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第7号 令和5年4月5日(水曜日)

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令和五年四月五日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    東  国幹君

      畦元 将吾君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    石原 正敬君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      柿沢 未途君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      武村 展英君    土田  慎君

      西野 太亮君    橋本  岳君

      藤井比早之君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    松本  尚君

      三谷 英弘君    保岡 宏武君

      山口  晋君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      坂本祐之輔君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中村 英正君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 中村 博治君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     石橋林太郎君

  上田 英俊君     石原 正敬君

  勝目  康君     西野 太亮君

  川崎ひでと君     保岡 宏武君

  小泉進次郎君     藤井比早之君

  橋本  岳君     東  国幹君

  三谷 英弘君     上杉謙太郎君

  吉田 統彦君     坂本祐之輔君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     鈴木 隼人君

  石橋林太郎君     畦元 将吾君

  石原 正敬君     五十嵐 清君

  上杉謙太郎君     武村 展英君

  西野 太亮君     勝目  康君

  藤井比早之君     小泉進次郎君

  保岡 宏武君     川崎ひでと君

  坂本祐之輔君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     上田 英俊君

  鈴木 隼人君     山口  晋君

  武村 展英君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

四月五日

 コロナ禍から命と暮らしを守る年金支給に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六六八号)

 福祉職員の大幅な賃金の引上げと増員に関する請願(笠井亮君紹介)(第六六九号)

 同(道下大樹君紹介)(第六七〇号)

 同(白石洋一君紹介)(第七六三号)

 全国一律最低賃金制度への法改正に関する請願(道下大樹君紹介)(第六七一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第七六四号)

 同(白石洋一君紹介)(第七六五号)

 国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(金子恵美君紹介)(第六七二号)

 同(田中健君紹介)(第六七三号)

 同(田畑裕明君紹介)(第六七四号)

 同(中曽根康隆君紹介)(第六七五号)

 同(仁木博文君紹介)(第六七六号)

 同(渡辺周君紹介)(第六七七号)

 同(井坂信彦君紹介)(第七〇〇号)

 同(岡田克也君紹介)(第七〇一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七〇二号)

 同(武村展英君紹介)(第七〇三号)

 同(中川正春君紹介)(第七〇四号)

 同(根本匠君紹介)(第七〇五号)

 同(福島伸享君紹介)(第七〇六号)

 同(福田達夫君紹介)(第七〇七号)

 同(細田健一君紹介)(第七〇八号)

 同(石川香織君紹介)(第七二六号)

 同(岩屋毅君紹介)(第七二七号)

 同(岡本あき子君紹介)(第七二八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第七二九号)

 同(二階俊博君紹介)(第七三〇号)

 同(船田元君紹介)(第七三一号)

 同(宮下一郎君紹介)(第七三二号)

 同(八木哲也君紹介)(第七三三号)

 同(山口壯君紹介)(第七三四号)

 同(米山隆一君紹介)(第七三五号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第七六六号)

 同(石井拓君紹介)(第七六七号)

 同(白石洋一君紹介)(第七六八号)

 同(谷川とむ君紹介)(第七六九号)

 同(宮本徹君紹介)(第七七〇号)

 同(山井和則君紹介)(第七七一号)

 同(湯原俊二君紹介)(第七七二号)

 同(石田真敏君紹介)(第七九五号)

 同(丹羽秀樹君紹介)(第七九六号)

 同(古屋範子君紹介)(第七九七号)

 同(長坂康正君紹介)(第八二〇号)

 同(緑川貴士君紹介)(第八二一号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第六九八号)

 同(白石洋一君紹介)(第七六一号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(中川正春君紹介)(第六九九号)

 同(枝野幸男君紹介)(第七六二号)

 若者も高齢者も安心できる年金と雇用に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第七一三号)

 同(宮本徹君紹介)(第七一四号)

 同(笠浩史君紹介)(第七一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七五一号)

 同(笠井亮君紹介)(第七五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第七五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七五五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七五六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七五七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七五八号)

 同(宮本徹君紹介)(第七五九号)

 同(本村伸子君紹介)(第七六〇号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第七一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第七一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七二〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七二二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七二三号)

 同(宮本徹君紹介)(第七二四号)

 同(本村伸子君紹介)(第七二五号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(宮本徹君紹介)(第七五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官野村知司君、財務省主計局次長中村英正君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、人材開発統括官奈尾基弘君、政策統括官中村博治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽です。本日のトップバッターとして質問をさせていただきます。

 今日は、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築のための健康保険法の一部を改正する法律案、法案審議ということでございますが、本題に入る前に、柔道整復師国家試験の問題漏えい事件について何点か質問をさせていただきます。

 昨年十月、公益財団法人である柔道整復研修試験財団の元試験委員の男性ら二人が、国家試験の問題を自身が講師を務める学校などに漏えいしたとして逮捕され、二月に執行猶予つきの有罪判決が言い渡されました。摘発後に初めて実施された先月の三月の国家試験で合格率は、五割を下回る四九・六%、過去最低だった二〇一七年度の五八・四%をおよそ九ポイントも下回ったということで、業界関係者の中からは、合格率が急激に下がったことについて、これまでの試験で問題漏えいが全国的に広がっていた可能性があるという指摘もございます。

 特に漏えい事件に関わった元試験委員の男性が勤務していた都内の専門学校では、新卒の合格率が、昨年、一〇〇%近い九八・六%に上っていたのが、今年は六六・九%と、三二ポイントも激減をしております。学校の担当者は、漏えいに関与したとされる教員ら五人は国家試験対策の授業をしていたが、摘発後に退職し、授業の質が落ちたとコメントしているそうですが、漏えいで高い合格率を維持していた可能性も否定できないわけで、氷山の一角の可能性もございます。

 柔道整復師法第十三条に、「厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。」という規定がございますが、厚生労働省として、摘発後に初めて実施された試験で過去最低を記録したことについてしっかりと検証すべきと考えますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、柔道整復師の国家試験における試験問題の漏えいについては、柔道整復師国家試験制度あるいは柔道整復師制度そのものに対する国民の信頼を大きく損なうものであり、決して許されるべきものではございません。

 柔道整復師国家試験については、外部有識者である試験委員が試験問題の作成と評価を行い、難易度についても慎重に検討の上、実施されたものと承知をしておりますが、令和四年度の合格率が例年と比較して低いということは事実であります。

 指定試験機関である公益財団法人柔道整復研修試験財団では、第三者委員会が設置され、昨年発覚した令和三年度の試験問題の漏えいに関する調査等が進められているところでありますが、次回の国家試験に向けて、令和四年度、今回の国家試験の結果についてもよく分析をしていただく必要があるというふうに考えております。

 厚労省としては、試験問題の漏えいは決して許されるべきものではないとの考えの下、まずは、第三者委員会による調査等、これをしっかり注視していきたいと考えています。

高木(宏)委員 国家試験漏えいという不正が起こった原因は何なのか。私も以前、情報漏えいや粉飾決算といった企業不正を調査するビジネスに携わっていましたけれども、不正が発生するには、動機、機会、それから正当化又は誠実性の欠如、この三つが整うことが不正が発生する素地ということでございます。これは不正のトライアングル理論という理論なんですけれども、アメリカの犯罪学者、インディアナ大学だったと思いますけれども、ドナルド・クレシー博士が提唱した理論でございます。

 今回の事案を見ると、学校関係者の国家試験委員、問題の内容を知っている、学校の合格率を上げたい、あるいはかわいい生徒を合格させたい、言いたくなる。まさに動機も機会もあるわけなんですよね。事実、漏えいした二名も、学生を合格させたいという思いから犯行に至ったということであります。

 二〇〇九年にも、看護師国家試験問題の漏えい事件がございました。このときも、漏えいした人物は看護師国家試験の試験対策を行う学校の副校長ということで、一〇〇%の合格率を達成させたい、学生を合格させたいという思いから漏えいしたということでございます。

 一部の学校関係者が内容を知っている、あるいは試験を受ける学生を教える現職の教員が試験委員として内容を知る立場にあるというシステムに、私は問題があるのではないかと考えますけれども、学校関係者を一切関与させないといったシステムづくりが必要じゃないか、問題の原因を厚労省としてしっかりと調査して、研修試験財団に対して必要な指導をすべきと考えますけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 現在の医療関係職種の国家試験の作成においては、学生の習熟度に応じた適正な試験の実施をする必要があり、例えば、臨床現場のほか、教育現場を知っている委員に作成をしていただく、こういった配慮もなされているわけであります。

 その上で、柔道整復研修試験財団からは、現在、第三者委員会において、昨年発覚した令和三年度の柔道整復師国家試験問題の漏えいの原因究明を進めており、次回の準備が始まる夏頃までを目途に、御指摘の試験委員の選定方法なども含め、再発防止策を策定すると聞いておりますので、まず、その上で、柔道整復研修試験財団の組織運営上の課題が明らかになった場合には厚労省としても必要な対応を講じなければならないと考えています。

高木(宏)委員 いろいろな国家試験がありますけれども、特にこれは国民の健康、命に関わる仕事に就く上での資格を問う国家試験問題の漏えいということで、非常に深刻な問題だと思います。国家試験の信用自体を毀損する事案ですので、徹底した検証と再発防止をお願いしたいと思います。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 日本の医療保険制度の優れた特徴として、国民皆保険、それからフリーアクセス、現物給付といったことが挙げられますが、健康上のリスクに対して、いつでも誰でも平等に医療サービスにアクセスできる、この中心にあるのは国民皆保険制度があるからだと思います。よく、世界に冠たる日本の国民皆保険、世界に誇る日本の国民皆保険と言われますけれども、国民皆保険は絶対に堅持していかなければいけないと考えております。

 昨年十二月にまとめられた全世代型社会保障構築会議の報告書には、全世代型社会保障の基本理念として、将来世代の安心を保障する、能力に応じて全世代が支え合うといった五点が掲げられております。この基本理念を実現していくことが国民皆保険を維持するということにもつながりますし、現役世代の負担軽減、それから世代間、世代内の負担バランスの見直し、負担能力に応じた見直しを不断に行っていくことが必要であると考えております。

 本法律案の医療保険制度の改革では、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に係る費用の一部を支援する仕組みの導入、それから後期高齢者医療制度の保険料負担の在り方の見直し、被用者保険者間の格差是正などが盛り込まれておりますけれども、現役世代の負担軽減、世代間、世代内の負担バランスの見直し、負担能力に応じた見直しの観点から、今回の医療保険制度の改革、どう評価しているのか、お伺いします。

本田大臣政務官 高木委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のように、国民皆保険制度、これは世界に冠たるものでございまして、この国民皆保険制度を持続可能なものとし、将来にわたって国民が安心して医療を受けられる基盤を堅持していく、これは厚労省でも認識をしているところでございます。

 その上で、全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みが必要であると考えており、このため、本法案では、三つの点でございますけれども、出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みの導入、高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直しを行うとともに、医療、介護の連携機能や、かかりつけ医機能の制度化を含む医療提供体制の基盤強化等を図ることとしております。

高木(宏)委員 今回の医療保険制度改革、見直しについては、医療保険制度の持続性を担保するということから、私も評価をしております。

 二月末に厚労省から公表された人口動態統計速報、国の推計よりも十一年早く出生数が八十万人を下回りました。総理も、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と表現しており、少子化が危機的な状況にあり、人口構成が大きく変わる中、医療保険制度がもたない、例えば、税方式も含め抜本的に見直すべきという考え方もございます。

 しかし、年金問題を議論したときも、同じように、現在の賦課方式から積立方式にすべきというような意見もありましたけれども、こうした社会保障制度、問題を議論するとき、ゼロから議論することはできないと思います。いわゆるガラガラポンはできない。なぜなら、既に数十年、社会保険方式も六十年以上にわたって維持されてきているわけで、年金についても賦課方式というもので運営してきたという歴史的な事実の果てにそういった問題があるわけで、医療保険制度の改革というのも、紆余曲折を経てきたものを国民皆保険制度というのはきちんと維持されているわけであります。

 国民が安心して暮らしていくことのベースである社会保険方式というのを基本としつつ、公費の投入を含めた国民皆保険制度の堅持という枠組みで、先ほど申し上げた現役世代の負担軽減、世代間、世代内の負担バランスの見直し、負担能力に応じた見直しを不断に行っていくということが必要であると思っております。

 次に、出産育児一時金の一部を後期高齢者が支援する仕組みについて、何点かお伺いをいたします。

 本法律案では、後期高齢者医療制度から出産育児一時金に係る支給費用の一部を支援する仕組みを導入することとしておりますけれども、社会保障審議会医療保険部会の議論においても、後期高齢者は低年金者、低所得者の比率が高く、他制度と同列に比べて負担を求めるのは適切でないといった意見もあったものと承知をしております。

 後期高齢者医療制度創設以前は、七十五歳以上の高齢者は国民健康保険それから被用者保険に加入し、それぞれに保険料を納付しつつ、その保険料の一部が出産育児一時金等に充当されておりました。つまり、出産育児一時金を含め子供関連の医療費については高齢者世代も負担していたわけですが、後期高齢者医療制度という別の体系となって今回の一部支援措置を導入するには、負担と給付の観点も考慮して、少子化を克服し、子育てを社会全体で支援するということの丁寧な説明が必要だと思います。

 そこで、改めて、後期高齢者に負担をお願いするに当たって、現行の四十二万から五十万に引き上げ、後期高齢者医療制度からの支援対象額を出産育児一時金の二分の一とした場合、加入者一人当たり年間六百円、月五十円の負担増となる見込みですけれども、出産育児一時金の費用の一部を後期高齢者にも負担してもらうという考え方について、改めてお伺いをいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生からも御質問、御説明いただきましたように、今回、出産育児一時金に関しまして、後期高齢者の方から御負担をいただくという提案をさせていただいています。

 そこの背景でございますけれども、従来、後期高齢者医療制度創設前につきましては、高齢者世代も国保、健保に加入して、出産育児一時金を含めて子供の医療費について御負担をしていただいておりました。さらに、後期高齢者医療制度ができて以降、特に昨今ですけれども、生産年齢人口が急激に減少していく中で、少子化をめぐっては様々な対策を講じてきましたけれども、いまだに少子化の流れを変えるには至っていない状況がございます。したがって、今般は、少子化を克服し、子育てを全世代で支援する観点から、出産育児一時金を大幅に引き上げる、それから、あわせまして、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを導入したいと考えております。

 この制度改正によりまして、令和六年度から高齢者の方々に新たな御負担をお願いするということになるわけですけれども、その場合でも、高齢者全員に一律の負担をお願いするのではなく、低所得の方々の負担増が生じないよう、負担能力に応じた負担とさせていただく。それから、出産育児一時金に対する後期高齢者からの支援対象額を二分の一にするなど、激変緩和措置を講じる、こういうことにしております。

 こうした措置を講じることによりまして、均等割保険料のみが賦課される約六割の低所得の高齢者の方々には、制度改正に伴う負担の増加が生じないようにする。さらに、その上の所得の約一二%の方々につきましても、令和六年度、制度改正に伴う負担の増加が生じないようにするというようなことにしております。

 こうした制度改正の趣旨や内容につきまして、激変緩和措置を含め、被保険者お一人お一人へお知らせをお送りするなど、丁寧な周知広報に取り組んでまいりたいと考えております。

高木(宏)委員 出産費用については、都道府県別の公的病院の平均出産費用で、最高額の東京と最低の佐賀県で約二十万円もの差があります。この大きな地域差の存在や、出産費用が年々増加傾向にあること、それから、出産育児一時金を出産費用が上回る状況が続いていること、また、出産育児一時金を引き上げることが更に出産費用の増加につながるという懸念もございます。適正な出産費用の在り方を検討していく必要があります。それがまさに見える化だと思います。一時金の効果というのが十分に発揮されるためにも見える化は必要で、出産育児一時金の増額と見える化はセットと考えております。

 出産費用の見える化について具体的にどのように進めようとしているのか、見える化によって妊産婦側と医療機関にとってどのようなメリットが期待されるのか、併せてお伺いします。

伊原政府参考人 御指摘いただきましたように、出産育児金の大幅な増額と併せまして、出産費用などの見える化、これを強化していくことが大事だと考えております。

 具体的には、医療機関等の機能や出産に係る運営体制、分娩費用、室料差額や無痛分娩の取扱いなどサービスの内容や費用の公表方法、これなどについて医療機関等に報告を求めまして、あわせて、平均入院日数とか出産費用の平均値、これらを公表させていただきたいと考えております。

 具体的には、来年の四月をめどに、厚生労働省が新たに設ける見える化のためのホームページで各医療機関ごとに公表したいと考えております。

 具体的な進め方でございますけれども、本年夏までに、有識者による検討におきまして公表項目などの整理を行います。その後、医療機関等の協力を得て、必要な情報の収集やホームページの立ち上げを行うと考えておりまして、一定の作業期間を要することから、先ほど申しましたように、本格稼働は来年四月を予定しております。

 ただ、できるだけ早く取り組むということで、公表項目が取りまとまった段階で各医療機関等に対しましてその内容をお知らせしまして、自院のホームページ等において先んじて公表いただくよう促すような取組についても併せて検討していきたいと考えております。

 こうした見える化を行うことによりまして、妊婦の方々が各医療機関等における出産費用やサービス内容などの情報を入手しやすくなる、それは結果的に、適切に医療機関等を選択できるようになると考えております。また、医療機関にとりましても、妊婦の方々にその特色やサービス内容、出産費用の状況などを理解いただいた上で、出産施設の選択肢の一つとして検討いただきやすくなる、このようなメリットがあると考えております。

高木(宏)委員 しっかりと見える化は進めていただきたいと思います。

 先週の金曜日、政府が異次元の少子化対策のたたき台を公表いたしました。その中で、「出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う。」として、出産費用の保険適用導入に向けて検討していくこととしております。

 今回、出産育児一時金の増額に併せて、後期高齢者医療制度が費用の一部を負担する仕組みを導入するわけですけれども、出産育児一時金というのは、出産費用の地域差の存在やサービス内容が一律でないといった理由から保険適用が難しいためこういった制度があるわけですけれども、出産育児一時金の増額と保険適用の導入の整合性、これをどう説明するのか、まずそれをお伺いします。

 それから、保険適用となった場合、出産育児一時金の取扱いはどうなるのか、あるいは三割の自己負担分はどうするのかといった課題も多く、社会保障審議会の医療保険部会の議論の中でも、正常分娩は現行のとおり保険適用すべきでないという意見もあったものと承知しております。保険適用した場合の課題と、妊産婦さんのメリットを含め、効果についてどう考えているのか、保険適用に向けての検討状況について併せてお伺いをします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、少子化への対応としまして、子育てを全世代で支援するという観点から、今、法案を出させていただいていますように、出産育児一時金の大幅な引上げを行うとともに、これと併せまして、来年度から後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを導入したいと考えております。

 出産費用の保険適用につきましては、この四月からの出産育児一時金の引上げを踏まえまして、今後、来年四月から実施する見える化の効果検証、これを行った上で、令和八年度をめどに検討を進めるとしております。

 仮に保険適用を行うということになった場合でも、健康保険法上の出産に関する保険給付であることに変わりはございません。したがいまして、今回提案させていただいている後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援する仕組みにつきましても、全世代で子供、子育てを支援する観点からは重要であると考えておりまして、こうした仕組みは維持されるものと考えてございます。

 具体的に、今後、出産費用の保険適用につきましてどのように検討していくのか、その課題、効果という御質問でございました。

 御質問の出産費用の保険適用につきましては、健康保険法上、出産というのは、疾病、負傷とは別の保険事故として位置づけられております。そういうこともありまして、これまで出産育児一時金につきましては現金給付として行われてまいりました。仮に出産を保険適用とすることとした場合には、疾病、負傷の場合と同様に、現物給付で行うということになります。

 この場合、メリットとしましては、分娩サービスの内容が標準化されるとともに、一律の価格を設定することが可能になると考えております。

 他方、現状では、妊婦自身の自由な選択によりまして様々なサービスが提供され、出産費用の地域差や施設間の差が見られる実態がございます。出産を保険適用した場合には、この実態との乖離部分をどのように埋めていくかという課題があると考えております。

 こうした出産費用の保険適用につきましては、先ほど御紹介いただきましたように、先週の試案の取りまとめの中で、検討していくということになっておりますけれども、具体的には、先ほど申し上げましたように、今月から実施しました出産育児一時金を大幅に引き上げる、この状況を見極める、さらに、出産費用の見える化につきまして来年度から本格実施に取り組んでいく、こうした順番を考えております。

 こうした見える化の検証を行いまして、あわせまして、出産費用の上昇、地域差の状況につきましてより詳細な費用分析を行いまして、この結果も踏まえて、出産費用の保険適用の導入を含めて出産に関する支援等の在り方について検討したい、このように考えてございます。

高木(宏)委員 異次元の少子化対策のたたき台の関連でもう一問お伺いします。

 子供医療費助成に関する国民健康保険の減額調整措置の撤廃が盛り込まれました。これは、地方単独事業により一部負担金が法定割合より軽減されることにより被保険者の受診行動が変化し、医療費が増えることとなるため、地方単独事業による波及効果として増加した医療費について公費負担額を減額調整するというものですが、現在も、未就学児まで、六歳未満を対象とする医療費助成については、平成三十年以降、減額調整措置の対象外としております。

 たたき台の廃止の対象者は何歳まで想定しているのか、お伺いします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今般、小倉大臣の下でまとめられました試案でございますけれども、ここにおきまして、おおむね全ての自治体において実施されている子供医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止すること、あわせまして、適正な抗菌薬使用も含め、子供にとってよりよい医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしたところでございます。

 現在、自治体がやっている子供医療費助成措置、これの取組状況を見ますと、新生児から高校生までの子供につきまして見ますと、人口比で約九割の子供が医療費助成の対象となっている、こういう状況がございますので、今回の減額調整措置の廃止の対象につきましては、高校生までを想定してございます。

 今後、子供にとってよりよい医療の在り方については、社会保障審議会医療保険部会において議論を進めるとともに、適宜、こども家庭庁に設置される国と地方の協議の場などにおいて議論もしまして、その結果に基づいて必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。

高木(宏)委員 最後の質問になります。

 平成六年に初めて少子化や子育て支援をまとめたエンゼルプラン、これ以降、様々な支援に取り組んできましたけれども、少子化に歯止めがかかっておりません。少子化の大きな原因の一つが未婚化、晩婚化であります。生活が安定せず、家族を持ちたいと願っても実現できない若者が多い。今回、出産育児一時金を増額するわけですが、希望する方が出産できる環境を整備する、そういう意味では意義があると考えますけれども、地方での就労先の確保や、非正規がもたらす格差の是正といった雇用対策など、若年層への支援と両輪で進めるべきと考えますけれども、お伺いをいたします。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの方が、いずれ結婚することを希望しながら、適当な相手に巡り合わない、資金が足りないなどの理由でその希望がかなえられていない状況にございます。このため、若い世代の結婚の希望が、希望する年齢でかなうような環境を整備することが必要でございます。

 結婚の希望をかなえるための公的な婚活支援に取り組むべきとの声も多いことを踏まえて、こども家庭庁におきましては、地域少子化対策重点推進交付金によりまして自治体の結婚支援の取組を推進してございます。

 一方、雇用対策につきましては、厚生労働省におきまして、正社員として働くことを希望する若者については、わかものハローワーク等における安定就労に向けた支援や、正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援を行っております。

 また、非正規雇用を希望する方につきましては、処遇改善に向けた同一労働同一賃金の遵守の徹底や、できる限り早期に全国加重平均千円以上となるということを目指して最低賃金の引上げに取り組んでおります。

 若者の経済的基盤の安定を図るとともに、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備につきまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

高木(宏)委員 今回のたたき台は、既婚者や子育て世代への支援が中心で、未婚化や晩婚化対策が集中取組期間から外れております。少子化対策というのは、やはり、若者が将来に希望を持って結婚、出産まで設計できる社会をつくるのが少子化対策だと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、大岡敏孝君。

大岡委員 自民党、滋賀一区の大岡でございます。

 それでは、早速ですが、法案の審議に入らせていただきたいと思います。

 最初に資料の二枚目を見ていただければと思いますが、今回の法案の中で財政に関することが、ここに一覧にされているものでございます。まず最初に、社会保障財政全体についてお尋ねをしたいと思います。

 少子高齢化社会に突入しまして、当然、この少子高齢化を緩和をしていかないといけない、直ちに合計特殊出生率が二以上になるとは思いませんけれども、少しでも緩和していかないといけない。そうしたときには、当然、現役世代の負担をいかに軽減するかということが大事になってまいります。今回の法案でどのように財政調整がされるのか、教えていただきたいと思います。

 もう少し具体的に聞きますと、法案成立前と成立後で比べたときに、現役世代の負担は、本当に軽減するのか、あるいは増加が緩和されるのか。これは大事なポイントでございますので、本当に軽減されるのか、増加が緩和されるのか、どちらなのかということについて教えていただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、現役世代の負担増を抑制するという観点は非常に重要だと考えております。

 本法案におきましては、後期高齢者医療制度の創設以来、後期高齢者の保険料の伸びを現役世代が負担する支援金の伸びが大きく上回っている、こういうことを踏まえまして、介護保険を参考にしまして、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じになるような見直し、これをやることにしております。

 また、あわせまして、子育てを全世代で支援する観点から、出産育児一時金を大幅に引き上げまして、あわせまして、その費用の一部について、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援していただく、こういう仕組みを導入することにしております。

 具体的な数字として申し上げますと、まず、現役世代が負担している後期高齢者支援金でございますが、令和四年度予算ベースで、総額六兆九千三百十億円となってございます。これを制度改正をいたしますと、令和六年度におきましては、制度改正を行わない場合、七兆四千八百六十億円と見込んでおりますけれども、後期高齢者負担率の見直しを行うことによりまして、七兆三千九百九十億円となりまして、八百七十億円の減少と見込んでございます。さらに、出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金を導入することによりまして、現役世代の負担は百三十億円減少する、こう推計してございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 つまり、軽減をするというわけではなくて、増加が緩和されるということだろうと思います。この辺は、私、やはり国民には正しく説明するべきだと。そうしないと、正しい危機感というか、危機が伝わらないということを私は大変懸念をしております。

 次に、同様に介護まで少し視界を広げたときに、資料二枚目の裏を御覧いただきたいと思いますが、現在は、介護と医療と、一割負担、二割負担、三割負担の所得との基準がずれているんですね。当然、この危機感をベースに現役世代の負担を軽減するということを考えると、速やかに介護の方も医療に準じて所得と負担率の基準を同等にするべきだと考えておりますけれども、この点についてはどのように考えておられますでしょうか。

大西政府参考人 お答えいたします。

 介護保険制度につきましても、持続可能性をしっかり維持してまいりますためには、介護サービスの質を確保することはもちろんでございますが、高齢者の負担能力に応じた負担など、給付と負担のバランスを図っていくことが重要な課題であると認識してございます。

 このような認識の下、昨年、社会保障審議会介護保険部会におきましても、サービスの面と併せまして、給付と負担につきましても四回以上にわたりまして御議論をいただいたところでございます。そういう中で、先生御指摘の点につきましても、見直しに慎重な意見、また積極的な意見、様々な観点から御意見をいただいたところでございます。

 昨年十二月に同部会意見書をお取りまとめいただきましたけれども、その中でも、利用者負担が二割負担となる一定以上所得、先生が今おっしゃられたところでございますけれども、そこの判断基準、また一号保険料負担の在り方につきまして、遅くとも本年夏までに結論を得るべく、引き続き介護保険部会における議論を行うこととされておりまして、引き続き、関係審議会での議論等を踏まえ丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

大岡委員 夏までに結論を出すということですので、非常に強い危機感を国民と共有できるように、多少厳しい結論になるかもしれませんけれども、やはりそこは力強い結論を出していただきたいというふうに思います。

 三点目でございますけれども、保険者ですね。よく保険者機能ということが言われます。この保険者機能を強化することは当然重要なんですけれども、よく政府等のものに書かれている保険者機能というのは、健康づくりとかいうことが書かれているんですね。ただ、本来の保険者機能からすると健康づくりなどというのはごく一部でありまして、本来は、資格確認やレセプトのチェック、分析、あるいは、実績の悪い医療機関については、治らないとか不適切な治療をしている疑いがあるとか、そういったところにはちゃんと注意、啓発をしていく。あるいは、それを基に加入者の行動変容をしていくということが本来の保険者機能でございます。

 当然、過度な費用抑制に走るというのは私も反対です。正しい適切な保険者機能を発揮する体制づくりを行わないと、最初の一番目の答弁でありましたとおり、もう現役世代の負担を緩和していくということすらおぼつかないということを考えますと、やはり本来持つ保険者機能をしっかりと強化していくべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 まして、その費用、コストもかかる話ですけれども、現在、デジタル化、AI化などの技術も進展しておりますので、これは速やかに権限付与などを導入するべきじゃないかと思っておりますが、どのように考えておられますでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、医療の質の向上、そして何より効率化の推進に当たりましては、保険者機能の発揮は大変重要であると考えております。

 特に、健康保険組合におきましては、労使協調の枠組みの中で、保険料率の設定や付加給付の実施など自主自律の運営を行っていただいておりますし、近年では事業主と連携した保健事業を実施するなど、公的医療保険制度の重要な担い手となっております。

 こうした中で、健康保険組合における業務効率化を図りまして、保険者機能をより発揮できる体制づくりを進めるという観点から、特に昨今はデジタル化に向けた取組、これが大事だと考えております。オンライン資格確認の普及に当たりまして、保険者としてのしっかりした入力を始めとした取組、これも今取り組んでいただいておりますし、国といたしましても、適用事業所からの届出等、紙から電子申請に移行するための環境整備を進める、あるいは書類のペーパーレス化についてもしっかりと取り組んでいただく、こうした支援措置を講じているところでございます。

 また、もう一つ、保健事業、これも非常に大事でございます。

 具体的には、保険者インセンティブ制度において、予防・健康づくりについての事業主と連携した取組の評価、あるいは、健康保険組合に対しまして、成果連動型民間委託契約方式に伴う保健事業、これのモデル構築のための補助金の交付、こういう取組も進めておりまして、保険者機能の支援、強化に努めてまいりたい、このように考えております。

大岡委員 補助金等様々な取組をされているのは評価をしますが、何よりも権限付与です。補助金じゃなくて権限付与。これをやることによって、本来持つ保険者機能を発揮していただきたいと思っております。

 総じて、私がなぜこういう厳しいことを言うのかというと、私は相当に強い危機感を持っているからなんです。少子高齢化、本当に国家存亡の危機だと思っておりまして、私と伊佐副大臣とは同世代でございますけれども、私たち、同級生二百万人以上いるんですね。二百万人以上が、政治をやったり、行政をやったり、建設業に従事したり、製造業に従事したり、サービス業に従事したりして、それで社会を回している。今の子供たちは八十万人でこれを役割分担しないといけないわけでしょう。私、本当に厳しい状況になると思っているんです。したがって、本来、国民全体が共有しないといけない危機感を正しく伝わるようにしていただきたい。

 私は、厚労省に一つお願いをしておきたいんですけれども、例えば今回の法案でも、全ての世代で公平に支え合うとか、高齢者が支援するとか、そういったことが書かれていますけれども、実態は少し違いますよね。言葉を上手に選び過ぎている。出産費用の保険適用だってそうだし、この後議論しようとしているかかりつけ医だってそうだし、同じ言葉だけれども、同床異夢を生み出してしまっているんですね。言葉の使い方というか、正しく国民に状態を伝えられる言葉遣いというのは、少し考えていただきたい。何となくきれいに聞こえる、何となく耳当たりはいい。ただ、同床異夢を生み出してしまうというのは、やはり、行政として正しい状況を国民に伝えるということにつながりませんので、このことは皆さんに指摘をしておきたいと思います。

 次に、今回の法案の中の重要な項目でございます、地域医療を支える体制についてお尋ねしたいと思います。

 特に、コロナが拡散した時期において、国民の多くから、かかりつけ医とは何なのかという疑問が呈されました。これは、これまでの様々な質疑でもあったことでございます。

 まず、これまで、私も、かかりつけ医というのは何なのかよく分からないでいたんですけれども、これまでもかかりつけ医ということは言ってこられたと思いますけれども、これまでは一体、何を指してかかりつけ医と言ってこられたのか。また、今回の法案を受けて、今後、かかりつけ医とはどういう位置づけになるのか。この点について教えていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきましては、医療法の中に、かかりつけ医機能につきまして、医療機関の機能ということで、身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能と規定することとしてございます。

 お尋ねのかかりつけ医につきましては、この法案におきましては規定することとはしてございませんけれども、一般的には、日頃からかかっている身近な医師や医療機関を指しているものというふうに承知をしております。

 厚生労働省としても、各種施策の推進に当たって、こうした一般的な用語として使用してきているという状況でございます。

大岡委員 これも、先ほど申し上げたとおり、言葉が曖昧過ぎて、国民に正しく状態が伝わっていないんだと思います。

 昨日、参考人の審議をした中で、日本医師会の資料のかかりつけ医の定義を読むと、極端なことを言えば、大学の医学部の教授もかかりつけ医に入ってしまう。そういうことでは、やはり、国民に正しく状態が伝わりませんので、ここはしっかりと説明をしていただきたいと思います。

 今回の法案で、先ほど御答弁のありました、かかりつけ医機能を定めて公表して、今後の制度整備に生かすということ、これは評価をしたいと思います。資料の二枚目の表に書かせていただいておりますけれども、資料をつけさせていただいておりますけれども、我が国の特徴は、国民皆保険に基づいて、国民の側が選択できる公的な医療を提供しているというのが最大の医療の特徴であり、強みなわけですけれども、それでは、国民が選択をするに当たって最も知りたい情報というのは何なのか、どう考えているのか、今回それが提供できるのかどうかについてお答えいただきたいと思います。

伊佐副大臣 今回の法律におきまして、かかりつけ医機能の五つを確認して公表するということになっております。

 かかりつけ医機能、この内容の五つでございますが、よくある疾患への対応、夜間、休日の対応、また医療機関との入退院の連携、在宅医療、そして介護との連携ということになってございますが、これは、特に、これから、複数の慢性疾患、あるいは医療と介護の複合ニーズを有する高齢者の増加が見込まれる、こういう方々にとって地域で必要な機能は何かという観点で、全世代型社会保障構築会議あるいは社会保障審議会医療部会で議論をしていただきました。その結果として、この五つの事項を法律案で具体的にお示ししたということになっております。

 必要な報告するべき機能がこれらのほかにもしあれば省令で定めることもできるような仕組みにしておりまして、今後、具体的な機能の在り方などについては、有識者等の意見を聞いて、適切に定めてまいりたいというふうに思っております。

大岡委員 そうなんだろうと思います。

 ただ、まず、国民が一番知りたい情報とは何か。これはもう実はシンプルで、どこの医者がやぶ医者で、どこの医者がやぶ医者ではないのかということが一番知りたいんですよね。もうこれはシンプルなんです。

 ただし、別に医者を擁護するわけではないんですけれども、やぶかやぶじゃないかということが発生するときには、往々にしてミスマッチもあるわけです。

 例えば、内科といったところで、その先生は消化器に関してはプロフェッショナルだけれども、呼吸器に関してはそれほどプロではない、大病院でずっと消化器をやり続けてきたので消化器に対してはレベル五だ、ただし呼吸器に関してはレベル一だということだってあるわけです。それが国民の側から分からないので、内科だと書いてあるから呼吸器疾患で行ったら、残念ながら、その方はずっと消化器の本当のプロ中のプロだけれども呼吸器はそうでもなかった、したがって、やぶ医者と思われてしまったということだってあるわけです。

 したがって、今回、機能を公表するのであれば、まさにこのよくある疾患とは何なのかということをもう少し因数分解しないといけないと思っています。そうしたことを考えておられるのかどうか、教えていただきたいと思います。

伊佐副大臣 今回の構築会議、また審議会の医療部会において検討させていただいて、大枠として五つの中身を法律で示させていただいたということでございます。ここの詳細については、今後、有識者等の意見を聞きながら定めていきたいというふうに思っております。

 なかなか、やぶ医者かどうかというのは、非常に、基準がまず難しいのではないかというふうに思っております。

大岡委員 できるだけ頑張って答弁をしていただいたんだと思いますが、やぶ医者かどうか難しいんですけれども、ただ、この表にあるようにマルかバツかだけでやってしまうと、何も分からないわけです。

 この先生は、例えば経歴を載せる、あるいは自分がこれまでやってきた手術なり治療なりを載せることをすれば、内科と標榜しているけれどもこの人は消化器のプロだとか、この人は循環器のプロだということは分かるわけですよね。内科といっても、消化器もあれば呼吸器もあれば循環器もある。例えばそれぞれどういったことをやってきたのかが分かれば、こうした患者とのミスマッチは起きないわけです。この人は消化器のプロだと分かれば、消化器疾患の人はそこに選択して行けばいいし、この人が呼吸器のプロだと分かれば、そっちに行けばいい。

 だから、もう少し、このよくある疾患というのをしっかり因数分解をしていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

伊佐副大臣 結論としては、これはまた引き続きしっかりと有識者等で議論していくということになると思いますが。

 その上で、恐らく、各医療機関におきましても、当然、私の医療機関ではこういうところを集中的に、あるいは、様々な治療、こういう治療を行っていますという広報のところもあるんじゃないかというふうに思っております。

 いずれにしても、詳細については今後しっかりと議論してまいりたいというふうに思っております。

大岡委員 あわせて、今回、こうしたマルかバツかとか、かかりつけ医になれるのかなれないのかということにプライオリティーを置かれてしまっているというのは、何となく医療の業界では、私はかかりつけ医になれるのかなれないのかということに関心が置かれているというのは、全体のビジョンをしっかり示せていないからだと思うんです。

 例えば、眼科とか整形外科とか、眼科に行って循環器疾患を見てもらおうという人は基本的にはいないわけですよ。でも、かかりつけの眼科というのはあるわけです、かかりつけの整形外科はあるわけです。

 それと、何度か議題になりました、例えば精神科。最もばらつきが多いと言われている精神科です。精神科だって、当然、一定の能力や実績を評価をする仕組みをつくってあげないといけない、最もばらつきが多いと言われているんですから。でも、同時に、心に疾患を持っておられる方はできるだけ早く受診をして、一定の治療なりコンサルティングを受けた方がいいということは言われているわけじゃないですか。ひどくなる前には、必ずよい精神科の先生に受診した方がいいということは言われているわけです。

