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第6号 令和5年4月4日(火曜日)

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令和五年四月四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      石橋林太郎君    上田 英俊君

      柿沢 未途君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小林 鷹之君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    瀬戸 隆一君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      土田  慎君    橋本  岳君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山岸 一生君

      山井 和則君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   参考人

   (健康保険組合連合会副会長)           佐野 雅宏君

   参考人

   (一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会理事長)

   (医療法人北海道家庭医療学センター理事長)    草場 鉄周君

   参考人

   (株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門上席主任研究員/シニアマネジャー)     川崎 真規君

   参考人

   (公益社団法人日本医師会常任理事)        釜萢  敏君

   参考人

   (鹿児島大学法文学部教授)            伊藤 周平君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     石橋林太郎君

  吉田 統彦君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     高村 正大君

  山岸 一生君     吉田 統彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、健康保険組合連合会副会長佐野雅宏君、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長草場鉄周君、株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門上席主任研究員/シニアマネジャー川崎真規君、公益社団法人日本医師会常任理事釜萢敏君、鹿児島大学法文学部教授伊藤周平君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず佐野参考人にお願いいたします。

佐野参考人 おはようございます。健康保険組合連合会の佐野でございます。

 本日は、このような場をいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、時間も限られておりますので、早速説明に入りたいと思います。

 お手元の資料を開いていただきまして、まず、今回の法案に関する健保連の基本的な考え方でございます。

 無論、この目指すものは、人口減少に対応した全世代型の社会保障制度の構築、その中で、全ての世代で公平に支え合う仕組みの強化だと考えております。

 そうした点で、今回の中身は、私どもの解釈としては、現役世代の負担軽減、それから、世代間、世代内のバランスの是正、それから、負担能力に応じて全世代で支える仕組み、これらを複数のパッケージによって改革されるものというふうに理解をしております。

 今回の法案に関する私どもの基本的な考え方でございますけれども、全世代が支える少子化対策ということで、出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者の方が支援する仕組み、また、現役世代の負担上昇抑制ということで、後期高齢者負担割合の見直し、こういった内容が入っておりまして、全世代型社会保障構築を見据えたものとして評価をさせていただきたいというふうに考えております。

 次の二ページでございますけれども、では、今回の改革全体における健保組合への財政影響はどういうことになっているかというのを私どもなりに試算をしております。

 まず、今回の法案ではございませんけれども、少子化対策として出産育児一時金の増額が決定されております。これに伴いまして、私ども健保組合としては、全体として二百億円の負担が増える形になります。ただ、今回、先般成立されました令和五年度の予算の中で、この増額に伴う支援措置を四十億講じていただいております。この点については感謝を申し上げたいと思います。

 実際、今回の法案につきましては、この下の1から4の内容が入っていると思いまして、全体、パッケージということでありますので、私ども現役世代から見た場合には、プラスのファクターもあればまたマイナスのファクターもあるという全体のパッケージになっているというふうに考えております。

 実際には、世代間ということでいいますと、出産育児一時金を全世代で支える仕組み、これは、当面、令和六年度でいいますと、四十億円のマイナス、我々にとってはメリットがあるというふうに考えております。一方で、2の後期高齢者の負担率の見直しによって、健保組合全体では二百九十億円のメリットがあるというふうに考えております。

 一方で、世代内ということについて言いますと、高齢者の方については現役世代は関係ない部分になりますけれども、4の、被用者保険者間の格差是正ということで、前期の報酬水準に応じた調整が三分の一入るということで、これは逆に健保組合全体としては負担増になる部分だと思っていまして、この部分が年間六百億程度の負担増になる、こういう理解をしております。

 こういった面だけ考えますと、全体、プラスマイナスした場合には、法案だけでいいますと、現役世代は逆に負担増になるという部分もございまして、これに対して、被用者保険への支援ということで、下にございますが、昨年十二月に厚労大臣、財務大臣による大臣合意をいただきまして、四百三十億円の財政支援を令和六年度からいただけるというふうになっていまして、この部分については、全体、現役世代のメリットを出すためにも、是非とも実行をお願いしたいというふうに考えている部分でございます。

 次に、三ページでございますけれども、今申し上げた中で、やはり不安の要因としては前期高齢者に係る調整の部分でございまして、今回、三分の一ということになっていますけれども、更に進められた場合には、現役世代の負担は更に拡大をすることになります。特に、今回の改定によって、料率水準が中程度、真ん中ぐらいの健保組合に対する影響は大変大きくて、こういう主力の健保組合における財政悪化が懸念されるところでございます。そういう面で、現役世代の負担軽減という改革の趣旨も踏まえて、報酬水準の導入はあくまでも部分的なものにしていただきたいと考えていますし、範囲については今回の三分の一にとどめていただきたい、こういうふうに考えております。

 さらに、今後を見据えた場合には、やはり、いわゆる団塊の世代が後期高齢者に完全に到達する令和七年、二〇二五年に向けて現役世代の拠出金負担というのは更に増えてまいりますので、更なる見直しが必要だと考えております。具体的には、後期高齢者窓口負担割合の更なる見直しですとか、現役並み所得者に対する公費の投入、さらには拠出金負担割合の上限設定というようなことが課題としてあるのではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、国民皆保険制度の維持また確保のためにもこういう取組の方が必要ではないかというふうに考えております。

 以上が今回の法案でございますけれども、もう一点入っておりまして、四ページでございます。かかりつけ医機能が発揮される制度整備についてでございますが、私どもとしては、このかかりつけ医機能の整備は元々あった課題であると思っています。これが、コロナによって、より顕在化をしてきた。そういう意味で、高齢者だけではなく、現役世代も含めて全世代を対象とすべきだと考えております。そういう意味で、健保組合としても、加入者の健康状態ですとか健康に関する意識に応じて、かかりつけ医の活用を支援してまいりたいと思っております。

 そういった中で、今回の改定は、まさに、下にございますが、医療の質の向上につながる第一歩だというふうに考えております。そういう意味で、国民が自ら選択をして活用できるような体制をつくることが重要だと思っておりますので、まさに国民が選択しやすい状況、さらには活用しやすい状況、環境を整えていただきたいと思っております。保険者としても、加入者に対する支援強化の観点からも期待をしている部分でございます。

 最後に、五ページでございます。今回の法案には直接関係ないんですが、せっかくこういう機会をいただきましたので、少しお話をしたいと思うのが、マイナンバーカードと保険証一体化でございます。

 私どもとしても、医療DXの推進はまさに極めて重要であって、賛成でございます。そういう中で、マイナンバーカードと保険証の一体化は、医療DX推進の中でもベースとなるインフラと思っておりますので、必ず通過しなければいけないプロセスだというふうに思っております。ただ、やはり、これまでの既存保険証からの移行に当たっては実務面の課題がたくさんあることも事実でございますので、この課題をいかに早く、いかにスムーズにクリアするかということがポイントであると思っています。これが達成された段階では、やはり、事業主である企業、また私ども保険者の業務負担軽減にもつなげていただきたいということでございます。

 そういった中でいいますと、もちろん、保険者として、加入者であったり事業者に対してマイナンバーを速やかに届け出るような働きかけ、これを更に強めていきたいと思いますけれども、やはり、マイナ保険証利用促進に係る意識改革ですとか、国を挙げての取組も大変重要だと思っております。そういう面で、政府、国民、保険者、医療関係者、それぞれがメリットを理解して、利用促進に向けた取組を行うこと、また、そのための政府としての御支援、これもお願いをしたいというふうに思います。

 私の方からの説明は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長 ありがとうございました。

 次に、草場参考人にお願いいたします。

草場参考人 おはようございます。日本プライマリ・ケア連合学会の草場でございます。

 本日は、こうした貴重な機会をいただき、心より感謝しております。

 それでは、資料に沿ってお話をさせていただきたいと思いますので、お手元によろしくお願いいたします。

 まず、私自身は、北海道の地域医療に二十四年間従事してきた一人の家庭医であり、十六年間、家庭医療を提供する医療法人、診療所グループの経営に携わってまいりました。また、コロナ禍では、北海道や市町村と協力しながら、有症状者に対する発熱外来、自宅、施設への往診、あるいは感染防御支援、またワクチン接種をグループ診療で一貫して提供してまいりました。

 また、学会の立場としましては、プライマリーケア医療に従事する医療者が自己研さんあるいは学術発信を目的として参加する団体の理事長として、二〇一九年より、全国のプライマリーケア従事者の状況というものを幅広く知る機会にも恵まれた立場でございます。

 今回の改正は大変対象が広範囲にわたりますけれども、私自身は、専門とするプライマリーケアに特化した医療、介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化、この評価できる箇所と今後の更なる検討が必要な箇所について意見をさせていただき、最後に、プライマリーケア全般の課題についてコメントをさせていただきたいというふうに思ってございます。

 まず最初に、介護情報の基盤整備ということで、自治体、利用者、介護事業者、医療機関などが利用者に関する介護情報を電子的に閲覧できる情報基盤の整備というお話がございますけれども、こちらは、非常に、利用者にとっても、自分自身の介護・医療情報を閲覧することができ、自らの健康状態を知ることができます。また、介護予防、重度化防止の取組につながるということも大変価値がありますので、是非進めていただきたいなと思っています。

 ただ、小規模な事業者、我々も介護事業をやっているんですけれども、設備投資に対する経費、デジタル化に対応できる人材が果たしているのかという点は結構不安な部分がございますので、こういった講習なども併せて政策展開をいただきたいと思っています。

 また、実際に利用者が閲覧する際には、かなり専門的な情報になってまいりますので、ちゃんと理解できるかという点。ですので、場合によっては、サービス提供者への不信感とか誤解につながるリスクがやはりあるというふうに思います。ですので、理解を促す工夫も一体的に展開いただきたいということが一つの要望でございます。

 次のページです。

 医療法人、介護サービス事業者の経営情報の見える化でございますけれども、こちらは、本当に、医療・介護保険政策の課題、また、コロナ感染症の流行によって明らかになった医療・介護サービスの提供体制の課題というものがたくさんございますので、まず、行政が医療、介護の置かれている現状と実態を経営的な観点から把握するという価値はあるというふうに思っています。

 実際、民間医療機関が地域医療の確保のために不採算事業に取り組まざるを得ないこと、また、コロナ禍のように回避できない経営危機に陥るということもございますので、こういった公表された医療機関単位の精密な経営情報に基づいて、個別的な行政からの支援を迅速に行うということが可能になれば大変いいなと考えてございます。

 また、実際、介護者の待遇改善、コロナ禍での看護師の負担増大に対する看護師の処遇の改善などもございましたけれども、医療法人、介護事業者ごとにその設定にはばらつきがかなりございます。ですので、公的資金を用いて支援をいただく場合には、医療・介護施設単位の情報がございますと大変めり張りのある待遇改善支援ができると思いますので、こちらも高く評価できるのではないかなと感じてございます。

 最後に、かかりつけ医機能が発揮される制度整備について、次のページからお話をさせていただきます。

 私自身は、北海道を中心に、全国のプライマリーケア従事者の話も聞きながら携わってまいりましたけれども、発熱、上気道症状を持って、コロナ感染の可能性がある患者に対して診療を提供する医療機関は、ちょっと第六波までのデータにとどまりますけれども、やはり、外来の検査、診察は四〇から五〇%程度、往診をする医療機関は一〇から二〇%程度ということで、政府あるいは日本医師会さんが必死に呼びかけたにもかかわらず、動いた医療機関は限定的だったなというのを現場では非常に肌身で感じておりました。

 ワクチン接種も含めて、かかりつけ医と思って受診相談をしても、いや、あなたは違うということで断られるケースが全国的に相次ぎました。結果的に我々の仲間たちの医療機関にかかるという方が非常に多かったというものを経験してございます。ですから、かかりつけ医というのは一体何なんだろうという、医療体制上の位置づけに対して疑問が出たということを感じております。

 ただ、これは決して個々の医師、医療機関のエゴとかそういった問題ではなくて、やはり構造的な問題というふうに私は考えてございます。

 結果として、献身的な、一生懸命頑張っている医療機関はたくさんございますが、そういったところに感染症外来、往診、そして地域包括ケアの負担というものが集中して、多くの医師あるいは看護師たちが疲労して、対応に限界を感じたのが現実にございました。また、医療機関に到達できなかった国民の不安の高まり、また、自宅療養者がなかなか、保健所等も厳しかったのでつながらなかったという過酷な状況というのも避け難かったということを感じています。

 ですので、政府あるいは関連団体が危機時に要請をしても、対応できる基盤がない医療機関というのは結局動けない。ですから、頑張ってください、何とか力をかしてくださいと一生懸命声をかけても、その機能がない、そこが一番の私は問題だったというふうに考えています。ですので、危機時であれば協定を結んで対応しますという形ではなくて、平時からその基盤をしっかり整備して、危機時にも動けるところを増やしていく、平時と危機時を分離しない議論というものを考えていただきたいと考えているわけでございます。

 次のページをお願いいたします。

 次は、我々の学会のメンバーでもあるんですけれども、研究がございまして、かかりつけ医機能が高いほどコロナ禍での入院リスクが低下したという全国の前向きコホート研究の結果でございます。

 右のグラフを見ていただくと、かかりつけ医がない方が入院リスク一だとすると、かかりつけ医がありで、低機能、中機能、高機能とございますけれども、リスクはどんどんどんどん下がっていく。高機能のかかりつけ医を持っていた方は入院のリスクが何と四分の一ぐらいになったということで、非常に効果があったということでございます。

 ということで、やはり、かかりつけ医機能の強化によって、パンデミックにおける健康状態悪化の予防だけでなく、入院医療にかかる負荷も軽減できる、結果的に入院にも非常に負荷が大きくかかったということがございますけれども、そういった意味にも役立つという研究で、海外の論文の方にも採用されたということで、非常に価値がある研究だなと考えています。

 ですので、有事のときの対応というのはもちろん大事なんですが、有事でも機能する平時からのプライマリーケア提供体制の強化、これを考えていただきたい。

 次のページに書いてありますように、いわゆる公衆衛生、保健行政というものは、これは法的に行われますが、一番右側にある専門医療ですね、専門外来、入院医療、集中治療、これは必要です。その間に、しっかりとしたプライマリーケア。具体的には、外来診療を包括的に行い、また、訪問診療、往診もいとわない、そして、予防医療や健康増進活動、健康な方にもサポートができる、そして、地域包括ケア、あるいは全人的なケア。こういったことをちゃんと組織的に展開できるプライマリーケアをふだんより強化すると、危機時にも専門医療や公衆衛生の負担が相当軽減できるということであると考えてございます。

 次のページをお願いいたします。

 ということで、私自身が考えていたのは、かかりつけ総合医ということで、国民が平時から自身の健康管理に対応するかかりつけ総合医というものを選べる、選択をする。割当てではありません。そこで、ほとんどの健康問題を相談でき、訪問診療、オンライン診療、予防医療なども支援を受けられる。そして医療機関側も、この人は選択をしてくれた患者であるということを登録をして、確認をして、日々の診療だけじゃなく有事にも保健所、行政と連携して管理ができる。また、総合病院などで各科の専門医療を受ける場合には、このかかりつけ総合医の方がしっかり専門医と連携をする枠組みをつくっていく。そして、健康管理に対する対価、いわゆる、ふだん元気なときの収入というのはございません、診療報酬はございませんので、そういったことは出来高払いにはなじまないので、そこを包括払いみたいな形で、ある程度財政的にも応援をする。こういった枠組みはどうかなと考えています。

 具体的には、次のページに書いていますように、かかりつけ総合医の位置づけなんですけれども、コモンディジーズに対する幅広い検査、治療の提供、そして、健康関連データの把握、電話診療、オンライン診療への対応、また、二十四時間対応の在宅医療であったり、医療、介護の連携活動、さらに、保健事業、予防医療活動なども当然行政と連携して行ってまいります。もう一つ大事なのは、日本の中でいろいろな社会課題がございますけれども、やはり、貧富の問題、格差の問題、そしていわゆる母子家庭の問題、こういった地域が抱える社会的課題に向き合って、地域包括ケアのチームのメンバーとしてかかりつけ総合医が関わっていく、そういったことも非常に重要な役割ではないかなと考えてございます。

 次のページにございますように、理想的には、このかかりつけ総合医というのはプライマリーケアの専門家である方が本当は望ましいとは思います。ただ、私どもの学会でもこういった医師を養成してございますが、残念ながらまだ千百人程度ということで、医師三十万人から見たら本当に微々たるものでございます。日本専門医機構でも総合診療専門医の養成を開始していますが、二一年にようやく百名ぐらい誕生ということで、これもまだまだ少ない状況です。ただ、十年後、二十年後はこういった医師たちが将来の日本のプライマリーケアを担っていくのではないかなと私自身は期待をしているところでございます。

 こういった情勢ですので、このプライマリーケアの専門家が増えるまでの間は、現にプライマリーケアを担っておられる開業医の先生方あるいは病院勤務医の先生方を対象に、公的な研修、認証制度で位置づけることが重要だと考えています。

 次のページのように、かかりつけ医機能報告制度の概要、これは、先ほどもうお話がございましたように、既に御存じの内容ですので、ちょっと省略をさせていただきます。

 その次のページ、十二ページをお願いします。

 今回の制度の評価できる点でございますけれども、一九八五年の家庭医に関する懇談会以来、かかりつけ医というちょっと曖昧な表現で抽象的に議論されてきたプライマリーケアについて、少なくとも、かかりつけ医機能という表現で全国共通の定義づけがなされる方向性が示されたということ、また、法整備、情報収集も含めた国、都道府県が関与する枠組みが出てきた、それ自体は、今まで全くありませんでしたので、画期的なことだと考えてございます。

 国民にとっても、かかりつけ医を持ちましょう、かかりつけ医を受診しましょうと国や自治体に言われていましたけれども、どこにそうした医師、医療機関があるんですかと度々問われることがございましたけれども、今回、その道筋が生まれたことにも意義があると思っています。

 そして、専門的な医療については紹介受診重点医療機関というものが創設されましたが、その対となるべきプライマリーケアの医療機関がこれまでございませんでした。今回そのための枠組みが整備されたということは非常に重要で、医療機関の機能分担の議論が進展するのではないかなと期待をしています。

 その一方で、今回の制度はまだまだ問題があると思ってございます。

 まずは、継続的な医療は必要ないけれども、何かあれば受診、あるいは健康相談、予防医療を、対応を求めているという国民が対象外になっている。ですので、結果的に、比較的若年の多くの国民にとっては、パンデミック時の受診、ワクチン接種、予防医療、健康増進支援に対して今回の制度が機能を発揮することは非常に難しいという点、これは、本当はできる限りこういった方を対象にすべき、全世代的に対象にすべきと考えています。

 また、かかりつけ医機能の定義がまだ曖昧でございますが、慢性疾患や日常的な疾患に対する診療機能、休日、時間外の対応機能、在宅医療の提供機能などと挙げられましたけれども、その全てを満たす必要はない、地域で面として対応できればいいという、今のところ議論が進んでいますので、そうなりますと、一体どこが中核となって責任を持って診療を担ってもらえるんですかという点は、やはり今回の制度でも国民にとっては分からない。自分のかかりつけ医がパンデミック時に外来受診が可能なのか、ワクチンを接種してくれるのか、つらいときには往診もしてくれるのか、これが分かりません。ですので、今回、また同じようなパンデミックが起きたら、全く同じように受診難民と化す国民が多数生まれるリスクが相当高いと私自身は考えています。

 ですので、また十年後、二十年後に同じことが起きたときに、今の我々の議論がある意味審判を受けるということを非常に恐れている状況でございます。

 次のページでございます。

 かかりつけ医と患者さんの間の関係性については、今回、医師からの書面の認定という形になってございますけれども、本来は、医師が恩恵的に与えるものではなくて、医師、患者双方がお互いの義務と責任を持つ対等な関係で協働する合意を取る仕組みが望ましいと考えております。

 また、かかりつけ医機能について情報提供することはよいのですが、その内容に関する第三者からの質保証は今回ございません。ですから、こういう機能を果たしていますと手を挙げたらおしまいですので、国民にとってそれを評価するのはかなり難しいので、情報の非対称性がある国民に対しては、その質担保というものは、本当は第三者機関が行うべきかと思っています。

