衆議院

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第3号 令和5年3月15日(水曜日)

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令和五年三月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      小林 史明君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      深澤 陽一君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    松本  尚君

      三谷 英弘君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      西村智奈美君    野間  健君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         滝澤 依子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            田中 郁也君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        前佛 和秀君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中 利則君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     中川 郁子君

  橋本  岳君     深澤 陽一君

  堀内 詔子君     小林 史明君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     堀内 詔子君

  中川 郁子君     高村 正大君

  深澤 陽一君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 内閣委員会において審査中の内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について、内閣委員会に連合審査会開会の申入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官滝澤依子君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、大臣官房年金管理審議官宮本直樹君、大臣官房審議官本多則惠君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、労働基準局長鈴木英二郎君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、人材開発統括官奈尾基弘君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、漁港漁場整備部長田中郁也君、環境省環境再生・資源循環局次長前佛和秀君、防衛省地方協力局次長田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 前半については日切れ法案の閣法二本について、申し訳ありませんが、後半は、エホバの証人の児童虐待の問題、むち打ちや輸血拒否、これは命に関わる問題ですので、後半に質問することをお許しいただきたいと思います。

 私も高校が仏教の高校でして、その影響で福祉や政治に関心を持ったので、宗教はすばらしいものだと思っておりますし、こういう児童虐待とか宗教の問題というのは、与野党協力して、政争の具にすることがなくて取り組むべきだと思っております。そのことを最初に申し上げて、閣法の審査に入りたいと思っております。

 まず、質問通告をたくさんしておりますので、加藤大臣、質問通告の順番どおり質問いたしますので、お答えをいただければと思います。

 まず、離職者特措法改正法案について、駐留軍等の労働者の方々の賃上げについてお聞きしたいんですが、今日も春闘の集中回答日となっております。世の中は当然、賃上げ賃上げということで、政府もリーダーシップを取っていただいていると思うんですけれども、この駐留軍等の労働者の方々の賃上げはどのように図られるのか、その水準はどうなっているのか、お答えください。

加藤国務大臣 駐留軍等労働者の給与については、国家公務員や民間企業の従業員の給与等を考慮して、防衛大臣が定めることとされておりますが、その水準については、国家公務員の俸給表を基礎として、防衛省と在日米軍との間で締結された労務提供契約において定められているところであります。

 給与改定については、昭和五十三年の日米合同委員会において、国家公務員と同時同率で実施するとの合意がなされ、毎年、米側と調整の上、基本的には国家公務員と同率の改定が行われるものと承知しています。

山井委員 続いて、順番に質問をいたします。

 駐留軍等の労働者の雇用環境は、使用者が米軍であることから十分な保護が行き届いていない懸念があります。駐留軍等の労働者に労働基準法は適用されるのでしょうか。不利益を被っていることはないのでしょうか。お答えください。

加藤国務大臣 駐留軍等労働者の労働条件については、日米地位協定第十二条第五項の規定で、雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、別段の合意をする場合を除き、国内法令で定めるところによらなければならないとされており、駐留軍労働者についても我が国の労働基準法が適用されるものと承知をしております。

山井委員 続いて質問をいたします。

 漁業離職者が発生した場合は、国土交通省の支援などが行われていると聞いております。国土交通省と厚生労働省はどのように役割分担をしておられますでしょうか。

加藤国務大臣 国交省と厚労省の役割分担でありますが、減船に伴い発生した離職者が船員になろうとする場合は国土交通省において支援が行われ、船員以外になろうとする場合には厚生労働省が支援を行う、こういう役割分担となっております。

山井委員 本法は五年ごとに延長しているが、恒久法にしない理由は何でしょうか。私も二十三年間議員をやっておりまして、ほとんど厚労委員会におりますけれども、何度もこの議論をしております。なぜ恒久法にしないのか、その理由を、加藤大臣、お答えください。

加藤国務大臣 まず、こうした法律をお願いしているのは、国際環境の変化などに伴う国の政策変更によって離職を余儀なくされた者であり、国際環境の変化に対応して取られる特別の対策ということで、こうした法律をお願いをしているところであります。

 その上で、今後の国際環境の変化等に伴う離職者の発生について長期的な見通しを立てることはなかなか難しいところでありますし、雇用への影響を中期的に捉えていく必要もあります。

 これまでも、状況を的確に把握した上で、その必要性や内容について改めて国会で御議論いただく必要があるということで、五年の期間とし、その都度都度、国会での御判断をお願いしている、こういうことでございます。

山井委員 特別給付金支給法改正案については、五年ごとの交付に変更した理由、今お答えをいただいたわけですけれども、その支給対象者数と年齢構成の推移を示してください。

加藤国務大臣 済みません。先ほどのものは、特別給付金というよりは、駐留軍と漁業者の関係でございます。

 その上で、今御質問でありますけれども、戦没者等の妻に対する特別給付金は、国としての慰藉の念が受給者の方々に一層実感されるよう、制度創設以来、交付国債という形のあるもので支給をしております。

 対象となる戦没者の妻の方の高齢化が進んでおります。それを踏まえ、国債の交付という国として慰藉を行う機会を増やすとの観点から、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式に改めたものでございます。

 なお、こうした改正は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金等においてもこうした方式を取っているところでございます。

山井委員 今、国債という形になっているのが、これは非常に特徴的だと思うんですね。

 この配付資料にもありますように、結局、支給は、十年償還の無利子の記名国債の交付により行われ、毎年の償還日に均等に支払いを受ける、金額は、支給回数に応じ、二十万、六十万、百二十万、百八十万、二百万、こういうふうになっているということであります。

 これは、様々なことを議論された上でだと思いますが、支給の方法として、国債の発行以外の方法というのは検討されたんでしょうか。

加藤国務大臣 平成二十七年から三十年にかけて、特別給付金の受給者である戦没者等の妻を含め、関係者にこうした支給の方法について御意見をお伺いしたところ、国債による支給がよいという御意見を多くいただいたことから、それまでと同様に、国債の交付という形で続けているところでございます。

山井委員 今後、当然、対象者がどんどん減っていくというふうに考えておるわけなんですけれども、この支給の方法として、これは賛否両論はあるんですけれども、今、マイナンバーカードというものが普及をしてきているわけであります。そして、メリットデメリット、プラスマイナスはあるとは思いますけれども、一つのアイデアとして、支給の方法として、マイナンバーカードで指定している口座への入金をできるようにした方が、受け取る側の利便性が高いのではないかという意見もあるわけであります。

 この点について、加藤大臣、いかが思われますでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘のように、今回の改正により特別給付金の支給対象となる戦没者の妻の方、人数的には約五千五百人、平均年齢は九十歳代後半ということでございます。そうした事情もいろいろ考えていく必要はあろうかというふうには思いますが、先ほど申し上げた、そうした関係者の御意見、また、国債を毎年償還することで国からの慰藉を継続的に実感していただいている、こういうお話もございますので、今回は従前どおりの方法で対応させていただきたいと考えております。

山井委員 私もこだわるわけではありませんけれども、今後、こういう国債という支給の方法を考え直す可能性というのはあるんでしょうか。それとも、当面は、今おっしゃったように、特に変える検討ということはされないということでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた、過去においても関係者の方の御意見も聞いた上で判断をさせていただいたということでございますので、また、今回は従前どおりでありますが、次回に当たって、そういう声が出てくる、また、多分人数も相当減ってくるんだろうというふうに思いますので、そうした状況を踏まえて、どうすべきか、関係者等の話もよく聞きながら考えていく必要があるとは思います。

山井委員 この特別給付金支給法改正案について、十年で考えた場合、前回から二十万円増額をされているというわけであります。私も増額自体には賛成をしておりますが、この二十万円という増額の額については十分と考えておられますでしょうか。

加藤国務大臣 今回の支給額の増額については、昨今の物価の上昇を含め、償還額が据置きとなっている平成十五年以降の社会経済情勢の変化などを総合的に勘案して、現行の年額二十万から年額二十二万に増額することとしたところでございます。

 十分かという意味においては、これは、先ほど申し上げたように、さきの大戦で夫を失った精神的な痛苦に対する特別の慰藉を行うものでございますので、それで十分かどうかという御議論はいろいろあろうかと思いますけれども、今回は、今申し上げた事情で増額を行うこととしたところでございます。

山井委員 先ほど、駐留米軍の離職者の特措法の改正について、五年ごとの延長を恒久法にしていない理由というものについて御答弁をいただきましたけれども、これは今後も基本的にはずっと五年ごとなのか、今後、恒久法にしていく可能性というのはあるのでしょうか。いかがですか。

加藤国務大臣 こうして、先ほどちょっと御説明させていただいたように、五年ごとに見直しをさせていただいているというのは、なかなか、国際環境、今後の状況が見通しにくい、そういう中で、通常の失業者に比べて特別な扱いをさせていただいておりますから、その辺の御判断というのも定期的にいただくことが必要ではないかというふうには思っていますけれども、ただ、法律の作り方が、これからもこれでいくのかどうか、この辺はまたいろいろな御議論はあるのではないかというふうに思います。

山井委員 最初に質問した離職者等の特措法の改正案について、駐留軍等の労働者の賃上げの水準、これは、今朝のニュースを見ておりましても、派遣労働者は余り上がらないとか、中小は上がらないとか、大企業で好調なところは上がるとか、かなりばらつきが当然あるわけなんですけれども、そういう中で、使用者が米軍であるわけですよね、そういう中で、この賃上げということに関して、先ほども答弁いただきましたけれども、それを、より多く賃金を上げていく、そういうふうな工夫というのは何か検討の余地はございますでしょうか。

加藤国務大臣 給与の改定についての考え方は、先ほど申し上げたように、国家公務員と同時同率で実施するという合意がなされているところでございますので、それにのっとって対応していくということになろうかと思います。

 ただ、その上で、例えば、正規というんでしょうか、そういう働き方とそうでない働き方、その辺のバランスをどうするのか等については、るる、これまでも防衛省において在日米軍といろいろお話がされているものと承知をしております。

山井委員 先ほど、使用者が米軍であることから労基法の問題をお聞きしましたけれども、どちらがいいというわけではありませんけれども、やはり、アメリカ的な労働、雇用のルール、環境、そして日本的なもの、そういうものの当然、差はあるんですけれども、もちろん、日本の国内にもたくさんの外資系企業があるわけですけれども、こういう使用者が米軍であるという理由によって日本の労働者に比べて何か不利益を被っているとか、そういうふうな問題というのは特にございませんでしょうか。

加藤国務大臣 使用者が外国の資本であるとか、あるいは在日米軍だからということというよりは、まさに、在日米軍であるということで、先ほど申し上げた、仕組みとして、日米地位協定に基づいてそうした労働契約がなされているということでございます。

 それについて、まだ一部の事項で、駐留軍等労働者の労働条件について合意に至っていないものがございます。例えば三六協定の締結届出等々でございますから、これについては、米側と防衛省が鋭意調整を進めていると承知をしておりますので、私どももそれに対して協力をしっかり行っていきたいと考えております。

山井委員 また後ほど、時間がありましたら、この閣法の議論に戻らせていただきたいと思います。

 それでは、少し話題を変えまして、昨日も、この十七ページ、最後のページにありますように、エホバの証人の元二世の方々が、むち打ち被害、六割がうつ病などの後遺症ということで、記者会見を開かれました。私も直接お目にかかってお話をお聞きしました。私も、この間、過去半年ぐらいに、統一教会の被害者の方々二十数人、エホバの証人の被害者の方々十数人とお目にかかって、平均一人二時間ぐらい、ずっとお話をお聞きをしました。

 先ほども言いましたように、私も、高校が京都の洛南高校という東寺の中にある仏教の高校でして、そこで、社会の雑巾になりなさいという指導を受けて、仏教精神をよりどころに福祉や政治の道を歩んだ人間でありますから、宗教というのは非常に人間にとって大切なものであると思いますし、信教の自由は守るべきものであると思っております。しかし、一方では、それが、残念ながら、統一教会やエホバの証人のように児童虐待という問題になってくると、やはり子供を守ることを考えねばならないと思いますし、そういうことに関しては、これは本当に超党派で、何とか子供たちを守るために国会でも議論をできればというふうに思っております。そういう立場から質問をさせていただきたいと思います。

 最初の、この二ページを見ていただきたいんですけれども、実名の方でありますが、小松猛さん、この方にも先日会ってお話をお聞きしました。エホバの証人の忌避についての実体験、つまり、エホバの証人というのは、入信した後、脱会すると言ったら、家族からも口を利いてもらえない、そして信者さんからも口を利いてもらえない、それが一生続くと。

 こういうことに関して、ノルウェーなどでは、こういうやり方というのは人権侵害に当たるのではないかという指摘すら出ております。

 そして、かつ、それが未成年であっても、二ページにありますように、高校時代、教義に反発し交際したと。交際禁止なんですね。それで、排斥処分、忌避のことでありますけれども、未成年なのに家族がもう口を利いてくれないと。

 こういうことは児童虐待に当たるということを、先日、早稲田議員の質問に対して、加藤大臣も答弁していただいております。

 それで、この三ページにも、脱会した宗教二世が母に会えない過酷な現実とかということが書いてございます。

 そこで、昨日の記者会見の話ですが、ここにありますように、もう一回、十七ページ、一番ラストに戻りますが、この方々が顔出しで記者会見をされたわけであります。

 それで、詳しい内容は、その前の十五ページに、加藤勝信厚生労働大臣宛ての、子供への体罰、むち打ちに関するアンケート調査結果報告ということで、エホバの証人児童虐待被害アーカイブの代表の綿和孝さん、広報の奥田咲里栄さん、そして外務の手塚麻子さん、奥田さんは本名ですけれども、綿和さんと手塚さんは仮名になっておりますが、提出をされました。

 それで、これは、調査は二〇二一年の九月から二〇二一年の九月三十日まで一か月ぐらいでありまして、一年半ぐらい前だということであります。それで、様々なことが書かれております。ここにその七十ページの報告書がございます。

 それで、幾つか問題があるんですけれども、簡単に読み上げますと、結局、一九七〇年から一九九〇年生まれの方がボリュームゾーンですけれども、二〇〇〇年代生まれの回答者もいるため、かなり幅広く行われていたのではないか。また、最近聞いた話では、今ではむち打ちはかなり少なくなっている、あるいは行われていないという説もありますけれども、手でたたくというような、そういうふうなこともまだ残っているのではないか、そういう指摘も出ております。

 回答者の四分の三が未就学児の頃からむち打ちを受けています。それで、深刻なのは、回答者、これは二百人以上のアンケート、二百五十五人のアンケートです。その中で、半数以上が今も後遺症を抱えておられる。

 だから、強調したいのは、今の話であるということなんです。

 かつ、その次の十六ページに行きますが、信者が集まり、集う集会、大会で公然とむち打ちが行われていた。幹部がむち打ちをするように指示をしていた。それで、子供へのむち打ちを啓蒙するための制作物、イラスト等があったということで、組織的に行われているのではないかということが指摘をされております。

 それでは、その幾つかを見てみたいんですが、まず、配付資料の八ページを見てください。

 左にありますように、先週、ドイツではエホバの証人の施設の銃撃事件が起こりまして、六人が死亡して、元信者の容疑者は自殺いたしました。

 その横にありますように、むち打ちの終わる時期ですね。就学前から始まって、ここにありますように、中学、高校までむち打ちをされる。

 これは私も口で言うのははばかられるんですけれども、下着を下ろして四つんばいになってむちで打たれる。それで、中学、高校まで続いていたケースもある。

 それで、後遺症なんですね。人格形成にネガティブな影響があった。精神的な後遺症がある。子供は欲しくない。

 次に行きます。次の九ページ。

 一回のむち打ちの回数なんですが、三回が三十二人、五回が三十二人、十回が四十七人、三十回が二十三人、多い人は一回に三百二十回たたかれた人もいる。

 それで、その次、九ページ。

 じゃ、むち打ちの際に付随して行われたことについては、自分で下着を下ろしてお尻を出す。泣き叫ぶとむち打ちの回数が増える。むちが終了した後、いつまでも泣いているとまたむちをされる。

 これは私は本当にひどいと言わざるを得ないと思います。

 そして、むち打ち後に、ありがとうございました等の挨拶が決められていた。むち打ち前に、お願いします等の挨拶が決められていた。

 それで、また、次の十ページ、お願いいたします。

 じゃ、どういうことをしたらむち打ちをされたのか。分かりやすく赤丸をつけました。十ページ左。世の子と放課後に遊んだ。世の友達と遊んでいた。学校の子と遊んだ。学校終わってすぐ帰らず友達と遊んだ、世の交友は神との敵対という理由で。

 これ、意味分かりますか。世の子供と遊んだ、つまり、エホバの証人以外の子供と遊んだら、むちを打って叱られた。これはちょっとあんまりじゃないかと思います。

 それと、十ページの下。エホバの証人を子供がやめたいと言ったら、むちに打たれた。

 次のページ、お願いいたします。十一ページ。ちょっと急ぎます。

 その結果、どういう障害が出たか。赤丸。人を信じない。人づき合いができない。人を信じない。対人関係で基本的に恐怖がある。人間不信。友人がほとんどいない。人が怖い。

 そして、その結果、今どういう症状か。順番に読み上げます。うつ。うつになった。うつになった、うつで入退院を数年繰り返した。うつ病、摂食障害、フラッシュバック。診断されてきた病名、社会的立場、うつ病、強迫性障害、パニック障害。むちのせいでパニック障害になった、精神科に通院しています。エホバを抜けた今でも精神科にかかっている。

 だから、よく、過去の問題でしょうという議論があるんですけれども、今も被害が続いてしまっています。

 それと、十二ページ。これも急ぎます。

 じゃ、どこで行われたのか。集会、エホバの集会の中で。集会中では入れ替わり立ち替わり子供がトイレに引きずっていかれ、泣きじゃくったりおえつしていた。集会で子供たちが泣き叫びながらむちに連れていかれるのが日常茶飯事だった。

 一時間、二時間、座って聞いているのを、子供たちはごそごそしたりする。そうしたら、トイレとか別室に連れていって、むち打たれる。

 第二会場やトイレがむち打ち場所になっていた。エホバの王国会館にはむちが備え付けてありました。エホバの会館のトイレに専用の備付けむちが常備されていた。集会会場にむちが完備されていた。こういうことでございます。

 ついては、加藤大臣、質問させていただきます。

 先週、早稲田議員からの質問に対して加藤大臣は、エホバの証人に対してヒアリングをすると答弁をされましたが、本当に非常に深刻な問題ですので、できるだけ早くヒアリングをすべきと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 エホバの証人の法人関係者の方から団体としての認識、事情等について話を聞くことも大事と認識をしている、その旨、先般、早稲田議員の質問にお答えをさせていただきました。

 相手がございますので、具体的な日程を現時点で申し上げることはできませんが、なるべく早く直接会って確認をする機会を得ることが重要だというふうに思い、引き続き調整を図っていきたいと考えております。

 なお、厚労省としては、先日もお答えしましたが、平成二十四年発出の輸血拒否事案への児童相談所等の対応に関する通知の再度周知をするための通知の発出、調査研究等により、輸血拒否の状況も含めた宗教が関係する児童虐待の実態の把握、これについても今後しっかりと行っていきたいと考えております。

山井委員 とにかく、もちろん信教の自由はありますが、児童虐待は絶対防止をせねばなりません。

 それで、次の十三ページを見ていただきたいんですけれども、これは仮名ですけれども、阿部真広さんという方が二〇一九年に抗議文をエホバの証人に送られた。その正式な、山口広弁護士の、代理人としての抗議文がございます。勇気を持ってこのような抗議、告発をされた方、私もこの御本人にお目にかかって、了解をいただいてこの資料もお配りをしております。

 簡単に読み上げをさせていただきますが、この方は当時三十六歳、二〇一九年十月十日で。それで、どういう被害があったか。残念ながら、厳しいんですね。十三ページの五行目。

 私が小学校二年生のある日、集会に行きたがらなかった私に母が逆上し、無理やり行かせるために体を引きずられて、それでも抵抗していると、母は、言うことを聞かないから○○(男性器のこと)を切ると言い、無理やりズボンと下着を脱がされました。抵抗し、泣きながら、やめてくれと言いながら逃げようとしましたが、台所に連れていかれ、台所の引き出しから料理に使うはさみを取り出して性器に押し当てられました。母は本気で切り取ろうとしているように見えました。何とか必死に抵抗して逃げたので性器は無事でしたが、恐怖から、集会には行きました。今でもこのときの記憶は鮮明で、夢に出てくることもあります。二年生頃から不眠が始まり、なかなか寝つけないようになりました。

 やはり、余りにもちょっと、ひど過ぎると思います。

 それと、その次のページ、十四ページにもありますように、これはまた、中学生になった頃ですかね、ドライブに連れていってもらったと。

 ドライブの後半から、私が宗教活動に参加しないと言ったことに関する話題になると、本当に行かないの、お願いだからお母さんのために行ってとか、あなたが神様に滅ぼされることになるんだよと母が言い、母が本気で教団の教えが正しいと信じているために、母が苦しいのは分かっていましたが、私はそれでも、行かないと静かに答えました。私がそう答えると、母は目を腫らしながら感情的になっていき、どんどん運転が荒くなっていきました。何もないところで急ハンドルを切ったり、車のスピードも上げていき、一般道でしたが、時速八十キロを超えていました。母はふだんそのようなスピードで一般道を走ったことはありません。危ないよ、どうしたのと私が言うと、あなたが集会に行かなくなって神様に殺されるくらいなら今一緒に死んだ方がいいと母は言いました。

