衆議院

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第21号 令和4年5月20日(金曜日)

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令和四年五月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 三ッ林裕巳君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    井原  巧君

      上田 英俊君    加藤 勝信君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      神田 潤一君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    土田  慎君

      中川 貴元君    西田 昭二君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      堀内 詔子君    松本  尚君

      三谷 英弘君    宮崎 政久君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山本 左近君    吉川  赳君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      小山 展弘君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   農林水産副大臣      武部  新君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     保岡 宏武君

  勝目  康君     井原  巧君

  佐々木 紀君     吉川  赳君

  長谷川淳二君     中川 貴元君

  堀内 詔子君     西田 昭二君

  牧原 秀樹君     宮崎 政久君

  山田 勝彦君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     勝目  康君

  中川 貴元君     神田 潤一君

  西田 昭二君     堀内 詔子君

  宮崎 政久君     牧原 秀樹君

  保岡 宏武君     上田 英俊君

  吉川  赳君     佐々木 紀君

  小山 展弘君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     長谷川淳二君

同日

 理事牧原秀樹君同日理事辞任につき、その補欠として三ッ林裕巳君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 労働者協同組合法等の一部を改正する法律案起草の件

 令和四年度子育て世帯生活支援特別給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事牧原秀樹君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に三ッ林裕巳君を指名いたします。

     ――――◇―――――

橋本委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、子ども・子育て本部審議官相川哲也君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長田中誠二君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局長山本麻里君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君、人材開発統括官小林洋司君、国立感染症研究所長脇田隆字君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問をさせていただきます。

 今日の配付資料一面にありますように、この間、三月以降、この衆議院厚生労働委員会でも、私も数回にわたってアダルトビデオの出演被害問題について質問をさせていただいております。

 それで、この間、本当に、齋藤理事、伊佐理事を始めとして、自民党、公明党、各党の皆さんのお力によって、近々内閣委員会でこの法案も可決し、六月上旬には成立するのではないかというふうに思っております。

 本当に、もちろんこれは内閣委員会で成立するわけですけれども、齋藤理事の力がなかったら、この法案は成立していなかったのではないかと。最初の集会に自民党で来てくださったのは齋藤理事で、自民党を代表して挨拶されたのは齋藤理事で、この問題は何とか解決するということを本当に決意されたんですよ。それで、ああ、自民党も熱心だなということになって、あれが三月二十三日ですから、今日が五月二十日と、二か月間で、本当に、この厚生労働委員会の力もあって、この問題は一歩、一歩ですが前進しつつあります。

 そして、後藤大臣とは昨日も参議院で少しお話しさせていただきましたけれども、残念ながら、AVの出演被害、好きこのんでアダルトビデオに、何というんですかね、本当の意味でと言ったら語弊があるかもしれませんが、自主的に出ている方は少なくて、多くの方の原因がやはり貧困問題、生活が苦しいと。

 そういう意味では、今日もこの場で林局長と後藤大臣に質問させていただきますけれども、子供の貧困、女性の貧困、そして一人親家庭の貧困等々、これはまさに厚生労働省の管轄ですから、この問題を解決しない限り、アダルトビデオに出たら駄目ですよと言っても、どうやって生活していくのと。一番やはり残念なケースは、例えば家出中、今日も質問させていただきますが、居場所がなくなって、結局、寝る場所を確保するには、そういうアダルトビデオとか風俗とか、そういうものに頼らざるを得なかったという若い女性も多々おられるわけなんですね。そういうことを是非とも解決せねばと思っております。

 それで、一つ、私、ニュースで驚きましたのが、動画販売サイトに未修正のわいせつな動画を投稿、二億円以上稼いだか、男逮捕ということで、昨日、女子高生物などと言われるアダルトビデオを売って、二億円以上稼いだ男が逮捕されました。これはまさに、私がこの委員会で資料を配付して、今も読み上げますが、四月一日法改正、十八歳JO三年、今までためていた秘蔵映像JO第一弾ということで、こんなことが起こっていいのかということを国会で取り上げさせていただいて、無修正のわいせつな動画という容疑ですけれども、とにかく逮捕されました。百十三本を販売し、二億九千四百万円を売り上げかというふうに言われております。

 何が言いたいのかといいますと、私も、こういう問題を国会で取り上げるのはいかがなものかと私自身ちゅうちょはしましたけれども、駄目なものは駄目ということを国会で私たちが取り上げることによって、別に、私の質問ですぐ捕まったと言う気はありませんけれども、そういうことも含めて、警察も動き、やはり私たちは、こういう子供、男性、女性、弱い立場の方を守るということが必要ではないかと思っております。

 また、今日配付資料に入れさせていただきました、今日の配付資料の中に、カラーで十六ページを見ていただけますでしょうか。

 つまり、今回、この性暴力の被害の方の相談に取り組んでおられるぱっぷすさんが本を出されまして、「ポルノ被害の声を聞く デジタル性暴力」という本でありますけれども、やはりこの本の後書きを読んで、私、非常にショックを受けました。この本の後書き、最後にこう書いてあるんですね。性被害を打ち明けるという高いハードルを乗り越えて、ぱっぷすに相談を寄せてくださった方々の勇気ある行動に深甚なる謝意を表します、そして、アダルトビデオ被害を受け、無念を晴らすことなく自死した女性たちのみたまにこの書物をささげますと。

 残念ながら、このアダルトビデオ被害で自ら命を絶った方、無念のうちに、そういう方もおられるんですね。このデジタル性暴力の深刻さ、たった一回の契約で、たった一回の契約で人生が破壊されかねない。

 そして、この本の中にも、少し読み上げさせていただきますと、アダルトビデオに出演したことによってどのようなことが起こっているか。百二ページ、出演者は、社会的非難、嘲笑、蔑み等により見せ物とされる、さらされる。特に出演名と実名とがひもづけされたとき、見せ物度は一層高まる。加害者によって性行為の映像を撮られ、アダルトビデオとして本人の意に反して流布されたばかりに高校を退学させられた。アダルトビデオに出演したことが大学側に知られて退学を迫られた。会社を退職させられた。あるいは職場でうわさを流されて、いたたまれず退職した。就職面接でアダルトビデオ出演を知られ、断られた。アダルトビデオ出演を知った夫が離婚を迫った。離婚した。婚約を解消させられた。子供のママ友グループに知られ、いづらくなったり、子供がいじめに遭った。地域社会から自分自身や家族が排除され、引っ越しを余儀なくされた。

 そういう意味では、契約書にサインしたんでしょうと、したんでしょう、あなたがといっても、十八歳、十九歳を始めとして、そういう方に、契約をさせたからといって一生デジタル性暴力でアダルトビデオが出回るのは、これは契約だからしようがないで済むはずはないと思います。

 そこで、今回、与野党力を合わせて法案を作りました。一番大きなポイントは、これについては、アダルトビデオ出演被害防止・救済法案ということで、今は、契約して出演してしまうと、相当の違法行為がないとなかなか販売店へ回収ができませんが、今回は、画期的なのは、出演してアダルトビデオが販売されても、二年以内だったら、経過措置の二年間は二年、それ以降は一年ですけれども、最初二年間は、二年以内だったら無条件に契約解除ができて、販売停止、アダルトビデオを回収ができる。そういう意味では、これはもう本当に被害者にとってはめちゃくちゃ強い、強力な武器となる法案であります。

 ところがというか、これ、今はこの法律がないから、この四月以降、未成年者取消権がなくなって、十八、十九の方が契約させられて何とか解除してほしいという相談が今でも残念ながらもう出てきているけれども、今はなかなか武器がないんですね。

 ついては、内閣府の林局長さんにお伺いしたいんですが、これ、私たち、当然、超党派力を合わせて六月上旬には成立させたいと思っていまして、また、翌日施行なんですね。例えば、六月十日に成立したら、六月十一日以降の契約は取り消せる。ところが、六月十日の契約が取り消せない、これは本当に大変なことになるんです。

 ついては、この法案の中では、契約書の中に、疑問点や様々な、取り消したいとかそういうときには、各都道府県にある性暴力、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの連絡先を明記する、契約書に書くんですね。そういうことになっておりますが、例えばこの法律が施行されて、電話しても、ワンストップ支援センターもそれほどアダルトビデオ被害に詳しいわけじゃないんですよね、はっきり言って、現時点では。

 ついては、林局長に、まだこれは法案審査じゃありませんから、一般論としてお伺いしたいんですけれども、成立したら翌日から施行される、そのときにはマニュアルがないと、こういうケースは無効になりますよとか、マニュアルがないと相談に乗りようがないし、もっと言えば、被害者、業界、国民も、この法律はこういう権利があって、こういうところが無効で、こうすれば刑罰があるんですというQアンドAなりマニュアルを、相談員用、社会用、私たち用に、是非、作るために、成立してから作り出したら遅くなりますから、今から準備をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論になって恐縮でございますが、新しい法律が施行される際には、御質問いただきましたQアンドAなど、法律の内容について関係する多くの方々に御理解いただくことが大変重要でございまして、私どもとしても、必要な分かりやすい資料を取りまとめて周知を行っていくということが非常に重要と考えております。

山井委員 これは非常に重要です。

 例えば、今回の法案では、今まででしたら、その日契約して、その場で撮影するというのが残念ながらあったんですね。でも、この法律では、契約してから一か月後でないと撮影できないとか、それとか、今までは簡単なぺらっとした契約書で撮影したケースがありますけれども、今回は、詳細にどういう撮影をするかということを書かないと無効になるとか、そういうふうなことがございます。

 それで、そういうふうなことも含めて、是非きっちりQアンドAを早急に作っていただきたいですし、そのためには、被害者の支援団体の方々の要望とか疑問とか、そういうものも聞きながら、早急にQアンドAを作っていただきたいと思います。

 それで、令和二年三月に一度、大々的なアダルトビデオ出演被害の実態調査が行われたんですが、是非、今回再びやっていただきたいと思います。その内容を、是非、十三ページ、見ていただきたいんですけれども、私、ちょっと、にわか勉強で恐縮なんですけれども、私の立場で声を大にして言いたいのは、多くの被害者は、サインした私が悪い、私が悪いと責めるんです。

 でも、ここの十三ページの内閣府のアンケートにもあるように、仕事を選べる、嫌なことはしなくてよいなどと説明を受けたから、これは、モデルとかいろいろそういうもののアルバイトをして性的画像を撮られてしまったとか、そういう方のアンケート調査です、内閣府の。今言ったように、仕事は選べる、嫌なことはしなくていいなどと説明された、断ることができると思わなかったから、断ってもしつこく要求された、とにかくこの状況を終わりにしたいと思ったから、個人情報を知られており、断ったらどうなるか不安だったということであります。

 そして、この配付資料にもありますように、今回のこのぱっぷすさんの本にも書いてありますように、次、十五ページ、見ていただけませんか。つまり、独り歩きする自由意思、内閣府の報告書に見える自発的ではない同意の実態、ここなんです、この問題の本質は。同意なんですよ、でも、自発的じゃないんですよ。断れなかった、断り切れなかったということなんです。

 それで、その前にもあります、強要が駄目だと、だましたり脅したりしたら駄目だというんですけれども、強要の実態は精神的な軟禁状態、立証の難しさ、それが立証できないんです。

 そして、この十四ページにあります、第四章、AV出演強要問題から見える自発的ではない同意、自由意思と強制のはざまで。だから今回、無条件で二年間取り消せると。これ、業者に厳しい、あるいは、いや、サインしたのに何で無条件で取り消せるんや、おかしいやないかという議論はないわけではないんです。それに、かつ、私たちは、少なくとも十八歳、十九歳には、五年間無条件で取り消せる取消権を要求をしておりました。

 なぜかというと、私が言うのも僭越なんですけれども、自由意思で契約したといっても、それは自由意思と言えないんですよ。断れなかったということなんですよ。断れなかったということで、一生そのデジタルタトゥーを背負っていいのかということです。

 ついては、この内閣府の令和二年の調査と同様の調査を、再度、この際、もう一回やるべきではないかと思います。いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、先ほど委員御指摘の調査をいたしまして、この調査の結果を見ますと、例えば、若い女性の二四%、四人に一人がモデルやアイドルなどの勧誘を受けた経験があり、また、モデルやアイドルなどの勧誘を受けたり応募した経験のある女性のうち一三%、約七人に一人が、聞いていない、同意していない性的な行為などの撮影の要求を受けたことがあるということで、若い世代には、このAV出演被害の問題は大変身近な問題になっているというふうに認識をしております。

 先週、山井委員も参加されていますAV出演被害防止に関する各党実務者会合において、各党において協議する素案として、AV出演被害防止・救済法案が取りまとめられたと承知しております。

 今回の議員立法の御議論の状況も踏まえ、私どもとしては、被害の実態把握など、必要な対応をしっかり検討してまいりたいと存じます。

山井委員 是非、この法案の成立をすれば、それを機に、アダルトビデオ出演被害防止、救済、根絶の元年に今年をしていただきたいと思います。

 それと、それに加えて、残念ながら、一番私が不安に思っておりますのは、三月末で、五年間あった未成年者取消権がなくなった。今回の任意解除は二年になったわけです。五年から二年に短くなってしまったわけですね。そういうこともあって、先ほどの逮捕されたビデオもそうですけれども、十八歳、十九歳というのは狙われるんですよ。

 ついては、実態調査の中で、二年後に見直すわけですから、ワンストップ支援センターでの相談状況や、ぱっぷすや被害者支援団体での相談状況、また、インターネット検索などにより、十八歳、十九歳や高校生の出演をうたったアダルトビデオの増減なども把握すべきではないでしょうか。

 つまり、インターネットで高校生物、十八歳物、十九歳物が増えたら、この法案が成立しても効果はなかったということになりますから、インターネット検索とか、これは一議員とか、そういうものができるわけじゃありませんからね、毎日そんなことは、当然。やはりこれは、誰もやりたくない検索だとは思うんですけれども、こういうことをきっちり、どうなっているかを見ないと今後見直しをできないし、また私もこの件は国会質問したいと思うんですが、今の実態把握について、いかがでしょうか。

林政府参考人 被害の実態把握につきましては、本当に大事な課題だというふうに認識をしております。

 議員立法の議論の状況を踏まえ、私どもとしても、被害の実態把握など、必要なデータの収集など、必要な対応をしっかり検討してまいりたいと思います。

山井委員 是非これは、現状把握しないと見直しもできませんし、二年以内の見直しになるわけですから、残念ながら、法律ができても、アダルトビデオ業者が抜け道、脱法的なことを考えてどんどん被害者が増えているのであれば、一年以内でもこれは早急に見直さねばなりません。

 次、後藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 これは、先ほど言いましたように、今後、画期的なんですけれども、各都道府県の性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに契約書を書いてしまった人の相談とかが行くことになるんですけれども、結局、このアダルトビデオの出演、やめたらいいですよとアドバイスしても、いや、生活していけないんです、居場所がないんです、あるいはお金を返せないんですとか、根本は、残念ながら、多くの場合、貧困なんですよね。

 就労支援、福祉の支援、あるいは住む場所の支援などをセットでワンストップ支援センターと連携してやっていただかないと、この問題ははっきり言って内閣府だけでは対応できないと思うんですけれども、その辺り、ワンストップ支援センターと、福祉や就労や、あるいは若年者の家出や虐待をされた方々の居場所ですね、またアウトリーチも含めて、そういうものの整備について、後藤大臣、答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 婦人保護事業につきましては、生活困窮、性犯罪、性暴力被害など、女性の抱える問題が多様化、複雑化している中で、その抱えている問題やその背景、心身の状況等に応じて適切な支援を受けられるように、多様な支援を包括的に提供するための体制整備が重要でございます。

 こうした支援を提供するためには、今委員御指摘のあったような、性暴力、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターを、あるいはそれを所管する内閣府を含めて、関係省庁の施策の連携が重要だというふうに考えています。

 支援に関係する機関等の連携体制の構築を目指す、困難な問題を抱える女性支援連携強化モデル事業を活用するなどして、関係省庁としっかり連携して、適切な支援に取り組んでいきたいというふうに思います。

 また、様々な困難を抱えた若年女性は、自ら悩みを抱え込んでいることで問題が顕在化しにくいという問題もありまして、公的な支援につながりにくい側面があることも指摘されておりますし、認識しております。公的機関と民間団体が密接に連携して、個々のケースに応じたきめ細かな支援を実施していくということが非常に重要だと思います。

 平成三十年にモデル事業として立ち上げた若年被害女性等支援事業を令和三年度から本格的に実施に移行させまして、地方自治体、NPO等の民間団体が連携して、待ちの姿勢ではなくて、アウトリーチからの相談対応や居場所の提供、自立支援等を実施する事業への国庫補助を行うなどして、そうしたものも一体として実行をしていくということでしっかりとサポートしていきたいというふうに思います。

山井委員 一言で言えば、これだけアダルトビデオの被害者が出ているというのは、私は福祉の敗北だと思うんです。やはり、私も福祉をライフワークとしておりますが、しっかり厚生労働省としても頑張っていただきたいと思います。

 それで、林局長にお伺いしたいと思います。

 ちょっと質問通告には入っていないんですけれども、昨日の塩村議員の内閣委員会での質疑を昨夜ちょっと聞いておりまして、今、実は、性行為を伴うアダルトビデオは禁止するということを法制化できないかという議論が出てきております。

 それについて、林局長は昨日、塩村議員に対して三点挙げておられるんですね。今までそのようなことが国会で議論されていない、また政府の審議会でも議論されていない、また性行為を伴うアダルトビデオが違法とされていない判例もある、そういうふうなことで、なかなかすぐには困難じゃないかというような答弁をされていたんですが、ここはちょっと、今、私たちも与野党あるいは団体の方々と議論しているところなので、答えられる範囲で、昨日と同じ趣旨の答弁でも全然構わないんですけれども、やはり、いわゆる性行為を伴うアダルトビデオの禁止の法規定が、現時点で、昨日困難だという答弁をされたんですけれども、その辺りについて、林局長さん、内閣府の認識をお願いいたします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論として申し上げますと、ある行為を規律するためには、その行為を的確に定義をする必要がございます。一つの法律の中で、ある行為に関する契約を規律する一方で、その行為自体を禁止した場合、論理的な整合性を図ることは困難ではないかと考えられます。

 また、AV出演契約につきまして、判例を見ますと、例えば、刑事事件において、芸能プロダクションである有限会社及びその代表者らが、雇用した労働者をアダルトビデオ制作会社に派遣した事案について、アダルトビデオへの出演行為は労働者派遣法第五十八条の公衆道徳上有害な業務に該当するとした裁判例があります。他方で、プロダクションが、アダルトビデオ出演の専属契約に違反したとしてアダルトビデオの女優に対して損害賠償を請求した事案について、アダルトビデオ出演の専属契約を有効とした上で、女優が損害賠償義務を負うとした判例もあるということで、様々な判例がある状況でございます。

 また、政府部内では、現在、AVを禁止する法律を検討している審議会はございません。

 このような状況を踏まえますと、AV禁止法を現時点で直ちに制定をするのは困難であると言わざるを得ないというふうに考えている次第でございます。

山井委員 今のが政府の認識でありましたが、またこのことは支援団体の方々とともに議論を続けていきたいと思っております。

 もう時間が来ましたので、最後、要望だけに終わらせていただきますが、今、別に私、女性の方から聞いたんですけれども、女性のトイレに入ると、DV相談何番という、そういうステッカーが貼ってあると女性の方から聞いたんですけれども、例えばDVとアダルトビデオをセットで、やはり、是非是非お願いしたいのは、幾ら法律を作っても、ほとんどの人は知らないんですよ、はっきり言いまして。これは業者にも知ってもらわないと駄目だし、今増えている個人撮影の人にも知ってもらう必要があるんです。

 二年間は無条件に取り消せるんです、このことを多くの女性の方々、男性の方々、業者の方、一般の国民も知らないと、幾ら法律を作っても被害者は増え続けますので、そういう分かりやすい、DVとアダルトビデオをセットにした、今言ったように、二年間は取り消せるんです、無条件に、撮影したり契約したらもう終わりじゃないんですというような分かりやすいポスター、パンフレット、インターネットでの発信、それとステッカーなどもお願いできればと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

橋本委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の小山展弘です。

 本日は、厚生労働委員会で私に質問の機会を与えていただきまして、また、山井筆頭理事を始め、厚労委員の先生方には深く御礼申し上げます。

 また、本日、労働者協同組合法の改正案について委員長より御提案をいただくことを伺っております。労働者協同組合法並びに労働者協同組合法改正法の成立を目指してきた協同組合振興研究議員連盟並びに協同労働推進議員連盟の事務局で関わってきた者として、この議連にも御参加いただいていたり、また、今も御参加いただいております橋本岳委員長、また、後藤大臣を始め、長妻先生、柚木先生、言い出したら切りがなくなってしまいますけれども、与野党の全ての関係者の皆様方に心より御礼申し上げたいと思います。

 この法律の経緯を少し私からも申し上げさせていただければと思いますが、公明党の坂口先生や自民党の長勢甚遠先生、民主党の仙谷由人先生を中心に、かつて協同労働議連がありました。当時は、私の当選同期の藤田憲彦議員も事務局として活躍しておりました。私も一メンバーとして参加しておりましたが、当時は法的問題を乗り越えられずに、その後、議連の活動もだんだん十分なものでなくなってきておりました。

