衆議院

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第2号 令和4年10月26日(水曜日)

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令和四年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    石原 正敬君

      泉田 裕彦君    上田 英俊君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      高村 正大君    齋藤  健君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      高階恵美子君    土田  慎君

      西野 太亮君    橋本  岳君

      長谷川淳二君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  尚君

      三谷 英弘君    八木 哲也君

      山口  晋君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      西村智奈美君    野間  健君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           早稲田ゆき君

   議員           池下  卓君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           阿蘇 隆之君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           佐藤  正君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    山本 修一君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  小泉進次郎君     山口  晋君

  小林 鷹之君     菅家 一郎君

  田村 憲久君     泉田 裕彦君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     八木 哲也君

  菅家 一郎君     小林 鷹之君

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  山口  晋君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     石原 正敬君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     田村 憲久君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第五号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第六号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第五号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第六号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長山本修一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として警察庁長官官房審議官友井昌宏君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、大臣官房審議官阿蘇隆之君、文化庁審議官中原裕彦君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、雇用環境・均等局長村山誠君、子ども家庭局長藤原朋子君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、農林水産省大臣官房参事官佐藤正君、環境省大臣官房審議官針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高階恵美子君。

高階委員 おはようございます。

 本日は、英国のスナク新首相就任を祝福する気持ちを持ちながら、質問させていただきたいと思います。

 初めは、目下最優先となるCOVID―19対策に関することです。

 今年、二度の感染拡大を経て、国内での累計確認数、これは人口の約一七%になりました。当初の厳戒態勢を抜け出して、現下の感染力で年に数回流行すると想定をした対応体制へ移行を急がねばなりません。政府は既に、高齢者等重症化ハイリスクへの対策の重点化、そして冬のインフルエンザ流行に備える対策の導入など、方針を示しました。

 ここで私が強調したいのは、国民が次の行動に移れるような、分かりやすい広報にも配慮をすべきだということであります。

 自然免疫獲得者でもマスクを着用すべきなのか。それから、最近はもう取り外しを頻繁にやっています。手洗いしていません。これで清潔が保たれているのか。あるいは、これからも三か月ごとにワクチン接種するのか。あれこれと疑問が湧くのだけれども、最近は話題にする機会が減って情報更新がうまくできていないよね、こういう声を聞いています。皆さん、関心がないわけではないんですね。感染動向の変化に応じて自分の行動を変えたいと思っておられる。政府は、そういうきっかけをつくる広報を、自治体、学校、地域内のいろいろな団体と協力をして進めていただきたい。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今お話ありましたように、特に、コロナの感染がスタートしてからもう三年近くたっていく中で、どうこのコロナとつき合っていくのか。まさにウィズコロナ、政府においても、ウィズコロナに向けて、先般、全数届出等の見直し等、いろいろな措置も取らせていただいておりますし、そうしたことを踏まえながら、国民の皆さんにとっても、どう対応を変えていけばいいのか、変えるに当たって、やはりいろいろな科学的なエビデンスとか、あるいは様々な専門家からの助言、こういったものを参考にされているんだろうというふうに思います。

 そういった意味で、今般、同時流行等についてもお示しをさせていただきました。その中では、どういうことを国民の皆さんに期待をしていくのか、そういったことも含めて、今お話があった広報、周知、これをしっかりやっていく必要があると思っております。

 特にマスクについては、これまでもいろいろ御議論され、特に屋外については原則不要であるということを申し上げておりますが、実際、外を見ると、かなりの人がまだマスクをされているという状況にもあります。

 より分かりやすいリーフレットを十月十四日に作成をし、これを含めた周知、またテレビのCMの放映等々、様々な手段を使って国民の皆さんに広報、周知していきたいと思っておりますし、それから、やはりこうしたメッセージ、先日もある新聞に出ておりましたけれども、どういうタイミングで誰が何を言うかがすごく大事だということでございました。そういう観点に立って、タスクフォースをつくらせていただいて、医療関係者、経済団体、自治体、我々も入って、先般、どういうタイミングで、これは特に同時流行に向けてということではありますけれども、それぞれが意識を共有しながら、それぞれの立場に立った発信もしていただく、こういった工夫もこれから重ねていかなければならないなというふうに思っております。

 総括的に申し上げれば、委員御指摘のように、的確な情報を我々あるいは有識者の皆さん方から様々なツールを通じて国民の皆さんに提供し、そして、国民の皆さんがまさにそれぞれの価値判断の中で合理的な選択をしていただける、こういう状況をつくるべく努力をしていきたいと思います。

高階委員 私たち自身の行動にも関心を持つ必要があると思います。

 例えばこの厚生労働委員会、質問者と答弁者の間は適度以上の多分、距離が保たれています。室内の皆さんはマスクを装着している。こういう環境ですので、このガード、それからこのマスク、質疑応答に関してはもう不要かもしれないなと思います。

 こういったところの議論を是非、理事会等でも進めていただけるとありがたいなと思います。

三ッ林委員長 進めてまいります。ありがとうございます。

高階委員 続けさせていただきます。

 年少児への接種勧奨に伴って、コールセンター、そこではワクチン接種にまつわる相談が更に多様化すると思われます。感染して回復した方、それからHPVとかほかのワクチンを優先したいという方、いろいろ追加接種の時期に迷っている方もあります。

 いずれは抗体価試験が導入されて、あらかじめ抵抗力を確認してから追加接種するなど、変化していくんだろうと思いますけれども、そうしたエビデンス集積を怠らずに、より個別的な接種計画に役立つ支援を展開していただきたいと思います。いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの中和抗体につきましては、感染予防効果との関係が一定程度明らかになっているものの、中和抗体価が実際にどの程度の値であれば感染予防や重症化予防等の効果があるか十分明らかではないとされておりまして、現時点で中和抗体価のみに関する基準を設けてワクチン接種のタイミングを判断することは困難であると考えております。

 ただ、抗体検査の活用の在り方につきましては、引き続き科学的知見を収集していく必要があるというふうに考えております。

高階委員 公衆衛生学的見地からすると、感染症危機管理を担う常設機関の立ち上げが待たれます。それとともに、危機の発生時に即応できる医療・福祉人材、そして行政、広報その他の専門人材を育成、配置して、定期訓練を通じて実践力を維持する、こうした制度の運用を急がねばなりません。大臣の意気込みを伺います。

加藤国務大臣 九月二日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で決定したとおり、厚労省においては、感染症対応能力を強化するため、感染症対策部を設置するほか、科学的知見の提供を担う新たな専門家組織として、いわゆる日本版CDCを設置する等、組織の見直しを行うこととしております。

 感染症対策部においては、新たに創設される専門家組織を管理するとともに、平時から専門家組織や関係自治体と一体的に連携することとしています。具体的には、内閣官房に設置をされることになっております内閣感染症危機管理統括庁と平時から連携を取り、有事においても的確に対処できるよう、日々、様々な連携を、具体的な、例えば訓練等を通じて取ることにしておりまして、こうした取組を通じて、感染症危機管理対応を担う人材、こうした育成、トレーニングを通じて図っていきたいと思っております。

 組織の見直しについては、次期通常国会への法案提出に向けて準備を進めておりますが、新たな組織において、感染症危機に対する専門機能を具体的にどう強化していくのか、その中でどう人材を育成していくのか、更に具体的な検討を進めていきたいと考えております。

高階委員 私は、離島、半島とか、条件不利地域、あるいは中山間地域、雪の降る地域、こうしたところに出向いていっていろいろお話を伺うことを楽しみに活動しているんですが、今回のパンデミックを経験して、実は、こうした地域にこそ、今大臣がおっしゃられたような、災害あるいは感染制御に関する広域訓練の拠点を誘致、整備して、平時から広域有事への備えを進めていくことが有用ではないかと考えるようになりました。

 遠隔地の専門人材が、訓練を通して、土地カンを持って、そして地域や分野を超えた人脈をつくって、いざというときの機動力と実践力を培っていく。例えば、本土と離島を結ぶヘリの運航、病院船での緊急対応、山合いの水の豊かな地域での医薬品の開発、供給といったようなこと。まさに、過疎地が直面している課題に対応しつつも広域有事ネットワークを強化していくという一挙両得のような仕組み、大胆に考えていってはどうかなというふうに思います。

 運用に関していかがでしょうか。

加藤国務大臣 今おっしゃったのは、かなり都道府県等での対応ということもあるんだろうと思っておりますが、ただ、まさに、こうした感染症だけじゃなくて災害への対応、こうしたものがしっかり地域の人の生活を支えているということが、やはり地域の活性化を、また、そこに住む人を増やしていくためにも必須であるというのはまさにおっしゃるとおりだと思っておりますので、是非、そうした各地区の取組、これを我々も積極的に支援をし、また、いい取組については共有化する等、そうした意味で全体としてのレベルアップも図りつつ、先ほどは厚労省中心のお話をさせていただきましたけれども、こうした取組が各都道府県でも進むようにしていきたいと思います。

高階委員 ちょっと踏み込んだ質問で失礼しました。そういう全体との整合は非常に重要だと思います。

 そうした中で、地域におけるみとり体制の充実ということも考えていかなければいけません。

 今年生まれた子供が成年する二〇四〇年頃、国内の一年間の死亡数、年間百七十万件まで近づくと言われています。病院は、傷病を診断、治療する場所。そして、国民は、最期まで慣れ親しんだ場所で過ごしたいと希望しています。しかし、介護保険施設に入所しても具合が悪くなると病院へ運ばれるといったように、居場所を転々とする、こういうことが少なくありません。

 今、この国で新たに授かった命を温かく迎え入れて、そして健やかに育む、こういう社会づくりを進めていますが、こういうのと同様に、一人ではうまく調整のつけられない人生の最終段階を公の仕組みでもって穏やかに過ごすことができるように整えていく、このことは長寿先進国たる日本の重要なテーマと考えます。いかがでしょうか。

本田大臣政務官 誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、まさに、地域包括ケアシステムの体制を整えていくことが重要な課題であると認識をしております。

 このため、厚生労働省におきましては、地域医療介護総合確保基金を活用し、在宅医療を提供する人材育成、例えば、訪問看護ステーションに所属する看護師が円滑に特定行為を実施することができるよう、複数の医療機関等が連携して実施する手順書の作成、検証に係る費用などを支援しております。また、在宅医療の基盤整備に係る財政的支援を行うとともに、多職種が連携し、在宅医療に必要な連携を担う拠点を整備する場合の財政支援を行っております。

 また、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築を目指し、在宅医療・介護連携推進事業が実施されております。具体的には、在宅医療・介護連携に関する相談窓口へのコーディネーターの配置や、医療、介護関係者の研修等の取組を、地域の実情に応じて実施しているところでございます。

 厚生労働省としても、これらの取組を支援をしております。

高階委員 令和三年度の概算医療費が四十四兆円を超えました。そして、家庭、家族政策分野の社会支出は十兆円に迫っています。更に充実した全世代型の社会保障を目指す上では、労働移動の円滑化、それから、多様な働き方の推進、男女間賃金差の是正及び最賃引上げなど、これまで以上の雇用政策の強化が求められます。

 また、世界情勢の変化に伴う経済活動への影響が懸念される中では、特に日常生活に直結するエネルギー、食料等の値上がり不安軽減策が待ったなしであります。

 他方で、年金については、まず、定年後の家族生活のベースとなる年金保険の財源を政府への信頼の下で安定的に運用いただくことが極めて重要であります。GPIFでは年金財政の長期安定に御尽力いただいていると承知しておりますが、この機会に資金運用の現況を教えてください。

橋本政府参考人 年金積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされております。このため、資産の長期保有ですとか、あるいは資産、地域等の分散投資といったことによりまして、株式市場、為替市場等の一時的な変動に過度にとらわれることなく、長期的かつ安定的に経済全体の成長の果実を獲得していくということとしております。

 GPIFにおきましては、年金財政上必要とされる運用利回りを最低限のリスクで確保するよう、過去の実績を考慮して様々な試算を行った上で、資産の構成割合等である基本ポートフォリオを策定いたしました。GPIFは、経済環境や市場環境の変化が激しくなるようなそういう局面におきましても、この基本ポートフォリオに基づきまして、適切なリスク管理の下で適時適切に資産の売買を行っているというふうに承知しております。

 今後とも、GPIFにおきまして、市場動向を踏まえて適切にリスク管理を行い、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に運用を行っていくことが大変重要であるというふうに考えております。

高階委員 SRHの理解促進、あるいは男女の性差に着目をした包括的健康支援も重要性を増してきました。各々のウェルビーイングな人生百年を目指した新たな健康戦略を立てるときと考えます。

 とりわけ女性では、生涯を通じた性ホルモンの変動に伴う影響が、今、予想を超える大きさ、負担となっておりまして、社会的、経済的損失も無視できない大きさになってきました。

 例えば、最近よく話題にされる生理ですが、妊娠、授乳のとき以外は月経周期が繰り返しますから、生涯を通じたその回数が格段に増えています。当然ながら婦人科疾患リスクが高まってくるわけですが、そもそも、女子生徒や独身女性が産科、婦人科を訪れる機会は乏しいですし、多少苦痛があったとしても、多くの場合、自らの経験、判断で対処します。見過ごしや手遅れのリスクも内在しているということです。

 平均初産年齢は三十一歳ぐらいになりました。子育て、家庭運営、親の介護、徐々に社会的負担も重くなり、四十代も半ばに入りますと、急激な性ホルモンの減退が多様な不調を引き起こします。年に一度の健診機会はあっても、こうした女性特有の心身の不調について、平素から個々に寄り添う相談支援が不足しています。俗にドクターショッピングと呼ばれますけれども、診断がつかない、あちこちを受診して悩み続ける、こういう例も多いです。さらに、閉経後の身体の変化、心身の変化、こういったことへの対応、フレイル予防など、現代女性のライフステージに応じた科学的な健康支援が不可欠です。

 そこで、第三次となる健康戦略を策定する上では、がんや循環器などの疾病対策と並立して、女性の人生百年健康ビジョン、これを大きな柱に立て、今度こそ女性の健康寿命を延伸できるよう進化させていただきたい。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに人生百年時代とも言われますけれども、女性が子育て、働き盛りの時期を含めて生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせる、そのために女性の健康を生涯にわたり包括的に支援することは大変重要であります。

 厚労省でも、女性ホルモンの状況がライフステージごとに劇的に変化するという特性などを踏まえて、女性が人生の各段階で抱えている健康に関する問題を把握し、科学的なエビデンスに基づき的確な支援につなげていくための取組を進めているところでありますが、これまで、ややもすると、それぞれ、女性が抱える問題は非常に個人の問題として捉えがちであったというふうに思いますけれども、そうではなくて、女性全体の健康に関わる課題なんだ、そういう認識でしっかり把握をしていくことが必要だというふうに思います。

 その上で、令和六年度から開始する次期国民健康づくり運動プランでは、本年九月から策定に向けた議論を開始したところでありますが、そうした女性特有の様々な課題、あるいは健康の、年代とともに変化をしていく、あるいは様々なストレスに対する対応等もしっかり加味した予防・健康づくり、こうした視点をしっかりと位置づけて検討を進めていきたいというふうに考えております。

高階委員 この三月、AMED内にSCARDAが開設しました。感染症有事のワクチン開発拠点となるべく、重いミッションを背負って活動を始めたところ、期待が集まっています。

 国立大学でいいますと、東工大と東京医科歯科大学が統合協議を始めています。基礎研究から実用化へつながる医工連携の拠点となることが期待されています。

 大臣の所信でも、メディカルDXそれからAIロボットの活用に言及されていますが、厚労省はこれから、健康寿命を延伸するヘルステック産業全体の振興に一層の重点を置いていただきたいと考えています。例えば、日本の強みである医療デバイスの国際競争力を強化して国内需要にも安定的に応えることを可能にしていくなど、少し広い視野に立った政策をお進めいただきたいと思います。どうでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘のありました医療機器産業、まさに医療の質を向上させていく、またそれが国民の健康寿命の延伸にもつながっていくという意味で大変重要な役割を担っております。

 令和四年五月に閣議決定されました第二期医療機器基本計画にのっとり、産業の更なる発展に向けて取り組んでいるところであります。

 医療機器の開発では、臨床現場の抱える課題を解決するために、医療技術と工学系技術を組み合わせることが有効であり、こうした医工連携を促進するため、基本計画でも、医療従事者、医工学系の研究者、企業人材の連携強化を図ることとしております。

 また、厚労省としては、医療現場のニーズを踏まえた医療機器を開発できる企業人材の育成、アカデミア、ベンチャー企業が有するシーズを実用化につなげるための相談対応などの総合的な支援、日本の薬事承認の国際的な意義向上に向け、他国との間の規制を調和をさせていく、こうしたことも行っており、これらを通じて医療機器産業をしっかり育て、そして、国際力のある、国際競争力のある、こうした産業にしていきたいというふうに思っています。

高階委員 パンデミックの陰で、同居家族のいる比較的若い女性の自殺が急増した問題については、どのように受け止め、対処する方針でしょうか。

川又政府参考人 コロナ禍におきます令和二年、三年の自殺者数につきましては、男性は減少を続けたものの、女性は二年連続で増加をしております。特に十代から二十代の若い女性については、他の年齢階級と比較しても増加傾向が見られます。

 これは、コロナ禍におきまして職場、家庭、学校生活などの環境が変化したこと、そのほか、著名人の自殺報道などの影響もあるのではないかと考えております。

 こうした状況の中、今月十四日に閣議決定をいたしました新たな自殺総合対策大綱におきましては、子供、若者及び女性に対する対策の強化などについて重点的に取り組んでいく方針といたしました。

 具体的には、今回新たに、大綱の当面の重点施策の柱として、女性の自殺対策を更に推進することを位置づけた上で、妊産婦への支援の充実、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性支援、困難な問題を抱える女性への支援などの取組を推進をすることといたしております。

 この新たな大綱の下、関係省庁、地方自治体、NPO、民間団体等と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた対策をより一層推進していきたいと考えております。

高階委員 命の尊厳に関わる問題ですので、手法を限定せずに対策を強化していただきたいと思います。

 また、心理的な支配下にあることで自らの人生を生きるつらさから解放されるよう錯覚し、自分の意思ではそこを抜け出すことのできない状況に陥る、こうした例は深刻な社会問題を引き起こす場合があります。

 先日は、知人の指示のままに実母が五歳児を餓死させた事件で、心理的支配を行った知人女性が有罪となりました。画期的な判決でした。

 こうした人間関係の病理、薬物等への依存など、様々に心理的支配の状態となった場合は、第三者の専門的な介入以外に抜け出すことが難しい、こうした観点に立ってこれからの対策をしていく必要があると思います。今更ながらという気もしますけれども、時間と手間のかかることですから、気を抜かずお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。

辺見政府参考人 御指摘のような、心理的支配の状況から離脱し、社会復帰を進めていこうとする方につきましては、うつ、適応障害、PTSDなどの精神疾患を伴うことがございます。専門職による適切な相談支援や治療が必要と考えているところでございます。

 精神疾患や心の健康に不安を抱えている方に対しては、都道府県や指定都市に設置されております精神保健福祉センター等において、保健師、精神福祉士等による相談を行っているほか、必要な場合には地域の適切な医療機関につなぐなどの対応を行っているところでございます。

 また、人材育成の観点からは、精神科医、保健師、看護師等が対象のPTSD対策専門研修を行っており、令和三年度までに全国で六千十一人が受講しているところでございます。

 引き続き、専門的な支援を必要とする方が適切な相談支援や医療を受けられるよう取り組んでまいります。

高階委員 中小事業者を含めた労働生産性の向上に資する支援事業、この強化方針について伺いたいと思います。

 国内経済が動き出す中で、雇用調整助成金による就業者の維持ができてとても助かったという声を聞く機会がまた増えています。とはいっても、軌道に乗るまでまだ不具合もあるからしばらくは職場環境の調整が必要という注釈がついている場合が比較的多いんですが、この間の現場に寄り添う労働政策の大胆な打ち出しが一定の評価をいただいているように感じています。

 一方、メンタルヘルスの一環でも強調され、創設されてきた産業保健助成、この不正受給の件はとても残念に思っています。早急な是正をお願いしたいと思いますが、取組状況はいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 産業保健の助成金の不正受給についてお尋ねがございました。

 これにつきましては、助成金を支給しております労働者健康安全機構において調査を行い、適切に対応しているところでございます。

高階委員 続けて、羽生田副大臣、今お手を挙げていただきましたので、お願いします。

羽生田副大臣 産業保健についての御質問をいただきましたけれども、御指摘のように、産業保健、非常に大切なところでございます。特に、御指摘の中小企業におきましての産業保健というものにつきましては、厚生労働省といたしましても非常に力を入れているところでございますので、御指摘をいただきまして大変ありがとうございます。

 産業保健に関しましての助成金につきましては、平成二十九年からこの助成金を実施しているというところでございますけれども、助成金につきましては、現在、事業場ごとに産業医あるいは保健師等々との契約をする必要があるということで、非常に手続が煩雑になっているという御指摘を受けているところでございます。

 今回、この助成金をもっと効果的に中小企業に対する産業保健活動を推進できるように今考えておりますのは、令和五年から中小企業を会員とする経済団体あるいは事業者団体等を経由して支援するという仕組みとする方向で今検討させていただいているというところでございます。

 今現在、職場における労働者の健康確保、今御指摘ありましたようにメンタルヘルス、あるいは治療しながら仕事をするというような、状況が非常に多様化しているというところでございまして、現状に合った課題に産業保健体制の構築が求められているところであります。

 また、特に中小企業の事業場においては、必ずしも十分な産業保健活動が行われていないという実態がございます。現状に即した効果的な産業保健活動推進のために、中小企業規模の事業場の体制強化や支援方策を含めた今後の産業保健活動に関する検討のために、御指摘のように、検討会、いわゆる産業保健のあり方に関する検討会というものを立ち上げまして、第一回の議論を先日行ったところでございます。

 今後は、事業場の規模にかかわらず全ての労働者に必要な産業保健サービスが提供されるよう、助成金の活用等、制度や支援内容の見直しも含め、関係機関とも連携をして前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。

高階委員 羽生田副大臣、眼科医でありますから、今答弁を伺っていて、鳥の目、タカの目というか、虫の目というんですかね、幅広く目利きをお願いしたいなと思います。

 世界人口は間もなく八十億に達します。日本は、その人口の六割を占めるアジア大陸、アジア地域にある東の島国ですけれども、世界中の期待に応え、そしてグローバルな発展をこれからもしていくと期待されています。厚生労働省は幅広い政策を預かる省庁でありまして、日頃御苦労も多いと思いますけれども、国民の笑顔を守るためであります。一緒に力を合わせていきたいと思いますので、どうぞお力添えをよろしくお願いします。

 質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 まずは、加藤大臣、三度目の大臣御就任おめでとうございます。今日は、先日いただきました所信について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、目下の課題であります新型コロナウイルス対策であります。

 この秋冬に懸念されます新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行、ピーク時の想定は、新型コロナで四十五万人、インフルで三十万人、合計で最大一日七十五万人の発熱患者が想定されております。

 政府は、新型コロナ、インフルエンザの大規模な流行が同時に起きた場合には、重症化リスクが高い高齢者や小児、既往症を持つ方にはしっかり発熱外来などを利用していただき、それ以外の方には自宅での検査や電話診療、オンライン診療なども活用していただきながら、必要に応じて外来診療を利用していただくことと整理をされております。

 この秋冬の第八波や同時流行に備えて、最大で一日七十五万という発熱患者の想定に対応できるだけの十分な医療提供体制を整備しておく必要があります。今後どのような支援を予定しているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 今、一つの想定を置かせていただいていますが、正直、専門家からも、どのぐらいになるか、様々な御意見がある中で、一つの数字を出させていただきました。

 そうした中で、そうした多くの患者さんが、特に発熱をする方が発生したものに対してどう対応していくのか、その一つのイメージ図は出させていただいたところでありますので、ここを皆さん是非御理解をいただきながら、それぞれの重症化リスク、あるいはその方の症状、重症化リスクが高くなくても症状が重ければ当然発熱外来等にかかっていただくわけでありますけれども、そうしたことをまずよく理解をしていただくということ、併せて、保健医療体制の強化、これを図っていく必要があるというふうに思っております。

 その中の一つは発熱外来でありますが、これも、国として都道府県や日本医師会にもいろいろな機会にお願いをし、連携をし、また財政支援を行い、昨年十二月時点約三・五万が現在は約四・一万まで箇所数が増えてきたところでありますし、さらに、十七日には、発熱外来の箇所数の増加に加えて診療時間等の拡大、かかりつけ以外の患者への対応による対応能力の強化、さらには、地域の医師会等の協力を得たセンター方式による臨時の発熱外来等の整備なども依頼をし、臨時の発熱外来の整備等については緊急包括支援交付金の活用も可能であることを申し上げているところであります。

 さらに、より多くの医療機関に発熱患者の診療に御協力いただけるよう、診療所においてどういう感染症の防止対策があり得るのか、こういったこともお示しをさせていただいています。

 さらに、発熱外来を補完するための電話診療、オンライン診療の体制強化についても、先行事例の周知、また必要な財政支援を通じて後押しをしていきたいと思っております。

 引き続き、先般お示しをさせた考え方に沿って今都道府県で整備を進めていただいております。そうした状況もしっかり踏まえながら、国、都道府県、あるいは市町村と緊密に連携をして、それぞれの地域における医療提供体制をしっかりとしたものにしていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 大臣におかれましては、是非、機会あるごとに国民の皆様に向かって不安、また懸念について御発信を続けていただきたいと思っております。

 次に、新型コロナに感染された方や、また新型コロナワクチンを接種後に後遺症に悩まれていらっしゃる方々についての御質問をさせていただきたいと思います。

 これは、伊佐厚生労働副大臣、前任、公明党の厚生労働部会長時代からこの後遺症の問題について取り組んでこられましたので、副大臣にお答えをしていただきたいと思います。

 昨年十二月、広島県のコロナ後遺症に関する実態調査によれば、感染者のうち三四%が後遺症があると回答をされたそうであります。また、そのうちの一五%、つまり、感染者全体の五%程度の方が、休職などにより感染前の生活ができないと回答されているということであります。

 また、アメリカでは、コロナ後遺症による失業が二百万から四百万件、経済的損失が年間で最大二千三百億ドル、約三十一兆円と推計されていると報じられておりました。

 コロナの後遺症への対応は、十月十四日に診療の手引が改定されましたが、医療面において具体的にどのように対応が充実されたのか、是非詳しく御説明願いたいと思います。

 また、新型コロナワクチン接種による後遺症に苦しんでいらっしゃる方もいらっしゃいます。厚生労働省は、この実態調査をいつ頃実施する予定なのか、今後の検討状況も含めてお伺いをさせていただきたいと思います。

伊佐副大臣 まず、コロナを感染したときの罹患後の症状、いわゆる後遺症、冒頭挙げていただいた後遺症についてですが、これは、まずかかりつけ医、あるいは地域の医療機関にしっかりとつないでいくということがまず大事だというふうに思っております。そのために、まず厚労省の方では、罹患後症状に悩む方がちゃんとつながるためのリーフレットというものを作成させていただいて、これをしっかり周知をするというのと同時に、かかりつけ医でしっかりと対応していただくということが大事だというふうに思っております。

 そのために、さっき委員も言及していただいた診療の手引、これは国内外の最新の知見を常に盛り込みながら改定を続けています。既に三回改定を行わせていただいて、直近が十月十四日でありますが、これも多くの医療機関の方々に見ていただくように今周知を図っているということでございます。さらには、具体的なQアンドAを掲載した特設ホームページというのを直近十月十七日に公表させていただきました。

 こうした積極的な情報の周知に努めているという状況でございます。

 そしてまた、申し上げたように、より受診しやすくするというのと同時に、後遺症の治療と就労の両立というのも非常に大事なテーマだというふうに思っておりますので、この点についても厚労省としてしっかり検討して進めたいというふうに思っております。

 後半言及いただいたワクチンを打った後の遷延する症状、いわゆるワクチンの後遺症でありますが、これにつきましても、これは多くの専門家の方が関わる必要があるというふうに思っておりまして、多くの専門家の皆さんの意見を聞きながら、まずはしっかり実態を把握していく。政府として実態を把握して、その上で病態の解明に必要な研究を行っていこうというふうに思っております。

 各都道府県には、今、このワクチンの接種後の遷延する症状に対して、専門的な医療機関というのをしっかり指定していただいております。そこでこの症状を訴える方々の様々な診療が今蓄積をされておりますので、これを調査して、あるいは研究を進めていく必要があるというふうに思っておりまして、そこから新たな知見を得ていきたいというふうに思っておりまして、できるだけ早期にスタートできるように調整を急ぎたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 是非、新型コロナ対策は後遺症対策も非常に極めて重要なことでありますので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、司令塔設置など、感染症対策の行政機能強化について伺います。

 公明党は、二年前の党大会でも、重要政策に日本版CDCの創設を明記し、感染症危機への対応を平時、有事を通じて効果的に行うための司令塔機能の強化に取り組んでまいりました。

 本年九月の新型コロナ対策本部で、感染症対応に関わる総合調整を一元的に所管し各府省の実務を強力に統括する内閣感染症危機管理統括庁や、感染症に関する科学的知見の基盤、拠点となる新たな専門組織の設置が岸田総理から発表されました。同時に、厚生労働省には、平時からの感染症対応能力を強化するために健康局に感染症対策部が設置されることが発表されましたが、日本の感染症対策に万全を期するためには、この感染症対策部と危機管理統括庁、日本版CDCは緊密な連携が求められることは言うまでもないと思います。

 厚生労働省としては、今般の新組織新設を受けて、今後の決意と現在の具体的な準備状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 本年六月の有識者会議の報告で、今般の新型コロナに対するこれまでの対応を踏まえ、総理が司令塔となって行政各部を指揮命令し一元的に感染症対策を行う体制の強化、また、行政の縦割りを排して、関係省庁の実動組織が一体的に取り組む体制の構築、行政各部が行う平時からの備えとして総合的、一体的に企画立案する、こういった観点から、一元的に指揮をする司令塔組織等の整備を行うということでありますから、まず何のためにやるのか、ここをしっかり認識をしながら、委員御指摘のように進めていく必要があるというふうに思っております。

 具体的には、九月二日の政府対策本部で決定をした司令塔機能を担う内閣感染症危機管理統括庁の設置、また、厚労省においては感染症対策部の設置、科学的知見の提供を担う新たな専門家組織としていわゆる日本版CDCを設置するとの組織の見直しということでありまして、現在、この法律を作るに向けて検討を進めさせていただいているところでありますが、こうした組織が実際に動き始めることも想定しながら、大事なことは、先ほど申し上げた、内閣総理大臣がしっかりリーダーシップを発揮をしていただく等、日頃から、平時からの対応、これをどう行っていくのか、そうしたことも含めて、具体的な在り方を並行して議論をしていきたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 大臣は官房長官も御歴任されております。世界でも最も感染症に強い日本をつくるための、是非先頭を走っていただきたいなと思っております。

 次に、出産育児一時金について伺いますが、これまで、平均的な出産費用の状況を踏まえて見直しが行われてまいりました。平成二十一年に四十二万円に引き上げられましたが、その後も出産費用は年々上昇している状況にあると認識しております。公明党としても、出産育児一時金の大幅な増額を早急に図るべきと考えております。

 出産育児一時金の大幅な増額を早急に図ることについて、厚生労働大臣の決意をお聞かせ願いたい。

 さらに、出産育児一時金を引き上げると、それに伴って平均的な出産費用も上昇してしまう。なぜかイタチごっこのような関係が続くことを防ぐためにも、どのような取組をしていくおつもりなのか、それについてもお聞かせいただければと思います。

加藤国務大臣 出産費用に関しては、妊婦の方々のそれぞれのニーズに応じて多様なサービスを選択され、結果において、地域の中においても、また、地域によってもかなり差があるということがあります。他方で、平均出産費用は年々上昇してきている。こうしたことを踏まえて、平均的な標準費用が全て賄えるよう、来年度からの出産育児一時金について、大幅な増額に向けた議論を今進めているところでございます。

 出産費用の上昇について、地域の所得水準とか医療費水準、サービス内容等の影響を受けているという分析も調査研究から明らかにされているところでありますが、他方、出産育児一時金の引上げによって必要以上の値上げが行われたり意図しないサービス付加が生じたりすること、これは適切ではないと考えておりますので、そういったことを回避していくためにも、妊婦の方々があらかじめ費用やサービスを踏まえて適切に医療機関を選択できる環境を整備することが非常に大事だと考えております。

 このため、出産費用に関する情報を見える化するための方策についても、出産一時金の引上げと併せて年末までに検討し、お示しをさせていただきたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 是非、御検討をお願いしたいと思います。

 次に、マイナンバーカードと健康保険証の一体化であります。

 医療機関や薬局などの医療情報の共有が進み、質の高い医療提供や医療機関、保険者のコスト削減も見込まれるなどのメリットがあるのは事実であります。一方で、様々な事情でマイナンバーカードを持たない方や、認知症の方、新生児などカードの取得手続が難しい方への対応、カードを紛失時再発行に時間がかかること、停電、サイバー攻撃など様々な理由でシステムが停止した場合への対応といった課題も指摘されております。

 国民の方々の不安を払拭するためにも、こうした課題への対応策はできる限り早期に示すべきであると考えます。いつ頃までに方向性や結論を出そうとされているのか、伺います。

伊佐副大臣 保険料を納めていただいている方が保険診療を受けられるということは当然のことだというふうに思っております。その前提で、まずは、大事なことは、全ての方がマイナンバーカードを持っていただけるというように、例えば、カードの手続あるいは様式、こういうものの見直しをしっかりと検討していく。取りやすくしていくというための運用面の改善をまず行っていきたいというふうに思っております。

 その上で、委員の御指摘のありました、例えば何らかの事情で手元にマイナンバーカードがない方、こういう方々が保険診療を受ける際の手続についても、いろいろなケースが考えられるというふうに思います。例えば、災害であったりとか、あるいはカードの更新中であるとか、システムがダウンするであるとか、いろいろなケースが考えられますので、これも、しっかりと関係府省と連携しながら丁寧に検討していきたいというふうに思っております。

 先ほど委員言及していただいた停電については、世の中でも今少し話題にもなりましたが、この停電に対する対応については実は現行のマニュアルで既に定めがあります。それは、患者の方々がマイナンバーカードを持参しても、例えばオンラインの資格確認等ができない、資格情報照会ができない場合には、医療機関においては、マイナンバーカードの券面から四つの情報、氏名、性別、生年月日、住所又は保険者名、これを記録して、システムが復旧した後に情報を入力するということで資格確認を行うということを現在でも行っております。

 いずれにしても、国民の皆様の不安を解消できるように、いろいろな課題について一つ一つ丁寧に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 是非、今のように、引き続き、国民の皆様の不安を払拭するための発信をお願いしたいと思います。

 次に、全ての妊産婦また子育て家庭が安心して出産、子育てができるように、妊娠時から出産、子育てまでの身近な伴走型の相談支援や経済的な支援、今政府が検討されていると思いますけれども、その点についてお話をお聞かせいただければと思います。

 先日、東京の三鷹市を訪問しました。三鷹市では、国や東京都の出産・子育て応援事業、いわゆるゆりかご・とうきょう事業をうまく活用し、切れ目のない妊娠、出産に関する支援策を実施されておりました。

 特に注目したのは、全ての妊婦さんを対象とした、保健師さんや助産師さん等によるゆりかご面接でありました。九割近い妊婦さんが利用されており、ゆりかご面談を導入したことによりまして、子供が生まれる前からつながりを持つことによって、予防的に関わることができるようになったり、支援につながりにくい方もつながることができるなど、大きな効果があったとお話を伺いました。

 また、このゆりかご面接に来られた方には、子育て応援ギフト券を、三鷹市では子供商品券一万円分でしたけれども、お渡しされておりました。このことによって、利用者さんから大変に喜ばれていると伺いました。

 実際このサービスを活用し二人のお子さんを出産された方からお話を直接伺ったところ、そのお母さんはこのような感想をお話しされていました。特に一人目のときに、妊娠経過や不安なことを聞いてもらい、たくさんの役に立つ資料をもらって助かりました。その上、ギフト券を生まれた後のおむつやタクシー券として活用でき、大変助かりましたというお声もいただきました。