 こういうふうなこともあったわけであります。

 こういうふうな現実、もちろん過去のこととはいえ、今、この後遺症でも大変多くの方がこういうふうなケースで苦しんでおられます。

 そこで、このエホバの証人の被害者の方々から一番多い要望が、輸血拒否の問題なんです。

 この今日の四ページを見ていただければと思います。右上。聖マリアンナ医科大学事件。一九八五年六月六日、これは大ちゃんというお子さんのことなんですけれども、十歳の男児がダンプカーに接触し、転倒し、両足を骨折し、骨が出て露出した、しかし、エホバの証人の信者の両親が輸血を拒否して、男児は、男の子は約五時間後に出血多量で死亡したということであります。

 これについては、最後のページにあります宗教的輸血拒否に関するガイドラインも出ておりますけれども、是非とも、加藤大臣、エホバの証人の未成年の子供が十五歳以上であっても、大けがをし、緊急に輸血をしないと命が助からない、しかし、本人は輸血拒否カードを持ち、付き添う保護者もエホバの信者で輸血拒否を医師に要望し、子供の輸血に反対する場合でも、緊急時には医師は児童相談所に相談しなくても輸血をすべきと考えるが、救命のため輸血を医師がしても法的に問題ないと、加藤大臣、明言すべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 個々、事例事例がございますので、法令上の違反があるかないかを一概にお答えするのはなかなか難しいことは御理解いただいておりますが、仮に、緊急時に救命のために親の同意を得ずに子供への輸血を行った場合には、民事上、刑事上の整理は別として、私ども所管する関係でいえば医療法等の衛生法規がございますが、そういったものに違反するものではないというふうに認識をしております。

 また、児童相談所においても、児童相談所所長は、児童の生命身体に危険が生じている緊急事態であるにもかかわらず親権者等による医療行為への同意が得られない場合には、一時保護等を実施することにより、児童相談所所長等が医療行為に同意し、医療機関が必要な行為を行うことができるとしておりまして、事案の内容にもよりますが、数時間程度で判断が行われているということでございますので、こういった対応も含めて、的確な、こうした事案に対して適切な対応を図っていきたいと考えています。

山井委員 やはり、児童相談所に親権停止の問合せをしたりしても数時間かかったりしますから、間に合わないケースもあるわけですね。やはり、そういう緊急事態においては、子供の生きる権利というものは政府、国会が守っていかねばならないと思います。

 加藤大臣、この辺りのことを整理をして、通知という形で出していただくことはできませんでしょうか。

加藤国務大臣 これまでも、私ども、あるいは関係学会からも、ガイドライン等をお示しをさせていただいていると承知をしておりますが。

山井委員 これは信者の方々にとっては非常に命に関わる問題ですので、御検討いただければと思います。

 それで、加藤大臣は、今お聞きをいただいたような未成年へのむち打ちや、脱会した未成年に対して家族や信者が口も利かず無視する忌避は児童虐待に当たると答弁されていましたが、それらの防止をエホバの証人の団体に働きかけるべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 先ほども、エホバの証人の法人担当者と会って確認する機会を得るよう調整したいと申し上げましたが、そうした機会が得られた際には、宗教の信仰を背景とする場合であっても児童虐待は許されるものでないこと、また、QアンドAの内容を説明し、具体的にどのような事例が児童虐待に当たるのか、こういった厚労省としての問題意識、これをしっかりと説明したいというふうに考えております。

 厚労省としては、特定の宗教に限らず、保護者の信仰などを背景とした児童虐待が行われること、これは決してあってはならないわけでありますので、考えられるあらゆる手、手段を尽くして対応していきたいと考えています。

山井委員 加藤大臣を先頭に、児童虐待防止対策室長の羽野室長、二ノ宮室長補佐を始め、この間、この問題は、本当に被害者の声も聞いていただいて、QアンドA、画期的なものだと被害者の方々も大変感謝しておられます。そういうリーダーシップを持ってやっていただいていること、非常に感謝をしております。そういう意味では、是非とも、引き続き、信教の自由は当然守るという大前提の下、やはり児童虐待というものは阻止していかねばならないというふうに思います。

 先ほどの輸血拒否の質問に戻るんですけれども、結局、多くのお医者さんからも聞かれるんですね、心配だと。加藤大臣、ダンプにお子さんがひかれた、輸血拒否カードを持っておられる、親は輸血するなとエホバの証人で言っている、児童相談所に相談する時間はない、当然、お医者さんとしては命を救いたい、輸血が必要だ、こういう場合は、ストレートに念のためお聞きしますが、加藤大臣、医師の方は輸血をしていいんですよね。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 基本的には、もちろん、患者御自身、あるいは患者が未成年の場合には親権者というんでしょうか、方の同意を得るということになろうかと思いますけれども、そうした同意が取れないような事態というのはいろいろあろうかと思います。その際には、医療上の必要性をよく御判断して、最適な御判断をしていただければと思っております。

山井委員 本当に結局、もうそこで輸血しなかったら死ぬケースが当然あり得るわけですよね。そういう意味では、加藤大臣の今の答弁によって救われる命というのは私は本当にあるのではないかと思っております。

 それで、子供には当然生きる権利がありますよね、生まれてきた以上、当たり前の話。でも、親は、輸血拒否、輸血すると地獄に行きますよ、そういう教えだと聞いております。やはりそのときに、もちろんお子さんの人生も重要だし、お医者さんもそこで輸血することができなくて、みすみす助かる命が助からなかったということで、お医者さんにとっても大変つらい目に遭われると思うんですね。

 これは、加藤大臣、お答えしていただければなんですけれども、信教の自由と子供の命と、てんびんにかけるような話になってくるわけなんですけれども、やはり是非、厚生労働大臣として、様々なことはあるけれども、やはり子供の命を守ることが最優先だ、そういうふうな厚生労働大臣としてのメッセージを一言、答弁いただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 医療現場における判断は先ほど申し上げたことなんだろうと思います。一般論の中で、なかなか宗教の自由とそれから今おっしゃった命を守るということ等含めてどう考えるかというのは難しいかもしれませんが、ただ、子供に対して、それをどう守っていくのか、そして、根底にある、それが児童虐待になること、これは絶対あってはならない、そういった考え方に立って私どもとしては、先ほど申し上げたように、でき得る限りの手段を尽くして子供たちを守っていきたいと考えています。

山井委員 もう終わらせていただきますけれども、最初も言いましたように、私は、宗教というのは非常に大切なものであって、自分も宗教で、心のよりどころにしております。高校時代の仏教の教えというのは私の心のよりどころで、宗教はすばらしいものだと思っているんですけれども、やはり、それによって失われる命があっては絶対ならない。やはり宗教というのは人の命を救うものだと私は信じております。そういう意味では、もしできたら、今の加藤大臣がしていただいた前向きな答弁というのを何らかの通達か通知の形に、今このエホバの問題、統一教会の問題は非常に大きくなっておりますので、信者の方々に安心してもらうためにも、通知を出していただければと思います。

 繰り返し申し上げますが、未成年のエホバのお子さんたちは、今日、明日、大事故に遭って緊急輸血が必要になったときに受けられない危険性が残念ながら今あるんですね。そんなことはないよ、そういうメッセージを通知ででも出していただければと要望させていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 通告に従いまして、質問をさせていただきます。

 まず冒頭でございますが、先ほどの山井議員の加藤厚労大臣との質疑の中で私も思うところがございますので、一点だけ申し上げたいと思います。

 前回、加藤厚労大臣は、エホバの証人について、関係者からヒアリングをしていただくと。更に今日、踏み込んでいただきまして、早い段階で調整をしたいということも言っていただきました。是非これを強く私も要望させていただきます。

 この間の質問の後、メールも随分いただきました。その中でお一人が、親戚がこのエホバに入っていらして、そして子宮頸がんで輸血を拒否した、そのことによって、手術をなさったけれども三十五歳で亡くなりましたということでありました。その妹さんは、やはりエホバに入信をして、更にエホバの方と結婚をされて今暮らしているけれども、生活が大変だということも私の方で聞いております。

 こうした大人の輸血拒否ということもありまして、それは御自身の信念に基づいてやられたこととはいえ、大変、医療現場も、そこの場では混乱をすることだろうと思いますし、本当に救われる命がこうしたことで亡くなるということがあってはならないと思います。先ほどの壮絶な子供たちのむちのアンケートにも書かれていることでありますけれども、やはり、子供たちの命を守るために厚労省が一丸となって今進めていただいていることに敬意を表し、さらに、素早く次の行動を起こしていただきますよう心からお願いをいたします。

 その上で、駐留軍関係等の臨時措置法について伺ってまいります。

 私たち立憲民主党は、結党以来、日米地位協定の抜本的な見直しを求めております。見直すべき重要な課題の一つが、この日米地位協定に基づいて定められております駐留軍労働者の雇用や労働条件についてであります。現在、約二万五千八百人ぐらいおられます。その中で、雇用や労働条件における様々な問題が発生をしております。

 今回、この臨措法の延長の改正は、米軍基地再編によります駐留軍労働者の離職リスクをカバーするためには是非必要だと思っています。二〇二四年には、米軍海兵隊のグアム基地移転も始まるというふうに言われておりまして、返還対象の沖縄の基地、このグアム移転による基地の駐留軍労働者は四千人いらっしゃると言われておりますけれども、これについても現在まで、雇用への影響がどういうふうになるのか、そうした情報も一切知らされていないということでありますので、大変不安が広がっているわけです。この離職リスクをカバーするため、失業という立場から、以下、質問させていただきます。

 前回の改正、二〇一八年でありましたが、そのときに参議院の厚労委員会において、以下のような附帯決議が付されております。

 「三、また、同様の観点から、駐留軍等労働者について時間外労働等に関する労使協定の締結及び行政官庁への届出等、我が国の労働法令の趣旨に則った所要の措置を労務提供契約に盛り込むこと等について米国との協議を進め、早期に改善を進めること。」とあります。

 この附帯決議の遵守の状況についてお尋ねをしてまいります。

 防衛省からも木村政務官にお越しをいただきました。

 まず、駐留軍労働者について我が国の労働法令が適用されていない措置は、三六協定の締結がないままに時間外労働それから休日労働が常態化していること、これは労基法の三十六条違反であります。就業規則の作成、届出をしていない、これは八十九条違反。それから、労働安全委員会が設置をされていない、これは労働安全衛生法十七、十八、十九条違反になると思いますが、この三項目以外にもあるのではないかと思われますが、政務官に伺います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 駐留軍等労働者には日本の労働関係法令が適用されますが、御指摘の三項目につきましては日本の労働関係法令に合致していない状況であり、現在、日米合同委員会の下の労務分科委員会やその他の日米協議の場において引き続き調整を行っているところです。

 また、それ以外の項目については、日本の労働関係法令に合致していないものはないと認識しております。

早稲田委員 三項目については今協議中、そしてまた、三項目以外にはないとお答えになりました。

 日米合同委員会の下部機関に労務分科委員会が設置をされておりまして、これには厚生労働省の関係部署が参加をしていると承知しておりますが、労働法令の所管の厚労省として未適用措置の全容を把握すべきと考えますけれども、これについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 駐留軍労働者の労働条件については、日米地位協定において、日米間で別段の合意をする場合のほかは国内法令で定めるところによるものとされております。

 具体的な条件については日米間で締結している労務提供契約において規定し、その内容については、防衛省と米国側で調整を行い、全駐留軍労働組合の同意を得た上で決定されているものと承知をしております。

 今、日米間で合意に至っていない労働条件の具体的な事例を挙げておられましたが、これらについては、駐留軍労働者の雇用主である防衛省において把握をし、米国側と調整を進めていると承知をしており、厚労省としては、防衛省に対して、そうした調整を進めるに当たっての必要な、また適切な協力を行っておるところでございます。

早稲田委員 防衛省が協議を行っているということを大臣はおっしゃいましたが、それでは伺いますが、全駐留軍労働組合によれば、労働基準法百一条の労働基準監督官の立入り権限も違反ないし未適用ではないかということですが、その点についてはいかがでしょうか。まず防衛省、伺います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 駐留軍等労働者が勤務する米軍施設・区域内の作業場への労働基準監督官による立入りについては、日米間で締結する労務提供契約にも記載されているとおり、米側との調整の上で立ち入ることが可能でございます。

早稲田委員 今、米軍との調整の上でということでありますが、この労働基準法百一条は、労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者から尋問を行うことができるということですね。それで、立入りなどを拒んだり妨げたりした者は労働基準法により処罰される場合もあると書かれております。その労働基準監督官の立入り権限というのは非常に重いわけです。

 にもかかわらず、今おっしゃったのは、労働基準監督署に立入り権限があるといっても、実態としては基本労務契約に基づいて前もって米軍との調整が必要で、米軍の許可なく立ち入ることができないとなれば、今申し上げた百一条の趣旨にのっとった所要の措置とは言えないのではないかと考えますが、大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 個別の事案はお答えを差し控えますが、労働基準監督官は、労働基準法に基づき、米軍基地を臨検することができると規定をされているところであります。

 ただ一方、今防衛省からも説明がありましたように、日本国政府と米国間で締結された労務提供契約により、立入りに当たっては事前に在日米軍から同意を得ることになっており、厚労省としては、政府の一員として、この契約などを踏まえて対応する必要があるというふうに考えております。

 もっとも、駐留軍等労働者の労働条件が国内法令に照らし問題がない内容となるよう、適切な監督指導を行っていくことは重要でありますので、政府としては、今後とも、防衛省と連携を図りながら適切な対応が図られるよう努力をしていきたいと考えております。

早稲田委員 問題があるから伺っているわけなんです。しかも、個別の事案ではございません。

 労基署が一般企業に立ち入る場合、前もって使用者などとの調整はしますか、大臣。しませんよね。こんなことをされては証拠隠滅もされてしまいますし、立ち入るそもそもの意義が失われてしまうからです。前もって米軍との調整が必要で、米軍の許可なく立入りができなくなるとすれば、証拠隠滅の可能性も、隠滅する時間も十分にここに確保されることになり、本当に百一条に基づいた意義が失われると思いますけれども、大臣の、労働法制を所管する立場として、そのことについての、意義が失われるのではないかということについて御見解を伺います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、労働基準監督官が労働基準法に基づき米軍基地に臨検することはできる、ただ、それに当たっては、事前に在日米軍から同意を得ることになっているわけではありますけれども、ただ、大事なことは適切な監督指導を行っていくということでありますから、引き続き、監督指導が適切に行っていけるように、我々としても防衛省とよく連携をしていきたいと考えております。

早稲田委員 今の御答弁では大変残念です。労働法制、国内法令、労働の法令が適用されるといいながら、全然抜け落ちております。

 それでは、令和三年四月から施行された改正高年齢者雇用安定法によりまして、七十歳までの就業確保措置を取ることが努力義務となりましたが、駐留軍労働者についてはどのような措置が取られるのでしょうか、伺います。

木村大臣政務官 令和三年に高齢者雇用安定法が改正され、七十歳までの就業機会の確保が努力義務とされたことを受け、国家公務員においてどのような制度改正を行うか検討が行われているものと承知しております。この検討の状況を踏まえつつ、駐留軍等労働者に係る制度改正についても、引き続き、組合の御意見等も伺いながら検討を行い、米側と協議を続けてまいります。

早稲田委員 ということは、まだ未適用ということですね。そうすると、三項目と変わらないわけです、今まで申し上げた三項目と。

 それでは、今まで申し上げた三項目と、どのようにそれは違うんでしょうか、伺います。

木村大臣政務官 今申し上げましたが、今回の御指摘の駐留軍等労働者についても、引き続き、組合の意見等を踏まえながら検討を行って、米側と協議を続けてまいるということでございます。

早稲田委員 もう組合は意見を言っていますよね。全然協議が進んでいないからお聞きしているんです。お答えになっていないと思いますが。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 木村防衛大臣政務官。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、高齢者雇用安定法の改正を踏まえて、七十歳までの雇用、就業機会の確保が努力義務とされたということを受けまして、国家公務員において今どのような制度改正を行うかという検討が行われておりますので、それを踏まえた上で対応していくということでございまして、あわせて、今申し上げたとおり、組合等の意見も勘案しながら検討していくということでございます。

早稲田委員 それではお答えにならないと思います。

 それでは次に参りますが、引き続き、駐留軍労働者の賃金は国家公務員に準拠するものと承知しておりますけれども、本年の四月一日から施行される国家公務員の段階的定年延長、これは駐留軍労働者にも適用されるのでよろしいですね。

木村大臣政務官 駐留軍等労働者の定年年齢は、現在、国家公務員の定年年齢に倣い六十歳となっておりますが、今年四月より国家公務員の定年年齢が段階的に引き上げられ六十五歳になることを受け、駐留軍等労働者の定年年齢も段階的に引き上げ六十五歳とするよう米側と調整しているところであります。

 現時点において米側との合意ができておりませんが、引き続き早期に合意できるよう努力してまいります。

早稲田委員 今、もう三月中旬です。四月一日からの定年延長、これはもう望みはほとんどないということになりますよ、そうすると。

 国家公務員の段階的定年延長と、それから駐留軍労働者の再雇用制度、これは全く違います。ボーナス支給や諸手当に大きな格差があるわけです。このことを踏まえて私は伺っているわけで、しかも、駐留軍労働者は基本的に職務給制度ですね。そうしますと、定年前後で仕事の内容も責任も変わりません。変わらないということは、同じ職務給で働いている定年前の同僚と比べて、ボーナス支給、諸手当、これで大きな格差をつけることになってしまいます。

 これは大変問題でありまして、今度は、パートタイム・有期雇用労働法の第八条の均衡待遇、それから第九条の均等待遇に抵触するのではないかと思いますが、この点について伺います。

木村大臣政務官 厚生労働省の指針によれば、通常の労働者と定年後の有期雇用労働者の待遇の相違が不合理であるかについては、その待遇の性質、目的に照らし、短時間有期労働法第八条の職務の内容やその他の事情等を考慮して判断することとされております。

 このその他の事情については、これまでの判例により、定年退職時に退職金の支給を受けていること、一定の要件を満たせば高年齢雇用継続給付金や老齢厚生年金の支給を受けることが予定されていること、労使間の協議及び合意を経て制度が導入されたものであること、再雇用後の収入の安定に対する配慮が相応に行われていることなどが該当すると考えられます。

 駐留軍等労働者の再雇用制度においては、これらを満たしていることを踏まえると、常用従業員と高齢従業員、すなわち通常の労働者と定年後の有期雇用労働者との職務内容、責任、配置が同一であったとしても、手当の支給割合等について、両者が同一でないことは不合理とは言えないと考えております。

早稲田委員 不合理とは言えない。つまり、このパートタイム・有期雇用労働法が適用されているけれども、更に言えば、八条、九条は努力義務ではなくて義務であるわけですけれども、それでもその他の事情の方が勝るということですか。義務であるのに、この諸手当等を変えてしまうということは、格差があるということは認められないと思いますが、防衛省、いかがですか。

木村大臣政務官 繰り返しになりますが、駐留軍等労働者の再雇用制度においては、これらを満たしているということを踏まえますと、常用従業員と高齢従業員、すなわち通常の労働者と定年後の有期雇用労働者との職務内容、責任、配置が同一であったとしても、手当の支給割合等については、両者が同一でないことは不合理でないというふうに考えております。

早稲田委員 満たしていることをとおっしゃいますけれども、満たしているかどうかは誰が判断するんですか。

木村大臣政務官 防衛省において判断させていただきます。

早稲田委員 雇用者の、雇用主の防衛省が判断するということですか。本当に満たしているのかどうか、これは重大な案件ですから、しっかりともう一回考えていただきたい。この有期雇用の法によれば、これは、定年前の同僚と比べて格差があってはならないわけですから、そこのところをしっかりとやらないと大変なことになります。

 それでは、厚生労働大臣に伺いますが、これは義務である、八条、九条は、ということで確定をしています。具体的に、六十一歳になる駐留軍労働者が一名、この春に定年を迎えます。職務が変わらないのに、ボーナス支給率が下がってしまう。

 防衛省は、パートタイム・有期雇用労働法は適用されているというのに同じ職務給で働いている定年前の同僚と比べてこうしたボーナス、諸手当で格差がついていてもこれはほかの条件で満たされているからいいんだと言う。そういう実態を厚労省としては看過できるのでしょうか。

加藤国務大臣 まず、個別の事案について答弁するのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、正社員との待遇差については、様々な事情が総合的に考慮されて、不合理と認められるか否かが判断されるものと考えております。

早稲田委員 大臣に伺いたいのは、十八条のこの義務について、実態、現在の駐留軍労働者の雇用については踏まえられていない、抵触するのではないかということをお聞きしています。

