるため、子どもの意見等が適切に反映されないおそれがあることから、導入した自治体と導入しなかった自治体を科学的に比較して効果測定を行い、適宜その仕組みを改良していくこと。また、次期児童福祉法改正時に都道府県等の体制が整備されるよう、義務化を含め必要な見直しを検討すること。

 九 意見表明等支援事業が児童相談所等による意見聴取等の補佐的な事業として位置付けられていることについて、当該事業が権利主体である子どもの自由な意見・意向の表明を支援する独自の機能を持つべきものであることに鑑み、必要に応じて見直しを検討すること。

 十 意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。

 十一 意見表明等支援員には専門的な知識や技術が求められることから、科学的な評価がなされているプログラムにより育成することとし、十分な資質を持つ者を活用すること。

 十二 意見表明等支援事業において、子どもの視点に基づいたKPI(重要業績評価指標)で表すこと。

 十三 子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。

 十四 一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。

 十五 一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。

 十六 国連児童の権利委員会の日本政府に対する総括所見が、親子分離は子及びその親の意見を聴取した後に行われるよう要請していることを踏まえて、裁判所が一時保護状を発するに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。

 十七 裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。

 十八 新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。

 十九 子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象に対策を講ずることについて検討すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。

 二十 アダルトビデオ出演被害の問題は重大な人権侵害であり、かつ、成年年齢引下げにより未成年者取消権行使ができないために高校生のアダルトビデオ出演が増えるような事態は、高校生や子どもへの性犯罪・性暴力を助長するなど児童福祉法の理念である「児童の健全育成」に反するものであることを踏まえ、アダルトビデオ出演被害の問題の解決に向けた取組を一層強化すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、来る十八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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