 また、パンデミック時に診療対応する医療機関、これは感染症法の改正で生まれたものでございますけれども、それと今回のかかりつけ医機能を発揮する医療機関が分離された状態ですので、締結医療機関には結局、重い負担がかかる、危機時に継続性を持った医療提供は難しい可能性が高いですので、これを近づける努力というのも今後進めていきたいと考えています。

 まとめでございますけれども、今回の制度は評価できる点もございます。ですので、かかりつけ医機能に関する医療提供体制改革のあくまでも本当の第一歩、小さな一歩だというふうに位置づけるべきだと思っています。

 ただ、問題をこうやって先送りすることなく、未曽有の超高齢化社会かつ人口が急減少していくこれからの日本の社会の中で堅牢に機能するプライマリーケア体制というものを再構築すべき、今回は絶好の機会ではないでしょうか。

 できればこの法案の改善を望みたいところでございますが、難しい場合は、施行の細則における改善、厚労省の省令等だと思いますが、そういったもの、また、近い将来に、二十一世紀前半、二〇五〇年までにきちんと日本社会が進むべき道を考えていく骨太の政策展開というものを改めて考えていただきたいと切に思ってございます。

 以上、ちょっと長くなりましたけれども、私からのお話でございます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長 ありがとうございました。

 次に、川崎参考人にお願いいたします。

川崎参考人 日本総合研究所の川崎です。

 本日は、意見を述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。

 お手元の資料の概要のスライドを基に御説明させていただきます。

 私からは、かかりつけ医、医療提供体制、医療DXをテーマに、今後取り組むべき課題について三点、お話し申し上げます。

 まず一点目ですが、患者の方々に加えまして、子育てや家族の介護を行っている方、健康で現時点では医療機関にかかっていない方の視点も踏まえた、早期診断や治療にとどまらないプライマリーケアチームを核とした地域医療の普及について申し上げます。

 プライマリーケアチーム、ここでは略してPCTと申し上げます。これは、自身の一生涯を診る医療従事者等多職種から成るチームとします。PCTが普及した社会におきましては、私たちは、健康管理の悩みや心身の不調などを自身のかかりつけ医がいる総合診療科やかかりつけ医科、若しくは家庭医療科など、これまでにない科室に相談しているものと考えます。これまでどおり臓器別等の専門治療をこのPCTと情報連携しながら受けるだけでなく、どの臓器なのか自身で特定せずに相談もできる、このような社会になります。

 この社会では、我々が医療機関を受診いたした際に、例えば、内科の観点では問題ありませんと言われたり、それは病気ではありませんと言われることを心配しなくてもよくなります。

 例えばですが、ある日、高齢の方が腰が痛いとして診療所に来られます。レントゲンを撮ると圧迫骨折があり、骨粗鬆症もございました。この場合、総合診療や家庭医療学の観点では、生物・心理・社会モデルという考え方から、原因を医学的に追求するだけではなくて、受診者の家族や職場、社会環境等も踏まえて、受診者の抱える悩みや不調、それを取り巻く環境を含めて寄り添い、対応いたします。これにより、受診されている方が、実は、自宅に寝たきりの配偶者がおりまして、その方をお一人で介護しており、腰が痛かったという生活環境が見えてきます。その際には、ヘルパーの方をお呼びするといったような対応がなされるわけです。

 次に、自身が診療科をまたがる複数の疾患を持っていらっしゃる方で、その方が子供の看病や親の介護も行っている場合を想像していきます。この方は、自身の複数の疾患について様々受診をしながら、子育てや介護の悩みを抱えています。この際に、PCTが集まりますと、この悩みを我々は同時に一度で相談することができるようになります。

 さらに、自身の親が遠く離れて、共働きをしているような現役世代の方も想像していきたいと思います。この場合、互いの親について、それぞれの地域にいるPCTが責任を持って対応していると、現役世代にとっても安心できる制度になってくるものと考えます。

 もちろん、このような対応をしてくださる医療従事者の方々は現状もいらっしゃると考えます。しかしながら、問題は、このように臓器などを特定せず相談でき、私たちが伝えたいストーリーを聞いていただける心理的安全性が確保された患者中心の医療を実施している医療従事者を見つけることは簡単ではないということです。

 その理由は三つあります。

 一つは、医療法施行令第三条の二において、総合診療科、家庭医療科、かかりつけ医科という標榜が認められていないためです。このため、私たちは町中でこれらの看板を目にすることはありません。

 二つ目の理由は、院内表記やウェブサイト上では総合診療科の表記自体はできる場合がありますが、総合的な内科として説明されているなど、その言葉の使われ方は様々な状況になっております。

 そして三つ目は、総合診療や家庭医療学などを専門的に学んだ医療従事者の数が少ない点が挙げられます。これらを専門的に学んだ医療従事者は二千名ほどと考えられ、診療所の医師数約十万人に対して二%と考えられます。

 また、これにより、地域によってPCTの姿は様々あると考えます。このため、今後の第八次医療計画等に基づき、各都道府県で医療提供体制に関する検討がなされますが、これらの検討が進むために指針を一つ示すべきと考えます。

 具体的には、患者及び健康な方が、自身の健康の悩みや不調、生活などの問題をより相談できるために、その方の生涯を診る責任を持つ医療機関、そこの医師がかかりつけ医となり、患者中心の医療を提供する生物・心理・社会モデルを踏まえた標準的なプライマリーケアを核とした地域医療の実現に向けてロードマップを二〇二四年度に向けて作成するなど、具体的な指針が必要と考えます。この場合、医師が近くにいない地域も考えられますので、看護師、薬剤師、介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、歯科医なども含めた地域の方々の活躍も踏まえた検討が必要です。

 次に、二つ目としまして、価値に基づく医療の実装及び給付と財源の均衡性確保の仕組みづくりについて意見いたします。

 まず、現状ですが、医薬、医療機器にかかわらず、医療全体を対象にデータに基づき継続的にその価値を評価する公的な役割や制度は実質的に見当たりません。我々が目指すべき社会は、学会などのガイドラインや指標に基づき、提供されている医療全体についてその価値の分析がなされている姿と考えます。ここでいう価値は、治療結果だけでなく、社会的な価値も含めた包括的な価値と考えております。これにより、医療の価値が低ければ価値を見直し、場合によっては、保険給付対象からの退出が自然と促されて、新たな価値のある医療が利用できるという環境になるべきと考えます。そして、そのためには、価値に基づいて医療を継続的に評価する役割、制度を実装すべきであると考えます。これは、データに基づいた政策検討を進める上でも重要であり、医療分野のデータ分析に関する国内での新たな雇用創出にもつながると考えます。そして、医療データやリアルワールドデータ解析に関する研究、また、これらの研究に従事する人材の育成にもつながります。

 そして、価値の低い医療を特定し、給付すべき対象を議論し、その上でも足りない財源については、租税、社会保険料、窓口負担の議論を行い、対応すべきか検討し、社会保障制度の持続可能性確保に向けた政策的議論を進めるべきものと考えます。

 三つ目は、多様な医療等の関係者のニーズを実現するために必要な医療DXの推進についてです。

 現在、医療DXの工程表が議論されており、電子カルテ情報の一部である三文書若しくは二文書六情報などについてデータ連携の検討も行われております。しかしながら、医療DXに限らず、デジタル化は、それ自体が目的ではなく、達成すべき目的を実現するための手段と考えます。つまり、医療DXにつきましても、達成すべき目的を具体化したグランドデザインを明確にした上で、その実現のために必要なことを議論すべきと考えます。これにより、既存の仕組みを前提とした上での改良、単年度でできることに収れんせずに議論を進めるべきと考えます。

 そこで、我々は、様々な有識者の方々とともにヘルスケアデジタル改革ラウンドテーブルを組織し、これらの提言を行いました。そこでは、医療DXの意義として、人々の健康増進につながる医療の質の向上、新薬の創出や医療開発といった医療の技術革新、医師の働き方改革支援など医療資源の最適化、社会保障制度の持続可能性確保という四つを示しています。そして、これらの意義を踏まえて、医療データの有効かつ適切な利活用を促進するために、医療データ利活用のあるべき全体像を示すグランドデザインの構築、臨床、一次利用と研究開発などでの二次利用のためのあらゆる医療データの適切な連携、共有を可能にするデータ基盤の構築、医療データの利活用が進む適切なデータガバナンスの実装が必要と考えます。

 政府及び関係者の皆様におかれましては、医療DXの意義を踏まえ、あるべき全体像についてのグランドデザインを示し、徹底的な改革を進めていただきたいと考えています。既存業務を効率化することはデジタライゼーションとなります。目指したい社会像を実現するのがデジタルトランスフォーメーションであり、それが医療DXになるべきと考えます。

 では、まとめでございます。

 一つ目の意見では、総合診療や家庭医療学に精通するPCTを核とした地域医療の普及を進めるべきとし、総合診療や家庭医療を患者が選択できる環境を整備すべく、標榜科や地域での検討に資する指針を提示すべきとの意見をいたしました。

 二つ目の意見では、市民、患者から信頼される持続可能な制度とするべく、医療全体を対象とした価値に基づく医療の実装に挑戦するとともに、社会保障制度の持続可能性に向けて、安全にデータを利活用できる役割と仕組みを設けるべきと意見しました。

 三つ目では、医療DXについて、あるべき全体像を示すグランドデザインの構築と、それに基づく徹底的な改革の必要性について意見をいたしました。

 最後に、日本の強みは、国民が長寿である点、国民皆保険制度により、ばらばらではあるものの、医療データ自体がどこかには存在している点と考えます。この強みを生かすためにも、骨太の方針などの国家戦略の一丁目一番地に健康医療戦略を置き、日本及び世界の人々の健康寿命延伸に貢献する世界的な位置づけを目指すとともに、健康医療産業は日本経済を支える強化、投資すべき成長産業と捉え、政策検討が進むべきと考えます。

 以上、私からの意見とさせていただきます。

 御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長 ありがとうございました。

 次に、釜萢参考人にお願いいたします。

釜萢参考人 日本医師会常任理事、釜萢でございます。

 今日は、このような機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 資料を持ってまいりましたので、資料に沿って申し上げます。

 今、かかりつけ医機能に関する議論が盛んに行われておりますが、我が国において、かかりつけ医という考え方、あるいは国民の皆さんの御認識は、もうずっと古くからあるわけでありまして、特に、戦後、公的医療保険で原則として国民全体が医療保険に加入し、そして必要なときに医療提供を受けられる体制が整ってから、国民の皆さんが受診をされる医療機関というのは、それぞれの国民の皆さん、あるいは受診される側が選んで、そしてかかってこられたという長い経緯があります。そして、それは、場合によっては、医療機関の方が代替わりをしても、受診される側も、おじいさんが受診しておられたところに子供の頃から行っているとか、世代を通じて受診されてきたという経緯があります。

 それで特に余り不都合を感じる場面がなくて長く過ごしてきたということがありますが、今回、特にコロナ禍で、我が国の医療体制からすれば、必要なときにすぐに医療機関に受診できるというふうに思っていたらば、受診しようと思ったらなかなか受け入れてもらえなかった、検査が必要なときに受けられなかったというようなこともあって、これは何とかもっと改善しなければいけないという議論が起こったというふうに理解をしています。

 この件については後で触れますが、やはり、想定をしていなかったような新たな感染症などの有事において、日頃からどういう準備をしておくかということは極めて大事でありますので、今回、このかかりつけ医機能の議論が高まってきて、またいろいろ深められてきていることを大いに役立てていかなければいけないというふうに感じております。

 一ページは、これまでのかかりつけ医機能に関する議論の流れを整理してみましたけれども、最終的には、昨年の六月に骨太の方針二〇二二で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということが閣議で決定されまして、そのことを受けて、法案の提出が今行われているというふうに理解をしております。その中で、いろいろな御意見が出る中で現在の法案が作られたというふうに感じます。

 二ページは、かかりつけ医の定義、それからその次のページ、かかりつけ医機能のことを日本医師会がどういうふうに考えて、これに対応してきたかということを整理しておりますが、そもそも日本医師会でかかりつけ医という名称をはっきり使い始めた時期としては、平成四年に当時の会長が、就任のときの方針の中にかかりつけ医という文言を入れたということがありまして、その前に、当時の厚生労働省から、そのことに関する、家庭医の在り方等の検討がそれ以前に行われていて、それを踏まえてということであったというふうに思います。

 直近では、二ページにありますように、これは、平成二十五年に、日本医師会が四病院団体協議会と合同で作りました、かかりつけ医の定義でありまして、「「かかりつけ医」は、以下の定義を理解し、「かかりつけ医機能」の向上に努めている医師であり、病院の医師か、診療所の医師か、あるいはどの診療科かを問うものではない。そして、かかりつけ医は、患者のもっとも身近で頼りになる医師として、自ら積極的にその機能を果たしていく。」ということでありまして、かかりつけ医の定義として、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。」というふうに定義いたしました。

 三ページでありますが、かかりつけ医機能として、そこに、少し長くなりますので省略いたしますが、非常に大事なかかりつけ医機能について整理をし、それを、先ほど申しましたように、平成二十五年に提言として取りまとめてきております。この考え方は、現在振り返ってみても、現時点の我が国の状況にも極めて合致する適切なものであるというふうに考えております。

 四ページは、かかりつけ医機能研修のことを触れておりますけれども、我が国においては、特に地域において診療所を開設する医師は、大学病院等において、それぞれ専門の領域を研さんし、そして、ある程度その経験を積んだ上で地域において開業するという方が多いです。しかし、地域において開業するに当たっては、自分の専門領域だけでは十分地域の皆さんのニーズに応じられませんので、いろいろな研修をしなければならない。そのためのかかりつけ医機能の研修というのをしっかり行うためのプログラムを作ったということであります。

 五ページを御覧いただきますと、そのプログラムの受講をして、そして、しっかり研修を行っているという実績が、そこに数が書いてありますけれども、五万八千四百三十七名という方が研修を修了したということでありますが、これは非常に重要な取組であると認識をしております。

 そして、六ページ以降が、これまでの骨太の方針でありますけれども、それに至るまでにいろいろな議論があったわけです。

 日本医師会として、七ページに整理をしておりますが、特に、この医療機関、七ページの右上でありますが、医療機関の対応としては、それぞれの医療機関が果たせる役割をしっかり更に深め広げていくということ、これを、たて糸を伸ばすというふうに表現をしました。そして、さらに、一つの医療機関、あるいは一人の医師が全ての機能を担えるわけではないので、地域においてしっかり連携をして、そして、地域で必要な医療機能をちゃんと確保するということが大事だ、そういう意味で、よこ糸というふうな表現を取りました。この面としてという意味の、面の広さがどのくらいかということもきちっと捉えておく必要があると思いますけれども、面としては、これは地域によって実情が違いますので、医療資源の多いところ少ないところでも違いますが、日常受診をできる、受診可能な広さの中で必要な機能がしっかり発揮されるということでありまして、これは、地域医療構想における考え方、あるいは調整会議の広さ等とも関連をしてくるというふうに思います。

 二次医療圏程度の中で必要なエリアがどのくらいあるのかというようなことも大事ですし、少なくとも、二次医療圏あるいは中学校区域という狭い区域の中でも、ある程度のしっかりした機能が必要ですし、二次医療圏として考えた場合には、その中である程度のきちっとした機能が必要だろうというふうに考えます。

 八ページに参りますが、地域に根差した医師の活動としては、非常に多岐にわたる活動を医師は担わなければなりません。これらはそれぞれ大事な機能でありまして、一人の医師が全て担えるわけではありませんので、それをいかにその地域において確実に確保するかということが大事になります。人口も減って、医師も極めて限られたという地域において、全てこれを確保することは難しいと思いますので、その場合に、どのようにそれを整えていくかということを考えなければならないというふうに思います。

 九ページでありますが、今回のコロナに当たって、特に、医療機関を受診したいのに受診できなかったという御不満が非常に国民の皆さんに増えたことは十分承知をしておりますが、これは、コロナという病気の本態が分からなかったということが当初ありましたことと、それから、感染防護をして立ち向かっていくための道具が最初の段階で十分に調達できなかったということが大きくて、このために、対応可能な医療機関が非常に限定されてしまったということがあります。

 検査の象徴的なPCRについても、当初は一日に可能な検査回数が極めて限られていましたので、現状においては、随分改善されて体制が整ってまいりましたけれども、そのようなことが、今回の有事において、我が国が持っていたはずの本来の機能が十分発揮できなかったという大変具合の悪い事態になったという、これはきちっと対応しなければならないと思いますが、十ページ以降に出ております、日本の医師や医療制度に対する信頼に関する村田ひろ子先生のこの調査結果を見ますと、二〇一一年に比べて、二一年の調査では、医師あるいは医療制度に対する国民の皆さんの評価はむしろ改善をしているということについて、是非御理解を賜りたいと思います。

 十二ページ以降は、各国とのコロナの対応の比較ですが、御案内のとおり、我が国は、もちろん改善の余地、改善すべき課題はたくさんありますけれども、諸外国に比べて決して後れを取ることなく、しっかり役割を担ったというふうに結果として出ていると思います。

 十六ページのかかりつけ医機能の、面としてということは先ほど申し上げました。

 十七ページと十八ページの比較ですけれども、我が国において受診できる医療機関をしっかり御自身が選んで受診できるという仕組みは非常に重要でありまして、あらかじめ、この人はまず最初にどこを受診しなければいけないというようなことを決められてしまうということは、我が国の国民にとっては非常にマイナスが多いのではないかというふうに考えます。

 十九ページは、既に、外来の機能をしっかり分化し、また連携することで、大病院ばかり受診するという事態については随分改善してきているというふうに思います。

 二十ページ、二十一ページは、これまで御検討いただいた内容で、結論は二十二ページです、少し項目が多いですけれども。かかりつけ医はあくまで国民が選ぶもので、国民にかかりつけ医を持つことを義務づけたり割り当てたりすることは、日本医師会としては反対です。診療科やあるいは専門の観点から、いろいろな、複数のかかりつけ医が必要であって、一つの医療機関が全部担うことはできなくても、しっかり連携を取るということが必要で、そして、かかりつけ医機能を発揮する医療機関は、診療科や病院、診療所の別を問うものではなく、そして、かかりつけ医とかかりつけ医以外を区別するという考え方は、むしろ国民の皆さんにはマイナスだろうと思います。そして、自らもしっかり研さんに励んでまいりたいと思います。登録制は、決して我が国では国民のためにならないというふうに感じております。

 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長 ありがとうございました。

 次に、伊藤参考人にお願いいたします。

伊藤参考人 鹿児島大学の伊藤と申します。

 本日は、このような機会を与えていただいて、非常にありがたく思っております。

 私は、今回の法案について、廃案を求める立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 そこに書いてあるとおりです。ずっと、医療、かかりつけ医とか、そういった内容についてはここでは割愛させていただいて、高齢者の負担を増やすこと、高齢者の保険料負担も含めて、そういう高齢者の負担を増やすことについて十分議論されていないんじゃないか。

 今まで、私のレジュメにある一ページに書いてあるように、一括法案というのが多いんですね。私は、今、法律を専攻していて、ロースクールでも教えていたことがあるんですが、社会保障法、行政法をやっているんですが、こういう一括法案の場合、今回は十一ですが、十九の一括法案だったのが、名前が長いんですよね、何なんですか、地域における医療及び介護の総合的な。今回も長いですが、医療介護総合確保法なんかは十九。しかも、重要な改革はどんどん行われている。十分審議を尽くしたのか。高齢者の生活実態を十分把握した上での議論なのか。全世代対応型あるいは全世代型社会保障改革と言われますけれども、結局、私は高齢者いじめじゃないかと思っています。

 今まで、高齢者の方に非常にお金がかかっていた。一人当たりの社会支出で見るとそれほどでもないんですが、ただ、実際に、確かに、ある程度資産を持って裕福な高齢者の方もたくさんいらっしゃいます。私も年金裁判というのをやっていまして、ロースクールで教えていた教え子が弁護士になって、私に証人で来てくれと。教え子に証人尋問されました。そこで、やはり、高齢者の人の生活実態を見るととても裕福ではない。