加藤国務大臣 今、十八条とおっしゃった。十八条は多分、勧告とか指導の条文じゃないでしょうか。

早稲田委員 そうですね。

 パートタイム・有期雇用労働法に適用をされている、この八条、九条、これについてであります。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、ちょっと個別のことについては申し上げられませんが、基本的に、この適用については、そこに記載されている事情を総合的に考慮されて判断されるものと考えております。

早稲田委員 厚労省として、個別の事案というふうにおっしゃいますけれども、駐留軍労働者の非常に分かりにくい不安定な雇用、それから労働条件について、是非実態を把握していただきたいと思います。

 そして、十八条には、厚生労働大臣は、報告の徴収、それからまた指導、勧告をすることができるわけですから、是非、そうしたことも踏まえて、個別の事案と言わずに、これは、防衛省が雇用主でありまして使用者が米軍という、大変、間接雇用方式の不安定な状況でありますので、そこの内容、実態、これを把握していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。

加藤国務大臣 個々に対応しないと言っているわけではなくて、個別の内容についてここで答弁するのは差し控えさせていただくということをまず申し上げているところでございます。

 パートタイム・有期雇用労働法の違反が認められる場合には、同法に基づく報告徴収などを通じて指導等を行い、法の履行の確保に努める、これは私どもの立場でございますので、その立場にのっとって、もちろん、駐留軍労働の場合には、先ほど申し上げた協定等のことを踏まえて対応するということはありますけれども、その下においても法の履行の確保はできるように努めていきたいと考えております。

早稲田委員 是非、防衛省と連携をする、協力をしてということですけれども、労働法制を所管する厚生労働省としてその実態をきちんと見極めていただきたいということを重ねて申し上げます。

 それから、先般、横浜地裁横須賀支部でありました元横須賀基地従業員による民事訴訟で、国の指定代理人でありました防衛省職員が、非公開の弁論手続を無断録音して、懲戒処分が下されました。このほかにも、駐留軍労働者から訴訟を起こされたケース、現在係争中のもので、全国でどのくらい抱えていらっしゃるんでしょうか。

木村大臣政務官 お尋ねの駐留軍等労働者、また駐留軍等労働者であった者が国を相手に提訴した訴訟については、現在、五件が係属していることを確認しております。

早稲田委員 五件も係争中ということであれば、雇用主としての労働者を守る立場の責任が果たされていないのではないかと考えますが、いかがですか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 五件の具体的な個々の内容については、係属中でありますので、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、駐留軍等労働者の労務管理については、引き続き適切に実施してまいるべく努めてまいりたいと思います。

早稲田委員 今のお答えは私にとっては疑問ですが、やはり、雇用主として防衛省がきちんと労働者を守っていくということを、使用者は米軍でありますけれども、その中でいろいろなそごが起きている問題を、やはり自分の労働者だということをもってやっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。決して米軍の言いなりにならないように、労働者を守る立場で、雇用主の防衛省の責任を果たしていただきたいということを強く申し上げておきます。

 そして、結局、何十年も未適用だと認めざるを得ない労働法の三つの事項以外にも、高年齢者雇用安定法とパートタイム・有期雇用労働法という二本の法令についても、労働者の立場から見れば、実態として未適用であると言わざるを得ません。さらに、労基法百一条も、実質的には適用されていないに等しいわけです。さらに、参議院での附帯決議の遵守、これも何ら改善もされておりません。いろいろ言い逃れに徹しられている防衛省には猛省を下したいと思います。

 大臣にも、厚生労働省としてこれまでの実態を十分に把握してこなかったことを反省し、駐留軍労働者における労働法令の未適用措置については、今後、包括的そして網羅的に実態把握を行うとともに、参議院附帯決議に基づく改善、上記二法の努力義務の早期実現において、防衛省に指導をしていただきたいと思いますが、お答えをいただきます。

加藤国務大臣 駐留軍等労働者の労務管理については、雇用主である防衛省において適切に実施していただく必要があると考えております。厚労省としても、必要に応じ、防衛省に対して労務提供契約に関する必要な情報の提供などの支援を行っていきたいと考えています。

早稲田委員 何か本気度が感じられない御答弁で、大変残念です。

 防衛省に防衛省にとおっしゃいますけれども、それでこの何十年も国内法令が適用されていないことは事実でありますから。そしてまた、これから高年齢者の処遇ということにもなってまいります。厚労省として政府全体として看過し難い事態であることは明白でありますので、大臣そして防衛省は深くこれを認識をしていただきまして、改善努力を今以上にしていただくように強く要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに戦没者等の妻に対する特別支給法等の一部を改正する法律案に対する質疑を行わせていただきます。

 これらの法律は、広い意味で戦後処理の問題と言ってもよいのだと思います。

 昨年の予算委員会第三分科会で、私は領土問題についても少しお聞きをしました。南樺太、千島列島についてははっきり述べていませんが、千島列島は、樺太千島交換条約によって平和裏に我が国が譲り受けたものであって、暴力及び貪欲により略取された地域ではありません、ましてや、日本固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島が、カイロ宣言に述べられた日本国の略取したる地域に当たらないことは言うまでもないことですと内閣府のホームページに記述されている点を指摘しました。

 これは、そのときに申し述べましたが、戦後、一部領有権に対する考え方を変えたものであったと承知しております。実際、南樺太は、欧米の地図なんかを見ると白になっていまして、どこの国の領有も及んでいない地域というのが国際的なコンセンサスであります。そういった部分、日本の固有の領土がどこからどこまでかということを、整理して変更した点は変更したということをはっきり表明すべきという趣旨での質問をいたしました。

 また、諸外国に比べて、米軍に対して圧倒的に主権の及ぶ範囲が狭くなっていることも同時に指摘をしまして、現在の日米地位協定を政府が見直すつもりがあるかということもその当時質問をいたしました。

 また、私は、以前から何回か空襲被害者の補償問題を取り上げて、質問もさせていただいております。後ほどこの点については質問させていただく予定ですが、これらの問題も含めて、戦後処理の問題は、現在まで手つかず、又はあえて放置されている問題も多数あるわけであります。今回の法律にとどまらず、全面的な戦後処理を進めていくべきであるというのが私の基本的な考え方であり、本日はあえて答弁を求めませんが、厚生労働省におきましても、そのような考えの下で戦後処理の問題を俯瞰して、根本的な解決を目指して行政を行うべきであると最初に申し上げておきます。

 それでは、具体的な法改正の内容についてお聞きします。まず、駐留軍関係と漁業の離職者に対する臨時措置法についてお聞きします。

 今回、双方の法律とも五年ごとの見直しになるとのことですが、その改正の必要についてお聞きします。それぞれの法律で、直近では何名の方が対象になっているのか、また、法律が制定されてからこれまで何名ぐらいがそれぞれ対象になってこられたのかを、大臣、お答えください。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、委員からお尋ねのありました実績の関係についてでございます。

 駐留軍の関係につきましては、直近の対象者といたしまして、この法律に基づいて支援をしている者として、令和三年度時点で三名ということでございます。

 また、直近の状況ということで、漁業離職者の方でございますが、現時点で、対象者については存在をしていないという状況でございます。

 そして、続きまして、これまでの数字ということでございますが、済みません、ちょっと失礼します、整理をして、またお持ちします。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 堀井審議官。

堀井政府参考人 大変失礼いたしました。

 これまで、法律ができてからの対象者の累計ということで申し上げます。

 まず、駐留軍の関係の離職者の方でございますが、新規の求職申込件数ということで数を捉えておりますけれども、その人数につきましては、十九万六千三百十八件ということになっております。これが、これまでの、法律ができてからの累計でございます。

 そして、漁業関係の方でございますが、これは漁業の離職者の求職手帳の発給件数ということで捉えておりますが、こちらの方につきましては一万五千八百五十九件ということでございます。

吉田(統)委員 できれば大臣からなるべく御答弁いただきたいのと、事前に整理できていたはずなので、時間を余り浪費しないように、政府参考人の方は特にお願いします。

 次に、では大臣、今後五年、そしてそれ以降のことも想定して結構なんですが、今回の法律の対象となる方が引き続きおられ、又は特殊な事情によって大幅に増加することによって、法律の必要性が大きくなる、あるいはなったということは、大臣、想定されていますか。

加藤国務大臣 いわば今後の見込みということなんだと思います。

 駐留軍等労働者については、今年一月の日米2プラス2の共同発表で、二〇二四年に開始される米海兵隊要員の沖縄からグアムへの移転を含む、米軍再編に係る二国間の取組を加速させる重要性が確認され、今後、離職者が発生する可能性があると承知をしております。

 これによる離職者数の見込みは、米軍の再編状況により、現時点で正確には申し上げられませんが、再編の実施のための日米ロードマップ、これは平成十八年五月のものでありますが、において土地返還等の対象となっている施設に勤務している駐留軍等労働者数は令和五年一月末現在で約四千二百人となっており、こうした方々が支援の対象になり得ると考えております。

 また、漁業関係については、今後、ロシア連邦政府等の二国間協定の相手国政府による規制の強化等による影響が懸念されるほか、マグロ類の地域漁業管理機関において、漁獲枠の配分の抜本的な見直しを求める議論が活発化しており、今後、我が国漁船の主要漁獲対象種の割当て量の大幅な削減等を余儀なくされる可能性もあるということでございます。

 この点についても、具体的な離職者の見込みは、今後の漁業交渉等の状況によるため、正確には申し上げられませんが、本法による支援の対象となる特定漁業にはロシアの沖合を含む地域での漁業、カツオ・マグロ漁業等も指定されているところ、現時点でこれらの特定漁業に従事する者の数は全体で約二千三百六十人となっており、こうした方々が支援対象となり得るというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 大臣、今、かなり詳細な御答弁をいただきまして、では、もう少し、これらの方への支援が必要な理由についてお伺いしていきます。若干今、大臣がおっしゃっていただいたことと重複するんですが。

 まず、駐留軍離職者法の方は、駐留軍等労働者の雇用は、近年比較的安定していると言われています。ただ、米国の安全保障政策の変更、米軍の機構の改編、部隊の撤退、縮小等の可能性があることから、その雇用は本来的に不安定なものである。平成十八年五月に在日米軍再編に向けて日米間でまとめられた再編の実施のための日米ロードマップに基づいて、在日米軍の再編が進められている。今後、沖縄県の八施設に勤務する約四千人の駐留軍等労働者の雇用に影響が生じることが見込まれる。また、今大臣おっしゃった、令和五年一月の日米安全保障協議委員会、2プラス2の共同発表においても、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画、平成二十五年四月に基づく嘉手納施設等返還の取組及び令和六年に開始される約四千人の米海兵隊の要員の沖縄からグアムへの移転を含む米軍再編に関わる二国間の取組を加速化させる重要性が確認されている。駐留軍等労働者の職種は千三百五十四職種と極めて細分化されていることから、離職を余儀なくされた場合に、他の職種への転換が必要となる可能性が高く、再就職が困難になるおそれがある。

 こういったことを説明されていますよね、政府は。

 また、漁業離職者法については、我が国の漁業をめぐる今後の国際環境について、カツオ・マグロ類の、まあ重複しますが、地域漁業管理機関において、沿岸国と遠洋漁業国の間での漁獲枠の配分の抜本的な見直しを求める議論が活発化している。我が国の遠洋漁船の主要漁獲対象種の割当て量の大幅な削減等を余儀なくされる可能性がある。ロシア連邦政府等の二国間協定の相手国政府による規制の強化等により、既に漁業離職者法に基づく特別の措置が講じられている沖合底引き網漁業やタラ等はえ縄漁業等を含め、協定に基づき入漁する我が国漁業者への影響が懸念される。今後もこうした資源の状況等による国際的な資源管理措置の強化、入漁相手国政府による規制強化等、様々な国際環境の影響を受ける可能性があり、結果として、我が国漁業者の操業機会が失われ、離職が発生する可能性がある。

 漁業離職者は船上という特殊な勤務形態で長時間従事しているほか、技能が特殊で他の職種には応用できないものであるため、離職を余儀なくされた場合には、他の職種への転換が必要となる可能性が高く、再就職が困難となるおそれがある等の見通しがある。

 これは政府の御説明ですね。

 しかし、それを前提とした上でお話をしたいんですが、終身雇用そのものが我が国でなくなってきている現在でありますので、一般の方の就職支援を超えて手当や就業支援を行うには、やはり再就職が困難という上記の理由のみでは少し弱いとも考えられると思うんですが、特に、政府として、大臣として、これらの方に就業支援や特別な手当が絶対に必要である、そう考えられる理由をお答えいただけますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたかもしれませんが、まさに二つだと思います。

 まず、国際環境の変化等に伴い離職を余儀なくされる方、特に国の政策、あるいは、相手国との交渉の結果等々によってということが一つと、それからもう一つは、その離職された方の再就職が、先ほど委員からも御説明があったと思いますが、端的に言えば、他の職種への転換がなかなかこれまでの経験からして難しい、こういった事情、そうしたことを鑑みて、特別な支援を行う必要がある。

 したがって、そういった判断について、五年ごとにこうして国会の御審議をいただいている、こういうことでございます。

吉田(統)委員 政府の今までの御説明以上の御答弁はなかったというふうに理解しますが。

 それでは、今回のこの法律は、駐留軍離職者については昭和三十三年、漁業離職者については昭和五十二年、それぞれ議員立法で制定されています。昭和五十八年以降は、いわば束ね法案として五年ごとに延長してきたと承知しております。

 しかし、漁業離職者は厳密にはここに入らないかもしれませんが、駐留軍関係者の離職者の問題は、そもそも戦後処理として米軍が日本に駐留していることから生じる問題です。また、現行でもこの制度の対象となる方が非常に少数にとどまっているということですので、もはやその歴史的な役割を終えたとも言うべき部分があると思います。

 つまり、もちろん、国のために駐留軍に勤務して、その職務の特殊性から再就職が難しいかもしれないということは対処が必要であるとは当然思います。しかし、そのような事態に対して、五年ごとにあえて臨時措置法を延長するというのが果たして正しい対応だと言えるのかどうかということを問いたいんです。

 例えば、恒久法に改めるとか、あるいは、法律ではなくて政省令など別の形で対応できるようにするとか、あるいは、先ほど御答弁も一部されたと思うんですけれども、新たな事態が、大臣がおっしゃったような、二国間の関係等々において新たな事態が発生した場合に対応すればいいとも思うんですが、これを随時、大臣もお忙しい、政府もお忙しい中で五年ごとに立法して恒久法にしない、あるいは法律以外のところで対応しない何か根本的な理由が、大臣、あるのでしょうか。

加藤国務大臣 法律の作り方というのは委員御指摘のようにいろいろあろうかと思いますけれども、ただ、先ほど申し上げたように、そうした国際環境がこれからどうなっていくのか、なかなか、こういう蓋然性はあるけれどもそれが具体的にどうなるかというのは見出し難いというのは、先ほど申し上げたことでもございます。そして、一方で、それぞれの、持つ方の転職の難しさ、こういったことから特別な対応が必要である。それを五年ごとに切るかどうかというのは一つの御判断になりますが、これは、一般的にいろいろな法律は五年ごとに見直しをしているということも含めて、今回こういう形で提出をさせていただいたということではあります。

吉田(統)委員 大臣の御説明も分からないではないですけれども、恒久法にして必要なときに改正の方が何となく効率はいいような気もしないではないんですね。ですので、これは必要な法律ですし、大切な法案ではあると思うんですが、法律の改正の仕方と今後どうするかは少し政府内で御議論をいただきたいなと申し述べさせていただきまして、次の質問に行きます。

 では、次は政府参考人で結構です。

 この事業、令和四年度及び令和五年度予算での計上額をお答えください。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、令和五年度の予算案におきまして、現在計上している金額についてでございます。

 駐留軍関係離職者等臨時措置法の関係につきましては約六百六十二万円でございます。そして、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の関係でございますが、こちらは令和五年度予算案におきまして約四百五十五万円ということで計上をさせていただいております。

 令和四年度についての御質問もありましたが、ちょっとその点については至急確認をしてすぐお答えをしたいと思います。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 限られた予算、人員の中で効率的に行政を執行していくことは重要だと思います。これは全ての政府の事業でそうだと思うんですが、この事業が不要であるとはもちろん先ほど来ずっと言っていませんが、また、新型コロナ感染者だとか、今回、孤独支援の法律の提出が予定されているようでもありますが、その根本の大きな要因となっている就職氷河期世代への支援とか、取り組むべき、より重要度が高い課題はたくさんあるのだと思います。

 では、先ほどのお答えと一緒に、これも役所からの御答弁で結構ですが、さっきの、今追加で御答弁されることに加えて、現在、厚生労働省の中で、この事業の職務を行っている方は何名でしょうか。一方、就職氷河期世代の支援には何名が従事していますか。御答弁ください。

堀井政府参考人 まず、私の方から令和四年度の予算について御説明をさせていただきます。

 駐留軍関係の予算の方でございますが、令和四年度の予算額につきましては約一千百万円ということでございます。そして、漁業離職者の方の予算につきましては令和四年度で約三百五十万ということでございます。

奈尾政府参考人 就職氷河期関係でお答え申し上げます。

 まず、予算でございますが、私どもで若年者の雇用を……(吉田(統)委員「人数だけで」と呼ぶ)済みません。

 これは、厚労省の中で若年者雇用をやっている部署ということになりますと、私どもの中で、担当課、ちょっと正確な数字でなくて恐縮なんですけれども、大体二十人ぐらいの職員でございます。そのほかに、例えば、訓練関係とか、助成金関係とか、一般対策の中で就職氷河期関係の方も対象にしているものもございまして、それは除いた数字でございます。

吉田(統)委員 さっき、答弁漏れていますよね。今の本事業には何名従事しているんですか、厚生労働省。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 この駐留軍そして漁業離職者の担当というふうな形での計上は、それ以外の職務も併せてやっているというふうなことが多いので、なかなか難しいかなというふうに考えております。ただ、例えば、一つの課、三十人ぐらいいる課の中で、助成金ですとか、こういった関係省庁の調整、事業の企画などについては大体三、四人ぐらいが中心的になって実施をし、ただ、それ以外にも職員として協力関係を行いながら実施をしている、そのようなイメージをお持ちいただければと思います。

吉田(統)委員 共に大事な問題ですので、就職氷河期世代の支援、是非もっと力を入れて、今二十人とおっしゃいましたですかね、担当部署、就職氷河期世代の方です。もっと力を入れていただきたい。

 時間がなくなってきたので、次に行きます。

 そもそも、国は、戦傷病者、戦没者の遺族などに対して、国の使用者としての補償である恩給法による公的扶助などの恩給や、戦傷病者戦没者遺族援護法による援護年金が支給されています。この戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の制定は、戦没者等の遺族や戦傷病者等の妻が、さきの大戦により心に大きな痛手を受けながら戦後の混乱の中を生きなければならなかった精神的痛苦に対して特別な慰藉を求める声が強くなってきたことが背景にあると承知しています。

 このような状況下で、戦没者等の遺族のうち戦没者等の妻に対しては、一心同体である夫を失ったという心に受けた特別の痛手がある上、生計の中心を失い、経済的困難と闘わなければならなかったことなど、特別な精神的痛苦に特別な慰藉を行う必要があるとして、昭和三十八年に戦没者特給法が制定されたと承知しております。

 しかし、それから月日も経過して、また、様々な状況の中で様々な困難と闘っていらっしゃった別の方々もいるのもまた事実です。あえてこの特別給付金を継続して支給する意義、理由を、大臣、お答えください。

加藤国務大臣 まず、本特別給付金の意義は、もう今委員からお話がございました。そうした意味、そうした特に特別の慰藉を行う必要性、これは変わりがないということでございますので、継続して支給をしようとするものであります。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 この給付金については対象者が高齢化していますね、大臣。後ほど質問させていただきますが、給付方法も対象者が受け取りやすい形にする必要があります。その前提でお伺いするんですが、今回の特別給付金の対象となる戦没者等の妻の人数はどう見込んでいるのか。また、現在でも何らかの理由で新規の受給者がおられるのか。また、対象者の平均年齢は幾つになっているのか、大臣からでも役所からでも、どっちでもいいです。

加藤国務大臣 今回の改正による特別給付金の支給対象となる戦没者等の妻の方々は約五千五百人、平均年齢は九十歳代後半と見込んでおります。

 その新規という、おっしゃる趣旨がよく分かりませんが、対象は変わっていないわけであります。

吉田(統)委員 何らかの理由で漏れがあって。後でもそういう類いの質問がある。何かあったということは、まあないんだと思いますが、それで結構です。

 それでは、この法律の戦没者の中に、例えばA級戦犯として処刑されて命を落とされた方や、海外でB級、C級戦犯で処刑されていた方が含まれているのか。また、含まれるのであれば、この制度ができた当初に支給対象になったA級、B級、C級戦犯の戦没者の妻は何人いらっしゃったのか。また、それらの中で、現在その給付金を受給されている方はいらっしゃるのか。どうぞ、テクニカルな方なので、役所からお答えいただければと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 この戦没者等の妻の特別給付金は、その対象となる戦没者等の妻については、恩給法による公務扶助料や戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金などを受ける権利を有すること、これを要件としております。