 したがって、かかりつけ医という言葉をもう少し丁寧に使っていただきたいのと、やはり、あらゆる分野において当然かかりつけはあり得るわけですから、もう少し外来医療の提供については、きめ細かくというか、きめ細か過ぎると分からなくなってしまうので、一定の因数分解をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 あわせて、今回の件で、これが行政行為だとか事実行為だとかはちょっと私もよく分からないことなんですけれども、言っておられますけれども、今回、県が確認するということになっている。

 確認はしてみたところで、行ってみたら、例えば夜間、休日対応をしてもらえなかった、あるいは退院後の支援をしてもらえなかった、あるいは、プライマリーケアができると言っているけれどもプライマリーケアの分野の治療がしてもらえなかったという訴えがもし国民からあった場合には、このマルとかバツとかの判断というのは行政の側で変更するんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきましては、今委員御指摘いただきました、地域の医療機関が自らの有するかかりつけ医機能を都道府県に報告をして、都道府県において、報告を受けた機能に係る体制を有しているかを確認をして、地域の関係者の協議の場に報告するとともに公表するということにしてございます。

 この法案で行います確認につきましては、一定の基準に照らしてその体制を有しているかどうかということを確認するものでございまして、国民から、今委員お話ありましたような訴えによって、医療機関からの報告内容とその報告された機能に係る体制が異なるという御指摘をいただいたような場合においては、まずは都道府県が医療機関の報告内容をよく精査をするということが必要になってくるかと思っております。

 それと併せて、実際に体制を有していないということが明らかになりました場合には、その機能については都道府県による公表の対象外ということになってまいるというふうに考えております。

 こういった確認をきちんと行うということが、やはり国民の皆さんにきちんとした情報を提供するという上で非常に大事なことだと思っておりまして、具体的にどうやってこれを確認を行っていくのか、その方法また頻度といったことについては、今後、有識者などの御意見をお伺いしながら検討していきたいというふうに考えておりますが、要件を客観的なものとするなどして医療機関や自治体の負担にも配慮しながら、制度の目的を踏まえて、必要な範囲できちんと報告、公表がなされますように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

大岡委員 御答弁はそのとおりなんだろうと思いますけれども、だとすると、事実行為だ、行政行為だと言っていた議論があったかと思いますけれども、つまり、行政行為に近い事実行為という理解でよろしいんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、今回私どもが御提案しております都道府県が行う確認というのは、あくまでも一定の基準に照らして体制を有しているかどうかということを確認するという意味でありまして、それに何らかの法的な効果を伴うということではございませんで、まずそのファクトをきちんとチェックをするという意味で、今回、この位置づけは整理をさせていただいているというものでございます。

大岡委員 何かいろんなところからいろんなことを言われているんだろうと思いますけれども、やはり国民にとってどうかということが一番大事でございますし、皆さん、国家公務員ということは、国民のために尽くすのが皆さんに与えられた仕事でございますので、国民の視点で正しく確認をしていただきたいということを言っておきたいと思います。

 次に、昨日、参考人の皆様から御意見をいただきました。非常に貴重な御意見が多かったと思います。

 中でも、総合診療、プライマリーケアの実現というのが非常に大事だということを感じました。その中で御指摘のあったことですけれども、現在は総合診療医を標榜できないと。恐らく、私の認識が正しければ、もう総合診療医を養成し始めて十年ぐらいたっている。まだ確かに開業をされる先生方というのは少ないのかもしれませんけれども、当然、この総合診療医というものを標榜することができるようにするべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

 あわせて、いわゆるかかりつけ医の信頼を高めるためには、医学の関連学会が中心となって養成や研修をちゃんとやって、厚労省はそれを認定する仕組みというのをつくっていかないと、国民の信頼を安定させるということにつながらないと思いますけれども、この点についてどのように考えておられるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、総合診療医の標榜ということで御指摘がございましたけれども、今、日本専門医機構が認定している専門医ということで総合診療専門医というものがございますが、これについては、広告をするということは可能な形になっているところでございます。

 それから、今後のかかりつけ医機能を有する医師の育成に向けてということで御指摘を頂戴いたしました。

 御指摘いただきましたように、地域で必要なかかりつけ医機能を確保するための具体的な方策ということでは、例えば、病院の勤務医が地域で開業して地域医療を担うために行う研修あるいは支援といった企画を実施していくといった取組を、地域の実情に応じて行っていただくということが重要であるというふうに考えてございます。

 社会保障審議会の医療部会におきましても、こうした取組を後押しするために、厚生労働省において、研修の標準的な基準の設定などを通じて研修などの量的なあるいは質的な充実を図るということ、また、既にこうした研修や教育に取り組んでいただいている民間団体などとも協力をすることといった御指摘、そういう御意見を頂戴しているというところでございます。

 私どもといたしましても、法案が成立いたしましたら、施行に向けて、このような御意見があったことや、また今委員から頂戴いたしました御指摘なども踏まえまして、地域の協議の場において検討する具体的な方策や国の支援内容につきまして、有識者などの御意見をお聞きをして詳細を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 ちょっと、局長、確認をしたいんですけれども、昨日、私がお話を伺った草場理事長は、まず、総合診療医とは標榜できないと。しかも、彼が最も強くおっしゃっていたのが、公的な研修、それと認証の制度、これでしっかり位置づけることが重要だということをおっしゃっていましたけれども、そこには少し認識のずれがあるんですか、誤解があるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただいたのは、恐らく、総合診療専門医が総合診療科といったような形で、標榜科としてそういう専門分野を標榜できないかという御指摘があったものというふうに思います。

 この点について申し上げますと、医療機関の診療科名につきましては、国民が自分の病状に合った適切な医療機関を選択することを支援するという観点から、医療法施行令で定めた診療科の名前に限って標榜するということが可能な仕組みになってございます。

 具体的には、その判断に当たっては、独立した診療分野を形成していること、国民の求めの高い診療分野であること、国民が適切に受診できること、それから、国民の受診機会が適切に確保できるよう、診療分野に関する知識、技術が医師に普及、定着していることといった基本的な考え方を踏まえて、総合的に判断をした上で、医学医術に関する学術団体や医道審議会の御意見をお伺いして標榜可能な診療科を定めるということにしてきているところでございます。

 御指摘の、昨日の参考人質疑でもお話があった総合診療科という診療科目名につきましては、現時点では、こういった今御紹介した四つの考え方に照らして、それらに合致すると判断できる状況にないことから、まずは学会や医療機関における知見の収集、蓄積の状況を注視していきたいというふうに考えているところでございます。

大岡委員 何か、先ほどの説明だと、確かに養成して十年たっているわけですよね。しかも、プライマリーケアというのは、どうしても科を重複することが多い、科をまたぐことが多い。場合によっては、フレイルとか、内科から介護や整形領域まで行くことも多いですよね。だから、さっきの四つ目の指摘で、医師の世界に広く普及しているかどうかというと、これはいつまでたっても普及しないですよ、どう考えたって、まだ十年しかたっていないんだから。だから、もう少し実態と皆さんのやりたいことを踏まえて、やはりそこは積極的にアプローチをしていくべきだと考えておりますので、それは意見として申し上げておきたいと思います。

 最後の質問、三枚目の裏を御覧いただきたいと思いますけれども、地域の拠点、そして日本の医療の根幹を支えている各病院について、十年前から、地域医療構想によって、病床の見直しを行いつつ、機能分担、役割分担を進めるということを進めてきたかと思います。

 一方で、その間にコロナが来て、少し、ちょっと通常ではない対応があったりして、一旦これは止まってしまっているんじゃないかと私は懸念を持っておりますけれども、一方で、少子化というよりは高齢化の加速状況を考えると、速やかに、この目標に目がけて更に、例えば都道府県に権限を与えるなどして病床の見直しを進めなければならないと考えておりますが、現状どう捉えているか、そして今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。

伊佐副大臣 中長期的な人口構造の変化に伴いまして、医療のニーズも変化をいたします。それに合わせてしっかりと医療提供体制を確保するという点で、地域医療構想を進めることは重要だというふうに思っております。

 二〇二五年時点の医療機能ごとの病床数の見込みを報告をしていただいて、病床数の必要量と突き合わせるということでやらせていただいております。報告は病棟単位、必要量は病床単位ということで、多少の誤差はあると思いますが、ただ、二〇二一年度の病床機能報告を見ておりますと、それだけでは説明できないような差異が生じているというような構想区域もあるという状況になっております。

 こうした中で、これまでは、各医療機関に対しては、見込み、自主的な報告をお願いしておりました。これを今後は、医療機関として担うべき役割、また持つべき医療機能ごとの病床数、こういうものを含めた対応方針をそれぞれ策定していただく。そして、この対応方針について地域医療構想調整会議で合意することを求めております。

 また、都道府県に対しては、検討状況の公表、厚生労働省への報告もお願いをしておりまして、昨年九月末の時点におきましては、この医療機関単位、医療機関数では三六%、病床単位では六一%が合意済みというふうになっております。

 本年三月三十一日に更に通知を出させていただいて、この対処方針がまだ策定されていない、策定率が一〇〇%でないところについては、構想区域ごとに策定率の目標を定めていただいて、そしてまた、PDCAサイクルを通じて進捗状況の検証を求めるということも行っております。

 引き続き、都道府県の意見も伺いながら、必要な対応をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。

大岡委員 時間が来たので終わりますが、この国家存亡の危機に際して、もう皆さんに期待するしかないんです。私たちもしっかり応援しますので、頑張って仕事していただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党、早稲田ゆきでございます。

 それでは、全世代型社会保障制度の法案について、そしてまた、三月十日にお約束をいただきました、厚労大臣から、エホバの団体に対する聞き取りについて、これも伺わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭ですが、昨年十月の当厚労委員会で質問を大臣に対していたしまして、ILOの勧告を踏まえて職場における搾乳室の設置の推進をお願いしたところ、早速、厚生労働省内の状態を把握をしていただきまして、そして、十一月には、休養室で搾乳ができるということを広く周知をしていただきました。さらに、先月には、搾乳室を設置をしている企業に対してヒアリングもした上で、このリーフレットを作って周知を図っていただくということ、公表をしていただきました。早速のお取組でありまして、これは、今までトイレで搾乳をしていたとか、そういう方々もおられますので、大変重要な取組を早速にしていただきましたことを心から感謝を申し上げます。

 その上で法案の審査に入ってまいりますが、全世代型の持続可能な社会保障制度を構築をするための法案だということですけれども、その中身を見てみますと、全くこの大きな名称には値をしない内容であります。この法案が通りましても全世代が安心するとは到底思えない、小手先の議論ばかりを集めたと言わざるを得ません。

 さらに、その中で、出産一時金の内容が入っているわけですけれども、出産費用が保険適用外であることを前提に、この出産一時金の引上げ及びそのための後期高齢者医療制度の負担増の法案が、まさに今のこの法案であります。

 これを提出をしているにもかかわらず、国会に審議を求めている最中に、真っ最中に、百八十度方向性を異にする出産費用の保険適用化を、政府として、子育て政策強化策の試案に入れている、岸田総理もおっしゃっている。政府として全く違うものを打ち出している、審議の最中に。その理由と整合性について、大臣に矛盾なく御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今回の法案の提出の背景においては、出産における費用が年々高騰し、それに対応していく必要があるということで、出産育児一時金の引上げを行うことといたしました。この引上げに当たっては、幅広く様々な世代から支援をしていただくという観点から、後期高齢者医療制度においてもその負担をお願いをさせていただくという形で、今回の法案を出させていただきました。

 同時に、今回の法案においても、引上げと併せて出産費用の見える化を進め、そして、その状況を分析をしていく。そもそも、昨年末における専門家の議論においても、出産費用については、年々上昇しており、地域差もあることから、引き続き、こうした状況を踏まえたより詳細な出産費用の分析を行うとともに、出産費用の見える化の効果などを踏まえ、引上げ後三年を目途に、出産育児一時金の在り方について、今後の整理も踏まえ、検討すべきとされたところでございます。

 その後、総理の方から、今年の一月でありますけれども、まさに異次元の少子化対策に取り組むという方針が出され、そして、国会等でも保険適用の議論についても様々な御議論も頂戴をし、そうした中で、先般の小倉大臣の下での取りまとめられた子供、子育て政策の強化に対する試案において、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行うということとさせていただいたところでございます。

早稲田委員 矛盾なきよう御説明していただきたいということなんですね。

 これまで総理も、御答弁の中では、ずっと出産費用の保険適用について、課題が多い、慎重にということを、出さなかったわけです、それ以上。それなのに、今回、この一時金を上げて。見える化はいいです、見える化はもちろん必要だと思いますし。でも、保険適用に百八十度転換するという、その内容にはなっていないんじゃないでしょうか。

 今までこの中に入っている問題と、それから保険適用というのは、もう全然違う話です。そして、疾病ではないとずうっとおっしゃってきたじゃないですか、政府は。それにもかかわらず、もう何か取ってつけたような形でこれを入れてきたというのが、非常に、少子化対策、強化策とはいっても、これは、しかも統一地方選挙の告示日に出されている、そういう選挙対策にすぎないんじゃないかと大変心配をするわけです。こういうことを、今審議をしているものと全く別のものを突然出してくるということは、国会を軽視しているとしか言いようがありません。

 少子化対策のこれから十年間でやらなければならない、十年では遅い、もう本当に正念場であります、六年、七年が。その認識を前提とすれば、この出産費用の保険適用化、いつ頃の実施を目指すことになって、また、法案提出、そうしたことも、見通しはどのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まず、足下においては、出産育児一時金の引上げをしなければならない、これは多分、委員と一緒の認識だと思います。そして、その財源をどういう形で負担をしていくのかという中において、やはりこれからの子育て支援を考えれば、幅広い世代が、できる能力の中で応援をしていただくという形が必要だということで、今回、こういう法案を出させていただきました。

 しかし、更に今後のことを考えれば、いろいろなことを議論していく必要があり、その中には、出産費用の保険の適用の導入も含めた検討が必要だということを申し上げているわけでありますから、現時点における対応と今後の検討、これは切り分けてお話をさせていただいているつもりではありますけれども。

 その中で、いつ頃、その検討を進めていくのかというお話でありますが、子供、子育て政策の強化に関する試案においては、今後三年間で加速化して取り組む子供、子育て政策として、本件についても盛り込まれているところでございますので、それを踏まえ、まずは、出産育児一時金の大幅引上げ、そして、見える化の効果検証を行い、その上で、出産の保険適用について検討をするということでありますから、令和八年度が目途になるのではないかと想定をしているところでございます。

早稲田委員 では、検討をして、検討をした結果、保険適用をしないという選択もあるということですか。

加藤国務大臣 まさにこれから検討するということでありますから、これからどうなるかについては、予断を持って申し上げるのは今の時点では難しいということであります。

 ただ、その方向性をお示しをさせていただいた、検討の俎上に、出産費用の保険適用の導入、これも上げるということを明示的に示させていただいたということであります。

早稲田委員 明示的にとおっしゃいますけれども、もう出した瞬間、そういうふうに社会は動き出すわけです。全然、それでは御答弁になりません。

 三月三十一日に発表された政府の子供、子育て政策の強化についての試案、そして異次元のと書かれておりますけれども、私たちはずうっと立憲民主党として、様々、長年の間言ってきた課題がこちらにほとんど盛り込まれております。そして、今までは、できない、できない、課題が多い、財源がないと言ってきたものを、この統一地方選挙の告示のタイミングで、ただただ項目だけ出す、財源もない、そして選挙目当ての手法であると言わざるを得ません。

 私は、今回、国民のためにということであれば、大転換の方針ですから、もっときちんと積み上げて、その保険適用の話も検討もすべきだと思います。こういうタイミングで、今、一時金を引き上げて、後期高齢者医療制度でやろうとしているところでやるというのを、やはり私は軽視だと思います。

 その上で、予算委員会の方では、私、小倉大臣に御提言を申し上げました子供の医療費助成制度の創設と、それから国保への国庫負担の減額調整廃止、これもこの試案にやっと盛り込まれました。これもずっと知事会が言っていた課題でありまして、ペナルティー、まさに子育て罰の象徴のようなペナルティーでありました。これをやっていただくことは評価をいたしますけれども、これも厚労省が制度設計をすると思います。迅速にお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、医療部分について、次の質問に移ります。

 前期高齢者納付金の一部に、被用者保険者の報酬水準に応じた調整が導入されることとなりました。これは、後期支援金、介護納付金に次ぐ導入であり、現役世代から見ると負担増の改正となります。また、この現役世代の負担増に対し、一方では、今般の改革においては、財政が厳しい健保組合の交付金事業に対する健保連への財政支援の導入、また、被用者保険者の後期高齢者支援金等の負担が大きくなる場合の財政支援の拡充が見込まれ、全体としては、現役世代に負担増がないということは一定の評価をしたいと思います。

 その上で、立憲民主党は、二〇二一年四月七日、後期高齢者医療保険の保険料賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に所得の高い方の負担をお願いするとともに、後期高齢者のうち、中低所得者の保険料の公費投入を柱とする議員立法を出しております。二枚目の資料でありますが。

 このようにして、やはり高齢者の保険料負担率の見直しは、やはり応能負担のことも含めてやっていかなければならないと思っておりますし、将来にわたって現役世代にこれ以上の過重な財政調整を行わないようにすべきというのが私は一番の主眼だと思いますが、大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 まず、基本的に、今委員おっしゃったように、全世代型社会保障制度の構築をするに当たっては、ある世代ということではなくて、それぞれの世代の中で、負担能力に応じて増加する医療費を公平に支え合う仕組み、この構築を図っていくということが必要だというふうに考えております。

 今回の法案では、後期高齢者の保険料の伸びと、現役世代が負担する支援金の伸びが著しく異なるということから、それを合わせていくという形での調整もさせていただきました。

 また、前期高齢者の医療給付費を保険者間で財政調整する仕組み、いわゆる前期財政調整については、被保険者間で、報酬水準に応じた調整を導入する見直しを実施するものであります。

 こうした導入は、先ほど申し上げたように、負担能力に応じた仕組みを強化することで、被用者保険者間の保険料負担の格差を是正し、現役世代の保険料負担をより公平なものとするものであり、将来にわたって社会保障を充実させる観点からも必要な取組だというふうに考えているところでございます。

 今回、報酬調整の導入範囲については、いろいろな議論があり、調整対象額の三分の一にとどめることにしたところであります。

 今後においては、今回の報酬調整の導入による格差是正の効果や、各保険者に与える影響を見極めていく必要があるというふうに考えています。

早稲田委員 医療保険制度全体の負担の在り方ですけれども、今、現役世代が大変苦しい状況になっております。非正規雇用の方も増えている、そして賃上げもままならないという中で、働いて出して、そして負担ばかりが多くなるということが、やはり、この負担軽減を図る方向に持っていかないといけないということを私は申し上げておきたいと思います。

 次に、ナースプラクティショナー、診療看護師、NPの制度化についてであります。

 今回の法案につきましては、かかりつけ医制度というもの、かかりつけ医についての議論が大変集中的になされているわけですけれども、地方だけでなく大都市圏におきましても、在宅診療の現場においては非常に医療人材が不足をしております。タスクシェアを更に推進していくことが必要なのではないかと思います。

 昨日の参考人質疑に来られました、日本プライマリ・ケア連合学会の草場理事長もおっしゃっているように、とりわけ訪問介護の現場では、医師をピラミッドとした、各種指示を前提とした制度設計がなされていて、いつまでたっても看護師も医師の指示がないと自主的に動けない、動かないというような悪循環に陥っているということだろうと思います。

 そして、特に、訪問看護師の手元に薬剤や輸液がないことで、発熱、脱水、痛み、こうしたものに即時対応できないということはこの資料の方にも書かれているわけですけれども、草場先生も、小手先の規制改革でなく、国家資格を持つ専門職がより対等に、自立して協働できる、そして、もちろん安全、安心ということは第一でありますけれども、そういう意味でも、研修をして、この国家資格を持つ専門職が対等にやっていくべきではないかということもおっしゃっています。

 しかし、今の特定行為の研修は費用が高く、日数も長いのに研修成果を生かせる環境が整っておりません。大病院などにこのNPが配置されるということはあるわけですけれども、活躍の場が非常に偏っているわけです。

 だからこそ、今、内閣府の規制改革推進会議においても議論されてはおりますけれども、こうした訪問看護のステーションへの配置可能な薬剤の対象拡充ということだけでは、これはもう、その先、まだまだこれでは進まないと思います。中途半端であります。

 二年前に、私、質問主意書を出させていただいておりまして、これも検討を進めるということでしたので、是非、このナースプラクティショナーの国家資格の創設、これは立憲民主党の政策にも掲げておりますが、この制度化をきちんと進めるべきだと考えますが、大臣の御見解を伺います。

加藤国務大臣 今お話がありました、看護に関する新たな国家資格の創設については、関係職種の業務分担にも影響を与えるということ、また、その必要性等について必ずしも共有されていないという中で、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

 ただ、他方で、今お話がありましたナースプラクティショナーの関係でありますが、看護師が、保健師助産師看護師法五条に基づき実施可能な診療の補助の範囲内において、質の高い医療を提供いただけるよう、特定行為研修を推進していくことが重要であると考えておりますので、引き続き、多くの看護師に特定行為研修を受講していただけるよう取り組んでいただきたいというふうに思います。

 済みません、今、ナースプラクティショナー、申し上げましたのは、そうではなくて、特定行為研修を行うということでございます。

早稲田委員 将来的に、在宅医療というのが、訪問看護師が主になって提供されるようになるのではないかと思います。そしてそのためには、処方権を持ったナースプラクティショナーを育成をすることは、そしてまた、後方支援で、オンラインで医師がしっかりと役割分担をしていくこと、これは重要な制度であると思っています。そうでないと、なかなか、今のままで、特定研修で専門家を育てるといっても、実際に訪問看護師がそうしたことを取るというところまでインセンティブも上がりませんので、しっかりとそうした在宅医療のことも含めてお考えをいただきたいということを強く申し上げておきます。

 次の質問ですが、介護保険制度について、これは今回ほとんど先送りをされました。その中で、時間がないのでちょっと意見だけにいたしますが、とりわけ平成二十六年の介護保険改正による総合事業への移行によって、改正前と同一の水準及び内容の介護等サービスが提供されない事例が多々発生しております。

 こうしたことの発生状況についても、制度を改善したらその後はどうなったかということについて、きちんとデータで把握をしておくべきではないでしょうか。そうでないと、次のよい制度改正につながらない。そして、実態把握に努めていただけるのは厚労省しかありませんから、そうしたことをもって、審議会で議論するだけでなく、国民的議論をするためには、データを公表し、そして国民にも分かりやすくしていただく、それによって介護の質も上げていくということをしないと、もう、いつまでたっても同じことでありますので、このことは強く申し上げたいと思います。

 それから、介護休業についてです。

 家族の介護それから看護のために離職した労働者は、年間十万人と、推移しております。非常に、働きながら介護を遠くまでしに行く男性の方も増えています。また、さらに、離職した後の再就職、これが三割であって、多くが非正規雇用となっています。さらに、育児と親の介護を同時に担っているダブルケアの方も、人口で二十五万人ぐらいと推計もされています。

 こうしたことも踏まえて、参議院の附帯決議、二十八年の雇用保険法改正がございましたけれども、このときに、附帯決議に基づいて、厚生労働省は今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会を、今年に入ってやっとこれが立ち上がりました。企業についてヒアリングするということでありますけれども、連合からは、介護休業期間の九十三日間から一年への延長、それから有期雇用労働者の育児休業、介護休業の取得要件の撤廃、みとり介護における介護休業期間の延長特例など、提案がなされることと推察をされます。

 きちんとこうしたこともやっていただきたいし、介護休業中の社会保険料について、少なくとも労働者負担分の掛金を免除をすべきではないかと思います。これは中小企業にとっても大変メリットがあることだと思いますが、大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 社会保険においては、保険料の納付に応じて給付を行うことが原則であります。育児休業期間中には、保険料の免除をする一方で、免除する期間についても保険料の納付があったものとして、その期間に基づく給付も行うという特例な扱いをしております。

 ただ、これは、育児休業が将来の制度の支えとなる次世代の育成につながるものであり、免除した期間に係る給付の財源を被用者保険全体で負担することについて、他の被保険者や事業主の理解が得られているものと考えております。

 他方、介護期間中の保険料免除については、次世代育成という育児休業と同様な意味合いはなかなか見出し難く、他の被保険者や事業主の理解が得られるかという点で、慎重な検討が必要ではないかと考えております。

 また、そもそも介護休業は、その期間中にもちろん自身が介護を行うということもありますが、仕事と介護を両立できる体制を整えていただく、そのために大変重要な休業であるというふうに認識をしております。

早稲田委員 もちろん課題はございますし、みんなで、いろいろな立場の方が共有をしていかなければならない問題でありますが、是非、前向きに御検討いただきたいと思います。

 次の質問に行きます。

 精神障害者向けの家事援助のニーズが高まっているわけですけれども、これが、報酬が低過ぎて、サービスを提供する事業所が本当に少ないんです。これは、是非、厚生労働省で調べていただきたいと思います、全国的に。

 私の地元の鎌倉では、唯一の事業所が、人手が不足している中で、四人の職員で月七十回訪問。生活訓練の方も同様であります。ヘルパー四、五人で月三十回から四十回訪問をしています。

 これは、身体介護の場合には、身体介助のときには必要なケースには加算がありますけれども、精神障害の場合は、身体の介助が必要じゃなくても、非常に手間と時間がかかります。それによって、丁寧にやっていくことによって、その方たちが在宅でも障害をお持ちでも暮らせるということにつながっている大切な制度だと私は思います。幾らその単価を引き上げても、利用者一人当たりの単価なので、通所と比べると、在宅は非常に利益も出ません。しかし、身体障害者以上に、精神障害の場合は、生活訓練を通所で行うよりも、在宅で、訪問型で行ってほしいというニーズが高いわけです。

 こうしたことで、どういうふうに知恵を出していくのか、大臣の御所見を伺いたいわけですけれども、やはり、ニーズが高いのに非常に単価が低いということ、私は、これがなかなか事業者が手を挙げない最大の理由だと思っておりますが、地域移行のためにも、是非知恵を絞っていただきたいと思うわけですが、大臣の御見解を伺います。

加藤国務大臣 障害者総合支援法の生活訓練は、事業者等においてサービスを提供するケースが多いわけでありますが、生活リズムを整えるための支援など多様なニーズに対応するため、これまでも、障害福祉サービス等の報酬改定を行ってまいりました。

 訪問による支援に係る報酬単価も、これは平成二十一年でありますが、引上げを行う、また、精神障害者等の特性を踏まえ、訪問による訓練のみの利用を可能とするための見直しも、これは平成二十七年でありますが、などを行ってきたところであります。

 今年は報酬改定の議論ということになりますけれども、そこにおいても、生活訓練も含めた障害福祉サービス全体について、現場の今のお話も伺いつつ、必要な検討をしていきたいと考えております。

早稲田委員 報酬改定もあるのでという御答弁をいただきましたが、本当にこの報酬は引き上げられないかと私は考えていまして、具体例といたしましては、例えば、児童虐待の疑いがあるような御家庭の精神障害を持つお母さん、そのお母さんに対して子育て支援加算という形で加算も検討していただけないか、そういう様々な知恵を絞っていただきますよう、厚生労働省には強く要望させていただきたいと思います。

 それでは、次に、エホバの証人の団体関係者からのヒアリングをしていただくという御答弁を、三月十日、この委員会で厚労大臣からいただきました。そして、それをしていただいたと、報道もございます。

 私、この「若い人が尋ねる質問」、これはエホバの証人の教団で出している本でありますが、これを宗教二世の方から送っていただきました。この中身を読みまして、いわゆる、非常に生活を縛るといいますか、若い人たちにこれを子供の頃から読ませることによって、そしてまた勉強させることによって子供にほかの選択肢がなくなる、そういうようなものではないかと、私はこれを見させていただいて思いました。

 また、ほかの、別の教本もありまして、「学校とエホバの証人」という教本があります。これはかなり古いものなんですけれども、この中には、血を与えたり、もらったりはしない、献血もしてはならないというようなことも書かれております。それから、これが非常に象徴的ではないかと思うんですが、学校生活においてもこういうことをしないようにということを、ソフトではありますけれども、ソフトな書き方ではありますけれども、そうしたことも書かれている。例えばですけれども、特定のグループと一緒に活動する部活動、この部活動についても、よく親が考えて、やった方がいいかどうかを考えるべきだと。結局は、教会の勉強をする時間がなくなるというようなことも書かれているわけですね。

 こういう中で、私たちが国対の方でヒアリングをして、これは団作さんという仮名の方からお借りをしているんですけれども、信仰する自由があるならば、信仰しない自由も認めてほしいと。そして、厚生労働省が作っていただいた児童虐待のQアンドA、これについても大変、もう、これが三十年前にあったらどんなに私たちも心がこんなに苦しくなかっただろうということもおっしゃっていて、大変厚生労働省の早い取組には感謝をしているわけですけれども、こういう教本に基づいた勉強が終始行われている。その中で子供たちの精神を圧迫しているということは、よくこれを、またヒアリングをしていただいたわけですけれども、そこも踏まえて今後の対応をしていただきたいと思います。

 それでは、今、三月十日にお約束をいただいたヒアリング、実際にどのような方々に面会をされて、そしてどのような要請をされたのか伺います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先月の三十一日、三月三十一日でございますけれども、当時は厚生労働省でございます、の担当者がエホバの証人の関係者と面会をいたしました。エホバの証人側、先方からは、日本支部、これは要は日本の宗教法人でございますけれども、の方からは広報官、アジア太平洋協会からは理事、世界本部の広報オフィスから広報部門の副理事といった方に対応をしていただいた、そういう状況でございます。

 先方に対してどういう依頼を行ったのかという二点目のお尋ねでございますけれども、このエホバの証人との関係者の面会の際に、エホバの証人側においても以下のようなことについての周知啓発に協力してもらえないかということで検討を依頼したところでございます。

 まず一点目が、厚生労働省から昨年末に発出をいたしました、先ほど御紹介のありましたQアンドAの中身でございます。

 二点目。エホバの証人は児童虐待防止法を含めて国内法令を遵守する姿勢であるというのをおっしゃっていますので、そういった姿勢であるならば、児童虐待というのは容認をしていないという旨。

 三点目。輸血拒否というのはあくまで個人の宗教的な考えに基づいて行うものであり、法人として輸血拒否を強制することは容認していない旨。

 四点目。仮に子供がエホバの証人ではなくなったとしても、親が子供を無視するなどの忌避行為を行うことは法人として容認しておらず、子供を養育するという親の責任を果たすべきであると考えていること。

 こうした四点につきまして周知啓発に取り組んでもらえないかということで申出をいたしまして、法人側からも検討させていただくとの回答を得たところでございます。

 以上でございます。

早稲田委員 今、こども庁からお答えをいただきました。これは、三月三十一日、ぎりぎりの厚生労働省の所管のときにやっていただいたというふうに理解をしております。

 児童虐待というのは家庭内のことでありますから、それから出た対応ということをしていただいたことに非常に感謝を申し上げますが、今、検討をするというふうに面会をしたエホバの団体はおっしゃっていたということでありますけれども、特に輸血の拒否、こうしたことを団体としては推奨していないということもはっきりとその中に入っておりますし、また、子供が信仰しない自由を選んでやめたときに、それを忌避したり家族断絶というようなことを推奨もしないということもはっきりと入れていただきましたので、大変、これも宗教二世の方たちにとっては本当に大きな第一歩だということの声が届いております。

 その上で、その検討の、向こうにボールがあるわけですから、その回答といいますか、それはどのように今後対応されるんでしょうか、伺います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げた面会でございますけれども、具体の法的権限に基づくものではございません。そうしたことも踏まえまして、当時の所管としての厚生労働省からの依頼に対しまして、回答期限といったものを設定するというようなことは行っておりません。

 先方からも検討するという明確な回答をいただいたところではありますけれども、ただ、これは三十一日にやったばかりですので、まだ要請からの日も浅いということでもございますので、まずは先方の検討を待ちたいというふうには考えております。

 ゆえに、現時点で、本件に関する、これから後どのように具体的に対応していくのかということを申し上げることはなかなかいたしかねる状況ではございますけれども、こども家庭庁といたしましても、これまでのエホバの証人とのやり取りを含めて厚生労働省の対応を引き継ぎまして、今後ともしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

早稲田委員 これまでの厚生労働省との対応も踏まえてということであります。是非、今、検討するということを向こうも言っているわけですから、そこは真摯に受け止めて、そして、是非、回答をいただいてほしいと思います。そうでないと、ただ言っただけになりますから。

 こうしたことを聞きましたということだけでは、前に進みません。厚生労働省は、この間、本当に真摯に、QアンドA、それからまたヒアリングもやっていただいた。その趣旨をきちんとこども家庭庁でも踏まえていただいて、対応を今後も続けていただけますように、小倉大臣にどうぞお伝えをいただきたいと強く要望させていただきます。

 その上で、三月二十九日、小川さゆりさんほか、全五名の連名で、厚生労働省それからこども家庭庁に、お手元の資料にありますけれども、それからまた国会議員の方にも要請をいただきました。

 このことについてなんですけれども、これは、先ほど御答弁の中で審議官からもありましたが、法に基づかないということもあり、「児童虐待防止法、第三者虐待防止法、児童福祉法等の法整備・運用による宗教虐待の禁止及び相談支援体制整備について」という要望書であります。

 これはやはり私たちも重く受け止めて、この三十年間、何も支援の手を差し伸べられなかった、そうした宗教二世、そして今も苦しんでいる人たちがいらっしゃるということを踏まえれば、やはり次のことも考えていかなければいけないと思っておりますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教二世の方々に対する宗教虐待の問題への対応ということで、これは先ほどからもお答え申し上げましたように、こども家庭庁として厚生労働省から引き継いで、引き続き対処していくということになります。そういったこともありましたので、要望書につきましても、こども家庭庁内でも関係部署で共有し、拝見をさせていただいているところでございます。

 委員から配付をしていただいておりますけれども、要望書の中では、例えば宗教団体による組織的な児童虐待に対する調査、勧告権限でございますとか、あるいは宗教二世当事者に対する相談支援体制に関する法的根拠の整備などの御要望をいただいたところでございます。

 これまでもこうした各種要望をいただく中で、その趣旨も踏まえて、昨年末に公表されたQアンドAの中で、どのような事例が児童虐待に該当するのかということであるとか、あるいは相談対応に関しての留意点、こういったことなどが示されるとともに、さらには面会を行って、エホバの証人から団体としての認識をお伺いしたり、あるいは周知啓発に関する協力を依頼するといったことなど、先ほど御答弁申し上げたとおりの対応を進められてきたところでございます。

 今後、こども家庭庁といたしましても、こうした宗教二世の方々に対する児童虐待の問題について、これまでの取組でございますとか、あるいは当事者の方々の御意見、御要望なども踏まえつつ、対応してまいりたいというふうに考えております。

早稲田委員 厚生労働省から所管が移ったわけですけれども、この流れを止めないで、しっかりと宗教二世の方々の思いを酌んでいただけるような対応を強く要望させていただきます。

 これで終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 法案の中身についての質問に入る前に、その前提となる医療保険制度を含む社会保険制度に関して質問をしたいというふうに思います。

 先週、政府は異次元の少子化対策のたたき台を発表しました。その中には、私ども立憲民主党が「もっと良い「子ども・子育てビジョン」」の中に掲げた政策や、立憲と維新で議員立法として提出をした内容が多く含まれています。今日はその一つ一つについてここで議論をすることはいたしませんけれども、問題は、その財源をどこに求めるかという話だというふうに思います。

 この点、岸田総理は、消費税については、おととしの総裁選で、十年程度上げることは考えていないと述べられていますし、それから去年の十一月には、その考えは変わっていない、上げることは考えていないと国会で答弁をしているということでいうと、消費税は財源ではないのかなということになります。

 一方で、施政方針演説の中では、各種の社会保険との関係など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えてまいりますというふうに述べられています。つまり、社会保険との関係などと言っているわけで、そこで、総理は少子化対策の財源として社会保険を考えているんじゃないかというふうに見られています。

 原則、法律で加入が強制をされている社会保険というのは、年金であれば長生きリスク、医療保険であれば疾病リスク、介護保険であれば要介護になるリスクというように、リスクをヘッジするのが、これが社会保険、いわゆる保険制度を取っているゆえんであります。

 それに対して、子供が生まれてくるということは別にリスクでは当然ありませんし、子供が減っていくと社会保障制度が存亡の危機に陥るというのは、リスクはリスクですけれども、これは社会保険が対象とすべきリスクではなくて、政策の失敗だというふうに言えると思います。

 また、保険制度というのは受益と負担の関係を基本にしていますけれども、例えば、独身者であったりとか、子供を持つ予定がない方、あるいは子育てが終わった人というのは、事実上、給付を受ける可能性がないのに保険料の負担のみが課せられるということになりかねないというふうに思います。

 確かに、現在でも、子ども・子育て拠出金という形で厚生年金保険料の事業主負担の一部が子育て支援に充てられているのも事実です。しかし、少子化対策の財源を全面的に社会保険に求めていくことは、今私が申し上げました社会保険原理というのに照らすと、少し無理があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、一般論としてで結構ですので、子供、子育て予算の財源を社会保険に求めることを加藤大臣はどう考えられるのか、このことをお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、財源に関しては、総理から、今回の小倉大臣の試案をベースに、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を進めるため、全世代型社会保障構築本部の下に総理を議長とするこども未来戦略会議を設置をし、六月の骨太の方針までに将来的な子供、子育て予算の倍増の大枠を示す旨の発表があり、御指摘の財源の在り方についても、今後、同こども未来戦略会議において具体的な検討が深められていくものというふうに考えております。

 そうした議論においては、今委員から御指摘があったことを始め、様々な御意見があると思いますので、そういった御意見も踏まえながら検討を深めていくものと承知をしております。

大西(健)委員 全く答えていなくてですね。

 さっき言ったように、消費税は、岸田総理は十年上げないと言っている。子供国債みたいな話もあるかもしれませんけれども、社会保険というのは有力な選択肢だと私は思います。ただ、私が言ったように、社会保険原理、いわゆるリスクをヘッジするとか、受益と負担という関係からの社会保険原理に照らすと、八兆とか九兆とか言われているたたき台のメニューをこなすには、それだけの財源が必要なんです。これを全面的に社会保険に求めていくのは無理があると私は考えますけれども、大臣はどう思いますか。