 少子化がコロナ禍において加速する中で、切れ目のない妊娠、出産、子育て支援は極めて重要であります。核家族化が進み、地域に頼れる家族がいない中、三鷹市のような、妊娠から子育てまで伴走支援をできる体制をつくっていくことが非常に重要であるということを実感をしたところでございます。

 また、特に、やはり支援が必要な妊婦を早い段階で自治体が把握し、子育て期までの切れ目のない伴走型の支援をすることは、児童虐待の防止の観点からも重要であるとも思いました。

 また、クーポンの配付などによって経済的支援が届けられる際に、妊婦から出産、育児に関する悩みを聞く機会を設けるなど、伴走型支援の端緒として活用していくことも極めて重要であると実感をしております。

 また、こうした経済的な支援というものは、やはり恒久的な制度とすることが望ましく、来年度も再来年度も是非引き続き継続していくべきと考えておりますけれども、所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じる、また、様々なニーズに即して必要な支援をまさにアウトリーチ型に提供する、こうした伴走型の相談支援を、今具体的な内容については検討しておりますけれども、こうしたことを充実して、安心して出産、子育てができるようにしていきたいと考えております。

 また、経済的支援も今議論させていただいていますが、これを活用することによって、相談実施機関への、今三鷹市のお話もありましたが、アクセスがしやすくなる。また、様々な本人負担が発生する産後ケアや一時預かり等、これの利用に当たっての負担が軽減されることによって、そうした支援が使いやすくなる。そうした結果として、使えるメニューが確実に保護者に届くことになり、まさにこの伴走型相談支援事業そのものの実効性も相まって高まるということの期待をしているところであります。

 まずは、総合経済対策とその後の補正予算において、この支援のパッケージ、具体的な中身を決め、そして早期に対象者に届けられるようにしていきたいと考えております。

 継続的な実施のお話もございました。これに関しては、令和五年度予算編成過程で検討していかなければならないと考えております。

佐藤(英)委員 是非、国民の方々が本当に喜んでいただけるような政策となることを御期待申し上げたいと思います。

 次に、通園バスの園児置き去り問題について伺いたいと思います。

 この問題は、安全装置が義務化されましたが、私は、やはり最後は人の目によるチェックが極めて不可欠であると考えております。

 先日、党内の会合で、政府に対し、特別支援学校の通学バスも対象に加えるべきだと訴えましたが、直近でも、実際に特別支援学校の通学バスでヒヤリハット事例が起きております。再発防止には、ヒヤリハット事例への対応を含めて、重大事故の発生予防に向けた明確な取組を継続する必要があります。

 厚労省、文科省、内閣府と所管がまたがっておりますけれども、責任の所在が不明確にならないよう、自治体とも連携しながら実効性のある対策を更に進めていく必要があると考えます。見解を伺います。

加藤国務大臣 先日申し上げましたように、今回のような痛ましい事案、事故、これはもう絶対に起こさない。こういった中で、関係府省と連携し、こどものバス送迎・安全徹底プランを取りまとめ、送迎バスの安全装置の装備の義務づけをしたわけでありますが、それだけではなくて、乗車、降車時において点呼等による子供の所在確認の義務づけ、送迎バス運行に当たっての安全管理の徹底に関するマニュアルの策定、こうしたことも定めたところであります。

 安全管理マニュアルを研修等で活用いただけるように動画等も作成をして、より実効性の高いものに取り組んでいきたいとも考えております。

 さらに、安全管理マニュアルでは、園長、職員間で、ヒヤリハット、その園でそうした事案があれば、そういったことについてまず共有をしていただくということ、そして、では、どうすればそれを防げるか再発防止策を講じる、こういったことも盛り込んでおり、このマニュアルの周知を通じて各園においてヒヤリハット事例の対応が適切になされるよう働きかけをさせていただきたいと思っております。

 送迎バスにおける子供の安全のみならず、園に通う全ての子供さんの安全を守るために、対策について不断に検討していきたいと考えております。

佐藤(英)委員 次は、労働問題、特に人への投資について伺ってまいりたいと思います。

 特に、学び直しの機会の提供には、各企業の積極的な取組が不可欠であります。企業向けの助成金を拡充するなどして、企業による労働者のスキルアップのための取組を積極的に支援をしていく必要があると考えます。

 特に、中小企業、小規模事業者は、労働者のスキルアップに時間、予算を充てることが容易ではありません。中小企業などにおいても学び直しの機会が十分に提供されるよう、よりよい手厚い支援が必要と考えますが、御見解を伺います。

加藤国務大臣 我が国のこうした成長が滞っている背景には、人材に対する投資が非常に少ない、こうした指摘もなされているわけであります。そうした中で、企業による労働者の能力開発のため、人材開発支援助成金による、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させる訓練を計画的に実施する企業に対し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部助成を行っているところであります。

 この助成金、企業規模に関係なく利用が可能な制度でありますが、大企業よりも中小企業の助成率を高率に設定して手厚く支援を行っており、実際、支給された実績のうち九割以上が中小企業の利用をいただいているということでございます。こうしたことをしっかりPRしながら、より活用を図っていただきたいと思っております。

 また、個人においてもいろんな取組をしていただくということで、デジタル分野等での学び直しの支援についても、費用の一部を支給する教育訓練給付について、デジタル分野の講座を拡充していくこと。また、公共職業訓練、求職者支援訓練についても、IT分野の資格取得を目指す訓練コースの委託費の上乗せ。文部科学省が実施しているDX等成長分野を中心とした就職、転職支援のためのリカレント教育推進事業と、求職者支援制度における職業訓練受講給付金とコラボレートしていく、連携をしていく、こうしたことも実施をさせていただいております。

 これから総合経済対策を取りまとめていくわけでありますが、今申し上げた施策を更にどう進めていくのか、委員の今の御指摘、また、関係省庁とも連携しながら検討をしていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 教育訓練給付や求職者支援制度を拡充するなどして、労働者個人の主体的な学び直しを積極的に支援すべきではないでしょうか。その際、デジタル分野等の成長分野の人材育成に重点を置くべきと考えます。また、スキルアップのためのリカレント教育を実施している大学を学習地域拠点とすることにより、学び直しを推進することも考えられるのではないでしょうか。さらに、非正規労働者やフリーランスなど、希望する誰もが雇用区分にかかわらず能力開発等を受けられるようにするための措置も必要であります。

 これら個々人の学び直しの在り方についての御見解も、お聞かせください。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと先んじてしゃべってしまったかもしれませんけれども、まさに、企業に対する支援、それから、同時に、やはりそれぞれ個人が自分のキャリアアップを図っていくためにいろいろな自分に対する投資、これを併せて促進していけるように、更に検討を重ねていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 それでは、ちょっと賃上げについてもお伺いしたいと思います。

 これまで実施した賃上げ支援策の内容について、まず伺います。

 また、支援策の効果も踏まえて今後どのように支援を拡充していくのか、お聞かせいただきたいと思います。

畦元大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 最低賃金の引上げに当たっては、特に中小企業が賃上げしやすい環境整備が重要と考えております。

 このため、事業場内の最も低い時間給を一定以上に引き上げるとともに生産性向上に資する設備投資などを行った場合に支給される業務改善助成金について、原材料費等の高騰の影響を受けている事業者や最低賃金が相対的に低い地域の事業者を対象に、九月一日から対象経費の拡充や助成金の引上げを行っております。

 最低賃金につきましては、引き続き、できる限り早期に、全国加重平均、現在の九百六十一円が千円以上になることを目指し引上げを行っていくとともに、最低賃金引上げの支援策である業務改善助成金についても、中小企業が利用しやすくなるような拡充を検討してまいります。

佐藤(英)委員 最後にいたしますけれども、やはり物価高騰が、現在も最中でありますけれども、現在、生活への影響も心配されていることから、非正規の雇用労働者が速やかに正社員となることができるよう、具体的かつ効果的な政策が求められております。

 非正規雇用労働者の正社員化の推進策について具体的にどのように取り組むのか、最後にお伺いします。

畦元大臣政務官 厚生労働省としては、誰もが、納得した待遇の下で、一人一人希望に応じた多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現が重要と考えております。

 厚生労働省では、希望する方が正社員として就労することができるよう、非正規雇用から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援や、ハローワークにおける正社員就職に向けた担当制によるきめ細やかな就職支援などを実施してきたところです。本人の希望を重要視したいと思っております。

 さらに、人への投資の政策パッケージを五年で一兆円に拡充する中でキャリアアップ助成金を拡充し、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業への支援を強化したいと考えております。

 こうした取組を通じて、正社員として働くことを希望する非正規雇用労働者の正社員化を強力に支援したいと思っております。

佐藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 野党のトップバッターとして質問に立たせていただきます。皆様に、この機会を与えていただきましたことを感謝申し上げます。加藤厚労大臣、よろしくお願いいたします。

 大変、今、社会の不安が増大をしております。ロシアによるウクライナの侵攻、そしてまた、円安が止まらない、物価高はどんどん広がる、そうした中で特に苦しい生活を余儀なくされていらっしゃる方、元々賃金の低い方たち、そうした世帯の方たちが特に苦しい思いをされているということは皆様も御実感のとおりだと思っております。

 その中で、中長期的に見ますと、この背景に、持続可能な経済成長率、潜在成長率がゼロという統計が日銀統計で出ております。つまり、中長期的な経済成長率がゼロということは、非常に日本の構造的な問題になっている。これを私たちはいかに改善をしていくかということをこの厚生労働委員会でも考えていかなければならないことは、もう待ったなしの課題であります。

 その中で私が思いますのは、特に労働力、生産性から見れば、非正規の方が三割、もっと、四割にもなっている。そして、三十年間実質賃金が上がらなかったというのは事実でありますし、これが構造的問題であること以外に何物でもなく、それを改善しなければ、全てのいろいろな経済政策も絵に描いた餅になってしまうのではないかと私は非常に心配をしております。

 その中で、立憲民主党は、人から始まる経済再生を目指して、この度も、まずは七・二兆円の緊急経済対策、物価高に対する緊急経済対策を出しております。

 今回、政府の方でも、来週、二十六兆円規模と言われるような経済対策も出すようでありますけれども、本当に家庭に届く、直接届く、そうした経済政策を進めていかないと、何か上滑りの経済政策であって、そしてまた、二十六兆円というと大きいですけれども、本当にこれを、いつも見てみると後で余っている、何十兆円も。そういうことでは届いていないわけです。

 そのことも是非踏まえていただいて、私たちは、この六か月を集中して七・二兆円というのを出しておりますので、議論をさせていただきたいと思います。

 まず、所信に対する質疑でございますが、冒頭に、旧統一教会関係について伺わせていただきます。

 加藤大臣始め政務三役、そしてまた、デジタル庁大串副大臣にもお越しをいただいております。過去の選挙におきまして、旧統一教会友好団体との推薦確認書、いわゆる政策協定、これを交わしたことがあるかどうか、署名をしたかどうか、これについてお答えください。

加藤国務大臣 私の事務所で確認した限り、そのような事実はございません。

伊佐副大臣 私も、事務所にも念のため確認させていただきましたが、推薦確認書を交わしたことはありません。

羽生田副大臣 事務所にも確認いたしましたけれども、今おっしゃった団体との推薦確認書を交わしたことは全くありません。

畦元大臣政務官 全くありません。

本田大臣政務官 交わしたことはございません。

大串副大臣 取り交わしたことを確認しております。

早稲田委員 大串副大臣、取り交わしたことを確認していると、そういう御回答でございました。

 これにつきましては、いつ、そして、どのような内容といいますか、署名をしたということでしょうか。それから、どのような、では、応援をそのときにいただいたのでしょうか。お答えください。

大串副大臣 書面の日付が十月三日でございます。解散の前だと思いますけれども、十月三日に署名をいたしております。

 内容は、報道とかで報じられているような、憲法改正に対して取り組むこととか、そういった割と自民党に近いような内容であったというふうに記憶をしておりますが、一点、私が同意できないこともございましたので、その点については、これについては同意できかねないということはその場で告げましたけれども、それについて、その後の選挙の協力があったということはございません。推薦状をいただいたというところでとどまっております。

早稲田委員 同意できなかったことが一点あるとおっしゃいました。その内容について教えてください。それから、選挙応援が一切なかったとおっしゃいますけれども、そんなことがあるんでしょうか、推薦をいただいて。人を出すとか、そういうことがあると普通には考えられますが、一切ないと言い切れますでしょうか。びっくりいたしました。

大串副大臣 一つ納得できなかったのが日韓トンネルの推進という項目でございまして、私は、元々、掘削とかそういうことを、技術者であったものですから、現実的ではないということで、これについてはちょっと承諾をしかねるということはその場で申し上げたつもりでございます。

 それで、応援がなかったかというと、本当に、特に、恐らくうちの選挙区にいらっしゃる信者の方が少ないのかもしれませんけれども、ほとんど応援があったというわけでもありませんし、私も、特に集会をやるような選挙もしませんでしたので、動員をかけるようなこともありませんでしたし、特には応援があったということではございません。それは自民党の調査の中でも御報告しているとおりでありますので、そういった事実を隠しているということはございません。

早稲田委員 驚きました。大臣がお辞めになるような、そうした、今、この旧統一教会の問題であります。そのことについて反省をお述べいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大串副大臣 統一教会に関しては、恐らく論点が二つあると思います。一つは、こういった被害者がいる中で、我々が関わることによって信認を与えてしまったのではないかというのが一つ、それから、特定の宗教団体に深く関わることによって政策がゆがめられたのではないか、この恐らく二点があると思われます。

 信認を与えたかもしれないという点については、これは自民党の調査の中でも私が報告をさせていただきましたが、私は、集会とかに出たことはないんですけれども、一度だけメッセージを送らせていただいたことがあります。それについては深く反省をして、もう二度とそういうことがないように、おつき合いはしないということで御報告をさせていただいております。

 政策に関しては、先ほど申しましたように、日韓トンネルについては、物理的に無理だということで私はこれは拒否しておりますし、ほかの憲法改正等については、統一教会に言われるまでもなく自民党の党是として取り組んでいることでもございますので、これらについてはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 いずれにしましても、そういう誤解を与えるようなメッセージを送ったことに関しては深く反省をして、二度とそのようなつき合いがないということはお誓い申し上げます。

早稲田委員 広告塔になったということが非常に私は問題だと思っております。

 ずっとこの間議論されてきたのは、まず政治家との接点、そうしたことは広告塔ということです。それによって、実際、宗教二世の方たちも、ああ、こういう方たちがやっているんだったら自分も大丈夫だろうと安心をして、その宗教の様々な活動、親からのものであったけれども、それを信じていたというようなお話もあって、非常にこれは問題だと思っています。

 大串副大臣、この責任はどのようにお取りになりますか。

大串副大臣 私のメッセージがどれほど影響があったかというのはちょっと計り知れないところでもありますけれども、少なくとも、国会議員がメッセージを送ったということを御覧になられた方がもしいて、そして安心をされたというのであれば、それは大変申し訳ないと思っておりますし、今後、今、消費者契約法の改正の話を国会で議論されると思いますので、その実現に関しては、しっかりと御説明をさせていただきながら、被害者救済についてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

早稲田委員 私たち立憲民主党、維新、悪質献金被害者救済法案も出しております。そしてまた、与野党協議会、これが立ち上がりましたけれども、是非、その反省の上に立って、そして、私は、二度とこうした被害者の方たちが拡大をしないように、そして、一人でも多くの方にこの献金などの返済ができるように力を尽くしていただきたいと強く要望をさせていただきます。

 それでは、ほかの、次の質問に入ります。総合経済対策の子育てクーポンについてであります。

 このことはさきのところでも議論がありましたが、出産準備クーポンとか子育て支援クーポンとか、十万円が想定されている。そしてまた、これはクーポンだ、でも自治体が選べる、そんなようなこともありますし、また、自治体の手挙げによるということもありますが、なぜこの緊急経済対策でゼロ―二歳児なんでしょうか。出産なんでしょうか。もちろん重要なことです。でも、そこで今、経済対策と銘を打っているのに、ここでどうして子供を分断するのか。地域によってなぜ分断をするのか。

 私たちは、全ての子供、十八歳までの子供に十万円の給付というのを、今回の、この六か月間の集中の総合経済対策で出しております。

 なぜこうしたことをするのか、私には理解ができません。そのような方向でいるのなら、是非再考していただきたいと思いますが、大臣、その真意をお知らせください。

加藤国務大臣 まず、核家族化が進み、地域のつながりも希薄になり、孤立化、また不安感を抱く妊産婦、子育て家庭も決して少なくないわけでありますし、そうした中で、全ての妊産婦、子育て家庭が安心して出産、子育てができる環境の整備、これはまさに喫緊の課題だというふうに認識をしております。

 その中で、特に未就園児が多いゼロ―二歳児の家庭においては、日々通う場がない方もおられます。また、地域子育て支援拠点や一時預かりなど年齢を問わず利用できるサービス、これは、残念ながら地域によって偏りがあるわけであります。より負担感、孤立感につながりがちだと考えており、そうした中で、まさに今、その手薄な年齢を対象に、妊娠時から出産、子育てまで、身近な伴走型の相談支援と経済的な支援を合わせたパッケージとしてこれを充実して、そして継続的に実施をしていく、こうした緊要性があるということで、総合経済対策に盛り込むことにしています。

 三歳以上の子供については、例えば、保育所、幼稚園等に通う場合が多く、その利用料は、幼児教育、保育の無償化の対象になっているところでありますし、また、本年六月の児童福祉法の改正により、市区町村にこども家庭センターを設置し、子供の年齢を問わず、全ての妊産婦、子育て世帯、家庭、子供に一体的に相談支援を行う体制整備、施行は令和六年四月一日となっておりますが、それに向けての準備を進めているところでございます。

 また、地域的な分割というお話がありましたけれども、これは別にモデル事業として行うということではなくて、全ての自治体で実施していただける予算を確保していくということでありますので、全ての自治体で伴走型の相談支援と経済的支援が一体的に行われるよう我々も支援をしていきたいと考えています。

早稲田委員 手薄なゼロ―二歳児とおっしゃいましたけれども、幼保無償化、これの恩恵を受けていない子育て世帯はたくさんございます。それから、十月からは、所得の高い世帯におきましては児童手当もゼロになりました。

 そうしたことを踏まえれば、とにかく、日本の子育て支援策、子育て支援予算は、GDP比でいいましても、欧州諸国よりも二分の一、やはり半分なんですね。一・七五%という数字も出ております。そして、三%のスウェーデン、それからまた、三%に近いフランスなどにどういうふうにしていくかということを考えれば、こういう、ここだけということを、しかも経済対策で入れるということ、本予算できちんとやればいいじゃないですか。

 伴走型支援は重要です。やっているところもあるけれども、やっていないところもある。そういうことはしっかりと、子育て政策で、本予算でやっていくべきで、そしてまた、今、地域も分断しないとおっしゃいましたけれども、じゃ、手挙げ方式じゃないんですね。全部の自治体で、この伴走型支援が、今、その体制ができていてもできていなくても十万円は給付をする、そういうことでよろしいんでしょうか。

 それから、クーポンはやめていただきたい。なぜなら、とにかく事務費がかかり過ぎる。そしてもう実際、その前にもやめたこともありましたね。是非、現金でやるべきです。クーポンはやめていただきたいと思います。

加藤国務大臣 やはり、コロナ禍でかなり子供さんが減ってきている、婚姻数も減ってきている、こうした状況を踏まえて、どういった施策を講じていくのか。そしてその中で、先ほど、幼児教育、保育の無償化、これは一応、三歳以上の子供さんについては、全ての子供さんを対象に実施をさせていただいているところであります。

 それから、伴走型支援と経済的支援、これを一体的に行うことに意味があるわけでありますから、そうした形で実施していただけるようにそれぞれの自治体に働きかけをし、また、支援をすることで全ての自治体で実施していただけるようにしていく。まさに、お金を配るだけではなくて、先ほど申し上げた、そうした子育て世帯を支援をしていく必要性がある、そのことにのっとって対応していくことが大事だと思います。

 それから、クーポンのお話がありました。

 先ほど、これは前の質疑者の中で、ある地域がクーポンを使ってというお話もありましたので、別にクーポンを使っちゃ駄目ということではなくて、それはそれぞれの地域で柔軟な対応ができるということが、地域によってはクーポンを使った方がいいとお考えのところもあるわけでありますから、そこは柔軟な対応ができるように検討はしていかなきゃいけないと思います。

早稲田委員 地域によって、分断ではないとおっしゃいますけれども、この六か月の、今年度中のお話でいえば、緊急経済対策でこの伴走型支援がすぐにできるとも思えないところもたくさんあるわけです。そうすると、これはできないことになりかねないから私は申し上げているんです。

 長期的に継続でやるというようなことも報道では言われておりますので、そういうこともやっていく方向なんでしょうけれども、今回のこの経済対策で言えば、そこが格差が出てしまうのではないか、隣の市はやっているけれどもうちは十万円来ないのねということになりかねません。ですから、しっかりやるのだったら本予算でやるということ、そして伴走型支援も、自治体も、どこでもやらなければならないと思っているでしょうから、そこら辺への支援をしっかりしていただいて、恒久的にやるのであればそこはやっていただきたい。

 ただ、私は、経済対策として今やるべきは、やはり、子育ての予算が少ない中で、全員の子供に十万円を給付して、そして子育てに優しい日本というメッセージを出していただきたいという要望であります。

 私たちは、立憲民主党として、子ども・若者応援本部というのを立ち上げました。今、この間ずっと少子化の対策が功を奏しなかった、そして、子育てに冷たい国だと、子育て罰という言葉まである、そういう現状を何とか変えたいと思っておりますので、しっかりとその対策をやってまいりますので、是非、いろいろな政策提言もお聞きをいただきたいと思います。

 それでは、その一環といたしまして、職場の搾乳環境について伺います。

 この中で、とにかく政府は女性活躍とは言うんですけれども、子育てしながら働くお母さんの、その労働環境にはほど遠いと私は思っています。この子育てする人に冷たい社会の一つの事例に、子供を出産し、ゼロ歳児のうちに職場復帰したお母さんの母乳の搾乳の問題があります。職場に搾乳するスペースがないということなんです。これは、別に大きな部屋を必要とするものでもないし、非常に、やろうと思えばできることなんです。

 実は、私の小さな事務所でも三か月で復帰した女性がおります。そのために、やはり、一室の狭いところですけれども、そこで一人で母乳を取れるように、そういうことを工夫すればできる。そして今九か月になりました。働いてくださるということが私にとっては大変ありがたいことですし、彼女自身も、そうやって職場復帰できるということは、非常に搾乳ということも一つの大きな要素であると御自身が語っておられます。

 その中で、大臣は、厚生労働省の中でも働く女性の方、増えています。この環境がどういうふうになっているか、御存じでしょうか。

加藤国務大臣 環境とおっしゃるのは、今の搾乳する場所があるかどうかと。済みません、ちょっとそれは確認をしておりません。

早稲田委員 是非、確認をしていただきたいと思います。

 この資料の方にもつけさせていただきました、NHKの朝の顔の鈴木アナが声を大きく上げるなどなさいまして、この問題も今大変注目が集まっております。

 つまり、胸が張ってしまうと、乳腺炎とか、体調を崩すというような問題でありまして、実際、一歳ぐらいまでのお話なので、そこを過ぎてしまうと非常に、この問題がなくなるので、なかなか今までその労働環境の改善ということがなされてこなかったようであります。

 でも、それは非常に、そのいっときではあるけれども、重要な施策だと私は思いますので、ILOの母性保護勧告百九十一号の第九項におきましても、「職場又は職場に近接した場所において適切な衛生状態の下で哺育するための施設を設置することに関する規定を設けるべきである。」とやっておりますが、厚生労働省もまだここには踏み込んでおりません。

 是非、職場に搾乳ができるスペース、例えばその一角を囲うだけでもいいわけです。ですから、そうしたことができるように、具体的には、育児・介護休業法の二十四条一項のその他これに準ずる便宜の供与に搾乳スペースの整備を含むことを、施行規則であるとか指針なり事務連絡で示していただきたい。それからまた、事業者への補助なども御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、委員の事務所ではそういう場所をつくられた、また、企業によってもそういう対応をされているところがあるというふうに承知をしております。こうした取組が、今お話がありましたように、母体の健康管理ということと併せて、仕事をしながら子育てを両立する、そういった意味からも非常に大事な取組だと思っております。

 厚労省では、中小企業も含め、女性の活躍推進に取り組む企業に対する日本政策金融公庫の働き方改革推進支援資金による低利融資制度の支援を行っており、御指摘の搾乳室設置についてもこの融資制度の対象となっておりますので、今後、こうしたことについてもしっかりと周知を図っていきたいというふうに考えておりますし、また、職場における搾乳室の設置に関して、働く母親の皆さん方のニーズあるいは企業の取組、こうした状況の把握も進めていきたいと思いますし、まずは、ちょっと厚労省においてその辺がどうなっているか、私もしっかり把握をさせていただきたいと思います。

早稲田委員 厚労省においてまず把握をしていただきたいのと、企業においてどのような状況になっているか。もちろん、やっているところはあると思います。でも、実際はトイレの中でやっているとか、そういう方たちも多いわけです。ですからこの問題を取り上げさせていただきました。

 是非、大臣には、厚労省の後には企業の調査を行っていただき、実態を把握していただきたいということを要望させていただきますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、企業の今の状況、そして、そうした子育てしながら働いている方々のニーズ、こういったものの把握に努めていきたいと思います。

早稲田委員 是非、調査と把握、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、保険証のマイナカードへの全面移行、それから保険証の廃止についてであります。

 これは、いつ、どのような、理由というのはいろいろ議論の中で出ておりますが、いつ、どの会議でこうしたことが決まったのかということをまずお聞きします。

加藤国務大臣 この方向に関しては、総理始め私、デジタル担当大臣、関係大臣等が集まってこうした方向を確認したということであります。

早稲田委員 そうではなくて、六月の閣議決定、骨太方針、これが基になっていると聞いておりますけれども、それでよろしいですか。

加藤国務大臣 今御指摘の骨太方針では、二〇二四年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指すとしていたわけでありますけれども、さらに、こうしたマイナンバーカード一体化に伴うメリット、まさによりよい医療を受けていただくことができるようにしていく、そうしたことから、一体化を加速をし、令和六年秋に保険証の廃止を目指す、こういうことで、先ほど申し上げた総理以下の会合でそうした方向性を確認したということであります。

早稲田委員 この骨太方針が基になっているわけなんですよ。

 そこの資料を御覧ください。

 もちろんデジタル化は必要ですし、私もそれを進めていくことに異論はございません。しかしながら、ここには、「二〇二四年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、」とあります。あくまで選択制と書かれております。それなのに、その後、「原則廃止を目指す。」とありますけれども、ここでは選択制なんです。

 それから、そこの下の小さな注釈を御覧ください。そこには、「加入者から申請があれば保険証は交付される。」と書かれております。これを見る限り、保険証をマイナンバーカードに一気に切り替えるという話ではないと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 済みません、何がいかがかというのはちょっと分からないところがあるんですが。

 当時の骨太方針にそう書いてあるのは、まさにこの資料にあるとおりであります。それを更に加速化する必要があるという判断で、先ほどお示ししたような、二〇二四年度の秋に廃止をすることを目指すという方向性を確認をさせていただいたということであります。

早稲田委員 加速化する、そしてそこで、保険証しか使えないといいますか、使うことができないような方もいらっしゃるということは、もう元々分かっているわけですね。その中で、加速化するということだけをもって、この全ての骨太方針に書かれている原則を覆すということはないんじゃないんでしょうか。

 大串副大臣に伺います。

 このことについて、ここでは保険証廃止ありきではなかったと思いますけれども、そこを確認させてください。

大串副大臣 骨太の方針の中で、委員添付の資料にもありますように、「保険証の原則廃止を目指す。」という表現になっていると認識しております。

早稲田委員 二〇二四年秋にこれをやるということはどこにも書かれておりませんし、それから選択制ということ、これについて、大串副大臣、書かれているとおりじゃないでしょうか。とにかく、選択をするということがあれば、これは任意なわけですから、マイナンバーカードは。それを実質義務化するようなことになっているから国民の不安が増大している。その点をもっても、ここについて、選択制というのは生きている話であると思いますが、いかがですか。副大臣の見解を伺います。

大串副大臣 マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、例えば、転職時の保険証の切替えが不要になったりとか、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことができるといったことが実現できるので我々は進めているわけですが、こうしたことから、今般、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるために、二〇二四年秋に保険証の廃止を目指すこととしたものでございます。

 マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものでありますので、この点を変更するものではございませんから、保有を義務づけるというものでもございません。

早稲田委員 いえ、選択制はここで生きているということでよろしいですね。そのことについて伺います。

大串副大臣 先ほど答弁いたしましたとおり、加速化するということで、この二四年の秋に保険証の廃止を目指すこととしたものでございます。

早稲田委員 デジタル庁としてそれはどうなんでしょうか、加速化するということだけをもって理由にするというのは。国民不在じゃないですか。国民を軽視しています。

 これだけ不安があるということは、やはり、そこに選択制があって、ここに書いてあるでしょう、小さな字で、保険証を交付できると書いてあるわけですから、そこをどうして取ってしまうんでしょうか。きちんとそこを答えていただかないと。これが生きているか生きていないかです。そういう選択もあるということをここで決めたのですから、それが生きているということを御答弁いただきたい。

大串副大臣 御質問いただいたように、この二〇二四年秋の健康保険証の廃止を目指しているわけでありますが、このことについて国民の皆様に不安の声があることは承知しております。

 それを受けまして、保険証の廃止に向けては、まだまだ細部にわたりきめ細かく環境整備を行わなければならないと認識しておりますし、何よりも、医療を受ける国民の皆様の理解を得ることが不可欠であると考えておりますので、今後、国民の皆様の不安を一つ一つ解消しながら、丁寧に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

早稲田委員 ちょっと回答が曖昧でございますが、この文言は生きている、それでよろしいですね。保険証の廃止は目指すけれども、全廃ありきではないということだけ確認させてください。

大串副大臣 あくまでも加速をするために秋の廃止を目指すという点については、変わりございません。

早稲田委員 そこは聞いておりません。加速するため目指すのはそれは方針でしょうけれども、ここの文言は生きていますね、選択制はできますね、望めば、申請すれば交付されますねということの二点です。端的にお願いします。デジタル庁、副大臣。

加藤国務大臣 いやいや、保険証の話をされて、だから、保険証の話をしているんじゃないですか、だって。マイナンバーカード云々の話じゃないんじゃないですか。

 それで、今言った骨太方針に書いてあることを踏まえて、更にそれを加速化し、そして目指すと。そしてさらに、お手元にマイナンバーカードがない、こうした場合がありますので、それに対してはこれから丁寧に、どういうケースがあるのかを含めて、様々なケースが考えられることから、具体的な制度設計、実務上、運営を含めてこれから丁寧に検討する、そのことを申し上げているわけであります。

早稲田委員 踏まえてとおっしゃいましたから、これは生きているということでよろしいんですね。

加藤国務大臣 そうではなくて、踏まえて原則廃止を目指すということを申し上げた。そして、その目指す中でどういう形を取るかについては、中にはマイナンバーカードがない方もいらっしゃいますので、しかし、そういう方でも、ちゃんと保険料を払った方に対しては、当然、保険医療を本来の負担割合で受ける権利がありますので、その権利をどう守っていくのか。ただ、持っていないケースにもいろいろなケースがあると思いますから、そのケースごと、よく丁寧に見て、そうした皆さんにも、しっかりと保険医療が受けられるよう、これはしっかり担保しなきゃいけないと考えています。

早稲田委員 お答えになっておりませんので、私の方では、これは、答えられないということは生きているということでしょうと私は理解をいたしました。

 目指すのは秋なのかもしれない。でも、それは加速化をするということだけの理由で、国民不在でやっていただくということは非常に危険です。河野大臣は、国民の理解を得る、そしてみんなにやっていただくとおっしゃいますけれども、それは何か、一歩間違えれば非常に圧力に感じる。だから、ここのところは選択制と書いてあるんだから、しっかりと申請して交付ができるようにしていただきたいということを強く要望いたします。

 今、大臣から、保険料を払っている方が保険医療を受けられる、それは当然のことです。それなのに、持っている保険証を使わないで、また資格証明書とは違うような制度をつくるといいますけれども、こういうのを愚策というんじゃないでしょうか。だったら、今の保険証をそのまま、マイナンバーカードを申請しない方は使えばよろしいじゃないですか。何でそこを、また新しい制度をつくって、そこにお金をかけて、また国民に混乱を招く。それは義務じゃないんですから、任意なわけですから。そこはしっかりやっていただかないとおかしなことになります。これはできなくなりますよ。余りそうやってごり押しすると、いろいろなことがうまくいかない。

 マイナンバーカード、やることも必要ですけれども、そこのところのやり方の、何ていうかな、政府の言い方、そうしたことも非常に私は問題だと思っております。こういう、きちんと資料があるんですから、それに基づいてやっていただきたい、そのことを強く要望いたします。

 次に、駐留軍関係離職者等臨時特措法の延長についてでございます。

 在日米軍基地労働者の離職者対策を規定するこの特別措置法が来年五月に有効期限を迎えます。在日米軍再編の状況によっては雇用継続が困難となることも想定されますので、これを再延長をしっかりとしていただくべきと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 厚労省においても、駐留軍関係離職者の方に対して早期の再就職が図られるよう、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、これまでも適切な対応を図ってきたところであります。

 有効期限の延長については、防衛省を始め、関係省庁とも連携の上検討しているところでありますし、今後、労働政策審議会においても議論をしていきたいと考えています。

早稲田委員 八月の概算要求、これは再延長を前提になされていると聞いております。この後、十一月には雇用対策基本問題部会で審議をされ、労政審の分科会にも上がると思われますけれども、是非、来年の通常国会に、この再延長法案を政府から国会に提出をしていただきたいということを強く要請をさせていただきます。

 次に、要介護一、二に向けて介護給付、これが地域支援事業に移行をされるのではないかというような議論が今なされておりますけれども、地域支援というのは、市町村の地域支援事業に移行すべしというような議論がなされておりますが、これを強行すれば、報酬単価が安くなって多くの事業者が赤字になり、廃業も考えられます。

 この夏に、名古屋市内の生活支援事業所三百五十二か所に郵送したアンケートでも、地域支援事業に移行した場合、新規を受け入れられないと回答をしたところが四二・三%に上りました。

 デイサービスそれからまた訪問介護、非常に重要な事業であります。特に、なかなか外には見えない認知症の方など、そういう方たちに支援をしていただいている、介護をしていただいていることで、それが度合いが進みにくいというようなこともありますし、私も九十二歳の母と同居をしておりますので、こうしたサービス、しっかりとやっていくことで健康寿命を延ばして、そして、みんなが安心して暮らせる社会の、非常にこれは根幹をなすものだと思っておりますので、このことについては、財源とかそうしたものになるんでしょうけれども、財務省に押し切られないように、厚生労働大臣はしっかりとこれを堅持をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 軽度者への生活援助サービス等に係る給付の在り方については、令和元年の社会保障審議会介護保険部会において、引き続き検討を行うことが適当とされたことであり、それを踏まえて、本年の介護保険部会でも議論いただいているところであります。

 その中では、御指摘のような意見のほか、軽度者とされる要介護一、二は認知症の方が多く、また、総合事業の住民主体サービスが不十分で地域ごとにばらつきがある中、効果的な取組が期待できないという意見がある一方で、市町村が地域の実情に応じたサービス提供を行う方が効率的であり、また、専門的なサービスをより重度の方に重点化していくことが必要との意見など、様々な意見をいただいているところであります。

 今後とも、高齢者の方々に必要なサービスを提供していく、持続可能なものにしていくためには、介護保険制度の給付と負担のバランス、これも図っていく必要があります。そうした観点も踏まえながら、今の問題についてもしっかり御議論いただきたいと考えております。

早稲田委員 軽度とおっしゃいますけれども、認知症の方が多いわけですね。この認知症の方というのは、歩けないとかそういうことではないわけですけれども、非常に人と接することでその進み具合が遅くなるということもありますので、非常に重要な事業なんです。