 今回も、その前ですかね、窓口負担が七十五歳以上、一定所得以上は二割になった。今回の出産育児一時金に係る、その分、後期高齢者医療制度から支援するという案ですが、それを見ても、それについてはちょっと時間がないので余りしゃべれないんですが。

 ずっと行って十三ページのところに書いたんですけれども、一応、年収百五十三万円以上の被保険者について、そういった保険料の負担増。だけれども、能力に応じた負担と言われますけれども、これは経済的に余裕があるんですか、年収百五十三万で。年金収入だけですけれども。

 更に問題なのは、こういった、そもそもそっちから持っていくかな。出産育児一時金について、健康保険であれば、健康保険の方の財源ではなくてこっちから支援する、それはそれでいいんだろうと思うんだけれども、だけれども、なぜ高齢者にこれだけの負担を押しつけるのか。それを全世代型社会保障という形ですごく正当化しているんじゃないかと思います。世代間対立をあおっていますよね、と私は考えますが。

 いずれにしても、かかりつけ医について、私、特に問題がある部分、もちろんちょっとあるんですけれども、一括法案だと、非常に問題のある法案が出てくるのと、そうでないのが一緒に出てくるわけですね。私も官僚をやっていたから分かるんですけれども、そんな、一緒に出しちゃうと、完全に反対というのはなかなかできない。制度が後退する部分と制度が改善する部分の法案を一緒に出しちゃうんですね、一括法案というのは。そういうやり方、私は、それも一つ大きな問題じゃないかと。

 それはともかく、こういった一括法案の問題と、特に財源の問題ですよ。これはずっと見ていると分かるんですけれども、結局、今までの公費負担を高齢者の負担にコストシフティングしているんです。つまり、公費負担が減るわけですよね、国の負担が九百十億ぐらい今回減るという試算が出ているんですけれども、これはどういうことなのか。結局、そういうコストシフティングをやっている法案。

 じゃ、高齢者の生活実態はどうなのかというのは、ちょっとなかなか、誰も代弁する人がいないのでこの場でお話ししたいと思うんですが、まず一つは、今回のコロナで、先ほど死者は少ないと言われましたけれども、今年の一月、一万人ぐらい出たじゃないですか、ほとんど高齢者です。しかも、超過死亡が多いので、実際にコロナで亡くなった人もコロナでないと思われているかもしれません、二〇二二年は非常に多かったです。それを、私、背筋が寒くなったんですけれども、何も言わないですよね、マスコミ。亡くなっているのが高齢者だからですか。何でしたか、その論文については、私の知り合いの和田さんという人が「世界」に書いていらっしゃるので、後ろで見てもらったらいいんですけれども、何と、最大の医療崩壊が起きて最多の死者を起こしたのに、三年ぶりの行動制限のない年末年始と。高齢者が死んでいるから無視しているんですか。もしこれが若い人だったら大問題になっているんですよね。だから、本当に、私、背筋が寒くなりました。

 しかも、高齢者の年金をどんどん減らしている、マクロ経済スライドで。今回も、また保険料を上げる、窓口負担を上げる。高齢者の生活実態については、七ページからずっと書いてあるんですけれども、年金裁判をやったときに、高齢者の人は言うんですけれども、もう早く死にたいと言っていました。もうこんなにお金がなくて、また医療費が上がって、窓口負担がまた上がって、年金が削られて、物価が高いのに。何もいいことないな。これを言わせていいんですか、政治として。

 社会保障は非常にお金がかかる、だから削らなきゃいけないというのは分かるんだけれども、でも、本来、社会保障は国民の生活に必要なお金じゃないですか。それを何で削るんですか。いや、それは無駄な部分はあるかもしれない。だけれども、自然増の部分まで削っているんですよ、今。何もしなくても増える部分ですよ。社会保障というのは、本来、国の財政が苦しいから社会保障を削減すべき、そういう論理は成り立たないと思うんですよね、三ページのところです。特に生活保護基準、これも裁判をやっていますけれども、私も関わって。意見書も出しましたが、生活保護基準引下げについては、今回、各地裁で勝訴判決が連発しています。健康で文化的な最低限度の水準を決める生活保護基準を国の財政が苦しいからと引き下げていいんですか。

 国の財政赤字や歳入不足を理由に、社会保障の費用を自然増の部分まで、何もしなくても増える部分まで削られているというのが問題で、本来、お金がないから社会保障を削るというのは成り立たないんですよ。社会保障は必要なんだから、お金がなきゃどこかから持ってくるんです。それが政治家の仕事なんですよ。それを全くしないで、どんどんどんどん削って、公費負担を削っていくというのは、私は非常に間違っていると思います。防衛費のことは余り言わないですけれども、それを非常に引き上げた上で、どんどん高齢者や本当に声が出しにくい人たちに負担を押しつけている、そういう法案じゃないかなと思っています。

 あと、じゃ、どこに財源があるのかとよく言われますけれども、後期高齢者医療制度について言えば、ずっと八ページから九ページに書いてあるんですけれども、今回のそういった法案を含めて、特に後期高齢者支援金の問題があります。

 支援金について、今回、後期高齢者なども支援金は既に総報酬割になっているんですけれども、前期の方に、今度、また総報酬割を入れるという案が入っています。これは先ほど健保連の方がおっしゃったように、三分の一なんですけれども。ただ、支援金制度は、私は協会けんぽの鹿児島支部の方の評議員もやっていて分かるんですけれども、もうこれは限界です。毎月毎月年貢のように取られるわけですよね、各医療保険者が。そして、医療保険者の中には、保険料収入の半分ぐらいがこの支援金に取られる。もう支援金制度はなくすべきですよ。

 だから、最終的には、私は税方式でやるしかないと思っています、社会保障の、元々の、後期高齢者についてはね。税方式でやるか、あるいは、全部、政府を保険者として、全ての人を入れる医療保険にして窓口負担をなくす、保険料は住民税非課税の人からは取らない。

 つまり、住民税もかからないような低所得の人から取っているんですよ、保険料。日本は、そのために、何と所得再分配がほとんど機能していない。つまり、本来取るべきでない人から保険料や税金を取って、本来取るべきところから取っていないわけですね。それで、再分配するための手当や年金が極めて少ない。だから、貧困率は非常に高いですよ、高齢者の。OECD諸国の中でも突出して高いです。特に、単身女性高齢者。独り暮らしの高齢者は、生活保護を受けている人が多いんですけれども、そういう人たちの生活は、だって、年金は三万とか、そんなもんです。暮らしていけませんから。

 そういう人たちに、後期高齢者保険料をまた増やして、更に窓口負担も今後全員二割にするんですか。今は一定所得以上ですけれども、これを二割にしていって、それで、受診抑制して、現役世代の負担の軽減をされると言っていますけれども、十一ページのところですけれども、最も削減されるのは公費負担です。だから、これは何なんだろうと。一部負担金というのは、本当にすごい、一応減免はあるんですけれども、国民健康保険にもあるんですが、それは突発的な事由とかになってからです。だから、恒常的な生活困窮者に対しては、一部負担金も保険料の免除はありません。それは制度としておかしいと思います。

 そもそも、後期高齢者医療制度はおかしいと。だって、社会保障のそもそものお話をしますと、社会保険というのはリスク分散が必要なんです。お金のある人もない人も全部含めて、病気になりやすい人もなりにくい人も全部集めて、それで、リスクを分散するのが社会保険です。病気になりやすい人や、年金だけで保険料負担がない人ばかり集めてどうするんですか。リスク分散できないじゃないですか、後期高齢。

 だから、保険料は一割、今度その保険料の負担率を上げるというんですね、介護保険に倣って。今は一三%ですかね、後期高齢者医療制度に占める割合は。全体の医療費に占める割合。それを、介護保険だと二五%ぐらいになりますよ、第一号被保険者の保険料。じゃ、今のその率を介護保険並みにした場合に、確かに支援金は減るかもしれません。だけれども、高齢者の負担は倍になるわけですか、単純計算すれば。それは私はおかしいだろうと。そういうことをやっていて、コロナになって、見捨てるんですか。高齢者が死んでも、何も、誰も、マスコミも余り騒がない。本当に背筋が寒くなるんですね。

 我々、私なんかも将来高齢者になるので、もうちょっと現場の高齢者の生活実態を見た上で制度設計していただきたいと。何も、余り声が出ないから高齢者にどんどん負担を押しつければいいという問題ではないでしょう。社会保険というのは、強制加入なので、保険料を払えない人がいるわけですよ、生活困窮で。そういう人のために免除をすべきであって、先ほど言いましたように、住民税非課税の人は、すぐ税方式に移行しろというわけじゃないですよ。

 財源がないと言われるけれども、結局、社会保障・税一体改革の下では、財源は消費税しかないでしょう。だから、子育て支援重視したいと岸田首相が言っているけれども、それは財源は消費税を上げると言えないですよね、今。だから、どこか社会保険料から取るとか言っていますよね。いや、だから、この社会保障・税一体改革の消費税に依存した財源確保をやめて、法人税や所得税の累進性を強化していけばいいんじゃないんですか。それで十分財源確保できるという試算も出ています。

 だから、私は、そういったいろんな選択肢があるにもかかわらず、六ページのところですけれども、不公平税制を是正すれば、特に金融所得に対する課税、これは岸田首相が総裁選挙のときに言い出して、株が下がったので引っ込めましたけれども、これを強化したり、あと、法人税の租税特別措置などの大企業優遇税制を見直していけば、四十六兆円確保できるらしいですよ。これだけあれば、消費税減税して社会保障を充実するのは十分可能じゃないですか。だけれども、これをやらない。

 本当にお金のある人たちから、だから、お金のある人たちからたくさん取って。そうでしょう。手当だってそうだと思うんですけれども、私、児童手当の所得制限は廃止すべきだと二年前の内閣委員会で言ったんですけれども、年収千二百万円以上の人は特例給付はなくなりました。その法案、法律を通しておいて、何か最近言い出しましたよね、岸田氏は、異次元の少子化対策で児童手当の所得制限をなくすと。えっ、何だったんですか、あれは。二年前、私が言ったのに、今になって言い出すのかと、何なのとか思いましたけれども……

三ッ林委員長 伊藤参考人に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。

伊藤参考人 済みません。

 というわけで、いろいろな事情で、とにかくこれはもう是非廃案にしていただきたいと思います。

 以上です。済みません。ありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高階恵美子君。

高階委員 おはようございます。自由民主党の高階恵美子と申します。

 たくさん質問したいことがあるんですけれども、今日はお忙しい中お運びいただき、また、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。

 初めに、先ほど、佐野参考人の方からも、個々の健康意識あるいは受療行動について触れていただきましたが、前段となる被保険者等の健康度を高めるための保険者努力、この支援制度に関して、ちょっと御見解をお伺いしたいなと思うんです。

 医療費適正化という観点もありますが、現場にとってはちょっと苦手意識もあって、更地から効果的な事業を組み立てていこうとするとなかなか大変だという一方で、メタボ対策をやってりゃいいんじゃないといったような、非常に、新しい芽を出そうとしても実現しにくい、こういったようなこともあって、現実にデータを見ていきますと、団体間の差というのがかなり大きくなっていると思うんです。

 本当に効果的な支援をしていくために、様々な健保組合の事業等も御覧いただいていると思うので、現場を御覧になった感覚も踏まえてアドバイスいただけないかなと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 先生おっしゃるとおり、こういう保健事業といいますか支援については、なかなかに難しい部分があると思っております。ある面では、加入者の方もいろんな方がおられて、大変健康に関心を持って積極的に取り組んでいる方もいらっしゃいますし、一方では、例えば、健診結果が余りよくないのに、なかなか自らそういうことをしようとしない方もいらっしゃって、相当いろんなタイプの方がいらっしゃいますので、そこに対してどういう支援をしていくかというのは大変重要だと思っていますし、我々健保組合は加入者に近い保険者でございますので、やはり加入者に近い立場として、そういう特性等も踏まえてやっていくということが大事だと思っています。

 それと、昨今においては、やはりデータの活用というのが大変重要でございますので、ここをやはり、健診結果であったりとか、さらには診療実績等も踏まえて、各層別にきめ細かい指導、これをやっていくことが大変重要だと思っていますので、折から今、健康経営ということも出ていますので、ここは事業主とも連携を取って取組をしているというのが実態でございます。

 以上でございます。

高階委員 ありがとうございます。

 制度の持続性を維持しつつサービスを充実していこうとすると、今回の法改正で対象としております給付と負担のバランス、応能負担をどこまで取り入れていくかということもありますし、それから、限られた人材、資源、これをどう有効活用し、また、利用者一人一人がどのように地域包括の体制に参加していくか、こういったような動きを喚起していく取組も必要だと思います。

 また、生じるリスクの適正な分散、緩衝策、いろいろ考えなきゃいけないことがあるんですけれども、特に財政ですね、この三年間、実はよくしのいでいただいたなという側面がありまして、診療の場に関わる経費も、大分社会保険の方から見ていただいています。そういう面では、財政状況が必ずしもいい状況じゃないということはなかなか声を上げにくいんだろうと思いますけれども、よくぞしのいで今日まで来てくださったという思いが私はあります。

 今回、差し迫った対応として、授かった命を迎え入れる、そしてその家族を支えていく、こういうためにあらゆる世代が社会保険への参加度をぐっと強めていくというか、緩やかに、段階的に高めていくということになりますけれども、総じて、横断的な業務をバックヤードで担う健保連さんとしては、かかる事務負担とか、それからDXの推進にも取り組んでおられるということで、先ほどマイナンバーカードの話も、保険証の一体化、この辺のところに関しても触れていただきましたけれども、この場で、ちょっと気がかりなこととか、各方面の方がここに参加できるような意識啓発をということを触れていただきましたけれども、限られた時間の中でやらなきゃいけない、遅滞なく失敗が許されないといったようなこともあります、ちょっと、この辺に関して要望したいことがあれば、一声お願いいたします。

佐野参考人 ありがとうございます。

 特に、今先生も言われましたけれども、やはり、今回の中でいいますと、今回の法改正というよりは、マイナンバーカードと保険証の一体化というのは、先ほど申し上げました大変重要な取組でありますけれども、一方で、大変、事務的な部分でいいますと、負荷の高い、課題が多い部分だと思います。そういう面で、本件については、制度をいかにつくるかということももちろんではございますけれども、一方で、実務がどうやってうまく回せるのかという点が最大の課題ではないかと思っております。

 我々の直接のところでいいますと、我々の方は、加入者から事業主経由で健保組合にもらって、その情報を登録してつなげるということになるわけでございますけれども、まだまだ国民の中に、相当マイナンバーカードの普及は進んでまいりましたけれども、これを保険証として使えるというところについての意識、若しくは、もっと言いますと、マイナンバーカードというものを何となく家にしまっておくものみたいな意識がまだまだ高いんじゃないかと思います。

 いわば、これを、そういう意識も含めて変えていくことが極めて重要ではないか。これが、ひいては健保組合の事務負担も減らして、かつ、このメリットが大きくなるのではないかと思っていますので、そういう点については、やはり国を挙げての意識改革といいますか、そういう周知広報の方をお願いできればというふうに思っている部分でございます。

 以上でございます。

高階委員 ありがとうございます。

 また、地域ごとの医療・介護情報を収集して一括して提供するというこの基盤が整うことも、身近に活用できるようになるというのは非常にありがたいというふうに思う一方で、これが一刻も早く運用されるような支援を私たちもしていかなければいけないというふうに考えます。

 長期的な推移を計画期間ごとに評価していくことができるようになりますと、例えば、制度改革に生かすということだけではなくて、これから就職する学生さんたちの参考データになったりとか、あるいは、要介護家族とともに移住をしたいという有資格の方々とかの参考情報にもなり得るのではないかというふうにも思います。

 情報収集、分析、そして提供が更に効果的な形で有益に使われるような分析、チェックというのを取り入れながら、しかし情報管理は徹底していくというバランスの取れた仕事をしなければいけないということになりますけれども、この点に関しては、佐野参考人、川崎参考人にできればちょっと一言いただければなと思いますが、いかがでしょうか。

佐野参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、いろいろな介護情報を含めた一体化というのは大変重要な課題だと思っておりますし、現時点においては、私ども健保組合は、対象は基本的には現役世代になっておりますけれども、やはり、医療と介護の連携の部分というのは全体の生涯を通しての健康アップのためにも大変重要だと思っておりますので、やはりここは、今政府の方でもいろいろなデータの一体化を含めて取り組んでいただいておりますけれども、ここを活用して、若年、要は若いときから情報提供をして、健康増進、疾病予防に対する取組を進めていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

川崎参考人 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、医療のデータは、統合、インテグレートするからこそ価値が増えていく、つまり、データというのは、個々が個々の仕組みで持っていると個々の価値は高まりますけれども、それを統合していくと更なる価値が出てまいります。

 その点からいきますと、私たちは、健康、その後、疾病して介護を迎えるということで、一連のステージがあるわけです。私たちは別に介護だけを受ける人間ではなく、健康な状況もあるわけですので、データもやはり、私も、一生涯のデータを使って、さらに、価値あるものであれば、安全にですけれども活用していただきたいと考えます。

 その点におきましては、今後、更なる医療と介護並びに健康も含めたデータの統合が必要と考えますし、そのためにはどのような社会像を私たちが目指していくかという強い思いがないと、なかなか現状を変えていくことはできないのかなと思います。

 以上です。ありがとうございます。

高階委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられましたように、人生百年全体を視野に入れながら、まずは自分の健康と自分自身が向き合い、必要な資源も上手に使いながら暮らしていくことができるように周りもそれをサポートしていく、その環境をどうつくっていけるのかということになるんだろうと思います。

 九〇年代からこの間を見ますと、どうしても急激な高齢化率の上昇に伴う様々な手当てをしなければいけないということもあって、公衆衛生とか、あるいは疫学、感染症コントロールに関することは過去の課題であるかのような言われ方をすることもしばしばありまして、それが今回のCOVIDの流行の中で、大分、有事の体制が抜けているよといったようなことを世に警鐘されるというふうな結果を招いているというふうにも思います。

 分かった以上、きちっと対応していくということが必要になるんだろうというふうに思いますけれども、例えば、今回の改正の中では、看多機、小規模多機能の活用のこととか、ちょっとずつかもしれませんけれども、制度に入れ込めるものを工夫して入れ込んでいる、そういう改正になっているんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、特に、有事の診療対応体制に関して、地域の中で、介護事業所も参加できるような法人を認可していこうとか、ちょっとずつ工夫がされています。

 例えば、この制度は、民家が散在するような条件不利地域、こういったところなどでも効果を発揮するんじゃなかろうかというふうにイメージしたりするわけですけれども、いかがでしょうか、この辺りは草場参考人にお伺いするといいんでしょうか。お願いします。

草場参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、介護事業所に対する感染時の危機対応ということに関しては、本当に、当初かなり難渋したという意識がございます。私、地元札幌でも、茨戸アカシアハイツというところで、本当に初期にたくさんの高齢者が亡くなったということで、じくじたる思いがございました。

 介護事業所の中にも、しっかり感染対応をしていく施設というものをどんどん増やしていかれ、認定していく、そういった仕組みを増やすのは大事ですし、あと、ちょっと強調したいのは、やはり、そこに行くドクターが誰なのか、その配置がある場合にはまだいいんですけれども、配置がないような施設もたくさんございますので、そういったときに、結局、医者が来ないと、介護員の方というのは非常に難渋する。

 ですから、先ほどのかかりつけ医の話ともちょっとつながりますが、施設とかかりつけ医の関係性ということもちゃんと連動させた、一体となった仕組みというものを是非、平時から準備をしていかなきゃいけないなと感じています。

 以上です。

高階委員 確かにそのとおりだというふうに思います。

 そこで、先ほど、釜萢先生から、戦前から町のお医者さんとして、開業医というのは、地域づくりの一端を担う、そういう大事な役割も果たしてきたんだよといったような話とか、それから平成四年の医師会で打ち出してきたかかりつけ医という表現ぶり、こういったようなことについても解説をいただいて、ああ、なるほどなと改めて思ったところなんですけれども。