加藤国務大臣 例えば、今の育児休業給等は雇用保険の中でやらせていただいている等々、あるいは、先ほど委員御指摘のような、一部、企業からいただいたお金等々は児童手当などにも充てさせていただいている、これが今の実態だというふうに思います。

 その上で、これから具体的な議論をしていくためにおいては、今委員からお話があったように、どういった財源でそれを手当てしていくのか、そしてその財源についてどういう形で整理がなされていくのか、まさにこれから議論していくべきものと考えています。

大西(健)委員 私もさっき言いましたよね、だから、子ども・子育て拠出金は、一部、事業主負担が使われていると。ただ、それは一部です。ですから、全面的に、八兆とか九兆とかと言われるような財源を社会保険に全部求めていくということになると、なかなかこれは難しいところはあると私は思いますが、もう一つ懸念されるのは、社会保険料の引上げは法律ではなくて政令で可能になるので、一旦認められれば自動的に引き上げられていく可能性があります。現に、二〇一四年度、先ほどの子ども・子育て拠出金の拠出金割合は〇・一五%だったのが、現在では〇・三六%と、倍以上になっています。

 資料を御覧いただきたいんですけれども、これは月収に占める税と社会保険料の割合を示したグラフです。直接税が占める割合は、これは横ばいないしちょっと微減してきているんですけれども、社会保険料の占める割合は右肩上がりで増えてきていて、一九八五年には六・七%だった割合が、足下、二〇二二年には一〇・九%まで増えてきていて、直接税が占める割合よりも社会保険料が占める割合の方が大きくなっているんですよ。

 つまり、この間、隠れ増税のような形で、社会保険料負担増が事業主の賃上げ意欲をそぐとともに、手取り給与が増えない状況を招いてきたんじゃないかというふうに言えると思います。

 子育てを社会全体で支援するといいながら、現役世代の負担が増えるのでは、元も子もないというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これからの話とこれまでの話、両方あったというふうに思いますけれども、我が国の社会保障、これは相互扶助の考え方を基盤としております。本人、事業主とも、必要な社会保障サービスの供給に必要な社会保険料を御負担いただいており、負担水準の上昇抑制にはこれまでも配慮してきたところであります。

 近年の保険料でありますけれども、税との関係は今委員が御指摘のとおりでありますが、ただ、厚生年金保険料、これは平成二十九年九月以降は一八・三%に固定をされております。健康保険料については、毎年の医療給付費等に応じ保険料率が設定されておりますが、協会けんぽの保険料率は一〇%の横ばいで推移をしているところでございます。また、健保組合の平均保険料についても、最近においては九%台で推移をしているということであります。

 そうした中で、今回の出産育児一時金の増額、あるいは急増する高齢期の医療費については、全世代型対応の持続可能な制度ということで、後期高齢者の方にも一定の御負担をお願いする中で、現役世代の負担軽減も図ることとしているところでございますし、また、今回の医療保険制度改革に際しては、令和六年度から特例的に、健保組合への国費による支援を四百三十億円追加して、企業の賃上げがなされれば、その分だけ保険料負担が増えますので、そういったことにつながらないような手当てもさせていただいているところでございますので、今後とも、現役世代の負担増の抑制、これにしっかりと努めていきたいと思っております。

大西(健)委員 大臣が今答弁の最初に、これまでのこととこれからのこととおっしゃいましたけれども、これまでのことで言えば、このグラフを見れば、失われた三十年、実質的な手取りが増えないということに保険料が増えてきたことが影響しているということを私は言えると思います。

 それから、これからのことを言えば、先ほど来言っているように、このたたき台で示されたメニューを全部やったら相当な財源が必要になって、それを社会保険に求めていけば、これから社会保険料が更に上がることが予想されますから、これは現役世代の生活を更に苦しめる可能性があるということを私は大変懸念をします。

 個人の所得税負担よりも社会保険料負担が大きい国というのは、主要な先進国では日本ぐらいだという指摘があります。ですから、ここは私、かなり慎重な議論が必要になるというふうに思いますので、あえてここでくぎを刺しておきたいというふうに思います。

 それでは、法案の具体的な中身の議論に入ります。

 今回、現役世代の負担軽減という観点から、世代間のバランスの見直しを図るために、出産育児一時金の一部を後期高齢者が支援する仕組みの導入と、後期高齢者負担率の見直しを行っていますけれども、健保組合への財政影響額を、政府参考人からで結構ですので、お答えをいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 本法案が本格的に施行されます令和六年度について見てみたいと思いますが、まず、出産育児一時金に要する費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みの導入によりまして、健康保険組合への財政影響は四十億円の負担減。それから、後期高齢者負担率の見直しによりまして、健康保険組合に対する財政影響は二百九十億円の負担減と見込んでおります。また、前期財政調整に、報酬調整に応じた調整を導入するということに伴う健保組合に対する財政影響は六百億円の負担増。

 また、健保組合に対する支援に関しまして、既存の支援を見直すとともに、四百三十億円の国費による更なる支援を行うこととしております。

 これらを全体を合わせますと、健康保険組合全体で見れば約百二十億円の負担減と見込んでおります。

大西(健)委員 ちょっと私が聞く前に先走って答弁しているんですけれども、要は、最初に出てきた四十億と二百九十億の健保組合にとっては負担減になる。それから、まだ聞いていなかったんですけれども、前期高齢者の世代内のバランスの見直しを図る報酬水準に応じた調整、これを入れると、逆に六百億円、健保組合には負担増になる。そこで、政府として、現役世代の支援として四百三十億を入れているので、通しで言えば健保組合にとってはプラスになっているということなんですけれども。

 この四百三十億円の中身ですけれども、これは、特別負担調整の拡充で百億円、新設の高額医療交付金事業への支援で百億円、これに加えて、高齢者医療運営円滑化等補助金を二百三十億円積み増して、この総額が四百三十億円ということで、被用者保険への支援を行っていただいています。これは、現役世代への支援ということで、私は高く評価したいと思います。

 ただし、一つ懸念があるのは、制度化されたほかの二つのメニューと違って、円滑化等補助金というのは予算措置ですので、将来、予算編成の中で減額される可能性もあるということなんです。

 この二百三十億円の中には、先ほどの大臣の答弁にちょっと出ていましたけれども、賃上げすると保険料が上がるということで、賃上げ配慮も含まれているということですけれども、その分は仕方がない部分もあるかもしれませんが、この円滑化等補助金については、毎年度の予算編成の中でできる限り維持、確保に努めていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 前期財政調整への報酬調整の導入に当たって、健保組合に対し、高齢者医療運営円滑化等補助金について、今委員御指摘のように、国費二百三十億円を追加し、健保組合の拠出金負担を更に軽減することとしております。

 なお、健保組合への支援については、令和三年度決算見込みにおいて五割を超える健保組合が赤字となるなど、健保組合を取り巻く状況も極めて厳しいことを踏まえれば、必要な支援を継続していくべきと考えております。

 その具体的な内容については、今後、その時々の状況を見ながら検討していきたいと思います。

大西(健)委員 今のような答弁だから不安になるんですね。だから、さっき言ったように、四十億、二百九十億、負担が減るけれども、六百億増える、その差引き、まだ負担が重い部分を四百三十億で埋めているんだけれども、うち二百三十億は今後の予算編成でどうなるか分からないわけですよ。だから、そこはちゃんとこれからもしっかり予算編成の中で確保、維持していきますよという答弁がなかったら、結局、健保組合、現役世代の皆さんの負担は減らないんじゃないかという不安につながるというふうに思います。

 それから、これも申し上げておかなければならないことでありますけれども、以前、後期高齢者の支援金について総報酬割を導入したとき、これも最初は三分の一だったんです。それが段階的に引き上げられて、最後は全面総報酬割になったという経緯があります。そういう意味では、この前期高齢者納付金の報酬調整も、今回は三分の一ですけれども、これはこれ以上増やすことはないということで、大臣、約束していただけますか。大丈夫ですか。

加藤国務大臣 報酬調整の導入範囲については、社会保障審議会医療保険部会において、保険者機能への配慮や、保険者、労使の理解の必要性が指摘されたことも踏まえ、調整対象額は三分の一にとどめることとしたものであります。

 現時点で今後の在り方について何ら申し上げるものを持っているわけではありませんが、今後の前期財政調整の在り方を検討するに当たっては、今回の報酬調整の導入による格差是正の効果、また各保険者に与える影響、これを見極める必要があるというふうに考えています。

大西(健)委員 結局、円滑化等補助金も保証されていない、それから三分の一がどうなるのかも分からないということなんですけれども。

 ちょっと一つ飛ばしちゃいましたけれども、前期高齢者の財政調整制度で報酬調整を導入すると、協会けんぽへの国庫補助が減る分、国費は千二百九十億円浮くんですよね。この分はちゃんと現役世代の負担軽減に使っていただくということで、大臣、よろしいでしょうか。結局、世代内の負担のツケ回しをしておいて、お上だけが千二百九十億円得するというか、こういうことがあってはいけないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 前期財政調整への調整報酬の導入に伴い、導入部分に係る協会けんぽへの国庫補助を廃止することで、国費の投入額が今回、約一千二百億円減少することとなります。これは、協会けんぽの前期高齢者に係る負担が負担能力に応じたものに調整されることによって生じる結果でありますが、その上で、現役世代の負担をできる限り抑制するため、先ほど申し上げた、健保組合に対しては、後期高齢者負担率の見直しも踏まえつつ、令和六年度から国費による支援を四百三十億円追加したところでございます。

 なお、こうした国費、召し上げたと言われますけれども、また様々な社会保障に活用させていただいているところでありますが、引き続き、こうした状況を見ながら、必要な予算措置はしっかりと取らせていただきたいというふうに考えています。

大西(健)委員 だから、今言ったように、千二百億円、国費の負担は減っているんですから、だから四百三十億円支援してもらうのも、これもある意味当然だし、三分の一を、これからどうなるのかというのも、しっかりこれは維持してもらわなきゃいけないと思っています。

 それから、助け合いの仕組みというのは分かるんですけれども、このまま高齢者の医療への拠出金が増えていけば、健保組合を組織している意義がなくなってしまいます。そして、健保組合が解散して協会けんぽに移れば、さっきと逆で、国費の負担が増えるということなので、義務的経費に占める拠出割合が五〇%を超えないように上限を設定して、上限を超える部分については逆に公費で負担するということを、もうそろそろ、早急に検討してやらなきゃいけない時期に来ているんじゃないか。そうじゃないと、このままいくと、健保組合をやっている意味がなくなってしまうというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 二〇二五年までに団塊の世代が全て後期高齢者になるわけであります。そうした中で、負担能力に応じて、全世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みを構築するということが必要であります。

 一方、拠出金負担の特に重たい健保組合の負担軽減を図ることは重要でありまして、後期高齢者負担率の見直しと併せて令和六年度から国費による更なる支援を行う中で、これは先ほど申し上げた、高齢者医療運営円滑化等補助金への国費の追加、また、財政力が低い健保組合の拠出金を軽減する特別負担調整への国費の充当、こうしたことで、現役世代の負担上昇を抑制すべく努力を重ねさせていただいているところでございます。

 今後とも、現役世代の理解が得られるよう必要な改革を進めていき、現役世代の負担の上昇の抑制にも努めていきたいと考えています。

大西(健)委員 先ほどの円滑化等補助金は、私は、ありがたいけれども、これは、だけれども、やはりその場をしのぐだけの話なので、結局、根本的に、半分以上を他の制度の支援に持っていかれるということは、やはりこれはどこかで歯止めをかける必要があると思います。

 それでは次に、かかりつけ医について質問したいと思います。

 新型コロナウイルスの対応では、ワクチンの接種をめぐって、予約受付の対象をかかりつけ患者に限るとか優先するとかした自治体とか医療機関が多くありましたけれども、かかりつけ医がいない、特に若い人というのはそんなに病院に行きませんから、かかりつけ医がいないとか、かかりつけ医だと思っていたのに予約を断られたといった現場の混乱が見られました。その背景に、かかりつけ医の定義が曖昧で、線引きが難しいということが指摘をされていました。

 そこで、今回の法案では、かかりつけ医の定義を明確にするとともに、情報提供の充実強化を図ることとしていますが、一方で、公的な認定制度やいわゆる登録制度は取らないとしています。

 この改正内容で、今私が言った新型コロナワクチンの接種で起きたような混乱は解消できると、大臣、お考えでしょうか。

加藤国務大臣 今回の改正は、一つは、かかりつけ医機能を有しているかどうかということに関する医療情報提供、これを強化をしていく、そして、その内容を国民にとって分かりやすいものにしていくといったことを含ませていただいております。他方で、感染症対応を主眼にしているものではありませんけれども、それぞれの医療機関が有する具体的な機能が明らかになるということは、患者にとっても、ニーズに合った医療機関の選択に資するものというふうに考えております。

 その上で、感染症への対応でありますけれども、日常的な診療を行っているかかりつけ医に感染症対応を行うことを、これは感染症の種類にもよると思いますけれども、一律に求めることはなかなか難しいわけでありまして、患者が平時に受診している医療機関で必ず患者は医療を受けられるとは限らないと考えております。

 そのため、先般、改正感染症法を成立をしていただきましたけれども、そこにおいて、医療機関と都道府県との間の協定締結等を通じて、感染症医療を担う医療機関をあらかじめ適切に確保するということにしております。

 また、患者からの相談に応じ、感染症医療を行うことが可能な、適切な受診先の案内に努めるなど、医療機関同士が適切に連携する仕組みも含めて、感染症発生、蔓延時においても、医療が必要な国民が確実に医療を受けられるようにしていくことが必要だというふうに考えております。

 かかりつけ医報告を通じて、情報提供の強化あるいは医療機関間の連携、これらを進めていきたいと考えております。

大西(健)委員 今の答弁、全然分からなかったんですけれども。

 つまり、ワクチンの接種ですよ、ワクチンの接種のときに、かかりつけ医で打ってくださいと、自治体とか、医療機関が、かかりつけ患者の方はうちで打ちますよというのは、副反応とか考えると、どんな持病を持っておられるかとか分かっているわけですから、これは理にかなっていると思うんだけれども、ただ、それをやると、結局、若い人はめったに病院なんかに行かないから、ふだん行っている病院、かかりつけ医と言われても、かかりつけ医はありませんとなるし、自分がふだん行っている近所の病院がかかりつけ医だと思って行ったら、あなたはかかりつけ患者じゃないですから打てませんと言われたと。この混乱を今回のこの情報提供の充実強化とか定義の明確化だけで解消できるんですか、できないんですかというのを聞いているんですけれども。

加藤国務大臣 ちょっと、前段のワクチンの話を、よくは、ごめんなさい、分からなかったんですけれども。

 まさにここにおいて、例えば、ふだん、かかりつけ医と思って行っているところが感染対策をしているか、例えば、今回でいえば、発熱外来になっているかどうか、これは必ずしも、なるかどうかというのは、それぞれの医療機関の体制等によるものであります。したがって、発熱外来であるということを示していく、そして、発熱外来の数を増やしていく、あらかじめ分かるようにしていくというのが、先ほど申し上げた今回の感染症法の改正に基づく対応ということであります。

 その上で、それぞれの医療機関において、かかりつけ医機能の報告の中において、先ほど申し上げた、医療提供をしていきます、あるいは他の医療機関を紹介をします、そういった機能を含めていくことによって、そこが例えば発熱外来をしていなくても、近所にこういう医療機関がありますよといった誘導、案内、こういったものをしていただけるようになるというふうに考えているということを申し上げたところであります。

大西(健)委員 私にはよく分からないですけれども、結局、私は多分、私が言っているようなことを解消するには、やはりある程度、登録制みたいなことをやらないと無理なんじゃないかなと思っているんですが、でも、前回の委員会の答弁でも、厚労省は、かかりつけ医の登録制度については、患者の医療へのフリーアクセスを制限するものとなるおそれがあるとして、かなり慎重な意見を述べられています。

 一方で、先ほど来言っているように、国民、患者側からすると、かかりつけ医を選ぶ情報が不足している、かかりつけ医を探す方法が分からないというのが実態であって、この法案に合わせて、厚労省は、医療機能情報制度の情報提供項目を見直すとしていますが、そもそも、医療情報提供サービスに基づく医療情報ネットの存在を知っている者の割合は、二〇二一年調査で約一一%にすぎません。ほとんど知らない、見ていない。

 そこで、私は、これは一つの提案として、例えば、健保組合が、加入者がかかりつけ医あるいは医療機関の適切な選択や活用ができるようにサポートしていく役割を担える可能性があるんじゃないかというふうに考えています。

 例えば、健保組合が、その加入者の住んでいる地域にどのようなかかりつけ医機能を持った医師や医療機関があるかといった情報を提供することや特定の医療機関を推奨することが許されるのか。また、健保組合がかかりつけ医と連携して加入者の健康をサポートしていくためには、加入者がどこの医師あるいは医療機関をかかりつけ医としているかということが確認できる仕組みも必要になると思いますけれども、健保組合が、これはあくまで強制じゃなくて任意ですよ、任意ですけれども、加入者に、どこの医師あるいは医療機関をかかりつけ医にしているのかを報告してもらうように、こういうことを求めることはできるんでしょうか、認められるんでしょうか。政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、御提案申し上げておりますこの法案におきましては、国民、患者がかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるように情報提供を強化するということと併せて、都道府県と地域の関係者との協議の場において必要な機能を確保する具体的方策を検討し、公表するということで、地域のそれぞれの医療機関が、地域の実情に応じて、その機能や専門性に応じて連携しながら、疾病の予防も含めたかかりつけ医機能を発揮するということを促すこととしてございます。

 また、今御指摘ありました健保組合におきましても、これまで、現在におきましても、例えば、加入者のニーズや特徴を踏まえた保健事業などを実施をして加入者の健康保持増進を図る、また、加入者に対して疾病予防についての啓発や情報提供を行うといったようなこと、また、医療機関などとの連携を密にして、加入者に適切な医療を提供するといったような取組を行っていただいているところでございます。

 この法案の制度整備を行うことによっていろいろな情報が出てくることになるわけでございますけれども、こうした取組の実施に当たっても、組合の方でも御活用いただけるものだというふうに考えてございまして、保険者等において、かかりつけ医機能を有する医療機関に関する情報も参考にしていただきながら、今御指摘いただいたような加入者への情報提供でありますとか、あるいは受診勧奨、また任意の情報共有といったような独自の取組を保険者として行うということは可能であるというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 今、可能であると。これは私は重要な答弁だと思いますよ。登録制をやらないけれども、保険者がその気になれば今言ったようなことが可能だということが今日、答弁で明らかになったと、私、非常に重要な答弁だと思います。

 じゃ、次に、先ほど来早稲田委員も質問していましたけれども、出産に関する保険適用というか現物給付の話、これについてお聞きをしていきたいというふうに思うんです。

 連合の皆さんも、かねてより、正常分娩を含めて全ての健康保険適用、現物給付とするように求めるということを主張されてきました。私も、なぜそうしないのかなというふうにずっと疑問に思っていたんですけれども、いろいろと調べてみると、歴史的な経緯があることが分かりました。

 実は、一九二二年、健康保険法ができた際には、現物給付として、産院収容、助産手当も法律に定めがありました。ところが、一九四二年の改正で助産の現物給付というのは廃止になっています。その背景には、当時は、一部の都市部を除けば、出産の多くは家族や近所の女性、産婆資格を持たない取上げ婆によって家庭でなされる相互扶助的なものであって、産婆や医師による助産手当という現物給付は実態に即したものではなかったためというふうに考えられています。

 戦後、一九五〇年には家庭における出産が九割だったのが、一九六〇年には五割以下になって、病院、診療所及び助産所という施設における出産の割合が四割以上となりました。ただ、この一九六〇年時点でも、都市部においては施設内出産が六割であるのに対して、郡部では三割を切っていた。ですから、一律現物給付にすれば不公平が生じるということで、できなかったんだと思います。

 その後、母子保健法の制定によって母子健康センターが全国に設置されるようになって、一九七〇年頃には郡部でも施設内出産が九割を超えて、都市と郡部の二重構造が解消に近づきました。

 また、ILO第百二号条約、社会保障の最低基準に関する条約の批准をめぐって、この出産の現物給付が政治課題になった。一九六八年には、当時の園田厚生大臣が、総評、同盟など労働四団体の申入れを受けて、出産の現物給付化をこのときは検討したんです。検討したけれども、しかし、これに対して、産科医らで組織する日本母性保護医協会を中心に、正常分娩の現物給付化が行われ、医師の技術料が保険で支払われる場合には、診療報酬の点数は助産婦レベルに極めて低く抑えられるようになるのではないか、こういう懸念があって、強い反対がありました。

 この出産の無料化、現物給付化というのは、その後、民主党政権のタイミングでも議論の俎上に上がりましたけれども、当時は、救急車のたらい回しとか産科診療所の閉鎖など医療崩壊が社会問題になっていたので、現場の混乱を避けるために正常分娩の現物給付というのは見送られた経緯があります。

 私は、こうした過去の経緯を見たときに、まさにポイントというのは、現物給付化を実施する場合に、三割の自己負担分は出産育児一時金のような現金給付で埋めるしかないと思うんです。

 問題は、医療機関によって分娩管理の内容とか質に相違があって、診療報酬点数によって画一的に評価することが現実的には難しい、この部分を具体的にどう点数化していくかというのが、これがまさにポイントであって、これが難しいから今までできなかったんです。

 だから、さっきからおっしゃったように、検討と言っているけれども、さっきの答弁では、検討して、やはりやりませんというのもあるような御答弁でしたけれども、やるんだったら、点数化をどうやったってやるしかないんですよ。やるかやらないか、それはもう本当に政治の私、決断だと思います。

 そういう意味では、さっきも言ったように、検討しますと言っておいしそうなにおいだけ嗅がせて料理が出てこないということであってはいけないと私は思うので、本気でこの診療点数の評価の仕方、これをやって、これをやるんだということでよろしいですか、大臣。

加藤国務大臣 今委員から、この保険給付に関わる議論がありました。ただ、最初のときも、基本は現金給付で、今おっしゃった現物給付は任意として設定されていたというふうに認識をしております。

 その上で、今日まで幾度となくこれが議論になり、実際、検討されたこともあるということは承知をしております。

 そして、やはりポイントは、今言われたように、保険適用ということになれば、分娩サービスの内容が標準化されるとともに、一律の価格が設定されるということになるわけであります。

 しかし、他方、現状を見ると、様々なサービスが提供され、そしてそれを妊婦さん御自身が選んでおられる、結果的において出産費用が地域あるいは施設間で差があるというのが実態であります。したがって、委員からまさに御指摘があったように、その中身をしっかり見ていかなきゃならないということで、出産費用の見える化をしっかり進めていく、あるいは更に様々な分析をしていくということをこれまでも申し上げているところでございます。

 さらに、そうした経緯がある中で、これまで非常に課題を申し上げてきた、答弁をさせていただきましたが、先ほど、冒頭申し上げた、今年のお正月に総理が、異次元の少子化対策ということで思い切ったことを議論していく、またこの場における様々な御議論、これを踏まえて、今回は出産費用の保険適用の導入を含めということを明らかにした上で、検討するということにさせていただいているところでございます。

大西(健)委員 さっき、早稲田委員の質問のときに田村委員も、やったらどうすると言っていましたけれども、本当にやってほしいんですよ。やってほしいから言っているんです。だけれども、これは過去の経緯を見ると相当いろいろな議論があって難しかったんですよね。

 だけれども、これはもう決断だと思いますよ、私。決断して、要は、それは産科医の皆さんからすると、点数化したときに、正常分娩だから、助産婦のやるのと同じことだからといって点数が低くなってしまったら、産科がどんどんどんどんなくなっていくことにもなってしまいますから、だから、難しいから今まで本当にできなかったんだけれども、結局、もう、やるかやらないか、私は政治の決断だというふうに思いますので、検討が必要だ、全然、検討したけれどもできませんでしたというのはもう繰り返さないでいただきたいということを申し上げて、本当はもう一問やりたかったんですけれども、時間が来ましたので、終わります。

三ッ林委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十分間、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今日は、全世代型社会保障の健康保険法を改正する法律案についての審議でありますが、関連しまして、まさに今、異次元の少子化対策ということで、まさに全世代の社会保障をどう支えていくのかということが大きな課題になっておりますので、そのことにも関連して御質問をさせていただきたいと思います。

 つきましては、もちろん加藤厚労大臣の担当の部分もあれば、あるいはこども家庭庁で、今日は野村審議官にもお越しをいただいておりますが、その担当のこともあるかと思いますけれども、どこまでが誰の担当というより、日本の社会保障をまさに全世代でどうやって支えていくかという根本議論ですので、可能な範囲で加藤大臣にお答えいただいて、また、どうしても答弁が担当として難しいところは野村審議官にお答えをいただければと思います。

 まず、今回の法案にもありますように、後期高齢者の負担増により子育て支援の予算を、あるいは出産一時金を捻出するという考え方には、私は疑問を持っております。こういうふうに、本当にこれからも子育ての予算を捻出するために全部高齢者にかぶせていくのか、それもやはり私は限界があるのではないかと思います。

 そこで、まず最初にお伺いをしたいと思いますが、社会保険料を財源にして子供予算、子育て予算ということを賄っている国というのは、諸外国、どんな国があるんでしょうか、加藤大臣。

加藤国務大臣 その前に、今回の出産育児一時金の増額分全てを後期高齢者医療制度で賄っていただくわけではなくて、その一部を賄っていただくということ、これはもう委員御承知のとおりで、かつ、一律に皆さんに負担をしていただくわけではなくて、所得に応じてお願いをさせていただいているということであります。

 その上で、諸外国の子育て支援政策、これは様々でありまして、御指摘の社会保険料の定義、これもなかなか、それぞれ国々がございますので難しいんですが、例えば、フランスにおいては、事業主が拠出する保険料によって家族手当の財源の一部が賄われているということがございます。この家族手当は、子供が二人以上いる世帯に対して支給されるものでございまして、所得等に応じてその多寡が決まっているというふうに承知をしております。

山井委員 確かに、日本でも児童手当は一部事業主の拠出もございます。

 私は、この議論というのはかなり大きな議論だと思うんです。私、二〇〇〇年に初当選させてもらいましたが、介護保険の創設の年です。その前はスウェーデンに二年間留学しておりまして、高齢者福祉、社会保障の研究をしており、私は、当時は介護保険を当然、日本に導入すべきだということで、そういうこともあって国会議員にもならせていただきました。だから、今回、もし八兆円とも言われる子供予算、異次元の少子化対策の予算を保険料で賄うとすれば、今日の配付資料の中に権丈先生のお話も出ておりますけれども、子供保険構想とも言える大きな大きな議論になると思います。

 だから、ここは本当に、要は、根本的な問題意識は、子育て世帯が苦しいから子育て支援をするのに、その経済的に苦しい子育て世代に負担増を強いるということに関して、別に私がどういうんじゃなくて、子育て世代の方々がしっくりこないものを、えっ、子育て支援してくれると思ったら、負担は増えるの、賃金は下がるのと、そういうことになりかねないというリスクを私ははらんでいると思います。

 簡単に言うと目的税みたいなものなんですよね、保険といっても。増税の一種と言えないこともないと思います。

 そこで、そもそも論を加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、この子供予算、子育て予算あるいは社会保障の予算を税で賄うのと保険料で賄うのとのメリット、デメリットを御説明ください。

加藤国務大臣 今、税といっても、税も様々ありますよね。社会保険も、日本においても様々な保険制度があり、それぞれその内容も異なっていますから、社会保険だからどうだ、税だからどうだとはなかなか一概に言いにくいというふうに思います。

 その上で、今後の子育ての財源の在り方については、これまで申し上げておりますように、今後、こども未来戦略会議において具体的な検討を深めていくことになると承知をしていますが、そのときの財源の中で、先ほどからもいろいろな委員からも御指摘をいただいております、あるいは様々な御議論も既に出てきているわけでありますから、そうしたことも踏まえながら、それぞれの皆さんが納得していただける、そういった形のものをつくっていく、このことが大事だというふうに思います。

山井委員 これは、今週、岸田総理も発言をされておられます。例えば、今日の配付資料十五ページ、子育て財源、社会保険案を例示、首相、安定的に支える。十六ページの新聞の記事も、少子化対策、財源最大の課題、総額八兆円試算も。そして十七ページの配付資料にも、財源に保険料上げ検討、少子化対策、たたき台公表ということになっておりまして。社会保険料の引上げ、あるいは、今回も、健康保険法の審議でありますけれども、健康保険料、協会けんぽなどの上乗せというような取り方をするかもしれないわけですよね。

 そこで、加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、十三ページを見ていただけますでしょうか。機械的に山井事務所で計算をしてみました。機械的ですから誰がやってもこの計算になると思います。つまり、社会保険料八兆円というものを増やす場合、この八兆円というのはどこから出てきたのかというと、ここの新聞にも出ておりますけれども、自民党の方々が今回の政府のたたき台は八兆円、総額かかるんじゃないかということをおっしゃっているということで、これは別に政府が八兆円とおっしゃっているわけではないんですけれども、あえてこの自民党幹部の方がおっしゃっているという数字を引用させていただきますけれども。

 そうすると、社会保障給付費のうち保険料が七十四兆円、八兆円は一〇・八%に相当と。協会けんぽの場合は、それを割戻しすると、被保険者の月額保険料が四千五百十五円。しかし、重要なのは、事業主負担を合わせると、一人当たり約九千円。

 つまり、事業主が負担するから本人負担じゃないということにはならなくて、これは様々な議論がありますけれども、この保険料がなかったら、事業主負担がなかったら、九千円そのまま、賃金は保障される可能性もあるわけですから、事実上、九千円の負担増、あるいは、一歩間違うと九千円の月給の賃下げ、もっと言えば、一年間で約十万円の負担増あるいは賃下げになりかねないんですよね。

 そこで、加藤大臣、これは一つの機械的な計算なんですけれども、もちろん子育て支援は重要ですけれども、今の国民の、物価高、様々な苦しみの中で、また、賃上げが最大の国民挙げての希望となっている中で、幾ら子育て支援のためとはいえ、これだけの負担増というのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですけれども、加藤大臣、いかが思われますか。

加藤国務大臣 まず、これだけというのは、今委員がおっしゃったように、幾つかの仮定がありまして、この八兆円というのは自民党が出したものの全部を仮にやればということ、しかも、それを全部こういう形で捻出すればと、幾つかの仮定が入っている数字なんだろうというふうに思います。

 まさにそうしたことをこれから、先ほど申し上げた会議の中で議論をしながら、そして、実際、それぞれの財源の確保に当たって、当然、財源を確保しなければ具体的な政策はできないわけでありますから、その財源の確保の根拠といいますか、合理性というか、そういったことをしっかり検討し、そして、国民の皆さんからも御理解をいただかなきゃならないというふうに思います。

山井委員 今朝も私、子育て中の保護者の方とこの議論をしておりまして、これは負担増にかなりなる可能性がありますよと言ったら、えっ、ストレートに子育て支援してくれるんじゃないんですか、子育て世代が負担増になるんですかと言って、非常に戸惑っておられました。

 改めて加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば、今、少子化対策、子育て世帯が経済的に苦しいから子育て支援をしようというときに、その財源を子育て世代に負わせたら、矛盾するんじゃないかというような危惧をするんですけれども、子育て支援の財源を多く子育て世代に負わせる、この考え方についてはいかが思われますか。

加藤国務大臣 子育て世代ということでありますが、子育てをしているそれぞれの世帯、世代じゃなくて世帯、世帯については、当然、こういった支援が行われれば、もちろんそこの世帯だけに負担をお願いすれば別ですけれども、今、幅広く負担をお願いしよう、支えていこうということでありますから、子育て世帯だけ見ればそういうことには私はならないし、それじゃ、子供、子育て施策を強化していることにはならないというふうに思います。

 その上で、こうした施策を全ての人たちがどう支えていくのか、これがまさにこれからの議論なんだろうというふうに思いますので、それは、今申し上げた政策の中身との関係も出てきますけれども、しっかりと当該会議において議論を深めていく、厚労省としても、我々の所管としてできる支援、できる協力はしっかりさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 これは、じゃ、誰が負担するのかという議論に当然なってくるんですけれども、私たち、実は違和感を感じておりますのは、この配付資料十ページと十一ページなんですね。

 この議事録十ページ、十一ページを見ていただきたいんですけれども、予算委員会で、岸田総理は、子育て支援の財源の議論は防衛費と違うとおっしゃっているんですね。この真ん中の岸田首相の答弁を読み上げます。「社会保障費を含め、子供、子育て政策については、防衛費と違って、全ての国民が裨益するのではなくして、」と。つまり、全ての国民の利益ではないということを言っているんですね。だから社会保険料だと。

 そして、その下の長妻議員とのやり取りの中でも、ここでも、結局、「防衛費の場合は、老若男女、地域においても、あらゆる立場においても、国民がひとしく裨益する課題であるということを申し上げた上で、子供、子育て政策において直接裨益するのは、政策によって、地域、あるいは職業、あるいは立場によって裨益する方々が変わってくる、」と。私は、やはりそう変わらないんじゃないかなと。やはり、子育てを社会全体で支えようというのであれば、私はこの岸田総理の答弁というのは違和感を感じるんです。

 やはり、加藤大臣、社会全体で子育ての財源なり子育ては支えていくべきものなんじゃないんでしょうか。いかが思われますか。

加藤国務大臣 現状について言えば、例えば、育児休業について見れば、これは雇用保険で提供する、あるいは出産育児一時金であれば医療保険で提供する、そして、それぞれの、どういう方たちに裨益をされているかということを踏まえながら今まで制度設計をしてきた、そういったことを総理はおっしゃったのではないかというふうに思います。

 その上で、しかし、この少子化というのは日本社会全体に対して大変な影響があるわけでありますので、全世代においてそれぞれが支えていく、こうしたことを考えていく必要がある、そうした機運を醸成する必要があるということ、このことは先日のたたき台の中でも明らかにされているものと承知をしています。

山井委員 今回、私はなぜ、この負担増、子育て世帯のために子育て世代が負担するのが違和感を感じるというのかというと、防衛費の確保との落差なんです。配付資料五ページを見ていただけますか。

 防衛力強化財源の確保法案の審議が始まりますが、防衛費の場合は、恒久財源として、五ページの図にありますように、年約三兆円を、歳出改革とか決算剰余金の活用で、負担増なく、約三兆円は恒久的に確保するとなっているんですね。防衛費の場合は、一兆円は増税と言われていますけれども、三兆円は負担増なく確保すると言っているんです。

 ひっくるめて言えば、今後、様々歳出改革とかいろいろなところで生み出されているお金は、聖域として最優先に防衛にだけつぎ込んでいく、子育てや社会保障には回さない、そういう考え方だと理解しているんですけれども、加藤大臣、こども家庭庁もスタートして、こどもまんなかと言いながら、今後捻出される、歳出改革とか決算剰余金は防衛にしか使わなくて、子供には使わない、これはやはり、言っていることとやっていることが違うんじゃないんですか。

 やはり、決算剰余金の活用、歳出改革、行革、こういうものによって今後生み出される新たな財源の一部は子育て支援の強化にも使うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 防衛力の財源確保について私からコメントする立場にはございませんが、これはこれで確保しながら、他方で、子供、子育てについて、今申し上げた会議においてその財源の確保を議論する、そして、予算の倍増に向けた大枠を示すということ、これは総理がおっしゃっているわけでありますから、それに向けて、どういう形で財源を工面するのか、一方で内容をどうしていくのか、これを並行して当該会議でしっかり議論をさせていただきたいというふうに思います。

山井委員 加藤大臣、私、そこが核心の議論だと思うんです。

 ということは、今後、財源も含めて議論していくということは、防衛費と同様に、今後、歳出の改革とか決算剰余金の活用によって生み出されたお金を、今回の異次元の少子化対策の子供のために使う可能性、つまり、全て負担増じゃなくて、こういう決算剰余金の活用や歳出改革によって生み出されたお金によって、それを子育て支援の強化に回す可能性もあるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 ですから、具体的な財源の在り方についてはまさにこれから議論するのですから、これが入るとか、これが入らないとかということを今申し上げる状況にはないことは是非御理解いただきたいと思いますし、今、いろいろな御議論をいただいています。先ほどから申し上げているように、そうした御議論も踏まえながら、こども未来戦略会議において具体的な検討が深められていくものと承知をしています。

山井委員 ここは核心なので、あえて更問いさせていただきます。加藤大臣のおっしゃる意味はよく分かります。

 今後、こども未来戦略会議で議論する、その前提としては、確認ですけれども、決算剰余金の活用や歳出改革というような、負担増を伴わない、こういう財源確保も子供予算の増額に使う可能性がある、そのことも含めて今後議論するということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 通常考えられる財源確保措置を、何か一つ一つ具体的に排除しているわけではなくて、それらも当然前提として議論をしていくということになるんだろうというふうに思います。

山井委員 ということは、子供予算を今後、全八兆円か、あるいは順番に何兆円ずつかも分かりませんが、その財源確保の議論の中には、必ずしも負担増を伴わずに、防衛費と同様に決算剰余金の活用や歳出改革、こういう議論も排除せず議論をしていくということでいいですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた何か具体的なものを排除してということを今の段階で考えているわけではなくて、あらゆる選択肢の中で、必要な、あるいは合理性のあるもの、こういったものを考えていく、それに向かって議論を深めていく、こういうふうに承知をしています。

山井委員 先ほど小川筆頭理事がおっしゃいましたけれども、今のままでは、こどもまんなかじゃなくて、防衛真ん中じゃないかということをおっしゃっているんですよね。

 私は、防衛力の増強、賛成ですよ。必要だと思っています。けれども、防衛だけを聖域にして、最優先で予算つけて、その結果、子供予算は全て負担増、歳出改革や剰余金は一切子供には回さなくて、それは全部防衛の方に回す、こうなると、日本の国の形が、私は、一歩間違うと、ゆがみかねないと思うんです。

 先日、保護者の方々と議論していたときに、怒っておられましたよ、あるお母さん。防衛も重要なのは分かるけれども、子供予算の方は負担増、負担増といって、子供が減っていったら、将来、戦闘機を操縦する人間、いなくなるんじゃないですかと、私、言われましたよ。これは一つの例え話ですけれども、やはり、子供が安定的に生まれて、人口もある程度安定的に確保しないと、国も守っていけない。