 それで、いわゆる戦犯として拘禁中に死亡された方につきましては、その遺族に対して一般に恩給法による公務扶助料等が支給されております。ですので、その妻はこの特別給付金の支給対象となり得ます。

 なお、その受給者については、その夫が戦犯であったか否かを区分してこの給付金では把握をしておりませんので、受給者のうち戦犯の妻の方が何人いらっしゃるかは不明でございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 では、更にお伺いしていきたいと思います。

 一般の戦災者の支援が十分に又は全くされていないことは、極めて大きな問題だと思います。

 私も以前から質問させていただいていますが、軍人や軍属の方々は、先ほども申し上げたように、まさに使用者としての責任で補償されているわけです。

 しかし、当時は、現在と異なって、東京大空襲を始めとした日本各地での無差別殺りくである空襲や原子爆弾の使用など、現代では考えられない一般国民への無差別攻撃があったわけであります。つまり、我が国は、一般の方々も共にいわば国家総力戦を遂行していた中で、軍人や軍属の方と一般国民を区別する必要があるかどうかというのは極めて疑問だと私は思います。

 国家総力戦ですよね、当時は本当に。ゼロになるかどうかというぐらいの、本当に、玉砕という考えもあったわけですから。そういう中で、まさに今回の法律同様、被害を受けられて、心に大きな痛手を受けながら、戦後の混乱の中を生きなければならなかった精神的痛苦に対して特別な慰藉を求める声は、戦没者等の妻の方々同様に大きいものがあるのではないかと思います。

 ですので、やはり、空襲被害者の方々、こういった方々に対しても同様の補償をすべきだと思います。対象の方の高齢化も本当に進展してきています。先ほど大臣おっしゃったように、今回の法律も九十代後半というふうに伺っております。すぐにでもやはりこういった支給をすべきだと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 さきの大戦においては、まさにそのとき、その時代の全ての国民の皆さんが何らかの形で戦争の犠牲を被られたと思いますし、そして、中には筆舌に尽くし難い御労苦又は体験をされた方も多数おられると承知をしています。

 政府としては、これまでも、一般戦災者に対しては、一般の社会保障施策の充実などを図る中で、その福祉の向上に努めるという立場で行ってまいりました。厚労省においても、年金、医療、社会福祉などの社会保障政策の実施に取り組むほか、全国戦没者追悼式を開催し、一般戦災死没者の遺族代表を招待する等の取組も行っているところでございます。

 現在、超党派の議員連盟において、空襲被害者に対する特別給付金の支給、実態調査等を内容とする議員立法に関して議論がなされているというふうには承知をしておりますので、引き続きそうした議論の動きを注視していきたいと考えています。

吉田(統)委員 大臣、注視は是非していただきたいんですが、大分平均年齢が上がってきていますので、もう残された時間が少ないですし、対象者の方もかなり減っています。是非、柿沢先生も見えますけれどもね、一生懸命いつもやってくださっていますが、この問題は是非対応していただきたい。

 あと少し時間がありますので、最後、もう少しテクニカルな問題を確認して、質問、終わらせていただきたいと思います。

 今回の法改正によって給付方法が変更になったと、大臣、伺っています。

 現行法では、新たに特別給付金の支給対象者となった場合、初回は十年償還を額面二十万円、二回目は同じく十年償還を額面六十万円と、支給回数に応じた金額の国債が交付されることとなっていますが、本法律案では、支給額を一律に額面百十万とし、五年償還で二回交付することと変更されました。そこで、これは、どのような考えに基づいて、なぜこのような仕組みに改められたのかお答えください。役所からでもいいですよ、もしあれでしたら。どうぞ。どちらからでも。

加藤国務大臣 戦没者の妻に対する特別給付金は、さっきから申し上げておりますように、国としての慰藉の念を受給者の方々に一層実感していただけるよう、制度創設以来、交付国債という形で支給をしております。

 特に、対象となる戦没者の妻の方の高齢化を踏まえて、国債の交付という、いわば国として慰藉を行う機会を増やす、こういう観点から、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式に改めたところでございます。

 また、戦没者の遺族に対する特別弔慰金や戦傷者等の妻に対する特別給付金についても、同様の観点から、直近の改正の際に、五年償還の国債を五年ごとに二回交付するという方式に改めているところでございます。

吉田(統)委員 もう一問だけ問いますが、法改正のポイントは、本当は、高齢化する対象者に対して、使いやすい制度になることも重要だと思います。そうすると、今回の法改正で五年償還の記名国債を二回交付する方式に変更すると、給付金の請求手続は従来の一回から二回になりますよね、大臣。対象者が高齢であることを踏まえると、負担が増えるのではないか。あるいはまた、二回目の請求手続を忘れるなど、請求漏れにつながるおそれがあると思いますが、この点どのようにお考えになるのか。そういった請求漏れを防ぐ手段、お考えに関して、最後、お伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 御指摘のように、これまで一回のところが二回になるというのはそのとおりだと思います。

 従前から、支給対象となる戦没者等の妻の方に対し、厚労省から、請求者氏名や住所等、国において把握している事項をあらかじめ印字した請求書を同封の上、案内を直接送付するなど負担の軽減に努めてまいりましたが、今後は、これまで提出を求めていた書類の一部を提出不要とするということで、請求者の更なる負担軽減を図っていきたいというふうに思っております。

 また、特別給付金は三年で時効により権利が消滅しますが、二回の請求の機会いずれについても、戦没者等の妻の方へそれぞれ案内を行い、申請を促すとともに、案内を送付後、請求のない方に対しては都道府県や市区町村と連携して個別に連絡を行うなど、請求漏れがないように努めていきたいと考えております。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 時間ちょうどぴったりとなりましたので、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は三つのテーマに分けて質問させていただきたいんですけれども、まずは初めに閣法の質問をさせていただきますけれども、まず、駐留軍関係について三つ質問していきます。

 厚労省と防衛省が駐留軍の離職の実態調査を行ったというところなんですけれども、調査結果はどうだったのかというところをまず質問していきたいと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省におきまして、平成二十五年度から二十七年度に駐留軍関係離職者として認定された三百二十三名を対象として、平成三十年十月から十一月までの間に、訓練の実施状況等のアンケート調査を行いました。そして、百八十三名から回答があったところでございます。

 このアンケート調査の結果によりますと、職業訓練の意義や効果に対する理解を促すことや、再就職に有利な資格の取得、離職する前における求人情報や職業訓練情報の提供等といったことが求められているということが把握をできたところでございます。

遠藤(良)委員 その中で、今後、在日米軍の編成に伴って離職者が増加するというところだと思いますけれども、平成三十年の改正の附帯決議の中で、確実な再就職につながるよう、職業訓練の内容や提供等、個々の離職者の年齢に応じたものに見直すということを記載されているんですけれども、この中の、見直しの部分についてはどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。

堀井政府参考人 遠藤委員から御紹介いただきましたように、平成三十年の前回改正時に、附帯決議におきまして、確実に再就職につながるように、職業訓練の内容や提供方法等を個々の離職者の年齢に応じたものに見直すほか、職業訓練等の効率的な運用に向けて抜本的な見直しを含めて検討することとの御決議をいただきました。

 これを踏まえまして、先ほどお答えをさせていただきましたアンケート調査を行い、防衛省等と協議をし、支援の見直しを行うこととしたところでございます。

 具体的には、駐留軍関係離職者につきまして、離職前の時点からハローワークへ誘導するとともに、防衛省が行う離職前職業訓練の実施に当たって、同世代の求職者が就職した職種等をハローワークから地方防衛局長等に情報提供するなど、離職前の支援を担う防衛省と更なる連携を行うこととしたところでございます。

 こうした運用を徹底をしまして、関係省庁とも連携をしながら、個々の求職者の実情に応じた、きめ細やかな支援を実施をしてまいりたいと存じます。

遠藤(良)委員 先ほど離職前職業訓練ということをお話しいただきましたけれども、平成二十九年から令和四年度まで全てゼロ人で推移しているというところなんですけれども、今後、米軍の再編によって離職者が見込まれているということを承知しているんですが、離職者が見込まれるのであれば、離職前就職訓練を活用していく、この辺りはいかがでしょう。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、近年、米側においては、大規模な組織の改廃等が実施をされなかったなどの理由により、離職者につきましては毎年度二、三名ほどで推移をしており、結果として、平成二十八年度以降、離職前職業訓練は実施されてございません。

 他方で、駐留軍労働者につきましては、職種が細分化されていることなどから、離職を余儀なくされた場合には、他の職種への転換が必要となる可能性が高く、再就職が難しい状況にあり、離職前職業訓練の実施等の措置を講ずる必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、駐留軍等労働者の雇用の安定を図ることは重要であると認識しており、引き続き、雇用が継続されるよう、万全を期してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 続いて、漁業関係についての質問をしていきたいと思いますけれども、平成二十八年度にロシア政府のサケ・マス流し漁業の全面禁止で十七名の離職者が発生した、一方で、平成二十九年度から令和三年度においては漁業離職者は発生していないんだということなんですが、今後、ロシア連邦との交渉等がまだまだ不明確だというところで、交渉が難航するんじゃないか、そのおそれがある中で、漁業離職者が発生する可能性についてどのような認識をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 水産庁といたしましては、現時点において、漁業をめぐる国際情勢において直ちに漁業離職者が発生するような具体的な懸念は生じていないと認識をしております。

 一方で、今後の可能性といたしまして、国際機関におけるカツオ・マグロ類の大幅な資源管理の強化、あるいは、ロシア連邦等との二国間協定の相手国政府による規制の強化などによりまして、やむを得ず減船が行われ、漁業離職者が発生することが考えられると考えております。

 いずれにしましても、農水省としては、まずは、そうした事態が生じないように、国際機関や二国間協定の交渉に万全を期してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 是非、その辺り、しっかりと対応していただきたいと思います。

 次に、戦没者の奥様に対する特別給付金、この点についてお尋ねしたいと思いますけれども、今、無利子で記名国債の交付で行われているというところなんですが、例えば、今、現金で給付されていないというところの趣旨をお尋ねしたいんですけれども、本来、現金の方が利便性が高まるように思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者等の妻に対する特別給付金は、国としての慰藉の念が受給者の方々に一層実感されるよう、制度創設以来、一時に現金で支給するのではなく、交付国債という形のあるもので支給をさせていただいて、毎年償還を受けていただいているものでございます。

遠藤(良)委員 例えば、先ほどの慰藉の念というところなんですけれども、実際、例えば現金で給付してほしいとか、そういったお声があるのかどうか、併せてお尋ねしたいと思います。

本多政府参考人 お尋ねの件に関しましては、平成二十七年から平成三十年にかけて、特別給付金の受給者である戦没者等の妻の方を含めて、関係者の方に御意見をお伺いしたことがございます。その際、現金給付がよいという御意見もありましたけれども、約半数の方は国債による支給がいいという御意見でございました。

遠藤(良)委員 今回から支給方法が変わるというところで、五年償還国債の二回に変更するというところなんですけれども、特別給付金国債の交付に当たっては、令和五年四月二日以降に新たに対象になった方に周知徹底する必要があると。周知についてどのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 前回の戦没者等の妻に対する特別給付金の支給以降に戦傷病者の方がその傷病によって亡くなられた場合など、新たに戦没者等の妻に該当することとなる方も一定数いらっしゃるものと考えております。

 この特別給付金は、恩給法による公務扶助料等を受給している妻の方が対象となりますので、その対象者は国において把握が可能でございます。そのため、支給対象者に対しては、従前から、請求者氏名、住所などの国において把握している事項をあらかじめ印字した請求書を同封いたしまして、個別に御案内を送付いたしております。また、それとともに、都道府県を通じた広報を行ってきたところでございます。

 新たに対象になる方に対しても、同様に、個別に案内を行うこととしております。

 また、案内を送付しました後、請求をされていない方に対しては、都道府県や市町村と連携をして、個別に連絡を行うこととしております。

 さらに、加えて、都道府県や市町村を通じた広報等によって制度の周知を図るなど、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、これも丁寧に対応していただきたいと思います。高齢化もどんどん進んでいっていますし、給付を受ける方も、なかなか物理的に本人の確認も難しいケースも出てくると思いますけれども、先ほど御答弁いただいたように、しっかりと対応していただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、インスリンの注射針の処理についてなんですけれども、糖尿病になると、インスリンの注射が必要である。その中で、実際、自宅でインスリンの注射をしている方が多いと思うんですけれども、その中で、私自身の親族も、インスリンの注射をおなかに、食事をした後に入れたり、これを一日二回ぐらいやっていたんですけれども、その中で、インスリンを注射をする患者というのは今、日本国内でどれぐらいいらっしゃるのかというのと、あと、自宅でインスリンの注射をしている患者がどの程度いるのか、これをお尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、糖尿病の患者数につきましては、厚労省において実施した令和二年患者調査によりますと、食事療法、運動療法、薬物療法を受けている患者さんは約五百八十万人と推計されております。

 また、インシュリン注射を行っている患者数につきましては、これは、まず、令和元年度の厚生労働科学研究報告によりますと、継続的に薬物療法を受けている糖尿病患者におけるインシュリン使用率は約一五%であるという報告がございます。

 この患者調査におけます患者数約五百八十万人について、全員というわけではないんですけれども、大部分が薬物療法を受けている患者であると考えられるため、この厚生労働科学研究の報告による約一五%を用いて機械的に推計しますと、御質問のインシュリン注射を行っている患者数は約九十万人程度と推定をされます。

 また、自宅でインシュリン注射を行っている患者数につきましては、正確な統計データは持ち合わせておりませんが、その上でお答えいたしますと、先ほどお答えしましたインシュリン注射を行っている患者数の推計である約九十万人のうち、入院中の患者や施設等の入所者といった一部の患者を除いた外来の患者さんはインシュリン注射を自宅で行っていることが想定されますので、およそ九十万人のうちの多くの方が自宅でインシュリン注射を行っているものと考えられます。

遠藤(良)委員 注射を打った後、廃棄になるわけです。平成二十年の在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引きというものがあって、その中で、医療用注射針というのは非常に鋭利であると。

 その中での、廃棄になった医療用注射針の扱いについてはどういう扱いなのか、お尋ねしたいと思います。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 在宅医療に伴って家庭から排出される医療用注射針につきましては、廃棄物処理法上、一般廃棄物ということになります。

 委員から御質問がございました、これが感染性廃棄物になるのかどうかということでございますが、これにつきましては、一般廃棄物のうち、医療機関、医療関係機関等から生じた感染性病原体等が含まれるもの等々を対象とさせていただいておりますので、これにつきましては感染性廃棄物には該当しないということになります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 使い捨てペン型インスリン注射器の針以外の部分、針はすぐ捨てるんですけれども、その残った、液が入っている、インスリン自体が入っている方の、この部分についての扱いはいかがでしょうか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 御質問ございましたペン型自己注射針の注射筒部などの針以外の部分につきましては、鋭利なものではないということから、一般廃棄物として処理することが可能であるというふうに考えておりますが、具体的な分別区分や排出方法につきましては、各市町村において定められているものと承知をしております。

遠藤(良)委員 ペン型の自己注射針の針自体はどうでしょうか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 一般廃棄物につきましては、収集、運搬、処分まで統括的な処理責任を有する市町村が実施するということになっておりますが、注射針等の鋭利なものにつきましては、収集、運搬の際、針刺し事故などによる感染の可能性があるというおそれがあります。

 このため、環境省としては、先ほど委員からも話がございましたが、手引を取りまとめまして、在宅医療廃棄物の安全な収集、運搬方法等についてまとめ、市町村等に周知をしているところでございます。

 具体的に言いますと、針の部分など鋭利なものにつきましては、この手引におきまして、患者御本人又は御家族などが医療機関へ持ち込むことが望ましいというふうにさせていただいているところでございます。

 なお、具体的な処理方法につきましては、市町村において、関係者と協議の上で、地域の実情に応じて定められるものというふうに承知をしております。

遠藤(良)委員 針は、取ったら、大体、ペットボトルみたいな容器に入れていくと思うんですけれども、その中で、鋭利な針なので、結構、ペットボトルみたいなものに入れてためていかないと処理ができないと思うんですけれども、その中で、これは実際、可燃ごみとして出すこともあると思うんですけれども、可燃ごみとして回収している市区町村はあるんでしょうか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 環境省といたしましては、一般廃棄物の処理につきまして、地方自治体の方で、自治事務ということであり、網羅的に把握しておりませんが、例えばですけれども、横浜市におきましては、ごみ分別辞典というものを作成しておりまして、この中で、医療機関、薬局に返却するか、又は、燃やすごみとして、中身が確認できる堅い容器に入れて蓋を閉めて出すように案内をしているというものもございます。

遠藤(良)委員 先ほども御紹介いただきました、令和四年六月改正の感染性廃棄物処理マニュアルの中で、血液の付着した鋭利なものは感染性廃棄物に当たると。

 インスリンの注射針は市区町村でも回収できるのか、お尋ねしたいと思います。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 繰り返しになりますが、環境省におきましては、先ほど委員からも話がございました手引をまとめまして、鋭利なものは患者等が医療機関へ持ち込むことが望ましいなどとして、市町村の方に周知をしております。

 なお、具体的な処理方法については、本手引を参考にということになりますが、最終的には、市町村が、地域の医師会や薬剤師会の医療関係機関等々と協議の上で、地域の実情に応じて定められるものというふうに承知をしております。

遠藤(良)委員 針を各家庭でペットボトルに入れて、それを、先ほども御紹介いただきましたけれども、医療機関に持っていくということは理解はできるんですけれども、日本国内では高齢化がどんどん進んでいく背景の中で、これを、過疎化の地域もある中で、物理的に本人が医療機関に持っていくのが難しかったり、御家族でも、これを依頼して持っていってもらったり、そういうこと、それぞれいろいろな課題があって対応されているんだと思うんですけれども、この中で、例えばインスリン注射の回収については市区町村が行う方向性もあるというところだと思うんですけれども、例えば市区町村がこういう業者に委託をして対応することもできると思うんですけれども、その辺りはいかがでしょう。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 廃棄物処理法では、家庭などから排出される一般廃棄物の処理に統括的な責任を有しております市町村において、適正処理のために一般廃棄物の処理を民間事業者に委託をすることは可能というふうに考えております。

 しかしながら、家庭から排出されるインスリン注射針などの鋭利なものについては、先ほど来御説明もさせていただいておりますが、やはり針刺し事故等の感染の可能性もあることから、環境省としては、以前、手引等まとめたものにおいて、患者の御本人又は御家庭などが医療機関へ持ち込むことが望ましいというふうには考えておりますが、最終的に、実際に、処理、収集方法については、市町村において関係者と協議の上で、地域の実情に応じて定められるというふうなものと承知をしております。

遠藤(良)委員 実際に、環境省としてはどちらが望ましいのか、望ましいと考えるのか、お尋ねしたいんですけれども、いかがでしょう。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 繰り返しになりますが、やはり、針刺し事故等による感染のおそれがあるということであるならば、鋭利なものをそのまま処理をするということであるならば、患者御本人又は御家族などが医療機関へ持ち込むことが望ましいというふうに考えておりますが、最終的にその市町村において御判断されるものというふうに承知しております。

遠藤(良)委員 最終的に市区町村が判断をして処理をしていくと。

 病院だと、これは感染廃棄物の医療、一般廃棄物に当たる、家庭だと、これは一般廃棄物で処理できるというところなんですけれども、その中で、平成二十年にできた在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引きの改定の見通しをお尋ねしたいんですけれども、いかがでしょう。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 その手引につきましては、当時でございますが、自治体、医療関係者等と運搬、収集の方々などの関係者の御参加をいただきまして、整理をさせていただいたものでございます。

 なお、現時点では、見直しというふうな、必要とは考えておりませんが、今後、在宅医療廃棄物に関する事情の変化等が生じた場合におきましては、その改定の必要性も含めて検討していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、先ほど僕もお話ししたように、過疎地域であったりとか、実際、物理的に持っていけない家庭があったり、例えばケアマネジャーに依頼をして持っていってもらったりとかという事例もありますけれども、国としても、この処理というのは多分、恐らくますます、廃棄物の処理については、一般家庭で出せるように、市区町村の判断というところがあると思うんですけれども、国としてもしっかり、通知であったり、取り組んでいただきたいなということを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。

 臓器移植のところでお尋ねしていきたいと思いますけれども、我が党の池下議員から臓器移植のあっせん事案について御質問をしてきた中で、臓器移植のあっせんには許可が必要である、日本国内であれば日本臓器移植ネットワークの許可のみである。今回は、御承知のとおりNPO法人が無許可であっせんをして、刑事事件になったというところだと思うんです。

 そもそも、とはいっても臓器移植の事例が少ない。その中で令和四年度では百七件であった。無許可で臓器移植のあっせんについてはどのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今回のNPOの事案を踏まえまして、厚生労働省としては、できる限り速やかに生体移植を含む海外での臓器移植等の実態を把握する必要があると考えており、関係学会等と連携し、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査を行うこととしております。