 平成四年頃というと、ゴールドプラン、新ゴールドプランに一生懸命みんな向かっていた頃でしたよね。そこから、二〇一三年、平成二十五年と今おっしゃられました。その頃になってくると、大分また様相が変わってきている中で、四病協とも連携をして提言をまとめたということでありますけれども。

 我々からすると、かかりつけ医という表現についてはもうすっかりなじみがある一方で、例えば、家庭医、ホームドクター、それから総合診療科、総合診療医、それから今日お話がありましたようなプライマリーケア医という形で、非常に様々な呼び名がありまして、それが制度上の位置づけなのか診療科なのか、ちょっと分からないままに受け止められているというところもあって、今回、かかりつけという機能そのものをしっかり地域の中に浸透させて、この中に包括して取り込んでいこう、その発想を打ち出したということが画期的なんだろうと思うので、そこに専門機能をどう入れ込んでいって、どう有機的に効果を発揮していけるようにするかということなんだと思いますけれども、お金がかかりますよね。この辺に関しての、例えば情報提供料とか、そういうものではなく、こういう部分にかかる経費は見合いがないので、何かお考えとか御要望とかお持ちだったら、この際、釜萢参考人、いかがでしょうか。

釜萢参考人 高階先生、ありがとうございます。

 今先生からお話が出た中で、かかりつけ医というのは、あくまでも、これはやはり、受診される側からの、患者さん側の認識だというふうに思いますが、例えば、総合診療専門であるとか、あるいはプライマリーケアであるとかという表現は、これはあくまでも、医療提供側がどういうふうに認識をしているかということだと思いますから、受診される側に役立つ情報を今回はかかりつけ医機能としてはっきり出していくということが大変大事だろうと思います。

 それから、それを整える上での、お金がかかるという問題は、それは先生御指摘のとおりかもしれませんが、なるべくお金をかけないでしっかり体制を整えていくということが現実的な選択ではないかと思っております。

 ありがとうございました。

高階委員 答えにくいことに答えていただきまして、ありがとうございます。

 ちょっと、診療報酬に関わる話にもなったので、最後に、今回の子供、子育て政策の強化試案について少し話題としたいと思います。

 出産費用の保険適用を検討する方針というのが打ち出されました。私も平成十八年の診療報酬改定、やっているんですけれども、あのときに、ハイリスク分娩管理料とか、今はハイリスク妊産婦の共同指導とか、それから緊急搬送とか、少しバリエーションもでき、少しずつ点数もかさ上げはされてきているんですけれども、お産は正常なものである、病気ではないといったような見られ方の中で、どういうふうにここの、二つ以上の命が懸かる、ここのところの健康リスクにどう専門的な技術で対応していくのかということは、これは長い課題であり、しかも、あれからしても三度目の同時改定を迎えようとしているので、乗り越えるべき壁なんじゃないかなという気もしています。

 病気ではないかもしれませんけれども、確実に専門的な技術が必要とされる時期であるということ、現象であるということには変わりがなくて、一方で、お産の仕方とか場の設定、それから妊婦の状況というのも大分違っていることもあって、一律に技術料を算定しにくい、算定ルールを定めにくいということもまた現実だと思います。

 例えば選定療養という方法で、新たに出産安全に係る部分を算定というか請求できるといったような形の、新たな方法もまた検討の余地があるのじゃないかなというふうに思います。余り決め打ちをしないで、この辺をこれから議論していってはどうかなというふうに思うんですけれども、どうでしょう、一号、二号の立場から、ちょっと保険適用に関するこの辺のニュース等、それぞれの思いなどをお伺いできればと思います。一言ずつで結構でございます。

佐野参考人 ありがとうございます。

 まず、やはり少子化は、子育て対策は国全体として極めて重要度、緊急度の高い課題であるというふうには思っております。一方で、出産費用の保険適用については、やはり、今先生も言われましたが、クリアすべき課題もたくさんあると思っております。ある面で、基本的には自由診療でありながら、保険者としては出産育児一時金という形でもって費用負担を行っております。

 今回、引上げをされたわけでございますけれども、やはり出産費用は地域ごとに大きな格差があります。また、そのサービス内容についても、なかなかその違いが見えにくいという部分もありますので、健保連としては、今回の引上げの審議のときにも、審議会の方では、やはり出産費用の見える化というものを是非併せて行うべきだというふうに主張をしてまいりました。今般、厚労省としても、出産費用の見える化を今進めておられるというふうに聞いておりますので、まずはここから検討すべきではないかと思います。

 その上で、おっしゃったような社会保険の在り方みたいなものも関連してくると思いますので、その辺りの整備も含めて、やはり一定期間をかけて検討することが必要ではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

草場参考人 私どもの立場としては、出産に関しては、とにかく経済的な不安がない状態で、安心して臨んでいただくようなシステムをつくるということを心から期待したいということで、今の議論の方向性で更に拡充をお願いしたいというふうに思います。

 以上です。

川崎参考人 ありがとうございます。

 私たちも同様でございまして、まずは出産に係ります取組につきまして、既存の要望をしっかりと把握し、議論を進めていく必要があるとともに、やはり既存の提供されているほかの医療も含めまして、しっかりと検討しているんだ、そういったところの安心感も含めて、各制度、検討を進めていくべきだと思います。

釜萢参考人 この四月から出産育児支援金が増額されるということは大変なことだと思います。これによって大変御苦労いただく面もあるんだろうと思いますので、その経過をしっかり見ていく必要があるということと、それから、保険適用の、特に通常の正常分娩に関する保険適用の件については、やはり実際にその恩恵に浴する妊婦さんや御家族が本当にメリットがあるのかどうか、そして、国民全体にとってこの変更の意義があるのかどうかということがしっかり議論される必要があるというふうに思っております。

 以上です。

伊藤参考人 出産費用の保険適用については、先ほどほかの参考人の方がおっしゃったように、やはり一部負担金の問題を含めて、出産ができるだけお金がかからない、無料になるような仕組みにしていかないとまずいんじゃないかなと思っています。

 だから、どうしても保険適用になると、診療報酬点数の問題もあるし、一部負担金の問題が出てきますので、そこら辺をクリアして、誰もが安心して、お金の心配をしないで産めるような仕組みにしていかないといけないんじゃないかなと思っています。

 以上です。

高階委員 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 本日は、五人の参考人の皆様には、大変お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場での御意見また陳述、大変参考になりましたし、勉強になりました。

 限られた時間ではございますが、私からも御質問させていただきたいと思います。

 私からは、主に、かかりつけ医、その機能を発揮するための制度整備に関して。四人の参考人は直接先ほど意見の中で触れられておりましたし、伊藤参考人は、直接は触れられておりませんでしたが、資料の中に、今回のコロナ禍で、かかりつけ医だと思っていた方に診てもらえず、すなわち自宅放置死を招いたという資料が入っておりました。時間の関係でお話しできなかったのかと思いますが。それぞれのお立場でかかりつけ医に対する、まあ私は聞いていて、評価は様々だったなというふうに思うわけですが。

 改めて、大きく二点、コロナで浮き彫りとなった課題。先ほども少し触れましたが、かかりつけ医だと思っていた方、まあ厚生労働省、政府は、このコロナ禍で、ワクチンを接種したらいいかどうかも含めて、迷ったらかかりつけ医に相談をということを再三アナウンスしたにもかかわらず、必要なときに必要な医療にアクセスできず、困惑した国民の皆さん。五月、連休明け、五類へ移行といいますが、コロナが決してなくなるわけではない。そういうこれまでのコロナの経験から、コロナなのかどうかも含めて、かかりつけ医を持ちたい、こういうニーズ、コロナ禍での浮き彫りとなったニーズ。一方で、人生百年時代に、自らが健康増進を図る、かかりつけ医機能を活用したいという国民の皆様のニーズ。今回の政府案の中のかかりつけ医機能制度整備、この内容が、その二つの国民のニーズ、これに応える内容となっているのか。

 先ほど聞きましたが、ちょっと分かりやすく、その二つのニーズにどの程度応えるものとなっているのか、百点満点で採点したら何点か、それぞれ五人の参考人の採点、簡潔に理由もいただきたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 余り最初に出たくなかった部分もございますけれども、点数は、正直申し上げてなかなかに難しいので、済みません、御勘弁いただければと思います。

 ただ、先ほど資料でも説明しましたけれども、私どもとしては、今回の法案はまさに医療の質の向上につながる第一歩だと思っておりますので、やはり第一歩を踏み出すということについては大変意義があると思っておりますし、そういった中で、今先生もおっしゃっていましたけれども、国民が自ら選択をして、かつ活用できることが大事だと思います。ですから、どうやって選択しやすい状況をつくっていくのか、また、選択したからにはこれをうまく活用する方法をどうつくっていくのか、この辺りは今後の課題だと思っておりますので、そういう点も含めて、次の取組を期待をしたいなというふうに思っている部分でございます。

 以上でございます。

草場参考人 御質問、非常に興味深い質問で、ありがとうございます。

 私自身は、第一歩であるという意味で、十点というふうに点をつけたいなというふうに思っています。

 ただ、先ほどおっしゃったように、本当にコロナ禍の中で機能するかというと、かなり問題点があると思いますし、実際に、健康な方には選べない、非常に元気な方はかかりつけ医を持てないという状況に、ある意味誤解を与えかねないような方向性もちょっとある。この二点においてやはりまだまだ改善すべき点が大きいということで、そういう意味では十点という点数としたいと思います。

 以上です。

川崎参考人 ありがとうございます。

 点数をつけるのは難しいのですが、ある一つの基準を考えていきますと、コロナ禍で、私たちは、自分がコロナになっているのかどうか分からない中で相談したいという状況がありました。今もそれができるかどうかという観点でいくと、できないのであれば低い点数になると思います。

 また、例えば、知人や友人がコロナで亡くなってしまい、その初期症状が今自分と同じだと仮に思った場合に、心配でたまらない、誰かに相談したいと思ったときに、今の我々が提供されている医療提供体制で聞けるかどうかという観点で評価をしたときに低いか高いか、そのような観点で見ていく必要があるかなと思います。

 以上です。

釜萢参考人 まず、今回の法案の点数ですけれども、私は、コロナの問題も、それから人生百年を目指しているという二つの観点から、両方とも及第点には十分達していると思っています。

 コロナに関して、ほとんど通常、医療機関を受診したことがない方が、さあ、いざかかろうと思ったとき、どこへ行っていいか分からないという御指摘がありました。これについては、ふだんかかっておられない方がすぐにアクセスできるような、いろいろな情報提供を更にしっかりやっていくということはすごく大事だと思います。

 それから、人生百年を目指してといっても、これは、生まれてからずっといろいろな年代の方がおられるので、それぞれの年代にしっかり合った形で対応していく、必ずしも高齢者だけ対応すればいいというものではないので、その辺りについての配慮が必要だと思っております。

 以上です。

伊藤参考人 余り私のところでは話す機会がなかったんですけれども、かかりつけ医機能自体が、定義の問題も含めて、本当に、先ほどおっしゃったように、これは第一歩だとすれば、十点ぐらいかなと思います。

 ただ、かかりつけ医機能報告、これは前の法案でも出ていたんですけれども、病床機能報告制度外来版みたいな感じで出てくるんですけれども、結局、これによってかかりつけ医とそうでない人、医療機関を分けて、そうでない医療機関を受診した場合には定額負担を取るとか、そういう方向に行ってもらったら非常に困るな、そういうのに使われる可能性があるんじゃないかなと思いまして、ちょっとそれについては危惧しておりまして、もう少しかかりつけ医機能報告制度については精査が必要じゃないかなと思っています。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 大変答えづらい御質問だったかもしれませんが、度々皆さん出てくる、全世代構築会議の中でも、これは第一歩だ、第一歩ということなんですが、大事なことは、何を目指した第一歩なのかということだと私は考えています。もちろん、言葉で言うと、患者さんが、要するに、どの地域にどのぐらいのそういうかかりつけ医機能の方がいて、そして、その方々が自由に選べる、そしていいマッチングができるということ、そこを目指しての第一歩と私は理解しておりますが、その件に関して、ちょっと佐野参考人と草場参考人に確認をしたいんですが。

 健保連さんは、昨年の秋、かかりつけ医に関して、あるべき姿、取りまとめをされておりました。私が今言った、第一歩、この十歩先はどこにあるのかということからいくと、確実に、国民の皆様から見て、かかりつけ医がどこにいて、そして自分に合うかかりつけ医を選択できて、そして確実に、何があったときでもまずはファーストコンタクトが取れる、いわゆる事前登録できる仕組み、そして、患者さんから見てこの方はかかりつけ医機能が確実にあるんだということが分かるための質の担保のための認定制、いわゆるここを目指した第一歩という意味なのかどうか、佐野参考人、草場参考人に確認をさせていただきたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 先生おっしゃるとおり、昨年秋、私ども健保連としても今後に向けた提言をさせていただいております。ただ、正直申し上げて、ゴールといいますか、向かう、今先生おっしゃったような、何を目指すという目的のところがまだきれいに書けていない部分がございます。やはりクリアすべき課題もたくさんあると思っておりますので。

 今回申し上げましたように、やはり、いずれにしても、まず、国民サイドから見たときには、一つは、国民のニーズに合ったものでなければいけないだろう、また、国民の今、多様なニーズに応えるものでなければいけないだろう、結果として国民に選ばれるということになるだろうというふうに思っております。

 そういった点で、今日も資料に書きましたけれども、国民がいかに選びやすい環境をつくっていくのか、そしてまた、先ほど申し上げましたけれども、選んだ上ではそれをどう活用していくのかというようなことが大きな課題だと思っておりますので、そういう点でいいますと、今先生がおっしゃいましたように、例えば、選びやすいための認定みたいなものであるとか、また、選んだからにはそのことを示すための登録みたいな制度というのは、一つ大きな、有力な選択肢であるというふうには思っております。

 ただ一方で、そうするにしても、いろいろな、どういうパターンでやっていくのか、また、その運び方をどうするのかというところについてはまだまだ課題があろうかと思いますので、そこは今後のいろいろな検討の中で深めていただく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

草場参考人 私は、先ほど十点という点数をつけましたけれども、八十点以上というのは、一つは、やはり、先ほど提示させていただいたかかりつけ総合医制度というやり方、そこに集約されるというふうに考えています。

 具体的には先ほど申し上げたとおりでございますけれども、医療機関側がきちんとある程度第三者認定を受けて、患者さんは手挙げをする。医療機関も、別に強制ではないし割当てではないけれども、両方手を挙げて、合意したところが登録をしていく。そして、何かあったときにはいつでも相談はできます。ただ、先ほどからちょっと議論がありますけれども、もちろん、医療機関によってはすぐ対応ができないケースもあると思います。そのときには、責任を持って他の医療機関を紹介するとか、こういった方法であなたの健康を守ったらいいというアドバイスをするとか、そういったことも含めて、全てのリスクを背負うわけではなくて、きちんとまず窓口になれるという意味での医療機関、そういったものをつくっていく。

 そこがやはり八割で、きっちり目指していく。

 そしてまた、健康なときから、より健康でありたい、あるいは、健康診断をどういったものを受けるべきか、がん検診はどういったものを受けるべきか、あるいは、高齢になってきて足腰が弱ったけれども介護保険をどう使ったらいいのか、そういったことも、市民があちこちにアクセスできる状況ではありますけれども、まずどこに相談すればいいか分からないというのが日本の現状だと思うんですね。ですから、その最初の窓口に、このかかりつけ医がちゃんと機能を担うということを担保していく。

 そこまで行くと、やはりもう八割、八〇%、合格というふうに言っていいんじゃないかなと私自身は考えています。

 以上です。

中島委員 国民の皆様にとって、コロナの経験、教訓を踏まえて、先ほど、自宅放置死遺族会、私も高田共同代表と様々話をさせていただき、まさか我が国で、国民皆保険、医療先進国、もちろん感染症という有事、しかしながら、第一波、第二波、第三波を経験した第五、第六波でも更にそういう症例が増えてしまった。そういうことから、とにかく、コロナでいえば重症リスクの高い方、こういう方々は、五類に移行してもコロナがなくなるわけでないということを考えれば、やはり、コロナ対応としても、重症リスクが高い方、不安な方は事前に登録する。これは、我々、昨年の四月にコロナかかりつけ医法案ということでお出ししたわけであります。

 そういう、いわゆるグランドデザインというか、コロナを踏まえた、人生百年時代、先ほど来話を聞いておりますと、例えば予防医療とかかりつけ医、そして、地域包括ケアシステムとかかりつけ医、もう一点大事な観点として医師の働き方改革、ここもなかなかこの先見通しが立たない、こういう状況の中で、かかりつけ医を明確に確立することと医師の働き方、この関係性について、草場参考人、そして川崎参考人、釜萢参考人、三人の方にお尋ねをしたいと思います。

草場参考人 御質問ありがとうございます。

 医師の働き方改革の影響は、来年の四月から施行されるわけでありますけれども、本当に多岐にわたる状況だと思っています。特に病院への影響が大きい。病院でやはり残業ということが規制されていきますので、今、かなりの残業をしながら、外来も朝から昼の三時ぐらいまでやった後、慌てて入院に行って、また夜に検査の結果をチェックするみたいな、夜九時、十時に帰るドクターというのは病院にはたくさんいらっしゃる状況です。

 ただ、そういったことができないとなると、外来診療をある程度縮小せざるを得ない。そのときに、その患者さんが、もううちでは診れないから、おたく、かかりつけ医を見つけて行ってくださいという状況になると思うんですね。そのときに、じゃ、どこに紹介すればいいのか、病院の先生から見ると、非常に悩むと思います。今まで診てきたものを診れるかかりつけ医というのはどこにいるんだろうと非常に悩まれる。

 ですから、そのときにこのかかりつけ医の制度がある程度きちっと整備されていれば、あなたのかかりつけ医はA医院の何とか先生なんですね、じゃ御紹介しますという形で、病院の外来機能というのがかなり特化される。そうすると働き方改革にも資することができるという点、これが一点。

 もう一点は、やはり郡部。郡部の中では、非常に医師の今、派遣機能というものがどんどん弱まっていくと思います。外来、もう本当に働き方改革の中で厳しい状況になる。そうなると、郡部に何とか内科の専門、何とか外科の専門という先生がたくさんいらっしゃっても、トータルで診ることができない。ですから、このかかりつけ医機能ということを強化していって、ある程度ジェネラルに診ていく医師を郡部にもっともっと配置しなければいけない。

 そういった影響がもうあと五年ぐらいですぐ出てくると思います。ですから、今議論をしないと、本当に五年後、十年後の地方と病院の状況というのは惨たんたるものになると思いますので、もう本当にこれは喫緊の課題だと思っています。

 以上です。

川崎参考人 ありがとうございます。

 医師の働き方改革、これを議論するときに一つ追加して考えなければいけないのが、デジタル活用と考えます。一人で抱える業務をいかに少なくして生産性を上げていくか、負担のない形で下げていくかという形になりますが、それはやはりデジタルの力を活用していくべきだと考えます。

 かかりつけ医を考えていきますと、まずは役割を分担して負荷を下げていくというところは引き続きしていく必要もありますし、デジタルを活用して、付加価値が低いと思われるような業務を削除していく必要があります。しかしながら、現状は、データを入力するための業務が増えていくなど、デジタル化を進めているにもかかわらず、逆にデジタル化を進めるための業務が増えていたり、そのようなことが広く行われております。

 したがって、働き方改革に関しましては、病院と診療所の機能の分担と、加えまして、デジタライゼーションじゃなく医療DXを含めて議論していくべき、そのように考えます。

 以上です。

釜萢参考人 医師の働き方改革は、全ての医師の医療行為を支えるという日本医師会の大きな目的、存在価値にとって非常に大きな課題であります。

 その中で、かかりつけ医との関わりでという御質問ですけれども、やはり地域によっていろいろ実情は違いますので、それぞれの地域に応じた形でどのように連携や連絡を取り合えばうまくいくのかというのは、これからの課題だと思っております。