 だから、私は車の両輪だと思うんです。防衛力増強と子育て支援は車の両輪なのに、何か今の政府の意見を聞いていると、歳出改革や剰余金は全て防衛費、子供予算は全て負担増。おまけに、繰り返し言いますけれども、子育て世帯が苦しいから、今、子育て支援してくれという流れになっているのに、その負担を子育て世代に、先ほども言ったように月九千円、年間十万円ぐらい負担をかけていくということになると、これは、企業にとってもきつい、そして本人にとってもきつい。いろんな子育て世帯があると思いますけれども、下手したら、一部の子育て世帯にとっては自分が受ける便益よりも社会保険料の負担増の方が高い、こういうふうなことに私はなりかねないんじゃないかと思います。

 この議論は非常に重要ですし、私は、各党を超えて、やはり、ちょっとくどいようですけれども、防衛力増強、必要です、でも、やはり子育て支援も同じぐらい重要なんですよ。だから、子育て支援だけ当たり前のように負担増ありきとするのはよくないと思いますので、そういう議論をしていただきたいと思います。

 それに関連して、今回、一つ、異次元の少子化対策で、私、一番ちょっと本当に怒っていることがあります。それは、今回の八兆円とも言われる異次元の少子化対策の中に、子供貧困対策が抜け落ちているんじゃないかと言わざるを得ません。

 こども家庭庁ができて、私も、また子供の貧困を支援する団体の方々も、めちゃくちゃ期待しているんですね、こども家庭庁に。渡辺由美子長官を先頭に、頑張ってください、期待しています、私たちも応援しています。ところが、今回、この案ですね、これを見てみますと、この中で見ても、具体的な子供の貧困対策というのが、やはり具体策はないんです。

 六ページを見てみてください。結局、肝腎の子供の貧困対策の肝は児童扶養手当なんです。児童扶養手当の増額と所得制限の緩和。これは別に私じゃなくて、七ページにありますように、三月一日には、あすのば、キッズドア、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、D×P、この五団体の方々も、低所得子育て世帯給付金の再給付を、児童手当の十八歳までの延長を、低所得世帯には上乗せ給付を、児童扶養手当の増額と所得制限の緩和をと。

 この三つ目の児童扶養手当の増額と所得制限の緩和をということを院内で集会を開かれて、これはあえて申し上げますけれども、別に我が党や私だけじゃなくて、自民党さんも、公明党さんも、維新さんも、共産党さんも、国民民主党さんも、子供の貧困を何とかしようという超党派の議員の願いで、ほかの党の要望にも、児童扶養手当の引上げや所得制限の緩和が、党の要望に入っていると思うんですよね。

 ところが、なぜか児童扶養手当のフの字も入っていないんですよ、今回のたたき台で。私は本当に突き落とされたような衝撃を感じております。

 そこで、加藤大臣に、お礼も半分なんですけれども、質問したいんですけれども。今回、五万円の低所得者への給付金、加藤大臣が、三月まで厚生労働省担当でしたから決断してくださった一人五万円、これは大変感謝しています。しかし、この五万円の給付金をやってくれという議員立法を僕らも出したときに、一般の方や党内からも、私、ぼろかすに言われたんです。六回目やろ、何回やってんねん、いつまでやり続けてんねん、単発でやるのはおかしいやろと言って、ぼろかすに言われたんです。

 そこで、加藤大臣にお伺いしたいと思います。今回六回目、こういう五万円の給付金、貧困家庭の一人親、二人親の方々に給付が決まりましたけれども、これは単発で、加藤大臣、いいと思っておられるのか。やはり、これは恒久策でやらないと、永遠にこんなことをやり続けるのっておかしいと思うんですよね。そこの認識、恒久策として貧困家庭の支援の底上げが必要だと思っておられるか、いやいや、短期的だから、五万円を困ったときだけ単発で出したらいいと考えられるか、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今後のことについては、残念ながら所管が替わっていますので私が言及するのは差し控えたいと思いますが、今回の低所得の子育て世帯に対する特別給付金、これはまさに足下の物価が、コロナの影響があったり、あるいはロシアのウクライナに対する侵攻があったり、そういったことを中心に高騰している。特に食費にその影響が強く出ているわけでありますから、そういった状況を踏まえて、負担感が特に大きい低所得の子育て世帯をきめ細かく支援するという必要から、いわば臨時といいますか、そういう形で実施をさせていただいたということでございます。

山井委員 加藤大臣、そこがポイントなんですね。臨時で実施、これは物価高だからどうしても必要で、物価高じゃなかったら必要じゃなかったんでしょうか。私、非常にショッキングな話を聞きまして、ある中学生の方が自ら命を絶たれたと。そして、その一つの理由は、やはり兄弟が多くて生活が苦しかったからじゃないか、こういう非常に残念なニュースを聞きました。加藤大臣、あえてお聞きしますけれども、私、はっきり言って、臨時的に物価高だから、一日三食食べられない子供がいるとか、家庭の事情で進学できないとかじゃないと思うんです。

 子どもの貧困対策法ができて今年の六月で十年になりますが、自民党さん、公明党さん、維新さん、国民民主党さん、共産党さん、皆さんおられるけれども、これは年中行事なんですよ。食べるものに困っている子供がいるから助けてくださいと言って超党派でお願いをして、補助金を取って、また半年たったら、食べるものがない、お米が買えない家庭があるんですと言って頭を下げて、また五万円もらって。やりますよ、やりますけれども、そういうことに恒久的措置を講じるのが今回の異次元の少子化対策なんじゃないかと、私は、今やらなくていつやるんだと思うんです。

 そこでお伺いしたいんですけれども、ここに明示的には児童扶養手当の増額と所得制限の緩和は入っていませんけれども、今回の検討課題の中には児童扶養手当の引上げと所得制限の緩和は入っているんでしょうね。お答えください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回取りまとめました子供、子育て政策の強化の試案でございますけれども、この中に入っておりますのが、こども・子育て支援加速化プランという部分がございまして、これは今後三年間を集中取組期間として優先的に取り組むものを整理をしたところでございます。

 その加速化プランでございますけれども、国際比較の中で相対的に割合が低い現金給付を強化をすることとしております。ただ、その際に、まずは全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化をするという趣旨で、具体的には、児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充を行うといったことなどを掲げてございます。

 こうした児童手当の強化を通じまして、これは一人親家庭の経済的負担の軽減にも資する面があるのかなというふうに考えております。

 その一方で、御指摘の一人親家庭への支援でございますけれども、こうした児童手当といった全ての子供たちを支える経済的支援の基盤の強化という基盤の上に立った上で、一人親家庭への支援につきましては、一人親を雇い入れて、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援でございますとか、資格取得を目指す一人親家庭に対する支援の充実策を盛り込んだところでございます。

 御指摘の児童扶養手当につきましてですが、このように、今回の経済的支援としては、まずは児童手当の拡充強化に取り組むというふうに位置づけをしているところでございます。

山井委員 先日、これは大西議員が岸田総理にも質問をしてくださって、検討するとおっしゃったんですけれども。ちょっと私も今、心臓止まりそうなんですけれども。

 いや、検討するというんだったらいいですよ、今後、検討して落ちるかもしれませんというのはいいんですけれども、今の答弁だと、検討課題にすら。八兆円ですよ。いや、私ね、財源がないから、子育て支援を充実させないから、児童扶養手当も無理です、こう言われたら、私も、ああ、そうかなと思うけれども、八兆円プランと言われる中で、一番困っている子供のための児童扶養手当の増額や所得制限の緩和、さらに、二人親家庭の低所得者への支援も各党要望しておりますが。いや、ちょっと、検討課題に入れないというのは、それはこども家庭庁、ちょっと。

 私は繰り返し言いますよ。こども家庭庁、渡辺局長を始め頑張ってくださるというし、党派を挙げて応援していますよ。こども家庭庁の目玉の一つは、子供の貧困対策とか児童虐待に取り組みますというのが看板ですよね。

 繰り返し言います。検討した結果どうなるか、それはこども未来戦略会議で議論してください。ところが、検討課題に入っていなかったら、貧困の子供の家庭はもう見捨てるということになっちゃうと思うんですよ、私はそうは思いたくないので。余り審議官をここで追及しても申し訳ないんだけれども、検討課題に入っているということぐらいは、加藤大臣か審議官、お答えいただけないでしょうかね。

野村政府参考人 今回の加速化プランでございますけれども、今後三年間を集中的な取組期間とした上で、先ほど申し上げましたような全ての子供を対象とする経済的支援の基盤の強化ということでの児童手当の各種見直し、そうしたことを基盤としつつ、一人親家庭を始めとする多様な支援ニーズについては、まずは支援基盤の強化や自立支援の拡充を中心に取り組む、この三年間の集中期間でそういったことに取り組むというような形にしております。なので、そういった線に沿って、加速化プランの具体化に向けて検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

 ただ、その上で、多様なニーズを有する世帯への支援ということでございますが、こども家庭庁の下で策定するこども大綱というものがございまして、これは現在の子供の貧困対策に関する大綱も含めて策定をするものでございますけれども、その中できめ細かな対応を議論していくことにしてまいりたいと考えてございます。

山井委員 私はこの場で審議官を責める気は全くありません。でも、これは本当に繰り返し言います、党派を超えて子供の貧困対策をやろうということになっていますので、是非とも今後検討課題に入れていただきたい。

 ついては、こども未来戦略会議というのをこれからスタートするらしいんですけれども、せめてその戦略会議のメンバーの一人に、こういう子供の貧困に取り組んでいられる方の代表をせめて入れていただけないでしょうか。いかがですか。

野村政府参考人 こども未来戦略会議、これはちょっと、申し訳ございません、こども家庭庁の主催ではございませんで、全世代対応型社会保障改革本部の方で主催をするものということで、先般、メンバーも発表されたところでございます。

 今後、回を重ねていくことになりますので、その中でどのような議論を展開をしていくのかとか、そういったところについては、当該事務局ともよくキャッチボールしながら考えていきたいと考えております。

山井委員 繰り返し申し上げますが、こういう子供の貧困対策は、政争の具にすべきではないし、国会で余りけんけんがくがくやるべきではないと思いますので、党派を超えて取り組んでいきたいと思います。

 残り時間僅かとなりましたので、エホバの証人の児童虐待の疑いについて、この間、大変熱心に、厚生労働省、加藤大臣を先頭に取り組んでくださいました。本当に、羽野室長にも大変感謝をいたしております。

 具体的には十八ページ、早稲田議員からも質問がありましたけれども、エホバの証人に児童虐待の疑いがあるということで、ヒアリングと要請をしていただいたということです。

 そしてまた、それについて、二十ページにありますように、先日、エホバの証人の被害者であります夏野ななさんや、統一教会の被害者であります小川さゆりさんなどが、この宗教的虐待に対して法整備をしてほしい、こういう要望もされました。

 そこで、お伺いしたいと思うんですけれども、先日、日本テレビの「バンキシャ!」という番組で、エホバの証人の現役高校生信者さんのこういうコメントも読み上げられました。ちょっと読み上げます。

 私は、高校を卒業したら、着のみ着のままで夜逃げを考えています。ですが、エホバの信者三世で、親族全員信者なため、行く当てがありません。社会のこともろくに知らないので、できることなら少し避難できる場所があったらなと妄想しています。多くの人が苦しんでいます。端の方で声を上げることしかできませんが、自分のような人を救いたいと。

 こういう、高校生からの、この宗教が原因で、もう夜逃げを考えている、家出を考えている、こういうふうな悲壮な声も出ているんです。

 児童虐待防止法というのは議員立法で、もちろん保護者を指導するというたてつけなんです。でも、残念ながら、今報道されている限りでは、エホバの証人というのは、その教義の中で、輸血をしたら駄目ですよとか、むちで打ちなさいとか、そして、一旦脱会したら未成年でも家族は口を利きませんとか、児童虐待に触れることをやっているのではないかというふうな被害者からの声も出てきております。

 やはり、こういう児童虐待が疑われる組織、団体に関しては今後もきっちり、子供を児童虐待から守るために、こども家庭庁として、河村課長を先頭に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった宗教を背景とする児童虐待問題ということでは、先ほども御紹介申し上げましたように、先般、エホバの証人の法人関係者と面会を行って、どういう認識にあるのかということを直接確認、伺うとともに、昨年のQアンドAなどについて法人としての周知をいただきたいという依頼をして、検討するとの回答を得たところでございます。

 従前担当しておりました厚労省におきましても、宗教二世当事者の方々からいろいろなお話をお伺いしたり、あるいは、QアンドAの発出に際しエホバの証人の担当者とお会いする機会もあったことなどから、今回、このような、先方の委員の協力の下での面会ということにもなったわけでございますけれども、今後こども家庭庁として、この宗教二世対応を含めた虐待問題対応を引き継ぐに際しましては、昨年末に公表したQアンドAについて引き続き現場あるいは関係者に対し周知を図っていくこと、更には宗教を背景とするような児童虐待の実態把握、こういったことに努めてまいりたいと考えております。

 そうした取組を通じまして、引き続き、宗教二世の方々も含めたこの児童虐待防止対策、こういったものにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

山井委員 いつも私言いますけれども、私もお寺の横にある仏教の高校で学びまして、本当にそういう宗教というのは、子供にとっても大切な面もあるし、私もよりどころとしておりますけれども、やはり、こういうふうな虐待がある場合は、毅然として子供を守っていただきたいし、指導していただきたいと思います。

 それで、最後にもう一点お聞きしたいんですけれども、今回、学童保育ですね、夏休み、給食がなくなることによって、学童保育のお子さん方の体重が減ったり健康を害するという、これも子供の貧困問題の一端なんですけれども、そういうことがあるんですけれども、今回、異次元の少子化対策の中で、夏休みなどの学童保育の給食をやるということについて、実態調査、モデル事業とかも含めて検討していただけませんでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブにつきましては、現在、放課後児童クラブ運営指針等によりまして運営をしていただいているところでございますが、食事の提供につきましては、実施主体である市区町村が地域の実情に応じてその実施について適切に御判断をいただくべきものと承知をしております。

 その上ででございますが、国としても、市町村の独自の取組として放課後児童クラブ利用児童への昼食提供を行っている自治体等につきまして、今後、実態の把握を含めまして、どのようなことができるかを考えてまいりたいと考えております。

山井委員 時間が来ましたので、最後、一点だけ要望をさせていただきますが、今回、保育士さんの配置基準の引上げ、一歳児は五対一に、四、五歳児は二十五対一にということになりましたけれども、保育士さんも今人手不足で、単純に配置基準を上げても人は集まりませんので、処遇改善とセットで是非やっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、冒頭、先回三月二十九日、厚生労働委員会で取り上げさせていただいた優生保護法の相次ぐ判決、その中で、二十九に質疑いたしました翌日、札幌高裁判決を国は上告なさいました。また、今日、引き続いて、午前中、大阪高裁判決も上告をされました。

 私は、この相次ぐ判決が、いずれも、著しく被害者の人権を侵害して、到底憲法上も許されるものではない、すなわち、憲法違反の非人間的、非人道的なものであるという判決は、いずれにも共通しております。

 今日はまたこの前と同じ資料を出させていただきましたが、大阪高裁判決、ここは、これまでの判決よりも更に踏み込んで、民法の除斥期間の適用により賠償責任を免れることは、そもそも個人の尊厳を基本原理とする日本国憲法が容認していない、しかし、国はなお一貫して立法行為の違法性を争い、除斥期間の適用を主張し、責任を否定しておると、厳しい断罪なわけです。と同時に、これは、国が、自ら賠償責任を認め、被害者たちに謝罪し、応分のいわば賠償をするということを、一方において主張しているわけであります。

 加藤大臣、前回は担当は加藤大臣でありました。今回、子供、子育て関連の自見政務官にお越しいただきました訳は、これが子供、子育ての所管に移るということであります。優生保護法の賠償あるいは一時金支給問題が、なぜ子供、子育ての部署に移るのか、理由を教えてください。まず、これまでの所管であった加藤大臣にお願いいたします。

加藤国務大臣 今回、こども家庭庁の設置に当たって、私どもがやっていた子供に関する施策について、基本的にはこども家庭庁に移管しているものというふうに認識をしています。

阿部(知)委員 厚生労働省がやっていた子供、子育て関連だから移管するんですか。もう一度御答弁。よく分からなかったです。なぜ移管するんですか。

加藤国務大臣 ちょっと今手元に設置法がございませんからあれですけれども、基本的には設置法に基づいてそれぞれの所管というのを整理をしているわけでありますが、私が申し上げたのは、経緯から申し上げて、今回のこども家庭庁において子供、子育て施策を担当するということでこども家庭庁が設置をされ、そして、そこに対して、私どもがこれまでやってきた施策の中で、特に子供、子育て関連については、委員御指摘のように、こども家庭庁の方に移行するということになっている、その一環というふうに認識はしています。

阿部(知)委員 常識的に考えまして、これが子供、子育て関連だと言われましても、なかなか国民的にも納得できないと思います。

 後ほどまた加藤大臣にお伺いいたしますが、今日は自見政務官にお越しいただきましたので、移管された、急に渡されたボールですが、本当に深刻な人権の侵害と違憲立法であったということ、そして、今日、上告なさいましたが、その判断には、こども家庭庁としての判断でありますか。

自見大臣政務官 お答え申し上げます。

 旧優生保護法に基づきまして、あるいはこの法律の存在を背景といたしまして、多くの方が、特定の疾患やあるいは障害を理由に、生殖を不能とする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことに対して、政府として、真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げる次第であります。これは、こども家庭庁としても全く同じでございます。

 こうした方々に関しましては、平成三十一年に、超党派の議員立法におきまして法律案が取りまとめられ、国会において、全会一致により、一時金を支給するための法律が定められました。政府としては、引き続き、立法府の総意により制定していただきましたこの法律に基づき、一時金を円滑かつ確実に支給し、その責務を果たしてまいります。これは、こども家庭庁の中にございます成育局の中にある母子保健課が担当でございます。

 その上で、係争中の個別の訴訟につきましては、それぞれの具体的事情も異なることから、法律の解釈、適用を含めて個々に検討し、事案の内容に応じて一つ一つ丁寧に対応しているところでございます。そのような観点から内容を精査いたしましたところ、除斥期間の法律上の解釈、適用に関しまして、いずれも旧優生保護法に係る本件事案にとどまらない法律上の重大な問題も含んでいるということなどから、上告せざるを得ないとの判断に至ったものであります。

 また、一時金の支給に関しましての法律が全会一致で制定された経緯も踏まえまして、今後の対応の在り方につきましては、国会に相談をしているところでもございます。政府といたしましては、引き続き、国会での御議論の進展に向けて最大限協力をさせていただくとともに、御議論の結果を踏まえて対応を検討してまいりたいと思ってございます。

阿部(知)委員 そうやってぐるぐる回しにしているうちに、もう原告は亡くなっていくわけです。厚労省から今度こども家庭庁に渡しました。こども家庭庁は、政府の一環として方針に従います。だけれども、立法府でやっていただいているのでと、もうずっとこの繰り返しです。

 今般出た大阪高裁判決は、除斥期間を理由に長引かせてはならないというところに最も大きなポイントがあると思います。

 今回の大阪高裁判決、上告されましたが、その原告の小林さん、九十一歳になられて、聴覚障害の方です。奥様が原告として共に訴えていられましたが、亡くなられました。こうやって、三十人の原告のうち、二〇一八年からもう五人が次々と他界をされています。取り返しのつかない非人間的な不妊手術をして、その謝罪と人権の復権ですよね、それを一日も早くすることが政治の道なんだと思います。

 だからこそ、この高裁判決は、判決を最高裁に委ねるのではなく、二方向提示していると思います。政府の責任においてこれを認めて、賠償していく。さほどに非人間的であり、憲法に反するんだというのがこの判決であります。

 次に、加藤大臣にお願いしたいと思いますが、私は、こうやって簡単に、今日は自見さんは担当に急になりましたから来てくださいましたけれども、そもそも厚生労働省として反省や総括はどうなっているのか、渡してしまえばそれで終わりではないと思っています。明らかに過去の厚生労働行政が生んだ過ちであります。

 大臣、お手元の資料二枚目を見ていただけますか。これは、これまで厚生労働省として子ども家庭局母子保健課でやっておられたお仕事で、旧優生保護法関連資料の保管状況調査の結果。要するに、資料はほとんど保管されておらず、手術歴についても分からず、誰が何をされたか分からないような事態を生み出しているということもまた大変大きな問題であります。

 この業務については、どうなるのでしょうか。これも、こども家庭庁に行くのですか。それとも、一時金の支給の法案のとき、当時の根本厚生労働大臣が、支給に際して、これは厚生労働行政の過ちであったとおっしゃって、一時金の支給のことを全会派一致で成立させた後、コメントをしました。私は、やった過去についてのきちんとした総括、責任が取られない限り、本当にこの歴史的な汚点は取れないと思います。この業務は誰が引き継ぐのですか、加藤大臣。

加藤国務大臣 旧優生保護法、現在母子保健法で、その母子保健法をこれまで厚労省では子ども家庭局の母子保健課が所管をしていたわけでございますが、その母子保健課が、先ほど自見政務官のお話があったようにこども家庭庁の方に移管をしているということでございますので、持っている仕事そのものが基本的にこども家庭庁の方に移管されているということになります。

 一方で、もちろん、これまでの私どもの対応、特に一時金の支給等々についてはしっかりと引き継いで、引き続きその責任を果たすべく、我々としてもできる協力はしていきたいと考えています。

阿部(知)委員 もう一回繰り返しますが、この調査検討はもう厚労省ではやらないのですか。そこがみそなんだと思うんです。厚生労働行政が犯した罪なんです。やらないんですか。そして、こども家庭庁が検証するんですか。教えてください。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 今後は、こども家庭庁が責任を持って行うということになってございます。

阿部(知)委員 その自見さんの心意気やよしといたしますが、そうやって一つ一つ曖昧にして。やはり歴史の過去と一緒です。きちんと総括されないと過ちは繰り返すんです。

 私は、厚生労働省の姿勢、そして、もう一言言わせてもらえば、こども家庭庁になることで、従来の厚生労働行政が、むしろその内実を低下させていったり、あるいは連続性をしっかりと踏まえられなくなることの方が、今後、様々問題が生じてくると思います、この事案だけでなく。自見さんはしっかり検証するとおっしゃいましたから検証していただいて、しかし、このボールを渡したことは厚生労働省の責任放棄であると私から指摘させていただきます。

 引き続いて、今日、自見さんにほかの案件でも御答弁をいただかなければならないので、お時間もあろうことかと思いますので、順番を変えさせていただいて、産後ケア制度についてお伺いをいたします。

 産後ケア事業、これは、母子保健法の改正にのっとって、二年前から実施、各市町村に努力義務が課せられた事業であります。そして、この間、旧厚生労働省、今はこども家庭庁に移って実態調査もしていただいていると思いますが、私は立法者の一人でありましたので、この制度がいまいち普及していない。正直言って、二〇二四年までに全国で実施するということが大きな目標でありましたが、まだまだ。一部は実施されています。例えばデイサービスのようなもの、あるいはアウトリーチ、お宅に行ってやること。これは今までも、今までの産後ケア事業でもあったわけです。

 あの法改正によって何ができるようになったかというと、例えば、御高齢者でいえば、ショートステイと同じような、レスパイトというか、体を休めたり、いろいろな事情でおうちでお母さんが見ているだけではやれないときにショートステイを利用していただける仕組みを法律的にも担保したものであります。

 自見政務官もよく御存じなので、二年近くたちまして、御覧になって、今一番何が不足しているか、あるいは、これはこれでいいんだと思われるか、御所見をお願いします。

自見大臣政務官 お答えをいたします。

 産後ケア事業につきましては、改正母子保健法において規定をされたところでありますけれども、阿部委員にも大変な御尽力をいただきまして、議員立法として成立をしていただいているところであり、問題意識は共有をしているかと存じております。

 その産後ケア事業におきましてでありましたけれども、令和二年五月に閣議決定されました少子化社会対策大綱に基づきまして、政府としても、令和六年度末までの全国展開に取り組んできているところでもございます。

 このところでございますけれども、これまでの事業の実施要綱のところでは、産後ケア事業によりまして支援が必要な妊産婦の具体的な状況を例示するという観点から、産後に心身の不調又は育児不安等がある者、その他特に支援が必要である者等を対象者としてございました。

 一方で、昨年度、厚生労働省の調査研究事業におきまして実施いたしました自治体ヒアリングにおきましては、育児不安等という要件が利用者にとってハードルが高く感じられ、利用をちゅうちょしてしまう場合があるというお声も聞かれたところでもございます。また、当初の議員立法を成立していただきましたときには、必要のある者ということで、広く規定をしていたわけでございました。

 このため、我々といたしましては、令和五年度の実施要綱のところから、対象者に関しましては産後ケアが必要な者ということに改めさせていただきまして、より一層ユニバーサルサービスであるということを明確化しておりまして、三月の自治体の説明者にも既に説明を終えたところでございます。

 また、さらに、令和五年度の予算におきましては、所得のいかんにかかわらず、産後ケアを必要とする全ての産婦を対象とする利用料の減免支援も創設したところであります。

 産後ケア事業につきましては、令和五年度もガイドラインの見直しを行うための調査研究を予定しておりまして、こうした取組を通じまして産後ケアを利用しやすい環境づくりを図り、より一層の全国展開、しっかりと進めてまいりたいと存じます。

阿部(知)委員 おっしゃったように、お母さんたちが利用しにくいというか、スティグマを身に受けてしまうのではないか。例えば、駄目なお母さんとか、育児不安でやれないお母さんとか。そうではなくて、誰でも産後は大変疲れますし、育児は四六時中お休みなしですし、そうしたお母さん誰にもユニバーサルにということで、今、自見政務官、お答えいただきましたので、それが自治体レベルまで徹底するようにお願いしたいんです。

 これまで自治体では、いろいろ、問題のあるお母さんを早期発見してサービスにつなげるというエジンバラ・スケールというのがありますけれども、そういうことにのっとって保健師さんたちも一生懸命やってきたわけです。ですから、この事業も、そこでひっかかった人を何とかつなげたいという思いになりがちなんですけれども、主客転倒して、利用しやすい、必要とお母さんが思ったときというふうに本当に徹底してお伝えいただきたい。

 加えて、QアンドAも変わるのでしょうか。この二年前のQアンドAだと、やはり御家族がいても使えますよくらいのところしか書いていないんですけれども、あなたが必要としたときにいつでもどこでも利用できる制度ですというふうに、QアンドAも自治体の皆さんは見ますから、一回の講習では徹底しません。QアンドAの改正もお願いしたいです。いかがでしょう。

自見大臣政務官 今回、対象者を産後ケアを必要とする者と改正することに伴いまして、自治体向けに新たにQAを発出することを予定しておりまして、その中で、委員御指摘のように、産後ケアの内容の説明等を行った上で、産婦が利用を希望する場合には、産後ケアを必要とする者として支援の対象者としていただいて差し支えない旨をお示しすることとしてございます。

 また、今回の対象者の改正趣旨につきましては、先ほども申し上げましたが、三月の自治体向けの説明会でも、既に終わっているところでありますが、改めて、委員御指摘のとおり、QAでも発出したいというふうに考えてございまして、自治体の担当者にも引き続き徹底して周知を行ってまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 あと二つ課題があると思います。実際にサービスが提供されているものを見ると、やはり、先ほど私が申しましたショートステイできるところが少なく、また、あったとしても、病院の空きベッドや助産所でやっていただくというところが大半であります。

 なぜそうなるのか。二つ理由があると思いますが、皆様のお手元の資料七に書いてございますように、宿泊型、実施方法のところは、病院、助産所等の空きベッド等の活用等によりとなっておりまして、これだけ見ると、ああ、そうか、病院が空きベッドでやっていればいいんだなというふうになりがちであります。もちろん、この記載だけじゃなくて、実は、新しく施設を造ってやるというのはほとんどできておりませんで、施設補助も出ておりますが、二件しか全国で申請がなく、四百七十万余りしかこの予算も使われておりません。

 是非とも、自見さん、今度いろいろ調査なさるときに、なぜこの施設型の新たな展開が難しいのか。大半は、私が聞き取りましたところによると、やはりその建物が自分の所有でなければならない、賃借しているものは駄目であると。それは国の施設整備費がかかるもののある意味の仕組みの上のことなんですけれども、しかし、これでは、よほどそういう財産というか資源を持った人しかできないということになります。

 この点についても、是非、実施上の困難、課題、要望などについてもお聞き取りいただきたいですが、いかがでしょう。

自見大臣政務官 ありがとうございます。

 お答えいたします。

 産後ケア事業を実施する施設の整備費につきましては、令和二年度から、次世代育成支援対策施設整備交付金により国庫補助を行っております。令和三年度の補正予算並びに令和四年度の第二次補正予算では、国の補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、産後ケア施設の整備を推進しているところでもございます。

 ところが、委員も御指摘をいただきましたが、当該交付金のこれまでの交付実績は低調となっておりますが、これは、多くの市町村で、産後ケア事業を、助産師のいる、看護職がいる既存の医療機関や助産所等に委託しており、新たな施設整備を行うケースが少ないことも理由としては考えられるかとは存じます。

 こうした既存の医療機関に関して、委託して実施するケースにつきましては、別途、妊娠・出産包括支援緊急整備事業によりまして施設の修繕に対する補助は行っておりまして、令和五年度からは賃貸物件も補助対象としているところでございます。

 なお、令和四年度の予算におきましては、各市町村、事業者の実施の実態に応じましてよりきめ細やかな支援ができるよう、従来の人口規模別の市町村当たりの補助単価から、一施設当たりの補助単価へ見直しを行ったところではございまして、この見直しによりまして、一市町村当たりの補助基準の最大額でございますが、令和三年度までの約七千万円から、令和四年度では約一億七千八百万円に増加をしている、努力もしているところでもございます。

 産後ケア事業につきましては、令和五年度も、先ほども申し上げましたけれども、調査研究を予定しておりまして、委員御指摘いただきましたように、丁寧に、我々も、事業実施者やあるいは市町村等の御意見を伺って、支援の在り方についてしっかりと検討してまいりたいと思ってございます。

阿部(知)委員 運営費についての補助は少しずつ増えておりますし、小さな改装についてはできるんですけれども、そもそも施設を設置するときが大変困難だと。それだと既存のものしか増えないので、是非、施設への、例えば賃貸物件でもよい道を開いていただくことを私からは要望しておきます。

 あともう一つ。

 やはり、これは法律を作るときから考えたことですが、都道府県の役割というものを、もう少し前面に出ていただかないと、各自治体間の格差、例えば、一泊を三割負担の九千円で利用できるショートと、それから、世田谷や横浜のように一割の三千円で利用できるところ、利用を全然できないところもありますので、高くてもないよりはいいと思いますが、非常に自治体間格差が大きいです。

 このことは令和四年の総務省からの勧告の中でも指摘されておりまして、その地域内のある自治体、県単位の均てん化や県の果たす役割についても、もう一歩も二歩も踏み込む必要があると思いますが、いかがでしょう。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 総務省から、御指摘いただいたとおり、勧告を受けております。

 なお、我々といたしましても、個別の市町村による委託だけではなく、都道府県が管内の市町村を取りまとめて契約を調節することなど、広域で調整するということが非常に有効であると考えてございます。

 こうした観点から、昨年度、都道府県に対しまして、産後ケア事業の取組状況に関するヒアリングを実施しております。その中で、市町村と県医師会との委託契約の手続を県が仲介している事例ですとか、あるいは、県と市町村が組織する委員会によって、事業者に委託して宿泊型の産後ケア事業を実施している事例などについても把握したところでございます。

 また、令和五年度の予算におきましては、新たに、産後ケア事業の委託先の確保等について検討を行うための協議会の設置等を行う都道府県に対し財政支援を行うこととしてございます。

 こうした取組事例の横展開や財政支援を通じまして、都道府県における積極的な広域調整の取組を我々といたしましても推進していきたいと考えてございまして、産後ケア事業の全国展開を図ってまいりたいと思います。

阿部(知)委員 よろしくお願いします。全国展開の中には、本当に、町の中にある、普通に利用できる、生活空間に近いということもとても重要です。病院にはそれなりにやはり病院のにおいがあります。私も、自見さんも医者だったからお分かりだと思います。出産、育児、子育て、生活にもう一度しっかりと根づかせることで、よろしくお願いいたします。

 今日はありがとうございます。終わりです。

三ッ林委員長 自見政務官は退室してください。

阿部(知)委員 結構です。ありがとうございました。

 では、加藤大臣、続いて質疑をお願いいたします。

 国民健康保険の子供の、いわゆる人頭税と言われております均等割ですね。子供の数が多いほど国民健康保険の保険料が高くなるというので、人頭割だ、人頭税だと私たちは指摘しておりますが、この子供の国民健康保険の均等割について、五割の減免がなされて今おるんですが、それは未就学児までなんですね。

 大臣も先ほど来の質疑の中で、例えば医療費の負担で自治体が子供に対して各、十八歳まで、給付ですね、している方は、今回の小倉大臣の発言によれば、これをペナルティーではなくて給付を認めていく、十八歳までと午前中の答弁でありました。

 この子供の国保の保険料を未就学ではなくて十八歳まで上げることも併せて御検討いただきたいです。いかがですか。

加藤国務大臣 済みません。その前に、先ほど母体保護法と言うべきところを母子保健法と申し上げましたので、そこは訂正させていただきたいと思います。

 その上で、今お話がありました国民健康保険の均等割保険料でありますが、全ての被保険者がひとしく給付を受ける権利があるため、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことを基本としております。

 その上で、未就学児の均等保険料については、子育て世帯の経済的負担の軽減を目的として、未就学児の医療費の窓口負担が二割とされていることなどを踏まえ、昨年度から一律半額に軽減する措置を講じたところであります。また、現行制度において、均等割保険料については、所得の低い世帯の応益分の保険料を最大七割の軽減をしていることに加え、保険者の判断により個々の事情に応じた保険料減免が可能であるなど、既に一定の配慮を行っているところであります。

 こうした中で、均等割保険料の軽減措置の対象となる子供の範囲を更に拡大することは、財源の確保等の課題があり、慎重に検討していかなければならないと考えているところでございます。

阿部(知)委員 恐縮ですが、そんなことをおっしゃっているんじゃ異次元にもならないし、実は私は、医療費の給付よりも保険の方が第一だと思います。保険料の負担は毎月必ず起こります。そして非常に家計にも負担です。減免は多少あることは承知です。しかし、子供の数が増えるほど保険料が増えて生活の基礎を圧迫していくというのは、保険はなければ医療にもかかれませんから、今度、給付費のところを、自治体が努力していたところ、国がこれまでペナルティーを科していたところをやめるというお話ですから、むしろもっと積極的に、十八歳まで国保の子供たちの保険料を、減免どころか私はゼロでいいと思いますけれども、された方が、本当に子供たちの育ちを支えることになると思います。

 ちなみに、大臣のお手元、資料の三の下には、子供のいる世帯の年齢階層別消費支出というのが書いてございます。子供のいるゼロから二から、十八から二十一を年齢別に並べておりますが、御覧になって分かるように、小学校、中学校、高校となるほどに子供にかかるお金は増えてまいります。これを、家計の負担を軽減するためであったら、私は、十八歳までで、そして第二子、第三子、多子世帯にも配慮するために、減免若しくは全く保険料は子供たちからは取らないふうにされるのが理にかなっていると思います、経済的な問題をおっしゃるなら。大臣にはこれをお伝えしておきますので。

 でも、この前までは、給付費に関しても、自治体がやるとすぐペナルティーをちらつかせたのが、一日で変わったというか、今回の発表で変わりますから、明日にも変わることを期待いたしておりますので、大臣、保険の、無保険にはさせないために、御家族、御家庭の負担をしっかりと考え、多子世帯への配慮も考え、それが厚生労働行政だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、もう一つ、今度は出産のいわゆる保険適用の問題を、今どなたもお取り上げになりました。急に子ども・子育て本部の方からおっしゃったことであって、一方で、ここでは、御高齢者、後期高齢者から一時金の拠出を求める論議をしていますから、余りにちぐはぐで、政府内ではどのように検討されているのか疑問が起こるところでありますが、私は、基本的には保険適用にすべきと思っていますし、そのときの私がなぜそう思うかということを少しお話をして、大臣と意見交換をしたいと思います。

 今般、こうした出産費用の見える化について、令和六年からの実施に向けた具体化を進める。まずは、見える化について令和六年度からだから、見える化が来年ですか。そして、それらの効果の検証を行い、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方についての検討を行う。

 前回もお尋ねしましたが、出産費用の保険適用の導入の検討に役立つ見える化とはどのようなものでありましょう。この前、古屋さんの御質問に伊原さんが答えておられますが、私は、これらが到底保険適用に結びつくような見える化なのかどうか疑問であります。大臣がお考えになる見える化、保険適用の検討に資する見える化とは何でしょう。

加藤国務大臣 今、これから、関係者から、あるいは妊婦の方々からもお話を聞きながらその内容を詰めていかなければならないというふうに考えておりますが、現在、今我々が想定しておりますのは、見える化のためのホームページにおいて、医療機関等ごとの出産費用の状況、また、御指摘の出産の安全性にも関わる医療機関等の特色や出産に係る運営体制、さらに、室料差額や無痛分娩の取扱い等のサービスの内容、こういったことを公表していく、また、そうした公表内容も踏まえて、いろいろ内容を分析、検討していきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 私は、大臣も今、スマホ等々で簡単に各クリニックの概要とか、売りといいますか、宣伝はもう山ほどあふれております。費用についても書かれているものもあります。そういう中で、これまでの既存のそうしたホームページと何が違うのか。お母さんたちは今もそれを見て選択をしていると思います。例えば、お昼はどんなかなとか、部屋はどんなかなとか、不妊治療の適用はどうかなとか、十分見ておられます。私は、それと何が変わるのかなと、おっしゃる見える化というのは。

 そこで、二つ提案があります。

 一つは、出産ということは、保険適用すべきか否かということ以前に、そもそも産む主体、女性が出産において何を望むかというところが原点であります。二つあって、安心で安全なんです。安全がなければお母さんの命が危ない。あと、安心。医療機関で産んだけれども、もう二度とあんな医療機関は行きたくない、そんなふうになったらお母さんはトラウマですから。

 それらをどう見える化、明示化していくかというときに、実は、厚生労働省の科研費で行われた研究で、母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査というものが、平成十八年から五、六年置きになされてまいりました。そこで十五の項目を挙げて、チェックリストと言ってもいいですけれども、リサーチクエスチョンという形で、資料五につけてありますが、こういうことをしっかりと各出産する施設にスタンダードに表明してもらうというのが私は一つの方法なんだと思います。これは、お母さん側から見て知りたいこと、そして、どうあれば安心できるかなどであります。これを全てホームページに載せなさいと言っているのではないです。でも、これはWHOも、お母さんたちにとっての出産としてガイドライン化しておりますから、大臣には是非これを御検討いただきたい。