 また一方で、二〇一二年が国際協同組合年という年でございまして、それを機に、私も設立メンバーとして関わりました協同組合振興研究議員連盟が設立され、この議連が二〇一七年に、当時の議連会長でありました郡司彰会長が参議院の副議長に就任されたことに伴いまして、自民党の河村建夫先生を会長、公明党の太田昭宏先生を顧問、山田俊男先生を幹事長、そして篠原孝先生と桝屋敬悟先生は幹事長代理、それから森山裕先生は副会長に御就任いただきまして、本格的な超党派議連として再スタートし、当時、私も事務局長を務めさせていただいておりました。

 そして、二〇一七年三月の議連総会で、労働者協同組合法を議員立法で成立させることをこの議連の目標とすることを決議しまして、多くの先生方の御尽力、御協力によって、労働者協同組合法、成立に至ったと認識いたしております。

 とりわけ公明党の桝屋敬悟先生には多大な御尽力を賜り、桝屋先生なくしてこの法律、そしてまた、本日、委員長提案ということでこの後議事としてあると伺っておりますが、この改正案の提出というものはなかったと、改めて、強く感謝の意を込めて申し上げたいと思います。

 労働者協同組合は、法制化以前においても、行政が対応できない、あるいは営利企業が事業の対象とできない地域の困り事などのニーズを非営利の事業として運営し、地域の困り事などの課題を解決して、地域の維持や発展にこれまでも寄与してきました。また、障害者自立支援や引きこもり者の社会復帰、過疎地域での地域づくり、独居老人の介護などにおいても実績を上げてまいりました。

 今回、今年の十月一日に法施行ということになりますけれども、また、改正案もそれまでにどうしてもこの国会で通していただきたいと思いますが、他の非営利団体とともに労働者協同組合の活動がより活発になること、そして、その結果として様々な社会問題が解決していくことを期待したいと考えております。

 それでは、質問させていただきたいと思いますが、この労働者協同組合法について、二〇二一年二月八日の予算委員会で、桝屋敬悟衆議院議員の質問に対して、当時の菅総理は、労働者協同組合により、地域の問題を地域の皆さんで助け合いながら解決していく、そういうことを大いに期待したいと答弁をしております。

 この後、岸田内閣が発足しましたが、改めて、政府は、この労働者協同組合法について、どのような評価を持ち、どのような期待をされていますでしょうか。

後藤国務大臣 現在、厚生労働大臣の立場でございますけれども、今委員の方から、本当に長らく、超党派の議員連盟、多くの皆さんの思いがこれまで詰まった、そうした法案になってきたということを私も改めてしみじみと思い返したところでございます。

 超党派の議員連盟の検討がスタートした二〇〇八年以降、二〇一七年からは具体的に法文を書くという作業を、田村座長の下で、私も事務局長として、協同労働法制化に関するワーキングチームで法律作成の一端を関わらせていただきましたけれども、その後、本当に超党派の皆様の御尽力によりまして、法案が全会一致をもって二〇二〇年十二月に国会で成立いたしました。

 そして、今の御質問にお答えをするわけでございますけれども、本年十月に施行されるわけでございますけれども、労働者協同組合は、例えば介護だとか、子育てだとか、福祉分野だとか、本当に幅広い事業が行われることが考えられます。

 この制度によりまして、多様な就労機会を創出するとともに、地域における様々な需要に応じた事業が実施されることになります。特に、継続的な事業を前提として、非営利という形で、お互いに相談をしながら共同で事業を行っていくということは、地域づくりの事業には非常に向いている、そういう形の制度でございます。

 地域の問題を地域の皆様で助け合いながら解決していただくこと、まさにぴったりのそういう法律であると思いますし、そうした活動が大きく拡大していくことを期待しております。

小山委員 今、大臣の答弁を伺っていまして、田村憲久先生や与党のワーキングチームの皆様方にも大変御尽力賜りましたことを、お話を先ほど申し上げるのが漏れておりまして、本当に改めて御礼申し上げますとともに、桝屋先生への菅総理の答弁を岸田内閣でも引き継いでいるということを伺いまして、今後とも、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 当時、この桝屋先生の質問に対して加藤官房長官は、労働者協同組合法について、単なる周知だけではなくて、いかにこの新しい制度を地域社会の活性化の実現につなげていくか、厚生労働省のみならず政府全体、そして地方自治体とも連携しながら取り組んでいきたいと考えておりますと答弁をいたしております。

 労働者協同組合法の施行の認知度の向上について、今年度、予算措置も図っていただきまして、大変これは有意義だと思っておりますけれども、この予算措置、是非、認知度の向上、周知のみならず、今後も確保していくべきと私は考えますけれども、厚労省の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 今御指摘がありましたように、今年度、労働者協同組合法の円滑な施行のための予算を講じまして、労働者協同組合の設立等に関する電話相談だとか、ウェブページにおける好事例や設立手続等を分かりやすく紹介するなど、周知広報と支援策を講じているところでございます。

 今後も、制度の円滑な施行のために適切に対応してまいりたいと思っております。

小山委員 まだまだ、先ほどの山井委員のお話じゃないですけれども、法律ができたといってもなかなかみんながそれを知らない、知ってくれるまでには時間がかかる。だけれども、今の日本の様々な地域の、公共も、営利企業でもなかなか満たせないニーズ、悩み事、困り事というのはもう既に起きておりますので、是非、この社会的認知度の向上に資する周知活動、今後も、来年度の予算、補正予算も含めて確保していただくように、どうぞお願いを申し上げたいと思います。

 それと、先ほどの質問の中で触れさせていただいた加藤官房長官の答弁にもあった、政府全体、そして地方自治体とも連携しながら取り組んでいくということですけれども、この認知度の向上や周知活動以外に、地方自治体との連携についてどのような対応を政府としてお考えでしょうか。

後藤国務大臣 労働者協同組合法の施行に向けて、今年度は、地方自治体と連携をして、全国七ブロックでフォーラムを開催しまして、いろいろな形で成功事例、参考事例を紹介したり、あるいは御理解を深めていただくような活動をいたします。

 また、政省令や指針を始めとした制度の詳細に関しまして、都道府県への説明会を来月開催する予定でございます。

 引き続き、利用のされ方は本当に多種多様であるというふうに思っております。先ほど事業の例として挙げたのは、厚生労働大臣として私の足下の事業を挙例に挙げましたけれども、これは、農業の分野においても、様々な活動の分野、教育の分野、本当に幅広く、地域づくりの活動にも使えると思います。

 地方自治体としっかり連携しながら、労働者協同組合法の円滑な施行に努めてまいりたいと思います。

小山委員 今、後藤大臣がおっしゃったとおりで、本当に、厚労の分野だけではなくて、厚労省が所管ということにはなりますけれども、多省庁、多分野にまたがっている。株式会社といって株式会社でいろいろな事業ができるのと一緒なように、労働者協同組合というのはいろいろな事業ができて、実はこの法案の最初に、最初というか、いよいよ条文を作るというようなときに、労働者協同組合法として作るのか、戦前の産業組合法のようなものを復活させて、いろいろな協同組合、省庁横断的に作るのか、どちらの方がいいんだろうかというようなことが出発点の時点で、そんな頭の体操というか議論があったことも思い起こしながら、今、大臣の答弁を伺っておりました。

 地方自治体でもまだまだよく認知も進んでいないところもございまして、実は五月二十三日に静岡県の方にも団体の方とこの法律の説明に、知事のところに行ってくるんですけれども、是非こういった説明会の開催など、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、ここが今後の多分一番の争点になってくるのではないかと、争点というか課題になってくるのではないかと思いますが、法施行の前に、先ほど既に実績があるというお話をしましたが、今までは、自ら出資をして、みんなで話し合って経営判断をして、自ら働いていくという働き方を、このところは変わらないんですけれども、法人格というところでは、NPOさんであったり企業組合さんであったり、そういった他の法人格を取って行政の委託事業などを受託してきた、そういう団体がございます。

 これらの団体の、そういう、今まで協同労働という働き方をしてきてNPOとか企業組合さんなんかの法人格を取ってきた団体の中には、相当数が労働者協同組合に移行することが予想されます。その際に、地方自治体を含む、省庁も含めた行政との契約が、この組織が、実態は名称変更なんですけれども、契約が解消されちゃうんじゃないかというような心配、懸念がございます。

 円滑な移行のために、厚労省は、都道府県に対して通知、通達の発出を始め、他省庁とも連携しつつ、必要な措置を是非講じていただきたいと思いますが、地方自治体に対して、あるいは国の機関に対してどのように周知あるいは指導する方針でありますでしょうか。

後藤国務大臣 今、小山委員の方から御指摘があったいろいろな課題なり危惧の中で、特に、例えば介護、障害の分野なんかは、例としてはそういうことになりますけれども、許認可等を必要とする事業を行うNPO法人等が労働者協同組合に組織変更をする際に改めて許認可等を取得することが煩雑なことにならないか、こうしたことは非常に重大な点だというふうに思っています。

 円滑な組織変更に影響が生じる可能性があるという御指摘もいただいているわけでありまして、労働者協同組合が引き続き行う事業としては様々な事業が想定され得ますから、今後、関係団体などから現状をよく聴取した上で、他省庁や都道府県等との連絡を図りつつ、こうした許認可等に関する手続をできる限り簡略化するように努めてまいる、このことが重要だというふうに思っています。

小山委員 是非お願いしたいと思います。実態として法人の同一性を維持しておりますので、是非、その実態の観点からの温かい御対応をお願いしたいと思います。

 また、大臣の答弁にも今ございました介護保険の分野では、平成十三年三月二十八日の厚労省老健局振興課発出事務連絡に、組織変更の場合には、会社の法人格は前後同一であるため、新規に申請、指定を行うのではなく、変更届出によることとして差し支えないとあります。

 各業種によって異なり、許認可ということになりますと、それぞれの省庁の所管ということにもなりますが、是非、法人の同一性の維持に御理解賜れるように厚労省さんからも御尽力賜れればと思っております。

 それと、ちょっと一般論として申し上げたいと思いますが、労働基準法を始め労働者保護法制が守られていない、いわゆるブラックな企業や、あるいは劣悪な労働環境を強いられているケースが深刻な社会問題ともなっております。議員の事務所でも、残念な話で、雇用契約を結ばずに業務委託契約を結ぶような、そういうケースもあったやに聞いて、これは十分な理解がなかったということで善意に解釈したいと思っておりますけれども、労働者協同組合法の立法過程においても、いわゆるチープレーバーづくりに悪用されないかなどの危惧が寄せられました。そのことを踏まえて、労働者協同組合法では厳密に労働契約の締結を義務づけております。

 労働基準関係法令の遵守のためには、労働者協同組合を含めて広く必要な指導や監督を行っていく必要があると考えますけれども、厚労省としてどのような指導方針を考えておりますでしょうか。

後藤国務大臣 出資をした方が、自ら経営の方針も決めながら、なおかつ労働者としての保護を得られるようにするというのがこの協同組合の最も特徴的なところでございまして、そういう意味におきましても、組合の事業に従事する一般の組合員が労働者としての保護を受けられないような事態は生じてはならないというふうに考えております。

 法制度的には、法二十条において、組合は代表理事等を除く組合員との間で労働契約を締結しなければならないとしておりまして、これに違反する事案が生じた場合には都道府県が是正指導を行うことになりまして、その後のサンクションもございます。厚生労働省としては、都道府県等と連携して、法の適正な運用がなされるように、制度の運営、運用、周知を図っていくことになります。

 また、労働基準監督署では、働く方の適正な労働条件を確保するために、労働基準法を始めとした労働基準関係法令の違反に対して、これは強制法規でございますから、厳しく是正指導を行っていくということでございます。働く方の契約の名称にかかわらず、労働基準関係法令違反がある旨の申告が労働基準監督署に対してなされた場合には、仕事の依頼や業務指示等に対する諾否の自由があるのか、業務を遂行する上で指揮監督を受けているか等の実態を勘案して総合的に判断して、労働者として認められる場合の是正、しっかりと指導を行っていきたいというふうに思います。

 引き続き、働く方の法定労働条件の履行確保に向けて適切に対応してまいります。

小山委員 今日は一般質疑ということで、労働者協同組合法以外のことも少し質問をさせていただきたいと思いますが、宮路先生とお会いするとついつい農水委員会のことを思い出してしまうんですけれども、議連の方にも御協力いただいてありがとうございます。

 平成二十七年四月の農協法改正におきまして、旧農協法第八条で、組合は、その行う事業によって組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行ってはならないとの条文を削除いたしました。私たちの当時の党はこの法改正には反対をしたんですけれども、一方、今私がこの質問でお話をしてまいりました、二〇二〇年に全会一致で成立をした労働者協同組合法は、第三条において、組合は、営利を目的としてその事業を行ってはならないと規定をされております。

 同じ協同組合の名を冠する以上、協同組合間でその根拠法が大きく異なることは是正すべきではないかと考えます。協同組合の一部の事業が独禁法の適用除外になっていることや、協同組合の非営利性を勘案すれば、農協法にも、旧農協法に記載されていたとおり、営利を目的としてその事業を行ってはならないとの記載を復活させるべきではないかなとも考えますけれども、政府の認識を伺いたいと思います。

武部副大臣 営利を目的としてその事業を行ってはならないというのは、農協は株式会社でございませんので、出資配当を目的として事業を行ってはならないという意味でございまして、事業によって利益を上げてはならないということではありません。

 平成二十七年改正以前には、この農協法の第八条に規定されておりましたけれども、利益を得てはならないとか、農協はもうけちゃいけないんだ、そういう誤解がありましたために、有利販売などを推進していただいて、農協が農業者の所得向上のために最大限配慮して事業を進められるよう、同改正の際に、営利を目的としてその事業を行ってはならないという文言を削除させていただきました。

 農林水産省としては、農協が農業者の所得向上のための取組を更に進められるよう、本年一月に関係通知等を改正しまして、農協の自己改革実践サイクルを前提に、農林水産省が指導監督を行う仕組みを構築したところでありまして、その運用等について、農協の取組を後押ししてまいります。

 なお、各協同組合法制において、それぞれの協同組合の特性、特質を踏まえて規定が整備されるべきでありまして、いずれかの法律にあるものが必ずほかの法律に規定されなければならないというわけではありませんで、様々な協同組合法の中でも、この営利目的の文言が、規定があるものもあれば、ないものもあるということでございます。

小山委員 今日は武部副大臣にも厚労委員会まで足をお運びいただきまして、ありがとうございます。

 今のお話のことで、実はもう一問、政府の方に質問を用意しておりましたんですが、それは、協同組合を共通する、横串で貫く協同組合基本法や、あるいは、野田内閣のときに残念ながらできなかった協同組合憲章の政府での閣議決定といったようなこと、こういったことは進めていったらどうでしょうかという質問をしましたら、答弁する部署がありませんということで、まず部署をつくっていただけるように。また、この協同組合の共通性や基本理念って何なのかということも、これはやはり、私も議員の中で現場の声を聞きながら、これから考えていきたいなと。余り先走ってJCAさんに怒られてもいけないです、現場の声を聞いていないと言われてもいけないですけれども、そんなことも考えております。

 最後になりますが、新しい公共、私どもではこのように民主党政権の当時申し上げておりました。様々な社会の問題に対して、先ほども申し上げましたが、行政も対応することができない、それから営利企業もニーズを満たせない、そんなに収益性が高くない、そういうのをどうやって解決していくんだと。ボランティアさんとかもありますけれども、NPOさんやあるいは協同組合といった非営利事業がこのニーズを満たしつつ、経済も回しつつ社会の悩み、課題を解決していくんだ、こういう考え方だったわけです。

 平成二十七年三月十日に予算委員会で、このことを当時の安倍内閣でどう受け継いでいますかと聞いたら、共助社会づくり懇談会として受け継いでおりますということでした。今年の二月十六日にも同じような質問をしておりますけれども、改めて、労働者協同組合法の施行を前に、岸田内閣として、言葉は変わっても、私どもからすれば新しい公共というものについてどのように認識し、拡充を図っていくのか、お尋ねさせていただきたいと思います。

宮路大臣政務官 今日は、農水という立場ではなく、この場に内閣府の政務官として立っておりますが、小山委員とは、衆議院農水委において、お茶どころ、静岡と鹿児島ということで、大変切磋琢磨させていただいたこと、感謝申し上げております。

 今ほど御質問いただきました新しい公共に関してですが、去る五月五日のロンドンにおける基調講演で岸田総理が述べられた、これまで官の領域とされてきた社会課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらいます、あるいは、社会課題を障害物と捉えるのではなく、成長のエンジンへと転換していきます、あるいは、官民連携で社会課題を解決するとともに、力強く成長するといった方針は、議員が御質問の中で紹介された新しい公共の考え方に沿うものであるというふうに考えております。

 こうした官民連携を進めるため、内閣府においても、野田大臣の下、NPOに関する施策や休眠預金活用制度など、共助づくりに必要な施策を引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 時間が参りましたので終わりますが、是非、この民というところで、営利企業、また、この営利企業が時とすると国家戦略特区会議みたいに癒着を疑われるようなものではなくて、また、非営利事業でもこれは癒着があってはならないんですけれども、非営利事業体の振興ということで、また是非、宮路先生にも御尽力賜れればと思います。

 できれば、是非、厚労委員会でも、コロナが収まりましたら緑茶、冷茶を水の代わりに出していただければ大変ありがたいと思いまして、これで質問を終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 中島克仁でございます。

 前回の積み残しの、児童虐待相談通報経路、また、かかりつけ医の機能強化、制度化の今後の進め方について、後藤大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、児童虐待相談の対応件数、虐待相談経路についてでございますが、資料の九枚目にお示しをさせていただいております。

 令和二年度中に児童相談所が対応した児童虐待相談の対応件数は二十万五千四十四件、過去最多となっている。一方、通報経路別に見ますと、警察が五一%、近隣知人が一三%、学校、家族、それぞれ七%となっております。子供の心理的、身体的変化に気づきやすい場所、学校や医療機関からの通告、相談は、医療機関で全体の二%、十年前とほとんど横ばい、学校においては全体の七%で、十年前に比べると約半分の割合となっております。全体の増加数の中では、医療機関、学校からの通告、相談はむしろ割合としては減っていると言えます。

 医療機関では子供の身体的変化、学校では心理的変化に最も気づきやすい、虐待の早期兆候を見つけやすいと考えられますが、割合が少ない現状、その理由についてどのように分析されておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

後藤国務大臣 児童相談所における虐待相談対応件数につきまして、医療機関及び学校現場からの通告数は、いずれも令和元年度から令和二年度にかけて減少しているわけですけれども、ここ数年間のトレンドは増加傾向であり、現時点では、医療機関、学校現場からの通告数が減少であるという全般的な評価はしておりません。

 一方で、医療機関、学校現場からの通告件数の総数に占める割合が少ないというのは、これはそういうことでございまして、警察等との連携強化により警察等からの通告が著しく増加したこと、特に警察は、十年間で二九%から五一%ということで、特にDV事案への積極的介入を行うことを平成二十五年に体制確立したことに伴いまして、通告が倍以上伸びております。

 そして、端緒となったところに近いという意味で、警察等の通告が著しく増加していること、それから、国民の皆様の児童虐待防止に対する意識が非常に高まりまして、近隣知人、家族、親戚、そうした方からの通告も多いというふうに思っておりまして、通告全体に占める医療機関、学校現場からの割合が相対的にこれは少なくなっているというふうに申し上げられると思います。

 その上で、個別に申し上げると、医療機関からの通告については、外傷等があるケースについて、子供の通院や救急搬送等を端緒に医療機関が把握することとなるために、一定数については医療機関が関与する前に関係機関から通告されているような事情もあるだろうと考えられますし、また学校現場については、ふだんからの関係性から児童相談所ではなくて市町村に通告している場合も相当数あるため、児童相談所における虐待相談対応件数が相対的に低くなっているというようなことも挙げられるのではないかというふうに思います。

 いずれにしても、的確に、どういう端緒でこうしたものを把握していくのか、丁寧に見ていく必要があると思います。

中島委員 全体の数字が伸びている、これは、一八九の三桁化であったりとか、国民や関係機関の意識が高まって全体が伸びている。

 私が非常にポイントとしているのは、虐待を通報する、これは、意識が高まってその事実を通報するのと、やはり事前にというか、早期発見する観点ですね。当然ながら、社会全体が子供を見守って小さな変化に早期に対応していく、これが、虐待に関わる重大事件、全てとはいかないかもしれませんが、未然に防いでいく上で非常に大事なんだと。

 私、実は、外来をしていて、お一人、通報したことがございます。日頃通院している御家族、そしてそのお子さんだったんですけれども、やはり、外来に来るとき、今、予防接種とか、市町村で医療費が無料になっていることから、普通に外来に来られるんですね。そして、ワクチンを打ちに来て、問診、診察をしていると、わきの下が真っ黒であった。ただ、お母さんとそのお子さんの関係性というのはとてもそういうふうには見えない。そういうことから、気になって、ただ、日頃近くにいる方ですし、人間関係もあるので、それをどう対応したらいいかなということで、私は知り合いの保健師さんに相談したんですが、それがきっかけで、児童、一時保護になったということがございました。