 強い問題意識の下にしっかり取り組んでいきたいというのが私どもの現時点での思いです。

 以上です。

中島委員 もう時間となりますが、最後まだ大丈夫ですかね、もう一問。

 釜萢参考人にお尋ねしたいんですけれども、いわゆる事前登録、今回の法案でもかかりつけ医そのものは定義をされていない一方で、日本医師会、四病院団体、平成二十四年に定義、あれも大きな第一歩だったというふうに思うわけでありますが、法律上、かかりつけ医機能、その大本となるかかりつけ医を定義、私、そこは、国民の皆様に分かりやすくするためには、このかかりつけ医そのものがどういう役割を果たすものなのか、これを定義するということは、やはり国民の皆様から見て分かりやすくするために必要なことではないかと思うわけですが、その件に関して御所見をお願いしたいと思います。

釜萢参考人 かかりつけ医の定義という今御指摘ですけれども、かかりつけ医とはどのようなものかというのは、今日の資料にもお書きしています。

 私どもが懸念することは、あくまでも、かかりつけ医を選ぶのは受診される国民の方なのであって、元々、その医師がかかりつけ医の役割を果たせない、あるいは、かかりつけ医でないというふうにされるということがあり得るんだろうかと考えると、かかりつけ医か、かかりつけ医でないかということを峻別することの意味がどれだけあるのだろうかというふうに考えて、医師の側は、受診される方は皆さん受け入れるという体制ですから、あらかじめ、かかりつけ医かどうかというのを定義して、あんたはかかりつけ医ではないよと言われること自体に非常に違和感を持っているという思いですが。

中島委員 時間ですので終わりますが、皆さんの御意見、今後の審議に反映させていきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 今日は、参考人の皆さん、貴重な御意見ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、佐野参考人に伺いたいと思います。

 今法案については、全世代が支える少子化対策、また現役世代の負担上昇抑制が全世代型社会保障政策を見据えたものと評価すると先ほどお話がありましたが、一方で、現役世代、特に保険組合を取り巻く環境は極めて厳しい現状にあり、負担は限界というところもお見かけをいたしました。

 今年度も、コロナ第七波、また第八波の影響により、医療費、すなわち保険給付が大幅に伸びているということもお聞きをしておりますが、二〇二〇年の決算に与える影響と、また今後の見通しということをまずお伺いをさせてもらえればと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、直近で申し上げますと、一つは、やはり、昨年といいますか、令和四年一年を見ますと、コロナの第七波、第八波というのが大変医療費に関しては大きな影響を与えております。若干、コロナの医療費というのは実は、自己負担分が公費負担になっているものですから、全額公費というような勘違いをされている方もいらっしゃるんですが、いわゆる通常、七割部分は保険の方の給付をやっておりまして、健保組合の方の集計だけでいいますと、昨年一年間、暦年ベースの一年間ですけれども、コロナの費用は約千八百億円ぐらい医療費として増えております。

 こういったもので、これは非常にやはり財政に与える影響も大きくなっておりまして、結果、現時点で、今年度、まだ現在、集計まで至っておりませんけれども、財政的な面で見ますと、この部分が影響して、全体としての決算も、相当、当初の見込みから見ますと、同じぐらいの額、千何百億円の減少といいますか、ということになろうかと思います。

 そういう点では大変厳しい状況がありますし、また、高齢者向けの拠出金の方は、実は、令和五年になりますと、まさに団塊の世代に入る方が増えますので、こちらの方も二千億円以上の負担につながってくるというのが出ておりますので、そういった点を考えますと、やはり相当に、直近若しくは今後を見ても財政状況は大変厳しい状況がございますので、今回、先生方の中で見直しをしていただいて、高齢者の負担増なんかもあるんですけれども、やはりまだまだ、健保組合としても、財政的にいい状況に好転しているかというと、まだその一歩というふうに捉えております。そういった意味では引き続きの見直しをお願いしたいというのが私どもの考え方でございます。

 以上でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 医療保険の給付というのは、保険料に比例せずにフラットであるとともに、高齢者医療に対する支援金、給付金の増加によりまして、社会保障でありながら、給付と負担の対応関係というのがなかなか分かりづらくて、不明確になりつつあっていると言われています。また、被用者保険においては、支援金や納付金の負担が重くのしかかるため、保険者機能の発揮が十分に行われない、困難であるとも言われています。

 そこに、今回、前期財政調整制度における報酬調整が加わります。なかなか被保険者の納得を得るのは難しいというのをこの委員会でも議論をしておるんですが、どこまで累進化を進めていくかということを伺いたいと思いますし、また、現役世代が報酬に応じて高齢者の医療費を支える財政調整を行うということは、更に受益と負担の関係をゆがめることになり、問題ではないかということも指摘をさせてもらっておりますが、これについてもお考えを聞かせていただきたいと思います。

 そして、それを踏まえて、これ以上、屋上屋を重ねていくような形で負担と受益の関係をゆがめていくというのは、なかなか限界があるんじゃないか。高齢者医療制度若しくは医療保険制度の抜本的な改革というのが、今後議論が必要ではないかと考えますが、全体としても御意見、ちょっと質問が多くなりましたが、伺えればと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 最初おっしゃいました、今回入る前期の報酬調整の部分でございますけれども、過去、いわゆる報酬調整が入ったのは、一つは、後期高齢者に対する支援金、これが平成二十二年から平成二十九年にかけてされましたけれども、段階的な移行の結果として、全体では千五百億円の負担増になっております。それから、その後、介護の納付金について、これも、いわゆる報酬割というのが導入をされて、段階的にはされたんですけれども、全体としては約千百億円ぐらいの負担増というふうになっております。

 そういう点でいいますと、今回、先ほど資料でも御説明しましたけれども、今出ておる三分の一という前期報酬調整の結果としての影響は、全体では六百億円という増になりますので、仮にこれが三分の一から更に進んでいった場合にはこの負担が更に膨らむ、こういう形になってまいります。

 単純計算でいいましても、仮に三分の一が一〇〇%やれば三倍程度の負担増になるというのが現時点の見通しでございますので、そういう点を考えますと、これだけの財政影響があるということを見れば、やはり今後の改革の方向としては、ある面で、本当に現役世代の負担軽減につながるものとしては、先ほどもペーパーにも落としましたけれども、前回やっていただいた後期高齢者の窓口負担割合、これの更なる見直しというのも不可避だと思いますし、また、現時点、後期高齢者の現役並み所得を得られている方については、実は通常五割の公費負担が入っておりませんので、この部分についての公費を入れていただく。これも、財源的にいいますと、約四千億円という大変大きな現役世代の負担になっていますので、この辺りのところの見直しなんかも今後是非やっていただきたいというふうに考えておる部分でございます。

 ちょっと、お答えできたかどうかはあれですけれども、以上でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まだまだ課題が多いことでありますので、議論をしっかりと深めていきたいと思っています。

 かかりつけ医機能についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、今、中島委員からもありました、かかりつけ医というのを政府としては定義せずに、かかりつけ医機能、医療の提供を行うという機能ということで、これも委員会で議論をして、余り意味がないというか、ほかの医療とどう違うんだというようなことで、なかなかこの曖昧さが今回の法律を分かりづらくしているんじゃないかという私の印象があります。

 と同時に、今回のかかりつけ医機能をつくるに当たって、高齢化や人口減少という、社会保障制度に対する、制度の改革ではあるんですけれども、ここに、コロナ禍でのかかりつけ医機能をどう考えるかということがそれぞれの人によって認識が違うから、なかなかかみ合わなかったり、また、それぞれの意見が出ているんじゃないかと思っています。

 それぞれの委員の皆様にお聞きをしたいんですけれども、例えば、草場委員の方は、フリーアクセスというのは、あくまで自由に選べる権利であって、確実に医療を受けられる権利では今回なかったという御指摘があります。これをパンデミックという特殊な状況だから起きた例外だと無視するのはたやすいんですけれども、そうではなくて、構造的な問題である、また、医療制度の問題であるというふうに述べられています。

 一方、医師会さんは、コロナをきっかけにかかりつけ医をめぐる議論は大きくなった面はあるが、実はコロナにより浮かび上がった議論は新しい感染症という特別な背景により生まれたものだ、感染症法の問題であるというふうにも御指摘があります。

 それぞれ御意見があるかとは思うんですが、草場参考人と、また釜萢参考人、今回のかかりつけ医、コロナを経て、そしてそれを乗り越えるためにどのように認識されているか、お願いいたします。

草場参考人 御質問ありがとうございます。

 私自身は、やはり、かかりつけ医とかかりつけ医機能の在り方というものが混在していることは、非常に大きな問題だと思っています。

 かかりつけ医というのは、そもそも、本当に、釜萢委員がおっしゃっているとおり、国民が、かかりつけ医であると言うものであると。ですので、本来、一九八〇年代に議論をされていた家庭医とか、つまり、医師側から医療提供体制を明確に示すものと全く違うんですね。ですから、そこが非常に混同して、かかりつけ医という曖昧なものになってしまった。政府もそのまま、かかりつけ医を受診しましょうという形になったので、今回のような事態が生じた。

 実際に、かかりつけ医機能を発揮するということをパンデミックだけで考えるのか、あるいは平時も含めて考えるのかという点に関しては、非常に重要な論点だと私は思っています。これをパンデミックだけというふうに考えると、全く違うと私は思っています。

 例えば、コロナ前も、ふだんからかかっているかかりつけ医に、例えば急に胸痛が起きた、夜九時ぐらいに苦しくなった、でも、電話してもつながらない、じゃどうしようということで、慌てて救急車を呼んでかかる、そして、かかりつけ医は全く知らないまま、いつの間にか入院をして、場合によっては亡くなっていた、そういったことも日本では普通に起きています。ですから、緊急時、コロナみたいなパンデミックだけではなくて、平時からかかりつけ医が継続的に健康管理をちゃんとサポートできているかというのは、甚だ私は、ちょっと疑問な部分があるかと思います。

 ですから、平時の医療も改善できる、そして、危機時にももっと強力な対応ができるという意味で、やはり、かかりつけ医の在り方というのを、先ほどから申し上げているように手挙げ式で結構ですので、きちっとした、一対一でつながる関係性を持った登録制というものを是非目指していただきたいというのが私の考え方でございます。

 以上です。

釜萢参考人 確かに、今回の議論のきっかけの一つにコロナがあったと思いますけれども、しかし、今回の議論は、確かにかかりつけ医機能という話にはなっているのですけれども、地域にあるべき医療の内容、地域における医療資源ということについて見直していこうという議論だろうというふうに認識をしています。ですから、そういう意味では、かかりつけ医機能というものの示すものというのは、ほとんど、その地域に必要な医療の内容だろうと思っていますので、そのことを今回は議論をするというふうに理解をしています。

 一方、今御指摘の点は、むしろ、患者さんと医療機関との関係性について、新たな、これまでと違う改善を図ろうという議論だろうと思いますが、そのことと今回の法案とどのくらいつながってくるのかということについては、余り明確ではないように思います。今後の国会での御議論の様子では、またそういう方向に向かってくるかと思いますが、私の認識は、現在の法案の議論は、地域に必要な医療機能についてどういうふうに確保するかという中で議論が行われているという理解をしております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 医師会さんの中ではまさにそのことかとは思うんですけれども、今回のかかりつけ医機能はかかりつけ制度ではないというふうにおっしゃられていまして、ここに、今日の資料にもあります。かかりつけ医とかかりつけ医以外の医師を決して区別するものではないということで、あくまでかかりつけ医機能が発揮される制度整備で、かかりつけ医制度にはなっていないと。

 なかなか分かりづらいというか、すっとこないのでありますが、まさに今言った、機能を洗い出しをして、地域でそれを担っていくということで、かかりつけ制度の議論はまた別ですべきということの理解でよろしいんでしょうか。釜萢委員、お願いいたします。

釜萢参考人 別ということではないかもしれませんけれども、しかし、今、国会で議論されている内容については、その地域に必要な医療機能をどう確保していくかという観点の中でどういう改善が必要なのかという御議論だろうと思っておりまして、ある医師がこの患者さんしか担当しないよ、担当してはいかぬよ、患者さんの方はこの医師に担当してもらいたいと思っても、それはあなたは別ですよというような方向の議論が今後なされるのであれば、それには大きく反対をしていかなければいけないだろうというふうに思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに今言った、かかりつけ医が、先ほどのほかの委員のときにもありました、決められてしまう、決めつけてしまうというのは、やはり今の在り方としては反対という御指摘をいただきました。

 その中で、もう一点の観点は、フリーアクセスという言葉です。フリーアクセスは、日本が誇る医療の特筆すべきものでありまして、自由に選べる権利であるということが保障されています。一方で、先ほども言いましたが、今回のコロナで、確実に医療を受けられる権利ではなかったということでありまして、そこを何とか共存できないかということを委員会の中でも議論をしています。

 一方で、今日の指摘の中には、かかりつけ医を進めてしまうとフリーアクセスが成り立たなくなるというような御指摘もあったかと思うんですけれども、フリーアクセスとかかりつけ医ないしはかかりつけ医制度、機能というものが共存できないものなのかということで、それぞれの、健保組合副会長はかかりつけ医制度を昨年提案をしておりますし、それぞれ御意見が違うかと思うので、参考人全ての人にお伺いさせてもらえればと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 私どもとしては、まさにフリーアクセスについては、国民から見て、必要なときに必要な医療にアクセスできるというのがフリーアクセスだと思っております。

 一方で、かかりつけ医についても、無論、制度等はこれからになると思いますけれども、少なくとも、国民が選択をしてこれをいかに活用するかということが大事だと思いますので、少なくとも、きちんと選択できて、これを活用できるようになれば、これはフリーアクセスを阻害するものになるとは思っておりませんので、十分共存できるものではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

草場参考人 私も、共存可能だと思っています。

 フリーアクセスの意味が、国民が望めば大学病院にも直接行けるし、大きい病院にも直接、専門的にかかれるような意味でのフリーアクセスであれば違う。やはり、必要なときに適切な医療を受けるという意味でのフリーアクセスだと思っていますので、そういう意味では、むしろ、かかりつけ医の制度化というのはその促進になる。

 つまり、実際に総合病院にかかるときに、どこの科にかかればいいか分からないという状況の中で、まず相談をする。そうしたら、私の方で診れますよというケースもあるかもしれないし、そうでなくて、ああ、これはもう循環器内科の専門的な検査をまず受けた方がいいという相談もできる。ですので、むしろ、今あるべきフリーアクセスの方向性をかかりつけ医の制度化というのは促進するというふうに、私は、むしろポジティブに考えている立場です。

川崎参考人 私も、共存可能と考えます。

 その際に、要望としましては、例えば、どの病気か分からない、悩んでいる方、そもそも今私は病気なのかどうか分からなくて困っている方、例えば、あとは、内臓なのか、泌尿器なのか、整形なのか分からなくて悩んでいる方、この方が診療所とかに行ったときに、いや、それは内科ではありませんとかというふうに怒られたり、変な目で見られないようなフリーアクセスであるべきだと思います。

 ですので、逆に言いますと、フリーアクセスであるならば、そのような思いの方たちもそういうふうに例えば怒られないというか、患者中心の医療を受けたいという方はフリーアクセスの特徴を使ってそういう医療を受けられる、なので、私たちに患者中心の医療を受けられる機会というものを、フリーアクセスの強みを生かして是非提供していっていただきたいと思います。

 以上です。

釜萢参考人 フリーアクセスというのは、これまで御発言の皆さんと私もほとんど認識は一緒ですが、患者さんが受診なさるときに適切な医療が受けられるところを御自身の選択によって選べる、そういうことだと思います。

 国民の皆さんも、医療資源に限りがあり、それぞれの医療機関には役割の分担があるので、何でもかんでも大学病院に最初に行けばいいというふうに患者さんが思っているわけでは決してなくて、そこはかなり御理解をいただいている。その中で、御自身が医療機関を、適切に医療を受けられるというところを選択するという意味でフリーアクセスがあるんだと思います。

 今回、田中先生からのお話はかかりつけ医制度の議論というお話になっているんですけれども、かかりつけ医制度で今議論が進んでいると私は認識していないので、あくまでも、かかりつけ医機能が発揮される制度整備というたてつけの中で議論が行われているわけですから、そのかかりつけ医の定義とかあるいは制度という話については、私どもはまだ何もそのことについて見解を述べてはおりません。

 あくまでも、患者さんが受診なさるのに適切な、国民にとって最もよい形のものを求めていくという中で、まあ、かかりつけ医の制度の議論が今後行われるのかどうか、ちょっと私は分かりませんけれども、それに、もしそういう場面になれば、それはそれで対応しなければならないというのが現時点での認識です。

伊藤参考人 ほかの先生方と一緒で、やはり、かかりつけ医制度あるいはフリーアクセスは十分共存可能だと思うんですが、ただ、私よく分からないんですけれども、結局、今回のコロナでかかりつけ医の問題が出てきたんですけれども、発熱外来自体がそんなに多くなくて、結局、動線を別にしなきゃいけないとか、あるいはいろいろな理由があって、私も、かかったときに、車で来てくださいと言われて、車で行って、ドライブスルーで検査して、あとは全部電話で診断ということになって、従来、熱があるから病院に行くということが、今回はできなかったわけですよね。それで、ある意味で、もちろん、未知のウイルスであったので、そういった意味では医師の方も、診る方も非常に怖かったんだろうと思うんですけれども、だけれども、やはり、今の問題はかかりつけ医の問題なのかなと、コロナの。

 結局、本来であれば入院できる人も入院できないわけですよ。高齢者施設の人も高齢者施設に留め置きされる。病床の問題、あるいはそもそも感染症病床が非常に少なかったとか、そういったところに起因するので、まあ発熱外来自体を取る診療所もそんなに多くなかったというのも確かにあると思うんですけれども、かかりつけ医制度の問題なのかなというふうに、というより、医療提供体制全体の問題だろうと私は見ているので、コロナの問題。コロナだからかかりつけ医のこういった制度を整えなきゃいけないとか、コロナを契機にして。それはあるかと思うんですが、ただ、そこはちょっと分けて考えなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

 それともう一つ、やはり、今回、先ほどもお話ありましたが、かかりつけ医機能といっても、ちゃんと定義がよく分からない。だから、やはり、先ほどもお話あったように、かかりつけ医というのはまず第一に相談するところというような位置づけで、割と緩い形での機能分化みたいなことをやって、フリーアクセスを残していくという形にすれば、その意味で、両立は可能というふうに考えます。

田中(健)委員 時間になりました。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓でございます。

 本日は、参考人の皆様、お忙しい中にもかかわらず当委員会にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。また、あわせて、非常に見識ある御見解をお聞かせいただきまして、本当に勉強になりました。

 それでは、早速質問の方をさせていただきたいという具合に思いますけれども、まずは、川崎参考人とそして草場参考人のお二人にお伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私は、かかりつけ医であったりとか、かかりつけ医機能というものは、高齢者の方々や、いわゆる慢性疾患を持たれている方だけではなくて、やはり、健康な人でもそうですけれども、あらゆる人が分け隔てなく受けられる、そういう制度であるべきなのかなという形で思っております。そして、自分に置き換えたときに、自分の日頃の状況、状態をよく知ってくれているお医者さんであったりとか、若しくは何でも相談できるお医者さんという姿が、一般的なかかりつけ医若しくはかかりつけ医機能ですか、そういうところに求められてくるのではないかなという具合に思っております。

 ただ、このかかりつけ医機能であったりとかもそうなんですけれども、都市部と地域でやはり医療機関であったりとか人材等々で差というものが当然あるかと思うんですけれども、そこで、今回、川崎委員から、医療従事者等の多職種から成るプライマリーケアチームということがお話をされたかと思います。その中で、地域特性に応じてプライマリーケアチームの目指す姿が必要であるという具合に言われておりましたけれども、例えばどのような姿があると考えられているのでしょうか。

 そして、草場委員の方からも、御説明の中で、地域が抱える社会的課題に向き合い、地域包括ケアにおけるメンバーとして地域の多職種や医療、介護、福祉施設と協働して解決に取り組むことができるという旨の資料の方も、ちょっと読ませていただきました。