 また、厚労省としても、今後同様の事案が生じないよう、国内での臓器移植の推進が重要であると考えております。

 引き続き、臓器移植に関する普及啓発や医療提供体制の整備等に取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 運転免許証やマイナンバーカードに、意思表示をする欄があると思います。海外よりも国内で移植を進める方が、この事件も通して望ましいと思うんですけれども、実際、意思表示をする欄がある、ないというのを知らない方も多いというところで、今後、マイナンバーカードと保険証の一体化を進めるというところで、再度、このマイナンバーカードの意思表示欄に注目していただけるチャンスじゃないかなというふうに思うんです。この意思表示の普及をどのように進めていくのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきまして、これまで、臓器移植医療への理解促進のため、パンフレットやイベント等による普及啓発のほか、御指摘のように、マイナンバーカードそれから運転免許証あるいは健康保険証等の意思表示欄の周知に取り組んでまいりました。

 一方で、令和三年度の内閣府の世論調査におきましては、臓器提供の意思表示欄がこれらのカードにあることについて、例えば健康保険証の場合での認知度は六三%である一方、マイナンバーカードについての認知度は一八・九%であったことから、御指摘のとおり、意思表示欄に関する更なる周知が必要であるというふうに考えております。

 臓器提供の意思表示に関する効果的な周知を行うため、今年度より、厚生労働科学研究において、臓器提供の意思表示をしていない要因を分析することにより、意思表示をしてもらえる普及啓発活動について検討を行っております。

 研究班の成果も踏まえまして、マイナンバーカードの意思表示欄の更なる周知や、効果的な普及啓発を行ってまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 その中で、実際、臓器移植をする中で、救急医が意思確認を行うとかそういうところも考えられると思うんですけれども、マイナンバーカードと保険証が一体化する中で、マイナ保険証の提示があったときに、自分が意思表示をしている、そういう医療機関の中で医師が意思確認をしていく、こういった取組についてはどのようにお考えか、大臣にお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 医療現場における臓器提供の意思確認というお話で、救急医等医師が救急患者等の家族に救命が困難である旨の説明を行い、その上でマイナンバーカード等で本人の臓器提供の意思表示があることが確認できる場合、又は本人の意思表示が確認できない場合であっても、救急医等が家族に臓器提供に関する情報提供を行い、家族から臓器提供について詳しい説明を聞きたいとの申出があった場合に、臓器のあっせんについて厚生労働大臣の許可を受けている公益社団法人日本臓器移植ネットワークの臓器移植コーディネーターが家族に臓器提供に関する説明を行う、こういうことになっております。

遠藤(良)委員 この臓器移植のところで、生体間移植のところなんですけれども、私の先ほどお話ししたインスリンを注射した親族の方は、最終的には生体間移植も行いまして、実際、生体間の移植については法規制がない、学会のガイドラインで基本的に親族に限定されているというところだと思うんですけれども、実際、ガイドラインだけで足りているのかという中で、法律の改正が必要なんじゃないかなというふうに思うんです。その辺り、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 生体からの臓器移植については、WHOのガイドラインなどに基づいて日本移植学会が定めた倫理指針がございます。その倫理指針において、生体ドナーとなり得る人の範囲や自発意思の確認の手順といった内容等が定められています。さらに、厚労省が発出しております臓器の移植に関する法律の運用に関する指針、いわゆるガイドラインにおいても、生体ドナーの範囲の確認方法などを定めているところであります。

 国内の生体移植について見れば、これらの指針等に基づいて適切な実施が行われているものと認識をしています。

遠藤(良)委員 例えば、実際、国内の事例が百件未満である、こういった中で、生体移植の対象を拡大する方向性、この辺りについてはどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 生体からの臓器移植を実施する範囲については、WHOのヒト臓器移植に関する指導指針等に示されている生体ドナーの範囲を踏まえ、日本移植学会の倫理指針等において、原則として親族とされています。その上で、例外的に、親族に該当しないドナー候補がいる場合には、日本移植学会の倫理指針や厚労省が発出した、先ほど申し上げたガイドラインにおいて、当該医療機関や日本移植学会の倫理委員会で症例ごとに個別に承認を受けることとされています。

 こうした現状の生体移植の対象範囲について、これを拡大することについては慎重に議論していく必要があるというふうに考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、こういった刑事事件になっているという背景もあって、国内でもこういう意見も出てくると思いますし、是非今後も引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。

 今国会、この厚労委員会では初めて質問に立たせていただきます。加藤大臣始め皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 花粉症の季節でして、マスクのまま質問をさせていただきます。

 では、通告の質問の順番を少し変えさせていただきまして、三番から質問をさせていただきます。

 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法についてお伺いいたします。

 平成三十年に、駐留軍関係離職者等臨時措置法とともに有効期限を延長する法律案が審査された際に、衆議院厚生労働委員会において、国際漁業再編対策を実施する場合には、減船の規模を適切なものとするよう努めること等を政府に求める旨の附帯決議が付されました。

 この減船によって不要となってしまう漁船の処理に係る経費については、どのような対応が行われているのでしょうか。お答えをお願いいたします。

田中(郁)政府参考人 お答えいたします。

 漁臨法では、国際協定や二国間交渉によりまして漁獲割当て量が削減され減船が余儀なくされる場合に、円滑な転職を促すための支援が講じられております。また、その際、漁船を処分する場合には、国際漁業等再編対策事業によりまして当該処分費を補填する処理費交付金の交付を行っております。

 引き続き、国際交渉において、我が国漁業者の良好な操業条件の確保に努めてまいりますが、減船を余儀なくされる場合には、当該事業も活用しながら、漁業者の負担が軽減されるよう、しっかり対応してまいる考えでございます。

吉田(と)委員 国際協定の締結等に伴う漁業離職者の減船につきましては、その処理代に交付金が出ているということで問題がないことは確認できましたので、続きましての質問です。

 不要な船舶の処理に関連して、いわゆる放置船についてお伺いをいたします。

 漁港等に、長期間使用されず、破損した状態の船舶が放置されているという話を耳にします。このような放置船は、災害時に二次被害を発生させ、火災や不法投棄の誘発等、周辺環境に悪影響を与えるとともに、漁業への支障を生じさせるものでもあります。

 漁業離職者に対してほかの漁業への転換等の離職者対策を行う上で、こうした放置船が漁業の妨げとなることはないのでしょうか。政府における放置船への対応について、これまでの対策と、今後の方針をお伺いいたします。

田中(郁)政府参考人 お答えいたします。

 漁港や港湾、河川区域におけます施設の使用許可等の手続を経ずに放置されていますプレジャーボート等は、平成三十年度で全国で約七万隻確認をされております。

 漁港等にこれらの船舶が放置されることによりまして、漁業活動への障害、台風、高潮、津波等の災害時における二次災害、そして油流出や景観の阻害などの問題を引き起こすことが懸念されており、放置艇対策は重要な課題と認識をしてございます。

 その対策でございますが、放置艇対策としては、所有者が判明している場合には船舶の所有者が処理することを原則とする一方で、所有者が不明の場合については、例えば、漁港区域におきましては、漁港管理者が適正な漁港の維持管理の観点から代執行による処分を行うほか、農山漁村地域整備交付金等により、放置艇の処理に係る支援が可能となっております。

 これらの施策を活用して、引き続き放置艇対策に努めてまいります。

吉田(と)委員 国土交通省、水産庁発行のプレジャーボート全国実態調査についての記載の書面には、調査の背景として、プレジャーボートを利用したレクリエーション活動が盛んになるにつれ、各地の港湾、河川、漁港で多数の放置船が見られるようになり、先ほど御説明いただきましたとおり、津波、高潮時の放置船の流出による被害や、油の流出、景観の悪化といった多岐にわたる問題が顕在化しているとの記載があります。

 この平成三十年度プレジャーボート全国実態調査の結果概要の三水域の保管状況を拝見しましたところ、平成八年度は放置艇が六五%を占めていましたが、減少はしているものの、やはり、平成三十年度では、いまだ放置艇の状況が続いている。

 これまでの取組の成果と、それから、今現状、全国実態調査中ということですけれども、実際どれぐらい減っているのか、これまでの取組の成果と検証というものをしっかり行っていただきたいなと思います。

 そして、先ほど、プレジャーボート以外の漁船についても、管理組合等が管理をしていて、例えば、高齢で漁業が続けられず、相続もできない、こういった放置された場合の船についても、補助が出ているので基本、放置船はないというお話だったかと認識をしておりますが、やはり、ひっかかるので申し上げるんですけれども、漁港などで、○○丸といったような、明らかに使われていないような漁船を見かけることがあります。これは、皆さんの中で、廃船という認識ではなく、使われている船だというふうに解釈をされているのではないかと思うんですが、冷静に見ると、古びて、ぼろぼろで、絶対に走ることがないだろうというような、放置船だと見受けられます。

 港湾の管理者の方に、例えば、補助金を出したら、その補助金というのは具体的に何隻の廃船処理に使われたのか、また、管理組合から領収書などをもらって、具体的に何隻の処理にどれぐらい使ったのかという確認作業をされているのかという疑問が残りますので、再度そこはお調べいただきたいと思います。

 では、続きまして、五番目の質問に移らせていただきます。

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等についてお伺いをいたします。

 戦没者等の妻に対する特別給付金の支給額は、制度創設時から受給している者の場合、前々回の改正時、平成十五年までは増額され、前回の改正時は、平成二十五年ですけれども、額面二百万円に据え置かれました。本法律案では、額面百十万、二回交付で合計二百二十万ですけれども、増額することとしています。

 本法案について、支給額を増額した理由についてお答えをお願いいたします。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者等の妻に対する特別給付金につきましては、戦没者等の妻に対して、さきの大戦で夫を失った精神的痛苦に対し特別の慰藉を行うものでございます。平成二十五年改正によって支給された国債が令和五年に最終償還を迎えますため、令和五年度以降も支給を継続するものでございます。

 お尋ねの支給額の増額につきましては、昨今の物価の上昇を含め、償還額が据置きとなった平成十五年以降の社会経済情勢の変化などを総合的に勘案をいたしまして、現行の年額二十万円から年額二十二万円に増額することとしたものでございます。

吉田(と)委員 厳しい財政状況の中ではありますけれども、昨今の物価高を考えると二十年据置きというわけにはいかないと考えますので、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、七番目の質問をさせていただきます。

 戦没者等の妻に対する特別交付金の支給額について、額面百十万円の国債を二回交付するため、合計二百二十万円に増額することとしています。

 国債の償還期間が五年に変更されることに伴い、一回目の国債が交付される際、額面百十万円の国債が交付されるため、一見すると給付額が減ったような誤解が生まれる可能性があるため、支給対象者に対して丁寧な説明を行う必要があると考えますが、どのように取り組むおつもりなのか、御見解をお聞かせください。

本多政府参考人 お答えいたします。

 支給対象となる戦没者等の妻の方々に対しましては、従前から、請求者氏名、住所などの国において把握している事項をあらかじめ印字した請求書を同封して個別に案内を送付するとともに、都道府県を通じた広報等を行ってきております。

 支給対象者に対しまして、一回目、二回目共に、今回の支給額及び償還期間の変更についても分かりやすく書いたチラシを同封した個別の案内を送付したいと考えております。また、案内を送付後、請求のない方に対しては、都道府県や市区町村と連携して個別に連絡を行うこととしております。

 加えて、都道府県や市区町村を通じた広報等によって、今回の変更も含めまして、制度の周知を図るなど丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 十年の国債であるという慣習でおられるので、給付額が減ったような誤解が生まれないように丁寧な説明を尽くしていただきたいと思います。

 続きましての質問でございます。

 特別給付金国債は、その支給対象者が国債の償還期間中に亡くなった場合、ほかの財産と同様にその遺族に相続されることになります。本来国が慰藉の意を表す対象とは必ずしも限らない相続人が特別給付金を受給することは、制度の趣旨に鑑み、適切ではないとの議論が以前からなされてきました。

 平成二十九年、第百八十九回国会の戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の改正の際には、参議院厚生労働委員会において、受給者の国債を相続した者が特別弔慰金の趣旨に照らして真に国が弔慰の意を表すべき者とは必ずしも限らないことに鑑み、戦後八十周年に向けて、戦没者等の遺族の心情等を踏まえつつ、国として弔慰の意を表す方策について検討を行い、国民の理解と支持を得た上で必要な措置を講じることとの附帯決議が付されました。

 まず、戦後八十周年に向けて、国として金銭以外の弔慰の意を表す方策について、どのような検討が行われているのか、お伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 二〇二五年ですから、再来年には戦後八十周年を迎えることとなります。戦没者等の妻に対する特別給付金などの支給以外においても遺族に弔慰を表すことは、国においても重要な責務と認識をしています。

 こうした責務を果たすため、毎年八月十五日には、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、遺族の参列を得て、全国戦没者追悼式を政府主催で実施し、戦没者に対して国を挙げて追悼の誠をささげることとしております。

 また、旧主要戦域などで戦没者の慰霊を行うため、慰霊碑の建立、管理、遺族が参加する慰霊巡拝事業なども実施をしています。

 引き続き、こうした取組をしっかりと行いつつ、戦後八十周年に向けて、戦没者遺族の深い悲しみを少しでも慰藉する、こういったことも含めて、何ができるのか、過去の事例も含めながら検討していきたいと考えています。

吉田(と)委員 附帯決議というのは院の意向であり、奥様方も大変御高齢であるということからも、戦後八十周年の節目、これがより心に残り、前向きな気持ちを持っていただけるように、また国としても信頼していただける事業となるように尽くしていただきたいとお願いを申し上げます。

 続きまして、法案とは直接関係はございませんが、受給者の高齢化といえば、今の年金制度について、受給者及びその家族の高齢化に伴う問題もよく取り沙汰をされています。

 先日、このような記事が毎日新聞に掲載されました。

 三重県警四日市南署は、二〇二三年三月二日、両親の遺体を住んでいた家に放置したとして、四日市市の無職の男性六十三歳を死体遺棄容疑で逮捕しました。調べに対し、十年ぐらい前に両親が死亡したが、何の手続もせずに放置したと容疑を認めているとのことです。同署によると、遺体は白骨化しており、加害行為が疑われるような外傷はなかったとしています。容疑者は、父の方が先に死亡し、一、二年後に母も死亡したと話していますが、二人の死亡届は出されていなかったとあり、年金を受給し続けて自分のものとして使うためだったとも供述をしています。現場は住宅街で、近所に住む男性は、高齢夫婦が住んでいたことすら聞いたことがない、ずっと空き家だと思っていたと、驚きの内容の記事が載っておりました。

 さて、厚生労働省では、このような親の死を隠した同居している子による年金不正受給の新聞報道等について、どのように把握をしているのでしょうか。現状はいかがか、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 まずは、日本年金機構における年金受給者の生存確認については、原則として住民基本台帳ネットワークシステムから死亡情報を受け取ることで実施をしています。そのため、適切な支給を図るためにも、年金受給者が死亡した際には、御家族等から自治体に対して死亡届を提出していただくことが必要であります。

 年金受給者の死亡後もその家族等が死亡届を提出せず、年金を不正に受給していた可能性が疑われる事案については、警察からの情報提供なども契機として、厚労省から警察に対し被害届を提出しておりますが、その件数は、十年前の平成二十四年度は十件、五年前の平成二十九年度は十一件、直近では令和二年度が十件、三年度は六件、四年度、これは本年二月末時点ですが、十件となっております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 今の御答弁から、余りその件数自体に変更はないようにお見受けいたしますけれども、思い出されますのが、二〇一〇年に起きました高齢者所在不明問題です。これは、当時、東京都足立区に住む、一八九九年、明治三十二年生まれの、当時百十一歳の男性が白骨化した状態で発見されたことを契機として、高齢者が、戸籍や住民票などの公的記録上は存在しているが、実際には生死又は実居住地などの確認が取れなくなっているという例が多数存在していることが当時明らかになりました。

 厚生労働省は、各地の自治体で百歳以上の高齢者の所在不明が相次いでいる問題に対しまして、百十歳以上の年金受給者全員と面会をして、緊急安否確認調査を行いました。この二〇一〇年の調査から十三年が経過しておりますが、高齢者人口が増加しているこの状況において、同様の調査はこの十三年間でどの程度実施されたのでしょうか。定期的に行われているのか、また再調査の予定はあるのか、お答えをお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、今委員からお話がありました、平成二十二年に高齢者の生存が適切に把握されていない事例が相次いだことを踏まえて、年金の適正な支給を行う観点から、満百十歳以上の年金受給者を対象に生存確認の調査を実施し、調査結果として、一名の年金の差止めを行ったところであります。

 その後、平成二十五年度から平成二十六年度までと令和三年度においても同様の観点からの調査を実施しており、生存が確認できなかった年金受給者については、年金の支払いの差止めを、平成二十五年から二十六年においては三百二十二名、令和三年度においては三百十五名の年金の差止めを行ったところでございます。

 今後も、適宜こうした調査を実施をし、適正な年金給付の実施に努めていきたいと考えております。

吉田(と)委員 今、加藤大臣からいろいろ御説明をいただいたんですけれども、質問レクの際には、この調査というのが、平成二十二年に行われてから令和三年まで実施がされていないというお話でございました。

 厚労省は、百十歳以上の年金受給者の緊急安否確認について、当時、文書を出した平成二十二年八月二十七日同日に、ほかの二つの調査結果も公表をしています。

 一つは、八十五歳以上の現況届を出して年金を受給している方に係るサンプル調査についてという文書です。この中身は、高齢者の死亡後に遺族らが年金を不正受給していないか把握するため、厚生労働省が、八十五歳以上の年金受給者七百七十人を対象にしたサンプル調査で、同省は二十七日、実際は四十八人が死亡していたと発表をしています。所在不明者も二十七人に上り、その割合から、同省は、八十五歳以上の方は、全国では八百人程度と推計をするということでした。安否不明のまま年金が支払われている可能性があるとした試算結果を明らかにしています。

 また、政府は同日、首相官邸で関係閣僚会議を開催して、もう一つの調査、市区町村が確認している主として百歳以上の行方不明高齢者への対応についてという調査をしています。これは、自治体が百歳以上の安否確認をした結果、二百七十一人の所在が不明で、うち二十五人に年金が支給されているということが報告されております。

 厚労省によりますと、八十五歳以上の調査の対象というのは、住民票上の住所と実際の居住地が異なるため、現況届を提出して年金を受けたケース、また四月生まれの中から無作為に抽出した七百七十人を対象に安否を調べたとなっております。

 つまり、過去にこれだけ不正受給というものがありながら、なかなか令和三年まで同様の調査がなされていなかったというのは、これは余りにずさんな対応なのだと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 今も警察への届出があって初めて確認が取れるということで、これはやはり今のシステム、死亡届が出されて、住民基本台帳から確認をするというだけでは、不正受給の網というのは張られないと思います。

 また、不正受給した場合、五年遡っての分しか請求できないと年金機構の方ではなっていますけれども、もらった金額というのは全部、例えば過去に遡って、不正したものというものは返すべきだと思いますし、また、それには利子をつけて返す、そういった形にする。例えば、百万円の不正受給であれば、百五十万円を返すとなると、なかなかそういった死亡届を出さないなどの不正は防げるのではないかと思います。

 そのような対策をしないと今後いけないのではないのかなと思う中で、年金財政を考えたときに、年金の未納者を探すことと、一方で、払わなくていい人に払ってしまっているという現状、これは大変バランスが悪いのではないかなと思うわけでございます。

 ここまでを聞かれまして、大臣はいかが思われますでしょうか。

 不正受給というのは、そう多いわけではない。なぜなら、被害届が出ている事例というのが少ないからとも解釈できるかと思うんですが、そもそも、今し方、令和三年の調査の話でも分かりますけれども、疑いに入れていない事実が判明したときに、不正被害になっているだけだと思います。そう考えると、この被害届というのは氷山の一角にすぎないのではないでしょうか。

 平成二十二年から令和三年までの調査、これを今後、令和七年にまた行うというふうにお伺いしましたけれども、そういう意味では一歩前進だとは思いますが、死亡届不提出による年金受給、これは詐欺罪を構成し得る行為であり、許されるものではないと思われます。一方で、いわゆる八〇五〇問題など、不正への距離感が狭まっていて、消極的な不正もあり得る時代でございます。

 大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

加藤国務大臣 ちょっとどういう説明をしたかあれなんですが、さっき私答弁で申し上げたように、平成二十五年から二十六年度も、このときには、平成二十六年二月一日時点で七十五歳以上の年金受給者で、介護保険料等が天引きがされていないものを除いた者に対した調査も実施をしておりますので、別に、平成二十二年度から令和三年度間、何もしていなかったということではまずないということでございます。それから、今、令和三年度に実施をいたしました。

 これからについても、まさに年金は、国民の皆さんから集めさせていただいた保険料、これをベースにしているわけでありますから、適切な支給がなされていくように我々としても実施をしていく責務がございます。