 産む側が安心して、納得して、もう一人産みたいなと思うようなお産であってほしいと思いますので、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げました公表するという意味においては、やはり、どういう基準といいますか、基準を示しながらそれぞれを出していただくということになろうかと思いますが、そうした詳細については、医療関係者を含めた有識者により検討を進めていきたいと考えておりますし、検討に当たっては、利用者にとって、今委員からも御指摘があったものも含めて有益なものになるよう、妊婦の方々の意見をしっかり伺いながらその作業を進めさせていただきたい。今の段階でこれが入る、これが入らないということを申し上げることはできませんし、また、仮に保険として決めればそちらの方で決まってくる内容もあるのかもしれません。その辺を含めて、よく議論させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 申し上げますが、保険として決めようが決めまいが、産む主体が安心、安全であることというのは大前提ですから、これはWHOのポジティブな出産体験のための分娩期ケアという中にも今組み込まれておりますので、大臣には是非認識していただきたい。

 最後に、お産というものが、果たして、病気でない、疾病でないと言われますが、二枚戻っていただきますと、今、分娩が八十万件とすると、医療的介入を行った分娩というものが約半分近くございます。八十万件のうち、正常分娩というのが四十四万件ですから、残る三十六万件は何らかの医療的介入があったということで、現状では、正直申しますと、晩婚化しておりますし、不妊治療なども受けた方も多いですし、やはり妊娠、分娩に関わるリスクというのは明らかに上がっております。年齢が高いだけでもそうなるわけです。

 そこで、もちろんそれに対処する手もありますけれども、資料の六を見ていただくと、例えば、無痛分娩下に亡くなった方で何が関係していたかとか、下には、二〇一〇年から二〇二一年までの妊産婦死亡五百十七人を、どんな原因で亡くなったかをここに列挙してございます。昔であれば出血と感染症が多かったと思います。今は、様々な母体の抱えるリスクや、先ほど言った不妊治療を受けたあるいは子宮筋腫等々でそこを核摘出をしたなどによって様々な合併症が起こりがちであります。この調査は日本産婦人科医会が二〇一〇年から死亡例の報告ということをやって、会員に周知して、レベルを上げてございます。

 今後、厚労省も日本産婦人科医会と意見交換もされると思いますが、一人の妊産婦さんも無駄に亡くならせなくていいように、例えばその医療機関がどこと連携しているかとか、どんな緊急時介入ができるかとかも必要な情報であります。是非大臣には、この点、念頭に置いて臨んでいただきたいです。

 済みません、時間が終わっております。御答弁だけお願いいたします。

加藤国務大臣 妊娠あるいは出産、いろいろリスクがある、御指摘のとおりでございますし、そのことについて適切に、妊婦の方があるいは家族の方が情報を把握することが重要だと考えております。

 高齢出産や喫煙、基礎疾患などが妊娠中のリスクになるわけでありますが、これらについては母子健康手帳情報支援サイト、こうしたところでの情報提供をさせていただいております。また、厚労省としては、医療法に基づき、妊婦の方々が自身のリスクを踏まえて必要な情報をより得られやすくするよう、医療機関にも働きかけていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、ここの点はこども家庭庁等も関係するところでございますので、よく連携を取りながら、妊婦の方々が安心そして安全に出産できる、こうした環境の整備に取り組んでまいります。

阿部(知)委員 重ねてよろしくお願い申し上げます。

 終わらせていただきます。

三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 全社法案、先週に引き続いてまた、昨日は参考人質疑でございましたが、二回目の質疑でございます。私からも質問させていただきますが、私、かかりつけ医制度整備に関して集中して質疑したかったんですが、今日も午前中から、また阿部委員からもお話がありましたように、先週の金曜日、三月三十一日、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行うということが発表されました。

 これは私も正直びっくり。この全社法案、大きな項目の一つが出産育児一時金拡充と後期高齢者からの搬出。まさにこういうことを議論している最中に、検討と言っておりますけれども、今まで、昨年の十二月、総理答弁は、慎重にという言い回し、そして、全社法案の本会議においても、課題が多いという言い切りだったんです。普通、受け止めは、これは出産費の保険適用には後ろ向きだ、ネガティブだと捉えるのが一般的だと思います。それが、三月三十一日のたたき台に、検討と。政治的に見れば、これはポジティブに変わった。早稲田委員は百八十度変わったとおっしゃっていましたけれども。まさに、出産育児一時金、後期高齢者からの搬出、在り方を検討している最中に、既にその先に保険適用がということ、これは大変、私、この後、それぐらい大きな変革だということを、このさなかに突如として降って湧いてきた。

 大臣に確認したいんですが、大臣はこのことをいつ知らされたのか。そして、本会議は三月の十六日だったと思いますが、全社法案が審議入りのときにはもう既に、この少子化対策たたき台に出産費の保険適用が入るということは分かっていらっしゃったんでしょうか。

加藤国務大臣 最終的にたたき台の中身が決まったのは、まさに、発表させていただいた、いわば直前と言っていいんだろうと思いますし、その間、与党の方からもいろいろな御意見も頂戴をしたわけであります。また、国会においても、それぞれ委員から御指摘もいただいた。こうしたことを含めて、今回、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う旨が、試案ではありますけれども、その段階で盛り込まれたということでございます。

中島委員 じゃ、大臣は全社法が審議入りする前までは知らなかった、これがたたき台に入るということは知らなかったということですね。けれども、発表される直前に、入るということを知った。

 大臣、厚生労働大臣として、先ほど大変革と言いましたが、出産は、今までは療養、これが保険適用に、疾病のカテゴリーに入ってくる。これまで我が国が積み上げてきた、まあ私はあえて保険適用がいいか悪いかという議論とは全然前の段階で、これだけ大きなことを加藤大臣には三月三十一日、出る直前に。そして、大臣はそれでよしとされたんですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、そうしたことも含めて議論がなされていた、政府内においても検討がなされていた。もちろん厚労省もそれに対していろいろ議論にも参加させていただいていますが、ただ、最終的に確定したという意味においては、まさに発表のぎりぎりのところで確定し、そして発表させていただいた。こういう経緯でございます。

中島委員 昨日、参考人でございましたが、理事会で、小川筆頭から、今回の出産費の保険適用について経緯と説明を求めたところ、今朝の理事会で文書が出されました。丁寧に、迅速に対応していただいたことは感謝したいと思いますが、今、政府内で議論というふうにおっしゃいましたけれども、今日の説明でも、国会の審議において様々御指摘をいただいたとか、そういうことは書いてあるんですが、今も大臣御答弁されましたように、政府内で議論してきた。もちろん、審議会とか医療部会とか、そういうところでは今までも議論されていたと思います。そんなこと言ったら、かかりつけ医だってそうですよ。そんなのはいろいろなところで議論される。

 だけれども、先ほども言ったように、総理の答弁は、今回の全社法の本会議、井坂議員の答弁にも、医療保険制度との整合性をどう考えるかなどの課題があると考えております。池下議員には、全国一律の診療報酬で評価する医療保険制度との整合性をどう考えるかなどの課題があると考えており、出産費用の見える化を進めることが重要で、そっちが先だと言っています。田中議員には、全国一律の診療報酬で評価する医療保険制度との整合性をどう考えるかなど課題があり、これもやはり見える化が先だ、こういう答弁に終始していた。これが三月十六日ですよ。

 それから二週間余り、この間、政府内のどんな機関でどのような議論が行われたんでしょうか。

加藤国務大臣 まさにこれは、小倉大臣の下で、関係省庁会議だったですかね、というところでこのたたき台を固めてきて、また、その間においては、小倉大臣のところを中心に、内容についてもいろいろと議論があったというふうに承知をしておりますし、今の段階においても、総理が指摘した課題、この課題がなくなっているわけではないわけであります。

中島委員 大臣も、じゃ、その中に加わっていたということですね。閣僚会議、その中で、検討する。

 私は、最終的に、この三月三十一日の異次元の少子化対策、そして、その中に。その前から、二日、三日前から報道されていました。今まで、普通は、慎重とか、課題が多いといえばネガティブだったものが、この短期間にポジティブに変わった、検討すると。一体、今まで、課題、そういう見通しを、これは前向きに行こうと、どこでどう変わったのか、どういう議論がされたのかが非常に不透明だと。

 そして、これは各報道でも、出産費用保険適用導入に当たっては出産育児一時金との関係整理が必要、そして、仮にこの法律案の提出前に出産費用保険適用導入検討という政府の方針転換が明らかとなっていれば、この法律案の議論も、出産育児一時金の増額や後期高齢者医療制度の支援という論点のみならず、今後の出産育児一時金の在り方という大きな、それは当然ですよ、大きなテーマになっていたはず。それが、これはこれ、それはそれと。

 私は、先ほども言ったように、我が国の出産、今日午前中は大西委員がこれまでの歴史というか経緯を細かく御説明いただいて、非常に分かりやすかった。それを大きく変える、それが分かっていながら、ここで何もそのことを。様々な課題、もうあえて触れませんけれども、それをどうクリアしていくのか。見える化の後に検討と言いますが。

 じゃ、これも確認ですが、検討した結果、やっぱりやめたということもあるわけですか。

加藤国務大臣 まず、これまでの経緯、例えば、出産育児一時金を議論していただいた中でも、出産費用については、年々上昇しており、地域差もあることから、引き続き、こうした状況を踏まえたより詳細な出産費用の分析を行うとともに、出産費用の見える化の効果なども踏まえ、引上げ後三年を目途に、出産育児一時金の在り方について、今回の議論の整理を踏まえて検討するべきという方針は、もう既に医療保険部会の段階で昨年の十二月に出していただいたわけでございます。

 そうした流れに加えて、総理の子供、子育てに対する取組をしっかりやっていこうという方針、あるいは様々な御議論、これを踏まえて、今回、出産育児の一時金の在り方を含めて、出産費用に関する支援の在り方について検討を行う旨を盛り込ませていただいたわけでございます。

 したがって、そういった手順を踏みながらこれから議論をしていく。その議論の中で、まさにそれが検討でありますから、今、検討する前の段階で、結果を先に申し上げるのは適切ではありませんし、もし仮に結論が出ているのであれば、検討するまでもなく実施をするということになるんだろうというふうに思います。

中島委員 それはちょっとおかしな言い方ですよ。検討して、いや、やはりこれは我が国がこれまで培ってきたもの、出産は保険適用がない方がいいという結論が出るかもしれないじゃないですか。検討した結果ですよ。結論づけるんじゃなくて、私は可能性の話として、検討した結果、保険適用は見送る、やはりやらないという可能性があるということでよろしいですね。

加藤国務大臣 それは、あるとかないとかということを含めて、しっかりこれから検討して、その結果ということでございますから、まさに今、先ほど申し上げたような流れの中に乗りながら、内容をしっかり、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援などの在り方について中身を詰めていきたいというふうに考えています。

中島委員 先ほど、アナウンスと言いましたけれども、今まで我々は厚生労働省さんからも御説明いただいて、これまで様々な審議会、政府内でも議論されてきた、その延長線で今回たたき台に入った、それは説明がつくかもしれませんが、一般国民また社会に対しては、今までネガティブだったものが突如としてポジティブに変わったと受け止められています。事実、先週の金曜日以降、週末も昨日も、私も地元、産科の先生方や助産師さん、様々な方から、もういずれ保険適用になるんだろう、もううちはやっていけないよと。

 私はあえて言いますよ。私は、保険適用に反対とか賛成とか言っているわけではないんです。これは、私らの党の中でも本当に賛否両論あります。それぐらい本当に課題が、高い課題があると思っているんです。それを、メッセージとして伝わってしまっている。そして一方では、ここで、出産育児一時金、後期高齢者搬出。先ほども言ったように、保険適用というものが前提にあるならば、もっと大きなテーマとして改めてちゃんと議論しないと、このままそのことがたたき台に入っていて、これを賛否を問うというのは、私は、国民の皆様にとってもちょっとごまかすような、そんな状況になりかねない。

 改めてでございますが、やはり保険適用を念頭に、その場合、今日朝の理事会でいただいた締めくくりは、厚生労働省の、いただいた回答、仮に保険適用を行ったとしても、こうした仕組みは維持されるものと考えている、出産育児一時金ですね、されるものと考えていますと回答が来ました。それで間違いないですね。

加藤国務大臣 そこでは、検討を進めることが想定されますとして、また、後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援する仕組みとすることは、全世代で子供、子育てを支えていく観点から重要であり、仮に保険適用を行ったとしても、こうした仕組みは維持されるものと考えている、こういうふうに説明していると承知しています。

中島委員 今日いただいた回答は、保険適用については、令和八年度を目途に検討を進めることが想定されます、また、後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援する仕組みとすることは、今もおっしゃいましたが、全世代で子供、子育てを支援していく観点から重要であり、保険適用を行ったとしても、こうした仕組みは維持すると。

 いわゆる、出産育児一時金は、今回、後期高齢者の搬出もなり、こういう仕組み、保険適用とこの出産育児一時金、これはコミットして、この制度は維持するという理解でいいですか。

加藤国務大臣 ちょっと、同じ文章を二回、三回読み上げているんですが、委員も含めてですが。ここで書いている「仕組み」というのは、「また、」の後に書いてある「後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援する仕組み」のことを指しているわけです。

中島委員 改めてですけれども、やはり、今回、後期高齢者医療制度からの搬出、それはもちろんお孫さんとか娘さんとかの世代に支援をしたいという、でも、物価高騰もあり、またコロナも三年以上続き、そういう方々の制度から搬出をする、こういう事情の中で、私は、理事会でも朝言いましたが、改めて法案を出し直すか、若しくは、これは束ね法案ですからかかりつけ医の部分もあったりほかにもあります、改めてこの部分だけ別に審議することをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回は、前から申し上げているように、出産の費用がかなり高騰してきている、その費用をしっかり支援をしていく必要がある、そのために出産育児一時金の金額を五十万に引き上げる、そして、そのための負担に関しては、これまで現役世代に負担していただいたわけでありますが、それに加えて、後期高齢者の医療制度に加入している方で、かつ一定程度の所得のある方に御負担をいただこう、こういうことを中身とさせていただいて、そして、今申し上げたように、後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援する仕組み、これは引き続き維持していきたいということを考えているわけでございますので、いろいろな御議論はあろうかとは思いますけれども、私どもとしては、そうした状況も踏まえて丁寧な説明をさせていただきたいと思っております。

中島委員 私もこれを議論するつもりが正直なかったんですが、突如としてということなので。改めてですけれども、法案再提出、若しくは別に議論する、それもなかなか難しいというのなら、このテーマが増えたわけですから、質疑時間はしっかり取っていただきたい。加えて、やはりこの議論をするからには、念頭にある保険適用の検討という内容はこの法案の中にも間違いなく入れないとおかしなことになるということだけは、御指摘をさせていただきたいと思います。本当に私は、ほかの、かかりつけ医に特化したかったんですよ、役割分担して。でも突如としてということなので、是非、今言った御指摘はしっかり踏まえていただきたいと思います。

 今日は、財務省さんにお越しいただいております。

 昨日は、参考人質疑で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備について様々な御意見をいただきました。正直申し上げると、評価がかなりまちまちであった。そのことについても後ほど触れますが、財務省さんには、令和四年度、五年度における財政審建議、かかりつけ医の制度化の部分について確認をさせていただきたいと思います。

 資料の九枚目、十枚目、十枚目の方、これは令和四年度財政審建議、この三十九ページのところ、赤線の部分ですが、かかりつけ医の制度化という文言が使われています。一方、令和五年度予算の編成、令和四年から令和五年に移ったときには、かかりつけ医の制度化という言葉が見当たりません。

 端的にお尋ねしますが、令和五年度建議からかかりつけ医の制度化という文言が落ちているのはなぜなのか、お答えいただきたいと思います。

中村(英)政府参考人 お答えいたします。

 財政制度等審議会の建議は、御案内のとおり、その時々の議論の状況等に基づいて取りまとめていただいているものでございます。先生御指摘のとおり、四年度の建議におきまして、かかりつけ医の制度化という提案がされております。

 一方、昨年になりますけれども、骨太の方針二〇二二におきまして、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということが閣議決定されたということがございまして、そうした中、それを踏まえまして、昨年後半の財政制度審議会において、かかりつけ医機能を有する医療機関の機能を明確化、法制化し、機能発揮を促す必要があるということなどを提案していただいたというふうに我々は認識しております。

中島委員 いわゆる財政審建議、そして改革工程表、そして骨太二〇二二、その後の構築会議、様々な議論の中でかかりつけ医機能整備という言葉に変わった、いわゆる建議の内容から議論を踏まえてこういうふうに変遷したという御説明だったと思います。

 もう一点確認ですが、令和四年度建議には、同じページですが、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化した上で、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定するなどの制度を設けること、こうしたかかりつけ医に対して利用希望の者による事前登録、医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討していくべきであるとの記述もあります。

 今国会に提出された全社法案です。かかりつけ医機能の法整備は、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化というところには一応、該当すると思いますが、財務省として、四年度の財政審建議にあった、今後、かかりつけ医として認定するなどの制度を設けること、こうしたかかりつけ医に対して利用希望の方による事前登録、医療情報登録を促す仕組みを導入していくこと、こう実施すべきだと明確に指摘していたわけですが、今回の政府案の内容で十分だと考えているのか。事前登録、認定制は今回の政府案で、もうこれでよしとするのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

中村(英)政府参考人 お答えいたします。

 かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けましていろいろな議論がございました。その中で、御指摘のような認定制度等の制度といったことを我々、審議会の方から御提言いただいていること、これは事実でございます。

 他方で、先生御案内のとおり、生産年齢人口の急減等を見据えますと、こういったかかりつけ医機能が発揮される制度整備、これは早急な実現が必要ということでございまして、厚生労働省や関係者などと議論を行った結果、今回の法改正において、かかりつけ医機能の内容を強化し、地域において必要なかかりつけ医機能を確保するということとさせていただきました。

 我々といたしましても、こうした制度整備を進めることによりまして、国民、患者から見て、一人一人が受ける医療サービスの質の向上につながると現在考えております。

 以上でございます。

中島委員 じゃ、認定制、事前登録制はもう諦めた、もう必要ないということでよろしいですか。

中村(英)政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお答え申し上げたとおり、まずは現在国会に提出させていただいている医療法改正案に基づく制度整備を実現することが重要と考えております。

 そうした状況の下で、その先の制度整備の在り方につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。

中島委員 まずはということは第一歩で、いわゆる建議で言っていた事前登録、認定制に向けた第一歩、まずはという意味だと、私は、恐らくそう考えておられるだろうなと測りますけれども。

 続いて、もう一点、確認。

 令和四年度建議においては、受診回数や医療行為の数で評価されがちだった量重視のフリーアクセスを、必要なときに必要な医療にアクセスできるという質重視のものに切り替えていく必要がある、このような転換が、国民の上手な医療のかかり方に関する広報、好事例の横展開などといった通り一遍、このような方策では到底果たし得ないことは、コロナ禍の経験から明らかとなったと、明確に記述があります。

 この国民の上手な医療のかかり方に関する広報、好事例の横展開などという通り一遍の方策では到底果たし得ないとする評価は、現在でも変わっていないのか。一方、加藤大臣には、建議でこうした評価を受けた厚労省として、どのように受け止め、どのように改善するつもりか、お答えいただきたいと思います。まず財務省さんから。

中村(英)政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般論で申し上げますと、効率的、効果的な医療提供体制を構築するために広報や好事例の横展開、こういったものを適切に進めていくこと、これは重要だというふうに考えております。

 その上で、財審では、先生が今御指摘いただいたようなちょっと強い言葉で提言をいただいているところでございますけれども、同じく、つけ加えまして、同じ財審の提議の中で、外来機能報告の制度を拡充し、かかりつけ医機能の発揮の実態を見える化していくことも重要だという提言をなされております。

 この点、今回の法案におきまして、かかりつけ医の機能報告を導入するということとさせていただきますので、まずは法案を御審議いただいた上で、こうした制度の広報や好事例の横展開も行うことで、必要なときに迅速に必要な医療を受けられるフリーアクセスの考え方の下、かかりつけ医機能が発揮されることが促されるというふうに期待をしているところでございます。

 以上です。

加藤国務大臣 まさに、賢い医療にかかるという、これは非常に大事なことだと思っておりますが、今委員がおっしゃった点は、まさにフリーアクセスというものをどうしていくのか。

 これについては、昨年十二月の全世代型社会保障構築会議の報告書でも、必要なときに迅速に必要な医療を受けられることをフリーアクセスの考え方とした上で、その考え方を基に、かかりつけ医機能を発揮するように促すべきだとされているわけでありまして、こうした考え方に基づき、今回の法案も提出させていただいておりますので、まずは今回の法案を成立をしていただいて、そして、これにのっとってこの執行をしっかり進めさせていただきたいというふうに思っております。

中島委員 財務省さんには確認したので、私からは、財務省さんだけがこの内容を言っているわけじゃないんですよ。我々は、二年前に、同様の問題意識からかかりつけ医の制度化法案を出した。そして、この後、資料にも添付してありますが、様々な場面、審議会でも、このかかりつけ医をやはり制度化していくべきだ。

 令和四年度のかかりつけ医の制度化が、令和五年度で制度化という文言が消えたのは、いわゆる議論の過程の中で、かかりつけ医機能という言葉で整合性を取らされた。私は抜き取られたというふうに考えておりますが。

 こういう状況の中で、あえて政府内で、財務省、私は別に財務省の味方をしているわけではないです。誰が見ても、今の少子高齢化、人口減少、人生百年時代、加えてコロナ禍を踏まえて、このかかりつけ医の重要性、昨日の参考人の皆さんも共通していたのは、かかりつけ医を確立していくことの重要性、これは政府とも、ちゃんと認識していると思います。そんな中であえて厳しいことに切り込んだ。財務省さん、味方というか、敵も味方もないんですが、これは財政上の問題でもあるというテーマから、財務省が言うと何か財務省的な発想に取られますが、我々は、国民のニーズ側から見たときに、やはりかかりつけ医を明確に制度化していくことが重要だということで、図らずも一致したということなんだということ。

 ですから、財務省さんは先ほど、まずはと言いましたが、改めて、私たちは、昨日の参考人の方々も、かかりつけ医機能が発揮される制度整備について、あえて、コロナ禍でかかりつけ医だと思っていた方に、私はあなたのかかりつけ医じゃありませんと言われた、是非、この五月以降、五類にはなるものの、コロナがなくなるわけではなくて、重症リスクが高い方、やはりかかりつけ医を持ちたいというニーズ、そして、人生百年時代に自らの健康増進のために何でも相談できるかかりつけ医を持ちたいという国民のニーズ、これに、今回の法案の内容、かかりつけ医機能が発揮される制度整備がその期待に応えるものかどうかと、あえて参考人五人の方に、百点満点で採点をつけるとしたら何点でしょうかと言ったら、お二人の方は十点、そしてお一人の方は、何でも本当に相談できるところから入れるのであれば及第点、でもそうでなければ低い点数、お一人は採点不可、お一人は及第点とおっしゃっていました。

 なおかつ、資料の三ページ目から八ページまでは各報道機関の論説です。様々書いてありますけれども、これが本来、患者第一の制度にできているのかとか、地域を守る役割を本当に果たせるものなのか、認定制や事前登録制がない今回のかかりつけ医機能の整備が本当にそういう国民の期待に応えるものなのか、決して財務省だけではなくて、多くの論説がこのようにうたっています。

 加えて、全世代社会保障構築会議、この構成員のお一人であられます香取さん、元厚生労働年金局長も務められた香取上智大学教授は、今回の政府案の内容は私どもが報告の中で提起したことの、ごくごくと言っては恐縮ですが、一部について規定が行われたということではないか、患者の選択を保障する、あるいは患者の選択を支援するという部分の規定が全くない、かかりつけ医の問題は高齢者に限らない、コロナ禍で問題になったのは、健康な人でかかりつけ医がいない人にかかりつけ医がいなかったことだったわけですから、ここの視点をもっときちんと持つべきではないかと。

 また、権丈慶応大学の教授は、十二月に報告書をまとめた後、まさにレントシーキング花盛り、この構築会議と医療部会の関係もレントシーキングで説明できます、その後の物事の進め方ということもレントシーキングのなす業です、このレントシーキングというものはなかなか本当に根強いものがあって、我々が今日も言っていることも多分無視されます、この辺りはみんな理解しておいてもらいたいと、大変意味深な発言をされています。

 レントシーキングは、あえて言いますが、民間企業、団体などが政府や官僚組織に働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うこと。

 構成員のお一人がこのように述べられている。

 私は、先ほど、フリーアクセスの話になりました。昨日の参考人の中でも田中委員が大変すばらしい質問をされ、資料一枚目、二枚目を見ていただければ、今回の政府のかかりつけ医機能が発揮される整備制度と、我々が二年前に出したかかりつけ医制度法案。我々は、かかりつけ医をプライマリー機能を持つ医師と定義をした上で、手挙げ方式で患者さんが何人かのかかりつけ医機能を持つかかりつけ医に登録をしていく、このかかりつけ医をもってかかりつけ医の制度化と呼んでいますが、このかかりつけ医の制度化と現行のフリーアクセスは両立できるかどうかに関して、五人の参考人のうち四人が両立できると話をされました。

 改めてでございますが、この資料の一枚目、二枚目、我々が言っているのは、手挙げ方式のかかりつけ医、かかりつけ医を明確に定義して、そして国民の皆様に分かりやすくして、そして患者さんがそのかかりつけ医を選んでいく。これはフリーアクセスそのものだと思うんですね。大臣、改めてですが、今私が言った、かかりつけ医の制度化、これは決してフリーアクセスを阻害するものではない、むしろ、国民のニーズに応えるものだ、これに対して大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 御党が提出された法案について一つ一つコメントするのは政府の立場として控えさせていただきたいと思いますが、かかりつけ医というものを法律上に規定することは、一般的な用語として行政施策で用いることと異なり、例えば、我々はよく厚労省のパンフレットで、かかりつけ医を持ちましょう、そういう使い方ですね、そういったものとは異なり、国民の権利義務に影響を及ぼすことがあることから、これはやはり慎重な検討が必要だということは申し上げてきました。

 登録の仕組みを法律に規定する場合には、その法的な効果、これを具体的に示した上で、制度が与える影響、これを総合的に踏まえた丁寧な議論が行われるべきものと考えております。

中島委員 でも、私、そこがどうもかみ合わないんですよね。

 先日、井坂議員も吉田とも代議員も、私は医療者ですからどうしても、もう私は十年以上やっているので、何か余計皆さんに分かりづらくなっちゃっているんだなと反省したんですけれども、井坂委員、また吉田とも代委員の患者さん目線というか、国民の皆さんから見たときに、非常に分かりやすかった。

 今回のかかりつけ医機能を発揮する制度整備、私が評価するところは、今まで医療機能情報提供制度の対象になっていなかった無床診療所そして在宅の部分が報告制度の対象になった、これは私は前進だと思いますよ。前進だと思いますが、ただの機能報告に、かかりつけ医と冠をつけちゃったから、余計分かりづらくなっちゃったんですよ。

 だから、私、大本の、全世代対応型社会保障を構築するというすごい大きなテーマだけれども、中身は、小川筆頭もおっしゃられていましたが、もっと大きな話をしなきゃいけない。

 今回のかかりつけ医機能の制度整備、これはかかりつけ医は関係ないですよね。ただの、今まで対象となっていなかった無床診療所そして在宅、これを報告制度の対象としただけで、前提が、今開業している医者又は在宅をやっている人はもう既にかかりつけ医ですよという前提で、かかりつけ医機能報告としてしまった。このことが余計混乱をさせて、質疑をしていてもかみ合わない。こういう理由だと私は思っていますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 かみ合わないと言われれば、我々、かみ合うような説明をしていかなきゃいけないということで、今後とも、よくその辺は踏まえて対応させていただかなきゃいけないんだろうと思いますが。

 ただ、今回の仕組みの中で、かかりつけ医機能ということで、これについてきちんと報告をしてもらう、この仕組みについて詳細はこれから議論させていただきますが、あわせて、そうした報告を踏まえて、地域において必要なかかりつけ医機能というものを確保していくということも目指させていただき、最終的には、国民一人一人のニーズを満たすかかりつけ医機能の実現に向けた、まさに第一歩になると考えているところでございますので、まずはしっかり議論をさせていただいて成立を図り、そして、この法律にのっとった施策を一つ一つ具体的に進めながら、全社の報告でも指摘し、今申し上げたように、国民一人一人のニーズを満たすかかりつけ医機能の実現、これを目指していきたいというふうに考えております。

中島委員 時間なので終わりますが、今言ったように、今回のはただの外来機能報告、そして肝腎なのはこのかかりつけ医機能情報提供項目ですよ。これは、何を、項目を要件とするか、まさに、この国会、この場でそのことを議論しなければ、皆さんの間の中でかかりつけ医の共有化ができないんですよ。それが前提となっていないから全く話がかみ合わないし、今国会、昨日の参考人もそうですが、この法律がもし成立しても、大西委員もおっしゃっていました、コロナでつかされた患者さん方、これは何にも変わらないですよ。

 この要件、項目を、何をもって要件とするか、そして、この法律を通して議論して、かかりつけ医というものが何者なのかということを共有化するということができなければ第一歩にもならないということを御指摘をして、また次回、質問させていただきたいと思います。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いいたしたいと思います。

 まず、前回の委員会でちょっと積み残した部分から一つ、まず最初にお話をさせていただきたいと思います。

 前回、委員会で質問させていただいたメインは、臓器移植についてお話をさせていただいたんですけれども、臓器移植のうち多くは腎臓移植というものが対象になってこられているかと思います。ただ、その腎臓移植の手前といいますのが、やはり透析治療というところになりまして、この透析、御存じのように、非常に患者さんの生活の質にも大きな影響を与えますし、また医療費についても非常に大きなお金がかかります。

 ちょっと遡ってみますと、その透析の前といいますのが慢性腎臓病、いわゆるCKDというところになるわけなんですけれども、このCKDになる手前、ここでしっかりと食い止めるという対策をしておかないと、ひいては透析、そして腎臓移植というところになってくるという形で思っております。そういう視点で、今回は、CKD対策、慢性腎臓病対策についてお伺いをしていきたいと思うんですが、直近の、令和四年十二月三十一日時点の臓器移植ネットワークの登録者が一万五千八百五十二人いらっしゃいます。その中で腎移植を待ち望んでいらっしゃる方が一万三千八百九十人。実に八七%ということであります。

 まさに腎臓病というのは物言わぬ臓器ということで、できるだけ早めに対処していかないと、もうその後一生懸命治療しても元に戻らないというところは御存じかと思います。

 そこで、資料の方を、ちょっと一枚しか御用意していないんですが、こちらの方を見ていただければ結構かなと思うんですけれども、こちらは、日本透析医学会が発表されている、人工透析の新規導入者の原疾患別のグラフになっています。

 茶色いグラフ、こちらの方が、いわゆる糖尿病性腎症を表しているものでして、こちらの方が、二〇〇九年を頭にして、ちょっとずつ下がってきているというものになっています。そのほかの部分が糖尿病性以外のものということで、高脂血症であったりとか、高血圧であったりとか、そういうところら辺があるわけなんですね。

 実は、透析の原因のうち、さっき言いました糖尿病性腎症といいますのが全体の新規透析の約四割と言われておりまして、ここの部分については、今、都道府県におきましても一生懸命対策というのを取っていただいておりまして、一定、ちょっと効果が出てきています。二〇〇九年をめどにちょっとずつ下がってきているというところです。

 一方、その残りの六割の部分、高脂血症であったりとか、先ほど申し上げた高血圧だったりとかというところ、グラフでいいますと下の方になるわけなんですが、これを足していったら全部で六割くらいになるというところなんですけれども、この対策というのが、実際、余り進んでいないのではないかなということで懸念をしております。

 政府の方では、二〇二八年に新規の透析患者数を三万五千人以下に減少させるという目標を掲げられているということなんですけれども、このペースでいきますと、どう考えてもそれは達成しないのではないかなという危惧があります。

 そこで、昨年十二月二十八日に示されました第八次医療計画の取りまとめによりますと、慢性閉塞性肺疾患、いわゆるCOPDと、慢性腎臓病、CKDについては、医療計画に記載すべき五疾病に加えることとはしないものの、現状を把握した上で、その対策については健康増進施策等関連施策と調和を取りながら講ずることも必要であるということで書いてあります。

 また、国も、都道府県が今後策定される医療計画に向けて指針を作成されるということは承知をしてはいるんですけれども、先ほど申し上げましたように、今、各都道府県では、CKD対策のうち、糖尿病性腎症、これに非常に力を入れてはいるものの、それ以外に関しましてはまだまだというところであるかと思います。

 そこで、厚生労働省も、平成二十年以降、腎疾患対策検討会の報告書をまとめられまして、また、現在も糖尿病と合同で検討会を継続されていると聞いておりますけれども、対策というのをやっていく必要性があります。

 来年度に予定されます都道府県の医療計画の改定に際しまして、国として、CKD対策としては、糖尿病対策のみならず広く腎疾患対策に取り組むべきと、また、今後の医療計画を立てて実施する都道府県にメッセージが伝わる指針となるようにフォローアップが必要だと思いますけれども、御見解をお聞かせ願いたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 慢性腎臓病、いわゆるCKD対策につきましては、糖尿病と連携した取組は必要でございますけれども、今委員御指摘のように、糖尿病以外の要因による腎疾患、これについても対象に、総合的な対策を別途講じるべき、これは重要なものだというふうに認識してございます。

 本年三月三十一日に、先日でございますけれども、発出いたしました医療計画の作成指針、これは、今度、第八次医療計画が来年度からスタートするということでお示しを都道府県に対してしているものでございますが、慢性腎臓病、CKDにつきましては、五疾病に当たらないものの、健康増進施策等関係施策と調和を取りながら講じることが必要である旨記載をしておりますとともに、その他医療を提供する体制の確保に関し必要な事項ということで、慢性腎臓病、CKD対策を追加をしたというところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、今後、都道府県の担当者に対して、今度の新しい医療計画の策定のための研修会を行う予定としておりまして、慢性腎臓病、CKD対策も含め、医療計画作成指針等について改めて丁寧に御説明をさせていただくなど、都道府県の医療計画策定の支援を行うことでしっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

池下委員 今御答弁いただきまして、これは昨日いただいたやつかと思うんですけれども、医療計画についてということで、今御答弁いただいた通知というところなんですが、中身を昨日ちょっと見させていただいたんですけれども、通知ということなので、どこまでなのかなという形のものですけれども、非常に、ちょっと、まだまだ書きぶりというのは薄いんじゃないかなということで危惧をしております。

 また、フォローアップということで都道府県の皆様に研修会ということはして、これは感謝をさせていただきたいと思っておりますので、その点に関しましてはしっかりとやっていただきたいと思うんですけれども。

 やはり、都道府県の中には先進的にされている都道府県もあるかと思います。例えば、うちの地元であります大阪府であったり、香川県であったりとか、あとは熊本市でしたかね、県だったかな、というところにあるかと思うんですけれども、そういう好事例がありまして、そういうところは糖尿病性腎症以外のところもCKDが減ってきているという事例もありますので、そこに関してはちょっと横展開をしていただきながらやっていただきたいなという形で思います。

 ということで、都道府県におきましても、まだまだ具体的な取組というのは、何をしていいか分からないというところがたくさんあるかと思います。今言っていただいた研修というのも一つ大事なところだと思うんですけれども、自治体に対して効果的な対策、例えば、国がCKDの重症化予防プログラム等の模範プランみたいなものをちょっと提示をしていただきながら、それを全国に広げていく、また、あわせて、予算確保もしていくということが必要かなという具合に考えているんですけれども、加藤大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 慢性腎臓病、CKDについては、今委員からもお話がありましたように糖尿病以外の割合も大きいことから、幅広い対策を進めていくことが重要だと認識をしております。

 平成三十年の腎疾患対策検討会の報告書において、糖尿病性腎症のみならず糖尿病以外の要因による腎疾患も対象に総合的な慢性腎臓病対策を推進する旨が取りまとめられ、自治体等にも周知し、連携をさせていただいているところであります。

 具体的には、腎疾患の原因によらず早期に適切な介入を行うことでその重症化を予防できるよう、自治体が研修などを通じて医療機関などにその旨を周知する取組を支援をするほか、令和五年度からは、健康保険組合や企業、産業医等と連携して、様々な腎疾患の重症化予防のための診療体制の構築、多職種連携による療養指導等を行うためのモデル事業の実施をする予定であります。

 平成三十年の腎疾患対策検討会議の報告書では、令和十年、二〇二八年でありますが、までに年間新規透析導入患者数を三万五千人以下に減少させることを目標として設定しており、その中間評価のため、令和五年度に有識者検討会を開催することにしております。この報告書の内容やその中間評価の内容を自治体にお示ししながら、糖尿病以外の原因によるものも含め総合的な慢性腎臓病対策に、自治体そして医療機関と連携しながら取り組んでまいります。

池下委員 今、多職種の連携をやりながら、また、自治体とも連携しながらということで、まさに今回、かかりつけ医機能の話も出ていますけれども、そういうものも理解しながら、使いながらやっていただきたいと思いますし、国の方でも、先ほど申し上げました模範的なプログラムみたいなものを是非つくっていただきながらやっていただくことが肝要なのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、かかりつけ医についてお伺いをしていきたいと思うんですが、今日の委員会の方でも多くの委員の皆様からたくさん御指摘がありました。非常にかぶる点があるかと思いますが、そちらの点につきましてはちょっと御容赦をいただきたいなという具合に思っております。

 昨日の参考人の質疑の方でも私申し上げたんですが、本来、かかりつけ医といいますのは、高齢者の方とか慢性の疾患を持つ方だけでなく、若い人も、我々みたいな健常な者でも誰でもアクセスができて、そして、日頃から自分の状況を知っているお医者さん、そして、何でも相談できるお医者さんといいますのが、やはり私が思うかかりつけ医というものであります。

 そんな中で、昨日、参考人からは、医療分野だけでなく、多職種連携するプライマリーケアチームをつくることで、持続的で、質の高い医療提供体制を構築することも必要である旨お話がありました。プライマリーケアチームの窓口となるお医者さん、例えば特定の臓器に着目するのではなく、多角的に診断でき、地域に住むあらゆる年齢の患者を診ることができる、先ほど大岡委員からもありましたけれども、総合医療専門医などが有用でないかなと思っております。