 そういう中で、プライマリーケアチーム、加えてプライマリーケアチームの担い手というか育成というものが非常に大事になってくるかと思うんですけれども、この点につきまして、お二方にお伺いをしたいと思います。

川崎参考人 ありがとうございます。

 例えば三つほど事例を申し上げますと、一つが、医療資源が乏しい地域においてのプライマリーケアチームは、その地域の中に、今申し上げましたようなお医者様がいない可能性もございます。その場合は、まずは、地域にいらっしゃる保健師の方や地域の協議会の方などとともにプライマリーケアチームをつくり、遠隔からプライマリーケアや総合診療、家庭医の方にも入っていただくという形が一つ考えられます。

 二つ目の事例としましては、例えば中小規模の病院、二百床病院の中に、総合診療の医師を育成されているような地域がございます。その地域では、例えば、住民が薬局によく通うといったような地域性があれば、中小病院と薬局、薬剤師を中心としたプライマリーケアチームをつくりながら、そこの中に総合診療や家庭医の方がいらっしゃるというチームです。

 また、東京など更に診療所が多いところにおかれましては、地域住民の接点が診療所でなく、様々な診療に行かれることによって、なかなかお一人の状況を診る診療所というのが少ない地域があると仮定します。そうしますと、地域包括支援センターなど困難事例などを診られる方とその地域の診療所が連携するといったようなプライマリーケアチーム体制など、様々なものが考えられるかなと思います。

 その幹にありますのは、患者中心の医療という先ほどの指針というものがあり、その指針を基に、様々な地域特性に応じて実施していくという姿かなと思います。ただ、地域特性というと、現状維持に引っ張られてしまうので、そういう意味で、その指針が非常に重要かとも思います。

 以上でございます。

草場参考人 私もちょっと一つ事例を挙げたいと思うんですが、私、北海道の、私が診療しているのは室蘭という地方都市で、診療をずっと二十年以上やっています。

 そういった中で、認知症患者が徘徊をして行方不明になるということが、一時期非常に大きな問題になりました。

 そういったときには、我々、認知症の患者さんを診ている医師だけじゃなくて、実際、地域の中でそういった方の生活に身近にいる民生委員の方とか、あるいは町内会の会長さん、もちろん室蘭市役所の役場の方、あるいは保健師の方、そして、グループホームという場所がありますけれども、グループホームの中で認知症の方を一生懸命見ておられる事業者の方、そういった方とチームをつくって、とにかく認知症の方の徘徊、行方不明というのを、とにかくどうやって減らすかということを、一緒にこの室蘭市全体で取り組もうということを、大分ちょっと前になりますけれども、十年ぐらい前になりますけれども、かなり頑張って取り組みました。

 ですので、そういったときに、そういった問題は医師はちょっと余り関わりがないということではなくて、医師ももちろん入っていく、そこにかかりつけ医として入っていきますし、いろいろな関係者と一緒に連携していく。そういったチームでやっていかないと、地域が抱える健康課題というのはなかなか解決しない。

 それがある意味、我々が今考えている、あるべきかかりつけ医機能の在り方、もっと言いますと、私たちの言葉で言うと、プライマリーケア機能という言葉を使いますけれども、そういったものが目指していく次のステップじゃないかなと考えています。

池下委員 ありがとうございます。大変参考になりました。

 やはり、医療機関だけではなくて、その周辺の多職種連携というものがないと、多くの方々とコミットもできないですし、やはり患者さんだけじゃないと思うんですね、そこに御家族があったりとか、おうちの中に、また老老介護の問題とかも様々あるかと思いますので。そういう中で、やはり、プライマリーケアチームという形なのか、多職種連携という形なのか、名前はそれぞれあるかと思いますけれども、しっかりとそれは取り組んでいかなければならないと、ちょっと改めて感じさせていただきましたので、非常に参考になりましたので、ありがとうございます。

 それでは次に、川崎参考人の方にもう一つお伺いをしていきたいなと思うんですけれども、医療DXについて、一つお伺いをしたいと思います。

 電子カルテの情報の一部である三文書六情報についてなんですけれども、政府の方も順次拡大していきましょうということで言われているということを聞き及んでいるところなんですけれども、川崎委員がおっしゃいましたように、医療DXで達成する目的ですよね、やはりこれを明確にするということが、小手先のちょっとした改良とか改善とかだけでなくて、やはり日本の国として医療DXの最終的な達成地点というのをはっきりしておかなきゃいけないのかなという具合に思っております。

 そんな中で、三文書六情報について、進め方にどのような問題が今あると感じられているのか、また、一次利用や二次利用につきまして、現在どのように検討がなされており、その問題について、どういうところにあるのかについてお伺いをしたいと思います。

川崎参考人 ありがとうございます。

 まず、三文書六情報につきましては、その成り立ちの背景を共有させていただきたいと思います。

 こちらは、医師向けのアンケートの文章を見ていきますと、最低限、情報提供、情報連携したいものは何かという質問の仕方をしております。この質問をいたしますと、もちろん答える側も、最低限、連携しなければいけない情報を答えるというふうに考えます。

 政府におかれましては、目的としては、医療DXは、社会保障など様々な方向性を記載し、進めておりますが、足下の議論におきましては、必ずしも将来的なゴールを見据えたデータ改革ではなく、まずは既存の、まずは今しなければいけないところから進めているという意味では評価ができるのですが、一方で、私たちはデジタルを活用して更に先の世界を見据えた際の議論ができているのでしょうかという点においては、十分ではないと考えます。

 つまりは、三文書六情報の議論は非常に重要ではありますが、これ以上に議論しなければいけないこともあるのではないか。つまりは、医療DXなので、私たちが目指したい社会像があり、その社会像を実現するために三文書六情報で足りるのかという議論は必須だと思います。その点から、三文書六情報が問題というよりは、議論の進め方で欠けているところがあり、その観点からは、三文書六情報だけの議論は問題があるというふうに考えます。

 続いて、データの一次利用、二次利用についてですが、こちらについても、今、一次利用は自分のために使うような形、二次利用は研究用であったりとか公用のために使うために進めておりますが、こちらは、今、それぞれ別々の仕組みで進んでおるというところでございます。

 先ほど、ほかの質問でもお答えしたとおり、データというのは統合することに価値があるという観点から、一次と二次を分けて進めていくことが本当に私たちの将来に向けて十分な活用ができるのか、この点からの議論はまだ十分ではないのかなと思います。

 以上です。

池下委員 ありがとうございます。

 是非参考にさせていただきながら、この議論についても、デジタルDXは本当に推進していかないと、これからの時代にやはりついていけないと思います。一方、個人情報の問題とかもあるということを言われている委員さんもいらっしゃいますけれども、そういうところもしっかりとやりながら、やはり、最終地点がどこなのかというところをはっきりしないと、進めるにも後手後手になってくるかと思いますので、そこら辺は、今後、参考にさせていただきたいなという形で思います。

 それでは次に、佐野委員の方にお伺いをしたいんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 今回の法案の中で、全世代が支える少子化対策、具体的には、出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者の方々が支援していく仕組み、また、現役世代の負担上昇の抑制ということで、後期高齢者保険料の負担割合の見直しというものがうたわれております。

 そんな中、健保連さんの方の考え方としましては、資料の方にも書いていただいていたかと思うんですが、全世代型社会保障制度の構築を見据えたものとして、これらを今回、評価されるということが言われておりました。

 私も、現役世代を支える高齢者の部分についてなんですけれども、今の仕組みの中で、高齢者の負担というのは抑えなきゃいけないよねというのはもちろん理解はしておるわけなんですけれども、一方、現役世代に対して余りにも大き過ぎるような負担をかけてしまうということは、これからの少子化社会を見据えたときにも問題なんじゃないかな、正していかなければならないのかなと思っております。

 ただ一方、やはり、健康保険は、保険という制度のものですので、やはり、共助の世界の中で、この保険の仕組みというものが、先ほどもお話ありましたけれども成り立っているかなと思っております。

 当然、私も何かあったときのために健康保険を掛けていて、そしてその何かがあったときに安心して医療機関の方に足を運んでいくということになるわけなんですけれども、ただ、給付と負担の問題というのは先日の厚生労働委員会の方でも話題になっておりましたけれども、七十五歳以上の後期高齢者の方々というのは、これから出産をするということはないかと思います。つまり、給付がないわけなんですね。けれども、一方、今回はその中で負担をしていきましょうという中であります。

 例えば、消費税の増税をしますよと仮になったときに、そのアップする分の使い道というのは、やはり国民がああだこうだ、かんかんがくがく議論をするということになってくるかとは思うんですけれども、ただ、この保険という世界の中で、使い道はこうしましょうねとなったときでも、余り、そこまで報道もされることもありませんし、やはりサラリーマンの方だったら、お給料から社会保険は天引きされていて余り感じていないのかなというところもちょっと危惧するところではあります。

 そこで、保険者の観点の方から佐野参考人の方にお答え願いたいと思うんですが、改めて、後期高齢者の医療制度で、現役世代の負担、そして高齢者の保険料、あと公費の負担というのはどのようになっているのかということでお伺いをしたいなという具合に思います。

 あと、田中委員行っちゃいましたけれども、現役所得並みの方というので、やはり現役世代にみんな負担が行っちゃっているということはお答えいただきましたので、そこは今回ちょっと割愛させていただきまして、それに加えてもう一問なんですけれども、昨年、感染症法等の改正が行われました。御存じのように、この感染症法の改正は、次の新たな感染症に備えまして、平時から、都道府県で予防計画の策定であったりとか、都道府県と医療機関との連携協定ですか、これが結ばれることになっています。

 ここからなんですけれども、感染症の流行初期医療確保のときに、費用負担においては一対一の割合で公費と保険者が負担する、これは前回の資料なんですけれども、負担するということになっております。流行初期の病床確保にはなるんですけれども、いまだ医療を受けていない時点、給付を受けていない時点で、病床確保の負担というのは私は本来は公費で賄うべきだと思って、前回も厚生労働委員会で質問の方をさせていただいたんですけれども、保険の掛金を払っているのは、やはり国民の皆さんなんですよね。

 政府や国が、これからもそうなんですけれども、何か財源がなくなったから、じゃ、保険者の方にちょっと負担をお願いしましょうかということでつけ替えを行うということは、やはりこの保険の仕組みの中ではちょっと違うんじゃないかなと私は個人的に思ってはいるところなんですけれども、保険者の立場から、この点につきまして是非御意見をお聞かせ願いたいなと思うんですが、ちょっと二点ありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 まず、一点目の方でございますけれども、健保組合の、じゃ、今、支出がどういう形になっているかといいますと、支出全体のうち、いわゆる我々加入者に対する保険の給付、これは約半分、五〇ぐらいでございます。直近の決算によりますと、高齢者に対する拠出金、これが全体の四三%ぐらいを占めております。それ以外が残り七%ぐらいですので、そのうちの半分強は、まさに健康増進であったり疾病予防という、我々は保健事業と呼んでいますけれども、これが大体四、五%ということになっておりますので、いただいた保険料の使い道として、いわゆる共助の役割をしているのは、限定的な言い方をしますと約半分ということになって、高齢者に対する拠出が四割以上と。

 また、これは全体ではこうですけれども、健保組合によっては、拠出金の方が保険給付よりも高い健保組合もありますので、そうなると、保険というその意義の中で、ここの部分をどう捉えていくのか、そういうことになりますので、やはり、私どもとしては、この拠出金負担は減らしていくべきだろうというのが従来から言っておるところでございますので、是非とも、そういった形での見直し、給付と負担の見直しをお願いをしたい。

 そういう面で、従来は、どちらかというと、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というところが、今般の法改正でもそうですけれども、相当に現役世代の負担軽減ということが強く出ておりますので、その部分には更なる改革も期待をしたいと思います。

 また、さっきも先生が触れられましたけれども、いずれにしても、いわゆる負担として見た場合には、税金なのか、社会保険なのか、さもなくば自己負担なのか、この三つしか選択肢はないわけですので、このバランスをどう取っていくのかということが極めて重要だと思いますし、従来、社会保険に偏った部分があると認識していますので、ここは、やはり、いろんな面でも見直しも含めてお願いをしたいなというふうに思っております。

 それから、二点目の感染症法改正の部分でございますけれども、私どもの考え方も、今先生がおっしゃったように、本来は、感染初期の対応についてはやはり全額公費で見るべきであろうというのが基本的な考え方ですし、いろんな審議会等の場でもそういうことを主張してまいりました。

 今般、最終的には一対一ということで話が入ったんですけれども、いずれにしても、扱いはあくまでも限定的なもので、期間であったり対象等も限定をした上で、限ってやるべきだということは併せて申し上げておりますので、今後とも、そういった方向での対応をお願いできればというふうに思っております。

 以上でございます。

池下委員 ありがとうございました。

 非常に参考になりましたし、やはり、拠出金が入ってくるやつも大きいということになりますと、組合自体の継続ということにも非常に問題になりますし、その後ろにいらっしゃる、払っていらっしゃるのは国民の皆様お一人お一人だという形で思っておりますので、この制度の維持をできるような形でこれからの取組というのをしていかなければならないと思います。

 ほかの委員の皆様にちょっと質問したいところだったんですけれども、ちょっとお時間の方が、今日これでなくなっちゃいましたので、これで終了させていただきたいと思います。

 本日は、お忙しい中、御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。またよろしくお願いします。

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 参考人の先生方、大変に貴重な御意見、本当にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、釜萢参考人、そして私の地元北海道から見えられました草場参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 かかりつけ医による訪問診療普及のための取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の法案におきましては、医師により継続的な管理が必要と判断される患者さんに対して、医療機関が提供するかかりつけ医機能の内容を説明する努力義務が規定をされます。医師や歯科医師による説明が行われる患者に該当するような高齢者や慢性疾患をお持ちの方について訪問診療や往診が提供されることは、患者御本人やその御家族にとっても大変にありがたいものではないかと私は考えます。

 一方で、訪問診療に従事する医師に対して、例えば、埼玉県での大変痛ましい事件も発生いたしました。また、看護師等の方に対するハラスメントが頻発しているとの報道もあります。こうした訪問診療等が普及するための妨げとなる課題は、可能な限り解消されなければならないと考えます。

 かかりつけ医による訪問診療が今後全国で普及し、多くの患者さんに利用しやすい仕組みとなるには、どのような制度的な手当てが必要と考えていらっしゃるのか、両参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

釜萢参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、今、先生の御質問に対するお答えとしては、訪問診療を担当できる医療提供者を増やすことです。現状でもかなり積極的に取り組んでいただいている方がありますが、これは医師だけではありませんけれども、医療提供の体制をもっと強化しないといけないと思います。それは、いろいろなまた取組が必要ですけれども、まずこの提供量を増やしていかないとなかなかうまくいかないだろうと思っておりまして、その中で、かかりつけ医との関係においては、やはり日頃から患者さんと、それから医療提供側との良好な関係の構築があって、そして、その中で求められて訪問診療等をやっていくということが基本だと思います。

 その中で、先ほどの予期せぬ、思いがけない、身に危険が及ぶような事態をどう防ぐかというのは、これもとても大事なことではありますが、なかなか現状でそれを事前に予測する、察知するということも難しい中で、十分注意しながら対応しているというのが現状だと思います。

 以上です。

草場参考人 在宅医療の普及は大変重要な課題だと思います。私、北海道の中で在宅医療普及の仕事を一緒にさせていただいています。そんな中で感じるのは、在宅医療も大きく二つに分かれるということです。

 一つは、従来診ていた患者さんが年を取って、足が弱ってきて受診ができない。ですので、往診に行く、訪問診療に行くというパターン。これは比較的多くの先生が取り組まれているので、それはそれでいいかなと思っています。

 今足りないのは、どちらかというとターミナルケア。がんを持ちながら、でも最後は自宅で過ごしたい。病院の中で孤独に死んでいくのは嫌だ。なるべく見慣れた場所で、家族に囲まれながら最後を過ごしたい。あるいは、難病の方。ALSとか、パーキンソンとか、いろいろなものがございますけれども、そういう難病を持ちながらでも、施設に入るのではなくて自宅で過ごしたい方。そういった方への訪問診療というのに携わるドクターというのは非常に少ないです。大体どの地域でも一〇%程度だと思って見ています。

 ですので、今必要なのは後者の在宅医療。特に、例えばそれが強化型在宅療養支援診療所とか、いろいろな形で表現されていますけれども、そういった機能が高い訪問診療を提供する医療機関を増やすということが非常に大きな課題だということが一つです。

 そして、先ほどの医療従事者に対する危害が加えられるリスクに関してでございますけれども、これは具体的な提案を我々の学会の方でもやっていまして、やはり最初に、訪問看護師さんがいきなり行くとか、あるいは女性医師がいきなり行くというのはやはり避ける。できれば男性医師でも二人で最初は訪問する。そういった形で、まず、どういった状態の方か、家族がどういう方かというのをしっかり見極めて、それで、安全であればその後は女性でも大丈夫でしょうし、一人でも大丈夫です。でも、リスクがある場合には、場合によってはやはり毎回必ずどちらかが男性という状況で訪問するような状況をつくるとか、そういった形で、具体的な危機管理をしていきながら訪問診療を継続するようにということを学会の中でも呼びかけているところでございます。

 以上です。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 次に、佐野参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。特に、現役世代負担軽減に対する評価と今後の在り方についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の法案は、おおむね現役世代の負担を減らす方向の改正内容となっております。また、健保組合に対する国費による支援も実施をされます。今回の法案そのものや、法案に伴って実施される現役世代負担軽減の取組への評価、また今後の現役世代の負担の在り方に関するお考えについて、お聞きをしたいと思います。

 さらに、現在の健保組合の財政状況と今後の見通し並びに後期高齢者支援金や介護納付金など過去の報酬調整の状況と、それに伴う健保組合への影響についても併せてお伺いさせていただきたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 まず、今回の改定に対する評価といいますか、これは先ほどの資料でもお示ししたんですけれども、全体がパッケージになっておって、我々にとって、現役世代にとってのプラスの部分もあれば、一方で、前期高齢者の報酬調整のようにマイナスの部分も入っておりまして、プラス、財政支援の方も入れていただいて、全体でプラスになるものでございますので、向かっている方向を含めて、ここは全体的には評価をさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、一方で、先ほども言いましたが、やはり、増える方の、前期に関する報酬調整に関して言いますと、さっきもちょっと申し上げたんですけれども、過去の後期高齢者に対する支援金の報酬割の導入、これは結果的に、健保組合全体では千五百億円程度の負担増になりました。また、その後行われました介護納付金の報酬割、このときも、全体で千百億円の負担増になっております。その後、さらに、今、いわゆる団塊の世代の方が後期高齢者に入っておりますので、拠出金負担というのは更にどんどん増えているということでございますので、さっき申し上げましたように、前期の、今回の報酬調整で、当面の三分の一の適用で六百億円となっておりますけれども、これはいわゆる通常の拠出金負担の伸びにオンされる形になりますから、大変厳しい財政状況が続いているというふうに申し上げざるを得ません。

 また、もう一つは、今、拠出金の話を申し上げましたけれども、医療費に関しても、直近、やはり、コロナの第七波、第八波ということで、昨年一年間で見ますと、いわゆる保険給付が一千億以上増えている。率にしますと、当初の見通しが三%だったものが、四年度の決算では、見通しでございますが、六%ぐらいまで増えてしまうということで、相当に医療費の伸びが大きくなっている。今後、今、コロナを含めて、医療費がどうなっていくか、よく見えない部分ではございますけれども、いずれにしても、財政状況としては大変厳しい見通しであるというふうに申し上げざるを得ません。

 そういった点でいいますと、今回の改定だけでなく、今後とも、更なる見直しを是非ともお願いをしたいと思いますし、例えばで言いますと、やはり負担能力のある高齢者の方には負担いただくということで、後期高齢者の窓口負担の見直しであるとか、また、後期高齢者の中でも現役並みの所得を得ておられる方については、今公費負担されていますけれども、この公費をなくしていただくとか、そういった面の見直しを今後とも是非お願いをしたいというふうに考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 次に、釜萢参考人にお伺いいたします。