 そういうことから、医療機関、身体的な特徴であるとか、ちょっとしたあざを見つけるとか、こういうことから、実際に近隣の方が虐待として通報する以前に小さな変化に気がつきやすい、こういう目くばせというものが、医療機関、全体として減少しているという認識ではないと言いましたが、全体が増えている一方で、やはり少ないなというのは、私、実感しています。

 学校現場にはいろいろ事情もあるんだとは思うんですが、医療現場では、子供の身体的な異常、対応の仕方、親子関係などを注視していれば気がつくことは多分にあるのだというふうに思います。

 早期発見のための体制整備、これは厚生労働省も、また日本小児学会も手引のものをお示ししているんですが、資料の十枚目、これはBEAMSという、民間ですけれども、医療機関向けの虐待対応プログラム、ステージが一から三までございまして、このステージ一は全ての医療関係者を対象に、まさに、これは四十五分ぐらいでまず講習を受けられる、虐待を早期発見するためのプログラムということ、ステージ二は小児科の先生、また、ステージ三は虐待専門医、こういう、民間ではありますけれども。

 私も、前にもちょっと受講しようと思って申し込んだんですができなかったので、今国会が終わったら受講をまずしてみようというふうに思っているわけであります。

 この後も引き続いてしますが、今、かかりつけ医機能の強化、今後検討されるということでございますが、児童虐待の早期発見のためのこういった研修を、今後かかりつけ医の機能の中に必須項目とする必要があるんじゃないかな、私はそのように考えるわけですが、大臣、これは明確には通告していないんですが、このBEAMSのような、これはやはり地域のかかりつけ医の必須項目、重要な役割だということに対して、大臣、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

後藤国務大臣 今委員御指摘のとおりで、かかりつけの医療機関を含めて、医師等の医療従事者が、診療の機会を通じて児童虐待の兆しや疑いを直接的に発見しやすい立場、それも早期に発見しやすい立場にありまして、児童虐待への対応における役割は重要なものというふうに考えています。

 医療従事者の虐待対応に関しては、今御指摘のあった虐待医学会が、正確に言えば一般社団法人日本子ども虐待医学会がBEAMSという医療機関向け虐待対応プログラムを開発して、研修を実施されていることを承知しておりまして、厚生労働省としても、地域の医療従事者の皆さんに、児童虐待の医学的な診断や医療機関としての関わり方などについて、より深い理解を深めていただくことが重要だというふうに考えています。

 厚生労働省においては、二〇二〇年度より、医師臨床研修指導ガイドラインにおいて、臨床研修の中で、BEAMSの受講など、虐待に関する研修を必修科目としているほか、令和二年度には、医療従事者向け研修素材を作成するとともに、モデル的に医療従事者に対する虐待対応研修を行うことや、自治体が医療従事者向けの研修を実施した場合の経費の補助、加えて、国自身が子どもの虹情報研修センターにおいて医師専門研修を実施すること等によりまして、児童虐待に関する医療従事者に対する研修実施を支援をしております。

 引き続き、こういった取組を通じて、医療従事者の皆様の児童虐待への理解が進むように取り組んでまいりたいと思います。

中島委員 医療機関、また医師、看護師さん、関係者、早期発見のための体制、今も研修でという話もございましたが、これはやはり何年かするとまた意識が薄れてしまうこともあると思います。

 重大事件を引き起こさないためには、何事もそうですが、予防、早期発見という観点が非常に重要だと思いますし、また、かかりつけ医が果たす役割という、虐待の早期発見もそうでありますが、我が国の社会で浮き彫りとなっている、コロナ、この約二年以上もそうなんですけれども、やはりかかりつけ医が医療の基盤として果たす役割というもの、そして、社会の課題、問題を解決に、そのきっかけをつくれる存在だということを、この虐待の防止に関しても言えるのではないかというふうに思います。

 続いて、そのかかりつけ医の話をしていきたいと思うわけですが、これは資料の一枚目でございます。五月十七日火曜日の報道記事でございますが、「「かかりつけ医」制度整備へ議論本格化」という見出しであります。十七日の全世代型社会保障構築会議で、岸田総理が、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行い、機能分化と連携を一層重視した、国民目線での医療・介護提供体制改革を進めますと述べられました。一方、この一枚目の記事の下のテロップにもあるように、この制度化に向けては、日本医師会は改めて否定的であることも示されたということでございます。

 私、四月の薬機法の対案、関連法案として、コロナかかりつけ医を導入に、今後の我が国の医療ビジョン、恒久的なかかりつけ医を明確に定義をし、そして制度化していく必要、これは再三、私も御質問を大臣にさせていただき、私は問題意識は共有していると思います。今後、本格的な議論が全世代型社会保障構築会議で行われるということで、私も必死に訴えたかいがあったなというふうに思っているわけでありますが、大臣に確認したいと思います。

 この全世代型社会保障本部の構成員というかメンバーとして、厚労大臣として、総理のおっしゃる、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということは、かかりつけ医をまずは明確に定義して制度化するという方向で議論を進めるという理解でよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 制度論としてのお尋ねでございますから丁寧に議論を進めさせていただくとすると、かかりつけ医の定義については、御指摘のとおり、日本医師会や四病院団体協議会から合同提言が出されていますけれども、その在り方に関しては関係者の間で様々な御意見があるものと承知をいたしております。

 日本医師会も、最近出している提言では、かかりつけ医機能に関しまして、包括的かつ継続的に患者を支えること、在宅医療やオンライン診療などの患者に寄り添える方法の選択、医療のデジタル化の推進など、そうした点を提言をしておりまして、日本医師会も、かかりつけ医機能を検討していくこと自体について拒否しているというような認識ではございませんが、大分幅のある議論の展開がそれぞれの関係者でなされていると思います。

 厚生労働省としては、こうした様々な御意見を踏まえつつ、今後、政府として決定した新経済・財政再生計画改革工程表に沿って、かかりつけ医機能の明確化を図るとともに、患者、医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を検討していくこととなります。

 なお、かかりつけ医機能を明確化するに当たりまして、法律上に規定するか否かを含めてどのような形で位置づけていくのか、かかりつけ医機能が発揮されるための制度整備としてどのような方策を取るかに関わるものでありまして、今後の検討の中で整理されるものと考えております。

 そして、かかりつけ医の制度化でございますけれども、高齢化が進展しまして、複数の慢性疾患を有する高齢者が増加する中で、身近で頼りになるかかりつけ医を持つことは重要だというふうに考えております。

 委員の御指摘の制度化について、その意味することがちょっとなかなか定義しにくい場合もありますけれども、その意味でお答えすることが難しいわけですが、かかりつけ医機能が有効に発揮されるための方策として、例えば、患者の選択を容易とするための情報提供や、かかりつけ医機能を持つ医師の養成、研さん、チーム、グループの対応を始め地域内での連携強化など、様々な論点を踏まえて制度を整備していく必要があり、今後、国民の理解が十分得られるように、具体的に制度の検討を進めていく必要があるというふうに思っています。

中島委員 大臣、大変丁寧にお答えいただいているわけでありますが、やはり、今の答弁を聞いていても、かかりつけ医機能を強化するということ、これはもう共有されているというふうに思いますが、これを制度化していくためには、患者さん、また医療者側、それぞれにとってどういう共有ができるか、いい部分があるか、これを議論していくということなんですが。

 私は、以前から言っているのは、まず資料の六枚目、これは平成二十五年の「「かかりつけ医」と「かかりつけ医機能」について」ということで、四病院団体協議会合同提言をされて、このとき、非常に第一歩として踏み込んだなと。ここで、定義も、かかりつけ医とは、そしてかかりつけ医機能とは、これを明言しているんです。ただ、これは法令化されていない。私は、この四病院団体、日本医師会も含み四病院団体が、いや、私、これがまさにかかりつけ医の定義でいいと思いますし、機能でいいと思うんです。だから、この定義を明確に法令化していくということがまず第一のことであって、これはもうまさに日本医師会や四病院団体が示しているものですから、私はこれでいいんだというふうに思います。

 これを果たしていくための実際どういう状況をつくり上げるかということが非常に大事なわけでありますけれども、これは資料の二枚目でございますが、四月二十七日の定例記者会見、日本医師会の中川会長が、かかりつけ医は一人一人の患者さんとかかりつけ医の信頼関係が絶対的な基礎としている、また、同じ記者会見で中川会長は、かかりつけ医は患者が医師を表現する言葉であるとしています。かかりつけ医は患者さん自身が決めるものということなわけであります。

 資料の八枚目は、一昨日の日経新聞の記事でございまして、非常にこの問題の課題というかがちょっと端的にまとめられていたのでお示しをいたしましたが、コロナ禍において、発熱患者を門前払いと言うとちょっと言い方が荒っぽいですけれども、そういった対応をする診療所すら散見されたと。発熱患者はかかりつけ医と思っていたけれども、その医師はかかりつけ医ではないと言われてしまった。この記事では、こうした状況を患者の片思いと表現をされています。

 患者の片思いで終わってしまっていいのか。正直、中川会長の、四月二十二日に出されたかかりつけ医の、我々の思いというものを見ていても、この片思いを解消するということにはやはりつながらないんじゃないかと私は思います。

 ただ、五月十七日の岸田総理の発言は、患者の片思いでは済まさない。いわゆる双方にとっていいにこしたことはないんですが、今浮き彫りとなっている課題は、患者さん側にとってミスマッチが生じていた結果、自宅放置死遺族会の高田共同代表の弟さんも、かかりつけ医はいたんです、いたにもかかわらずいざというときにアクセスできなかったということが今問題になっていることなんだと。

 ですから、これはいろいろ工夫があると思うんですが、私が言っているのは、資料の七枚目、これは各国のかかりつけ医制度の比較というもので、まだまだ下があるんですけれども、明確に定義、そして制度化して、これはもう言うまでもなく、コロナかかりつけ医でもお示ししたように、事前に登録をする。これは、イギリスのGPというのが有名でよく出てくるんですが、これは創設からもう半世紀以上がたち、様々課題も出ています。しかし、フランスは二〇〇四年、そしてドイツは二〇〇八年、オランダも二〇〇〇年代に入って、プライマリーケア機能を発揮するかかりつけ医、それぞれ医療制度は各国によって違いますが、やはり、かかりつけ医を明確に定義し、そして事前に登録をする。

 こういう状況を、もう時代の要請だと私は思います。支払いの仕方とかいろいろ課題はありますが、具体的に定義して、そして事前に登録をして、片思いでは終わらせない。こういう状況をつくることが、私は、岸田総理の言う具体的な法整備だというふうに思っておりますし、信じております。

 大臣、全世代型社会保障構築会議の主要な方として、是非、そこを明確に、そこを目指すんだと、御決意をいただきたいと思います。

後藤国務大臣 今後、かかりつけ医機能が発揮される制度の整備を具体的に進めるということは、これは政府としても目標として掲げておりまして、改革工程表に沿って検討していくこととしております。

 その際、様々な論点があるわけで、先ほども御紹介もいたしましたけれども、患者の医療アクセスの確保の問題を適切に果たしつつ、医療現場の実態も踏まえて、国民の理解が十分に得られるように、速やかに、かつ丁寧な検討を進めていく必要があると思います。

 そして、それを進めていくためには、まず、国民にかかりつけ医を持つことの大切さを周知していくこと、それから、都道府県において行うかかりつけ医の育成研修等の基盤がどうやって整うかとか、かかりつけ医が有効に機能している事例をしっかりと見て関係者の理解を進めていくことなど、そうしたことを的確に進めていきたいというふうに思います。

 いずれにしても、改革工程表に従いまして、かかりつけ医機能の制度を整備をしていくということについては、これは政府の方針でもあり、厚生労働省もそうした、医療、地域包括ケア含めて、責任を持った立場にありますから、しっかりと、国民の理解を得ながらということは、決して逃げたり問題を先送りしようとしているんじゃなしに、今具体的に申し上げたような課題をしっかりと丁寧に分析して、そしてそれも速やかに、こうしたことについて、制度の議論を進めていきたいと思います。

中島委員 時間になってしまいましたけれども、かかりつけ医の制度化は、医師の働き方改革にもつながります。働き方改革、五年の猶予があったんですが、やはり、長時間労働、この是正に関して、具体的な取組策は、本当に、医師の働き方に合わせて医者を増やすか、若しくは権限移譲、アメリカのようなナースプラクティショナー制度をつくって、そして医師の仕事を軽減していく、若しくは医療者の中での役割分担の明確化。こういった観点からも、医師、プライマリーケア機能を評価する。

 資料三枚目、四枚目、五枚目、もう何回もお出ししておりますが、我々、具体的に、プログラム法として、これからの日本の医療ビジョン、グランドデザインを、医療基盤を家庭医制度で築き上げていくというものを明確に我々示しております。私、参議院選挙でこのことを国民の皆様に広く知らしめていきたいと。

 私は、研修医の先生や学生にもアンケートをしました。現状の医療制度とこの医療制度、どちらがいいかといったら、何と、まだ具体的にまとまっていませんが、九割の学生が、やはりこういう家庭医制度の基盤の中で、そして専門性を高めたい学生、また研究したい学生。やはり、これからの時代を担う若い研修医や先生方が選ぶ制度を我々は率先して築いていく責任があるというふうに思いますので、是非、我々の内容、構築会議でも具体的に、これを目指すというものを示していただくよう、リーダーシップを大臣にはお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、医学部の地域枠の従事要件と離脱要件について、まず伺います。

 医師不足の地方にとって、医学部の地域枠は貴重な医師確保の手段であります。地域枠とは、医学部で県に奨学金をもらう代わりに、卒業後九年間はその県で研修や医療をしてくださいねという制度であります。地域枠の制度が、地方にとっても、そしてそこで働く若い医師にとっても魅力的で有意義な制度にする必要があると思い、以下、質問をいたします。

 地域枠から離脱する医学部生が、ここ数年、国会でも問題視をされています。離脱とは、地域枠で医学部に入学をしたのに、卒業後にその県で九年間働かずに、途中でほかの県や海外の病院に行ってしまうようなことであります。

 もちろん、みんながみんな好き勝手に離脱し始めたら、これは地域枠の制度は成り立たず、地方の医師不足も解消されません。私も、原則、地域枠で入学したからには、その地域の医療に貢献すべきだと思っております。しかし、離脱を一人も認めないとか、奨学金を返しても離脱は認めないとか、結婚しても、親が要介護になっても離脱は一切認めないというのは、度を越して、やり過ぎではないでしょうか。

 特に、今医学部を卒業して離脱せざるを得ない、今現在、ここ最近の離脱者というのは、六年前、十何年前に医学部に入学をした方々であります。その頃は地域枠の制度がまだ明確に決まっておらず、説明もいいかげんな学校が多く、奨学金を返せば離脱できると思って入学をした人がたくさんいるわけです。それなのに、今や、離脱をした学生を採用した臨床研修病院は厚労省に補助金を二割カットされるというようなルールもできて、後からできて、離脱した学生は臨床研修が受けられず医師になれない、こういうことになってしまっている。後づけで医師になれないという究極のペナルティーを科しているとすれば、これは常軌を逸しているし、国は裁判で訴えられたら勝てるのかと心配になるわけであります。

 資料の1を御覧いただきたいと思います。昨年、令和四年から入学する医学部生から、ようやく、この資料のように、地域枠がどのような定義を満たさなければいけないかという国の基準ができました。入学するときに都道府県と本人と保護者が、従事要件、それから離脱要件に書面で同意をすること、それから、従事要件は、卒業直後から九年間以上その県内の病院に従事をすること、このぐらいの基本的なことすら昨年までは曖昧で、定義をされていなかったということであります。

 一方で、離脱要件はこの定義にも書かれておりません。厚労省は、一昨年、離脱理由となる例を十項目示しています。家族の介護とか、体調不良とか、結婚とか、あるいは国家試験に不合格、退学、死亡といった極端な例まで、これも単なる例として挙げただけで、例えば結婚や介護のときは離脱を柔軟に認めなさいよということにはなっておりません。

 実際、離脱の要件は県によってばらばらであります。報道では、山梨県の大学では、結婚や介護は離脱の理由として考慮せず、死なない限りは離脱者に奨学金の一括返済と一〇%の利息と違約金まで払わせるという念書を書かせる、こういった報道もありました。

 大臣に伺いますが、私も基本的には、当然、地域枠で入った学生はその地域で働いてほしい、そういう制度だと思っています。ただ、今申し上げたように、離脱要件が余りにも過剰に、厳しくなり過ぎないように、単に離脱理由の例を並べるだけでなく、このような場合はさすがに離脱を認める協議をすべきという国のガイドラインが必要ではないかと思いますが、所見を伺います。

後藤国務大臣 今先生がおっしゃった総論についてはそのとおりだと思いますけれども、地域枠の医師については、例えば、医師不足地域で四年以上勤務することといったような従事要件を設定しまして、本人の意思や家族の介護、体調不良といった事情によって、こうした要件に従って従事できなくなる状況、いわゆるおっしゃっている地域枠からの離脱が起こり得るところでございまして、離脱をできるだけ防いで、医師不足地域における勤務を果たしていただくことはまず重要であるということは最初に申し上げておきたいと思います。

 この地域枠につきましては、例えば、令和二年度以降は、地域医療を確保するための臨時的な医学部定員増として設けている地域枠に関しては、一般の学生と区別して入学選抜を行うこと等を求めておりまして、各大学においては、地域枠の募集要項において、従事要件や具体的に想定される勤務地域、医療機関を明記しつつ、志願者に地域枠制度の丁寧な説明を行うとともに、入学選抜時の面接試験において、従事要件の認識について確認した上で選抜を行っておりまして、入学後もキャリア支援のための面談を定期的に行うなど、離脱防止につながる取組を継続して実施しているということは申し上げておきたいと思います。

 一方で、地域枠からの離脱が毎年一定数生じている中で、離脱の際に都道府県と学生との間でトラブルが起きることがないように、道府県は、入学時に、従事要件とともに、例えば家族の介護など、やむを得ない事情として離脱を求める事由について書面でしっかりと同意しておくことが望ましいと考えておりまして、こうしたやむを得ない事情の例について、先ほど御提示いただいたような厚生労働省の有識者検討会において議論を行ってきたところであります。

 都道府県ごとの地域枠の支援内容、従事の内容、医師不足等の状況が様々であるために、一律にガイドラインを定めることはなかなか難しいと考えていますけれども、各都道府県における地域枠の従事要件や離脱事由に関する情報を把握しまして、都道府県の参考となるような情報提供を行って、必要な取組を検討していきたいというふうに思っています。

井坂委員 ありがとうございます。

 我々国会議員だって、選挙に当選したら任期いっぱい国会で全力で働く責任があるわけです。しかし、それでも中には、やむを得ない状況で議員辞職をしたり、あるいは知事選挙や市長選挙などにくら替えするということが、当初は全く想定していなくてもやはりあり得る。議員でも医学生でも、人生にはやはり数%ぐらいの確率で予想外の出来事が起こるというふうに思います。

 地域枠の医学生に、離脱したら、臨床研修、どこも受け入れてくれず、医師になれないという極めて厳しい要件で離脱を禁止をすれば、それは一時的には離脱者は減ると思います。しかし、離脱要件が余りにも厳し過ぎれば、そこまで人生を縛る地域枠には行きたくないという学生が増えて、地域枠が定員割れを起こし、地域の医師不足が加速をします。みんなが嫌がる地域枠に無理やり学生を集めようとすれば、医師としての能力に乏しい学生しか最後は集められなくなってしまいます。

 実際、昨年九月に国立大学医学部長会議が厚生労働大臣に提出をした要望書でも、医師不足の地域ほど地域枠を募集しても希望者が集まらず、かといって、学力を犠牲にして地域枠を無理に埋めることはできないと書かれております。

 離脱要件を厳しくして医学生を地域に無理やり縛りつける方法には、やはり限界があります。むしろ、諸外国のように、縛りは緩めて、卒業後の地域での実地研修などを柔軟かつ魅力的なものにするのが、地域で働く医師を集めて養成をする王道ではないでしょうか。

 大臣に伺いますが、従事要件やキャリア形成プログラムについて、期間や地域などについて柔軟性を持たせるように国がガイドラインやルールを定めるべきではないか、伺います。

後藤国務大臣 厚生労働省では、都道府県が実効的なキャリア形成プログラムを作成できるように示しておりまして、例えば、地域枠に関して、九年間は県内の医療機関で勤務すること、そのうち四年間以上は県内の医師不足地域で勤務すること等を要件として設定するよう示しております。そのことはそのとおりです。

 同時に、指針においては、例えば、出産、育児といったライフイベントだとか、海外留学だとか、キャリア形成に配慮できるように、プログラムの一時中断を可能とすること、つまり、期間が少し延びてもトータルで九年間でいいとか、家族の介護など特別の事情がある場合には、プログラムに定めていない医療機関に就業することを認めることだとか、例えば、そうした地域間の連携を取っていくことだとか、そういうことについても弾力的に対応をするように考えているところであります。

 昨年十二月には指針を見直しまして、道府県に対して、地域枠医師のキャリア形成に関する相談支援を行うキャリアコーディネーターを配置することや、定期的に医師に対してヒアリングを行うとともに、キャリア形成プログラムが更に魅力あるものになるように見直しを行うように新たに求めたところであります。

 厚生労働省として、都道府県による取組状況を把握の上に、効果的な取組を全国的に紹介して横展開も図るなど、必要に応じて指針の見直しも検討するなど、引き続きキャリア形成プログラムの実効性確保に努めていきたいというふうに思っています。