 そこで、改めてお伺いしますけれども、総合診療科など、自身の専門分野を標榜できない理由はどのような点にあるのか、ちょっと改めてお伺いをしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘がありました医療機関の診療科名につきましては、国民が自分の病状に合った適切な医療機関を選択することを支援するという観点から、医療法施行令で定めました診療科名に限りまして標榜することを可能としているところでございます。

 その判断に当たりましては、具体的には、独立した診療分野を形成していること、そして国民の求めの高い診療分野であること、そして国民が適切に受診できること、そして国民の受診機会が適切に確保できるよう、診療分野に関する知識、技術が医師に普及、定着していることといった基本的な考え方を踏まえまして、これらを総合的に判断した上で、医学医術に関する学術団体や医道審議会の御意見をお聞きをして、標榜可能な診療科を定めてきているというところでございます。

 御指摘の総合診療科という診療科名につきましては、現時点では、これらの考え方に合致すると判断できる状況にないことから、まずは学会や医療機関における知見の収集、蓄積の状況を注視して考えていきたいというふうに考えているところでございます。

池下委員 先ほどと同じお答えだったかなと思うんですが。

 実はやはり同じように、以前、私のところに、新型コロナウイルスの罹患後、後遺症で悩まれる患者さんがお越しになられまして、半年たった今でも本当に苦しい状況で、何も原因が分からないんです、どこに行ったらいいんですかというお言葉をいただいたときに、やはりちょっと胸が苦しくなった。やはり、どこに行ったらいいのか分からないということが一番大きいのかなという形で思うんですけれども。

 私も、開業医の方が、やはりこれはやる気だと思うんですよ。かかりつけ医になりたくない、かかりつけ医を標榜したくないという方はもう結構かと思うんですけれども、これも、先ほど中島先生も言われています、やはり手挙げ方式やと思うんです。

 そういう中で、かかりつけ医を標榜できるように、やはり現役世代も含めた、原因は分からないけれども体調不良を訴える皆さんも、医療機関がむげに、本当にむげに断られているケースもたくさんあると聞いているんですけれども、積極的に受け入れてくれる医療体制を構築すべきだと思いますけれども、加藤大臣の御意見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、コロナの後遺症で苦しむ方々、こうした方々にしっかり対応していくという意味においては、まさに一般医療の中で対応できることは少なくなく、地域の医療機関において、最新の知見の下、適切な医療が提供できるよう、研究等により得られた国内外の知見を盛り込んだ診療の手引の周知等も行わせていただいているところでございますし、また、四月末頃までに、こうした対応をしていただける医療機関について公表していくということも今、逐次進めさせていただいているところでございます。

 その上で、かかりつけ医科を標榜するという話については、先ほど標榜可能な診療科については局長から答弁がございました。そういった点から見ても、診療科目としてかかりつけ医機能には多様な機能が含まれることから、慎重な検討が必要だというふうに考えているところでございます。

池下委員 コロナの後遺症の話は一例でありますけれども、例えば慢性疲労症候群であったりとか、やはり原因がまだ分からないというところもあるかと思うんです。今大臣がおっしゃるところも理解は一定するんですけれども、やはり患者目線に立ったときに何が必要なのかということを是非考えて、まあ私、医者ではありませんので、お医者さんの資格はないので、どうしてもやはり患者目線の方からの御意見が多くなるわけなんですけれども、やはり患者目線から、困った人がまずファーストタッチをどこにしていくのかというところの窓口として、この標榜科、本来だったら、かかりつけ医というものがしっかりと定義された上でやっていただきたいなと思うんですが、そういうところも含めて是非御検討願いたいなという具合に思います。

 そして次、これもまたさきの委員と同じような質問になっちゃいますけれども、出産育児一時金の保険適用についてお伺いをしていきたいと思います。

 先日の三月十六日、私の方から、衆議院の本会議場におきまして、会派を代表しまして、出産育児一時金の件につきまして大臣の方に質問させていただきました。その際に、私の方から、出産育児一時金について保険適用すべきと言わせていただきましたけれども、答弁は、課題が多いことから、また、見える化が先ということで、非常に難しいお答えをいただいたということで承知をしております。

 ただ、先ほどもありましたように、三月三十一日に政府が、次元の異なる少子化対策実現に向けてということで、正常分娩の保険適用を含めた検討につきまして発表がありました。今回の法案になぜ盛り込まれなかったのかなという点に関して、率直に、後手後手に回っているなという感じを否めません。

 厚労省の説明を昨日も聞かせていただきましたけれども、法案の審議過程において保険適用の指摘があったことが背景という説明をもらいましたけれども、以前から我が党はこの点に関しましては主張もしていますし、ほかの方からも主張というのがあったかなという具合に存じております。

 そこで、保険適用をするという点が、本法案を提出されるまでになぜ盛り込むことができなかったのかということが問題であるかと思いますが、改めて経緯と大臣の見解をお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今回の議論については、社会保障審議会医療保険部会において行われたわけであります。

 出産の保険適用に関する議論もあった中で、昨年末に取りまとめられた議論の整理では、出産費用については、年々上昇しており、地域差もあることから、引き続き、こうした状況を踏まえたより詳細な出産費用の分析を行うとともに、出産費用の見える化の効果などを踏まえ、引上げ後三年を目途に、出産育児一時金の在り方について検討すべきとされたところでございまして、それを踏まえて、今回、法案を出させていただきました。

 一方、総理から、今年の年初においても、異次元の少子化対策に挑戦し、大胆に検討を進めるという表明があり、また、これまでの審議会あるいは国会での審議において、将来的に、保険適用を検討すべきというような御指摘もいただいた。それらを踏まえて、小倉大臣の下で取りまとめられた今回のたたき台においては、出産費用の見える化の効果等の検証を行い、出産費用の保険適用の導入も含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う旨を盛り込んだところでございます。

 したがって、現時点においては、まずは、出産費用が増加する中で、それに対応する出産育児一時金、これをしっかり引上げをしていく、そして、そのための負担を、これまでの現役世代のみならず後期高齢者の保険に加入されている方々の中で所得の高い方にもお願いをして、全世代において支える仕組みを構築していくということをまずお願いをさせていただいているところでございますので、その上に立って、今回のたたき台を含めて、他方で議論を進めていきたいなというふうに考えております。

池下委員 御説明ありがとうございます。

 先ほどと同じということになるかと思いますけれども、先ほどの早稲田委員であったり、中島委員であったり、厳しい御指摘はありましたので、私の方からはそんなに、優しいですので、控えさせてはいただきたいなと思うんですけれども、一方、やはり、この法案に、出産の保険適用を検討するという項目について、文言を追加するなり、修正するなり、先ほど出し直すというお話もありましたけれども、これはやっていくべきじゃないのかなという具合に率直に思っております。これはちょっと通告にはないんですけれども、ちょっと大臣のお考えを聞かせていただきたいというのが一点。

 もう一つ。我が党の方では、保険適用のみならず、できるだけ自己負担をゼロにしていこう、またクーポン券で対応していこうという話も、前回の衆議院の本会議場の方でもお話をさせていただきました。ちょうど昨日、自民党の議連の方で、出産費用無償化などを求める提言がまとまったという新聞報道、ネット情報が出ていましたので、この点につきましても、大臣、何か御見解がありましたら。ちょっと二点、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 まずは、この法案の取扱いについては、もちろん、この委員会で今御議論いただいているところでございますので、我々もしっかりと説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、保険適用が行われたときの自己負担をどうするのかというお話でございますが、その自己負担も含めて、出産に関する支援等の在り方を検討していく必要があるんだろうと考えています。

池下委員 国会の議論を含めてということですので、国会の議論を含めて修正するなりなんなりというのがあるのかなとちょっと期待をしておきたいと思います。是非、いろいろスケジュール感というのがありまして、前になり後ろになりということが当然あったかとは思うんですけれども、やはり大臣もお立場上言えないことも多々あるかと思うんですけれども、そこもおもんぱかりながら対応していただきたいなという具合に思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、出産育児一時金の、今回、四十二万円から五十万円に増額されたことに関しまして、見える化ということがうたわれております。費用の見える化という視点というのは非常に大事だと思っておりますし、一方、今回の増額に関しまして、便乗値上げだというのが起こるのではないかということで、御指摘、懸念があるところであるかと思います。

 そこで、この見える化によって便乗値上げ対策になるのかどうか、根拠というものをお伺いしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

本田大臣政務官 池下委員にお答え申し上げます。

 まず、出産費用の見える化の抜本的な強化に関しましては、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて適切に医療機関等を選択できる環境を整備するために行うものでございます。

 具体的には、午前中にもちょっと答弁などもございましたけれども、医療機関等の機能や出産に係る運営体制、分娩費用や室料差額や無痛分娩の取扱い等のサービス内容や費用の公表方法などについて医療機関等に報告を求め、平均入院日数や出産費用の平均値に係る情報と併せて、来年四月を目途に厚生労働省が新たに設ける見える化のためのホームページで医療機関ごとに公表することとしております。

 この公表項目等の詳細につきましては今後検討を進めることとしておりますが、検討に当たっては、産科医療の現場の実情に合ったものとすべく、関係団体とも連携を図りつつ、見える化に向けた取組を進めてまいりたいというふうにしております。

 今お尋ねの出産育児一時金の引上げに関連しまして、医療機関等における出産費用の改定については様々な報道が出ているところでございますが、重要なことは、妊婦の方々に対して改定の要因について十分な説明が行われ、内容について御理解をいただけるように努力することが必要と考えております。

 そのため、先月七日に、関係団体に対し、改定を行う場合は、その内容や理由等を妊婦の方々に対して適切に周知し、丁寧な説明を行うこと、出産費用の見える化の開始に先立って、自院において出産費用を分かりやすく公表すること、これを、関係団体を通じて医療機関に対して説明をしていただくように依頼したところでございます。

 引き続き、女性が安心して妊娠、出産できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

池下委員 御説明ありがとうございました。

 妊婦の方々にしっかり説明するということです。やはり、御出産するということは、女性、妊婦さんの方も、今はホームページ等々ありますので、しっかり、どういうものがオプションであったり、こういうものが必要であったりとかということにつきましては、御自分でやはり調べられると思うんです。そこはしっかりとやっていただきたいところなんですけれども。

 一方、今の便乗値上げ対策というのは当然必要だと思います。やらなきゃいけないとは思うんですけれども、今現在の社会情勢を見ますと、やはり、物価の上昇であったりとか、人件費、これが高騰していくというところも一方ではあるわけなんです。特に、都心部もそうですし、地方の方でももちろん同様に言われているところであります。便乗値上げではなく、経営上やむなく値上げを検討していた医療機関が、例えばこの見える化によりまして、ちょっと、本来やらなきゃいけない、べきところを萎縮してしまうという懸念もあるんですけれども、この点につきましてどのような配慮、必要だと思うんですけれども、御見解をお伺いをしたいと思います。

本田大臣政務官 済みません、重ねての説明になりますけれども、もし値上げ等する場合には丁寧な説明をしていただくようにということで、三月七日に「出産費用等の分かりやすい公表について」を、関係団体を通じて医療機関に説明をするようにということで依頼をしたというところでございます。

池下委員 それは、関係団体を通じて妊婦さんにしっかりやっていただくということなんですかね。それとも、やはり、これは逆に、妊婦さんに説明するんですけれども、値上げにぱっとなったときに、世間から、その医療機関が、あそこは便乗値上げじゃないかということで言われてしまって、どうしても萎縮してしまうということがあると思いますので、そこら辺の対策も併せてしていただきたいと思うんですけれども、ちょっとそこについて、単に説明するだけじゃなく、もう一つ、何かやることがありましたらお願いしたいと思うんですが。

本田大臣政務官 ちょっと繰り返しになってしまうんですけれども、公表項目等の詳細について今後検討を進めることとしておりますけれども、検討に当たっては、産科医療の現場の実情に合ったものとすべく、関係団体とも連携を図りつつ、見える化に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

池下委員 それ以上は求めません。ありがとうございます。またしっかりとやっていただければ結構かと思いますので、よろしくお願いいたします。ちょっと、少し私も汗をかいてしまいましたけれども。

 次に、ちょっと妊婦健診についてお伺いをしていきたいなという形で思います。

 妊婦健診について、自治体の努力義務でなされているということは承知しております。自治体によって回数の差異というのもあるというのは分かるんですけれども、おおむね十四回のうち、自治体ごとによってその費用にちょっとばらつきがありまして、一部、妊婦さんの御負担になっているというところも聞き及んでいるところです。

 妊婦健診につきましても、費用負担について検討をしていくべきだと思いますけれども、政府の検討状況につきまして御見解をお伺いをしたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答えいたします。

 妊婦健診につきましては、各市町村で、今御紹介がありましたとおり、出産までに十四回程度実施をしまして、その健診費用を負担することや、妊娠週数に応じた医学的な検査項目等の基準を告示をしておりまして、平成二十五年度からは、それに必要な費用の全てについて地方交付税措置を講じているところでございます。これによりまして、全ての市町村で十四回以上の妊婦健診の費用助成が実施をされているということであるとともに、全国平均で約十万八千円の公費負担が行われているというものと承知をしております。

 公費負担の金額の推移を見ますと、全国平均では確実に増加をしてきている一方で、自治体別に見ますと、公費負担の金額や検査項目にはばらつきが見られる状況となっておりまして、委員御指摘のとおり、妊婦に自己負担が生じているケースもあるというふうに承知をしております。

 こうした状況を踏まえまして、先月、三月でございますけれども、成育医療等基本方針に、妊婦健康診査の公費負担の金額や検査項目のばらつきが生じないよう、国が示す標準的な検査項目の公費負担の実施状況を把握し、公費負担を促すといった旨を盛り込んだ上で、告示で示しております全ての検査項目について、妊婦の自己負担が発生しないように、自治体に対しまして、公費負担の推進を改めて依頼をしたところでございます。

 引き続きまして、自治体における妊婦健診の公費負担の実施状況等を把握するとともに、必要な費用の全てについて交付税措置を講じていることを踏まえました自己負担軽減のための取組を自治体の方に促してまいりまして、妊婦の方々が安心、安全に出産できる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 まだばらつきがあるということでありましたので、引き続きちょっと対策していただきまして、標準化、交付金事業ということも承知しておりますので、かとは思いますけれども、一方、やはり、お子さんを安心して、最低十四回でしたかね、医学的に十四回健診するということですけれども、最低そこは担保していただければありがたいなという形で思います。

 それでは、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、質問を続けさせていただきたいと思います。

 次に、医療DXにつきまして一問だけお伺いをしたいと思います。

 この問題につきまして、ちょっと以前に当委員会の方でも御質問をさせていただいた部分があるんですが、私の地元であります大阪府急性期・総合医療センターのサイバー問題についてお伺いをいたしました。

 質問させていただいた当時は、事件の直後であったということもあるために、まだ詳細が分からない、初期対応をしていただけるということと、専門家を送っていただける、フォローアップしていくよということを聞かせていただきまして、そこにつきましては感謝をしているところであります。

 結局、原因は何やったのかといいますと、様々、病院の方にネットワークがつながっているわけなんですが、給食センターでしたか、給食センターとつながっていた、そこからウイルスなりなんなりが侵入してきたということで聞いております。

 事件発生から相当期間、この間、病院機能が停止したということを聞いておるんですが、今後、電子カルテを始め、医療DXが進んでいく中で、やはり国民の命を守っていく医療機関というところにつきましてはしっかりと守っていかなければならないと思います。しかし、残念ながら、多くの医療機関ではITやサイバー対策について詳しい人材が不足しているということを、実は先日、知り合いの医療機関、特に中小の医療機関だとそういう人材がなかなかいないんですよということも聞かされました。

 そこで、大阪府急性期・医療センターに対するサイバー攻撃で得た政府の知見と今後の対策、そして、これからの政府の支援体制、もし予算とか組んでいただいてしっかり、若しくは、診療報酬の中に入れるのかどうかちょっと分からないですけれども、いろいろな形の支援体制があるかと思うんですけれども、そちらについてちょっと参考人にお伺いをしたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、昨年の三月に医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定しまして、医療機関に対しまして、バックアップデータの保存、サイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策を強化するように求めておりまして、これらへの対応を行うに当たりまして、医療機関で必要な人材を育成するために、経営層、医療従事者向けのサイバーセキュリティー対策に関する研修、それから研修資材の提供等を行っております。

 また、さらに、御指摘のように、昨年の九月に更なる強化策を取りまとめまして、初動対応の専門家の派遣等を行ったところでございます。昨年十月の大阪急性期・総合医療センターへのサイバー攻撃事案に対しましても、この仕組みによりまして初動対応支援を行ったところでございますが、これを踏まえまして、昨年十一月に全国の医療機関に対しまして、リスク低減のための措置、インシデントの早期検知、発生時の適正な対処等のサイバーセキュリティーの対策が適切に講じられているかについて注意喚起を行ったところでありますが、特に、今回の大阪急性期・総合医療センターの事案におきましては、感染経路が院外の、調理を委託していた給食事業者のシステムを経由したものである可能性が高いということがございました。

 これを踏まえまして、今回の注意喚起では、委託先事業者を含む関係事業者のセキュリティー管理体制を確認をした上で、関係事業者とのネットワークの接続点、特にインターネット等の接続点を全て管理下に置き、脆弱性への対策を実施することを求めたところでございます。

 また、厚生労働省が医療機関に対して提供するサイバーセキュリティー対策に関する研修とか研修資材につきましても、本事案を踏まえまして更に内容をブラッシュアップをいたしまして、引き続き医療機関に必要な人材の育成を支援しているところでございます。

 引き続き、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策が適切に行われるよう、関係省庁と連携して、適切に対応してまいります。

池下委員 もう時間になりましたので終わらせていただきますけれども、これからDX、電子カルテ、まだまだちょっと普及がなっていないところもあるかと思いますけれども、やはり、サイバー対策というものが進むことによって医療機関の方も安心してDX化に進んでいけるかと思います。

 また、引き続き、この問題に関しましてはやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず、介護保険法の第十四条関係、第百十五条の四十五の二の七にこう書かれてあります。「被保険者の健康医療の向上及び福祉の増進を図るため、被保険者、介護サービス事業者その他の関係者が被保険者に係る情報を共有し、及び活用することを促進する事業」というふうに書かれてあるんですが、政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 活用するとありますが、具体的にどのように活用していくのかということを御説明いただけたらと思います。

大西政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘いただきましたように、本法案では、介護サービス利用者の情報を御本人や介護事業者等の関係者が電子的に共有できる介護情報基盤を整備することとしております。この情報基盤の整備によりまして、例えば、介護事業者や医療機関が介護情報を適切に活用することで、御本人の状態に合った介護サービスを提供でき、さらに、紙でのやり取りが減るといったことで事務負担も軽減できるといったメリットがあると考えているところでございます。

一谷委員 ICT化というのは、非常に長年やろうやろうと言いながら、なかなか続いていないというのも現状だと思います。

 活用する中で、やはり家族の方も必ず入れていただきたいなというふうに思います。介護事業所も家族の方に情報提供をするのが非常に時間のかかる作業になりますので、ここも入れていただきたいなと思うんですが。

 せっかく医療との連携もされるということで、本日、午前中は、我々維新の中の内閣部会において、次世代医療基盤法の見直しというのをレクチャーを受けました。その中で、匿名加工した医療情報をやり取りをして、そして、その情報を大学や研究所、また一般企業にもお渡しして研究を進めていくと説明を受けました。これは大変有効なことだなというふうに考えております。

 しかし、四年をめどに検討というふうになっているんですが、大体、四年をめどに検討となると、四年後からスタートというふうな私は認識があるんですが、これは少し長いんではないかなと思うんですが、政府参考人の方の御意見を伺いたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、情報の共有先として御家族もという御指摘でございました。現在、介護情報利活用ワーキンググループにおきまして、共有すべき情報の範囲ですとか、どなたにどう共有するかといったことにつきまして御検討いただいているところでございまして、御家族への共有も含めまして、情報を共有する具体的な範囲等につきまして、同ワーキンググループ等において関係者の御意見もお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。

 また、施行時期について御指摘ございました。

 令和四年に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画や地方公共団体情報システム標準化基本方針におきまして、各市町村は、令和七年度まで、令和八年の三月末までということでございますけれども、それまでにガバメントクラウドを活用いたしました標準準拠システムに移行していくということを目指すとされておりまして、市町村におきましてシステム改修が予定されているところでございます。

 介護情報基盤の運用を開始するためにも、介護保険制度は市町村が保険者でございますので、市町村のシステム改修が必要となってくるわけでございますが、市町村におきましては、ガバメントクラウド移行の全体のシステム改修と、この介護情報基盤運用のためのシステム改修を一体的に行っていただくことが効率的であると考えております。

 このため、今法案での介護情報基盤に係る規定は、公布後四年以内に施行し、基本的には令和八年度中に全国的な運用を開始してまいりたいと考えておりますけれども、市町村におきます実際の準備の状況なども踏まえながら、可能な限り早急に情報共有が開始できるように努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 介護事業所は、LIFEの前にCHASEとかVISITというのを、ひたすら情報を集めて、それをどういった活用をするのかなと考えながら結果が出ず、そのままLIFEというのに移行して、これまた四年たつのかとなると、やはり心がちょっと折れてくるのではないかなというふうに思いますので、何のために情報を収集しているかということが、目的があれば手間はないと思うんです。

 どういった目的でやっているんですかとお聞きしたときに、よりよいサービスのためですというお答えが政府から返ってくるんですが、このよりよいサービスの判断基準は何かということを決めなければならないのではないかなと思うんですが、そこに御意見がありましたら、政府参考人の方にお伺いをしたいと思います。

大西政府参考人 大きなお問いかけでございますが、よりよいサービスということにつきますと、御本人のクオリティー・オブ・ライフということが第一になると思います。

 こうしたサービスをお届けするためには、サービスの基盤が整っていないといけません。また、そのために、事業者さんからサービスをお届けいただくためには一定の費用もかかってまいります。そうすると、その財源は、また税金なり保険料なり、また利用者さんの一部負担ということになってまいりますので、サービスの提供においては効率性も求めていかないといけないと思います。

 そういう全体がそれぞれによくなっていくことを総じてサービスの質の改善というふうに申し上げたいと、今ちょっと直感的なところで申し訳ありませんけれども、申し上げたいと思います。

一谷委員 是非そういった直感のお話をお伺いできたらと思うんですが。

 本当に、先ほど参考人の方がおっしゃったとおり、やはり、税を使わせていただいて介護事業所というのはサービスを出し、我々も法律を決めていく中で、このよりよいサービスというのが一体何なのかということを決めて、そして目的を持って情報を収集してくださいということを事業所に言えば、事業所は目的が分かれば、手間だとか、これは遠藤良太議員がこの前の質問のときにもしていただいて、私もそう思いますが、そう思わないようにするということも大事だなと思います。できるだけ、二〇二五年には団塊の世代の方が後期高齢になられて、もう一つはやはり五人に一人の認知症の方が出てくるということ、これを乗り越えていくためには医療との連携というのは必須だと思いますし、それを企業にお渡しいただいて、よりよい商品開発につなげていくということを是非していただきたいと思います。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 地域医療連携推進法人について、そこまで設立数が増えていないように思うんですが、私は、平成二十九年ですかね、これができるときに、これはまさにいろいろなサービスをホールディング化して、地域包括ケアシステムの一つの大きな形になるのではないかなと思って物すごく期待をしていたんですが、なかなか増えていないように思うんですが、その妨げになっているものは何と考えるか、政府参考人の方からお伺いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきました地域医療連携推進法人でございますが、地域医療構想の状況や地域医療の実情などを踏まえながら、地域の医療機関などの自主的な選択によってこれを御活用いただくというのが基本的な考え方でございまして、今委員御指摘ありましたように、令和五年一月一日現在では三十三法人が設立されている状況でございます。制度創設が今お話ありましたように平成二十九年の四月ということでございますので、それ以降、私どもとしては着実に設立は進んできているというふうに考えているところでございます。

 その上で、何がネックになっているのかということでございますが、令和三年度にアンケート調査を実施をいたしましたところ、幾つか御指摘がございまして、一つは外部監査の費用の負担が大きいといった御指摘、また、代表理事の再任のときにおける都道府県医療審議会に意見聴取をする、そういった手続が必要だということで、これが非常に非効率だという御意見をいただいたりしているところでございます。

 こうした御意見も踏まえながら、一方で地域の限りある医療資源を有効活用するといったような観点から、この法案におきまして、資金の貸付けなどは対象としない前提の下で、個人立の医療機関等につきましても今後参加可能な枠組みを設けるということ、そしてまた、一部の事務手続を簡素化をするといったような見直しを行うこととしてございまして、こういったことによりまして、更なる連携推進法人の設立の促進に資するようにしていきたいと考えているところでございます。

一谷委員 今の、外部監査が大変だとかという、いろいろなアンケートを私も見たんですが、それは設立してからの話じゃないかなと思いまして、やはり設立するための動機というものがなかなか働かないのではないかと思います。よくメリットとして言われる、いろいろなものを共同購入するとか規模を拡大するというのも連携推進法人にしなくてもできる話でもありますので、やはり連携推進法人にしなければならないメリットというのは何かということだと思うんですね。例えば、公民の統合なんかというのはまさに連携推進法人しかできないんじゃないかなと思いますし、例えば、連携推進法人をつくることによって税制度の優遇があるとか、そういった的確なメリットを示さなければならないのではないかなと思うんですが、そういったことをまた検討していただけたらなというふうに思いますので、是非よろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 次は、条文の第百十五条の四十四の二を少し読ませていただきたいなと思うんですが、この中に、都道府県知事は、地域において必要とされる介護サービスの確保のため、当該都道府県の区域内に介護サービスを提供する事業所又は施設を有する介護サービス事業者、厚生労働省の省令で定める者を除く、以下において同じ、の当該事業所又は施設ごとの収益及び費用その他の厚生労働省令で定める事項を、調査及び分析を行い、というふうにあるんですが、厚生労働省の省令で定める者を除くというのがあるんですが、この省令で除くという者は一体何かということを政府参考人の方にお伺いしたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました条文の箇所でございますが、この法案では、介護サービス事業者が運営する事業所、施設ごとに収益や費用の内容など経営情報の報告を求めまして、これを蓄積したデータベースを構築することといたしております。この経営情報を新たに求めるに当たりましては、御指摘いただいた箇所でございますけれども、省令で義務づけの対象外となる事業者を定めることとしておりまして、ここは、過度な事務負担が生じないようにする観点から、事業者さんの規模なども含めて検討してまいりたいと考えております。

一谷委員 また過度な事務負担というお話が出てきたんですけれども、介護事業所の小規模事業所という、どの枠組みが小規模事業所かという決まりはないように私は認識しておりますが、そこは間違いないかまた後でお答えいただけたらと思うんですけれども。

 調べてみますと、公益財団法人介護労働安定センターの令和三年度介護労働実態調査の中では、十九人以下の事業所が三五・一%で最多なんですね。これを小規模事業所とするなら四割弱の方が今回のこの調査に入らないということになりますし、サービス別でも大分変わってきます。例えば、居宅介護支援事業所でしたら七七・一%がもう十九人以下になります。また、施設系でも、入所型でしたら百名以上二百九十九人までが三八%で一番多いということになります。施設系でも、通所介護でしたら三八%が十九人以下ということになります。

 ここの情報を、事業所側に、手間がかかるからということで、内容を調査しないということになると、実際の介護状況が分からないのではないかなというふうに思うんですが、そこについて、大臣も、この前の吉田統彦議員との質疑の答弁の中で、今回の法案で詳細な経営情報の提供等を義務づけることになっていますが、これはあくまでも政策決定に資すると言っておられましたので、政策決定の中に盛り込まれてくるわけですね。

 そうすると、小規模事業所の実態が分からないまま政策決定されていくというのは、多くの部分を占めるこの事業所の内容が分からないままというのは問題があるんじゃないかなと思うんですが、このことについて、大臣に少し御意見をいただけたらなと思います。

加藤国務大臣 この法案で創設しようとしている介護情報の報告は、今委員御指摘のように、介護分野での的確な政策を検討するに当たって必要とするもの、あるいは介護が置かれている現状に関する国民の理解促進等のためであります。収集する情報については、国の方で分析し、属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表したいと考えております。

 この制度を施行するに当たっては、今申し上げた分析あるいは活用に大きな影響を与えないということを前提としつつ、事業者負担も踏まえ、事業者の規模なども含め、対処を検討したいというふうに考えております。

一谷委員 確かに事業所の負担にはなると思います。いろいろな調査もアンケートも来ますので、それを出すだけでも大変だというのは分かるんですが、東京商工リサーチ、二〇二二年一月から九月の倒産件数は、実は百件に上っていまして、これは前年度の同じ期に比べて二倍になっているそうです。小規模の倒産が多くて、やはり五名未満が約半分を占めているということになります。また、新型コロナが始まってから約三百五十件以上倒産しているということなんです。この倒産に加わる要件というのもいろいろあると思うんですが、コロナで融資も受けていると思うんですね、ゼロゼロ融資と言われるものですね。これは一般企業も含めてなんですが、コンサルティング会社が調べた結果によりますと、返済に向けて計画を立てていないという企業が三七・六%あるというふうになっています。

 ということは、やはり小規模の事業所も調べておかないと、しっかりとした政策決定はちょっと難しいのではないかなというふうに思いますので、ここは事業所に説明をして、ほかのアンケート調査を少し、やめてもというと語弊があるかも分からないですが、減らしても。これは義務化されるわけですから。私、これを義務化するということはすごく大切なことだと思います。必ず出してくださいと。ただ、これを出していただくことによって、政策決定が行われて、処遇改善加算であったり点数が変わってくるということだと思いますし。

 私は、今、長年この業界を見ながら、やはり小規模事業所が多いというのは、生産性の向上からしてかなり無理があると思っています。ですから、ある程度の規模にしていかなければ、高齢者の方が増える問題を解決できないと思います。それは、資格者の方に数に限りがありますので、小規模の事業所でも看護師さんが一人要る。中規模でも看護師さんが一人でいいとなれば、ある程度の規模にしていかなければならないその根拠になると思います。これはもちろん、小規模事業所を中規模にしていくときに、統合されたりいろいろあると思います。そのときに、経営者に負担がかからないということは大前提としながら、そういった思い切った政策をしていかなければいけないと思う、その基礎になると思いますので、是非ここは小規模事業所も中に入れていただきたいというふうに考えています。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次の質問は、附則第二条に書かれている文章なんですが、「政府は、この法律の公布後、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するため、経済社会情勢の変化と社会の要請に対応し、受益と負担の均衡がとれた社会保障制度の確立を図るための更なる改革について速やかに検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」とあります。

 この速やかに検討を加えるという文言は、なかなか私、条文の中で見ないと思います。留保されていない、すぐにやりなさいということだと思うんですが、速やかに検討を行うというふうにありますが、この速やかな検討というものについて、一体どういうものなのか、大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 御指摘の検討規定についても、構築会議が昨年十二月に取りまとめた報告書に基づき、更なる改革を着実に進めるために設けているものであります。

 具体的には、医療や介護ニーズの増大や多様化する福祉ニーズに応える人材の確保、育成、働き方改革に力を注ぐこと、医療・介護サービス提供体制の確立やデジタル技術の積極的な活用により、住民にとって使いやすく、かつ効率的にサービスが利用できる環境を整備すること、医療保険及び介護保険における負担能力に応じた負担と給付の内容の不断の見直しを行うことなどについて、報告書の趣旨を踏まえて検討していくこととしております。

一谷委員 今回の法案の改定というのは、やはり負担と給付の在り方をどう考えていくかということもあると思いますが、私は、今のままの医療の、そして介護のサービスの提供の量、質で大丈夫なのかなというふうに非常に考えております。

 やはり終末期医療というのもどうするかということも考えていかないといけないと思いますし、介護の面に関しては、要介護一、二の方の地域支援事業に移行というのは二〇二七年以降に先延ばしするというようなことも言われていますが、やはりある程度、給付範囲を絞っていくということが必要ではないかなというふうに思いますので、更なる改革ということに関して、本当に、改革になるんだと思いますが、もう少しこの給付範囲についても考えていただきたいなと思います。

 先ほどの人材という話もありましたが、介護の分野では地域のボランティアさんの活用ということもありますが、今の、介護度一から五までの方々の事業所にボランティアの方が来て働いていただくというのは、なかなかこれは難しいなと、介護度の高い方もいらっしゃるので。ここは、要介護一、二の方を地域支援事業に移行させて、軽度の方は軽度の方だけで対応していくというようなことをすればもう少し変わってくるんじゃないかなというふうに思います。これは私の持論なんですけれども。そういったことを少し考えていただいて、速やかに実行していくということですので、内容も、これからの社会の負担が余り増えないような対策を取っていくのが必要ではないかなと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 この前、吉田統彦議員の質疑の中で、ケアマネジャーさんの居宅介護事業所の話がありました。その中で、大臣は、ケアマネジャーさんは公平中立な立場でというふうなことをお話をされていました。私も、これはもう大原則だと思いますし、介護保険の中ではケアマネジャーさんの役割が物すごく中心的であります。ケアプランにのっとってサービスを提供するわけですから、そのケアプランがしっかりしたものでなければ、利用される方のQOLも上がらないですし、社会保障もどんどんかかってしまうということになります。

 公平中立を担保しろと言われても、なかなか居宅介護事業所というのが長年黒字ではなかったということです。数字を申し上げますと、平成十七年から令和二年まで赤字がずっと続いている。令和二年はマイナス一・六%ですが、平成二十年なんかはマイナス一七%なんですね。

 ということは、何かのサービスを一緒に併設してやらなければ、単独ではやっていけないということになりますし、居宅介護支援事業所の収支差率分布というのを見ますと、マイナス五〇%、売上げが半分ぐらいしかないというところのボリュームゾーンが一番多いというわけですね。とてもやっていけないという状況です。これが令和四年の調査によりますと、これは令和四年の前、令和二年までは経営実態調査だったんですが、令和四年からは、なぜか経営概況調査というのに変わっています。しかし黒字にはなっています。

 ですから、今、居宅支援事業所は黒字だからということは言えるんですが、とはいえ、やはり介護サービスが始まって二十年間、ほとんどのケアマネジャーさんの居宅介護事業所が併設されているという現状を見れば、やはりケアマネジャーさんが中立公正でやりたいと思っても、なかなか自分のところの事業所であるとか、関連しているところにケアプランをつくらなければいけないという状況があると思います。

 この状況をどう考えておられるかというところと、今後どのようにこの状況を変えていかれるかということを大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 居宅介護支援事業所あるいはケアマネジメントというのは、介護サービスを提供する中において、それが適正になされていくための私は大きな大事な柱だというふうに思っております。

 そういった意味で、ケアマネジメントは、利用者に提供されるサービスが特定の種類、特定の事業者に不当に偏することがないよう、前回も申し上げましたが、公正中立に行わなければならないこととしております。その上で、利用者に対して継続的に質の高いサービスを提供してもらわなければなりません。

 このため、令和三年度介護報酬改定では、基本報酬の引上げ、特定事業所加算の拡充などの対応を行いました。その結果もあると思いますが、直近の調査では、居宅介護支援事業所の経営状況は黒字となっているところであります。

 引き続き、令和六年度の介護報酬改定においても、居宅介護支援事業所の経営実態を把握しながら、サービスが適切に行われていくよう、検討を進めていきたいというふうに考えています。

一谷委員 確かに、黒字になって、経営は安定するといえども、今のこの附属されている形態をなかなか変えるということは難しい、単独で独立するということは実際には難しいのではないかなと考えております。

 私は、一番改革が遅れているのが居宅介護事業所じゃないかなというふうに思うんです。もちろん、政府の方、点数改定で報酬が上がって黒字になったというのはいいんですが、もう少しケアマネジャーさんも利用される方のケアプランをたくさん作れれば、一枚当たり幾らですから、報酬は上がるはずです。

 そうなってくるときに、私は、なぜ、今、AIケアプランというのもあって、自動でいろいろな条件を整えてケアプランを作ってくれるというものをもっともっと進めていかないのかなというのが不思議で仕方がないです。ケアプランを作る書類作成に一日かかっているとか、そういうのはもったいないと思うんですね。

 ですから、私は、居宅介護事業所を、こんなことを言うと業界からまた私がバッシングを受けると思うんですが、あえて改革をしていかなければならないんじゃないかなと思いますし、やはり、中立公正であるこのプランが本当にケアを受ける方のためになるというのであれば、利用者負担をいただくということも、やはりこれは必要ではないかなというふうに思います。そうすると、利用される方も家族もしっかりそのプランを、見られるかどうかというのは断言できませんが、ある程度はそういった力も働いてくるのではないかなというふうに考えています。

 ですから、本当に、介護事業所、また医療との連携の中でも、ケアマネジャーさんが大きな大きな力を持っています。本当に、介護全体をよくするのはケアマネジャーさんにかかっていると言っても過言ではないと思っていますので、是非、AIケアプランの導入であるとか、また、ケアプランの料金の導入というのも、一部負担金ですね、二〇二七年以降となっていましたが、余りに先延ばしし過ぎていくというのはよくないので、どこかで決断をしていただきたいというふうに考えます。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 問題が全く変わるんですが、少子化で、小児外科のオペができるドクターの技術がなかなか向上しないというふうなことをお聞きをしています。

 子供が減る中で、医療的ケア児の方は、ちょっと増加というか、余り減らない中で、オペをするというドクターの技術がなかなか向上しないということについて、私はちょっと問題視しているんですが、そのことについて政府参考人の方に御意見をお伺いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 小児外科領域の手術件数につきましては、日本小児外科学会の調査によりますと、二〇一一年から二〇二〇年にかけまして、五万件程度でおおむね横ばいで推移しているという状況でございます。

 今、委員の方から幾つか、これでは件数が足りないんじゃないかといったような御意見も御紹介がございましたけれども、小児医療につきましては、従前から、医師の確保でありますとか、あるいは医療の安全性の確保の観点から、地域における医療資源の集約化、重点化を推進することとしてきているところでございまして、さらに、それに加えて、今度、令和六年度からスタートいたします第八次医療計画において、都道府県は、医療機関、機能の集約化、重点化を検討することということで私どもからお知らせを申し上げているところでございます。