 日医のかかりつけ医機能研修を修了した医師の方々に期待される役割についてお伺いをさせていただきたいのでありますが、日本医師会で実施しておられるかかりつけ医機能に関する研修を修了された医師の方々は、今回の法案によるかかりつけ医機能の法整備が実施され、地域におけるかかりつけ医機能が発揮されるに当たって、活躍が期待されると思います。コロナ禍におきましてかかりつけ医の必要性が多くの国民の皆様に認識されたことを踏まえると、この研修を修了された医師に期待される役割というものは非常に大きく、ニーズも増すものと考えられます。

 研修を修了した医師の方々にどのような役割を期待できるのか、また、修了証等に三年の有効期限が付されておりますけれども、その意義についても併せてお聞かせをいただければと思います。

釜萢参考人 御質問ありがとうございます。

 私どもの資料にも示しましたけれども、日本医師会のかかりつけ医機能研修を受講して修了したという人が大分増えてきました。

 それで、元々、地域において医療に携わる意思を持った医師は、それまでの経歴の中で、ある一定の専門領域をしっかり研修あるいは研さんしてそこまでのキャリアを積んできたという人が多いわけですけれども、地域で実際に医療を担うためにはそれだけでは十分役割を担えないということがあって、地域に必要な医療機能を更に拡充するために研修が不可欠だろうと考えておって、そのためにいろいろ研修を積み重ねてきているということです。

 その一つの、受診される方に分かりやすい形で受講が修了したというようなことを掲示できるようにするということも必要で、三年という期限を切っていることについては、いろいろ医療機能もどんどん更新されてくるので、一度取ったらそれで終わりということではなくて、更新、これは今後、更新の時期をどうするかという議論はまた出てくるかもしれませんけれども、適時更新をしていくという意味で、そのようにしているというところでございます。

佐藤(英)委員 次に、草場参考人にお伺いをさせていただきます。

 家庭医療についてお聞きしたいんですけれども、今回の法案では、かかりつけ医機能報告制度が創設されまして、外来医療に関する地域の関係者との協議で、かかりつけ医機能を確保する具体的な方策が検討されることになります。

 草場参考人は、長年北海道で家庭医療に御尽力されていると承知しておりますが、やはり広大な北海道、都市部もあれば人口密度が低い地域もあります。また、冬季には交通事情も大きく変化します。北海道における家庭医療普及の取組は、全国においてかかりつけ医機能を整備する上で、大いにやはり参考になるのではないかと私は考えております。

 草場参考人のこれまでの家庭医療普及の取組や、地域に家庭医療を普及させる上で重要と思われるポイントについて、お聞かせをいただければと思います。

草場参考人 御質問ありがとうございます。

 私ども、二十年以上、北海道で家庭医療を実践してまいりました。そこで一番感じますのは、やはり、地方都市も含めた都市部と、郡部の家庭医療の在り方、プライマリーケアの在り方というのは、大きく異なるということだと思っています。

 いわゆる郡部でありましたら、どちらかというと、その町、村に一つか二つしかない医療機関のうちに入ります。そういった中で、そもそも今日議論されているようなかかりつけ医機能というのは自然と期待されます。患者さんも、何科何科と分けることなく、どんな訴えでもほぼ九〇%以上まず受診される。ですから、我々もそういった体制で診療を提供できますし、かつ、行政もそういった期待で見ていただける。ですから、地域の中には、我々家庭医が入っていくと、非常に自然に診療がしやすい状況です。実際に、家庭医が入ることによって、町、村で医師確保の不安というのが払拭されて、非常に安心した状態で、住民がだんだん増えていくような地域も出てきています。

 ですから、郡部ではなおさら、このかかりつけ医機能の話というのはどんどん推進すべきだと思っています。

 一方、都市部は、御指摘のとおり、また状況が大分違います。ただ、今日も議論になっていますけれども、都市部の開業医の先生方が、恐らく三十年前と今、相当、変わってきています。三十年前であれば、恐らく、内科というだけの標榜とか、内科、小児科という先生方がかなり多かったと思うんですね。ただ、今は、新規に開業される方は、何とか神経内科、何とか呼吸器内科、何とか循環器内科クリニック、何とか形成外科クリニックみたいな形で、かなり専門に特化したクリニックの開業というのが非常に我々の地域で多いなと思っています。

 ですから、そういった意味では、そういった開業医の先生方と我々むしろ家庭医としては連携していく。つまり、そういった先生方が、例えば、在宅医療は担えない、訪問診療まではうちはやっていない、内視鏡に関しては頑張ってやりますと。であれば、その内視鏡の部分においては、そういった開業医の先生と連携できます。我々は、訪問診療、在宅医療、あるいは幅広い医療というのを提供できる。

 ですので、都市部では、既存の開業医の先生方とのネットワークというのを通じながら、つまり、包括的なケア、かかりつけ医機能というのを果たしていく、そういったことが非常に大事だと感じています。

 ですので、決して、かかりつけ医機能を提供する医療機関が患者さんを全部取るとかそういうことで全くなくて、むしろすみ分けをしながら、専門的なクリニックとかかりつけ医をしっかり担う医療機関というのが手を携えて、面としてやっていく。そのためにも、面という意味でも、かかりつけ医機能をしっかり持った医療機関をちゃんと認定していく仕組みがないと、今のまま、どこがそういう機能を果たしているか分からないままで、何とか専門クリニックがたくさん並ぶ状況というのは非常に問題がある。

 そういったことで、我々が、室蘭、旭川、札幌、いろいろなところでやっている都市型の家庭医療のクリニックというのは一つのモデルになるのではないかなと思っていますし、地域の医師会の先生方からも非常に信頼をいただいて、医師会の中で在宅医療の委員会を担わせてもらって、開業医の先生方との在宅医療ネットワークというのを組んで、実際、室蘭でももう十年ぐらいやっています。そういったモデルを是非日本に普及させていきたいなと私は今、考えているところです。

 以上です。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 次に、釜萢参考人に地域医療連携推進法人制度の見直しについてお伺いさせていただきます。

 今回の法案では、地域医療連携推進法人につきまして、個人立の医療機関や介護事業所等の参加を可能とする仕組みというものが導入をされるわけであります。こうした地域医療連携推進法人制度の見直しに対する評価について、参考人の見解を伺いたいと思います。

釜萢参考人 地域医療推進法人の件については、それぞれの地域でかなり大きな役割を果たしてきているところが出てきているというふうに認識をしています。さらに、この仕組みが地域の医療に役立つようにするという今回改正が行われて、そして、構成の医療機関が入りやすくなるというようなところも改善されてきていると理解をしていまして、更に今後、それが進んでいくということを期待をしているという状況です。

 今回の法案の改正については賛成を申し上げております。

佐藤(英)委員 最後に、佐野参考人に、医療費適正化計画の見直しについてお伺いしたいと思います。

 保険者の立場からは、医療費の適正化は大きな課題であると思われます。今回の法案で、医療費適正化計画の見直しを行うこととしておりますけれども、この点について、佐野参考人の見解を伺いたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、医療費の適正化というのは極めて重要な課題だと思っています。先ほども申し上げましたように、保険者の財政も大変厳しくなっていく中でいいますと、やはり、いかに効率的、効果的な医療を進めていただくのかということは大変重要だと思いますし、ここの部分については、期待をしているという部分でございます。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、五人の参考人の皆さん、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 まず、五人の参考人の方、皆さんにお伺いしたい点がございます。

 今回の法改正は、持続可能な社会保障制度を構築するためのと書いてあるわけでございます。一方では、現役世代の負担軽減ということで、高齢者の保険料を引き上げる。もう一方で、前期高齢者負担金の分担で所得割を導入するに当たって、協会けんぽに出している国庫負担を一千二百九十億円削減をするという中身になっています。

 その結果、政府にいただいた資料では、出産一時金関係のところは除いて、協会けんぽは負担増が二十億円、健保組合は負担減が百二十億円、共済組合は負担増が二百四十億円、国民健康保険は負担減五十億円、後期高齢者が負担増八百二十億円、国庫は九百十億円の負担減ということになっているわけでございます。

 持続可能な社会保障制度といいながら、どおんと国庫を九百十億円も減らすわけですよね。果たしてこれでいいのか。これから持続可能なものだといいながら、どんどんどんどん、この間もそうでしたけれども、法改正のたびに国庫負担を減らすようなことがやられてきたわけですけれども、この国庫負担を減らす問題について皆さんはどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 今示された数字というのは、直近の数字といいますか、でもって数字を立てているというふうには理解しておりますけれども、ただ、今後の状況変化によって変わってくるものではないかというふうにも思っております。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、今回の改正は、一つは現役世代の負担軽減ということがうたわれ、さらに、世代間、世代内のバランスの是正、そういった中で、負担能力に応じた全世代で支える仕組みというのが骨子になっておると思っておりますので、そういった方向性には今回の改正は合っていると思っておりますし、引き続き、今後ともこういった改革をやっていただくことによって、私どもが求めているところの現役世代の負担軽減、これにつなげていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

草場参考人 医療費の負担の問題については、学会としての明確な見解というのはちょっとないというのが正直なところでございますけれども、ただ、やはり、税と保険と自己負担のバランス、そして現役世代と高齢世代のバランス、あるいは十年後、二十年後を見据えた負担の在り方がどうか、こういった総合的な観点でしっかり議論する必要はあるというのは間違いないと思っています。

 今回の制度改革に関して何か明確な見解というのはないということで、申し訳ございません、よろしくお願いします。

川崎参考人 ありがとうございます。

 この問題を考えていくときに、減らすのか増やすのかというところの前提として、今、既存の提供されている、例えば医療でいきますと医療の質が、皆さんが納得できるほどデータが解析され、分析され、本当によい医療が残り、そうではない医療が整理されているかといったような、足下の信頼される議論がまず前提として必要となります。その上で減らす、増やすという議論を進めるべきだと考えていきますと、その前提の議論が必要なのかなという観点で考えております。

 以上です。

釜萢参考人 今議員が指摘されたのも一つの見方ですけれども、いろいろな観点からこれは考えていかなければならないと思いますので、その中で、全体としてのバランスをどういうふうに取るのかということだろうと思います。

 私どもとしては、特に今回の法案の形には反対はしておりませんで、同意しているというところです。

伊藤参考人 公費負担を、特に国の負担を九百十億減らす、これ自体がもう元々ずっと、この間の七十五歳以上の二割負担の引上げもそうですが、国の負担をずっと減らしていって、先ほど言われたように、結局、医療費の負担というのは保険料か税金か自己負担のところですよね、その税金の部分をどんどん減らしていっているというのは、もう言語道断だと思います。これをむしろ増やすべきだと思います、私は。

 結局、健保組合も、前、高齢者医療への拠出金とかの支援金が支出の五〇%を超えた場合はその超えた部分を税金で負担しろ、そういう提言も出しておられますし、それを世代間の公平という名の下に高齢者に押しつけるべきじゃないと思うんですよね。高齢者は声が上げられない人がたくさんいるわけです。

 結局、本当に、確かに裕福な高齢者もいらっしゃるけれども、そこに私が書いたように、実態としては非常に深刻な貧困化です。そんな中でまた保険料負担を求めて。だったら税金を上げるべきですよね。それこそが全世代型社会保障じゃないかなと私は思っています。

 以上です。

宮本(徹)委員 ありがとうございます。

 次に、草場参考人と釜萢参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今回の法案は、先ほど来お話がありますように、高齢者、年収百五十三万円以上の方が保険料値上げの影響を受けるわけですが、実は、その層には、年収二百万円以上の層ですけれども、昨年十月から医療費の窓口負担が二割がスタートしております。

 私、この間、この委員会の質疑の中でも、受診抑制がその中で出ているのではないのかという、いろいろなアンケート調査なんかも紹介しながら質問もさせていただいているんですけれども、二割負担の法案を審議した際も、政府も一千億円の受診抑制が起きるという試算を示したわけですけれども、実際、医療現場から見て、この二割負担の導入が始まって、感じられている受診行動の変化などがありましたら、お伺いできたらと思います。

草場参考人 ありがとうございます。

 一つは、実際、今、自己負担をどれぐらい払われているかという状況によってかなり影響が変わってきているというのが現実だと思います。つまり、外来診療で、比較的、元々それほど高くない負担の方であれば、ある程度受容されている印象がございますが、我々の中で言いますと、具体的には在宅医療、在宅医療は自己負担がかなり高い状況で、やはり二千円とか三千円というケースがあります。そういった場合に、二割負担になることによって、やはり倍になってくると相当大きな影響が出ますので、ちょっと在宅医療はやめて、外来診療に切り替えたいという形で、何とか頑張って施設の方が連れてくるようなケースというのが増えているという、そういう意味での、在宅医療が選べないという意味での抑制というのが起きている現状があるというふうに認識をしています。

 以上です。

釜萢参考人 自己負担の増加に伴う受診抑制に関するデータを現時点で私自身は把握していないので、ちょっと分かりません。

宮本(徹)委員 ありがとうございます。

 厚労省自身は、今データを一生懸命収集して、今年の夏頃ぐらいまでにデータを収集して受診抑制の影響を調べるということになっていますので、またそれを私も見ていきたいと思います。

 続きまして、今、少子化対策ということがかなり国会でも議論されているわけですけれども、医療の分野については、子供医療費の無料化、これが、各自治体がいろいろ、かなり一生懸命取り組まれて、拡充されてきたという状況がございます。

 この問題については、五人の参考人、皆さん全員にお伺いしたいと思うんですけれども、全国知事会は、これは国の制度に是非してほしいということも言っているわけですけれども、その一方で、国の側は、子供医療費無料化については課題が多いという話をされているんですね。

 例えばということで、大臣なんかがおっしゃっているのは、不適切な抗生物質の投与が増えるだとか、あるいは、比較的健康な子供の受診が増えるだとか、こういうことを言って、なかなか、国の制度としてといいますか、子供の医療費無料化そのものに対して余り前向きでない姿勢を取っていて、国の側と自治体の側でねじれているという状況がありますが、私は、子供の医療費無料化というのは、本当に、慢性的なぜんそくのお子さんなんかもずっと医療費がかかりますから、こういうのは本当に進めた方がいいと思っていますけれども、それぞれ、どのようにお考えなのかをお伺いしたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 子供医療費の無料化については、やはり、いろいろな、プラスの要素もあればマイナスの要素も、両方あると思っております。そういう面で、やはり進めていくに当たっては、メリット、デメリット両方を分析した上で慎重に検討していくことが必要ではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

草場参考人 私どもの立場では、基本的には賛成です。無料化していく方向でいいと思っています。

 ちょっとした気軽な健康相談をすぐできるというメリットがある。つまり、重くなった状態でかからなきゃいけないということは避けられる。そして、オーバー・カウンター・ドラッグという形で、薬局等で薬を購入してというケースがございますけれども、場合によってはそれが不適切なケースもありますので、まず受診をいただくというのは悪くはない。

 ただ、一方で、それが、先ほどお話があったように、例えば抗生物質が非常に過剰に投薬される、親御さんから、心配だからとにかく抗生物質が欲しい、そういった形につながると、これは逆に薬の問題になってきますし、薬剤耐性菌が増えてくるという問題になりますので、ちゃんとそのデメリットを把握した上での推進ということであればいいのかなというのが我々の考え方です。

 以上です。

川崎参考人 ありがとうございます。

 私からは二つあります。

 この無料化につきましては、やはりデータを取って、後から検証できるようにしていくというのが一つ必要だという点と、二つ目は、やはり子供でなくなった、大人になった際に、日本における医療の受け方というのが、子供時代に受けてきたものと同様の受け方でいいのかといいますと、やはり社会保障制度の持続可能性を考えていきますと、またしっかり、医療について、先ほどのかかりつけ医などのところに相談するなど、様々な受け方があるかと思います。

 子供から大人になるときに、私たちは少し考え方を変えるべきなのか、それとも、子供の時代から大人になったときの医療の受け方をしっかりと共有していくのか、そこもセットで進めていくべきと考えます。

 以上です。

釜萢参考人 小児の医療の窓口自己負担の軽減という政策は、利点が大きいと思いますが、一方でデメリットもある。そのことについては、よくバランスを取る必要があるというふうに認識しています。

 私自身は小児科医なので、小児の無料化の経過をずっと見てきていますけれども、受診される親御さんは、これは保護者が連れてくるわけですが、医療機関に受診するというのは、大変な、時間もかかるし、御苦労があるわけで、無料になったから無駄に受診をしているという方は私はほとんどないと思いますし、それから、医師の側が無料だからといって不適切な治療をしているという事例も極めて少なくて、特に、抗生剤の話が出ましたが、適正使用に関しては、今、特に小児科医は非常に真剣に取り組んでおりますので、その点は指摘しておきたいと思います。

 以上です。

伊藤参考人 子供の医療費の無料化は是非進めるべきだと思っています、全国で。

 地方自治体レベルでやっているんですけれども、鹿児島なんかも償還払いになっていて、一旦立て替えて、後でまた返ってくるというので、非常に不便されておりますし、私、一部負担金をそもそも取るべきではないと思っていまして、十四ページに書いてあるように、法律的には療養の給付は現物給付なので、一部負担金を払わなくても、現物給付として支給されるはずなんですよね。

 そもそも、一九八四年まで、被保険者本人、健康保険被保険者本人は窓口負担はありませんでした。それが、二割になり、三割になり。よく、七十歳以上の高齢者が前、無料だったときに病院がサロン化したとかいろいろ言われるけれども、先ほど医師会の先生がおっしゃったとおりで、誰も好きこのんで病院に行きませんわ。やはり、本当にどこか調子が悪い。

 やはり、早期発見、早期治療ということを考えれば、本当に最初の段階でちゃんと医療にアクセスして軽いときに治した方が、重篤化してくるよりも、一部負担金が払えなくて重篤化して、もうにっちもさっちもいかなくなって医療機関にかかった方が、よっぽど医療費がかかります。長期的に見れば、医療費は抑えられると思うんです。

 むしろ、そういうフリーアクセスの分野を、つまり一部負担金を廃止若しくは軽減していく。一応そこにも判例を載せましたけれども、国民健康保険法四十四条、一部負担金減免等については、突発的な理由じゃなくて、低所得の場合も含めて、住民税非課税の人はせめて現段階でも全ての人について一部負担金を免除すべきだと考えております。

 以上です。

宮本(徹)委員 ありがとうございます。

 続きまして、釜萢参考人と伊藤参考人にお伺いしたいと思いますが、国民健康保険料の高さについてなんですね。

 本法案では、国民健康保険料について、都道府県の保険料の水準の平準化という下で、市町村が行っている保険料の独自減免、この間、かなりなくなってきているわけですけれども、これをもっとやめさせようということになっているわけですけれども、ただ、他の被用者保険に比べて、国民健康保険料というのは大変高い現状がございます。これはどう改善すべきとお考えなのか、お伺いしたいと思います。

釜萢参考人 保険料の負担額については、なるべく差が生じないようにすべきだという御指摘はそのとおりだと思いますが、これは元々の保険の制度の違いがありますので、なかなかそう簡単にはいかないだろうと思います。

 それで、今後、市町村独自にやっている対応については、なかなか持続が難しくなるかなというふうには思いますので、その点についてはしっかり、もし、これまでその恩恵に浴していたところにおいては、住民にしっかりよく説明をして、理解を得てやっていただきたいというふうに思います。

 以上です。

伊藤参考人 国民健康保険については、減らされてきた国庫負担を元に戻せば、かなり保険料は引き下げられると思っています。

 やはり、さっきおっしゃったように、ずっと国庫負担を減らしてきたんですね。前は医療費全体だったのを、医療給付費の四割という形で減らしてきて、大体、一兆とか二兆ぐらいの国庫負担の減があるので、それを元に戻せばかなり国民健康保険料の引下げにはなると思います。

 要は、やはり、国民健康保険は皆保険の最後のとりでで、結局、半分以上の人は無職ですよね、加入している人の、高齢者も含めて。だから、そういう意味では、これはある意味で税金をつぎ込まないともう制度として成り立っていかないんじゃないかなと思っています。