井坂委員 そのプログラムの運用指針は、私も最後まで目を通しました。対象期間の一時中断という項目は確かにあるんですが、何年ぐらいは認めなさいという目安は書かれておらず、これもやはり、都道府県ごとに決めなさいという書き方であります。これも、例えば半年しか認めないとか、一年しか認めないとか、非現実的なことにならないように、やはりこういった目安は必要だ、これも記入を検討していただきたいというふうに思います。

 また、先ほど、運用指針では、地域的な縛りについては、原則としてその都道府県内の病院で働くというふうに書かれています。

 令和元年に厚労省が行った調査では、地域枠の医学生や医師の離脱理由の圧倒的な第一位は地理的要因であります。いろいろ柔軟にしていただいても、結局は、その県で九年間働かなければいけないという地理的な縛りが最大の離脱理由になっています。

 国や都道府県が地域枠を増やしてきた目的は、医師不足の地域で働いてくれる医師の確保というのが大きい。しかし、ある県の地域枠で入学した医学生が必ずその県で働かなくても、医師不足の解消という目的を達成する方法はほかにあるのではないでしょうか。

 例えば、私、兵庫県ですけれども、兵庫県の地域枠の学生が、実家の山梨で仕事がしたい、ほくと診療所で仕事がしたい、そういう学生さんが一人いたとして、離脱になってしまいます、これでは。ところが、山梨でも同じように地域枠の学生さんが、兵庫の医療のプログラムで修行したい、こういうことがあれば、それぞれ希望をかなえて地域枠を交換すれば、兵庫も山梨も医師を確保ができて、そして、医師も、ライフプランや自分の適性に合わせて、やりがいを持って仕事ができるわけであります。

 大臣に伺いますが、地域枠の医学生をほかの県の病院が雇ったら補助金を減らすぞという、そんな指名手配のようなリストを作って全国の病院に配るよりも、離脱希望者をリスト化、データベース化して、各自が従事をする、希望する県をマッチングを試みて、お互い交換とかいろいろあったとしても、国全体として地域医療に必要な医師を確保できるような方策を検討できないか、お伺いいたします。

後藤国務大臣 地域医療を確保するためには、県内のみならず、都道府県間も含めて医師の偏在対策を進めるという視点は重要だというふうに思います。

 それで、臨床研修における都道府県ごとの定員設定だとか、専門研修における都道府県、診療科ごとに将来必要な医師数に基づく専攻医採用数の上限の設定等の取組も全国的な視点から行っているところであります。

 他方で、今先生からも少し御示唆があったような、一括して国が地域枠離脱希望者の情報を収集してデータベース化して、例えばその融通等を考えることについては、そもそも、そういう個人情報管理などのデータベース化をしていくことについての問題点もあるだろうというふうに思いますし、例えば、地域枠医師が他の都道府県における勤務を希望する場合に、その希望する都道府県において地域のニーズに応じて活躍できるような環境を整えることは、地域医療を確保する点からはそれは好ましいというふうには考えるわけでありますけれども、都道府県において、地域の実情に応じて従事要件、期間や場所などを定めておりまして、全国一律の制度はない中でそうしたものをルール化していくということも難しいと思いますけれども、都道府県の御意見も伺いながら、それぞれが個別にうまくはまっていくような、そういうような取扱いについて、厚生労働省として何ができるか検討してまいりたいと思います。

井坂委員 是非可能性を検討していただきたいと思います。

 引き続きまして、年金制度及び社会保障制度を伺います。

 ちょっと時間がないので、最初の年金の部分はまた次回に回したいと思います。その次の、フリーランスも加入できる社会保障制度について伺います。

 先日、五月十七日に、政府は全世代型社会保障構築会議の中間整理を公表しました。その中で、一つの柱として、勤労者皆保険の実現という柱が示され、「働き方の多様化が進む中で、それに対応し、働き方に対して「中立」な社会保障制度の構築を進める必要がある。」と書かれています。

 私は、フリーランス支援プロジェクトチームの事務局長をしており、会社に雇われている人であろうが、フリーランスであろうが、誰でも加入できる社会保障制度がそろそろ必要だと考えております。一般社団法人フリーランス協会さんの調査でも、働き方の違いにかかわらず社会保障が提供される必要性を感じると答えたフリーランスが、実に九五・七%に達しております。

 先ほどの裏面の資料2を御覧いただきたいんですけれども、現在の社会保険は、あくまで企業に雇われている被用者の保険料を個人と会社で半分ずつ国に納める形です。これだと、フリーランスは社会保険に入れませんし、保険料を払いたくないという企業は社員をフリーランスに置き換えていくわけであります。こういう流れはずっとこの間あって、昔は社員を非正規に置き換えていたのが、同一労働同一賃金とか、あるいは社会保険の適用拡大が進むと、今度は、更にその外側にいるフリーランスに置き換えるという流れになります。

 政府は、先ほどの全世代型社会保障の中間整理で、こうも書いています。「フリーランス・ギグワーカーなどへの社会保険の適用については、まずは被用者性等をどう捉えるかの検討を行うべき。」、こう書いているわけであります。でも、これだと、フリーランスの一部が社員扱いをされるだけで、根本的な解決にはなりません。

 この資料2の右側の図を御覧いただきたいと思います。これはフリーランス協会様から御提案をいただいた図であります。これは要は、会社経由で社会保険料を払うのではなくて、個人は個人で、この黒い社員であっても、グレーのフリーランスであっても、個人として社会保険料を納付する。会社は会社で、売上高とか利益に応じた税、社会保険料を納付をする。

 こういったような形で、働き方に中立な社会保険制度をそろそろ政府も検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 社会保険制度は、加入者を保障するための費用を被用者と雇用者双方が納める保険料で賄う制度でございます。

 この中で、事業主負担は、社会保険の加入により、労働者が安心して就労できる基盤の整備が事業主の責任であるとともに、労働者の健康保持及び労働生産性の増進が図られることが事業主の利益にも資するということから求められているものであります。

 今先生からも指摘があったように、フリーランスやギグワーカーといった方々の社会保険の適用は、全世代型社会保障構築会議の議論の中間整理で、「まずは被用者性等をどう捉えるかの検討を行う」と。これは、先ほど申し上げました被用者保険における事業主負担の考え方等も含めて、今の制度として、どういうふうに被用者性というものを考えていくかということでございます。

 その後に、全世代型社会保障構築会議の中間整理では、「その上で、労働環境の変化等を念頭に置きながら、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的な検討を進めていく」というふうにされました。

 現行の制度を考えていく場合に、まずはその被用者性というものをどう考えるか、そして、その上で、より幅広い社会保険の適用の在り方を、労働環境の変化に合わせて、総合的な制度の検討として進めていくということとしています。

 こうした議論を踏まえて、兼業、副業、フリーランスなど、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働ける社会づくりや、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度の構築に向けて、議論を進めていく必要があるというふうに思っています。

井坂委員 大臣、後段の部分、今日お配りした、この個人と会社でそれぞれ払うというのは非常にシンプルで分かりやすい形だと思いますので、こういった形も是非御検討いただきたいと思います。

 最後に、ちょっと時間がないので二問まとめてお伺いをいたします。歯科技工士、それから歯科医療についてです。

 私は、この委員会で、歯科技工士の問題、かなり前から何度も質疑をしてきました。歯科技工士は、国家資格なのに、この二十年間で養成学校の入学者が三千人から九百人にまで激減をし、養成学校も七十二校から四十七校にまで激減をし、若いなり手がいないために、今やその五〇%が五十歳以上と、高齢化も進む一方であります。離職も深刻で、離職する最大の理由は、ずばり収入が低過ぎることというふうに、はっきりこれは各種のアンケートで出ています。

 政府は令和二年の三月に、歯科技工士の養成・確保に関する検討会報告書を公表しました。その中には、歯科技工士には長時間労働や低賃金のイメージがあり、敬遠されていると、何か正面から向き合っていない書きぶりであります。

 質問の一つ目は、この歯科技工士の減少を食い止めるために、やはり低賃金という現状をしっかり認めて、正面からこの賃金、収入を上げるという対策を打つべきではないかというのが一点目。

 そして、これがなぜ難しいか、質問二点目も同時にやりますが、なぜ難しいかというと、結局、何か自営業のような扱いでいながら、最後、総枠は歯科医療の国の決めたお金で上限がもう決まってしまっているわけであります。その中で、七、三告示の話とかは今日はもうしませんが、しかし、歯科技工士の話を突き詰めると、やはり、歯科医療費がこの間ずっと低く抑えられている。国民医療費に占める割合は、二〇〇〇年頃は一〇%だったわけですが、現在は六・九%です。この歯科医療費そのものの総額の抑制もそろそろ考え直す必要がある。

 併せて二点、大臣に端的にお答えをいただきたいと思います。

後藤国務大臣 高齢化の進展に伴いまして、口腔機能の維持、回復を図る入れ歯等を製作する歯科技工士等の役割は重要性を増しているものと認識しています。

 他方で、今先生からも御指摘ありましたけれども、歯科技工士会の調査では、年収三百万円以上四百万円未満の方が約二〇%と最も多く、また就労時間も一日九から十時間が約三〇%と最も多くを占めている状況にある、厳しい状況だというふうに認識をいたしております。

 厚生労働省においては、令和四年度診療報酬改定において、歯科技工士に係る義歯を始めとした歯科補綴に関する点数の引上げ、CAD・CAMによる義歯の設計など、コンピューターを用いた作業であれば歯科技工所に通勤せずとも自宅等でリモートワークを行うことが可能である旨の明確化など、歯科技工士の処遇や就労環境の改善につながるような取組を実施しておりまして、こうした取組を通じて、歯科技工士の就労や就労環境の改善、処遇の改善に努めていきたいというふうに思っています。

 それから、令和元年度の国民医療費における歯科診療医療費は約三兆円でありまして、平成十年の二・五兆円から近年増加傾向にあります。令和四年度診療報酬改定では、全体として〇・四三%のプラス改定でありまして、医科、歯科、調剤については〇・二三%となっています。その中で歯科診療報酬はプラス〇・二九%となっておりまして、初診料、再診料の引上げ、先ほど御紹介したようなCAD・CAMインレーの保険適用や、義歯を始めとした歯科補綴に関する点数の引上げ等も行っておりまして、今後とも、患者像の変化や医療技術の進歩など歯科医療を取り巻く環境に対応して、適切な歯科医療を提供できるように取り組んでいきたいと思っています。

井坂委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 質問の機会をありがとうございます。

 それでは質問に入ります。

 まず、マスクの着用について、特に子供のマスク着用、大変子供たちもこの二年間以上辛抱をしてやってまいりましたけれども、この夏場に向けてどうなのかということが大変保護者の間でも心配をされております。今日は、国立感染研脇田所長にも来ていただきましたので、昨日、アドバイザリーボードで提言がなされたと聞いております、是非御説明いただきたいと思います。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 子供のマスクの着用につきましては、これまでも、二歳未満の乳幼児はマスク着用を推奨しない、二歳以上の就学前の子供は、本人の体調が優れず、持続的なマスクの着用が難しい場合には無理に着用させる必要はなく、マスクを着用する場合には、保護者や周りの大人が子供の体調に十分注意した上で着用していただくこととなっております。

 その上で、二歳以上の就学前の子供は、オミクロン株への対応として、コロナ分科会でも議論いたしましたが、保育所等において、発育状況等からマスク着用が無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で、一時的にマスク着用を勧めることとなっております。

 子供のマスクの着用につきましては、専門家の間で、小児科の先生方を含めて議論を進めてまいりました。その上で考え方を取りまとめまして、屋外でのマスクの着用も含めまして、昨日、アドバイザリーボードに資料を提出しました。会議におきましては、構成員に加えまして発達心理学の専門家の先生にも出席していただきまして、意見をもらったところであります。

 オミクロン株の感染拡大によって一時的に勧められました子供のマスク着用につきましては、オミクロン株の感染拡大前の考え方に戻していくということを考慮する時期にあるという考え方の整理をして、お示しをしたところであります。

 今回、専門家からお示しした考え方を踏まえまして、政府におかれましては、マスクの着用について必要な対応を検討していただくということになると考えております。

 以上です。

早稲田委員 脇田所長からいただきましたが、二歳以上の未就学児につきましては、一律に着用を求めず、無理に着用させないとする基本方針に戻すという理解をいたしましたが、厚労大臣、この今の脇田座長の御提言を踏まえて、基本的対処方針の改定なども含めて、そうしたことにシフトしていくというふうに理解をしてよろしいのか。

 そしてまた、その周知徹底を図っていただきたい。これは、なかなか、今までも無理にではないのですよと子供たちには言っていただきましたけれども、実際、保育の現場、それからまた小学校でも、委員が今までもいろいろ質問されていますけれども、小学校の運動会でも、駆けっこしながらみんながマスクをしているという状況が現状でございます。是非周知徹底を図っていただきたい。

 その二点、伺います。

後藤国務大臣 人との距離が十分取れれば屋外でマスクの着用は必ずしも必要ではなく、特に、気温、温度が高いと熱中症のリスクが高くなりますから、屋外で人との距離が十分にある場合に、具体的には少なくとも二メートル以上の距離を確保できている場合にはマスクを外すことを推奨してきました。

 また、特に子供のマスクの着用については、二歳未満の乳幼児はマスク着用を推奨しないこと、二歳以上の就学前の子供は、本人の体調が優れず、持続的なマスクの着用が難しい場合は無理に着用させる必要はなく、マスクを着用する場合は、保護者や周りの大人が子供の体調に十分注意した上で着用していただくということが、これまでも、政府あるいは専門家の皆さんも含めてこうした考え方でした。

 その上で、先ほど脇田座長からもお話があったとおりで、オミクロン株への対応として、二歳以上の就学前の子供について、保育所等において、発育状況等からマスク着用が無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で、一時的にマスク着用を勧めるというふうに二月以来指摘しておりまして、その点については、昨日の提言においても再考について御意見を伺ったというふうに考えております。

 昨日のアドバイザリーボードで専門家から提出された意見、改めて、しっかりと屋外でのマスク着用について確認をし、そして、その確認に基づいて必要な対応を検討し、必要な点については検討をした上で適切に情報発信を行ってまいりたいというふうに思っています。

 やはり、従来からの議論の中で、的確に政府の考え方も国民の皆様に伝わっていないというふうにも思っていますし、国民の皆さんが非常に感染に対して前向きに、厳しい習慣で臨んでいただいているということについて、感染対策の面からマスクの着用を会話をするような場合にお願いしているということについて、ありがたいと思いますけれども、正直言って、屋外だとか子供だとか、そういうことについて明確なメッセージを送っていく必要があるというふうに思っています。

早稲田委員 ということは、まとめますと、屋外、それから二歳以上の子供たちにつきましては、一律に、無理に着用させないという方針に転換をする、そして、それは基本的対処方針の改定も含めてということでよろしいでしょうか。そこも御検討ということでよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 マスクの着用を一律に求めないということは……(早稲田委員「無理に」と呼ぶ)そうですね、無理に、それはおっしゃるとおりであります。

 いずれにしても、御指摘を受けたので、近々に、どういう対処方針にするかを、修正すべき点については修正をし、基本的には従来の基本的な考え方を確認することになると思いますけれども、そうした点についてしっかりと国民に説明していきたいと思います。

早稲田委員 是非、修正すべき点はしていただきまして、もちろん、万全な感染対策は基本としてやっていくということを徹底的に周知をしていただきたいとお願いをしておきます。

 それでは次に、順番を変えまして、貧困など困難な課題を抱える女性の支援について伺いたいと思います。

 昨日、五月十九日、超党派による議員立法で、そしてまた、我が党では阿部知子議員も中心となりまして、困難な問題を抱える女性の支援に関する法律、これが衆議院で成立をいたしました。

 昭和三十一年以来、売春防止法に基づく婦人保護事業による支援が行われてきたわけですけれども、これをやはり、この売春防止法は根拠にはなるけれども、転換をして、そして、今、多様化、複雑化している、困難な問題を抱えている女性の支援への制度の構築が求められてまいりましたので、議員立法のその御尽力をいただいた皆様に感謝をする次第でございます。

 私からは、この資料の方の三と四も見ていただきたいと思います、若年被害女性等支援事業について、中心に伺います。

 これは、今本当に、コロナ禍で、二〇二〇年度は、DV相談は十九万件を超えておりまして、最多となりました。また、このDV、家出、性被害など、こうした問題に直面をしている女性たちにつきまして、民間団体がアウトリーチ支援や居場所の確保、自立支援などを地道に行っていらっしゃいます。私も、NPO法人BONDプロジェクトからお話を伺いました。

 公的機関と民間団体、NPOが密接に連携を行う事業でありまして、平成三十年度からこのモデル事業が始まって、令和三年度は本格実施になったと聞いております。また、この実績、これについてどうなのかということを伺いたいと思います。

橋本政府参考人 若年被害女性支援事業につきましては、令和三年度におきまして、三自治体におきまして、六か所の民間団体に委託して実施しております。

早稲田委員 三団体ではありますけれども、その中身ですね、これについて伺いたいと思います。

 その前に、ごめんなさい、脇田所長、ありがとうございました。御退席、よろしければ。ありがとうございます。

橋本委員長 脇田所長、御退席ください。

 その支援の中身についてというお尋ねだったと思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 この若年被害女性支援事業でございますけれども、アウトリーチをしたり、あるいは、電話、メールその他の様々な相談支援を行ったり、そういった形でいろいろなお声を聞く、それからまた、居場所の確保といったことを場合によってはさせていただく、そういった様々なものを組み合わせた形で実施しているものでございまして、自治体の方からNPO等の団体に委託をして実施しております。

早稲田委員 それはそうなんですけれども、例えば、何人の女性の保護につながったかとか、そういうことを国がしっかりと、これは四年もたっているわけですから、検証をすべきと思いますが、国が検証をどこまでされているのかということをお聞きしております。

橋本政府参考人 御指摘のように、どのくらいの実績が上がっているか、効果が上がっているかというところにつきましては、実施している自治体の方からいただきます実績報告書などを基に、今後いろいろとまた分析をしていきたいというふうに思っております。

早稲田委員 つまり、今分析はされていないということだと思うんです。これが私は非常に問題だと思います。

 先般の質疑でも阿部委員がいろいろ指摘をされておりましたけれども、地方公共団体が手を挙げなかったものもあります。そして、これは、三団体等でやってはもらっていますけれども、モデル事業でやって、次の本事業には移らなかったところもあるわけです。それからまた、都市部というようなところに限られていることもありますし、そうしたことがなぜなのかということをきちんと検証しないと、本当の事業をこれから令和四年もやるわけですけれども、そこにつながらないのではないかと大変心配をしております。

 大臣に伺ってまいりますが、こういう検証をやらないと、幾らモデル事業をやっても意味がない。本当に詳しいNPOさんの方では調査報告書を出しております。それを国もつぶさに見ていただいて、何が足りないのか、そして新法によってどのように改善しなければいけないのかをしっかり検証をすることが私は重要だと思っておりますが、大臣にも伺いたいのですが、次の質問を言ってからまた伺います。

 行政につなげようとしてもつながらないというのが、このNPOさんからも声をいただいています。

 例えば、事例でいいますが、東京にあるこのBONDさんが、他県に住んでいる子供からSNS、LINEがあって、その他県に行く、そしてそこで婦人相談につなげようとしても、予約がないからできませんと。つまり、じゃ、予約に何日かかるのか、予約の日程がいつなのか。今緊急性があるからそこにわざわざ行って支援をしようと思っているのに、つながらない。だからまた東京に戻ってきて、BONDのそのシェルターに、もう本当は満員なんだけれども、そこに泊めるというようなことも起こっているといいます。

 それからまた、被害を受けた女性、これは本当に緊急性を伴っている方も多いわけですが、その子たちに、一緒に事情を説明するために、このNPOの方が一緒に同行する、そして、そこで行政に説明しようとすると、いやいや、あなたは同席しないでくださいと言われてしまう、こういうことが実態として起こっているんですね。

 それからもう一つは、婦人相談所が一時保護をした後でなければ保護施設に入所できないと言われてしまって、支援が途切れるケースもある。こういうことが実際の状況であります。

 これについては、いろいろガイドラインで決まっているからということだろうとは思いますが、まず参考人に伺います。その後、大臣、受け止め、そしてまた、こうしたことがないようにしていただきたいと思いますので、続けてお願いします。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました、どこのところでというふうな問題が一つあるかと思いますが、婦人保護における一時保護について、広域連携といったことが行われております。平成十九年度に全国知事会において取りまとめられました、配偶者からの暴力の被害者の一時保護に関する広域連携に関する申合せというのがございまして、こちらに基づいて、住民票の記載にかかわらず、女性が現に所在している自治体において支援の内容を検討、決定しているというのが現在行われている取扱いでございます。

 また、DV被害や性暴力被害に遭った方々については、著しく心の健康を損ねている場合も多うございますので、本人の同意の上で、婦人相談所への来所に当たりまして、民間の支援者に御同行いただくということも支援につながりやすくする一つの有効な手法でございまして、現場でも活用されているものというふうに承知いたしております。

 それから、あと、一時保護をした上で施設の方に入所するかどうかということにつきましては、婦人保護施設への入所につきましては、現行制度下におきましても、一時保護を介さない入所ということが可能となっておりまして、平成二十六年度に策定いたしました婦人相談所ガイドラインにおいてもその旨をお示ししております。