 これを、地域支援事業を市町村に任せますといったって、今、そのボランティアさん、それから地域の担い手、全然育っておりません。そのことを踏まえてみても、この担い手が専門職でなくなると、さらに、積み重ねてきた処遇加算もつけられず、ますます賃金が安くなる。もうこれは負のスパイラルに入ってしまいます。

 そうしたことも含めて、是非、厚労大臣には、これをきちんと介護事業として、介護給付としてやっていただきたいと思いますので、強く要望させていただきます。

 それでは、最後になりますが、子供のコロナワクチンの努力義務化についてであります。

 第七波を受けまして、五歳から十一歳の子供に、それからまた、この度、十月二十四日からは、六か月以上四歳以下の乳幼児にも無料の公費接種が始まっております。このことにつきましては両方とも努力義務になりました。

 私は、非常にここのところは懸念をしております。もちろん、ワクチンによる重症化予防というものが期待される一方で、やはり子供の重症化というのも、数として、パーセントとしては少ない。とにかく、オミクロンでは、熱性けいれんとかそうしたものが出てきておりまして、保護者の方の不安もあると思います。急性脳症それから熱性けいれんなど、小児特有のそうした症状も出てきている中でありますけれども、やはりこれはもう少し慎重に考えていただきたいと思います。

 コロナワクチン、これは二〇二一から二二の間に二億八千万回接種をされています。それからインフルエンザ、これは二〇一六から二〇年の間には二億六千万回。この両方のワクチンを比べた場合、副反応それからその重篤例、これがコロナワクチンはインフルエンザワクチンの十三倍、死亡例は五十倍ということも、もうこれはデータとして出ております。

 スウェーデンなどの一部の国では、健康な五歳から十一歳の小児にはコロナワクチンを奨励しておりません。それからまた、イギリスでも、最近、識者の会議を経て、これを中止をいたしました。そうしたことも踏まえて、私は、ここは慎重にすべきだと思います。

 是非、このことを努力義務ということでなく、私は、保護者の方が打ちたい方が打つ、そういうことは必要であろうかと思いますけれども、やはり、努力義務、奨励ということになりますと、同調圧力もあるし、いろいろな意味で、まだこのワクチンについてのきちんとしたエビデンスが出ていない中で、不安を抱える方も多い、だから接種が進まないということもあるわけです。

 是非、その努力義務を、ゼロ歳から十一歳の子供の接種、努力義務を撤回すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 生後六か月から四歳までの乳幼児への初回接種、これは今のやつだと三回接種していただくことになるんですけれども、オミクロン株流行下において、感染者数の増加に伴い、乳幼児を含む小児であっても感染者数や重症者数が増加傾向にあること、また、オミクロン株流行下での有効性が確認され、安全性にも大きな懸念は認められないと判断されたことなどから、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、これは十月五日に開催されたわけでありますが、専門家による議論もいただいた結果として、努力義務の規定が適用ということになったところであります。

 今、いろいろと各国の動きもあったと思いますが、そうした後の、十月の段階で専門家の皆さんに御判断をいただいたということでございますので、私どもとしては、その判断を尊重して現在努力義務とさせていただいたところでありますが、ただ、子供さんを抱える保護者の皆さん方には様々な心配等もあると思います。

 そういったことについては、引き続き、リーフレット、ホームページ等々、様々な媒体を活用して、小児の感染状況、またワクチンの有効性や安全性に関する情報、そういったものをしっかりと周知をして、それぞれの保護者の皆さん方が接種の判断をしていただける、それに資するように努力をしていきたいと思います。

早稲田委員 十月の有識者の会議でそういう結果が出たということではありますけれども、我が国における五歳児未満の小児人口の百万人当たりのコロナによる死者数、これは米国の二十七人に対して三・四人と極めて少ない数でございます。日本と小児における死亡率が同等の英国で、最近、このワクチン、予防接種合同委員会の勧告に伴い、健康な五歳から十一歳の接種を中止をしております。こうしたことも踏まえて、是非、また引き続きこのいろいろなエビデンスを積み重ねていただきたい。

 その中で私が申し上げたいのは、日本でもワクチン接種後の小児の死亡例も報告されているわけです。厚労省はこれを副反応が原因と認めていないけれども、是非、努力義務を課したのであれば特に、薬害オンブズパースン会議が提言しているように、ワクチン記録とそれから接種後の医療データを突合して、追跡調査、評価できる仕組み、これをつくるべき、創設すべきと考えますが、最後に伺います。

加藤国務大臣 今般、感染症法の改正案を出させていただいておりますが、その法案では、接種記録を含む予防接種の実施状況などに係る匿名データベースを整備をし、レセプト情報・特定健診等情報データベース、NDB等とのデータベースと連結して利用することを可能とするための規定を設けているところでありますので、これによって、接種をされた方が接種後にどのような医療を受けたのか等の情報も得られるようになり、予防接種の安全性の向上に関する調査研究が可能になるものと考えております。

 法案が成立したときには、予防接種データベースの整備に向けて、またその活用に向けて、関係者とも調整しながら準備を進めたいと考えています。

早稲田委員 以上です。終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 加藤大臣、誠に申し訳ない。御出席いただいているさなかで、今日はコロナや年金、あるいは保険証、厚生労働行政についてお聞きするつもりでしたが、ちょっと、先立つ早稲田議員の質疑の中で、大串副大臣、ちょっとお残りいただく形になりました。御協力に感謝申し上げます。

 昨日閣僚が辞任したばかりですから、大変、委員会、国会挙げて検証なりが必要な今この瞬間ですから、ちょっと大串副大臣、重ねて説明責任をこの場で果たしていただくようにお願い申し上げます。

 まず、ちょっと、一同、恐らく驚いたと思います、先ほどの答弁は、委員長も含めて。なぜ今の公開になったんですか。今の答弁になったんですか。なぜ今の時間、今の時期になったんですか、報告が。

大串副大臣 ニュースとかで取り上げられたのが恐らく先週の頃だと思います。そして、各メディアからの問合せが先週の後半ぐらいに届いていまして、私、もう当初からサインした記憶は非常に明確にありましたので、現物をちょっと捜さないとと思いまして。ただ、ちょっと在京当番で地元に戻れなかったりして、地元でちょっと捜すことができなくて、地元にお願いして捜してもらって、昨日見つかりまして、今日こういう機会がございましたので、ここでの答弁は別に隠し立てすることなくしっかりとお話をしようということで、今日、この場でお話をさせていただくことになりました。

小川委員 ちょっと、誠実なのか開き直りなのか、非常に半々で受け止めていますが、まず、正直に御答弁いただいていることは多としたい。

 何からお聞きすればいいかな。五月に六万円のパーティー券を購入してもらっていますね、関係団体に。それが報道されたのが八月の十二日です。九月の八日に自民党は党内調査の結果を公表している。その項目の中にパーティー券の購入が入っている。しかし、大串副大臣の名前はない。これはなぜですか。

大串副大臣 皆さんも御存じのとおり、パーティー券の購入先の公表というのが一定の金額以上ということになっておりまして、公開の義務のない範囲の購入であったために、基本的には法的には届け出る必要はないんですけれども、今回、メディアからの問合せがございまして、これだけ関心を集めているテーマでありますので、少額であっても、私としては、これは、事実があったことはお伝えした方がいいだろうということで、地元の新聞社でございますが、そちらの方には、届出の義務はないけれどもそういう事実があったことをしっかりとお伝えをいたしました。

 ただ、自民党としては、少額のもの、これは、正直言いますと、一つ公開し出すとどんどんみんな公開しなければならなくなる可能性もあると思いますので、これは自民党の判断ということで、私は、多額のパーティー券を買ってもらっていたわけではないので名前がなかったというふうに認識をしております。

小川委員 ちょっと危険な御答弁だと思いますよ。一部公開したらみんな芋づる式に公開しなきゃいけないんじゃないかということで隠したという答弁ですからね、今の答弁は。

 それで、ちょっと私の不勉強をおわびします。自民党の調査は幾ら以上の購入を対象に調査していたんですか。ちょっと不勉強をおわびしながら、今の答弁の中身を教えてください。

大串副大臣 ちょっと今、自民党からのアンケートの中身が今、手元にないので正確にお答えできませんけれども、政治資金規正法上、公開の義務があるかないかで線引きはされていたと記憶しております。

小川委員 ちょっとこれは確認してもらって答弁してもらったらいいので、ちょっと審議を中断してもらっていいや。

三ッ林委員長 時間を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 では、始めてください。

 小川淳也君。

小川委員 ちょっと、じゃ、事務所に御指示いただいて、質問時間内、四十分強ありますからお答えいただきたい。というか、知っているんでしょう、自民党の皆さん、幾らのあれになったのか。そんな曖昧な調査報告なんですか、これは。

 これは何から聞くかな、本当に。正直に答えている人は、この九月八日発表の自民党の報告書ですよ。選挙支援の依頼を受けた、組織的支援、動員の受入れを受けた、斎藤洋明さん。選挙におけるボランティア支援を受けた、斎藤洋明さんほか十数名。ちゃんと自ら自民党調査に回答しているじゃないですか。なぜしなかったんですか。大串さんの名前はないよ。

大串副大臣 先ほどもお答えしたとおり、ボランティア等の支援は受けておりませんので、それはないとお答えをしております。

小川委員 ちょっと最初の御答弁に戻りますが、斎藤洋明さんが自ら政策協定を結んでいたことを公表されたことは御存じでしたよね。それは、自らの胸に手を当てて、私も類似のことがあったという、記憶まであったと今おっしゃった。しかし、確かに、在京当番とかいろいろ、政務ですからあるでしょう。が、事務所に連絡をし、秘書が対応すれば、一定の調べはつくんじゃありませんか。それはなぜしなかったんですか。

大串副大臣 冒頭お答えしましたように、推薦状はすぐ見つかったんですけれども、推薦確認書と呼ばれるものがなかなか見つからなくて、それが見つかったのが昨日でございます。

小川委員 さっきも申し上げましたが、半分誠実、半分開き直り。常にこれはね、いや、問題だと思いますよ、これ。

 ちょっと認識をお聞きしましょうか。なぜ昨日、山際大臣は辞めたと思います。副大臣、なぜ山際さんは昨日辞めたんですか。

大串副大臣 その点につきましては、個々の判断だと思います。

小川委員 そういう認識だから政権は傷んでいるんでしょう。加藤大臣だって衝撃を受けたはずですよ、山際さんの辞任は、閣僚の一人として。個々の判断で済まないから政権は傷んでいるんでしょう。国民の信を失っているじゃないですか。その程度の認識なのか、そう言わざるを得ないから言っているのか、ここで。そこが問われているんですよ、大きく。

 じゃ、ちょっと、せっかくの機会ですから。

 恐らく、政策協定を結んでいる人が何人いるのか分からないが、今みたいに、聞かれるまで答えないとか、書面が出てくるまで答えないとかというのが多発しているとすれば、実態はなかなか明らかになりませんよ、この調子では。

 それで、これから関係を絶つとかなんとか言っていますが、これからのことを議論する資格があるのは、これまでのことを洗いざらいテーブルにのせた人たちだけなんですよ。これまでのことをテーブルにのせずに、半ばいわば隠し立てをして、それに蓋をしたまま、これからどうしますなんて話は通らない。だからみんな怒っているんですよ。

 それで、聞きます。政策協定を締結するに至った経緯は、どういう経緯だったんですか。

大串副大臣 経緯といいますとなかなかちょっと難しいんですけれども、支援者の中に一人、その関係の方がいらっしゃって、何度かいろいろなお話はさせていただいております。

 十月三日のその日付の日、政策協定ではなくて、推薦の確認書という書類だと思いますけれども、当日、国政報告会を開いてほしい、選挙前であるのでいろいろな人が話を聞きたいというふうにおっしゃられましたので、そこに私が出向いていきましてお話を、恐らく政治家であれば、そういう要請に対してはお応えしなければいけないということでお話をさせていただいて、行ったところが、国政報告会と同時に、推薦書を交付します、つきましてはこれにサインをしてほしいと、現場で、その場で言われまして。

 だから、経緯というか、私もそういう話は伺っておりませんでした。突然のことではありましたが、用紙を見させていただいて、内容をその場で読みまして、先ほどお話ししましたように、憲法改正とか、割と我々が日頃取り組んでいるテーマに近いものであったということもありまして、日韓トンネルに関しては、ちょっとこれは私はなかなかお力添えできませんよという話をした上で、サインをさせていただいたというものであります。

小川委員 それなりに誠意のある答弁と受け止めつつお聞きしています。

 では、支援者、支持者の中にお一人そういった関係者がいらっしゃったという御答弁と受け止めました。そのおつき合いはいつから生じていたおつき合いだったんですか。

大串副大臣 正直申し上げまして、皆さんに信者であるかどうかというのを確認しておりませんので、一人かどうかは分かりませんけれども、恐らく担当になられている窓口の方がいらっしゃるんだと思います。その方が時々お越しになられて、基本的には、宗教的な話というよりは、憲法改正だとか政治的な話をされる方で、それがちょっと、いつ頃かと言われると、この二、三年ぐらいだと思うんですけれども、正確にはちょっと覚えておりません。どこかでお会いして、名刺交換をして、時々事務所に顔を出されるという関係でございます。

小川委員 それじゃ、その方が統一教会の関係者であるということを認識されたのはいつですか、二、三年のおつき合いだと仮にして。

大串副大臣 最初は、平和連合という名前が統一教会と直接私は結びつかなかったものですから、アルファベットで何か表記されたような名刺だったので、ちょっと認識は、分からなかったのですけれども、後々に、そういう関係なんだなということが分かりましたので。ですから、本当に、それはそんなに時間はたっていない、二、三年のことだと思います。

小川委員 そうすると、統一教会の関係団体だということを認識され、そして、恐らくその方御本人は信者でいらっしゃるんでしょう、恐らく。

 教義やその教えの中身ですよね。問題になっていますが、例えば、日本は韓国に対して、贖罪も含めて、貢ぐ運命にある、定めにある国だというような教義、それだけじゃないと思いますが、あるいは集団結婚式のような、ちょっと世間一般からは奇行に取られるような形態、こういったものについて、賛同なり、あるいは賛意、あるいは許容という感覚はおありでしたか。

大串副大臣 先ほど申し上げましたように、政治の話しかほとんどしていませんで、宗教的な話は、ほぼというか、一切していないと思います。

 今お話しされたような内容は、私自身も最近の報道で知るようになりましたので、その方とは、個人のことは余りあれなんですけれども、その方とは本当に憲法の話とか政治の話しか、一切しておりません。

小川委員 副大臣、何年の生まれでしたかね。私は七一年生まれで、学生時代に、まさに私も、香川県の田舎から東京に進学した、不安な学生時代を最初の頃は過ごしています。当時、原理研究会とか、あるいはまさに桜田淳子さんの集団結婚とか、随分、社会問題化した、一世を風靡した頃合いだったんですよ、当時ね。ですから、統一教会の関連だと聞いただけで、ある種ぴんとくるというか、警戒しなきゃいけないというか、用心、注意を払わなきゃいけないという感覚はしみついている世代なんです。

 それからいうと、政治の話しかしていません、まあそうなのかもしれない。しかし、関連する団体が背景、背後にいるということを認識された時点で、そこはより注意深く、おつき合いの節度といいますか、距離感といいますか、それを保つ工夫が必要だったと私は思いますが、その点の落ち度に関してはいかがですか。

大串副大臣 私の生まれは六六年でございまして、多分、そんなに世代は離れていないと思います。多分、同じような体験だと思います。私も、大学に入学したときは、田舎の大学なんですけれども、学生運動が非常に激しいところで、中核派と、革マル派と、そして民青同盟と、そして原理研がいつもけんかをしているような大学で、私もそれで原理研というのが非常に、私も多分同じような感覚を持っていると思います。

 そういうのもありまして、来られる方に対しても、政治の話はしましたけれども、宗教の話は一切していませんし、自民党にも報告しましたけれども、イベントのお誘いも当然あったんですけれども、それには一切行きませんよということははっきりと申し上げておりましたし、平和大使の就任のお願いも一切お断りをしておりましたので、あくまでも、個人的な政治のお話をしてくださることに関しては一有権者として対応させていただいた。

 これが、この対応に落ち度があると言われればまた改めさせていただきますけれども、なかなか、政治の話をしたいというふうに事務所に来られた方に、あなたは来るなとはさすがにちょっと言いにくいものですから、そこは線引きをして、宗教的なことはちょっとごめんなさいねということで、一切そんな話はせずに対応させていただいたという対応を取っておりました。

小川委員 だったら、何でパーティー券を買ってもらうんですか。それは、節度、一線を越えたんでしょう。脇が甘かったのか、注意を払っていなかったのか。

 そこで、もう一つ聞きます。

 教義の問題とか信仰の問題については立ち入らなかったという御答弁ですが、世上たくさん問題になっているのは、やはり、つぼや印鑑の販売を通した消費者被害あるいは献金の強要、こういう反社会性を帯びた行為なんですね。こういうことに関しての認識はあった、したがって一線を引かなきゃいけないと。今まさにおっしゃったんだから、つぼや印鑑の強要を通して反社会的行為が行われている可能性がある団体だったという認識もあったという理解でいいですね。

大串副大臣 その点につきましては、恐らく、同じ世代で、あの時代、そういったことが横行されていたというニュースは昔は伺っておりましたが、最近はそういうことはないのかなというふうに認識をしておりまして、ですから、今回報道があるまで、ああいう多額の献金がされているということは私も存じ上げておりませんでしたので、それについては少し感度が鈍かったという点は反省をしたいと思います。

小川委員 最近はそういうことはないという認識なんですか。だったら、何で解散命令を視野に質問権を発動しようと内閣はしているんですか。そんな甘い答弁でいいの。内閣は今そうしようとしているんですよ。これだって賛否両論あると思うけれども。副大臣、ちょっと脇を締めて。副大臣なんだから、内閣を構成しているんだから、ちょっと余り甘ったるいことを言われても困りますよ、この場で。

 じゃ、ちょっと最後にしますが、ちょっと自民党の皆さんもたくさんいらっしゃるけれども、つまり、加藤大臣、こういうことなんですよ。みんな説明しなきゃいけない、こういう形で。国会に呼ばれなくてもね。一人一人記者会見やれと。今、大串さん、私、脇の甘さとか、答弁の中途半端さとか、開き直りとか、看過できない要素もあるなとは思った。思ったが、それなりに、自らの考えや、あるいは記憶をたどりながら、それなりに誠意を持って御答弁されていると感じました。これをみんながやらなきゃいけないんですよ、自民党は、細田議長を始め。やらないから信を失っているんです。ということですよ、これは。

 最後に、その政策確認書を委員会に、ちょっと厚生労働委員会の直接の所管ではないが、副大臣のお務めは。資料として提出していただくことをお願いし、そして、それは、自民党なりあるいは御自身の政策判断、今副大臣ですからね、本当に影響はなかったと言い切れるのか、その点についての御答弁を求め、副大臣はお帰りいただきたいと思います。

大串副大臣 書面の提出については、理事の方と相談させて決めさせていただきたいと思います。

 そして、政策に対する影響がなかったかと言われれば、ないと思います。掲げられた項目に対しては、特に私が深く関われたものが、まあ、憲法審査会には加入しておりましたが、憲法の改正も実現できておりませんし、十分に期待には応えていないというふうに認識しております。

 ただ、もう、これは総理ともお約束をさせていただきましたが、今後一切の関係を絶つということで、この点については、ぶれなく、しっかりと対応したいと思いますし、また、消費者庁の担当でもございますので、被害者救済に関してはしっかりと対応させていただきたいというふうに考えておりますので、また御指導よろしくお願いいたします。

小川委員 ひとまず今日の時間の中ではここまでにします。御退室していただいて結構です。御協力ありがとうございました。

 加藤大臣とそれから本田政務官にちょっと確認のため聞きます。

 加藤大臣も、一四年と一六年に懇親会に、これは秘書さんかな、会費を持ち込んでいる。それからもう一つ、一八年、岡山のピースフェスティバルに祝電を送っている。御答弁としては、これは夏の閉会中審査ですが、統一教会との関係を意識していたのか定かではないという答弁になっています。

 そこで、聞きます。統一教会との関係があれば、あったということを認識していれば、これは不適切だということを当時から認識していたという理解でいいですね。

加藤国務大臣 私、委員よりももっと前に生まれておりまして、先ほどのいろいろな事案は十分承知をしております。

 ただ、そのときに戻って、今の知識でどうだというのは、ちょっとなかなか正確に物が言えないと思いますが、仮に、その団体がそれに当たるか当たらないかというところがどこまで認識できたのかとか、その辺については、今に至れば、それは確かにそのグループの団体だということが分かりますが、当時、いろいろなものが入って、いろいろな招待、いろいろなものがある中で、どこまで的確な判断ができたかということに対して今明確なことは申し上げられませんが、ただ、今後においては、そうしたことに対しては断固として関係を絶ち、そうした行為は行わない、このことは明確に申し上げられると思います。

小川委員 ちょっと、あえて、いい悪いをおいておいて、ちょっと明確に聞かせてください。

 当時の状況であれば、仮に統一教会の関係団体だということを認識していても、直ちに正邪を判断できなかった、あるいは、祝電を送る、会費を持ってはせ参じるということを控えようという判断に至らなかった可能性があるという理解でいいですね。

加藤国務大臣 ちょっと、仮定の話なので、仮定を前提に今の立場でどう言うかというのは非常に難しいということは、多分、委員お分かりになって御質問されていると思います。

 もう明らかに今のような状況で、問題のある団体とそこが非常にリンクしているということであれば、これは当然、そうしたことには対応しないということになると思います。

小川委員 これも半ば誠実と受け止めればいいんでしょうが、だとすると、やはりこれは、自民党内に深く根を張っている、ある種の統一教会に対する容認、許容、受容。それは、大らかと言えばいいのか、包容力があると言えばいいのか分かりませんが、そういうやはり反社会的要素がある可能性があることは知っていた、体験上知っていたとおっしゃった上でそう言っているわけですから、そこの甘さが全ての遠因なんじゃないですか。全ての原因なんじゃないですか。

 ちょっとそのことは厳しく指摘した上で、本田政務官、事実だけ確認しますね。

 統一教会の関連団体の議長だった方、ちょっと名前は控えますが、この方は岸田総理の熊本の後援会長かな、が、御自身の地元後援会、これも熊本の後援会ですか、全国で運動を展開されているんでしょうから熊本の後援会かな、の筆頭最高顧問だという報道、一部報道に接していますが、その方は、依然、筆頭最高顧問なんですか。

本田大臣政務官 八月二十四日に報道がございまして、私も初めてそのときに知ったわけでございますけれども、旧統一教会関連団体の議長であったと。その方が熊本の岸田総理の後援会長であられた。その方は、私の地元の後援会の筆頭最高顧問で……(小川委員「地元というのはどこ」と呼ぶ)私の居住区、熊本でございますけれども、熊本の私の後援会の筆頭最高顧問であられましたので、私は、その報道を受けて、八月二十五日にぶら下がりの取材を受けて、その方が私の後援会筆頭最高顧問でありますということを、記者会見をさせていただきました。

小川委員 その後、現在においてもそうですかと聞いています。

本田大臣政務官 その方が記者会見をされたときに、一切関係があることは知らなかったということをおっしゃっておられましたし、私自身も、その方がそういう関係があるということも全く存じ上げておりませんでしたので、その方には本当に尊敬の念を持って筆頭最高顧問という私の後援会をしていただいておりましたので、今もそのことは継続ということでしております。

小川委員 私も後援会活動をやっている身ですし、みんなそうだと思いますけれども、半分は分かるわ。半分は分かる。だけれども、やはりこういうところできちんと線を引いて。非情ですよ、ある意味。冷徹でもある。しかし、きちんと線を引くことを通して、折り目をつけ、前に進もうとしている、みそぎを済ませようとしているという姿を、それこそ個々がちゃんとやっていかなきゃいけないんじゃないですかということは、あえて厳しく指摘をしておきます。個人的な関係では済まないということですよね。しかも、結果責任が問われるということなんですよ、残念ながら、この世界は。

 加藤大臣、本当にごめんなさい。しようがないわね、しかし、今この問題はちゃんと国会を挙げて聞かないと。

 私が時間が三十四分までなので、保険証や、それから国民年金の納付期間の延長、インフル、コロナのダブル感染、いろいろとちょっと聞きたいと思っていました。思っていましたが、しかし、それはまた次回もあるでしょう。今日しか聞けないと思うので、加藤大臣、閉会中の既に終わった出来事とはいえ、昨日、野田元総理の安倍元総理に対する追悼演説が衆議院の本会議場でありました。現場でお聞きになられたのかどうか定かではありませんが、それなりに重厚感のある、また安倍元総理に対する敬意を尽くした演説だった。

 しかも、私が言いたいのは、政治的ライバルが政治的ライバルを丁重に弔うというのは、国会における極めて美しい、あるべき伝統であり、それが今回も貫徹されたことはよかったと率直に思っています。

 それは、つまり、民主主義社会の大前提は、意見や利害や立場がたとえ異なっても、そこに敬意を払い、そして、互いにある種の信頼関係を持って国家の運営を図るということに真髄があると思うからであり、与党にせよ野党にせよ、時の一時期を率いたリーダーが不幸にも亡くなった際、その政治的ライバル、政敵が丁重に弔うのは、この価値観をこれ以上なく端的に具現化していると思うからであります。

 そこで、加藤大臣、私、国葬は一旦終わったこととはいえ、様々な政治判断上、いろいろなことを今なお引きずっていると思うのでお聞きします。加藤大臣も、確認はしていませんが、国葬に御出席なされたと思いますが、そこでどういう印象を受けられたか、ちょっとその点だけ、率直なところをお聞かせいただけますか。

加藤国務大臣 まず、昨日の野田元総理の安倍元総理に対する追悼の辞、まさに私も安倍総理とずっと政治活動を、副長官、また大臣としてさせていただいたという立場も含めて、非常に真情あふれる、また、まさにお話があった、ライバルとして、まさにこの舞台において言葉の、まさに真剣のやり取りをしてきた、そこにあるお互いを尊敬する気持ち、これにあふれた大変感銘深い追悼の辞をいただいたと心から感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、国葬であります。

 私も、当日、大臣という立場で参加をさせていただきました。国葬全体の中でそれぞれの、国葬全体の雰囲気もありますけれども、それぞれの岸田総理等を始めとした追悼の辞を含めて、非常に厳かに、厳粛な雰囲気の中で滞りなく行われたというふうな印象を持っております。

小川委員 死者にむち打つことは本当に控えたいんですけれども、私がなぜそれを言ったかというと、最も、政敵に対して、それを敵視し、あたかもせん滅すべき対象であるかのような振る舞いが時々、安倍元総理にはあったと私は感じながら国会や選挙戦を通して対峙してきました。そして、民主主義社会を容易に踏み倒す、踏み壊す政治勢力の一つの特徴は、その政敵を敵視し、正当な競争相手、ライバルとして見るのではなく、政敵を敵視し、せん滅すべき対象だと見る傾向があるということが世界的研究の中で言われていることだから危惧をしていました。それであえて言及しました。

 それで、所感、感想で厳かということなんですが、それはそうでしょう。それで、昨日の野田元総理の弔辞、追悼演説と、私は国葬は反対でしたから出席は控えていましたが、中継で一部始終見守りました。そこで感じたことは、やはり結論的に、結果的に、改めて安倍元総理の存在と功績を美化せざるを得ないんだなと感じたんです。

 それは、あのとき場内で流れたVTR。たとえ与党の議員であっても、ちょっと気恥ずかしい、面映ゆい、これで本当にいいんだろうかと少々は感じなきゃいけないビデオだったと思う。

 それから、岸田さん、更に言えば菅さんの追悼演説は、特に菅さん、さすがにあれだけのおつき合いですから、情感のこもった立派な御挨拶だと受け止めました。しかし、やはり政権の負の遺産はたくさんありましたから、七年だか八年だかの歳月の中で。それはもう個々に挙げるまでもなく。そして、彼は国会で、うそをついてごめんなさいと議運に謝罪に来ていますから。ということも含め、負の遺産、影が多々あった。それをいわば強い光で覆い隠して美化しなければ国葬というのは成り立たないんだなと感じさせた国葬でした。

 ということは、昨日、野田元総理は、大半を安倍総理への敬意にささげつつ、時間の大半を。しかし、光が強かったからこそ、そこから伸びた影の部分も歴史の法廷で問い続けるし、問い続けられなければならないということを宣言された。それで私は、初めてバランスが取れたと聞いていました。

 ということは、やはり日本の戦後の政治は国葬を避けてきたんですよ。必ず賛否両論ある。政治指導者ですから、美しい面だけであるはずがない。だからこそ、国葬を避けることで国論が二分することを避け、そして人心を乱すことを避けてきたということにいま一度立ち戻るべきではないかと私は感じています。

 これは答弁を求めませんが、厳かで、いや、それはここでそう言えないのは分かりますよ。しかし、その程度の感想なり認識では、私は深い政治的メッセージを理解なり考える材料としては乏しいと思っています。

 加藤大臣、これは大事なことで、岸田さんは恐らくあのとき、亡くなられてから七日もたたないうちの決定でしたから、雰囲気にのまれたんですよ、事件の雰囲気に。ただ、かくいう私も、半分ぐらいのまれていた、当時はね。慎重な検討、国会や裁判所に対する相談、そういったことをすっ飛ばして、何だか、俺がやってやるんだという雰囲気で、雰囲気にのまれて決定した。その決定の枠組みなり思考回路は、今もってなお引きずっているということです。

 最初は、クーポンか現金か、水際対策、入国管理をどうするのか。朝令暮改とよく言われました。そして、今に至っても、今回の統一教会関連も、最初は調査をしないと言い、世論に追い込まれたら調査をしますと言い、山際さんの大臣の更迭なのか辞任なのか知りませんが、てんまつもあのざまですから。雰囲気にのまれ、世論に押され、野党に攻め込まれ、ぐらぐらぐらぐらしているんですよ、政権の屋台骨が。そういうことを全て引きずって今日に至り、政権は体力を消耗している。

 ということをもって、国葬の問題一つ取っても、そのぐらい関連づけてよく深く考えるべきだ、私はそう思います。

 その上で、あと五分なので一つだけお聞きします。

 コロナについて、第七波がやがて収束傾向にあるかと思いきや、今、七日間平均では時に上昇、時に横ばい。まさに第八波の感染拡大が懸念される時期を迎えています。同時に、インフルエンザ、今年は、日本の夏、オーストラリアの冬、そのオーストラリアで爆発的にインフルエンザが感染拡大していますから、恐らく、日本でもこのダブル感染に備えなきゃいけないというのは当然、問題意識をお持ちで、そして先般、十月の十三日、コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた対応指針を発表された。

 そこで、ちょっと矛盾であり、問題だと思う点を端的に指摘しますので、お答えをいただきたいんです。

 初めてだと思います。熱があっても病院に行くなと、基本的に六十五歳未満は。みんな税金を払っていますから、保険料を払っていますから、病院には応招義務があり、患者には、国民には医療にかかる権利がある。それを制限する指針をつくったんです。基本的に六十五歳未満は病院に行くな。これは、やむを得ないとか、現実問題、理解を全くしていないわけではありません。しかし、それだけ重い決定だということをいかほど御理解されているか、そして、それを補って余りある準備をいかほど整えておられるか、そのことについて聞きたいということです。

 六十五歳未満は基本的に病院に行くな、そして、自ら薬局等で抗原検査キットを購入し自己検査せよと書いてある。大臣、間もなく十一月ですが、ダブル感染のリスクが顕在化してくるでしょう。今、薬局でどの程度本当にこのコロナ検査キットが行き渡っているか御存じですか。

加藤国務大臣 まず、行くなと書いてあるわけではなくて、こうした流れに協力をしてほしいということを申し上げているわけで、特に、まさに感染者数が増加をし、そして、医療資源には当然制限があるわけでありますから、その中でより重症化をする人たちをどう助けていくのか、そして、その中で、しかし、六十五歳未満の方であっても症状が重たい方、これはまさに発熱外来等に行っていただく、このことも明確に申し上げさせていただいているわけであります。

 その上で、今、新型コロナの抗原検査キットのお話がありました。

 抗原検査キットについては、七月の急激な感染拡大の対応として、製造販売業者の在庫を大手卸売業者に移行し、流通在庫を一定程度確保するなどの流通改善の取組を行ったところであり、現在、大手卸売業者からの聞き取りによりますと、薬局等からの発注には速やかに応えられる状況にあると確認をしております。

 また、検査キットのOTC化により、八月末からは、一般用検査キットが薬局のほか、ドラッグストア等でも販売が開始され、店頭やインターネットで入手可能となっておりますが、大手薬局からの聞き取りではありますけれども、在庫は十分にある状況だというふうに確認をしているところでありますので、今後も在庫や出荷の状況について把握するとともに、薬局における販売状況についても、感染状況を踏まえ、必要に応じモニタリングをし、安定供給に努めていきたいと考えています。

小川委員 そういう、総論というのかな、ちょっと能書きのように聞こえなくもないんですが。

 実際どのぐらい本当に行き渡っているんですかと聞いたわけです。永田町の近辺、薬局を回ってみてください、本当にあるかどうか。昨日現在ですが、近所で七軒薬局を回って、あったのは三軒。私の地元小豆島でちょっと支援者の方に調べていただきました。三軒の薬局を回って、あったのは二軒。

 ちょっと質疑でやり取りする時間がないから問題点だけ指摘して終えますが、つまり、病院に、いや、行くなと実質言っているんですよ、まずは自己検査を行ってくださいと書いているんだから。そういう受け止めになるのが当然なんだ。薬局に行った、行ったら半分はないんですよ、検査キットが。

 それからもう一つ、保険が利かないんですよ。全額自己費用で買わなきゃいけない。大体二千円、一個。小豆島は何と四千円、一個。保険が利かない。

 しかも、矛盾は、インフルエンザは病院に行くんです。インフルエンザは病院でしか検査できない、キットは売っていませんから、市中に。これは保険が利くんですよ。

 そうしたら、二類相当のコロナは、自宅で検査しろ、保険の適用外だとなっている。五類相当のインフルエンザは、自宅で検査できない、病院に行って保険適用して検査することになっている。検査費用が大体千五百円、百五十点、三割負担で五百円。コロナは四千円、地域によっては。これを、矛盾を解消するには、インターネットも含め、インフルエンザの検査キットを薬局で買えるようにしてやることが一つ。そして、できればコロナ、インフルエンザ両方、検査キットを薬局で買えと政府が言っているわけですから、保険者がそれを買って自己検査するわけですから、保険適用してやるべきだというのが一つ。この二つを早急に改革してもらわなきゃいけない。

 また追って議論したいと思います。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今日は質疑の機会を賜りまして、ありがとうございます。小川理事を始め、同僚の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 私、初当選以来、厚生労働委員会に長く所属していましたけれども、選対委員長をしたり、党務にちょっと専念していた関係でしばらく離れておりましたけれども、こうやって厚労委員会に戻ってくることができてうれしく思っております。

 加藤大臣におかれては、三度目の厚労大臣御就任ということで、お疲れさまでございます。再びこうして質疑ができることをうれしく思います。

 思い返せば、加藤大臣とはいろいろな問題についてこの委員会でも御議論をさせていただきましたけれども、高度プロフェッショナル制度、この導入時にもいろいろな議論をさせていただきました。当時の会議録を読み返しますと、大臣が国会で説明していたことと現在の高プロの運用というのが、どうも大きなずれが生じてしまっているんじゃないかというふうに思います。

 今日、ちょっと資料としてお配りをしました一ページ目に新聞記事をつけておきましたけれども、この中でも指摘をされているんですが、第一に、まず、高プロが適用されるのは高い交渉力を有する高度専門職に限る、こういうふうに国会で説明をしていました。しかし、厚労省自身が行った適用者へのアンケートでは、対象業務の経験が三年未満の労働者、これが何と四四・九%となっております。

 第二に、適用に際しては収入も職務も最初に書面で決めて本人が同意する、こういうふうに説明をしていました。しかし、一三・四%の人は適用を希望していない、こういうふうに答えているんですね。