 これらの取組は、今後、小児外科医師の手術の経験症例数の確保にも資することになるのではないかというふうに考えているところでございます。

 引き続き、関係学会や都道府県と連携しながら、小児外科領域も含めて、地域に必要な医療の提供が行えるような環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 確かに集約化ということで、そこに手術をしなければならないお子さんが集まって、そこで研修をするということは、私は、一つ手段だと思うんですが、海外へ武者修行というか、行かれているドクターも多いので、これは医学界、私はドクターではない、先生方がドクターであれなんですが、医学界の問題かも分かりませんが、こうやって外に出ていかれる若いドクターの方の後押しも是非していただきたいなというふうに思います。

 今の質問と少し関連があるんですが、小児がんというのは八割が治癒するというふうに聞いています。そうなった場合、いろいろほかの委員会でも質問させていただいたんですが、集約するということは、病院の拠点が日本中で十六か所ですか、そこへ集まらないといけないとなると、なかなか宿泊代であったりとか交通費が負担になると言われていて、そこはかなり政府の補助や後押しがあって改善されてきているというふうにお聞きしているんですが、ここで問題なのが、やはりどちらか、お父さんかお母さんが仕事を辞めてしっかり付き添っていかなければならないというふうなことです。そうなると、仕事を辞めなければならないということが出てきます。

 しかし、多くの小児のドクターが、八割治るんだから仕事は何とか続けて治療の付添いをした方がいいというアドバイスをするということをお聞きをよくするんですが、結局、仕事を辞めてしまえば低所得になってしまったりとか、仕事を辞めたので、お兄ちゃんが習っている習い事をやめなさいよとか、行っているクラブ活動をちょっとやめておこうねみたいなことも、やはり少し、よくないことではないかなと思うんですね。

 ですから、こういったところに対して政府の支援というのが必要ではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 小児がんの治療に当たっては、患者本人だけではなく、御指摘のように、家族も含めた総合的な支援が必要とされています。

 小児がん拠点病院に設置されたがん相談支援センター、現在、全国で十五か所設置をしておりますが、そのセンターにおいて、経済的問題などを含めた療養上の相談支援を行わせていただいております。

 仕事と育児、介護の両立支援を進めていくことは大変大事であります。子の看護、介護が必要な労働者は育児・介護休業法に基づいて、子の看護休暇や介護休暇等が利用できることとなっています。また、障害の程度が一定の基準に該当する小児がん患者については、特別児童扶養手当などの対象ともなるわけでございます。

 がん相談支援センターにおいてはこうした支援策を適切に小児がん患者の御家族に案内するとともに、先月の二十八日に閣議決定されました第四期がん対策推進基本計画において、患者、経験者、家族等の経済的な課題などを明らかにし、利用可能な施策の周知、課題解決に向けた施策について検討することとされており、必要な対応を進めていきたいと考えております。

一谷委員 是非、周知も進めていただきたいと思いますし、仕事を辞めなくても子供の付添いやケアができるというような視点も持っていただきたいというふうに考えます。

 それでは、次は、人生会議、ACPと言われる人生会議なんですが、医師会の方がやられるホームページなんか見ますと、ここにもかかりつけ医というふうに書かれているんですが、人生会議、ACPに書かれているかかりつけ医ということと、今回政府がお示しいただいているかかりつけ医機能との整合性は一体どういうふうに整理されるのかということを政府参考人の方にお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたACPでございますが、本人が望む医療、ケアにつきまして、家族や医療、ケア関係者と繰り返し話し合っていきます人生会議の取組を進めるということが重要でございます。

 このため、厚生労働省におきましては、医師等の医療従事者や介護従事者の多専門職種から構成されております医療、ケアチームが、人生の最終段階を迎えた患者本人、家族などの意思決定を支援できますように、ガイドラインの作成やグループワークを含む研修を行ってきているところでございます。

 また、本法案によって進めることとしておりますかかりつけ医機能報告による機能の充実強化につきましては、社会保障審議会医療部会において、在宅を中心に入退院を繰り返し、また、医療と介護の複合ニーズを有することが多く、最後はみとりを要する高齢者のニーズに対応する機能を地域ごとに適切に確保していく必要性が指摘をいただいているところでございます。

 この法案が成立いたしますれば、施行に向けて、報告対象とするかかりつけ医機能の範囲、あるいは具体的な機能の在り方などにつきまして、有識者等の御意見をお伺いして検討していくということとしておりますが、先ほど御紹介した医療部会における御指摘でありますとか、今委員から御指摘がありましたアドバンス・ケア・プランニングを進めるといった観点等も含めまして、議論を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

一谷委員 かかりつけ医機能、かかりつけ医、これは地域でドクターが担っていくんですが、やはり担っていかれる在宅のドクターが高齢化しているという問題もありますので、非常にいろいろな問題はありますが、しっかり取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。

 私からはやはり、皆さんがお話しになっていました出産育児一時金のことについてから、まず伺いたいと思っています。

 池下委員もありましたけれども、私も同じ日に本会議で総理にこの問題について質疑をし、また、保険適用についても提案をさせていただきました。そして、引き続き、二十九日の、前回の委員会でもこの議論をしましたが、三十日の朝の読売の一面に、「出産に保険適用へ 首相明言」というのを見て驚きました。さらに、中身を見ますと、二十九日に総理官邸でインタビューを受けて、保険適用の対象とする方針を示したということであります。

 やはり一言言っておかなきゃならないのは、私たち、今、出産育児一時金の増額について議論をしています。これについては多くの委員、反対なく、何とかみんなで支えていこうということで、協力をしながら議論を進めてきたんですが、唐突に、プロセスなく、この話が出てしまうということは大変残念でありますし、もしも、この話が出るならば、最初から、出産一時金は増額が必要でありますから、それはすぐやらなきゃならない、その上で、三年後には保険適用を議論すると。

 今までの議論を見ていましても、昨日もらった、今日委員会に提出してもらった保険適用検討についても、ほぼ同じというか、三年後に保険適用を目指していくということでありますから、最初からそれを明示してほしかったなということと、やはり私たちも真剣にこの議論をしておりますので、一言苦言を申したいと思っておりますし、先ほど中島委員からありましたように、本来ならば、新たに法案を提出をし直す、ないしは修正案を出すということを、最初に、冒頭に要望をしておきたいと思っています。

 その中で、御提出をいただきました、この「出産の保険適用の検討について」というペーパーから質問をさせていただきたいと思います。

 これを見ますと、まず、出産育児一時金の引上げを行う、それとともに、後期高齢者医療制度からの支援の仕組みを導入する、その上で、見える化を行い、効果を踏まえ検証した上で、三年をめどに、つまり令和八年をめどに保険適用を目指すということが書かれています。

 保険適用の前提になりますのが、後期高齢者の医療制度からの拠出、負担の拠出の額でありますが、これは議論をしている中で、一時金の二分の一だということが示されましたし、さらに、この負担率の見直しについても、かなり御苦労されて負担率の見直しをつくってきたかと思います。六割の後期高齢者は保険料を負担させないようにしようと。また、低所得者の負担も配慮して、賦課限度額も六十六万から八十万に変える、更には激変緩和もと。

 これも、先ほど来の委員会の議論であったんですけれども、ここまで整備をして、そして令和六年、七年まで激変緩和措置はもう定められておりますが、保険適用になってしまうと、これらは一度、負担率見直しということにつながるのでしょうか。

加藤国務大臣 委員が冒頭おっしゃられた、厚生労働省保険局のペーパーで書かせていただいていますように、今回、出産の費用が高騰し、それを賄うために出産育児一時金を大幅に引き上げる、そしてその負担については、現役世代のみならず、後期高齢者医療保険制度の加入者の中でも所得のある皆さん方に負担をしていただくことによって、全世代で支えていこう、こういうことで整理をさせていただいたところでございます。

 その上で、今後、見える化等も進めながら、この費用の分析を行っていき、そして、その先において、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方についての検討に結びつけていきたいと考えているわけであります。

 その中で、今回の、後期高齢者医療制度が出産に要する費用の一部を支援するというこの仕組み、これについては、全世代で子供、子育てを支えていくという観点に立った対応でもございますし、また、そうした対応は今後とも必要であると考えており、仮に保険適用ということになっても、こうした仕組みは維持されていくものと考えております。

田中(健)委員 仕組み自体は、全世代で支えていくというのはいいんですけれども、今回は、出産一時金の四十二万から八万円の負担に対してかなり詳細に負担率を見直して御提示をいただいたと思うんですけれども、そして、先ほどの答弁では、これの理解を求めるために郵送でお知らせもして皆さんに周知を図るということだったんですけれども、この負担率も、じゃ、変わらずに、保険適用になろうがなるまいが、そのままということでよかったでしょうか。確認です。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法案を提出させていただいております。それで、出産育児一時金について、高齢者医療制度から拠出する。六年度についてはまず暫定的に二分の一、七年度からはフルでお願いしますと。それから、高齢者負担率の見直し、これも六年度、七年度と経過措置を設けております。

 先ほど申し上げましたように、大臣からもお話ししましたように、この出産育児一時金の見直しをしていく中で、見える化をし、それを検証し、保険適用について議論していくというのは、先ほどのお話から出ていますペーパーでも、令和八年度をめどにということで考えておりますので、今提案させていただいています枠組み自体はもう六、七で完成いたしますので、その次の話として、議論として成り立つんだろうというふうに考えております。

 したがって、昨年からずっと議論してきましたこの枠組み自体は、しっかりと、今、法案を提出させていただいておりますけれども、御審議いただいて、議論ができることだ、このように考えてございます。

田中(健)委員 じゃ、あくまで令和六年、七年だけだということで、八年ないしはそれより前倒しでこの保険適用が、総理は、急げ、一日も早くと言っていますから、三年かかると大分時間がたってしまいますから、保険適用になったときは、また改めて負担率を見直すということでよろしいのでしょうか。確認です。

伊原政府参考人 今回、試案として先週金曜日に出させていただいたペーパーもそうなんですけれども、まさに、出産費用の保険適用について、その導入を含め出産支援の在り方について検討するとございます。

 したがいまして、ちょっと、令和八年度に向けて検討する結果がどうなるか次第でございますけれども、スケジュール的には六、七に今から議論することが当てはまるとは考えておりませんので、それ以降の話だと考えてございます。

田中(健)委員 そこも明確に示しませんと、先ほど言ったように、郵送でも送って、高齢者の方は送られてきて、そういう負担で私たちが出産育児一時金に払うんだ、でも、一方で、テレビでは保険適用になると、どうなるんだろうという不安を助長しかねないということになりますので、はっきりそこは示していただければと思っています。

 引き続きまして、今、三年ということをおっしゃられていましたけれども、これについても、前回の私の委員会の中で、その流れというのが示されていました。

 まず一つ目に、見える化として、医療機関のサービスが、価格が見えるようなホームページを立ち上げる。そして、見える化によって、室料差額や無痛分娩の取扱い、サービス内容を伝えていく。そして、分娩費用の価格等について見える化していく。まずこれが令和六年の四月からだということです。そして、さらに今後、つまり令和六年四月以降に、出産費用の見える化をやった結果、地域別とか施設類型別の出産費用にどのような影響が及ぶのか、そうしたことについて分析をしていきたいと思いますということでありますけれども。

 このスケジュールだと大分先の話のように見えてしまって、三年のスケジュールの中で間に合うのかということも、さらには、もっと前倒しができるのかということも考えられるんですけれども、このスケジュールをどのように考えているか、お聞かせいただけますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方からも御紹介いただきましたが、もう少し順を追って御説明させていただきます。

 今回、出産育児一時金の大幅な増額に併せまして、やはり見える化が大事だろうということで、抜本的に強化していきたい。ということで、例えば、医療機関の機能とか出産に係る運営体制、それから費用、サービスの内容、それから実際の平均入院日数とか、その病院での出産費用の平均値、こうしたことを来年四月にしっかりと本格的に見える化していきたいと考えてございます。

 そういう形で今年の夏までに有識者による検討をし、公表項目を整理し、そして医療機関に対して報告を求めまして、それをホームページで公表すると考えますと、どうしても来年の四月になると考えていますが、やはり、もっと先にできることはないかということで、我々といたしましては、夏に公表項目が取りまとまった段階で、各医療機関等にその内容をあらかじめお知らせしまして、それぞれの病院のホームページなどで先んじて公表いただくよう促すような取組、これもできるだけ早くやりたいと思っています。

 ただ、先ほどから議論になっております出産費用の保険適用の議論をしようとしますと、大事なことは、今日も議論が出ておりましたが、実際は、出産の医療行為についての標準化というのが何より大事でございます。となりますと、しっかり網羅的にデータを集めて分析をしようとなりますと、来年四月に、実際、見える化の本格稼働が始まりますと、ある一定期間のデータを集積して、集めて、それで分析をする必要がございます。それは地域差もございますし、それから経営主体別もあると思います。それから実際行われている医療行為についての分析も必要だと考えます。そういった意味でスケジュールを考えてまいりますと、やはり令和八年度をめどに検討していくというのがスケジュールではないかと今考えているところでございます。

田中(健)委員 分かりました。

 総理が明言して、すぐにでもこの保険適用が始まるのかと思いきや、やはり課題はたくさんまだありまして、乗り越えなきゃならないことがあるので、ここには三年と書いて、私はもっともっと前倒しをするのかと思いましたけれども、時間がまだかかるということであると理解をさせてもらいました。

 さらに、先ほど中島委員からもありましたけれども、実際、産婦人科をやっている人たちからは、地域になくなってしまって、一律にというお話になると、そもそも経営が成り立たなくなるというような課題もあるというのもお聞きをしましたので、是非、そういった課題をしっかり乗り越えて、私たちは保険適用を訴えてきましたので、実現していただきたいと思っています。

 引き続きまして、かかりつけ医機能について伺いたいと思います。

 昨日の参考人の議論の中で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の中で、前提として、コロナにより浮かび上がった課題は新しい感染症への対応という特別な背景により生まれたものという指摘がある一方で、これをパンデミックという特殊な状況だから起きた例外だと無視するのはたやすいが、つまるところ構造的な問題であるという指摘があり、それぞれの意見が出ました。全く認識が違うというか、このかかりつけ医機能についても違った見解でありました。

 コロナ禍における医療はあくまで感染症法でという、厚労省が述べてきたこれまでの考えかと思いますが、その考えでよろしかったでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい感染症の性状がなかなか明らかでない段階から、日常的な診療を行っているかかりつけ医に感染症対応を行うことを一律に求めるということはなかなか現実的に困難でございまして、患者が平時に受診している医療機関において必ず感染症の医療を受けられるとは限らないということかと考えております。

 そのため、感染症発生、蔓延時における医療提供体制の確保に当たりましては、地域全体として、通常医療の提供を継続しつつ感染症医療のニーズにも対応していくということが必要でございまして、各医療機関の機能、役割を踏まえた医療提供体制を構築していただくということが重要になってくるというふうに考えてございます。

 そうした考えの下、感染症発生、蔓延時の医療提供体制として、昨年秋に改正をいただいた感染症法等に基づいて、都道府県が医療機関と平時に協議を行って、各医療機関の機能や役割に応じて協定を締結するといった枠組みをつくっていただいたところでございます。感染症医療を担う医療機関をあらかじめ適切に確保していくという枠組みにのっとって、これにつきましては来年四月の施行でございますけれども、それに向けて現在準備を進めさせていただいているところでございます。

 また、患者からの相談に応じて、感染症医療を行うことが可能な、適切な受診先の案内にも努めるなど、医療機関同士が適切に連携する仕組みを含めて、感染症発生、蔓延時においても、医療が必要な国民の皆様に、確実に必要な医療を受けられるようにしていくことが必要だというふうに考えてございます。

 この法案につきましては、感染症対応を主眼に置いているものではございませんけれども、この法案の中で新しく設けたいと考えておりますかかりつけ医機能報告などを通じまして、情報提供の強化とか、あるいは医療機関間の連携を進めるということとしているところでございます。

田中(健)委員 今のだと、何か全て問題ないように聞こえてしまうんですけれども、あくまで感染症法に基づくものは、都道府県と病院がしっかりと連携協定を結ぶということで、私たち患者とお医者さんが協定を結んでいるわけではないので、そこに感染症時と平時の大きな乖離があると思っています。

 昨日の参考人の中でも、平時と危機時を分離した議論というのは机上の空論だという指摘もされておりましたが、今の議論をもう少し詳しくお話をしていただきたいんですけれども、この感染症法での対応と今回のかかりつけ医機能というのは、どのように関連して連続性を持つことができるのか。

 今、現時点では、お医者さんが紹介してくれると言ったんですけれども、では、私が行って、そこが駄目だったら、そのお医者さんに紹介してもらって行く、それがかかりつけ医機能だという理解でよろしいでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど感染症法の改正に基づいて協定の締結の体制をつくるということを申し上げましたけれども、これはそれぞれ、その地域地域において、どうしても役割分担をしながら感染症対応と通常医療を両方対応していくということでつくっているものでございます。

 そういう意味で、その地域のいつもかかっているかかりつけの先生が感染症対応をなさっていないといったような場合、今の発熱外来のようなものがあるわけでございますので、それを今回の協定の中でも新たにつくっていくということを協定の中で考えていくこととしておりますけれども、そういったところを場合によっては御紹介いただくといったようなことを考えてございます。

 一方で、今回御審議をいただいております法案につきましては、感染症対応を主眼に置いているものではございませんけれども、この法案において、国民や患者さんの皆様が、そのニーズに応じて、かかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるための情報提供を強化するとともに、地域の実情に応じて、それぞれの医療機関が機能や専門性に応じて連携をしながら、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化することで地域において必要なかかりつけ医機能を確保するといったようなことを考えておりまして、そういったことによって、情報提供の強化や、あるいは適切な医療機関間の連携を促進するということで考えております。

 こうしたことが、今後、感染症発生、蔓延時における連携にもつながり得るものではないかというふうに考えておるところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 更に進めてまいりますと、昨日の指摘の中で、地域で面として対応できればいいということで今回の議論は進んでおりますが、どうしてもその中核となって診療を担う責任の所在というのが曖昧でありまして、再度同じようなパンデミックが起きた場合、自分のかかりつけ医が、外来診療、ワクチン接種、往診を提供できないと、今回と同じように受診難民が生まれるという指摘もありました。

 また一方で、私たち患者がお医者さんを選ぶ場合に、これは先ほども議論があったんですけれども、プライマリーケアの医療従事者を探すということは難しくて、資料にもありましたけれども、標榜できない、また、記載がばらつきがある、資格保有者が少ない、いろいろな、今、まだまだ課題があって、提供はしてくれるけれども、私たち患者の立場に立つと、それは本当に、かかりつけ医として選ぶのに、まだまだハードルがあるし、不十分だという指摘がありました。

 その中で、先ほど、今局長が、医療機能の報告をして、そしてそれを情報提供していくのが今回の一つの大きな目玉だと言ったんですけれども、このかかりつけ医機能対象病院の報告と、それに基づく情報提供で、今言った問題というのを、もちろん全部は解決できないとは思うんですけれども、どの程度解消して、それが次につなげていけるような対応になっていくのかということを大臣にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 感染時の対応も、局長から説明させていただいたのではないかなと思いますので、省略をさせていただきたいと思いますけれども。

 プライマリーケアとの関係でも申し上げれば、国民、患者が、そのニーズに応じて、かかりつけ医機能を有する医療機関を、適切に提供できるよう、情報提供を強化することとしております。また、日常的な医療を総合的かつ継続的に行う機能も含めて、地域で必要な医療機関のかかりつけ医機能について、地域の関係者で協議することとしております。

 協議の結果に基づいて、例えばでありますが、病院に勤務されていた方が地域で開業し、地域医療を担うための研修、支援の企画を実施をしていく等の取組を地域の実情に応じて行っていただくことによって、地域全体としてのかかりつけ医機能を強化していくということも期待をされるのではないかなというふうに考えております。

 また、日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能も含め、本法案により、地域で確保を進めることとしている医療機関のかかりつけ医機能の具体的な範囲、報告項目などについては、今後、有識者等の意見を聞いて検討することとしておりますけれども、例えば、総合診療専門医等の特定の専門的な医療従事者を含めるかどうか、こういったことも含めて、よく意見を聞いて検討していきたいと考えております。

田中(健)委員 今お話があったかかりつけ医の機能報告対象病院なんですけれども、これを報告してもらって、それに基づいて地域の情報を集めると言うんですけれども、あくまでそれは、今、協議会のための資料であって、私たちは、患者としては、先ほど、午前中に大岡委員が、協議のイメージを、マル・バツの一覧表を提示していただきましたけれども、これを見ても、やはり、私たち、分からないわけですよね。

 ですので、やはり、今回のかかりつけ医機能、まず第一歩だということで、ますます議論を進めて、私たちの本当の意味のかかりつけ医を、できるように、整備を進めていきたいとは思うんですけれども、まず、今回の、機能報告対象病院、これは前回の質問では、全ての病院、十万に及ぶ診療所から全てだということでありましたけれども、これがしっかりと報告をすることで、そして、明確に一覧となって、まずそこからですね。その次に、本当にかかりつけ医にするにはどうしたらいいのかという議論がまだまだこれからの段階だと思うんですけれども、是非、その議論を進めていただきたいと思っています。お願いをします。

 引き続きまして、ちょっと話は変わるんですけれども、ちょうど先週に発表された報告についてお聞きしたいと思います。それは、新型コロナウイルスの感染症に係るワクチン接種事業についてであります。

 会計検査院が、二〇年から二一年度に予算計上したワクチンの確保、管理、配布などの事業の執行状況を調査して、ちょうど先週の二十九日、結果が発表されたばかりであります。支出総額が四兆二千二十六億円、ワクチンの費用が全体の六割を占めて、国は総人口の七回分以上の八億八千二百万回を確保したということでありますが、この算定根拠について、検査院は、十分な記載がないということを指摘しまして、税金が無駄になりかねないと、改善を求めました。

 検査院によりますと、厚労省はシミュレーションをして確保数を決めたと説明しているんですが、一方、各メーカーからの調達量を決める際に作成した資料や契約書の書類は、計算式など根拠が十分に記載されておらず、これでは全く判断が、多かったか少なかったのか、できないという指摘でありました。

 当初のワクチン確保の頃を思い出せば、本当に御苦労をされて、一日も早くワクチンを確保しなきゃいけないということで、一丸となってやっていたというのはよく分かります。本当に大変だったと思いますし、そのとき最善を尽くしたというのは確かであると思いますが、あくまで、やはりこれは税金でありますし、この妥当性が客観的に後から判断できなければならないものであると思っています。

 シミュレーションは、形の上はしたけれども、結局、とにかく確保できるものはしたと。もっと言えば、相手の言うままに確保できるものはしたというふうに捉えられても仕方ないんですが、算定根拠不明の理由というのを伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 購入数量の算定根拠の資料は適時適切に作成しており、今回の会計検査院の実地検査におきましても提供させていただきました。

 第三者である会計検査院に対しては、その内容について、口頭で補足的説明を要する事項があったものと認識しております。例えば、接種対象者の推計方法、あるいは詳細な需要と供給のスケジュールについて、作成した資料はあったんですけれども、その読み方あるいは各数字の関係性や計算方法について口頭で補足説明が必要であったということでございます。決して、算定根拠がずさんであったり、企業に言われるままに購入数量を決定しているというものではございません。

 ただ、いずれにしましても、今後は、事後的に第三者が客観的に妥当性を検証できるような形で、必要な情報を盛り込んだ資料を作成してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ちょっと今のは言い訳のように聞こえるんですけれども、口頭で説明したときに、検査院に、説明不足であったと。つまり、資料もあるし、根拠もあるし、全て適切にやっていたということをおっしゃったんでしょうか、伺います。

佐原政府参考人 我々としては、それぞれの購入に当たりましては、算定根拠について、しっかりと積算しまして購入したというところでございます。

 ただ、検査院の検査に当たりまして、口頭で補足的説明を要する事項があったというふうに認識をしております。

田中(健)委員 分からなかったですけれども、じゃ、説明した人が説明不足だ、その個人が悪かったということですよね。第三者に見せる資料は客観的であり、そして、私たちが全て見ても理解し、また納得できるものであるということで理解をしました。そうしましたら、検査院の方の判断が、若しくは書きぶりがおかしかったということで理解をしました。

 さらに、メーカーに対して返品がかなり数があるんですけれども、この返金額についても指摘がされていました。これは、厚労省は、返金額が示された文書の提出というのをその返金をしたアストラゼネカから受けていない、金額の妥当性も確認していなかったと指摘をしました。つまり、これも相手の言い値で、それさえも確認せずに返品の事業というのは行われていたと。

 どうしてこういうことが起きてしまったのか、伺います。

佐原政府参考人 返金額につきましては、検査当時、口頭で返金額の算定根拠について確認は行っていたものの、書面で求めることまでは行っておりませんでした。結果として会計検査院の指摘を受けてからの対応となったものでありまして、返金額が適正かどうかの確認は必要と考えております。

 現在、アストラゼネカ社とは最終的な費用の確認を行っており、適切に対応してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 つまり、返金をしたときには確認もせずに、若しくは金額も、していなかったということだと思うんですけれども。

 さらに、今、答弁で、検査院が指摘をしたからというのがありまして、この中にも、先ほどの算定根拠に対しても説明不足だった、今後ワクチンの確保を検討する際には検査院の指摘を踏まえて算定根拠を示す資料を作成する、また、検査院の調査が入ったから返金額の算定理由を示す文書の提出を求めたと言っています。

 ワクチンのことに関しては、この委員会でも多くの委員の人たちがその妥当性や情報公開やまた説明を求めてきましたが、これまでは、この委員会でも、国会での議論でも、守秘義務が課されているの一点張りで、詳細を明らかにされてこなかったのでありますけれども、算定根拠や返金額も、検査院に指摘をされて資料の作成や先方への要求もしたということは、裏返せば、調査が入らなければそのままであったというふうに捉えられても仕方ないし、その可能性は否定できません。

 更に言えば、ワクチンの在庫数でも、厚労省は、メーカー側の倉庫にどの程度の在庫があるのかをリアルタイムでも定期的にも把握をしていなかったという指摘もありました。

 当初、ワクチンが運ばれてくるのを、一本一本、本当に貴重なものですから、大切に一本一本、大事に扱われる姿というのを、テレビで映し出されて見ておりましたので、本当に厳格な管理がされているんじゃないかと思っておりましたが、ちょっと調べた結果、蓋を開ければこんな結果だったのかと残念に思わざるを得ないんですけれども、このワクチンの管理というのはどのように行われていたんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 在庫数量の把握につきましては、当時、政府在庫は、追加購入の決定や自治体等への配送前など、適時には確認しておりました。つまり、これは業務として必要なタイミングで把握はしておったわけですけれども、定期的には確認ができていなかったものと認識しております。

 検査院の指摘を踏まえまして、適時に確認することに加えて、四半期ごとに在庫状況を企業と突合して定期的に確認するということとしており、このような対応に改善しているところでございます。

田中(健)委員 ワクチンの国内の接種実績というのは、二〇二三年、今年の一月末時点では三億七千九百万回分であります。一方、有効期限切れ等による廃棄や、需要減のキャンセルも相次いで、その数は約二億八千万回分と示されております。全体の三割が結局使われなかったということが、今回検査の中で発表されています。

 まず、この結果をどう評価をしているのかを伺いたいと思うんですが、先ほど来の話ですと、調達の算定根拠も、ちょっとお互いそごがあるんですけれども、不明確だと。管理も、今聞いたのは徹底されていたかとちょっと疑問に思うんですけれども。そういうことを考えると、その対応が、もちろん全てではないですし、そうではないと思うんですけれども、廃棄やキャンセルにもつながったのではないかと勘ぐってしまうことも仕方ないような今回の検査結果ではあるんですけれども、このワクチンに関しての当時の対応というのが適切だったのかの検証というのはこれから必要ではないか。そして、それを検証した上で、次のパンデミックが起きたり、また次の感染症が起きたときによりよい対応ができるということにつながるんじゃないかと思いますが、それについての検証の必要性について、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今回の検査院の指摘に対しては、今局長の方からも答弁させていただきましたように、一つ一つ対応させていただきたいというふうに思っております。

 また、廃棄、キャンセルが確かに出ているのは事実でありますけれども、これは、当時のことを思い出していただいても、開発前からの段階で様々な可能性がある中で、国民の皆さんに必要なワクチンを確保していくということでございますので、そうした中で必要な量を確保させていただいた中で、結果において、活用が見込めないワクチンについてはキャンセルが行われたところでございます。

 これ自体に対して、今言った在庫管理云々というのがございましたけれども、これは、定期的にはしておりませんでしたけれども、都度都度はさせていただいていたわけでありますから、これが直ちに過剰購入、あるいはキャンセルにつながったというふうには考えてはいないところでありますが、いずれにしても、今後についてもこうした事態が想定されるわけでありますから、いろいろ、今回のことの反省も含めながら、こうした事態に対する体制。そのためにも、一つは、国内におけるワクチンの製造能力を高めていくということも本当に大事なことだと思っておりますが、そういったことも含めて、必要な対応を取っていきたいと考えています。

田中(健)委員 是非、対応をお願いしたいと思います。国民の関心も高いですし、また、当委員会でも何度も議論をしてきた内容でありますので、是非、私はしっかりと、第三者に堪えられるだけの検証をしてほしいと思っていますし、求めたいと思います。

 ワクチンの接種に関してなんですけれども、現在でもワクチン接種は進んでいます。

 四月以降の接種について、厚労省は、今の無料の接種を来年の三月まで継続して、重症化のリスクの高い人などは五月からと九月からの年二回の接種を行うほか、重症化リスクが高くない人も九月からの接種を行うという方針を示しています。

 一方、先週の二十八日に、WHOは、新型コロナウイルスワクチンの接種指針を改定し、六か月から一年ごとの定期接種の推奨を高齢者や妊婦などのみと限定するという発表もいたしました。

 これはかなり違う対応になりますけれども、このWHOの発表をどう受け止めていて、また、日本の接種にはどのような影響があると思いますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今般改定されましたWHOの指針では、プライオリティーグループというのを三つ設定しております。ハイプライオリティー、中プライオリティー、ロープライオリティーということでございます。

 高齢者や重大な併存疾患のある方については、更なる追加接種を推奨する。そして真ん中のグループでありますが、併存疾患のない健康な成人については、更なる追加接種の定期的な推奨は行わない。そして、健康な小児の初回及び追加接種については、疾病負荷等の要因を踏まえて各国で判断すべきとするなど、WHOにおいては、年齢と重症化リスクにつながる疾病の有無に基づき、推奨の度合いを決定しているものと認識をしております。

 一方で、我が国におきましては、御指摘のように、本年度も、特例臨時接種、一年間延長するということにしておりますけれども、ここにおきましても、高齢者など重症化リスクの高い方には、春夏及び秋冬に合計二回の接種を行うとともに、秋冬には、追加接種の対象となる全ての方に接種を実施すること、そして、高齢者など重症化リスクの高い方以外の方には、接種勧奨及び努力義務の規定を適用しないということとしております。

 こうした我が国の接種の方針は、重症化リスクに基づき推奨の度合いを決定しているWHOの指針にも沿ったものでありまして、直ちに修正する必要はないものと考えております。

 なお、令和六年度以降につきましては、今般改定されたWHOの指針や、また、最新の知見も踏まえつつ、今後検討を行ってまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 ワクチンに対して、やはり、二類から五類相当に変わるということで、意識も大分変わってきていますし、接種も少なくなってきたということで、これからどのように進めていくのかというのも課題になると思いますし、また、今日できませんでしたけれども、健康被害のことも、少し若い世代に認定がされているということでありますので、また委員会でも取り上げさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 私からも、まず一言、旧優生保護法の問題について申し上げておきたいと思います。

 先週質問させていただきましたけれども、その後、札幌高裁に上告し、本日、大阪高裁の判決についても上告をしたということでございます。本当に一刻も早い解決をすべきだと私は申し上げてきましたけれども、裁判で争い続ける国の姿勢に対して、厳しく抗議を申し上げておきたいと思います。

 原告の方は次々亡くなっているわけですよね。そして、これだけひどい人権侵害を行った立法なわけですから、これは政治の誤りなんですよね。最高裁の判決を待って解決するのではなくて、やはり、政治が自らの手で解決しなければならないと思います。次の高裁判決は、六月一日の仙台高裁だというふうに伺っています。弁護団の皆さんは、それまでに是非政治の手で解決してほしい、原告団、弁護団とも協議してほしいということを願っていらっしゃいます。

 是非、加藤大臣は、所管が違うみたいな話がさっきあってびっくりしたんですけれども、これまで関わってきた経過もございます。厚生労働行政の誤りというのもあるわけでございますから、閣僚の一人として、やはり、早期解決に向けてしっかり責任を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、田畑委員長代理着席〕

加藤国務大臣 所管に関しては、先ほど申し上げましたように、母体保護法の所管自体がこども家庭庁の方に移管されたということでございますので、本対応は、今後は、こども家庭庁の方において実施をされていくわけでありますが、ただ、この間、厚労省においてもこの問題に取り組んできたところでありますし、また、一時金の支給等についても、円滑な支給を図るべく努力をしてまいりました。そういったことも含めて、しっかりとこども家庭庁と連携をしていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 田村さんもいらっしゃいますので、六月一日までに是非解決したいと思いますので、御努力をお願いしたいと思います。

 それで、今日の通告している中身に入ります。

 まず、ちょっと順番を入れ替えますけれども、子供の医療費の無料化についてお伺いしたいと思います。

 昨日、参考人質疑でも伺ったんですけれども、この間、加藤大臣は、子供の医療費の無料化について課題が多いんだということで、不適切な抗生物質の利用が増えるだとか、比較的健康な子供の受診が増えるだとか、こういうことをいろいろおっしゃっているわけですけれども。

 昨日、参考人質疑で、日本医師会の釜萢先生がこうおっしゃっていたんですね。受診される親御さんは、医療機関に受診するというのは、大変な時間もかかるし、御苦労があるわけで、無料になったから無駄に受診しているという方は、私はもうほとんどいないと思いますし、医師の側は無料だからといって不適切な治療をしているという事例も極めて少なくて、特に、抗生剤の話が出ましたが、適正使用に関しては、今、特に小児科医は非常に真剣に取り組んでおりますので、その点は指摘しておきたいと思いますというふうにおっしゃっておられました。

 私は、釜萢先生のおっしゃるとおりだと思うんですよね。ある研究を基にいろいろ大臣もおっしゃっているんだと思いますけれども、やはり、そういうことを言うのは、医師に対しても、あるいは保護者の皆さんに対しても大変失礼だと思うんですよね。大臣はこの釜萢先生の指摘、どう受け止められますか。

加藤国務大臣 釜萢先生ないしそうしたお医者さんの皆さんは、そういった思いでやっておられることはそのとおりだと思いますが、ただ、他方で、これまでの、この間、各市町村等において、特に医療の無償化を図っているところについて実証研究をされた、その結果としてそういうデータも出てきている、やはりそのことはしっかり踏まえていく必要があるんだというふうに思います。

宮本(徹)委員 それで、その実証研究、発表されたのは去年のものですよね、東大の飯塚先生と重岡先生の論文なわけですけれども、私、ちょっと英文で五十数ページあったので、とても一晩じゃ読めないので、日本語の短いのだけ読みましたけれども、この論文のレセプトのデータというのは、二〇〇五年から二〇一五年のもののデータなんですよね、二〇〇五年から二〇一五年、直近のものではないわけです。

 それで、抗生物質の適正使用については、世界的にこれを一生懸命呼びかけ始めたのは、WHOが二〇一五年に薬剤耐性の問題でのグローバル・アクション・プランというのを出して、日本政府も二〇一六年にそれに対応した方針も出して、ある意味、この飯塚先生たちの論文が対象にした後から、抗生物質については適正使用というのがどんどんどんどん進んできているということだと思うんですよね。だから、釜萢先生は、今、特に小児科医では非常に真剣に取り組んでおりますとおっしゃっているんだと思うんですよ。

 ですから、やはり、古いデータを基にした研究について、今、国会で大臣が紹介されるというのは、私はおやめになった方がいいと思います。

加藤国務大臣 今のは、委員の推測でお話をされているんだと思いますので、あくまでも実証データは実証データとして、もちろんそれをどう評価するかということはあろうかと思います。

 それから、実証データの中身は、あくまでも、医療現場における医療の提供だけではなくて、かかる側からの問題、これらも確か入っていたというふうに認識をしております。

宮本(徹)委員 ですから、私は、データをどう見るかじゃなくて、データをどう見るかという問題ももちろんありますけれども、データそのものが、二〇一五年までのレセプトデータでやっていると。多分、今日お医者さんの方もこの場にはたくさんいらっしゃると思いますけれども、抗生物質の投与の問題というのは、本当に近年、一生懸命医療現場では取り組まれていることだと思います。

 さらに、その論文を見ると、少額の自己負担で、価値が高いとされる医療と価値が低いとされる医療のどちらも減少すると書いてあったんですね。この価値の低い医療というのが抗生物質の不適切な使用ということになっているんですけれども、これは医療現場の側で今対応されている。一方で、価値が高いとされる医療も減少すると書かれているわけですよ。この価値が高いとされる医療が減少するというのは、私は、こここそ問題に私たち政治家はしなければならない。だからこそ、各地方自治体でも医療費の無料化というのが私は進んでいるというふうに思うんですよね。

 ですから、価値の高い医療が負担によって減ってしまうというのは、これは問題だ、そういう認識は大臣はお持ちじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 まず、先ほどから抗生物質だけのお話をされていますが、子供医療費の無償化は比較的健康な子供の外来受診を増やすということもこの実証の中で指摘をしているということをまず申し上げておかなきゃならないと思います。

 その上で、今おっしゃった価値の高い医療を減らすという、その背景に何があるのかといえば、それはやはり医療費を負担できない家庭があるということだと思いますので、それは、そうした対応をするということと医療費全体を無償化するということ、これは多分政策手段としては異なっていくんじゃないかというふうに思います。

宮本(徹)委員 政策手段は違うと言いますけれども、医療費は無料というのは非常に分かりやすい政策ですよね、当然。価値の高い、だって、病気になったときに心配なくお医者さんにかかれるというのは、医療費が無料だからなわけですよね。

 やはり、赤ちゃんだったり、熱発したら、心配でかかるわけですよ、お母さん方、お父さん方は。あるいは、私なんか自分の子育てを考えても、初めに娘がヒューヒューヒューヒュー喉からいっていて、これが何なのか分からなかった。電話をかけても分からなかったけれども、その後、病院にかかって、これはぜんそくだというのが分かって、その後、入退院を繰り返すというのもありましたけれども、やはり、早いうちにかかった方がいろいろなものは重症化していかないわけですから、私は、いろいろなことを言って医療費無料化に後ろ向きな姿勢というのはやめた方がいいと思います。