 それが現場でしっかりと運用として機能しますように、都道府県等が行う婦人相談所の職員等を対象とした研修を支援しますとともに、厚生労働省におきましても、毎年、婦人相談所の職員や婦人相談所を対象とした研究協議会の開催なども行っておりまして、こういったものを通じて、必要な支援が届くように周知をしてまいりたいと思います。

後藤国務大臣 具体的な広域連携については、今局長の方から、住民票の記載にかかわらず、女性が現に所在している自治体において支援の内容を決定していく、あるいは、民間の支援者に同行いただくことも支援につながりやすくする一つの有効な手段であって現場でも活用をされるべきものであるということ、そうしたようなことについては答弁をさせていただきましたが、いずれにしても、昨日成立した新法においては、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針を厚生労働大臣が定め、これに基づいて都道府県が基本計画を策定する中で、自治体や民間団体を始めとした現場の意見を丁寧に伺って、御指摘の広域的に連携した支援の在り方や民間団体との連携、こうしたことについてもしっかり検討していきたいと思います。

早稲田委員 今るる御説明いただきました。基本的な方針の方に入っている、それから、婦人相談所ガイドラインの方にも、同行支援も入っている、一時保護をしなくても保護施設に入れるということは書かれております。活用すべきとおっしゃいましたけれども、活用されていない事例が多々あるんです。それで支援につながらない。

 先ほど山井委員のAV出演被害問題もありましたけれども、繁華街を歩いていて、困っているのと、そういうふうに聞いてくる大人、そこについ行ってしまう、二万円が欲しいがために、三万円が欲しいがために。そして、そういう子たちを緊急的に引き取ってきても、支援がつながらなければ何の意味もありません。

 ですから、そこを支援につながるようにしていただくには、もっと周知徹底、それからもう一つは、最後に申し上げたいのは、婦人相談員さんの処遇改善と、それから質の向上であります。

 これは大臣に伺います。

 もう時間がないので、この項の最後の質問にいたしますが、この女性相談員さんは、入口、窓口であります。そこで予約がないからとか一時保護していないからといって断られてしまうと、本当に支援がつながらない。そして、子供たちが、また女性が、そうした町に戻っていってしまうんです。

 そういうことがたくさんあるので、この基本方針に盛り込むべき内容としても、婦人相談員さんの専門性、質の向上、そして処遇改善、こうしたことも盛り込んでいただいて、是非、都道府県が策定すべき基本計画にもそうした趣旨が含まれるようにしていただきたい。まずはこれがこの新法の第一歩だと私は思っていますので、大臣から、最後、簡潔にお願いいたします。

後藤国務大臣 これまでも婦人相談所の全国団体と意見交換を行う中で、まさに今先生から御指摘いただいた、婦人相談員の専門性に見合った処遇改善が必要との御意見をいただいております。

 このため、令和四年度予算においては、婦人相談員手当について経験年数に応じた加算の設定や期末手当の支給に必要な経費を盛り込むなど、婦人相談員の適切な処遇の確保に向けた措置を講じてきたところでございますけれども、厚生労働省としては、こうした予算の活用を働きかけるなど、自治体と連携して婦人相談員の処遇改善に努めてまいりたいと思います。

早稲田委員 そこが基本になりますので、一番重要な入口でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、もう時間がないので、最後の質問、一点だけやらせていただきます。

 最後の、五枚目の資料の方を御覧ください。

 保育士十五人が一斉退職、民間保育園で経営悪化だからということですが、処遇改善加算が使われなかった、そして、この方たちの賞与が減ってしまっていて、もうこれは耐えられないということで辞められたということですが、これについて、受け止め、そしてまた、これの改善をどのようにしていくのか、伺います。

相川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました事案についての報道、承知しておりますが、事実関係の詳細については、自治体において引き続き確認がなされているところでございます。

 内閣府では、これまでも保育士等の処遇改善に取り組んできたところでございまして、保育の現場で働く方々の処遇改善が適切に実施されることが重要であると考えております。

 いずれにいたしましても、まずは自治体において事実関係を確認いただき、必要に応じて適切な対応を行っていただきたいと考えております。

早稲田委員 処遇改善が行われてきたといっても、その行われてきた加算がここに反映されないということなんですよ、経営者の方の裁量の範囲が広いから。だから、私たちはそうしたことも大変指摘をしています。でも、一向に直っていないじゃないですか。

 それから、配置基準。これもまた次の機会にもやりますけれども、五十年、七十年と配置基準が変わっていません。子ども・子育て支援制度になるときに、これは配置基準も消費税の関係で変えていくというふうに指摘もありましたし、そういうことをやるべきだというふうにずっと言われてきたのに、一向にやっておりません。これを変えていただかなければ、子供の安全も守られないし、それからまた、こうした保育の現場で働く方々の安定な処遇そして労働にもつながりません。

 これを是非変えていただきたいと思いますので、強くこちらを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 本日もよろしくお願いいたします。

 私の方からは、まずは出産育児一時金につきまして御質問の方をさせていただきたいという具合に思います。

 出産育児一時金につきましては、二〇〇九年に三十八万円から現行の四十二万円に増額がなされました。ただ、この出産費用といいますのは年々増加をしているというところでもありまして、少子化を止めるためにも、子育ての経済的負担、これを少しでも軽減していくためにも、これを取り除いていくということが必要であると考えております。また、この点につきましては都道府県からも要望が来ているという具合に聞いております。

 資料の一枚目を御覧いただきたいと思いますけれども、出産にかかる費用というのは上昇しているというのが分かるということになります。一枚目と二枚目ですね。二枚目の方に推移が出ております。

 特に、都心部近くでは全国の平均値よりも高い金額というものが出ているという具合に聞き及んでいるところです。出産年齢の高齢化でハイリスク出産というものが増えて、それで出産費用がコストアップするということも含めて、どのような要因で出産費用が上昇してきているのかということにつきまして、まずお伺いをしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 資料でお示ししていただいているとおり、出産費用につきましては、近年、毎年一%前後上昇しておりまして、令和元年度の室料差額等を除いた公的病院の出産費用は四十四・四万円でございます。

 出産一時金につきましては、令和二年の社会保障審議会医療保険部会におきまして議論を行いまして、同年十二月の取りまとめにおきまして、費用増加の調査等により出産費用を詳細に把握した上で検討を行うとされております。

 このため、現在、出産費用の実態把握を行うため、出産費用が増加している要因や地域差の要因等につきましての調査研究を実施しておりまして、調査研究がまとまり次第、公表したいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 今、調査研究しているということなんですが、一応後でお答えいただきたいんですが、いつ頃出されるのかということもお伺いをしたいと思います。

 ちょっと次に行きたいと思うんですが、出産にかかる費用といいますのは、いろいろ、内容はたくさんあるかと思います。出産に最低必要な行為であったりとか、若しくはヨガであったりとかアロマセラピーであったりとか、そういう形で安心して出産に備えていくというオプション的な行為というのもあるかと思います。

 親心からいいますと、やはり様々な、できるだけのことをして出産に備えていきたいというものは理解はするところなんですけれども、出産一時金を増額すると、それに対してまた出産費用が上がっていくという、このイタチごっこというのも出てきているということもお伺いをしております。

 出産に関するオプション費用を含めて、全ての出産にかかる費用を出産一時金で負担する必要は私はないと思いますけれども、我が党では、子育て世代の負担軽減を図るために、出産育児バウチャー、クーポン券ですね、これを発行することで出産の実質無償化をすべきだという具合に、今回、参議院選挙に向けてもちょっと提案をしていこうということでなっているわけなんですが、育児一時金の適正な支給額というのはどのような方針を基に決めていくのか、また、多子世帯への対応を含め適正額はどの程度を想定されているのかということにつきまして、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 出産育児一時金の支給額は、現在、公的病院における出産費用等を勘案して定めています。この出産費用を調査する際には、お祝い膳などの医療外費用や室料差額等を差し引いて集計していることから、御指摘のヨガもこうした医療外費用に計上されていると考えられます。

 また、社会保障審議会医療保険部会の取りまとめにおいて、多様な出産形態や費用、サービスを踏まえて医療機関を選択できるように、医療機関において選択肢の明示を促すことも検討することとされています。

 このため、現在、医療機関から事前にサービスの選択肢がどの程度説明されているかなどを含めて、出産費用の実態把握等に関する調査研究を実施しています。

 こうした調査結果等も踏まえまして、社会保障審議会医療保険部会において、保険者の意見も伺いつつ、出産育児一時金の支給額や、医療機関からの選択肢の明示の促進等について検討することになると考えています。

 なお、多子世帯に対する支給額引上げといった対応は、出産にかかる費用の経済的負担軽減という制度の趣旨や、厳しい保険財政への影響も踏まえると、なかなか難しい状況にあるというふうには考えております。

池下委員 現実にこの出産費用というのは、先ほども御答弁ありましたけれども、一%ずつ、徐々に年々上がってきているというところですので、是非、今検討中ということではありますけれども、実態に即した形で子育て世代への支援、やはり少子化というのは非常に問題でありますので、その入口のところになってきますので、是非とも早急な御検討をいただきたいなという具合に思います。

 出産一時金に関連して、次の項目なんですが、内密出産の一時金についてちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 先日、熊本の慈恵病院におきまして二例目の内密出産が、出産されて、その赤ちゃんが、今、児童相談所ですかね、一時保護されたという報道がありました。

 内密出産は、あらかじめ病院が定めた人物だけに母親が情報を伝え、出生届の母親の欄は空欄で提出、将来子供が実母を知りたいと思ったときに情報を伝えられるようにするものという具合に、これは報道でありました。ただ、内密出産の定義が別に決まっているわけでもありませんし、当然、この法整備というのが進んでいるというわけでもありません。

 だからこそ、しっかりとこれはやっていかなきゃならないなと私は思っているんですが、母親が内密出産する理由というのは、やはりDVであったりとか家庭環境、家庭関係の問題というのが様々あるかとは思うんですけれども、内密出産する母親は、身元が分からないようにするために、健康保険等の各種保険加入をしていたとしても、申請ができないケースもあるのではないかなと心配をしています。

 そこで、救済できる仕組みがあるのかないのか、そして、仕組みがないのであれば私はつくるべきだと思いますし、また、今後の、先ほど申し上げた法整備についてどのような見解を持たれているのか、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 いわゆる内密出産は、母親が医療機関において実名を伏せて出産できる仕組みのことと理解しておりまして、児童福祉法等の関係法令に照らして、直ちに違法と考えられる点はないというふうに考えております。

 このような場合であって、出産育児一時金は、被保険者やその被扶養者が出産した場合に、保険者が被保険者に対して一時金を支給する制度でありますので、保険者や被保険者に出産の事実を知られずに一時金を受給することが困難であることは御指摘のとおりだと思います。

 一方で、このような仕組みについて法整備を行うことについては、一般的に考えてみると、子供の出自を知る権利をどう考えるかとか、未成年が内密出産を希望する場合の支援の在り方等々、そもそも様々な課題が指摘されておりまして、そういう意味では、内密出産の制度化や一時金の取得等を始めとした、そうした制度的な運営についてどのような議論をしていくかということは、現時点でなかなか難しい問題があるというふうに考えております。

 いずれにしても、予期せぬ妊娠をした妊婦等、困難を抱える妊産婦を支援することは非常に重大であると考えていますから、相談支援体制の整備とか、母子生活支援施設等における居場所の提供等、妊娠から出産までの継続した支援に取り組むほか、妊産婦等生活援助事業などを新設しまして、妊娠期から出産期までの切れ目のない支援を行うこととしたいと考えております。

 このような仕組みの中で、利用者のプライバシーにも配慮しながら出産を支援することが可能であるというふうに考えております。しっかりと、検討できることについては検討させていただいて、支援を進めていきたいと思います。

池下委員 今、御答弁ありました。私、別に内密出産を助長しているわけでも勧めるわけでも当然ありませんし、やはり、そういう環境にどうしてもなった女性の方をちょっとでも救っていけるような仕組みをつくっていただきたいなと思っています。相談体制であったり、居場所づくりであったり、また、プライバシーをしっかり確保しながらというところをしっかりと今大臣にお答えいただきました。

 その点につきましても、慈恵病院さんの方が、今回、内密出産をなされたというんですけれども、報道によりますと、多分その費用は病院さんが負担しているんじゃないかなという形で思います。そうしますと、どうしても、一時金のことも含めてですけれども、内密出産というのは非常に難しい問題ではあるかと思いますけれども、支援できる病院さんというのがなかなか出てこないということもありますので、しっかりと御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、ウイルス性の肝炎対策についてお伺いをしたいと思います。

 本年三月七日に、五年ぶりに肝炎対策基本方針が改正されました。その中で、国として、肝炎の完全な克服を達成するとの力強い決意が示されたことは大変評価をしたいと思います。

 そこで、ウイルス感染から実際に発症した肝炎患者の数の実数につきまして、まず確認をさせていただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の厚生労働科学研究によりますと、平成三十年時点で、B型肝炎の患者数は約十九万人、C型肝炎の患者数は約三十万人とされております。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 患者の数が、平成三十年で、B型が十九万人、C型が三十万人ということでありました。

 ところが、この肝炎患者の感染者数、患者数ではなくて感染者数の方ですけれども、こちらの方は、二〇一五年で、C型の肝炎が九十万人から百三十万人、B型肝炎が百十万人から百二十万人という報告があります。推計です。これは七年前の推計値でありまして、C型肝炎に至っては九十万人から百三十万人と、感染者の数に大幅な開きというのがあります。この感染者の中に、検査等の未受診で治療に至っていない患者さんが多く含まれているということにつきまして、私は非常に懸念をしているところであります。

 そこで、患者数を把握するためには、推計値だけでなく、肝炎ウイルス検査の実数値の把握が非常に重要だと考えておりますけれども、患者数の実数捕捉の問題点につきましてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、肝炎患者さんを早期に発見しまして、また、肝炎患者等が安心して治療を受けられる社会を構築するためには、肝炎ウイルス感染者数を適切に把握することは大変重要であるというふうに考えております。

 令和元年度の厚生労働科学研究によりますと、平成二十七年時点では、先ほど先生から御指摘ありましたような感染者数というふうになっております。

 現在、厚生労働科学研究におきまして、全国規模の調査を継続的に行い、精度の高い疫学データを得られるよう調査を進めているところでありまして、引き続き、肝炎ウイルス感染者の動向や現状等の把握に努めているところでございます。

 また、肝炎ウイルス検査には、自治体による検査、それから職域健診による検査、そして妊婦健診による検査、医療機関で手術前に行われる検査などがございます。自治体による検査につきましては感染者数を把握できるわけでありますけれども、職域健診における検査は、これは任意の検査でありまして、また、妊婦健診における検査などの場合は他の検査項目と一体的に行われるものもございまして、検査結果を把握できない場合もあると承知しております。

 さらに、検査結果の取扱いに留意する必要があるため、プライバシーに配慮して検査結果は管理されており、御指摘の実数の把握につきまして、なかなか困難な面があるというふうに考えております。

池下委員 今御答弁がありましたように、やはりこの肝炎の問題というのは、プライバシーであったり、差別の問題であったり、そういうところがありますので、非常にセンシティブな部分があるという点。あと、事業所ですよね、会社、職域でやられている部分につきましては、自治体にまたがって企業さんが存在している場合ということもありますので、市町村以外が実施主体の肝炎ウイルスの検査数や陽性者数、あと、フォローアップの検査数、これの実数を把握するのは非常に困難であるというのは一定理解をさせていただきました。

 ただ、これをしっかりとやっていかないと、単に、感染者数は多いけれども、患者の数がそれに比べて少ないんだよと。検査を進めていって、そして患者数を把握した上で、次にフォローアップをしっかりとしていかなければ、私はこれは意味がないという具合に思っていますけれども、その点につきまして、打開策についてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 職域における肝炎ウイルス検査の実施状況の把握については、今申し上げましたように、任意検査であることやプライバシーの問題があるため、困難な面があると考えております。

 今後、研究班による調査なども踏まえまして、実施状況の把握に努めるとともに、その状況も踏まえてどのような対策を講じていくか、引き続き検討してまいりたいと考えております。

池下委員 今、検査とか調査とかということで言っていただきましたけれども、国の方で、肝炎の完全なる克服という具合に旗をもう振っちゃっているわけですから、それに対してしっかりと答えが出せるような形で、患者さんを少しでも救えるような仕組みをつくっていただきたいなという具合に思います。

 そこで、昨年の十一月開催の第二十八回肝炎対策推進協議会で、患者委員さんから大臣に対しまして、各都道府県における肝炎対策推進の効果がしっかり出ているかを把握するための客観的資料として、国において実績数値を肝炎対策推進協議会等で定期的に報告するという具体的な指標、これを提案されまして、今年の三月から定期報告というものがスタートしているという具合に聞き及んでおります。

 その提案の指標というのが四つほどありまして、肝炎対策の実績数値として、一つ目が、都道府県別の肝がん死亡者数及び七十五歳年齢調整死亡率並びに死亡率順位の推移、二つ目が、都道府県別の肝がん罹患者数と罹患率及び罹患率順位の推移、三つ目が、都道府県別の肝炎ウイルス検診数及び検診率並びに検診率順位の推移、四つ目が、道府県別の肝炎ウイルス検診陽性者のフォロー数及びフォロー率並びにフォロー率の順位の推移ということで患者委員さんの方から提案されました。

 この指標を都道府県ごとにまとめて協議会に報告される点ということにつきましては評価をしておきたいなという具合に思うわけなんですが、ただ、それだけではなくて、全国の肝炎ウイルス対策の均てん化、どこの都道府県でもしっかりと肝炎ウイルス対策をやっていくべきだという具合に私は考えるんですけれども、そこで、国が自治体に対してしっかりとした統一的な指標というのを段階的に設定する必要があるかと思います。

 また、B型肝炎については、根治薬、これがまだ開発をされておりません。そういうことから、肝炎の完全な克服にはそういう点が非常に重要であると思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 肝炎の完全な克服に向けた自治体の取組については、先進的な取組や、効果が実証された好事例、課題などについて自治体に対し随時ヒアリングを行っておりまして、今後、肝炎対策推進協議会などで報告し、他の自治体にも共有してまいりたいと思います。

 また、自治体が肝炎対策を推進する際に目標とすべき肝炎対策の統一的な指標の設定については、重要であると認識しています。現在、厚生労働科学研究において研究を進めています。

 さらに、お尋ねのあったB型肝炎の根治薬の開発についても、重要な課題でありまして、これまで、創薬につながる基礎研究などを行ってまいりました。肝炎等克服実用化研究、これは令和四年度のものでありますけれども、において更に研究を推進してまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 根治薬、そして、自治体で共有していく点と、均てんを図るための共有化と段階的な指標も重要であるという御認識という御答弁をいただきましたので、根絶するというところ、しっかりと目標を持ってやっていただきたいなと思います。

 次に、C型肝炎患者の救済の現状についてお伺いをしたいという具合に思います。

 資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。来年一月に請求期限を迎えるC型肝炎救済特別措置法の延長につきまして、田村議員を始め多くの皆様が御尽力していただいているということは大変、承知をしておりまして、感銘を受けさせていただいております。

 政府として、告知の現状など、現在の取組の状況につきまして確認をさせていただきたいと思います。

鎌田政府参考人 これまで、厚生労働省といたしましては、特定フィブリノゲン製剤等納入医療機関に対しまして、カルテなどの記録の保存及び調査の実施、投与判明者への投与事実の告知などをお願いしてまいりました。加えまして、令和三年度からは、厚労省自らがカルテ調査などを行っているところでございます。

 その結果でございますけれども、本年、令和四年でございますが、一月七日時点におきまして、投与判明者は二万四千八百三十二人、告知終了者は一万五千百三十六人でございまして、告知が終了していない方が九千六百九十六人存在しております。

 我々としては、請求期限、来年一月でございますので、いずれにせよ、全力でこうした作業等に取り組んでまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 まだ九千六百人余りの方が未告知だということでお伺いをいたしました。ちょっと時間がたっているということもありまして、難しい点というのも理解はさせていただいているんですけれども、やはりしっかりとこれは力を尽くしていただきたいなと思います。

 また、C型肝炎の患者さんの救済のほかにも、劇症肝炎とか急性肝炎というもので死亡される方々の救済も含め、まだまだ課題というものが残っていると思っておりますので、更なる対策というものを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、B型肝炎の除斥期間についてお伺いをしたいと思います。

 資料は四枚目の方になります。特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の関係の書類になります。

 子供の頃に受けました集団接種によるB型肝炎についてなんですけれども、これまでも多くの議員の皆様からこの点につきましては御質問があったということで承知をさせていただいております。

 ただ、請求する起算点が除斥期間の二十年を経過してしまって、救済額が大幅に減額される問題につきまして、改めて、昨年四月の最高裁の判決で、「極めて長期にわたる感染被害の実情に鑑みると、上告人らと同様の状況にある特定B型肝炎ウイルス感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図るため、国において、関係者と必要な協議を行うなどして、感染被害者等の救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待するものである。」という具合に言われました。