 それから第三に、加藤大臣は、一定以上にならぬよう健康確保措置をしっかり盛り込んだと答弁をしていましたけれども、実際には、過労死ラインと呼ばれる月百時間の特例上限を大幅に超えている事例が出ています。

 例えばですけれども、コンサルタント業務の二事業場で、四百時間以上五百時間未満の人がいらっしゃいます。また、四事業場では、三百時間以上四百時間未満の人もいる、こういう状況であります。

 この点、例えば加藤大臣は、経験三年未満の労働者が半数近くいることについては、新卒でも高度な仕事をする人はいるんだ、こういうふうに説明をされているそうですけれども、そもそも、そういう入社したばかりの人とか、その役職に就いて期間が浅い人というのは、例えば会社から、高プロを適用しますけれどもどうですかというふうに同意を求められれば、それは断れないんじゃないですかね。ですから、不本意でも同意をせざるを得ない、こういう人がかなりいるんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、この辺、どう思いますか。

加藤国務大臣 まず、高度プロフェッショナル制度は、高度専門職の方に対し、健康確保をした上で仕事の進め方や働く時間帯等を自ら決定し、その意欲や能力を有効に発揮するということで設けさせていただき、そうなるような様々な措置も講じさせていただきました。

 今のアンケートでありますけれども、多くの適用労働者からは好意的に受け止められている、そうした数字もあるというふうには認識をしておりますが、同意が適切に行われるよう、あらかじめ必要な事項を説明した上で個々の労働者の同意を書面で求めており、対象労働者は、その同意の対象となる期間中にいつでも同意を撤回するということであります。

 制度の運用を適切に行っていくため、労働基準監督署は、制度を導入した全ての事業所に対し監督指導を実施し、健康確保措置の実施状況や労働者の同意が適正に行われたかを含めて確認し、不適正な場合には実際、是正をさせた、そういった措置も取ってきたところであります。

大西(健)委員 でも、アンケートで、今私が申し上げたように希望していないと言っている人が一三・四%もいると。でも、同意書は書いているのかもしれません。

 つまり、そういう、先ほど言ったように、三年未満の人が半数もいるということになると、やはり、同意書を見せられて言われれば、断ったらその後のキャリアにも傷がつくと思って結局断れない、不本意ながら同意せざるを得ない、こういう方が潜在的にいっぱいいるんじゃないですかということを申し上げているんですけれども、この点いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今の内心の話になるとなかなか難しいかもしれませんが、ただ、先ほど申し上げたように、必要な事項を説明した上で個々の労働者の同意を書面で求める、こういう手続をさせていただき、また、実際それが適正に行われているかは監督指導でもチェックをさせていただいているところでございます。

 それから、入ってから短い、長いで、すぐにその同意に応ずることになるのかどうかというのは、これは一概には言えないのではないかと思います。

大西(健)委員 一方で、先ほども指摘しましたけれども、同意をしている、健康確保措置も取っているということであれば、どれだけ長くなっても、高プロというのはそういう制度だからいいんだというふうに本当に済ませてしまっていいのか。

 今、まさに書面で同意を得て健康確保措置さえしていれば、入社一年目の若者であっても、実際に今私が指摘したように月四百時間働いている人がいるんです。つまり、そういうことができる制度になっているというのが高度プロフェッショナル制度の現実だと思うんですけれども、大臣、このままでいいとお思いになりますか。もし過労死する若者が出たら、そのときになってから言ってもこれは手遅れなんですよ。入社一年目の若者が、同意が取れていて健康措置さえやっていれば三百時間でも四百時間でも働ける、こういう制度で、このままで見直ししなくていいというふうにお思いになりますでしょうか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 全ての適用労働者に対して様々な健康確保措置を実施することが義務づけられているわけで、まずこれについて確認をさせていただいているところであります。

 なお、健康管理時間がこれは課題となっており、また、把握に問題が認められる事業場に対しては、把握の適正化等について個々に指導もされているというふうに承知をしております。

大西(健)委員 では、私が言うように、同意はあります、健康措置も取っています、だったら入社一年目でも四百時間は合法というのが今の制度ですか、いかがですか。イエスかノーかで答えてください。

加藤国務大臣 法律上そうした規定があるわけではなくて、健康管理時間として適正に把握をし、そしてそれにのっとった対応が求められるものと承知をしています。

大西(健)委員 つまり、今、はっきりはお答えにならないけれども、書面で同意が取れていて健康措置もやっています、そうすると入社一年目でも四百時間働けるというのがこの制度なんですよ。ですから、それで亡くなる人が出たら、私は、そのときになってこれは大変だと言っても遅いと思いますよ。やはり、この現実をしっかり踏まえて私は見直しをする必要があるというふうに思います。

 ほかでもない加藤大臣御自身が導入時に国会で説明してきたことと実際の運用に、先ほど指摘したように、いろいろな食い違いが私は出ているんじゃないかと思います。そういうことが起きている以上、この運用実態を検証すること、これは不可欠じゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、最低限これはやっていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 本年七月、労働政策審議会に高度プロフェッショナル制度の現状について報告を行った、先ほどの資料もそうだと思いますが。法律の施行後五年を目途とした見直しという規定がございます。五年目が令和六年四月に当たるわけでありますが、それに向けて制度の適正な運用のための監督指導を実施をしておりますが、あわせて、実態を把握し課題を整理していきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 これはちゃんと、法律の見直し規定というのもあるわけですから、その中で、やはり、国会で説明してきたことと実際の運用の乖離、これについては私はしっかり実態把握を行って検証を行うべきだというふうに思います。

 次に、新型コロナウイルスの影響、これは社会や経済に広範かつ多大な影響を与えていますけれども、その結果、医療保険の分野でも、特定の業態の健保組合において、やはり財政悪化が非常に顕著になっております。

 資料の二枚目、一ページ目の裏面ですけれども、御覧いただきたいんですけれども、これが現状ですけれども、令和三年度の決算見込み、全体の五割を超える組合が赤字になり、赤字組合は前年度よりも二百八十二組合も増える、こういう見込みになっています。

 赤字が増えていって保険財政が悪化して、保険料率が上がっていって協会けんぽの保険料率を超える、こういうことになれば、最後は解散して協会けんぽに移る。そうすると、協会けんぽには公費が入っています。健保は公費は入っていない。ですから、結局は国の負担が増える、こういうことになってしまいます。

 この半数の健保組合が赤字という状況を、大臣はまずどう受け止められるか。また、保険者機能強化推進交付金であったりとか高齢者医療運営円滑化等補助金というのをやっていただいていますけれども、こういうことを拡充して財政支援を行うことを強く求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、健保組合でありますが、令和二年度の決算までの七年間は黒字ということであります。

 今般の令和三年度の決算見込みで、八年ぶりで約八百二十五億円の赤字になっていると承知をし、新型コロナによる受診控えの反動の要因が大きいものと分析をしているところであります。

 また、高齢者医療への拠出金に対する負担が重たくなっている健保組合がありますので、そうしたものに対しては、今お話があった様々な財政的な支援を実施させていただいているところであります。

 また、そうしたところをしっかり組合の状況を注視しつつ見ていかなきゃなりませんが、総じて、全体としては、これは医療保険制度そのものからくる問題も当然あるわけでありますので、九月に開催された全世代型社会保障構築会議においては、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療への拠出金の在り方、被用者保険者間の格差是正の方策等が検討事項として示されているところでありますし、また、これを受けて、社会保障審議会医療保険部会でも具体的な議論を開始したところでありますので、年末に議論を取りまとめていきたいと考えております。

大西(健)委員 もちろん、そういう根本的な話はしっかりやっていただきたいんです。高齢者医療の負担金、これが非常に重くなっていて、結局、健保組合として医療費を下げるためのいろいろな努力をしても、その大半をほかの制度の支援のために持っていかれてしまう。真面目に頑張っている人がばかを見てしまう、こういう制度的な問題、これを根本的に改めていただきたいんです。そうはいっても、赤字組合がこれだけ増えている中で、さっきも言ったけれども解散して協会けんぽに移ってしまったら、これはもう手遅れなんです。公費は増えるんです。ですから、やはり、この局面を支えるためには、先ほど言ったような財政支援、これをしっかり拡充をしていただきたいというふうに思っています。

 今日もほかの委員からも質問が出ていましたけれども、政府・与党は、出産育児一時金の大幅引上げを行う方針です。少子化対策として出産費用を実質無償化していこうというのは与野党共に推進していることであって、我々も賛成です。ただし、その財源を現役世代だけに求めるのか、現役世代が支払う保険料だけに求めるのかということについては、様々な異論があるというふうに思っています。

 特に、女性の被保険者が多い業種というのがあって、そういう健保については、出産育児一時金が引き上げられて、その財源が保険料だけに求められると非常に影響が大きい。こういうところについては、負担増の激変緩和のための財政支援が私は必要だというふうに思いますが、大臣、検討いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、出産育児一時金の支給額、平成二十一年に四十二万円に引き上げ、その後も出産費用が年々上昇している状況もあり、総理の御指示も踏まえて、来年度からの大幅な増額に向けて、引上げ幅も含めて議論をさせていただいているところであります。

 その際、出産育児一時金の費用をどういう形で支え合っていくのか。今、後期高齢者医療制度を含めた医療保険全体で支え合うことについて御議論いただいているところでありますので、まさに具体的にどう支えていくか、年末に向けて検討させていただきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 今、大臣が御答弁されたように、政府の方でも、後期高齢者医療も含めて全体で支え合うということについても御検討いただいているようですので、そこは是非お願いしたいと思いますが、もしそうならない場合には、やはり激変緩和、こういう財政支援も検討していただきたいなというふうに思っています。

 次に、紙の健康保険証を二〇二四年の秋に廃止をしてマイナンバーカードと一本化させる方針、これを政府は発表しましたけれども、これについても、我々も、マイナンバーカードの活用であったりとか医療DX、この基本的な流れには賛同します。ただ、二年というのは余りにも急な話で、やはり国民の間にも不安が非常に広がっております。

 そこで、幾つか確認をしたいと思うんですけれども、レセプトのオンライン請求の免除対象になっているような医療機関というのがあります。例えば、レセプトの件数が少なくて、かつ手書きで請求を行う医療機関や薬局であったりとか、あるいは、常勤の医師、歯科医師、薬剤師が全て高齢である、こういう診療所や薬局というのは今もオンライン請求の免除対象になっているんですけれども、こういうところはマイナ保険証になってもカードリーダーの設置義務についても対象にならないというふうに思いますけれども、そうした高齢であるみたいな医師、歯科医師というのが全体のどれぐらいの割合になるのか。これは政府参考人の方から数字をお答えいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘いただきましたように、紙レセプトでの診療報酬請求が認められているような医療機関につきましては、オンライン資格確認の義務化の対象外となっております。

 この数ということでございますけれども、本年七月時点で、病院は、約四十機関、〇・五%、医科診療所は、約三千機関、三・四%、歯科診療所は、約五千六百機関、八・四%、薬局は、約七百機関、一・一%となっております。

大西(健)委員 今の数字、皆さんお聞きいただいたと思いますけれども、例えば、歯科でいうと八・四%というのは結構な数ですよね。結構な数の、約一割の医療機関がマイナ保険証になってもカードリーダーがなくて使えない、そういうところがどうしても例外として残るんです。恐らくですけれども、やはり、そういうところというのは、非常に僻地にあったりとかして、余り病院も選択肢がないようなところが多いんじゃないかというふうに予想するわけです。これだけマイナ保険証が使えない診療機関が残る。

 更に言えば、医療機関以外の柔道整復、はり、きゅう、これも義務の対象外だと思いますけれども、接骨院や鍼灸院の多くでもマイナ保険証を使えないところがかなり出てくるというふうに思います。

 こういうことについて、大臣、どのように思われるか、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今、オンライン資格確認の義務の対象にならないところの数字を申し上げたところでありますが、そうした診療所、あるいは訪問診療等で行っている場合、さらには柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術所等、こういった医療機関については、例えば資格情報のみを取得できる簡素な仕組みなど、こうしたことを導入することを考えているところであります。

大西(健)委員 今おっしゃったような仕組みというのがどういうものなのかというのが気になるところですけれども、それもちょっとこの後聞きたいと思いますけれども。

 その前に、こういうことを地元でよく言われるんですけれども、今まで、学校の遠足とか修学旅行に行くときに、保険証のコピーを持ってきてくださいみたいな、行き先でけがをしたりとか病気になったときに保険証のコピーで対応しますということをやってきました。

 しかし、マイナンバーカードは、当然のことながら、保険者番号なんというのはカードの上に書いてないですから、そういう対応はできなくなっちゃうんですけれども、そうすることになると、小さな子供を含めてマイナンバーカードを持ってきてくださいということになるのか、こういうことをよく言われるんですけれども、大臣、これは現実的だというふうに思われますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘がありましたように、遠足とか修学旅行などの場合に、万一のために備えて学校が子供の健康保険証の写しを持参するように、あるいは預かるという事例があることは承知しております。

 今後、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進める場合には、こうしたお尋ねの事例も含めまして、そういう場合でもしっかり国民の皆様が保険診療を受けられるようにしていくことが必要だと考えておりますので、その取扱いにつきましては、関係府省と連携しながら丁寧に答えを出していきたいと考えております。

大西(健)委員 最初に言ったように、もう二年ですからね。だから、この流れ自体に我々も真っ向反対しているわけじゃないんです。ただ、今言ったような素朴な疑問が有権者の皆さんから我々のところにも寄せられているということなんですね。

 先ほど大臣、御答弁の中で、例えばオンライン資格確認の例外になっているような医療機関だったりとか、あるいは接骨院とか鍼灸院みたいなところ、こういうところには新しい別の仕組みをつくるみたいな御答弁だったというふうに思いますけれども、岸田総理は、先日の予算委員会で我が党の後藤委員の質問に対して、マイナンバーカードを持たない人には資格証明書を使わない新制度を考えるというふうに答弁しました。この総理の発言は、ネット上では一時トレンド入りするぐらい、やはりそれだけ国民の関心が高いということの私は表れだというふうに思うんです。

 この点、政府は、マイナ保険証を持たない人のために現在の紙の保険証を一定期間持ち続けられる方向で検討している、これは報道ですけれども、こういう報道がありました。これは事実なんでしょうか。また、マイナ保険証への移行を促進するために、紙の保険証が原則廃止となる二〇二四年秋以降は紙の保険証を有料にする案も検討されている、こういう報道があります。これが事実だとすると、二〇二四年の秋以降も、有料ですから、お金を払えば紙の保険証を発行してもらえるということになるんでしょうか。その場合には、その紙の保険証というのは各保険者が発行することになるのか。

 これはいろいろな疑問が出てくるんですけれども、この総理の答弁、それからそれを受けての今私が指摘したような報道、これについて大臣からお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 これまでも、何らかの事情により手元にマイナンバーカードがない方が必要な保険診療等を受ける際の手続については様々なケースが考えられることから、具体的な制度設計や事務上の運用を含めて丁寧に検討するということを申し上げておりますが、ただ、先ほど申し上げたように、保険料を負担されている方は、当然、保険診療という形で受けられるというのは、これは当然のことだと思います。

大西(健)委員 私が一番知りたいのは、じゃ、例えば二〇二四年秋以降も、有料かもしれないけれども、紙の保険証は残るんですか、残らないんですか、どっちなんですか。

加藤国務大臣 まず、だから、手元にマイナンバーカードがない方に対していろいろなケースが考えられると思いますから、それぞれのケースに応じた対応ということが求められるんだろうと思いますので、今の時点で、おっしゃるように、これだあれだということ、これを申し上げる状況にはないということであります。

大西(健)委員 要はこれから検討するということなんでしょうけれども、二年ですよ。ですから、まさにこの短い時間で本当にそういうことを全部決めていかないといけない。現に今の国民の皆さんは、ああ、二〇二四年以降、紙の保険証がなくなって全部マイナンバーカードに一本化されたら、カードを持っていなかったらどうしようとか、あるいは、カードが読めない、カードリーダーのない医療機関だったらどうなるの、接骨院はどうなるのとみんな疑問に思っている。その疑問にやはり早くちゃんと答えを見出して説明をしていかないと国民の理解というのは私は得られないというふうに思いますので、今すぐ答えろとは言いませんけれども、やはり皆さん不安に思っていますから。ですから、早くそういうことに対してしっかりと方針を決めて、そして丁寧な国民への説明、これを行っていただきたいなというふうに思っております。

 次に、ワクチン保管用の超低温の冷凍庫、これについてお聞きをしたいと思います。

 新型コロナウイルスワクチンの中には、ファイザーのワクチンだったと思いますけれども、氷点下七十五度以下といった超低温での保管が必要だったワクチンがあったために、国はメーカーに冷凍庫の増産を要請して、そしてそれを国が一括購入して自治体に無償譲渡した、こういう経緯があります。

 ところが、この多くが使われずに余っているという指摘があります。厚労省の方でも、冷凍庫の過不足があれば自治体間で融通し合って有効活用するようにしてくださいねということを通知していて、そして、その場合の移送費、移送のコストとかも補助の対象にしますよということは言っていただいているそうです。ただ、一方で、接種事業が終了するか、耐用年数の五年が経過するまでは自治体で適切に管理するように求めています。

 この点、使われていない超低温の冷凍庫を大学や公的研究機関で再活用させてほしい、こういう声が上がっているんです。私、これはいい案だなと思って、是非やっていただきたいと思っています。

 もちろん、今後新たな変異株が出てきて、そして新しいワクチンが出てきたときにまた超低温の冷凍庫が必要になる可能性もありますから、今すぐとは言いません。今すぐとは言いませんけれども、ある程度この接種事業にめどが立って、そして余っているものがある場合には、これは自治体任せにしちゃうと、自治体の方も廃棄するのにもお金がかかるんです。そして、自治体が各大学とか研究機関に個別に聞くというわけにもいかないと思いますから、国で譲渡を希望する大学や研究機関を募って、そして有効活用できるように国が中心になってそういうことをやるということをちょっと検討していただけないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ワクチンの保管に使用する冷凍庫について、私も、たしか新聞記事で、そういう少し余剰があるんだというような記事を読ませていただいて、そうした認識をしていたんですが、今回御質問いただく中で調べたところ、本年九月初旬からのオミクロン株対応ワクチンの配送案内に伴い、九月上旬から自治体から追加譲渡の要望が見られ、需要が高まっているという状況にあるということでありますので、これについて、自治体の中で使っていないものがあれば自治体間で融通いただく、その制度はさっき移送費用も含めて国が負担するということでありましたので、そこを周知するなど、それぞれの自治体で必要な冷凍庫が配備できるよう国としてもしっかり支援をさせていただく、これがまず第一なんだと思います。

 その上で、もちろん特例臨時接種等が必要なくなればこうした冷凍庫は不必要になるというのは、まさに早くそういう状況になることもある意味では望ましいんだろうと思います。その場合にどうするかということも、ちょっと今、目の前は必要なやつを配備するということに重点を置かせていただきますけれども、将来それをどうしていくのかということもしっかりと考えていかなきゃならないだろうと思います。

大西(健)委員 先ほど私も言ったように、今すぐとは言いませんので、もし使われなくなる、どうも使うことはなかなかないだろうということになった場合には、自治体任せじゃなくて、国が中心になって再利用するような方法というのを是非検討していただきたいなということを提案しておきたいというふうに思います。

 次に、資料の二ページ目ですけれども、ちょっとこの表を載せさせていただいているんですけれども、理化学研究所では、就業規則で、有期雇用の研究者の雇用上限を通算で十年までにして、その起算日を二〇一三年の四月一日にするとともに、毎回の有期雇用の契約の際に更新上限を二〇二三年の三月三十一日とする内容の従事業務確認書というものにサインをさせています。これに従って、二〇二三年の四月一日で有期雇用の通算期間が十年を超える研究者の雇用契約を二〇二三年の三月三十一日で終了するというふうに言っています。

 一方で理研は、有期雇用の上限を十年とするこの就業規則は、二〇二三年の四月一日には撤廃するという方針も示しています。つまり、三月三十一日で雇用契約が終了する研究者の中には、四月一日以降も理研に再雇用される人もいると思います。でも、そういう人は、有期雇用の通算期間が十年を超えるので、無期転換の申込権が発生します。

 そこで、この無期転換申込権の発生を避けたい理化学研究所が有期雇用の通算期間が十年を超える研究者を不利に扱って、再雇用されない研究者が大量に発生するんじゃないか、こういう懸念が生じているんです。これは分からないですよ、今の時点では。

 でも、私はやはりこの理研のやり方というのは、場合によっては、ていのいい無期転換申込権の発生を回避するための脱法行為と受け止められかねない、そういう部分があるんじゃないかなというふうに思っているんです。これは個別案件ですけれども。

 そこで、まず確認をしたいのは、理化学研究所は、有期雇用の上限を十年にして、その起算日を二〇一三年四月一日に遡る就業規則の改正を二〇一八年の三月八日に行っているんです。二〇一三年に遡るというのを二〇一八年にやっている。こういう就業規則の改正というのは、一般論として私は不利益変更に当たるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これについて政府参考人からで結構ですので、御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 個別の案件につきましてはお答えを差し控えますけれども、一般論として申し上げますと、有期労働契約の締結後に新たに更新上限を設けることは労働条件の不利益変更に当たると考えておりまして、また、就業規則の変更により新たに更新上限を設けることの有効性につきましては、労働契約法第十条、これは就業規則による労働契約の内容の変更が認められるか否かを規定したものでございますけれども、これに基づきまして、最終的には司法で判断されると承知してございます。

大西(健)委員 今の御答弁だったら、やはり不利益変更に当たる可能性が私はあるんじゃないかと思います。特に、遡るというのは、やはり、かなり問題が多いんじゃないかなというふうに思います。

 例えばですけれども、二〇二三年三月三十一日で十年の上限を迎える人と、二〇二三年度末時点ではまだ九年という人を比べた場合に、四月一日以降、有期雇用十年のルールは撤廃すると理研は言っているわけですから、ですから、九年目の人は無期転換権が与えられる可能性があるけれども、十年を超えた人は無期転換権付与の対象にならない。たった一年の違いでこういう違いが出てしまうというのは非常に私は不合理、不公平だと思うんですけれども、大臣、このことについて御感想をいただけますか。

加藤国務大臣 まず、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えております。

 先ほどありましたように、雇い止めの有効性については、労働契約法第十九条の雇い止め法理に基づき、最終的には司法において判断されるものと考えておりますが、労働契約法に照らして問題がある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切な啓発指導等をこれまでも行っておりますし、引き続きそうした形で対応していきたいと考えております。

大西(健)委員 じゃ、ちょっと少し違うことを言いますけれども、さっき私が言ったように、二〇二三年の三月三十一日で十年を超える人と、まだ九年目の人で差ができちゃいますよねと言ったんですけれども、でも、九年目の人もまだ問題があるんです。というのは、理研では更に用意周到なことをやっていまして、有期雇用の契約書を毎回更新するときに、二〇二三年三月三十一日までしか更新しない旨のサインをさせているんですね。

 これはどういうことかというと、配付資料を御覧いただきたいんですけれども、これは理研の方からいただいたんですけれども、人事課が職員宛てに出している文書ですけれども、左側の方の四角囲みしてあるところの更に下線が引いてあるところです。この中で、十年を超える雇用契約は締結しない、つまり、有期雇用契約の更新のときに、全ての契約について、十年は超えない、こういう従事業務契約書にサインをさせているんです。

 これを根拠にして、こういう書類にサインしているから、だから、もう十年超えては駄目なんだというふうに、こういうことをやって雇い止めをするということは可能なのか、これも一般論で結構ですのでお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 更新上限に基づきまして行われました雇い止めの有効性につきましては、労働契約法第十九条、これは雇い止めの法理と言われているものでございますけれども、これに基づいて、最終的には司法において判断されることになりますが、その前提でお答えいたしますと、司法の判断におきましては、有期労働契約が更新されることについて労働者に合理的な期待が生じているかどうかが問題とされることがありまして、この点につきましては、不更新条項などを含みます契約書に署名、押印したことをもって直ちに合理的期待が放棄されたと認めるべきではなく、それが労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合に限り合理的期待の放棄がされたと認められ、雇い止めが有効と判断されるという裁判例もあると承知しておりまして、こういったことに基づきまして判断されるものと承知してございます。

大西(健)委員 やはり聞くと、契約更新時に、これは契約更新に必要な書類だからサインしておいてと言われて、形式的なものだからサインだけしておいてねと言われてサインしているようなケースがほとんどだというようなことも聞いています。あるいは、サインしなければ契約更新することが難しいという状況だと、本人の自由意思と言えないんじゃないか、こういう指摘もあるので、今一般論としてお答えいただきましたけれども、これをもって、いや、サインしたんだからといって、やはり私は雇い止めというのは行われるべきではないというふうに思っています。

 仮に、理研において、二〇二三年三月三十一日で契約終了となった研究者のうち、一部の研究者だけが四月一日以降も再契約になって、多くの研究者がリストラになるようなことがあったとすれば、これは無期転換申込権の発生を潜脱するような、これは脱法行為であって、私は看過できないと思います。先ほど、大臣も御答弁の中で、そういう無期転換申込権を潜脱するような行為は許すべきじゃないとおっしゃいましたけれども、そして、もしそんなことがまかり通れば、研究の道を志す優秀な若者というのは私はいなくなってしまうんじゃないかと危惧するんです。

 昨今、我が国の研究開発力の低下が危惧されていますけれども、その根底には、過度な成果主義と期限付の不安定な雇用の下で落ち着いて研究に取り組むことができない、こういう状況が私はあるんだと思うんです。研究者を使い捨てにするような、こういうことは絶対にやめるべきだと思います。

 状況を注視していただいて、仮に不当な雇い止め等が行われる場合には、労働基準監督署から適切な指導を行っていただくように、これは大臣に是非、私は、そういうことがもし起きたら、指示していただきたいと思いますけれども、大臣、その御決意をお願いいたします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、厚労省として、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切に啓発指導等を実施したいと考えております。

大西(健)委員 是非お願いいたします。

 次に、高校生の就職活動における一人一社制というものについてお聞きしたいんですけれども、一人一社制というのは、高校生の就職活動で、最初に応募できる企業を一社に限定する慣行であります。各地の労働局が事務局になって開いている高校就職問題検討会議で、都道府県や学校、企業関係者などの申合せで決められてきました。確実な内定を得やすくするということで、生徒にも教員にも負担が少ないというメリットがある一方で、どうしても職業のミスマッチが起こるというデメリットがあるんじゃないかと言われております。

 実際、高校生の半数以上は、一社だけ調べて、一社しか受けずに、一社の内定をもらっているという状況で、そして、二十五歳から二十九歳時点で高校卒業直後に就職した会社に継続勤務している者は四割しかいないんですね。これはいろいろな理由があると思いますけれども、やはり、入ってみたら思っていたのと違った、こういうミスマッチは私は大きいと思うんです。

 元は、高校生は大学生に比べて社会経験が乏しいからという理由で行われてきた慣行だというふうに思いますけれども、現在では成人年齢も引き下げられました。そういう意味で、私は合理性を失っていると思います。

 このことは厚労省や文科省も認めていて、この一人一社制というのは見直しをしてくださいというふうに見直しを求めているんですが、実際にはこの見直しがほとんど進んでいないというふうに聞いています。現在、四十七都道府県で見直しの状況がどうなっているのか。それから、これは今私が申し上げたようなことで、やはり高校生の子たちがいろいろなところを受けて、そしてその中から、選択肢が一社に限らないということが、ミスマッチを防ぐという意味で見直しをするべきだと思うんですけれども、大臣の決意と、それから今の見直しの状況をお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、一人一社制でありますけれども、新規高等学校卒業者の就職慣行でありまして、毎年度、都道府県ごとの実情に応じて、地方自治体、経済団体及び学校関係者等の関係者で申合せを行って、これを遵守するとして運用されているところであります。

 一人一社制については、短期間でのマッチングが可能であり、生徒にとっては、就職活動の長期化や複数社への応募による心理的、経済的負担等を軽減することができるという仕組みである、こうした判断もありますが、一方で、当事者である生徒の主体性を過度に制限しているのではないか等々の意見もあるところであります。

 厚労省では、文科省と連携して、各都道府県教育委員会等に対しては、選考期日当初から複数応募できる選択肢や、複数応募を可能とするまでの期間を短くすることが望ましい旨を通知し、各地域レベルの積極的な議論も促しているところであります。

 現状でありますけれども、令和三年度には和歌山県が、令和四年度には大阪府が一人一社制を見直し、当初より複数応募が可能となったと承知をしておりまして、現在、複数応募が可能であるのは四府県であります。

 今後も、生徒の主体性を尊重しつつ、しっかりと学業に専念できる環境を整えることを念頭に、各都道府県においては、先ほど申し上げた積極的な議論をしっかりと行っていただきたいというふうに思います。

大西(健)委員 四十七都道府県でたったの四県ということですから、やはり、しっかり厚労省も文科省と協力をしてリーダーシップを発揮していただいて、是非見直しを進めていただきたいなというふうに思っております。

 本当はもう一問ありましたけれども時間が来ましたので終わりたいと思いますけれども、小川委員もたくさん質問を用意していたにもかかわらず、先ほど、まさに統一教会のことで時間を割かざるを得なかったということは非常に残念な気がいたします。

 大臣、もう三度目の大臣ということなので、答弁書なんか読まなくても自分の言葉でどんどん答えられるということでありますので、是非この委員会では政治家同士の活発な議論をこれからもしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、加藤大臣が復帰されて初めての質問ということになります。以前、加藤先生が大臣だったときの問題が継続していたり、より深刻になっているものもありまして、厚生労働行政、様々な問題が山積をしております。この場でしっかりとディスカッションしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先日、政府が出産育児一時金増額の方針を示されました。昨日、具体的に五万円の増額との与党方針が示されました。加藤大臣が以前厚生労働大臣だった二〇一八年の三月、覚えてみえますかね。厚生労働委員会で私との質疑の中で、必要な状況があればその見直しをしていくと、増額について言及、いわばお約束をしていただいたわけですが、それから四年半、大臣、かかりました。ただ、東京都の平均出産費用は六十万を超えています。今回の五万円の引上げでも全く十分とは言えません。御答弁は結構でございますが、出産育児一時金ですので、この名に恥じない内容の一時金にしていただけるよう、冒頭お願いを申し上げます。

 まず最初に、ワクチン開発に取り組んだアンジェス社についてお聞きします。

 今年の九月九日、アンジェス社がいわゆる大阪ワクチンの開発中止を表明しました。このワクチンを応援し、二年前に大阪ワクチン年内実用化などとと持ち上げた吉村大阪府知事が、開発中止を発表されるや否や、チャレンジしないと成功もないと発言したと報道されています。また、アンジェス社は、御期待に応えることができず申し訳ありませんとコメントしています。しかし、事は、開発中止で申し訳ないとか、チャレンジしないと成功もないとか、そんなもので済む問題じゃないと思いますよ。

 まず、この問題について議論する前に、今回の開発中止発表の直前に、アンジェス社は改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関する米国のスタンフォード大学との共同研究契約の締結を発表していますが、こちらについて厚生労働大臣としてどのような期待をされるのか、御感想を一言いただければと思います。

加藤国務大臣 アンジェス社が御指摘のスタンフォード大学との共同研究を計画しているという報道は承知をしております。

 その上で、個々についてちょっとコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、日本の企業あるいは大学等が国内、海外とも組みながら様々な対応をしていただく、特に今求められているワクチンあるいは治療薬、こういったことに積極的に取り組んでいただくことは大変歓迎すべきことと考えています。

吉田(統)委員 それで結構です、大臣。

 アンジェス社のワクチン開発について、DNAプラスミドワクチンは歴史上ワクチン開発に用いられていなかったものであります。私は早くからDNAプラスミドワクチンは抗体産生能が低いということを指摘しまして、開発者本人も、自らもそれを認めていると指摘し、ワクチン開発の支援について疑問を呈してきました。

 もちろん、サイエンスは必ずしも全て結果を出せるものではないことはよく承知をしております。しかしながら、アンジェスは事前の段階で極めて懐疑的なことは、国内外の専門家からも様々、そしてしばしば指摘をされておりましたし、私もこの国会の場で指摘してまいりました。

 ちなみに、大臣、二〇二一年八月二十日、インドの医薬品規制当局は、十二歳以上の人に対するDNAプラスミドワクチンの使用を実は承認しています。ザイコブDと呼ばれるこのワクチンは、注射針を使わずに特殊な器具で皮膚に接種されます。臨床試験ではCOVID―19に対して六七%の発症予防効果がありますが、この効果を出すまでに最低三回打たなきゃいけない。最低三回打ってやっと六七%。このワクチン、果たして日本で使用できますかね。三回打ってやっと六七。ねえ、委員長。委員長は専門家ですから。こんなの、使えるわけがないんですよ、本当に。

 あえて今、再度お伺いします。

 審査期間もそれなりにあったにもかかわらず、厚生労働省及びAMEDはなぜアンジェスのワクチン開発を採択したのですか。端的にお答えください。これは大臣に。

加藤国務大臣 非常にプロセスの話なので、事務局からお話をした方がいいかなと思いましたが、あえてということでありますから、済みません、これを読むしかないので、読ませていただきます。

 アンジェス社のDNAワクチンについては、AMEDによる支援を決定したのは令和二年五月であり、翌月の六月に国産ワクチンとして最も早く臨床試験に入ったものと認識をしております。なお、厚生労働省がワクチン生産体制整備に関する支援事業の採択を決定したのが同年八月となっています。

 AMED及び厚生労働省においては、各支援に対する公募による申請に基づき、外部の専門家により構成される評価委員会の審査を経た上で支援を決定をしているところでございます。

吉田(統)委員 では、政府参考人からも追加であればどうぞ。

佐原政府参考人 今、大臣から御答弁いただいたとおりでありますけれども、この外部の専門家により構成されます評価委員会の審査につきましては、AMED、それから厚生労働省の生産体制補助金というのがございますが、いずれにつきましても、外部の委員による厳正な評価をして決めたところでございます。

吉田(統)委員 厳正な評価といいますけれども、この当時、私も、国内外の、私自身も学者でしたからネットワークがありますので聞きましたけれども、頭おかしくなったんじゃないのというような評価でしたよ、申し訳ないけれども。何でこれに莫大なお金、かつ採択したのかと。かなり高名な学者からも、メールで海外から私に、大丈夫か、日本という感じのあれがあったということは言っておきますね。

 これは、もう多分皆さんは本当は分かっていると思いますよ。まともな志がある医系技官の皆さんや役人の皆さんは、これがいかにインチキで、おかしな採択をしたのか。これは多分、もう良心の呵責にさいなまれていると思います。

 それは一言言っておきます。もう何度聞いてもその答えしかないと思うので、情けないとは思います。

 新型コロナ感染症に効果の見込めないワクチンが承認されないのは当然です。先ほどから述べている理由によって、ワクチン開発中止が発表されたのはむしろ遅過ぎたと考えます。

 ところで、アンジェスのワクチン開発は中止に終わりましたが、この九十四億円、補助金が出ていますが、これをお伺いしますが、厚生労働省は、この九十四億円が、実際にワクチン開発に当たり、どのくらい使われて、どのくらい残っているのかを御存じですか。大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 補助事業を活用するアンジェス社に対するこの補助金については、今後、それぞれの事業について事後評価を行い、補助金の使途について確認し、事後評価が完了した際に公表されるものというふうに承知をしております。それを踏まえて対応していくということになると思います。

吉田(統)委員 大臣、いつまでにそれは出されるんでしょうか。これは余り遅々としてやっていると今後の反省に生かされませんので、いつ頃までに御発表いただけるのですか。

佐原政府参考人 まず、AMEDの一次公募につきましては、本年度内に評価を終了する予定になっております。また、AMEDが二次公募を行っておりますが、これにつきましては、フェーズ1の方の健康フォローアップが本年度末までありますので、それが終わってから評価ということになります。