 以上です。

宮本(徹)委員 時間が迫ってきましたので最後の質問にしたいと思いますけれども、今回、後期高齢者の方々が保険料が上がるということなわけですけれども、先ほど伊藤参考人から年金裁判の証人もやられているというお話がございました。

 年収百五十三万円、このぐらいの年金収入、月で割れば十二万七千五百円ということになると思いますけれども、月でいえば十二万七千五百円の年金生活者の生活状況というのは経済的には大変だと思いますけれども、その辺り詳しく、是非与党の皆さんにも聞かせていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

伊藤参考人 直にその層の人の生活実態は分からないんですけれども、少なくとも私が年金裁判で関わった人の話を聞くと、とにかく電気代が高いので、夜が来たら寝る。まあ、健全な生活ではあるんですけれども、朝が来たら起きる。例えば、クーラーとかも夏とかはつけられないので、公共機関を渡り歩いている、昼間は図書館に行ったり。本当にそんな、二食にしたとかね。一部負担金が払えないので、なかなか、調子が悪くても病院に行けないというのは、もうずっとそういう人の話は聞いております。恐らくそういう人が大半じゃないかと思うんです。

 六十五歳以上の人でも住民税非課税の人が六割ぐらいいるので、そういう人たち、年金が少ない中でマクロ経済スライドで減らされて、さらに、介護保険料、後期高齢者医療保険料、ダブルで天引きで取られるわけですよ。皆さん、それを取られてどう思いますか、それがどんどんどんどん増えて。そんな、本当に手取りで二、三万ぐらいになって、それでどうやって暮らしていけというんですか。

 だから、本当に、病院にも行けないとかそういった状況を、まあ、医療費が一番かかるとおっしゃいますね。だから、何かあったときがすごく不安ですよね。健康状態、だって高齢者だからどこか悪いので。そういう人たちに、また保険料を引き上げるんですか。住民税非課税の人から保険料を取っちゃいけないと思うんです、私は。そんな住民税もかからないような人からも保険料を取っているんですよ、介護保険料も後期高齢者医療保険料も、すごい高い保険料を。そんな生活を強いられて、それは早く死にたいと思いますよ。

 政治家の皆さんも、是非その実態を、現役世代への負担をどうこう、まあ、もちろん現役世代も大変です、全世代が大変なんです。今、生活困窮で。その人たちを救う、その人たちの負担を分け合うんじゃなくて、それはやはり税金をつぎ込むしかないと思うんですよね。公費負担を減らすんじゃなくて増やす、それが私は本当に一番の、それで社会保障を充実していくことがそういった人たちを守るというか。本当に、コロナで見捨てられて、また今度、年金から天引きされる保険料が増えて。それは高齢者は怒りますよね。だから、やはりそういった人たちの生活実態を踏まえて、是非この法案は廃案にしていただきたい、そういうふうに思っています。

 以上です。

宮本(徹)委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。よろしくお願いします。

 特に、今日は五人の参考人の皆様方、ありがとうございます。

 まず、佐野参考人の方に質問したいと思います。

 私も、この厚生労働委員会の方でもずっと言っていることがありまして、国民、保険者という形でいいますと、対象の被保険者等が健康に留意する、いろいろな予防医学を実践する、一次、二次、三次予防とかありますけれども、そういったことによって、かなり医療費の適正化、いわゆる抑制ができるのではないかというふうに思っております。

 いわゆる御健保組合、大手企業とか等々でやられている事業、何か効果があったとか、あるいは、そういうエビデンス構築のためのデータ収集をされているようなことがございましたら、ちょっと一言おっしゃっていただきたいと思います。

佐野参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、我々にとっては、まさに保険者機能を強化するという観点からも、疾病予防であったり健康増進のための施策をどう進めていくのかというのは大変重要な課題だと思っております。

 そういう中でいいますと、一つは、やはりデータでいいますと、私どもが持っていますのは、健診の結果というデータも、それから、診療の実績のデータも持っております。こういったデータに基づいて、特に健保組合は加入者に近い、顔が見える保険者というのを標榜しておりますので、やはりこういったもののデータを見て、事業主であるところの企業とも連携をして、こういった事業を推進するというのが一番大事だと思いますし、直近、既に医療データを使いながらやっておりますけれども、今政府が進めておられるところの医療DXが進めば、更にシステムを活用した形での推進が可能になると思っておりますので、こういった機能を高めるためにも、医療DXの推進というのに期待をしているというのが現状でございます。

 以上でございます。

仁木委員 ありがとうございます。

 私は、医療DX、かなりの推進派でございまして、後ほど川崎委員にも質問したいと思いますが、まさに川崎委員がおっしゃったように、DXというのはあくまでも手段であって、どういった、それを用いて社会あるいは国家がつくられるのか、あるいは医療現場が変わっていくのか、医療DXに関して申し上げると、特に重要だと思います。

 そういう意味でいうと、やはり、国民の情報であり、国民のために使う、そして、どういう資格を持った人が何のために使って、どういった罰則があるかということも明記すべきで、そういった意味でいうと、私は広く、いろいろな、個々の事案ごとに法律改正していくのではなくて、情報基本法なるものを作っていく方が岸田政権も言っている医療DXを推進していくということになると思っております。

 そういう意味で、具体的に、今後、患者さん本人のオンライン資格確認等々、今、三文書六情報とかいうこともありましたが、それも大切なんですけれども、医療全体、保険財政も見てみると、医者とか看護師、主に医者ですけれども、そういった医療を提供する側がどういう医療行為を行ったことによって、具体的に、今は保険ですから、介護もそうなんですけれども、データベース化されて、レセプトという形で請求するようになっています。これは、そういった情報基本法みたいなものが、その理念が浸透すれば、場合によったら、その資格を、医療行為をする、具体的にいうと医師とか歯科医に最初は厳格な本人確認をした上で、その行った履歴をしっかりと残していく。それに基づいてレセプト請求を、極端に言うと、医療機関から保険者に請求するまでもなく、保険者がデータ履歴を見ていくということによって、レセプト、こういうことを行いましたねと確認するような形でも私はあっていいかなと思っているぐらいなんですよ。

 ですから、やはり、そういうことになるためには大切ですけれども、そういった医療提供者側の履歴、歩んだ道ですね、そういうのが分かることがより医療の適正化につながると思っています。

 その上で、私も訪問診療的なこともやっておりますが、草場委員にもお聞きしたいんですけれども、全世代対応型、今回の法改正、私は全地域型というのも必要だと思っていまして。特に医療は、服薬とかを除いて、検査もそうですし、特に治療ですね、やはりその場に患者さんが行かなきゃいけない。場合によっては、往診、訪問診療では、医者あるいは看護師が行かなければいけない、患者さんの元に。つまり、対面というのが基本だと思いますが。先生も質疑の中でおっしゃったように、地域によっては医療資源が本当に乏しいところがあるし、ある町、村の中に一人の内科医、高齢になられてもうやめてしまうとか、近年、あるいは、医療DX、電子カルテ化できないからやめてしまうとか、そういう様々な問題があります。

 そういうことで、どういった課題があるかというと、私が思っているのは、医師以外も、場合によったら、こういった地域医療を担っていく上での例えば医師が行っている資格、医療行為をできるようにするということも考え方としてあるかもしれません。

 例えば、アメリカでは医師の代わりにナースプラクティショナーというのが、日本の看護協会でもうたっているんですけれども、そういうのが活躍しています。

 例えば、ワクチン接種の問題もありましたが、アメリカではコンビニで、メッセンジャーRNAワクチンという新しいワクチンでありながら、薬剤師がコンビニであるいは薬局で打っている、そういうふうな事案が見られます。日本も兵庫県では、例えば歯科医が例外的にそういったワクチン接種をしたというようなこともありました。

 そういういわゆるコメディカル、場合によったら、在宅においては家族ができること、しかし従来は介護士しかできなかったことを法改正してやってきた、ストーマとか喀たん吸引のこともありました。そういう待ったなしの事案のことに対して、プライマリーケアという形でいうと、そういった医師以外でできる人たちを増やすことが、その人たちが歩んだ履歴に基づいて算出されるレセプトでいうと、ローコストで、非常に低い対価でできると思うんですけれども、そのことに関してどうお考えでしょうか。

草場参考人 私どもも、今おっしゃった、タスクシェアの議論だと思うんですけれども、医療職種の中での仕事をもっともっと共有していく方向には基本的に賛成です。

 我々の学会はプライマリ・ケア連合学会という名前なんですけれども、医師のみならず薬剤師、看護師、ソーシャルワーカーなども加入していて、実際、プライマリ・ケア認定薬剤師、プライマリ・ケア認定看護師の養成というものに取り組んでいます。それはまさに医師のみが独占しているかのようにちょっと見られがちな医療行為というものをもっともっとシェアしていく。もちろん法的な限界はあるんですけれども、ただ、今、医師の包括的な指示という下で、結構看護士がいろいろ活動ができるという状況もないわけではないです。

 ですから、特に僻地などはもうおっしゃるとおりだと思うんですけれども、もっともっと看護師が役割を担っていく方向、それは、私は大賛成であります。

 ただ、現在のちょっと今国で動いているNPとか特定行為というのは、やや少し観点がずれている印象があります。どちらかというと、急性期病院でかなり技術的なことをたくさんやっていくナースみたいなイメージになってしまっていて、何かプライマリーケアの現場で求めている看護師像とは相当ずれがある。ですから、どちらかというと、プライマリーケアに強いNPさん、ナースプラクティショナーをつくっていく。そのときには、おっしゃるとおり、例えば忙しい外来診療の中で看護師がもっとリハビリとか栄養指導とか生活指導とかいろいろなアセスメントをできると相当いいんですね。そこには全く今点数がつかないです。診療報酬は何もつかないです。

 ですから、そういうところにもっともっと診療報酬の点数なども当てて、看護師がただ医師の指示の下、処置をするという存在ではなくて、主体的に動けるような方向を目指すべきだというのは大賛成ということでございます。

 以上です。

仁木委員 次に、釜萢先生に同じ質問をお聞きしたいと思います。いわゆるタスクシェアのことについてです。

釜萢参考人 医行為というのは、その行為を受ける側にとって非常に危険を伴い、また大きな侵襲を伴うということで、医行為をどの者が担うのかということは、これまでずっといろいろ議論があったわけです。

 その中で、医師が大部分の医行為を担う、また診療の補助として看護師さんが担う部分があるという中で、更にそれを広げていくという議論は今後是非していくべきだと思いますけれども、やはり医療安全の点で、患者さんあるいは国民にとって一番誰がその医行為を行うのが最もふさわしいのかということをしっかり考え、そして、責任の所在がどうあるべきなのかということを踏まえて、このことは議論していかなければならないと思います。

 今後この議論が大いに必要だという認識を持っておりますけれども、現時点でどんどん医行為ができる対象を広げていくべきかどうかということについては、医療安全の点から慎重であるべきだと思っています。

仁木委員 ありがとうございました。

 私も同じような意見を持っていますが、ただ、例えばコロナ禍の変遷を見てみましても、当初、例えば抗原定性検査、鼻腔内の粘液を拭って、それで陰性か陽性かキットを用いてやる検査も医師に限られていましたよね。ところが、いつの間にかもう個人、一般人もできるようになっています。

 そういうことは、さっき私、喀たんの事例も申しましたし、ストーマの交換、ストーマケアのことも申しましたが、具体的に言うと点滴でも、在宅で点滴を行ったときに、これはナースかドクターしか今駄目なんですけれども、家族かですね。それで、ほかに誰もいないような場合で在宅診療がなされていることもあるんですけれども、またそこに行かなきゃいけない、そのコストは追加されないというようなこともあります。

 そういうことでいうと、やはり今いろいろな医療レベルとか、あと先入観だけでできないと思っていることがあるけれども、実はできるようになってくることも増えていますので、セルフメディケーションの考え方というよりは、やはりそういったいろいろな使える資源を使っていかないと、特に医療資源が乏しいところにおいては限界に来ているということもあるし、そういった医者が動いていくとまたそれに伴う診療報酬が要るわけですから、もう財源的にも限界に来ているというふうな認識は私は持っていくべきだというふうに思っています。もちろん安全性が有効だと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 そういう意味でいうと、今、私、また加藤大臣含めて次の委員会で質問しようと思っているんですけれども、あるいは、妊婦さんとかが医療機関へアクセスする、かかりつけ医にアクセスするにしましても、医療資源が乏しいと、どうしても交通費とか時間がかかります。特に交通費のことに関しては、毎回、妊婦健診も十四回無料になったとはいえ、ちょっとやはり高額になりますので、いろいろな自治体任せの支援もありますが、国として今第八次医療政策の方に組み入れているような情報もありますが、患者さんが医療機関にアクセスする、そういった財源のありよう、何かいいお考えとかがありましたら。まず二名にお聞きしたいと思います。佐野参考人と川崎参考人、いかがでしょうか。

佐野参考人 ありがとうございます。

 たしかに、非常にアクセスの部分も課題としてあると思うんですが、済みません、その部分について、今、私どもの方で具体的な何かアイデアとか持ち合わせているものはございません。ちょっとお答えできなくて恐縮でございます。済みません。

川崎参考人 ありがとうございます。

 先ほどの話もありますけれども、やはりデータに基づいてしっかりと現状を把握して進めるべきですし、先ほどもありましたように、グランドデザインとか基本的な方向性というのをまずしっかりと明確にした上で進めていくべきだとすごく思っております。

 以上でございます。

仁木委員 続いて川崎参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほど、私が後ほど聞くと言っていたことですけれども、今、セルフメディケーションということも、かなり国民がネット等々でいろいろな医療あるいは専門的な情報を手に入れることができる時代になっています。

 医者がいろいろな患者さんのシンプトン、兆候を見て、兆候というか症状を見て、特に診断するときに大切なのは問診なんですけれども、そういった問診のありよう、関与はいろいろ違うと思います。ドクターが広くやるような問診をAIを使ってやるということも、これから場合によったら可能になるかもしれません。いろいろな法改正も必要かもしれません。

 川崎参考人が描いている医療DXというグランドデザインの一部分になるかもしれませんが、そういったAIの活用、私が先ほど申し上げた診療報酬とか介護報酬とか、いわゆるそういった給付を受ける側、つまり、医療を提供する側、介護を提供する側の情報をよりきめ細かく知っておくということもより有効になると思うんですけれども、具体的に、医療提供側において、AIと医療機関へのアクセス、これはかかりつけ医の問題になると思いますけれども、何かその辺に対することというのは研究なりあるいはお考えがありましたら教えていただきたいと思います。

川崎参考人 ありがとうございます。

 AIを絡めた話は非常に難しいんですが、まず重要なのが患者と医師の関係性、ここが、信頼関係を持って進められるかという点がまず根本的に重要な点だと思います。

 AIを活用する方法としましては、既存のデータベースから様々な解析をしたものを使っていくんですが、そこにやはり医師の目を通してしっかりと患者さんに伝えていく、さらに、その状況というのは、その患者さんそれぞれの背景がございますので、そこも含めて、それを解釈して伝えていかなければいけないと考えますと、AIに書いてあることだけを伝えるというようなことにはならないかなと思います。

 また一方で、データを様々入れた結果、自分が入れていないデータを活用して診療しなければいけないという世界になった際に、自分が所属しているグループの中で、ある一定の指針の下、電子カルテに書いてある情報であれば信頼できますけれども、よく分からない、若しくはよく知らない、若しくは全国的に先ほどのような基本法など統一された概念がない中でデータが入ってきたときにそれを活用できるかとなりますと、またそういったような問題もあるかなというふうに思います。

 こうしたところからデータの活用を推進すべきですし、一方で、それを入れる際のデータについて、使っていただける医師の方や医療従事者が安心して使えるような形で進めるべきと考えています。その中でAIをどう活用するかという問題かなと思います。

 以上です。

仁木委員 続いて川崎参考人に質問しますが、そういう意味では、今、政府の方も医療DX推進という中で、全国医療プラットフォームというのを創設するべく動いていると思いますけれども、その中で私は、より国家がというか日本の政府が、例えば、厚労省が持っているOSみたいなものをつくって、そこにより新たなアプリでいろいろな方も入っていけるということも必要だと思っているんです。

 でないと、今、いろいろな意味で電子カルテにおいても、大手のメーカー、カルテメーカー、ソフトメーカーがもう今入っていて、なかなかそれを慣れているものからまた変えにくいというベンダーロックインの問題もありますので、そういった考えで、日本型の医療を例えば海外へ展開していくということも重要だと思うんですけれども。そういう意味でいうと、やはり、誰でも、能力があって、やる気があって、また、ベンチャー的に入っていけるということもある種大切だと考えますが、それに関しては何かお考えをお持ちでしょうか。

川崎参考人 ありがとうございます。

 プラットフォームにつきましては、どこが主体になるかはいろいろあると思いますが、情報をインテグレーションする、統合する必要性があるというふうに考えます。

 その際にやはり気になってしまうのが、統合することが目的であったりとか、全国プラットフォームをつくることが目的になってしまうと、これはDXではないということになります。

 例えばですけれども、我が国が健康寿命延伸において世界を牽引するんだといったような大きな国家的な戦略があり、それを実現するためにデータが必要であり、それがこの全国プラットフォームであったりとか、そのプラットフォームの中でデータが活用され研究されていく、このような戦略と、実際の戦術とそして国家観、国家としての戦略との結びつきがあった上で進めていかないといけないんですが、その点からいきますと、今の全国情報プラットフォームというのは、まずは今できることから進んでいるというところですが、私たちはもう少し先のところも並行して考えていくべきかなというふうにも思います。

 以上です。

仁木委員 今回の法改正におきまして、よりかかりつけ医の機能を国民、特に地域の方々に、どういったかかりつけ医機能を持っているかということを、広報というか、そういった情報を広げていくことにもなると思います。

 この間、医療機関の広告というか、そういうこともいろいろ規制は緩和されているように思いますけれども、この辺に関して、何か最近では、例えば、混合診療とかをやっている美容整形でありますとか、そうでなくても、皮膚科においても赤裸々にメニューとか値段とかいろいろなことを、いわゆるそういったものを見て、消費者と言っては過言ですけれども、患者さんが医療機関を選ぶような時代になっていると思います。

 そういったことに関して、三名ですけれども、草場参考人、そして佐野参考人、そして釜萢参考人にちょっとお答えいただけたらと思います。最後の質問です。お願いします。

草場参考人 広告は非常に大切な問題だと思っています。広告自体に規制があるというのはやはり必要だと思っていますし、不適切な広告に関してきちっと監視をしていく仕組みというのは今後も継続し、強化しなきゃいけないというのは間違いありません。

 ただ、その一方で、逆に、本来きちっとやっているところもちょっと広告をしづらい。広告に関してかなり制限がある。例えば専門医資格に関しても、かなり決まった専門医資格しか広報ができない。

 あるいは標榜科に関しては、先ほど川崎委員がおっしゃったとおり、例えば、現にもう育成が進んでいる総合診療専門医についても、標榜科として総合診療科が存在しない。ですので、我々も家庭医療ということでやっていますけれども、内科、小児科という形でしか今でも表現できていません。ですから、どこにジェネラルに診るドクターがいるのかというのが今でも分からない。

 ですから、適正な方向で広告はもっと広げていただきたいんですけれども、不適切なものはきちっと管理するというめり張りをしっかりつけていただきたいと思っています。

佐野参考人 かかりつけ医に限らず、やはり医療機関に関する情報、周知をどのように進めていくのかというのは、利用する国民、患者の目線から見たら大変重要であることは間違いないと思います。

 そういった面で、今般、今検討している、かかりつけ医の機能の検討の中でも、いかに国民がそういう情報を目にできるのか、また、そういう選択に期するのかという観点でもって御検討いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

釜萢参考人 医療の広告は、医療機関を受診される方に役立たないといけないので、現状の、行われている広告の中には、不適切なものはまだかなりあると思います。

 したがって、今後、かかりつけ医機能を発揮する制度整備のために広告がどうあるべきかということが議論されなければならないと思います。

 以上です。

仁木委員 ありがとうございました。大変勉強になりました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十五分散会


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