 資料の方にありますように、除斥期間の二十年、この二十年以内であれば、肝がん、肝硬変の重度で、死亡されたというのを含めまして、給付金が、二十年以内であると三千六百万、けれども、二十年を過ぎちゃうと九百万にがくっと下がります。肝硬変、軽度につきましても、二十年以内であれば二千五百万、除斥期間が過ぎて二十年を超えちゃうと六百万とか三百万とか、本当に金額ががくっと下がってくる状況になっているわけです。

 そこで、最高裁判所の裁判官が最後に、今私が紹介した、述べられた部分ですけれども、この「国の責務」という点につきまして、お考えをお伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 B型肝炎給付金制度においては、平成二十三年のB型肝炎特措法制定時より、発症後、除斥期間である二十年が経過して国の賠償責任が消滅した方に対しても、賠償責任に基づかない対応として、給付金をお支払いをいたしております。

 給付金の金額については、裁判所、原告、国の調整の結果によりまして、原告団、弁護団と国で締結した基本合意書に明記されておりまして、基本合意の内容に基づいてB型肝炎特措法に規定しているものであります。

 また、昨年四月の最高裁判決も、損害賠償責任が消滅する除斥期間という考え方があることを前提に、除斥期間の起算点について判断を示したものであると承知しております。

 一方で、御指摘の補足意見は、四人のうちお一人の裁判官が御自身の意見を述べられたものと受け止めています。

 したがって、御指摘のように除斥期間の経過の有無にかかわらず一律の給付を行うことは困難であるものの、最高裁判決と同種の事例の方々の救済については、現在、最高裁判決が差し戻された福岡高裁において原告団、弁護団との協議を進めておりまして、引き続き、迅速かつ全体的な解決に向けて努めてまいりたいと思います。

池下委員 四人の裁判官の中のお一人が、今私が紹介した部分ですけれども、個人の意見ということで言われたと思うんですけれども、やはりこの裁判官の御見識というものは、非常に私は重たいものだという具合に思っております。

 原告団との合意ということも御紹介いただきましたけれども、それも含めて、やはりこの差というのは非常に大きいものだと思っておりますので、是非また更なる御検討というのをお願いしておきたいなという具合に思います。

 あと、次、治験研究事業の対象拡大、この肝炎についての研究についてのお話を引き続きちょっとさせていただきたいなと思います。

 平成三十年から開始されました肝炎ウイルスによる肝がん、重度肝硬変治療促進事業は、予後が厳しい重度肝硬変の患者と、肝がんの特徴である長期的に再発を繰り返す、この長期的に再発を繰り返す患者の救済並びに肝炎ウイルスによる発がんの仕組みの解明、予防の開発などの研究を推進することを目的としております。

 しかし、月当たりの見込み数が七千二百人、当初見込みされていたのが七千二百人に対して、実質、実績数は僅か七十人前後という具合に聞いているわけなんですが、これは、現在の条件では短期的に入退院を繰り返す患者さんのみが対象となっていて、長期的に発がんを繰り返す多くの患者さんは制度から除外されていることが原因ではないかなという具合に考えております。

 私は、この研究の趣旨に合うように、早急に入院、通院、高額医療費として認めること、また、収入要件については、同じ抗肝炎ウイルス剤の医療費助成制度と同程度の負担に軽減すべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。

後藤国務大臣 肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業は、予後が悪く長期の療養が必要となる等の肝がん、重度肝硬変の特徴を踏まえまして、患者の医療負担の軽減を図りつつ、治療研究を促進することを目的として、平成三十年十二月から開始しています。

 その内容としては、年収約三百七十万円以下の方を対象に、肝がん、重度肝硬変の入院治療に係る医療費が高額療養費の算定基準額を超えた月が過去一年間に四月以上となった場合に、対象者の自己負担額が月額一万円となるように助成するというものでございます。

 この助成要件については、肝がんに対する新たな分子標的薬が登場し、通院治療も受けられるようになっていること等を踏まえまして、昨年度当初から、分子標的薬による通院治療を対象、助成に追加する、月数の要件を四月から三月に短縮するといった内容の見直しを行ったところでございます。

 昨年度の助成実績については本年六月末をめどに取りまとめる予定でございまして、新型コロナによる受診抑制の影響があることも踏まえながら、事業の分析を行ってまいりたいと思います。

池下委員 御答弁いただきました。ちょっとまだ足りない部分がありますけれども、ちょっと時間が来ましたので、本日はこれで終了させていただきたいと思います。またさせていただきたいので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 お世話になります。日本維新の会、金村です。

 今日は、一般質疑、よろしくお願いします。

 まず、雇用についてお伺いさせていただきます。

 私、今後の日本において、雇用の在り方、やはり、これまでどおり一つの企業で働き続ける、いわゆる年功賃金、終身雇用のような在り方から、社会全体で雇用を創出していく、そういうことに今後つながっていくとそもそも考えております。そうしなければ、例えば新たな産業が創出されても、労働力の移転がスムーズに進みませんと働き手不足は解消できませんし、また、多様な働き方、ライフイベントに合わせた働き方をそもそも企業側が提示していくことも難しいと考えています。

 当然、労働市場の流動化のようなことを前提としていくと、セーフティーネットや、さらには求職者支援、力を入れていかなければなりません。ですが、本質的には、私、最も重要なのは、求職者と雇用主のマッチングにあると感じています。それは、実際、私も事業を経営してきて痛切に感じております。

 昨今、雇用の統計を見ると、コロナ禍から大分回復傾向にあるのが数字的にも見て取れるんですが、直近ですと、少しミスマッチの状況が数字的には見て取れるんじゃないかなと思っています。

 この雇用における求職者と雇用主のミスマッチを解消する取組、どのようなことをされているのか、お答えください。

田中政府参考人 人材が非常に貴重になっていく中で、雇用のミスマッチを解消するということは非常に重要な政策課題だと思っております。

 この雇用のミスマッチについては、就職の場面とか、あるいは雇用されている間においても様々なミスマッチが生じますので、その時々できめ細かく関係者が努力してミスマッチを解消していく必要があるというふうに思います。

 ここでは、就職の場面におけるハローワークでの取組について御説明いたしますと、職種や労働条件面等のミスマッチを解消するために、求職者と求人者に対してアプローチしておりますけれども、求職者に対しては、ハローワークで担当者制による職業相談、キャリアコンサルティング、さらには、不足する能力を補うための職業訓練のあっせんなどを行っておりますし、求人者に対しては、職務内容の明確化など、求職者にとって分かりやすい求人票の記載の仕方や、あるいは求人条件の緩和などの助言、さらには、求職者のニーズを踏まえて求人を開拓していくということも一生懸命やっております。

 今後とも、こうした取組を通じて、ミスマッチの解消に取り組んでまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 私も、事業を八年経営してきて、延べで多分百五十名ぐらい雇用を締結したんですが、そのうち八割、九割は、ほとんど大半がハローワークからの御紹介でした。なので、ハローワークで実際に一生懸命求職者支援も取り組まれているし、窓口の方に、親切な受け答えとか、非常に御紹介をうまくスムーズにしていただいたので、感謝をしております。

 その上で、やはり時代背景とともに働き方も多様化していく、そんな中で、私、以前の質疑で、インクルーシブ雇用というものを一つ言葉として表現させていただきました。

 現代社会は、やはり、働く理由一つ取っても、動機は様々。もちろん、その人自身の能力を最大限発揮しようと思えば、適材適所に企業側がしっかりと配置をしていくことも必要だと感じています。つまり、やはり、働く側にとって、いわゆる雇用の最適化をどのように実現していくのか。

 私、新しく雇用するときにいつも悩ましかったことがありまして、それは何かというと、実際に求職者が、この技術ありますよとか、この技術どうですかとか、受け答えとかしながら雇用を締結していくんですけれども、なかなか本音とか真意まではたどり着かない。一般的な中小企業だと、そんなに長く面接や、時間をかけるわけにもいかないという意味では、しっかりと雇用の最適化を実際に実現していく必要がある。

 そして、雇用の最適化って、じゃ、どうやって実現するんだというと、私は、自己評価、そして他者評価、その上で求職者と雇用主がしっかりとマッチングしていく、この三つをしっかりと実現すると、実際に雇用の最適化、働き手にとって十分満足できる環境で働いていくことが可能なんじゃないかと考えています。

 その上で、働き手にとって、今後、カルテのようなものをしっかりと作り上げていくことが、実は、働き手にとっても導入部分がスムーズにいく、雇用主側も安心して雇用ができる。これ、大企業はちょっと分かりませんが、中小企業だと、実際、非常に不安を感じて雇用をスタートさせる機会ってお互いに多いんですね。

 なので、雇用の最適化の実現のために、今どのような取組をされているのか、お答えください。

田中政府参考人 委員のおっしゃる雇用の最適化という言葉、余り通常使わない言葉ではありますけれども、様々な重要な意味を含んでいるというふうに考えております。

 ここでは、今おっしゃった趣旨を踏まえて、個々の働き手の方々のスキルや評価をきちっと見える化していくという観点からお答えをしたいというふうに思います。

 こうした働き手のスキル、能力を見える化して、それに応じた配置とか、あるいは適正な評価、処遇を実現していくことは、安定的な雇用の下で個々人の職業生活の充実を図っていく上で、非常に重要だと考えております。

 具体的には、厚生労働省におきましては、労働者等の個人が保有する職業能力の見える化や評価の見える化のための仕組みとして、今、先生、カルテとおっしゃいましたけれども、そのような制度として、ジョブカード制度というものをつくってあります。また、職業能力評価基準の整備も長年かけて行っております。こうしたスキルや能力をできるだけ客観化していくツールを整備し、その活用を図っているところでございます。

 また、個々人の適性や希望に合った職業選択やキャリア形成に向けましては、スキルや評価の見える化に加えて、各職業の内容や必要なスキル、知識に関する情報提供の充実も重要であると考えております。現在、約五百の職業について様々な情報を提供している職業情報提供サイト、愛称をジョブタグと言うんですけれども、これも厚生労働省で整備をして、運用を始めています。

 このような多面的な取組によりまして、引き続き、働き手の方々の適職選択と適正な評価、処遇を効果的に推進してまいりたいと考えております。

金村委員 ジョブカード、すばらしい取組だと思います。

 ポイントは、自己申告が非常に多いと思いますので、他者の視点をしっかりとそこに取り入れていく。そこが安心感につながると思いますし、私も事業を経営してきて、辞めた人に対していいことを書かないだろうと一瞬思うんですけれども、実際には、やはり一人一人の人生ですから、そんなでたらめなことはもちろん書けないですし、長所、短所、いいところ、悪いところ、やはり客観性を持って他者が伝えていくことに価値が生まれると思いますので、試験的でもいいですから、導入していただければと思います。

 その上で、こういった、雇用の在り方が非常にフレキシブルになっていけばいくほど大切になってくるのがリカレント、学び直しだと認識しています。

 とりわけ、学び直しの点で、求職者支援とかではなくて、企業に在籍した状態で学び直しをどうやって実現していくのか、又は、企業を通して学び直しをどのように支援していくのか。私は、そこに、まさに岸田政権の本丸である人への投資、ここがポイントになってくると思うんですね。

 そういった意味では、今現在、いわゆる学び直しについてどのような取組をされているのか、お答えください。

小林政府参考人 今御指摘いただきましたように、様々な変化に対応して、労働者のスキルの維持向上を図るということが非常に重要でございまして、その際、学び直しに取り組む企業に対する支援を強化し、企業労使一体となって学び直しを促進していくという視点がこれからますます重要になってくるというふうに考えております。

 厚生労働省におきましては、労働者のスキルアップに取り組む企業に対しまして、人材開発支援助成金というのを設けまして、訓練経費ですとか、訓練中の賃金の一部の助成を行っておるところでございます。

 そして、今年度からでございますが、人への投資の加速を図るということで、国民の皆様からアイデアをいただきまして、この人材開発支援助成金の中に人への投資促進コースというのを創設いたしました。具体的には、労働者が自発的に受講した訓練費用を企業が負担した場合、あるいは、長期の教育訓練を受講する場合に休暇制度を設けたり適用した場合、そうした場合に新たに、あるいは高率での助成を行うなど、支援内容の充実を図ったところでございます。

 今後とも、より多くの企業労使におきましてこうした学び直しが一層促進されるように努めてまいりたいというふうに思います。

金村委員 学び直しのポイントは、やはり企業を徹底して支援していくことだと思うんですね。個人を支援していくと、当然、技術力をつけて離職、転職と、その企業にとっては損失も招きかねませんので、企業そのものをバックアップしていくことによってその人個人の充実をつくっていくということを御検討いただければと思います。

 続いて、障害者の就労支援についてお伺いしてまいりたいと思います。

 私、八年間経営をしてきまして、唯一と言っていい心残りが、やはり、いわゆる法定雇用率を満たすことができませんでした。つまり、障害者を雇用することができませんでした。

 これは、振り返ってみても、やはり中小企業単体でこれを消化できる規模の企業ってそんなに多くないと思うんですね。そういうときに、常日頃私が考えていたのは、どうやったら地域において障害者雇用を促進していけるのか。一社では無理でも、二社、三社と連携することによって、いろいろなシナジーをつくっていく。こういったことにずっと私は思いをはせていたんですが、ついぞそういうパートナーが現れなかったものですから、自分たち単体ではできなかった。

 実際に障害者雇用を促進していくに当たって、中小企業に対する支援、どのような取組があるのか、教えてください。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、企業規模別の障害者の雇用状況でございますが、令和三年六月一日現在で、民間企業の実雇用率、全体で二・二〇%でございまして、これは十年連続で過去最高を更新してございます。

 一方で、中小企業における実雇用率は、百人以上三百人未満企業規模で二・〇二%、それから、四十三・五人以上百人未満規模企業では一・八一%、これは大企業に比べて低い水準でございます。

 こうなっている背景でございますが、中小企業においては障害者雇用の業務の選定、いわゆる業務の切り出しが難しい、そういった事情もございまして、これに対しましては、ハローワークが地域の関係機関と連携して、募集の準備段階から採用後の職場定着まで一貫して支援を行う、いわゆるチーム支援を実施している。また、各種助成金を通じた障害者雇用の取組支援、それから、障害者雇用に関する優良な中小事業主の認定、これはいわゆる、もにす認定と呼んでございますが、この周知等を実施してございます。

 委員御指摘の、個社で障害者雇用を進めることが困難、こういった中小企業に対しましては、事業協同組合等を活用して、複数の中小企業が共同で障害者の雇用機会を確保する仕組みを設けてございまして、協同事業を行うなど一定の要件を満たす場合には、厚生労働大臣の認定を受けることによりまして、その事業協同組合等とその組合員である中小企業における実雇用率を通算するといった扱いがございますので、これは御活用いただければと考えてございます。

 中小企業における障害者雇用の促進については、現在、労働政策審議会におきまして議論をしているところでございまして、今後、労政審での議論を踏まえて、必要な支援を積極的に実施してまいりたいと考えてございます。

金村委員 事業協同組合の考え方はすばらしいと思います。

 だからこそ、なかなか一企業で、共にパートナーのようにやっていく事業者を見つけることはやはり困難ですので、しっかりとハローワークが例えばマッチングしていくとか、そういったことを継続してやっていくことによって、中小企業も障害者雇用を推進していく一つの立場なんだということをしっかりと認識できるような環境にしていっていただきたいと思います。

 その上で、障害者雇用全体でいいますと、従来はいわゆる身体障害者の方が雇用率は高かったと認識しています。しかし、時代とともに、また、法定雇用率の定め等もありまして、実際に、現実には、今、精神障害だったり発達障害の方の雇用が増えていると認識しています。

 障害種別が違うとやはり働き方もニーズが変わってきますので、しっかりと、身体障害者の方たちが働きやすい環境とは別に、精神だったり発達障害の方々の雇用が拡大していることに対してどのような取組をしているのか、お答えください。

奈尾政府参考人 委員御指摘のとおり、障害を有する方が、それぞれ、障害特性や能力に応じて働き方を実現できるということは非常に重要でございまして、そのために、個々の障害者の方の特性や課題に応じた支援を行うということで考えてございます。

 具体的には、ハローワークにおきまして、身体障害者や知的障害者に加えて、特に近年求職申込みが増加している精神障害者それから発達障害者の方々につきまして、就職から職場定着まで一貫した支援を実施するチーム支援を行ってございます。

 また、精神保健福祉士等の資格を持つ専門相談員により、障害特性の理解や職業生活上の課題整理等を行うカウンセリングや、職業準備プログラム等を実施しております。

 また、就職後の職場適応のために、職場に出向いて職務や職場環境の改善に関する助言等を行う、これはジョブコーチ支援でございますけれども、支援を行っております。

 それから、事業主さんの配慮はもちろんなんですが、現実に精神障害者、発達障害者の方の雇用を継続するには、同僚の方の御理解、御支援、これも重要と考えてございまして、障害特性を職場内で正しく理解をしてもらって、精神、発達障害者の方を見守って支援する応援者となるような精神・発達障害者しごとサポーター、こういったものを養成するための講座を実施する等、障害特性を踏まえた支援を通じて就職と職場定着を支援してございます。

 引き続き、精神障害者、発達障害者の方々を含めて、障害のある方がそれぞれの特性に合わせて能力や適性を十分に発揮し、活躍できるように支援を実施してまいりたいと考えてございます。

金村委員 ありがとうございます。

 様々な取組をされていることはよく理解もいたしました。そして、法定雇用率というルールを設けることによって、その達成をするために努力されていることも理解いたします。

 その上で、今後大切になってくるのが雇用の質だと思うんですね。

 実際に、今おっしゃられたとおり、精神、発達の方と身体、知的の方だと、当然、働く環境が異なってくる。プラス、企業側に、障害者が働ける、いわゆる労働の在り方みたいなところを抽出できないと思い込んでしまっている企業も多いと思うんですね。実際に、私が聞いたところによると、いわゆる代行ビジネスのようなものも一部あるとお聞きしております。

 今後、ただ法定雇用率を満たすために何をすればいいのかではなくて、やはり、障害者の就労の本質はインクルーシブ、ダイバーシティー、障害者が共に働き、そして納税者となる、そういったことに共感を得ていく、そういう社会をつくっていくための一つの指標が法定雇用率だと思います。

 その上で、先ほど来申し上げている、いわゆる雇用の質をしっかりと担保していく、確保していく取組について教えてください。

深澤大臣政務官 障害者の雇用を進めていく上では、障害者一人一人が、その希望や障害特性に応じて能力を発揮し、活躍できることが重要であると考えております。

 障害者雇用促進法においては、各事業主は、雇用する障害者について、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならないとされているほか、雇用する障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供が義務づけられており、障害者がその能力や適性を十分に発揮し、活躍できる職場環境づくりを進めていただくことが必要とされております。

 その上で、厚労省としては、ハローワークにおいて、個々の障害者の特性を踏まえ、能力を十分に発揮できる職業を選択できるよう、きめ細かなマッチング支援を実施しているほか、先ほどの参考人の答弁と重なりますが、雇用の質を向上させる取組に対する社会的な関心を喚起するため、障害者の雇用の取組が優良な中小企業を認定する、通称もにす認定制度等の施策を実施しており、さらに、職場定着に向けた取組等、事業主の具体的な取組に対する助成金による支援を行っております。

 また、現在、労働政策審議会において、障害者の雇用の質の向上に向けた議論を進めているところであります。その議論を踏まえ、必要な施策を積極的に実施してまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 この雇用の質は大変重要ですので、御理解いただければと思います。

 時間がなくなってしまいまして、もう一問質問したかったんですが、一応、問題提起だけ。

 障害者雇用というのは、障害者手帳を取得した方を対象としておりますので、実際には、例えば、発達障害と診断されていても手帳を取得していない方、それから、大人になってから発達障害に気づいたけれども受容できていない方、そういった方はもちろん含まれておりません。こういう方々に向けた支援策をしっかりと取り組んでいくことが、新たな雇用創出、そして、社会全体でダイバーシティーやインクルーシブを実現していくことにつながると思いますので、御理解いただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 午後一番の質疑となります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 政府が四回目のワクチン接種を始めるということで発表がありました。六十歳以上の人を対象に、二十五日からということであります。今日は、そのワクチンに関わるデータについてお聞きをしたいと思います。

 早速でありますが、資料を御覧ください。こちらはワクチン接種歴別の新規陽性者数を一覧にしたものであります。分かりやすいように、十万人当たりの新規陽性者数も一緒に載っています。

 一枚目と二枚目、これは一週違うわけですけれども、御覧になっていただきますと、黄色いマーカーをしてございますが、皆さん、すぐに気づかれるかと思います。二枚目、五月十一日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでの会議で配付されたものですが、ワクチンの未接種者数の新規陽性者数、一番左の列でありますが、一気に、一枚目と比べまして、約半分以下になっています。

 この一週間で何があったんでしょうか、お聞きします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 HER―SYSにおけます新型コロナの感染状況の集計におきまして、従来、ワクチンの接種歴が未記入の方につきましては、厚生労働省は未接種に計上しまして、一方で、国立感染症研究所は接種歴不明に計上しておりました。しかしながら、感染研における取扱いと厚生労働省における取扱いの整合性を確保する観点から、厚生労働省の資料においても、接種歴が未記入の方は、感染研と同様に接種歴不明として扱うこととしました。

 こうした取扱いの変更のために、四月二十日の提出資料、これは四月四日から四月十日までの陽性者のデータでありますけれども、それと比較して、五月十一日の提出資料のデータでは未接種の陽性者数が減少したものとなっております。