 それから、生産体制の緊急整備事業につきましては、今年度内に評価を実施する予定にしております。

吉田(統)委員 大臣、では、ちょっとほかのことをお伺いしていきます。

 アンジェス社は、以前から、二十期連続赤字でありながら役員報酬が高いというのが有名な話であって、また投資家の中でも話題になっています。

 レクの際に、大臣にアンジェス社の役員報酬を確認しておいてほしいと私からお願いをいたしましたが、確認されましたか。また、役員報酬は適正だと考えますか。感想でも結構ですので、お答えください。

加藤国務大臣 二〇二二年のアンジェス社の有価証券報告書によると、取締役は三名おられるようでありますが、その三名に対して五千九百四十七万六千円が支払われているということであります。

 それの水準はどうかというのは、これはまさに個別企業が経営で決める話なので、私どもがこれに対してとやかく言う立場ではないということは御理解いただきたいと思います。

吉田(統)委員 次の問いは、もうお答えいただいたので結構です。ありがとうございます。

 高いと思いますね、これは。本当に、これは普通の会社でなかなか許されない水準だと思います。

 次の話題。念のために聞くんですが、今回のワクチン開発のための助成金の使途については、さっき大臣が、厳正な検証をしてくださると信じますし、それが必要だと考えますが、現段階で、よもやアンジェス社の運転資金や役員報酬に使われたとか、そういったことはないですね。

加藤国務大臣 まず、補助金の仕組みとして、補助対象経費には、役員を含めて、人件費は含まれておりませんから、そうしたものに使われてはいないと思いますが、ただ、いずれにしても、これから出てきますから、よくその辺は検証しなければいけないと思います。

吉田(統)委員 目的外で使われるということがないように、是非検証をしっかりとして。できるだけ早くなさったら。結構時間がたっていますし、そもそもこう結果がなることは分かっていたことですから、是非お願いします。

 では、視点を変えて、本当に適正だったかの傍証になることを聞いていきますが、アンジェス社に果たしてワクチンを開発する開発体制や能力が整っていたかということも御存じだったか、若しくはちゃんと評価していたかを聞きたいと思います。

 これは本来、アンジェス社にお聞きするべきものですが、本日は特に人材の面について、厚生労働省が現在、そして助成を決めた時点で、そういった開発能力とか、ちゃんと持っているという判断をされていたのかということを聞きたいわけです。

 ワクチン開発のためには、当然、細菌学、ウイルス学、分子生物学、生化学、ジェネティクス、ゲノム編集、こういった様々な知識や技術を持つ人が必要です。そういった人が採択時、そして現在、常勤、非常勤でそれぞれ何人いるのか、これは、もしあれだったら役所からで結構ですが、お答えください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 AMEDによります研究開発支援事業では、公募要項に記載されておりますとおり、研究者が応募する際に、研究開発の実施体制が適切に組織されているのか、また、その各組織の中で十分な連携が取れているのかということを説明する資料を出していただきまして、実施体制の評価を行うという形になっております。

 アンジェス社につきましても、申請時にAMEDにこのような資料が出されまして、ここに関係する専門人材の人数が把握できる状況というふうになっていたというふうに承知しております。

 ただ、具体的な人数につきましては、企業の情報となるため、お答えすることは差し控えたいと思います。

吉田(統)委員 それはおかしいでしょう。国の税金をかけてやっていることなんだから、そんなの。

 じゃ、局長は、それは絶対にワクチンを開発する能力があったと断言できますか、今ここで。その人員体制、AMEDと厚生労働省が評価したそのことに関して、絶対に開発能力があったと断言できるわけですか。どうぞ。

佐原政府参考人 ワクチンの開発ですので、絶対に開発できるかどうかは別として、開発できる能力があるかどうかにつきましては、外部の専門家の方々の厳正な評価の結果、そういう結論になったというふうに理解しております。

吉田(統)委員 今はっきりお答えになりましたね。じゃ、また今度、新たな議論を、今日はやめますが、しっかりさせていただきたいと思います。

 では、大臣、日本版CDCについてお伺いします。

 九月二日、岸田総理は、内閣感染症危機管理統括庁を設置して、感染症対応に係る総合調整を一元的に所管し、各府省の実務を強力に統括しますと発表されました。そして、国立感染研と国際医療研究センターを統合して、いわゆる日本版CDCを創設することも正式に表明されています。

 日本版CDCは二〇二五年度以降の創設を目指す方針と伝えられています。しかし、その後、何も発信がされていないようですので、まず日本版CDCの現在の検討状況を、大臣、教えていただけますか。

加藤国務大臣 感染症等に関する新たな専門家組織、これをいわゆる日本版CDCと称しているわけでありますが、九月二日の政府対策本部決定で、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して、次の感染症危機の司令塔機能として設置される内閣感染症危機管理統括庁等に対して質の高い科学的知見を提供する、科学的知見の基盤、拠点として感染症の情報収集、分析を始め治療薬開発に向けて基礎から臨床までの一体的な研究等を行う、国際的な人材育成、臨床試験ネットワークの形成を行うなどとしているところであります。

 今、それを踏まえて、具体的に法人形態を含めて、今鋭意作業を進めているところであります。

吉田(統)委員 国立感染研とこの国立国際医療研究センターの統合は非常にリーズナブルな判断だとは思います。また、基礎研究、公衆衛生、予防、臨床まで扱うことになるのもよいと思います。

 ただ、そもそも、大臣、御存じだと思いますけれども、国際医療センターは、そもそも臨床研究センターというのがくっついていまして、治験や臨床試験をする組織が元々くっついているとともに、そこで基礎研究も実は一定程度されているんですね。ですから、有機的な統合をするということに関しては、相当事前に準備しておかないと、形だけくっつけて、何かただ単に横並びにしたなんということになってしまう可能性もあるので、そこは御注意ください。

 伺いたいのは、日本版CDCはいわゆるナショナルセンターに戻すのか。新しい法人に臨床をくっつけて、臨床から幅広い対応ができるようにするということは大変意義深いということは繰り返させていただきます。しかし、法人形態が決まっていないと、給与体系、働き方改革もあるので、多大な影響を与えるので、早急に決めなければいけないと思います。現場の人に混乱と迷惑がかかりますので、要注意です。

 そこで、この創設される日本版CDCについての法人形態は、そこで働く方々の雇用形態はどうなるのか。国立にするのか、独法にするのか、それ以外なのかということを早く決めなきゃいけないんですが、どうするんでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど、法人形態についてまさに今議論をしている、検討しているということを申し上げましたが、この議論に当たっては、危機管理体制確保のために公権力の行使に係る業務を行うという側面があること、また、研究開発の促進等のために組織運営を柔軟に行えるようにしていくことも必要であること、これらを踏まえて、現在の医療機関の機能、これを、さっきおっしゃったように、融合して、強化していける、そうした形で、運営していくためにどういう形態がいいのか、これを詳細、検討して、次期通常国会への法案提出をしていきたいと考えておりますので、それまでには答えを出していきたいと思っております。

吉田(統)委員 では、次期通常国会というお約束をいただきましたので、是非お願いします。

 やはり、それぞれ、大臣、成り立ちの経緯もあるわけです。臨床研究センターは旧陸軍病院ですよね、元々。長い長い歴史があるので相応の配慮が必要であります。あと、アカデミアとの連携も、実はこれは大事になります。その話をしっかりもうしているのかということもちょっと確認したいんです。

 例えば、特に国際医療センターは東大の医局からの医師派遣が多いですよね。その辺りを丁寧にちゃんと話されているか。実は、勤務医は本当に大臣、なかなか給与も安くて、若い医者、本当に疲弊して一生懸命やっている中で、アルバイトの規定とかも実は変わっちゃったりするおそれもあるんです。働き方改革も大いに影響しますし、これは大幅な減収なんてことになるといけないんですが、その辺、もう東大含めたアカデミアとは、大臣、しっかりとお話を進められていますか。これからしますか。

加藤国務大臣 今においても、医療機関、いろいろ連携は既にしているわけでありますが、統合されることによって、より一層、同じ組織になりますから、その垣根、先ほどおっしゃったように、くっつけるだけじゃなくて、垣根も取っ払った融合を果たしていく。また、そうしたことによって大学との連携もより組織として対応しやすくなっていくことを目指していかなきゃならないと思います。

 それから、給与と働き方改革でありますが、今、国立国際医療研究センターの病院では、救急科の宿日直勤務帯を交代制勤務にするなど、医師の働き方の見直しを実施しておりますので、そういった見直しは統合後においても引き続き実施をしていかなきゃいけないと思っております。

吉田(統)委員 本当に、後で問おうと思いますが、大臣がおっしゃっていただいたように、働き方改革をすると、医師の確保も、中核病院、アカデミア、全部やらなきゃいけなくなって、人件費も上がりますし、そういったことで相当彼ら、もう今から混乱をし始めているところですので、更にこういった合併とかそういうのがありますと大変ですから、是非。

 私が、もう一回確認で聞きたいんですが、ちょっと大臣が御答弁されなかったので、医師の派遣をしているアカデミアとの話合いに関しては、そこはもう始めているという理解でいいですか、そこだけ、どうぞ審議官。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 次期通常国会の法案提出に向けて、御指摘のような大学医局との連携につきましては、今後、東京大学を始めとする医局派遣をしていただいている大学の関係者の方々に対しまして丁寧に御説明をさせていただいた上で議論をしてまいりたいと考えているところでございます。現在のところはまだしていないところでございます。

吉田(統)委員 じゃ、審議官は、法案提出と同時ぐらいにはちゃんとなさっていただいて、本当に、ちょっとこれは早めにしてください。せっかくやるんだったらやはりちゃんとしたいいものにしなきゃいけないし、働く皆さんも政府の駒じゃないので、医師も研究者もね。やはり彼らがモチベーションを高くやれる環境をつくってあげなきゃいけませんから、そこは、もう答弁は要りませんけれども、是非やってくださいね。

 時間がないので次に行きます。

 次は、行政の無駄についてちょっと大臣と議論をしていきたいと思います。

 本当に、最初に苦言を申し上げることになりますが、今回、私が、医療現場にもいて、厚生労働行政の無駄とも言える局面、あまた目にしました。厚生労働省だけでなく、政府全体で行政の無駄の取組をしている省庁はないのかなと思って、内閣府や総務省にも声をかけたんですが、行政の無駄は個々の官庁が管理する、対応している、政府全体を通じた取組についてお答えいただける省庁はないというお返事だったので、是非、加藤大臣、リーダーシップを取ってこういったところもやっていただきたいと期待をしながら質問をしていきます。

 行政の無駄は会計検査院が指摘し、それぞれ是正している部分もあると思いますが、やはり政府全体として取組をする必要があると思います。

 厚生労働省の行政の無駄についてお伺いします。

 この十月から、後期高齢者の窓口負担が一割から二割に倍増したわけです。私は、昨年の健康保険法改正案の審議の際にも、医療費削減の方法はほかにもあるということ、この施策によって受診控えが生じて、国民の生命、健康を損なうおそれがあるということを指摘してまいりました。

 今回、いよいよその改正部分が施行されたわけですが、窓口負担に、大臣、変更がある人だけにとどまらず、変更しない人にも繰り返し繰り返し何度も通知が来ています。さらに、新しい保険証の送付などもあって、税金、これはどれだけ無駄遣いしているんだという声を実は町で聞くわけです。

 そこでまずお伺いしますが、なぜ何度もお知らせが届くようなことになっているのか、今回の窓口負担の変更に伴う事務経費が一体どれくらいかかったのかを教えてください。

加藤国務大臣 まず、後期高齢者医療の窓口負担割合、これは、毎年度、市町村民税の課税所得を基に判定をしているところであります。

 後期高齢者医療広域連合は、課税所得確定後、各被保険者の負担割合の判定を行った上で、七月頃に八月以降の負担割合を記載した保険証を被保険者に交付する必要があります。

 このため、本年は例年どおり七月に保険証を交付したわけでありますが、その上で、十月一日から、一定以上所得のある後期高齢者の窓口負担を見直したことに合わせ、施行がそこになっているわけでありますから、十月以降の負担割合を記載し、保険証を再度交付したわけであります。

 委員おっしゃるように、もっとうまいやり方があったのではないかと、私もいろいろ中で議論をしましたが、やはり、各被保険者の負担割合の判定を二度行う必要があったことから、保険証を二回交付したものということでありますので、そこは是非御理解をいただきたいと思います。もし、全員に一年間有効な保険証を交付したとすると、今度、二割負担になった人は有効なやつを二枚持つことになって、それはまた混乱を起こすということで、やはりそういったものを丁寧にやっていくということから、こうした対策を取らせていただいたところであります。

 経費はちょっと事務的に。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 保険証の交付に要する費用でございますけれども、これは四十七県の広域連合で行っていますが、今回の交付にかかる費用を把握しておりませんのでお答えすることは難しいんですけれども、通常の保険証の発行にかかる経費については、大体、概数として申し上げると、一回で約九十億円と考えております。

吉田(統)委員 書留を使ったりして送っているから、ただ、それを二回やったり、あと事務通知を相当しているんですよ、今回ね。だから、そういったものが私はかなり無駄だと思いますよ。そういったものをやはりちょっとお考えになって行政を運営していただかないと。これは、大臣というより厚生労働省の問題だと私は指摘させていただきたいと思います。大臣もさっき、無駄じゃないかということをお考えいただいたそうですので、厚生労働省は通知とか確かに多い省庁ですので、慣れちゃって麻痺しちゃっているかもしれませんけれども、もう少しそこは、やはり国民の税金を使っていますから、郵便一枚出すのもそれなりの御負担、皆さん自腹を切っていないからそういう感覚がなくなっちゃうのかもしれないけれども、一般庶民はやはり見ていますから。

 大臣、ちょっとリーダーシップを取って、そこは、もうちょっとスリム化できるところはスリム化していただいて、通知の発出の仕方もお考えください。これはお願いでございます。

 同様に、産科医療補償制度の事務経費についてもお聞きします。

 四年前もやりましたね。もうずっと、これは十何年、私もやらせていただいているんですけれども、二〇一八年の厚生労働委員会で、産科医療補償制度の事務経費について様々お伺いをしています。根底には、やはり、事務経費が無駄に使われて、支払われているのではないかということであります。

 これは、本当に集める保険料の一五%ぐらいは使っていましたよね、前は。これは本当に、役所だからこういうふうになっちゃうのかなと思うんですけれども、一般の会社で、保険料を集めた収益と判断すると、その一五%を事務経費とかに使っちゃって成り立つのかなと私は純粋に思ってしまってずっと言っているんですが、ちょっと減ったようですが、大臣、産科医療補償制度の事務経費、その推移と保険料の額の推移を簡潔に御説明いただけますか。

加藤国務大臣 産科医療補償制度の収入保険料と事務経費でありますが、制度創設時の二〇〇九年には、収入保険料が三百十五億二千五百万、事務経費が四十九億一千五百万円、収入保険料に対する事務経費の割合は一五・六%でありましたが、直近の二〇二一年は、収入保険料が二百二億一千三百万円、事務経費が二十一億八千二百万円、収入保険料に対する事務経費の割合は一〇・八%となっており、ここ数年を見ると、今申し上げた収入保険料に対する事務経費の割合は、おおむね一一%前後で推移しているものと承知しております。

吉田(統)委員 大臣、承認される、認められる対象も増えているわけですよね。その中で事務経費がこうやって減ったのは、恐らく努力をされた部分があるんじゃないかと思うんですけれども、であれば、元々やれたんじゃないかなと思うんですよね。初期なんて、だって、認定される子供がすごくこの制度は少なかったのを、大臣、御存じだと思います。

 ですので、もっとやっていただかなきゃいけないと思いつつ、やはり一〇%でもかなり高い印象を、委員長、受けませんかね。高いですよね。

 ただ、繰り返しになりますが、今はもう、認定される子供の数も、まあ、当初想定される数までは達していないと思いますが、増えてきているので、そういった中で、事務経費が減ってきた。ただ、日本機能評価機構ですよね、たしかプールされるのが。ここも、ちょっと言いづらいですけれども、厚生労働省のOBがかなり入っている組織のように私は感じておりますので、そこも少ししっかりと、自ら李下に冠を正さずで頑張っていただきたいなと一言だけ付言いたします。

 繰り返しになりますが、厚生労働行政、かなり通知や、局長通知や様々なものを出さなければいけないので、よく分かる部分はあるんですけれども、少しやはり、そういった部分をスリム化しないと、社会保障、本当に大事な問題で、文書を出さなきゃいけないのは分かるんですけれども、もう少しスリム化していただきたいなと思います。

 それでは、時間がなくなりますので、次のテーマに行きます。

 オンライン資格確認の義務化についてお伺いします。

 これ、テーマとしては、もう皆さん、取り扱いになられているんですが、ちょっと私は、経費として若しくは医療機関の負担という視点でお話しさせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、来年の四月からオンライン資格確認の導入が原則義務化、二年後の二〇二四年秋には保険証が原則廃止の方針だと、現場は混乱し、非常に評判が悪いと私も感じています。

 特に、経済的な負担は多額です。四十三万弱の補助金はスズメの涙で、私が関係する医療機関、いろいろ聞いていますが、対応を検討しているところなんですが、場合によっては、この四十三万円の十倍かかるそうです。

 実際のところ、今年の五月でこのシステムの整備状況は、病院で三五・七、薬局で三三・二、医科診療所で一三・六、歯科は一三・一%にすぎません。ある統計によると、八月にマイナンバーカードで受診したのは二十九・三万人にすぎず、オンライン資格確認の六千四百万件の〇・四%にしかすぎない状況だと私が見たデータではありました。

 やはり、こういった状況で、来年、導入義務化を原則とすることは拙速ではないかと思うんですが、大臣、御所見を簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 医療機関、薬局等でオンライン資格確認、この仕組みを入れていただくに当たって、御承知のように、顔認証つきカードリーダーを無償提供し、また、システム改修費用については補助金を交付し、さらに、来年四月から原則義務化されることを踏まえて、診療所、中小薬局の場合は四分の三補助から上限内での実費補助に改めるなど、補助金の拡充を行ったところでありますし、また、補助金額については、オンライン資格確認の導入に係る費用について複数のシステム事業者に事前調査を行って設定したところであります。

 ただ、今おっしゃる医療関係者の中にも、純粋に、そこだけの方か、この機会に少しシステム更改をする、場合によっては、元々ネットワークにつながっていないので改めてネットワークをつなげていく、そういった方も確かにいらっしゃると思います。その場合には、今申し上げた想定を超えるということはあり得るものと承知はしているところであります。

 ただ、ネットワーク、本来、支払いの関係で今ほとんどの薬局は使っているわけですよね。ですから、そういった面も含めて御判断をいただきたいと思いますが、ただ、業者によっては高いというところもあるようでありますので、事業者に対して、見積りについてしっかり説明をするなど丁寧な対応を行っていただきたいということを要請をしていきたいと考えています。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。要請してくださるんですね。

 大臣、多分、じゃ、我々はですね、医療機関は、大臣が、これはちゃんと事前にシステムの専門家が判断して四十三万円で足りるという評価をしているから、それでやってくれと言っちゃって逆にいいわけですよね。今の大臣の御答弁を聞いていると。ないしは、大臣がちゃんと、厚生労働省として、システム会社に対して、もう事前にそういうちゃんと調査をしたんだから四十三万円で原則対応するようにという御指示を出していただけるんだったら、それほど心強いものはないですよ。

 あれは、かなり今、本当足下を見て法外な見積りをみんな出してきます。そんな、大臣、四十何万で済むような見積り、見たことないですよ。私もかなりの数を見ました、調査しましたけれども、おおむね数百万です。さっきおっしゃったように、インターネットの環境の構築とか、いや、大臣、インターネットの環境の構築に百万はかからないですよ、大臣。じゃ、何で、四百万とか、普通にそういう見積りが来ます、どこにも。そんな四十何万で収まる見積り、私は残念ながら見たことがないんです。

 だから、事前のシステム会社の皆さんが甘い見積りをして政府に対して説明をしていたのか、あるいは、業者たちが不当に足下を見て、この機会に不当な利益を得ようとしているのか、どっちかだと思いますよ。

 大臣、そこをちょっと、役所からでもいいので、ちょっとそこを整理して、本当にそれは通知なり出していただいて、原則その金額で、大臣がさっきおっしゃった付加的なものは別として、ここまでの仕事は最低限必要だから、それは四十三万でやりなさいという通知を業者に出していただきたいですよね。どうですか。じゃ、局長。

伊原政府参考人 今御質問いただきましたように、実際、システム改修をやっている事業者さんとの間で我々、協議の場を持っていまして、まさに、できるだけ早くシステム改修してほしいということとか、あるいは、現場で、高過ぎるんじゃないかとか、そういう苦情等も医療関係団体からも聞いておりますので、その辺の改善策についてもいろいろお話しする場を持っておりますので、必要な対応はやっていきたい、このように思っております。

 ただ、今回、補助金額を夏に改善したんですけれども、そのときに当たっては、やはりちゃんと現場のコストなんかも我々聴取しまして、それなりの判断根拠でこのような基準を決めておりますので、しっかりと、そういう意味で、そういうこともよく伝えていきたい、このように思います。

吉田(統)委員 局長、そうすると、私ども、厚生労働省が何もしていないと言っているわけじゃないんです。だから、そういうふうにちゃんとやっていただいているんだったら、それを根拠に、日本全国、一定程度、限られていますので、ベンダーも含めて、ちゃんとこの金額でここまではやってくださいよということを通知として出してください。

 そうすれば、その付加的な、さっき大臣が言われた付加的な部分はしようがないですよ、それは。それはリーズナブルなちゃんと対応を考えればいいわけですから。決められてやらなければいけないことがかくかくしかじかであって、これはどの業者も四十三万円でちゃんとやってくださいねと。だって、事前にそういうふうに議論の場があって、そういうふうに決まったことだから、多少のオーバーはいいかと思いますけれども、そこをやっていただかないと、本当に見ていると、業者さんたちもここはもうけどきだと思って、物すごく法外な見積りが物すごく出てきていますよ。私が見て、二百万以下だった見積り、ないです、ない。

 点数、加算していただきます予定ですよね、保険点数。あれで計算すると、ある医療機関の人は、これは二十年かかりますよと、元を取るの。しかも、ふだんのシステム管理費だって上がってくるというところが多いんです。これもまた新たな負担になるので、これを機に、どこも本当に医療機関はかなり厳しい思いをする。コロナで本当に弱っている医療機関は多いんですよ。やはり、どこも患者さん、元の数に戻っていないですものね。

 ですから、そこを伊原局長、やると約束していただきたいんですけれども、是非ちょっと、力強いお約束をここでしていただけませんか。

伊原政府参考人 今先生から御意見いただきましたので、いろいろ考えさせていただきたいと思います。

 ただ他方、民民の契約ですので、我々ができる範囲というのもあると思いますけれども。

 他方、やはり、マイナンバーカードを保険証化していく、一体化していく話と、それからもう一つ、オンライン資格確認を医療現場で広げていくこと、この二つは非常に大事なテーマですので、我々としてやれることは、やれる限りのことをしたい、このように思います。

吉田(統)委員 伊原局長と、そして加藤大臣、羽生田先生にも期待をして、是非、これはちょっと本当に厳しい問題になってきていますので、閉院を考えているというところがかなりデータでも出てきています。年齢が微妙なお年頃の先生方は、本当にもうこれを機にやめようかなと。もうさっきの免除のところは、大臣、いいんですけれども、ここは大臣、よくちょっと現状を見ていただいて、まだ時間、ちょっとありますので、御対応いただきたいとお願いして、次のテーマに移ります。

 医師の働き方改革がいよいよ二〇二四年四月から順次開始されていきます。しかし、この働き方改革によって、地域医療は大きな影響を受けることはもう懸念されております。

 今年の三月なんですけれども、医師の働き方改革の及ぼす影響はもとより、現状を知らない総務省は、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインというのを取りまとめましたが、これは実現不可能な絵に描いた餅なんですよね。総務省に聞いたら、全てこれは厚労省の文書を参考にしたといって責任転嫁していたので、私、厚労省にもちゃんと聞きましたよ、これ。そんな、こうやって言っていますがといって、これは本当に正直な話です。

 このガイドラインによると、医療資源が比較的充実した都道府県立病院等が、中小規模の公立病院等との連携、支援を強化していくとされていますが、大臣、医師の働き方改革で、そもそもこの中核病院そのものが医師不足になります。地方の病院に医師を派遣することは恐らく不可能になってきます。そして、中核病院に医師を派遣していたアカデミアの大学、病院も医師不足になって、中核病院に医師を派遣することができなくなるおそれがあります。なので、こんなのんきなことを言っている場合じゃなくて、結果として過疎地域から医師がいなくなって、また医療崩壊が起こってくる可能性が懸念されます。

 だって、単純な話ですよね。厚生労働省の決めた医師の働き方改革を進める、かなり柔軟にやっていただいたのは分かっています。ただ、医師数は絶対足りなくなるんですよ。これは単純な算数の計算ですよ、計算問題です。医師を雇用しようとする病院が増えれば、医師の給与というか、バイト料みたいなものもまた上がりますし、中核病院の人件費は高騰します。中核病院の構造はなかなか利益を取りづらい構造にそもそもなっている中で、人件費の高騰に対しては、大臣、何か対応を、予算措置、診療報酬の加点とか、検討されていますか。

加藤国務大臣 まず、医師の働き方改革、まさにそれを進める中で、特に、中核病院とか大学病院から派遣を受けているそうした病院が引き続き派遣を受けられるのかどうか、こういった懸念があることは私も十分認識をしているところでありますし、そういうことがないように、相当丁寧に派遣されている病院等も、この間議論を進めさせていただき、単に時間数云々だけじゃなくて、どういう例えばタスクシフトやシェアができるかとか、そういったことも含めて負担の軽減を進める中で、トータルとして今の医療体制に対して大きな影響を与えない中で、働き方を進めていく。こうした取組をする支援をするためには、もう委員御承知のように、地域医療介護総合確保基金による支援等々も実施をしているところであります。

 引き続き働き方改革は、これはしっかり進める必要があるというのは、多分委員も一緒だと思いますが、それによって医療制度が瓦解してしまったのでは何のためにやっているか分かりませんので、そこをしっかり両立できるよう、関係者の意見も聞きながらしっかり対応したいと思っています。

吉田(統)委員 大臣、タスクシフト、タスクシェアは、本当に御努力、各、ずっと歴代最近の政府、頑張っていただいて、やれるところまで来たというのを、委員長、よく見ていらっしゃるから、結構やれるところまでやっていまして、ちょっともうそこで何とかというのは、大臣、無理です。

 パイが決まっているので、パイは決まっているんです、医師を育てるのに一応やはり大学六年、十年あとかかりますね、一人前にするには。これを、今の御答弁では、大丈夫というエビデンスにはならないので、役所からでも結構ですので、ちょっとどういうふうに考えていらっしゃるのかいただきたいのと、あと、経営です、大臣。さっき私が申し上げた、経営が人件費の高騰で相当厳しくなる。丁寧にやっていただくのはありがたいんですが、丁寧にやったからといってパイが増えるわけではないので、そこはどうするのか。あと、ちょっと、予算措置なり加点なりするということを言わないと、若しくは考えないと、とても無理だと思いますよ。役所からでもどうぞ。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねありましたように、各中核病院などにおいてかなりいろいろな影響を受けるんではないかということでございます。

 私ども、詳細な全ての状況について把握しているわけでは正直ございませんけれども、平成三十年に厚労省の委託事業で実施いたしました調査研究報告によりますと、医師の働き方改革を含む勤務環境の改善に取り組まれた医療機関につきまして、残業時間の減少によって時間外手当の減少とか、あるいは女性医師の継続的な勤務、あるいはタスクシフトの推進などの要因による収益の増加など、事業運営に好影響を与えている事例も見受けられるといったところがございました。

 医療機関の経営につきましては、なかなか主として単純に割り切れるものではなくて、やはり診療報酬改定とか患者の受療行動などのいろいろな外部的な要素に左右される面もございます。医師の働き方改革が経営に必ずしも悪影響を及ぼすのではないというふうに考えておりまして、医師の健康をよく守りながら、また良質な医療を確保していくというために働き方改革を見直すことが重要であると考えているところでございます。

吉田(統)委員 それは、やはりちゃんともう一回、中核病院の院長とかに話を聞いた方がいいですよ。多分、話を真面目に聞いていないですね。若しくは、聞きたくない情報に耳を貸していないか、どちらかだと思いますよ。医師の働き方改革をやって経営が苦しくなくなるとか、医師が足りなくならないとか、経営が上向くとか、そんなことを思っている医療機関の院長がいたら、是非、ちょっと連れてきてお話を聞かせてください。どういうトリックがあるのか、みんなに聞かせた方がいいです。

 局長、そんないいかげんな御答弁をしていちゃ駄目ですよ。ちゃんと聞いてください、現場の声をもう一回。真面目に対応しないと、もう時間ないので、大変なことになります。

 じゃ、大臣、最後に、ちょっと何問か飛ばして、医師不足に関して、最後にちょっと伺いたいんです。

 昨年、当時の田村厚生労働大臣の医学部の定員減についての予算委員会での発言を受けて、内閣委員会で文科省とも議論をさせていただきました。その際に、需給見込みで医師が近い将来余るので医学部の定員を減らすと田村前大臣はおっしゃっていました。

 しかし、それは現場を全く知らない話であって、以前から私が指摘していますが、医師不足は、医師の偏在、開業医と勤務医のバランス、加えて診療科のバランスが取れない限り、医師が余るということは絶対にあり得ないと思います。

 だって、外科医、大臣、どんどん減っていますよ。外科医、このままいくと、勤務医がいなくなって、がん、誰も切れなくなります。

 加藤大臣は多分田村前大臣とは違うお考えを持っているんじゃないかと期待をしているんですが、ここに関してお答えをいただけますか。

加藤国務大臣 ちょっと田村元の厚労大臣がどういう流れの中でお話しをされたか承知していないので、ちょっとそこには言及は控えさせてもらいますが。

 直近の需給推計では、二〇二九年頃に需要と供給は均衡し、人口減少に伴い、将来的には供給が需要を上回ると見込まれており、今後の医師増加のペースについて検討が必要とされてはいるわけですね。

 他方で、医師養成数については、医学部定員に特定の地域や診療科での勤務を条件とした地域枠を設定し、医学部定員を段階的、臨時的に増員してきたことから、現在、医師数は毎年三千五百から四千人のペースで増加をしているところであります。

 ただ一方で、地域間や診療科の間で偏在が依然として存在をしているわけでありますので、それに対しては、臨床研修における都道府県ごとの定員、定数などを通じて、地域の医療、診療科偏在の対策を進めてきているわけでありますので、引き続き、こうした地域における医師の確保や偏在是正に向けた取組を進め、そして、医療需給を取り巻く状況を考慮しながら、今後の医師養成については検討していかなきゃいけないということで、単なる全体の水準だけではなくて、今おっしゃるように、地域とか個々の課題、これらも併せて議論はしていかなきゃいけないと思います。

吉田(統)委員 では、期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 加藤厚労大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、この質疑に当たりまして、有識者の方、大変いろいろな意見をいただきました。そして、日頃私を支えていただいているボランティアの皆さんや同僚議員にまずお礼を申し上げまして、質疑をスタートさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今、円安や物価高、そしてエネルギーの問題、外交の問題、いろいろありますが、私はやはり、少子化という問題は非常に国の根幹の部分で、今どんなにすばらしい政策を打ったとしても、向こう三十年間どうしても人口が減り続けてしまうという現状で、この少子化を何とか止めたいという思いで、今日の質疑をスタートさせていただきます。

 まず、コロナ禍での出生数の低下についてお話をさせていただきたいんですが、二〇二一年一月から十二月までの出生数の累計は、八十四万二千八百九十七人ということになっております。二〇二〇年は八十七万二千六百八十三人でしたので、比較して三・四%の減で、これは過去最低だったということになります。

 八月三十日に厚生労働省が公表した人口の動態統計によりますと、二〇二二年上半期の一月から六月の出生数は三十八万四千九百四十二人で、二一年度の同期比で五%減、二万八十七人が減少しているということです。

 ここで私、次、衝撃だったのは、二〇年度の同期比で一〇・六%の減、約四万五千七百六十七人ということで、非常に人口の減少が加速していくことはもう明らかです。

 その中で、二〇二〇年の春に本格的に日本を襲った新型コロナウイルス感染症ですが、日本経済にも大きな打撃を与え、その影響は特に弱者、中でも女性に大きな打撃となって表れたことは、この場にいらっしゃる皆さんもよく御存じのことだと思います。

 緊急事態宣言下でもありましたが、二〇二〇年四月に職を失った女性は七十四万人です。男性は三十五万人。パートタイム労働者がシフトを減らされたという状況も多く発生しました。また、非正規労働者に占める女性の割合は、男性のおよそ倍だというふうに言われております。

 総務省の労働調査では、雇用への悪影響が最も大きく表れた二〇二〇年七月から九月にかけて、働き盛りの世代、二十五歳から五十四歳の前年比就業者数を男女別に見ると、男性の就業者数は一・六%の減に対して、女性は二・八%減少しています。これはやはり、私は雇用のミスマッチが原因ではないかというふうに考えております。

 コロナ禍では、男性の失業率よりも女性の失業率が高かった。これは、女性の失業問題の本質が、雇用の流動性の低さにあるように思います。サービス業から、これから発達していくようなデジタル産業への労働移動がなかなかできなかった、そういった問題があるんですけれども、やはりここは、高度な人材を育成するリカレント教育が必要になってくると思います。

 そういったことも踏まえて大臣に御質問をさせていただきたいんですが、まず、非正規労働の方への適切な教育をした方がいいということについて、御意見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 確かに、御指摘のように、このコロナ禍において、非正規雇用の女性が大変大きな影響を受けたわけであります。そうした皆さんが安定的な雇用に就いていただくということと、また、その皆さん方がより自分の希望する仕事に就いていただく。元々、非正規雇用というのは、そこにおける人材投資というか人材開発がなかなか、正規雇用に比べてその機会が乏しいということも指摘をされておりますから、そういった形で非正規雇用の方に対する能力開発をしっかり進めていくことは大変大事だと思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今いろいろな政策をする中で、職業訓練を受けられる方も多いと思います。

 私はいつも非常に疑問に思っているんですが、例えば、今から成長産業のデジタル分野でプログラミングの教育を受けました、そして、卒業したけれども、就職したところは全然違うサービス産業であった、しかし、それが就職したということになっているというふうにお聞きしているんですが、これでは適切なリカレント教育をされて就業につながっているということにはならないと思うんですが、この辺りについて御意見を大臣にお伺い、いただけたらなと思います。

加藤国務大臣 まさに、デジタル分野の職業訓練を受講した方がその受講した中身を生かしていただく、そして活躍いただくことは大変大事だと思います。

 ただ、一方で、デジタル分野で、スキルもいろいろありますね。それで、企業が求めているスキルのレベル、内容と求職者が身につけたスキル、この辺のミスマッチも生じているということもあるのではないかなというふうに思います。

 そのため、本年十月から施行された改正職業能力開発促進法によりこれは法定化されたわけですが、都道府県単位の地域協議会で幅広い関係者から地域の人材ニーズを詳細に把握をし、個々の訓練コースの検証を実施をすることで、より精度の高いというか、その地域で求められているスキルを身につけていただき、そして、そのスキルを身につけた方々がその地域の中で雇用されていく、こういう流れを推進していきたいと思っております。

 デジタル分野について申し上げれば、公的職業訓練の受講により取得できるスキルの見える化、明確化、求人企業が求めるスキル等の見える化、明確化、公的職業訓練受講者をターゲットにした求人提出の働きかけ等を通じて、マッチングがしっかり行われていけるように取り組んでいきたいと考えています。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、取り組んでいくということを大臣からお伺いしたんですが、ただ、取り組んだ成果といいますが、本当にそれが生かされているかというところの判断、アウトカム評価というようなところは、大臣、どのように判断をしていくというふうにお考えかということがもしあれば。

加藤国務大臣 まさに、そうしたことも含めて、先ほど申し上げた地域協議会で議論をしていただきながら実際進めてきた、それが合っていなければ、やはりその地域に応じた職業訓練等が行われるようにまた調整をしていく、こういうPDCAサイクルというんでしょうか、そういったものをしっかり回していくということが大事じゃないかと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 是非PDCAサイクルを回していくところを見えるようにしていっていただいて、職業訓練が生きているというところをお示しいただけるようにしていただけたらなというふうに思います。