 加えてお伺いしたいんですけれども、「こども・子育て政策の強化について」のたたき台、試案では、おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止するということになったわけですね。いわゆるペナルティーを一部ですけれども廃止する。この理由はどういうことなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、減額調整措置につきましては、各地方公共団体、自治体の方から廃止を求める声が非常に強くございます。

 こうした中で、現在、新生児から高校生までの子供を見たときに、人口比で約九割の子供が医療費助成の対象になっている、こうしたことも踏まえまして、今般、高校生までを対象とする医療費助成に対する減額調整措置、これを廃止していく方向で考えていきたい、このように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 当然、少子化対策のたたき台という中で出ているわけですから、これは、子育て世帯への支援として医療費の負担軽減は非常に有効だ、こう政府として判断したということでよろしいわけですよね。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 子供対策ということですから、子育て支援、こういう観点も当然考えております。あるいは、地方公共団体でのそういう子育て支援という観点から取り組んでいる状況、これを勘案して先ほどの申し上げたような判断としているところでございます。

宮本(徹)委員 そうすると、一方では、子育て支援として今まで自治体がやってきた医療費助成について国はペナルティーを科す、いや、これはもうやめますということを言いながら、もう一方では、いやいや、子供の医療費無料化というのはよくない面があるんだ、こういう主張をするのは、私は大変矛盾をしていると思うんですよね。矛盾していますよ。大臣、首を振っていますけれども、誰がどう考えても矛盾していますよ。私は、これは本当に国の制度として、子供の医療費無料化に踏み出すべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 続きまして、国民健康保険についてお伺いをしたいと思います。

 今回の法案では、都道府県の保険料の水準の平準化の名の下に自治体が独自に行っている保険料の軽減をやめさせようということになっているわけですけれども、私は本当に、保険料を低い方に合わせるんだったら分かりますけれども、高い方に合わせていくというのは極めて大きな問題があると思っております。

 それで、今日、厚生労働省に資料を作っていただきました。配付資料の一番最後に大きなA3の紙をつけておりますが、東京二十三区と大阪市と広島市の国民健康保険料、それから東京の協会けんぽの保険料について、モデル世帯、二つのケースについて載せていただきました。

 ちょっと数字だけ紹介していただきたいんですけれども、この給与収入二百四十万円の単身者のケース、そして給与収入四百五十万円の四人家族、子供二人のケース、東京新宿区の国民健康保険と、あと東京の協会けんぽの保険料の比較を、ちょっと数字を紹介していただいてよろしいでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、東京新宿区の国民健康保険の保険料額でございますが、公表されております令和四年度の所得割率及び均等割額を基に、国民健康保険に加入する給与所得者であると一定の前提を置いた上で試算いたしますと、給与収入二百四十万円の単身者の場合については月額一万三千八百十二円、給与収入四百五十万円の四人家族の場合については月額四万七千三百十七円、それから、協会けんぽでございますけれども、協会けんぽの保険料額について、勤務先の事業所の所在地が東京都であることを前提にした場合ですが、給与収入二百四十万円の単身者の場合は、本人負担分は九千八百十円、給与収入四百五十万円の被用者を含む四人家族の場合は、本人負担分は月額二万一千七百五十五円となっております。

宮本(徹)委員 今、月額で紹介がありましたけれども、協会けんぽと比べて、東京新宿区の国保で見れば、年収二百四十万円、単身者で大体一・五倍、年収四百五十万円の四人家族でいえば倍以上という金額になっているんですね。国民健康保険は本当に高いわけですよね。

 ちなみに、大阪のも載せておりますけれども、大阪の場合は、二百四十万円の場合は、年額で見て二十万円を超えているわけですよね。また、四人家族、四百五十万円のケースで見ると、年額で六十万円を超えているということですから、年収四百五十万円のうち六十万円、国民健康保険料でかかっているというのは、本当に異常な高さだと言わなければならないと思うんですね。

 大臣は、この国民健康保険の保険料は高過ぎる、こういう認識はございますでしょうか。

    〔田畑委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 おっしゃるその高過ぎるというのは、何と比較してなのかという感じがありますが、ただ、我々は、議員であるときは国民健康保険で、今、大臣になると共済保険になりますから、その間で随分負担、本人の負担ですよ、は違うなという実感は持っています。

宮本(徹)委員 国会議員の場合は高額所得者ですから、そこで見るというのはもちろんありますけれども、そうじゃなくて、私が今紹介したモデル世帯ですね、単身二百四十万円というのは、本当に若い非正規の人たちが働き始めたら、それぐらい低い方もいらっしゃるわけですよね。あるいは給与所得四百五十万円、こういう数字を今比べていただいたんですけれども、そういう本当に低所得者、中間所得者層にとって国民健康保険料というのは非常に高いのではないのか、その点はいかがですか。

加藤国務大臣 保険料として見る場合には、もう委員御承知のように、協会けんぽの場合には、半分は事業者が負担をしています。先ほどの指摘は雇用者本人分だけでありますから、そこら辺をどういうふうに見るのかというのはあるんだと思います。

 ただ、国民健康保険については、被保険者の年齢構成が高い、無職や非正規雇用労働者など所得水準が低い被保険者が増加している等の構造的な課題があるわけでありますので、給付費の五割、これは公費負担を入れているわけであります。それに加えて、低所得者への保険料軽減制度を設けるなど、公費を他の制度より手厚く投入するなどの措置を講じておりますし、また、平成三十年の制度改革により、都道府県と市町村が共同で運営する仕組みとするとともに、低所得者対策の拡充など毎年約三千四百億円の財政支援を行い、財政基盤の大幅な強化を図っているところでございます。

 さらに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、昨年四月からは未就学児の均等割保険料を半額に軽減する措置、また、この法案で提案させていただいていますが、出産する被保険者の産前産後期間に相当する四か月分の均等割保険料と所得割保険料を免除するとともに、その免除相当額を公費で支援する、こうした措置も講じさせていただいているところでありますので、こうした取組を通じて被保険者の負担軽減を図り、国民皆保険を支える国民健康保険制度の安定的な運営に努めていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 その国庫負担をやっても、それでも高過ぎるというのが今の国民保険料の実態だと思うんですよね。

 資料の一ページ目に、見ていただきたいと思うんですけれども、この間、国は自治体に対して国保会計の法定外繰入れの解消をずっと求めてきたわけですね。その結果、法定外繰入れが、二〇一五年から、これは二〇二〇年までのものですけれども、大きく減っているわけです。元々余りやっていなかったところもありますけれども、東京なんかでいえば本当に大きく減っております。

 ちょっと数字を紹介していただきたいんですけれども、東京の国保の法定外繰入れは二〇一五年から幾らから幾らに減ったのか、加入者一人当たりでは幾ら減ったのか、紹介していただけますか。

伊原政府参考人 国民健康保険の健全な財政運営のためには、保険料を適切に設定、徴収し、受益と負担の均衡を図る必要がございます。

 平成三十年度の国保制度改革によりまして、毎年三千四百億円の財政支援を拡充して、都道府県、市町村の共同で運営する仕組みとして、都道府県単位の保険料水準の統一に向けた取組を進めるとしておりまして、この中で、法定外繰入れの解消を図って安定的な財政運営を確保する、こういうことに取り組んでいるところでございます。

 こうした中で、御質問の東京都における決算補填等の目的の法定外繰入れ額の合計額でございますけれども、平成二十七年度は千四十億円でございました。令和二年度は約三百八十億円でございまして、平成二十七年度から令和二年度までの間に約六百六十億円減少、一人当たり額で約一万六千円減少しております。

宮本(徹)委員 その五年だけで一人当たり一万六千円の独自減免の支出が自治体からはなくなったということなんですね。

 一方、国は、三千四百億円分新たに追加したんだ、国からの支出を出したんだということをおっしゃっているわけですけれども、全国で。そうすると、じゃ、東京分はそのうちどうなっているのかということをお伺いしたいんですけれども、東京の国民健康保険への国庫負担というのは二〇一五年以降どうなったのか、そのうち三千四百億円分の動きも教えていただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、三千四百億円の追加公費について、それが東京都にどのぐらい出たかということなのでございますけれども、実は、この追加公費の三千四百億円というのは、既に実施されている調整交付金など、各制度に投入された金額を合算したものでございます。それぞれの各制度では、実際国から交付を受けるわけですけれども、そちらの側は、毎年度、被保険者数や算定された保険料によって金額が毎年、他の要因によって増減しておりまして、三千四百億円のうち、どの部分が東京都に幾ら行ったかということのみを抽出して算出することが難しゅうございます。

 したがいまして、お答えできますのは、東京都国民健康保険の国庫負担額、国から東京都に行った総額をお示しすることが可能でございまして、それで見ますと、平成二十七年度は三千百六十億円、令和二年度は三千四百二十億円でございまして、平成二十七年度から令和二年度までに約二百六十億円、一人当たり額で約三万円増加してございます。

宮本(徹)委員 二百六十億円。先ほどの話では、六百六十億円、一般会計から国保会計への繰入れが減っているということですよね。その一方で、国庫負担は増えたのは二百六十億円、そのうち、この三千四百億円の部分がどれだけ占めているか分からないし、あるいはこの二百六十億円の中には恐らく医療の給付費が増えたらそれに伴って増えている分もあるので、実際は、この三千四百億円の新たな支出というのは、東京分でいえば二百六十億円よりも小さい数字だということになるわけですよね。

 そうすると、全然、国は自治体に対して、法定外繰入れを減らせ減らせ、国は支援しますよといっても、法定外繰入れ解消分にも国の支援は全く届いていないわけですね。そうすると、国保はどんどんどんどん引き上がっていくということになるわけです。とりわけ東京はなっているわけですよね。

 さらに、現状でも一人当たり一万数千円、東京は法定外繰入れをやっているわけですけれども、これもなくしていこう、なくしなさいというのが今度の法律なわけですよね。本当にこんなことをやったら大変ですよ。ただでさえ滞納者がたくさんいるのが国民健康保険なのに、ますます生活が追い詰められていくということになると思います。

 私は、本当にこの余りにも高い国民健康保険の現状を考えたら、やはりもっと追加で国が責任を果たさなきゃいけないと思うんですよね。とりわけ、全国の知事会も、子供の均等割軽減については、未就学児の半額というだけではなくて、もっと抜本的な拡充を図ってほしいという要望も出しております。せめて子供の均等割はなくす、これぐらいの財政支援を国としてやるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国民健康保険の保険料については、全ての被保険者がひとしく給付を受ける権利があるため、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことが基本とされております。

 ただ、その上で、所得の低い世帯には応益割保険料を最大七割軽減する措置を講じるとともに、昨年度からは未就学児の均等割保険料を一律半額に軽減する措置を講じているところであります。

 また、国民健康保険においては、被保険者の年齢構成が高く、無職や非正規雇用の労働者など、所得水準が低い被保険者が増加していることなどから、先ほど申し上げたように、被保険者負担が相対的に高くなっているため、様々な措置を講じ、子供のいる世帯を含め、被保険者全体の負担軽減を図っているところであります。

 こうした中、今御提案がございました子供の均等割保険料を廃止することについては、先ほど申し上げた受益に応じて負担いただくという均等割保険料の考え方の整合性、また、財源の確保等の課題があり、慎重に検討すべきと考えておりますが、まずは昨年度から施行された未就学児の均等割保険料の軽減措置、これをしっかりと進めていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 少子化対策だといって、子供予算倍増だといった場合に、やはり本当に今困っていて厳しい方々への支援というのはそこから欠かしてはまずいと思うんですね。

 今日、山井さんからは児童扶養手当の話がございました。これはやはり所得制限の緩和をするだとか、あるいは二人目、三人目、二人目は何で一万円、三人目は六千円なんだと、もっと引き上げなきゃいけないというのは当然、こういうことを欠かしてはいけないと思うんですよ。

 同じように、やはり国民健康保険は均等割というのが存在して、子供がたくさんいればいるほど本当に保険料が高くなるという仕組みになっているわけですから、少子化対策というんだったら、これは抜かしてはまずいんじゃないですか、与党の皆さんも。ですから、是非、これは与党の皆さんからも声を上げていっていただきたいと思うんですよ。これは本当に子供予算倍増の中でもしっかり支援しなきゃいけない部分だということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 それと、続きまして、前回質問していた続きでございますけれども、通告の残りのところに行きたいと思いますけれども、後期高齢者の医療の保険料の問題ですが、参考人質疑が昨日ありまして、プライマリ・ケア連合学会の理事長の草場先生は、七十五歳以上の医療費の二割負担の影響について、相当大きな影響がある、在宅診療は負担が大きいので外来診療に切り替えるケースが増えているということを、現場で起きている受診抑制のこととして紹介されておられました。

 こういう受診抑制が本当に起きている上に更に負担をかぶせていっていいのかというのが、今回の法案で問われていると思うんですね。

 出産一時金について、後期高齢者医療制度の前は高齢者も負担していた、こういう説明を政府からなされるわけですけれども、なぜ後期高齢者医療制度からは出産一時金は負担しないことにしていたのか、その理由について教えていただけますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療制度は、高齢者医療を社会全体で支えるという観点に立って、平成二十年に創設されましたが、それまでの老人保健制度は、七十五歳以上の高齢者は国民健康保険又は被用者保険に加入しまして、それぞれに保険料を納付しており、高齢者世代も、出産育児一時金を含め子供医療費を負担しておりました。

 平成二十年以降は、現役世代と独立した後期高齢者医療制度に加入するということになったため、高齢者は出産育児一時金の費用を負担せず、現役世代から後期高齢者支援金による支援のみを受ける形の制度とされました。それが経緯でございます。

宮本(徹)委員 それは経緯なんですけれども、じゃ、なぜしなくなったのか、支援だけを受けるようにしたのか。基本は、やはり高齢者は収入が少ないから支援を受けるだけにしたということなわけですよね。そういうお話でいいわけですね、今のは。

伊原政府参考人 まず、老人保健制度、その前の制度についての批判として、高齢者医療が中心なのに責任とか運営主体が明確ではない、それから、高齢者自身も、ある意味しっかりと責任主体としてなるべき、こういう議論があって、後期高齢者医療制度が出てきたというふうに承知しております。

宮本(徹)委員 そういうことを私は聞いたわけじゃないんですけれども、いずれにしても、後期高齢者医療制度から負担しないというのは、やはり収入が少なくて、これは皆さんに支援していただくという仕組みなわけですよね。なおかつ、この間、阿部委員なども指摘していますけれども、高齢者は出産するわけではないわけですから、当然、そういうものは負担しないわけでございます。

 それで、問題は、当時に比べて高齢者の生活というのはどこまで厳しくなっているのかということなんですよね。

 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、総務省にお願いしたら、二〇〇八年まで遡っての世帯主七十歳以上の消費者物価がちょっと出しにくかったので、二〇一〇年からのものにしましたけれども、御覧になっていただければ分かりますように、世帯主七十歳以上の消費スタイルに合わせた消費者物価というのは、二〇一〇年を一〇〇とすると、二〇二二年では一一〇・一五なんですね。一割、消費者物価は上がっているということになります。一方、年金は、二〇二二年の時点で九八・一七と、二〇二三年は少し上がっていますから、それでも一〇〇・幾らという、二〇一〇年と比べてほぼ横ばいというのが実態なわけですよね。

 ですから、年金は全然上がっていないけれども物価は一〇%上がっているというのが高齢者をめぐる経済状況なんですね。ですから、事実上、一〇%、年金は目減りしているというのが高齢者の生活から見た状況だと思うんです。

 次のページを見ていただきたいと思いますけれども、資料の三ページ目、二〇〇八年と二〇二二年の総務省の家計調査ですけれども、いずれを見ても、大きく、食費が占める比率、いわゆるエンゲル係数も上がるという状況になっているわけですよね。

 こういう状況で高齢者の負担を増やす、そのことによって現役世代の保険料を何か下げようとかというのは、これは本当に私は違うんじゃないかと思うんですよね。政治の役割というのは、高齢者に対しても子育て世代に対しても、どちらにも安心をお届けするというのが、本来政治がやらなきゃいけない仕事じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 高齢者、若者のみならず、国民全体の安全と安心をしっかり確保していくということは、我々の責務だというふうに認識をしております。

 その上で、今委員からお示しをしていただきましたが、例えば平成二十年の後期高齢者医療制度創設以降の所得の状況を見ると、後期高齢者の一人当たりの所得はこの間六・〇%の伸びが見られる一方、支援金を負担する現役世代、これは被用者保険でありますし、もちろんコロナ禍で短期の方が増えている等の事情もありますが、現役世代の賃金はやや減少ということになっています。

 また、高齢者世帯の状況は、令和四年の家計調査で見ても、制度創設時点と比べ、家計の状況は改善していると認識をしております。

 また、平成三十年の家計調査の個票データを用いて年収百五十五万円より上位の所得について分析をしてみると、その収支はプラスとなっているところでございますので、今回の改革では、改革に伴う負担について、負担能力に応じて負担をいただくという観点から、年収百五十三万円以上の方を対象に、制度改正に伴う負担をお願いしているところでありますので、引き続きの御理解を求めていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 年収百五十五万円という話がありました。百五十三万円から今回負担が増えますけれども、月の年金、十二万七千五百円ですよ。それはもう本当に節約して皆さん暮らされていますよ。

 先週もお話ししましたけれども、百五十五万円まで、東京でいえば住民税非課税世帯ですよ。皆さんが今回、電気代、ガス代、もう高騰で大変だろうということで予備費から支援をしなきゃいけない、それぐらいぎりぎりの世帯に対して、何か生活状況が昔よりも改善している、これは多くの皆さんの実感に合わないと思いますよ。どんどんどんどん年金は目減りをして、生活は厳しくなっている、こういう声ばかりですよ、私は地元で聞くのは。

 時間になっていますからこれで終わらせていただきますけれども、本当に、高齢者に負担をかぶせるというのではなくて、もっと富裕層にしっかり負担を求めるべきだということを求めておきたいと思います。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。今日もラストバッターで質問させていただきたいと思います。

 通告はしていないんですが、今日もこの議論で出ました出産保険適用の検討について、今日配付された資料についてお聞きしたいと思います。

 私、実は、産婦人科医でございますけれども、命の誕生、そして、病院というところに、大丈夫とかいうお見舞いでなくて、おめでとうという形で来る、そういう新鮮な医療もあるんだということで、そういった産婦人科医を選んだ経緯もありました。今日、中島委員の方からもお話がありましたように、出産を保険適用ということは、一般に、保険というのは病気を治す、出産ということ、いわゆる正常な妊娠というのは今まで病気でなかった概念でございまして、それが大きく転換されるということは、今後検討があるというこの間の議論の答弁でございましたので、また、指摘ですけれども、より分かるように、深掘りして検討、審議していただきたいということを冒頭申し上げた上で、これは政府参考人の方にお聞きします。

 一番最後のくだりで、令和八年度を目途に検討を進めることが想定されます、それで最後に、こうした仕組みは維持されるものと考えますということでございますので、先ほど来、るる答弁がありましたが、これは、いわゆる出産費用が今、低いところにおいては、この前の質疑でも、余剰となったのは後ほど個人の口座等々に交付される、振り込まれるということでございましたので、この文章をそのまま読めば、例えば保険適用になるということは、一律になるわけですよね。そうすると、三割負担して、それで残った分、これは五十万足して、その残りは国民というか出産した家庭に入ってくる、そういうことでよろしいでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問いただきましたように、まさに先ほどの先生がお示しされた紙の中にもありますけれども、昨年の医療保険部会におきましても、出産費用が年々上昇している状況もあるので、実際、見える化もやって、検証し、引上げ後三年後を目途に、出産育児一時金の在り方について検討するとなっております。

 その一環として、今回、出産の保険適用の導入を含め検討するということになっておりますので、具体的にどういう形で設計するのか、そのとき、例えば、療養の給付という、病気やけがの場合には三割負担という制度、自己負担がありますけれども、では、ああいう仕組みにするのかどうかとか、そういうことも含めて今後の検討だと考えておりますので、現段階でこういう形だということが具体的にイメージされているものはございません。

仁木委員 それでしたら、先ほど妊婦健診の話も出ていました。十四回、助成がありますね。この妊婦健診も、出産のというのを、出産に関するということに変えていただいて、妊婦健診も保険適用にしていただきたいと思いますので、そういった議論もどうでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 一つは、まず、妊婦健診といったものにつきましては、現在、地方交付税措置で、市町村が事業実施主体となっております。たしか年十四回ほどやられております。そうした現行の仕組みや実施主体の問題、それから、妊婦健診については、単独に健診費用の助成だけではなくて、妊娠届を出された方の全体をソーシャルワーク的な観点も含めてカバーするみたいな実際の支援の在り方もございますので、そうしたことも留意しながら、先生御指摘でございますから検討項目として今後考えていくことはあり得ると思いますけれども、これはまたこども家庭庁の問題でもございますので、よく連携しながら考えていきたいと思います。

仁木委員 私は、大臣、この間、この全世代対応型という文言に全地域型というのを加えてほしいと、ちっちゃい声ですけれども、何回も繰り返しています。そういう意味で、今まで保険収載されていない分野での診療であったわけでございますので、なかなか数値が出てこない。特に、例えば今、お産を昨年どういった施設でどのような形でされていたという調査、特に、二次医療圏内における国民が生まれてくる場の調査というのを改めて展開していただきたいと思うんですね。

 具体的に言うと、問題が生じるとぱっと思うのは、例えば今、助産院で助産師だけで生まれてくる症例も、二〇一四年に七千三百人います、これは過去のデータですけれども。そういった、いわゆる医師がいないのにそこで医療行為を展開していいのかという問題もあるので、保険適用になるとそういう問題も出てくるということもるる勘案されて議論していただきたいと思います。

 大臣にお願いしたいのは、これから八次医療計画というのも上がっていますけれども、妊婦さんが通院するというのは本当に大変なんですよね。特に、最初はいいとしましても、おなかが大きくなってくる、一般に出産前になってくると十三キロぐらい体重が増えるわけですし、地方では、車で、一人で運転して隣にちっちゃな上のお子さんがいるというようなパターンも結構多いわけです。そういうときに車のハンドルは、おなかが大きいのに危ないということもありますので。後ほどそれは通告していましたが、こういった二次医療圏における周産期、こどもまんなか政策というのであるならば、やはり子供さんが生まれてくる実態、これは里帰り分娩しているような事案もありますので、大臣、これは調査を行った上で、改めて、グランドデザイン、八次医療計画に組み込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、周産期医療の集約化、重点化を進めさせていただいております。また、そうした中で、分娩や妊婦健診を行う医療機関へのアクセスを適切に確保することは重要と認識をしておりまして、令和四年度の二次補正予算では、出産・子育て応援交付金事業において、妊娠を届け出た妊婦に対する経済的支援について各自治体の創意工夫により幅広い支給方法を選択することが可能となっておりますので、妊婦健診を受診するための交通費の助成にもつながるものと考えております。

 令和六年度から開始する第八次医療計画を策定するため、昨年度末に国から都道府県に示した周産期医療の体制構築に係る指針においては、分娩施設へのアクセスが悪化した地域に居住する妊産婦に対して地域の実情に応じて対策を検討する旨を記載させていただいているところでございますので、引き続き、関係学会、都道府県とも連携しながら、妊婦の方々が安心、安全に出産できる環境の整備、その一環だと思いますが、それに取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 大臣、後で私が質問することを先にお答えいただいたんですけれども。離島振興法でも、離島にお住まいの妊婦さんが通院する際の財政的な支援とかいうのがあるんですけれども、そういったアクセス支援について最初お答えいただいたので、改めて、八次医療計画におきましては、そういった妊婦さんのアクセス支援、妊婦健診におけるアクセス支援も、出産も含めて加味していただきたいと思いますが。

 私が申し上げたのは、改めて、全地域型というのであるならば、二次医療圏ですら、そういった周産期のサービスを国民が受けられない。分かりやすく言うと、産婦人科がないので、通院できない、産むところがない、そういう地域が結構出てきているわけですね。

 そのことに関連して、この前、こういった、出産育児一時金が八万円ジャンプアップする際のいろいろなサービス、無痛分娩というのもそのラインナップにあるということの形が出まして、その無痛分娩、いわゆる麻酔でいうと硬膜外麻酔のことを聞きましたが、今日は、大臣、腰椎麻酔ですね。

 これは実は、産婦人科ですと、結構、今までの形でやっています。しかも、帝王切開とセットで。つまり、自科麻酔といいまして、産婦人科医が、特に問題なのが緊急の帝王切開、早く赤ちゃんを出さないと胎児仮死になっちゃう、いろいろな問題があるから早く出したい、早く出産してほしい、赤ちゃんを娩出したいというときに、緊急の腰椎麻酔をする際に、今問題となっていることがありまして、これも、この前、日産婦の理事長と話もしたんですけれども、いわゆる腰椎麻酔を自科麻酔するのはもうやめていっていると。特に、二〇一七年の、昨年私が申し上げた、無痛分娩の医療過誤等々で問題になって、訴訟リスクとかを減らすために、若手の産婦人科医には、従来、私を含めて古いというか、二〇一七年以前の産婦人科医なら当たり前に持っていた腰椎麻酔の技術を修得していない産婦人科医が育ってきているということなんですね。

 これは私は、二、三人の教授、いわゆる産婦人科の教授にヒアリングしました。これがまかり通ると、大病院の集約化はいいです、しかし、公的病院で、例えば、具体的に言うと、大臣、聞いていただきたいんですが、産婦人科医が三人ぐらいしか常勤がいないところがあります。そういうところというのは、えてして、麻酔科医もいますけれども、夜とかに緊急の帝王切開になるとかが多いんですね。そういうときに、オンコールの麻酔科医を病院に呼んでそれで緊急手術する、これは時間がかなりかかります。

 来年度から始まる医師の働き方改革、あるいは病院の経営とか、今、麻酔科医も、結構、非常勤で来ていただくと高いんですね、高いというか、いわゆるお支払いを結構しないと病院に集まらないというようなこともありまして、そういうことでいうと、大臣、若手の産婦人科医が腰椎麻酔を実際するかどうかという調査も、そういうのもちょっと調査していただきたいと思いますが、大臣、改めて、そのことに関してはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 かなり専門的になったので、ちょっと私からどこまで答えられるかというのはあるんですが、帝王切開時の麻酔が安全に行われ、妊婦の方々が安心して手術に臨むことができる体制の構築は重要であると考えておりまして、平成二十九年度の厚生労働特別研究事業による調査によりますと、帝王切開時の麻酔について、診療所では約六、七割を術者を兼任する産科医が行っている一方で、病院では約六、七割を麻酔科医が担当しているということでありますが、ただ、これが腰椎麻酔なのかどうか、ちょっとそれははっきり、そこまで調べているわけではありません。

 厚労省としては、安全な周産期医療体制の整備という観点から、産科における麻酔を実施するための知識や技術、急変時の対応を含む周産期医療従事者に対する研修の実施については、補助金や地域医療介護総合確保基金によって支援をしているところでございますので、引き続き、今の内容も含めまして、関係学会、都道府県と連携をしながら、安全、安心に出産できる環境の整備、これに取り組んでいきたいと考えています。

仁木委員 大臣、改めて、出産、特にお産というのは、安産が急に難産になることもありますし、胎児仮死に至れば、いろいろな理由がありますけれども、やはり、急速に遂娩する、分娩を終えてしまうということは、赤ちゃんにとって一番大切なわけですよね。そこで長引いたりすると、CPというか脳性麻痺とか、生涯障害が残ってしまうような事例も出てきます。

 ですから、私は、お産をするというか、お産をやれる医療機関と言う以上、国がある程度の方向性というかガイドラインとかをお示しになって、麻酔の方も、今、どんどんと若手の産婦人科医が、そういう腰椎麻酔、これは帝王切開とセットの腰椎麻酔です。たまに全身麻酔ですることもありますけれども、それはもう限られたケース。全身麻酔だと赤ちゃんが眠ってしまいます。スリーピングベビーという形になりますし、硬膜外麻酔からする場合もありますけれども、大概が腰椎麻酔でありますので、さっき言われたような比率が、産婦人科医、術者がやるという自科麻酔がどんどん減っていく、これは、地域での周産期医療、特に赤ちゃんが生まれてくる場を限定してしまうことになってしまう。ますます、さっき言った、遠いところ、大病院へ行かなきゃいけなくなっちゃうということにもなりますので、これは、調査を進めた上で、そういったことを、できるだけグランドデザインという形で現場の方に方向性を示していただきたいと思います。

 その上で、次に、かかりつけ医の問題、この間議論に出ていますが、これは質問に変えたいと思いますけれども、かかりつけ医は、どなたもなれる、どの医師もなれるということでございますが、これは、具体的に何か、今回報告義務とかを課していますけれども、診療報酬等とかというのは反映されるんでしょうか。それが一点目です。

 二点目は、そうでないならば、例えば、今、新医師の研修医制度等々あります。そういったいわゆる研修の課程において、メジャーな外科とか内科とか、あと、産婦人科、小児科とかを回って、あるいはICUとかも回るわけですけれども、そういったときに、プライマリーケアもやはり十分そのプログラムに組み込んでいくということも大切だと思います。そういうことは、大臣、何か、今回のかかりつけ医制度をより充実させて、国民が安心して医療にアクセスできるような体制づくりにおいて、私は今、診療報酬でこの間また補っていくということも言いましたが、そういった研修の中で組み込んでいくということは、どうでしょうか、大臣。

伊原政府参考人 診療報酬についてお尋ねがありましたので、ちょっとお答えをさせていただきます。

 現在でも、かかりつけ医という形ではないんですけれども、機能強化加算というような形で、こうしたかかりつけ医機能的なものを評価するという仕組みがございます。

 それで、今回、医療法の改正ということで、かかりつけ医機能の制度整備という形で議論が今進められようとしておりますが、この診療報酬の方の取扱いについては、まさに、今後、かかりつけ医機能の制度整備についての議論が具体化してきた段階で、受け止めるかどうかについての御判断をするということになると思いますので、現段階において、何か特段の整理をしていることはございません。

仁木委員 かかりつけ医を持っているというのは患者さんにはすごく安心ですので、私は、診療報酬でプラス加算が増えて国民の負担が重くなっても、そういった安心感というか、場合によったら、二十四時間じゃないにしても、診療外、外来が開いていないときでも、時間外でも受け入れて質問ができるとか、それは非常に安心感があると思いまして。

 実は、コロナ禍のときに、私も地元で、そういった県庁の方のホームページに、こういった、電話番号を、携帯の番号とかを提示していると、夜中、かかってきました、深夜にもかかってきました。それはもう、医療機関、どこも受け入れてくれないから、情報とかアドバイスだけでもいいから、本当は診てほしいんだけれどもという、往診依頼もありましたけれども、そういう形であって、その当時はボランティアでやっていました。後で、今、御案内のように診療報酬がついていますが、そういうふうに、かかりつけ制度のメリットを国民が感じたら、診療報酬でやっていくというのも一つの考え方だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、これは、今、総合診療医という言葉で先ほど委員から質問がありましたが、こういった、今、かかりつけ医の、私は、将来的には主役というか、プライマリーケアを担う主役の立場というのは理想だと思っています。例えば、アメリカもイギリスもそういう形になり、GPさんというのがいらっしゃいますので、そうだと思って、日本が余りにもこの間臓器別の専門医というのが育ち過ぎましたので、そういうふうな形もいいかなと思っておりますので。

 この辺、今はそういったことでないということですけれども、将来的にはその展開というのはありますか。政府参考人にお聞きしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの法案におきまして、医療機関のかかりつけ医機能の一つということで、日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能というものを規定してございます。

 この機能は、地域において確保する医療機関のかかりつけ医機能の一つとして、風邪や外傷など比較的専門性の低い疾患のほか、専門性が高い疾患でありましても状態が安定している場合などの日常的な診療について総合的かつ継続的に行う機能というものを想定してございます。

 こうした法の趣旨に基づいて、今お話ありました総合診療専門医等がそういった報告項目に含められるかどうかということも含めて、特定の専門的な医療従事者を含めるべきかどうかという点も恐らくいろいろな議論があるかと思いますので、有識者等の御意見をお伺いをして、今後定めていきたいというふうに考えておるところでございます。

仁木委員 あと、かかりつけ医に関する情報を国民が享受できるという話でございますが、これは行政側からの広報ということもありますが、片や、民間の医療機関が多いと思いますが、CMというか広告ということもあると思います。その辺の状態でいうと、特に民間の広告というのは、かなり、具体的に言うと三十年前とかと変わってきていると思います。

 その辺に対して、本当にその広告が正しいかどうかとか、そういったことを監督するような方向性というのは、厚労大臣、お持ちですかね。やはり、それが正しいかどうかというのはしっかりとした形で見ていく必要がありますし、そういったことも適正な医療を受ける国民のメリットになると思いますが、いかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの法律の枠組みの中では、かかりつけ医機能を持っている医療機関の方々に、持っておられるそのかかりつけ医機能の状況について御報告をいただいて、地域と都道府県の関係者との協議の場で必要な機能を確保する具体的方策を検討するということにしております。そして、その上で公表するということを予定してございますが、やはり、こういった協議なり、あるいは、公表するということを前提として、きちんとその体制が整っているかどうかということを、今回この法律の枠組みの中では都道府県が確認を行わせていただくということを予定してございまして、その中で、こういったかかりつけ医機能を行うだけの体制をきちんと持っているかどうかを確認させていただいて、必要な公表なり、あるいは、議論の場に提供していくという形にさせていただきたいと考えております。

仁木委員 今、私の地元でもそうなんですけれども、やはり、医療機関を受診するときは、結構、ある医療機関を受診した患者さんの感想とか意見を聞いて、口コミというかそういうのが大きいわけでございますが、ただ一方で、今、ネット社会ですし、ネット等々の医療機関の情報を得て、ここに行ってみようかなということもあるわけです。

 ですから、例えば、大臣、認知症ということがありますよね。その中で、物忘れ外来とか今あるんです、厚労省が出していると思うんですけれども。そして、その物忘れ外来をやっているかどうかを、標榜というか広報というかしているようなのが、ホームページ等々あると思うんですけれども、行政の中において。ところが、余りそれを見て、認知症疑い、軽度の認知症の患者さんがそこを受けて、そこで診療につながっているかというと、私はそうでないような気がしますので、物忘れ外来というのを、例えば医療機関にはその外来を広報しますかどうかという案内も来ますが、実際、本当にそういったアンケートに答えて、いろいろなことに回答していって、それでサイトに載せるかどうか決めるわけですけれども。

 その辺もやはり、厚生労働行政、ずっと前に大臣にも広報がちょっと苦手でないかということも申し上げたんですけれども、今回こういうこともあるんだったら、地域の住民の方、患者さんになる国民の方に、やはりしっかりとした情報を発信していくようなメソッドというか、これからありようも、改めてそういうチームを厚生労働省内につくられてもいいと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。これは通告していませんでした。

加藤国務大臣 まさに今回のかかりつけ医機能について、その中身を国民の皆さんに分かりやすく提供して、そして、それぞれの患者さん、国民にとってより適切な医療機関を選んでいただこうということでありますから、具体的な報告内容等々についてはこれから検討させていただくわけでありますし、また、情報についてはそれぞれ都道府県が公表していただくわけでありますから、と同時に、それぞれの医療機関も公表していただくわけでありますから、そういったところを通じて、まずは、より的確な情報の提供ということを進めていきたいと思っております。

 加えて、委員が広告とかSNSという話をおっしゃっておられましたけれども、それはちょっとそれでまた別に必要だったら答弁させていただきますが、この法案においては、まずは、医療提供の内容を的確に公表し、国民の皆さんがそれをベースにしっかりと選べることができる、こういう環境をつくっていきたいと思っています。

仁木委員 質問を変えますが、五月八日以降、こういったアクリル板、疾病分類が二類から五類に緩和されるに当たって、なくなると私は思っています。そして、この間の国民に向けての広報においては、これは一旦保管しておいてくださいというふうな形になっていますが、例えば、大臣、いつまで保管するのか。国会とかこういう広いスペースのあるところはいいですけれども、大臣、いまだに、例えば飲食店に行って、こういったアクリル板を守っているところ、いっぱいありますよね。そういったスペースのないところでずっといつまで保管しておくべきなのかというのは大体どういうふうにお考えなのか、ちょっと御答弁いただけるでしょうか。

 そしてまた、振り返って、今回、新型コロナウイルス感染症において、このアクリル板が本当に効果があったのかどうかということも含めてお願いしたい、私は、マスクはあったと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 まずは、先月三十一日にお示しをさせていただいたように、今回の感染症法上の位置づけの変更が予定どおり五月八日に実施されれば、基本的対処方針や業種別ガイドラインは廃止となることから、同日以降の日常における基本的感染対策については、これは政府として一律に求めることはなくなり、マスク着用の扱いと同様、主体的な選択を尊重し、個人や事業者の判断に委ねることを基本としております。ただ、政府は、感染症法に基づき、個人や事業者の判断に資するよう、情報の提供を行うこととさせていただいております。

 事業者において現在行われているアクリル板等のパーティションの設置については、飛沫を物理的に遮断するものとしては有効であるが、エアロゾルについては、パーティションでは十分な遮断はできず、まずは換気の徹底が重要であるということを申し上げております。このため、政府としては、一律に設置を求めることなどはせず、対策の効果、機器設置や維持経費など実施の手間、コスト等を踏まえた費用対効果、換気など他の感染対策との重複、代替可能性などを勘案し、事業者において実施の適否を判断をいただきたいというふうに思います。

 また、事業者におけるパーティション等の備品等の取扱いについては、先月三十一日に、内閣官房から出された事務連絡では、引き続き感染対策として活用、保管することや、感染対策上不要となったものにつき、リユース、リサイクルすることを例示としており、各省庁を通じて業界団体宛てに周知されたものと承知をしておりますが、いずれにしても、それをどうするかについては、最終的には、維持経費等を踏まえて事業者において判断していただくことになるというふうに考えています。

仁木委員 コロナ感染症がパンデミックになったときに、いろいろなこういった感染予防のための施策が緊急に取られて、マスクも、国内にいろいろ、急に、生産拠点がないということが露呈されましたし、また、これにも多額の税金も使われているわけです。

 ですから、大臣、今の検討は、終わった後にはしっかりと広報されて、これを保管する、ずっと続けるのか、あるいはもう破棄する、あるいはリサイクルに回すのか、そういったことを明確にしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 今日は、ありがとうございました。

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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