田中(健)委員 これは、新型コロナウイルス感染症発生届の未記入を全て未接種の陽性者にカウントしていたということでありますが、全ての発生届のうち、この割合というのはどのくらいであったんでしょうか、お聞きします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 全ての発生届のうち未記入の割合はどの程度かというお尋ねでございますけれども、これは、例えば五月十八日の届出分では約一九%が未記入となっておりますが、四月以降の状況を申し上げますと、日によって数字は異なるものの、未記入の割合は一八%から二四%程度の間で推移しております。

田中(健)委員 発生届のうち約二割、平均するとなると思うんですけれども、今やり取りしていますけれども、何か単純に、ただただ数が変わっただけのような感じになりますが、私は、これは大きな問題だと思って今日は取り上げさせてもらいます。

 この未記入はあくまで未記入だっただけであって、その患者さんが未接種だったということではないわけです。もう今八割の国民がワクチンを接種していますから、未記入の中には、ワクチンを接種されていたにもかかわらず、今回未接種という中に、割合がかなり入っていたんだろうと思います。これを単純に未接種の陽性者に上乗せしていたということは、これは大変な大きな問題、あり得ないことじゃないかと思います。

 そもそも、先ほど感染研と同じようにしたという、さらっとお答えしてしまいましたが、ずっとこのような分類にしていたのはどうしてか、そして、今回このタイミングで変えることになったのかをもう一度お聞かせください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 HER―SYSにおける発生届の入力の画面におきまして、ワクチン接種歴を入力する欄は、当初、ワクチン接種者が非常に少なかったことから、医療機関や保健所などの現場の入力負担を少しでも軽減するという観点から、接種歴を特に選択しない場合には、未接種というふうにしておりました。このような形で入力されたデータに基づきまして、これまで、単純集計ではありますけれども、ワクチン接種歴別の新規陽性者数に関する資料を作成してきたところでございます。

 そして、昨年末、十二月一日でございますけれども、HER―SYSの入力画面のデフォルトを未記入に変更した後も、従来どおりの取扱い、すなわち未記入なら未接種という取扱いにのっとりまして、入力データを機械的に集計して、毎週公表してきたものでございます。

 一方で、国立感染症研究所におきましては、昨年の十二月以降、ワクチン接種歴が未記入の方を一律に接種歴不明であるとした上で資料を作成し、こちらもADBに公表してきたという経緯がございます。

 厚労省の資料の数字と感染研資料の数字との乖離が大きくなってきたことから、今般、感染研における取扱いとの整合性を確保する観点より、厚生労働省の資料においても、接種歴が未記入の方は、感染研と同様に、接種歴不明として取り扱うことというふうにしたところでございます。

田中(健)委員 今お聞きしていますと、お医者さんが未記入だったから、ないしはシステムがというようなことで聞こえるんですけれども、理由がですね、これは、ネットの中、SNSの中では、未記入が怪しいとか、データに不備があるんじゃないかということは指摘がされていまして、今回これが変わった時点で、あっ、やはりここ、違っていたんだというような声がかなり上がっています。

 これは、うがった見方をすれば、ワクチン未接種者の新規陽性者数を高くするために意図的にやっていたと言われても仕方がない分類です。

 例えば、これは、十二歳から十九歳を見ますと、十万人当たりの陽性者数、六百七十九人です。一枚目です。これを横に見ていきますと、二回目打てば二百四十九人、三回目で九十九人ですね。これまでのデータだと、本当にきれいに、ワクチン接種により感染者の予防をするというのが、効果が確認できていました。ワクチンを打てば打つほど、感染者数は減るということですね。

 そして、国も、このデータを基に、コロナワクチン、感染予防に効果ありということを宣伝もしてきました。さらに、専門家や自治体もこのデータを使っています。

 資料四枚目になりますが、これはちょうど一枚目のデータをグラフにしたもので、香川県のホームページに載っています。香川県のホームページの「新型コロナワクチン接種を検討されている皆さまへ」というページに載っている資料です。

 まさに、これを見ますと、きれいに、ワクチン接種によってがくっと、未接種者から、二回目、三回目、感染者が減っているというのが分かるんですが、今の分類を当てはめると、この青いところ、未接種のところは、約二割なんですが、数にしますと半分ぐらいになりますから、それぞれがくがくっと、半分ぐらい、平均すると減るということになります。

 私は、決してここでワクチンを否定しているわけではありません。いろいろなお話を聞かせてもらいますと、二回目から三回目のブースター接種も意義があるということも分かっておりますが、しかし、今までの分類を新たにしたこのデータを分析すると、例えば未接種者の大半、若い世代ですが、症状が軽く、多少の熱でも病院には行かない、つまり、新規の陽性者数とはみなされない、可能性が低いわけですね。結果として、この新しいデータを見ますと、二回接種と未接種者数の人は、感染防止効果では有意義な差が見られないふうになります。

 今回の正確な分類に直したということで、若い世代における感染予防が低いということもデータによって見えてしまうことではないかと思うんですが、大臣の見解を伺います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種は、オミクロン株に対しても感染予防効果や発症予防効果、重症予防効果があり、三回目接種を受けた方はそうでない方と比べて感染者が少ない傾向にあることが示されています。

 一方で、御指摘のワクチン接種歴別の新規陽性者数のデータについては、これは単純集計でありまして、ワクチン接種からの期間が考慮されていないこと等から、これにより感染予防効果が必ずしも明らかとなるものではないというふうに考えます。このため、このデータをもって若い世代の方への感染予防効果について評価することは困難であると考えます。

 また、諸外国の知見においても、特段、若い世代において新型コロナワクチンの感染予防効果が低いというデータは示されていないと承知しております。

 いずれにせよ、若い世代へのワクチン接種は重要であると考えており、引き続き、科学的知見の集積を注視しながら、接種の促進に努めてまいりたいと思います。

 また、六十五歳を超える、先生は今、六十五歳を超えるところよりも下のところで議論を、そこでいいでしょうか、一旦。

田中(健)委員 ありがとうございました、大臣。

 三回目の今接種が進んでいまして、推奨していますから、三回目の話に持っていきますと、先ほど私も言いましたブースター接種、意味があるというふうに思っていますが、そもそも、オミクロン株が出現したときは、二回目を打つとき、ワクチンの効果が大きく落ちるということが注目されて、実際、第六波では二回目ワクチン接種完了後も感染者が相次ぎ、その有効性というものがいろいろな議論がありました。ですから、そのときこの資料がデータとして使われていたわけです。

 ですから、当時は、未接種者の方が二回接種よりも三倍だとか二十倍とか、このデータを基に議論が進んでいたと言われています。ですから、それは違ったわけですよね。単純に三倍、二十倍というのではなく、かなりこの未接種者の中に未記入の人が入っていたわけですから、このデータというのが本当に合っていたのかというふうに言われても仕方がないと思うんです。

 さらに、今大臣先に言っていました六十五歳以上の方を見てみますと、これは未接種者と三回目接種の差がなくなってきています、十万人の陽性者数を見ますと。これは、六十五歳から三回目は今年の一月から二月なので、オミクロン株ではブースター接種の感染予防効果というのは非常に逆に短い、効果はあったけれども二か月程度で切れているというふうにもこの新しいデータだと見ることができます。これを考えますと、感染効果を維持するには二か月ほどでワクチンを打ち続けなきゃならないというふうにも新しいデータからは見て取ることもできます。

 これらの結果を見ると、感染防止という意味においては、ワクチンを打つというのは現実的なのかどうかということについての見解を伺います。

後藤国務大臣 御指摘のワクチン接種歴別の新規陽性者数のデータについては単純集計でありまして、ワクチン接種からの期間が考慮されていないことなどから、これにより感染予防効果が明らかとなるものではないのではないかと思います。

 一方で、海外の査読付医学雑誌の論文から得られている科学的知見によれば、オミクロン株に対する一、二回目接種による感染予防効果や発症予防効果は経時的に低下するものの、三回目接種により一時的に回復すること、また、入院予防効果は、一定程度の経時的低下を認めるものの、発症予防効果と比較すると保たれており、さらに、三回目接種により回復することが確認をされています。

 これらの科学的知見を踏まえて、三回目接種は、重症化予防、発症予防等を主な目的として接種を進めています。引き続き、最新の知見を注視しながら、適切にワクチン接種を進めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 これは、データによる分析が大事だ大事だと、このワクチンだけでなく今回のコロナ対策に言われてきたんですが、分類一つで、もちろん私も大臣の考えはよく理解できるんですけれども、全く違う見方ですとか新しい見方が見えてしまうので、政策判断を誤る可能性があります。

 そもそも、先ほどの香川県のページも、このままでいいのかというふうに思います。分類が変わりまして、このブルーの、ワクチンを打っていない人の数はこの数ではないわけですから、ですから、正確に私は自治体にも国民にも知らせるべきだと思っています。

 時間がないので、さらに、この表から進めさせていただきますと、今度は未接種者数の十万人当たりの新規陽性者数、八十歳以上を見ますと、ほかに比べて、三百だとか五千だというような大きな値になっています。非常に高い値が出ています。

 この高齢者の未接種者の数というのは、どのように計算されてこれが導き出されるんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 ワクチンの未接種者数につきましては、各年齢層について、総務省が公表しております、令和三年一月一日時点の人口である令和三年住民基本台帳年齢階級別人口、市町村別から、ワクチン接種記録システム、VRSに登録されている、ワクチンを一回以上接種した方の数を差し引いて算出しております。

田中(健)委員 人口統計から接種済みの人を引いた数だということですが、三枚目、御覧ください。これは官邸のページで、接種率と接種回数、人口を示したものです。

 これで計算をしますと、九十歳以上というのは、右にマーカーしてありますけれども、九十歳代と百歳以上を合わせたもので、そこから一回目の接種者を引いたものです。しかし、これを引くとマイナスになります。マイナスになるので、上の接種率は一〇〇%を、九十歳代、超えています。どうしてこんな結果になるんでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 年齢階級別の接種率の分子となりますワクチンの接種者数につきましては、先ほどもありましたけれども、ワクチン接種記録システム、VRSに登録された生年月日を基に統計を取っているわけでございます。

 一方で、接種率の分母となります人口につきましては、先生に提出していただいた資料にもございます、これは官邸サイトの資料でございますけれども、その官邸サイトの注にも書かせていただいたとおり、総務省が公表しております令和三年住民基本台帳年齢階級別人口を使用してございます。この年齢階級別の人口は、令和三年一月一日時点の年齢によって区分がされているわけでございます。

 したがいまして、例えば令和三年一月一日時点で八十九歳であった方が九十歳になられた場合には、分子の方で九十代に区分されるため、御指摘のような、母数の少ない高齢者層、あるいは、例えば小さな規模の町村の接種率においては一〇〇%を超える場合が生じ得るということでございます。

田中(健)委員 つまり、令和三年の住民基本台帳を使っているからなんです。

 私は、毎月、総務省、概算人口を出していますから、てっきりそれを、毎月を使っているのかと思いきや、一年以上前のものを使っていますと今まさにおっしゃってもらいましたが、高齢者人口、毎月のように増えていますから、増えた分を加えた数から接種済みを引いて算出すればこれは一〇〇%になりませんが、少ない数から引いていますから、統計としては、これは、役に立たないと言うと語弊があるかもしれないですが、かなり私は正確でないデータだと思います。

 先ほど、この下に注がいろいろありますから、これを加味すればと言いましたけれども、データとしては、やはり、この上に出ている接種率と人口、接種者と、この数が一番結果として大事なわけですから、私は、これは、堂々と一〇〇%を超えたものを出しているのはいかがなものかと思います。

 ちなみに、総務省の令和四年四月一日時点の人口で計算をし直しますと、例えば、先ほどの一覧表二枚目、九十歳以上、十万人当たり五千六十五人と異様に多いので、何かちょっとおかしいなというふうに思いまして、これを四月一日時点の人口で割り直しますと、七十一人になります、十万人当たり。五千六十五人ががくっと減るんですね。それによって、全く、イメージというか、また効果や、また感じ方も変わってくると思います。

 ちなみに、接種率、先ほど、一〇〇・一%も、令和四年四月一日ですと九〇・八%になります。

 さらに、ちょっと時間がないんですけれども、この表の二枚目ですと、四十代と五十代を見てください。四十代と五十代、十万人当たりの新規の陽性者数が逆転しています。さらに、六十五から六十九は極端に前後と比べて低いんですね。これもなぜなんだろうと思いましたら、令和四年四月一日で直しますと、全てきれいにデータがそろいます。つまり解消するんです。つまり、現状が、この表ですと正確に把握がされていないんじゃないかと思います。

 もちろん、いろいろな要因があって、ないしは、前提条件があるから仕方がないと言われたらそうなんですけれども、しかし、先ほどの香川県のホームページのように、このデータ、結果を基に、各自治体でワクチン接種の話や若しくは科学的なものを説明しているというものであれば、もう少し責任を持って、そして、できることならば、その毎月の人口に合わせて出すとか、それが余り変わらなければいいんですけれども、先ほど言ったように大きく変わりますので、そこは、私はしっかりやってもらいたいと思います。

 最後になりますが、では大臣、今、未記入を未接種にしていたということで、今回、大きく表が変わりました。また、国の統計も、人口の基準によって大きく指標が変わってきます。やはり、これら結果というのは国の方針を決める大事な資料、データでありますから、私は、もろもろのデータ、たくさんあるので大変かと思うんですが、一年以上前の人口統計を使うのではなく、できる限り、毎月発表されるデータ、毎月でなくても、少し前でも結構ですが、少しでも正確に反映できるような統計を作ってもらいたいし、そして、そういうような取組をしてもらいたい。そうでないと誤解を招きますし、また、分析や判断等が正しく行えないと思うんです。いかがでしょうか。

後藤国務大臣 データからどういう結論を導くかは、データの作り方、前提条件、そうしたことに大きく影響されます。

 一方で、政府から同じデータを使って政府系機関と別々の発表をしているということの問題点とか、あるいはそれの接続性だとか、データの処理については、委員御指摘のように、丁寧に、しっかりと、全体像を見据えて作っていく必要があるというふうに思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 確かに、冒頭、今回、感染研と合わせたということであり、そうしますと、さらに、これまでは感染研と厚労省ないしは官邸のデータがそれぞれ違うとなりますと、何をもって皆さんが判断をしたり、また政策に生かしていけるのか分からないと思いますし、さらに、四回目のワクチン接種が進みまして、これからいろいろな政策がまた次々と打ち出されてくるかと思います。その基になるのが私は正確なデータだと思いますので、大臣が決意を述べていただきましたので、しっかり反映できるようなシステムづくりに邁進していただければと思います。

 時間になりました。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、資料の一枚目でございますが、PCR検査の保険の点数ですね、今、外部委託の場合は八百五十点ですけれども、七月一日から七百点になります。こうなると赤字になるという声が医療機関から寄せられております。

 資料を見てほしいですけれども、大手への検査委託料は約六千円、七百点になったとしてもこれ以上下げられませんと提示されているそうであります。残り千円で、綿棒やスピッツなどの医療材料、一検体ごとに取り替えているゴム手袋、医師、看護師の人件費、感染防止の様々な資材、あるいは検体を取るために特別にレンタルしている空調機つきのプレハブ診療室や待合室、HEPAフィルターつきの空気清浄機、こうしたものを考えると、とても賄えないということでございます。

 大臣、これは医療現場の実情をよくつかんでいただきたいと思うんですね。赤字にならないように点数の引下げは見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 御指摘のPCR検査料につきましては、実勢価格を踏まえた保険収載価格の検証を行いまして、その結果を踏まえて、必要な見直しを行ってきております。

 具体的には、PCR検査を外部に委託する場合の点数については、昨年十二月に千八百点から千三百五十点に引き下げた上で、本年四月からは七百点に引き下げることといたしておりましたけれども、感染状況や医療機関の実施状況を踏まえまして、激変緩和のための更なる経過措置として、六月末までは八百五十点とすることといたしました。

 また、迅速、スムーズに検査できる体制を確保する観点から、診療・検査医療機関として公表されている保険医療機関に対する診療報酬上の特例措置、五百五十点の期限を、三月末から七月末まで延長しております。PCR検査の保険収載価格だけでなく、このような取組も含めて、全体として対応をしているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症に係る対応については、引き続き、現場の声もよく聞きながら、必要な対応を講じてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 現場の声を聞きながら必要な対応ということですから、現場の状況を私もお伝えしましたので、その必要な対応は下げないことだということだと思いますので、しっかり対応を取っていただきたいと思います。

 それから、資料の二ページ目でございますが、生活保護について、これは札幌市が作っている、生活保護は国民の権利ですというポスターでございます。こうしたポスターを作る自治体が少しずつ広がってきております。

 スティグマをなくして必要な人が利用できるようにするために、国としても更に取組を強めていただきたいと思うんですね。自治体の役所の目立つところだとか困窮者支援の窓口、病院やハローワーク、あるいは人がよく目にする町会の掲示板だとか駅の広告など、是非、国と自治体と共同してこうした取組を広げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 生活保護制度は最後のセーフティーネットでありまして、生活保護を必要とする方に確実かつ速やかに保護を実施することが重要と考えています。

 そのため、自治体においては、保護のしおり等を用いた、制度の仕組みを十分に説明する等の周知広報、福祉事務所が生活に困窮された方を把握できるように、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関等の関係機関において、必要な方を福祉事務所につなぐなどの緊密な連携などに取り組んでいただいていると承知しています。

 また、厚生労働省としても、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえまして、生活保護の申請が国民に認められた権利であることをホームページ等で周知することにより、ためらわずに福祉事務所に御相談いただくよう呼びかけております。

 今後とも、広報の実施や関係機関との連携を自治体に促すとともに、国としても引き続き、必要に応じて周知広報に取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 広報を自治体に促すという点で、こういうポスター、これは先進的な事例だということで、是非厚労省からお勧めしていただけないでしょうか。

後藤国務大臣 自治体における具体的な広報の方法については、地域の実情も踏まえて適切に御対応いただきたいと考えています。

 国としては、生活保護の申請が国民に認められた権利であることを厚生労働省のホームページ等で周知するなどしておりまして、生活保護を必要とする方が申請をためらうことがないように呼びかけを行うなど、引き続き、必要に応じて周知広報に取り組んでまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 ためらわないようにするためには、やはり権利だというのを知るというのが一番の基礎だと思うんですよね。ですから、やはり、それを今、確かに、ホームページでやったりSNSでやったり、厚労省も努力されていることは承知しております。ですけれども、もっと、それが届かない範囲、それはネットというのは見る人にしか見えないものであって、ポスターだとかというのは歩いたらいやが応でも目に入るものですから、そうしたものも含めて是非検討していただきたいと思います。大臣、うなずいていらっしゃいますので、是非省内で検討をよろしくお願いいたします。

 次の質問でございます。

 資料の三ページ目を見ていただきたいと思います。

 厚労省が五月十日付で、「生活保護制度上の自動車保有の取扱いについて(注意喚起)」なる事務連絡を出しております。最後の部分を読みますけれども、「今般、ある自治体において、障害等を理由に通院のために自動車の保有を容認された者について、通院以外に日常生活に用いることが認められるような考えを示した事例が確認されたことから、改めて実施要領における自動車の保有の取扱いについてご留意いただき、引き続き、自動車の保有について適切な指導をお願いいたします。」と書いてあるんですね。

 これを見て驚きました。事の発端は、次のページ、四ページ目を御覧いただきたいと思うんですけれども、札幌市が生活と健康を守る会の要望に対して、障害等を理由に自動車の保有を認められた場合は、保有する自動車を日常生活で利用することは、被保護者の自立の助長、保有する資産の活用の観点から認められる、こう回答したことでございます。

 これに対して厚労省が札幌市に聞き取りを行い、これは違うんじゃないかと指摘を行い、さらに、五月十日にはこういう事務連絡を全国に出し、五月十二日、札幌市は、生活と健康を守る会への回答について、生活保護の実施要領に沿うものでないと訂正をして、当該部分の撤回を表明するということになったわけでございます。

 私は、この札幌市の当初の回答は当然の回答であって、厚労省の対応は間違いだというふうに思います。

 配付資料、ちょっと飛びますけれども、十ページ目を御覧いただきたいと思います。大阪地裁の判決をつけております。

 二〇一三年四月十九日、一部を紹介したいと思いますが、通院等の保有目的が認められることを前提として生活保護の開始とともに自動車の保有が容認された場合には、日常生活において保有する自動車を利用することなく、費用を負担してタクシーを利用したり、第三者の介護を求めたりすることは補足性の原則にも反することである。当該自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められるというべきである。これが地裁の判決なんですね。

 一旦保有を認めた場合は、日常生活のために利用するためということは当然に認められるべきだ、生活保護法の考え方からしたらそうじゃないかという判決でございます。大変明快な判決だと思うんですね。

 車の保有が認められた方について、日常生活の自動車利用を制限するような不合理な運用というのは私は改めるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 生活保護制度上、自動車は資産に該当し、また、維持費が生計を圧迫することを踏まえて、原則としてその保有は認められておりません。

 その上で、障害者や公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が自動車により通勤する場合や通院、通所及び通学のために自動車を必要とする場合などであって、一定の要件を満たす場合には、例外的に自動車の保有を認めております。