 私も本当に現場で働きながら思うんですけれども、なぜ、この職業訓練を受けながらこういった違う職で働いておられるのかなと。職業訓練を受けられた時間が非常にもったいなかったなということもありますし、デジタル分野だけではありませんが、女性の方がやはり在宅ワークを進めるに当たって、ある一定そういった技術を学ぶということは非常に重要ではないかなというふうに思っております。私の今秘書を務めてくれている女性も非常に優秀で、子育てしながらですけれども、私、ここへ来なくても在宅で全部やってくれることもありますし、非常に柔軟な働き方につながっていくと思います。

 次は、大臣の発言の中で、成長分野への円滑な労働移動というお話がありました。

 この円滑な労働移動ですけれども、終身雇用が根強く残る労働市場において、労働移動についてはどうお考えになっているかということをお聞かせいただけたらと思います。大臣、お願いいたします。

加藤国務大臣 円滑な労働移行を図るということは、構造的な賃上げにもつながるということであります。

 分野に限らず、労働者が主体的に安心して労働移動できるよう、リスキリング、希望する成長分野に移動するための学び直しへの支援等の充実などに取り組んでいくことが必要であります。厚労省では、きめ細かい支援を行うということで、今、三年間で四千億規模の投資施策パッケージをつくらせて実施をさせていただいております。

 他方で、情報をしっかり提供されなきゃいけないということで、職業情報提供サイト、日本版O―NETの整備など、就職や転職に資する情報提供の充実にも取り組むことで、労働移動の円滑化につながるものというふうに思っております。

 さらに、短時間正社員を始めとした多様な正社員制度、これは、育児、介護、健康上の理由など、一人一人のライフスタイルに柔軟に対応できる働き方であり、優秀な人材の確保、定着にも有効であることから、導入企業の好事例を周知すること、また、社会保険労務士などの支援員による企業への導入支援等を行い、まず企業においてそうした制度が導入、定着することを推進をしていく。

 こうしたことが相まって、円滑な労働移動の実現、これを図っていきたいと考えています。

一谷委員 ありがとうございます。

 この円滑な労働移動というのは、非常に壁が大きい問題でもあると思います。これを打破していけば、私の考えでは、日本の経済は上向きになるのではないかなと思うんですけれども、雇用の流動性のリスクをやはり社会として引き受けていくことが、雇用の流動性が高まるということになると思います。

 業界を移動しようとする労働者が一時的な失業状態に置かれることもあります。失業のリスクを個人に背負わせている限りは、労働者は転職を可能な限り阻むのではないかというふうに考えます。私たちは、現在、今縮小していく業界もありますし、経営がなかなか難しいような企業もあると思います。その中で、これは誤解のないようにお聞きいただきたいんですが、雇用維持のために使われている助成金等を業界を移動する労働者の生活補償に充て、一時的な失業が健全なライフサイクルの一部となるシステムをつくり上げていくことが必要ではないかなというふうに思っております。

 私は数々のベンチャー企業を回らせていただくことが多いんですが、世界に打って出られるようなハードなものを作る。その開発にやはり何年か、まあ八年ほどかかった。そのハードができ上がったとき、百人の技術者で作ったこのハード、じゃ、次、これを世界に向けて販売していくとなったときに、技術者が広報や広告をしていてもやはり売れないと思うんです。このときに、やはり半分ぐらいの技術者の方は新しいベンチャーに移っていただいて、そして、広報部隊が会社に入ってきていただいて、そのハードな製品を世界に向けて出していく。こういったことで、なるべくやはり労働の流動性というようなことを柔軟に認めていただくようなことができないかというのは、ベンチャー企業の方々から、経営者からよく聞くお話でもありますし。

 先ほど、リカレント教育の中で大臣が、希望をする職とおっしゃったと思うんですね。それは私も本当にそうだと思います。自分が希望する職に就くのがいいんですけれども、やはり、これからの成長産業で稼げる又は自由に働けるというところを職に、誘導していくではないですけれども、そういったことも国の責任としてしていっていただいた方がいいのではないかなというふうに思うんですね。

 どうしても、私は介護分野で働いていますけれども、何か、学び直しといっても、同じ分野での学び直しだけとなってくると、なかなか技術が上がっていかない。もっともっと自分の軸足の違うことを学んでいくということが重要ではないかなと思います。人生百年と非常に長くなっていますので、一つの技術で生き抜いていくということは難しいですし、今回のこのコロナのようなことが起こったときに、やはり雇用が、自らが変えていける、それは交渉力を持てるような人材育成に職業訓練がなっていき、また、大臣がおっしゃった雇用の流動性、これを何としてもやっていただきたいというふうに考えております。

 それでは、先ほどの話に続いてなんですけれども、新型コロナが女性にやはり多くの負担をもたらしたのではないかというふうに思います。その一つが家事、育児が挙げられます。

 OECDの調査によると、日本の女性は平均して男性の五・五倍の時間を家事労働に費やしています。女性が家事、育児に時間を費やしているということは、他の誰かが家計を支えねばならないということであり、同じくOECDの調査によると、日本の男性は女性の一・七倍の時間を働いて、つまり給与を得るための労働に従事をしています。

 男性が働き、女性が家事や育児をする、一見、昔ながらの古きよき家庭文化が維持されているように見えるかもしれませんが、しかし、実態は過酷です。今や共働き世帯は既婚世帯の三分の二を占めており、女性は、家事、育児に加えて、賃金労働にも従事する時代です。そこに、妊娠、出産、育児を取り巻く環境が変化し、コロナ禍も相まって、母親たちはかなりの孤立を感じているのではないかというふうに思います。

 次世代を担う子供たちの育成を一手に引き受けているとは言いませんけれども、やはりその現実があることを踏まえて大臣にお伺いしたいのですが、社会全体で子育てを担っていくべきだというふうにお考えかどうか、まずこの部分、お考えを教えていただけたらと思います。

加藤国務大臣 言葉の使い方なのかもしれませんけれども、もちろん、それぞれの家庭において子育てに当たっていただいている。しかし、その中で、今、核家族化とか、社会等のいろいろな関係が希薄化してきて、やはりいろいろな課題が出てきている。そうしたことも含めて、そういったことを、やはり社会全体、そして必要に応じて国とか地方公共団体、こういったことがしっかりサポートしながら、子供を産み育てやすい環境、これをつくっていくことが必要だというふうに考えています。

一谷委員 御答弁ありがとうございます。

 午前中の質疑でもあったんですが、そのことを踏まえて大臣は、ゼロ歳から二歳までの子供を持つ家庭への支援についてお話はされております。その時期の支援が現在手薄なのは間違いはありません。しかし、妊娠期から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援といったとき、それは二歳で終わらせていいものなのでしょうか。大臣にお伺いをさせていただきます。

加藤国務大臣 何歳までということなく、それぞれの段階段階に応じて様々な支援というか対応が必要だというふうに思いますが、その中で、ただ、今、ゼロ歳から二歳を見たときに、やはり支援が手薄ではないかということで、妊娠時から出産、子育てまで、身近な伴走型の相談支援と経済的支援を合わせたパッケージとして充実をし、継続的に実施する、こうした仕組みを今回の総合経済対策に盛り込むことにしているわけであります。

 先ほど申し上げた、なかなか日々通う場もない等々、地域との関係も希薄で、負担感があり、子育ての負担感、また孤立化、孤立感、こういったことにつながりがちであります。

 なお、三歳以上の子供さんについても、当然様々な支援が必要でありまして、幼稚園、保育園等に通う場合も多く、その利用料については、幼児教育、保育の無償化なども行っておりますし、本年の六月の児童福祉法の改正により、市区町村にこども家庭センターを設置して、子供の年齢を問わず、全ての妊産婦、子育て家庭、子供に一体的相談支援の体制を行う整備も、これは施行はちょっと先の令和六年四月一日になってしまいますが、こうしたことも実施をするということでございますから、いろいろな世代に応じた切れ目のない対応をしていくということ、このことは大事だと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 次の三問目で、仕事と子育ての両立が難しいからではないかという御質問をしたかったんですが、今の御答弁で理解をしましたので、ここは少しおいておかせていただけたらなと思います。

 働き手が非常に少ない、これから少なくなっていく日本の中で、日本には、家庭におけるこういったケアの負担を社会で引き取る仕組みがもう既に構築されています。それは、地域包括ケアシステムという、私たちが高齢者の介護を社会で引き受けているように、子供の育成も社会で引き受けていくべきではないかというふうに考えています。

 我々は、この介護で積み重ねてきた知識を生かして、この地域包括ケアシステムに、先ほどおっしゃったこども家庭センター、これは令和六年からになると思いますが、何か融合させていくというかですね。介護の分野でも二〇二五年に三十万人人が足らないという中で、更に子育てのところで新しいこういったシステムをつくるのではなくて、ある一定つくったとしても、これは予算の関係もあると思いますし、省庁も違いますから難しいかも分かりませんが、一緒になってやっていくということも、これは運動論的にはなりますが、大事ではないかなというふうに思っているんですね。

 私は、この場で何度もこういったお話をしていますが、介護保険というのは非常に日本人のアイデンティティーを変えたと思います。それは、介護をすることが、家族だけでするものではなくて、社会全体として受け入れてもいいんだというようなアイデンティティーに変わったというふうに思うんですね。これは非常に重要なことで、やはり、子育てされているお母さん、お父さんが、自分たちだけで子育てしなければならないというところを、社会全体で見てもらえるんだというような感覚に変わっていく、これは非常に重要じゃないかなというふうに思っています。

 私自身が今、十二歳の娘と、次は四歳の息子なんですが、この間空いたのは、妻が一人で、私も最大限手伝いましたけれども、やはり子育てすることに苦しんでしまって次に踏み込めなかった。そういった私の苦い経験も踏まえて、自らの政治課題としてこういったことに取り組んでおるんですが、アイデンティティーを変えるということも非常に政府の仕事として大事だと思いますし、ここはインパクト、介護保険はインパクトがありました。そういったインパクトを是非この子育て世代にも何か考えていただきたいですし、人口の減少していく中で働き手が足らない中で、システムだけつくるのではなくて、何か融合できたらなというふうに思います。

 実際、私が介護職として働きに行っても、ああ、このお母さんはちょっと大変そうやなとか、そういうのも感じますので、是非ここを少しお考えいただけたらというふうに思います。

 そうしたら、続きまして、そういったお母さん方を支えていくことに対して、産後ケアについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、そもそも、この産後ケアは今後拡充していくかどうかというところについて、大臣のお考えをお願いいたします。

加藤国務大臣 産婦に対する心身のケアや育児サポート等を行う産後ケア事業は、極めて重要であって、委員御指摘のとおりであります。

 二〇一九年の母子保健法改正でこれは法定事業となり、そして、二〇二四年度末までにこうしたサービスが全国的に展開されるということを図ることにしております。

 支援を必要とする全ての方に産後ケアを提供できるよう、各自治体の状況や課題も把握しつつ、産後ケア事業の全国展開、そしてそのメニューの充実等を図っていきたい。そして、産後も安心して子育てができる支援体制、そして今お話があった、やはり社会がそうした形でしっかり支援をしてくれている、要するに、孤独、孤立感、疎外感、こうしたことを持たないようにしっかりと連携を取っていくということが大事だと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていただいたことを現実にしていくためには、やはり予算というものが大事になってくると思うんですね。

 そこで、これは参考人の方にお伺いしたいんですが、令和四年からこの産後ケアについての予算は確かに上がりました、金額は後で申しますけれども。ただ、予算が上がったのですが、その予算に対しての、補助する産後の事業所、箇所が六か所という限定がされているわけなんです。まず、なぜこの六か所という数字が出てきたのかということと、そもそも、この予算はなぜこのような予算になったのかというところを御説明をいただけたらと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 補助の内容についてでございますが、令和三年度までは、委員御承知だと思いますけれども、産後ケア事業を実施する市町村に対する国庫補助といたしまして、人口規模別に一市町村当たりの補助単価を設定をしておりました。このため、実施施設数についての十分な評価ができていなかったということから、当時、補助内容の見直しを求める様々な御意見をいただいたところでございました。

 令和四年度の予算におきましては、こういったことも踏まえまして、実施の実態に応じましてきめ細かな支援ができるように、一施設当たりの補助単価への見直しということを行ったところでございます。

 この見直しに当たりましては、令和二年度の一市町村当たりの平均設置箇所数が五か所強であったことを踏まえまして、六か所を上限ということで補助基準額を算定することといたしたところでございます。

 なお、先生から御指摘ございましたように、補助基準額の最大額自体はかなり大幅に増えておりますので、その範囲内ということになりますけれども、六か所により計算された補助基準額の範囲内であれば七か所以上に委託することも可能、そんな状況になってございます。

一谷委員 御説明ありがとうございます。

 平均で六か所ということは、半分ぐらいの自治体はそれ以上の箇所があったということになりますから、六か所は按分してもいいということになると補助金額は減るということになると思うんですね。ということになりますよね。六か所以上でも満額、自治体に出して、それを八か所、十か所あったら割ってくださいということになりますよね。そういうことになると補助金額は更に減ってくると思うんですね。

 デイサービス・アウトリーチ型、アウトリーチ型というのは訪問していくような形、デイサービスは来ていただいてサービスを出す、そこにはお母さんの休憩という目的があったり、子供さんの沐浴、助産師さんからのアドバイス、いろいろあるんですけれども、月額百六十九万六千円です、一施設当たり。宿泊型、一泊泊まってケアを受ける、これが一施設当たり一か月二百四十七万四千六百円なんです。

 これが支払われるということなんですが、私はいろいろな産後事業をやられているところにヒアリングに行きましたが、今のところ黒字で経営しているところを見たことがありません。一番、私がヒアリングさせていただいて規模の大きかったところは東大阪にありますけれども、約、デイケア、来ていただく方が二〇二一年度で七百四十八人です。泊まりのサービスが三百九十四人で、千百四十二人の方を産後ケアの中で見てくださっている。何と年間の赤字が一千万です。これは、このときだけ一千万ではなくて、過去六年間ほぼ。まだ縮小してきている段階なんですね。しかも、ここは、この産後ケア施設は、元々横に産科がありますから、そこの古いビルを使っての経営ということで、家賃がかかっていないということは、もっと赤字になるということなんですね。ここは規模が大きいです。

 ただ、もう一つ、この前、信州の方に行かせていただいて、本当に、法人ではありますけれども、個人でやられているようなところに行かせていただきましたが、そこもやはり黒字にはなっていないです。

 宿泊型に対しては、金額の差がかなりあります。宿泊型の問題は、宿泊の日数が増えれば増えるほど赤字が増していくということになります。ですから、なかなか宿泊を進めることができないのではないかなと思いますし、デイケア、一日のサービスを受けるということに関しては、大体、おおむね今の補助でも六千円ほど一日で足らないというような数値も出てきています。

 ですから、こういったことを踏まえて、やはり、ニーズの調査というものをもう少ししていただいた方がいいんじゃないかなと思うんですが、その辺りについて御意見をお願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 産後ケア事業の全国展開に向けて、令和四年度、今年度におきまして、産後ケア事業の現場における課題などを把握するための調査研究を現在行っているところでございます。

 この調査研究におきましては、複数の市町村担当者へのヒアリング調査とともに、全ての市町村を対象とするアンケート調査も行っております。

 そのアンケート調査の中では、市町村から委託事業者への委託金額の実態ですとか、市町村が把握をしている利用者の声や委託事業者の御意見、こういったことも把握をすることとしており、その上で、関係団体や自治体から構成される有識者会議を設置いたしまして、御意見をいただきながら調査を進めているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした調査による現場の実態や関係団体等からの様々な御意見、要望を踏まえながら、補助金も含めまして、産後ケア事業の在り方について検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、自治体にヒアリングした場合、窓口に来られた方だけということにもなると思いますので、ここはやはり広く、事業をやっておられる方々にもどうか調査の範囲を広げていただけたらと思いますし、これは、ある意味、産後事業をやっておられる方々も、しっかりとした分析、経営の分析を提出することが必要だと思いますので、両方の力を合わせて更によいものにしていければと思いますし、私が思っているよりも、産後ケア事業があるということを知らない夫婦の方が多いんだなと思うんですよ。

 私は、子供を連れてよく公園へ行きますけれども、お父さん、お母さんを見つけたら近寄っていくんですね。いろいろな政治の話、よく地元の話をしたりするんですけれども、産後ケアとかどうですかと聞いたら、いや、そんなの知らぬよという答えは、これはすごい主観的ですけれども、結構聞きますので、産後ケア事業があるということを周知していただくことも重要ではないかなというふうに思います。

 こういった産後ケア事業所が求めるものとして、委託契約書の統一をしてほしいという話があります。契約書や報告書が各自治体によって違うと。産後ケア事業所は、自治体をまたいでいろいろなところから契約をもらう。私の知っている中で一番多いのは、十か所からもらっているという産後ケア事業所もありました。ここについては統一をしてほしいという意見があるんですけれども、これについて御意見をお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げました調査研究の中におきまして、幾つかの市町村に直接ヒアリングを行っているところなんですが、その中でも、市町村から、委託先と自治体間の報告様式などについて、統一した書式を用意してほしいといった意見もいただいているというふうに承知をしております。

 また、この調査研究では、市町村だけではなく、全ての都道府県に対しましても調査を行っております。書式の統一化も含め、産後ケア事業に係る市町村間の広域連携に関する支援の取組状況についても調査を行っているところでございます。

 この中で把握した先駆的な都道府県の取組内容なども踏まえまして、今後、必要な対応を検討していきたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今のお言葉は、この動画の配信を聞いていただいている方々も見てくださっていると思うんですが、非常に希望が持てたのではないかなというふうに思います。是非、効率化ということもありますので、統一を進めていただけたらと思います。

 それでは、大臣に御質問をさせていただきたいんですが、私は、少子化の問題や、そもそも、産後ケアを受ける場合に、市区町村の窓口に行ったときに、お母さんの状態をその窓口の方が判断をして、産後ケアを受けれるかどうかという判断につながっていくということで、非常にばらつきがあるのではないかなというふうに思います。

 非常に、見た目に、ちょっともうメンタルヘルス的に問題があるなというのがあればあれですけれども、その入口というか、まだこれからというときに、それを見過ごしてしまうようなこともあるのではないかなというふうに考えておるんですが、ここは思い切って、この産後ケアは、希望する全てのお母さんに、希望すれば受けれるというような制度に変えていくのはどうかというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 希望する全てというか、元々、支援を必要とする全ての方に産後ケアを提供できるように、先ほど申し上げた産後ケア事業の全国展開、また、それを実施するに当たっての補助金等の充実、こういうようなものもしっかり取り組んでいきたいと考えておるところであります。

一谷委員 ありがとうございます。

 そうなんです。母子保健法十七条の二に定義されているのには、いろいろと書いてあるんですけれども、まず、育児のサポートをしてくれる人がいない妊産婦、育児の仕方や生活リズムに関する不安を抱いている妊産婦、また、産後の体調の不良があり、急を要する妊産婦が分娩施設を退院後に利用する事業と書いてあるんですけれども、これがなかなか判断が難しいんじゃないかなというふうに思うんですね。ですから、権利として、例えば元気に見えるようなお母さんでも自分が受けたいなと思うんやったら受けれるような、そういった事業にしていただくことがどうか。これは提案というか、私の考えですので、是非少し考えていただけたらなというふうに思っております。

 そうしたら、時間もありますので、次の質問に行かせていただきます。

 やはり妊産婦のメンタルヘルスケアというところも非常に問題になってきているように思います。

 ある調査結果では、コロナ禍の後、出産一年未満のお母さん二千百三十二人に問診をしたところ、うつの可能性がある人が約二四%に上りました。産婦人科の団体の、これまでWHOの会見では一〇%ほどのお母さんがうつになるというふうに言われているんですが、今回調査してみたら約倍になっているということで、非常に、私も実は信州まで行かせていただいて、患者さんとドクターに同意を得て問診や治療をされている横にいたんですが、非常に多くの方が治療に来られている状況で、かなり深刻な状況もやはりありました。このままやったら自殺をしてしまうんじゃないかなというような。

 そういったところで、コロナ禍における感染予防の観点から、周囲の協力を得られない、また産後の情報共有ができる場がない等で孤立し、より精神的に不安定になる妊産婦が増えています。しかしながら、精神科のドクターと連携をうまく取れる制度が今この産後ケア事業にはないと言われています。今後、精神科医療との連携をどのように制度化していくのかというところについて、大臣のお考えがあれば、参考人の方で結構ですのでお願いします。

藤原政府参考人 恐縮でございます。

 精神科と産後ケア事業の連携という御指摘でございました。

 妊産婦の方々、新型コロナ感染症の流行下におきまして強い不安を抱えておられる場合があるということで、メンタルヘルスケアを含めまして、妊産婦の方々に寄り添い、切れ目のない支援を行っていくということが非常に重要であると考えております。

 このため、産後ケア事業を実施する中で、精神科医療機関との連携が必要な場合に、子育て包括支援センターが中心となって産婦を必要な支援につないでおり、特に令和三年度からは、新たに社会福祉士、精神保健福祉士等の専門職をセンターに配置をいたしまして連携強化を図れるようにするなど、相談支援の強化に取り組んでいる最中でございます。

 また、診療報酬におきましても、精神疾患を合併した妊産婦さんに対しまして、産科と精神科が共同して多職種で連携をして診療を行う場合の評価ということで、ハイリスク妊産婦連携指導料を設けているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、関係機関の連携を図り、妊産婦のメンタルヘルスケアの支援を積極的に行っていきたいというふうに考えてございます。

一谷委員 ありがとうございました。

 あと、やはり男性のうつも増えてきているという傾向にありますので、こういった問題も一緒に考えていっていただけたらなと思います。

 あと、創薬のお話もしたかったんですが、時間になりましたので、これで私の質疑を終わらせていただきます。

 誠にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 加藤大臣始め三役の皆さん、よろしくお願いいたします。

 私からは、今日は独立行政法人の地域医療機能推進機構、JCHOの山本理事長にお越しをいただいております。お忙しい中、ありがとうございます。

 といいますのも、静岡で先般、台風十五号で豪雨災害がありました。特に私の地元清水区では、断水を始め、そして大きな土砂災害を始め、大きな被害に見舞われました。いまだ復旧の途中ではあるんですけれども、その清水の中に、JCHOさんが所管します桜ケ丘病院がございます。このことについてお聞かせをいただきたいと思っています。

 この桜ケ丘病院はJR清水駅の東口への移転が決まっていて、今まさに移転の始まるというところでございます。本年の三月に一度目の入札を行いましたが、不調に終わりました。そして、半年後の九月にも再度入札をかけましたが、これも不調に終わりました。二度の入札不調が続いています。先月の二十日には、三度目の入札ということで、十一月七日にこの入札を行うことを公示したばかりであります。

 入札不調の背景ということでは、JCHO側さんからは、円安や不安定な世界情勢による資材の高騰ということを挙げられていますが、これは一度目の不調のときもそうでありましたし、二度目も、それを理解をして織り込み済みで入札をしたんじゃなかったのかと思います。これだけ決まらないと、地元からは、何かほかの理由があるんじゃないか、価格以外の理由があるんじゃないかという声まで上がっていますが、この入札についての見解と、また、それ以外の理由ということがあるのか、まずお聞きをします。

山本参考人 桜ケ丘病院の入札につきましては、第一回目を令和四年三月二十八日に行ったところでございますが、このときは、予定価格を下回らなかったため不落となりました。このため、病院建設に必要な建築資材の価格が高騰していることを勘案して、予定価格を見直し、そして第二回の入札を九月五日に再度行いましたが、この第二回も、予定価格を下回らなかったため不落となりました。

 この不落となった主な原因につきまして、私ども考えておりますのは、建築資材の価格が令和四年九月になってもまだ高騰し続けていたため、令和四年八月に決定した予定価格を更に上回ってしまったのではないかというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 この三度目の入札を行うに当たって、報道では、当初随意契約も考えていたということも報道をされていますが、もう来月に迫る中で、来月というかもう数週間後に迫る中で、現状の入札希望者やまた課題というものをどのように認識されているのか、伺います。

山本参考人 第三回目の入札は、今お話ございましたように令和四年十一月七日に行うこととしておりますが、入札希望者等の現状についてお答えすることは入札自体に影響を及ぼすことから、差し控えさせていただければ幸いでございます。

田中(健)委員 契約の方に入りますけれども、契約者である静岡市とJCHOというのは、二〇年の十二月に、二〇二三年度中の開院の協定を結んでいます。三度目の入札公告の中身を見ますと、工期を契約締結時の一か月後から約二十五か月以内と設定がされています。これを計算しますと、十一月に入札で業者を決定して、そこから二十五か月としますと仮定しても、二〇二四年にわたってしまいます。当初の開院協定から大きくずれ込んでしまうと予想されますけれども、この完成スケジュールについて伺います。

山本参考人 JCHOと静岡市の協定では、令和五年度中に開院することとなっておりましたが、二度の不落となりまして、第三回目の入札公告では、業者の資材確保の期間を十分考慮できるように工期を契約締結日の一か月後から二十五か月以内というふうに延長したところでございます。したがいまして、この第三回目の入札が落札となった場合には、病院の完成は令和六年十二月になる予定となります。

 この桜ケ丘病院の移転の時期等につきましては、引き続き静岡市としっかり連携して対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 スケジュール、計算しますと令和六年十二月になりますけれども、それは、もう静岡市としっかりと協定を、更に改めて結んだ、結ぶという御理解でよろしいでしょうか。

山本参考人 今申し上げたとおり、完成予定が延びますので、この辺につきましては静岡市としっかり相談をしてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 それでは、今回の台風十五号についての質問をさせていただきたいと思います。

 今回、台風十五号の豪雨災害で、地元清水は先ほど申しました大きな被害に見舞われました。この移転の予定地も多分に漏れず被害に遭ったかと思いますが、まず、その被害状況をどのように御認識されているのか伺います。

山本参考人 今回の台風十五号の豪雨災害では、桜ケ丘病院の移転予定地につきましては、今回の災害の影響は受けていないということでございます。

田中(健)委員 確かに、駅の横で元々公園でありましたから、それほどの大きな被害がありませんでした。清水は断水が話題となりましたけれども、もちろんその断水というのは大変だったんですが、土砂崩れや川の氾濫、さらには床上床下浸水、それに伴う道路の寸断、清水だけでも三万の車が水没をいたしました。大きな被害がありました。

 そして、JCHOさん、桜ケ丘病院の移転地は、直接の被害はないですけれども、すぐ道路を挟むと清水港の港になります。私も何度も現場を見ましたが、港に川から流れた土砂やまた瓦れきが高く積み込まれ、その撤去にも数日かかりましたし、また港が再度動き出すにも相当の時間がかかりました。それを考えますと、場所自体は大きな被害はなかったんですが、その周辺は大変な被害があったということが分かります。

 理事長は、幼少の頃、静岡に御縁があったということも少しお話を聞きましたけれども、この災害を御覧になってどのようにお感じになりますでしょうか。

山本参考人 新病院におきましては津波対策が何より重要でございますので、構造体のかさ上げ、あるいはエネルギー部門を上層階に設置するなどして計画しているところでございます。

 これらの建築手法の工夫は、台風等による災害あるいは集中豪雨などに対しても有効であるというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 今回のような豪雨災害ではそのような対応をされるんですけれども、やはり何といっても南海トラフ沖地震、この大地震が、私たち静岡始め、これは全国にまたがる話ですけれども、この課題があります。これによって、海沿いにあるということで、津波が発生した場合に周辺道路の寸断ないしは被害ということが予想されておりまして、この警戒について静岡市側は、自衛隊による災害支援で罹災の三日後には復旧できるというふうにして、私たちもその説明を受けていますが、今回、この豪雨災害においても自衛隊の要請を県を通じていたしましたが、結果、ちょっと要請のタイミング、初動態勢が遅れた等々あり、ないしは県との連絡体制の不備があり、大きな課題として今静岡では問題となっています。

 区内の一部の被害であっても、このように、自衛隊の派遣、さらにはその復旧というものに大きな課題があり、多くの時間を費やしました。

 さらに、南海トラフ沖地震の場合は、清水区だけでなく静岡県だけでなく、多くの県をまたいでの被害が予想される中、この広域的な大規模災害についての認識が、これは市側がと言った方がいいかもしれないんですが、認識が甘いんじゃないかという指摘が、今県内では声が上がっています。このような声に対してどのようにお答えをいたすか、見解を伺います。

山本参考人 現在、桜ケ丘病院は地域の災害医療提供体制に貢献しております。移転後もその役割を担うことは重要と考えているところでございます。

 これまで、静岡市におかれましては、緊急輸送路等を複数選定しておられまして、被災規模が軽度な路線から速やかに復旧作業を行い、そして病院へのルートを確保していただくということになっております。引き続き、静岡市あるいは静岡県、ほかの医療機関とも連携して広域災害への対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 また、今後想定される災害においては、やはり一時、一定期間、先ほど言いました、道路が寸断されたりして、また水没して、孤立することも予想されます。患者の保護や、さらにはけが人等の受入れ、そして、先ほどもお話ありました、この桜ケ丘病院は救護病院でありまして、災害拠点病院にも県で位置づけられていますから、重症患者や中等症患者の処置の受入れも担うこととなります。

 あえて津波の浸水想定区域への移転を選択をされたということでありますが、病院側における責任というか、これからの責務というものを考える場合、どのような体制を更に構築をしていくべきかということを再度伺いたいと思います。

山本参考人 繰り返しになりますけれども、桜ケ丘病院は、地域の災害医療提供体制に貢献しております。移転後もその役割を担うことはとても重要と考えているところでございます。

 そこで、新病院につきましては、津波等の災害においても医療機関としての機能を果たせるよう、病院機能を二階以上に設置するとともに、エネルギー部門を上層階に設置するなどの建築上の工夫をしているところでございます。

 また、平時より、三日分程度、食料や飲料水を備蓄するとともに、屋上にはヘリコプターのホバリングスペースを設置することで、万が一、陸上交通が途絶した場合でも、医薬品や飲料水等の支援物資の搬入を可能としているところでございます。

 また、災害時には、自院の患者の保護だけではなくて、避難住民あるいは帰宅困難者の中でも医療を必要とする中等症患者を中心に受け入れることをも想定しているところでございます。

 このような津波等の災害時では、JCHO桜ケ丘病院のみで対応するわけではありませんが、静岡県、静岡市、それからほかの医療機関と連携して、被災患者への対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 要は桜ケ丘病院だけで行うわけでないということを言っていただきましたけれども、ちょうど昨年、この桜ケ丘病院と静岡の県立総合病院で参加をしまして、ふじのくに社会健康医療連合というものが、静岡県では初の地域医療連携推進法人に認定をされました。

 この地域医療連携推進法人の制度というのは、まさに地域医療構想の実現に向けて、地域の医療機関相互間の機能の分担を明確にしたり、また、連携というのを推進するのにどういうふうにしていくのか、そして、質の高い医療を提供するためにということで医療法改正を国がしてもらいまして、平成二十九年から施行がされています。全国に三十一法人があるということもお聞きをしていますが、この二つの病院が連携をすることによって、医師の確保、また交流、医療従事者の研修などを行うことを担っております。

 病院が掲げる理念、運営方針としましては、まさに医療の確保や医師の確保、交流により、地域医療に貢献する志を持った医師が継続的に連携推進法人内で勤務する体制を構築する、静岡県内での医療の交流、また研修等も行うということで、将来を見据えた医療需要に対応できるように業務の連携を進めていくという大きな目標が掲げられています。

 先ほど吉田委員の話では、そもそも医師の不足、また医学生の不足ということで、国全体として取り組んでいかなきゃならない一種の課題ではありますけれども、今、この桜ケ丘病院においては、やはり医師がいないということも大きな課題でありまして、この間、診療科も幾つも減ってきてしまっています。地域の皆さんも心配をしています。

 この医療連合において、医師確保ということが一番のテーマになっていますが、現状と今後の見通しというのをどのようにお考えになっているのかお聞きします。

山本参考人 ただいまお話がございました静岡県立総合病院も参加している地域医療連携推進法人ふじのくに社会健康医療連合、この事業の中で、既に令和三年度に医師を二名増員しているところでございます。

 地域の医療提供体制を維持するためには医師の確保というのは極めて重要でございまして、地域医療連携推進法人による医師の交流あるいは研修などを通じて病院機能を充実させることで、更なる医師確保に向けて引き続き全力で取り組んでまいる所存でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、医師確保ができませんと、箱は、ハードはしっかりできたけれども医師がいないということでは回っていきませんので、是非更なる推進をお願いしたいと思っています。

 この桜ケ丘病院、開院から六十年余がたっています。現場を何度も見ておりますけれども、耐震性も低く、地震があったら倒れてしまうんじゃないかと地域の人に言われていますし、また、病院内も雨漏りがするということで、大変老朽化した施設であります。

 行政と、また地域で移転先を決定し、そして今、新たに地域の核としてこの病院をどのようにつくり上げていくかといったことが議論となっています。地域医療の核になるために、また、先ほど言った災害時にも本当の意味で救急医療の核となるように、是非、地域のコミュニケーションも、これは市側にも要請をいたしますけれども、JCHOさんとしても取っていただいて、地域の人たちの不安を払拭して、そして前進をしていただきたいと思いますが、最後に理事長の決意を伺います。

山本参考人 ただいま御指摘いただきましたように、この清水桜ケ丘病院、新しい病院が地域医療の拠点、そして災害対策の拠点として地域住民の皆様の御期待に応えられるような病院となるよう、鋭意努力してまいりたいと考えているところでございます。ありがとうございます。

田中(健)委員 山本理事長、ありがとうございました。

 こちらで御退席してもらって構いません。ありがとうございます。

三ッ林委員長 山本理事長は御退席されてください。

田中(健)委員 それでは、引き続きまして、新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例措置といったことについてお話を進めたいと思います。

 この新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職、一時、第四波、五波のときでしょうか、打ち手がいないということで大きな話題となりました。これが喫緊の課題となったことから、医療職の被扶養者が令和三年四月から令和四年の九月末までワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、収入確認の際に収入に算定しないということをしておりました。また、この期限が九月末で切れましたから、来年の、令和五年の三月まで更に延長をされたということであります。

 この従事する医療職の中には、医師は当然のこと、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師や看護師、准看護師さんや放射線技師さん、臨床検査技師さんや臨床工学技士及び救命救急士と、多くの人たちの医療従事者が含まれます。

 その中で、今日は、看護師に焦点を当ててお聞きをしたいと思います。

 この適用において、看護師さんでこの制度を使った人数をまずお伺いしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の特例につきましては、新型コロナ感染症への対応といたしまして、ワクチン接種業務に従事する医療職の方の確保が喫緊の課題となったことから、一時的な、臨時特例的な取扱いとしまして、接種業務に従事する医療職の方、今の看護師の方を含めた方の収入につきましては、被扶養者の収入認定に際し、算定の対象とはしないとしたところでございます。

 それで、お尋ねのその特例が適用された看護師さんの人数のところでございますけれども、この特例に該当する被扶養者の確認というのは、それぞれの医療保険者において、通常の被扶養者の被扶養者認定の一環として実施されておりまして、該当者の方だけ区分したり、その数を把握するという仕組みにちょっと残念ながらなっておらず、現在のところ、把握できておりません。

田中(健)委員 そうしますと、この制度では、百三十万を超えても社会保険に入らなくていいとか配偶者扶養でいられるということなんですけれども、人数が分からないと、どれほどの保険料免除というか、保険料が払われなかったかといった総額ないしは見積りというのも分からないということでよろしいでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、まだ人数が把握できていないこともございますし、あるいは、今先生からお尋ねの保険料が軽減された部分の金額の推計でございますが、これは、その保険者じゃなくて、その方が別のところに加入した場合どうなるかという計算になりますと、そこの保険者の保険料率が幾らかみたいなことも必要になってまいりますので、より把握が難しいというふうに考えております。