 そういった意味で、今委員御指摘のような形であったとしても、適正ではない、不正な受給が行われないよう手当てをする必要があり、こうした観点からも、令和三年度に実施をいたしましたけれども、定期的な調査を実施をすることによって、不正受給がないように、また、不正受給がなされていれば、それに対しては厳正な対応をしていきたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 今、加藤大臣から、平成二十二年、それから二十六年ということでしょうか、あと令和三年と三回調査がなされたということで、二十六年につきましては失礼いたしました。二十七年度、実施する予定だったが実施しなかったというふうにちょっと私お伺いしておりましたので、申し訳ございませんでした。

 また、今、不正受給におきましても、できましたら隔年、四年とか三年とかではなくて、毎年すべきではないのかなと私は思います。というのは、やはり皆さんの年金ですので、調査研究を大いにして、国民の皆さんがやはり納得感を持って年金を受け取るという形を取らなければいけないと思いますし、厚生労働省が主体となって、主導的立場となって、年金機構と、そして自治体との連携、これが取れるように図っていただきたいと思います。

 やはり、今この時代において、八〇五〇問題、これが更に九〇六〇問題にも発展すると言われております。そのとき、経済的困窮が更に心配されるわけでして、この問題は当事者がSOSを出さないとなかなか分からないわけですので、高齢者の見守り、安否確認、ふだんからの声かけなど、年金不正受給を防ぐためだけではない、それ以外にも、高齢者の生活実態の把握、ほかの分野でもよりよい影響があり、必要なことだと思いますので、是非前向きに御検討をお願いいたします。

 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日は、まず戦争。本当に、私も、また二期目、当選しまして、さきには硫黄島の戦没者遺骨引渡式にも参列させていただきました。この間の戦後の処理というか、大きな犠牲、そして大きな代償を払ったわけでございまして、なかなか戦争そのものは終わらないんだということを今回の議論でも感じています。

 その中で、まず、戦没者等の妻に対する特別給付のことについてお尋ねしますが、この間も質問に上がっていましたが、改めて、大臣、この戦没者等の妻、等とありますけれども、ほかにどういった方々が対象になるのか、教えていただきたいと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者とは、戦闘中に敵の攻撃によって死亡された軍人軍属などがその典型でございますけれども、この法律では、そのほか、公務上の傷病によって死亡した方なども対象としておりまして、それらを含めて戦没者等と言っております。

 具体的には、例えば、戦傷病者の方が終戦後にその傷病が原因で死亡された場合、また、終戦後、ソ連等に抑留されて、労働による事故又は病気が原因で亡くなられた場合などが含まれているところでございます。

仁木委員 例えば、戦地で外傷を負って、日本に帰還しました、無事に。無事だけれども、感染症が続いていてそこで亡くなった方も大変にいると思うわけでございますが、その当時なかった概念というのがあります。

 例えば、アメリカのベトナム戦争の後、アメリカにおいては同じく湾岸戦争の後に起こりました、湾岸戦争の後はガルフウォーシンドロームとかいう言葉が生まれましたが、例えば、PTSDという言葉がございます。そういった当時なかった概念で外傷の方がお亡くなりになった場合も、その奥様が対象になるのかどうか。あるいは、もう一点は、PTSDの方は自殺者も結構多いわけでございますけれども、その辺はどのように理解されているか、教えてください。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 PTSDという概念が当時あったかどうかは、済みません、承知しておりませんけれども、この戦没者等の対象になっております方の中には、外傷ですとか身体的な疾病だけではなく、精神的な、心の病による方も含まれていると承知しております。

仁木委員 そうしたら、今、そういう方々も含まれているということでございますが、こういった制度が昭和三十八年から始まって、今年で六十年目を迎えるわけでございますけれども、当時そういった概念がない中で、例えば、戦後帰ってきて、明らかに出兵する前と違った精神状態で帰ってこられて、一か月以上続くとPTSDというふうな診断になるわけですけれども、そういった概念が広まっていない中で、この対象であるべき人が、もしかしたら、こういった対象者として受給されていないケースもあると思いますが、そういったことに対する対策というのはあるんでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 戦傷病者の方に対する対策というのは、この特別給付金以外にも、療養給付など様々なものがございます。今ちょっと正確な、詳細な御説明はできませんけれども、その中で対象となる方については整理をされてきているというふうに考えております。

仁木委員 それでしたら、例えばPTSDで自殺をされた、その方の奥様は、妻はこの特別給付を受けているという認識でよろしいでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 全てケース・バイ・ケースの判断になるとは思うんですけれども、まず、PTSDということについては、先ほども申し上げましたように、心の病についても対象となり得ておりますし、また、自殺の場合でも対象になるケースがございますので、そういったことが排除されているということではないというふうに承知しております。

仁木委員 先ほど、私が冒頭で申し上げましたように、やはり戦争というのはなかなか終わらないものである、決して起こしてはいけないものであるということを、私たち政治家も含めてやっていかなきゃいけないなということを思います。

 受給されている方々もやはり高齢化していますし、そういった皆様方のいろんな制度の変更に、今回、受給の回数なり額面も変わるわけでございますけれども、さきの委員からの御提案もありましたように、丁寧にそういった対応をしていただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、次に、漁業離職者に対する就労支援のことについて求めたいと思います。

 大臣、一般に、こういった対象となる方は漁村にお住まいでして、新たに、例えば漁師、船の上に乗っての仕事以外のところに就職するとなると、リスキリング、かなり重要だと思いますし、最近、どこの例えば事務的なところでも、パソコン等々、ITリテラシーが要ると思われます。

 今、コロナ禍で、例えば、一般のリスキリング、あるいはハローワーク等々、あるいはそれに関連する施設でのトレーニングにおいても、オンラインでのそういうサービスを受けることもできるようになっていると思うんですが、住んでいる場所が、漁村から、そういった会場に直接、対面でそういった研修、講習を受けようと思いますと、やはり時間、そして例えば交通費等々がかかると思います。

 大臣、この方々に対して、特にこういった手当てというのは、今までの現金支給の額面だけでいいとお考えでしょうか。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 今、仁木委員から御指摘がございました、例えば、オンラインを使ったような訓練ということに関する施策でございますけれども、オンラインによる訓練がございます。このオンラインによる訓練の実施につきましては、例えば、既にお住まいの地域に訓練の実施機関がない方などに対しましては、御自宅で希望に応じた日時にオンラインで受講できるEラーニングコースというものをあっせんをするというふうなことも可能というふうな形になっているところでございます。

 そもそも、仁木委員から御指摘のあった漁業離職者の特徴といいますか、方々の状況でございますが、船上という特殊な勤務形態で長期間業務に従事をしている、そのほか、ほかの職種に応用が困難な技能であるということがございまして、デスクワークなど他職種への再就職が一般的には難しい状況にある、そういう認識をしております。

 ただ、デスクワークなどの仕事に再就職を希望される漁業離職者の方に対しましては、ハローワークにおきまして、個々人の状況などに応じて、ITリテラシーを始めとして、希望する職業に必要なスキル等を学ぶための無料の職業訓練の受講のあっせんなどを行っておりまして、離職された方々の実情に応じたきめ細やかな支援を実施をすることは可能であり、先ほど申し上げたようなオンラインの訓練についても配意をするというふうなことがあるかというふうに考えております。

仁木委員 海の上にいて、例えば、中学や高校を卒業して漁師になって、ずっと船の上、海の上という方も結構いらっしゃるわけでございまして、そういった方が、陸上とか、今までしたことのないような業種の方に入っていく。これは、場合によったら、なかなか定着してその仕事に従事できないこともあるかもしれません。

 そういう意味で、この制度というのは、ある程度、猶予期間というのはあるんでしょうか。つまり、一旦就職できたんだけれども、また離職してしまった、またそのときというのは、何か期限的に三年ぐらいあるとも伺ったんですけれども、その辺はどうでしょうか。

堀井政府参考人 漁業離職者の方につきましては、漁業離職者手帳を発給して、最長で約三年の間、職業転換給付金の支給や手厚い職業指導、職業訓練等を実施をしているのが本法の枠組みでございます。

 そして、仮に漁業以外の仕事に再就職をして一年以内に雇い止めなどにより離職をした場合には、減船に伴って離職を余儀なくされた日の翌日から起算をして三年以内であれば、再度手帳を発給し、職業転換給付金の支給などの特別な措置の対象となるところでございます。

仁木委員 大臣、以上の議論をお聞きになられて、あと、最近の、このところの物価高もあります。やはり、漁村からそういったところにまずは行かなきゃいけませんし、また、いろんな形で現場で研修を受けなければいけないようなこともあると思いますし、面接に行くのもそうだと思います。そういう意味で、この際、ほかのいろんな公共事業を含めて、国家予算の方が物価高によって上昇しているという経緯もありますので、今回、この法案、従来と同じ支給額でございますけれども、そういったのを、今後、社会の状況変化、経済的な状況変化、あるいは物価の高騰等々を見据えまして、この支給額を上げるというふうなお考えはないでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 漁業離職者の方に対しては、再就職活動中の生活の安定を図るため、就職促進手当の支給なども行っております。その内容は、雇用保険の失業給付と同様であるとともに、雇用保険の受給終了後も引き続き非課税で二年間の支給が行われるということ、さらに、様々な、ハローワークによる担当者制によるきめ細かな就職指導の実施など、総合的な、そして漁業離職者の方の置かれている状況を踏まえた対応をさせていただいているところでございます。

 現在、今御指摘のように、手当の増額等について、この手当について増額ということになると、現在の失業給付受給者とのバランスをどう考えていくのか、また、求職者の早期再就職を促進するという観点からどう考えるのか等、慎重な検討が必要と考えています。

仁木委員 ありがとうございました。

 なかなか厳しい現実もあるということでございますけれども、そういった背景も、いわゆる政治的、ある種、外的な力によってそういうことを余儀なくされている漁師の方々もいらっしゃいますので、そのことも御理解いただきたいと思います。

 さて、ちょっと質問を変えたいと思いますけれども、この前質問したときの積み残した分でございます。介護予防、介護の現場のお話をしたいと思います。

 大臣、介護事業者とかたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、一般に、利用者である国民も、あるいは介護事業をやられている方々も、介護の段階が様々あります。要支援一、二とか、要介護一から五までありますけれども、介護のそれが重くなるほど、いわゆる保険財政も余計、つまり、介護事業者にとってみれば、より入ってくる収入が増える。あるいは、国民にとったら、負担が増えるわけでございますけれども、逆にカバーしてくれる分も多くなります。介護を頑張っている様々な指標がありますけれども、私が今日の委員会で申し上げたい趣旨は、やはり予防介護に頑張った施設、あるいは頑張った国民がそういう負担がより軽くなるような、そういった制度はいかがか、そういうのを提案したいということでございます。

 まず、この間、予防介護、これは学問というか研究というかリサーチというか、いろいろありますけれども、やはり、背景には、人はやはり加齢現象によって、ADL、日常生活動作が落ちていきますので、なかなか研究としても難しいものがありますが、十年以上前にも、私、一期目のときにも、例えば、一つの指標で、おむつの使用量とか出たと思います。

 今、こういった、厚労省が主体となって、予防介護、どういった指標、パラメーターが向上すれば、例えば、介護度が軽くなった、向上したとかいうふうに言えるものはあるんでしょうか。

大西政府参考人 介護事業者に介護度が改善した場合のインセンティブを付与すべきといったようなお問いかけでございます。

 介護サービス事業所等におきましては、より効果的かつ効率的なサービスが提供されるようにということで、これまでも、介護報酬におきまして、利用者の方の日常生活動作や排せつの改善などに着目したアウトカム評価を導入してきたところでございます。

 例えば、ADL維持等加算といったものを設定しておりまして、こういう中では、事業所におきまして、利用者さんの日常生活動作につきまして維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合に、事業所ごとに加算を算定することができるといったものでございますとか、排せつの支援加算といったものを設けておりまして、計画を策定をいただいて、その評価をするに加えまして、利用者の排せつ状態が改善した場合に、その利用者さんごとに算定をするといったような加算を設けたりしているところでございます。

 こうしたアウトカム評価をより推進すべきというのは全体の基本的な流れかと思いますが、他方で、やはり様々な論点がございまして、改善が見込まれる利用者さんを介護事業所さんが選別して、そういう方を中心に選んで、より加算を取りやすくされるという傾向というかおそれもあるのではないか、いわゆるクリームスキミングと言われておりますけれども、そういった点。また、高齢者の方は状態像が、そもそも、今おっしゃられましたように、加齢とか、様々な条件によって状態像が変化しやすいものでございますので、評価時点の設定が難しいといった論点。また、評価項目の内容について、関係者のコンセンサスを丁寧に得ていく必要があるだろうといったような課題も指摘をされているところでございます。

 介護保険制度におきますアウトカム評価の在り方につきましては、様々、これまでの取組の検証を、令和三年度も介護報酬改定を行いましたけれども、それの効果検証、調査研究に関する調査を進めておりまして、そういう中で、また関係者の御意見も伺いながら、引き続きしっかり検討してまいりたいと考えております。

仁木委員 このことに対しての要望で、やはり、例えば、特養に入所しようと思えば、要介護三以上とか、そういった、いろいろ、これも何で要介護二では入れなくて要介護三なのかということもあると思いますし、これには科学的な背景があると思うんですけれども、やはり、少なくとも、例えば、そういう今の特養の状況はもう変えられないのであるならば、要介護二から一になれば、さっき言った、改善したことによる介護報酬のかなりの増額とか、そういったことも考えていっていただきたいと思います。

 このことに関しましては、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、今委員の御指摘は、介護サービスというものがどういうものなのかということで、単に高齢者の方のケアをするということにとどまらず、これはかなり個別の事情がいろいろありますけれども、サービスの態様によっては、その方のいわゆるクオリティー・オブ・ライフが上がるといったところもございますので、大変そういった部分もあるサービスだということがまず前提になるんだと思います。

 その中で、介護される方が、まさに、その方の生活がより維持をされる、場合によっては改善されていくということ、これは本人にとっても非常にプラスになるということでございますから、まあ、そういった形に全ての方がなるというわけにはなかなかいかず、やはり高齢という問題がもちろんベースにあることは前提ではありますけれども、そういった形でよりよいサービスが提供されていく、またそのように仕組みをつくり込んでいく、このことは非常に大事だと思いますが、ただ、このアウトカムに関する課題も、先ほど局長から指摘をした課題もございますので、そういった課題も認識をしながら、今申し上げたよりよいサービスが提供されていく。また、そのことが結果として、予防が行われ、介護サービス全体の、介護保険制度そのものについてもプラスに転じていくのではないかなということを期待したいと思います。

仁木委員 私が申し上げたいのは、実は介護保険の保険で支給される額を見ましても、要介護二と三は大分違いはありますよね、要介護三、四、五に比べて。ですから、その辺は、特に特養に入ってしまって、まあ、これは具体的に、例えば特養にいらっしゃる方は、訪問診療も実際、受けにくいような現実もあります。込み込みで医療もという話でございますので。ですから、やはり要介護二と三、この間というのはすごく大きいというのを、まずADLということを視点に言いますと、これは申し上げておきたいと思います。認知症とかはまたちょっと違った概念も入ってきますけれども。

 いずれにしましても、これは、コロナで、例えば、私も、先般予算委員会で質問しましたけれども、これは疾病分類二類から五類になると、入院患者さんにも家族が面会できる。入所されている施設も、インフルエンザと同じような状況ですから、コロナ以前と同じように面会できる。面会できるのはすごく大きいんですね。逆に、面会できないというのは、もう入院されている患者さん、そしてまた、このケースのような、介護施設に、特に特養等々に入所されている方にとっては非常に重要で、人間は社会の中で生きています。家族もいらっしゃいます。でも、会えないことで、すごくメンタル的な、そしてそれ以上の、場合によってはADL等々に影響を来している患者さんがいっぱいいらっしゃるということで、私は、かつて、こういった介護施設がうば捨て山みたいな表現をされた時代もありましたけれども、やはり要介護二と三はすごく境目があって、これを何とかやはり改善していく。

 先ほど、施設が抱え込むとかいうようなこともありましたし、これは、いろいろな地域包括ケアの中でも、いろいろなビジネス的にやり過ぎた施設がそういう傾向になりがちだということで、ケアマネジャーがどういった医者をかかりつけとするかとか、そういう問題も出ていますけれども、とにかく、要介護二と三の区別という非常に重い現実があるということを踏まえた上で、改めて、そういった予防介護を評価するような介護報酬のありよう、これは、実は介護報酬で現場が変わっていきますので、非常に考えていただきたいと思いますが、改めて、大臣、今私が申し上げたことを踏まえて、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 重ねてということになりますけれども、そうした形でのアプローチ、非常に大事だと思っております。

 それを進めるに当たって、まさに科学的に物事をつくり込んでいかなきゃいけませんから、それに対する調査研究等も含めながら、あるいは、それぞれ今行われている実態、こういったこともしっかりと踏まえながら、検討をしていきたいと思っております。

仁木委員 これは御指摘ですけれども、私も地元の選挙活動で介護施設とかを回るときがありますけれども、やはり介護スタッフにいろいろ問題が出ていますね、処遇改善の問題。ですから、やはり、自分が仕事の中で対峙されている介護利用者さんが自分の家族のように思えるような、そういった状態で働ける、そういう環境をもたらすことが、私は、究極のサービス業と思える医療や介護の現場においては大切だと思っています。

 そういう意味で、やはり、特養等々で、患者さん、入所者さんに接するような現場と、また、そういったそれ以外のグループホームや有料老人ホームやサ高住等々、そういったところのまた現場等々も、大臣、これは非常に実は重要なことでございますので、一度また視察等々、コロナが疾病分類二類から五類になって、どのような、新たな国としてのガイドラインと言えないまでも、体制で、感染症対策も含めて、五類になった新型コロナウイルス感染症に対して介護の現場が動いていくのかということを示す上で、また視察とかお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 二類から五類に位置づけを見直す中においても、やはり高齢者施設においては引き続き感染防止対策をしっかり行っていく必要があると思っておりますし、高齢者における感染リスクが高いということは指摘をされておりますので、そういったことをしっかり我々はフォローしていかなきゃいけない。

 ただ、視察となると、なかなか、今、高齢者施設における面会等もいろいろと、できる限り広げてほしいということは申し上げてはいますけれども、しかし、第三者ということになると、またその辺をどう考えるのか等々の課題はあろうかと思っていますが、ただ、高齢者施設が実態どうなのかということをしっかり把握していくということ、このことは必要だと思いますし、その状況状況を踏まえながら、適切な感染対策のみならず、介護の在り方といったこともしっかり考えていきたいと思っています。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 できればそういう視察等々も、現場に立脚した政策を実践していただきたいと思います。

 以上、今日、るる述べてきましたけれども、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法改正については賛成です。支給漏れがないよう願います。

 戦争被害に関わって、三点取り上げたいと思います。

 資料二を御覧いただきたいと思いますけれども、PTSDの復員日本兵と暮らした家族が語り合う会というものを武蔵村山市の黒井秋夫さんが立ち上げました。心を病んだ元兵士の家族、復員した父親から暴力を受けた家族が次々に名のりを上げ、今では全国で数百人規模の交流会が開かれるようになっております。

 国府台陸軍病院に入院した日本兵は一万人に上り、精神を病んでも治療につながらなかった人は相当いたとのことであります。戦後も精神障害への社会の理解は乏しく、傷痍軍人として国の保護を受けることをためらったケースも多かったと見られ、被害の実相が顧みられることは余りありませんでした。

 黒井さん御自身、父親が中国から復員後、定職に就かず、亡くなるまで無口、無気力で、父を軽蔑して育ったそうであります。戦場で受けた心の傷が原因ではと思い至ったのは、PTSDに苦しむベトナム戦争帰還兵の話に接した八年前だそうです。黒井さんは、戦争後遺症について調べ、父を理解してあげられなかったことを悔やんで会を立ち上げたということなんですね。

 戦争で心を傷つけながら、家族も政府もそのことを理解してくれず、亡くなっていく。そして、暴力が子や孫にまで連鎖をしていく。こんな悲惨なことがあるだろうか、せめてこうした悲惨な事実があったことを多くの皆さんに知ってほしいと、黒井さんたちは痛切に訴えられておられます。

 加藤大臣、アジア太平洋戦争における元兵士のPTSDとその家族たちの労苦について、どのように受け止められているでしょうか。PTSD兵士と家族の実態を調査し、被害の実相を語り継いでいくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 さきの大戦で、戦闘で負傷したり病に倒れた戦傷病者の方々、心身両面に深い傷を残したまま、戦中戦後の激動期を耐え、今日の我が国の繁栄を築き上げてきていただいたわけでありますし、また、その御家族の方々の労苦も並々ならぬものがあったと認識をしております。

 厚労省では、平成十八年三月に、しょうけい館を開設し、戦傷病者とその御家族が体験した労苦を次世代に伝えることを目的として、資料及び情報の収集、保存、展示等をも行っているところでございます。

 PTSDを含めて心の傷を負われた元兵士やその御家族の実態を語り継ぐということは、まさに今申し上げた戦傷病者とその家族が戦中戦後に体験した労苦を次の世代に伝えていくというためにも大事なことだと考えております。