 また、生活保護の運用上、資産の保有とはその保有又は利用を指しておりまして、例外的に保有が認められた場合であっても、自動車は原則として保有が認められない資産であること等を踏まえて、保有が認められた目的のために限って利用されるべきというふうに考えています。

 御指摘の大阪地裁判決は、そもそも通院等のために保有が容認された自動車を日常生活に利用することが争点となっておらず、傍論として示されたものでありまして、通院等のために保有が認められている自動車の日常生活上の利用を認めるべきとする司法判断が示されたものとは考えておりません。

 さらに、別の事案に関する大阪高裁判決では、判決理由の中で、保有を容認された自動車の保有目的以外での利用を制限することが合理的であるとの判断が示されております。

 御指摘の事務連絡は、先ほど述べた生活保護制度における自動車の利用に関する取扱いを改めて周知するものでありまして、自動車の日常生活利用に関する新たな制約を課したものではなく、妥当な内容であるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 この判決は傍論だというふうにおっしゃいましたけれども、私、傍論だと言われると言いたくなっちゃうんですよね。安保法制のとき、集団的自衛権の解釈を変えました、政府は。安保法制の委員会の中でも私も随分議論しましたけれども、そのとき、砂川判決の傍論を使って政府は合理化したわけですよ。御都合主義じゃないですか。一方では判決は傍論を使って自分たちの解釈変更を後づけしながら、今回は傍論だから関係ないと。私は、それは政府の姿勢としていかがなものかというふうに思いますよ。傍論であっても、しっかり私はこれを受け止めなきゃいけないというふうに思いますよ。

 そもそも、生活保護法の目的というのは何なのかということを考えた場合に、最低限の生活を保障するとともに自立を助長することが目的なんだ、だから、自立助長、資産の活用の観点から当然に認められるべきだというのがこの地裁判決の言っていることですよね。

 私は、本当に厚労省の今取っている姿勢というのは非常識だと思いますよ、率直に言って。保有を認めておきながら、それ以外の活用については駄目です、タクシーを使って行ってくださいと。それは自立の助長につながらないと、この判例で言っているとおりじゃないですか。じゃ、本当にそれが正しいと思いますか、大臣。

 今、恐らく大臣は、役所の皆さんから渡されたペーパーを正直に読み上げられたんだというふうに思います。ですけれども、認められた保有の目的以外の利用についてはタクシーを使ってくださいというのは、私はどう考えても非常識、不合理だと思います。その辺り、よく考える必要があると思いますけれども、いかがですか。

後藤国務大臣 大阪地裁の判決は、先ほど申し上げたように、判決を読む上においては傍論の部分で述べられているということでありますけれども、別の同様の事案で、直接ここが、この点が争われていた大阪高裁の判決においては、保有を容認された自動車を、保有目的以外の利用を制限することが合理的であるという判断は出されているので、一応そのことについては補足をさせていただきたいと思います。

 生活保護を考えるときに資産というものをどういうふうに捉えるかということの根本に関わることでありまして、基本的には、先ほど申し上げたように、原則として、維持費が生計を圧迫するということを踏まえて、資産に該当する自動車を保有することはできないという法制度の仕組みの中で、均衡を取って解釈をしていることであります。

 そういうことで、この生活保護というのは、ぎりぎりに生活を支えていく、そういう制度の中にありまして、やはり、自動車を資産と考えた場合に、こういう取扱いを一般論としている中で例外的に保有を認められている場合は、その保有を認められた例外的目的の範囲内において使うことが認められるというのが、一応、理論的な均衡のある判断ではあると思います。

宮本(徹)委員 いや、理論的な均衡なんて全くないと思いますよ。大体、生活保護法にはそんなことはどこにも書いていないわけですからね。

 これは、私は、与党の皆さんからも是非声を上げていっていただきたい話だと思いますよ。こんな不合理な話はないですよ。保有を認められた車について、通院でしか認められていないけれども、じゃ、通院と併せて何か買物に行ったらこれは駄目ですよなんという話なんて、こんなばかな話はあり得ないですよ。そのために、一旦帰ってから、またタクシーを今度は使って買物に行くんですか。こんなばかな話、ないじゃないですか。これは直さなきゃいけないと思いますよ。

 なおかつ、今回、大臣いろいろおっしゃいますけれども、実施要領に沿うものではないということを言って札幌市は撤回表明したわけですけれども、実施要領、どこを読んでもそんなことは書いていないんですよね。実施要領、どこを読んでも書いていないですよ。

 保有の要件については書いていますけれども、保有した自動車をどう利用するのかということについてはどこにも書いていないと思いますが、いかがですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件でございますけれども、これまでも、資産の保有がその保有又は利用を指していることは、実施要領、これは実施要領としての事務次官通知におきまして示されているところでございまして、これを前提として、自動車の日常生活での利用を制限する扱いについても示しているところでございます。

 様々な、別冊問答集等も保護課長事務連絡等で示しておりますけれども、保護の実施要領である事務次官通知の考え方を具体的にお示ししたものでございます。

宮本(徹)委員 事務次官通知には、保有を認められた者についての利用については何も、どこにも書いていないですよ。書いていないですよね。読めば分かりますよ、こんなの、誰だって。

 さっき、その解釈は問答に書いてあるんだということを言いますけれども、問答を見たってどこにも書いていないですよ。私、事務方から事前に話があったのは、ここにありますと言われたのは、問答の、ちなみに、問答というのは実施要領じゃないですからね、問い三の二十のところに、他人名義の自動車の利用のところについてそれに関係することが書いてあるというふうにおっしゃる方もいましたけれども、これも、自動車の保有を認められていない者が、人の、他人名義の自動車を利用する場合についての問答であって、保有を認められた人についての利用についてなんてどこにも書いていないですよ。いいかげんな答弁はやめていただきたいというふうに思うんですよね。

 それで、この問題は是非与党の皆さんからも働きかけていただきたいと重ねて申し上げておきたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、次の、最後の質問に移らさせていただきます。

 家賃補助制度についてでございます。

 一年前、住宅確保給付金について、恒久的な家賃補助制度にすべきではないのか、発展させるべきではないのかと田村前大臣とこの場で議論させていただきました。

 先日、生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会の論点整理が発表されました。こう書いています。住宅確保給付金については、コロナ禍にあって一定の役割を果たしてきたが、住まいを喪失するおそれのある人の多さ、裾野の広さが顕在化した以上、住宅手当といった家賃補助的な施策も含め、普遍的な社会保障施策として検討する必要があるのではないのかとあります。一年前、ここで議論したことと同じことが政府の検討会の中でも指摘されるということになっております。

 是非、大臣、この指摘も受け止めて、住宅確保給付金を基礎に、家賃補助制度の創設、これは検討をスタートすべきじゃありませんか。

後藤国務大臣 生活困窮者自立支援制度の見直しに向けて、昨年十月より、有識者や実践者から成る生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会を開催いたしまして、本年四月に御指摘の論点整理を取りまとめたところであります。

 その中で、コロナ禍で利用が急増した住居確保給付金については、住まいを喪失するおそれのある者への支援を強化する観点から、コロナ禍において実施した職業訓練受講給付金との併給等の特例措置の恒久化、個人の事業主に対する個別性、柔軟性の高い支援の実現に向けた求職活動要件の見直し等の指摘をいただいているものと承知しています。

 生活困窮者自立支援制度の見直しについて、論点整理を参考にして、今後、社会保障審議会の部会において議論していくこととしておりまして、御指摘の住居確保給付金の在り方も含めて検討を深めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 コロナ特例を恒久化していくのも本当に大事なことだと思います。

 あわせて、やはり家賃補助制度への発展も含めて是非検討していただきたいと思うんですけれども、そこは家賃補助制度も含めて検討されるということでよろしいですよね。

後藤国務大臣 全体として、それも含めて検討してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 大事な答弁だというふうに思います。これは、与党の中からも家賃補助制度をつくるべきだという声も上がっておりますので、是非しっかり進めていっていただきたいと思います。

 あわせて、この問題と関わって、最後、資料を一番後ろに、つけているかな、抜けているかな、私が持っているやつは抜けていますけれども、日本の住宅政策というのは極めて持家偏重なんですよね。住宅ローン減税には毎年八千億円ぐらい使いながら、公営住宅は足りない、民間賃貸への家賃補助はほとんどないという状況でございます。

 イギリスでは、住宅手当の受給者というのは、あの人口で四百二十万人、フランスでは五百七十九万人、持家の多いアメリカでも、賃貸住宅四千三百九十九万戸のうち、四分の一で何らかの家賃免除があり、三百六十万戸家賃補助がありますので、この持家支援偏重からしっかり脱却していくということもこれから求められるというふうに思いますので、そうした点も是非世界のいろいろな施策も見ながら検討を進めていっていただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わらさせていただきます。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文でございます。

 今日は、平成十六年に始まった新研修医制度、このことについて質問したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 この委員会においても、いわゆる地域医療、特に人口が減少している地域での医療がなかなか難しくなっている、その主たる原因に、やはり医師確保、医師の確保が十分できていないということがございました。

 この研修医制度の前は、まさに医局、まあ「白い巨塔」の状況ではないですが、医局というものからそういった地域の医療を担う拠点病院、公的病院の方に人事を行い、派遣していました。私もそういった一人であったわけでございますけれども、一年いたり、二、三年いて、ローテーションという形で次のジッツ、関連病院の方に行ってまた勤務を進めていく、キャリアアップをしていくということでございました。

 率直に、私は、こういった医局制度の様々な問題もありました。されど、こういう新研修医制度になって、今実態として私が把握しているのは、特に都会の方の、それなりの症例があって体制のあるところ、そして、都会でありますから、例えばその医師が、医学部を卒業して医者になって、結婚とかする中で子育て、教育を子供さんにも行うことがあったりして、都会の方にいわゆるシフトしているんじゃないか。事実、最近の新聞で、二〇二〇年の、地元の医学部を卒業して、その医学部の医局に入局するようになった数が四〇%を切ったというふうなデータも出ておりまして、まさにあの医局がそういった人事的なことで今十分機能が果たせていないんじゃないかというふうな実態もございます。

 大臣、こういったことを含めて、この新研修医制度と今の地域における医療がなかなか回っていない状況、その辺に関しての御評価というのをいただきたいと思います。

後藤国務大臣 医師の臨床研修制度につきましては、将来専門とする分野にかかわらず、医師としての人格を育成して、基本的な診療能力を身につけることを基本理念として平成十六年度に必修化されたものでありまして、この導入によりまして、研修医の基本的な診療能力が向上し、研修医の身分や処遇も改善されたというふうに、このメリットの面は認識しております。

 一方で、先生からも今御指摘ありましたけれども、大学病院において臨床研修を受ける医師が大幅に減少し、大学病院が担ってきた地域の医療機関への医師派遣機能が低下するとともに、研修医が都市部に集中する傾向が顕著となりまして、地域における医師不足問題が顕在化するきっかけとなったものということは認識をいたしております。

 このため、厚生労働省では、平成二十二年度から人口分布や地理的条件等を考慮した都道府県別の募集定員を設定する、令和二年度から医師少数区域に更に配慮した都道府県別の募集定員の設定を行うなど、研修医の偏在是正に順次取り組んできています。

 また、各都道府県においては、県に割り当てられた募集定員を県内の臨床研修病院に配分するに当たりまして、大学や医療関係者から構成される地域医療対策協議会において地域の実情を踏まえた協議を行っているところでありまして、地域医療の確保に配慮した定員配分に取り組んでおります。

 厚生労働省では、地域における医師の確保に資するように、医道審議会医師臨床研修部会において研修医の定員配分の在り方に関する議論を行っているところでありまして、こうした議論も踏まえつつ、引き続き必要な取組を行ってまいりたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 今のことはこの間も今日も議論が出ていましたけれども、地域枠の問題でありますとか様々なことがあると思います。そしてまた、当初、私も、国立病院でしたけれども、やはり、十万円ぐらいの基本給で、あとはアルバイトに行っているというふうな状況でした。本当に、二十四時間三百六十五日働いたような記憶があります。そういうことの是正にはつながったと思いますが、国民の側からすると、やはり、地域医療という面では特に科の偏在と場所の偏在というのがありますので、そのことも国の方の立場を踏まえて理解していただきたいと思いますが。何しろ、キューバのような、そういう社会主義のような、国で医者の配置あるいは人数の調整はできませんので。

 一つ、これからの医療政策、特に医師確保という面に関して、医師の立場の意見をちょっと酌み取っていただきたいと思いますので、今から言う項目もちょっと理解いただきたいと思います。

 もちろん、給与体系、月三十万とか等々大切だと思いますけれども、一方で、研究、いわゆる学位でありますとか研究のこと、アカデミア的なことで、そういった、自分がいる場所、臨床のみならず、いる病院等を決めることもあります。

 そして、最大は、やはり、国家試験に通ったから早く一人前になりたい、より多くの症例を積みたい、そういうキャリアアップに対する願望は医師としてどなたもお持ちだと思います。

 そういう中で、指導医というのは非常に大切だと思います。これは、例えばマックで、中高年の男性が失業してマックで就職するようになっても、それが、ずっと前から勤務している高校生と同じように接遇、接客対応、そしてまたレジ等々ができるようになるわけです。それが、医師という人の命、健康に携わるような形がいわゆるそういう見習だけでやるというのは非常に大きな問題があると思います。

 これは専門医制度とも連携しますけれども、大臣、例えば慈恵医大の青戸病院での腹腔鏡による医療過誤のことはお聞きになっていると思いますけれども、今、こういった医療現場も、特に教育の分野で、特にアメリカ型のシミュレーション教育を取り入れて頑張っているところもあります。

 医学部におけるこういった取組は、もちろん医師免許を獲得した医師に対してもなされるべきであると思っておりまして、ちょっと、今日お手元に写真つきの資料を提示していまして、一番最近できました国際医療福祉大学の医学部、そしてこの中に成田病院というのがありまして、先般、私、二期目の当選後で、ちょっと視察に伺ってきました。

 これは、写真一とか二は、ダミーですけれども、かなり現場の患者さんに近い状態がありまして、左の例えば男性患者のダミーですと、ここからリモートのブース、これは写真三ですけれども、そういうところにあって、それぞれ不整脈のパターンをいろいろつくれます、心房細動とか心室粗動とか。そういったときに、医師が即座にどういった対応をするのか。服薬だけでいいのか、あるいは、AEDじゃないですけれども、カウンターショック、自動除細動を使うべきなのかとか、そういうことをやるわけですね。そこは指導医が見ている、ほかの医者が見ている。また、そういった自分の動き、対応を録画できますから、自分が行ったことを後でレビューする、どこの動きに無駄があったり問題があったんだろうということをしっかりとシミュレーションできるような、こういった、いわゆるリエデュケーションというか、研修の面でも大切な状態があります。

 また、写真二、一枚目ですけれども、これは私びっくりしたんですけれども、産婦人科の、私ですけれども、出産、かなりリアリティーがあって、内診とか、これはすごくデリケートな部分ですけれども、本当に、出産する過程において、こういう、分娩台に上がったダミーが、赤ちゃんがどういった分娩経過を経てくるのか。今まで、画像とか座学的な要因が多かったわけですね。また、一緒に、医師免許を獲得していますから、実際、出産も、上の、先輩の産婦人科医について出産することが多かったわけですけれども、これは本当に、子宮口の開大とか回旋異常とかそういうのもつくれますので、かなり、本当にリアリティーを伴ってやっていける。

 大臣、今、いろいろなAIとかICTの進歩で、手術もロボットサージェリーが出てきています。そうすると、それに、いきなり患者さんをする前に、さっき青戸病院の事故のことを申しましたが、やはりバーチャルリアリティーを活用して、かなり実戦に近い形で手術のシミュレーションができるようになっておりますので、こういったキャリアアップという点においても、是非とも取り入れた形で、こういった医師の研究。

 そして、冒頭申し上げた、特に初期の研修を行う医師、いわゆる新研修医制度にエントリーして、本当の専門的な課程へ行くまでの通り道の制度において、こういったことも加味して、例えば、地方においても立派な指導医がいれば、そこにいて自分がキャリアアップしたい、そういう医師が増えるかもしれませんので、そういう形で国が何かインセンティブを与えていくと、地方の医療の現場、特に公的病院の環境が変わると思いますので、そのことは提言して申し上げたいと思います。

 私、ちょっと時間が余りないので、二枚目の紙で。

 実は昨日、JICA議連に私入っておりまして、松野官房長官のところに、日本の国際貢献、特にODAも、GNI比率が〇・三四%まで落ち込んで、ほかの先進諸国並みの〇・七%を目指す、そういう要望を、額賀先生と一緒に、会長と一緒に、議連の方々と一緒に陳情に、要請に伺いました。

 私は、その中で、この赤線を引いた部分、資料の四ですけれども、このグローバルヘルス分野における我が国の貢献をすべきだということで、過去に私も、民主党のときに、ポリオの、小児麻痺の撲滅でパキスタンに行ったり、ビル・ゲイツ、メリンダさん、特に、ビル・ゲイツさんという、ワクチンのことをやって、発展途上国の子供たちをワクチンによって防げる病気から守るためにワクチン供給をされている方にお会いしました。そういう形で、こういう、日本が国際貢献をする。

 この間も、この委員会でもありますけれども、今、コロナワクチンがかなり余っています。余剰になっています。これは、私、契約内容の詳細は存じないんですけれども、やはりワクチン、一旦日本に供給されると、期限というものがあります。これは外務省の人を呼んでレクを受けましたが、COVAXを通じて日本政府も既に支援をしておりますが、そのCOVAXに対しても一〇%以上の支出を我が国はしているんですね。

 私が申し上げたいのは、それはもちろん、その中で存在感を出すのもいいんですけれども、日本型のVRSとか、HER―SYSとか、様々なプラットフォームで、その国に我が国の公衆衛生のいわゆるパッケージ的な支援、それを行っていけば、またその国が公衆衛生上よくなる。

 特に、日本が支援すべき対象は、公衆衛生は我が国より劣っていると思いますので、そういった我が国の公衆衛生の実績、そういうシステムをそのまま援助することは、仮に、例えばメイド・イン・ジャパンの薬だったりワクチンができれば、また新たな支援につながっていくことになると思います。

 ここでも出ましたけれども、例えば母子手帳、これが東南アジアの方にも広がったという事例もありましたし、ワクチンだけを渡すのではなくて、やはりワクチンと同時に、今余剰になって、これは期限のあるものですから、需給バランスはCOVAXは整っているということでございますけれども、この際、日本が今抱えていて、余剰になることが予想されていますので、そういうことのワクチンを是非ともこの支援に使っていただけたらというふうに思いますので、その辺、大臣、御答弁いただけないでしょうか。済みません、副大臣、お願いします。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘ありましたとおり、COVAXを通じて我が国は積極的にワクチン関連支援に取り組んでおりますけれども、それと併せまして、日本は、被供与国の接種能力強化のために、ワクチンを接種会場まで届ける、COVAXは空港までですので、接種会場まで届けるためのコールドチェーンの整備、いわゆるラストワンマイル支援なども多くの国で行っております。

 それに加えまして、先般、ワクチン接種管理データを含めた、途上国に対する経済社会の再活性化や人的往来の再開のための支援を、インド太平洋地域を中心に最大一億ドル規模で実施していくことを決定したというところでございます。

 今後も、途上国のニーズを踏まえながら、COVAXとも連携しながら、途上国におけるワクチン接種の向上に向けて貢献を続けてまいりたい、このように考えております。

仁木委員 済みません、時間が過ぎました。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、労働者協同組合法等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 令和二年十二月、議員立法により労働者協同組合法が制定され、多様な働き方を実現しつつ地域の課題に取り組むための労働者協同組合を新たに創設することができることとなりました。

 本案は、そのような労働者協同組合の事業の健全な発展を図り、持続可能で活力ある地域社会の実現に資するため、非営利性が徹底された労働者協同組合の認定制度を創設するとともに、認定を受けた労働者協同組合に対する税制上の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、労働者協同組合は、その定款に剰余金の配当を行わない旨の定め及び解散した場合において組合員に対しその出資額を限度として分配した後の残余財産が国若しくは地方公共団体又は他の特定労働者協同組合に帰属する旨の定めがあること等の基準に適合するときは、特定労働者協同組合としての認定を受けることができることとしております。

 第二に、特定労働者協同組合に係る特例として、外部監事の設置、報酬規程等の公開等、剰余金の配当の禁止、残余財産の分配等の規定を設けることとしております。

 第三に、法人税法において、特定労働者協同組合を公益法人等の範囲に加え、収益事業から生じた所得以外の所得を非課税とする等の特定労働者協同組合に対する税制上の措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、労働者協同組合法の施行の日である令和四年十月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 労働者協同組合法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を労働者協同組合法等の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、令和四年度子育て世帯生活支援特別給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、今般、政府は、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援として、低所得の子育て世帯に対し、児童一人当たり五万円の子育て世帯生活支援特別給付金を支給することとしたところであります。

 本案は、令和四年度子育て世帯生活支援特別給付金の支給の趣旨に鑑み、その支給を受けることとなった者が自ら当該給付金を使用することができるようにするため、当該給付金の支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、当該給付金として支給を受けた金銭の差押えを禁止する措置を講じようとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 令和四年度子育て世帯生活支援特別給付金に係る差押禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を令和四年度子育て世帯生活支援特別給付金に係る差押禁止等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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