田中(健)委員 そうでありますと、これは恐らく、大変要望があって、ないしはニーズがあって二度ほど延長をしたと思うんですけれども、じゃ、人数も金額も目安で、概算でもいいんですけれども、分からないけれども来年三月まで延長したということで、つまり、この根拠として、どのようなもので延長を続けてきたのか、聞かせてください。

伊原政府参考人 元々、この被扶養者認定基準というのが決まっていまして、所得の水準、百三十万円とかというルールが決まっております。

 これを緩めることにつきましては、被扶養者御本人の将来の年金額に影響してまいりますし、それから、実際は、本当は収入があるにもかかわらず、それを収入認定しないということになりますと、保険料を払わないまま給付を受ける方が増えていくということになりますので、保険料を納めない方との公平という議論も出てくるということから、やはりなかなか積極的に認められるものではないと考えております。

 しかしながら、今般、ワクチン接種という極めて歴史的にも異例な事態が起こっている中で、一時的な期間の措置として制度化をいたしました。そうした意味において、本当に特例的な措置として行っております。

 先生が御指摘のように、どのくらいの対象者がいて、幾ら影響額があるのかということについて把握できればいいんですけれども、それにもまた保険者の事務コスト等も新たに負担が発生しますので、現時点においては、そうした具体的な数字はなく、ただ、あくまでも今回まだワクチン接種が、引き続き四回目、五回目の接種が必要だということで延ばした、延長した、こういうことでございます。

田中(健)委員 まさにパンデミックが起きていて、もう明日にも打たなきゃならないとか、ワクチン接種の人たちが行列になって打ち手が足りないというときなら、その議論でもよかったかもしれないんですが、今、それこそ、打つ場所も空いていたり、また、誰も並んでいないというような、また、ワクチンについてもどうなんだろうという声が上がっている中、やはり検証というのはすごく必要だと思っています。

 といいますのは、私、これを否定しているわけじゃなくて、この制度、使えるんじゃないかと思って言っていまして、つまり、看護師さんが今不足している、さらに、二〇二五年では六万人から二十七万人も不足すると言われている中、潜在看護師さんという言葉がよく出ましたけれども、たくさんの人たちが、七十万人以上の人がいます。その方たちがこれを使ってワクチン接種をして、もう一度看護師さんになろうというきっかけにするというお話も聞いたことがあります。

 そうであれば、この制度でどのくらいの人が適用されて、そしてどのくらいの保険者、かかったのか、そして、今日も健康保険の話がずっと出ていましたけれども、健保組合さんとも話し合いながら、例えば百三十万の壁が課題ならば、じゃ、それをどうしようか、保険が課題ならばどうしようかといった次の議論に発展できることがあると思うんです。

 そのためには、データやまた結果というものがないと、単に特例として、ないしは、もちろん説明文には例年にない対応ということでありましたので、特例措置だということは強調をしておりましたけれども、もったいないなという思いがあります。

 ですから、恐らく、これだけでなく、このコロナに、この委員会でも様々な議論をしてきましたし、様々な政策が、対策が打たれてきましたけれども、その効果の検証や、そして、それが次にどう生かせるのかというのは、今日はこれは一つの例だったんですけれども、調べるのは難しいというのも確かですし、またコストもかかるのかもしれないですけれども、その間を取っても、是非調べてほしいと思っています。

 そもそも、これを出すときに、申込書があって、私も見させてもらいましたけれども、提出をしている資料がありますから、最低でもその資料を集めて分析をするとか、そういうことができるんじゃないかと思っていますが、大臣、今までの話を聞いて、是非御意見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今回の措置は、新型コロナワクチン接種、これを、当時、私は官房長官だったんですけれども、一日百万人打っていただく、そういった体制をつくるためにいろんな方のお力をかしていただく、その一環として、看護師の資格を持って、今現場にいない方も是非入ってきていただきたい、そのときの壁が一つこれがあったので、臨時異例的に、これは取りあえず今回は見ませんという措置を講じ、どのぐらい効果があったのかというのがあると思いますが、この効果がどうかともかくとして、かなりの方が協力をいただいたということは言えるんだろうというふうに思います。

 ただ、これは臨時異例の措置なので、これを平常時にも続けるかというのはこれはまた別の議論が必要なことはもう委員御承知の上で、今回、このコロナ対応で様々な異例な措置、あるいは平時ではない措置を取っていることは事実であります。それがそれぞれどういう効果があったのか、効果検証に係るコスト等は考えながらも、常にそれは検証しながら、また次の感染危機にもつなげていくということをしていかなきゃいけないというふうに思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、これから検証やまた総括というのが始まってきて、感染症法の新しい改正法案も出ますけれども、同時に、その検証が必ず必要になってくると思いますし、また委員会で議論を進めていきたいと思っています。

 特にやはり看護師は、先ほど言いましたように、大変に不足が懸念をされていまして、いろいろな声が上がっています。看護師さんの離職の原因は、一つはライフイベントに伴う勤務条件のミスマッチだと。やはり、結婚をしたり、あと出産をしたりという中で、大変激務でありますから、離れなきゃならないということや、また、復職の壁としても、復職後のサポート不足と、どんどんと新しい治療法やないしは新しい知識がキャッチアップできるのかということで不安になるということが挙げられていますが、今回のことは、更にそれを超えて、百三十万の壁が、もしかしたら一つの大きな要因になって、そこが復職できない要因であるかというような可能性も、この分析によってあるかと思いますので、是非、重ねてでございますがお願いをしたいと思います。

 同時に、済みません、最後、時間があったので、この百三十万の壁、これだけではなく、今回も含めいろいろな課題があるかと思っておりますが、これによって働く者を抑えてしまう、ないしは、働き方を変えなきゃならないというようなことが課題となっていますが、一般的な認識でいいんですけれども、大臣として、百三十万の壁に、どう認識し、取り組んでいくようなお考えがあるか、お聞かせいただければと思います。

加藤国務大臣 百三十万なり、百六万だったかの壁等、幾つかあることは指摘をされていますが、ただ、基本的に、やはり全ての方がこの社会保険の中に包摂をされていく、その中で医療、年金等しっかりと担保されていくということが必要である、そういった意味で適用拡大を進めさせていただいています。

 ただ、適用拡大をするに当たって、今おっしゃるような側面があること、そのことはしっかり認識をしながら、ただやはり、前段に申し上げた、その目的をしっかり達成していくべく更に努力をしていきたいというふうに思います。

田中(健)委員 私もそれに対しては大きな課題だと認識を持っていますので、また委員会の中で議論させていただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、紙の保険証の廃止問題についてお伺いいたします。

 大臣の考えるマイナ保険証のデメリットは何ですか。

加藤国務大臣 これまでも申し上げているように、マイナンバーカードで受診していただくことで、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていくことが可能になるなど、カードと健康保険証の一体化は様々なメリットがあるというふうに考えており、それを踏まえて、多くの皆さんにそのメリットを共有していただく、そういった思いから、令和六年秋に保険証廃止を目指すこととしたところであります。

 もちろん、保険証とマイナンバーカードということになると、例えば紛失したときの対応等、基本的には大体一緒だと思いますけれども、あと、やはりシステムとの絡みもありますから、その辺はいろいろあろうかと思います。

宮本(徹)委員 紛失の際のことをおっしゃいましたけれども、紛失の際一つ取っても、紙の保険証なら保険者によっては行けばその日のうちに再発行してもらえますけれども、マイナンバーカードだと一か月はかかるということになるんじゃないですか。

加藤国務大臣 まず、マイナンバーカードを紛失したら、当然、資格情報照会を行うことができなくなりますが、同じことは健康保険証を紛失しても起きてくるということであります。

 ただ、再発行の手続等それぞれ制度が違っておりますので、デジタル庁、総務省を中心に、新規取得、紛失等の際にカードが手元にないことで不便が生じないよう、速やかな交付方法の検討を行っていただいていると承知をしているところであります。

宮本(徹)委員 不便が生じないように検討しているといったって、何にも答えがないわけですよね。現に一か月以上マイナンバーカードはかかるわけですね。

 さらに、マイナンバーカードの更新は十年に一度ということになっています。未成年は五年に一度の更新ということですね。電子証明書の更新も五年に一度と。全部、区役所だとか市役所だとか、役場に行ってやらなければならないということになっています。

 マイナンバーカードの更新率、先日国会の質疑を聞いていましたら、十月十九日時点で六九%だというんですよね。未成年の方は五年に一度の更新の時期がやってきているけれども、六九%だと。これはマイナンバーカードが大変不便だということを示している数字だと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今御指摘のあった、マイナンバーカードの有効期限を迎えた方が令和三年度の数字で約二十二万六千あり、このうち、本年十月時点で十五万六千人、割合で六九%の方がマイナンバーカードの交付を申請しているということで、残りの三一%、不便というか、まさにまだそのメリットが十分に共有できていない、こういった側面があって、当初の段階では入ったけれどもということもあったのではないかなと。

 そういった意味においては、まさに今いろいろな施策を進めることによって、このメリットを皆さんにしっかりと理解をしてもらうということであります。

 それから、先ほど更新時の話もありましたけれども、例えば私どもは、今大臣になると健康保険証が変わってくるんですね。それごとに家族も含めていろいろ変わって、なかなか大変になるわけでありますが、今回、こうしたマイナンバーカードと一体化すれば、一々新しい発行所の発行を待つことなくやっていける、こういったメリットもあるんだろうと思います。

宮本(徹)委員 雇用先が変わった場合のメリットだけ強調されるわけですけれども、雇用先がずっと同じ方でも、マイナンバーカードになれば、五年に一回は電子証明書は更新、そしてカード自体は十年に一回更新と、手続しなければいけないと。毎回役所まで行かなきゃいけないわけですよ。

 今、私たち国保ですけれども、これは二年に一度自動的に送られてくるわけですよね。それが、毎回毎回役所まで行かなければならないというのは、大変不便をかけることになる。こういう認識はございますか。

加藤国務大臣 たしか五年とか、たしか十年とか、更新があるんだろうというふうに承知をしておりますが、そういったことについても、今おっしゃるように、一回一回市役所等に行かなければならない、その辺をどういうふうにしていくのか、これについては、先ほど申し上げたように、デジタル庁、総務省中心に、速やかな交付の方法、これを検討してもらっているというふうに承知をしています。

宮本(徹)委員 それから、先ほどもやり取りありましたけれども、報道では、紙の保険証を一定期間、持ち続けられるようにする方向で検討している、ただし、マイナ保険証への移行を促進するために、二〇二四年秋以降は紙の保険証発行は有料とする案などが取り沙汰されていると出ているわけですね。

 総理がおっしゃっていた資格証明書でない制度というのは、これは期限を区切った経過措置的な制度ということなんですか、恒常的な制度ということなんですか。

加藤国務大臣 まさに総理は今ある資格証明書の制度のことをおっしゃったんだろうというふうに思いますけれども、現在、何らかの事情により手元にマイナンバーカードがない方が必要な保険診療等を受ける際の手続について、先ほども御答弁させていただきましたが様々なケースが考えられますので、そうした一つ一つ、それに対する具体的な制度設計、実務上の運営も含めて丁寧に検討していくということで、現時点で、こういう形、ああいう形と具体的なものを念頭に置いているものではございません。

宮本(徹)委員 いや、ああいう形、こういう形ということではなくても、マイナンバーカードは、取得は義務じゃないわけですから、取得しない方がいる、その方には、保険料を納めていたらちゃんと医療を保障するということをおっしゃっているわけですから、そうすると、それは経過措置的な制度ではなくて、恒常的な制度を設けるということに必然的になると思うんですけれども、そうじゃないんですか。

加藤国務大臣 まさにそれはどういう形を取るのか、それから、その方が手元にないという事情もいろいろあろうかと思いますので、その辺もよく検証しながら、対応を丁寧に検討していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 だけれども、恒常的な制度だと言えないこと自体が、大変総理の答弁と、あるいは大臣がこれまでに述べていることと矛盾すると思いますよ。

 それから、保険証の発行が有料になると。有料なんということを考えているんですか。

加藤国務大臣 ですから、具体的な中身については今検討しているということなので、先ほど申し上げた、こうだああだということは申し上げられないということを申し上げたところであります。

宮本(徹)委員 こうだああだと、まだ決まっていなくても、最低限、国民の医療をちゃんと保険料を納めている人には保障するという立場からすれば、原理原則的なことは言えるはずなんですよ、恒常的な制度としてちゃんとつくっていきますと。

 保険料を納めた人に新たな保険証を手にするために自己負担を求めるなんて、あり得ない話じゃないですか。それぐらい否定してくださいよ。

加藤国務大臣 ですから、原理原則は、先般も申し上げたように、保険料を払っている方はきっちりと保険医療を受けることができる、これをしっかり担保していくことが大事だ、これが原理原則だと思います。

宮本(徹)委員 その原理原則からいけば、経過措置的な制度でなくて、恒常的な制度になり、なおかつ、新たな新保険証なるものを手にするときに有料になるというのはあり得ないということをここでおっしゃっていただくというのが、本来大臣がしなきゃいけない答弁なんじゃないかというふうに思います。

 その上で、ああだこうだ言えないということをさっきから繰り返していますけれども、今の紙の健康保険証の制度と新しい新保険証の制度というのは、一体どこが違うんですか。

加藤国務大臣 済みません、同じことを申し上げて恐縮ですが、その新しいというところがまだ具体的にお示しをできていないので、今の制度と比べるということはできないということは御理解いただきたいと思います。

宮本(徹)委員 ですから、何にも決まっていないまま、今の紙の保険証は廃止するんだと言うのは大変無責任で、国民に不安しか与えないじゃないですか。大変無責任な答弁が続いていると思いますよ。

 この間、野党の側から様々指摘があるとおり、新しい制度をつくる、そんなばかなことはやめて、今ある保険証の制度をそのまま使う、これを言えばいいだけの話だと思いますよ。本来、それが厚労大臣が合理的に考えれば出てくる考え方じゃないですかね。加藤大臣は聡明ですから、もう心の中ではそれしかないと思っていると思いますよ。違いますか。

加藤国務大臣 今と同じことを続けていたのでは、ほかも含めて、まさに医療DX全般を進めていかなきゃならない、こういう流れもあるわけでありますので、そういった意味において、よりよい医療をより効率的に国民の皆さんにどう提供していくのか。

 もちろん、前提として、先ほど申し上げた、保険料を払った者はちゃんと保険医療を受けることができる、あるいは国民の皆さんの理解を前提とする、これは当然でありますけれども、今申し上げたような方向へしっかりリードしていく、そういった思いで取り組ませていただきたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 医療DXとかそういう方向性を持っているというのは、それはそれで政府の立場だということなんだと思いますけれども、それと、現行法の下で、マイナンバーカードは義務ではない、任意なんだ、この下での保険証の在り方ということを考えた場合は、どう考えたって、今マイナンバーカードを取得しない人には、新たな制度をつくるんじゃなくて、今の保険証の制度でいく、これが最も合理的だ、早くそのことを明らかにした方がいいと思います。本当に、国民から批判の声が上がり続けるだけだと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。

 あわせて、マイナンバーの問題に関わって、もう一点だけお伺いしたいことがございますが、資料の十四ページ目のところに、これは以前の改革工程表からもずっと出ているんですけれども、改革工程表の五十五番で、ここの中で、マイナンバーの導入等の金融資産の把握に向けた取組を踏まえつつ、医療保険における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について引き続き検討ということが、これがずっと毎年のように書かれておりますが、これは、厚労省としては、将来的には全ての預金口座にマイナンバーの付番を求める方向なのか。そして、後期高齢者医療制度において、年金が国民年金しかない人に対しても、例えば五百万円の貯金があれば二割負担や三割負担、こういう負担増を求めていく制度を考えている。こういうことでよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 保険者がどのように金融資産に関する情報を把握するかといった様々な課題があることから、社会保障審議会医療保険部会において、まさに、そこの文章に、預金口座へのマイナンバー付番の状況を見つつと書かせていただいているわけでありますので、そうした状況を見ながら検討を進めるということであります。

宮本(徹)委員 厚労省としては求めないということでよろしいわけですね。

加藤国務大臣 厚労省として求める、求めないじゃなくて、まず、その状況を見つつ、今申し上げた、医療保険の負担の在り方、それは考えていくという、その考え方を述べているわけであります。

宮本(徹)委員 求めないとは言わず、見つつということしか言わないわけですけれども、しかし、この改革工程表を掲げている限り、どう見ても、これは、金融口座にしっかりとマイナンバーの付番を全部義務化をして、二割負担、三割負担、貯金が少しでもあれば医療費の負担増を求めていく、これが政府の目指す方向だ、こうしか見えないわけですよね。

 これは、私は、本当に、高齢者の生活実態からいったら、こういう僅かな貯金しかない、僅かな年金しかない方々に負担を求めるというのはやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 その上で、次に、先ほど大西さんからも議論がございました、研究者の大量の雇い止めの問題についてお伺いをしたいと思います。

 研究者が有期雇用の期間が十年を超えると無期雇用へ転換を求めることができますが、最初の十年目が今年度末にやってまいります。国立大学や国立研究機関の任期つきの研究者数千人が、今年度末で雇い止めになる可能性がある。文科省の調査で今年の春に明らかになりました。

 今日資料でつけておりますけれども、ネイチャーは、ディスポーザブル、使い捨てですね、というショッキングな見出しをつけて、使い捨てされた気分、数千人の研究者の雇用が危険にと報じました。サイエンスも報じております。

 この問題、春以来、何度も国会でも取り上げられておりますけれども、有効な手だてが打たれないまま、ずるずる時間だけが過ぎているわけでございます。

 今、文科省が実態把握のための聞き取り調査を行っておりますが、今日は文科省にも来ていただいておりますけれども、これまでの聞き取りの中で、無期転換ルールの特例の運用や研究者等の雇用管理について、労働契約関連法令の遵守がなされていないケース、また、研究者等の雇用管理について、各法人における経営方針に基づいて適切に行われていないケース、これは何例あったでしょうか。

井出副大臣 御質問をいただきました。

 御質問の中で触れていただきましたが、文部科学省としては、本年九月に、国立大学法人、十一の法人に対してヒアリングを行いまして、それからまた更に詳細な調査を、調査票を九月の下旬に発出をして、行ってきております。

 先生の御質問ですが、現在、ヒアリング等において、そうした法令にそぐわないような事例というものの報告というものは受けておりませんが、引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 私、本当に、その答弁を聞いて驚きましたけれども、法令にそぐわない例をつかんでいないと。

 今日、新聞報道も資料の頭につけておきました。朝日新聞ですね。「東大教授、成果あげても雇い止め 研究者殺す「毒まんじゅう」の罠」というので出ておりますが、これは無期転換ルール逃れで雇い止めが宣告された特任教授の例でございます。

 このケースは、研究資金を出している企業は、引き続き資金を出すので研究を続けてほしいと先生に言い、この先生も東大で研究を続けたいと申し出ましたけれども、当局の側は、いや、これ以上続くと無期転換権が発生する、六十五歳まで無期雇用をする財源がないということで、この方は東大に残るということはかなわなかった、こういう例なんですね。

 ちなみに、このケースについて東大当局がどう答えているかというのも、今日つけていないですけれども、この朝日新聞の記事には出ているんですね。こう書いていますよ。所属する講座が設置期間を満了して終了するため、この期間に合わせて契約されていた雇用契約も終了すると説明していると。

 確かに、五年、五年で十年なんですよね。ですけれども、更にもう何年でも、企業の側は引き続き研究資金を出してもいいと言っていた。しかし、無期転換権が生じるから駄目なんですという判断が下されたわけでございます。

 これ、もっと突っ込んだ聞き取りを行わないと実態が把握できないということなんじゃないですか。

井出副大臣 九月に調査票を発出して行う調査においては、大学当局のみならず、そこにいらっしゃる研究者の皆さんにも調査を行うこととしております。

 先生が資料で御提示をいただきましたような、そうした言い分もあろうかと思いますし、私も、先月になりますが、大学ですとか研究機関、幾つも回ってまいりまして、例えば、創発支援を受けている研究者の方から、雇用の状況ですとか、どういうことがいいのかというようなことも御意見をいただいてまいりましたので、今回の十一大学のヒアリングにとどまらず、先ほども申し上げましたが、引き続き調査をしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 新聞報道にない、別の東大の研究所の、ある研究室ですけれども、プロジェクトはまだ年限があるにもかかわらず、十五人のチームのうち、九年目の四人が今年度末で契約を更新しないと宣告されております。うち、研究の中核を担って、マネジメント的な役割を担っていた方は、もういられないということで、この夏に中部地方の国立大学に転職をされました。研究室のボスはこの方に残ってほしいと考えていましたが、無期転換を教授会が認めなかったということを聞いております。そして、この四人のうち二人については、別会社の雇用という形にして引き続いて働いてもらおうみたいな話が出ているということも聞いております。

 典型的な無期転換逃れじゃないかというふうに思いますが、違いますか。

井出副大臣 個別のケースでございますので、今私の方からそれはこうだということを申し上げることはなかなか難しいですが、大学の研究者の皆さんにつきましては、研究のステップアップという意味で雇用先を変えたり、また、逆に、ステップアップするにしても、研究の安定性あってのステップアップという、流動性と安定性の両面が求められているんだろうと思います。

 また、ライフスタイルにおいても、例えば、御夫婦で研究をされていて、御結婚をされて、一緒に暮らすために研究所をどうするかと考えたというような事例も伺っておりますし、先生の問題意識は十分文科省も理解をしておりますので、引き続き、しっかりとこの問題、調査して向き合ってまいります。

宮本(徹)委員 本当に、手を打たないまま半年来たことによって、残って研究し続けたい方、あるいは周りからも残ってほしいと思われた方がその研究室を離れざるを得ない、こういう状況が既に多数生まれているわけですよ。ステップアップじゃなくて、今よりも残念ながら研究条件が悪いところに移らざるを得なかった方もいらっしゃいます。そういうことがどんどん起きている。しかも、今でも次の職探しを必死にやられている方々がいるというのが今の状況なんですよね。

 加藤大臣、これは真剣にもっと、無期転換逃れを是正するために、国立大学法人、国立研究開発法人、あるいはそれ以外の私立大学もそうかも分からないですけれども、研究者の皆さん十年ルールの初めての年ですから、もっと真剣に乗り出して指導しなきゃいけないんじゃないですか。いかがですか。

加藤国務大臣 まず、一般論として、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないわけでありますので、厚労省として、文科省を含む関係省庁と連携して、無期転換ルールの制度の内容、趣旨、円滑な運用の周知等を進めるとともに、労働契約法に照らして問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切に啓発指導等をこれまでも行ってきているところであります。

 今後、今御指摘のように、研究者等の無期転換申込権の本格的な発生が見込まれる令和五年四月に向けては、文科省を始め関係省庁と連携しながら研究者の雇用の安定に向けて政府全体で取り組んでいきたいと考えております。

宮本(徹)委員 今後というか、本当に今なんですよね。本当に、今、もう次の職を探さなければならない状況になっているわけでございます。

 先ほど大西さんが取り上げられました理研の例でいいますと、これまた本当にひどいわけですよね、今、裁判に訴えられている方もいらっしゃいますけれども。労働組合への回答書というのを私も拝見させていただきましたけれども、理研の場合は、先ほどお話ありましたように、二〇一六年の時点で、通算契約期間は十年を上限とする就業規則の不利益変更を行っているわけですね。このときに起算点を二〇一三年という労働契約法改正時に遡及させた、このことによって数百人の研究者雇い止めが年度末に起きようとしております。

 理研の側は、起算日を遡らせる理由について、組合への回答書でこう言っているんですよ。無期転換を可能とする者が多数出ることを避けなければならないからだと。文字どおり、脱法行為だと思いますよ。こういうのはもう直接厳しく指導する必要があるんじゃないですか。

加藤国務大臣 個別の案件については申し上げられないということはこれまでも申し上げてきているところでありますが、先ほど申し上げたように、労働契約法に照らして問題のある事案、これを把握した場合には、都道府県労働局においてこれまでも適切な啓発指導等を行っており、今後ともそうした対応を取っていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 もっと強力にやらないと、一つも解決していないわけですよね、私が知る限りは。本当に苦しい立場に皆さんは置かれています。こういうことを放置し続けたら、先ほど大西さんの話もありましたけれども、若い皆さんが研究者にますますならなくなる。日本の研究の未来にとっても、日本社会の未来にとっても、本当に大変ゆゆしき問題だと重ねて申し上げておきたいと思います。

 この問題については、現行法で雇用の安定のためにやれることをやり抜くと同時に、抜本的な対策も必要だと思います。

 今日は日本学術会議の声明をつけております。こう書いてあるんですね。

 既に進行中の研究プロジェクトの担い手が失職することによる研究の停滞等、直接的な負の影響に加えて、そもそも研究職が将来展望を抱きにくいものとなり、才能豊かな有為の若い世代の人々が学問研究に魅力を感じず、高度な研究、教育の基盤たる人材の確保に多大の困難をもたらしかねない。政府とアカデミアが一体となってこの深刻な事態を解決するための取組を早急に行う必要があると考えます。政府の関係府省庁、国立大学協会を始めとした大学等関係団体、研究開発法人等の関係団体、個別の大学や研究機関などの間で情報を共有し、緊密な連携の下での事態の是正を図るための検討が進められなければなりません、こうしております。

 この声明を受けて、具体的にどういう手だてを取られたでしょうか。

井出副大臣 まず、先生の御指摘は、今さっきの議論の雇い止めから、もう少し大きな若い研究者の支援ということかと受け止めておりますが、文科省といたしましても、創発の研究に対する支援の助成ですとか、それから博士課程の学生の皆さんへの支援の強化というものを進めていこうとしております。

 もちろん、創発の研究の補助金を受けているようなトップクラスの若手研究者の方でも、直接私に、その雇用の、今自分が非常に不安定な状態だ、そういう声も伺ったことがございますので、私も、先生と同様、若い皆さんが研究にきちっと従事をできる、若い皆さんの探求心に応える体制をつくるために努力してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 いや、学術会議のこの声明というのは、若い皆さんの研究条件一般の話じゃなくて、任期つきの雇用については十年たてば無期転換権を使って無期雇用に転換できる、このルールがあるにもかかわらず、逆に、このルールを避けるための雇い止めが横行している、これに対してどうするんだというのが、学術会議が指摘している問題なんですね。早急にみんなで知恵を出し合おうじゃないかというのを、七月に学術会議は呼びかけたわけですよ。ところが、三か月半たっても、こういう取組をやっているんですか、国立大学協会だとか研究開発法人だとか、みんな集まって。何かやられましたか。

井出副大臣 この問題は、学術会議の声明以前からも、特に理化学研究所の報道に端を発しまして、それからまた、先生にも六月に御質問をいただいております。若い研究者の研究に打ち込める環境の確保というものは、我々も非常に重要だと思って取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 無期転換する上で、どこの大学でも研究所でも、一番ネックは財源なんですよね。財源なんですよ。これはやはり、無期転換の保障のために、ちゃんと国として財政的な支援策を設けるというのを政府全体で考える必要があるんじゃないですか。いかがですか。

三ッ林委員長 文部科学副大臣、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

井出副大臣 はい。

 ありがとうございます。

 大学の財源ということで、大学にも様々ございますが、政府の支援、それからまた各大学で財源獲得の努力も進めていただいておりますし、私といたしましても、文科省といたしましても、若い研究者の皆さんの探求心に応えられる体制づくりということは、これからも精いっぱいやってまいります。

宮本(徹)委員 この法律どおりにしっかり雇用の安定化を図るためには財源が必要だということなんですよ。そこはちゃんと政府全体で認識をしていただいて、補正予算を組むのでしたら、ちゃんと、無期転換を進める分の雇用の財源は出しますと、こういうことも是非打ち出してください。そのことを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 兵庫県で活動しておりまして、厚労委員会は初めての質問となります。同じ兵庫県では、一谷議員が一緒にこの厚労委員会でおりますけれども。

 私、以前は介護の会社を経営していまして、特に現場、訪問入浴介護、重度の高齢者の入浴介助であったりとか、障害をお持ちのお子様の入浴介助、そういったことを仕事としてまして、その中で、今日は大臣に介護を中心に質問させていただきたいと思いますけれども。

 二〇四〇年に八十五歳以上が急増するということなんですけれども、介護全体における重要性であったりとか、大臣の御所見をちょっとお伺いしたいなとまずは思います。

加藤国務大臣 まず介護保険制度、これは要介護状態になった方等がその尊厳を保持し自立した生活を営むため大変大きな役割を果たしている、特に我が国のような高齢化社会を迎える中において大事なセーフティーネットだというふうに思っております。

 さらに、今後、二〇四〇年に向けて八十五歳以上人口が急速に増加する一方で、生産年齢人口は急減をするということが見込まれているわけでありますので、そうした中で高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けていくことができるよう、地域包括ケアシステム、これを更に深化していく、推進していくということ、また、介護ニーズの増大と労働力の制約への対応を両立させ、制度の持続可能性を確保することが必要であり、老後の生活の安心を支える介護保険制度、これは今後より一層重要になっていくと考えております。

 本年三月から、二〇二四年に開始する第九期介護保険事業計画期間に向けて、社会保障審議会介護保険部会において検討を進めていただいているところであります。全世代型社会保障構築会議等での議論も踏まえながら、まさにこうした大変大きな役割を担っている介護保険制度が今後とも持続可能な制度になり、またそうした一層の高齢化等が進む中でそれに対応し得る、そうしたものになっていくよう努力をしていきたいと考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 近年、円安が進んでいる中で、介護現場もいろいろな問題が起こっています。特に現場では、燃料費の高騰であったりとか、電気代が高くなっている。これが負担が大きくなってきている一方で、施設を運営している介護事業者というのは非常に多いですけれども、その中で、やはり電気代が非常に高く、経営自体を圧迫している状況があると思います。

 本来、介護事業というのは、御承知のとおりですけれども、値段を事業者側が決められない制度ですし、介護保険上で決まった価格になっていますけれども、こういった中で、物価上昇がしている中で、このコストを現在厚労省としては実態を調査されているのか、お尋ねをしたいと思います。

大西政府参考人 御下問ありがとうございます。

 介護施設の電気代などが上昇していると言われているがという御下問でございます。

 今般、物価高騰になっておりますけれども、厚生労働省といたしましては、これまで関係団体の皆様から各種御要望をいただいておりますが、そういう中で、この電気代などの上昇ということでも御要望いただいておりまして、介護サービス施設また事業所におきまして、光熱費ですとかまた燃料費等が増加しているという現場のお声をいただいているところでございます。

 引き続き、そうしたお声をしっかりお聞きしながら、介護サービス施設、事業者の皆様の経営状況を注視してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 調査自体は実際行われているかどうか、お尋ねしたいんですけれども。

大西政府参考人 失礼いたします。

 調査ということで申しますと、介護報酬改定に関係します基礎資料を作るための介護事業経営実態調査というものはございます。これは三年に一遍の介護報酬に向けての調査ということでございまして、それはまだ着手するに至っておりません。

 他方、要請をいただいている事業者さんの皆様からは、おおむね、電気代で二割とか三割ぐらい、調査された時期にもよるようでございますけれども、また、燃料費なども二割から三割程度上がっておられるところが、そういう傾向があるというふうには伺っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 傾向ということなんですけれども、実際、この調査自体を、やはり介護事業所というのは、先ほどの、答弁したとおりですけれども、価格は事業者側が決められないという状況があって、その中で、燃料代であったり電気代が経営自体を逼迫しているという状況があります。

 そこで、先ほどの調査、今まだ実際されていないと思います。そういう中で、実態の調査をまずはしていただきたいなと思いますけれども、この調査を実際される予定はありますか。

大西政府参考人 私どもとしましては、今までいただいております実情を踏まえた御要望、そうした中で、物価がいろいろな要素で上がっているということは確かなものと認識をしております。

 それで、介護事業所につきましては、先生御指摘のとおり、物価高騰の影響を患者さんないし利用者さんに転嫁していくといったようなことはなかなか難しい業種であるというふうに認識をしております。

 こうした物価高騰に伴う対応、支援につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金がかねてより設けられておりまして、さらに、これを増額、強化する対応といたしまして、本年の九月に、その臨時交付金の中に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金というものが創設をされたところでございます。その中では、重点的に支援をいただく推奨事業のメニューといたしまして、自治体さん向けに、介護施設等の事業者に対する支援も推奨メニューとして掲げられているところでございます。

 厚生労働省としましても、地方自治体に対して、この臨時交付金を活用いただきまして、介護事業所等の負担の軽減に向けた取組を進めていただくように繰り返し要請を進めてきているところでございます。そうしたことも進めながら、実情をしっかり見極めていきたいと思っております。

遠藤(良)委員 地方創生臨時交付金で物価高騰対策がされているというところだと思いますけれども、例えば、私の地元の豊岡市は、コロナ禍における原油価格、物価高騰の影響を受ける介護サービス事業所に対して、上昇した車両の燃料代に対して交付金を支給するであったりとか、こういったものに対して経済負担を軽減されている、また、在宅介護をしている家族に対して、介護用品に対する支給額を増額をしている、こういった取組もされています。また、丹波市では、厳しい経営状況に直面している介護、障害福祉サービスの事業所などに対しても、運営の支援で電気代や燃料代の一部を補助していたりと。こういった、それなりに支援を各地域ではされているんですけれども、ばらつきがあると思います。

 市区町村に対してどのように周知を図っていくのか、お尋ねしたいと思います。

大西政府参考人 地方自治体さんに対しましては、九月に先ほど強化がされたと申し上げましたけれども、その前の、元々ありました臨時交付金のときから、五月九日付でございましたけれども、こういう物価高騰への対応にも使っていただけるということで、事業者さんからのお声もありましたので、並行して、事業者さんにもそういう情報提供も差し上げながら、自治体の皆様にも、事務連絡という形になりますが文書で、是非御活用をと、検討いただきたいということでお願いをしておりました。その後も、七月二十七日付、九月十二日付、九月二十二日付という形で繰り返しお願いしております。

 先生おっしゃられましたように、自治体さんによりまして、それはいろいろな形の御支援のお届けのされ方をされております。そういうところも、公表されているような情報につきましては、こういう自治体さんではこういうことをやられているようだということも含めて情報提供させていただいたりしております、それはあくまでも要請ということでございますけれども。そういうことを差し上げながら、今後も、内閣府さんなど関係府省と連携しながら、この交付金の支援の活用状況なども見極めてまいりたいと思います。

 今先生、市町村さんのお取組状況を御紹介いただきました。都道府県さんも対応いただけることになっておりまして、そちらと併せて、役割分担などもあるんだと思いますけれども、できるだけ御対応いただければありがたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 市区町村がやはり介護事業の直結されている所管になられると思うので、こういった事例が出てくるんだと思いますけれども。

 先ほど御紹介いただきました、令和四年九月に、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設されているということだったと思います。六千億円規模の交付金で、推奨事業としては、医療、介護、保育施設、公衆浴場などの事業者に対する物価高騰対策支援ということで挙げられています。

 このように、推奨事業として医療や保育と一緒に介護も挙げているということなんですけれども、この辺りの趣旨はどういう点が挙げられるでしょうか。

大西政府参考人 推奨事業メニューというものが、内閣府さんの広報、周知も兼ねたようないわゆるポンチ絵の資料を今私たちは拝見しておりますけれども、参照しておりますけれども、推奨事業メニューというものがありまして、生活者支援のメニューと事業者さんへの支援のメニューがございます。その中で、先生御指摘のように医療、介護、保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援というのが掲げられているわけでございます。

 そのカテゴライズ、等となっておりますので、もちろん公衆浴場にとどまるものじゃなくて、ほかの事業もということだと思いますけれども、医療と介護は、私どもが御要望を受けるときも、一緒に、併せていただくことが多うございました。それはやはり、いわゆる報酬、診療報酬なり介護報酬という形で設定されているのでということではないかと思っております。

遠藤(良)委員 この交付金に関して、介護関連に十分な支援が行われるようにしていただきたいと思うんですけれども、厚労省としてはどのような対応を考えられているのか。

大西政府参考人 若干繰り返しの答弁になるところがあるところは御容赦いただければと思うんですけれども、先ほどのように、繰り返し要請を重ねております。

 あわせて、実際にそういう事業をやられる、もう始められておる、ないしこれから前向きに取り組まれるというふうな御意向、方向性につきましてもお伺いをしておりまして、相当多数のところが前向きに考えていただいている、ないしもう始めておられるというふうには認識をしているところでございます。