 そういった意味で、しょうけい館において、こうした点について、元兵士やその御家族の体験、専門家による研究の成果などを調査し、また、しょうけい館には運営有識者会議というのがございますので、そこでの議論も行っていただく中で考えていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 しょうけい館の活動の中で考えられるという答弁でございましたが、是非、この黒井さんたちの、御家族の思いをしっかり受け止めて、実態調査、被害の実相を語り継ぐ取組をしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 二つ目の問題です。

 昨年十一月、ETV特集で、中国残留孤児だとして、今も二百人余りの人が認定を求めているということが報道されておりました。

 そのうち、四人の方が登場しておりました。菅さんは、九十歳の証言者を見つけ、厚労省にビデオと文書を提出。これに対して厚労省は、証言者に直接会っての調査が必要と返事。しかし、厚労省はすぐに面談せず、待つこと一年半、証言者は認知症が進み、亡くなってしまった。黄さん、この方は、親の長谷川さんの方も捜していたことなど、たくさんの証拠書類をそろえたんですけれども、認定されなかった。白さんは、養母が亡くなる前に、拾ったときに包まれていた服を渡されたという話など、紹介されていました。孫さんも、日本語の手紙も残っております。それぞれ、いろいろな物証も含めて、ある方々ばかりでした。しかし、証言をしていた人が亡くなるなどして、現在のやり方では認定が進まない状況ということになっております。

 中国残留孤児を生んだ日本政府の責任というのは極めて重大であって、私は、解決に向けて、日中で協議して、新たなルールを作るなどすべきではないかと思うんですね。

 報道を見ていましたら、白さんは、二〇一九年に厚労省を直接訪れたんですけれども、あなたは日本人だと言うけれども、本当かと言われたとのことでありました。

 しかし、例えば、今世紀に入って、DNAの解析というのは、ずっと、手法も開発されて、世界各地の人類集団のDNAの解読、ゲノムの解読というのは進んでおります。人類学的に見て、日本人と中国人、漢民族は、見た目以上にゲノムが違うということも既に明らかになっているわけですね。遺骨の収集の際にもそうした技術が活用されているわけです。

 大臣、科学の活用も含め、こうした皆さんがちゃんと認定されて、日本に戻ってこれるように新しい認定ルールを作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 中国残留孤児の調査については、本人の申立てを基に、日中両政府が保有している資料を用いたり、必要に応じて証言者に照会を行ったりすることで、客観的な立場で調査を行い、日中両政府で中国残留孤児との認定を行っているところであります。

 日中両政府が中国残留孤児として認定している方は、日本人を両親として出生した者であることなど、ちょっと省略しますけれども、五つの要件を全て備えている方であります。

 昭和五十年から平成二十四年までに二千八百十八名の孤児を認定しており、平成二十五年以降は認定された方がいないというのが現状であります。

 現在、厚労省として、孤児に係る新規申立て、これはゼロ件ということでありますが、中国残留孤児を調査を行うに当たって、今、DNAの分析結果というのが一つの例示として出ておりました。そうしたことが活用できるのかできないのかということも含めて、中国残留孤児の調査をより的確に行っていくことは大事だと思っております。

宮本(徹)委員 DNAはできるかできないか、これはできるに決まっていると思うんですね、だって、実際に遺骨ではやっているわけで、何人の骨なのかというのは、遺骨についた壊れたDNAまで、次世代シークエンサーでSNP解析もやって、これは日本人だという判定をしているわけですよね。

 さっきの五つの要件を満たすことが必要だということをおっしゃいましたけれども、五つの要件の一つ目は、両親が日本人であること。そこに疑問を持って受け付けられていない、認定されていない方々がいるわけですから、そこは、私は、DNAも、まあ本人が提供するのは同意が原則ですけれども、DNAについては。そういうことも含めて、本当に、自分のルーツは何なのか、人間の尊厳の問題だということを当事者の皆さん、訴えられておられました。是非、与党の皆さんも、関心を持たれる方は、NHKのオンデマンドで見れますので、見ていただけたら。これは本当に放置するわけにいかない問題だと、できることがあるんだったら本当に全部やり尽くして、帰国できるようにしなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、三点目ですけれども、空襲被害者救済法についてお伺いいたします。

 先ほども吉田委員からお話ありました。長年、民間空襲被害者への補償を訴えてきた空襲被害者の逝去が続いております。残された時間はほとんどありません。国が戦争を始め、敗戦必至の状況でも国が戦争を続ける中、空襲で五十万人の民間人の命が奪われました。家族を失い、孤児となり、障害を負い、塗炭の苦しみの中に生きてきたわけでございます。この被害を招いた責任は国にあるわけですね。何も補償しないというのは、正義にも、人の道にも反すると思います。

 加藤大臣、総理はこの間、答弁で、議員連盟での議論もしっかりと注視しながら政府として何を加えるべきかと考えていきたい、こういう答弁をされております。しかし、法案は、議連の方ではまとまっていても、自民党内での調整がつかない、こういう状況が続いております。

 先ほどの吉田委員への答弁では、大臣は注視していくということをおっしゃっておられましたけれども、ただ注視するだけではなく、是非、総理が決断できるように、閣僚の一人として、決断を促す役割を加藤大臣には果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど答弁しましたので重複ははしょらせていただきますけれども、今委員のおっしゃった点に関しては、まさに総理がおっしゃっておられるように、議連の議論も注視しながら政府として何ができるか考えていきたい、まさにこういった姿勢で取り組んでいきたいと考えています。

宮本(徹)委員 今日、改めて、三月十日の毎日新聞の社説も資料でつけておきました。同じ敗戦国のドイツとイタリアでも、あるいは戦勝国のフランスやイギリスでも、空襲被害者の救済というのは行っているんですよね。やはり戦争被害の救済のためのというのはやるというのが当たり前のことだと思うんですよ。ほかのサミット諸国でもやっているわけですから、是非日本でも、これは本当に待ったなしの課題ですので、決断していただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 続きまして、駐留軍関係離職者等臨時措置法の延長についてお伺いをいたします。

 我が党は日米軍事同盟にも思いやり予算にも反対をしておりますけれども、米軍基地で働く労働者について権利を保障するのは当然であり、米軍再編に伴って離職を余儀なくされる方の再就職支援は必要だと考えております。その上で、駐留軍労働者の権利に関わってお伺いしたいと思います。

 先ほど早稲田委員からも、日本の法令が適用しているのかという点で大事な問題提起がございました。

 まず私が取り上げたいのは、ハラスメントの問題です。米国人上司からのパワハラ被害などの職場のトラブルが多発していると報じられております。

 今日、防衛省、来ていただきましたけれども、この間、防衛事務所のハラスメント相談窓口に寄せられている相談件数、年度ごとの合計数を述べていただけるでしょうか。

井野副大臣 平成二十九年度から令和三年度までの過去五年間でということでありますけれども、各地方事務所などのハラスメント窓口に寄せられた相談件数ですが、平成二十九年度が二十五件、三十年度が五十八件、令和元年度が八十三件、令和二年度が五十七件、令和三年度が五十四件であり、合計で延べ二百七十七件となっております。

宮本(徹)委員 資料をいただいたので、資料六につけておりますけれども、令和四年度は二月末現在で七十四件ということになっているわけです。

 この駐留軍労働者は、雇用者は日本政府だ、使用者は在日米軍、日本政府が米軍に供給する間接雇用方式の下で働いているわけです。

 資料の五ページを見ていただきたいと思います。

 キャンプ座間でパワハラ被害を受けた女性労働者二人が産業医に急性ストレス障害などと診断され、三か月の傷病休暇を取得しました。その後、配置転換を条件に復帰可能と診断されましたが、米軍側には元の部署に戻るよう指示され、拒むと無断欠勤扱いとなり、お一人は無給状態、こういうことが起きたわけです。

 この前に、お二人は基地内の人事担当に苦情を申し立て、防衛省の座間防衛事務所も、配置転換を含めた配慮を求める要望書を米軍側に提出しておりましたが、配置転換は使用者である米軍の権限に属するため、雇用主の防衛省だけでは解決できない、こういう実態が浮き彫りになったわけです。

 同じ労働者供給である労働者派遣では、派遣元だけでなく派遣先もハラスメント防止措置義務を負っているわけです。私は、雇用主である防衛省に義務を課すだけでは不十分であって、使用者として配置転換や指揮命令の権限を持つ米軍にもこうした措置義務を課すなど、実効性のある対策を取るべきだと思いますが、防衛省、いかがですか。

井野副大臣 ハラスメント防止対策についてでありますけれども、パワハラ防止法が令和二年六月に施行された後は、この法律の適用を受ける従業員の雇用主として、新たに駐留軍等労働者のためのパワハラ防止に係る方針を策定し、米側や従業員に考え方を共有し、周知するとともに、各地方防衛事務所などにハラスメント専用の相談窓口を設けるなど、対策を講じているところでございます。

 また、米側に対しては、パワーハラスメントの具体的な事例などを示して啓発を行ったり、米側及び従業員を対象とした在日米軍従業員等へのパワーハラスメント防止講習会を実施し、パワーハラスメントを防止するための各種取組を進めてきているところでございます。

 こういったハラスメント発生を防ぐための取組を引き続き進めるとともに、万が一ハラスメントが発生した場合には迅速に解決ができるよう、日米間で緊密に連携して取り組んでいくところでございます。

宮本(徹)委員 午前中の早稲田委員とのやり取りを聞いていましても、日本の様々な法令が在日米軍には実際には適用されていない状態になっているわけですね。このパワハラ防止措置義務についても、先ほど言いましたけれども、同じ労働者供給でも派遣では、これは派遣先にも課されるわけですよね。その義務の中には、ハラスメント防止の方針の明確化、周知啓発だけでなく、相談窓口の設置、速やかな被害者への配慮、行為者に対する措置、再発防止策などなどが使用者の側にも課されるわけですよ。こうしたものが米側に課されていないからなかなか問題が解決しない、こういうことになっているんじゃないんですか。

 ですから、ここは防衛省としてちゃんと、パワハラ防止措置の義務やセクハラ、マタハラの防止措置の義務についてもちゃんと、日本の法体系に沿った対応を取るように協議して、合意を得る必要があると思いますが、いかがですか。

井野副大臣 確かに、使用者である米側に対しての対策というところですけれども、我々防衛省としては、米側にはハラスメント防止に係る措置義務がないため、厚生労働省による助言等の直接的な対象とはなっていないというのは、確かにそういう面はありますが、駐留軍等労働者から各地方防衛事務所などのハラスメント相談窓口に相談があった場合には、駐留軍等労働者の意向を踏まえつつ、防衛省から米側に対し事実関係の確認を行うとともに、事実であることが確認できた場合には、速やかに環境の改善や再発防止措置を講ずるよう求めるなどの取組を行っているところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、その措置義務をちゃんと米側にも、認めるような協議をする必要があるんじゃないかということを申しているんですよ。

井野副大臣 米側との協議、取組についてでありますけれども、先ほどちょっと申し上げたとおり、まずは労働者の意向を踏まえつつ、その上で、事実関係の確認等は、防衛省としてはしっかり米側に確認を求めているという形でありますし、もちろん、それがあった場合には、直ちにその是正、改善等を講じていくように求めている。そういう取組を積み重ねていっているところでございます。

宮本(徹)委員 ちゃんと日本の国内法を米軍にも守るように協議をする、それで合意を求めていく、何でそれが言えないのかというのは、本当に私、情けないなと思いますよ。

 米軍によるハラスメントについて裁判で賠償を求めたらどうなるか。米軍のハラスメント防止措置を取らなかったと認められた場合は、当然米軍は問題なんですけれども、これは国に責任があるとして日本政府が賠償を払っているわけですよ。こういうことになるわけですよね。米軍がハラスメントを使用者として起こしても、日本政府が賠償を払う、こういうことが起きているわけですからね。米軍の無法を許せば許すほど日本政府はその分も賠償を払うって、こんなばかな話はないわけですから、ちゃんと米軍に対しては、ハラスメント防止措置、日本の国内法と同じものを取っていただく、この合意を取っていただきたいと思うんですよ。

 今日、そこまでのペーパーしかないんだったら、持ち帰って検討しますということだけ言ってください。

井野副大臣 いずれにしても、いろいろな御指摘いただきましたけれども、我々としては、労働者からそういった相談があった場合には直ちに、もちろん労働者の意向がありますので、こういったものを先方に伝えるかどうか含めて確認を取った上で、事実関係の確認、米側に対してもしっかりと事実関係を確認してくれ、その旨言っております。そういった取組を積み重ねていくことによってハラスメント自体がなくなっていくんだろうというふうに思っております。

宮本(徹)委員 ハラスメントをなくすためには、ハラスメント防止の措置の義務をちゃんと米側にも負っていただく、日本の企業と同じ責任を果たしてもらうということが必要だということを厳しく申し上げておきたいと思います。

 あわせて、このハラスメントの問題では、パワハラ被害が増える中、二〇一九年に、米海軍厚木基地が政府を通じて全駐労に対して、協議会の設置などを含めた解決策を提示して、これが設置されております。厚木基地以外でもこうした協議会を設ける必要があるのではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。

井野副大臣 宮本委員御指摘の厚木基地のパワーハラスメント事案、その協議会の設置なんですけれども、これは、当時、令和元年に米軍厚木基地において発生したパワーハラスメント事案を踏まえ、米側より、このような労使紛争を発生させないよう、米側、防衛省、全駐労、労働者の三者による協議会を設置したいという申出があったことを受け、協議会が設置されたものと承知しております。

 こういった、防衛省としては、米軍や組合の意向を確認しながら、今後、必要な場合には適切に対応してまいるというふうに取り組んでいるところでございます。

宮本(徹)委員 米側の意向を確認してって、これは、厚木基地だけは米側が言ってきたからつくられたわけですけれども、でも、米側が言ったらやるという話じゃなくて、本来は、日本政府側から言う必要がある話だと思うんですよね。全駐労は、協議会が労使で対応するこの新手法を厚木基地で定着させ、他の基地への拡大も目指す、こうおっしゃっているわけですから、全駐労の側の意向は明確なんですよ。アメリカが言ってくるのを待つんだとか、アメリカに意向を確認してじゃなくて、日本政府の側から、全駐労がこう求めているんだということで、しっかり米側に求めていくという姿勢が大事だと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、もう一点、駐留軍労働者に関わって取り上げたい問題がございます。

 資料の七ページ目につけておりますが、駐留軍労働者の中で有期雇用契約の臨時従業員が、二十年前は、二〇〇三年、九百六十九人の三・九%だったのが、二〇二三年一月末では三千六百二十九人、一四%にまで増えております。非正規雇用への置き換えがずっと進んでいるわけですね。この五年間を見ても、非正規雇用の比率が高まっております。五年前は無期転換ルールが作られたわけですけれども、逆に非正規雇用の比率が高まっているわけですね。

 五年前の法改正の際に、我が党の高橋千鶴子議員の質問に、米軍側も無期転換権を認めるとの合意に至ったとの答弁がありました。

 防衛省にお伺いしますけれども、この五年間で無期転換権を得た労働者と無期雇用に転換した人数というのは何人でしょうか。

井野副大臣 過去五年間において、平成三十年度に百二十一人の駐留軍労働者が無期転換権を得ています。そのほかの年度については、無期転換権を得た従業員はございません。

 その上で、この百二十一人のうち無期雇用従業員への転換を希望された百十七人については、全ての従業員が無期雇用従業員へと転換をしているところでございます。

宮本(徹)委員 過去五年間では、平成三十年度の百二十一人が無期転換権を得て、そのうち希望された百十七人が無期雇用に転換した、しかし、それ以外の年度、平成三十一年度以降は無期転換権を得た従業員がいないというんですね。これもおかしな話だなと思うんですよね。ということは、この臨時従業員に更新期間の上限が設けられたということなんですか。

井野副大臣 平成三十年四月に時給制臨時従業員の労働提供契約が改正されまして、雇用が反復して更新される場合、更新回数については上限がありませんが、通算した雇用期間が最初の雇入れから三年が上限となっているというところでございます。

宮本(徹)委員 新たに、三年が上限という雇用期間の上限が設けられたという話なんですよね。御存じのとおり、この無期転換ルールは、五年を超えて契約が更新されたら無期転換権が発生する。それまでは上限がなかったにもかかわらず、労働契約法が改正されて無期転換ルールができたら、新たに三年という上限を設けたという話なんですね。

 ちょっと、加藤大臣、これは許されないんじゃないかと思うんですよね。事実上の無期転換逃れになっているんじゃないかと思いますが、厚労大臣としての所見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 一般論でしか申し上げられませんが、更新上限に基づき行われる雇い止めの有効性については、労働契約法第十九条の雇い止め法理に基づき、最終的には司法での判断となります。

 また、雇用上限を設けることは直ちに法違反となるものではありませんが、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えております。

 厚労省としては、こうした無期転換のルールの趣旨について、防衛省にも丁寧に説明していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 大臣から答弁があったとおりなんですけれども、意図的に、それまで、無期転換ルールができるまでは更新上限は一切設けられていなかったのに、無期転換ルールができたら更新上限を設けていくというのは、これは本当に私は許されない無期転換逃れだと思うんですよね。

 今、大臣からは、防衛省にもルールを説明していくという答弁がありましたけれども、これは正す必要があるんじゃないですか。いかがですか。

井野副大臣 先ほどの三年という上限とした経緯についてなんですけれども、有期雇用の従業員の雇用期間の上限を定めること自体は、我々としては直ちに違法になるということではないと承知しておりますし、この三十年の労働提供契約の改正に当たっては、米側、そして従業員の代表たる組合側、そして防衛省の三者の合意を得てこういう三年という形を取ったということでありました。

 その上で、我々としては、従業員の雇用の安定は重要であるというふうに認識しておりますし、引き続き、従業員を代表する組合側の御意見も伺いながら、こういった駐留軍労働者をめぐる雇用の在り方については今後も引き続き検討していくという対応でございます。

宮本(徹)委員 先ほど大臣の説明を井野さんも聞かれていたと思いますけれども、無期転換権は、やはり非正規雇用の皆さんが安定した雇用に就くためにつくられたものなわけですよね。わざわざ二〇一八年の際には、当時、無期転換権を得られた方々に、日本の法律に基づいて無期転換権を米側にも認めさせたわけですよ。ところが、それと同時に、それ以降は無期転換権が発生しないようなものに変えてしまった。本当に雇用の安定を図るものと真っ向から逆行することをやっているわけですよね。

 本来、国は雇用者ですから、国は雇用者なんですから率先して労契法を守って実践しなきゃいけない。その防衛省、国が率先して無期転換逃れをやっている。全く民間に対しても示しがつかないことだと思いますよ。私は、直ちに是正する協議を始めていただきたいというふうに思います。

 あわせて、最後、一点だけお伺いしますけれども、この間、非正規雇用が大きく増えておりますけれども、これは理由は何なんでしょうか。

井野副大臣 非正規雇用の増えたということですけれども、退職者が増えている理由、まあ非正規に替わっているということだと思いますけれども、主な理由としては、任期満了による高齢従業員の退職者が増えているということから、雇用継続、そういった、何ですか、定年後、そして非正規になって、そういう人が増えた結果だと思います。それとともに、そういう高齢者の再就職といいましょうか、任期つきで、非正規で雇用を継続していくということを求めている結果がこういう数字に表れているんだろうと思っております。

宮本(徹)委員 先ほど早稲田委員からその点は指摘があったと思いますけれども、非正規に置き換えていくんじゃなくて、高齢者も定年延長だとか安定した雇用をやっていくべきだというふうに思います。

 時間になりましたから終わりますけれども、とにかく、駐留軍労働者については、ちゃんと労働者としての権利が守られるように、日本の国内法をしっかり適用できるように、米側としっかり交渉すべきだと強く申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 本日最後の質問となりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、駐留軍の関係離職者等臨時措置法についてお伺いしたいと思います。各委員から様々な質問が出ておりました。かぶるところがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 まず、歴史を振り返ってみますと、一九五一年、昭和二十六年の九月、米英など各国との戦争状態を終結させるためにサンフランシスコ平和条約が調印をされました。これを契機に、全国に展開していた米英中心の連合軍や国連軍が次々に撤退を開始をしまして、一九五〇年末には本土においては二十七万人を超えていた駐留軍の従業員が、毎年、万単位の人員整理というものが行われまして、一九六〇年、昭和三十五年でありますが、五万八千人に激減をしたという経緯があります。そんな中で、一九五八年、昭和三十三年、故石橋政嗣代議士が中心となって、政党を超えて各議員に働きかけまして、この臨措法を超党派の議員立法によって成立をされたということを聞きました。

 戦後、多くの人の思いでこの法律ができました。そして、現在も、働く皆さん、全駐労の皆さんですが、この臨措法を離職者対策の唯一の柱であるというふうに位置づけておるということで、しっかりと質疑を行っていきたいと思っています。

 まずは、駐留軍の労働者の位置づけ、勤務状況や労務管理について行いたいと思います。

 駐留軍の労働者は、国が法律上の雇用主であるにもかかわらず、採用や解雇などの人事措置の最終的な権限というのは米側にあります。また、職場が米国の主権下の米軍基地内でありますから、国内労働関係法が十分に適用されない。今、各委員からも議論がされておりました、労働基本権についても制約を受けているのが現状です。