 そういう中で、やはり繰り返し、こういう形でお届けをいただいているというようなことも、事例を収集、共有するなどさせていただいて、働きかけの実効が上がるように、引き続きしっかり丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 この電気料金の問題、非常に介護側の事業所は本当に苦しんでおられますので、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 電気料金については経産省で対応を検討中とのことを伺っていまして、西村大臣にも、二〇二三年一月以降、予定する電気料金の激変緩和について、電力小売を通じて支援案を検討していると認識をされているというのを伺っています。これはまた別途、経産委員会で議論していきたいと思うんですけれども。

 次に、先ほどずっとマイナンバーの質疑もあったと思うんですけれども、私自身もこのマイナンバーについても少し質問させていただきたいと思います。

 健康保険証のマイナンバーカード化についての質問をさせていただきたいんですけれども、河野デジタル大臣は、二〇二四年秋に、現在の紙の健康保険証を廃止するということを目指して打ち出された。これはかなり思い切った対応だなというふうに思うんですけれども、ただ一方で、日本でデジタル化というのが進展していくのは、個人的には非常に望ましいことだと思っていますし、進めていただきたいんですけれども、この交付率が五〇%程度にとどまっているこのマイナンバーの普及率が更に進んでいく可能性もあるんじゃないかなというふうに思います。

 このマイナンバーカードの普及のことについて、僕の地元の兵庫県の養父市では、マイナンバーカード交付推進担当リーダーというのをつくっていまして、交付率のアップに向けて取り組んでいると。これは、個人宅までこのマイナンバーカードを、申請を受けに行ったりとか、そういった取組を進めていて、交付率は八〇%を超えている。赤ちゃんの取得も進んでいまして、現在では、宮崎県の都城市に次いで全国二位の取得率だということです。

 同じく、兵庫県の三田市で市独自のさんだシティカードというのがあるんですけれども、これをマイナンバーカードに切り替えていくということをすると市立図書館の本の貸出数が増える、こういう特典をつけたりとか、マイナンバーカードの普及に市が積極的に取り組んでいるんですけれども。

 これは総務省にお伺いしたいんですけれども、マイナンバーカードの普及に向けたこういった先進的な自治体の取組の横展開、こういったことをどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナポイント第二弾が六月三十日に本格的にスタートして以降、マイナンバーカードの申請件数は千二百万件を超えております。マイナポイントの付与がカードの普及に寄与しているものと考えており、マイナポイントの対象となるカードの申請期限を十二月末までに延長したところでございます。

 カードの更なる普及促進に向けましては、各自治体におきましても、先ほど委員から御紹介のありました養父市のように、出張申請受付を始めとする申請促進策に積極的に取り組んでいただくことが重要と考えております。

 総務省では、養父市を始めとする、交付率が高い自治体における取組事例について、全国的に横展開を図るとともに、市町村における申請促進や交付に要する経費について国費による支援を行い、各自治体による取組を後押ししております。

 また、カードを活用した地域独自のポイント給付を支援する自治体マイナポイント事業を十月三十一日から展開するなど、自治体におけるカードの利便性向上に向けた取組についても支援してまいります。

 引き続き、自治体とも緊密に連携しながら、申請促進及び利便性の向上に全力で取り組むことで普及の加速化を図ってまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 この養父市は、高齢者が非常に多いですし、こういったプロジェクトチームを立ち上げて、自宅まで訪問したりしながら、高齢者の御自宅に行ってそういう手続を一緒にやってあげるとか、そこまで市区町村がやっているという実態を是非知っていただきたいなというふうに思います。

 マイナンバーカードを健康保険証として登録していくと、マイナポータルというところで、これまでの特定健診の結果であったりとか、処方された薬の情報、医療費が見られるようになったりする、医療機関についても質の高い医療を提供できるんじゃないかというところなんですけれども、一方で、マイナンバーカードを健康保険証として登録している方は二千五百万人程度だと。これは国民の二割程度にとどまっていて、認知症の方やゼロ歳児についてはどのように対応していくのか、こういう課題もあると思います。

 マイナンバーカードの健康保険証としての登録を進めていく、これはどのように取り組んでいくのか、お尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、マイナンバーカードを取得していただいても、保険証にするための手続というのが必要でして、そのために今、六月からキャンペーンをして、インセンティブを付与して増やしているところでございます。

 おかげさまで、随分マイナンバーカードの保険証化を進める動きが進んでおりまして、件数も続々と高まっております。

 また、今、医療機関でマイナンバーカードのカードリーダーの普及を進めておりまして、医療機関のカードリーダーにまだ保険証化していないマイナンバーカードを入れますと、その場で保険証化するということも実は可能でございますので、今後、そういう形で、それぞれの方にマイナンバーカードを取っていただいて、それを保険証化して、それを御利用いただくということを進めていきたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 健康保険証のマイナポータルで診療や薬剤情報、医療費、特定健康情報等を閲覧可能になる。確定申告における医療費控除の手続であったりとか、マイナポータルを通じて医療費通知情報を自動入力することが可能になってくる。利便性は向上すると思います。マイナポイントの支給もありますし。一方で、先ほど御答弁ありましたけれども、申請が増えているということなんですけれども、メリットがなかなか実感できない方も多分非常に多いと思います。

 このメリットをどのように周知されていくのか、その辺りのことをお尋ねしたいと思います。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 伊原保険局長。

伊原政府参考人 マイナンバーカードのメリット、いろいろなメリットがあると思うんですけれども、医療面に関しまして申し上げますと、一つは、マイナンバーカード一枚で、要は勤務先を替わっても一枚のカードで利用できるとか、あるいは、さっき先生がおっしゃられたように、自分の健康情報、医療情報が医療機関に行けば見えますし、自分のマイナポータルのサイトでも見える。

 こうしたことにつきましては、今、総務省のホームページ、デジタル庁のホームページ、厚生労働省のホームページで提供するとともに、各保険者からもそれぞれの被保険者にPRをさせていただいているところでございます。

 その他、マイナンバーカード、ほかにもいろいろメリットがあると思いますけれども、それについては、デジタル庁、総務省で、政府全体として取り組んでいると承知しております。

遠藤(良)委員 先ほどメリットのお話をいただいたんですけれども、これはどのように周知していくのか。増やしていくという方向だと思うんですけれども、そこの周知というのはどういうふうに取り組まれていくのかお尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 今申し上げましたように、マイナンバーカードにはいろいろな側面でいろいろなメリットがございます。

 それで、まず私が申し上げたかったのは、特に医療面に関しましては、実施主体としましては、一つは政府、厚生労働省なりデジタル庁なり総務省がございますけれども、そこのホームページ、あるいは、最近はテレビコマーシャルなんかでもよく話が出ていますが、いろいろな媒体を通じてこのメリットをお伝えしていくということですし、それから保険者、保険証を持っている保険者がございます、保険者が自分たちが医療費通知とかそういう被保険者の方にアプローチする側面がございますので、そうした場を通じて周知をしていくというふうなことが考えられると思っていますし、実際進めているところでございます。

遠藤(良)委員 来年四月から保険医療機関、薬局におけるオンライン資格確認導入が原則として義務づけられていく。患者が加入している医療保険について、マイナンバーカードのICチップ又は健康保険証の記号、番号など、オンラインで確認することができる仕組みです。

 顔認証つきカードリーダーの申込数は多いものの、運用施設は三二%程度にとどまっている。顔写真つきカードリーダーの無償提供であったりとかその他の費用の補助、こういった支援を進めているということですが、義務化の対象における進捗としてはどういう状況になっているでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 本年八月に、来年四月から保険医療機関、薬局での原則義務化というルールを明確にしました。それ以降、医療現場における顔認証つきカードリーダーの申込数が非常に伸びておりまして、十月十六日時点で義務化対象施設の八九%がお申し込みいただいているところでございます。

 あともう一つ、じゃ、実際、申し込んでいただいて、今度は自分の自院にカードリーダーが届くと、それをあとシステム改修ということをしていただかなきゃいけないんですけれども、そういうシステム改修まで終えて実際に運用を開始した医療施設は、義務化対象施設の約三四%となっております。三四%ですので、まだまだ稼働していないところがございますけれども、まさにこうした稼働を進めるためにも、医療機関での改修作業を進めていく、システム改修を進めていくことが必要と考えておりまして、現在、そのシステム改修に必要な機材の確保とか、あるいはシステム事業者の改修のためのマンパワーの確保、あるいはそのための段取りなんかにつきまして、関係省庁と連携しながら取組を進めているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 紙のレセプトの話も今までいろいろ出てきたと思いますけれども、これは義務化の対象になっていないということで、そういった施設においても簡単な仕組みを入れていくように進めていくとのことなんですけれども、どういうふうに移行支援をされていく予定なのか、お尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 通常の医療機関の場合は、顔認証つきのカードリーダーといいまして、マイナンバーカードの写真と実際の自分の顔を照合して本人確認をして、それをできた方について薬剤情報とかを見れるようにするということをしておりますが、やはり、紙レセプトだけのところとかは、あるいは、柔道整復とか、あんま、はり、きゅうといったところは、そこまでのハードなレベルの高いシステムは必要ないだろうということで、資格確認、その人が、医療保険、どこの保険に加入しているかだけが分かる簡素な仕組みを導入していきたいと考えておりまして、こうした、そのための補助の在り方について今現在検討しているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。まだ決まっていないということですかね。はい、ありがとうございます。

 続いて、電子処方箋、これはまた関わってくるんですけれども、電子処方箋についてちょっとお尋ねしたいんですけれども。

 来年一月から電子処方箋が始まると思います。ペーパーレス化が進んでいって、それによって、複数の医療機関、薬局をまたがる過去のお薬の情報であったりとか、医師、薬剤師が共有することができると。重複投薬の抑制などができたりとか、安心、安全な医療につなげることができることが期待されていると思いますけれども。

 オンライン診療やオンライン服薬指導とこの電子処方箋を組み合わせることで、より効果的な在宅医療の実現ができるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この電子処方箋の利用について、どれほど進展されると考えられていますでしょうか。

八神政府参考人 電子処方箋の普及の見込みということについてお尋ねをいただきました。

 オンライン資格確認等システムを基盤といたしました全国的な電子処方箋の仕組み、これは、今御紹介ありましたように令和五年一月から開始をするという予定でありまして、現在その準備を行っているところでございます。

 令和四年六月に閣議決定をいたしました新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画、フォローアップにおきまして、令和七年三月末にはオンライン資格確認等システムを導入した施設のおおむね全てに導入を目指すということとされており、厚労省といたしましては、それに向けた中間的な目標といたしまして、令和五年三月末にはオンライン資格確認等システムを導入した施設の七割程度、一つの目標としてこれを目指して行っているところでございます。

 課題といたしまして、医療機関、薬局、患者さんに導入意義について十分御理解をいただくとか、運用開始に向けまして、できるだけ多くの医療機関、薬局等で必要なシステム改修等の準備をいただくといったことがございますので、現在、オンライン説明会であったり住民向け説明会であったり、ユーチューブを活用した動画発信、また、医療情報化支援基金といったものを活用した医療機関、薬局のシステムの導入といったことに取り組んでいるところでございます。

 電子処方箋、円滑に開始できるように準備をして、普及に向けて周知広報等をしっかり取り組んでいきたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 課題のお話をしていただきましたけれども、日本調剤のオンライン服薬指導、薬局サービスがありまして、NiCOMSというものがあります。これは、登録者数が五万人を超えている、徐々に認知が高まってきている状況だと思います。

 先ほども課題があったと思いますけれども、オンライン服薬指導、薬局サービスが普及していくと、今後、いろいろな競争も出てくると思いますけれども、その辺り、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

八神政府参考人 今後、電子処方箋あるいはオンライン診療、オンライン服薬指導といったものを組み合わせていく場合の課題といったようなことについて御説明をしたいと思います。

 今後、生産年齢人口が低下をしていくという中で、電子処方箋やあるいはオンライン診療、オンライン服薬指導等こういったものを、デジタル技術を活用いたしまして、医療に関わる方々の業務の効率化、対人業務の充実、あるいは、患者さんのニーズに応えるサービスの質の向上、提供といったことが進むと思っています。こういうところで、様々な民間の業者さんの競争といったことで、ますます量的にも質的にも医療サービスが高まるといったことが期待できるのかなというふうに思ってございます。

 こういったことを踏まえまして、医療分野のデジタル化といったことにしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 課題と競争という話をちょっと、ちらっとお話ししたんですけれども、一昨年、アメリカでアマゾン・ドット・コムがアマゾンファーマシーの営業を始めたと。アマゾン薬局は、ウェブサイトでアプリから処方薬を注文し、自宅に配送してくれるアメリカ国内向けサービスで、医療保険も適用されるということであるんですけれども、日本では、このアマゾンは来年に本格的にサービス開始を目指しているということなんですけれども、当面は、アマゾン薬局が直接販売はせずに、中小薬局と連携して新たなプラットフォームを目指していくということなんですけれども、これは、お客様にとっては非常に利便性が高まると思います。

 将来の方向性として、アマゾン書店が席巻したように、薬局のチェーン店にとっても非常にこれは脅威になるんじゃないかな、そういうふうに思いますけれども、厚生労働省としては、こういった海外の企業が参入してくる可能性がある、この辺り、どのように大臣としてはお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 電子処方箋を始めとしてデジタル技術の活用で、まさに、医療従事者の業務の効率化、また、先ほど申し上げましたように、生産年齢人口が減少する中で、逆に効率化した分を対人業務に充てていく、あるいは患者のニーズに応える新たなサービスの提供、こういったものにつなげるものと考えておりまして、政府としても、医療分野でのデジタルトランスフォーメーションを通じたサービスの効率化、これをしっかり促進をしていきたいと思っておりますし、先般、そういった観点から、医療DX推進本部も立ち上げたところであります。

 また、外から入ってくるということでありますけれども、地域医療を支えるかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師、これも非常に大事であります。患者の状態に応じたきめ細かな対応を行うため、まさにデジタル技術をそういう現場でも活用していただき、従来の窓口対応を含めた現場でのより充実したサービスの提供を図っていただきたいというふうに思っております。

遠藤(良)委員 これはアマゾンを多分利用されたら分かると思うんですけれども、今はもう自宅に商品が、わざわざ判こを押さなくても届けてくれる。外に置いておいてくださいとか、そういうことまでアマゾンは普通に対応してくるので、これは多分、今の、御高齢の方は一旦あれですけれども、若い世代とか、一定、インターネットでいろいろな買物とかされている方にとっては、このアマゾンの日本に進出する可能性があるのは非常に、僕個人的には非常に怖いなというふうに思っているんですけれども。

 今、六万店、六万ぐらい薬局が減少しているということなんですけれども、電子処方箋について、事務の効率化にもつながっていきますし、オンライン服薬指導、薬局サービスは本当に便利になってくると思います。

 最後に、オンライン診療やオンライン服薬指導と電子処方による在宅医療を行っていくとすると、地域包括ケアシステムにおいて介護との連携が強まっていくというふうに思うんですけれども、この辺りについて、大臣に方向性についてお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに、先ほど、医療、薬局、薬の話でありましたが、介護の提供においてもデジタル化を推進していくことは非常に重要でありますし、また、医療と介護というのは結びついているものでもあります。

 健康、医療、介護分野のデータの利活用を推進するため、昨年六月、データヘルス改革に関する工程表をまとめましたが、それに基づき、本人同意の下で、介護事業所、医療機関の間で医療、介護情報を共有できる仕組み、こうしたものも整備を進めていきたいというふうに考えております。

 引き続き、患者や利用者の情報を連携させることによって、ニーズを踏まえた最適な医療、介護が効率的に提供できるように、関係者の御意見を踏まえながら取り組ませていただきたいと思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 DX、この介護と医療の分野のDXについては、大臣も課題をお持ちだと思いますし、いろいろな方向性が考えられると思いますので、是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 時間になりましたので終わります。ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 今日、まず冒頭に加藤大臣に質問したいと思います。

 この間もこの委員会で議論に上がりましたが、現下の短期間での円安、いわゆる為替変動、それとまた物価高において、いわば公定価格とも言える医療や介護の現場、これは、サービスを受ける患者さんやあるいは利用者さんというのはそれほど影響が、医療、介護というセクターでは余りないわけですけれども、サービスを提供する側にとっては、一部、医療機器や医薬品や介護用品、そしてまた、この間も出ています燃料費等々が非常に経営的に、あるいはサプライサイドの方には影響が出ているわけでございますけれども、そういったことに対するオフセットというか、補償というか、対策、大臣、何かお持ちでしたらお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、基本的に、医療機関、介護事業所は診療報酬、介護報酬で経営を賄っておられるわけでありますから、それぞれの報酬をどう設定をしていくのか、それを毎年、三年ごとであったり、二年ごとであったり、それまでの物価も含めた経営状況等を見ながら見直しをさせていただいていく、まさに基本的にはそういうところで適宜対応していくというのが、まず基本だというふうに思います。

 ただ、その上で、今、物価高の影響がかなり医療機関、介護事業所というのにはあります。これはまた地域ごとにもいろいろあるわけでありますので、そうしたことを踏まえて、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これは六千億でありますが、その中のメニューの一つとして医療機関や介護事業所に対する支援を掲げさせていただき、また、我々としてもそうした取組を自治体にも御要請をさせていただいた結果として、そうした対応をしていただいているところ、あるいはそうした対応に前向きに検討していただいているところも多く上ってきたものと承知をしておりますので、引き続き、まずはこうした制度を活用していただいて、この物価高騰に対応していただくというふうに考えております。

仁木委員 御答弁ありがとうございます。

 ただ、冒頭言ったように、急激な変動、そして短期間での変動、これは、診療報酬あるいは介護報酬改定ということでございましたら、それに向けてある程度準備あるいは情報もあって、経営的にもそういった体制を整えることができるわけでございますけれども、最近の急激な円安等々は、やはり急激で読めないということもあるということで、今、予備費で対応するとか、あるいは、場合によっては、医療の分野では、中医協をまた開いて、また診療報酬、一部を改定していくということの情報も入っておりますので、そういうことも踏まえて迅速に、そして現場にそぐった対応の方を改めてお願いしたいと思います。

 その中で、感染症法の議論がこの委員会でも後に展開されていくわけでございますけれども、その第一条にもあります、こういった感染症の対策に必要な医療機器、備品、これの安定的な確保をということをうたっておりますが、今、例えばこの私の着けている、皆さんも着けているマスクにしましても、あるいは、今日も出ていましたコロナウイルスの抗原定性検査キットに関しましても、国産がやはりなかなかなかった。あのパンデミックの初期の頃を思い出していただきたいんですけれども、マスク、そういったものがいかに海外に依存してあったということが露呈しました。

 そういう中で、やはり、国内回帰を目指すメーカーもいる中で、こういった備品とかを作る、製造する拠点の国内回帰ということも、併せてこの感染症法の改正で発信していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国民生活あるいは医療に必要な医薬品、医療機器について、品目によっては輸入に大きく頼らざるを得ないということがあります。そうした意味で、今後のことも考えると、国内で開発、生産できる体制を確立していくということが、今般の新型コロナ対応のみならず、今後の危機管理という意味においても大変重要だというのはそのとおりだと思います。

 政府でも、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、本年三月にAMEDにおける先進的研究開発戦略センターを設置するとともに、先月三十日には経産省におけるデュアルユースのワクチン製造拠点などを決定したところでありまして、引き続き、ワクチン開発、生産体制の強化、これをしっかりと進めていきたいと思っております。

 また、医療上必要性が高い医薬品や医療機器の安定供給の観点から、その原材料について、国内生産拠点の整備を進めることも重要であり、その供給が途絶すると国民の生存に直接かつ重大な影響を生ずる抗菌薬については、その原薬の国産化に向けた取組、これを今進めさせていただいております。

 こうした取組を進めることによって、緊急時においても国民に必要な医薬品や医療機器の安定供給が図られるよう、必要な取組を更に進めていきたいというふうに考えています。

仁木委員 そのことについて、大臣、また共有していただきたい情報として、お耳に入っていると思いますけれども、例えば基礎医薬品の、子供さんや妊婦さんでも安心して使えるような、商品名カロナール、アセトアミノフェンですね、そういったものも不足しています、極端に。

 場合によっては、ロジスティック、いわゆる流通の過程で何か目詰まりの部分があったりするかもしれませんし、感染症法の、今後、改正議論に向けて、とにかく、その扱っている商品というのは普通に作れないんですね。今日も議論に出ていました。場合によっては、医薬品という広いくくりで言いますと、基礎研究があって、臨床研究があって、治験があって、そしてPMDAの審査があって、それで市場に出るわけですね。非常に長いプロセスと、そこに大きなマンパワー、そして知識やいろいろなものが入っているわけでございまして、これは一朝一夕でいかないということも踏まえた上で、認識をしていただけたらと思います。

 特に、今、先ほど申し上げたアセトアミノフェン等々、いわゆるジェネリックの分野で、足りない、欠品しているような、現場になかなか届かないことがあって非常に問題になっています。一部は行政指導を受けた製薬メーカーもありましたけれども、実際にそういうことがあるということを改めて、御理解していると思いますけれども、お願いしたいと思います。

 今日は、ちょっと時間も限られておりますが、私が提出しました資料で、HPVワクチン、当時は子宮頸がんワクチンと言っていたものでございますけれども、この一枚目の資料に、接種状況の推移というのがあります。

 実はこれは、平成二十二年の十一月にワクチン接種緊急促進事業で始まって、いわゆる定期接種化を目指して始まった事業ですね、Hibワクチンとか小児用肺炎球菌ワクチンと並んで。

 これは平成二十五年に定期接種がスタートします。ところが、こういう状況で、実施率、いわゆる実際に接種した人数も接種率も下がっておりますが、大臣、この表を御覧になって、その当時の状況、これは実は大分前になるわけですけれども、何かこの理由として考えられることをおっしゃっていただけますか。

加藤国務大臣 この表、月日はちょっとはっきりしておりませんが、四月―六月、接種勧奨した後、接種勧奨を停止したということがあったということでございます。

仁木委員 大臣、その接種率が下がった原因、あるいは、実は、積極的接種の勧奨を、六月、始まって僅か三か月で変更したわけですね。大臣、そのことに対してどうでしょうか。

加藤国務大臣 子宮頸がん予防ワクチンの接種に当たって様々な副反応等が発生をし、そうした声の中で、積極的接種勧奨というんでしょうか、これを控えるということになった。そうした控えるということになったことと、そうした副反応がいろいろあったということと、いろいろ幾つか要因があろうかと思いますが、そうしたことが、ここに示されているように、接種者数が二十五年から二十六年にかけて大幅に減少したことにつながったというふうに考えています。

仁木委員 実は、このワクチンの緊急促進事業のことに関しまして、平成二十四年六月十四日に参議院の内閣委員会でこのように発言されている議員がいらっしゃいます。

 もう十三歳セクシャルデビューなんといって打って、その後は性行為オーケーだとか。あるいは、質問の中では、この子宮頸がんになるハイリスク要因の一番の原因は何でしょう、文科省と聞いて、文科省の参考人に聞いています。

 これは、いわゆるSTDというか、性病の一種というふうにされていますので、性行為というものもかなり大きないわゆる感染リスクになる。つまり、子宮頸がんを惹起する原因になるということでございます。

 そうすると、この議員は、低年齢で性交渉をする、そして複数のパートナーがいる、これが一番の原因なんです、となっています。

 この間、この議員、実は山谷えり子さんという参議院の議員なんですけれども、今、旧統一教会の問題、自民党の挙がった資料においてはそういったお名前は挙がっておりませんが、メディアで報道されている経緯もあります。

 私は、大臣の方にいろいろこの接種のですね、定期接種になっているのに、僅か三か月でこのようになった。それは、副反応がいっぱい出てきているということがあると思います。ただ、この表を御覧になっていただきたいんですけれども、令和二年で終わっていますが、この間、今年の四月になって、やっと元の定期接種の状態に戻ったんですね。積極的な接種勧奨に戻りました。

 この間、実は、HPVワクチン、ちょっと私の個人的なこともなぞらえてお話し申し上げますと、私、このワクチンに対して非常に思いがあります。

 私は実は産婦人科医師でして、子宮頸がんになって、かなりがんが浸潤していて、大きくなっていて、術前に化学療法をして、そして手術も全部うまくいって、サバイブできるような素地ができました。治療がうまくいったんですね。ところが、その患者さんのところに行くと、毎日泣いているんです。どうしたのかなというふうにナースステーションのナースに情報を聞くと、仁木先生知らないんですか、婚約していた方に婚約を破談されたと。

 つまり、子宮頸がんというのは若い方がなります。一万人ぐらいなると言われているし、今でも三千人弱がお亡くなりになると言われます。しかし、一方で、千人ぐらいの女性の方が、罹患した方で、サバイブしても、妊孕性をなくすんです。子供さんを産めない体になっちゃう。そういうような形で子供さんを産めなくなっちゃって、その私の当時の患者さんは毎日泣いているということを経験されていました。

 だから、私は、このHPVワクチンに対しては、ワクチンを接種していると、今、九五%が子宮頸がんにはならないであろうと言われております。逆に言えば、九五%の方は、HPVというウイルスに感染して、そのうち16、18型というものに感染して、惹起してなるというふうに言われていますので、こういうワクチンを打つことによってがんにならない、当時は画期的なワクチンだったんですね。

 ところが、こういった形で、私は、さっき議員の名前を出してしまいましたが、議事録に載っていますので、これは資料として提出しておりませんが、そういう実態があった中で、本当に国民のメリットになるような政策がゆがめられたんだったら非常に困るということでございまして、大臣、このことに関しまして何か所見というのはありませんか。

加藤国務大臣 今の議員のやり取り、直接承知しておりませんけれども、ただ、先ほど申し上げた、こうした積極的勧奨を差し控えた背景は、まさに先ほど申し上げた、副反応がいろいろ発生をし、それに対するいろいろな声が出て、そして専門家の皆さんとも御議論いただく中で、この間もずっといろいろ議論をしてきて、そして今回、こうした接種の方へ切り替える。そして、しかも、この間、谷間というか、差し控える皆さんに対してもしっかり打っていただこう、こういう措置を講じた。こういう流れだったというふうに私は認識をしているんですが。

仁木委員 大臣、ワクチンのこの事業というのは、やはり行政側からの、あるいは海外においては、保険者からのPRというか、広報というか、啓発というか、それが非常に大きいと思います。

 つまり、打たないという選択肢も十分あっていいわけなんですね。でも、国民が打つメリット、デメリットを享受して、それで、てんびんにかけて、打たないメリット、そして打たないデメリット、打たないデメリットもあるんですね。

 例えば、HPVワクチンに関しては、日本人の子宮頸がん検診率というのは欧米に比べても非常に低いんです。子宮頸がんは、早期に発見できて早期に医療介入できればサバイブできる十分な疾病だと思っておりますので、やはりそういう日本のがん検診率が低い、されど、このHPVワクチンに関しては、これを打つと、かなりの確率で子宮頸がんの予防になるということでございますので。

 今、子宮頸がんというネーミングが、大臣、かなり、そういった副反応もあったけれどもエビデンスがあったんですね、実は海外では。海外ではエビデンスがあったんですね。WHOとかがその根拠とするようなエビデンスがあったわけです、海外の治験とかデータで。日本も、今、もろもろの創薬の過程で、そういった治験であるとか臨床研究ができにくい環境があるというのも一つの要因だと思いますが、それ以上に、そういったことも私は加味した上で、実は、子宮頸がんということだと性行為とかそういうことを連想してしまうから、途中でHPVワクチンというふうに名前が変わっております。大臣はそのことは御存じでしたでしょうか。

加藤国務大臣 厚労省でHPVワクチンの呼称に関して特別なルールを設けているわけではありませんが、定期接種化された平成二十五年当時、主にリーフレット等では子宮頸がん予防ワクチンという名称を使っていたところであります。

 一方、現在は、WHOなど海外においてはHPVワクチンがワクチンの名称として広く使用されていること、また、四価HPVワクチンは、子宮頸がん以外にも、ヒトパピローマウイルスが原因で発症する複数の疾患に対しても適応があることなどを考慮して、HPVワクチン、こういう名称を使用しているというふうに承知をしています。

仁木委員 ワクチン教育全般もそうでございますけれども、やはり、自分の体のこと、セルフメディケーションとかいうことをいいますし、自分の健康の教育、そういうのも非常に大切だと思います。

 そして、最近では、今、産婦人科的にいいますとプレコンセプションケアといいまして、女性の方が結婚する前から、自分たちがもし結婚して、妊娠して、出産して、子育てするためにどういったことが情報としてあるのかということを学べるようなことも、今、臨床の場でも推進していこうというふうに思っております。

 そういう意味で、ちょっと今日は文科省の方もお呼びしていますけれども、こういった、ある種命の教育というか、健康教育というか、あるいはジェンダー教育というか、そういったものを、今、厚労省とどのようにタイアップして学校という現場で推進されていこうとお考えなのか、教えていただきたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 性感染症など、子供たちの性と健康に関する課題に対応するため、これは男女問わずでございますけれども、子供たちが性に関して正しく理解する、また、男女の平等また男女の役割について正しく理解する、こういったことは大変重要になっております。

 そのため、学校の方では、学習指導要領に基づきまして、保健体育を中心に、また家庭科もございますが、そういった教科の学習活動を中心に、性感染症についても学んでおりますし、また、男女の役割についてもしっかり学ぶという活動、中学校の社会科等でやっております。

 また、そのための様々な教材というのがとても大事になってきます。当然、教科書もそうですけれども。それについて学ぶ以外で教材を使う場合にも、文部科学省でも教材を作成しておりまして、そういった教材を作成する形のところで、様々な専門家の方、また関係の省庁と連携しながらそういったものを作成して、学校現場で使っていただけるような、そういった取組を進めております。

仁木委員 性教育というと、私も家庭の中で子供にも、娘が二人いますけれども、なかなか教えにくい。まあ息子もいますけれども。なかなか父親としても入りにくい場面でありますし、昔はよく、ジェンダー教育とかいったときに、男性教師が若い中学生や小学生の女子生徒にどのように対峙していくのかということも、いろいろな極端な例が挙がって、議論になった経緯があると思います。

 されど、私はやはり、今の状況、今、子供たちがそういうのをネットだけを通じたり、あるいは何か特別な情報、オーソドックスでないような情報を得て、それでまた変な方向に行動変容するような時代であってはいけないと思っておりまして、具体的に言うと、例えば、一時期減った梅毒とか、そういう梅毒が今、一万人を超えようとしたりとか、やはりそういったことも、知識がちゃんとあれば、また、自分たちの健康、ひいては家族の健康を守れるような日本になると思うわけでございまして、やはりそういったことの教育もしなきゃいけない。

 そして、ワクチンの話題に戻りますと、やはり啓発とか、いわゆるPR、広告、広報をしっかりやっていかないと、実際に接種率は上がらないんだということでございます。

 そこで、最後に改めて、要点。

 これは私が常に申し上げていることですけれども、岸田政権においてもDXを推奨されております。特に医療DXということが出ております。しかし、これは一朝一夕でいかないけれども、もっと医療DXを今後、場合によっては、国民も自分たちがデータになり得る、自分たちが患者になって、そのときの自分の情報が匿名加工して、それで今後の日本の治療とか創薬とかワクチン開発とか、いろいろなことにもつなげていくことができるとかいった、すごく壮大かもしれないけれども、例えば、マイナンバーで保険証を一元化することによってどういうメリットがあるのか、もっともっとメリットを、つまり、利活用を広めていく。

 それを、厚労大臣、官房長官もされておりますので、発信されて、スムーズなランディング、マイナンバーカードへの、マイナンバーへの、制度への推進を、より、国民が聞いたら、いいな、持った方が得だなというふうな、不安を乗り越えるような、そういったメニューをどんどん発信していっていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 今後ともよろしくお願いします。

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 次に、内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案並びに早稲田ゆき君外八名提出、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延に備え、発生の初期段階から効果的に対策を講ずることができるよう、保健医療提供体制を構築する必要があります。

 このため、国、都道府県及び関係機関の連携協力による入院医療、外来医療、医療人材及び感染症対策物資等の確保の強化、保健所や検査等の体制の強化、情報基盤の整備、機動的な予防接種の実施、水際対策の実効性の確保等の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、都道府県知事等は、国の基本指針や都道府県の予防計画、医療計画に沿って、新型インフルエンザ等感染症等に係る医療提供体制の確保について、医療機関等と協定を締結することとします。加えて、公立・公的医療機関等、地域医療支援病院及び特定機能病院に対しては、その機能を踏まえ感染症発生時に担うべき医療の提供を義務づけます。

 また、感染症の流行初期段階における医療の提供を行う協定を締結した医療機関について、協定に基づく措置を講じたことに伴い、感染症の発生前と比べて診療報酬の収入が減少した場合に、医療の確保に要する費用を支給することとします。

 第二に、宿泊療養又は自宅療養を行う患者への健康状態の報告の求めについて、都道府県知事等は、協定を締結した医療機関等に委託することができることとします。また、当該患者が受けた医療について、都道府県等がその費用を負担する仕組みを創設します。

 第三に、感染症患者に対する医療を担当する医療従事者等に係る国による広域の応援調整の仕組みや、都道府県知事の求めに応じて災害、感染症医療に従事する者の養成、登録の仕組み等を整備します。

 第四に、都道府県は、保健所設置市、特別区その他関係者により構成される連携協議会を組織するとともに、緊急時の入院勧告等について、保健所設置市、特別区に指示することができることとします。また、感染症発生時等における保健所等の人材の確保を支援する仕組みを整備するほか、都道府県等は、専門的な調査研究や試験検査等に必要な体制整備等を行うこととします。

 第五に、医療機関による届出等について、電磁的方法による入力を努力義務とするとともに、感染症情報と医療保険の給付の費用に関する情報等との連結利用等を可能とする規定を整備します。

 第六に、感染症対策物資等の確保のため、緊急時に厚生労働大臣が事業者に対し、生産の促進の要請及び必要な支援等を行うことができることとします。

 第七に、新たな臨時の予防接種の類型、ワクチン製造販売業者等と損失補償契約を締結することができる枠組み、個人番号カードにより予防接種の対象者を確認することができる仕組み等を導入します。

 また、厚生労働大臣及び都道府県知事の要請により、医師、看護師等以外の一部の者が新型インフルエンザ等の検査のための検体採取や予防接種のための注射行為を行うことを可能とする枠組みを整備します。

 第八に、検疫所長は、新型インフルエンザ等感染症の病原体に感染したおそれのある者であって居宅等から外出しないことの協力の求めに応じないもの等に対し、外出しないことの指示及び報告の求めができることとするとともに、報告の求めに応じない場合等の罰則を設けます。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いをいたします。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

    ―――――――――――――

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

早稲田議員 ただいま議題となりました国民本位の新たな感染症対策を樹立するための二法案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 内閣提出の感染症法等改正案は、提出時期、施行時期共に遅過ぎます。岸田内閣は、感染拡大防止と社会経済活動の両立を掲げておりますが、第七波で何ら効果的な対策をせず、その結果、感染者数、死亡者数、医療難民数が過去最多となるなど、両立どころか、感染拡大も防止できず、社会経済活動も中途半端となっております。

 感染症対策とは、国民の理解を基礎に、迅速、的確に医療や医薬品等を備え、過度の人権制約や国民生活への悪影響を防ぎ、柔軟に感染症の位置づけの在り方を見直すものであるべきです。

 以下、二法案の概要を御説明いたします。

 まず、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部改正法案では、コロナ後遺症、ワクチン副反応に関する情報の公表や医療機関への支援、新型コロナの新型インフルエンザ等感染症への位置づけの見直し等について定めることとしております。

 次に、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案では、新型インフルエンザ等の治療に有用な医薬品について厚生労働大臣による指定制度を導入し、当該医薬品の買取り、増産要請等の確保の措置等を講ずることとしております。

 これらの法案は、国民本位の感染症対策を樹立しようとするものであります。

 何とぞ御賛同をいただきますようお願いを申し上げます。

三ッ林委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十八日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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