 国内の労働安全衛生の関連の法案が、どんどんと改正されていくと思いますが、これが改正された場合には、契約や協約というのもやはり法令に準じた改正というのを行っていくべきだと考えておりますが、これについてまず伺いたいと思います。

 また、あわせて、基地内における就労実態、就労環境というのを十分に把握した上で、労務管理や緊急時の安全対策、また事故、災害の防止に万全を期すべきと考えますが、伺います。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、駐留軍等労働者に対しましては日本の国内法令が適用されますが、その就労形態につきましては、雇用主が日本政府、使用者は在日米軍といった点で極めて特殊なものとなっております。労働者の権利保護に係る実効性を確保するため、具体的な労働条件につきましては、日米間で締結する労務提供契約において規定をしているところでございます。

 その上で、幾つかの点で我が国の労働関係法令に合致していない事項が存在しておりますけれども、日米合同委員会の下の労務分科委員会やその他の日米協議の場で引き続き調整を行っているというところでございます。

 御指摘いただきましたように、様々な労働関係法制の改正に伴いまして、労務提供契約についての改正も行っております。例えばの例としまして、祝日の追加でございますとか、子の看護休暇、介護休暇の一部有給化でありますとか、特別昇給制度の導入、こういったものを行っているところでございます。

 引き続き、駐留軍労働者の方々の雇用の安定、適切な労働環境の確保に努めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 様々な対応策、取り組んでくれてはいると思うんですけれども、やはり働く環境はまだまだ不十分であると言わざるを得ません。

 その中で、定年制について伺います。

 国家公務員の定年は、現在は原則六十歳ですが、令和五年度以降、二年に一歳ずつ定年が引き上げられまして、令和十三年の四月には、原則六十五歳になるとされています。

 現在、駐留軍労働者は、同じように定年というのは六十に定められておりますが、この定年延長について、先ほども少し議論がありましたけれども、どう考えているのかをお聞かせいただきたいと思います。

 実際、この駐留軍の皆さん、六月と十二月が起点だということでありまして、今年六月の定年者の方がいらっしゃるということなんですけれども、この処遇がいまだ決まっておらず、対応に苦慮しているという声もいただいておりますが、併せて現状も伺います。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。

 駐留軍労働者の定年年齢につきましては、現在、国家公務員の定年年齢に倣い六十歳ということになっておりますけれども、本年四月より国家公務員の定年年齢が段階的に引き上げられ六十五歳になることを受けまして、駐留軍等労働者の定年年齢につきましても、段階的に引き上げ、六十五歳とできるよう、米側と現在調整をいたしておるところでございます。現時点において、残念ながら米側との合意には至っていないところでございます。

 御指摘いただきましたように、駐留軍労働者の定年退職の時期、六月、十二月、ございます。こういった形で、個々の労働者の方々に不利益が生じないように、速やかに米側と合意できるように、引き続き努めてまいりたいと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 米側と調整中ということであったんですけれども、アメリカにおいては、そもそも定年制というのを禁止されておりまして、雇入れや労働条件によって、年齢を理由に差別をすることというのは禁止されています。だからこそ、なかなか難しいというお話も聞いているんですけれども、しかしながら、この六十歳の定年延長というのは、かなり前から国家公務員においては議論されてきました。

 調整中ということをずっと言われているんですが、どのくらいのめどで今議論を進めているんでしょうか。お伺いします。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げさせていただきます。

 米側との関係では、様々議論をしております。詳細につきましては、今後の日米協議にも支障が生ずる可能性があるため、お答えを差し控えさせていただければと思いますが、基本的には、この定年年齢を、国家公務員の制度改正がなされる本年四月に合わせて、段階的に六十五歳に引上げを図っていくというふうな点に絞って調整をさせていただいております。

 基本的な米側との考え方については大きなそごはないというふうに思っておりますけれども、細部調整をした上で速やかに合意に至れるように努めてまいりたいと思っております。

田中(健)委員 先ほどの改正高齢法を踏まえた再雇用制度の話については、日米で締結した労務提供契約にもうしっかりと明記されているということで、七十歳までの延長についても議論がされているということであります。

 是非、この定年制については、大変に働いている皆さんにとって大きな課題でありまして、同一労働同一賃金にも関わってくる問題でありますから、速やかに結論を出していただきたいと思っています。

 次は、就労支援措置について伺います。

 平成三十年のこの審議の委員会の附帯決議を受けて、駐留軍の関係離職者の実態調査を行ったということですが、これはどのような結果が得られたのか。それを踏まえて、令和二年三月の駐留軍関係離職者職業相談及び職業訓練について、防衛省の地方防衛局と連携して対応するという手順を作ったということでありますが、これはどのように改善をされたのか、伺います。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 田中委員御指摘の、平成三十年、前回改正時の附帯決議を踏まえた厚生労働省における調査でございますけれども、平成三十年十月から十一月に、駐留軍関係離職者の訓練の実施状況等のアンケート調査ということで、職業訓練の意義や効果に対する理解が十分でないことや、再就職に有利な資格の取得、離職前の段階での求人、職業訓練の情報提供等のニーズが高いという結果を把握をしたところでございます。

 この結果を踏まえて、駐留軍関係離職者につきましては、防衛省において、離職前の時点からハローワークへ誘導するとともに、ハローワークにおきましては、本人の希望や同世代の求職者が就職した職種なども踏まえて、それに適した職業訓練なども御案内をするとともに、当該情報はハローワークから地方防衛局長等に情報提供しまして、防衛省において必要に応じて離職前職業訓練を実施をするなどの、離職前の支援を担う防衛省との更なる連携を行うこととしたところでございます。

 前回の改正後、離職者の発生は少数にとどまっているところで、明確な効果というところを申し上げる状況にはまだ至っていないんですが、今後とも、こうした運用を徹底して、関係省庁と連携をしながら個々の求職者の実情に応じたきめ細やかな支援を実施をし、支援効果については、訓練の実施状況、就職状況を適切に把握をしてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 まさに後半に言ってもらいましたが、この間、五年間で、離職前の職業訓練もゼロでありますし、離職者も、これはいいことであるんですけれども、数が少ないことで推移をしています。なかなか、離職前のハローワーク、ないしは同世代の離職者が就職した職種を調べていただくというのは、実際やっていただいているようですが、実績がありませんので、やはり、そのような人が出た場合にどうするかということをもう少し具体的に是非検討していただければと思っています。

 さらに、今回、離職者関連予算は僅か五百万円弱であります。今は可能な限り離職をさせないというような方針に転換をしているということもお聞きをしています。

 その中で、在留軍労働者の雇用の維持について伺いたいと思います。

 平成二十八年度に改正された在日駐留軍の経費負担に関する特別協約において、在留軍の労働者二万三千百七十八人の労務負担を合意したことにより、雇用状況は安定的に推移をしております。平成二十八年以降は、この臨措法の対象となる離職者そのものがゼロないし一桁と、今お話があったとおりであります。さらに、令和四年度の改正においても労務費の請負、負担人数が維持されたことから、雇用はこれを見れば安定すると思われます。

 一方、令和六年から始まる米海兵隊のグアムの移転によって返還対象となる沖縄の嘉手納基地以南の基地施設については、対象施設に四千人の駐留軍等労働者が勤務しています。これは大変大きな数でありますけれども、この雇用への影響についてはどのように考えているのか。また、離職者の規模や地域への影響も踏まえ、本措置法で対応できるのかということも含めて、更なる検討が必要かと思いますが、見解を伺います。

田中(利)政府参考人 委員御指摘のとおり、再編実施のための日米ロードマップ等に基づきまして移転や返還が予定されている予定の施設には、約四千二百人の駐留軍労働者が勤務しておるところでございます。

 これらの方々につきましては、今後、米軍施設の移転や返還等が進めば影響を受ける可能性が予想されるところでございますけれども、現時点におきましては、再編後の労働力や必要となる業務内容などが明らかとなっていないため、雇用への影響についてお答えすることは困難であるということは御理解をいただければと思っております。

 防衛省としましては、引き続き、情報収集に努めるとともに、駐留軍等労働者の雇用の安定に万全を期してまいりたいと思っております。

堀井政府参考人 この駐留軍法等で対応をできるかどうか、どのような対策が必要なのかという検討が要るのではないかというふうな御趣旨を承りました。

 それで、防衛省からも答弁がございましたが、今年一月の日米の2プラス2の共同発表におきまして、令和六年に開始される米海兵隊要員の沖縄からグアムへの移転を含む、米軍再編に係る二国間の取組を加速をさせる重要性が確認をされているというふうに承知をしております。

 具体的な雇用への影響は現時点では正確には把握をできないものの、米軍の再編状況等によっては雇用に大きな影響が出る可能性もあると認識をしています。

 そして、駐留軍等労働者の雇用への影響を抑制する観点から、まずは防衛省において、ほかの施設への配置転換等により雇用の継続を図るとともに、今までと異なる職種に配置をする場合は、独立行政法人労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練等を実施をするほか、離職後の速やかな再就職に向けた離職前職業訓練を実施することになると承知をしております。

 移転や返還等が行われる予定の施設に勤務をしている方の全てが、直ちに継続的な支援を必要とする者ではないというふうにも考えます。

 その上で、そのような措置を講じても、なお離職を余儀なくされて支援を必要とする方が生じた場合に備えて、厚生労働省としましては、やはり、本法律に基づきまして、担当者制によるハローワークでの相談支援、あとは離職者に対する職業転換給付金の支給による就職活動期間中の生活支援、また、事業主に対する雇入れ助成金の支給等の特別の措置を講じるとともに、防衛省と密接に連携をしつつ、必要な人員、予算の確保を図るなど、再就職の支援に引き続き万全を期してまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 防衛省においては、特別協定、これは恒久的なものではありませんので、是非ここでしっかりと、人員を確保する、また労務費負担を合意するということに全力を尽くしていただきたいと思いますし、厚労省においては、やはり、先ほど説明をいただいた就職支援措置が五年間、ずっとなかったからこそ、なかなか、ハローワークでといっても、四千人の方が一気にそのような配置転換や、また、次の仕事といっても大変な規模と労力になると思いますので、是非そういうものを想定した対応というものを考えていただければと思っています。

 また、お話の中で、配置転換等の話も出ました。

 この米軍の再編に関わっては、離職者対策としてではなく、配置転換による雇用継続を可能とするための職業訓練について、駐留軍の再編の円滑な実施に関する特別措置法により、独立行政法人の駐留軍労働者労務管理機構が実施することになっています。

 この機構と、さきの職業相談や訓練等、現在、どういうふうに連携をしながら進めているのか、そしてこれから進めていくのか、伺います。

田中(利)政府参考人 お答えを申し上げます。

 駐留軍等労働者の雇用に影響が生ずる場合には、まず、他の施設・区域への配置転換等により、雇用の継続を図ることを基本としております。

 米軍再編に当たりましては、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第十六条におきまして、駐留軍等労働者の雇用の継続に資するよう、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練等の措置を講ずることといたしております。

 他方、やむを得ず離職を余儀なくされた場合には、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、離職前職業訓練を実施することとしており、この場合、厚生労働省と連携して対応をいたしておるところでございます。

堀井政府参考人 連携ということでございますので、厚生労働省の方からもお答えをさせていただきます。

 防衛省からも今答弁がございましたが、離職前の独立行政法人駐留軍労働者等労務管理機構を通じた技能教育訓練等の実施というのがございます。そして、やむを得ず離職を余儀なくされる方が生じた場合には、厚生労働省では、ハローワークにおける担当者制によるきめ細やかな職業相談支援に加えまして、物づくり分野、営業、販売、事務分野、介護、医療、福祉分野など、地域の人材ニーズを踏まえた公共職業訓練等への受講あっせんを実施をしているというところでございます。

 さらに、田中委員が御指摘されました平成三十年の、前回改正時の附帯決議を踏まえた対応ということで、防衛省が行う離職前職業訓練の実施に当たっては、同世代の求職者が就職した職種等をハローワークから地方防衛局長等に情報提供するなど、離職前の支援を行う防衛省との更なる連携を行うということにしたところでございます。

 今後におきましても、このような就職状況に係る情報提供などの連携、そういったことを行いまして、離職前職業訓練の充実化を支援をしてまいります。

田中(健)委員 国内であれば、働く環境や、また雇用や、また職業訓練、離職した場合も、厚生労働省が一元で扱えるのでありますが、やはり、この特殊な環境に置かれていて、厚労省と防衛省が連携をして雇用環境というのを守っていかなければならないと思いますので、是非、今、種々、連携の話もしていただきましたけれども、具体的にこれから見える形で進んでいただければと思っています。

 引き続きまして、安心して働ける職場環境確立のための質問を伺います。

 本措置法には、金銭的支援の施策以外にも、厚労省内に設置されている中央レベルの中央駐留軍関係離職者等対策協議会と、米軍基地が所在する地方自治レベルの離職者対策協議会を設置できるという条文がありまして、具体的な協議の場があるということは、労働者代表からも、関係自治体からも多くの要望、意見書が寄せられていることからも、その重要性というのがうかがえます。

 更にこれを踏み込んでいただいて、労使間の関係改善に向けて、防衛省、労働組合、そして米軍、それぞれの代表による三者会議のようなものを設置をしてもらって、今議論になっておりました様々な包括的な労働協約、これを結べるような取組というのを進めていってほしいと思いますが、見解を伺います。

田中(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 恒常的な三者会議の設置ということでございます。本省レベル、地方レベル、幾つか設置をされているところがございますが、委員からの御指摘も踏まえまして、防衛省としましては、米軍や組合の御意見を伺いながら適切に対応してまいりたいと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、そのような会議を回す中で、具体的に働く環境を伝えられる場、そしてそれを改善できる場というのをつくっていただければと思っております。

 以上でこの質疑を終わりたいと思います。ありがとうございます。

 次は、戦没者の妻への特別給付金支給についての議論に移りたいと思います。

 こちらも各委員から質問がありました。特別給付金国債の償還期間、そして支給方法、これについても出ましたけれども、併せてお聞かせをいただきたいと思います。

 五年ごと二回交付の支給見直し、これは、対象者の高齢化を踏まえたものと同時に、慰藉の意を示す機会を増やすということが期間を短縮する目的と言っていました。

 もしもそれであるならば、戦没者の妻が高齢になっていることや、もちろん支援者側の負担、事務作業の増加というのは配慮しなければならないんですけれども、この特別償還金国債を交付するということを毎年ということとかは検討しなかったのかということをまず伺いたい。また、支給方法についても、平成二十七年から三十年に意見聴取で、半分は国債がいいという声があったということもあったんですけれども、戦没者の父母等に対する特別給付金、これは予算措置による現金支給を行ったという実績もあります。特別給付金国債となった理由というのを改めて伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、機会を、これまでの十年を五年に見直したということでありますが、今委員おっしゃったように、高齢化などを踏まえて、国として慰藉を行う機会を増やすとの観点から、こうした措置を取らせていただきました。

 例えば、毎年国債を交付するというのも一つの案としてはあるのかと思いますが、御高齢の戦没者等の妻に毎年請求書を提出していただく負担をおかけをするほか、都道府県での裁定、日本銀行での国債製造等の事務も毎年発生することになる、こういった問題もあり、今回提案させていただいた方策が現実的なものと考えているところでございます。

 また、こうした弔慰金が交付国債として支給されているのは、これまで申し上げているように、国としての慰藉の念が受給者の方々に一層実感されるという、制度創設以来実施をしてきたものであり、そうした皆さんから見ると、まさにこれが一つの形になっているし、途中段階でそれぞれの意向を確認したところ、先ほどお話があった、五〇%の方が今の形がいいと。こういったことから、このやり方は継続をさせていただいているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 対象者も、五千五百人、九十代後半以上ということでありました。なかなか自分で交付を受けるのもこれから難しい年齢にもなってくるかと思いますので、是非、不断の見直しや、現場の声というのを大切にしていただければと思っています。

 また、給付金の支給漏れ対策というのを伺います。

 先ほども、支給漏れになっていることに対して対策を進めてきたということがありました。また、新たに対象者になる方もいらっしゃるということもお聞きをしました。どのくらいの方が支給漏れになっているか、ないしは、新たに対象者になるという方、例えば過去を含めてどれぐらいいらっしゃったのかというのを伺います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、支給漏れについてですけれども、この特別給付金につきましては、給付を受ける権利が発生してから三年で時効によってその権利が消滅することとされております。この時効によって権利を失われた方の数を正確に把握することは困難でございますけれども、平成二十五年の法改正による戦没者等の妻に対する特別給付金につきましては、推計ではございますが、時効失権者数は約三百件、これは実際に支給を受けた方約四万八千人の約〇・六%に当たります。これらの方が時効失権されたものと推計をしております。

 また、新たに対象者になる場合としては、公務に起因して傷病を受けた戦傷病者の妻で、前回の特別給付金の支給以降に戦傷病者の方がその傷病によって亡くなられた場合ですとか、また、戦時中、公務に従事中に有害物質に被曝をして、それがその後になって重症化して亡くなられた場合などが想定されるところでございます。

 最近では、非常に新たに対象になる方は少なくなっているものと考えておりますが、済みません、正確な数についてはちょっと把握をできていないところでございます。

田中(健)委員 三百人の方、支給漏れも想定されるということでありました。

 やはり、一人でも多くの方に、せっかくこの制度があり、そして支給漏れ対策もしているということですから、伝わるようにしてもらいたいと思います。平成二十五年からは、直接、プッシュ型というんですかね、郵送をして先方に知らせているということもありますけれども、是非、戦没者の次の質問だったんですけれども、遺族相談員という方が、民間で各地域で御努力をされているかと思いますが、そういった方たちとも連携をしながら、この支給漏れを一人でもなくして、そして、慰藉の意が、厚労省、せっかくやっておりまして、私たち国民としての思いが伝わるように取り組んでいただければと思っています。

 最後に、戦没者の慰霊事業について行いたいと思います。

 戦没者の遺骨収集事業に関しては、昭和二十七年から行っておりまして、約百二十七万柱の遺骨が送還をされています。これまでの取組、大変に、長年の、そして地味な、こつこつとした活動ではあるんですけれども、敬意を表すとともに、この間コロナで中止せざるを得ないという状況が続いたということもお聞きをしています。やっと二類から五類に変わることで、少し、この再開、実施計画というのが出てくるということもお聞きをしておりますので、それについて伺えればと思います。

加藤国務大臣 遺骨収集については、まだ百十二万柱の御遺骨がいまだ御帰還を果たされていないという状況を踏まえて、平成二十八年に戦没者の遺骨収集の推進に関する法律が議員立法で成立をし、平成二十八年から令和六年までを遺骨収集の推進施策の集中的な実施期間として事業を実施をしているところでございます。

 また、慰霊巡拝についても、従来から、旧主要戦域や遺骨収集を実施できない海域において、御遺族の方々を主体として戦没者を慰霊するために実施をしておりますが、遺骨収集、慰霊巡拝のいずれも、令和二年、三年度は、新型コロナの影響で海外における事業を計画どおりには実施はできませんでした。

 遺骨収集については、令和四年一月からマリアナ諸島などで徐々に事業を再開をし始めましたが、慰霊巡拝については、令和四年度も含めて海外での実施を見送っており、令和五年度からの再開に向けた調整を行っているところであります。

 御遺族のお気持ちを十分に酌みながら、慰霊巡拝の速やかな再開について努力するとともに、遺骨収集については、令和六年度までの集中実施期間内、また、それ以降においても、一柱でも多くの御遺骨を収容し、御遺族に早期にお返しできるよう全力を傾けてまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 その中でも、硫黄島だけは何とか事業を継続し続けてきたということもお聞きをしました。私も初めて、議員になって、硫黄島の戦没者の引渡式にも参列をさせていただきました。この収集中にも、硫黄島でコロナの陽性者も確認されたといったり、大変な苦労の中で皆さん収集事業が行われたことかと思いますが、コロナ禍でどのような課題があって、また、それでもやり続けてきたその成果を、是非お示しいただければと思います。

三ッ林委員長 本多大臣官房審議官、簡潔にお願いします。

本多政府参考人 はい。お答え申し上げます。

 コロナでの中断の状況については、先ほど大臣から説明をしたとおりでございます。ただ、その間、遺骨収集に向けての取組を止めることがないように、関係国との交渉を続けてまいりました。オンラインなども活用して続けてまいりました。その中で、今後の派遣の予定ですとか、あるいは遺骨の鑑定手続などについて説明をし、御理解を得てきたところでございます。

 また、議員にも御出席いただいた硫黄島の遺骨収集につきましてですけれども、御紹介いただいたように、コロナで事業を中断したこともございましたけれども、その後、コロナ対策を強化をいたしまして、第二回以降については順調に遺骨収集を行い、令和四年度は、合計で七十五柱の御遺骨を送還できたところでございます。

田中(健)委員 取組に感謝しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 この際、御報告いたします。

 内閣委員会との連合審査会は、明十六日木曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る二十二日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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